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+ 2026-08-31
+ OSIS 2.1.1 version
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+ Japanese Living Bible (リビングバイブル JCB)
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+ 2011
+ Japanese Contemporary Living Bible (リビングバイブル)
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+ Bible
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+ Bible
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+ まだ何もなかった時、神は天と地を造りました。
+ 地は形も定まらず、闇に包まれた水の上を、さらに神の霊が覆っていました。
+ 「光よ、輝き出よ。」神が言われると、光がさっとさしてきました。
+ それを見て、神は大いに満足し、光と闇とを区別しました。しばらくの間、光は輝き続け、やがて、もう一度闇に覆われました。神は光を「昼」、闇を「夜」と名づけました。こうして昼と夜ができて、一日目が終わりました。
+ 「もやは上下に分かれ、空と海になれ」と神が言われると、
+ そのとおり水蒸気が二つに分かれ、空ができました。こうして二日目も終わりました。
+ 「空の下の水は集まって海となり、乾いた地が現れ出よ。」こう神が言われると、そのとおりになりました。神は乾いた地を「陸地」、水の部分を「海」と名づけました。それを見て満足すると、
+ 神はまた言われました。「陸地には、あらゆる種類の草、種のある植物、実のなる木が生えよ。それぞれの種から同じ種類の草や木が生えるようになれ。」すると、そのとおりになり、神は満足しました。
+ これが三日目です。
+ 神のことばはさらに続きます。「空に光が輝き、地を照らせ。その光で、昼と夜の区別、季節の変化、一日や一年の区切りをつけよ。」すると、そのとおりになりました。
+ こうして、地を照らす太陽と月ができました。太陽は大きく明るいので昼を、月は夜を治めました。このほかにも、星々が造られました。
+ 神はそれをみな空にちりばめ、地を照らすようにしました。
+ こうして昼と夜を分け終えると、神は満足しました。
+ ここまでが四日目の出来事です。
+ 神は再び言われました。「海は魚やその他の生き物であふれ、空はあらゆる種類の鳥で満ちよ。」
+ 神は海に住む大きな生き物をはじめ、あらゆる種類の魚と鳥を造りました。みなすばらしいものばかりです。神はそれを見て、「海いっぱいに満ちよ。鳥たちは地を覆うまでに増えよ」と祝福しました。
+ これが五日目です。
+ 次に神は言われました。「地は、家畜や地をはうもの、野の獣など、あらゆる種類の生き物を生み出せ。」そのとおりになりました。
+ 神が造った生き物は、どれも満足のいくものばかりでした。
+ そして最後に、神はこう言われました。「さあ、人間を造ろう。地と空と海のあらゆる生き物を治めさせるために、われわれに最も近い、われわれのかたちに似せて人間を造ろう。」
+ このように人間は、天地を造った神の特性を持つ者として、男と女とに創造されました。
+ 神は人間を祝福して言われました。「地に増え広がり、大地を治めよ。あなたがたは、魚と鳥とすべての動物の主人なのだ。
+ 全地に生える種のある植物を見てみなさい。みなあなたがたのものだ。実のなる木もすべて与えるから、好きなだけ食べるがいい。
+ また、動物や鳥にも、あらゆる草と植物を彼らの食物として与える。」
+ 神はでき上がった世界を隅から隅まで見渡しました。とてもすばらしい世界が広がっていました。こうして六日目が終わりました。
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+ ついに全世界が完成しました。
+ すべてを創造し終えると、神は七日目には休まれ、
+ この日を祝福して、聖なる日と定めました。この日、天地創造の働きが完了したからです。
+ 主(イスラエルの神の名)なる神が世界を創造された時の模様は、次のとおりです。
+ 初めのうち、地には穀物はおろか、一本の植物さえも生えていませんでした。神がまだ地に雨を降らせず、土地を耕す人もいなかったからです。
+ しかし、あちこちから泉がわき出て、全地を潤していました。
+ やがて、主なる神が人を造る時がきました。まず、地のちりで体を造り上げ、それにいのちの息を吹き込んだのです。そこで人は、生きた人格を持つ者となりました。
+ それから神は、東の方のエデンに園をつくり、そこに人を住まわせました。
+ 園には、あらゆる種類の美しい木が植えられています。どれも、極上の実をつける木ばかりでした。園の中央には、「いのちの木」と、善悪を判断する知恵のつく「良心の木」とがありました。
+ さて、エデンの地からは一つの川が流れ出て園を潤し、それはやがて四つの流れに分かれていきます。
+ その一つピション川は、ハビラ地方全域を蛇行していました。その地方からは、純度の高い金と美しいブドラフ(香りの良い樹脂を出す木)や、しまめのうが取れます。
+ 第二の川はギホンと呼ばれ、クシュの全域を流れる川です。
+ 第三がティグリス川で、アシュルの町の東側を流れていました。そして第四がユーフラテス川です。
+ 神は、人をエデンの園の番人にし、その管理を任せました。
+ ただし、一つだけきびしい注意がありました。「園の果物はどれでも食べてよい。だが、『良心の木』の実だけは絶対に食べてはいけない。それを食べると、正しいことと間違ったこと、良いことと悪いことについて、自分勝手な判断を下すようになるからだ。それを食べたら、あなたは必ず死ぬ。」
+ また、神はこう考えました。「人が一人でいるのはよくない。彼を助ける者がいなくては。」
+ そこで神は、土からあらゆる種類の動物と鳥を造り、アダムのところへ連れて来て、名前をつけさせました。それぞれみな、アダムがつけたとおりの名前をもらいましたが、アダムの助けになるようなものは見当たりませんでした。
+ それで神はアダムをぐっすり眠らせ、彼の体から肋骨を一本取り出し、そのあとをふさぐと、
+ その骨で女を造り、彼のところへ連れて来ました。
+ 「ああ、これはすばらしい!」アダムは思わず叫びました。「私の骨と私の肉から造られた、まさに私の一部です。そうだ、『男』から造ったのだから、『女』と呼ぶことにします。」
+ 人が両親のもとを離れて妻と結ばれ、二人が一体となるのはこうした背景があるのです。
+ この時、まだ二人とも裸でしたが、恥ずかしいとは思いませんでした。
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+ さて、主なる神が造ったものの中で、蛇が最も賢い動物でした。蛇は女に、ことば巧みに話を持ちかけました。「ほんとうにそのとおりなんですかね? ほかでもない、園の果実はどれも食べてはいけないという話ですよ。神様は、これっぽっちも食べてはならないと言ったっていうじゃないですか。」
+ 「そんなことないわ。食べるのは少しもかまわないのよ。ただね、園の中央にある木の実だけは、食べてはいけないの。そればかりか、さわってもいけないんですって。さもないと死んでしまうって、神様はおっしゃったわ。」
+ 「ほおーっ。でも、それはうそっぱちですよ。死ぬだなんて、でたらめもいいところだ。
+ 神様はわかっているんです。その実を食べたら、善と悪の見分けがついて神様のようになってしまうってことを。」
+ 言われてみれば、そう思えないこともありません。それに、その実はとてもきれいで、おいしそうなのです。「あれを食べたら何でもよくわかるようになるんだわ。」女はそう思いながら見ていると、もう我慢できなくなり、とうとう実をもいで食べてしまいました。そばにいたアダムにも分け与えたので、彼もいっしょに食べました。
+ はっと気がつくと、なんと、二人とも裸ではありませんか。急に恥ずかしくなって、とっさにいちじくの葉をつなぎ合わせ、腰の回りを覆いました。
+ その日の夕方のことです。主なる神が園の中を歩いておられる気配がしたので、二人はあわてて木陰に隠れました。
+ 神の呼ぶ声が聞こえます。「アダム、なぜ隠れるのだ。」
+ 「あなたがおいでになるのに私は裸だったからです。こんな姿はお見せできません。」
+ 「裸だということを、いったいだれが教えたのか。あれほど食べるなと言ったあの木から実を取って食べたのか。」
+ 「は、はい。でも、あなたが私といっしょにしてくださったこの女がくれたので……。」
+ そこで神は女に尋ねました。「いったいどうして、こんなことをしたのだ。」「蛇がいけないのです。私はただ、だまされただけです。」
+ それを聞いて、神は蛇に言いました。「おまえがそんなことをした罰だ。いいか、あらゆる家畜、野生の動物の中で、おまえだけがのろわれるようになる。生きている間中、ちりの中をはい回るがいい。
+ これからのち、おまえと女は敵対するようになる。おまえの子孫と女の子孫も同じだ。女はおまえを恐れるだろう。子孫同士も、互いに相手を敵視するようになる。おまえは彼(キリストを暗示する)のかかとにかみついて傷を負わせるが、彼に頭を踏み砕かれてしまうのだ。」
+ 次に女に向かって、神は言いました。「あなたは苦しみ抜いて子どもを産む。それでもなお夫の愛を求めるが、彼はあなたを支配する。」
+ 最後に神はアダムに言いました。「あれほど食べてはいけないと言ったのに、あなたはそれを食べたので、土地はのろわれたものとなった。あなたは生きるために、一生あくせく働かなければならない。
+ 土地にはいばらとあざみが生え、あなたは野草を食べるようになる。
+ 死ぬまで汗水流して土地を耕し、働いて糧を得、そしてついに死に、再び土に帰る。土から造られたのだから、また土に帰らなければならないのだ。」
+ アダムは妻をエバ〔「いのちを与える者」の意〕と呼びました。彼女が全人類の母となるからです。
+ 神はアダムと妻エバに、動物の皮で作った服を着せました。
+ それからこう言われました。「人間は、われわれと同じように、善悪の区別がわかるようになってしまった。この先、『いのちの木』にも手を出し、永遠に生きることがないようにしなければならない。」
+ 結局、主なる神は人間をエデンの園から永久に追放し、土地を耕させることに決めました。
+ こうして神は、人間を追放すると、エデンの園の東に炎の剣を置き、力ある天使とともにいのちの木への道を守らせました。
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+ そののち、アダムは妻エバと結ばれ、エバはカイン〔「私は得た」の意〕を産みました。この名がついたのは、エバが「主のおかげでこの子を得た」と言ったからです。
+ 続いてエバは、弟のアベルを産みました。やがて、カインは農夫になり、アベルは羊飼いになりました。
+ 収穫の時期になると、カインは作物の中から主に供え物をささげました。
+ アベルは一番良い子羊の最上の肉を、自分で神にささげました。主はアベルのささげ物は受け取りましたが、
+ カインのささげ物は受け取りませんでした。それでカインは怒って顔を伏せてしまいました。
+ 主はそれを見て、「なぜ腹を立てるのだ」とただしました。「何が気に入らなくてうつむいているのか。
+ やるべきことを正しく行ってさえいれば、受け入れられるのだ。もし正しく行っていないなら、あなたを滅ぼそうと、罪が待ちかまえている。だが、あなたはその力を抑えることができるはずだ。」
+ ある日、カインは、「野へ行かないか」と弟アベルをさそいました。そして、野で不意にアベルに襲いかかり、殺してしまったのです。
+ そのことがあってから、主はカインに尋ねました。「あなたの弟はどこにいるのか。アベルはどうしたのだ。」「そんなこと、なぜ私が知っていなければならないのですか。弟の行く先をいつも見張れとでもおっしゃるのですか。」
+ 「あなたの弟の血が、大地からわたしを呼んでいる。あなたはなんということをしてしまったのか。
+ 弟の血で大地を汚すとは。あなたはもう、ここに住むことはできない。
+ これからは、いくら働いても、大地はあなたのために作物を実らせない。この先あなたは放浪者となり、当てもなくさすらうのだ。」
+ カインは言いました。「そのような罰は重すぎて、とても負いきれません。
+ この地から追い出され、神様の前からも追い払われて、放浪者にまで落ちぶれるなどとは。私を見たら、だれでも私を殺そうとするでしょう。」
+ 「心配しなくてよい。あなたを殺させたりはしない。そんなことをする者は、あなたの被るものの七倍の復讐を受けることになる。」こう約束すると神は、彼が殺されないように、カインに一つのしるしを与えました。
+ こうして、カインは神のもとを去り、エデンの東、ノデの地に住みついたのです。
+ そのあと、カインの妻は男の子を産みました。それがエノクです。その時、カインは町を建てていたので、子どもの名にちなんで、町の名もエノクとしました。
+ エノクはイラデの父。イラデはメフヤエルの父。メフヤエルはメトシャエルの父。メトシャエルはレメクの父。
+ レメクにはアダとツィラという二人の妻がいました。
+ アダの子ヤバルは、初めて牧畜を行う者となり、テント生活を始めました。
+ 弟はユバルといい、最初の芸術家になりました。竪琴と笛を作ったのはこの人です。
+ レメクのもう一人の妻ツィラには、トバル‧カインが生まれました。彼は最初の鍛冶屋になって、青銅や鉄の道具を作りました。トバル‧カインにはナアマという妹もいました。
+ ある日、レメクはアダとツィラに言いました。「おまえたち、よく聞け。身のほど知らずにも私を襲い、傷を負わせた若者がいたので、彼を殺した。
+ カインを殺す者が七倍の罰を受けるとしたら、私の場合はそんなものではない。あの若者のかたきを討とうとする者は、七十七倍の罰を受けなければならないのだ。」
+ さて、エバは男の子をもう一人産み、セツ〔「授けられた者」の意〕と名づけました。エバが言うように、「カインに殺された子アベルの代わりに、神様がまた男の子を授けてくださった」のです。
+ セツは成人し、息子が生まれると、その子をエノシュと名づけました。このころから人々は、神の名によって祈るようになりました。
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+ 神に似た者として初めに造られたアダムの子孫は、次のとおりです。
+ 神はまず男と女を造り、彼らを祝福しました。そして彼らを「人」と呼んだのです。
+ アダム――百三十歳で、自分によく似た息子セツが生まれる。彼はセツの誕生後さらに八百年生き、息子と娘に恵まれ、九百三十歳で死んだ。
+ セツ――百五歳で息子エノシュが生まれる。そののち八百七年生き、息子と娘に恵まれ、九百十二歳で死んだ。
+ エノシュ――九十歳で息子ケナンが生まれる。そののちさらに八百十五年生き、息子と娘に恵まれ、九百五歳で死んだ。
+ ケナン――七十歳で息子マハラルエルが生まれる。そののちさらに八百四十年生き、息子と娘に恵まれ、九百十歳で死んだ。
+ マハラルエル――六十五歳で息子エレデが生まれる。そののちさらに八百三十年生き、息子と娘に恵まれ、八百九十五歳で死んだ。
+ エレデ――百六十二歳で息子エノクが生まれる。そののちさらに八百年生き、息子と娘に恵まれ、九百六十二歳で死んだ。
+ エノク――六十五歳で息子メトシェラが生まれる。そののち三百年の間、敬虔な生活を送り、息子と娘に恵まれる。三百六十五歳の時、信仰あつい人として歩んだのち姿を消す。神が彼を取り去られたのである。
+ メトシェラ――百八十七歳で息子レメクが生まれる。そののちさらに七百八十二年生き、息子と娘に恵まれ、九百六十九歳で死んだ。
+ レメク――百八十二歳で息子ノア〔「休息」の意〕が生まれる。「神にのろわれたこの地を耕す仕事はつらいが、この子が休ませてくれるだろう」と考え、その名をつけた。レメクはそののちさらに五百九十五年生き、息子と娘に恵まれ、七百七十七歳で死んだ。
+ ノア――ノアは五百歳で息子が三人あった。セム、ハム、ヤペテである。
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+ さて、地上では人々がますます増えていきました。そのころのことです。霊の世界に住む者たちが、地上に住む美しい女を見そめ、それぞれ気に入った女を妻にしていました。
+ その有様を見て、主は言いました。「わたしの霊が人間のために汚されるのを放っておけない。人間はすっかり悪に染まっている。反省して、正しい道に戻れるように百二十年の猶予を与えよう。(別訳‧それで人の齢は百二十年としよう。)」
+ ところで、霊の世界の悪い者たちが人々の女との間に子どもをもうけていたころも、またそののちも、地上にはネフィリムと呼ばれる巨人たちがいました。彼らはたいへんな勇士で、今でもたくさんの伝説に語られています。
+ 主は、人々の悪が目に余るほどひどく、ますます悪くなっていく一方なのを知って、
+ 人間を造ったことを後悔し、心を痛めました。
+ 「せっかく創造した人間だが、こうなった以上は一人残らず滅ぼすしかあるまい。人間ばかりでなく、動物も、地をはうものも、それから鳥も。いっそ何も造らなければよかった。」
+ しかし、ノアは別でした。彼だけは主に喜ばれる生き方をしていたのです。ノアの物語を話しましょう。
+ そのころ地上に生きていた人間の中で、ただ一人ほんとうに正しい人がノアでした。彼はいつも、神のお心にかなうように生きようと心がけていたのです。彼にはセム、ハム、ヤペテという三人の息子がいました。
+ 一方、世界はどうでしょう。どこでも犯罪が増えるばかりで、とどまるところを知りません。神の目から見ると、この世界はあまりに乱れ、堕落しきっていました。
+ 人類全体が罪にまみれ、ますます堕落していくのを見て、神はノアに言いました。「わたしは人類を滅ぼすことにした。人間のおかげで世界は悪で満ちあふれてしまった。だから、一人残らず滅ぼそうと思う。
+ ただ、あなただけは助けよう。あなたは樹脂の多いゴフェルの木で船を造り、タールで防水を施しなさい。船には甲板を張り、仕切りをつける。
+ 全体の大きさは、長さ百五十メートル、幅二十五メートル、高さ十五メートルにし、
+ 周囲には、屋根からおよそ五十センチ下がった所に天窓をつける。中の部屋は一階、二階、三階の三層にし、船腹にはそれぞれの階の扉をつける。
+ よく聞くのだ。わたしは世界に洪水を起こし、すべての生き物を滅ぼす。いのちの息のあるものは、みな死に絶える。
+ しかし、約束しよう。あなたは、妻や息子夫婦といっしょにその船に乗れば安全だ。
+ 動物を一つがいずつ連れて入ることも忘れないように。洪水から守ってやるのだ。あらゆる種類の鳥と動物と地をはうものを、一つがいずつ生き残るようにしなさい。
+ それから食糧は、あなたの家族と生き物たちが十分食べられるだけたくわえなさい。」
+ ノアは、すべて神から命じられたとおりにしました。
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+
+ とうとうその日がきました。主はノアに言いました。「さあ、家族全員で船に入りなさい。この地上で正しい人間といえるのは、あなただけだから。
+ 動物も一つがいずつ連れて入りなさい。ただし、食用と神へのささげ物に特別に選んだ動物は、それぞれ七つがいずつだ。
+ ほかに、鳥も七つがいずつ入れなさい。こうしておけば、洪水が終わってから、もう一度生き物が繁殖できる。
+ あと一週間たつと雨が降り始め、四十日の間、昼も夜も降り続く。わたしが造ったすべての生き物はみな死に絶えるだろう。」
+ ノアは、すべて命じられたとおりにしました。
+ 洪水が襲ってきた時、彼は六百歳でした。
+ 大水から逃れるため、彼は急いで妻と息子夫婦を連れて船に乗り込みました。
+ あらゆる種類の動物もみないっしょです。食用と神へのささげ物の動物も、そうでない動物も、鳥もはうものもです。すべて神がノアに命じたとおり、雄と雌のつがいで入りました。
+ 一週間後、ノアが生まれて六百年と二か月十七日たった日のことです。大雨が降り始め、地下水までが勢いよく吹き出してきました。四十日の間、昼も夜もそんな状態が続きました。
+ しかし、まさにその日にノアは、妻と息子セム、ハム、ヤペテとその妻たちを連れて船に乗り込んだのです。
+ 家畜といわず野生のものといわず、あらゆる種類の動物、はうもの、鳥もいっしょでした。
+ 主の命令どおり、それぞれが雄と雌のつがいで入れられたのです。そのあと神が船の扉を閉じ、心配はなくなりました。
+ 四十日の間、地上はすさまじい勢いで増水しました。世界中がすっかり水で覆われたので、船は水の上に浮かびました。
+ みるみる水かさが増していきましたが、船は水に浮かんでいるので安全でした。
+ とうとう、世界中の山という山がすべて水に覆われてしまいました。
+ 一番高い頂でさえ、水面から七メートルも下に沈んだほどです。
+ ついに、鳥も家畜と野生の動物もはうものも、そして全人類も、地上の生き物はみな死に絶えました。
+ かつて、乾いた地の上で生き、呼吸していたものは、絶滅しました。
+ こうして、地上の全生物が姿を消しました。神が滅ぼされたのです。かろうじて生き残ったのは、ノアといっしょに船に乗っていたものたちだけでした。
+ 水はさらに百五十日の間、地上を覆っていました。
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+ 船の中のノアとすべての生き物を、神は心にかけていました。やがて神が風を吹きつけると、しだいに水は減り始めました。
+ 地下水も止まり、滝のように降っていた大雨も収まってきたようです。
+ 降り始めてから百五十日目に水は少しずつ引いていき、とうとう船はアララテ山の頂に止まりました。
+ 日に日に水位は下がり、三か月後にはほかの山々も姿を現し始めました。
+ 水が引き始めてから四十日目、ノアは天窓を開いて、
+ からすを放しました。からすは、地面が乾くまであちこちを飛び回っていました。
+ しばらくしてノアは、今度は鳩を放し、乾いた土地を捜させました。
+ けれども鳩は下り立つ所が見つからず、ノアのもとへ帰って来ました。水がまだ全地を覆っていたからです。ノアは腕を伸ばし、鳩を船の中に入れました。
+ それから七日後、ノアはまた鳩を飛ばしてみました。
+ 夕方ごろ戻った鳩を見ると、オリーブの若葉をくわえています。それで、水がかなり引いたことがわかりました。
+ さらに一週間後にもう一度放してみると、鳩はそれきり戻りませんでした。
+ そのあと、さらに三十日ほどたちました。ノアが船の屋根を取って外を見渡してみると、もう水は引いています。
+ しんぼう強く、さらに八週間待つうちに、とうとう地面はすっかり乾きました。
+ 神はノアに言いました。「さあ、家族といっしょに外に出なさい。
+ 動物も鳥も地をはうものもみな出してやりなさい。それぞれ繁殖して、どんどん増えるようにするのだ。」
+ それを待っていたように、ノアと妻と息子夫婦、それに動物たちはみな、その種類ごとに船から出ました。
+ ノアはそこに主への祭壇を築き、神から指定された動物や鳥をささげ物としてささげました。
+ 神はそれを喜び、こう心に誓われました。「もう二度とこのようなことはしない。人間は子どもの時から悪い性質を持っていて、悪い考えを抱くものだ。わたしはもう、大地をのろって生き物を滅ぼすようなことは絶対にしない。
+ 大地がある限り、春の種まきと秋の収穫、暑さと寒さ、冬と夏、昼と夜とが、年ごとにくり返されるだろう。」
+
+
+ 神は、ノアと息子たちを祝福しました。そして、子どもがたくさん生まれ、全地に増え広がるようにと命じたのです。
+ 「野の獣と鳥と魚はみな、あなたたちを恐れるようになるだろう。あなたたちは動物を治めなさい。穀物と野菜のほかに動物も食用として与えよう。
+ しかし、いのちの源である血をすっかり抜き取ったあとでなければ、食べてはならない。
+ 人のいのちを奪うことは禁じる。人を殺した動物は生かしておいてはならない。人のいのちを奪う者には、同じくいのちが求められる。人殺しは、神に似せて造られた者を殺すことになるからだ。
+ 子どもをたくさん産みなさい。どんどん増え広がって、世界を治めなさい。」
+ それから神は、ノアと息子たちに約束しました。
+ 「あなたたちとあなたたちの子孫、生き残った鳥、家畜、野生の動物すべてに、わたしはおごそかに誓う。もう二度と洪水で世界を滅ぼしたりはしない。
+ その約束のしるしに、
+ 雲の中に虹をかけよう。この約束は、あなたたちと全世界に対し、この世の終わりまで効力を持つ。
+ 雲が大地を覆う時、虹が雲の中に輝くだろう。
+ その時わたしは、いのちあるものを二度と洪水で滅ぼさないと、堅く約束したことを思い出そう。
+ 雲間にかかる虹が、地上のすべての生き物に対する永遠の約束を思い出させるからだ。」
+ ノアの三人の息子はセム、ハム、ヤペテで、このうちハムがカナン人の先祖に当たります。
+ この三人から世界のあらゆる国民が出たのです。
+ さて、ノアは農夫となり、ぶどうを栽培してぶどう酒を作るようになりました。ある日、彼はぶどう酒に酔って前後不覚になり、裸のままテントの中で寝入ってしまいました。
+ その醜態を見たハムはあわてて外に飛び出し、二人の兄に、父親が裸で寝ていることを話しました。
+ 話を聞いたセムとヤペテは父の服を取りに行き、その服を自分たちの肩にかけ、二人並んでうしろ向きのままそろそろとテントに入りました。そして、父親の裸を見ないように注意しながら、服を肩から落として、父の体にかけたのです。
+ ノアは酔いがさめて起き上がると、とっさに何があったのか悟りました。末の息子ハムがしたことを知った時、彼はこう言いました。
+ 「カナン人〔ハムの子カナンから出た民族〕はのろわれよ。セムとヤペテの奴隷となって仕えよ。」
+ また、こう言いました。
+ 「神がセムを祝福なさるように。カナンは彼の奴隷となれ。神がヤペテを祝福し、セムの繁栄にあずかる者としてくださるように。カナンは彼の奴隷となれ。」
+ ノアは洪水のあとさらに三百五十年生き、九百五十歳で死にました。
+
+
+ ノアの三人の息子セム、ハム、ヤペテの家系は次のとおりです。以下は、洪水のあと三人に生まれた子どもたちです。
+ ヤペテの子孫はゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メシェク、ティラス。
+ ゴメルの子孫はアシュケナズ、リファテ、トガルマ。
+ ヤワンの子孫はエリシャ、タルシシュ、キティム、ドダニム。
+ この人たちの子孫は各地に散らばり、海に沿ってそれぞれの言語を持つ国々をつくりました。
+ ハムの子孫はクシュ、ミツライム、プテ、カナン。
+ クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカ。ラマの子孫はシェバ、デダン。
+ クシュの子孫の一人に、ニムロデという人がいました。地上で最初の王になった人です。
+ 彼は神に祝福された力ある狩猟家で、その名が知れ渡っていました。「神に祝福された力ある狩猟家ニムロデのような人」という称賛のことばもあったほどです。
+ 彼は帝国をシヌアルの地に建て、バベル、エレク、アカデ、カルネなどを中心に栄えました。
+ 領土はやがてアッシリヤまで広がりました。ニネベ、レホボテ‧イル、ケラフ、ニネベとケラフの間にあるレセンなどは、みな彼が建てた大きな町です。特にレセンは、王国の中でも重要な町でした。
+ ミツライムは、次の地域に住みついた人たちの先祖となりました。ルデ、アナミム、レハビム、ナフトヒム、パテロス、ペリシテ人が出たカスルヒム、カフトル。
+ カナンの長男はシドンで、ヘテも彼の子です。カナンの子孫から次の氏族が分かれ出ました。エブス人、エモリ人、ギルガシ人、ヒビ人、アルキ人、シニ人、アルワデ人、ツェマリ人、ハマテ人。カナンの子孫はやがて、シドンからガザ地区のゲラルに至る一帯に進出し、さらにソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイム、そしてレシャの近くまで広がりました。
+ 以上がハムの子孫で、たくさんの国や地方に散らばり、多くの国語を話すようになりました。
+ ヤペテの兄セムはエベルのすべての子孫の父祖となりました。
+ セムの子孫は次のとおりです。エラム、アシュル、アルパクシャデ、ルデ、アラム。
+ アラムの子孫はウツ、フル、ゲテル、マシュ。
+ アルパクシャデの息子はシェラフで、シェラフの息子がエベルです。
+ エベルには二人の息子が生まれました。ペレグ〔「分裂」の意〕とヨクタンです。ペレグという名の由来は、彼の時代に世界が分裂し、人々が散らされたからです。
+ ヨクタンの子孫はアルモダデ、シェレフ、ハツァルマベテ、エラフ、ハドラム、ウザル、ディクラ、オバル、アビマエル、シェバ、オフィル、ハビラ、ヨバブ。ヨクタンの子孫はみな、メシャからセファルに至る東部の丘陵地帯に住みつきました。
+ 以上がセムの子孫です。それぞれを政治区分、国語、地理的な位置などによって分けると、このようになります。
+ これらの人々はみなノアの子孫の家系で、洪水のあと何世代にもわたって、彼らからいろいろな国が興ってきたのです。
+
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+ 初めのころ、人類はみな同じことばを話していました。
+ しだいに人口が増えると、人々は東の方に移って行きました。こうしてシヌアル(バビロン)の地に平原を見つけ、大ぜいの人がそこに住みついたのです。
+ やがて大都市を建設しようという話が持ち上がりました。永久に残る記念碑として、天にも届くような塔を造り、自分たちの力を見せつけようというのです。「こうやって一致団結すれば、あちこちに散らされる心配もなくなるだろう。」そう豪語すると、人々はよく焼いた固いれんがをうず高く積み上げ、アスファルトで固めました。
+ 神は降りて来て、人間たちが造っている町と塔をごらんになりました。
+ 「なんということだ。同じことばを使い、一致して事に当たると、人間はこれだけのことをやすやすとやり遂げてしまう。この分だと、これからもどんなことを始めるか、わかったものではない。思ったことを何でもやってのけるに違いない。
+ 地上へ降りて行って、彼らがそれぞれ違ったことばを話すようにしてしまおう。そうすれば、互いの意思が通じなくなるだろう。」
+ こうして、神は人間を世界の各地に散らしたので、都市建設はもうできなくなりました。
+ この都の名がバベル〔「混乱」の意〕と呼ばれたのは、このためです。つまり、神がたくさんの国語を与えて人間を混乱させ、各地に散らしたのが、この地だったからです。
+ さて、セムの家系は次のとおりです。洪水の二年後、セムが百歳の時に、息子アルパクシャデが生まれました。セムはそのあとも五百年生き、多くの息子、娘に恵まれました。
+ アルパクシャデは三十五歳の時、息子シェラフをもうけ、そのあと四百三年生き、ほかにも息子と娘が大ぜい生まれました。
+ シェラフは息子のエベルが生まれた時、三十歳でした。そのあと四百三年生き、多くの息子、娘に恵まれました。
+ エベルは息子のペレグが生まれた時、三十四歳で、そのあと四百三十年生き、息子、娘が大ぜい生まれました。
+ ペレグは息子のレウが生まれた時、三十歳で、さらに二百九年生き、息子、娘が大ぜい生まれました。
+ レウはセルグが生まれた時、三十二歳で、その後も多くの息子、娘に恵まれて二百七年生き長らえました。
+ セルグは息子のナホルが生まれた時、三十歳で、その後も多くの息子、娘に恵まれて、二百年生き長らえました。
+ ナホルは息子テラが生まれた時、二十九歳で、その後も百十九年生き、多くの息子、娘に恵まれました。
+ テラが七十歳の時には、息子が三人いました。アブラム、ナホル、ハランです。
+ ハランにはロトという息子が生まれました。
+ しかし、ハランは若くして生まれ故郷のカルデヤのウルで死に、あとには父のテラが残されました。
+ 一方、アブラムは腹違いの妹サライと結婚し、ナホルも、ハランが死んで孤児となった姪のミルカを妻にしました。ミルカにはイスカという兄弟がいましたが、二人ともハランの子です。
+ サライは子どもができない体でした。
+ テラは、息子のアブラムと嫁のサライ、ハランの息子で孫に当たるロトを連れてカルデヤのウルを出発し、カナンの地へ向かいました。しかし途中、ハランの町に立ち寄ったまま、そこに住みつき、
+ 二百五歳の時、ハランで死にました。
+
+
+ 父テラが死んだ時、主はアブラムに命じました。「あなたは、ここを発ちなさい。あなたの親族も住み慣れた地も捨てて出かけるのです。行く先はわたしが教えるから、ただ示されたとおりに進みなさい。
+ そうすれば、あなたを偉大な国民の父にしよう。あなたを祝福し、その名を広めて、だれ一人知らぬ者がないようにしよう。あなたによって、ほかの多くの者も祝福されます。
+ わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、あなたをのろう者をのろう。アブラムによって、全世界が祝福されるのです。」
+ アブラムは主のことばに従って出発しました。ロトも彼といっしょです。その時、アブラムは七十五歳でした。
+ 彼は妻のサライと甥のロトのほか、ハランで得た家畜や奴隷などを連れて旅をし、カナンに着きました。
+ そのまま旅を続け、シェケムの近くまで来ると、モレの樫の木のそばで野営することにしました。当時、この地方にはカナン人が住んでいました。
+ その時、主がアブラムに現れ、「この地をあなたの子孫に与えよう」と約束されました。アブラムは喜んで、主とお会いした記念に、そこに祭壇を築きました。
+ 彼はそれからさらに南へ向かい、西のベテルと東のアイにはさまれた丘陵地帯に来ました。アブラムは野営をし、主のために祭壇を築いて祈りました。
+ そのあとはまた、時々休みながらゆっくりと南のネゲブへ向けて旅を続けました。
+ ちょうどそのころ、この地方一帯がひどいききんに見舞われたので、何とかしなければならなくなったアブラムは、ひとまずエジプトに避難することにしました。
+ エジプトの国境に近づくと、彼は妻のサライに、人に聞かれたら私の妹だと言ってほしいと頼みました。「あなたは美しいから、きっとエジプト人の目を引くだろう。『たいそう美しい女だが、夫がじゃまだ。夫を殺して彼女を奪おう』と考えるかもしれない。だが、妹ということにしておけば、あなたの手前、私を大事にしてくれるだろう。それで、無事に生き延びることができるかもしれない。」
+ エジプトに着くと、案の定サライの美しさは評判となり、
+ ファラオに仕える役人までが王の前で彼女のことをほめそやしたので、王はサライを宮殿に召し入れました。
+ おかげでアブラムは、王から羊、牛、ろば、男女の奴隷、らくだなど、たくさんの贈り物をもらいました。
+ しかし、事はそれで終わらず、王がサライを召し入れたことで、主は宮殿に恐ろしい疫病をはやらせたのです。
+ 王はアブラムを呼び出し、激しく非難しました。「いったい、なんということをしてくれたのだ。サライがおまえの妻だということを、どうして隠していたのか。
+ 妹だなどとうそをついて、彼女が私のものになるのを平気で見ていたとは。さあ、あの女を連れて、この国から出て行ってくれ。」
+ 王は兵士にアブラムと妻をその縁者や財産とともに護送させ、エジプトから追放しました。
+
+
+ そこでアブラムの一行はエジプトを出て北へ向かい、ネゲブまで来ました。アブラムと妻サライ、甥のロトもいっしょでした。アブラムは裕福で、家畜と金銀をたくさん持っていました。
+ そこからさらに北のベテルに向かい、やがて、ベテルとアイにはさまれた、以前野営したことのある所まで来ました。かつて祭壇を築いた場所で、アブラムは、もう一度そこで主を礼拝しました。
+ ロトも、羊や牛をはじめ大ぜいの使用人をかかえ、非常に裕福でした。
+ そのため、たくさんの家畜の群れを持つアブラム家とロト家の両方が住むには、その土地は狭すぎました。
+ そこに、アブラムの羊飼いとロトの羊飼いとの間に争いが起きました。しかも、その地にはカナン人やペリジ人の部族も住んでいて、いつ襲われるかわからない危険があったのです。
+ アブラムはロトと話し合うことにしました。「なあ、ロト、お互い身内同士の使用人のけんかはやめさせなければならない。伯父、甥の仲なのだから。
+ それで、こうしようと思うのだが、おまえの意見はどうだ。まずおまえが、どこでも好きな場所を選ぶのだ。そして、私たちはここで別れる。おまえが東の方を欲しいなら、私はここに残るし、この地がいいと言うなら、私が東へ移ることにしよう。」
+ ロトは、ヨルダン川周辺の水に恵まれた肥沃な平野をじっと見つめました。まだソドムとゴモラの町が神に滅ぼされる前だったので、そこは、まるでエデンの園のように見えました。エジプトやツォアル近辺の美しい田園にも似ています。
+ ロトはその土地を選びました。東部一帯に広がるヨルダン渓谷の低地です。彼は家畜と使用人を連れてそこへ行くことにし、アブラムはカナンの地に残りました。二人はこうして別れました。
+ ロトは平野に下って、ソドムの町の近くに住みつきましたが、
+ ソドムの住民はひどく質が悪く、主に背くようなことばかりしていました。
+ ロトが行ってしまうと、主はアブラムに言いました。「さあ、四方を見渡しなさい。目の届く限り、遠くまでよく見るのだ。
+ その土地をすべて、あなたとあなたの子孫に与えよう。
+ わたしはあなたの子孫を増やそう。海辺の砂のように、数えきれないほどの数に。
+ さあ、出かけて行き、やがてあなたのものになるこの新しい土地をよく調べるのだ。」
+ アブラムはヘブロンに近いマムレの樫の木のそばに移り、そこで主のために祭壇を築きました。
+
+
+ 折りも折り、この地方に戦争が起こりました。シヌアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアルの同盟軍が、ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデマの王シヌアブ、ツェボイムの王シェムエベル、のちにツォアルと呼ばれたベラの王の連合軍と戦ったのです。
+ ソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイム、ベラの王たちは、今は塩の海といわれるシディムの谷に全軍を集めました。
+ この五人の王は、十二年間ケドルラオメル王に支配されていましたが、十三年目に反乱を起こしたのです。
+ 一年後、ケドルラオメル王の率いる同盟軍が討伐に乗り出し、むごたらしい戦いが始まりました。同盟軍は、アシュテロテ‧カルナイムのレファイム人、ハムのズジム人、キルヤタイムの平原にいたエミム人、セイルの山のホリ人を打ち破り、さらにその勢いに乗って、砂漠との境にあるエル‧パランまで進軍しました。
+ そこから引き返し、今のカデシュに当たるエン‧ミシュパテでアマレク人を破り、さらにハツァツォン‧タマルのエモリ人をも破りました。
+ ソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイム、ベラ〔ツォアル〕の連合軍は、ケドルラオメル王の同盟軍に塩の海で戦いを挑みましたが、敗れました。
+ そのころ、谷にはアスファルトの穴がたくさんあり、退却する時、ソドムの王とゴモラの王はその穴に落ち、残りの者は山へ逃げ込みました。
+ 同盟軍は勝利の余勢をかってソドムとゴモラを略奪し、町中の財産と食糧をことごとく奪って引き揚げました。
+ その時、アブラムの甥ロトもソドムに住んでいたので、捕虜にされ、全財産を奪われました。
+ 一人の男が逃亡して、ヘブル人のアブラムのところへ駆け込み、一部始終を報告しました。アブラムはそのころ、エモリ人マムレの所有地にある樫の木立の中に野営していました。マムレは、アブラムと盟約を結んでいたエシュコルとアネルの兄弟でした。
+ ロトたちが捕虜になったことを聞くと、アブラムは家のしもべたち総勢三百十八人を引き連れ、引き揚げるケドルラオメルの同盟軍をダンまで追いかけました。
+ そして夜になって、奇襲攻撃を展開して、敗走する敵軍をダマスコの北、ホバまで追跡し、
+ 略奪された全財産とロト、それに捕虜になっていた人々すべてを取り返しました。
+ こうしてアブラムがケドルラオメル王を打ち破り、現在の「王の谷」に当たるシャベの谷まで引き揚げると、ソドムの王が彼を出迎えました。
+ また、シャレム〔エルサレム〕の王、いと高き天の神の祭司メルキゼデクは、パンとぶどう酒を持って来て、
+ アブラムを祝福しました。
+ 「天地のすべてを造られた、いと高き神の祝福が、アブラムよ、あなたにあるように。あなたを敵に勝たせてくださった神があがめられるように。」アブラムは、メルキゼデクに戦利品の十分の一を贈りました。
+ ソドムの王は、取り戻された財産を受け取ろうとせず、「捕虜にされていた国民を返してくださるだけで十分です。町から盗まれた物は、どうぞそのままあなたがお取りください」と言いました。
+ しかしアブラムは答えました。「私はいと高き神、世界を造られた神に堅く誓いました。
+ ですから、くつひも一本頂くわけにはまいりません。『アブラムは私が物を与えたから豊かになった』などと言われたくないのです。
+ ただし、追跡に加わった私の軍の若者が食べた分まではお返ししません。それ以外は、いっさい頂きません。戦利品の分け前は、アネル、エシュコル、マムレに与えてください。」
+
+
+ そののち主が幻の中でアブラムに現れ、こう語りかけました。「アブラムよ、心配することはない。わたしがあなたを守り、大いに祝福しよう。」
+ 「ああ神様、私に息子がないのはご存じでしょう。どんなに祝福していただいても、子どもがいなければ、全財産は一族のだれかほかの者が相続することになるのです。」
+ 「いや、そんなことはない。ほかの者があなたの跡継ぎになることは決してない。財産を相続する子が、あなたに必ず生まれる。」
+ それから主はアブラムを外へ連れ出し、満天の星空の下に立たせました。「空を見なさい。あの星を全部数えられますか? あなたの子孫はあの星のようにとても数えきれないほどの数になる。」
+ アブラムは主を信じました。主はアブラムの信仰を義と認めました。
+ 「カルデヤのウルの町からあなたを導き出したのは、このわたしだ。それは、この土地を永遠にあなたのものとするためだ。」
+ 「神様、できれば、その確かな証拠を見せてください。」
+ すると、主は次のように言われました。「それぞれ三歳の雌牛と雌やぎと雄羊、それに山鳩とそのひなを持って来て、
+ 殺し、真ん中から引き裂いて二つに分けなさい。ただし、鳥は裂いてはいけない。」
+ アブラムは言われたとおりにし、はげたかが死体の上に舞い下りて来そうになると、追い払いました。
+ やがて夕方になり、日が西に傾きました。アブラムは眠くて、どうにも我慢ができなくなりました。すると、何か恐ろしいことが起きる前兆のような、深い闇が忍び寄ってきたのです。
+ その時、主の声がしました。「あなたの子孫は四百年の間、外国で奴隷とされ、苦しめられるだろう。
+ だが、その国をわたしは罰する。そしてついには、あり余るほどの富を携えて、彼らはその国から脱出することになる。
+ あなたは天寿を全うし、安らかにこの世を去るだろう。
+ 四世代ののち、彼らはこの地に帰る。今ここに住んでいるエモリ人の国々の悪行は、まだ最悪には至っていない。だがその時がきたら、きびしい罰を受けることになる。」
+ もう日はすっかり沈み、あたりは真っ暗です。見ると、煙のたち込めるかまどと燃えるたいまつが現れ、二つに引き裂かれた動物の死体の間を通り抜けました。
+ こうしてその日、主はアブラムと契約を結ばれたのです。「わたしはこの地をあなたの子孫に与える。ワディ‧エル‧アリシュ〔エジプト川〕からユーフラテス川に至る地を。
+ また、ケニ人、ケナズ人、カデモニ人、ヘテ人、ペリジ人、レファイム人、エモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の国々をも与えよう。」
+
+
+ 主の約束にもかかわらず、サライとアブラムには、なかなか子どもができませんでした。そこでサライは、ハガルというエジプト人の女の召使を、
+ アブラムにそばめとして与えました。「主はいつまでたっても子どもを授けてくださらないので、あなたが私の召使を迎え入れるしかないと思います。もし子どもが生まれたら、私の子ということにしてください。」アブラムは同意しました。こうしてカナンの地に来てから十年後、
+ アブラムはハガルを迎え、やがて彼女は妊娠しました。ところが、そのことがわかると、ハガルはとたんに傲慢になり、女主人のサライに横柄な態度をとるようになったのです。
+ サライはアブラムに申し立てました。「召使が私を見下げるなんて、みんなあなたのせいですよ。ハガルはいったいだれのおかげで、子どもを身ごもったと思っているのでしょう。こうなったら、どちらが正しいか、主に決めていただきましょう。」
+ 「まあまあ、そこまで言わなくても。あの娘をおまえの好きなように罰したらいいではないか。」それならと、サライは召使ハガルにとてもつらく当たりました。我慢できず、ハガルは逃げ出しました。
+ ようやく彼女が、シュルに通じる道のわきにある砂漠の泉のそばまでたどり着いた時、神の使いが彼女を見つけました。
+ 「サライの召使ハガルよ。どこから来て、これからどこへ行くつもりですか。」「女主人のところから逃げ出して来たのです。」
+ 「それはいけない。戻って従順に仕え、務めをきちんと果たしなさい。心配はいりません。あなたには男の子が生まれるから、イシュマエル〔「神は聞いてくださる」の意〕と名づけなさい。あなたの子孫は大きく増え広がります。主があなたの苦しみを聞き届けられたからです。その子は野生のろばのように荒々しく、思うままにふるまう暴れ者となって、すべての人を敵に回し、ほかの人たちも彼に敵意を抱きます。彼はまた、親族の者とも敵対するでしょう。」
+ そののちハガルは、主のことをエル‧ロイ(「私を顧みてくださる神」の意)と呼ぶようになりました。彼女の前に現れたのは、実は神ご自身だったのです。「私は神様を見たのに死にもせず、こうして、そのことを人に話すこともできる」と、彼女は言いました。
+ のちにその井戸は、ベエル‧ラハイ‧ロイ(「私を顧みてくださり、生きておられるお方の井戸」の意)と名がつきました。それはカデシュとベレデの間にあります。
+ やがて、ハガルはアブラムの子どもを産み、アブラムはその子をイシュマエルと名づけました。
+ その時、アブラムは八十六歳でした。
+
+
+ アブラムが九十九歳になった時、主が彼に現れました。「わたしは全能の神である。わたしの命令に従って正しく生きなさい。
+ わたしはあなたと契約を結ぶ。あなたが大いなる国民となることを保証する契約である。これから、あなたは一つの国民だけでなく、たくさんの国々の先祖となるのだ。」主が語るのを、アブラムは地にひれ伏し、額をすりつけんばかりにして聞いていました。
+ 「契約はもう一つある。わたしはあなたの名前を変える。これからは『アブラム』〔「地位の高い父」の意〕ではなく、『アブラハム』〔「国々の父」の意〕と名乗りなさい。
+ あなたの子孫を数えきれないほど増やすので、たくさんの国ができるだろう。その子孫からは王も出る。
+ この契約を、わたしは何世代にもわたって永遠に守り続ける。あなたとの間だけでなく、あなたの子孫との間の契約でもあるからだ。わたしがあなたの神となり、また、あなたの子孫の神となるという契約である。このカナンの全土は永久にあなたとその子孫のものだ。すなわち、わたしがあなたがたの神となる。
+ あなたは契約の条件を忠実に守らなければならない。あなたもあなたの子孫も、一人残らずそうしなければならない。その条件とは、男子はみな割礼を受けるということ、
+ つまり、性器の包皮の一部を切り取ることが、あなたがたがこの契約を受け入れたしるしとなる。
+ 男子はみな、生まれて八日目に割礼を受けなければならない。あなたの家の子だけでなく、外国人の奴隷もみな受けなければならない。これは永遠に、あなたの子孫全員に適用すべきものである。
+ 割礼は、あなたたちの体そのものが、永遠の契約にあずかっていることのしるしだからだ。
+ これを拒否する者はだれでも、わたしとの契約を破ったことになり、部族の一員とはみなされない。」
+ 神はさらに続けました。「あなたの妻サライの名だが、これからは『サライ』ではなく、『サラ』〔「王女」の意〕にしなさい。
+ わたしは彼女を祝福する。彼女はあなたに男の子を産むだろう。すばらしい祝福を与えて、彼女を国々の母とする。彼女の子孫からは多くの王が出る。」
+ これを聞いたアブラハムは、地にひれ伏して神を礼拝しました。しかし、とても信じられないことなので、心の中で笑って言いました。「この私が父親になるだって? この百歳の老人が? それにサラだってもう九十歳だ。赤ん坊なんかできるはずがない。」
+ そこでアブラハムは神に申し上げました。「それはありがたいことです。どうぞ、イシュマエルを祝福してくださいますように。」
+ 「いや、わたしはそうは言っていない。妻のサラが、あなたに男の子を産むのだ。その子をイサク〔「笑い声」の意〕と名づけなさい。わたしは永遠の契約を、彼と彼の子孫との間に結ぶ。
+ イシュマエルのことはわかった。あなたの願いどおり彼を祝福し、彼の子孫を増やして、大きな国にしよう。十二人の族長が彼から出る。
+ しかし、わたしが契約を結ぶのはイサクである。来年の今ごろ、サラはイサクを産む。」
+ こう言い終えると、神はアブラハムのもとを去りました。
+ その日アブラハムは、直ちに息子イシュマエルをはじめ、すべての男子を集めました。彼の家で生まれた者も外部から買い入れた奴隷も。そして、神に命じられたとおり、全員に性器の包皮を切り取る儀式を行いました。
+ その時アブラハムは九十九歳、イシュマエルは十三歳で、二人とも同じ日に割礼を受けました。家の中の男子は、そこで生まれた者も奴隷として買い取られた者もみな、いっしょに割礼を受けたのです。
+
+
+ アブラハムがマムレの樫の木のそばにテント(天幕と呼ばれる移動式住居)を張っていた時、神は再び彼に現れました。そのいきさつは次のとおりです。夏のある暑い日の午後でした。アブラハムはテントの入口に座っていました。
+ ふと目を上げると、三人の人がこちらに向かって来ます。アブラハムはすぐさま立ち上がり、走って行って、喜んで出迎えました。
+ 「まあまあ、そんなに先を急がないで、どうぞゆっくりこの木陰でお休みください。水をお持ちしますから、足でも洗ってさっぱりなさるといいですよ。
+ 大したものもありませんが、食事でもいかがですか。元気がつきますよ。しばらく休んで、それから旅を続けられたらよろしいでしょう。」「ありがとう。おっしゃるとおりにさせていただきましょう。」
+ アブラハムはさっそく、テントの中にいるサラのところへ駆け戻りました。「さあ、一番上等の粉で、大急ぎでパンケーキを作っておくれ。お客様が三人お見えだ。」
+ 次は家畜のところに走って行って、群れの中から太った子牛を選ぶと、召使に急いで料理するよう言いつけました。
+ まもなく、チーズとミルクと子牛のあぶり肉が運ばれ、食卓が整えられました。客が木の下で食事をしている間、アブラハムはそばに立っていました。
+ 「ところで、奥さんはどちらにおられますか?」と三人が尋ねるので、「テントの中です」と答えました。
+ 三人のうちの一人(実は神だった)が言いました。「来年の今ごろわたしがまた来る時、あなたとサラの間に、男の子が生まれている。」サラはうしろのテントの入口で一部始終を聞いていました。
+ この時、すでにアブラハムもサラもすっかり年をとり、サラは子を産める時期はとうの昔に過ぎていたので、
+ 彼女は笑いをかみ殺すのがやっとでした。そして、「私みたいな老いた者が、赤ん坊を産むだなんて」と、彼女はおかしそうにつぶやきました。「それに主人だってもうかなりの年だし……。」
+ 神はそれを聞きとがめ、アブラハムに言いました。「なぜ、サラは笑ったのか。なぜ『私みたいな老人に赤ん坊なんか産めるわけがない』とつぶやくのか。
+ 神にできないことは何もない。あなたに言ったとおり、来年の今ごろまた来る時には、必ずサラに男の子が生まれている。」
+ サラはあわてて否定しました。「笑っただなんて、とんでもないことです。」しかし、どうなることかと、怖くてたまりません。必死になってごまかしましたが、神はご存じでした。
+ このあと三人の客は腰を上げ、ソドムに向かいました。アブラハムは彼らを見送ろうと、途中までいっしょに歩いて行きました。
+ その時、主は考えました。「わたしの計画をアブラハムに隠しておいていいだろうか。
+ アブラハムの子孫は大きな国になるのだし、世界中の国々が彼のおかげで祝福を受けるのだ。
+ わたしは彼を選んで、主を敬う、正しく善良な者たちを彼の子孫から起こそうとしている。その約束は果たさなければならない。」
+ そこで主は、アブラハムに打ち明けました。「ソドムとゴモラの住民は、すっかり悪に染まってしまったという。ずいぶんひどいことをしているようだ。
+ 今、その知らせがほんとうかどうか調べに行くところなのだ。向こうに着けばはっきりわかるだろう。」
+ ほかの二人は、そのままソドムへ向かいましたが、アブラハムはなお主の前に立っていました。彼は恐る恐る神に近づいて言いました。「お尋ねしてもよろしいでしょうか。あなたは正しい人も悪人も同じように殺してしまうおつもりですか。
+ もしあの町に正しい人が五十人いたとしても、それでも滅ぼされますか。その人たちのために町を救おうとはなさらないのですか。
+ だとしたら、正義はどこにあるのでしょう。悪人も正しい人もいっしょに殺してしまうなどということを、あなたがなさるはずはありません。もしも、もしもそんなことをされるなら、正しい人も悪人も全く同じ扱いをされることになってしまいます。あなたは決してそんなことはなさらないでしょう。全地をさばかれる方は、公平でなければならないのですから。」
+ 「わかった。正しい人が五十人見つかったら、彼らのために町全体を救うことにしよう。」
+ 「ありがとうございます。こう申し上げる私自身が、ちりや灰にすぎない者だということは、よく承知しております。ですが、もう少しお尋ねしてよろしいでしょうか。
+ もし正しい人が四十五人しかいない時にはどうでしょう。五人足りないだけで、町をすべて滅ぼされますか。」「四十五人いれば滅ぼすまい。」
+ 「では、四十人しかいなかったら?」「四十人でも。」
+ 「どうぞお怒りにならないでください。あえてお聞きするのですが、三十人ではいかがですか。」「やはり滅ぼすまい。」
+ 「許されるなら、もう少し続けさせてください。もし二十人だけでしたら?」「よろしい。その二十人のために滅ぼさない。」
+ 「神様、お怒りにならないでください。もうひと言だけ、これが最後です。もしも、たった十人だったら、いかがでしょう。」「もうよい。その十人のために町を滅ぼすことはしない。」
+ 主はアブラハムと話し終えると、去って行きました。アブラハムは自分のテントに帰って行きました。
+
+
+ その日の夕方、二人の天使がソドムの町の入口に着きました。ちょうどそこに、ロトが座っていました。ロトは二人を見るとすぐさま立ち上がって迎え、伏し拝んであいさつをしました。
+ 「ご主人がた、どうぞ私どもの家にお泊まりください。明日の朝、お好きな時間にお発ちになればよろしいでしょう。」「いいえ、けっこうです。一晩くらいこの広場で休みますから。」
+ けれども、ロトはしきりに勧めました。とうとう二人はロトについて彼の家に行きました。ロトは客のためにパン種(パンの製造に使用する酵母)を入れない焼きたてのパンを出し、ごちそうを並べました。食事が終わり、
+ ベッドの用意にかかろうとしていると、若者から年寄りまで町中の男たちがぐるりと家を取り囲み、
+ 大声でわめき立てました。「やい、ロト! あの二人を外に出せ。うんとかわいがってやろう。」
+ ロトは彼らをなだめようと外へ出て、うしろの戸を閉めました。
+ 「お願いだ。乱暴はやめてくれ。
+ うちには結婚前の娘が二人いるから、好きなようにしてかまわない。けれども、客人に手出しをすることだけはやめてくれないか。私が責任をもってお泊めしたのだから。」
+ 「うるさい、引っ込んでいろ!」暴徒たちは口々に叫びました。「だいたい自分を何様だと思っていやがるんだ。お情けでこの町に住ませてもらっているよそ者なのに、おれたちに命令しようっていうのか? こうなったら、あの二人のことなんかどうでもいい! それより、おまえの生意気な面の皮をひっぱがしてやろう。」言うが早いか、彼らはどっとロトに飛びかかり、戸を壊そうとし始めました。
+ ところが、客の二人がさっと腕を伸ばしてロトをつかみ、家の中に連れ込むと、戸にがっちりかぎをかけたのです。
+ そして、外の男たちの目を一時的に見えなくしたので、彼らは戸がどこにあるのかわからなくなってしまいました。
+ 二人はロトに言いました。「この町に親戚がいますか。家族の皆さんも、それからもし親戚があれば、その人たちもみな、ここから逃げなさい。
+ われわれは今からこの町を滅ぼします。この町の腐敗は天にまで知れ渡り、主は、この町を滅ぼすためにわたしたちを遣わされたのです。」
+ ロトは急いで表へ飛び出し、娘の婚約者のところへ駆けつけました。「すぐ町から出るんだ。主がこの町を滅ぼそうとしておられる!」ところが彼らには、ロトが気が変になってしまったとしか思えず、あっけにとられてロトを見つめるだけでした。
+ 翌日、夜が明けるころ、二人の天使はしきりにロトをせかせて言いました。「さあ、ぐずぐずしないで。奥さんと、ここにいる二人の娘さんを連れて、大急ぎで逃げるのです。さもないと、町もろとも滅びうせてしまいます。」
+ それでもまだロトがぐずぐずしているので、天使はロト夫婦と二人の娘の手を取り、町の外の安全な場所へ連れ出しました。それは、神のあわれみによるものでした。
+ 一人の天使が言いました。「いのちが惜しかったら一目散に逃げなさい。絶対にうしろを振り返ってはいけません。山の中へ逃れるのです。いつまでもこの低地にいると死んでしまいます。」
+ 「どうぞ、そんなことになりませんように。これほどまでして、いのちを助けてくださるご親切には、お礼の申しようもございません。けれども、山の中ではなく、あそこに見える、小さな村に逃げ込んではいけないでしょうか。きっと山にたどり着く前に力尽きて、滅ぼされてしまいます。あの村ならそんなに遠くないですし、それにほんの小さな村ではありませんか。お願いです。あそこへ行かせてください。どんなに小さい村か、どうぞごらんください。あそこなら、私たちは助かります。」
+ 「よろしい。言うとおりにしてあげよう。あの小さな村は滅ぼさないことにします。
+ だが、急がなければなりません。あなたが向こうに着くまで、わたしは何もしないから。」この時から、その村はツォアルと呼ばれるようになりました。「小さな村」という意味です。
+ ロトが村に着くと、ちょうど太陽が昇ったところでした。
+ その時、天から、火のように燃える硫黄が、ソドムとゴモラの上に降りかかりました。
+ そして、平野に点在するほかの町や村といっしょに、ソドムとゴモラをすっかり焼き尽くしてしまったのです。人間も植物も動物も、いのちあるものはみな死に絶えました。
+ ロトの妻も夫のあとからついて行ったのですが、天使の警告に背いてうしろを振り返ったため、塩の柱になってしまいました。
+ その日、アブラハムは早く起きて、神と話をした場所に急ぎました。
+ ソドムとゴモラのあった平野を見渡すと、まるでかまどのように熱気がたちこめ、煙の柱が町のあちこちから立ち上っているのが見えます。
+ しかし神は、アブラハムの願いを聞き入れ、ロトのいのちを救いました。町を覆い尽くした死の災いから、ロトを救い出されたのです。
+ その後、ロトはツォアルの人々を恐れて山へ逃げ、二人の娘といっしょにほら穴で暮らしました。
+ そんなある日、姉が妹に言いました。「このあたりには男の人がいないし、お父さんも私たちを結婚させることはできないわ。それにお父さんもずいぶん年をとってきたわ。
+ だから、お父さんをぶどう酒で酔いつぶして、いっしょに寝ましょう。私たちの家系が絶えないようにするには、そうするしかないのよ。」
+ 相談がまとまり、二人はその夜、父親に酒を飲ませ、まず姉が父親のところに行きました。しかしロトは、娘が自分のところに入ったことはおろか、寝たのも起きたのも何一つ覚えていませんでした。
+ 次の朝、姉は妹に言いました。「ゆうべ私はお父さんと寝床を共にしたわ。だから、今夜もまた、お酒を飲ませましょう。今度はあなたの番よ。」
+ 二人はその夜もまた父親に酒を飲ませ、妹が父親と寝ました。前の晩と同じように、父親は、娘がそばに来たことに全く気がつきませんでした。
+ こうして、娘は二人とも父親の子どもを宿したのです。
+ やがて生まれた姉の子はモアブと名づけられ、モアブ人の先祖となりました。
+ 妹の子はベン‧アミという名で、アモン人の先祖です。
+
+
+ さて、アブラハムは南のネゲブ地方へ移り、カデシュとシュルの間に住みました。そして彼がゲラルの町にいた時、
+ 妻サラを妹だと言ったので、アビメレク王は彼女を王宮に召し入れました。
+ ところがその夜、神が夢で王に現れました。「あなたは夫のある女を召し入れた。そのために死ななければならない。」
+ しかしアビメレクは、まだ彼女に近づいてはいませんでした。「とんでもないことです、主よ。
+ 自分の妹だと言ったのは、あの男のほうです。それに彼女自身も、『ええ、彼は兄です』と言ったのです。私には、やましさなど全くありません。」
+ 「それはよくわかっている。だから、あなたが罪を犯さないようにしたのだ。彼女に指一本ふれさせないように、わたしが仕向けたのだ。
+ さあ、彼女を夫のもとに返しなさい。彼は預言者だから、あなたのために祈ってくれるだろう。そうすればあなたは助かる。だが、彼女を返さなければ、あなたもあなたの一族も、いのちはない。」
+ 翌朝、王は早く起き、宮殿で働く者を全員を集めました。王からこれらのことを聞いた者たちはみな、恐ろしさに震え上がりました。
+ このあと、王はアブラハムを呼び寄せました。「いったいなんということをしてくれたのか。もう少しで、私も国も、たいへんな罪を犯すところだった。こんな仕打ちを受ける覚えはさらさらない。私があなたに何をしたというのか。どうして、こんなひどいことを考えついたのだ。」
+ アブラハムは答えました。「実を言うと、この町は神を恐れない町だと思ったのです。ですから、きっと私を殺して妻を奪うだろうと思いました。それに、彼女が妹だというのはうそではありません。腹違いの妹で、私の妻となったのです。
+ そんなわけで、神の命令で故郷を発つ時、妻には、『これからどこへ行っても、おまえは私の妹だということにしてほしい』と頼んでおいたのです。」
+ アビメレク王は、羊と牛と男女の奴隷をアブラハムに与え、妻のサラを返しました。
+ 王は、「さあ、私の領地を見てごらんなさい。どこが気に入りましたか。どこでも好きな所に住んでかまいません」とアブラハムに言うと、
+ サラのほうを向いて続けました。「あなたの『お兄さん』に、弁償金として銀貨一千枚を差し上げることにしよう。それで万事収めてもらえないだろうか。これで、間違いはなかったと認められるだろう。」
+ アブラハムは神に、王と王妃をはじめ、一族のすべての女性の病が治るようにと祈ったので、彼女たちはまた子どもを産むようになりました。
+ というのは、アビメレクがアブラハムの妻を召し入れた罰で、みな子どもができないようにされていたのです。
+
+
+ さて神は、約束どおりのことをなさいました。サラは子どもを身ごもり、年老いたアブラハムの息子を産んだのです。その時期も、神が言われたとおりでした。
+ アブラハムはその子をイサク〔「笑い声」の意〕と名づけました。
+ そして、生まれて八日目に、神から命じられたとおり、割礼を受けさせました。この時、アブラハムは百歳でした。
+ サラは言いました。「神様は、私を笑えるようにしてくださった。私に赤ちゃんができたと知ったら、皆さんがいっしょに喜んでくれるでしょうね。
+ まるで夢のようだわ。年老いた主人のために、赤ちゃんを産んだのですもの。」
+ 子どもは日を追って大きくなり、やがて乳離れする時になりました。アブラハムは息子の成長を祝ってパーティーを開きました。
+ ところが、エジプト人の女ハガルがアブラハムに産んだイシュマエルが、弟イサクをからかい半分にいじめているのを見ました。それを見つけたサラは、
+ アブラハムに訴えました。「どうかあの女奴隷と子どもを追い払ってください。跡継ぎはイサクと決まっています。」
+ アブラハムは困り果てました。イシュマエルも自分の子どもなのです。
+ すると神は、アブラハムを力づけました。「あの子と女奴隷のことは心配しなくてよい。サラの言うとおりにしなさい。わたしの約束は間違いなくイサクによって成就する。
+ しかし、ハガルの子もあなたの息子だ。必ずやその子孫の国を大きくしよう。」
+ 翌朝早く、アブラハムは、さっそく食べ物を用意し、水を入れた皮袋をハガルに背負わせると、息子といっしょに送り出しました。二人はベエル‧シェバの荒野まで来ましたが、どこといって行く先はありません。ただあてもなくさまようばかりです。
+ やがて飲み水も底をつきました。もう絶望です。彼女は子を灌木の下に置き、
+ 自分は百メートルほど離れた所に座りました。「とても、あの子が死ぬのを見ていられない。」そう言うと、わっと泣きくずれました。
+ その時、天から神の使いの声が響きました。神が子どもの泣き声を聞かれたのです。「ハガルよ、どうしたのだ。何も恐れることはないのだよ。あそこで泣いているあの子の声を、神様はちゃんと聞いてくださった。
+ さあ早く行って子どもをしっかり抱きしめ、慰めてやりなさい。あの子の子孫を必ず大きな国にすると約束しよう。」
+ こう言われて、ふと気がつくと、なんと井戸があるではありませんか。神がハガルの目を開いたので、彼女は井戸を見つけることができたのです。彼女は喜んで水を皮袋の口までいっぱいにし、息子にも飲ませました。
+ 神に祝福されて、少年はパランの荒野でたくましく成長し、やがて弓矢の達人になりました。そして、母親がエジプトから迎えた娘と結婚しました。
+ このころのことです。アビメレク王と軍の司令官ピコルとが、アブラハムのところに来て言いました。「あなたは何をしても神様に守られておられる。それは、だれが見てもはっきりしています。
+ そこで、折り入ってお願いしたい。私や息子、孫たちを裏切ったりせず、今後もわが国と友好関係を保っていくことを、神の名にかけて誓っていただきたい。あなたにはこれまで、ずいぶんよくしてきたはずだから、あなたも正義を尽くしてほしい。」
+ 「いいですとも、誓いましょう」とアブラハムは答えました。
+ またアブラハムは、王の部下たちが井戸を奪い取ったことで、アビメレクに抗議しました。
+ 「はて、それは初耳です。いったいだれがそんなことを。その時すぐ言ってくださればよかったのに。」
+ こうして契約を結ぶことになり、アブラハムはそのしるしに、羊と牛を王に与えて、いけにえとしました。
+ ところが、アブラハムが雌の子羊を七頭別にとっておいたのを見て、王は尋ねました。「これはどういうわけか。」
+ 「この子羊は王様への贈り物です。これを二人の間の証拠として、この井戸が私のものだということをはっきりさせようと思いまして。」
+ そののち、この井戸はベエル‧シェバ〔「誓いの井戸」の意〕と呼ばれるようになりました。王とアブラハムが、そこで契約を結んだからです。
+ その後、王と司令官ピコルは、国へ帰りました。
+ アブラハムは井戸のそばに柳を一本植え、そこで主に祈りました。永遠の神に契約の証人となっていただくためです。
+ こうしてアブラハムは、ペリシテ人の地に長く住むことになりました。
+
+
+ こののち、神はアブラハムの信仰と従順を試しました。「アブラハム。」「はい、神様。」
+ 「あなたのひとり息子を連れてモリヤへ行きなさい。そう、愛するイサクを連れて行くのだ。そして、わたしが指定する山の上で、完全に焼き尽くすいけにえとしてイサクをささげなさい。」
+ アブラハムは明くる朝早く起きると、祭壇で燃やすたきぎを作り、ろばに鞍をつけて出かけました。息子イサクと若い召使二人もいっしょです。
+ 三日目、指定された場所が遠くに見える所まで来ました。
+ 「おまえたち二人は、ろばとここで待っていなさい。わしと息子はあそこへ行き、礼拝してすぐに戻って来るから」と、アブラハムは召使に言いました。
+ アブラハムは、完全に焼き尽くすいけにえ用のたきぎをイサクに背負わせ、自分は刀と火打ち石を持ちました。二人はいっしょに歩いて行きました。
+ 「お父さん、たきぎもあるし、火打ち石もあるけれど、いけにえにする子羊はどこ?」
+ 「わが子イサク、大丈夫だ。神様がちゃんと用意してくださるよ。」二人はどんどん先へ進みました。
+ やがて、命じられた場所に着きました。アブラハムはさっそく祭壇を築き、たきぎを並べました。あとは火をつけるばかりです。いよいよイサクをささげる時がきたのです。イサクを縛り上げ、祭壇のたきぎの上に横たえました。
+ アブラハムは刀をしっかりと握りしめ、その手を頭上高く振りかざしました。その時です。息子の心臓めがけて刀を振り下ろそうとした、まさにその時、主の使いの声が天から響きました。「アブラハム!アブラハム!」「はい、神様。」
+ 「刀を置きなさい。その子に手をかけてはならない。もうわかった。おまえが何よりも神を第一としていることが、よくわかった。最愛の息子でさえ、ささげようとしたのだから。」
+ こう言われてふと見ると、雄羊が一頭、木の枝に角を引っかけて、もがいているではありませんか。「これこそ神様が用意してくださったいけにえだ。」そう思ったアブラハムは羊を捕まえ、息子の代わりに、完全に焼き尽くすいけにえとしてささげました。
+ このことがあってから、アブラハムはそこをアドナイ‧イルエ〔「神は用意してくださる」の意〕と呼びました。現在でも、そう呼ばれています。
+ このあと、主の使いがもう一度アブラハムに、天から呼びかけました。
+ 「あなたはよくわたしの言うことを聞いた。愛する息子をさえ惜しまずに、わたしにささげようとしたのだ。神であるわたしは誓う。
+ 想像もできないほどあなたを祝福し、子孫を増やそう。空の星、海辺の砂のように、数えきれないほど大ぜいに。あなたの子孫は敵を征服し、
+ 世界中の国々に祝福をもたらす。それはみな、あなたがわたしの言うことに従ったからだ。」
+ こうして二人は召使のところへ戻り、ベエル‧シェバにある自分たちの家へ向かいました。
+ このあと、兄弟ナホルの妻ミルカにも子どもが八人生まれたという便りが、アブラハムに届きました。子どもたちの名前は次のとおりです。長男ウツ、次男ブズ、アラムの父ケムエル、ケセデ、ハゾ、ピルダシュ、イデラフ、それに、リベカの父ベトエル。
+ ナホルにはまた、レウマというそばめの子が四人いました。テバフ、ガハム、タハシュ、マアカです。
+
+
+ さて、サラはカナンの地ヘブロンにいた時、百二十七歳で死にました。アブラハムが嘆き悲しんだことは言うまでもありません。
+ 激しく泣いたあと、やがて静かに立ち上がり、妻のなきがらを前に、居合わせたヘテ人に頼みました。
+ 「ご存じのように、私はよその国から来た者です。妻が死んでも、いったいどこに葬ったらよいのか……。ほんの少しでけっこうですから、墓地にする土地を売っていただくわけにはまいりませんか。」
+ 「あなたは神に重んじられている方です。遠慮はいりません。どうぞ、この辺で最上の墓地を選んでください。信仰心のあつい、りっぱなあなたの奥様を葬るお役に立てるなら、私たちにとっても名誉です。」
+ なんというありがたい申し出でしょう。アブラハムは深々と頭を下げて言いました。
+ 「ご親切に言ってくださり、お礼の申しようもありません。もしよろしかったら、ツォハルの息子さんのエフロンにお口添え願えないでしょうか。
+ あの人の畑のはずれにある、マクペラのほら穴を売っていただきたいのです。もちろん、ふさわしい代金をお支払いします。そうすれば、わが家代々の墓地ができます。」
+ ちょうど、エフロンもそこに居合わせました。アブラハムの願いを聞くと、彼はさっと立ち上がり、町中の人々の前で、はっきり言いました。
+ 「わかりました。あのほら穴と畑地は、あなたに差し上げましょう。さあ、みんなも聞いただろう。お金はけっこうです。ご自由に奥様を葬ってください。」
+ アブラハムはもう一度人々におじぎをし、
+ 一同の前でエフロンに答えました。「ただだなんて、それはいけません。ぜひ売ってください。代金をお支払いしたいのです。埋葬はそれからにさせてください。」
+ 「そこまでおっしゃるなら……。ざっと銀貨四百枚ほどの値打ちはあると思います。そのくらいの金額なら、私たちの間では問題はないでしょう。それでよろしければ、どうぞ奥様を葬ってください。」
+ アブラハムは言い値どおり、銀貨四百枚を払いました。それが通り相場でした。
+ こうして、マムレに近いマクペラにあったエフロンの畑地とそのはずれのほら穴は、アブラハムのものとなりました。そこに生えている木もすべてです。町の門で、ヘテ人の証人を前に正式に契約を交わし、アブラハムの財産と認められたのです。
+ こうして、その土地の所有権はヘテ人からアブラハムに移り、彼はその墓地にサラを葬りました。
+
+
+ アブラハムは神の祝福を豊かに受けて、何不自由なく暮らしていましたが、もうかなりの高齢になっていました。
+ そんなある日、アブラハムは家を管理させていた最年長の召使に言いました。
+ 「天と地を治める神、主にかけて誓ってくれ。私の息子をカナン人の娘と結婚させてはならない。
+ 私の故郷に住む親類のところへ行き、嫁を見つけて来てはくれまいか。」
+ 「そうおっしゃいましても、何分、あまりにも遠い所でございます。ここまで嫁に来ようという娘さんがいるかどうか……。もし見つからなかったら、どういたしますか。イサク様をあちらへお連れして、ご親類の方たちといっしょに住むようにいたしましょうか。」
+ 「いいや、だめだ。どんなことがあっても、それだけはできない。
+ 天の神様から、私はご命令を受けたのだ。あの土地と親族から離れるようにと。それに、私と私の子孫にこの土地を与えるというお約束もある。そう言われる以上、神様が天使を遣わして、どうすればよいか教えてくださるはずだ。息子の嫁はきっと見つかる。
+ だが、どうしてもうまくいかない場合は……しかたがない、その時は一人で帰って来なさい。ただ、どんなことがあっても、息子をあそこへ連れて行くことだけはならない。」
+ 召使は、指示どおりにすると心から誓いました。
+ さっそく、旅行の準備にかからなければなりません。まず、らくだを十頭選びました。また、贈り物として最上の物を幾つかより分けました。それを全部らくだに積み終えると、一行はナホル(アブラハムの兄弟)の住むアラム‧ナハライム地方(現在のイラクの一地域)へ向かったのです。
+ いよいよ目的地に着くという時、アブラハムの召使は、町はずれの泉のそばにらくだを座らせました。ちょうど夕方で、女たちが水くみに来る時刻でした。
+ 彼は祈りました。「私の主人アブラハムの神様、どうぞご主人様に恵みをお与えください。また、私がこの旅の目的を果たせますよう、お助けください。
+ いま私は、この泉のかたわらで、娘たちが水をくみに来るのを待っています。
+ そこで、こうしていただけないでしょうか。娘たちに水を下さいと頼むつもりですが、その時もし、『ええ、どうぞ。らくだにも飲ませましょう』と言ってくれたら、その娘さんこそイサク様の妻となるべき娘だ、ということにしてください。そうすれば、主人アブラハムへの神様のお恵みを知ることができます。」
+ このように祈っていると、リベカという美しい娘が水がめを肩にのせ、泉にやって来ました。そして、水がめに水をいっぱい入れました。彼女の父親はベトエルと言い、アブラハムの兄弟ナホルと妻ミルカの息子でした。
+ アブラハムの召使はさっそく彼女に走り寄って、水を飲ませてほしいと頼みました。
+ 「どうぞ、どうぞ」と、その娘はすぐに水がめを下ろし、彼が飲み終わるのを見はからって、
+ こう言いました。「そうそう、らくだにもたっぷり飲ませてあげましょう。」
+ 彼女は水をおけにあけると、また小走りでくみに行き、
+ すべてのらくだに飲ませたのでした。召使は、はたして彼女が自分の探していた娘なのかどうか見きわめようと、無言のまま、じっと彼女のかいがいしい仕事ぶりを見守っていました。
+ そして、らくだが水を飲み終わる頃合に、金の鼻輪と、金の腕輪を二つ、彼女に渡して尋ねました。
+ 「つかぬことを伺いますが、お父様のお名前は何とおっしゃるのですか。それに、できれば今夜、お宅に泊めていただくわけにはまいりませんでしょうか。」
+ 「父はベトエルです。ナホルとミルカの息子ですよ。もちろん、ご遠慮はいりません。どうぞお泊まりください。
+ らくだのためのわらや餌も十分ありますし、お客様用のお部屋もございます。」
+ 老召使は立ったまま頭を垂れ、その場で主を礼拝しました。
+ 「主人アブラハムの神様、ありがとうございます。なんというお恵みでしょう。主人への約束を、こんなにもすばらしい方法でかなえてくださるとは。主人の親族にこんなに早く会えるとは思ってもみませんでした。何もかもあなたのお引き合わせです。ほんとうにありがとうございます。」
+ 一方、娘は家へ駆け戻り、家族に客のことを話しました。
+ 話を聞いたリベカの兄ラバンは、鼻輪と腕輪を見ると、大急ぎで泉に駆けつけました。老人はまだそこにいて、らくだのそばに立っていました。
+ 「ここにおいででしたか。お話は伺いました。これも、主の特別の祝福に違いありません。さあさあ、こんな町はずれに立っていないで、どうぞ家へおいでください。部屋はお越しを待つばかりになっていますし、らくだを休ませる場所もあります。」
+ 勧めに従い、老召使はラバンについて行きました。ラバンは、らくだにわらと餌を与え、供の者たちにも足を洗う水を出しました。
+ やがて夕食の時間になりました。いよいよ話を切り出す時です。老召使は言いました。「お食事を頂く前に、ぜひともお聞き願いたいことがあります。どういうわけで私がここにまいったか、その用向きをお話ししなければなりません。」「かまいませんとも。そのご用向きを伺いましょう」と、ラバンが促します。
+ 「実は、私の主人はアブラハムと申しまして、
+ 主に特別な祝福を頂いております。土地の人々からも大いに尊敬されるりっぱな人です。家畜も多く、金銀をはじめ、多くの財産もあります。奴隷も大ぜいおり、らくだやろばもたくさんいます。
+ 奥様はたいへん年を取ってからお子さんに恵まれ、主人は全財産をこの息子さんに譲りました。
+ ところで、主人が申しますには、息子イサク様をカナンの地の女と結婚させてはならない、というのでございます。
+ どうしてもこの遠い国まで来て、ご兄弟の親族の中から花嫁を連れて帰れというご命令で。
+ 私は万一の場合を考えまして、『もし、いっしょに来るという娘さんが見つからなかったらどういたしましょう』と尋ねました。
+ すると主人は、そんな心配はいらない、と申します。『必ず見つかる。これまで私は主のお心に背いたことはない。大丈夫、主が天使を遣わして、必ずうまくいくようにしてくださる。だから、私の親類から嫁を見つけて来なさい。
+ 必ずそうすると誓ってもらう。それでも万一、娘をこんな遠くにはよこせないと断られたら、その時はしかたがない。そのまま一人で帰って来てよい』と、そう申すのでございます。
+ そのようなわけで、今日の午後、泉にたどり着いた時、私はこう祈りました。『主人アブラハムの神様、もしも私が使命を無事に果たせるようにお助けくださるのでしたら、どうぞこのようにしてください。
+ 私はちょうど泉のそばにおりますから、水をくみに来る娘さんに、「水を飲ませてください」と頼みましょう。
+ そして、もし娘さんが、「ええ、どうぞ。らくだにも飲ませましょう」と答えたら、その娘さんこそ、神様がご主人の息子の嫁として選んだ人だ、ということにしてください。』
+ こうお祈りしている最中に、リベカさんがいらしたのです。水がめを肩に載せ、泉に降りると、なみなみと水をくんでいらしたので、『すみませんが、水を飲ませてください』とお願いしました。
+ うれしいことに、リベカさんはすぐ水がめを下ろして、飲ませてくださるではありませんか。そればかりではありません。『そうそう、らくだにもたっぷり飲ませましょう』と言って、そのとおりなさったのです。
+ 私ははやる気持ちをぐっと抑えて尋ねました。『失礼ですが、どなたの娘さんですか?』『ナホル家の者です。父はベトエルといい、ナホルとミルカの息子です』とおっしゃるのを聞いて、もう間違いないと思いました。それでさっそく、鼻輪と腕輪を差し上げたわけです。
+ 私は頭を垂れ、主人アブラハムの神様のすばらしいお引き合わせに、心からお礼を申し上げました。こんなにも早く、主人のご兄弟と縁続きの娘さんにお会いできるとは、思いもよらなかったものですから。
+ と、こういうわけなのです。いかがなものでしょう。率直にお気持ちを聞かせていただけないでしょうか。私の主人の願いをお聞き届けくださるなら、願ってもないことです。いずれにしましても、ご返事を頂ければ、私は進む方向を決めることができます。」
+ 「神様があなたを送って来られたのは明らかですから、私たちが何を言えましょう」とラバンとベトエルは答え、ベトエルが続けました。「とすれば、お断りするわけにもまいりません。
+ どうぞ娘リベカを連れて行ってください。神様のお示しになったとおり、ご主人の息子さんの妻となさってください。」
+ 答えを聞くと、アブラハムの召使はひざまずいて主を礼拝しました。
+ それから、純金や純銀の台にはめ込んだ宝石や美しい衣装を取り出して、リベカに与え、母親と兄にも、たくさんの高価な贈り物をしたのです。
+ ようやく一段落ついたところで夕食をとり、その晩、老召使は供の者たちといっしょに泊まりました。そして次の朝早く、彼は言いました。「どうもお世話になりました。そうゆっくりもできませんので、主人のところへ帰らせていただきたいのですが。」
+ 「それはまた急なお話で……。せめて十日ばかりはよろしいではありませんか。リベカもいろいろ準備があることですし、これから先、もう会えないかもしれません。ゆっくり名残を惜しんでからにしていただくわけにはいきませんか。」母親と兄は、何とか引き止めようとします。
+ しかし召使は、「おことばを返すようですが、やはり帰らせてください。主のおかげで用向きも無事に果たせたことですし、一刻も早く帰って主人に報告したいのです。」
+ 「そうまでおっしゃるのですか。では、こうしたらいかがでしょう。娘を呼んで本人の気持ちを直接聞きましょう。」
+ 二人はリベカを呼んで尋ねました。「どうだ、今すぐこの方といっしょに行くかね。」「はい、まいります。」
+ 本人が承知した以上、断る理由もありません。リベカが小さい時からの乳母をつけて送り出すことにしました。
+ 別れる時、彼らはリベカを祝福しました。「妹よ。数えきれないほど多くの国民の母となるように。おまえの子孫が、すべての敵に打ち勝つように。」
+ こうしてリベカと使用人の少女たちは、らくだに乗り、老召使といっしょに出発しました。
+ 一方、このころイサクはネゲブに住んでいましたが、ちょうどベエル‧ラハイ‧ロイから帰って来たところでした。
+ 夕暮れの野を散歩しながら物思いにふけっていた時です。ふと目を上げると、向こうかららくだの一行が来るのが見えます。
+ リベカもイサクに気づき、すぐにらくだから降りました。
+ リベカは老召使に尋ねました。「あそこにいらっしゃる方はどなたですの? 私たちを迎えにいらしたのかしら。」「おお、あれが若だんな様でございますよ。」そう言われて、彼女はあわててベールをかぶりました。
+ 老召使はイサクにこれまでの一部始終を話しました。
+ イサクはリベカを、亡き母サラが使っていたテントに連れて行きました。こうして二人は結婚したのです。イサクは妻を心から愛し、母親を亡くした悲しみも、妻を得たことで慰められました。
+
+
+ さて、アブラハムは再婚しました。新しい妻はケトラという名で、子どもも何人か生まれました。ジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデヤン、イシュバク、シュアハです。
+ ヨクシャンには、シェバとデダンという二人の息子が生まれました。デダンの子孫は、のちにアシュル人、レトシム人、レウミム人となりました。
+ ミデヤンの子はエファ、エフェル、エノク、アビダ、エルダアです。
+ アブラハムは全財産をイサクに譲りました。
+ しかし、そばめの子どもたちを放っておいたわけではありません。それぞれに贈り物を与えて東の国へ行かせ、イサクから遠く引き離したのです。
+ アブラハムは幸せな老後を過ごし、天寿を全うして、百七十五歳で死にました。
+ 息子イサクとイシュマエルは父を、マムレに近いマクペラのほら穴に葬りました。アブラハムがヘテ人ツォハルの息子エフロンから買い求めた、あの土地、アブラハムの妻サラを葬った所です。
+ アブラハムの死後、神の祝福はイサクに向けられました。イサクはネゲブのベエル‧ラハイ‧ロイの近くに移り住みました。
+ サラの女奴隷だったエジプト人ハガルとアブラハムとの子イシュマエルにも、子どもが生まれました。生まれた順に名前をあげると、次のとおりです。ネバヨテ、ケダル、デベエル、ミブサム、ミシュマ、ドマ、マサ、ハダデ、テマ、エトル、ナフィシュ、ケデマ。
+ この十二人は十二の氏族の先祖となり、各氏族にはそれぞれの名がつけられました。
+ イシュマエルは百三十七歳で死に、先に死んだ一族の仲間入りをしました。
+ イシュマエルの子孫たちは、東はハビラから、西はエジプトとの国境を北東のアッシリヤ方面に少し行ったシュルに至る地域に住み、兄弟同士で戦争に明け暮れていました。
+ イサクの子孫たちはどうでしょう。
+ イサクが、パダン‧アラムに住むアラム人ベトエルの娘で、ラバンの妹リベカと結婚したのは、四十歳の時でした。
+ イサクは、リベカに子どもが与えられるようにと、主に祈りました。結婚して何年もたつのに、なかなか子どもが生まれなかったからです。主はその祈りを聞き、ようやく彼女は妊娠しました。
+ ところが、まるで二人の子がお腹の中でけんかしているように動き回るのです。「こんなことでは、この先どうなるのかしら」と不安になったリベカは、主に祈り、お心を尋ねました。
+ 神は答えられました。「あなたのお腹にいる二人の子は、二つの国へと分かれ、互いにライバルとなる。一方がより強くなり、兄は弟に仕えるようになる。」
+ 言われたとおり、ふたごが生まれました。
+ 最初の子は、体中が赤い毛で覆われ、まるで毛皮を着ているようだったので、エサウ〔「毛」の意〕と名づけました。
+ 次に生まれた弟は、エサウのかかとをつかんでいました。そこでヤコブ〔「つかむ人」の意〕と呼ばれました。ふたごが生まれた時、イサクは六十歳でした。
+ やがて子どもたちは成長し、野性味のあるエサウは腕のいい猟師となりましたが、ヤコブのほうは穏やかな性格で、家にいるのを好みました。
+ イサクのお気に入りは兄のエサウです。イサクの好きな鹿肉をよく取って来たからです。リベカは、弟ヤコブのほうをかわいがりました。
+ ある日、ヤコブがシチューを作っているところへ、エサウが疲れきった様子で猟から帰って来ました。
+ 「ああ、腹ぺこで死にそうだ。その赤いシチューを一口くれないか」と言ったので、このことから、エサウは「エドム」〔「赤いもの」の意〕とも呼ばれるようになりました。
+ 「ああ、いいよ。兄さんの持っている長男の権利と引き換えなら。」
+ 「今にも飢え死にしそうなんだよ。長男の権利なんか何の役に立つんだい。」
+ 「それなら兄さん、その権利を僕に譲るって誓ってくれよ。」言われたとおりエサウは誓い、長男の権利を弟に売りました。
+ わずかばかりのパンと豆のシチューと引き換えにしたのです。エサウは、腹を満たすことしか頭にありませんでした。長男の権利など、軽く考えていたのです。
+
+
+ ところで、そのころ、国中がひどいききんに見舞われました。アブラハムの時代にあったのと同じような大ききんです。それでイサクは、ペリシテ人の王アビメレクが住むゲラルの町に移りました。
+ 神はそこでイサクに現れました。「エジプトへ行ってはいけない。
+ この国にとどまりなさい。わたしがついているから心配はいらない。あなたを祝福しよう。あなたの父アブラハムに約束したとおり、この地をあなたとその子孫に与えよう。
+ あなたの子孫を空の星のように増やし、この地をすべて与える。彼らは世界中の国々の祝福のもととなる。
+ アブラハムがわたしの命令とおきてに従ったからだ。」
+ イサクはゲラルに滞在することにしました。
+ しかし、リベカのことを町の男たちに何と説明したらいいでしょう。思案のあげく、イサクは「彼女は妹だ」と言うことにしました。もし妻だと言えば、だれかが彼女に目をつけ、手に入れたいと思った時、自分が殺されるかもしれないからです。それほどリベカは美しかったのです。
+ しかし、それからしばらくして、ペリシテ人の王アビメレクは、たまたま、イサクがリベカを愛撫しているのを窓越しに見てしまいました。
+ アビメレク王はすぐさまイサクを呼びつけました。「あの女はおまえの妻ではないか。なぜ妹だなどとうそをついたのだ!」「いのちが惜しかったのです。だれかが私を殺して妻を奪おうとするのではないかと、心配だったものですから。」
+ 「全く、よくもあんなうそがつけたものだ。もしだれかがあなたの妻と寝たら、どうするつもりだったのか。そうなったら、さばかれるのはわれわれのほうなのだ。」
+ そこでアビメレク王は布告しました。「イサクとその妻とに危害を加える者は死刑に処す。」
+ その年、イサクの畑は大豊作でした。まいた種の百倍も収穫があったのです。まさに神からの祝福です。
+ それからは裕福になる一方で、たちまち資産家になりました。
+ 羊ややぎのおびただしい群れ、ばく大な数の牛、そして大ぜいの召使、全部イサクのものでした。ペリシテ人はおもしろくありません。
+ それで、いやがらせに、彼の井戸を片っぱしから埋めてしまいました。彼の父アブラハムの使用人たちが掘った井戸すべてを埋めたのです。
+ アビメレク王はイサクに、この国から立ち去ってほしいと頼みました。「どこかよその土地に行ってくれないか。あなたは非常に裕福で、今ではもう、われわれなど歯が立たないほどの力を持っている。」
+ イサクは町を出て、ゲラルの谷間に住みつきました。
+ そして父アブラハムの井戸、父の死後ペリシテ人が埋めてしまったあの井戸を、もう一度掘ったのです。井戸の名前も、父親が以前つけたのと同じ(ベエル‧シェバ)にしました。
+ イサクの羊飼いたちも、ゲラルに新しい井戸を一つ掘り、勢いよく水があふれる水源を発見しました。
+ すると、土地の羊飼いたちが来て、井戸は自分たちのものだと主張しました。「ここはおれたちの土地だ。だから井戸もおれたちのものだ」と、イサクの羊飼いたちに言いがかりをつけたのです。イサクはその井戸を、「エセク」〔「言い争いの井戸」の意〕と名づけました。
+ イサクの羊飼いたちは別の井戸を掘りましたが、その井戸の所有権をめぐって、また争いが起きました。今度はそれを「シテナ」〔「怒りの井戸」の意〕と名づけ、
+ あきらめて、また新しい所で掘りました。今度は、土地の者たちとの争いがありませんでした。そこで彼らはそれを「レホボテ」〔「広々とした場所の井戸」の意〕と名づけ、言いました。「とうとう主は、広々とした場所を与えてくださった。もう大丈夫だ。これからはここで繁栄していくのだ。」
+ さて、イサクがベエル‧シェバに行った時のことです。
+ その夜、主が現れて言いました。「わたしはあなたの父アブラハムの神である。恐れてはいけない。わたしはあなたとともにいてあなたを祝福する。子孫を増やし、大きな国にしよう。わたしに聞き従ったアブラハムに約束したとおりに。」
+ イサクは祭壇を築き、主を礼拝しました。そして、そこに住むことにし、彼の使用人たちは井戸を掘りました。
+ ある日、イサクのところにゲラルから客が来ました。アビメレク王が、顧問のアフザテと軍の司令官ピコルとを連れて来たのです。
+ 「どういうご用ですか。あんなひどい仕打ちをして、私を追っ払ったのに、どうしてここまで来たのですか。」
+ 「まあ、そう言わないでください。ほかでもありません、あなたは実に恵まれた人だ。神様に祝福されていることがよくわかります。それで、お互いに条約を結びたいと思ったわけです。
+ 私たちに危害を加えないと約束してください。私たちも今まで、あなたに危害を加えなかったし、むしろ好意的にしてきたつもりです。あの時だって、武力をふるったわけではないし、納得のうえで国を出てもらいました。それはそれとして、今、あなたは神様に祝福されているのです。」
+ そこでイサクは、ごちそうを作って一行をもてなしました。食事を共にするのは、契約を結ぶ備えでもあったのです。
+ 翌朝起きるとすぐ、彼らは不可侵条約を結び、厳粛な誓いを交わしました。こうして一行は、イサクに見送られて国へ帰りました。
+ ちょうどその日、イサクの使用人たちが来て、「ようやく水が出ました」と報告しました。井戸を掘っているところだったからです。
+ そこでイサクは、その井戸を「シブア」〔「誓いの井戸」の意〕と名づけました。そこにできた町も「ベエル‧シェバ」〔「誓い」の意〕と呼ばれるようになり、今もその名のままです。
+ ところで、エサウは四十歳でヘテ人ベエリの娘エフディテと結婚し、またヘテ人エロンの娘バセマテも妻にしました。
+ この結婚は、両親のイサクとリベカには悩みの種となりました。
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+ イサクは年をとり、目がほとんど見えなくなりました。そんなある日、長男のエサウを呼びました。「エサウかい?」「はい。何ですか、お父さん。」
+ 「私ももう年だ。いつお迎えが来るかわからない。これから鹿を取って来てくれないか。私の好きな鹿肉料理を知ってるな。あの、実にうまい、何とも言えない味の料理だ。あれを作って持って来てくれ。そして、死ぬ前に長男のおまえを祝福したいのだ。」
+ ところが、二人の話をリベカが立ち聞きしていたのです。
+ エサウが鹿を取りに出かけてしまうと、彼女は次男ヤコブを呼び、一部始終を話しました。
+ 「さあヤコブ、言うとおりにするのです。群れの中から上等の子やぎを二頭引いておいで。それで私がお父さんの好きな料理を作るから、お父さんのところへ持ってお行き。食べ終わったら、お父さんは亡くなる前に、エサウではなく、おまえを祝福してくださるでしょう。」
+ 「だけどお母さん、そんなに簡単にはいきませんよ。だいいち、兄さんは毛深いのに、僕の肌はこんなにすべすべです。お父さんがさわったら、すぐにばれてしまいます。そのあげく、お父さんはだまされたと思って、祝福するどころか、のろうに決まってます。」
+ 「もしそんなことになったら、私が代わりにのろいを受けます。今は言うとおりにしなさい。さあ、何をぐずぐずしてるの。早く子やぎを引いておいで。」
+ ヤコブは言われたとおりにしました。連れて来た子やぎで、リベカは夫の好物の料理を作りました。
+ それから、家に置いてあったエサウの一番良い服を出して、ヤコブに着せました。
+ また、やぎの毛皮を手にかぶせ、首の回りにも毛皮を巻きました。
+ あとは、おいしそうなにおいのしている肉料理と焼きたてのパンを渡して、準備完了です。
+ ヤコブは内心びくびくしながら、それらを持って父親の寝室に入りました。「お父さん。」「だれだね、その声はエサウかい? それともヤコブかい?」
+ 「長男のエサウです。お父さんのおっしゃるとおりにしました。ほら、お父さんが食べたがってたおいしい鹿の肉ですよ。起き上がって、座って食べてください。そのあとで、僕を祝福してください。」
+ 「それはまた、ずいぶん早く鹿を捕まえたものだな。」「ええ、主がすぐ見つけられるようにしてくださったのですよ。」
+ 「それはそうと、こちらへおいで。おまえがほんとうにエサウかどうか、さわって確かめよう。」
+ そばへ行ったヤコブをイサクは手でなで回しながら、ひとり言のようにつぶやきます。「声はヤコブそっくりだが、この手はどう考えてもエサウの手だ。」
+ イサクはすっかりだまされてしまいました。そして、エサウになりすましたヤコブを祝福しようとしました。
+ 「おまえは、ほんとうにエサウかい?」「ええ、もちろん私ですよ。」
+ 「では鹿肉料理を持っておいで。それを食べて、心からおまえを祝福しよう。」ヤコブが料理を持って来ると、イサクは喜んで食べ、いっしょに持って来たぶどう酒も飲みました。
+ 「さあここへ来て、私に口づけしてくれ。」
+ ヤコブは父のそばへ行き、頬に口づけしました。イサクは息子の服のにおいをかぎ、いよいよエサウだと思い込みました。「わが子の体は、主の恵みをたっぷり頂いた大地と野の快い香りでいっぱいだ。主がいつも十分な雨を降らせ、豊かな収穫と新しいぶどう酒を与えてくださいますように。たくさんの国がおまえの奴隷となるだろう。おまえは兄弟たちの主人となる。親類中がおまえに腰をかがめ、頭を下げる。おまえをのろう者はみなのろわれ、おまえを祝福する者はすべて祝福される。」
+ イサクがヤコブを祝福し、ヤコブが部屋を出て行くのと入れ替わるように、エサウが狩りから戻って来ました。
+ 彼もまた父の好物の料理を用意し、急いで持って来たのです。「さあさあ、お父さん、鹿の肉を持って来ましたよ。起き上がって食べてください。そのあとで、約束どおり私を祝福してください。」
+ 「何だと? おまえはいったいだれだ。」「ええっ? 私ですよ。長男のエサウですよ。」
+ なんということでしょう。イサクは見る間にぶるぶる震えだしました。「では、ついさっき鹿の肉を持って来たのはだれだったのだ。私はそれを食べて、その男を祝福してしまった。いったん祝福した以上、取り消すことはできない。」
+ あまりのショックに、エサウは気が動転し、激しく泣き叫びました。「そんな、ひどいですよ、お父さん。私を、この私を祝福してください。ね、どうかお願いします、お父さん。」
+ 「かわいそうだが、それはできない。おまえの弟が私をだましたのだ。そして、おまえの祝福を奪ってしまった。」
+ 「ヤコブときたら、全く名前どおりだ。『だます者』〔ヤコブという名には『つかむ人』(25‧26)以外に、この意味もある〕とは、よく言ったものだ。あいつは長男の権利も奪った。それだけでは足りず、今度は祝福までも盗んだってわけか。お父さん、念のため聞きますが、私のためには祝福を残してくれていないのですか。」
+ 「すまんが、私はあれを、おまえの主人にしてしまった。おまえばかりではない。ほかの親類の者もみな、あれの召使になるようにと祈った。穀物やぶどう酒が豊かに与えられるとも保証してしまったし……、ほかにいったい何が残っているというのだ。」
+ 「それでは、私にはもう何一つ祝福が残っていないとおっしゃるのですか。あんまりだ、お父さん。何とかならないのですか。どうか、どうか私も祝福してください。」イサクは何と言ってよいかわかりません。エサウは声を上げて泣き続けました。
+ 「おまえは一生苦労が絶えないだろう。自分の道を剣で切り開いていかなければならないのだから。ただ、しばらくは弟に仕えることになるが、結局はたもとを分かち、自由になるだろう。」
+ このことがあってからエサウは、ヤコブのしたことを根に持つようになりました。「お父さんも先は長くはない。その時がきたら、ヤコブのやつを必ず殺してやろう。」
+ ところが、このたくらみは感づかれてしまいました。直ちに、母リベカのところにその報告がきました。リベカは急いでヤコブを呼びにやり、エサウがいのちをねらっていることを教えました。
+ 「いいね、ハランのラバン伯父さんのところへ逃げるのです。
+ ほとぼりが冷めるまで、しばらくお世話になるといいわ。
+ そのうち兄さんも、あなたのしたことを忘れるでしょう。そうなったら知らせるから。一日のうちに息子を二人とも失うなんて、とても耐えられません。」
+ そして、夫のイサクにうまく話を持ちかけました。「私はこのあたりの娘たちには我慢なりません。もういやけがさしました。もし、ヤコブがこの土地の娘と結婚することになったら、生きているかいもありません。」
+
+
+ そこで、イサクはヤコブを呼び寄せ、祝福して言いました。
+ 「おまえはカナン人の女と結婚してはいけない。パダン‧アラムに、ベトエルといってな、おまえのおじいさんの家がある。すぐにそこへ行きなさい。ラバン伯父さんの娘と結婚するのだ。
+ 全能の神様がおまえを祝福し、たくさんの子どもを授けてくださり、たくさんの部族を持つ大きな国にしてくださるように。
+ おじいさんのアブラハムに約束されたすばらしい祝福が、おまえと子孫に受け継がれるように。私たちは今ここでは外国人だが、おまえの代になって、この地を手に入れることができるように祈る。神様がおじいさんに約束されたように。」
+ こうしてイサクは、ヤコブをパダン‧アラムのラバンのもとへ送りました。アラム人ベトエルの子ラバンは、リベカの兄で、ヤコブの伯父に当たります。
+ エサウは、父親がこの土地の娘たちを快く思っていないこと、そして両親が、ヤコブの結婚相手をカナン人の女からではなくパダン‧アラムで見つけるために、ヤコブを祝福したうえで送り出したことを知りました。ヤコブも両親の言いつけどおり出発したといいます。
+ それでエサウは、伯父イシュマエルの家へ行き、今いる妻のほかに、さらに妻をめとりました。アブラハムの子イシュマエルの娘で、ネバヨテの妹マハラテでした。
+ さて、ヤコブはベエル‧シェバを出発し、ハランへ向かいました。
+ とある場所まで来ると、日がとっぷり暮れたので、野営することにしました。あたりに転がっている石を枕に、ごろんと横になりました。
+ その晩のことです。ヤコブは不思議な夢を見ました。目の前に天までも届く階段がそびえ、神の使いが上ったり下りたりしているのです。
+ ふと見ると、神がそばに立っておられます。「わたしは神、アブラハムの神、あなたの父イサクの神、主である。あなたがいま寝ている土地はあなたのものだ。それを、あなたとその子孫に与えよう。
+ 子孫は地のちりのように多くなり、東西南北、あらゆる方角に増え広がり、この地全体に住みつくだろう。あなたとあなたの子孫によって、世界中の国々が祝福される。
+ あなたがどこへ行こうと、わたしはいつも共にいて、あなたを助ける。無事この地に帰れるように必ず守ろう。約束のものをすべて渡すまで、わたしはいつでも共にいる。」
+ そこで目が覚めました。「主はここにもおられる。気づかなかったが、ここは神様の家なのだ。おそれ多くも天国への入口だったのだ。」ヤコブは怖くなって思わず叫びました。
+ 次の朝早く起き、枕にした石を立てて記念の柱とし、オリーブ油を注ぎかけました。
+ そして、そこをベテル〔「神の家」の意〕と名づけました。そのあたりは以前、ルズと呼ばれていました。
+ ヤコブは神に誓いました。「神様、もし主がこの旅で私を助け、守ってくださり、衣食にも不自由させず、
+ 無事に父の家に帰してくださって、私の神様となってくださるなら、
+ この記念の柱を礼拝の場所とし、神様から頂いた物すべての十分の一を必ずおささげします。」
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+ ヤコブはさらに旅を続け、ついに東の国に着きました。
+ そこは広々とした牧草地で、見ると、井戸のそばに羊が三つの群れになって寝そべっていました。井戸の口には重い石のふたがかぶせてあります。
+ 羊の群れが全部そこに集まるまで石のふたをはずさないのが、この地方の習慣でした。水をやったあとは、また元どおり石でふたをしておくことになっていました。
+ ヤコブは羊飼いたちに近づき、どこに住んでいるのか尋ねました。「ハランだよ。」
+ 「では、ナホルの孫でラバンという人をご存じでは?」「ラバンだって? ああ、よく知ってるよ。」
+ 「そうですか。その方はお元気ですか。」「元気だとも。順調にやっているしね。ああ、ちょうどよかった。ほら、あそこに羊を連れてやって来る娘、あれが娘さんのラケルだ。」
+ 「ありがとうございました。ところで余計なことかもしれませんが、羊に早く水をやって、草のある所へすぐ帰してやらなくていいのですか。こんなに早く草を食べさせるのをやめたら、腹をすかせませんか。」
+ 「羊や羊飼いがみな集まるまで、井戸のふたは取らない決まりでね。それまで水はお預けなんですよ。」
+ 話をしている間に、ラケルが父の羊の群れを連れて来ました。彼女は羊飼いだったのです。
+ ヤコブは、彼女が伯父ラバンの娘で、いとこに当たり、羊はその伯父のものだとわかったので、井戸に近づいて石のふたをはずし、羊に水を飲ませました。
+ それから、ラケルに口づけしました。あまりうれしくて気持ちが高ぶり、とうとう泣きだしたほどです。
+ そして、自分は彼女の叔母リベカの息子で、ラケルにとってはいとこなのだと説明しました。ラケルはすぐ家へ駆け戻り、父親に報告しました。甥のヤコブが来たのです。すぐ迎えに行かなければなりません。ラバンは取る物も取りあえず駆けつけ、大歓迎で家に案内しました。ヤコブは伯父に、これまでのことを語りました。話は尽きません。
+ 「いやあ、うれしいなあ。甥のおまえがはるばるやって来てくれたのだからな。」ラバンも喜びを隠せません。ヤコブの結婚ヤコブが来てから、かれこれ一か月が過ぎたある日のこと、
+ ラバンが言いました。「ヤコブ、甥だからといって、ただで働いてくれることはないんだよ。遠慮しなくていい。どんな報酬がほしいかね。」
+ ラバンには二人の娘がありました。姉がレア、妹があのラケル。
+ レアは弱々しい目をしていましたが、ラケルのほうは美しく、容姿もすぐれていました。
+ ヤコブはラケルが好きだったので、ラバンに言いました。「もしラケルさんを妻に頂けるなら、七年間ただで働き、あなたに仕えます。」
+ 「いいだろう。一族以外の者と結婚させるより、おまえに嫁がせるほうがいいから。」
+ ヤコブは、ラケルと結婚したい一心で、七年間けんめいに働きました。彼女を心から愛していたので、七年などあっという間でした。
+ ついに、結婚できる時がきました。「さあ、すべきことはみなやり終えました。約束どおりラケルさんを下さい。彼女といっしょにさせてください。」
+ ラバンは村中の人を招いて祝宴を開き、みんなで喜び合いました。
+ ところがその夜、暗いのをさいわい、ラバンは姉のレアをヤコブのところに連れて行ったのです。ヤコブはそんなこととはつゆ知らず、レアといっしょに寝ました。
+ ラバンは、奴隷の少女ジルパをレアにつけてやりました。
+ 朝になって、ヤコブが目を覚まし、見ると、レアがいるではありませんか。憤まんやる方ない気持ちです。すぐさまラバンのところへ行き、食ってかかりました。「なんてひどいことをするんですか! ラケルと結婚したい一心で、私は七年も骨身を惜しまず働いたんですよ。その私をだますなんて、いったいどういうことですか!」
+ 「まあ、気を落ち着けてくれ。悪かったが、われわれのところでは、姉より先に妹を嫁に出すことはしないのだよ。
+ とにかく婚礼の一週間をこのまま過ごしてくれたら、ラケルもおまえに嫁がせよう。ただし、もう七年間ここで働いてもらうということになるが。」こううまく言い抜けられては、しかたありません。
+ ヤコブはさらに七年働くことにしました。そして、ようやくラケルと結婚できたのです。
+ ラケルは奴隷の少女ビルハを召使として連れて来ました。
+ こうしてヤコブはラケルと床を共にしました。ヤコブはレアよりも彼女のほうを愛していたため、さらに七年も余計に、ラバンのもとで働いたのです。
+ ヤコブがレアに冷たくするので、主は彼女に子どもを授け、ラケルには子どもがいませんでした。
+ レアが産んだ最初の子は男の子で、レアは、「主は私の苦しみをわかってくださった。子どもができたのだから、夫もきっと私を愛してくれるでしょう」と言って、ルベン〔「私の息子を見てください」の意〕と名づけました。
+ 次も男の子で、彼女は、「主は私が愛されていないと知って、もう一人子どもを与えてくださった」と言って、シメオン〔「神は聞いてくださった」の意〕と名づけました。
+ さらに三人目の子どもが生まれました。今度も男の子で、彼女は、「三人も男の子を産んだのだから、今度こそ愛してもらえるに違いない」と言って、レビ〔「結びつく」の意〕と名づけました。
+ さらに子どもが生まれました。また男の子で、彼女は、「今こそ主をほめたたえよう」と言って、ユダ〔「ほめたたえる」の意〕と名づけました。そのあと、彼女には子どもが生まれませんでした。
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+ 一方、ラケルは自分が子どもを産んでいないので、姉に嫉妬するようになりました。そしてとうとう、「何とかしてください。私も子どもが欲しいのです。でないと、死んでしまいそうです」とヤコブに言いました。
+ ヤコブは腹を立てて言いました。「何だって? 私は神様ではない。おまえに子どもが与えられないのは、神様がそうしておられるからだろう。」
+ 「そう、では召使のビルハと寝てください。あの子にあなたの子どもができたら、私の子どもにするから。」
+ こうして、ヤコブはビルハをそばめとしました。
+ やがてビルハは男の子を産みました。
+ ラケルは、「神様は正義を行ってくださった。願いどおり息子を下さったのだから」と言って、その子をダン〔「正義」の意〕と名づけました。
+ ラケルの女奴隷ビルハは、二人目の男の子を産みました。
+ ラケルは、「死に物狂いの争いだったけど、とうとう姉さんに勝った」と言って、その子をナフタリ〔「争い」の意〕と名づけました。
+ 一方レアは、もう子どもが産めなくなったので、召使のジルパをヤコブのそばめにしました。
+ やがて、ジルパは男の子を産み、レアはその子をガド〔「運が開ける」の意〕と名づけました。
+ ジルパはまた男の子を産んだので、
+ レアは、「私は幸せ者だわ。ほかの女たちもきっとそう思うでしょう」と言って、その子にアシェル〔「幸福」の意〕という名をつけました。
+ さて、麦の刈り入れが始まったある日のこと、長男ルベンが野で恋なすび〔果実に強い麻酔性のある薬用植物で、食べると身ごもると信じられていた〕を見つけ、母レアのところに持って来ました。ラケルは黙っていられず、レアに、自分にも少し分けてくれるよう頼みました。
+ レアは腹を立てて言いました。「夫を取っただけではまだ不足なの? 私の息子が見つけて来た恋なすびまで取り上げるなんて、あんまりじゃない。」ラケルは答えました。「だったら、こうしましょうよ。恋なすびをくれれば、今夜は姉さんがあの人と寝てもいいわ。」
+ 夕方、畑から戻ったヤコブをレアが出迎えました。「今夜は私のところへ来てくださいね。ルベンが見つけた恋なすびをラケルにあげた交換条件ですから。」彼はそうしました。
+ 神はレアの祈りに答え、彼女に五人目の男の子を授けてくださいました。
+ 彼女は、「夫に私の女奴隷を与えたので、神様が報いてくださった」と喜んで、その子の名をイッサカル〔「報酬」の意〕としました。
+ その後またレアに、六人目の男の子が生まれました。
+ 彼女は、「神様は、夫が一番喜ぶ贈り物を下さった。六人も男の子を産んだのだから、今度こそ、あの人も私を大切にしてくれるでしょう」と言って、ゼブルン〔「贈り物」の意〕と名づけました。
+ そのあと、今度は女の子が生まれ、ディナと名づけられました。
+ 神はラケルを忘れてはいませんでした。ラケルの苦しみを見て、祈りに答え、男の子をお与えになりました。
+ 男の子が生まれた時、彼女は、「神様は私の恥を取り除いてくださった」と言って、ヨセフ〔「もう一人、子どもが授かるように」の意〕と名づけました。「男の子をもう一人授けてください」と願ったからです。
+ ヨセフが生まれてしばらくたって、ヤコブは突然、ラバンに言いました。「そろそろ国へ帰りたいと考えています。
+ もちろん妻と子どもたちもいっしょです。それだけのことはしてきたつもりです。こんなに長い間、あなたのために身を粉にして働いたことは、よくご存じでしょう。」
+ 「そんなことを言わず、ここにいてくれないか。実は、占い師に見てもらったのだ。そうしたら、私がこんなに恵まれてるのは、全部おまえのおかげだというではないか。
+ 報酬が不足なら、上げてやってもいい。ここにいてくれるなら、おまえの望む額を喜んで出そうじゃないか。」
+ 「知ってのとおり、私は長年あなたのために忠実に働きました。それで、あなたの家畜がこんなに増えたのです。
+ 私が来たばかりの時は、財産といってもほんの少ししかなかったのに、今はかなりのものです。それというのも、神様が、私のすることは何でも祝福してくださったからです。それなのに、当の私はどうでしょう。いつになれば自分の財産が持てるのですか。」
+ 「で? 何が欲しいのだ。」「条件は一つだけです。それさえのんでもらえれば、また喜んで働きます。今日、私はお義父さんの群れの番をしますが、まだらやぶちのあるやぎと、黒い毛の羊は、すべて別にしますから、それを私に下さい。
+ あとで、もし私の群れの中に白いやぎや羊が一匹でもいれば、私があなたのものを盗んだことになる、というわけです。」
+ 「いいだろう。おまえの言うとおりにしよう。」
+ さっそく、ラバンは外に出て、ヤコブのために家畜の群れを分けました。雄でも雌でも、ぶちやしまのあるやぎ、つまり黒の中に少しでも白い部分のあるやぎと、黒い羊ばかりの群れができました。それがヤコブのものです。ラバンは自分の息子たちにその群れをゆだね、歩いて三日ほどかかる場所へ連れて行かせました。ヤコブは、ラバンの残りの群れの世話をしました。
+ 彼はまず、ポプラ、アーモンド、プラタナスの若枝を切り、皮をむいて白い木肌を出しました。
+ それを、群れが水を飲みに来たとき自然に見えるように、水飲み場のそばに置きました。家畜は水を飲みに来たとき交尾するので、
+ そうしておくと、やぎは白いしまのある枝を見ながら交尾することになり、その結果、ぶちやしまのある子が生まれるというのです(そのように信じられていた)。それはみな、ヤコブのものになりました。次に、ラバンの群れから雌羊を取り出し、自分の黒い雄羊とだけ交尾させるようにしました。ヤコブの群れは増える一方です。
+ そればかりではありません。彼は、力の強そうなのが交尾している時は、皮をむいた枝をそばに置き、
+ 弱そうなのが来た時は、置かないようにしたのです。それで、あまり丈夫でない子羊はラバンのものとなり、丈夫なのはヤコブのものとなりました。
+ 当然、ヤコブの群れはどんどん増え、らくだやろばも増えました。彼は召使も大ぜいかかえ、たいへんな資産家となりました。
+
+
+ しかし、そのままですむわけはありません。ラバンの息子たちが不平を言いだしたのです。「ヤコブの財産は、元はと言えばうちのお父さんのものじゃないか。お父さんが犠牲になって、あいつを金持ちにしたようなものだ。」
+ そのうちに、ラバンのヤコブに対する態度もよそよそしくなってきました。
+ 主がヤコブに彼の父の国へ帰るように命じたのは、そのような時でした。「あなたの先祖の国、親族のところへ帰りなさい。わたしがついているから心配はいらない。」
+ ヤコブはラケルとレアに使いをやり、自分が今、群れを飼っている所まで来るように言いました。
+ そこで相談するためです。「お義父さんの様子が近ごろどうも変なのだ。だが、心配することはない。今日、私の父の神様が共にいてくださると約束された。
+ おまえたちも知っているように、私はお義父さんのために、今まで一生懸命に働いてきた。
+ ところが、お義父さんのほうでは、私のことなど少しも考えてくれなかった。報酬のことも、お義父さんは何度も何度も約束を破ったのだ。これまで害されることなく無事にやってこられたのは、ひとえに神様が助けてくださったおかげだと思っている。
+ ぶちの群れを私にくれると言えば、ぶちの子ばかり生まれた。それを見て気が変わり、しまのついているのにしなさいと言うと、生まれる羊には全部しまがついていた。
+ お義父さんには気の毒だったが、こういうふうに、神様が私を豊かにしてくださったのだ。
+ あれは、家畜の群れが交尾する時期のことだった。夢を見たのだ。その中で交尾している雄やぎは、しま、ぶち、まだらのものばかりだった。
+ それから、神様の使いが言われたのだ。
+ しまや、ぶちのある雄やぎを白い雌といっしょにさせろ、と。続いてこうも言われた。『ラバンがあなたにしたことは全部わかっている。
+ わたしはあなたとベテルで出会った神だ。そこであなたは石の柱に油を注ぎ、わたしに仕えると約束した。さあ今、この国を出て、生まれ故郷へ帰りなさい。』」
+ ラケルとレアは答えました。「私たちのことなら心配なさらないで。これからもここにいたって、自分たちの財産なんかありませんもの。父の財産だって相続できないでしょう。
+ これでは、外国人と変わりないわ。言ってみれば、父は私たちを売ったのよ。あげくの果てに、売ってもうけたお金を、すっかり使い果たしてしまったのです。
+ 神様が父から取り上げ、あなたに下さった財産は、もともと私たちのものですもの。どうぞ神様がお命じになったとおりにしてください。遠慮はいりませんから。」
+ それで、ある日、ラバンが牧草地で羊の毛を刈っていた時、ヤコブは妻と子どもたちをらくだに乗せ、黙って出発しました。その時、ラケルは、どさくさにまぎれて父親の守り神の像を盗み出しました。一行の先頭は、パダン·アラムで手に入れた羊、やぎなど家畜の群れです。ヤコブたちは、自分の持ち物すべてを持って、カナンの地にいる父イサクのもとへ帰ろうというのです。
+ こうして、逃げるようにしてユーフラテス川を越え、ギルアデの地へ向かいました。
+ ラバンがそのことを知ったのは、三日後でした。
+ あわてて数名の男を連れ、あとを追いました。七日後にようやく追いついた時は、ギルアデの山地まで来ていました。
+ その夜のことです。神が夢の中でラバンに現れて言いました。「ヤコブにものを言う時は気をつけなさい。かってに祝福したり、のろったりしてはいけない。」
+ ヤコブが山地で野営していた時、ラバンはようやく追いつき、自分たちもテントを張りました。
+ 「こそこそ逃げ出すとは、いったいどういうことだ。しかも、私の娘たちまでこんなふうに追い立てるようにして連れ出すとは。それとも、娘らを戦争で奪った捕虜のように思っているのか。」ラバンはヤコブをなじりました。
+ 「知らせてくれたら、名残を惜しみ、快く送り出すこともできたのに。
+ 孫たちに別れの口づけさえさせてくれなかった。これでは、あまりにひどすぎる。こんなやり方はないぞ。
+ しようと思えば、私は仕返しにおまえを痛めつけることだってできるのだ。だが、ゆうべ、おまえの父の神からお告げがあった。『ヤコブにあまりつらく当たってはいけない』と。しかたがない。今度ばかりは大目に見てやろう。
+ それにしても合点がいかないが、いくら故郷が恋しくて帰りたかったとはいえ、私の守り神の像まで盗むことはないだろう。」
+ 「黙って家を出たのは、そうでもしないと、力ずくでも私の妻たちを奪い取られるのではないかと、心配でたまらなかったからです。
+ しかし、お義父さんの守り神のことなど、全く身に覚えがありませんが。もし盗んだ者がいたら、生かしてはおきませんよ。ほかにも、何か一つでも盗品が見つかったら、みなの前で誓いますが、その場でお返しします。」ヤコブは、ラケルが守り神の像を盗んだことを知らなかったのです。
+ ラバンは、まずヤコブのテントから捜し始めましたが、何もありません。そのあとは、レアのテント、そばめたちの二つのテントと捜し回っても、やはり守り神の影も形もありません。とうとうラケルのテントを調べる番になりました。
+ 盗んだ張本人ラケルのテントです。彼女は像をらくだの鞍の下に押し込み、その上に座りました。これでは、いくらしらみつぶしに捜しても見つかるはずがありません。
+ 「お父さん、座ったままで失礼させていただきますわ。今、生理がきつくて、立てないのです。」ラケルはすまして言いました。
+ 何も出て来なかったのでヤコブは怒って、「どうでした。何か一つでも見つかりましたか? ぬれ衣もいいところですよ。まるで私が犯人だと言わんばかりに追いかけて来て、そこら中を家捜ししたりして……。さあ、見せていただきましょう。私が盗んだ物はどこにありますか。みんなの目の前に並べてください。ほんとうにお義父さんのものかどうか、とくと調べてもらいましょう。
+ この二十年間というもの、私はあなたのために働き通しでした。雌羊や雌やぎの世話に明け暮れ、丈夫な子がたくさん生まれるようにしました。それでも自分が食べるためにと、雄羊一匹だってあなたのものに手をつけたことはありません。
+ 野獣に襲われて殺された時も、証拠の死骸を見せて、『数が減ったのを大目に見てください』などと頼んだことがありますか。私が自分で弁償したのです。私の責任であろうがなかろうが、家畜を盗まれた時は、必ず私が弁償させられました。
+ 昼は焼けつくような日ざしの中で、夜は夜で、寒さに震えて眠ることもできないままに働きました。
+ この二十年間、ずっとですよ。十四年間は二人の娘さんを頂くため、六年間はあなたの群れの世話をして自分の群れを手に入れるため。おまけに、報酬は何度も減らされたのです。
+ もし、祖父アブラハムや父イサクが信じる、すばらしい神様の恵みがなかったら、私は一文なしで追い出されていたことでしょう。幸い、神様は何もかもご存じだった。あなたのひどいやり方も、私が一生懸命に働いたことも見ておられた。それでゆうべ、あなたに現れてくださったのです。」
+ 「ここにいるのは私の娘だし、子どもたちはみな孫だ。家畜の群れもおまえの持ち物一切合財、私のものと言っていいくらいだ。ならば、自分の娘や孫のためにならないことなど、どうしてできよう。
+ さあ、契約を結ぼう。これからは、お互いその契約をしっかり守っていこうではないか。」
+ そのしるしとして、ヤコブは石を一つ立て、記念碑としました。
+ また、召使に石を集めさせて塚を築きました。そのそばで、ヤコブとラバンはいっしょに食事をしました。
+ それで塚の名は、「証拠の塚」となりました。ラバンの国のことばでは「エガル‧サハドタ」、ヤコブの国のことばでは「ガルエデ」です。また、
+ ミツパ〔「見張りの塔」の意〕とも呼ばれました。ラバンがこう言ったからです。「お互い遠く離れていても、この約束を守れるように、神様が見張ってくださるように。
+ もし私の娘たちにつらく当たったり、ほかの女と結婚したりするなら、神様はお見逃しになるまい。
+ お互いにこの線を越えて攻撃をしかけたりしないよう、誓いを立てよう。この石塚は誓いの証人だ。
+ もしどちらかが誓いを破ったら、アブラハムとナホルの神、その父祖の神に訴えよう。その者は滅ぼされる。」そこでヤコブも、父親イサクの信じる偉大な神の前で、境界線を尊重すると堅く約束しました。
+ そして、山の上で神にも誓いを立て、一同といっしょに食事をしてから、そのまま夜を過ごしました。
+ 翌朝はいよいよ別れなければなりません。ラバンは、早々と起きて娘たちと孫たちに別れの口づけをし、祝福すると、家へ帰って行きました。
+
+
+ ヤコブの一行は旅を続けました。すると神の使いたちが彼に現れました。
+ ヤコブはその姿を見ると、「神様はここにおられる」と叫び、そこをマハナイム(「神の陣営」の意)と名づけました。
+ さてヤコブは、セイルの地エドムにいる兄のエサウに使いをやり、こう言わせました。
+ 「兄さん、おひさしぶりです。ヤコブです。長い間ごぶさたしましたが、お変わりありませんか。私は最近まで伯父のラバンのもとに身を寄せていました。
+ ようやく、牛やろばや羊や奴隷を持てるようになったので、帰国することにしたのです。だれよりもまず、私の主人である兄さんに、そのことをお知らせいたします。どうか快く迎えてくださいますように。」
+ 使いが戻りました。エサウは四百人の供を引き連れて、出迎えに来る途中だといいます。
+ 恐れていたとおりです。手を打たなければなりません。ヤコブは気が動転しながらも策を練りました。自分たちの一行を、家畜の群れやらくだも全部、二つに分けました。
+ 「もしエサウが一方に攻撃をしかけても、もう一方は助かるだろう」と考えたのです。
+ やるだけのことはしました。あとは主に祈るだけです。「祖父アブラハムも信じ、父イサクもお従いする神様。国へ帰れと私に命じ、必ず祝福すると約束してくださった神様。
+ 神様はいつもお約束どおり、私に恵みを与えてくださいました。そんな資格は私には全くありませんのに。実家を出た時、私は杖しか持っていませんでした。しかし、今は違います。あの二つに分けた財産はみな、私のものです。
+ 神様、どうかお助けください。兄はどんな手荒なことをするかわかりません。私たち一家を皆殺しにするかもしれないのです。考えただけでもぞっとします。
+ 神様は、私を祝福し、子孫を海辺の砂のように多くしてくださる、と約束されました。今そのお約束を思い出してください。」
+ その夜はそこに泊まり、彼は兄エサウへの贈り物を用意しました。雌やぎ二百頭、雄やぎ二十頭、雌羊二百頭、雄羊二十頭、乳らくだ三十頭とその子、雌牛四十頭、雄牛十頭、雌ろば二十頭、雄ろば十頭。
+ ヤコブは召使たちに、ひと足先に群れを追って行くように指示しました。また、それぞれの群れの間に距離を置くようにも言いました。
+ 先頭の群れを追う男たちには、特に念を押しておかなければなりません。兄エサウと出会ったらきっと、「どこへ行くのか。主人はだれで、この家畜はだれのものだ」と聞かれるだろうから、
+ 「エサウ様ですね。これはみな、あなた様のしもべヤコブのもので、ご主人のあなた様に差し上げる贈り物でございます。ヤコブもすぐあとからまいります」と答えるように、と言い含めました。
+ あとに続くグループにも同じようにし、同じことを言うように指示しました。
+ 顔を合わせる前にまず贈り物をして、エサウをなだめようというのです。「こうすれば、いくら兄さんでも手荒なことはしないだろう。」
+ 贈り物を持って行かせたあと、その夜はテントで寝ることにしました。
+ しかし、やはり心配でなかなか眠れません。まだ夜中だというのに起き出し、二人の妻と二人のそばめ、十一人の子どもたちを連れてヨルダン川を越えました。全員が無事にヤボクの渡しを渡り終えるのを見届けると、ヤコブは一人で、もう一度テントに戻りました。もう全く一人きりです。と、そこへ一人の人が現れ、二人は明け方まで格闘を続けました。
+ なかなか勝負がつきません。その人はヤコブに勝てないとわかると、ヤコブの腰を打って関節をはずしてしまいました。
+ 「もう行かせてくれ。じきに夜が明ける。」その人が頼みました。しかしヤコブは、はあはあと息を切らせながら答えました。「私を祝福してくださるまでは絶対に放しません。」
+ 「あなたの名前は何というのか。」「ヤコブです。」
+ 「いや、もうヤコブではない。神と戦い、人と戦って強さを示したのだから、イスラエルと変えるがいい。」
+ 「よろしければ、お名前を聞かせてください。」「いや、それはできない。」そう答えると、その人はその場でヤコブを祝福しました。
+ ヤコブはそこをペヌエル〔「神の顔」の意〕と名づけました。彼が、「神様と直接お会いしたのに、死なずにすんだ」と言ったからです。
+ さあ、出発です。日も昇りました。しかし、腰の関節がはずれていたので、足を引きずらなければなりませんでした。
+ イスラエル人が今でも腰のすじ肉を食べないのは、ここに由来があります。
+
+
+ やがて、向こうから、エサウが四百人の供を引き連れて来るのが見えました。ヤコブは、今度は家族を幾つかのグループに分けました。二人のそばめとその子どもたちを先頭に、レアとその子どもたちを次に、そしてラケルとヨセフを最後に置きました。
+ そして自分は、一番先頭に立ちました。エサウとの距離はどんどん縮まります。ヤコブは、立ち止まっては深々と頭を下げ、また少し行ってはおじぎをするというぐあいに、七度もくり返しました。
+ それを見たエサウは走り寄って出迎え、弟をきつく抱きしめると、愛情を込めて口づけをしました。感激のあまり、二人は涙にくれるばかりです。
+ エサウは女と子どもたちを見て尋ねました。「あの連れの者たちは?」「私の子どもです。」
+ まず二人のそばめが子どもたちといっしょに進み出て、ていねいにおじぎをしました。
+ 次にレアと子どもたち、最後にラケルとヨセフがあいさつしました。
+ 「ここに来る途中、たくさんの家畜の群れを見たが、あれは何かな。」「私から、ご主人である兄さんへの贈り物です。ほんの心ばかりのものですが、ごあいさつ代わりに。」
+ 「ヤコブ、私は家畜なら十分持っているよ。わざわざ贈り物をくれなくていい。自分で持っておきなさい。」
+ 「そんなことを言わず、受け取ってください。兄さんのにこやかな笑顔を見て安心しました。兄さんに会うのが怖かったのです。神様の前に出る時のように。
+ 遠慮しないで、気持ちよく納めてください。神様のおかげで、私も多少は財産を持てる身になったのですから。」ヤコブがしきりに言うので、とうとうエサウは贈り物を受け取りました。
+ 「さあ、そろそろ出かけよう。道案内はわれわれが引き受けるよ。」
+ 「ありがとう、兄さん。でもせっかくですが、ごらんのとおり、小さな子どもや生まれたばかりの家畜もいるものですから。あまり急がせたら、群れは死んでしまうでしょう。
+ ですから、兄さんは先に行ってください。私たちはあとからゆっくり行きます。兄さんのいるセイルでまたお目にかかりましょう。」
+ 「わかった、それでは手伝いに何人か残していくから、道案内にでも使ってくれ。」「それには及びません。ご厚意は十分に受けましたし、私たちだけでも何とかなりますから。」
+ エサウはその日、セイルに向けて出発しました。
+ ヤコブ一家はスコテまで行くとテントを張り、家畜の群れには囲いを作りました。そこがスコテ〔「小屋」の意〕と呼ばれるのはそのためです。
+ こうして、無事カナンのシェケムに到着し、町の外にテントを張りました。
+ その土地を、ヤコブはシェケムの父ハモルの家から銀貨百枚で買い取り、
+ 祭壇を築いて、エル‧エロヘ‧イスラエル〔「イスラエルの神のための祭壇」の意〕と名づけました。
+
+
+ ある日、ヤコブとレアの娘ディナは、近所の娘たちのところへ遊びに出かけました。
+ ところが、ヒビ人の族長ハモルの息子シェケムは、ひと目見て彼女が好きになり、むりやり自分のものにしてしまいました。
+ 彼の恋心は募る一方で、彼女の愛を得ようと手を尽くしました。
+ シェケムは父のハモルに頼みました。「あの娘といっしょになりたいのです。結婚できるように話をまとめてください。」
+ いきさつはヤコブの耳にも入りましたが、その時、息子たちはみな群れの番をしに出かけていました。ヤコブは、彼らが戻るまで、そのままにしておくことにしました。
+ ところが、シェケムの父ハモルが出向いて来たのです。ちょうどそこへ、ヤコブの息子たちも戻って来ました。彼らは妹が辱めを受けたことを聞いて驚き、怒りが収まりません。これは妹一人の問題ではなく、家族全体に対する辱めだといきり立ちました。
+ ハモルはこう申し出ました。「今度のことは、いいかげんな気持ちからではありません。息子はほんとうにお宅の娘さんが好きなのです。妻に頂きたいと心から願っております。いかがなものでしょう。二人の結婚をお許し願えないでしょうか。
+ 皆さんが私どもの土地に住み、互いにお近づきできれば幸いです。娘さんを嫁に頂ければ、私どもの娘もお宅の若い人たちに差し上げましょう。どこでもお好きな所に住んでください。商売をなさってもけっこうです。きっとうまくいきますよ。」
+ シェケムも、愛するディナの父親と兄弟たちに頼みました。「お願いです。どうぞディナさんを私に下さい。お望みのものは何でも差し上げます。贈り物でもお金でも。ですから、どうぞ結婚させてください。」
+ しかし兄たちは、シェケムとハモルに悪いたくらみを持ちました。シェケムが妹をひどい目に会わせた仕返しをしようというのです。
+ 「ちょっと待ってください。それはできない相談だな。あなたたちは割礼を受けていないから、そういう人と妹を結婚させるのは一家の恥です。
+ もっとも、あなたたちが一人残らず割礼を受けるというなら、話は別ですが。
+ そうすれば、われわれもあなたたちの一族から嫁をもらうし、お互い親戚同士になれます。
+ 割礼を受けたくないならしかたありません。妹を連れてここから出て行きます。」
+ ハモルとシェケムは喜んで提案を受け入れ、すぐさま言われたとおりにすることにしました。シェケムはディナを深く愛していたので、このことを町のほかの男たちにも勧めることは、少しも苦ではありませんでした。それに、彼は人気があり、町の人たちから尊敬されていたのです。
+ ハモルとシェケムは町の議会で提案しました。
+ 「あの人たちはわれわれの味方だ。ここに住んでもらって、自由に商売してもらおうではないか。土地は十分あるから心配ない。彼らと親戚になったら、大いに有利だと思う。
+ ただ、そのためには一つだけ条件がある。男はみな、彼らと同じように割礼を受けなければならないというのだ。
+ 簡単なことじゃないか。ただそれだけで彼らのものは全部われわれのものになり、この土地も豊かになるのだ。どうだろう、みんな、あの人たちがここに住めるように、この提案に賛成してくれないか。」
+ 全員が賛成し、割礼を受けました。
+ しかし、それから三日後、傷がまだ治りきらず、少しでも動けば痛くてたまらない時、ディナの兄シメオンとレビが、剣を振りかざして町を襲ったのです。彼らは何の反撃もできず、男は一人残らず殺されてしまいました。
+ ハモルもシェケムも殺されました。二人はディナをシェケムの家から取り返し、テントに連れ帰りました。
+ そのあと、ヤコブの息子が全員で町を略奪しました。妹がそこで辱められたからです。
+ 町の中にある物も外にある物も、羊も、牛も、ろばも何もかも奪い、
+ 女や子どもたちは捕虜にし、全財産を取り上げてしまいました。
+ そのやり方のひどさにヤコブは、レビとシメオンを責めました。「おまえたちのおかげで、私はすっかり憎まれ者になってしまった。付近に住むカナン人やペリジ人は、私のことを、さぞかし血も涙もない男だとうわさするだろう。こちらがこんな少人数では、彼らに攻められたらひとたまりもない。」
+ 「ではお父さんは、妹が売春婦のように扱われてもかまわないのですか?」二人も負けずに言い返しました。
+
+
+ 神はヤコブに命じました。「ベテルへ行って、そこに住みなさい。祭壇を築くのも忘れないように。兄エサウのもとを逃げ出した時、あそこで会った神を礼拝するのだ。」
+ ヤコブは一族の者みなに、手もとにある偶像を捨て、身を洗いきよめて新しい服を着るよう命じました。
+ そして、一同に言い渡しました。「これからベテルへ行く。これまで、どんなに苦しかった時も祈りに答えてくださった神様、旅の間、いつも共にいて守ってくださった神様のために、そこで祭壇を築くことにしたのだ。」
+ 彼らは、持っていた偶像や耳につけていたイヤリングなどをヤコブに渡したので、彼は全部ひとまとめにして、シェケムのそばの樫の木の下に埋めました。
+ 彼らが旅立つと、神が行く先々の町の住民に恐れを与えたので、旅の間だれからも攻撃されずにすみました。
+ ついにカナンのルズ〔別名ベテル〕に着きました。
+ ヤコブはそこに祭壇を築き、エル‧ベテル(「ベテルでお会いした神の祭壇」の意)と呼びました。エサウのもとから逃げる時、神と会ったのが、このベテルだったからです。
+ まもなく、リベカの年老いた乳母デボラが死に、ベテルのふもとの谷にあった樫の木の下に葬られました。その木はのちに、「嘆きの樫の木」と呼ばれるようになりました。
+ こうして、はるばるパダン‧アラムからベテルまで戻ったヤコブに、神は再び現れ、祝福しました。
+ 「あなたの名はこれからヤコブ〔「つかむ者」の意〕ではなく、イスラエル〔「神に勝つ者」の意〕としなさい。
+ わたしは全能の神だ。」また、こうも約束されました。「あなたに子どもをたくさん与え、子孫を増やそう。彼らは大きな国となり、たくさんの国が分かれ出る。あなたの子孫から何人もの王が出るのだ。
+ わたしがアブラハムとイサクに与えた土地はみな、あなたとあなたの子孫のものだ。」
+ そのあとヤコブは、神が現れた場所に石の柱を立て、神へのささげ物として柱にぶどう酒を注ぎ、オリーブ油を塗りました。
+ このことがあってから、ヤコブはそこをベテル〔「神の家」の意〕と名づけました。
+ やがてベテルを出発したヤコブ(イスラエル)の一行は、エフラテ〔ベツレヘム〕へと旅を続けました。ところが目的地まではまだかなりあるうちに、ラケルが産気づいたのです。
+ ひどい陣痛でラケルは苦しみ、気をもみながら待つうち、ようやく助産婦の大声が聞こえました。
+ 「よかったわね。また男のお子さんですよ。」難産で息も絶え絶えのラケルは、最後の息の下から、その子をベン‧オニ〔「私の悲しみの子」の意〕と呼びました。しかし父親は、ベニヤミン〔「私の右手の子」の意〕と名づけました。
+ ラケルは死に、エフラテへ向かう道のそばに葬られました。
+ その墓石は、今も残っています。
+ イスラエルは旅を続け、エデルの塔を越えた所にテントを張りました。
+ そこにいた時、ルベンが父親のそばめビルハと寝たのです。そのことはイスラエルの耳にも入りました。ところで、ヤコブの十二人の息子は次のとおりです。
+ レアの子は、長男ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。
+ ラケルの子は、ヨセフ、ベニヤミン。
+ ラケルの召使ビルハの子は、ダン、ナフタリ。
+ レアの召使ジルパの子は、ガド、アシェル。みなパダン‧アラムで生まれた息子です。
+ こうしてヤコブは、今はヘブロンと呼ばれるキルヤテ‧アルバのマムレにいた父親イサクのところへ帰りました。そこはアブラハムも住んだことのある所です。
+ その後まもなく、イサクは天寿を全うして百八十歳で死にました。彼の子エサウとヤコブが二人で父を葬りました。
+
+
+ エサウ、別名エドムの子孫は次のとおりです。
+ エサウには妻が三人いました。三人ともカナン人で、アダ〔ヘテ人エロンの娘〕、オホリバマ〔アナの娘、ヒビ人ツィブオンの孫娘〕、バセマテ〔イシュマエルの娘でネバヨテの妹、エサウにはいとこに当たる〕。
+ アダとの間にはエリファズという息子がいました。バセマテにはレウエルという息子が生まれました。
+ オホリバマにはエウシュ、ヤラム、コラという三人の息子が生まれました。以上はみな、カナンの地でエサウに生まれた息子です。
+ それからエサウは、妻子、召使、家畜の群れなど、カナンの地で手に入れた全財産を携え、セイルの山地に移りました。ヤコブといっしょでは、家畜の数に比べて土地が狭すぎたからです。
+ セイルの山地へ移ってからは、エドム人として次の人々が生まれました。
+ アダの息子エリファズの子は、テマン、オマル、ツェフォ、ガタム、ケナズ、そして、エリファズのそばめティムナが産んだアマレク。
+ もう一人の妻バセマテにも孫ができました。息子レウエルの子で、ナハテ、ゼラフ、シャマ、ミザ。オホリバマには孫はいません。
+ エサウの孫はそれぞれの氏族の長となりました。次のとおりです。テマン族、オマル族、ツェフォ族、ケナズ族、コラ族、ガタム族、アマレク族。以上は、エサウの長男エリファズの子孫です。
+ エサウとバセマテがカナンに住んでいた時、生まれたレウエルからは、次の氏族が出ました。ナハテ族、ゼラフ族、シャマ族、ミザ族。
+ アナの娘オホリバマにできた息子たちからは、次の氏族が出ました。エウシュ族、ヤラム族、コラ族。
+ もともとセイルの山地に住んでいたホリ人セイルから出た氏族は、次のとおりです。ロタン族、ショバル族、ツィブオン族、アナ族、ディション族、エツェル族、ディシャン族。
+ セイルの息子ロタンの子はホリとヘマムです。ロタンにはティムナという妹がいました。
+ ショバルの子は、アルワン、マナハテ、エバル、シェフォ、オナム。
+ ツィブオンの子は、アヤ、アナ〔父親のろばに草を食べさせていた時、荒れ地で温泉を発見した少年〕。
+ アナの子は、ディション、オホリバマ。
+ ディションの子は、ヘムダン、エシュバン、イテラン、ケラン。
+ エツェルの子は、ビルハン、ザアワン、アカン。
+ ディシャンの子は、ウツ、アラン。
+ イスラエルを統治する王がまだいなかった当時、エドム地方を治めていた歴代の王は次のとおりです。エドムのディヌハバ出身のベラ王〔ベオルの息子〕、続いてボツラ出身のヨバブ王〔ゼラフの息子〕、続いてテマン人の出のフシャム王、続いてハダデ王〔ベダデの息子。ミデヤン人がモアブを侵略した際、これを撃退した指導者。出身地はアビテ〕、続いてマスレカ出身のサムラ王、続いて川のそばのレホボテ出身のサウル王、続いてバアル‧ハナン王〔アクボルの息子〕、続いてパウ出身のハダル王。ハダル王の妻はマテレデの娘でメヘタブエルと言い、メ‧ザハブの孫娘に当たります。
+ エサウの氏族は次のとおりです。ティムナ族、アルワ族、エテテ族、オホリバマ族、エラ族、ピノン族、ケナズ族、テマン族、ミブツァル族、マグディエル族、イラム族。これらの氏族の名はまた、それぞれが住んでいた土地の名ともなりました。以上がエサウの子孫であるエドム人です。
+
+
+ ヤコブはまた、カナンの地に住むことになりました。かつて父イサクが住んでいた所です。
+ この時、息子のヨセフは十七歳になっていました。腹違いの兄である、ビルハやジルパの息子たちといっしょに、父親の羊の群れの番をするのが、ヨセフの仕事でした。そんな時、兄たちが何か悪いことをすると、ヨセフはいちいち父親に知らせるのです。
+ イスラエルはヨセフを、どの息子よりもかわいがっていました。年をとってからの子だったからです。それで、彼には飾りつきの特別仕立ての服を作ってやりました。
+ こうあからさまにえこひいきされては、兄たちもおもしろくありません。ヨセフが憎らしくて、優しいことばなどかけられないのです。
+ そんなある晩、ヨセフは夢を見ました。その話をさっそく事細かに話したものですから、ますます兄たちに嫌われてしまいました。
+ 「聞いてよ。僕、こんな夢を見たんだ。」得意げに、ヨセフは言いました。
+ 「みんなが畑で束をたばねていたんだ。そうしたら僕の束が、いきなりすっくと立ち上がった。それからどうなったと思う? 兄さんたちの束が回りに集まって来て、僕の束におじぎをするんだ。」
+ 「じゃあ何かい、おまえがおれたちの主人になって支配するとでもいうのかい?」兄たちはせせら笑いました。「いつものことだが、なんて生意気なやつだ。だいいち、その夢が気にくわない。」ヨセフがますます憎らしくなるばかりでした。
+ ヨセフはまた夢を見て、兄たちに話しました。「また夢を見たんだけど、太陽と月と十一の星が、僕におじぎしたんだ。」
+ 今度は父親にも話をしました。父親はさすがに彼をしかりつけました。「いったいどういうことなんだ! 母さんと兄さんたちだけでなく、私までが、おまえにおじぎをするというのか。」
+ 兄たちは彼がねたましくてなりませんでしたが、父親はいったいどういう意味なのかと、あれこれ考えて心に留めておきました。
+ ある日のこと、兄たちは羊の群れに草を食べさせるためにシェケムへ出かけました。
+ 数日後、イスラエルはヨセフを呼び寄せて言いました。「兄さんたちはシェケムで羊に草を食べさせている。ちょっと行って、ちゃんと仕事をしているか、家畜の状態はどうか調べて来てくれないか。わかったら、戻って報告してくれ。」「わかりました、お父さん。」ヨセフはさっそくヘブロン谷の家を出て、シェケムへ向かいました。
+ ところが、兄たちはなかなか見つかりません。シェケムの野を歩き回っていると、一人の人に呼び止められました。「おまえさん、だれを捜してるのかね。」
+ 「兄たちと羊の群れです。見かけませんでしたか?」
+ 「ああ、あの人たちか。だったら、ここにはもういないよ。確かドタンに行くとか言っていたな。」ヨセフはドタンまであとを追って行き、ようやく彼らを見つけました。
+ 兄たちも、ヨセフがまだ遠くにいるうちから、いち早く彼の姿を認めました。ヨセフが一人でやって来る、またとないチャンスです。そこで、とんでもない相談を始めました。彼を殺してしまおうというのです。
+ 「あの大ぼらふきが来るぞ。あんなやつ、殺して井戸に投げ込んでしまおう。おやじには獣に食われたとでも言えばいい。例のすばらしい夢がどうなるか見たいものだ。」
+ けれども、ルベンはヨセフを助けたかったので、異議を唱えました。「殺すこともないじゃないか。血を流すのはよくないよ。生きたまま井戸に投げ込んでおけばいいんだ。あいつに手を下すのはやめよう。」こうしておけば、あとで井戸から救い出し、父のもとに帰してやれると考えたのです。
+ そこへヨセフが来ました。彼らはいきなり弟の派手な飾りつきの上着をはぎ取り、
+ 空っぽの井戸に投げ込みました。
+ それから、腰をおろして夕食にしたのですが、ふと気がつくと、遠くから、らくだの一隊がやって来るではありませんか。おそらく樹脂や香料、薬草類をギルアデからエジプトに運ぶ、イシュマエル人の隊商でしょう。
+ 「おい、見ろよ。」ユダが叫びました。「イシュマエル人が来るぞ。ヨセフのやつを売り飛ばすってのはどうだい。殺すのは、どう考えても気持ちのいいもんじゃない。自分たちの手で殺したりすれば、あとでいやな思いをするだろう。虫の好かないやつだけど、やっぱり弟なんだからな。」みな賛成です。
+ そこで、隊商がそばまで来ると、ヨセフを井戸から引き上げて銀貨二十枚で彼を売りました。ヨセフはエジプトへ連れて行かれるのです。
+ 〔この時、居合わせなかった〕ルベンは、こんなことになっていようとは夢にも思いません。戻って来ると、ヨセフを井戸から救い出そうとしました。ところが、ヨセフの影も形もありません。どうしたらいいのだろうと、あまりのショックで服を引き裂き(悲しみを表すときの習慣)、悲嘆にくれました。
+ 「あの子がいなくなってしまった。いったいどこへ捜しに行ったらいいのだ。」ルベンは泣いて訴えました。
+ それから、兄弟たちはやぎを殺し、その血をヨセフの着ていた上着に振りかけました。
+ そして何くわぬ顔でそれを父親のところへ持って行き、だれのものか調べてほしいと頼んだのです。「お父さん、これを野で見つけました。ヨセフの上着のようですが、違いますか。」
+ ひと目見れば、だれのものかはわかります。父親はすすり泣きながら言いました。「ああ、間違いない。ヨセフの上着だよ。あの子は野獣に食われてしまったんだ。ずたずたにかみ裂かれて……。」
+ イスラエルは胸がつぶれる思いで服を引き裂き、麻布を着て、何週間もの間、息子の死を嘆き悲しみました。
+ 家族が慰めようとしても、耳を貸そうともしません。「あの子は死んでしまった。何もかもおしまいだ。私もこのまま死んでしまいたい」と言って泣きました。
+ 一方、エジプトに着いた隊商は、ヨセフをエジプト王に仕える役人ポティファルに売りました。ポティファルは侍従長という立場にある宮廷の役人で、監獄の責任者でした。
+
+
+ そのころ、ユダは家を出て、ヒラというアドラム人の近くに住むことになりました。
+ そこでカナン人シュアの娘を見そめ、結婚しました。
+ 彼らはケジブに住み、エル、オナン、シェラという三人の息子をもうけました。子どもたちの名前は母親がつけたものです。ただし、エルだけは父親がつけました。
+ 長男エルが成人すると、ユダはタマルという娘と結婚させました。
+ ところが、エルは主の目に悪い者だったので神の怒りを買い、いのちを落としてしまったのです。
+ ユダは弟のオナンに言いました。「おまえはタマルと結婚しなければいけない。それが、兄に先立たれた弟の義務なのだ。そうして子どもができたら、兄の家系を継がせるのだ。」
+ しかしオナンは、自分の子として育てられないような子どもなら、いらないと思いました。それで、結婚はしましたが、いっしょに寝る時はいつも、子どもができないようにベッドの上に射精していました。兄の子孫になる子どもを産ませたくなかったのです。
+ しかし、主がそんなことをお赦しになるはずはなく、結局、彼もいのちを落としてしまいました。
+ 打つ手がなくなったので、ユダは嫁のタマルに、しばらく実家へ帰ることを勧めました。末息子のシェラが結婚できる年齢になったら必ず呼び戻す、という条件で、ひとまず両親のもとへ帰したのです。しかし、それは表向きで、ほんとうはシェラと結婚させる気はありませんでした。この子まで、二人の兄と同じように、神に殺されてはたまりません。タマルは、言われたとおり両親のもとへ帰りました。
+ 何年かして、ユダの妻が死にました。喪の期間が過ぎると、ユダは友人のアドラム人ヒラと、ティムナへ行って羊の毛を刈る仕事を監督することにしました。
+ ある人がタマルに、そのことを教えました。
+ シェラはもう大人になっているのに、彼と結婚させてもらえないことを、タマルはこの時すでに感づいていました。そこで、未亡人の服を脱ぎ、ベールをかぶって、エナイムの村の入口の道路わきに座りました。エナイムはティムナへ行く途中にあります。
+ ユダはそこを通りかかった時、彼女を売春婦だと思いました。顔をベールで隠していたので、タマルとはわからなかったのです。
+ 彼は足を止め、自分の相手をしてくれと誘いました。もちろん、義理の娘だとは夢にも思いません。「いくらで?」
+ 「子やぎ一頭ではどうだ? あとできっと送ってやるから。」「送ってくれるったって、確かな保証がなければだめよ。」
+ 「それはもっともだ。で、何が欲しいのかね。」「そうね、あなたの印章と杖がいいわ。」ユダは言われたとおりにしました。タマルは彼を家に引き入れ、一夜を共にしました。こうして彼女は子どもを身ごもり、
+ その後また未亡人の服を身につけました。
+ ユダはアドラム人ヒラに子やぎを届けてもらおうとしました。そして、預けた品を取り戻すつもりでした。ところが、いくら捜しても、それらしい女は見つかりません。
+ ヒラは町の男たちの間を尋ね回りました。「ちょっとお尋ねしますが、村の入口の道ばたで客を取っていた女は、どこに住んでいるのでしょう。」「さあね、この辺じゃ、そんな女がいるという話は聞いたこともないが。」同じ答えが返ってくるばかりです。
+ しかたがありません。ユダのところへ帰り、八方手を尽くして捜したが、女は見つからず、だれも心当たりのある者はいなかったことを伝えました。
+ 「それでは、しかたがない。あれは女にやったと思えばいい。できるだけのことはしたのだ。またあそこへ取りに戻ったりすれば、町中のいい笑い者になるだけだ。」ユダもあきらめるしかありませんでした。
+ さて、それから三か月ほどしたある日、タマルに子どもができたという知らせが届きました。未亡人の身でありながら、ふしだらなことをしたに違いないというのです。「けしからん。ここへ連れて来て焼き殺してしまえ。」ユダは、かんかんに怒って叫びました。
+ 人々はタマルの家へ押しかけ、外に引きずり出そうとしました。このままでは殺されてしまいます。彼女は急いで義父に言づてを送りました。「この印章と杖の持ち主が、生まれて来る子の父親です。だれの物か、おわかりですね。」
+ ユダはひと目見て驚きました。なんと自分が渡した品物ではありませんか。「私が悪かった。タマルを責めるわけにはいかない。こうなったのもみな、私が息子のシェラと結婚させると約束しながら、それを守らなかったからだ。」そしてユダは、二度と彼女と寝ることはありませんでした。
+ 月が満ちて、タマルはふたごの男の子を産みました。
+ 生まれる時、助産婦は、最初に手を出した子の腕の回りに赤い糸を結びました。
+ ところが、その子は手を引っ込めてしまい、もう一人のほうが先に生まれたのです。「おやまあ、この子ったら、先に飛び出したりして」と、助産婦は思わず叫びました。それで、その子の名はペレツ〔「飛び出して来た者」の意〕となりました。
+ そのあとすぐ、腕に赤い糸をつけた子どもが生まれました。彼はゼラフ(「輝く」の意)と名づけられました。
+
+
+ さて、イシュマエル人の隊商に売り飛ばされたヨセフに話を戻しましょう。彼はエジプトに着くと、エジプト王ファラオに仕える役人の一人、ポティファルに買い取られました。
+ ヨセフはこの主人となった人の家の仕事をさせられましたが、いつも主が助けてくださるので、何をしてもうまくいきました。
+ ポティファルの目に、主がヨセフに特別よくしておられることは明らかでした。
+ ヨセフは主人の気に入り、家の管理と業務のすべてを任されるようになったのです。
+ すると、ポティファルの家は祝福され、万事がスムーズに運びました。収穫も、羊の群れも増える一方でした。
+ 喜んだポティファルは、全財産の管理をヨセフに任せることにしました。ヨセフさえいれば、何の心配もありません。しかも、ヨセフはたいへん美青年でした。
+ そこで、困ったことが持ち上がりました。事もあろうに、ポティファルの妻がヨセフに目をつけて、彼を誘惑するようになったのです。
+ ヨセフはそれを拒みました。「ご主人は家のこといっさいを私にお任せになりました。
+ 家では、私のすることに、決して口出ししたり、指図したりなさいません。あなた以外は何でも私の自由にさせてくださいます。これほどまでにしていただいて、どうして、そんな大それたことができましょう。ご主人ばかりか、神様にまで背くことなどできません。」
+ それでも彼女はあきらめません。毎日しつこく言い寄り、ヨセフが相手にしないと何とかして気を引こうとやっきになりました。
+ そんなある日のこと、ヨセフは家で仕事をしていました。たまたま周囲にはだれもいません。この時とばかり彼女がやって来て、ヨセフの袖をつかみました。
+ 「ちょっと私の部屋に来ておくれ。」とんでもないと、ヨセフがその手を振り払って逃げようとしたところ、上着が脱げてしまいました。しかし彼はそのまま家の外へ逃げ出しました。彼女はそのうしろ姿を、残された上着を手にしたままじっと見つめていましたが、
+ 突然叫び声を上げました。何事が起こったのかと、男たちが駆けつけると、彼女が興奮して泣いています。「私の主人が、あんなヘブル人(イスラエル人)の奴隷なんか連れて来るからいけないのよ。おかげで危ない目に会うところだったわ。とてもひどいことをしようとしたので、私、大声で叫んでやったわ。そうしたら、上着を置いたままあわてて逃げ出したのよ。」
+ 彼女はヨセフの上着を手もとに置き、その夜、夫が家に帰ると、
+ 昼間の出来事を話しました。「うちで仕事をさせている、あのヘブル人の奴隷ですが、今日私にひどいことをしようとしたのです。
+ 大声を上げたから助かったものの、そうでなければ、どうなっていたかわかりませんわ。あの男ったら、あわてて上着を残したまま逃げ出して……。これがその上着です。」
+ 主人がかんかんに怒ったのは、言うまでもありません。
+ 真相をよく調べもせず、すぐさまヨセフを捕らえ、王の囚人が入れられる監獄に放り込みました。
+ しかし、主は監獄の中でさえヨセフとともにいて、何事にも心にかけてくださったので、ヨセフは看守長にとても気に入られました。
+ この男なら大丈夫と見抜いた看守長は、やがてすべての囚人の面倒を見るよう、監獄内の管理をいっさいヨセフに任せることにしました。
+ それからというもの、ヨセフが取り仕切ったので、看守長は何の心配もなくなりました。主がヨセフとともにおられるので、彼は何をしてもスムーズに事が運びました。
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+ その後、王宮の料理長とぶどう酒の毒味役とが、王のきげんをそこねて、監獄に入れられました。それはポティファルの邸内にある、ヨセフが入っているあの監獄です。
+ しばらくの間、二人はそこに閉じ込められていました。ポティファルはヨセフに、彼らの世話をするよう命じました。
+ ある夜、二人は夢を見ました。
+ 翌朝ヨセフが行くと、二人とも元気がなく、うなだれています。
+ 「どうなさったのです。何か心配事でも?」
+ 「実はゆうべ二人とも夢を見てね、その意味がさっぱりわからないので、困っていたのだ。」「夢を解釈するのは神様です。で、どんな夢ですか? よろしければお聞かせください。」
+ ぶどう酒の毒味役が、先に話し始めました。「私の夢はこうだ。目の前にぶどうの木があって、見ると枝が三本ある。それにつぼみができ、花が咲き、実がなった。
+ 私は片手に王様のワイングラスを持っていたので、その中にぶどうの汁を絞り出し、王様にささげると、それを飲んでくださった、という夢だよ。」
+ 「その夢の意味はこうですよ。ぶどうの三本の枝は三日間という意味です。
+ 三日したら、王様はあなたを監獄から出し、前と同じ、ぶどう酒の毒味役に取り立ててくださいます。
+ その時は、私のことも思い出してください。再び王様のお気に入りになられるのですから、私の身の上をじきじきに話し、ここから出られるようお口添えください。
+ 私はもともとヘブル人ですが、さらわれてここに来たのです。そして、無実の罪で投獄されてしまったのです。」
+ 最初の夢の解き明かしがよかったのを見て、料理長は期待しながら自分の夢を話し始めました。「私の夢では、自分の頭にパンかごを三つ載せていた。
+ 一番上のかごは、王様の召し上がるパンやケーキ類でいっぱいだった。ところが鳥が来て、片っぱしから食べてしまったのだ。」
+ 「三つのかごは、やはり三日間のことです。ただ、あとがいけません。三日後、あなたは死刑になります。枝につるされ、あなたの肉は鳥がついばむでしょう。」
+ 三日後はファラオの誕生日でした。それで、王宮の役人や使用人たちをみな招いて、宴会が開かれました。その時、王が使いをやって、ぶどう酒の毒味役と料理長を呼んだので、二人は監獄から出され、王のところへ連れて来られました。
+ 王は、毒味役を前と同じ仕事に戻したのですが、
+ 料理長のほうは死刑にして木につるすよう命じました。ヨセフの言ったとおりでした。
+ ところが、毒味役はあまりにうれしくて、ヨセフのことを思い出さず、王に口添えすることをすっかり忘れてしまいました。
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+ それから二年後のある夜、今度は王が夢を見ました。ナイル川のほとりに立っていると、
+ 突然、川から丸々と太った雌牛が七頭出て来て、あたりの草を食べ始めるのです。
+ 次に、また別の雌牛が七頭出て来ます。骨と皮だけで、あばら骨が浮いて見えるようなやせた牛ばかりです。それが、歩いて行って太った牛の隣に立ったかと思うと、
+ その太った牛を食べてしまったのです。王は、そこで目が覚めました。
+ やがて、またうとうとと寝入ると、別の夢を見ました。今度は、一本の茎に穀物の穂が七つ出て来るのです。一つ一つはみな形も良く、実がいっぱいに詰まっています。
+ ところが突然、同じ茎にまた別の穂が七つ現れました。どれもこれも熱い東風にやられてちりちりに焼け、実が入っていません。
+ なんと、このしなびた穂が、実のたっぷり入った形の良い七つの穂をのみ込んでしまいました。そこでまた目が覚めました。全部、夢だったのです。
+ 夜が明けると、王はあれこれ考えましたが、考えれば考えるほど、夢のことが気になってしかたありません。国中の魔術師や学者を呼び集め、夢の意味を解かせようとしましたが、だれにも何のことかわかりません。
+ その時、王の毒味役が口をはさみました。「実は、うっかりしておりましたが、とうに申し上げておかなければならないことがありました。
+ いつでしたか、王様のお怒りを買って、私と料理長とがポティファル様の屋敷内の監獄に入れられたことがございました。
+ ある夜、私どもは夢を見たのです。
+ その夢を、ポティファル様の奴隷だったあるヘブル人の青年に話しましたところ、夢の意味をちゃんと説明してくれました。
+ そしてすべてがそのとおりになりました。私はお赦しを得てお毒味役に復帰できましたし、料理長は死刑にされ、木につるされてしまいました。」
+ 王はすぐさまヨセフを呼びにやりました。さっそく地下牢から呼び出されたヨセフは、急いでひげをそり、服を着替えて王の前に出ました。
+ 「わしはゆうべ夢を見たのだが、それがどういう意味か、ここにいる連中は一人もわからんのだ。話によると、おまえはそういうことにくわしいそうだな。わざわざ呼び寄せたのはほかでもない、その夢の意味を説明してほしいのだ。」
+ 「王様、私が自分の力でそうするわけではありません。神様が王様の幸せについて教えてくださるのです。」
+ そこで、王は夢の話をしました。「わしはナイル川のほとりに立っていた。
+ すると突然、川から丸々と太った健康そうな雌牛が七頭出て来て、川岸のあたりの草を食べ始めた。
+ ところが、別の雌牛が七頭また川から出て来た。やせて骨が浮いて見えるようなやつばかりだ。全く、あんなやせこけた牛は、エジプト中どこを捜してもいないだろう。
+ ところが、そのやせた牛が、最初の太った牛をぺろりとたいらげてしまった。
+ それなのに、まだやせたままなのだ。その時、目が覚めた。
+ しばらくして、もう一つ夢を見た。今度は一本の茎に七つの穂が出て来たのだ。たっぷり実の入った穂ばかりだった。
+ そのあと同じ茎から、やせた実のない穂が七つ出て来た。
+ そして、やせた穂が、実の入ったものをのみ込んでしまった。この話を魔術師どもにしたのだが、満足に説明できる者は一人もいなかったのだ。」
+ 「夢は二つとも同じ意味でございます。神様が、これからエジプトでなさろうとしていることをお告げになったのです。
+ 七頭の太った雌牛と、実のよく入った七つの穂はどちらも、これから七年の間、豊作が続くということです。
+ 七頭のやせた雌牛と七つのしおれた実のない穂は、その七年間の豊作のあと、七年間ききんが続くことを表しています。
+ 神様は、今からしようとしておられることを、そのように王様に示されたのです。
+ これから七年間は、エジプト中が豊かな繁栄を楽しむ時となりましょう。
+ しかしそのあと、七年間のききんに見舞われます。以前の繁栄がすっかり忘れられ、跡形もなくなるほどの大ききんです。国土はすっかり荒れ果て、
+ あまりのひどさに、豊作の年があったことなど信じられなくなるでしょう。
+ 同じ夢を二度ごらんになったのは、今お話ししたことが間違いなく起こるという証拠です。神様がそうお決めになったからには、すぐに夢のとおりになります。
+ あまり猶予はありません。さっそくエジプト一の人材を探して、国全体の農業計画を管理させたらよろしいと存じます。
+ エジプトを五つの管轄区に分けます。七年間は各地区の役人に命じて、余った穀物を王様の倉庫へ納めさせたらいかがでしょうか。
+ そうすれば、大ききんになっても困りません。でないと、国中が災害にやられて、とんでもないことになるでしょう。」
+ ヨセフの提言に、王も家臣たちもうなずきました。
+ では、この仕事の責任者をだれにしたらよいのか、一同が相談を始めると、王が言いました。「ヨセフがよい。彼は神様の特別の力を頂いている。まさにうってつけではないか。」
+ そして、ヨセフのほうに向き直り、こう続けました。「夢の意味を神様がおまえにお示しになったからには、おまえがわが国で一番の知恵者に違いない。
+ したがってわしは今、おまえをこの仕事全体の責任者に任命する。何でもおまえの命令どおりすることにしよう。この国でおまえの上に立つ者は、わしだけだ。」
+ 王は自分の印のついた指輪を、権威のしるしとしてヨセフの指にはめ、美しい服を着せて、首には王がつける金の首飾りをかけました。「おまえをエジプトの総理大臣に任命する。王のわしがそう宣言する。」
+ 王はまた、国で第二の地位にあることを示す車を、ヨセフに与えました。ヨセフがどこかへ出かける時は、必ずだれかが、「総理大臣閣下のお通りーっ!」と叫ぶのです。
+ 王はヨセフに言いました。「エジプトの王であるわしが誓う。わが国を治める全責任をおまえにゆだねる。」
+ 王はまた、ヨセフに、「生死をつかさどる神のような権力を持つ者」という意味のエジプト名を与えました。また、オンの祭司〔当時の有力な宗教的‧政治的指導者〕ポティ‧フェラの娘アセナテを、妻として与えました。ヨセフの名はたちまちエジプト中に知れ渡りました。
+ この時、彼はまだ三十歳でした。王の前から下がると、さっそく国中の巡察を始めました。
+ ヨセフの言ったとおり、初めの七年間はどこも豊作でした。
+ その間にヨセフは、収穫の一部を国が買い上げ、近くの町々にたくわえるようにしました。
+ 七年たつと、倉庫はあふれるほどいっぱいになり、いったいどれほどあるのか見当もつきませんでした。
+ 祭司ポティ‧フェラの娘アセナテは、男の子を二人産みました。ききんが来る前のことです。
+ ヨセフは長男をマナセ〔「忘れさせてくださった」の意〕と名づけました。自分の青年時代のいろいろな苦しみや、父の家から離れた悲しみなどを忘れるほどに、神がよくしてくださったからです。
+ 次男はエフライム〔「豊かな実り」の意〕としました。「以前は奴隷だったこの国で、神様は私を豊かにしてくださった」と、彼が言ったからです。
+ こうしてついに、七年の豊作期は終わりました。
+ そのあと、ヨセフの言ったとおり七年間のききんが始まりました。近隣の国々もひどい不作でした。しかし、エジプト中の倉庫には穀物がたっぷりたくわえてありました。
+ やがて飢える人が出始めると、王のもとには、食物を求める人たちがひっきりなしにやって来ました。すると、王は決まって、「総理大臣の指示どおりにせよ」と命じ、ヨセフのところへ行かせるのです。
+ ききんはますますひどくなり、全世界を覆い尽くす勢いです。ヨセフは倉庫を開け、穀物をエジプト人に売ることにしました。また、ほかの国々から、ぞくぞくと買い求めに来る人々にも売りました。
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+ ところでそのころ、ヤコブの一家はどうしていたでしょう。やはり食べるに事欠く毎日でした。聞くところによると、エジプトへ行けば穀物が手に入るということです。ヤコブは息子たちに言いました。「みんな、お互いに顔を見合わせていたってしかたない。
+ エジプトには穀物があるといううわさだ。さあ、ぐずぐずしている暇はない。すぐ買いに行ってくれ。このままではみな飢え死にだ。」
+ ヨセフの十人の兄は、こうして、エジプトへ穀物を買いに行くことになりました。
+ しかしヤコブは、ヨセフの弟ベニヤミンだけは、どうしても行かせませんでした。〔ヨセフの時のように〕ベニヤミンの身にも何か悪いことが起こるといけないと思ったのです。
+ イスラエル(ヤコブ)の息子たちは、ほかの国からの大ぜいの者たちに混じってエジプトへ行きました。カナン地方のききんも、どこにも劣らないくらいひどかったからです。
+ ヨセフの兄たちは、エジプトの総理大臣であり、穀物を売る責任者に会いに出かけました。まさかそれが、弟のヨセフだとは思いもよりません。顔を地につけんばかりに深々と頭を下げました。
+ ヨセフはひと目で兄たちだとわかりましたが、わざとそ知らぬふりをし、きびしく問いただしました。「おまえたちはどこから来たのか。」「カナンからまいりました。穀物を少し分けていただきたいと思います。」
+ 兄たちはまだ気づきません。ヨセフはふっと少年時代に見た夢を思い出し、荒々しく問い詰めました。「おまえたちはスパイに違いない。わが国がききんでどんなに苦しんでいるか、調べに来たのだろう。」
+ 「とんでもないことです。ほんとうに食糧を買いに来ただけです。
+ 私どもはみな兄弟で、正直な者です。スパイだなんてありえません。」
+ 「いや、スパイだ。そうに決まっている。われわれがどのくらい弱ったか見に来たのだ。」
+ 「恐れながら申し上げます。私どもは十二人兄弟で、父親はカナンの地におります。末の弟は父の家に残りました。もう一人は死んでしまいましたが……。」
+ 「それがどうした! 何の関係もない。やはりスパイに違いない。
+ もしおまえたちの言うとおりなら、その末の弟を連れて来なさい。それまではエジプトから一歩たりとも出ることは許さない。
+ だれか一人が行って、弟を連れて来なさい。あとの者は全員、拘束させてもらう。そうすれば、おまえたちの申し立てがほんとうかどうかわかる。もし弟がいなければ、おまえたちは間違いなくスパイだ。」
+ こうしてヨセフは、一同を三日間、監禁しました。
+ 三日目にヨセフは彼らに言いました。「私は神様を恐れる人間だ。もしおまえたちが潔白なら、それを証明する機会を与えよう。
+ 一応おまえたちの申し立てを信じるから、一人だけここに残れば、あとの者は穀物を持って帰ってよい。
+ ただし、末の弟を連れて来るのだ。おまえたちが正直者かどうか、確かめなければならないから。うそでないとわかれば、いのちは助けよう。」一同は言われたとおりにすることにしました。
+ 彼らは互いに言いました。「昔、ヨセフにひどいことをしたからなあ。こんなことになったのもその罰だろう。あいつは怖がって必死で助けを求めたのに、おれたちは知らん顔をして、耳を貸そうともしなかった。」
+ ルベンが口を開きました。「だからやめろと言ったんだ。それをおまえたちときたら、全く聞こうともしなかった。おかげで今は、自分たちが死ぬはめになったというわけだ。」
+ もちろん彼らは、そこに立っているエジプトの総理大臣がヨセフで、話がつつ抜けになっているとは夢にも思いません。それまでは通訳付きで話をしていたからです。
+ ヨセフはいたたまれなくなり、部屋を出て一人きりになれる場所を探して泣きました。ひとしきり泣くと、また戻り、兄たちの中からシメオンを選んで、みなの見ている前で縛り上げました。
+ それから召使たちに、一同の袋に穀物をいっぱい詰めさせ、支払った代金をそれぞれの袋の口のところにこっそり戻しておくよう指示しました。そのうえ、旅行に必要な食糧まで取りそろえさせたのです。
+ 一同はろばに穀物を背負わせて帰途につきました。
+ その夜、一人がろばに餌をやろうと穀物の袋を開けてびっくりしました。口のところに、払ったはずの代金があるではありませんか。
+ 「いったいどういうことか。おれの袋に銀が入っているぞ。」彼らは身を震わせました。「きっと神様がこうなさったんだ。だが、どういう意味なのだろう。」
+ やがて、彼らはカナンの地の父ヤコブのもとへ帰り、一部始終を報告しました。
+ 「総理大臣というのがとても恐ろしい人でね、われわれをスパイだと言ってきかないのです。
+ そこで、『とんでもない。私たちはまじめな人間で、スパイなんかではありません。
+ 全部で十二人兄弟ですが、一人は死に、末の弟はカナンの地で父といっしょにいます』
+ と説明すると、その人は言いました。『うそをついているかどうか調べなければならん。一人だけここに残り、あとは穀物を持って家へ帰るがよい。
+ ただし、末の弟を連れて来なければならない。そうすれば、おまえたちがスパイかそれとも正直な人間かがわかる。おまえたちの言ったとおりなら、人質も返してやるし、何度でも穀物を買いに来てよろしい』と言うのです。」
+ 彼らが袋を空にしようとすると、みなの袋に、それぞれの代金がそっくりそのまま入っていました。彼らは恐ろしくなりました。父も同じです。
+ しばらくしてヤコブが叫びました。「おまえたちのおかげで、私は子どもをなくしてしまった。ヨセフは出かけたまま戻らず、シメオンも捕らえられてしまった。今度はベニヤミンを連れて行きたいだと? 私をどれだけ苦しめれば気がすむのだ!」
+ その時、ルベンが言いました。「お父さん、もしベニヤミンが戻らなかったら、私の二人の子どもを殺してかまいません。責任は私が負います。必ずベニヤミンを連れて帰ります。」
+ しかし、ヤコブは聞き入れません。「あの子は絶対エジプトへはやらない。兄のヨセフはすでに死に、同じ母親の子はあれしかいない。あの子に万一のことがあれば、私も死ぬ。」
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+ この地のききんはひどくなる一方でした。カナン地方を覆い尽くし、少しも衰えを見せません。
+ エジプトから買って来た穀物も底をつきました。「ご苦労だが、また買いに行ってもらわなければならないな。」父親は息子たちに言いました。
+ しかし、ユダが口をはさみました。「忘れたのですか、お父さん。『弟といっしょでなければ来てはならない』とあの人が言ったのは、決してただの脅しではないのですよ。ベニヤミンがいっしょでなければ、あそこへは行けません。」
+ 「ああ、なぜおまえたちは、弟がもう一人いるなどと言ってしまったのだ。私をこんな目に会わせおって。」
+ 「あの人が家族のことをしつこく聞くので、しかたがなかったのです。お父さんが元気かどうか知りたがっていたし、ほかに弟はいないのかと尋ねるものだから、『いる』と答えたのです。『その弟を連れて来るように』などと言われようとは、夢にも思わなかったのです。」みな口々に弁解しました。
+ その時ユダが言いました。「ベニヤミンを連れて行かせてください。お願いします。今すぐに出かけなければ、家族みんなが飢え死にします。私たちばかりか、お父さんや子どもたちまで……。
+ 弟の安全は私が保証します。万一のことがあったら責任を負います。
+ 初めからお願いしたとおりにしてくだされば、その間に二回は穀物を持ってエジプトから帰っているはずですよ。」
+ とうとうイスラエルも承諾しました。「どうしても連れて行くのなら、せめてこうしてくれ。ろばにこの国の最良の産物を積むのだ。その総理大臣とやらへの贈り物にな。香油、はちみつ、香料、没薬、くるみ、アーモンドなどを持って行くといい。
+ 代金の二倍の銀を持って行きなさい。この前、袋の口にあった銀も持って行って返すのだ。あれはきっと、何かの間違いだったのだろう。
+ さあ、弟を連れて行きなさい。
+ その人の前に立つ時、全能の神様が守ってくださり、シメオンが自由にされ、ベニヤミンも無事に帰れるように。もし、この二人が死ぬことにでもなったら……それもしかたあるまい。ただじっと耐えるだけだ。」
+ 彼らは、贈り物と二倍の代金を持ってエジプトのヨセフのもとへ出かけました。
+ 今度はベニヤミンもいっしょです。ヨセフはそれを見るとすぐ、家の執事に命じました。「この人たちは昼食を私といっしょにする。家へお連れして、盛大な宴会の用意をしなさい。」
+ 執事は言われたとおり、一同をヨセフの屋敷へ案内しました。
+ びっくりしたのは兄弟たちです。まさか、ヨセフの屋敷へ連れて行かれようとは思ってもみなかったので、どうなることかと心配でなりません。思い当たることを、お互いにひそひそ話し合うばかりです。「これはきっと、袋に返してあったあの銀のせいだぞ。あの銀を盗んだとでも言うつもりだろう。言いがかりをつけてわれわれを捕まえ、奴隷にしようっていうのだろう。ろばから何から、全部取り上げる魂胆だな。」
+ そうこうするうちに屋敷の入口に着きました。ぐずぐずできません。彼らはすぐ執事のところへ行きました。
+ 「折り入ってお話があるのですが。この前、食糧を買いにこちらへまいりまして、
+ 帰る途中、ある所で夜を過ごしたのです。ところが、袋を開けてみると、代金としてお支払いしたはずの銀が入っておりました。これがその代金です。お返ししようと持ってまいりました。
+ 今回の分は、別に用意してあります。あれ以来、どうしてこれが袋の中にまぎれ込んでしまったのかと、みなで首をひねっておりました。」
+ 「ご心配には及びません。代金は確かに頂きましたよ。きっと、あなたがたの神様、つまりあなたがたのご先祖の神様が、入れておかれたのでしょう。不思議なこともあるものです。」こう言うと、執事はシメオンを釈放し、兄弟たちのもとへ連れて来ました。
+ 彼らは屋敷に招き入れられ、足を洗う水を与えられました。ろばの餌ももらいました。
+ 昼にはヨセフが戻って来るということです。彼らはすぐに贈り物を渡せるよう、抜かりなく用意しました。何でも、昼食をいっしょにするらしいのです。
+ ヨセフが戻って来ると、彼らはていねいにおじぎをし、持って来た贈り物を差し出しました。
+ ヨセフはみなにその後のことを尋ねました。「で、おまえたちの父親はどうしているのだね。この前も聞いたが、まだ達者なのか?」
+ 「はい、おかげさまで元気でおります。」そう言って、もう一度おじぎをしました。
+ ヨセフは弟ベニヤミンの顔をじっと見つめました。「これが末の弟か。そうか、この子がなあ。どうだ、疲れてはいないか? あなたに神様の恵みがあるように。」
+ ここまで言うのがやっとでした。あまりのなつかしさに胸がいっぱいになり、涙がこみ上げてきたのです。あわてて部屋を出て寝室に駆け込み、思いきり泣きました。
+ 泣くだけ泣くと、顔を洗い、何事もなかったように彼らのところへ戻り、感情を押し殺して、「さあ食事にしよう」と言いました。
+ ヨセフは自分のテーブルで食事をし、兄弟たちは別のテーブルです。またもう一つのテーブルには、エジプト人が座りました。エジプト人はヘブル人(イスラエル人)とはいっしょに食事をしなかったからです。
+ ヨセフは一人一人に、どこへ座るか指示しました。一番上の兄から始まって末の弟まで、きちんと年の順になっています。みなはびっくりしました。
+ 料理は主人であるヨセフのテーブルからみなに配られ、ベニヤミンには特別たくさん与えられました。ほかの兄弟の五倍はあります。一同はぶどう酒をくみ交わし、とても楽しい酒宴となりました。
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+ さて、いつまでもそうしてはいられません。出発のしたくにかかる時です。ヨセフは執事に、それぞれの袋に穀物を詰められるだけ詰めるよう命じました。そのうえ、袋の口には、また代金を戻しておいたのです。
+ ベニヤミンの袋には、代金のほかにヨセフの銀の杯も忍ばせました。
+ 兄弟たちは朝早く起き、荷物を積んだろばを連れて出発しました。
+ 一行が町を出るころを見はからって、ヨセフは執事に命じました。「あの者たちのあとを追って捕まえろ。そして、あれほど親切にもてなしたのに、なぜひどいことをするのか、と問いつめるのだ。
+ 『主人の銀の杯を盗むとはいったい何事か。あれは占いに使う主人の大切な物だ。恩知らずもはなはだしい!』と言うのだ。」
+ 執事は一行に追いつき、言われたとおり彼らを責めました。
+ 彼らも黙ってはいません。「ばかばかしい。ひどい話じゃありませんか。とんでもない言いがかりです。われわれを何だと思っているのですか。
+ この前の銀だって、ちゃんと返しに来たのに。ご主人の家から銀や金を盗むはずがないではありませんか。
+ もし、その杯が見つかったら遠慮はいりません。犯人はどうぞ処刑してください。ほかの者も、一生涯ご主人様の奴隷になりましょう。」
+ 「それはけっこう。だがそこまでしなくても、盗みの張本人だけ奴隷になればすむことだ。ほかの者は帰ってよい。」
+ すぐさま袋をろばの背から下ろし、一つ一つ開けさせて、
+ 調べ始めました。一番上の兄の袋から始めて、だんだん末の弟まで調べていきます。とうとうベニヤミンの番になりました。口を開けると、どうでしょう。信じられないことですが、杯が入っていたのです。
+ 彼らは一瞬、目の前が真っ暗になりました。みなは絶望のあまり服を引き裂きました。ろばにまた荷物を載せ、エジプトの町までとぼとぼと引き返すよりしかたありません。
+ ユダと兄弟たちが戻ると、ヨセフはまだ家にいました。彼らはヨセフにひれ伏しました。
+ ヨセフは言いました。「いったいどういう了見だ! 盗みをすれば、すぐにわかるのだぞ。」
+ ユダが恐る恐る答えました。「ああ、どう申し上げたらよろしいのでしょう。申し開きもできません。私たちは無実です。ですが、どうすればそれをわかっていただけますでしょう。きっと神様が私たちを罰しておられるのです。いくらなんでも、弟一人を置いて行くわけにはいきませんので、兄弟みんなで戻ってまいりました。どうぞ私たちを奴隷にしてください。」
+ 「それは許さん。杯を盗んだ者だけが奴隷になればよい。ほかの者は国の父のもとへ帰れ。」
+ その時、ユダが一歩前に進み出ました。「恐れながら、ひと言申し上げます。お怒りにならずに聞いてください。閣下は王様と同じように、今すぐにでも私を処刑することができるお方だということは、よく承知しております。
+ この前の時、父親や弟がいるかとのお尋ねでしたので、
+ 私どもは正直に申し上げました。『はい、おかげさまで父は健在です。それから年寄り子の弟がいます。末の弟です。その上にもう一人、母親が同じ弟もいたのですが、ずっと前に死んで、この子だけが残りました。そんなわけで、父はその子を目に入れても痛くないほどかわいがっているのです。』
+ それを聞いて閣下は、『ぜひその子に会いたい。ここへ連れて来るように』とおっしゃいました。
+ 私たちは困って、『あの子は父親のもとを離れることはできません。そんなことをしたら、まるで父のいのちを縮めるようなものです』と申し上げましたが、
+ お聞き入れにならず、『いや、ならん。その末の弟を連れて来なければ、二度とここへは来るな』とおっしゃったのです。
+ 私どもは戻って、そのとおり父に申しました。
+ このたび、『またエジプトへ買い出しに行ってくれ』と言われた時も、
+ 『末の弟もいっしょにやってください。でなければ行けません』と頼みました。
+ すると、父はこう申すのです。『おまえたちも知っているとおり、ラケルの息子は二人いた。
+ だが兄のほうは、ある日出かけたっきり帰って来ない。野獣にかみ殺されたに違いない。
+ それなのに、今度は、たった一人残った弟まで取り上げようというのか。万が一にもあれの身に何か起こったら、私は悲しみのあまり死んでしまう。』
+ そこへ今度の出来事です。もし弟を連れ帰らなければ、どうなるでしょう。父は決して大げさに申しているのではありません。
+ 弟が戻らないと知ったら、ほんとうに死んでしまいます。老い先短い父を悲しませるにしのびません。父が死んだら、責任は私どもにあるのです。
+ 私は、わが身に代えても弟を守ると父に約束しました。
+ そこでお願いがございます。弟の代わりに私が奴隷になりますから、弟はほかの者といっしょに帰してください。
+ 弟を連れずに、どうしておめおめと父のもとへ帰れましょう。」
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+ ヨセフはもうこれ以上自制できなくなりました。「みな、下がっていなさい!」と大声で、そばで仕えている者たちに命じました。あとには、兄弟たちとヨセフだけが残りました。
+ そのとたん、ヨセフはこらえきれなくなって、あたりはばからず泣きだしました。泣き声は屋敷中に聞こえ、その知らせがすぐ王宮にまで伝えられるほどでした。
+ 「兄さん、ヨセフですよ。ほら、よく見てください。お父さんは元気ですか。」びっくりしたのは兄弟たちです。あまりのことに口をきくこともできません。
+ 「さあ、そんな所にいないで、ここへ来てください。」そう言われて、彼らはそばに寄りました。「お忘れですか。ヨセフですよ。あの、エジプトへ売られた弟ですよ。
+ だけど、そのことで自分を責めないでください。神様のお取り計らいだったのです。私がここへ来るようにしたのも、ほんとうは兄さんたちでなく神様なのです。こんなふうに兄さんたちを助けることができるようにしてくださった。
+ もうこれで丸二年もききんが続きましたが、まだまだ収まりません。あと五年はこのままです。その間は種まきもできないし、収穫もありません。
+ それでも私たち一族が滅びず、やがて大きな国になることができるように、神様が先に私をここに遣わされたのです。
+ ですから、決して兄さんたちのせいではありません。神様のお導きです。神様は私を王の顧問にし、この国の総理大臣にしてくださいました。
+ さあ、急いでお父さんのところへ帰り、伝えてください。『ヨセフは無事で、こう申しております。「神様が私をエジプトの総理大臣にしてくださいました。すぐこちらへ来てください。
+ ゴシェンの地に住んでいただきます。子どもや孫を引き連れ、家畜をはじめ全財産を持って来てください。そうすれば、また近くに住むことができます。
+ いっさいの面倒は私が見ます。ききんはまだ五年も続くのですから、もしエジプトに来なければ、一族は飢え死にするしかありません。」』私にお任せください。約束します。兄さんたちが証人です。それにベニヤミンも。
+ とにかくお父さんに、そう話してください。私がエジプトでどんな権限を与えられているか、何でも命令できる立場なのだということを伝えてください。お願いです。早くお父さんの顔が見たいのです。」
+ こう言うと、ヨセフはベニヤミンを抱きしめて涙にくれました。ベニヤミンも泣きました。
+ 彼はほかの兄弟一人一人にも同じようにしました。その時になって、ようやく兄弟たちは口がきけるようになりました。
+ やがて王に、「ヨセフの兄弟たちがエジプトに来られた」と知らされ、王も役人たちも喜びました。
+ 王はヨセフに言いました。「兄さんたちに伝えてくれ。荷物を家畜に載せて早くカナンの家へ帰り、
+ 改めてお父上と家族ともどもエジプトへ来るようにと。ぜひエジプトに住んでもらわねばならん。『王がエジプトで最良の土地を用意いたします。その土地の豊かな収穫で生活してください』と伝えるのだ。
+ 兄さんたちには、エジプトから荷馬車を持って行ってもらおう。婦人や子ども、ご高齢のお父上をお連れするのに役立つだろう。
+ 財産の心配はいらない。エジプトの最良の土地が手に入るのだから、置いて来ても惜しくはないだろう。」
+ ヨセフは王の命によって、荷馬車と旅に必要な食糧を兄たちに与えました。
+ 一人一人に新しい服を渡し、ベニヤミンには特に五着も渡したうえに、銀貨三百枚を与えました。
+ 父親には、エジプトの珍しい産物を積んだろば十頭と、穀物や旅に必要な食糧を積んだ雌ろば十頭を贈り物としました。
+ これで、すっかり準備は整いました。「途中で言い争いなどしないでください」と、ヨセフは兄弟たちに言って送り出しました。
+ こうして一行は出発し、カナンにいる父ヤコブのもとへ帰りました。
+ 「お父さん! ヨセフが、ヨセフが生きていたのです。それも驚くではありませんか、エジプトの総理大臣なのです!」一同は、帰るとすぐさま父のところへ飛んで行き、勢い込んで知らせたのに、ヤコブはうれしそうな顔ひとつしません。今さらそんなことが、どうして信じられるでしょう。
+ しかし、細かく話を聞くと、どうもほんとうらしいのです。ヨセフの言づても聞きました。それに、エジプトに迎えるために送ってよこした荷馬車も見ました。夢ではないのです。父のヤコブは急に元気が出てきました。
+ 「ほんとうだ。間違いない。ヨセフは生きている。私は行くぞ。死ぬ前にどうしてもひと目会いたい。」
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+ イスラエル(ヤコブ)は彼に属するすべてのものとともに出発し、ベエル‧シェバまで来ると、そこで父イサクの神にいけにえをささげました。
+ やがて夜になり、幻の中で神の語りかける声がありました。「ヤコブ、ヤコブ。」「はい。」
+ 「わたしは神、あなたの父の神だ。エジプトへ行くのを恐れてはならない。大きな国になるよう、あなたを守ろう。わたしもいっしょにエジプトへ下り、時がきたら、あなたの子孫を再びここに連れ帰る。あなたはエジプトで、ヨセフに看取られながら死ぬだろう。」
+ それからヤコブはベエル‧シェバを発ちました。息子たちはヤコブを、エジプトの王からもらった荷馬車に乗せました。女性や子どもたちもいっしょです。
+ また、家畜と、カナンの地で手に入れた全財産も持って行きました。ヤコブをはじめ、
+ 息子、娘、孫と、一族こぞってエジプトへ移住したのです。
+ ヤコブといっしょにエジプトに行った息子と孫は、次のとおりです。長男ルベンとその息子エノク、パル、ヘツロン、カルミ。シメオンとその息子エムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ツォハル、それから、カナン人の母親を持つサウル。レビとその息子ゲルション、ケハテ、メラリ。ユダとその息子エル、オナン、シェラ、ペレツ、ゼラフ〔エルとオナンはエジプトへ行く前にカナンで死んだ〕。ペレツの息子ヘツロンとハムル。イッサカルとその息子トラ、プワ、ヨブ、シムロン。ゼブルンとその息子セレデ、エロン、ヤフレエル。
+ 以上は、パダン‧アラムでヤコブとレアの間に生まれた息子とその孫で、娘ディナを除いて総勢三十三人でした。
+ このほかに、ガドとその息子ツィフヨン、ハギ、シュニ、エツボン、エリ、アロディ、アルエリ。アシェルとその息子イムナ、イシュワ、イシュビ、ベリア、妹セラフ。ベリアの息子ヘベル、マルキエル。
+ 以上十六人は、ラバンが上の娘レアに与えた奴隷ジルパとヤコブの間に生まれた息子と孫です。
+ この一族には、ヤコブとラケルに生まれた息子と孫、合わせて十四名も含まれます。ヨセフとベニヤミン。エジプトで生まれたヨセフの息子はマナセとエフライム〔母親はヘリオポリスの祭司ポティ‧フェラの娘アセナテ〕。ベニヤミンの息子はベラ、ベケル、アシュベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシュ、ムピム、フピム、アルデ。
+ さらに、ラバンが下の娘ラケルに与えた奴隷ビルハとヤコブの間に生まれた息子と孫、合わせて七人も含まれます。ダンとその息子フシム。ナフタリとその息子ヤフツェエル、グニ、エツェル、シレム。
+ エジプトへ下ったヤコブの子孫は、ヤコブの息子たちの妻を除いて総勢六十六名でした。
+ ヨセフとその二人の息子、それにヤコブ自身を加えると、エジプトでのヤコブの一族は七十名になります。
+ ヤコブはユダを先に送り、まもなくゴシェンに到着すると、ヨセフに伝えました。やがて、一行はゴシェンに着きました。
+ ヨセフは馬車で駆けつけ、父親を出迎えました。二人はしっかり抱き合ってただ泣くばかりです。
+ 「こうしておまえの顔を見られるとは、夢にも思わなかった。無事でほんとうによかった。もう思い残すことはない。これで安心して死ねる。」イスラエルは涙ながらに言いました。
+ ヨセフは彼らに言いました。「これから王のところへ上がります。一族の者がカナンから到着したと報告しなければなりませんから。
+ その時、『一族の者はみな、羊飼いで、羊や牛の群れを連れ、全財産を携えて来ました』と申し上げておきます。
+ あとで王のお召しがあり、職業は何かと聞かれたら、
+ 『先祖代々の羊飼いで、私どもも若い時からずっと羊を飼っております』と答えてください。そう申し上げれば、このゴシェンの地に住まわせてもらえるでしょう。エジプト人は羊飼いを軽蔑し、嫌っていますから、いっしょには住まないのです。」
+
+
+ ヨセフはさっそく、王宮へ報告に出かけました。「父が全家族を連れてカナンからまいりました。羊や牛の群れ、財産もいっしょです。お許し願えれば、ゴシェンの地に住みたいと申しております。」
+ そう言うと、同行した兄弟五人を王に紹介しました。
+ 「して、おまえたちの職業は?」「先祖代々、ずっと羊飼いでございます。
+ このたびは、ありがたいおことばに甘え、お国に住まわせていただこうとやってまいりました。カナンは不作続きで、もう牧草がありません。そのひどさはたいへんなものです。どうか、ゴシェンの地に住む許可をお与えください。」
+ 王はヨセフに言いました。「ご一族の皆さんには、どこでも好きな所に住んでいただこう。万事おまえに任せる。エジプトの一番良い土地を見つけてあげればよい。まあ、ゴシェンの地はふさわしいかもしれない。もし兄弟に有能な者がいれば、遠慮はいらん。私の家畜の管理責任者に取り立てるがよい。」
+ 次にヨセフは、父ヤコブを王に引き合わせました。ヤコブはていねいにあいさつしました。
+ 「これはこれは、ヨセフの父上。だいぶお年のようだが、幾つにおなりかな?」
+ 「百三十歳になります。苦労が多く、こんなに老いぼれてしまいました。先祖には、もっともっと長生きした者も大ぜいおりますのに。」
+ こう言って、もう一度あいさつすると、ヤコブは王の前から下がりました。
+ ヨセフは王の命じたように、一族にエジプトでも最上のラメセス(ゴシェンの北部)の地を割り当てました。
+ それぞれの家族の人数に応じて食物も与えました。
+ そうしている間にもききんはますますひどくなり、カナンばかりかエジプトでも飢える人がたくさん出てきました。
+ ヨセフはどんどん穀物を売り、エジプトとカナンに出回っていた銀を、ほとんど全部と言っていいくらい王のもとに集めてしまいました。王の金庫にはますます銀がたまる一方です。
+ 銀を使い果たした人々は、ヨセフに泣きつくしかありません。「穀物を売っていただこうにも、財布は空っぽです。かといってこのままでは、飢え死にするしかありません。どうか食べ物をお恵みください。」
+ 「わかった。それなら家畜をよこしなさい。引き換えに食糧を与えよう。」
+ 背に腹は代えられません。人々は食べ物を買うために、家畜を連れて来ました。まもなく、エジプト中の馬、羊、牛、ろばが王のものになりました。
+ 翌年になると、人々はまたやって来ました。「もう銀もなくなり、家畜も全部あなた様に差し上げました。残っているものといえば、自分の体と土地しかありません。
+ このままでは死ぬのを待つだけです。どうぞ、私どもと土地を買ってください。王様の農奴となりますから、食糧と引き換えにしてください。そうすれば生き延びられるし、土地を耕すこともできますから。」
+ ヨセフはエジプト中の土地を買い上げました。エジプト人がみな自分の土地を手放さなければならないほど、ききんはひどかったのです。土地は全部、王のものになり、
+ 国民もみな王の農奴になりました。
+ 王が買い取らなかったのは祭司の土地だけでした。祭司は王から食糧をあてがわれていたので、土地を売る必要がなかったのです。
+ ヨセフは人々に言いました。「今からは、あなたがたもあなたがたの土地も王様のものです。さあ、種を渡すから、行ってまきなさい。
+ 収穫の五分の一は王様に納め、あなたがたの取り分は五分の四です。それを、次の年にまく種や家族の食糧にするのです。」
+ 「おかげさまで助かります。喜んで王様の奴隷になりましょう。」
+ ヨセフは法律をつくり、全エジプトに公布しました。祭司が所有する土地の産物以外は、全収穫の二〇パーセントを王が徴収するというものです。この法律は今も効力を持っています。
+ さてイスラエルは、エジプトのゴシェンの地に住みつきました。そこで大いに繁栄し、人口も急激に増え続けていきました。
+ ヤコブは、エジプトに着いてから十七年目に、百四十七歳で死にました。
+ 最期が迫った時、ヤコブはわが子ヨセフを呼んで言いました。「最後の願いだ。必ず守ると誓ってくれ。決して私をエジプトに葬ってはならない。
+ 私が死んだらエジプトから運び出し、先祖のかたわらに葬ってくれ。」ヨセフが約束すると答えると、
+ ヤコブは重ねて言いました。「いや、必ずそうすると誓わなければいけない。」それでヨセフは誓いました。ヤコブは横になったまま礼を言いました。
+
+
+ こののち、父親の容態が悪化したという知らせが届いたので、ヨセフはマナセとエフライムを連れて父を見舞いました。
+ ヨセフが来たと聞いて、イスラエルは力をふりしぼって起き上がり、彼を迎えました。
+ 「全能の神がカナンの地ルズで私に現れ、祝福してくださった時のことは、今でもはっきり覚えている。
+ あの時、神様は、『わたしはあなたを大いなる国とし、カナンの地を永遠にあなたと子孫とに与えよう』と約束なさった。
+ それはそうと、私がここへ来る前に生まれたおまえの息子らのことだが、エフライムとマナセ、あの二人を私の養子にしようと思う。ルベンやシメオンと同じように、あの二人にも私の遺産を相続させたいのだ。
+ しかし、おまえの息子をみな、私の子にするとは言わない。次の子が生まれたら、その子らにおまえの跡を継がせればいいだろう。
+ おまえの母さんのラケルは、パダン‧アラムから帰る途中、エフラテの近くで死んだ。二人の子を残して。それで私は、泣く泣くベツレヘムへ行く道のかたわらに葬ったのだ。」
+ この時イスラエルは、二人の少年に気づきました。「もしや、この二人が?」
+ 「そうです。神様がエジプトで私に恵んでくださった息子たちです。」「そうか、そうか。ちょうどよかった。私のそばに連れて来なさい。祝福しよう。」
+ イスラエルは年老いて目がほとんど見えません。ヨセフが少年たちをそばに連れて行くと、二人をぎゅっと抱きしめて祝福の口づけをしました。
+ そして彼はヨセフに、「私はおまえの顔を二度と見ることはあるまいとあきらめておったのだ。それがどうだ。こうして、かわいい孫の顔まで見られるとは……」としみじみ言いました。
+ ヨセフはもう一度、二人の息子の手を取り、ていねいにおじぎをしてから、彼らを祖父の前に進ませました。イスラエルから見て、エフライムが左側、マナセが右側です。
+ ところが頭に手を置く時、イスラエルは伸ばした手をわざわざ交差させました。右手を弟エフライムの頭に、左手を兄マナセの頭に置いたのです。
+ 次に、イスラエルはヨセフを祝福しました。「祖父アブラハム、父イサクの神様。羊飼いのように、私を生涯守ってくださった神様。
+ どうぞこの子どもたちを大いに祝福してください。神様は私をあらゆる危険から守ってくださいました。この子どもたちが、私やアブラハム、イサクの名を汚すことなく、一族の名を上げてくれますように。彼らが大きな国となりますように。」
+ しかし、父が右手をエフライムの頭に置いたのがヨセフには納得いかず、それで父の手を取り、マナセの頭に置こうとしました。
+ 「違いますよ、お父さん。手の置き方が反対です。こちらが長男です。右手はこの子に置いてください。」
+ 「いや、ちゃんとわかっている。マナセも大きな国になる。だが弟のほうがもっと強くなるのだ。」
+ ヤコブはその日、二人の少年に次のような祝福を与えました。「イスラエル人は互いに祝福し合う時、これからは、『神様があなたがたを、エフライムとマナセのように栄えさせてくださいますように』と言うだろう。」この時も、エフライムの名をマナセの前にしました。
+ そのあとイスラエルは、またヨセフに言いました。「私はもう長くはない。だがおまえには神様がついている。きっともう一度、先祖の国カナンへ帰れるだろう。
+ その時のために、シェケムの地をおまえにやろう。あれは、私がエモリ人から苦労して戦い取った土地だ。ほかのだれにも与えない。おまえのものだ。」
+
+
+ いよいよ最期の時がきました。ヤコブは息子たちをみな呼び寄せました。「いいか、みんな私の回りに集まるのだ。一人一人の将来がどうなるか教えよう。
+ おまえたちはみな、私の息子だ。これから言うことをよく注意して聞くのだよ。
+ 長男のルベン。おまえは私がまだ若く、血気盛んなころに生まれた子だ。長男として、あらゆる点で兄弟の上に立ってもよいはずだった。
+ だが実際は、海の荒波のような無法者だ。長男の資格はない。義理の母と関係するとは何事だ。私の顔に泥を塗った報いを受けるがよい。
+ シメオンとレビは似た者同士だ。乱暴で手がつけられない。
+ くれぐれもこの二人には近づくな。その悪だくみに加担するな。彼らは怒りにまかせて人を殺し、おもしろ半分に牛を傷つけた。
+ 彼らの怒りにのろいあれ。激しく残虐な怒りにのろいあれ。二人の子孫は、イスラエルの各地に散らしてしまおう。
+ ユダよ。兄弟はおまえをたたえる。おまえは敵を滅ぼし、兄弟はみなおまえにひざまずく。
+ ユダは、獲物をたいらげる、たくましく成長した若いライオンだ。何ものをも恐れず、ゆうゆうと寝そべっている。だれも、これを起こすことはできない。あえてそんな危険を冒す者はいない。
+ その王位はシロ(権威を持つ者、メシヤとも解される)が来る時まで続く。人々がみなシロに従うその時まで、ユダは安泰である。
+ 彼は大いに栄え、ろばをえり抜きのぶどうの木につなぎ、服をぶどう酒で洗う。
+ その目はぶどう酒より黒く、その歯はミルクより白い。
+ ゼブルンは海のそばに住む。港は船でにぎわい、境界線はシドンにまで及ぶ。
+ イッサカルはたくましいろばだ。鞍袋の間にうずくまって休む。
+ 美しい田園、住みよい土地を見た時、彼は肩にくい込む重い荷をもいとわず、人に仕えることをも拒まない。
+ ダンはほかの部族と同じように、自分の部族を治める。
+ その数は少なくとも、小道をはい回る蛇のように、馬のかかとにかみつき、乗り手を落とす。
+ 主の救いは確実だ。
+ ガドは強盗の一団に襲われる。だが奪い取るのはガドのほうで、敵をさんざんに追い散らす。
+ アシェルは実り豊かな地を耕す。その産物は王の食卓にも上る。
+ ナフタリは解き放たれた鹿で、かわいらしい子鹿を生む。
+ ヨセフは泉のそばの実り豊かな木だ。その枝は伸びて垣根を覆う。
+ 一度は、迫害する者に矢を射込まれ、ひどい手傷を負った。
+ だが、力あるヤコブの神、イスラエルを守る羊飼い、また岩である方のおかげで、みごと敵を打ち負かした。
+ 先祖代々にわたり頼ってきた全能の神が、天の恵みと地の恵みをもって、あなたを祝福なさるように。大ぜいの子孫に恵まれ、
+ 山々には穀物と花が満ち、永遠に変わらない祝福があるように。これが、かつて兄たちから追放されたヨセフの受ける祝福だ。
+ ベニヤミンはほえたける狼だ。明け方には敵を食い荒らし、夕べには戦利品を分け合う。」
+ こうして、彼らそれぞれにふさわしいことばで祝福を与えたのです。
+ それから、こうつけ加えました。「私はじきに死ぬ。そうしたらカナンの地に葬ってくれ。マムレに面したマクペラの野にあるほら穴を知っているだろう。おまえたちのひいおじいさんのアブラハムが、墓地にしようとヘテ人エフロンから買ったあの土地だ。
+ そこは一族の墓として代々使われ、私もレアをそこに葬った。よいか。私も必ずそこへ葬ってくれ。」
+ ヤコブはもう思い残すことはないと、安心して床について息を引き取りました。
+
+
+ ヨセフは父に取りすがって泣き、最後の別れをしました。
+ 父の遺体をミイラにする(防腐処理のため)よう医者に命じました。
+ それだけで四十日かかり、そのうえエジプトの国をあげて、七十日間の喪に服したのです。
+ 喪が明けると、ヨセフは王のお付きの者に、王への取り次ぎを願い出ました。
+ 「王様にお伝えください。亡父のたっての願いで、遺体をどうしてもカナンの地へ葬りに行かなければなりません。どうぞ出かけるお許しをください。埋葬がすみしだい、すぐに帰ってまいります。」
+ 王は、「お父上との約束を心おきなく果たすがよい」と答えました。
+ そこで、ヨセフは父を葬るためにカナンに向けて出発しました。王の顧問をはじめ、すべての高官たち、
+ ヨセフの全家族もいっしょでした。ただ、子どもたちと家畜はゴシェンの地に残りました。
+ たくさんの戦車と騎兵が護衛にあたって同行したので、盛大な行列となりました。
+ やがてヨルダン川を越え、ゴレン‧ハアタデ〔「アタデの打ち場」の意〕まで来ました。ひとまずそこで、おごそかな葬式を行い、七日間、ヨセフの父の死を追悼しました。
+ 土地のカナン人は、それからその場所を、アベル‧ミツライム〔「エジプト人の嘆き」の意〕と呼ぶようになりました。葬式の有様を見た人々が、「あのエジプト人たちには、この葬式がよほど悲しいものなのだ」と言い合ったからです。
+ こうしてイスラエルの息子たちは、父に命じられたとおりに、彼の遺体をカナンの地へ運び、マクペラのほら穴に葬ったのです。マムレの近くで、アブラハムがヘテ人エフロンから買った畑の中のほら穴です。
+ その後、ヨセフは兄弟や葬儀のために同行した人たち全員とともに、エジプトへ帰りました。
+ ところが兄たちは、父親が死んでしまった今、ヨセフに仕返しをされるかもしれないと、急に心配になってきました。「ヨセフにはずいぶんひどいことをしたから、まだ恨んでいて、今度こそ仕返しされるかもしれない。」
+ そこで、ヨセフに手紙を出しました。「実は、父さんが死ぬ前に、言い残したことがあるのです。私たちとあなたの仲を心配して、かつてのことを赦すよう言ってくれ、それだけが気がかりだ、ともらしていました。私たちはあなたの父の神様に仕えるしもべです。どうぞ、昔のことは赦してください。」ヨセフは手紙を読むと激しく泣きました。
+ 兄たちも気が気ではなく、ヨセフのところに出向いて来ました。「手紙でも申し上げたとおり、われわれはあなたの奴隷です。」そろってヨセフの前にひれ伏し、恐る恐る言いました。
+ ところが、ヨセフの返事は意外でした。「そんなに怖がらないでください、兄さんたち。私だって神様ではないのですから、さばくだの罰するだのと大それたことなどできません。
+ それは、あの時はずいぶんひどいことをするものだと思いましたよ。でも、そのおかげで家族みんなが助かったではありませんか。悪意から出たことでも、神様はこのように良いことに役立てられるのです。私のような者が今日あるのもみな、神様の深いお考えがあってのことです。たくさんの人のいのちを救うためです。
+ だから、心配などしないでください。兄弟ではありませんか。今後のことは万事お任せください。悪いようにはしません。」なんという優しいことばでしょう。
+ こうして、ヨセフと兄弟の一族は、そのままずっとエジプトに住みつきました。ヨセフは百十歳まで生きました。
+ 長生きをしたので、エフライムの子どもたちばかりか、マナセの子マキルの子どもたちの顔も見ることができ、かわいいひ孫たちをそのひざで遊ばせました。
