「コンポジットTV」フィルタと「コンポジットTV 音声」フィルタの全項目について、何を再現しているかと 動かすと何が起きるかをまとめたものです。値はすべて既定値/可動範囲つき。
表示が英語のときのラベルは README の英語側と対応します。このリファレンスは日本語のみです。
先に読むと早い: 「見えないときは」— ビーム径や走査線が効いていないように 見える原因はほぼここに書いてあります。
| 項目 | 既定 | 範囲 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 電源 | ON | — | OFF で消灯演出(横線→輝点→残光)。ON で約1.5秒のウォームアップ |
| 電界強度 (0=砂嵐) | 1.00 | 0〜1 | このフィルタの主役。1=クリア、0=完全な砂嵐 |
| 最小雑音 (残る粒) | 0.04 | 0〜0.30 | 電界強度が最大でも残る粒状ノイズの量 |
電界強度 — ライス検波の搬送波振幅そのものです。下げるほど搬送波が雑音に埋もれ、
1.0 → ざらつき → 白黒の砂嵐へ連続的に変化します。0.35 付近から下は砂嵐側の式へ滑らかに
ブレンドされ、0 で純粋なレイリー分布(=無信号)になります。
副次効果として 0.08 を下回ると副搬送波位相ドリフトが効き始めます(下記参照)。
最小雑音 — 電界強度1.0でも乗る雑音の下限。0 にすると完全にクリーンな絵になり「TVらしさ」が 減ります。0.02〜0.06 くらいが自然です。
ソース映像を NTSC のコンポジット信号に変換する段です。ここでの帯域制限が色にじみの正体です。
| 項目 | 既定 | 範囲 | 効果 |
|---|---|---|---|
| I 帯域 | 1.3 MHz | 0.4〜2.0 | 橙〜シアン方向の色の解像度 |
| Q 帯域 | 0.4 MHz | 0.2〜1.3 | 緑〜マゼンタ方向の色の解像度 |
| 変調クロマゲイン | 1.00 | 0〜1.5 | コンポジットに乗せる色副搬送波の振幅 |
| 画面アスペクト | ソースに合わせる | 3択 | ブラウン管の形(ソース/4:3/16:9) |
| アスペクト処理 | レターボックス | 2択 | 管に映像をどう収めるか(比率維持/引き伸ばし) |
I 帯域 / Q 帯域 — 実機の NTSC は I を広く(1.3MHz)、Q を狭く(0.4MHz)伝送します。 下げるほど色が横方向に流れ、特に赤系の縦エッジがにじみます。両方を最大にすると色が シャープになり「デジタルっぽい」見え方に。両方最小で強い色にじみ。
変調クロマゲイン — 上げると彩度が上がりますが、同時にクロスルミナンス(色信号が輝度に 漏れてドットがちらつく)が増えます。1.2 以上は飽和色でざらつきが目立ちます。
画面アスペクト / アスペクト処理 — 16:9 のソースを全画面で自然に出すなら
ソースに合わせる+レターボックス。実機の 4:3 ブラウン管にしたいなら 4:3+レターボックス
(左右に黒帯が出ます)。
| 項目 | 既定 | 範囲 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 検波レベル (AGC) | 0.62 | 0.20〜0.95 | 砂嵐の暗さ(上げるほど暗い)。砂嵐側のみ |
| AGC ハンチング | 0.06 | 0〜0.40 | 受像機の AGC ループの不安定さ。上げると約8Hzで明るさが脈打つ(リミットサイクル)。0でもループは生きていて、ドロップアウト後の白筋・信号消失時の暗転→砂嵐立ち上がり・復帰時の白飛びが出る |
| 水平同期の甘さ (H-HOLD) | 0.00 | −1〜1 | 受像機の水平発振器のデチューン(中央=ロック、符号=向き、全域で約±1500Hz)。寸法は実機の水平AFC IC LM1391 の規格値から: ホールド範囲 ±900Hz=±0.77までロック、静的位相誤差 300Hzで0.5µs(限界手前で絵が横に寄る)。限界に近づくとループが不安定側に入り蛇行、越えると59.94Hzのずれにつき斜めコピー1本(斜めの黒帯はHBIそのもの)。きれいな電波でも起こる |
| 垂直同期の甘さ (V-HOLD) | 0.00 | −1〜1 | 受像機の垂直発振器のデチューン(中央=ロック)。切り込みパルス(VBI行3〜5)を積分器で検出し、等化パルス行との充電差でトリガする物理モデル。寸法は実機の垂直偏向IC TDA1170 の規格値から: 自走 54Hz(場周波数より9%遅い)、引込範囲 100行=43Hz〜59.94Hzでロック。トリガは片側にしか効かないので外れ方は非対称で、+側は +0.55 超で滑らかに回転、−側は −0.85 まで粘ってガクガク逆回転。弱電界では発火の取りこぼしで画面が上下に跳ね、さらに悪化して回り出す |
| IF 帯域幅 | 5.0 MHz | 2.0〜7.0 | 砂嵐の粒の細かさ |
検波レベル — 砂嵐の平均的な暗さです。
理由は NTSC が負変調だからです。検波した振幅が大きいほど画面は暗くなる決まりなので、
検波器の利得を上げる=振幅を大きく見積もる=暗い、となります。実装上も
輝度 = 1.0 − 包絡線 × 検波レベル の形で、検波レベルは引き算に掛かる係数です
(内部では包絡線の平均値 √(π/2) ≒ 1.2533 で正規化しているので、検波レベルの値がおおよそ
「平均でどれだけ暗くするか」に対応します)。
電界強度 0.35 以上では効きません(そこから上は映像側の検波式に完全に切り替わるため)。 0〜0.35 の間は両者が混ざるので、効き方が弱くなります。