+ ヨセフは兄弟たちに遺言しました。「もうじき私は死にます。けれどもイスラエル人は、このままでは終わりません。必ずカナンの地へ帰れます。神様が、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫に与えると約束された土地に、連れ帰ってくださるのです。」
+ このあと兄弟たちに、カナンへ帰る時には、自分の遺体を必ず運び帰るように誓わせました。
+ こうして、ヨセフは百十歳で死にました。人々は彼の遺体をミイラにし、棺に納めて安置しました。
+
+
+
+
+ 自分の家族を連れ、ヤコブ(イスラエル)といっしょにエジプトに移ったヤコブの子たちの名前は、次のとおりです。ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン、ベニヤミン、ダン、ナフタリ、ガド、アシェル。
+ 総勢七十人でした。ヨセフはみなより先にエジプトへ行っていたので、この数には入りません。
+ やがて、ヨセフも兄弟たちも死に、新しい世代になりました。
+ イスラエル人は多くの子どもに恵まれたので、人口は増え続け、ゴシェンの地はイスラエル人であふれ、一つの国と言ってもよいほどの勢力にふくれ上がりました。
+ やがて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトの王になりました。
+ 王は国民に言いました。「このままイスラエル人どもを放っておくと危険だ。あまりに数が多すぎる。
+ 何とか彼らの勢力を食い止めなければならない。戦争にでもなり、彼らが敵方についたら大変だ。われわれに戦いを挑み、難なくこの国から逃げてしまうだろう。」
+ そこで、イスラエル人を奴隷にしてしまおうとしました。きびしい監督を立て、重労働につかせるのです。こうして建てられたのが、ファラオ(王)のための倉庫の町ピトムとラメセスです。
+ ところが、いくら重労働を課しても、締めつけをきびしくしても、いっこうに効果はありません。むしろ、前よりすさまじい勢いで人が増え続けるのです。エジプト人は警戒して、
+ ますます過酷な仕事を押しつけました。畑での長時間の重労働や、粘土でれんがを造る激しい仕事をさせました。
+ これほどにしても、まだ効き目がありません。とうとう王は、シフラとプアというヘブル人(イスラエル人)の助産婦に、ひそかに命じました。ヘブル人の男の子は生まれたらすぐに殺し、女の子だけを生かしておくようにというのです。
+ ところが、助産婦たちは神を恐れていたので王の命令に従わず、男の子も生かしておきました。
+ そこで王は彼女たちを呼びつけ、問い詰めました。「おまえたちは男の子を生かしておくそうだな。なぜ私の命令に背いたのだ。」
+ 彼女たちは言いました。「王様はご存じないでしょうが、ヘブルの女はとても丈夫で、簡単に赤ん坊を産んでしまうのです。私たちが駆けつけた時には、もう生まれてしまっているのです。エジプトの女と違って出産に手間取らないものですから。」
+ 神はこの助産婦たちを心にかけてくださったので、イスラエル人はさらに増え続け、強大な民になりました。
+ 神を畏れ敬う助産婦たちも子どもに恵まれました。
+ それで、王は全国民に、「以後、ヘブル人の子は、女の子だけを残して、男の子はみなナイル川に投げ込め」と命じたのです。
+
+
+ そのころ、あるヘブル人の若い男女が結婚しました。二人ともレビ族の出身で、やがて二人の間に男の子が生まれました。たとえようもなく、かわいらしい子でした。どうして、川へなど投げ込めるでしょう。母親は三か月の間、家に隠しておきました。
+ しかし、もうそれ以上は隠しきれません。彼女はパピルス(植物繊維)製のかごにタールを塗って防水し、その子を入れると、ナイル川のほとりの葦の茂みにそっと置きました。
+ その子の姉は、弟がどうなるのか遠くから見守っていました。
+ さて、それから何が起こったでしょう。ちょうどその時、王女が川へ水浴びに来たのです。侍女たちを従えて岸を歩いていると、葦の茂みの間に小さなかごがありました。王女は何かしらと思って侍女をやり、それを引いて来させました。
+ 開けてみると、なんと中で子どもが泣いているではありませんか。「まあ、かわいそうに! きっとヘブル人の赤ちゃんだわ。」王女は思わず叫びました。
+ それを見ていたその子の姉は、この時とばかり王女のそばへ駆け寄りました。「王女様、その赤ちゃんを、お育てになりますか? でしたら、お乳をあげる人がいりますよね。だれかヘブル人の女の人を捜して来ましょうか。」
+ 「よく気のつく子ね。そうしておくれ。」王女の返事を聞いて、少女はうれしくてたまらず家に飛んで帰り、母親を呼んで来ました。
+ 「お礼は十分しますから、この子を連れて行って、私の子として育ててください。」王女はその子の実の母親とも知らず頼みました。もう何の遠慮もいりません。彼女は子どもを抱いて家に帰りました。
+ やがてその子は大きくなり、養子として正式に王女の屋敷へ引き取られました。王女はその子をモーセ〔「引き出す」の意〕と名づけました。水の中から引き出した子だったからです。
+ やがて、モーセはりっぱに成人しました。ある日、彼が同胞のヘブル人を訪ねた時、そこで目にしたのは、あまりにもひどい苦役でした。エジプト人が一人のヘブル人をなぐっているのを見て、同胞の苦しみを知ったモーセの血が騒ぎました。自分と同じヘブル人が痛めつけられているのを見過ごしにできませんでした。
+ 急いであたりを見回し、だれも見ていないのを確かめると、そのエジプト人を殺して砂の中に隠しました。
+ 次の日もまたヘブル人を訪ねましたが、今度はヘブル人同士がけんかをしていました。「同じヘブル人なのに仲間をなぐるとは、いったいどういうつもりだ。」モーセは悪いほうの男を責めました。
+ すると男は、「何だと? よけいなお世話だ。だいたい、そういうおまえこそ何者だ。まるで王様か裁判官みたいな口をきくじゃないか。昨日のエジプト人だけでは足りず、おれまで殺そうというのか」と言いました。あんなに用心したのに、昨日したことがばれていたのです。モーセは非常に不安になりました。
+ そして、心配したとおり、エジプト人殺害の話は王の耳にも達していたのです。王は、「直ちにモーセを捕らえ、処刑せよ」と命じました。窮地に立たされたモーセは、ミデヤン(アラビヤ半島の北西部、アカバ湾東沿岸)の地へ逃げて行きました。モーセが井戸のかたわらに座っていると、
+ 父親の羊の群れに水を飲ませるために、ミデヤンの祭司の娘が七人、水をくみにやって来ました。ところが、水おけに水をくみ始めると、
+ あとから来た羊飼いたちが娘たちを追い払おうとしました。モーセは立ち上がって彼女たちを助け、羊の群れに水を飲ませてやりました。
+ 家に戻った娘たちに、父親のレウエルが尋ねました。「おや、今日はいつになく早いじゃないか。どうしたんだね。」
+ 「いつものように羊飼いたちがじゃまをしてきたのだけど、一人のエジプト人が助けてくれたの。羊飼いを追い払って、羊に飲ませる水までくんでくれたのです。」
+ 「ほほう、親切な人だな。で、その人はどこにいるのだ。ちゃんとお連れしたのかね。さあ呼んできて、お食事を差し上げなさい。」
+ モーセは、レウエルから彼のもとにとどまってほしいと言われ、申し出を受け入れることにしました。レウエルは、娘の一人チッポラを妻としてモーセに与えました。
+ やがて男の子が生まれ、ゲルショム〔「外国人」の意〕と名づけました。モーセが、「私はこの国では外国人だ」と言ったからです。
+ 何年かして、エジプトの王が死にました。しかし、イスラエル人の重労働は少しも変わりませんでした。相変わらず奴隷として酷使され、うめき苦しんでいました。その苦しみに耐えかねて、泣きながら神に助けを求めました。その叫びは天に届き、
+ 神は、子孫をカナンの地に連れ戻すという、アブラハム、イサク、ヤコブへの約束を思い起こしたのです。
+ 神は天から一部始終をごらんになり、イスラエル人を救い出す時がいよいよ来たと考えました。
+
+
+ ある日モーセは、ミデヤンの祭司であるしゅうとイテロ〔別名レウエル〕の羊の群れの番をしていました。砂漠のはずれにある神の山ホレブ(シナイ山)に近い所です。
+ と、突然、柴の燃える炎の中に、主の使いが現れました。よく見ると、柴には火がついているのに、いつまでも燃え尽きません。
+ 「いったい、どういうことだろう。」不思議に思いながら、そばに近寄りました。その時です。神が燃える柴の中からモーセに呼びかけました。「モーセ、モーセ。」「は、はい。どなたでしょう。」
+ 「それ以上近寄ってはならない。くつを脱ぎなさい。あなたが立っている場所は聖なる地だ。
+ わたしはあなたの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。」モーセはあわてて顔を覆いました。
+ 主は続けて語りました。「わたしの民が、エジプトで非常な苦しみを受けているのを見た。無慈悲な監督のむちを取り除いてほしい、と叫んでいる声を聞いた。
+ わたしは彼らをエジプト人の手から救い出す。エジプトから助け出し、乳とみつの流れる国、広々とした美しい国へ連れて行こう。今は、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人が住んでいる地である。
+ 今こそイスラエル人の嘆きがよくわかった。苦役に明け暮れ、エジプト人に酷使されている。
+ そこで、あなたをエジプトの王ファラオのもとへ遣わそう。わたしの民をエジプトから助け出すのだ。」
+ 「そんな大それた仕事など、とても私にはできません。」モーセは思わず叫びました。
+ 「心配することはない。わたしがついている。あなたを遣わしたのがわたしだという証拠に、必ずあなたとともにいよう。人々を無事エジプトから助け出したら、この山で礼拝しなければならない。」
+ 「ですが神様、イスラエル人のところへ行って、先祖の神に遣わされて来たと言ったら、きっと聞かれます。『先祖の神様とは、いったい何という名の神様だ。』その時、私はどう説明したらよいのでしょう。」
+ 「わたしは『わたしはある』(「永遠に生ける神、創造者」の意で、イスラエルの神の名。「主」のもともとの意味)という者だ。『「わたしはある」という方から遣わされた』と言えばよい。
+ そして、『あなたがたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブの神、主が私を遣わした』と言いなさい。これが永遠に変わらないわたしの名だ。」
+ 神はまた、モーセに命じました。「イスラエルの長老全員を呼び集めなさい。そして神が燃える柴の中に現れ、こう語ったと伝えるのだ。『わたしの民イスラエルがエジプトでどんなに苦しんでいるかを、この目で見た。
+ しかし、もうそんな屈辱を味わうことも、つらい労働をしいられることもない。わたしが必ず救い出す。そして、今、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人が住んでいる、「乳とみつの流れる」国へ連れて行く』と。
+ 長老たちはあなたの言うことを聞くだろうから、いっしょにエジプトの王のところへ行き、こう言うのだ。『ヘブル人の信じる神様からお告げがありました。砂漠を三日ほど行った所で、神様にいけにえをささげるようにとのことです。どうぞ出かける許可を下さい。』
+ だが、王も一筋縄ではいかない。
+ だからわたしが、いやおうなしに王が承知するようにしよう。奇跡を起こしてエジプトを懲らしめる。そのあとで、ようやく行かせることになるだろう。
+ その時には、エジプト人からたくさんの贈り物をもらえるようにする。何も持たずにエジプトを出ることは決してない。
+ 女はみな、エジプト人の主人の妻や隣人から、金、銀、宝石、美しい服を求め、それらエジプトの最上のものを息子や娘たちに着させなさい。」
+
+
+ モーセは反論しました。「あの人たちは私を信じてくれないでしょう。私の言うことなど聞くはずがありません。『神がおまえに現れたって? それはうそだろう』と言うに決まっています。」
+ 「モーセ、あなたが今、手にしているのは何か。」「羊飼いの杖です。」
+ 「地面に投げてみなさい。」そう言われて杖を投げると、たちまち蛇に変わったではありませんか。モーセは驚いて、あとずさりしました。
+ すかさず主は命じました。「蛇のしっぽをつかみなさい。」言われたとおりにすると、蛇は手の中で、また杖に戻りました。
+ 「みなの前で、今と同じことをして見せるのだ。そうすれば、あなたを信じるだろう。そして、先祖アブラハム、イサク、ヤコブの神が、ほんとうにあなたに現れたのだと納得するだろう。
+ 今度は、手をふところへ入れなさい。」また言われたとおりにして手を出してみると、なんとツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)にかかり、彼の手は雪のように白くなっていました。
+ 「もう一度ふところへ入れなさい。」すると不思議なことに、ツァラアトはすっかり治っていました。
+ 「たとえ最初の奇跡を信じなくても、二番目の奇跡は信じるだろう。
+ それでもまだ信じなかったら、ナイル川の水をくんで地面に注ぎなさい。水は血に変わるだろう。」
+ しかし、モーセはなおも食い下がりました。「主よ、私はとても口べたです。うまく話ができたためしがありません。こうしてお話ししていても、思うように物が言えません。すぐにつかえてしまうのです。」
+ 「人間の口を造ったのはだれか。神であるわたしではないか。人が話せたり話せなかったり、目が見えたり見えなかったり、耳が聞こえたり聞こえなかったりするのは、だれの力によることか。
+ さあ、ぐずぐず言わず、わたしの言うとおりにしなさい。はっきり話せるように助け、何を話すかも教えよう。」
+ それでも、モーセは心を決めかねて言いました。「主よ、お願いです。だれかほかの人を遣わしてください。」
+ 主は怒って、答えました。「もうよい。あなたの兄アロンは話すのが上手だ。ちょうど今、彼はあなたを捜しに来るところだ。あなたを見つけたら大喜びするだろう。
+ わたしが言うことを彼に教え、代わりに話してもらうがいい。二人ともうまく話せるようにわたしが助け、しなければならないことはすべて教える。
+ 彼はあなたの代わりに語る。あなたはわたしの代わりに、語るべきことを彼に告げるのだ。
+ そして、あの奇跡を行うために、杖を持って行くのを忘れてはならない。」
+ モーセは家に帰り、義父のイテロに相談しました。「お許しいただければ、エジプトに帰って親類を訪ねたいのですが……。まだ生きているかどうかさえ、わからないのです。」「遠慮はいらない。行っておいで。」イテロは快く承知しました。
+ いよいよミデヤンの地を出発するという時、主はモーセに告げました。「エジプトへ帰るのを恐れてはならない。あなたを殺そうとしていた者たちは、みな死んだ。」
+ モーセは妻と息子たちをろばに乗せ、エジプトへ帰りました。手には、あの奇跡を行った神の杖がしっかり握りしめられていました。
+ 主はモーセに言いました。「エジプトに帰ったらファラオのところへ行き、教えたとおり奇跡を行いなさい。だが彼は強情を張って、すぐにはイスラエル人の出国を認めないだろう。わたしがそうさせるのだ。
+ その時はファラオにこう言いなさい。『主はこう言われます。「イスラエルはわたしの長男である。
+ 彼らがエジプトを出てわたしを礼拝できるようにせよと、わたしはあなたに命じたが、あなたは拒否した。その罰に、あなたの長男を殺す」と。』」
+ 旅の途中、モーセはある所で一夜を過ごすことになりました。その時、不意に主が現れ、今にもモーセを殺そうとしました。
+ 妻のチッポラはとっさに火打ち石をつかみ、自分の息子の包皮を切り取り、割礼を施しました。それから、切り取った息子の包皮をモーセの両足につけ、「あなたは私にとっての血の花婿です!」と叫びました。それで主は、モーセに手をかけるのをやめました。
+ さて、主はアロンに、「荒野へ行ってモーセに会いなさい」と言いました。アロンは神の山ホレブ(シナイ山)まで出かけ、モーセと会い、再会を喜び合いました。
+ モーセはアロンに、主が自分たち二人に、これから何をし、何を語るよう命じられたのかを伝えました。もちろん、エジプトのファラオの前で行わなければならない奇跡のことも話しました。
+ モーセとアロンはエジプトへ行き、イスラエル人の長老たちを集めて会合を開きました。
+ アロンは、主がモーセに語ったことをみなに話し、モーセがみなの目の前であの奇跡を行ったので、
+ 長老たちは二人の話を信じました。一同は、主が人々の苦しみをごらんになり、救い出そうとしていることを聞いて大喜びし、その場にひざまずいて主を礼拝しました。
+
+
+ その後、モーセとアロンはファラオに会いに行きました。「私どもはイスラエルの神、主のお告げを持ってまいりました。『わたしの民を行かせよ。荒野で聖なる祝宴を張り、わたしを礼拝させるためだ』とのことです。」
+ 「ふむ、そうか。だが、どうしてこの私が、その主とやらの言うことを聞いて、イスラエル人たちを行かせなければならないのだ。主とはいったい何者だ。聞いたこともない。いちいち、そんなお告げなどに取り合ってはいられない。イスラエル人たちは絶対に行かせない。」王はきげんをそこねたようです。
+ しかし、アロンとモーセも引き下がりません。「ヘブル人の神様が私どもに現れたのです。私どもは荒野を三日行った所で、主にいけにえをささげなければなりません。もし神様に従わなければ、病気で死ぬか、さもなければ剣で殺されるかです。」
+ 「ええい、いいかげんにしないか! おまえたちは自分をだれだと思っているのだ。イスラエル人にはそれでなくても仕事が山ほどある。その仕事を放り出させるつもりか。おまえたちも余計なことに口出ししないで、仕事に戻れ!」王は激高して言いました。
+ その日、王は腹立ちまぎれに、イスラエル人を使う監督と配下の人夫がしらに命令を出しました。
+ 「以後れんが作り用のわら(れんがに混ぜていた)を彼らに与えてはならない。自分で取りに行かせるのだ。しかも、生産割り当ては一個たりとも減らすな。荒野へ行って自分たちの神にいけにえをささげたいなどとぬかすのは、暇を持て余しているからだ。
+ どんどん仕事をさせて、へとへとになるまでこき使え。モーセやアロンのうそっぱちな話を聞いていると、どんな目に会うか、思い知らせてやるのだ。」
+ 監督と人夫がしらは、さっそくそれを全員に伝えました。「王様の命令によって、これからはわらを渡さないことになった。自分で探せ。ただし、れんがは前と同じだけ作るのだぞ。」
+ そこで、イスラエル人たちはあちこちに出かけて行って、必死でわらを集めました。
+ それでも監督は容赦しません。「一日分の仕事は前と同じにちゃんとやれ。言いわけは許さん!」ときびしく要求し、
+ イスラエル人の人夫がしらたちを打ちたたきました。「昨日の割り当て分を作らなかったな。今日も数が足りないぞ、怠け者めが。命令どおりに働け。」
+ 人夫がしらたちは思い余って、ファラオのところへ嘆願に行きました。「王様、お願いでございます。こんなひどいやり方は、もうやめさせてください。
+ わら一本もらわず、前と同じ数のれんがを作るのはむりです。私たちが悪いわけでもないのに、しょっちゅうむち打たれるのはかないません。こんな理屈に合わない仕事をさせる監督が悪いのです。」
+ しかし、ファラオは相手にしません。「いいや、おまえたちは暇すぎるのだ。そうでなければ、『主にいけにえをささげに行かせてほしい』などとぬかすはずがない。
+ さあ、さっさと仕事に戻れ。わらは一本も渡さないぞ。れんがの割り当ても減らさない。今までどおり、きちんと持って来い。」
+ もう、どうにもなりません。人夫がしらたちは頭をかかえ込みました。
+ 途方にくれて外に出ると、モーセとアロンが待っていました。彼らは二人の姿を見ると、
+ 無性に腹が立ち、思いっきりののしりました。「ファラオやエジプト人からこんなひどい仕打ちを受けることになったのも、元はと言えばおまえたちのせいだ。まるで、われわれを殺させるための口実を与えたようなものだ。二人とも主のさばきを受けるがいい。」
+ モーセも気持ちが収まりません。主のもとに戻って抗議しました。「主よ、どうしてご自分の民なのに、こんなひどい取り扱いをなさるのですか。私が来たのは、いったい何のためでしょう。
+ あなたの命令をファラオに伝えてからというもの、事態はよくなるどころか、ますます悪くなるばかりです。それなのにあなたは、いっこうに救いの手を差し伸べてくださらないではありませんか。」
+
+
+ 主はモーセに言いました。「わたしがしようとしていることは、そのうちわかる。王はどうにもならなくなってから、ようやくわたしの民を行かせるだろう。その時には、行くのを許すというより、むしろ国から追い出さないわけにはいかなくなるのだ。
+ わたしはアブラハム、イサク、ヤコブに現れた全能の神、主である。もっとも、彼らには主という名ではわたしを知らせていなかったが……。
+ わたしは彼らと聖なる契約を結んだ。彼らと子孫とに、彼らが当時住んでいたカナンの地を与えると約束した。
+ 今、イスラエル人がエジプト人の奴隷となってうめき苦しんでいるのが、よくわかった。そして、昔の約束を思い起こした。
+ だから人々に、主が必ず救い出すと伝えなさい。見ているがいい。わたしは大きな力をふるい、みわざを行う。彼らを奴隷の鎖から解き放ち、自由にする。
+ 彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。彼らは、エジプトから救い出したのがわたしであることを知る。
+ アブラハム、イサク、ヤコブに与えると約束した地に、わたしは彼らを連れて行く。その地はわたしの民のものとなるのだ。」モーセは、主から聞いたとおり人々に伝えました。しかし、もうだれも耳を傾けようとしませんでした。彼の言うことを聞いてひどい目に会ったため落胆していたのです。
+ 主はまた、モーセに語りかけました。「さあもう一度、ファラオのもとへ行き、イスラエル人を行かせるように言いなさい。」
+ しかし、モーセは素直に従えません。「主よ、同胞のイスラエル人でさえ、もう私の言うことを聞こうとしないのです。まして、ファラオが聞くはずがありません。それにだいいち、私は口べたなのです。」
+ 主はモーセとアロンに再び、イスラエルの民とファラオにもう一度話し、イスラエル人の出国を要求しなさいと命じました。
+ 彼らの家系の長は次のとおりです。イスラエルの長男ルベンの子は、エノク、パル、ヘツロン、カルミ。
+ シメオンの子は、エムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ツォハル、サウル〔母親はカナン人〕。
+ レビの子の家系は、ゲルション、ケハテ、メラリ。レビは百三十七歳で死にました。
+ ゲルションの子は、リブニ、シムイの氏族。
+ ケハテの子は、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエル。ケハテは百三十三歳で死にました。
+ メラリの子は、マフリ、ムシ。以上がレビの一族の家系です。
+ アムラムは父親の妹ヨケベデと結婚しました。その子がアロンとモーセです。アムラムは百三十七歳で死にました。
+ イツハルの子は、コラ、ネフェグ、ジクリ。
+ ウジエルの子は、ミシャエル、エルツァファン、シテリ。
+ アロンは、アミナダブの娘でナフションの妹エリシェバと結婚しました。彼らの子は、ナダブ、アビフ、エルアザル、イタマル。
+ コラの子は、アシル、エルカナ、アビアサフ。これがコラの一族です。
+ アロンの子エルアザルは、プティエルの娘と結婚しました。その子の一人がピネハスです。以上がレビ族の長とその氏族に属する家族の名です。
+ この中のアロンとモーセの二人が、「イスラエル人を一人残らずエジプトから救い出せ」と、主から命令を受けたのです。
+ 彼らはファラオのところへ行き、イスラエル人をエジプトから去らせるようにと要求しました。
+ 二人はまた、「わたしが主である。行って、わたしの言うことをみなファラオに伝えよ」という命令も受けました。
+ その際モーセは、「私にはできません。口べたなのです。どうして彼が、私などの言うことを聞くでしょう」と答えました。
+
+
+ 主はモーセに言いました。「あなたをわたしの使者として、エジプトの王ファラオのもとへ遣わす。兄アロンがあなたの代わりに話す。
+ あなたはわたしから聞いたとおりをアロンに話し、それを彼がファラオに伝えればよい。イスラエル人をエジプトから行かせるように要求するのだ。
+ ファラオは簡単には承知しないので、わたしはエジプトで数々の奇跡を行う。
+ それでも、彼はなかなか言うことを聞かないだろう。そこで最後に、大きな災いを送って痛めつけ、そのあとで、わたしの民を救い出す。
+ その力を目の当たりにする時、エジプト人は、わたしがほんとうに主であることをはっきりと知るだろう。」
+ モーセとアロンは、主の命令どおりにしました。
+ その時、モーセは八十歳、アロンは八十三歳でした。
+ 主はさらにモーセとアロンに言いました。
+ 「ファラオは、神から遣わされた証拠に奇跡を見せろと要求するだろう。その時、アロンはこの杖を投げるのだ。それはすぐさま蛇に変わる。」
+ モーセとアロンは宮殿に出かけて行ってファラオと面会し、奇跡を行いました。主に教えられたとおり、ファラオをはじめ居並ぶ家臣たちの前でアロンが杖を投げると、たちまち蛇になったのです。
+ 王も負けじと、魔術を行う呪術師を呼び寄せ、彼らも魔法で同じことをしました。
+ 彼らの杖も蛇に変わりましたが、その蛇はアロンの蛇にのみ込まれてしまいました。
+ それでもファラオは、頑としてモーセの言うことを聞こうとしません。
+ 彼は強情で、イスラエル人の出国はあくまで許さないだろうと、主が言ったとおりでした。
+ しかし、主はなおも命じます。「がっかりしてはいけない。朝になったら、またファラオのところへ行きなさい。彼は川へ水浴びに行くから、この前、蛇に変わった杖を持って、岸で待っているのだ。
+ 彼に会ったなら、こう言いなさい。『ヘブル人の神、主が私を遣わして、「荒野で神を礼拝できるように民を行かせなさい」と言われました。しかしこの前は、私の言うことを聞こうともしませんでした。
+ 今、主はこう言われます。「今度こそ、わたしが神であることを必ず思い知ろう。モーセに杖でナイル川の水を打てと命じると、川は血に変わるからだ。
+ 魚は死に、水は臭くなり、エジプト人はナイルの水を飲めなくなる」と。』」
+ 主のことばはさらに続きます。「エジプト中のあらゆる水を杖で指すよう、アロンに言いなさい。そうすれば、川、運河、沼地、池から、家の中の鉢や水差しにくんだ水まで、みな血に変わる。」
+ そこで、モーセとアロンは命じられたとおりにしました。ファラオと家臣たちの目の前で、アロンが杖でナイル川の水面を打ちました。と、どうでしょう。ナイルの水はみるみる真っ赤な血に変わったのです。
+ 魚は死に、水は臭くなって、とても飲むことはできません。国中が血であふれました。
+ しかしエジプトの魔術師たちも、秘術を用いて水を血に変えて見せたので、ファラオはかたくなな心を変えず、モーセとアロンには耳を貸そうとしませんでした。やはり主が言ったとおりです。
+ ファラオは何事もなかったように、平然と宮殿へ帰りました。
+ エジプト人は飲み水を手に入れるため、川岸に沿って井戸を掘りました。ナイル川の水が飲めなかったからです。
+ さて次の週のことです。
+
+
+ 主はモーセに言いました。「もう一度、ファラオのところへ行って警告しなさい。『主はこう言われます。「わたしの民が行ってわたしを礼拝するのを拒んではならない。
+ もし行かせないなら、かえるの大群を発生させて国の端から端まで、かえるだらけにする。
+ ナイル川はかえるであふれ、家の中まで跳び込んで来る。寝室もベッドも、家中かえるで足の踏み場もなくなる。かまどや粉をこねる鉢にまで入り込む。エジプトはかえるで埋め尽くされるだろう。」』」
+ そして、こう続けました。「杖をエジプト中の川や水たまりに向けるよう、アロンに命じなさい。この国の隅々までかえるであふれる。」
+ アロンが言われたとおりにすると、エジプトはかえるであふれ返りました。
+ しかし、魔術師たちも手をこまねいてはいません。秘術を使って、同じようにかえるを生じさせました。
+ 困り果てたファラオは、モーセとアロンを呼びました。「かえるを何とかしてくれ。もうたくさんだ。おまえたちの神に頼んでくれ。かえるさえいなくなったら、おまえたちをこの国から出してやろう。神でも主でも、好きなように拝みに行くがよい。」
+ 「ありがたいことです。それで、いつ出発できますか。その日が決まりしだい、さっそく祈りましょう。お望みの時に、ナイル川のかえるを残して、かえるは一匹残らず死にます。」
+ 「よしわかった。明日にでも。」「けっこうです。おっしゃるとおりにしましょう。その時、私たちの神、主のような方はほかにいないことが、よくおわかりになるでしょう。
+ ナイル川にいるかえるのほかは、みな死にます。」
+ モーセとアロンはファラオの前から下がりました。モーセがかえるのことを主にお願いすると、
+ そのとおりになりました。田舎といわず町といわず、家の中までもいたかえるは死に絶えて、死骸でいっぱいになりました。
+ あちこちに山と積み上げられた死骸から、吐き気をもよおすような悪臭がぷんぷんにおってきます。
+ ところが、かえるが死んでしまうと、ファラオはまた強情になり、約束を破って、イスラエル人を行かせないことにしました。主が予告したとおりでした。
+ 主はまた、モーセに言いました。「地面のちりを杖で打つよう、アロンに命じなさい。エジプト中のちりは、ぶよになる。」
+ 二人は命じられたとおりにしました。すると、ぶよが大発生し、エジプト人と家畜に取りつきました。
+ 魔術師たちも同じことをしようとしましたが、今度は失敗しました。
+ 「これはまさしく神のわざです。」魔術師たちはファラオに叫びました。しかし、ファラオはますますかたくなになるばかりで、それにも耳を傾けようとしませんでした。まさに神が予告したとおりでした。
+ 次に主はモーセに命じました。「明日の朝早く起きなさい。王が水浴びに川へ来るから、その時こう告げなさい。『主はこう言われます。「わたしの民が礼拝しに行くのを許しなさい。
+ もし許さないなら、エジプト中にあぶの大群を発生させる。家々はあぶだらけになり、地面もあぶで見えなくなる。
+ しかし、イスラエル人が住むゴシェンの地には、そういうことはない。あぶは一匹も出ない。こうして、わたしが全地を支配する神、主であることをあなたは知る。
+ あなたの民とわたしの民とを、はっきり区別するからだ。これらのことはみな、明日起こる」』」
+ 神がそのとおりにしたので、王の宮殿にもエジプトのどの家にも、恐ろしいあぶの大群が現れました。
+ あわてたのはファラオです。急いでモーセとアロンを呼びつけました。「わかった、わかった。おまえたちの好きにするがいい。自分たちの神にいけにえをささげるのもよかろう。ただし、この国の中においてだ。荒野へ出かけることは許さない。」
+ 「おことばを返すようですが、それはだめです。私たちがささげるいけにえは、エジプトではたいへん嫌われているものです。そこでいけにえをささげたら、私たちのほうが殺されかねません。
+ 神様の命令どおり、三日ほど旅をして、荒野でいけにえをささげなければなりません。」
+ 「もう好きにしろ。ただ、あまり遠くへ行ってはならない。それよりも、急いで、私のためにも祈ってくれ。」
+ 「わかりました。あぶの大群がいなくなるよう、神様にお願いしましょう。ですが、また気が変わって約束を破るようなまねは、二度となさらないでください。」
+ モーセはファラオの前から退き、あぶがいなくなるようにしてくださいと主に願いました。
+ 主はその願いどおりにし、あれほどのあぶの大群がすっかり姿を消し、どこにも見えなくなったのです。ところが、心配がなくなると、王はまたまた強情になり、イスラエル人を行かせようとはしませんでした。
+
+
+ 主はまた、モーセに命じました。「ファラオのところに戻り、こう言うのです。『ヘブル人の神、主が要求する。神の民がいけにえをささげに行くことを許しなさい。
+ もし拒否したら、
+ わたしは恐ろしい疫病をはやらせよう。馬やろば、らくだ、羊の群れ、牛の群れなど、家畜は全滅する。
+ ただし、死ぬのはエジプト人の家畜だけだ。イスラエル人の牛や羊は、一頭も被害を受けない。』」
+ 主は、翌日すぐこのことを行うと宣告し、
+ 実際そのとおりになりました。明くる朝、エジプトの家畜がばたばた倒れ始めたのです。しかし、イスラエル人の家畜は病気にさえなりません。
+ ファラオは使いをやり、イスラエル人の家畜が一頭も死なないというのはほんとうかどうか調べましたが、間違いありませんでした。それでも、やはり彼の気持ちは変わらず、イスラエル人を行かせようとはしませんでした。
+ そこで、主はモーセとアロンに命じました。「かまどからたくさんのすすを取り出し、モーセはファラオの目の前でそれを空にまき散らしなさい。
+ それは細かなちりとなってエジプト中に散らばり、人と動物の区別なくどこにでもつき、できものとなる。」
+ 二人はすすを取ってファラオのもとへ行き、彼の目の前で、モーセが空に向かってまきました。すると、それはエジプト中の人間と動物にはりつき、できものができてうみが出ました。
+ 魔術師たちにもできものができ、とてもモーセの前に出られません。
+ しかし主は、ファラオが強情を張るままにさせたので、彼は神の命令に従おうとはしませんでした。主がモーセに予告したとおりです。
+ それから、主はモーセに命じました。「朝早く起きてファラオの前に立ち、こう言いなさい。『ヘブル人の神、主は次のように言われます。「わたしの民を行かせ、わたしを礼拝させなさい。
+ 今度は、あなたをはじめ、あなたの家臣そしてエジプト中の人間が、骨身にこたえるような災害を起こす。この世界にわたし以外に神がいないことを教えるためだ。
+ これまでも、あなたたちを滅ぼそうと思えば滅ぼすことができた。
+ そうしなかったのは、わたしの力を、あなたと全世界にはっきり示したかったからだ。
+ それなのにあなたは、わたしに対抗できるとうぬぼれている。それで、わたしの民を行かせないと強情を張っているのだ。
+ それもよいが、明日の今ごろ、わたしはこの国全体に雹を降らせる。エジプトの国が始まってからこのかた、だれも経験したことがないような雹だ。
+ 急いで家畜を小屋へ入れなさい。野にいるものは、人間も動物もみな、雹に打たれて死ぬ。」』」
+ エジプト人の中には、この警告を聞いて恐れ、家畜や奴隷を家に入れた者もいました。
+ しかし、主のことばなど心にとめない者たちは、「雹ぐらい何だ」とたかをくくっていました。
+ 主はモーセに命じました。「天を指さしなさい。すると、雹がエジプト全土に降る。人間、動物、木、ありとあらゆるものの上に降る。」
+ モーセが杖を天に向けて伸ばすと、たちまち雷が鳴り、いなずまが走り、雹が激しく降り始めました。
+ その激しさは、とてもことばでは表現できないくらいで、エジプト史上、これほどの嵐はありませんでした。
+ エジプトはまたたく間に荒廃し、野外にいたものは人間も動物もすべてが死に絶え、木々は引き裂かれ、作物もなぎ倒されました。
+ その日、エジプトの中で、雹が降らなかったのは、イスラエル人が住むゴシェンの地だけでした。
+ ファラオはモーセとアロンを呼びにやりました。「私が間違っていた。おまえたちの主の言われるとおりだ。私も私の民も悪いことをした。
+ この恐ろしい雷と雹を何とかしてくれ。早くやむよう、主に願ってくれ。すぐにでも、おまえたちを立ち去らせることにするから。」
+ 「けっこうです。町を出たらすぐ、私は両手を主に差し伸べて祈りましょう。雷と雹は必ずやみます。主は地を支配しておられるのです。あなたはそれをごらんになります。
+ しかし、なお、あなたは主の命令には従わないでしょう。家臣がたも同じです。」
+ この時すでに、亜麻と大麦は壊滅状態でした。大麦は穂を出し、亜麻もつぼみをつけていたからです。
+ 小麦と裸麦はまだ穂が出ていなかったので、全滅を免れました。
+ モーセはファラオの前から退き、町の外に出て両手を高く天に伸べました。すると、雷と雹はピタリとやみ、雨もすっかり上がりました。
+ それを見て、ファラオと家臣たちはまたかたくなになって、今度も約束を破りました。
+ 神が予告したとおり、イスラエル人の出国を許さないことにしたのです。
+
+
+ 主はモーセに言いました。「再び王のところへ行って要求しなさい。しかし、承知しないだろう。わたしがそうさせるからだ。それは、彼らの間で奇跡を通して、わたしの力をさらに見せるためであり、
+ わたしが主であることをあなたがたが知るためである。わたしがエジプトでどんなことを行ったか、あなたの子どもや孫たちに語り伝えなさい。」
+ モーセとアロンはもう一度、ファラオに会見を申し入れました。「ヘブル人の神、主が言われます。『いつまであなたは、わたしの言うことに逆らうのだ。わたしの民がわたしを礼拝できるよう、行かせなさい。
+ もし行かせないなら、明日いなごの大群を送る。国中がいなごで覆われ、地面を見ることさえできなくなる。雹の害を免れた作物も、今度ばかりは助からない。
+ 宮殿も役人たちの家も、エジプトの家という家は全部いなごで満ちる。エジプトの歴史上、だれも体験したことのない災害になるだろう。』」そう言いきると、モーセはファラオの前から出て行きました。
+ 心配になった家臣たちは、ファラオに願い出ました。「王様、私たちを滅ぼすおつもりですか。それでなくとも、エジプトは雹にやられて、すっかり荒れ果ててしまいました。もうたくさんです。彼らが行きたいと言うなら、どうぞ行かせてください。主とかいう神でも何でも、好きなように礼拝させてやってください。」
+ モーセとアロンは、王のもとに呼び戻されました。「おまえたちの言い分はわかった。出かけて行って、おまえたちの神、主に仕えるがよかろう。だが、行きたがっているのは、実際のところだれなのか。」
+ モーセが答えました。「若い者も年寄りもみなです。息子、娘、羊や牛の群れも、すべて連れて行きます。一家をあげて、この聖なる巡礼に参加するのです。」
+ すると王は、憤慨して言いました。「何だと? 神にかけて、子どもたちを連れて行くことは許さん。おまえたちの計略は見えすいている。
+ 全員行くなど決して許さん。大人の男だけが出かければすむことだ。もともとそういう話ではなかったのか。」二人は王の前から追い払われました。
+ 主はモーセに命じました。「あなたの手をエジプトの国に差し伸べなさい。いなごが出て来て国中を覆い、雹の害を免れた物を食い尽くそう。」
+ モーセが杖を上げると、神はまる一昼夜、東風を吹かせました。朝になると、東風がいなごの大群を運んで来ました。
+ いなごはエジプト全土の隅々まで埋め尽くしました。エジプト史上、これほどのいなごの大群は、後にも先にも一度も見ないものでした。
+ いなごが全地を覆ったので、太陽の光もさえぎられて薄暗くなりました。雹の害を免れた作物は全部いなごに食べられてしまいました。エジプト中の木や草が食い尽くされ、緑のものは何一つ残りませんでした。
+ ファラオはあわてて、急いで使いをやり、モーセとアロンを呼んで言いました。「おまえたちの神、主とおまえたちとに悪いことをした。すまなかった。
+ もう一度だけ私の罪を赦してほしい。主に祈ってくれ。このままでは死んでしまう。今度こそ約束を守るから。」
+ モーセは王のところから出て行き、神に願いました。
+ すると強い西風が吹き始め、いなごを紅海まで運び去ったので、エジプトには、いなごは一匹もいなくなりました。
+ しかし主は、またもファラオの心をかたくなにしたので、今度も彼はイスラエル人を行かせませんでした。
+ 主はモーセに命じました。「あなたの両手を天に向けて伸ばしなさい。暗闇がエジプトを覆い、光は一筋もささなくなる。」
+ モーセは言われたとおりにしました。すると、エジプトは三日間、漆黒の暗闇に覆われました。
+ あまりの暗さに身動きさえできません。ただイスラエル人の住んでいた所だけは、光がさしていました。
+ ファラオはまたまたモーセを呼びました。「早く出て行ってくれ。行って主を礼拝するがいい。ただし、羊と牛の群れは置いて行け。妻子は連れて行ってかまわない。」
+ 「おことばを返すようですが、それは承知できません。あなたご自身も私たちの手にいけにえを与え、私たちの神、主にいけにえをささげなければならないのです。
+ 一頭でも残して行くわけにはまいりません。神様には動物のいけにえをささげなければならず、向こうへ着くまでは、神様がどの動物をお選びになるかわかりません。ですから、すべて連れて行きます。」
+ これを聞いて、ファラオはまた心を固くしました。神がそうされたのです。「そんな勝手を言うなら行かせてやるものか」と彼は思いました。
+ 「ええい、下がれっ! おまえの顔など二度と見たくもない。」彼は怒りをあらわにして言いました。「よく覚えておけ。今度、私の前に姿を現したら生かしておかない。」
+ 「けっこうです。私も二度とお目にかかるつもりはありません」とモーセは答えました。
+
+
+ ついに主はモーセに命じました。「いよいよ、これが最後だ。ファラオとエジプト人たちを徹底的に打つのだ。そのあとでファラオはようやく、あなたがたの出発を認めるだろう。いや、むしろ早く出て行かせたくて追い立てるだろう。
+ その時は、遠慮はいらない。エジプト人の隣人に金や銀の高価な飾り物を要求するのだ。今からその心備えをしておくよう、イスラエル人全員に伝えなさい。」
+ これは、エジプト人がイスラエル人に好意を示すよう、主が計ったからです。モーセ自身、エジプトではファラオの家臣や国民に尊敬されていました。
+ モーセはファラオに宣言しました。「主はこう言われます。『真夜中ごろ、わたしはエジプトを通り過ぎる。
+ その時、王位を継承する王子から奴隷の長男に至るまで、エジプトの家々の長男はみな死ぬ。家畜の初子も同じだ。
+ 嘆き声が全土に響き渡るだろう。いまだかつてなかったような、これからも二度とないような悲痛な叫びだ。
+ しかし、イスラエル人とその家畜には犬がほえることすらない。こうして、エジプト人とイスラエル人とははっきり区別される。』
+ あなたの家臣たちはその時、私のところに来てひれ伏し、『どうか今すぐ出て行ってください。イスラエル人は一人残らず連れ出してください』と言うでしょう。そのあと私は出て行きます。」モーセは怒りに燃え、言うべきことを言うと、宮殿から出て行きました。
+ モーセは、前もって主から言われていました。「ファラオはあなたの言うことを聞き入れないだろう。そのため、わたしは大きな奇跡を行い、わたしの力を十分示すようになる。」
+ そういうわけで、モーセとアロンが数々の奇跡をファラオの目の前で行ったにもかかわらず、神はファラオの心をかたくななままにしておかれ、イスラエル人の出国をなかなか許そうとはしなかったのです。
+
+
+ さて、主はモーセとアロンに言いました。
+ 「これから今月をユダヤの一月(太陽暦の三月中旬から四月中旬)とし、一年で最も重要な月とする。
+ イスラエル人全員にこう布告しなさい。毎年この月の十日に、家族ごとに子羊を一頭用意しなければならない。家族が少人数で食べきれないときは、近所の少人数の家族と分け合ってもよい。家族の人数によってどうするか決めなさい。
+ 用意するのは、羊かやぎの傷のない一歳の雄でなければならない。
+ まず、この月の十四日の夕方に子羊をほふる。
+ 次に、その血を家の戸口の二本の門柱とかもい(門扉の上の横木)に塗る。血は、その家で食べる子羊のものを使うこと。
+ その夜は家族全員で、丸焼きにした子羊の肉を、種なしパン(イースト菌を入れないで焼くパン)、苦味のある野草といっしょに食べなければならない。
+ 肉は生で食べたり煮たりするのではなく、必ず焼くこと。頭、足、心臓、肝臓もつけたまま丸焼きにする。
+ どの部分も、翌日まで残しておいてはならない。夜のうちに食べきれなかったら焼却しなさい。
+ 長い旅に備えて旅仕度のまま食べなさい。くつをはき、杖を持ったまま急いで食べなさい。以後これは『主の過越』と呼ばれる。
+ 今夜わたしがエジプトを通り過ぎ、エジプトの家々の長男と家畜の初子とを殺し、エジプトの神々にさばきを下すからだ。わたしは主である。
+ 戸口の門柱とかもいに塗った血は、わたしに従うというしるしだ。エジプトの地を打つ時も、血が塗ってある家は過ぎ越そう。その家の子は安全である。
+ この夜の重大な出来事を忘れないために、毎年、記念の祭りを祝わなければならない。これは永遠に守るべき変わらない決まりとなる。
+ 祭りの期間は七日間、その間は種なしパンしか食べてはならない。この規則を破る者は、だれであろうとイスラエルから追放される。
+ 祭りの一日目と七日目に、全イスラエル人のために聖なる集会を開く。その日は、食事の準備以外はどんな労働もしてはならない。
+ この『種なしパンの祭り』を毎年行い、いつもその日を、わたしがあなたがたをエジプトから救い出した日として記念しなさい。子々孫々、この日を例祭としなければならない。
+ この月の十四日の夕方から二十一日の夕方まで、パン種を入れないパンしか食べてはならない。
+ この七日間、パン種の一かけらも家にあってはならない。その間にパン種の入ったものを食べた者はだれでも、イスラエル人の社会から追放される。同じ規則は、いっしょに住んでいる外国人にも適用される。イスラエルに生まれた者と全く同じである。
+ もう一度くり返す。この期間中はパン種を使ったものを食べてはならない。どこにいても、パンは種を入れないものだけを食事に出しなさい。」
+ モーセは、イスラエルの長老たち全員を呼び集めて言いました。「さあ、群れの中から子羊を取って来なさい。一家族に一頭、少人数の場合は数家族に一頭ずつだ。そして、神があなたがたを手にかけないで過ぎ越してくださるように、その羊をほふりなさい。
+ その血を鉢に入れ、ヒソプの枝を取って血に浸し、かもいと二本の門柱に塗りなさい。夜の間はだれも外に出てはならない。
+ 神は、エジプト中を巡ってエジプト人を打たれる。けれども、かもいと二本の門柱とに血がついている家は過ぎ越し、死の使いが入って長男を殺さないように守ってくださる。
+ これは、あなたがたばかりか、子々孫々に至るまで永遠に守るべきことだということを忘れてはならない。
+ 約束の地に入ったら、この過越の祭りをして祝いなさい。
+ その時、子どもたちが、『なぜこの祭りをするのですか』と尋ねたら、
+ こう答えなさい。『神様が私たちを過ぎ越してくださったことを記念する祭りだよ。エジプト人は殺されたが、イスラエル人は無事だった。神様は私たちを滅ぼしに家に来なかったのだよ。』」人々はみなひざまずいて礼拝し、
+ それから、モーセとアロンの指示どおりにすべて行いました。
+ その夜のこと。真夜中ごろ、ファラオの世継ぎから地下牢に入れられている捕虜の子に至るまで、エジプト人の家の長男はすべて、神の手にかかって死にました。家畜の初子も同じです。
+ ファラオやその家臣たちをはじめ、エジプト中のすべての人々が夜中に起き出し、国中に悲鳴が響き渡りました。死人の出ない家は一軒もなかったからです。
+ ファラオは、その夜のうちに、モーセとアロンを呼びました。「もうたくさんだ。早く出て行ってくれ。一人残らず、今すぐ出て行ってくれ! 主だろうが何だろうが、好きなように礼拝すればいい。
+ 羊も牛もみんな連れて、早く行ってくれ! そして出かける前に私のためにも祈ってもらいたい。」
+ エジプト人は、「このままでは、われわれまで死んでしまう」と言い、できるだけ早く国から出てもらおうと、イスラエル人をせきたてました。
+ ぐずぐずできません。イスラエル人はみな、パン種の入っていないパン生地を鉢に入れ、衣類で包んでかつぎました。
+ それから、モーセに言われたとおり、エジプト人に金や銀の飾り物と衣服を求めたのです。
+ 神はイスラエル人がエジプト人に好意を持たれるようにされたので、イスラエル人が欲しい物は何でも、自分の財産をはたいてまで譲ってくれました。
+ イスラエル人はその夜のうちにラメセスを出発し、スコテに向かいました。女性、子どもを除く男性だけで六十万人いました。
+ 一行の中には、たくさんの外国人たちも交じっていました。おびただしい数の羊や牛の家畜もいっしょでした。
+ 食事には、持って来たパン種抜きのパン生地で、パンを焼きました。あまりにあわただしく、パンがふくれるまで待っている暇がなかったからです。
+ ヤコブの息子たちとその子孫は、結局、エジプトに四百三十年の間滞在したことになります。エジプトを出発したのは、四百三十年目のちょうど最後の日でした。
+ この夜は、神がイスラエル人をエジプトから連れ出すために、特に選ばれた夜でした。毎年その日が、神の救いを記念する祭りの日となったのは、そういういきさつがあるのです。
+ 主はモーセとアロンに告げました。「過越の祭りについて次のように定める。外国人は過越の子羊を食べてはならない。
+ しかし、買い取られた奴隷は、割礼(男子が生まれて八日目にその性器の包皮を切り取る儀式)を受けていれば、食べてかまわない。
+ 雇い人や外国人寄留者は、食べてはならない。
+ 子羊を食べる者はみな、家に集まっていっしょに食べなければならない。決して家の外へ持ち出してはならない。また、骨一本も折ってはならない。
+ イスラエル人は全員、この記念日を守らなければならない。
+ 在留外国人で、過越の祭りを共に祝いたいと願う者は、男なら割礼を受けさせなさい。そのうえでなら参加してもよい。その時は、イスラエルに生まれた者と同じに扱いなさい。しかし割礼を受けていない者は、決して子羊を食べてはならない。
+ イスラエルに生まれた者にも、在留外国人にも、同じ規定が適用される。」
+ イスラエル人は、主がモーセとアロンに命じたことをみな守りました。
+ その日、主はエジプトからイスラエル人を救い出したのです。幾つもの集団が続々と国境を越えて行きました。
+
+
+ 主はモーセに告げました。「イスラエル人の長男と家畜の初子とはみな、わたしにささげなさい。それはわたしのものだから。」
+ モーセは人々に言いました。「この日こそ、永遠に記念すべき日、エジプトの奴隷の鎖から解放された日だ。主がすばらしい奇跡を起こして救い出してくださったのを、忘れないようにしよう。だから、毎年この出来事を記念する日には、パン種を使ってはならない。
+ 毎年、一月半ば(太陽暦の三月末)のこの日を、エジプト脱出の記念日としよう。今日から主があなたがたをカナン人、ヘテ人、エモリ人、ヒビ人、エブス人の国、つまり先祖たちに約束された乳とみつの流れる国へ導いてくださるのだ。
+ 七日間は、種なしパンしか食べてはならない。イスラエルの領土ではどこでも、家の中にパン種も、パン種が入ったパンもあってはならない。七日目は主のための祭りを行う。
+ 毎年その祭りのたびに、子どもたちに祭りの意味を説明しなさい。これはエジプトを脱出する時、主がどんなにすばらしいことをしてくださったかを記念する祭りだからである。
+ 毎年この一週間を記念することによって、自分たちが特別な民であることを心に刻もう。われわれが主のものだというしるしに、民の手や額に焼き印を押すようなものである。
+ この祝祭は、毎年定められた時に行わなければならない。
+ 主がずっと昔に先祖たちに約束された地、今カナン人が住んでいる地に導いてくださった時には、
+ どの家の長男も、どの家畜の初子も、それが雄であればみな主にささげなさい。それらは主のものだということを忘れてはならない。
+ ただし、ろばの初子の場合は身代わりに子羊や子やぎをささげることができる。そうしない場合はろばは殺す。しかし人間の場合、長男の身代わりをささげて、必ず買い戻さなければならない。
+ 子どもたちが将来、『これはどういう意味ですか』と聞いてきたら、こう教えなさい。『主がすばらしい奇跡を行って、私たちを奴隷生活から救い出してくださったのだよ。
+ エジプトの王はなかなか行かせてくれなかった。それで主は、エジプト中の家の長男と家畜の初子をみな殺した。だから私たちもこうして、最初の男の子は家畜も含めて、すべていけにえとして主にささげるのだ。ただ人間の場合はいけにえにするわけにいかないので、必ず身代わりのいけにえをささげて、長男を買い戻すのだよ。』
+ もう一度言おう。この祭りを守ることによって、あなたがたが主の民であることがはっきりする。神の焼き印が額に押されるのと全く同じことである。祭りを守ることによって、主の偉大な力でエジプトから救い出された出来事を、毎年新たに思い起こすのだ。」
+ このようにしてついに、エジプトの王ファラオはイスラエル人を行かせることになりました。さて、エジプトから約束の地へ行くには、ペリシテ人の地を通るのが最も近道でしたが、神は別の道を通るようにしました。人々はエジプトを出る時、一応は武装していましたが、道中ずっとペリシテ人と戦うのはつらいことです。みな勇気を失って、またエジプトへ帰ってしまうかもしれません。そこで神は、紅海を通る荒野の道へ行かせたのです。
+ モーセはヨセフの遺骨を持って出ました。神の御力によってエジプトから救い出される時には必ず持って行くようにと、ヨセフが神の前で、イスラエル(ヤコブ)の子たちに約束させたからです。この日がくることを、ヨセフは確信していたのです。
+ 一行はスコテを出たあと、荒野のはずれにあるエタムに野営しました。
+ 神が昼間は雲の柱、夜は火の柱を立て、進む道をはっきり示してくれたので、彼らは昼も夜も旅を続けることができました。
+ 雲の柱と火の柱は、その後もずっと、見えなくなることはありませんでした。
+
+
+ 神はモーセに告げました。
+ 「引き返して、ミグドルと海との間、バアル‧ツェフォンに面したピ‧ハヒロテに向かいなさい。そこの岸辺にテントを張るのだ。
+ ファラオはきっと、『イスラエル人どもは砂漠と海の間で立ち往生しているに違いない』と考えるだろう。
+ そして、またも意地になって、あとを追いかけて来る。すべてわたしの思うつぼだ。ファラオとその軍隊に、はっきりとわたしの力と栄光を見せよう。エジプト人も今度こそ、わたしが主であることを認めるようになる。」イスラエル人はそのとおりにしました。
+ 三日たってもイスラエル人がエジプトへは戻ろうとせず、そのまま逃げ出すつもりらしいという知らせが届くと、王と家臣たちはまた気が変わりました。「あの奴隷どもをみな逃がすとは、なんと愚かなことをしてしまったのだ。」
+ このまま放ってはおけないと、ファラオは戦車に跳び乗り、先頭に立って追跡の指揮をとりました。
+ あとにはエジプト戦車隊の精鋭六百と将校の戦車が続きます。
+ こうして追跡が始まりました。みすみすエジプトの富を持って行かせるのは、何としても許せません。
+ 馬、戦車、騎手、歩兵と、王の全機動部隊が追跡作戦に駆り出されました。エジプト軍は、バアル‧ツェフォンの手前、ピ‧ハヒロテの岸辺に野営していたイスラエル人に追いつきました。
+ イスラエル人が見ていると、はるかかなたからエジプト軍がやって来ます。彼らはだんだんスピードを増して近づいて来るのです。人々はすっかり震え上がり、主に助けを求めました。
+ そして、ついにはモーセに泣きごとを言うのでした。「エジプトには墓が足りないので、こんな砂漠まで連れ出して死なせようというのですか。これでは、何のためにエジプトから逃げ出したかわかりません。
+ そもそも初めからおかしいと思ったのです。だからあの時も、このまま放っておいてくれと言ったのに。こんな荒野で死ぬくらいなら、エジプトで奴隷になっていたほうがまだましです。」
+ しかし、モーセは言いました。「みんな、怖がってはいけない。今いる場所にしっかり腰をすえて、今日、主がすばらしい方法で救ってくださるのを、よく見ようではないか。あのエジプト人を見るのも、今日が最後だ。
+ 主が代わりに戦ってくださる。だから、みんなは指一本、動かす必要もない。」
+ 主はモーセに命じました。「いつまでもわたしに叫び求めないで、人々を前進させなさい。
+ 杖を海(紅海)の上に差し伸べると、水が分かれて道ができる。その乾いた土の上を歩いて海を渡りなさい。
+ わたしはエジプト人の心をかたくなにさせ、彼らにあなたがたのあとを追わせる。だがその時、ファラオとその全軍勢、戦車や騎手たちをわたしは滅ぼす。そしてわたしの栄光を現す。
+ 全エジプトは、わたしが主であることを知る。」
+ その時、いつも人々の前を進んでいた神の使いがうしろに移ったので、雲の柱も、
+ ちょうどイスラエル人とエジプト軍の間に立ちふさがるように、うしろに移りました。突然、真っ黒な雲が垂れ込めました。あたりは夜のように暗くなり、エジプト人にはイスラエル人が見えなくなってしまったのです。
+ モーセが杖を海に差し伸べると、主は海の真ん中に道を作りました。両側には水の壁がそそり立ち、強い東風が一晩中吹きつけて、海の底に乾いた地が現れたのです。
+ イスラエル人は、その乾いた道を進みました。
+ エジプト軍もあとを追ってどっと海の中の道へなだれ込みました。ファラオの馬、戦車、騎手など全部です。
+ 明け方になって、主は火と雲の柱の間からエジプトの軍勢をごらんになり、彼らを攪乱しました。
+ 車輪がはずれて、戦車は海の真ん中で、動きが取れなくなってしまったのです。「逃げろ! ぐずぐずするなっ。とてもかなわない。やつらには主がついている!」あちこちから叫び声が上がります。
+ 主はイスラエル人がみな無事に渡り終えたのを確かめると、モーセに言いました。「もう一度、手を海の上に差し伸べなさい。そうすれば水が戻って、エジプト軍の戦車と騎手に覆いかぶさるだろう。」
+ モーセはそのとおりにしました。たちまち水の壁はくずれ、海は元どおりになりました。何事もなかったように、朝日を受けて波がきらきら輝いています。エジプト軍は迫る水から逃げようとしましたが、海の中に引きずりこまれました。
+ ついさっきまで道だった所も、エジプト軍の戦車も騎手も、みな海の底に沈みました。あとを追って海に入ったエジプト軍の中でいのちが助かった者は、一人もいませんでした。
+ イスラエル人は、両側に水の壁がそそり立つ中を歩いて、海の中の乾いた地を渡ったのです。
+ こうして主はその日、イスラエル人をエジプト軍の手から救い出されました。イスラエル人は岸に流れついたエジプト人の死体を見ました。
+ 主はなんという大きな奇跡を起こして助けてくださったのでしょう。人々はあまりに大きな主の力を見て、主を恐れ、主とそのしもべモーセとを信じました。
+
+
+ その時、モーセとイスラエル人は主をたたえる歌をうたいました。「主の勝利をたたえ、心から喜び歌おう。主は馬も人も、海に投げ込んだ。
+ 主は私の力、私の歌、私の救いだ。私は、私の神、主をたたえよう。先祖の神、主をあがめよう。
+ 主は兵士。まことに主と呼ぶにふさわしい。
+ 主はエジプト王の戦車と軍勢を滅ぼした。えり抜きの将校たちもおぼれ死んだ。
+ 水にのまれ、石のように海の底へ沈んだ。
+ おお、主の右の手は力と栄光に満ち、敵を粉みじんに打ち砕く。
+ その輝かしい御力によって、主は立ち向かう敵をすべて滅ぼした。主の怒りの火は激しく、彼らはわらのように燃え尽きた。
+ 主が息を吹きかけると、水は真っ二つに分かれた! 水は壁となってそそり立ち、海を二つに分けた。
+ 敵は言った。『あとを追え。彼らを滅ぼせ。剣のえじきにし、戦利品を分け合おう。』
+ だが、それもつかの間、風が巻き上がり、海が彼らをのみ込んだ。彼らは大海に沈んだ、まるで鉛のように。
+ 主のような神がほかにいるだろうか。主のようにすばらしく、聖なる方がほかにいるだろうか。奇跡を行われる主のようにたたえられ、恐れられる神がほかにいるだろうか。
+ 主が手を伸ばすと、大地は彼らをのみ込んだ。
+ 自ら買い取った国民を、主は導いてくださった。聖なる地に優しく導いてくださった。
+ 国々はこの話を聞いておののく。ペリシテ人は恐れ、
+ エドムの王たちは驚きまどい、モアブの君たちは震え上がり、カナン人は恐怖のとりことなった。
+ だれもが驚き恐れた。主の大きな力を恐れ、敵もわれわれを襲わない。主が買い取った国民は、何の心配もなく外国人の間を通る。
+ 主はその国民を導き、神の山に植えてくださる。畏れ多くも、主ご自身の地、われわれのために備えてくださった聖なる地に。
+ 主は永遠に世界を治める。」
+ ファラオの馬と騎手と戦車が、海の中を進もうとした時、水の壁はくずれ、彼らの頭上に覆いかぶさったのです。しかしイスラエル人は、乾いた地を渡りました。
+ アロンの姉で女預言者のミリヤムが、タンバリンを手に、女たちの先頭に立って踊り始めました。
+ ミリヤムは歌いました。「主の勝利をたたえ、心から喜び歌おう。主は馬も人も海に投げ込んだ。」
+ このあとモーセは人々を率いて、紅海からさらにシュルの荒野へ出ました。三日間、水のない日が続きました。
+ やっとマラに着きましたが、水はあるものの苦くてとても飲めません。それで、マラ〔「苦い」の意〕という名がついたのです。
+ 人々はモーセに不平を言い立てました。「何とかしてくれ! のどが渇いて死にそうだ。」
+ モーセは主に助けを求めました。すると、主は彼に一本の木を示し、それを水に投げ入れなさいと命じるのです。そのとおりにすると、水は甘くなりました。このマラで、主はモーセを試みました。
+ 「もしもあなたがわたしに従い、正しいことを行うなら、エジプト人を悩ませた病気であなたが苦しまなくてすむようにしよう。わたしはあなたを癒やす主である。」
+ こうして一行がエリムに着くと、そこには泉が十二と、なつめやしの木が七十本ありました。その泉のそばで、彼らは野営しました。
+
+
+ それから、彼らはエリムを発ち、エリムとシナイ山との間に広がるシンの荒野に向かいました。荒野に着いたのは、エジプトを出た翌月の十五日でした。
+ そこでも人々は、モーセとアロンを非難しました。
+ 「ああ、エジプトにいればよかったのに。あのまま主の手にかかって死んだほうがまだましだった。あのころは、少なくとも食べ物はたっぷりあった。なのに、あなたたちはこんな荒野に私たちを連れ出し、ここでみんなを飢え死にさせようとしている。」
+ 主はモーセに言いました。「天からパンを降らせよう。毎日みんな外へ出て、その日に必要なだけ集めなさい。これは、わたしの指示を守るかどうかを見るテストにもなる。
+ ただ、六日目だけは、ふだんの二倍集めさせなさい。」
+ モーセとアロンは、人々を全員呼び集めて言いました。「あなたがたをエジプトから救い出したのは主だったということが、今日の夕方にはわかる。
+ そして朝になったら、主のすばらしさをもっとよく知ることになるだろう。不平を言ったのを、主はちゃんと聞いておられたのだ。私たちに文句を言ったつもりだろうが、私たちは取るに足りない人間なのだ。けれども、主は夕方には肉を、朝にはパンを下さると約束なさった。さあ主の前へ出て、どうお答えになるか聞くがいい。」
+ そして、アロンが一同を呼び集めると、今まで人々を先導してきた雲の柱の間から、突然、主の栄光が荒野に輝きわたりました。
+ 主はモーセに告げました。「みなの不平は確かに聞いた。わたしの返事はこうだ。『夕方には肉を、朝にはパンを満足のいくまで食べさせよう。これによって、わたしがあなたがたの神、主であることを知るようになる。』」
+ その夕方、おびただしい数のうずらが飛んで来て、宿営全体を覆いました。翌朝、テントの回りの砂漠に露が降り、
+ 露が消えると、あとには霜のような薄くて小さなものが一面に残りました。
+ 人々はそれを見て口々に、「いったいこれは何だ?」と言いました。そこで、モーセが説明しました。「これは主があなたがたに下さったパンです。
+ みんな、一人当たり一オメル(一オメルは二‧三リットル)の割で、家族に必要なだけ集めなさい。」
+ 人々は外へ出てそのパンのようなものを集めました。
+ 集めたものを量ると、ちょうど一人当たり一オメルずつあって、みなに十分行き渡りました。たくさん集めた者も余らず、少ししか集めなかった者も足りなくならず、どの家族にもちょうど必要なだけありました。
+ 「これを明日まで残しておいてはいけない。」モーセはきつく注意しました。
+ ところが中には言うことを聞かない者もいて、翌朝まで残しておいたところ、そのパンのようなものは朝になると、虫がついて悪臭を放ちました。モーセは指示を守らない者をしかりました。
+ こうして人々は毎朝、それぞれ家族の人数に応じて必要なだけ集めました。日が昇って日ざしがだんだん強くなると、それは溶けて消えてしまうのです。
+ 六日目には、ふだんの二倍に当たる二オメル(四‧六リットル)を集めました。どうして六日目だけ二倍なのか、指導者たちは不思議に思い、モーセにわけを尋ねました。
+ モーセは言いました。「主が、その翌日を休息の日と定められたからだ。その日は一日、主のことだけを考えて過ごし、日常の仕事はいっさい休まなければならない。だから、今日のうちに、明日の分まで調理しておきなさい。」
+ 今度は、次の朝になっても、虫もつかず、悪臭もなく、少しも傷んでいません。
+ モーセは言いました。「今日は、昨日取っておいた分を食べなさい。主の安息日だから、今日は外に出ても何もない。
+ 集められるのは六日間だけだ。七日目は安息日で、何も見つけることはできない。」
+ そう言われたにもかかわらず、ある者は安息日に食べ物を集めに出かけました。しかし、やはり何も見つかりませんでした。
+ 主はあきれてモーセに告げました。「いつになったら、この民は言うことを聞くのか。六日目にいつもの二倍を与えるのは、二日分の量が十分あるようにということなのがわからないのか。七日は休息の日としてわたしが与えたのだから、テントの中にいて、食べ物を取りになど外へ出たりしないようにしなさい。」
+ そこで、人々は七日目には休むようになりました。
+ この食べ物はのちに、「マナ」〔「これはいったい何だろう」の意〕と呼ばれるようになりました。コエンドロ(エジプトやパレスチナ地域に自生する一年草)の種のように白く、平べったくて、はちみつ入りのパンのような味がしました。
+ モーセはさらに、主からの指示をみなに伝えました。「記念としてマナを一オメル取っておき、主がエジプト脱出の時、荒野でどういうパンを与えてくださったか、のちの時代の人たちが見られるようにするのです。」
+ モーセはアロンに、容器を持って来て一オメル分のマナを入れ、それを主の前の聖なる場所に納めて、何代も保存するよう命じました。
+ アロンはそのとおりにしました。すべて主が命じたとおりです。やがて、それは契約の箱に納められることになります。
+ こうしてイスラエル人は、その地の作物が取れるカナンの地に着くまで四十年間、ずっとマナを食べ続けました。
+
+
+ さて、主の命令に従って、イスラエルの民はシンの荒野をあとにし、レフィディムへ旅を続けました。ところが着いてみると、また水がありません。
+ 再び、彼らの不満が爆発しました。「水はどこだ? 水をくれーっ!」彼らは騒ぎたてます。モーセは、「静かに! いいかげんにしなさい。いったいどこまで主が忍耐してくださると思っているのだ」と、彼らをしかりました。
+ しかし、のどの渇きに苦しむ彼らに効果はありません。「何だと? おまえこそ、なぜわれわれをエジプトから連れ出したんだ! 子どもたちや家畜もいっしょにこんな所まで連れて来て、あげくの果てに死なせようなんて、あんまりではないか。」
+ モーセは主に願いました。「どうしたらよいのでしょう。この人たちは、今にも私に石を投げつけて殺しかねない有様です。」
+ 主はモーセに言いました。「長老たちを連れ、あなたが先頭に立ってホレブ山(シナイ山)まで人々を導きなさい。わたしはその岩の上であなたに会う。岩をあなたの杖、ナイル川を打ったあの杖で打ちなさい。すると水があふれ出て、みなに十分行き渡るだろう。」モーセが言われたとおりにすると、水が吹き出しました。
+ モーセはその場所を、マサ〔「主を試みる」の意〕、また、メリバ〔「議論」あるいは「争い」の意〕と名づけました。この場所で人々が、「主はわれわれを助けてくれるのか、どうなのか」と言い争い、主が自分たちを生かすかどうか試みたからです。
+ さて、アマレクの戦士たちがイスラエル人に戦いを挑もうと、レフィディムへやって来ました。
+ モーセはヨシュアに、アマレク軍と戦うために人々を召集するよう命じました。そして、「私は明日、神の杖を持って丘の頂に立つ」と言いました。
+ ヨシュアとその部下はアマレク軍と戦うために出て行き、一方、モーセとアロンとフルは丘に登りました。
+ モーセが手に持った杖を差し伸べている間は、イスラエル軍が優勢に立ちましたが、腕を下げるとアマレク軍が優勢になりました。
+ モーセの腕はしびれて、とうとう棒のようになってしまいました。もうこれ以上、杖を持っていることができません。アロンとフルは、石を転がして来てモーセを座らせ、両側に立って、日が暮れるまで二人がかりで彼の腕を支え続けました。
+ こうして、ヨシュアの率いるイスラエル軍は、アマレク軍をみごとに打ち破ったのです。
+ 主はモーセに言いました。「このことを書き記して永遠に残る記録としなさい。いつまでも忘れないようにするのだ。またヨシュアに、アマレク人はわたしが完全に滅ぼし、記憶にさえ残らないようにする、と伝えなさい。」
+ モーセは祭壇を築き、それをアドナイ‧ニシ〔「主は私の旗」の意〕と呼びました。モーセは言いました。「主の旗を掲げなさい。こののち何代にもわたって、主がアマレク人と戦ってくださる。」
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+
+ やがてモーセのしゅうと、ミデヤンの祭司イテロのもとに知らせが届きました。神がご自分の民とモーセのために、どんなにすばらしいことをなさったか、どのようにしてイスラエル人をエジプトから助け出されたかを知らされたのです。
+ イテロは、家に帰されていたモーセの妻チッポラを連れ、モーセのところに来ました。
+ ゲルショム〔「外国人」の意〕とエリエゼル〔「神は私の助け」の意〕の二人の息子もいっしょでした。こういう名がついたのは、上の子が生まれた時、モーセが「私は外国をさまよう放浪者だ」と言い、次の子の時は、彼が「父祖の神は私を、エジプトの王の剣から助け出してくださった」と言ったからです。
+ 一行が来たのは、ちょうど人々がシナイ山のふもとで野営していた時でした。「私だ、イテロだよ。チッポラと孫たちを連れて、会いに来たのだ。」
+ イテロがそう伝えると、モーセは大喜びで迎えに出、あいさつを交わしました。さっそくその後の消息を尋ね合い、それからモーセのテントに入って、時のたつのも忘れるほど、心ゆくまで語り合いました。
+ モーセはイテロに、今までのことをくわしく話しました。イスラエル人を救うために、主がエジプトの王とその国民に何をされたのか、ここまで来る途中どんな問題が起こり、主がそれをどのように解決してくださったか話したのです。
+ イテロは、主がイスラエル人を心にかけ、エジプトから助け出してくださったことをたいへん喜びました。
+ 「主はすばらしい。ほんとうにおまえたちをエジプトと王の圧制から救ってくださった。イスラエル人を助けてくださったのだ。
+ われわれの信じる主のように偉大な方は、ほかにいない。今度こそ、それがよくわかったよ。あの傲慢で残忍なエジプト人から、ご自分の民を救い出されたのだから。」
+ イテロは神にいけにえをささげました。そのあと、アロンやイスラエルの指導者たちも会いに来て、みなでいっしょに食事をし、神の恵みを感謝し合いました。
+ 翌日、モーセはいつものように座って、朝から夕方まで人々の間の不平や訴えを聞いていました。
+ 全く息つく暇もありません。モーセのあまりの忙しさに驚いたイテロが聞きました。「一日中こんなに大ぜいの人が、あなたに相談しにやって来るとは。どうして、この山のような仕事を一人だけで片づけようとするのか。」
+ 「それは、難しい問題が起きると、みな私のところへ来て判断を仰ぐからです。裁判官のように、どちらが正しいか、どちらが間違っているかを決めたり、神様が求める生き方はどういうものかを教えたりします。みんなのために神のおきてを実際問題に当てはめて裁くのです。」
+ 「うむ、それはよくない。
+ こんなやり方を続けていたら、あなたのほうがまいってしまうよ。もしあなたが倒れたら、みんなはどうなってしまうだろう。 何もかも一人で片づけるには、荷が重すぎるのではないかな。
+ 余計なことかもしれないが、私の意見を聞いてもらえるだろうか。あなたはこの人たちの顧問弁護士のような存在になったらいいと思う。神様の前に立つ代理人になるのだ。彼らの問題を神様のもとに持って行って決定していただき、その決定を彼らに伝える。人々におきてを教え、正しい生活を送る原則を示すのだ。
+ そして、全員の中から有能な、神を敬う、わいろなど取らない正直な人物を探し、問題の処理に当たらせたらどうだ。千人につき一人そういう指導者を選び、その下に十人の責任者を置く。それぞれが百人の面倒を見る。さらにその下に、五十人の問題を処理する者を二人ずつ置き、その二人がまた、十人の相談相手になる者を五人ずつ受け持つ。
+ これらの人たちがいつでも問題の処理に当たって、正しく職務を果たせるようにするのだ。特に重要な問題とか難しい問題は、あなたのところへ直接持って来させるが、小さな問題は彼らに任せる。こうやって、少しずつ責任を分担すれば、あなたは今より負担が軽くなるはずだ。
+ どうだね、私の言うとおりにしてみないか。主も、きっと賛成してくださると思うが。そうすれば、どんな大変な仕事もやり抜けるだろうし、野営地の中も平穏になるだろう。」
+ モーセは、イテロの提案を受け入れることにしました。
+ すべてのイスラエル人の中から有能な人物を選び、指導者に任命しました。千人、百人、五十人、十人、それぞれのグループごとに指導者を置いたのです。
+ この人たちは、問題が起こればすぐ解決して、正しい判決を下すことができるようになっていました。難しい問題はモーセのところへ持って来ますが、小さな問題は自分たちだけで裁きました。
+ それからまもなく、しゅうとのイテロはモーセに別れを告げ、国へ帰って行きました。
+
+
+ エジプトを出てから三か月後、イスラエル人はシナイ半島に入りました。
+ レフィディムの野営地をたたみ、シナイ山のふもとに来て、そこにテントを張ったのです。モーセは神に会うため、ごつごつした岩山を登りました。すると、どこからともなく、主の呼ぶ声が聞こえました。「モーセ、人々にわたしのことばとして伝えなさい。
+ 『あなたがたはわたしがエジプト人に何をしたか見た。わしの翼に乗せるようにして、あなたがたをわたしのところへ連れて来たのを見た。
+ もし、わたしに従い、契約を守るなら、あなたがたは地上のあらゆる国々の中にあって、わたしの大切な民となる。全世界はわたしのものだからだ。
+ あなたがたは神に仕える祭司の国、聖なる民となる。』」
+ モーセは山から帰ると指導者たちを呼び集め、主のことばを伝えました。
+ 「私たちは、主がせよと言われることは、必ずそのとおり行います。」一同は口をそろえて答えました。
+ モーセがそのことばを伝えると、主はモーセに語りました。「わたしは厚い雲の中からあなたと会おう。あなたと話す時、民もわたしの声を自分の耳で聞けるようにしよう。そうすれば、彼らはいつもあなたを信じるだろう。
+ さあ、山を下りなさい。わたしが行ってもいいように、人々に準備をさせなさい。今日と明日、特別に身をきよめ、衣服を洗うように言いなさい。
+ 三日目に、わたしは人々全員が見守る中で、シナイ山に降りる。
+ 間違って人々がそこへ足を踏み入れたりしないよう、周囲に境界線を引きなさい。そしてこう言うのだ。『気をつけよ。山へ登ってはならない。境界線に触れてもいけない。万一そんなことをしたらいのちはないものと思いなさい。
+ よいか、決して手を触れてはならない。さもないと、人であろうと動物であろうと、石で打ち殺されるか、刺し殺されることになる。』雄羊の角笛が長く響き渡るのを聞くまで、山へは絶対近づかないようにしなさい。角笛が鳴ったら山のふもとに集まりなさい。」
+ モーセは山を下り、民のところに帰ると、すぐに身をきよめ、衣服を洗うように言いました。
+ 「二日後に神様がおいでになるから、準備をしなさい。男は女に近づいてはならない。」
+ いよいよ三日目です。朝から恐ろしい嵐になりました。雷は耳をつんざき、いなずまは宙を走ります。厚い雲が山に垂れ込め、雄羊の角笛のような大きな音が長く響き渡りました。あまりの恐ろしさに、人々はみな震え上がりました。
+ 神をお迎えしなければなりません。モーセは人々を促して野営地から連れ出し、全員が山のふもとに立ちました。
+ 見ると、シナイ山全体が煙に包まれています。主が山の上に、炎に包まれて下ったのです。煙は、まるで炉に燃えさかる火のように空に渦巻き、山全体が強い地震で揺れ動きました。
+ ラッパのような響きがますます大きくなる中で、モーセが語り、神の答える声は天地にとどろき渡るのでした。
+ こうして、主はシナイ山の頂上に降り、モーセを招きました。モーセは主のもとに登って行きました。
+ しかし、主はモーセに告げました。「今すぐ下り、決して境界線を越えないよう人々に警告して来なさい。主を見ようという気を起こして、ここへ来るといけないからだ。そんなことをしたらいのちはない。
+ 祭司でさえ、務めをするときは主に打たれないよう身をきよめるのだ。」
+ モーセは主に言いました。「だれ一人、山へ登って来る者はありません。あなたのきびしいご命令を、みな聞いております。あなたは山の回りに境界線を引けとおっしゃいました。あなたの場所だから人が入ってはならないと宣告するよう、お命じになったからです。」
+ 主は彼に言いました。「とにかく、今は山を下りなさい。今度はアロンを連れて来るのだ。しかし、祭司も民も境界線を越すことは決して許されない。そんなわきまえのない者は滅ぼす。」
+ そこでモーセは山を下りて人々のところに行き、主の語ったことを告げました。
+
+
+ それから、神は次のようなことば(十戒)を告げました。
+ 「わたしは、あなたをエジプトの奴隷生活から救い出した、あなたの神、主である。
+ わたしのほかに、どんなものも神として拝んではならない。
+ 決して偶像を造ってはならない。鳥でも動物でも魚でも、どんな像も造ってはならない。
+ それらを拝んでもならない。どのような方法で礼拝してもならない。あなたの神はこのわたしだけである。わたしはねたみ深いから、わたしとほかの神を同時に愛することは許さない。わたしの罰は、わたしを憎む者の子ども、孫、ひ孫までも及ぶ。
+ しかし、わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、千代に至るまでも恵みを与えよう。
+ 実行するつもりもないのに、むやみにわたしの名を使って誓ってはならない。そのようなことをしたら必ず罰せられる。
+ 主の定めた安息日を特別の日として守りなさい。
+ すべての仕事は六日のうちにすませなさい。
+ 七日目は神の休息の日だから、その日は一日、人も家畜も仕事をしてはならない。外国人も、ここでいっしょに住んでいる限り、この戒めを守る義務がある。
+ わたしが六日の間に天と地と海と、その中のいっさいのものを造り、七日目に休んだからだ。わたしは安息日を祝福し、特別な日と定めた。
+ あなたの両親を尊敬しなさい。そうすれば、主であるわたしが与える国で、長く幸せな一生を送ることができる。
+ 人を殺してはならない。
+ 姦淫してはならない。
+ 盗んではならない。
+ うそをついてはならない。
+ 隣人の家をうらやんではならない。隣人の妻に情欲を燃やしたり、使用人、牛、ろば、そのほか何でも、隣人の持ち物を欲しがったり、持ち主をねたんだりしてはならない。」
+ 人々はみな、山にいなずまが走り、煙が立ちこめるのを見ました。また、雷と恐ろしいラッパの音が鳴り続けるのも聞きました。だれもが遠く離れて立ち、恐怖に身を震わせました。
+ 人々はモーセに言いました。「神様がどんなことをおっしゃったか教えてください。私たちは言われたとおり従います。ただ、神様が直接私たちにお話しにならないようにしてください。そうしないと、私たちは死んでしまいますから。」
+ 「心配はいらない。神様がおいでになったのは、偉大なるお力をあなたがたに示すためだ。神様の力を知れば、これからは罪を犯すことを恐れるようになるだろう。」
+ 民が遠く離れて立ち尽くしている中を、モーセは神のおられる濃い暗闇の中に入って行きました。
+ 主はモーセに、神の代弁者として人々に語るよう命じました。「わたしは天からあなたがたに呼びかけ、わたしの気持ちを知らせた。あなたがたはその証人である。
+ 金や銀、そのほかの偶像を造ったり拝んだりしてはならないことを忘れてはならない。
+ わたしの祭壇は簡素な土の祭壇でなければならない。羊と牛の、焼き尽くすいけにえや和解のいけにえなどをその上でささげなさい。祭壇はわたしが命じる場所にだけ築けばよい。そこで、わたしはあなたがたを祝福する。
+ 石を使うのはさしつかえないが、切り石はいけない。道具を使って、石をけずったり刻んだりしないようにしなさい。そんな石はわたしの祭壇にふさわしくない。
+ 祭壇には階段をつけてはならない。服の間からあなたがたの裸が見えたりするといけないからだ。
+
+
+ ほかに守らなければならないおきてには、次のようなものがある。
+ ヘブル人(イスラエル人)の奴隷を買う場合は、六年の間仕事をさせたあと、七年目には無償で自由にしなければならない。
+ 奴隷になった時は独身で、のちに結婚した男の場合は、男だけが自由にされる。奴隷になる前に結婚していたなら、妻もいっしょに自由にされる。
+ しかし、主人が妻を与え、息子や娘が生まれたのであれば、妻と子どもたちは主人のものだから、自由の身になるのは夫だけである。
+ しかし、もし彼が、『自由になるより、ご主人様や妻子といっしょにいたい』とはっきり宣言するなら、
+ 主人は彼を裁判官のもとへ連れて行き、公にこの家に仕え続ける奴隷であることを示すため、彼の耳をきりで刺し通さなければならない。そのあと彼は一生主人に仕えることができる。
+ 娘を奴隷に売る場合は、六年たっても、男奴隷のように自由を与えてはならない。
+ 主人は、いったん自分のものにした女が気に入らなくなったら、必ず彼女を買い戻せるようにしてやらなければならない。彼女を傷つけたのだから、外国人に売り飛ばす権利はない。
+ ヘブル人の女奴隷と息子を婚約させたなら、もはやその女を奴隷として扱ってはならない。娘と同じに考えるべきである。
+ 自分が女奴隷と結婚し、そののち別の妻を迎えた時は、彼女への食べ物や衣類の割り当てを減らしてはならないし、夫婦の営みをおろそかにしてもいけない。
+ この三つの点で少しでも主人に落度があれば、女は金を支払わずに自由に家を出てかまわない。
+ 人を強く打って死なせた者は死刑に処せられる。
+ しかし、殺意がなく、事故でそうなった場合は、むしろ、神であるわたしがそうしたと言ってよいかもしれないので、わたしが彼の安全な逃げ場所を指定する。そこへ逃げ込めばいのちは助かる。
+ しかし殺意を持って計画的に人を殺した者は、たとえわたしの祭壇から引きずり降ろしてでも、殺されなければならない。
+ 自分の父または母を打つ者は死刑に処せられる。
+ 誘拐した者は死刑に処せられる。人質を手もとに置いている時に逮捕された場合でも、すでに奴隷として売り飛ばした場合でも同じである。
+ 自分の父または母の悪口を言ったり、のろったりする者は死刑に処せられる。
+ 人がけんかをし、一人が石かこぶしで相手を打って傷つけ、そのために一命はとりとめたが床につかなければならなくなった場合、
+ たとえ、少々不自由であっても歩けるまでに快復したときは、打った男は刑罰を免れる。ただし、完全に傷が治るまで、いっさいの損害の弁償をし、治療費は全額払わなければならない。
+ 人が、男奴隷でも女奴隷でも、奴隷を打って死なせたなら、必ず罰せられる。
+ ただし、奴隷が一日、二日の間に死ななければ罰せられない。奴隷はその人の所有物だからである。
+ 人が争ったときに妊娠中の女を傷つけ、女は助かったものの流産した場合、彼女を傷つけた男は、裁判官が認める範囲で、女の夫が要求するだけの罰金を支払わなければならない。
+ しかし、母親まで死ぬようなことになれば、男は死刑に処せられる。
+ もし女の目が傷ついたら、償いとして男の目を傷つけ、歯が折れたら歯を折る。手には手を、足には足を、
+ やけどにはやけどを、傷には傷を、むちにはむちをもって償わなければならない。
+ 人が、男奴隷でも女奴隷でも、奴隷の目を打ち、そのために目が見えなくなってしまったら、奴隷は目の代償として自由にされる。
+ 人が奴隷の歯を折ったら、その歯の代償として彼を自由にしなければならない。
+ 牛が男または女を突いて死なせたなら、その牛は石で打ち殺さなければならない。その肉は食べてはいけない。しかし、牛の持ち主は罰せられない。
+ ただし、その牛が人間を突くくせがあるとわかっていた場合、そして、持ち主がそのことを知っていながら、なお管理を十分にしていなかったのであれば、牛は石で殺され、持ち主も死刑に処せられる。
+ しかし被害者の身内の者が願うなら、補償金を取って釈放することもできる。金額は裁判官が決める。
+ 牛が少年あるいは少女を突いた場合も、同じ規定が適用される。
+ もしその牛が、男でも女でも奴隷を突いた場合は、その牛の持ち主は奴隷の主人に銀貨三十枚を支払い、牛は石で打ち殺さなければならない。
+ 人が井戸を掘り、ふたをしなかったために、牛やろばが落ちた場合は、
+ 井戸の持ち主は家畜の持ち主に、損害の全額を弁償しなければならない。ただし、死んだ家畜は井戸の持ち主のものになる。
+ 牛がほかの人の牛を傷つけて死なせた場合は、生きているほうの牛を売り、その代金と死んだ牛を、双方の持ち主が半分ずつ分ける。
+ しかし、もともと突くくせがあるとわかっていたのに、牛の所有者が管理を十分していなかったのであれば、代金を分け合うことはしない。生きている牛の所有者は、全額を弁償しなければならない。ただし、死んだ牛は彼のものになる。
+
+
+ 人が牛か羊を盗み、それを殺したり売り飛ばしたりしたなら、五倍の罰金を払わなければならない。盗んだ牛一頭につき五頭分を弁償する。羊の場合は四倍にし、盗んだ羊一頭につき四頭分を返す。
+ どろぼうが家に押し入るところを見つけ、捕まえて殺しても、殺した者は無罪である。
+ ただし、昼間であれば殺人とみなされ、有罪となる。どろぼうして捕まった場合は、損害を全額弁償しなければならない。できなければ、奴隷として身を売ってでも弁償する。
+ 牛、ろば、羊、そのほか何でも盗みの現行犯として捕まったなら、二倍にして償わなければならない。
+ 放した家畜が他人のぶどう畑に侵入したり、わざと人の畑に家畜を放して作物を食べさせたりした場合は、損害の全額を弁償しなければならない。畑の持ち主に、最良の収穫に見合う分を支払う。
+ 野焼きの最中に火が燃え広がって人の畑に燃え移り、刈り穂や穀物を焼いた場合、出火させた者は損害の全額を弁償しなければならない。
+ 隣人に預けた金や物が盗まれた場合、どろぼうが捕まれば、その犯人が損害の倍額を支払う。
+ 犯人が捕まらない場合は、貴重品を預かった者は神の前で裁判を受け、自分が盗んだのではないことをはっきりさせなければならない。
+ 牛、ろば、羊、衣類、そのほか何でも紛失した場合、持ち主がほかの人に疑いをかけ、しかも、相手がそれを否認する場合は、双方が神の前で裁判を受ける。神に有罪と宣告された者は、損害の倍額を支払わなければならない。
+ ろば、牛、羊、そのほかどんな動物でも、人に預け、死ぬか傷つくか盗まれるかした場合、それが実際にどうであったかを報告する目撃者がいない場合は、
+ 預かった者は、自分が盗んだのではないことを神に誓わなければならない。持ち主がその言い分を受け入れれば、弁償の必要はない。
+ しかし、その家畜が確かに盗まれたのであれば、預かっていた者は持ち主に弁償しなければならない。
+ また、野獣に襲われたのであれば、証拠として、食い荒らされた死体を持って来なければならない。この場合は弁償の必要はない。
+ 人から家畜を借り、それが傷つくか死ぬかして、しかも、持ち主がその場に居合わせなかった場合は、借りた者が弁償しなければならない。
+ しかし、持ち主が居合わせた場合は弁償の必要はない。ただし、有料で借りたものについては、借り賃はきちんと払わなければならない。
+ だれとも婚約していない女性を誘惑し、彼女と関係を結んだ者は、しきたりどおりの結納金を支払って彼女を妻にしなければならない。
+ しかし、父親が結婚に反対の場合は慰謝料を払う。
+ 女の呪術師は死刑に処せられる。
+ 動物と性的関係を持つ者はすべて死刑に処せられる。
+ 唯一の主以外の神々にいけにえをささげる者は死刑に処せられる。
+ 在留異国人を苦しめてはならない。自分たち自身がエジプトで外国人だったことを忘れてはならない。
+ 未亡人や孤児につらく当たってはならない。
+ 少しでもそんなことがあれば、彼らはわたしに助けを求めるだろうし、わたしは必ず彼らを助ける。
+ わたしの怒りは燃え上がり、剣であなたがたを殺す。あなたがたの妻が未亡人に、子が孤児になる。
+ 困っている仲間のヘブル人(イスラエル人)に金を貸す場合、利息を取る普通の取り引きをしてはならない。
+ 服を借金のかたに取ったら、夕方には返さなければならない。
+ おそらくそれが、彼の体を暖める唯一の物だからである。着る物もなくて、どうして眠ることができるだろう。もし返さなければ、彼はわたしに助けを求めるだろう。わたしは願いを聞き、彼を助ける。わたしは情け深いからである。
+ 神を冒瀆してはならない。国の指導者をのろってはならない。
+ 収穫物やぶどう酒のささげ物、また長男を買い戻す金をささげるのに、遅れてはならない。
+ 牛と羊の初子は七日間、母親のそばに置き、八日目にささげなさい。
+ あなたがた自身が聖なるもの、わたしの特別な民だから、野獣に殺された動物の肉を食べてはならない。死体はそのままにして、犬に食べさせなさい。
+
+
+ 根拠のないうわさを流してはならない。証言台で偽証をし、悪人を助けることがないようにしなさい。
+ 多数の力に流されて、悪事に加担してはならない。証言台に立つとき、その場の雰囲気に左右されて不当な証言をしてはならない。また、ただ貧しいというだけで人に同情し、証言をゆがめてはいけない。
+ あなたの敵の牛やろばが道に迷っているのを見たら、彼のもとに送り返しなさい。
+ もしあなたの敵のろばが重荷に押しつぶされてうめいていたら、そのまま見過ごしにしてはならない。力を貸してろばを立たせてやりなさい。
+ 正義を曲げ、貧しい人に不利になる裁判をしてはならない。
+ 絶対に、うその訴えをしてはならない。無実の者が死刑になるようなことは決してあってはならない。
+ わいろを取ってはならない。わいろは人の目をくらませ、判断を誤らせるからである。わいろは正しい人の申し立てをゆがめる。
+ 在留異国人をしいたげてはならない。外国に住む心細さはよく知っているはずである。エジプトでの体験を思い出しなさい。
+ 六年間は種をまき、収穫を得なさい。
+ 七年目は土地を休ませ、貧しい者が自然に生えたものを刈り取れるようにする。あとは、野の動物たちが自由に食べられるように残しておきなさい。この規定はぶどう畑とオリーブ畑にも当てはまる。
+ 六日間は働いて七日目は休みなさい。牛やろばを休ませ、奴隷や在留異国人も含め、家族全員に休息をとらせるためである。
+ これらのおきてを必ずすべて守らなければならない。特に忘れてはならないのは、ほかの神々の名を決して唱えてはならないことだ。
+ 毎年、守るべき祭りが三つある。
+ 最初は種なしパンの祭りである。すでに命じておいたように、七日間、種を入れないパンを食べる。この祭りは第一月(太陽暦では三月)、つまり、あなたがたがエジプトから脱出した時期に毎年行う。この時はささげ物を持って来る。
+ 次に、刈り入れの祭りがある。この時は最初の収穫物を持って来なければならない。最後に、収穫期の終わりに収穫の祭りがくる。
+ 毎年この三回、イスラエル人はみな神の前に出なければならない。
+ いけにえの血は、種を入れたパンといっしょに供えてはならない。いけにえの脂肪を翌朝までそのまま残しておいてはならない。
+ 刈り入れの時、最初の収穫の中でも最良の物を持って来なさい。それをあなたの神、主にささげなければならない。子やぎを母親の乳で煮てはならない。
+ わたしは、約束の地に無事にあなたがたを連れて行くため、使いを送る。
+ 彼を敬い、その教えに従いなさい。背いてはならない。彼はあなたがたの罪を赦さないからだ。この使いはわたしの名において行動する。
+ しかし、心を尽くして彼に従い、あらゆる戒めを守るならば、あなたがたの敵はわたしの敵となる。
+ わたしの使いが先立って、あなたがたをエモリ人、ヘテ人、ペリジ人、カナン人、ヒビ人、エブス人の国に導き、そこに住まわせる。その国々を、わたしはあなたがたの目の前で滅ぼそう。
+ こういった国々の偶像を拝んではならない。どんなことがあっても、それらの神々にいけにえをささげてはならない。異教徒の悪い習慣に染まらず、むしろ完全に彼らを征服し、その汚れた偶像を打ち壊さなければならない。
+ あなたがたの神、主にだけ仕えなければならない。そうすれば、わたしはみなを祝福して食べ物と水を与え、あらゆる病気をなくす。
+ 流産もなくなり、子を産めない女もいなくなる。それぞれの一生を全うできるようにする。
+ わたしは、これから征服する地の民に恐れを抱かせる。彼らはあなたがたの前から逃げ去る。
+ わたしはまた、ヒビ人、カナン人、ヘテ人を追い払うために、くまばちを送る。
+ しかし、一年のうちに彼らを追い出すことはしない。そんなことをしたら、土地が荒れ果て、野生動物が増えて手に負えなくなってしまうからだ。
+ だから、あなたがたの人口が増え、国の全土に広がって住むようになるまで、彼らを少しずつ追い払う。
+ あなたがたの領土も広げよう。紅海(ここではアカバ湾)からペリシテの海岸(パレスチナ西海岸)まで、南の砂漠からユーフラテス川に至るまでとする。その地の住民をあなたがたの手に渡すので、あなたがたは彼らを追い出すことになる。
+ 彼らといっさい契約を結んではならない。彼らの神々とかかわり合ってはならない。
+ 彼らをイスラエルに住ませてはならない。さもないと、偽りの神々を拝む彼らの罪に染まってしまう。それは、あなたがたにとって災い以外の何ものでもない。」
+
+
+ 主はモーセに告げました。「アロン、ナダブ、アビフをはじめ、イスラエルの長老たち七十人といっしょに、わたしのもとに上って来なさい。しかし、あなた以外の者は遠く離れて拝するように。
+ あなただけはわたしに近づいて来なさい。忘れてはならない。そのほかの一般の民はだれも山に登ることは許されない。」
+ モーセが、主から与えられたことばと定めを伝えると、人々は声を合わせて答えました。「すべて言われたとおりにします。」
+ モーセは主から与えられたことばを書き記しました。そして翌朝早く、山のふもとに祭壇を築き、その回りに、イスラエルの十二部族を表す十二本の柱を立てました。
+ それから数名の青年を送り、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえを主にささげさせました。
+ モーセはいけにえの血を半分取って鉢に入れ、残りの半分は祭壇に注ぎました。
+ そして、自分が書いた契約の書を読み上げました。人々は、「この戒めを一つ残らず守ることを約束します」と誓いました。
+ モーセは人々に鉢の血を振りかけました。「主はこれらのことばを与えることによって、あなたがたと契約を結ばれた。この血が契約のしるしだ。」
+ モーセ、アロン、ナダブ、アビフ、それにイスラエルの長老七十人は、主のもとに上りました。
+ そしてイスラエルの神を仰ぎ見ました。その足もとはサファイヤを敷きつめたように青く輝き、澄みきった空を思わせました。
+ 長老たちは神を見たのに死なず、そればかりか、神の前でいっしょに食事をしました。
+ 神はモーセに告げました。「山に登り、わたしのもとに来なさい。そこで待ちなさい。わたしが石に記したおきてをあなたに授けよう。あなたはそれにより人々を教えることができる。」
+ モーセと従者のヨシュアは、神の山に登りました。
+ モーセは長老たちに言いました。「われわれが戻るまで、ここで待ちなさい。留守中に何か問題が起こったら、アロンとフルに相談しなさい。」
+ そう言うと、モーセは山に登り、頂上を覆う雲の中に姿を消しました。
+ 主の栄光がシナイ山を包み、雲は六日間、山をすっぽり覆い隠しました。七日目に主は雲の間からモーセに呼びかけました。
+ 一方、ふもとにいたイスラエル人たちの目には恐ろしい光景に映りました。山頂に、燃えさかる火のような主の栄光が現れたのです。
+ モーセは雲に包まれた山頂に、四十日四十夜とどまりました。
+
+
+ 主はモーセに命じました。「次のように人々に告げなさい。だれでも心から進んでするなら、ささげ物をわたしのところへ持って来てよい。ささげてよいのは、次のものである。金、銀、青銅、青の撚り糸、紫の撚り糸、緋色の撚り糸、亜麻布、やぎの毛、赤く染めた雄羊のなめし皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、ともしび用のオリーブ油、注ぎの油と香に使う香料、しまめのう、エポデと胸当てにはめる宝石類。
+ わたしがイスラエルの民の中に住めるよう、聖なる住まい(幕屋)を造りなさい。
+ 住まいは天幕(テント)にすること。その設計図と必要な器具の細かい寸法は、次のとおりである。
+ まずはアカシヤ材を使って長さ二キュビト半(一‧一メートル)、幅一キュビト半(六十六センチ)、高さ一キュビト半の箱を作りなさい。
+ 内側にも外側にも純金を張り、周囲に金の縁飾りをつける。
+ 金の環を四つ作り、箱の下の四隅につける。片側に二個ずつ。
+ アカシヤ材で棒を作って金をかぶせ、箱の両側につけた金の環に通してかつげるようにする。
+ 棒は取りはずさず、差し込んだままにしておかなければならない。
+ わたしが与える十のおきて(十戒)を記した石板を、その箱に納めなさい。
+ また、純金のふたを作りなさい。長さ二キュビト半、幅一キュビト半にする。これは罪を赦す神の恵みの座となる。
+ 次にふたの両端に、一対の天使の像を槌で打ち出して作る。
+ それは『恵みの座』の一部分で、その両端になる。
+ ケルビムというその天使の像は、互いに向かい合って『恵みの座』を見下ろし、翼が金のふたを覆うようにしなければならない。
+ ふたができたら箱にかぶせる。箱には十のおきてを記した石板を納めなさい。
+ わたしはそこであなたに会い、ケルビムにはさまれた『恵みの座』からあなたと語る。箱にはわたしの契約のおきてを納める。わたしはそこから、イスラエルの人々に命じることをあなたに伝える。
+ 次に、二キュビト(八十八センチ)、幅一キュビト(四十四センチ)、高さ一キュビト半のテーブルをアカシヤ材で作りなさい。
+ それに純金を張り、周囲に金の縁飾りをつける。
+ テーブルの上部に一手幅(約七‧四センチ)のわくをつけ、その周囲にぐるりと金の縁飾りをつける。
+ テーブルを運ぶ棒を通すために、金の環を四つ作り、それを四本の足の上部に、外側へ向けてつける。
+ 棒はアカシヤ材で作り、金をかぶせる。
+ 金で皿、ひしゃく、水差し、細口びんなどを作り、
+ テーブルの上には、供え物用に特別なパンをいつも置きなさい。
+ 純金のかたまりを槌で打って燭台を作りなさい。燭台は台座と支柱から成り、ともしび皿と飾りの花びらをつける。
+ 真ん中の支柱の両側から三本ずつ枝を出し、それぞれの枝は三つのアーモンドの花で飾る。
+ 真ん中の支柱は四つの花で飾る。三対になっている枝の間に一つずつ、その上に一つ、その下に一つ、計四つの花をつける。
+ 飾りと枝と支柱はみな、一かたまりの純金を打って作る。
+ それに七つのともしび皿を作り、あかりが前を照らすように置く。
+ 芯切りばさみと芯取り皿も純金で作る。
+ 燭台とその付属品のために、一タラント(約三十四キログラム)の純金が必要となる。
+ 作る物はみな、この山の上でわたしが指示する型どおりに、正確に作らなければならない。
+
+
+ 上等の撚り糸で織った亜麻布十枚をつなぎ合わせ、神の天幕(幕屋)を作りなさい。布はそれぞれ長さ二十八キュビト(十二‧三メートル)、幅四キュビト(一‧七六メートル)でそろえる。青と紫と緋色の撚り糸を使い、全体にケルビム(天使の像)を織り出す。
+ 五枚ずつへりとへりをつなぎ合わせて、大きな布を二枚作り、幕屋の両側面とする。
+ この二枚の端と端をつなぎ合わせるために、へりに青いループをつける。それぞれのへりに対になるよう五十ずつのループを作る。
+ ほかにループをつなぐ五十個の留め金を金で作る。こうしてわたしの住まいである幕屋を一つに組み立てる。
+ 屋根の部分にはやぎの毛皮の防水布をかぶせる。それぞれ長さ三十キュビト(十三‧二メートル)、幅四キュビトのものを十一枚用意する。
+ このうち五枚をつなぎ合わせて幅広の幕にし、残りの六枚も、つないで一枚の幕にする。長いほうの六枚目に当たる部分は、上から垂らして、聖なる天幕の正面で折り重ねる。
+ この二枚の幕をつなぎ合わせるために、それぞれのへりに五十個のループを作り、五十個の青銅の留め金を使って一枚にする。
+ 天幕のうしろは、屋根を覆う幕が一キュビト垂れ下がり、
+ また、正面にも一キュビト垂れ下がる。
+ この防水布の上に、赤く染めた雄羊のなめし皮を敷き、その上にじゅごんの皮をかける。これで屋根が完成する。
+ 幕屋のわく組みをアカシヤ材で作りなさい。それぞれ長さ十キュビト(四‧四メートル)、幅一キュビト半の板を、まっすぐ立てて組み合わせる。
+ 側面にほぞ(はめ込み用の突起)を二つ作り、隣の板をはめ込む。
+ こうして二十枚つなぎ合わせたものが、幕屋の南側になる。それぞれの板は銀の土台二個にはめ込む。板一枚につき二個ずつ、計四十個の銀の土台が必要となる。
+ 北側にも同じような板が二十枚、
+ それぞれに二個ずつ、計四十個の銀の土台を使う。
+ 西側には六枚の板、
+ そして両隅に二枚の板を使う。
+ 隅の板は下を重ね、上を環でつなぎ合わせる。
+ 最終的に、西側には板が八枚、銀の土台がそれぞれに二個ずつで、計十六個あることになる。
+ アカシヤ材で横木を作り、わく組み全体に張り渡しなさい。両側面に五本ずつ、さらに西に面するうしろ側に五本、
+ わくの真ん中になる中央の横木は、端から端まで通す。
+ 板に金をかぶせ、横木を通すために金の環を作る。横木にも金をかぶせる。
+ この幕屋を、わたしが山で指示したとおりに建てなさい。
+ 〔幕屋の内側には〕青と紫と緋色の上等の撚り糸で織った亜麻布で垂れ幕を作り、それにケルビムを織り出しなさい。
+ これをアカシヤ材の四本の柱の上から、金のかぎ四つを使って垂らす。柱には金をかぶせ、それぞれ銀の土台に立てる。
+ 幕はかぎから垂らし、その奥に、契約の箱を置きなさい。この幕が聖所と最も神聖な至聖所とを分ける。
+ 至聖所の箱には金のふたをし、『恵みの座』をしつらえなさい。
+ 幕の外の聖所に、テーブルと燭台を向かい合わせに置く。燭台は南側、テーブルは北側である。
+ 幕屋の入口にかける垂れ幕を、もう一枚作りなさい。青と紫と緋色の上等の撚り糸と、撚り糸で織った亜麻布で作り、精巧な刺しゅうを施す。
+ その幕を五本のアカシヤ材の柱から、金のかぎを使って垂らす。柱には金をかぶせ、青銅の土台に立てる。
+
+
+ アカシヤ材で祭壇を作りなさい。一辺が五キュビト(二‧二メートル)の正方形で、高さは三キュビト(一‧三二メートル)にする。
+ 四隅に角をしっかり取りつけ、全体に青銅をかぶせる。
+ 灰を取るつぼ、十能(灰をすくう道具)、鉢、肉刺し、香炉も、みな青銅で作る。
+ 青銅の格子を作り、四隅に青銅の環をつける。
+ 炉の半ばほどの高さの所に棧を作り、そこに格子を取りつける。
+ 祭壇を移動させるために、青銅をかぶせたアカシヤ材の棒を作る。
+ 祭壇の両側面に環をつけ、その中に棒を通して運ぶ。
+ 祭壇は板で作り、中を空洞にする。すべて、わたしが山の上で指示したとおりに作りなさい。
+ 次に幕屋の庭を造る。上等の撚り糸で織った亜麻布で幕を作り、庭を囲む。南側には百キュビト(四十四メートル)にわたって幕を張り、二十個の青銅の土台にはめ込んだ二十本の柱で支える。柱に取りつけた銀のかぎに銀の環をかけ、幕を垂らしなさい。
+ 北側も同じようにする。青銅の土台に二十本の柱をはめ込み、銀のかぎと環で百キュビトの幕を張る。
+ 西側は土台十個に柱十本、幕は幅五十キュビト(二十二メートル)とする。
+ 東側も同じく五十キュビトである。
+ ただし、中央に入口があり、その両側に十五キュビト(六‧六メートル)ずつ幕を張る。三個の土台にはめ込んだ三本の柱が、それを支える。
+ 庭の入口は幅二十キュビト(八‧八メートル)の幕をかける。青と紫と緋色の撚り糸と、撚り糸で織った亜麻布で作った、美しい刺しゅう入りの幕である。幕は、四個の土台にはめ込んだ四本の柱に取りつける。
+ 庭の回りの柱はすべて銀の環をつけ、銀のかぎを使う。柱は青銅の土台にしっかりはめ込んでおく。
+ こうして庭全体は長さ百キュビト、幅五十キュビトになる。周囲の幕は撚り糸で織った亜麻布で、高さ五キュビトの仕切りとなる。
+ 幕屋での奉仕に使う道具類、それを壁からつるすための釘や庭のくいなど、すべて青銅で作る。
+ 人々に命じて、ともしび用の純粋なオリーブ油を持って来させ、幕屋の中で、絶えずともしびを燃やし続けなければならない。
+ アロンとその子らは、この永遠の炎を契約の箱の前にある垂れ幕の外側に置き、昼も夜も消えることがないように、主の前で番をする。これはイスラエルの永遠のおきてである。
+
+
+ あなたの兄アロンとその子ナダブ、アビフ、エルアザル、イタマルを選び出して祭司に任命し、わたしに仕えさせなさい。
+ そして神に対して特別にきよくされた者だというしるしに、アロンのために特製の服を作りなさい。それは見た目にも美しく、祭司としての威厳を示す服である。
+ そのための特別な才能を、わたしはある者たちに与えた。彼らに、アロンがほかの者とは違うことを示す服を作らせなさい。祭司としてわたしに仕えることができるようにするのだ。
+ 祭司が着る服は、胸当て、エポデ(ひざ下までの、そでなしの上着)、青い上着、市松模様(チェック柄の一種)の長服、ターバン、飾り帯である。このほかアロンの子らのためにも、特別あつらえの服を作りなさい。
+ エポデは、最も優秀な技術者に、金と青と紫と緋色の撚り糸で織った亜麻布で作らせなさい。
+ その両方に肩当てをつけ、両端を留める。
+ 同じ生地、金と青と紫と緋色の撚り糸で織った亜麻布で、あや織りの帯を作る。
+ 二個のしまめのうに、イスラエルの十二部族の名を彫りなさい。
+ それぞれに六つずつの名を彫り、全部族の名が誕生順になるようにする。
+ 名前を彫る時は、印章を彫る技術を用いる。その二つの石を金の台にはめ、
+ エポデの肩に縫いつけて、イスラエル国民を記念する石とする。アロンは主の前に出るとき、いつも全部族の名を身につけ、絶えずそのことが頭から離れないようにする。
+ また、純金を撚って二本の鎖を作り、エポデの肩の部分で金の留め金につける。
+ 次に、最もすぐれた技術を用いて、神の託宣を聞くために用いる胸当てを作りなさい。エポデと同じく、金と青と紫と緋色の撚り糸で織った亜麻布を使う。
+ 大きさは一あたり(親指と小指を広げた間の長さ。約二十二センチ)四方で、二つに折って袋状にする。
+ それに石を四列に取りつける。最初の列はルビー、トパーズ、エメラルド。
+ 二列目はトルコ玉、サファイヤ、ダイヤモンド。
+ 三列目はヒヤシンス石、めのう、紫水晶。
+ 四列目は緑柱石、しまめのう、碧玉。これらはみな金の台にはめる。
+ それぞれの石はイスラエルの部族を表し、その部族の名を、印章と同じように彫りつけなければならない。
+ 二本の純金を撚って鎖を作り、胸当ての縁をエポデにつなぎ合わせなさい。それぞれの鎖の一端は、胸当ての上辺の外側につけた金の環に結びつける。
+ もう一端は、エポデの両肩に取りつけたしまめのうの台に、外向きに結びつける。
+ 次に金の環をもう二個作り、胸当ての下のへり、内側の二箇所に取りつける。
+ また、もう二つ金の環を作り、エポデの肩当てのすその外側、帯を締める位置につける。
+ 胸当ての下とエポデのすそにある環とを青いひもで結び、胸当てとエポデを、ずれないようにしっかりつなぐ。
+ アロンは、聖所に入るときはいつでも、胸当てに十二部族の名をつけていることになる。こうして主がイスラエルのことを絶えず心にかけ、神の託宣が下されるようにするのである。
+ 胸当てのポケットにウリムとトンミム〔神意を伺う一種のくじ〕を入れ、アロンが主の前に出るときはいつも、胸の上にあるようにしなさい。アロンは主の前にいるとき、いつでも神の託宣を胸に入れていることになる。
+ エポデの下に着る服は、青い布で作らなければならない。
+ それに頭を通す口を開ける。口の回りには織った縁をつけ、ほつれないようにする。ちょうど、よろいの首回りのようにする。
+ 青服のすそのへりには、青と紫と緋色の撚り糸でざくろを作ってつけ、ざくろとざくろの間に金の鈴をつける。
+ アロンは、この務めのために主の前に出るときはいつも、これを身につけなければならない。聖所の主の前に出入りするたびに、鈴が鳴るようにする。そうすれば死を免れる。
+ 次に、純金のプレートを作り、ちょうど刻印を彫るように、『神のために特別に選ばれた者』と彫りなさい。
+ このプレートは、青いひもでアロンのターバンの正面につける。アロンはそれを額につけ、イスラエルの民のささげ物のことで何か過ちがあれば、その罪を負う。主の前に出るときはいつもそれを額につけなければならない。こうして、人々は主に受け入れられ、罪を赦される。
+ 上等の撚り糸で市松模様に織った亜麻布を使って、アロンの長服を作りなさい。ターバンも同じ布で作る。そのほかに刺しゅうをした帯も作る。
+ アロンの子らには上着と帯を作り、また、名誉と威厳を与えるためのターバンを作りなさい。
+ アロンとその子らにこれらの服を着せ、頭にオリーブ油を塗って、祭司に任命しなさい。わたしに仕える者として特別に選び、きよめるのである。
+ また、体にじかにつける下着を亜麻布で作りなさい。これは腰からももまでを覆う。
+ アロンとその子らが幕屋に入ったり祭壇に近づいたりするときは、いつでもこの下着をつけなければならない。罪を負って死ぬことがないためだ。これは、アロンとその子らが守る永遠のおきてである。
+
+
+ アロンとその子らをわたしに仕える祭司として選びきよめるために、次の儀式を行いなさい。若い雄牛一頭と傷のない雄羊二頭を用意する。
+ また、種を入れないパン、油を混ぜた輪型の種なしパン、種を入れない薄焼きパンに油を塗ったものを準備する。これらは精製した小麦粉で作らなければならない。
+ それらをかごに入れ、若い雄牛一頭、雄羊二頭といっしょに幕屋の入口に持って来る。
+ 入口のところでアロンとその子らに沐浴させる。
+ 次に、アロンに上着を着させ、長服、エポデ、胸当て、帯をつけさせ、
+ 頭には金のプレートつきのターバンをかぶらせる。
+ 次に、特別に選ばれた者に注ぐ注ぎの油を、彼の頭に注ぐ。
+ さらに、彼の息子たちにも上着を着させ、
+ 織って作った帯をつけさせ、頭に帽子をかぶらせる。こうして、彼らは永遠に祭司となる。あなたは、アロンとその子らを祭司職に任命しなさい。
+ まず、あなたが若い雄牛を幕屋に引いて来なさい。アロンとその子らは手を牛の頭に置き、
+ あなたが幕屋の入口、主の前でそれをほふる。
+ 血は指で祭壇の角に塗り、残りは祭壇の土台に注ぐ。
+ 内臓を覆う脂肪の全部と、胆のうと二つの腎臓と、それらを包む脂肪を、祭壇の上で焼きなさい。
+ 死体は皮や汚物ごと野営地の外へ持って行き、罪の赦しのためのいけにえとして焼かなければならない。
+ 次に、あなたは雄羊の一頭を引いて来なさい。アロンと息子たちがその頭に手を置いたら、あなたがこれをほふり、その血を集めて祭壇に振りかける。
+ 死体を切り開いて内臓を取り出し、足を切り取る。それらをきれいに洗い、頭や体のほかの部分といっしょに置きなさい。
+ こうして、羊を全部、祭壇の上で焼く。それは主にささげる焼き尽くすいけにえで、神に大いに喜ばれるものである。
+ もう一頭の雄羊もほふる。その前に、アロンとその子らは手を羊の頭に置かなければならない。あなたは血を集めて、その一部分をアロンとその子らの右の耳たぶと手足の右親指につけ、残りは祭壇に振りかける。
+ 続いて祭壇の上の血を取り、注ぎの油といっしょに、アロンとその子ら、また彼らの服に振りかける。このようにして彼らと彼らの服を、主のために選ばれたものとしてきよめなければならない。
+ 次に、その雄羊の脂肪を取る。あぶら尾、内臓を覆う脂肪、さらに胆のうと二つの腎臓、それらの回りの脂肪、右のもも肉である。これは、アロンとその子らを祭司に任命する雄羊だからである。
+ さらに一かたまりのパン、油を混ぜた輪型のパン一個、薄焼きパン一枚を、主の前に置かれた種を入れないパンのかごから取る。
+ これらをアロンとその子らの手に載せ、彼らは奉納物として主にささげる。
+ そのあと、もう一度それらを受け取り、神への香ばしい焼き尽くすいけにえとして、祭壇の上で焼く。
+ それから、アロンの任職用の雄羊の胸肉を取り、奉納物として主にささげる。それはあなたの受ける分となる。
+ 雄羊の胸とももは、アロンとその子らに与えなさい。イスラエル人はいつでも、和解のための感謝のいけにえのうち、胸とももは主へのささげ物として、アロンとその子らに与えなければならない。
+ アロンの神聖な服は、跡を継ぐ息子たちのために取っておかなければならない。こののち何代にもわたって、大祭司の油注ぎの儀式に用いるのだ。
+ アロンの次の大祭司がだれであろうと、その者は幕屋と聖所で務めを始める前に、七日間この服を着なければならない。
+ 祭司の任職式にささげた雄羊の肉を、神聖な場所で煮なさい。
+ アロンとその子らはその肉とかごの中のパンとを、天幕の入口で食べなければならない。
+ 彼らの罪を赦し、祭司として特別に選んで任命する儀式に用いられたこれらのものは、彼らだけが食べる。ほかの者は食べてはならない。これらはきよめ分けられたものだからである。
+ 肉やパンが翌日まで残ったら焼き捨てなさい。食べてはならない。それは聖なるものである。
+ このようにして、アロンとその子らを祭司に任じなさい。任職式は七日間続く。
+ 毎日、罪の赦しのためのいけにえとして、若い雄牛を一頭ささげなければならない。祭壇をきよめるために、罪の赦しのためのいけにえをささげ、その上にオリーブ油を注ぎなさい。
+ 七日間、毎日それを続け、神のための祭壇としてきよめ分けなさい。それで祭壇は最も神聖なものとなり、それに触れるものは、主のために選び分けられ、きよめられたものとなる。
+ 毎日、祭壇に一歳の雄羊を二頭ささげなさい。
+ 朝に一頭、夕方に一頭である。
+ 朝の雄羊をささげる時は、上等の小麦粉十分の一エパ(約二‧三リットル)とオリーブ油四分の一ヒン(約一リットル)を混ぜたものを、いっしょにささげ、また、四分の一ヒンのぶどう酒を注ぎの供え物にしなさい。
+ もう一頭の雄羊は夕方、朝と同じ小麦粉のささげ物とぶどう酒の注ぎの供え物といっしょにささげる。これは神への香ばしい焼き尽くすいけにえである。
+ このささげ物は、一日でも絶やしてはならない。毎日、幕屋の入口、主の前でささげる。そこでわたしはあなたに会い、あなたと語る。
+ また、そこでイスラエルの民と会う。幕屋はわたしの栄光によってきよめられる。
+ 幕屋と祭壇、また、わたしに仕える祭司、アロンとその子らは、わたしがきよめる。
+ わたしはイスラエルの民とともに住み、彼らの神となる。
+ 彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知らなければならない。彼らといっしょに住めるように、わたしは彼らをエジプトから助け出したのだ。わたしは彼らの神、主である。
+
+
+ 香をたく小さな祭壇をアカシヤ材で作りなさい。
+ 一辺が一キュビト(四十四センチ)の正方形で、高さは二キュビトとする。祭壇には角を彫りつけなさい。別に作ってあとから接着するのではなく、初めから祭壇の一部として作る。
+ 香の祭壇の上と側面と角は純金をかぶせ、周囲には金の縁飾りをつける。
+ 両側面の縁飾りの下に金の環を二つつけ、祭壇を運ぶ棒を通すようにする。
+ 棒はアカシヤ材で作り、金をかぶせる。
+ この香の祭壇は聖所の垂れ幕のすぐ外側に置きなさい。十のおきて(十戒)を記した石板が納めてある箱(契約の箱)のふた、つまり『恵みの座』の近くに置くのだ。わたしはあなたとそこで会う。
+ アロンは毎朝ともしびの芯を切るとき、香の祭壇の上で、香りの高い香をたかなければならない。
+ また夕方、明かりをともすときにも、わたしの前で香をたかなければならない。これは代々守るべきことである。
+ この祭壇の上では、認められていない香や、焼き尽くすいけにえ、穀物のささげ物、注ぎのぶどう酒の供え物をささげてはならない。
+ アロンは年に一度、人々の罪が赦されるため、いけにえの血を香の祭壇の角に塗り、それをきよめなさい。これは毎年必ず行い、代々続けなければならない。主の最も神聖な香の祭壇だからである。」
+ 主はさらにモーセに告げました。「イスラエル人の人口調査をする時は、登録される成年男子はみな、金を納めて自分自身を買い取らなければならない。人口調査によって、民に災いが起きないようにするためである。
+ 金額は半シェケル(五‧七グラム)とする。
+ 満二十歳以上の者はみな、このささげ物をしなければならない。
+ 金持ちもそれ以上ささげてはならないし、貧しい者もそれ以下であってはならない。自分自身を買い取るために主にささげるものだからである。
+ この献金は神の天幕の用にあてる。それは、イスラエル人をわたしが心にかけ、買い取るためである。」
+ 主はまた、モーセに告げました。「青銅の洗い鉢を作り、青銅の台をつけなさい。それを幕屋と祭壇の間に置き、水を満たす。
+ アロンと息子たちは手と足をそこで洗う。
+ 幕屋に入り、わたしの前に立つとき、あるいは、わたしの前でいけにえを焼くために祭壇に近づくとき、その前にいつも手足を洗わなければならない。さもなければ死ぬ。
+ これは、アロンとその子孫に代々伝えなければならないおきてである。」
+ 神はモーセに、最上の香料を集めるよう命じました。純粋な没薬五百シェケル(五‧七キログラム)、シナモンとにおい菖蒲が、それぞれ没薬の半分の量、
+ 桂枝が没薬と同じ量、オリーブ油が一ヒン(三‧八リットル)集まりました。
+ そこで神は、熟練した香料作りに、これらの材料を使って聖なる注ぎの油を作らせるよう命じました。
+ また主は、次のように告げました。「神の幕屋と、契約の箱(十戒を記した石板が納められている)、供えのパンのテーブルおよびその付属品すべて、燭台およびその付属品、香の祭壇とに、この油を注ぎなさい。
+ 焼き尽くすいけにえをささげる祭壇とその器具全部、また、洗い鉢とその台にも同じようにしなさい。
+ それらを、特別に選ばれたものとしてきよめるためである。それらに触れるものは何でもきよくなる。
+ アロンと息子たちにもこの油を塗り、祭司としてわたしに奉仕できるようにきよめなさい。
+ 人々にはこう言うのだ。『これは主の聖なる注ぎ油としなければならない。
+ 決して一般の者に注いではならない。自分でかってに作ってはならない。聖なるものだから厳重に取り扱わなければならない。
+ このような香料を作ったりする者、また、それを祭司でない者に注ぐ者はだれであれ、みな共同体から除名されなければならない。』」
+ 香について主がモーセに与えた指示は次のとおりです。「香料として、ナタフ香、シェヘレテ香、ヘルベナ香、純粋な乳香を同量ずつ用意し、
+ 香料作りの通常の方法で、それに塩を混ぜ、純粋で聖なる香にしなければならない。
+ その一部分は細かく砕き、天幕の中の、わたしがあなたに会う箱の前に置きなさい。この香は最も神聖なものである。
+ 自分のためにそれを作ってはならない。それは主のためのものだから、神聖なものとして取り扱わなければならない。
+ 自分のためにそれを作る者は、共同体から除名されなければならない。」
+
+
+ 主はまた、モーセに告げました。「わたしはユダ族のウリの子で、フルの孫に当たるベツァルエルを選んだ。
+ 彼に神の霊を満たし、幕屋とその中にある物いっさいを作るのに必要な、知恵と才能と技術を与えた。
+ 彼は、金、銀、青銅の細工を美しくデザインすることができる。
+ また宝石の細工にも、木の彫刻にも熟練した腕を持っている。
+ 助手には、ダン族のアヒサマクの子オホリアブを任命した。さらにまた、優秀な技術者たちにも特別な力を与え、わたしの指示どおりの物を作れるようにした。
+ 天幕、契約の箱とそのふたの『恵みの座』、天幕の中のあらゆる造作、
+ 供えのパンのテーブルとその付属品、純金の燭台とその付属品、香の祭壇、
+ 焼き尽くすいけにえの祭壇とその器具類、洗い鉢とその台、
+ 祭司アロンの神聖な服、彼の子らが祭司として奉仕する時に着る服、
+ 注ぎの油、聖所でたく香りのよい香である。彼らは、すべて、わたしがあなたに与えた指示どおりに作らなければならない。」
+ 主はさらに、モーセに次のことも告げました。「人々に、安息日は休むよう命じなさい。安息日は、あなたとわたしの間の契約を永遠に思い出させるものである。わたしが主であり、わたしの民を聖なる民とする者であることを、安息日は思い出させてくれる。
+ だから、神聖な日として安息日には休みなさい。この日仕事をし、命令に従わない者はだれであれ死刑に処せられる。六日間だけ働きなさい。七日目は神の聖なる日、全くの休息の日である。
+ この律法は、イスラエルの民が永遠に守るべき契約であり義務である。
+ 安息日はわたしとイスラエルとの契約の、永遠のしるしである。六日間、わたしは天と地を造り、七日目に休んだからである。」
+ こうして神は、シナイ山でモーセと話し終え、彼に二枚の石板を与えました。その板には、神の指で書かれた十戒が記されていました。
+
+
+ モーセがなかなか山から下りて来ないので、人々は不安になり、アロンのもとに文句を言いに行きました。「さあ、われわれを導く神を造ってくれ。そうしたら、その神のお告げに従おうではないか。エジプトからここまでわれわれを連れて来たモーセは姿を消してしまったではないか。きっと何かあったに違いないんだ。」
+ 「それなら、あなたがたの耳にある金のイヤリングをはずして、持って来なさい。」アロンは答えました。そこで、男も女も子どもたちもみな言われたとおりにしました。
+ アロンはその金を火で溶かし、鋳型に入れ、道具を使って子牛の形にしました。イスラエルの民は、「イスラエルばんざい! これこそ、われわれをエジプトから連れ出した神だ」と言って、喜び叫びました。
+ アロンはこれを見て、子牛の前に祭壇を築いて人々に告げました。「明日は主のために盛大な祝いをしよう。」
+ 彼らは次の日、朝早く起き、子牛の像に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげました。そのあと、彼らは座り込んで食べたり飲んだりし、乱痴気騒ぎに興じました。
+ それを知った主は、モーセに命じました。「急いで山を下りなさい。あなたがエジプトから連れ出した者たちが、かってなことを始めている。目に余る有様だ。
+ わたしのおきてをもう捨ててしまったのか。子牛の像を造って拝み、それにいけにえまでささげ、『これこそ、イスラエル人をエジプトから連れ出した神だ』と言っている。」
+ 主はまたモーセに言いました。「イスラエル人がどんなに強情で恩知らずの民か、よくわかった。
+ もう容赦はしない。こうなったら彼らを滅ぼし尽くす。じゃまをしてはならない。モーセよ、あの者たちの代わりに、あなたを大きな国民にしよう。」
+ しかし、モーセは必死で嘆願しました。「主よ、あなたご自身があれほど大きなお力を示し、すばらしい奇跡をもって、ご自分の民をエジプトから救い出されたのではありませんか。その民に、なぜそのようにお怒りになるのでしょう。
+ そのようなことをなさったら、エジプト人は何と言うでしょう。『それ見ろ。イスラエルの神は彼らをだまして山へ連れ出したのだ。その証拠に、彼らは一人残らず殺されてしまった』とあざけるかもしれません。どうぞ怒りを収めてください。そんな恐ろしいさばきは思いとどまってください。
+ あなたのしもべアブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)に約束されたことを思い出していただきたいのです。『あなたの子孫を空の星のように増やそう。約束の地をすべてあなたの子孫に与え、永遠に受け継がせよう。』こう誓われたではありませんか。」
+ すると、主は思い直し、彼らへの制裁を見合わせることにしました。
+ モーセは山を下りました。手には、十戒を表と裏の両面に記した二枚の石板を持っています。
+ 神が自らその板に記されたのです。
+ やがて、ふもとの方から人々のどよめきが聞こえてきました。ヨシュアはモーセに言いました。「まるで戦いでもしているような騒ぎです。」
+ 「いや、あれは勝利の歓声でもないし、敗北を嘆く声でもない。歌って騒いでいるのだ。」
+ 野営地に近づくと、子牛の偶像と踊り狂っている人々の姿が目に入りました。それを見たモーセは怒りがこみ上げ、思わず石板を地面に投げつけ、山のふもとで砕きました。
+ 彼はやにわに子牛の像をつかみ、火にくべて溶かし、粉々にして水の上にまき散らし、イスラエル人にむりやり飲ませました。
+ それからアロンに向き直り、きびしく問い詰めました。「いったい何があったのです! ただごとではありませんよ。兄さんも兄さんだ。いっしょになってこんな恐ろしい罪を犯すとは、どういうつもりなんですか!」
+ 「まあ、そんなに興奮しないでくれ。あなたも知っているだろう。この民はひどい者たちなんだ。
+ 『おれたちを導く神を造ってくれ。エジプトからおれたちを連れ出したモーセはきっとどうかなってしまったに違いない』と詰め寄ってくるのだ。
+ それで、『みんなから金のイヤリングをはずして、持って来い』と言ってやった。するとどうだ。彼らは持って来るじゃないか。それを火に投げ込んだら、この子牛が出て来たというわけなんだ。」
+ アロンにはまるで反省の色がありません。人々の醜態をなすがままにしていたので、敵方の物笑いになっていました。
+ モーセは野営地の入口に立って叫びました。「主につく者、私と行動を共にする者は、ここに集まってくれ。」すると、レビ族が全員集まって来ました。
+ モーセは彼らに言いました。「イスラエルの神、主が言われる。『剣を持って野営地中を回り、兄弟だろうが、友人だろうが、知り合いだろうが、子牛を礼拝した者を殺しなさい』と。」
+ 彼らは命令どおりにしたので、その日、約三千人が死にました。
+ モーセはレビ族に言いました。「今日、あなたがたはりっぱに主に仕えた。息子や兄弟を殺してでも、主に従った。必ずすばらしい祝福を受ける。」
+ 翌日、モーセは人々に言いました。「あなたたちは大きな罪を犯した。それで、もう一度山に登り、主にお願いしようと思う。あなたたちの罪を赦していただけるかもしれない。」
+ モーセは主のもとに戻って言いました。「主よ、あの者たちは大きな罪を犯しました。金で偶像を造ったのです。
+ けれども、あえてお願いします。どうか罪を赦してやってください。もし、どうしてもだめだと言われるのなら、あなたが書き記される書から、私の名前を消してください。」
+ すると、主は答えました。「わたしに罪を犯した者はみな、わたしの書から名前を消される。
+ 今は黙って、わたしが話しておいた地に民を導くのだ。わたしの使いが必ずあなたの前を行くようにする。だが、今度のことは見逃すわけにはいかない。彼らの罪は罰する。」
+ こうして、そのことばどおり主は、人々がアロンの子牛を礼拝した罰として大きな災いを下しました。
+
+
+ 主はモーセに告げました。「あなたはこの民をエジプトから連れ出した。あなたは、わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに約束した地に彼らを導きなさい。『この地をあなたの子孫に与えよう』と約束したからだ。
+ わたしは先立って神の使いを送り、カナン人、エモリ人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い払わせよう。
+ その地は、『乳とみつの流れる』国である。しかし、わたしは行かない。あなたがたが手に負えない強情者なので、いっしょに行けば、途中であなたがたを滅ぼしてしまうかもしれない。」
+ 民はこのきびしいことばを聞いて悲嘆し、宝石や飾りを身につける者は一人もいませんでした。
+ それは、彼らにこう伝えるよう、主がモーセに命じておいたからです。「あなたがたは、わがままで強情な民だ。たとえ一時でもわたしがいっしょに行くなら、あなたがたを地上から消し去ってしまうだろう。自分たちの処分がはっきり決まるまでは、宝石や飾りは全部取りはずしなさい。」
+ それ以後、イスラエル人は飾り物を身につけなくなりました。
+ モーセはいつも、神とお会いする天幕を、野営地から遠く離れた所に張りました。主に伺いを立てる者は、みなそこまで行くのです。
+ モーセがその天幕へ行くときはいつも、人々はみな自分のテントの入口に立ち、彼が中に入るのを見守るのでした。
+ 中に入ると雲の柱が降りて来て、主がモーセと話している間、入口に雲がかかるのです。
+ 人々はみな自分のテントの入口で、雲の柱に向かって伏し、礼拝しました。
+ 天幕の中では、まるで親しい友のように、主はモーセに語りました。そのあと、モーセが野営地に帰ると、彼の従者であるヌンの子ヨシュアはそのまま天幕に残りました。
+ さて、モーセは天幕の中で主に言いました。「あなたは私に、『人々を約束の地へ連れて行け』とおっしゃいます。けれども、だれが私といっしょに遣わされるのか、まだ教えてくださいません。あなたは、もったいなくも私を友のように扱ってくださいます。また、あなたのお心にかなった者だとも言ってくださいました。
+ もしそれがほんとうなら、どうぞ私の歩むべき道をはっきりと示してください。そうすればあなたを理解できるようになり、あなたに喜ばれるでしょう。この民があなたご自身のものであることを、お忘れにならないでください。」
+ 「わかった。安心しなさい。わたしがいっしょに行って、失敗のないようにあなたを守ろう。」
+ モーセは言いました。「あなたがごいっしょでなければ、この場所から一歩でも動くのを許さないでください。
+ あなたが共にいてくださらなければ、私とこの民があなたのお心にかなっていること、また、地上の他の民とは違うことがどうしてわかりましょう。」
+ 「いいだろう。あなたの言うとおりにしよう。確かにわたしはあなたに目をかけている。あなたを友のように思っている。」
+ それからモーセは、神の栄光を見させていただきたいと願いました。
+ 主は答えました。「わたしが与えるあらゆる良いものを、あなたに見せよう。また、わたしの名によってはっきり宣言しよう。わたしは、自分がそうしようと思った者に恵みを与え、あわれみを与える。
+ しかし、あなたはわたしの顔の栄光を見てはならない。わたしを見た者で、生きている者はいない。
+ だから、そばの岩の上に立ちなさい。
+ わたしの栄光が今、通り過ぎる。あなたを岩の裂け目に入れ、わたしが通り過ぎるまで、手であなたを覆う。
+ わたしが手をのけると、あなたはわたしをうしろから見るが、顔を見ることは決してできない。」
+
+
+ 主はモーセに命じました。「前と同じ石板を二枚用意しなさい。あなたが割った板に書いたのと同じことばを、もう一度その板に書こう。
+ 朝になったら、準備を整えてシナイ山に登りなさい。山頂でわたしと会うのだ。
+ だれもいっしょに来てはならない。山のどこにも人がいてはならない。羊や牛の群れも、山の近くでは放牧しないようにしなさい。」
+ そこで、モーセは前と同じ石板を二枚用意し、東の空が白むころ、主に命じられたとおり、二枚の石板をかかえてシナイ山に登りました。
+ 主は雲の柱となって天から下り、モーセのそばに立ちました。それから彼の前を通り過ぎ、ご自分の名によって宣言しました。「わたしは主である。あわれみと情けに富み、怒るのに遅く、恵み深い神である。わたしは愛と真実の神である。
+ わたしは人々の罪を赦し、千代にもわたって彼らを愛し通す。しかしまた、罰すべき者を見過ごしにはしない。父親の犯した罪のために、息子や孫、さらにのちの世代の者が報いを受ける。」
+ それを聞いて、モーセは思わず主の前にひざまずき、ひれ伏して願いました。
+ 「主よ、ほんとうに私があなたのお心にかなっているのでしたら、どうぞ私たちといっしょに約束の国まで行ってください。彼らは確かに頑固でわがままな民に違いありません。けれどもお願いです。どうぞその罪をお赦しください。神の民として受け入れてください。」
+ 「では、あなたと契約を結ぼう。かつて地のどこでも、見たことも聞いたこともない奇跡を行う。イスラエル人はみな、主の力を目の当たりにするのだ。あなたによって、わたしは恐るべき力を示す。
+ 契約の相手としてのあなたの義務は、わたしの戒めをすべて守ることである。そうすれば、あなたの前からエモリ人、カナン人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い払う。
+ 目指す約束の国へ着いたら、そこの住民と決して妥協しないよう、くれぐれも気をつけなさい。一度でも妥協すれば、知らず知らずのうちに、彼らの悪習に染まってしまうからだ。
+ 異教の祭壇や礼拝用の石柱などは取り壊しなさい。偶像も切り倒しなさい。
+ わたし以外に、どんな神々も拝んではならない。わたしは絶対の忠誠と、心からの献身を求める神である。
+ その地の住民と、どんな契約も結んではならない。彼らは、偶像を慕ってみだらなことをし、神々にいけにえをささげることによって姦淫を行っている。万一あなたが彼らと親しくなり、食事に招かれると、偶像にささげられた食物を拒むことができなくなるだろう。
+ 他の神々を拝む娘たちを息子の嫁に迎えると、息子たちは妻の信じる神々を拝み、堕落した道徳が持ち込まれ、わたしに反逆することになる。
+ だから、偶像とはいっさい関係を持たないようにしなければならない。
+ 種なしパンの祭りを七日間、必ず祝わなければならない。毎年第一の月(太陽暦では三月)の決まった時に、教えておいたとおりに祭りを守りなさい。それは、あなたがたがエジプトを出た月である。
+ 牛、羊、どんな家畜も最初に生まれた雄は、わたしのものだ。
+ ろばの初子は代わりに羊をささげて買い戻すことができる。買い戻さないなら、首を折らなければならない。しかし人間の場合、長男はみな買い戻さなければならない。ささげ物を持たずにわたしの前に出てはならない。
+ 忙しい耕作期や収穫期でも、六日間働いて七日目は休みなさい。
+ 毎年、祭りを祝うことを忘れてはならない。小麦の最初の収穫の時には七週の祭りを、それに収穫の祭りを祝いなさい。
+ 年に三度、祭りの時にはイスラエルの男子はみな、わたしの前に出なければならない。
+ 男子全員が主の前に出るこの時は、だれもイスラエルに攻撃をしかけない。しかけてくるような国はわたしが追い払い、イスラエルの国境を広げる。
+ わたしへのささげ物を、パン種を入れたパンに添えてささげてはならない。過越の子羊の肉は、どの部分でも翌朝まで取っておいてはならない。
+ 毎年の最初の収穫から、一番良い物をあなたの神、主の天幕に持って来なければならない。子やぎを母親の乳で煮てはならない。」
+ また、主はモーセに言いました。「わたしが示したことばを書き記しなさい。これらのことばによって、わたしはあなたとイスラエルに対して契約を結ぶ。」
+ モーセは山で四十日四十夜、神とともにいました。その間は、食べることも飲むこともしませんでした。この時、契約のことば、十戒を石板に記したのです。
+ それから、モーセは二枚の石板をかかえて山を下りました。それまで神と話していたので、モーセの顔は輝いていましたが、自分では気がつきませんでした。
+ 彼の顔の輝きを見て、アロンをはじめ、人々はそばに行くのを恐れました。
+ モーセに呼ばれてやっとアロンと指導者たちは来て、彼と話しました。
+ そのあと、今度は人々が全員集まったので、モーセは山で主に告げられたことを伝えました。
+ 話し終えると、モーセは顔にベールをかけました。
+ 主と話すために天幕に入る時はいつでもベールを取り、外へ出るまでそのままにしていました。そして、神から示されたことは全部人々に伝えました。
+ 外に出て来る彼の顔を見ると光り輝いていました。そこでまた、彼は主と語るために天幕に入るまでベールをかけました。
+
+
+ さてモーセは、全国民を呼び集めて言いました。「あなたがたが守らなければならない神のおきては、次のとおりだ。
+ 六日間だけ働きなさい。七日目は主を礼拝する神聖な日、休息の日である。この日に働く者は、だれでも死刑に処せられる。
+ 家の中で火をおこすこともいけない。」
+ モーセはまた、彼らに言いました。「主は次のことをお命じになった。
+ ささげ物をしたい者はだれでも、これらのささげ物を主のもとに持って来てよい。金、銀、青銅、青の撚り糸、紫の撚り糸、緋色の撚り糸、上質の亜麻布、やぎの毛、赤く染めた雄羊のなめし皮、処理を施したじゅごんの皮、アカシヤ材、ともしび用のオリーブ油、注ぎの油と香に使う香料、エポデや胸当てにはめる、しまめのうや宝石類。
+ 特別な技能に恵まれ、熟練した技術者はみな集まりなさい。そして、主が命じられたとおりの物を作りなさい。幕屋の天幕とその覆い、留め金、わく組み、横木、柱、土台、契約の箱とかつぎ棒、『恵みの座』、至聖所を囲む垂れ幕、テーブルとかつぎ棒と器具類いっさい、供えのパン、燭台、ともしび皿と灯油、香をたく祭壇とかつぎ棒、注ぎの油と香りの高い香、幕屋の入口用の垂れ幕、焼き尽くすいけにえをささげる祭壇、祭壇の青銅製の格子とかつぎ棒、器具類、洗い鉢とその台、庭の周囲を仕切る引き幕、柱と土台、庭の入口用の垂れ幕、幕屋用の釘、庭用の釘とひも、祭司が聖所で務めをするときの式服、祭司アロンとその子らが着る聖なる装束。」
+ 人々はみな、ささげ物を用意するため各自のテントに戻りました。
+ 心に感じた者たちは、幕屋とそれに必要な器具類、また聖なる装束を作るための材料を、ささげ物として持って来ました。
+ 男も女も、すべて喜んでささげる者は、金や宝石でできたイヤリング、指輪、ネックレスなど、あらゆる種類の金の奉納物を持って来ました。
+ ほかの者は青、紫、緋色の撚り糸、上質の亜麻布、やぎの毛、赤く染めた雄羊のなめし皮、特別に処理したじゅごんの皮などを持って来ました。
+ 銀や青銅を持って来た者もいます。ある者は建築に必要なアカシヤ材をささげました。
+ 縫うことと紡ぐことが上手な婦人たちは、青、紫、緋色の撚り糸や、上質の亜麻布を持って来ました。
+ ほかの婦人たちは、腕によりをかけてやぎの毛を紡ぎ、布を織りました。
+ 指導者たちはまた、エポデや胸当てに使うしまめのうや宝石、
+ それに、ともしび用や、注ぎの油や香り高い香を調合するための香料やオリーブ油を持って来ました。
+ こうして、神がモーセに命じた仕事に少しでも役に立ちたいと願った者たちはみな、心からのささげ物をモーセのところに持って来たのです。
+ モーセは彼らに言いました。「主はユダ族のウリの子で、フルの孫に当たるベツァルエルを名指しで召し出し、この仕事の総監督に任じられた。
+ 彼は金や銀や青銅の細工にたけ、
+ 宝石を切ったり磨いたりすることもうまい。美しい彫刻も得意だ。必要な技術はすべて身につけている。
+ また、ほかの人に教えるのも上手だ。ダン族のアヒサマクの子オホリアブも、同じような才能に恵まれている。
+ 主はこの二人に特別な才能を与え、宝石細工人、建築師にしてくださった。そればかりか、亜麻布に青、紫、緋色の糸で美しい刺しゅうもできるし、織物も上手だ。これからの仕事に必要なあらゆる技術に秀でている。
+
+
+ ほかにも、才能に恵まれた技術者がたくさんいる。二人を中心にみなで力を合わせ、調度品を作り上げてほしい。」ベツァルエルとオホリアブをはじめ、この仕事に参加したいと思った者たち全員に、モーセは仕事を始めるよう命じました。
+ そして、人々がささげた材料を彼らに渡しました。しかしそのあとも、新しい材料が毎朝ささげられました。
+ あまりに多くて、もうとても、現場ではさばききれません。彼らは仕事を中断し、モーセに実情を報告しました。「材料があまりにたくさん集まりすぎて、使いきれないくらいです。」そこでモーセは野営地中に、これ以上奉納する必要はないと伝えさせたので、ようやく人々は持って来るのをやめました。
+ 腕のいい織物師たちが、まず上等の細い撚り糸で織った亜麻布で幕を十枚作り、青、紫、緋色の撚り糸でケルビム(天使の像)を織り出しました。幕の大きさは長さが二十八キュビト(十二メートル)、幅が四キュビトで、
+ これを五枚ずつつなぎ合わせ、長い布を二枚作りました。
+ 次に、それぞれの端に青いひもでループを五十ずつ作り、対になるようにしました。
+ ループをつなぎ合わせる留め金を五十個作り、二枚の長い布を一枚にして、天幕ができ上がりました。
+ 布の上には、二番目の覆いとして、やぎの毛皮で作った十一枚の幕を使いました。それぞれ長さ三十キュビト(十三メートル)、幅四キュビトのものです。
+ ベツァルエルはこの五枚をつなぎ合わせて一枚の長い幕とし、残りの六枚も別の長い幕としました。
+ 次に、それぞれのへりに沿ってループを五十ずつ作り、
+ 五十個の小さな青銅の留め金でつなぎ、二枚の幕をぴったりつなぎ合わせました。
+ 屋根の外側にかぶせる覆いは、赤く染めた雄羊のなめし皮とじゅごん(海に住む哺乳動物)の皮で作りました。
+ 天幕の側面にするために、まっすぐ立ったわく組みをアカシヤ材で作りました。
+ 一枚の板は高さ十キュビト(四‧四メートル)、幅一キュビト半です。
+ それぞれの板には二個のほぞをつけて、隣の板にはめ込みます。
+ 南側に板が二十枚、
+ 下の部分は銀の土台四十個にさし込みます。一枚の板に二個ずつの土台とほぞを使って、しっかり固定しました。
+ 北側にも板が二十枚、それぞれに二個ずつ、全部で四十個の銀の土台を作りました。
+ 西側、つまり天幕のうしろ側は板六枚と、
+ 両隅に一枚ずつの板を置きました。
+ この二枚はそれぞれ下を重ね、上を環でつなぎます。
+ ですから西側には、全部で板が八枚、それぞれの下に二個ずつ、計十六個の銀の土台があることになります。
+ 次にベツァルエルは、わく組みの板をしっかりつなぎ合わせるために、アカシヤ材で横木を作りました。天幕の三方に五本ずつの横木です。
+ 五本のうち真ん中の横木は、板のほぼ中央を端から端まで通っています。
+ 板と横木にはすべて金をかぶせ、木を通す環は純金で作りました。
+ 天幕内を仕切る垂れ幕は、青、紫、緋色の撚り糸で亜麻布を織り、ケルビムを織り出しました。
+ 幕は、アカシヤ材の四本の柱に金のかぎを四つ取りつけ、そこから垂らしました。柱には金をかぶせ、四個の銀の土台にはめ込んでありました。
+ 次に幕屋の入口用の垂れ幕を作りました。目のつまった亜麻布に青、紫、緋色の刺しゅうをしたものです。
+ 垂れ幕は五個のかぎで取りつけ、柱の頭部と環に金をかぶせました。土台は青銅で五個作りました。
+
+
+ 次に、ベツァルエルは契約の箱を作りました。アカシヤ材で作り、長さ二キュビト半(一‧一メートル)、幅一キュビト半、高さ一キュビト半に仕上げました。
+ 内側にも外側にも純金を張り、周囲に金の縁飾りを巡らせました。
+ 片側に二つずつ並ぶよう、四隅に金の環を四個つけました。
+ アカシヤ材でかつぎ棒を作って金をかぶせ、
+ 箱の側面の環に通します。その棒をかついで箱を運ぶのです。
+ それから、純金で箱のふたを作りました。これは「恵みの座」と呼ばれます。長さ二キュビト半、幅一キュビト半です。
+ 両端には、金をつちで打って作ったケルビムの像がついています。
+ ケルビムはふたの一部分で、切り離すことはできません。
+ ケルビムは互いに向かい合い、伸ばした翼が「恵みの座」に覆いかぶさって、それを見下ろす形になっていました。
+ 次はテーブルです。同じくアカシヤ材で、長さ二キュビト(八十八センチ)、幅一キュビト、高さ一キュビト半です。
+ それに純金を張り、ぐるりと金の縁飾りをつけました。
+ 周囲に一手幅(約七‧四センチ)のわくをつけ、それに沿って金の縁飾りをつけました。
+ 次に金の環を四つ作り、四本の足の、
+ 縁飾りに近いところにつけ、アカシヤ材に金をかぶせたかつぎ棒を通すようにしました。
+ また、純金で鉢、水差し、皿、びんを作り、テーブルの上に置きました。
+ 純金を打ち出して燭台を作りました。それは、台座、支柱、ともしび皿、アーモンドの花飾りが一体となるようにしています。
+ 燭台の支柱には、両側から三本ずつ、計六本の枝が出るようにしました。
+ それぞれの枝は三つの花で飾りました。
+ 支柱にも同じようにアーモンドの花飾りをつけました。三対の枝の間に二つ、下と上に二つ、合計四つです。
+ 飾りと枝はみな、一かたまりの純金を打ち出して作りました。
+ 枝の先に七つのともしび皿を作りつけ、芯切りばさみと灰皿とを純金で作りました。燭台全体は一タラント(三十四キログラム)の重さがあり、すべて純金です。
+ 香の祭壇はアカシヤ材で作りました。一キュビト(四十四センチ)四方の正方形で、高さは二キュビト。隅に、壇の一部として角を彫りつけました。
+ 全体に純金をかぶせ、へりには金の縁飾りをつけました。
+ 壇の両側面、縁飾りの少し下に金の環を二個つけ、かつぎ棒を通しました。
+ かつぎ棒はアカシヤ材で、金をかぶせてあります。
+ 次に、香りのよい香料を使って、聖なる油を調合しました。祭司に注ぐ油や、純粋な香として用いる油です。調合には高度の技術が必要でした。
+
+
+ 焼き尽くすいけにえの祭壇も、アカシヤ材で作りました。上部は五キュビト(二‧二メートル)四方の正方形、高さは三キュビトです。
+ 四隅に、他の部分と切れ目なく続くよう、四本の角をつけました。祭壇には青銅を張り、
+ 祭壇で使うつぼ、十能(灰をすくう道具)、鉢、肉刺し、火皿などの器具類も青銅で作りました。
+ 次に、炉の半ばあたりに棧を張り、そこに青銅の格子を置きました。
+ 環を四つ作り、格子の四隅の部分でかつぎ棒を通せるようにしました。
+ かつぎ棒はアカシヤ材で、青銅をかぶせてあります。
+ 祭壇の側面につけた環に、その棒を通します。祭壇の側面は板で、中は空洞でした。
+ 幕屋の入口で奉仕していた女たちが、青銅の鏡をささげたので、それを使って青銅の洗い鉢とその台を作りました。
+ 次は庭です。南側は百キュビト(四十四メートル)で、細い上等の撚り糸を織って幕を作り、それを張り巡らしました。
+ 幕を垂らす柱を二十本立てました。土台は青銅で、柱には銀のかぎと環をつけました。
+ 北側にも百キュビトの幕を張り、青銅の柱二十本とその土台、銀のかぎと環があります。
+ 西側は五十キュビトで、十本の柱と土台で幕を支えました。柱には、やはり銀のかぎと環がついています。
+ 東側も五十キュビトです。
+ 入口の両側には、幅十五キュビトの幕を垂らし、それぞれ三個の土台に立てた三本の柱で支えました。
+ 庭の仕切りとして巡らした幕は、どれも細い上等の撚り糸で織ったものです。
+ 柱はみな青銅の土台にはめ込み、かぎと環は銀です。柱の頭部には銀をかぶせ、幕を垂らす環は純銀でした。
+ 庭の入口に垂らすカーテンは上質の亜麻布で作り、青、紫、緋色の撚り糸で美しい刺しゅうをしました。幕の幅は二十キュビト、高さは五キュビトで、庭の仕切りとした他の幕と同じ高さです。
+ 幕は四本の柱と四個の青銅の土台、銀のかぎと環で支えました。柱の頭部も銀でした。
+ 幕屋と庭を作るのに用いた釘は、すべて青銅です。
+ これが、契約の箱を納める幕屋(聖所)の建設工事の諸工程です。幕屋ができ上がり、ようやくレビ族が奉仕につけるようになりました。いっさいの工事は、モーセが立てた計画どおり行われ、祭司アロンの子イタマルが監督しました。
+ ユダ族のウリの子で、フルの孫に当たるベツァルエルが技術面での責任者となり、
+ ダン族のアヒサマクの子オホリアブが助手を務めました。彼も熟練した職人で、彫刻、設計、色とりどりの刺しゅうをするのに、すぐれた腕を発揮しました。
+ 人々が奉納し、幕屋建設に使った金は約一千キログラムに達しました。
+ 銀は三、四四〇キロ使われました。これは、人口調査の時に登録する二十歳以上の人から取り立てた、半シェケルの人頭税でまかなわれました。登録したのは、計六十万三、五五〇人です。
+ 聖所の壁となるわく組みの土台と、垂れ幕を支える柱の土台には、一個につき三十四キログラム、計三、四〇〇キログラムの銀が必要でした。
+ 残った銀は柱頭にかぶせたり、環やかぎを作るために使いました。
+ 青銅は約二、四〇〇キログラム奉納され、
+ 天幕の入口に立てる柱の土台、祭壇、格子、祭壇に付属する器具類、庭を仕切る引き幕を支える柱の土台、天幕と庭の釘などを作るのに使われました。
+
+
+ 次に、青、紫、緋色の撚り糸で、祭司用の式服を作りました。同じ生地で、アロンの聖なる装束も作りました。すべて、主がモーセに命じたとおりです。
+ エポデ(祭司が着用する、ひざ下までのそでなしの上着)も、同じ亜麻布と、金、青、紫、緋色の撚り糸で作りました。
+ ベツァルエルは金の板を薄く延ばし、細く切って金糸を作りました。それを青、紫、緋色の糸に撚り込み、布に織ると、実に精巧な美しい布ができ上がりました。
+ エポデには肩当てをつけ、両端を留めるようにしました。上に締める帯も織りました。生地はエポデと同じく、金、青、紫、緋色の細い撚り糸を織り込んだ亜麻布で、たいへん美しいものでした。主がモーセに指示したとおりです。
+ 二個のしまめのうを金の台にはめ、エポデの肩当てに縫いつけましたが、石には印章を彫るようにして、イスラエルの全部族の名を彫りました。この石を見て、神がイスラエルの民を絶えず思い起こせるようにしたのです。すべて主がモーセに指示したとおりです。
+ 胸当てもエポデと同じように、金、青、紫、緋色の撚り糸で織った上質の亜麻布で作りました。
+ これは一あたり(約二十二センチ)四方の布で、二つに折って袋状にしました。
+ そこには宝石を四列に並べました。最初の列はルビー、トパーズ、エメラルド。
+ 二列目はトルコ玉、サファイヤ、ダイヤモンド。
+ 三列目はヒヤシンス石、めのう、紫水晶。
+ 四列目は緑柱石、しまめのう、碧玉。これらはみな金の台にはめました。
+ 石には、イスラエルの十二部族の名を、印章と同じように彫りつけました。
+ 胸当てをエポデに結びつけるために、エポデの肩当てに金の環をつけました。この環と、胸当ての上部の金の留め金とを金の鎖でつなぐのです。
+ ほかに、胸当ての下のへり、ちょうどエポデと接するところの内側にも、金の環を二個つけました。
+ 別の金の環を、エポデの肩当ての下部につけました。エポデの上から、美しく織った帯を締めるあたりです。
+ 胸当ての環とエポデの環とを青いひもでしばり、胸当てを、帯の上にしっかり結びつけました。すべて主の命じたとおりです。
+ エポデの下に着る服は青糸で織りました。
+ 真ん中に、ちょうどよろいの首の部分のように頭を通す穴を開け、ほつれないようにかがりました。
+ 長服のすそには、青と紫と緋色の撚り糸で作ったざくろをつけました。
+ ざくろとざくろの間には、純金の鈴もつけました。服のすそに鈴とざくろが交互に並ぶわけです。この長服は、アロンが祭司の務めをするときに着ます。主がモーセにそう命じたのです。
+ 細い撚り糸で織った亜麻布で、アロンと息子たちのために上着を作りました。
+ 美しいターバン、帽子、下着もみな同じ布で作り、帯には青、紫、緋色の糸で美しい刺しゅうをしました。主がモーセに命じたとおりです。
+ 最後に、ターバンの正面につける聖なるプレートを純金で作りました。その上には、「神のために特別に選ばれた者」ということばを彫り、
+ 青いひもでターバンに結びつけました。これも主が教えたとおりです。
+ こうしてついに、主がモーセに指示したいっさいの作業が終わりました。
+ そこで担当者は、でき上がった幕屋と付属品を全部、モーセのもとに運んで来ました。調度品、留め金、わく組みの板、横木、柱、土台、屋根と側面用の赤く染めた雄羊のなめし皮、特別になめしたじゅごんの皮、仕切り用の垂れ幕、十戒を納めた契約の箱、かつぎ棒、「恵みの座」、供えのパンのテーブルと付属品、供えのパン、純金の燭台とともしび皿、付属品、油、金の香の祭壇、注ぎの油、香りの高い香、天幕の入口用の垂れ幕、青銅の祭壇、青銅の格子、かつぎ棒と付属品、洗い鉢とその台、庭を仕切る引き幕とそれを支える柱、柱の土台と庭の入口に下げる幕、ひも類と釘、幕屋で使うあらゆる用具類です。
+ そのほか、美しく仕立てた祭司用の式服も、モーセに点検してもらいました。つまり大祭司アロンの聖なる装束と、彼の息子たちが公式に着る衣装などです。
+ このようにしてイスラエルの民は、主がモーセに指示したことを全部、そのとおりに行いました。
+ モーセはでき上がったものを見て、すべての仕事が主の指示どおりにされていたので、彼らを祝福しました。
+
+
+ 主はモーセに告げました。
+ 「第一の月の一日(ユダヤ暦による。太陽暦では三月中旬)に、神の幕屋を組み立てなさい。
+ そこに、十戒を納めた契約の箱を安置しなさい。至聖所に箱を置き、その前には仕切りの垂れ幕をしつらえる。
+ 次に、供えのパンのテーブルを運び入れ、その上に用具類を並べる。燭台を持って来て、ともしび皿を載せる。
+ 箱の前には金の香の祭壇を置き、天幕の入口に幕を垂らす。
+ 入口の前に、焼き尽くすいけにえ用の祭壇を置く。
+ 天幕と祭壇との間に洗い鉢を置き、水を満たす。
+ それがすんだら天幕の回りに庭を設け、庭の入口には幕をかけなさい。
+ 組み立てが終わったら、きよめのための注ぎの油を幕屋とその中にある物全部に注ぎなさい。いろいろな用具類、すべての調度品にも注いで、それらをきよめる。
+ 焼き尽くすいけにえ用の祭壇とその用具類も同じようにする。これで、祭壇は最も神聖なものとなる。
+ 洗い鉢とその台も同様である。
+ 次に、アロンと息子たちを幕屋の入口に連れて来て沐浴させ、
+ アロンに聖なる装束を着せて油を注ぎなさい。祭司としてわたしに仕えることができるように、彼をきよめなさい。
+ 次に、彼の息子たちを連れて来て祭司の式服を着せ、
+ 父親と同じように彼らにも油を注いで祭司とする。その『油注ぎ』は何代にもわたり、永遠に続く。息子たちも、そのまた息子たちも、永遠にわたしの祭司となるからだ。」
+ そこでモーセは、主に命じられたことをすべて実行に移しました。
+ 二年目の第一の月の一日に、幕屋が組み立てられました。
+ モーセはまず、わく組みの板を土台にはめ込み、横木をつけました。
+ それから、屋根の覆いをかけ、さらに幕を重ねました。すべて主に命じられたとおりです。
+ 契約の箱の中に十戒を刻んだ二枚の石板を入れ、環にかつぎ棒を通しました。箱の上には、『恵みの座』と呼ばれる金のふたを載せました。
+ それから箱を幕屋に入れ、仕切りの垂れ幕をかけました。すべて主に命じられたとおりです。
+ 次に、供えのパンのテーブルを垂れ幕の外の北側に置き、
+ 供えのパンを主に供えました。これも、すべて主に命じられたとおりです。
+ 天幕の南側、テーブルの反対側に燭台を置きました。
+ 次に、指示されたとおり、主の前にともしび皿を整えました。
+ それから、垂れ幕のすぐ前に金の香の祭壇を置き、
+ 香りの高い香料で作った香をたきました。すべて主に命じられたとおりです。
+ 天幕の入口には垂れ幕を取りつけました。
+ そして、外に出た所に焼き尽くすいけにえ用の祭壇を置き、その上でいけにえと穀物のささげ物を供えました。すべて主に命じられたとおりです。
+ 次は洗い鉢です。幕屋と祭壇の間に置き、水を満たしました。祭司たちがその水で手足を洗えるようにしたのです。
+ モーセとアロンとアロンの息子たちは、そこで手足を洗いました。
+ 天幕に入るために祭壇のところを通って行くときは、いつもそこで立ち止まり、手足を洗うのです。すべて主に命じられたとおりです。
+ それから、幕屋と祭壇を囲む庭を造りました。庭の入口にも幕を垂らしました。こうして、ついにモーセはいっさいの仕事を終わったのです。
+ すると、雲が幕屋にかかり、神の栄光が輝きわたりました。
+ あまりの神々しさに、モーセは中に入れませんでした。
+ 雲が幕屋から離れて動き出した時には、イスラエル人はいつもそのあとに従って旅をしました。
+ 雲が動くのをやめると一行もそこに止まり、雲が動き出すまでじっと待ちました。
+ 昼間は雲が幕屋にかかり、夜は雲の中に赤々と火が輝き、人々はみなその有様を見ました。この光景は旅の間ずっと絶えることがありませんでした。
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+
+
+ さて主は、幕屋(主がイスラエル人と会う天幕、聖所)からモーセに語りました。
+ 「イスラエルの民に次のような指示を与えなさい。主にいけにえをささげるときは、自分の群れの牛か羊を使いなさい。雄牛を焼き尽くすいけにえとしてささげるときは、体に傷のないものでなければならない。まず、いけにえ用の雄牛を幕屋の入口へ引いて来る。そこで、祭司がそのささげ物を受け取る。
+ いけにえをささげる人は、その雄牛の頭に手を置く。そうすることで、身代わりのいけにえと認められる。本人が自分の罪の刑罰として死ぬ代わりにその動物が死ぬことを、わたしは認めよう。
+ わたしの前で、自ら手を下していけにえを殺しなさい。祭司であるアロンの子たちが、その雄牛の血をわたしにささげる。幕屋の入口で、祭壇の回りに血を振りかけるのだ。
+ 続いて、皮をはいで四肢に分け、祭司が祭壇に火を置き、たきぎを並べ、
+ ばらした部分と頭と脂肪を載せる。
+ そのとき、内臓と足は、いけにえをささげる本人がきれいに洗う。祭司はそれをみな祭壇の上で焼く。これが、主に受け入れられる、焼き尽くすいけにえである。
+ 焼き尽くすいけにえにする動物が、羊かやぎの場合は、傷のない雄でなければならない。
+ いけにえをささげる人は、祭壇の北側で、わたしの前でそれを殺す。祭司であるアロンの子らが、その血を祭壇の回りに振りかける。
+ その人は死体を四肢に分け、祭司はそれを頭や脂肪といっしょに祭壇のたきぎに載せる。
+ その前に、内臓と足は、いけにえをささげる人自身が水で洗う。祭司は主へのささげ物として、その動物をみな祭壇で焼く。焼き尽くすいけにえをわたしは喜ぶ。
+ 鳥を使う場合は、山鳩か家鳩のひなのどちらかにしなさい。
+ 祭司はそれを祭壇へ持って行き、首をひねって殺し、血は祭壇の横に絞り出す。餌袋(胃袋)と羽毛は祭壇の東側の灰捨て場に捨てる。このあと翼をつかんで引き裂くが、ばらばらにしてはならない。それを祭壇で焼く。わたしはこのいけにえを喜ぶ。
+
+
+ 穀物の供え物をするときは、上等の小麦粉にオリーブ油を注ぎ、香料を加えなさい。
+ そのうちの一つかみを、祭司のところへ持って行き、焼いてもらう。わたしはその香りを喜ぶ。
+ 残った粉は、アロンとその子らの食物となるが、それも神聖な焼き尽くすいけにえとみなされる。
+ かまどで焼いたパンをささげるときは、細かくひいた粉にオリーブ油を混ぜて焼きなさい。パン種(イースト菌)を入れてはならない。オリーブ油を塗った、パン種の入らない薄焼きパンも、ささげ物に使える。
+ 菓子用の鉄板で焼いたものをささげるときは、細かくひいた粉をオリーブ油でこねて作りなさい。パン種を入れてはならない。
+ でき上がったものを細かくちぎって油をかける。これが穀物の供え物の形式である。
+ なべで作る場合も、細かくひいた粉をオリーブ油でこねて作る。
+ こうして用意ができたら、祭司のところへ持って行き、祭壇でささげてもらう。
+ 祭司が焼くのはその一部だけだが、わたしは全部をささげ物と認める。
+ 残りは祭司が取ってかまわない。それは全部、主への神聖なささげ物とみなされる。
+ 粉で作るささげ物は、パン種を使ってはならない。主へのささげ物にはパン種やみつの使用は許されない。
+ 粉で作るささげ物は最初の収穫を感謝する場合に認められ、焼き尽くすいけにえとしては使ってはならない。
+ ささげ物はすべて塩で味をつける。塩〔契約が真実であることを象徴的に表す〕は神の契約を思い出させるものだからである。
+ 最初の収穫をささげるときは、初穂を砕くか焼くかしてささげなさい。
+ それにオリーブ油と香料を加えなさい。これが穀物の供え物である。
+ 祭司は主の前で、オリーブ油と穀物を混ぜたささげ物を一つかみと、香料の全部をささげ物として焼く。
+
+
+ 和解(主への感謝)のいけにえの場合は、雄牛でも雌牛でも、どこにも傷のないものをささげなければならない。
+ いけにえをささげる人は、幕屋の入口でその牛の頭に手を置き、ほふる。祭司がその血を祭壇の回りに振りかける。
+ 次に内臓を覆う脂肪、二つの腎臓とその上を覆う腰の脂肪、胆のうを主の前で焼く。わたしはそのいけにえを喜ぶ。
+ 和解のいけにえに羊かやぎを使うときは、傷のないものであれば、雄でも雌でもかまわない。
+ 羊の場合は、天幕の入口でその頭に手を置き、殺す。祭司は血を祭壇の回りに振りかけ、
+ 背骨に沿って取り除いた脂肪、内臓を覆う脂肪、二つの腎臓とその上を覆う腰の脂肪、胆のうを、火によるいけにえとしてささげなさい。
+ そのささげ物がやぎの場合、
+ 幕屋の入口でその頭に手を置き、ほふる。祭司は血を祭壇の回りに振りかけ、
+ 火によるいけにえとして、内臓を覆う脂肪、二つの腎臓とその上を覆う腰の脂肪、胆のうを祭壇にささげなさい。このいけにえをわたしは喜ぶ。脂肪は全部、主のものだから、
+ あなたがたは脂肪も血も食べてはならない。これはイスラエルの永遠のおきてである。」
+
+
+ 主はさらに、次のような指示をモーセに与えました。
+ 「人々に言いなさい。過ってわたしの戒めを破った場合の規定はこうである。
+ 大祭司が過って罪を犯し、人々に悪影響を及ぼした場合、罪の赦しのためのいけにえとして傷のない若い雄牛をささげなければならない。
+ 幕屋の入口に引いて来てその雄牛の頭に手を置き、主の前でほふる。
+ 大祭司は血を持って幕屋に入り、
+ 指を浸し、奥の至聖所へ通じる道をふさぐ垂れ幕の前に、七回振りかける。
+ 次に、幕屋の中の主の前にある香の祭壇の角に血を塗る。残った血は、幕屋の入口にある焼き尽くすいけにえ用の祭壇の土台に注ぎかける。
+ 内臓を覆う脂肪、二つの腎臓とその上を覆う腰の脂肪、胆のうを祭壇で焼く。主への和解のいけにえとしてささげる雄牛や雌牛の場合と同じである。
+ 皮、肉、頭、足、内臓、腸など残りの部分は、野営地の外のきよい場所である祭壇の灰捨て場で焼く。
+ イスラエルの民全体が過って罪を犯し、してはならないことをした場合は、全国民が有罪となる。
+ 罪に気づきしだい、罪の赦しのためのいけにえとして、若い雄牛を天幕の入口に引いて来なさい。
+ 指導者たちが代表して、主の前でその雄牛の頭に手を置いてほふる。
+ 大祭司は血を幕屋の中へ持って行き、
+ 指を浸し、主の前で垂れ幕の前に七回振りかける。
+ 次に、天幕の中にある香の祭壇の角に血を塗る。残りの血は、天幕の入口にある焼き尽くすいけにえ用の祭壇の土台に注ぎかける。
+ いけにえの脂肪はすべて取り除き、祭壇で焼く。
+ 罪の赦しのためのいけにえの雄牛のときと同じようにする。こうして、祭司は民全体の罪を償う。これで初めて、全国民が赦される。
+ 最後に祭司は、いけにえの死体を野営地の外へ運び出し、個人の罪のためのいけにえと同じように焼く。
+ 指導者のだれかが過って罪を犯し、主の戒めに背いた場合は、
+ 罪に気づきしだい、傷のない雄やぎをいけにえとして引いて来なさい。
+ 焼き尽くすいけにえをささげる場所で、その頭に手を置いてほふり、主にささげる。これは指導者の罪の赦しのためのいけにえである。
+ 祭司はそのいけにえの血を祭壇の角に指で塗り、残りは祭壇の土台に注ぎかける。
+ 和解のいけにえと同じように、脂肪はすべて祭壇で焼く。こうして、祭司は指導者の罪を償い、彼は赦される。
+ 一般のイスラエル人が、過って罪を犯したとき、
+ または自らそれに気づいたなら、罪の償いとして傷のない雌やぎを引いて来なさい。
+ 焼き尽くすいけにえをほふる場所で、いけにえの頭に手を置いてほふる。
+ 祭司は指に血をつけ、焼き尽くすいけにえ用の祭壇の角に塗る。残りの血は祭壇の土台に注ぎかける。
+ 和解のいけにえの場合と同じように、脂肪はすべて取り除き、祭司が祭壇で焼く。わたしはそれを受け入れる。こうして、祭司が罪の償いをするとき、罪を犯した者は赦される。
+ 罪の赦しのためのいけにえに子羊を引いて来るときは、傷のない雌でなければならない。
+ 焼き尽くすいけにえを殺す場所に連れて来て、その頭に手を置き、罪の赦しのためのいけにえとして殺す。
+ 祭司は指に血をつけ、祭壇の角に塗り、残りの血は土台に注ぎかける。
+ 脂肪は和解のいけにえの羊と同じようにする。火で焼いて主にささげる他のいけにえと同じように、祭壇で焼く。こうして祭司が償いをし、罪は赦される。
+
+
+ ある犯罪について何かの事実を知っていながら、証言を拒否すれば、その人は罪に定められる。
+ 野生でも家畜でも、食用にすることを禁じられている動物や昆虫の死体など、礼拝規則で汚れているとみなされるものにさわったら、気づかずにした場合でもその人は汚れ、責めを負う。
+ 何であれ人体から生じる汚れにさわったら、たとえその時は気づかなくても、あとで気づいたときに責めを負う。
+ 良いことでも悪いことでも、軽々しく誓いを立て、あとで愚かなことをしたと気づいたときには、責めを負う。
+ 以上のどの場合も、罪を告白し、
+ 償いとして、雌の羊かやぎを罪の赦しのためのいけにえとしてささげなさい。祭司はその人の罪の償いをしなさい。
+ 貧しくて羊をささげる余裕がない場合は、山鳩か家鳩のひなを二羽ささげなさい。一羽を罪の赦しのためのいけにえに、もう一羽を焼き尽くすいけにえとする。
+ 祭司は、初めに手渡されたほうを、罪の赦しのためのいけにえとし、その首をひねって殺す。ただし、切り落としてはならない。
+ 次に、その血を祭壇の側面に振りかけ、残りは土台に絞り出す。これが罪の赦しのためのいけにえである。
+ 祭司はもう一羽も、定められたとおりに、焼き尽くすいけにえとしなさい。こうして、祭司はその人が犯した罪の償いをし、その者は赦される。
+ もしその人が貧しくて、山鳩や家鳩のひなさえささげられないときは、細かくひいた小麦粉二‧三リットルを持って来なさい。オリーブ油を混ぜたり、香料をかけたりしてはならない。罪の赦しのためのいけにえだからである。
+ それを祭司のところへ持って行き、そのうちの一つかみを祭壇で焼いてもらう。火で焼く他のささげ物の場合と同じである。これが、罪の赦しのためのいけにえとなる。
+ こうして、祭司はその人が犯した罪の償いをし、その者は赦される。残りの粉は穀物のささげ物と同じように、祭司のものとなる。」
+ さらに、主はモーセに告げて言いました。
+ 「不実なことを行い、過って神聖なものを汚したときは、その罪を償うのに見合ういけにえとして、傷のない雄羊を一頭ささげなさい。
+ そのほかに、自分が汚した神聖なものや、ささげるのを怠った十分の一のささげ物の償いをしなければならない。自分が与えた損害額に二割を加えた額を、祭司に納める。祭司は罪を償ういけにえの雄羊で償いをし、その者は赦される。
+ 主がしてはならないと定めたおきてのどれかに違反すれば、たとえ気づかずにしたことでも罪に定められる。そのときは、犯した罪に見合ういけにえをささげなければならない。これは自分の罪過を償ういけにえで、傷のない雄羊を一頭ささげる。祭司は雄羊一頭でその者の罪過の償いをする。過って犯した過失、知らずに犯した過失は、これで赦される。
+ 罪を犯し、主の前に責めを負った者は、このようにして罪過を償ういけにえをささげなければならない。」
+
+
+ 続いて主はモーセに命じました。
+ 「借り物や預かり物、担保の品などを返さなかったり、盗んだり、脅し取ったり、落とし物を見つけながらも取った覚えはないと偽るなどして罪を犯した場合は、
+ その事実がはっきりした日に、取ったものを相手に返し、それに加えて二割の罰金を支払いなさい。また、幕屋に罪を償ういけにえを引いて来なさい。
+ その罪に見合ういけにえは、傷のない雄羊一頭である。それを祭司のところへ引いて来る。
+ 祭司は主の前で罪の償いをし、その者は赦される。」
+ 主はモーセに命じました。
+ 「アロンとその子らに、焼き尽くすいけにえについての決まりを示しなさい。焼き尽くすいけにえは、祭壇の上で一晩中、焼き続ける。
+ 翌朝、祭司は亜麻布の下着と上着をつけ、その灰をすっかり集め、祭壇のそばに置く。
+ このあと着替えをし、灰を野営地の外のきよい場所に運ぶ。
+ 祭壇の火はいつも燃やし続け、消してはならない。祭司は毎朝たきぎをくべて、毎日ささげる焼き尽くすいけにえを供え、和解のいけにえの脂肪を焼く。
+ 祭壇の火は絶やしてはならない。
+ 穀物の供え物の決まりは次のとおりである。アロンの子らは、祭壇の前に立ち、供え物を主の前にささげる。
+ なだめの香りとして、オリーブ油のかかった細かくひいた粉一つかみを、香料全部とともに祭壇で焼きなさい。わたしは喜んでそれを受けよう。
+ 残りはアロンとその子らの食物となる。幕屋の庭で、パン種を入れずに焼いたパンにして食べなさい。
+ 念を押すが、焼くときは絶対にパン種を入れてはならない。火で焼くささげ物のうち、この分は祭司に与える。罪の赦しのためのいけにえや、罪過を償ういけにえの場合と同じく、ささげられた全部がきよいとされる。
+ アロンの家系で祭司を務める者は、子々孫々に至るまで、これを食べることができる。火で焼く主へのささげ物は、祭司だけが食べられる。」
+ 主はモーセに命じました。「アロンとその子らが油を注がれ、祭司の務めに就く日には、日々の穀物の供え物をささげなさい。細かくひいた上等の小麦粉二‧三リットルを、朝と夕方に半分ずつ、
+ オリーブ油でこね、鉄板で焼いてささげる。わたしはそれを受け入れる。
+ 祭司の子らは父の跡を継ぐ場合、油を注がれる任命式の日にこれと同じささげ物をする。これは永遠に変わらない定めである。このささげ物は全部を主の前で焼く。ほんの一口でも食べてはならない。」
+ 主はモーセに告げました。
+ 「次は、罪の赦しのためのいけにえについて、祭司が知っていなければならない決まりである。このいけにえは最もきよいものだから、焼き尽くすいけにえをほふる場所、主の前でほふる。
+ いけにえの儀式を行う祭司は、幕屋の庭でそれを食べる。
+ 特別に選ばれ、きよくされた者、祭司だけしかその肉にさわれない。そのとき衣服に血がかかったなら聖所内で洗いきよめる。
+ 煮沸するのに使った容器は、土の器なら壊し、青銅製ならきれいに磨き上げ、よくすすぐ。
+ 祭司はみな、このささげ物を食べることができるが、それ以外の者は絶対に食べてはいけない。最も聖なるものだからだ。
+ しかし、聖所での罪の償いのためにささげるいけにえで、その血を幕屋の中に持って行くいけにえは、祭司といえども食べてはならない。それは、主の前で完全に焼きなさい。
+
+
+ 罪過を償う最もきよいいけにえについての決まりは、次のとおりである。
+ いけにえの動物は、焼き尽くすいけにえと同じ場所でほふり、血は祭壇の回りに振りかける。
+ 祭司は脂肪を全部、祭壇にささげる。背骨に沿ってついている脂肪、内臓を覆う脂肪、
+ 二つの腎臓、腰のあたりの脂肪、胆のうなどをより分けて、いけにえとする。
+ それを、罪を償ういけにえとして祭壇で焼く。
+ 祭司はみな、その肉を食べることができるが、それを神聖な場所で食べなければならない。最も聖なるいけにえだからだ。
+ 罪の赦しのためのいけにえ、罪過を償ういけにえ、どちらの場合も、動物の死体は儀式を行う祭司の食物となる。
+ 焼き尽くすいけにえの場合は皮が与えられる。
+ 主への穀物の供え物をささげる祭司は、儀式に使った残りを全部与えられる。この規定は、供え物をかまどや鉄板で焼く場合も、なべで料理する場合も変わりはない。
+ ほかの穀物の供え物も、油を混ぜたものでも乾いたものでもすべて、アロンの子である祭司のものとなる。
+ 次は、和解のいけにえとしてささげるいけにえについての決まりである。
+ それが感謝のささげ物の場合、いけにえのほかにパン種を入れていないドーナツ型のパン、オリーブ油を塗った薄焼きのパン、小麦粉をオリーブ油でこねて作ったパン、
+ さらに、パン種を入れたドーナツ型のパンを添える。
+ このうち一部を、儀式どおり祭壇の前で揺り動かしてささげる。それは、いけにえの血を注ぎかける祭司のものとなる。
+ 感謝を表す和解のいけにえとして主にささげた動物の肉は、その日のうちに食べなさい。翌日まで残しておいてはならない。
+ 感謝のいけにえでなく、誓願や任意のささげ物の場合は、その日に食べきれなければ、翌日まで残しておいてかまわない。
+ ただし、三日目まで残った分は焼き捨てなさい。三日目に食べるようなことがあれば、わたしはそのいけにえを受け入れない。いけにえとしての価値がなくなるからである。せっかくのいけにえも無効となり、肉を食べた祭司は罪を犯したことになる。それは主にとって汚れたものだからだ。食べた者は罪の償いをしなければならない。
+ 礼拝規定で汚れているとみなされるものに触れた肉は、食べてはならない。焼き捨てなければならない。食用にする肉は、礼拝規定できよいとみなされる者だけが食べられる。
+ 人が汚れている身でありながら和解のいけにえを食べるなら、もはやイスラエル国民ではない。神聖なものを汚したからだ。
+ だれでも、人であれ動物であれ、礼拝規定で汚れているとみなされるものに触れながら、和解のいけにえを食べるなら、イスラエル国民とはみなされない。神聖なものを汚したからだ。」
+ さらに主はモーセに命じました。
+ 「イスラエル人は牛、羊、やぎの脂肪を食べてはならない。
+ 死んだり野獣に裂き殺されたりした動物の脂肪は、何に使ってもかまわないが、食べることはできない。
+ 火で焼くささげ物の脂肪を食べる者は、イスラエル国民とはみなされない。
+ どこであろうと、鳥や動物の血を食べてはならない。食べればイスラエル国民とはみなされない。」
+ 神はモーセに告げました。
+ 「人々に命じなさい。主への和解のいけにえは、本人の手でささげなければならない。
+ 脂肪と胸の部分を持って来て祭壇の前で揺り動かし、主にささげるのだ。
+ 脂肪は祭司が祭壇で焼き、胸肉はアロンとその子らのものになる。
+ 右のもも肉は、いけにえの儀式を行う祭司がもらう。
+ 胸とももは、国民から祭司へ納める物と決めたからである。祭司はいつも、いけにえのこの部分をもらう。
+ 火で焼くいけにえのこの部分は、報酬として、主に仕える祭司、アロンとその子らのものとなる。
+ このことは、わたしが彼らに油を注いで祭司に任命する日から、必ず守らなければならない。子々孫々に至るまで変わらない彼らの権利である。」
+ 以上が、焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、罪の赦しのためのいけにえ、罪過を償ういけにえ、祭司の任職式のいけにえ、和解のいけにえについての決まりです。
+ これが、シナイの荒野で主がモーセに教えた、いけにえのささげ方です。
+
+
+ 主はモーセに命じました。「アロンとその子らを幕屋の入口に連れて来なさい。装束、注ぎの油、罪の赦しのためのいけにえ用の若い雄牛一頭、雄羊二頭、パン種を入れないパンが入ったかごを用意し、すべての民を集めなさい。」
+ 幕屋の入口に集まった全員に、モーセは語りました。「これからすることは主のご命令だ。」
+ こう言うと、アロンとその子らを呼び寄せ、彼らの体を水で洗い、
+ アロンには特製の上着、飾り帯、青地の長い式服を着せ、美しく織った帯でエポデ(祭司が祭儀において着用する聖なる装束)をつけさせました。
+ 次は胸当てです。その袋にはウリムとトンミム〔神意を伺う一種のくじ〕を入れました。
+ ターバンをかぶらせ、主に特別に選ばれた者であることを表す金のプレートを、正面につけさせました。主に命じられたとおりです。
+ それから聖なる注ぎの油を手に取り、幕屋とその中の用具全部に振りかけ、神聖なものとしてきよめました。
+ 祭壇には特別に七回、その用具や、洗い鉢と台にも振りかけて、きよめました。
+ 最後はアロンでした。頭に油を注ぎ、特別にきよめ分けられた主の祭司に任命しました。
+ それが終わると、今度はアロンの息子たちに式服を着せ、帯を締めさせ、ターバンをかぶらせました。主に命じられたとおりです。
+ いよいよいけにえをささげる時です。モーセは、罪の赦しのためのいけにえ用の若い雄牛を引いて来ました。アロンとその子らはその頭に手を置き、
+ モーセが牛をほふりました。モーセはその血を指につけ、祭壇の四本の角に塗って祭壇をきよめ、残りの血は祭壇の土台に注ぎました。こうして、祭壇を神聖なものとし、きよい儀式に使えるようにしたのです。次に、内臓を覆う脂肪、胆のう、二つの腎臓とその脂肪を祭壇で焼きました。
+ そのほかの部分は、皮も肉も糞も、野営地の外で焼き捨てました。主に命じられたとおりです。
+ 次にモーセは、焼き尽くすいけにえとして雄羊をささげました。アロンとその子らがその頭に手を置き、
+ モーセがほふって血を祭壇の回りに振りかけました。
+ そのあと四肢に切り分け、まず頭と脂肪をいっしょに焼きます。
+ 内臓と足は水洗いし、祭壇で焼きます。こうして全部を主の前で焼き尽くすのです。これが、主の受け入れる焼き尽くすいけにえです。モーセは、すべて主の命令どおりきちんと行いました。
+ それからモーセは、もう一頭の任職式用の雄羊を引いて来ました。まず、アロンとその子らがその頭に手を置きます。
+ モーセは雄羊をほふり、その血をアロンの右の耳たぶと手足の右の親指に塗りました。
+ 続いて、アロンの息子たちにも同じようにします。残りの血は祭壇の回りに振りかけました。
+ 次に、背骨に沿ってついている脂肪と内臓を覆う脂肪、胆のう、二つの腎臓とその脂肪、右のももなどを取りました。
+ その上に、かごから、パン種を入れないパンと、油を入れて焼いたドーナツ型のパンを一個ずつ、それに、オリーブ油を塗った薄焼きパン一枚を取り出して載せました。
+ それを全部、アロンとその子らの手に載せ、祭壇の前で揺り動かして主にささげさせたのです。
+ モーセはそれをもう一度もらい受け、焼き尽くすいけにえといっしょに、祭壇で焼きました。これが祭司任職のいけにえで、主に受け入れられるささげ物です。
+ このあとモーセは、雄羊の胸の部分を祭壇の前で揺り動かして主にささげました。これはモーセが受け取る分です。すべて主に命じられたとおりです。
+ 続いてモーセは、注ぎの油と祭壇に振りかけた血を取り、アロンとその装束、息子たちとその装束に振りかけました。アロンとその子ら、およびその装束を、主の務めにささげるためです。
+ モーセは、アロンとその子らとに言いました。「教えたとおり、幕屋の入口で肉を煮て、任職式用のかごに入っているパンといっしょに食べなさい。
+ 残った肉やパンは焼き捨てなさい。」
+ またモーセは、七日間は幕屋の入口を離れないようにと命じました。祭司の任命には七日を要するからです。
+ さらに、その日の儀式はすべて、主が命じられたとおりだと言いました。
+ そして最後にもう一度、七日間は昼も夜も幕屋の入口を離れてはならないこと、もし離れたら必ず死ぬと主に言われたことを告げました。
+ アロンとその子らは、主がモーセに命じたことをみな行いました。
+
+
+ 任職式の八日目にモーセは、アロン、その息子たち、イスラエルの指導者たちを集め、
+ 雄牛一頭を罪の赦しのためのいけにえとして、傷のない雄羊を焼き尽くすいけにえとして、主にささげるようアロンに命じました。
+ 「人々に、罪の赦しのためのいけにえ用に雄やぎを、焼き尽くすいけにえ用に傷のない一歳の子牛と子羊を用意させなさい。
+ また、雄牛と雄羊を和解のいけにえ用に、また、オリーブ油でこねた小麦粉を穀物の供え物用に持って来させなさい。今日、主があなたがたに現れるからだ。」
+ そこで人々は、命じられたとおりのものを幕屋の入口へ持って来て、主の前に立ちました。
+ モーセは、「主のご命令に従えば、必ずそのご栄光を仰げるのだ」
+ と言うと、アロンに、「祭壇に進み出て、罪の赦しのためのいけにえと、焼き尽くすいけにえをささげ、まず自分の罪の償いをし、次に民の罪の償いをしなさい」と命じました。主が命じたとおりです。
+ アロンは祭壇に進み出て、自分の罪が赦されるためのいけにえとして、子牛をほふりました。
+ 息子たちがその血を手にすくうとアロンはそれに指を浸し、祭壇の角に塗り、残りは祭壇の土台に注ぎました。
+ そして主の命令どおり、祭壇でいけにえの脂肪、腎臓、胆のうを焼きました。
+ ただし、肉と皮は宿営の外で焼き捨てました。
+ 次に焼き尽くすいけにえを殺し、息子たちがその血をすくい、それをアロンが祭壇の回りに振りかけました。
+ 続いて息子たちは死体をばらばらにし、頭といっしょにアロンのところに持って来ました。アロンはそれを一つ残らず祭壇で焼きました。
+ そして、内臓と足もきれいに洗い、焼き尽くすいけにえとして祭壇で焼きました。
+ 次は民のささげ物の番です。アロンは自分のときと同じ要領で、罪の赦しのためのいけにえとして、やぎをささげました。
+ さらに、主の指示どおり、焼き尽くすいけにえもささげました。
+ 穀物の供え物がそれに続きます。その中から一つかみを取り、朝ごとのささげ物とは別に、祭壇で焼いてささげました。
+ ついで、雄牛と雄羊をほふりました。民のための和解のいけにえです。アロンの息子たちがその血をアロンのところに持って行き、アロンは祭壇の回りに振りかけました。
+ 続いて、背骨に沿ってついている脂肪と内臓を覆う脂肪、腎臓と胆のうを取り出しました。
+ 脂肪はいけにえの胸に載せ、祭壇で焼きました。
+ ただし胸と右ももは、モーセが命じたとおり、主の前でゆっくり揺り動かしてささげました。
+ それから民に向かって両手を上げ、彼らを祝福し、罪の赦しのためのいけにえ、焼き尽くすいけにえ、和解のいけにえをささげて祭壇から降りました。
+ 今度はモーセとアロンがそろって幕屋に入ります。やがて出て来た二人が民を祝福すると、なんと彼らが見ている前で主の栄光が現れたのです。
+ その時、主の火が下り、祭壇のいけにえと脂肪を焼き尽くしました。民はみな大声を上げ、ひれ伏しました。
+
+
+ さて、アロンの子ナダブとアビフは、自分の香炉に神聖でない火を盛り、香をくべ、主の前にささげました。これは主の命令に反することでした。
+ たちまち主の前から火が吹き出し、二人を焼き殺してしまいました。
+ 「『わたしに近づく者によってわたしのきよさを現し、すべての人々の前で栄光を現す』と主が言われたのは、こういうことなのだ」と言うモーセのことばに、アロンはただ黙ってうなだれるだけでした。
+ モーセはただちに、アロンのおじウジエルの子のミシャエルとエルツァファンとを呼び、「あなたがたの親族の遺体を神の幕屋の前から宿営の外に運び出しなさい」と命じました。
+ 彼らは言われたとおり、式服のままの二人の遺体を外に運びました。
+ それからモーセは、アロンと残った二人の子エルアザルとイタマルに言いました。「気をしっかり持ちなさい。このことを悲しんではいけない。髪を乱したり、服を引き裂いたりして嘆いてはいけない。そんなことをしたら、あなたがたまで殺されてしまう。そうなれば、主の怒りはすべての民に下るだろう。ほかの者が、主の下された恐るべき火のことで、ナダブとアビフのために嘆き悲しむのはかまわない。
+ だが、あなたがたはだめだ。たとえ家族の者が主の罰を受けて死んだときでも、幕屋での務めを離れてはならない。あなたがたは油を注がれた者だからだ。」彼らは命令どおりにしました。
+ 次に、主はアロンに命じました。「幕屋に入るときは、ぶどう酒や強い酒を飲んではならない。さもないといのちはない。あなただけではない。息子たちも同じだ。このおきては、末代までも守らなければならない。
+ 人々に代わって正しい判断を下すことが、あなたがたの務めだからだ。神聖なものと俗なもの、きよいものと汚れたものの区別を示し、
+ わたしがモーセに与えたすべてのおきてを教えなさい。」
+ このあとモーセは、アロンとエルアザル、イタマルの三人に言いました。「祭壇で焼いて主にささげる穀物の供え物は、必ずパン種の入らないものとし、一つかみだけささげる。残りは祭壇のそばで食べなさい。ささげ物は最も神聖なものだから、
+ 聖所の神聖な場所で食べなければならない。それは、火で焼くささげ物のうち、あなたがたの取り分である。そのように、私は命じられている。
+ しかし、揺り動かしてささげる胸肉ともも肉は、聖所でなくとも、きよい場所ならどこで食べてもかまわない。家族全員が食べられるものだ。人々がささげる和解のいけにえのうち、これだけはあなたがたの取り分である。
+ 脂肪を焼くとき、人々は取り分けてあるももと胸肉を、主の前で揺り動かしてささげる。そのあとで、あなたと家族がもらう。主がそうお命じになったのだ。」
+ こう言うと、モーセは罪の赦しのためのいけにえ用のやぎを捜しましたが、どこにも見つかりません。すでに焼いてしまっていたのです。このことで、モーセはエルアザルとイタマルとをしかりました。
+ 「なぜ罪の赦しのためのいけにえを聖所で食べなかったのだ。それは最も神聖なもので、全国民の罪を取り除くために、主の前でその償いをさせようと主が下さったものではないか。
+ その血は聖所の中に持って行かなかった。だから、聖所で食べなければならない。ちゃんとそう言っておいたはずだ。」
+ その時、アロンが中へ割って入りました。「まあまあ、そこまで言わなくても……。確かに二人は今日、罪の赦しのためのいけにえと焼き尽くすいけにえをささげました。でも、あんなことが起こった日にいけにえの肉を食べても、主はお喜びにならないでしょう。」
+ 言われてみればもっともです。モーセも納得しました。
+
+
+ さて主は、モーセとアロンに命じました。
+ 「人々に言いなさい。食用にできる動物は、ひづめが分かれ、反芻するものだけである。
+ らくだ、岩だぬき、野うさぎは食べてはならない。反芻はするが、ひづめが分かれていないからだ。ひづめは分かれているが、反芻しない豚もだめだ。
+ これらは肉を食べることはおろか、死体にさわってもいけない。絶対に食用にできない動物である。
+ 魚は、ひれとうろこがあるものなら、海のものでも川のものでも食べてよい。
+ しかし、それ以外の水中動物は絶対に食べてはならない。
+ 肉を食べてもいけないし、死骸にさわってもいけない。
+ くり返すが、ひれとうろこのない水中動物は食べられない。
+ 鳥の中では、次のものは食べてはならない。はげわし、はげたか、みさご(タカ科の鳥)、はやぶさの類全部、とび、からすの類全部、だちょう、よたか、かもめ、たかの類全部、ふくろう、鵜、みみずく、白ふくろう、ペリカン、野がん、こうのとり、さぎの類全部、やつがしら、こうもり。
+ 飛ぶもので四つ足のものは食べてはならない。
+ しかし、跳びはねるもの、いなごなどの類は別である。いなご、ばった、大いなご、小いなごなどは食べてかまわない。
+ それ以外に飛ぶもので、四つ足のものは食べてはならない。
+ その死骸にさわる者はみな、夕方まで汚れる。
+ 死骸を持ち運んだ者はすぐ衣服を洗いなさい。礼拝規定で汚れた者とみなされ、夕方まで身を慎まなければならない。
+ ひづめが完全に分かれていない動物や、反芻しない動物にさわる者は汚れる。
+ 足の裏のふくらみで歩く動物は食べられない。死骸にさわるだけで夕方まで汚れる。
+ 死骸を持ち運ぶ者は衣服を洗わなければならない。夕方まで、礼拝規定で汚れた者とみなされる。
+ 地面をはい回る動物のうち、次のものは汚れている。もぐら、とびねずみ、大とかげ類、やもり、わに、とかげ、すなとかげ、カメレオン。
+ これらの死骸にさわれば、夕方まで汚れる。
+ 死骸が何かの上に落ちた場合は、木の容器でも衣服でも敷物でも袋でも、みな汚れる。それにさわった物は何でも水につけなさい。夕方まで汚れるが、また使ってもかまわない。
+ 土の容器の中に落ちた場合、中の物は何でも汚れる。容器は砕いてしまいなさい。
+ 汚れた容器の水がかかった食べ物はみな汚れる。汚れた容器に入っている飲み物も汚れる。
+ それらの動物の死骸が触れたかまどや炉は汚れたものなので、壊してしまいなさい。
+ 死骸が泉とか水ために落ちた場合は、水は汚れない。ただし、死骸を引き上げる者は汚れる。
+ 畑にまく種に死骸が触れても、種は汚れない。
+ ただし、ぬれた種の上に落ちた場合は汚れる。
+ 食用にできる動物が病死した場合は、その死骸にさわれば夕方まで汚れる。
+ その肉を食べたり死体を運んだりした者は、衣服を洗いなさい。その者は夕方まで汚れる。
+ 地面をはう動物は食べてはならない。爬虫類のうち、腹ではうもの、足のあるものも含まれる。たくさんの足ではうものも食べてはならない。汚れたものだからだ。
+ それにさわって自分を汚してはならない。
+ わたしはあなたがたの神、主である。以上のものについて身をきよく保ちなさい。わたしは聖なる者だから、あなたがたも聖なる者になりなさい。地をはい回るものにさわって身を汚さないようにしなさい。
+ わたしはあなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトから救い出した。だから、わたしが聖なる者であるように、あなたがたも聖なる者にならなければならない。」
+ 以上が、動物、鳥、水中に住む動物、地をはう動物についての指示です。
+ これによって、地上の動物の中で、礼拝規定上どれがきよくて、食べてよいものか、どれが汚れていて、食べてはならないものかの区別ができます。
+
+
+ 主はモーセに、民に次のような指示を与えるよう命じました。
+ 「男の子が生まれたときは、母親は七日間汚れる。生理のときと同じである。
+ 八日目にその子に割礼(男子の性器の包皮の一部を切り取る儀式)を施しなさい。
+ さらに三十三日間は汚れをきよめる期間だから、聖なるものにさわったり幕屋に入ったりしてはならない。
+ 女の子を産んだときは、汚れは二週間続く。その期間中、母親は生理のときと同じ制約を受ける。さらに、汚れをきよめるのに六十六日かかる。
+ 彼女のきよめの期間が終わったら、男の子の場合も女の子の場合も、次のとおりにいけにえをささげなさい。一歳の子羊一頭を焼き尽くすいけにえに、家鳩のひなか山鳩一羽を罪の赦しのためのいけにえにする。それを幕屋の入口の祭司のところに持って来る。
+ 祭司がいけにえを主にささげ、罪の償いをしてくれる。こうして、彼女は出産のときの出血の汚れからきよめられる。これが産後のきよめの規定である。
+ しかし、貧しくて子羊を用意できない場合は、山鳩か家鳩のひな二羽でもよい。一羽を焼き尽くすいけにえ、もう一羽を罪の赦しのためのいけにえとしなさい。祭司がそれで罪の償いをしてくれる。これで、再び礼拝規定上きよい者となる。」
+
+
+ 主はモーセとアロンに命じました。「皮膚に腫れもの、かさぶた、できもの、吹き出物が出て皮膚が透明状になったときは、ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)の疑いがある。祭司アロンか、その息子のところに患者を連れて行き、
+ 患部を見てもらいなさい。患部の毛が白くなり、患部が皮膚の下まで及んでいるようなら、ツァラアトである。祭司はツァラアトだと宣告しなければならない。
+ ただし、白い患部が皮膚の下までは及んでいないようで、毛も白く変わっていないなら、患者を七日の間、隔離する。
+ 七日目に祭司が患部を調べる。患部がそのまま広がっていないなら、さらに七日の間、隔離する。
+ 七日目にまた調べ、患部がよくなり、広がっていないなら、「きよい」と宣言する。ただの発疹にすぎなかったのだから、患者は衣服を洗うだけで、元どおりの生活に戻れる。
+ もし、調べてもらったあとで患部が広がったら、もう一度、祭司のところに行かなければならない。
+ 調べた結果、患部が広がっているなら、祭司は彼を「汚れている」と宣告する。これはツァラアトである。
+ ツァラアトの疑いのある患者は、必ず祭司のところに連れて来る。祭司は皮膚に白い腫れものがあるか、患部の毛は白いか、腫れものがひどくただれているかなどを調べる。
+ そのような症状がはっきり見えたら、慢性のツァラアトである。祭司は患者に「汚れている」と宣言しなければならない。その人は明らかに汚れているので、検査を続けるために隔離される必要はない。
+ ツァラアトが足の先から頭の先まで全身に広がっているのがわかったら、
+ 祭司はその人に、「きよい」と宣言する。全身が白くなっているので治ったのである。
+ ただし、一箇所でもただれたままの赤肌が残っているなら、「汚れている」と宣告される。
+ それがあとで白く変わったら、祭司に見てもらう。患部が完全に白く変わっていたら、祭司は「きよい」と宣言する。
+ できものが治っても、
+ 白く腫れ上がっていたり、赤みがかって白く光っていたりしたら、祭司に見せなければならない。
+ 祭司は調べて、できものが皮膚の下まで及んで見えたり、患部の毛が白くなっていたりしたら、「汚れている」と宣言する。できものの痕がツァラアトにかかったからだ。
+ ただし、患部の毛が白くなっておらず、患部が皮膚の下まで及んでいないように見え、色も灰色なら、患者を七日の間、隔離する。
+ その期間に患部が広がれば、「汚れている」と宣言する。
+ 患部がひどくもならず、広がってもいないなら、できものの痕にすぎないから、祭司は彼を「きよい」と宣言する。
+ やけどの箇所が赤みがかった白か、ただ白く光っている場合は、必ず祭司に見せる。
+ 光った患部の毛が白くなり、ただれが皮膚の下まで及んでいるようなら、やけどをした部分がツァラアトにかかったのだ。祭司は患者を「汚れている」と宣言する。
+ 祭司が見て、患部の毛も白くなく、ただれも皮膚の下まで及んでおらず、治りかけているようなら、患者を七日間、隔離する。
+ 七日目に彼を調べて、患部が広がっていたら「ツァラアトだ」と宣告する。
+ 患部が転移したり広がったりせず、治りかけているようなら、やけどの痕にすぎない。祭司は「ツァラアトではない」と宣告する。
+ 男でも女でも、頭かあごに、腫れものがあったなら祭司はその患部を調べる。患部が皮膚の下まで及んでいるように見え、黄色い毛が見つかったらツァラアトを宣告する。
+ ただし祭司が見て、患部は皮膚だけにとどまり、しかも黒い毛がないなら、患者を七日の間、隔離する。
+ 七日目にもう一度調べるのだ。それで患部が広がりもせず、黄色い毛も見つからず、患部も皮膚の下まで及んでいないようなら、
+ 患部の毛は残し、回りの毛を全部そり落とす。こうしてさらに一週間だけ隔離する。
+ 七日目にまた調べて、患部が広がりもせず皮膚の下まで及んでもいないようなら、祭司は彼を「きよい」と宣言する。その人は衣服を洗えばいつでも帰してもらえる。
+ しかし、あとで患部が広がり始めたら、
+ 祭司はその人を再び調べなければならない。確かに広がっていれば、黄色い毛を調べるまでもなくツァラアトを宣告する。
+ 特に広がっているわけでもなく、患部に黒い毛が生えているなら治ったのであり、ツァラアトではない。祭司は彼を「きよい」と宣告する。
+ 男でも女でも、皮膚に透明状の部分はあるが、
+ それが鈍い白色で、だんだん消えていくなら、単なる湿疹である。
+ 髪の毛が抜け、はげてきたからと言って、ツァラアトである決め手にはならない。
+ 前頭部の毛が抜けても、はげただけで、ツァラアトではない。
+ もし、はげた箇所に赤みがかった白い部分があれば、ツァラアトの疑いがある。
+ その場合は祭司が調べ、ツァラアトのような赤みがかった白い腫れものがあれば、
+ ツァラアトを宣告しなければならない。
+ ツァラアトだと宣告された者は、衣服を引き裂き、髪を乱し、口を覆って、『私は汚れている。汚れている』と叫んで歩かなければならない。
+ その症状がある間は汚れた者とみなされ、野営地の外で暮らす。
+ 毛や亜麻布の衣服や織物、皮や皮細工物に緑あるいは赤みがかった斑点ができ、ツァラアトの疑いがある場合は祭司に見せなさい。
+ 祭司はそれを七日の間、隔離しておき、
+ 七日目に取り出して調べる。もし斑点が広がっていれば、伝染性のツァラアトである。
+ ツァラアトが発生した物は、衣服でも織物でも亜麻布や毛の覆いでも皮製品でも、焼き捨てなければならない。伝染するといけないからだ。
+ 七日目に調べて斑点が広がっていなければ、
+ 問題の物を洗い、さらに七日間そのままにしておきなさい。
+ そのあとも斑点の色が元のままなら、広がっていなくても確かにツァラアトだから焼き捨てなさい。その物は完全に汚染されている。
+ 洗ったあと、斑点が消えたら、布でも皮製品でも、その部分を切り取る。
+ それでもなお斑点が現れるときはツァラアトだから焼き捨てなさい。
+ 洗っただけで斑点がすっかり消えれば、もう一度洗い直してから前のように使える。」
+ 以上は、皮や布製の衣服などにツァラアトが発生した場合の指示です。このようにして、ツァラアトかどうかの判断を下します。
+
+
+ 主はまた、モーセに、ツァラアトが治った人をどうするかを指示しました。
+ 「まず、祭司が野営地を出て、患者を調べ、確かにツァラアトが治っていたら、
+ 食用にできる鳥を生きたままで二羽、杉の木、緋色の撚り糸、ヒソプの枝をその人のために持って来させる。治った者のきよめの儀式をするのだ。
+ 祭司は、二羽のうち一羽を土器に入れた湧き水の上でほふるよう命じる。
+ 生きているほうの鳥を、杉の木、緋色の撚り糸、ヒソプの枝といっしょにその血に浸す。
+ 次にツァラアトが治った者にその血を七度振りかけ、「きよい」と宣告する。そのあと、生きているほうの鳥を野に放す。
+ 治った者は衣服を洗い、毛を全部そり落として体を洗う。こうしてから野営地に戻り、元の生活をする。ただし初めの七日間は、自分のテントに入ってはならない。
+ 七日目にもう一度、髪もひげもまゆも全部そり落とし、衣服と体を洗う。これで、完全にツァラアトが治ったと宣告される。
+ 翌日、傷のない雄の子羊二頭と、傷のない一歳の雌の子羊一頭、細かくひいた上等の小麦粉六‧九リットルをオリーブ油でこねたもの、オリーブ油〇‧三リットルを持って来る。
+ 祭司は、その者とささげ物を幕屋の入口へ引いて来る。
+ まず、雄の子羊一頭とオリーブ油〇‧三リットルをささげ、祭壇の前で揺り動かして罪過を償ういけにえとしなさい。
+ 幕屋の中の、焼き尽くすいけにえと、罪の赦しのためのいけにえをほふる場所で、その子羊をほふるのだ。このいけにえは、罪過のためのいけにえと同じく最も聖なるささげ物で、祭司の食物となる。
+ 祭司はその血を取り、きよめられる者の右の耳たぶと手足の右親指に塗る。
+ それからオリーブ油を左の手のひらに注ぎ、
+ 右手の指で、神の前に七回振りかける。
+ 手に残った油は、患者の右の耳たぶと手足の右親指に塗る。つまり、罪を償ういけにえの血の上に塗ることになる。
+ まだ残っている油は、最後にその者の頭に注ぐ。こうして祭司は、主の前でその者の罪を償う。
+ このあと、罪のためのいけにえをささげ、もう一度、汚れからきよめられた人の罪を償う。それがすんだら、焼き尽くすいけにえをほふり、
+ 祭壇に穀物の供え物といっしょにささげる。これらの儀式が全部すんで初めて、その人はきよくなったと宣告される。
+ 貧しくて子羊二頭をささげられないときは、罪過を償ういけにえとして雄の子羊を一頭ささげなさい。ほかに、二‧三リットルの上等の小麦粉をオリーブ油でこねたものを穀物の供え物とし、〇‧三リットルのオリーブ油を添える。
+ また、山鳩か家鳩のひなを二羽持って来る。どちらでも手に入るほうでかまわない。一羽を罪が赦されるためのいけにえに、もう一羽を焼き尽くすいけにえにする。
+ この場合も子羊と同じように、八日目に幕屋の入口にいる祭司のところに持って来る。主の前で、きよめの儀式を行うためである。
+ 祭司は子羊と〇‧三リットルの油を罪過を償ういけにえとし、祭壇の前で揺り動かしてささげる。
+ 子羊を殺し、その血を、きよめの儀式にあずかる者の右の耳たぶと手足の右親指に塗る。
+ 次に、オリーブ油を左の手のひらに注ぎ、
+ 主の前に右手の指で七回振りかける。
+ 続いて、その者の右の耳たぶと右手足の親指に塗る。罪過を償ういけにえの血と同じ場所につけるのだ。
+ 残りの油はきよめにあずかる者の頭に注ぎかけ、主の前でその者の罪を償う。
+ それから彼は、山鳩か家鳩のひな二羽をささげる。どちらでも手に入るほうでかまわない。
+ 一羽を罪の赦しのためのいけにえ、もう一羽を焼き尽くすいけにえとし、穀物の供え物といっしょにささげる。こうして、祭司は主の前で、その者のために罪の償いをするのである。」
+ 以上は、ツァラアトが治っても、きよめの儀式に普通のささげ物ができない者についての指示です。
+ 続いて主は、モーセとアロンに命じました。「約束の地であるカナンの国に着いたら、ある家にツァラアトが発生するだろう。
+ その時は家の持ち主に、『家にツァラアトが発生したようです』と報告させなさい。
+ 報告を受けた祭司は、検査の前に必ず家を空にするよう命じる。さもないと、祭司がその家にツァラアトが発生したと宣告するとき、家財道具まで全部汚染されたことになってしまうからだ。
+ 家の壁に、緑あるいは赤みがかったしまがあり、表面だけでなく中まで及んでいるようだったら、七日間その家を閉鎖する。
+ 七日目にもう一度調べ、しまが壁に広がっていたら、
+ その部分を取り壊すよう命じる。取り除いた石は町の外の汚れた場所に捨てる。
+ それから壁の内側をすっかり削り落とし、町の外の汚れた場所に捨てる。
+ 代わりに新しい石を入れ、新しいモルタルを塗る。
+ それでもまた、しまが現れたら、
+ 祭司が確かめる。しまが広がっているのがはっきりすれば、ツァラアトに間違いない。その家は汚れている。
+ すぐ取り壊させなさい。石も材木もモルタルも全部、町の外の汚れた場所に運び出す。
+ 閉鎖中の家に入った者は夕方まで汚れる。
+ その家で休んだり食事したりした者は、衣服を洗わなければならない。
+ 祭司がもう一度見に来た時、塗り替えた壁にしまが広がっていなければ、その家はきよめられ、ツァラアトは治ったと宣告する。
+ そして、二羽の鳥、杉の木、緋色の撚り糸、ヒソプの枝で、きよめの儀式を行う。
+ 祭司は、土の器に入れた湧き水の上で鳥の一羽をほふり、
+ その血の中へ生きている鳥を、杉の木、ヒソプの枝、緋色の撚り糸といっしょに浸し、七回その家に振りかける。これで家はきよくなる。
+ それが終わったら、生きている鳥を町の外の野に放す。こうしてその家をきよめ、また住めるようにする。」
+ 以上が、ツァラアトにかかった場所についての指示です。
+ すなわち、衣服、家、
+ 皮膚の腫れもの、やけどの痕、透明状の斑点などに関するものです。
+ この指示に照らし合わせて、ほんとうにツァラアトかどうかがわかるのです。
+
+
+ さらに、主はモーセとアロンに告げました。「人々に次のような指示を与えなさい。だれでも陰部から漏出があれば、汚れた者とみなされる。
+ 実際に漏出があるときだけでなく、漏出がないときも、その期間は汚れた者となる。
+ 寝床や座る物もみな汚れる。
+ 患者の寝床にさわるだけで、夕方まで汚れた者となる。そうなれば、衣服と体を洗わなければならない。
+ 汚れた者の座った物に座る者も、礼拝規定上は夕方まで汚れた者となる。やはり、衣服と体を洗わなければならない。
+ また、漏出を病む人の患部にさわった場合も同じである。
+ 患者につばをかけられたときも夕方まで汚れた者となり、衣服と体を洗わなければならない。
+ 患者の乗った鞍は汚れる。
+ 何でも患者が座った物にさわったり、それを運んだりした者は、夕方まで汚れた者となり、衣服と体を洗わなければならない。
+ 患者が手を洗わずに人にさわったら、さわられた者は衣服と体を洗わなければならない。夕方までは汚れた者とみなされる。
+ 汚れた者がさわった土の器は全部壊しなさい。木の容器は水できれいに洗えばよい。
+ 漏出が止まったら、七日間きよめの儀式を行いなさい。衣服を洗い、流水で体を洗うのだ。
+ 八日目に、幕屋の入口に、山鳩か家鳩のひな二羽を持って来て、祭司に渡す。
+ 祭司はそこでいけにえをささげる。一羽を罪の赦しのためのいけにえに、もう一羽を焼き尽くすいけにえにする。こうして祭司は、漏出を病んだ患者のために罪の償いをする。
+ 精液を漏らしたときは全身を洗うこと。本人は夕方まで汚れた者となる。
+ 精液のついた衣服や皮も夕方まで汚れたものとなり、洗わなければならない。
+ 性行為後は、男も女も体を洗わなければならない。二人とも翌日の夕方まで、汚れた者とみなされる。
+ 女が生理のとき、七日間は汚れた者となる。その期間に女にさわる者はだれでも、夕方まで汚れる。
+ その期間に女の寝る床や座る物は汚れる。
+ 女の寝床や座った物にさわる者も、衣服と体を洗わなければならない。夕方まで汚れた者となる。
+ この期間に女と性行為をする者は、礼拝規定で七日間汚れた者となる。彼の寝床も汚れる。
+ 生理の出血が、普通の期間を過ぎても止まらないか、不定期にあった場合にも、同じ規定を適用する。
+ その期間に寝た床は、通常の生理の場合と同様に汚れる。座った物も同じである。
+ その女の寝床や座った物にさわる者は夕方まで汚れる。衣服と体を洗いなさい。
+ 月のものが止まって七日たったら、汚れはきよくなる。
+ 八日目に、山鳩か家鳩のひな二羽を、天幕の入口の祭司のところに持って行きなさい。
+ 祭司は一羽を罪の赦しのためのいけにえに、もう一羽を焼き尽くすいけにえにする。生理の汚れのために、主の前でその女の罪の償いをする。
+ こうして、人々を汚れからきよめる。彼らの間に建てられたわたしの聖所を汚し、死ぬようなことがないためだ。」
+ 以上が、陰部に漏出のある者や、精液を出して汚れた者、生理の期間中の女、その期間中の女と性行為を行った者に関する指示です。
+
+
+ アロンの二人の息子が主の前に近づいて死んだのち、主はモーセに告げました。「あなたの兄アロンによく言っておきなさい。勝手に垂れ幕の奥の聖所(至聖所と呼ばれる)に入り、契約の箱(十戒が納められている)の上の『恵みの座』に近づいてはならない。死なないためである。『恵みの座』にかかる雲の中に、わたしは現れるからだ。
+ アロンがそこに入るときは、次のようにしなさい。若い雄牛を罪の赦しのためのいけにえとして、また、焼き尽くすいけにえとして用意し、
+ 体を洗い、神聖な亜麻布の長服、下着、帯、ターバンを必ず身に着けなさい。
+ それから、罪の赦しのためのいけにえに雄やぎ二頭、焼き尽くすいけにえに雄羊一頭を、会衆から受け取る。
+ アロンはまず自分のために、罪の赦しのために若い雄牛をささげ、自分と家族の罪の償いをする。
+ 続いて、主の前、幕屋の入口にやぎ二頭を引いて来て、
+ くじを引き、神のものになるほうと、すべての民の罪の身代わりに荒野へ放つほうを決める。
+ 主のものと決まったほうを、罪の赦しのためのいけにえとする。
+ もう一頭は、生かしたままで主の前に置く。罪を償う儀式を行ったら、すべての民の罪の身代わりとして荒野へ放つ。
+ 自分と家族の罪が赦されるために若い雄牛をささげたあと、
+ アロンは主の祭壇から炭火を火皿いっぱいに取り、細かく砕いた香り高い香を両手いっぱいにつかんで垂れ幕の奥に入る。
+ そこで主の前に香を炭火にくべる。香の煙が契約の箱の上の『恵みの座』を包むようにする。こうすればアロンは死なない。
+ 次に、若い雄牛の血を持ってもう一度中へ入り、指につけて『恵みの座』の東側に振りかけ、前面にも七回振りかける。
+ それが終わったら出て行って、民の罪が赦されるためのいけにえとしてやぎをほふり、その血を垂れ幕の奥へ持って入り、若い雄牛のときと同じように、『恵みの座』の上と前面に振りかける。
+ このようにして、アロンは至聖所の汚れをきよめる。至聖所が人々の罪で汚されたからだ。人々のただ中にあって、汚れに囲まれている幕屋のためにも、同様にする。
+ アロンが聖所に入って罪の償いをするときは、自分と家族と全イスラエル人のために罪の償いをして出て来るまで、だれひとり幕屋に入ってはならない。
+ それがすんだら、主の前にある祭壇の汚れをきよめる。若い雄牛とやぎの血を祭壇の角に塗る。
+ また、指に血をつけて祭壇に七回振りかける。こうして、祭壇を全イスラエル人の罪からきよめ、神聖なものとする。
+ 至聖所と幕屋全体と祭壇をきよめる儀式が終わったら、アロンはもう一頭の生きているやぎを引いて来て、
+ その頭に両手を置き、民の犯した罪をすべて告白する。すべての罪をやぎの頭に載せ、特別その仕事に任じられた者が荒野に放つ。
+ やぎは人々のすべての罪を背負ったまま無人の地へ引いて行かれ、荒野に放たれる。
+ それからアロンはまた幕屋に入り、垂れ幕の奥へ入るときにつけていた亜麻布の装束を脱ぐ。服はそこへ置いたままにして、
+ 神聖な場所で体を洗い、大祭司のいつもの服に着替えて外へ出て、自分と民のために、焼き尽くすいけにえをささげ、罪の償いをする。
+ 罪の赦しのためのいけにえの脂肪も祭壇で焼く。
+ やぎを荒野へ引いて行った者は、衣服と体を洗ってから野営地に戻る。
+ 罪の赦しのためのいけにえにした若い雄牛とやぎの死骸で、アロンが至聖所内で罪の償いの儀式に使ったものは野営地の外に運び出し、皮も内臓もみな焼き捨てる。
+ これを焼く者は、衣服と体を洗ったあと野営地へ戻る。
+ これから命じることは、あなたがたが永遠に守るべきおきてである。毎年第七の月の十日(太陽暦では九月二十四日)は何の仕事もせず、謙虚に自分を反省する日としなさい。イスラエル人も共に住む外国人も区別はない。この日は、すべての罪が赦され、神の目から見てきよい者と認められる、罪の償いの日だからだ。
+ 完全な休息の日として、身も心も静め、謙遜な思いで一日を過ごしなさい。これは永遠のおきてである。
+ アロンの死後も、彼の後継者として油を注がれる大祭司が、代々この儀式をとり行う。神聖な亜麻布の装束を身にまとい、
+ 聖所、幕屋、祭壇、祭司、全国民の汚れをきよめ、罪の償いをしなさい。
+ くり返すが、これはイスラエルの永遠のおきてであり、年に一度、すべての民の罪が赦されるためになされるものである。」
+ アロンは、主がモーセに指示したとおり、すべて行いました。
+
+
+ 主はまた、アロンと祭司への教え、すべてのイスラエルの民への教えをモーセに示しました。
+ 「雄牛、子羊、やぎを幕屋以外の場所でいけにえとしてささげる者は殺害の罪に問われ、国から追放される。
+ これは、野外でいけにえをささげることを禁止し、いけにえはすべて幕屋の入口の祭司のところに持って来させ、そこで、脂肪を焼き、わたしの受け入れる香りを放つようにさせるためである。
+ このようにして、祭司は幕屋の入口にある神の祭壇に血を振りかけることができ、また、わたしの受け入れる香りを放つための脂肪を焼くことができる。
+ そして、イスラエル人は二度と野外で悪霊にいけにえをささげなくなる。これは彼らにとって守るべき永遠のおきてである。
+ くり返すが、イスラエル人であっても共に住む外国人であっても、焼き尽くすいけにえや他のいけにえを、幕屋の入口以外の場所でささげる者は追放される。
+ また、イスラエル人であっても、在留外国人であっても、血を食べる者からわたしは顔をそむけ、イスラエルから追放する。
+ 血はいのちそのものであり、罪を償い、たましいを救う代償として祭壇に振りかけるものだからだ。
+ イスラエル人も在留外国人も、血を食べてはならないと命じたのは、このためである。
+ イスラエル人でも在留外国人でも、猟に出かけ、食用にできる動物や鳥を殺した場合は、血を絞り出し、土をかぶせておかなければならない。
+ 血はいのちだからである。動物でも鳥でも、いのちは血にあるのだから、血を食べてはならない。血を食べる者は追放される。
+ 自然に死ぬか、野獣に裂き殺されるかした動物を食べるなら、イスラエル人でも在留外国人でも、衣服と体を洗わなければならない。夕方まで汚れた者となる。そのあとは、彼はきよい者とみなされる。
+ この決まりどおりにしなければ、どんな罰を受けようと、すべて本人の責任である。」
+
+
+ 主はモーセに、次のことを人々に教えるように言いました。「わたしはあなたがたの神、主である。
+ だから、異教徒のまねをしてはならない。長い間住んでいた異教の地エジプトや、これから行こうとするカナンの人々のようにふるまってはならない。
+ わたしのおきてだけに従いなさい。細かな点に至るまできちんと守りなさい。わたしはあなたがたの神、主だからだ。だれでも、わたしのおきてに従うなら生きる。わたしは主である。
+ 近親者と性的に交わってはならない。わたしは主である。
+ 娘が父と、息子が母と性的に交わってはならない。
+ また、父の妻(継母)も同じである。
+ 実の姉妹とでも片方の親が違う姉妹とも、交わってはならない。同じ家で生まれても、ほかの家で生まれても変わりはない。
+ また、娘の娘であれ、息子の娘であれ、孫娘と交わってはならない。
+ 腹違いの妹とも、
+ 父方のおばとも交わってはならない。
+ 母方のおばとも交わってはならない。
+ 父方のおじの妻である義理のおばとも交わってはならない。
+ 息子の妻である義理の娘とも交わってはならない。
+ 兄弟の妻も同様である。
+ あなたは、女とその娘、あるいはその孫娘の両者と性的に交わってはならない。二人は肉親であり、それは恥ずべき行為である。
+ 姉妹を同時に妻にしてはならない。嫉妬に駆られて争うようになるからだ。妻が死んだあと、その姉妹と結婚することは許される。
+ 生理中の女と、性行為をしてはならない。
+ 人の妻と関係して身を汚してはならない。
+ 子どもを異教の神モレクにささげて焼き殺してはならない。わたしの名を決して汚してはならない。わたしはあなたがたの神、主だからだ。
+ 同性間の性行為は許されない。それは憎むべきことである。
+ 男も女も、動物と性行為をして不道徳を行ってはならない。それは、絶対にあってはならない行為である。
+ このようなことをして身を汚してはならない。それは異教徒のすることである。彼らがそんなことをしているからこそ、わたしはあなたがたの目指す国から彼らを追い出すのだ。
+ 国全体がそれらの行為で汚れ果てている。そこの住民を罰し、国から追い出す。
+ あなたがたはわたしのおきてと定めをしっかり守りなさい。このような恐るべきことを行ってはならない。イスラエル人も在留外国人も、わたしに従いなさい。
+ 確かに、これから行こうとしている国の住民は、このような憎むべきことをくり返して国中を汚した。
+ そのまねをしてはならない。さもないと彼らばかりか、あなたがたまで追い出すことになる。
+ このようなことを行う者は、だれであっても追放する。だから、どんなことがあってもわたしのおきてに従いなさい。くれぐれも、これから行く国で悪い習慣に染まり、身を汚すことがないように。わたしはあなたがたの神、主である。」
+
+
+ さらに主はモーセに、次のことを人々に教えるように告げました。「あなたがたの神、主であるわたしは聖なる者であるから、あなたがたも聖なる者となりなさい。
+ 両親を尊敬し、安息日の定めを守りなさい。わたしはあなたがたの神、主だからだ。
+ 偶像の神々を造ったり、拝んだりしてはならない。わたしはあなたがたの神、主である。
+ 和解(感謝)のいけにえをささげるときは、正しくささげなければならない。
+ その肉はささげた日か、遅くとも翌日には食べなさい。三日目になってまだ残っている分は必ず焼き捨てなさい。
+ 三日目に食べても、わたしは不快に思うだけで受け入れない。
+ そればかりか、食べた本人は主の神聖さを汚したのだから罪となる。彼はイスラエルから追放される。
+ 刈り入れのときは、畑の隅々まで刈り取ってはならない。地面に落ちた穂を拾い集めてもいけない。
+ ぶどうの収穫の場合も同じで、実をすっかりもぎ取ったり、ぶどう畑に落ちた実を拾ったりしてはならない。貧しい者や在留外国人が取れるように残しておきなさい。わたしはあなたがたの神、主だからだ。
+ 盗んだり、うそをついたり、だまし取ったりしてはならない。
+ わたしの名にかけて偽って誓ってはならない。それは神の名をひどく傷つけることである。
+ 人を虐待したり、人のものを奪い取ったりしてはならない。使用人にはきちんと給料を払いなさい。支払いを翌朝まで延ばしてはならない。
+ 耳の聞こえない人をさげすんだり、目の見えない人をわざとつまずかせたりしてはならない。神を恐れなさい。わたしは主である。
+ 人をさばくときは、いつも公正なさばきをしなければならない。強い人か弱い人か、金持ちか貧しいかによって、左右されてはならない。
+ うわさ話をして回ってはならない。ありもしないことで人を訴え、罪に陥れてはならない。
+ 人を憎んではならない。罪を犯した者は戒めなさい。放っておいてはいけない。さもないと同罪とみなされる。
+ 復讐してはならない。人を恨んではならない。むしろ、自分を愛するように人を愛しなさい。
+ わたしのおきてを守りなさい。種類の違った家畜を交配させてはならない。畑に二種類の種をまいてはならない。毛と亜麻の混紡の服を着てはならない。
+ 婚約している女奴隷を誘惑した場合、二人とも裁判を受けるが死刑にはならない。女が自由の身でないからだ。
+ 誘惑した男は、罪過を償ういけにえを幕屋の入口に持って来る。いけにえは雄羊でなければならない。
+ 祭司は雄羊をささげて、その男が犯した罪の償いをする。そうすれば赦される。
+ 約束の国へ入って果樹を植えたら、何の木であっても三年は実を食べてはならない。礼拝規定で汚れたものとみなされるからだ。
+ 四年目に全収穫をささげ、神の恵みをたたえる供え物としなさい。
+ 五年目からは、収穫はあなたがたのものとなる。
+ 血抜きしていない肉を食べてはならない。占いや魔術を使ってはならない。
+ こめかみの毛をそったり、ひげの両端を刈り込んだりしてはならない。それは異教徒のすることだ。
+ 葬儀の時に死者を悼んで自分の体に傷をつけたり、入れ墨をしたりしてはならない。
+ 娘に売春をさせて身を汚させてはならない。恐ろしい悪が国中にはびこらないように、こう警告しておく。
+ 安息日の定めを守り、幕屋を神聖な場所として重んじなさい。
+ 霊媒や口寄せに頼って心を惑わせてはならない。
+ 老人には一目おき、尊敬を払いなさい。また、神を恐れなさい。わたしは主である。
+ あなたがたの間に住む在留外国人の弱みにつけ込んだり、虐待したりしてはならない。
+ 国民と同様に扱い、自分を愛するように愛しなさい。自分たちもエジプトでは在留外国人だったことを忘れてはならない。
+ 判断は公平で正しくなければならない。正確なはかりを用いなさい。長さでも重さでも量でも、正しくはかりなさい。わたしは、あなたがたをエジプトから救い出した、あなたがたの神、主である。
+ わたしの命じたことは、どれも注意深く守りなさい。わたしは主である。」
+
+
+ 主はイスラエルの民のために、さらに次のような指示をモーセに与えました。「イスラエル人でも在留外国人でも、わが子を異教の神モレクのいけにえとする者は、必ず同胞の手で石打ちの刑に処せられる。
+ わたしもその者から顔をそむけ、イスラエルから断つ。わが子をモレクにささげることによって、わたしの名を汚し、わたしの聖所を汚したからだ。
+ たとえ全国民がそのことに目をつぶり、処刑を拒んでも、
+ わたしは決して赦さない。本人ばかりか家族からも顔をそむけ、モレクを求めて不道徳なことを行うすべての者を、イスラエルから断つ。
+ わたしの代わりに霊媒や口寄せなどに頼る者からもわたしは顔をそむけ、イスラエルから断つ。
+ だから、自分をきよめて聖なる者になりなさい。わたしはあなたがたの神、主だからだ。
+ わたしのおきてを忠実に守りなさい。わたしはあなたがたを聖なる者とする主である。
+ 自分の両親をのろう者は必ず死刑に処せられる。それが当然の報いである。
+ 人妻と姦淫を犯せば、男も女も共に死刑に処せられる。
+ 父の妻(継母)と性的に関係する者は父を辱めたので、当然の報いとして男も女も死刑に処せられる。
+ 義理の娘と関係すれば二人とも死刑に処せられる。互いの責任で道ならぬことをし、この結果を招いたのである。
+ 同性愛にふける者は、二人とも死刑に処せられる。それは彼らの責任である。
+ 娘と母親の両方と関係することは、重い罪である。三人とも火あぶりにし、悪をぬぐい去りなさい。
+ 動物と性行為を行う者は死刑にし、動物も殺してしまいなさい。
+ 女の場合も同じだ。女も動物も殺しなさい。当然の報いである。
+ たとえどちらかの親が違っても自分の姉妹と関係することは、恥ずべき行為である。二人とも公にイスラエルから追放される。それだけの罪を犯したからである。
+ 生理中の女と関係すれば、二人とも追放される。女の身の汚れを人前にさらしたからだ。
+ 父方でも母方でも、おばと関係してはならない。近親者だからだ。この戒めを破った者は必ず罰を受ける。
+ おばと関係する者は、おじのものを奪うのである。二人は当然の罰を受け、子を残さずに死ぬ。
+ 兄弟の妻と結婚するのは恥ずべきことである。兄弟のものを奪うからだ。彼らには子は生まれない。
+ わたしのすべてのおきてと定めに従わなければならない。きちんと守りさえすれば、新しく住む国から放り出されることはないだろう。
+ これからあなたがたの前から追い出す国々の習慣に従ってはならない。彼らは、わたしがしてはならないと警告したことを平気な顔でやっている。わたしはそんな者たちを激しく嫌う。
+ 約束どおりあなたがたにあの国々を与えよう。そこは乳とみつの流れる地だ。あなたがたは、ほかのどんな国民とも違う。わたしが特別に選び、わたしがあなたがたの神、主となったからだ。
+ 鳥でも動物でもわたしの命令どおり、食べられるものと、そうでないものをはっきり区別しなさい。どれほどたくさんいても、禁じたものは食べてはならない。食べ物のことで身を汚し、わたしに嫌われないようにしなさい。
+ 主であるわたしが聖なる者だから、あなたがたも聖なる者となりなさい。あなたがたはほかの国民とは違う。わたしが選び出してわたしの国民としたからだ。
+ 霊媒や口寄せを行う者は、男であっても女であっても石で打ち殺される。それが当然の報いである。」
+
+
+ 続いて、主はモーセに告げました。「縁者に不幸があった場合、遺体にさわって身を汚してはならないと祭司に命じなさい。
+ ただし、両親、息子、娘、兄弟、同居している未婚の姉妹といった近親者の場合は例外である。
+ 祭司はすべての民の指導者だから、特に身をきよく保ちなさい。一般の人と同じにふるまって、身を汚してはならない。
+ 祭司は髪やひげをそってはならない。異教徒がするように体を傷つけてはならない。
+ 神の前に聖なる者となるように、神の名を冒瀆してはならない。さもないと、火で焼く食物の供え物を神にささげる資格はない。
+ また、売春婦や離婚歴のある女と結婚することも許されない。祭司は神のもので、聖なる者だからだ。
+ 神へのいけにえをささげるために選ばれた祭司を、聖なる者としなさい。あなたがたを選び、きよい者とするわたしが聖なる者だからだ。
+ 祭司の娘でありながら売春婦になる者は、自分ばかりか父親のきよさまで汚すのだから、火あぶりの刑に処しなさい。
+ 大祭司として油を注がれ、そのための装束を身につける者は、どんなに悲しいときも、髪を乱したり衣服を引き裂いたりしてはならない。
+ たとえ両親の遺体であっても、近づいてはならない。
+ 務めの間は聖所を離れてはならない。神聖な務めを果たす者として、神から任命されているからだ。
+ 大祭司は同族の、しかも処女を妻にしなければならない。未亡人や離婚歴のある女、売春婦と結婚してはならない。大祭司の家系に一般人の血が混じってはならない。わたしが彼を特別に選び、きよい者としたからである。」
+ 主はまた、モーセに語りました。「アロンに言いなさい。代々の子孫のうち、体に欠陥のある者は神にいけにえをささげてはならない。
+ 目や足の不自由な者、鼻に欠陥のある者や手足の不釣り合いな者、
+ 手足の折れた者、
+ 背中の曲がった者、小人、できものや疥癬のある者、睾丸のつぶれた者など。
+ アロンの子孫のうち、以上のような体に欠陥のある者は、火で焼くいけにえを主にささげることはできない。
+ ただし、いけにえのうち祭司の食物になる分は、聖なるものでも最も聖なるものでも食べてよい。
+ しかし、垂れ幕や祭壇に近づいたりしてはならない。彼はわたしの聖所を汚してはならない。そこを神聖な所とするのは主だからである。」
+ モーセはこれらのことをアロンとその子ら、およびイスラエルのすべての民に告げました。
+
+
+ 主はモーセに告げました。「アロンとその子らに、ささげ物を不用意に扱って、わたしの名を汚さないように教えなさい。わたしは主である。
+ 今から永遠に、祭司が汚れたまま、人々の持って来た動物をいけにえにしたり、供え物を扱ったりするなら、その者は永久に祭司職を解かれる。
+ ツァラアトにかかったり漏出のある祭司は、完全に治るまで聖なるものを食べてはならない。死体にさわった者、精液を漏らした者、
+ 爬虫類など汚れた動物にさわった者、あるいは、何らかの理由で礼拝規定に定められた汚れたものにさわった者は、
+ 夕方まで汚れる。夕方、体を洗うまでは、聖なるものを食べてはならない。
+ 日が沈めばきよくなるから、そのあとは食べてもよい。それは祭司のいのちの糧だからだ。
+ 祭司は、自然に死んだか、野獣に裂き殺された動物を食べてはならない。身を汚すことになるからだ。
+ これらの命令を細心の注意をもって守るよう警告しなさい。それを破って、死を招くことがないように。わたしはあなたがたを選び、きよい者とする神である。
+ 祭司でない者は、聖なるいけにえを食べてはならない。祭司の家の同居人や使用人であっても、口にしてはいけない。
+ しかし、祭司が自分の金で買った奴隷は、そのいけにえを食べてよい。その家に生まれた奴隷の子も同じだ。
+ 祭司の娘がほかの部族の者と結婚したときは、聖なるものを食べてはならない。
+ ただし、未亡人となるか離婚するかして、面倒を見てくれる息子もなく、実家に戻った場合は、また食べることができる。
+ 知らずに聖なるいけにえを食べた者は、食べた量の二割増しを祭司に返しなさい。
+ 人々が持って来た聖なるいけにえは、神へのささげ物だから、一般の人が食べて汚してはならない。
+ それを破れば罪に定められ、非常に危険な状態に陥る。聖なるささげ物を食べたからだ。わたしはささげ物をきよくする神である。」
+ 続いて神は、モーセに告げて言いました。「アロンとその子ら、およびすべての民に命じなさい。イスラエル人、あるいは在留外国人が焼き尽くすいけにえを主にささげるときは、誓願のためのものであっても、自分から進んでするささげ物であっても、
+ 傷のない雄でなければならない。それも若い牛か羊、あるいはやぎに限る。
+ 傷のあるものはいっさい認めない。わたしはそのようなものは受け取らない。
+ 和解のいけにえの場合も、誓願のためのものと、自分から進んでするささげ物の別なく、牛や羊は傷のあるものをささげてはならない。わたしはそのようなものは受け取らない。
+ 目が見えなかったり、骨折していたり、傷があったり、うみが出ていたり、湿疹や皮膚病にかかったりしているものはささげてはならない。主の祭壇にささげる焼き尽くすいけにえにふさわしくないからだ。
+ 神にささげる若い牛か羊の体の一部が伸びすぎていたり、欠陥があったりしたら、自分から進んでするささげ物にはできるが、誓願のためにささげてはならない。
+ どんな傷でも睾丸の傷ついた動物は、つぶれていようが切り取られていようが、主にささげてはならない。
+ イスラエル人だけでなく、在留外国人も同じ制限を受ける。わたしは傷のある動物は、いけにえとして受け取らないからだ。」
+ 続いて主は、モーセに命じました。「牛か羊かやぎが生まれたら、七日間は母親のそばに置きなさい。八日以上たてば、火で焼くささげ物として主にささげることができる。
+ 牛でも羊でも、母親と子を同じ日にほふってはならない。
+ 感謝のいけにえをささげるときは、決まりどおりささげなければならない。翌日まで残さず、その日のうちにいけにえの肉を食べなさい。
+ わたしのすべての命令に従いなさい。
+ わたしを軽んじてはならない。聖なる神としてあがめなさい。あなたがたを聖なる者とし、エジプトから救い出してわたしの民としたのは、主であるこのわたしだ。」
+
+
+ 主はモーセに命じました。「主の祭りを毎年欠かさず守るよう、人々に言いなさい。その時には全国民が集まり、主を礼拝するのだ。
+ この祭りは安息日とは別のものである。毎週六日間は仕事をし、七日目は休み、集まるのは礼拝のためだけとしなさい。あとは家で静かに過ごしなさい。この安息日は、どこにいても守らなければならない。
+ あなたがたが毎年行う聖なる祝祭は、次のとおりである。
+ まず過越の祭り。これは第一の月の十四日(太陽暦では三月末)に祝う。
+ 次は種なしパンの祭り。この祭りは過越の祭りの翌日から一週間、パン種を入れないパンを食べて祝う。
+ 最初の日はふだんの仕事をすべて休み、礼拝のために集まる。
+ 七日目も同様である。その間、毎日、火で焼くささげ物を神にささげる。
+ 次は刈り入れの祭り。わたしがあなたがたに与える国で最初の収穫を上げたなら、安息日の翌日に、そのうちの一束を祭司のところに持って来なさい。祭司は、主の前でその束を揺り動かしてささげる。わたしはそれを受け取ろう。
+ 同じ日に、焼き尽くすいけにえとして、一歳の傷のない雄の子羊をささげなさい。
+ 穀物の供え物もいっしょにささげなさい。細かくひいた上等の小麦粉四‧六リットルをオリーブ油でこね、火で焼くささげ物としなさい。わたしはそれを受け入れる。また、ぶどう酒約一リットルを飲み物の供え物としてささげなさい。
+ 最初の収穫をささげ終えないうちは、どんな収穫物も食べてはならない。新麦もパンも炒り麦も食べてはならない。これは、イスラエルの代々守るべきおきてである。
+ 七週の祭りとして、最初の収穫をささげてから五十日目に、その後の収穫の中から、新しい穀物の供え物を持って来なさい。
+ 家で焼いたパンを二つ、主の前で揺り動かしてささげる。パンは、四‧六リットルの小麦粉にパン種を入れて焼く。これは収穫物の初穂としてささげるのである。
+ パンとぶどう酒といっしょに、傷のない一歳の子羊七頭と若い雄牛一頭、雄羊二頭を、焼き尽くすいけにえとして主にささげる。全部を火で焼いてささげる。それがわたしの受け入れるいけにえである。
+ ほかに、罪の赦しのためのいけにえとして雄やぎ一頭を、和解のいけにえとして一歳の雄の子羊二頭をささげる。
+ 収穫物の初穂としてささげたパンといっしょに、祭司はこれらのいけにえを揺り動かして主にささげる。
+ その日はすべての民が礼拝に集まる。どんな仕事もしてはならない。これは代々守るべきおきてである。
+ 刈り入れのときは、畑の隅々まで刈り取ってはならない。落ち穂を拾ってはいけない。貧しい人や土地を持たない在留外国人のために残しておきなさい。
+ 第七の月の一日(太陽暦では九月十五日)は、すべての民が礼拝に集まる聖なる記念日である。ラッパを高らかに吹き鳴らし、その時を告げなさい。
+ その日は一日、どんな仕事もしてはならない。ただ、火で焼くささげ物を主にささげなさい。
+ すべての民の罪を償う日はその九日後、あなたがたは主の前に集まり、めいめいの犯した罪を悔い、火で焼くささげ物をささげなければならない。
+ その日は、どんな仕事もしてはならない。主の前で罪の償いをする特別な日だからだ。
+ その日一日、罪を悔い改めて過ごさないような者はイスラエルから追放され、
+ その日に仕事をするような者は死刑に処せられる。これはイスラエルの永遠のおきてである。
+ その日は神聖な安息日だから、謙遜に罪を悔い改めなさい。前日の夕方から、当日の夕方まで丸一日、身を慎んで過ごしなさい。
+ さらに五日後の第七の月の十五日(太陽暦では九月二十九日)からは、主の前に七日間の仮庵の祭りを祝う。
+ 最初の日はすべての民が仕事を休み、聖なる集会を開く。
+ 祭りの七日間は毎日、火で焼くささげ物を神にささげる。八日目にもう一度、すべての民の聖なる集会を開く。その日も火で焼くささげ物をささげる。これは結びの集会で、仕事はすべて休まなければならない。
+ 以上が毎年の祝祭である。その時は、すべての民が聖なる集会を開き、火で焼くいけにえをささげる。
+ これらは毎週の安息日とは別に加えられるものである。ふだんのささげ物や誓願の供え物とは別のものをささげなければならない。
+ なお、収穫の終わる時期に当たる第七の月の十五日から、この七日間の祭りを行う。祭りの最初の日と最終日は聖なる休息の日である。
+ 最初の日に、実のついた果物の木の大枝と、なつめやしの木の葉、川べりにある柳などの葉の茂った大枝を持って来て〔仮小屋を作り〕、主の前で七日間、共に喜び合う。
+ この祭りは永遠のおきてである。
+ イスラエルで生まれた者はみな、この七日間を仮小屋で過ごす。
+ わたしがエジプトからあなたがたを救い出し、仮小屋に住ませたことを永遠に忘れないためだ。わたしはあなたがたの神、主である。」
+ モーセは人々に、これらの祭りを毎年欠かさず守るよう教えました。
+
+
+ 続いて、主はモーセに告げて言いました。「至聖所を仕切る垂れ幕の外側に置いた純金の燭台に、絶えず火をともしておくために、純粋なオリーブ油を持って来るよう人々に命じなさい。毎日、朝と夕方二回、アロンは新しい油を足し、芯を調節する。その火は主の前に永遠にともし続けなければならない。
+ 安息日ごとに、大祭司は神の前にある金のテーブルに、輪型のパン十二個を二列に並べる。パンは細かくひいた小麦粉を、一個につき四‧六リットルずつ使って焼き、純粋な香料を振りかける。これは、わたしがイスラエルと結んだ永遠の契約を記念するささげ物である。
+ パンは、アロンとその子らが指定された場所で食べる。主の永遠のおきてに基づいてささげる火で焼くささげ物で、最も神聖なものだからだ。」
+ さてある日、母がイスラエル人で父はエジプト人という男と、イスラエル人の男が野営地でけんかをしました。
+ その最中、エジプト人を父に持つ男のほうが、神を冒瀆し、のろうことばを吐いたのです。ただではすまされず、彼はモーセのところへ連れて来られました。その男の母親はシュロミテといい、ダン部族のディブリの娘でした。
+ 男は主の判決が下るまで、牢に入れておかれました。
+ 主の下した判決はこうでした。「その者を野営地の外へ引き出し、のろいのことばを聞いた者全員が、その者の頭に手を置く。それから全員で石打ちにしなさい。
+ はっきりさせておきなさい。神をのろう者は必ず罰を受ける。それも、全員で石打ちにする死刑である。神の名を冒瀆する者は、イスラエル人であっても在留外国人であっても、このおきてを適用し、死刑とする。
+ 殺人犯もすべて死刑となる。
+ 他人の動物を殺した者は、弁償しなければならない。
+ 人を傷つけた者は、刑罰として同じ傷を負わされる。
+ 骨折には骨折を、目には目を、歯には歯を。人にしたとおり、自分にも返ってくるのだ。
+ もう一度言う。動物を殺せば弁償しなければならず、人を殺せば死をもって償わなければならない。
+ イスラエル人も在留外国人も区別はない。わたしはあなたがたの神、主である。」
+ 人々は主がモーセに命じたとおり、その男を野営地の外へ引き出し、石打ちにしました。
+
+
+ モーセがまだシナイ山にいる間に、主は次のような人々への指示を彼に与えました。「わたしが与えようとしている国に着いたら、七年に一度は土地を休ませなさい。
+ 六年間は畑に種をまき、ぶどう園の手入れをして収穫を上げるがいい。
+ だが七年目は休耕して、主の前に土地を休ませなさい。種をまいたり、ぶどう園の手入れをしたりしてはならない。
+ 手入れもしないのに自然に生えた実やぶどうを収穫するのも許されない。土地を休ませる年だからだ。
+ その年に育った実は収穫はできないが、必要な分だけなら、だれが取ってもかまわない。あなたがたはもちろん、使用人、奴隷、あなたのもとにいる外国人も含まれる。家畜や野生動物にも自由に食べさせなさい。
+ さらに五十年目を特別な年、ヨベルの年とする。
+ その年の全国民の罪を償う日に、ラッパを国中に高く鳴り響かせなさい。
+ 五十年目は聖なる負債免除の年である。負債のある者は、公私の別なく負債はすべて帳消しにされる。また、人手に渡った財産も戻ってくる。
+ 種まきも、刈り入れもしてはならない。なんと恵まれた年だろう。
+ 聖なる五十年祭だ。その年は、野に自然に育ったものを食べなさい。
+ ヨベルの年には、だれもが元の財産を取り戻す。売ったものでも再び自分のものとなる。
+ だから、それまでの四十九年間に土地を売買する場合は、ヨベルの年までの年数によって公正な値段をつけなさい。残りの年数が長ければ値段は高くなり、短ければ安くなる。つまり、土地を返すまで何回収穫できるかによって値段を決めるのだ。
+ 神を恐れなさい。不当に高い値段をつけてはならない。わたしは主である。約束の国で安全に暮らしたければ、わたしのおきてに従いなさい。
+ そうすれば豊作に恵まれ、不自由なく安全に暮らせる。
+ 『七年目は作物を作れないのなら、いったい何を食べたらいいのか』と言うのか。
+ 心配はいらない。六年目を豊作にし、たっぷり三年分の収穫を上げさせよう。
+ 土地はわたしのものだから、それを永久に売り渡してはならない。あなたがたは任されている者にすぎないのだから。
+ 土地を売るときは、いつでも買い戻せることを条件にしなければならない。
+ 生活に困り、土地を手放さなければならなくなったときは、近親者が買い戻してかまわない。
+ そのとき買い戻す者がいなくても、金ができしだい、売った本人が、ヨベルの年までの収穫の回数に見合う値段でいつでも買い戻せる。買い主は代金を受け取り、土地を返さなければならない。
+ 元の持ち主が買い戻せないときは、ヨベルの年まで買い主のものとなる。ヨベルの年になったら当然返さなければならない。
+ もし、城壁で囲まれた町の中にある家を売る場合は、一年間は買い戻す権利がある。
+ 一年以内に買い戻せないときは、永久に新しい所有者のものとなる。ヨベルの年にも返す必要はない。
+ 城壁で囲まれていない村にある家は、畑地と同じようにいつでも買い戻すことができ、ヨベルの年には元の持ち主に返される。
+ ただし、レビ人の町の家の場合は、城壁に囲まれた町であっても、レビ人はいつでも買い戻せるし、
+ ヨベルの年には彼らに返さなければならない。レビ人はほかの部族のように農地はもらえず、それぞれの町にある家と、その回りの畑しか持っていないからだ。
+ レビ人は、町の周囲の公用地を売ってはならない。そこは彼らの永久の所有地だからである。
+ 同胞のイスラエル人が生活に困ったら、助ける責任がある。客として家に招き、
+ いっしょに住まわせなさい。神を恐れなさい。金を貸すなら無利子で貸しなさい。
+ 決して利息を取ってはならない。必要なものは買い与えなさい。困っている人を利用して、もうけようとしてはならない。
+ わたしは、あなたがたをエジプトから救い出してカナンの地を与える、あなたがたの神、主である。
+ 同胞のイスラエル人が生活に困って身売りしても、奴隷のように扱ってはならない。
+ 使用人か客のように扱いなさい。その者が仕えるのはヨベルの年までだ。
+ その時が来れば、子どもたちといっしょに家族のところへ戻り、財産も取り戻せる。
+ わたしは、あなたがたをエジプトから救い出した神であり、あなたがたはみな、わたしのしもべである。奴隷のように売られることも、
+ 手荒く扱われることもあってはならない。神を恐れなさい。
+ 周辺の国の外国人なら、奴隷として買ってもかまわない。
+ また、イスラエル生まれの外国人の子どもも、奴隷として買うことができる。
+ 生涯奴隷として使い、子孫に譲り渡してもよい。ただし、同胞のイスラエル人を、そのように扱ってはならない。
+ 生活に困ったイスラエル人が、富裕な在留外国人やその家族に身売りした場合は、
+ 兄弟か、おじか、いとこ、あるいは親せきの者ならだれにでも買い戻してもらえる。金ができれば、自分で自分を買い戻すこともできる。
+ 自由の身となる代価は、ヨベルの年までの残りの年数によって決める。
+ まだかなり間があるときは、身売りした時に受け取った額を払いなさい。
+ 何年もたってヨベルの年まで残り少なくなっている場合は、それに見合うだけ払えばよい。
+ イスラエル人が外国人に身売りした場合、買った外国人は、奴隷だからといって酷使してはならない。年ごとに雇われる使用人並みに扱いなさい。
+ たとえ買い戻せない場合でも、ヨベルの年がくれば子どもたちといっしょに自由の身となる。
+ イスラエル人は、わたしがこの手でエジプトから救い出した、わたしのしもべだからだ。
+
+
+ 偶像を造ってはならない。彫像だろうが、石像だろうが、石の柱だろうが、偶像を拝んではならない。わたしがあなたがたの神、主だからだ。
+ 安息日の定めを守り、幕屋(神がイスラエルの民と会う聖所)を重んじなさい。わたしは主である。
+ わたしのおきてに従って歩むなら、
+ 季節ごとに雨を降らせ、豊作をもたらす。麦の脱穀はぶどうの時期までかかり、ぶどうの取り入れは次の種まきの時まで続く。不自由なく安心して暮らせるだろう。
+ 少しの心配もない平和な毎日を送ることができる。危険な野の獣はわたしが追い払おう。戦争で国土を荒らされることもない。
+ あなたがたは敵を追い払い、さんざん打ちのめす。
+ 五人で百人を、百人で一万人を追い散らし、敵の息の根を完全に止める。
+ わたしは契約どおり、あなたがたを増やし、心にかける。
+ 刈り入れ時がきても、まだ前の収穫が残っていて困るほどになるだろう。
+ わたしはあなたがたと共に住む。あなたがたを嫌ったりはしない。
+ 共に歩み、あなたがたの神となる。そして、あなたがたはわたしの民となる。
+ わたしがあなたがたをエジプトから救い出し、奴隷の鎖を断ち切ったのだ。だから、胸を張って堂々と歩きなさい。
+ しかし、わたしの言うことを聞かず、従おうともせず、
+ おきてを無視するなら、
+ あなたがたを罰する。突然、恐怖が襲いかかり、結核や熱病が猛威をふるうだろう。目は衰え、生きる気力もなくなる。種をまいても、収穫は全部、敵が横取りする。
+ わたしの責任ではない。敵に追い散らされても助けはしない。あなたがたは憎しみに燃えた敵に支配され、追いかけられもしないのに逃げ出す。
+ それでもなお従わないなら、七倍の罰を加える。
+ 自分の力に頼ろうとする思い上がりを、粉々に砕く。思い知るがいい。天は鉄のように、地は青銅のようになり、一滴の雨も降らず作物も実らない。
+ いくら耕し、手入れをしても、収穫は全くない。
+ それでもなお従わず、言うことを聞かないなら、さらに七倍の災害で苦しめる。
+ 野の獣を放って子どもたちや家畜を殺させ、人口を減らす。こうしてイスラエルは荒れ果てる。
+ しかしなお行いを改めず、反抗し続けるなら、
+ わたしは黙ってはいない。その罪の重さを、いやと言うほど思い知らせる。この手で七倍も強く打ちのめす。
+ 契約の違反は戦争で罰する。町に逃げ込んでも、町中に疫病がはやり、結局は敵に征服されてしまう。
+ 食べ物は底をつき、十家族分のパンを焼くのに、一つのかまどで間に合うほどになる。配給はわずかで、とうてい腹を満たすことはできない。
+ しかしなお聞き従わないなら、
+ もう容赦はしない。さらに七倍も重い罰を加える。
+ あなたがたを、わが子の肉まで食べるほどに飢えさせる。
+ あなたがたが偶像として拝む山の祭壇を打ち壊し、香の祭壇を切り倒す。偶像に混じって、あなたがたの死体がそこここに転がり、腐り果てていくのを黙って眺めよう。わたしはあなたがたを忌み嫌う。
+ 町々を廃墟とし、礼拝所を打ち壊す。ささげ物でなだめようとしても、ふだんは受け入れる香りさえ嗅ぐ気もしない。
+ 国はすっかり荒れ果て、代わって住みついた敵でさえ、あまりのひどさに驚き恐れるだろう。
+ あなたがたは散り散りに国外へ逃げ、行く先々でも戦いに敗れる。国はすっかり荒れ果て、町々は廃墟と化す。
+ こうして、ようやく土地を休ませることができる。あなたがたが利用できるだけ利用し尽くした土地を、敵の捕虜となっている間、ずっと休ませよう。あなたがたが住んでいた時、七年ごとに一年の休みを与えなかった分を、まとめて取り戻す。
+ 生き残った者は、捕虜や奴隷として遠い国へ連れて行かれる。外国でおびえながら暮らすのだ。風に舞う木の葉の音にもおびえ、剣で追い立てられるように逃げ惑う。追いかけられもしないのに倒れる。
+ 戦いで弱気を起こし、敵前を逃げ惑うように、追いかけられもしないのに力なく恐怖におののく。
+ あげくの果ては敵地であえない最期を遂げる。
+ 運よく生き残った者も、自分と先祖たちの犯した罪の重さに耐えきれず、見る影もなくやつれ果てるだろう。
+ しかし最後には、自分たちの裏切りを認める。苦しい思いをするのも、元はと言えばわたしに反抗したからだ。それで、わたしも黙ってはおらず、あなたがたを敵の手に渡した。だが、みなが悪かったと反省し、素直に罰を受けるなら、
+ アブラハム、イサク、ヤコブと結んだ契約を思い出し、荒れ果てたイスラエルをもう一度心に留めよう。
+ その間に国土は十分に地力を回復する。一方、国民は神のおきてを破り、定めを軽んじた罰を受け入れるようになる。
+ 彼らの行状は目に余ったが、わたしは誠実に契約を守り、完全に滅ぼすことはしなかった。わたしは彼らの神、主だからだ。
+ わたしは彼らの先祖と結んだ契約を思い出す。彼らの神となるという契約である。周囲の国々が驚き見守る中で、彼らの先祖をエジプトから救い出したのは、このわたしだ。わたしは彼らの神、主である。」
+ 以上は、シナイ山で神がモーセに語った、イスラエルの民の守るべきおきて、定め、指示です。
+
+
+ 主はまた、モーセに命じました。「人々に言いなさい。主に身をささげるという誓願を立てる者は、その代価として次の額を納める。
+ 二十歳から六十歳までの男子は銀五十シェケル(一シェケルは十一‧四グラム)、女子は三十シェケル。
+ 五歳から二十歳までの少年は二十シェケル、少女は十シェケル。
+ 一か月から五歳までの男児は五シェケル、女児は三シェケル。
+ 六十歳以上の男子は十五シェケル、女子は十シェケル。
+ 貧しくて全額を払いきれない者は祭司に申し出ること。事情を話し合ったうえで、祭司が決めた額を払えばよい。
+ 主にささげると誓ったいけにえの家畜は、そのとおりささげなければならない。
+ 一度誓った以上、むやみに変えてはいけない。良い家畜を悪いものに取り替えることはもちろん、悪いものを良いものに取り替えるのもいけない。もしそうするなら、両方とも主のものになる。
+ ささげ物がいけにえにできない汚れた家畜の場合、持ち主は祭司に申し出て適当な値をつけてもらい、その金額を代わりに支払う。
+ いけにえにできる家畜の場合でも、買い戻したいときは、祭司がつけた値の二割増しを支払えばよい。
+ 家を主にささげたが買い戻したくなったときは、祭司が評価した額の二割増しを支払いなさい。そうすれば、また自分のものになる。
+ 畑の一部を主にささげるときは、まく種の量で評価する。大麦の種二三〇リットルをまける広さの土地は、銀五十シェケル。
+ ヨベルの年に畑をささげる場合は、評価額の全額を支払う。
+ ヨベルの年以後は、次のヨベルの年まであと何年あるかによって決める。
+ 買い戻したいときは、祭司が決めた評価額の二割増しを支払う。それでまた自分のものになる。
+ ただし買い戻さないと決めるか、すでに人手に渡っている場合はもう取り戻せない。
+ その畑はヨベルの年に、主にささげられた土地として祭司のものになる。
+ もともとの所有地でなく、買った土地の一部を主にささげる場合は、
+ 祭司が決めたヨベルの年までの評価額を直ちに支払わなければならない。
+ ヨベルの年には、土地は元の持ち主に戻る。
+ 代金はすべて通貨で支払う。
+ 牛や羊の初子をささげてはならない。初めから主のものだからだ。
+ いけにえにできない家畜の初子の場合は、祭司がつけた評価額の二割増しを支払う。持ち主に買い戻すつもりがないなら、祭司はほかの者に売ってかまわない。
+ しかし、人であれ家畜であれ畑であれ、主に完全にささげたものは、売ることも買い戻すこともできない。それは主のもので、最も神聖なものだからだ。
+ 死刑を宣告された者は、代わりに罰金を支払って免れることはできない。必ず死刑となる。
+ 穀物でも果実でも、農産物の十分の一は主のもので、神聖なものである。
+ 十分の一の穀物や果実を買い戻したいときは、評価額の二割増しを支払わなければならない。
+ 牛であれ羊であれ、家畜はすべて十頭ずつ数え、十頭目が主のものとなる。
+ 質の良し悪しで選んではならない。取り替えてもいけない。取り替えた場合は両方とも主のものになる。もちろん買い戻すこともできない。」
+ 以上は、シナイ山で主がモーセに告げた、イスラエルの民への命令です。
+
+
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+ エジプトを出てから二年目の第二月の一日(太陽暦の四月十五日)、イスラエルの人々がシナイ半島で野営していた時のことです。神は、幕屋(イスラエルの民が神と会う聖所、天幕)の中にいたモーセに告げて言いました。
+ 「氏族、家族ごとに、戦いに出られる二十歳以上の男の人数を調べなさい。あなたとアロンが指図し、それぞれの部族の長に調べさせるのだ。」各部族の長は次のとおりです。ルベン族からシェデウルの子エリツル、シメオン族からツリシャダイの子シェルミエル、ユダ族からアミナダブの子ナフション、イッサカル族からツアルの子ネタヌエル、ゼブルン族からヘロンの子エリアブ、ヨセフの子エフライム族からアミフデの子エリシャマ、ヨセフの子マナセ族からペダツルの子ガムリエル、ベニヤミン族からギデオニの子アビダン、ダン族からアミシャダイの子アヒエゼル、アシェル族からオクランの子パグイエル、ガド族からデウエルの子エルヤサフ、ナフタリ族からエナンの子アヒラ。
+ 以上が選ばれた各部族の長です。
+ その日、モーセとアロンと族長たちは、神の指示どおり、氏族、家族ごとに、兵役に就くことができる二十歳以上の男を全員集めて登録させました。
+ 最終の部族ごとの登録数は次のとおりです。ルベン族〔ヤコブの長男〕四万六、五〇〇人、シメオン族五万九、三〇〇人、ガド族四万五、六五〇人、ユダ族七万四、六〇〇人、イッサカル族五万四、四〇〇人、ゼブルン族五万七、四〇〇人、エフライム族〔ヨセフの子〕四万五〇〇人、マナセ族〔ヨセフの子〕三万二、二〇〇人、ベニヤミン族三万五、四〇〇人、ダン族六万二、七〇〇人、アシェル族四万一、五〇〇人、ナフタリ族五万三、四〇〇人、計六〇万三、五五〇人。
+ この数に、レビ族は含まれていません。
+ 主がモーセに、次のように告げたからです。「レビ族の者は兵役を免除し、人数も調べてはいけない。
+ 彼らには幕屋を運び、管理する仕事があるからだ。幕屋の近くに住み、
+ よそへ移るときはいつでも、天幕を解体し、また組み立てる。ほかの者が手を出してはいけない。幕屋にさわるだけでも死刑に処せられる。
+ 各部族ごとに集まって宿営し、目じるしにそれぞれの旗を立てなさい。
+ レビ族は幕屋の回りに宿営しなさい。彼らがわたしとあなたがたの間に入り、あなたがたが罪を犯したとき、わたしの怒りに触れないですむためだ。」
+ 人々は、すべて主がモーセに告げたとおりにしました。
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+
+ 主はさらに、モーセとアロンに命じました。「野営地の真ん中に幕屋を作り、距離をおいて各部族はその回りに、部族ごとに旗を立てて宿営しなさい。」
+ こうして、各部族の配置は次のように決まりました。ユダ族アミナダブの子ナフション――幕屋の東側に七万四、六〇〇人。イッサカル族ツアルの子ネタヌエル――ユダの隣に五万四、四〇〇人。ゼブルン族ヘロンの子エリアブ――イッサカルの隣に五万七、四〇〇人。ユダの宿営に属する三部族の合計は一八万六、四〇〇人。このグループは、人々が別の所へ移動するとき、先頭に進みます。ルベン族シェデウルの子エリツル――幕屋の南側に四万六、五〇〇人。シメオン族ツリシャダイの子シェルミエル――ルベンの隣に五万九、三〇〇人。ガド族デウエルの子エルヤサフ――シメオンの隣に四万五、六五〇人。ルベンの宿営に属する三部族の合計は一五万一、四五〇人。このグループは、人々が別の所に移動するとき、二番目に進みます。次に続くのは、野営地の中央を占める幕屋とレビ族です。移動するときも野営地にいるときと同じように、各部族はそれぞれの旗のもとに、いっしょにいなければなりません。エフライム族アミフデの子エリシャマ――幕屋の西側に四万五〇〇人。マナセ族ペダツルの子ガムリエル――エフライムの隣に三万二、二〇〇人。ベニヤミン族ギデオニの子アビダン――マナセの隣に三万五、四〇〇人。エフライムの宿営に属する人数は一〇万八、一〇〇人で、彼らは三番目に進みます。ダン族アミシャダイの子アヒエゼル――幕屋の北側に六万二、七〇〇人。アシェル族オクランの子パグイエル――ダンの隣に四万一、五〇〇人。ナフタリ族エナンの子アヒラ――アシェルの隣に五万三、四〇〇人。ダンの宿営に属する人数は、一五万七、六〇〇人です。彼らは別の所へ移動するとき、最後に進みます。
+ イスラエル軍の総勢は六〇万三、五五〇人でした。
+ この中に、主の命令で兵役が免除されたレビ族は含まれていません。
+ こうして人々は、主がモーセに命じたとおりの場所に、部族ごとに旗を立て、テントを張り、進みました。
+
+
+ シナイ山で神がモーセに語った当時、
+ アロンには息子が四人いました。長男ナダブ、次男アビフ、三男エルアザル、四男イタマルです。
+ 四人とも祭司でした。幕屋で仕えるために選ばれ、任命されたのです。
+ ところが、ナダブとアビフはシナイの荒野にいた時、幕屋で規定に反して香をたいたために死んでしまいました。二人には跡継ぎの子がいなかったので、アロンを助けて祭司の仕事をするのは、エルアザルとイタマルだけになりました。
+ その後、主はモーセに命じました。
+ 「レビ族を集め、アロンの仕事を手伝わせなさい。
+ 彼らはアロンのもとで、全国民に代わって幕屋の仕事をするのだ。主に幕屋の祭具の管理や修理をする。
+ 祭司の仕事をするのはアロンとその子らだけで、ほかに近づく者はみな死ぬこととなる。」
+ さらに、主は命じました。「レビ人を、イスラエル人の長男全員の身代わりとする。
+ だから、レビ人はわたしのものとなる。エジプト人の長男をすべて殺した日、イスラエル人の長男を家畜の子も含め、一人残らずわたしのものとしたように、彼らの長男はみなわたしのものだ。すべてのものを造ったのは、神であるわたしである。」
+ 主はまた、シナイの荒野でモーセに命じました。「レビ人で生後一か月以上の男の数を、氏族ごとに調べなさい。」
+ モーセはそのとおりにしました。レビ族は、ゲルション族、ケハテ族、メラリ族の三氏族。そのうち、ゲルション族はリブニ族とシムイ族から成り、族長はラエルの子エルヤサフ。幕屋の西側に宿営し、人数は七、五〇〇人。
+ このゲルション族は幕屋を管理します。その覆い、入口の垂れ幕(カーテン)、さらに庭の柵の垂れ幕、天幕と祭壇を囲む庭の入口の垂れ幕、それに、天幕を結び合わせる綱の管理です。次に、ケハテ族は、アムラム族、イツハル族、ヘブロン族、ウジエル族から成り、族長はウジエルの子エリツァファン。幕屋の南側に宿営し、人数は八、六〇〇人。
+ このケハテ族の仕事は、契約の箱(十戒を記した石板を納めた箱)、テーブル、燭台、祭壇と幕屋の中で使ういろいろな祭具、覆いなどの管理と修理です。この仕事は、アロンの子エルアザルが責任者として、レビ人の家長たちを監督しました。最後に、メラリ族は、マフリ族とムシ族から成り、族長はアビハイルの子ツリエル。幕屋の北側に宿営し、人数は六、二〇〇人。
+ このメラリ族の仕事は、幕屋の骨組みに必要な柱、土台、付属の部品類と、庭の回りの柱、その土台、釘、綱などの管理です。
+ モーセとアロンとその子らは、いつも幕屋の東側に天幕を張りました。彼らはイスラエルの人々に代わって、幕屋で仕事をするのです。祭司でもレビ人でもない者が一歩でも幕屋に近づいたら、その者は殺されます。
+ 主の命令によって、モーセとアロンが登録した生後一か月以上のレビ族の男の数は、二万二、〇〇〇人でした。
+ その後また、主はモーセに命じました。「イスラエル人で生後一か月以上の長男の数を調べなさい。
+ イスラエル人の長男の代わりに、レビ人をわたしのものとする。同じように、家畜の初子の代わりに、レビ人の家畜をわたしのものとする。」
+ モーセは主に命じられたとおり、イスラエル人の長男の数を調べました。
+ その結果、二万二、二七三人いることがわかりました。
+ そこで、主はモーセに告げて言いました。
+ 「イスラエル人の長男全員の代わりにレビ人を、家畜の初子の代わりにレビ人の家畜を、わたしにささげなさい。レビ人はわたしのものだ。わたしは主である。
+ イスラエル人の長男の数が二七三人超過しているので、その分は金銭でささげなさい。
+ 一人につき五シェケル(一シェケルは十一‧四グラム)をアロンとその子らが取りなさい。」
+ モーセは二七三人から代金を徴収しました。〔他の者は、レビ人が身代わりになったので、金を払う必要はありません。〕
+ 全部で一、三六五シェケルを、
+ モーセはアロンとその子らに渡しました。
+
+
+ 神はモーセとアロンに告げて言われました。「レビ人の中のケハテ族で、幕屋で働ける三十歳から五十歳までの男の数を調べなさい。
+ 彼らは、次のような最も神聖な仕事を行う。
+ あなたがたが別の場所へ移動するときは、まずアロンとその子らが幕屋に入り、仕切りの垂れ幕をはずし、それで契約の箱を包む。
+ それをさらに、じゅごんの皮と青い布で包み、最後にかつげるように棒を環に通す。
+ 次に、毎日供えるパンを置くためのテーブルに青い布を広げ、その上に皿、スプーン、椀、コップ、パンを置く。
+ それに赤い布とじゅごんの皮の覆いをかけ、最後にテーブルに棒を通す。
+ 燭台、ともしび皿、芯切りばさみ、皿、オリーブ油のつぼを青い布とじゅごんの皮で包み、それをかつぐための台に載せる。
+ それから、金の祭壇を青い布とじゅごんの皮で包み、祭壇に棒を通す。
+ 残りの用具はみな、青い布とじゅごんの皮で包んでから台に載せる。
+ 祭壇は灰を取り除いてから紫の布で覆い、
+ 祭壇で使う火皿、肉刺し、シャベル、鉢や、その他の容器はみなその上に置き、じゅごんの皮で覆う。こうして、最後に棒を通すのだ。
+ 別の場所に移動するときはいつでも、アロンとその子らが聖所と用具をみな包み終えたら、ケハテ族がそれを運ぶ。しかし彼らは、神聖な用具にさわることはできない。少しでもさわれば死ななければならない。以上がケハテ族の仕事である。
+ アロンの子エルアザルが、明かり用の油、香り高い香、毎日の穀物の供え物、注ぎの油を管理する。つまり、幕屋全体とその中のすべての物について責任を持つ。」
+ それから、主はモーセとアロンに命じました。「くれぐれも、ケハテの諸氏族が絶えてしまわないように注意しなさい。彼らは最も神聖なものを運ぶのだから、神聖なものに触れて死なないように気をつけるのだ。アロンとその子らがいっしょにいて、だれが何を運ぶかを指図しなさい。
+ 聖所に入り、うっかり神聖なものを見てしまったら死んでしまうからだ。」
+ 主はモーセに命じました。「レビ部族の中のゲルション族で、幕屋で働ける三十歳から五十歳までの男の数を調べなさい。
+ 彼らは次のような仕事を行う。
+ 幕屋の垂れ幕、幕屋とその覆い、それにかけるじゅごんの皮の覆いと幕屋の入口の垂れ幕、
+ さらに、庭の柵にかける垂れ幕、天幕と祭壇を囲む庭の入口の垂れ幕を運ぶ仕事だ。綱と付属品類も全部運ぶ。これらの神聖な用具を運ぶのが彼らの仕事だ。
+ アロンかその子なら、自由にゲルション族の者に指図できるが、
+ 直接彼らを監督するのは、アロンの子イタマルである。
+ レビ人の中のメラリ族で、幕屋で奉仕できる三十歳から五十歳までの男の数を調べなさい。
+ 彼らは幕屋をよそへ移動するとき、幕屋の骨組み、横木、土台、
+ 庭の柵の骨組み、その土台、釘、細いひもなど、それを使ったり直したりするのに必要な物を全部運ぶ。だれが何を運ぶか、はっきり指図しなさい。
+ メラリ族もイタマルが監督する。」
+ そこで、モーセとアロンをはじめとする指導者たちは、ケハテ族の中で、
+ 幕屋の仕事ができる三十歳から五十歳までの男の数を調べました。
+ 全部で二、七五〇人でした。
+ すべて主に命じられたとおりに行いました。
+ 同様にゲルション族は二、六三〇人、
+ メラリ族は三、二〇〇人でした。
+ こうして、幕屋を運んだり、奉仕したりできる三十歳から五十歳までのレビ人は、全部で八、五八〇人であることがわかりました。
+ この調査は、主の命じられたとおりに行われました。
+
+
+ 主はさらにモーセに告げて言われました。「ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)の人、傷口のふさがらないけが人、死体にさわって汚れた者は、野営地から追放するように言いなさい。
+ 野営地が汚れないように、そのような者は男でも女でも遠ざけなさい。わたしがあなたがたの中に住んでいるからだ。」
+ このことも、命じられたとおりに行われました。
+ それから、主はまたモーセに告げて言われました。「男でも女でも、神を欺き、人に罪を犯した者は、
+ 罪を告白し、全額を被害者に弁償したうえで、さらに盗んだ額の二割を加えて支払わなければならない。
+ 被害者が死に、近親者もいない場合、その金は神のものであり、罪過を償うためにささげる雄の子羊とともに祭司に差し出す。
+ イスラエルの人々が祭司のもとに持って来るささげる物はみな、祭司のものとなる。」
+ また主は、こうも命じました。「人々に言いなさい。人妻が姦淫したにもかかわらず、
+ 現場を押さえることができず、証拠もなく証人もいない場合、
+ また、夫が嫉妬のあまり妻を疑った場合、
+ 彼女を祭司のところへ連れて行きなさい。そのとき、油や香料を混ぜない大麦の粉を十分の一エパ(二‧三リットル)持って行きなさい。それは、彼女が白か黒かをはっきりさせるためにささげる穀物の供え物である。
+ 祭司は彼女を主の前に連れて行きなさい。
+ それから、土の器にきよい水を取り、それに幕屋の床のちりを混ぜる。
+ さらに女の髪をほどかせ、夫の疑いが正しいかどうかを決めるために、女の手に供え物を載せる。そして、のろいをかける苦い水の入った水がめを持って女の前に立ち、
+ 女に身の潔白を誓わせてから、こう言いなさい。『夫以外の男と寝たことがなければ、この水を飲んでも何ともない。
+ だが、もし姦淫したのであれば、
+ あなたは主にのろわれる。その証拠に、ももは腐り、腹はふくれ上がるだろう。』そのとき、女は『それでもかまいません』と答える。
+ 祭司はのろいのことばを書きつけ、苦い水の中に洗い落とす。
+ もし罪を犯していたなら、祭司が女にその水を飲ませると、彼女の体内で苦くなる。
+ そのあと祭司は、女の手から供え物を取り、主に向かって揺り動かし、祭壇にささげなさい。
+ それを一つかみ祭壇の上で焼き、女に水を飲ませなさい。
+ 女が罪を犯して身が汚れていれば、水は腹の中で苦くなり、腹はふくれ、ももは腐りだす。こうして、のろわれたことがはっきりする。
+ しかし潔白であれば、害も受けず、まもなく子を宿すようになる。
+ 以上は、妻が姦淫したとき、
+ または夫が嫉妬して妻を疑ったときの指示である。夫は妻を主の前に連れて行き、祭司は彼女を指示のとおりにさばくのだ。
+ その結果、妻が恐ろしい病気にかかっても、それは妻の責任だから、夫はさばかれない。」
+
+
+ 主はさらに、イスラエルの人々が守るべきことを、モーセに示しました。「男でも女でも、ナジル人(親や自分の誓願によって神に特別に仕える決意をした者)になると誓って、特別にわたしに身をささげる者は、
+ 誓いの期間、強い酒、ぶどう酒、ぶどうジュース、ぶどうおよび干しぶどうを食べてはいけない。ぶどうから生じるものは、種や皮でもいっさい食べてはいけない。
+ その間は髪を切ってもいけない。きよい者としてわたしに身をささげているのだから、髪は伸ばしたままにしておきなさい。
+ 誓いの期間中は死体に近づいてはいけない。たとえ、親、兄弟、姉妹であっても。
+ その間はきよい者としてわたしに身をささげているからだ。
+ 偶然だれかが死ぬところに居合わせて汚れてしまった場合は、七日目に頭髪をそれば、汚れはきよめられる。
+ そして八日目に、山鳩か若い鳩を二羽、幕屋の入口にいる祭司のところへ持って来なさい。
+ 祭司は、一羽を罪の赦しのためのいけにえ、もう一羽を焼き尽くすいけにえとしてささげ、汚れをきよめる儀式をしなければならない。こうしてから、誓いをし直し、もう一度髪を伸ばす。
+ それ以前の期間は無効だから、改めて誓いを立て、初めからやり直すのだ。罪過を償ういけにえとして、一歳の雄の子羊を引いて来なさい。
+ わたしに身をささげると誓った期間が終わったら、幕屋の入口に行き、
+ 傷のない一歳の子羊を、焼き尽くすいけにえとしてささげなさい。また、罪の赦しのためのいけにえとして傷のない一歳の雌の子羊を、和解のいけにえとして傷のない雄羊をささげる。
+ さらに、パン種(イースト菌)を入れないパン一かご、オリーブ油と上等の小麦粉で作ったドーナツ型のパン、油を塗った薄焼きパンなどの穀物の供え物を、飲み物の供え物といっしょにささげる。
+ 祭司はこれをみな神の前にささげる。初めに罪の赦しのためのいけにえと、焼き尽くすいけにえ、
+ 次に、和解のいけにえの雄羊とパン種を入れないパン一かごとをいっしょにささげ、最後に穀物と飲み物の供え物をささげる。
+ それから、幕屋の入口で、献身の誓いのしるしの長い髪をそりなさい。そった髪は和解のいけにえの火にくべる。
+ 頭をそり終わったら、祭司は焼いた子羊の肩とパン種を入れないドーナツ型のパン一個、薄焼きパン一枚を、そのナジル人の手に載せる。
+ そして、祭司がいけにえであることを示すために、わたしの前でそれを揺り動かしてささげる。それは、みなきよいもので、ささげられた胸の肉、ももの肉とともに祭司のものとなる。こうして初めてナジル人の誓いが解け、ぶどう酒を飲むことができるようになる。
+ 以上が、ナジル人としての誓いの期間が終わった時にささげるいけにえについての規定である。ナジル人になる誓いをしたときに、規定以外の物もささげると約束した場合は、それも持って来なければならない。」
+ 続けて主はモーセに告げました。「アロンとその子らに、人々を祝福させなさい。
+ 『どうか神様があなたを祝福し、守られるように。あなたを喜んでくださるように。あなたに優しく親切にし、平安を与えてくださるように』と。
+ このように、アロンとその子らが祈るなら、わたしも人々を祝福しよう。」
+
+
+ モーセは幕屋を建て終わった日に、幕屋の各部に油を注いできよめの儀式を行いました。祭壇とその用具にも同じようにしました。
+ それから、人口調査をした族長たち(各部族の長)がささげ物を持って来ました。
+ 覆いをかけた六台の荷車を、それぞれ二頭の雄牛に引かせて来たので、二人に車一台、一人につき雄牛一頭の割でした。それを幕屋の前で主にささげました。
+ すると主はモーセに、「そのささげ物を受け取りなさい。荷車も幕屋の仕事に必要だから、レビ人に渡しなさい」と言いました。
+ モーセは言われたとおり、荷車と雄牛をレビ人に渡しました。
+ ゲルション族には荷車二台と雄牛四頭、
+ アロンの息子イタマルの監督のもとにあるメラリ族には、荷車四台と雄牛八頭です。
+ ケハテ族には何も渡しませんでした。彼らは幕屋の用具をかつぐことになっていたからです。
+ 族長たちはまた、祭壇に油を注ぐ日には、ささげ物を持って来て祭壇の前に供えました。
+ 主はモーセに命じました。「祭壇のささげ物は、一日に一人の割で持って来させなさい。」
+ 第一日は、ユダ族のアミナダブの子ナフションの番でした。
+ 彼は、重さ百三十シェケルの銀の皿と七十シェケルの銀の鉢に、穀物の供え物として、油でこねた上等の小麦粉を山盛りにして来ました。
+ 香を入れた十シェケルの金のひしゃくもありました。
+ さらに、焼き尽くすいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭、
+ 罪の赦しのためのいけにえとして雄やぎ一頭、
+ 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭を引いて来ました。
+ 二日目は、イッサカル族の族長でツアルの子ネタヌエルの番でした。彼は、前日のナフションと全く同じ物をささげました。
+ 三日目は、ゼブルン族の族長でヘロンの子エリアブが、前の二人と全く同じ物をささげました。
+ 四日目は、ルベン族の族長シェデウルの子エリツルで、これも全く同じ物でした。
+ 五日目は、シメオン族の族長でツリシャダイの子シェルミエルが、同じ物を持って来ました。
+ 六日目は、ガド族の族長デウエルの子エルヤサフですが、これも全く同じでした。
+ 七日目は、エフライム族の族長でアミフデの子エリシャマが、やはり同じ物をささげました。
+ 八日目もまた、マナセ族の族長でペダツルの子ガムリエルが、同じ物を持って来ました。
+ 九日目も、ベニヤミン族の族長でギデオニの子アビダンが、同じ物を持って来ました。
+ ダン族の族長でアミシャダイの子アヒエゼルは、十日目に当たりました。ささげ物は前の九人と同じでした。
+ 十一日目に当たった、アシェル族の族長でオクランの子パグイエルも、やはり同じ物をささげました。
+ 十二日目は、ナフタリ族の族長でエナンの子アヒラの番でしたが、これもまた、他の者と全く同じでした。
+ 以上が、祭壇に注ぎの油を注ぐ日に、まず各族長たちが祭壇奉納のためにささげた物です。ささげ物の総計は次のとおりです。銀の皿十二枚、銀の鉢十二個、金のひしゃく十二個。
+ 焼き尽くすいけにえとして持って来た物は、雄牛十二頭、雄羊十二頭、一歳の雄の子羊十二頭。罪の赦しのためのいけにえとして持って来た物は、雄やぎ十二頭。
+ 和解のいけにえとして持って来た物は、若い雄牛二十四頭、雄羊六十頭、雄やぎ六十頭、一歳の雄の子羊六十頭。
+ モーセが神と話すために幕屋に入って行くと、神の恵みを示す場所である契約の箱の上の二つのケルビム(天使を象徴する像)の間から声が聞こえました。
+
+
+ 主はモーセに語りました。
+ 「燭台の七つのともしび皿に火をつけるときは、前を明るくするようにアロンに言いなさい。」
+ アロンはそのとおりにしました。
+ 燭台は、すべて主がモーセに示した設計図どおり作られ、台座の飾りも枝のように分かれた部分も金箔で覆ってありました。
+ 続いて主はモーセに告げました。「レビ人を他の部族から分け、彼らをきよめなさい。
+ まず、きよめの水を注ぎかけて全身をそり、衣服と体を洗わせ、
+ 若い雄牛一頭と穀物の供え物として油でこねた上等の小麦粉を持って来させる。さらに、罪の赦しのためのいけにえとして別の若い雄牛一頭を持って来させる。
+ そして、みなが見ている前で、レビ人を幕屋の入口のところに連れて来て、
+ 族長たちがレビ人の頭に手を置く。
+ このようにして、アロンはイスラエルすべての民のささげ物として、彼らをわたしにささげなさい。彼らはすべての民に代わってわたしに仕える。
+ 次に、レビ人の代表が若い雄牛に手を置いて、それをささげる。一頭は罪の赦しのためのいけにえ、もう一頭は焼き尽くすいけにえで、レビ人の罪の償いのためにささげるのである。
+ それから、ささげ物を祭司の前に置くように、レビ人をアロンとその子らの前に立たせなさい。
+ 民の中で特別に、レビ人がわたしのものとなるのだ。
+ こうして彼らをきよめ、わたしにささげてから、彼らに幕屋の仕事をさせなさい。
+ レビ人は、民の中から特別にわたしのものとされたのである。わたしは、イスラエル人の長男の代わりに、レビ人をわたしのものとする。
+ イスラエルでは、人も動物も初めに生まれたものは、わたしのものだからだ。エジプト人の長男をすべて殺したあの夜、わたしはイスラエル人の長男や家畜の初子をきよめてわたしのものとした。
+ だから、イスラエル人の長男の代わりにレビ人をもらうのだ。
+ 彼らにアロンとその息子たちの手伝いをさせよう。全イスラエルの民の代わりに、幕屋でわたしに仕えさせよう。いけにえをささげ、人々の罪を償わせるのだ。そうすれば、イスラエル人が過って幕屋に入り、罰せられることもないだろう。」
+ モーセとアロンとイスラエルの民は、主の命令どおり、注意深くレビ人をささげました。
+ レビ人は体と衣服を洗いきよめ、アロンは彼らを主にささげる儀式ときよめの儀式を行いました。
+ それが全部終わって、レビ人はアロンとその子らを助けるために、幕屋の仕事に就いたのです。すべて主がモーセに命じたとおりでした。
+ 主はまた、モーセに告げました。「レビ人は二十五歳になったら奉仕を始め、五十歳で引退する。
+ 引退後も幕屋での仕事を手伝うことはできるが、責任ある務めはできない。レビ人の務めについて、以上のように指示しなさい。」
+
+
+ イスラエル人がエジプトを出てから二年目の第一の月に、主はシナイの荒野でモーセに告げて言いました。
+ 「イスラエルの民はみな、過越の祭りを行いなさい。祭りは毎年この月の十四日(太陽暦の三月二十八日)の夕方から始める。すべてわたしの言うとおりに行わなければならない。」
+ そこでモーセはその場所で、第一月の十四日の夕方から過越の祭りを始めるように民に言いました。民は、神がモーセに命じたとおりに行いました。
+ ところが、問題が起きました。何人かの者が葬式の席で死体にさわり、身を汚していたので、そのままでは過越の祭りを祝うことができなかったのです。彼らはモーセとアロンのところに来て尋ねました。「死体にさわって汚れたので、定められた時にいけにえをささげることができません。いったいどうしたらいいでしょう。」
+ モーセが、「主に伺ってみましょう」と言って祈ると、
+ 主は答えました。
+ 「今後、だれでも、過越の祭りの期間に死体にさわって体を汚したり、旅行中だったりして祭りが守れない場合は、一か月後に守ればよい。
+ 第二月の十四日の夕方に始めるのだ。そのとき、子羊とパン種を入れないパンと苦菜を食べなさい。
+ 翌朝まで残しておいてはいけない。子羊の骨は一本も折ってはいけない。すべて決まりどおりに行いなさい。
+ 身を汚したわけでもなく、旅行中でもないのに過越の祭りを祝わない者は追放しなさい。
+ もし、在留外国人が祭りを祝いたいと言ったら、やはり決まりどおりにやらせなさい。」
+ 幕屋ができたその日、幕屋はすっぽりと雲に覆われました。夕方になると雲は火のように赤くなり、夜通しあかあかと輝いていました。
+ いつも、昼間は雲、夜間は火のようなものが幕屋を覆いました。
+ 雲が上ると人々も移動し、雲がとどまると、そこで野営しました。
+ すべて神の命令によって旅を進めたのです。雲がとどまっている間は、人々もとどまりました。
+ 雲が長い間とどまるときは、人々も長くとどまり、二、三日のときは、やはり人々も二、三日とどまるといったぐあいでした。
+ 時には、真っ赤な雲が夜の間だけとどまり、翌朝には動きだすこともありました。昼であろうが夜であろうが、雲が動くと、人々は急いで天幕(テント)をたたみ、雲について行きました。
+ 二日でも、一か月でも、一年でも、雲がとどまっている間は人々もとどまり、雲が動くと人々も移動したのです。
+ 野営をするのも旅をするのも、みな主の御心のままでした。人々は、主がモーセに命じたことは何でも、そのとおりにしました。
+
+
+ 続けて、主はモーセに言いました。「集合と出発の合図用に、銀でラッパを二本作りなさい。
+ 二本のラッパが長く鳴ったら、人々が神の幕屋に集まる合図、
+ 一本の時は、族長があなたのところに集まる合図としなさい。
+ 集合と出発の合図は吹き方で区別する。短く鳴ったら、まず幕屋の東側に野営している部族が出発し、次の合図で、南側の部族が出発しなさい。
+ ラッパを吹けるのは祭司だけである。これは代々にわたって守らなければならない。
+ 約束の国カナンに着いてから敵と戦う場合、これで非常ラッパを鳴らせば、あなたがたを助けよう。
+ また、毎年行う祭りの時や、焼き尽くすいけにえ、和解のいけにえをささげる月初めの祝いの日にも、ラッパを吹き鳴らしなさい。それを聞いて、あなたがたとの約束を思い出す。わたしはあなたがたの神、主だからだ。」
+ イスラエル人がエジプトを出てから二年目の第二月の二十日に、雲は幕屋を離れて上りました。
+ そこで彼らはシナイの荒野をあとにし、雲に導かれてパランの荒野に向かいました。
+ モーセを通して示された主の命令による、初めての旅でした。
+ 先頭はユダ族で、旗を立てアミナダブの子ナフションが率いました。
+ そのあとに続くのは、ツアルの子ネタヌエルが率いるイッサカル族と、
+ ヘロンの子エリアブが率いるゼブルン族です。
+ 続いて、レビ族のうちのゲルション族とメラリ族(氏族)が、解体した幕屋をかついで進みました。
+ そのうしろに、旗を先頭にシェデウルの子エリツルが率いるルベン族、
+ ツリシャダイの子シェルミエルが率いるシメオン族、
+ デウエルの子エルヤサフが率いるガド族と続きました。
+ 次は、聖所で使う用具を運ぶケハテ族です。こうすれば、彼らが着くまでに幕屋を組み立てておけるのです。
+ そのあとに、アミフデの子エリシャマが率いるエフライム族、
+ ペダツルの子ガムリエルが率いるマナセ族、
+ ギデオニの子アビダンが率いるベニヤミン族が、それぞれの旗を立てて続きました。
+ 最後に、それぞれの旗を先頭に、アミシャダイの子アヒエゼルが率いるダン族、
+ オクランの子パグイエルが率いるアシェル族、
+ それに、エナンの息子アヒラが率いるナフタリ族が進みました。
+ これが、イスラエルの各部隊の出立の順序でした。
+ ある日モーセは、しゅうとのミデヤン人レウエルの息子で、義理の兄弟に当たるホバブに言いました。「私たちは、いよいよ約束の地へ出発します。どうです、いっしょに来ませんか。主のすばらしい約束があるのですから、何も心配はいりません。」
+ 「せっかくだが、国の家族のもとに帰りたい。」
+ 「そう言わず、どうかいっしょに来てください。荒野の道にくわしい人がいてくれると、ほんとうに助かるのです。
+ 主が私たちに下さるものは何でもお分けしますから。」
+ こうして一行は、シナイ山を出発してから三日間、旅を続けました。その間、主の契約の箱が先頭になって進み、そうして、彼らは休む場所を探しました。
+ 彼らが野営地を出発した時、雲が一行の前を進みました。
+ 契約の箱がかつぎ上げられる瞬間、モーセは大声で祈りました。「神様、立ち上がってください。敵をみな、さんざん追い散らしてください!」
+ また、休むために箱が下ろされる時、「ああ神様! すべてのイスラエルの民のところにお戻りください」と祈りました。
+
+
+ まもなく、人々が主に対して激しく不平を言い始めました。主はそれを聞いて非常に怒り、野営地を端から焼き払おうとしました。
+ 驚いた彼らが、「た、大変だ! 何とかしてくれ」と叫んだので、モーセが祈ると、火はようやく消えました。
+ その事件があってから、そこはタブエラ(「燃える地」の意)と呼ばれるようになりました。そこで主が、イスラエル人を焼き滅ぼそうとされたからです。
+ それが一段落すると、イスラエル人に混じって来たエジプト人が食べ物のことで文句を言い始め、おまけに一部のイスラエル人までが、いっしょになって不満をぶちまけました。「ああ、ひと口でもいいから肉が食べたい。エジプトの魚はうまかったなあ。それに、きゅうり、すいか、にら、玉ねぎ、にんにく。思い出すだけでもよだれが出そうだ。
+ なのに今はどうだ。毎日毎日こんなマナばっかりじゃ、力も出ない。」
+ マナはコエンドロ(コリアンダー。セリ科の一年草で、夏、白い小さな花をつける)の種ぐらいで、白っぽい樹脂のような色をしていました。
+ それを拾い集め、つぶして粉にするか、臼でつくかしてから、蒸してパンを作るのです。味は油で揚げたパンのようでした。
+ マナは夜の間に露といっしょに降りました。
+ 人々がそれぞれ自分の天幕の入口に集まって泣き言を言っているのを聞くと、主はまた憤りを覚えました。モーセも同じでした。
+ モーセはとうとう主にぐちをこぼしました。「なぜ、こんなに手のかかる連中の面倒を見させて、私をお苦しめになるのですか。
+ どうして、親子でも何でもないのに、こんな赤ん坊みたいな者たちを、約束の国まで連れて行かなければならないのですか。
+ 『肉が欲しい』と泣きつかれても、どこで手に入れたらよいのでしょうか。
+ 私ひとりでは手に負えません。荷が重すぎます。
+ これ以上苦しみが続くのでしたら、もうたくさんです。いっそ、今すぐ私を殺してください。」
+ 主は答えました。「指導者を七十人選び、幕屋へ連れて来て、あなたといっしょに立たせなさい。
+ わたしはそこであなたと話し、あなたの仕事を手伝えるように、彼らにもあなたと同じ霊の力を与えよう。
+ それから、人々に身をきよめるように言いなさい。明日、肉が食べられると言いなさい。『おまえたちが、エジプトに残してきたものを泣くほど恋しがり、不平を言うのを、主はお聞きになった。望みどおり肉を下さるそうだ。
+ それも、一日や二日ではない。五日、十日、二十日、いやそれ以上、毎日だ。まる一か月も食べ続ければ吐き気を催し、もう、うんざりだと言うだろう。主がいっしょにおられるのに見向きもせず、泣いてエジプトを恋しがった罰だ。』」
+ モーセは言いました。「ですが主よ、男だけでも六十万人はおります。その全員に一か月分の肉とは!
+ 羊と牛を全部殺しても足りません。海の魚を一匹残らず捕り尽くさないかぎり、とてもそれだけの肉は手に入りません。」
+ 「モーセよ。いつからわたしはそんなに弱くなったのか。わたしの言うことがほんとうかどうか、今にわかる。」
+ モーセは幕屋を出て、人々にそのことばを伝えました。それから七十人の長老を集め、幕屋の回りに立たせました。
+ と、どうでしょう。主が雲の中に身を隠して降りて来られ、モーセと話をしているではありませんか。そして主は、モーセに与えた霊の力を長老たちにも与えました。すると、しばらくの間、彼らは預言をしたのです。
+ ところが、エルダデとメダデの二人はその時、野営地内に残っていたのに他の長老たちと同じように預言し始めました。
+ そのことを、一人の若者が走って伝えに来ると、
+ モーセが助手に選んだヌンの子ヨシュアはモーセに、「そんなことはやめさせてください」と抗議しました。
+ 「おまえは二人のことをねたんでいるようだ。だが、私は、イスラエル人がみな主の霊を頂き、預言者になってくれたらどんなにいいかと思っているのだ。」
+ こう答えると、モーセは長老たちと共に野営地に帰りました。
+ さて次の日、主が風を起こすと、それに乗って海の向こうからうずらが飛んで来て、野営地の回りに落ちました。どの方向に進んでも、一日の道のりの所にうずらが落ちています。それも九十センチほどの高さに、びっしり敷き詰めたようになっているのです。
+ 人々は、その日一日では足りず、夜の間も翌日もずっと、うずらを集めました。一番少ない者でも山ほど集めることができ、それを野営地中に広げて干しました。
+ ところが、その肉を食べ尽くさないうちに主の罰が下り、大ぜいの者が疫病にかかって死にました。
+ それから、この場所は、キブロテ‧ハタアワ(「欲望の墓場」の意)と呼ばれるようになりました。人々が肉を欲しがり、エジプトでの生活を恋しがった人々を埋葬したからです。
+ このあと人々はハツェロテまで行き、しばらく滞在しました。
+
+
+ ある日、ミリヤムとアロンは、モーセの妻がクシュ人だということで彼を非難しました。
+ 「主のことばを伝えるのはモーセだけじゃない。私たちだって、ちゃんと話ができるのではないか。」
+ このことを聞いた主は、さっそくモーセとアロンとミリヤムを幕屋に呼びました。「三人ともここに来なさい。」言われるままに彼らは、主の前に出ました。モーセはだれよりも謙遜な人でした。
+ それから、主は雲に身を隠して降りて来て、幕屋の入口に立って命じました。「アロンとミリヤム、前に出なさい。」二人は言われたとおりにしました。
+ 「わたしは預言者には幻や夢の中で話をするが、
+ モーセはそうではない。彼はいつでもわたしと会って、直接話ができる。わたしの姿も見ることができる。それなのになぜ、恐れもなく彼を非難するのか。」
+ 主は激しく二人をしかり、立ち去りました。
+ そして、雲が幕屋を離れると、そのとたんミリヤムはツァラアトにかかり、見る見る肌が白くなっていきました。
+ それを見たアロンは必死で叫びました。「ああ、モーセ。赦してくれ! あんな愚かなことを言って悪かった。
+ ミリヤムを、肉が腐りかかった死産の子のようにしないでくれ。」
+ モーセは祈りました。「神様! どうか姉を治してやってください。」
+ しかし、主は答えました。「父親が娘の顔につばをしてさえ、娘は七日間汚れるではないか。ミリヤムを野営地の外に出しなさい。七日たったら連れ戻してもよい。」
+ それでミリヤムは宿営の外に締め出され、一週間、イスラエル人は彼女が戻るまで旅に出ませんでした。
+ そのあと彼らはハツェロテを去り、パランの荒野に野営することになりました。
+
+
+ 主はモーセに告げて言いました。
+ 「いずれはあなたがたのものになるカナンの国に、まず偵察隊を送り込みなさい。各部族から一名ずつ選ぶのだ。」
+ この時、一行はパランの荒野に野営していました。モーセは主が命じたとおり、十二人の偵察者を選びました。ルベン族からザクルの子シャムア、シメオン族からホリの子シャファテ、ユダ族からエフネの子カレブ、イッサカル族からヨセフの子イグアル、エフライム族からヌンの子ホセア(ヨシュア)、ベニヤミン族からラフの子パルティ、ゼブルン族からソディの子ガディエル、ヨセフ族〔実際はマナセ族〕からスシの子ガディ、ダン族からゲマリの子アミエル、アシェル族からミカエルの子セトル、ナフタリ族からボフシの子ナフビ、ガド族からマキの子ゲウエル。
+ モーセがヌンの子ホセアの名をヨシュアと変えたのは、この時です。
+ 彼らを送り出す時、モーセはこう命じました。「北へ進み、ネゲブの山地に入り、
+ カナンがどんな国か探って来なさい。住民は強いか弱いか、多いか少ないか、
+ 土地は肥えているかどうか、どんな町があるか、ただの村か、それとも城壁のある町なのか、
+ 繁栄しているか、貧しいか、木は多いかなどを探って来るのだ。恐れてはいけない。試しに、その土地のくだものを取って来なさい。」ちょうど、ぶどうの初物が熟す季節だったからです。
+ 彼らは、南はツィンの荒野から北はハマテに近いレホブまで探りました。
+ 北へ進み、まずネゲブを通り、ヘブロンに着きました。そこには、アナクの子孫のアヒマン族、シェシャイ族、タルマイ族が住んでいました。ヘブロンは、エジプトのタニスより七年も前に建てられた、非常に古い町です。
+ それから、のちにエシュコルの谷と呼ばれるようになった地に来て、ぶどうが一房ついた枝を切り取りました。とても大きく、棒に通して二人でかつがなければならないほどでした。ざくろやいちじくの実もいくらか取りました。
+ その時から、イスラエル人は、そこをエシュコル〔「一房のぶどう」の意〕の谷と呼ぶようになりました。
+ 彼らは四十日の間カナンの国を探り、
+ パランの荒野のカデシュに戻ると、モーセ、アロンはじめイスラエルの民全体にさっそく報告し、持ち帰ったくだものを見せました。
+ 彼らの報告は次のとおりです。「ただいま戻りました。カナンは実にすばらしい国です。まさに、乳とみつが流れる国でした。その証拠に、持ち帰ったくだものをごらんください。
+ しかし残念なことに、住民は強く、町々は非常に大きく、城壁を巡らしてあります。そのうえ、アナクの子孫の巨人族がいるのです。
+ 南にはアマレク人、山地にはヘテ人、エブス人、エモリ人、地中海沿岸とヨルダン川流域には、カナン人が住んでいます。」
+ この報告に、人々はざわつきました。しかし、カレブはモーセの前でみなを静めると、きっぱり言いました。「われわれは、すぐ攻め上ってカナンを占領しよう。大丈夫、やれば必ずできる。」
+ 「むちゃなことを言うな。あんな強い相手では、かなうわけがない。とても歯が立つものか。」偵察に行ったほかの者は大反対です。
+ 結局、ほとんどの者はあまり乗り気ではなかったので、彼らは人々に言いました。「国中に兵士がおり、住民はたくましい体格をしている。
+ 昔の巨人の子孫アナク人もいるし、彼らと比べたら、私たちなど虫けら同然に見える。」
+
+
+ それを聞いた人々は、絶望的な声を上げて、夜通し泣き続けました。
+ やがて嘆き声は、モーセとアロンへの痛烈な非難の声に変わりました。「なんてことだ。こんなことならエジプトで死んだほうがよかった。そんな国に行くくらいなら、この荒野で死んだほうがまだましだ。神様はおれたちを殺すつもりなんだ。そうなったら、妻や子は奴隷にされてしまう。さっさと引き返して、エジプトへ帰ろう。」
+ この声は野営地中に広まり、「エジプトに連れ戻してくれる指導者を立てよう」と、人々は叫ぶのでした。
+ モーセとアロンはみなの前で顔を地につけ、ひれ伏しました。
+ 偵察に加わったヌンの子ヨシュアとエフネの子カレブは、人々のあまりのふがいない姿に着物を引き裂き、
+ こう訴えました。「私たちの目の前にあるのはすばらしい国だ。
+ それに主が味方なのだ。主は私たちを安全に導き、必ずその国を下さる。乳とみつの流れるすばらしい国を下さるのだ。
+ 主に背くのはやめよう。人間など恐れなくていい。主がいっしょにおられる。だれも神様にはかなわないのだから、恐れることはない!」
+ ところが人々は、二人の言うことを聞こうともせず、かえって石で打ち殺そうとしました。その時、神の栄光が現れ、声が響きました。「モーセよ、この者たちはいつまでわたしを軽んじるのか。あれだけの奇跡を見ても、まだわたしを信じないのか。
+ こうなったら、彼らを疫病で滅ぼしてしまおう。代わりにあなたから、もっと強く、もっと偉大な国民を起こそう。」
+ しかしモーセは、必死になって主に願いました。「ですが、そのようなことをエジプト人が聞いたら、彼らは何と言うでしょう。私たちがエジプトから助け出された時、彼らはあなたの力をいやというほど思い知ったはずです。
+ そのことはすでにこの地の住民にも知れ渡り、彼らは、あなたが私たちと共にいて、親しくかかわってくださっていることを知っているのです。昼も夜も私たちを導き守る雲の柱、火の柱が彼らにも見えないはずはありません。
+ 今、イスラエルの民を一人残らず滅ぼしでもされたなら、どうなるでしょう。あなたのすばらしさを耳にしていた人々は、これ幸いに、
+ 『なんだ、あの神は。荒野でイスラエル人どもを養うこともできず、結局は殺してしまった。約束の地へ連れて行く力など、初めからなかったのだ』と、ばかにするに違いありません。
+ お願いです。どうか力をお示しください。どうか忍耐してください。以前と変わらず私たちを愛し、罪を赦してください。確かにあなたは、『罪は必ず罰する。父親の罪を三、四代にわたるまで罰する』と言われました。
+ しかし、あえてお願いします。私たちをお赦しください。エジプトを出てから今日まで、いつも赦してくださったように、今も変わらず私たちを愛してください。」
+ 「あなたがそれほど言うなら赦そう。だが、これだけは言っておく。エジプトでもこの荒野でも、すばらしい奇跡を見ながら十度も強情を張り、わたしを信ぜず、従おうともしなかった者たちは、決して約束の国を見ることはできない。栄光が全地に満ちている神であるわたしがこう言う以上、それは絶対だ。
+ ただ、カレブは違う。彼はいつもわたしを信じ、従い通した。彼はカナンに入り、子孫たちにその地を残す。
+ しかし、あなたがたは今、アマレク人や渓谷地帯に住むカナン人を恐れているので、ひとまず引き返すのだ。そして、明日から向きを変えて紅海に向かいなさい。」
+ このあと神は、モーセとアロンだけに語りました。「このひねくれた民は、いつになったら不平を言わなくなるのだろう。もう十分だ。
+ 彼らに言いなさい。『主はあなたがたが何よりも恐れていることをされる。
+ あなたがたはみな、この荒野で死ぬのだ。二十歳以上の者で主に不平を言った者は、エフネの子カレブとヌンの子ヨシュアのほかは一人も約束の国に入れない。
+ あなたがたは子どもが奴隷にされると言ったが、神は彼らを守り、あなたがたがさんざん文句を言ったカナンの国を彼らに与える。
+ あなたがたの死体は、この荒野に捨てられる。
+ 最後の一人が死ぬまで、あなたがたの子らはあてもなく四十年もさまよい歩く。それもみな、主を信じなかったからだ。
+ 偵察隊が四十日間カナンの国にいたように、彼らの一日を一年と数えて四十年間、荒野にいて罪を償わなければならない。神に背けばどうなるか、よく思い知るだろう。それらの者は一人残らずこの荒野で死ぬと、主が言われたのだ。』」
+ このことがあってから、人々を不安にして主に背くようにそそのかした十人の偵察者たちが、疫病にかかって死にました。生き残ったのはヨシュアとカレブの二人だけでした。
+ モーセが神の言われたことを人々に告げると、野営地中が深い悲しみに覆われました。
+ 翌朝早く、人々は約束の地を目指し、山地の方角に向かって出発しようとしました。「私たちが悪かった。これからは主の約束を信じて進もう。」
+ するとモーセが言いました。「もう遅い。荒野へ行けと言われる主の命令に背くつもりか。
+ 勝手に進んだら、敵にやられるだけだ。主はもういっしょにはおられないのだぞ。
+ そこにはアマレク人やカナン人がいるのを忘れたのか。おまえたちが主を見捨てたから、今度は主がおまえたちをお見捨てになるのだ。」モーセが止めるのも聞かず、
+ 彼らはどんどん山地に向かって進みました。しかし契約の箱もモーセも、野営地にとどまっていました。
+ 案の定、山地に住んでいたアマレク人やカナン人が彼らに襲いかかり、彼らはやっとの思いでホルマまで逃げました。
+
+
+ 主はモーセに命じて、人々にこう言わせました。「あなたがたの子が、ついにわたしの与える地に住み、
+ わたしを喜ばせるために、焼き尽くすいけにえをはじめ、火で焼くいけにえをささげる場合には、次のようにしなさい。いけにえは羊かやぎ、あるいは牛にし、普通のものも、誓願を果たすためのものも、自分から進んでささげるものも、年ごとの祭りのときにささげるものも、それぞれ穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょにささげなさい。子羊をささげるときは、〇‧九五リットルの油で混ぜた上等の小麦粉二‧三リットルを、〇‧九五リットルのぶどう酒といっしょにささげなさい。
+ 雄羊の時は、一‧三リットルの油で混ぜた上等の小麦粉四‧六リットル、
+ さらに、わたしへのなだめの香りとして、ぶどう酒一‧三リットルをささげなさい。
+ 若い牛のときは、一‧九リットルの油で混ぜた上等の小麦粉六‧九リットルとぶどう酒一‧九リットル。これを火で焼くと、とても良い香りがする。
+ 以上が牛、雄羊、子羊、子やぎのいけにえといっしょにささげる物についての決まりである。
+ 火で焼くささげ物をしてわたしを喜ばせようと思う者は、イスラエル人でも、在留外国人でも、みなこの決められたことを守らなければならない。
+ おきてはだれに対しても同じであり、このことは代々にわたって変わらない。わたしの前では、すべての人が平等だから、すべての人が同じおきてを守らなければならない。」
+ 主はさらにモーセに告げて言いました。「人々にこう教えなさい。『約束の国に着いたら、
+ 毎年、収穫の一部を主にささげなさい。ささげるときはこうする。小麦の初物の粗びき粉でドーナツ型のパンを焼き、それを祭壇の前で前後に揺り動かしてささげる。これが小麦粉のささげ方で、代々このように行わなければならない。
+ うっかりして、わたしが教えた指示を守らなかったり、
+ 命じられた日から、命令を一つでも守らなかった場合、失敗を素直に認め、民が無知ゆえに守らなかったのなら、焼き尽くすいけにえとして若い雄牛を一頭ささげなさい。わたしはその香りを受け入れる。また、いつもの穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょに、罪の赦しのためのいけにえとして、雄のやぎを一頭ささげなさい。
+ それから、祭司が民全体の罪を償う儀式をすれば、彼らは赦される。この場合は、間違って罪を犯したのだから、神に、火で焼くいけにえと罪の赦しのためのいけにえをささげることによって償うことができる。
+ 民全体の罪は、在留外国人も含めて、このようにして赦される。
+ また個人が過って罪を犯した場合は、一歳の雌やぎを一頭、罪の赦しのためのいけにえとしてささげなさい。
+ 祭司はその者が赦されるように、罪を償う儀式をする。
+ 在留外国人の場合も同じである。
+ しかし、イスラエル人でも在留外国人でも、故意に罪を犯した者は神を冒瀆する者で、殺されなければならない。
+ 主のことばを軽んじ、わざとその命令を破った罰だ。』」
+ 人々が荒野にいたある日のことです。安息日にたきぎを集めているのが見つかって、
+ 一人の男が捕らえられました。男は、モーセとアロン、他の指導者たちの前に連れて来られましたが、
+ どう裁いてよいかわからず、ひとまず監禁しておくことになりました。
+ やがて、主はモーセに言いました。「あの男を死刑にしなさい。宿営の外で、全員が石を投げつけて殺さなければならない。」
+ そこで人々は、男を宿営の外へ引いて行き、命じられたとおりに処刑しました。
+ 主はまた、モーセに命じました。「人々にこう言いなさい。『着物のすその四隅に青いひもで房をつけなさい。これから代々そうするのだ。
+ その房を見るたびに、わたしの命令を思い出すためだ。もう以前のように、自分勝手にやりたいことをやったり、他の神々に仕えたりしてはいけない。主のおきてをしっかり守りなさい。
+ その房は、イスラエルの神だけに従っていかなければならないことを思い出させてくれるだろう。
+ あなたがたをエジプトから助け出したのはわたしである。わたしがあなたがたの神なのだ。』」
+
+
+ ある日のこと、レビのひ孫で、ケハテの孫に当たるイツハルの子コラは、ルベン族のエリアブの子ダタンとアビラム、それにペレテの子オンとともに、
+ 人々をそそのかしてモーセに逆らわせました。その支持者には、名の知れた二百五十人の指導者たちもいたのです。
+ 彼らは徒党を組み、モーセとアロンのところに来て、二人に盾突きました。「分を越えるのもいいかげんにしてほしい。二人の説教はもうたくさんだ、大した人物でもないくせに。われわれだって主に選ばれた者ではないか。主はわれわれみなの主だ。二人だけが特別に偉いのだろうか。そんなに威張る権利がどこにあるんだ。」
+ これを聞くとモーセは、地にひれ伏しました。
+ それから、コラとその仲間に言いました。「明日の朝、主は、だれが主の選んだ正しい指導者か、だれがきよく、だれが祭司かをはっきりさせてくださる。
+ あした香炉を持って来て、主にささげる香をたきなさい。そうすれば、主がだれをお選びになったかわかるはずだ。レビの子たちよ、あなたがたこそ分を越えている。」
+ さらに、モーセはコラに言いました。「イスラエルの神があなたを選び、おそばで幕屋の仕事をさせ、人々の前で奉仕させてくださるだけでは不足なのか。
+ この仕事ができるのはレビ族だけだというのに、それでも不満なのか。だから、祭司の職を求めるのか。
+ 祭司になりたいばかりに、あなたは主に背いているのだ。アロンに不平ばかり並べたてるが、いったい彼が何をしたというのか。」
+ モーセは続けて、エリアブの子ダタンとアビラムを呼びつけましたが、二人は来ようともしません。
+ そのうえ、モーセの口まねをして言い返したのです。「あんたこそ、美しいエジプトからわれわれを連れ出して、こんなひどい荒野でのたれ死にさせるだけでは不足なんですか。それだけでは不満で、王様にでもなろうというのですか。とんでもないことだ。
+ あんたは約束の国とかいうけっこうな地に、ちっとも連れて行ってくれないではないか。畑やぶどう畑をくれるって? もうだまされないぞ。ついて来いと言ったって行くものか!」
+ モーセは激しく怒り、主に願いました。「あの者たちのいけにえを受け入れないでください。これまで私は、彼らのろば一頭さえ取り上げたこともなく、彼らを傷つけたこともないのに、あんな言いがかりをつけてくるのです。」
+ それからコラに言いました。「明日、あなたもあなたの仲間全員も、アロンとともに主の前に出なさい。
+ 香を入れた香炉を忘れてはいけない。一人一つずつ二百五十個を用意し、あなたもアロンも自分のものを持って来なさい。」
+ 彼らはそのとおりにしました。香炉を持ち、火をつけ、モーセとアロンといっしょに幕屋の入口に立ちました。
+ 事の成り行きを見ようと、民がみな集まって来ました。コラは人々をけしかけ、モーセとアロンに逆らわせようとしました。と、その時、さっとあたりが明るくなり、
+ 神の声がとどろきました。
+ 「モーセとアロン、この者たちから離れなさい。わたしは今すぐこの者たちを滅ぼす。」
+ しかし、モーセとアロンは主の前にひれ伏して願いました。「ああ、神様。世界にただおひとりの神様。たった一人の罪のために、すべての人を罰するのですか。」
+ すると主は、モーセに答えました。「わかった。それなら、人々にコラとダタンとアビラムの天幕から離れるように言いなさい。」
+ モーセは長老たちを従え、ダタンとアビラムの天幕(テント)の方に走って行き、
+ 叫びました。「急いでその天幕を離れなさい。彼らの持ち物にさわるな。さもないと、仲間ということで殺されてしまうぞ。」
+ 驚いた人々は、コラとダタンとアビラムの天幕から離れました。ダタンとアビラムは、妻や子どもたちを連れて天幕を出て入口に立ちました。
+ モーセは宣言しました。「これから起こることを見れば、主が私を遣わされたことが、はっきりわかるだろう。私はこれまで、自分の考えでやってきたのではない。
+ いいか、もしこの者たちがよくある事故や病気で死んだのなら、うそをついたのは私のほうだ。
+ しかし、主が奇跡を起こして地面を裂き、地が彼らを天幕もろとものみ込み、生きたまま地獄に落とされたなら、主を冒瀆したのは彼らのほうだ。」
+ こう言い終わるか終わらないうちに、なんと、コラたちの足もとの地面がぱっくりと裂け、
+ いっしょにいた家族、友人を、天幕もろとものみ込みました。
+ 彼らは一人残らず生きたまま地獄に落ち、地の底に閉じ込められたのです。
+ 彼らの回りにいた人々はみな、彼らの絶叫を聞いて、自分たちものみ込まれると思って、逃げ惑いました。
+ その時、天から火が下り、香をささげていた二百五十人を焼き殺しました。
+ 主はモーセに命じました。「祭司アロンの子エルアザルに、香炉を火の中から取り出させなさい。その香炉はわたしにささげられた神聖なものだからだ。
+ また、罪を犯して死んだ者たちの香炉から、火のついた香を取り出してまき散らすように言いなさい。次に、香炉を打ち延ばして一枚の板にし、それで祭壇を覆いなさい。この香炉は、わたしの前で使ったから神聖なものだ。こうしておけば、祭壇の覆いを見るたびにこの出来事を思い出すだろう。」
+ 祭司エルアザルは、命じられたとおり二百五十個の青銅の香炉を板金にし、祭壇に覆いをかけました。
+ アロンの子孫でない者はだれも、神の前で香をたいてはならないこと、これを破ればコラと同じ目に会うことを思い出させるためでした。すべて主がモーセに命じたとおりです。
+ ところが翌朝になると、人々はモーセとアロンを批判し始めたのです。「あなたたちは主の民を殺してしまったのだ。」
+ 批判のうずはたちまち広がり、険悪な雰囲気になっていきました。と、突然、雲がわき起こり、人々が振り返って幕屋を見ると、目もくらむばかりに輝いていました。
+ モーセとアロンが幕屋の入口に立つと、主はモーセに命じました。
+ 「人々から離れなさい。今すぐ彼らを滅ぼす。」それを聞いて、モーセとアロンは主の前にひれ伏しました。
+ モーセはアロンに言いました。「急いで香炉を持って来て、祭壇の火で香をたき、すぐ人々のところへ行って主の赦しを願ってくれ。早くしないと手遅れになる。見なさい、もう神罰が下って病気で倒れた者もいる。」
+ アロンは言われたとおり、人々のところへ走って行きました。すでに疫病がはやりだしていたので、急いで香をたき、主の赦しを願いました。
+ アロンが死者と生きている者の間に立っていると、ようやく疫病は収まりましたが、前日のコラの事件で死んだ者とは別に、
+ 死者はすでに一万四、七〇〇人にも達していたのです。
+ 疫病が収まると、アロンは幕屋の入口にいたモーセのところへ戻りました。
+
+
+ それから、主はモーセに命じました。「族長たちに、自分の名を彫った杖を持って来させなさい。アロンの名はレビ族の杖に彫る。
+ 十二本の杖を幕屋の契約の箱の前、わたしがあなたと会う場所に置きなさい。
+ この杖で、わたしがだれを選ぶかを決めよう。わたしの選んだ者の杖は芽を出すのだ。これだけはっきりさせれば、彼らも不平は言わなくなるだろう。」
+ 十二人の族長は、それぞれモーセのところに杖を持って来ました。アロンの杖も入っています。
+ モーセは、幕屋の奥の主の前にそれを置きました。
+ 翌日そこへ行ってみると、レビ族を代表するアロンの杖が芽を出し、花が咲き、アーモンドの実がなっているではありませんか。
+ それを持って来て見せると、人々はあっけにとられ、ただ見つめるばかりです。それでも族長たちは気を取り直し、自分の杖を引き取りました。
+ 「アロンの杖を、この事件の苦い思い出として、いつまでも契約の箱のそばに置きなさい。アロンの権威を疑う者がまた出たら、それを見せてやりなさい。そうすれば、民が不平を言っていろいろな災難を被らずにすむだろう。」主がそう命じたので、
+ モーセはそのとおりにしました。
+ しかし人々は、それでもこりずに不平を言うのでした。「これでは、みんな死んだも同然だ。幕屋に近づくだけで死ぬのなら、だれも助かるわけないではないか。」
+
+
+ 主は、今度はアロンに言いました。「あなたとあなたの一族は、どんな事情であっても、聖所が汚されたら責任を負わなければならない。祭司の仕事で失敗したときも同じだ。
+ あなたと同族のレビ人にも手伝わせるが、幕屋での神聖な務めは、あなたの一族しかできない。他のレビ族の者が祭壇の神聖な用具にさわらないように注意しなさい。気をつけないと、あなたもあなたの一族も、罰せられて死ぬことになる。
+ レビ族でない者には絶対に手伝わせてはいけない。
+ 聖所や祭壇で奉仕するのは祭司だけである。このとおりにすれば、わたしのおきてを破って、そのためにわたしが人々に罰を下すこともなくなる。
+ くり返すが、同族のレビ族に幕屋での仕事を手伝わせよう。
+ しかし、祭壇や聖所の垂れ幕の内側での仕事や神聖な務めはすべて、祭司であるあなたとあなたの息子たちが行わなければならない。あなたがただけが祭司として選ばれたからだ。他の者で不要な手出しをする者は、必ず死ななければならない。」
+ 主は続けてアロンに命じました。「わたしにささげられた物はみな、祭司に与える。イスラエル人のすべての聖なるささげ物はみな、あなたとあなたの子らのものとなる。これはいつまでも変わらぬ定めである。
+ 穀物の供え物、罪の赦しのためのいけにえ、それに罪過を償ういけにえも、祭壇で焼いてわたしにささげる一部を除いては、全部あなたがたのものだ。これは最も神聖なものだから、
+ 最も神聖な場所で食べなければならない。しかも、食べることができるのは男だけだ。
+ イスラエル人の奉納物はみな、あなたと家族全員に与えよう。男でも女でもおきてどおり身をきよく保っているなら、だれでも食べられる。
+ 初物としてささげられる、最良のオリーブ油、ぶどう酒、穀物、
+ 他の収穫物もみな、あなたがたのものだ。おきてどおり身をきよく保っているなら、家族はそれを食べてよい。
+ わたしへの奉納物はみな、あなたがたのものだからだ。イスラエル人の長男も、家畜の初子もみな、あなたがたのものだ。
+ しかし、長男や食べてはいけない家畜の初子の場合は、代金で受け取りなさい。一人あるいは一匹につき銀五シェケル(一シェケルは十一‧四グラム)を、生後一か月過ぎたら持って来させるのだ。
+ ただし、牛、羊、やぎの初子は、いけにえとしてささげなさい。その血を祭壇に振りかけ、脂肪を火で焼くささげ物とする。わたしはそれを受け入れよう。
+ 肉はあなたがたの分としてかまわない。祭壇で揺り動かしてささげる胸や右のももの肉もそうだ。
+ 人々が持って来る奉納物はみな、あなたに与える。それを家族全員の食物としなさい。これは、わたしがあなたとあなたの子孫に対して結ぶ、永遠の契約である。
+ 祭司は相続地もなく、他の収入もない。必要な物はみな、わたしが与える。
+ 同族のレビ族には、幕屋での仕事の報酬として、イスラエル中からささげられる中から十分の一のささげ物を与えよう。
+ もうこれからは、祭司とレビ人以外の者は、だれも聖所に入ってはならない。もし入ったなら罪を犯した罰として死ぬ。
+ 聖所で働けるのはレビ人だけだ。その彼らも、間違ったことをすれば罰せられる。これは永遠の定めである。彼らには相続地が与えられない。
+ その代わり、イスラエルの奉納物である十分の一のささげ物を与える。彼らが相続する財産はそれだけで、ほかに相続地を持つことはできない。」
+ 主はまた、モーセに告げて言いました。「レビ人に、人々から受け取る物の十分の一を、わたしに奉納物としてささげるよう命じなさい。
+ それをレビ人の財産の十分の一とみなし、穀物の初物やぶどう酒の代わりに受け取ろう。
+ その場合、人々から受け取る十分の一のささげ物の中でも、最も良い物を選び、祭司アロンに与える。
+ それは穀物の粉やぶどう酒の代わりである。
+ アロンとその家族は、ささげた物の残りを、家でもどこででも食べてかまわない。幕屋で仕事をした報酬だからだ。
+ レビ人は、受け取った物の十分の一、それも最も良い物を祭司にささげるなら、その残りのささげ物を食べても罪にはならない。しかし、それは人々の神聖なささげ物だから、大事に扱いなさい。注意しないと、罰せられて死ぬことになるからだ。」
+
+
+ 主はモーセとアロンに告げて言いました。「さらに、わたしが定めた規定は次のことである。人々に、傷のない、一度も仕事をしたことのない赤い雌牛を一頭引いて来させなさい。それを祭司エルアザルに渡し、宿営の外に引いて行き、彼の目の前でほふりなさい。
+ エルアザルは牛の血を指で取り、幕屋の正面に七度まく。
+ そのあと、彼の目の前でその雌牛を焼きなさい。皮も肉も血も糞もである。
+ その火の中へ、エルアザルが杉の木とヒソプの枝と赤い糸とを投げ込む。
+ それがすんだら、着物と体を洗いきよめる。これでもう宿営に戻れるが、祭司は夕方まで汚れる。
+ 雌牛を焼いた者も着物と体を洗いきよめるが、同じように夕方まで汚れる。
+ それから、汚れていない者が灰を集め、宿営の外のきよめられた場所に置いて保存する。その灰で、人々の汚れをきよめる儀式に使う水を作る。
+ 灰を集めた者も着物と体を洗いきよめるが、夕方までは、やはり汚れる。イスラエルの人々も、いっしょに住んでいる外国人もみな、永遠にこのおきてを守らなければならない。
+ 人の死体にさわったら、だれでも七日間は汚れる。
+ 三日目と七日目に、赤い雌牛の灰を入れた水で体を洗えばきよめられるが、三日目にこの儀式をしないと、七日たっても、まだ汚れたままである。
+ 死体にさわったのに、決まりどおり体を洗いきよめないのは、幕屋を汚すのと同じことだ。そんな不届き者は追放しなさい。きよめの水をかけなかったので、まだ汚れたままだからだ。
+ 天幕の中で人が死んだ場合は、次のようになる。その天幕に入る者も、その時、中にいた者もみな七日間は汚れる。
+ 人だけでなく、中にあるふたのない入れ物も汚れる。
+ また、戦争その他の理由で死んだ者の死体に野外で触れた者、骨や墓にさわった者も、七日間汚れる。
+ それをきよめるには、まず汚れをきよめる赤い雌牛の灰を器に入れ、わき水を加える。
+ それから、汚れていない者がヒソプの枝をその水に浸し、天幕と中にある水さしや皿、中にいて汚れた者などに振りかける。また骨や、殺されるかその他の理由で死んだ者の死体や、墓にさわった者にも振りかける。
+ 三日目と七日目に、このようにする。それから、本人が着物と体を洗いきよめる。そうすれば、七日目の夕方には汚れからきよめられる。
+ 身が汚れたのにきよめようとしない者は、神の聖所を汚したのだから追放される。彼はきよめの水を体にかけなかったので、汚れたままである。
+ このおきては永遠に変わらない。水を注ぎかける者も、あとで着物を洗いきよめる。水に触れた者はだれでも、その日の夕方まで汚れる。
+ また、汚れた者がさわるものもみな、夕方まで汚れる。」
+
+
+ さて、イスラエルの民は第一の月にツィンの荒野に着き、カデシュで野営することになりました。その間にミリヤムが死に、そこで葬られました。
+ そこには飲み水が十分ありませんでした。またまた不満が爆発し、モーセとアロンをつるし上げようと人々がぞくぞくと集まって、
+ 抗議の集会を開きました。「あの時、主に殺された者たちといっしょに死んでしまえばよかったのだ。
+ あんたたちの魂胆はわかっている。わざと、この荒野にわれわれを連れ出し、家畜もろとも皆殺しにしようというんだろう。
+ 何の恨みがあって、おれたちをエジプトからこんなひどい所に連れて来たのだ。すばらしい土地があるとか言っていたが、いったいどこだ。いちじくやぶどうやざくろが山ほど採れるって? 笑わせるなよ、飲み水もないじゃないか!」
+ モーセとアロンは幕屋の入口に引き返し、主の前にひれ伏しました。すると、主の栄光が輝きわたりました。
+ 主はモーセに命じました。
+ 「アロンの杖を取り、二人で人々を集めなさい。みんなの目の前で、向こうにある岩に『水を出せ』と命じるのだ。その水を、みんなにも家畜にも欲しいだけ飲ませなさい。」
+ そこでモーセは命じられたとおりに、聖所の奥の主の前に置いてあった杖を取り、
+ アロンと二人で岩の前に人々を集めました。そして、「さあ、わからず屋ども。この岩から水を出してやるから、ありがたく思いなさい」と言うと、
+ モーセは杖を振り上げて岩を二回たたきました。と、どうでしょう。水がどんどんわき出て来るではありませんか。人も家畜も、大喜びでその水を飲みました。
+ ところが主は、モーセとアロンをしかりました。「あなたがたはわたしを信じなかった。岩に命じなさいと言ったのに、杖でたたくとは何事だ。わたしを信じきらず、わたしが聖なる者であることを民に示さなかったのだから、あなたがたは約束の地に入ることができない。」
+ それでこの場所は、メリバ〔「反逆の水」の意〕と名づけられました。イスラエルの民が主に背いて争ったからです。この事件によっても、主はご自分の聖なることを示しました。
+ カデシュにいる間に、モーセはエドムの王のもとへ使いを出しました。「王様、私たちはあなたの身内も同然です。私たちの先祖ヤコブは、あなたのご先祖エサウ様の弟でした。ご存じのように、私どもはずいぶん悲しい思いをしてきました。事情があってエジプトへ行きましたが、長く住んでいるうちに奴隷にされてしまったのです。
+ あまりの苦しさに主に助けを求めると、主はひとりの御使いを遣わし、私たちをエジプトから連れ出してくださったのです。今、私たちはあなたの国との境にあるカデシュに野営しております。
+ どうぞ、あなたの領土を通らせてください。畑やぶどう園を荒らさないように十分気をつけます。井戸の水も飲みません。あなたの領土を通過するまで、ただまっすぐ街道を進み、決してわき道にそれたりはしません。」
+ しかしエドムの王は、すげなくそれを突っぱねました。「だめだ、許可できない。一歩でも踏み込んだら、軍を差し向けるぞ。」
+ 「そうおっしゃらず、お許し願えないでしょうか。街道からは絶対にそれませんし、水も飲みません。どうしても飲ませていただかなければならないときは、きちんと代金をお払いします。ただ、通らせていただければよいのです。」
+ 「だめと言ったらだめだ!」王はあくまでも聞き入れません。そして警告どおり、大軍をくり出して国境の守りを固めました。
+ これではどうにもなりません。イスラエル人は迂回することにし、カデシュからホル山へ移りました。
+ エドムとの国境で、主はモーセとアロンに告げました。
+ 「アロンはもうすぐ先祖のもとに行く。約束の地に入ることはできない。あなたがた二人がメリバの水のことで、わたしの命令に逆らったからだ。
+ さあモーセは、アロンとその子エルアザルを連れてホル山に登りなさい。
+ そこでアロンの祭司の服を脱がせ、子エルアザルに着せるのだ。アロンはそこで死に、先祖の民に加えられる。」
+ モーセは主の言うとおりにしました。人々に見送られ、三人はホル山へ登って行きました。
+ 頂上に来ると、モーセはアロンの服を脱がせ、息子エルアザルに着せました。アロンはそのままそこで死に、モーセとエルアザルは山を下りました。
+ アロンが死んだことを聞くと、イスラエルのすべての民は、三十日の間、泣いて悲しみました。
+
+
+ 人々は、先の偵察隊の一行と同じ道を通り、アラデの近くに来ました。それを知ったカナン人アラデの王はイスラエル人を攻撃し、何人かを捕虜にしました。
+ そこでイスラエルの民は、「アラデの国を征服させてください。国中の町を必ず全滅させます」と主に誓願しました。
+ 願いは聞かれ、彼らはカナン人と彼らの町を滅ぼしました。そこをホルマ〔「全滅」の意〕と呼ぶようになったのは、この時からです。
+ このあと彼らはホル山に帰り、そこから南へ行き、エドムの国をぐるりと回って、紅海へ通じる道に出ました。ところが、途中で我慢できなくなり、
+ また文句を言い始めたのです。不平不満はモーセに集中しました。「何の恨みがあって、われわれをエジプトから連れ出し、こんな荒野で飢え死にさせるのか。食べ物も飲み物もないではないか。あんなまずいマナは、もうたくさんだ。」
+ これに主は怒り、彼らを毒蛇にかませたので、多くの者が死にました。
+ 人々は困り果ててモーセに泣きつきました。「赦してください。私たちが間違っていました。主とあなたのおっしゃるとおりにしていればよかったのです。お願いですから、毒蛇がいなくなるように主に祈ってください。」モーセは民のために祈りました。
+ 主の答えはこうでした。「銅で毒蛇の複製を作り、竿の先に掲げなさい。かまれた者で、わたしの言うとおり、それを見上げる者は助けよう。」
+ モーセはさっそく蛇の複製を作り、竿の先につけました。かまれた者で、それを見上げた者は一人残らず治りました。
+ このあと一行はオボテに行き、そこで野営しました。
+ そこからさらに、モアブに近い荒野にあるイエ‧ハアバリム、
+ ゼレデの谷へと進み、そこに野営しました。
+ それから、モアブとエモリとの国境沿いを流れるアルノン川の向こう岸に移りました。
+ アルノン川のことは、『主の戦いの書』(折々に作られたイスラエルの戦いの歌)に、ワヘブの町を通り、
+ モアブとエモリの国境を流れている、と記されています。
+ 次に向かったのはベエル〔「井戸」の意〕です。そこは主がモーセに、「水を与えるから、みなを集めなさい」と命じた場所でした。
+ その時のことは、次のようなイスラエルの歌になっています。「水よ、どんどんわき上がれ。喜びの歌を歌おう。おお、すばらしい井戸。指導者たちが杖とシャベルで掘った井戸。」一行はそこで荒野を離れ、マタナ、
+ ナハリエル、バモテを通って、
+ モアブ平原の谷まで行きました。そこはピスガ山のふもとで、山頂からは荒野がはるかに見渡せました。
+ イスラエルは、エモリ人の王シホンに使者を送りました。
+ 「どうか、領内を通らせてください。国境を越えるまでは、決して街道からそれたりしません。畑を踏み荒らしたり、ぶどう園に入ったり、水を飲んだりもしません。」
+ しかし、王は承知しませんでした。それどころか軍を集め、わざわざ荒野に出て、ヤハツで戦いをしかけてきたのです。
+ ところが王は戦死し、勝ったのはイスラエル人のほうでした。結局、アルノン川から、北はヤボク川、東はアモンとの国境までを占領しました。アモンとの国境は地形が険しく、それ以上は進めなかったのです。
+ こうしてイスラエルはエモリ人の国を占領し、そこに住みつきました。首都だったヘシュボンもイスラエル人のものになりました。シホン王は以前にモアブを治めていた王と戦って勝ち、アルノン川までの全土を占領していたのです。
+ 昔の詩人が歌っているとおりです。「シホン王の都、ヘシュボンに来てみるがいい。岩のように堅い都に。王は炎のような勢いでモアブの町アルに攻め上り、完全に滅ぼしてしまった。アルノン川の高地にそびえるあのアルを。気の毒なモアブ、ケモシュの神を拝む人たち。とうとう最期が来たのだ。息子は外国へ逃げ、娘はエモリ人の王シホンに捕らえられた。しかし、今やわれわれが彼らの子孫を滅ぼした。ヘシュボンからディボンに至るまで、メデバの近くのノファフまで。」
+ エモリ人の国にいる間に、モーセはヤゼルのあたりに偵察を送り込みました。よく調べてから攻めようとしたのです。そして、とうとう町々を占領し、エモリ人を追い出しました。
+ 次の目標はバシャンの都でした。バシャンの王オグはこれに対抗し、エデレイに兵を集めました。
+ 主はモーセを励ましました。「恐れるな。勝敗はもう決まっている。ヘシュボンでシホン王と戦ったように、オグ王と戦いなさい。」
+ そして、イスラエルは勝利を収めたのです。オグ王とその子らから部下に至るまですべて打ったので、バシャンもイスラエル人のものとなりました。
+
+
+ さて、イスラエルはモアブの平原に移り、ヨルダン川の東側、ちょうどエリコの町の反対側あたりに野営しました。
+ ツィポルの子でモアブの王バラクは、イスラエル人の数があまりにも多く、エモリ人がひどい目に会ったことを知ると、恐怖におびえました。国民もイスラエル人を恐れました。
+ ぐずぐずしてはいられません。そこで王はすぐ、近隣のミデヤン人の指導者たちに相談しました。「いったいどうしたらいいのだ。あの暴徒どもは、まるで牛が草を食い尽くすように回りの者を滅ぼしている。このままでは絶対に助からない。」
+ 相談の結果、ベオルの子バラムを呼び寄せることになりました。彼は、ユーフラテス川に近い、王の故郷ペトルに住んでいます。「バラムが来れば何とかなる。」そう望みをかけて、王は使いを送りました。使いの者は王のことづてをバラムに伝えました。「イスラエル人とかいう暴徒どもがエジプトからやって来て、国中が大騒ぎだ。何しろ彼らは、まるで世界中を征服しそうな勢いで手のつけようがない。それが今にもわが国に攻め込んで来そうなのだ。すぐ来て、彼らをのろってくれないだろうか。そうすれば難なく追い出すことができる。彼らは強すぎて、このままではとてもかなわない。おまえが祝福する者は祝福され、おまえがのろう者は必ず破滅するということだから、ぜひ頼みを聞いてくれないか。」
+ モアブとミデヤンの長老たちによる使いの一行は、進物を携え、急いでバラムに用件を伝えました。
+ するとバラムが、「今夜はここにお泊まりください。明日の朝、主がお示しになったことをお伝えしましょう」と言うので、彼らはそうすることにしました。
+ その晩、神がバラムに現れ、「その者たちはいったい何者だ」とお尋ねになりました。
+ 「モアブの王バラクの使いの者でございます。
+ 暴徒たちがエジプトから来て、国境に迫っているから、すぐ彼らをのろいに来てくれというのです。戦いに勝ちたがっているのです。」
+ 「行ってはならない。頼みを聞いてその民をのろってはならない。わたしはイスラエルの民を祝福しているからだ。」
+ 翌朝、バラムはバラクの使いの者たちに言いました。「申しわけありませんが、お帰りください。主は行ってはならないと言われました。」
+ 長老たちは、すごすごと王のもとへ戻り、断られたことを伝えました。
+ しかし王はあきらめません。もう一度、より地位の高い者たちを、前よりも大ぜい送りました。
+ 一行が持って行った親書には、こうありました。「ぜひともおいでください。おいでいただければ手厚くおもてなしし、お望みのものは何でも差し上げましょう。どうか、イスラエル人をのろいに来てください。」
+ バラムは承知しません。「たとえ金銀で飾り立てた宮殿を下さると言われても、私の神、主の命令には逆らえません。
+ しかし、この前とは別のお告げがあるかもしれませんから、今夜はここにお泊まりください。」
+ その夜、神はバラムに命じました。「彼らとともに行きなさい。だが、わたしが命じることだけをするのだ。」
+ 翌朝、バラムはろばに鞍をつけ、モアブの指導者たちと出かけました。
+ ところが、神はバラムの心に欲があることを怒り、途中で彼を殺してしまおうと主の使いを送ったのです。そうとは知らないバラムは、供の者二人と先を急いでいました。と、突然、バラムのろばの前に抜き身の剣を下げた主の使いが立ちはだかりました。驚いたろばは急に駆けだし、道ばたの畑に入り込んでしまいました。バラムはわけがわからず、あわててろばに鞭を当てて道に戻しました。
+ 主の使いは、今度はぶどう園の石垣の間の道に立っていました。
+ その姿を見るなり、ろばはもがいて体を石垣に押しつけたので、バラムは足をはさまれてしまいました。怒ったバラムは、また鞭を当てました。
+ すると、主の使いが先に行って道幅の狭い所に立ちふさがったので、
+ ろばは道にうずくまってしまいました。バラムはかっとなって、ろばを杖で打ちました。
+ この時、急にろばが口をききました。主がそうなさったのです。「どうして私を三度もぶつのですか。」
+ 「私をばかにしたからだ。剣があれば、切り殺してやるところだ。」
+ 「でも、これまでに、私が一度でもこんなことをしたでしょうか。」「いや、なかった。」
+ その時バラムの心の目が開き、剣を抜いて行く手に立ちはだかっている主の使いが見えました。バラムはびっくりし、その方の前にひれ伏しました。
+ 「なぜ、ろばを三度も打ったのか。あなたが破滅の道を進んでいるので、止めに来てやったのに。
+ ろばはわたしを見て、三度ともしりごみした。そうでもしなかったら今ごろ、ろばは助かっても、あなたのいのちはなかった。」
+ 「私が間違っていました。お赦しください。あなたがおいでになろうとは、気がつきませんでした。これ以上進むなと申されるなら、引き返します。」
+ 「いや、このまま行きなさい。ただ、わたしが命じることだけを言うのだ。」そこでバラムは一行と旅を続けました。
+ バラク王は、バラムが途中まで来ていると聞いて待ちきれず、わざわざ国境のアルノン川まで迎えに出ました。
+ 「なぜ、こんなに遅くなったのか。絶対に悪いようにはしないと約束したのに、信じてくれなかったのか。」
+ 「王様、おおせに従い、参るには参りましたが、残念ながら、神が命じられることしか申し上げられません。」
+ バラムは、王といっしょにキルヤテ‧フツォテに行きました。
+ 王はそこで牛と羊をほふり、バラムや使いの者たちにそれを与えました。
+ 翌朝、王はバラムをバモテ‧バアル山の頂上に連れて行きました。そこから見下ろすと、多くのイスラエル人が集まっているのが見えました。しかも、それは彼らの一部でした。
+
+
+ バラムはバラク王に言いました。「ここに祭壇を七つ築き、若い雄牛と若い雄羊を七頭ずつ用意してください。」
+ 王は指示どおり、雄牛と雄羊を一頭ずつ、それぞれの祭壇の上でいけにえとしてささげました。
+ 「ここでお待ちください。主が何と言われるか聞いてまいりましょう。」こう言うと、バラムは木も生えていない山の頂上に登って行きました。そこに神が現れたので、バラムは言いました。「七つの祭壇を用意し、それぞれに若い雄牛と雄羊を一頭ずつ、いけにえとしておささげしました。」
+ 主は王に伝えることを教えました。
+ 戻ってみると、王はモアブの指導者全員とともに、焼き尽くすいけにえのそばに立っていました。
+ バラムは言いました。「王よ、あなたは私を東のアラムの国から呼び寄せ、『イスラエル人どもをのろい、滅ぼしてくれ』とお頼みになりました。ああ、しかし、神がのろわないのに、どうして私がのろえましょう。神が滅ぼすと言われないのに、どうして私が滅びると言えましょう。山の頂から眺め、丘の上からよく見ると、イスラエル人はどの国民とも違います。あんな国民は見たこともありません。まるで海辺の砂のように多く、とても数えきれません。死ぬ時は、私もイスラエル人のように幸せに死にたいものです。」
+ 王はバラムに言いました。「なんだと! 敵をのろってくれとは頼んだが、祝福しろと言った覚えはない。」
+ 「何と言われましても、神様が言えとおっしゃること以外は申し上げられません。」
+ 「では、やつらがほんの一部しか見えないこちらに来い。そのくらいの数なら、のろってもかまわないだろう。」
+ 王はバラムをピスガ山の頂上のセデ‧ツォフィムの原に連れて行き、そこに祭壇を七つ築き、それぞれに若い雄牛と雄羊を一頭ずついけにえとしてささげました。
+ バラムは王に言いました。「主にお会いして来る間、祭壇のそばに立っていてください。」
+ 主はバラムに現れ、何を言ったらよいかを教えました。
+ バラムはさっそく王や指導者たちのもとに戻りました。そばには、焼き尽くすいけにえがありました。王はまどろっこしくなり、じりじりしながら尋ねました。「それで、主は何と言われたのだ?」
+ バラムは、答えました。「よろしいですか、ツィポル殿のご子息である王よ。お聞きもらさないように、よくお聞きください。神は人間と違って、うそなどおつきになりません。神が約束を実行なさらなかったことがあるでしょうか。その神が、『祝福しなさい』とお命じになったのです。神の祝福を変えることはできません。イスラエル人に悪いところはないのだから、災いに会うこともありません。神が彼らとともにおられ、イスラエル人は彼らの王をたたえています。神は彼らをエジプトから連れ出しました。神はイスラエルのために野牛のように戦います。イスラエルには、のろいも魔術も通じません。『イスラエルの神は、なんと不思議なことをなさるのだ』と、だれもが言うでしょう。彼らはライオンのように立ち上がり、獲物を食い尽くし、その血を吸い尽くすまで休もうとはしません。」
+ 「ええい、もうやめないか! のろわないなら、せめて祝福するのだけはやめてくれ!」王はこらえきれずに叫びました。
+ 「王様、私は主がお告げになったことだけをお伝えすると、最初に申し上げたではありませんか。」
+ 「それなら、また別の場所へ連れて行ってやろう。そこからなら、やつらをのろってもいいと、神は言われるかもしれない。」
+ 王はバラムを、荒野を見下ろすペオル山の頂上に連れて行きました。
+ バラムが、「祭壇を七つ築き、若い雄牛と雄羊を七頭ずついけにえにしてください」と頼むと、
+ 王は言われたとおり、それぞれの祭壇に一頭ずつ、雄牛と雄羊をささげました。
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+ バラムは、主がイスラエル人を祝福することがもうよくわかっていたので、これまでのように、わざわざ主に会おうとはしませんでした。その代わり、すぐさまイスラエル人の宿営を眺めに行きました。
+ 見ると、部族ごとに一まとまりになった天幕の列が、平原を横切って、はるかかなたまで延びています。その時、神の霊がバラムに下り、
+ こう預言しました。「ベオルの子バラムが知っていることは、こうだ。私は目のよく見える者。私は神のことばを聞き、全能の神がお見せくださったものを見た。神の前にひれ伏すと、それまで見えなかったものが見えるようになった。ああ、イスラエルはやがて繁栄し、大いに祝福される。緑に覆われた谷間のように、家々は建ち並び、川辺の豊かな果樹園のように、主が植えたかぐわしいアロエのように、川のそばに植えた杉の木のように、水を吸って大きくなり、ますます領地を広げていく。彼らの王はアガグよりも偉大で、人々は口々にイスラエルのすばらしさを褒める。神は彼らをエジプトから連れ出された。イスラエルは野牛のように強く、敵対する国々をことごとく滅ぼす。敵をさんざん打ち負かし、雨あられと矢を射かける。ライオンのようにうずくまり、眠っているイスラエル。だれがその目を覚まさせられよう。イスラエルを祝福する人は幸せになり、のろう人は不幸になる。」
+ あまりのことばに、王は怒りに身を震わせ、もうたくさんだとばかりに声を荒げて言いました。「いいかげんにしろ! おまえを呼んだのは、やつらをのろわせるためだ。それが口を開けば祝福ばかりだ。それも一度や二度でなく、三度もだ。
+ もうよい、とっとと国へ帰れ。手厚くもてなすつもりだったが、主がじゃまだてするのではどうにもならぬ。」
+ 「王様、あの時、使いの方に、『たとえ金銀で飾り立てた宮殿を頂いても、神様のおことばには背けません。勝手に自分の考えを言うわけにはまいりません。ただ神様の言われることだけを申し上げましょう』と念を押したはずです。
+ おっしゃるとおり、帰らせていただきます。しかしその前に、お国がこれからどんな目に会うか申し上げましょう。」
+ バラムは王に預言しました。「ベオルの子バラムが知っていることは、こうだ。私は目のよく見える者。私は神のことばを聞き、その考えを知り、そのなさることを見た。神の前にひれ伏すと、目が見えるようになり、イスラエルの将来が見通せた。いつか、ずっと先、イスラエルから一つの星が輝き出る。一人の王が起こり、モアブ人を打ち破り、セツの子孫を滅ぼす。エドムとセイルの全土は、イスラエルのものとなる。イスラエルは向かうところ敵なく、その全地を治め、町々を滅ぼす。」
+ このあとバラムは、アマレク人の住む地方を見渡して預言しました。「これまで最も強国だったアマレク。そのアマレクもやがて滅びる。」
+ 次に、ケニ人の国を見渡して言いました。「ケニ人の国は堅固で、回りを岩山に囲まれている。しかしこの国も、いつかは滅びる。アッシリヤの王が大挙して攻め寄せ、国民を捕らえ、外国へ連れ去る。」
+ 最後にバラムは、こう締めくくりました。「神がこのとおりにしたら、だれ一人、生き残れない。力を誇ったエベルやアッシリヤもキプロスから攻め上る船団に手を焼き、ついには、ひとたまりもなく滅びる。」
+ 預言し終えると、バラムはさっさと国へ帰り、バラク王も自分のところへ帰りました。
+
+
+ さて、イスラエルの民がモアブのシティムに野営していた時のことです。青年たちの何人かが、土地の娘とふしだらな関係を持ち始めました。
+ モアブ人の信じる神々にいけにえをささげる儀式に加わるようそそのかされ、彼らは宴会に連なるばかりか、ほんとうの神でない偶像を拝むようになりました。
+ やがてイスラエル人は、ペオル山で、進んでモアブの神バアルを拝むほどになったのです。主の怒りが燃え上がったのは言うまでもありません。
+ そこで、主はモーセにきびしく命じました。「族長たちを死刑にせよ。白日のもとで、さらし者とするのだ。そうすればあなたがたを赦そう。」
+ モーセは、バアルを拝んだ者を一人残らず処刑するよう命じました。
+ ところが、人々が幕屋の入口に集まって泣いているところへ、モーセをはじめ国民全員の目の前に一人の男がミデヤン人の娘を連れて来ました。
+ エルアザルの子で祭司アロンの孫に当たるピネハスは、それを見るなり槍を取り、
+ その男のあとを追いました。天幕の中に駆け込むと、ピネハスは奥で寝ていた二人を間髪を入れず突き刺しました。槍は男の背を抜け、女の腹をも刺し貫きました。これで神罰はやみましたが、
+ すでに二万四千もの人が死んでいました。
+ このことがあってから、主はモーセに告げて言いました。「ピネハスは見上げたものだ。わたしの怒りを思って、悪事に目をつぶらず、手加減もしなかった。それでわたしの怒りも治まり、これ以上罰を下すのはやめたのだ。
+ だからわたしは、彼に約束しよう。彼の子孫は永遠に祭司の職に就く。あんなにもわたしのことを思い、勇気を出して人々のいのちを救ったからだ。」
+ ところで、ミデヤン人の娘といっしょに殺された男はジムリといって、シメオンの族長サルの息子でした。
+ 女のほうはミデヤン人の王子ツルの娘で、コズビといいました。
+ 主はモーセに命じました。「ミデヤン人を打ち滅ぼしなさい。
+ 向こうもあなたがたを滅ぼそうと策略をめぐらしているからだ。彼らはバアルを拝ませて道を誤らせようとしている。コズビの事件がいい例だ。」
+
+
+ 罰がやんだあと、主は、モーセとアロンの子エルアザルとに告げて言いました。
+ 「部族ごと、氏族ごとに、二十歳以上の男の数を調べなさい。戦いに出られる者が何人いるか確かめるのだ。」
+ そこで二人は、族長全員に調査を命じました。ちょうど、ヨルダン川の東側、エリコの向かいあたりにあるモアブ平原に野営している時でした。
+ ルベン族――四万三、七三〇人。ルベンはヤコブの長男です。この部族は、エノク族、パル族、ヘツロン族、カルミ族の四つの諸氏族に分かれますが、その先祖はみなルベンの子です。パルの子の一人エリアブから、ネムエル一族、アビラム一族、ダタン一族が出ました。このダタンとアビラムは、コラと手を組んでモーセとアロンに盾突き、主に逆らった反逆者です。彼らにはたちまち神のさばきが下り、地面が裂けて、のみ込まれてしまったのです。その日はまた、全国民への警告として、彼らの誘いにのった二百五十人の者も焼き滅ぼされました。
+ シメオン族――二万二、二〇〇人。この部族には、シメオンの子から興された五つの諸氏族があります。ネムエル族、ヤミン族、ヤキン族、ゼラフ族、サウル族。
+ ガド族――四万五〇〇人。この部族に含まれる諸氏族は七つで、みなガドの子から出たものです。ツェフォン族、ハギ族、シュニ族、オズニ族、エリ族、アロデ族、アルエリ族。
+ ユダ族――七万六、五〇〇人。この部族に属する氏族は、ユダの子の名を受け継いでいますが、カナンで死んだエルとオナンは含まれません。シェラ族、ペレツ族、ゼラフ族。この調査には、さらにペレツから出た、ヘツロン族、ハムル族の一族も含まれていました。
+ イッサカル族――六万四、三〇〇人。この部族には四つの氏族があり、それぞれイッサカルの子の名を受け継いでいます。トラ族、プワ族、ヤシュブ族、シムロン族。
+ ゼブルン族――六万五〇〇人。この部族の氏族はゼブルンの子が興したもので、セレデ族、エロン族、ヤフレエル族の三氏族です。
+ ヨセフの子孫は、エフライム族が三万二、五〇〇人、マナセ族が五万二、七〇〇人。マナセ族には、先祖マキルの名を継いだマキル族があります。マキルからは、さらにギルアデ族が出ました。ギルアデ族は次のとおりです。イエゼル族、ヘレク族、アスリエル族、シェケム族、シェミダ族、ヘフェル族。ヘフェルの子ツェロフハデには息子がなかったので、娘の名を挙げておきます。マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァ。エフライム族で登録された三万二、五〇〇人の中には、次のような諸氏族があります。みなエフライムの子の名を受け継いだものです。シュテラフ族、ベケル族、タハン族。シュテラフ族からは、その子エランの名をとったエラン族が出ました。
+ ベニヤミン族――四万五、六〇〇人。この部族では、ベニヤミンの子が次の氏族を興しました。ベラ族、アシュベル族、アヒラム族、シェフファム族、フファム族。ベラの息子たちが興した一族は次のとおりです。アルデ族、ナアマン族。
+ ダン族――六万四、四〇〇人。この部族には、ダンの子シュハムが興したシュハム族があります。
+ アシェル族――五万三、四〇〇人。この部族では、アシェルの子から次の諸氏族が興りました。イムナ族、イシュビ族、ベリア族。ベリアの子が興した一族は、次の二つです。ヘベル族、マルキエル族。アシェルにも、セラフという名の娘がいました。
+ ナフタリ族――四万五、四〇〇人。この部族は四つの諸氏族に分かれます。それぞれナフタリの子が興したものです。ヤフツェエル族、グニ族、エツェル族、シレム族。
+ 以上、戦いに出られる者の数は全部で六〇万一、七三〇人でした。
+ 調査の結果がわかると、主はモーセに命じました。「調べた人数の割合で、各部族に土地を割り当てなさい。
+ 人数の多い部族には広い土地を、少ない部族には狭い土地を与えるのだ。
+ 大きい部族の間では広い土地が当たるくじによって、小さい部族の間では狭い土地が当たるくじによって分配しなさい。」
+ さて、レビ族で氏族ごとに登録された者は、次の三つです。ゲルション族、ケハテ族、メラリ族。
+ レビ族諸氏族は、次のとおりです。リブニ族、ヘブロン族、マフリ族、ムシ族、コラ族。レビには、かつてエジプトでヨケベデという娘が生まれました。この娘がのちに、ケハテの子アムラムの妻になったのです。こうして、アロン、モーセ、ミリヤムが生まれました。
+ アロンの息子は、ナダブ、アビフ、エルアザル、イタマルの四人です。
+ しかしナダブとアビフは、主の前で規定に反した火をささげたために死にました。
+ この調査では、レビ族の生後一か月以上の男の数は、全部で二万三千人でした。レビ族は他のイスラエル人とともには登録されませんでした。彼らには土地が与えられていなかったからです。
+ 以上が、ヨルダン川の東、エリコに向かい合ったモアブ平原で、モーセとエルアザルが行った人口調査の結果です。
+ シナイの荒野での調査で登録された者は、ここでの調査では一人もいませんでした。当時の大人はみな、主が言われたとおり、荒野で死んでしまったからです。ただ、エフネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアは別でした。
+
+
+ さて、ある日のこと、ツェロフハデの娘マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァの五人が、幕屋の入口に来て、モーセ、エルアザル、族長たちをはじめ、そこに居合わせた者たちに願い出ました。この娘たちは、ヨセフの子マナセの部族の者で、先祖はマナセの子マキルでした。彼女たちの曾祖父ギルアデは、マナセの孫に当たります。父親のツェロフハデはヘフェルの息子で、ギルアデには孫になります。
+ 「私たちの父は荒野で死にました。コラの反逆に加わったわけではありませんが、とにかく死んだのです。困ったことに、父には跡取り息子がいませんでした。でも、男の子がいないからといって、父の家系を絶やしたくありません。私たちにも伯父たちと同じように、土地を割り当てていただけないでしょうか。」
+ モーセはこの訴えをどう扱ったらよいか、主に尋ねました。
+ 主の答えはこうでした。「ツェロフハデの娘たちの言うとおりだ。土地を与えなさい。父親が生きていたら受け取るはずの土地を分けてやるのだ。
+ こんな時のために、次のことを定めなさい。息子のない人が死んだら、遺産は娘が相続してよい。
+ もし娘もいなければ彼の兄弟に、
+ 兄弟もいなければ伯父に、
+ 伯父もいなければ、一番近い親戚の者に相続させなさい。」
+ またある日、主はモーセに言いました。「アバリム山に登り、川向こうの、わたしが与えると約束した土地を見渡しなさい。
+ そのあと、あなたは兄のアロンと同じように天に移される。
+ ツィンの荒野で、わたしの命令に従わなかったからだ。人々が水が欲しいと騒いだ時、わたしは岩に命じて水を出すよう言ったのに、そのとおりにしなかった。そうして、彼らの前で、わたしが聖なる者であることを示さなかった。」それは、ツィンの荒野にあるカデシュでのメリバの水の事件のことでした。
+ モーセは主に言いました。
+ 「すべての人間の心を支配なさる神、主よ。死ぬ前にお願いがあります。私が死んだら、だれが民を指導するのでしょう。
+ 戦いを指揮し、民を守る指導者を選んでください。どうか、主が特別に目をかけてくださるこの民を、飼い主のない羊のようにしないでください。」
+ 「では、ヌンの子ヨシュアを呼びに行きなさい。ヨシュアは神の知恵と力を持っている。
+ 彼を祭司エルアザルのところへ連れて行き、全国民の前で指導者に任命しなさい。
+ あなたの権威を正式に譲り渡し、すべての民が彼に従うようにするのだ。
+ わたしの指示が必要になったら、彼は祭司エルアザルに相談する。エルアザルがウリム(神意を伺う一種のくじ)を使って聞けば、わたしは答えよう。それを、エルアザルはヨシュアと民に知らせる。このようにして、わたしはこれからもイスラエルを導こう。」
+ モーセは言われたとおり、ヨシュアを祭司エルアザルのもとに連れて行きました。そして人々の前で、
+ ヨシュアの頭に手を置き、新しい指導者に任命しました。
+
+
+ 主はまた、モーセに告げて言いました。「人々にこう伝えなさい。祭壇で焼いてささげるいけにえは、わたしの食物だから、毎日きちんと、わたしが教えたとおりにささげなさい。わたしはその香りによるささげ物を喜ぶ。
+ 火で焼くいけにえには、傷のない一歳の雄の子羊を使う。毎日二頭ずつ、焼き尽くすいけにえをささげる。
+ 朝に一頭、夕方に一頭。
+ それといっしょに、細かくひいた粉二‧三リットルに〇‧九リットルの油を混ぜ合わせたものを、穀物の供え物としてささげる。
+ シナイ山で定めたとおりである。良い香りのする、火で焼くささげ物として、毎日ささげなければならない。
+ そのほかに、子羊一頭につき〇‧九リットルの強いぶどう酒を、飲み物の供え物としてささげ、聖所のわたしの前で注ぐ。
+ 夕方には、もう一頭を、穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょにささげる。それもまた、良い香りのする、火で焼くささげ物である。
+ 安息日には、いつものささげ物のほかに、傷のない一歳の雄羊を二頭ささげる。上等の小麦粉四‧六リットルに油を混ぜた穀物の供え物と、ふだんと同じ飲み物の供え物を、いっしょにささげなさい。
+ さらに、毎月一日には、焼き尽くすいけにえをささげる。傷のない若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭である。
+ 雄牛一頭につき、細かくひいた粉六‧九リットルに油を混ぜた、穀物の供え物をささげる。雄羊には、これも細かくひいた粉四‧六リットルに油を混ぜたもの、
+ 子羊なら、同じような粉二‧三リットルに油を混ぜたものをささげる。これは、わたしの受け入れる、火で焼くいけにえである。
+ このほかに、それぞれのいけにえに飲み物の供え物をつける。雄牛一頭につきぶどう酒一‧九リットル、雄羊には一‧一リットル、子羊には〇‧九リットル。以上が、月ごとにささげる焼き尽くすいけにえの決まりである。
+ 毎月一日にはまた、罪が赦されるためのいけにえとして、雄やぎを一頭ささげる。毎日ささげるいけにえや飲み物の供え物のほかに、これをささげなさい。
+ 毎年第一の月の十四日に過越の祭りを祝いなさい〔これは、イスラエル人がエジプトを脱出する時、エジプト人の長男を殺すために来た神の使いが、イスラエル人の長男は見逃したことに感謝し、記念する祭り〕。
+ 翌日から一週間は、盛大な祭りを祝う。この間は、パン種の入ったパンは食べられない。
+ 最初の日には、全国民が仕事を休み、わたしの前で聖なる集会を開く。
+ その時、傷のない若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭を、焼き尽くすいけにえとしてささげなさい。
+ それに穀物の供え物として上等の粉に油を混ぜたものを、雄牛一頭につき六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、子羊には二‧三リットルずつささげる。
+ また、罪を赦してもらうために、雄やぎ一頭を、罪が赦されるためのいけにえとしてささげなさい。
+ 毎日するささげ物のほかに、以上のささげ物をしなければならない。
+ 祭りの期間中、毎日、同じいけにえをささげる。わたしはそのいけにえを受け入れる。
+ そして七日目にはまた、すべての民が仕事を休み、聖なる集会を開くのだ。
+ 七週の祭り〔のちのペンテコステの祭り〕とも言われる刈り入れの祭りの日には、収穫を祝う神聖な集会を開きなさい。その日には、どんな仕事も休み、穀物の供え物として初物をささげる。
+ また、何よりも私の心にかなう焼き尽くすいけにえをささげなさい。若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭である。
+ それに、油を混ぜた上等の粉を穀物の供え物として、雄牛一頭につき六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、子羊には二‧三リットルずつつける。
+ また、罪が赦されるために、雄やぎを一頭ささげる。
+ この特別ないけにえは、いつもの焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物のほかにささげる。いけにえにする動物は、必ず傷のないものでなければならない。
+
+
+ 毎年第七月の一日は祝日とし、ラッパを吹き鳴らしなさい。その日はすべての民が仕事を休み、聖なる集会を開く。
+ そして、傷のない若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭を、焼き尽くすいけにえとしてささげなさい。このいけにえはわたしの心にかなうから、喜んで受け取ろう。
+ それに添える穀物の供え物は、油を混ぜた上等の粉が、雄牛には六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、子羊には一頭につき二‧三リットルの割合である。
+ そのほかに、罪を赦してもらうため、雄やぎを一頭、罪の赦しのためのいけにえとしてささげる。
+ これは、新月ごとの焼き尽くすいけにえ、毎日の焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物のほかに特別にささげる物で、すべて決められているとおりである。
+ その十日後に、もう一度、すべての民が集まって聖なる集会を開く。その日は、どんな仕事も休み、身を慎んで静かに過ごさなければならない。
+ その日はまた、わたしの受け入れる焼き尽くすいけにえとして、傷のない若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭をささげなさい。
+ それといっしょに、上等の粉に油を混ぜた穀物の供え物をする。雄牛には六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、子羊には一頭につき二‧三リットルの割合である。
+ そのほかに、罪の赦しのためのいけにえとして、雄やぎを一頭ささげる。これは、第七月の十日の贖罪の日にささげる、罪の赦しのためのいけにえとは別である。また、毎日の焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物とも別である。
+ さらに五日後の十五日にも、国中が仕事を休み、聖なる集会を開く。その日から一週間、わたしのために祭りをしなさい。
+ まず最初の日は、わたしの受け入れる焼き尽くすいけにえとして、傷のない若い雄牛十三頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をささげなさい。
+ それといっしょに、穀物の供え物をする。油を混ぜた小麦粉を、一頭につき、雄牛の場合は六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、
+ 子羊には二‧三リットルささげる。
+ 毎日のいけにえや供え物のほかに、さらに雄やぎ一頭を、罪の赦しのためのいけにえとして、ささげなければならない。
+ 祭りの二日目には、傷のない若い雄牛十二頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をいけにえにする。
+ それといっしょに、いつもと同じ割合で、穀物と飲み物の供え物をそれぞれささげる。
+ このほかに、雄やぎ一頭を、毎日のいけにえや供え物とは別に、罪の赦しのためのいけにえとしてささげる。
+ 三日目には、傷のない若い雄牛十一頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をささげなさい。
+ それぞれといっしょに、いつものとおりの割合で、穀物と飲み物の供え物をする。
+ そのほか、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎ一頭を、罪の赦しのためのいけにえとしてささげる。
+ 四日目には、傷のない若い雄牛十頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、穀物と飲み物の供え物といっしょにささげる。
+ また雄やぎ一頭を、毎日のいけにえや供え物とは別に、罪の赦しのためのいけにえとしてささげる。
+ 五日目には、傷のない若い雄牛九頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、いつもと同じ、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。
+ ほかに、罪の赦しのためのいけにえとして、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎを一頭ささげる。
+ 六日目には、傷のない若い雄牛八頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、いつもと同じ、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。
+ さらに雄やぎ一頭を、毎日のいけにえや供え物とは別に、罪が赦されるためのいけにえとしてささげる。
+ 七日目にも、やはり傷のない若い雄牛七頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、いつもと同じ、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。
+ また罪の赦しのためのいけにえとして、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎを一頭ささげる。
+ 八日目には国中が仕事を休み、聖なる集会を開く。
+ そして、わたしの受け入れる焼き尽くすいけにえをささげなさい。傷のない若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭を、いつもと同じ割合の、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。
+ そのほかに、罪が赦されるためのいけにえとして、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎを一頭ささげる。
+ 祭りの時はいつも、以上のようなささげ物をしなければならない。これは、誓願を立てるか自発的にささげる、焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物、あるいは和解のためのいけにえとは、別のものである。」
+ モーセはこの命令を、一つ残らず人々に伝えました。
+
+
+ モーセは、族長を集めて言いました。「主に誓ったことは必ず守りなさい。何かをする、あるいはやめると誓ったら、そのとおり実行しなければならない。主がそう命じておられる。
+ ただ、結婚前でまだ父親の家にいる女性の場合は違う。そういう女性が誓いを立て、それを破ったら罰せられてもかまわないと言った場合、父親の同意が必要となる。そのことを聞いて、父親が何も言わなければ、誓いはそのまま有効である。
+ しかし、父親が認めなかったり、罰が重すぎると考えたときは、それだけで無効になる。ただし、そのことを聞いた日のうちに、はっきり『認めない』と言わなければならない。父親が認めなかったのだから、娘は誓いを果たさなくても罰せられない。
+ 娘がよく考えもしないで誓いを立て、そのあとで結婚した場合はどうなるのか。
+ 夫がそのことを聞いた日に何も言わなければ、誓いはそのまま有効である。
+ しかし、夫が『認めない』と言えば無効になる。妻は、誓いを果たさなくても罰せられない。
+ 未亡人や離婚した女性の場合は、自分で立てた誓いは果たさなければならない。
+ 結婚して、夫といっしょに暮らしているときに誓いを立てた女性の場合は、
+ 夫がそれを聞いて何も言わなければ、誓いは有効である。
+ しかし、聞いた日のうちに『認めない』と言えば無効である。そして、妻も罰せられない。
+ 夫は妻の立てた誓いを認めることも、無効にすることもできるが、
+ その日のうちに何も言わなければ、同意したことになる。
+ あとになって『誓いを認めない』と言っても無効であるばかりか、妻が受けるはずの罰を、夫が代わりに受けなければならない。」
+ 以上が、誓いを立てる場合の夫と妻、父親と結婚前の娘がどういう関係にあるかをはっきりさせたおきてです。
+
+
+ それからまた、主はモーセに告げて言いました。
+ 「ミデヤン人に報復をしなさい。ほんとうの神でない偶像を拝めとそそのかした罰である。それがすんだら、あなたは天に移される。」
+ そこで、モーセは人々に言いました。「さあ、主の命令だ。武器を取って、ミデヤン人たちと戦え。
+ 各部族から千人ずつ兵を出すのだ。」直ちにこのとおりにされ、一万二千人が戦場に送られました。
+ 祭司エルアザルの子ピネハスもいっしょです。進軍ラッパを鳴らし、聖具を持っていく役だからです。
+ 戦いは大勝利でした。敵方の男はみな殺され、
+ ミデヤン人の五人の王、エビ、レケム、ツル、フル、レバも、あえない最期を遂げました。あのベオルの子バラムも、この戦いで死にました。
+ イスラエル軍はミデヤン人の女と子どもを全員捕虜にし、牛や羊のほか、いろいろな戦利品を奪い、町や村を一つ残らず焼き払いました。
+ 捕虜を引っ立てて、戦利品を山ほどかかえて意気揚々と引き揚げて来た一行を、モーセや祭司エルアザルをはじめ指導者たちが迎えました。その時、人々はまだヨルダン川の東側で、エリコに向かい合うあたりのモアブ平原に野営していました。
+ ところが、モーセは一行を見るなり、将校や指揮官をしかりつけました。
+ 「なぜ女たちを生かしておいたのか。
+ あのバラムの勧めに従って、ペオル山で偶像を拝めとそそのかしたのはこの者たちである。それで、大ぜいの者が疫病にかかって死んだ。
+ 子どものうち男の子と、男と寝たことのある女は生かしておくな。
+ 女の子だけは助け、めいめいが引き取ってもかまわない。
+ ところで、殺害に加わった者、死体にさわった者はみな、七日間は宿営に入ってはならない。そして三日目と七日目に、自分と捕虜の身をきよめなければならない。
+ また、衣服、皮ややぎの毛や木で作った物など全部をきよめるのを忘れるな。」
+ 祭司エルアザルも兵士たちに言いました。「主がモーセに命じたのは、こういうことだ。
+ 金、銀、青銅、鉄、すず、鉛など、燃えない物はみな、
+ 火で焼ききよめ、それからきよめの水できよめる。燃える物は水できよめるだけでかまわない。
+ そして七日目に、衣服を洗い、身をきよめてから宿営に戻りなさい。」
+ 主はモーセに言いました。
+ 「祭司エルアザルや族長たちといっしょに、捕虜、家畜、戦利品の数を表にまとめなさい。
+ それを、兵士と国民とに半分ずつ分けるのだ。
+ 兵士はその中から、捕虜、牛、ろば、羊の五百分の一を主に献納しなければならない。
+ 祭司エルアザルがそれを受け取り、神への奉納物としてささげる。
+ また国民も同じように、分け前の捕虜や家畜のそれぞれ五十分の一を納めなければならない。それはわたしの取り分だから、幕屋で働くレビ人に与えるのだ。」
+ そこでモーセと祭司エルアザルは、命じられたとおりにしました。
+ 宝石、衣服などを除いた戦利品の総計は、羊六七万五、〇〇〇頭、牛七万二、〇〇〇頭、ろば六万一、〇〇〇頭、少女三万二、〇〇〇人でした。
+ この半分が兵士の分け前です。羊三三万七、五〇〇頭〔うち主にささげたのは六七五頭〕。牛三万六、〇〇〇頭〔うち主にささげたのは七二頭〕。ろば三万五〇〇頭〔うち主にささげたのは六一頭〕。少女一万六、〇〇〇人〔うちレビ部族に与えられたのは三二人〕。
+ 主がモーセに命令されたとおり、主の取り分はみな祭司エルアザルが受け取りました。
+ 兵士の分とは別に、人々も全く同じだけの分け前を受け取れます。
+ 主の命令どおり、その五十分の一はレビ人のものになります。
+ その時、将校や指揮官たちがモーセに申し出ました。「兵士の数を調べたところ、出兵した者は全員無事に戻ってまいりました。
+ そこで、戦利品の中から、金製の腕飾り、腕輪、くるぶしの飾り輪、指輪、イヤリング、ネックレスなどをささげて、感謝の気持ちを表したいのです。どうかこれをお納めください。全員のいのちが守られたお礼でございます。」
+ モーセと祭司エルアザルはささげ物を受け取りましたが、全部で金一万六、七五〇シェケル(一九二キログラム)以上にもなりました。
+ このほかにも、兵士たちはそれぞれ戦利品を持っています。
+ ささげ物は幕屋に運ばれ、戦勝の記念品として大切に保管されました。
+
+
+ さて、イスラエルの中でルベン族とガド族は、羊をたくさん持っていました。その羊を飼うには、今いるヤゼルやギルアデの地域が最適です。
+ そこで、モーセと祭司エルアザル、族長たちに願い出ました。
+ 「主は私たちに味方して、このあたりのアタロテ、ディボン、ヤゼル、ニムラ、ヘシュボン、エルアレ、セバム、ネボ、ベオンの住民をみな滅ぼされました。ここはもともと、羊を飼うには理想的な場所です。
+ ヨルダン川の向こう側の土地はいりませんから、ここを私たちに下さい。」
+ モーセは答えました。「ほかの者が向こう側へ渡ってこれからも戦いを続けるのに、ここに残りたいと言うのか。
+ 主が下さる国へ進んで行こうとする、他の部族の士気をくじくつもりか。
+ それでは先祖たちと少しも変わらない。四十年前、カデシュ‧バルネアから偵察を送り込んでカナンの地を探らせた時、
+ エシュコルの谷から戻って来た者たちは何と言ったか。あきれたことに、約束の地へは上って行かないほうがいいと言って、みんなの士気をくじいたのだ。
+ もちろん、主は怒って、『エジプトから助け出された者のうち、二十歳以上の者にはだれ一人、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓った地は見せない』と断言なさった。主のお考えに従おうとしなかったからだ。
+ しかし、ケナズ一族のエフネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアは違う。主の言われるとおり、あくまでも約束の国へ行こうと熱心に勧めたのだ。
+ 主に背いた者がみな死んでしまうまで、四十年もの間、私たちは荒野をさまよい歩いた。
+ ああ、それなのに、やはり血は争えないものだ。また同じことをくり返すとは、なんということか。しかも、今は以前より人数も多い。主はもっと激しくお怒りになるだろう。
+ またしても主に背いたら、これからもずっと荒野をさまよわなければならない。おまえたちのせいでみなが苦しみ、死ぬはめになったらどうするつもりだ。」
+ 彼らは言いました。「とんでもない。私たちはただ、羊を飼えるように柵を作り、子どもたちのために町を建ててやりたいだけです。
+ ここに残るつもりは全くありません。武装し、みなの先頭に立ってカナンに攻め入ります。ただその前に、残る家族が安全に住めるように、城壁で囲まれた町を建てさせてもらいたいのです。
+ 他の部族がそれぞれ相続地を手に入れるまでは、決して戻って来ません。
+ ヨルダン川のこちら側の土地さえ頂ければ、向こう側の土地はいりません。」
+ モーセは答えました。「よくわかった。今言ったとおり武装し、
+ 主が敵を追い払うまでヨルダン川の向こう側で戦いに加わるなら、
+ 征服を終えしだい戻ってよい。それで主と他の部族に対する責任は果たしたことになる。主はヨルダン川のこちら側の土地を下さるだろう。
+ しかし約束を破ったなら、主に罪を犯すのだから、必ず罰せられる。
+ さあ、言ったとおり町を建て、羊を飼う柵を作りなさい。」
+ 「すべて命令どおりにいたします。
+ 子ども、妻、羊、牛は、このギルアデの町に残りますが、
+ 兵役に就いている者は全員、おっしゃるとおり主のために戦います。」
+ モーセはこれを承知し、エルアザル、ヨシュア、族長たちに言いました。
+ 「ガド族とルベン族のうち兵役に就いている者が、いっしょにヨルダン川を渡り、神様のために戦う。だから征服し終えたら、このギルアデの土地を与えてやりなさい。
+ しかし、いっしょに行こうとしなかったら、あなたがたと同じように、ヨルダン川の向こう側のカナンに土地を持たせるのだ。」
+ これに答えるように、ガド族とルベン族の者は、口をそろえて誓いました。「主のご命令どおりにいたします。
+ 武装して、カナンの地へまいります。ただ相続する所有地は、ヨルダン川のこちら側の土地を頂きたいのです。」
+ そこでモーセは、エモリ人の王シホンとバシャンの王オグの領土を、ガド族とルベン族、それにヨセフの子マナセの半部族に割り当てました。
+ ガド族が建てたのは次の町です。ディボン、アタロテ、アロエル、アテロテ‧ショファン、ヤゼル、ヨグボハ、ベテ‧ニムラ、ベテ‧ハラン。以上はみな、城壁を巡らし、羊を飼う柵のある町です。
+ ルベン族が建てた町は次のとおりです。ヘシュボン、エルアレ、キルヤタイム、ネボ、バアル‧メオン、シブマ。この中の幾つかは、再建した時に新しい名をつけました。
+ 一方、マナセ族のうちのマキル族がギルアデを征服し、エモリ人を追い出したので、
+ モーセはそこを彼らに与えました。
+ また、やはりマナセ族であるヤイル族は、ギルアデの村を幾つも占領し、ハボテ‧ヤイルと名前を変えました。
+ さらにノバフという男がケナテと周辺の村を攻め落とし、自分の名にちなんで、その地域をノバフと名づけました。
+
+
+ 以下は、イスラエルの民が、モーセとアロンに導かれてエジプトを出てからの旅の記録です。
+ モーセは主の命令によって、旅の経過を記しておいたのです。
+ 過越の祭りの晩の翌日、つまり第一月の十五日に、彼らはエジプトの町ラメセスを出発しました。エジプト人は、前の晩、主に打ち殺された長男たちの埋葬に忙しく、手が出せません。そんな彼らをしり目に、イスラエルの民は大手を振って出発しました。イスラエルの神は、エジプトのすべての神々にさばきを下したのです。
+ ラメセスを出てから、スコテ、荒野の端にあるエタム、ミグドル山のふもとのバアル‧ツェフォンに近いピ‧ハヒロテに野営を続けました。
+ そこから紅海の真ん中を通り、三日間エタムの荒野を進んで、マラに野営しました。
+ マラの次はエリムでした。そこには、泉が十二もあり、なつめやしの木が七十本も茂っていたので、しばらくとどまりました。
+ エリムを発ったあと、紅海のほとり、続いてシンの荒野に野営しました。
+ 次に、ドフカ、アルシュと進んで、レフィディムへ行きましたが、そこには飲み水がありませんでした。
+ レフィディムからシナイの荒野に向かい、さらにキブロテ‧ハタアワまで行きました。このあと、ハツェロテ、リテマ、リモン‧ペレツ、リブナ、リサ、ケヘラタ、シェフェル山、ハラダ、マクヘロテ、タハテ、テラ、ミテカ、ハシュモナ、モセロテ、ベネ‧ヤアカン、ホル‧ハギデガデ、ヨテバタ、アブロナ、エツヨン‧ゲベル、ツィンの荒野のカデシュ、エドムの国境にそびえるホル山へと旅を続けました。
+ そこまで来た時、祭司アロンは主の命令でホル山に登り、山の上で息を引き取りました。ちょうど、エジプトを出てから四十年目の第五月の一日のことでした。百二十三歳でした。
+ この時、カナン人でネゲブに住むアラデの王は、イスラエル人がカナンの国を目指して進んで来ているということを耳にしました。
+ 王は戦いを挑みましたが、結局はイスラエルが勝ちました。このあとホル山を出発し、ツァルモナ、プノン、オボテ、モアブの国境イエ‧ハアバリムと野営を重ね、
+ さらにディボン‧ガド、アルモン‧ディブラタイム、ネボ山に近いアバリムの山地へと進み、
+ ついに、エリコに近いヨルダン川の東に広がるモアブ平原まで来たのです。
+ そこにいる間は、ヨルダン川に沿ってベテ‧ハエシモテからアベル‧ハシティムまでの、いろいろな場所に野営しました。
+ その平原で、主はモーセに人々への命令を伝えました。「ヨルダン川を渡ってカナンの地に入ったら、
+ 住民をことごとく追い払い、偶像をみな破壊しなければならない。石像も鋳像も、丘の上にある礼拝所もすべてだ。
+ わたしがその地を与えたのだから遠慮はいらない。自分の国にして、どんどん住みつきなさい。
+ 土地は部族の大きさに合わせて分ける。広い土地は大きい部族の間で、狭い土地は小さい部族の間でくじ引きするのだ。
+ 言うとおりに住民を追い払わないと、あとで問題が起こる。残った者たちが、目に入ったごみや、わき腹にささったとげのように、絶えず悩みの種となる。
+ そればかりでなく、わたしは彼らを滅ぼそうとしたように、今度はあなたがたをそうするだろう。」
+
+
+ 主はまた、人々への命令をモーセに伝えました。「カナンの地に入ったら、イスラエルの国境は次のようになる。
+ 南はエドムに接するツィンの荒野までで、その国境線は、死海からアクラビム峠を通ってツィンに向かう。最南端はカデシュ‧バルネアで、そこからハツァル‧アダル、アツモンと進み、
+ エジプト川に沿って地中海に至る。
+ 西は地中海の海岸線が国境である。
+ 北は、地中海から東に向かって延び、ホル山、レボ‧ハマテ、ツェダデ、ジフロン、ハツァル‧エナンを結ぶ線が国境となる。
+ 東の国境線は、ハツァル‧エナンからシェファムを通って、アインの東方のリブラまで南に下る。そこからは大きく半円を描き、初めは南へ、それから西へ進み、ガリラヤ湖の南端をかすめてヨルダン川を下り、死海に至る。
+ これがイスラエルの全土である。これを九部族と半部族とで、くじを引いて分ける。
+ ルベン族とガド族とマナセの半部族は、ヨルダン川の東側、エリコの向かいに当たる土地を所有することに決まっている。」
+ さらに主は命じました。「土地を分けるときは、祭司エルアザル、ヌンの子ヨシュア、それに各部族の代表に監督させなさい。代表者は次のとおりである。ユダ族はエフネの子カレブ、シメオン族はアミフデの子サムエル、ベニヤミン族はキスロンの子エリダデ、ダン族はヨグリの子ブキ、マナセ族はエフォデの子ハニエル、エフライム族はシフタンの子ケムエル、ゼブルン族はパルナクの子エリツァファン、イッサカル族はアザンの子パルティエル、アシェル族はシェロミの子アヒフデ、ナフタリ族はアミフデの子ペダフェル。
+ 以上が、各部族に土地を割り当てる際の代表者である。」
+
+
+ 次のことばも、ヨルダン川のほとりに広がるモアブ平原に野営している時、主がモーセに伝えたものです。
+ 「それぞれの所有地から、幾つかの町と放牧地をレビ族に与えるよう、人々に命じなさい。
+ 彼らにも住む場所と、牛や羊など家畜を飼う土地が必要となる。
+ 町の城壁から外側に向かって回り四百四十メートルの範囲を放牧地としなさい。
+ そうすれば、町の中心から境界線までの距離は、東西南北とも八百八十メートルということになる。
+ レビ族に与える町は、過って人を殺した者が逃げ込める、避難用の六つの町のほかに四十二だ。
+ 全部で四十八の町を、放牧地も含めて与えることになる。
+ 町は、大きい部族からは多く、小さい部族からは少しというふうに、全土の各地から選ぶ。」
+ 次もまた、主からモーセへの命令です。「カナンの地に入ったら、
+ 避難用の町を幾つか指定するように言っておきなさい。過って人を殺した者がそこへ逃げ込むためだ。
+ そうすれば、被害者の家族も容易に復讐はできない。裁判で有罪と決まるまでは、たとえ人殺しでも死刑にはできない。
+ そのような町をカナンに三つ、ヨルダン川の東側に三つ、全部で六つ選びなさい。
+ イスラエル人だけでなく、外国人や旅行者でも、過って人を殺したときはいつでも、この町に逃げ込んでよい。
+ しかし、鉄の道具で人を打ち殺したときは明らかに殺人罪だから、犯人は死刑だ。
+ 大きな石を使った場合も殺人罪で死刑。
+ たとえ木製でも武器を使ったら、やはり殺人罪とみなされる。
+ 被害者のために復讐したければ、自分で手を下してもかまわない。犯人に出会ったら殺してもよい。
+ 憎しみに燃えて物を投げつけたり、待ち伏せして襲いかかったり、
+ 怒りに狂ってなぐりつけたりして人を殺した場合は、明らかに殺人罪だから、犯人を処刑してもかまわない。
+ しかし、過失の場合はそうではない。わざと物を投げたのでも、怒って石を投げたのでもなく、投げた本人が人に当てようなどとは夢にも考えず、人を殺そうと思ったわけでもないのに、たまたまそれが当たって人が死んだ場合は、
+ 事故かどうかよく調べなさい。その結果によって、加害者を復讐者に引き渡すかどうかを決めるのだ。
+ 事故だとはっきりしたら、加害者を保護しなければならない。その時の大祭司が死ぬまで、彼は避難用の町に住むことになる。
+ ただし、彼が勝手に避難用の町を出、
+ 町の外で復讐者に殺されたときは別である。それは殺人罪にはならない。
+ 大祭司が死ぬまで町の中にいなければならないのに、勝手に町を出たからだ。大祭司が死んだら、いつでも国へ帰れる。
+ このおきては永遠に変わらない。
+ 殺人犯はみな死刑だが、証人が二人以上いる場合に限る。一人だけでは死刑にできない。
+ 殺人罪には代償はきかない。必ず死刑に処せられる。
+ また、大祭司が死ぬ前に家へ帰りたいと保釈金を積んでも、避難用の町から出ることはできない。
+ こうして、自分たちの土地が汚れるのを防ぐのだ。殺人で流された血は土地を汚す。それをきよめるには、殺人犯を死刑にするしかない。
+ これから行く地は、わたしもいっしょに住むのだから、このようなことで汚したりしないよう、くれぐれも注意しなさい。」
+
+
+ ヨセフの子の一人、マナセの部族から出たマキル族に、ギルアデという一族がありました。その代表者が、モーセとイスラエルの指導者たちに訴えました。「主は私たちに、領地をくじ引きで分けるようにとお命じになりました。実は、そのことでちょっと気になることがあります。親類のツェロフハデの相続地の件ですが、確か娘たちに土地を分けるようにとのことでしたが、
+ どうしたものでしょうか。もし彼女たちが他の部族の者と結婚したら、土地までその部族のものになり、その分だけギルアデ族の土地は減ってしまいます。
+ そうなったら、負債が免除されるヨベルの年が来ても戻りません。」
+ そこでモーセは、この問題をはっきりさせるため、主の指示を伝えました。「ギルアデ一族の訴えはもっともだ。
+ だから、ツェロフハデの娘の件はこうしなさい。彼女たちは同族の者と結婚すること。
+ それなら、土地が他の部族に移ることもない。相続地はいつまでも、最初にくじで決めたとおりのままにしておかなければならない。
+ どの部族でも、娘が相続人となる場合は、必ず同族の者と結婚しなさい。
+ こうすれば、相続地が他の部族のものになる心配はない。」
+ ツェロフハデの娘たちは、主の命じたとおりにしました。
+ マフラ、ティルツァ、ホグラ、ミルカ、ノアの五人は、ヨセフの子マナセの部族の者と結婚したので、相続地はそのまま残りました。
+ 以上が、エリコに近いヨルダン川の対岸にあるモアブ平原で、イスラエルの人々が宿営していた時、主がモーセを間に立て、人々に伝えた命令とおきてです。
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+ この書は、モーセがヨルダン川の東、モアブ平原のアラバ渓谷でイスラエルの人々に向けて語った時の記録です。当時、イスラエルの人々はそこに宿営していましたが、付近にはスフ、パラン、トフェル、ラバン、ハツェロテ、ディ·ザハブなどの町がありました。この時、ホレブ山(シナイ山)を出発してから四十年目の第十一月の一日(太陽暦二月十五日)でした。ホレブ山のふもとからカデシュ·バルネア〔約束の地パレスチナの南端〕までは、セイルの山地を通れば、普通なら歩いても十一日ほどで来られます。それはともかく、ヘシュボンでエモリ人の王シホンを、エデレイに近いアシュタロテでバシャンの王オグを打ち破ったあとのことでした。ここにたどり着くまでの間、主はいろいろな律法(教えと定め)をモーセを通して伝えましたが、それを全部まとめて、もう一度、モーセが説明し直したのです。
+ 「皆さん、今からちょうど四十年前、主がホレブ山でこう言われたのを覚えていますか。『もうこれ以上、ここにいる必要はない。
+ 向きを変えて出発しなさい。エモリ人の山地、アラバ渓谷、ネゲブ、カナンとレバノンの全土、つまり地中海からユーフラテス川までの全地域を占領するのだ。
+ わたしが与えると言うのだから、大胆に入って行きなさい。そこは、昔あなたがたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブおよびその子孫に必ず与えると約束した地だからだ。』
+ あの時、私はあなたがたにこう訴えました。『私一人では、これから先、とても全員の面倒を見きれない。どうしても助け手がいる。
+ 主があなたがたを、星の数ほどに増やしてくださったからだ。
+ それどころか、お約束どおり今の千倍にもしてくださる。
+ こんなに大ぜいでは、もめごとや問題もたくさん起こるだろう。とても一人ではさばききれない。
+ そこで頼みたいのだが、各部族から、人生経験が豊かで知恵もあり、物事のよくわかる者を選んでくれないか。その者たちを指導者に任命しよう。』
+ みんなが賛成してくれたので、
+ 私は彼らを助け手として任命しました。一番上に千人の者を指導する長を置き、その下にそれぞれ百人、五十人、十人の者の世話をする長を置いたのです。彼らはめいめい、自分の管理のもとにある人々のもめごとを解決したり、必要な世話をしたりすることになりました。
+ 当然ですが、いつでも、だれに対しても、たとえ外国人でも決して差別をせず、あくまで正しくふるまうように言いました。
+ 『決定を下すとき、金持ちの肩をもってはいけない。身分の高い者も低い者も同じように正しく扱いなさい。神様の代わりにさばくのだから、人の不平不満を恐れることはない。手に負えない事件は、私のところに持ってくれば処理しよう。』
+ あの時、私はほかにもいろいろと指示しました。
+ それからホレブ山を発って、恐ろしく果てしない荒野を旅し、主の守りのもとにエモリ人の山地に着きました。そしてついに、約束の地との境にあるカデシュ‧バルネアまで行ったのです。あそこで私はあなたがたに、『主がこの国を下さったのだから、ご命令どおり前進して占領しなさい。恐れたり疑ったりしてはいけない』と告げました。
+ これに対してあなたがたは、『まず偵察隊を送り込もう。一番攻めやすい町から占領したほうがいい』と提案したのです。
+ もっともなので、各部族から一名ずつ、全部で十二名を選びました。
+ 彼らは山地に潜入し、エシュコルの谷まで行くと、その地のくだものを持ち帰りました。それを見て、主の下さる地が実に良い地であることがはっきりわかりました。
+ ところが、あなたがたは神様の命令に逆らい、前進したくないと言いだしたのです。
+ そして、天幕(テント)の中でぶつぶつ不平を言いました。『主はきっと、私たちがお嫌いなんだ。だから、わざわざエジプトから連れ出し、エモリ人の手にかけて殺そうとしておられるのだ。
+ どうしよう。偵察隊の報告では、彼らは背が高く、力もあり、町の城壁は恐ろしく高いというではないか。そのうえ、アナク人の子孫の巨人を見たとも言っていた。考えるだけでもぞっとする。』
+ そこで私は反論しました。『恐れることはない。
+ 私たちの神、主が先頭に立って戦ってくださる。主は、エジプトでは奇跡を行い、
+ その後も父親のように気を配り、荒野の旅を安全に守ってくださったことを忘れたのか。』
+ しかし、何を言ってもむだでした。それまでいつも共にいて、野営するのに最適の場所を選び、夜は火の柱、昼は雲の柱の中にいて進む道を教えてくださった主を、あなたがたは信じようとしなかったのです。
+ これには主もお怒りになりました。そのため、当時すでに大人だった者は一人も約束の地に入れなくなりました。
+ ただ、エフネの息子カレブは別です。主に従い通したほうびに、自らが偵察して潜入した地の一部を相続地として与えられることになったのです。
+ 不信仰な者たちのために私でさえ主の怒りを買い、こう言い渡されました。『あなたは約束の地には入れない。
+ 代わりに、あなたに仕えているヌンの子ヨシュアが指導者となる。その準備ができるように彼を励ましてやりなさい。
+ 約束の地は、荒野で死ぬ者の子どもたちに与えよう。
+ 決してあなたがたのものにはならない。だから、向きを変えて荒野の道を紅海の方へ戻りなさい。』
+ するとあなたがたは、今度はあわてて罪を告白し始めたのです。『お赦しください。私たちが悪かったのです。ご命令どおり、その国に攻め入ります。』そう言うと、簡単に全地を征服できるとでも思ったのか、あたふたと武装し始めました。
+ しかし主は、私にはっきり言われました。『やめさせなさい。わたしがいっしょにいないのに無謀なことをしたら、ひどい目に会うだけだ。』
+ ところが、その警告は聞き入れられず、あなたがたはまたもや主の命令に背いて、山地に攻め入ったのです。
+ 案の定、結果はさんざんでした。エモリ人の返り討ちに会い、逆にセイルからホルマのあたりまで激しく追撃されてしまったのです。
+ 逃げ帰ったあなたがたは主に泣きつきましたが、主は耳を傾けようとはなさいませんでした。
+ こうして、長い間カデシュにとどまることになったのです。
+
+
+ そのあと私たちは、主の告げられたとおり荒野を通って、紅海の方に戻りました。それから、長らくセイル山のあたりをさまよったあげく、
+ ようやく主のおことばを頂いたのです。
+ 『ここにはもう、とどまらなくてよい。北へ行きなさい。
+ これからエドム人の国を通る、とみなに知らせなさい。エドム人は、ヤコブの兄でセイルに住みついたエサウの子孫に当たり、あなたたちとは同族だが、ひどく神経をとがらせているから、くれぐれも注意が必要だ。
+ 間違っても戦いをしかけてはいけない。セイルの山地はみな、わたしが永遠の領地として彼らに与えたからだ。ほんの一部でもあなたがたに与えるつもりはない。
+ 食糧や水が必要なときは、金を払って買いなさい。
+ この四十年間、わたしが守り、祝福していたからこそ、あなたがたは果てしもない荒野をさまよいながらも、不自由なく過ごせたのだ。』
+ そこで私たちは、同族のエドム人が住むセイルをあとにし、南のエラテ、エツヨン‧ゲベルに至るアラバ街道を横切って北へ向かい、モアブの荒野へと旅を続けました。
+ すると主は、『モアブも攻撃してはいけない。そこはロトの子孫のものだ。あなたがたに与えるつもりはない』と警告されたのです。
+ ――モアブには以前、アナクの巨人と同じように背の高いエミム人が大ぜい住んでいました。
+ エミム人もアナク人と同じようにレファイム人だと考えられていたのですが、モアブ人は彼らをエミム人と呼んだのです。
+ それより以前、セイル地方にはホリ人が住んでいましたが、追い出され、エサウの子孫のエドム人が代わって住みつきました。ちょうど、イスラエル人がカナン人を追い出し、その地に住みついたようにです。――
+ 『さあ、ゼレデ川を渡りなさい』と主に命じられ、私たちは従いました。
+ こうしてみると、カデシュに着いてからゼレデ川を渡るまで、実に三十八年もかかったことになります。それというのも三十八年前、すでに成人し、戦いに出られるようになっていた者が死に絶えるまでそうはならないと、主が誓われたからです。そのおことばどおり彼らは全員、罪の報いを受けました。
+ そして、待ちに待った主のおことばがありました。
+ 『今日、モアブの領土、アルを通って、
+ アモン人の国へ入りなさい。ただし、そこはロトの子孫のもので、そこをあなたがたに与えるつもりはないから、戦いをしかけてはいけない。』
+ ――その地にも以前、アモン人がザムズミム人と呼んだレファイム人が住んでいました。
+ アナク人のように背が高く強大な民でしたが、アモン人に侵略されたのです。主が彼らを滅ぼされたので、アモン人が替わって住みつきました。
+ 同じように主は、今セイル山に住むエサウの子孫のために、先に住んでいたホリ人を滅ぼされました。
+ ガザにまで及ぶ地方の村々に散在していたアビム人をカフトル人が侵略し、滅ぼした時も同じです。――
+ 続けて、主はお語りになりました。『アルノン川を渡り、ヘシュボンの王、エモリ人シホンの国を攻め取りなさい。
+ 今日から、天下のあらゆる民はあなたがたを恐れ、あなたがたが来ると聞いただけで震え上がるだろう。わたしが彼らを怖がらせるからだ。』
+ そこでまず、ケデモテの荒野からヘシュボンの王シホンに使者を送り、和平を申し入れました。
+ 『あなたの国を通らせてください。わき道にそれたり畑に入ったりはせず、ただ街道をまっすぐ進みます。
+ 途中で食糧を盗んだりもしません。食糧や水を分けてもらったら、代金をきちんとお払いします。ただ通らせていただくだけです。
+ セイルのエドム人や、アルを首都としているモアブ人は、彼らの国を通らせてくれました。私たちはヨルダン川を渡り、私たちの神、主が下さると言われた国へ行く途中なのです。』
+ ところが、ヘシュボンの王シホンはこれを断りました。今日見るとおり、王をあなたがたの手で滅ぼそうと、主が強情を張らせたのです。
+ そのあと、主は私に、『さあ、シホン王の国を与えよう。遠慮なく占領するがいい。そこは永遠にイスラエルのものだ』と約束なさいました。
+ シホン王は宣戦を布告し、ヤハツに軍隊を集めました。
+ しかし主の助けで、私たちは彼を負かしました。町という町はすべて占領し、男も女も赤ん坊さえも打ち滅ぼし、
+ 家畜以外、生き残ったものはありませんでした。家畜は分捕り物とし、ほかにも戦利品を奪い取って引き揚げました。アルノン渓谷のアロエルやその他の町々をはじめ、ギルアデまでの全地を占領したのです。主が下さった町々ですから、向かうところ敵なしでした。
+ ただし、アモン人の国、ヤボク川、山地の町々など、主のお許しがない所には近づきませんでした。
+
+
+ 次に行ったのは、バシャンの王オグの国です。ここでもまた、王は直ちに軍隊を出し、エデレイで戦いをしかけて来ました。しかし、少しも恐れることはありませんでした。主が、『この国も民も、あなたがたのものだ。ヘシュボンのエモリ人の王シホンと同じ目に会わせるがいい』と励ましてくださったからです。
+ そのとおり、私たちは彼らを全滅させ、
+ バシャンのアルゴブ地域にある六十の町を占領しました。
+ どの町も、高い城壁とがっちりした門で守りを固めてありました。ほかに城壁のない町も奪いました。
+ ヘシュボンの王シホンの国と同じようにバシャンの国を全滅させ、男も女も子どもも、一人残らず打ったのです。
+ ただし、家畜と戦利品は分捕り物としました。
+ こうして、エモリ人の二人の王を滅ぼし、ヨルダン川の東側に広がる、アルノン渓谷からヘルモン山までの全地域を占領したのです。
+ ――なお、ヘルモン山のことをシドン人はシルヨンと呼び、エモリ人はセニルと呼んでいました。――
+ 高原にあるすべての町、ギルアデの全土、サルカからエデレイまでのバシャンの町々は、私たちのものになりました。
+ ――バシャンの王オグは、巨人レファイムの最後の生き残りでした。彼が使ったベッドがアモン人の町ラバの博物館に保存されていますが、鉄製で、長さがなんと四メートル半、幅は一‧八メートルもあります。――
+ さて、征服したバシャンの国は、ルベン族、ガド族、マナセの半部族に与えました。ルベン族とガド族には、アルノン川のアロエルのほかギルアデの山地の半分と町々を、
+ マナセの半部族には、ギルアデの山地の残り半分とオグ王の国のアルゴブ地域全部です。――バシャンはレファイムの国と呼ばれることもあります。――
+ マナセ族から出たヤイル族は、ゲシュル人とマアカ人の国境までのアルゴブ地域全体を取り、彼らの名にちなんで、現在のようにハボテ‧ヤイル〔「ヤイルの村」の意〕と変えました。
+ ギルアデはマキルのものになりました。
+ ルベン族とガド族に与えられたのは、ギルアデからアルノン渓谷の中ほどまで、北はアモン人との国境ヤボク川までの地域、
+ それにアラバ〔荒れ地〕です。つまり、西の境をヨルダン川に接し、キネレテの海からピスガ山、塩の海〔別名アラバの海〕までの地域です。
+ その時、私は、これらの三部族に注意しました。主は確かにその土地を下さるが、兵士たちはみな武装し、ほかの部族の先頭に立ってヨルダン川を渡り、約束の国を占領するまで、そこに住みつくことはできない、と。
+ 『ただし、女と子どもはここに住んでもよい。家畜の世話をしながら、戦いに出た者の帰りを待つのだ。ヨルダン川の向こう側にある約束の地を征服し、ほかの部族の土地を確保したら、自分たちの所へ帰ってよい。』
+ 私はヨシュアに、命じました。『よいか、あなたは主があの二人の王になさったことをよく見ただろう。同じことを、ヨルダン川の向こう側のすべての国にもするのだ。
+ あなたがたの神、主が戦ってくださるから、敵を恐れるな。』
+ そして、主に必死でお願いしました。『ああ主よ、お願いでございます。どうか、ヨルダン川の向こうに広がる約束の地に入らせてください。あのなだらかな山地、豊かな土地、そして美しいレバノン山脈を見せてください。これまであなたの偉大なみわざを見せていただいてきましたが、最後にその結実を見たいのです。そのようなすばらしいことのできるお方は、あなたのほかにはいません。』
+ しかし主は、どうしてもそれをお聞き入れくださいませんでした。私がこのような怒りをこうむったのも、あなたがたのためです。主は言われました。『もう、そのことは言ってはならない。
+ ただ、ピスガ山の頂上から四方を見渡せるので、登って行って約束の地を眺めるがいい。けれどもヨルダン川を越えることは、断じて許さない。
+ あなたに代わってヨシュアを任命する。人々を率いて約束の地に入るのは彼だから、彼を励ましてやりなさい。』
+ こうして私たちは、ベテ‧ペオルの近くの谷間にとどまっていました。
+
+
+ ところで皆さん、生きて約束の地に入り、自分のものにしようと思うなら、これから教えるおきてと定め(律法)を注意深く聞き、そのとおり守りなさい。
+ ほかのものを加えたり、勝手に削ったりしてはいけない。神の教えなのだから、何も言わず、忠実に従いなさい。
+ 主が偶像バアル‧ペオルになさったことを見たでしょう。そんな偽りの神を拝んだ者はみな、罰せられて死んでしまいました。
+ しかし、主に忠実だった者たちは、今もまだ元気です。
+ いいですか、これから住もうとしている地へ行ったら、このおきてと定めをきちんと守りなさい。これは主からじきじきに示されたもので、あなたがたに伝えるようにと言われたのです。
+ これを守れば、知恵のある賢明な国民だと評判になるでしょう。回りの国々がこれを知ったら、『イスラエル人ほど賢明な国民はいない』と驚くに違いありません。
+ 呼べば必ずそばにいてくださる、私たちの主のような神を信じている国はほかにはありません。
+ どんなに偉大な国でも、今日私が教えるような正しいおきてと定めをもつ国はありません。
+ 気をつけなさい。神様がしてくださったことを忘れてはいけません。これから先もずっと、神のなさったみわざを思い出しなさい。子どもにも孫にも、すばらしいみわざについて話してやりなさい。
+ 特に、ホレブ山(シナイ山)で主の前に立った日のことは大事です。その時、主は私にこう言われました。『人々を集めなさい。わたしを大切にし、わたしのことばを子どもたちに教えられるように、まずわたしが、彼らに聞かせよう。』
+ あなたがたはふもとに立っていましたが、山には黒雲が垂れ込めて真っ暗で、赤々と火に包まれ、炎は天を焦がしていました。
+ その時、炎の中から主の声が聞こえたのです。お姿は全く見えません。
+ そこで主は、行うべきこととして十戒をお示しになり、それを二枚の石板に記されました。
+ そして、それをあなたがたに与えるよう私に命じられたのです。約束の地へ行ったら、そのとおり守らなければなりません。
+ 気をつけなさい。その日ホレブ山で、神が炎の中からお語りになった時、その姿は見なかったのです。
+ ですから、神の像を造ってはいけません。そんなことをしたら、正しい信仰をなくしてしまいます。どんな像も造ってはいけません。男だろうが女だろうが、あるいは動物、鳥、
+ 地をはう小さな動物、魚だろうが、絶対にいけません。
+ また、太陽、月、星などを拝むのもいけません。外国人は大目に見られても、あなたがたはそうはいきません。
+ あの牢獄のようなエジプトから救い出し、ご自分の民として宝物のように大切に守ってくださったのは主だからです。
+ しかし、よくないこともありました。あなたがたのことで私は主の怒りを買い、ヨルダン川を渡って約束の地へ行けなくなったのです。あなたがたは、あのすばらしい地を与えられますが、私はヨルダン川を渡れずに死ななければなりません。
+ 神である主が結んでくださった契約をあなたがたのほうから破らないよう、くれぐれも注意しなさい。偶像を造ることは重大な契約違反です。
+ 主はご自身に背く者を激しく憎み、焼き尽くす火のように徹底的に罰するお方です。
+ この先、あの地に定住し、子や孫が生まれてから悪を行い、正しい信仰を捨てて偶像を造りでもしたら、主はお怒りになり、
+ あなたがたはすぐさま滅ぼされるでしょう。もうすぐヨルダン川を渡り、あの地を征服しますが、もしそんなことがあれば、どれほども住まないうちに、あなたがたは滅びうせます。
+ 生き残るのはほんの一握りで、その者たちも国々に散らされます。
+ あなたがたは、やがてその国々で、見ることも、聞くことも、食べることも、においをかぐこともできない、木や石の偶像を拝むようになるのです。
+ しかし、あなたがたがもう一度、主を慕い求めるなら、必ず主を見いだせるでしょう。
+ 苦しい時を過ごしたあと、ついに主のもとへ立ち返り、その教えに従うようになります。
+ 主は思いやりのあるお方ですから、あなたがたを見捨てたり、滅ぼしたりはなさいません。先祖たちへの約束は必ず果たしてくださいます。
+ 神が地上に人間をお造りになって以来、このようなことがあったかどうか調べてみなさい。
+ 全国民が、おそれ多くも炎の中から語られる神の声を聞き、なお生き長らえている民がほかにいるでしょうか。
+ あるいは、恐ろしい疫病や目をみはるような奇跡を起こし、激しい戦いに勝って国々を恐れさせ、奴隷となった国民を救い出した神がほかにいますか。私たちの神は、まさにそのとおりのことをエジプトで、あなたがたの目の前でなさったのです。
+ ご自分こそほんとうの神であり、ほかに神はいないことをわからせるためです。
+ 天からの声、地に燃え上がる巨大な火の柱、炎の中から語られる神の声、何もかも驚くことばかりでした。
+ 神はあなたがたの先祖に目をかけ、その子孫を祝福しようとお決めになりました。だからこそ、あのような大いなる力をもって、あなたがたをエジプトから救い出されたのです。
+ そればかりでなく、あなたがたよりはるかに強い民を追い出し、現在のように、その国々の領土をあなたがたのものとしてくださいました。
+ だから、これだけは忘れないようにしなさい。天にも地にも、この主のほかに神はいないことを。
+ 主が下さる地で子々孫々幸せに暮らしたいなら、今日、私が告げる律法を守りなさい。」
+ このあとモーセは、ヨルダン川の東にある三つの町を特別に選んでおくように命じました。
+ 過って人を殺した者が逃げ込むための町です。
+ 町は、ルベン族の領地からは荒野の高地にあるベツェル、ガド族の領地からはギルアデにあるラモテ、マナセ族の領地からはバシャンにあるゴランが選ばれました。
+ 次に記すのは、イスラエルの人々がエジプトを出て、ヨルダン川の東、ベテ‧ペオルの町の近くに宿営していた時、モーセが彼らに語った律法です。そこは以前エモリ人の領地で、首都をヘシュボンに置き、シホン王が治めていましたが、モーセとイスラエルに滅ぼされたのです。
+ イスラエルはさらに、ヨルダン川の東側に勢力を張る、もう一人のエモリ人の王オグを滅ぼし、バシャンを征服しました。
+ こうして、アルノン渓谷沿いの町アロエルからシーオン山、またの名をヘルモン山に至る全地域、
+ つまり、ヨルダン川の東側全域とその南に広がるアラバの全域、ピスガ山の傾斜地のふもとにある塩の海までを征服したのでした。
+
+
+ モーセはイスラエル人を呼び集めて言いました。「さあ、私の語る律法をよく聞きなさい。それを正しく理解し、きちんと守るのです。
+ いいですか、私たちの神、主はホレブ山(シナイ山)で、あなたがたと契約を結ばれました。私たちの先祖とではなく、今ここにいる一人一人とです。
+ その時、主は炎の中からじきじきにお語りになりました。
+ あまりのことにあなたがたは震え上がり、だれ一人、山に登って主のもとへ行こうとしなかったので、私が行って主のおことばを聞き、それをあなたがたに伝えたのです。そのおことばはこうでした。
+ 『わたしは、エジプトでの奴隷生活からあなたを救い出した、あなたの神、主である。
+ わたしのほかは、どんなものも神として拝んではならない。
+ 決して偶像を造ってはならない。鳥でも動物でも魚でも、どんな像も造ってはならない。
+ それらを拝んでもならない。どのような方法で礼拝してもならない。あなたがたの神は、このわたしだけだ。わたしはねたみ深いから、わたしとほかの神を同時に愛することは許さない。わたしの罰は、わたしを憎む者の子ども、孫、ひ孫までも及ぶ。しかし、わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、千代に至るまでも恵みを与えよう。
+ 実行するつもりもないのに、むやみにわたしの名を使って誓ってはならない。そのようなことをしたら必ず罰せられる。
+ 主の定めた安息日を特別の日として守りなさい。
+ すべての仕事は六日のうちにすませなさい。
+ 七日目はあなたの神、主の安息の日だから、その日は一日、人も家畜も仕事をしてはならない。外国人も、ここでいっしょに住んでいる限り、この戒めを守る義務がある。すべての人が休むのだ。
+ 安息日を守るのは、エジプトで奴隷にされていたあなたを、主であるわたしが力強い手を差し伸べて救い出したことを忘れないためである。
+ あなたの両親を尊敬しなさい。そうすれば、主であるわたしが与える国で、長く幸せな一生を送ることができる。
+ 人を殺してはならない。
+ 姦淫してはならない。
+ 盗んではならない。
+ うそをついてはならない。
+ 隣人の家をうらやんではならない。隣人の妻に情欲を燃やしたり、家、土地、使用人、牛、ろば、そのほか何でも、隣人の持ち物を欲しがったり、持ち主をねたんだりしてはならない。』
+ 暗雲の垂れ込めるシナイ山でこれらのことばを、主は炎の中からあなたがた一人一人に告げられました。主はそれを二枚の石板に記して私に下さいました。
+ ところが、あなたがたはどうしたでしょう。暗闇にとどろく主の声を聞き、山頂に燃え上がる無気味な火を見ると、恐ろしさのあまり震え上がったではありませんか。族長たちは私のところへ駆けつけ、
+ 必死に訴えました。『私たちの神、主がどんなにすばらしいお方か、よくわかりました。何しろ、炎の中からお語りになったのですから。しかも、その声を聞いても、私たちはこうして生きています。
+ ですが、もう一度こんなことがあったら、その時はきっと助からず、恐ろしい火で焼き殺されてしまうでしょう。
+ 炎の中から語られる神の声を聞いたら、ただではすみませんから。お願いですから、あなたが代表で聞きに行ってください。どんなことを言われても、そのとおりにします。』
+ 主はそれを聞き、こう言われました。『みなの気持ちはわかった。願いどおりにしよう。
+ わたしの命じるとおりにすると言うが、いつもそのような心がけでいてくれたらどんなにうれしいだろう。そうすれば彼らばかりか、子々孫々に至るまで、何の心配もなく幸せに生きられる。
+ さあ、帰って、めいめいの天幕へ戻るように言いなさい。
+ そのあとでもう一度、わたしのところへ来て命令を聞き、人々に伝えなさい。わたしが与える国で、それをみな守るのだ。』」
+ そこでモーセは人々に命じました。「主の戒めをすべて守りなさい。どんな細かな点もきちんと守りなさい。何もかも、主が定められたとおりに行うのです。
+ そうして初めて、約束の地に入ってから末長く幸せに暮らせるのです。
+
+
+ もうすぐ約束の地へ入りますが、そこに住みついたら、すべての戒めを守りなさい。主がそう命じておられるのです。
+ あなたがたには、子々孫々に至るまで主を大切にし、生涯その教えを忠実に守ってほしいからです。そうすれば、いつまでも幸せに生きられます。
+ だから、少しも聞きもらさないよう気をつけ、一つ一つの戒めを注意深く守りなさい。そうすれば、神が先祖たちに約束されたとおり、乳とみつの流れる地で大きな民になるでしょう。
+ いいですか、私たちの神は主おひとりです。
+ だから、心を尽くし、たましいを尽くし、力を尽くして主を愛しなさい。
+ 今日与えるこれらのことばを、一時も忘れてはいけません。
+ 子どもたちにも、しっかり覚えさせなさい。家にいるとき、外を歩いているとき、寝る前、朝起きたとき、いつでもまず第一に暗唱させるのです。
+ 忘れないように手に結び、額につけ、
+ 家の門柱に記しなさい。
+ あなたがたの神、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに約束された地を下さった日には、そこにある良い物はみな、あなたがたのものになります。町、井戸、ぶどう園、オリーブ畑が、自分で作ったわけでもないのに与えられるのです。しかし、いくら豊かになり、何不自由なく食べられるようになっても、主を忘れてはいけません。あのエジプトでのみじめな奴隷生活から救い出してくださったのは主です。
+ 満ち足りたときにこそ、主を大切にし、心からお仕えしなさい。また、その方以外のどんな名にかけても誓わないようにしなさい。
+ 外国の神々を拝んではいけません。
+ あなたがたとともにおられる主はそれをお赦しになりません。怒りをもって、あなたがたを一人残らず滅ぼしてしまうかもしれません。
+ マサであなたがたは不平を言って、主の怒りを買いましたが、何とか赦していただくことができました。もう二度と主を試みてはなりません。
+ 主の命令には、どんなことでも進んで従いなさい。
+ でなければ、決して「よし」とは言ってくださいません。事がうまくいき、約束の地を占領できるかどうかは、心から主にお従いするかどうかにかかっているのです。
+ 主の助けさえあれば、敵を追い出すことぐらい、わけはありません。
+ いつか息子たちが、『どうして神様は、このような教え(律法)を私たちに与えたのですか』と尋ねたら、
+ こう答えてあげなさい。『私たちイスラエル人は昔、エジプトで王の奴隷だった。その私たちを、主はとても考えられないような奇跡を起こして、そこから助け出してくださったのだ。その大いなるわざに、王をはじめエジプト中の人々が驚き、震え上がるのを、私たちはこの目ではっきり見た。
+ そんなにまでしてエジプトから助け出したのも、先祖への約束どおり、この地を私たちに与えるためだった。
+ だからこそ主は、これらの律法を守り、主を大切にするようにお命じになったのだ。そうすれば、これから先もずっと神様のお守りがある。
+ 神様の律法に従っているならば、私たちはすべてがうまくいくのだよ。』
+
+
+ まもなく約束の地に入りますが、主が共におられるので心配はありません。あなたがたよりずっと強大な国も、主の相手ではありません。ヘテ人の国をはじめ、ギルガシ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の国々は、七つとも滅ぼされます。
+ 主がそうなさるのだから、徹底的に戦いなさい。こざかしい取り引きをしたり、あわれみをかけたりせず、敵を一掃するのです。
+ ましてや、彼らとの結婚などもってのほかです。息子や娘たちとも結婚させてはいけません。
+ 外国人と結婚させたら、外国の神々を拝むようになるかもしれないからです。そうなれば取り返しがつきません。主の怒りを買って、あなたがたまで滅ぼされてしまいます。
+ 異教の祭壇や石の神殿や柱は取り壊し、神々の偶像も切り倒して焼き払いなさい。
+ あなたがたは、主にささげられた聖なる国民だからです。地上のあらゆる国々の民の中から選ばれ、主のものとされたのです。
+ 主がこんなに目をかけられたのはなぜでしょう。あなたがたが、ほかのどの国よりも大きな民だったからでしょうか。そうではありません。それどころか、世界中で最も小さな民です。
+ にもかかわらず、主はあなたがたを愛し、先祖への約束を果たされるのです。ただそのためにこそ、驚くべきみわざを行い、エジプトの奴隷だったあなたがたを助け出してくださったのです。
+ このように主は誠実なお方なので、約束されたことは千代のちまでも守り、主を愛し、命令を守る者に最善のことをしてくださいます。
+ しかし、主を憎む者にはそうではありません。みなの見ている前で一人一人罰せられ、打ち滅ぼされます。
+ だから、今日命じることをみな守りなさい。
+ 素直に従えば主も、私たちの先祖と結んだ恵みあふれる契約を守ってくださいます。
+ あなたがたを愛し祝福して、大きな民にしてくださるのです。約束の地で、あなたがたは裕福になります。家畜はどんどん増え、土地も肥えているので、小麦、ぶどう、オリーブが豊かに実ります。
+ 世界中のどの国よりも祝福されることは確かです。一人として子どもに恵まれない者はなく、家畜も次々と子を産みます。
+ すべての病気はなくなり、エジプトでよく悩まされた疫病もなくなります。反対に、敵が疫病に苦しめられることでしょう。
+ 念を押しますが、主が滅ぼせと言われた国は、みな滅ぼし尽くさなければなりません。決してあわれみをかけてはいけません。その国の神々を拝んではいけません。それは悲惨な結果を招くだけです。
+ 『自分たちより強い国を征服できるだろうか』と心配になるかもしれません。
+ しかし、恐れることはありません。そんな時は、主がエジプトの王と国になさったことを思い出しなさい。
+ あの、エジプト中を巻き込んだ恐怖、すばらしい奇跡、とても考えられないような不思議な出来事を忘れてはいないでしょう。あれだけのことをしてあなたがたをエジプトから助け出された方に、できないことは何もありません。あなたがたの親は自分の目でそれを見ました。だとしたら、今あなたがたが恐れている国に対しても、主は同じようになさいます。
+ そればかりか、あなたがたの目を逃れた者へもくまばち(神への恐れ)を送り、追い払われるのです。
+ 偉大な、恐るべき力を持った主が共におられるので、恐れることはありません。
+ 主は敵を一度に全部ではなく、少しずつ、徐々に追い払われます。さもないと、急に野の獣が増えて危険だからです。
+ あせらず、しかも着実に攻め取りなさい。
+ 主がその国の王を負かしてくださるのです。彼の名が二度と思い出されないように完全に滅ぼしなさい。だれ一人、あなたがたに刃向かえる者はありません。
+ 偶像を焼き払いなさい。それにかぶせてある金や銀に心を奪われてはいけません。あなたの神、主は偶像をとても憎まれるので、そんなものを分捕ったら、自分が罠にかかるだけです。
+ さらに、偶像を家に持ち込んだりすれば、そんなことをしたが最後、死をもって罰せられます。のろわれた偶像は心底から憎みなさい。
+
+
+ 私が今日命じることをみな守りなさい。そうすれば生き長らえ、人口が増え、約束の地を占領することができます。
+ 主は四十年の間、荒野の旅を続けさせて、あなたがたが謙遜になり、ご自分の戒めにどのように応えるようになるか、はたして心から従うようになるかどうかを試されたのです。
+ ひもじい思いをさせたのも、謙遜を学ばせるためでした。なぜならそのあとで、マナという見たこともない食べ物を下さり、人はただパンだけで生きるのではなく、神の命令を守ることによって真に生きるのだということを教えてくださったからです。
+ 思えばこの四十年間、衣服も古びず、足も腫れませんでした。
+ 主があなたがたを懲らしめるのは、ちょうど親が子どものためを思って懲らしめるのと同じなのです。
+ あなたの神、主の律法を守りなさい。主を恐れ、命じられるとおりに歩みなさい。
+ 主が小川や池や泉、谷や丘のあるすばらしい地へ導いてくださいます。
+ そこは、小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろ、オリーブ、はちみつが山ほど採れ、
+ 不自由なく暮らせます。その地の石は鉄を多く含み、丘の至る所からは銅が採れます。
+ そこで恵まれた生活ができるようになったら、すばらしい地を下さった神である主に感謝しなさい。
+ しかし油断は禁物です。何の心配もないからといって気がゆるみ、あなたの神、主を忘れ、主に背くようになってはいけません。
+ 家を持ち、羊や牛も増え、財産ができ、満ち足りるようになったときこそ危ないのです。気をつけないと、主のおかげでそうなったのに、思い上がり、エジプトでの奴隷生活から救い出されたことなど忘れてしまうのです。
+ 蛇やさそりがいるあの広大な恐ろしい荒野、暑く渇ききった荒野を無事に旅できたのは、主のおかげなのです。その神様を忘れていいでしょうか。岩から水を出し、
+ 〔パンに似ているけれど〕それまで見たこともない食物、マナを下さったのも主です。こうして、あなたがたに謙遜を学ばせ、信仰を強め、ほんとうの幸せを与えようとなさったのです。
+ そんなやり方をなさったのにはわけがあります。そこまでしなければ、あなたがたは自分の力で豊かになったと思い込むでしょう。
+ しかし、豊かにしてくださるのは主です。先祖との約束を果たすためになさったのだということを、いつも自分に言い聞かせなさい。
+ 万が一、あなたの神、主を忘れ、ほかの神々を拝み、悪の道に迷い込んだりすれば、あなたがたは必ず滅ぼされます。
+ 主にのろわれ、滅びの道をたどった国々と同じ運命をたどることになるのです。主に従わなければ、あなたがたといえども容赦はされません。
+
+
+ さあ、よく聞きなさい。今日、あなたがたはヨルダン川を渡り、川向こうの国々を征服します。どの国も、あなたがたより強い国々です。町々は高い城壁で守りを固め、おまけに、無敵の巨人と恐れられるアナク人もいます。
+ しかし主がおられる以上、心配はいりません。あなたがたの先頭に立ち、火のような勢いで敵を滅ぼしてくださるでしょう。だから、すぐさま国々に攻め入って占領しなさい。
+ しかし、思い違いをしないように。主があなたがたを助けるのは、あなたがたが正しいからではなく、ほかの国々が悪いからです。