AGC ハンチング — キー付き AGC の物理モデルです。受像機は自前の水平同期タイミングで同期先端と バックポーチの差を測り、それを規定値に保つよう利得を回す二次ループを持っています。ノブはその ループの減衰不足で、上げると約 8Hz の持続的な明るさの脈動(リミットサイクル)になります。 0 でもループは動いていて、長いドロップアウトの後に数ラインが白っぽく尾を引く、電波が消えた 瞬間に一度暗くなってから砂嵐が立ち上がる、戻った瞬間に白く飛んでから落ち着く、水平同期が 外れるとキーが映像に乗って明るさがふらつく——といった挙動が自動で出ます。定常状態の明るさは 従来どおり(検波レベルで調整した砂嵐の明るさは変わりません)。
IF 帯域幅 — 雑音を帯域制限する幅です。狭くすると粒が横に伸びて粗くなり、 広くすると細かいザラザラになります。ここは見た目の差が大きいので試す価値あり (2.0 = 粗い流れる粒 / 7.0 = 細かい砂)。
| 項目 | 既定 | 範囲 | 効果 |
|---|---|---|---|
| Y/C 分離 | 2ラインコム | 3択 | レインボー(クロスカラー)とドットクロールの量 |
| 映像帯域 / LPF | 4.2 MHz | 1.0〜4.2 | 横方向の解像感 |
| クロマゲイン | 0.70 | 0〜2.0 | 彩度 |
| カラーキラー | 自動 | 自動/切/強制モノクロ | 自動=バーストが検出できないと色を殺す(実機動作) |
| 副搬送波位相ドリフト | 0.6 rad/s | 0〜3.0 | 色相の回転速度(砂嵐時のみ) |
| コントラスト | 1.15 | 0.3〜2.0 | — |
| ブライトネス | -0.02 | -0.3〜0.3 | — |
Y/C 分離 — 輝度と色をどう分けるかの方式です。差が最も分かりやすい項目のひとつ:
- バンドパス(安物TV)… 色の縦エッジに虹色が出て、細かい模様がちらつく
- 2ラインコム(既定・標準的なTV)… 虹色がほぼ消える
- 3ラインコム(高級機)… さらにドットクロールが減るが、動きの速い部分で解像感が落ちる
映像帯域 / LPF — 下げると全体がボケます。1.0 MHz まで下げると「かなり古いVTR」の質感。 文字の可読性を残したいなら 3.5 以上を推奨。
カラーキラー — 実機どおり受像機が測ったバースト振幅で決まります。
- 自動(既定)… ライン毎にバーストを相関検出し、検出できなければ色を殺します。 砂嵐がモノクロになるのはこのため(実機の砂嵐が白黒なのと同じ理屈で、 電界強度の値は一切参照していません——バーストが雑音に沈むから、です)
- 切 … 常に色を通す。砂嵐にも色ノイズが乗る、キラーの壊れたテレビの見え方
- 強制モノクロ … 従来のチェックONと同じ。旧設定は自動的にこのモードへ移行します
副搬送波位相ドリフト —
| 項目 | 既定 | 範囲 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 走査線数 | 486本 | 3択 | 走査線が見えるかどうかを決める最重要項目 |
| 1ライン飛ばし (レトロ) | OFF | — | 走査線の間に暗い隙間を空ける |
| 隙間の明るさ | 0.15 | 0〜1 | 飛ばした隙間の暗さ(0=真っ黒) |
| インターレース | ON | — | 2フィールドを織り合わせる |
| 蛍光体残光 | 0.22 | 0〜0.75 | 動きの残像 |
| ビーム径 (垂直) | 0.45 line | 0.30〜1.60 | 走査線方向のにじみ |
| ビーム径 (水平) | 0.85 smp | 0.30〜2.50 | 横方向のにじみ |
| 走査線の見え | 0.35 | 0〜0.60 | 走査線の暗い隙間 |
| 調整用ズーム | 1.0 | 1.0〜8.0 | 画面の一部を拡大(閉じると自動で戻る) |
| ズーム中心 X / Y | 0.5 / 0.5 | 0〜1 | 拡大する位置 |
| シャドウマスク | なし | 4択 | 管面の RGB 蛍光体構造(スロット/ドット/アパーチャーグリル) |
| マスクの濃さ | 0.60 | 0〜1 | マスクの変調の深さ |
| マスクの太さ | 0.62 | 0.20〜1.00 | 蛍光体の幅(細いほど黒い隙間が広がる) |
| マスクピッチ | 450 | 150〜900 | 画面幅あたりの RGB トライアド数(小さいほど粗い) |
| ダンパー線の太さ | 0.01 | 0.01〜4.0 | 線影の幅。1画素未満では実幅に比例して薄まり(下限5%)ほぼ目立たないヘアラインに |
| 画面曲率 | 0.025 | 0〜0.12 | 樽型の歪み |
| 周辺光量落ち | 0.30 | 0〜0.80 | 四隅の暗さ |
| オーバースキャン | 0 | 0〜0.08 | 画面端の切り落とし |
| 消磁の長さ | 1.2 秒 | 0.3〜3.0 | 消磁演出の持続時間 |
| 消磁の強さ | 0.70 | 0〜1 | うねり・色ずれ・虹ムラの量 |
走査線数 — 1 フレームを何本の走査線で描くか。走査線を見えるようにしたいならここです。
| 選択肢 | 1080p での1ライン | 用途 |
|---|---|---|
| 486本 (NTSC 標準・インターレース) | 2.22 画素 | 実機のフル解像度。走査線は自動フェードでほぼ見えません |
| 243本 (240p・レトロゲーム機) | 4.44 画素 | 走査線がはっきり見える。ファミコン〜スーファミ世代の実際の出力 |
| 162本 (ローファイ) | 6.67 画素 | さらに太い走査線。誇張した演出向け |