+ 決して、あなたがたがりっぱなので、ほかの国々を滅ぼすのではありません。先祖アブラハム、イサク、ヤコブに、そうすると約束されたのです。
+ くり返しますが、主があの良い地を下さるのは、あなたがたが正しいからではありません。それどころか、あなたがたは強情な民です。
+ あなたがたは、エジプトを出てから今まで、主を怒らせ通しだったではありませんか。どんなに主に逆らい続けてきたか忘れてはなりません。
+ ホレブ山(シナイ山)ではどうでしたか。あまりに主を怒らせたので、すんでのところで殺されそうになりました。
+ あの時、私は、主があなたがたと結ばれる契約の板を受け取りに山へ登って、飲まず食わずで四十日間も待っていました。
+ そして、ようやく授かったのです。そこには、人々が見守る中で、主が真っ赤に燃え立つ山の炎の中からお語りになったことばが記してありました。
+ その板を下さるとすぐ、主は私に急いで山を下りるようにせかせました。エジプトから連れ出した民が早くも堕落し、戒めを破って鋳物の偶像を造ったのです。
+ あまりのことに主の怒りが爆発しました。『なんということだ。こんなに強情で心の曲がった民は生かしておけない。一人残らず滅ぼそう。止めてもむだだ。代わって、あなたの子孫を強い民に育てよう。彼らよりもっと強く偉大な民になるように。』
+ 私は石板をしっかりかかえ、燃える山を一目散に駆け下りました。
+ その私の目に真っ先に映ったのは、忌まわしい子牛の像でした。よりによって、これほどひどい罪を犯し、こんなにも早く主を捨てるとは何事かと、
+ 私は怒りのあまり石板を地面にたたきつけました。石板はあなたがたの目の前で、木端微塵に砕け散りました。
+ それで、私はもう一度、飲まず食わずで四十日間、主の前にひれ伏しました。あなたがたが主の最も憎まれることをして、怒りを買ってしまったためです。
+ 私はその間中、あなたがたのことで頭がいっぱいでした。何しろ、主はすぐにでもあなたがたを滅ぼしかねないようすだったのです。しかしその時もまた、主は私の祈りを聞いてくださいました。
+ 一番危なかったのはアロンです。彼のしたことを非常に怒っておられたので、一心に赦しを乞いました。こうして、アロンのいのちは助かったのです。
+ 最後に私は、あの忌まわしい子牛の像を始末しました。それを取って火で焼き、粉々に打ち砕き、山を下る川に投げ捨てました。
+ 数え上げればきりがありませんが、タブエラでも、マサでも、キブロテ‧ハタアワでも、あなたがたは主を怒らせました。
+ カデシュ‧バルネアでは、約束の地へ入れと命じられたにもかかわらず、怖がるばかりで少しも言うことを聞きませんでした。主が助けてくださると励ましましたが、あなたがたは、主に逆らったのです。
+ 全く、あなたがたを知ってからというもの、主に逆らわなかった時はないと言っていいくらいです。
+ あまりのひどさに、主はあなたがたを滅ぼそうとなさいました。それで、私は四十日の間、昼も夜も主の前にひれ伏して祈りました。
+ 『どうか神、主よ、特別に目をかけてくださった民を滅ぼさないでください。この民は、あなたが驚くべき御力によってエジプトから救い出された、大切な宝ではありませんか。
+ 今度のことは、どうかお見逃しください。あなたに忠実にお従いした先祖のアブラハム、イサク、ヤコブへの約束に免じて、彼らの強情な心をお赦しください。
+ それに、もし彼らを滅ぼしたりすれば、エジプト人たちは言うでしょう。「そうら、何てざまだ。イスラエルの神はどうにも約束の地へ連れて行けなくなって、荒野で彼らを殺してしまった。それとも彼らを嫌いだったから、初めから殺すつもりで連れ出したのかもしれない」と。
+ お忘れにならないでください。彼らはあなたの大切な宝、あなたのすばらしい御力によって助け出された民なのです。』
+
+
+ すると主は言われました。『前と同じような石板を二枚切り出し、それを入れる木の箱を作ってから、もう一度山に登って来なさい。
+ あなたが砕いてしまった前の板にあったのと同じことばを新しい板に記そう。それを箱に納めなさい』と言われるのです。
+ 私はさっそくアカシヤの木で箱を作り、石板を二枚切り出すと、それを持って山に登って行きました。
+ 主は、前と同じように石板に十戒を記してくださいました。それは、あなたがたが真っ赤に燃える山を見上げる中で、炎の中から命じられたのと同じことばでした。板を授かると、
+ 私は山を下り、二枚とも箱に納めました。主に命じられたとおり、それは今でも箱の中にあります。
+ 話は飛びますが、私たちはその後、ベネ‧ヤアカンのベエロテからモセラに向かいました。そこでアロンが死に、葬られたので、息子エルアザルが二代目の祭司に任じられました。
+ そのあとグデゴダに行き、さらに、渓流が流れる水の豊かなヨテバタに向かいました。
+ 主がレビ族に今のような特別な務めをお与えになったのは、その時です。つまり、十戒を入れた箱をかつぎ、主のための仕事をし、主の名によって祝福する務めです。
+ このように、主ご自身がレビ族の相続地となるので、彼らは、ほかの部族のように約束の地で相続地をもらうことはできません。
+ 最初の時と同じように、私は四十日の間、山にとどまり、昼も夜も主の前で祈りました。ついに主は私の願いを聞き入れてくださり、あなたがたは滅ぼされずにすんだのです。
+ その時、主は、『さあ、立って人々の先頭に進み、約束の地へ行きなさい。そこを占領する時がきたのだ』と、私にお命じになりました。
+ いいですか、よく聞きなさい。あなたの神、主がお求めになるのは次のことだけです。主のおことばに注意深く耳を傾けること、今日私が与えた戒めを守ること、主を愛すること、心を尽くし、たましいを尽くして主を礼拝することです。
+ 天も地も、主のものです。
+ 今のように特別に目をかけていただけるのは、ただ主が私たちの先祖を愛されたからです。
+ だから、いつまでも強情を張らず、心を入れ替えなさい。
+ あなたがたの信じる神様は、神の中の神、主の中の主です。偉大な力あるお方、えこひいきもしなければ、わいろを取ることもなさいません。
+ 孤児や未亡人のために正しい裁判をし、外国人をも差別せず、食べ物や衣服をお与えになります。
+ だからあなたがたも、いっしょにいる外国人に親切にしなさい。エジプトではあなたがたも外国人だったではありませんか。
+ あなたの神、主だけを恐れ、礼拝し、頼りなさい。主の名以外のものにかけて誓ってはいけません。
+ 主はほめたたえるべきお方です。あなたがたも見てきたとおり、あれほどすばらしいみわざをなさる方はいません。
+ あなたがたの先祖がエジプトに行った時は七十人だったのに、今では星の数ほどにも増やされたのです。
+
+
+ あなたの神、主を愛し、すべての命令に従いなさい。
+ いいですか、私はあなたがたの子どもたちにではなく、あなたがた自身に話しているのです。子どもたちはまだ、主に罰せられたこともなく、その偉大さや恐ろしいまでの御力を見たこともありません。
+ もちろん、主がエジプトの国や王に行った数々の奇跡も見ていません。
+ エジプト軍がイスラエル人を追って来た時、主が彼らを馬や戦車もろとも紅海の底に沈め、それ以来エジプト人があなたがたに手出しできないようにされたことも見ていません。
+ その後も、ここに来るまでの長い道中、荒野をさまようあなたがたを主が守り続けてこられたことも知りません。
+ また、エリアブの子で、ルベンの孫に当たるダタンとアビラムが反逆したこと、そのためにイスラエル人全員の目の前で、彼らも家族も一人残らず、天幕(テント)もろとも地にのみ込まれてしまったことも、子どもたちは見ていません。
+ しかし、あなたがたは違います。あの目をみはるような奇跡を確かに見たのです。
+ だから、今日私が与える戒めをどんなに注意深く守らなければならないか、よくわかるはずです。そうして初めて、今、目前にしている地を占領できるのです。
+ それを守れば、先祖以来約束されてきた地で、いつまでも幸せに暮らせます。そこは、乳とみつの流れる地なのです。
+ エジプトのように灌漑する必要もありません。
+ 雨に恵まれ、丘や渓谷もある地だからです。
+ あなたの神、主はあなたがたのことをいつも心にかけ、絶えずその地を見守ってくださいます。
+ 今日私が与えるすべての戒めを注意深く守り、心を尽くし、たましいを尽くして主を愛するなら、
+ 主は春と秋に必ず雨を降らせ、穀物も、ぶどう酒用のぶどうも、油を採るオリーブも豊かに実らせてくださいます。
+ 家畜には青々とした牧草地を、あなたがたには十分な食糧を与えてくださるのです。
+ しかし、気持ちがゆるんで神様から離れ、外国の神々を拝んだりしないようにくれぐれも気をつけなさい。
+ 万一そんなことをしたら、主は激しくお怒りになり、雨を一滴も降らせないでしょう。収穫がなくなり、主が下さった良い地にいながら、みすみす飢え死にすることになります。
+ そうなりたくなかったら、主のことばと戒めをしっかり心に刻みつけなさい。それをしるしとして手に結び、額に張りつけて絶えず覚えなさい。
+ 子どもたちにも教えなさい。家に座っているときも、外を歩いているときも、寝るときも、朝食の前にも話して聞かせなさい。
+ 家の門と戸に書き記しなさい。
+ そうすれば、天地の続く限り、約束の地で子々孫々まで幸せに暮らせます。
+ 私が与える戒めをみな注意深く守り、主を愛し、主に頼って歩めば、
+ どんなに強大な民であっても、主が必ず追い払ってくださいます。
+ 行く所はどこもあなたがたの土地になるのです。南はネゲブから北はレバノンまで、東と西はそれぞれユーフラテス川と地中海までも。
+ だれ一人、あなたがたに太刀打ちできる者はいません。主はお約束どおり、行く先々で敵に恐れと不安を抱かせるからです。
+ 主の祝福を選ぶかのろいを選ぶか、今はっきり決めなさい。
+ 私が与える主の戒めに従うなら祝福されます。
+ しかし、それを拒否し、外国の神々を拝んだりするならのろわれます。
+ あなたの神、主が約束の地に導き入れてくださったら、ゲリジム山から祝福を、エバル山からのろいを宣言しなさい。
+ どちらもカナン人が住むヨルダン川の西側の地域にある山で、ギルガルに近く、モレの樫の木のある荒野にそびえています。
+ あなたがたは、これからヨルダン川を渡り、主が与えてくださる地に入るのです。
+ だから、今日、私が与えるすべての律法を守りなさい。
+
+
+ 先祖たちの神、主があなたがたに与えようとしておられる地で生きている限り、守るべきおきてと定め(律法)は次のとおりです。
+ 異邦人(外国人)の祭壇は、見つけしだい壊すこと。高い山の上にあっても、丘の上にあっても、木の下にあっても、すべて壊さなければなりません。
+ 祭壇も石柱も粉々に砕き、みだらな偶像は焼き払い、鋳像は壊しなさい。思い出すことさえないように、跡形もなく破壊し尽くすのです。
+ 異邦人のようにどこででも、見境なく神にいけにえをささげないこと。ささげ物をする場所は、神がお選びになる所に建てなさい。
+ 焼き尽くすいけにえをはじめ、主にささげるいけにえはみな、そこへ持って来なさい。十分の一のささげ物、祭壇の前で揺り動かしてささげるささげ物、誓いを果たすためのささげ物、進んでささげるささげ物、羊や牛の初子のささげ物などすべてそうです。
+ そこで家族とともに主の前で食事をし、恵みを喜び祝いなさい。
+ 今まで、それぞれが正しいと思うようにやってきましたが、これからは、そうしてはなりません。
+ ただし、約束の地に落ち着いてからの話です。
+ ヨルダン川を渡り、その地に住みつき、敵に攻められる心配もなく安心して暮らせるようになったら、
+ 主がご自分の家としてお選びになった場所に、焼き尽くすいけにえや、ほかのいけにえを持って行かなければなりません。
+ 主の前で、子どもたちや使用人たちとともに祝いなさい。祝いには、同じ町に住む領地を持たないレビ人も忘れずに招きなさい。
+ 焼き尽くすいけにえを、かってに好きな場所でささげてはいけません。
+ 主がお選びになる場所でだけささげなさい。主は、一つの部族に与える領地から一箇所を選ばれます。いけにえやささげ物は、そこだけに持って行きなさい。
+ しかし食用にする場合は、鹿やかもしかの肉をそうしているように、どこで動物をほふってもかまいません。主が下さったのですから、好きなだけ食べてかまわないし、礼拝規定で汚れた者とみなされる人が食べてもかまいません。
+ ただし、血は決して食べてはいけません。一滴残らず、水のように地面にしぼり出してしまいなさい。
+ 穀物や新しいぶどう酒、オリーブ油の十分の一の供え物、羊や牛の初子、誓いのささげ物、祭壇で揺り動かしてささげるささげ物など、どんなささげ物も家で食べないこと。
+ みな、主がお選びになるただ一つの場所に持って来て、主の前で、家族やレビ人といっしょに食べなさい。主の恵みを、みなで感謝するのです。
+ その時、レビ人を招くのを忘れないように。一生の間、何でもレビ人と分け合いなさい。
+ やがて国が大きくなり、主がお選びになった場所から遠く離れた所に住むようになったら、鹿やかもしかにしているように、羊や牛をそれぞれの牧場でほふってもかまいません。汚れた人も食べてかまいません。ただし血は例外です。血はいのちであり、いのちを食べてはいけないからです。
+ 血は地面にしぼり出しなさい。そうすれば、子々孫々まで幸せに暮らせます。
+ 誓いのささげ物や焼き尽くすいけにえなど、主へのささげ物は主の選ばれる場所に持って来なければなりません。あなたの神、主の祭壇の上でいけにえとするのです。こうして血は祭壇に注ぎ、肉は食べなさい。
+ 以上、私の命じることに注意深く従いなさい。主の目にかなうことを行えば、後々まで幸いを得ます。
+ 主が国々を滅ぼされ、あなたがたがそこに住みつくようになっても、
+ その地の神々を拝むようなことをしてはいけません。『どんなふうに拝めばいいのですか』などと言って、自分から求めて拝みに行ってはいけません。
+ それはほかでもない、あなたがたの神、主を侮辱することだからです。それらの国々は宗教の名を借りて、主の憎まれる忌まわしいことをしてきました。子どもを神々のいけにえとしてささげ、火で焼き殺しさえしたのです。
+ そんな恐ろしいことをしないように、私が与えるすべての戒めを守り行いなさい。それにつけ加えたり、削ったりしてはいけません。
+
+
+ あなたがたの中で、自分は預言者だとか、夢で未来を占える者だとか言う者には気をつけなさい。
+ 言い当てたからといって、うっかり信じてはいけません。どんなに占いが上手でも、『ほかの神々を拝もう』などと誘惑する者の言うことを聞いてはいけません。
+ 主は、あなたがたが心とたましいを尽くしてあなたがたの神、主を愛しているかどうかを試しておられるのです。
+ 決してほかの神々を拝んではいけません。神の命令にだけ従い、神だけを頼りなさい。
+ あなたがたを惑わすような預言者は殺されなければなりません。エジプトの奴隷生活から助け出してくださったあなたがたの神、主に背かせようと誘惑する者だからです。悪い考えがはびこらないように、そんな者たちは処罰しなさい。
+ ひそかにあなたがたをそそのかして外国の神々を拝ませようとする者には、近い親類や親しい友人、あるいは血を分けた兄弟、愛する妻や子であっても、
+ 決して同意してはいけません。その話を聞くことも、同情することもなりません。罪を見逃したり、かばったりするなどもってのほかです。
+ そんな者は一人残らず死刑に処せられます。まず身内の者が手を下し、次に全員が手を下しなさい。
+ エジプトの奴隷生活から助け出してくださった主に背かせようとしたのですから、石打ちによって殺しなさい。
+ そうすれば、そのことを知っただれもが、自分たちの中に恐ろしい悪の根があることに気づき、二度と同じ罪を犯さなくなるでしょう。
+ イスラエルの町のどこかで、ほかの神々を拝むようにそそのかす者がいると聞いたら、まず、うわさが本当かどうか確かめなさい。事実そのとおりで、そんな恐ろしいことが主の下さった町で起こっていることがはっきりしたら、
+ その町を攻め、住民も家畜も生かしておいてはなりません。
+ 戦利品は道に積み上げて燃やし、町にも火を放って、主への焼き尽くすいけにえとしなさい。そこは永遠の廃墟となり、再建されることはありません。
+ 決して戦利品を持ち帰ってはいけません。すべて焼き尽くすことによって、主は激しい怒りを静め、もう一度あなたがたに目をかけ、先祖への約束どおり、私たちを大きな民にしてくださいます。
+ 従順に、今日、私が与える戒めを守り、あなたがたの神、主の目にかなう正しいことを行えば、必ずそのようになるのです。
+
+
+ あなたがたは神の民ですから、〔異邦人が偶像を拝むときするように〕体を傷つけたり、葬式の時に額をそったりしてはいけません。
+ あなたがたは特別な民なのです。神様が地上のどの民よりも、あなたがたをご自分のものとしてお選びになったからです。
+ 礼拝規定で汚れたものとみなされる動物を食べてはいけません。食べていい動物は次のとおりです。牛、羊、やぎ、鹿、かもしか、のろじか、野やぎ、くじか(大かもしかの一種)、大鹿、野羊。
+ ひづめが分かれていて反芻する動物は、食べてかまいません。
+ それ以外のものはだめです。らくだ、野うさぎ、岩だぬきなどは反芻しますが、ひづめが分かれていないので食べられません。
+ その反対に、豚はひづめが分かれていますが、反芻しないので、やはり食べてはいけません。このような動物は死体にも触れてはいけません。
+ 水中の動物では、ひれとうろこのあるものは食べてかまいません。
+ それ以外はみな汚れたものです。
+ 鳥は、次のものを除いて全部食べられます。はげわし、はげたか、黒はげたか、黒とび、はやぶさ、とびの類、からすの類全部、だちょう、よたか、かもめ、たかの類、ふくろう、みみずく、白ふくろう、ペリカン、野がん、鵜、こうのとり、さぎの類、やつがしら、こうもり。
+ 例外もありますが、羽のある昆虫類は汚れたもので、食べてはいけません。
+ 自然に死んだものは食べてはいけません。ただ、在留外国人は別です。その肉を彼らに与えても、売ってもかまいません。しかし、あなたがたは主にとってきよい者とされているのですから、食べてはいけません。子やぎをその母の乳で煮てはいけません。
+ 毎年、収穫の十分の一をささげなさい。
+ それを、主が聖所としてお選びになった場所へ持って行き、いっしょに食べなさい。穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油、牛や羊の初子などの十分の一です。こうして、いつも神を第一にして生きることを学ぶのです。
+ 聖所が遠すぎてささげ物を持って行けないときは、
+ それを売った代金を持って行きなさい。
+ 着いてから、その金で牛や羊、ぶどう酒や強い酒など、何でも欲しい物を買い、家族とともに主の前で楽しく食事し、祝い合いなさい。
+ 同じ町に住むレビ人にも、忘れずにその一部を分け与えなさい。レビ人には土地もなければ、収穫もないからです。
+ 三年ごとに、その年の十分の一のささげ物を、それぞれの地域の福祉に使いなさい。
+ 財産のないレビ人や外国人、町に住む未亡人や身寄りのない子に与えるのです。そうすれば、だれもが食べて満ち足り、主があなたも、あなたの仕事も祝福してくださいます。
+
+
+ また七年目ごとに、イスラエル人の負債はみな、帳消しにしなさい。
+ 貸し主は借用証書に『免除』と書き込まなければなりません。それ以上返済の必要はないと主が決められたからです。
+ ただし、外国人にはこの決まりは適用されません。
+ この命令をすべて守るなら、貧しい者はいなくなり、約束の地であなたがたが祝福されることは確かです。ただ、今日、私が伝える主の戒めに注意深く従うことが条件です。
+ それさえ守れば、主は約束どおりあなたを祝福してくださいます。多くの国に金を貸すことはあっても借りることはなく、多くの国を支配することはあっても、支配されることはありません。
+ 主が下さる地に着いてから貧しい者がいたら、その人に冷たくしてはいけません。
+ 必要な物は何でも貸してあげなさい。
+ もうじき負債免除の年だからと、貸すのを断ってはいけません。その人がどうしようもなくなり、主に訴えたら、言い逃れはできません。悪いのは明らかにあなたです。
+ 未練がましいことは言わずに、何でも快く貸しなさい。そうすれば、主はあなたを祝福し、ますます豊かにしてくださいます。
+ 貧しい人がこの国からいなくなることはないでしょうから、この律法はどうしても必要です。くり返しますが、貧しい人には進んで貸しなさい。
+ ヘブル人(イスラエル人)の奴隷を買ったら、男でも女でも、七年目には自由にしてやりなさい。
+ そのときは、手ぶらで去らせてはいけません。
+ 必ず、羊の群れと収穫したオリーブやぶどうの中から、十分な餞別を持たせなさい。主の恵みを分け合うのです。
+ エジプトで奴隷だったあなたがたを、主が助け出してくださったことを決して忘れないように、今日、私はこの戒めを与えるのです。
+ しかし奴隷のほうから、『自由になりたくありません。ご主人様が大好きですから、どうぞ、いつまでもおそばに置いてください』と言ったら、
+ その者の耳たぶを戸に押しつけ、きりで刺し通しなさい。そうすれば、永久にあなたの奴隷となります。女奴隷の場合も同じです。
+ 一方、自由になりたいと言う者は、気持ちよく解放しなさい。六年もの間、使用人の賃金の半分以下の費用で働いてくれたからです。奴隷を自由にすることで、主はあなたがたのすることをいっそう栄えさせてくださいます。
+ 羊や牛の雄の初子は神のために取っておきなさい。牛の初子を働かせたり、羊ややぎの初子の毛を刈ったりしてはいけません。
+ その代わり、毎年、聖所で、家族とともに主の前でそれを食べなさい。
+ しかし、足が悪かったり、目が見えなかったりして欠陥のあるものはいけにえにできません。
+ 家で食用にしなさい。きよい者も、汚れているとみなされた者も、鹿やかもしかの肉と同じように、その肉を食べてかまいません。
+ ただし血は食べず、水のように地面にしぼり出しなさい。
+
+
+ 第一の月(太陽暦では三月)には必ず、過越の祭りを祝いなさい。あなたの神、主が、夜、エジプトから助け出してくださった月だからです。
+ 過越のいけにえには、子羊と雄牛を聖なる場所でほふりなさい。
+ それを、パン種(イースト菌)を入れないパンといっしょに食べます。エジプトから逃げ出す時に食べたパンをしのんで、七日間パン種を入れないパンを食べるのです。エジプトを発つ時には、パンをふくらませる時間もありませんでした。生涯、あの日のことを忘れないようにしなさい。
+ 七日間は、ほんの少しのパン種も家に置いてはならず、過越の子羊の肉は翌朝まで残しておいてはなりません。
+ 過越のいけにえは家では食べられません。
+ 主が聖所としてお選びになった場所で食べなさい。毎年その日が来たら、夕方、日の沈むころに聖所でいけにえをささげ、
+ 子羊を調理して食べ、翌朝、家に帰りなさい。
+ 続く六日間は、種を入れたパンを食べてはいけません。七日目には、それぞれの町から集まり、主の前で共に静かに過ごしなさい。その日一日、どんな仕事もしてはいけません。
+ 刈り入れが始まって七週間目に、
+ 主の前に七週の祭りを祝います。その時には、主が収穫させてくださった量に応じて、それぞれ、進んで行うささげ物をしなさい。
+ こうして、家族をはじめ家中の者が、主の前で共に喜び合うのです。この祝いには、同じ町に住むレビ人、外国人、未亡人、身寄りのない子も招待しなさい。
+ エジプトで奴隷だったことを忘れないように、必ずこのとおりにしなければなりません。
+ 取り入れも終わり、穀物を脱穀し、ぶどうをしぼり終えたころ、七日の間、仮庵の祭り(荒野での天幕生活を記念して、祭りの間、小屋に住むことから名づけられた)を祝いなさい。
+ 家族も使用人も共に楽しく過ごします。同じ町に住むレビ人、外国人、身寄りのない子、未亡人も忘れずに招待しなさい。
+ この祭りは聖所で祝います。収穫を感謝し、主の祝福を大いに喜び合いなさい。
+ イスラエルの男子はみな、年に三度、種なしパンの祭り、七週の祭り、仮庵の祭りの時に聖所に集まり、主の前に出なければなりません。そのたびに主へのささげ物を持って来なさい。
+ 受けた祝福に応じてささげなさい。
+ 主が与えてくださるすべての町々に、裁判官と行政官を任命しなさい。正義が行われるためです。
+ 金持ちの肩をもって裁きを曲げたり、わいろを取ったりしてはいけません。知恵ある人も欲に目がくらむと、正しい判断ができなくなります。
+ 至る所で正義が行われなければなりません。でなければ、主が与えてくださる地で成功を収めることはできません。
+ あなたの神、主の祭壇のほかは、たとえどんな事情があろうとも、偶像を立ててはいけません。
+ 石柱も同じです。主はそのどちらも憎まれるのです。
+
+
+ 病気や欠陥のある牛や羊は、主へのいけにえにできません。それらをささげるのは、主の忌み嫌われることです。
+ どの町であろうと、だれであろうと、私が固く禁じたにもかかわらず、主との契約を破り、ほかの神々、太陽、月、星などを拝んでいる者がいると聞いたら、
+ まず、うわさが事実かどうかよく調べなさい。事実であれば、
+ 男だろうが女だろうが、町の外に連れ出し、石打ちによって殺しなさい。
+ ただし、一人の証言だけで死刑にしてはなりません。必ず二人か三人の証言を聞きなさい。
+ 死刑と決まったら、初めに証人が石を投げつけ、続いて全員が手を下します。こうして悪の根を断ち切るのです。
+ 判断の難しい証拠が不十分な流血事件、人権侵害の問題などの場合は、聖なる場所に行き、
+ レビ人の祭司か、その時、任に就いている裁判官に上告しなさい。彼らが判決を下します。
+ その判決に不服を申し立てることはできません。
+ 彼らの判決に従って、完全に実行しなさい。
+ 主がお選びになった祭司や裁判官の判決に従わなければ死刑に処せられます。そのような罪人は、イスラエルから除き去らなければなりません。
+ きびしい罰を加えるのは、法廷を侮辱してはならないことを教えるためです。
+ あなたの神、主が与えようとしている地を占領し、住みついて、ほかの国のように王が必要になったときは、
+ 必ず主がお選びになる者を王としなさい。イスラエル人でない者は絶対に王になれません。
+ 王は自分のために大きな馬屋を建てたり、馬を買いにエジプトへ部下をやったりしてはいけません。主が、『二度とエジプトへ帰ってはならない』と言われたからです。
+ 大ぜいの妻をもってはいけません。主よりも妻のほうに心を奪われる危険があるからです。莫大な財産を蓄えるのもよくありません。
+ 戴冠式を終え、王位についたら、レビ人の祭司が保管している原本から、これらの教えを書き写しなさい。
+ それをいつも手もとに置き、一生の間、毎日読みなさい。主のすべての戒めを守ることによって、主を大切にすることを学ぶのです。
+ 毎日、規則的に読み続けていけば、民を見下したり、神のおきてからそれたりしません。長い間りっぱに国を治め、王位は何代のちまでも、子孫に受け継がれます。
+
+
+ 祭司とレビ人は、ほかの部族と違って土地がもらえません。彼らは、祭壇にささげられるいけにえやささげ物で生計を立てるのです。
+ 主のものはみな頂けるのですから、相続地を受ける必要はありません。それが主のお約束です。
+ いけにえにする牛や羊の肩、頬、胃は、祭司に与えなさい。
+ 祭司はそのほかに、収穫を感謝するしるしとしてささげられる穀物の初物、新しいぶどう酒、オリーブ油、羊の毛の初物などももらえます。
+ 主はすべての部族の中からレビ人を、代々主に仕える者としてお選びになったのです。
+ レビ人はイスラエルのどこに住んでいようと、いつでも聖所に来てかまいません。そこで仕えているほかのレビ人と全く同様に、彼らの神、主の御名によって仕事ができます。
+ そして同じように、いけにえやささげ物の分配も受けられます。貧しいからではなく、受ける権利があるからです。
+ 約束の地に着いたなら、そこの住民の忌まわしい習慣に染まらないよう、くれぐれも注意しなさい。
+ 自分の子どもを、異教の神々へのいけにえとして焼き殺すような者は死刑です。そのほか、魔術師、占い師、まじない師、蛇使い、霊媒師、魔法使い、呪術師も赦されません。
+ これらを行う者は、主に嫌われ憎まれます。ほかの国が滅ぼされるのもそのためです。
+ だからあなたがたは、主の前に正しく歩みなさい。
+ その地から追い払われる国々はみな、このような悪いことを行いましたが、それに倣ってはいけません。
+ 代わりに主は、イスラエル人の中から私のような預言者を起こされます。その預言者の言うことを聞きなさい。
+ これはあなたがたが願ったことです。あれは、ホレブ山(シナイ山)のふもとでした。あの時あなたがたは、『恐ろしくて生きた心地もしません。もう二度と主の恐ろしい声を聞かなくてすむように、山に燃え上がる火を見なくてすむようにしてください』と訴えました。
+ 主は願いを聞き、私に言われました。『よろしい、言うとおりにしよう。
+ イスラエル人の中から、あなたのような預言者を立てよう。わたしが言いたいことはみな、その者に語らせる。
+ その者の言うことを聞かないような者は、わたしの教えをいいかげんに扱ったのだから、わたしが罰しよう。
+ しかし、預言者が自分の考えをわたしの教えのように見せかけて語ったり、ほかの神々の教えを語ったりしたときは、その預言者は死ななければならない。』
+ では、主の教えかそうでないか、どうすればわかるのでしょう。
+ 預言どおりのことが起こらなければ、それはうそです。ただの偽りです。そんな預言者を恐れることはありません。
+
+
+ あなたの神、主があなたのものになる地の国々をすべて滅ぼし、あなたがその町々に住むようになったら、
+ 避難用の町を三つ確保しなさい。過って人を殺した者が安全に逃げ込めるようにするためです。国を三つに区分し、各地域に一つずつ避難用の町を設けます。町に通じる道はよく補修しておきなさい。
+ その町を設けるのは、たとえば次のような場合のためです。
+ 二人の人が森へ木を切りに行き、一人が木を切ろうと斧を振り上げたとたん、刃が柄から抜けて相手に当たり、運悪くその人は死んでしまった。そういう場合、避難用の町に逃げ込んで身を守るのです。
+ だれも復讐はできません。これらの町は、どこに住む人でも必ず三つの町の一つには逃げ込めるように、距離をよく考えて町を選びなさい。でないと、町まで行かないうちに怒りに燃えた復讐する者に追いつかれ、殺されるかもしれません。過って殺しただけで死刑にならないのです。
+ 先祖への約束どおり、主が領土を広げ、約束の地を全部下さったら、
+ 避難用の町をさらに三つ増やしなさい。もっともそのためには、今日、私が与える律法をみな守り、あなたの神、主を愛し、主の言われるとおりに歩まなければなりません。
+ 避難用の町が十分にあれば、罪のない者が殺されることもなく、不法な処刑が行われた責任を取ることもなくなります。
+ しかし、以前から憎んでいた相手を待ち伏せて殺した場合は、避難用の町に逃げ込んでもむだです。
+ 犯人の出身地に当たる町の長老が彼を連れ戻し、殺された者の復讐をする者に殺させなさい。
+ 容赦はいりません。イスラエルから人殺しを除き去りなさい。それはあなたがたのためになることです。
+ あなたの神、主が与えてくださる地に着いたら、かってに境界線を動かして人の土地を盗んではいけません。
+ たった一人の証言で、人を有罪にしてはいけません。少なくとも二人、できるなら三人の証言が必要です。
+ 無実の人を捕まえて、罪を犯す現場を見たと偽証する者がいたら、
+ その者と訴えられた者とを二人とも、その時に任に就いている祭司と裁判官のところへ連れて行きなさい。
+ 裁判官がよく調べた結果、偽証であることがはっきりしたら、
+ 訴えられた者が受けるはずだった刑を、反対に偽証人が受けることになります。こうして悪の根を取り除きなさい。
+ それが見せしめとなり、だれも偽証しなくなるでしょう。
+ みな自分の罪に見合う刑罰を受けるのです。いのちの代わりにはいのち、目の代わりには目、歯の代わりには歯、手の代わりには手、足の代わりには足で償われるのです。
+
+
+ 戦いに出て行って、自分たちよりはるかに強い大軍を目の前にしても、馬や戦車の数に恐れをなしてはいけません。エジプトから安全に助け出してくださった主がついておられます。
+ 戦う前に、祭司はイスラエル全軍にこう告げなさい。
+ 『みなよく聞け。今日の戦いを恐れてはならない。
+ あなたがたの神、主がわれわれの味方だ。主が戦われるからには、勝利は間違いなくわれわれのものだ。』
+ 続いて司令官は民に勧めなさい。『家を建てたばかりで、まだそれを奉献していない者はいないか。戦死でもして、ほかの者がその家を奉献することにならないように、すぐ家へ帰りなさい。
+ ぶどうの木を植えて、まだその実を食べていない者はいないか。戦死でもして、ほかの者に食べられてはよくない。すぐ家へ帰りなさい。
+ 婚約したばかりの者はいないか。戦死したら、ほかの者がその娘と結婚することになる。今すぐ家へ帰り、結婚しなさい。
+ おじけづいている者はいないか。そんな者がいたら、全体の士気に影響する。すぐに家へ帰りなさい。』
+ 民にそう告げ終わったら、司令官は各部隊の長の名を告げなさい。
+ 攻略しようとする町に近づいたら、まず降伏を勧めなさい。
+ その町が降伏して門を開いた場合、住民は全員奴隷にしなさい。
+ 降伏を拒み、対戦するというのなら、町を包囲しなさい。
+ そしてその町があなたがたの手に落ちたら、男はすべて打ちなさい。
+ ただし、女と子ども、家畜、戦利品は自分たちのものにしてかまいません。
+ これは、遠くの町々を攻めるときのことであって、約束の地においてはそうではありません。
+ 約束の地の中の町々では、住民を生かしておいてはなりません。
+ ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を全滅させるのです。これは主の命令です。
+ こうしないと、その地の住民があなたがたを惑わして、偶像礼拝をさせるかもしれません。あなたがたまで忌まわしい習慣に染まり、あなたがたの神、主にひどい罪を犯したら、取り返しがつきません。
+ 町を攻め取るときは、その町の木を全滅させないようにしなさい。木の実を取って食べてもよいが、切り倒してはいけません。木は敵ではないのです。
+ 食用にならない木は切り倒し、城攻め用のはしご、やぐら、兵器などを作りなさい。
+
+
+ 主の与えてくださった約束の地で殺人事件があり、被害者は町の外で発見され、現場を目撃した者がいない場合は次のようにしなさい。
+ まず、長老と裁判官が、死体から最も近い町はどこか調べます。
+ どこかわかったら、その町の長老が、まだ農作業に使われたことのない雌の子牛を引いて、
+ 渓流のある開墾されていない谷間へ行き、そこで子牛の首を折ります。
+ それから祭司たちが進み出ます。主は、聖所での仕事や人々を祝福することばかりでなく、争いごとや傷害事件が起きたとき、判断を下すためにも祭司を選ばれたのです。
+ そこで、町の長老たちは子牛の上で手を洗いきよめ証言します。
+ 『被害者に手をかけたのは私たちではありません。私たちが全く知らないうちに事件は起きたのです。
+ 主よ、あなたが買い取られた民イスラエルを、どうぞお赦しください。私たちに、罪のない者を殺した罪を負わせないでください。』
+ このように、主が正しいとみなされる方法で罪悪を取り除きなさい。
+ 主が敵をあなたの手に渡され、戦いに勝ち、捕虜を連れて引き揚げるとき、
+ その中に美しい娘がいて妻にしたいと思ったなら、
+ 家へ連れ帰りなさい。娘は髪をそり、つめを切り、
+ すっかり着替えをし、捕虜になった時に身に着けていた物を全部はずして、あなたの家で、自分の両親のために一か月の間、喪に服します。そのあとで結婚しなさい。
+ 彼女を好きでなくなったら、自由の身にして去らせなさい。彼女を辱めたのですから、売り払ったり、奴隷のように扱ったりしてはいけません。
+ 妻が二人あり、どちらにも子どもがある場合、長男の母親である妻は嫌いで、
+ 次男の母親である妻のほうを愛しているからといって、次男に長男としての財産を与えることはできません。
+ 嫌われている母親の子でも、父親には初めての子であり、長男の権利を持っているのだから、兄に弟の二倍の財産を与えなければなりません。
+ いくら懲らしめても親の言うことを聞かない、強情で反抗的な息子は、
+ 町の長老のところへ連れて行きなさい。
+ 『息子は強情っ張りのうえに反抗的で、とても手に負えません。親の言うことなどそっちのけで、大酒ばかり飲んで、遊び暮らしています』と訴えるのです。
+ そのあと、町の者が息子に石を投げつけて殺します。二度と若者たちがそんな親不孝をしないように見せしめとするためです。
+ 人が死刑に当たる罪を犯し、殺され、木にかけられる場合は、
+ 次の日までそのままにしてはいけません。その日のうちに埋葬しなさい。木にかけられた者は、神にのろわれた者だからです。あなたの神、主に与えられた地を汚してはいけません。
+
+
+ 迷い牛や羊を見つけたら、そ知らぬふりをせず、持ち主のところへ連れて行きなさい。
+ 持ち主がわからないときは自分の家で預かり、持ち主が捜しに来たら返してあげなさい。
+ このほか、ろばや衣服などを見つけたときも同じようにしなさい。持ち主がわかるまで大事に預かりなさい。
+ 足をすべらせて荷物の下敷きになった牛やろばを立たせようとしている人を見たら、素通りしてはいけません。すぐに行って手を貸しなさい。
+ 女が男の格好をしたり、男が女の格好をしたりしてはいけません。主はそのようなことを嫌われます。
+ 鳥の巣が地面や木の上にあるのを見つけたとき、ひなや卵が母鳥といっしょだったら、全部取ってはいけません。
+ 母鳥は逃がして、ひなだけを取りなさい。そうすれば、あなたがたも幸せに生きることができます。
+ 家を新築するときは、人が落ちないように屋上に手すりをつけなさい。そうしておけば、万一だれかが落ちても、その家にも持ち主にも責任がありません。
+ ふどう園にはほかの種をまいてはいけません。そんなことをしたら、どちらの実も汚れたものとなり、祭司に没収されます。
+ 牛とろばを組にして耕してはいけません。
+ 毛糸と亜麻糸というように、二種の糸で織った衣服を着てはいけません。
+ 神の律法を思い出すために、外套の四隅に房を縫いつけなさい。
+ 結婚してから夫が、結婚前にほかの男と関係があったと妻に言いがかりをつけ、『妻は処女ではなかった』と訴えたら、
+ その妻の両親は町の長老たち(裁判官)のもとに、娘が処女であった証拠を持って来なさい。
+ まず父親が裁判官に、『この男に娘を嫁がせましたが、娘が処女でなかったと言いがかりをつけるのです。しかし、ごらんください。ちゃんと処女のしるしがあります』と言い、裁判官の目の前でシーツを見せなさい。それが認められれば、裁判官は夫をむち打ちの刑にし、
+ 彼に銀百シェケルの罰金を科し、妻の父親に与えなさい。イスラエル人の処女に対して悪口を言いふらした罰です。彼は生涯、妻を離縁することができません。
+ しかし、夫の訴えどおり、妻が処女でなかったことがはっきりしたら、
+ 裁判官は彼女を父親の家の戸口に引き出し、町の者が石を投げつけて殺しなさい。両親のもとにいながら淫行の罪を犯し、イスラエルの名を汚したからです。このような罪悪は除き去らなければなりません。
+ また、夫のある女と男が寝て見つかった場合、男も相手の人妻も殺されます。こうして、イスラエルから罪悪を除き去りなさい。
+ 婚約中の娘が町の城壁内(町の中)で男に誘惑された場合、娘も男も町の外に連れ出して石で打ち殺しなさい。娘は町の中にいながら助けを求めず、男は他人の婚約者を奪ったからです。
+ 罪悪は除き去らなければなりません。ただし町の外であれば、殺されるのは男だけです。その娘は死刑に当たる罪は問われません。叫び声を上げたのに、町から遠かったのでだれも助けに来なかったとみなされます。
+ ある男が婚約前の娘に暴行して捕まった場合は、娘の父親に罰金五十シェケルを払い、娘と結婚しなければなりません。絶対に離婚はできません。
+ また、義理の母は自分の父の妻なのですから、父が死んでからも関係を持ってはいけません。
+
+
+ 睾丸のつぶれた者、陰茎を切り取られた者は主の集会に加わることはできません。
+ 婚外子とその十代あとまでの子孫も、主の集会に加わることはできません。
+ アモン人とモアブ人はその十代あとまでの子孫も、絶対に主の集会に加わることはできません。
+ 彼らは、あなたがたがエジプトを出て来た時、食べ物も水もくれなかったからです。歓迎しないばかりか、わざわざメソポタミヤのペトルからベオルの息子バラムを雇い、あなたをのろわせようとさえしました。
+ しかし主は、バラムの言うことに耳を貸さず、のろうどころか祝福するようにされました。あなたを愛しておられたからです。
+ 生涯、どんな方法ででも、アモン人やモアブ人を助けてはいけません。
+ ただし、エドム人やエジプト人を嫌ってはなりません。エドム人は兄弟、エジプト人はかつて生活を共にした人たちだからです。
+ あなたといっしょに来たエジプト人の孫は、主の集会に加わることが許されます。
+ 戦争中、陣営内の男子は身をきよく保たなければなりません。夜、夢精で身を汚した者は陣営を出て、
+ 夕方まで外にいなければなりません。日が暮れたら体を洗い、陣営に戻ることができます。
+ 用を足すときは陣営の外に出なさい。
+ 武器とくわを持って行き、穴を掘って用を足したら、きれいに土をかけます。
+ 陣営内はいつも清潔にしておきなさい。あなたがたを守り、敵を負かそうと、主がその中を歩まれるからです。見苦しいものをごらんになって、主の心が離れないように気をつけなさい。
+ 逃げて来た奴隷を、むりやり主人のもとへ引き渡してはいけません。決してしいたげず、どこでも好きな所に住まわせなさい。
+ イスラエルの女子は神殿娼婦になってはいけません。イスラエルの男子も、神殿男娼になってはいけません。そのようなことで得たものを主にささげてはいけません。主はそれらのことを憎まれるからです。
+ イスラエル人には、利息を取って物を貸してはいけません。金銭、食物、そのほかどんなものについてもです。
+ 外国人ならかまいませんが、イスラエル人からはだめです。兄弟であるイスラエル人から利息を取ったりするなら、約束の地において、主に祝福されません。
+ あなたの神、主に誓いを立てたら、すぐ実行しなさい。どんなことでも、ぐずぐずとあとに延ばしてはいけません。誓いを破るのは罪です。
+ 誓いを取り消せば、罪にはなりません。
+ 誓った以上、そのとおり実行するよう努めなさい。みずから主に誓ったのですから責任を取りなさい。
+ 人のぶどう園に入って好きなだけ食べるのはかまいませんが、持ち帰ってはいけません。
+ 麦畑でも同じです。そこで食べる分だけ手で摘むのはかまいませんが、かまで刈り取ってはいけません。
+
+
+ 妻のことで何か恥ずべきことがあり、気に入らないことがあったら、離縁状を渡して去らせなさい。
+ 彼女が再婚し、
+ その夫からも離縁されるか死別した場合、
+ 前の夫は彼女と再婚できません。彼女は汚されているからです。そんなことをしたら、あなたの神、主が相続地として与えてくださる地に罪を持ち込むことになります。
+ 新婚の男子は兵役やその他の務めを免除されます。一年間は家にいて、妻を喜ばせなければなりません。
+ ひき臼を担保に取ってはいけません。粉がひけなくなったら、毎日の食事ができなくなります。
+ また、同胞のイスラエル人をさらって奴隷にしたり売り飛ばしたりする者は死刑に処せられます。そのような罪悪は除き去りなさい。
+ ツァラアトの場合は、祭司の言うとおりにしなさい。どうすればよいかは、すべて祭司に教えてあります。
+ エジプトからの道中、主がミリヤムになさったことを思い出しなさい。
+ 物を貸すときは、担保の品を取るために、相手の家にずかずかと入り込んではいけません。
+ 相手が持って来るのを外で待ちなさい。
+ その人が貧しくて、外套しか担保として出せない場合は、夜の間はそれを返してやりなさい。あなたがそれを掛けて寝てはいけません。返してもらった人は、これで寒さをしのげると感謝するでしょう。主はあなたの正しい行いをちゃんと認めてくださいます。
+ 貧しい使用人を過酷に働かせてはいけません。イスラエル人でも町に住む外国人でも同じです。日が暮れないうちに、その日の賃金を払いなさい。貧しい人はすぐにでも金が必要なのです。あまりひどい扱いをすると、その人があなたのことを主に訴え、あなたがとがめを受けることになります。
+ 父親が子どもの罪で死刑になることはなく、子どもも父親の罪で死刑になることはありません。人が死刑になるのは自分の罪のためです。
+ 外国からの移住者や身寄りのない子を正当に扱いなさい。借金のかたに未亡人の外套を取ってはいけません。
+ あなたも、エジプトでは奴隷だったではありませんか。主が助けてくださったから、今はこうしていられるのです。そのことを忘れないためにも、気の毒な人には親切にしなさい。
+ 刈り入れをし、畑に一束置き忘れて来たら、わざわざ取りに戻らず、移住者や身寄りのない子、未亡人のために残しておきなさい。そうすれば、あなたの神、主があなたによくしてくださいます。
+ オリーブの実を打ち落とすときも同じです。あとでもう一度、残りを打ち落としに行ってはいけません。移住者や身寄りのない子、未亡人のために残しておきなさい。
+ ぶどう園のぶどうもそうです。落ちた実を拾い集めたりせず、貧しい人のために残しておきなさい。
+ エジプトで奴隷だったことを思い起こしなさい。以上のことを命じるのもそのためです。
+
+
+ 人々の中に争いがあり、どちらかが裁判でむち打ちの刑と決まったら、裁判官は自分の前に罪人を伏させ、罪の程度に応じて、適当な回数だけ打ちなさい。ただし最高は四十回で、それ以上は絶対に打ってはいけません。あまりにきびしい刑を科して、同胞が不当に扱われないためです。
+ 脱穀をしている牛に口かせをはめてはいけません。
+ 息子がないまま死んだ人の妻は、夫に兄弟がいる場合はほかの者と再婚はできません。必ず夫の兄弟と結婚するのです。
+ そして、二人の間にできた長男に前の夫の名を継がせ、その家が絶えないようにしなさい。
+ 兄弟が結婚したがらず、義務を果たさないときは、町の長老に、『夫の兄弟は夫の名を残そうとせず、私と結婚してくれません』と訴え出なさい。
+ 長老はその男を呼んで話し合います。それでも頑として承知しないなら、
+ 長老の見ている前でその男に近寄り、くつを脱がせ、顔につばを吐いて言ってやりなさい。『兄弟の家を立てないような男は、こうされるのよ。』
+ 彼の家は後々、『くつを脱がされた者の家』と呼ばれます。
+ 二人の男がけんかをし、一方の男の妻が自分の夫を助けようとして相手の男の急所をつかんだときは、
+ その女の手を切り落としなさい。
+ 取り引きには正確なはかりを使い、正直に量りなさい。そうすれば、主が与えてくださる地でいつまでも幸せに暮らせます。
+ 目盛りをごまかす者は主に嫌われます。
+ エジプトからの道中でのアマレク人の仕打ちを、決して忘れないようにしなさい。
+ 神を恐れず、ひきょうにも彼らは、疲れ果てて列のうしろに離れてしまった者たちに襲いかかったのです。
+ あなたの神、主が約束の地で敵を破り、あなたがたが安心して住めるようになったら、アマレク人をすべて打ち滅ぼし、その名を完全に葬り去りなさい。どんなことがあっても必ずそうしなさい。
+
+
+ 約束の地を征服し終え、そこに住むようになったら、
+ 聖所で、毎年の収穫の初物を主にささげなければなりません。かごに入れたささげ物を、その時、任に就いている祭司に渡し、『これは、主が先祖に約束された地に私たちを連れて来てくださったことへの感謝のしるしです』と言いなさい。
+ 祭司はかごを受け取り、祭壇の前に置きます。
+ それから、あなたの神、主の前でこう告白しなさい。『私の先祖は、エジプトへ避難したアラム人の移住者です。初めは少人数でしたが、エジプトにいる間に大きな強い国民となりました。
+ そのためにひどい虐待を受け、主なる神に必死に助けを求めたのです。その叫びを聞き、苦しみあえいでいるさまをごらんになった主は、大きな奇跡を起こしてエジプトから救い出してくださいました。エジプト人の目の前で、目をみはるようなしるしと不思議を次々となし、
+ ついに私たちを、この乳とみつの流れる地に連れて来てくださったのです。
+ 主よ、ごらんください。この土地から採れた初物でございます。』次に、主の前にそれを供え、礼拝しなければなりません。
+ そのあと、あなたに与えられたすべての良きものを感謝して食べなさい。家族はもちろんのこと、レビ人やイスラエルに住む外国人といっしょに祝いなさい。
+ 三年ごとに、特別な十分の一のささげ物をします。その年は十分の一のささげ物をみな、レビ人、在留外国人、身寄りのない子、未亡人に分け与えて、彼らの必要を満たすのです。
+ そうして、主の前で言いなさい。『ご命令どおり、十分の一のささげ物をみな、レビ人や在留外国人、身寄りのない子、未亡人に分け与えました。すべて教えられたとおりに行い、忘れたことは一つもありません。
+ 喪中など、礼拝規定で汚れているとみなされる時は、十分の一のささげ物にさわりませんでした。また、そのうちのほんの少しでも死人に供えたことはありません。いつも私の神、主にお従いし、ご命令はすべて守りました。
+ どうか、天の聖所からごらんになり、お約束どおり私たちに与えられた地を祝福し、乳とみつの流れる地にしてください。』
+ 今日、あなたの神、主がお与えになるこれらすべての律法に心から従いなさい。
+ あなたは今日、イスラエルの主こそほんとうの神であり、これからは主に従い、そのおきてと命令と定めを守り、あなたのことばに聞き従うと断言しました。
+ そこで主は、こう宣言なさいました。『すでに約束したとおり、あなたはわたしの宝の民だ。すべてのおきてを守るなら、
+ あなたを他のどの国よりもすばらしい国とし、称賛の的となるようにする。そしてすでに約束したとおり、あなたを、あなたの神、主の聖なる民とする』と。」
+
+
+ さらに、モーセとイスラエルの長老たちは、民に次のような指示を与え、そのとおり行うよう命じました。
+ 「ヨルダン川を渡り、約束の地、乳とみつの流れる地に入ったら、川底から丸い石を取り、川向こうのエバル山に記念碑を建てなさい。石の表面には石灰を塗り、神様の律法のすべてのことばを書き記しなさい。
+ またそこに、主のために祭壇を築きなさい。自然のままの丸い石を積み重ね、その上で、焼き尽くすいけにえをささげるのです。
+ さらに和解のいけにえをささげ、あなたの神、主の前で喜び祝いなさい。
+ 重ねて言いますが、記念碑にこの律法のことばをすべてはっきりと書き記しなさい。」
+ それから、モーセとレビ人の祭司たちとは、イスラエルのすべての民に呼びかけました。「みんな、よく聞きなさい。今日、あなたがたは主の民となりました。
+ だから今日から、主の御声に聞き従い、今日、私が与える律法を行いなさい。」
+ その日、モーセは民に命じました。
+ 「約束の地に入ったら、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフ、ベニヤミンの各部族は、ゲリジム山に立って祝福を告げ、
+ ルベン、ガド、アシェル、ゼブルン、ダン、ナフタリの各部族は、エバル山に立ってのろいを告げなさい。
+ それから、レビ人が両者の間に立って全国民に向かって宣言しなさい。
+ 『隠れて、彫像や鋳像を造って拝む者はのろわれる。主は人間が造った神々を憎まれるからだ。』民はみな、『アーメン』(「そのとおりです」「そうしてください」の意)と答えなさい。
+ 『親を侮辱する者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『隣人の土地との境界線を移す者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『盲人の弱みにつけ込む者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『在留外国人、身寄りのない子、未亡人などに不正を働く者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『父の妻(義理の母)と寝る者はのろわれる。彼女は父親のものだからだ。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『獣姦をする者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『異父姉妹であれ異母姉妹であれ、自分の姉妹と寝る者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『妻の母と寝る者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『ひそかに殺人を犯す者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『報酬をもらって、罪のない人を殺す者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+ 『この律法を守らない者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。
+
+
+ 今日、私が与えるこの主の律法をすべて守り行うなら、あなたの神、主は、あなたを世界中で最もすぐれた民とし、
+ 次のような祝福をお与えになります。あなたは町の中でも外でも祝福され、多くの子ども、作物、羊や牛、くだものやパンに恵まれます。戦いや仕事に出て行くときも帰って来るときも祝福されます。
+ 主はあなたの敵を撃退し、彼らが束になってかかってきても、くもの子を散らすように追い散らします。
+ 主は約束の地において、良い収穫をあげ、丈夫な牛が生まれ、あなたのすべての手のわざが祝福されるように守ってくださいます。
+ あなたの神、主に従い、主の道に歩むなら、あなたは聖なる民としていただけます。
+ 世界中の国々は、あなたが主のものであることを知って恐れるでしょう。
+ 主は約束どおり、多くの子どもたちを与え、家畜や作物の実りに至るまで祝福してくださいます。
+ 天の雨の倉を開き、豊かな収穫をもたらす雨を季節ごとに降らせてくださるのです。すべてが順調にいくのであなたは栄え、多くの国に貸し与えるようにはなっても、借りることはありません。
+ 今日、私が与えるあなたの神、主の律法に従い、それを守り行うなら、どの国より上に立つ国にされるでしょう。
+ ただし、それはみな、私が与える律法を忠実に守るかどうかにかかっています。だから、絶対にほかの神々に仕えてはいけません。
+ もし、主の言われることを聞かず、律法に従わないなら、あなたは必ずのろわれます。町の中でも外でものろわれ、くだものやパンに不自由し、子どもを授からず、作物の実りも乏しく、牛や羊まで減っていきます。出て行くときも帰って来るときも、よくないことばかり起こります。
+ 主が自らのろいをお下しになるからです。混乱に陥り、なすこと全部が失敗して、最後には滅びます。主を捨てて悪を行った結果です。
+ これから占領する地で、主は疫病をはやらせ、難なくあなたを滅ぼしてしまわれます。
+ あなたは、結核、熱病、伝染病、戦争、さらに黒穂病によって打たれます。
+ また、天は青銅のように堅く閉じて雨を降らせず、地は鉄のように堅くしまり、作物を実らせません。
+ 日照りで国土が干上がり、猛烈な砂嵐が荒れ狂って、生き残る者は一人もありません。
+ 勢い込んで戦いに出ても、主に見離されているので、たちまち総くずれし、みじめに敗走することになります。そうなったら、地上のすべての国々にとっていい見せしめになるでしょう。
+ 戦死者の死体が鳥や野獣のえじきとなっても、追い払う者さえいません。
+ また主は、エジプトの皮膚病、できもの、腫瘍、壊血病、疥癬によってあなたを打ち、いやされることはありません。
+ 恐怖で気が転倒し、何が何だかわからなくなり、パニック状態に陥ります。
+ 盲人が暗闇で手探りするように、真昼の明るい所でも手探りしなければ歩けません。何をしてもうまくいかず、痛めつけられ、略奪されるばかりなのに、だれも助けてくれません。
+ 婚約者を奪われ、自分が建てた家には他人が住み、自分が育てたぶどう園の実を他人が食べるようになります。
+ 自分の牛が目の前で殺されても、その肉の一片さえもらえません。目の前でろばが連れ去られても、黙って見ているだけで、取り返すことはできません。羊がみな敵に奪われても、だれも守ってくれません。
+ 目の前で、息子や娘が奴隷に売られます。いくらかわいそうだと思っても、助けることができません。
+ 名前さえ聞いたこともない民が、あなたが汗水流して育てた作物を食べ、あなたを痛めつけます。
+ 見ることすべて悲しいことばかりで、心痛のあまり気がおかしくなります。
+ さらに主は、あなたをつま先から頭のてっぺんまで、できものだらけにされるでしょう。
+ 主は、あなたも王も国外追放にし、先祖のだれも知らなかった地へ追いやります。そこでは、木や石の神々を拝むしかありません。
+ こうして主に追い払われ、国々の恐怖、物笑いの種とされるのです。
+ いくら種をまいても、いなごが食べてしまうので、収穫はわずかです。
+ ぶどう園を作り、せっせと手入れしても、虫に食い荒らされ、実を食べることもぶどう酒を飲むこともできません。
+ オリーブの木はどこにでもありますが、実が熟さないうちに落ちてしまうので、体に塗るほどのオリーブ油さえ採れません。
+ 息子や娘はあっという間に連れ去られ、奴隷になります。
+ いなごは、木といわずぶどうといわず、あらゆるものを食い尽くします。
+ 在留外国人がますます金持ちになっていく一方、あなたはますます貧しくなります。
+ 物を貸すのは彼らで、あなたではありません。外国人のほうが恵まれ、あなたより優位に立ちます。
+ あなたの神、主の言われることを聞かないと、これらののろいが次々に降りかかり、ついには滅ぼされます。どこにも逃げ場はありません。
+ これらのことはみな、あなたがたと子孫への警告なのです。
+ 何の不自由もなく守っていただきながら、主をほめたたえようとしなければ、敵の奴隷にされます。敵に攻められ、飢え渇き、着る物もなく、あらゆる不自由を忍ばなければなりません。絶対にはずせない鉄のくびきをはめられ、最後には全滅するのです。
+ 主は遠く離れた国を立ち上がらせ、わしが飛びかかるように、あなたを襲わせます。その民は聞いたこともないことばを話し、
+ 子どもだろうが老人だろうが容赦せず、どう猛で怒りに燃えています。
+ 家畜も農産物も食い尽くされ、イスラエルでは麦も新しいぶどう酒もオリーブ油も底をつき、牛や羊もいなくなります。
+ 町々は包囲され、頼みの高い城壁もついにくずれ落ちる日がきます。
+ 激しい包囲攻撃の中で、わが子の肉さえ食べるほどの食糧難に見舞われます。
+ ふだんは優しい男でさえ、兄弟や妻はおろか子どもにまでむごい仕打ちをします。
+ 町の中には食べる物が何もなくなり、飢えをしのぐためにわが子の肉を食べるばかりか、それを一人占めにしようとする者さえ出るでしょう。
+ 足を地面に着けようともしないほどの淑女が、愛する夫や子どもたちと分け合おうともせずに、自分の産んだ子の肉を一人で食べてしまいます。敵の包囲攻撃のために町中が恐ろしいききんに陥り、死ぬほど苦しい目に会うからです。
+ この書にあるすべての律法に従わず、主の輝かしく恐るべき御名をあがめようとしないなら、あなたも子孫たちも、絶えず疫病に苦しめられるでしょう。
+ あの恐ろしいエジプトの病気を、主がはやらせるのです。疫病は国中に広がります。
+ それだけではありません。主は、この書にも書いてない、ありとあらゆる疫病や災いを下し、ついにはあなたがたを滅亡させるでしょう。
+ 星の数ほどいるあなたがたも、ほんの一握りが生き残るだけです。主の御声に聞き従わなければ、必ずこのとおりになります。
+ かつて主があなたがたの幸せを願い、その数を増やすことを喜ばれたように、その時には、あなたがたを滅ぼすことを喜ばれるでしょう。一人もイスラエルには残れません。
+ 世界の果てから果てまで追い散らされます。そこで、あなたも先祖も知らなかった、木や石でできた外国の神々を拝むのです。
+ 一時も安心できず、不安と絶望に打ちのめされ、悲しみと恐れのあまり体はやせ衰えてしまうでしょう。
+ いつも死の危険にさらされ、昼も夜も、恐ろしさのあまり生きた心地もしません。明日のいのちさえわからないのです。
+ 朝がくると、『夜になればいいのに』と言い、夜になれば、『朝がくればいいのに』とため息をつきます。そう言わずにはいられないほど、恐ろしいことばかり起こるのです。
+ もはや行くこともないだろうと言われたエジプトへ、主は船で人々を連れ帰ります。そこで自分を奴隷として敵に身売りしようとしても、買ってくれる者もいません。」
+
+
+ 神である主がホレブ山(シナイ山)でイスラエル人と結ばれた契約を、モーセがもう一度語ったのは、モアブ平原においてでした。
+ モーセはすべての民を集めて言いました。「皆さんは、主がエジプトで王とその国民に下された大きな災害と、驚くべき奇跡とを目の当たりにしました。
+ それなのに、今までまるで悟らず、見る目も聞く耳も持ちませんでした。
+ 荒野を放浪した四十年間を振り返ってみなさい。その間、衣服は古びず、履き物もすり切れなかったではありませんか。
+ 主は、あなたがたが定住して、パンを作る麦を植えたり、ぶどう酒や強い酒を作るぶどうの木を育てたりするのをお許しになりませんでした。それは、あなたがたの世話をしてきたのがあなたがたの神、主であることをわからせるためです。
+ ここへ来た時、ヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグが戦いをしかけてきました。私たちは彼らを打ち破り、
+ その領地を、ルベン族とガド族とマナセの半部族に与えました。
+ ですから、この契約を守りなさい。あなたがたのすることがみな、栄えるためです。
+ 族長も、国民も、裁判官も、行政官もみな、主の前に立っています。
+ 妻子も、在留外国人も、たきぎを割り、水をくむ下働きの者までも含め全員です。
+ 今日ここに立っているのは、主と契約を結ぶためです。
+ 先祖のアブラハム、イサク、ヤコブに約束されたとおり、今日、主はあなたを神の民とし、またご自分があなたの神となられるためです。
+ この契約は、今、主の前に立っている者とだけでなく、イスラエルの子孫全員と結ばれます。
+ エジプトでどんなみじめな生活をしたか、そこを出てからは、敵の領地を通りながら、いかに安全に過ごしてきたか、今さら言うまでもないでしょう。
+ 木、石、銀、金でできた異教の偶像も、いやと言うほど見ました。
+ あなたがたの中に、個人だろうが家族だろうが部族だろうが、主に背を向け、外国の神々を拝みたいと言いだす者が出たら気をつけなさい。それは、渋くて毒のある実しか結ばない根を植えるのと同じです。
+ こののろいのことばを聞きながら、『何と言われたって、やりたいようにやるだけだ。大丈夫、絶対にうまくいく』などとうそぶいているなら、
+ 主は決してお赦しになりません。そのような者は激しいねたみと怒りを買うだけです。この書に書かれたすべてののろいが降りかかり、地上から永遠に消し去られてしまうでしょう。
+ 主はその者をイスラエルの全部族から除外し、契約の違反者に下ることになっている、すべてののろいを下されるのです。
+ その結果、子孫たちや遠くから来た外国人が、ひどい災害や疫病のつめ跡をまざまざと見ることになるでしょう。
+ 全土が塩分を含んだアルカリ性の荒れ地となり、種もまけず収穫もなく、一本の草木も生えません。まるで、主の怒りによって滅ぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイムのようになってしまいます。
+ 『こんなひどいことをするとは、いったいどういうわけか。それも特別に目をかけていた国に、なぜ主はこれほどまでに怒りを燃やすのか』と、国々の民は不思議がるでしょう。
+ 答えはこうです。『彼らの先祖の神が昔、彼らをエジプトから助け出し、特別な契約を結ばれたのに、彼らのほうからその契約を破った。
+ はっきり禁止されていたのに、ほかの神々を拝んだからである。
+ それで主は激しく怒り、前もって警告してあったすべてののろいを下された。
+ 彼らを一人残らずこの国から追い出し、情け容赦なく外国へ追いやったのである。彼らは今もまだ故国に帰れず、そこに住んでいる。』
+ 主はすべてのことをお示しになったわけではありません。確かに、主だけがご存じの秘密もあります。しかし、はっきり示されたことには、私たちも子孫も永遠に従わなければならないのです。
+
+
+ これらのことがみな起こり、外国へ追いやられても、絶望してはいけません。その時にはもう一度、この祝福とのろいのことをよく考えなさい。
+ そしてあなたの神、主のもとに立ち返りたいなら、今日、私が与える律法に、あなたも子どもたちも心から従いなさい。
+ そうすれば主は、囚われの身から救い出してくださいます。あなたをかわいそうに思い、いったんは散り散りに追いやった国々から集めてくださるのです。
+ たとえ地の果てにいようと、心配はいりません。主は必ず見つけ出し、あなたの先祖の地に連れ戻します。そして国を取り戻したら、先祖たちの時よりも、さらに祝福され、もっとよくしていただけるでしょう。
+ あなたも、子どもたちも、孫たちもみな、心をきよめられ、心から主を愛するようになり、イスラエルは生き返るのです。
+ 主のもとに立ち返り、今日、私の命じる戒めをすべて守るなら、主はのろいを取り去り、あなたを憎んで迫害する敵に、それをそのまま下します。
+ 反対に、あなたのすることは再び栄えるようになります。子どもたちに恵まれ、家畜はどんどん増え、豊かな収穫をあげるでしょう。昔の先祖たちのように、あなたも心に留めていただけるからです。
+ この律法の書にある戒めを守り、主に立ち返るなら、主は必ず喜んでくださいます。
+ これらの律法を守るのは決してむりなことではありません。
+ この律法は手の届かない天にあるわけではないからです。あなたは、聞こうにも聞こえず、守ろうにも守れず、かといって地上に届けてくれる者もいないと、途方にくれることはありません。
+ また、だれも伝えてくれないほど遠い海のかなたにあるわけでもありません。
+ むしろ、いつでも守れるように、すぐ近くに、あなたの唇、あなたの心にあるのです。
+ いいですか、これは生きるか死ぬかの問題です。主に従って生きるか、従わないで死ぬかの、どちらかしかありません。
+ 私は今日、主を愛し、その道に従い、律法を守るようにと命じました。そのとおりにすれば生きることができます。主はあなたと、もうすぐあなたのものになる地とを祝福し、大きな国民としてくださるでしょう。
+ しかし、心が離れ、その教えに耳も傾けず、外国の神々を拝んだりすれば、
+ 今はっきり断言しますが、必ず滅びます。あなたのものになる地で、いつまでも幸せに生きることはできません。
+ さあ、天と地が証人です。どちらを選びますか。生きることですか、それとも死ぬことですか。祝福ですか、のろいですか。もちろん、あなたのためにも子孫のためにも、生きるほうを選ぶべきです。
+ 主はあなたのいのちです。あなたの神、主を愛し、信頼し、ご命令に従いなさい。そうすれば、先祖アブラハム、イサク、ヤコブに約束された地で平安に生きられます。」
+
+
+ モーセはさらにことばを続けました。「私はすでに百二十歳です。これ以上あなたがたを指導することはできません。それに、ヨルダン川を渡ってはならないと主から言われています。
+ これからは、主ご自身があなたがたを導き、川向こうの国々を滅ぼされます。そこを征服するための新しい司令官は、主が告げられたようにヨシュアです。
+ エモリ人の王シホンやオグと戦った時のことは忘れていないでしょう。主はその国々にも同じようにされます。
+ 完全にあなたがたの自由になるようにしてくださるので、命令どおり、必ず滅ぼしなさい。
+ 心を強くもち、勇敢に戦いなさい。恐れてはいけません。おじけづいてはいけません。主が味方なのです。主は絶対に、あなたを裏切ったり見捨てたりなさいません。」
+ ここで、モーセはヨシュアを呼び、イスラエル全国民の前で命じました。「心を強くもち、勇敢にふるまいなさい。あなたに、約束の地へ民を導き入れる務めを与えよう。そこを征服するのを見届けなさい。
+ 主が味方だから、恐れてはならない。主はいつも先頭に立ち、途中で見放すことも見捨てることもなさらないのだ。」
+ それから、モーセは以上の律法を書き記し、十戒の入った箱(契約の箱)をかつぐレビ人の祭司と、長老とに渡しました。
+ この律法を、七年目ごとの負債免除の年の仮庵の祭りに、全国民が聖所で主の前に集まった時、読み聞かせるのです。
+ そのことについて、主はモーセにこう命じました。「男も、女も、子どもも、在留外国人も全員集めて、主の律法を読み聞かせなさい。どのように生きることをわたしが望んでいるかを彼らに学ばせるのだ。こうして、わたしを大切にし、忠実に律法を守ることをくり返し教えれば、
+ 今この教えを知らない子どもたちも、約束の地に住む間、主をどのように敬うかを学ぶだろう。」
+ このあと主はモーセに、「いよいよあなたの最期が来た。これからのことを指示するから、ヨシュアを幕屋(神がイスラエルの民と会う場所)に来させなさい」と告げました。二人は命じられたとおり、主の前に立ちました。
+ すると、幕屋の入口に大きな雲が現れ、その中から主の声がありました。
+ 「モーセよ、あなたは死んで先祖の仲間に加えられる。そのあとこの民は、約束の地で外国の神々を拝むようになる。わたしのことなどすっかり忘れ、平気で契約を破るだろう。
+ そうなれば、黙っているわけにはいかない。彼らを見捨て、顔をそむけてしまおう。次々と恐ろしい目に会い、もうだめだという時、ようやく彼らは気がつき、『神様はもう私たちの味方ではない』と言うだろうが、すでに手遅れだ。
+ あれほど禁じたのに外国の神々を拝む者には、わたしもきっぱりと背を向けるだけである。
+ その警告のために、次の歌を書き記しなさい。
+ 彼らの先祖に約束した乳とみつの流れる地で順調にいき、ぜいたくに慣れてくると、彼らはわたしをうとみ、平然と契約を破り、外国の神々を拝むようになるからだ。
+ そしてついに、大きな災いが襲うのだ。その時、代々歌い続けられたこの歌を聞き、どうしてそんなことが起こったのか思い知るだろう。この民がどんな民か、約束の地に入る前からわたしははっきり知っている。」
+ その日モーセは、歌を書き記し、イスラエルの国民に教えました。
+ それから主は、ヌンの子ヨシュアに、「強く、勇敢な者でありなさい。約束の地にイスラエルの民を導き入れなさい。わたしはいつもあなたと共にいる。」と命じました。
+ モーセはすべての律法を書き終えると、
+ 十戒の入った箱をかつぐレビ人に、
+ この律法を箱のそばに置き、民への厳粛な警告とするよう指示しました。
+ 「あなたがたが反抗的で強情であることはわかっている。こうして私がいっしょにいてさえ主に反抗するのだから、私が死んだらどうなることかわかったものではない。
+ さあ、部族の長老、高官を全員集めなさい。天と地とを証人に立てて、言っておきたいことがある。
+ 私の死後、あなたがたはきっと堕落し、主の命令に背くだろう。主を怒らせるような悪いことをし、その報いで結局は破滅を招くのだ。」
+ それでモーセは、イスラエルのすべての民に聞こえるように、次の歌を初めから終わりまで歌いました。
+
+
+ 天よ、地よ、じっと耳をすませ、私のことばに。
+ こぬか雨や露のように静かに、若草をぬらす雨のように心地よく、山腹を駆ける夕立のように激しく、私のことばは下る。
+ さあ、主の偉大さを告げよう。主は、この上なくすばらしい方。
+ 岩のように堅く、なさることはみな完全で正しく、何事にも公平で忠実な方。主はいつも潔白な方。
+ しかし、イスラエルは堕落し、罪に汚れてしまった。強情で曲がったことばかりする。もはや神の民ではない。
+ これが主への恩返しか。愚かな民よ。神は父親ではなかったか。あなたの造り主ではなかったか。あなたを強く育て上げた方ではなかったか。
+ 昔を思い出せ。父や老人に聞けば、すべてがはっきりするだろう。
+ 世界を造られた時、神は天使を遣わし、国々を監督させた。
+ だが、イスラエルは特別だ。神ご自身のものだからだ。
+ 獣の遠ぼえの聞こえる寂しい荒野を行く時、神はまるで自分の目のようにイスラエルを守られた。
+ わしが翼を広げ、ひなを乗せて飛ぶように、神はその国民を、翼に乗せて運ばれる。
+ 主だけがイスラエルを指導し、国民が外国の神々を知らずにいた時、
+ 丘は豊かな実りを約束し、ゆるやかに起伏する畑は肥えていた。岩からはちみつが、石地からオリーブ油が採れた。
+ ほかにも、乳と肉、バシャンの極上の雄羊と雄やぎ、最良の小麦、あわ立つぶどう酒と、何でも欲しいだけあった。
+ イスラエルはじきに満腹し、丸々と太った。ぜいたくに慣れて高慢になり、自分を造った神を捨て、救いの岩を軽んじた。
+ イスラエルは外国の神々のあとを追い、神の激しい怒りを燃えさせた。
+ あろうことか、外国の神々、それまで拝んだこともない神々にいけにえをささげた。
+ 生みの親である岩をけとばし、いのちを与えてくれた神を忘れるとは。
+ 神は憎しみに燃えた。自分の息子、娘たちに侮辱されたのだ。
+ ついに神は言われた。「強情で不信仰な者ども、もうわたしは知らない。どんなことになるか見ているがいい。
+ 恨みを買ってでも、まやかし物の偶像を拝みたいのか。ならば報いを与えよう。あなたを捨て、無知な異教の諸国民に救いを与えるから、さんざん恨みごとを言うがいい。
+ わたしの怒りの炎は燃え上がり、地とその産物を焼き尽くし、山々をなめ尽くす。
+ 息つくまもなく災いを下し、次々と矢を放ち、射倒そう。
+ 飢えと熱病と不治の病で痛めつけてもかまわない。滅ぼしてしまおう。野獣が彼らを八つ裂きにし、毒蛇は獲物を求めて地をはい回る。
+ 外には敵の剣、内には恐れ。老人も若者も、乳飲み子さえも逃れられない。
+ あげくは、遠い国へ散り散りに追いやる。そこに彼らがいたことさえ忘れさせるために。
+ だが、それでは敵の思うつぼだ。『われわれがイスラエルを滅ぼした。主なんかじゃない』と大言壮語させることになる。」
+ イスラエルは愚かな国、知恵のない、わからず屋。
+ ああ、少しでも知恵があり、ものわかりがよかったら、自分の末路を見きわめることもできたろうに。
+ 彼らの岩である主が見捨てず、滅ぼそうとされなかったら、一人の敵が千人を追い散らし、二人が万人を敗走させることもなかったろうに。
+ この岩にまさる岩はどこにもない。敵も、神々への祈りがむなしいことを知っている。
+ 彼らの行いは、ソドム、ゴモラの人たちと同じで、苦々しい毒がある。
+ 彼らの飲むぶどう酒はまむしの毒液だ。
+ 「だがイスラエルは、わたしの取っておきの国民、倉に納めた宝だ。
+ 復讐はわたしの務め、イスラエルの敵には罰を下す。判決はすでに下った。」
+ 神はイスラエルをさばき、彼らの失敗を優しくかばわれる。奴隷も自由人も力が衰えていくのを見て、
+ こう言われる。「ほかの神々はどこへ行った。頼みの岩はどうしたのだ。
+ あぶら身やぶどう酒をささげた神々はどうなったのか。さあ、神々を奮い立たせて助けてもらうがいい。
+ どうだ、よくわかったか。ほんとうの神はわたしだけなのだ。殺すも生かすも、傷つけるのも癒やすのも、思いのまま。わたしの手から救い出せる者はいない。
+ 手を天に差し伸べ、わたしの存在をかけて誓おう。きらめく剣をとぎすまし、敵に刑罰を下す。
+ 矢は血に酔いしれ、剣は肉と血をむさぼる。刺し殺され、捕らわれた者の肉と血を。敵の頭は血にまみれる。」
+ 異教の国民よ、神の国民をたたえよ。神は彼らのかたきを討ち、御国と民をきよめられたから。
+ モーセはヨシュアとともにこの歌を歌い終えると、
+ 人々に命じました。「今日与えた律法をすべて心に留め、子どもたちに教えなさい。
+ この律法は、ただ意味もなくことばを並べてあるのではありません。あなたがたのいのちそのものです。この律法を守れば、ヨルダン川の向こうの、これから占領する地で、長く生きることができる。」
+ 同じ日、主はモーセに告げて語りました。
+ 「エリコに向かい合った、モアブのアバリム高地にあるネボ山に登りなさい。頂上から、わたしがイスラエル人に与えるカナンの国を見渡すのだ。
+ 兄のアロンがホル山で死に、先祖の仲間入りをしたように、あなたもその国を見たら、先祖の仲間入りをしなければならない。
+ ツィンの荒野のメリバテ‧カデシュの泉でしたことの報いだ。あの時あなたは、わたしの神聖さを人々に示さなかった。
+ だから、約束の地を目の前にしながら、入って行くことはできない。」
+
+
+ 次にあげるのは、神に立てられた忠実な指導者モーセが、死を目前にしてイスラエルの人々を祝福した時のことばです。
+ 「主はシナイ山でわれわれのところに来られ、セイル山からご自身を現し、無数の天使に囲まれ、パラン山から光を放たれました。その右手には炎が燃えさかっていました。
+ ああ主は、どんなに深く民を愛しておられることか。聖徒はあなたの腕にしっかりと抱かれています。主よ、彼らはあなたの跡に従い、御告げを受けました。
+ 私が伝えたあなたの御教えは、何よりも大切な宝です。
+ 主は部族の指導者たちに選ばれ、エルサレム(エシュルン)で王(神)となられました。」
+ 「ルベン族はいつまでも滅びず、その数も増すように。」
+ ユダ族への祝福のことば。「主よ、ユダ族の叫びをお聞きください。決して彼らをイスラエルから切り離さず、彼らの敵と戦ってください。」
+ レビ族への祝福のことば。「ウリムとトンミム(神意を伺うための一種のくじ)を、敬虔なレビ族にお与えください。マサとメリバでの試練の時にも、
+ レビ族は御教えに従いました。大ぜいの悪人を殺し、自分の子ども、兄弟、両親さえも容赦しませんでした。
+ レビ族はイスラエルに神様の律法を教えます。また、香をたく祭壇や、焼き尽くすいけにえをささげる祭壇で、神様のご用に励みます。
+ 主よ、レビ族を栄えさせてください。彼らの働きを認め、彼らに敵対する者を打ち砕き、二度と立てないようにしてください。」
+ ベニヤミン族への祝福のことば。「主に愛され、みそばで安らかに住む者よ。主は優しく見守り、あなたがたにどんな害も受けさせません。」
+ ヨセフ族への祝福のことば。「その所有地は神様に祝福され、天と地の最良の物に恵まれるように。
+ 作物は太陽の恵みによって育ち、月を追うごとに実りを増し、
+ 永遠の山と丘が最良の産物に覆われるように。
+ 地とそこに満ちるもろもろの物、燃える柴の中に現れる神様の恵み、そのすべてが、兄弟の中の王子、ヨセフにあるように。
+ ヨセフの力と威厳は若い雄牛のようです。頭には野牛の角をいただき、すべての国々を突き倒します。これがエフライムへの祝福、これがマナセへの祝福です。」
+ ゼブルン族への祝福のことば。「喜べ、ゼブルン、野の人よ。喜べ、イッサカル、家を愛する人よ。
+ 彼らは人々を集め、共にいけにえをささげて喜びます。海の富、砂に隠れた宝をも自分の物にするからです。」
+ ガド族への祝福のことば。「ガドに手を貸す方に祝福があるように。ガドはライオンのように待ち伏せ、猛々しく獲物の腕と顔と頭を引き裂きます。
+ 彼は最良の土地を見つけました。指導者となる者の土地です。こうして人々の先頭に立ち、イスラエルのために主からの刑罰を下すのです。」
+ ダン族への祝福のことば。「ダンはライオンの子、バシャンから躍り出ます。」
+ ナフタリ族への祝福のことば。「主の祝福はみなあなたのもの、何一つ不自由はしません。ガリラヤ湖の西と南に広がる土地、それがあなたのふるさとです。」
+ アシェル族への祝福のことば。「アシェルは兄弟のだれよりも愛されている息子。神様の怒りを静めるオリーブ油に足をひたし、
+ 鉄と青銅の頑丈なかんぬきに守られ、生きる限り力にあふれているように。
+ エルサレム(エシュルン)の神様のような神は、ほかにありません。神様はあなたを助けようと雲に乗り、おそれ多くも天から下られます。
+ 永遠の神様があなたの避難所。永遠の御手があなたを支え、敵を追い散らし、『滅ぼせ』と命じます。
+ しかし、イスラエルは平和です。穀物とぶどう酒はあふれ、雨は静かに、しかも絶え間なく地を潤します。
+ 幸せなイスラエル。これほど主に祝福されるとは。これほど主に助けられた国がほかにあるでしょうか。主はあなたを守る盾、あなたを助ける剣です。敵はあなたの前で小さくなり、あなたは難なくその背中を踏みつけます。」
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+ モーセはモアブ平原から、エリコの向かいにあるネボ山に登り、ピスガの頂に立ちました。主に示されるままに約束の地を眺めると、ギルアデのずっと向こう、はるかかなたのダンまで見渡せます。
+ 北から、ナフタリの領地、エフライムとマナセの領地、ユダの領地と続き、西は地中海まで広がっています。
+ ネゲブ、ヨルダン渓谷、なつめやしの町エリコ、それにツォアルも見えます。
+ 主はモーセに語りました。「これが約束の地、いつか子孫にこの地を与えると、アブラハム、イサク、ヤコブに約束した地だ。あなたは今ようやくその国を見た。しかし、入ることは絶対に許されない。」
+ モーセは生涯、神に忠実に仕え、主が言われたとおりモアブの国で死にました。
+ 主はモーセをモアブのベテ‧ペオルの近くの谷に葬りましたが、その正確な場所を知る者はいません。
+ その時、モーセは百二十歳でしたが、まだ視力は衰えず、体力も若者のようでした。
+ イスラエル人は三十日間、モアブ平原でモーセのために喪に服しました。
+ ヌンの子ヨシュアは、知恵のあるりっぱな指導者でした。モーセがかつて、彼の頭に手を置いて任命したからです。そこで、人々はヨシュアの指導に従い、主がモーセに与えた戒めをそのとおり守りました。
+ モーセのような預言者はもう二度と現れませんでした。実に主が、面と向かって彼と話したのです。
+ 神の命令で、モーセは目をみはるような奇跡を行いました。あれほどの奇跡は、その後なされたことはありません。彼は、エジプトでは王と宮廷の人々の前で、荒野ではイスラエル人の見ている前で、神の力を示すために驚くべき奇跡を行いました。
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+ 主に忠実に従ったモーセが死ぬと、彼に仕えていたヌンの子ヨシュアに、神は告げて言いました。
+ 「わたしのしもべモーセは死んだ。あなたこそ次のイスラエルを担う新しい指導者だ。さあ、人々を率いてヨルダン川を渡り、約束の地へ行きなさい。
+ モーセに約束したとおりのことをあなたにも約束しよう。『あなたがたの行く所はどこも、イスラエルの領地となる。
+ 南はネゲブの砂漠から北はレバノン山脈まで、西は地中海から東はユーフラテス川まで、ヘテ人の全領地も含まれる。』
+ 一生の間、あなたに手向かう者などいない。わたしがモーセと共に歩んだように、あなたとも共に歩むからだ。決して見放したり、見捨てたりはしない。
+ ヨシュアよ、雄々しく立ち、勇気を出しなさい。りっぱな指導者になるのだ。わたしが先祖に与えると約束した地を全部、占領しなさい。
+ 強く雄々しくあって、勇気を出しなさい。モーセが与えた律法をしっかり守りなさい。そうすれば、あなたは成功する。
+ 人々に、律法をいつも思い出させなさい。まずあなたが、昼も夜も律法を忘れず、それを完全に守るよう心がけなさい。模範を示し、どんなことも律法どおりきちんと行わなければならない。成功するもしないも、すべてその一点にかかっている。
+ さあ、勇気を出しなさい。恐れたり迷ったりしてはならない。どこへ行っても、あなたの神であるわたしがついている。」
+ ヨシュアは指導者たちを集め、人々にヨルダン川を渡る準備をさせるよう命じました。そして、はっきりと宣言したのです。「三日以内にわれわれはヨルダン川を渡る。神様が与えてくださる地を占領するのだ。」
+ それから、ルベン族とガド族、およびマナセの半部族の族長たちを召集し、彼らがモーセと取りかわした協定を思い出させました。その協定とは、こうでした。「主は、ヨルダン川の東側のこの地を、彼らの安住の地としてお与えになった。
+ だから、妻子と家畜はここに落ち着いてよい。ただし、武装した彼らの部隊が、他の部族よりも先にヨルダン川を渡り、川の西側の約束された領地を占領するために手を貸すこと。
+ 他の部族がその地を完全に征服するまで、共に行動すること。その任務を果たして初めて、ヨルダン川の東側の地に落ち着くこと。」
+ 彼らはそれを受け入れ、ヨシュアを総指揮官として、その命令に従うことを堅く誓いました。
+ 「私たちは、モーセに従ったと同様、あなたに従います。主がモーセとともにおられたように、あなたにも伴われますように。ご命令に逆らう者はだれであろうと死に値します。どうぞ遠慮なく、断固とした姿勢で臨んでください。」
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+ さてヨシュアは、シティムの野営地から対岸へ二人の偵察者を送り込むことにしました。任務は、特にエリコの様子を調べることでした。二人は娼婦ラハブの家に着きました。そこで夜を過ごす計画だったのです。
+ ところがエリコの王に、「イスラエル人のスパイらしい、怪しい二人組が、今晩、町に忍び込んだ」と通報する者がありました。
+ 王はすぐに憲兵隊をラハブの家に差し向け、二人の引き渡しを要求しました。「あいつらはスパイだぞ。イスラエルが送り込んだのだ。どうやってわれわれを攻撃しようか、探りに来たのだ。」
+ しかしラハブは、二人をかくまったまま、憲兵隊長に答えました。「ああ、あの人たちならとっくに帰ったよ。ここにいたんだけどねえ。まさかスパイだなんて、思いもよらなかったわ。
+ 町の門が閉まるころ、夕闇にまぎれて町から出て行ったみたい。行き先までは知らないけど、急いで追いかければ捕まえられるかもしれないよ。」
+ ところが実際は、彼女は二人を屋上へ連れて行き、乾燥させるために積み上げた亜麻(麻糸の材料となる植物)の中に隠していたのです。
+ そうとも知らず、憲兵たちは二人を追って、くまなく捜しながらヨルダン川まで下って行きました。その間に、町の門は閉じられました。
+ ラハブは、二人がまだ寝ないうちに屋上に上って来て、彼らに言いました。
+ 「あなたたちの神様が、この地をあなたたちのものにしようとしていることは、よくわかっています。みんな怖がっているわ。イスラエルと聞いただけで震え上がるほどよ。
+ だって、イスラエルの人たちがエジプトを出た時、神様が紅海に道をつくられたっていうじゃない。それに、ヨルダン川の東側にいたエモリ人の二人の王様、あのシホン王とオグ王をどんな目に会わせたかということも、みんな聞いてるわ。何でもそこを攻め落とし、住民を皆殺しにしたんですって?
+ そんなことを聞いたら、怖がらないほうがおかしいでしょう。戦う勇気なんか吹っ飛ぶもの。あなたたちの神様はただの神様じゃないわね。きっと、天地を支配なさるお方に違いないわ。
+ だから、一つだけお願いを聞いてほしいの。このエリコを占領する時、いのちだけは助けてもらえないかしら。私の両親や兄弟、それにその家族も。そのことを、あなたたちの神様の聖なる御名にかけて誓ってください。あなたたちを助けた私の真心に応えてほしいのです。」
+ 彼らはうなずきました。「われわれのことをしゃべらなければ、あなたにも家族にも傷一つ負わせないと誓おう。いのちにかけても、あなたを守る。」
+ ラハブの家は町の城壁の上にあったので、二人の偵察者は、綱で窓からつり降ろしてもらいました。
+ ラハブは二人に注意しました。「山へお逃げなさい。あなたたちを捜してる追っ手が引き返して来るまで、三日間、隠れていればいいわ。それからお帰りなさい。」
+ 二人は別れぎわにこう言い残しました。「いいかい。この赤いひもを窓に結びつけておきなさい。そして、両親や兄弟など身内の者はみな、この家でいっしょにいなさい。そうでなければ、何が起きても責任はもてない。
+ 一歩でもこの家から外へ出たら保証はないが、この家にいるかぎり、一人だって殺されたり傷つけられたりはしないと、はっきり約束しよう。
+ ただし、もしあなたが裏切れば、誓いは無効だ。いいね。」
+ 「そのとおりにするわ。」こうしてラハブは、窓に赤いひもを結びつけました。
+ 二人の偵察者は山へ逃げ、三日間身を隠しました。追っ手は二人を捜し回りましたが、ついに見つけることができず、すごすごと町へ引き返して行きました。
+ その後、二人は山を下りてヨルダン川を渡り、ヨシュアのもとへ帰って一部始終を報告しました。
+ 「主は、あの地を全部、われわれに下さいます。間違いありません。住民はみな、われわれを死ぬほど恐れているのです。」
+
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+ 翌朝早く、ヨシュアに率いられたイスラエル人は、シティムを出発し、夕方にはヨルダン川の岸に着きました。川を渡る前に、そこに幾日かとどまりました。
+ 三日目に、指導者たちは野営地を巡って、人々に次のような命令を伝えました。「主の契約の箱(十戒を記した石板が納めてある)をかついでいる祭司たちの姿が見えたら、あとに従いなさい。これから行く所は見知らぬ地だから、祭司が先導するのです。ただし、箱との間は、二千キュビト(約九百メートル)の距離を保ちなさい。それより近づいてはなりません。」
+ それから、ヨシュアは人々に、それぞれ身をきよめるように命じ、「明日、主が偉大な奇跡を行われるから」と言いました。
+ 翌朝、ヨシュアは祭司たちに命じました。「契約の箱をかつぎ、先頭に立って川を渡りなさい。」言われたとおり、祭司たちは出発しました。
+ 主はヨシュアに、「今日、あなたに大きな栄誉を授けよう。わたしがモーセとともにいたように、あなたとともにいることを、イスラエルの人々に知らせるためだ。
+ 契約の箱をかつぐ祭司たちには、水ぎわに来たら水の中に立つよう命じなさい」と告げました。
+ ヨシュアは人々を召集し、語りました。「さあ、よく聞きなさい。主のことばを告げよう。
+ 生ける神があなたがたのうちにおられ、カナン人、ヘテ人、ヒビ人、ペリジ人、ギルガシ人、エモリ人、エブス人など、やがて占領する地の全住民を必ず追い払ってくださることが、今日、はっきりわかるだろう。
+ いいですか。全地の支配者である主の契約の箱が、先頭に立って、ヨルダン川を渡ろうとしている。
+ 今、各部族から一人ずつ、十二人を選びなさい。
+ 箱をかつぐ祭司たちの足が川に入った瞬間、流れはせき止められるだろう。まるで見えない壁にはばまれたように、水は盛り上がるはずだ。」
+ ちょうど刈り入れの季節を迎えたヨルダン川は、岸いっぱいに水をたたえていました。イスラエルの民が川を渡ろうと出発し、箱をかつぐ祭司たちが足を入れた時、
+ 突然、はるか川上のツァレタン付近の町アダムで水はせき止められ、盛り上がり始めたのです。また、その地点より川下の水は塩の海(死海)に流れ込み、ついに川床がむき出しになりました。こうして人々はみな、エリコの町に向かって渡ったのです。
+ 箱をかつぐ祭司たちは、川の真ん中の乾いた地面に立ち、全員が渡り終えるまで待っていました。
+
+
+ 人々が無事に渡り終えた時、主はヨシュアに語りました。
+ 「各部族から一人ずつ選ばれた十二人に命じて、ヨルダン川の真ん中の、祭司が立っている所から、一つずつ石を拾わせなさい。その十二の石を集めて、今夜野営する地に記念碑として積み上げなさい。」
+ ヨシュアは十二人を呼び出し、
+ こう命じました。「あの契約の箱のある川の真ん中に行き、一つずつ石を肩にかついで来なさい。それぞれ一つずつ、全部で十二だ。それらは十二部族を象徴する。
+ その十二の石で記念碑を建てよう。そうすれば、将来、子どもたちに『これは何の記念碑ですか』と尋ねられて、
+ 『ヨルダン川を主の箱が渡った時、水がせき止められたことを忘れないための碑だよ』と話して聞かせることができる。この記念碑は、偉大な奇跡をイスラエル人が永久に忘れないためのものだ。」
+ 十二人はヨシュアの命令に従い、川の真ん中から十二の石を拾いました。主がヨシュアに命じたとおりに、彼らはそれらの石を野営地まで運び、記念碑を建てました。
+ ヨシュアはまた、川の真ん中の祭司たちが立っていた場所にも、十二の石で記念碑を築きました。それは今もそこに建っています。
+ 箱をかついでいた祭司たちは、モーセからヨシュアに与えられた主の命令がことごとく成し遂げられるまで、川の真ん中に立ち続けていました。その間に、人々は急いで川を渡ったのです。
+ 全員が渡り終えると、みなの見守る中で、箱をかついだ祭司たちが、川から上がって先頭に立ちました。
+ 武装したルベン族とガド族、それにマナセの半部族からなる四万人の軍勢は一隊となり、主のために戦う他部族の先頭に立って、エリコの平原を目指して進みました。
+ その日は、ヨシュアにとって生涯忘れることのできない日となりました。主はイスラエル人全員の目の前で、ヨシュアに大きな栄誉を与えたのです。人々は、モーセを敬ったと同じようにヨシュアを心から敬いました。
+ ヨシュアこそが主の命を受けて、契約の箱をかつぐ祭司たちに命令を下した人だったからです。「川から上がりなさい」と祭司たちに命じるよう、主はヨシュアを促しました。
+ ヨシュアがそのとおりに命じ、
+ 祭司たちが川から上がると、たちまち水は元どおりに流れ込み、岸いっぱいにあふれました。
+ この奇跡が起こったのは第一の月の十日(太陽暦の三月二十四日)のことです。この日、全イスラエルはヨルダン川を渡り、エリコの町の東方にあるギルガルに宿営しました。
+ このギルガルに、ヨルダン川から運んだ十二の石を積み上げ、記念碑を建てました。
+ その時ヨシュアは、その意味について説明しました。「いつの日か、子どもたちが、『なぜここに、こんな石が置いてあるのですか。これはどういう意味ですか』と尋ねる時がくるだろう。
+ その時には、この十二の石は、イスラエル人がヨルダン川の乾いた土の上を渡ったのだと教えてやりなさい。
+ さらに、その時どのようにして主が、われわれの目の前で川の水をからし、全員が渡り終えるまで乾いたままにしておかれたかを教えなさい。それはまさに、四十年前の紅海での出来事と同じである。
+ 主がこうなさったのは、全世界の国民が、イスラエルの神である主こそ力ある唯一の神であると悟り、さらにあなたがたがみな、この主をいつも礼拝するようになるためなのだ。」
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+ ヨルダン川の西側の諸国民、エモリ人および地中海沿岸に住むカナン人の王はみな、主がヨルダン川の水をからし、イスラエル人が川を渡って来たと聞いて、すっかり意気阻喪し、恐怖におののきました。
+ その時、主はヨシュアに、「日を定めて、イスラエルの男子全員に割礼(男子が生まれて八日目にその性器の包皮を切り取る儀式)を施しなさい」と命じました。この儀式が行われたのは、イスラエルの歴史上、二度目のことです。主は、このために火打ち石でナイフを作るよう指示しました。この時の場所は「包皮の丘」と呼ばれています。
+ 二度目の割礼の儀式を行った理由はこうです。イスラエルがエジプトを出た時、兵役に就く年齢の男子は、すべて割礼を受けていました。しかしその世代の人々はみな、荒野を旅する間に死んでしまい、その後に生まれた子どもたちは、だれ一人割礼を受けていなかったのです。
+ イスラエルの民は四十年荒野をさまよい歩き、エジプトを出た時に兵役に就く年齢にあった男子は、ついに死に絶えました。彼らが主に従わなかったので、約束されていた乳とみつの流れる地に入らせないと主は誓ったのです。
+ ですから今、ヨシュアは彼らに代わって息子たちに割礼を施したのです。
+ 主はヨシュアに語りました。「今日わたしは、割礼を受けていないという恥をあなたがたから取り除いた。」それで、この出来事のあった場所はギルガル〔「終わらせる」の意〕と呼ばれ、現在でもそう呼ばれています。割礼を終えたのちも、彼らは傷が治るまで宿営にとどまっていました。
+ エリコの平原にあるギルガルに滞在中も、イスラエル人は第一の月の十四日の夕方になると、過越の祭りを祝いました。
+ そして翌日、自分たちの占領下にある畑から収穫した産物、パン種を入れないパンと炒り麦を食べました。すると、次の日からマナは降らなくなり、二度とマナを見ることはありませんでした。それ以来、人々はカナンの地の産物を食べるようになったのです。
+ さて、ヨシュアがエリコの町を見上げていた時、一人の人が目の前に現れました。その人は抜き身の剣を手にしていました。ヨシュアは歩み寄り、「味方か、それとも敵か」と問いただしました。
+ すると、「わたしは主の軍の将である」という答えが返ってきました。その声を聞くと、ヨシュアは地にひれ伏して彼を拝み、「どうぞご命令を」と言いました。
+ その将なる天の御使いは、「くつを脱げ。ここは聖なる地である」と言いました。ヨシュアはそのことばに従いました。
+
+
+ さて、エリコの町の城門は堅く閉じられていました。だれもがイスラエル人を恐れていたからで、人っ子ひとり出入りできないほどでした。
+ ところが、主はヨシュアにこう告げたのです。「あなたは、もう勝ったも同然だ。町も人もみな、あなたたちのものだ。
+ 六日の間、全軍を率いて、日に一度、町の周囲を回りなさい。そのあと、ラッパを手にした七人の祭司と契約の箱が続き、七日目には七度回り、祭司がラッパを吹き鳴らしなさい。
+ 祭司がラッパをひときわ高く、長く吹き鳴らしたら、全員、大声でときの声を上げなさい。町の城壁はくずれ落ちるだろう。その時、四方八方から町へ攻め込むのだ。」
+ ヨシュアは祭司たちを召集し、指示を与えました。すなわち、武装した者たちが行進の先頭に立ち、そのあとに七人の祭司がラッパを吹き鳴らしながら続くこと、そのうしろを主の契約の箱をかつぐ祭司が進み、さらに、護衛兵がしんがりを務めることなどです。
+ ヨシュアは命じました。「ラッパの音以外、音を出してはいけない。一言も発してはならない。私が『ときの声を上げよ』と言ったら、いっせいに大声で叫びなさい。」
+ その日、主の箱は一度だけ町の周囲を回りました。人々は宿営に帰り、夜を過ごしました。
+ 翌朝、夜明けとともにもう一度町の周囲を回り、宿営に戻りました。こうして六日間が同じように過ぎたのです。
+ 七日目、夜の白むころ、またも人々は立ち上がり、この日は一度ではなく七度回りました。
+ 七度目に、祭司たちが高らかに長くラッパを吹き鳴らすと、ヨシュアは大声で言いました。「ときの声を上げよ! 主はこの町をわれわれに下さったのだ!
+ 住民はみな滅ぼせ。だが娼婦ラハブと、その家の中の者たちは助けなさい。ラハブはわれわれの偵察者をかくまってくれたからだ。
+ 戦利品には手を出さず、すべて滅ぼし尽くしなさい。もしこれに背けば、イスラエル全体を災いが襲うだろう。
+ ただし、金、銀、および青銅や鉄の器具はみな、主にささげ、主の宝物倉に納めなさい。」
+ 祭司の吹き鳴らすラッパの音を聞くと、人々はあらん限りの大声を出して、いっせいにときの声を上げました。と、どうでしょう。突然、城壁がくずれ落ちたのです。それっとばかり、四方八方から攻め込み、彼らはたちまちエリコの町を占領しました。
+ 町中の者は全部、男も女も、老いも若きも死にました。また、牛や羊、ろばも殺されました。
+ それからヨシュアは、例の二人の偵察者に命じました。「約束を守りなさい。すぐ行って、ラハブと身内の者を助け出すのだ。」
+ その若者たちは、ラハブを見つけて助け出しました。もちろん、彼女の両親、兄弟、いっしょにいた親族の者たちも。彼らは、イスラエルの宿営の外で生活することになりました。
+ その間イスラエル人は、町とその中のすべてを焼き払いました。ただし、金、銀、および青銅や鉄の器具は別で、主のものとして取っておきました。
+ こうしてヨシュアは、ラハブとその家に共にいた身内の者とを救ったのです。今もなお、その一族はイスラエル人の中に住んでいます。ヨシュアがエリコ偵察のために送り込んだ者たちを、ラハブがかくまってくれたからです。
+ ヨシュアは、エリコを再建しようとする者には恐ろしい災いが下ると誓って言いました。その土台を築く者は長男を殺され、その門を建てる者は末息子を失うというのです。
+ 神が共に歩まれたので、ヨシュアの名声はこの地方一帯に知れ渡りました。
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+ しかし、イスラエル人の中に罪が潜んでいました。主にささげるもの以外は滅ぼし尽くせというヨシュアの命令が、実は守られていなかったのです。ユダ族のカルミの子で、祖父はザブディ、曾祖父がゼラフであるアカンが、戦利品の一部をふところに入れていました。そのために、主の激しい怒りがイスラエルの民に下ったのです。
+ エリコ陥落後すぐに、ヨシュアはまた、ベテル東方の町アイに数人の偵察者を送り込みました。
+ 彼らは戻って報告しました。「小さな町ですから、二、三千人もいれば十分です。すぐに占領できるでしょう。全員で攻めるまでもありません。」
+ そこで、およそ三千の兵がアイに送り込まれました。ところが、彼らはさんざんに痛めつけられたのです。
+ 戦闘中に三十六人ほどが殺されたうえ、大ぜいの兵士がアイの住民に石切り場まで追われ、次々に倒れました。イスラエル軍は、この敗北ですっかりおびえてしまいました。
+ ヨシュアと長老たちは心を痛め、衣服を裂き、頭にちりをかぶって、夕方まで主の箱の前にひれ伏しました。
+ ヨシュアは主に向かって叫びました。「ああ主よ。エモリ人の手によって私たちを滅ぼすおつもりなら、どうして私たちにヨルダン川を渡らせたのですか。どうして、すでに得ていたもので満足させてくださらなかったのですか。こんなことになるくらいなら、ヨルダン川の東側にとどまっていればよかったのです。
+ ああ主よ。敵に背を見せてしまった今となっては、どうすることもできません。
+ カナン人や近隣の民族がこれを聞けば、攻めて来るに決まっています。もはや全滅です。そうなれば、あなたの大いなる御名はどうなるのでしょう。」
+ それに対して、主は答えました。「顔を上げて立ちなさい。イスラエルは罪を犯したのだ。わたしの命令に背いて、取ってはならないと命じた戦利品を盗んだ。盗んだだけではない。偽って、自分の持ち物の中に隠している。
+ だからあなたがたは敗れた。これで敗北の原因がわかっただろう。今ではイスラエルのほうが滅ぼされる運命にある。その罪が完全に取り除かれなければ、もう、わたしはあなたがたとは共に歩まない。
+ 立て。みなにこう告げよ。『各自、明日に備えて、自分を聖別しなさい。イスラエルの神である主がこう言われるからだ。だれかが主のものを盗んだ。この罪を取り除くまで、敵を破ることはできない。
+ 明朝、あなたがたは部族ごとに進み出なさい。主が犯人のいる部族を示されるだろう。その部族は氏族ごとに分かれて進み出なさい。主が犯人のいる氏族を示してくださるだろう。次に、その氏族は家族ごとに進み出なさい。そして、犯人のいる家族は、一人ずつ前へ出るのだ。
+ 主のものを盗んだ者は、全財産もろとも、火で焼かれる。主の契約を破って、全イスラエルに災難をもたらしたからだ。』」
+ 翌朝早く、ヨシュアは主の前にイスラエルの各部族を進み出させました。すると、ユダ族に犯人がいることがわかりました。
+ ついでユダの各氏族を進み出させると、ゼラフの氏族だとわかりました。今度は、家族に分かれて主の前に進み出させたところ、ザブディの家族ということになりました。
+ ザブディ家の男子が一人ずつ連れ出されると、ついに、犯人はザブディの孫アカンであると判明したのです。
+ ヨシュアはアカンにただしました。「わが子よ。イスラエルの神に栄光を帰し、ほんとうのことを白状しなさい。さあ、何をしたか、包み隠さず話しなさい。」
+ 「私はイスラエルの神に対して、取り返しのつかない罪を犯しました。
+ ふと見ると、バビロン産の美しい外套と、金の延べ棒と、銀とがあったのです。銀は二百シェケル、金は五十シェケルの値打ちがあると思いました。すると、どうしようもなく欲しくなり、それらを自分の天幕(テント)の下に埋めたのです。銀はいちばん深い所に隠しました。」
+ さっそく人をやって戦利品を捜させたところ、アカンの供述どおり、天幕の下に隠してあった盗品が掘り出され、さらに深い所からは銀が見つかりました。
+ それらはすべてヨシュアのもとへ運ばれ、主の前に並べられました。
+ ヨシュアは全イスラエル人とともに、アカンをアコルの谷に連れて行きました。盗んだ銀、外套、金の延べ棒、それに息子、娘、牛、ろば、羊、天幕など、全財産もいっしょでした。
+ ヨシュアはアカンに言い渡しました。「どうして、われわれにこんな災難を招くようなことをしでかしたのだ。今度は、主があなたに災難を下される。」人々は彼とその家族を石で打ち殺し、死体を焼き、
+ その上に石を高く積み上げました。その石塚は現在も残っており、谷は、今もなおアコル〔災い〕の谷と呼ばれています。こうして、ようやく主の激しい怒りは収まりました。
+
+
+ それから、主はヨシュアに命じて言いました。「恐れてはいけない。勇気を出しなさい。全軍を率いて、アイを攻撃せよ。勝利は目の前にある。わたしは、アイの王と全住民をあなたの手に渡す。
+ エリコとその王にしたとおり、アイとその王にもせよ。ただし、今回は奪い取ったものや家畜を自分たちの戦利品としてもよい。町の後方には伏兵を置きなさい。」
+ 本隊がアイに向かう前に、ヨシュアは三万の精兵をひそかに派遣し、いつでも行動を起こせるよう、アイの後方のそれほど遠くない場所に、伏兵として忍ばせました。
+ ヨシュアは伏兵たちにこう説明しました。「さて作戦だが、まず本隊が攻撃をしかける。アイの軍は前回同様に町から出て来て戦うだろう。そこで、本隊は逃げる。
+ 彼らはそれを追いかけて来る。つまり、町は空っぽになるというわけだ。彼らは、『イスラエル軍がまた逃げて行くぞ。この前のとおりではないか』と言うに違いない。
+ そこに、隠れていたあなたたちが飛び出し、町に攻め入るのだ。主は町を私たちの手に渡してくださる。
+ そこに入ったら、町に火をかけるのだ。」
+ こうして三万の精兵は夜中に本隊を離れ、アイの西端とベテルとの中間の地点に隠れました。一方、ヨシュアの率いる本隊は、エリコの宿営にとどまって夜を過ごしました。
+ 翌朝早く、ヨシュアは兵を起こして長老たちを伴ってアイを目指し、
+ アイの北にある谷を前にして陣を敷きました。その夜、ヨシュアはさらに五千の兵を選んで、町の西方に隠れている別動隊に合流させ、自分はその谷で夜を過ごしました。
+ アイの王は、イスラエル軍が谷を渡って来るのを見ると、朝早く、アラバの平原で迎え撃とうと町を出ました。もちろん、町の後方に伏兵がいるとは夢にも思いませんでした。
+ ヨシュアの率いるイスラエル軍は、さんざん痛めつけられたように見せかけ、いっせいに荒野へ退却しました。
+ すると、アイの町中の兵士が追撃しようと、おびき出されたのです。案の定、町は無防備になりました。
+ アイからもベテルからも、兵士は一人もいなくなり、町の城門は開け放たれたままでした。
+ その時、主はヨシュアに命じました。「手にしている投げ槍を、アイの方に差し伸べよ。わたしがアイをあなたの手に渡すからだ。」言われたとおりにすると、
+ その合図を待っていた伏兵がいっせいに飛び出して町の中になだれ込み、火を放ちました。
+ アイの兵士たちが振り返ると、町から上る煙が空いっぱいに立ち込めているではありませんか。彼らは逃げ場を失いました。ヨシュアとその全軍は、煙を見て、伏兵が町に侵入したことを知りました。それで、追いかけて来た者たちに向き直り、反撃に出ました。
+ 町に侵入したイスラエル軍も出て来て、背後から敵に襲いかかりました。このようにしてアイは罠にはまり、全滅したのです。生き残ったり逃れたりした者は一人もいませんでした。
+ しかし、アイの王だけは捕虜とされ、ヨシュアのもとに連れて来られました。
+ イスラエル軍はアイの全軍を一人残らず倒すと、町へ取って返し、残っていた人々を次々に打ちました。
+ こうして、アイの全住民一万二千人が、その日のうちに死に絶えたのです。
+ ヨシュアは、最後の一人にとどめが刺されるまで、投げ槍をアイの方に差し伸べたままでいました。
+ ただし、家畜と分捕り物はそのまま残しておきました。それはイスラエル軍のものでした。あらかじめ主がヨシュアに、そうしてよいと告げていたのです。
+ 焼き払われたアイは荒れ果てた丘となり、現在に至っています。
+ ヨシュアは、アイの王を夕方まで木にかけてさらし、日が沈むと死体を降ろして町の門の入口に投げ捨てました。その上に積み上げた石の山は、今も見ることができます。
+ ついでヨシュアは、モーセが命じたとおり、イスラエルの神である主のためにエバル山に祭壇を築きました。
+ 律法の書に、「わたしのために、のみを当てたことのない石で祭壇を築け」と言われているとおりに。祭壇が完成すると、祭司たちはその上に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。
+ またヨシュアは、人々が見守る中で、祭壇の石に十戒を刻みつけました。
+ それから、長老、裁判官、在留外国人も含むイスラエル人全員は二組に分けられ、一方はゲリジム山のふもとに、もう一方はエバル山のふもとに立ちました。両者の間には、主の契約の箱をかつぐ祭司たちが全員を祝福しようと待ちかまえていました。すべて、先にモーセが命じたとおりに行われました。
+ ヨシュアは、モーセが律法の書に記した祝福とのろいのことばを、ことごとく読み上げました。
+ モーセの与えたすべての戒めが、女や子ども、それに在留外国人も含む全会衆の前で読み上げられたのです。
+
+
+ さて、エリコでの出来事を耳にした周辺国の王たちは、さっそく連合し、ヨシュアとイスラエル軍に全力を挙げて対抗しようとしました。ヨルダン川の西側で、北はレバノン山脈までの地中海沿岸に住む、ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の王たちでした。
+ しかしギブオンの住民は、エリコとアイでの一部始終を聞いて、何とか生き延びようと策略を巡らし、使者をヨシュアのもとへ送りました。使者の一行は、いかにも遠い国から旅して来たかのように、ぼろぼろの服を着て、繕ったくつをはき、風雨にさらされた袋と、つぎはぎだらけのぶどう酒の皮袋と、かび臭い乾ききったパンをろばに積んでいました。
+ 一行はギルガルのイスラエルの陣営に着くと、ヨシュアと人々にこう言ったのです。「私どもは、友好条約を結んでいただきたくて、遠い国からまいりました。」
+ 人々は、このヒビ人たちに答えました。「あなたたちがこの近くに住んでいないという確証はない。このあたりの住民を滅ぼせと主から命じられている以上、条約を結ぶわけにはいかない。」
+ 「私どもを奴隷にしてくださってもけっこうです。」「それにしても、あなたたちはいったい何者だ。どこから来たのか」とヨシュアは尋ねました。
+ 「私どもは遠い国からまいりました。あなたの神、主の偉大なお力と、エジプトでなさったすべてのことは知っております。
+ それに、あなたがエモリ人の二人の王、あのヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグとを、どんな目に会わせられたかもよく知っております。
+ それで、私どもの長老や住民がこう言うのです。『さあ、長旅の用意をして、イスラエルの人々を訪ねてくれ。そして、奴隷になると申し上げて、和平を求めて来るように』と。
+ このパンなど、出発した時には焼き立てのほかほかでしたが、今はごらんのとおり、すっかりひからびて、かび臭くなっております。
+ このぶどう酒の皮袋も新品でしたが、今は古びて、破れてしまっておりますし、着物もくつも、難儀な長旅ですっかりぼろぼろになってしまいました。」
+ このことばに、ヨシュアもほかの指導者たちも、とうとうその一行を信用し、主の指示を仰ぐこともせず、和を講じてしまったのです。そして、厳粛な誓いを立てて協定を結びました。
+ それから三日たって、彼らが近くの者だという事実が明らかになりました。
+ イスラエル軍は直ちに調査を開始し、三日目に彼らの町々に踏み込みました。その町の名は、ギブオン、ケフィラ、ベエロテ、キルヤテ‧エアリムです。
+ しかし、イスラエル軍は彼らを攻撃しませんでした。イスラエルの指導者たちが、先に主にかけて誓っていたからです。しかし、治まらないのは会衆で、協定を結んだことで、指導者たちに不平を鳴らしました。
+ 指導者たちは言いました。「われわれはイスラエルの神、主の前で、彼らに手を下さないと誓ってしまったのだ。だから手出しはしないでくれ。
+ どうしても生かしてやらなければならないのだ。もし誓いを破れば、主の怒りが下る。」
+ こういうわけで、ギブオンの住民は、イスラエル人の奴隷として、たきぎを割ったり、水をくんだりして暮らすことになったのです。
+ ヨシュアは彼らを呼んで、問いただしました。「あなたたちは、私たちの近くに住んでいながら、なぜ遠い国から来たなどと、だますようなまねをしたのか。
+ 今にのろいが降りかかり、あなたたちはこの後いつまでも、私たちの奴隷となり、私たちの神に仕えて、たきぎを割り、水をくむことになるだろう。」
+ 「私どもがあんなことをしたのは、イスラエルの神様が忠実なしもべモーセ様に、『この全土を征服し、住民を皆殺しにしなさい』とお命じになったことを、はっきり知っていたからです。殺されるのが怖かったのです。お赦しください。
+ どうぞ、どのようにでもお気のすむようになさってください。」
+ そこでヨシュアは、彼らを殺すことを禁じました。
+ 彼らはイスラエル人のため、また、やがて主の選ぶ場所に築かれる祭壇のためにたきぎを割り、水をくむ者となりました。それは今も続いています。
+
+
+ エルサレムの王アドニ‧ツェデクは、ヨシュアがエリコ同様アイを占領して破壊し、その王を殺害したことや、ギブオンの住民がイスラエルと和平交渉を行い、同盟を結んだことなどを聞いて、
+ 非常に恐れました。それは、ギブオンが実質的には王国の都のようであり、アイよりも大きく、そこの男たちはみな勇士だったからです。
+ そこでアドニ‧ツェデク王は、ヘブロンの王ホハム、ヤルムテの王ピルアム、ラキシュの王ヤフィア、エグロンの王デビルに使者を送り、
+ こう伝えました。「さあ、ギブオンを滅ぼすために手を貸してくれ。彼らはヨシュアやイスラエル人どもと和を講じたからだ。」
+ それで五人のエモリ人の王は、連合軍を編成してギブオンを攻撃しました。
+ ギブオンの人々は急いで、ギルガルにいるヨシュアのもとへ伝令を走らせました。「しもべどもをお助けください。少しでも早く援軍を出してください。山地のエモリ人の王たちが連合して攻めて来ます。」
+ そこでヨシュアはイスラエル軍を率いてギルガルを立ち、救援に向かいました。
+ 主はヨシュアに語りました。「恐れることはない。わたしは、彼らをあなたの手に渡した。一人としてあなたに立ち向かえる者はいない。」
+ ヨシュアはギルガルから夜通し行軍して、敵軍を急襲しました。
+ 主が敵を混乱に陥れたので、イスラエル軍はギブオンで彼らに大打撃を与え、逃げる者をベテ‧ホロンとアゼカとマケダまで追って打ち倒しました。
+ 敵がベテ‧ホロンの丘を下って敗走する時、主はアゼカへ至る道に大粒の雹を降らせ続けて、彼らを滅ぼしました。事実、イスラエル軍が剣で殺した者よりも、雹に打たれて死んだ者のほうが多かったのです。
+ イスラエル軍が敵を追いつめた時のことです。ヨシュアは民の前で大声で祈りました。「太陽よ、ギブオンの上にとどまれ。月よ、アヤロンの谷から動くな。」
+ すると、太陽も月も、イスラエル軍が敵を全滅させるまで動かずにいました。この出来事は『ヤシャルの書』(イスラエルに古くから伝わる詩的文書)にくわしく記されています。太陽は丸一日、天にとどまっていました。
+ こんなことは、あとにも先にもありませんでした。この日、主は一人の人の祈りを聞き入れ、イスラエルのために戦ったのです。
+ そののち、ヨシュアとイスラエル軍は、ギルガルの陣営に引き揚げました。
+ 五人の王は戦いの最中に逃げ出し、マケダのほら穴に身を潜めていました。
+ その王たちが見つかったという知らせを受けたヨシュアは、
+ ほら穴の入口を大きな石でふさぎ、番兵を立てて、見張るよう命じました。
+ 続いて、ヨシュアは全軍に命じました。「敵のあとを追い、しんがりから切って捨てよ。みすみす生かして帰らせてはならない。主が敵を全滅させるために、力を貸してくださるからだ。」
+ ヨシュアとイスラエル軍は、追撃の手を少しもゆるめず、五人の王の連合軍を全滅させました。ただ、ほんの一握りの者が生き残って、いのちからがら自分たちの町へ逃げ込みました。
+ 一方イスラエル軍は一人の兵士も失うことなく、マケダの陣営のヨシュアのもとに引き揚げたのです。このことがあってから、もはやイスラエルに刃向かう者はいなくなりました。
+ さてヨシュアは、部下に命じて、ほら穴の入口から石を取り除き、エルサレム、ヘブロン、ヤルムテ、ラキシュ、エグロンの五人の王を連れて来させました。
+ そして、イスラエル軍の指揮官たちに、王たちの首を踏みつけるよう命じ、
+ 言いました。「恐れたり、失望したりしてはならない。雄々しくあり、勇気を出しなさい。主は、すべての敵にこのようになさるからだ。」
+ それから、ヨシュアは五人の王を次々に打ち、死体を五本の木にかけて、夕方までさらしました。
+ 日が沈むころ、死体を木から降ろさせ、彼らが隠れていたほら穴に投げ込むよう命じました。入口には石を山のように積み上げました。それは今も残っています。
+ 同じ日、ヨシュアはマケダの町を占領し、王と全住民を打ちました。
+ 次に、イスラエル軍はリブナへ向かい、
+ そこでも、主がその町と王をイスラエルの手に渡したので、エリコと同様、最後の一人に至るまで剣で打ちました。
+ さらにイスラエル軍は、リブナからラキシュを目指し、攻撃をかけました。
+ 二日目に、主がその町をイスラエルの手に渡したので、ここでもリブナ同様、全住民が打たれました。
+ ラキシュ攻撃のさなか、ゲゼルの王ホラムが、ラキシュへ援軍を率いてやって来ましたが、ヨシュアはホラムをも倒して、彼らを一人も残しておきませんでした。
+ 次いでイスラエル軍はラキシュからエグロンに進み、一日でエグロンを占領し、ラキシュと全く同じようにしました。
+ そのあとエグロンからヘブロンに進み、
+ その町と周囲の村々を片っぱしから占領し、全住民を打ちました。
+ それからデビルに引き返し、
+ そこと周囲の村々をまたたく間に占領しました。そしてリブナと全く同じように、主と全住民を打ったのです。
+ こうして、ヨシュアが率いるイスラエル軍は、山地、ネゲブ、低地、および山の斜面の国々と王とを征服したのです。彼らはイスラエルの神、主が命じたとおり、その地に住む者を打ち滅ぼしました。
+ カデシュ‧バルネアからガザまで、またゴシェンからギブオンまで、その地の全住民を打ったのです。
+ これらはすべて、一度の出撃で果たしたものでした。イスラエルの神、主が、イスラエルのために戦ったからです。
+ こうしてヨシュアは、全イスラエルを率い、ギルガルの陣営に凱旋しました。
+
+
+ ハツォルの王ヤビンは、これらの出来事を聞いて、次の諸国の王たちに使者を立てました。マドンの王ヨバブ、シムロンの王、アクシャフの王、北方の山地の王たち、キネレテの南のアラバの王たち、低地の王たち、西方のドルの高地にいる王たち、東西のカナンの王たち、エモリ人の王たち、ヘテ人の王たち、ペリジ人の王たち、山地のエブス人の王たち、ミツパにあるヘルモン山麓の町々に住むヒビ人の王たちです。
+ 王たちはみな、呼びかけに応じて全軍勢を出動し、打倒イスラエルを掲げて結集しました。連合軍は、おびただしい馬と戦車をくり出し、
+ 海辺の砂のように戦士がメロムの泉の周辺を見渡すかぎり埋め尽くしていました。
+ しかし、主はヨシュアに語りました。「恐れてはいけない。明日の今ごろには、彼らはすべて死に果てている。敵の馬のうしろ足の腱を切り、戦車を焼き払いなさい。」
+ ヨシュアの率いる軍勢は、突然メロムの泉に現れ、連合軍に襲いかかりました。
+ 主が敵の大軍をことごとくイスラエル軍に渡したので、彼らは大シドンおよび「塩の穴」と呼ばれた場所まで、また、東はミツパの谷まで追い撃ちをかけました。この戦いで生き残った敵軍は一人もいません。
+ ヨシュアとその軍は主の命令どおり、馬のうしろ足の腱を切り、彼らの戦車を次々に焼き払いました。
+ 帰途、ヨシュアはハツォルを占領し、その王を打ちました。ハツォルは以前、この連合王国の首都だった町です。
+ 住民はすべて殺され、町は炎上しました。
+ ヨシュアは、ほかの王たちのすべての町々を攻撃し、打ち滅ぼしました。以前モーセが命じたとおり、住民をすべて殺したのです。
+ ただし、丘の上に建つ町々で焼き払ったのは、ハツォルだけでした。
+ 破壊された町々から奪い取った物と家畜はすべて、イスラエル人のものとなりました。しかし、その他の住民はみな殺されました。
+ そうするように主がそのしもべモーセに命じておかれたからです。モーセはこの命令をヨシュアに伝え、ヨシュアはそのとおり実行しました。ヨシュアは、主がモーセに与えた指示にことごとく従い、一つもたがえませんでした。
+ こうしてヨシュアは、山地、ネゲブ、ゴシェンの地、低地、アラバ、イスラエルの山地と低地を占領しました。
+ イスラエルの領土は、今やセイルに近いハラク山から、ヘルモン山麓のレバノンの谷にあるバアル‧ガドに至る全域に及びました。ヨシュアはまた、その地域のすべての王を打ちました。
+ これらの戦いは長い年月かかり、
+ ギブオンに住むヒビ人を除いては、和を講じた町は一つもありませんでした。ほかの町は、ことごとく戦い取ったものです。
+ それは、主が敵の王たちに、イスラエルと和を講じるよりも対抗する道を選ばせたからです。それで敵は、主がモーセに命じたとおり、非情にも一掃されることになったのです。
+ この戦いの間にヨシュアは、ヘブロン、デビル、アナブ、ユダやイスラエルの山地に住む巨人族、アナクの子孫を捜し出し、町もろとも全滅させました。
+ それで、イスラエルの地から巨人族は絶えましたが、それでもガザ、ガテ、アシュドデには、少数の生き残りがいました。
+ こうしてヨシュアは、主がモーセに告げた地の全域を獲得したのです。ヨシュアは、この地を相続地としてイスラエル人に与えるため、部族ごとに割り当てました。ついに戦いはやみました。
+
+
+ ヨルダン川の東側でイスラエルに滅ぼされた町々の王は次のとおり。この地域は、アルノン川の谷からヘルモン山に達する全域に及び、東方の荒れ地の町々も含みます。
+ ヘシュボンに住んでいたエモリ人の王シホン。その国は、アルノン渓谷の縁にあるアロエルから、アルノン川の中央部、さらにアモン人との境界線であるヤボク川まで及んでいました。つまり、ヤボク川の北まで広がる現在のギルアデ地域の、半分を含んでいたことになります。
+ シホンはまた、ヨルダン渓谷を、北はガリラヤ湖の西岸まで、南は塩の海(死海)とピスガ山の斜面まで支配していました。
+ アシュタロテとエデレイに住み、レファイムの最後の生き残りであったバシャンの王オグ。
+ 彼の領地は、北はヘルモン山、東はバシャン山中のサルカに達し、西はゲシュル人とマアカ人との境界線まで及んでいました。その国は、さらに南に伸びてギルアデの北半分を含み、ヘシュボンの王シホンの国と国境を接していました。
+ モーセとイスラエル人は彼らを滅ぼし、この地はモーセによって、ルベン族、ガド族、マナセの半部族に分け与えられたのです。
+ ヨルダン川の西側で、ヨシュアとイスラエル軍に滅ぼされた王たちは次のとおり。レバノン渓谷にあるバアル‧ガドと、セイル山西方のハラク山との間にあるこの地は、ヨシュアの手で、イスラエルの他の諸部族に割り当てられました。
+ この地域には、山地、低地、アラバ、山の斜面、ユダの荒野、ネゲブが含まれていました。そこに住んでいたのは、ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人です。エリコの王、ベテルのそばのアイの王、エルサレムの王、ヘブロンの王、ヤルムテの王、ラキシュの王、エグロンの王、ゲゼルの王、デビルの王、ゲデルの王、ホルマの王、アラデの王、リブナの王、アドラムの王、マケダの王、ベテルの王、タプアハの王、ヘフェルの王、アフェクの王、シャロンの王、マドンの王、ハツォルの王、シムロン‧メロンの王、アクシャフの王、タナクの王、メギドの王、ケデシュの王、カルメルのヨクネアムの王、高地の町にいるドルの王、ギルガルのゴイムの王、ティルツァの王。以上、合計、三十一人の王とその町々が滅ぼされたのです。
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+ 老人となったヨシュアに、主は声をかけました。「あなたは年老いたが、まだまだ占領しなければならない国が多くある。
+ その地は次のとおりである。ペリシテ人の全地域、ゲシュル人の地、エジプト川からエクロンの南の境に至る、カナン人の地。また、ペリシテ人の五つの町であるガザ、アシュドデ、アシュケロン、ガテ、エクロン。南のアビム人の地。北のカナン人の全地域、つまり、シドン人の領地メアラから、北はエモリ人との国境の町アフェクに至る地域。海岸地帯のゲバル人の地と、南はヘルモン山麓のバアル‧ガドから、北はレボ‧ハマテに至る、レバノンの山地全域。シドンの全地を含む、レバノンからミスレフォテ‧マイムに至る山地全域。わたしは、これらの地域の住民をイスラエル人の前から一掃しよう。そうしたら、この地を、わたしの命令どおり九つの部族とマナセの半部族とに分配すればよい。」
+ マナセの残りの半部族と、ルベン、ガドの各部族は、すでに、ヨルダン川の東側に相続地を与えられていました。モーセがあらかじめ割り当てておいたからです。
+ 彼らの土地は、アルノン渓谷の縁にあるアロエルから、その谷の中にある町を通ってディボンに至るメデバの台地までです。
+ その地域には、ヘシュボンを統治し、アモン人との境にまで手を広げていたエモリ人の王シホンのすべての町が含まれていました。
+ また、ギルアデ、ゲシュル人およびマアカ人の領地、ヘルモン山全域、サルカの町のあるバシャン、
+ それに、アシュタロテとエデレイを治めていたバシャンの王オグの全領土が含まれていました。オグはレファイム族の最後の生き残りでした。レファイム族はモーセに攻められ、追い払われていました。
+ なお、イスラエル人はゲシュル人とマアカ人を追放しなかったので、彼らは今もイスラエル人といっしょに住んでいます。
+ ただ、モーセはレビ族にだけ土地を割り当てませんでした。その代わり、彼らは神へのささげ物を受けることができました。
+ 領地の広さが人口に比例するよう、モーセはルベン族に、
+ アルノン渓谷の縁に位置するアロエルから、その谷にある町を通って、メデバの台地周辺に及ぶ地域を割り当てました。
+ そこには、ヘシュボンおよび他の台地の町々、ディボン、バモテ‧バアル、ベテ‧バアル‧メオン、
+ ヤハツ、ケデモテ、メファアテ、
+ キルヤタイム、シブマ、谷を見下ろす山にあるツェレテ‧ハシャハル、
+ ベテ‧ペオル、ベテ‧ハエシモテと、ピスガ山の斜面が含まれていました。
+ ルベンの領地は、さらに台地の町々とシホンの王国をも含んでいました。シホン王はかつてヘシュボンに住んでいましたが、モーセの手にかかって、ミデヤンの他の君主、エビ、レケム、ツル、フル、レバともども打ち殺されてしまいました。
+ このほか、ベオルの息子で魔術師のバラムも、イスラエル人に殺されたのでした。
+ ヨルダン川は、ルベン族の地の西の境界でした。
+ モーセはガド族に、その人口に見合った土地を割り当てました。
+ その領地は、ヤゼル、ギルアデのすべての町、ラバに近いアロエルまでの、アモン人の地の半分を含んでいました。
+ つまり、ヘシュボンからラマテ‧ハミツパおよびベトニムまで、マハナイムからデビルの境界まで広がっていました。
+ 渓谷(流域の平野部)には、ベテ‧ハラム、ベテ‧ニムラ、スコテ、ツァフォン、シホン王の国の残りの部分がありました。北はガリラヤ湖に達するヨルダン川が西の境界で、彼らの地はヨルダン川の東でした。
+ モーセは、マナセの半部族に、その必要に応じて以下の地を割り当てました。
+ その領地は、マハナイム以北で、バシャンの全域、かつてのオグの王国、バシャンにあるヤイルの六十の町を含む地域でした。
+ ギルアデの半分とオグの王国の町アシュタロテとエデレイは、マナセの息子マキルの氏族の半分に与えられました。
+ モーセは、かつてイスラエル人がエリコのかなた、ヨルダン川の東に野営した時、その地をこのように分配したのです。
+ ただし、レビ族には土地を与えませんでした。あらかじめ申し渡されていたとおり、主ご自身が相続地だったからです。主が彼らの必要をすべて満たすのです。
+
+
+ 占領したカナンの地は、イスラエルの残りの九部族と半部族とに割り当てられました。どの地域をどの部族に割り当てるかを決めるのに、くじを引きました。そうするように、主が指示したからです。祭司エルアザルとヨシュア、それに各部族の族長が立ち会いました。
+ 他の二部族と半部族とには、モーセによってヨルダン川の東側の土地をすでに割り当ててありました。ヨセフ族は、マナセとエフライムの二部族に分かれていました。レビ族には、居住地となる町々と家畜のための放牧地を除いては、土地の割り当ては全くありませんでした。
+ こうして、主がモーセに指示されたとおり、土地の分配は厳正に行われたのです。
+ ユダ族から、カレブに率いられた一団が、ギルガルにいるヨシュアのもとへ来ました。カレブはヨシュアに言いました。「昔カデシュ‧バルネアで、われわれ二人のことで、主がモーセに仰せられたことを忘れてはないはずだ。
+ 当時、私は四十歳だった。モーセはカナンの地を偵察させるため、われわれをカデシュ‧バルネアから偵察に送り出した。私は実状をありのままに報告したが、
+ いっしょに行った仲間はそうではなかった。みなを震え上がらせるようなことを言って、約束の地に踏み入る勇気をくじいてしまった。だが、私はずっと主に従い続けてきた。
+ モーセは私に、『あなたが足を踏み入れたカナンの地は、永久に、子々孫々あなたの相続地となる。あなたが、私の神、主に従い通したからだ』と約束してくれたのだ。
+ ごらんのとおり、あれから今まで、荒野をさまよった四十五年間も、主は私を生かしておいてくださり、もう八十五歳となった。
+ あの旅の空で、モーセが偵察を命じてくれた時と比べて、私は少しも弱ってなどいない。今でもちゃんと旅もできるし、戦うことだってできる。
+ だからどうか、主が約束してくださったこの丘陵地を、私に与えてくれないか。われわれが偵察隊だったころ、城壁を巡らした大きな町々にアナク人が住んでいるのを、この目で見たのを覚えているだろう。だが、主が共にいてくださるなら、彼らを追い払うことなどたやすいと思っている。」
+ ヨシュアはカレブを祝福し、末代までの相続地としてヘブロンを与えました。カレブがイスラエルの神である主に従い通したからです。
+ 以前、そこはアナク人の英雄にちなんでキルヤテ‧アルバと呼ばれていました。こうして、イスラエル人がこの地を治めるようになったあと、この地から戦いはやみました。
+
+
+ くじによってユダ族に割り当てられた地は、その南の境界線が、エドムの北の境から始まってツィンの荒野を通り、ネゲブ地方の北端まででした。
+ もっとくわしく記すと、この境界線は、塩の海(死海)の南の入り江から始まり、アクラビム丘陵地帯の南を走る道路に沿って、ツィンの荒野からカデシュ‧バルネアの南にあるヘツロンに延び、さらにカルカとアツモンを通り、最後にエジプト川に出て、地中海に達します。
+ 東の境界線は、塩の海の西岸沿いにヨルダン川の河口までです。北の境界線は、ヨルダン川が塩の海に注ぐ河口の入り江から始まり、
+ ベテ‧ホグラとベテ‧ハアラバの北方を経て、ルベンの子ボハンの石に至り、
+ その地点からアコルの谷を通ってデビルに進みます。デビルでギルガル方面へ北西に曲がりますが、ギルガルはその谷の南斜面、アドミム一帯の反対側に当たります。ギルガルより先は、エン‧シェメシュの泉とエン‧ロゲルに進みます。
+ さらにこの境界線は、その先ベン‧ヒノムの谷を通り、エルサレムの町であるエブスの南側に沿って進み、それから西に向かい、ヒノムの谷とレファイムの谷の北端を見下ろす、山の頂に達します。
+ 続いて、その山頂からメ‧ネフトアハの泉へ延び、さらにエフロン山の町々に達し、そこからキルヤテ‧エアリムとも呼ばれるバアラの周辺を北に迂回します。
+ 続いて境界線は、バアラから西に回ってセイル山に至り、エアリム山の北斜面にあるケサロンの町を経て、ベテ‧シェメシュに下ります。そこで再び北西に向きを変え、ティムナの南を通って、エクロンの北側にある山の斜面に出ます。そこで左に折れ、シカロンの南とバアラ山を通ります。そこから再び北に向かい、ヤブネエルを通って、最後は地中海に達するのです。
+ 地中海の海岸線が、ユダ族の西の境界線です。
+ 主はヨシュアに、ユダの領地の一部をエフネの子カレブに割り当てるよう指示しました。それでカレブは、アナクの父親にちなんだ名前の町キルヤテ‧アルバ、すなわちヘブロンを与えられたのです。
+ カレブは、アナクの三人の息子、シェシャイ、アヒマン、タルマイの子孫を追い払い、
+ ついで、元はキルヤテ‧セフェルといっていたデビルの住民と一戦を交えました。
+ その時カレブは、「キルヤテ‧セフェルを攻め取った者には、私の娘のアクサを妻として与えよう」と宣言しました。
+ ケナズの子で、カレブの甥に当たるオテニエルがその町を征服したので、アクサはオテニエルの妻となりました。
+ 嫁入りの際、オテニエルは、結婚祝いに父親から畑をもらうようにアクサを説き伏せました。父親と話そうと、彼女がろばから降りたので、カレブは彼女に尋ねました。「どうした。私にしてやれることがあれば、何でも言いなさい。」「お父さん、お祝いにもっと頂きたいものがあるの。ネゲブの土地を下さるのなら、そこは荒れ地ですから、泉も分けてほしいわ。」それでカレブは、アクサに上の泉と下の泉も与えることにしました。
+ ユダ族に割り当てられた地は、次のとおり。
+ ネゲブにあるエドムの国境に面したユダの町々、すなわち、カブツェエル、エデル、ヤグル、キナ、ディモナ、アデアダ、ケデシュ、ハツォル、イテナン、ジフ、テレム、ベアロテ、ハツォル‧ハダタ、ケリヨテ‧ヘツロンすなわちハツォル、アマム、シェマ、モラダ、ハツァル‧ガダ、ヘシュモン、ベテ‧ペレテ、ハツァル‧シュアル、ベエル‧シェバ、ビズヨテヤ、バアラ、イイム、エツェム、エルトラデ、ケシル、ホルマ、ツィケラグ、マデマナ、サヌサナ、レバオテ、シルヒム、アイン、リモン。全部で、二十九の町とそれに属する周辺の村々です。
+ 低地にあった次の町々も、ユダに与えられました。エシュタオル、ツォルア、アシュナ、ザノアハ、エン‧ガニム、タプアハ、エナム、ヤルムテ、アドラム、ソコ、アゼカ、シャアライム、アディタイム、ゲデラ、ゲデロタイム。全部で、十四の町とそれに属する周辺の村々です。
+ ユダ族は、このほか二十五の町と、それに属する村々も相続しました。すなわち、ツェナン、ハダシャ、ミグダル‧ガド、ディルアン、ミツパ、ヨクテエル、ラキシュ、ボツカテ、エグロン、カボン、ラフマス、キテリシュ、ゲデロテ、ベテ‧ダゴン、ナアマ、マケダ、リブナ、エテル、アシャン、エフタ、アシュナ、ネツィブ、ケイラ、アクジブ、マレシャ。
+ ユダ族の領地は、エクロンの町々と村々の全部も含んでいました。
+ その境界線はエクロンから地中海にまで達し、アシュドデの境界付近の町々と周辺の村々、
+ アシュドデの町と周辺の村々、エジプト川に至るまでのガザと周辺の村々、さらに、南はエジプト川の河口から北はツロに至るまでの、地中海沿岸全域も含んでいました。
+ ユダはさらに、山地の四十四の町と周辺の村々も相続しました。すなわち、シャミル、ヤティル、ソコ、ダナ、キルヤテ‧サナすなわちデビル、アナブ、エシュテモア、アニム、ゴシェン、ホロン、ギロ、アラブ、ドマ、エシュアン、ヤニム、ベテ‧タプアハ、アフェカ、フムタ、キルヤテ‧アルバすなわちヘブロン、ツィオル、マオン、カルメル、ジフ、ユタ、イズレエル、ヨクデアム、ザノアハ、カイン、ギブア、ティムナ、ハルフル、ベテ‧ツル、ゲドル、マアラテ、ベテ‧アノテ、エルテコン、キルヤテ‧バアルすなわちキルヤテ‧エアリム、ラバ、ベテ‧ハアラバ、ミディン、セカカ、ニブシャン、塩の町、エン‧ゲディ。
+ しかしユダ族は、エルサレムに住んでいたエブス人を追い出すことができませんでした。それでエブス人は、今もなおユダの人々とともに生活しています。
+
+
+ ヨセフ族〔エフライムと、マナセの半部族〕がくじで割り当てられた地の境界線は、エリコ付近のヨルダン川から荒野を通り、ベテルの山地へと延び、ベテルからルズに、それからアルキ人の領地アタロテへと進みます。次に西に向かって、下ベテ‧ホロンに近いヤフレテ人との境界に下り、さらにゲゼルに出て、地中海に行き着きます。
+ エフライム族に割り当てられた相続地は次のとおり。その東の境界線は、アテロテ‧アダルから始まり、上ベテ‧ホロンを通って地中海に達します。北の境界線は、地中海から東方へとミクメタテを通り、さらに東進してタアナテ‧シロとヤノアハを通ります。
+ ヤノアハから南に回ってアタロテとナアラに下り、エリコを経てヨルダン川で終わるのです。
+ 北の境界線の西半分は、タプアハからカナ川に沿って進み、終わりは地中海に達します。
+ なお、エフライム族には、マナセの半部族の領地内の町々も一部与えられました。
+ ゲゼルに住むカナン人は追い払われなかったので、今も奴隷として、エフライムの人々の中で生活しています。
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+ ヨセフの子マナセの半部族がくじで割り当てられた地は次のとおり。マナセの長男で、ギルアデの父マキルの氏族は、〔ヨルダン川東岸の〕ギルアデとバシャンの地をすでに与えられていました。彼らが勇敢な戦士だったからです。
+ それで、ヨルダン川の西側の地は、アビエゼル、ヘレク、アスリエル、シェケム、シェミダ、ヘフェルの各氏族に割り当てられることになりました。
+ ところが、ギルアデの孫、マキルのひ孫、マナセから四代目に当たる、ヘフェルの子ツェロフハデには息子がいませんでした。その代わり、マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァという五人の娘がいました。
+ 娘たちは、祭司エルアザル、ヨシュア、およびイスラエルの指導者たちの前に進み出て、申し立てました。「主がモーセ様におっしゃったことによれば、私どももこの部族の男の方々と同様、土地を相続できるはずです。」
+ その結果、主がモーセを通して与えた命令どおり、五人の娘は五人の大伯父と並んで相続地を受けました。結局マナセの相続地の全体は、ヨルダン川の東岸のギルアデとバシャンのほかに十の地区となりました。
+ マナセ族の北の境界線は、アシェルの境界から南下して、シェケム東方のミクメタテに達し、さらに南進し、ミクメタテからエン‧タプアハに至ります。
+ タプアハの地はマナセのものでしたが、境界線上のタプアハの町はエフライム族に属していました。
+ 境界線は、そこからカナ川の北岸に沿って下り、地中海に至ります。川の南にある町々は、マナセの領地にありながら、エフライム族のものでした。
+ 川の南側、西は地中海に至るまでの地域は、エフライム族に割り当てられました。川の北側の地中海東岸地域はマナセ領となりました。マナセは、北はアシェルの領地と、東はイッサカルの領地とそれぞれ境を接していました。
+ マナセの半部族にはまた、イッサカルとアシェルの領地内の次の町も与えられました。ベテ‧シェアン、イブレアム、ドル、エン‧ドル、タナク、メギドとその周辺の村々です。
+ しかし、マナセの子孫はこれらの町の住民を一掃できなかったので、カナン人が残りました。
+ イスラエル人が勢力を増し、カナン人を奴隷として酷使するようになってからも、彼らを追い出すことはできなかったのです。
+ その後、ヨセフの二部族がヨシュアのもとに来て問いただしました。「主が私たちをこんなにも大所帯にしてくださったのに、なぜ一つの割り当て地しか下さらないのですか。」
+ 「もしエフライムの山地が狭いのなら、こうしたらいいだろう。その気があるのなら、ペリジ人やレファイム人が住んでいる森林地帯を切り開くのだ。」
+ 「あそこならありがたい。何しろ、ベテ‧シェアンの回りの低地やイズレエルの谷のような所には、鉄の戦車を備えた、なかなか手強いカナン人がいますから。」「ではまず、山地の森林地帯を手に入れることだ。あなたたちはこんなに数も多く、力も強い部族だから、きっとあそこを切り開いて住みつけるだろう。それに、いかに相手が手強く、鉄の戦車を持っていようと、谷からカナン人を追い出すことさえ不可能ではない。」
+
+
+ 約束の地を征服したのち、といっても、まだ七つの部族は、神が与えてくださるという約束の地を征服したわけではありませんでした。イスラエルの民はシロに集まり、幕屋を建てました。
+ そこで、ヨシュアは言いました。「いつまでためらっているのか。主が与えてくださる地の住民を追い出しに行こうとしないのか。
+ さあ、各部族から三人ずつを選びなさい。その者たちに、まだ征服していない地を偵察させ、広さや分配方法について報告させよう。その情報に基づいて、土地を割り当てることにしたい。
+ 偵察して来た者は、七区分に色分けした地図を作りなさい。私がくじを引いて、それぞれの地区をどの部族に割り当てればよいかを決めよう。
+ ただし、よく覚えておきなさい。レビ族はどの土地も受けてはならない。彼らは主に仕える祭司であり、そのこと自体がすばらしい相続なのだ。言うまでもないが、ガドとルベンの各部族およびマナセの半部族にも割り当て地はない。すでにヨルダン川の東側に、モーセが約束した相続の地を得ているからだ。」
+ そこで、調査隊は地図を作って、ヨシュアに報告するために出かけて行きました。その報告書に基づいて、ヨシュアはくじを引いて、その他をそれぞれの部族に割り当てることにしたのです。
+ 調査隊は命じられたとおり、調べ上げた全地域を七区分し、それぞれに町の名を記入して、シロの宿営にいるヨシュアのもとに戻りました。
+ そこで主は、シロの幕屋の中で、くじによる土地の割り当てをヨシュアに指示したのです。
+ ベニヤミン族がくじによって割り当てられた地域は、先にユダとヨセフの部族が得た領地の間にありました。
+ 北の境界線はヨルダン川から始まり、エリコの北に出て山地を西に進み、ベテ‧アベンの荒野を通ります。
+ そこからベテルとも呼ばれるルズに向かって南下し、下ベテ‧ホロンの南の山地にあるアテロテ‧アダルに至ります。
+ そこで境界線は南に回り、ベテ‧ホロン付近の山を通って、ユダ部族の町キルヤテ‧バアルすなわちキルヤテ‧エアリムで終わるのです。これが西の境界線です。
+ 南の境界線は、キルヤテ‧バアルの端から、エフロン山を越えてメ‧ネフトアハの泉に至り、
+ レファイムの谷の北に当たるベン‧ヒノムの谷を見下ろす山のすそに下ります。そこからヒノムの谷を越え、エブス人の住むエルサレムの町の南を通り、エン‧ロゲルに下ります。
+ エン‧ロゲルから北東に向きを変え、エン‧シェメシュに出て、さらにアドミムの坂に対しているゲリロテに出ます。それからルベンの息子ボハンの石に下り、
+ アラバの北端に沿って進みます。境界線はさらにアラバに下り、
+ ベテ‧ホグラの南を通り、塩の海(死海)の北の入り江で終わるのです。入り江はヨルダン川の南端に当たります。
+ 東の境界線はヨルダン川で、これがベニヤミン族の割り当て地です。
+ ベニヤミン族の相続地には、次の二十六の町が含まれていました。エリコ、ベテ‧ホグラ、エメク‧ケツィツ、ベテ‧ハアラバ、ツェマライム、ベテル、アビム、パラ、オフラ、ケファル‧ハアモナ、オフニ、ゲバ、ギブオン、ラマ、ベエロテ、ミツパ、ケフィラ、モツァ、レケム、イルペエル、タルアラ、ツェラ、エレフ、エブス〔別名エルサレム〕ギブア、キルヤテ‧エアリム。これらの町とその周辺の村々がすべて、ベニヤミン族に与えられたのです。
+
+
+ 二番目のくじによって、シメオン族は次の相続地を受けましたが、それは、先にユダ族に割り当てられた地に含まれていたものです。
+ 彼らの相続地は、以下の十七の町とその周辺の村々を含んでいました。すなわち、ベエル‧シェバ、シェバ、モラダ、ハツァル‧シュアル、バラ、エツェム、エルトラデ、ベトル、ホルマ、ツィケラグ、ベテ‧マルカボテ、ハツァル‧スサ、ベテ‧レバオテ、シャルヘン、エン‧リモン、エテル、アシャン。
+ ネゲブにあるラマとしても知られていたバアラテ‧ベエルのような南の町も、シメオン族のものとされました。
+ こうしてシメオンの相続地は、先にユダに与えられた地の一部を取りました。ユダに割り当てられた地域が広すぎたからです。
+ 三番目のくじで領地を割り当てられたのはゼブルン族でした。その境界線はサリデの南側から始まり、
+ そこから西に回り、マルアラからダベシェテを通って、ヨクネアムの東を流れる川まで達します。
+ 次に東に向きを変え、キスロテ‧タボルの境界に至り、そこからダベラテとヤフィアに出ます。
+ それから東のガテ‧ヘフェル、エテ‧カツィン、リモンに進み、ネアの方へ曲がります。
+ 北の境界線は、ハナトンを通り、エフタ‧エルの谷で終わります。
+ この地域の町々には、すでに挙げた町のほか、カタテ、ナハラル、シムロン、イデアラ、ベツレヘムなどの町と、その周辺の村々が含まれていました。町は全部で十二です。
+ 四番目のくじで土地を割り当てられたのはイッサカル族でした。その境界内には、次の町が含まれています。すなわち、イズレエル、ケスロテ、シュネム、ハファライム、シオン、アナハラテ、ラビテ、キシュヨン、エベツ、レメテ、エン‧ガニム、エン‧ハダ、ベテ‧パツェツ、タボル、シャハツィマ、ベテ‧シェメシュ。これら十六の町には、周辺の村々も含まれます。イッサカルの境界線はヨルダン川で終わります。
+ 五番目のくじで土地を割り当てられたのはアシェル族でした。その境界内には、次の町が含まれていました。ヘルカテ、ハリ、ベテン、アクシャフ、アラメレク、アムアデ、ミシュアル。境界線は、西のカルメルから始まってシホル‧リブナテに至り、
+ 東のベテ‧ダゴンに向きを変え、エフタ‧エルの谷にあるゼブルンまで進み、ベテ‧ハエメクの北を通ってネイエルに達します。次にカブルの東を通り、
+ エブロン、レホブ、ハモン、カナを経て大シドンに至るのです。
+ それから境界線はラマに向かい、要塞の町ツロを経て、ホサのあたりで地中海に達します。その領地には、マハレブ、アクジブ、
+ アコ、アフェク、レホブなど、合計二十二の町と周辺の村々が含まれていました。
+ 六番目のくじで土地を割り当てられたのはナフタリ族でした。
+ その境界線は、ヘレフとツァアナニムの樫の木から始まり、アダミ‧ハネケブ、ヤブネエル、ラクムを通って、ヨルダン川で終わります。
+ 西の境界線は、ヘレフの近くからアズノテ‧タボルを通過しフコクに出ます。南はゼブルンと、西はアシェルと境を接し、東の境界線はヨルダン川です。
+ 領地内の城壁を巡らした町は、次のとおりです。ツィディム、ツェル、ハマテ、ラカテ、キネレテ、アダマ、ラマ、ハツォル、ケデシュ、エデレイ、エン‧ハツォル、イルオン、ミグダル‧エル、ホレム、ベテ‧アナテ、ベテ‧シェメシュ。ナフタリの領地内の町は合計十九で、周辺の村々も含まれます。
+ 最後、七番目に土地を割り当てられたのはダン族でした。
+ その地域には次の町がありました。ツォルア、エシュタオル、イル‧シェメシュ、シャアラビン、アヤロン、イテラ、エロン、ティムナ、エクロン、エルテケ、ギベトン、バアラテ、エフデ、ベネ‧ベラク、ガテ‧リモン、メ‧ハヤルコン、ラコン、ヨッパ(ヤフォ)の近くの地。
+ しかし、その中には征服できない地域もあったので、ダン族はレシェムの町と戦って占領し、住みつきました。そして町の名を、先祖にちなんで「ダン」と呼ぶことにしたのです。
+ こうして、全地が明確な境界線のもとに、各部族に分配されました。さらに、特別な地域がヨシュアのものとされました。
+ 主が、ヨシュアには望みどおりの町を与えようと言われたからです。ヨシュアはエフライム山中のティムナテ‧セラフを選び、町を再建して住みました。
+ この部族間の土地分配をめぐる神聖なくじ引きには、祭司エルアザル、ヨシュア、各部族の族長が立ち会いました。これらは、神の見守りのうちに、シロにある幕屋の入口で行われました。
+
+
+ さて、レビ族の指導者たちはシロに出向いて来て、祭司エルアザルやヨシュア、および他部族の族長に相談を持ちかけました。
+ その申し出は、「主がモーセによって指示なさったことだが、われわれにも住む家と家畜用の放牧地とを確保してもらいたい」というものでした。
+ そこで、征服したばかりの幾つかの町が、放牧地も含めて、レビ人に与えられることになりました。
+ 町は十三でしたが、初めにユダ、シメオン、ベニヤミンの各部族に割り当てられたものです。これらの町は、レビ族の中でも、アロンの子孫であるケハテ氏族の祭司たちに与えられました。
+ このほかのケハテの人々には、エフライム、ダン、マナセの半部族の各領地から十の町が与えられました。
+ 同様にゲルション氏族は、くじによってバシャンにある十三の町を譲り受けました。その町は初め、イッサカル、アシェル、ナフタリの各部族と、マナセの半部族に与えられたものでした。
+ メラリ氏族は、ルベン、ガド、ゼブルンの各部族から十二の町を譲り受けました。
+ モーセへの主のご命令どおり、これらの町と放牧地は、くじによって、レビ人に割り当てられたのです。
+ 最初に割り当てを受けたのは、祭司、つまりレビ人のうちでもケハテ氏族の中のアロンの子孫でした。その領地の内訳を見ると、ユダとシメオンの部族から、次にあげる九つの町が、周囲の放牧地とともに与えられたのでした。まず、ユダの山地内の、避難用の町でもあるヘブロン。別名を、アナクの父アルバの名にちなんで、キルヤテ‧アルバともいいます。ただし、町の畑と周辺の村々は、エフネの子カレブのものです。ほかに、リブナ、ヤティル、エシュテモア、ホロン、デビル、アイン、ユタ、ベテ‧シェメシュ。
+ また、次にあげる四つの町と放牧地が、ベニヤミン族から譲られました。ギブオン、ゲバ、アナトテ、アルモン。
+ 以上の合計十三の町が、アロンの子孫である祭司に与えられたのです。
+ ケハテの他の諸氏族は、エフライム族から、次の四つの町と放牧地を譲り受けました。避難用の町シェケム、ゲゼル、キブツァイム、ベテ‧ホロン。
+ ダン部族からは、次にあげる四つの町と放牧地が譲られました。エルテケ、ギベトン、アヤロン、ガテ‧リモン。
+ マナセの半部族は、タナク、ガテ‧リモンの町と周囲の放牧地を譲りました。
+ 以上、ケハテの他の諸氏族が受けた町と放牧地の数は、全部で十に上ります。
+ レビ人に属するゲルション氏族は、マナセの半部族から、次の二つの町と放牧地を譲り受けました。バシャンにある避難用の町ゴラン、ベエシュテラ。
+ イッサカル族は、次の四つの町と放牧地を譲りました。キシュヨン、ダベラテ、ヤルムテ、エン‧ガニム。
+ アシェル族は、次の四つの町と放牧地を譲りました。ミシュアル、アブドン、ヘルカテ、レホブ。
+ ナフタリ族は、次の三つの町と放牧地を譲りました。ガリラヤにある避難用の町ケデシュ、ハモテ‧ドル、カルタン。
+ こうして、合計十三の町と放牧地がゲルション氏族の所有となったのです。
+ レビ人のもう一つの氏族であるメラリ氏族には、ゼブルン部族から、次の四つの町と放牧地が譲られました。ヨクネアム、カルタ、ディムナ、ナハラル。
+ ルベン族は、次の四つの町と放牧地を譲りました。ベツェル、ヤハツ、ケデモテ、メファアテ。
+ ガド族は、次にあげる四つの町と放牧地を譲りました。避難用の町ラモテ、マハナイム、ヘシュボン、ヤゼル。
+ これでメラリ氏族は、合計十二の町を与えられたことになります。
+ レビ人に与えられた町と放牧地の数は、全部で四十八でした。
+ このようにして主は、イスラエルの先祖に約束した地をすべてイスラエル人に与えました。そこで、人々はその地を占領して住みついたのです。
+ 約束どおり平和が訪れ、立ち向かって来る敵は一人もいませんでした。敵という敵はすべて、主の助けによって滅ぼし尽くしたからです。
+ 主がイスラエルに約束された良いことはみな、そのとおりに実現したのです。
+
+
+ さてヨシュアは、ルベンとガドの各部族、マナセの半部族からなる一隊を召集し、
+ こう語りました。「みんな、主のしもべモーセの命令をよく守ってくれた。また、私が語った主の命令も、ことごとく守ってくれた。戦闘がこんなに長引いたにもかかわらず、仲間の部族を見捨てず、よく戦ってくれた。
+ 今われわれは、主のお約束どおり、勝利と安息を手に入れたのだ。さあ今、主のしもべモーセが与えた、あのヨルダン川の向こうの地へ帰るがよい。
+ これからも、モーセが与えたすべての律法を守り続けなさい。いのちの限り主を愛し、あなたがたのための主の計画に従い、主にすがり、主に熱心に仕えなさい。」
+ ヨシュアは彼らを祝福し、各自の領地へ帰らせました。
+ マナセ部族の場合は、その半分に、モーセがバシャンの地を割り当ててありましたが、他の半分は、ヨルダン川の西側の土地を与えられました。ヨシュアは彼らを送り出すに当たり、祝福し、彼らが得た莫大な富、すなわち家畜、金、銀、青銅、鉄、衣服などの戦利品を持たせてやり、帰ったら同胞と分け合うように指示しました。
+ それで、ルベンとガドとマナセの半部族は、カナンの地のシロでイスラエル人に別れを告げ、ヨルダン川を渡って自分の地であるギルアデの地へ向かいました。
+ ところがヨルダン川を渡る寸前、まだカナンの地にいる時、彼らは、だれの目にも留まるほど大きな、祭壇をかたどった記念碑を建てたのです。
+ このことを伝え聞いた他のイスラエル人は、
+ シロに全軍を集結し、戦いを交える構えを見せました。
+ それで、まず祭司エルアザルの子ピネハスを団長とする代表団を送ることにしたのです。一行はヨルダン川を渡り、ルベン、ガド、マナセの各部族と話し合うことにしました。
+ この代表団には、十部族の族長の家から一人ずつ、十人が加わっていました。
+ ギルアデに着いた一行は問いただしました。
+ 「主の国民である私たちは、なぜ君たちがイスラエルの神に罪を犯すようなまねをしたのか、ぜひとも知りたい。なぜ主から離れ、反逆のしるしである祭壇を築いたのだ。
+ 私たちがかつてペオルで犯した罪を覚えているか。そのために、あれほど大きな災いが下ったというのに、まだあの罪はぬぐい去られていなかったというわけか。あんなことなど問題ではないと言うつもりか。それで、また反抗するのか。わかっているのだろうか。君たちが今日、主に反逆すれば、明日、全員に主の怒りが燃え上がるだろう。
+ この地が汚れているので祭壇が必要だというのなら、川向こうの幕屋のある私たちの地に来るがよい。私たちの土地を君たちと共有にしてもかまわないのだ。主の祭壇はただ一つだ。ほかに祭壇を築いて、主に反逆するようなまねはやめなさい。
+ まさか忘れてはいないだろう。ゼラフの子アカンのことだ。彼一人が罪を犯したために、イスラエルの全国民がきびしく罰せられたではないか。」
+ こう言われて、ルベンとガドとマナセの半部族の人々は弁明しました。
+ 「神の神、主に誓って申し上げます。私たちは反逆するつもりで祭壇を築いたのではありません。主はご存じです。皆さんにもわかってほしいのですが、私たちは、焼き尽くすいけにえや、穀物の供え物や、和解のいけにえをささげるために祭壇を築いたのではありません。もしそうなら、幾重にも主にのろわれますように。
+ 実は、イスラエルの神、主を愛すればこそ、このようにしたのです。それに将来、私たちの子どもが皆さんの子どもから、こう言われはしないかと心配だったのです。『どんな権利があって、おまえたちはイスラエルの神様を礼拝するのだ。おまえたちと僕らは別々なんだ。主がちゃんとヨルダン川という境界を置いていらっしゃるではないか。おまえたちなんか主の民ではない』と。実際、息子の代になってから、私たちの子どもが主を礼拝するのをはばまれるかもしれませんから。
+ ですから、私たちも焼き尽くすいけにえや和解のいけにえ、その他のいけにえをささげて主を礼拝できることを、私たちと皆さんとの子どもに示す記念碑として、あの祭壇を築いたのです。そうすれば、私たちの子孫が、『おまえらなんか主の民ではない』などと言われることもないでしょう。
+ たとえそう言われても、胸を張って答えることができます。『僕らの先祖が、主の祭壇の型にならって作った、この祭壇を見てくれ。これは焼き尽くすいけにえや、その他のいけにえをささげるつもりのものではない。ただ、僕らと君たちが、共に神様と結び合わされた者どうしであることのしるしなのだ。』
+ 焼き尽くすいけにえや穀物の供え物、その他のいけにえをささげる祭壇を築いて、主から離れたり、反逆したりするなんて、とんでもない。ありえないことです。いけにえをささげる祭壇は、幕屋の前にある祭壇だけなのですから。」
+ 祭司ピネハスと随員は、ルベン、ガド、マナセの各部族から事情を聞いて、安堵しました。
+ ピネハスはこう言いました。「本日、私たちの真ん中には主がおられることが明らかになった。なぜなら君たちは、こちらが懸念したような主への罪を犯していないのだから。いやむしろ、私たちを滅びから救ってくれたのだ。」
+ ピネハスと十人の代表は、帰って一部始終を報告しました。
+ イスラエル人はみな大喜びし、神をほめたたえ、二度とルベンやガドの部族と戦おうとは言わなくなりました。
+ 一方、ルベンとガドの人々は例の祭壇を、「私たちにとっても彼らにとっても、主が神であることの証拠だ」と言って、「あかしの祭壇」と名づけました。
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+
+ 主がイスラエルを敵から守り、彼らに勝利を与えてから、かなりの年月がたち、ヨシュアも老人になりました。
+ 彼は、イスラエルの指導者である長老、裁判官、長たちを呼び、語りました。「私も、もう年をとった。
+ あなたがたは、私の生涯を通じて、主があなたがたのためにどれほどのことをしてくださったか、つぶさに見てきたはずだ。敵と戦い、この地を分け与えてくださったのもあなたがたの神、主である。
+ 見てのとおり、私は、すでに征服した国々だけでなく、まだ征服していない国々をも各部族に分配した。ヨルダン川から地中海に至る全地域はあなたがたのものだ。主が必ず、現在そこに住んでいる人々を一掃し、約束どおり、あなたがたが住めるようにしてくださる。
+ ただ、モーセの律法に記されたことは、一つ残らず守りなさい。少しでも違反してはならない。
+ この地になお残っている異教の民とは、断じて交わってはならない。その神々の名を口にしてもいけない。まして神々によって誓ったり、礼拝したりすることなど、あってはならない。
+ ただ、今まで同様、主にのみ従いなさい。
+ 主が、目の前の強大な国を次々と追い払ってくださった以上、もうだれ一人、立ち向かう者はいない。
+ あなたがたは一人で千人を向こうに回して戦うことができる。主が約束どおり、あなたがたに味方して戦ってくださるからだ。
+ 心して、いつまでも主を愛し続けなさい。
+ もし主を愛さず、周辺の民と結婚したりするなら、
+ しっかり覚えておきなさい。主は、敵であるその住民をこの地から追い出すのをやめられるだろう。それどころか、彼らの存在はあなたがたにとって罠となり、落とし穴となる。また、わき腹を打つむち、目を刺すとげとなる。そしてついには、あなたがたのほうが主の与えてくださったこの良い地から消え失せることになるのだ。
+ まもなく私は、世の人々の例にならい死を迎えるだろう。よくわかってくれていると思うが、主のお約束はすべて実現した。
+ だが主は、約束どおり良いものを与えてくださったのと同じ確かさで、あなたがたが従わない場合には、災いを下す方である。ほかの神々を拝んだりすれば、この地から抹殺されることになる。主の怒りが燃え上がれば、たちどころに滅ぼされてしまうのだ。」
+
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+
+
+ ヨシュアの死後、イスラエルの民は主からの指示を仰ごうと尋ねました。「カナン人と戦うには、まずどの部族が出陣すればよいでしょうか。」
+ すると、「ユダ族が行きなさい。彼らに輝かしい勝利を約束しよう」と主は言いました。
+ そこで、ユダ族の指導者たちは、シメオン族に加勢を求めました。「私たちの割り当て地に住む者たちを追い払うのに力を貸してほしい。その代わり、あなたたちが戦う時には必ず応援するから。」そうして、シメオンとユダの軍隊は合流して出陣しました。
+ 主の助けによって、彼らはカナン人とペリジ人を打ち破りました。このベゼクでの戦闘で、なんと一万人もの敵を打ったのです。アドニ‧ベゼク王は逃げ出したものの、すぐ捕らえられ、手足の親指を切り取られました。
+ 「わしもこうやって七十人もの王の親指を切り取り、わしの食卓から落ちるパンくずを食べさせたものだが、今、神はそのつけを回してこられたというわけか」と、ベゼク王は嘆きました。王はエルサレムへ連れて行かれ、そこで息を引き取りました。
+ ユダ族はエルサレムを占領し、住民を打ち、町に火をかけました。
+ そののちユダの軍隊は、低地に住むカナン人を攻めたばかりか、山地やネゲブのカナン人とも戦いました。
+ また、以前キルヤテ‧アルバと呼ばれたヘブロンにいるカナン人に向かって進撃し、シェシャイ、アヒマン、タルマイなどの町を滅ぼしました。
+ さらにそののち、以前キルヤテ‧セフェルと呼ばれたデビルを攻めました。
+ カレブは、「だれか、率先してデビルを攻撃する者はいないか。占領した者には、私の娘アクサを妻として与えるぞ」と全軍に呼びかけました。
+ カレブの弟ケナズの子オテニエルが、先陣を志願してデビルを占領し、アクサを花嫁に迎えました。
+ アクサは嫁ぐ時、夫にそそのかされて、贈り物としてもっと土地をくれるよう父に求めました。彼女がろばから降りると、カレブは尋ねました。「どうした。何か欲しいものでもあるのか。」
+ アクサは答えました。「ネゲブの地は十分に頂いたのですけれど、できれば泉も頂きたいのです。」そこでカレブは、上の泉と下の泉を彼女に与えました。
+ ユダ族が、アラデの南方ネゲブの荒野の新天地に移った時、モーセの義父の子孫であるケニ族の人々も同行しました。彼らは、「なつめやしの町」と呼ばれたエリコを離れ、以後ずっといっしょに生活しました。
+ そののちユダ軍はシメオン軍の加勢を得て、ツェファテの町に住むカナン人を打ち、彼らを滅ぼしました。今でも、その町はホルマ〔「絶滅」の意〕と呼ばれています。
+ ユダ軍はさらに、ガザ、アシュケロン、エクロンの町々と周辺の村々を手中に収めました。
+ 主の助けがあったので、山地一帯の住民を滅ぼすことができたのです。ただ、谷の住民は鉄の戦車を持っていたので、征服できませんでした。
+ ヘブロンの町は、主の約束どおりカレブの手の中に落ちました。カレブは、そこに住むアナクの三人の息子を追い出しました。
+ ベニヤミン族は、エルサレムに住むエブス人を根絶やしにできませんでした。それでエブス人は、今でもイスラエル人といっしょに住んでいます。
+ ヨセフ族も、以前ルズと呼ばれたベテルの町を襲撃しました。主はヨセフ族とともにいました。まず、偵察隊が派遣され、
+ 彼らは町から出て来た男を捕まえ、「町の城壁の出入口を教えてくれたらいのちを助けよう」と持ちかけたのです。
+ 男が町に入る方法を話したので、ヨセフ族は町に攻め込み、全住民を打ちました。もちろん、その男と彼の家族だけは助かりました。
+ のちに、その男はヘテ人の地に町を建て、ルズと名づけました。今も知られているとおりです。
+ マナセ族は、ベテ‧シェアン、タナク、ドル、イブレアム、メギドとその周辺の町々の住民を追い出すことに失敗しました。それでカナン人は、その地にとどまり続けました。
+ のちにイスラエルは強大になりましたが、カナン人を奴隷として働かせることはあっても、追い出すことはしませんでした。
+ ゲゼルに住むカナン人についても同じです。彼らは今もなお、エフライム族に混じって生活しています。
+ ゼブルン族も、キテロンとナハラルの住民を滅ぼすには至らず、奴隷として働かせました。
+ アシェル族は、アコ、シドン、マハレブ、アクジブ、ヘルバ、アフェク、レホブの住民を追い出しませんでした。それでイスラエル人は、今なお、原住民であるカナン人といっしょに住んでいます。
+ ナフタリ族は、ベテ‧シェメシュとベテ‧アナテの住民を追い出しませんでした。彼らは奴隷として、イスラエル人に混じって暮らし続けました。
+ ダン族の場合は、エモリ人に圧倒されて山地へ追いやられ、谷に降りることができませんでした。
+ しかし、のちにエモリ人は、ヘレス山、アヤロン、シャアルビムへと散在するにつれてヨセフ族に征服され、奴隷となりました。
+ エモリ人との境界線は、アクラビムの丘陵地帯から始まり、セラと呼ばれる地点を通り、そこから上の方に及びました。
+
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+ ある日、主の使いがギルガルから上って来てボキムに到着し、イスラエルの民に告げました。「わたしはあなたがたを、あなたがたの先祖との約束に従って、エジプトからこの地へ連れて来た。また、あなたがたと結んだ契約を決して破らないと宣言した。
+ ただし、それには条件があったはずだ。この地の先住民と友好契約を結んではならないという条件だった。この地の異教の祭壇を取り壊せと命じたではないか。それにもかかわらず、なぜ従わなかったのか。
+ あなたがたが契約を破った以上、もはや無効だ。もう、あなたがたの地に住む諸国民を滅ぼすとは約束できない。それどころか、あの人々はあなたがたの悩みの種となり、彼らの神々は常に誘惑となるだろう。」
+ 主の使いが語り終えると、人々は声を上げて泣きました。
+ それでこの地は、ボキム〔「人々が泣いた場所」の意〕と呼ばれるようになったのです。人々はそこで主にいけにえをささげました。
+ ヨシュアがイスラエルの全軍を解散させると、各部族はそれぞれ新しい領地を目指して移動し、各自の所有地を手に入れました。
+ 神の人ヨシュアは百十歳で世を去り、エフライム山中、ガアシュ山の北にあるティムナテ‧ヘレスの自分の領地に葬られました。ヨシュアが生きている間、人々は主に忠実でした。彼の死後も、主がイスラエルに行った驚くべきわざを目撃した長老たちの存命中は、その態度に変わりはありませんでした。
+ ところが、ヨシュアと同世代の人々がみな世を去ると、あとの世代は彼らの神を主として礼拝せず、主がイスラエルのために行ったわざさえ関心を示さなくなったのです。
+ 彼らは主に禁じられたことを次から次に行い、異教の神々を拝むことさえしました。
+ イスラエル人をエジプトから連れ出し、先祖たちが慕い礼拝してきた神、主を捨ててしまったのです。そればかりか、近隣諸国の偶像にひれ伏し拝んだので、主の怒りが全イスラエルに対して燃え上がりました。主に背を向け、バアルやアシュタロテのような偶像を拝むイスラエル人を、主は敵のなすままに任せたのです。
+ 今や、彼らが敵と戦おうと出て行っても、主が行く手をはばむことになりました。こうなることは、主が前もって警告し、はっきり告げていたことでした。それでもなお、かつてない苦境に立たされた彼らを、
+ 敵の手から救い出すために、主は士師(王国設立までの軍事的‧政治的指導者)を起こしました。
+ しかしイスラエルは、その士師にさえ耳を貸そうとせず、ほかの神々を拝んで、主への信仰を捨て去りました。なんと早く、彼らは主の命令に従うことを拒み、先祖が歩んだ信仰の道から離れてしまったことでしょう。
+ どの士師も生涯を通して、イスラエルの民を敵の手から救い出しました。苦しみに押しつぶされそうな人々のうめきを聞き、主があわれんだからです。こうして主は、士師のいる間はイスラエルを助けました。
+ しかし、士師が死ぬと、人々はたちまち正しい道を捨て、先祖たちよりもいっそう堕落してしまったのです。人々は再び異教の神々に祈りをささげ、地にひれ伏して礼拝するようになりました。イスラエルの民はかたくなで、周辺諸国の悪習慣から抜け出すことができませんでした。
+ それで、主の怒りが再びイスラエルに対して燃え上がりました。「この民は、わたしが彼らの先祖と結んだ契約を踏みにじったので、
+ ヨシュアが死んだ時まだ征服していなかった民を、これ以上追い出すのはやめよう。
+ むしろ彼らを用いて、イスラエル人がほんとうに先祖にならってわたしに従うかどうか試すことにしよう。」
+ このように主は、これらの民を滅ぼすことを許さず、彼らをすぐにこの地から追い出さずに残したのです。
+
+
+ カナンで戦ったことのない、イスラエルの新しい世代を試すために、主がこの地に残しておいた諸国の民は次のとおりです。主はイスラエルの若者たちに、敵を征服することによって信仰と従順を学ぶ機会を与えようとしたのです。ペリシテ人の五つの町、カナン人、シドン人、バアル‧ヘルモン山からレボ‧ハマテまでのレバノン山系に住むヒビ人。
+ これらの民は新しい世代にとっての試金石となりました。モーセが与えた主の命令に、新しい世代が従うかどうかがはっきりするからです。
+ それでイスラエル人は、カナン人、ヘテ人、ヒビ人、ペリジ人、エモリ人、エブス人に混じって生活しました。
+ しかし、異民族を滅ぼすどころか、イスラエル人の若者は彼らの娘を妻にめとり、イスラエル人の娘たちも異民族の息子に嫁いだのです。やがてイスラエルの民は、異教の神々を拝むようになりました。
+ このように彼らは、彼らの神、主を裏切って、主の目に悪を行い、バアルやアシェラなどの偶像を拝んだのでした。
+ それで、主の怒りが燃え上がりました。イスラエルはメソポタミヤの王クシャン‧リシュアタイムに征服され、八年間その支配に服することになったのです。
+ しかし、イスラエルが主に叫び求めると、主は救いの手を差し伸べ、カレブの甥オテニエルを遣わしました。
+ 主の霊が彼を支配していたので、彼はイスラエルの改革と粛清を断行しました。その結果、オテニエルの率いるイスラエル軍がクシャン‧リシュアタイム王の軍勢と対戦した時、主はイスラエルに加勢し、彼らに完全な勝利を収めさせたのです。
+ こうして、オテニエルが治めた四十年の間は平和が続きました。エフデところが彼が世を去ると、
+ イスラエルの民は再び罪を犯すようになりました。すると主はモアブの王エグロンに加勢し、彼らにイスラエルの一部を占領させました。
+ エグロン王と同盟を結んだのは、アモン人とアマレク人でした。同盟軍はイスラエルを破り、「なつめやしの町」と呼ばれたエリコを手に入れました。
+ こうしてその後十八年の間、イスラエルの民はエグロン王の圧制に苦しむことになったのでした。
+ イスラエル人が主に叫び求めると、主は、ベニヤミン人ゲラの子で左ききのエフデを救助者として立てました。エフデは、モアブの都に年貢を届ける務めに任じられていました。
+ 彼は出発を前にして、長さ一キュビト(約四十四センチ)の両刃の短剣を作り、右ももに皮ひもでくくりつけて服の下に隠しました。
+ エグロン王はたいへん太っていました。貢ぎ物を渡すと、エフデは帰路につきました。ところが、町を出てギルガルの石切り場まで来た時、彼は同行の者を先に帰し、一人で王のもとへ戻ったのです。エフデは王に言いました。「王よ、内々に申し上げたいことがございます。」王はすぐに、お付きの者たちに座を外させ、二人きりになりました。
+ 涼しい屋上の部屋に座っている王に歩み寄りながら、エフデは言いました。「実は、神のお告げがございまして……。」王は、お告げを受けようと立ち上がりました。
+ すかさずエフデは左手を伸ばし、隠し持った短剣を抜き放ち、王の腹めがけて突き刺したのです。
+ 短剣は柄までくい込んではらわたが流れ出し、刃は脂肪にふさがれて抜けなくなりました。すばやくエフデは部屋の戸に錠をかけ、階段伝いに逃げました。
+ 戻って来た家来は部屋の戸に錠がかかっているので、王は用を足しているのだろうと思い、しばらく待っていました。
+ ところが、いつまで待っても王が戸を開けないので、心配になって開けてみると、なんと王は床に倒れて死んでいました。
+ その間にエフデは、石切り場を駆け抜けてセイラへ逃げました。
+ そして、エフライムの山地にたどり着くと、ラッパを吹き鳴らして兵を集め、全軍を指揮下に置いたのです。
+ 「私に続け。主はモアブに勝たせてくださるぞ!」エフデは全軍に呼びかけました。エフデは進軍し、モアブに通じるヨルダン川の渡し場を押さえて、人っ子ひとり通らせないようにしました。
+ それからモアブを襲い、屈強のモアブの勇士、約一万人を打ち、一人も逃しませんでした。
+ モアブはその日のうちに征服され、そののちイスラエルには八十年の間、平和が続きました。
+ エフデの次に士師になったのは、アナテの子シャムガルでした。彼は牛の突き棒で、ペリシテ人を一度に六百人も打ち、イスラエルを災いから救いました。
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+
+ エフデが世を去ると、イスラエルの民はまた主に罪を犯しました。
+ それで主は、ハツォルにいたカナン人の王ヤビンにイスラエルを征服させたのです。王の軍の将軍はシセラで、ハロシェテ‧ハゴイムに住んでいました。彼は鉄の戦車九百台をかかえ、二十年間イスラエル人を悩まし続けたので、イスラエル人はついに主に助けを求めました。
+ そのころイスラエルの指導者で民を神に立ち返らせる務めを負っていたのは、ラピドテの妻、女預言者デボラでした。
+ 彼女は、エフライム山中のラマとベテルの間にある「デボラのなつめやしの木」と呼ばれる場所にいて、人々はそこに行って争い事を裁いてもらっていたのです。
+ ある日デボラは、ナフタリの地のケデシュに住むアビノアムの子バラクを呼び寄せ、言い渡しました。「イスラエルの神、主があなたに、ナフタリとゼブルンの両部族から一万人を動員せよとおっしゃっています。その一万の兵を率いてタボル山へお行きなさい。
+ もちろん戦う相手は、ヤビン王の軍勢、シセラ将軍の指揮のもとで戦車を擁する大軍です。主は、『敵をキション川に引き寄せるから、そこで打ち破れ』とおっしゃいます。」
+ バラクは彼女に言いました。「わかりました。ご命令のとおりにしましょう。しかし、あなたにもごいっしょ願いたいのです。」
+ 「いっしょに行きましょう。ただし今のうちに言っておきますが、シセラを倒す栄誉はあなたではなく、一人の女が受けることになりますよ。」こう言って、デボラはバラクとともにケデシュへ向かいました。
+ バラクがゼブルンとナフタリの人々から義勇兵を募ると、一万人がケデシュに結集しました。デボラもいっしょでした。
+ さて、モーセの義兄弟ホバブの子孫のケニ人でヘベルという人が、氏族の者から離れて、ケデシュ近郊のツァアナニムの樫の木の近くに天幕を張っていました。
+ 将軍シセラは、バラクの率いるイスラエル軍がタボル山に陣を敷いたとの知らせを受けて、
+ 鉄の戦車九百台を備えた全軍を動員し、ハロシェテ‧ハゴイムからキション川へと進みました。
+ その時、デボラはバラクに言いました。「さあ、今こそ攻撃のチャンスですよ。主が先頭に立っておられます。もうシセラのいのちはあなたの手に渡されています。」そこでバラクは、一万人を率いてタボル山を下り、戦いに臨みました。
+ 主がシセラの兵と戦車隊をパニックに陥れたので、敵は総くずれとなり、シセラは戦車から飛び降り、走って逃げ出しました。
+ バラクの軍隊は、敵兵と戦車をハロシェテ‧ハゴイムまで追いつめ、ついに打ち滅ぼし、生き残った兵は一人もいませんでした。
+ ところがシセラだけは、ケニ人ヘベルの妻ヤエルの天幕に逃げ込みました。ハツォルの王ヤビンとヘベルの一族との間は友好関係にあったからです。
+ ヤエルはシセラを迎えに出て、「まあ、シセラ様、どうぞお入りくださいませ。ここならもう安心、ご心配には及びません」と言いました。そして天幕に入ったシセラに、毛布をかけて休ませました。
+ シセラは、「頼む、水をくれないか。のどがからからだ」と訴えました。ヤエルは牛乳を与え、また、毛布をかけてやりました。
+ シセラは、「お願いだ、天幕の入口で見張っていてくれ。もし、だれかが私を捜しに来ても、『ここにはいない』と追っ払ってほしい」と頼みました。
+ しかしヤエルは、先のとがったテントの杭と槌を手に取るや、眠っているシセラに忍び寄り、こめかみ目がけて打ち込んだのです。杭は地面をも刺し通し、シセラの息の根を止めました。疲労困憊して眠りこけていたからです。
+ バラクがシセラを捜して追って来た時、ヤエルは迎えに出て、「どうぞこちらへ。あなたがお捜しの方をお目にかけます」と言いました。案内されるままに中へ入ると、杭がこめかみに突き刺さったまま死んでいるシセラの姿がありました。
+ こうして、その日のうちに、主はカナンの王ヤビンの軍勢を打ち破らせたのです。
+ その時以来、イスラエルの勢力はしだいに王ヤビンを圧するようになり、ついにヤビンとその民を絶ち滅ぼしました。
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+
+ デボラとバラクは、この大勝利をたたえて歌いました。
+ 「主をほめたたえよ。イスラエルの指導者が雄々しく先頭を行くと、民は喜んで従った。そうだ、主をほめたたえよ。
+ 王よ、君主よ、耳を傾けよ。イスラエルの神、主にささげる私の歌声に。
+ 主がセイルからわれわれを導き出し、エドムの平原を進まれた時、地は震え、天は雨を降らせた。
+ イスラエルの神、主の前では、シナイ山さえ揺れ動いた。
+ シャムガルの日々に、ヤエルの日々に、街道は荒れ果て、旅人は細いわき道を通った。
+ デボラがイスラエルの母となるまでは、イスラエルの人口は減り続けた。
+ イスラエルが新しい神々を選んだ時、すべてが衰えた。いったい、どこのだれが盾や槍を持たせてくれるというのか。イスラエルの兵四万のうちから武器は消えた。
+ 喜んで自らをささげるイスラエルの指導者たちの姿に、どれほど私は喜んだことか。主をほめたたえよ。
+ 全イスラエルよ、貧しい者も富む者も賛美の列に加われ。さあ、白いろばに乗り、豪華な敷物に座る者も、歩くほかない貧しい者も。
+ 村の楽隊は井戸の回りに集まり、主の勝利を歌う。くり返しくり返し、主がどれほど、農民の軍隊イスラエルをお助けくださったかを。主の民は、城門を通って行進した。
+ 目を覚ませ、デボラ。高らかに歌え。起きよ、バラク。アビノアムの子よ、とりこを引き連れて進め。
+ 生き残った者は堂々とタボル山から下りて来た。主の民は、大敵を向こうに回して降りて来た。エフライムから、ベニヤミンからマキルから、ゼブルンからやって来た。
+ イッサカルの指導者はデボラやバラクともども谷へと下った。谷を突進することが、主のご命令だから。ルベン族は出て行かなかった。
+ なぜ、おまえは牧場の柵内の家に座し、羊飼いの笛をもてあそんでいたのか。そうだ。ルベン族は落ち着きを失っている。
+ なぜ、ギルアデはヨルダン川の向こうでとどまったのか。なぜ、ダンは舟から下りて来なかったのか。なぜ、アシェルは海辺に座り込み、波止場でのんきにかまえていたのか。
+ しかし、ゼブルンとナフタリの両部族はいのちを賭して戦場に赴いた。
+ カナンの諸王はメギドの泉のほとりタナクで抗戦したが、勝利は得られなかった。
+ 天の星さえもシセラと戦った。
+ キションの逆巻く流れが彼らを押し流したのだ。わが心よ、勇ましく進め。
+ 聞け、敵軍のひづめが地を踏み鳴らす音を。見よ、軍馬が跳ね回る姿を。
+ だが、主の使いはメロズの町にのろいをかけた。『その住民を激しくのろえ。主の民を助けにも来ず、敵と戦いもしなかった者たちめ』と。
+ 祝福あれ、ケニ人ヘベルの妻、ヤエルに。天幕に住む女のうち、彼女ほど祝福された者はない。
+ 水を求めるシセラにヤエルは高価なコップで牛乳を勧めた。
+ 天幕の杭と職人の槌とを手に取るや、シセラのこめかみを刺し通し、その頭を砕いた。杭が頭を刺し通すまで打ち続けた。
+ ついにシセラはヤエルの足もとに倒れて死んだ。
+ シセラの母は、窓から外を眺めながら、息子の帰りを待っていた。『なぜ、あの子の戦車はなかなか戻らないのか。なぜ、あの車の音が聞こえないのか。』
+ 女官たちは答え、母もくり返した。
+ 『戦利品が多くて分配に手間取るのでしょう。勇士はおのおの、一人か二人の娘をあてがわれ、シセラ様は豪華な織物を手にし、贈り物をどっさり携えてお帰りになるでしょう。』
+ 主よ、敵をみなシセラのように滅ぼしてください。主を愛する者を太陽のように輝かせてください。」そののち、イスラエルには四十年間、平和が続きました。
+
+
+ やがてイスラエルの民は、またもや他の神々を拝み始めました。それで主は、敵を起こしてイスラエルを懲らしめたので、彼らはミデヤン人に七年間苦しめられることになりました。
+ ミデヤン人はとても残忍だったので、イスラエル人は山に難を避けて、洞窟やほら穴に身を隠しました。
+ また、イスラエル人が種をまくと、ミデヤン人やアマレク人をはじめ、近隣の国から略奪者が来て農作物を荒らしたり、ガザに至るまで各地を荒らし回り、食糧を全部奪い取ったのです。羊、牛、ろばも奪って行きました。
+ 彼らはおびただしい数のらくだの群れを連れて来て、その地を荒らし尽くすまで動きませんでした。
+ そのためイスラエルは、ミデヤン人のために衰え果ててしまいました。
+ ついに、たまりかねた人々は、主に助けを求めて叫びました。
+ 主は一人の預言者を遣わして応えました。「イスラエルの神、主は、あなたがたをエジプトでの奴隷生活から救い出してくださった。
+ また、エジプト人やあなたがたを苦しめる者たちの手から助け出し、敵を一掃して、この地を与えてくださったのだ。
+ その神様が、『わたしは、あなたがたの神である主だ。あなたがたの回りを取り囲むエモリ人の神々を拝んではならない』とお命じになったではないか。それなのに、あなたがたは聞き従わなかった。」
+ ある日、主の使いが現れ、アビエゼル人ヨアシュの農地内にあるオフラの樫の木の下に座っていました。ヨアシュの子ギデオンは、酒ぶね〔ぶどうを絞ってぶどう酒を作るために、岩に掘られた箱形の穴〕の中で小麦を打っていました。ミデヤン人から身を隠していたのです。
+ 主の使いはギデオンの前に立ち、「勇士よ、主はあなたとともにおられる」と告げました。
+ ギデオンは答えました。「初めてお目にかかりますが、どうか教えてくれませんか。主が共におられるのなら、なぜ、こんなことが次から次へと起こるのですか。先祖から聞かされました。主がエジプトから導き出してくださった時には、驚くべきみわざがたくさん行われたと。なのに、今はどうです。そんなみわざのかけらもないではありませんか。もう主は私たちを見捨てて、ミデヤン人にしたい放題をさせ、踏みつけられるに任せておられるのです。」
+ すると主は、ギデオンに向かって言いました。「わたしがあなたを強くする。行きなさい。イスラエルをミデヤン人から救い出すのだ。わたしがあなたを遣わす。」
+ ギデオンは答えました。「主よ、とんでもありません。私がイスラエルを救うことなど、できるわけありません。私の家はマナセ族の中で最も弱く、それに私は家で一番年下なのです。」
+ 主は彼に言います。「神であるわたしがついているのだ。だからあなたは、たちどころにミデヤンの大軍を打ち破ることができる。」
+ 「もしそれがほんとうなら、その証拠にしるしを見せてください。今、語りかけてくださっているあなたが主であることを見せてほしいのです。
+ でも、少し待っていてくださいませんか。あなたに贈り物を差し上げたいのです。」「わかった。あなたが戻るまで待っていよう。」
+ ギデオンは大急ぎで家に駆け込んで子やぎを一匹焼き、一エパ(約二十二リットル)の粉で種を入れないパンをこしらえました。次いで肉をかごに詰め、スープをなべに入れて、樫の木の下にいる御使いのところに持って来て差し出しました。
+ すると、御使いはギデオンに言いました。「肉とパンをあそこの岩の上に置いて、スープをかけてみなさい。」ギデオンが言われたとおりにすると、
+ 御使いは手にしていた杖で肉とパンにさわりました。すると、たちまち岩から火が燃え上がり、肉とパンを焼き尽くしてしまったのです。その瞬間、御使いの姿は見えなくなりました。
+ ギデオンは、ほんとうにそれが主の使いであったと知って、思わず叫びました。「ああ、主なる神様! 私は面と向かって主の使いを見てしまいました。」
+ すると、主の声がありました。「大丈夫だ、心配しなくていい。あなたは死にはしない。」
+ ギデオンはそこに祭壇を築き、「主との平和の祭壇」と名づけました。この祭壇は、今もアビエゼル人の地オフラにあります。
+ その夜、主はギデオンに、父親の一番上等の雄牛を、父親の持っているバアルの祭壇のところへ引いて行き、祭壇を引き倒し、そばにある女神アシェラの木像を切り倒すように命じました。
+ 「さあ、わたしのために、高い所に石を積んで祭壇を築き直しなさい。次に、さっきの雄牛を焼き尽くすいけにえとして祭壇にささげ、壊した木像をくべて火をたきなさい。」
+ そこでギデオンは、十人の使用人を駆り出して、命じられたとおりにしました。ただ、家族や町の人々の目をはばかって、夜中にそれを行いました。もし見つかれば、どんな目に会うかわかっていたからです。
+ 翌朝早く、町がにぎわい始めるころ、人々は、バアルの祭壇が取り払われ、そばのアシェラの偶像も壊されて、代わりに新しく築かれた祭壇の上に雄牛のいけにえがささげられているのを見つけました。
+ 「いったい、どこのだれがやったのだ。」人々は調べ回り、ついにヨアシュの子ギデオンのしわざであることを突き止めました。
+ 人々はヨアシュに怒りをぶつけました。「息子を出せ! あんなやつは殺してやる! よくもバアル様の祭壇をめちゃめちゃにして、おまけにアシェラ様の像まで壊してくれたな。」
+ しかしヨアシュは、たけり狂う人々を前にして言い返しました。「バアル様は、おまえたちに助けてもらわなきゃならないのか。なんとだらしない神様なのだ。おまえたちはこんな情けないバアル様のために、いのちを投げ出そうというのか。もしほんとうの神様なら、ご自分の祭壇を壊した者など、さっさとやっつけておしまいになればいいのだ。」
+ この時からギデオンは、「エルバアル」とあだ名されるようになりました。「バアルは自分の面倒ぐらい見るがよい」という意味です。
+ それからしばらくして、ミデヤン人、アマレク人、その他の近隣諸国が連合してイスラエルに対抗しようと兵を挙げ、その軍勢はヨルダン川を渡り、イズレエルの谷に陣を敷きました。
+ すると、主の霊がギデオンをとらえたので、ギデオンが召集ラッパを吹き鳴らすと、アビエゼルの男たちが結集しました。
+ マナセ、アシェル、ゼブルン、ナフタリにも使者を送り、戦士を募ると、みな応じました。
+ ギデオンは神に願い出ました。「お約束どおり、イスラエルを救うために私を立ててくださるおつもりなら、
+ 今夜、打ち場に羊の毛を置いておきますから、明日の朝、羊の毛だけが露でしめり、土が乾いているようにしてください。そうすれば、あなたがついていてくださるのだと確信できます。」
+ すると翌朝、そのとおりのことが起こりました。ギデオンが早く起きて羊の毛をしぼると、鉢いっぱいの水がしたたり落ちたのです。
+ ギデオンはまた主に願いました。「どうか、お怒りにならないでください。もう一度だけ試させていただきたいのです。今度は反対に、羊の毛だけを乾かして、地面全体をしめらせてください。」
+ 主はギデオンの願いどおりにされました。その夜、羊の毛は乾いたままで、地面は露で覆われていたのです。
+
+
+ それで、エルバアル、すなわちギデオンの率いる軍勢は朝早く出立し、ハロデの泉まで進みました。ミデヤンの連合軍はその北の方、モレの山沿いの谷に陣を敷いていました。
+ その時、主はギデオンにこのように告げました。「兵が多すぎる。このままでミデヤンと戦わせるわけにはいかない。イスラエルの民が自力で勝ったつもりになって、わたしに対して誇ってしまうかもしれないからだ。
+ 臆病風に吹かれている者は、すぐに家に帰らせなさい。」すると、兵のうち二万二千人が去り、戦闘意欲のある者だけ一万人が残りました。
+ しかしなお主はギデオンに、「まだ多すぎる。全員を連れて泉のほとりに下りなさい。だれがあなたとともに行くべきで、だれが行くべきでないか、はっきりと示そう」と言います。
+ ギデオンは一同を水辺に集合させました。すると主の声があって、「水の飲み方で全員を二組に分けなさい。手で水をすくい、口にあてて飲む者と、かがみ込んで犬のように口を水につけて飲む者とを振り分けなさい。」すると、手で水をすくって飲んだのは三百人だけで、ほかの者はみな、水に口をつけて飲んだのです。
+ そこで主はギデオンに言われました。「わたしは、手ですくって飲んだ三百人でミデヤン人を征服しよう。残りの者はすべて家へ帰らせなさい。」
+ ギデオンは、彼らが持っている兵糧用のつぼと角笛(ラッパ)を供出させてから、三百人だけを残し、あとの者は帰宅させました。さて、ミデヤン人の陣営はギデオンたちの所から眼下に見下ろせる谷にありました。その夜、主はギデオンに命じました。「起きなさい! ミデヤンの陣地に突入しなさい! 必ず勝利するから。
+ しかし心配なら、部下のプラを連れて敵陣に侵入し、
+ 敵の間でどんな会話が交わされているか、自分の耳で確かめるがいい。勇気百倍になって攻撃に出られるはずだ。」ギデオンはプラを連れ、闇にまぎれて敵の前哨基地にもぐり込みました。
+ ミデヤン人、アマレク人、そのほか東方諸国の兵士がいなごのように谷に群がり、らくだも浜辺の砂のように数えきれないほどでした。一つの天幕まで近づくと、ちょうど一人の男が、彼の見た恐ろしい夢を仲間に話しているところでした。「全くいやな夢を見たよ。どでかい大麦のパンのかたまりが、この陣地めがけて転がり落ちて来るのさ。それで、テントをぺしゃんこにしてしまうのだ。」
+ 「そりゃ、こうに違いないよ。イスラエル軍にヨアシュの子のギデオンというのがいてな、そいつがわれわれ連合軍を全滅させようとしてるんだ。」
+ これを聞いたギデオンは、その場に立ち尽くしたまま、主を礼拝しました。すぐさまイスラエルの陣営に取って返し、こう叫びました。「集まれ! 主はわれわれの手にミデヤンの大軍を渡してくださるのだ!」
+ 彼は三百人を三隊に分け、めいめいに角笛とつぼを持たせました。つぼには、たいまつが隠してありました。
+ 「よいか。敵の最前線に着いたら、私がするとおりにするのだ。
+ 私と私の部隊の者が角笛を吹いたら、ほかの部隊の者も敵陣をぐるりと取り囲んで、いっせいに角笛を吹き鳴らせ。そして、『主のために、ギデオンのために戦うぞ!』と叫ぶのだ。」
+ ギデオンの率いる百人が、ミデヤン軍の前線に忍び込んだ時は真夜中で、ちょうど歩哨の交替が終わったところでした。この時とばかり、彼らはラッパを吹き鳴らし、つぼを打ち砕きました。暗闇の中で、たいまつがぱっと燃え上がります。ほかの二百人も同じようにしました。右手に持ったラッパを吹き鳴らし、左手にたいまつを掲げながら大声で叫んだのです。「主のために、ギデオンのために戦うぞ!」
+ 敵の大軍は大混乱に陥り、右往左往し、悲鳴を上げて逃げ出しました。イスラエル軍は、ただ立って見ているだけで十分でした。
+ 大混乱の中で、主はミデヤン軍全体が同士打ちするようにさせたので、そこは修羅場と化し、生き延びた者たちは闇の中をツェレラ近くのベテ‧ハシタや、タバテに近いアベル‧メホラの境界まで逃げて行きました。
+ ギデオンは、ナフタリ、アシェル、マナセの軍隊を呼び寄せ、逃走中のミデヤン軍を追撃して滅ぼすよう命じました。
+ また、エフライムの山地全域に使者を送り、エフライム人にベテ‧バラにあるヨルダン川の渡し場を押さえさせ、ミデヤン軍の退路を閉ざしました。
+ 彼らはミデヤン軍の二人の将軍、オレブとゼエブを捕らえ、オレブは、今では「オレブの岩」と呼ばれるようになった岩の上で殺され、ゼエブも、「ゼエブの岩」と呼ばれるようになった酒ぶねの中で殺されました。こうしてイスラエル軍は、ヨルダン川の西側にいたギデオンのもとに二人の首を届けました。
+
+
+ ところが、エフライム人の指導者たちはギデオンに詰め寄り、激しく彼を責めました。「ミデヤン人との初陣で、なぜわれわれに声をかけてくれなかったのだ。」
+ 「あなたがたには、神様がちゃんと、ミデヤンの将軍オレブとゼエブを捕らえさせてくださったではないですか。それに比べたら私のしたことなど取るに足りません。この戦いの最後を飾ったのはあなたがたですよ。そのほうが、戦いをしかけるよりも大仕事だったのではありませんか。」ギデオンの答えに、彼らはようやく怒りを収めました。
+ それから、ギデオンと三百人の兵士はヨルダン川を渡りました。かなり疲れていましたが、追撃の手はゆるめません。
+ ギデオンは、スコテの人々に食べ物をくれるよう頼みました。「われわれは、ミデヤン人の王ゼバフとツァルムナを追いかけているが、くたくたのうえ空腹なんです。」
+ しかし、スコテの指導者たちからは冷淡な返事が戻ってきただけでした。「まだゼバフとツァルムナを捕らえたわけではないだろう。食べ物を恵んだのに負けられでもしたら大変なことになる。あいつらはここへ来て、われわれを殺すに違いないから。」
+ そこでギデオンは、こう警告しました。「主が二人を捕らえさせてくださったあかつきには、ここに戻って来て、野のいばらやとげで、おまえたちの身を引き裂いてくれよう。」
+ それからペヌエルに上り、食糧を求めたところ、ここでも同じ返事でした。
+ そこで、ギデオンはペヌエルの人々にも警告しました。「この戦いに決着がついたら、戻って来てこのやぐらをたたき壊してやる。」
+ そのころゼバフ王とツァルムナ王は、残りの兵一万五千とともにカルコルにたてこもっていました。これが生き残ったすべてで、すでに連合軍の兵士は十二万人が戦死していたのです。
+ ギデオンは、ノバフとヨグボハの東にある隊商路を迂回して、ミデヤンの陣営を急襲しました。
+ 二人の王は逃げ出しましたが、ギデオンが追いかけて捕らえたので、敵軍は総くずれとなりました。
+ 戦いがすんで、ギデオンはヘレスの坂道を通って帰路につきましたが、
+ その時、スコテから一人の若者を捕らえて来て、町の七十七名の名前を挙げさせました。
+ そこで、ギデオンはスコテに取って返し、こう言いました。「よくも、ゼバフ王やツァルムナ王を捕らえられないだろうとあざけってくれたな。それに、疲れて空腹をかかえていたわれわれに、パン一つ与えなかった。よく見るがいい。これがゼバフとツァルムナだ。」
+ ギデオンは町の重要人物を捕らえ、野生のいばらやとげを取って彼らを打ち、
+ またペヌエルにも赴いて町のやぐらを破壊し、男子全員を殺しました。
+ それからギデオンは、ゼバフ王とツァルムナ王に問いただしました。「おまえたちがタボル山で殺した者たちはだれに似ていたか。」「あなたと同じような服を着ていました。まるで王子のようでした。」
+ 「ああ、私の兄弟に違いない。誓ってもいい。彼らを殺さずにいてくれたら、おまえたちを助けてやったのに。」
+ ギデオンは長男エテルに、二人を殺すように命じました。しかし、エテルはまだ少年だったので、恐ろしくて剣を抜くことができません。
+ ゼバフとツァルムナはギデオンに懇願しました。「あなた自身が手を下してください。われわれも、あなたのような大人に殺されたほうがいい。」そこで、ギデオンがとどめを刺し、二人のらくだの首にかけてあった飾りをはずしました。
+ その時、イスラエルの人々は叫びました。「ばんざい!あなたもご子息も、子々孫々に至るまで私たちを治めてください。あなたが私たちをミデヤン人からお救いくださったのですから。」
+ しかし、ギデオンは答えました。「私は王にはならない。息子もそうだ。主があなたがたを治める王だ。そこで、一つ聞いてほしいことがある。敵から分捕った耳輪を私に渡してもらえないか。」ミデヤン軍はイシュマエル人だったので、金の耳輪をつけていたのです。
+ 「喜んで」と彼らは答え、上着を広げると、一人一人、分捕り物の耳輪を投げ込みました。
+ 集まった金の耳輪は全部で千七百シェケル(約二十キログラム)にも上りました。このほかにも、投げ込まれた三日月形の飾り、垂れ飾り、王衣、らくだの首飾りなどがありました。
+ ギデオンはそれらの金で、エポデ〔そでなしの上着。普通は祭司が着るが、ここでは金の装飾がついて重く、壁にかけた〕を作り、自分の町オフラに置きました。ところが、イスラエル人はみな、それを拝んで淫行にふけるようになり、ギデオンとその一族にとって悪への落とし穴となりました。
+ 以上が、ミデヤン人がイスラエル人に屈服するに至った経過です。ミデヤン人は二度と立ち直れず、ギデオンが生きている四十年間は、イスラエルに平和が続きました。
+ ギデオンは自分の家に帰ってそこに住みました。
+ 彼には息子が七十人もいました。大ぜいの妻がいたからです。
+ また、シェケムにも内縁の妻が一人おり、アビメレクという男の子がいました。
+ 年老いたギデオンはついに世を去り、アビエゼル人の地オフラにある、父ヨアシュの墓に葬られました。
+ ギデオン亡きあと、イスラエル人はたちまちバアルやバアル‧ベリテの偶像崇拝に陥りました。
+ 周囲のすべての敵から救い出してくださった彼らの神、主を、もう心に留めようとはしなかったのです。
+ 人々はギデオンの数々の功績を忘れ、その一族を手厚く待遇することも怠りました。
+
+
+ ある日、ギデオンの息子アビメレクは、シェケムに住む母方のおじたちを訪ねて言いました。
+ 「シェケムのすべての首長のところへ行って話していただけませんか。ギデオンの七十人の息子に支配されるのがよいか、それとも、皆さんの身内である私に支配されるのがよいか尋ねてほしいのです。」
+ おじたちは町の首長を訪ね、アビメレクの考えを伝えて相談しました。すると、母親がこの町の者だということで、彼らはアビメレクを受け入れたのです。
+ 事が決まると、彼らはバアル‧ベリテの偶像にささげた金を、仕度金としてアビメレクに渡しました。彼はさっそくその金で、自分の言いなりになりそうなならず者たちを雇いました。
+ そして、彼らを率いてオフラにある父の家に行き、そこにある石の上で、腹違いの兄弟七十人を殺してしまったのです。ただ、最年少のヨタムだけは隠れていたため生き延びました。
+ シェケムとベテ‧ミロの住民は、シェケムの要塞のそばにある樫の木の下に集まって相談し、アビメレクをイスラエルの王にまつり上げました。
+ これを知ったヨタムは、ゲリジム山の頂上に立ち、シェケムの人々に大声で叫びました。「神に祝福されたければ、私の言うことを聞いてくれ。
+ 昔、木々が自分たちの中から王を選ぶことにした。最初に、オリーブの木に王になってくれと頼んだが、
+ 断られてしまった。『私は神と人とを祝福するためのオリーブ油を作り出すのが楽しいんだよ。ただ木々の上にそよいでいるだけだなんて、まっぴらだ。』
+ それで木々たちは、いちじくの木に、『あなたこそわれわれの王だ』と言った。
+ しかし、いちじくの木も断った。『甘い実をならすのをやめてまで、ほかの木の上に頭をもたげようとは思わない。』
+ それで、ぶどうの木に、『どうか私たちを治めてください』と頼んだ。
+ しかし、ぶどうの木も断った。『私は神と人とを楽しませるぶどう酒を作り出すのをやめてまで、ほかの木より偉くなろうなんて思わない。』
+ そこで、とうとういばらに、『あなたが王になってくれないか』と懇願した。
+ いばらは答えた。『ほんとうにそう思うのなら、私の陰に身を低くしてもらおう。それがいやなら、私から火が燃え上がって、レバノンの大杉まで焼き尽くしてしまうから。』
+ さあ、はっきりしてもらいたい。アビメレクを王にしたことは正しいことだったかどうか。それが、ギデオンとその家族を正しく扱ったことになるかどうか。
+ 私の父はあなたたちのために戦い、命がけでミデヤン人から救い出した。
+ それなのに、あなたたちは父に反逆し、息子七十人を石の上で殺すようなまねをした。そのうえ、女奴隷の子アビメレクを、身内というだけで王にした。
+ これがギデオンとその家族とに対する正しい態度であるなら、あなたたちもアビメレクも末長く幸福だろう。
+ だが、もし正しくないなら、アビメレクはシェケムやベテ‧ミロの住民と、互いを滅ぼし合うことになるだろう。」
+ そののちヨタムは、アビメレクを恐れてベエルに逃げ、そこに住みつきました。
+ 三年が過ぎたころ、神がアビメレク王とシェケムの住民との間にもめ事を起こさせたので、シェケムの住民は、アビメレクに反旗をひるがえしました。
+ その結果、アビメレクと、ギデオンの七十人の息子殺害に加担した者たちとに、殺人に対する報復がなされることになったのです。
+ シェケムの住民は、峠の小道のわきに、アビメレクを待ち伏せする者を潜ませました。ところがその者たちが、手当たりしだいに通行人を襲って略奪したので、やがてこの陰謀はアビメレクの知るところとなりました。
+ 当時、エベデの子ガアルが兄弟といっしょにシェケムに移住し、町の要職に就いていました。
+ その年の収穫祭が、シェケムの彼らの神の宮で催されていた時のことです。ぶどう酒の酔いが回ると、人々は口々にアビメレクの悪口を言い始めました。
+ ガアルは大声で言いました。「アビメレクが何だっていうんだ。どうしてあいつが王にならなきゃならないのだ。あんなやつにペコペコしていられるか。やつも仲間のゼブルも、私たちが仕えるような者たちなのか。
+ みんな、私に託してくれるなら、あんなやつ、あっという間に片づけてやる。アビメレクよ! せいぜい強い者を集めて出て来い! いつでも相手になってやる。」
+ 町長のゼブルはガアルの暴言を聞くと、怒りに震えました。
+ さっそくアルマにいるアビメレクに使者を遣わして、こう言わせたのです。「エベデの子ガアルが、身内の者といっしょにシェケムに来ています。彼らは今、町中をあなたに背かせようとやっきになっています。
+ 夜のうちに兵を率いて野へ行き、隠れていてください。
+ 朝早く、日が昇るころ、町に突入するのがよろしいでしょう。ガアルとその一味が手向かって来たら、それこそ、思いどおりに打ち負かすことができます。」
+ アビメレクとその部隊は夜中に出動し、四隊に分かれて、シェケムの町を取り囲みました。
+ 翌朝、ガアルが町の長老と話し合うために町の門のところに座った時、アビメレクの部隊は、いっせいに攻撃を開始しました。
+ それを見たガアルは、ゼブルに叫びました。「見ろ、あの山を! 大ぜい駆け降りて来るぞ。」「いや、山の影が人のように見えるだけですよ。」
+ 「なに、私の目がふし穴だと言うのか。よく見ろ! 確かに人がこっちへ来る。ほかの一組は、メオヌニムの樫の木の方から来るぞ。」
+ するとゼブルは向き直り、勝ち誇って言いました。「あれほど大口をたたいたのは、どこのどなたですか。『アビメレクがどうした! なんであんなやつを王にした!』とわめいたのはだれでしたかね。あなたが見くびってののしった者たちが、町を取り囲んだではありませんか。さあ、早く戦ったらどうです。」
+ そこで、ガアルはシェケムの住民を率いて、アビメレクと一戦を交えました。
+ しかし、たちまち打ち負かされ、町の門のところまで死傷者があふれかえりました。
+ アビメレクはその後もアルマにとどまり、ゼブルはガアルとその一族をシェケムから追放し、二度と住まわせないようにしました。
+ 翌日、シェケムの住民は再び戦おうと出て行きましたが、そのことをアビメレクに通報する者があったので、
+ 彼は兵を三隊に分け、野で待ち伏せました。そして、住民が勇んで出て来たところを襲いかかったのです。
+ アビメレクとともにいた部隊は、彼らが引き返せないように町の門を占拠し、ほかの二隊は野で彼らを打ち殺しました。
+ 戦闘は一日中続き、ついにアビメレクは町を占領し、住民を殺して町を破壊しました。
+ これを見て、近くのミグダルの町の住民は、バアル‧ベリテの宮に続くとりでに逃げ込みました。
+ このことを聞いたアビメレクは、兵を率いてツァルモン山に登り、斧で木の枝を切り、束ねて背負うと、「私のやるようにしなさい」と彼らに命じました。
+ そこで彼らはめいめい急いで枝を切って束ね、かついでとりでの町に引き返しました。そしてアビメレクのするとおり、たきぎをとりでの回りに積み上げ、火をつけたのです。それで、とりでの中にいた約千人の男女が焼け死にました。
+ 次にアビメレクは、テベツの町を攻撃し、占領しました。
+ しかし、町にはとりでがあったので、住民はみな、そこに逃げ込み、バリケードを築いて立てこもり、屋根に見張りを立てました。
+ そこで、アビメレクがとりでを焼き打ちにしようと近づいた時、
+ 屋根の上にいた一人の女が石臼を投げたのです。それがアビメレクの頭上に落ち、頭蓋骨を打ち砕きました。
+ 「殺してくれ!」苦しむアビメレクは、よろい持ちの若者に向かってうめきました。「女の手にかかって死んだなど言われてたまるか。」ほかにどうしようもなく、その若者は剣でアビメレクを刺し通しました。これがアビメレクの最期でした。
+ 彼の兵たちは、アビメレクが死んだのを見て散り散りになり、家へ帰ってしまいました。
+ こうして神は、ギデオンの七十人の息子殺害の罪を、アビメレクとシェケムの人々に報いたのです。同時に、生き残ったギデオンの末子ヨタムののろいも実現したのです。