💡 243本にしても解像感は落ちません。 このフィルタは内部で 1 フィールド = 243 ライン として NTSC 変調しており、486本表示のときは2つの表示行が同じソース行を参照しています。 つまり縦の情報はもとから 243 ライン分しかなく、243本表示は「1 ソース行を 1 走査線として 素直に描く」だけです。情報を捨てずに走査線だけが見えるようになります。
486本以外を選ぶとインターレースは自動的に無効になります(240p は定義上プログレッシブで、 フィールドを交互に織ると意味のないちらつきになるため)。チェックボックスは残りますが効きません。
1ライン飛ばし / 隙間の明るさ — 走査線の間にくっきりした暗い隙間を空けます。 既存の「走査線の見え」がサイン波で滑らかに暗くするのに対し、こちらは矩形状にすっぱり 落とすので、エミュレータのスキャンラインフィルタに近い硬い見た目になります。
- 「隙間の明るさ」0 = 真っ黒、0.5 = 薄い縞。既定 0.15。
- 走査線数と組み合わせて使ってください。 486本のままだと 1 セルが 2.22 画素しかなく、 隙間を表現できないので自動フェードでほとんど効きません(243本以上推奨)。
- 「走査線の見え」と併用も可能です(柔らかい陰影+硬い隙間)。
インターレース — OFF にすると毎フレーム同じフィールドを使うので、ちらつきが減り、 細い横線のジリジリが消えます。動きの多い映像では ON のほうが実機らしいです。 (走査線数が 486本 のときだけ有効)
蛍光体残光 — 前フレームとの max 合成です。上げると明るい部分が尾を引きます。
0.5 を超えると動きがかなり残るので、砂嵐の演出向け。0 にすると前フレームの参照自体を
スキップするので、わずかに軽くなります。
ビーム径 (垂直) — 電子ビームの太さ(走査線何本ぶんか)。 小さく(0.3)すると走査線がくっきり分離し、大きく(1.6)すると縦方向に溶けて 走査線が見えなくなります。走査線の見えとセットで調整してください。
ビーム径 (水平) — 横方向のにじみ(サンプル単位)。上げると全体が甘くなります。 映像帯域を下げるのと似ていますが、こちらは表示側のボケなので色にじみ方が違います。
走査線の見え —
オーバースキャン — 実機のブラウン管が画面端を枠で隠すのを再現しています。 既定 0.02 で上下左右が約2%ずつ切り落とされます。監視カメラのタイムスタンプなど端の情報が 重要な素材では 0 にしてください。
調整用ズーム / ズーム中心 X・Y — 設定画面のプレビューは小さく、サイズは OBS 側が決めて いるため変更できません。そこで完成した管面を虫めがねのように拡大して、ビーム径や走査線の ような 1 画素以下の違いを判断できるようにするものです。
- 閉じると自動で 1.0 に戻ります(中心も 0.5 に)。配信に拡大した絵が出たままになる事故を 防ぐため、フィルタ設定画面を閉じたタイミングで書き戻しています。
- 拡大すると走査線の見えも一緒に復活します。走査線は「1 走査線あたり 3 画素未満で自動 フェード」する仕様ですが、ズーム倍率を加味して判定しているためです(4 倍なら 1080p でも 2.22 → 8.9 画素/走査線)。ズームせずに走査線だけ確認しようとしても見えないのはこのためです。
⚠️ これは出力そのものを拡大します(プレビュー専用ではありません)。OBS のフィルタには 「今プレビューを描いているのか本番を描いているのか」を判別する仕組みがないためです。 ズームしたまま画面を閉じずに配信を始めると拡大された映像が出ます。
使い方の目安: ズームを 4〜8 にして中心 X/Y で見たい場所へ寄せ、ビーム径(垂直)を 0.3 と 1.6 で 振ってみると差がはっきり分かります。
シャドウマスク / マスクの濃さ / マスクピッチ — 管面に並ぶ RGB 蛍光体の物理構造を 再現します。白い部分をズームすると赤・緑・青の粒に分かれて見える、あれです。
| 種類 | 構造 | 使われた管 |
|---|---|---|
| スロットマスク (ストライプ型) | 縦ストライプを横に区切ったスロット配列。隣の列と半スロットずれる | 一般的な家庭用TV(インライン管) |
| ドットマスク (丸型) | 丸い蛍光体ドットの三角(デルタ)配列 | 初期のカラーTV・多くのPCモニタ |
| アパーチャーグリル (トリニトロン) | 途切れない縦ストライプ | ソニー・トリニトロン系 |
- トリニトロンを選ぶとダンパー線も出ます。アパーチャーグリルは細い線の集合で振動に 弱いため、実機は水平方向にタングステン線を張って抑えており、その影が画面の 約 1/3 と 2/3 の高さに薄い横線として見えます(実物でも有名な「仕様」です)。 線は物理的な実体なので、「マスクの濃さ」とは独立です(濃さを変えても線影は 変わりません)。太さは「ダンパー線の太さ」で調整でき、単位はトライアドピッチ (=マスクピッチを細かくすると線も比例して細くなります)。影の濃さは固定、 解像度によるフェードもしません。
- マスクの太さは蛍光体ストライプ/ドットの幅(開口率)です。細くすると隙間の黒が 目立ち、太くするとストライプ同士が近づきます。3種すべてに効きます(ドットは径が連動)。 細くしても平均輝度が保たれるよう利得を自動補正しています(実機で開口率が輝度を 左右するぶんは補正済み、という扱い)。
- マスクピッチは画面幅に並ぶトライアド(RGB 1組)の数です。実機は 0.25〜0.6mm ピッチ =数百トライアド。小さくすると粗くなり、低解像度でも見えやすくなります。
- マスクの輪郭は出力1画素ぶんアンチエイリアスしています。解像できない細かさのときは 純色の縞ではなく混色へ滑らかに収束するので、画面規模の虹色の帯(モアレ)にはなりません。 なおフィルタ設定画面の小さなプレビューは表示用の縮小で別のモアレが乗ることがあります。 正確な見え方は等倍(プロジェクターや本番出力)で確認してください。
⚠️ 1 トライアドが約 4 出力画素未満になると自動でフェードします(走査線と同じ理由で、 描けない細かさはモアレになるだけのため)。1080p・ピッチ450 ではうっすら、 調整用ズームをかけるとフェードが解けて構造がはっきり見えます。OBS の変換で ソースの一部を切り出して拡大した場合も、出力画素に対する密度が下がるので見えてきます。- 明るさはマスク適用後もおおむね保たれるよう正規化しています(実機でマスクが輝度を 食う分は開口率として織り込み済み、という扱いです)。
アンテナ側の不調とテープ側の不調は別々に起きるものなので、グループを 2 つに 分けてあります。ON/OFF も一時発動も独立していて、片方だけ暴れさせられます。
仕組み: このグループは「受信不良のときの受像機の状態」を定義します。チェック ON で常時、 または チェック OFF のまま「受信不良」発動で「一時発動の長さ」だけ ON になり、時間が来ると OFF に戻って、あとは受像機の物理(カラーキラー、水平・垂直同期の喪失と復帰)に任せます。 発動時の効き方は指数的な回復です: 発動の瞬間に設定値いっぱいで始まり、対数的に(最初に大きく、 あとは長い尾を引いて)メインの値へ戻っていきます。チェック ON のときは常に設定値いっぱいです。
| 項目 | 既定 | 範囲 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 発動中の電界強度 | 0.20 | 0〜1 | 有効なあいだメインの電界強度を置き換える。0.2 なら砂嵐に沈み、色が落ち、同期が泳ぐ |
| 発動中の H-HOLD | 0.00 | −1〜1 | 有効なあいだ H-HOLD を置き換える(±0.4 超で斜めの引き裂き) |
| 発動中の V-HOLD | 0.00 | −1〜1 | 有効なあいだ V-HOLD を置き換える(+0.5 超で滑らかに、−0.65 未満でガクガクと縦回転) |
| ゴースト強度 (多重反射) | 0.00 | 0〜0.8 | 遅れて届いた反射波による多重像 |
| ゴースト遅延 | 24 | -60〜120 サンプル | ずれる距離と向き |
| 水平同期ジッタ | 0.00 | 0〜1 | ライン全体(同期ごと)の横揺れ。信号に乗る。砂嵐では分離器の雑音から自然発生するので、このノブは「電波はきれいなのに送出側が揺れている」場合用 |
| フェージング | 0.00 | 0〜1 | 電波の浮き沈み。長周期うねり+干渉ビート+シンチレーションの合成。深い谷ではゴーストが立つ |
| 干渉ビート強度 | 0.00 | 0〜0.5 | 斜め縞(ヘリンボーン) |
| 干渉ビート周波数 | 2.50 MHz | 0.1〜5.0 | 縞の細かさと虹色の出方 |
| 一時発動の長さ | 0.40 秒 | 0.1〜2.0 | ボタン/ホットキー発動時の持続 |
仕組みは受信不良と同じです: このグループは「テープが傷んでいるときの状態」を定義し、チェック ON で 常時、チェック OFF のまま「再生不良」発動で「テープ傷が1画面動く時間」だけ ON になります(その間に テープ傷が画面をちょうど1周)。発動時は受信不良と同じく指数的に回復します。既定値は旧方式の発動時の見た目(フラッギング 0.5 / ヘッドスイッチング 0.4 / ドロップアウト 0.5)に合わせてあるので、何も設定せずに発動しても従来と同じ暴れ方をします。
| 項目 | 既定 | 範囲 | 効果 |
|---|---|---|---|
| リンギング | 0.00 | 0〜1 | エッジの右側に尾を引く波状の残響 |
| フラッギング | 0.50 | -1〜1 | 画面上部だけの横曲がり(時間軸誤差・信号に乗る)。正=左・負=右(張力誤差の符号) |
| フラッギング揺らぎ | 0.00 | 0〜1 | 張力の揺らぎで曲がりの向きと量がゆっくり波打つ(旗めき) |
| ヘッドスイッチング | 0.40 | 0〜1 | 画面下部の千切れ+ノイズ帯 |
| ドロップアウト | 0.50 | 0〜1 | テープの信号欠落。発生頻度を指定(0.05 で良好なテープ相当、0.3 で劣化テープ相当) |
| ドロップアウト補償 | なし | なし/グレー/1H遅延線 | 欠落した区間を実機の DOC 回路がどう埋めるか |
| テープ傷 (折れ・縦傷) | 0.00 | 0〜1 | 永久欠陥の横線。0.5 で 1 ライン分 |
| テープ傷の位置 | 0.50 | 0〜1 | 傷の縦位置(0=上端, 1=下端) |
| テープ傷の移動速度 | 0.00 | -2〜2 画面/秒 | 傷が縦に流れる速さ(0=静止) |
| テープ傷が1画面動く時間 | 2.0 秒 | 0.2〜10.0 | 一時発動で傷が画面を1周する秒数(=発動の長さ) |
フェージング — 電波伝搬の実分類(総務省の受信障害解説に基づく)を周期の異なる成分として合成しています。
| 成分 | 周期 | 対応する実現象 |
|---|---|---|
| 長周期のうねり | 約37秒 | ラジオダクト・対流圏散乱・偏波面回転 |
| 干渉ビート | 約6秒 | 干渉性フェージング(複数経路の干渉) |
| シンチレーション | 約1秒 | 大気の揺らぎによる細かい変動 |
干渉性の深い谷ではゴーストが自動的に立ちます。2波モデルの物理で、深い打ち消しが起きているとき とは「ほぼ等振幅の第2経路が逆相で届いているとき」であり、その第2経路こそがゴーストだからです。 ゴースト強度を自分で設定していればその経路が強まり、0 のままなら反射点の移動を模したゆっくり 彷徨う遅延のエコーが谷の間だけ現れます。