+
+
+ アビメレクの死後、イスラエルの士師として立てられたのは、ドドの孫、プワの子トラでした。この人はイッサカル族の出身で、エフライムの山地にあるシャミルの町に住んでいました。
+ 彼は二十三年間、士師としてイスラエルを治めました。
+ 彼が世を去ってシャミルに葬られると、ギルアデ出身のヤイルが後継者となり、二十二年間イスラエルを治めました。
+ ヤイルの三十人の息子は、三十頭のろばを乗り回し、ギルアデにある三十の町を所有していました。それらの町は今も「ヤイルの町」と呼ばれています。
+ ヤイルは死んで、カモンに葬られました。
+ するとまたも、イスラエルの民は主から離れ、バアルやアシュタロテといった異教の神々を拝み、シリヤ、シドン、モアブ、アモン、ペリシテの神々に仕えるようになりました。そればかりか、真の神を礼拝することなど、きれいさっぱりやめてしまったのです。
+ これが主の怒りを引き起こさないはずはなく、主は直ちにペリシテ人とアモン人を動かして、イスラエル人を苦しませることになりました。彼らは、ヨルダン川の東にあるエモリ人の地ギルアデにいたイスラエル人を攻め、
+ さらにアモン人はヨルダン川を渡り、ユダ、ベニヤミン、エフライムにまで攻撃の手を伸ばしました。それは十八年間も続きました。
+ ついにイスラエル人は苦境に立ち、たまりかねて主に救いを求めました。「私たちはとんでもない罪を犯しました。自分たちの神を捨てて、偶像を拝んでおりました」と罪を告白したのです。
+ 主は言いました。「わたしは以前、エジプト人、エモリ人、アモン人、ペリシテ人、シドン人、アマレク人、マオン人からあなたがたを救ったではないか。これまで、いつでも叫び求めてくれば救い出したはずだ。
+ それなのに、あなたがたはわたしを捨て、性懲りもなくほかの神々を拝んでいる。勝手にするがいい。もう助けることはしない。
+ 行って、新しく選んだ神々にでも助けてもらうがよい。」
+ それでも人々は、主に助けを求めて言いました。「私たちが間違っていました。どうぞ存分に罰してください。ただ、もう一度だけ敵の手から救い出してください。」
+ こう言って彼らが外国の神々を取り除き、ひたすら主を礼拝したので、主は彼らをかわいそうに思いました。
+ そのころアモン人の軍がギルアデに集結し、ミツパに陣を敷いたイスラエル軍を攻撃しようとしていました。
+ 途方にくれたギルアデの指導者たちは、「いったいだれが、私たちを率いてアモン人と戦ってくれるのか。その役を買って出る者こそ私たちの王だ」と話し合っていました。
+
+
+ さて、エフタはギルアデ出身の勇士でしたが、母親は売春婦でした。父ギルアデには、正妻の産んだ数人の息子がいました。息子たちは成長すると、腹違いの兄弟エフタを、ギルアデの地から追い出しました。「売春婦の子に、父の財産などこれっぽっちもやるわけにはいかない」というわけです。
+ エフタは父の家を飛び出し、トブの地に移り住みました。まもなく、そこでならず者たちを従えるようになり、盗みを働いて日々を送っていました。
+ そんな時、アモン人がイスラエルに宣戦布告してきたのです。
+ ギルアデの要人たちはエフタを呼びにやり、
+ 指揮官としてアモン人と戦ってくれるように頼みました。
+ しかし、エフタは冷ややかに答えるばかりでした。「私を憎むあまりに父の家から追い出しておきながら、どうしてここへ来たのです。自分たちが困ったからって、今さらよくも来られたものですね。」
+ 「どうしてもおまえに帰ってもらいたいんだ。もし総指揮官としてアモン軍と戦ってくれたら、ギルアデの住民のかしらになってもらう。」
+ 「ほんとうかな。とても信じられないが。」
+ 「主にかけて誓う。」
+ こう言われて、エフタも気を変え、彼らの願いどおり総指揮官となり、彼らのかしらになりました。この契約は、人々がミツパに集まった時、主の前で結ばれました。
+ エフタはアモン人の王に使者を送り、イスラエルへの攻撃の理由を尋ねました。
+ すると、「そこは、もともとアモン人の土地だったのだ」という返事で、エジプトから移って来たイスラエルが、アルノン川からヤボク川、ヨルダン川に至るアモン人の全領地を奪い取ってしまったというのです。「すみやかに、われわれの土地を返してくれ」と、アモン人の王は要求してきました。
+ エフタは答えました。「イスラエルはその土地を奪ってはいない。
+ 真相はこうだ。イスラエル人がエジプトを出て紅海を渡り、旅を続けてカデシュに来た時、
+ エドムの王に使者を送り、その領地を通過する許可を求めた。しかし聞き入れてもらえなかった。モアブの王にも同様の許可を求めたが、やはり断られ、やむなくカデシュにとどまった。
+ それでも、とうとうイスラエルは荒野に出て、エドムとモアブの地を迂回し、その東の境に沿って旅を続け、モアブの境界線であるアルノン川の向こうに着いた。ただし、モアブの領地には決して入らなかった。
+ それからイスラエルは、ヘシュボンに住むエモリ人の王シホンに使者を送り、目的地に行くため領地内を通らせてほしいと頼んだ。
+ しかし王はイスラエルを信用せず、ヤハツに兵を集結させ、攻撃をしかけてきた。
+ しかしイスラエルの神、主は、われわれに力を貸し、王とその国民を打ってくださった。それでイスラエルは、アルノン川からヤボク川までと、荒野からヨルダン川までの、エモリ人の全地を手中に収めたのだ。
+ このように、この土地をエモリ人から取り上げてイスラエルに与えてくださったのは、われわれの神、主なのだ。それなのにどうして、あなたたちに返さなければならないのか。
+ そちらはそちらで、自分たちの神ケモシュが与えてくれるものを、しっかり守ればよいだろう。われわれは、主が下さったものを大事にしたいのだ。
+ いったい、あなたがたはモアブの王バラクより偉いつもりか。バラクはイスラエルに打ち負かされたあと、土地を取り返そうとしたか。もちろん、しなかった。
+ 今さら三百年も昔のことを問題にしてどうなる。イスラエルは三百年もここに住み、ヘシュボンからアロエルに至る一帯へ、またアルノン川沿岸の全域へと広がっていったのだ。その気があるなら、どうしてもっと早く取り戻そうとしなかったのか。
+ こちらは何も悪いことをした覚えはない。それなのに、そちらが勝手に戦いを挑んできて悪事を働こうとしている。しかしもうじき、どちらが正しいか、主がはっきりさせてくださるだろう。」
+ アモン人の王は、エフタのことばに全く耳を貸しませんでした。
+ その時、主の霊がエフタに下りました。エフタは兵を率いてギルアデとマナセの地を通り、ギルアデのミツパからアモン軍を攻撃しました。
+ 一方、エフタはこう主に誓ったのです。「もしあなたの助けによってアモン人を打ち破り、無事に帰還できたなら、私の家から最初に迎えに出た者を、焼き尽くすいけにえとしてささげます。」
+ エフタは兵を率いてアモン人と戦い、勝利を収めました。
+ そして、アロエルからミニテにかけての二十の町と、アベル‧ケラミムに至るまで徹底的にアモン人を打ちました。こうして、ついにアモン人はイスラエルに屈服したのです。
+ エフタが家に戻った時、なんと彼のひとり娘が家から出て来て、大喜びでタンバリンを鳴らし、踊りながら駆け寄って来ました。
+ 娘を見て、エフタは胸を引き裂かれる思いで着物を引きちぎり、叫びました。「ああ、なぜこんなむごいことに! いったん主に誓いを立てたからには、もう取り消すわけにはいかないのだ。」
+ すると娘は言いました。「お父様、どうか主にお誓いになったとおりになさってください。主は敵のアモン人をやっつけて、こんなすばらしい勝利をもたらしてくださったのですもの。
+ ただ、二か月の間、私を女友達と山に行かせ、さまよい歩かせてください。結婚もしないで終わることを泣き悲しみたいのです。」
+ 「ああ、ああ。行くがいい。」そこで彼女は、自らの運命を友達とともに嘆きながら、二か月間さまよいました。
+ 二か月が過ぎて戻って来た娘を、エフタは誓願どおり主にささげました。〔ただし、いけにえとして実際に殺されたのか、処女のままで主に生涯をささげたのかは不明。〕こののちイスラエルでは、
+ 毎年四日間、若い娘たちは出て行って、エフタの娘のために嘆き悲しむというしきたりができました。
+
+
+ さて、エフライム族はツァフォンに兵を集め、エフタにこう言い送りました。「アモン人と戦う時、なぜわれわれに援軍を求めなかったのだ。おまえの家など、おまえもろとも焼き払ってやるから。」
+ 「かつて、われわれはあなたがたに召集をかけました。しかし、駆けつけてくれなかったではないですか。助けてほしい時に助けてくれなかったのです。
+ ですから、あなたがたを当てにせず、命がけで戦ったのです。幸い、主が助けてくださり、敵を破ることができました。それなのに何だって、今になって私たちに戦いをしかけてくるのですか。」
+ エフタは、エフライム族が「ギルアデの者らはどこの馬の骨かわからない、人間のくずだ」と侮辱するのに激怒し、兵を集めてエフライム軍を攻撃しました。
+ そして、エフライム軍の背後にあるヨルダン川の渡し場を占領したのです。逃げて来る者が川を渡ろうとすると、ギルアデ人の見張りが尋問しました。「おまえはエフライムの者ではないのか」と聞き、「違う」という答えが返ってくると、
+ 「『シボレテ』と言ってみろ」と命じるのです。もし「シボレテ」と正しく発音できず、「スィボレテ」と発音すれば、引っ立てて行って殺すのです。こうして、ここで四万二千人のエフライム人が死にました。
+ エフタは六年間、イスラエルをさばき、世を去ると、ギルアデの町に葬られました。
+ エフタの次に士師となったのは、ベツレヘムに住んでいたイブツァンです。
+ 彼には息子と娘が三十人ずついました。彼は娘を自分の氏族以外の者に嫁がせ、息子たちにはよそから三十人の嫁を迎えました。彼は世を去るまでの七年間イスラエルをさばき、ベツレヘムに葬られました。
+ 次に士師となったのは、ゼブルン族のエロンです。彼は十年間イスラエルをさばき、ゼブルンのアヤロンに葬られました。
+ そのあとを継いだのは、ピルアトン人ヒレルの子アブドンです。
+ 彼には四十人の息子と三十人の孫がおり、彼らは七十頭のろばを乗り回していました。アブドンが士師であった期間は八年です。
+ 死んだのち、アマレク人の山地にあるエフライムのピルアトンに葬られました。
+
+
+ イスラエル人はまたも、ほかの神々を拝む罪を犯しました。それで主は、ペリシテ人がイスラエルを征服するにまかせたので、イスラエルは四十年間、彼らの支配下に置かれることになりました。
+ ある日のこと、主の使いが、ツォルアに住むダン族の氏族でマノアという人の妻に現れました。彼女は子どものいない女でしたが、主の使いはこう告げたのです。「あなたには長い間子どもができなかったが、まもなく身ごもり、男の子を産む。
+ 今からはぶどう酒や強い酒を飲んではいけない。それに、律法で禁じられている食べ物も口にしてはいけない。
+ 生まれてくる子の頭には、かみそりを当ててはならない。その子は、神に仕えるナジル人(「ささげられた者」「聖別された者」の意)として、生まれた時から特別にきよめられているからだ。やがてその子は、イスラエルをペリシテ人から救い出すことになる。」
+ マノアの妻は夫のもとへ駆けつけ、一部始終を話しました。「神様からのお使いが来られたの。天使に違いありません。あまりに神々しくて、まともに見ることもできなかったわ。どちらからいらしたのか、お尋ねもできなかったし、その方も名をお告げにならなかったの。
+ でも、こうおっしゃったわ。『あなたは男の子を産む』って。そして、ぶどう酒や強い酒を飲んではいけないし、律法で禁じられている食べ物も口にしてはいけないと。その子は、生涯、神様にささげられたナジル人だからとおっしゃったのです。」
+ それを聞いて、マノアは祈りました。「ああ、主よ。どうかそのお方をもう一度、私たちのもとへお送りください。生まれてくる子にどうしてやればよいのか、もっと教えていただきたいのです。」
+ 祈りは聞かれ、神の使いがもう一度、マノアの妻のもとに遣わされました。この時も、彼女は一人だけで畑にいて、夫は居合わせませんでした。
+ 彼女は急いで夫を捜しに行き、「あの方がまた、おいでになった」と告げました。
+ マノアは妻といっしょに大急ぎでその人のところに駆けつけました。「あなた様は、いつか妻にお語りくださったお方でしょうか。」「そうです。」
+ 「男の子が生まれたら、どのように育てたらよいか、教えていただきたいのです。」
+ 「あなたの妻に言っておいたことすべてを守りなさい。彼女は、ぶどうも干しぶどうも食べてはならない。ぶどう酒も強い酒も口にせず、律法で禁じられている物も食べてはいけない。」
+ 「少しお待ちください。何かお食事をご用意いたします。」
+ 「ここにいるのはよいが、何も食べるわけにはいかない。どうしてもと言うなら、主にささげるいけにえとして持って来なさい。」マノアは、その人が主の使いであることに、まだ気づいていなかったのです。
+ マノアは、その人の名前を尋ねました。「おことばどおり男の子が生まれたら、あなた様の預言のとおりになったと、みんなに知らせたいのです。」
+ 「なぜ名前など尋ねるのか。それは知らされるべきではない。」
+ マノアは子やぎと穀物の供え物を手にし、主にささげました。すると主の使いは、とても不思議なことをして見せたのです。
+ 祭壇から天に立ちのぼる炎をマノアとその妻が見ていると、なんと、その炎の中をその人が昇って行くのです。二人は思わず地にひれ伏しました。
+ これが、二人がその人を見た最後でした。この時初めて、マノアはその人が主の使いであることを悟ったのです。
+ マノアは叫びました。「私たちは助からないだろう。神様を見てしまったのだから。」
+ しかし、妻は答えました。「もし神様が私たちのいのちを取るおつもりなら、どうして焼き尽くすいけにえをお受けくださったのでしょう。それに、このように私たちの前に現れてくださったり、不思議なことを予告なさったり、先ほどのような奇跡を見せてくださったりするはずもありません。」
+ さて、二人に男の子が生まれると、サムソンという名がつけられました。その子は主に祝福されて、すくすくと育ちました。
+ 成人したサムソンが、ツォルアとエシュタオルの町との中間点にあるダン族の練兵場を訪れるたびに、主の霊は、彼を奮い立たせ始めたのです。
+
+
+ ティムナへ行ったある日のこと、サムソンはペリシテ人の娘にひと目ぼれしました。
+ 家へ帰ると、さっそく両親に、その娘と結婚させてほしいと頼みました。
+ もちろん、両親は大反対でした。「どうしてイスラエル人の娘と結婚しないのだ。ほんとうの神を知らないペリシテ人を妻にする必要があるのか。国中探しても、おまえが結婚したい相手はいないとでも言うのか。」「私が結婚したいのは、あの人だけなのです。どうか嫁にもらってください。」
+ 両親は、まさか背後で主がこうなるように画策しておられるとは気づきませんでした。主は、当時イスラエルを支配していたペリシテ人を、計略にかけようとしておられたのです。
+ サムソンと両親がティムナに向かって行き、町のぶどう畑にさしかかった所で、一頭の若いライオンがサムソンに襲いかかってきました。
+ その瞬間、主の霊が激しくサムソンに力を注ぎました。サムソンは武器を持っていませんでしたが、素手でライオンのあごをつかむと、真っ二つに引き裂きました。まるで子やぎを引き裂くように、難なくやってのけたのです。しかし、このことを両親には黙っていました。
+ ティムナに着くとさっそく、サムソンはその娘と語り合い、ますます気に入って、結婚の約束を交わしました。
+ 結婚式のためにまた出かけて来たサムソンは、途中ライオンの死骸が気になり、その場所へ立ち寄ってみました。すると死骸にはみつばちが群がり、みつがしたたっていたので、
+ 彼はみつをかき集め、歩きながら食べました。また、両親にも食べさせました。しかし、どこで手に入れたかは教えませんでした。
+ 父親が結婚の手はずを整えてくれると、サムソンはしきたりどおり村の若者三十人を招いて祝宴を催しました。
+ サムソンがなぞ解きをしないかと彼らに持ちかけると、みなは乗り気になりました。「もし君たちが、七日間の祝宴中に私のなぞを解いたら、白生地の着物三十着と柄もの三十着を差し出そう。
+ だが、もし解けなかったら、同じものをもらうから。」「いいだろう。言ってみろよ。」
+ 「食らう者から食い物が出、強い者から甘い物が出た。」三日たっても、彼らはまだ解けません。
+ 四日目に、彼らはサムソンの新妻のもとに来て、こう持ちかけました。「あなたの夫から答えを聞き出してくれないか。さもないと、あなたもあなたの父親の家も焼き払ってやる。われわれは何も、丸裸にされるために呼ばれたわけじゃないんだ。」
+ そうまで言われては、夫に泣きすがるほかありません。「いったい、あなたは私を愛してくださっているの? 村の人たちになぞをかけておいて、私にも種明かしをしてくださらないなんて……。」「両親にも教えてないんだから、おまえにだって話せないよ。」
+ そう言われても彼女は、残りの祝宴の間中もサムソンのそばで涙にくれ、「教えて」とせがみ続けました。七日目、彼はとうとう種を明かしてしまいました。彼女がそれを客の若者たちに教えたことは言うまでもありません。
+ 七日目の日没前、彼らはサムソンに答えました。「はちみつよりも甘い物は何か。ライオンよりも強いものは何か。」サムソンは憤然として言い返しました。「私の若い雌牛で耕さなかったら、このなぞは解けなかっただろう。」
+ その時、主の霊がサムソンに下りました。彼はアシュケロンの町へ行き、三十人を殺して着物を奪い、なぞを解いた若者たちにくれてやりました。サムソンは怒りのあまり妻を放り出し、両親の家へ帰ってしまいました。
+ すると妻のほうも、サムソンとの結婚式に立ち合った仲間の一人と結婚してしまったのです。
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+ やがて、小麦の刈り入れの季節になりました。サムソンは子やぎ一頭を妻への贈り物として持参し、結婚生活を続けようとしました。ところが、彼女の父親は娘の部屋に入れてくれません。
+ 「私はてっきり、娘があなたにきらわれたのだと思いまして、あなたの介添え人にやってしまったんですよ。どうです、妹のほうがあれよりきれいですよ。代わりに妹をもらってやってくれませんか。」
+ サムソンは腹を立てて言いました。「いいか、これから先、何が起ころうと、私の知ったことではないから。」
+ 彼は出て行ってきつねを三百匹捕らえ、二匹ずつしっぽを結び合わせ、結び目にたいまつをくくりつけました。
+ そして、たいまつに火をつけると、ペリシテ人の麦畑にいっせいに放ったのです。たちまち火は燃え上がり、山積みにしてある麦束にも燃え移り、ぶどう畑やオリーブ畑まで丸焼けになってしまいました。
+ 「いったい、だれのしわざだ。」ペリシテ人は非常に怒りました。「サムソンだ。あいつの妻の父親が娘をほかの男にやってしまったからだ。」それに違いないということで、その娘と父親とを捕らえ、焼き殺してしまったのです。
+ これを知ったサムソンは言い放ちました。「見ていろ。かたきは必ず取ってやる!」
+ 激しい怒りに燃えて彼らを攻め、多数のペリシテ人を打ち殺したあと、彼はエタムの岩にあるほら穴で暮らしました。
+ そうこうするうち、ペリシテ人はユダに大軍を差し向け、レヒに攻め入って来たのです。
+ 「なぜここに攻めて来たのか」とユダの人々が尋ねると、彼らは言いました。「サムソンを捕まえ、あいつに仕返ししてやるのだ。」
+ そこで、ユダから三千人がサムソンを捕らえにエタムの岩のほら穴へ行って、サムソンに言いました。「なんということをしてくれたのか。ペリシテ人は、われわれの支配者ではないか。」するとサムソンは言いました。「彼らが私にしたとおり、彼らにしただけだ。」
+ 「われわれはおまえを捕まえてペリシテ人に引き渡そうとやって来たのだ。」「わかった。ただし、私を殺さないと約束してくれ。」「もちろんだ。」こうしてサムソンは、二本の新しい綱で縛り上げられ、引き立てられました。
+ 一行がサムソンを捕らえてレヒに着くと、ペリシテ人は歓声を上げました。主の力がサムソンに注がれたのは、その時です。綱は、まるで糸のようにぷっつりと切れ、手首から解けました。
+ すかさずサムソンは、そこに転がっていたろばのあご骨を拾い上げ、あっという間に千人のペリシテ人を打ち殺しました。
+ 彼はろばのあご骨を投げ捨てると、こう言いました。「ろばのあご骨で山また山。ろばのあご骨で千人のしかばね。」以来そこは、ラマテ‧レヒ〔あご骨の丘〕と呼ばれています。
+ それからひどくのどが渇いたサムソンは、主に祈りました。「あなたはこの私に目覚ましい働きをさせ、今日、イスラエルをお救いくださいました。ところが、私はのどが渇いて死にそうです。こんなことで異教徒の手に落ちてよいでしょうか。」
+ すると主は、そばのくぼ地から、水をわき出させました。水を飲んですっかり元気を取り戻したサムソンは、そこをエン‧ハコレ〔祈りの人の泉〕と名づけました。その泉は今もあります。
+ サムソンは、こののち二十年間イスラエルの士師でしたが、なおこの地はペリシテ人の支配下にありました。
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+ ある日、サムソンはペリシテ人の町ガザへ行き、一人の娼婦と夜を過ごしました。
+ たちまち、「サムソンを見かけた」といううわさが広まり、町の人々は警戒を強化し、彼の帰りぎわを押さえようと、夜通し町の門で待ち伏せました。「明け方になったら、見つけ出して殺してしまおう」と思ったのです。
+ しかし、真夜中まで女と過ごしたサムソンは、そのあと町の門まで行き、二本の門柱もろとも引き抜くと、高々とかつぎ上げ、ヘブロンの向こう側にある山の頂まで運んで行きました。
+ そののちサムソンは、ソレクの谷に住むデリラという女を愛するようになりました。
+ ペリシテ人の五人の領主がじきじきに彼女を訪ね、「サムソンの力の秘密を探ってくれないか。どうしたら、あの男を鎖で縛り上げてやれるか、ぜひとも知りたいのだ」と頼みました。もちろん、ただではありません。「この仕事を引き受けてくれたら、めいめいが銀千百枚を出そう」と約束したのです。
+ そこでデリラはサムソンに、力の秘密を打ち明けてほしいと頼みました。「ねえサムソン、どうしてそんなに強いの。教えてちょうだい。だれかがあなたを捕まえるなんて、できっこないわよね。」
+ 「そうだな。真新しい七本の弓の弦で縛られでもすれば、私も人並みの力しか出せないだろうな。」
+ 例の領主たちは、さっそく七本の弓弦を持って来ました。デリラは眠っているサムソンを縛り上げ、
+ 隣室には幾人かを潜ませておいて、大声で叫んだのです。「サムソン! ペリシテ人が襲いに来たわ!」するとどうでしょう。サムソンは、弓弦を木綿糸のようにあっという間に断ち切ってしまったのです。こうして彼の力の秘密は、だれにも知られませんでした。
+ するとまた、デリラはサムソンにからみました。「私をからかったのね。うそつき。ねえ、どうしたらあなたを縛り上げることができるのか、教えてちょうだい。」
+ 「わかったよ。まだ使ったことのない新しい綱で縛ってみろよ。普通の人と同じぐらいの力しか出せないから。」
+ それでデリラは、サムソンが眠ったころを見はからって新しい綱を取り出し、縛り上げました。前と同じように隣室に幾人かを潜ませ、またも大声で叫んだのです。「サムソン! ペリシテ人が捕まえに来たわ!」ところがサムソンは、まるでくもの巣でも払うように、綱を腕からはずしてしまったのです。
+ 「また私をばかにして、とんでもないでたらめを言ったのね。ねえ、お願い。ほんとうのことを教えて。どうしたらあなたを縛り上げることができるのか。」「ああ、わかったよ。私の髪を、おまえの機に織り込んでみるんだな。」
+ デリラはサムソンが眠ったのを確かめ、言われたとおり、彼の長い髪の毛を機に織り込むと、わざと悲鳴を上げました。「ペリシテ人よ! サムソン!」サムソンは目を覚ますと、髪をぐいと引っぱり、機を壊してしまいました。
+ デリラは泣き出しそうな声で言いました。「よくも愛してるなんて言えるわね。ちっとも私を信用してくれないくせに。もう三度もだまされたわ。それでもまだ、力の秘密を教えてはくれないのね。」
+ 寝ても覚めても彼女がせがみ続けるので、サムソンは死ぬほどつらくなって、ついに秘密を打ち明けました。「実は、私の頭にはかみそりが一度も当てられたことがないんだ。私は生まれる前から神にささげられたナジル人だから。もし髪がそり落とされたら、私の力もおしまいさ。ほかの人と同じになるんだ。」
+ とうとう彼はほんとうのことを明かしたのです。デリラはさっそく、ペリシテ人の五人の領主を呼びにやりました。「もう一度お越しください。今度こそ間違いありません。」彼らは約束の金を用意してやって来ました。
+ 彼女はひざ枕でサムソンを眠らせると、床屋を呼び、髪をそり落とさせました。念のためサムソンをたたいてみると、確かに彼の力はなくなっているようです。
+ もう大丈夫と、デリラはまた悲鳴を上げました。「ペリシテ人が捕まえに来たわ! サムソン!」サムソンは目を覚まし、「なあに、いつもの調子で片づけよう。体をひと揺すりすれば、思いのままさ」と考えました。主が自分から去ったことに気づいていなかったのです。
+ ペリシテ人はサムソンを捕まえると、目をえぐり出し、ガザへ連れて行きました。そこで青銅の足かせをはめて牢に入れ、臼を引かせました。
+ しかしその間に、サムソンの髪は少しずつ伸びていました。
+ ペリシテ人の領主たちは、サムソンを捕らえたことを祝う盛大な祭りを催しました。人々は彼らの神ダゴンにいけにえをささげ、熱狂的に賛美しました。獄中のサムソンを満足げに眺めながら、「われわれの神は、宿敵サムソンを引き渡してくださった。同胞を大ぜい殺した元凶が、今はあのざまだ」と言いました。
+ いいかげん、みなの酔いが回ったころでした。「サムソンを連れ出せ! 見せ物にして楽しもうじゃないか」という声が上がりました。サムソンは牢から引き出され、神殿の中央の大屋根を支える二本の柱の間に立たされました。彼は手を引いている若者に頼みました。「両手を二本の柱にすがらせてくれ。寄りかかって休みたいんだ。」
+ この時、神殿は立錐の余地もないほど、人で埋め尽くされていました。五人の領主も臨席しており、バルコニーにも三千人の男女がひしめいて、サムソンの様子をおもしろ半分に見つめていました。
+ サムソンは主に祈りました。「ああ神、主よ。どうかもう一度、私のことを思い出してください。今一度、力をお与えください。ペリシテ人にえぐられた二つの目の復讐をさせてください。」
+ 祈り終わると、全力を振り絞って二本の柱を押しました。
+ 最後にサムソンは、「ペリシテ人もろとも死なせてください!」と祈りました。すると神殿は、領主たちをはじめ、居合わせた全員の上にくずれ落ちていったのです。なんと、サムソンがこの時殺した者は、彼が生きている間に殺した者より多くいました。
+ その後、サムソンの兄弟や身内が来て遺体を引き取り、郷里に運んで、ツォルアとエシュタオルとの間にある、父マノアの墓に葬りました。サムソンが士師としてイスラエルを裁いたのは二十年間でした。
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+ エフライムの山地に、ミカという名の人が住んでいました。
+ ある日、彼は母親に言いました。「盗まれたとお母さんがしきりにのろって言っていた銀千百枚のことだけど、実はあれは私が盗んだのです。」すると母親は、「よく正直に話してくれたね。主が祝福してくださるように」と答えました。
+ ミカがその金を母親に返した時、彼女は言いました。「おまえの名誉のためにも、これを主にささげます。これでおまえのために彫像を造り、銀をはってもらいましょう。」
+ 母親は銀二百枚を銀細工人に渡し、彫像を造らせました。彫像は、屋敷内にあるミカの聖堂に安置されました。ミカはたくさんの偶像を集めており、エポデとテラフィム(占いや霊媒に使う偶像)もそろえて、息子の一人を祭司に任命していたほどでした。
+ 当時イスラエルには王がなく、各人各様、自分の目に正しいと思うことを行っていたのです。
+ ある日、ユダのベツレヘム出身の若い祭司が、安住の地を求めてエフライム地方にやって来ましたが、道中、ふとミカの家の前で立ち止まりました。
+ ミカは、「どちらからお越しですか」と尋ねました。「ユダのベツレヘムから参った祭司です。どこか住むのによい所はないものかと、旅しております。」
+ 「よろしければ、ここにとどまってください。私どもの祭司になっていただきたいのです。毎年、銀十枚と新しい衣服ひとそろい、それに生活費いっさいを面倒みて差し上げますよ。」若者は同意し、ミカの家族同様の扱いを受けました。
+ ミカはおかかえの祭司を得たのです。
+ 「私は今、主からほんとうに祝福していただいた。正真正銘の祭司がいるのだから」と、彼は感激して言いました。
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+ こうした話でもわかるように、そのころイスラエルには王がいませんでした。さて、ダン族は自分たちの相続地を得ようとしていました。まだ割り当て地を攻め取っていなかったからです。
+ そこで、ツォルアとエシュタオルの町から勇士五人を選び、土地を偵察させました。エフライムの山地に着いた五人は、ミカの家に宿を取りました。
+ そして、レビ人なまりの若者に気づき、近くに呼んで尋ねたのです。「ここで何をしているのですか。なぜこんな所にいるのです?」
+ 若者はミカとの取り決めについて話し、ミカの私的な祭司であることを告げました。
+ 「そうですか。それなら、われわれの旅が成功するかどうか、ひとつ、神に伺ってくれませんか。」
+ 「安心して旅を続けてください。主は皆さんを、お心にかけていらっしゃいますよ。」
+ やがて五人は、ライシュの町に入り込みました。そして、住民がみな安穏と暮らしているのに気づきました。生活ぶりもフェニキヤ人らしく、たいそう裕福なものでした。この辺りでは脅威を与える強い部族もなかったので、彼らは無防備同然で、安心しきっていました。そのうえ、シドンにいる同族とも遠く離れ、近隣の村々ともほとんど交渉を断っていたのです。
+ 偵察に来た五人は、ツォルアとエシュタオルへ帰りました。待ちかねていた人々は尋ねました。「どうだったのか、向こうの様子は?」
+ 「ぜひ攻め取ろう。見た限りでは申し分ない所だ。土地は広々として、よく肥えている。それに、全く無防備だった。さあ、出かけよう。神様があの地を与えてくださるのだ。」
+ そこで、ダン族の兵六百人が、ツォルアとエシュタオルから送り込まれました。
+ 第一夜は、ユダのキルヤテ‧エアリムの西側で過ごしました。そこは今も、マハネ‧ダン〔ダンの陣営〕と呼ばれています。
+ そこからエフライムの山地へと、進軍を続けたのです。ミカの家に差しかかった時、
+ 先の偵察隊の五人が言いました。「この家にはエポデやテラフィム、それに彫像をたくさん安置した聖堂がある。となると、われわれのなすべきことはわかっているな。」
+ 五人は残りの兵を門外に立たせたまま、邸内に入りました。まず、あの若い祭司にあいさつすると、
+ 五人は聖堂に踏み込み、彫像やエポデやテラフィムを持ち出そうとしました。
+ 「何をするんだ」と、若い祭司はさえぎりました。
+ 「どうか、おとなしく私どもとともにおいでくださり、われわれの祭司におなりなさい。あなただって、一軒の家でたった一人に仕えるより、部族全体の祭司になるほうがいいのではありませんか。」
+ すると祭司は誘いに応じ、エポデやテラフィム、彫像を取って彼らの一員に加わりました。
+ 一行はそこを引き揚げ、子ども、家畜、家財などを隊列の先頭に立てて先を進みました。
+ ミカの家からかなり離れたところで、ミカと近所の人々が追いかけて来て、
+ 大声で言いました。「待ちなさい!」「いったいどうしたのですか。ずいぶんものものしいですが。」
+ ミカは答えました。「『どうしたのだ』とは、しらじらしい。私の神々から祭司まで、いっさいがっさい持ち出しておきながら。家が空っぽになっているではないか!」
+ 「何ですと? もっと気をつけてものを言ってほしいな。でないと、腹を立てた連中が、あなたがたを皆殺しにしかねませんよ。」
+ こう言い捨てると、ダンの人々は去って行きました。相手が大ぜいすぎて手出しがかなわないと悟ったミカは、すごすごと家へ引き返しました。
+ 一方ダンの人々は、ミカの造った彫像と祭司を伴い、ライシュの町に着きました。町は全く無防備だったので、住民を襲って打ち、町を焼き払いました。
+ だれも、住民を助ける者はいません。シドンから遠く離れていたうえ、周囲の町とも同盟を結んでおらず、どことも交渉がなかったからです。町はベテ‧レホブに近い谷にあり、ダン族は町を再建し、そこに住みつきました。
+ 町の名も「ダン」と改めました。彼らの先祖で、イスラエルの息子の一人ダンの名にちなんだものです。元の名はライシュでした。
+ ダンの人々は自分たちのために彫像を立て、ゲルショムの子で、モーセの孫に当たるヨナタンとその子孫を祭司に任命しました。彼らは、その地の民が捕囚となるまで代々祭司を務めました。
+ こうして、神の宮がシロにあった間中、ダン族はミカの彫像を拝んでいました。
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+ イスラエルにまだ王がいなかったころ、あるレビ人がエフライムの山地の奥に住んでいました。その人は、ユダのベツレヘムから一人の娘をそばめとして連れて来ました。
+ ところが彼女はその人をきらって、ベツレヘムの実家へ逃げ帰り、四か月もそこにいました。
+ そこで夫は従者を一人伴い、そばめを乗せるろばをもう一頭連れて、彼女を連れ戻そうと会いに出かけたのです。彼女は訪ねて来た夫を招き入れ、父親に引き合わせると、父親も歓待してくれました。
+ 勧められるまま三日間滞在し、うちとけて、楽しい時を過ごしました。
+ 四日目の朝早く、出立しようと腰を上げると、父親は、朝食をすませてからにするよう熱心に勧めます。
+ そうこうするうち、たいそう楽しかったのか、父親は、もう一晩泊まってくれとしきりに頼むのです。
+ 初めはなかなか承知しませんでしたが、しゅうとがあまりに頼むので断りきれず、泊まることにしました。
+ 翌朝、二人が早く起きると、またも父親が、「夕方までいてください。そして、日暮れ前にお発ちなさい」と、拝み倒さんばかりに頼むのです。二人はこの日も、ごちそう攻めに会いました。
+ 午後になって、夫婦と従者は出立の用意をしました。すると、しゅうとが言いました。「もう日も暮れかかった。今晩だけ泊まってお行きなさい。楽しい最後の晩を過ごそうじゃないか。明日の朝早く発てばいいだろう。」
+ しかし、今度ばかりは耳を貸さず、彼らは出立し、日暮れまでに、エブスとも呼ばれたエルサレムの近くまで来ました。
+ 従者が主人に言いました。「日が暮れかかっておりますので、これ以上旅を続けるわけにはいきません。今夜はここに泊まってはいかがでしょう。」
+ 「いや、だめだ。イスラエル人のいない異教徒の町だから。ギブアか、できればラマまで行こう。」
+ こうして、一行は旅を続けました。ベニヤミン族の村ギブアまで来た時、ちょうど日が沈みました。
+ ここで一泊しようと町へ入って行きましたが、だれも招き入れてくれません。しかたなく町の広場で野宿することにしました。
+ ちょうどそこへ、野良仕事を終えた老人が通りかかりました。そこはベニヤミンの領地でしたが、この老人はエフライムの山地出身で、今はギブアに住んでいる人でした。
+ 広場に野宿している旅人に目を留めた老人は、「どちらからお越しかな。どこまで行かれるのじゃ」と尋ねました。
+ 「ユダのベツレヘムから戻る途中です。シロからそう遠くないエフライムの山奥に住んでおります。今夜は、どこの家にも泊めてもらえなかったのです。
+ ろばの餌も私たちの食糧やぶどう酒も、たくさん持っています。」
+ 「お気づかいは無用ですよ。私の家にお泊まりなさい。こんな所に野宿してはいけない。」
+ 老人は一行を自宅に案内しました。ろばにたっぷりまぐさをやったあと、共に食卓を囲みました。
+ 夕食の席がしだいにはなやいできた時、ならず者の一団が家を取り囲み、戸をたたき始めたのです。彼らは大声で、「おまえの所に泊まった男を出せ。そいつに興味があるのだ」とどなります。
+ 老人は外へ出て、彼らと話し合いました。「そんな悪いことはよしなされ。あの方は私の客人だ。
+ 代わりに、私のところの生娘と客人のそばめを差し出そう。いま二人を連れて来るから、好きなようにすればいい。ただし、客人には指一本ふれてくれるな。」
+ それでも彼らは聞き入れません。すると客人のレビ人は、自分のそばめを外のならず者の前に放り出しました。彼らは夜通し代わる代わる彼女を辱め、夜が明けるころようやく解放したのです。
+ 彼女は、明るくなるまで戸口に倒れたままでした。
+ 旅立とうとして夫が戸を開けると、自分のそばめが手を敷居にかけたまま入口に倒れているのを見ました。
+ 「さあ、立ちなさい。出かけよう」と声をかけましたが、何の返事もありません。すでに彼女は死んでいたのです。彼は死体をろばに乗せ、家まで運びました。
+ 家に着くと、ナイフで死体を十二に切り分け、一つずつイスラエルの各部族に送りました。
+ それを見た民はみな、ベニヤミン人の野蛮な行為に怒りをかきたてられました。「エジプトを出て以来、こんなひどい出来事があっただろうか。この事件を見過ごすわけにはいかない。」
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+ そこで全イスラエルから、ミツパに指導者たちと四十万の兵が向かい、主の前に一つの心になって集結したのです。ダンからベエル‧シェバに至る全国各地はもとより、ヨルダン川の東側のギルアデからも、ぞくぞくと集まって来ました。
+ イスラエル軍がミツパに集結したという知らせは、まもなくベニヤミン領内に伝わりました。イスラエルの指導者たちは殺された女の夫を呼んで、真相を話すよう求めました。
+ 「私たちは、ベニヤミン領内のギブアに行き、その夜ある家に泊まりました。
+ ところが夜中に、ギブアの者どもが家を取り囲み、私を殺そうとしたのです。一味は私のそばめに暴行を加え、無残にも殺してしまいました。
+ 私はそばめの死体を十二に切り分け、イスラエルの全地に送りました。それというのも、彼らの仕打ちがあまりにむごかったからです。
+ さあ、皆さん、どうか協議してください。」
+ 彼らは口をそろえて言いました。「ギブアの村に報復するまでは、一人たりとも家には帰らない。全軍の十分の一をくじで選び分け、食糧補給に当たらせよう。残りは結集して、こんな恥ずべきまねをしたギブアを滅ぼそう。」
+ イスラエル全国民は、そのために一丸となりました。
+ さっそくベニヤミン族に使者を立て、要求を突きつけました。「おまえたちは、あの忌まわしい事件を知っているのか。
+ あの悪事を働いた者たちを引き渡せ。彼らを処刑して、イスラエルから悪を除き去るのだ。」しかし、ベニヤミン族は聞こうとはしませんでした。
+ それどころか、二万六千の兵をギブアに集め、地元ギブアから募った七百人と合流し、イスラエル軍に対抗する構えを見せたのです。
+ ベニヤミン軍には、左ききの石投げの名手が七百人いました。その腕まえは大したもので、一本の毛をねらっても的をはずさないほどでした。
+ 一方、ベニヤミンを除くイスラエル軍は、総勢四十万人に上りました。
+ 戦いを前にして、まずイスラエル軍は、ベテルで神に伺いを立てました。「ベニヤミンと一戦交えるのに、どの部族が先陣を切るべきでしょうか。」すると主は、「ユダが先頭に立ちなさい」と答えました。
+ そこで全軍は、翌朝早く、ベニヤミンを攻撃するためにギブアへ向かいました。
+ しかし、ギブアを守っていたベニヤミン軍が不意に襲いかかり、その日のうちに二万二千人のイスラエル兵を倒したのです。
+ イスラエル軍は主の前で夕方まで泣き続け、再び伺いを立てました。「私たちは、同胞ベニヤミンとまだ戦うべきでしょうか。」「戦いなさい」という主の答えが返ってきました。イスラエル軍は奮い立ち、翌日も、同じ場所で戦おうと出陣しました。
+ ところがこの日も、剣の使い手一万八千人を失うはめになったのです。
+ そこで、イスラエル全軍はベテルに上り、主の前に泣き伏して夕方まで断食し、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。
+ 当時、神の契約の箱はベテルにあり、アロンの孫で、エルアザルの子ピネハスが祭司でした。イスラエルの民は主に尋ねました。「また出陣して、兄弟ベニヤミンと戦うべきでしょうか。それとも、やめるべきでしょうか。」すると主は、「行きなさい。明日、あなたがたはベニヤミンを打ち破ることができる」と答えました。
+ そこで、イスラエル軍はギブア周辺に伏兵を潜ませ、
+ 三日目に攻撃に移り、いつものような陣形をとりました。
+ ベニヤミン軍が迎え撃とうと町から出てくると、退却すると見せかけて町からおびき出したのです。ベニヤミン軍は前回同様、ベテルとギブアを結ぶ路上でイスラエルを撃破し、たちまち三十人を倒しました。
+ ベニヤミン軍は、「また勝ったぞ!」と雄たけびを上げましたが、実はそれがイスラエル軍の作戦だったのです。初めからわざと逃げて、ベニヤミン軍を町からおびき出そうと考えていたのでした。
+ 本隊はバアル‧タマルまで来た時、一転して反撃に移り、ゲバの西に隠れていた伏兵一万も飛び出しました。
+ 伏兵は、まだ危険に気づいていないベニヤミン軍のしんがりを襲いました。
+ 主が助けを与えたので、イスラエル軍はベニヤミン軍を打ち破ることができたのです。その日、ベニヤミン軍は二万五、一〇〇人を失い、生き残った兵士は数えるほどでした。実際ベニヤミン軍は、イスラエル軍が彼らの前から退却したことで、前回同様の大勝利を確信しました。しかしその時、伏兵がギブアに突入し、村にいた全員を殺し、火を放ちました。その煙を合図に、イスラエル軍は反撃に転じ、いっせいに攻撃を開始したのです。
+ ベニヤミン軍はうしろを振り返り、町が炎に包まれているのを見て恐怖に襲われました。危険が身に迫るのを感じ、
+ 彼らは荒野へ逃げようとしましたが、イスラエル軍は追跡し、伏兵の一隊も駆けつけて、背後からベニヤミン軍を打ちました。
+ そして、包囲しながらギブアの東方へと追いつめ、彼らの大半を殺しました。
+ その戦いで、一万八千人のベニヤミン軍兵士が死にました。
+ 生き残った兵は荒野へ逃げ、リモンの岩に向かいましたが、その途中で五千人が殺され、さらにギデオム付近で二千人が倒されました。
+ こうしてベニヤミン族は、一日で二万五千の勇士を失ったのです。リモンの岩へ逃げ延びたのはたった六百人で、四か月間そこにこもっていました。
+ その後イスラエル軍は引き返し、ベニヤミンに属するものを男も女も子どもも家畜も打ち、町々村々を片っぱしから焼き払いました。
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+ イスラエルの指導者たちはミツパで、自分の娘をベニヤミン族へは嫁がせないという誓いを立てました。
+ そして、ベテルに集まり、神の前に座して、夕方まで声を上げて泣き悲しんだのです。
+ 彼らはイスラエルの神、主に叫びました。「主よ。なぜこんなことが起こったのでしょう。今われわれは一つの部族を失いました。」
+ 翌朝、民は早く起き出し、祭壇を築き、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。
+ そして、彼らは言い始めました。「ミツパで主の前に集まった時、イスラエルの部族で欠席した者はいなかっただろうか。」というのは、その時、「出席を拒む者は必ず殺される」というきびしい誓いを立てていたからです。
+ とにかく全イスラエルにとって、ベニヤミン族を失ったことは、あまりに深い悲しみでした。「ああ、もうベニヤミンはなくなるのだ。なくなってしまうのか。」口を開けば、そのことばかりです。「れっきとしたイスラエルの部族の一つが切り捨てられ、消えていく。
+ あの生き残った一握りの者に、どうやって妻をめとらせたものだろう。われわれは主に、娘をベニヤミン人に嫁がせないと誓ってしまった。」
+ その時、ミツパへの集結を拒んだ者を殺すという誓いに、再び思いが及びました。すると、ヤベシュ‧ギルアデからは、だれも出ていなかったことがわかりました。
+ そこで精兵一万二千を送って、そこの住民を滅ぼすことにしたのです。すべての男子、既婚の女子、子どもらの血が流されました。ただし、適齢期の若い処女だけは助けました。その数は四百人で、全員シロの陣営へ連れて行きました。
+ それから、リモンの岩にこもるベニヤミンの少数の生存者に、和解の使者を送りました。
+ 四百人の処女が妻として与えられ、めいめい家に戻りました。ただ、全員に嫁がせるには、四百人では足りません。
+ この時代は、イスラエルにとって悲しみに満ちた時期でした。主がイスラエルの部族の間を引き裂かれたからです。
+ 長老たちは思案にくれました。「あの残りの者に妻をめとらせるには、どうしたらいいだろう。ベニヤミンの女は残らず死んでしまっている。
+ しかし、何としても妻をあてがってやらなければ、イスラエルの一つの部族が永遠に絶えてしまう。
+ かといって、われわれの娘を与えるわけにはいかない。厳粛な誓いを立てた以上、破った者は神からのろわれるからだ。」
+ その時、突然だれかが、毎年シロの畑で催される祭りのことを思いついたのです。シロの町は、レボナとベテルとの間、ベテルからシェケムへ至る道の東側にありました。
+ そこで長老たちは、妻を求めているベニヤミンの男たちにこう指示しました。「さあ、行って、ぶどう畑に隠れていなさい。
+ シロの娘たちが踊りに出て来たら、飛び出して、めいめい娘をさらって連れ帰り、妻にしなさい。
+ 娘の父親や兄弟が私たちに抗議してきたら、こう言おう。『どうか、わかってくれ。われわれに免じて、娘さんをベニヤミンの男たちに嫁がせてやってくれ。ヤベシュ‧ギルアデを滅ぼしても、彼ら全員に妻をもたせてやれなかった。こうでもしなければ、あなたがたが罪を犯さず、娘さんを彼らに与えることはできないわけだから。』」
+ ベニヤミンの男たちは、言われたとおりにしました。祭りに出て来た娘をさらって領地に連れ帰ったのです。彼らは町を再建して定住しました。
+ こうしてイスラエルの民は、それぞれの相続地へと戻りました。
+ 当時のイスラエルには王がなく、各人が正しいと思うことを思うままに行っていました。
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+ 次にヨシュアはイスラエル人全員を、指導者である長老、裁判官、長たちとともに、シェケムに召集しました。全部族が神の前に立った時、
+ ヨシュアは次のように告げました。「イスラエルの神、主は、こうお語りになった。『もともとあなたがたの先祖たち、アブラハムやナホルの父テラはユーフラテス川の東に住み、ほかの神々を礼拝していた。
+ しかし、わたしはあなたがたの父祖アブラハムをユーフラテス川の向こうから連れ出し、カナンの地に導き入れ、その子イサクから多くの子孫が生まれるようにした。
+ イサクが授かった息子はエサウとヤコブだ。エサウにはセイル山周辺の地域を与えたが、ヤコブとその子どもたちは、エジプトへ下って行った。
+ その後、わたしはモーセとアロンを遣わし、エジプトに大災害をもたらした。そうして、エジプトからわたしの民を解放しようと連れ出した。
+ ところが、紅海まで来た時、エジプト人が戦車と騎兵で追いかけて来たのだ。
+ その時、イスラエル人がわたしに助けを叫び求めたので、わたしはイスラエル人とエジプト人との間に暗闇を置き、海を彼らに襲いかからせておぼれさせた。あなたがたイスラエル人はこの出来事を、その目でしっかりと見たあと、長い間、荒野で暮らした。
+ そして、ついにわたしは、ヨルダン川の東側、エモリ人の住む地にあなたがたを連れて行った。エモリ人は抵抗したが、わたしは彼らを滅ぼし、その地をあなたがたに与えた。
+ ついで、モアブの王バラクがイスラエルに宣戦布告をした。バラクは、ベオルの子バラムを呼び、あなたがたにのろいをかけようとたくらんだが、
+ わたしはバラムの願いなどに聞く耳を持たず、かえってあなたがたを祝福させた。こうしてイスラエルはバラクの陰謀から救われたのだ。
+ 次にいよいよ、あなたがたはヨルダン川を渡ってエリコまで来た。エリコの住民は対抗して戦った。ほかにも、ペリジ人、カナン人、ヘテ人、ギルガシ人、ヒビ人、エブス人が同じように応戦してきた。しかし、入れ替わり立ち替わり立ち向かって来る敵を、わたしは全滅させた。
+ また、あなたがたの前にくまばち(神への恐れ)を送り、エモリ人の二人の王とその国民を追い散らしたこともあった。勝利をもたらしたのは、剣でも弓でもなかった。
+ わたしは、あなたがたが手に入れるために自ら労したわけでもない地と、自ら建てたわけでもない町々とをあなたがたに与えた。今住んでいるこれらの町々がそうだ。また、あなたがたの手で植えもしなかったぶどう畑とオリーブ畑から、わたしはあなたがたに食べ物を与えた。』
+ まさに、おことばのとおりだ。だから主を恐れかしこみ、誠心誠意、お仕えしようではないか。ユーフラテス川の向こうやエジプトで、先祖が拝んでいたような偶像とはきっぱり縁を切りなさい。ただ主に仕え、主を礼拝しなさい。
+ もし主に従いたくなければ、たった今、だれに従うかを決めなさい。ユーフラテス川の向こうで先祖が拝んでいた神々であろうが、この地に住むエモリ人の神々であろうが、好きに選ぶがいい。しかし、私と私の家族とは、あくまでも主に仕える。」
+ すると、民は言いました。「私たちが主を捨てて、ほかの神々を拝むなどありえないことです。
+ 私たちの神、主は、エジプトで奴隷だった先祖を救い出してくださったお方ではありませんか。そして、荒野を旅する間にも、私たちの目の前で数々のくすしいわざを見せてくださったお方です。また、敵地を進む私たちを、いつも守ってくださいました。
+ エモリ人をはじめ、この地の全住民を追い出してくださったのも主です。もちろん、私たちは主に従う道を選びます。私たちにとって、神様は主おひとりだけですから。」
+ 「いや、あなたがたは主に仕えきることはできないだろう。主は聖なるお方であるばかりか、ねたむお方なのだ。だから、あなたがたの反逆や罪を決してお見逃しにはならない。
+ もし主を捨てて、ほかの神々を拝むようなことでもあれば、たとえこうして長い間心にかけていただいたあなたがたでも、手加減はなさらない。」
+ しかし、民は断言しました。「私たちは主に従います。」
+ 「今言ったことをほんとうに守れるのか。あなたがたは主に従う道を選んだのだ。」「はい、私たち自身が証人です。」
+ 「よろしい。では、今あなたがたのうちにあるすべての偶像を除き去りなさい。そして、イスラエルの神、主に従いなさい。」
+ 「はい。主おひとりを礼拝し、ひたすらお従いいたします。」
+ ヨシュアはその日、シェケムで人々と契約を結びました。こうしてイスラエル人は、主と永遠の契約を結んだのです。
+ ヨシュアは、人々の応答を神の律法の書に記し、その記念として大きな石を取り、幕屋のそばにある樫の木の下にそれを立てました。
+ それから、人々を見渡して言いました。「この石は、主がお語りになったことをすべて聞いた。もしあなたがたが自分たちのことばに背くなら、この石が証人として罪を告発することになる。」
+ このあとヨシュアは、各部族をそれぞれ割り当てた地へ送り出しました。
+ この後まもなくしてヨシュアは、百十歳で世を去りました。
+ 遺体は、エフライムの山地、ガアシュ山の北側のティムナテ‧セラフにある、彼の所有地に葬られました。
+ イスラエル人はヨシュアの存命中、主に従い続けました。その態度は、イスラエルのために行われた、主の驚くべきわざを目撃した長老たちが生きている間は変わりませんでした。
+ エジプトを出る時、忘れずに携えて来たヨセフの遺骨はシェケムに葬られました。そこは、以前ヤコブが、ハモルの子から銀貨百ケシタ(羊百頭分に値する)で買い取った土地の一角でした。この地は、ヨセフ族に割り当てられた地域内にありました。
+ さらに、アロンの子エルアザルも世を去りました。彼はエフライム山中にある、彼の子ピネハスの所有する町ギブアに葬られました。
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+ 昔、士師といわれる人たち(イスラエルに王国が設立されるまでの軍事的‧政治的指導者)が治めていたころのことです。イスラエルを大ききんが襲いました。そのため、ユダのベツレヘム出身のエリメレクは、家族とともにモアブの地に移り住みました。妻の名はナオミといい、二人の間にはマフロンとキルヨンという息子がいました。
+ ところが、モアブで暮らしている間にエリメレクは死に、ナオミと二人の息子があとに残されました。
+ やがて二人の息子は、モアブの娘と結婚しました。マフロンの妻はルツ、キルヨンの妻はオルパといいました。しかし、イスラエルを出てから十年が過ぎたころ、二人の息子も死んでしまいました。ナオミは夫ばかりか息子たちにまで先立たれ、とうとう一人になってしまったのです。
+ そこで、ナオミは二人の嫁を連れてイスラエルに帰ろうと決心しました。それは、故郷のユダは主の恵みによって、ききんが去ったと伝え聞いたからでした。
+ しかし、帰郷の途についてまもなく、ナオミは考えを変えてルツとオルパに言い聞かせました。「あなたたちは、私について来るより実家へお帰りなさい。息子たちや私によくしてくれてほんとうにありがとう。
+ いい再婚相手が見つかるようにお祈りしていますよ。」ナオミが別れの口づけをすると、二人はわっと泣きくずれました。
+ 「お母様、そんなことおっしゃらないで。お願いですから、お母様といっしょに行かせてください。」
+ しかしナオミは、首を横に振るばかりです。「いいえ、いけません。お里へ帰ったほうが幸せですよ。もう私にはあなたたちの夫になれるような息子がいないのですから〔当時、夫に先立たれた嫁は、亡き夫の弟と結婚する決まりがあった〕。
+ さあ、里へお帰り。私は今さら再婚できる年でもないし、かりに再婚して、今夜にでも身ごもって息子を産んだとしても、
+ その子が大人になるまで待てるわけもないでしょう。私の娘たち、もう私を苦しめないでちょうだい。あなたたちにつらい思いをさせたことで、もう十分主から罰を受けたつもりですよ。」
+ 二人の嫁はまた、声を上げて泣きました。そしてオルパは、泣く泣くしゅうとめに別れの口づけをし、自分の郷里へ帰って行きました。しかしルツは、ナオミにすがりついて離れようとしません。
+ 「ほら、オルパは里へ帰って行ったわよ。あなたもそうしなさい。」
+ 「お願いです、お母さん。私を放り出さないでください。お伴させていただきたいのです。お母さんといっしょに暮らしたいのです。お嫁に来た以上、私もお母さんと同じ民です。お母さんの神様は私の神様です。
+ どうぞ、いつまでもおそばに置いてください。私たちを引き離すものは死だけです。もしおそばを離れでもしたら、主が幾重にも私を罰してくださいますように。」
+ ナオミは、ルツの決心が固く、これ以上説得してもむだだと知ると、もう何も言いませんでした。
+ こうして二人はベツレヘムへ帰り着き、村中がそのことでわき立ちました。女たちは、「まあ、ほんとうにナオミさんかい」と言って騒ぎましたが、
+ ナオミは答えました。「お願いだからナオミなんて呼ばないで。マラって呼んでちょうだい〔ナオミは「心地よい」、マラは「苦い」の意〕。全能の神様に、ずいぶんつらい目を見させられたんですから。
+ 満たされてイスラエルを出て行ったのに、すべてをなくして帰って来たのです。主に見捨てられてこんな不幸に陥った私を、どうしてナオミなんて呼ぶのでしょう。」
+ ナオミとルツがモアブからベツレヘムへ帰り着いたのは、ちょうど大麦の刈り入れが始まったころでした。
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+ ところでナオミには、夫の一族でベツレヘムに住むボアズという一人の有力な親戚がいました。
+ ある日、ルツはナオミに申し出ました。「お母さん、私、どなたか親切な方の畑で、刈り入れをする人たちのあとについて落ち穂を拾わせてもらおうと思うの。」「すまないね、そうしてくれるかい。」
+ そこでルツは出かけて行って落ち穂を集めたのですが、なんと、その畑はボアズの畑でした。
+ ルツがまだ畑にいるうちに、ボアズがベツレヘムの町から来ました。雇い人たちとひと通りあいさつをすませると、ボアズは監督役の者に尋ねました。「あそこにいるのは、どこの娘さんかね。」
+ 「あれは、ナオミといっしょにモアブから参った娘でございます。
+ 落ち穂を拾わせてほしいと、今朝から来まして、とにかく、木陰で休みもせず、ああしてずっと立ち働いているのです。」
+ ボアズはルツのそばに歩み寄ってことばをかけました。「こんにちは。精が出ますね。いいですか、いつも私のところで落ち穂を拾いなさい。ほかの畑に行くことはありません。私のところの女たちのあとにしっかりついてお行きなさい。若い者にも、あなたを困らせないように注意しておきましたから。それから、のどが渇いたらあそこで自由に水を飲みなさい。」
+ ルツはありがたくて、何と言ってよいかわかりません。「どうして、私みたいな者に、そんなに親切にしてくださるのですか。よそ者ですのに。」「もちろん、それは知っていますよ。それに、あなたがご主人を亡くしてからもしゅうとめのために一生けんめい尽くしたことや、生まれ故郷を離れて見知らぬ国まで来たことも聞いています。
+ どうかイスラエルの神、主が、その翼の下に避け所を求めてやって来たあなたを祝福してくださるように。」
+ 「ほんとうに、もったいないことです。使用人でもありませんのに、こんなに親切にしていただいて。」
+ 昼食の時、ボアズはルツに、「さあこちらに来て、いっしょにお食べなさい」と声をかけました。ルツが農夫たちと並んで腰をおろすと、ボアズは食べきれないほどの食べ物を取り分けてくれました。
+ そして、彼女が再び落ち穂拾いに戻ると、若者たちにこう命じました。「じゃまをしないで、麦の束の間でも落ち穂を拾わせてやりなさい。
+ そして、もっと拾いやすいように、穂を抜き落としておきなさい。とやかく言ってはなりません。」
+ こうしてルツは一日中、そこで落ち穂を拾い集めました。夕方になって、集めた大麦の穂を打ってみると、なんと一エパ(二十三リットル)にもなりました。
+ それをかかえて町へ戻り、しゅうとめのナオミに見せ、また、昼食の残りも差し出しました。
+ 「まあ、ずいぶんたくさんだこと!」ナオミは思わず声を上げました。「いったい、どこで拾って来たの。こんなに親切にしてくださった方のために、心から主に感謝しましょう。」ルツはしゅうとめに、ボアズの畑に行ったことなど一部始終を話しました。
+ それを聞いて、ナオミはまたびっくりし、「ボアズさんですって! 主よ、ありがとうございます。神様のお恵みは、あなたが夫を亡くした時に終わったんじゃなかったのだわ。お恵みはずっと注がれていたのだね。だって、その方は一番近い親戚の一人なんですから。」
+ 「まあ、そうですの。あの方は、刈り入れが全部終わるまで、毎日、落ち穂を拾い集めていいとおっしゃったわ。」
+ 「それはよかったこと。それじゃおことばに甘えて、刈り入れの間中、あの方のところで若い女たちといっしょにお世話になりなさい。ほかの畑に行くよりずっと安心よ。」
+ こうしてルツは、大麦と小麦の刈り入れが終わるまで落ち穂を拾い続けました。
+
+
+ ある日、ナオミはルツに話しかけました。「ねえ、ルツや。そろそろあなたも良いお婿さんを見つけて幸せにならなければね。
+ 実は、これはと思っている人がいるの。あのボアズさんよ。あの方はとっても親切にしてくださったし、近い親戚でもあるからね。たまたま耳にしたんだけど、今夜、あの方は打ち場で大麦をふるい分けるって話よ。
+ さあ、私の言うとおりにしておくれ。体を洗って香油を塗り、きれいな服を着て、打ち場へお行き。ただし、あの方が夕食をすますまでは気づかれないようにね。
+ あの方がお休みになる場所をちゃんと見届けてから、そっと入って行き、足もとの覆いをまくって横になりなさい。あとはあの方が、あなたがどうすべきかを教えてくださるでしょう。」
+ 「わかりました。おっしゃるとおりにします。」
+ ルツはしゅうとめに教えられたとおり、その夜、打ち場に出かけて行きました。ボアズは食事をすますとすっかり心地よくなって、積み重ねてある麦のそばにごろりと横になり眠ってしまいました。そこで、ルツはそっと忍び寄り、ボアズの足もとの覆いをまくって横になりました。
+ 真夜中に目を覚ましたボアズは、びっくりして跳び起きました。なんと、足もとに女が寝ているではありませんか。
+ 「だれだ、おまえは!」とボアズが問いただすと、ルツは答えました。「ボアズ様、私ルツでございます。どうぞ、神様の律法に従って私を妻にしてください。あなた様はその権利がある親類ですから。」
+ 「ルツよ。あなたのようなすばらしい女性は見たことがない。こんなにまでしてナオミに尽くしているとは。貧しくてもまだ若いのだから、若い男に心をひかれても不思議ではないのに、そんな気持ちよりも、買い戻しの権利を持つ私と結婚してナオミのために世継ぎを残そうというのか。
+ ルツよ、何も心配はいらないよ。望みどおりにしてあげよう。あなたがすばらしい女性だということは、だれもが知っているのだから。
+ ただ、一つだけ問題がある。確かに私は近い親戚には違いないが、もっと近い親戚がいるのだ。
+ とにかく今夜はここで休みなさい。朝になったら、その人と話をつけることにしよう。もしその人があなたを妻に迎えるというなら、そのようにしてもらおう。義務を果たさせるまでだ。だが、もし断ったら、私が責任を果たそう。今ここで、はっきり主に誓うよ。さあ安心して、朝までここで休みなさい。」
+ ルツは言われたとおりボアズの足もとに寝ましたが、夜明け前に起きました。ボアズが、「この打ち場に来たことをだれにも知られないように」と注意したからです。
+ 「あなたの肩掛けを持って来なさい。」ボアズはそう言うと、しゅうとめへのみやげにと、大麦六杯をその中へ入れてルツに背負わせました。こうしてルツは町へ帰りました。帰宅すると、ナオミが「どうだったの?」と尋ねました。聞かれるままにあったこと全部を話し、ボアズから受け取った大麦を渡しました。そして、「何も持たずに帰ってはいけない」と言ったボアズのことばも、忘れずに伝えました。ナオミはうなずきました。「そう、ではどうなるのか、何か知らせがあるまでおとなしくしていましょう。ボアズさんのことですもの、決着がつくように最善を尽くしてくださるわ。きっと、今日にもめどをつけてくださいますよ。」
+
+
+ さて、ボアズはさっそく広場に出かけ、目ざす相手を見つけました。「ちょっと折り入ってお話ししたいことがあるのですが、いいですか。」二人は並んで腰をおろしました。
+ それからボアズは町の指導者十人を招き、証人になってくれるように頼みました。
+ 万事の手はずが整うと、ボアズは相手に話を切り出しました。「モアブから帰って来たナオミのことは、ご存じですね。実は、あの人が私たちの身内のエリメレクの畑を売りたいと言っています。
+ そのことをお耳に入れるべきだと思ったのです。ここに証人の方々もおられるので、よかったら、畑を買ってください。いかがですか? はっきりしたお返事を頂きたいのです。もし、そうされないなら私が買いましょう。ただ、一番にそれを買い戻す権利はあなたにあって、私はその次なのです。」その親戚の者は言いました。「いいだろう。買うことにしよう。」
+ そこで、ボアズは言いました。「ところで、ナオミから畑を買い戻すとなると、ナオミの嫁ルツを妻に迎えてもらわなければなりません。ルツは子どもをもうけ、その地を相続させて、亡き夫の名を残さなければなりませんから。」
+ すると彼は言いました。「そんなことなら、私は降りる。生まれてくる子にまで財産を分けてやるなんて、それは困る。あなたが買ってくれないか。」
+ 当時イスラエルでは、人が買い戻しの権利を譲る時は、くつを脱いで相手に渡す習慣がありました。こうして、すべての取り引きが公認となるのです。
+ その人はボアズに「あなたに譲る」と言って、くつを脱ぎました。
+ ボアズは、同席の証人や長老たちに向かって言いました。「では皆さん。今日、私がナオミから、エリメレクおよびキルヨンやマフロンの全財産を買い取ったことを、お認めいただけますね。
+ また、マフロンの未亡人でモアブ人のルツも、妻として譲り受けることになります。ルツの産む子どもは亡くなった夫の家名を継ぐことができるのです。このことの証人になっていただけますか。」
+ すると、その場に居合わせた人々は、証人として答えました。「喜んで証人となりましょう。どうか主が、あなたがお迎えになる女に、イスラエル国民の母ラケルとレアのように、子どもを大ぜいお授けくださるように。またあなたも、ベツレヘムで大いに栄えられますように。
+ その昔、主がわれらの先祖ペレツを、タマルを通してユダにお与えくださったように、あなたもこの若い女を通して子どもを授かり、末長く繁栄されますように。」
+ こうしてボアズはルツと結婚し、まもなく彼女は男の子を授かりました。
+ 女たちはナオミに言いました。「よかったわね。主がこんなにかわいいお孫さんを授けてくださるなんて。きっとこの子はイスラエルでその名が知られるようになるわ。
+ おかげで、あなたは若返り、老後の心配もありませんね。何しろ、あんなに母親思いで、七人の息子にもまさるあなたのお嫁さんから生まれた子どもなんだもの。」
+ ナオミはその赤ん坊を手塩にかけて育てました。近所の女たちは、「ごらんなさいよ。あのナオミさんに、また男の子が生まれた」と言って、その子にオベデ(「仕える者」の意)という名をつけました。オベデはエッサイの父で、ダビデ王の祖父となった人です。
+ 先祖ペレツから始まるボアズの家系は次のとおりです。ペレツ、ヘツロン、ラム、アミナダブ、ナフション、サルモン、ボアズ、オベデ、エッサイ、ダビデ。
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+ これは、エフライムの山地のラマタイム‧ツォフィムに住んでいた、エフライム人エルカナの物語です。エルカナの父はエロハム、エロハムの父はエリフ、エリフの父はトフ、トフの父はツフといいました。
+ エルカナには、ハンナとペニンナという二人の妻があり、ペニンナには何人もの子どもがいたのに、ハンナは子どもに恵まれませんでした。
+ エルカナの一家は毎年シロにある主の宮に出かけ、天地の主である神を礼拝しては、いけにえをささげていました。当時の祭司は、エリの二人の息子ホフニとピネハスでした。
+ いけにえをささげ終えると、エルカナは、ペニンナと子どもたち一人一人に贈り物を与え、盛大に祝いました。
+ 彼はだれよりもハンナを愛していましたが、一人分の贈り物しか与えることはできませんでした。主が彼女の胎を閉ざしていたので、贈り物をしようにも子どもがいなかったのです。
+ さらに困ったことは、ペニンナがハンナに子どもがないことを意地悪く言うことでした。
+ 毎年、シロに来ると必ずそうなるのです。ペニンナはハンナをあざけり、笑い者にしたので、ハンナは泣いてばかりいて、食事ものどを通らない有様でした。
+ 「ハンナ、どうした?」エルカナは心配顔でのぞき込みました。「なぜ食べないのだ。子どもがないからといって、そんなに思い悩むことはないよ。あなたにとって、私は十人の息子以上ではないのか。」
+ シロ滞在中のある夜のこと、夕食後にハンナは宮の方へ行きました。祭司エリが、いつものように入口のわきの席に座っていました。
+ ハンナは悲しみのあまり、主に祈りながら、激しくむせび泣きました。
+ そして、次のような誓願を立てたのです。「天地の主よ。もしあなたが、私の悲しみに目を留めてくださり、この祈りに答えて男の子を授けてくださるなら、その子を必ずあなたにおささげいたします。一生あなたに従う者となるしるしに、その子の髪の毛を切りません。」
+ エリは、ハンナのくちびるが動くのに声が聞こえないので、酔っているのではないかと思って言いました。
+ 「いつまで酔っ払っているのか。早く酔いをさましなさい。」
+ 「いいえ、祭司様。酔ってなどいません。ただ、あまりに悲しいので、私の胸のうちを洗いざらい主に申し上げていたのです。どうか、酔いどれ女だなどとお思いにならないでください。」
+ 「そうか、よしよし。元気を出しなさい。イスラエルの主が、あなたの切なる願いをかなえてくださるように。」
+ 「ありがとうございます、祭司様。」ハンナは晴れやかな顔で戻って行くと、食事をして元気になりました。
+ 翌朝、エルカナ一家はこぞって早起きし、宮へ行ってもう一度主を礼拝し、ラマへと帰って行きました。その後、主はハンナの願いを聞いてくださり、ハンナは身ごもって男の子を産みました。ハンナは、「あれほど主に願った子どもだから」と言って、サムエル〔「神に願った」の意〕という名をつけました。
+ 翌年、エルカナはペニンナとその子どもたちだけを連れて、シロへ年ごとの礼拝に出かけました。ハンナが、「この子が乳離れしてからにしてください。この子は宮にお預けするつもりです」と、同行しなかったからです。
+ エルカナはうなずきました。「いいだろう。あなたが一番いいと思うとおりにしなさい。ただ、主のお心にかなうことがなされるように。」こうしてハンナは、サムエルが乳離れするまで家で育てました。
+ そののち、ハンナとエルカナは、いけにえとして三歳の雄牛一頭、小麦粉一エパ(二十三リットル)、皮袋入りのぶどう酒を携え、まだ幼いその子をシロへ連れ上りました。
+ いけにえをささげ終えると、二人はその子を祭司エリのところへ連れて行きました。
+ ハンナはエリに申し出ました。「祭司様。私のことを覚えておいででしょうか。かつて、ここで主に祈った女でございます。
+ 子どもを授けてくださいと、おすがりしたのです。主は願いをかなえてくださいました。
+ ですから今、この子を生涯、主におささげしたいのです。」こうしてハンナは、その子を主に仕える者とするため、エリに預けたのです。
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+ ハンナは祈りました。「ああ、うれしゅうございます、主よ。こんなにも祝福していただいて。私は敵にはっきり答えることができます。主が悩みを取り去ってくださいましたから。私は喜びでいっぱいです。
+ 主のように聖なるお方はありません。あなたのほかに神はないのです。私たちの神のような大岩はありません。
+ 思い上がりも、尊大さも許されません。主は何もかもご存じで、すべての行為をおさばきになるのです。
+ 力を誇った者が弱くなり、弱かった者が今や強くなっています。
+ 満ち足りていた者が今は飢え、飢えていた者が満ち足りています。不妊の女が今は七人の子持ちとなり、多産の女がもう子を産めません。
+ 主は殺し、主はいのちをお与えになります。
+ 主は、ある人々を貧しくし、また、ある人々を裕福になさいます。主はある者を倒し、また、ある者を立ち上がらせてくださいます。
+ 主は、貧しい者をちりの中から、灰の山から引き上げ、高貴な者のように取り扱い、栄光の座につかせてくださいます。この世はすべて主のものですから。主はこの世界をふさわしくされました。
+ 主は信仰者を守られます。しかし、悪者は暗闇に葬り去られます。だれも自力でははい上がれません。
+ 主は手向かう者を打ちのめし、天から彼らに雷鳴をとどろかせます。主は地を隅々までさばき、ご自分が選んだ王に特別な力を授け、主に油注がれた者に大きな栄誉をお与えになるのです。」
+ そののちエルカナとハンナは、サムエルを残してラマに帰りました。幼いサムエルは、祭司エリのもとで主に仕える者となりました。
+ ところでエリの息子たちは、主をないがしろにする、不道徳でよこしまな者たちでした。
+ いけにえをささげている人がいると、しもべを送り、いけにえの動物の肉が煮えている大なべの中に、そのしもべが三つ又の肉刺しを突き刺して、これらはみなエリの息子のものだと宣告しました。彼らは、いけにえをささげて礼拝するためにシロにやって来るすべてのイスラエル人に対して、このように行っていました。
+ 時には、祭壇で脂肪を焼く儀式が行われないうちから、しもべをやって、生の肉をよこせと言うことさえありました。焼き肉にして食べるためでした。
+ いけにえをささげている人が、「いくらでもお取りになってけっこうです。しかし、まず〔律法のとおりに〕脂肪をすっかり焼いてしまわなければなりません」と答えると、使いの者はこう言うのです。「いや、たった今ほしいのだ。つべこべ言うなら、力ずくでももらうぞ。」
+ こんなふうに、彼らは主の前に非常に大きな罪を犯しました。主へのささげ物を侮るようなことをしたからです。
+ サムエルはまだ子どもでしたが、一人前の祭司のように、小さな亜麻布の儀式服を着て、主に仕えていました。
+ 毎年、母親が小さな上着をこしらえ、夫とともに、いけにえをささげに来る時に持って来てくれていたのです。
+ エルカナとハンナが家路につく前に、エリは二人を祝福し、主にささげた子の代わりに、もっと子どもが授かるよう主に願い求めてくれました。
+ それで主はハンナに、三人の息子と二人の娘を授けました。一方、少年サムエルは、主のもとで成長していきました。
+ エリはすでに高齢に達していましたが、身辺の出来事についてはよくわきまえていました。例えば、息子たちが幕屋(聖所)の入口で仕えている女たちを誘惑したことも、ちゃんと知っていました。
+ エリは息子たちを呼びつけて注意しました。「私は民から、おまえたちのおぞましい悪行についてさんざん聞かされた。よくも民を罪に惑わすようなことをしてくれたものだ。少しの罪でもきびしい罰が下るのに、主に対するおまえたちの罪には、どれほど重い罰が下るか知れたものではない。」しかし、息子たちは耳を貸そうともしませんでした。というのは、主がすでに、この二人のいのちを絶とうとしていたからです。
+ 一方、少年サムエルはすくすく育ち、人からも神からも愛されました。
+ ある日、一人の預言者が来て、エリに主のことばを伝えました。「イスラエルの民がエジプトで奴隷だった時、わたしははっきり力を示したではないか。
+ そして、なみいる同胞の中からあなたの先祖レビを選んで、祭司としたのではなかったか。その務めは、わたしの祭壇でいけにえをささげ、香をたき、祭司の服を着て仕えることだった。わたしは、あなたがた祭司にも、いけにえのささげ物を分け与えたではないか。
+ それなのに、どうしてささげ物を一人占めしようとするのか。わたしよりも息子のほうが大事なのか。よくも親子して最上のささげ物によって肥え太ったものだ。
+ それゆえ、イスラエルの神であるわたしは、こう宣言する。レビ族の一門であるあなたの家系が常に祭司となると約束したのは確かだが、今や、それがいつまでも続くと考えたら、大きな間違いである。わたしは、わたしを重んじる者を重んじる。わたしを侮る者は、わたしも軽んじる。
+ あなたの家系は断絶する。これ以上、祭司を務めるには及ばない。家族全員、長寿を全うせずに死ぬのだ。よわいを重ねる者は一人もいない。
+ あなたがたは、わたしが民に与える繁栄をうらやむだろう。あなたの一族は苦難と窮乏に陥る。だれ一人、長生きできない。
+ かろうじて生き残った者も、悲嘆にくれて日を過ごす。子どもたちは、剣によって殺される。
+ わたしのことばに偽りがないことを見せよう。二人の息子ホフニとピネハスは、同じ日に死ぬことになる。
+ 代わりに、わたしは一人の忠実な祭司を起こす。彼はわたしに仕え、わたしが告げるとおり正しく行うだろう。その子孫を末代まで祝福し、その一族を王の前に永遠の祭司とする。
+ だから、あなたの子孫はみな、彼に頭を下げ、金と食物を乞うようになる。彼らはこう言ってすがるだろう。『どうか、祭司のどんな仕事でもさせてください。何とか食べていきたいのです』と。」
+
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+ 少年サムエルは、エリのもとで主に仕えていました。そのころ、主のことばが人に臨むことはまれでした。
+ ある夜、年老いて目がかすんだエリが寝床に入り、サムエルも契約の箱を安置した宮で寝ていました。
+ すると主が、「サムエル、サムエル」と呼びました。サムエルは、「はい。ここにいます」と答えて、「どうしたのだろう」と思って飛び起きると、エリのもとへ走って行き、「サムエルです。何かご用ですか」と尋ねました。エリはけげんな顔で、「呼んだりしていないよ。さあ、戻ってお休み」と答えました。そのとおりにすると、
+ 主がまたも、「サムエル」と呼んだのです。サムエルはまた飛び起きて、エリのもとへ駆けつけました。「はい。何かご用でしょうか。」「いいや、呼んだりしていないよ。いいから、帰ってお休み。」
+ サムエルはまだ、主からおことばを頂いたことがなかったのです。
+ ですから三度目に呼ばれた時も、またエリのもとへ駆けつけました。「はい。ご用でしょうか。」この時エリは、主が少年に語ったのだということを悟りました。
+ そこで、彼はサムエルに言い聞かせました。「さあ、もう一度帰ってお休み。今度呼ばれたら、『はい、主よ。しもべは聞いております』と申し上げるのだよ。」サムエルは寝床に引き返しました。
+ すると主が来られて、さっきのように、「サムエル、サムエル」と呼びました。そこでサムエルは、「はい。しもべは聞いております」と申し上げました。
+ 主はサムエルに告げました。「わたしは、イスラエルに衝撃的なことを行うつもりだ。
+ エリに言っておいた恐ろしいことが全部、現実となるだろう。
+ エリの家は永遠にさばかれると警告しておいた。それは、神を冒瀆する息子たちの行為を、エリは手をこまぬいて見ていたことの報いである。
+ わたしは誓う。エリと息子の罪は、いけにえやささげ物をいくら積もうと、決して赦されない。」
+ サムエルは朝まで寝床につき、それから、いつものように宮の扉を開けました。サムエルは、主のお告げをエリに話したものか、恐れためらいましたが、
+ エリのほうがサムエルを呼んだのです。「サムエルよ。主は何とお告げになったのだ。包み隠さず話しておくれ。小指の先ほどでも隠してはいけないよ。そんなことをしたら、神様がきつく罰してくださるように。」
+ サムエルは、告げられたとおりを残さずエリに打ち明けました。「それは主の御心だよ。どうか、主が最善と思われることがなるように」と、エリは答えました。
+ サムエルは成長し、主が常に彼とともにおられました。人々は、サムエルのことばに真剣に耳を傾けました。
+ こうして、北はダンから南はベエル‧シェバに至るイスラエル全土に、サムエルが預言者になったことが知れ渡ったのです。
+ それから主は、再びシロの宮でサムエルに声をかけました。サムエルは主のことばを、イスラエルのすべての民に伝えました。
+
+
+ 当時、イスラエルはペリシテ人と戦っていました。イスラエル軍はエベン‧エゼルの近くに陣を敷き、ペリシテ軍はアフェクまで進出していました。
+ ペリシテ軍はイスラエル軍を撃破し、イスラエルでは約四千人の犠牲者が出ました。
+ 戦いが終わって陣営に戻ったイスラエル軍では、さっそく指導者たちが、なぜ主がイスラエルを痛めつけられたのかを論じ合いました。「契約の箱を、シロから運んで来ようではないか。それをかついで出陣すれば、主は必ず敵の手からお守りくださるだろう。」
+ 話がまとまると、ケルビム(天使を象徴する像)の上に座している万軍の主の契約の箱を迎えにやらせました。エリの二人の息子ホフニとピネハスも戦場までついて来ました。
+ 契約の箱が着いた時、イスラエル軍から大歓声が上がり、その響きは地をも揺るがすほどでした。
+ ペリシテ人は、「いったい、どうしたんだろう。彼らは何を喜んでいるのだ?」と不思議がりました。そして、神の箱が着いたからだと知らされて、
+ すっかりうろたえ始めました。「イスラエル人が神を呼んだって? 大変なことになったぞ。こんなことは初めてだ。
+ いったいだれが、あの力に満ちたイスラエルの神から、われわれを救い出してくれるのだろう。あの神は、イスラエル人が荒野をさまよっている間、ありとあらゆる災害をもたらしてエジプト人を打った神ではないか。
+ さあ、みんな、今まで以上に気を引きしめて戦おう! さもないと、われわれの奴隷だったやつらに、今度は逆に奴隷にされてしまうぞ。」
+ こうしてペリシテ人は、総力を挙げて戦ったので、またもイスラエルは敗れてしまいました。その日のうちにひどい疫病が発生し、三万人が死に、生存者はほうほうのていでめいめいの天幕へ逃げ帰りました。
+ さらに契約の箱まで奪われ、ホフニとピネハスも殺されたのです。
+ 同じ日、一人のベニヤミン人が戦場から駆け戻り、シロにたどり着きました。何か悲しいことがあったのでしょう。男の服は裂け、頭には土をかぶっています。
+ その時、エリは道のそばに設けた席で、戦況報告を今か今かと待っていました。というのも、契約の箱のことが心配だったからです。前線から到着したその使者が、町中に一部始終を知らせると、人々はこぞって泣き叫びました。
+ それを聞いたエリは、「この騒ぎは、いったい何だ」といぶかりました。その時、例の使者がエリのもとへ駆けつけ、すべてを報告したのです。
+ エリは九十八歳で、目も見えなくなっていました。
+ 「私はたった今、戦場から戻りました。今日、戦場を発って来たのです。
+ わが軍はさんざん痛めつけられ、幾千もの兵を失いました。ホフニ様とピネハス様も討ち死にされ、契約の箱まで奪われてしまいました。」
+ それを聞いたとたん、エリはその席から門のわきに仰向けに倒れ、首の骨を折って死んでしまいました。年老いていた上に、太っていたからです。エリは四十年間、イスラエルを裁いたことになります。
+ エリの息子の嫁に当たるピネハスの妻は出産間近でしたが、神の箱が奪われ、夫としゅうとが死んだという知らせを聞いて、急に激しい陣痛に襲われました。
+ 瀕死の彼女に、世話役の女たちが、「気をお確かに。お産は軽くて、男の子ですよ」と励ましました。しかし、彼女には答える気力もありません。
+ しばらくして、力なくつぶやきました。「この子の名前は『イ‧カボデ』(「栄光が去る」の意)よ。イスラエルから栄光が去ったから。」神の箱を奪われ、夫としゅうととを亡くしたので、彼女はそう名づけたのです。
+
+
+ ペリシテ人は奪い取った神の箱を、エベン‧エゼルの戦場からアシュドデの町へ移し、偶像ダゴンの宮に運び込みました。
+ ところが翌朝、人々が見物に来ると、なんということでしょう。ダゴンが神の箱の前で、うつぶせに倒れているではありませんか。人々はあわてて元どおりに安置しました。
+ ところが、次の日も同じことが起こったのです。ダゴンの像は神の箱の前にうつぶせに倒れ、しかも今度は胴体だけで、頭と両手は切り取られて敷居のあたりに散らばっていました。
+ そういうわけで、ダゴンの祭司も参拝者も、今日に至るまで、アシュドデにあるダゴンの宮の敷居を踏んだことがありません。
+ さらに主は、アシュドデと周囲の村々の住民を腫物で打ち始めました。
+ この出来事に人々は浮足立ちました。「これ以上、イスラエルの神の箱をここに置いてはならない。ダゴンの神もろとも、みんな大変な目に会うぞ。」
+ ペリシテ人の五つの町の指導者が召集され、イスラエルの神の箱をどうしたものか協議しました。その結果、ガテに移しました。
+ ところが移せば移したで、今度はガテの町の人々が、老若を問わず、腫物によって打たれたのです。町はパニックに陥りました。
+ そこで人々は、その箱をエクロンに送りました。しかし神の箱を見たエクロンの人々は、「イスラエルの神の箱を持って来たりして、われわれまで殺す気か」と騒ぎだしたのです。
+ そこで人々はもう一度指導者を召集し、町が全滅しないように神の箱をイスラエルに戻してほしいと懇願しました。腫物の災難が広がり、町はどこもかしこも死の恐怖におびえていたからです。
+ いのちが助かった者もひどい腫物に悩まされ、至る所で悲痛な叫びが聞かれました。
+
+
+ 契約の箱は、まるまる七か月、ペリシテの野に放り出されたままでした。
+ ペリシテ人は祭司や占い師らを呼び寄せて尋ねました。「この箱をどうしたものだろう。これだけをイスラエルに送り返すわけにもいかないし、かといって、どんな贈り物を添えたらよいものやら……。」
+ 「もちろん、贈り物は必要です。腫物の災いを収めるには、罪過を償ういけにえを贈るべきです。それでも収まらなければ、原因はほかにあるのです。」
+ 人々は尋ねました。「罪を償ういけにえとは、どんなものだ?」彼らは答えました。「腫物をかたどって、金で五つの模型を作り、また、全国五つの町と近隣の村々をくまなく荒らし回ったねずみをかたどって、金で五つの像を作りなさい。これらを贈り、イスラエルの神をほめたたえれば、たぶん、あなたがたや神々の悩みの種も消えるでしょう。
+ かつてのエジプト人やその王のように強情を張ったり、逆らったりしてはいけません。あくまでもイスラエルを去らせまいとしたおかげで、彼らが神からどれほど恐ろしい災害を受けて痛めつけられたか。
+ だから、さあ、新しい荷車を一台仕立て、それに、子牛を産み落としたばかりの雌牛、つまり、まだくびきをつけられたことのない雌牛を二頭つなぎなさい。残された子牛は牛小屋に閉じ込めておくように。
+ 箱をその荷車に載せ、ねずみや腫物にかたどった金の像を詰めた箱もいっしょに置きなさい。そして、雌牛の思いのままに引かせるのです。
+ もし国境を過ぎてベテ‧シェメシュの方へ向かうなら、この大災害を下したのはイスラエルの神だとはっきりするでしょう。しかし、そちらへは行かずに子牛のいる牛小屋へ戻るなら、あれは偶然の出来事で、イスラエルの神とは全く関係ありません。」
+ 人々は言われたとおりにしました。子牛を産んだばかりの二頭の雌牛を車につなぎ、子牛を牛小屋に閉じ込めました。
+ ついで、神の箱と、金で作ったねずみや腫物の模型を詰めた箱とを積み込みました。
+ すると予想どおり、雌牛は鳴きながら、ベテ‧シェメシュへの道をまっしぐらに突き進んだのです。ペリシテ人の領主たちは、ベテ‧シェメシュの国境までついて行きました。
+ 一方、ベテ‧シェメシュの人々は、谷間で小麦の刈り入れをしていましたが、神の箱が来るのを見て、喜びのあまり飛び上がりました。
+ 荷車はヨシュアという人の畑にさしかかり、大きな岩のそばで止まりました。人々は荷車を割ってたきぎとし、雌牛をほふって、焼き尽くすいけにえを主にささげました。
+ レビ族の何人かが、神の箱とねずみや腫物にかたどった金の像を入れた箱とを車から降ろし、岩の上に置きました。その日、ベテ‧シェメシュの人々によって、多くの焼き尽くすいけにえや供え物が神にささげられました。
+ ペリシテ人の五人の領主たちは、しばらくそれを見守ってから、その日のうちにエクロンへ引き返しました。
+ 罪過を償ういけにえとして送られた腫物の金の模型は、五つの町、アシュドデ、ガザ、アシュケロン、ガテ、エクロンの領主たちからのささげ物でした。
+ また、金のねずみの像は、五つの町の属領である要塞の町々や地方の村々など、他のすべてのペリシテ人の町からの、イスラエルの神をなだめるささげ物でした。なお、ベテ‧シェメシュの大きな岩は、今でもヨシュアの畑にあります。
+ 一方、主はベテ‧シェメシュの人々七十人を打ちました。彼らが契約の箱の中を見たからです。多くの者が殺されたのを見て、人々は悲しみに打ちひしがれました。
+ 彼らは言いました。「聖なる神、主の前にだれがまともに出られよう。神の箱をどこへ移したらよいものか。」
+ そこで、キルヤテ‧エアリムの住民に使者を送り、ペリシテ人が神の箱を返して来たことを知らせました。そして、「さあ、早く持って行ってください」と嘆願したのです。
+
+
+ キルヤテ‧エアリムの人々は来て、丘の中腹にあるアビナダブの家に神の箱を運び込みました。そして、アビナダブの子エルアザルに管理を任せました。
+ その箱は二十年間、そこに置かれたままでした。その間、イスラエルの全家は主に見放されたような悲しみの中にありました。
+ そのような時、サムエルはイスラエルの民に言いました。「心から主のもとに帰りたいなら、外国の神々やアシュタロテの偶像を取り除きなさい。主おひとりに従う決心をしなさい。そうすれば、ペリシテ人の手から救い出していただけます。」
+ そこで人々は、バアルやアシュタロテの偶像を取り壊し、主だけを礼拝するようになりました。
+ それを見て、サムエルは言いました。「全員、ミツパに集合しなさい。あなたがたのために主に祈りましょう。」
+ 人々はミツパに集結し、井戸から水をくみ、主の前に注ぐ大がかりな儀式を執り行い、自らの罪を悔いて、その日一日断食しました。こうしてサムエルは、ミツパでイスラエルの民を導き始めたのです。
+ ペリシテ人の指導者たちは、ミツパに大群衆が集結したことを知り、兵を動員して攻め寄せて来ました。ペリシテ軍が近づいて来たと聞いて、イスラエル人は恐れおののきました。
+ 「どうぞ、お救いくださるよう、私たちの神、主に嘆願してください。」彼らはサムエルに泣きつきました。
+ そこでサムエルは、乳離れ前の子羊一頭を取り、焼き尽くすいけにえとして主にささげ、イスラエルを助けてくださるよう主に祈りました。そして、祈りは答えられたのです。
+ ちょうどサムエルがいけにえをささげていた時、ペリシテ人が攻撃して来ましたが、主は天から大きな雷鳴をとどろかせて彼らを大混乱に陥らせました。敵はたちまち総くずれになり、イスラエル人はなお、
+ ミツパからベテ‧カルまで追い打ちをかけ、彼らを討ちました。
+ この時サムエルは、一つの石をミツパとシェンの間に置き、「ここまで主が私たちをお助けくださった」と言って、エベン‧エゼル(「助けの石」の意)と名づけました。
+ こうしてペリシテ人は制圧され、その時代に再びイスラエルを襲撃することはありませんでした。サムエルが生きている間、主がペリシテ人を見張っていたからです。
+ ペリシテ人の占領下にあったエクロンからガテに至るイスラエルの町々は、晴れてイスラエルに返還されました。イスラエル軍が奪い返したのです。当時、イスラエル人とエモリ人とは友好関係にありました。
+ サムエルは生涯、イスラエルを治めました。
+ 彼は毎年、最初はベテル、次はギルガル、その次はミツパと巡回しながらイスラエルのために裁きを行いました。どの町でも、その地域で紛争中の問題がサムエルのもとに持ち込まれました。
+ それからサムエルは、生家のあるラマへ戻り、そこでも種々の訴えを裁きました。彼はまた、ラマに主のために祭壇を築きました。
+
+
+ やがて、年老いたサムエルは隠退し、イスラエルを裁く仕事を息子たちに譲りました。
+ 長男ヨエルと次男アビヤは、ベエル‧シェバで人々を裁きました。
+ しかし彼らには、父のような高潔さが欠けていました。金に目がくらんでわいろを取り、公平であるべき裁きを曲げていました。
+ そこでイスラエルの長老たちはラマに集まり、この件でサムエルと話し合いました。
+ 彼らは、サムエルの隠退後、息子たちの行状が思わしくなく、物事に支障をきたしていることを話しました。そして、こう願ったのです。「どの国にも王がいます。私たちにも王を立ててください。」
+ サムエルはひどく動揺し、主に祈りました。
+ 主の答えはこうでした。「民の言うとおりにしてやるがよい。彼らは、あなたではなく、このわたしを退けたのだ。もう、わたしに治めてもらいたくないのだ。
+ エジプトから連れ出して以来これまで、彼らはいつもわたしを捨て、ほかの神々のあとを追ってばかりいた。まさにそれと同じことを、今またしようとしているのだ。
+ 願うとおりにしてやるがよい。ただし、王を立てることがどういうことか、よくよく警告しておきなさい。」
+ サムエルは主のことばを、王を求めるこの民に残らず伝えました。
+ 「あなたがたの言うとおり王を立てれば、あなたがたの息子は王の軍隊に取られ、王の戦車の前を走ることになりかねない。
+ 中には、戦場に追いやられる者も出るだろう。そして、残りの者はみな、奴隷のように働かされる。王家の領地を耕し、刈り入れにも無報酬で駆り出され、武器や戦車の部品作りにも動員されるのだ。
+ 王はあなたがたから娘も取り上げて、料理をこしらえたり、パンを焼いたり、香料を作ったりすることを強いるだろう。
+ それに、ぶどう畑やオリーブ畑のうち、最良の場所を王家の所領に差し出さなければならない。
+ 収穫の十分の一は、年貢として王の家来たちに納めなければならない。
+ 奴隷や屈強の若者、それに家畜まで、王の私用のために駆り出されるのだ。
+ 羊の群れも十分の一を要求されるし、結局、自分たちが奴隷となるわけだ。
+ 王を立ててほしいと言ったばっかりに、あとで後悔して嘆いても、主は助けてくださらないだろう。」
+ しかし人々は、警告に耳を傾けようとしませんでした。「かまいませんとも。それでも王が欲しいのです。
+ よその国々と同じになりたいのです。王が私たちを治め、戦いを指揮してくれるでしょう。」
+ サムエルは、人々の反応を主に告げました。
+ 主はまたも、「言うとおりにしてやりなさい。王を立ててやるがよい」と答えました。ついにサムエルも承知し、人々をそれぞれ自分の家に帰らせました。
+
+
+ ベニヤミン人に、キシュという裕福な有力者がいました。その人の父親はアビエル、アビエルの父はツェロル、ツェロルの父はベコラテ、ベコラテの父はアフィアハでした。
+ キシュの息子サウルは国中で一番の美青年で、しかも、だれよりも頭一つ高い長身でした。
+ ある日、キシュのろばがいなくなってしまいました。そこでキシュは、サウルに若者を一人つけて捜しにやったのです。
+ 二人はエフライムの山地、シャリシャ地方、シャアリム地域、それからベニヤミンの全地をくまなく捜し回りました。しかし、ついにろばは見つかりません。
+ ツフの地まで捜したあと、サウルは召使の若者に言いました。「もう帰ろう。こうなったら、父はろばより、おれたちのことを心配するよ。」
+ 「若だんな様、名案があります。この町には神の人がおいでです。だれからも厚い尊敬を集めている方で、その人の言うことはぴたりと当たるそうです。今から、お訪ねしてみましょう。ろばがどこにいるか、きっと教えてくださいますよ。」
+ 「それにしても、みやげの品が何もないな。食べ物も尽きたし、何を贈ったらいいだろう。」
+ 「心配はいりません。私が少しばかりお金を持っています。それを差し上げて、ご指示を仰いではいかがでしょう。」
+ 「よし、そうしよう。」話がまとまり、二人は預言者の住む町へ向かいました。町へ通じる坂道を上ると、水くみに来た若い娘たちに出会いました。そこで、「この町に先見者がおられますか」と尋ねました。当時、預言者は先見者と呼ばれていたのです。
+ 「ええ。この道をちょっと行った所にいらっしゃいます。町の門のすぐ内側です。ちょうど旅からお戻りになったところで、人々のために丘の上でいけにえをささげに行こうとしておられます。さあ、お急ぎになったほうがいいわ。せっかくお訪ねになっても、丘へ行かれたあとではしかたありませんもの。あの方がおいでになって、いけにえを祝福されたあとでないと、客人は食事ができませんから。」
+ 二人は町へ急ぎ、門にさしかかった時、丘に上ろうとやって来たサムエルに出会いました。
+ 主はその前日、サムエルにこう告げていました。
+ 「明日の今ごろ、ベニヤミン出身の者をあなたのもとに遣わそう。その者に油を注いで、わたしの民の上に立つ者としなさい。彼はイスラエルをペリシテ人から救い出すだろう。わたしが民を顧みてあわれに思い、その叫びを聞いたからだ。」
+ サムエルがサウルをひと目見た時、「これが、あなたに告げた若者だ。イスラエルを治めるべき者だ」と主の声が聞こえました。
+ サウルはサムエルに近づいて、「先見者のお宅はどちらでしょうか」と尋ねました。
+ 「私がそうだよ。さあ、先に立って、あの丘に上りなさい。いっしょに食事をしましょう。明朝、あなたが知りたいことを説き明かしてから、お見送りします。
+ 三日前に消えたろばのことは心配いりません。もう見つかっています。今やイスラエルの富はすべて、あなたの手にあるのです。」
+ 「何と言われます。私はイスラエルの中でも最も小さいベニヤミン族の者で、私の家は、その中でも取るに足りない存在です。どうしてそのようなことを。」
+ サムエルはサウルと連れの召使を広間に案内し、上座に座らせ、すでに招かれていた三十人のどの客よりも、うやうやしくもてなしました。
+ サムエルは料理長に命じて、取っておきの特上の肉を持って来させ、
+ 料理長は命じられたとおり、それをサウルの前に出しました。サムエルは勧めました。「さあ、召し上がってください。これは、この方々を招く前から、あなたのために取っておいたものです。」サウルはサムエルとともに食事をしました。
+ 食事を終え、町に戻ると、サムエルはサウルを屋上に案内し、そこで話し合いました。
+ 翌朝、夜が明けると、サムエルはサウルを呼びにやりました。「起きなさい。出立の時間です。」サウルが起きると、サムエルは町はずれまで送りました。町の城壁まで来ると、サムエルはサウルに、召使を先に行かせるように言いました。そうして、「私は神様から、あなたのことで特別のおことばを託されているのです」と告げました。
+
+
+ サムエルはオリーブ油の入ったつぼを取り、サウルの頭に注ぎかけ、口づけしてから言いました。「なぜこんなことをしたか、おわかりですか。主があなたを、ご自身の民イスラエルの王に任命なさったからなのです。
+ 今、私と別れたら、あなたはベニヤミン領内のツェルツァフにあるラケルの墓のそばで、二人の人に出会うでしょう。その二人は、ろばがとっくに見つかったと伝えるはずです。また、お父上があなたのことを、『いったい、どこへ行ってしまったんだ』と心配している様子も知らせてくれます。
+ それから、さらにタボルの樫の木のところまで行くと、三人の人に出会うでしょう。神様を礼拝するため、ベテルの祭壇に向かう人たちです。一人は子やぎ三頭を携え、一人はパンを三つ、他の一人はぶどう酒の皮袋一袋を持っているはずです。
+ 彼らはあなたにあいさつして、パンを二つくれるので、それを受け取りなさい。
+ そのあとあなたは、ペリシテ人の守備隊がいる、『神の丘』として名高いギブア‧エロヒムに行くことになります。そこへ着くと、預言者の一団が、琴、タンバリン、笛、竪琴を鳴らし、預言をしながら丘を降りて来るのに出会うでしょう。
+ その時、神の霊が激しく下り、あなたも共に預言を始めます。すると、全く別人になったように感じ、またそうふるまうに違いありません。
+ その時から、自分の思うとおり、その時その時の状況に応じて、いちばん良いと思われることをすればよいのです。神様が導いてくださるからです。
+ それから、ギルガルへ行き、七日間、私を待ちなさい。焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげるために私も行くから、今後なすべきことは、その時に教えることにしましょう。」
+ サウルはサムエルのもとを辞して進んで行くうち、神から新しい心を与えられました。そしてサムエルの預言はすべて、その日のうちに現実となったのです。
+ サウルと召使が神の丘に着くと、言われたとおり預言者の一団が近づいて来るのに出会いました。神の霊がサウルに下り、彼も預言を始めました。
+ そのことを聞いたサウルの友人たちは驚き、「どうしたんだ。あのサウルが預言者だって?」と言いました。
+ 居合わせた近所の人も、「父親もあんなふうだったかな」とささやきました。そういうわけで、「サウルも預言者なのか」ということばが、ことわざのようになったのです。
+ サウルは預言を終えると、丘の祭壇へと上って行きました。
+ 彼のおじはサウルと召使いに、「いったい、どこへ行っていたのだ」と聞きました。「ろばを捜し回っていたのですが、見つからないので、サムエル様のところへ、ろばの居場所を伺いに行ったのです。」
+ 「そうだったのか。それで何と?」
+ 「ろばはもう見つかったとおっしゃいました。」しかしサウルは、自分が王として油を注がれたことは黙っていました。
+ さて、サムエルは全イスラエルをミツパに召集し、
+ イスラエルの神のことばを伝えました。「わたしはあなたがたをエジプトから連れ出し、エジプト人と、あなたがたに害をもたらすすべての民の手から救い出した。ところが、こうまで心にかけたわたしを退け、『それより、王が欲しい』と叫んでいる。さあ、部族ごとに、氏族ごとに、わたしの前に出なさい。」
+ こうしてサムエルは、部族の指導者を整列させました。聖なるくじで、まずベニヤミン族が選ばれました。
+ ベニヤミン族を、氏族ごとに主の前に出させたところ、マテリの氏族が選ばれました。こうしてついに、キシュの子サウルをくじで選び出したのです。ところが、どこを捜してもサウルの姿は見当たりません。
+ 人々が、「いったいサウルは、どこへ行ったのでしょう。ここに来ているのですか」と尋ねると主は、「見なさい。彼は荷物の陰に隠れている」と答えました。
+ それで人々は彼を見つけると、そこから連れて来ました。サウルが立つと、他のだれよりも肩から上だけ高いのが目立ちました。
+ サムエルはすべての民の前で宣言しました。「この人こそ、主が王としてお選びくださった人だ。イスラエル中で、この人の右に出る者はいない!」「王様、ばんざーいっ!」民の間から喜びの叫びが上がりました。
+ サムエルは全国民に、王の権利と義務について語りました。さらに、それを文書にして、主の前の特別な場所に納めました。こののち、人々をそれぞれ自分の家に帰したのです。
+ サウルもまた、ギブアの自宅に戻りました。この時、神によって心動かされた勇士たちは、彼について行きました。
+ ところが、中には飲んだくれやならず者もいて、「こんな男がおれたちを守れるものか」と言って彼を侮り、贈り物すら持っていこうとしませんでした。しかし、サウルは何も言いませんでした。
+
+
+ さて、アモン人ナハシュが軍を率いて、イスラエル人の町ヤベシュ‧ギルアデに迫りました。ヤベシュの人々は講和を求め、「どうか、お助けください。あなたがたにお仕えしますから」とすがりました。
+ ナハシュの答えは情け容赦のないものでした。「よし、わかった。ただし、一つ条件がある。全イスラエルへの見せしめに、おまえたち一人一人の右目をえぐり取らせてもらおう。」
+ なんということでしょう。ヤベシュの長老たちは困りました。「七日間の猶予を下さい。その間に、だれも助けに来てくれなければ、お申し出に従うまでです。」
+ 使者がサウルの住むギブアの町に駆けつけ、苦境を訴えると、だれもが声を上げて泣きだしました。
+ そこへ、畑を耕しに行っていたサウルが戻って来て、「いったい、どうしたのだ。なぜ、みんな泣いているのか」と尋ねました。人々はヤベシュからの知らせを伝えました。
+ その時、神の霊が激しくサウルに下ったのです。サウルは満身を怒りに震わせ、
+ 二頭の雄牛を捕まえるや、それを切り裂き、使者に託してイスラエル中に送りました。そして、「サウルとサムエルに従って戦うことを拒む者の雄牛は、このようにされる」と言い送ったのです。主が人々にサウルの怒りを恐れさせたのか、みな、いっせいに集まって来ました。
+ ベゼクでその数を調べると、イスラエルから三十万人、さらにユダから三万人が加わったことがわかりました。
+ そこでサウルは、使者をヤベシュ‧ギルアデに送り帰し、「明日の昼過ぎまでに助けに行く」と告げさせたのです。この知らせに、どれほど町中が喜びにわき立ったことでしょう。
+ ヤベシュの人々は、敵にこう通告しました。「降伏いたします。明日、あなたがたのところへまいりますから、どうぞお気のすむようになさってください。」
+ 翌朝早く、サウルはヤベシュ‧ギルアデに駆けつけ、全軍を三隊に分けてアモン人を急襲し、午前中にほとんど全員を打ち殺してしまいました。残った者たちも散り散りになり、二人の者が共に残ることさえありませんでした。
+ その時、人々はサムエルに言いました。「サウルなどわれわれの王ではないと言った者たちはどこでしょうか。引っぱり出してください。息の根を止めてやります。」
+ しかし、サウルは答えました。「今日はだめだ。この日、主はイスラエルを救ってくださったのだから、だれをも殺してはならない。」
+ 続いて、サムエルが呼びかけました。「さあ、ギルガルへ行こう。サウルがわれわれの王であることを、改めて確認するのだ。」
+ 人々はこぞってギルガルへ行き、主の前でサウルを王として立てました。それから、主に和解のいけにえをささげ、共に喜び合ったのです。
+
+
+ サムエルは、再び民に語りかけました。「さあ、見るがいい。あなたがたの願いどおり王を立てた。
+ 私は自分の息子よりも、この人を選んだ。私は若いころから公の務めについてきたが、今や白髪頭の老人になった。
+ 今、私は主の前に、そして主が油を注がれた(神にきよめ分けられ、任命を受けた)王の前に立っている。さあ、言い分があるなら言ってくれ。私がだれかの牛やろばを盗んだりしただろうか。みんなをだましたり、苦しめたりしたことがあるか。わいろを取ったことがあるか。もしそんな事実があったら、言ってほしい。何か間違いを犯したことがあるなら償いたいのだ。」
+ 「とんでもない。あなたからだまし取られたり、苦しめられたりした覚えなど、これっぽちもありません。それに、あなたは、わいろなどとは全く無縁な方です。」
+ 「では、私があなたがたから非難される点が何一つないことについては、主ご自身と、主が油を注がれた王が証人ということでよいか。」「はい、そのとおりです」と彼らは答えました。
+ サムエルは続けました。「モーセとアロンをお選びになったのは、主であった。主があなたがたの先祖をエジプトから導き出してくださったのだ。
+ さあ、主の前に静かに立ちなさい。先祖たちの時代からこのかた、主があなたがたに対してどれほどすばらしいみわざを行ってくださったか思い出させよう。
+ かつて、エジプトに抑留されていたイスラエル人が叫び求めた時、主はモーセとアロンを遣わし、彼らをこの地へと導いてくださった。
+ ところが、だれもみな、すぐに彼らの神、主を忘れてしまった。それで、ハツォル王の率いる軍の将シセラや、ペリシテ人、モアブの王の手に落ちるのを主は放っておかれた。
+ すると人々はもう一度、主に叫び求めた。主を捨て、バアルやアシュタロテなどの偶像を拝んだ罪も告白した。そして、『もし敵の手から救い出してくださるなら、あなただけを礼拝します』と泣きすがった。
+ それで主は、ギデオン(エルバアル)、バラク、エフタ、サムエルを遣わして敵の手から救い出し、安らかな生活を取り戻させてくださったのだ。
+ ところが、あなたがたは、アモン人の王ナハシュを怖がって、自分たちを治める王が欲しいと言いだした。あなたがたの神である主こそが、あなたがたの王であったのに。主はこれまでもずっと、あなたがたを支配してこられたのだ。
+ さあ、よく見なさい。この人が、あなたがたの選んだ王だ。
+ あなたがたが主を恐れかしこみ、主の命令を聞き、反抗的な態度を捨て、そして王とともに主に仕える道を歩むなら、すべてうまくいくだろう。
+ しかし、もし主の命令に逆らい、主に聞き従うことを拒むなら、主のさばきが下り、先祖たちの二の舞になるだろう。
+ さあ、主のみわざを見なさい。
+ だれでも知っているように、小麦を刈り取るこの時期には雨が降らない。しかし、私は主に祈って、今日、雷と雨を送っていただく。王を欲しがるのがどれほど愚かなことだったか思い知るだろう。」
+ そうして、サムエルが呼び求めると、主は雷と雨をもたらしたので、人々はみな驚き、震え上がりました。
+ 彼らはサムエルにとりすがりました。「ああ、いのちだけはお助けくださいと祈ってください。私たちは王が欲しいと言って、今までの罪にまた罪を重ねてしまいました。」
+ サムエルは彼らをなだめました。「怖がることはない。過ちを犯したのは事実だが、問題はこれからだ。心を尽くして主を礼拝し、何があっても背いてはならない。
+ ほかの神々が助けてくれるわけがないのだから。
+ 主は、ご自分の民を捨てて、その偉大なお名前を汚すようなことはなさらない。主はあなたがたを、特別な民として選んでくださったのではないか。そうすることが主のご意志だったのだ。
+ 私も、あなたがたのために祈るのをやめて、主に罪を犯すことなどしない。これからも、良いこと正しいことを教え続けよう。
+ 主を信頼し、心から礼拝をささげなさい。主があなたがたに行ったすばらしいわざを、すべて心に留めなさい。
+ しかし、もしこのまま罪を犯し続けるなら、王とともに滅ぼされることになるだろう。」
+
+
+ サウルが王位についてから、一年が過ぎました。サウルは治世の二年目に、
+ 三千人の精兵を選びました。このうち二千人はサウルとともにミクマスとベテルの山地にこもり、残りの千人はサウルの息子ヨナタンに統率されて、ベニヤミン領のギブアにとどまりました。残りの者は自宅待機となりました。
+ そののちヨナタンは、ゲバに駐屯していたペリシテ人の守備隊を攻略し、そのニュースがたちまちペリシテの領土中に広まりました。サウルは全イスラエルに戦闘準備の指令を出し、ペリシテ人の守備隊を破ったことで、ペリシテ人の大きな反発を買った事情を訴えました。イスラエルの全軍が再びギルガルに召集され、
+ ペリシテ側も兵力を増強し、戦車三千、騎兵六千、それに浜辺の砂のようにひしめくほどの兵士たちを集結させました。そして、ベテ‧アベンの東にあるミクマスに陣を敷いたのです。
+ イスラエル人は敵のおびただしい軍勢を見るなり、すっかりおじけづいてしまい、先を争ってほら穴や茂みの中、岩の裂け目、それに地下の墓所や水ためにまでも隠れようとしました。
+ 中には、ヨルダン川を渡って、ガドやギルアデ地方まで逃げ延びようとする者も出ました。その間、サウルはギルガルにとどまっていましたが、従者たちは、どうなることかと恐怖に震えていました。
+ サムエルはサウルに、自分が行くまで七日間待つように言ってありました。ところが、七日たってもサムエルは現れません。サウル軍は急に動揺し始め、統制が取れなくなりそうな形勢です。
+ 困ったサウルは、祭司ではないのに、自分で焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげようと決心しました。
+ こうして、サウルがちょうどいけにえをささげた直後、サムエルが姿を現したのです。サウルが迎えに出て祝福を受けようとすると、
+ サムエルは、「あなたはなんということをしたのか」と問い詰めました。サウルは答えました。「兵士たちは逃げ出そうとしておりましたし、あなたも約束どおりおいでになりません。ペリシテ人は、今にも飛びかからんばかりにミクマスで構えています。
+ 敵はすぐにも進撃してくるでしょう。なのに、まだ神様に助けを請うていません。とてもあなたを待ちきれませんでした。それでやむなく、自分でいけにえをささげてしまったのです。」
+ 「なんと愚かなことを!」サムエルは思わず叫びました。「よくもあなたの神、主の命令を踏みにじってくれた。主はあなたの家系を、子々孫々まで、永遠にイスラエルの王に定めておられたのに。
+ だが、もはやあなたの王家も終わりだ。主が望んでおられるのは、ご自分に従う者なのだ。すでに、お心にかなう人を見つけて、王としてお立てになっている。あなたが命令に背いたからだ。」
+ サムエルはギルガルを発って、ベニヤミン領内にあるギブアに上って行きました。一方、サウルは自分の指揮下にある兵を数えてみました。すると、たった六百人しか残っていませんでした。
+ サウルとヨナタンとこれらの兵は、ベニヤミンのゲバに駐屯し、ペリシテ人はミクマスに腰をすえていました。
+ やがて三つの攻撃部隊が、ペリシテ人の陣営からくり出されました。一隊はシュアルの地にあるオフラに向かい、
+ もう一隊はベテ‧ホロンに向かい、第三の隊は荒野に接するツェボイムの谷を見下ろす境界へと進軍したのです。
+ 当時、イスラエルには鍛冶屋がありませんでした。イスラエル人が剣や槍を作ることを恐れたペリシテ人が、鍛冶屋の存在を許さなかったからです。
+ そこで、イスラエル人がすき、くわ、斧、かまなどを研ぎたい場合は、ペリシテ人の鍛冶屋を訪ねなければなりませんでした。
+ すきやくわの研ぎ料、斧や突き棒の修理料は一ピム(一シェケル=銀十一‧四グラムの三分の二)でした。
+ この時、イスラエル兵の中で剣や槍を持っているのはサウルとヨナタンだけでした。
+ そうこうするうち、ミクマスへ通じる山道は、ペリシテ軍の先陣によって厳重に封鎖されました。
+
+
+ 一日二日が過ぎたころ、サウルの子の王子ヨナタンは、側近の若者に言いました。「さあ、ついて来い。谷を渡って、ペリシテ人の陣営に乗り込もう。」このことは、父サウルには知らせていませんでした。
+ サウルと六百人の兵は、ギブア郊外のミグロンのざくろの木付近に陣を敷いていました。
+ その中には祭司アヒヤもいました。アヒヤはイ‧カボデの兄弟アヒトブの子で、アヒトブはシロで祭司を務めたエリの子ピネハスの孫に当たります。ヨナタンが出かけたことは、だれ一人知りませんでした。
+ ペリシテ人の陣地へ行くには、二つの切り立った岩の間の狭い道を通らなければなりませんでした。二つの岩は、ボツェツとセネと名づけられていました。
+ 北側の岩はミクマスに面し、南側の岩はゲバに面していました。
+ ヨナタンは従者に言いました。「さあ、あの主を知らない者たちを攻めよう。主が奇跡を行ってくださるに違いない。主を知らない兵の力など、どれほど大きかろうと、主には物の数ではない。」
+ 若い従者は言いました。「そうですとも。あなたの思いどおりにお進みください。お供します。」
+ 「そうか。では、こうしよう。
+ われわれが敵の目に留まったとき、『じっとしていろ。動くと殺すぞ!』と言われたら、そこに立ち止まって彼らを待とう。
+ もし『さあ、来い!』と言われたら、そのとおりにするのだ。それこそ、彼らを打ち負かしてくださる神のしるしだ。」
+ ペリシテ人は近づいて来る二人の姿を見かけると、「見ろ! イスラエル人が穴からはい出て来るぞ!」と叫びました。
+ そしてヨナタンに、「さあ、ここまで来い。痛い目に会わせてやろう!」と大声で呼びかけるではありませんか。ヨナタンはそばの若者に叫びました。「さあ、あとから登って来い。主がわれわれイスラエルを助けて、勝利をもたらしてくださるぞ!」
+ 二人は崖をよじ登り、ペリシテ人がしりごみするところを打ちかかり、ヨナタンと若者は右に左に切り倒しました。
+ この時に殺されたのは約二十人で、一くびきの牛が半日で耕す広さの場所に死体が散乱しました。
+ 不意を突かれて、ペリシテ軍の全陣営、とりわけ先陣の部隊はパニックに陥りました。大地震にでも見舞われたように、恐怖におののきました。
+ ギブアにいたサウルの陣営では、見張りの番兵が思いがけない光景を目にしていました。ペリシテ人の大軍が、うろたえて右往左往し始めたのです。
+ サウルは、「だれかわれわれの陣営から消えた者がいるか調べろ」と命じました。調べると、ヨナタンと側近の若者がいません。
+ サウルはアヒヤに、「神の箱を持って来なさい」と叫びました。そのころ、神の箱はイスラエル人の間にあったのです。
+ サウルが祭司と話している間に、ペリシテ人の陣営の騒ぎは、ますます大きくなっていきました。サウルは祭司に、「もうよい」と言って、
+ 六百人の兵とともに大急ぎで戦場に駆けつけました。すると、ペリシテ人が同士打ちをしており、どこもかしこも収拾がつかない有様です。
+ それまでペリシテ軍に徴兵されていたヘブル人も、寝返ってイスラエル側につきました。
+ ついには、山地に隠れていた者まで、ペリシテ人が逃げ出すのを見て、追撃に加わりました。
+ こうして、この日、主はイスラエルを救い、戦闘はベテ‧アベンに場所を移していきました。
+ この日、サウルは民に命じていました。「夕方まで、つまり、私が完全に敵に復讐するまで、食べ物を何も口にするな。もし食べる者がいれば、のろわれる。」それで、森に入ると地面にみつばちの巣があったのに兵士たちは目もくれず、まる一日、何も食べていませんでした。
+ サウルののろいを恐れていたからです。
+ ところが、ヨナタンは父の命令を知りません。手にしていた杖をみつばちの巣のみつにちょっと浸してなめてみました。すると、体中に力がわいてきたのです。
+ その時、ヨナタンにだれかが耳打ちしました。「お父上は、今日、食物を口にする者にのろいをおかけになったのですよ。ですから、みんなへとへとに疲れているのです。」
+ 「なんということだ!」ヨナタンは思わず叫びました。「そんな命令は、みんなを苦しめるだけだ。このみつをちょっとなめただけでも、私は元気になった。
+ もしわが軍が、敵陣で見つけた食糧を自由に食べてよいことになっていたら、もっと多くのペリシテ人を打ち殺せたろうに。」
+ 一日中すきっ腹をかかえたまま、彼らは、ミクマスからアヤロンにかけてペリシテ人を追いかけ、彼らを討ったのです。そのため、みな、ぐったりしていました。
+ 夕方になると、人々は戦利品に飛びつき、羊、牛、子牛などをほふり、血のしたたる肉に食らいつきました。
+ だれかがこの様子をサウルに告げ、血が残ったままの肉を食べて主に罪を犯していると非難しました。「けしからん!」サウルは腹を立て、こう言い渡しました。「大きな石をここに転がして来なさい。
+ そして、隊中にふれ回り、牛や羊を連れて来て殺し、血を絞り出すよう命じるのだ。血が残ったままの肉を食べて、主に罪を犯してはならない。」人々は言われたとおりにしました。
+ そしてサウルは、主のために祭壇を築いたのです。これは彼が築いた最初の祭壇でした。
+ それからサウルは、「さあ、夜通しペリシテ人を追い、最後の一人まで打ってしまおうではないか」と気勢を上げました。従者たちは、「それはいい。お考えどおりにしましょう」と答えました。ところが祭司は、「まず、神様にお伺いを立てましょう」と言いました。
+ そこでサウルは、「ペリシテ人を追うべきでしょうか。敵を打ち負かすのをお助けいただけますか」と、神に答えを請いました。しかし、夜が明けても何の返事もありません。
+ そこでサウルは兵士の長を集め、「何かまずいことがあったのだ。今日、どんな罪が犯されたのか、はっきりさせる必要がある。
+ イスラエルを救ってくださった主の御名にかけて誓う。罪を犯した者は、たとえわが子ヨナタンであろうと死ななければならない。」しかし、だれも真相を語ろうとしませんでした。
+ そこでサウルが、「ヨナタンと私はこちらに、おまえたちはみなあちらに、両側に分かれて立ってみよう」と提案し、一同はそれに応じました。
+ サウルは祈りました。「ああ、イスラエルの神、主よ。なぜ、私の問いにお答えいただけなかったのでしょう。何か責められるべき点があるのでしょうか。ヨナタンか私に罪があるのですか。それとも、ほかの者が悪いのですか。主よ、罪を犯したのはだれかはっきりお示しください。」それから聖なるくじを引くと、ヨナタンとサウルの側に当たりました。
+ サウルは続けて、「私とヨナタンとでくじを引こう」と言いました。その結果、くじはヨナタンに当たりました。
+ サウルはヨナタンに詰め寄りました。「何をしたのか、私に言いなさい。」「みつをなめたのです。杖の先につけて、ほんの少しばかり。でも、私は死ななければなりません。」
+ 「そうだ、ヨナタン。おまえは死ななければならない。もしそうでなければ、神が私を死ぬほどに罰してくださるように。」
+ すると、兵士たちが反発しました。「今日イスラエルを救ったのはヨナタン様です。その方のいのちが奪われるなんて、あってはなりません! 主にかけて誓います。あの方の髪の毛一本も失われてはなりません。今日の目ざましい働きは、神様に用いられている証拠ではありませんか。」こうして、彼らはヨナタンを救ったのです。
+ そののち、サウルは追撃していた部隊を呼び戻したので、ペリシテ人は引き揚げて行きました。
+ サウルはイスラエルの王位についてからこのかた、周囲のあらゆる敵、モアブ、アモン人、エドム、ツォバの王たちからペリシテ人に至るまで、派兵して戦っていました。そして、向かうところどこでも勝利を収めました。
+ 彼は大きな力を振るい、アマレク人を討ちました。サウルのおかげで、イスラエルはすべての侵略者の手から救われました。
+ さて、サウルには、ヨナタン、イシュビ、マルキ‧シュアという三人の息子と、メラブ、ミカルという二人の娘がいました。
+ 妻はアヒノアムといい、アヒマアツの娘でした。軍の司令官はサウルのおじネルの息子で、いとこに当たるアブネルでした。アブネルの父ネルとサウルの父キシュとは兄弟で、二人ともアビエルの子です。
+ イスラエル人はサウルの在世中、絶えずペリシテ人と戦い続けました。サウルは勇敢で屈強な若者を見つけると、彼らをみな軍隊に徴用しました。
+
+
+ ある日、サムエルはサウルに言いました。「私はあなたをイスラエルの王にした。主がそうせよと言われたからだ。今、確かにあなたは主に従っている。
+ それで、主はあなたにこう命じておられる。『アマレク人に罰を下す。イスラエル人がエジプトを脱出した時、彼らが領地内を通るのを拒否したからだ。
+ さあ、攻め上ってアマレク人を一人残らず打ちなさい。男も女も、子どもも赤ん坊も、牛も羊も、らくだもろばも徹底的に打つのだ。』」
+ サウルは兵をテライムに集結させました。兵は二十万で、それにユダの兵一万が加わりました。
+ そしてアマレク人の町へ行き、谷に陣を敷きました。
+ サウルはケニ人に使者を立て、アマレク人と運命を共にしたくなければ彼らの中から出て行くように警告しました。イスラエル人がエジプトから脱出した時、ケニ人が親切にしてくれたからです。ケニ人はさっそく荷物をまとめ、アマレク人の中から出て行きました。
+ そののちサウルは、ハビラからエジプトの東方、シュルに至る道でアマレク人を打ち、
+ 王アガグを捕虜にしたほかは、一人残らず殺しました。
+ しかし、サウルと兵は、羊や牛の最上のもの、子羊のまるまる太ったものを殺さずに取り分けておきました。それらがとても気に入ったからです。そして、あまり値打ちのない、質の悪いものだけを殺したのです。
+ その時、主はサムエルに語りかけました。
+ 「わたしはサウルを王に立てたことを悔いる。二度までもわたしに逆らった。」サムエルはそのことばに激しく動揺し、夜通し主に叫び続けました。
+ 翌朝早く、彼がサウルに会いに出かけようとした時、「サウル王はカルメル山へ行って自分のために記念碑を建て、それからギルガルへ引き返した」と告げる者がありました。
+ ようやくサムエルが捜し当てると、サウルは上機嫌であいさつしてきました。「これは、ようこそ。ご安心ください。主のご命令をすべて守りました。」
+ 「なに? では、この聞こえてくる、メエメエ、モウモウという鳴き声はいったい何だ。」
+ 「特上の羊や牛を殺してしまうのはもったいないと考え、あなたの神、主にささげるために連れて来たのです。ほかのものはいっさい殺しました。」
+ 「黙りなさい! 昨夜、主が何とおっしゃったか教えよう。」「何とおっしゃったのですか?」
+ 「サウル。自分では取るに足りない者でいるつもりかもしれないが、いやしくもあなたは、イスラエルの王に任命された者ではないか。
+ 主に何と命じられたか、忘れてはいないだろう。『罪人アマレクのすべてを滅ぼし尽くせ』と言われたのではなかったか。
+ それなのに、どうして従わなかったのだ。なぜ戦利品に飛びついて、主の命令に背いたのだ。」
+ 「私としては、お従いしたつもりです。命令どおりにいたしました。アガグ王は連れて来ましたが、ほかのアマレク人は全員殺しました。
+ たまたまいた羊や牛や戦利品の最上のものを取り分け、主にいけにえとしてささげようとしたのは、民が言いだしたことです。」
+ サムエルは言いました。「主は、いくら焼き尽くすいけにえやその他のいけにえをささげたとしても、あなたが従順でなければ、少しもお喜びにはならない。従順は、いけにえよりはるかに尊いのだ。主は、あなたが雄羊の脂肪をささげるよりも、主の御声に耳を傾けるほうをお喜びになる。
+ 反逆は占いの罪に等しく、不従順は偶像礼拝に等しい罪なのだ。もはや主のおことばを無視したからには、主もあなたを王位から退けることだろう。」
+ 「ああ、私は罪を犯しました。言われるとおり、あなたの指図にも主の命令にも背きました。民を恐れて、言いなりになったのです。
+ どうか、この罪をお赦しください。主を礼拝するため、いっしょに行ってください。」
+ 「今さら、むだなことだ! 主のご命令を退けたあなたを、主もイスラエルの王位から退けられたのだ。」
+ こう答えて引き返そうとするサムエルにとりすがったサウルは、そのはずみでサムエルの上着を破ってしまいました。
+ サムエルはサウルに言いました。「よく見るがよい。主は、今日、あなたからイスラエルの王国を取り上げて、さらにすぐれた人物にお渡しになった。
+ イスラエルの栄光そのものであるお方のことばに偽りはなく、心変わりもありえない。」
+ それでもサウルはとりすがりました。「私が間違っていました。しかし、どうか今、民と指導者たちとの前で私の面目をつぶさないでください。どうか、いっしょに行って、あなたの主を礼拝させてください。」
+ あまりの熱心さにサムエルもついに折れました。
+ そののち、サムエルはサウルに、「アガグ王を連れて来なさい」と命じました。アガグはいそいそとサムエルの前に出て来ました。「最悪の事態は免れた。きっと助けてもらえるだろう」と思ったのです。
+ しかし、サムエルはきびしく言い渡しました。「おまえの剣は実に多くの母親から子どもを奪った。今度はおまえの母親が子を失う番だ。」そうしてサムエルはギルガルで、主の前にアガグを切り殺しました。
+ そののち、サムエルはラマの自宅へ戻り、サウルもギブアに引き返しました。
+ 二人は、もう二度と顔を合わせることがありませんでした。しかし、サムエルはサウルのことで悲しみ、主もまた、サウルをイスラエルの王としたことを悔やみました。
+
+
+ 主はサムエルに言いました。「いつまでサウルのことでくよくよしているのか。もうわたしは、彼をイスラエルの王位から退けてしまったのだ。さあ、つぼいっぱいにオリーブ油を満たして、ベツレヘムへ行き、エッサイという人を探しなさい。わたしは、その息子の一人を新しい王に選んだ。」
+ しかしサムエルは、「どうしてそんなことができましょう。それがサウルの耳に入ったら殺されます」と言いました。しかし、主は答えました。「あなたは雌の子牛を一頭取り、『主にいけにえをささげに行く』と言えばよい。
+ そして、いけにえをささげる時、エッサイを呼びなさい。どの息子に油を注いだらよいかは、そこで指示しよう。」
+ サムエルは主のことばどおりに行いました。一方ベツレヘムでは、町の長老たちが恐る恐るサムエルを出迎えて言いました。「これは、これは。わざわざお越しになられたのは、何か変わったことでも?」
+ 「いや、心配はご無用です。主にいけにえをささげに来たまでです。いけにえをささげるため、身をきよめていっしょに来てください。」サムエルはエッサイと息子たちにきよめの儀式を行い、彼らも招きました。
+ 彼らが来た時、サムエルはそのうちの一人、エリアブをひと目見るなり、「この人こそ、主がお選びになった人に違いない」と思いました。
+ しかし、主は言いました。「容貌や背の高さで判断してはいけない。彼ではない。わたしの選び方は、あなたの選び方とは違う。人は外見によって判断するが、わたしは心と思いを見るからだ。」
+ 次はアビナダブが呼ばれ、サムエルの前に進み出ました。しかし、「主は彼も選んでおられない」とサムエルは言いました。
+ 続いてシャマが呼ばれましたが、主からは、「彼もわたしの目にかなわない」という返事しかありませんでした。同様にして、エッサイの七人の息子がサムエルの前に立ちましたが、みな主に選ばれませんでした。
+ サムエルはエッサイに言いました。「どうも主は、この息子さんたちのだれをも選んでおられないらしい。もうほかに息子さんはいないのですか。」「いいえ、まだ末の子がおります。今、野で羊の番をしておりますが。」「すぐ呼びにやってください。その子が来るまで、食事は始めませんから。」
+ エッサイはすぐに彼を迎えにやりました。連れて来られたのは、見るからに健康そうで、きれいな目をした少年でした。その時、「この者だ。彼に油を注ぎなさい」と、主の声がありました。
+ サムエルは、その少年ダビデを兄弟たちの真ん中に立たせて、持って来たオリーブ油を取り、彼の頭に注ぎました。すると、主の霊がダビデに下り、その日から彼には卓越した力が与えられたのです。こののち、サムエルはラマへ帰って行きました。
+ 一方、主の霊はサウルから離れ、主が代わりに災いの霊を送り込まれたので、彼はいつも気が滅入り、何かにおびえるようになりました。
+ そこで家臣たちがサウルに治療法を進言しました。「災いの霊に苦しめられる時には、竪琴の音色が一番です。上手な弾き手を探してまいりましょう。美しい調べが心を静めてくれます。きっと晴れ晴れとしたご気分におなりでしょう。」
+ 「そうだな。さっそく弾き手を見つけてまいれ。」
+ その時、家臣の一人が申し出ました。「ベツレヘムにいい若者がいます。私が会ったのはエッサイという人の息子ですが、竪琴を弾かせたら、それはもう天下一品です。りっぱな戦士で勇敢ですし、分別もございます。なおすばらしいことに、彼には主がついておられるのです。」
+ サウルは乗り気になり、使いをエッサイのもとへ送って、「あなたの息子で、羊飼いをしているというダビデをよこしてくれ」と頼みました。
+ エッサイは要請に応じて、ダビデばかりか、子やぎ一頭と、パンやぶどう酒を積んだろば一頭とを献上しました。
+ ダビデをひと目見たとたん、サウルは感嘆の声をもらし、たいそう気に入りました。こうしてダビデは、サウルのそば近くに取り立てられたのです。
+ サウルはエッサイのところに人をやり、「ダビデが気に入ったので手もとに置きたい」と伝えました。
+ 神からの霊がサウルをさいなむ時、ダビデが竪琴を弾くと、災いの霊が離れ、サウルは気分がよくなるのでした。
+
+
+ ところで、ペリシテ人はイスラエルに戦いをしかけようと軍隊を召集し、ユダのソコとアゼカとの間にあるエフェス‧ダミムに陣を敷きました。
+ サウルはこれに応戦するため、エラの谷に兵力を集めて戦いに備えました。
+ ペリシテ人とイスラエル人は、互いに谷を隔てた丘の上でにらみ合うかたちになりました。
+ その時、ゴリヤテというガテ出身のペリシテ一の豪傑が陣地から出て来て、イスラエル軍に向き合いました。身長が約三メートルもある巨人で、青銅のかぶとをかぶり、五十七キロもあるよろいに身を固め、青銅のすね当てを着け、七キロもある鉄の穂先のついた太い青銅の投げ槍を持っていました。盾持ちが、大きな盾をかかえて先に立っていました。
+ 仁王立ちのゴリヤテは、イスラエルの陣営に響き渡るように大声で叫びました。「よく、こうもたくさんそろえたもんだ。おれはペリシテ人の代表だ。おまえらも代表を一人選んで一騎打ちをし、それで勝負をつけようじゃないか。
+ もし、おまえらの代表の手にかかっておれ様が倒れでもすりゃあ、おれたちは奴隷になる。だが、おれ様が勝ったなら、おまえらが奴隷になるのだ。
+ さあ、どうした。イスラエル軍には人がいないのか。おれと戦う勇気のあるやつは出て来い。」
+ サウルとイスラエル軍は、これを聞いてすっかり取り乱し、震え上がってしまいました。
+ エフラテ人エッサイの子のダビデには七人の兄がいました。
+ 三人の兄エリアブとアビナダブとシャマは、このペリシテ人との戦いに義勇兵として従軍しており、
+ 末っ子のダビデはサウルの身辺の警護に当たりながら、時々ベツレヘムへ帰り、羊を飼う父の仕事を手伝っていました。
+ さて、巨人ゴリヤテは四十日間、毎日、朝と夕の二回、イスラエル軍の前に姿を現しては、これ見よがしにのし歩いてみせました。
+ ある日、エッサイはダビデに言いつけました。「さあ、この炒り麦一エパ(二十三リットル)とパン十個を、兄さんたちに届けてくれないか。
+ このチーズは隊長さんに差し上げ、あの子たちの様子を見て来ておくれ。あの子たちから何かことづかってくることも忘れないようにな。」
+ サウルとイスラエル軍は、エラの谷に陣を張っていました。
+ ダビデは翌朝早く、羊を他の羊飼いに任せ、食べ物をかかえて出かけました。陣営のはずれまで来ると、ちょうどイスラエル軍がときの声を上げて戦場へ向かうところでした。
+ やがて、敵味方が互いににらみ合う態勢となりました。
+ ダビデは持って来た包みを荷物係に預け、兄たちに会うために陣地へ駆けだしました。
+ 兄たちと話をしながらふと見ると、敵陣から大男が向かって来ます。あのゴリヤテです。彼はいつものように、ふてぶてしく挑発してきました。
+ イスラエル軍はゴリヤテを見ると、おじけづいて後ずさりを始めました。
+ 「あの大男を見ろよ。イスラエル軍をなめていやがる。あいつを倒した者には、王様からしこたまごほうびが頂けるそうだ。王女の婿にしてもらえるうえ、一族はみな税を免除されるそうだ。」
+ ダビデは、ほんとうの話かどうか、そばにいる人たちに確かめようと尋ねました。「あのペリシテ人を倒して、イスラエルへの悪口雑言をやめさせた者には、何をしていただけるのでしょうか。全く、生ける神様の軍をなぶりものにするなんて! いったい、あの、神様を知らないペリシテ人は何者ですか。」
+ 人々は、先ほどのことばをくり返しました。
+ ところが長兄エリアブは、ダビデがそんな話に首を突っ込んでいるのを聞いて、腹を立てました。「いったい、ここへ来て何をしようというのだ。羊の世話はどうした。とんでもないうぬぼれ屋め。戦見たさに、のこのこやって来たんだろう。」
+ 「僕が何をしたっていうんです? ちょっと尋ねただけじゃありませんか。」
+ ダビデはほかの人のところへ行って、次々に同じ質問をして回りました。だれからも同じような答えが返ってきます。
+ そのうち、ダビデのことばの裏にある意図をくんだだれかが、そのことをサウル王に告げたので、王はダビデを呼びにやりました。
+ ダビデはきっぱりとサウルに言いました。「こんなことで何も心配には及びません。私が、あのペリシテ人を片付けましょう。」
+ サウルは言いました。「冗談を言うな! おまえみたいな小僧が、どうしてあんな大男と渡り合えるのだ。あいつは若い時から鍛え抜かれた戦士だぞ!」
+ 「私は父の羊を飼っているのですが、ライオンや熊が現れて、群れの子羊を奪って行くことがよくあります。
+ そんな時、私は棒を持って追いかけ、その口から子羊を助け出すんです。もしそいつらが襲いかかって来たら、あごひげをつかんでたたきのめします。
+ ライオンも熊も、こうしてやっつけてきました。あの、神様を知らないペリシテ人だって、同じ目に会わせてやります。生ける神様の軍をばかにした男ですから。
+ ライオンや熊の爪や歯から守ってくださった神様は、あのペリシテ人の手からも、私を守ってくださるに違いありません。」サウルは、ついに首をたてに振りました。「よし、わかった。行きなさい。主がついておられるように。」
+ サウルは、自分の青銅のかぶととよろいをダビデに与えました。ダビデはそれをまとい、剣を持ち、試しに一、二歩、歩いてみました。そんなものを身に着けたことがなかったのです。しかし、「これじゃ、身動きがとれません」と言うや、脱ぎ、
+ 川からなめらかな石を五つ拾って来ると、羊飼いが使う袋に入れました。そして、羊飼いの杖と石投げだけを持って、ゴリヤテに向かって行ったのです。
+ ゴリヤテは盾持ちを先に立て、ゆっくり近づいて来ましたが、まだ初々しい少年だとわかると、ふふんと鼻で笑い、大声で言いました。
+ 「杖なんか持って来やがって、おれ様を犬っころ扱いする気か。」彼は自分の神々の名を挙げてダビデをのろい、
+ 「さあ、来い。おまえの肉を鳥や獣にくれてやるわい!」と叫びました。
+ ダビデも負けずに答えました。「おまえは剣と槍で立ち向かって来るが、私は天地の主であり、おまえがばかにしたイスラエルの主のお名前によって立ち向かうのだ。
+ 今日、主がおまえを打ち負かしてくださる。おまえの息の根を止め、首をはねてやるからな。そして、ペリシテ人らのしかばねを鳥や獣にくれてやる。すべての国々は、イスラエルに神様がおられることを知るのだ。
+ そしてイスラエルは、主が武器に頼らずにご計画を実現なさるということ、神様のなさることは人間の企てとは無関係だということを学ぶのだ。主はおまえたちを、私たちの手に渡してくださる。」
+ 近づいて来るゴリヤテめがけて、ダビデは駆け寄りました。そして、袋から石を一つ取り出すと、石投げでビュンとそれを放ちました。石はゴリヤテの額にみごと命中し、額に食い込み、ゴリヤテの巨体は揺らいで、うつぶせに倒れました。
+ ダビデは石投げと石一つで、このペリシテ人の大男をしとめたのです。剣を持っていなかったダビデは、走り寄ってゴリヤテの剣を抜き、それでとどめを刺して、首をはねました。ペリシテ人は自分たちの代表戦士がやられてしまったので、しっぽを巻いて逃げ出しました。
+ イスラエル軍は、どっと勝ちどきを上げると、あとを追いかけ、ガテとエクロンの門まで追撃しました。シャアライムへ至る道のそこかしこに、ペリシテ人の死者や負傷者があふれました。
+ イスラエル軍は引き返して、もぬけの殻となったペリシテ人の陣地を略奪しました。
+ ダビデはゴリヤテの首を持ってエルサレムへ帰り、ゴリヤテが着けていた武具を自分の天幕に保管しました。
+ サウル王は、ダビデがゴリヤテと戦うために出て行くのを見た時、司令官のアブネルに尋ねました。「アブネル。あの若者は、どんな家系の出なんだ。」「それが、全くわからないのです。」
+ 「そうか。では、さっそく調べてくれ。」
+ ダビデがゴリヤテを倒して帰って来ると、アブネルはその首をかかえたダビデを、王の前へ連れて来ました。
+ 「みごとであった。ところで、おまえの父親はどういう人かね。」王は尋ねました。「父はエッサイと申して、ベツレヘムに住んでおります。」
+
+
+ サウル王がひととおりの質問を終えたあと、ダビデは王子ヨナタンを紹介され、二人はすぐに深い友情で結ばれました。ヨナタンはダビデを血を分けた兄弟のように愛し、
+ 自分の上着、よろいかぶと、剣、弓、帯を与えました。王はダビデをエルサレムにとどめ、もはや家に帰そうとはしませんでした。
+ ダビデは王の特別補佐官として、いつも任務を成功させたので、とうとう軍の指揮官に任命されました。この人事は、軍部からも民衆からも喜ばれました。
+ ところで、ダビデがゴリヤテを倒し、勝利を収めたイスラエル軍が意気揚々と引き揚げて来た時、あることが起きたのです。あらゆる町々から沿道にくり出した女たちが、サウル王を歓迎し、タンバリンやシンバルを鳴らして、歌いながら喜び踊りました。
+ 女たちが歌ったのはこんな歌でした。「サウルは千人を打ち、ダビデは一万人を打った。」
+ これを聞いて、王は非常に腹を立てました。「何だと。ダビデは一万人で、この私は千人に過ぎないのか。まさか、あいつを王にまつり上げる気ではないだろうな。」
+ この時から、王の目は、ねたみを帯びてダビデに注がれるようになりました。
+ 翌日から、神からの災いの霊がサウル王を襲うようになり、彼は錯乱状態に陥りました。そんな王の心を静めようと、ダビデはいつものとおり竪琴を奏でました。ところが王は手に持っていた槍を、
+ いきなりダビデめがけて投げつけました。ダビデを壁に突き刺そうと思ったのです。しかし、さっと身をかわしたダビデは難を逃れました。一度ならず二度もそんなことがあったのです。それほど王はダビデを恐れ、激しい嫉妬に駆られていました。これもみな、主がサウル王を離れて、ダビデとともにいたからです。
+ 王はダビデを恐れ、自分から遠ざけることにし、職務も千人隊の長にまで格下げしました。しかし王の懸念をよそに、ダビデはますます人々の注目を集めるようになっていきました。
+ ダビデはその行く所どこででも勝利を収めました。主がともにいたからです。
+ サウル王はますますダビデを恐れるようになりました。イスラエルとユダの人々はみな、ダビデを支持しました。ダビデが民の側に立っていたからです。
+ ある日、王はダビデを呼んで言いました。「私はおまえに、長女のメラブを嫁として与えてもいいと思っている。そのためにまず、主の戦いを勇敢に戦い、真の勇士である証拠を見せてくれ。」王は内心、「ダビデをペリシテ人との戦いに行かせ、敵の手で殺してしまおう。自分の手を汚すまでもない」と考えたのです。
+ ダビデは答えました。「私のような者が王家の婿になるなど考えられません。私の父の家系は取るに足りません。」
+ ところが、いよいよ結婚という段になって、王は娘メラブをダビデではなく、メホラ人のアデリエルと結婚させてしまいました。
+ そうこうするうち、別の娘ミカルがダビデを恋するようになったのです。それを知って喜んだのはサウル王でした。
+ 「あいつをペリシテ人の手で殺す機会が、また巡って来た」とほくそ笑み、さっそくダビデを呼びつけると、「今度こそ婿になってくれ。末の娘をやろう」と言いました。
+ その一方でサウル王は家臣たちに、ダビデにこう勧めるようにひそかに命じたのです。「王様はあなたを大そうお気に入りですよ。私たちもみな、あなたを慕っております。お申し出を受けて、婿になられたらいいではありませんか。」
+ ダビデは答えました。「私のように名もない家の貧しい者は、逆立ちしたって、王女を妻に迎えられるほどの仕度金は用意できません。」
+ 家臣たちがこのことを報告すると、
+ 王は答えました。「ダビデに伝えてくれ。私が望んでおる仕度金は、ペリシテ人を百人打って来ることだ。敵に復讐してくれることこそ、私の望みだと。」しかし、王の本心は、ペリシテ人との戦いでダビデが戦死することだったのです。
+ ダビデはこの申し出を喜びました。そこで、期限が来る前に、
+ 部下を率いて出陣し、ペリシテ人二百人を打ち殺して、その包皮を王に差し出したのです。これで王は、ダビデにミカルを与えないわけにはいかなくなりました。
+ 王は、主がダビデとともにいること、また、ダビデがどれほど民の信望を集めているかを思い知らされ、
+ ますますダビデを恐れるようになりました。それで、以前にも増して激しくダビデを憎むようになっていったのです。
+ ペリシテ軍の攻撃を受けるたびに、ダビデはなみいるサウル王の将校たちをしり目に、はなばなしい戦果を上げました。そのため、ダビデの名声は国中に広がっていきました。
+
+
+ ついにサウル王は、側近や息子のヨナタンにまで、ダビデ殺害をそそのかすようになりました。しかしヨナタンは、ダビデと深い友情で結ばれていたので、
+ 父のたくらみをダビデに知らせました。「明日の朝、野に隠れ場所を見つけて潜んでいてほしい。
+ 父をそこまで連れ出すから。そこであなたのことについて話をする。何かわかったらすぐに知らせる。」
+ 翌朝、ヨナタンは父と話し合い、ダビデの正しさを力説して、敵視しないでほしいと頼みました。「ダビデは一つも害をもたらしたりしていません。それどころか、いつも精一杯、助けてくれました。
+ 彼が命がけでゴリヤテを倒した時のことを、お忘れになったのですか。その結果、主がイスラエルに大勝利をもたらしてくださったのではありませんか。あの時、父上はほんとうにお喜びになりました。それなのに、なぜ今になって罪もない者を殺害しようとなさるのです。そんなことをする理由など少しも見当たりません。」
+ サウル王はうなずき、「主が生きておられる限り、彼を殺すことはない」と誓いました。
+ あとでヨナタンはダビデを呼び、いきさつを話しました。そしてダビデを王のところへ連れて行き、すべてが元どおりに収まりました。
+ まもなくして戦いが始まりましたが、ダビデは兵を率いてペリシテ人と戦い、多数の敵兵を討ち取りました。ペリシテ軍は軍旗を巻いて遁走したのです。
+ ところが、ある日、サウル王は家で腰を下ろして、ダビデの奏でる竪琴に耳を傾けていました。とその時、急に、神からの災いの霊が王を襲い、あっという間もなく、王は手にしていた槍をダビデに投げつけ、刺し殺そうとしたのです。ダビデはとっさに身をかわして助かりましたが、夜になるのを待って逃げ出しました。槍は壁の横木に突き刺さったままでした。
+ その晩、王は兵をやってダビデの家を見張らせました。朝になって出て来るところをねらって、彼を殺そうとしたのです。ミカルは夫ダビデに危険を知らせました。「逃げるなら、今夜のうちですわ。朝になったら殺されてしまいます。」
+ ミカルはダビデを助けたい一心で、彼を窓からつり降ろして逃がしました。
+ そして、代わりに偶像を寝床に入れ、すっぽりと毛布をかけました。頭はやぎの毛で編んだものを枕にのせました。
+ そこへ、ダビデを捕らえて王のもとへ連行しようと、兵士たちが踏み込んで来ました。ミカルは、ダビデは病気でベッドから動かせないと告げたのですが、
+ 王は、ベッドごとでも連れて来るように命じました。そのまま殺してしまうつもりだったのです。
+ しかし、運び出そうとした時、偶像であることがわかってしまいました。
+ サウルはミカルにただしました。「なぜ、私をだまして彼を逃がしたのか。」「しかたがありません。そうしなければ殺すと、あの人に脅されたのです。」
+ ダビデはラマまで逃げ延び、サムエルに会って、サウル王の仕打ちを洗いざらい訴えました。サムエルはダビデを連れてナヨテに行き、そこでいっしょに住むことにしました。
+ ところが、ダビデがラマのナヨテにいるという報告を受けると、
+ 王はダビデを捕らえようと兵を差し向けました。しかし、一行がナヨテに来て、預言をしていたサムエルはじめ預言者の一団を見た時、なんと神の霊がサウルの兵士たちにも下り、預言を始めたのです。
+ この知らせに、王はほかの兵を遣わしましたが、彼らもまた預言に加わったのです。同じことが三度も起こりました。
+ そこで、今度は王自身がラマへ出向き、セクにある大きな井戸まで来ると、「サムエルとダビデはどこにいるか」と尋ねました。尋ねられた人は、「ナヨテにいらっしゃるそうですよ」と答えました。
+ ところが、ナヨテへ向かう途中のこと、神の霊が下り、王も預言を始めました。
+ 王は着物を脱ぎ、一昼夜、裸のまま地面に横たわって、サムエルの預言者たちとともに預言していました。家臣たちは、ただもう目をみはるばかりでした。思わず、「サウル王も預言者の一人なのか」と口走る者もいました。
+
+
+ 今や、ラマのナヨテも危険でした。ダビデはそこから逃げ、ヨナタンに会いに行きました。ダビデは言いました。「私が何をしたというのでしょう。なぜ、お父上は私のいのちをずっとつけねらわれるのでしょうか。」
+ 「そんなはずはない。父がそんなことをたくらんでいるとは信じられない。父はどんなささいなことでも、思っていることを私に話してくれる人だ。そんな重大なことを隠し立てするわけがない。」
+ 「そうは言われますが、あなたが知らないだけです。お父上は、私たちが親友だということも、よく知っておられます。だから、『ダビデを殺すことは、ヨナタンには黙っておこう。悲しませるといけないから』と思っておられるに違いありません。主とあなたのいのちにかけて誓いますが、ほんとうに、私は死と背中合わせなのです。」
+ するとヨナタンは言いました。「何かしてあげられることがあるなら、遠慮なく言ってほしい。」
+ 「明日から新月の祝いが始まります。これまではいつも、私はこの祝いの席にお父上と同席してきました。しかし、明日は野に隠れ、三日目の夕方まで潜んでいるつもりです。
+ もしお父上が私のことをお尋ねになったら、こう言ってください。『ベツレヘムの実家に行きたいと願い出たので帰しました。年に一度、一族全員が集まるのだそうです。』
+ もしお父上が、『そうか』とうなずかれるなら、私は取り越し苦労をしていたことになります。しかし、もしご立腹なさるなら、私を殺すおつもりなのです。
+ 義兄弟の契りを結んだ者として、どうかこのことを引き受けてください。もし私がお父上に罪を犯したのであれば、あなたの手で私を殺してもかまいません。しかし、私を裏切ってお父上の手に引き渡すようなまねだけはしないでください。」
+ 「そんなことをするわけがない。父が君をねらっているとわかったら、黙ってなんかいないから。」
+ 「では、お父上が腹を立てておられるかどうか、どんな方法で知らせてくれますか。」
+ 「さあ、いっしょに野に出よう。」二人は連れ立って出かけました。
+ ヨナタンはダビデに言いました。「イスラエルの神にかけて約束する。明日の今ごろ、遅くともあさっての今ごろには、父に君のことを話してみよう。そうして、父の気持ちをすぐに知らせるよ。
+ もし腹を立てて君のいのちをねらっているとわかったら、必ず知らせる。もし知らせずに君の逃亡を妨げるようなことがあれば、私は主に殺されてもいい。かつて主が父とともにおられたように、君とともにおられるように祈るよ。
+ お願いだ。私が生きている限り、主の愛と恵みを示すと約束してくれ。
+ いや、主が君の敵を一掃されたあとも変わりなく、私の子どもたちにまで、主の愛と恵みを示してくれ。」
+ こうして、ヨナタンはダビデの家と契約を結び、「主がダビデの敵に報復してくださるように」と言いました。
+ ダビデを深く愛していたヨナタンは、もう一度誓って、
+ 言いました。「明日は新月祭だ。みなは君の席があいているのを気にかけるだろう。
+ あさってになれば、騒ぎだすに違いない。だからこうしよう。前に隠れたことのあるあの石塚のそばにいてくれ。
+ 私はその石塚を的にして、正面から三本の矢を放つことにする。
+ それから、少年に矢を拾いにやらせる。その時もし、『それ、矢はこちら側にあるぞ』と私が言うのが聞こえたら、すべてが順調で何も心配ない、ということだと思ってほしい。
+ しかし、『もっと先だ。矢はおまえの向こうにある』と言ったら、すぐに逃げろという意味だ。
+ どうか主が、私たち二人に約束を守らせてくださるように。主がこの約束の証人だ。」
+ ダビデは野に身を潜めました。新月の祝いが始まると、王は食事のために、いつもどおり壁を背にして席に着きました。ヨナタンはその向かい側、アブネルは王の隣に着席しましたが、ダビデの席はあいたままです。
+ その日、王は何も言いませんでした。「彼は何か思わぬことで身が汚れ、儀式に出るのを遠慮したのだろう」と思ったからです。
+ しかし、翌日もダビデの席はあいていました。そこでヨナタンに尋ねました。「なぜダビデは昨日も今日も会食に来ないのだ。」
+ 「家族に祝い事があるからベツレヘムに行かせてほしいと願い出たのです。兄弟からも、ぜひにという要請があり、私が許可して行かせました。」
+ 王はヨナタンに怒りを燃やして言いました。「このろくでなしめ! どこの馬の骨かもわからんやつの息子に、王座をくれてやるつもりか。自分ばかりか自分の母親まで辱めおって! このわしの目をごまかせるとでも思っているのか。
+ あいつが生きている限り、おまえは王になれないのだぞ。さあ、ダビデを連れ戻して来い。絶対に殺してやる。」
+ ヨナタンは言い返しました。「ダビデが何をしたというのです。どうして殺さなければならないのですか。」
+ すると、サウルはヨナタンめがけて槍を投げつけ、殺そうとしました。これでついにヨナタンも、父がほんとうにダビデを殺そうとしていることを悟りました。
+ ヨナタンは怒りに震えて食卓から立ち去り、その日は何も食べませんでした。ダビデに対する父のあまりに恥ずべき行為に、ひどく傷ついたからです。
+ 翌朝、ヨナタンは打ち合わせどおり、少年を連れて野へ出かけました。
+ 「さあ、走って行って、私の射る矢を見つけて来なさい」と言うと、少年は駆けだし、ヨナタンはその向こうに矢を放ちました。
+ 少年が矢の届いた地点に近づくと、ヨナタンは大声で叫びました。「矢はもっと向こうにある。
+ 急げ、早くしなさい。ぐずぐずするな。」少年は急いで矢を拾うと、主人のもとへ駆け戻りました。
+ もちろん、少年には、ヨナタンのことばの真意などわかるはずもありません。ヨナタンとダビデだけがその意味を知っていたのです。
+ ヨナタンは弓矢を少年に渡し、それを持って町へ帰るように言いました。
+ 少年が行ってしまうと、ダビデは隠れていた野の南側から姿を現しました。二人は手を取り合って悲しみ、涙が二人の頬をぬらしました。ダビデは涙もかれ果てるほど声を上げて泣き続けました。
+ ヨナタンが口を開きました。「元気を出してくれ。私たちは、子どもたちの代まで、永遠に主の御手にゆだね合った仲ではないか。」こうして二人は別れました。ダビデは去って行き、ヨナタンは町へ帰りました。
+
+
+ ダビデは祭司アヒメレクに会うため、ノブの町へ行きました。アヒメレクはダビデを見ると、ただならぬものを感じて尋ねました。「どうして、お一人で? お供はだれもいないのですか。」
+ 「王の密使として来たのです。私がここにいることはだれにも秘密です。供の者とは、あとで落ち合う手はずになっています。
+ ところで、何か食べる物はないでしょうか。パン五つでも、何かほかの物でもいいのですが。」
+ 「それが、あいにく普通のパンを切らしておりまして、あるのは供えのパンだけです。もしお供の若者たちが女を遠ざけているのであれば、それを差し上げてもかまわないのですが。」
+ 「ご心配なく。遠征中は女を遠ざけていますから。普通の旅でも身を慎むことになっているのです。まして、今回のような場合はなおさらです。」
+ そこで祭司は、ほかに食べ物がなかったので、供えのパンをダビデに分け与えました。幕屋の中に供えてあったものです。ちょうどその日、できたての新しいパンと置き替えたばかりでした。
+ たまたまその時、サウル王の家畜の管理をしているエドム人ドエグが、きよめの儀式のためにそこにいました。
+ ダビデはアヒメレクに、「ここに剣か槍はありませんか。実は、あまりにも急を要するご命令だったものですから、取るものも取りあえず、大急ぎで出かけて来たのです。武器も持って来られませんでしたので」と尋ねました。
+ 「それはお困りでしょう。実は、あなたがエラの谷で打ち殺した、あのペリシテ人ゴリヤテの剣があるのです。布に包んでしまってあります。武器といえばそれしかありませんが、よろしかったらお持ちください。」「それはありがたい。ぜひ頂きましょう。」
+ ダビデは急いでいました。サウル王の追跡の手が伸びているかもしれません。早くガテの王アキシュのもとにたどり着きたかったのです。
+ ところが、アキシュの家来たちは、ダビデの出現を喜ばないふうで、「あの人はイスラエルの最高指導者ではないか」とうわさしていました。「確かにそうだ。だれもが踊りながら、『サウルが殺したのは千人で、ダビデが殺したのは一万人』と歌って、ほめそやした人に違いない。」
+ ダビデはその話を聞いて、アキシュ王が自分をどう扱うかわからないと心配になりました。
+ それで、気が狂ったように装うことにしました。城門の扉を傷つけてみたり、ひげによだれを垂らしたりしたので、
+ アキシュ王はたまりかね、家臣たちに言いました。「よくも、こんな気がおかしくなった者を連れて来たものだな。こんな男なら、この辺りにもたくさんいる。何を好きこのんで、歓待しなければならないのだ。」
+
+
+ ダビデはガテを去り、アドラムのほら穴へ逃げ延びました。そうこうするうち、そこに兄弟や身内の者が、しだいに集まって来たのです。
+ そのほか、問題や借金をかかえた者、不満を持つ者などが集まって来たので、たちまちダビデの周囲には、四百人ほどの集団ができました。
+ ダビデはこのあとモアブのミツパへ行き、モアブ王に、事態がはっきりするまで両親を保護してもらえないかと頼みました。
+ それでダビデの両親は、ダビデがほら穴に立てこもっている間、ずっとモアブ王のもとにいました。
+ ある日のこと、預言者ガドがダビデに、ほら穴を出てユダの地に帰るようにと言ったので、ダビデはハレテの森へ移りました。
+ ダビデがユダに戻ったという知らせは、やがてサウル王の耳に届きました。ちょうどその時、サウルはギブアの柳の木の下で、槍を手にして座っていたところでした。彼の回りには家臣たちが並んでいました。
+ その知らせを聞いた時、王は声を上ずらせて言いました。「ベニヤミンの者たちよ、よく聞け! ダビデはおまえたちに畑やぶどう畑をくれたか。軍の指揮官に取り立ててやるとでも約束したか。
+ それなのにどうして、おまえたちは私を欺いたのだ。だれ一人、私の息子ヨナタンがダビデに通じていることを話してくれなかったではないか。私のために悲しんでくれる者もいない。考えてもみろ。息子が、ダビデが私を殺しに来るのを助けているのだ。」
+ その時、家臣の中に同席していたエドム人ドエグが口を開きました。「私がノブにおりました時、ダビデが祭司アヒメレクと話しているのを見かけました。アヒメレクは、ダビデのために主にお伺いを立て、そのうえ、パンとペリシテ人ゴリヤテの剣を与えたのでございます。」
+ 王は、直ちにアヒメレクとその全家族、それにノブにいる祭司全員を呼び寄せました。一同がそろうと、激しい口調でアヒメレクを責めました。「よく聞け、アヒトブの息子!」「何でございましょう。」アヒメレクはびくびくしながら答えました。
+ 「おまえはダビデと組んで、この私に盾つく気か。どうしてダビデにパンと剣を与えたり、神に伺いを立ててやったりしたのだ。あいつをたきつけて謀反を起こさせ、私を攻めさせるつもりだったのだな。」
+ 「とんでもないことです。あなたのご家来方の中でも、婿殿ダビデ様ほど忠義なお方はほかにおられません。ダビデ様はあなたの護衛隊長であり、王室で最も尊敬を集めているお方ではございませんか。
+ 私があの方のために神に伺いを立てましたのも、今に始まったことではありません。このことで、私や一族の者が責めを受けるのは合点がまいりません。あなたに対する陰謀などとは全く寝耳に水です。」
+ 「アヒメレクめ、一族もろとも、いのちはないものと思え!」
+ そう言うと、王は護衛兵に命じました。「祭司どもを死罪にせよ! 彼らはダビデと共謀したのだ。ダビデが私のもとから逃げ出したのを知りながら、知らせて来ようともしなかったのだ。」しかし護衛兵は、祭司を手にかけるのが怖くて、命令を聞きません。
+ それで王はドエグに、「おまえがやれ」と命じました。ドエグは彼らに飛びかかり、全部で八十五人の祭司を血祭りに上げました。全員、祭司の服を着たままでした。
+ 次にドエグは、祭司の町ノブへ行き、殺された祭司の家族を、男も女も、子どもも赤ん坊も、牛もろばも羊までも、残らず殺してしまいました。
+ ところが、アヒメレクの息子エブヤタルだけは難を免れて、ダビデのもとに逃げ延びたのです。
+ エブヤタルは、王のしたことをダビデに告げました。
+ ダビデは悲痛な声で言いました。「そうでしたか。あそこでドエグを見かけた時、彼は王に告げ口するだろうとにらんでいたのです。それにしても、私がご一族の死を招いたようなものです。
+ どうか、ここでいっしょに暮らしてください。いのちに代えてもお守りします。あなたに降りかかる危害は、わが身に降りかかったも同然ですから。」
+
+
+ ある日、ペリシテ人がケイラの打穀場を襲ったという知らせが、ダビデのもとに届きました。
+ ダビデは、「ペリシテ人を攻めに行くべきでしょうか」と主に伺いを立てました。すると、「行って、ケイラを救え」との主の答えでした。
+ ところが部下たちは、「ユダにいても怖いくらいなのに、とてもケイラまで行ってペリシテ軍と戦う勇気などありません」と反対します。
+ もう一度、主に伺いを立てたところ、再び答えがありました。「ケイラに行け。わたしがあなたを助けてペリシテ人を征服させよう。」
+ そこでダビデとその兵はケイラに急行し、ペリシテ人を打って家畜を没収しました。こうしてケイラの住民は救い出されたのです。
+ 祭司エブヤタルもダビデとともにケイラへ行き、主からお告げを受けるために、エポデを携えて行きました。
+ まもなく、ケイラにダビデが現れたことはサウル王の耳にも入りました。「チャンスだ! 今度こそ、必ずひっ捕らえてやるぞ。神が私の手に、あいつを渡してくださったのだ。自分から城壁に囲まれた町の中に飛び込んでくれたというわけだ。」
+ 王は全軍を率いてケイラに進軍し、ダビデとその兵を包囲しようとしました。
+ 王の魂胆を見抜いていたダビデは、祭司エブヤタルにエポデを持って来させ、どうしたらよいかを主に伺わせました。
+ ダビデは尋ねました。「イスラエルの神、主よ。サウル王が襲って来て、ケイラを滅ぼそうとしているようです。私がここにいるからです。
+ ケイラの人々は私を引き渡すでしょうか。また、王が攻めて来るという知らせはほんとうでしょうか。主よ、どうかお教えください。」主は言いました。「彼は攻めて来る。」
+ 「では、ケイラの人々は、サウル王のために私を裏切るでしょうか。」主は言いました。「そのとおり、彼らは裏切る。」
+ そこで、ダビデとその兵約六百人はケイラを出て、地方のあちこちをさまよいました。ダビデが去ったという報が届くと、王はケイラ攻略を断念しました。
+ 今やダビデは、ジフの山地の荒野にあるほら穴に住む身となったのです。ある日、ダビデはホレシュの近くで、サウル王が自分を捜し出して殺そうとジフに向かっているという報告を受けました。王は来る日も来る日もダビデを捜し回っていましたが、神は見つからないようにダビデを守りました。
+ 王子ヨナタンもダビデを捜していましたが、やっとホレシュで再会し、神は真実なお方だからと、ダビデを力づけました。
+ 「心配することはない。父には君を見つけ出せるわけがないから。君こそイスラエルの王になる人だ。私は君の次に立つ者になるだろう。父にも、そのことはよくわかっているはずだ。」
+ 二人は友情を新たに確かめ合い、ダビデはホレシュにとどまり、ヨナタンは帰途につきました。
+ ところがジフの人々は、ギブアにいる王のもとへ出向き、こう報告しました。「私どもは、ダビデがどこに隠れているか知っております。荒野の南部、ハキラの丘にあるホレシュのほら穴です。
+ 王様、さあ、お越しください。長年の念願がかないますよう、私どもの手でダビデを捕らえ、差し出してごらんにいれましょう。」
+ 「うむ、それはでかした。私を心にかけてくれる者が、ついに現れた。
+ 念には念を入れて、あいつが潜んでいる場所と、だれがそれを見たかを確認してくれ。何しろ、あいつは悪賢いから。
+ 隠れ家を確かめしだい、戻って来てくわしく報告してくれ。すぐに、私も行こう。とにかく、この地域にいるとわかれば、草の根を分けても捜し出すぞ。」
+ 人々はサウルに先立ちジフに帰って行きました。一方ダビデは、サウル王がジフに向かっていると聞くと、部下を引き連れてさらに南下し、マオンの荒野に難を避けました。しかし王は、そこまでも追って来たのです。
+ 王とダビデは、同じ山の一方の側とその反対側を進むほどに近づき、サウルとその兵が迫ると、ダビデはうまくそれを避けました。しかし、まもなくその必要もなくなりました。
+ ちょうどそのころ、ペリシテ人がまたもイスラエルに攻め入ったという知らせが届き、
+ サウルはダビデを追うのを断念して、ペリシテ人と戦うために引き返すことになったからです。この出来事以来、ダビデが陣を敷いていた場所は「逃れの岩」と呼ばれるようになりました。
+ ダビデはそこから上って行って、エン‧ゲディのほら穴に住みました。
+
+
+ ペリシテ人との戦いから戻ったサウル王は、ダビデがエン‧ゲディの荒野に向かったと知らされました。
+ そこで三千の兵をよりすぐり、野生のやぎのたむろするエエリムの岩のあたりで、ダビデを捜し回りました。
+ 羊の群れの囲いに沿った道まで来た時、王は用を足すため、とあるほら穴へ入って行きました。ところが、なんとそのほら穴こそ、ダビデとその部下の隠れ家だったのです。
+ ダビデの部下の一人が、「絶好の時です。主が、『わたしはサウルをあなたの手に渡す。思いどおりにせよ』とおっしゃっているではありませんか。今がその時です」とささやきました。そこでダビデは、はうように近づき、王の上着のすそをそっと切り取りました。
+ しかし、そのことで彼の良心は痛みだしたのです。
+ 「ああ、なんということをしてしまったのだ。神様が王としてお選びになった人にそのようなことをするなど、大それたことではなかったか。」
+ このダビデのことばには、みなにサウル殺害を思いとどまらせるのに十分な説得力がありました。王がほら穴から出て行くと、ダビデも背後からついて行き、「王よ!」と大声で呼びかけました。王が振り向くと、目の前でダビデが地にひれ伏しているではありませんか。
+ 「あなたはなぜ、私が謀反を企てているなどという、人々のことばに耳をお貸しになるのですか。たった今、それが根も葉もないことだとおわかりになったはずです。先ほどのほら穴の中で、主は、あなたが私に背を見せるようにしてくださったのです。配下の者は、あなたのおいのちをちょうだいするようにと勧めました。しかし、私はそうしませんでした。『王に危害を加えてはならない。この方は、神様がお選びになった王なのだから』と。
+ さあ、これをよくごらんください。あなたの上着のすそです。私はこれを切り取りはしましたが、おいのちには手をかけませんでした。これでもまだ、私があなたをねらっているとお思いでしょうか。たとえあなたが私のいのちをつけねらわれても、私は謀反の罪など犯してはいないことを、どうかわかっていただきたいのです。
+ 私たちの間のことは、主がおさばきくださるでしょう。もしあなたが私を殺そうとなさるなら、主の御手があなたに下ります。私は決して、あなたに手を下したりしません。
+ 『悪は悪人のすること』ということわざがあります。たとえあなたが悪いとしても、私は手を下すようなまねはしません。
+ いったいイスラエルの王は、だれを捕まえるおつもりなのですか。なぜ、息絶えた犬や一匹の蚤にすぎない者を追いかけ回して、時間をむだになさるのですか。
+ どうか主が、どちらが正しいかをさばき、罪を犯した者を罰してくださいますように。主が私を弁護してくださり、あなたの手から救い出してくださいますように。」
+ 「ああダビデよ。ほんとうにおまえはダビデなのか。」王は声を上げて泣きました。
+ 「おまえのほうが正しい。私の悪行に善をもって報いてくれた。
+ 今日、おまえはなんと深い情けをかけてくれたことか。主が私をおまえの手に渡されたのに、助けてくれたのだ。
+ 敵を手中に収めながら逃がしてくれる者が、この世にいるだろうか。今日のこの情けに、主が十分報いてくださるように。
+ これで、よくわかった。おまえは必ず王になる人物だ。イスラエルはおまえが治めるべきなのだ。
+ さあ、主にかけて誓ってくれ。おまえが王になっても、私の家族を殺さず、家系も絶やさないと。」
+ ダビデはそれを約束しました。サウルは自分の家に帰って行き、ダビデは部下を従えてほら穴に戻りました。
+
+
+ その後まもなく、サムエルが世を去りました。全イスラエルが葬儀に集まり、ラマにある一族の地所の一角に葬りました。一方、ダビデはパランの荒野に下って行きました。
+ ところで、カルメル村の近くにマオン出身の裕福な人がいて、大きな牧場を持っていました。羊三千頭、やぎ千頭がいましたが、ちょうどそのころ、羊の毛の刈り取りが行われていました。
+ 牧場主の名はナバルといい、妻はアビガイルという名の美しく賢い、評判のよい婦人でした。ところが夫のほうは、カレブの子孫ながら、けちで頑固で、行状もよくない人でした。
+ さて、ナバルが羊の毛の刈り取りの最中だと聞いたダビデは、
+ 十人の若者をカルメルに送り、こう言わせました。
+ 「祝福があなたとご一家に注がれ、ますます富が増し加えられますように。
+ あなたが羊とやぎの毛を刈っておられると伺いました。以前お宅の羊飼いたちといっしょにいたことがありますが、私たちは害を加えたりしたことはありません。また、カルメル滞在中も、盗みを働いた覚えはありません。
+ お宅の若い使用人たちにお聞きください。それがほんとうかうそか、わかるでしょう。それで私は今、わずかばかりあなたのご親切にあずかりたく、部下を遣わしました。ちょうどおめでたい日でもあり、お手もとにある物を少しだけ恵んではいただけないでしょうか。」
+ 若者たちはダビデのことばを伝え、ナバルの返事を待ちました。
+ ところが、ナバルからはこんな答えが返ってきました。「ダビデ? それはだれなのか。エッサイの子だか何だか知らないが、いったい何者だ。このごろは、主人のもとから逃げ出す奴隷が大ぜいいる。
+ そんな、どこのだれかもわからないやつに、私のパンや水や、それに刈り取りの祝いのためにほふった肉を、どうしてくれてやらなければならないのだ。」
+ 使いの者は帰って、ナバルが言ったとおりを報告しました。
+ するとダビデは、「みんな剣を取れ!」と命じ、自分も剣を身につけ始めました。四百人がダビデとともに出立し、あとの二百人は持ち物を守るために残りました。
+ その間一方で、ナバルの使用人の一人が、アビガイルに一部始終を知らせました。「ダビデ様がだんな様に、荒野から使者を立て、あいさつして来られましたのに、だんな様は、さんざんその方々を侮辱したり、なじったりなさったのです。
+ ダビデ様に仕える人たちは、とても私たちによくしてくれ、こちらが迷惑したことなど一度もありませんでした。実際、あの方々が昼も夜も防壁のようになって、私たちと羊を守ってくださったのです。おかげで、いっしょにいた間中、何も盗まれずにすみました。
+ さあ早く、ここは、しっかりとお考えください。このままでは、だんな様ばかりか、この一家に災いが及ぶことははっきりしております。だんな様はあのとおり頑固な方ですから、だれもおいさめできないのです。」
+ アビガイルは大急ぎで、パン二百個、ぶどう酒の皮袋二つ、調理した羊五頭分、炒り麦三十八リットル、干しぶどうの菓子百個、干しいちじくの菓子二百個を取りそろえてろばに積み込みました。
+ そして、自分の若者たちに命じました。「さあ先にお行き。私はあとからついて行くから。」しかし、夫には何も告げませんでした。
+ こうして、ろばで山道を下って行ったところ、こちらに向かって来るダビデにちょうど出くわしたのです。
+ ダビデは道々、こう思っていたところでした。「ナバルのために、どれほど尽くしたことか。荒野で、われわれが羊の群れを守ってやったおかげで、一頭も失わず、盗まれもしなかったではないか。なのに、彼は恩を仇で返してきた。あれほど苦労して、得たものが侮辱だけだったとは。
+ 明日の朝までに、あの家の者どもは皆殺しだ。もし一人でも生き残りがいたら、主にこの身をのろわれてもかまわない。」
+ アビガイルはダビデを見るやいなや、さっとろばから降り、その前に出て深々と頭を下げました。
+ 「ご主人様。このたびのことにつきましては、私がすべて非難をお受けする覚悟でございます。どうぞ、私の申し上げることをお聞きくださいませ。
+ 夫ナバルは融通のきかない無骨者でございます。どうぞ、あの人の申したことを、お気になさらないでください。ナバルという名のとおり、愚かな人なのです。私は、お使いの方とはお会いしておりません。
+ ご主人様。あなた様が血を流しに行くのをとどめ、復讐を思いとどまらせてくださった主は生きておられます。あなた様に刃向かう者はすべて、ナバルと同じようにのろわれますように。
+ 実は、皆様方のために贈り物を用意してまいりました。
+ 厚かましくもこうしてまかり出ましたことを、どうぞお許しください。主は必ず、あなた様の子々孫々にまで及ぶ永遠の王国を建てて、お報いなさることでしょう。あなた様は、主のために戦っておられるのですから、一生、決して道を踏みはずしたりなさいません。
+ たとえいのちをつけねらわれても、主の懐にかくまわれているように、いつも安全に守られています。反対に、敵のいのちは、石投げの石のように飛んで消えてしまうでしょう。
+ 主がすばらしい約束をことごとく成し遂げて、あなた様がイスラエルの王に任ぜられた時、ご自分の判断で人を殺したりした過去があってはなりません。主がこれらのみわざを成し遂げられたあかつきには、どうか、この私のことを思い出してください。」
+ 「今日、あなたを私に会わせるためによこしてくださった、イスラエルの神、主に感謝しよう。
+ 全くりっぱな良識を備えた人だ。私を人殺しの罪から守り、自分の手で復讐しようとしていたのを思いとどまらせてくれてありがとう。
+ あなたに害を加えるのをとどめてくださったイスラエルの神、主にかけて誓うが、もしあなたが来てくれなかったら、ナバル家の者は一人残らず、明日の朝までに息の根を止められていたことだろう。」
+ ダビデはアビガイルの贈り物を受け取り、夫を殺したりしないから、安心して家へ帰るように言いました。
+ アビガイルが帰宅すると、ナバルは酒宴の真っ最中でした。彼がひどく酔っていたので、翌朝までアビガイルは、ダビデに会ったことについてはひと言も話しませんでした。
+ 朝になって、酔いがさめたナバルに昨日のことを話すと、彼は気を失って十日間というもの寝込み、ついに息絶えました。主が彼のいのちを取り去ったのです。
+ ナバルの死を知らされたダビデは、「主がほめたたえられるように。私には手を下させず、ご自分で報復してくださった。ナバルは当然の罰を受けたのだ」と言いました。ダビデはすぐ、アビガイルに使者を遣わし、自分の妻にしたいと申し入れました。
+ 使者がカルメルに着いて、その旨を伝えると、
+ 彼女はためらうことなくそれに応えました。
+ さっそくしたくを整えると、五人の侍女を従えてろばに乗り、使者について行きました。こうして彼女は、ダビデの妻となったのです。
+ ダビデは、イズレエル出身のアヒノアムをも妻にしていました。
+ 一方サウルは、ダビデの妻であった娘ミカルを、ライシュの息子で、パルティというガリム出身の男とむりやり結婚させていました。
+
+
+ ところで、ジフの人々はギブアにいたサウル王に、ダビデがジフの荒野に舞い戻り、ハキラの丘に隠れていることを知らせました。
+ 王は三千の精兵を率いて、ダビデ討伐に向かいました。
+ そして、ダビデが潜んでいる荒野のはずれにある道のかたわらに陣を張ったのです。サウル到来を知ったダビデは、偵察を送って、王の動静を探らせました。
+ ある夜、ダビデは王の陣営にもぐり込み、様子を見て回りました。サウルとアブネル将軍は、ぐっすり眠りこけている兵士たちに囲まれて寝入っていました。ダビデは、ヘテ人アヒメレクと、ツェルヤの息子で、ヨアブとは兄弟のアビシャイとに、「だれか私といっしょに行くのを志願する者はいないか」と尋ねました。アビシャイが、「お供いたします」と進み出ました。そこでダビデとアビシャイは、サウルの陣営に行き、眠っている王を見つけました。枕もとには槍が突き刺してあります。
+ アビシャイはダビデの耳もとでささやきました。「今日こそ、神様は間違いなく敵を討ち取らせてくださいます。どうか、あの槍で王を刺し殺させてください。ひと突きでしとめてごらんにいれます。」
+ ダビデはそれを制しました。「殺してはならない。主がお選びになった王に手を下して、罪を犯してはいけない。
+ 主が、いつの日か必ず王をお打ちになるだろう。年老いて死ぬか、戦場で倒れるかして。
+ しかし、主が王としてお選びになった人を、この手で殺すわけにはいかない。今はあの槍と水差しを取って行くだけにしよう。」
+ こうしてダビデは槍と水差しを取り、彼らの陣営を出て行きました。二人を見た者も目を覚ました者もいませんでした。主が彼らをぐっすり眠らせていたからです。
+ 二人は安全な距離を隔てた、敵の陣営を見下ろせる山に登りました。
+ ダビデは、アブネルやサウル王に大声で呼びかけました。「アブネル、目を覚ませ!」「おまえは、だ、だれだ?」
+ 「アブネル、大した男だよ、おまえは。イスラエル中探したって、おまえほどおめでたいやつはいない。主君と仰ぐ王の警護はどうしたのだ。神に選ばれた王を殺そうと、忍び込んだ者がいるというのに、
+ 全くけしからんじゃないか。主にかけて言うが、おまえみたいな愚か者は死罪に当たるぞ。王様の枕もとにあった槍と水差しはどうした。よく見てみるがいい!」
+ サウルは、それがダビデの声だとわかると、「ああ、ダビデ。その声は、おまえか」と尋ねました。「はい、私です。なぜあなたは私を追い回すのですか。私が何をしましたか。どんな罪があるとおっしゃるのでしょう。
+ もし主が、あなたを私に敵対させようと図っておられるのなら、主にあなたの和解のいけにえを受け入れていただきましょう。しかし、これが人間の計略にすぎないのであれば、その人は主にのろわれるでしょう。あなたは私を追い払って、主の民とともにいられないようにし、異教の神々を押しつけようとなさったからです。
+ どうして、主の前から遠く離され、異国の地に骨を埋めなければならないのでしょうか。イスラエルの王ともあろうお方が、たかがうずらのような私をねらって、山の中まで追い回られるとは。」
+ 「私がばかだった。ああダビデ、帰って来なさい。もう、おまえを殺そうとはしないから。おまえは今日も、私を助けてくれたのだ。あさはかだった。ほんとうに、とんでもない間違いをしてしまった。」
+ 「王の槍はここにあります。若者の一人を、取りに来させてください。
+ 主は、良いことを行う者に、また真実を貫く者に、正しく報いてくださいます。主はあなたのおいのちを、私の手の届くところに置いてくださいましたが、私は手出しいたしませんでした。
+ 今日、私があなたのおいのちをお救いしたように、主は私をお救いくださるでしょう。すべての苦しみから助け出してくださるはずです。」
+ 「わが子ダビデよ、おまえに祝福があるように。おまえは必ず英雄の名にふさわしい働きをして、偉大な勝利者となるだろう。」こうしてダビデは去って行き、サウルは家路につきました。
+
+
+ しかし、ダビデは心中、こう考えていました。「いつか、王は私を捕らえようとやって来るに違いない。そうだ、ペリシテ人の中にまぎれ込んで試してみよう。そして王が追跡をあきらめてくれれば、何も心配はなくなる。」
+ ダビデは六百人の部下とその家族を引き連れ、ガテの王アキシュを頼って、ガテに移り住みました。ダビデの二人の妻、イズレエル人アヒノアムと、ナバルの未亡人であったカルメル人アビガイルもいっしょでした。
+ ダビデがガテに逃げたという知らせを聞くと、サウルはダビデの追跡をやめました。
+ ある日のこと、ダビデはアキシュ王に願い出ました。「もしお許しいただけるなら、このような都にではなく、もっと田舎の町に住まわせていただきたいのですが。」
+ そこでアキシュは、ツィケラグをダビデに与えました。それでこの町は、今もユダの王のものとなっています。
+ ダビデがペリシテ人の中で暮らしたのは、一年四か月でした。
+ その間、ダビデとその部下はゲシュル人、ゲゼル人、アマレク人を襲いました。その人々は昔から、エジプトに通じる道沿いの、シュルの近くに住んでいたのです。
+ ダビデが襲った村々には、生存者は一人もいませんでした。彼らは、羊、牛、ろば、らくだ、それに着物などを奪って引き揚げました。
+ アキシュが、「今日は、どこを襲ったのか」と尋ねると、ダビデは、ユダの南部とか、エラフメエルの人々やケニ人を相手に戦ったなどと答えていました。
+ とにかく、生き残ってガテまで来る者は一人もなかったわけですから、実際にどこを襲ったのか、その真相は明らかになりようがなかったのです。ペリシテ人の中にまぎれ込んで暮らしている間、ダビデはこのようなことをくり返していました。
+ アキシュはダビデを信用し、今はもうイスラエル人はダビデをひどく憎んでいるに違いない、と思い込んでいました。そして、「ダビデはいつまでもここにいて、私に仕えてくれるだろう」と思ったのです。
+
+
+ そのころ、ペリシテ人はイスラエルと戦争を始めようとして、軍を召集しました。アキシュ王はダビデとその部下に、「いっしょに出陣してほしい」と頼みました。
+ ダビデは快く承知しました。「いいですとも。仰せのとおりにしましょう。」「やってくれるか。あなたには今後ずっと、私の護衛を受け持ってもらおう。」
+ 同じころ、イスラエルではサムエルが死んで、国中が喪に服していました。サムエルの遺体は故郷の町ラマに葬られました。また、サウル王はイスラエルから霊媒やまじない師を追放していました。
+ さて、ペリシテ人はシュネムに、サウルの率いるイスラエル軍はギルボアに、それぞれ陣を構えました。
+ サウルはペリシテ人の大軍を見て、恐ろしさのあまりひどく取り乱し、どうすべきか主に伺いを立てましたが、主は、夢によってもウリム〔神意を伺う一種のくじ〕によっても、また預言者によっても答えませんでした。
+ サウルはどうしても伺いを立てたかったので、やむなく、家臣に霊媒のできる女を捜し出してくるよう命じました。エン‧ドルに一人の霊媒師がいることがわかりました。サウルは王衣を脱ぎ、ふつうの身なりに着替えて、部下二人を連れ、夜、その女の家に出向きました。「死んだ人間と話したいのだが、その人の霊を呼び出してくれないか。」
+ 「私を殺すつもりかい。知ってるだろう、サウル王が霊媒やまじない師を、片っぱしから追放したことをさ。きっと、あなたたちは私を探りに来たんだね。」
+ そこでサウルは、裏切るようなことは絶対にしないと、厳粛な誓いを立てました。
+ とうとう女も承知しました。「わかったよ、いったいだれを呼び出せばいいんだい。」「サムエルを呼び出してくれ。」
+ 霊媒の女はサムエルの姿を見たとたん、大声で叫びました。「よくもだましてくれたね。あんたはサウル王じゃないか。」
+ 「恐れる必要はない。さあ、何が見えるんだ。」「神のような方が地から上って来ます。」
+ 「どんな様子だ。」「外套をまとった老人です。」サムエルです。サウルはその前にひれ伏しました。
+ サムエルは尋ねました。「どうして私を呼び出したりして、煩わすのか。」「私はもう、途方にくれているのです。ペリシテ人が攻めて来るのに、主は私をお見捨てになり、預言者によっても、夢によっても答えてくださいません。思いあぐねて、あなたをお呼びしたのです。」
+ 「主があなたから離れ、敵となってしまわれたのに、なぜ私に尋ねるのだ。
+ 主は、予告どおりのことをなさったまでだ。あなたから王位を取り去り、対抗するダビデにお与えになった。
+ こうなったのもみな、あなたがあの時、アマレクに激しい怒りを向けておられた主のご命令を踏みにじったからだ。
+ そればかりではない、明日、イスラエル軍は総くずれとなり、ペリシテ人の手で滅ぼされるだろう。あなたも息子たちも、私といっしょになるだろう。」
+ サウルは地面に棒のように倒れてしまいました。サムエルのことばを聞いて、恐怖のあまり卒倒したのです。それに丸一日、食べ物を何も口にしていなかったのです。
+ 霊媒の女はサウルが錯乱しているのを見て言いました。「王様。私は、いのちがけでご命令に従ったのです。
+ 今度はこちらの言うとおりにしてください。食べる物を差し上げますから、それで元気を取り戻してお帰りください。」
+ 王は首を横に振りました。しかし、供の者たちもいっしょになってしきりに勧めたので、ついに折れ、起き上がって床に座りました。
+ その家には、太った子牛がいました。女は急いで子牛を料理し、小麦粉をこねてパン種を入れないパンを焼きました。
+ 料理が運ばれると、一行は食事をし、夜のうちに立ち去りました。
+
+
+ さて、ペリシテ軍はアフェクに集結し、イスラエル軍はイズレエルにある泉のほとりに陣を張りました。
+ ペリシテ軍の隊長たちは大隊や中隊を率いて進軍し、ダビデとその配下の者たちはアキシュ王を守ってしんがりを務めました。
+ しかしペリシテ人の指揮官たちは、「このイスラエル人どもは、いったいどうしたのです」と王にただし始めたのです。するとアキシュ王は、「イスラエルの王サウルの家来ダビデだ。私のもとに落ち延びて、一、二年になるが、今日まで一つもやましい点はなかった」と弁護しました。
+ しかし、指揮官たちは腹を立てるばかりです。「追い返してください! 彼らがいっしょに戦うはずはありません。せいぜい裏切るのが落ちです。戦場で向こうに寝返れば、彼は主君と手打ちする絶好のチャンスなのですよ。
+ イスラエルの女が踊りながら、『サウルは千人を殺し、ダビデは一万人を殺した』と歌ったのは、この人のことですから。」
+ とうとうアキシュは、ダビデたちを呼んで、こう言い渡さなければなりませんでした。「主に誓って言うが、あなたたちは、私がこれまで会った中でも、ことにすぐれた面々である。ぜひ行動を共にしてもらいたかったが、あの指揮官どもが承知しないのだ。
+ 彼らを刺激してはまずい。ここは穏やかに引き返してくれないか。」
+ 「いったい私たちが何をしたのでしょう。引き返せとはあんまりです。どうして、あなたの敵と戦わせていただけないのでしょうか。」
+ しかし、アキシュ王は首を振りました。「私が知る限り、あなたは神の使いのように完璧だ。だが、あの指揮官どもは、いっしょに戦場に臨むのを恐れているのだ。
+ 明日の朝、早く起きて、夜明けとともに出立してくれ。」
+ そこで、ダビデは自分の部隊を率いてペリシテ人の地へ帰りました。一方、ペリシテ軍はイズレエルへと進軍しました。
+
+
+ 三日後、ダビデたちがツィケラグの町に帰り着いてみると、どうでしょう。アマレク人が町を襲って焼き払い、
+ 女や子どもをみな連れ去ったあとだったのです。
+ ダビデとその部下は町の焼け跡を見て、家族の身に起こったことを知り、
+ 声がかれ果てるまで大声で泣きました。
+ ダビデの二人の妻、アヒノアムとアビガイルも連れ去られていました。
+ ダビデは苦しみました。さらに悪いことに、子どもたちの身を案じて悲しむあまり、部下の中からダビデを殺そうとする動きさえ出始めたのです。しかし、ダビデは主から力づけられました。
+ ダビデは、祭司エブヤタルにエポデを持って来させると、
+ 主に伺いを立てて言いました。「あの者たちを追うべきでしょうか。追いつけるでしょうか。」主は答えました。「追いかけよ。奪われたもの全部を取り返すのだ。」
+ ダビデは「それっ!」とばかり、六百人を率いて、アマレク人を追撃しました。ベソル川まで来た時、二百人の者は疲れきって渡ることができず、四百人だけが前進しました。
+ 追撃の途中、野原で一人のエジプト人の若者に出くわしました。さっそくダビデの前に連れて来ると、三日三晩、何も口にしていないというのです。そこで、干しいちじくと、干しぶどう二房、それに水を少し与えると、すぐに元気になりました。
+ ダビデは、「何者だ。どこから来たのか」と尋ねました。「エジプト人で、アマレク人の召使でした。ところが病気になったものですから、三日前に、主人が置き去りにして行ったのです。
+ 私たちはネゲブのケレテ人を襲って帰る途中、ユダの南部とカレブの地をも襲い、ツィケラグを焼き払いました。」
+ 「アマレク人がどこへ行ったか、案内してくれるか。」「いのちを助けてくれますか。主人に渡したりしませんか。もし、神にかけて誓ってくださるなら、案内しましょう。」
+ こうしてその若者は、ダビデをアマレク人の野営地に案内しました。彼らはあたり一面に散らばって、食べたり飲んだり踊ったり、お祭り騒ぎの最中でした。ペリシテ人やユダの人々から、戦利品を山ほど手に入れたからです。
+ ダビデと部下の者はその中に突入し、その晩から翌日の夕方までかかって、彼らを打ち殺しました。らくだに乗って逃げた四百人の若者のほかは、一人も取り逃がしませんでした。
+ アマレク人に奪われたものは残らず取り戻しました。家族全員を救い出し、持ち物を全部取り返したのです。もちろん、ダビデの二人の妻も救い出されました。
+ 一隊は羊や牛の群れを駆り集め、群れを先導して行きました。みなはダビデに、「これは全部、あなたのものでございます。あなたのご功績ですから」と言いました。
+ さて、二百人が極度の疲労のため前進を断念した、ベソル川まで来ると、ダビデは喜んでその人々の歓迎に応えました。
+ ところが、ダビデに同行した者たちの中には意地の悪い者もいて、口々にこう言い始めたのです。「彼らはいっしょに行かなかったのだから、戦利品の分け前をやることはない。妻子だけ返してやって、帰らせよう。」
+ しかし、ダビデはさとしました。「それはいけない。主がわれわれを守り助けてくださったおかげで、敵を打ち破れたのではないか。
+ そんなことを言って、いったいだれが納得すると思っているのだ。戦いに行く者も、銃後の守りを固めた者も、平等に分け合おうではないか。」
+ 以来、ダビデはこのことを全イスラエルの規律とし、今もそのとおり行われています。
+ ダビデはツィケラグに帰ると、ユダの長老たちに戦利品の一部を送り、「これは、主の敵から奪い取ったもので、皆さんへの贈り物です」と書き添えました。
+ 贈り物が届けられたのは、ダビデたちが立ち寄ったことのある、次の町々の長老たちです。ベテル、ネゲブのラモテ、ヤティル、アロエル、シフモテ、エシュテモア、ラカル、エラフメエル人の町々、ケニ人の町々、ホルマ、ボル‧アシャン、アタク、ヘブロン。
+
+
+ その間に、ペリシテ人はイスラエル人と戦いを始めました。イスラエル軍はあえなく敗走し、ギルボア山で大多数が戦死しました。
+ ペリシテ軍はサウルを追い詰め、息子のヨナタン、アビナダブ、マルキ‧シュアを殺しました。
+ なお、射手たちはサウルをねらい打ちにし、ついに致命傷を負わせました。王は苦しい息の下から、よろい持ちの護衛兵に言いました。「あの、神を知らぬペリシテ人に捕らえられて恥辱を受けるより、いっそ、おまえの剣で殺してくれ。」しかし、よろい持ちが恐れてためらっていると、王は自分の剣を取り、その切っ先の上にうつ伏せに倒れ、壮烈な最期を遂げました。
+ 王の死を見届けると、よろい持ちも、自ら剣の上にうつ伏せに倒れて殉死しました。
+ こうして、同じ日のうちに、王と三人の息子、よろい持ち、それに兵士たちが次々に死んだのです。
+ 谷の向かい側やヨルダン川の対岸にいたイスラエル人は、味方の兵士たちが逃げ出し、王とその息子たちが死んだことを聞くと、町々を捨てて逃げ去りました。それで、その町々にはペリシテ人が住むようになったのです。
+ 翌日、ペリシテ人は死者たちの遺品をはぎ取りに来て、サウルと三人の息子の遺体をギルボア山で発見しました。
+ 彼らは王の首を切り、武具をはぎ取りました。そして、国中の偶像の神殿と国民とに、サウル王を討ち取ったという朗報を伝えました。
+ サウル王の武具はアシュタロテの神殿に奉納され、しかばねはベテ‧シャンの城壁にさらされました。
+ ヤベシュ‧ギルアデの住民は、このペリシテ人の仕打ちを聞くと、
+ さっそく勇士たちが夜通しベテ‧シャン目指して歩いて行って、サウル王とその息子たちの死体を城壁から降ろし、ヤベシュに運んで火葬にしたのです。
+ その骨はヤベシュにある柳の木の根もとに葬られ、人々は七日の間断食して、喪に服しました。
+
+
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+ サウルが死んだあと、ダビデはアマレク人を討って、ツィケラグに引き揚げて来ました。その三日後、イスラエル軍から一人の男がやって来ました。男は破れた服をまとい、頭に土をかぶっていて、ひと目で喪に服していることがわかりました。彼はダビデの前に出ると、深い敬意を表して地にひれ伏しました。
+ 「どこから来たのだ」とダビデが聞くと、「イスラエルの陣営から逃れてまいりました」と彼は答えました。
+ 「何かあったのか? 戦いの様子はどうなのだ。」ダビデはせき込んで尋ねました。「イスラエルは散り散りです。何千という兵士が死に、また負傷して野に倒れています。サウル王も、ヨナタン王子も殺されました。」
+ 「サウル王とヨナタンが死んだと! どうしてわかったのだ。」
+ 「私はギルボア山におりましたが、槍にすがってようやく立っている王様に、敵の戦車が迫るのを見たのです。
+ 王様は私を見るなり、こっちへ来いと叫ばれました。急いでおそばに駆け寄りますと、
+ 『おまえはだれか』とお尋ねになります。『アマレク人でございます』とお答えしますと、
+ 『さあ、私を殺してくれ。この苦しみから救ってくれ。死にきれないのがつらくて耐えられないのだ』とおっしゃるのです。
+ そこで私は、もう時間の問題だと察したので、あの方にとどめを刺しました。そして、あの方の王冠と腕輪の一つを持ってまいりました。」
+ この知らせを聞いて、ダビデと部下たちは悲しみのあまり、めいめいの衣服を引き裂きました。
+ 彼らは、死んだサウル王とその子ヨナタン、それに、主の民といのちを落としたイスラエル人のために喪に服し、泣きながら終日断食しました。
+ ダビデは、王の死を告げに来た若者に言いました。「おまえはどこの者だ。」若者は答えました。「アマレク人で、在留異国人でございます。」
+ 「どうして、神に選ばれた王を手にかけたのか」と、ダビデは詰め寄りました。
+ そして部下の若者の一人に、「この男を打て!」と命じたのです。若者は剣を振りかざして走り寄り、そのアマレク人の首を打ち落としました。
+ ダビデは言いました。「自業自得だ。自分の口で、主がお立てになった王を殺したと証言したのだから。」
+ ダビデは、サウル王とヨナタンにささげる哀歌を作り、これがイスラエル中でのちのちまで歌い継がれるように命じました。英雄詩にその詩が記されています。
+ 「ああ、イスラエル。おまえの誇りと喜びは、しかばねとなって丘に横たわる。大いなる英雄たちは倒れた。
+ ペリシテ人には告げるな。喜ばせてなるものか。ガテとアシュケロンの町にも告げるな。神を知らない者たちを勝ち誇らせてなるものか。
+ ギルボアの山よ、露も降りるな。雨も降るな。いけにえのささげられた野にも。偉大なサウル王が倒れた地だから。ああ、その盾は油も塗られず打ち捨てられた。
+ 最強の敵を打ち殺したサウルとヨナタンは空手で戦場から引き揚げたことはなかった。
+ ああ、サウルもヨナタンもどれほど愛され、どれほどすぐれた人物であったことか。生死を共にした彼ら。鷲よりも速く、獅子よりも強かった。
+ さあ、イスラエルの女よ、サウル王のために泣け。王は、おまえたちを惜しげなく着飾らせ、金の飾りをまとわせてくれた。
+ 偉大な英雄たちは、戦いの最中に倒れた。ヨナタンは山の上で殺された。
+ わが兄弟ヨナタン。あなたのために、どれほど涙を流したことか。あなたをどれほど愛していたことか。あなたの私への愛は、女の愛も及ばなかった。
+ ああ、勇士たちは倒れ、武具は奪い取られ、彼らは死んだ。」
+
+
+ その後ダビデは、「どこかユダの町に上るべきでしょうか」と主に伺いを立てました。すると、「そうせよ」と主は答えました。「では、どの町へ行けばよろしいでしょうか」とダビデが聞くと、「ヘブロンへ」との答えでした。
+ そこで、ダビデと二人の妻、つまりイズレエル出身のアヒノアムと、カルメル出身のナバルの未亡人アビガイル、そして彼に従う者たちとその家族全員は、そろってヘブロンに移りました。
+ すると、ユダの指導者たちが集まって来て、ダビデをユダの家の王としました。ダビデは、ヤベシュ‧ギルアデの人々がサウル王を葬ったと聞いて、
+ さっそく使者を遣わしました。「主君に忠誠を尽くし、丁重に葬ってくれたあなたがたに、主の豊かな祝福があるように。
+ どうか、主が真実をもって報いてくださり、その恵みと愛を表してくださるように。私からも礼を述べ、感謝のしるしにできるだけのことをしよう。
+ サウル王亡き今、私のもとで、忠実でりっぱな兵士として励んでもらえないか。私を王に立ててくれたユダの家のように。」
+ しかし、サウルの将軍(司令官)であったアブネルは、サウルの子イシュ‧ボシェテを王位につかせようと、マハナイムに移り住んでいました。
+ その支配は、ギルアデ、アシュル、イズレエルをはじめ、エフライムやベニヤミンの部族、その他の全イスラエルに及んでいました。
+ イシュ‧ボシェテは四十歳で王位につき、二年間、マハナイムでイスラエルを治めました。一方ダビデは、七年半にわたり、ヘブロンでユダの王として支配しました。
+ ある日、将軍アブネルはイシュ‧ボシェテの軍を率いて、マハナイムからギブオンに向かっていました。
+ 一方、ツェルヤの子、将軍ヨアブも、ダビデの部隊を率いてギブオンに出向きました。両者はギブオンの池のほとりで、池をはさんで向かい合ったのです。
+ アブネルはヨアブに提案しました。「若い者同士で、剣の腕を競わせようではないか。」ヨアブも異存はありません。
+ 十二人ずつの兵士が選ばれ、死闘を演じることになりました。
+ 互いが敵の髪の毛をつかんでは相手のわき腹に剣を突き刺して、結局、全員が死にました。以来、ここはヘルカテ‧ハツリム〔剣が原〕と呼ばれるようになりました。
+ これが口火となって両軍は戦闘状態となり、その日のうちに、アブネルとイスラエル軍は、ヨアブの率いるダビデ軍に敗れました。
+ ヨアブの兄弟アビシャイとアサエルも、戦いに参加していました。かもしかのように足の速いアサエルが、
+ 逃げるアブネルを追いかけました。ほかのものには目もくれず、一人逃げるアブネルをひたすら追い続けました。
+ アブネルは、追いかけて来る敵を見て、振り向きざまに「アサエルではないか」と呼びかけました。「そうだ。」
+ 「ほかのやつを追え!」と、いくらアブネルが言っても、アサエルは耳を貸さず、なおもアブネルへの追撃の手をゆるめません。
+ もう一度、アブネルは言いました。「あっちへ行け! もしおまえを殺すことにでもなれば、おまえの兄ヨアブに顔向けができない。」
+ それでも、アサエルは向きを変えようとしません。とうとうアブネルは、槍の石突きをアサエルの下腹に突き刺しました。槍は背を貫通し、アサエルはばったり倒れ、息絶えました。彼が倒れている場所に来た者はみな、そこに立ち尽くしました。
+ 今度は、ヨアブとアビシャイがアブネルを追います。ギブオンの荒野の道沿いにあるギアハの近くのアマの丘まで来た時、ちょうど太陽が沈み始めました。
+ ベニヤミン族から召集されたアブネルの部隊は、丘の上で隊列を整えていました。
+ アブネルは、ふもとのヨアブに向かって叫びました。「いつまでも殺し合いを続けてはいられない。いつになったら、同胞同士で争うのをやめさせるつもりだ。」
+ ヨアブは答えました。「神にかけて誓うが、もしおまえがそう言わなかったら、われわれはみな、明日の朝まで追撃を止めなかっただろう。」
+ ヨアブがラッパを吹くと、兵士たちはイスラエル軍の追跡をぴたりとやめました。
+ その夜、アブネルと兵士たちは、ヨルダン渓谷伝いに退却し、ヨルダン川を渡って翌朝まで歩き続け、ようやくマハナイムに帰り着きました。
+ ヨアブの部隊も宿営に戻り、死傷者を数えてみると、欠けたのは兵士十九人とアサエルだけでした。
+ 一方、全員がベニヤミン族であったアブネル側では、戦死者は三百六十人に上りました。
+ ヨアブの部隊は、アサエルの遺体をベツレヘムへ運び、父親のかたわらに葬りました。それから夜通し歩いて、夜明けごろにヘブロンに帰りました。
+
+
+ これが、サウル家とダビデ家との長い戦いの始まりでした。ダビデがますます権力を増していくのに反して、サウル王家は衰えていきました。
+ ダビデには、ヘブロンでの生活の間に何人もの息子が生まれました。長男のアムノンは、妻アヒノアムから生まれました。
+ 次男のキルアブは、カルメル人ナバルの未亡人だったアビガイルから生まれました。三男アブシャロムの母親は、ゲシュルの王タルマイの娘マアカでした。
+ 四男アドニヤはハギテから、五男シェファテヤはアビタルから、
+ 六男のイテレアムはエグラから生まれました。
+ 内戦が続く中、アブネルはサウル家で押しも押されもせぬ政治的指導者にのし上がっていきました。
+ その地位を利用して、サウル王のそばめの一人だったリツパという娘と関係をもつようになりました。そのことでサウルの子イシュ‧ボシェテから責められると、
+ アブネルはひどく腹を立て、言いました。「私は、たかがこれくらいのことで文句を言われなければならないユダの犬なのか。だれのおかげで、ダビデに売り渡されずにすんだのか。あなたのため、お父上サウル王のため、この私がどれほど尽くしてきたか。それなのに、あの女のことで難くせをつけて、恩を仇で返されるとは。
+ 覚えておくのだ。主のお告げどおり、ダンからベエル‧シェバに至る全王国をあなたから取り上げて、ダビデに渡す。もしできなかったら、この首を差し出そう。」
+ イシュ‧ボシェテはもはやことばを返せませんでした。アブネルを恐れたのです。
+ アブネルはダビデに使者を立て、一つの申し入れをしました。全イスラエルを引き渡すのと交換に、自分をイスラエルとユダの連合軍の司令官にしてほしいというのです。
+ ダビデは答えました。「よいだろう。ただし、私の妻である、サウルの娘ミカルを連れて来てくれ。それが条件だ。」
+ それからダビデは使者を立て、イシュ‧ボシェテに伝えました。「私の妻ミカルを返してほしい。ペリシテ人百人のいのちと引き替えにめとった妻だから。」
+ それでイシュ‧ボシェテは、ミカルをその夫、ライシュの子パルティエルから取り上げました。
+ パルティエルはバフリムまで泣き泣きあとを追って来たものの、アブネルに「もう帰れ」と言われて、すごすごと引き返して行きました。
+ その間、アブネルはイスラエルの指導者たちと協議し、彼らが長年ダビデの支配を望んでいたことを確かめました。
+ 「今こそ、時がきたのだ! 主が、『わたしはダビデによって、わたしの民をペリシテ人から、また、すべての敵から救い出そう』とおっしゃったではないか」と、アブネルは言いました。
+ アブネルはまた、ベニヤミン族の指導者たちとも話し合いました。それからヘブロンへ行き、イスラエルおよびベニヤミンの人々との交渉の経過を、ダビデに報告したのです。
+ 二十人の部下を伴ったアブネルを、ダビデは祝宴を張ってもてなしました。
+ アブネルはダビデのもとを辞する時、こう約束しました。「帰りしだい、全イスラエルを召集します。多年のお望みがかないます。全国民はきっと、あなた様を王に選ぶでしょうから。」こうしてダビデはアブネルを送り出し、アブネルは安心して出て行きました。
+ ちょうど入れ違いに、ダビデの兵士たちとヨアブが、戦利品をどっさりかかえて奇襲攻撃から戻って来ました。
+ ダビデのもとを訪れたアブネルとの話し合いが、極めて友好的だったと聞くと、
+ ヨアブは王のもとへ飛んで行きました。「あんまりではございませんか。アブネルをむざむざお帰しになるなど、もってのほかです。あの男の魂胆はご存じでしょう。われわれを攻めるために、動静を探りに来たに違いありません。」
+ ヨアブは直ちにアブネルを追わせ、連れ戻すようにと命じました。追っ手はシラの井戸あたりで追いつき、いっしょに引き返しました。しかし、ダビデはこのことを知りませんでした。
+ ヘブロンに着いたアブネルを、ヨアブは個人的な話があるように見せかけて、町の門のそばへ呼び出しました。そして、ヨアブはやにわに短剣を抜いてアブネルを刺し殺し、弟アサエルの復讐をしたのです。
+ この一件を知らされたダビデは言いました。「私は神にかけて誓う。私も民も、このアブネル殺しの罪には全く関与していない。
+ その責任は、ヨアブとその一族に降りかかるのだ。ヨアブの家は子々孫々、汚れた者、不妊の者、飢え死にする者、剣に倒れる者が絶えないだろう。」
+ ヨアブとその兄弟アビシャイがアブネルを殺したのは、ギブオンの戦いで殺された弟アサエルのかたきを討つためでした。
+ ダビデは、ヨアブおよび彼とともにいた全員に告げて言いました。「アブネルのために嘆き悲しみ、喪に服すのだ。」ダビデは墓地まで棺につき添い、
+ アブネルをヘブロンに葬りました。王も民もみな、墓のそばで声を上げて泣きました。
+ 「アブネル、どうして愚かな死に方をしたのだ」とダビデは嘆き、歌いました。「おまえの手は縛られず、足もつながれなかったのに、おまえは暗殺された、悪い計略のいけにえとして」民もまた、アブネルを悼んで泣きました。
+ 弔いの日、ダビデは食事を少しでも口にするように勧められましたが、日没まで食を断つと誓って聞きませんでした。こればかりでなく、ダビデのすることなすことはすべて、人々を満足させました。
+ ダビデの行いをつぶさに見たユダとイスラエルの全国民は、それによってアブネルの死の責任がダビデにないことを認めたのです。
+ ダビデは家来たちに言いました。「今日、イスラエルで一人の偉大な指導者、偉大な人物が倒れた。
+ 私は神に選ばれた王だが、ツェルヤのこの二人の息子に何もできない。どうか主が、このような悪を行った者に報いられるように。」
+
+
+ サウルの子イシュ‧ボシェテは、アブネルがヘブロンで殺されたと聞くと、恐れのあまり気力を失い、彼の兵士もみな動揺しました。
+ これに乗じてイスラエル軍の指揮をとったのは略奪隊を率いていたバアナとレカブの兄弟で、二人はベニヤミンのベエロテ出身のリモンの子でした。ベエロテの人々は、以前ギタイムに逃げて今もそこに住んでいますが、なおベニヤミン人とみなされていたのです。
+ さて、亡きサウル王には、メフィボシェテという孫がいました。ヨナタンの息子で、足の不自由な子でした。サウルとヨナタンがイズレエルの戦いで倒れた時、彼は五歳でした。悲報が都にもたらされた際、乳母が彼を抱いて、あわてて逃げるうちにつまずいて倒れ、その子を落としてしまい、そのために彼は足が不自由になったのです。
+ レカブとバアナはある昼下がり、イシュ‧ボシェテの家を訪れました。王はちょうど昼寝の最中でした。
+ 二人は小麦の袋を取りに行くふりをして台所に近づき、こっそり王の寝室に忍び込んで、そこで王を殺し、首をはねました。彼らはその首をかかえて、一晩中、荒野をひた走りに走って、
+ ついにヘブロンにたどり着き、ダビデに差し出したのです。「よくごらんください。あなたのおいのちをねらっていた敵、サウルの子イシュ‧ボシェテの首です。今日、主はわが王のために、サウルとその全家族に復讐してくださったのです。」
+ しかし、ダビデは答えました。「私をあらゆる敵から救い出してくださった神に誓って言う。
+ 前にも、私が喜ぶに違いないと思って、『サウルが死んだ』と告げに来た者がいたが、私はその者を手討ちにした。それが、その者の言う『吉報』とやらに報いる答えだった。
+ まして、あの何の罪もない人を、家の中で、しかも寝床で殺すような不届き者を放ってはおけない。二人とも無事に帰れるとでも思っているのか。」