実効電界強度を揺らすだけで、砂の呼吸・色の点滅(キラー閾値)・水平の泳ぎ(限界帯の横断)は すべて既存の物理から連動します。電界強度 0.55〜0.7 との併用が見どころです。
ゴースト遅延 — 1 サンプル ≒ 画面幅の 0.13%(有効 754 サンプル)です。既定 24 は約 3%。 **マイナスにすると本来の像より左に出る「先行ゴースト」**になります。Y/C 分離の前で足している ので、色にじみを伴った本物らしい多重像になります。
垂直ロールについて — かつてあった「垂直ロール速度」は廃止しました。画面が縦に流れる現象は V-HOLD(RF/検波の節)のデチューンそのものなので、そちらの物理モデルに一本化しています。 古い設定に残っていたロール速度は、最初の読み込み時に V-HOLD の値へ自動変換されます (画面/秒 → 行/フィールド → ノブ値。小さなロールは実機どおり「引き込まれてロック」になります)。
リンギング — 実機の映像アンプは高域を持ち上げていて、その共振が減衰しきらないため、 縦エッジの右側に波状の残響が残ります。U-matic や業務用デッキの文字まわりで顕著な、あの尾です。
⚠️ 効果を強くしたい場合は「映像帯域 / LPF」を下げてください。共振周波数=フィルタの コーナー周波数なので、帯域を下げるほど波が粗く、目に見えるようになります。スライダーを 上げても効きが弱いと感じるときは、たいてい帯域が広すぎるのが原因です- 右側にしか出ません。左(エッジの手前)に出るリンギングは線形位相のデジタルフィルタ特有で、 アナログ機では原理的に発生しないためです
- 変調の前にかけているので、残響がクロマ帯域にも入ります。強くすると波にうっすら色が乗り、 実機の見え方に近くなります
- 0.2〜0.4 が実用域。0.6 以上は「輪郭補正を効かせすぎた業務用モニタ」の見た目になります
ドロップアウト / 補償 — テープ表面の傷や剥離した酸化物粒子でヘッドが RF を見失う現象です。 VHS の実測データ(末尾の出典参照)に合わせて、ラスタ上の図形ではなく時間軸上のイベントとして 再現しています。
- 長さは時間で決まります。0.5µs 以下は原理的に起こらず(テープ信号がそれより速く落ちない)、 1〜2µs が最も多く、長くなるほど対数的に激減します。大半は一瞬の点で、たまに長いものが来ます
- 1 ライン = 63.5µs なので、長い欠落はラインの途中で終わらず次のラインの左端へ折り返します。 結果として、板状の四角ではなく階段状に画面を登っていく帯になります
- 絵ではなくコンポジット信号そのものを潰しています。デッキが出力した時点で欠落しているので、 検波・Y/C分離・復調をすべて通ります。デバッグ波形にもそのまま現れます
- 輝度 FM キャリアが消えて復調器が振り切れるため、欠落区間は完全な白飛びになります
- 色が落ちるのは自動的な結果です。副搬送波の無い区間を Y/C 分離にかければ色は取り出せない ので、「モノクロにする」処理は書いていません
- 発生位置はフィールドごとにランダムです(粒子やゴミ由来のものは同じ場所に再現しません)
- 長い欠落はライン同期も道連れにします。TBC を持たない機種は即座に取り戻せないので、 欠落の直後の数ラインが横にずれます。さらに、リミッタに入る信号自体が無くなるため、 長い欠落は平坦な白帯ではなくキラキラしたノイズ帯になります
- スライダーは発生頻度です。0.05 で良好なテープの実測値(約 10 回/分)、0.3 で劣化テープ (数百回/分)に相当します。0.5 以上は実測を超えた演出用の領域です
テープ傷 は、粒子由来のランダムな欠落とは別の、折れや縦傷による永久欠陥です。 スライダーは「何ライン分の信号を失うか」で、0.5 でちょうど 1 ライン(画面幅いっぱいの横線)、 それ以上は下のラインへ折り返して太い帯になります。位置は別スライダーで自由に決められます。
移動速度 — 傷はテープ上の固定位置にありますが、テープの走行とドラムの回転はぴったり同じ 周期ではないので、傷の当たるラインは少しずつずれていきます。実際に折れたテープを再生すると 傷の帯がゆっくり画面を這っていくのはこのためです。単位は「画面/秒」で、 負の値で逆方向へ流れます。
- 0 に戻すと位置スライダーの位置へ戻ります(流れた先で止まりはしません)
- 「再生不良」ボタン/ホットキーで一時的に流れます。速さは「テープ傷が1画面動く時間」で 決まり、発動が収まると元の位置に戻ります
- 0.02〜0.1 くらいのごく遅い値が実機らしいです。1 を超えると画面を何度も横切ります
補償方式 は実機のドロップアウト補償回路(DOC)の世代に対応します。
| 方式 | 実機 | 見た目 |
|---|---|---|
| なし | DOC 以前/補償しきれない場合 | 白飛び。長い欠落はノイズ帯 |
| グレー補間 | 1960年代の VTR、および現代のデジタル TBC | 中間グレーで埋める。おとなしい |
| 1H遅延線 | 1970年代以降の民生機の標準 | 直前のラインを複製して埋める |
1H遅延線を選んだときは、実機の制限もそのまま再現しています。
- 色は戻りません。実装は「1 サンプル前と 1 サンプル後のコンポジットを平均する」だけですが、 4fsc サンプリングでは 2 サンプル=副搬送波の半周期なので、これでクロマだけが正確に打ち消され、 輝度が残ります。実機が「補正できないクロマを殺す」のと同じ理屈で、同じ操作です
- ガラス遅延線は自分の出力を再循環させるため、欠落が次のラインへ続くたびに信号が痩せ、 7〜8 ライン分で消えてしまいます。長い欠落では補償部分が徐々に暗くなっていきます
民生デッキの通常動作は 1H遅延線 ですが、白飛びのほうが「壊れたテープ」らしく見えるため既定は 「なし」です。安物デッキや長いドロップアウトでは補償が追いつかず白く出る、という関係です。
実測データの出典: Leo Backman / DigiOmmel & Co., "Video Signal Dropouts in Analog VCRs: Dropout origins, concealment and compensator comparison"
垂直帰線期間(黒帯)について — 設定項目はありません。規格で決まっているため固定値です。 1 フレームの周期は「有効映像 + 帰線」で、NTSC は 525 ライン中 486 ラインが有効映像なので、 帰線は 525 − 486 = 39 ライン(画面高の約 8%)。走査線数を 243本 などに変えても、画面に 占める割合が一定になるよう内部で換算しています。
帯は映像に重ならず、映像と映像の間に挿入されます(帯が通るぶん映像が送られる)。そして 垂直同期が合っている(V-HOLD がロック)ときは画面に現れません — 帰線区間は本来画面の外に あり、同期がずれて初めて画面内を流れてくるものだからです。ロールさせたときだけ、映像と映像の 継ぎ目に黒帯が走ります。
横にずれる系(水平同期ジッタ / フラッギング / ヘッドスイッチング)の共通挙動 — これらは信号そのものの時間軸誤差として実装されています。ライン全体——同期パルスも バーストも映像も——が時間軸上で前後し、送出信号・デバッグ波形にもそのまま現れます。 ずれて有効映像から外れた部分は**黒(水平帰線=ブランキング)**になります。画像が引き 伸ばされたり反対側から回り込んだりはしません。フラッギングを強くすると画面上部の端が 黒く欠けるのは正しい挙動です。
色相の扱いは物理どおり2種類に分かれます: **フラッギング/ヘッドスイッチング(テープ由来)**は カラーアンダー方式のデッキが再生時にクロマ位相を再変調するため、タイミングは揺れても色相は 安定します。**水平同期ジッタ(伝送路由来)**は副搬送波位相ごと揺れますが、受像側が バーストロック相当の補償を行うため、内部の絵では色は安定したまま位置だけが揺れます (バーストとクロマは常に一致して送出されるので、外部デコーダでも同様です)。
ヘッドスイッチングだけは横ずれに加えてノイズ帯も出ます。 ドラムが2つのヘッドを切り替える 瞬間はテープからの RF が途切れるため、復調器に入力が無くなって下端の数ラインがノイズに なります。横ずれは表示側(ビームのタイミング)、ノイズ帯は信号側(検波前)と、実機と同じく 別々の場所で起きています。
干渉ビート周波数 — 3.58 MHz 付近にすると虹色のクロスカラーが強く出ます(色副搬送波と 干渉するため)。1 MHz 前後だと太い斜め縞、5 MHz だと細かい縞になります。
一時発動 — ドックの「受信不良」「再生不良」ボタン、または 設定→ホットキー の 対応する項目。それぞれのグループだけが暴れるので、2つを別のタイミングで発動できます。 グループが OFF でもボタンからは発動します(普段クリーン、時々暴れる運用ができます)。
受信不良の発動は、受信不良グループを「一時発動の長さ」だけ ON にします(グループの設定——発動中の 電界強度・H-HOLD・V-HOLD・ゴースト・ジッタ・フェージング・ビート——がそのまま効きます)。時間が 来ると OFF に戻り、砂嵐からの復帰・色の戻り・水平/垂直同期の再ロックは受像機のトラッキングが 自力で行います。直接注入している演出はありません。 再生不良の発動も同じ仕組みで、再生不良グループを「テープ傷が1画面動く時間」だけ ON にし、その間に テープ傷が画面をちょうど1周します。固定量の上乗せはなくなり、暴れ方はグループの設定値そのものです。 どちらの発動も、設定値いっぱいで始まって対数的にメインの状態へ戻ります(チェック ON なら一定)。
パラメータは CRT グループの「消磁の長さ/強さ」の2つ。発動はドックの「消磁」ボタン、 または各フィルタのホットキー(同じキーを映像・音声の両方に割り当てると同時に鳴ります)。
同時に起きるのは3つ: 画面のうねり/赤青のずれ(周辺ほど強い)/虹色の色ムラ。 派手にするなら 2.0秒+1.0、控えめなら 0.5秒+0.3。発動していない間は処理をスキップするので 常時の負荷は増えません。
音を出すソース(マイク、デスクトップ音声など)に付けます。
| 項目 | 既定 | 範囲 | 効果 |
|---|---|---|---|
| 電源 | ON | — | OFF で無音(約30msでフェード) |
| 電界強度 (0=砂嵐) | 1.00 | 0〜1 | 元音声↔砂嵐サー音のクロスフェード |
| 音量 | 0.35 | 0〜1 | 合成音(サー音・インターキャリア)の音量 |
| インターキャリアビート | 0.00 | 0〜0.25 | 15.734 kHz の高い「ピー」音 |
電界強度 — 下げるほど**元音声がダッキング(縮小)**され、代わりに砂嵐のサー音が大きく なります。映像側と同じ値にすると絵と音が揃います(ドックのスライダーは両方を同時に動かします)。
音量 — 元音声ではなくこのフィルタが足す音の大きさです。元音声のレベルは OBS の音声ミキサーで調整してください。
インターキャリアビート — 実機で映像信号があるときに漏れる高音です。上げすぎると耳障りなので 0.05 以下を推奨。0 でも電界強度が高いと薄く鳴ります。
走査線が見えない 1 走査線あたり 3 画素以上ないと表現できず自動フェードされます。1080p × 486本 = 2.22 画素 なので、既定では見えません。対策(上から順に効果的):