+ ダビデは側近の若者たちに、二人を殺すよう命じました。その死体は手足を切り離され、ヘブロンの池のほとりで木につるされました。しかしイシュ‧ボシェテの首は、ヘブロンにあるアブネルの墓に運ばれ、埋葬されました。
+
+
+ イスラエルの全部族の代表者たちは、ヘブロンにいるダビデのもとに来て言いました。「私たちは、あなたと血を分けた兄弟です。
+ サウルが王であった時にも、ほんとうの指導者はあなたでした。主は、あなたこそイスラエルの指導者だとおっしゃっています。」
+ ダビデは、ヘブロンに集まったイスラエルの指導者たちと主の前で契約を結び、彼らはダビデをイスラエルの王としました。
+ ダビデはすでに三十歳の時から七年間、ユダの王であり、こののちエルサレムで三十三年間、イスラエルとユダの全土を治めることになったのです。ダビデが王位にあったのは、合わせて四十年になります。
+ さてダビデは、エルサレムに入り込んでいたエブス人と戦うために、兵を率いてエルサレムへ向かいました。彼らはダビデにこう豪語しました。「おまえなどに攻め入られてたまるか。おまえなど、歩けない者であろうと、目の見えない者であろうと、だれにでも簡単につまみ出せるわ!」彼らは安心しきっていました。
+ しかしダビデは、現在ダビデの町と呼ばれているシオンの要害を占領したのです。
+ 彼らの暴言を耳にしたダビデは、「地下水路を通って町に攻め上り、歩けない、目の見えない憎きエブス人を滅ぼせ」と命じました。このことから、「目の見えない者や足の不自由な者は宮に入ってはならない」と言われるようになったのです。
+ ダビデは、このシオンの要害をダビデの町と呼び、自身の本拠地に定めました。ついで町の旧ミロ地区から北側に、現在のエルサレムの中心部に向かって城壁を築きました。
+ ダビデの勢力はますます強大になっていきました。天地を支配される神、主が共にいたからです。
+ ツロの王ヒラムからは、ダビデ王の宮殿建設のために、上等の木材、大工、石工が送られて来ました。
+ 今やダビデは、主が自分を王位につかせ、豊かな王国としてくださったのは、神がイスラエルの民を選び出し、特別な恵みを注ごうとされたからであると、はっきり知ったのです。
+ ヘブロンからエルサレムに移ってからも、ダビデはさらに妻やそばめを迎え入れ、次々と息子や娘をもうけました。
+ エルサレムで生まれた子たちは次のとおりです。シャムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、イブハル、エリシュア、ネフェグ、ヤフィア、エリシャマ、エルヤダ、エリフェレテ。
+ ペリシテ人は、ダビデがイスラエルの王になったと聞くと、何とか彼を捕らえようとしました。ペリシテ人来襲の報が伝わると、ダビデは直ちに要害に下って行きました。
+ ペリシテ人は、レファイムの谷一帯に陣を張りました。
+ 「打って出て、戦うべきでしょうか。私は勝てるでしょうか。」ダビデは主に伺いを立てました。すると、「打って出なさい。ペリシテ人をあなたの手に渡そう」と主は答えました。
+ そこでダビデは勇んで出陣し、バアル‧ペラツィムで彼らと戦い、みごと打ち破りました。「主のおかげだ。主は押し寄せる洪水のように、敵をひと飲みになさった」とダビデが言ったので、そこはバアル‧ペラツィム〔決壊〕と呼ばれるようになったのです。
+ その時、ダビデ軍は、ペリシテ人が置き去りにしていった多くの偶像を運び捨てました。
+ しかしペリシテ人はまたも反撃に出て来て、レファイムの谷間に陣を敷いたのです。
+ ダビデは、どうすべきか再び主に伺いました。答えはこうでした。「正面から攻めないで、敵の背後に回り、バルサム樹の林から出て行きなさい。
+ バルサム樹の林の上から行進の足音が聞こえたら、出陣しなさい。それは、わたしが道を備え、必ず敵を滅ぼすという合図である。」
+ ダビデは命令どおりに行いました。そして、ゲバからゲゼルに至るまでペリシテ人を粉砕したのです。
+
+
+ このあと、ダビデはえり抜きの兵三万を率いて、ユダのバアラへ出かけました。ケルビム(天使を象徴する像)の上に座す、天地の主なる神の契約の箱を持ち帰るためです。
+ 神の箱は真新しい牛車に載せられ、丘の中腹にあるアビナダブの家から運び出されました。御者はアビナダブの子ウザとアフヨでした。
+ アフヨが先導を務め、
+ ダビデをはじめイスラエルの指導者たちがあとに続きました。一行は木の枝を振りかざし、主の前で、竪琴、琴、タンバリン、カスタネット、シンバルなど、ありとあらゆる楽器を鳴らして喜び踊りました。
+ ところが、ナコンの打ち場まで来た時、牛がつまずいたので、ウザはあわてて手を伸ばし、神の箱を手で押さえようとしました。
+ とたんに、主の怒りがウザに向かって燃え上がりました。箱にさわったため、ウザは主に打たれ、箱のそばで息絶えました。
+ この出来事にダビデは憤慨し、そこをペレツ‧ウザ〔ウザへの怒り〕と呼びました。今もそう呼ばれています。
+ ダビデはすっかり主を恐れ、「とても主の箱を私の所に持って帰ることはできない」と言って、
+ それをダビデの町へ移すことを中断し、ガテ出身のオベデ‧エドムの家に預けることにしました。
+ こうして主の箱は、三か月間オベデ‧エドムの家に置かれました。主は彼の家を祝福しました。
+ そのことを聞いたダビデは、大いに祝って、神の箱をオベデ‧エドムの家からダビデの町へ運ぶことにしました。
+ 主の箱をかつぐ者たちが六歩進んだ時、ダビデは太った牛と子羊をいけにえにささげました。
+ ダビデは、主の前で力の限り踊りました。彼は祭司の服をまとっていました。
+ 全イスラエルは歓声を上げ、ラッパを吹き鳴らして、主の箱をダビデの町に運び込みました。
+ しかし、行列が町に入って来るのを窓から眺めていたサウルの娘ミカルは、主の前で跳ねたり踊ったりしているダビデを見て、心の中で彼を軽蔑しました。
+ 主の箱は、ダビデが用意しておいた天幕に安置されました。ダビデは主に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。
+ それから、天地を支配しておられる主の名によって民を祝福し、
+ 男にも女にもすべての民にパン一個、ぶどう酒、干しぶどうの菓子一個をふるまいました。それが終わると、みな家に引き揚げ、
+ ダビデも、家族を祝福するために戻って行きました。ところが、ダビデを迎えに出たミカルは、うんざりした様子で言いました。「今日は、なんとまあごりっぱな王様ぶりでしたこと! 道の真ん中、それも女たちの前で裸におなりになるなんて。」
+ 「私は、おまえの父やその一族にまさって、神の民イスラエルの指導者として選んでいただいた主の前で踊ったのだ。その主の前で喜びを表すためなら、たとえ気がおかしくなったと言われてもかまわない。
+ いや、もっと愚か者のように思われてもよい。その女たちは、きっとわかって敬ってくれるだろう。」
+ このミカルは、生涯、子どもが与えられませんでした。
+
+
+ 主がついにこの地に平和をもたらし、もはや周囲の国々と戦わなくてもよい日がきました。
+ そうなった時、ダビデは預言者ナタンを呼んで言いました。「見なさい。私はこんなりっぱな家に住んでいるのに、神の箱は天幕に置かれたままだ。」するとナタンは言いました。
+ 「どうぞ、お考えのままになさってください。主があなたとともにおられるのですから。」
+ その夜のことです。主はナタンに言われました。
+ 「わたしのしもべダビデに、わたしのために家を建てる必要はない、と言いなさい。
+ わたしは神殿には住まない。イスラエル人をエジプトから連れ出した日以来、わたしの家はずっと幕屋(神のための天幕)だった。
+ そのことで、イスラエルの指導者や民を牧する者たちに不平をもらしたことは一度もない。『どうしてりっぱな神殿を建ててくれないのか』と言った覚えもない。
+ さあ、わたしのことばをダビデに告げなさい。『わたしは、牧場で羊を飼う、ただの牧童にすぎなかったあなたを、わたしの民イスラエルの指導者としたのだ。
+ どこへでも、あなたとともに行き、敵を滅ぼした。また、あなたの名声をいっそう高めた。あなたの名は世界中に知れ渡るだろう。
+ ここがイスラエル人の母国だ。もう、二度とこの地を離れることはない。ここはわたしの民の地だ。あの士師たちが治めた時代のように、わたしを知らない外国人に圧迫されることもない。もう、戦いを挑んでくる者もいない。あなたの子孫は、代々この地を治めるだろう。
+ あなたが世を去っても、息子の一人を王座につかせ、わたしは王国を強固にしよう。
+ 彼が、わたしのために神殿を建てる。王国は永遠に続き、
+ わたしが父となり、彼が息子となる。もし彼が罪を犯せば、外国人を用いて罰する。
+ しかし、先の王のサウルにしたように、愛と恵みを取り去ったりはしない。
+ あなたの家系は、永遠にわたしの王国を治める。』」
+ ナタンはダビデのところへ戻り、主のことばをそのまま伝えました。
+ するとダビデは、幕屋に入って主の前にひざまずき、祈りました。「主なる神よ。私のように取るに足りない者に、どうしてこれほどまでの祝福を下さったのですか。
+ そして今、これまでの祝福に加えて、私の王朝が永遠に続くと約束してくださいました。主の寛大さは、人間の標準をはるかに超えています。
+ このうえ、何を申し上げることができましょう。あなたは私がどのような人間か、すべてご存じです。
+ そして約束のために、なおお心のままに、これらすべてを行ってくださいます。
+ なんと偉大なお方でしょう。あなたのような方は、ほかに知りません。あなたのほかに神はいません。
+ 地上のどこを探しても、イスラエルほど祝福を受けた国はありません。あなたは栄光を現すために、ご自分が選んだ民を助け出してくださったのです。エジプトとその神々を滅ぼすために、大いなる奇跡を行われました。
+ あなたはイスラエルを、永遠にご自分の民として選び出し、私たちの神となられたのです。
+ 主よ、このしもべとその家への約束を果たしてください。
+ どうか、イスラエルをあなたの民として確立してくださるとき、また、ダビデ王朝をあなたの前に堅く立ててくださるとき、永遠にあなたのお名前があがめられますように。
+ 天地の支配者、イスラエルの神よ! 永遠に続く王朝の初代の王として、このしもべを立てるとはっきり言われました。そのため、私は大胆にも、それをお受けするこの祈りをささげることができるのです。
+ あなたこそ神であられ、おことばにうそはありません。私のような者に、これほどすばらしいことを約束してくださった主よ、
+ どうぞ、おことばどおりに事を運んでください。このしもべとその家をいつまでも祝福してください。この王朝が、あなたの前にいつまでも続きますように。主なる神よ、それがお約束なのですから。」
+
+
+ そののち、ダビデはペリシテ人の大きな町メテグ‧ハアマを奪い取り、彼らの心をくじきました。
+ また、モアブの地を襲った時には、捕虜を列に並ばせたうえ、地面に伏させ、各列の三分の二の者を殺し、残り三分の一を助けました。助かったモアブ人はダビデのしもべとなり、毎年、貢ぎ物を納める者になりました。
+ ダビデはまたユーフラテス川での戦いで、レホブの子、ツォバの王ハダデエゼルの軍を打ち破りました。ハダデエゼルが勢力を挽回しようと攻めて来たからです。
+ ダビデは騎兵千七百と歩兵二万を捕縛し、さらに、百頭だけ残して、戦車用の馬の足の筋をすべて切りました。
+ また、ハダデエゼルの援軍としてダマスコから参戦したシリヤ人二万二千人を打ちました。
+ それでダビデはダマスコに守備隊を置き、シリヤ人はダビデに服従し、毎年、貢ぎ物を納めるようになりました。このように主は、ダビデの行く先々どこででも勝利をもたらしたのです。
+ ダビデはハダデエゼルの家臣たちが持っていた金の盾を奪い、エルサレムに持ち帰りました。
+ また、ハダデエゼルの町ベタフとベロタイから奪った大量の青銅も持ち帰りました。
+ ハマテの王トイは、ダビデがハダデエゼルの軍を破り、大勝利を収めたことを聞くと、
+ その子ヨラムを使者に立て、祝いのことばを伝えました。ハダデエゼルとトイとは敵対関係にあったのです。ヨラムはダビデに金、銀、青銅の器を贈りました。
+ ダビデはそれらを全部、シリヤ、モアブ、アモン、ペリシテ人、アマレク、ハダデエゼル王から奪い取った金銀とともに主にささげました。
+ ダビデの名声はいよいよ高まりました。ダビデは帰還すると、塩の谷でエドム人一万八千を打ち滅ぼし、
+ エドム中に兵を駐屯させました。エドム人はみな、イスラエルに貢ぎ物をささげるしもべとなったのです。これもまた主が、行く先々で勝利を与えたことの一つです。
+ ダビデは公正にイスラエルを治め、だれに対しても公平でした。
+ 軍の総司令官はツェルヤの子ヨアブ、主の書記官はアヒルデの子ヨシャパテでした。
+ アヒトブの子ツァドクとエブヤタルの子アヒメレクは祭司の長、セラヤは王の秘書官、
+ エホヤダの子ベナヤは護衛隊長、ダビデの子たちは側近を務めました。
+
+
+ ある日、ダビデは、サウルの家系にまだ生き残っている者がいないか、気になり始めました。もしいれば、ヨナタンとの約束があったので、情けをかけてやりたいと思ったのです。
+ かつてサウル王に仕えたツィバという男のことを耳にすると、さっそく召し出して尋ねました。「ツィバとはおまえか。」「そうでございます。」
+ 「サウル王の血筋で、だれか生き残った者はいないか。いれば、その者を手厚くもてなし、立てた誓いを果たしたいのだが。」「ヨナタン様のお子で、足の不自由な方がご存命です。」
+ 「その子はどこにいるのだ。」「今、ロ‧デバルのマキルの屋敷においでです。」
+ そこでダビデ王は、ヨナタンの息子で、サウルの孫に当たるメフィボシェテを迎えにやりました。メフィボシェテは恐れながらやって来て、ダビデの前にうやうやしくひれ伏しました。
+ そんな彼に、ダビデは優しく声をかけました。「心配には及ばない。来てもらったのはほかでもない、父君ヨナタンとの誓いを果たしたいと思ったのだ。力になりたいのだ。あなたの祖父、サウル王の土地は全部返そう。よかったら、この宮殿で暮らしなさい。」
+ メフィボシェテは王の前に深々と頭をたれ、「死んだ犬も同然の私に、なんというご親切を」と言いました。
+ 王はツィバを呼び出し、こう申し渡しました。「よいか、サウル王とその家の物はみな、主君サウルの孫に返した。
+ おまえは自分の息子や召使たちとともに、地を耕し、彼の家族のために仕えなさい。しかし、メフィボシェテはここで、私といっしょに暮らす。」ツィバには、息子が十五人と召使が二十人いました。そこで、「承知しました。ご命令のとおりにします」と答えました。以来、メフィボシェテは、ダビデ王の子ども同様に扱われ、いつも王といっしょに食事をしました。
+ メフィボシェテには、ミカという幼い子がいました。ツィバの家の者はみなメフィボシェテのしもべになりましたが、
+ メフィボシェテはエルサレムに移って、ダビデの宮殿で暮らしました。彼は両足が不自由でした。
+
+
+ しばらくして、アモン人の王が死に、その子ハヌンが王位につきました。
+ ダビデは、「彼の父ナハシュには、常々、誠実を尽くしてもらった。私も新しい王に敬意を表そう」と、父親を亡くしたハヌンに悔やみを述べるため、使者を遣わしました。
+ ところがハヌンの家臣たちは、主君にこう取り次ぎました。「この使いの者どもは、亡き父君を敬ってここに来たのではありません。ダビデの魂胆は見えすいております。この町を攻める手始めに、まずスパイを送り込んできたのです。」
+ そこでハヌンは、使者を取り押さえ、ひげを半分そり落とし、服を腰のあたりから切り取り、下半身を裸のままで追い返したのです。
+ それを知ったダビデは、ひげが伸びそろうまでエリコにとどまるよう彼らに命じました。ひげをそり落とされたことを、彼らが深く恥じていたからです。
+ アモンの人々は、このことがダビデを本気で怒らせたことを知ると直ちに、レホブとツォバの地からシリヤ(アラム)の歩兵二万、マアカ王から兵士一千、トブの地から兵士一万二千を、それぞれ雇い入れました。
+ ダビデも黙ってはいません。ヨアブをはじめ全イスラエル軍を差し向けて、彼らを攻撃しました。アモン人は町の門の守備に当たり、ツォバとレホブから来たシリヤ人、およびトブとマアカからの傭兵が野に出て戦いました。
+ ヨアブはふた手に分かれて戦うために、精兵をよりすぐって自らの配下に置き、野に出てシリヤ人と戦う備えを固めました。
+ 残りの手勢は兄弟アビシャイの指揮に任せて、町の攻撃に向かわせました。
+ ヨアブはアビシャイに言いました。「もしシリヤ人を向こうに回して、われわれだけで戦えないようなら助けに来てくれ。反対に、アモン人がおまえらの手に負えないようなら、こちらが加勢しよう。
+ 勇気を出せ! われわれの肩には同胞のいのちと、神の町々の安全がかかっている。がんばるのだ。必ず主のお心のとおりになるのだから。」
+ ヨアブの部隊が攻撃をしかけると、シリヤ軍はくずれ始めました。
+ 彼らが敗走するのを見て、アモン人も逃げ出し、町にこもってしまいました。そこでヨアブは攻撃を中止し、エルサレムに引き揚げました。
+ シリヤ人は、このままではとてもイスラエル軍にかなわないとわかり、再び兵力の結集を計りました。そしてハダデエゼルは、ユーフラテス川の向こうから呼び集めたシリヤ人を味方に引き入れたのです。彼らの大軍は、ハダデエゼル軍の将軍ショバクに率いられて、ヘラムに着きました。
+ ダビデはこの報告を受けると、自らイスラエル軍を率いてヘラムに向かいました。攻撃をしかけてきたシリヤ軍は、
+ 再び敗走するはめになってしまいました。この戦いで、シリヤ軍は戦車兵七百と騎兵四万を失い、将軍ショバクも戦死しました。
+ ハダデエゼルと同盟を結んだ王たちは連合軍の敗北を見てダビデに降伏し、その臣下となりました。これにこりたシリヤ人は、二度とアモン人を助けようとはしませんでした。
+
+
+ 翌年の春になると、再び戦いが始まり、ダビデはヨアブの率いるイスラエル軍を送り込んで、アモン人壊滅を計りました。イスラエル軍はたちまちラバの町を包囲しましたが、ダビデ自身はエルサレムにとどまっていました。
+ ある夕暮れのことです。昼寝から起きたダビデは、宮殿の屋上を散歩していました。見ると、水浴びをしている美しい女性が目に留まりました。
+ さっそく人を送り、その女のことを探らせました。そして、エリアムの娘でウリヤの妻バテ‧シェバであることを知ったのです。
+ 彼女は、月経後の汚れのきよめをしていたところでした。ダビデは女を召し入れ、忍んで来た彼女と床を共にしたのです。こうして彼女は家に帰りました。
+ それから、自分が妊娠したことを知ると、人をやってダビデに知らせました。
+ さあ、何とかしなければなりません。ダビデは急いでヨアブに伝令を送り、「ヘテ人ウリヤを帰還させよ」と命じました。
+ 戦場から戻って来たウリヤに、ダビデはヨアブや兵士の様子、戦況などを尋ねました。
+ それから、「家へ帰ってゆっくり骨休めをしなさい」と勧めたのです。贈り物も持たせました。
+ ところが、ウリヤは自宅に戻らず、王の家来たちとともに、宮殿の門のそばで夜を過ごしたのです。
+ ダビデはそれを知ると、さっそくウリヤを呼んで尋ねました。「いったい、どうしたのだ。長く家から離れていたというのに、なぜ昨夜は妻のもとへ戻らなかったのだ。」
+ 「恐れながら王様。神の箱も、ヨアブ様も、その配下の者たちもみな、戦場で野宿しています。それなのに、どうして私だけが家に帰って飲み食いし、妻と寝たりできるでしょう。誓って申し上げます。そんな罪深いことをする気は毛頭ありません。」
+ 「よかろう。では今夜もここにとどまるがよい。明日は軍務に戻ってもらう。」こうして、ウリヤは宮殿から離れませんでした。
+ 翌日、ダビデは彼を食事に招き、酒を勧めて酔わせました。しかし、ウリヤは自宅に帰ろうとはせず、その夜もまた、宮殿の門のわきで寝たのです。
+ 翌朝、ついにダビデは戦場のヨアブあてに手紙をしたため、それをウリヤに持たせました。
+ その書面で、「ウリヤを激戦地の最前線に送り、彼だけ残して引き揚げて戦死させるようにせよ」と指示したのです。
+ ヨアブはウリヤを、包囲中の町の最前線に送り込みました。町を守っていたのは、敵の中でもえり抜きの兵だと知っていたのです。
+ ウリヤは数人のイスラエル兵士とともに戦死しました。
+ ヨアブは戦況報告をダビデに送る際、
+ 使いの者にこう言い含めました。「もし王がお怒りになって、『なぜ、そんなに町に近づいたのだ。城壁の上から敵が射かけてくるのを考えに入れなかったのか。アビメレクはテベツで、城壁の上から女が投げ落としたひき臼でいのちを落としたのだ』とおっしゃったなら、『ウリヤも戦死いたしました』と申し上げるがよい。」
+ 使者はエルサレムに着くと、ダビデに報告しました。
+ 「敵は攻撃をしかけてまいりました。こちらも応戦し、敵を町の門のところまで追い詰めました時、
+ 城壁の上から、矢を射かけてまいったのです。そのため、味方の数人が殺され、ヘテ人ウリヤも戦死いたしました。」
+ それを聞いてダビデは言いました。「よし、わかった。ヨアブには、落胆するなと伝えてくれ。剣は両刃の剣だ!今度こそ慎重に攻めて町を占領せよ。成功を祈ると伝えてくれ。」
+ バテ‧シェバは夫が戦死したことを知り、喪に服しました。
+ 喪が明けると、ダビデは彼女を妻として宮殿に迎え、彼女は男の子をもうけました。しかし、ダビデがしたことは主の御心にかないませんでした。
+
+
+ 主は預言者ナタンを遣わし、ダビデにこんな話を聞かせました。「ある町に二人の人がいました。一人は大金持ちで、羊ややぎをたくさん持っていました。
+ もう一人はとても貧乏で、財産といえば、苦労してやっと手に入れた雌の子羊一頭だけでした。彼はまるで自分の娘のように、子羊をしっかり腕に抱いて寝ました。また、彼の子どもたちも子羊を大そうかわいがり、食事のときは自分の皿やコップに口をつけさせるほどでした。
+ そんなある日、金持ちのほうに一人の客がありました。ところが、彼は客をもてなすのに、自分の群れの子羊を使うのを惜しみ、貧しい男の雌の子羊を取り上げ、それを焼いてふるまったのです。」
+ ここまで聞くと、ダビデはかんかんになって怒りだし、「生ける主に誓って言うが、そんなことをする者は死刑だ。
+ 償いとして、貧しい男に子羊四頭を返さなければならない。盗んだだけでなく、その男にはあわれみの心というものがないのだから。」
+ すると、ナタンはダビデに言いました。「それはあなたです。あなたこそ、その大金持ちの男なのです! イスラエルの神、主はこう仰せられます。『わたしはあなたをイスラエルの王とし、サウルの迫害から救い出した。
+ そして、サウルの宮殿や妻たち、イスラエルとユダの王国も与えてやったではないか。なお足りないと言うなら、もっともっと多くのものを与えただろう。
+ それなのに、どうしてわたしの律法をないがしろにして、このような恐ろしい罪を犯したのか。あなたはウリヤを殺し、その妻を奪ったのだ。
+ これからは殺人の恐怖が常にあなたの家を脅かす。ウリヤの妻を奪って、わたしを侮ったからだ。
+ はっきり言おう。あなたのしたことの報いで、あなたは家族の者から背かれる。また、妻たちはほかの者に取られる。彼は白昼公然と、彼女たちと寝るだろう。
+ あなたは人目を忍んで事を行ったが、わたしは全イスラエルの目の前で、あなたをそのような目に会わせよう。』」
+ 「私は主に対して罪を犯しました」と、ダビデはナタンに告白しました。ナタンは答えました。「そのとおりです。しかし、主はその罪を赦してくださり、それによって死ぬことはありません。
+ ただ、主に敵する者たちに主を侮る機会を与えたので、生まれてくるあなたの子どもは必ず死にます。」
+ こうして、ナタンは戻って行きました。主は、バテ‧シェバが産んだ子を重い病気にかからせました。
+ ダビデはその子が助かるように願い求め、断食して、一晩中、主の前で地にひれ伏していました。
+ 長老たちはダビデに、身を起こしていっしょに食事をとるようしきりに勧めましたが、聞こうとしませんでした。
+ 七日目に、とうとうその子は息を引き取りました。家臣たちは、そのことをダビデに告げるのをためらいました。「王はお子様が病気になったことで、あんなにお心を乱された。そのうえ亡くなったと聞いたら、いったいどうなさるだろう」と心配したのです。
+ しかしダビデは、ひそひそ話し合っている彼らの様子から、何が起こったかを悟りました。「子どもは死んだのか。」「はい、お亡くなりになりました。」
+ すると、ダビデは身を起こし、体を洗い、髪をとかし、服を着替え、主の宮に入って礼拝したのです。それから宮殿に帰って食事をしました。
+ 家臣たちは尋ねました。「王のなさりようはどうも解せません。お子様が生きておいでの間は、泣いて断食までなさいましたのに、亡くなられたとたん、嘆きもせず、食事までなさるとは……。」
+ 「子どもが生きている間は、断食をして泣いた。『もしかしたら、主があわれんで快復させてくださるかもしれない』と思ったからだ。
+ しかし死んでしまった今、断食して何になる。もう、あの子を呼び戻せはしない。私があの子のところへ行くことはできても、あの子はここへは戻って来ないのだ。」
+ ダビデは妻バテ‧シェバを慰めました。彼女は再びみごもり、やがて男の子を産み、その子はソロモンと名づけられました。その子を愛した主は、
+ 預言者ナタンを遣わして祝福を贈りました。ダビデは主の気持ちに応えて、その子をエディデヤ〔「主に愛された者」の意〕という愛称で呼ぶことにしました。
+ そうこうするうち、ヨアブの率いるイスラエル軍はアモン人の首都ラバを完全に包囲しました。ヨアブはダビデに伝令を送りました。「ラバとその美しい港は、もうわれわれのものです。
+ どうか、残りの部隊を率いて来て、総仕上げをなさってください。この勝利の栄冠を、私ではなく、あなたがお受けになりますように。」
+ そこでダビデは、残りの部隊を引き連れてラバへ乗り込み、町を占領しました。目をみはるばかりのおびただしい戦利品が、エルサレムに運び込まれました。ダビデはラバの王の冠を取り、自らの頭上に戴きました。冠は宝玉をちりばめた金製のもので、非常に高価なものでした。
+ ダビデはまた、町の住民を奴隷として連れて来て、のこぎり、つるはし、斧などを使う仕事につかせ、れんが造りをさせました。ラバだけでなく、アモン人の町すべてを同様に扱いました。こうして、ダビデとイスラエル軍はエルサレムに帰還しました。
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+ ダビデの息子の一人、王子アブシャロムには、タマルという美しい妹がいました。ところが、タマルの異母兄に当たる王子アムノンが、彼女に深く思いを寄せるようになったのです。
+ アムノンはタマルへの恋に苦しみ、煩うまでになってしまいました。未婚の娘と若者とは厳格に隔てられていて、話しかける機会さえなかったのです。
+ ところが、アムノンには悪賢い友人が一人いました。ダビデの兄シムアの息子で、いとこに当たるヨナダブです。
+ ある日、ヨナダブはアムノンに尋ねました。「何か心配事でもあるのか。どうして、王子ともあろう者が、日に日にそれほどやつれていくのだ。」アムノンは打ち明けました。「ぼくは妹のタマルを愛してしまった。」
+ 「なんだ、そうか。では、よい方法を教えてやろう。床に戻って、仮病を使うのだ。父君のダビデ王が見舞いに来られたら、タマルをよこして食事を作らせてくださいと頼むといい。タマルのこしらえたものを食べればきっとよくなる、と申し上げるのだ。」ヨナダブはこう入れ知恵したのです。
+ アムノンは言われたとおりにしました。王が見舞いに来ると、「妹タマルをよこして、食事を用意させてください」とだけ願い出ました。
+ ダビデはうなずき、タマルに、「アムノンの住まいへ行き、何か手料理をごちそうしてやってくれ」と頼んだのです。
+ タマルはアムノンの寝室を訪れました。アムノンは、タマルが粉をこねてパンを作る姿をじっと見つめていました。タマルはアムノンのために、とびきりおいしいパンを焼き上げました。
+ ところが、それをお盆に載せてアムノンの前に差し出しても、口に入れようとしません。アムノンは召使たちに、「みんな、下がってくれ」と命じたので、みな部屋から出て行きました。
+ すると、彼はタマルに言ったのです。「もう一度、そのパンをこっちに運んで来て、食べさせてくれないか。」タマルは言われるままに、そばへ行きました。
+ ところが、目の前に近づいたタマルに、アムノンは、「さあ、タマル。おまえはぼくのものだ」と捕まえたのです。
+ 彼女はびっくりして叫びました。「やめてください、お兄様! こんなばかなこと、いけないわ。イスラエルでは、それがどれほど重い罪かご存じでしょう。
+ こんな辱しめを受けたら、私、どこにも顔出しできません。お兄様だって、国中の笑い者になります。どうしてもというのなら、今すぐにでも、お父様に申し出てください。きっと二人の結婚を許してくださるわ。」
+ しかし、アムノンはそれを聞こうともせず、力ずくでタマルを自分のものにしてしまったのです。
+ それから急に、彼はタマルに対して憎悪を抱くようになりました。それは、彼女に先に抱いた愛よりも激しいものでした。「さっさと出て行け!」アムノンはどなりました。
+ タマルは必死に言いました。「いけません! 今、私を追い出したりなさったら、たった今なさったことより、もっと大きな罪を犯すことになります。」しかし、アムノンは聞こうとはしませんでした。
+ 召使を呼ぶと、「この女を追い出し、戸を閉めてくれ」と命じ、タマルを放り出しました。当時、未婚の王女は、みな袖のある長服を着ていましたが、
+ 彼女はその服を裂き、頭に灰をかぶり、手を頭に置いて、泣きながら帰って行きました。
+ タマルの実の兄アブシャロムは、妹に問いただしました。「アムノンがおまえを辱しめたというのはほんとうか。落ち着きなさい。身内でのことだから、何も心配することはない。」それでタマルは、兄アブシャロムの住まいでひっそり暮らしていました。
+ 王はこの一件を耳にし、烈火のごとく怒りました。アブシャロムは、このことについてはアムノンに何も言いませんでした。しかし心の中では、妹を辱しめたアムノンに、はらわたが煮えくり返るような思いでした。
+ それから二年が過ぎ、アブシャロムの羊の毛の刈り取りがエフライムのバアル‧ハツォルで行われた時、彼は父と兄弟全員を、刈り取りの祝いに招くことにしました。
+ 王は答えました。「いや、アブシャロム。われわれがみな押しかけたら、おまえに負担がかかりすぎる。」アブシャロムがどんなに勧めても、ダビデは、「気持ちだけをありがたく受け取る」と言って断りました。
+ 「父上においでいただけないのでしたら、名代として、アムノンをよこしてくださいませんか。」「なに、アムノンだと? またどうして、あれを。」
+ しかし、アブシャロムが熱心に頼むので、ついにダビデも承知し、アムノンも含めて、王子全員が顔をそろえることになりました。
+ アブシャロムは従者たちに命じました。「アムノンが酔うまで待つのだ。私が合図したら、あいつを殺せ。恐れるな。私の命令だから、勇気を出して、やり遂げるのだ!」
+ こうしてアムノンは、アブシャロムの従者の手で殺されたのです。驚いたのは、ほかの王子たちです。それぞれらばに飛び乗って逃げ帰りました。彼らがまだエルサレムへ帰り着かないうちに、この知らせがダビデのもとに届きました。「アブシャロム様が、王子たちを皆殺しになさいました。生き残った方は一人もありません!」
+ 王はびっくりして立ち上がり、服を引き裂き、地にひれ伏すようにその場に倒れ込みました。家臣たちも、恐れと悲しみに包まれて服を裂きました。
+ しかしそこへ、王の兄シムアの子ヨナダブが駆けつけて、真相を伝えました。「違います。王子たちがみな殺されたのではありません! 殺されたのはアムノン王子だけです。アブシャロム様は、タマル様のことがあった日から、ずっとこの機会をねらっていたのでしょう。王子たちみなではなく、アムノン王子だけです。」
+ 一方、アブシャロムは逃げました。エルサレムの城壁の上で見張っていた兵たちは、山沿いの道から町へ向かって来る一群を見つけました。
+ ヨナダブは王に言いました。「ごらんください! 王子たちがこちらに向かっておいでになります。今、私が申し上げたとおりです。」
+ 彼らは到着するや、声を上げて泣きました。王も家臣も共に泣きました。
+ 一方アブシャロムは、アミフデの子であるゲシュルの王タルマイのもとに逃げ、そこに三年間とどまっていました。ダビデは、アムノンの死についてしばらく嘆き悲しんでいましたが、ようやくあきらめがついたのか、アブシャロムに会いたいと思うようになりました。
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+ 将軍ヨアブは、アブシャロムに会いたがっている王の気持ちを察しました。
+ そこで、知恵者として評判の高いテコアの女を呼び寄せ、王に会ってもらいたいと頼みました。そして、どういうふうに話せばいいかを指示したのです。「王の前で喪中の女を装うのだ。喪服をまとい、髪を振り乱し、長いこと深い悲しみに打ちひしがれてきたふりをするのだ。」
+ 女は王の前に出ると、床にひれ伏して哀願しました。「王様! どうぞ、お助けください!」
+ 「いったい、どうしたのだ。」「私は夫を亡くした女でございます。息子が二人おりましたが、それが野でけんかをしたのです。だれも仲裁に入ってくれませんで、片方が殺されてしまいました。
+ すると、親類中の者が寄ってたかって、残った息子を引き渡せと申すのです。兄弟を殺したような者は生かしておけないと言います。でも、そんなことになれば跡継ぎが絶えてしまい、夫の名も、この地上から消え去ってしまいます。」
+ 「わかった。任せておきなさい。だれもあなたの息子に手出しできないように取り計らってやろう。」
+ 「ありがとうございます、王様。こうしてお助けくださったことで、もし王様が責めをお受けになるようなことがありましたら、みな私の責任です。」
+ 「そんな心配はいらない。あれこれ言う者がいれば私のもとへ連れて来なさい。二度とあなたに文句が言えないようにさせよう。」
+ 「どうか、神にかけてお誓いください。息子には指一本ふれさせはしない、と。これ以上、血を見るのはたまりません。」「神にかけて誓おう。あなたの息子の髪の毛一本も損なわれはしないと。」
+ 「どうぞ、もう一つだけ、お願いを聞いてください。」「かまわぬ。言ってみなさい。」
+ 「王様、どうして私にお約束くださったことを、神の民全部に当てはめなさらないのですか。ただ今のようなお裁きによるなら、王様は罪ある者にされるのです。と申し上げるのは、追放されたご子息のお戻りを拒んでおられるからです。
+ 私どもはみな、いつかは死ななければなりません。人のいのちは地面にこぼれた水のようなもので、二度と集めることはできません。もし王様が、追放中のご子息をお迎えになる道を講じなさるなら、神様の末長い祝福がありましょう。
+ このはしためが、息子のことでお願いに上がったのも、私と息子のいのちが脅かされていたからです。私は、『きっと王様は訴えを聞き入れ、私どもをイスラエルから消し去ろうとしている者の手から助け出してくださるに違いない。
+ そして安らかな生活を取り戻させてくださるだろう』と思ったのです。王様は神の使いのようなお方で、善悪を正しくお裁きになれると存じています。どうぞ、あなたの神、主があなたとともにおられますように。」
+ 「一つだけ尋ねるが、よいか?」「どうぞ、おっしゃってください。」
+ 「おまえを差し向けたのはヨアブではないか。」「王様。こうなれば、隠しようがありません。仰せのとおり、ヨアブ様が私を遣わし、どう申し上げればよいかまで指示してくださいました。
+ 何とか事態をよくしようと、あの方の取り計らわれたことです。あなたは神の使いのように賢くあられ、また、この地上のすべてのことをご存じでいらっしゃいます。」
+ そこで王はヨアブを呼び寄せ、「わかった。行って、アブシャロムを連れ戻して来なさい」と命じたのです。
+ ヨアブは王の前にひれ伏し、祝福のことばを述べました。「今ようやく、あなたが私に情けをかけていてくださるとわかりました。この願いをお聞き入れくださったからです。」
+ ヨアブはゲシュルの地に駆けつけ、アブシャロムをエルサレムに連れ戻しました。
+ 王は、「アブシャロムを自分の住まいに連れて行きなさい。ここに来させてはならない。私に会うことはならない」と申し渡しました。
+ さて、イスラエル中を探しても、アブシャロムほど男らしく顔立ちのよい人物はいませんでした。また彼ほど、そのことでほめそやされた者もいませんでした。
+ 彼は年に一回、髪を刈りました。髪の重さが二百シェケル(約二‧五キログラム)以上にもなり、そのままでは歩くのさえ難しかったからです。
+ 彼には息子三人と娘一人がいて、娘の名はタマルといい、たいへん美しい少女でした。
+ アブシャロムは、二年間エルサレムにいながら、王には一度も会えませんでした。
+ そこで、ヨアブに仲立ちを頼もうとしましたが、ヨアブは来ようとしません。二度も呼びにやりましたが、それでも来ません。
+ しびれをきらしたアブシャロムは家来に、「私の畑と隣り合わせのヨアブの畑へ行き、大麦に火をつけろ」と命じました。彼らはそのとおりにしました。
+ 驚いたのはヨアブです。飛んで来て、「なぜ、あなたの家来たちは、うちの畑を焼いたりするのです」と抗議しました。
+ アブシャロムは答えました。「実は頼みたいことがあるのだ。父上に尋ねてくれないか。会う気がないなら、どうして私をゲシュルから呼び戻したのか、と。こんなことなら、向こうにいたほうがましだった。とにかく、父上にお会いしたい。そのうえで、もし父上から罪を問われるなら、殺される覚悟はできている。」
+ ヨアブは、アブシャロムのことばを王に伝えました。そのかいあって、ついに王もアブシャロムを呼び寄せました。アブシャロムは王の前に出ると、ひれ伏しました。その彼に、ダビデは口づけをしました。
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+ このあとアブシャロムは、りっぱな戦車とそれを引く馬を買い入れました。さらに、自分を先導する五十人の馬丁を雇いました。
+ 彼は、毎朝早く起きて町の門へ出かけました。王のところへ訴えを持ち込む者を見つけると、そのつど呼び止めて、さも関心があるように訴えを聞くのです。
+ だれに対しても、こんなふうに気をそそるのでした。「この件では、君のほうが正しいようだな。しかし、気の毒だが、王の側には、こういう訴えに耳を貸してくれる者はいないだろう。
+ 私が裁判官だったら、訴えのある人はみな、私のところへ来れるし、もちろん、公平な裁判もできるのだが。」
+ アブシャロムはまた、だれか頭を下げてあいさつする者がいると、決してそのままやり過ごさず、素早く手を差し伸べて握りしめました。
+ こうして、アブシャロムは巧みにイスラエル中の人たちの心をとらえていったのです。
+ それから四年後、アブシャロムは王に願い出ました。「主にいけにえをささげるため、ヘブロンへ行かせてください。ゲシュルにいた時、『もしエルサレムにお帰しくださるなら、いけにえをささげて感謝します』と誓願を立てていたのです。それを果たしたいのです。」
+ 王は、「いいだろう。誓願を果たしに行くがいい」と許可しました。アブシャロムはヘブロンへ発ちました。
+ ところが、ヘブロン滞在中にイスラエル各地に密使を送り、王への反逆をそそのかしたのです。密書には、こう書かれていました。「ラッパが吹き鳴らされたら、アブシャロムがヘブロンで王になったとご承知ください。」
+ アブシャロムはエルサレムを出る時、客として二百人を招待し、同伴して来ていました。もちろん、彼らはアブシャロムのもくろみなど全く知らなかったのです。
+ アブシャロムは、いけにえをささげている間に、ダビデの顧問の一人で、ギロに住むアヒトフェルを呼び寄せました。アヒトフェルは、増え広がる他の賛同者と同様に、アブシャロムを支持すると表明しました。それで、この謀反は非常に大きなものになりました。
+ エルサレムのダビデ王のもとには、すぐに急使が送られました。「全イスラエルがアブシャロムになびいて、謀反を企てています!」
+ ダビデは即座に命じました。「では、すぐに逃げるのだ。早くしないと手遅れになる。アブシャロムが来る前に町から抜け出せば、われわれもエルサレムの町も助かるだろう。」
+ 家臣たちは、「あなたにお従いします。お考えどおりになさってください」と答えました。
+ 王とその家族は、すぐに宮殿から出ました。宮殿には、留守番として十人の若いそばめを残しただけでした。
+ ダビデは町はずれでひと息つき、その間に、あとに従ってガテからついて来た六百人のガテ人と、ケレテ人、ペレテ人の外国人部隊を、先導役として王の前を進ませるようにしました。
+ ところが、だしぬけに、王はガテ人六百人の隊長イタイにこう言ったのです。「どうして、われわれと行動を共にするのだ。部下を連れてエルサレムのあの王のもとにいるほうがよいぞ。君らは亡命中の外国人で、イスラエルには寄留しているだけなのだから。しかも、昨日来たばかりだというではないか。なのに、今日、行く先の定まらぬ放浪の旅に誘い出すには忍びない。部下を連れて戻るがよい。神様の恵みがあるよう祈っている。」
+ 「主に誓って申し上げます。また、あなたのおいのちにかけても誓います。あなたが行かれる所どこであろうと、どんなことが起ころうと、命がけでついて行きます。」
+ 「わかった。そうまで言うなら、ついて来てくれ」こうしてイタイは、六百人とその家族を引き連れて進みました。
+ 王と従者たちがキデロン川を渡り、荒野へ進んで行くのを見て、町中が深い悲しみに包まれました。
+ レビ人とともに神の契約の箱をかついでいたエブヤタルとツァドクは、全員が通り過ぎるまで、箱を道ばたに下ろしました。
+ それから、ダビデの指示に従って、ツァドクは契約の箱を都に戻しました。その時、ダビデはこう言いました。「もし主がよしとされるなら、私をもう一度連れ戻し、神の箱と幕屋を見させてくださるだろう。また、たとえ主から見放されるのであっても、どうか主が最善と思われることをしてくださいますように。」
+ さらに、ツァドクに言いました。「よいか、私に考えがある。あなたの息子アヒマアツとエブヤタルの息子ヨナタンを伴って、急いで都に引き返しなさい。
+ 私はヨルダン川の浅瀬で、知らせを待っている。荒野に身を隠す前に、エルサレムの様子を知りたいのだ。」
+ ツァドクとエブヤタルは、神の箱をエルサレムに持ち帰り、そこにとどまりました。
+ ダビデはオリーブ山への道を登りました。頭を覆い、はだしで、泣きながら悲しみを表したのです。ダビデに従う人々も、頭を覆い、泣き声を上げて山を登りました。
+ 自分の顧問であったアヒトフェルが、事もあろうにアブシャロムに加担している、という情報を得た時、ダビデは、「主よ。どうか、アヒトフェルがアブシャロムに愚かな助言をするよう導いてください」と祈りました。
+ 人々が神を礼拝する場所であるオリーブ山の頂上まで登りきった時、ダビデはアルキ人フシャイに出会いました。彼は服を裂き、頭に土をかぶって、ダビデの到着を心待ちにしていたのです。
+ しかし、ダビデはフシャイに言いました。「あなたがいっしょに来てくれても、重荷になるだけなのだ。エルサレムに帰ってアブシャロムに、『私は、これまでお父上の相談役として仕えてまいりました。これからは、あなたにお仕えします』と言ってくれ。そうすれば、アヒトフェルの助言に反対して、それをぶち壊すことができる。
+ 祭司のツァドクとエブヤタルもエルサレムにいる。私を捕らえようとする計画があったなら、彼らに知らせてくれ。そうすれば、二人の息子たちアヒマアツとヨナタンが、私のもとに、成り行きを知らせてくれることになっている。」
+ それで、ダビデの友フシャイはエルサレムに帰りました。ちょうど同じころ、アブシャロムもエルサレムに着きました。
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+
+ ダビデが山の頂上から少し下ったころ、メフィボシェテ家の執事ともいうべきツィバが、ようやく追いつきました。二頭のろばに、パン二百個、干しぶどう百房、ぶどう百房、それにぶどう酒一たるを積んでいます。
+ 王は、「いったい何のためだ」と尋ねました。「ろばはご家族がお乗りになるため、パンと夏のくだものは若いご家来衆に、ぶどう酒は荒野で弱った方々に召し上がっていただくためです。」
+ 「メフィボシェテはどこにいる。」「エルサレムに残っております。あの方は、『今こそ、王になれる。今日こそ、祖父サウルの王国を取り戻す』と申しておりました。」
+ 「それがかなったら、メフィボシェテのものを全部、おまえに与えよう。」「ありがとうございます、王様。心からお礼申し上げます。」
+ ダビデの一行がバフリムの村を通り過ぎると、一人の男がのろいのことばを浴びせながら出て来ました。男はゲラの息子シムイで、サウル一族の者でした。
+ 彼は王と側近、さらに護衛の勇士のだれかれかまわず、石を投げつけました。
+ 「出て行けっ! この人殺し! 悪党め!」この時とばかり、ダビデをののしります。「よくもサウル王とその家族を殺してくれたな。ざまあ見ろ。罰があたったのだ。王位を盗んだおまえが、今は息子のアブシャロムに王位を奪われた。これが神のおぼしめしというものだ。今度は、おまえが同じ手口で殺されるのだ。」
+ あまりのひどさに、アビシャイが申し出ました。「あの死に犬に、あなたをのろわせておいてよいものでしょうか。あいつの首をはねさせてください。」
+ 「ならぬ! 主が彼にのろわせておられるのだ。どうして止められるだろう。
+ 実の息子が私を殺そうとしているのだぞ。このベニヤミン人は、のろっているだけではないか。放っておきなさい。主がそうさせておられるのだから。
+ おそらく主は、私が不当な扱いを受けていることをご存じで、それに甘んじる私に、あののろいに代えて祝福を下さるだろう。」
+ 一行がなおも進んで行くと、シムイも丘の中腹をダビデと並行して歩き、のろったり、石を投げたり、ちりをばらまいたりしました。
+ 王も従者も全員、くたくたに疲れていました。それで一行はしばらく休息することにしました。
+ その間に、アブシャロムと彼の兵は、エルサレム入城を果たしました。アヒトフェルもいっしょでした。
+ ダビデの友、アルキ人フシャイはエルサレムに戻り、直ちにアブシャロムに謁見を求めて来ると、「王様、ばんざい! 王様、ばんざい!」と叫びました。
+ アブシャロムは尋ねました。「これが、父ダビデに対する態度か。どうして父といっしょに行かなかったのだ。」
+ 「私はただ、主とイスラエルの民によって選ばれたお方に仕えたいのです。
+ かつてはお父上でしたが、これからは、あなたにお仕えします。」
+ 話が決まると、アブシャロムはアヒトフェルに、「さて、これからどうしたものか」と意見を求めました。
+ アヒトフェルは進言しました。「お父上が宮殿の留守番にと残しておかれた、そばめたちがいます。まず、その女たちを訪ねて、いっしょに寝られるのがよろしい。それくらい父君を侮辱すれば、全国民はもう、あなたと父君の仲は致命的で、和解の余地はないと察するでしょう。そうすれば、いっそう民はあなたのもとに一致団結します。」
+ そこで、宮殿の屋上に、だれの目にもそれとわかる天幕(テント)が張られました。アブシャロムはそこへ入って、父のそばめたちと寝たのです。
+ アブシャロムは、かつてダビデがそうしたように、アヒトフェルのことばには何でも従いました。アヒトフェルが語ることはすべて、神の口から直接授けられた知恵のように思われたからです。
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+ 「さて」と、アヒトフェルはことばを続けました。「私に一万二千の兵を任せてください。今夜にも、ダビデ王の追跡に出かけましょう。
+ 疲れて気弱になっているところを襲うのです。彼らは大混乱に陥り、われ先にと逃げ出すことでしょう。その中で王だけを殺します。あとの者たちは生かしておいて、あなたのもとに連れてまいります。」
+ アブシャロムとイスラエルの全長老は、その計画に賛成しました。
+ ところが、アブシャロムは、「アルキ人フシャイの意見も聞いてみよう」と言いだしたのです。
+ フシャイが姿を見せるとアブシャロムは、一応アヒトフェルの考えを伝えたあとで、こう尋ねました。「おまえの意見はどうか。アヒトフェルの言うとおりにすべきだろうか。もし反対なら、はっきり言ってくれ。」
+ 「恐れながら申し上げます。このたびのアヒトフェル殿のお考えには、賛成しかねます。
+ ご承知のように、お父君とその部下たちはりっぱな勇士です。今は、子熊を奪われた母熊のように気が立っておいででしょう。そればかりか、戦いに慣れておられるお父君は、兵卒とともに夜を過ごしたりはなさいますまい。
+ 必ず、どこかのほら穴にでも隠れておいでのはずです。もしそのお父君が襲いかかり、こちらの幾人かが切り倒されでもしたら兵が混乱し、口々に『味方がやられたぞ』と叫びだすでしょう。
+ そうなると、どんなに勇敢な者でも、たとえライオンのように強い勇士でも、ひるむでしょう。何しろ、イスラエルの者はみな、お父君が偉大な勇者であり、その兵士たちも武勇にすぐれていることを知っておりますから。
+ むしろ、こうしてはいかがかと考えます。まず、北はダンから南はベエル‧シェバに至るまでのイスラエル全国から兵を集め、強力な軍をお作りになることです。その大軍を率いて、自ら出陣なさるのがよろしいかと存じます。
+ そして、お父君を見つけしだい、全軍もろとも一気に滅ぼすのです。一人も生かしておいてはなりません。
+ もしどこかの町へ逃げ込んだら、全軍をその町に差し向け、城壁に綱をかけて近くの谷まで引いて行くよう、お命じなさい。そこには、一かけらの石も残りますまい。」
+ アブシャロムをはじめイスラエル人はみな、「フシャイの意見のほうが、アヒトフェルの考えよりすぐれている」と思いました。実は、これはみな、アブシャロムを痛めつけようという、主の意図によるものでした。実際には、退けられたアヒトフェルの進言のほうが、ずっと上策だったのです。
+ フシャイは祭司のツァドクとエブヤタルに、アヒトフェルの思惑と、対案として出した自分の意見を説明しました。
+ 「急げ! ご一行を見つけしだい、今夜はヨルダン川の浅瀬にはとどまらず、直ちに向こう岸へ渡って、荒野へ逃げるようにと勧めてくれ。でなければ、王様も供の者も皆殺しにされるだろう。」
+ ヨナタンとアヒマアツは、エルサレムにいては人目につくので、エン‧ロゲルの地に潜んでいました。ダビデ王に伝える情報は、召使の女の手によって二人に届けられる手はずになっていました。
+ ところが一人の少年が、エン‧ロゲルからダビデのもとに向かう二人を見つけて、アブシャロムに告げてしまったのです。二人はバフリムまで逃げると、ある人に、裏庭の井戸の中にかくまってもらいました。
+ その人の妻は井戸に布をかぶせ、いかにも日に干しているふうに、麦をばらまいてくれたのです。だれ一人、その下に人が隠れていようとは思いませんでした。
+ アブシャロムの家来たちがその家に来て、「アヒマアツとヨナタンを見なかったか」と尋ねました。女は、「川を渡って行きましたよ」と答えました。追っ手はやっきになって捜し回りましたが、見つけることができないまま、エルサレムに引き揚げました。
+ しばらくして井戸からはい出した二人は、ダビデ王のもとへと急ぎました。彼らは、「さあ、お急ぎください。今夜中にヨルダン川を渡るのです」と勧めました。そして、王を捕らえて殺そうという、アヒトフェルの策略を報告しました。
+ そこで王と供の者はみな、夜のうちにヨルダン川を渡り、夜明けまでには、全員が向こう岸に着きました。
+ 一方アヒトフェルは、アブシャロムに進言を退けられたことで、すっかり面目を失い、ろばに乗って郷里へ帰ってしまいました。そして身辺の整理をすると、首をくくって自殺し、彼の父の墓に葬られました。
+ ダビデは、まもなくマハナイムに着きました。その間にアブシャロムはイスラエル全軍を召集し、兵を率いてヨルダン川を渡って来ました。
+ ヨアブに代わる司令官には、アマサが任命されました。アマサはヨアブのまたいとこで、父はイシュマエル人イテラで、母のアビガルは、ヨアブの母ツェルヤの妹ナハシュの娘でした。
+ アブシャロムとイスラエル軍は、ギルアデに陣を敷きました。
+ マハナイムに着いたダビデを温かく迎えたのはアモン人で、ラバ出身のナハシュの息子ショビと、ロ‧デバル出身のアミエルの息子マキル、それに、ログリム出身のギルアデ人バルジライでした。
+ 彼らはダビデ一行のために、寝るためのマット、調理用の土鍋や皿、小麦、大麦、炒り麦、そら豆、レンズ豆、はちみつ、バター、チーズなどを持って来てくれました。彼らは、「荒野をずっと旅して来られて、さぞお疲れでしょう。お腹もすいて、のども渇いておられましょう」とねぎらいました。
+
+
+ さて、ダビデは軍を再編成し、連隊長や中隊長を任命しました。
+ 全軍を三隊に分け、ヨアブと、その兄弟で同じくツェルヤの息子アビシャイと、ガテ人イタイにそれぞれ指揮させました。王は自ら陣頭に立ちたいと考えていましたが、家来たちの猛反対に会いました。
+ 「それは断じてなりません。私たちが逃げ出そうと、半数が死のうと、彼らにはどうでもよいことなのです。目当てはあなたお一人なのですから。あなたは、私たちの一万人にも当たるお方です。ですから今は、この町にとどまって、必要な時に助けてくださればよろしいのです。」
+ ついに王も、「わかった。言うとおりにしよう」とうなずきました。王は町の門に立って、全軍が出陣するのを見送りました。
+ 王はヨアブ、アビシャイ、イタイに、「私に免じて、あの若いアブシャロムには、手ごころを加えてやってくれ」と命じました。全兵士は、王が指揮官たちにそう命じるのを聞いていました。
+ こうして、戦いはエフライムの森で始まったのです。
+ イスラエル軍はダビデ軍に撃退され、ばたばたと兵士が倒れて、その日のうちに、なんと二万人がいのちを落としました。
+ 戦いはこの地方一帯に広がり、殺された者よりも、森で行方不明になった者のほうが、はるかに多い有様でした。
+ 戦いの最中、アブシャロムは幾人かのダビデ軍兵士に出くわしました。らばに乗って逃げていたアブシャロムは、大きな樫の木の枝が覆いかぶさる下を通り抜ける時、髪を枝に引っかけてしまいました。らばはそのまま行ってしまい、アブシャロムだけが宙づりになったのです。
+ ダビデの兵士の一人がそれを見て、ヨアブに知らせました。
+ ヨアブは、「な、なんだと! やつを見つけて、どうして殺さなかったのだ。たくさんの褒美を取らせ、将校にでも取り立ててやったのに」と言いました。
+ 「どれほどご褒美が頂けましょうとも、そんなことはごめんです。私たちはみな、王様が指揮官のお三方に、『私に免じて、若いアブシャロムに手を下すのだけはやめてくれ』とお頼みになったのを聞いたのですから。
+ それに、もし私が命令に背いて王子様を殺したとして、そのことが王様に知れた場合、将軍、あなた様が真っ先に私を非難なさるのではありませんか?」
+ 「たわごとを言うな!」こう言い捨てると、ヨアブは三本の槍を取り、宙づりになったまま息も絶え絶えになっていたアブシャロムの心臓を突き刺しました。
+ ヨアブ直属の若いよろい持ち十人も、アブシャロムを取り囲み、とどめを刺しました。
+ ヨアブはラッパを吹き鳴らし、イスラエル軍追撃をやめて、兵を引き揚げました。
+ 人々はアブシャロムの死体を森の深い穴に投げ込み、石を山のように積み上げました。イスラエル軍兵士は、てんでに自分たちの天幕に逃げ帰っていました。
+ 生前アブシャロムは、「私には跡取りの息子がいないから」と言って、王の谷に自分の記念碑を建てていました。彼が、「アブシャロムの記念碑」と名づけたそれは、今も残っています。
+ ツァドクの子アヒマアツが申し出ました。「この吉報を王様にお伝えする役目を、ぜひとも私に仰せつけください。主が敵アブシャロムの手から救い出してくださったのですから。」
+ 「いかんいかん。王子が死んだことなど、良い知らせとは言えない。おまえには、また別の機会に働いてもらおう。」
+ こう言うと、ヨアブは一人のクシュ人に命じました。「さあ、行ってくれ。見たとおりを王様にお知らせするのだ。」男はヨアブに一礼すると、すぐに走りだしました。
+ それでも、アヒマアツはあきらめません。「どうか、私も行かせてください」と、必死にヨアブにすがります。「困ったやつだな。今は、おまえの出る幕ではないのだ。もう何も王にお知らせすることはない。」
+ 「わかっております。しかし、とにかく行かせてほしいのです。」あまりの熱心さに、ついにヨアブも、「まあ、よい。そんなに行きたければ行くがいい」と折れました。するとアヒマアツは、平原を通り抜けて近回りをし、先のクシュ人よりも先に着いたのです。
+ ダビデは町の門のところに腰かけていました。見張りが城壁のてっぺんのやぐらに上ると、ただ一人で駆けて来る男の姿が目に入りました。
+ このことを大声で告げるとダビデは、「一人か。それなら、きっと良い知らせだ」と叫びました。しかし、第一の使者のあとから少し間をおいて、
+ もう一人の男が走って来るのを、見張りは確認しました。「もう一人、やってまいります。」彼は大声で叫びました。「うん、それも吉報に違いない。」王はうなずきました。
+ 「最初に来るのは、ツァドクの息子アヒマアツのようです。」「あれはいいやつだ。悪い知らせなど持って来るはずがない。」
+ アヒマアツは、「万事首尾よくまいりました!」と叫ぶと、王の前にひれ伏し、さらにことばを続けました。「主はすばらしいお方です。王様をお守りくださいました。反逆者どもは一網打尽です。」
+ 「それで、アブシャロムはどうした。無事なのか。」「ヨアブ将軍からこの使いをことづかりました際、何か騒ぎがあったようで叫び声を耳にしましたが、くわしいことは知りません。」
+ 「よかろう。ここで待っておれ。」アヒマアツは、わきに退きました。
+ するとクシュ人が到着し、「王様、吉報でございます! 本日、主は、すべての謀反人どもからあなたをお救いくださいました」と報告しました。
+ 「それで無事なのか!? 息子のアブシャロムは。」「あなたに敵する者に、あの方の姿はよい見せしめとなりました。」
+ すると王の目から涙があふれ、彼は門の屋上に上り、そこで泣き叫びました。「ああ、アブシャロムよ。わが子、アブシャロム! こんなことなら、私が代わって死ねばよかった。ああ、アブシャロム。ああ、わが子よ!」
+
+
+ 王がアブシャロムのために悲嘆にくれているという知らせが、やがてヨアブのもとにも届きました。
+ 王が息子のために嘆き悲しんでいると知って、その日の勝利の喜びはどこかに消え、みな深い悲しみに包まれました。
+ 兵士たちは、まるで負け戦のようにすごすごと町へ引き揚げました。
+ 王は手で顔を覆い、「ああ、アブシャロム! ああ、アブシャロム、息子よ、息子よ!」と泣き叫んでいます。
+ ヨアブは王の部屋を訪ね、こう言いました。「私たちは今日、あなたのおいのちをはじめ、王子様や王女様、奥方様や側室方のおいのちをお救い申し上げました。それなのに、あなたは嘆き悲しんでおられるばかりで、まるで私たちが悪いことでもしたかのようです。兵たちは全く恥をかかされました。
+ あなたは、ご自分を憎む者を愛し、ご自分を愛する者を憎んでおられるようです。あなたにとって私たちなど、取るに足りない者なのでしょう。はっきりわかりました。もしアブシャロム様が生き残り、私たちがみな死んでいましたら、さぞかし満足なさったのでしょう。
+ さあ、今、外に出て、兵士に勝利を祝ってやってください。主に誓って申し上げます。そうなさいませんなら、今夜、すべての者があなたから離れていくでしょう。それこそ、ご生涯で最悪の事態となるかもしれません。」
+ そこで王は出て行き、町の門のところに座りました。このことが町中に知れ渡ると、人々は続々と王のもとに集まって来ました。
+ 一方、イスラエルのそこかしこで、議論がふっとうしていました。「どうして、ダビデ王にお帰りいただく話をしないのか。ダビデ王は、われわれを宿敵ペリシテ人から救い出してくださったお方だ。せっかく王として立てたアブシャロム様は、ダビデ王を追って野に出たが、あえなく戦死なさった。さあ、拝み倒してでもダビデ王に帰っていただき、もう一度、王位についていただこうではないか。」どこでも、こんな話でもちきりでした。
+ そこでダビデは、祭司のツァドクとエブヤタルを使いに出し、ユダの長老たちに伝えさせました。「どうして、王の復帰をまだためらうのか。民はすっかりその気でいるのだ。ためらっているのはあなたたちだけだ。もともと、あなたたちは私の兄弟、同族、まさに骨肉そのものではないか。」
+ また、アマサにも伝えました。「甥のあなたに、決して悪いようにはしない。ヨアブを退けても、あなたを司令官にしよう。もしこれが果たせないなら、私は神に打たれてもよい。」
+ そこでアマサは、ユダの指導者たちを説得しました。彼らは説得に応じ、口をそろえて王に、「どうぞ、ご家来衆ともどもお戻りください」と言ってきました。
+ こうして、ダビデはエルサレムへの帰途につき、ヨルダン川にさしかかると、ユダ中の人々が王をギルガルまで出迎えたかのような人出となり、川越えを手伝おうとしました。
+ ベニヤミン人ゲラの子でバフリム出身のシムイも、王を迎えようと駆けつけました。
+ 彼のあとには、ベニヤミン人が千人ほどついて来ていましたが、その中に、かつてサウル王に仕えたツィバとその十五人の息子、二十人の召使もいました。彼らは王の来る前にヨルダン川に着こうと、息せき切って来たのです。
+ 彼らは王の一家と兵たちを渡し舟に乗せ、一生懸命その川越えを手伝いました。王が渡り終えた時、シムイは前にひれ伏し、すがるように弁解しました。
+ 「王様、何とぞお赦しください。エルサレムから落ち延びられたあなたに、取り返しもつかないほどの悪いことをしてしまいましたが、どうか水に流してください。
+ 大それた罪を犯してしまったと、重々反省しております。それで、今日、ヨセフ族の中でも、一番乗りしてあなたをお迎えに上がろうとまいりました。」
+ すると、アビシャイがさえぎりました。「おまえは死なずにすまされないだろう。主に選ばれた王をののしったのだから。」
+ ダビデは止めました。「そんなことばは控えなさい。今日は処罰の日ではなく、祝宴の日だ。私がもう一度、イスラエルの王に返り咲いたのだから。」
+ それからシムイに、「おまえのいのちを取ろうとは思っていない」と誓って言いました。
+ さらに、サウルの孫メフィボシェテが、王を迎えようとエルサレムからやって来ました。彼は王がエルサレムを逃れた日以来、足も着物も洗わず、ひげもそらずに過ごしていたのです。王は、「メフィボシェテ、どうしていっしょに来てくれなかったのだ」と尋ねました。
+ 「王様、あのツィバが欺いたのでございます。私はツィバに、『王について行きたい。私のろばに鞍を置け』と命じました。ご承知のように、私は足が思うようになりませんもので。
+ ところがツィバは、さも同行を拒んでいるかのように、私のことをあなたに中傷したのです。しかし、王様は神の使いのような方です。お心のままにご処置ください。
+ 私も親族もみな、死刑の宣告を受けて当然の身でしたのに、あなたはこのしもべに、あなたの食卓で食事する栄誉をお与えくださいました。このうえ、何を申し上げることがありましょう。」
+ 「わかった。ではこうするとしよう。おまえとツィバとで、領地を二分するがよい。」
+ 「どうぞ、全部ツィバにやってください。私は、あなたに無事お戻りいただけただけで本望でございます。」
+ 王とその軍がマハナイムに滞在していた時、一行の面倒をよく見たバルジライが、ヨルダン川を渡る王の案内を務めようと、ログリムからやって来ました。八十歳になろうという老人でしたが、非常に裕福に暮らしていました。
+ 王はバルジライに請いました。「いっしょに来て、エルサレムで暮らさないか。ぜひお世話したいと思うのだが。」
+ 「とんでもございません。私はもう、あまりにも年をとりすぎております。
+ 八十にもなって、余命いくばくもございません。ごちそうやぶどう酒の味もわからなくなっており、余興も楽しくはありません。足手まといになるばかりです。
+ ただ、ごいっしょに川を渡らせていただければと思いまして。これほど名誉なことはありません。
+ そうしたら戻ります。両親の墓のある故郷で死にたいのです。で、ここに控えておりますのがキムハムと申しますが、これにお供をさせていただけませんか。どうか、私の代わりにあなたの面倒を見させてください。」
+ 「それはよい。キムハムとやらを連れて行こう。ご恩返しのつもりであなたの言うとおりにしよう。」
+ こうして、全員が王とともにヨルダン川を渡り終えました。ダビデから祝福の口づけを受けると、バルジライは家路につきました。
+ 王はキムハムを伴ってギルガルへ向かいました。ユダの大多数とイスラエルの約半数が、ギルガルで王を出迎えました。
+ しかし、イスラエルの人々は、ユダの人々だけが王とその家族の川越えに立ち会ったことに腹を立て、王に抗議したのです。
+ ユダの人々は言い返しました。「どうして、そんなに怒るのだ。王はわれわれの部族のご出身だ。何も文句を言われる筋合いはない。いったい王がどうされたというのだ。特別、われわれを養ってくださったわけでも、贈り物を下さったわけでもない。」
+ しかし、イスラエルの人々は収まりません。「われらイスラエルには十部族もあり、あなたがたの十倍も王に対しては権利を持っているのだ。それなのに、どうして、われらを呼ばなかったのだ。そもそも、今度の王位返り咲きを言いだしたのは、われわれではないか。」こうして言い争いが続き、ユダ側も激しく応酬しました。
+
+
+ その時、ベニヤミン人ビクリの息子でシェバというたちの悪い男が、ラッパを吹き鳴らして大声でわめき始めました。「ダビデなんかくそ食らえだ。さあ、みんな行こう! こんな所でぐずぐずするな。ダビデなんか王ではない。」
+ すると、ユダ族以外のイスラエル人はみなダビデから離反し、シェバの扇動にのって彼に従いました。ユダの人々は、ヨルダン川からエルサレムまで王につき従って行きました。
+ 宮殿に着くと、さっそく王は留守を守らせていた十人のそばめを別棟に移し、軟禁しました。彼女たちの生活は保証されましたが、王が通うことはありませんでした。女たちは死ぬまで、未亡人同様に暮らしました。
+ それから、王はアマサに、三日以内にユダ軍を召集し、その結果を報告するように命じました。
+ アマサはユダの兵士を動員するために出て行きましたが、約束の三日間でそれを果たすことができませんでした。
+ それで、ダビデはアビシャイに指示しました。「あのシェバを放っておくと、アブシャロムより手に負えなくなる。急いで、警護の兵を連れて追いかけるのだ。われわれの手の届かない、城壁のある町に逃げ込まれたら、どうしようもなくなる。」
+ アビシャイはヨアブとともに、ヨアブ配下の精兵とダビデ王直属の護衛兵を率いて、シェバを追いました。
+ ところが、ギブオンにある大きな石のところまで来た時、アマサとばったり出くわしたのです。軍服を着ていたヨアブは、短剣をわきに差していました。彼はあいさつするように駆け寄りながら、そっと短剣のさやを払ったのです。「やあ、元気かね」と、ヨアブは口づけせんばかりに右手でアマサのあごひげをつかみ、引き寄せました。アマサは、ヨアブが左手に短剣を隠し持っているとは知りません。そこで、ヨアブはアマサの下腹を突き刺したのです。とたんに、はらわたが地面に流れ出ました。このひと突きで十分で、アマサは死にました。ヨアブと弟アビシャイは、倒れたアマサを置き去りにしてシェバを追跡しました。
+ ヨアブの部下の一人が、アマサの従者に叫びました。「ダビデ王に味方するなら、ヨアブ様について来い!」
+ 血まみれのアマサが、道の真ん中に転がっていました。やじうまが大ぜい集まって来たので、ヨアブの部下は死体を野へ運び、その上に着物をかけました。
+ 死体が片づけられると、みなはシェバを捕らえようと、ヨアブのあとを追いました。
+ 一方、シェバはイスラエル全部族の間を駆け巡って、ベテ‧マアカにあるアベルの町へ行き、自分が属するビクリ氏族に、総決起を呼びかけました。
+ しかし、追いついたヨアブ軍は町を包囲し、城壁に向かってとりでを築きました。城壁を打ち壊そうというのです。
+ その時、町の中から、一人の賢い女が呼びかけました。「もし、ヨアブ様、ちょっとここまでおいでください。お話し申し上げたいことがございます。」
+ ヨアブが近づいて行くと、女は、「ヨアブ様ですね」と念を押しました。「いかにも、私がヨアブだ。」
+ 「実は、昔から『物事に決着をつけたければ、アベルの人に聞け』と申すのでございます。いつも、私どものお勧めすることが理にかなっているようでしてね。
+ 私どもの町は、昔から平和を愛し、イスラエルに忠誠を尽くしてまいりました。今、この町を攻めるおつもりですとか。どうして、この神様の町を滅ぼそうとなさるのですか。」
+ 「そんなつもりでは決してない。
+ われわれの目当ては、エフライム山地出身のシェバという男だけだ。その男はダビデ王に背いたのだ。彼さえ引き渡してもらえれば、穏やかに引き揚げよう。」「かしこまりました。その男の首を城壁の上から投げ落としましょう。」
+ 女はさっそく、賢明にも、この考えどおり住民を動かしました。人々はシェバの首をはね、ヨアブのところに投げ落としたのです。ヨアブはラッパを吹き鳴らして兵を呼び戻し、エルサレムの王のもとへ引き揚げました。
+ ところでこの時、ヨアブはイスラエル全軍の長、ベナヤは王の護衛長、
+ アドラムは労務長官、ヨシャパテは史書編纂者、
+ シェワは書記、ツァドクとエブヤタルは祭司長でした。
+ ヤイル人イラは王直属の祭司でした。
+
+
+ ダビデの治世に、大ききんが三年も続きました。そのため、ダビデが特別に時間をかけて祈ったところ、主は答えました。「ききんの原因はサウルとその一族の罪にある。彼らがギブオン人を殺したからだ。」
+ そこで、ダビデはギブオン人を呼び寄せました。ギブオン人はエモリ人の末裔で、イスラエルには属していませんでしたが、イスラエル人は彼らを殺さないという誓約を立てていたのです。にもかかわらず、サウルは熱烈な愛国心から、彼らの一掃を図ったのでした。
+ ダビデは尋ねました。「あの罪を償いたいのだ。そしてあなたがたには、われわれのために神の祝福をとりなしてもらいたい。それには、いったいどうすればよいだろうか。」
+ 「なるほど。ただ、金銀で決着のつく問題ではありません。しかしまた、私たちとしても、復讐のためにイスラエル人を殺すようなこともしたくありません。」「では、どうすればいいのか。遠慮なく言ってくれ。そのとおりにしたいのだ。」
+ 「では申し上げます。血まなこになって私たちを滅ぼそうとしたサウルの子、七人をお渡しください。彼らをサウルの町ギブアで、主の前にさらし者にします。」「わかった。そうするとしよう。」
+ ダビデは、サウルの孫、ヨナタンの息子メフィボシェテのいのちは助けました。ヨナタンとの間に誓いを立てていたからです。
+ 結局、ギブオン人に引き渡したのは、サウルのそばめリツパの息子アルモニとメフィボシェテの二人と、アデリエルの妻となった、サウルの娘メラブが産んだ五人でした。
+ ギブオンの人々は七人を山で刺し殺し、主の前にさらし者にしました。処刑が行われたのは、大麦の刈り入れの始まるころでした。
+ 処刑された二人の息子の母リツパは、岩の上に荒布を敷き、刈り入れの期間中ずっと〔四月から十月までの六か月間〕、そこに座っていました。昼は昼で、はげたかが二人の死体をついばむことがないように、夜は夜で、死体を食い荒らす野獣から守るため見張っていたのです。
+ リツパのこの姿に心を打たれたダビデは、
+ その者たちの骨を、サウルの父キシュの墓に葬るよう取り計らいました。同時に、ヤベシュ‧ギルアデから、サウルとヨナタンの骨を持って来ました。ギルボア山の戦いで倒れたサウルとヨナタンを、ペリシテ人がベテ‧シャンの広場でさらし者にした時、あとでその遺体を盗み出したのがヤベシュ‧ギルアデの人々でした。二人の骨はダビデのもとへ運ばれ、葬られました。その時、神は祈りを聞き、ききんを終わらせたのです。
+ ある日、ペリシテ人が戦いをしかけて来ました。ダビデは家臣を率いて応戦しましたが、激しい戦闘に、ダビデは弱り果てていました。
+ その時、穂先の重さだけでも三百シェケル(約三‧五キログラム)の槍をかつぎ、新しいよろいを着たイシュビ‧ベノブという大男が、ダビデを殺そうと近づいて来ました。
+ しかし、ツェルヤの子アビシャイがダビデを助け、そのペリシテ人を打ち殺しました。こんなことがあってから、家臣たちは口々に勧めました。「王様、二度と戦いにはお出になりませんように。イスラエルのともしびを吹き消すような危険は冒せません。」
+ そののち、ゴブでのペリシテ人との戦いでは、フシャ人シベカイがもう一人の大男サフを討ち取りました。
+ 同じ場所での別の戦いで、エルハナンはガテ人ゴリヤテの兄弟ラフミを倒しました。ラフミの槍の柄は、はた織機の巻き棒のように太いものでした。
+ また、ガテでペリシテ人とイスラエル人とが戦った時、両手足が六本指の大男が、イスラエルをあざけったことがありました。するとその男を、ダビデの甥に当たる、ダビデの兄弟シムアの子ヨナタンが倒しました。
+ 以上の四人はガテの巨人族の子孫で、ダビデの家臣たちの手にかかって殺されたのです。
+
+
+ 主がサウルや他のあらゆる敵から救い出してくださった時、ダビデは主に歌いました。
+ 「主は私の岩、私のとりで、私の救い主。
+ 私はそのうちに隠れよう。神こそ私の岩、隠れ家、私の盾、救い、逃れ場となるやぐら。すべての敵から救い出してくださった方に感謝しよう。
+ 私はこのお方にすがろう。主には賛美がふさわしい。すべての敵から救い出してくださるお方だから。
+ 死の波が私を取り巻き、悪の洪水が私に襲いかかった。
+ 私は罠にかかり、死とよみに縛られた。
+ 苦しみの中で主を呼び求めると、主は神殿でその叫びを聞かれた。私の叫びがお耳に届いた。
+ すると、地が揺れ動いた。天の基もおののき震える。主はお怒りになったのだ。
+ 噴煙がその鼻から立ちのぼり、火が口からほとばしり出てあらゆるものをなめ尽くし、全世界を火だるまにした。
+ 主は天を押し曲げて、地に降りて来られ、黒雲に乗って進まれた。
+ 主は栄光の御使いの背に乗り、風の翼に乗って来られた。
+ 暗闇が主を取り囲み、厚い雲がたれ込めても、
+ 地は主の輝きで、まばゆいばかりにきらめいた。
+ 主は天から雷鳴をとどろかせ、すべての神々にまさる方の雄叫びが響き渡った。
+ 主はいなずまの矢を放って敵をかき乱された。
+ その息吹によって海は真っ二つに裂け、海の底が現れた。
+ 主は御手を差し伸べて大水の中から救い上げてくださった。
+ 強敵から、憎む者から、とても太刀打ちできない者たちの手から、主は私を救い出してくださった。
+ 災いの日に、彼らは襲いかかって来た。しかし、救い主が私の味方だ。
+ 主は私を救い出し、鎖をといてくださった。私を喜びとされたからだ。
+ 私が正しかったから、手を汚さなかったから、報いてくださったのだ。
+ 私は主から離れなかった。
+ 主のおきてを心に刻み、ひたすら守り通した。
+ 主への完全な従順と罪との訣別。
+ それが豊かな報いにつながった。主は私の正しさときよさを知っておられる。
+ あなたは恵み深い者には恵み深く、非の打ちどころのない者には非の打ちどころなく現れてくださる方。
+ あなたは、きよい者にはご自身のきよさを示し、汚れた者には滅びをもたらされる方。
+ あなたは悩みのうちにある者を救い、高慢な者の鼻をへし折られる。あなたの目は一挙一動を見逃さない。
+ ああ主よ。あなたは私のともしび。目の前の暗闇を照らし出される。
+ あなたの力を受けて、私は敵を破り、あなたの勢いを借りて城壁を飛び越える。
+ 神の道は完全、主のことばは真実。主は、すべて身を寄せる者の盾。
+ 主をおいてほかに神はなく、主のほかには救い主はいない。
+ 神こそ強固なとりで。そこで私は安全に守られる。
+ 神は岩場に立つ鹿のように正しい者の歩みをしっかり支えてくださる。
+ 戦いのために私を鍛え、青銅の弓を引く力を養ってくださる。
+ あなたの救いの盾は私のものとなり、あなたの慈愛は私を強くする。
+ 足を踏みはずしたりしないようあなたは私の歩幅を広げてくださった。
+ 私は敵を追って、壊滅するまで手をゆるめなかった。
+ 手ひどく打撃を被った彼らは二度と立ち上がれず、私の足もとにうずくまる。
+ あなたは戦う力を私に与え、すべての敵を征服させてくださった。
+ また、背を見せて逃げまどう敵を私は残らず滅ぼした。
+ 呼べども叫べども、彼らを助ける者はない。神に叫び求めても、何の答えもなかった。
+ 私は彼らをちりのように払いのけ、道ばたのどろを落とすように粉々に蹴散らした。
+ あなたは私を、反逆からも守ってくださった。また、諸国民のかしらとして揺るぎない地位を保たせてくださった。外国人も私に仕えるようになる。
+ 私の権勢を耳にした外国人はたちまち従う。
+ まるで何かにつかれたように、震えおののきながら隠れ家から出て来る。
+ 主は生きておられる。すばらしい岩。私の救いの岩、主をほめたたえよ。
+ 敵を滅ぼしてくださる神をほめたたえよ。
+ 敵から助け出してくださる神をほめたたえよ。確かに、彼らの手の届かない所で私は守られ、彼らの暴虐からも救われている。
+ ああ主よ。国々の中でどうして感謝しないでいられましょう。お名前をほめ歌わずにいられましょう。
+ 主はすばらしい救いを王に示し、油注がれたダビデとその子孫とにあわれみをかけてくださる。とこしえまでも。」
+
+
+ これは、ダビデの最後のことばです。「エッサイの子ダビデは告げる。ダビデ、神からすばらしい勝利と祝福を授けられた者。ダビデ、ヤコブの神から油を注がれた(特別に選ばれた)者。ダビデ、イスラエルの麗しい詩人。
+ 主の霊は私を通して語られた。主のことばは私の舌にあった。
+ イスラエルの岩である方が私に語られた。『正しく治める者、神を恐れて治める者が来る。
+ その人は、朝の光のよう、雲一つない朝焼けのようだ。地に萌え出た若草に降り注ぐ雨上がりの陽光のようだ。』
+ まことに、神がわが家系をお選びくださった。神は永遠の契約を、私と結んでくださった。その約束は揺るがず、最後まで守られる。神は常に、私の安全と成功を心にかけてくださる。
+ しかし、神に背を向ける者は、いばらのように投げ捨てられる。
+ 彼らは武装した者に切り捨てられ、火で焼かれる。」
+ ダビデ軍の中で最強の英雄三人の名を挙げるなら、筆頭はハクモニの子ヤショブアムで、一度の戦いで八百人を倒した勇士です。
+ 次は、ドドの子でアホアハ人のエルアザルです。彼も三勇士の一人で、ほかの者が逃げ出した時も、ダビデとともに踏みとどまってペリシテ人と戦いました。
+ 彼は次々にペリシテ人を打ち倒し、ついに手が疲れて、剣を握ることもできないほどでした。主は彼に輝かしい勝利を授けました。残りの兵士が引き返して来た時には、戦利品を集めるばかりになっていたのです。
+ 三人目は、ハラル出身のアゲの子シャマです。ペリシテ人が攻めて来た時、部下は彼を放って逃げ出しましたが、ただ一人レンズ豆畑の真ん中に踏みとどまって、敵を打ち倒したのです。こうして、主は大勝利をもたらしました。
+ ダビデがアドラムのほら穴に潜み、攻め寄せるペリシテ人がレファイムの谷に陣取っていた時のことです。ちょうど刈り入れのころ、イスラエル軍の精鋭三十人の中から、この三人がダビデのもとを訪ねて来ました。
+ 当時、ダビデは要害に立てこもっていました。ペリシテ人の略奪隊がベツレヘム一帯を占領していたからです。
+ そんなダビデの口をついて出るのは、いつも、「ああ、のどが渇いた。ベツレヘムの井戸のうまい水が飲みたい」ということばでした。その井戸は町の門のわきにありました。
+ そこで三人の勇士は、ペリシテ人の陣営を突き破って井戸へ行き、くんで来た水をダビデに差し出しました。しかしダビデは、とてもその水を飲む気にはなれず、主にささげて注いだのです。
+ ダビデは言いました。「主よ。どうしてこの水を飲めましょう。いのちをかけた人々の血ですから。」
+ この三人のほかに、ツェルヤの子ヨアブの兄弟アビシャイも、非常に評判の高い人物でした。単身、三百人の敵を相手にして倒したこともありました。その武勲により、三勇士に負けないほどの名声を上げました。彼はイスラエル軍の幹部将校三十人の中では最もすぐれ、彼らのリーダーでした。
+ このほか、エホヤダの子でベナヤというカブツェエル出身の勇士もいました。ベナヤは、モアブの豪傑二人を倒しました。ある時は、つるつるに凍った雪道にもかかわらず、ほら穴に下りて行き、中にいたライオンを殺しました。
+ またある時は、杖一本で、槍を手にしたエジプト人戦士に立ち向かって倒しました。相手の手から槍をもぎ取って突き殺したのです。
+ これらの手柄で、ベナヤは三勇士のように有名になりました。
+ 彼は、あの三勇士には及びませんでしたが、三十人の中で非常に評判の高い一人でした。ダビデは彼を護衛長に任じました。
+ ヨアブの兄弟アサエルも、三十人の一人でした。そのほかの顔ぶれは次のとおりです。ベツレヘム出身で、ドドの子エルハナン。ハロデ出身のシャマ。ハロデ出身のエリカ。ペレテ出身のヘレツ。テコア出身で、イケシュの子イラ。アナトテ出身のアビエゼル。フシャ出身のメブナイ。アホアハ出身のツァルモン。ネトファ出身のマフライ。ネトファ出身で、バアナの子ヘレブ。ギブア出身で、ベニヤミン部族リバイの子イタイ。ピルアトン出身のベナヤ。ガアシュの谷出身のヒダイ。アラバ出身のアビ‧アルボン。バルフム出身のアズマベテ。シャアルビム出身のエルヤフバ。ヤシェンの子たち。ヨナタン。ハラル出身のシャマ。アラル出身で、シャラルの子アヒアム。マアカ出身で、アハスバイの子エリフェレテ。ギロ出身で、アヒトフェルの子エリアム。カルメル出身のヘツライ。アラブ出身のパアライ。ツォバ出身で、ナタンの子イグアル。ガド出身のバニ。アモン出身のツェレク。ツェルヤの子ヨアブのよろい持ちで、ベエロテ出身のナフライ。エテル出身のイラ。エテル出身のガレブ。ヘテ人ウリヤ。以上合わせて三十七人です。
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+ さて、主が再びイスラエルに怒りを燃やすようなことが持ち上がりました。ダビデはどうしたことか、人口調査をして国民を煩わせる思いに駆られたのです。主はその思いをそのままにしました。
+ 王は、側近で軍の司令官であるヨアブに命じました。「わが国の北から南まで、くまなく全住民を登録させなさい。どれほどの国民をかかえているか知りたいからだ。」
+ ヨアブは答えました。「どうか、あなたの長らえます間に、主が現在の人口の百倍にも増やしてくださいますように。それにしても、王様がわざわざ国勢を誇示なさるには及ばないと存じますが。」
+ しかし、ヨアブの忠告も王のたっての願いには勝てず、ヨアブをはじめとする将校たちは、国の人口調査に出かけることになりました。
+ 一行はまずヨルダン川を渡り、ガドの谷の真ん中にある町の南方、ヤウゼルに近いアロエルに野営しました。
+ それからタフティム‧ホデシの地とギルアデを巡り、さらにダン‧ヤアンに進んで、シドンの方に回りました。
+ その後ツロの要塞に行き、ヒビ人やカナン人の町をすべて行き巡り、ユダの南に広がるネゲブをベエル‧シェバまで下りました。
+ こうして、九か月と二十日かかって、全国を行き巡り、この任務を終えたのです。
+ ヨアブは登録人数を王に報告しました。その結果、徴兵人口は、イスラエルで八十万、ユダで五十万とわかりました。
+ ところが、人口調査を終えたあと、ダビデの良心は痛み始めました。彼は主に祈りました。「私はとんでもない過ちを犯してしまいました。どうか、私の愚かなふるまいをお見逃しください。」
+ 翌朝、主のことばが預言者ガドにありました。ガドは、ダビデと主との間を取り次いでいた人物です。主はガドに語りました。
+ 「ダビデに告げよ。わたしが示す三つのうち一つを選べと。」
+ ガドはダビデのもとへ行き、こう尋ねました。「七年間にわたる全国的なききんがよいか、三か月間、敵の前を逃げ回るのがよいか、三日間、疫病に見舞われるのがよいか、一つを選んでください。よくお考えになって、主にどうお答え申し上げるべきかをご指示ください。」
+ ダビデは答えました。「こんな決断を下さなければならないとは、実につらい。だが、人の手に陥るよりは主の手に陥るほうがましだ。主のあわれみは大きいのだから。」
+ すると主は、その朝から、イスラエルに疫病をはやらせました。災いは三日間にわたり、国中で七万人もの死者が出ました。
+ 死の使いがエルサレムに災いの手を伸ばそうとした時、主は事態をあわれんで、主の使いに中止するよう命じました。ちょうど主の使いは、エブス人アラウナの打ち場のそばに立っていました。
+ この時、ダビデは天の使いに目を留め、主にこう言ってすがりました。「お願いです。罪を犯したのは、この私だけなのです。国民に罪はございません。どうか、お怒りを私と私の一家にだけお向けください。」
+ その日、ダビデのもとに来たガドは、「エブス人アラウナの打ち場に行き、そこに主の祭壇を築きなさい」と言いました。
+ ダビデは命じられたとおり出かけました。
+ アラウナは、王と家来の一行が近づいて来るのを見て駆け寄り、顔を地面にこすりつけんばかりにひれ伏しました。
+ 「王様、またどうして、こちらにお越しくださったのでしょう。」「あなたの打ち場を買い取り、主の祭壇を築きたいと思ってだ。そうすれば、この災いも終わらせていただけよう。」
+ 「王様、どうぞ、何でもお気に召すままにお使いください。焼き尽くすいけにえ用の牛もおりますし、祭壇のたきぎの代わりに、どうぞ打穀機や牛のくびきを燃やしてください。
+ 何にでもご用立てください。どうか主が、あなたのささげるいけにえをお受け入れくださいますように。」
+ 「いやいや、ただで受け取るわけにはいかない。ぜひ、売ってもらいたい。何の犠牲も払わず、焼き尽くすいけにえをささげたくはないのだ。」こう言って、ダビデは打ち場と牛とを買い取りました。
+ そして、主のために祭壇を築き、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげたのです。主はダビデの祈りを聞き、疫病の流行はやみました。
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+ 晩年のダビデ王は寝たきりになりました。毛布を何枚かけても体が暖まらないのです。
+ そこで、側近の者が提案しました。「若い娘を、お世話役のそばめとしてはいかがでしょう。添い寝させて、お体を暖めさせるのです。」
+ さっそく、国中くまなく探して、いちばん美しい娘を見つけ出すことになりました。最後にシュネム出身のアビシャグが選ばれ、王のもとへ連れて来られました。王を暖めるため、その腕に抱かれて寝ることになったのです。しかし、王は彼女をそばめにはしませんでした。
+ そのころ、ハギテの子であるアドニヤは、自分こそ老いた父に代わって王位につくべきだと考えて、戦車を買い集め、騎兵を雇い、自分の前を走る五十人の近衛兵をそろえました。
+ 父のダビデ王は、それまで一度も彼をたしなめたことがありませんでした。彼はアブシャロムのすぐ下の弟で、とてもハンサムでした。
+ アドニヤが将軍ヨアブと祭司エブヤタルに思惑を打ち明けると、二人とも賛成しました。
+ しかし、祭司ツァドク、ベナヤ、預言者ナタン、シムイ、レイ、ダビデ軍の勇士たちは、あくまでも王に忠誠を尽くし、アドニヤにくみすることはありませんでした。
+ アドニヤはエン‧ロゲルへ行き、ゾヘレテの石のそばで、羊、牛、太った子やぎをいけにえとしてささげ、それから、即位式の立会人として、自分の兄弟とユダの政府高官を全員招きました。
+ しかし、預言者ナタン、ベナヤ、王の勇士たち、それに、兄弟のうち弟ソロモンだけは招きませんでした。
+ 預言者ナタンはソロモンの母バテ‧シェバに会い、こう勧めました。「ハギテの子アドニヤが王になり、しかも、王様が少しもお気づきでないことをご存じですか。
+ ご自身と、ご子息ソロモン様の無事を願われるなら、これから申し上げるとおりになさってください。
+ すぐに王様のところへ行って、『あなたは私に、ソロモンが次の王になると、お約束になったではありませんか。それなのに、なぜ、アドニヤが王になっているのでしょう』と申し上げるのです。
+ お話の最中に私もまいり、あなたの訴えが事実であることを王に申しましょう。」
+ バテ‧シェバは、言われたとおり王の寝室へ行きました。王は非常に年老いていて、アビシャグが身の回りの世話をしていました。
+ バテ‧シェバがていねいにおじぎをすると、王は、「何の用か」と尋ねました。
+ 「王様に申し上げます。あなたは、主に誓って、わが子ソロモンが次の王になるとおっしゃいました。
+ それなのに、アドニヤが新しい王になっています。しかも、あなたはそれをご存じありません。
+ アドニヤは即位を祝って、牛や太ったやぎや、たくさんの羊をいけにえとしてささげ、王のお子様全部と祭司エブヤタル様、それにヨアブ将軍を招きました。けれども、ソロモンだけは招かれませんでした。
+ 今、イスラエル中の者が、アドニヤが後継者として選ばれるかどうか、あなたの決定を待っております。
+ 王様がはっきり決着をつけてくださらないと、ソロモンも私も、あなたがお亡くなりになったとたん、謀反人として捕らえられ、処刑されることになるでしょう。」
+ 彼女が話しているうちに、側近の者が来て、「預言者ナタン様がお目どおりを願い出ています」と伝えました。ナタンは王の前に出ると、うやうやしく一礼し、
+ 話を切り出しました。「王様。あなたはアドニヤ様を後継者にお選びになったのでしょうか。
+ 実は今日、あの方は即位の祝いとして、牛や太ったやぎや、たくさんの羊をいけにえとしてささげ、王のお子様方を祝賀会に招かれました。ヨアブ将軍と祭司エブヤタル様も招かれました。一同はあの方の前で飲み食いし、『アドニヤ王、ばんざい!』と叫んだということです。
+ しかし、祭司ツァドク様、ベナヤ様、ソロモン王子、それに私は招かれませんでした。
+ これは、あなたがご承知の上でなされたことでしょうか。あなたはまだ、お子様のうちどなたを次の王にするか仰せではございませんが。」
+ 王は、「バテ‧シェバをここに呼びなさい」と言いました。席をはずしていた彼女は戻って来て、王の前に立ちました。
+ 王は誓って言いました。「私をあらゆる危険から助け出してくださった主は生きておられる。
+ いつかイスラエルの神、主の前でおまえに誓ったとおり、今日、おまえの子ソロモンを王とし、私の王座につかせる。」
+ バテ‧シェバはもう一度うやうやしくおじぎをすると、感きわまって言いました。「ありがとうございます、わが君。どうか、いつまでもおすこやかに。」
+ 「祭司ツァドクと預言者ナタン、それにベナヤをここに呼びなさい。」王は続けて言いました。三人が前に出ると、
+ 王はこう命じました。「ソロモンと私の家来とをギホンへ連れて行きなさい。ソロモンは私の雌らばに乗せて。
+ 祭司ツァドクと預言者ナタンは、そこでソロモンに油を注ぎ、イスラエルの王とするのだ。それからラッパを吹き鳴らし、『ソロモン王、ばんざい!』と叫びなさい。
+ ソロモンが戻りしだい、新しい王として王座につけよう。私はソロモンを、イスラエルとユダの王に任じる。」
+ ベナヤが答えました。「アーメン! 神様をほめたたえます。
+ 主があなたとともにおられたように、ソロモン様ともおられますように。ソロモン王を、あなた以上に偉大な王としてくださいますように!」
+ こうして、祭司ツァドク、預言者ナタン、ベナヤ、王の家臣たちは、ソロモンを王の雌らばに乗せてギホンに向かいました。
+ ギホンに着くと、ツァドクは天幕から神聖な油を取り出し、ソロモンの頭に注ぎました。ラッパが吹き鳴らされ、人々はみな、「ソロモン王、ばんざい!」と叫びました。
+ 彼らはソロモンのあとに従ってエルサレムへ帰って来ましたが、その道中は喜び祝う歌声に満ちあふれました。
+ 一方、アドニヤと招待客はちょうど食事を終えたところでした。何やら外が騒がしいので、ヨアブがいぶかしげに言いました。「いったい何事だ。何の騒ぎだ?」
+ そのことばが終わらないうちに、祭司エブヤタルの子ヨナタンが駆け込んで来たので、アドニヤは言いました。「入りなさい。おまえは勇敢な者だから、良い知らせを持って来たに違いない。」
+ ヨナタンは答えました。「わが君、ダビデ王は、ソロモン様が次の王だと発表しました!
+ しかも、ソロモン様をご自分の雌らばに乗せ、ギホンへ行かせたのです。祭司ツァドク、預言者ナタン、それにベナヤが同行し、王の護衛隊が警護に当たりました。ツァドクとナタンは、ソロモン様の頭に油を注いで、新しい王にしました。一行が戻って来たので、町中が喜びにわきかえっています。あの騒がしい物音をお聞きください。
+ ソロモン様はすでに王座におつきです。国民はこぞってダビデ王に、『どうか神様が、あなたを豊かに祝福してくださった以上に、ソロモン様を祝福してくださるように。ソロモン王を、あなた以上に栄えさせてくださるように』とお祝いを申し上げています。王は床についたまま、人々の祝福のことばを受けておいでです。
+ しかも、『私が生きているうちに、息子の一人を選んで、王座につけてくださったイスラエルの神、主を心からほめたたえる』と言っておられるとか。」
+ これを聞いて、アドニヤと招待客は飛び上がらんばかりに驚き、狼狽しました。この先、自分たちがどうなるかわかったものではありません。客たちは恐ろしくなって、逃げ帰りました。アドニヤは幕屋に駆け込み、祭壇の角にしがみつきました。
+ アドニヤが聖所に入って、命乞いをしていることが報告されると、
+ ソロモンは言いました。「もし彼が潔くふるまうなら、危害は加えまい。しかし、そうでなければいのちはない。」
+ ソロモン王はアドニヤを呼びにやり、祭壇から下ろさせました。彼が王の前に来て恐れかしこんで礼をすると、王は、「家へ帰るがよい」とあっさり言って去らせました。
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+ 死期が近づいたことを悟ったダビデは、息子のソロモンに次のように言い含めました。
+ 「私はもうすぐ、だれもが行くべき所へ行く。あなたは、たくましく、りっぱな後継者になってほしい。あなたを信じている。
+ 主の教えを守り、いつも主にお従いするのだ。モーセの律法にあるおきての一つ一つを守りなさい。そうすれば、どんなことをしても、どこへ行っても祝福される。
+ また、あなたの子孫たちが正しく歩み、主に忠誠を尽くすなら、イスラエルの王位は一族の間で継承され、ダビデ王朝は絶えないという約束を主は果たしてくださる。
+ さあ、よく聞きなさい。あなたは、ヨアブが私の二人の将軍、アブネルとアマサを虐殺したことを知っているだろう。戦いの最中で、しかたなくそうしたと言っているが、実は平和な時に起こっているのだ。
+ あなたは利口者だから、どうしたらいいかわかるだろう。彼を安らかに死なせてはならない。
+ しかし、ギルアデ人バルジライの子らには親切にし、いつも王の食卓で食事をさせてやりなさい。彼らは、私があなたの兄アブシャロムから逃げた時、親身に世話をしてくれたからだ。
+ また、バフリム出身のベニヤミン人、ゲラの子シムイのことを覚えているだろう。私がマハナイムに落ち延びた時、激しく私をのろった男だ。それでも、私を迎えにヨルダン川まで下って来たものだから、いのちだけは助けると約束してやった。
+ しかし、そのような約束はあなたにかかわりのないことだ。あなたなら、どうすればあの男にむごたらしい死を遂げさせられるかわかっているだろう。」
+ こうしてダビデは死に、エルサレムに葬られました。
+ 彼は四十年間イスラエルを治めましたが、そのうち七年はヘブロンで、あとの三十三年はエルサレムで治めました。
+ ソロモンが父ダビデに代わって王となり、王国はますます栄えていました。
+ ある日、ハギテの子アドニヤが、ソロモン王の母バテ‧シェバにお目どおりを願い出ました。「私を困らせるために、おいでになったのですか」と、バテ‧シェバは尋ねました。「とんでもありません。
+ 実は、折り入ってお願いがあるのです。」「いったい何でしょう。」
+ 「私にとって、今まではすべてがうまくいっておりました。王国は私のものになるはずでしたし、だれもが、次の王になるのは私だと思っておりました。ところが形勢は逆転し、すべて弟のものとなりました。そうなることを、主が望んでおられたからです。
+ そこで今、ほんのちょっとしたことをお願いしたいのです。どうか、お聞き届けください。」「それはまた、どんな願いですか。」
+ 「どうか、ソロモン王にお願いしてください。あなた様のお口添えがあれば、王はかなえてくださるはずです。実は、シュネムの女アビシャグを妻に欲しいのです。」
+ 「わかりました。お願いしてみましょう。」
+ そこでバテ‧シェバは、ソロモン王に頼みに出かけました。王は彼女が入って行くと、王座から立ち上がり、深く一礼しました。それから、自分の右に席を設けるように命じ、彼女をそこに座らせました。
+ 「小さなお願いがあります。ぜひ、聞き届けてください。」「母上、どんなことでしょう。何なりと伺いましょう。」
+ 「あなたの兄アドニヤとアビシャグの結婚を許してほしいのです。」
+ 「何ですって? 気がおかしくなられたのですか。アビシャグをアドニヤに与えるとは、王国を与えたも同然ではありませんか。彼は私の兄です。そんなことをしたら、彼は祭司エブヤタルや将軍ヨアブと組んで、私を出し抜くに違いありません。」
+ 王は激しく怒り、「反逆を企てたアドニヤをこの日のうちに始末しなかったら、主が私を打ち殺してくださるように。父上の王座を私に与え、約束どおり王国を確立してくださった神にかけて誓う」と言いました。
+ そして、王からアドニヤを処刑する役を言いつかったベナヤは、剣でアドニヤを殺しました。
+ それから王は、祭司エブヤタルに命じました。「アナトテの実家に帰りなさい。あなたも殺されて当然だが、今は、そうしたくない。父が王位にあった時、あなたはいつも主の箱をかつぎ、父と苦難を共にしてきたからだ。」
+ こうして、エブヤタルは祭司職を罷免されました。シロでエリの子孫に下った主の宣告が、このようにして実現したのです。
+ ヨアブは、アブシャロムの反乱には加担しませんでしたが、アドニヤの反乱には手を貸したので、彼はアドニヤが殺されたと聞くと主の幕屋に逃げ込み、祭壇の角にしがみつきました。
+ 報告を受けた王は、ベナヤにヨアブの処刑を命じました。
+ ベナヤは幕屋に入り、「王が、出て来るようにと仰せだ」と声をかけました。ヨアブは、「いやだ。ここで死なせてくれ」と言って応じません。ベナヤは帰って、王に指示を仰ぎました。
+ 「では、彼が言うとおりにせよ。祭壇のそばでヨアブを殺し、葬るがよい。こうして、ヨアブの殺人の罪を、私と父の家から取り除くのだ。
+ 彼よりりっぱな二人の人物を殺した責任は、すべて彼にある。父上は、イスラエルの将軍アブネルと、ユダの将軍アマサの死には、全くかかわりがなかった。
+ ヨアブとその子孫は、この殺人の罪を永久に負わなければならない。どうか主が、ダビデとその子孫には、この二人の死についていっさい責任がないことを明らかにしてくださるように。」
+ ベナヤは幕屋に引き返してヨアブを打ち殺し、荒野にある彼の家の近くに葬りました。
+ 王はベナヤを軍の司令官に任命し、また、ツァドクをエブヤタルに代わる祭司としました。
+ さらに、シムイを呼び寄せて、こう申し渡しました。「このエルサレムに家を建てて住み、町の外へは一歩も出てはならない。町を出てキデロン川を渡ったら、いのちはないものと思いなさい。それでおまえが死んでも、責任は負わない。」
+ 「よくわかりました。おっしゃるとおりにいたします。」シムイは、言われたとおりエルサレムに住みつきました。
+ ところが、それから三年後、シムイの奴隷が二人、ガテの王アキシュのもとへ逃亡したのです。そのことを聞くと、
+ シムイはすぐろばに鞍をつけ、アキシュ王に会おうとガテへ向かいました。奴隷は見つかり、エルサレムへ連れ戻されました。
+ シムイがエルサレムを離れてガテに行き、また戻って来たことは、ソロモン王の耳にも入りました。
+ そこで、すぐにシムイを呼び出し、問いただしました。「主にかけて、エルサレムを離れるな、さもないと死ぬことになると言っておいたはずだ。あの時おまえは、『よくわかりました。そのとおりにいたします』と答えた。
+ それなのに、なぜ命令に背いたのだ。
+ 私の父にどんな悪事を働いたか、間違っても忘れてはいないはずだ。主がおまえに復讐してくださるように。
+ そして、この私を祝福し、ダビデの子孫をいつまでもこの王座につけてくださるように。」
+ ベナヤは王の命令で、シムイを連れ出して打ち殺しました。こうして、ソロモンの支配は揺るぎないものとなっていったのです。
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+ ソロモン王はエジプトの王(ファラオ)と同盟を結び、ファラオの娘と結婚しました。彼女をエルサレムに連れて来て、宮殿と神殿と町の城壁を建て終わるまで、ダビデの町に住まわせました。
+ そのころ、まだ神殿がなかったので、イスラエルの民は高台の祭壇でいけにえをささげていました。
+ ソロモンは主を愛し、父ダビデの教えすべてに従っていましたが、一つだけ例外は、高台でいけにえをささげ、香をたいていることでした。
+ ギブオンの丘の祭壇が最も有名で、王はそこへ出かけ、一千頭もの焼き尽くすいけにえをささげました。
+ するとその夜、神が夢のうちに現れ、「何なりと望むものを求めよ。そうすれば与えよう」と、ソロモンに語りました。
+ ソロモンは答えました。「あなたは父に、とてもよくしてくださいました。それと申しますのも、父が正直で、いつも主に忠誠を尽くし、心からご命令にお従いしたからです。あなたはまた、王位を継ぐ子を授けるという祝福を父にお与えになりました。
+ わが神、主よ。あなたは父に代わって、この私を王としてくださいました。ところが、私は右も左もわきまえない、小さな子どもと同じです。
+ しかも、あなたが自らお選びになった民の指導者として立てられました。この民はあまりにも多くて、とても数えきれません。
+ どうか、民を正しく治め、善悪をはっきり見分けるために、すぐれた判断力と聞き分ける心とをお与えください。いったいだれが、自分の力でこれほどの重い責任を果たせるでしょう。」
+ ソロモンが知恵を願い求めたので、主はことのほか喜びました。
+ そこで、こう答えました。「あなたは民を正しく治める知恵を求め、長生きすることや財産、または敵に勝つことを願わなかった。
+ したがって、望んだものを与えよう。しかも、ずば抜けた知恵を。
+ また、望まなかった財産と名誉も与えよう。あなたが生きている間、財産と名声であなたにかなう者はだれもいないだろう。
+ それだけでなく、あなたの父ダビデのようにわたしのおきてを守り、わたしに従うなら、末長く生かそう。」
+ ソロモンは、ここではっと目が覚めました。なんと、それは夢だったのです。ソロモンはエルサレムに帰ると、さっそく幕屋に入って契約の箱の前に立ち、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。そしてすべての家臣たちを招き、盛大な祝宴を開いたのです。
+ それからしばらくして、二人の遊女がもめ事を解決してもらおうと、王のところへやって来ました。
+ 一人がこう訴えました。「王様、私たちは二人で同じ屋根の下に暮らしています。最近、私は子どもを産みました。三日後に、この女も産みました。
+ ところが夜中に、この女の子どもは死んだのです。寝ているうちに、この女が自分の子どもの上になり窒息させたのです。
+ するとこの女は、私の子を取って自分のそばに寝かせ、死んだ子を私の腕に抱かせたのです。
+ 朝、お乳を飲ませようとすると、子どもが死んでいるではありませんか! しかも、明るくなってからよく見ると、私の子ではないのです。」
+ もう一人の女が口をはさみました。「うそよ。死んだのは、間違いなくこの女の子どもで、生きているのが私の子です。」「違うわ。死んだ赤ちゃんがあんたので、生きているのが私の子よ。」先の女も、負けずに言い返します。こうして二人は王の前で言い争いました。
+ そこで、王が中に入りました。「おまえたちは二人とも、生きているのが自分の子で、死んだのは相手の子だと言い張っている。
+ だれか、刀を持って来なさい。」刀を受け取った王は、こう言いました。「生きている赤ん坊を真っ二つにして、半分ずつ分けてやりなさい。」
+ すると、その赤ん坊のほんとうの母親は、その子を愛していたので、大声で叫びました。「王様、おやめください! だったら、いっそその子をあの女にやってください。どうか、殺さないでください!」ところがもう一人は、平気な顔で言い放ちました。「けっこうよ。真っ二つにでも何でもして、私のものでも、この女のものでもないようにしてください。」
+ これを聞いた王は言いました。「その子を、殺さないでくれと言った女に渡しなさい。その女こそ、ほんとうの母親だ。」
+ 王のこの裁きのことは、たちまち国中に知れ渡るところとなりました。民はみな、神がソロモンにすばらしい知恵を与えたことを知って、王を畏れ敬うようになりました。
+
+
+ 以下は、ソロモン王の閣僚名簿です。ツァドクの子アザルヤは祭司。シシャの子のエリホレフとアヒヤは書記。アヒルデの子ヨシャパテは記録作成と古文書保管の長官。エホヤダの子ベナヤは軍の最高司令官。ツァドクとエブヤタルは祭司。ナタンの子アザルヤは国務長官。ナタンの子ザブデは宮廷付き祭司で、王の相談役。アヒシャルは宮内長官。アブダの子アドニラムは労務長官。
+ そのほか、ソロモンの宮廷には、各部族から一人ずつ選ばれた十二人の行政官がいて、各人が一年に一か月ずつ、王家のために交替で食糧の調達に当たりました。
+ その十二人の名は次のとおりです。エフライムの山地を受け持つのはベン‧フル。マカツ、シャアルビム、ベテ‧シェメシュ、エロン‧ベテ‧ハナンを受け持つベン‧デケル。ソコとヘフェルの全地とを含むアルボテを受け持つベン‧ヘセデ。ソロモン王の娘タファテの夫で、ドルの高地を受け持つベン‧アビナダブ。タナク、メギド、イズレエルの下手にあるツァレタンに近いベテ‧シェアンの全土、ベテ‧シェアンからアベル‧メホラを越えてヨクモアムまでの全地域を受け持つ、アヒルデの子のバアナ。ギルアデにある、マナセの子ヤイルの村落を含むラモテ‧ギルアデと、青銅の門のある城壁に囲まれた六十の町を含むバシャンのアルゴブ地方を受け持つベン‧ゲベル。マハナイムを受け持つイドの子アヒナダブ。これもソロモン王の娘バセマテの夫で、ナフタリを受け持つアヒマアツ。アシェルとベアロテを受け持つフシャイの子バアナ。イッサカルを受け持つパルアハの子ヨシャパテ。ベニヤミンを受け持つエラの子シムイ。エモリ人のシホン王とバシャンのオグ王との領地を含む、ギルアデを受け持つ、ウリの子ゲベル。この上に長官がいて、彼らとその働きを監督していました。
+ そのころ、イスラエルとユダは人口も増え、裕福な国となっていました。
+ ソロモン王は、ユーフラテス川からペリシテ人の地、さらにエジプトの国境までの地を支配していました。そこに住む人々は、ソロモン王に貢ぎ物を納め、王が生きている間ずっと服従しました。
+ 王宮の一日分の食糧は、小麦粉三十コル(六千九百リットル)、大麦粉六十コル(一万三千八百リットル)、
+ 牛舎で太らせた牛十頭、放牧地で太らせた牛二十頭、羊百頭でした。そのほか、時に応じて、雄鹿、かもしか、子鹿、肥えた鳥などが調理されました。
+ ソロモン王の支配は、ティフサフからガザに至る、ユーフラテス川の西の国々全部に及びました。しかも、この地方全体が平和でした。
+ 王の治世中、ユダとイスラエルの全国民は平和に暮らし、どの家庭も庭つきの家に住みました。
+ 王は、戦車を引く馬四万頭と、騎兵一万二千人を手に入れました。
+ 毎月、行政官たちは、王や宮廷用の食糧、
+ 王室の馬用の大麦とわらを用意しました。
+ 神はソロモン王に、豊かな知恵と理解力、さらに、どんなことにも興味を示す心をお与えになりました。
+ 事実、王の知恵は、どんな学者よりもまさっていたのです。
+ 王は、昔から知られるどんな知者よりも知恵があったので、その名声は周囲のすべての国々に広がりました。
+ 王は三千の格言と、一千五首の歌を作りました。
+ また、動物、鳥、蛇、魚ばかりか、レバノン杉から石垣の割れ目に生えるヒソプに至るまで植物に通じる博学者でした。
+ そのため多くの国々の王が、ソロモン王の助言を聞こうと使者を送って来ました。
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+ ツロの王ヒラムは、かねてから大のダビデ支持者でした。それで、ダビデの子ソロモンがイスラエルの新しい王になったと聞くと、さっそく祝いの使者をソロモンのもとに送りました。
+ ソロモン王は答礼の使者を送り、自分が建てたいと願っている神殿についての計画を打ち明けました。ソロモンは、父ダビデが打ち続く戦争のため神殿を建てることができず、主が平和を与えるのをひたすら待ち望んでいた、とヒラム王に説明しました。
+ そして、こう頼みました。「ようやく今、私の神、主は、イスラエル全土に平和をお与えになりました。もう国内にも国外にも敵はいません。
+ ですから、主のために神殿を建てる計画を進めています。主が父に告げたとおりにしなければならないからです。主は父に、『わたしが王座につかせるあなたの子が、わたしのために神殿を建てる』と告げたのです。
+ どうか、この計画に力を貸してください。木こりを送り、レバノンの山から杉を切り出させてください。私からも人を送り、いっしょに働かせましょう。そちらの人たちには、お望みどおりの賃金を払います。ご存じのように、イスラエルには、あなたの国のように腕ききの木こりがいないのです。」
+ ヒラム王はその申し出を受けて、非常に喜びました。「あのダビデ王に、おびただしいイスラエル民族を治める、知恵に満ちた息子を授けられた主は、ほんとうにすばらしい!」
+ そして、快く承知する旨をソロモンに伝えました。「よくわかりました。材木のことならお任せください。レバノン杉でも糸杉でも、ご用立ていたします。
+ 私どもで、レバノンの山から切り出した丸太を地中海まで運び、それをいかだに組み、海岸づたいにご指定の場所まで運ぶようにします。それからいかだを解き、材木をお渡ししましょう。代金は食糧で払ってください。」
+ こうしてヒラム王は、ソロモン王のために、レバノン杉と糸杉の木材を必要なだけ用立てました。
+ その返礼に、ソロモンはヒラムに宮廷用の食糧として、毎年、小麦二万コル(四百六十万リットル)、上質のオリーブ油二十コル(四千六百リットル)を送りました。
+ このように、主は約束どおりソロモンにすぐれた知恵を与え、ヒラムとソロモンの間には平和協定が結ばれました。
+ ソロモンはイスラエル中から三万人の労働者を集め、
+ 一万人ずつ、一か月交替でレバノンへ行かせたので、彼らは三か月のうち一か月はレバノンに、二か月は家にいることになりました。この仕事の監督に当たったのは労務長官アドニラムでした。
+ ソロモンはさらに、荷を運ぶ者七万人と、山で石を切り出す者八万人を集めました。
+ 現場監督の数は三千三百人に上りました。
+ 石工たちは、ソロモンの命で、神殿の土台用の大きく高価な石を切り出しました。
+ ゲバルから来た人々は、ソロモンとヒラムの送った建築技師を助けて、材木から板を作ったり、神殿用の石材を用意したりしました。
+
+
+ ソロモン王が神殿の建設にかかったのは、即位後四年目の春のことでした。イスラエルの民が奴隷となっていたエジプトを出てから四百八十年後のことです。
+ 神殿は、長さ六十キュビト(二十六‧四メートル)、幅二十キュビト(八‧八メートル)、高さ三十キュビト(十三‧二メートル)。
+ 正面の玄関は、幅二十キュビト、長さ十キュビトで、
+ 全体に小さな窓が取りつけてありました。
+ 神殿の壁の周囲には脇屋が作られました。
+ この脇屋は三階建てで、一階の幅は五キュビト、二階は幅六キュビト、三階は幅七キュビトありました。神殿の壁の外側に段を作り、その上にはりを置いて、脇屋と神殿をつなぎました。こうして、はりを神殿の壁に差し込まないようにしたのです。
+ 神殿を建てるのに使った石は、石切り場で仕上げたものばかりでした。そのため、建築現場では、工事中も槌や斧、そのほかの道具を使う音はいっさい聞こえませんでした。
+ 脇屋の一階に通じる入口は、神殿の右側にありました。二階に上るらせん階段があり、さらに、二階から三階に上るようになっていました。
+ 神殿の完成が近づくと、王は、はりや柱はもちろんのこと、内部を杉材で覆って仕上げました。
+ 先ほど説明したように、神殿の両側に脇屋がありましたが、それは杉材で神殿の壁に固定してありました。脇屋の各階の高さは五キュビトでした。
+ 主は建築中の神殿について、次のようにソロモンに語りました。「わたしが言うとおりにし、わたしの命令を忠実に守るなら、あなたの父ダビデに約束したことを実行しよう。
+ わたしはイスラエルの民とともに住み、決して彼らを捨てない。」
+ そしてついに、ソロモンは神殿を完成しました。
+ 神殿の内部は床から天井まで、レバノン杉の板を張り巡らし、床には糸杉の厚板を使いました。
+ 神殿の一番奥にある長さ二十キュビトの部屋は「至聖所」と呼ばれます。至聖所も、床から天井までレバノン杉の板を張り巡らしました。
+ 神殿の前の部分、すなわち前庭の長さは四十キュビト。
+ 内部の石壁は全部、ひょうたん柄と花模様が浮き彫りにしてある、レバノン杉の板で覆いました。
+ 奥の至聖所には、契約の箱を置きました。
+ 至聖所は長さ二十キュビト、幅二十キュビト、高さ二十キュビトで、壁と天井に純金をかぶせました。至聖所の祭壇もレバノン杉で作り、その祭壇も含め、神殿内部の残りの部分もみな純金をかぶせました。また、至聖所の入口を守るために、金の鎖を渡しました。
+ 至聖所の中に、オリーブ材で作った二つのケルビムの像(天使を象徴する)を置きました。像の高さは十キュビトで、外側に広げた翼はそれぞれ一方の壁に届き、内側に広げた翼は、至聖所の真ん中で触れ合うようになっていました。それぞれの翼は五キュビト。どちらのケルビムも、一方の翼の先からもう一方の翼の先まで十キュビトありました。像はどちらも同じ寸法、同じ形で、共に純金をかぶせてありました。
+ 至聖所もその手前の聖所も、壁にはケルビムの像、なつめやしの木、それに花模様が彫られていました。
+ 至聖所も聖所も床は全部金で覆いました。
+ 至聖所に通じる入口には、正五角形の柱を使いました。
+ 二枚の扉はオリーブ材でできていて、その上にケルビム、なつめやしの木、花模様を浮き彫りにし、金を張りました。
+ それから神殿の入口にも、オリーブ材で四角形の柱を作りました。
+ 糸杉材の二枚の折り戸がついていて、どちらも蝶つがいがついていて折りたためるようになっていました。
+ その表面にはケルビム、なつめやしの木、それに花模様が浮き彫りになっていて、入念に金が張ってありました。
+ 内庭を囲む塀は、切り石を三段重ねた上に、レバノン杉の角材が一段重ねてありました。
+ 神殿の土台がすえられたのは、ソロモン王の即位後四年目の五月で、
+ 建て終わったのは、即位後十一年目の十一月でした。完成まで七年かかったことになります。
+
+
+ それからソロモン王は、十三年かかって宮殿を完成させました。
+ 宮殿の一室に「レバノンの森の間」と呼ばれる、長さ百キュビト(四十四メートル)、幅五十キュビト(二十二メートル)、高さ三十キュビト(十三‧二メートル)の大広間がありました。天井には大きなレバノン杉のはりが、四列の杉材の柱の上に渡してありました。
+ 三方の壁には、一列に五つずつ三列からなる計四十五の窓がありました。
+ どの扉も枠も、四角形の木でできていました。
+ ほかに「柱の間」と呼ばれる、長さ五十キュビト、幅三十キュビトの部屋がありました。その部屋には、ひさしのついた玄関がありました。
+ それから、王が訴訟を聞くための、「玉座の間」とも「裁きの間」とも呼ばれる部屋がありました。ここは、床から天井まで、部屋全体を杉材で張り巡らしてありました。
+ この部屋のうしろにある庭を取り囲むようにして、同じく杉材を張り巡らした、王の住まいがありました。またソロモンは、妻としたエジプト王の娘のために、自分のと同じ大きさの住まいを、宮殿の中に建てました。
+ 建物はすべて寸法どおりに切りそろえられた、大きく高価な石で造られました。
+ 土台の石は八キュビトから十キュビトもありました。
+ 塀に使った大きな石も寸法どおりに切られ、その上にレバノン杉の角材を重ねました。
+ 大庭の周囲の塀にも、三段の大きな切り石を使い、神殿の内庭や玄関のように、その上にレバノン杉の角材を重ねました。
+ ソロモンは、ヒラムという青銅細工の熟練工をツロから呼び寄せました。
+ 彼の父親はツロの鋳造師でしたが、母親がナフタリ族の未亡人だったので、ユダヤ人の血が半分混じっていたのです。このヒラムが、王が求めるあらゆる仕事を行いました。
+ 彼は、高さ十八キュビト、周囲十二キュビトで、中が空洞の二本の青銅の柱を鋳造しました。
+ 柱の上に、青銅で鋳造した柱頭が載せられました。それはゆりの花の形をしていて、二つとも高さ五キュビトでした。その柱頭は、青銅の鎖で編んだ七組の格子細工の網と、網の上を二段に取り巻く四百個の青銅のざくろで飾られていました。ヒラムはこの二本の柱を、神殿の入口に立てました。右側の柱はヤキン(「設立する」の意)、左側の柱はボアズ(「力とともに」の意)という名をつけました。
+ 次にヒラムは、高さ十キュビト、直径五キュビト、円周三十キュビトという青銅の大洗盤を鋳造しました。
+ その縁の下には、回りを取り巻くように、一キュビト(四十四センチメートル)おきに二列の飾り模様がありました。洗盤を鋳造した時に鋳込んだものです。
+ この大洗盤は、三頭ずつ組になって、それぞれ後部を内側にして東西南北を向いた、十二頭の青銅の牛の上に載せられていました。
+ 洗盤の縁は杯の縁のような形をしていて、厚さは一手幅(七‧五センチメートル)あり、容量は二千バテ(約四十六キロリットル)でした。
+ 彼はまた、四個の車輪で移動できる、十六平方メートル、高さ三キュビトの台を十個作りました。それぞれには、正方形の板が枠にはめこまれた台があり、その板の上にライオン、牛、ケルビムの飾りが彫ってあります。ライオンと牛の上下にある枠の表面は花模様で飾ってあります。どの台にも四個の青銅の車輪と青銅の軸がついていて、台の四隅には表面を花模様で飾った、四本の支柱が立っています。
+ この台の上に、口の丸い洗盤が一キュビト出ています。洗盤の深さは一キュビト半で、花模様細工があしらってあります。枠の鏡板は正方形で、円形ではありません。
+ 台には四個の車輪が取りつけてありますが、車輪はどれも高さ一キュビト半で、それぞれ軸にはめてあります。
+ 車輪は戦車の車輪と同じ作りで、車軸や台の部品はみな、青銅で鋳造されていました。
+ 台の四隅にはそれぞれ支柱があり、四本とも台に固定されていました。
+ 台の先端を高さ半キュビトの丸い帯輪が取り巻いていて、帯輪は台の取っ手に固定されていました。このように、全部の部品が台に固定されていました。
+ 帯輪の縁には、ケルビム、ライオン、なつめやしの木が花模様に囲まれて彫られていました。
+ 全部で十個の台は、どれも同じ鋳型で、同じ大きさ、同じ形に作られました。
+ それから、青銅の洗盤を十個作り、台の上に置きました。どの洗盤も直径は四キュビトで、容積は四十バテ(九百二十リットル)ありました。
+ 五個の洗盤は神殿の右側に、他の五個は左側に置きました。また大洗盤は、神殿の右手に当たる東南の隅に置きました。
+ さらにヒラムは、灰つぼと十能と鉢を作りました。こうして彼は、神殿のためにソロモン王が注文したすべての仕事を完成したのです。
+ ヒラムが作ったものを書き出してみましょう。二本の柱――二本の柱の頂に載せる柱頭。柱頭を覆う格子網――格子網に二段に並べられた四百個のざくろ。洗盤と、それを載せて移動できる台、おのおの十個。大洗盤と、それを支える十二頭の牛。灰つぼ。十能。鉢。これらのものはみな青銅製で、スコテとツァレタンとの間のヨルダン川の低地で鋳造されました。
+ 総重量は、あまりにも重いため、ついに量らずじまいでした。
+ 神殿で使う器具や調度はみな、純金で作りました。その中には、祭壇、供えのパンを載せる机、
+ 至聖所に向かい右側に五つ、左側に五つの燭台、花模様、ともしび皿、火ばし、
+ 杯、芯切りばさみ、鉢、さじ、火皿、至聖所に通じる扉の蝶つがい、神殿の入口の扉の蝶つがいがありました。以上はみな純金製です。
+ 神殿の工事が完成した時、ソロモン王は神殿の宝物倉に、父ダビデが主にささげるために取っておいた金、銀、そのほか各種の器具を納めました。
+
+
+ ソロモン王は、イスラエルの部族や氏族の長をみなエルサレムに集めました。契約の箱を、ダビデの町シオンにある幕屋から、神殿に運び入れるためでした。
+ この祝典が挙行されたのは十月の仮庵の祭りの時で、
+ 祭りの間に、祭司たちは契約の箱と、それまで幕屋に置いてあった神聖な器具をすべて神殿に運び入れました。
+ 王とイスラエル国民は契約の箱の前に集まり、数えきれないほどの羊や牛をいけにえとしてささげました。
+ それから祭司たちは、契約の箱を神殿の奥の至聖所に運び、ケルビムの翼の下に安置しました。
+ ケルビムの像は、翼が箱の上に来るように設計されていたので、その翼は箱とかつぎ棒を覆いました。
+ かつぎ棒は長く、先がケルビムの横から突き出ているので、前方の聖所からも見えましたが、外庭からは見えませんでした。現在もそのままです。
+ 箱の中には、二枚の石板しか入っていませんでした。その石板は、主がエジプトを出たイスラエルの民とホレブ山(シナイ山)で契約を結ばれた時、モーセが納めたものです。
+ 祭司たちが至聖所から出て来ると、雲が神殿に満ちました。
+ 主の栄光が神殿に満ちあふれたので、祭司たちは外に出なければなりませんでした。
+ その時、ソロモン王はこう祈りました。「主は、暗闇の中に住むとお語りになりました。そこで主よ。私はあなたの永遠のお住まいとして、地上に美しい家を建てました。」
+ それから、振り向いて民を祝福しました。
+ 「イスラエルの神、主をほめたたえよう。主は、今日このように、父ダビデに約束なさったことを成し遂げてくださった。
+ 主は父にこうお語りになった。『わたしは民をエジプトから連れ出した時からこれまで、神殿を建てる場所を選ぶことはしなかったが、わたしの民の指導者となる一人の者を選んだ。』
+ それが、父ダビデだ。父は、イスラエルの神、主のために神殿を建てたかった。
+ しかし主はそれをお許しにならず、『あなたの志はうれしい。
+ だが、わたしの神殿を建てるのはあなたの息子だ』と言われた。
+ 主は今、お約束を果たしてくださった。私はイスラエルの王として父の跡を継ぎ、こうして、主のために神殿を建て上げることができた。
+ そして、主がエジプトを出た私たちの先祖と結ばれた契約を納めた箱を、神殿の中に置く場所を用意した。」
+ 王は、人々が見守る中で祭壇の前に立ち、両手を天に差し伸べて祈りました。「ああ、イスラエルの神、主。天にも地にも、あなたのようなお方はありません。あなたは、心からお従いしようとする民を愛し、約束を守ってくださるからです。
+ 今日このとおり、あなたのしもべである父ダビデへの約束を実現してくださいました。
+ イスラエルの神、主よ。どうか、父ダビデとの約束をこれからも果たしてください。父の子孫が、父と同じようにお従いし、主の言われるとおりにするなら、その中の一人がいつもイスラエルの王位につくようにしてください。
+ イスラエルの神よ! どうか、この約束もまた果たしてください。
+ それにしても、神様ははたしてこの地上にお住みになるでしょうか。大空も天も、あなたをお入れすることはできません。まして、私が建てたこの神殿などなおのことです。
+ けれども、どうか、このしもべの願いをお聞き届けください。
+ 確かに住むと約束なさったこの場所を、昼も夜も見守ってください。そして、私がこの神殿に向かって祈る時、昼であっても夜であっても、祈りを聞き、それに答えてください。
+ イスラエルの民が、この場所に向かって祈る時、いつでも願いを聞き届けてください。あなたがお住まいになる天で、その願いを聞き、彼らの罪を赦してください。
+ だれかが何か悪いことをして訴えられた時、この神殿の祭壇の前に立ち、自分はそのようなことはしなかったと誓うなら、
+ 天でその訴えを聞き、正しくさばいてください。
+ イスラエルの民が罪を犯したため敵に負かされたとき、もし彼らが反省し、もう一度あなたをあがめるなら、天で彼らの願いを聞き、その罪を赦してください。そして、先祖にお与えになった地に、彼らを連れ帰してください。
+ 彼らの罪が原因で雨が降らないとき、彼らがこの場所に向かって祈り、あなたをあがめるなら、天でその願いを聞き、彼らを赦してください。また、罰を下したあと、正しい道に彼らを引き戻し、あなたがお与えになった地に雨を降らせてください。
+ 農作物の立ち枯れや、いなごや油虫の発生によってききんが起こったり、敵が攻めて来たり、また疫病や災害に襲われたり、そのほか、どんな問題が起こった時でも、
+ もし民が罪を悟り、この神殿に向かって祈るなら、
+ 天で彼らの祈りを聞き、正直に罪を告白した人々を赦し、願いをかなえてください。あなたは、一人一人の心のうちを知っておられるからです。
+ そうすれば、あなたが私たちの先祖にお与えになった地に生きている限り、彼らはいつもあなたを信じ、お従いするようになるでしょう。
+ それから、外国人があなたのすばらしさを聞き、遠い地からはるばる礼拝に来て、この神殿に向かって祈るなら、
+ 天で彼らの祈りを聞き、願いをかなえてください。そうすれば、世界中の人が、あなたの民イスラエルと同じようにあなたの御名を知り、信じてお従いするようになるでしょう。こうして全世界は、これがあなたの神殿であることを知るでしょう。
+ イスラエルの民があなたの命で戦いに遣わされるとき、あなたがお選びになった町エルサレム、私があなたのために建てたこの神殿に向かって祈るなら、
+ 天で彼らの祈りを聞き、彼らを助けてください。
+ 罪を犯さない人間などいませんから、あなたに罪を犯し、あなたのお怒りをこうむって、外国に捕虜として連れて行かれることもあるでしょう。
+ そのようなとき、『私たちが悪かった』と反省して、
+ 心からあなたに立ち返り、あなたが先祖にお与えになった地、あなたがお選びになったエルサレムの町、私が御名のために建てたこの神殿に向かって祈るなら、
+ お住まいである天で彼らの祈りと願いとを聞き、助けの手を差し伸べてください。
+ あなたの民の悪事をみな赦し、彼らを捕らえた者にあわれみの心を起こさせてください。
+ 彼らは、あなたがエジプトから連れ出された大切な民だからです。
+ どうか、御目を開き、御耳を傾けて、彼らの願いを聞き届けてください。ああ主よ。彼らが祈り求める時、いつも願い事をかなえてください。
+ あなたが私たちの先祖をエジプトから連れ出された時、しもべモーセにお告げになったとおり、全世界の民の中からイスラエルを選び出し、特別な民としてくださったからです。」
+ ソロモンは両手を天に伸ばしたまま、ひざまずいて祈っていました。祈り終えると、祭壇の前から立ち上がり、全会衆を大声で祝福しました。
+ 「イスラエルの主をほめたたえます。主は約束どおり、ご自分の民イスラエルに安息をお与えになりました。しもべモーセによって示された、すばらしい約束のすべてが、一つもたがわず実現したのです。
+ どうか、主が先祖たちとともにおられたように、私たちをも見捨てず、共にいてくださいますように。
+ 私たちがすべてのことで主をお喜ばせし、先祖たちにお与えになった教えをみな守ろうという願いを起こさせてください。
+ この祈りを、いつも覚えていてください。こうして、毎日、何かあるたびに、私とイスラエルの全国民を助けてくださいますように。
+ 世界中の国々が、あなたのほかに神はいないことを知るためです。
+ 私の民よ。あなたがたは主の前で、正しく、きよい生活を送らなければなりません。今日のように、いつも主の教えを守らなければなりません。」
+ それから王と民は、主の前にいけにえをささげました。この時ささげた和解のいけにえは、なんと牛二万二千頭、羊とやぎ十二万頭にものぼりました。
+ その日、臨時の計らいとして、王は神殿の前の庭をきよめ、そこで焼き尽くすいけにえと、穀物の供え物、それに和解のいけにえの脂肪をささげました。青銅の祭壇は、おびただしいいけにえを載せるには小さすぎたからです。
+ こうして、祝典は十四日間続き、イスラエル中から人々が集まりました。
+ 祭りのあと、王は人々を家に帰しました。民はみな、主がしもべダビデとその民イスラエルにお示しになった多くの恵みを喜び、王に祝福のことばを述べて、それぞれの天幕に帰って行きました。
+
+
+ ソロモン王が神殿と宮殿、それに前々から建てたいと望んでいた建物をすべて完成させた時、
+ かつてギブオンで現れた主が、再びソロモンに現れて語りました。「わたしはあなたの祈りを聞いた。あなたの建てたこの神殿をいつまでもわたしのものとしよう。いつも喜んでここを見守っていよう。
+ 父ダビデのように、あなたもわたしの前で誠実で、いつもわたしの命じることを守るなら、
+ 父ダビデに、『あなたの子孫が、いつもイスラエルの王座につくようにする』と約束したとおり、あなたの子孫を永遠にイスラエルの王座につかせよう。
+ しかし、もしあなたか、あなたの子孫がわたしに背き、わたしのおきてを捨ててほかの神々を拝むなら、
+ イスラエルの民を、彼らに与えた地から追い払う。また、わたしにささげられた神殿を投げ捨てる。イスラエルは、すべての国々の物笑いとなり、見せしめとなるだろう。
+ この神殿も廃墟と化し、そばを通る者はみな驚いてささやき、『なぜ主は、この地と神殿とをこのようにされたのだろう』と聞くだろう。
+ その時人々は、『イスラエルの民は、エジプトから連れ出していただいた神を捨て、ほかの神々を拝むようになった。だから神はこのような災いを下されたのだ』と言うだろう。」
+ 二十年がかりで、神殿と宮殿を建て終えたソロモン王は、
+ ツロの王ヒラムに、ガリラヤにある二十の町を与えました。ヒラムが建築用のレバノン杉と糸杉の材木や金を提供してくれたお返しでした。ところが、ヒラムは町々を視察して、それが気に入らなかったので、
+ 「いったい何ですか。これでは、まるっきり荒れ地ではないか」と言いました。それで今も、その町々は「カブルの地」(「荒れ果てた地」の意)と呼ばれています。
+ ヒラムはソロモンに、実に百二十タラント(四トン)の金を贈っていたからです。
+ ソロモン王は労働者を集めて、神殿と宮殿のほかにも、ミロの要塞、エルサレムの城壁、ハツォルとメギドとゲゼルの町々を造りました。
+ ゲゼルは、以前エジプトの王が攻め取って焼き払い、そこに住むカナン人を殺した町ですが、のちに、ソロモンの妻となった自分の娘に結婚の贈り物として与えていました。
+ そこでソロモンは、下ベテ‧ホロン、バアラテ、荒野の町タデモルとともに、このゲゼルを再建したのです。
+ 王はまた、穀物倉庫の町を建て、戦車隊や騎兵隊の駐留する町、それに別荘の町をエルサレム近郊やレバノン山麓、その他の地に造りました。
+ ソロモン王は、エモリ人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人など、征服した国々の生き残った者を奴隷として用いました。イスラエル人がこれらの国を征服した時、完全に滅ぼすことができずに生き残った者たちです。
+ しかし、イスラエル人を奴隷にはしませんでした。イスラエル人は、兵士、役人、将校、戦車隊と騎兵隊の長にしました。
+ また、奴隷を監督するイスラエル人が五百五十人いました。
+ ソロモン王は、ファラオの娘をエルサレムの旧市内に当たるダビデの町から、宮殿の中に建てた建物に移した時、ミロの要塞を造りました。
+ 神殿が完成してから、王は年に三度、祭壇に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげ、そこで香をたきました。
+ またソロモン王は、エドムの地の、紅海に面したエラテに近いエツヨン‧ゲベルに造船所を造り、そこで船団を組みました。
+ ヒラム王はこの船団の乗組員を補強するため、熟練した水夫を差し向けました。彼らはオフィルとの間を往復し、四百二十タラント(約十四トン)もの金を、ソロモン王のもとへ運んだのです。
+
+
+ シェバの女王は、ソロモン王が主にすばらしい知恵を授かった人物との名声を聞き、難問をもって彼を試そうと思いました。
+ 女王は、大ぜいの供を率い、香料や金や宝石を積んだ長いらくだの列を従えてエルサレムにやって来て、王を次々と質問攻めにしました。
+ 王はすべての質問に答え、神が正しい答えを下さっていたので、答えられない問題は一つもありませんでした。
+ 女王は、ソロモン王のすぐれた知恵について聞いていたことすべてが事実であると知るのです。また、王が建てた美しい宮殿、
+ 食卓に並んだ山海の珍味、そろいの服装で仕えている大ぜいの家臣や従者、酌をする者、さらに、主にささげられた多くのいけにえを見て、息も止まるばかりでした。
+ 女王はため息まじりに言いました。「あなたの知恵と、手がけられた事業について聞いていたことは、すべてほんとうでした。
+ ここにまいりますまでは、まさかと思っておりましたが、はっきりこの目で確かめることができました。私は、実際の半分も知らされていなかったようです。あなたの知恵と、お国の繁栄ぶりは、聞きしにまさっておりました。
+ 国民は幸せで、宮廷のご家来方は、さぞご満足のことでしょう。いつでもおそばで、あなたのすばらしい知恵のおことばが聞けるのですから。
+ あなたを選び、イスラエルの王位につけてくださった主がほめたたえられますように! あなたのようなお方を王になさった主は、どれほどイスラエルを愛しておられることでしょう。それであなたは、国民のために善政を敷いておられるのです。」
+ 女王は、百二十タラントの金と、非常に多くの香料と宝石を王に贈りました。ソロモン王は、一度でこれほどたくさんの香料を受け取ったことは、今までにありませんでした。
+ ヒラム王の船もオフィルから、金だけでなく、おびただしい量のびゃくだんの木材と宝石を運んで来ました。
+ ソロモン王はびゃくだん材で神殿と宮殿の柱を作り、また、合唱隊のために竪琴や十弦の琴を作りました。こんなりっぱな木材が大量に手に入ったことはかつてありませんでした。
+ シェバの女王からの贈り物と引き替えに、ソロモン王は、あらかじめ用意しておいた贈り物のほかに、女王が求めた物は何でも惜しみなく与えました。すっかり気をよくした女王は、家来を従えて自分の国へ帰って行きました。
+ 毎年、ソロモン王は六百六十六の金を手に入れました。
+ そのほか、アラビヤおよびその隣接地域からの貿易で得た税収や利益も莫大でした。
+ 王は、一個につき六百シェケル(六‧九キログラム)の延べ金を使用した大盾二百を作り、一個につき三ミナ(一‧七キログラム)の金を使用した盾を三百作りました。それらは宮殿の「レバノンの森の間」に置かれました。
+ 王は純金をかぶせた大きな象牙の王座を作りました。
+ 王座には六つの段があり、丸い背とひじかけがついていました。両わきには、一頭ずつライオンが立ち、
+ 六つの段の両側にも二頭ずつ、計十二頭のライオンが立っていました。このような王座は、世界のどこにも見られませんでした。
+ 王の杯と、「レバノンの森の間」にあった王の食器類はすべて金製でした。当時、銀はそれほど価値のあるものと思われていなかったので使われなかったのです。
+ ソロモン王の船団はヒラム王の船団と提携して、三年に一度、多くの金、銀、象牙、猿、くじゃくをイスラエルに運びました。
+ ソロモン王の富と知恵に太刀打ちできる王は、世界に一人もいませんでした。
+ また、神がソロモンに授けた知恵を聞こうと、各国から有力者が来訪し謁見を求めました。
+ 彼らは毎年、銀や金の器、豪華な衣服、没薬、香料、馬、らばなどを携えて来ました。
+ ソロモン王は、たくさんの戦車や騎兵を収容する大兵舎を建てました。戦車は全部で千四百台、騎兵は一万二千人いて、戦車の町々やエルサレムの宮殿内に配備されました。
+ 王はエルサレムで、銀をただの石ころのように用い、レバノン杉も、どこにもあるいちじく桑の木のように大量に用いました。
+ 王の馬は、エジプトや南トルコから、王の代理人が相当の代金を払って買い入れたものです。
+ エジプトからエルサレムに運ばれた戦車の代金は、一台につき銀六百シェケルで、馬は一頭につき銀百五十シェケルでした。これらの輸入品の多くは、ヘテ人やシリヤの王たちに、今度は輸出品として売られたのです。
+
+
+ ソロモン王は、エジプトの王女のほかにも多くの女を妻にしました。その多くは偶像を礼拝していたモアブ、アモン、エドム、シドン、およびヘテ出身の女でした。
+ 主はかねてからご自分の民に、これらの国々の者と結婚してはならないと、はっきり教えていました。それをすれば、イスラエルの男と結婚した外国の女は、彼らの心を自分たちの神々に向かわせるようになるからです。それなのに、王は外国の女たちと結婚したのです。
+ その数、妻が七百人、そばめが三百人で、はたして、彼女たちは王の心を主から離れさせました。
+ 特に王の晩年、彼女たちは、王が父ダビデのように完全に主に信頼することを妨げ、自分たちの神々を拝むように仕向けたのです。
+ 王はシドン人の女神アシュタロテと、アモン人のあの残酷野蛮な神ミルコムに従いました。
+ 王ははっきり悪いとわかっていることを行い、父ダビデのようには、主に従おうとはしていませんでした。
+ 王はまた、モアブ人の邪悪な神ケモシュと、アモン人の嫌悪すべき神モレク(ミルコム)のために、エルサレムの東の谷を越えたオリーブ山の上に礼拝所を建てました。
+ また外国人の妻たちにも、彼女たちがそれぞれの神々に香をたき、いけにえをささげられるように、多くの礼拝所を建ててやりました。
+ それを見て、主は考えを変え、自分から心が離れたソロモン王に怒りを燃やしました。主は二度も彼に現れて、ほかの神々を拝むような罪を犯してはならないと警告したのに、王はもはや主に心を向けなかったのです。
+ そこで主は、彼に宣告しました。「あなたはわたしの契約を破り、わたしの教えを捨てたので、あなたとあなたの一族から王国を奪い取って、ほかの者に与えることにする。
+ だが、あなたの父ダビデに免じて、あなたが生きている間はそうはしない。あなたの息子の代から王国を取り上げる。しかしダビデのために、また、わたしが選んだ町エルサレムのために、あなたの息子を一つの部族だけの王にしよう。」
+ こうして主は、エドム人ハダデが勢力を増すようにしました。ハダデはエドム王家の子孫だったので、ソロモンも神経を使うようになりました。
+ かつて、ダビデがヨアブを連れて、戦死したイスラエル兵を葬りにエドムへ行った時、イスラエル軍がエドムの男子をみな打ち殺しにしたことがありました。
+ 六か月にわたる虐殺の結果、エドムの男子はほとんど死滅しました。当時、まだほんの子どもだったハダデと、彼を連れてエジプトへ逃げた数人の家来だけが難を免れたのです。彼らはこっそりミデヤンを出てパランへ行き、そこでほかの者と合流し、そろってエジプトへ逃れました。エジプトの王(ファラオ)は、彼らに家と食糧をあてがいました。
+ エジプトで、ハダデは王の親友となりました。それで王はハダテに、タフペネス王妃の妹を妻として与えたのです。
+ 彼らは息子のゲヌバテをもうけました。ゲヌバテは、宮殿で王子たちといっしょに育ちました。
+ ハダデは、エジプトでダビデもヨアブも死んだと聞き、エドムに帰る許可をファラオに求めました。
+ ファラオはびっくりし、「なぜ、そんなことを言いだすのだ。何か不満でもあるのか。気に入らないことでもしたか」と聞きました。「違います。ですが、とにかく故国へ帰りたいのです。」
+ 神がソロモンの敵対勢力として起こした人物が、ほかにもいます。レゾンです。彼はツォバの王ハダデエゼルの家来でしたが、持ち場を離れ、遠くへ逃げて身を隠していたのです。
+ レゾンは、ダビデがツォバを滅ぼした時、いっしょにダマスコへ逃げた兵士たちで略奪隊をつくり、その隊長になりました。のちにレゾンはダマスコの王になり、
+ ソロモンの生きている間、レゾンもハダデもイスラエルに敵対しました。二人とも、イスラエルをひどく憎んでいたからです。
+ もう一人の反逆の指導者は、ネバテの子で、エフライムの町ツェレダ出身のヤロブアムです。彼の母ツェルアは未亡人でした。
+ 彼が反逆するに至った事情はこうです。ソロモンはミロの要塞を再建し、父ダビデが建てたエルサレムの城壁を修復しました。ヤロブアムは非常に有能だったので王に認められ、ヨセフ族から駆り出された労働者の監督になりました。
+ ある日、エルサレムを出たヤロブアムは、真新しい服を着た、シロ出身の預言者アヒヤに出会いました。この時、野には彼ら二人しかいませんでした。アヒヤはヤロブアムを呼び寄せ、
+ 自分が着ていた新しい服を十二切れに引き裂いて、
+ こう言ったのです。「このうち十切れを取りなさい。イスラエルの神、主からあなたへのおことばです。『わたしはソロモンの王国を引き裂き、そのうちの十部族をあなたに与える。
+ ただし、わたしのしもべダビデと、イスラエルの町々の中でも特に大切にしているエルサレムのために、ソロモンに一つの部族(ユダとベニヤミン。この二部族は時々一つの部族とみなされた)だけ残す。
+ これもみな、ソロモンがわたしを捨てて、シドン人の女神アシュタロテ、モアブ人の神ケモシュ、アモン人の神ミルコムを拝んでいるからだ。彼はわたしに従わず、わたしが正しいと考えていることを行わなかった。わたしの教えを、父ダビデのようには守らなかった。
+ とはいえ、今すぐ王国を取り上げはしない。命令をよく守ったわたしの選んだしもべダビデに免じて、ソロモンが生きている間は支配者にしておこう。
+ だが、彼の息子からは王国を取り上げ、十部族をあなたのものとする。
+ 彼の息子には一部族を与える。そうすることで、わたしの名を記念するためにわたしが選んだ町エルサレムで、ダビデの子孫が王位につくことになる。
+ わたしはあなたをイスラエルの王とし、王にふさわしい力を授けよう。
+ もし、あなたがわたしの命令を聞き、わたしの道を歩み、わたしが正しいと考えることを行い、わたしのしもべダビデのように命令を守るなら、あなたを祝福しよう。あなたの子孫は、いつまでもイスラエルを治めることになろう。わたしは以前、これと同じ約束をダビデにした。
+ だが、ソロモンが罪を犯したので、ダビデの子孫を苦しめる。しかし、永久にそうするわけではない。』」
+ ソロモンはヤロブアムを殺そうとしましたが、彼はエジプトの王シシャクのもとへ逃れ、ソロモンが死ぬまでエジプトにいました。
+ そのほかの王の言行は、『ソロモンの業績の書』に記されています。
+ ソロモンは四十年間、エルサレムで王位にありました。
+ 死後は、父ダビデの町に葬られ、彼の子レハブアムが代わって王となりました。
+
+
+ レハブアムがシェケムで即位すると、すべてのイスラエル人が即位を祝うために集まりました。
+ ソロモン王を避けてエジプトに逃げていたヤロブアムは、友人たちから計画を聞かされました。彼らはヤロブアムに、即位式に出席するよう勧めたので、彼はシェケムに集まっていたイスラエル人の集団に加わり、レハブアムに要求をつきつける首謀者となりました。ヤロブアムとイスラエル人たちは、レハブアムに言いました。「あなたの父君は、それはひどい主人でした。父君のころより私たちの重労働を軽くし、もっと良い政治をすると約束してください。そうすれば、あなたにお仕えします。」
+ 「わかった。三日間、考えさせてくれ。三日したら、また来るがよい。」レハブアムの返事を聞いて、人々は出て行きました。
+ レハブアムは、父ソロモンの相談相手であった長老たちに相談しました。「いったい、どうしたものか。」
+ 長老たちは答えました。「国民を喜ばせる答えをなさり、負担を軽くしてやることです。彼らに仕える態度をおとりになれば、あなたはいつまでも彼らの王となられましょう。」
+ ところが、レハブアムはその答えが気に入りませんでした。そこで、自分とともに育った若者たちを呼んで相談したのです。
+ 「どうすべきだろう。」
+ すると、若者たちは言いました。「彼らに言ってやればいいのです。『私の父がひどいことをしただと? それなら、私はもっとひどいことをしよう。
+ 父は過酷な取り立てをしたが、私はもっと過酷に取り立てる。父はむちで懲らしめたが、私はさそりを使っておまえたちを痛い目に会わせる』と。」
+ 三日後にまたやって来たヤロブアムとイスラエル人たちに、
+ 新しい王は若者たちが言ったとおり荒々しく答えました。長老たちの助言を無視して、
+ 彼らの要求を蹴ったのです。それは、主がそう仕向けたからです。こうなったのは、いつかシロ出身の預言者アヒヤによってヤロブアムに約束されたことが実現するためでした。
+ 人々は、王が自分たちの意見を聞き入れないのを知ると、大声で言いました。「もう、ダビデ王家に用はない。さあ、国へ帰ろう。レハブアムは自分の部族だけの王になればよいのだ。」イスラエルの民は、レハブアムを王と認めたユダ族を除いて、全員が彼を見限りました。
+ 王はユダ族以外からも労働者を集めようと、監督のアドラムを彼らのもとに派遣しましたが、イスラエル人たちはアドラムに石を投げつけ、打ち殺してしまったのです。それでレハブアム王は、戦車に乗り込み、やっとの思いでエルサレムへ逃げ帰りました。
+ こうしてイスラエルは、今に至るまでダビデ王朝に背くことになりました。
+ イスラエルの民は、ヤロブアムがエジプトから戻ったことを知ると、国民集会に彼を呼んで、彼を王にしました。ユダ族(ベニヤミン族も含む)だけは、ダビデ王家に仕えました。
+ レハブアム王はエルサレムに帰ると、ユダとベニヤミンの部族の体格の良い男子を残らず召集し、十八万の特別攻撃隊を編成しました。その兵力でイスラエルの残りの十部族と戦い、力ずくで自分が王であることを認めさせようとしたのです。
+ すると、預言者シェマヤに、次のような神のことばがありました。
+ 「ユダの王、ソロモンの子レハブアムと、ユダとベニヤミンの全住民とにこう伝えなさい。兄弟であるイスラエルと戦ってはならない。今回の出来事は、わたしの意にかなっているのだから、解散してめいめいの家に帰るように。」彼らは命じられたとおり、家に帰って行きました。
+ 一方ヤロブアムは、エフライムの山地にシェケムの町を再建し、そこを首都にしました。のちに、ペヌエルも再建しました。
+ ヤロブアムは考えました。「気をつけなければいけない。民は、ダビデの子孫を王にしたいと考えるかもしれないから。
+ 神殿でいけにえをささげるためにエルサレムへ行けば、どうしても、ユダの王レハブアムに親しみを覚えるだろう。そうなれば、私を殺し、彼を王にしないとも限らない。」
+ そこでヤロブアムは、家臣の助言を入れて金の子牛を二つ造り、イスラエルの民に通告しました。「わざわざエルサレムまで礼拝に出かけるのは大変なことだ。これからは、この二つの像を、あなたをエジプトから助け出した神としてあがめなさい。」
+ 金の子牛の一つはベテルに、もう一つはダンに置きました。
+ これは偶像礼拝であり、大きな罪でした。
+ ヤロブアムはベテルとダンに礼拝所を建て、祭司階級のレビ族でない者の中から祭司を任命しました。
+ それから自分勝手に、仮庵の祭りを毎年十一月の初めにベテルで行うことにしました。これは、エルサレムでの例祭にならったものです。彼自らベテルの子牛像のために祭壇でいけにえをささげ、香をたきました。ヤロブアムはこのベテルで、礼拝所で仕える祭司を任命しました。
+
+
+ ヤロブアムが香をたこうと祭壇に近づいた時、一人の神の預言者がユダからやって来ました。
+ その預言者は主の命令に従って、声を張り上げて叫びました。「祭壇よ、主のことばを聞け。ダビデの家に、やがてヨシヤという子が生まれる。彼は、ここに香をたきに来る祭司たちをおまえの上に載せ、いけにえとしてささげる。人々の骨がおまえの上で焼かれる。」
+ 預言者は、それが主のことばだという証拠に、「祭壇は裂け、灰が地にこぼれ落ちる」と言いました。
+ 王は真っ赤になって怒り、護衛兵に、「この男を捕まえろ!」と大声で命じ、こぶしを振り上げました。そのとたん、王の手は麻痺して動かなくなり、
+ 同時に祭壇に大きな裂け目ができ、灰がこぼれ出ました。確かに主のことばどおりになったのです。
+ 王は預言者に、「どうか、おまえの神、主にお願いして、私の手を元どおりにしてくれ」と哀願しました。預言者が祈ると、王の手は元どおりになりました。
+ すると、王は預言者に、「宮殿に来て、しばらく休んではどうか。食事を用意しよう。手を治してもらった礼もしたい」と言いました。
+ 預言者は答えました。「たとえ宮殿の半分を下さると言われましても、まいりません。また、ここではパンも水も頂きません。
+ 主が、『何も食べてはならない。水を飲んでもならない。また、もと来た道を通ってユダに帰ってはならない』と、きびしく言われたからです。」
+ それで彼は、ベテルに来た時とは別の道を通って帰って行きました。
+ ところで、ベテルに一人の老預言者が住んでいました。彼の息子たちが家に来て、ユダの預言者のしたこと、ヤロブアム王に語ったことを父に話しました。
+ 老預言者は、「その方はどの道を通って帰ったのか」と尋ね、道を聞きました。
+ それから、「さあ、早くろばに鞍をつけてくれ」と言い、息子たちが言われたとおりにすると、
+ 彼はろばに乗って例の預言者のあとを追い、ついに、その人が樫の木の下に座っているのを見つけました。「もしや、あなたはユダからおいでの預言者ではありませんか?」「はい、そうですが。」
+ 「どうか、私の家においでください。いっしょに食事でもなさいませんか。」
+ 「せっかくですが、お断りします。ベテルで食べたり飲んだりすることは、いっさい禁じられています。主に、そうしてはならない、ときびしく言い渡されているのです。また、もと来た道を通って帰ってはならない、とも命じられています。」
+ 「実は、私もあなたと同じ預言者です。御使いが主のお告げを知らせてくれたのです。あなたを家にお連れし、食事と水を差し上げるようにとのことでした。」こうして、彼はその人をだましました。
+ 預言者は彼の家に行き、そこで食事をし、水を飲んだのです。
+ 二人が食卓についていた時、突然、老預言者に主のことばが臨み、
+ 彼はユダの預言者に大声で言いました。「主は言われる! あなたは命令に背いて、ここへ引き返し、パンを食べ、水を飲んだ。あなたの死体は先祖の墓には葬られない。」
+ 食事がすむと、老預言者はその預言者のろばに鞍をつけたので、
+ 預言者は再び出発しました。しかしその帰途、一頭のライオンに遭遇し、かみ殺されたのです。死体は路上に転がったままで、そばにはろばとライオンが立っていました。そこを通りかかった人々は、そのことをベテルの町に行って話しました。
+ 話を聞いた老預言者は、「それは主の命令に背いた預言者だ。ライオンに殺され、主の警告どおりになったのだ」と言いました。
+ それから、息子たちに、自分のろばに鞍をつけさせました。
+ 行ってみると路上には預言者の死体が転がっており、まだ、そばにライオンが立っていました。不思議なことに、ライオンは死体を食べもせず、ろばを襲ってもいませんでした。
+ そこで老預言者は、死体をろばに載せて自分の町に運び、懇ろに葬りました。
+ 彼は遺体を自分の墓に納め、みんなでその人のために「ああ、わが兄弟!」と言って悼みました。
+ そののち、彼は息子たちに言い残しました。「私が死んだら、あの預言者のそばに埋めてくれ。
+ 主があの人に、ベテルの祭壇に向かって叫ばせたのだ。あの人がサマリヤの町の礼拝所に向かってのろったことばは、必ずそのとおりになる。」
+ しかし、預言者の警告にもかかわらず、ヤロブアム王は悪の道から離れませんでした。それどころか、礼拝所に祭られた偶像にいけにえをささげるため、これまで以上に大ぜいの祭司を一般市民から募集したのです。そのため、だれでも祭司になることができました。
+ これは大きな罪だったので、やがてヤロブアムの王国は滅び、その一族は根絶やしにされることになりました。
+
+
+ ヤロブアム王は息子アビヤが重病になったため、
+ 妻に言いました。「王妃だと気づかれないように変装して、シロの預言者アヒヤのところへ行ってくれ。私が王になると言ってくれた人だ。
+ みやげに、パン十個といちじく菓子、それにはちみつを持って行き、あの子が治るかどうか、聞いてもらいたいのだ。」
+ 王妃は、シロにあるアヒヤの家へ出かけました。アヒヤはもうかなりの年で、目が見えません。
+ しかし主は彼に、「変装した王妃が子どものことで聞きに来る。子どもが重態だからだ」と伝えて、どう返事すべきかを教えました。
+ そこでアヒヤは、戸口に彼女の足音を聞くと、「王妃、お入りください。なぜ、ほかの人のようなふりをしておいでなのか」と声をかけ、次のように言いました。「実は、悲しいお知らせがあります。
+ これはイスラエルの神、主から、王様へのお告げです。『わたしは身分の卑しいあなたを抜擢し、イスラエルの王とした。
+ ダビデの家から王国を引き裂き、あなたのものとした。ところがあなたは、ダビデのようには、わたしの命令を聞かなかった。ダビデはいつも心の底からわたしに従い、わたしの意にかなうことをした。
+ しかしあなたはこれまでのどの王よりも悪く、わたし以外の神々を造り、金の子牛を造って、わたしをひどく怒らせた。このように、わたしの恵みを無視したので、
+ あなたの家に災いを下し、病気の子どもだけでなく、ほかの元気な子どもも全部絶ち滅ぼす。あなたの家族を肥やしのようにすべて葬り去る。
+ 町の中で死ぬ者はみな犬に食われ、野で死ぬ者はみな鳥に食われる。』
+ さあ、家へお帰りなさい。あなたが町に足を一歩踏み入れる時、病気のお子は死にます。
+ イスラエル中の人がその死を悲しみ、手厚く葬ってくれます。けれどもその子は、ご一族で平穏な最期を迎える、ただ一人の者となるでしょう。ヤロブアム家で、その子だけがイスラエルの神、主のお気に召したからです。
+ 主は、イスラエルに一人の王をお立てになります。その王がヤロブアム家を滅ぼします。
+ 主はイスラエルを川面に揺らぐ葦のようにふるい、先祖にお与えになったこの良い地から根こそぎにして、ユーフラテス川の向こうに散らします。偶像の神々を造って、主を怒らせたからです。
+ ヤロブアム王は罪を犯し、しかもイスラエルのすべての民をも巻き添えにしたので、主はイスラエルを捨てられるのです。」
+ 王妃がティルツァに帰り、家の敷居をまたいだとたん、その子どもは死にました。
+ イスラエルのすべての民は、その死を悲しみました。主が預言者アヒヤによって語ったとおりになりました。
+ ヤロブアム王のその他の業績、彼がどう戦い、どう治めたかなどは、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ ヤロブアムは二十二年の間王位にあったのち死に、その子ナダブが跡を継ぎました。
+ その間、ユダでは、ソロモンの子レハブアムが王となって治めていました。彼は四十一歳で王位につき、主がイスラエルのすべての町々の中から、ご自分の住まいとして選んだエルサレムで、十七年間、治めました。レハブアムの母はアモン人で、ナアマといいました。
+ レハブアムが王位にある時、ユダの国民は、イスラエルの民と同じように罪を犯し、主を怒らせました。その罪は、先祖より悪質なものでした。
+ あらゆる高い丘の上や茂った木の下に礼拝所や石柱、偶像を立てたのです。
+ またその地には、同性愛が蔓延していました。ユダの民は、主がイスラエルから追い払われた異教徒のように堕落してしまったのです。
+ レハブアム王の五年目、エジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上って来て、
+ 神殿と宮殿を物色して回り、ソロモンの作った金の盾など、めぼしい財宝をみな奪い取りました。
+ そのため、レハブアム王は青銅で代わりの盾を作り、それを宮殿の護衛兵にあてがいました。
+ 王が神殿に行くたびに、護衛兵はこの盾を持って王の前を進み、また控え室に戻すのです。
+ レハブアム王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ レハブアム王とヤロブアム王との間には、戦争が絶えませんでした。
+ レハブアム王は死んで、先祖たちと同じようにエルサレムに葬られました。彼の母ナアマはアモン人でした。そのあと、息子アビヤムが王となりました。
+
+
+ アビヤムがエルサレムでユダ(南王国)の王となり、その三年間の治世が始まったのは、イスラエル(北王国)でのヤロブアム王の治世第十八年のことです。アビヤムの母マアカはアブシャロムの娘です。
+ アビヤムは、ダビデのようには主の前に正しくなく、父レハブアムに負けないほど大きな罪を犯しました。
+ しかし、その罪にもかかわらず、主はダビデの忠誠心を覚えていて、ダビデ王朝の家系を絶やすようなことはしませんでした。
+ それは、ダビデ王が全生涯を通じて(ヘテ人ウリヤのこと以外は)主に従ったからです。
+ アビヤムが王の間、イスラエルとユダの間には戦争が絶えませんでした。
+ アビヤムのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ アビヤムが死んでエルサレムに葬られると、彼の息子アサが王位につきました。
+ アサは、イスラエルのヤロブアム王の第二十年にエルサレムでユダの王となり、
+ 四十一年の間、治めました。王の祖母マアカはアブシャロムの娘でした。
+ アサ王は先祖ダビデのように、主に喜ばれる生活を送りました。
+ 神殿男娼を追放し、先祖たちが造った偶像をみな取り除きました。
+ 祖母マアカをも、偶像を造った罪で、王母の地位から退けました。アサ王はこの偶像を切り倒し、キデロン川で焼きました。
+ しかし、丘の上の礼拝所だけはそのままになっていました。それが悪いことだと気づかなかったのです。王の心は一生涯、主とともにあり、
+ 祖父が献納した青銅の盾を、自分が献納した金や銀の器とともに神殿の中にいつも飾っていました。
+ ユダの王アサとイスラエルの王バシャとの間には、絶えず戦争がありました。
+ バシャ王は、エルサレムに通じる交易ルートを遮断しようと、ラマに大きな要塞の町を築きました。
+ 困ったアサ王は、神殿や宮殿の宝物倉に残っていた金銀を全部持たせて、ダマスコに住むシリヤの王ベン‧ハダデ(一世)のところへ使いを送りました。
+ 「父同士がそうしたように、同盟を結びましょう。どうか、この贈り物を納めて、すぐさま、イスラエルのバシャとの同盟を破棄し、彼が私に手出しできなくなるようにしてください。」
+ ベン‧ハダデはこの申し入れを受諾し、軍隊をイスラエルの町々に差し向けて、イヨン、ダン、アベル‧ベテ‧マアカ、キネレテ全地方、ナフタリの地のすべての町を滅ぼしました。
+ シリヤ軍襲来の報を受け、あわてたバシャ王は、要塞を建てかけのままにしてティルツァに戻りました。
+ アサ王はユダ全国に布告を出し、健康な男子に、ラマの要塞を壊し、石材や木材を運び出すよう命じました。アサ王はこの石材や木材を使って、ベニヤミンのゲバの町とミツパの町を建てました。
+ アサ王のその他の業績や王の建てた町々の名前については、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。王は年をとってから足の病気にかかりました。
+ 死後エルサレムの王室墓地に葬られ、息子ヨシャパテがユダの新しい王になりました。
+ その間、イスラエルでは、ヤロブアムの子ナダブが王になっていました。彼はユダの王アサが即位して二年後に王となり、在位期間は二年でした。
+ 彼は主の前に悪を行い、父と同じように多くの偶像を拝み、イスラエルを罪に誘い込みました。
+ それで、イッサカル族出身のアヒヤの子バシャが謀反を企て、イスラエル軍を率いて、ペリシテ人の町ギベトンを包囲していた王を暗殺したのです。
+ こうしてバシャが、ユダの王アサの第三年に、ナダブに代わってティルツァでイスラエルの王となりました。
+ バシャは王位につくと、すぐさまヤロブアム王の子孫を根絶やしにしました。主がシロ出身の預言者アヒヤによってお語りになったとおりです。
+ こうなったのもみな、ヤロブアムが罪を犯し、イスラエルを罪に誘って、主を怒らせたからにほかなりません。
+ バシャのことは、『イスラエル諸王の年代記』にくわしく記録されています。
+ ユダの王アサとイスラエルの王バシャとの間には、戦争が絶えませんでした。バシャは二十四年間、イスラエルを治めました。
+ しかし、主には従わず、ヤロブアム王の残した悪の道を歩み、イスラエルの民を偶像礼拝の罪に導いたのです。
+
+
+ そのころ、預言者エフーを通して、バシャ王に主のことばがありました。
+ 「わたしはあなたをちりの中から引き上げてイスラエルの王とした。ところがあなたはヤロブアムの道を歩み、わたしの民に罪を犯させたので、わたしは怒っている。
+ わたしはヤロブアムとその子孫を滅ぼしたように、あなたもあなたの家族も滅ぼす。
+ あなたの家族で、この町の中で死ぬ者は犬に食われ、野で死ぬ者は鳥の餌食になる。」このことばがバシャ王とその家族に伝えられたのは、王が悪事を重ねて、主の怒りを引き起こしたためでした。ヤロブアムの子孫は罪を犯したために滅ぼされたというのに、バシャもまた同じように悪に走ったのです。バシャ王は死んで、ティルツァに葬られました。バシャのその他のことについては、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ バシャの子エラは、ユダの王アサの即位後二十六年目に、ティルツァで王位につきました。しかし、その在位期間はわずか二年でした。
+ 王の戦車隊の半分を指揮する将軍ジムリが謀反を企てたのです。事の次第はこうです。ある日エラ王が、首都ティルツァにある宮内長官アルツァの家でほろ酔いきげんになっていたところ、
+ ジムリが家に入って王に近づいて、いきなり王をなぐり殺したのです。この事件が起こったのは、ユダの王アサの第二十七年のことでした。そのあとジムリは、自分が新しい王だと宣言しました。
+ ジムリは王になると、すぐさまバシャ王の一族、子どもはもちろん遠い親戚や友人までも一人残らず殺してしまったのです。
+ こうして、主が預言者エフーに予告させたことが実現しました。
+ この悲劇が起こったのは、バシャとその子エラがイスラエルを偶像礼拝に走らせ、神の激しい怒りを買ったためです。
+ エラ王の治世中のその他の出来事は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ ジムリの天下は、たった一週間続いただけでした。そのころ、ペリシテ人の町ギベトンを攻撃していたイスラエル軍は、ジムリがエラ王を暗殺したと聞くと、将軍オムリを新しい王とすることに決めました。
+ そこでオムリは、ギベトンにいたイスラエル軍を率いて、イスラエルの首都ティルツァを包囲しました。
+ ジムリは町が攻め取られるのを見ると、宮殿に入って火をつけ、炎に包まれて死にました。
+ こうなったのもみな、彼がヤロブアムのように偶像を拝み、イスラエルの民を偶像礼拝の罪に陥らせたからです。
+ ジムリのその他のことや謀反については、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ そのころイスラエル王国(北王国)は二派に分裂していて、国民の半分はオムリ将軍に忠誠を誓い、残り半分はギナテの子ティブニに従っていました。
+ しかしオムリ将軍が勝ち、ティブニは殺されました。こうして、オムリが反対勢力を除いて君臨することになったのです。
+ オムリは、ユダの王アサの第三十一年にイスラエルの王となり、十二年の間、治めました。そのうちの六年間はティルツァで統治しました。
+ オムリ王は、現在サマリヤとして知られる丘陵地帯を地主のシェメルから銀二タラントで買い取り、町を建てました。町は、元の地主シェメルにちなんで、サマリヤと呼ばれるようになりました。
+ しかし、オムリは前例のないほどの悪王で、
+ ヤロブアムのように偶像を拝み、イスラエルを偶像礼拝の罪に陥らせ、主の激しい怒りを買ったのです。
+ オムリ王のその他の記録は、『イスラエル諸王の年代記』に出ています。
+ 彼は死んでサマリヤに葬られ、息子アハブが王となりました。
+ アハブは、ユダの王アサの第三十八年にイスラエルの王となり、二十二年の間、王位にありました。
+ ところが、アハブ王はイスラエルのすべての王の中でも群を抜いて主の前に悪を行い、その悪名は父オムリ以上でした。
+ しかも、それだけでは足りず、シドン人の王エテバアルの娘イゼベルと結婚し、バアルの偶像を拝みました。
+ サマリヤにバアルの神殿を建て、祭壇を築きました。
+ それから、別の偶像アシェラ像も造りました。こうしてアハブ王は、彼以前のイスラエルのどの王にもまして、主の激しい怒りを招いたのです。
+ アハブ王の時代に、ベテル出身のヒエルはエリコを再建しました。彼は町の基礎工事をしている時に長子アビラムを失い、城門を造って町が完成した時には末子セグブを失いました。これは、ヌンの子ヨシュアによって言われていたように、エリコには主ののろいがあったからです(ヨシュア記6‧26参照)。
+
+
+ ギルアデのティシュベ出身の預言者エリヤは、アハブ王にこう宣告しました。「私がお仕えしているイスラエルの神、主は、確かに生きておられる。私が告げるまで、数年の間、一滴の雨も降らず、露も降りないだろう。」
+ このあと、主はエリヤに言いました。
+ 「ここを去って東に向かい、ヨルダン川の東に合流する、ケリテ川のほとりに隠れなさい。
+ その川の水を飲み、からすが運んで来るものを食べるのだ。食べ物を運ぶよう、からすに命じておいたから。」
+ エリヤは主が言ったとおりに行い、ケリテ川のほとりに住みました。
+ 毎日、朝と夕方の二回、からすがパンと肉を運んで来るようになり、彼はまた、その川の水を飲みました。
+ ところが、この地方のどこにも雨が降らなかったので、しばらくすると川がかれてしまいました。
+ その時、主のことばがありました。「シドンの町に近いツァレファテ村へ行き、そこに住みなさい。その村には、あなたを養ってくれる未亡人がいる。彼女にはわたしが指示を与えておいた。」
+ エリヤが言われるままにツァレファテに行くと、村の入口でたきぎを拾い集めている未亡人に会ったので、水を一杯求めました。
+ 彼女が水をくみに行こうとすると、エリヤは呼び止めて、「それから、パンも少し下さい」と言いました。
+ すると彼女は答えました。「あなたの神、主にお誓いして申します。家には一切れのパンもありません。つぼの底に粉がほんの少しと、ほかにわずかばかりの油が残っているだけです。実は、それで最後の食事を作るため、たきぎを集めていたところなのです。それを食べてしまったら、息子と二人、飢えて死ぬのを待つだけです。」
+ 「心配することはありません。さあ、行って、最後の食事を作りなさい。ただし、まず、私のために小さなパンを焼いてください。そうしたあとも、あなたと息子さんのために十分なパンが焼けるはずです。
+ イスラエルの神、主が、『わたしが雨を降らして、再び作物を実らせる時まで、それらのつぼからは粉も油もなくならない』と約束しておられます。」
+ そこで彼女は、言われたとおりにしました。と、どうでしょう。彼女と彼女の息子とエリヤは、いつまでも粉と油で作ったパンを食べることができたのです。
+ どんなにたくさん使っても、主の約束どおり、それぞれのつぼにはいつも口まで粉と油が詰まっていました。
+ ところがある日、彼女の息子が病気になって死んでしまったのです。
+ 彼女は、「ああ、神の人よ、なんということをしてくださったのですか。あなたは息子を殺して、私の罪を罰するために来られたのですか」と叫びました。
+ エリヤは、「息子さんを私に渡しなさい」と言うと、子どもをかかえて、彼の居間になっている階上の部屋に上がり、ベッドに横たえました。
+ それから、主に祈りました。「ああ、神様。なぜ、私の世話をしてくれた人の子どもを死なせたのですか。」
+ そして三度、子どもの上に身を伏せて、「ああ主よ。どうか、この子を生き返らせてください」と大声で祈りました。
+ 主はエリヤの祈りをお聞きになったので、子どもは生き返りました。
+ エリヤはその子をかかえて階下に降り、母親に渡しました。「ごらんなさい。息子さんは生き返りました」と言うエリヤの顔は、喜びに輝いていました。
+ その女は、エリヤにこう告白しました。「今私は、あなたが預言者であり、あなたのおっしゃることはみな主のおことばであることが、ほんとうにわかりました。」
+
+
+ それから三年後、主はエリヤに、「アハブ王に会って、『やがて雨を降らせる』と伝えよ」と言いました。
+ そのころ、サマリヤはひどいききんに見舞われていたのです。そこでエリヤは、アハブのもとに向かいました。
+ アハブの宮殿の管理を任せられていた、心から神を畏れ敬うオバデヤという人がいました。かつて王妃イゼベルが、預言者を一人残らず殺そうとした時、オバデヤは百人の預言者を助け、五十人ずつほら穴にかくまい、パンと水で養ったことがありました。
+ エリヤがアハブ王に会おうと道を急いでいる時、王はオバデヤに命じました。「国中の川を調べてみよう。私の馬やらばの食糧になる草があるかどうか。私はこちらへ行くから、おまえは向こうを捜すのだ。」
+ こうして、二人は別々の道を進みました。
+ その時オバデヤは、近づいて来るエリヤを見たのです。ひと目でエリヤだとわかったので、彼は地面にひれ伏しました。「エリヤ先生ですね?」
+ 「そうだ。王のところへ行って、私がここにいると伝えてくれないか。」
+ 「エリヤ先生。私がどんな悪いことをしたというので、この私を殺そうとなさるのですか。
+ 王様は、世界中の国をすみずみまで捜し回って、あなたを見つけ出そうとしています。『エリヤは当地にはいない』という報告を受けると、王様は決まってその国の王に、それが真実であると誓わせるのです。
+ ところが、今あなたは、『王のところへ行って、エリヤがここにいると伝えよ』とおっしゃいます。
+ しかし、私があなたから離れたら、すぐ神の霊がだれも知らないところにあなたを連れ去ってしまうでしょう。王様が来てあなたを見つけることができなかったら、私は間違いなく殺されます。私はこれまでずっと、心からイスラエルの主にお仕えしてきました。
+ イゼベル王妃が主の預言者を殺そうとした時、預言者百人を二つのほら穴にかくまい、パンと水を差し上げた私のことはお耳に入りませんでしたか。
+ おっしゃるとおりにしたら、私は殺されます。」
+ 「私は、いつも私が立っている、天の軍勢の主である神の前に誓う。今日、私は必ずアハブ王の前に出るだろう。」
+ そこでオバデヤは、王のところへ行って、エリヤが来たことを知らせました。アハブ王はエリヤに会いに出て来ました。
+ 王は、エリヤを見るなり言いました。「おまえだな。イスラエルに災難をもたらした張本人は。」
+ エリヤは答えました。「災難の張本人はあなたのほうです。あなたもあなたのご一族も、主を捨ててバアルを拝んでいるではありませんか。
+ さあ、イスラエルの民と、イゼベル王妃おかかえのバアルの預言者四百五十人、それにアシェラの預言者四百人をカルメル山に集めてください。」
+ そこでアハブは、民と預言者をカルメル山に召集しました。
+ エリヤは民に、こう語りかけました。「いつまで迷っているのか。イスラエルの主がほんとうの神なら、主に従いなさい。もしバアルが神であれば、バアルに従いなさい。」
+ エリヤは、さらに続けました。「私はただ一人の神の預言者である。ところが、バアルの預言者は四百五十人もいる。
+ さあ、二頭の若い雄牛を引っ張って来なさい。バアルの預言者は、どちらでも好きなほうを選び、切り裂いて、自分たちの祭壇のたきぎの上に載せるがいい。ただし、火はつけてはならない。私も残ったほうの雄牛を同じようにして、主の祭壇のたきぎの上に載せ、火をつけないでおく。
+ それから、あなたたちは自分たちの神に祈れ。私も私の主に祈ろう。祈りに答えて天から火を降らせ、たきぎを燃やしてくださる神こそ、ほんとうの神様である!」民はみな、この提案に賛成しました。
+ エリヤはバアルの預言者に言いました。「あなたたちのほうが大ぜいだから、そっちから始めてほしい。雄牛を一頭いけにえとしてささげ、自分たちの神に祈るのだ。ただし、たきぎに火をつけてはならない。」
+ そこで彼らは、いけにえにする若い雄牛を祭壇に載せ、午前中いっぱい、「ああ、バアル様、私たちの祈りに答えてください!」と叫び続けました。しかし、何の答えもありません。ついには祭壇の回りで踊りだしました。
+ 正午になろうかというころ、エリヤは彼らをあざけって言いました。「もっと大声で叫べ! そんな声では、おまえたちの神には聞こえない。だれかと話し中かもしれないし、取り込み中か、あるいは旅に出ているかもしれない。それとも、ぐっすり寝こんでいて、起こしてやる必要があるかもしれない。」
+ それで彼らはますます大声を張り上げ、いつものように、ナイフや剣で自分の体を傷つけたので、血がたらたらと流れ出ました。
+ こうして騒ぎ立てているうちに、夕方のささげ物をする時が近づきました。しかし、依然として何の答えもありません。
+ この時とばかり、エリヤは人々に、「ここに集まれ!」と叫びました。人々が彼の回りに集まると、エリヤは壊れていた主の祭壇を築き直し始めました。
+ イスラエルの十二部族を示す十二個の石を取り、
+ それで祭壇を築いたあと、周囲に幅一メートルほどの溝を掘りました。
+ 次に、彼は祭壇にたきぎを並べ、残った一頭の若い雄牛を切り裂いて、たきぎの上に載せました。それから人々に命じました。「四つのかめを水でいっぱいにし、その水をいけにえの雄牛とたきぎにかけなさい。」人々がそうすると、
+ 「もう一度かけなさい」と命じ、また言われたようにすると、「さらに、もう一度かけなさい」と命じました。人々は、同じことを三度くり返しました。
+ 祭壇から流れ落ちた水は、溝いっぱいにあふれました。
+ 夕方のささげ物をささげる時刻に、エリヤは祭壇に歩み寄り、祈りました。「アブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)の主よ。あなたこそイスラエルの神です。私があなたのしもべであることを、今日こそはっきり証明してください。私がこのようにしたのは、あなたのご命令によるということを、人々にわからせてください。
+ 主よ、私の祈りに答えてください! ここにいる民が、あなたこそ神であり、あなたが彼らをご自分のもとへ立ち返らせてくださることを知るように、どうか、私の祈りを聞き届けてください!」
+ すると、突然、火のかたまりが天から降って来て、いけにえの若い雄牛、たきぎ、石、ちりを焼き尽くし、溝にたまった水をすっかり蒸発させてしまったのです。
+ それを見た民は、その場にひれ伏し、「主こそ神だ! 主こそ神だ!」と叫びました。
+ そこでエリヤは彼らに、「バアルの預言者を一人残らず捕らえよ」と命じました。エリヤは、捕らえられたバアルの預言者をキション川へ連れて行き、そこで殺しました。
+ それがすむと、エリヤはアハブに、「激しい大雨の音が聞こえる。急いで宿舎へ帰り、食事をしなさい」と言いました。
+ そこで王は、宴会の用意をしました。一方エリヤは、カルメル山の頂に登ってひざまずき、顔をひざの間にうずめ、
+ 従者に、「さあ、海の方を見て来てくれ」と頼みました。従者は戻って来て、「何も見えません」と報告しました。「もう一度、行ってくれ。同じことを七回くり返しなさい。」
+ 七度目に、とうとう従者は叫びました。「手のひらほどの小さな雲が、水平線から上って来ます!」「そうか。よし、急いで王のところへ行き、車で山を下るように伝えなさい。うかうかしていると、雨で身動きできなくなると。」
+ このことばのとおり、しばらくすると強い風が嵐を運んで来て、空は真っ暗になり、激しい大雨が降ってきました。アハブは大急ぎでイズレエルへ向かいました。
+ 主から特別な力を与えられたエリヤは、驚いたことに、王の車を追い越して、町の入口まで走り通しました。
+
+
+ アハブ王は、エリヤがしたすべてのこと、とりわけバアルの預言者たちを皆殺しにしたことを、王妃イゼベルに話しました。
+ 王妃は腹立ちまぎれに、使者を送ってエリヤにこう伝えました。「よくも私の預言者たちを殺してくれた。神々にかけて言っておくけど、明日の今ごろまでに、おまえのいのちはないものと覚悟するがいい!」
+ エリヤは恐怖に襲われ、逃げ出しました。ユダの町ベエル‧シェバまで来ると、そこに従者を残し、
+ 一人で荒野へ入って行きました。彼は一日中歩き続けてくたくたになり、えにしだの木の下に座り込むと、死を願って主に祈りました。「主よ、もうたくさんです。私のいのちを取ってください。いずれ死ぬのですから。」
+ そのまま木の下で横になって眠り込むと、御使いが来て彼にさわり、起きて食事をするように言いました。
+ 見ると、石で焼いたパンと水の入ったつぼがあります。エリヤはパンを食べ、水を飲んでから、また横になりました。
+ すると、再び御使いが現れて彼にさわり、「起きて、もっと食べなさい。先はまだまだ長いのだから」と言いました。
+ そこでエリヤは起きて食べ、水を飲みました。この食事で元気を取り戻したエリヤは、四十日四十夜、旅を続けて神の山ホレブ(シナイ山)に着き、
+ そこにあるほら穴に入りました。すると、彼に主のことばがありました。「エリヤ、ここで何をしているのか。」
+ 「私は、天地の支配者である神、主のために一生懸命に働いてきました。ところが、イスラエルの民はあなたと交わした契約を破って祭壇を壊し、あなたの預言者たちを殺しました。彼らは今、一人生き残った私まで殺そうとしています。」
+ すると、「外に出て、山の上でわたしの前に立ちなさい」と主のことばがありました。と、その時、主が通り過ぎ、激しい風が山を直撃し、岩が砕け落ちました。しかし、風の中に主はいませんでした。風のあとに地震が起こりましたが、そこにも主はいませんでした。
+ 地震のあとに火が燃えましたが、火の中にも主はいませんでした。火のあとに、ささやくような細い声が聞こえてきました。
+ エリヤはそれを聞くと、顔を外套で覆い、ほら穴の入口に立ちました。すると、「エリヤ、なぜ、ここにいるのか」という声がありました。
+ 「私は天の軍勢の主である神様のために、骨身を惜しまず働いてきました。それなのに、人々は契約を破って祭壇を壊し、私以外のあなたの預言者を一人残らず殺しました。そして今、私まで殺そうとしています。」
+ 「さあ、ダマスコに通じる荒野の道へ引き返すのだ。ダマスコに着いたら、ハザエルに油を注いで、シリヤの王としなさい。
+ それから、ニムシの子エフーに油を注いで、イスラエルの王としなさい。また、アベル‧メホラ出身のシャファテの子エリシャに油を注いで、あなたに代わる預言者としなさい。
+ ハザエルの手から逃げる者はエフーに殺され、エフーの手から逃げる者はエリシャに殺される。
+ それにイスラエルには、バアルにひざをかがめず、口づけしない者が七千人いることを忘れてはならない。」
+ エリヤは出かけて行き、十二くびき(牛馬の首にかけて車を引かせる横木。一くびきは二頭)の牛で畑を耕しているエリシャを見つけました。彼は最後の十二番目のくびきのそばにいました。エリヤは彼に近寄り、自分の外套を彼の肩にかけると、また歩き去りました。
+ すると、エリシャは牛をそのままにして、エリヤのあとを追いかけ、「まず、父と母に別れのあいさつをさせてください。それから、お伴をします」と言いました。「行って来なさい。なぜ、そんなに興奮しているのです」とエリヤは答えました。
+ こう言われてエリシャは引き返し、耕作用の牛をほふり、鋤の柄をたきぎにして肉をあぶりました。その料理を人々にふるまって、祝宴を設けました。それからエリヤについて行って、彼に仕えました。
+
+
+ シリヤ(アラム)の王ベン‧ハダデ二世は全軍を率い、三十二の同盟国の戦車や騎兵の大軍とともに、イスラエルの首都サマリヤを包囲しました。
+ 王はサマリヤの町に使者を立て、イスラエルのアハブ王にこう伝えました。「あなたの金銀は私のものだ。あなたの美しい妻たちも、器量よしの子どもたちも。」
+ アハブは、「王よ。仰せのとおり、私が持っているものはみなあなたのものです」と答えました。
+ やがてベン‧ハダデ王の使者が再び来て、別のことづけを伝えました。「金銀、妻子をもらうだけではすまない。明日の今ごろ、私の家臣を差し向ける。宮殿とあなたの家来の家とを家捜しし、欲しいものを手当たりしだい持ち帰ることにする。」
+ そこで、アハブは相談役の長老たちを呼び、窮状を訴えました。「あの男が何をしようとしているか、ぜひとも知ってくれ。私は彼の要求どおり妻子や金銀を与えると言ったのに、図に乗って難題を吹っかけてきた。」
+ 「これ以上、要求を聞かないでください」と、彼らは言いました。
+ そこでアハブは、ベン‧ハダデがよこした使者に言いました。「王にお伝え願いたい。『初めにあなたが要求なさったものはすべて差し上げます。ですが、このたびのことはできません』と。」使者はベン‧ハダデのもとへ帰って報告しました。
+ するとシリヤの王は、またことづけを送ってきました。「もし私が、サマリヤを一つかみのちりに変えてしまわなかったら、どうか神々が、私がおまえにしようとしている以上のことを、私にしてくださるように。」
+ イスラエルの王は答えました。「あまり大きなことを言うものではない。」
+ このアハブ王の返事がベン‧ハダデをはじめ同盟軍の王たちに届いた時、彼らはテントの中で酒をくみ交わしていました。そこでベン‧ハダデは、「何をこしゃくな。よし、攻撃の準備だ!」と、将校たちに命じました。
+ そのころ、一人の預言者がアハブ王に会いに来て、主のことばを伝えました。「主は言われます。『あの敵の大軍を見たか。わたしは今日、敵をあなたの手に渡そう。そうすれば、いかにあなたでも、わたしこそ神であると思い知るだろう。』」
+ 王が、「どのようにして、そうなるのか」と尋ねると、預言者は、「『外国人部隊によって』と、主は言っておられます」と答えました。「こちらから攻撃をしかけるのか。」「そうです。」
+ そこで王は、二百三十二人の外国人部隊と、七千人のイスラエル軍を召集しました。
+ 真昼ごろ、アハブ王の先頭部隊はサマリヤを出陣しました。そのころ、ベン‧ハダデ王と三十二人の同盟軍の王はまだ酒を飲んでいました。
+ 外国人部隊を見た彼らの斥候は、「少数の敵が攻めて来ます」と報告しました。
+ ベン‧ハダデ王は、「休戦のために来たにしろ、戦うために来たにしろ、生け捕りにしてしまえ」と命じました。
+ そのころには、すでにアハブ王の全軍が攻撃に加わり、
+ 手当たりしだいにシリヤ兵を殺したので、シリヤ軍はパニック状態に陥り、いっせいに逃げ出しました。イスラエル軍は追撃し、ベン‧ハダデ王と少数の者だけが馬で逃げ延びました。
+ こうして、イスラエル軍はシリヤ軍の大半を虐殺し、おびただしい数の馬と戦車を分捕ったのです。
+ そののち、あの預言者がアハブ王に近づいて来て、「シリヤ王の二度目の襲来に備えなさい」と忠告しました。
+ 実際、大敗北のあと、ベン‧ハダデ王の家臣たちは王にこう進言していたのです。「イスラエルの神は山の神だから、今回は負けたのです。平地なら難なく勝てます。
+ 今度だけは、連合軍の王の代わりに、将軍たちを指揮官に任命してください。
+ 失った分の兵力を補充し、以前と同じ数の馬と戦車と兵をわれわれにお任せください。彼らと平地で戦い、必ずや勝利を収めてごらんに入れます。」王は、彼らの進言を受け入れました。
+ 翌年、ベン‧ハダデはシリヤ軍を動員し、再びイスラエルと戦うためにアフェクに向けて進軍しました。
+ イスラエル側も全軍を集め、装備を固めて戦場に向かいました。しかし、アフェクを埋め尽くしているシリヤの大軍に比べて、イスラエル軍は二つの小さなやぎの群れのようにしか見えませんでした。
+ その時、一人の神の人(預言者)がイスラエルの王に近づき、主のことばを伝えました。「シリヤ人が、『イスラエルの神は山の神で、平地の神ではない』と言うので、わたしはあなたを助けて、この大軍を負かそう。そうすればあなたも、わたしこそ神だと認めるようになるだろう。」
+ 両軍は、陣を敷いたまま向かい合っていましたが、七日目に戦いが始まりました。最初の日に、イスラエル軍はシリヤ軍の歩兵十万を殺しました。
+ 生き残った者は、アフェクの城壁の裏に逃げました。ところが、城壁がくずれ落ちて、さらに二万七千人が死にました。ベン‧ハダデは町の中に逃げ込み、ある家の奥に隠れました。
+ 家臣が王に申し出ました。「王よ。イスラエルの王はたいそうあわれみ深いと聞いております。それで、私たちが荒布をまとい、首になわをかけて、イスラエルの王のもとに行くのを許してください。あなたの命乞いをしたいのです。」
+ こうして、彼らはイスラエルの王のもとに行き、「アハブ王のしもべであるベン‧ハダデが、『どうか、いのちだけはお助けください』と申しております」と懇願しました。イスラエルの王は、「そうか、彼はまだ生きていたのか。彼は私の兄弟だ」と答えました。
+ 使者はそのことばに望みを託して、「おことばのとおりでございます。ベン‧ハダデはあなた様の兄弟です」とあいづちを打ちました。イスラエルの王は、「彼を連れて来なさい」と言いました。ベン‧ハダデが到着すると、なんと、アハブは彼を自分の戦車に招き入れたのです。
+ ベン‧ハダデはすっかり感激して、「私の父があなたの父上から奪い取った町々をお返しします。父がサマリヤにしたように、あなたもダマスコに市場を開いてください」と言いました。こうして協定が成立しました。
+ 一方、主の命令によって、ある預言者が仲間の預言者に、「あなたの剣で私を切ってくれ」と言いました。しかし、その人は拒みました。
+ そこで、その預言者は言いました。「あなたは主のことばに従わなかったので、ここを出るとすぐライオンに食い殺される。」はたして、その人が出て行くと、ライオンに襲われて死にました。
+ それから、その預言者はまた別の人に、「あなたの剣で私を切ってくれ」と頼みました。すると、その人は彼に切りつけて傷を負わせました。
+ それからその預言者は、目に包帯を巻き、だれだかわからないようにしたまま、道ばたでアハブ王を待っていました。
+ 王が通りかかると、預言者は王を呼び止めました。「王よ。私が戦場にいると、ある人が捕虜を連れて来て、『こいつを見張っていてくれ。逃がしたら、いのちはないぞ。
+ それでも助かりたければ、銀一タラント出せ!』と言ったのです。ところが、私がほかのことに気を奪われている間に、その捕虜がいなくなりました。」すると王は、「それはおまえの責任だ、銀一タラントを支払え」と言いました。
+ この時、彼が包帯をはずしたので、王は、彼が預言者だとわかりました。
+ 預言者は言いました。「主はこう仰せになります。『わたしが滅ぼそうとした者を助けたので、あなたは彼の代わりに殺される。あなたの民は彼の民の代わりに滅びる。』」
+ 王はたちまち不きげんになり、腹を立ててサマリヤに帰って行きました。
+
+
+ イズレエル出身のナボテは、町はずれのアハブ王の宮殿の近くに、ぶどう畑を持っていました。
+ ある日、王はナボテに、畑を譲ってほしいと申し出ました。「あそこを庭にしたい。宮殿に近いから、とても便利なのだ。」王は、銀で買い取ってもよいし、もしナボテが望むなら、もっと良い地を代わりに与えてもよいと言いました。
+ ところがナボテは、「どんなことがあっても、お譲りするわけにはまいりません。あそこは先祖伝来の土地なのです」と答えました。
+ 王は不きげんになり、怒りながら宮殿に戻り、食事もせず、壁の方を向いたままベッドに横になっていました。
+ 妻のイゼベルが入って来て、アハブに尋ねました。「いったい、どうなさったのですか。お食事もなさらないとは。そんなにふさぎ込むほど、腹にすえかねることでもあったのですか。」そこで、アハブは答えました。
+ 「ナボテに、『ぶどう畑を売ってくれ、何ならほかの土地と交換してもいい』と頼んだのだが、あっさり断られてしまったのだ。」イゼベルは言いました。
+ 「まあ、あなたはイスラエルの王ではありませんか。さあ起きて、お食事をなさってください。そんなことで心配なさるには及びません。私がナボテのぶどう畑を手に入れてみせますから。」
+ イゼベルは王の名で手紙を書き、王の印を押して、ナボテが住むイズレエルの町の長老に送りました。
+ 手紙には、こう書いてありました。「町の者に断食と祈りを命じなさい。それからナボテを呼び、
+ 二人のならず者に、『ナボテは神と王とをのろった』と証言させるのです。そのうえで、ナボテを外に引き出して石打ちにしなさい。」
+ そこで、町の長老たちは王妃の指図どおりに動きました。
+ 町の住民を呼び出し、ナボテを裁判にかけたのです。
+ そこへ、良心のかけらもない二人のならず者が来て、ナボテが神と王とをのろったと証言しました。こうして、ナボテは町の外に引き出され、石を投げつけられて殺されてしまったのです。
+ ナボテが死んだことは、すぐ王妃に報告されました。
+ イゼベルは知らせを聞くと、王に言いました。「ナボテが売るのをしぶっていたぶどう畑のことを、覚えていらっしゃいますね。さあ今、それを手に入れることができますよ。ナボテが死んだのです!」
+ 王は、ぶどう畑を自分のものにするために出かけました。
+ その時、主はエリヤに言われました。
+ 「アハブ王に会いにサマリヤへ行きなさい。今、王はナボテのぶどう畑を自分のものにしようと、近くまで来ている。
+ 彼にわたしのことばを伝えなさい。『ナボテを殺しただけではまだ足りず、彼の畑まで奪い取ろうというのか。そんな大それたことをしたので、ナボテのときと同じように、町の外で犬があなたの血をなめるようになる。』」
+ アハブに会いに来たエリヤを見て、王は、「また悪い敵に見つかってしまった」と言いました。エリヤは答えました。「王が悪魔に身を売り渡したので、主ののろいを下すために出て来たのだ。
+ 主は王に大きな災いを下し、一族を一掃しようとしておられる。王の子孫である男子は、一人も生き残れない。
+ ヤロブアム王家やバシャ王家のように滅ぼされるからだ。王が主の激しい怒りを買い、イスラエルに罪を犯させた報いだ。
+ 主はまた、イゼベル王妃についても、『イズレエルの犬がイゼベルの死体を引き裂く』と言われた。
+ 王の家の者たちのうち、町の中で死ぬ者は犬に食われ、野で死ぬ者ははげたかの餌食になる。」
+ アハブのように悪魔の言いなりになった者は、ほかに一人もいませんでした。妻のイゼベルが王をそそのかして、あらゆる悪事に走らせたからです。
+ 王が犯した最大の罪は、主がこの地から追い出したエモリ人にならって、多くの偶像を礼拝したことです。
+ 王はエリヤのことばを聞くと、上着を引き裂き、ぼろをまとい、断食をし、荒布の上に伏して、打ちひしがれていました。
+ その時、エリヤはまた主から別のことばを聞きました。
+ 「アハブがわたしの前にへりくだっているのを見たか。あんなにまでしているので、王が生きている間、私の誓ったことは実行しないことにする。息子の代にそれらのことが起こって、彼の子孫はみな滅びる。」
+
+
+ 三年間、シリヤ(アラム)とイスラエルの間には戦争がありませんでした。
+ しかし三年目になって、ユダ(南王国)のヨシャパテ王がイスラエル(北王国)のアハブ王を訪れた時、
+ アハブ王は自分の家臣に言いました。「シリヤが、われわれの町ラモテ‧ギルアデを今でも占領しているのを知っているか。それなのに、われわれは何もせず、手をこまぬいているだけだ。」
+ それから、ヨシャパテ王に向かって、「ラモテ‧ギルアデを取り返すために援軍を送ってくださいませんか」と頼みました。「よろしいですとも。あなたとは兄弟同然の仲です。民も、馬も、ご自由にお使いください。
+ まず、主にお伺いを立ててみようではありませんか。」
+ そこでアハブ王は、四百人の預言者を召集し、「ラモテ‧ギルアデに攻め入るべきか、それともやめるべきか」と尋ねました。彼らは異口同音に、「攻め上りなさい。主が王を助けて、ラモテ‧ギルアデを占領させてくださいます」と答えました。
+ ところが、ヨシャパテは満足せずに、「ここには神の預言者がいないのですか。神の預言者にも聞いてみたいのです」と言いました。
+ アハブは答えて言いました。「一人だけいるにはいますが、どうも虫が好かんやつでしてな。何しろ、いつも陰気くさいことばかり言って、私にとって良いことはちっとも預言しないときている。イムラの子でミカヤという者だ。」ヨシャパテは、「まあまあ、そんなふうにおっしゃってはなりません」といさめました。
+ そこでアハブも気を取り直し、側近を呼んで、「急いでミカヤを連れて来なさい」と命じました。
+ その間にも、預言者たちが二人の王の前で次々と預言していました。二人は王服をまとって、町の門に近い打穀場の、急ごしらえの王座に着いていました。
+ ケナアナの子で預言者の一人ゼデキヤは、鉄の角を作って言いました。「この鉄の角でシリヤ軍を押しまくり、ついに全滅させることができると、主は約束しておられます。」
+ ほかの預言者たちもみな、それにならうように言いました。「さあ、ラモテ‧ギルアデに攻め上りなさい。主が勝利を与えてくださいます。」
+ さて、ミカヤを呼びに行った使者は、ほかの預言者のことばを伝えて、同じように語るよう言い含めました。
+ しかしミカヤは、「私が約束できるのは、主がお告げになることだけを語るということだ」と言いました。
+ ミカヤが王の前に姿を現すと、王はさっそく尋ねました。「ミカヤよ、われわれはラモテ‧ギルアデに攻め入るべきだろうか、それともやめるべきだろうか。」すると、ミカヤは答えました。「もちろん、攻め上りなさい。大勝利は間違いありません。主が勝利を与えてくださるからです。」
+ すると、王は言いました。「神様が言われたことだけを語れと、何度言えばわかるのだ。」
+ 「実は私は、イスラエルの民が羊飼いのいない羊のように山々に散らされているのを、幻で見ました。その時、主はこうお語りになりました。『王は死んだ。彼らを家へ帰らせるように』と。」
+ アハブ王はヨシャパテ王に向かって、「どうです、お話ししたとおりでしょう。いつも悪いことばかり語って、良いことはこれっぽっちも話さないのです」と言って、不満をぶちまけました。
+ すると、ミカヤが先を続けました。「主のおことばをもっと聞きなさい。私は、主が御座に着き、天の軍勢がその回りに立っているのを見ました。
+ その時、主は、『アハブをそそのかしてラモテ‧ギルアデに攻め上らせ、そこで倒れさせるように仕向ける者はだれかいないか』と言われました。いろいろな意見が出た末、
+ 一人の御使いが進み出て、『私がやりましょう』と申し出ました。
+ 『どういうふうにするのか』と主が尋ねると、その御使いは答えました。『私が出て行って、アハブの預言者全員にうそをつかせるようにします。』主はこれを聞いておっしゃいました。『では、そうするがよい。きっと成功する。』
+ ごらんのとおり、主はここにいる預言者全員の口に、うそをつく霊をお入れになりました。しかし実際には、主はあなたに臨む災いをお告げになったのです。」
+ すると、ケナアナの子ゼデキヤがつかつかと歩み寄り、ミカヤの頬をなぐりつけて言いました。「いつ主の霊が私を離れ、おまえに語ったというのか。」
+ ミカヤは答えました。「あなたが奥の間に隠れるようになったとき、はっきりわかるでしょう。」
+ アハブ王は、ミカヤを捕らえるように命じました。「彼を、市長アモンと王子ヨアシュのところへ連れて行け。
+ そして、『王の命令だ。この男を牢につなぎ、私が無事に帰って来るまで、やっと生きられるだけのパンと水をあてがっておけ』と言うのだ。」
+ ミカヤはすかさず言い返しました。「万が一にも、あなたが無事にお戻りになるようなことがあったら、主が私によってお語りにならなかった証拠です。」そして、そばに立っている人々に、「私が言ったことを、よく覚えておきなさい」と言いました。
+ こうして、イスラエルのアハブ王とユダのヨシャパテ王は、それぞれの軍隊を率いてラモテ‧ギルアデに向かいました。
+ アハブはヨシャパテに、「あなただけ王服を着ていてください」と言いました。そして、自分は普通の兵士に変装して、戦場に赴きました。
+ そうしたのは、シリヤ王が配下の戦車隊長三十二人に、「戦う相手はアハブ王一人だ」と命じていたからです。
+ 彼らは王服を着たヨシャパテ王を見て、「あれがねらっている相手だ」と思い、いっせいに攻めかかりました。しかし、ヨシャパテが大声で名乗りを上げると、彼らはすぐ引き返しました。
+ ところが、一人の兵士が何気なく放った矢が、たまたまアハブ王のよろいの継ぎ目に命中してしまったのです。「戦場から連れ出してくれ。深手を負ってしまった」と、王はうめきながら自分の戦車の御者に語りました。
+ その日、時がたつにつれて、戦いはますます激しくなりました。アハブ王は戦車の中で、寄りかかるようにして立っていましたが、傷口から流れ出る血は床板を真っ赤に染め、夕方になって、ついに息絶えました。
+ ちょうど日没のころ、兵士たちの間に、「戦いは終わったぞ。王は死んだのだから、全員家へ帰れ!」という叫び声が伝わりました。アハブ王の遺体はサマリヤに運ばれて葬られました。
+ 王の戦車とよろいを、売春婦たちが身を洗うサマリヤの池で洗っていると、犬が来て血をなめました。こうして、主のことばどおりになりました。
+ そのほか、アハブ王が象牙の宮殿を建て、町々を造ったことなどについては、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ アハブは先祖代々の墓地に葬られ、息子アハズヤがイスラエルの新しい王となりました。
+ 一方、イスラエルの王アハブの第四年に、ユダでアサの子ヨシャパテは王となりました。
+ ヨシャパテが王位についたのは三十五歳の時で、二十五年間エルサレムで治めました。母親はシルヒの娘のアズバです。
+ 彼は父アサにならって、すべての面で主に従いました。ただし、丘の上の礼拝所だけは取り除かなかったので、人々は相変わらず、そこでいけにえをささげ、香をたき続けました。
+ ヨシャパテ王はまた、イスラエルのアハブ王と平和協定を結びました。
+ 王のその他の行為、輝かしい功績と武勲などは、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ 王は、父アサの時代からあった男娼の家を一つ残らず取り除きました。
+ そのころ、エドムには王がなく、役人が置かれているだけでした。
+ ヨシャパテは、オフィルにある金を手に入れようと大船団をつくりました。ところが、その船団がエツヨン‧ゲベルで難破したので、目的を果たせませんでした。
+ その時、イスラエルの王アハブの王位を継いだ息子のアハズヤは、「私の家来もいっしょにオフィルへ行かせてください」と申し出ました。しかしヨシャパテは、その申し出を断りました。
+ ヨシャパテは死んで、先祖とともに父祖ダビデの町エルサレムに葬られ、息子ヨラムが王位につきました。
+ アハブの子アハズヤは、ユダの王ヨシャパテの第十七年に、サマリヤでイスラエルの王となりました。アハズヤは二年の間、イスラエルを治めましたが、
+ 良い王ではありませんでした。両親と同じく、イスラエルに偶像礼拝の罪を犯させたヤロブアムにならったからです。こうして、彼はイスラエルの神、主の激しい怒りを買いました。
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+ アハブ王が死ぬと、モアブの国が独立を宣言し、イスラエルには貢ぎ物を納めないと言いだしました。
+ さて、イスラエルの新しい王アハズヤ(アハブの子)は、サマリヤにある宮殿の二階のベランダから落ちて、重傷を負いました。そこで、エクロンにあるバアル‧ゼブブの神殿に使者たちを送り、傷が治るかどうか、異教の神に伺いを立てさせようとしました。
+ ところが、主の使いが預言者エリヤにこう告げたのです。「さあ、王の使者に会い、次のように言いなさい。『イスラエルには神がいないとでもいうのか。わざわざエクロンの神バアル‧ゼブブに、王が治るかどうか伺いを立てるとは。
+ こんな行いをしたので、王は床を離れることができないまま死ぬ。』」エリヤのことばを聞いた使者たちは、すぐ王のもとへ引き返しました。「なぜ、こんなに早く帰って来たのか?」と尋ねる王に、使者は答えました。
+ 「ある人が来て、すぐ王のもとへ帰り、こう語るようにと告げたのです。『主は、なぜ王がエクロンの神バアル‧ゼブブに伺いを立てるのか、そのわけを知ろうとしておられる。イスラエルに神がおられないとでもいうのか。こんなことをしたからには、王は床から離れることはできず、必ず死ぬ』と。」
+ アハズヤは、「だれがそんなことを。どんななりをしていたのだ、その者は」と尋ねました。
+ 使者たちが、「毛衣を着て、太い皮帯を締めていました」と答えると、アハズヤは、「うむ、それで間違いない。あの預言者エリヤだ」と言いました。
+ そこで王は、五十人の兵士に隊長をつけて、エリヤの逮捕に向かわせました。彼らは丘の上に座っているエリヤを見つけて声をかけました。「神の人よ、王の命令だ。いっしょに来てもらおう。」
+ 「もし私が神の人なら、天から火が下って、あなたとあなたの五十人の部下を焼き尽くすはずだ」とエリヤが言ったとたん、天からの火が彼らを直撃し、彼らを一人残らず焼き殺してしまいました。
+ 王はまた、別の五十人の兵士に隊長をつけ、「神の人よ。すぐ来るようにとの王の命令だ」と彼らに言わせました。
+ エリヤは再び、彼らに答えました。「もし私が神の人なら、天から火が下って、あなたとあなたの五十人の部下を焼き尽くすはずだ。」今度も、主の火が彼らを焼き殺してしまいました。
+ それでも、王はあきらめません。もう一度、五十人の隊を送り出しました。ところが今度の隊長は、エリヤの前にひざまずいて懇願したのです。「神の人よ。どうか、私どものいのちをお助けください。
+ お情けを下さり、前の者たちのように殺さないでください。」
+ その時、御使いがエリヤに、「恐れずに、いっしょに行きなさい」と命じたので、エリヤは王に会いに行きました。
+ エリヤは、王の前でも臆せずに言いました。「なぜあなたは、ご病気のことで、エクロンの神バアル‧ゼブブに伺いを立てようと使者を送ったのですか。イスラエルに神がおられないとでもいうのですか。そんなことをなさったので、あなたは床から離れられないまま死にます。」
+ 主がエリヤによって予告したとおり、アハズヤは死に、弟ヨラムが王位につきました。アハズヤには世継ぎがなかったからです。それは、ヨシャパテの子でユダの王ヨラムの第二年のことでした。
+ アハズヤのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
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+ さて、主がエリヤをたつまきで天に上げる時がきました。エリヤはギルガルを出立する時、エリシャに、「ここに残ってくれ。主が私に、ベテルへ行けと仰せなのだ」と言いましたが、エリシャは、「主にかけて誓いますが、私は決して先生から離れません」と答えました。そこで二人は、そろってベテルへ向かいました。
+ すると、ベテルの預言者学校の若い預言者たちが迎えに出て、エリシャに言いました。「今日、主がエリヤ先生をあなたから取り上げようとしておられるのをご存じですか。」「もちろん知っているとも。でも、黙っていてください。」エリシャはきびしい口調で言いました。
+ すると、エリヤはエリシャに、「このベテルに残りなさい。主は私を、エリコへ遣わされる」と言いました。しかし、エリシャは、「主にかけて誓いますが、私は決して先生から離れません」と答えました。そこで二人は、そろってエリコへ出かけました。
+ エリコでも、預言者学校の生徒たちがエリシャに、「今日、主がエリヤ先生をあなたから取り上げようとしておられるのを、ご存じですか」と言いました。エリシャは答えました。「知っているとも。だが、そのことは黙っていてくれないか。」
+ エリヤはまたもエリシャに、「ここに残りなさい。主が私をヨルダン川へ送られる」と言いましたが、この時も、エリシャは前と同じように、「主に誓って、先生から離れません」と答えました。二人はそろって出かけ、ヨルダン川のほとりに立ちました。若い預言者五十人は、遠くから見守っていました。
+ エリヤが外套を丸めてヨルダン川の水を打つと、川の水が分かれたので、二人は乾いた土の上を渡って行きました。
+ 向こう岸に着くと、エリヤはエリシャに言いました。「わしが天に行く前に、あなたにどんなことをしてあげようか。」すると、エリシャは言いました。「どうぞ、先生の二倍の預言の力をお授けください。」
+ 「難しいことを注文するものだ。私が取り去られる様子を見ることができたら、願いはかなえられるだろう。だが、見られないならばだめだ。」
+ 二人が話しながら歩いていると、突然、火の馬に引かれた火の戦車が、二人の間に割り込みました。そして、エリヤはたつまきに乗って天に上って行ったのです。
+ エリシャはその姿をじっと見つめ、「わが父! わが父! イスラエルの戦車と騎兵よ!」と叫び、エリヤの姿が見えなくなると、自分の着物を二つに引き裂きました。