- 「走査線数」を 243本 にする — 4.44 画素になり、解像感を落とさずはっきり見えます
- 「1ライン飛ばし」を ON にして硬い縞にする
- 「調整用ズーム」を上げる(倍率を加味して判定するので、拡大すれば見えます)
- OBS の出力解像度を 1440p / 4K にする
- 「ビーム径 (垂直)」を 0.3 前後まで下げる(線が細くなり分離しやすい)
ビーム径の違いが分からない 小さな設定プレビューでは 1 画素以下の差になります。「調整用ズーム」を 4〜8 にして 「ズーム中心 X / Y」で見たい場所へ寄せてください(画面を閉じれば自動で戻ります)。 実際の見え方を等倍で確認したいときは、シーンを右クリック → 全画面プロジェクターを開き、 フィルタ設定ウィンドウを横に並べる方法もあります(変更は即時反映されます)。
色相ドリフトが効かない 電界強度が 0.08 を超えていると意図的に無効化されます(実機はバーストに同期するため)。
グリッチのスライダーが効かない 「グリッチ」グループのチェックが外れています。ただし発動ボタンだけは常に効きます。
画面端が切れる 「オーバースキャン」を 0 に。曲率も端を押し出すので、必要なら 0 にしてください。
砂嵐の明るさが変わらない 「検波レベル (AGC)」は電界強度 0.35 未満のときだけ効きます。映像が出ているときは コントラスト/ブライトネスで調整してください。なお検波レベルは上げると暗くなります (負変調のため)。
| 狙い | 設定 |
|---|---|
| レトロゲーム機 (240p) | 走査線数 243本 / 1ライン飛ばし ON・隙間 0.10 / Y/C 分離=バンドパス |
| 古いアンテナ・弱電界 | 電界強度 0.6 / ゴースト 0.25・遅延 30 / 水平ジッタ 0.15 |
| VHS 再生 | ヘッドスイッチング 0.5 / ドロップアウト 0.3 / フラッギング 0.4 / 映像帯域 2.5 |
| 安物 TV | Y/C 分離=バンドパス / 変調クロマゲイン 1.2 / 映像帯域 3.0 |
| 高級機 | Y/C 分離=3ラインコム / 映像帯域 4.2 / I 帯域 2.0 |
| チャンネル調整中 | 垂直ロール 0.3 / 干渉ビート 0.15 |
| 完全な無信号 | 電界強度 0.00 / カラーキラー ON |
フィルタの一番下にある 「デバッグ: NTSC波形を合成」 をONにすると、指定した1ラインの 検波後のコンポジット信号が画面下部にオシロスコープのように重なります。同時に、その信号が どのラインのものかが画面上で赤くマークされます。
| 項目 | 既定 | 範囲 | 効果 |
|---|---|---|---|
| デバッグ: NTSC波形を合成 | OFF | ON/OFF | 波形オーバーレイの表示 |
| デバッグ: 波形を見る走査線 | 240 | 0〜485 | どの走査線を描くか |
何が見えるか — 表示しているのは検波器の出力、つまり復調器が実際に受け取っている信号 そのものです。実機のビデオ検波点にオシロを当てたときと同じものが出ます。
- 横軸は 1 ライン全体(910 サンプル = 63.6µs)。左から フロントポーチ → 同期パルス → カラーバースト → 有効映像 754 サンプル、という実機どおりの並びが見えます
- 縦軸は -0.4(同期先端)〜 1.0(白)。-0.4 / 0.0(ブランキング=黒)/ 1.0(白)の3本の グリッド線が入ります
- 3.58MHz のサブキャリアが細かい振動として乗って見えます。色の濃い部分ほど振幅が大きく、 無彩色の部分では振動が消えます。バーストは同期直後の 9 サイクルの振動です
- 雑音・ゴースト・干渉ビート・ドロップアウト・音声搬送波はすべてこの波形に現れます。 絵で判断しづらい変化の確認に使えます
波形は完成したフレームの上に重ねているので、画面の曲率・オーバースキャン・電源OFFの 状態に隠されることはありません。走査線 241 以上を指定すると波形パネルは画面上部へ移動します (見ているラインを波形自身が隠さないようにするため)。
波形に現れないもの — タップ位置が検波器の出力なので、その下流(Y/C分離・映像帯域・ コントラスト・CRT表示のすべて)は波形に影響しません。シャドウマスクを切り替えても波形は 1サンプルも変わりません——マスクは管面の構造であって信号ではないからです。
フラッギング・水平同期ジッタ・ヘッドスイッチングの千切れは波形に出ます。これらは 信号そのものの時間軸誤差なので、該当ラインを指定すると同期パルスやバーストの位置ごと 波形が左右にずれているのが見えます。表示側の現象として波形に出ないのは、垂直ロールと ドロップアウト直後の同期の乱れ(受像機側の追従誤差)だけです。
ヘッドスイッチングは波形に出ます。千切れ(タイミング誤差)は上記と同じく出ませんが、 ヘッド切り替えの瞬間はRF が途切れて復調するものが無くなるため、下端の数ラインが ノイズに置き換わります。こちらは信号側の現象なので、該当ラインを指定すれば波形が 一面のノイズになるのが見えます。
走査線番号について — 指定するのは 486 本のフレームでの走査線番号ですが、信号そのものは 1 フィールド = 243 行しか持っていません(走査線数の項を参照)。そのため 隣り合う 2 本は同じ波形になります。また、インターレース ON のときに画面に出ているのは 2 つのフィールドを織り合わせたものなので、波形は現在描かれているフィールドのものです。 垂直帰線(VBI)の 20 行はスライダーからは指定できません。見たい場合は 信号出力の 8bit グレースケールを使ってください。
フィルタ下部の「信号出力」グループで、このフィルタの出力を復調後の絵ではなく コンポジット信号そのもの(910×264 の画像)に切り替えられます。外部アプリを 「テレビ(デコーダ)」役にするための機能です。
| 項目 | 既定 | 内容 |
|---|---|---|
| 出力形式 | なし | なし(通常表示)/ 16bit (R+G) / 8bit グレースケール |
| タップ位置 | デッキ/送信側 | エンコード出力 or 受信後(検波器出力) |
| 音声ソース (4.5MHz FM搬送波) | なし | この音声を FM 変調して信号に乗せる |
| 音声搬送波の強さ | 0.00 | 0.1 が実機相当。0 = 搬送波なし |
1 画像 = 1 フィールド。**1 画素 = 1 サンプル(4fsc = 14.318MHz)**で、 910 × 262.5 × 59.94 ≒ 14.318MS/s と規格がそのまま閉じます。
| 行 | 内容 |
|---|---|
| 0〜2 | 等化パルス(半ライン周期) |
| 3〜5 | 垂直同期(切り込みパルス) |
| 6〜8 | 等化パルス |
| 9〜19 | ブランクVBI行(通常の水平同期・バーストあり) |
| 20〜262 | 有効映像 243 行 |
| 263 | ヘッダ行(下記) |
横方向(1 行 = 910 サンプル): フロントポーチ 21 → 同期 67 → ブリーズウェイ+バースト+ バックポーチ 68 → 有効映像 754。レベルは 同期 -0.4 / ブランキング 0 / 白 1.0 / バースト ±0.2(規格の IRE 値を 100 IRE = 1.0 で正規化したもの)。
262.5 ラインの半ライン構造は幾何としては持たず(常に 263 行)、フィールド番号 (ヘッダの 0〜3)で受信側が解釈します。
格納値 stored = composite × 0.375 + 0.5
16bit v16 = round(stored × 65535) → R = 上位バイト, G = 下位バイト(B, A は予約)
復元 composite = (v16 / 65535 − 0.5) / 0.375
8bit グレースケールは v16 の上位バイトを RGB 全部に入れたもので、目視デバッグ用です。 正しく出ていれば「4 画素周期の細かい縦縞(彩度が高いほど濃い)+左端の同期の黒い柱+ バーストの縞+上部 VBI のパルス列」が普通のグレースケール画像として見えます。 精度検証は 16bit、目視は 8bit、という使い分けです。
各画素は 16bit 値(R=上位 / G=下位)。px0 マジック 0x4354('CT')/ px1 バージョン=1 / px2 出力形式 / px3 タップ位置 / px4 フィールド番号 0〜3 / px5 このフィールドの音声サンプル数 / px6 音声搬送波の有無。残りは 0。
- デッキ/送信側 = エンコード出力。映像+同期+バースト+リンギング+干渉ビート+音声搬送波。 タイミング系(水平同期ジッタ・フラッギング・ヘッドスイッチングの千切れ)も含みます。 ドロップアウト・ヘッドスイッチングのノイズ帯・ゴースト・砂嵐は含みません(検波段で 加わるため)。タップは物理的な機器の境界ではなくパイプライン上の位置です
- 受信後 = 検波器出力。上記すべての劣化込み。デバッグ波形と同じタップ位置です
指定した音声ソースをモノラル化し、実機の規格どおり 4.5MHz・偏移 ±25kHz・ 75µs プリエンファシスで FM 変調してコンポジット信号そのものに加算します。 ブランキング中も途切れず、位相はフィールドをまたいで連続です。
- 信号に直接乗るので、通常表示でも強さ > 0 なら効きます。デコーダに 4.5MHz トラップが 無いため、細かい点模様として見えます(トラップの甘い実機と同じ症状)。 既定 0 なのはこのためです
- インターキャリアビート等は受信側で自然に発生します(描いていません)
「ソースの追加」→「コンポジットTV 信号」という専用ソースがあります。プロパティで 取り出し元のコンポジットTVフィルタを選ぶと、そのフィルタのコンポジット信号 (910×264・16bit R+G)をそのまま表示するソースになります。
シーン ── コンポジットTV フィルタ(通常のブラウン管表示・ここで全部調整)
│ 信号は毎フレーム内部で公開される
▼
「コンポジットTV 信号」ソース ── Spout Filter → 外部アプリ
- フィルタは1つだけなので、設定の二重管理がありません。ブラウン管表示を見て調整 しながら、同じ設定の信号がそのまま外へ出ます
- obs-spout2-plugin の 「Spout Filter」を信号ソース側に付けてください
- ソースのサイズは信号そのもの(910×264)なので、キャンバスやシーン変形による スケーリングは構造的に入りません(1 画素でも補間されると副搬送波が消えるため、 ここが生命線です)
- 前提が2つ: 取り出し元フィルタの付いたソースが描画されていること(どこかの表示中の シーンにあること。フィルタが動かなければ信号も更新されません)、そして信号ソース自身も 描画されていること(同じシーンの隅やキャンバス外に小さく置けば十分です)
- 信号ソース経由の形式は常に 16bit です。8bit グレースケールを目視したいときだけ、 下記のフィルタ自身の出力形式を使ってください
フィルタ自身の出力を信号にする(出力形式を「なし」以外にする)方法も残っています。 この場合フィルタ出力そのものが 910×264 になるので、ブラウン管表示は出ません。 8bit グレースケールでの目視確認や、CRT 表示が不要な常時送出向けです。