+ それから、エリヤが脱いだ外套を拾い上げ、ヨルダン川のほとりに引き返しました。そして、彼がその外套でヨルダン川の水を打ち、「エリヤの神、主はどこにおられますか」と言うと、水が両側に分かれたので、彼は歩いて川を渡りました。
+ エリコの若い預言者たちはこれを見て、口々に「エリヤの霊がエリシャに下った」と叫び、エリシャを迎えに出て、ひれ伏しました。
+ 「お許しをいただければ、五十人の屈強な者たちにエリヤ先生を捜しに行かせます。おそらく、主の霊が先生を運んで、どこかの山か谷に置き去りにされたのでしょうから。」するとエリシャは言いました。「どうか、そんなことはしないでくれ。」
+ しかし、彼らがあまりにもしつこく言うので、ついにエリシャも根負けして、「そこまで言うなら、そうしなさい」と折れました。そこで五十人の男たちが三日間、手分けして捜しましたが、エリヤの姿はどこにも見あたりませんでした。
+ すごすご引き返して来ると、エリシャはまだエリコにいて、「だから、あれほど行くなと言っただろう」と彼らをしかりました。
+ さて、エリコの町の人々がエリシャを尋ねて来て、言いました。「実は、困ったことがあるのです。この町は、ごらんのように、美しい自然に囲まれています。ところが水が悪くて、女たちは流産に悩まされています。」
+ エリシャは、「それはお困りですな。何とかしましょう。新しい器に塩をいっぱい入れて、持って来なさい」と言いました。彼らは言われたとおりにしました。
+ エリシャは町の井戸へ出かけ、塩を振りまいて、「主がこの水をきよめてくださった。これからはもう流産する人もないし、水にあたって死ぬ人もいない」と宣言しました。
+ はたして、エリシャの言ったとおり水はきれいになりました。
+ エリシャがエリコからベテルへの道を進んで行くと、ベテルの町から少年たちが出て来て、「やーい、はげ頭、はげ頭」と言ってあざけりました。
+ エリシャは彼らの方を振り向いて、主の名によってのろいました。すると、森の中から二頭の雌熊が出て来て、少年たちのうち四十二人を裂き殺しました。
+ このあと、エリシャはカルメル山へ行き、またサマリヤへ帰りました。
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+ ユダの王ヨシャパテの第十八年に、アハブの子ヨラムがイスラエルの王となり、首都のサマリヤで十二年の間、治めました。
+ 彼は主の前に悪を行いましたが、両親ほどではなく、父が造ったバアルにささげる石柱だけは取り除いたのです。
+ しかし一方で、イスラエルの民を偶像礼拝に導いたネバテの子ヤロブアムの罪を犯し続けました。
+ モアブの王メシャは羊を飼っており、毎年イスラエルに子羊十万頭と雄羊十万頭分の羊毛とを貢ぎ物として納めていました。
+ ところがアハブ王が死ぬと、モアブの王はイスラエルに背きました。
+ そこで、ヨラム王はイスラエル軍を召集する一方、ユダのヨシャパテ王に使いを送って言いました。「モアブの王が反旗を翻したので、戦いにお力添え願えないか。」「喜んで力になろう。私の民も馬も、あなたの言うとおりにさせる。作戦計画を教えてほしい。」「エドムの荒野の道から攻めることにしている。」
+ こうして、エドムからの援軍も加わった、イスラエルとユダの連合軍は、荒野の道を七日間回り道したため、兵士や彼らの荷を運ぶ家畜の飲み水が底をついてしまいました。
+ イスラエルの王は悲鳴を上げました。「ああ、どうしよう。主はわれわれを、モアブの王の餌食にしようと、ここに連れ出されたのだ。」
+ 「預言者はいないのですか。もしいたら、どうすればいいかわかるのに。」ユダの王ヨシャパテのことばに、イスラエルの王の家臣が答えました。「エリヤの助手をしていたエリシャがいます。」
+ ヨシャパテは、「それはいい。その者に聞いてみよう」と言いました。そこで、イスラエルとユダとエドムの王は、そろってエリシャを訪ねました。
+ エリシャはイスラエルの王ヨラムに言いました。「あなたとはかかわりになりたくありません。ご両親がひいきにしていた偽預言者のもとに行ったらいいでしょう。」すると、ヨラム王は言いました。「いや、われわれをここに呼び出し、モアブの王の餌食になるように仕向けたのは主なのだ。」
+ エリシャは言いました。「主にかけて言っておきます。ユダのヨシャパテ王がいなかったら、こんなことに首をつっ込む気はさらさらなかったのですが、
+ しかたがない。竪琴を弾く者を連れて来てください。」竪琴が奏でられると、エリシャに主のことばが下りました。
+ 「この乾いた谷に溝を掘りなさい。わたしがそこに水を満たす。
+ 風も吹かず雨も降らないのに、谷は水であふれ、あなたがたも家畜も十分に飲むことができる。
+ しかし、これはまだ手始めにすぎず、わたしはモアブ軍を破り、あなたがたに勝利を与える。
+ あなたがたは城壁に囲まれた最上の町々を占領し、すべての肥沃な耕地を石で荒地にする。」
+ 翌日、朝のいけにえがささげられるころ、水がエドムの方から流れて来て、あたり一面を満たしました。
+ そのころモアブ人は、連合軍が攻めて来ると聞き、老いも若きも、戦うことのできる男子を総動員して国境の守備を固めました。
+ ところが翌朝早く起きてみると、太陽が水面を真っ赤に照らしているではありませんか。
+ 彼らは、「血だ! 連合軍が同士討ちをしたに違いない。さあ、出て行って戦利品を集めよう」と言いました。
+ こうして、彼らがイスラエル陣に突入すると、イスラエル軍が飛び出して来てモアブ軍を片っぱしから打ち始めました。たちまちモアブ軍は総くずれとなり、ここぞとばかり、イスラエル軍はモアブの地に攻め込み、手あたりしだいに町々を破壊し、
+ すべての肥沃な地に石を投げ、井戸をふさぎ、実のなる木を切り倒しました。キル‧ハレセテの要害が最後まで残っていましたが、そこもついにイスラエル軍の手に落ちました。
+ モアブの王は勝ち目がないとわかると、七百人の剣客を率いて、エドムの王のところに突入しようとしましたが、それも失敗に終わりました。
+ そこで、世継ぎの長男を城壁の上で殺し、いけにえとしてささげました。これを見たイスラエル人は狼狽し、自分の国へ引き揚げて行きました。
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+ ある日、エリシャのもとを預言者仲間の一人の妻が訪ねて来て、夫の死を告げました。「夫は主を愛していました。ところが亡くなる時、いくらかの借金があったので、貸し主が返済を求めてきて、もし返せなければ二人の子どもを奴隷にするというのです。」
+ エリシャは彼女に言いました。「はて、どうしてあげたらいいのか。家には、どんな物があるのか?」彼女は答えました。「油のつぼが一つあるだけで、ほかには何もありません。」
+ 「では、近所の人々から、空っぽのかめや鉢をたくさん借りて来なさい。
+ 帰ったら戸に鍵をかけ、子どもたちと家に閉じこもって、つぼにある油をかめや鉢にどんどんつぎなさい。」
+ 女は言われたとおり、子どもたちが借りて来たかめや鉢に油をついでいきました。
+ まもなく、どの入れ物も口まであふれるほど、いっぱいになりました。「もっともっと、かめを持っておいで」と女は子どもに言いました。子どもが、「もうないよ」と言うと、そのとたんに油が止まりました。
+ 女からそれを聞くと、預言者エリシャは言いました。「さあ、その油を売って、借金を返しなさい。その余りで、子どもたちと十分に暮らしていけるはずです。」
+ ある日、エリシャがシュネムの町へ行くと、裕福な婦人が彼を食事に招きました。その後も、そこを通るたびに、彼は立ち寄って食事をするようになりました。
+ 女は夫に話しました。「お通りになるたびに立ち寄られるあの方は、きっと神の預言者に違いありません。
+ あの方のために、屋上に小さなお部屋を造って差し上げたいと思います。中には、寝台、机、いす、それに燭台を置きましょう。そうすれば、おいでになるたびに、そこでゆっくりお休みになれますから。」
+ ある日、エリシャはその部屋で休んでいましたが、しもべのゲハジを呼び、「奥様にちょっとお話ししたいことがあると伝えてくれ」と頼みました。彼女が来ると、
+ エリシャはゲハジに言いました。「まず、いつも親切にしてくださることのお礼を言ってくれ。それから、何かして差し上げられることがないか聞いてほしい。王様か将軍にでも、何か伝えてもらいたいことがあるかもしれないから。」ところが、彼女は答えました。「私は今のままで満足しております。」
+ それでもエリシャは、「彼女のために何かしてやれることはないだろうか」と、あとでゲハジに尋ねました。ゲハジは言いました。「あの女には子どもがありません。それに、ご主人もかなりの年ですし……。」
+ 「ではもう一度、奥さんを呼んでくれ。」彼女が来ると、エリシャは、入口に立っている彼女に言いました。「来年の今ごろ、あなたに男の子が生まれます。」「ご冗談はよしてください。預言者ともあろうお方が、私をからかわれるのですか。」彼女は思わず答えました。
+ しかし、それはほんとうのことでした。女はやがてみごもり、エリシャの言ったとおり、翌年の同じころに男の子を産んだのです。
+ その子が大きくなったある日、刈り入れ作業をしている人たちとともに働いている父親のところに行った時、
+ 子どもはしきりに頭痛を訴え、苦しみ始めました。父親はしもべに、「抱いて母親のところへ連れて行きなさい」と言いました。
+ その子は家に連れ戻され、母親のひざに抱かれていましたが、昼ごろに息を引き取りました。
+ 彼女は子どもをかかえて屋上の間にある預言者の寝台に運び、戸を閉めました。
+ それから、夫に使いをやって、「どうぞ、しもべにろば一頭をつけて寄こしてください。急いで、あの預言者様のところへ行って来ます。」
+ 彼は、「どうしてまた、今日、あの人のところに行くんだね? 特別な祝日でもないのに」と言いましたが、彼女は、「でも、どうしても行きたいのです」と答えました。
+ 彼女はろばに鞍をつけると、しもべにこう言いつけました。「とにかく急いでおくれ。私の指示のないかぎり、手綱はゆるめてはなりません。」
+ エリシャは、カルメル山に近づいて来る彼女を遠くから見つけ、ゲハジに言いました。「見なさい。あのシュネムのご婦人がやって来る。
+ さあ、走って行って出迎え、何があったのか聞いてみるのだ。ご主人やお子さんはお元気かどうかと。」彼女はゲハジに、「ありがとうございます。別に変わりはございません」とだけ答えました。
+ ところが、山の上にいるエリシャのそばまで来ると、彼女はひれ伏して、彼の足にすがりつきました。ゲハジが引き離そうとすると、預言者は言いました。「そのままにさせておきなさい。何か大きな悩みがあるに違いない。それが何であるか、主はまだお告げになっていないのだ。」
+ 女は言いました。「私に子どもが生まれると言われたのは、あなた様です。その時、からかわないでください、と申し上げたはずです。」
+ これを聞いたエリシャは、ゲハジに命じました。「大急ぎで、私の杖を持って行って、あの子の顔の上に置くのだ。途中、だれかに会ってもあいさつを交わしてはいけない。急ぎなさい。」
+ ところが、その子の母親は言いました。「主にかけて申し上げます。あなた様とごいっしょでなければ、決して家に帰りません。」そこで、エリシャも彼女といっしょにシュネムに向かいました。
+ ゲハジは先に行って、杖を子どもの顔の上に置きましたが、何の反応もなかったので引き返して来て、エリシャに、「あの子は死んだままです」と報告しました。
+ エリシャが着いてみると、なるほど子どもは死んでいて、寝台に寝かされています。
+ 彼は中に入り、戸を閉めて主に祈りました。
+ それから小さいなきがらの上に体をかぶせ、自分の口をその子の口に、自分の目をその子の目に、自分の両手をその子の両手に重ねました。すると、子どもの体がだんだん温かくなってきました。
+ ここでエリシャは、いったん降り、部屋の中を何回か行ったり来たりしてまた寝台に戻り、再びその子の上に体をかぶせました。すると、その子は七回くしゃみをして、目を開いたのです。
+ 預言者はゲハジを呼んで、「奥さんを呼んで来なさい」と命じました。彼女が入って行くと、エリシャは、「ほら、あなたのお子さんですよ」と言いました。
+ 彼女はエリシャの足もとにひれ伏しました。それからその子を抱き上げると出て行きました。
+ エリシャがギルガルに戻ってみると、その地ではききんが起こっていました。ある日、若い預言者たちを教えている時、彼はゲハジを呼んで、「この人たちのために食事の用意をしなさい」と命じました。
+ 若者の一人が野菜を取りに野へ行き、野生のうりを前掛けにいっぱい入れて帰って来ました。それに毒があるとも知らず、彼はそれを輪切りにして、かまに入れたのです。
+ ところが、みなが口にするや、「先生、大変です! この煮物には毒が入っています!」と大騒ぎになりました。
+ しかし、エリシャは少しもあわてず、「麦粉を少し持って来なさい」とだけ言いました。そして麦粉をかまに投げ入れ、「さあ、これで大丈夫だ。どんどん食べなさい」と言いました。煮物の毒はすっかり消えていたのです。
+ ある日、バアル‧シャリシャ出身の人が、エリシャのところに、新穀を一袋と、初穂で焼いた大麦のパン二十個を持って来ました。エリシャはゲハジに、これを若い預言者たちに食べさせるよう指示しました。
+ ゲハジは、「これっぽちのものを、百人もの人に食べさせるのですか」とあきれ顔で言いました。しかし、エリシャは言いました。「さあ、黙って食べさせなさい。『みんなに十分なだけある。食べ残す者もあるくらいだ』と、主は言われるのだから。」
+ そのとおりにすると、はたして、主が言われたとおりになったのです。
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+ シリヤ(アラム)の王は、軍の最高司令官であるナアマン将軍を非常に重んじていました。ナアマンが軍隊を率いて、何度も輝かしい勝利を収めたからです。彼は押しも押されもしない偉大な英雄でしたが、なんと、ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)にかかっていたのです。
+ かつてシリヤ軍がイスラエルに侵略した時、捕虜の中に若い娘がいて、ナアマンの妻の召使になっていました。
+ ある日、その少女が女主人に言いました。「だんな様は、サマリヤにいる預言者のところへ行かれたらよろしいのではないでしょうか。きっと、その方がツァラアトを治してくださいます。」
+ そこでナアマンは、少女のことばを王に話しました。
+ シリヤの王は、「その預言者のところへ行くがよい。イスラエルの王にあてて紹介状を書こう」と言いました。そこでナアマンは、贈り物として、金六千シェケル(六十八‧四キログラム)と銀十タラント(三百四十キログラム)、それに着物十着を持って、イスラエルへ出発しました。
+ イスラエルの王への手紙には、こう書いてありました。「この書状をあなたに手渡す者は、私の家臣ナアマンです。ぜひとも、ナアマンのツァラアトを治してください。」
+ イスラエルの王は手紙を読むと、服を裂いて言いました。「シリヤの王め、ツァラアトの者をよこして、病気を治してくれと無理難題を吹っかけてきている。私は殺したり、生かしたりできる神だろうか。これは、侵略の口実を見つける罠に違いない。」
+ 預言者エリシャは、イスラエルの王が苦境に立たされていることを知り、人を送って、次のように言いました。「なぜ、そんなに取り乱しているのですか。ナアマンをよこしてください。彼は、イスラエルには神の預言者がいることを知るでしょう。」
+ ナアマンは馬と戦車を従えて、エリシャの家の玄関に立ちました。
+ エリシャは使いの者をやって、言いました。「ヨルダン川へ行って、体を七回洗いなさい。そうすれば、ツァラアトは跡形もなくなり、完全に治ります。」
+ これを聞いたナアマンは、ひどく腹を立て、不きげんそうに言いました。「なんということだ。預言者がじきじきに出て来てあいさつし、患部に手をあて、彼の神の名を呼んでツァラアトを治してくれると思ったのに。
+ 川で洗えだと? それなら、ダマスコのアマナ川やパルパル川のほうが、イスラエルの川よりよっぽどきれいじゃないか。どうしても川で洗わなければならないというのなら、故郷の川でやったほうがまだましだ。」彼は憤慨しながらそこを去りました。
+ その時、部下がこう説き伏せたのです。「もしあの預言者に、何か難しいことをせよと言われたら、そうなさるおつもりだったのでしょう。それなら、体を洗って、きよくなれと言われただけのことですから、そのとおりになさってみたらいかがですか。」
+ それももっともです。ナアマンはヨルダン川へ下って行き、言われたとおり、七回、水に身を浸しました。すると、彼の皮膚は幼子のようにつやつやしてきて、すっかり治ったのです。
+ そこで、ナアマン一行は預言者のところへ引き返し、うやうやしく彼の前に立ちました。ナアマンは感謝にあふれて言いました。「今こそ、イスラエルのほかに、世界のどこにも神はおられないことがわかりました。どうぞ、この贈り物をお受けください。」
+ 「私の主にかけて、そのような物を頂くわけにはまいりません。」ナアマンはしきりに勧めましたが、エリシャはどうしても受け取ろうとしません。
+ しかたなく、ナアマンは言いました。「では、これだけはお聞き届け願えないでしょうか。どうぞ、二頭のらばに載せられるだけの土を分けてください。国に持ち帰りたいのです。これからはもう、主のほかには、どの神にもいけにえをささげたくありません。
+ しかし、一つだけお許しいただきたいことがあります。私の主君がリモンの神殿に参拝する時、私の腕に寄りかかります。その時、私もいっしょに身をかがめますが、そのことを主がお許しくださいますように。」
+ 「よろしい。安心してお帰りなさい」というエリシャの返事を聞いて、ナアマンは帰って行きました。
+ ところが、エリシャのしもべゲハジはひそかに考えました。「だんな様のお人好しにも困ったものだ。贈り物を一つも受け取らずに、あの方を帰してしまうんだから。よし、あの方のあとを追いかけ、何か頂いて来よう。」
+ ゲハジはナアマンのあとを追いました。ナアマンはゲハジが走って来るのを見ると、戦車から降り、走り寄って迎えました。「何かあったのですか。」
+ 「はい。主人がお伝えしたいことがあると、私を使いに出したのでございます。たった今、若い預言者が二人、エフライムの山地から来まして、彼らに何かみやげをと思ったものですから。よろしければ、銀一タラント(三十四キログラム)と着物二着を分けていただけませんか。」
+ 「よろしいですとも。なんなら、いっそ銀二タラントをお持ちください。」ナアマンは強く勧め、高価な着物二着と銀二タラントを二人の家来に持たせ、ゲハジといっしょに行かせました。
+ エリシャの家のある丘まで来ると、ゲハジは着物と銀の袋を受け取り、二人を帰しました。そして、受け取ったものを家の中に隠したのでした。
+ 何くわぬ顔で主人の前に出たゲハジに、エリシャは尋ねました。「ゲハジ、どこへ行っていたのか。」彼は答えました。「別に、どこにもまいりません。」
+ エリシャは言いました。「ナアマンが戦車から降りておまえを迎えるのを、私は心の目で見ていたのだ。今は、銀や着物、オリーブ畑やぶどう畑、羊や牛、男女の奴隷を受け取る時だろうか。
+ そんなことをしたからには、ナアマンのツァラアトは、いつまでも、おまえとおまえの子孫に降りかかることになる。」ゲハジはたちまちツァラアトに冒され、肌が雪のように白くなって、エリシャの部屋から出て行きました。
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+ ある日、預言者学校の弟子たちが、エリシャのもとに来て言いました。「先生、ごらんのように、私たちの寄宿舎が手狭になりました。ヨルダン川のそばには材木がたくさんありますから、そこに新しい寄宿舎を建ててはいかがでしょう。」エリシャは、「そうしなさい」と言いました。
+ 「どうか、先生もいっしょに行ってください」と一人が言ったので、「わかった。私も行こう」とエリシャは答えました。
+ こうして彼らはヨルダン川に着き、木を切り出しにかかりました。
+ ところが、木を切っていた一人が斧の頭を川に落としてしまったのです。「先生、大変です。あの斧は借り物なのです。」
+ 「どこに落としたのか。」彼がその場所を教えると、エリシャは一本の枝を切り、そこに投げ込みました。すると、斧の頭が水面に浮かび上がってきたのです。
+ 「さあ、拾い上げなさい」と言われて、彼は手を伸ばしてそれを取り上げました。
+ シリヤの王がイスラエルと戦っていた時のことです。王は家臣たちに、「これこれの場所に兵を集めよう」と言いました。
+ すると、すぐさまエリシャはイスラエルの王に、「あの場所へは近寄られませんように。シリヤ軍が集結しようとしています」と使者を送って警告しました。
+ イスラエルの王は、エリシャの言うことがほんとうかどうか確かめようと偵察を出したところ、やはり、そのとおりでした。こうして、エリシャはイスラエルを救いましたが、このようなことが何度もあったのです。
+ シリヤの王は首をかしげ、家臣たちを呼んできびしく追及しました。「この中に裏切り者がいる。こちらの作戦を敵に通報している者がいるはずだ。」
+ すると家臣の一人が言いました。「王様、私どもではありません。イスラエルにいる預言者エリシャが、王様が寝室でこっそりおっしゃることまで、イスラエルの王に告げているのです。」
+ 「そうか。では、彼の居場所を突き止めて捕まえよう。」やがて、「エリシャがドタンにいる」という知らせが届きました。
+ そこで、ある夜、シリヤの王は戦車と馬で武装した大軍を差し向け、ドタンを包囲しました。
+ 翌朝早く、預言者のしもべが起きて外に出ると、馬と戦車で固めた大軍がぐるりと町を包囲していました。若いしもべは思わず、「わあっ、ご主人様! ど、どうしたらよいでしょう」と大声で叫びました。
+ 「恐れるな。私たちの軍勢は彼らよりも多く、強いのだから。」
+ こう言って、エリシャは主に祈りました。「どうか彼の目を開いて、見えるようにしてください。」すると、神が若いしもべの目を開いたので、火の馬と火の戦車がエリシャたちを取り巻くように山に満ちているのが見えました。
+ シリヤ軍が攻め寄せて来た時、エリシャは、「どうぞ、彼らを盲目にしてください」と主に祈りました。そのとおり、シリヤ軍の兵士たちは目が見えなくなりました。
+ エリシャは出て行って、彼らに言いました。「道を間違えているぞ! 攻撃する町はここではない! 私について来なさい。おまえたちが捜している人のところへ連れて行ってやろう。」こうして、彼らをサマリヤへ連れて行きました。
+ サマリヤに着くとエリシャは、「主よ。彼らの目を開いて、見えるようにしてください」と祈りました。目が見えるようになった時の、彼らの驚きようはありませんでした。サマリヤの真ん中に来ていたのです。
+ イスラエルの王は敵の兵士たちを見て、エリシャに尋ねました。「彼らを打ってもいいのですか。」
+ 「捕虜を殺してはなりません。パンと水を与え、国に帰してやりなさい。」
+ そこで王は、彼らのために盛大なもてなしをしてから、シリヤ王のもとに帰しました。その後、シリヤの略奪隊によるイスラエル侵入はぴたりと止みました。
+ ところが、のちにシリヤ(アラム)のベン‧ハダデ王は、全軍を召集してサマリヤを包囲しました。
+ そのため、サマリヤの町はひどい食糧難に見舞われたのです。包囲が長く続いたので、ろばの頭一つが銀八十シェケル(約一キログラム)、鳩の糞四分の一カブ(〇‧三二リットル)が銀五シェケルで売られるほどになりました。
+ ある日、イスラエルの王が町囲みの城壁の上を歩いていると、一人の女が、「王様、お助けください」と叫び求めてきました。王は言いました。「主があなたを助けてくださらないなら、私に何ができよう。食べ物もぶどう酒もやることはできない。それで、いったいどうしたというのか。」彼女は答えました。「実は、この女が私に、『今日はあなたの子どもを食べ、明日は私の子どもを食べましょう』と言ったのです。それで、二人して私の子どもを煮て食べました。次の日、私が、『さあ、今度はあなたの子どもの番よ』と言うと、この女は子どもを隠してしまったのです。」王はあまりに悲惨な話に、王服を引き裂いて悲しみました。それを見ていた人々は、王が下に荒布をまとっているのを知りました。
+ 王は誓って言いました。「今日、私がエリシャの首をはねないなら、神が私の首をはねてくださるように。」
+ イスラエルの王がエリシャを呼び出す使者を立てた時、エリシャは家の中に座って、イスラエルの長老たちと話し合っていました。ところが、使者が到着する前に、エリシャは長老たちにこう話しました。「あの人殺しが、私を殺そうと使者をよこしました。来ても、戸をしっかり閉め、中に入れてはいけません。本人がすぐあとからやって来るからです。」
+ 彼がまだ話し終わらないうちに、使者が到着し、そのあとには王が続いていました。王は言いました。「主はこんなひどいことをなさった。もうこれ以上、主の助けなど期待できない。」
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+ エリシャは答えました。「いや、主はこうおっしゃっている。『明日の今ごろには、サマリヤの市場で、小麦粉一セア(七‧六リットル)と大麦二セアが、それぞれ一シェケルで売られるようになる』と。」
+ これを聞いた王の侍従は、「たとえ主が天に窓をお作りになっても、そんなことが起こるはずはない」と言いました。そこでエリシャは言いました。「あなたは自分の目でその有様を見る。しかし、それを食べることはできない。」
+ そのころ、町の門の外に四人のツァラアトに冒された人が座って、こう話し合っていました。「死ぬまで、ここにじっと座っていてもしかたない。
+ ここにいても飢え死にするだけだし、町に入っても同じことだ。それなら、いっそ出て行って、シリヤの陣営に投降しよう。助かればもうけものだし、殺されても、もともとだ。」
+ 話がまとまり、夕方、そろってシリヤの陣営に行きましたが、驚いたことに、そこにはだれもいませんでした。
+ 主がシリヤ軍に、戦車の向かって来る音と馬のいななき、大軍勢が攻め寄せる音を聞かせたからです。それで、彼らは口々に、「イスラエルの王がヘテ人やエジプト人を雇って攻めて来たに違いない!」と言い、
+ あわてふためいて、その夜のうちに、彼らの天幕も馬もろばも何もかも置き去りにして、いのちからがら逃げ出したのです。
+ ツァラアトに冒された人たちは陣営の端まで来ると、天幕を次から次へと回って食べたり飲んだりし、金や銀や衣服を持ち出して、それらを隠しました。
+ そうこうしているうち、彼らは互いに言いました。「こんなことをしていてはいけない。この良い知らせを、まだ、だれにも伝えていないではないか。明日の朝まで黙っていようものなら、きっと恐ろしい罰を受けるだろう。さあ、宮殿にいる人々に知らせよう。」
+ そこで四人は町に戻り、見張り人に、「シリヤ軍の陣営に行ってみると、人っ子ひとりおらず、馬やろばはつながれたままで、天幕もそっくりそのままだった」と報告しました。
+ 見張り人は、大声でこの知らせを宮中の人々に伝えました。
+ 王は起き上がると、家臣たちに言いました。「これは罠に違いない。シリヤ軍は、われわれが飢えているのを知って、わざと陣営をからにし、野に隠れているのだ。われわれをおびき出す作戦だ。うっかり出て行ったら、たちまち生け捕りにされ、町も占領されてしまうだろう。」
+ 家臣の一人が答えました。「では、偵察を出して、様子を探らせてみてはいかがでしょう。残っている馬の中から、五頭だけ差し向けましょう。そのくらいなら、何が起ころうが、大した損失ではないでしょう。どうせここにいても、私たちとともに死ぬことになるのですから。」
+ そこで二台分の戦車用の馬が引き出され、王は敵陣偵察に二人の兵士を送りました。
+ 彼らは大急ぎで、逃げたシリヤ軍のあとを追い、ヨルダン川まで行きましたが、道の至るところに衣服や武器がいっぱい捨ててあるではありませんか。彼らは帰って、このことを王に報告しました。
+ そうとわかると、サマリヤの人々は、われ先にシリヤ軍の陣営に殺到し、略奪をほしいままにしました。そのため主のことばどおり、その日のうちに、小麦粉一セアと大麦二セアが一シェケルで売られるようになったのです。
+ 王は、「そんなことが起こるはずはない」と言ったあの侍従を、門の出入りの監視に当たらせました。ところが彼は、なだれのように殺到する人々に押し倒され、踏みつけられて、死んでしまいました。前の日、王がエリシャを捕らえに行った時、エリシャが語ったとおりでした。
+ 預言者が王に、「明日になったら、小麦粉と大麦が安く売られるようになる」と言った時、
+ その侍従が、「たとえ主が天に窓をお作りになっても、そんなことが起こるはずはない」と答えたので、預言者は、「あなたは自分の目でそのようになるのを見るが、それを食べることはできない」と言ったのでした。
+ そのとおりのことが実現し、人々は門のところで彼を踏みつけ、殺してしまったのです。
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+ エリシャは、かつて子どもを生き返らせてやったあのシュネムの女に言いました。「家族を連れ、どこかほかの地に疎開しなさい。主がイスラエルに、七年間のききんを起こさせるからです。」
+ 女は家族を連れてペリシテ人の地に移り、七年間そこに住みました。
+ ききんが終わるとイスラエルに戻り、自分の家と畑を返してくれるよう、王に願い出ました。
+ 彼女が王のところに来た時、たまたま王は、エリシャのしもべゲハジと話している最中でした。王はゲハジに、「エリシャが行ったすばらしいことを聞かせてくれ」と頼んだのです。
+ ゲハジは、エリシャが子どもを生き返らせた時のことを話していました。ちょうどそこへ、その子どもの母親が入って来たのです。ゲハジは思わず叫びました。「王様! 今、その女がここにおります。先生が生き返らせたのは彼女の子です。」
+ 王が、「確かに間違いないか」と尋ねると、彼女は、「そのとおりです」と答えました。そこで、王は家臣に命じました。「この女が所有していた物を、ぜんぶ返してやりなさい。留守の間の収穫に見合うだけの作物もだ。」
+ そののち、エリシャはシリヤの首都ダマスコへ行きました。時に、シリヤの王ベン‧ハダデ(二世)は病床に伏していましたが、「あのイスラエルの預言者が来た」と告げる者がありました。
+ それを聞いた王は、ハザエルに言いました。「その預言者に贈り物を持って行き、私の病気が治るかどうか、主に伺いを立ててもらってくれ。」
+ ハザエルは、贈り物として、土地の最上の産物をらくだ四十頭に載せて行き、エリシャに尋ねました。「ベン‧ハダデ王が、病気が治るかどうか、お伺いを立ててほしいと申しております。」
+ 「『治ります』と伝えなさい。しかし、主は私に、王はきっと死ぬと告げられた。」
+ そう言うとエリシャは、ハザエルが恥じ入るほどじっと彼の顔を見つめ、急に泣きだしました。
+ 「先生、いったい、どうなさったのですか?」とハザエルが聞くと、エリシャは答えました。「あなたが、イスラエル人に恐ろしいことをしようとしているのがわかるのだ。あなたは要塞を焼き払い、若い男を殺し、赤ん坊を岩に投げつけ、妊婦の胎を切り裂くだろう。」
+ ハザエルは言いました。「ただ仕えるだけの飼い犬のような私が、そんな大それたことなどできるわけがありません。」しかし、エリシャは言いました。「いや、主は私に、あなたがシリヤの王になると示された。」
+ ハザエルが帰って来ると、彼の帰りを待ちかねていた王は尋ねました。「エリシャは何と申した。」彼は、「あなたは治ると申されました」と言いました。
+ ところが、翌日、ハザエルは水に浸した毛布を王の顔にかぶせて窒息死させ、自分が王に取って代わったのです。
+ ユダの王ヨシャパテの子ヨラムが王位についたのは、イスラエルの王アハブの子ヨラムの第五年のことです。
+ ユダの王ヨラムは三十二歳で王となり、八年間エルサレムで治めました。
+ 王はアハブやほかのイスラエルの王のように、主の前に悪を重ねました。イスラエルの王だったアハブの娘と結婚していたからです。
+ それにもかかわらず、主はしもべダビデに子孫を守ると約束していたので、ユダを滅ぼしませんでした。
+ ヨラム王の治世に、エドム人がユダに背き、自分たちの王を立てました。
+ ヨラムは反乱を鎮めようとしましたが、うまくいきませんでした。ヨルダン川を渡ってツァイルの町を攻撃したものの、あっという間にエドムの軍勢に囲まれました。夜陰に乗じて、どうにか敵の包囲は破りましたが、味方の軍勢は王を見捨てて逃げてしまいました。
+ それ以後、エドムは独立国になったのです。時を同じくして、リブナも反乱を企てました。
+ ヨラム王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ ヨラム王は死んで、ダビデの町(エルサレム旧市街)にある王室墓地に葬られました。
+ ヨラムの子アハズヤがユダの王となったのは、イスラエルの王アハブの子ヨラムの第十二年のことです。
+ アハズヤは二十二歳で王になりましたが、エルサレムで王位にあったのはわずか一年でした。彼の母のアタルヤは、イスラエルの王オムリの孫娘でした。
+ アハズヤはアハブ家の婿で、アハブ王の子孫と同じように主の前に悪を行いました。
+ ユダの王アハズヤは、イスラエル王のヨラムを助けてシリヤのハザエルと戦うために、ラモテ‧ギルアデに出陣しました。ところが、その戦いでヨラムが負傷し、
+ イズレエルへ治療に帰ったので、その病床をアハズヤは見舞いに行きました。
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+ そのころ、エリシャは若い弟子を呼んで言いました。「この油のびんを持って、ラモテ‧ギルアデに行くしたくをしなさい。
+ 向こうに着いたら、ニムシの子ヨシャパテの子エフーを捜しなさい。捜しあてたら、呼び出して奥の部屋に案内し、
+ 彼の頭に油を注ぐのだ。それから、『主はあなたに油を注いでイスラエルの王とされる』と言って、すぐさま逃げて来なさい。」
+ 若い預言者は、言われたとおりラモテ‧ギルアデへ行き、
+ ほかの将校たちと会議中のエフーを見つけました。「将軍、申し上げることがあります」と、彼は言いました。「だれにだ」と、エフーが言いました。「あなたにです。」
+ エフーは席を立ち、家に入りました。若い預言者はエフーの頭に油を注いで、言いました。「イスラエルの主は言われる。『わたしはあなたに油を注いで、主の民イスラエルの王とする。
+ あなたはアハブの家を打たなければならない。こうして、イゼベルに殺された預言者や民のために復讐をするのだ。
+ これでアハブ家の者は、奴隷に至るまで滅びうせる。
+ わたしは、ネバテの子ヤロブアムの家や、アヒアの子バシャの家を滅ぼしたように、アハブの家を滅ぼす。
+ イズレエルで、犬がアハブの妻イゼベルを食らうが、だれも彼女を葬らない。』」こう言い終わると、彼は一目散に逃げ帰りました。
+ エフーが仲間の将校たちのところに戻ると、一人が尋ねました。「あの気が変な男は、何をしに来たのだ。何か変わったことでもあるのか?」「あなたがたは、あれがだれか、何を言ったか、よくわかっているはずだ」とエフーが言うと、
+ 「いや、私たちは知らない。教えてほしい」と彼らは答えました。そこでエフーは、その男が言ったこと、また、主が自分に油を注いでイスラエルの王としてくださったことを話しました。
+ すると、彼らはすばやく上着を脱いで階段の上に敷き、ラッパを鳴らして、「エフーが王様になった!」と大声で叫びました。
+ こうして、ニムシの子ヨシャパテの子エフーは、イスラエルの王ヨラムに反旗を翻したのです。一方、ヨラムはイスラエルの全軍を率い、シリヤのハザエルの軍勢に対してラモテ‧ギルアデの防衛に当たっていましたが、
+ 傷を負ったので、イズレエルに帰って治療していました。エフーは、いっしょにいる者たちに言いました。「私が王になることを願っているなら、このことはイズレエルに知らせに行ってはならない。」
+ それから、エフーは戦車に飛び乗り、病床にいるヨラム王を見つけようとイズレエルへ急行しました。その時、ユダのアハズヤ王も、ヨラム王を見舞いに来ていました。
+ イズレエルのやぐらの上にいた見張りが、エフーの一隊が近づいて来るのを見て、「だれか来るぞ!」と叫びました。ヨラム王は、「騎兵一人を出して、敵か味方か調べさせよ」と命じました。
+ そこで一人がエフーを迎えに行き、言いました。「王が、あなたは敵か味方かと言っておられます。和平のために来られたのですか。」エフーは、「和平が何だ。つべこべ言わず、私について来い!」と答えました。一方、見張りは王に、「使者は行ったまま戻りません」と報告しました。
+ そこで王は、第二の使者を出しました。彼は馬に乗ってエフーのところに行き、彼らが友好を意図しているかどうか尋ねました。「友好が何だ。つべこべ言わず、私について来い!」
+ 見張りは大声を張り上げました。「第二の使者も帰って来ません。ところで、あれはエフーに違いありません。狂暴に馬を走らせています。」
+ ヨラムは、「急いで、戦車の用意をせよ」と命じました。ヨラム王とユダのアハズヤ王は、戦車に乗ってエフーを迎えに出ました。彼らがエフーに出会ったのは、ナボテの所有する畑でした。
+ ヨラムは尋ねました。「エフー、友人として来たのか。」エフーは答えました。「あなたの母イゼベルの悪が私たちを取り巻いている限り、どうして友情などありえましょう。」
+ ヨラムはきびすを返し、大声でアハズヤに、「裏切りだ! 反逆だ!」と叫んで逃げました。
+ エフーは力いっぱい弓を引き絞り、逃げるヨラムの両肩の間にねらいをつけました。放たれた矢はみごと心臓を射抜き、ヨラムは戦車の中にどっと倒れ、そのまま息絶えました。
+ エフーは侍従のビデカルに命じました。「王の死体をナボテの畑に投げ捨てろ。いつかおまえと馬に乗って、彼の父アハブ王の供をしていた時、主のお告げがあったからだ。
+ 『わたしは、ナボテとその子らを殺した罪に、このナボテの地所で報復する。』だから、そのとおり、ナボテの畑に王の死体を投げ捨てるのだ。」
+ その間に、ユダ王のアハズヤはベテ‧ハガンの道へ逃げました。エフーはアハズヤを追いかけ、「やつも討ち取れ」と家来に命じました。エフーの軍勢は、イブレアムに近いグルの坂道で、戦車に乗ったアハズヤに矢を射かけ、重傷を負わせました。王はやっとの思いでメギドまで逃げ延びたものの、そこでついに事切れました。
+ 彼の家来たちは遺体を車に載せてエルサレムに運び、王室墓地に葬りました。
+ アハズヤがユダの王となったのは、イスラエルの王ヨラムの第十一年のことです。
+ イゼベルはエフーがイズレエルに来たと聞くと、目の縁に化粧をし、髪を結い直して、窓ぎわに座りました。
+ エフーが宮殿の門を入ると、彼女は大声で呼びかけました。「あーら、人殺しのエフーじゃない! ごきげんいかが。主君殺しのジムリ(イスラエルの王エラに謀反を起こして殺した)の子!」
+ エフーがイゼベルを見上げながら、「だれか私に味方する者はいないか」と叫ぶと、二、三人の宦官が顔を出しました。
+ 彼が「その女を突き落とせ!」と言ったので、宦官たちはイゼベルを窓から突き落としました。回りの壁や馬はその返り血を浴びて真っ赤に染まり、彼女は馬に踏みつけられました。
+ エフーは宮殿に入って食事をしてから、「あの、のろわれた女を葬ってやれ。王の娘なのだから」と言いました。
+ しかし、人々が彼女の遺体を葬ろうと出て行くと、すでに頭蓋骨と両手両足しか残っていませんでした。
+ 戻った者たちの報告に、エフーはこう言いました。「まさに、主のおことばどおりになった。主は預言者エリヤにお語りになった。『犬がイゼベルの肉を食らい、その死体は肥やしのようにまき散らされ、だれにも見分けがつかなくなる。』」
+
+
+ それから、エフーはサマリヤの町の役人と、そこに住んでいるアハブ王の七十人の子どもの養育係に手紙を書きました。
+ 「この手紙を読んだら、最もすぐれた子を王に立て、アハブ王家のために戦う準備をするがいい。戦車も馬も、城壁のある町も武器も十分ある。」
+ しかし彼らには、そんなことをする勇気などありませんでした。「二人の王でさえ、この人に立ち向かえなかったのに、私たちにできるはずがない」と、しりごみするばかりです。
+ そこで宮内長官と町の最高責任者は、役人や養育係と相談して、エフーに使者を立て、次のように答えました。「エフー様、私どもはあなたのしもべですから、ご命令どおり何でもいたします。アハブのお子ではなく、あなたを私たちの王と仰ぎ、忠誠を尽くします。」
+ エフーはさっそく返書を送りました。「もし私の味方となり、私に忠誠を尽くすつもりなら、主君の子どもらの首を、明日の今ごろ、イズレエルの私のもとへ持って来るように。」アハブ王の子ども七十人は、サマリヤの町のおもだった人たちの家に住み、幼いころから、この町で育てられていました。
+ 手紙が届くと、子どもたちはみな殺され、首は幾つかのかごに入れられ、イズレエルにいるエフーのもとへ送り届けられました。
+ 使者がエフーに、王の子どもの首を届けに来たと伝えると、エフーは、首を二山に分けて門の入口に積み重ね、翌朝まで置いておくように命じました。
+ 朝になると、エフーは出て行って、回りに集まっていた人々に言いました。「皆さんに落度はありません。私が主君に陰謀を企て、主君を殺したのです。しかし、この子たちを殺したのは私ではなく、主です。主がお語りになることは、必ずそのとおりになります。アハブ王の子孫はこうなると、主はそのしもべエリヤによって、はっきり告げておられたのです。」
+ エフーは、イズレエルに残っていたアハブ王の家族、おもだった家臣、親友、おかかえの祭司も同じように、みな打ち殺しました。王と親しい関係にあった者で生き残った者は一人もいませんでした。
+ このあと、エフーはサマリヤに向かいましたが、途中で、羊飼いの宿舎に一泊しました。
+ その時、ユダの王アハズヤの身内の者に出会いました。エフーが、「どなたですか」と尋ねると、「アハズヤの身内の者です。王のお子と、王母イゼベル様のお子に会いに、サマリヤへ行くところです」と答えました。
+ するとエフーは、「彼らを捕まえろ」と家来に命じました。それで人々は、彼らを水ために連れて行って、四十二人全員を殺してしまいました。
+ 宿舎を出たエフーは、彼を迎えに来たレカブの子ヨナダブに会いました。互いにあいさつを交わしたあと、エフーが言いました。「私があなたを裏切らないように、あなたも私を裏切りませんか。」ヨナダブは、「もちろんです」と答えました。「それなら、手を出しなさい。」エフーは彼の手を取って戦車に引き上げ、言いました。
+ 「さあ、いっしょに来て、私がどれほど主のために熱心か見てください。」ヨナダブはエフーと並んで戦車に乗りました。
+ サマリヤに着くと、エフーはアハブの親族や友人を一人残らず打ち殺しました。主がエリヤによって予告したとおりのことが起こったのです。
+ それから、エフーはサマリヤの全住民を集めて、次のように指示しました。「アハブは、私がそうしようとするほど熱心なバアル信奉者ではなかった。
+ バアルの預言者と祭司を全員呼び集めよ。バアルの礼拝者も残らず集めよ。全員が集まったかどうか、しっかり見届けるのだ。バアル信奉者がこぞってバアルをほめたたえる盛大な祭りを行うことにする。バアル信奉者でここに来ない者は、生かしてはおかない。」しかし、これは彼らを皆殺しにしようとする計略だったのです。
+ エフーはイスラエル中に使者を送り、バアル信奉者を集めました。バアルの神殿は隅から隅まで人でいっぱいになりました。
+ エフーは衣装係に、「この者たちに祭服を着せなさい」と命じました。
+ エフーとレカブの子ヨナダブは、神殿に入ると、集まった人々に語りました。「ここにいるのはバアル信奉者だけかどうか、よく確かめろ。イスラエルの主を礼拝する者は一人も入れてはならない。」
+ こうして、バアルの祭司が焼き尽くすいけにえをささげている時、エフーは八十人の部下に神殿を取り巻かせ、こう言い渡しました。「この中にいる者を一人でも逃がしたら、いのちはないぞ!」
+ いけにえをささげ終わるのを待ちかねたように、エフーは外へ出て、「さあ、入って、一人残らず討ち取れ」と命じました。彼らは中にいた者を残らず切り殺し、死体を外に引きずり出しました。それから、神殿の奥に踏み込んで、
+ 礼拝用の柱を引き倒し、焼き捨て、
+ 神殿も壊し、公衆便所に造り変えました。それは、今もそのままになっています。
+ このようにエフーは、イスラエルからバアルの痕跡を完全に取り除きました。
+ ただし、ベテルとダンにある金の子牛像だけは取り除きませんでした。その子牛像こそ、全イスラエルを罪に陥れたもとであり、ネバテの子ヤロブアムが犯した、最大の罪の産物だったのです。
+ 主はエフーに語りました。「あなたは、アハブ王家を滅ぼせというわたしの命令によく従った。だから、ひ孫の代までイスラエルの王としよう。」
+ ところがエフーは、真心からイスラエルの神、主に従おうとはしませんでした。彼は、イスラエルに大きな罪を犯させる原因となった、ヤロブアムの金の子牛像を拝み続けていたのです。
+ そのころ、主はイスラエルの領土を少しずつ削り始めていました。シリヤ(アラム)のハザエルが、ヨルダン川の東側、ガド族、ルベン族、マナセ族のギルアデの全土、つまり、アルノン渓谷にあるアロエルからギルアデとバシャンに及ぶ各地を侵略したのです。
+ エフーのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ エフーは死んでサマリヤに葬られ、息子エホアハズが新しく王となりました。
+ エフーがサマリヤでイスラエルの王位にあったのは二十八年間でした。
+
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+ ユダの王アハズヤの母アタルヤは、息子が死ぬと、王の子どもをことごとく殺そうとしました。
+ しかし、アハズヤの子で一歳のヨアシュだけは、叔母のエホシェバに助け出されて無事でした。エホシェバはアハズヤの父ヨラム王の娘でした。彼女は、殺される運命にある王子たちの中からヨアシュを連れ出して、乳母とともに神殿の物置に隠し、二人はそこで六年間過ごしました。その間、アタルヤが女王としてユダを治めました。
+ アタルヤの第七年に、祭司エホヤダは、宮殿の近衛兵の百人隊長と女王の側近を神殿に呼び集め、秘密を守ると誓わせたうえでヨアシュ王子を見せ、
+ 次のように指示しました。「安息日には、三分の一の者を宮殿の護衛に当たらせ、
+ 残る三分の二は、神殿の警護に当たらせよ。めいめい武器を持って、王の回りを囲むのだ。囲みを破ろうとする者がいたら、殺さなければならない。片時も王のそばを離れてはならない。」
+ 百人隊長たちは指示どおり、安息日の勤務をしない者と勤務につく者とを、エホヤダのところに連れて来ました。
+ エホヤダは彼らを、神殿にあったダビデ王の槍や盾で武装させました。
+ すでに武器を手にしていた宮殿の近衛兵たちは、神殿の正面に向かって立ち、ヨアシュの隠れ場所に近い、祭壇の回りを囲みました。
+ それから、エホヤダは幼い王子を連れ出し、頭に王冠をかぶらせ、十戒の写しを渡し、油を注いで王としたのです。彼らは拍手かっさいして、「王様、ばんざい」と叫びました。
+ 女王アタルヤはこの騒ぎを聞くと、神殿へ急ぎました。見ると、即位の時の習わしに従って、新しい王が柱のそばに立ち、回りを女王の側近や吹奏隊が取り囲んでいました。民はみな大喜びで、ラッパを吹き鳴らしているのです。それを見た女王は、「謀反だ! 反逆だ!」と絶叫して、衣服を引き裂きました。
+ エホヤダは百人隊長たちに命じました。「この女を連れ出せ。神殿の中で殺してはいけない。この女につく者があれば、殺してかまわない。」
+ 彼らは女王を引きずり出して宮殿の馬屋へ連れて行き、そこで彼女を殺しました。
+ エホヤダは、主と王と民との間で、主の民となるという契約を結び、王と民との間でも契約を結びました。
+ 人々はバアルの神殿を取り壊し、祭壇と像を砕き、祭壇の前でバアルの祭司マタンを殺しました。祭司エホヤダは神殿に警護を置き、
+ 隊長、近衛兵、人々とともにヨアシュを神殿から連れ出して、衛兵所を通って宮殿に入り、彼を王座につけました。
+ それで、人々は喜びにあふれ、アタルヤの死後、ようやくエルサレムの町は平穏を取り戻しました。
+ ヨアシュが王となったのは七歳の時でした。
+
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+ ヨアシュがユダの王となったのは、エフーがイスラエルの王となってから七年後のことで、四十年間エルサレムで治めました。母親は、ベエル‧シェバ出身のツィブヤでした。大祭司エホヤダが正しく教え導いたので、
+ ヨアシュ王は一生を通じて主の目に正しいことを行いました。
+ それでも、高台にある礼拝所を取り壊さなかった(エルサレム神殿で礼拝することをしないでいた)ため、民はなお、そこでいけにえをささげたり、香をたいたりしていました。
+ ある日、ヨアシュはエホヤダに言いました。「神殿を修理しなければならない。割り当てられた献金であっても、自由な献金であっても、主にささげられたものはみな、修理代にあてるようにしなさい。」
+ ところが、王の即位から二十三年たっても、神殿の修理は手つかずでした。
+ そこで王は、エホヤダはじめ祭司たちを呼んで彼らに言いました。「なぜ、神殿の修理に取りかからないのか。もうこれ以上、献金を祭司の生活費にあててはならない。これからは、神殿の修復のためにだけ使うようにしなさい。」
+ 祭司たちは、彼らの生活費とは別途、神殿修理のための基金を積み立てることに同意しました。
+ 祭司エホヤダは大きな箱のふたに穴をあけ、神殿入口の祭壇の右側に置きました。門番が、人々の献金を全部その中に納めるのです。
+ 箱がいっぱいになると、王の財務官と大祭司がお金を勘定し、袋に詰めました。
+ それは工事監督者に渡され、大工、石工、石切り工、材木商、石材商への支払いや、神殿修理に必要な他の資材購入費にあてられました。
+ 銀杯、金の芯切りばさみ、鉢、ラッパなどを買う費用ではなく、全額が建物の修理だけにあてられたのです。
+ 工事監督者は正直な人たちで、忠実に職務を果たしたので、会計報告を求める必要はありませんでした。
+ しかし、罪の赦しのためのいけにえや、罪過を償ういけにえのためにささげられた献金は、祭司たちが自由に使えました。それは箱には入れられませんでした。
+ そのころシリヤの王ハザエルはガテを攻めて占領し、その勢いをもってエルサレムへと攻め上りました。
+ ヨアシュ王は、ユダの歴代の王ヨシャパテ、ヨラム、アハズヤなどが主のために選んでささげた物すべて、さらに王自身のささげ物を、神殿と宮殿の宝物倉にある金とともにハザエルに送ったので、彼は攻撃を中止しました。
+ ヨアシュのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ しかし、王はシラへ下る途中、謀反を起こした家臣たちにミロの王宮で暗殺されました。
+ 暗殺者は王に信頼されていた側近で、シムアテの子ヨザバデと、ショメルの子エホザバデです。ヨアシュはエルサレムの王室墓地に葬られ、息子アマツヤが王位につきました。
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+ エフーの子エホアハズが、十七年にわたるイスラエル統治を始めたのは、ユダの王ヨアシュの第二十三年のことです。
+ エホアハズは主の前に悪を行い、イスラエルを罪に誘い込んだヤロブアムの悪にならいました。
+ 主はそんなイスラエルを激しく怒り、シリヤの王ハザエルとその子ベン‧ハダデが、イスラエルを侵略するがままにまかせておきました。
+ しかし、エホアハズ王が助けを祈り求めると、主はその願いを聞き入れました。シリヤの王がイスラエルをひどく苦しめるのを見たからです。
+ 主はイスラエルに指導者を起こし、シリヤ軍の圧制から救い出したので、人々は以前のように平和に過ごせるようになりました。
+ が、それでもなお、人々は罪を犯し続け、ヤロブアムの悪から離れようとせず、サマリヤにあったアシェラの女神像を礼拝していたのです。
+ ついに主は、エホアハズ王の軍隊を、騎兵五十、戦車十台、歩兵一万にまで弱体化させてしまいました。彼の兵力は、シリヤの王によって、足下のちりのように壊滅状態に陥ったのです。
+ エホアハズのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ エホアハズ王は死んで、サマリヤに葬られ、息子ヨアシュが、十六年間サマリヤで王位につきました。
+ エホアハズの子ヨアシュが王となったのは、ユダの王ヨアシュの第三十七年のことです。
+ 彼は主の前に悪を行い、ヤロブアムのようにイスラエルを偶像礼拝に誘い込み、罪を犯させました。
+ ヨアシュのその他の業績は、ユダの王アマツヤと戦ったことも含めて、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ ヨアシュは死んで、歴代のイスラエルの王とともにサマリヤに葬られ、ヤロブアム二世が新しく王となりました。
+ エリシャが回復不能の病気になった時のこと、イスラエルの王ヨアシュはその病床を訪れ、泣き伏して言いました。「わが父、わが父。あなたはイスラエルの力です!」
+ そこでエリシャが、「弓と矢を取り、
+ 東の窓を開けなさい」と言いました。さらに、弓に手をかけるように言い、自分の手を王の手に重ねました。「矢を射なさい。」王は、言われるとおりにしました。すると、エリシャは言いました。「これは主の矢、シリヤに対する勝利の矢だ。あなたはアフェクで、シリヤ軍をみごとに破るだろう。
+ さあ、別の矢を取り、それを地面に向かって射ちなさい。」王は矢を取って三度、地を射ちました。
+ しかし、預言者は怒って言いました。「あなたは三度だけでなく、五度も六度も打つべきだった。そうすれば、シリヤを徹底的に滅ぼせたのに。これでは、三度しか勝つことはできない。」
+ こうしてエリシャは死に、葬られました。そのころ、毎年春になると、モアブの略奪隊がこの国に侵入して来ました。ある時、友人を葬ろうとしていた人々が略奪隊を見つけ、あわてて死体をエリシャの墓に投げ込んで立ち去りました。すると、どうでしょう。死体がエリシャの骨に触れたとたん、その人は生き返り、自分の足で立ち上がったのです。
+ シリヤの王ハザエルは、エホアハズが治めている間中、イスラエルを圧迫しました。
+ それでも、主がイスラエルの民を思いやったので、根絶やしになるようなことはありませんでした。それは主が、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を忘れなかったからです。この契約は今も変わっていません。
+ シリヤの王ハザエルが死に、息子ベン‧ハダデ三世が王になりました。
+ エホアハズの子でイスラエルの王ヨアシュは、三度の勝利によって、父が失った町々をベン‧ハダデから取り返しました。
+
+
+ イスラエルの王ヨアシュの第二年に、アマツヤがユダの王となりました。
+ アマツヤは二十五歳で王位につき、二十九年間エルサレムで治めました。母親はエホアダンといい、エルサレム出身でした。
+ 彼は先祖ダビデほどではありませんでしたが、主の目にかなった良い王で、父ヨアシュのようにふるまいました。
+ それでも、高台の礼拝所だけは取り除かなかったので、民は相変わらず、そこでいけにえをささげたり、香をたいたりしていました。
+ 王国をしっかり掌握すると、アマツヤは父ヨアシュを暗殺した者たちを殺しました。
+ しかし、その子どもたちまでは殺しませんでした。モーセの律法で、こう定めていたからです。「父親が子どもの罪で死刑になることはない。子どもも父親の罪で死刑になることはない。だれでも、自分自身の罪を償わなければならない。」
+ アマツヤ王は塩の谷で、一万人ものエドム人を殺しました。また、セラを占領して、ヨクテエルと名を変えました。今もそう呼ばれています。
+ ある日、アマツヤ王は、エホアハズの子でエフーの孫に当たる、イスラエルの王ヨアシュに使者を送り、「さあ出て来て、戦いを交えよう」と言いました。
+ しかし、ヨアシュ王は答えました。「レバノンのあざみがレバノンの大きな杉の木に、『娘さんを息子の嫁にくれないか』と言っていると、通りかかった野獣があざみを踏みつけてしまったそうだ。
+ あなたは、エドムを撃破したことで鼻を高くしておられるようだ。悪いことは言わないから、得意になるのはそれくらいにして、家に引っ込んでいなさい。わざわざ事をかまえて、自分とユダとに災いをもたらすこともないだろう。」
+ しかし、ユダのアマツヤ王はこれを無視しました。そこで、ヨアシュ王も軍を召集しました。いよいよユダの町ベテ‧シェメシュで戦いの火ぶたが切られると、
+ ユダ軍はさんざんな負け戦となり、ほうほうのていで逃げ帰りました。
+ アマツヤは捕らえられ、イスラエル軍がエルサレムに進軍して来ました。そして、城壁をエフライムの門から隅の門まで、約二百メートル近くにわたって破壊したのです。
+ ヨアシュは、多くの人質をはじめ、神殿や宮殿の宝物倉にある金、銀、金の杯などをごっそりサマリヤへ持ち帰りました。
+ ヨアシュのその他の業績や、ユダのアマツヤとの戦いのことは、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ ヨアシュ王は死んで、歴代のイスラエルの王とともにサマリヤに葬られ、息子ヤロブアム二世が王位につきました。
+ ユダの王アマツヤはヨアシュ王の死後、なお十五年生き長らえました。
+ アマツヤのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ エルサレムで謀反が起こった時、王はラキシュへ逃げました。しかし、王のいのちをつけねらう者たちは、暗殺者を送り込んで王を殺しました。
+ 遺体は馬でエルサレムに運ばれ、ダビデの町の王室墓地に葬られました。
+ そののちアマツヤの子アザルヤ(ウジヤ)が、十六歳で新しい王となりました。
+ 父の死後、アザルヤ王はエラテを再建し、再びユダの領地としました。
+ 一方、イスラエルでは、ユダの王アマツヤの第十五年に、ヤロブアム二世が王となりました。ヤロブアムの治世は四十一年間でした。
+ 彼は、イスラエルに偶像礼拝の罪を犯させた、ネバテの子ヤロブアム一世と同じくらい主の前に悪を行いました。
+ ヤロブアム二世は、レボ‧ハマテと死海の間の領土を取り戻しました。アミタイの子でガテ‧ヘフェル出身の預言者ヨナを通して、神が前もって語っていたとおりでした。
+ そうなったのは、主がイスラエルの苦境を見て、しかもイスラエルを助ける者が一人もいなかったからです。
+ 主はイスラエルを抹殺するとは言っておらず、ヤロブアム二世に力を貸して、イスラエルを救ったのです。
+ ヤロブアム二世の強大な勢力、戦功、ユダに占領されていたダマスコとハマテを取り戻したことなどは、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ ヤロブアム二世は死んで、イスラエルの歴代の王とともに葬られ、息子ゼカリヤが新しい王となりました。
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+ ユダの新しい王アザルヤ(別名ウジヤ)は、イスラエルの王ヤロブアム二世の第二十七年に即位しました。父はアマツヤ王、母はエルサレム出身のエコルヤで、十六歳で即位し、エルサレムでの在位期間は五十二年に及びました。
+ アザルヤは父アマツヤのように、主の目にかなう正しいことを行いました。
+ ただ、先王にならって高台の礼拝所は取り除かず、民はなおも、そこでいけにえをささげたり、香をたいたりしていました。
+ このため主が王を打ったので、王はツァラアトに冒され、死ぬまで隔離された家に住まなければなりませんでした。その間、王の子ヨタムが摂政を務めました。
+ アザルヤのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ 彼は死んで、先祖とともにダビデの町に葬られ、息子ヨタムが王となりました。
+ イスラエルの新しい王、ヤロブアムの子ゼカリヤは、ユダの王アザルヤの第三十八年に即位し、在位期間は六か月でした。
+ ゼカリヤは先祖たちのように、主の前に悪を行い、ネバテの子ヤロブアム一世にならって民に偶像礼拝の罪を犯させました。
+ そこで、ヤベシュの子シャルムが謀反を企ててイブレアムで王を暗殺し、代わって王となりました。
+ ゼカリヤのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ こうして、主がエフーに予告したとおり、エフーの子と孫とひ孫とが、イスラエルの王となりました。
+ イスラエルの新しい王、ヤベシュの子シャルムは、ユダの王ウジヤの第三十九年に即位し、在位期間は一か月でした。
+ シャルムが王となって一か月後、ガディの子メナヘムが、ティルツァからサマリヤに上って王を殺害し、王位を奪いました。
+ シャルムのその他の業績と、彼が企てた謀反のことは、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ メナヘム王は、タプアハの町と周辺の村々を破壊しました。そこの住民が、彼を王に迎えることを喜ばなかったからです。王は全住民を打ち、妊婦たちを切り裂きました。
+ イスラエルの新しい王メナヘムは、ユダの王アザルヤの第三十九年に即位し、サマリヤで十年間治めました。
+ メナヘムは主の前に悪を行い、ヤロブアム一世のように偶像を礼拝し、民を恐ろしい罪に誘い込みました。
+ 折しも、アッシリヤの王プルがこの地を侵略しました。その時、メナヘムが銀一千タラント(三万四千キログラム)を与えたので、プルは引き返しました。王は資金調達のため、資産家全員から銀五十シェケル(五百七十グラム)ずつ強制的に取り立てました。
+ メナヘムのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ 王は死んで、その子ペカフヤが新しく王となりました。
+ イスラエルの新しい王ペカフヤは、ユダの王アザルヤの第五十年に即位し、サマリヤで二年間治めました。
+ ペカフヤ王は主の前に悪を行い、イスラエルに悪の根を植えつけた、ネバテの子ヤロブアム一世が持ち込んだ偶像礼拝を続けました。
+ イスラエル軍の最高司令官だったレマルヤの子ペカが、ギルアデ出身の五十人を誘って謀反を起こし、サマリヤの宮殿で王を暗殺しました。その時の反乱で、王の側近のアルゴブとアルエも殺されました。こうして、ペカフヤに代わってペカが新しく王となりました。
+ ペカフヤのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ イスラエルの新しい王、レマルヤの子ペカは、ユダの王アザルヤの第五十二年に即位し、サマリヤで二十年間治めました。
+ ペカも主の前に悪を行い、イスラエルの民を偶像礼拝の罪に陥らせた、ネバテの子ヤロブアム一世にならいました。
+ ペカが王位にある時、アッシリヤの王ティグラテ‧ピレセル(プル)が攻めて来て、イヨン、アベル‧ベテ‧マアカ、ヤノアハ、ケデシュ、ハツォル、ギルアデ、ガリラヤ、ナフタリの全土を占領し、住民を捕虜として連れ去りました。
+ その時、エラの子ホセアが謀反を企て、王を暗殺して、自分が王座につきました。イスラエルの新しい王ホセアは、ユダの王ウジヤの子ヨタムの第二十年に即位しました。
+ ペカ王のその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。
+ ユダの新しい王ヨタムは、イスラエルの王ペカの第二年に二十五歳で即位しました。父はウジヤ、母はツァドクの娘エルシャ。彼はエルサレムで十六年間治めました。
+ ヨタムは父ウジヤのように、主の前に正しいことを行いました。しかし、高台の礼拝所は取り除かなかったので、人々はそこでいけにえをささげたり、香をたいたりしました。彼の在位中に、神殿の上の門が造られました。
+ ヨタムのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ そのころ、主はシリヤの王レツィンとイスラエルの王ペカに、ユダを攻めるよう仕向けました。
+ ヨタム王は死んで、ユダの歴代の王とともにエルサレムの旧市街、ダビデの町の王室墓地に葬られ、その子アハズが王となりました。
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+ ユダの新しい王、ヨタムの子アハズは、イスラエルの王ペカの第十七年に、二十歳で即位し、エルサレムで十六年間治めました。
+ アハズは、先祖ダビデのようには、主の前に正しくありませんでした。
+ それどころか、彼はイスラエルの歴代の王のように偶像礼拝を行い、イスラエルの民がこの地に入った時に主が滅ぼされた国々の異教の風習にならい、焼き尽くすいけにえとしてわが子を神々にささげることまでしました。
+ このほかにも、高台の礼拝所や繁った木の下の祭壇でいけにえをささげたり、香をたいたりしました。
+ そのころ、シリヤ(アラム)の王レツィンとイスラエルの王ペカの連合軍がユダに宣戦布告し、エルサレムを包囲しましたが、町を占領することはできませんでした。
+ それでも、レツィン王はエラテの町を取り戻し、ユダの人々を追い出して、シリヤ人を移住させました。今もそのままです。
+ アハズ王はアッシリヤの王ティグラテ‧ピレセルに使者を送り、援軍を要請しました。
+ このため、神殿や宮殿の宝物倉にあった金銀を贈り物として差し出したので、
+ アッシリヤの王はシリヤの首都ダマスコを攻撃し、住民を捕虜としてキルに連れ去り、レツィン王を殺しました。
+ アハズ王は、ティグラテ‧ピレセル王に会うためダマスコへ行き、そこで、異教の神殿にある見慣れない祭壇に目を留めました。さっそくその寸法を書き留めて図面を作り、くわしい説明書きとともに、それを祭司ウリヤに送りました。
+ ウリヤは指示されたとおりに祭壇を築き、王のために準備しました。王は、ダマスコから帰るとすぐに、いけにえをささげました。
+ 祭壇の上に、焼き尽くすいけにえと穀物の供え物とをささげ、さらに注ぎのささげ物を注いでから、和解のいけにえの血を振りかけました。
+ それから、これまで神殿の入口にあった青銅の祭壇を、神殿の正面から新しい祭壇の北側に移し替えました。
+ 王は祭司ウリヤに、新しい祭壇の上で、朝ごとにささげる焼き尽くすいけにえと夕べの穀物の供え物、王の焼き尽くすいけにえと穀物の供え物、民のささげ物、および、これらに添える注ぎのささげ物をささげるように命じました。焼き尽くすいけにえや他のいけにえの血も、新しい祭壇に振りかけられました。王が、「古い青銅の祭壇は、私が個人的に伺いを立てるために使おう」と言ったので、古い祭壇はもっぱら占い用に使うことになりました。
+ 祭司ウリヤは、王の命令どおりにしました。
+ それから王は、神殿にあった車輪つきの台を解体し、横木とその上に載せてあった洗盤を取りはずしました。また、青銅の牛の背に載せてあった大洗盤を下ろして、敷石の上に置きました。
+ さらに、アッシリヤ王に敬意を表して、宮殿と神殿との間にしつらえた祝祭用の通路を取りはずしました。
+ アハズ王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ 王は死んで、エルサレムの旧市街、ダビデの町の王室墓地に葬られ、その子ヒゼキヤが王となりました。
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+ イスラエルの新しい王、エラの子ホセアは、ユダの王アハズの第十二年に即位し、サマリヤで九年間治めました。悪政でしたが、歴代の王ほどではありませんでした。
+ アッシリヤの王シャルマヌエセルはイスラエルを攻め、ついにホセア王を服従させました。イスラエルは、毎年アッシリヤにばく大な貢ぎ物を納めることになったのです。
+ しかし、ホセア王は謀反を企て、エジプトのソ王に、アッシリヤの支配から脱することができるように援軍を頼みました。ところが、これが発覚し、アッシリヤ王は貢ぎ物を納めることを拒んだホセア王を反逆のかどで牢に入れ、鎖につなぎました。
+ こうして、イスラエルにアッシリヤ軍がなだれ込み、三年の間、首都サマリヤを包囲しました。
+ ホセア王の第九年、ついにサマリヤは陥落し、イスラエルの民はアッシリヤに捕らえ移され、ハラフの町、ゴザンのハボル川のほとり、メディヤ人の町々に住まわせられたのです。
+ こうした災難が臨んだのは、民がほかの神々を礼拝してエジプトの奴隷生活から彼らを救い出した神、主に対して罪を犯したからです。
+ 人々は、主が追い払った異邦人の悪い風習に染まっていたのです。
+ ほかにも、ひそかに多くの悪を行い、国中に異教の神々の祭壇を作っていました。
+ 彼らはすべての高台や、よく繁った木の下にも、石の柱や神々の像を立て、
+ 主がこの地から一掃した異邦人の神々に香をたいていました。こうして、数々の悪を重ねたので、ついに主の激しい怒りを招きました。
+ あれほど主がはっきりとくり返し警告していたのにもかかわらず、彼らは偶像礼拝にふけっていたのです。
+ 主は再三再四、イスラエルとユダに預言者を送り、悪の道から離れて彼らの先祖たちに与えたおきてを守るよう、警告してきました。
+ ところがイスラエルの民は、いっこうに耳を貸そうとしませんでした。彼らは先祖たちと同じように強情で、彼らの神、主を信じようとしませんでした。
+ 主の教えに耳をふさぎ、主が先祖と結んだ契約を軽んじ、その警告を無視しました。主のきびしい警告があったにもかかわらず、偶像礼拝の罪に陥ったのは、彼らの愚かさのゆえでした。
+ 主の命令などどこ吹く風で、金で鋳込んだ二つの子牛の像を造り、さらに、恥ずべき忌まわしい偶像を造り、バアルを礼拝し、太陽や月や星を拝みました。
+ また、息子や娘さえ焼き殺してモレクの祭壇にささげ、占いやまじないに走り、悪の限りを尽くしたのです。こんなことをしていて、主の激しい怒りを買わないわけがありません。
+ とうとう主は、ユダ族だけを残してイスラエルの民を一掃してしまったのです。
+ 主の命令を守ろうとしなかったのは、ユダの民も同じでした。彼らもまた、イスラエルがたどった悪の道を進みました。
+ そこで主は、ヤコブのすべての子孫を見限り、侵略者の手に渡し、ついに投げ捨てたのです。
+ イスラエルはダビデ王朝から分離すると、ネバテの子ヤロブアム一世を王に迎えました。このヤロブアムがイスラエルを主から引き離し、いっそう大きな罪を犯させたのです。
+ イスラエルの民は、王の持ち込んだ悪から離れようとしませんでした。
+ それで、ついに主は彼らを取り除いてしまったのでした。預言者によって警告されたとおり、イスラエルの民はアッシリヤに引いて行かれ、今なおそこにとどまっています。
+ アッシリヤの王は、バビロン、クテ、アワ、ハマテ、セファルワイムの住民を連れて来て、サマリヤの町々に住まわせました。こうして、サマリヤをはじめイスラエルの町々は、アッシリヤ人のものとなったのです。
+ これらのアッシリヤ人たちは、そこに住み始めたころ、主を恐れなかったので、主はライオンを送り込み、ライオンは彼らの何人かを噛み殺しました。
+ 彼らはアッシリヤの王に使者を立て、こう報告しました。「私たちイスラエルに植民した者は、この地の神の教えを知りません。その神がライオンを送り込んで、私たちを滅ぼそうとしました。その神を礼拝しなかったからなのです。」
+ そこで王は、サマリヤから捕らえ移した祭司をイスラエルに帰らせ、新しい住民に、神のおきてを教えることにしました。それで、祭司の一人がベテルに帰り、バビロンからの移住者に主を礼拝する方法を教えました。
+ それでも移住者たちは、同時にめいめいの神々をも拝んでいました。彼らの偶像を自分たちが住む町の近くにある、高台の礼拝所に安置しました。
+ バビロンから来た人々はスコテ‧ベノテ神、クテから来た人々はネレガル神、ハマテから来た人々はアシマ神を拝み、
+ アワ人はニブハズ神とタルタク神の像を拝み、セファルワイムから来た人々は、アデラメレク神とアナメレク神の祭壇にわが子を火で焼いてささげました。
+ 彼らは、一方でイスラエルの主を礼拝し、他方では同僚の中から祭司を任命して、高台の祭壇でいけにえをささげました。
+ このように、出身地の習わしを守り続けていたのです。
+ この傾向は今も残っています。彼らは、心から主を恐れることもなく、のちにイスラエルと改名したヤコブの子孫に与えられた、主の教えを守ることもなく、ただ、昔からの故国の習わしに従っていました。
+ 主がヤコブの子孫と結んだ契約によれば、イスラエルの民は異教の神々を礼拝したり、これにいけにえをささげたりすべきではなかったのです。彼らは、驚くべき力と奇跡によってエジプトからイスラエルの民を連れ出した主だけを礼拝すべきでした。
+ ヤコブの子孫は主のおきてをすべて守り、どんなことがあってもほかの神々を礼拝してはならなかったのです。
+ それは、主がこう命じられたからです。「わたしがあなたがたと結んだ契約を忘れて、ほかの神々を礼拝してはならない。
+ わたしだけを礼拝しなさい。わたしはあなたがたを、すべての敵から救い出そう。」
+ しかしイスラエルは、このことばに耳をふさぎ、ほかの神々を礼拝しました。
+ 一方、バビロンからの移住者は、主を礼拝したものの、同時に彼らの偶像も拝みました。今でも、彼らの子孫は同じことをしています。
+
+
+ ユダの新しい王、アハズの子ヒゼキヤは、イスラエルの王ホセアの第三年に、二十五歳で即位し、エルサレムで二十九年間治めました。母はゼカリヤの娘アビ。その治世は先祖ダビデと同じように良いものでした。
+ ヒゼキヤ王は高台の礼拝所を取り除き、石の柱を壊し、忌まわしいアシェラ像を切り倒しました。また、人々が香をたいて祈るようになっていた、モーセの作った青銅の蛇を粉々にしました。それは王が指摘したとおり、元をただせば、ただの青銅にすぎなかったのです。
+ 王はイスラエルの神、主に心から信頼していました。あとにも先にも、ヒゼキヤのような王はいませんでした。
+ すべての点で主に従い、主がモーセに授けられた命令を注意深く守りました。
+ 主は彼とともにいて、彼のすることをみな祝福しました。彼はアッシリヤの王に刃向かい、貢ぎ物を納めることをやめました。
+ また、ガザとその周辺までペリシテ人の領土を占領し、大小の町々を攻撃しました。
+ アッシリヤ王のシャルマヌエセルがイスラエルのサマリヤの町を包囲したのは、イスラエルの王ホセアの第七年、ヒゼキヤ王の第四年のことでした。
+ 三年後、サマリヤは陥落しました。
+ その時、アッシリヤの王はイスラエル人を捕虜としてアッシリヤに移し、ハラフの町、ゴザンのハボル川のほとり、メディヤの町々に住まわせました。
+ そうなったのは、彼らが彼らの神、主に聞き従わず、その命令を守らなかったからです。それどころか、彼らは主との契約を踏みにじり、主のしもべモーセが与えたすべてのおきてに背いたのです。
+ そののち、ヒゼキヤ王の第十四年に、アッシリヤの王セナケリブがユダの要塞化された町々を残らず占領しました。
+ ヒゼキヤは、ラキシュにいるアッシリヤ王のもとに使者を送って、和平を求めました。「私が間違っておりました。わが国から引き揚げてくださるなら、お望みどおりの賠償金を支払います。」アッシリヤの王の要求は銀三百タラントと金三十タラントでした。
+ ヒゼキヤ王は、神殿と宮殿の宝物倉にある銀を全部、この賠償金にあてました。
+ 足りない分は神殿の扉と柱の金箔をはぎ取ってまで、アッシリヤの王に渡しました。
+ ところがアッシリヤの王は、前線の将軍、主計長、参謀長に大軍をつけてエルサレムに送ったのです。彼らは、布さらしの野(城外にあった、布をさらす職人たちの作業場)に面した大路に沿って、上の池の水道のそばに宿営しました。
+ 三人は、ヒゼキヤ王とじきじきに話し合うことを望みましたが、ヒゼキヤは自分の代わりに、宮内長官エルヤキム、書記官シェブナ、補佐官ヨアフを休戦交渉の代表に立てました。
+ アッシリヤの将軍ラブ‧シャケは彼らに言いました。「ヒゼキヤ王に伝えよ。アッシリヤの大王の仰せだ。『私の手からおまえを助け出せる者はいない。
+ 外国の口先だけの援助を当てにして私に反逆するとは、もってのほかだ。同盟国の中で、どの国が実際にその約束を果たしてくれようか。エジプトか? エジプトなど頼りになるものか。エジプトは葦の杖にすぎず、おまえの重みで折れ曲がり、おまえの手を突き刺すことになるだろう。エジプトのファラオは少しも当てにならない。
+ それともおまえたちは、「きっと主が助けてくださる」とでも言うのか。だとしたら忘れるな。それは、おまえが取り除いた高台の祭壇の神々である。主とやらをエルサレムの祭壇で拝めと命じているとは、あきれ果てたものだ。』
+ どうしたらよいか教えてやろう。わが主君アッシリヤの王と賭けをするがいい。そちらが馬に乗れる者二千人を用意するなら、こちらで二千頭の馬を出そう。
+ おまえたちの小さな軍隊では、わが主君の軍隊の最小部隊を指揮する最下位の将校さえ、脅かすことはできまい。たとえエジプトが馬や戦車を出してくれたとしても、それが何の助けになるのか。
+ 思い違いをするな! われわれの野心からここに来たのではない。主がわれわれを送り、『攻め上ってこの民を滅ぼせ』と言われたのだ。」
+ エルヤキムとシェブナ、ヨアフは、たまりかねて口をはさみました。「私たちにはアラム語がわかりますから、どうかアラム語で話してください。城壁の上にいる民が聞いているので、ヘブル語は使わないでください。」
+ しかし、ラブ‧シャケは平然と答えました。「わが主君がわざわざ私をよこしたのは、おまえたちやおまえたちの主君とだけ話すためではない。城壁の上にいる民にも話しかけるためなのだ。彼らもおまえたちといっしょに、自分の糞を食べ、自分の尿を飲むようになるからだ。」
+ こう言い捨てると、彼は城壁の上にいる者たちに大声で呼びかけました。「アッシリヤの大王の仰せを聞け!
+ 『ヒゼキヤにだまされるな。彼はおまえたちを、私の手から救い出せない。
+ 主がわれわれを救い出してくれるとか言っているそうだが、決してだまされてはならない。
+ ヒゼキヤの言うことなど聞かずに、降伏せよ! そうすれば、自分の国で平和に暮らせるのだ。そのうち、この国と同じように穀物とぶどう酒がたくさんでき、オリーブの木とみつに恵まれた、新しい地に連れて行ってやろう。それが助かる唯一の道だ。いくらヒゼキヤが、主が救い出してくれると言っても、そんなたわごとに耳を貸すな。
+ アッシリヤの王の手から国を救った神々がいたか。
+ ハマテ、アルパデ、セファルワイム、ヘナ、イワの神々は、サマリヤを助けたか。
+ どこの神が、私の手から国を救えたか。いったい何を根拠に、主はエルサレムを救えるなどと考えているのだ。』」
+ 城壁の上の者たちはヒゼキヤ王の命令どおり、黙って、何も答えませんでした。
+ ヒルキヤの子で宮内長官のエルヤキム、書記官シェブナ、アサフの子で補佐官のヨアフは、自分たちの衣を裂いてヒゼキヤ王のもとに行き、アッシリヤの将軍ラブ‧シャケが言ったことを報告しました。
+
+
+ それを聞いたヒゼキヤは、衣を裂き、荒布をまとって、祈るため神殿に入りました。
+ それから、エルヤキム、シェブナ、および年長の祭司たちにも荒布をまとわせ、アモツの子の預言者イザヤのもとに遣わしました。
+ 「王はこう仰せです。『今日は苦難と侮辱と不名誉の日だ。子どもが生まれようとしているのに、母親には産み落とす力がない。
+ おそらく、あなたの神、主は、生ける神をそしってはばからないアッシリヤの将軍のことばを聞いて、彼を罰してくださるだろう。われわれ少数の残った者のために祈ってほしい。』」
+ イザヤは言いました。「主のおことばである。『あなたがたの主君に、あのアッシリヤ人がわたしを冒瀆したことを気にかけるな、と伝えよ。』
+ アッシリヤの王は、本国から悪い知らせを受け、引き揚げることになるだろう。そして、本国へ戻ったら殺される。それもみな、主のお取り計らいなのだ。」
+ するとまもなく、アッシリヤの将軍は、リブナにいるアッシリヤの王のもとに帰りました。王がラキシュを離れたという知らせを受けたからです。
+ その後、エチオピヤの王ティルハカが攻めて来るという知らせが、アッシリヤの王のもとに届きました。その攻撃を受ける前に、彼はヒゼキヤ王に再び使者を立てました。
+ 「おまえが信頼している神にたぶらかされるな。神が、『エルサレムを敵の手に渡さない』と言っても、信じてはならない。
+ 今まで、アッシリヤの諸王が行く先々でどんなことをしたか、よく知っているはずだ。私の先祖たちは、諸国を手あたりしだい、片っぱしから打ち破って回ったのだ。なぜ、おまえだけが、そうならないと言えるのか。
+ ほかの国々の神は、国を救ったか。ゴザン、カラン、レツェフ、およびテラサルにいるエデンの人々の場合を見よ。彼らは皆殺しにされたではないか。
+ ハマテの王とアルパデの王は、どんな目に会ったか。セファルワイム、ヘナ、イワの王たちは、どうなったか。」
+ ヒゼキヤ王はこの手紙を受け取って目を通すと、神殿に上り、それを主の前に広げ、こう祈りました。「ケルビム(契約の箱を守る天使の像)の上に座しておられるイスラエルの神、主よ。あなただけが、全世界を支配する神様でいらっしゃいます。あなたは天と地とを創造なさいました。
+ 主よ。どうか御顔をこちらに向け、よくごらんください。耳を傾け、生ける神に反抗するこの男のことばを、しっかりとお聞きください。
+ 主よ。確かに、アッシリヤの王は、あらゆる国々を滅ぼし、
+ その国々の偶像を焼き払いました。それらの偶像はもともと神ではなく、人間が木や石で造ったものにすぎなかったので当然です。
+ 私たちの神、主よ。お願いですから、私たちを彼の手から救い出してください。そうすれば、全世界は、あなただけが神であることを知るでしょう。」
+ イザヤは人をやって、主に告げられたことばを王に伝えました。「イスラエルの神、主はお語りになります。『わたしはあなたの祈りを聞いた。
+ わたしはセナケリブ王にこう答える。処女であるシオンの娘はおまえなど少しも恐れない。エルサレムの娘はおまえをさげすみ、あざ笑う。
+ おまえはだれに反抗し、だれをののしったのか。だれに向かって、そんなに高慢な態度をとるのか。相手はイスラエルの聖なる神ではないか。
+ おまえは鼻高々に言った。「私の戦車は高い山に登り、レバノンの最高峰まで占領した。高くそびえるレバノン杉と良質の糸杉を切り倒し、辺境の地に至るまで手中に収めた。
+ 占領した多くの井戸の水を飲んで元気を取り戻し、近寄っただけでエジプトを震え上がらせた」と。
+ 神であるわたしに動かされていたのを、知らなかったのか。わたしがおまえに、すべての城壁のある町々を占領するよう命じたのだ。
+ だからこそ、あの征服された国々は、おまえに逆らう力を失ったのだ。まるで、灼熱の太陽のもとでしなびた草、途中で枯れた穂のように。
+ わたしはおまえが何を計画し、次にどこへ行こうとしているか、何もかも知っている。また、わたしについて言っている悪口も、みな筒抜けだ。
+ おまえがあまりに思い上がっているので、その鼻に鉤を引っかけ、口にはくつわをはめ、もと来た道に引き戻してやる。
+ はっきり言っておく。今年、わたしの民は自然に生えた麦を食べ、それを翌年の種もみにする。そして三年目には、豊作にわくだろう。
+ わが民ユダよ。敵の包囲を免れた者たちは、再び大きな民となる。地中深く根を張り、神のために実を結ぶようになる。
+ わが民の残りの者は、エルサレムで強くなる。わたしが熱い思いでそうするからだ。
+ アッシリヤの王はこの町に入らせない。王は盾を持って町に近づくことはできない。とりでを築いて町を攻めることも、矢を射かけることもできない。
+ 王は来た道を引き返す。
+ わたしが、わたしのために、また、わたしのしもべダビデのために、この町を守り、救うからだ。』」
+ その夜、主の使いがアッシリヤの軍勢十八万五千人を打ち殺しました。翌朝になって見ると、死体があたり一面に転がっていました。
+ セナケリブはニネベに帰って行きましたが、
+ 彼の神ニスロクの神殿で礼拝していた時、王子アデラメレクとサルエツェルに殺されました。二人は東トルコのアララテに逃げ、王子エサル‧ハドンが新しく王となりました。
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+ そのころ、ヒゼキヤは重病をわずらい、明日をも知れぬ身となりました。預言者イザヤは彼を訪ねて来て言いました。「身の回りを整理しておかれますように。病気は治らない、と主のおことばがありました。」
+ 王は顔を壁に向け、主に嘆願しました。
+ 「ああ主よ。どうか、私がいつもあなたにお従いし、何につけてもあなたをお喜ばせしようとしてきたことを思い出してください。」こう言って、彼は泣き伏しました。
+ イザヤがまだ中庭を出ないうちに、再び主のことばがありました。
+ 「わたしの民の指導者ヒゼキヤのもとに引き返して、こう告げなさい。先祖ダビデの神、主は、王の祈りを聞き、涙を見た。わたしは彼を癒やそう。三日後には、彼は床から起き上がり、神殿の前に立つ。
+ 彼の寿命を十五年延ばそう。そしてアッシリヤの王の手から、王とこの町とを救い出す。そうするのは、わたしの栄光のため、また、わたしのしもべダビデのためである。」
+ イザヤは、干しいちじくをゆでて軟膏を作り、それをヒゼキヤ王の腫れものに塗るよう指示しました。すると、王は治ったのです。
+ ヒゼキヤはイザヤにこう言いました。「主が私を癒やされ、三日後にまた神殿に行けるという証拠を見せてください。」
+ イザヤは言いました。「よろしい。主はあなたにしるしを見せてくださいます。日時計の上の影を十度進ませるか、それとも十度引き戻すか、どちらを選びますか。」
+ 「影は進むと決まっているから、あとに戻るようにしてください。」
+ イザヤはそのように祈りました。すると、主は日時計の影を十度後戻りさせたのです。
+ そのころ、バルアダンの子、バビロンの王メロダク‧バルアダンは、ヒゼキヤ王が病気だというので、見舞いの使者を送り、手紙と贈り物を届けました。
+ ヒゼキヤは使者を喜んで迎え、宝物として大事にしまってある金、銀、香料、香油、武器などをすべて見せました。
+ そこでイザヤは、ヒゼキヤに会って尋ねました。「あの人たちは何を求めたのですか。どこから来たのですか。」ヒゼキヤは、「はるばるバビロンから来られました」と言いました。
+ イザヤが、「彼らは宮殿で何を見たのですか」と聞くと、「私の宝物倉にある物は全部見せました」とヒゼキヤは答えました。
+ すると、イザヤはヒゼキヤに言いました。「主のおことばを聞きなさい。
+ 『この宮殿にある物が、一つ残らずバビロンに運ばれる時がくる。先祖の宝物はすべて持ち去られ、何も残らない。
+ あなたの息子のうちから、捕虜になって、バビロン王の宮殿で宦官として仕える者が出る。』」
+ 「よくわかりました。主のお望みなら、それもけっこうです。」実を言うと王は、自分が生きている間は平和と安全が保証されると考えていたのです。
+ ヒゼキヤ王のその他の業績、貯水池と水道を造って町に水を引いたことなどは、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ こうして王は死んで、その子マナセが新しく王となりました。
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+ ユダの新しい王マナセは十二歳で即位し、エルサレムで五十五年間治めました。母はヘフツィ‧バハで、彼は、以前この地に住んでいた異教の民の風習にならい、主の前に悪を行いました。
+ 彼は、父ヒゼキヤが取り壊した高台の礼拝所を再建し、イスラエルのアハブ王をまねてバアルのために祭壇を築き、忌まわしいアシェラ像を造りました。また太陽神をはじめ、月や星の神のための祭壇を、なんと神殿の中に置いたのです。
+ さらに、わが子を偶像の祭壇にいけにえとしてささげ、まじないや占いに凝り、霊媒や口寄せを行いました。このように、マナセ王のすることがあまりにもひどかったので、主の激しい怒りを引き起こしました。
+ 恥ずべきことに、アシェラ像を神殿に安置さえしたのでした。神殿は、かつて主がダビデとソロモンに、次のように説明した場所にほかなりません。「わたしはこの神殿に、そして、わたしがイスラエル全部族の町から選んだエルサレムに、いつまでもわたしの名を置く。
+ もしイスラエルの民が、わたしがモーセを通して与えておいた命令に従うなら、もう二度と彼らを父祖の地から追い出さない。」
+ しかし、人々は主に聞き従わず、マナセは民をそそのかして、すでにイスラエル人の前で主に滅ぼされた周辺の国民がなしたことよりも、さらに悪いことを行わせたのです。
+ それで主は、預言者たちによって、次のように言いました。
+ 「ユダの王マナセはこのように主の目に悪を行い、その非道ぶりは以前この地にいたエモリ人以上で、王はユダの民に偶像礼拝の罪を犯させた。
+ それゆえ、わたしはエルサレムとユダに大きな災いを下す。それを聞く者は、恐怖のあまり激しい耳鳴りに襲われるだろう。
+ わたしはエルサレムをサマリヤと同じ目に会わせる。洗った皿を乾かすために引っくり返すように、エルサレムを引っくり返す。
+ 生き残ったわずかな民さえ見限り、敵の手に渡す。
+ それは、わたしが彼らの先祖をエジプトから連れ出した日から今日まで、彼らが悪に悪を重ね、わたしの怒りを招いたからだ。」
+ マナセ王は、主が忌みきらう偶像礼拝を民にさせたばかりでなく、罪のない人々を大ぜい殺しました。エルサレムは、その犠牲者の死体で埋め尽くされるほどでした。
+ 罪にまみれたマナセ王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ 王は死んで、ウザにある宮殿の庭に葬られ、その子アモンが新しく王となりました。
+ ユダの新しい王アモンは二十二歳で即位し、エルサレムで二年間治めました。母はヨテバ出身のハルツの娘メシュレメテで、彼は主の目に悪を行いました。
+ 彼は父の悪をそっくりまね、父の拝んだ偶像を拝み、
+ 先祖代々仕えてきた主を捨てて、主の命令に耳をふさぎました。
+ アモンの家来たちは彼に謀反を起こし、宮殿の中で王を殺しました。
+ ところが、今度は武装した民衆が暗殺者たちをみな打ち殺し、アモンの子ヨシヤを王にしました。
+ アモン王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ 王はウザの宮殿の庭にある墓地に葬られ、その子ヨシヤが新しく王となりました。
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+ ユダの新しい王ヨシヤは八歳で即位し、エルサレムで三十一年間治めました。母はボツカテ出身のアダヤの娘エディダで、彼は主の目にかなうことを行い、先祖ダビデにならって完全に主に従いました。
+ ヨシヤ王の第十八年に、王はメシュラムの子アツァルヤの子、書記官シャファンを使いに出し、神殿にいる大祭司ヒルキヤに指示しました。「礼拝に来る人々が、神殿の入口にいる祭司に渡す献金を集めなさい。
+ その金を工事監督者に渡し、それで神殿を修理する大工や石工を雇い、木材や石材を買わせなさい。
+ ただし彼らは正直者ばかりなので、支出報告書の必要はない。」
+ ある日、大祭司ヒルキヤが書記官シャファンのところに来て、「神殿で律法の書を発見した」と報告しました。ヒルキヤは、その巻物をシャファンに見せました。
+ シャファンは神殿の修理状況を王に報告した時、ヒルキヤが発見した巻物のことにもふれ、王の前でそれを読み上げました。
+ 王はその内容を聞くと、恐れて自分の衣を裂きました。
+ それから祭司ヒルキヤ、シャファン、王の補佐官アサヤ、シャファンの子アヒカム、ミカヤの子アクボルに命じて、主に尋ねさせたのです。「私たちはどうしたらよろしいでしょう。私たちはこの書の教えを守ってきませんでした。私たちも私たちの先祖も、あなたのご命令に従わなかったので、あなたは激しく怒っておられるに違いありません。」
+ そこで祭司ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シャファン、アサヤは、エルサレムのミシュネ地区へ行って、女預言者フルダに会いました。彼女は、ハルハスの子ティクワの子で、宮殿の衣装係をしているシャルムの妻でした。
+ 彼女は彼らに、主が語られたことばを伝えました。「あなたがたを使いに出した人に告げなさい。『わたしは、あなたがたが読んだ書にあるとおり、この町と民を滅ぼすつもりだ。
+ ユダの民はわたしを捨てて、ほかの神々を拝み、わたしを激しく怒らせた。もう、その怒りはとどめようがない。
+ しかし、この地がのろわれて荒れ地となるという警告を読んだ時、あなたは深く心を痛め、謙遜になり、衣を裂いて、わたしの前で涙を流した。それで、あなたの願いを聞き入れよう。
+ あなたが死ぬまで、この民に災いは臨まない。わたしがこの場所に下す災いを、あなたは見ないですむ。』」彼らは、このことばを王に伝えました。
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+ そこで王は、使者をユダとエルサレムの長老や指導者たちに送り、自分といっしょに神殿へ上るよう命じました。ユダとエルサレムに住む祭司と預言者全員、それに身分の高い者も低い者もみな、神殿に集まりました。王は、神殿で発見された『契約(律法)の書』を一同に読み聞かせました。
+ 王は正面の柱のわきに立っていました。朗読が終わると彼らは、主に従い、契約の書に命じられているすべての戒めを守ることを厳粛に誓いました。
+ そのあと、王は大祭司ヒルキヤをはじめ祭司たち、および神殿の警護に当たる者に命じて、バアルやアシェラ、太陽や月や星を礼拝するための備品‧装具をすべて取り壊し、それらをエルサレム郊外のキデロンの野で焼き、灰はベテルへ運ばせました。
+ 次に、先のユダの王たちが任命した異教の祭司たちを処刑しました。彼らは、ユダの全地とエルサレム周辺の高台にある礼拝所で香をたき、バアルや太陽、月、星、天体に対しても香をたいていたのです。
+ さらに王は、アシェラ像を神殿から取り除き、エルサレム郊外のキデロン川に運んで焼き、粉々に砕いて灰とし、その灰を共同墓地にまきました。
+ さらに、神殿の回りにあった男娼の家も取り壊しました。それらの家で、女たちがアシェラ像のために布を織っていたからです。
+ 王は、ユダの町々に住む、主に仕える祭司たちをエルサレムに連れ戻しました。そして、北はゲバから南はベエル‧シェバに至るまでの高台の礼拝所を、全部たたき壊しました。次に、エルサレム市長ヨシュアの邸宅の入口にあった礼拝所も取り壊しました。その邸宅は、町の門を入って左側にありました。
+ 高台の祭司たちは、ほかの祭司たちと共に食事はしたものの、エルサレムにある主の祭壇で供え物をささげる役には就きませんでした。
+ それから王は、だれも二度と、自分の息子や娘をモレクのいけにえとしてささげることがないように、ベン‧ヒノムの谷にあるトフェテの祭壇を取り壊しました。
+ また、神殿の入口に近い、宦官ネタン‧メレクの部屋の隣にある馬と戦車の像を壊しました。それは、先のユダの王たちが太陽神に献納したものだったからです。
+ さらに、ユダの王たちが宮殿のアハズの部屋の屋上に造った祭壇と、マナセが神殿の二つの庭に造った祭壇も粉々にし、キデロンの谷にまきました。
+ それから王は、エルサレムの東、破壊の山の南にある丘の上の礼拝所を取り除きました。それは、ソロモンがシドン人の悪の女神アシュタロテ、モアブの悪神ケモシュ、アモン人の悪神ミルコムのために建てたものです。
+ ヨシヤ王は石の柱を粉々に砕き、忌むべきアシェラ像を切り倒し、それらのあった場所に人骨をまき散らして汚れた所にしました。
+ さらに、イスラエルに罪を犯させたヤロブアム一世の築いた、ベテルにある祭壇や礼拝所を壊し、石の柱を粉々に砕き、アシェラ像を焼き払いました。
+ ヨシヤ王は、山麓に墓があるのを見つけました。そこで家来に命じて、その墓から骨を取り出し、それをベテルの祭壇の上で焼かせて、祭壇を汚れたものとしました。こうして、かつて預言者がヤロブアムの祭壇はこうなる、と言っていたとおりになったのです。
+ 王は、「あそこに見える石碑は何か」と尋ねました。すると、町の人々は答えました。「ユダから出て来て、あなたが今ベテルの祭壇に対してなさったことを預言した、預言者の墓(Ⅰ列王記13章参照)です。」
+ 王は言いました。「そうか。では、そのままにしておきなさい。だれも彼の骨にさわってはならない。」それで人々は、彼の骨も、サマリヤから来たあの預言者の骨も焼きませんでした。
+ ヨシヤ王はサマリヤの高台の礼拝所をすべて取り払い、ベテルでしたように粉々にしました。それらはみな、イスラエルの王たちが建て、主の激しい怒りを買ったものでした。
+ 王はまた、異教の神々に仕える祭司たちを彼ら自身の祭壇の上で殺し、その祭壇を汚れたものとするため、その上で人の骨を焼きました。こうして、彼はエルサレムへ帰って行ったのです。
+ 王は民に、『契約の書』にあるとおり、過越の儀式を執り行うよう命じました。
+ イスラエルを士師が治めていた時以来、過越の祭りが祝われたことはありませんでした。イスラエルとユダの諸王のどの時代にも例がありません。
+ この過越の祭りは、ヨシヤ王の第十八年、エルサレムで行われました。
+ ヨシヤ王はまた、霊媒や口寄せ、それにエルサレムとユダの全地にある、ありとあらゆる偶像を一掃しました。祭司ヒルキヤが神殿で発見した書物にある律法のことばを、忠実に守ろうとしたからです。
+ ヨシヤのように完全に主に立ち返り、モーセのすべての律法を守った王は、彼のほかにはいませんでした。
+ それにもかかわらず、マナセ王の悪行がもたらしたユダへの主の激しい怒りは収まりませんでした。
+ 主は言われました。「わたしは、イスラエルを退けたようにユダも退ける。わたしが選んだ町エルサレムも、わたしが自分のものだと言った神殿も捨てる。」
+ ヨシヤ王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ そのころ、エジプトの王ネコが、アッシリヤの王のもとに行こうとユーフラテス川に向かっていました。ヨシヤはネコを迎え撃つために出陣しましたが、メギドで彼に見つかり、殺されました。
+ ヨシヤの家来たちは遺体を戦車でエルサレムに運び、彼の墓地に葬りました。民は、ヨシヤ王の子エホアハズを新しい王に選びました。
+ ユダの新しい王エホアハズは二十三歳で即位し、エルサレムで三か月間王位にありました。母はリブナ出身のエレミヤの娘ハムタルで、彼は先王たちにならって主の前に悪を行いました。
+ ファラオ‧ネコは、エホアハズが王になることに反対でした。そのため、彼をハマテにあるリブラに幽閉し、ユダに銀百タラント(三千四百キログラム)と金一タラント(三十四キログラム)の科料を課しました。
+ そしてヨシヤの子エルヤキムをエルサレムで王位につけ、名をエホヤキムと改めさせました。一方、エホアハズはエジプトへ連れて行かれ、そこで死にました。
+ エホヤキム王は、エジプトのファラオが要求する銀を差し出すために、国民に重税を課さなければなりませんでした。
+ ユダの新しい王エホヤキムは二十五歳で即位し、エルサレムで十一年治めました。母はルマ出身のペダヤの娘ゼブダで、彼もまた先王たちにならって主の前に悪を行いました。
+
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+ エホヤキムが王であった時代に、バビロンの王ネブカデネザルがエルサレムを攻めました。エホヤキム王は降伏し、三年間、貢ぎ物を納めたのち背きました。
+ そこで主は、かねて預言者たちによって警告したとおり、カルデヤ人、シリヤ人、モアブ人、アモン人の略奪隊を送って、ユダとその民を滅ぼそうとしました。
+ こうした災いがユダに臨んだのは、主のじきじきの命令によるものでした。それは、マナセがエルサレムを罪のない人の血で満たしたため、主がそれらの罪を赦さず、ユダを一掃しようと決めていたからです。
+ エホヤキム王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。
+ 王は死んで、その子エホヤキンが新しく王となりました。
+ 当時、バビロンの王がエジプト川からユーフラテス川に至る、以前のエジプトの全占領地を押さえていたので、エジプトのファラオはその後、再び攻めて来ませんでした。
+ ユダの新しい王エホヤキンは十八歳で即位し、エルサレムで三か月間王位にありました。母はエルサレムのエルナタンの娘ネフシュタで、彼も先王たちにならって主の前に悪を行いました。
+ エホヤキンが王であった時、バビロンの王ネブカデネザルの軍隊が、エルサレムを包囲しました。
+ さらに王自身もやって来て、この作戦に加わりました。
+ エホヤキン王とその家臣たち、王母はそろって降伏し、王は捕虜としてバビロンへ引いて行かれました。ネブカデネザル王の第八年のことです。
+ バビロン軍は神殿と宮殿の宝物を残らず持ち出し、ソロモンが主の命令で神殿にしまっておいた金の器具を、片っぱしから二つに断ち切ってしまいました。
+ ネブカデネザル王は、エルサレムから一万人を捕虜として連れ去りました。多くは、王子、高官、えり抜きの勇士、職人、鍛冶屋でした。貧しい人や、手に職のない人々だけがあとに残されたのです。
+ エホヤキン王とその妻たち、家臣、それに王の母をはじめ、
+ 七千人の精鋭部隊、戦争に役立つ職人と鍛冶屋千人が捕虜となりました。
+ このあとバビロンの王は、エホヤキン王の叔父マタヌヤをゼデキヤと改名し、次の王にしました。
+ ユダの新しい王ゼデキヤは二十一歳で即位し、エルサレムで十一年治めました。母はリブナ出身のエレミヤの娘ハムタルで、彼もまたエホヤキムと同じく主の前に悪を行いました。
+ 主の怒りによって、ついにエルサレムとユダの民は壊滅に至ったのです。その後ゼデキヤ王は、バビロンの王に反逆を企てました。
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+ そこで、ゼデキヤ王の第九年の第十の月の十日にネブカデネザル王は全軍を率いて攻撃をしかけ、エルサレムを包囲しました。
+ それは、ゼデキヤ王の第十一年まで続きました。
+ 最後の年の第四の月の九日になると、町に残っていた最後の食糧も底をつきました。
+ その夜、王とその手勢は、内側の城壁に穴をあけ、宮殿の庭園の近くにある、二重の城壁の間の門を通り抜けて、アラバへ逃げました。町を包囲していたバビロンの兵士たちはあとを追い、エリコの平原でゼデキヤ王を捕らえたので、王の軍隊は散り散りになりました。
+ ゼデキヤはリブラへ連行され、バビロンの王の前で裁判を受けました。
+ その結果、目の前で息子たちが次々に殺されるのを見せられたのち、両眼をえぐり出され、足かせにつながれたままバビロンへ連行されました。
+ ネブカデネザル王の第十九年の第五の月の七日、王の侍従長ネブザルアダンがバビロンからエルサレムに到着し、
+ 神殿や宮殿をはじめ、町中のめぼしい建物を全部焼き払いました。
+ また、バビロン軍を指揮して、城壁を取り壊しました。
+ 町に残っていた人々と、バビロンの王に忠誠を誓ったユダの逃亡兵全員は、捕虜としてバビロンへ連行されました。
+ 貧民街に住む者だけが、土地を耕すために残されたのです。
+ バビロン軍は、神殿の青銅の柱と青銅の洗盤を台もろとも壊し、青銅をすべてバビロンへ運びました。
+ また、つぼ、十能、火皿、芯切りばさみ、さじ、その他、いけにえをささげるために使う青銅の器具もすべて奪いました。金や銀の鉢はその他の金銀とともに、溶かして金塊や銀塊にされました。
+ ソロモンが神殿のために作った二本の柱と台つきの大洗盤は、あまりにも重くて、量ることができませんでした。
+ 柱の高さはそれぞれ十八キュビト(約八メートル)あり、その上に回りを青銅の網細工とざくろで飾った三キュビトの柱頭がついていました。
+ ネブザルアダンは、祭司長セラヤと次席祭司ゼパニヤ、それに、三人の神殿警備員を、捕虜としてバビロンへ連れて行きました。
+ ユダ軍の司令官、徴兵官、王の五人の側近、町に隠れているところを見つかった六十人の農夫は、
+ 捕らえられて、リブラにいるバビロンの王のもとへ引き出され、
+ 剣で切り殺されました。こうして、ユダの民は祖国を追われて捕囚の身となったのです。
+ ネブカデネザル王は、アヒカムの子、シャファンの孫ゲダルヤを、ユダに残った者を治める総督に任命しました。
+ バビロンの王がゲダルヤを総督に任命したと聞くと、イスラエルのゲリラ部隊の指導者たちは、部下を引き連れ、ミツパにいるゲダルヤのところへ来ました。ネタヌヤの子イシュマエル、カレアハの子ヨハナン、ネトファ人タヌフメテの子セラヤ、マアカ人の子ヤアザヌヤと、その部下たちです。
+ ゲダルヤは、彼らにこう保証しました。「武器を捨ててバビロン軍に下れば捕虜にもならず、この地に住めよう。」
+ ところが、それからしばらくして、王族の一人であったイシュマエルは、十人の部下を連れてミツパへ行き、ゲダルヤをはじめ、ユダ人とバビロン人からなる総督府の職員を殺してしまったのです。
+ ユダの民はバビロン軍の報復を恐れて、ゲリラ部隊の指導者たちとともに、あわててエジプトへ逃げました。
+ エホヤキンは、捕囚となって三十七年目の第十二の月の二十七日に、牢から釈放され、自由の身となりました。それは、バビロンの王エビル‧メロダク即位の年のことでした。
+ 彼はエホヤキンに親切にし、バビロンで共に獄につながれていたどの王に対するよりも厚遇しました。
+ エホヤキンはそれまでの囚人服から新しい服に着替え、一生の間、いつも王の食卓で食事をしました。
+ エホヤキンは生きている間、王から日々の生活費を支給されました。
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+ 人類の最初の先祖は、次のとおりです。アダム、セツ、エノシュ、ケナン、マハラルエル、エレデ、エノク、メトシェラ、レメク、ノア、セム、ハム、ヤペテ。
+ ヤペテの子孫はゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メシェク、ティラス。ゴメルの子孫はアシュケナズ、ディファテ、トガルマ。ヤワンの子孫はエリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニム。ハムの子孫はクシュ、ミツライム、プテ、カナン。クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカ。ラマの子孫はシェバ、デダン。
+ クシュのもう一人の子ニムロデは、偉大な英雄でした。
+ ミツライムの子孫の名をとって呼ばれる氏族は、次のとおり。ルデ人、アナミム人、レハビム人、ナフトヒム人、パテロス人、ペリシテ人の先祖カスルヒム人、カフトル人。
+ カナンの息子は長男のシドンとヘテ。カナンは、エブス人、エモリ人、ギルガシ人、ヒビ人、アルキ人、シニ人、アルワデ人、ツェマリ人、ハマテ人の先祖となりました。
+ セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャデ、ルデ、アラム、ウツ、フル、ゲテル、メシェク。
+ アルパクシャデの子はシェラフ、シェラフの子はエベル。
+ エベルの息子は、「分割」という意味のペレグ。彼の時代に、地上の人々が異なる言語ごとに分けられたからです。そして、もう一人はヨクタン。
+ ヨクタンの子孫はアルモダデ、シェレフ、ハツァルマベテ、エラフ、ハドラム、ウザル、ディクラ、エバル、アビマエル、シェバ、オフィル、ハビラ、ヨバブ。
+ こういうわけで、セムの子はアルパクシャデ、その子はシェラフ。以下、エベル、ペレグ、レウ、セルグ、ナホル、テラ、アブラム(のちにアブラハムと改名)と続きます。
+ アブラハムの子はイサクとイシュマエル。イシュマエルの子孫は次のとおり。長男ネバヨテ、ケダル、アデベエル、ミブサム、ミシュマ、ドマ、マサ、ハダデ、テマ、エトル、ナフィシュ、ケデマ。
+ アブラハムがそばめケトラに産ませた子は、ジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデヤン、イシュバク、シュアハ。ヨクシャンの子はシェバとデダン。
+ ミデヤンの子はエファ、エフェル、エノク、アビダ、エルダア。以上は、そばめケトラによるアブラハムの子孫です。
+ アブラハムの子イサクには、エサウとイスラエルという二人の子がいました。
+ エサウの子はエリファズ、レウエル、エウシュ、ヤラム、コラ。
+ エリファズの子はテマン、オマル、ツェフィ、ガタム、ケナズ、ティムナ、アマレク。
+ レウエルの子はナハテ、ゼラフ、シャマ、ミザ。
+ セイルの子はロタン、ショバル、ツィブオン、アナ、ディション、エツェル、ディシャン、ロタンの妹ティムナ。ロタンの子はホリとホマム。
+ ショバルの子はアルヤン、マナハテ、エバル、シェフィ、オナム。ツィブオンの子はアヤとアナ。
+ アナの子はディション。ディションの子はハムラン、エシュバン、イテラン、ケラン。
+ エツェルの子はビルハン、ザアワン、ヤアカン。ディシャンの子はウツとアラン。
+ イスラエル王国が誕生する前に、エドムの地を治めていた王は次のとおりです。ディヌハバの町に住んでいた、ベオルの子ベラ。
+ ベラが死んで、ボツラ出身のゼラフの子ヨバブが新しく王となりました。
+ ヨバブが死ぬと、テマン人の地出身のフシャムが王になりました。
+ フシャムが死ぬと、モアブの野でミデヤン軍を打ち破ったベダデの子ハダデが王となり、アビテの町で治めました。
+ ハダデが死んで、マスレカの町出身のサムラが王座につきました。
+ サムラが死んで、ユーフラテス河畔の町レホボテ出身のサウルが新しく王となりました。
+ サウルが死ぬと、アクボルの子バアル‧ハナンが王になりました。
+ バアル‧ハナンが死んで、ハダデが王となり、パイの町で治めました。彼の妻はマテレデの娘で、メ‧ザハブの孫娘に当たるメヘタブエルでした。
+ ハダデが死んだ時のエドムの首長たちは、次のとおりです。ティムナ、アルワ、エテテ、オホリバマ、エラ、ピノン、ケナズ、テマン、ミブツァル、マグディエル、イラム。
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+ イスラエルの子はルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン、ダン、ヨセフ、ベニヤミン、ナフタリ、ガド、アシェル。
+ ユダには、カナンの女シュアの娘から生まれたエル、オナン、シェラの三人の子がいました。しかし、長男エルは主の前に罪を犯したので、主に殺されました。
+ エルの妻であったタマルは、のちに、しゅうとのユダとの間にふたごのペレツとゼラフを産んだので、ユダの子は全部で五人です。
+ ペレツの子はヘツロンとハムル。
+ ゼラフの子はジムリ(ザブディ)、エタン、ヘマン、カルコル、ダラ。
+ カルミ(ジムリの子)の子アカンは神のものを盗んで、イスラエルに災いをもたらしました。
+ エタンの子はアザルヤ。
+ ヘツロンの子はエラフメエル、ラム、カレブ。
+ ラムの子はアミナダブ、その子はイスラエルの指導者ナフション。以下、サルマ、ボアズ、オベデ、エッサイと続きます。
+ エッサイの長男はエリアブ、次男はアビナダブ、三男はシムア、
+ 四男はネタヌエル、五男はラダイ、
+ 六男はオツェム、七男はダビデです。
+ 二人の娘の名はツェルヤとアビガイル。ツェルヤの子はアブシャイ、ヨアブ、アサエル。
+ イシュマエル人エテルの妻アビガイルの子は、アマサ。
+ ヘツロンの子カレブには、アズバとエリオテという二人の妻がありました。アズバによる子は、エシェル、ショバブ、アルドン。
+ アズバの死後、カレブはエフラテと結婚しました。エフラテによる子はフル。
+ フルの子はウリ、ウリの子はベツァルエル。
+ ヘツロンは六十歳で、ギルアデの父でもあったマキルの娘と結婚しました。彼女はひとり息子のセグブを産みました。
+ セグブは、ギルアデの地で二十三の町を治めたヤイルの父となりました。
+ ところが、やはりマキルの子孫に当たるゲシュルとアラムがこの町々を奪い取り、さらにケナテと周辺の六十の村を取りました。
+ カレブは、父ヘツロンが死ぬとすぐ、父の未亡人エフラテと結婚しました。彼女はテコアの父アシュフルを産みました。
+ ヘツロンの長男エラフメエルの子は長男ラム、ブナ、オレン、オツェム、アヒヤ。
+ エラフメエルのもう一人の妻アタラは、オナムの母となりました。
+ ラムの子はマアツ、ヤミン、エケル。
+ オナムの子はシャマイとヤダ。シャマイの子はナダブとアビシュル。
+ アビシュルと妻アビハイルとの子は、アフバンとモリデ。
+ ナダブの子はセレデとアパイム。セレデは子がないまま死にました。
+ アパイムの子はイシュイ、その子はシェシャン、その子はアフライ。
+ シャマイの兄弟ヤダの子はエテルとヨナタン。エテルは子がないまま死にました。
+ ヨナタンの子はペレテとザザ。
+ シェシャンには娘だけで、息子はいませんでした。彼は娘の一人を彼の召使のエジプト人ヤルハの妻とし、生まれた息子をアタイと名づけました。
+ アタイの子はナタン。以下、ザバデ、エフラル、オベデ、エフー、アザルヤ、ヘレツ、エルアサ、シセマイ、シャルム、エカムヤ、エリシャマと続きます。
+ エラフメエルの兄弟カレブの長男は、メシャ。メシャはジフの父、ジフはマレシャの父、マレシャはヘブロンの父。
+ ヘブロンの子はコラ、タプアハ、レケム、シェマ。
+ シェマはラハムの父、ラハムはヨルコアムの父。レケムはシャマイの父。
+ シャマイの子はマオン。マオンはベテ‧ツルの父。
+ カレブのそばめエファは、ハラン、モツァ、ガゼズを産みました。ハランの子はガゼズと名づけられました。
+ ヤフダイの子はレゲム、ヨタム、ゲシャン、ペレテ、エファ、シャアフ。
+ カレブのもう一人のそばめマアカは、シェベル、ティルハナ、マデマナの父シャアフ、マクベナとギブアの父シェワを産みました。カレブにはまた、アクサという娘がいました。
+ カレブとエフラテから生まれた長男フルの子は、キルヤテ‧エアリムの父ショバル、
+ ベツレヘムの父サルマ、ベテ‧ガデルの父ハレフ。
+ ショバルの子にはキルヤテ‧エアリムのほかに、メヌホテ族の半分の先祖ハロエがいました。
+ キルヤテ‧エアリムの諸氏族は、エテル人、プテ人、シュマ人、ミシュラ人で、彼らからツォルア人とエシュタオル人が出ました。
+ サルマの子孫は、その子ベツレヘム、ネトファ人、アテロテ‧ベテ‧ヨアブ、マナハテ人の半分、ツォルア人。
+ ヤベツに住んでいた書記の諸氏族はティルア人、シムア人、スカ人。みな、レカブ家の父祖ハマテから出たケニ人でした。
+
+
+ ダビデ王の長男は、イズレエル出身の妻アヒノアムから生まれたアムノン。次男は、カルメル出身のアビガイルを母とするダニエル。
+ 三男は、ゲシュルの王タルマイの娘マアカから生まれたアブシャロム。四男は、ハギテを母とするアドニヤ。
+ 五男は、アビタルを母とするシェファテヤ。六男は、妻エグラから生まれたイテレアム。
+ 以上六人は、ヘブロンで生まれました。ダビデはこのヘブロンで七年半にわたって王位にありましたが、のちに都をエルサレムへ移し、三十三年間そこで治めました。
+ エルサレムにいた時、アミエルの娘で、ダビデの妻のバテ‧シェバは、シムア、ショバブ、ナタン、ソロモンの母となりました。
+ ダビデには、ほかにも次の九人の子がいました。イブハル、エリシャマ、エリフェレテ、ノガハ、ネフェグ、ヤフィア、エリシャマ、エルヤダ、エリフェレテ。
+ 以上の系図には、そばめの子は含まれず、ダビデにはまた、タマルという娘もいました。
+ ソロモン王の子孫は次のとおりで、以下のように続きます。レハブアム、アビヤ、アサ、ヨシャパテ、ヨラム、アハズヤ、ヨアシュ、アマツヤ、アザルヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤ、マナセ、アモン、ヨシヤ。
+ ヨシヤの子はヨハナン、エホヤキム、ゼデキヤ、シャルム。
+ エホヤキムの子はエコヌヤ(別名エホヤキン)、ゼデキヤ。
+ エコヌヤ王が軟禁されていた時に生まれた子は、次のとおり。シェアルティエル、マルキラム、ペダヤ、シェヌアツァル、エカムヤ、ホシャマ、ネダブヤ。
+ ペダヤはゼルバベルとシムイの父。ゼルバベルの子は次のとおり。メシュラム、ハナヌヤ、ハシュバ、オヘル、ベレクヤ、ハサデヤ、ユシャブ‧ヘセデ、娘のシェロミテ。
+ ハナヌヤの子はペラテヤとエシャヤ。エシャヤの子孫はレファヤ、アルナン、オバデヤ、シェカヌヤ、シェマヤ。シェマヤの子は六人で、ハトシュ、イグアル、バリアハ、ネアルヤ、シャファテ。
+ ネアルヤの子は三人で、エルヨエナイ、ヒゼキヤ、アズリカム。
+ エルヨエナイの子は七人で、ホダブヤ、エルヤシブ、ペラヤ、アクブ、ヨハナン、デラヤ、アナニ。
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+ ユダの子孫はペレツ、ヘツロン、カルミ、フル、ショバル。
+ ショバルの子レアヤはヤハテの父。ヤハテは、ツォルア人の諸氏族となったアフマイとラハデの先祖。
+ エタムの子孫は次のとおり。イズレエル、イシュマ、イデバシュ、娘のハツェレルポニ、ゲドルの先祖ペヌエル、フシャの先祖エゼル。以上が、ベツレヘムの父で、エフラテの長男に当たるフルの子です。
+ テコアの父アシュフルには、ヘルアとナアラという二人の妻がいました。
+ ナアラはアフザム、ヘフェル、テメニ、アハシュタリを産み、
+ ヘルアはツェレテ、ツォハル、エテナンを産みました。
+ コツはアヌブとツォベバの父で、ハルムの子アハルヘルの名で呼ばれた氏族の先祖です。
+ ヤベツは兄弟の中で最も重んじられていました。母が彼をヤベツ(「苦しみ」の意)と名づけたのは、出産の時にたいへんな苦しみを味わったからです。
+ ヤベツはイスラエルの神に祈りました。「どうか、私を大いに祝福し、私の働きを助けてください。私が行うすべてのことに御手を添えてください。すべての悪と災いからお守りください。」神はその願いをかなえてくださいました。
+ レカの子孫は次のとおり。エシュトンの父メヒルの父となった、シュハの兄弟ケルブ。エシュトンはベテ‧ラファ、パセアハ、テヒナの父。テヒナはイル‧ナハシュの父。
+ ケナズの子はオテニエルとセラヤ。オテニエルの子はハタテとメオノタイ。
+ メオノタイはオフラの父。セラヤは、多くの職人が住んでいたので「職人の谷」と呼ばれた谷の住人の先祖ヨアブの父。
+ エフネの子カレブの子はイル、エラ、ナアム。エラの子の一人はケナズ。
+ エハレルエルの子はジフ、ジファ、ティルヤ、アサルエル。
+ エズラの子はエテル、メレデ、エフェル、ヤロン。メレデはエジプトのファラオ(王)の娘ビテヤと結婚しました。彼女は、ミリヤム、シャマイ、エシュテモアの先祖イシュバフの母となりました。
+ エシュテモアの妻はユダヤ人で、エレデ、ヘベル、エクティエルの母となりました。この三人は、ゲドル人、ソコ人、ザノアハ人の先祖となりました。
+ ホディヤの妻はナハムの姉妹で、生まれた子の一人はガルミ人ケイラの父となり、もう一人はマアカ人エシュテモアの父となりました。
+ シモンの子はアムノン、リナ、ベン‧ハナン、ティロン。イシュイの子はゾヘテ、ベン‧ゾヘテ。
+ ユダの子シェラの子孫は次のとおり。レカの父エル、マレシャの父ラダ、ベテ‧アシュベアで亜麻布業を営む氏族、ヨキム、コゼバの氏族、ヨアシュ。ラヘムに帰るまでモアブの支配者であったサラフ。これらの名は古くから記録にとどめられていました。
+ これらの氏族は陶芸、庭園、植林の技術にすぐれ、王のために働きました。
+ シメオンの子はネムエル、ヤミン、ヤリブ、ゼラフ、サウル。
+ サウルの子はシャルム、孫はミブサム、曾孫はミシュマ。
+ ミシュマの子の一人が、ザクルの父で、シムイの祖父に当たるハムエル。
+ シムイには十六人の息子と六人の娘がいました。ところが、シムイの兄弟たちには、ユダの普通の家族に比べて子どもが少なかったのです。
+ 彼らは、ベエル‧シェバ、モラダ、ハツァル‧シュアル、
+ ビルハ、エツェム、トラデ、
+ ベトエル、ホルマ、ツィケラグ、
+ ベテ‧マルカボテ、ハツァル‧スシム、ベテ‧ビルイ、シャアライムに住んでいました。これらの町は、ダビデの時代になるまで、彼らの支配下にあったのです。
+ 彼らの子孫は、エタム、アイン、リモン、トケン、アシャンおよびその周辺に住んでいました。中には、バアルのような遠方に住んでいた者もいます。これらのことは、系図に記録されています。
+ 次に挙げるのは、家畜の群れを飼う牧場を捜し求めてゲドルの谷の東側まで旅をした、富める氏族の長です。メショバブ、ヤムレク、ヨシャ、ヨエル、エフー、エルヨエナイ、ヤアコバ、エショハヤ、アサヤ、アディエル、エシミエル、ベナヤ、シフイの子ジザ。シフイから順次さかのぼると、アロン、エダヤ、シムリ、シェマヤに至ります。
+ 彼らは、静かで平和そのものの良い牧場を見つけました。しかし、その地はハムの子孫のものでした。ユダ王朝のヒゼキヤ王の時、これらの氏族の長がこの地を襲って、ハムの子孫の天幕(テント)と家を破壊し、住民を殺してそこを奪ったのです。
+ 後日、このシメオン族から出た侵略者たちのうち五百人は、イシュイの子のペラテヤ、ネアルヤ、レファヤ、ウジエルたちを指導者として立てセイルの山地に向かいました。
+ 彼らはそこで、アマレク人の残党を打ち、そこに住みついたのです。
+
+
+ イスラエルの長男はルベンでしたが、彼は父のそばめの一人と寝て、父の顔に泥を塗るようなことをしたので、長子の権利は腹違いの弟ヨセフのものになりました。それで公式の系図には、ルベンが長男として記されていないのです。
+ さて、ヨセフには長子の権利があったものの、イスラエルのうちで最も有力な部族の先祖になったのはユダでした。このユダ部族から君主が出ることになります。
+ イスラエルの子ルベンの子はエノク、パル、ヘツロン、カルミ。
+ ヨエルの子孫は、その子シェマヤ、孫ゴグ、曾孫シムイ。
+ シムイの子はミカ、孫はレアヤ、曾孫はバアル。
+ バアルの子はベエラ。ベエラはルベン族の長で、アッシリヤの王ティグラテ‧ピレセルの捕囚として引いて行かれました。
+ 彼の親族は氏族の長となり、公式の系図に記されています。エイエル、ゼカリヤ、それにアザズの子、シェマの孫、ヨエルの曾孫のベラ。これらのルベン人はアロエルに住み、ネボ山やバアル‧メオンのような遠くに住む者もいました。
+ ヨエルは家畜を飼っていましたが、ギルアデの地で家畜が増えたので、その放牧地は、東の荒野の入口からユーフラテス川に及びました。
+ サウル王の時代に、ルベン人はハガル人と戦って勝ったのでギルアデ東部に移り、そこに住むようになりました。
+ ガドの子孫は、ルベン人の真向かいのバシャンに住み、サルカにまで居住範囲を広げました。
+ ヨエルが長で、その次にシャファム、そして、ヤナイとシャファテがいました。
+ その一族の七つの氏族の長は、ミカエル、メシュラム、シェバ、ヨライ、ヤカン、ジア、エベルでした。
+ ブズの子孫は、系図をたどると次のとおりになります。ヤフド、エシシャイ、ミカエル、ギルアデ、ヤロアハ、フリ、アビハイル。
+ アブディエルの子、グニの孫アヒは、その一族の指導者でした。
+ 一族は、バシャンの地のギルアデとその周辺、ならびにシャロンの牧草地全域に住んでいました。
+ 彼らはみな、ユダの王ヨタムとイスラエルの王ヤロブアムの時代に、公式の系図に載せられました。
+ ルベン、ガド、マナセの半部族の軍隊のうちには四万四、七六〇人の、特に訓練された精鋭部隊がいました。
+ 彼らはハガル人、エトル人、ナフィシュ人、ノダブ人と戦いましたが、
+ ひたすら神に信頼したので祈りが聞かれ、ハガル人とその連合軍をみごとに打ち破ることができました。
+ 戦利品は、らくだ五万頭、羊二十五万頭、ろば二千頭、捕虜十万人にのぼりました。
+ 敵軍の大半は神を向こうに回して戦ったため、戦場で倒れました。そこでルベン人は、のちに捕囚としてアッシリヤへ連れ去られるまで、ハガル人の領土に住みました。
+ マナセの半部族は、このバシャンの地から、バアル‧ヘルモン、セニル、ヘルモン山に至る各地に広がり、増えていきました。
+ その各氏族の長は次のとおり。エフェル、イシュイ、エリエル、アズリエル、エレミヤ、ホダブヤ、ヤフディエル。彼らはみな勇士で、すぐれた指導者としても知られていました。
+ ところが、彼らは父祖の神に忠誠を尽くさず、神が滅ぼされた国々の偶像を拝みました。
+ そこで神は、ティグラテ‧ピレセル三世として知られるアッシリヤの王プルにこの地を侵略させ、ルベン族とガド族、それにマナセの半部族を捕囚として引いて行かせました。彼らはハラフ、ハボル、ハラ、およびゴザン川に移され、今なお、そこにとどまっています。
+
+
+ レビの子はゲルション、ケハテ、メラリ。
+ ケハテの子はアムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエル。
+ アムラムの子はアロン、モーセ、ミリヤム。アロンの子はナダブ、アビフ、エルアザル、イタマル。
+ アロンの家系の長男をたどると、エルアザル、ピネハス、アビシュア、ブキ、ウジ、ゼラヘヤ、メラヨテ、アマルヤ、アヒトブ、ツァドク、アヒマアツ、アザルヤ、ヨハナン、ソロモンがエルサレムに建てた神殿の大祭司アザルヤ、アマルヤ、アヒトブ、ツァドク、シャルム、ヒルキヤ、アザルヤ、セラヤ、神がネブカデネザルの手でユダとエルサレムの住民を捕虜として移された時、捕虜の一人であったエホツァダクへと続きます。
+ 先に挙げたように、レビの子はゲルショム、ケハテ、メラリ。
+ ゲルショムの子はリブニ、シムイ。
+ ケハテの子はアムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエル。
+ メラリの子はマフリ、ムシ。レビ人の諸氏族は次のとおり。ゲルショム氏族ではリブニ、ヤハテ、ジマ、ヨアフ、イド、ゼラフ、エオテライ。
+ ケハテ氏族ではアミナダブ、コラ、アシル、エルカナ、エブヤサフ、アシル、タハテ、ウリエル、ウジヤ、サウル。
+ エルカナの氏族は、さらに子どもたちの代に家族に分かれました。アマサイ、アヒモテ、エルカナ、ツォファイ、ナハテ、エリアブ、エロハム、エルカナ。
+ サムエルの氏族の諸家族は、次のサムエルの子を長としています。長男ヨエル、次男アビヤ。
+ メラリの氏族の諸家族は、次のメラリの子孫を長としています。マフリ、リブニ、シムイ、ウザ、シムア、ハギヤ、アサヤ。
+ ダビデは契約の箱を神の天幕に納めたのち、そこで神を賛美する合唱隊の指揮者を任命しました。
+ ソロモン王がエルサレムに神殿を建てるまで、合唱隊は幕屋で勤務していました。
+ 次に挙げるのは、合唱隊の指揮者とその家系です。歌手ヘマンはケハテ氏族の出身で、その系図は順次さかのぼると次のとおり。ヨエル、サムエル、エルカナ三世、エロハム、エリエル、トアハ、ツフ、エルカナ二世、マハテ、アマサイ、エルカナ一世、ヨエル、アザルヤ、ゼパニヤ、タハテ、アシル、エブヤサフ、コラ、イツハル、ケハテ、レビ、イスラエル。
+ ヘマンの助手は同僚のアサフで、その系図は順次さかのぼると次のとおり。ベレクヤ、シムア、ミカエル、バアセヤ、マルキヤ、エテニ、ゼラフ、アダヤ、エタン、ジマ、シムイ、ヤハテ、ゲルショム、レビ。
+ ヘマンの第二助手はメラリ氏族の代表エタンで、ヘマンの左側に立ちました。メラリの家系は順次さかのぼると次のとおりです。キシ、アブディ、マルク、ハシャブヤ、アマツヤ、ヒルキヤ、アムツィ、バニ、シェメル、マフリ、ムシ、メラリ、レビ。
+ そのほかのレビ人は、天幕での各種の奉仕に当たりました。
+ ただし、祭司の務めに当たったのはアロンとその子孫だけです。彼らは、焼き尽くすいけにえをささげ、香をたくなど、至聖所(幕屋の奥で、契約の箱が置かれている所)のすべての仕事を一手に引き受け、毎年、イスラエルの民の贖いの日には務めを果たしました。これらすべてのことは、モーセが命じたとおりに、誤りなく行われました。
+ アロンの子孫は次のとおり。エルアザル、ピネハス、アビシュア、ブキ、ウジ、ゼラヘヤ、メラヨテ、アマルヤ、アヒトブ、ツァドク、アヒマアツ。
+ ケハテ氏族に属するアロンの子孫に、くじで割り当てられた町と土地は次のとおり。
+ ユダにある避難用の町ヘブロンとその周辺の牧草地。ただし、畑と町の周辺の村はエフネの子カレブに与えられました。
+ 周囲に牧草地のある町は次のとおり。リブナ、ヤティル、エシュテモア、ヒレズ、デビル、アシャン、ベテ‧シェメシュ。
+ そのほか、ベニヤミン族からゲバ、アレメテ、アナトテの町と周辺の牧草地が贈られました。全部で十三の町が祭司たちに与えられたことになります。
+ ケハテの残りの子孫には、くじ引きで、マナセの半部族の領土にある十の町が与えられました。
+ ゲルショムの諸氏族には、イッサカル、アシェル、ナフタリ、バシャンに住むマナセ族から、くじ引きで十三の町が与えられました。
+ メラリの諸氏族は、ルベン、ガド、ゼブルンの各部族から、くじ引きで十二の町が与えられました。
+ くじ引きで、ユダ、シメオン、ベニヤミンの各部族からレビ人に与えられる町と牧草地の名が読み上げられました。
+ エフライム族は、次の町と周辺の牧草地を、ケハテの諸氏族に与えました。エフライムの山地にある避難用の町シェケム、ゲゼル、ヨクメアム、ベテ‧ホロン、アヤロン、ガテ‧リモン。
+ マナセの半部族は、アネル、イブレアムの町と周辺の牧草地を、ケハテの諸氏族に与えました。
+ マナセの残りの半部族は、次の町と周辺の牧草地を、ゲルショム氏族に与えました。バシャンにある避難用の町ゴラン、アシュタロテ。
+ イッサカル族は、ケデシュ、ダベラテ、ラモテ、アネムと周辺の牧草地を、
+ アシェル族は、マシャル、アブドン、フコク、レホブと周辺の牧草地を、
+ またナフタリ族は、ガリラヤにあるケデシュ、ハモン、キルヤタイムと周辺の牧草地を、それぞれゲルショム氏族に与えました。
+ ゼブルン族は、リモノとタボルをメラリ氏族に与えました。
+ ルベン族は、エリコの対岸のヨルダン川東岸から、荒野の町ベツェル、ヤハツ、ケデモテ、メファアテと周辺の牧草地を、
+ ガド族は、ギルアデにあるラモテ、マハナイム、ヘシュボン、ヤゼルと周辺の牧草地を、それぞれメラリ氏族に与えました。
+
+
+ イッサカルの子はトラ、プア、ヤシュブ、シムロン。
+ トラの子は次のとおりで、みな氏族の長となりました。ウジ、レファヤ、エリエル、ヤフマイ、イブサム、シェムエル。ダビデ王の時代には、これらの諸氏族出身の勇士は総計二万二千六百人にのぼりました。
+ ウジの子はイゼラヘヤ。イゼラヘヤの息子はミカエル、オバデヤ、ヨエル、イシヤなど五人で、みな氏族の長でした。
+ 彼らはみな数人の妻をめとり、多くの子をもうけたので、その子孫は、ダビデの時代には三万六千の兵力になりました。
+ イッサカル族の全氏族から兵役についた者は計八万七千人で、みな系図に載っている勇士でした。
+ ベニヤミンの子はベラ、ベケル、エディアエル。
+ ベラの子はエツボン、ウジ、ウジエル、エリモテ、イリ。この五人の勇士は各氏族の長で、系図に載っている兵士二万二、〇三四人の指導者でした。
+ ベケルの子は次のとおり。ゼミラ、ヨアシュ、エリエゼル、エルヨエナイ、オムリ、エレモテ、アビヤ、アナトテ、アレメテ。
+ ダビデの時代には、彼らの子孫から出た勇士は各氏族の長二万二百人に及びました。
+ エディアエルの子はビルハン。ビルハンの子はエウシュ、ベニヤミン、エフデ、ケナアナ、ゼタン、タルシシュ、アヒシャハル。
+ 彼らはみなエディアエルの諸氏族の長となり、その子孫は、ダビデの時代に一万七千二百人の勇士となりました。
+ イルの子はシュピムとフピム。フシムはアヘルの子の一人でした。
+ ヤコブのそばめビルハの子ナフタリの子は、ヤハツィエル、グニ、エツェル、シャルム。
+ マナセがアラム人のそばめに産ませた子は、アスリエルとギルアデの父のマキル。
+ マキルは、フピムとシュピムに妻を見つけてやりました。マキルの妹はマアカ。彼のもう一人の末裔のツェロフハデには娘しかいませんでした。
+ マキルの妻もマアカといいましたが、ペレシュという男の子を産みました。その弟はシェレシュで、ウラムとレケムという二人の子がいました。
+ ウラムの子はベダン。以上はギルアデの子、マキルの孫、マナセのひ孫です。
+ マキルの妹モレケテは、イシュホデ、アビエゼル、マフラを産みました。
+ シェミダの子はアフヤン、シェケム、リクヒ、アニアム。
+ エフライムの子孫は次のとおり。シュテラフ、ベレデ、タハテ、エルアダ、タハテ、ザバデ、シュテラフ、それにエゼルとエルアデ。エルアデとエゼルは、ガテで家畜を盗もうとして土地の農夫に見つかり、殺されました。
+ 二人の父エフライムは、長い間喪に服していたので、兄弟たちが彼を慰めました。
+ そののち、エフライムの妻は男の子を産みましたが、悲劇のただ中で生まれたその子を、彼はベリア(「災い」の意)と名づけました。
+ エフライムの娘シェエラは、下および上のベテ‧ホロン、それにウゼン‧シェエラを建てました。
+ エフライムの息子ベリアの家系はレファフ、レシェフ、テラフ、タハン、ラダン、アミフデ、エリシャマ、ヌン、ヨシュアと続きます。
+ 彼らは、ベテルとその周辺の村々、東方ではナアラン、西方ではゲゼルと周辺の村々、シェケムと周辺の村々、さらにアヤと近郊の町々に住んでいました。
+ イスラエルの子ヨセフの子孫のマナセ族は、次の町々と周辺の地域を支配していました。ベテ‧シェアン、タナク、メギド、ドル。
+ アシェルの子はイムナ、イシュワ、イシュビ、ベリア、姉妹セラフ。
+ ベリアの子はヘベル、ビルザイテの父のマルキエル。
+ ヘベルの子はヤフレテ、ショメル、ホタム、姉妹シュア。
+ ヤフレテの子はパサク、ビムハル、アシュワテ。
+ 彼の兄弟ショメルの子はアヒ、ロフガ、フバ、アラム。
+ 彼の兄弟ヘレムの子はツォファフ、イムナ、シェレシュ、アマル。
+ ツォファフの子はスアハ、ハルネフェル、シュアル、ベリ、イムラ、ベツェル、ホデ、シャマ、シルシャ、イテラン、ベエラ。
+ エテルの子はエフネ、ピスパ、アラ。
+ ウラの子はアラフ、ハニエル、リツヤ。
+ これらアシェルの子孫はみな各氏族の長で、えり抜きの勇士でした。アシェルの子孫のうち、軍人で系図に載せられた者は二万六千人でした。
+
+
+ ベニヤミンの子は年齢順にあげると、次のとおり。長男ベラ、次男アシュベル、三男アフラフ、四男ノハ、五男ラファ。
+ ベラの子はアダル、ゲラ、アビフデ、アビシュア、ナアマン、アホアハ、ゲラ、シェフファン、フラム。
+ 捕虜となってマナハテへ移された、ゲバ在住の氏族の長エフデの子は次のとおり。ナアマン、アヒヤ、それにヘグラムとも呼ばれたウザとアヒフデの父ゲラ。
+ シャハライムは、妻のフシムとバアラを離縁したのち、再婚した新しい妻ホデシュによって、モアブの地で次の子をもうけました。ヨバブ、ツィブヤ、メシャ、マルカム、エウツ、サケヤ、ミルマ。これらの子は、みな一族の長となりました。
+ シャハライムの先妻フシムは、アビトブとエルパアルを産みました。
+ エルパアルの子はエベル、ミシュアム、オノとロデと周辺の村々を建てたシェメデ。
+ このほか、同じくエルパアルの子ベリアとシェマはアヤロンに住む氏族の長で、ガテの住民を追い払いました。
+ エルパアルには、さらに次の子がいます。アフヨ、シャシャク、エレモテ。
+ ベリアの子はゼバデヤ、アラデ、エデル、ミカエル、イシュパ、ヨハ。
+ エルパアルには次の子もいます。ゼバデヤ、メシュラム、ヒズキ、ヘベル、イシュメライ、イズリア、ヨバブ。
+ シムイの子は次のとおり。ヤキム、ジクリ、ザブディ、エリエナイ、ツィルタイ、エリエル、アダヤ、ベラヤ、シムラテ。
+ シャシャクの子はイシュパン、エベル、エリエル、アブドン、ジクリ、ハナン、ハナヌヤ、エラム、アヌトティヤ、イフデヤ、ペヌエル。
+ エロハムの子はシャムシェライ、シェハルヤ、アタルヤ、ヤアレシュヤ、エリヤ、ジクリ。
+ 彼らはエルサレムに住む諸氏族の長でした。
+ ギブオンの父エイエルはギブオンに住み、妻はマアカといいました。
+ 彼の長男はアブドンで、以下、次の子たちが続きます。ツル、キシュ、バアル、ナダブ、ゲドル、アフヨ、ゼケル、シムアの父ミクロテ。この家族はみなエルサレムの近くに住んでいました。
+ ネルはキシュの父、キシュはサウルの父。サウルの子の一部は次のとおり。ヨナタン、マルキ‧シュア、アビナダブ、エシュバアル。
+ ヨナタンの子はメフィボシェテ。メフィボシェテの子はミカ。
+ ミカの子はピトン、メレク、タアレア、アハズ。
+ アハズはエホアダの父。エホアダは次の子たちの父。アレメテ、アズマベテ、ジムリ。ジムリの子はモツァ。
+ モツァはビヌアの父。ビヌアの子孫はラファ、エルアサ、アツェル。
+ アツェルの六人の子はアズリカム、ボクル、イシュマエル、シェアルヤ、オバデヤ、ハナン。
+ アツェルの兄弟エシェクには次の三人の子がいました。長男ウラム、次男エウシュ、三男エリフェレテ。
+ ウラムの子はみなベニヤミン族に属し、弓の名手として評判が高く、百五十人の子と孫がいました。
+
+
+ イスラエルの民の系図は、一人もらさず、『イスラエル諸王の年代記』に載っています。ユダは偶像礼拝の罪のために、バビロンに捕囚として引いて行かれました。
+ 以前住んでいた町へ最初に帰還したのは、イスラエルの諸部族の家族、祭司、レビ人、それに神殿奉仕者でした。
+ ユダ、ベニヤミン、エフライム、マナセの各部族に属する家族は、エルサレムに帰りました。
+ その中に、ユダの子ペレツ氏族のウタイの家族がいました。ウタイはアミフデの子、順次さかのぼってオムリの子、イムリの子、バニの子。
+ シェラ人も帰って来た家族の一つで、シェラの長男アサヤと子孫が含まれていました。
+ そのほか、エウエルとその同族六百九十人を含む、ゼラフの子孫もいました。
+ ベニヤミン族の帰還者の中には次の者がいます。セヌアの子ホダブヤの子メシュラムの子に当たるサル、エロハムの子イブネヤ、ウジの子で、ミクリの孫エラ、シェファテヤの子で、レウレルの孫、イブニヤのひ孫に当たるメシュラ。
+ 彼らはみな家族の長でした。総勢九百五十六人のベニヤミン人が帰って来たことになります。
+ 帰還した祭司は次のとおり。エダヤ、エホヤリブ、ヤキン、神殿の護衛長のアザルヤ。アザルヤはヒルキヤの子で、順次さかのぼってメシュラムの子、ツァドクの子、メラヨテの子、アヒトブの子。
+ 祭司ではほかに、エロハムの子で、パシュフルの孫、マルキヤのひ孫に当たるアダヤ。また、アディエルの子マサイ。さらに順次さかのぼると、アディエルはヤフゼラの子、メシュラムの子、メシレミテの子、イメルの子。
+ 総勢千七百六十人の祭司が帰還しました。
+ 帰って来たレビ人の中に、シェマヤがいました。このシェマヤは、メラリの子孫ハシャブヤのひ孫、アズリカムの孫、ハシュブの子です。
+ レビ人ではほかに、次の者がいます。バクバカル、ヘレシュ、ガラル、アサフの子ジクリの子ミカの子マタヌヤ、エドトンの子ガラルの子シェマヤの子オバデヤ、ネトファ人の村に住んでいたエルカナの子アサの子ベレクヤ。
+ 門衛はみなレビ人で、その長のシャルムはじめ、アクブ、タルモン、アヒマンがいました。シャルムは今でも東方にある王の門を守っています。
+ シャルムの家系は、順次さかのぼってコレ、エブヤサフ、コラに至ります。彼と親族のコラ人は、いけにえをささげる仕事や、先祖が幕屋の管理と警備に当たっていたように、聖所を守る務めにつきました。
+ かつてはエルアザルの子ピネハスが、この務めの長でした。主はピネハスとともにいました。
+ 当時、メシェレムヤの子ゼカリヤが、幕屋の入口の警備についていました。
+ この時、門衛として選ばれた人々は二百十二人です。この人々は、系図をもとに村々から選び出され、誠実さを買われて、ダビデとサムエルによって任命されたのです。
+ 彼らとその子孫は、幕屋の管理と警備のため、東西南北の四方に門衛が立ちました。
+ 彼らの村の同族の者たちが、一週間交替でそれぞれの仕事に当たりました。
+ 四人の門衛の長はみなレビ人で、神の宮にある特別な部屋や宝物倉を管理するという、特に重要な任務を与えられました。
+ そのため、彼らは宮の近くに住み、毎朝、門を開けました。
+ 彼らのうちのある者は、いけにえをささげるのに用いる各種の器具の管理に当たり、その出し入れの時、一つ一つ数を調べ、点検しました。
+ またある者は、聖所の中にある器具や調度の管理、小麦粉、ぶどう酒、香油、香料などの供給の任に当たりました。
+ ほかの祭司たちは、香料と香油を調合しました。
+ レビ人で、コラ人シャルムの長男マティテヤは、穀物のささげ物で平たいパンを焼く仕事をしました。
+ ケハテ氏族のある者は、安息日ごとに並べ替える特別なパンを用意しました。
+ 歌手たちはみな優秀なレビ人で、エルサレムの宮に住み、四六時中その仕事に当たりました。彼らは特に選ばれた者たちで、ほかの責任はいっさい免除されていました。
+ キブオンの父エイエルはギブオンに住み、妻はマアカといいました。彼は子だくさんで、その中に次の者がいました。長男アブドン、ツル、キシュ、バアル、ネル、ナダブ、ゲドル、アフヨ、ゼカリヤ、ミクロテ。
+ ミクロテは息子のシムアムとともにエルサレムに住み、親族の近くにいました。
+ ネルはキシュの父。キシュはサウルの父。サウルはヨナタン、マルキ‧シュア、アビナダブ、エシュバアルの父。
+ ヨナタンはメフィボシェテの父。メフィボシェテはミカの父。
+ ミカはピトン、メレク、タフレア、アハズの父。
+ アハズはヤラの父。ヤラはアレメテ、アズマベテ、ジムリの父。ジムリはモツァの父。
+ モツァはビヌア、レファヤ、エルアサ、アツェルの父祖。
+ アツェルの六人の子は次のとおり。アズリカム、ボクル、イシュマエル、シェアルヤ、オバデヤ、ハナン。
+
+
+ ペリシテ人はイスラエル軍を攻め破ったので、イスラエル軍は敗走し、ギルボア山のふもとで虐殺されました。
+ ペリシテ人は、サウルと三人の息子ヨナタン、アビナダブ、マルキ‧シュアを捕らえ、彼ら全員を討ち取りました。
+ サウルは、ペリシテ人の射手たちに囲まれてねらい撃ちされ、深手を負ったため、
+ 苦しい息の下から、そばにいたよろい持ちに命じました。「さあ、おまえの剣で私を殺してくれ。あの割礼も受けていない者どもに捕まって、なぶり者にされたくないのだ。」しかし、よろい持ちは恐ろしくて手が出せません。そこでサウルは剣を取り、その上にうつぶせに倒れて自害したのです。
+ よろい持ちは王の死を見届けると、自分も同じように自害しました。
+ こうして、サウルと三人の息子はみな討ち死にし、彼の全家は一日のうちに滅び去ってしまったのです。
+ 谷にいたイスラエル軍は、味方が総くずれとなり、王と王子たちが戦死したと聞くと、町を捨てて逃げ出しました。以来、ペリシテ人がその町々に住むようになりました。
+ 翌日、ペリシテ人が兵士の死体からめぼしい物をはぎ取り、あたりに散らばっている戦利品を集めようと引き返して来た時、サウルと息子たちのなきがらを見つけました。
+ それで彼らはサウルの武具をはぎ取り、彼の首をはねました。そして、その首を自分たちの国へ持ち帰って見せ物とし、偶像の前で勝利を祝いました。
+ 武具は彼らの神々の神殿に奉納し、首はダゴンの宮にさらしたのです。
+ ヤベシュ‧ギルアデの人々は、ペリシテ人がサウルの首をさらしたことを聞きました。
+ 彼らのうちの勇士は、行って王と三人の王子のなきがらを取り返し、ヤベシュにある樫の木の下に葬り、七日の間、断食して喪に服しました。
+ サウルは、主に不従順であったために死んだのです。彼は霊媒に伺いを立て、
+ 主の導きを求めようとはしませんでした。それで、主は彼を殺し、王位をエッサイの子ダビデに渡されたのでした。
+
+
+ イスラエルの長老、指導者たちはヘブロンにいるダビデのところへ行き、こう申し出ました。「私たちはあなたの身内です。
+ サウルが王であった時でも、私たちを率いて戦場に行き、安全に連れ戻してくださったのは、あなたでした。主はあなたに、『あなたがわたしの民イスラエルの牧者となり、王となる』と仰せになったではありませんか。」
+ ダビデは主の前で、彼らと契約を結びました。彼らは、主がサムエルに告げたとおり、ダビデに油を注いでイスラエルの王としたのです。
+ ダビデとイスラエルの指導者たちは、エブスとも呼ばれていたエルサレムへ行きました。そこには、その地の住民エブス人が住んでいました。
+ エブス人は彼らが町に入ることを断ったので、ダビデは、のちにダビデの町と呼ばれるようになったシオンの要塞を占領しました。その時、ダビデはイスラエルの指導者に、「真っ先にエブス人を殺した者をかしらとしよう」と約束しました。ツェルヤの子ヨアブが真っ先にエブス人を殺し、ダビデの軍隊の将軍になりました。
+ 以来、ダビデはこの要塞に住んだので、エルサレムのこの一角が、ダビデの町と呼ばれたのです。
+ ダビデは要塞の周辺まで町を広げましたが、町の残りの部分を再建したのはヨアブでした。
+ 主が共におられたので、ダビデの名声はいよいよ高まり、勢力を増していきました。
+ ダビデの勇士の中で最も勇敢であった人々は次のとおりです。彼らは、主のことばどおり、イスラエルの指導者たちを助けて、ダビデをイスラエルの王とした人たちです。
+ まず、ハクモニ人の子ヤショブアムは三勇士の筆頭でした。彼は、一度に槍で三百人を殺したことがありました。
+ 三勇士の第二は、アホアハ氏族に属するドドの子エルアザルです。
+ 彼はペリシテ人と戦った時、王とともにパス‧ダミムにいました。大麦畑に隠れていたイスラエル軍が逃げ始めた時、
+ 彼は最後まで踏みとどまり、味方を立ち直らせてペリシテ人を倒しました。そして主が、イスラエルに大勝利をもたらしてくださったのです。
+ ある時、三十人の勇士のうちのこの三人が、アドラムのほら穴に身をひそめていたダビデのもとに来ました。ペリシテ人はレファイムの谷に陣を張っていました。
+ その時、ダビデは要塞におり、ペリシテ人の前哨部隊はベツレヘムを支配していました。
+ ダビデがベツレヘムの城門のそばにある井戸の水を飲みたいと家来にもらした時、
+ この三人はペリシテ人の陣営を突破してその井戸から水をくみ、ダビデのところへ持ち帰ったのです。ところがダビデは、その水を飲もうとしないばかりか、それを神へのささげ物として注ぎかけ、言いました。「これを飲むことは許されない。いのちをかけて運んで来た、三人の勇士の血に等しいものだ。」
+ ヨアブの兄弟アブシャイは、三十人の勇士の指揮官でした。彼は一度に槍で三百人を殺し、三十人の仲間に加えられました。
+ アブシャイは彼らの中心で名高い人物でしたが、三勇士には及びませんでした。
+ カブツェエル出身の偉大な勇士を父に持つベナヤは、名うてのモアブの巨人二人を殺しました。また、ある雪の日に、すべりやすいほら穴に降りて行って、ライオンをしとめました。
+ またある時は、機織棒のように太い槍を持った、身長二‧二メートルもあるエジプト人を打ち倒しました。その時、彼はたった一本の杖を手に相手に近づき、エジプト人から槍をもぎ取って、それで刺し殺したのです。
+ ベナヤはあの三勇士と同じくらい名が知れ、三十人の勇士の中でも特に高い評判を得ていたので、ダビデは彼を護衛長にしました。
+ ダビデの家来で、そのほか名高い勇士は次のとおり。ヨアブの兄弟のアサエル。ベツレヘム出身のドドの子エルハナン。ハロリ出身のシャモテ。ペロニ出身のヘレツ。テコア出身のイケシュの子のイラ。アナトテ出身のアビエゼル。フシャ出身のシベカイ。アホアハ出身のイライ。ネトファ出身のマフライ。ネトファ出身のバアナの子ヘレデ。ギブア出身のベニヤミン族で、リバイの子のイタイ。ピルアトン出身のベナヤ。ガアシュの谷近くの出身のフライ。アラバ出身のアビエル。バハルム出身のアズマベテ。シャアルビム出身のエルヤフバ。ギゾ出身のハシェムの子たち。ハラル出身のシャゲの子ヨナタン。ハラル出身のサカルの子アヒアム。ウルの子エリファル。メケラ出身のヘフェル。ペロニ出身のアヒヤ。カルメル出身のヘツロ。エズバイの子ナアライ。ナタンの兄弟ヨエル。ハグリの子ミブハル。アモン出身のツェレク。ヨアブ将軍のよろい持ちで、ベロテ出身のナフライ。エテル出身のイラ。エテル出身のガレブ。ヘテ人ウリヤ。アフライの子ザバデ。ルベン族の指導者三十一人に加わっていた、シザの子アディナ。マアカの子ハナン。ミテニ出身のヨシャパテ。アシュタロテ出身のウジヤ。ホタムの子で、アロエル出身のシャマとエイエル。シムリの子エディアエル。エディアエルの兄弟でティツ出身のヨハ。マハビム出身のエリエル。エルナアムの子エリバイとヨシャブヤ。モアブ出身のイテマ。エリエル。オベデ。メツォバヤ出身のヤアシエル。
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+ サウルから身を隠し、ツィケラグにいたダビデのもとに馳せ参じた勇士たちは次のとおりです。
+ 彼らはみな、右手も左手も同じように使うことができ、弓と石投げの名手で、サウル王と同じくベニヤミン族の出身でした。
+ 彼らの長はギブア出身のシェマアの子アヒエゼルで、その他の者は次のとおり。アヒエゼルの兄弟ヨアシュ、アズマベテの子のエジエルとペレテ、ベラカ、アナトテ出身のエフー、三十人の勇士よりも評判の高かったギブオン出身のイシュマヤ、エレミヤ、ヤハジエル、ヨハナン、ゲデラ出身のエホザバデ、エルウザイ、エリモテ、ベアルヤ、シェマルヤ、ハリフ出身のシェファテヤ、エルカナ、イシヤ、アザルエル、ヨエゼル、ヤショブアム。以上はコラ人です。それにゲドル出身のエロハムの子のヨエラとゼバデヤ。
+ ガド族で評判の勇士たちも、荒野にいるダビデのもとに集まりました。彼らは盾と槍の名手で、「かもしかのように足が速く、しかもライオンのような顔をした人々」でした。その長はエゼル。第二はオバデヤ。第三はエリアブ。第四はミシュマナ。第五はエレミヤ。第六はアタイ。第七はエリエル。第八はヨハナン。第九はエルザバデ。第十はエレミヤ。第十一はマクバナイ。
+ 彼らは軍の将校で、いちばん弱い者でも普通の兵士百人に匹敵し、強い者ともなると千人にも匹敵しました。
+ 彼らはヨルダン川の水があふれる時に川を渡って、両岸の低地を占領したことがあります。
+ ほかに、ベニヤミンとユダの各部族からも、ダビデのもとへ集まった人々があります。
+ ダビデは彼らを迎えに出て言いました。「私を助けに来てくれたのなら、私たちはこれから友人だ。しかし、もし罪のない私を敵に売り渡すために来たのなら、父祖の神が報復してくださるように。」
+ その時、聖霊が彼らに臨み、三十人の勇士の一人アマサイが答えました。「ダビデ様。私たちは味方です。エッサイの子よ。私たちは家来になります。あなたと、あなたを助けるすべての者に平安がありますように。神が共におられるからです。」ダビデは彼らを味方に加え、隊長に取り立てました。
+ ダビデがペリシテ人とともにサウル王との戦いに出て行った時、マナセ族出身の幾人かも、イスラエル軍を離れてダビデのもとにやって来ました。ところが、いざ戦いという時になって、ペリシテ人の将軍たちは、ダビデの部隊が戦闘に加わることを拒んだのです。激論の末、ペリシテ人はダビデの部隊を送り返しました。ダビデとその部下がサウル王に寝返って、自分たちを窮地に陥れるのではないかと恐れたのでした。
+ ダビデがツィケラグへの道を進んでいた時、彼を頼って来たマナセ部族の人々は、次のとおりです。アデナフ、エホザバデ、エディアエル、ミカエル、エホザバデ、エリフ、ツィルタイ。みなマナセ部隊の将校でした。
+ 彼らはすぐれた勇士ばかりで、ダビデを助けてツィケラグでアマレクの略奪隊と戦いました。
+ ほとんど毎日のように人々が集まって来たので、ダビデの軍隊は神の陣営のように強大になりました。
+ ヘブロンでダビデのもとに集まった人々はみな、主のことばどおり、ダビデがサウルに代わって王になることを願っていました。その数は次のとおりです。
+ ユダ族から、盾と槍で武装した兵士六千八百人。シメオン族から、すぐれた勇士七千百人。レビ人から四千六百人。アロンの子孫である祭司から、エホヤダと勇気ある若者ツァドクに率いられた三千七百人。ツァドクとその一族の二十二人は、戦う祭司団の将校でした。サウルの属していたベニヤミン族から三千人。この部族の大多数は、サウルについていました。エフライム族から、各氏族での名門の勇士二万八百人。マナセの半部族から、ダビデを王とするために集まった一万八千人。イッサカル族から、部族の指導者が二百人。彼らはみな時代の流れに通じ、イスラエルの進むべき最善の道を知っていました。ゼブルン族から、訓練された勇士五万人。彼らは完全に武装し、心からダビデに仕えました。ナフタリ族から、千人の将校と、盾と槍で武装した兵士三万七千人。ダン族から、戦いの備えをした兵士二万八千六百人。アシェル族から、訓練された兵士四万人。ルベンとガドの各部族、それにマナセの半部族が住んでいたヨルダン川の東側から、あらゆる種類の武器を備えた兵士十二万人。
+ これらの戦士たちは、ダビデをイスラエルの王にする目的で、ヘブロンに集結しました。実のところ、イスラエルの民のすべてが、ダビデが新しい王になることを望んでいたのです。
+ すでに迎えの準備がされていて、彼らは三日間ダビデとともに宴を張り、飲み食いしました。
+ 近くから来た者も、イッサカル、ゼブルン、ナフタリのように遠くから来た者も、ろば、らくだ、らば、牛などで食物を運んで来ました。小麦粉、干しいちじくの菓子、干しぶどう、ぶどう酒、油、牛、羊などが、この祝宴のために山ほど運ばれてきました。国中が喜びにわきかえっていました。
+
+
+ ダビデは将校全員を集めて会議を開き、
+ イスラエルの全集団に呼びかけました。「あなたがたが私を王にすることを願い、また主がそれを承認してくださるなら、祭司やレビ人も含めてイスラエル全土にいる同胞に、すぐここへ集まれと伝えよう。
+ それから、神の箱を持ち帰ろう。サウルが王となってからは、ずっと放置したままなのだから。」
+ 提案は満場一致で採択されました。
+ そこでダビデは、キルヤテ‧エアリムから運び出される神の箱を迎えるために、エジプトのシホルからレボ‧ハマテに至るまでの、全イスラエルを召集したのです。
+ ダビデと全イスラエルは、ケルビムの上に座している主なる神の箱を持ち帰ろうと、別名バアラともいう、ユダのキルヤテ‧エアリムへ行きました。
+ 神の箱はアビナダブの家から運び出され、ウザとアフヨが御する真新しい牛車に載せられました。
+ ダビデと全国民は、歌を歌い、琴、竪琴、タンバリン、シンバル、ラッパを鳴らし、主の前で力のかぎり踊りました。
+ ところがキドンの打ち場まで来た時、牛がつまずいたので、ウザは思わず手を伸ばし、箱を押さえました。
+ すると主の怒りがウザに向かって燃え上がり、ウザはその場に倒れました。
+ ダビデはこの出来事に憤慨し、その場所をペレツ‧ウザ(「ウザへの怒り」の意)と名づけました。今でもそう呼ばれています。
+ あまりのことに、ダビデは主を恐れ、「どうして神の箱を私のもとに運ぶことなどできようか」と言いました。
+ それで、それをダビデの町に持ち帰ることをあきらめ、ガテ人オベデ‧エドムの家に置くことにしました。
+ 神の箱は、三か月間オベデ‧エドムの家に置かれていました。その間、主はオベデ‧エドムとその家族を祝福しました。
+
+
+ ツロの王ヒラムはダビデの宮殿の建築を助けようと、石工や大工を送り、たくさんの杉材を提供しました。
+ ダビデは、主がなぜ自分を王とし、王国を強大にしてくださったのか、その理由がはっきりわかりました。主の民に喜びを与えるためだったのです。
+ ダビデはエルサレムに移ってからさらに妻をめとり、多くの息子や娘をもうけました。
+ エルサレムで生まれた子は次のとおりです。シャムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、イブハル、エリシュア、エルペレテ、ノガハ、ネフェグ、ヤフィア、エリシャマ、ベエルヤダ、エリフェレテ。
+ ペリシテ人は、ダビデがイスラエルの新しい王になったと聞くと、何とかして彼を捕らえようと兵を集めました。一方ダビデもペリシテ人の来襲を事前に知り、軍隊を召集しました。
+ ペリシテ人はレファイムの谷に侵入し、
+ それを知ったダビデは主に伺いを立てました。「もし出て行って戦ったら、私は勝てるでしょうか。」すると主は、「そうしなさい。勝利を与えよう」と答えました。
+ そこでダビデはバアル‧ペラツィムで攻撃をかけ、彼らを粉砕しました。彼は、「神様は私を用いて、水がどっと破れ出るように敵を打ち破ってくださった!」と言って喜びました。そういうわけで、そこはバアル‧ペラツィム(「破れの場所」の意)と呼ばれるようになりました。
+ 戦いのあとイスラエル軍は、ペリシテ人が置き去りにして行った多くの偶像を拾い集めましたが、ダビデはそれを焼き捨てるよう命じました。
+ そののち、ペリシテ人は再びレファイムの谷に侵入して来ました。
+ この時もダビデは、どのようにすべきか主に伺いを立てると、主はこう答えました。「バルサム樹の林を回って行き、そこから攻めなさい。
+ バルサム樹の木々の上から行進の音が聞こえたら、それを合図に攻めるのだ。わたしがあなたの先に立って進み、敵を打つ。」
+ ダビデは命じられたとおりにしました。彼はギブオンからゲゼルに至るまでことごとく、ペリシテ軍を打ち破りました。
+ こうして主は、ダビデへの恐れを諸国の民に植えつけたので、ダビデの名声はあまねく広まりました。
+
+
+ ダビデはエルサレムに自分の宮殿を建て、神の箱を安置する新しい神の天幕(幕屋)を張りました。
+ それから、次のように命じたのです。「神の箱を新しい場所に移すとき、レビ人以外は箱をかついではならない。彼らは永遠に主に仕えるために選ばれたからだ。」
+ ダビデはイスラエルのすべての民をエルサレムに召集し、神の箱が新しい幕屋に移されることを祝いました。
+ その時集まった祭司とレビ人は、次のとおりです。ケハテ氏族、百二十人、指導者ウリエル。メラリ氏族、二百二十人、指導者アサヤ。ゲルショム氏族、百三十人、指導者ヨエル。エリツァファン氏族、二百人、指導者シェマヤ。ヘブロン氏族、八十人、指導者エリエル。ウジエル氏族、百十二人、指導者アミナダブ。
+ ダビデは大祭司ツァドクとエブヤタル、それにレビ人の指導者ウリエル、アサヤ、ヨエル、シェマヤ、エリエル、アミナダブを呼び、
+ 言いました。「あなたがたはレビ人の諸氏族の指導者だ。レビ人全員が身をきよめ、イスラエルの神の箱を、私があらかじめ準備した場所に運びなさい。
+ 前に主がお怒りになったのは、あなたがたに運ばせず、定められたとおりにしなかったからだ。」
+ 祭司とレビ人は、神の箱を運び入れるに先立って、きよめの儀式を受けました。
+ それからレビ人は、主がモーセを通して命じられていたとおり、箱をかつぎ棒で肩にかつぎました。
+ ダビデ王はレビ人の指導者たちに、楽器の伴奏つきの合唱隊を編成し、彼らが十弦の琴、竪琴、シンバルを打ち鳴らし、喜びの声を上げて歌うよう命じました。
+ そこでヨエルの子ヘマン、ベレクヤの子アサフ、メラリ氏族出身のクシャヤの子エタンが、その長に任命されました。
+ 以下は、彼らの補佐に選ばれた者たちです。ゼカリヤ、ベン、ヤアジエル、シェミラモテ、エヒエル、ウニ、エリアブ、ベナヤ、マアセヤ、マティテヤ、エリフェレフ、ミクネヤ、門衛オベデ‧エドムとエイエル。
+ ヘマン、アサフ、エタンは、青銅のシンバルを鳴らしました。
+ ゼカリヤ、アジエル、シェミラモテ、エヒエル、ウニ、エリアブ、マアセヤ、ベナヤは、十弦の琴の八重奏団を編成しました。
+ マティテヤ、エリフェレフ、ミクネヤ、オベデ‧エドム、エイエル、アザズヤは、八弦の竪琴を弾きました。
+ 歌の指揮者は、その道に通じているレビ人の長ケナヌヤでした。
+ ベレクヤとエルカナは、神の箱の警護に当たりました。
+ 祭司のシェバヌヤ、ヨシャパテ、ネタヌエル、アマサイ、ゼカリヤ、ベナヤ、エリエゼルは、行進の先頭に立ってラッパを吹き鳴らす役につきました。オベデ‧エドムとエヒヤは、箱の警護に当たりました。
+ こうして、王をはじめイスラエルの長老と軍の将校たちは、大きな喜びをもって神の箱をエルサレムに運ぼうとオベデ‧エドムの家へ行きました。
+ 今度は、契約の箱をかついだレビ人は何の害も受けなかったので、雄牛と子羊を七頭ずついけにえとしてささげました。
+ ダビデと契約の箱をかつぐレビ人、合唱隊員と指揮者ケナヌヤは、みな亜麻布の衣を着ていました。ダビデはさらに、亜麻布のエポデ(祭司が儀式で着る装束)を着ていました。
+ そしてイスラエルの指導者たちは、大歓声とともに、角笛とラッパが響き、シンバルが鳴り、十弦の琴と竪琴が高らかにかなでられる中、契約の箱をエルサレムへと運び上ったのです。
+ 契約の箱がエルサレムに到着した時、サウル王の娘でダビデの妻ミカルは、窓からその様子を見て、気がふれたように踊るダビデに深い嫌悪を感じていました。
+
+
+ こうして神の箱は、ダビデがあらかじめ用意しておいた幕屋に運び込まれました。イスラエルの指導者たちは、神の前に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。
+ いけにえをささげ終わると、ダビデは主の名によって民を祝福し、
+ 集まっていた全員にパンとぶどう酒と干しぶどうの菓子を配りました。
+ また、レビ人の中から、契約の箱の前で仕える者を選び、イスラエルの神、主を絶えず覚えて感謝し、ほめたたえ、そして民への祝福を祈り求めるようにさせました。この務めに任じられたのは次の人々です。
+ かしらはアサフで、彼はシンバルを鳴らし、彼の同僚には、ゼカリヤ、エイエル、シェミラモテ、エヒエル、マティテヤ、エリアブ、ベナヤ、オベデ‧エドム、エイエルがいて、みな十弦の琴と竪琴を弾きました。
+ 祭司のベナヤとヤハジエルは、契約の箱の前で決まった時間にラッパを吹き鳴らしました。
+ この時からダビデ王は、幕屋での主への賛美にアサフの指揮する祭司の合唱隊を用い始めたのです。
+ 彼らは歌いました。「さあ、主に感謝し、主に祈れ。世界の人々に、偉大なみわざを伝えよ。
+ 主をたたえ、そのすばらしいみわざを告げ知らせよ。
+ 主の聖なる名を誇れ。主を慕い求める者すべてを喜ばせよ。
+ 主とその御力とを尋ね求めよ。絶えず御顔を慕い求めよ。
+ 主のしもべアブラハムの子孫よ。主に選ばれたヤコブの子らよ。偉大なみわざと、驚くべき奇跡と御力とを思い起こせ。
+ このお方こそ、私たちの神、主!その御力は全世界にわたる。
+ 主の契約を、いつまでも忘れるな。そのことばは千代にも及ぶ。
+ 主はアブラハムと契約を結び、イサクに誓いを立て、
+ ヤコブにも確証して、イスラエルへの永遠の契約とされた。
+ 『あなたがたの相続地としてカナンの地を与える。』
+ その時、イスラエルの数はごくわずかで、しかも、約束の地では外国人であった。
+ 彼らは、国から国へと渡り歩いた。
+ 神はだれにも手を出すことを許さず、彼らを害する者は、たとえ王でも殺された。
+ 『わたしが選んだ民を害するな。わたしの預言者だから、ふれてはいけない。』
+ 全地よ、主に歌え。日ごと、主が救い主であることを宣べ伝えよ。
+ 主の栄光を国々に知らせ、すばらしいみわざを、すべての人に語り告げよ。
+ 主は偉大で、高らかにほめたたえられるべきお方、すべての神々にまさって恐れられるべきお方。
+ 他国で、神々と呼ばれるものはみな悪霊で主こそが天をお造りになった。
+ 尊厳と栄誉は御前にあり、力と歓喜はみそばにある。
+ 国々の民よ、主の大いなる力と栄光とをたたえよ。
+ 御名にふさわしく、ほめたたえよ。ささげ物を携えて、御前に出よ。聖なる衣を着けて、主を礼拝せよ。
+ 全地よ、主の御前におののけ。世界はびくとも動じない。
+ 天は喜び、地は楽しめ。諸国の民は言え。『主が王である』と。
+ 大海は鳴りとどろけ。野とその中にあるものは喜び躍れ。
+ 森の木々も、主の御前で喜び歌え。主が地をさばきに来られるからだ。
+ 主に感謝せよ。その恵みは深く、愛といつくしみは限りない。
+ 主に叫べ。『私たちの救いの神よ、どうかお救いください。私たちを国々から呼び集め、安全に救い出してください。そうすれば、あなたのきよい御名に感謝し、声の限りほめたたえます。』
+ イスラエルの神は、永遠にほむべきかな。」この歌にすべての民は「アーメン」と和し、主をほめたたえました。
+ ダビデは、レビ人のアサフと同僚たちを幕屋で仕えさせ、毎日の日課として決められたことを規則正しく行わせました。
+ この中には、エドトンの子オベデ‧エドム、ホサ、同じ門衛の六十八人がいました。
+ 一方、ギブオンの丘にある古い幕屋も、そのままになっていました。ダビデは、そこで祭司ツァドクと同僚の祭司たちを仕えさせました。
+ 彼らは、主がイスラエルに命じられたとおり、毎朝毎夕、焼き尽くすいけにえを祭壇の上でささげました。
+ 王はまた、絶えず注がれる主の愛と恵みに感謝をささげる務めに、ヘマンとエドトンをはじめ数人の者を指名しました。
+ 彼らはラッパを吹き、シンバルを鳴らし、合唱隊に合わせて、高らかに主をほめたたえました。エドトンの子らは門衛に任じられました。
+ 祝いが終わり、民がそれぞれ自分の家へ帰って行ったので、ダビデも家族を祝福するために戻って行きました。
+
+
+ 新しい宮殿に住むようになってからしばらくして、ダビデは預言者ナタンに言いました。「私が杉材のりっぱな家に住んでいるというのに、畏れ多くも神の契約の箱は天幕に置かれたままだ。」
+ すると、ナタンは答えました。「あなたのお考えどおりなさったらよろしいかと思います。それが主の御心でしょう。」
+ ところが、その夜、ナタンに神のことばがありました。
+ 「ダビデに言いなさい。『神殿を建ててはならない。
+ わたしは、イスラエルをエジプトから連れ出した日から、ずっと天幕を住まいとしてきた。
+ その間に一度も、わたしの民を養い育てる牧者としてわたしが立てた指導者の一人にでも、わたしのために神殿を建てよ、と言った覚えはない。』
+ わたしのしもべダビデに伝えなさい。『天地の支配者であるわたしは言う。わたしは、羊飼いのあなたを選んで、イスラエルの王とした。
+ あなたがどこへ行っても、共にいて、あなたの敵を滅ぼした。あなたに最高の名声を与えよう。
+ わたしの民イスラエルに永遠の住まいを与えるので、二度と不安におののくことはない。悪い国々も、以前のように手出しはできない。
+ 士師が国を治めていたころは、絶えず外敵におびえていたが、今、すべての敵を制圧する。あなたの子孫を、あなた同様イスラエルの王にすると、明言しよう。
+ あなたが地上の生涯を終え、この世を去る時、あなたの子を王座につかせ、王国をいっそう強固にする。
+ その子が神殿を建てるのだ。わたしは彼の家系と王座を、永久に不動のものとする。
+ わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。サウルのように、恵みと愛を取り去るようなことはしない。
+ 彼を永久に、わたしの民とイスラエル王国の上に立てよう。彼の子孫がいつも王となる。』」
+ ナタンは、主のことばをそのままダビデに伝えました。
+ そこで王は幕屋に入り、主の前に座し、言いました。「ああ、主なる神よ。私がいったい何者で、家柄がどうだというので、こんなにまでしてくださるのですか。
+ これまで私にしてくださったどんな大きなことも、これからすると約束してくださったことに比べれば取るに足りません。主なる神よ。今、あなたは、将来にわたって私の子孫が王になる、と約束してくださいました。まるで私が偉大な功労者でもあるかのように語ってくださいました。
+ この上、何を申し上げられましょう。私がただの人間にすぎないことをご存じの上で、あなたは私に名誉を与えられました。
+ 私を深く思いやり、このようなすばらしい約束をお与えくださったのです。
+ 主よ、あなたのようなお方はほかになく、あなたのほかに神はありません。あなたのような神がほかにいることなど、耳にしたこともありません。
+ イスラエルのような民がほかにいるでしょうか。あなたは比類のない民にしようと、私たちをエジプトから救い出し、あなたの民となさいました。そして、私たちの前から他の国々を追い払うために数々の奇跡を行って、あなたの御名があがめられました。
+ あなたの民イスラエルがいつまでもあなたのものであり、あなたが私たちの神となったことを明らかにしてくださったのです。
+ 主よ。私と私の子孫がいつまでもこの民を治めるというお約束を謹んでお受けします。
+ どうか、このことによって、御名が永遠にあがめられますように。すべての者が、あなたはいったん約束したことを必ず実行なさる方であることを知ることができますように。そうすれば、『天地を支配なさるお方は、イスラエルの神のほかにない』と告白するようになります。イスラエルは、いつまでも私の子孫が治めるようになります。
+ このことをはっきり示してくださったので、大胆に祈ることができました。
+ このすばらしい約束を下さったのは、神様ご自身です。
+ どうか、この祝福が、いつまでも私の子孫の上にとどまりますように。主よ、あなたの祝福は永遠の祝福だからです。」
+
+
+ その後、ダビデはペリシテ人を制圧し、ガテと周辺の町々を占領しました。
+ 次いでモアブを制圧し、モアブは毎年、ダビデに多額の貢ぎ物を納めるようになりました。
+ さらに、ツォバの王ハダデエゼルがユーフラテス川流域まで領土を広げようとした時、ダビデは、ハマテまで出て彼の野心を打ち砕きました。
+ 戦車千台を奪い、騎兵七千、歩兵二万を捕虜にしたのです。戦車は百台だけをイスラエル軍のために残し、残りは全部、使えないように解体しました。
+ ダビデはまた、ダマスコからハダデエゼル王の援軍として参戦したシリヤ軍二万二千人を打ち、
+ シリヤ(アラム)の首都ダマスコに守備隊を置きました。シリヤも毎年、多額の貢ぎ物を納めるようになりました。こうして主は、ダビデの行く先々で彼に勝利を与えられたのです。
+ ダビデは、ハダデエゼル王の家来たちが持っていた金の盾をエルサレムに持ち帰りました。
+ 同時に、ハダデエゼルの町ティブハテとクンから大量の青銅を奪いました。のちにソロモンはこの青銅を溶かして、神殿用の大洗盤や柱、祭壇でいけにえをささげるための種々の道具を作りました。
+ ハマテの王トウは、ダビデがハダデエゼルの軍勢を打ち破ったことを知ると、
+ 王子ハドラムを使者としてダビデのもとに送り、戦勝を祝いました。同時に、同盟を結ぶしるしに、金、銀、青銅など多くの贈り物をしました。ハダデエゼルとトウとはこれまで仲が悪く、何度も戦っていたからです。
+ ダビデはこれらの贈り物を、エドム、モアブ、アモン、ペリシテ、アマレクの国々から奪った金銀とともに主にささげました。
+ また、ツェルヤの子アブシャイは、塩の谷でエドム人一万八千人を打ちました。
+ そして、エドムに守備隊を置き、毎年、多額の貢ぎ物をダビデに納めさせるようにしました。このように主は、ダビデの行く先々で彼に勝利を与えました。
+ ダビデはイスラエル全土を支配し、正しく民を治めました。
+ ツェルヤの子ヨアブは軍の総司令官、アヒルデの子ヨシャパテは史官、
+ アヒトブの子ツァドクと、エブヤタルの子アヒメレクは祭司の長、シャウシャは王の秘書官、
+ エホヤダの子ベナヤはケレテ人とペレテ人からなる王の護衛隊の隊長、ダビデの子たちは王の側近を務めました。
+
+
+ アモンの王ナハシュが死に、その子ハヌンが新しく王となりました。
+ その時、ダビデは言いました。「彼の父はずいぶん私に親切にしてくれた。その礼に、ハヌンに友好の気持ちを示そう。」そこで、弔問の使者を立てました。しかし使者が着くと、ハヌン王の側近は彼にこう警告したのです。「ダビデが父君に敬意を表してこの者たちをよこした、などとお考えになってはなりません。この地を征服しようと探りに来たに違いありません。」
+ そこでハヌン王は、使者たちのひげをそり落とし、服を半分切り取って腰から下が丸見えになるようにし、さんざん侮辱した上で追い返しました。
+ そのいきさつを知ったダビデ王は、ひどい目に会った一行に、ひげが伸びるまでエリコにとどまるように伝えました。
+ ハヌン王は自分が判断を誤ったことに気づくと、銀一千タラントをかけて、メソポタミヤ、アラム‧マアカ、ツォバから歩兵、戦車、騎兵を雇いました。
+ 雇い入れた戦車三万二千台とマアカ王の全軍はメデバに陣を張り、そこでハヌン王がアモン人の町々から集めた軍勢と合流しました。
+ ダビデはこれを知ると、ヨアブの率いるイスラエル最強の軍隊を差し向けました。
+ これをアモン軍が迎え撃ち、メデバの町の門で戦闘が開始されました。その間、敵側の外国人部隊は町の外に出ていました。
+ ヨアブは敵が前後にいるのを知り、兵力を二分して、一部をシリヤに立ち向かわせました。
+ 残りは彼の兄弟アブシャイの指揮下に入って、アモン人に対しました。
+ ヨアブはアブシャイに言いました。「もし、シリヤが強くて私の手に余るようだったら助けに来てくれ。もし、アモン人が強くておまえの手に余るようなら助けに行こう。
+ 勇気を出せ。私たちの民のため、私たちの神の町々のため、堂々と戦おう。主が最善をなしてくださることを信じて。」
+ ヨアブの指揮する隊が攻撃をしかけると、シリヤは退却して逃げ出しました。
+ 一方、アブシャイの率いる隊から攻撃されていたアモン人も、シリヤが退くのを見て、あわてて町に逃げ込みました。そこで、ヨアブはエルサレムに帰りました。
+ 敗走したシリヤ人は、ユーフラテス川の東から、ハダデエゼル王の将軍ショファクの率いる隊を呼びました。
+ この知らせが届くとダビデは、イスラエル中の兵を動員し、ヨルダン川を渡って敵軍と対戦しました。結果は、またもシリヤ軍の大敗北となり、ダビデはシリヤ軍の戦車兵七千と歩兵四万を討ち取り、さらに将軍ショファクも打ちました。
+ それを見たハダデエゼル王の軍は降伏し、ダビデ王に隷属する者になりました。これにこりたシリヤは、二度とアモン人を助けようとはしませんでした。
+
+
+ いつも春になると戦いが始まりましたが、翌年の春、ヨアブはイスラエル軍を率いて、アモン人の町や村を襲撃し、片っぱしから占領しました。さらにラバの町を包囲し、ダビデ王がエルサレムにとどまっている間に、これも攻め落としました。
+ ダビデは戦場に到着すると、ラバの王から冠を奪い、自分の頭に載せました。冠は宝石がちりばめられており、金一タラント(約三十四キログラム)の重さがありました。このほかにも、おびただしい数の戦利品を持ち帰り、
+ また、その町の住民を連れて来て、のこぎり、鉄のつるはし、斧などを使う仕事につかせました。占領したアモン人のすべての町の住民も同じようにしました。それから、ダビデと全軍はエルサレムに帰りました。
+ その後、ゲゼルでは、再びペリシテ人との戦いが始まりました。しかし、フシャ出身のシベカイが巨人の子孫シパイを倒したので、ペリシテ人は戦意を失って降伏しました。
+ それとは別のペリシテ人との戦いがあった時、ヤイルの子エルハナンは、巨人ゴリヤテの兄弟ラフミを殺しました。ラフミの槍の柄は、まるで機織棒のようでした。
+ また、ガテで戦いがあった時、手足の指が六本ずつという巨人の子孫がイスラエルを罵倒しましたが、ダビデの兄シムアの子ヨナタンが彼を打ち殺しました。
+ 彼らはみなガテの巨人の子孫で、ダビデとその家来たちによって殺されました。
+
+
+ 時にサタンが、ダビデに人口調査をさせるように仕向けて、イスラエルに災いをもたらしました。
+ 王は、ヨアブをはじめ指導者たちに命じました。「国中の人口を完全に調べ上げ、その人数を報告してほしい。」
+ すると、ヨアブが反対意見を述べました。「主が民を百倍に増してくださっても、みなあなたの民ではありませんか。それなのになぜ、そんな要求をなさるのですか。なぜ、イスラエルに罪を犯させるようなことをなさるのですか。」
+ しかし、王が説き伏せたので、ヨアブは命令どおりイスラエル中を巡り歩き、エルサレムに帰って来ました。
+ ヨアブが報告した総人口は、全イスラエルで戦いに出られる者が百十万人、ユダで四十七万人でした。
+ ただし、ヨアブは王の命令に心を痛めていたので、数の中にレビとベニヤミンの二部族を入れませんでした。
+ この人口調査は神の御心を損なったので、神はイスラエルを罰しました。
+ ダビデは神に言いました。「私は罪を犯しました。どうかお赦しください。自分のしたことがどんなに間違っていたか、今わかりました。」
+ そこで主は、王の相談役である預言者ガドに語りました。
+ 「ダビデに次のように伝えよ。『主は、三つのうち一つを選べと言われる。
+ 三年間のききんか、三か月の間敵に苦しめられることか、それとも、御使いが国中を荒らし、三日間恐ろしい疫病に悩まされることかだ。よく考えて、私を遣わされたお方に何と答えるか決めるように。』」ガドはダビデのもとに行き、そのとおり伝えました。
+ 王は答えました。「一つを選ぶのはつらいことです。どうか、私を人の手にではなく、主の御手に陥らせてください。主のあわれみは深いからです。」
+ すると、神はイスラエルに疫病を下したので、七万人が死にました。
+ 病気が猛威をふるっている時、主は一人の御使いを送って、エルサレムを滅ぼそうとしました。しかし、主はあわれに思って考えを変え、御使いに、「もう十分だ。手を引きなさい」と命じたのです。御使いはその時、エブス人オルナンの打穀場に立っていました。
+ 王は、御使いが抜き身の剣をエルサレムの方に差し伸べ、天と地の間に立っているのを見ました。そこで、その場に居合わせたイスラエルの長老たちとともに荒布をまとい、地にひれ伏しました。
+ ダビデは神に願いました。「人口調査の命令を出して罪を犯したのは、この私です。民が何をしたというのでしょう。主よ、私と私の家族を滅ぼしても、民は滅ぼさないでください。」
+ すると、御使いはガドに、「王がエブス人オルナンの打穀場に祭壇を築くように」と指示しました。
+ 王はさっそく、小麦の打穀をしていたオルナンに会いに行きました。オルナンが振り向くと、御使いの姿が見えたので、彼の四人の子は走って隠れました。
+ オルナンは王が来るのも見て、打穀場から出て来てひれ伏しました。
+ ダビデはオルナンに言いました。「それ相応の金を払うから、この打穀場を譲ってくれないか。ここに主のための祭壇を築きたいのだ。そうすれば、伝染病も収まるだろうから。」
+ 「王よ、どうぞお気に召すままにお使いください。よろしければ、焼き尽くすいけにえ用の牛も差し上げます。打穀の器具を、たきぎ代わりに使っていただいてけっこうです。穀物のささげ物がお入り用でしたら、小麦がございます。何でもご用立ていたします。」
+ 「いや、十分な金額で買い取らせてほしい。おまえのものを取って、それを主にささげるわけにはいかない。ふところを痛めずに、いけにえをささげることはしたくないのだ。」
+ そして、ダビデはオルナンに六百シェケル(約七キログラム)の金を与えました。
+ こうして手に入れた場所に主のための祭壇を築き、その上で、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。ダビデが大声で主を呼ぶと、主は彼に答え、天から下った火がいけにえを焼き尽くしました。
+ それから、主は御使いに命じて、剣をさやに納めさせました。
+ ダビデは願いが聞かれたのを見て、もう一度いけにえをささげました。
+ 当時、モーセが荒野で造った幕屋と祭壇は、ギブオンの高台にありました。
+ しかしダビデは、神を求めてそこまで行くことができませんでした。抜き身の剣を持つ御使いを恐れたからです。
+
+
+ そこで、ダビデ王は言いました。「このオルナンの打穀場こそ、主の神殿を建て、イスラエルの焼き尽くすいけにえをささげる祭壇を築くのにふさわしい場所だ。」
+ 王はイスラエル在住のすべての外国人を召集し、神殿建築用の石を切り出す仕事に当たらせました。
+ 彼らは、門の扉の釘および留め金用の鉄を大量に作りました。また、とても量りきれないほどの青銅を精錬しました。
+ ツロとシドンの人々は、おびただしい数の杉の丸太を、いかだに組んで運んで来ました。
+ 「ソロモンはまだ若くて未熟だ。主の神殿は、世界中に知れ渡るほどのすぐれた建築にしなければならない。いざというときのために、今から準備をしておく。」ダビデはこう考えて、自分が生きている間に多くの建築材料を集めました。
+ そのあとでその子ソロモンに、イスラエルの神のために神殿を建てるよう命じたのです。
+ 「私はかねがね神殿を建てたいと思っていたが、そうしてはならないと主が仰せられたのだ。『あなたは大きな戦いで多くの人を殺し、わたしの前に大地を血で染めてきた。だから、わたしの神殿を建てることはできない。
+ だがあなたに一人の子を授ける。その子の代には周囲の国と平和を保つようにするので、彼はソロモン(「平和」を意味する)と呼ばれる。わたしは彼の治世の間、イスラエルに平和と平穏をもたらそう。
+ 彼こそが神殿を建てるのだ。彼はわたしの子となり、わたしは彼の父となる。わたしは彼の子孫にいつまでもイスラエルを治めさせる』と。
+ どうか今、主があなたとともにおられ、主があなたについて語られたとおり、あなたが神殿をりっぱに建て上げることができるように。
+ 主があなたに正しい判断力を与えて、イスラエルの王となったとき、主の教えをすべて守れるようにしてくださるように。
+ 主がモーセを通してイスラエルにお与えになった教えを、あなたが注意深く守るなら、あなたは栄える。何ものも恐れず、強く、雄々しく、熱心でありなさい。
+ 私は苦労して、金十万タラント、銀百万タラント、それに量りきれないほど多くの鉄や青銅を集めた。壁用の木材や石材も集めた。これだけあれば、工事の第一段階は間に合うだろう。
+ あなたには、数えきれないほど大ぜいの石工や大工、さまざまな種類の熟練工がついている。
+ 彼らはみな金や銀の細工人、鉄や青銅を扱う専門家ばかりだ。さあ、仕事にかかるがよい。主が共におられるように。」
+ そして王は、イスラエルの全指導者に、ソロモンを助けて神殿建設に当たるように命じました。
+ 「あなたがたには主がついておられ、周囲の国々との間に平和が与えられてきたではないか。私が神の民のために、御名によってこれらの国々を服させたからだ。
+ さあ、全身全霊をかけてあなたがたの神、主に従いなさい。そして、主の建てられる神殿に、契約の箱と礼拝に用いる聖なる器具を運び入れなさい。」
+
+
+ すっかり年老いたダビデはソロモンに王位を譲り、
+ その即位式にイスラエルのすべての政治的、宗教的指導者を召集しました。
+ レビ族で三十歳以上の男の人数を数えたところ、その合計は三万八千でした。
+ ダビデはこのように指示しました。「そのうち、二万四千人は神殿の仕事を監督しなさい。六千人は管理者と裁判官、四千人は門衛となり、あとの四千人は私の作った楽器で主を賛美しなさい。」
+ ダビデは彼らを、レビの三人の息子の名にちなんで、ゲルションの組、ケハテの組、メラリの組に分けました。
+ ゲルションの組は、さらに二人の子の名にちなんで、ラダンの班とシムイの班に分けられました。
+ その班がまた、ラダンとシムイの子たちの名にちなんで、六つのグループに分けられました。ラダンの子は、指導者エヒエル、ゼタム、ヨエル。シムイの子はシェロミテ、ハジエル、ハラン。
+ シムイの各氏族には、四人の子の名がつけられました。長はヤハテで、次がジザ。エウシュとベリアは子どもが少なかったので、合わせて一つの氏族を構成しました。
+ ケハテの組は、その子の名にちなんで、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエルの四つの班に分けられました。
+ アムラムはアロンとモーセの父です。アロンとその子たちは、人々のささげ物を主に奉納する奉仕に取り分けられました。アロンはいつも主に仕え、御名によって人々を祝福したからです。
+ 神の人モーセについて言えば、その子ゲルショムとエリエゼルはレビ族に入れられました。
+ ゲルショムの子たちの長はシェブエルです。
+ エリエゼルのひとり息子のレハブヤは子どもが大ぜいいたので、氏族の長となりました。
+ イツハルの子たちの長はシェロミテ。
+ ヘブロンの子たちの長はエリヤ。第二はアマルヤ、第三はヤハジエル、第四はエカムアム。
+ ウジエルの子らの長はミカで、第二はイシヤ。
+ メラリの子はマフリとムシ。マフリの子はエルアザルとキシュ。
+ エルアザルには息子がなく、娘たちが、いとこに当たるキシュの息子たちと結婚しました。
+ ムシの子はマフリ、エデル、エレモテ。
+ 人口調査の時、二十歳以上のレビ人はみな、以上の氏族やその一族に組み入れられ、神殿の奉仕を割り当てられました。
+ ダビデがこう言ったからです。「イスラエルの神、主は平和を与えてくださった。これからは、主はエルサレムにお住みになる。
+ レビ人はもう、幕屋や礼拝の器具をいちいち運ばなくてもよい。」
+ このレビ族の人口調査は、ダビデが死ぬ前に行った最後のものでした。
+ レビ人の仕事は、神殿でいけにえをささげるアロンの子孫である祭司を補佐することでした。また、神殿の管理に当たり、きよめの儀式を行う手伝いもしました。
+ 供えのパン、穀物のささげ物用の小麦粉、それにオリーブ油で揚げたり、オリーブ油を混ぜ合わせたりした、パン種(イースト菌)を入れない薄焼きのパンなどを用意しました。また、すべての物の重さや大きさをはかり、
+ 毎日、朝と夕方には、主の前に立って感謝をささげ、賛美しました。
+ さらに、焼き尽くすいけにえ、安息日のいけにえ、新月の祝いや各種の例祭用のいけにえも用意しました。そのときに応じて必要な数のレビ人がこれに当たりました。
+ 彼らは幕屋や神殿の管理を行い、求められることは何でも行って、祭司たちを助けました。
+
+
+ アロンの子孫の祭司は、アロンの二人の息子エルアザルとイタマルの名にちなんで、二つの組に分けられました。ナダブとアビフもアロンの息子でしたが、二人とも父に先立って死に、しかも、子どもがいませんでした。それで、エルアザルとイタマルだけが祭司の務めを果たしたのです。
+ ダビデは、エルアザルの氏族を代表するツァドクと、イタマルの氏族を代表するアヒメレクとに相談して、交替で奉仕できるよう、祭司を多くのグループに分けました。
+ エルアザルの子孫は、指導者となる人材に恵まれていたので、十六組に分けられ、イタマルの子孫は八組に分けられました。
+ あらゆる務めは特定の組に片寄らないよう、くじで各組に割り当てられました。どの組にも多くのすぐれた人材がいて、神殿の重要な務めにつけたからです。
+ レビ人でネタヌエルの子シェマヤが書記となり、王をはじめ祭司ツァドク、エブヤタルの子アヒメレク、ならびに祭司とレビ人の長たちの前で、それぞれの名と役割を書き留めました。エルアザルの組からの二つのグループと、イタマルの組からの一つのグループが、交互に務めにつくようになっていました。
+ くじで、次の各グループの順序に従って、仕事が割り当てられました。第一はエホヤリブのグループ。第二はエダヤのグループ。第三はハリムのグループ。第四はセオリムのグループ。第五はマルキヤのグループ。第六はミヤミンのグループ。第七はコツのグループ。第八はアビヤのグループ。第九はヨシュアのグループ。第十はシェカヌヤのグループ。第十一はエルヤシブのグループ。第十二はヤキムのグループ。第十三はフパのグループ。第十四はエシェブアブのグループ。第十五はビルガのグループ。第十六はイメルのグループ。第十七はヘジルのグループ。第十八はピツェツのグループ。第十九はペタフヤのグループ。第二十はエヘズケルのグループ。第二十一はヤキンのグループ。第二十二はガムルのグループ。第二十三はデラヤのグループ。第二十四はマアズヤのグループ。
+ 各グループは、先祖アロンによって主から最初に指示されたとおり、神殿での務めにつきました。
+ そのほかのレビの子孫は次のとおり。アムラムおよび彼の子孫シュバエル、シュバエルの子孫エフデヤ、
+ 長子イシヤを長とするレハブヤのグループ、
+ シェロミテと彼の子孫ヤハテからなるイツハルのグループ。
+ ヘブロンのグループは次のとおり。ヘブロンの長男エリヤ。次男アマルヤ。三男ヤハジエル。四男エカムアム。
+ ウジエルのグループの長は、その子ミカ、孫シャミル、ミカの兄弟イシヤ、イシヤの子ゼカリヤ。
+ メラリのグループの長は、その子マフリとムシ。その子孫ヤアジヤのグループは彼の子ベノを長とし、その兄弟ショハム、ザクル、イブリ。
+ マフリの子孫はエルアザルとキシュで、エルアザルには息子がなく、キシュには息子があり、その子孫、エラフメエル。
+ ムシの子孫はマフリ、エデル、エリモテ。以上が、それぞれの氏族に属するレビの子孫です。
+ アロンの子孫と同じように、彼らは年齢や身分に関係なく、くじで決まった順番で奉仕が割り当てられました。その順番は、ダビデ、ツァドク、アヒメレク、そのほかの祭司やレビ人の長たちの前で決められました。
+
+
+ ダビデと神殿の責任者たちは、琴と竪琴とシンバルの伴奏で預言する者を、アサフ、ヘマン、エドトンの各グループから選びました。その名と役割は次のとおり。
+ 王の側近の預言者アサフの指揮下に置かれたのは、彼の子ザクル、ヨセフ、ネタヌヤ、アサルエラ。
+ 琴の伴奏で主を賛美する責任者エドトンの指揮下に置かれたのは、彼の六人の子ゲダルヤ、ツェリ、エシャヤ、シムイ、ハシャブヤ、マティテヤ。
+ 王の側近の祭司ヘマンの指揮下に置かれたのは、彼の子ブキヤ、マタヌヤ、ウジエル、シェブエル、エリモテ、ハナヌヤ、ハナニ、エリヤタ、ギダルティ、ロマムティ‧エゼル、ヨシュベカシャ、マロティ、ホティル、マハジオテ。神はヘマンに、この十四人の息子のほかに三人の娘を与えました。
+ 彼らの務めは、シンバルや竪琴や琴の伴奏で歌って主に仕えることでした。彼らの神殿での奉仕は、王と彼らの父の指導のもとでなされました。彼らとその家族はみな、主にささげる賛美の訓練を受け、全部で二百八十八人になる彼らの一人一人が音楽の達人でした。
+ これらの合唱隊員は、年齢や評判に関係なく、くじで決めてそれぞれ務めにつきました。
+ 第一はアサフ氏族のヨセフ。第二はゲダルヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第三はザクルとその子ら、兄弟合わせて十二人。第四はイツェリとその子ら、兄弟合わせて十二人。第五はネタヌヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第六はブキヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第七はエサルエラとその子ら、兄弟合わせて十二人。第八はエシャヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第九はマタヌヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十はシムイとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十一はアザルエルとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十二はハシャブヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十三はシュバエルとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十四はマティテヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十五はエレモテとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十六はハナヌヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十七はヨシュベカシャとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十八はハナニとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十九はマロティとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十はエリヤタとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十一はホティルとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十二はギダルティとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十三はマハジオテとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十四はロマムティ‧エゼルとその子ら、兄弟合わせて十二人。
+
+
+ 神殿警備に当たる門衛は、コラ氏族のアサフ組から選ばれました。コレの子メシェレムヤが隊長になり、
+ その子たちが彼に仕えました。長男ゼカリヤ、次男エディアエル、三男ゼバデヤ、四男ヤテニエル、五男エラム、六男ヨハナン、七男エルエホエナイ。
+ オベデ‧エドムの次の子たちも、門衛に任じられました。長男シェマヤ、次男エホザバデ、三男ヨアフ、四男サカル、五男ネタヌエル、六男アミエル、七男イッサカル、八男ペウルタイ。神はオベデ‧エドムに、このようにすぐれた息子たちを与え、大いに祝福しました。
+ シェマヤの子オテニ、レファエル、オベデ、エルザバデはみな傑出した人々で、一族の中で有力な地位を占めました。彼らの兄弟エリフとセマクヤも有能な人物でした。
+ オベデ‧エドムの子ならびに孫は総勢六十二人に上り、みな傑出した人々で、それぞれの務めにまさに適任の人たちでした。
+ メシェレムヤの子、兄弟合わせて十八人もすぐれた指導者でした。
+ メラリのグループの一人ホサは、長男ではないシムリを長にしました。
+ ホサのほかの子たちは次のとおり。第二がヒルキヤ、第三がテバルヤ、第四がゼカリヤ。ホサの子と兄弟は、合わせて十三人。
+ 神殿警備に当たる各組はそれぞれの指導者の名で呼ばれましたが、ほかのレビ人と同じように神殿での務めにもつきました。
+ それぞれの門の割り当ては、氏族の評判には関係なく、くじで決められました。
+ 東の門を守るのはシェレムヤのグループ、北の門は、彼の子で知恵者と言われたゼカリヤ、南の門はオベデ‧エドムのグループにくじが当たりました。オベデ‧エドムの一族には、倉を守る任も与えられました。
+ 西の門と上り坂の道にあるシャレケテ門を守る務めは、シュピムとホサに当たりました。
+ 毎日、東の門に六人、北の門と南の門に四人ずつ、倉に二人の割で、警備隊員が配置されました。
+ 西の門には六人、つまり上り坂の道に四人、その近くの場所に二人が警備につきました。
+ これに当たる者は、コラとメラリの二氏族から選ばれました。
+ アヒヤを指導者とするレビ人は、神殿の宝物倉に納められたささげ物の保管に当たりました。ゲルション氏族から出たラダンの一族に、エヒエルの二人の子ゼタムとヨエルがいました。
+ ゲルショムの子で、モーセの孫に当たるシェブエルは宝物倉を管理する責任者でした。彼はまた、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエルの名で呼ばれる各組の指導者でもありました。
+ エリエゼルの子孫を順にたどると、レハブヤ、エシャヤ、ヨラム、ジクリ、シェロミテとなります。
+ シェロミテとその兄弟たちは、ダビデや将軍など、民の指導者のささげ物を扱う役につきました。
+ 彼らは、神殿の維持のために戦利品を奉納していたのです。
+ シェロミテとその兄弟たちには、預言者サムエル、キシュの子サウル、ネルの子アブネル、ツェルヤの子ヨアブ、そのほか要人からのささげ物を保管する責任がありました。
+ イツハルの一族のケナヌヤとその子たちは、行政と裁判を担当しました。
+ ヘブロンの一族から出たハシャブヤとその同族千七百人はみな秀でた人々で、ヨルダン川西方のイスラエル領の宗教行事と行政の責任を受け持ちました。
+ エリヤを長とするヘブロン氏族の中で秀でた二千七百人は、ルベンとガドの二部族、そしてマナセの半部族の宗教行事および行政の指導に当たりました。彼らが家柄と能力を買われて責任ある務めに任じられたのは、ギルアデのヤゼルで、ダビデ王の治世第四十年のことでした。
+
+
+ イスラエル軍は、二万四千人からなる十二分団に分けられ、毎年、一か月交替で軍務につきました。各分団には、将校と軍政官が配属されていました。
+ 第一分団長、ザブディエルの子でペレツの子孫に当たるヤショブアム。第一の月に軍務につく二万四千の将兵を指揮。
+ 第二分団長、アホアハの子孫のドダイ。第二の月に軍務につく者を指揮。副官はミクロテ。
+ 第三分団長、ベナヤ。第三の月に軍務につく者を指揮。彼は大祭司エホヤダの子で、ダビデの軍隊で最強と言われた三十人勇士の筆頭。息子アミザバデが次の分団長となる。
+ 第四分団長、ヨアブの兄弟のアサエル。第四の月に軍務につく者を指揮。のちに息子ゼバデヤが後を継ぐ。
+ 第五分団長、イズラフ出身のシャムフテ。第五の月に軍務につく者を指揮。
+ 第六分団長、テコア出身のイケシュの子イラ。第六の月に軍務につく者を指揮。
+ 第七分団長、エフライムのペロニ出身のヘレツ。第七の月に軍務につく者を指揮。
+ 第八分団長、ゼラフ出身のフシャ族のシベカイ。第八の月に軍務につく者を指揮。
+ 第九分団長、ベニヤミンのアナトテ出身のアビエゼル。第九の月に軍務につく者を指揮。
+ 第十分団長、ゼラフのネトファ出身のマフライ。第十の月に軍務につく者を指揮。
+ 第十一分団長、エフライムのピルアトン出身のベナヤ。第十一の月に軍務につく者を指揮。
+ 第十二分団長、オテニエルに属するネトファ出身のヘルダイ。第十二の月に軍務につく者を指揮。
+ イスラエルの各部族の長は次のとおり。ルベン族の長、ジクリの子エリエゼル。シメオン族の長、マアカの子シェファテヤ。レビ族の長、ケムエルの子ハシャブヤ。アロンの子孫の長、ツァドク。ユダ族の長、ダビデの兄弟エリフ。イッサカル族の長、ミカエルの子オムリ。ゼブルン族の長、オバデヤの子イシェマヤ。ナフタリ族の長、アズリエルの子エリモテ。エフライム族の長、アザズヤの子ホセア。マナセの半部族の長、ペダヤの子ヨエル。ギルアデ地域のマナセの半部族の長、ゼカリヤの子イド。ベニヤミン族の長、アブネルの子ヤアシエル。ダン族の長、エロハムの子アザルエル。
+ ダビデは人口調査の時、二十歳以下は数に入れませんでした。民の人口を爆発的に増やすという主の約束があったからです。
+ ヨアブにさせた人口調査は、途中で主の怒りが下ったために完了しませんでした。そのため、調査の最終結果はダビデ王の年代記に載っていません。
+ アディエルの子アズマベテは、宮殿の宝物倉を管理する最高責任者でした。ウジヤの子ヨナタンは、イスラエルの町や村、要塞などにある宝物倉の責任者でした。
+ ケルブの子エズリは、王室所有地で働く人々の監督でした。
+ ラマ出身のシムイは、王室ぶどう園の監督でした。シェファム出身のザブディは、ぶどう酒の製造と貯蔵の責任をもちました。
+ ゲデル出身のバアル‧ハナンは、ペリシテ人の領土と隣接する低地にある、王室のオリーブ畑と桑の木を管理する責任を受け持ちました。ヨアシュは、オリーブ油の製造と貯蔵を受け持ちました。
+ シャロン出身のシルタイは、シャロン平原で牛の群れの飼育に当たりました。アデライの子のシャファテは、谷にいる牛の群れの飼育に当たりました。
+ らくだはイシュマエルの地出身のオビルが、雌ろばはメロノテ出身のエフデヤが世話をしました。
+ 羊の群れを世話したのは、ハガル人ヤジズでした。これらの人々はみな、ダビデ王の監督下にありました。
+ 王子の教育係は、ダビデ王のおじに当たる見識ある相談役ヨナタンで、王子の後見人はハクモニの子エヒエルでした。
+ アヒトフェルは王の相談役、アルキ人フシャイは王の個人的な相談相手でした。
+ ベナヤの子エホヤダとエブヤタルが、アヒトフェルを補佐しました。ヨアブはイスラエル軍の将軍(最高司令官)でした。
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+ ダビデ王は、政治的指導者、十二人の分団長、将軍、王の財産や家畜の管理人、その他の有力者たちをエルサレムに召集しました。
+ 王は立ち上がって、彼らを前に演説しました。「愛する同胞の人たち。主の契約の箱を安置する神殿を建てることは、私の長年の夢だった。神のお住まいを建てようと、前もって必要な資材を集めておいたほどだ。
+ だが、神はこう仰せられた。『あなたが神殿を建ててはならない。あなたは勇敢な戦士として、あまりにも多くの血を流してきたからだ。』
+ けれども主は、父の家系から私を選び、永久にイスラエルを治める王朝を起こしてくださった。ユダ族を選び、その中から父の家族をお選びになったのだ。そして、兄弟の中でも、特に私に目をかけ、全イスラエルを治める王としてくださった。
+ また、大ぜい授かった息子の中から、特にソロモンを選び、私の世継ぎとしてくださった。
+ 主は、『あなたの子ソロモンが、わたしの神殿を建てる。わたしは彼をわたしの子として選び、彼の父となるからだ。
+ もし彼が、今までどおりわたしの命令と指示に従うなら、彼の王国をいつまでも栄えさせる。』そう仰せになったのだ。」
+ それから、王はソロモンに言いました。「今、イスラエルの指導者と神の民の前で、神が見ておられるこのところで、あなたに、主の命令をことごとく守れと命じる。そうすれば、あなたはこの良い地を支配し、しかも、永久にあなたの子孫のものとすることができる。
+ わが子ソロモンよ、あなたの父の神を知り、きよい心と喜びをもって神を礼拝し、仕えなさい。神はすべての人の心をごらんになり、どんな思いも知り尽くしておられるからだ。あなたが神を求めさえすれば、お会いすることができる。だが、もし神から離れたりしたら、神のほうが、あなたを永久に退けてしまわれる。
+ だから、くれぐれも注意しなさい。聖なる神殿を建てるために選ばれたのだから、勇気をもって、神の命じられることを行いなさい。」
+ こう言うと王はソロモンに、神殿とその付帯施設である宝物倉、屋上の間、内部屋、いけにえの血を注ぐ場所のある聖所の見取り図を授けました。
+ また、外庭、脇部屋、神殿付属倉庫、要人からのささげ物を納める宝物倉の見取り図も渡しました。それらの見取り図は、王が御霊の助けを借りて描いたものです。
+ 王はまた、祭司やレビ人の種々のグループの職務、神殿での礼拝やいけにえの儀式に用いる器具の明細もソロモンに渡しました。
+ ダビデは、これらの器具を作るのに必要な金銀の重さ、
+ 燭台とともしび皿を作るのに必要な金の重さを量りました。また、各種の銀の燭台とともしび皿を作るのに必要な銀の重さも量りました。
+ さらに、供えのパンを置く机や、そのほかの金の机を作る金の重さ、銀の机を作る銀の重さも量りました。
+ いけにえの肉を刺す金の肉刺しを作るのに必要な金、また水盤や杯や鉢を作るのに必要な金銀の重さを量りました。
+ 最後に、香の祭壇を作るための純金、契約の箱の上に翼を伸べたケルビムを作るための金の重さを量りました。
+ ダビデはソロモンに言いました。「この見取り図はみな、神様から直接頂いたものだ。
+ だから、勇気を出してこの仕事をやり遂げよ。仕事の大きさに恐れをなしてはならない。私の神様がついておられるからだ。神様は決しておまえをお見捨てにならない。それどころか、すべてがみごとに完成するよう、しっかり見届けてくださる。
+ 出番を待っている祭司とレビ人のグループが、神殿で仕えるようになる。あらゆる方面の熟練工が進んで仕事に当たり、軍人と国民は、こぞっておまえの命令に従う。」
+
+
+ それから、ダビデ王は全会衆に語りました。「神が次のイスラエルの王にお選びになったわが子ソロモンは、まだ若く、経験も乏しいのに、非常に重要な仕事に取りかかろうとしている。ソロモンが建てる神殿は、ただの建物ではない。主のお住まいだ。
+ 私は、あらゆる手を打って建築資材を集めた。金、銀、青銅、鉄、木材は十分あり、そのほか、しまめのう、宝石、大理石も大量に用意した。
+ それから、神殿が建つのを私がどれほど喜んでいるかというしるしに、私財を全部ささげる。それを、私がすでに集めた建築資材に加えてほしい。
+ 私がささげる分は、三千タラント(十‧二トン)のオフィルの金と七千タラント(二十三‧八トン)の純粋な銀で、神殿の壁にかぶせるためのものだ。これらの金銀は、そのほかにも、金製品や銀製品、技巧をこらした装飾用にも使われるだろう。さあ、私にならって、わが身と私財をすべて主にささげる者はいないか。」
+ すると、一族の長、各部族の長、軍の司令官、行政官は、五千タラントの金、一万タラントの銀、青銅一万八千タラント、鉄十万タラントをささげると約束しました。
+ また、大量の宝石がささげられましたが、宝石類は、ゲルションの子孫エヒエルの管理のもとで、神殿の宝物倉に保管されました。
+ だれもが、こうした奉仕の機会を与えられたことを心から喜び、幸福感に満ちていました。ダビデ王も喜びのあまり、じっとしていることができませんでした。
+ 王は、そこに集まった全員の前で、はばかることなく主をたたえました。「先祖イスラエル(ヤコブ)の神、主よ。永遠に御名がほめたたえられるように!
+ 偉大な力と栄光と勝利と威厳とはあなたのものです。天と地にあるすべてはあなたのものです。この国もあなたのものです。私たちは、万物を支配しておられるあなたをあがめます。
+ 人に富と誉れをお与えになるのはあなただけです。あなたは全人類の支配者、その御手には驚くべき力があります。思いのままに人を強くし、力をお与えになります。
+ 神よ、私たちはあなたに感謝し、栄光に輝く御名をたたえます。
+ しかし、私と私の国民とは、いったい何者だというのでしょう。こんな、わずかばかりのものしかおささげできないのです。私たちが持っているものはすべてあなたが下さったもので、私たちはただ、それをお返ししているにすぎません。
+ 私たちは先祖同様、この地では寄留者です。また、私たちの地上の生涯は影のようなもので、やがて跡形もなく消え去ります。
+ 主よ、私たちが、きよい御名をとどめるために神殿を建てようと集めたものは、すべてあなたから出ているのです。
+ 神よ、あなたは正しい人をお喜びになります。そこで、人がはたして正しいかどうか試されるのです。私は、正しい動機で建築の準備を進めてきました。そして今、あなたの民が喜んで自発的に宝をささげるのを見ました。
+ 先祖アブラハム、イサク、イスラエルの神よ、私たちを、いつもあなたに従うようにしてください。あなたへの愛が片時も変わることのないようにしてください。
+ わが子ソロモンに正しい心を与えて、どんな小さなことでもあなたに従うことを願い、私が用意したすべてのものを用いて、神殿を建て上げることを一心に求めるようにさせてください。」
+ こう祈り終えると、王は全会衆に、「主をほめたたえよ!」と言いました。人々は、主と王の前にひざまずいて、主をたたえました。
+ 翌日、彼らは雄牛、雄羊、子羊を千頭ずつ、焼き尽くすいけにえとして主にささげました。また、イスラエル全国民に代わって、注ぎのぶどう酒をはじめ多くのいけにえをささげました。
+ それから、喜びに胸を躍らさせながら主の前に祝宴を張り、大いに食べたり飲んだりしました。そのあと、改めて主の前でダビデの子ソロモンに油を注ぎ、王としました。同時に、ツァドクにも油を注いで祭司としました。
+ こうして、ソロモンは父ダビデの王座につき、大いに栄えたので、イスラエルのすべての民はソロモンに従うようになりました。
+ 各界の指導者、軍の将校、ダビデの子の兄弟全員がソロモン王に忠誠を誓いました。
+ 主は、全国民の人望が彼に集まるようにしたので、父ダビデ以上の財産と名誉を得るようになりました。
+ ダビデは、王として四十年の間イスラエルを治めました。そのうち七年はヘブロンで、あとの三十三年はエルサレムで王座にありました。
+ ダビデは年老い、財産と名誉に囲まれて死に、代わってその子ソロモンが治めるようになりました。
+ ダビデ王の生涯のくわしいことは、『預言者サムエルの言行録』『預言者ナタンの言行録』『預言者ガドの言行録』などに載っています。
+ これらの文書には、ダビデ王の政治や威力だけでなく、王とイスラエル、ならびに近隣諸国の王の身に起こったすべての出来事が記録されています。
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+ 主なる神が、ダビデの子ソロモンを偉大な王としたので、彼は押しも押されもしないイスラエルの支配者となりました。
+ ソロモン王はギブオンの丘に、イスラエルの政界‧宗教界の指導者だけでなく、軍の将校や裁判官たちをも召集しました。その丘の上には、主のしもべモーセが荒野を旅している時に造った幕屋(神の天幕)があったのです。
+ エルサレムには、ダビデ王が契約の箱をキルヤテ‧エアリムから移した時に建てた新しい幕屋がありました。
+ フルの子ウリの子ベツァルエルが造った青銅の祭壇が、古い幕屋の前に置かれていました。王をはじめ一同は、その祭壇の前に集まりました。王は祭壇に、一千頭の焼き尽くすいけにえをささげました。
+ その夜、神が夢の中でソロモンに現れ、「何でも欲しいものを求めてよい。どんな願いでもかなえよう」と語りました。
+ 彼は答えました。「神様、あなたは父ダビデに多くの恵みを施されました。そして今、あなたは私に王国を授けてくださいました。
+ これ以上、求めるものはありません。あなたが父ダビデへの約束を果たし、この私を、海辺の砂のように多い民の王としてくださったのですから。
+ どうか、この民を治めるのに必要な知恵と知識を私にお授けください。あなたのものである、この偉大な民を自分の力で治めることのできる者がどこにおりましょう。」
+ 神はソロモンに言いました。「何よりも民の力になりたいと願っていることがよくわかった。あなたは自分のために財産や名誉、敵への復讐、さらには長寿さえ求めず、わたしの民を正しく導くための知恵と知識を求めた。
+ 願いどおり、確かにその知恵と知識を与えよう。また、あなたの前にいたどの王も手にしたことのない財産と名誉をも与えよう。全世界で、あなたほど偉大な王は二度と現れないだろう。」
+ これを聞いたソロモンは幕屋を離れて丘を下り、エルサレムに帰ってイスラエルを治めました。
+ 王は戦車一千四百台の大部隊を編成し、戦車を配備した町々を守る騎兵一万二千人を集めました。もちろん、騎兵の一部はエルサレムの王の身辺に配置されました。
+ ソロモン王の時代には、エルサレムで金や銀が路上の石のようにふんだんに使われ、高価な杉材がどこにでもある桑の木のように大量に用いられました。
+ 王は馬の仲買人をエジプトへ送り、大量の馬を卸値で購入しました。
+ 当時、エジプトでは戦車一台で銀六百シェケル(六‧九キログラム)、馬一頭で銀百五十シェケル(一‧七キログラム)でした。輸入した戦車や馬の多くは、ヘテ人やシリヤの王に売られました。
+
+
+ ソロモンは、今こそ神殿と王宮を建てる時だと考えました。
+ この工事には、労働者七万人、山で石を切り出す者八万人、監督三千六百人という大人数が必要でした。
+ 王はツロの王フラムに使者を立て、ダビデが宮殿を建てた時のように、杉材を船積みで送ってくれるように頼みました。
+ 王はこうフラム王に伝えました。「私は主のために神殿を建てるつもりです。そこで、香り高い香をたき、特別な供えのパンを並べ、毎日朝と夕の二回、また、安息日や新月の祝い、そのほかの例祭のたびに、焼き尽くすいけにえをささげようとしています。神がイスラエルに、このことを望んでおられるからです。
+ 私たちの神は、ほかのすべての神々にまさる偉大な神ですから、神殿は壮大なものにしなければなりません。
+ しかし、いったいだれが、この神にふさわしい家を建てることができるでしょう。いと高き天でさえ、主をお受け入れするのに十分でないなら、主のために神殿を建てることを許されている私は、いったい何者でしょう。そこは、主を礼拝する場所となるのです。
+ そこで、私のもとに金、銀、青銅、鉄などの細工に熟練した技術者を送っていただけないでしょうか。また、紫、紅、青の布を織る織物師や、父ダビデが選んだユダとエルサレムの職人といっしょに働く、熟練した彫り物師もお願いしたいのです。
+ それから、レバノンの森に生えている杉、もみ、びゃくだんの木材を送ってください。貴国の人々は、木を切ることでは天下一品です。もちろん、こちらからも応援を出しますから、手伝わせてください。
+ 計画中の神殿は途方もなく大きく、壮麗なものですから、大量の木材が必要です。
+ 働いてくれる人々のために、私は小麦粉二万コル(四千六百キロリットル)、大麦二万コル、ぶどう酒二万バテ(四百六十キロリットル)、オリーブ油二万バテを支払います。」
+ フラム王はソロモンに答えました。「主はご自分の民を愛しておられるからこそ、あなたを王となさったのです。
+ 天と地を造り、ダビデ王に知恵と悟りに満ちた賢い子を授けて、神殿と宮殿を建てさせてくださるイスラエルの神がほめたたえられますように。
+ さて、ご要望の件ですが、この者の右に出る者はないという熟練工の長、フラム‧アビを差し向けましょう。最高に頭のきれる人物で、
+ 母親はイスラエルのダン出身のユダヤ人で、父親はツロの人です。金、銀、青銅、鉄、石の細工に腕をふるうことはもちろん、木工、織物の技術にも秀でています。さらに、紫と青の亜麻布や真紅の布を染める技術者であり、加えて、熟練した彫り物師、すぐれた創案者でもあります。彼は貴国の職人や、私がお仕えした父君ダビデ王が任命した人々といっしょに働いてくれるでしょう。
+ どうか、お約束の小麦、大麦、オリーブ油、ぶどう酒を送ってください。
+ こちらでは、お入り用なだけレバノンの山から木材を切り出し、いかだに組んで、海路でヨッパまで運びましょう。そこからは、そちらが陸路でエルサレムまで運搬してください。」
+ ソロモンは父ダビデと同じように、イスラエルにいる外国人全員の人口調査を行い、十五万三千六百人いることがわかりました。
+ そのうち七万人を一般労働者、八万人を山で石を切り出す者、三千六百人を現場監督にしました。
+
+
+ ついに神殿の建設が始まりました。敷地はエルサレムのモリヤ山上で、ここは、かつて主がソロモンの父ダビデに姿を現したエブス人オルナンの打ち場があった所です。ダビデはかねて、そこを神殿の建設予定地にしていました。
+ 工事が始まったのは、ソロモン王の治世第四年、第二の月の二日でした。
+ まず神殿の土台は、長さ六十キュビト(約二‧六メートル)、幅二十キュビト(八‧八メートル)。
+ 屋根つきの玄関は、神殿の幅と同じ二十キュビトの長さで、内側の壁と天井には純金を張りつめました。屋根の高さは百二十キュビト(約五‧三メートル)。
+ 神殿の主要部は糸杉で覆い、純金を張りつめ、なつめやしの木と鎖を彫刻しました。
+ 壁の内側はより美しさを増すために、宝石で飾りました。ここで用いた金はパルワイム産の最上のものです。
+ 神殿内は、壁も、梁も、扉も、敷居も金を張りつめ、壁にはケルビム(天使を象徴する像)を刻みました。
+ 神殿の奥に、二十キュビト四方の至聖所(神の箱を安置する部屋)がありました。ここにも、六百タラント(二十‧四トン)の金を張りつめました。
+ 五十シェケル(五百七十五グラム)の金の釘を使い、階上の部屋も金を張りました。
+ 一番奥の至聖所に、王はケルビムを二つすえ、それにも金をかぶせました。
+ この像は床の上に立ち、顔を部屋の外に向け、一方の壁からもう一方の壁まで翼をいっぱいに広げていました。
+ 王はまた、至聖所の入口に、ケルビムの縫い取り模様のある青と紅の亜麻布製の幕をかけました。
+ 神殿の前には、二本の柱を立てました。それぞれ高さは三十五キュビト(十五‧四メートル)で、さらにその上に、高さ五キュビト(二‧二メートル)の柱頭がありました。
+ その頂に百個のざくろがついた鎖を取りつけました。
+ それから、この柱を神殿正面の右と左に立て、右側の柱をヤキン、左側の柱をボアズと名づけました。
+
+
+ 王はさらに、長さと幅が二十キュビト、高さ十キュビトの青銅の祭壇を作りました。
+ それから、直径が十キュビトもある大洗盤も作りました。その縁は床から五キュビトの高さにあり、縁の周囲は三十キュビトでした。
+ その洗盤は二段に並んだ金属製の牛の背に載っていました。
+ 牛は全部で十二頭で、互いに尻尾を合わせるようにして立っていました。三頭ずつ、それぞれ顔を北、西、南、東に向けていました。
+ 洗盤の厚さは一手幅(七‧四センチ)あり、容量は三千バテ(六十九キロリットル)。縁は杯のようにゆりの花をかたどっていました。
+ 次に、いけにえを洗う洗盤を十個作り、五個を右側に、五個を左側に置きました。大洗盤は、祭司たちが体をきよめる時に用いました。
+ さらに規定に従って、金の燭台十個を念入りに鋳造し、五個を神殿内の右側に、五個を左側に置きました。
+ 机を十個作り、それも五個を神殿内の右側に、五個は左側に置きました。また、金の鉢を百個鋳造しました。
+ さらに、祭司たち用の庭と大庭を作り、それぞれの入口の扉に青銅を張りました。
+ 大洗盤は神殿の外の南東の隅に置きました。
+ フラム‧アビは、いけにえをささげる時に用いる鉢、十能、灰つぼを作りました。こうして彼は、ソロモン王から受けた仕事を完成させたのです。
+ それらは、二本の柱、二本の柱の上にある二つの柱頭、柱頭に取りつけられた二組の鎖、二組の柱頭の鎖から垂れ下がる四百個のざくろ、洗盤の台と、洗盤の本体、大洗盤と、それを載せる十二頭の牛、鉢、十能、肉刺し。熟練した職工のフラム‧アビは、ソロモン王のために、これらすべてのものをみがき上げた青銅で作りました。
+ スコテとツェレダとの間にあるヨルダン渓谷の粘土層の地で、これらのものを鋳造したのです。用いられた青銅はあまりに大量で、重さを量りきれないほどでした。
+ しかし、神殿内のものは金だけを使いました。祭壇、供えのパンを載せる机などの器具類は全部金で作るよう、王が指示したからです。
+ 燭台、ともしび皿、花模様の飾り、火ばし、芯切りばさみ、鉢、さじ、火皿なども、すべて純金で作りました。神殿の入口と扉、至聖所に通じる扉も、すべて金で作りました。
+
+
+ こうして、ついに神殿が完成しました。そこでソロモン王は、父ダビデが主にささげたものを神殿の宝物倉に納めました。
+ 王はイスラエルの部族と氏族の長を全員エルサレムに召集し、契約の箱を、シオンと呼ばれるダビデの町の幕屋から新しい神殿に移しました。
+ 契約の箱の移動は、恒例の十月の仮庵の祭り(収穫を祝う祭り。ユダヤ人の三大祭の一つ)の日に行われました。
+ イスラエルの指導者たちが見守る中で、レビ人が箱をかつぎ上げ、そのほかのきよい器具とともに運び出したのです。
+ 王をはじめ人々は、箱の前で羊や牛をいけにえにささげましたが、その数はあまりに多く、数えることができませんでした。
+ それから祭司たちは、箱を神殿の奥の至聖所に運び入れ、ケルビムの翼の下に置きました。翼は、箱とかつぎ棒を覆うような形で広がっていました。
+ そのかつぎ棒は長かったので、先端が前の部屋からは見えましたが、外からは見えませんでした。契約の箱は、この書が書かれている今日も、なおそこにあります。
+ 箱の中には、二枚の石板のほかは何もありませんでした。その石板は、主がエジプトを出たイスラエルの民と契約を結ばれた時、モーセがホレブ山(シナイ山)で箱に納めたものです。
+ 祭司たちはきよめの儀式をすませ、ふだんの務めとは関係なく、全員が式に参加しました。レビ人たちは、祭司たちが至聖所から出て来ると、すばらしい声で主を賛美しました。歌い手はアサフ、ヘマン、エドトンはじめ、その子らと兄弟たちで、全員が純白の美しい亜麻布をまとい、祭壇の東側に立っていました。合唱隊には、ラッパを吹く百二十人の祭司のほか、シンバルや琴や竪琴の演奏者が加わりました。
+ 合唱隊と演奏隊は一つとなって、「主はなんとすばらしい方! そのいつくしみはとこしえまで!」と主を賛美し、感謝をささげました。すると、主の栄光がまぶしく光る雲となって神殿を包んだので、祭司たちはその務めを果たすことができなくなりました。
+
+
+ その時、ソロモンは祈りました。「主は、暗闇の中に住むと仰せになりました。そこで私は、あなたのために神殿を建てました。いつまでもここにお住みいただくためです。」
+ それから王は振り向いて、起立した民を祝福しました。
+ 王は言いました。「イスラエルの神、主がほめたたえられるように。神様はまず父ダビデに親しく語りかけ、今、約束を果たしてくださった。神様は父にお告げになった。
+ 『わたしの民をエジプトから導き出して以来、わたしは、わたしを礼拝するための神殿を建てる場所として、イスラエルのどの町も選ばなかった。また、イスラエルの民の王も選ばなかった。けれども今、わたしはエルサレムを選び、ダビデを王として選んだ』と。
+ 父は、神殿を建てることをひたすら願っていた。
+ しかし主は、『その志はたいへんよいが、
+ あなたは神殿を建てる適任者ではない。その仕事には、あなたの子が当たるべきだ』と仰せになった。
+ 今、主はその約束を果たしてくださったのだ。私は父に代わって王となり、主のためにこの神殿を建て、
+ 神の箱をここに置いた。この箱には、主とその民イスラエルとの間に結ばれた契約が納められている。」
+ 王は祭壇の前の、外庭の中央にすえられた五キュビト(二‧二メートル)四方、高さ三キュビト(約一‧三メートル)の青銅製の台の上に立っていました。王は語り終えると、人々が見守る中でひざまずき、両手を天に差し伸べ、こう祈りました。
+ 「ああ、イスラエルの神、主。天と地のどこにも、あなたのような神はおられません。あなたは、あなたに従い、みこころを行おうとするすべての者に約束を守り通してくださいます。
+ 今日、はっきりわかりました。父ダビデへの約束を実現してくださったことが。
+ ああ、イスラエルの神、主よ。あなたは私の父に、『あなたがわたしの道に歩んだように、あなたの子孫がわたしのおきてを守るなら、代々絶えることなくイスラエルの王としよう』とも約束なさいましたが、どうか、そのとおりにしてください。
+ どうか、この約束を完全に果たしてください。
+ それにしても、あなたはこの地上で、ほんとうに人間とともに住まわれるのでしょうか。天も、天の天も、あなたをお入れすることができないのでしたら、まして、私が建てたこの神殿などはなおさらのことです。
+ 神様、どうか、私の祈りに心を留め、これからささげる祈りに耳を傾けてください。
+ あなたが御名を置くと言われたこの神殿に、昼も夜も愛のまなざしを注いでください。私がこの場所に向かってささげる祈りをいつも聞き届けてください。私とあなたの民イスラエルが、この神殿に向かってささげる祈りに耳を傾けてください。どうか、天から私たちの祈りを聞いて、私たちの罪をお赦しください。
+ ある人が罪を犯し、この祭壇の前で無罪を訴えるとき、
+ あなたが天から聞かれ、もし彼がうそをついているなら罰してください。そうでなければ、無罪をはっきり認めてやってください。
+ あなたに罪を犯したため、イスラエルが敵に負けるようなとき、あなたのもとに立ち返り、この神殿で祈るなら、
+ 天からその祈りを聞き、あなたの民の罪を赦し、先祖にお与えになったこの地に彼らを連れ戻してください。
+ 私たちの罪のために天が閉ざされ、雨が降らないとき、私たちがこの神殿に向かって祈り、あなたを呼び求め、懲らしめにこりて罪から立ち返るなら、
+ 天からその祈りを聞いてあなたの民の罪を赦し、正しい道を教えてください。そして、相続地としてお与えになったこの地に雨を降らせてください。
+ この地にききん、災害、立ち枯れ、いなごや油虫の害が発生したり、敵が攻め込んで来て町々を包囲したりしたとき、たとえそれがどんな災難であっても、
+ 共同でささげる祈りだけでなく、個人の祈りにも耳を傾けてください。
+ お住まいの天からその祈りを聞き、赦しを与え、一人一人にふさわしく報いてください。あなたは、すべての人の心を知り尽くしておられるからです。
+ そうすれば、民はいつまでもあなたを恐れかしこみ、神様が行けと言われる道を歩み続けることでしょう。
+ また、外国人があなたの偉大な力を耳にし、あなたをあがめるために、はるばる遠方から出かけて来て、この神殿に向かって祈るときにも、
+ お住まいの天からその祈りを聞き、願いをかなえてやってください。そうすれば、地上のすべての民はあなたの名声を耳にし、イスラエルの民と同じように、あなたを恐れかしこむようになるでしょう。また、私が建てたこの神殿が、ほんとうに神様の住まわれる所であると知るようになるでしょう。
+ イスラエルの民があなたのご命令で出陣するとき、あなたがお選びになったこのエルサレムの町、私があなたの御名のために建てたこの神殿に向かって祈るなら、
+ 天から彼らの祈りを聞き、勝利を与えてください。
+ 罪を一度も犯さないような人間はいませんから、彼らがあなたに罪を犯してお怒りを買い、敵に敗れて異国の地に捕虜として引いて行かれることになっても、
+ もし、彼らが行った地であなたに立ち返り、先祖にお与えになったこの地、この町、私が建てたこの神殿に向かって罪の赦しを心から祈り求めるなら、
+ お住まいの天からその祈りを聞き、彼らを助け、罪を犯したあなたの民を赦してやってください。
+ どうか神様、この所でささげられるすべての祈りに目を留め、耳を傾けてください。
+ 神、主よ。どうか今、立ち上がって、休み場にお入りください。この休み場には、あなたの御力を象徴する契約の箱も置かれています。神様、祭司たちに救いの衣をまとわせ、聖徒たちにあなたの恵みをほめたたえさせてください。
+ 神様、私をお忘れにならないでください。あなたが油を注がれた者から、御顔をそむけないでください。どうか、父ダビデへの愛といつくしみを忘れないでください。」
+
+
+ ソロモン王が祈り終えると、天から火が下って、いけにえを焼き尽くしました。主の栄光が神殿に満ちあふれたので、祭司たちは中に入れません。
+ 民はみな、このすばらしい光景を見て、顔を地面にすりつけるようにして主を拝み、感謝をささげました。人々は、「主はなんとすばらしい方!いつも愛と恵みにあふれておられる」と大声で賛美しました。
+ それから、王と民はみな、牛二万二千頭、羊十二万頭のいけにえをささげて、神殿を主に奉献しました。
+ 祭司たちはそれぞれの部署につき、レビ人は、ダビデ王の手作りの楽器を手にして、「主のいつくしみはとこしえまで」と賛美しました。祭司たちがラッパを吹いた時、民はみな起立していました。
+ 青銅の祭壇ではささげきれないほど、たくさんのいけにえがあったので、王はその日のいけにえをささげる場所として、神殿の内庭をきよめました。
+ 続く七日間、イスラエル全土から集まった大群衆とともに仮庵の祭りが祝われました。中には、はるばる北はレボ‧ハマテ、南はエジプト川地域の遠方から来た人々もいました。
+ 最後の礼典が八日目にあったのち、
+ 第七の月の二十三日に、王は民を家に帰しました。彼らは、主がダビデとソロモン、イスラエルの民に下さった恵みを思い、喜びと感謝にあふれて家路につきました。
+ こうしてソロモンは、神殿と王宮とを建て終わりました。すべてが計画どおり実現したのです。
+ ある夜、主は夢でソロモンに現れ、語りました。「わたしはあなたの祈りを聞いた。また、あなたがたがいけにえをささげる場所として、わたしはこの神殿を選んだ。
+ わたしが天を閉ざしたため雨が降らなくなったり、いなごの大群が穀物を食い尽くしたり、伝染病が大流行したりした場合、
+ もし、わたしの民がへりくだって祈り、悪い道から離れてわたしに立ち返るなら、天からその祈りを聞き、彼らの罪を赦し、この地を元どおりにしよう。
+ この場所でのすべての祈りに耳を傾け、目を留めよう。
+ わたしが、この神殿を永遠のわたしの家として選んで聖別したのだから、わたしの心はいつもここにある。
+ あなたが、父ダビデのようにわたしに従うなら、
+ 約束どおり、あなたとあなたの子孫を代々イスラエルの王としよう。
+ しかし、もしわたしに従わず、わたしの教えに背いて偶像を拝むなら、
+ この地からわたしの民を滅ぼしてしまおう。わたしのために確保しておいたこの神殿も滅んで、多くの人の恐れとなり、物笑いの種となるだろう。
+ 神殿が有名だっただけに、そのそばを通る者はみな、驚きのあまりつぶやくだろう。『どういうわけで、主はこの地とこの神殿とに、こんなむごいことをなさったのか』と。
+ すると、こうした答えが返ってくるだろう。『この地の民は、先祖をエジプトから導き出してくださった神を捨てて、ほかの神々を拝んだので、このようなことになったのだ』と。」
+
+
+ ソロモンが王となってから二十年かかって、神殿と王宮が完成しました。
+ そこでソロモンは、ツロの王フラムから譲り受けた町々の再建に力を入れ、イスラエル人の一部をそこに住まわせました。
+ そのころ、ソロモンはハマテ‧ツォバの町を攻めて占領し、
+ 荒野にタデモルの町を建て、物資の補給所としてハマテに幾つかの町を建てました。
+ また、上ベテ‧ホロンと下ベテ‧ホロンの町を要塞化しました。この二つの町は共に物資の補給所で、城壁で囲まれ、門にはかんぬきがかけてありました。
+ 同じころ、バアラテその他の、物資の補給所となる町々や、戦車や馬を置く町々を建設しました。こうして王は、エルサレムとレバノンはじめ、すべての領地に建てたいと思っていたものをみな建設したのです。
+ ソロモンは、イスラエル人が国内に残しておいた外国人の子孫であるヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を強制労働者として徴用しました。今日でもそうです。
+ しかし、イスラエル人は奴隷としてではなく、兵士、将校、戦車隊員、騎兵隊員として用いました。
+ また、イスラエル人のうち二百五十人を、行政全般を担当する役人に取り立てました。
+ ソロモンはエジプトの王ファラオの娘であった妻を、エルサレムの一角にあるダビデの町から、彼女のために建てた新しい王宮に移しました。かねがね、「私の妻はダビデの家に住んではならない。そこは主の箱のある聖なる場所だからだ」と言っていたからです。
+ それからソロモンは、神殿の玄関の前に築いた祭壇に、主のために焼き尽くすいけにえをささげました。
+ いけにえの数は、モーセの指示どおり、日によって違いました。安息日、新月の祭り、それに年の三回の例祭である過越の祭り、七週の祭り、仮庵の祭りには、特別のいけにえをささげました。
+ 王は父ダビデが用意した当番表に従って、祭司を務めに就かせました。またレビ人を、毎日の日課に従って賛美の奉仕と祭司を補佐する仕事に就かせ、門衛をそれぞれの門に配置しました。
+ 王は、これらのことについて、また宝物倉の管理について、ダビデ王の指示からどんな点でもそれませんでした。
+ このように、ソロモンは神殿の建設を見事に完成させたのです。
+ それから王は、フラム王が寄贈した船団の進水式に臨むため、エドムにある海港の町エツヨン‧ゲベルとエラテへ行きました。この船団は、ソロモン王の乗組員とともにフラム王の熟練した乗組員を乗せてオフィルに行き、四百五十タラント(十五‧三トン)の金を手にし、ソロモン王のもとに持ち帰ったのです。
+
+
+ そのころ、ソロモン王の知恵のすばらしさを伝え聞いたシェバの女王は、難問をしかけて王を試そうとエルサレムにやって来ました。香油や金、宝石をらくだに山と積んで、大ぜいの家来や召使を従えて来ました。
+ ソロモンは、彼女のすべての質問に明快に答えました。わからないことは一つもなく、何でも説き明かすことができました。
+ 女王はその知恵の深さにたいそう驚き、王宮の美しさにもすっかり圧倒されました。
+ そのうえ、食卓の料理の豪勢なこと、王に仕える家来や従者の多いことは目をみはるばかりでした。彼らのそろいの服装、威儀を正した側近たち、王を護衛する人々を見て、息も止まりそうでした。
+ そこで彼女は、思ったとおりをソロモン王に言いました。「私の国であなたについてお聞きしたことは、みなほんとうでした。
+ 実は、ここに来てこの目で拝見するまでは、とても信じられませんでした。あなたは、私が想像していたより、はるかにすばらしい知恵をお持ちです。
+ おそばにいて、あなたのお話を聞けるこの方々はなんと幸せなことでしょう。
+ あなたの神がほめたたえられますように。あなたの神はイスラエルをことのほか愛しておられるので、あなたのようなすばらしい王をお立てになったに違いありません。きっと、イスラエルがいつまでも偉大な、強い民であることを望んでおられるのです。」
+ 女王はソロモンに、百二十タラントの金と、最高の品質を誇る大量の香油、それに数えきれないほどの宝石を贈りました。
+ フラム王とソロモン王の乗組員たちは、オフィルから、金のほかに、びゃくだんの木材と宝石を運んで来ました。
+ 王は、そのびゃくだんで神殿と王宮のひな壇を造り、また、合唱隊の竪琴や琴も作りました。このような見事な楽器は、これまでユダのどこにもありませんでした。
+ ソロモン王はシェバの女王に、もらった贈り物に見合う品物を贈り、さらに、彼女が望む物は何でも与えました。それから、女王とその家来の一行は自分の国へ帰って行きました。
+ ソロモン王は毎年、アラビヤの王たちや、貢ぎ物を納める他の国々から、金にして六百六十六タラントの収入がありました。そのほか、王の貿易商による交易収入がありました。
+ 王は、一個に六百シェケル(六‧九キログラム)の金を使った大盾二百と、一個に三百シェケルの金を使った小盾三百を作り、王宮の「レバノンの森の間」に置きました。
+ また、大きな象牙の王座を作り、これに純金をかぶせました。
+ 金の足台のついたその王座には、六つの金の段がありました。座席の両側には金のひじかけがついていて、そのわきには二頭の金のライオン像が立っていました。
+ 六つの段の両わきにも、それぞれ一頭ずつ金のライオン像が立っていました。これと比べられるような王座は、世界のどこにもありませんでした。
+ 王の杯はみな純金で作られ、「レバノンの森の間」にある器物もすべて純金製でした。銀は、ソロモンの時代にはそれほど値打ちのないものとみなされていたのです。
+ 王は三年に一度、フラム王の提供する船員を使ってタルシシュへ船を送り、金、銀、象牙、さる、くじゃくなどを運ばせました。
+ こうしてソロモン王は、世界中のどの王よりも富と知恵にまさっていました。
+ あらゆる国の王が、ソロモン王から、神が彼に授けた知恵のことばを聞こうと会いにやって来ました。
+ 彼らはおのおの、金や銀の鉢、衣服、武器、香油、馬、らばなどを、年ごとの贈り物として携えて来ました。
+ このほか、ソロモン王は四千の馬屋と戦車、それに騎兵一万二千を戦車の町々に配置し、また、エルサレムでの王宮警護に当たらせました。
+ ユーフラテス川からペリシテ人の地、さらにエジプトの国境に至る地域のすべてが、王の支配地でした。
+ エルサレムでは、銀が路上の石同然に大量に使われ、杉の木が桑の木のようにふんだんに用いられました。
+ 馬は、エジプトなどの国々から運ばれて来ました。
+ そのほかのソロモン王の業績は、『預言者ナタンの言行録』『シロ人アヒヤの預言書』および、『先見者イドの見たネバテの子ヤロブアムについての幻の記録』に載っています。
+ ソロモンはエルサレムで四十年間、イスラエルを治めました。
+ 王は死んでエルサレムに葬られ、その子レハブアムが新しく王となりました。
+
+
+ イスラエルの全指導者は、レハブアムの即位を祝おうとシェケムに集まりました。
+ 一方、ネバテの子ヤロブアムの支援者たちは、使いを出してソロモン王の死をヤロブアムに伝えました。彼はその時、ソロモン王を避けてエジプトに逃げていたのです。急いで帰国したヤロブアムは、即位式に出席して、人々の要求をレハブアムに突きつけました。
+ 「お父上は過酷な労働を強いていました。どうか、お父上が私たちに負わせた重い苦役を軽くしてください。そうすれば、あなたを王として受け入れます。」
+ レハブアムは、三日後に返事をするからまた来るようにと伝えました。
+ そして彼はさっそく、この申し出について、父ソロモンに仕えていた長老たちに、「彼らにどう答えたものだろうか」と相談しました。
+ 長老たちはレハブアムに答えました。「彼らの王になろうと願われるなら、彼らに好意を示し、親切にすることです。」
+ しかし、レハブアムは長老たちの助言を退け、彼といっしょに育った若者たちに意見を求めたのです。「君たちは、どうしたらよいと思うか。父がしたよりも、彼らの負担を軽くしてやるべきだろうか。」
+ 若者たちは答えて言いました。「いいえ! こう言っておやりなさい。『もし、父が重い苦役をおまえたちに負わせたと考えているなら、私がどのようにするか、楽しみに待っているがよい』と。それから、こう言うのです。『私の小指は、父の腰よりも太い。
+ 負担を軽くするどころか、もっと重くしよう。父はおまえたちを懲らしめるのに鞭を使ったが、私はさそりを使おう。』」
+ ヤロブアムと民は、三日後、返事を聞きに戻って来ました。
+ レハブアムは荒々しい口調で答えました。長老たちの助言を退け、
+ 若者たちの言いなりになったからです。「父はおまえたちに重い苦役を負わせたが、私はもっと重くしてやろう。父は鞭でおまえたちを懲らしめたが、私はさそりで懲らしめてやる。」
+ こうして王は、人々の願いを聞き入れませんでした。こうなったのは、シロ人アヒヤによってヤロブアムに告げられた預言が実現するよう、神が仕向けていたからです。
+ これを聞いたイスラエルの民は、王を見限りました。彼らは腹立ちまぎれに、「ダビデの家もこれまでだ。だれかほかの人を王にしよう。レハブアムはユダの部族だけ治めればいい。さあ、帰ろう」と言いながら、帰って行きました。
+ ユダ族はレハブアムに忠誠を誓いました。
+ そののちレハブアムは、イスラエルの他の部族から労働者を集めようとしてハドラムを遣わしましたが、人々は石を投げつけて彼を殺しました。この知らせを受けた王は、戦車に飛び乗ってエルサレムに逃げ帰りました。
+ このようにイスラエルは、今日も、ダビデの家に治められることを堅く拒んでいるのです。
+
+
+ エルサレムに戻ったレハブアムは、ユダとベニヤミンのえり抜きの勇士十八万人を召集し、王国の再統一を目指して、他のイスラエルの諸部族に戦いを挑もうとしました。
+ その時、主は預言者シェマヤに命じました。
+ 「行って、ソロモンの子であるユダの王レハブアムと、ユダとベニヤミンの人々に伝えよ。
+ 『主はこう言われる。兄弟と戦ってはならない。みな家へ帰れ。彼らの反逆はわたしが仕向けたものだ。』」人々は、この主のことばを聞いて、ヤロブアムと戦うことをやめました。
+ レハブアムはエルサレムにとどまり、守りを固めるため、次のユダの町々を城壁と城門で要塞化しました。ベツレヘム、エタム、テコア、ベテ‧ツル、ソコ、アドラム、ガテ、マレシャ、ジフ、アドライム、ラキシュ、アゼカ、ツォルア、アヤロン、ヘブロン。
+ 王はまた、多くのとりでを再建して部隊を配置し、そこに食糧、オリーブ油、ぶどう酒などを蓄えました。
+ すべての町の武器貯蔵庫には盾と槍を備え、さらに守りを強化しました。王の側についていたのは、ユダとベニヤミンの二部族だけだったからです。
+ しかし、他の部族出身の祭司とレビ人は、自分の地を捨て、ユダとエルサレムに移って来ました。ヤロブアムが彼らの祭司職を解き、
+ 別に祭司を任命して、人々に偶像礼拝を奨励し、自らが高台に築いた雄やぎや子牛の像にいけにえをささげさせたからです。
+ イスラエル全土にいる神を忠実に信じる人々も、自由に父祖の神、主を礼拝し、いけにえをささげることができるエルサレムに移って来ました。
+ その結果、ユダ王国は強くなり、三年間、大きな困難もなく保たれました。この間、レハブアム王が、ダビデ王とソロモン王にならい、真剣に主に従おうと努めたからです。
+ レハブアムは、親族のマハラテを妻にめとりました。彼女は、ダビデの子エリモテと、ダビデの兄弟エリアブの娘アビハイルとの間にできた娘です。
+ この結婚によって、エウシュ、シェマルヤ、ザハムの三人の息子が生まれました。
+ 王はその後、アブシャロムの娘マアカを妻にしました。彼女はアビヤ、アタイ、ジザ、シェロミテを産みました。
+ 彼は他のすべての妻、そばめにまさってマアカを愛しました。彼には十八人の妻、六十人のそばめがいて、全部で息子が二十八人、娘が六十人生まれました。
+ マアカが産んだアビヤは王のお気に入りだったので、アビヤを次の王にしたいと考えました。
+ そこでレハブアムは、慎重に、しかも賢く、ほかの息子たちをユダとベニヤミンにある要塞の町々に分散させたうえ、十分な手当を支給し、それぞれに数人の妻をあてがいました。
+
+
+ ところがレハブアムは、彼の人気が高まり、力がついてくると、主を捨ててしまいました。そして民も、王の罪にならいました。
+ その結果、エジプトの王シシャクが、レハブアム王の第五年にエルサレムを攻撃して来ました。
+ 戦いには、戦車千二百台、騎兵六万、エジプト人、リビヤ人、スキ人、エチオピヤ人からなる、数えきれないほどの大軍が加わりました。
+ シシャク王は、たちまちユダの要塞の町々を占領し、ついにエルサレムまで攻め上りました。
+ その時、預言者シェマヤは、レハブアム王と、難を避けてエルサレムに逃げて来たユダ各地の指導者たちに会い、こう言いました。「主は言われる。『あなたがたはわたしを捨てた。それで、わたしもあなたがたを捨て、シシャクの手に渡す。』」
+ すると、王と指導者たちは罪を告白し、「私たちをこのようになさる主は正しい」と言いました。
+ このへりくだった様子を見た主は、シェマヤにこう語らせました。「あなたがたがへりくだったので、すべて滅ぼすようなことはしない。シシャクの手によって、エルサレムに怒りを注ぐことはやめよう。
+ ただし、シシャクに貢ぎ物を納めなければならない。シシャクに仕えるよりも、わたしに仕えるほうがどれほど幸いか、よくよくわかるだろう。」
+ シシャクはエルサレムを占領し、神殿と王宮の財宝を全部奪い取り、ソロモンの金の盾も奪い取りました。
+ そこでレハブアム王は、代わりに青銅の盾を作り、護衛隊長に保管させました。
+ 王が神殿に入る時、護衛兵がその盾を持ち、あとで武器貯蔵庫に戻すのです。
+ 王がへりくだった時、主の怒りは収まったので、徹底的に懲らしめられるようなことはありませんでした。事実、シシャクの侵略を受けてからも、ユダの経済力は衰えませんでした。
+ レハブアム王は、主がイスラエルのすべての町から、ご自分の住まいとして選んだ町エルサレムで、十七年の間治めました。彼が王となったのは四十一歳で、母はナアマといい、アモン人の女でした。
+ 彼は、心から主を喜ばせようとしたことがない、悪い王でした。
+ レハブアム王の業績については、『預言者シェマヤと先見者イドの書いた言行録』および系図にくわしく記されています。レハブアムとヤロブアムとの間には、絶えず戦いがありました。
+ レハブアムは死んでエルサレムに葬られ、その子アビヤが新しく王となりました。
+
+
+ アビヤは、イスラエルの王ヤロブアムの第十八年に、エルサレムで、ユダの新しい王となりました。彼は三年の間王位にあり、母はギブア出身のウリエルの娘ミカヤ(マアカ)でした。彼が王になってまもなく、ユダとイスラエルとの間に戦争がありました。
+ アビヤ王の率いる、鍛え抜かれた四十万のユダ軍は、ヤロブアム王の率いる、強力なイスラエル軍八十万と対抗しました。
+ ユダ軍がエフライムの山地にあるツェマライム山に到着した時、アビヤ王は、ヤロブアム王とイスラエル軍に向かって叫びました。
+ 「よく聞け! ダビデ王の子孫が代々イスラエルの王になるという主の約束を、よもや知らぬはずはあるまい。
+ おまえたちの王ヤロブアムは、ダビデの子ソロモンの家来で、主君に反逆した者ではないか。
+ そのうえ、ろくでもない不満分子の集団が加わって、ソロモンの子レハブアムに公然と反抗した。レハブアムはまだ若く、臆病だったので、立ち向かうことができなかった。
+ ほんとうにおまえたちは、ダビデの子孫の治める主の王国を、打ち負かせるとでも思っているのか。おまえたちの軍勢は、われわれの二倍もあるが、ヤロブアムが神だと言って造った金の子牛のためにのろわれているのだ。
+ おまえたちは主の祭司とレビ人を追い出し、代わりに異教の祭司を任命した。ほかの民族のように、若い雄牛一頭と雄羊七頭を持って来る者をだれかれなく受け入れ、おまえたちの神ならぬものの祭司にしている!
+ だが、われわれはイスラエルの神を信じる。神を捨てるようなことはしなかった。それに、アロンの直系の子孫だけが祭司で、その働きを助けるのはレビ人だけだ。
+ 彼らは朝夕、焼き尽くすいけにえを主にささげ、香りの高い香をたき、供えのパンを聖なる机の上に置いている。金の燭台には、毎晩、火がともされている。このように、われわれは主の教えを忠実に守っているが、おまえたちはその主を捨ててしまった。
+ これではっきりわかるように、神はわれわれとともにおられ、導いておられる。しかも、主に仕える祭司たちは進軍ラッパを吹き鳴らして、われわれをおまえたちと戦わせようとしている。イスラエルよ、父祖の神、主と戦ってはならない! とうてい勝ち目はないのだから。」
+ その間にヤロブアムは、こっそり伏兵を相手の背後に回らせたので、ユダは敵にはさまれたかたちになりました。それを知ったユダの民は主にあわれみを求めて叫び、祭司たちはラッパを吹き鳴らし、
+ 一斉にときの声を上げました。すると、戦いの流れがイスラエルからユダに変わりました。
+ その日、アビヤ王とユダ軍は、イスラエル軍のえり抜きの兵士五十万を打ちました。
+ こうしてユダは、父祖の神、主に信頼してイスラエルを破り、ヤロブアム王の軍勢を追い散らしました。そして、その支配下にあったベテル、エシャナ、エフラインの町、さらに周辺の村々を占領しました。
+ イスラエルの王ヤロブアムは、アビヤ王が生きている間勢力を挽回することができず、ついに主に打たれて死にました。
+ そうする間にユダの王アビヤは力を増し、十四人の妻をめとり、二十二人の息子と十六人の娘をもうけました。
+ アビヤ王の言行のすべては、『預言者イドの注解』に記されています。
+
+
+ アビヤ王はエルサレムに葬られ、その子アサが新しくユダの王となりました。アサが王になった最初の十年間、この地には平和が続きました。
+ アサが心から神に従っていたからです。
+ 王は高台の偶像の祭壇を取り壊し、柱を砕き、忌まわしいアシェラ像を切り倒しました。
+ そして、全国民に、父祖の神、主の教えに従うよう命じ、
+ ユダのすべての町から、高台にある太陽神の像と香の祭壇を取り払いました。それで神は、彼の王国に平和を与えたのです。
+ こうしてユダに、城壁のある防備の町々を築くことが可能になりました。
+ 王は民に語りました。「今こそ、要塞の町を建てる時だ。私たちが主に従ったので、主が平和を与えていてくださるからだ。城壁で囲まれ、やぐら、門、かんぬきを備えた要塞の町を築こう。」そしてユダの民はこの計画を見事に実現しました。
+ アサ王の率いるユダ軍には、盾と槍で武装した三十万の屈強な兵士がおり、ベニヤミン軍には大盾と弓で武装した二十八万を数える兵士がいました。両軍とも十分に訓練された勇士ばかりでした。
+ ところがその後、ゼラフ将軍に率いられた百万ものエチオピヤの大軍が、三百台の戦車とともに、ツェファテの谷にあるマレシャの町にまで進攻して来ました。アサ王は、マレシャの町で迎え撃とうと軍隊を出動させました。
+ 王は主に叫び、祈りました。「ああ、主よ、私たちを救えるのはあなただけです。私たちはこの大軍を前にして、あまりにも無力です。主よ、どうかお助けください! あなただけに頼り、主の御名によって、この大軍に向かいます。ただの人間にあなたを負かすようなことはさせないでください。」
+ それで主がエチオピヤ軍を打ち負かしたので、エチオピヤ人は逃げ、アサ王とユダの軍勢は勝利を収めました。
+ ユダ軍は敗走する敵をゲラルまで追撃し、それによって敵は全滅し、生き残った者は一人もいませんでした。主とその軍勢が、彼らを滅ぼしたからです。ユダ軍は山のような戦利品を持ち帰りました。
+ 勢いをかって、ユダ軍がゲラル周辺のすべての町を攻めると、主からもたらされる恐れが住民を襲いました。そこで彼らは、これらの町からも、さらに大量の戦利品を奪い取りました。
+ 町を略奪しただけでなく、家畜の天幕も壊して、多くの羊やらくだを奪い、エルサレムに凱旋しました。
+
+
+ アサ王の第三十六年に、イスラエルの王バシャが戦いをしかけて来て、ユダに通じる道を押さえるためにラマに要塞を築きました。
+ これを知ったアサ王は、神殿と王宮から金銀を持ち出し、ダマスコにいるシリヤ(アラム)の王ベン‧ハダデに送り届けて、こう頼みました。
+ 「あなたのお父上と私の父との間で結んだ安全保障条約(軍事同盟)を結び直しましょう。わずかばかりの品ですが、どうぞお受け取りください。イスラエルの王バシャとの同盟を破棄し、彼が私に手出しできないようにしていただきたいのです。」
+ ベン‧ハダデはアサ王の要請を受け入れ、シリヤの軍を動員してイスラエルを攻めました。シリヤ軍はイヨン、ダン、アベル‧マイムの町々、またナフタリにある物資の補給基地を占領しました。
+ そのことを知ったバシャ王は、すぐにラマの工事を中止し、ユダを攻撃する計画をあきらめました。
+ アサ王とユダの人々はラマに急行し、建築用の石材や木材を持ち帰ったうえ、それを使ってゲバとミツパを建てました。
+ その時、預言者ハナニがアサ王のもとに来て、彼に言いました。「あなたはあなたの神、主に頼まないで、シリヤの王に頼みました。そのため、シリヤの軍勢をむざむざ逃したのです。
+ あのエチオピヤ人とリビヤ人の大軍が、戦車と騎兵を率いて攻めて来た時、どんなことが起こったか、お忘れではないでしょう。あなたがひたすら主により頼んだので、主は彼らをことごとくあなたの手に渡してくださったではありませんか。
+ 主はその御目で全地を見渡し、心を完全にご自分に向けている人々を探し求めておられます。そのような人々を助けるために、大きな御力を現してくださるのです。あなたはなんと愚かなことをなさったのでしょう。これから、戦いの渦に巻き込まれることでしょう。」
+ すると、これを聞いた王は真っ赤になって怒り、預言者を投獄しました。またこの時、王は多くの民を抑圧しました。
+ アサ王のその他の業績は、『イスラエルとユダ諸王の年代記』に載っています。
+ その第三十九年、王は両足が重い病気にかかりました。しかし、その中で主を求めるどころか、医者を頼みとしたのです。
+ 王はその治世の第四十一年に死に、エルサレムに用意してあった墓に葬られました。その遺体は高価な香油や香料をしみ込ませた寝台に横たえられ、人々は彼の埋葬のためにたくさんの香をたきました。
+
+
+ アサの子ヨシャパテが代わってユダの王となり、イスラエルと戦う準備を始めました。
+ 彼は、ユダの要塞化されたすべての町々をはじめ、国中のさまざまな他の場所、父アサ王が占領したエフライムの町々に守備隊を置きました。
+ ヨシャパテは、彼の父祖のかつての正しい生き方にならって偶像を拝まなかったので、主は彼とともにいました。
+ イスラエルの人々とは反対に、その父の神の教えどおりに生活したので、
+ 主は、ユダの王としてのヨシャパテの地位を確固たるものにしました。すべてのユダの人々が納税に協力したので、彼は人気が高まったばかりか、財産も増えました。
+ 王は高台の異教の祭壇を壊し、アシェラ像を取り除くなど、大胆に主の道を歩みました。
+ その治世の第三年に、彼は国中に宗教教育を広める計画を実行に移しました。ベン‧ハイル、オバデヤ、ゼカリヤ、ネタヌエル、ミカヤをはじめ政府の高官たちを、教師としてユダのすべての町々に派遣し、これにレビ人のシェマヤ、ネタヌヤ、ゼバデヤ、アサエル、シェミラモテ、ヨナタン、アドニヤ、トビヤ、トブ‧アドニヤも同行しました。また祭司からは、エリシャマとヨラムも同行しました。彼らは、『主の律法の書』の写しを持ってユダのすべての町々を巡り、人々に聖書を教えました。
+ その結果、回りのすべての国々が主を恐れるようになったので、ヨシャパテ王に戦いをしかける国は一つもありませんでした。
+ ペリシテ人さえも贈り物と貢ぎ物を納め、アラビヤ人は雄羊七千七百頭、雄やぎ七千七百頭を献上しました。
+ こうして、ヨシャパテ王はますます勢力を増し、国中に要塞の町や補給基地の町を建てました。
+ 公共事業を拡大し、首都エルサレムには、強力な軍隊を駐屯させました。
+ 三十万のユダ軍がアデナ将軍に率いられ、次の指揮官ヨハナンの下には二十八万の兵がいました。
+ 第三の指揮官であるジクリの子アマスヤは、とても信仰のあつい人で、二十万の兵を率いていました。
+ ベニヤミンの部族からは、偉大な将軍エルヤダの率いる、弓と盾で武装した二十万の兵が加わりました。
+ エルヤダに続く指揮官はエホザバデで、その下に十八万の兵がいました。
+ 以上は、ユダ全土の要塞化された町々に配置した軍隊とは別に、王がエルサレムに駐屯させていた軍隊です。
+
+
+ 財産が増え、評判のよいヨシャパテ王でしたが、イスラエルの王アハブの娘を息子の嫁に迎え、アハブと縁を結びました。
+ 数年して彼がサマリヤにアハブを訪ねると、アハブ王は大宴会を開き、たくさんの羊や牛を料理してふるまいました。そのあとでアハブはヨシャパテに、ラモテ‧ギルアデでの対シリヤ攻撃に加わらないかと持ちかけました。
+ ヨシャパテ王は答えました。「よろしいですとも。どこまでも、あなたについて行きますよ。わが軍はあなたの指揮下にあるようなものです。それにしても、まず主に伺いを立ててみようではありませんか。」そこでアハブ王は、おかかえの異教の預言者四百人を集め、「ラモテ‧ギルアデへ攻め上るべきだろうか、それとも、やめるべきだろうか」と尋ねました。「行きなさい。勝利は間違いありません。」と、彼らは口々に答えました。
+ しかし、ヨシャパテは満足しませんでした。「ここには、まことの主の預言者はいないのですか。主の預言者にも、同じ質問をしてみたいものです。」アハブは答えました。「一人だけいます。あまり好きになれない男ですが。イムラの子でミカヤといいますが、いつも悪いことばかり預言するのです。」「ま、そんなことは言わず、彼の言うことも聞いてみましょう」とヨシャパテは言いました。
+ そこで、イスラエルの王は側近の一人を呼び、「急いで、イムラの子ミカヤを呼んで来るように」と命じました。
+ 王服をまとった二人の王が、威儀を正してサマリヤの門の入口にある広場の玉座に着くと、その前で、「預言者」たちが次々に預言しました。
+ その一人、ケナアナの子ゼデキヤは、作ってきた鉄の角を取り出し、「主のお告げです。あなたはこれらの角でシリヤを突き、せん滅させます」と預言しました。
+ ほかの預言者たちもみな、同じように預言しました。「さあ、ラモテ‧ギルアデに攻め上りなさい。勝利は間違いありません。」
+ ミカヤを呼びに行った使いの者は、今起こっていることを告げ、すべての預言者たちが、「この戦争は王の勝利に終わる」と預言したことをミカヤに話しました。使いの者は、思いきって彼に言いました。「あなたも、ほかの預言者たちに合わせて、王様のお気に召すようなことを話してくれませんか。」
+ ミカヤはきっぱり答えました。「主にかけて誓います。私は神様がおっしゃることを、そのまま話します。」
+ ミカヤが王の前に出ると、王はさっそく尋ねました。「ミカヤ。ラモテ‧ギルアデに攻め上るべきだろうか、それとも、やめるべきだろうか。」「攻め上るがよろしい! 大勝利は間違いありません。」
+ すると、王は語気を強めて言いました。「いったい、何度、主がお語りになること以外はしゃべるな、と私に言わせるつもりか。」
+ 「私は幻の中で、すべてのイスラエル人が、まるで羊飼いのいない羊のように、山々に散らされているのを見ました。その時、主は、『彼らの主人は殺されたから、彼らを家に連れ帰れ』と仰せになったのです。」
+ アハブ王は、ヨシャパテ王に吐き捨てるように言いました。「お話ししたとおりでしょう。いつも、彼は私に悪いことしか預言しないのです。」
+ ミカヤはことばを続けました。「主のお告げはまだあります。私は、主が御使いの大軍に囲まれて御座に着いておられるのを見ました。
+ その時、主はおっしゃったのです。『だれか、アハブ王をラモテ‧ギルアデでの戦いに誘い出し、戦死させるようにする者はいないのか。』いろいろな提案が出されましたが、ある霊が進み出て、『私にやらせてください』と言いました。主が、『どういうふうにやるのか』とお尋ねになると、
+ 彼は答えました。『王のすべての預言者にうその預言をさせます。』主は、『それはよい。そのようにせよ』とおっしゃいました。
+ それで、ごらんのとおり、あなたの預言者はうその預言をしたのです。実際は、正反対のことを主は告げておられるのです。」
+ すると、ケナアナの子ゼデキヤは、つかつかとミカヤに歩み寄って彼の頬をなぐり、「この大うそつきめ! いつ、主の霊が私を離れて、おまえに乗り移ったというのか」と言いました。
+ 「あなたが奥の間に隠れるようになった時、ほんとうのことがわかります。」
+ イスラエルの王は、こう言いました。「この男を捕らえて、市長アモンとわが子ヨアシュに渡し、
+ 『この男を牢に入れ、戦いから無事に戻って来るまで、わずかなパンと水をあてがっておけ、と王が命じた』と言いなさい。」
+ ミカヤは答えました。「もし、あなたが無事お戻りになるようなことがあるなら、主は私を通して語られならなかったことになります。」それから、回りの人々に向かって、「私が今言ったことをよく覚えておきなさい」と言いました。
+ こうして、イスラエルの王とユダの王は、それぞれの軍を率いてラモテ‧ギルアデに攻め上りました。
+ イスラエルの王はヨシャパテ王に、「私はだれにも気づかれないように変装しますが、あなたはちゃんと王服を着ていてください」と言いました。二人は、そのとおりに出陣しました。
+ 一方、シリヤの王は、このような指示を戦車隊に与えていました。「目標はイスラエルの王ただ一人だ! ほかのだれにも手を出すな!」
+ シリヤ軍の戦車隊は、王服を着たユダの王ヨシャパテを見つけると、彼こそ目あてのイスラエルの王に違いないと思って襲いかかりました。ヨシャパテは大声で主に助けを求めました。それで主がシリヤ軍の戦車隊に人違いだと気づかせたので、彼らはヨシャパテ王から離れました。
+ イスラエルの王でないとわかったので、すぐに追うことをやめたのです。
+ ところが、シリヤ軍の兵士の一人が、何気なくイスラエル軍に矢を放つと、それがなんとイスラエルの王の胸当てと草摺りとの間を射抜いたのです。王は戦車の御者に、苦しい息づかいの中で言いました。「ここから抜け出させてくれ。深手を負ってしまった。」
+ その日、戦闘はますます激しさを増しました。アハブ王は戦車の背に寄りかかったままシリヤと戦いましたが、日が西の空に沈むころ、息を引き取りました。
+
+
+ ユダの王ヨシャパテが無事自分の家に戻ると、
+ ハナニの子で預言者エフーが出向いて来て、言いました。「悪者を助けていいのですか。主を憎む者を愛すべきなのでしょうか。あなたがそのようになさったので、主の怒りが下ります。
+ しかし、あなたには幾つかの良い点があります。この地からアシェラ像を一掃して、神に忠誠を尽くそうと努力してきたことがそれです。」
+ その後、ヨシャパテは二度とイスラエルを訪問することもなく、エルサレムにおとなしくとどまっていました。のちに、王はもう一度、ベエル‧シェバからエフライムの山地まで巡回し、その地の人々に父祖の神を礼拝するよう指導しました。
+ 国中の大きな町には裁判官を置き、
+ こう訓示しました。「あなたがたを任命したのは、私ではなく神である。だから、自分の行動に注意しなさい。神が一人一人のそばに立って、あなたがたの前に持ち出されるすべての訴訟に、正しい裁きができるよう手を貸してくださる。
+ 神の御旨に反するような判決を下さないよう、注意しなさい。神のもとでの裁きには、不正も不公平も収賄もあってはならないからである。」
+ 王はエルサレムにも裁判所を設けて、レビ人、祭司、氏族長から裁判官を任命し、
+ 彼らにも訓戒を与えました。「あなたがたは、いつも神を恐れ、誠意を込めて行動しなければならない。
+ 各地の裁判官から、殺人事件や神の教えへの違反などについて訴訟が持ち込まれたら、事実を確かめ、彼らが正しく裁けるよう助けてやりなさい。神の怒りが、あなたがたにも、彼らにも下ることがないためだ。このようにすれば、あなたがたの責任を果たしたことになる。」
+ それから王は宗教上の問題を扱う裁判の最高責任者として大祭司アマルヤを任命しました。また、民事を扱う裁判の最高責任者として、イシュマエルの子でユダ族の長ゼバデヤを任命し、レビ人を補佐役にあてました。王は、最後にこう言いました。「それぞれの職務に対し、恐れることなく誠心誠意当たりなさい。どうか、神があなたがたを用いて、正しい者の味方としてくださるように。」
+
+
+ そののち、モアブ人とアモン人、それにメウニム人の王の率いる連合軍が、ヨシャパテとユダの民に宣戦布告しました。
+ ヨシャパテに届いた情報は、「大軍が、死海の向こうのシリヤから押し寄せて来ます。もうハツァツォン‧タマル、つまりエン‧ゲディまで来ています」というものでした。
+ あわてふためいた王は、主の助けを仰ぐよりほかないと判断し、全国民が神の前に悔い改め、断食して祈りに打ち込むよう命じました。
+ 人々は各地からエルサレムに集まり、心を一つにして主に助けを求めました。
+ ヨシャパテは、神殿の新しい庭に集まった人々の中に立って祈りました。
+ 「私たちの父祖の神、主よ。天におられ、地上のすべての王国を支配しておられる神よ。あなたの測り知れない力に、だれも立ち向かうことはできません。
+ 私たちの神よ、あなたの民がこの地に入った時、あなたはこの地に住んでいた異教徒を追い出し、この地を永久に、あなたの友アブラハムの子孫のものとされたではありませんか。
+ あなたの民はここに根を下ろし、あなたのためにこの神殿を建てました。
+ 戦争、疫病、ききんなどの災いに会ったなら、あなたのおられるこの神殿、つまりあなたの御前に立って祈れば、祈りは聞かれ、あなたは私たちを救ってくださると信じています。
+ 今、アモンとモアブ、セイル山の人々がやっていることをごらんください。あなたは、先祖がエジプトを出て来た時、彼らの国に侵入するのをお許しになりませんでした。それで私たちは、彼らの国を避けて通り、彼らを滅ぼさないでおいたのです。
+ ところが今、彼らは何をしようとしているでしょうか。あなたが私たちに下さった地から、私たちを追い出そうとして攻め寄せて来るのです。
+ 神よ、彼らの来襲をとどめてください。私たちには、このような大軍から身を守るすべなどありません。どうしたらよいのか見当もつきません。ただあなたに助けを求めるばかりです。」
+ ユダの各地から集まった人々は、妻子や幼児たちといっしょに主の前に立っていました。
+ その時、主の霊が、そこに立っていたレビ人ヤハジエルに臨んだのです。彼はアサフの子孫の一人で、マタヌヤの子エイエルの子ベナヤの子ゼカリヤの子でした。
+ ヤハジエルは大声で語りだしました。「ユダとエルサレムのすべての人々、またヨシャパテ王よ、よく聞きなさい! 主はこう言われます。『恐れてはならない。この大軍を見ておじけてはならない。この戦いはあなたがたの戦いではなく、わたしの戦いだ。
+ 明日、エルエルの荒野に通じる谷の出口で、ツィツの坂を上って来る敵と会うから、こちらから攻撃をしかけよ。
+ あなたがたは戦わなくてよい。持ち場を守り、黙って、わたしのすばらしい救いを見よ。ユダとエルサレムの人々よ、恐れたり、意気消沈したりしてはならない。わたしがついている。明日、出陣するのだ。』」
+ ヨシャパテは地にひれ伏しました。ユダのすべての民とエルサレムの住民も、同じように主を礼拝しました。
+ それから、ケハテ氏族とコラ氏族のレビ人が立ち上がり、力強く高らかに主を賛美しました。
+ 翌朝早く、ユダ軍はテコアの荒野へ兵を進めました。途中、ヨシャパテは立ち止まって指示を与えました。「私の言うことを聞き、主を信じなさい。そうすれば、勝利は間違いない! 預言者のことばを信じなさい。そうすれば、すべてはうまくいく。」
+ それから民の指導者と相談して、聖歌隊を編成しました。聖歌隊は聖なる衣服をまとい、行軍の先頭を進みながら、「主のいつくしみは、とこしえまで」と歌って主をたたえ、主に感謝をささげました。
+ 彼らが賛美をし始めた時、主は、アモン人、モアブ人、セイル山の人々の間で同士討ちを引き起こさせました。それで彼らは、互いに殺し合うことになったのです。
+ まずアモン人とモアブ人がセイル山から来た軍を襲い、一人残らず殺しました。それが終わると、今度はアモン人とモアブ人がぶつかり合ったのです。
+ それで、ユダ軍が荒野を見下ろす物見の塔に着いた時には、見渡す限り、あたり一面に死体が転がっていました。逃げ延びた敵兵は一人もいませんでした。
+ ヨシャパテ王とユダの民は、遺体から金、武具、宝石などをはぎ取りました。その数があまりにも多かったので、全部運ぶのに三日もかかるほどでした。
+ 四日目に彼らは、今でもベラカ(祝福)の谷と呼ばれている谷に集まり、心から主をたたえました。
+ それから王を先頭に、彼らは意気揚々とエルサレムに凱旋しました。主が信じられないような方法で救い出してくれたので、彼らの心は喜びでいっぱいでした。
+ 彼らは琴、竪琴、ラッパの奏楽とともにエルサレムに入城し、神殿に入りました。
+ そして以前にもあったように、近隣の国々は、主がイスラエルの敵と戦ったと聞いて、神への恐れに包まれました。
+ こうして、神が王に安息を与えたので、ヨシャパテの王国は安泰を保ちました。
+ ヨシャパテ王の生涯を略述すると、三十五歳でユダの王となり、二十五年間エルサレムで統治。母はシルヒの娘のアズバ。
+ 父アサ王のように主の前に良い王で、いつも主に従おうとしました。
+ しかし、高台にある偶像の宮を取り壊すことだけはしなかったので、人々に、父祖の神に従うことを決心させるまでには至りませんでした。
+ ヨシャパテ王のその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に挿入されている、ハナニの子エフーの書いた言行録に記されています。
+ しかし王は、晩年になって、悪名高いイスラエルの王アハズヤと同盟を結びました。
+ 彼らは、タルシシュ行きの船団をエツヨン‧ゲベルでつくりました。
+ その時、マレシャ出身のドダワの子エリエゼルがヨシャパテに対して預言し、「あなたがアハズヤと同盟を結んだので、主はあなたの計画を壊します」と言いました。それで、船は難破し、タルシシュへ行くことはできませんでした。
+
+
+ ヨシャパテ王は死んで、エルサレムの王室の墓に葬られ、その子ヨラムが新しくユダの王となりました。
+ ヨラムの兄弟には、アザルヤ、エヒエル、ゼカリヤ、アザルヤ、ミカエル、シェファテヤがいました。
+ 彼らの父ヨシャパテは、その一人一人に多くの金品、また、ユダの要塞化された幾つかの町々も与えていました。ヨラムは長男だったので、王国と王権を与えました。王としての地位が確立すると、ヨラムは兄弟全員と多くの指導者を殺しました。
+ ヨラムは三十二歳で王となり、八年間エルサレムで治めました。
+ 彼はイスラエルを支配した王たち、わけても、アハブ王にさえ引けを取らないほど、主の前に悪を行いました。あの邪悪なアハブ王の娘と結婚していたので、一生の間、とどまることなく悪を働きました。
+ それにもかかわらず、主はダビデの家を見限るようなことはしませんでした。ダビデに、彼の子孫はいつまでも王座につくと約束していたからです。
+ そのころ、エドムの王が反逆して、ユダからの独立を宣言しました。
+ ヨラムは、戦車隊とともに全軍を率いて夜襲をかけ、ほとんど制圧するところでした。
+ しかしエドムは、現在までユダの支配を免れることに成功しています。さらに、リブナもまた反逆しました。それもこれも、ヨラム王が父祖の神、主を捨てていたからです。
+ そのうえ、ヨラムはユダの山々に偶像の宮を建て、エルサレムの住民を偶像礼拝に誘ったばかりか、人々に偶像礼拝を強要さえしたのです。
+ その時、預言者エリヤは王に、次のような手紙を送りました。「あなたの先祖ダビデの神、主は言われます。『あなたは、父ヨシャパテやアサ王の手本にならわず、
+ イスラエルのほかの王にならって悪の道を進み、アハブ王と同じように、エルサレムとユダの民に偶像礼拝を行わせた。また、あなたよりも善良だった兄弟を殺したので、
+ 今こそわたしは、あなたの国を大災害で滅ぼそう。あなたはもちろん、妻子までも打たれ、全財産は散らされる。
+ あなたは腸の病気を患い、はらわたが飛び出る。』」
+ 主は、エチオピヤ人の近くに住むペリシテ人とアラビヤ人を奮い立たせ、ヨラム王を攻撃するよう仕向けました。
+ 彼らはユダを目指して進撃し、国境を越え、ヨラム王の妻子を含めて、王宮にあるめぼしいものをみな奪い去りました。ようやくのことで、王の末子エホアハズだけが難を逃れました。
+ こののち、主はヨラム王を打ったので、王は腸を患う不治の病にかかりました。
+ 二年目の終わりになると、腸が外に飛び出し、激しい苦しみに襲われながら彼は死にました。その葬儀はひどく簡素なものでした。
+ ヨラムは三十二歳で王となり、八年間エルサレムで治めて死にました。だれもその死を悼みませんでした。彼はエルサレムに葬られましたが、王室の墓地ではありませんでした。
+
+
+ エルサレムの人々は、ヨラムの末子アハズヤ(別名エホアハズ)を新しく王に選びました。アラビヤ(アラブ)人の略奪部隊が、年長の息子たちを殺してしまったからです。
+ アハズヤは二十二歳で王となり、一年間エルサレムで治めました。母親はオムリの孫娘のアタルヤでした。
+ 彼もまた、母にそそのかされてアハブ王の悪い例にならいました。
+ 父ヨラムの死後、アハブ家の者たちが助言者となったので、彼はアハブ王に引けを取らないほど、主の前に悪を行う王になりました。
+ アハブ家の悪い助言者に操られて、アハズヤは、イスラエルの王アハブの子ヨラムと同盟を結びました。その時、ヨラム王はシリヤの王ハザエルとラモテ‧ギルアデで戦っていたので、アハズヤは軍を率いて援軍に駆けつけました。イスラエルの王ヨラムは負傷し、
+ 治療のため、イズレエルに帰って来ました。ユダの王アハズヤは、彼を見舞いにイズレエルに行きました。
+ ところが、このことが彼のいのち取りになりました。神は、ヨラムと同盟を結んだアハズヤに罰を下そうと決めていたのです。ヨラムを見舞ったアハズヤは、彼と手を組んで、ニムシの子エフーとの戦いに出かけました。このエフーこそ、アハブ家を倒すため、神が立てた人物だったのです。
+ エフーはアハブ家の者を追いかけ、手あたりしだいに殺していましたが、ユダの高官とアハズヤの甥たちとを見つけたので、彼らも殺しました。
+ エフーと家臣たちは、なおアハズヤを捜し回り、ついにサマリヤの町に隠れていた王を見つけ出したのです。王はエフーの前に引き出されて殺されましたが、熱心に主に仕えたあのヨシャパテ王の孫だということで、王にふさわしく葬られました。
+ わが子アハズヤの死の知らせを受けた王母アタルヤは、孫たちを殺してしまったので、跡を継いで王となるべき子はヨアシュのほかにいませんでした。
+ ヨアシュは、王の妹である叔母エホシェバに助け出され、宮殿の物置小屋に隠されていたのです。彼女はヨラム王の娘で、祭司エホヤダの妻でした。
+ ヨアシュは、アタルヤが女王であった六年間、叔母や叔父、乳母たちに守られて、ずっと神殿にかくまわれていました。
+
+
+ 女王アタルヤの第七年に、祭司エホヤダは勇気を奮い起こして、軍の隊長数人と密約を結びました。相手は、エロハムの子アザルヤ、ヨハナンの子イシュマエル、オベデの子アザルヤ、アダヤの子マアセヤ、ジクリの子エリシャファテです。
+ 彼らはこっそり国中を回って、レビ人や氏族長たちにエホヤダの計画を打ち明け、彼らをエルサレムに呼び集めました。集まった者たちは、神殿にかくまわれていた若い王に忠誠を誓いました。エホヤダは語りました。「ダビデ王の子孫が私たちの王となるという主のお約束どおり、王の子が王となる時がついにきました。
+ 次のように手はずを整えましょう。祭司とレビ人の三分の一は、安息日に勤務する護衛として入口にとどまってください。
+ 他の三分の一は王宮に入り、残りの三分の一は礎の門のところにいてください。そのほかの者はみな、神の戒めに従って、神殿の外庭にいなければなりません。務めのある祭司とレビ人だけが、神殿に入ることができます。
+ レビ人の皆さんは、武器を手に、しっかり王を護衛してください。神殿に踏み込む無法者がいれば、殺してもかまいません。片時も王のそばを離れてはなりません。」
+ 全員が指示されたとおりに配置につきました。リーダーはそれぞれ、安息日の勤務当番日に当たる三分の一の祭司と、週日の務めについていた三分の一の祭司を率いていました。祭司エホヤダが彼らを家に帰さずにおいたのです。
+ エホヤダは、隊長たちに、神殿に保管してあったダビデの槍と盾を支給しました。
+ 完全武装した彼らは、神殿の正面の端から端までと、外庭にある祭壇の回りを囲みました。
+ それから、幼いヨアシュ王子を連れ出して王冠をかぶらせ、その手にモーセの律法の写しを渡し、彼が王であることを宣言したのです。エホヤダとその子たちが王に油を注いだ時、「王様、ばんざーい!」という叫びが、いっせいに起こりました。
+ 一連の騒ぎと、王をたたえる声とを聞いた女王アタルヤは、何事が起こったのかと神殿に駆けつけました。見ると、王が入口の柱のところに立っており、そばには隊長たちが並び、吹奏隊が王を取り囲んでいました。各地から集まった人々は喜んでラッパを吹き鳴らし、合唱隊は、賛美を導く奏楽に合わせて歌っています。女王は衣服を引き裂いて、「謀反だ! 謀反だ!」と、気が違ったように叫びました。
+ 祭司エホヤダは隊長たちに命じました。「この女を連れ出して、殺せ! 神殿の中ではだめだ。女を助けようとする者は、だれでも容赦なく殺すのだ」
+ 群がっていた人々は、さっと道を開きました。結局、彼女は王宮の馬小屋で殺されました。それからエホヤダは、彼と王と民とが主の民となるという厳粛な契約を結びました。民はこぞってバアルの神殿に向かい建物を壊し、祭壇を砕き、像を倒し、バアルの祭司マタンを祭壇の前で殺しました。
+ エホヤダはレビ人の祭司に神殿の管理を任せ、モーセの律法どおり、焼き尽くすいけにえをささげるよう命じました。レビ人たちはダビデ王の決めた組分けに従って、喜びと歌とをもって働きました。
+ 神殿の門衛は、汚れた者や資格のない者がいっさい入らないように見張っていました。
+ それから、軍の隊長、貴族、高官はじめ人々はみな、王を護衛して神殿から出て行き、上の門を通って王宮に入り、ヨアシュを王座に着かせました。
+ すべての民が喜びました。アタルヤが死んだので、エルサレムの町は平和一色に塗り替えられました。
+
+
+ ヨアシュは七歳で王となり、四十年間、エルサレムで治めました。母親はツィブヤといい、ベエル‧シェバの出身でした。
+ ヨアシュ王は、祭司エホヤダが生きている間は、主を喜ばせようと一生懸命に努めました。
+ エホヤダは彼に二人の妻をめとらせ、息子や娘たちが生まれました。
+ そののち、王は神殿の修復を思い立ち、
+ 祭司やレビ人を召集して命じました。「神殿をりっぱなものに修復するため、ユダのすべての町々へ行って献金を集めなさい。さっそく取りかかるのだ。ぐずぐずしてはならない。」ところが、レビ人はなかなか腰を上げようとしませんでした。
+ 王は大祭司エホヤダを呼びました。「なぜ、ユダの町々やエルサレムから神殿税を集めるために、レビ人を送らないのか。神殿の修復用に主のしもべモーセの決めた納税のおきては、ぜひ実施しなければならない。」
+ というのは、あの悪女アタルヤの取り巻きたちが神殿を荒らし、神の礼拝のためにささげられたものを、バアルの神殿に用いたからです。そこで、王は一つの箱を作って、それを神殿の門の外側に置くよう指示しました。
+ それから、神のしもべモーセが課した税を神殿に持って来るようにとの布告を、ユダのすべての町々とエルサレムに出しました。
+ すると、すべての指導者、すべての民がわれ先にと献金を投げ入れたので、箱はすぐいっぱいになりました。
+ レビ人が箱を王の会計室に運ぶと、王の書記官と祭司長に仕える管理人とが金額を計算し、からになった箱をまた元の場所に戻しました。同じことが毎日くり返されました。
+ 王とエホヤダは、集まった献金を修復工事の監督者に渡しました。彼らはそれで石工や大工、鉄や青銅の器具を作る鋳造師を雇いました。
+ こうして工事は進み、ついに神殿は前よりもりっぱになりました。
+ 工事が完成すると、余った献金が王とエホヤダに手渡されたので、彼らはそれを、金銀のさじ、香をたく金銀の鉢、いけにえをささげるための器具を作る費用にあてました。祭司エホヤダの生きている間、焼き尽くすいけにえは一日も欠かさずにささげられました。
+ エホヤダは非常に長生きしましたが、百三十歳で死に、
+ ダビデの町の王室墓地に王たちとともに葬られました。彼はイスラエルのため、神のため、そして神殿のために、多くの良いことを行いました。
+ しかし、エホヤダの死後、ユダの指導者たちはヨアシュ王を悪の道に誘い込みました。王に、父祖の神、主の神殿を捨て、恥ずべき偶像を拝むようにしむけたので、神の怒りが再びユダとエルサレムに下りました。
+ 神は、彼らが主に立ち返るように預言者を遣わしましたが、だれも耳を貸そうとしませんでした。
+ その時、神の霊が祭司エホヤダの子ゼカリヤに臨みました。ゼカリヤは民の前に立って言いました。「あなたがたはなぜ主の戒めに背いているのか、神様はそのわけを知りたいと言っておられる。こんなことでは、何をしても失敗に終わるだけだ。あなたがたが主を捨てたので、今度は主があなたがたをお見捨てになる。」
+ ところが、指導者たちはゼカリヤを殺そうと謀り、ヨアシュ王の命令により、神殿の庭でゼカリヤを殺しました。
+ こうしてヨアシュ王は、エホヤダの愛と忠誠に対して、彼の子を殺害するという悪をもって報いたのです。ゼカリヤは死に際し、「主よ、彼らがしていることをごらんになり、彼らの悪に報いてください」と言い残しました。
+ その二、三か月後、シリヤ(アラム)軍がユダとエルサレムに進攻してきました。彼らはユダの指導者を一人残らず殺し、大量の戦利品をダマスコへ持ち帰りました。
+ シリヤ軍は少数でありながら大勝利を収めたのです。ユダの大軍が少数のシリヤ軍に負けたのは、ユダの民が父祖の神、主を捨てたからにほかなりません。こうして、神はヨアシュ王にきびしいさばきを下したのです。
+ シリヤ軍が重傷を負ったヨアシュを置き去りにして引き揚げた時、彼の家来たちは、祭司エホヤダの子を殺した責任を問うために王を暗殺し、ダビデの町に葬りました。ただ、そこは王室墓地ではありませんでした。
+ この謀反を企てたのは、アモン出身の女シムアテの子ザバデと、モアブ出身の女シムリテの子エホザバデでした。
+ ヨアシュ王の子たちのこと、王に臨んだのろいのこと、神殿の修復のことについては、『諸王の年代記』にくわしく記されています。ヨアシュが死んだのち、その子アマツヤが新しく王となりました。
+
+
+ アマツヤは二十五歳で王となり、二十九年間エルサレムで治めました。母親はエホアダンといい、エルサレム出身でした。
+ アマツヤ王は正しいことを行いましたが、いつも本心からとは限りませんでした。
+ 王としての地位が固まると、彼は父の暗殺者を処刑しました。
+ それでもモーセの律法を守り、その子どもたちまでは殺しませんでした。モーセの律法では、父親は子どものせいで殺されてはならず、子どもも父親のせいで殺されてはならないことになっていました。めいめいの罪のために裁かれるべきなのです。
+ それから王は、軍を再編成し、ユダとベニヤミンの各氏族に指導者を立てました。人口調査をしてみると、槍と剣の使い手として訓練された二十歳以上の兵士が三十万人いることがわかりました。また王は、銀百タラント(三千四百キログラム)を払って、十万人の訓練された兵士をイスラエルから雇いました。
+ しかし、預言者が主のことばを伝えました。「王よ、イスラエルの兵士を雇い入れてはなりません。主はその者たちとは共におられないからです。
+ もし、彼らといっしょに戦いに出たら、どんなによく戦っても敗れます。神には助ける力もあれば、くじく力もあるのです。」
+ アマツヤは泣き言を言いました。「あの兵士に払った金が惜しい。金のことはどうしたらよいだろう。」「神様は、それ以上のものをあなたに与えることがおできになります。」
+ そこでアマツヤは、雇い入れた兵士たちを郷里のエフライムに帰しました。このことで、彼らは侮辱されたと思い、ひどく腹を立てました。
+ 王は勇気を出し、軍を率いて塩の谷へ行き、そこでセイルから来た一万人を打ちました。
+ ほかにも一万人を生け捕りにし、がけから突き落としたので、みな谷底の岩に砕かれて死にました。
+ 一方、強制送還されたイスラエルの兵士は、ベテ‧ホロンからサマリヤまでの地域にあるユダの幾つかの町に侵入し、三千人を殺し、多くの戦利品を奪い去りました。
+ エドム人を打ち破ったアマツヤ王は、セイルの人々の偶像を持ち帰っただけでなく、偶像を神々として祭り、その前に頭を下げ、香までたいたのです。
+ これを激しく怒った主は、預言者を送って、きびしく王を問いただしました。「あなたの手から自分の民を救い出せなかったような神々を、なぜ拝むのか。」
+ 王は、預言者のことばをさえぎりました。「いつ私があなたに助言を求めたか。殺されたくなければ、黙っていることだ。」「これで、はっきりしました。神様はあなたを滅ぼすおつもりです。あなたが偶像を拝み、私の勧めを聞こうとされないからです。」預言者は、警告を残して立ち去りました。
+ そののち、ユダの王アマツヤは相談役の意見を取り入れて、エホアハズの子でエフーの孫に当たる、イスラエルの王ヨアシュに戦いをしかけました。
+ するとヨアシュ王は、次のようなたとえをもって応じたのです。「レバノン山のあざみがレバノン山の杉に、『娘さんを息子の嫁にくれないか』と頼みました。ところが、レバノン山の野獣が通りかかり、そのあざみを踏みにじりました。
+ あなたは、エドムを征服したことで鼻を高くしている。しかし、悪いことは言わないから、おとなしくしていなさい。へたな手出しはおやめなさい。さもないと、ユダの民ともども痛い目に会いますよ。」
+ しかし、アマツヤは聞き入れようとしませんでした。神は、エドムの神々を拝んでいた王を滅ぼそうとしていたのです。
+ 両軍はユダのベテ‧シェメシュでぶつかりましたが、
+ ユダは総くずれになって退却しました。
+ イスラエルの王ヨアシュは、負けたユダの王アマツヤを捕らえ、捕虜としてエルサレムに連れて来たうえ、エルサレムの城壁をエフライムの門から隅の門まで二百メートルにわたって取り壊すよう命じました。
+ また、神殿にあったすべての財宝と金の鉢、それに王宮の財宝を運び出し、オベデ‧エドムを含む人質を連れてサマリヤに帰りました。
+ アマツヤ王は、イスラエルの王ヨアシュの死後、なお十五年も生き延びました。
+ アマツヤのくわしい伝記は、『ユダとイスラエル諸王の年代記』に記されています。
+ それには、王が神から離れたいきさつ、エルサレムで謀反が起こりラキシュへ逃げたこと、追いつめられてラキシュで殺されたことなどが記録されています。
+ 人々は彼の遺体を馬でエルサレムに運び、王室墓地に葬りました。
+
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+ ユダの民は、十六歳のウジヤを新しい王としました。
+ ウジヤは父アマツヤの死後、エラテの町を再建してユダに復帰させました。
+ 彼は五十二年間エルサレムで治めました。母はエコルヤで、エルサレム出身でした。
+ ウジヤは父アマツヤの足跡にならい、おおむね、主の目に良い王でした。
+ 神を畏れ敬うことを教えたゼカリヤが生きている間、ウジヤはいつも熱心に神を求めました。彼が主の道を歩んでいる間は神の祝福を受け、彼の王国は栄えました。
+ 王はペリシテ人と戦った時、ガテの町を占領して城壁を壊し、ヤブネとアシュドデの町々も同様にしました。それから、アシュドデとペリシテのほかの場所に新しい町を建てました。
+ 神はペリシテ人との戦いだけでなく、グル‧バアルのアラビヤ人との戦い、メウニム人との戦いでもウジヤ王を助けました。
+ アモン人はウジヤ王に、貢ぎ物を納めるようになりました。彼の勢力は強大になったので、その名声は遠くエジプトにまで伝わりました。
+ ウジヤは、エルサレムの隅の門、谷の門、それに城壁の曲がり角にやぐらを建てて補強しました。
+ また、ネゲブにも要塞を築き、水ためを幾つも掘りました。谷にも平地にも、多くの家畜の群れがいたからです。彼は土に親しむ人で、山の中腹やよく肥えた平野に、農園やぶどう畑をたくさん持っていました。
+ ウジヤ王は、書記官エイエルと補佐官マアセヤが作った割り当てにしたがって、軍隊を各部隊に編成しました。最高司令官はハナヌヤ将軍でした。
+ 二千六百人の勇敢な氏族の長が、各部隊を指揮しました。
+ 軍はえり抜きの三十万七千五百人の兵士で成っていました。
+ 王は全軍を盾、槍、かぶと、よろい、弓、石投げの石などで武装させました。
+ さらに、すぐれた技術者によって考案された、やぐらや城壁の角にある塔から矢や大きな石を打ち出す新兵器を、エルサレムで製造しました。主が彼に大きな力を貸したので、ウジヤ王の名は遠くまでとどろき知られるようになりました。
+ ところが、それに気をよくした王は思い上がり、ついに堕落への道を進み始めました。彼の神、主に対する罪を犯し、入ることを禁じられていた神殿の聖所に入って、祭壇の上で香をたこうとしたのです。
+ 祭司長アザルヤは勇敢な祭司八十人を従えて入って来て、口々に、王に出て行くように求めました。「王よ、香をたくことは王の仕事ではなく、アロンの子孫である祭司だけの仕事です。すぐ出てください。あなたは不法に侵入したのです。こんなことをするあなたに、主からの栄誉はありません。」
+ 真っ赤になって怒った王は、香炉を手放そうとしませんでした。しかしこの時、突然、ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)が彼の額に現れたのです。
+ アザルヤはじめ祭司たちは、これを見て、あわてて王を外に連れ出そうとしましたが、主に打たれたと知って、王はさすがに逆らおうとはせず、自分から出て行きました。
+ ツァラアトにかかった王は、死ぬまでずっと隔離された家に住み、人々にも神殿にも近づくことができませんでした。そのため、その子ヨタムが摂政となって王の職務を代行し、国を治めました。
+ ウジヤ王の治世の一部始終は、アモツの子、預言者イザヤが書き留めています。
+ ウジヤ王は、ツァラアトにかかったにもかかわらず、死んで王室墓地に葬られ、その子ヨタムが新しく王となりました。
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+ ヨタムは二十五歳で王となり、十六年間、エルサレムで治めました。母はエルシャといい、ツァドクの娘でした。
+ 彼は、おおむね良い模範を残した父ウジヤの信仰にならいましたが、神殿の聖所に入るようなことはしませんでした。にもかかわらず、民はますます堕落していきました。
+ ヨタム王は神殿の上の門を建て、また、神殿が建っていた丘の上の城壁を再建し、拡張しました。
+ ユダの山地にも町々を建て、森林地帯には要塞とやぐらを築きました。
+ アモン人と戦って勝った彼は、それからの三年間、彼らに百タラントの銀、小麦一万コル(二百三十万リットル)、大麦一万コルを貢ぎ物として納めさせました。
+ ヨタムは彼の神、主の道を踏みはずさないよう注意したので、勢力を増し加えました。
+ ヨタム王のその他の記録、彼の戦いや行いについては、『イスラエルとユダ諸王の年代記』に記されています。
+ 彼は二十五歳で王となり、十六年間エルサレムで治めたのち、
+ 死んでエルサレムに葬られ、その子アハズが新しく王となりました。
+
+
+ アハズは二十歳で王となり、十六年間エルサレムで治めました。彼は父祖ダビデとは違って、主の目にかなわない悪王でした。
+ イスラエルの王たちの悪い例にならって、バアルの偶像を拝んだのです。
+ 王はベン‧ヒノムの谷で盛大に偶像礼拝を行いましたが、香をたくだけにとどまらず、その谷で、主がイスラエルのために追放した異教徒のように、自分の子どもたちをいけにえとして火に投げ込んだのです。
+ それだけではありません。高台の偶像の宮や、すべての茂った木の下でいけにえをささげたり、香をたいたりもしました。
+ そういうわけで、主は、シリヤの王がアハズ王を打ち、国民の多くを捕虜としてダマスコへ引いて行くままにしました。イスラエル軍もユダに攻め入り、大損害を与えました。
+ たった一日で、レマルヤの子、イスラエルの王ペカは、ユダの勇士十二万人を殺したほどでした。彼らが父祖の神を捨てたからです。
+ エフライムの大勇士ジクリは、ユダの王子マアセヤ、宮内長官アズリカム、王の補佐官エルカナを殺しました。
+ イスラエル軍は、ユダの婦人と子ども合わせて二十万人を捕虜とし、たくさんの戦利品を手に入れて、サマリヤに帰りました。
+ しかし、サマリヤにいた主の預言者オデデが、帰って来たイスラエル軍を出迎えて、こう言いました。「あなたがたの父祖の神は、ユダを怒ってあなたがたの手にお渡しになった。ところが、あなたがたは、天も驚くほどの残忍さで彼らを手にかけた。
+ しかも、ユダとエルサレムから連れて来た人々を奴隷にしようとしている。そうやって、あなたがた自身も主に罪を犯しているのではないか。
+ 私の言うことを聞き、同胞であるユダの人々を家へ帰してやりなさい。そうでないと、主の燃えるような怒りがあなたがたにも下ることになる。」
+ エフライム族の長である、ヨハナンの子アザルヤ、メシレモテの子ベレクヤ、シャルムの子ヒゼキヤ、ハデライの子アマサも同じ意見でした。
+ 「捕虜を連れて来たら、主はお怒りになる。私たちの多くの罪に、さらにこの罪が加わる。もうこれ以上、神を煩わせてはならない。」
+ そこで兵士たちは、捕虜と戦利品のことは政治的指導者に任せることにしました。
+ 先に名を挙げた四人は、戦利品の中にあった多くの衣服を、捕虜の中で困っている婦人や子どもたちに配り、くつをはかせ、パンを食べさせ、ぶどう酒を飲ませました。また、病人や老人をろばに乗せて、なつめやしの町エリコにいる家族のもとへ送り届けました。それから、護送の任に当たった者たちはサマリヤに帰りました。
+ そのころ、エドム人がユダを侵略し、大ぜいの住民を奴隷として連れ去ったので、ユダの王アハズはエドム軍と戦うため、アッシリヤの王に援助を求めました。
+ 一方、ペリシテ人は低地の町々や南のネゲブに侵入し、ベテ‧シェメシュ、アヤロン、ゲデロテやソコ、ティムナ、ギムゾとそれぞれ周辺の村々を占領し、そこに住みつきました。
+ このようになったのは、ユダの民の信仰心を破壊し、主に不信の罪を犯したアハズ王のためでした。主はそのことを反省させようとしたのです。
+ しかし、アッシリヤの王ティグラテ‧ピレセルは、アハズ王を助けるどころか、かえって悩ますことになりました。
+ アハズ王は神殿の金や王宮の宝物を彼に贈りましたが、何の効果もありませんでした。
+ こうした大きな試練の中で、アハズ王はますます堕落に陥りました。
+ 彼は、自分を打ったダマスコの神々にいけにえをささげました。そうすればその神々が、シリヤの王を助けたように、自分たちをも助けてくれると思ったのです。しかし、代わりに、その神々はアハズ王とその民を堕落させただけでした。
+ 彼は神殿から金の鉢を取り出して切り刻み、神殿の扉に釘を打ちつけて、だれもそこで礼拝できないようにしたのです。また、エルサレムのあらゆる町かどに、異教の神々のための祭壇を築きました。
+ さらに、ユダの町という町でもすべて同じようにして、ついに父祖の神、主の激しい怒りを招きました。
+ アハズ王の生涯と行いは、『ユダとイスラエル諸王の年代記』にくわしく記されています。
+ 彼は死んでエルサレムに葬られましたが、王室墓地には入れられませんでした。代わってその子ヒゼキヤが新しく王となりました。
+
+
+ ヒゼキヤは二十五歳でユダの王となり、二十九年間エルサレムで治めました。母はゼカリヤの娘アビヤでした。
+ 彼の治世は、父祖ダビデがそうであったように、主の目にかなうものでした。
+ その第一年の第一の月、ヒゼキヤ王は神殿の扉を開けて、内部を修理しました。
+ それから、祭司とレビ人たちを神殿の東側の広場に呼び集めて言いました。「レビ人たち、聞きなさい。まず、あなたがた自身の身をきよめ、それから、あなたがたの父祖の神、主の神殿をきよめなさい。聖所から、ちりあくたをすべて掃き出しなさい。
+ というのも、私たちの父たちが主の前に大きな罪を犯し、主と神殿を捨て去り、それらに背を向けたからだ。
+ 神殿の扉は閉ざされ、絶やしてはならないともしびの火は消え、香もたかれず、焼き尽くすいけにえもささげられなかった。
+ それで、主の怒りがユダとエルサレムに下り、今も見るとおり、主は私たちを、恐れと驚きとあざけりの的となさったのだ。
+ 父は戦死し、妻子は捕虜になっている。
+ 私は、主の燃える怒りが去るように、イスラエルの神、主と契約を結びたいと思う。
+ さあみんな、これ以上、大切な務めを怠ってはならない。主はあなたがたを選んでご自分に仕えさせ、香をたく務めに任じてくださったのだから。」
+ そこでレビ人たちは、それぞれの務めに就きました。ケハテ氏族からはアマサイの子マハテとアザルヤの子ヨエル、メラリ氏族からはアブディの子キシュとエハレルエルの子アザルヤ、ゲルション氏族からはジマの子ヨアフとヨアフの子エデン、エリツァファン氏族からはシムリとエイエル、アサフ氏族からはゼカリヤとマタヌヤ、ヘマン氏族からはエヒエルとシムイ、エドトン氏族からはシェマヤとウジエル。
+ 彼らは次々に身内のレビ人を集め、まず自分自身の身をきよめてから、主に代わって語った王の命令どおり、宮きよめの仕事に取りかかりました。
+ 祭司たちが神殿の中をきよめ、その中にあった汚れたものや壊れたものを全部、神殿の庭に持ち出すと、レビ人がそれをキデロン川へ運びました。
+ これが始まったのは第一の月の一日(ユダヤ暦による。太陽暦では三月中旬)で、その月の八日には神殿の庭のきよめをすませ、さらに八日間にわたって神殿自体をきよめて、十六日に終わりました。
+ それから彼らは王宮に戻り、ヒゼキヤ王に報告しました。「ただ今、神殿のきよめを完了しました。焼き尽くすいけにえの祭壇と付属の器具、供えのパンの机と付属の器具も、すべてきよめました。
+ また、アハズ王が神殿を閉じた時に取り除いたすべての器具を整え、きよめました。みな祭壇のそばにあります。」
+ 翌朝早く、王は町の首長を従えて神殿に上りました。
+ その時、この国と神殿のためにささげる、罪の赦しのためのいけにえとして、雄の子牛七頭、雄羊七頭、子羊七頭、雄やぎ七頭が用意され、王はアロンの子孫である祭司に命じて、いけにえを主の祭壇にささげさせました。
+ 雄の子牛が殺されると、祭司はその血を取って祭壇に注ぎかけました。雄羊や子羊の場合も同じでした。
+ 罪の赦しのためのいけにえ用の雄やぎが、王と役人たちの前に引いて来られると、彼らはその雄やぎの上に手を置きました。
+ それから、祭司はこの雄やぎを殺し、血を祭壇に注いで罪の赦しのためのいけにえとし、王が命じたとおり、イスラエル全国民のために贖いをしました。焼き尽くすいけにえと罪の赦しのためのいけにえをイスラエル全国民のためにささげるように、王から指示してあったからです。
+ 王は、神殿に仕えるレビ人に、シンバル、琴、竪琴を持たせて管弦楽団を編成しました。これは主のことばを受けた、ダビデおよび預言者ガドとナタンの意向に従ったものでした。祭司はラッパによる吹奏隊を引き受けました。
+ そこで王は、焼き尽くすいけにえを祭壇にささげるよう命じました。いけにえをささげ始めると、シンバルや琴、竪琴がいっせいに賛美歌を演奏し、それに合わせてラッパが吹き鳴らされました。
+ この式が終わるまで、歌とラッパに合わせて、全会衆が主を礼拝しました。
+ いけにえをささげ終わると、王と側近たちは主を伏し拝みました。
+ それから王は、ダビデと預言者アサフの詩を主の前で歌うように、レビ人に命じました。彼らは喜んで主を賛美し、一同はひれ伏して礼拝しました。
+ そののち、ヒゼキヤは言いました。「きよめの儀式はこれで終了した。さあ、今度は、あなたがたの感謝のいけにえを持って来なさい。」そこで各地から集まった人々は、感謝のいけにえを持って来ました。中には進んで、焼き尽くすいけにえを持って来る人もいました。
+ 焼き尽くすいけにえは全部で、雄の子牛が七十頭、雄羊が百頭、子羊が二百頭でした。さらに聖なるささげ物として、牛六百頭、羊三千頭が加えられました。
+ ただし、焼き尽くすいけにえの用意をする祭司の手が足りなかったので、彼らの兄弟であるレビ人がその仕事をしました。このあとも彼らは、さらに多くの祭司が加えられるまで仕事を手伝いました。レビ人は、祭司よりも早く身をきよめて準備していたのです。
+ たくさんの焼き尽くすいけにえ、そのための注ぎのぶどう酒、それに、多くの和解のいけにえがありました。このようにして、神殿での奉仕が再開され、いけにえがささげられるようになりました。
+ ヒゼキヤとすべての民は、神がこのようにすばやく事を運んでくださったことを心から喜びました。
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+
+ ヒゼキヤ王は、全イスラエルとユダ、エフライム、マナセに手紙を送り、エルサレムの神殿に来て、年ごとの過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、ユダヤ人の三大祭の一つ。出エジプトを記念して守られるようになった)を祝うよう呼びかけました。
+ 王と王を支える人々、それにエルサレムの全会衆は、今回に限り、ひと月遅れの第二の月に祭りを祝うことを決めました。一月では、身をきよめた祭司がまだ足りず、また、通知する時間も足りなかったからです。
+ 王とその助言者たちはそれで完全に意見が一致したので、
+ ダンからベエル‧シェバまでイスラエル全土に過越の祭りを祝う布告を出し、だれであろうと招きました。決まりどおりに過越の祭りを祝う者が多くはなかったからです。
+ 王の手紙にはこう書かれていました。「アブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)の神、主に立ち返りなさい。そうすれば主は、アッシリヤの王たちの支配から逃れた私たちのところへ帰って来てくださる。
+ 父祖の神、主に罪を犯して滅びを招いた、あなたがたの父や兄弟のようになってはいけない。
+ 彼らのように強情を張ってはいけない。自分を主にささげ、主が永久にきよめた神殿に来て、あなたがたの神、主を礼拝しなさい。そうすれば、主の燃える怒りも去るに違いない。
+ あなたがたが主に立ち返るなら、捕虜となった兄弟や子どもたちも、連れて行かれた先であわれみを受け、再びこの地に戻ることができるだろう。主は思いやりにあふれた方だから、もしあなたがたが立ち返るなら、顔をそむけたままでおられることは決してない。」
+ こうして王の布告を伝える使者は、エフライムとマナセ、さらにゼブルンの地に至るまで、町から町へと回りましたが、ほとんどどこでも、冷笑とさげすみで迎えられました。
+ しかし、アシェル、マナセ、ゼブルンの部族のある者たちは主に心を向け、エルサレムへ上って来ました。
+ ユダでは、王と高官たちに命じられたように、主の示すことに従いたいという強い願いが、全国民のうちに起こりました。主がそのような願いを起こさせたのです。
+ 第二の月になると、人々は過越の祭りを祝うために続々とエルサレムに集まり、おびただしい群衆にふくれ上がりました。
+ 彼らはエルサレムにある異教の祭壇と香の祭壇を取り壊し、その残骸をキデロン川に捨てました。
+ そして、第二の月の十四日に過越の子羊をほふりました。祭司とレビ人は、自分たちが積極的でなかったことを恥じて身をきよめ、焼き尽くすいけにえを神殿に運びました。
+ それから、神の人モーセの律法で決められたとおり、そのおのおのの部署に就きました。祭司はレビ人から受け取った血を注ぎました。
+ エフライム、マナセ、イッサカル、ゼブルンから来た人々の多くはきよめの儀式を受けていなかったので、汚れたままでした。それでレビ人は、彼らのために過越の子羊をほふり、彼らをきよめました。それからヒゼキヤ王が彼らのために祈ったので、規則に反してはいたものの、彼らは過越のいけにえを食べることが許されたのです。王は祈りました。「恵み深い主よ。たとえ正しい手順できよめられていない者でも、父祖の神、主に従う決心をした者の罪をお赦しください。」
+ 主は王の祈りを聞き、彼らを滅ぼすようなことはしませんでした。
+ こうしてイスラエルの民は、七日間、エルサレムで過越の祭りを大きな喜びのうちに祝いました。その間、レビ人と祭司は毎日、シンバルなどに合わせて主をほめたたえました。
+ ヒゼキヤ王は、すぐれた音楽をもって仕えたレビ人に、感謝のことばを述べました。祝いは七日続き、和解のいけにえがささげられ、民は彼らの父祖の神、主に罪を告白しました。
+ 興奮が高まる中で、さらに七日間祝いを続けることが、全会一致で決められました。
+ 王は民にいけにえ用の雄の子牛千頭と羊七千頭を贈り、高官たちも雄の子牛千頭と羊一万頭を寄贈しました。多くの祭司たちは進み出て、身をきよめました。
+ ユダの民は、祭司やレビ人、寄留の外国人やイスラエルから来た人々と喜びを分かち合いました。
+ ダビデの子ソロモン王の時代からこのかた、エルサレムでこのように盛大に祭りが祝われたことはありませんでした。
+ 祭司とレビ人は立ち上がって民を祝福しました。彼らの祈りは、天の聖所の主に聞き届けられました。
+
+
+ そののち、偶像礼拝打破の大がかりな運動が始まりました。過越の祭りを祝うためにエルサレムに集まった人々は、ユダ、ベニヤミン、エフライム、マナセの町々へ行き、偶像の祭壇、石の柱、恥ずべき像、その他の異教の施設を壊しました。そのあと、北の諸部族から祭りに来ていた人々は、それぞれの家へ帰って行きました。
+ ヒゼキヤは、祭司とレビ人の組分けを決め、それぞれの奉仕に応じ、組ごとに、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげさせ、感謝し、賛美しながら奉仕に当たらせました。
+ またヒゼキヤは、律法に定められているとおり、朝ごと夕ごとにささげる焼き尽くすいけにえと、週ごとの安息日、月ごとの新月の祭り、年ごとの例祭にささげる焼き尽くすいけにえのために、自分の分は自身の私財から出しました。
+ さらに王は、エルサレムの住民に、祭司とレビ人のところへ十分の一のささげ物を持って来るよう命じました。祭司とレビ人がほかの仕事に就く必要がなく、律法で命じられているように、その務めに専念できるようにするためでした。
+ 人々はすぐにその命令に応じ、作物や穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油、金など、すべての収穫や収入の初物をたくさん持って来ました。山のように積まれたそれらは、律法によって神のものと定められた、自分が得たものの十分の一でした。北の諸部族の地方からユダに移って来た人も、エルサレムの近くに住む人も、牛や羊の十分の一と、彼らの神、主にささげられたものの十分の一を持って来て積み上げました。
+ これらのささげ物が最初にエルサレムに到着したのは三月で、積み上げが完了したのは七月でした。王と高官たちは、ささげ物の巨大な山を見た時、どれほど主をほめたたえ、民を祝福したことでしょう。
+ 「この山のようなささげ物は、どこから与えられたのか。」王は祭司とレビ人に尋ねました。
+ ツァドクの家の大祭司アザルヤが答えました。「みな十分の一のささげ物です。私たちはもう何週間も、ここから十分に頂いています。それでも、これだけ残っています。主がご自分の民を祝福してくださったからです。」
+ ヒゼキヤ王が神殿に倉庫を用意することにしたので、
+ ささげ物はすべて神殿に運び入れられました。運搬の責任者はレビ人カナヌヤで、兄弟シムイと次の人々が補佐しました。エヒエル、アザズヤ、ナハテ、アサエル、エリモテ、エホザバデ、エリエル、イスマクヤ、マハテ、ベナヤ。以上は、王と大祭司アザルヤに任命された人々です。
+ 東の門の門衛であったレビ人イムナの子コレは、ささげ物を祭司に分配する責任者になりました。彼を忠実に補佐したのがエデン、ミヌヤミン、ヨシュア、シェマヤ、アマルヤ、シェカヌヤで、彼らは、それぞれの町に住む祭司の家に、年齢の別なく等しく分配しました。
+ ただし、神殿の務めに就いている祭司とその家族には、神殿から直接に支給されました。彼らはこの分配の対象ではなかったのです。
+ 祭司は氏族ごとに、二十歳以上のレビ人も各自の奉仕の組ごとに、系図に載せられていました。規定に従って割り当てられた食糧が、系図に載せられた祭司の全家族に分配されました。彼らは時間と能力をすべて神殿の奉仕にあてていたので、ほかの収入源が全くなかったのです。
+ 祭司が一人ずつ、それぞれの町の祭司全員と、系図に載せられているレビ人全員とに食糧を配る責任者に立てられました。
+ このようにしてヒゼキヤ王は、主の前に正しく公平に、ユダ全国にささげ物を分配しました。
+ 王は、神殿に仕えることでも、律法を守って正しく生きることでも、心を尽くして励み、それを遂行しました。
+
+
+ ヒゼキヤ王のそのような良い働きがあってのち、アッシリヤの王セナケリブがユダに攻め込んで城壁のある町々を包囲し、貢ぎ物を納めさせようとしました。
+ エルサレムを攻撃しようとするセナケリブの意図がはっきりわかった時、
+ ヒゼキヤは王子や高官たちを集めて作戦会議を開き、町の外にある泉をふさぐことにしました。
+ そこで彼らは、大作業チームをつくり、すべての泉とともに、野を流れる川までもせき止め、「アッシリヤの王に、豊富な水を見つけさせてたまるか」と言いました。
+ 王はさらに防衛体制を強化するため、城壁のくずれていた箇所を修復したうえで、外側に第二の城壁を築きました。また、ダビデの町にミロの要塞を築き、大量の武器や盾を作りました。
+ そして、兵を補充し、隊長を任命して町の門の広場に召集し、彼らをこう激励したのです。
+ 「強く、勇敢でありなさい。アッシリヤの王とその軍勢を恐れてはならない。彼らよりもはるかに偉大な方がわれわれと共におられるのだ!
+ アッシリヤの王の率いる大軍は、ただの人間の集まりにすぎない。わが軍には、われわれのために戦ってくださる神、主がついておられるのだ!」そのことばによって、兵士たちは奮い立ちました。
+ アッシリヤの王セナケリブは、まだラキシュの町を包囲している最中でしたが、ヒゼキヤ王とエルサレムに使者を遣わし、次のように言わせました。
+ 「アッシリヤの王セナケリブは、こう言っておられる。『おまえたちは、わが軍のエルサレム包囲を免れると思っているのか。
+ ヒゼキヤは、おまえたちを城壁の中で死なせようとしているのだ。彼は、神がアッシリヤ王の手から救い出してくださるとうそぶいているが、おまえたちは飢えと渇きで死ぬに決まっている。
+ そもそも、すべての偶像を壊し、ユダとエルサレムの人々に、神殿にある祭壇の上でだけ香をたけと命じた張本人はヒゼキヤである。
+ いいか、私をはじめ歴代のアッシリヤの王が、いったん攻撃しようとした国を征服しなかったことは一度もない。征服された国の神々は、その国を救えなかったのだ!
+ いったい、どの神がどこで、われわれの攻撃を阻むことができたか。そんな例があったら、その神の名を挙げてみよ。それでも、おまえたちの神をあてにする気か。
+ ヒゼキヤにだまされるな。やつを信じるな。もう一度、はっきり言おう。どの国の神も、アッシリヤの王の手から国民を救えなかったのだ。おまえたちの神も例外ではない。』」
+ こう言うと使者は、主とそのしもべヒゼキヤをあざ笑い、さんざん悪態をつきました。
+ セナケリブはまた、次のような手紙を送ってイスラエルの神、主をあざけりました。「今までどの国の神々も、私の攻撃から自分の民を守ることができなかった。ヒゼキヤの神も同じである。」
+ 手紙を持って来た使者たちは、町の城壁の上にいたユダの人々に、ユダのことば(ヘブル語)で呼びかけました。彼らをおびえさせ、戦意を喪失させようとしたのです。
+ 彼らはエルサレムの神を、人の手で造った偶像にすぎない異教の神々の一つであるかのように語りました。
+ そこでヒゼキヤ王と、アモツの子の預言者イザヤは、天の神に祈り叫びました。
+ すると、主は一人の御使いを遣わして、すべての将校、将軍とともにアッシリヤ軍を全滅させたのです。セナケリブは面目をつぶされ、すごすごと国に引き揚げていきました。そのうえ、自分の国で神の宮に来たところを、実の息子たちに殺害されてしまったのです。
+ こうして主は、ヒゼキヤ王とエルサレムの人々とを救い出し、彼の全領土には平和が訪れました。
+ それ以来、ヒゼキヤ王は近隣の国々から大きな尊敬を集めるようになり、王への高価な贈り物とともに、主への多くのささげ物がエルサレムに送り届けられました。
+ そのころ、王は重い病気にかかりましたが、彼が主に祈った時、奇跡的に治りました。
+ ところが、彼は思い上がって、心からの感謝と賛美を神にささげませんでした。たちまち神の怒りが、王とユダ、エルサレムに下りました。
+ そこで、王とエルサレムの住民は高慢の罪を悔い改め謙遜になったので、主の憤りは去り、ヒゼキヤの在世中、二度と主の怒りは臨みませんでした。
+ こうして、ヒゼキヤ王は非常に富み、さらに多くの尊敬を受けるようになりました。王は宝物倉を建て、金、銀、宝石、香油、盾、金の鉢などを納め、
+ 食糧貯蔵庫も数多く造り、穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油を蓄えました。また、牛や羊、やぎなどの群れのために、小屋を幾つも建てました。神からばく大な富を与えられ、多くの町も手に入れました。
+ さらに、ギホンの上の泉をせき止めて水道を敷き、その水を、エルサレムにあるダビデの町の西側にまで引きました。彼のなしたことは、みなうまくいきました。
+ ヒゼキヤ王が奇跡的に治ったことを知ろうとバビロンから使節が遣わされて来た時、神は彼のするままにしておきました。彼がどのように振る舞うかを試すためでした。
+ ヒゼキヤ王のその他の業績、特に王が行ったすべての良いことは、アモツの子の預言者イザヤが書いた『イザヤの預言』と『ユダとイスラエル諸王の年代記』に記されています。
+ ヒゼキヤ王は死んで、丘の中腹にある王室墓地に葬られました。ユダとエルサレムのすべての人々は、王が死んだ時、心から王をたたえました。そして、その子マナセが新しく王となりました。
+
+
+ マナセが王となったのは十二歳の時で、五十五年間エルサレムで治めました。
+ ただし、それは主の目に悪とされることでした。イスラエルの民がこの地に入った時、主が滅ぼした異教の国々の偶像を求め、それを民に拝ませるようにしむけたのです。
+ 彼は、父ヒゼキヤ王が取り壊した異教の神バアルの祭壇を築き直し、恥ずべき偶像を造り、日や月や星を拝みました。
+ 事もあろうに、主を礼拝するはずの神殿の庭にまで異教の祭壇を築き、日や月や星を礼拝したのです。
+ また、彼らはベン‧ヒノムの谷で、わが子をいけにえとしてささげました。さらに、霊媒師や占い師、魔術師などに伺いを立て、ありとあらゆる悪を行って、主の激しい怒りを引き起こしました。
+ よりによって、神の神殿に偶像を置いたのですから。神はかつて、神殿について、ダビデとその子ソロモンに語りました。「わたしはこの神殿と、イスラエル全土からわたしが選んだエルサレムでほめたたえられる。
+ もしあなたがたが、わたしがモーセによって与えたすべての律法と定めに従うなら、あなたがたの先祖に与えたこの地から二度と追い出すようなことはしない。」
+ しかし、マナセはユダとエルサレムの人々をそそのかして、イスラエルの民がこの地に入った時に主が滅ぼした民よりももっと悪いことを行わせたのです。
+ 王も民も、主の警告をまったく聞こうとしませんでした。
+ そこで神はアッシリヤ軍を出動させ、ユダに攻め込ませました。アッシリヤ軍はマナセを鉤で引っかけて捕らえ、青銅の足かせにつないで車に乗せ、バビロンへ引いて行きました。
+ その時になって王はようやく本心に立ち返り、へりくだって神に助けを求めました。
+ 神はその願いを聞き入れ、彼の求めに答えて、マナセをエルサレムの自分の王国に戻しました。こうしてマナセは、主こそ神であることを知ったのです。
+ こののち、マナセ王はダビデの町の西の外側に城壁を築き直しました。その城壁は、キデロンの谷にあるギホンの泉の西側から魚の門にまで達し、ひときわ高く築き上げられた「とりでの丘」を取り巻いていました。また、ユダで城壁のある町にはすべて軍の司令官を配置しました。
+ さらに、外国の神々と偶像を神殿から取り除き、神殿が建っている山の上と、エルサレムに築いたすべての祭壇を取り壊し、町の外へ投げ捨てました。
+ それから、主の祭壇を築き直し、そのうえで和解のいけにえと感謝のいけにえをささげ、ユダの民に、イスラエルの神、主だけを礼拝するよう命じました。
+ それでもなお、民は高台の祭壇にいけにえをささげましたが、それは主に供えられたものでした。
+ マナセ王のその他の業績、王が神にささげた祈り、預言者たちを通しての神の答えについては、『イスラエル諸王の年代記』に記されています。
+ 王の祈りと、それが神に聞き届けられたこと、および悔い改める前に犯した罪や失敗についての報告は、預言者たちの言行録に包み隠さず記されています。その中には、王が偶像の宮を築いたり、恥ずべき像や刻んだ像を置いたりした場所が挙げてあります。
+ マナセ王が死んで宮殿の地下に葬られ、その子アモンが新しく王となりました。アモンは二十二歳で王となり、わずか二年間、エルサレムで治めました。
+ その治世は、父マナセ王の初期に劣らず悪いもので、父王が行っていたように、あらゆる偶像にいけにえをささげました。
+ しかも、父のようには態度を変えてへりくだることをせず、ますます大きな罪を犯しました。
+ そのため、ついに彼の家臣たちが宮殿の中で王を殺しました。
+ しかし、愛国心に燃えた民衆は、暗殺者をみな殺して、アモンの子ヨシヤを新しい王としました。
+
+
+ ヨシヤが王となったのはまだ八歳の時で、三十一年間エルサレムで治めました。
+ 彼は、先祖ダビデの良い模範にならおうと心がけ、すぐれた政治を行いました。
+ 十六歳になった治世の第八年には、ダビデの信じた神を熱心に求めるようになりました。その四年後には、ユダとエルサレムをきよめ始め、高台にある異教の祭壇や恥ずべき像を取り壊しました。
+ 王が陣頭指揮をとり、バアルの祭壇が取り壊され、その上にある柱がたたき折られ、偶像が粉々に砕かれて、この偶像にいけにえをささげた者たちの墓にまき散らされました。
+ また、異教の祭司たちの骨を彼らの祭壇で焼くことによって、ユダとエルサレムの住民を偶像礼拝の罪からきよめました。
+ それからヨシヤは、マナセ、エフライム、シメオン、さらに遠くナフタリにある町々にまで行って同じようにしました。
+ 異教の祭壇を取り壊し、偶像を粉々に砕き、石の柱を切り倒したのです。ヨシヤ王はイスラエル全土でこのようにしてから、エルサレムに戻りました。
+ 偶像を一掃し、神殿のある場所をきよめてのち、第十八年に、王は神殿を修理するため、アツァルヤの子シャファン、エルサレムの長マアセヤ、エホアハズの子で市の財務官ヨアフを任命しました。
+ 三人はさっそく、必要な献金を集めることにしました。献金は、神殿の入口で警備に当たるレビ人が集めました。エルサレムの住民はもちろん、マナセとエフライムから来た人々、および、その他の地方の者たちから寄せられた献金は、大祭司ヒルキヤに渡され、彼のもとで計算されました。
+ それからレビ人の手で、大工や石工への支払い、切り石、材木、つなぎ材、梁などの建築材料の購入にあてられました。こうしてヨシヤ王は、先のユダの王たちが荒らした神殿をりっぱに建て直したのです。
+ 職人たちは、工事監督、メラリ氏族のレビ人ヤハテとオバデヤ、ケハテ氏族のゼカリヤとメシュラムの指揮のもとでよく働きました。工事が進んでいる間、レビ人は、すぐれた音楽をもって士気を高めました。
+ ほかに、資材を職人のもとへ運ぶ労働者を監督するレビ人もいました。また別の者は、会計、管理、運搬の任に当たりました。
+ ある日、大祭司ヒルキヤが神殿の入口で集めた献金の額を記入していて、古い巻物を見つけました。なんとそれは、モーセに与えられた主の律法の書だったのです。
+ ヒルキヤは、王の書記官シャファンに言いました。「神殿で、こんなものが見つかりました。これは律法の書です。」シャファンは巻物を受け取ると、王のもとに携えて行き、まずは神殿再建の工事が順調に進んでいることを報告しました。
+ 「献金箱を開け、全額を計算した上で、必要な金額を監督と職人に渡しております。」
+ それから、彼は例の巻物を王に見せ、ヒルキヤがそれを発見したしだいを語り、王の前で朗読したのです。
+ その律法のことばが神の民に何を求めているかを知って、王は絶望のあまり衣を裂きました。
+ そして、ヒルキヤ、シャファンの子アヒカム、ミカの子アブドン、書記官シャファン、王の相談役アサヤを呼び、言い渡しました。
+ 「神殿に行って、私のために主にお願いしてくれないか。イスラエルとユダの残りの者のために、祈ってほしいのだ。この巻物によると、主の激しい怒りが下ったのは、私たちの先祖が、ここに記されている主のことばに従わなかったからだというのだ。」
+ そこで彼らは、ハスラの子トクハテの子シャルムの妻である女預言者フルダのもとへ行きました。シャルムは王の衣装係で、エルサレムの第二区に住んでいました。彼らが王の心配事を伝えると、
+ 彼女は答えました。「イスラエルの神、主はこう仰せです。『あなたがたを遣わした方にこう言いなさい。
+ わたしはこの町と住民を滅ぼす。その巻物に記されているのろいは、すべて実現しよう。
+ わたしの民がわたしを捨て、異教の神々を礼拝したので、わたしは怒りに燃えている。それゆえ、この地に注がれる主の憤りは決して消すことができない。』
+ このことで私に尋ねるため、あなたがたを遣わしたユダの王に、こう言ってください。『イスラエルの神、主のお告げです。
+ あなたが、この町と住民へのわたしのことばを聞いた時、心から悲しみ、神の前にへりくだって、絶望のあまり衣を裂き、わたしの前で泣いたので、あなたの祈りを聞き入れよう。
+ この町と住民に下すと言った災いを、あなたが死ぬまでは下さない。』」彼らはこの主のことばを王に報告しました。
+ すると王は、ユダとエルサレムの長老たちを残らず召集しました。
+ 祭司、レビ人、すべての民が、王とともに神殿へ行きました。王は、神殿で発見された、神の契約が書かれている巻物を読んで聞かせました。
+ それから彼らの前で、心を尽くし、精神を尽くして主の命令に従い、巻物に記されていることを行うという誓いを立てました。
+ また、エルサレムとベニヤミンにいるすべての者に、この神との契約に同意するよう求め、すべての者がそうしました。
+ こうしてヨシヤは、ユダヤ人が住む全地域から偶像を一つ残らず取り除き、すべての者に、彼らの神を礼拝するよう訴えました。それ以後、王が生きている間ずっと、民は父祖の神、主に仕えました。
+
+
+ さて、ヨシヤ王は第一の月の十四日に、エルサレムで過越の祭りを祝うとのおふれを出し、その日の夕方、過越の子羊がほふられました。
+ また、祭司の組分けを決めてその務めに就かせ、彼らを力づけて、再び神殿の奉仕に当たらせました。
+ それから、イスラエルの教師であるレビ人には、次の命令を出しました。「聖なる箱は、今はソロモンの神殿に置かれ、かついで、あちこちに持ち運ぶ必要はなくなった。だから、あなたがたの時間を、主と主の民に仕えるために用いなさい。
+ イスラエルの王ダビデとその子ソロモンの行った組分けに従って、父祖の家ごとに、神殿にささげ物を持って来る人々のために備え、
+ 過越の子羊をほふり、身をきよめ、そこに来る人々を助けなさい。すべて、モーセによって示された主の命令に従いなさい。」
+ 王は、民がささげる過越のいけにえのために、子羊と子やぎ三万頭、それに子牛三千頭を寄贈しました。
+ 高官たちも、祭司やレビ人のために進んで贈り物をしました。神殿の管理者であるヒルキヤ、ゼカリヤ、エヒエルは、祭司がささげる過越のいけにえとして、羊とやぎ二千六百頭、牛三百頭を贈りました。
+ レビ人の指導者であるカナヌヤ、その兄弟シェマヤとネタヌエル、それにハシャブヤ、エイエル、エホザバデは、レビ人がささげる過越のいけにえとして、羊とやぎ五千頭、牛五百頭を贈りました。
+ すっかり用意ができ上がり、祭司が所定の場所に立ち、レビ人が王の指示どおりの任務に就いた時、
+ レビ人の手で過越の子羊がほふられ、その血が祭司に渡されました。祭司が血を祭壇に注ぎかけると、レビ人はほふられた子羊の皮をはぎました。
+ 彼らは、モーセの律法に記されているとおり、焼き尽くすいけにえとしてささげる子羊の体を各部族の分に取り分けました。牛についても同じようにしました。
+ それから、定められたとおりに、過越の子羊を焼き、聖別されたささげ物を、深なべ、平なべ、かまで調理し、人々に食べさせるために急いで運びました。
+ そのあとで、自分たちと祭司の食事を用意しました。祭司は朝から晩まで、焼き尽くすいけにえと脂肪をささげるのに追われていたからです。
+ アサフの子孫に当たる歌い手たちは、数百年も前、ダビデ王、アサフ、ヘマン、王の預言者エドトンに指示されたとおり自分の持ち場についていました。門衛たちもそれぞれの門を守っていましたが、食事は同族のレビ人が用意して届けてくれたので、持ち場を離れる必要がありませんでした。
+ こうして、ヨシヤ王が指示したとおり、すべての焼き尽くすいけにえが主の祭壇でささげられ、過越の全儀式はその日のうちに終わりました。
+ エルサレムに来ていた人々は過越の儀式を守り、それに続く七日間、パン種(イースト菌)を入れないパンを食べる祭りが行われました。
+ 預言者サムエルの時代からこのかた、これほど多くの祭司やレビ人、エルサレムとユダの全地、さらに遠くイスラエルの地から集まって来た人々が加わった、盛大な過越の祭りが祝われたことはありませんでした。イスラエルのどの王も、この点ではヨシヤ王に及びませんでした。
+ このことがあったのは、ヨシヤ王の第十八年のことでした。
+ そののち、エジプトの王ネコが、ユーフラテス川沿いの町カルケミシュでバビロニヤ軍と戦うため、大軍を率いて来ました。そこでヨシヤは、ネコを迎え撃とうとして出陣しました。
+ しかし、ネコ王は使者を立て、こう言ってよこしました。「ユダの王よ、あなたとは戦いたくありません。こうして攻めて来たのは、アッシリヤ王を助けるためです。黙って行かせてください。神が私に、早く行けと命じておられるのです。私と共におられる神に逆らうのはおよしなさい。さもないと、神があなたを滅ぼします。」
+ それでもヨシヤは引き返そうとせず、王服を脱ぎ、敵に気づかれないように変装をしたうえ、軍を率いて戦場となるメギドの谷へ向かいました。彼は、ネコ王の言ったことが神から出ていることを信じようとしなかったのです。
+ すると、敵の射手が放った矢がヨシヤ王に命中し、致命傷を負わせました。王は側近の者に、「早く戦場から連れ出してくれ」と叫びました。
+ そこで、彼らは王を戦車から別の車に移し、エルサレムへ連れ帰りました。ヨシヤ王はエルサレムで死に、王室墓地に葬られました。ユダ全国とエルサレムの民は、その死を悼んで喪に服しました。預言者エレミヤは王のために哀歌を作り、神殿の歌い手たちはそれを歌いました。今日まで、彼らはなおヨシヤの死について悲しみの歌を歌っています。それが『哀歌』に記されているからです。
+ ヨシヤ王のその他の業績、王が主の律法に忠実に生きたことは、
+ 『イスラエルとユダ諸王の年代記』に記されています。
+
+
+ そののち、ヨシヤの子エホアハズが新しい王に選ばれました。
+ エホアハズは二十三歳で王となりましたが、在位期間はわずか三か月間でした。
+ エジプトの王は彼を王位から退け、ユダに銀百タラント(三千四百キログラム)と金一タラントの年貢を課しました。
+ それからエジプトの王は、エホアハズの兄弟エルヤキムをエホヤキムと改名させ、ユダの新しい王にしました。一方、退けられたエホアハズは、捕虜としてエジプトへ連れて行かれました。
+ エホヤキムは二十五歳で王となり、十一年間エルサレムで治めましたが、主の目に悪を行いました。
+ ついに、エルサレムはバビロンの王ネブカデネザルに占領され、エホヤキムは鎖につながれてバビロンに引いて行かれました。
+ ネブカデネザルはまた、神殿から金の鉢やその他の器具を持ち出し、バビロンにある彼の神殿に移しました。
+ エホヤキム王のその他の業績、主の前に行った悪のすべては、『ユダ諸王の年代記』に記されています。そして、彼の子エホヤキンが新しく王となりました。
+ エホヤキンは十八歳で王となりましたが、在位期間はわずか三か月と十日でした。しかもその政治は、主の目には悪そのものでした。
+ 翌年の春、彼はネブカデネザルから呼び出され、神殿の多くの宝物とともにバビロンへ連れて行かれました。ネブカデネザルは、エホヤキンの兄弟ゼデキヤを、ユダとエルサレムの新しい王に任命しました。
+ ゼデキヤは二十一歳で王となり、十一年間エルサレムで治めました。
+ 彼もまた、主の目に悪を行いました。主のことばを語る預言者エレミヤの勧めを聞こうとしなかったからです。
+ ゼデキヤはネブカデネザルに忠誠を誓いながら、一方では反逆を企てました。非常に強情で、イスラエルの神、主に従おうとしませんでした。
+ 大祭司をはじめ国の指導者もみな、周辺の国々の異教の偶像を礼拝し、エルサレムにある神殿を汚して、平気な顔をしていました。
+ 彼らの父祖の神、主は、再三再四、預言者を遣わして、警告を与えました。ご自分の民と神殿を深く思いやったからです。
+ しかし、人々は神から遣わされた使者をばかにし、警告を無視し、預言者たちをさんざん侮辱しました。もはやこれ以上、主の怒りをとどめることができない、回復できない状態に陥りました。
+ そこで主は、バビロンの王を彼らのもとに攻め上らせたので、彼は若い男たちを神殿に押し込めて切り殺し、若い女や老人までも、容赦なく殺しました。主はバビロンの王を用いて、彼らを完全に滅ぼそうとしたのです。
+ 彼らは神殿で使われていた大小の器具を、神殿と宮殿から持ち出した宝物とともにバビロンに持ち帰りました。また、すべての王子たちも連れ去りました。
+ それから、バビロン軍は神殿に火を放ち、城壁を片っぱしから取り壊し、王宮を焼き払い、神殿で使われていためぼしい器具を残らず破壊しました。
+ 生き残った者はバビロンへ捕らえ移され、ペルシヤ王国がバビロンを征服する時まで、バビロンの王と王子たちに仕える奴隷となりました。
+ こうして、エレミヤの語った主のことばは現実となりました。この地は、民が安息(安息年。七年に一度休耕し、土地を休ませる)を守らなかった年月を埋め合わせるため、七十年間の休息を必要としたのです。
+ ペルシヤの王クロスの第一年(前五三八年)に、主はクロス王の心を動かして、帝国中に次のような勅令を出させました。「地のすべての王国を私に賜わった天の神、主は、ユダの地にあるエルサレムにご自分の神殿を建てよと、私にお命じになった。主の民である者はみな、神殿建設のためにイスラエルへ帰るがよい。主が共におられるように。」これもまた、預言者エレミヤの語った預言の成就でした。
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+ ペルシヤ王クロスの治世の元年に、主はエレミヤの預言を実現するために、クロス王の心を動かし、彼によって帝国中に公文書をもって次のようなおふれを出させました。
+ 「ペルシヤ王クロスはここに布告する。広大な領土を私にお与えくださった天の神は、今、私にユダのエルサレムに神殿を建てよとお告げになった。
+ わが帝国にいるユダヤ人は直ちにエルサレムへ帰り、イスラエルとエルサレムの神、主の神殿を建てるがよい。あなたがたの上に主の祝福があるように。
+ 帰還しない者は帰還する者の費用を負担し、衣服、旅費、旅じたくの費用を援助するようにせよ。そして、神殿建築のためにも、進んでささげ物をささげよ。」
+ こうして、ユダ族とベニヤミン族の指導者たち、祭司やレビ人たちは、神に心を駆り立てられ、神殿の再建を目指して、すぐにエルサレムへの帰途につきました。
+ ペルシヤに残ることにした人々はみな、帰る者への援助を惜しまず、彼らに神殿へのささげ物を託しました。
+ クロス王自身も、ネブカデネザルがエルサレムの神殿から持って来て自国の神殿に納めていた金の鉢や高価な祭具類を寄贈しました。
+ 彼は宝物係ミテレダテにそれらを確認させたのち、引き揚げ団の指導者シェシュバツァル(ゼルバベル)の手に渡しました。
+ その目録は次のとおりです。金の皿三十枚、銀の皿千枚、香炉二十九点、金の鉢三十個、種々のデザインの銀の鉢四百十個、その他の用具一千点。
+ それらを含め全部で五千四百点の金銀の用具が、シェシュバツァルの手でエルサレムに持ち帰られることになりました。
+
+
+ 次に示すのは、ネブカデネザルによって捕らえられ、バビロンに移された人々の子孫の中で、エルサレムや他のユダの町々へ帰還した者の名簿です。
+ 指導者――ゼルバベル(シェシュバツァル)、ヨシュア、ネヘミヤ、セラヤ、レエラヤ、モルデカイ、ビルシャン、ミスパル、ビグワイ、レフム、バアナ。氏族別の帰還者数は次のとおり。
+ パルオシュ氏族、二、一七二名。シェファテヤ氏族、三七二名。アラフ氏族、七七五名。ヨシュアとヨアブの子孫パハテ‧モアブ氏族、二、八一二名。エラム氏族、一、二五四名。ザト氏族、九四五名。ザカイ氏族、七六〇名。バニ氏族、六四二名。ベバイ氏族、六二三名。アズガデ氏族、一、二二二名。アドニカム氏族、六六六名。ビグワイ氏族、二、〇五六名。アディン氏族、四五四名。ヒゼキヤ氏族、すなわちアテル氏族、九八名。ベツァイ氏族、三二三名。ヨラ氏族、一一二名。ハシュム氏族、二二三名。ギバル氏族、九五名。ベツレヘムの男子、一二三名。ネトファの男子、五六名。アナトテの男子、一二八名。アズマベテの男子、四二名。キルヤテ‧アリム、ケフィラ、ベエロテの男子、七四三名。ラマとゲバの男子、六二一名。ミクマスの男子、一二二名。ベテルとアイの男子、二二三名。ネボの男子、五二名。マグビシュ氏族、一五六名。別のエラム氏族、一、二五四名。ハリム氏族、三二〇名。ロデ、ハディデ、オノの男子、七二五名。エリコの男子、三四五名。セナアの男子、三、六三〇名。
+ 帰還した祭司は次のとおり。ヨシュアの家系のエダヤ氏族、九七三名。イメル氏族、一、〇五二名。パシュフル氏族、一、二四七名。ハリム氏族、一、〇一七名。
+ 帰還したレビ人は以下のとおり。ホダブヤ氏族の、ヨシュアとカデミエルの二族、七四名。聖歌隊員のアサフ氏族、一二八名。門衛のシャルム氏族、アテル氏族、タルモン氏族、アクブ氏族、ハティタ氏族、ショバイ氏族、合計一三九名。
+ 以下は神殿奉仕者。ツィハ氏族、ハスファ氏族、タバオテ氏族、ケロス氏族、シアハ氏族、パドン氏族、レバナ氏族、ハガバ氏族、アクブ氏族、ハガブ氏族、サルマイ氏族、ハナン氏族、ギデル氏族、ガハル氏族、レアヤ氏族、レツィン氏族、ネコダ氏族、ガザム氏族、ウザ氏族、パセアハ氏族、ベサイ氏族、アスナ氏族、メウニム氏族、ネフシム氏族、バクブク氏族、ハクファ氏族、ハルフル氏族、バツルテ氏族、メヒダ氏族、ハルシャ氏族、バルコス氏族、シセラ氏族、テマフ氏族、ネツィアハ氏族、ハティファ氏族。
+ ソロモン王臣下の家系の人々は次のとおり。ソタイ氏族、ソフェレテ氏族、ペルダ氏族、ヤラ氏族、ダルコン氏族、ギデル氏族、シェファテヤ氏族、ハティル氏族、ポケレテ‧ハツェバイム氏族、アミ氏族。
+ 神殿奉仕者とソロモン王臣下の家系の者は、合計三九二名。
+ 時を同じくして、ペルシヤのテル‧メラフ、テル‧ハルシャ、ケルブ、アダン、イメルなどからも、エルサレムに帰った人々がいました。ところが、系図をなくしてしまっていたので、彼らが生粋のイスラエル人かどうかは明らかではありませんでした。
+ その数は、デラヤ族、トビヤ族、ネコダ族など、総勢六五二名。
+ 祭司の氏族のうち、ホバヤ氏族、コツ氏族、バルジライ氏族〔ギルアデ人バルジライの娘を妻に迎えたことから、この名で呼ばれた〕も帰還しましたが、
+ この人々も系図を紛失していたので、祭司職を差し止められました。それで、ウリムとトンミム(神意を伺う一種のくじ)で調べ、実際に祭司の子孫かどうかが判明するまでは、いけにえのうち祭司の食糧となる分も与えられませんでした。
+ こうして、総勢四万二、三六〇名がユダへ帰りました。このほか、男女の奴隷七、三三七名と、男女の聖歌隊員二〇〇名もいっしょでした。
+ また、馬七三六頭、らば二四五頭、らくだ四三五頭、ろば六、七二〇頭もいました。
+ 指導者たちは神殿再建のため、率先してささげ物をささげました。
+ それぞれの力に応じてささげられた金品は、金六万一千ダリク(五一八キログラム)、銀五千ミナ(二、八五〇キログラム)、祭司の長服百着でした。
+ このようにして、祭司やレビ人をはじめ一部の民はエルサレムおよび周辺の村々に住みつき、歌い手、門衛、神殿奉仕者たちは、ほかの人々とともに故郷の町へと帰って行ったのです。
+
+
+ 第七の月(ユダヤ歴による。太陽暦では九月)になると、帰還者たちはめいめいの故郷から、エルサレムに集まって来ました。エホツァダクの子ヨシュアは、仲間の祭司やシェアルティエルの子ゼルバベル、およびその氏族の者とともに、神の人モーセの律法に記されているとおり焼き尽くすいけにえをささげるために、イスラエルの神の祭壇を築きました。
+ 祭壇を元の位置にすえ、さっそく、朝ごと夕ごとに焼き尽くすいけにえをささげました。人々は周囲の国々からの攻撃を恐れていたからです。
+ 彼らはモーセの律法どおり仮庵の祭りを守り、祭りの間は毎日、定められた焼き尽くすいけにえをささげました。
+ このほか、安息日、新月の祝い、種々の例祭のため、それぞれ定められた品々をささげました。また、人々の自発的なささげ物もささげられました。
+ 祭司が主にいけにえをささげ始めたのは、第七の月の一日でした。まだ神殿の土台が築かれる前のことです。
+ 次いで彼らは、石工や大工を雇い、ツロやシドンからは杉材を買いつけ、食料品、ぶどう酒、オリーブ油などを代金にあてました。レバノン山から切り出された杉材は、クロス王の許可を得て、地中海沿岸を海路ヨッパまで運ばれました。
+ 実際に神殿再建が開始されたのは、エルサレムに帰還した翌年の第二の月のことでした。すべての帰還者たちはゼルバベル、ヨシュア、およびその仲間の祭司やレビ人の指揮のもとで働き続けました。二十歳以上のレビ人は現場監督にあたり、
+ この大事業の総責任は、ヨシュア、カデミエル、ヘナダデはじめ、その子や親族が負うことになりました。みな、レビ人でした。
+ 神殿の土台が完成した時、ダビデ王の定めた様式にのっとって、祭司は祭服を着てラッパを吹き鳴らし、アサフの子孫はシンバルを打ち鳴らして、主を賛美しました。
+ 彼らは神をたたえ、感謝する歌を歌いました。「主はすばらしい。その愛と恵みは、とこしえまでもイスラエルに。」これを受けて、民はみなが大声で賛美し、土台の完成を喜びました。
+ しかし、ソロモン時代の壮麗な神殿を知っている祭司、レビ人、指導者など多くの年長者は、声を上げて泣きました。
+ 歓喜とも悲嘆ともつかない叫び声が遠くまでとどろき渡りました。
+
+
+ ユダとベニヤミンに敵対する人たちは、この神殿再建のことを聞きつけると、
+ ゼルバベルや、ほかの指導者たちを訪ねて来て、こう切り出しました。「あなたがたの神様のことなら、私たちも放ってはおけない。ひとつ、手伝わせてくれないか。私たちも、アッシリヤ王エサル‧ハドンの手で、ここに住むようにされて以来、神様にいけにえをささげてきたのだから。」
+ しかし、ゼルバベルやヨシュアをはじめ指導者たちは、口をそろえて断りました。「いや、それには及びません。イスラエルの神様の神殿は、クロス王の命令のとおり、イスラエル人の手で再建すべきです。」
+ すると、その地の住民は使いを立ててクロス王に偽りの報告書を送り、イスラエル人の気をくじこうとしたり、脅したりしました。さらに、議官を買収して計画に反対させ、再建中止に追い込もうとまでしました。この種の妨害は、クロス王の時代からダリヨス王の治世まで、やむことがありませんでした。
+ のちに、アハシュエロス王が即位すると、彼らはユダとエルサレムの人々を非難する手紙を送りました。
+ そして、アルタシャスタ王の時代にも同じことが行われ、ビシュラム、ミテレダテ、タベエルらの一味がアラム語で手紙をしたため、それが翻訳されて王に差し出されたのです。
+ この件にかかわった者は、行政官レフム、書記官シムシャイ、数名の裁判官、各地方の役人、ペルシヤ人、バビロニヤ人、エレク人、シュシャンの人々、
+ そのほか、大王オスナパルによって、エルサレムやサマリヤ、ユーフラテス川西方の地域に移住させられた諸国の民でした。
+ そのアルタシャスタ王へあてた手紙とは、次のようなものでした。「ユーフラテス川の向こう側に住む忠実なしもべたちが、ごあいさつ申し上げます。
+ 恐れながら、あなたの国から帰国したユダヤ人たちは、エルサレムの復興を図っております。この町がいかに反抗的で邪悪であったかは、歴史の証明するところです。すでに城壁が築かれ、神殿の土台も補修されました。
+ しかし、町の再建はあなたのためにはならないとご承知おきください。ユダヤ人が納税を拒否するのは目に見えております。
+ 私どもはあなたのおかげで安らかに暮らせるのです。こんなことでご威信が傷つくのを見て、どうして黙っていられましょう。それで、こうしてお耳に入れようとしたしだいです。
+ なにとぞ、古い文書をお調べください。この町が過去にどれほど反抗的であったか、また事実、支配下に収めようとした王や国の手にかみつくような騒ぎばかりを起こし続けたため、ついに滅ぼされてしまったことをおわかりいただけると存じます。
+ 万一この町が復興し、城壁が完成したが最後、もはやユーフラテス川の西方の領土はないものと、おあきらめいただかなければならないでしょう。」
+ 王からは、行政官レフム、書記官シムシャイ、そのほかサマリヤおよびユーフラテス川西方に住む、主だった人々に返書が送られました。
+ 「あなたがたの手紙は読ませてもらった。
+ 記録も調べさせた。確かにエルサレムは、歴代の王に対して暴動の温床となり、反抗や騒乱が日常化した町であることがわかった。
+ また同時に、かつてエルサレムでは偉大な王たちが君臨し、ユーフラテス川西方の全地域を治め、ばく大な貢ぎ物、関税、税金を手にしていたこともわかった。
+ そういうわけで、さらに詳細な調査を終えるまで、町の再建の中止を命じることにする。
+ 手遅れになって、事態の収拾も危ぶまれるようにはならないよう、くれぐれも気をつけよ。」
+ 王の手紙に目を通したレフムとシムシャイはエルサレムへ急行し、武力で強引に再建作業を中止させました。
+ 結局、工事はペルシヤ王ダリヨスの第二年まで中断されたのでした。
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+ 当時、エルサレムとユダには、ハガイと、イドの子ゼカリヤという二人の預言者がいました。二人は神からのことばを携えてゼルバベルとヨシュアを訪ね、工事を再開するよう励ましました。こうした預言者たちの応援があって、再び工事が始まりました。
+ すると、ユーフラテス川西方地域の総督タテナイとシェタル‧ボズナイ、その同僚たちが直ちにエルサレムに駆けつけ、とがめだてました。「だれが神殿再建と城壁の補修を許可したのだ。」
+ 彼らは、工事に携わっている者全員の名簿を提出するよう要求しました。
+ しかし、主が事態を見守っていたので、敵が力ずくで工事を中断させにかかるようなことはなく、ダリヨス王が真相を確かめて決断を下すまで、作業は続けられました。
+ 総督タテナイ、シェタル‧ボズナイやほかの高官たちからのダリヨス王にあてた手紙は、次のとおりです。
+ 「ダリヨス王に大いなる平安がありますように。
+ このたび、ユダの神の神殿の工事現場を見回りましたところ、巨大な石が積まれ、壁には木材が組まれておりました。工事は急ピッチで進み、順調のようです。
+ そこで、『だれの許可を得てやっているのか』と指導者たちに問いただし、
+ 王にご報告するため、名簿を提出せよと言いました。
+ すると、彼らはこう答えるのです。『私たちは天地の神のしもべであり、イスラエルの偉大な王が何百年も昔にここに建てた神殿の復興を図っています。
+ のちに、先祖たちは神の怒りを買い、見捨てられました。神はネブカデネザルの手で神殿を破壊させ、人々をバビロンに捕らえ移させたのです。』
+ 彼らは、バビロンの王クロスの元年に、王が神殿再建の命令を下された、と主張するのです。
+ 何でも、ネブカデネザルがエルサレムの神殿からバビロンの神殿に持って行った金銀の器を、クロス王が返されたそうです。王自らユダの総督に任命したシェシュバツァル(ゼルバベル)が、これらの祭具をエルサレムへ持ち帰り、神殿を復興する命令を受けたと申すのです。
+ 帰国したシェシュバツァルは、エルサレムに神殿の土台をすえました。それ以来、工事は続いていますが、まだ完成してはおりません。
+ どうか、バビロン王室の書庫を調べ、はたしてクロス王がそのような命令を下していたかどうか、お確かめいただきたいのです。そのうえで、本件に関するご指示をお聞かせください。」
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+ ダリヨス王は、文書が保管してあるバビロンのあらゆる書庫を調べさせました。
+ その結果、メディヤ州のアフメタ城内で記録が発見されました。それには、こう記されていたのです。
+ 「クロス王の治世の元年に、エルサレムの神殿に関する命令が出された。かつてユダヤ人がいけにえをささげていたその神殿を再建し、基礎をしっかり築き直すようにというものである。神殿の高さは六十キュビト(二十六‧四メートル)、幅も六十キュビトである。
+ 土台は巨大な石の層三段、最上層は木材を用いること。経費はすべて王が負担する。
+ ネブカデネザルが持って来た金銀の祭具はエルサレムに戻し、元どおり神殿に安置すること。」
+ そこでダリヨス王は、総督タテナイ、シェタル‧ボズナイはじめ、ユーフラテス川西方の高官たちに、次のような手紙を送りました。「神殿工事を中止させてはならない。元どおりに再建させなさい。
+ ユダヤ人の総督と工事責任者たちの妨害をしてはならない。
+ むしろ、あなたがたの領地で徴収される税から、遅滞なく費用を支払うよう命じる。
+ エルサレムの祭司たちのためには、焼き尽くすいけにえに使う若い雄牛、雄羊、子羊を調達してやること。また、小麦、ぶどう酒、塩、オリーブ油も毎日怠りなく与えること。
+ そうして、彼らが天の神の喜ぶ供え物をささげられるようにして、私やわが子のために祈るようにさせよ。
+ この命令を少しでも変えようとする者があれば、その家から梁を引き抜き、その者をかける絞首台とし、その家を取りつぶす。
+ エルサレムの町をお選びになった神は、もしこの命令を破り、神殿を破壊しようとする王がいれば、その国を滅ぼさずにはおかない。私は命じる。万全の注意を払って、この命令を守るようにせよ。」
+ 総督タテナイ、シェタル‧ボズナイたちは、直ちにダリヨス王の命令に従いました。
+ ユダヤ人指導者たちは預言者ハガイやゼカリヤの語ることばに大いに励まされて工事を続けました。神の命令と、ペルシヤ王クロス、ダリヨス、アルタシャスタの布告どおり、ついに神殿が完成しました。
+ それは、ダリヨス王の第六年、第十二の月の三日でした。
+ 祭司、レビ人をはじめ、すべての者が神殿の奉献を祝いました。
+ 雄牛百頭、雄羊二百頭、子羊四百頭がいけにえとしてささげられ、雄やぎ十二頭がイスラエル十二部族の罪の赦しのためのいけにえとしてささげられました。
+ そして祭司とレビ人は、モーセの律法にのっとってさまざまな奉仕の班に組み分けされ、神に仕えることになりました。
+ 第一の月の十四日には過越の祭りが祝われました。
+ すでに、多くの祭司やレビ人が献身を新たにしていたからです。
+ また、ユダ在住の外国人の中には、彼らの不道徳な習慣と縁を切り、イスラエル人とともに主を礼拝する者もいました。人々は国をあげて過越のいけにえを食し、七日間にわたって種なしパンの祭りを祝いました。アッシリヤ(直接にはペルシヤ)の王がイスラエルに寛大な態度を示し、神殿の再建に当たって力を貸したので、国中が喜びにあふれていました。
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+ ここに、ペルシヤ王アルタシャスタの時代にバビロンからエルサレムに帰還した、エズラという人の系図があります。エルアザル――ピネハス――アビシュア――ブキ――ウジ――ゼラヘヤ――メラヨテ――アザルヤ――アマルヤ――アヒトブ――ツァドク――シャルム――ヒルキヤ――アザルヤ――セラヤ――エズラ。エルアザルの父は祭司のかしらアロンです。
+ エズラはユダヤの宗教的指導者にふさわしく、主がイスラエルの民に与えたモーセの律法に精通していました。彼は神に祝福されていたので、王にエルサレム帰還を願い出て許されました。
+ 同行者には、祭司、レビ人、聖歌隊員、門衛、神殿奉仕者などのほか、一般人も大ぜい含まれていました。一行は、アルタシャスタ王の第七年、第一の月にバビロンを発ち、その年の第五の月にはエルサレムに着きました。主が旅の間も彼を守っていたからです。
+ エズラは、主の律法を学んで実行し、教師となってイスラエル中に律法を教え広めようと心に決めていました。
+ 主のおきてと戒めを学んでいる祭司エズラに、アルタシャスタ王は次のような手紙を送りました。
+ 「王の王アルタシャスタから、祭司であり、天の神の律法の教師であるエズラへ。
+ わが国内のユダヤ人は、祭司であろうとレビ人であろうと、だれでもあなたとともにエルサレムへ戻ってよい。
+ 王および七人の議官は、あなたが主の律法の写しをユダ、つまりエルサレムへ持ち帰り、宗教面での進展ぶりを報告するよう命じる。
+ また、われわれがイスラエルの神にささげたいと思っている金銀をエルサレムに届けるようにも命じる。
+ そのほか、国中のユダヤ人や祭司が進んでささげる金銀も集めて帰るがよい。
+ これらの献金は、まず、いけにえ用の雄牛と雄羊と子羊、また、穀物とぶどう酒のささげ物を買いそろえるために用い、エルサレムに着いたら、それらすべてを神殿の祭壇にささげてほしい。
+ 残金の使い道は、あなたやあなたの同胞の考えに任せる。神の御心に添うように用いるがよい。
+ また、われわれが神殿に奉納する金の器や、祭具類も持って行きなさい。
+ どうしても神殿再建の資金が不足する場合には、王室の宝物倉から調達してもよい。
+ 私はユーフラテス川西方のすべての財務担当者に、次のように命じよう。『祭司であり、天の神の律法を説く教師であるエズラの要請があれば、何でも提供しなさい。
+ 銀は百タラント(三百四十キログラム)まで、小麦は百コル(二十三キロリットル)まで、ぶどう酒は百バテ(二千三百リットル)まで、塩はいくらでも与えてよろしい。
+ 神殿再建に必要なものは何でも提供するのだ。神の御怒りが王や王子たちに下るといけないから。
+ 祭司、レビ人、聖歌隊員、門衛、神殿奉仕者、そのほか神殿で働く者には税金を課してはならない。』
+ エズラよ、神から授かった知恵を働かして、ユーフラテス川西方の裁判官や行政官を任命しなさい。人々が主の律法を知らない場合は、教えてやりなさい。
+ 主の律法や王の法律に従わない者は即刻、死刑、流刑、財産没収、禁固などの刑を科しなさい。」
+ ああ、私たちが代々信じてきた神はすばらしい方です。主は王に働きかけ、エルサレムの神殿は美しさを取り戻しました。
+ また、王や七人の議官、王室の実力者の居並ぶ前で、私にあのような栄誉をお与えくださいました。私の神、主が共にいてくださったので、私は高い地位を与えられました。それで、いっしょにエルサレムへ帰ろうと指導者たちを説得することができたのです。
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+ アルタシャスタ王の時代に、私とともにバビロンから帰った指導者の名前と家系は次のとおりです。
+ ピネハスの一族ではゲルショム。イタマルの一族ではダニエル。ダビデの子孫シェカヌヤの一族ではハトシュ。パルオシュの一族ではゼカリヤと、同行の男子百五十名。パハテ‧モアブの一族ではゼラヘヤの子エルエホエナイと、同行の男子二百名。ザトの一族ではヤハジエルの子シェカヌヤと、同行の男子三百名。アディンの一族ではヨナタンの子エベデと、同行の男子五十名。エラムの一族ではアタルヤの子エシャヤと、同行の男子七十名。シェファテヤの一族ではミカエルの子ゼバデヤと、同行の男子八十名。ヨアブの一族ではエヒエルの子オバデヤと、同行の男子二百十八名。バニの一族では、ヨシフヤの子シェロミテと、同行の男子百六十名。ベバイの一族ではベバイの子ゼカリヤと、同行の男子二十八名。アズガデの一族ではカタンの子ヨハナンと、同行の男子百十名。アドニカムの一族では帰国が遅れたエリフェレテ、エイエル、シェマヤと、同行の男子六十名。ビグワイの一族ではウタイ、ザクルと、同行の男子七十名。
+ 私たちはアハワ川に集合し、そこにキャンプを張って三日間過ごしました。その間に、民と祭司の名簿を調べましたが、レビ人は一人も見当たりませんでした。
+ そこで、指導者のエリエゼル、アリエル、シェマヤ、エルナタン、ヤリブ、エルナタン、ナタン、ゼカリヤ、メシュラムらを呼び集めました。知恵者として定評のあるエホヤリブとエルナタンにも来てもらいました。
+ そして彼らに、カシフヤにいるユダヤ人指導者イドのもとへ出向いてもらい、イドやその兄弟、また神殿奉仕者たちに、エルサレムの神殿で働く祭司を送ってくれるように頼んだのです。
+ その結果、神の恵みで、傑出した祭司シェレベヤと、その子や兄弟たち十八名が来ることになりました。シェレベヤは非常に思慮深い人で、レビの子、イスラエル(ヤコブ)の孫に当たるマフリの子孫です。
+ 神はこのほか、ハシャブヤと、メラリの子孫エシャヤとその子、兄弟を二十名、
+ また神殿奉仕者二百二十名を遣わしてくださいました。神殿奉仕者とは、ダビデ王が制定した神殿で働く者の階級で、レビ人を補佐するように任命された者です。これら二百二十名は、それぞれ名前が記録に残されています。
+ さていよいよ、私はアハワ川のほとりで断食を命じ、一人一人が神の前に謙虚になるよう勧めました。そして、これからの道中の無事と家族や持ち物の安全を神に祈りました。
+ 道中の敵を恐れて、警護の兵や騎兵をつけるよう王に願い出たりするのは恥だと考えたからです。というのも、かねてから王には、私たちの神を礼拝する者はだれでも守られ、災難は神をないがしろにする者にだけ下ると申し上げていたからです。
+ そこで、私たちは断食して、神の守りを願い求めました。すると神は祈りに答えてくださいました。
+ 私は、祭司の中から十二人をリーダーに任命しました。シェレベヤ、ハシャブヤ、そのほか十名です。
+ この人たちには、銀、金、金の器や他の用具などの管理をしてもらうことにしました。このほか、王、議官、長官たち、それに国民がささげた品々の管理を任せました。
+ 彼らに託す際に金品を量ったところ、銀六百五十タラント(約二万二千キログラム)、銀の器類百タラント(三千四百キログラム)、金百タラント、金の器が二十点で一千ダリク(八‧四キログラム)あることがわかりました。このほか、金にも劣らないほど美しい青銅の器が二点ありました。
+ 私はまず、神の前で彼らを特別にこの仕事に任じ、次に、備品類や金品など、進んでささげられた宝物の数々を神のものとしてきよめました。
+ 「エルサレムに着くまでしっかり守りなさい。向こうに着いたら、一品たりとも欠けることなく、祭司、レビ人、イスラエルの長老たちに渡しなさい。神殿の宝物倉に納めるものだからです。」
+ 祭司やレビ人たちは、神殿まで守り通す務めを引き受けました。
+ こうして、一行がアハワ河畔のキャンプをたたみ、エルサレム目指して出発したのは第一の月の十二日のことでした。道中、神は敵や盗賊からお守りくださいました。
+ こうして、私たちは何事もなく、エルサレムに着くことができたのです。
+ 到着して四日目、祭司ウリヤの子メレモテ、ピネハスの子エルアザル、ヨシュアの子エホザバデ、ビヌイの子ノアデヤらは金銀や高価な品々を量って、確認しました。この人たちはレビ人でした。
+ 一つ一つについて受領書が作成され、金銀の重さが書き留められました。
+ それから、私たち一行は焼き尽くすいけにえをささげました。イスラエルのために雄牛十二頭、雄羊九十六頭、子羊七十七頭を、罪の赦しのためのいけにえに雄やぎ十二頭をささげました。
+ また王の手紙は、軍司令官とユーフラテス川西方の総督たちに渡され、彼らも神殿再建のために援助をしました。
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+ ところが、そんなある日、ユダヤ人の指導者たちが訪ねて来て、驚くべき報告をしました。ユダヤ人の中には、この地に移り住んだ異教徒のカナン人、ヘテ人、ペリジ人、エブス人、アモン人、モアブ人、エジプト人、エモリ人などの忌むべき風習に染まっている者が多くいるというのです。
+ イスラエル人が異教徒の女と結婚し、息子たちにも異教徒の嫁をとらせていました。聖なる神の民は、こうした結婚によって堕落していたのです。しかも、その張本人が指導者たち自身でした。
+ これを聞いて、あまりのことに私は着物を裂き、髪もひげも引き抜き、打ちのめされた思いで座り込んでしまいました。
+ すると、イスラエルの神を恐れる多くの者が、人々の罪のことで私のもとにやって来て、夕方のささげ物の時まで、私のそばを離れようとしませんでした。
+ とうとう私は、どうしたらよいかわからないまま主の前に出ました。そして、ひざまずき、主に向かって両手を差し伸べ、
+ 叫びました。「ああ神様、なんと申し上げたらよいのでしょう。恥ずかしくてとても顔向けできません。私たちの罪は背丈よりも高く積もり、悪行は天空のように際限なく広がっています。
+ 私どもの歴史はすべて罪の歴史であり、歴代の王や祭司が異教徒の王の手で葬られたのもこのためです。そのあげく捕囚の身となり、略奪をほしいままにされ、はずかしめを受けました。ごらんのとおりです。
+ しかし、あなたは今、しばしの平和を与えてくださいました。私たち少数の者が捕囚からエルサレムに戻ることをお許しになったのです。奴隷の身に、しばしの喜びと新しいいのちを与えてくださいました。
+ 確かに、私たちは奴隷でした。しかし、愛と恵みに富むあなたはそのまま見捨ててはおかず、ペルシヤの王たちが私たちに好意を抱くようにしてくださったのです。彼らは神殿の再建事業を助け、エルサレムをユダの要塞の町として認めてくれました。
+ それにもかかわらず、神様、こんなことになってしまい、なんと申し上げたらよろしいのでしょう。またしても、あなたを捨て、律法を破ってしまいました。
+ 私たちの国は、ここに住んでいた民の忌むべき風習によってすっかり汚れていると、預言者たちが警告していました。この地は端から端まで腐りきっています。
+ だからこそ、娘は土着の者と結婚してはならず、息子は土着の娘を妻に迎えてはならない、ささいなことでもこの地の国々とかかわってはならないと、あなたはお命じになっていたのです。そうすれば、国は繁栄し、永久にその富を子孫に伝えることができると約束してくださいました。
+ かつて、私たちの犯した罪の重さに比べてずっと軽い罰とはいえ、捕囚という罰を受けたにもかかわらず、
+ こうして帰国してみれば、またまたあなたの命令に背き、忌むべきことを行う民と結婚しています。今度こそ、このひと握りの生き残りの者さえも、あなたの怒りによって滅ぼし尽くされることでしょう。
+ ああ神様、神様の正しさでさばかれれば、御前に立つこの罪の身に、ひと筋の希望もあろうはずがありません。」
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+ ふと気がつくと、神殿の前にひれ伏して涙ながらに祈り、告白をしている私エズラの回りを、男や女、子どもまでもが幾重にも取り囲み、いっしょに泣いていました。
+ エラム族のエヒエルの子シェカヌヤが、まず口火を切って私に言いました。「私たちは神様に背信の罪を犯し、異教徒の女と結婚してしまいました。けれども、まだ希望はあります。
+ 私たちは異教徒の妻と離縁し、子どもたちも手放すと、神様の前で約束します。あなたや、神を恐れる人々のご命令に従います。律法を守り行います。
+ どうか力を奮い起こし、これからどうすればよいか指示してください。何でも、おっしゃるとおりにいたします。」
+ そこで私は立ち上がり、祭司、レビ人および全イスラエルの指導者に、シェカヌヤのことばどおり実行すると誓ってほしいと呼びかけました。だれもがうなずきました。
+ そのあと、私は神殿のヨハナンの部屋に入り、飲食をしないで過ごしました。捕囚から帰還した人々の罪を悲しんだからです。
+ すぐにユダとエルサレムに布告が出されました。だれでも三日以内にエルサレムに出頭すること、出頭を拒む者は財産を没収され、追放されるという内容のものでした。
+ それで、三日以内の第九の月の二十日には、ユダとベニヤミンの男子は全員やって来て、神殿の広場に座りました。彼らは事の重大さと、折りからの大雨のために震えていました。
+ 私は立ち上がり、こう宣言しました。「異教徒の女と結婚したあなたがたは、罪を犯したのです。かつてないほど深刻な、神様の責めを受けています。
+ 父祖の神、主に罪を告白しなさい。そして、そのご命令どおりにしなさい。回りにいる異教徒や女たちに近寄ってはなりません。」
+ すると、人々はいっせいに立ち上がりました。「おっしゃるとおりにします。
+ ただ、一日、二日で処理できる事柄でもありません。大ぜいがこの罪深い事件にかかわってしまったからです。雨も激しいので、これ以上ここに立っていられませんが、
+ 指導者を通して、お取り調べください。異教徒の妻をめとった者は、所定の時に町の長老や判事を伴って出頭いたします。こうすれば、個々の事例に判決を下し、万事速やかに解決できます。神様の激しい御怒りも、やがて静まるでしょう。」
+ 異議を申し立てたのは、アサエルの子ヨナタンとティクワの子ヤフゼヤ、メシュラム、レビ人シャベタイだけでした。
+ 結局、この件は次のように処理されました。裁判官には氏族の指導者数名と私エズラが任命され、第十の月の一日から第一の月の一日まで調査を続けました。次に挙げるのは、異教徒の女をめとった祭司の名前です。一同は妻と離縁すると誓い、罪過を認めて、雄羊をいけにえとしてささげました。マアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダルヤ。
+ イメルの子ハナニとゼバデヤ。
+ ハリムの子マアセヤ、エリヤ、シェマヤ、エヒエル、ウジヤ。
+ パシュフルの子エルヨエナイ、マアセヤ、イシュマエル。ネタヌエル、エホザバデ、エルアサ。
+ レビ人のうちでは、エホザバデ、シムイ。ケリタとも呼ばれるケラヤ、ペタヘヤ、ユダ、エリエゼル。
+ 歌い手ではエルヤシブ。門衛ではシャルム、テレム、ウリ。
+ 一般市民では、パルオシュ氏族のラムヤ、イジヤ、マルキヤ、ミヤミン、エルアザル、マルキヤ、ベナヤ。
+ エラム氏族では、マタヌヤ、ゼカリヤ、エヒエル、アブディ、エレモテ、エリヤ。
+ ザト氏族では、エルヨエナイ、エルヤシブ、マタヌヤ、エレモテ、ザバデ、アジザ。
+ ベバイ氏族では、ヨハナン、ハナヌヤ、ザバイ、アテライ。
+ バニ氏族では、メシュラム、マルク、アダヤ、ヤシュブ、シェアル、ラモテ。
+ パハテ‧モアブ氏族では、アデナ、ケラル、ベナヤ、マアセヤ、マタヌヤ、ベツァルエル、ビヌイ、マナセ。
+ ハリム氏族では、エリエゼル、イシヤ、マルキヤ、シェマヤ、シメオン、ベニヤミン、マルク、シェマルヤ。
+ ハシュム氏族では、マテナイ、マタタ、ザバデ、エリフェレテ、エレマイ、マナセ、シムイ。
+ バニ氏族では、マアダイ、アムラム、ウエル、ベナヤ、ベデヤ、ケルフ、ワヌヤ、メレモテ、エルヤシブ、マタヌヤ、マテナイ、ヤアサイ、バニ、ビヌイ、シムイ、シェレムヤ、ナタン、アダヤ、マクナデバイ、シャシャイ、シャライ、アザルエル、シェレムヤ、シェマルヤ、シャルム、アマルヤ、ヨセフ。
+ ネボ氏族では、エイエル、マティテヤ、ザバデ、ゼビナ、ヤダイ、ヨエル、ベナヤ。
+ 以上が異教徒の女をめとった者たちです。その多くが妻との間に子どもがありました。
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+ ハカルヤの子ネヘミヤの記録――ペルシヤのアルタシャスタ王の時代、第二十年の第三の月のこと、私はシュシャンの宮殿で王に仕えていましたが、
+ そこにハナニという名の同胞が、ユダヤから来た人々といっしょに訪ねて来ました。この時とばかり、私はエルサレムの様子を尋ねてみました。「捕囚の地からエルサレムに戻った人々は元気にやっていますか。」
+ 「実は、大変な目に会っています。城壁はくずされたまま、門も焼き払われたままです。」
+ 私はそれを聞いて、座りこんで泣きました。そしてそれから何日も断食して、天の神にひたすら祈り続けました。
+ 「ああ、主なる神様。あなたを愛し、あなたに従う者に対して約束されたことを果たし、愛と思いやりを示してくださる、畏れかしこむべき神様。どうか、この祈りをお聞きください。
+ 私の訴えに耳を傾けてください。夜も昼もイスラエル国民のために祈っている私に、目を留めてください。確かに私たちは罪を犯しました。あなたがあなたのしもべモーセによってお与えくださった戒めを破るという恐ろしい罪を犯してしまったのです。
+ しかし神様。あなたはモーセに、こうお語りになったではありませんか。『もしあなたがたが罪を犯すなら、わたしはあなたがたを国々に散らす。
+ しかし、わたしのもとに立ち返り、わたしのおきてに従うなら、たとえ地の果てからでも、あなたがたをエルサレムへ連れ戻そう。エルサレムこそ、わたしが住む場所として選んだ地だからだ。』
+ 私たちはあなたに仕える者です。あなたの偉大な御力によって救われた国民です。
+ 主よ、どうか私の祈りを聞き入れてください。神様を敬うことを喜びとする者の祈りに、耳を傾けてください。王のもとに行き、嘆願をしますので、どうかお助けください。王が寛容な処置をしてくれるよう、王の心に働きかけてください。」当時、私は王の献酌官(王に酌をする重要な官吏)をしていました。
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+ それから四か月ほどたった第七の月のある日、私が王にぶどう酒をついでいると、王が私に話しかけました。「浮かない顔をしているが、具合でも悪いのか。何か大きな悩みでもあるのか。」私はその時まで、王の前ではいつも明るく振る舞うようにしていました。私はとても怖くなりましたが、こう答えました。
+ 「王様、どうして悲しまずにいられましょう。先祖たちの眠る町が廃墟となり、門も焼け落ちたままなのです。」
+ 「そうか。では何をしてやればよいのか。」私は短く天の神に祈ってから答えました。「もし、王様のお心にかなって、お許しいただけますなら、私をユダに遣わし、先祖たちの町を再建させてください。」
+ 「どのくらいかかるのだ。いつ戻って来るのか。」王は私に尋ねました。王のかたわらには王妃が座っていました。王が承諾してくれたので、私はさっそく出発の日取りを決めました。
+ このほかにも、私は王に願い事を申し出ました。「もしよろしければ、ユーフラテス以西の総督あてに手紙を書いて、ユダに行く途中、それぞれの総督が治める地方を通らせてくれるよう、お命じになってください。
+ また、王室の森林管理人アサフに手紙を書いて、材木を提供するようお命じになってください。神殿付近の城門の梁と、城壁と、私の住まいを建てるために必要なのです。」神の深いお恵みのおかげで、願いはかなえられました。
+ ユーフラテス川西部の地方に着くと、私は総督たちに王の手紙を渡しました。王が私に警護の将校と騎兵をつけてくれていたことも言っておかなければなりません。
+ ところが、私がユーフラテス川の西の地方に来たことを知り、腹を立てた人物がいました。ホロン人サヌバラテと、アモン人の役人トビヤです。この二人は、イスラエルに手を貸そうとする者の存在が許せなかったのです。
+ エルサレムに着いて三日後の夜、私はほんの数人だけを連れて、こっそり外に出ました。神が私の心に示してくれたエルサレムに関する計画のことは、誰にも話していなかったからです。私はろばに乗り、ほかの者は徒歩で進みました。
+ 谷の門を通り、竜の泉に向かい、糞の門まで行き、崩れた城壁、焼け落ちた門を調べました。
+ 次いで、泉の門と王の池へ向かいましたが、瓦礫のせいで、ろばの通れる場所がありませんでした。そこで、町の回りを巡り、流れに沿って進み、城壁を調べて、再び谷の門から中に入りました。
+ 町の役人たちは、私が出かけたことはもちろん、私のしようとしていることも知りませんでした。この計画のことは、政府や宗教関係の要人にも、実際の工事に当たる人々にも、まだ話していなかったのです。
+ しかし、時が来たので、私は人々に呼びかけました。「この町はごらんのとおりの惨状です。荒れ果てたまま、門も焼け落ちたままです。さあ、エルサレムの城壁を再建しようではありませんか。この恥ずべき事態を解決しましょう。」
+ 私は、神が抱かせてくれた願いや、王との話し合い、そして王が許可してくれた計画について話しました。人々はすぐに反応してくれました。「それはよかった。さあ、城壁を建て直しましょう。」こうして、工事が始まったのです。
+ ところが、この話を耳にしたサヌバラテやトビヤ、アラブ人ゲシェムたちは、あざ笑って言いました。「やれやれ、いったい何をしようというのだ。王に反逆するつもりか。」
+ しかし、私は答えました。「天の神様がお助けくださいます。神様にお従いしている私たちは、必ずこの城壁を再建することができるでしょう。あなたがたには関係のないことです。」
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+ 大祭司エルヤシブはじめ祭司たちは、メアのやぐらとハナヌエルのやぐらまでの城壁を再建し、次に羊の門を再建して扉を取りつけ、それを奉献しました。
+ その隣はエリコ出身の者たちが引き受け、続いてその向こうはイムリの子ザクルの組が工事を担当しました。
+ 魚の門はセナアの子らが築き、梁、扉、かんぬき、横木の取りつけなど、すべての作業を行いました。
+ コツの孫でウリヤの子メレモテは、それに続く城壁を再建し、その隣は、メシェザブエルの孫でベレクヤの子メシュラムが、さらにバアナの子ツァドクが担当しました。
+ 次の部分にはテコア出身の者が工事に当たりましたが、身分の高い人々は怠けて手伝いませんでした。
+ エシャナの門はパセアハの子エホヤダと、ベソデヤの子メシュラムが修理し、梁、扉、かんぬき、横木を取りつけました。
+ その続きは、ギブオン出身のメラテヤと、メロノテ出身のヤドン、それに、ほかの管轄領の住民であるギブオンとミツパの人たちが引き受けました。
+ ハルハヤの子で金細工人のウジエルも、城壁の工事を行いました。その続きは、香料作りの職人ハナヌヤが受け継ぎ、広い城壁のところまで修理しました。
+ 続いて、フルの子で、エルサレム半区の区長をしていたレファヤが工事に当たりました。
+ ハルマフの子エダヤは自宅付近の城壁を修理し、ハシャブネヤの子ハトシュが続きを受け持ちました。
+ ハリムの子マルキヤと、パハテ‧モアブの子ハシュブは、城壁の続きと炉のやぐらを修理しました。
+ ロヘシュの子シャルムとその娘たちが、続きの部分の修理に当たりました。シャルムはエルサレムの残り半区の区長です。
+ ザノアハ出身の人々は、ハヌンの監督のもとで谷の門を再建し、扉、かんぬき、横木を取りつけ、続いて、糞の門までの城壁五百メートルを修理しました。
+ 糞の門は、レカブの子マルキヤが修理しました。マルキヤはベテ‧ハケレム地区の区長です。糞の門ができ上がると、扉、かんぬき、横木が取りつけられました。
+ ミツパ地区の区長である、コル‧ホゼの子シャルンは、泉の門を修理しました。シャルンは門ができ上がると、屋根をふき、扉、かんぬき、横木を取りつけました。続いて、シロアムの池から王の庭まで、つまりエルサレムのダビデの町から下る石段までの城壁を修理しました。
+ 続いて、ベテ‧ツル半区の区長である、アズブクの子ネヘミヤは、ダビデ王の墓地と人工貯水池、勇士たちの家までの城壁を修理しました。
+ その続きは、バニの子レフムの指導のもとにレビ人の一団が奉仕しました。続いて、ケイラ半区の区長ハシャブヤが監督して、自分の地区の城壁を再建しました。
+ その続きは、ケイラの残り半区の区長で、ヘナダデの子バワイに率いられた一族が、再建しました。
+ そのあとの仕事は、ミツパの残り半区の区長である、ヨシュアの子エゼルの監督下に進められ、武器庫のある城壁の曲がり角の部分まで行われました。
+ 次に、ザカイの子バルクが、城壁の曲がり角から大祭司エルヤシブの家までの城壁を再建しました。
+ コツの孫でウリヤの子メレモテは、エルヤシブの家の門から家の端までの部分の城壁を再建しました。
+ そのあとを、町の外の平地に住む祭司たちが受け継ぎ、
+ 続いて、ベニヤミン、ハシュブ、アナネヤの孫でマアセヤの子アザルヤらが、それぞれ自宅付近の工事を受け持ちました。
+ 次にヘナダデの子ビヌイが、アザルヤの家から次の角までの城壁を築きました。
+ ウザイの子パラルは、そこから、監視の庭に面する宮殿の高いやぐらまでの区画を受け持ちました。続いて、パルオシュの子ペダヤが引き受けました。
+ オフェルに住む神殿奉仕者の一団は、東の水の門と突き出ているやぐらまでの城壁を修理しました。
+ 続いてテコア人が、その城のやぐらに面する部分からオフェルの城壁までを修理しました。
+ 馬の門からあとは祭司たちが、それぞれ自宅に面する区画を修理しました。
+ イメルの子ツァドクは、自宅付近の城壁を再建しました。そのあとは、東の門の門衛で、シェカヌヤの子シェマヤが引き受けました。
+ 続いて、シェレムヤの子ハナヌヤ、ツァラフの六男ハヌン、ベレクヤの子メシュラムらが、それぞれ自宅付近の城壁を築きました。
+ 金細工人マルキヤは、召集の門に面する神殿奉仕者や商人たちの集会所、つまり角の二階の部屋までを修理しました。
+ そこから羊の門までは、ほかの金細工人や商人たちが完成させました。
+
+
+ サヌバラテは、城壁の再建が進んでいるのを知って、憤慨しました。怒りに燃えて私を大声でののしったり、あざ笑ったりしました。サヌバラテの友人やサマリヤ軍の将校も、そこに加わりました。「この惨めったらしいユダヤ人は、何をしているつもりなのか。いけにえをささげさえすれば、一日で城壁ができ上がると思っているようだ。見るがいい。瓦礫の中から、焼けこげた石を引っぱり出しているあの姿を。」
+ サヌバラテのかたわらではトビヤが、「きつねが一匹乗っかっただけでも崩れそうだ」と悪態をつきました。
+ 私は祈りました。「主なる神様、お聞きください。私たちは侮辱されています。どうか、あのあざけりを、そっくりそのまま、あの者たちの頭上に返してください。あの者たちにも、外国に囚われの身となる思いを味わわせてください。
+ 神様があの者たちの罪に目をつぶったり、罪を消し去ったりすることがありませんように。神様の城壁を再建している私たちを侮辱するのは、神様を侮辱するのと同じなのです。」
+ 誰もが一生懸命に工事をしたおかげで、高さは以前の半分でしたが、ついに全市を囲む城壁が完成しました。
+ サヌバラテ、トビヤ、アラブ人、アモン人、アシュドデ人たちは、工事が順調に進み、城壁の破損箇所の修理も終わったと聞くと、腹わたが煮えくり返る思いでした。
+ 彼らは直ちに軍隊を出動させ、エルサレムに暴動と混乱を引き起こそうと企てました。
+ 私たちは神に祈り、自らの身を守るため、昼も夜も警戒に当たりました。
+ ところが指導者の内にも、不満をもらす者が現れてきました。彼らは言いました。「働く者が疲れきってしまった。瓦礫が多すぎて、自分たちだけでは処理することなどできない。」
+ 敵はその間、力ずくで工事をやめさせようと、奇襲をしかけて私たちを皆殺しにする計画を着々と進めていました。
+ 敵はまた、近くの町や村から来た者が自分たちの町や村に戻るたび、エルサレムには戻らないようにそそのかしました。
+ 私は、城壁のうしろの空地に、各家族ごとに武装した者を配置しました。
+ 私はこのような情況を踏まえ、指導者や国民を集めて、こう言いました。「恐れてはなりません。神様は偉大で、恵み深いお方ではありませんか。さあ戦うのです。友のため、家族のため、家のために。」
+ 敵は、陰謀が神によってあばかれて私たちに知らされ、失敗に終わったことを知りました。今や、私たちは一丸となって城壁工事を再開しました。
+ しかし、そのようなことがあってから、工事に取りかかる者は半数にし、残り半数は背後で警戒に当たらせることにしました。
+ 石工や力仕事の者は、手の届く所に武器を用意しておいたり、
+ 剣を腰につけたりして工事を進めました。私のそばには、ラッパで警報を吹き鳴らす者を配置しました。
+ 「工事は広範囲にわたり、私たちは互いに離れた場所で仕事をしている。だから、ラッパが鳴ったら急いで私のもとに集合するのだ。神様が味方して戦ってくださることを忘れてはならない。」
+ 私たちは、朝は日の出から、夕べは日没まで働きました。半数の者はいつも警戒に当たりました。
+ 郊外に住む者には、市内への移転を命じました。そうすれば、その雇い人たちは昼間働くだけでなく、夜間の警戒にも当たることができるからです。
+ この期間中、私も、兄弟も、召使たちも、いっしょにいた護衛も洗濯するとき以外は服を脱がず、いつも武器を持ち歩いていました。
+
+
+ このころ、暴利を貪っている金持ちに対して、子どもを持つ親たちから、激しい抗議の声が上がりました。
+ 事の起こりは、食べ物を買う金のなくなった家で、金持ちに子どもを売ったり、畑やぶどう園や家を抵当に入れたりする事態が生じてきたことです。税金を払うために限度いっぱいまで借金をして、売るものもなくなってしまった者もいました。
+ 人々は、「彼らは私たちの同胞ではないか。彼らの子どもは、私たちの子どもも同然だ。それなのに、生きていくために、子どもを奴隷に売らなくてはならないとは。もはや売った娘を買い戻す金もなく、畑も抵当に取られてしまった」と訴えました。
+ この抗議を聞いて、私は非常な憤りを感じました。
+ しばらく考えたのち、裕福な官僚たちを厳しく責めることにしました。「いったい、君たちのやってることは何だ。イスラエル人を助ける条件として、抵当を取るなど、そんなことがよくもできたものだ。」そして、彼らの処分をするため、みなの前で裁判を開きました。
+ 私はその法廷で、彼らを告発しました。「私たちはみな、遠い国での奴隷生活から引き揚げて来た者たちを援助しようと、できるだけのことをしてきた。それに対して、君たちは無理やり彼らを奴隷に戻そうとしている。私はいったい何度、彼らを買い戻せばよいのか。」彼らは、全く反論することができませんでした。
+ 私は続けました。「君たちのしていることは、非常に恐ろしいことだ。いったい、神様を恐れる気持ちがあるのか。回りには、私たちを滅ぼそうとすきをうかがう敵がうごめいているではないか。
+ 君たち以外の者はみな、同胞のユダヤ人には、利子を取らずに金や穀物を貸してやっているのだ。こんな高利貸しのようなまねはやめなさい。
+ 畑、ぶどう園、オリーブ園、家をみな返し、証文を破りなさい。」
+ 彼らはうなずき、土地を抵当に取ったり、子どもを売らせたりしないで同胞を助けると約束しました。そこで私は、祭司たちを召集し、正式に誓わせました。
+ 約束を破った者には神からのろいが下るように、とも祈りました。「もしこの誓いを破ったら、神が君たちの家と暮らしを破綻させてしまわれるように。」人々は全員「アーメン」と叫んで、主をほめたたえました。金を持っている者たちは誓いを実行に移しました。
+ 私についていえば、アルタシャスタ王の治世の第二十年から三十二年までの十二年間、ユダの総督を務めましたが、その間、副官ともどもイスラエル人からは、一銭も給料や援助を受け取りませんでした。
+ 前任の総督は、食糧とぶどう酒、一日銀四十シェケルの手当を要求し、配下の者もやりたい放題で、住民をしいたげました。しかし神を恐れる私は、そのようなことはしませんでした。
+ 私はひたすら城壁の工事に励み、土地の投機に手を出すことなど、絶対にしませんでした。部下たちにも、工事に専念するよう命じました。
+ そのうえ、百五十人のユダヤ人の役人の食いぶちは私がまかない、ほかに外国からの客のもてなしもしていたのです。
+ 一日につき、雄牛一頭、肥えた羊六頭。また、おびただしい鶏が必要で、十日ごとに種々のぶどう酒も用意しました。それでも、新たに課税することはしませんでした。そうでなくても、国民の生活は苦しかったからです。
+ 神様、この民に対して私のしたことをお心に留め、私を祝福してください。
+
+
+ 城壁工事は余すところ、門の扉を取りつけるだけとなりました。サヌバラテ、トビヤ、アラブ人ゲシェムをはじめとする敵どもは、工事もほぼ完成したと聞くと、
+ 手紙をよこして、オノ平野にある村で会見したいと言ってきました。それは私を殺す陰謀だと感づいたので、
+ 私は次のような返事を送り返しました。「まだ、この大事業は終わっていない。中途で放って、そちらへ出向くわけにはいかない。」
+ 彼らはしつこく、四度も同じ手紙をよこしたので、そのつど、同じように答えました。
+ 五度目に、サヌバラテの使いは、次のような文面の、封のしていない手紙を持って来ました。「ゲシェムによると、行く先々で、こんなうわさが耳に入るそうだ。ユダヤ人は、反逆するために城壁を再建しているのだと。おまえは、王になろうとたくらんでいるそうではないか。
+ それに、エルサレムでは預言者を任命し、『ネヘミヤこそ、われわれに必要な人物だ』と言わせているとか。このことは、必ずアルタシャスタ王の耳に入れる。こちらに来るがよい。話し合う余地は十分にある。それしか助かる道はないのだ。」
+ 私はこう答えてやりました。「胸によく手を当てて、考えてみることだ。事実に反することを並べ立てているだけではないか。
+ 君たちは私たちを脅迫して、ただ工事を中止させたいだけなのだ。」ああ、神様。どうか、私に力をお与えください。
+ 数日後、私は、メヘタブエルの孫でデラヤの子シェマヤを訪ねました。神からのお告げがあったと聞いたからです。「神殿に身を隠して、扉を閉めなさい。今晩、彼らはあなたを殺しにやって来ます」と、彼は警告しました。
+ 私は言いました。「総督たる者が、危険だからといってどうして逃げ出せましょう。それに、祭司でもない私が神殿に入ったりすれば、いのちを失います。」
+ そのとき、私は悟りました。それは神のお告げではなく、トビヤとサヌバラテの陰謀だったのです。彼らはシェマヤを買収して私を脅し、神殿に逃げ込むような罪を犯させて、非難のほこ先を私に向けようとしたのでした。
+ 「神様。トビヤ、サヌバラテ、女預言者ノアデヤ、その他の預言者の罪を、一つ残らず覚えていてください。彼らはあの手この手で、私の気持ちをくじこうと謀りました。」
+ こうして城壁は、着工から五十二日後の第十二の月の初めに完成しました。
+ 敵や回りの国々はこれを知って驚き、恐れました。神の助けがあったからこそ、この工事ができたのだ、と思い知らされたからです。
+ この間、トビヤとユダヤ人の腐敗した役人の間では、何通もの手紙がやり取りされました。
+ トビヤにとって、アラフの息子シェカヌヤは義父に当たり、息子ヨハナンも、ベレクヤの息子メシュラムの娘と結婚していたので、ユダ国内には、トビヤに忠誠を誓う者も多かったのです。
+ 彼らは口々に、トビヤのことを私にほめそやしましたし、私の言うことはそっくり彼の耳に入れていました。一方トビヤは、頻繁に脅迫状を送ってよこしました。
+
+
+ 城壁が完成し、扉が取りつけられ、門衛、歌い手、レビ人が任命されると、
+ 私はエルサレムを治める責任を、兄弟ハナニとハナヌヤとにゆだねました。ハナヌヤは要塞の司令官で、誰よりも神を敬う人物だったからです。
+ 私は二人に二、三の指示を与えました。太陽が昇りきるまでは開門してはならないこと、閉門は守衛が警備に当たっているうちに行い、かんぬきはしっかりかけることなどです。また、守衛はエルサレムに住んで規則正しく警備に当たり、城壁近くの住民は付近の城壁警備に当たるよう命じました。
+ というのも、町は大きいのに人口が少なく、家もまばらだったからです。
+ 神は、町の指導者や一般市民を集めて登録させよ、とお命じになりました。私は、以前エルサレムに帰って来た人々の系図を見つけましたが、それには、次のように書かれていました。
+ 「バビロンの王ネブカデネザルが連行した捕囚のうち、エルサレムに帰って来た者の名は次のとおりです。
+ 指導者ゼルバベル、ヨシュア、ネヘミヤ、アザルヤ、ラアムヤ、ナハマニ、モルデカイ、ビルシャン、ミスペレテ、ビグワイ、ネフム、バアナ。
+ その時、共に帰って来た者の数――パルオシュ族二千百七十二名、シェファテヤ族三百七十二名、アラフ族六百五十二名、ヨシュアとヨアブの二族からなるパハテ‧モアブ族二千八百十八名、エラム族千二百五十四名、ザト族八百四十五名、ザカイ族七百六十名、ビヌイ族六百四十八名、ベバイ族六百二十八名、アズガデ族二千三百二十二名、アドニカム族六百六十七名、ビグワイ族二千六十七名、アディン族六百五十五名、ヒゼキヤ族、すなわちアテル族九十八名、ハシュム族三百二十八名、ベツァイ族三百二十四名、ハリフ族百十二名、ギブオン族九十五名、ベツレヘムとネトファの人々百八十八名、アナトテの人々百二十八名、ベテ‧アズマベテの人々四十二名、キルヤテ‧エアリム、ケフィラ、ベエロテの人々七百四十三名、ラマとゲバの人々六百二十一名、ミクマスの人々百二十二名、ベテルとアイの人々百二十三名、ネボの人々五十二名、エラム族千二百五十四名、ハリム族三百二十名、エリコの人々三百四十五名、ロデ、ハディデ、オノの人々七百二十一名、セナアの人々三千九百三十名。
+ 帰還した祭司の数――エダヤ族のうちヨシュア家の血筋の者九百七十三名、イメル族千五十二名、パシュフル族千二百四十七名、ハリム族千十七名。
+ レビ人の数――ヨシュア族から分かれたホデヤ族のうち、カデミエルの家系の者七十四名、聖歌隊員のアサフ族百四十八名、門衛のシャルム族、アテル族、タルモン族、アクブ族、ハティタ族、ショバイ族百三十八名、
+ 神殿奉仕者のツィハ族、ハスファ族、タバオテ族、ケロス族、シア族、パドン族、レバナ族、ハガバ族、サルマイ族、ハナン族、ギデル族、ガハル族、レアヤ族、レツィン族、ネコダ族、ガザム族、ウザ族、パセアハ族、ベサイ族、メウニム族、ネフィシェシム族、バクブク族、ハクファ族、ハルフル族、バツリテ族、メヒダ族、ハルシャ族、バルコス族、シセラ族、テマフ族、ネツィアハ族、ハティファ族。
+ ソロモンの家臣の子孫――ソタイ族、ソフェレテ族、ペリダ族、ヤアラ族、ダルコン族、ギデル族、シェファテヤ族、ハティル族、ポケレテ‧ハツェバイム族、アモン族、
+ 神殿奉仕者とソロモンの家臣の子孫の合計は、三百九十二名です。」
+ ペルシヤの諸都市、テル‧メラフ、テル‧ハルシャ、ケルブ、アドン、イメルなどから引き揚げて来た人々もいましたが、系図をなくしていて、ユダヤ人であることを証明できませんでした。
+ それは、デラヤ族、トビヤ族、ネコダ族の六百四十二名の人々です。
+ 祭司の中にも、系図を紛失した人々がいました。ホバヤ族、コツ族、バルジライ族などです。このうちバルジライは、ギルアデ人バルジライの娘婿となり、その姓を名乗っていました。この人々は、正真正銘の祭司かどうか、ウリムとトンミム(神意を伺う一種のくじ)によって神の判断を仰ぐまでは祭司の務めに就くこともできず、祭司の食糧として保証されている、供え物の分配にもあずかることができませんでした。
+ この時期にユダに帰った人々の総数は四万二千三百六十名に上ります。
+ その他、奴隷が七千三百三十七名、男女の聖歌隊員が二百四十五名いました。
+ 馬七百三十六頭、らば二百四十五頭、らくだ四百三十五頭、ろば六千七百二十頭もいっしょでした。
+ 諸族の指導者の中にも、工事のためにささげ物をする人がいました。総督は、金八‧五キログラム、金の器五十点、祭司の服五百三十着を、ほかの指導者たちは、金百七十キログラム、銀一千二百五十四キログラムを、
+ 一般市民は、金百七十キログラム、銀千百四十キログラム、祭司の服六十七着を、それぞれささげました。
+ 祭司、レビ人、門衛、聖歌隊員、神殿奉仕者、その他の人々は、ユダの自分たちの故郷の町や村へと帰って行きましたが、第七の月には、みなエルサレムに戻って来ました。
+
+
+ さて、第七の月の中旬になると、民はこぞって水の門の前の広場に集まって来ました。そして指導者エズラに、その昔、神がモーセに与えた律法を読んで聞かせてほしい、と願い出たのです。エズラはモーセの律法の巻物を取り寄せ、朗読する姿が誰からも見えるよう、特製の木の台に立ちました。そして、朝から昼まで朗読して聞かせたのです。巻物を開くと、人々はいっせいに立ち上がり、理解できる者は熱心に耳を傾けました。エズラの右側には、マティテヤ、シェマ、アナヤ、ウリヤ、ヒルキヤ、マアセヤが並び、左には、ペダヤ、ミシャエル、マルキヤ、ハシュム、ハシュバダナ、ゼカリヤ、メシュラムが並びました。
+ エズラが、偉大なる神である主をほめたたえると、民はみな手を上げ、「アーメン、アーメン」とこたえてひざまずき、地面にひれ伏して、主を礼拝しました。
+ エズラが巻物を読み上げると、レビ人のヨシュア、バニ、シェレベヤ、ヤミン、アクブ、シャベタイ、ホディヤ、マアセヤ、ケリタ、アザルヤ、エホザバデ、ハナン、ペラヤなどが人々の中に入って行き、その箇所の意味を説明しました。
+ 律法がどのように命じているかを理解すると、人々はみな泣きだしました。それで、エズラをはじめ、総督の私や補佐役のレビ人たちは、こう言い聞かせました。「このような日に泣いてはならない。きょうは神である主の聖なる日ではないか。
+ ごちそうを食べてお祝いし、貧しい人には施しをする日なのだ。神である主を喜ぶことこそ、あなたがたの力なのだ。しょんぼりと悲しそうにしていてはいけない。」
+ 「静粛に、静粛に」と、レビ人も声をかけて回り、「そうです。泣くことはないのです。きょうは聖なる日で、悲しみの日ではありません」と言いました。
+ 人々は解散すると、それぞれお祝いのごちそうを食べ、施しをしました。神のことばを聞き、理解することができたので、大いに喜び、盛大に祝ったのです。
+ 翌日、諸族の指導者とレビ人はエズラに会い、律法をもっとくわしく調べることにしました。
+ すると、その月には仮庵の祭りを祝い、イスラエル人はみな仮小屋に住むようにと、主がモーセに命じていたことがわかりました。
+ その仮小屋についても、山で取って来たオリーブ、ミルトス、なつめやし、いちじくなどの枝で作るようにとあったので、エルサレムをはじめ全国民にそのおふれが出されました。
+ 人々は実際に出かけて枝を切り出し、自宅の屋上、庭内、神殿の庭、水の門、エフライムの門の広場などに小屋を建てました。
+ そして祭りの七日間を、その中で暮らしたのです。誰もが喜びにあふれていました。この行事はヨシュアの時代以来、ずっと中断されていたのです。
+ エズラはこの七日間、毎日、巻物を読み上げ、八日目には、モーセの律法に従って厳粛な閉会礼拝を執り行いました。
+
+
+ その月の二十四日になると、人々は別の儀式のために集まりました。この日は、断食をし、荒布をまとい、頭に土をかぶることになっていました。そして、イスラエル人はすべての外国人と関係を断ちました。
+ 律法が二、三時間朗読され、その後、数時間にわたって、人々は自分の罪と先祖の罪を告白し、彼らの神、主を礼拝しました。
+ レビ人の中には、台の上に立ち、喜びの歌を歌って主をたたえる者もいました。ヨシュア、バニ、カデミエル、シェバヌヤ、ブニ、シェレベヤ、バニ、ケナニの面々でした。
+ 次いで、レビ人の指導者たちは、大声を張り上げてこう語りかけました。「さあ立って、あなたがたの神、主をほめたたえなさい。主は、永遠から永遠まで生きておられるお方だからです。その輝かしいお名前をたたえなさい。主のお名前は、私たちには考えることもできないほど、ことばでは表せないほど偉大なのです。」こう叫んだのは、ヨシュア、カデミエル、バニ、ハシャブネヤ、シェレベヤ、ホディヤ、シェバヌヤ、ペタヘヤでした。
+ エズラは声を出して祈りをささげました。「ただおひとりの神様。神様は天と地と海、そして、その中に存在するすべてのものをお造りになり、すべてのものを支えておられます。天の御使いたちもみな、ひれ伏しています。
+ あなたは、アブラムを選んで、カルデヤのウルから連れ出し、アブラハムと命名なさいました。
+ さらに、この忠実なアブラハムと契約を結び、子々孫々に至るまで、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、エブス人、ギルガシ人の地を与えるとお約束なさいました。そして、今、そのお約束は現実となっているのです。神様はご自分のことばを裏切るようなことはなさいません。
+ あなたは、かつて私たちの先祖がエジプトでなめた苦しみ悲しみを見過ごしにはならず、紅海のほとりで泣き叫ぶ声を聞き届けてくださいました。
+ 神様は、エジプトの王とその国民の前で、奇跡を起こされました。エジプト人が彼らをどれほど過酷に扱っていたか、ご存じだったからです。この決して忘れることのできない出来事によって、神様の輝かしい名声はとどろきました。
+ 神様はご自分の民のために海を分断し、彼らが乾いた地を渡ることができるようにしてくださいました。そして、敵を海の深みでおぼれさせました。激しい流れに投げ込まれた石のように、彼らは沈みました。
+ そしてあなたは、人々が道を迷わないように、昼は雲の柱、夜は火の柱を立ち上らせて導いてくださったのです。
+ また、天からシナイ山に下り、良いおきてとまことの律法をお示しくださいました。
+ そこには、聖なる安息日についての教えもありました。あなたは、それらを完全に守りなさいと、しもべモーセによってお命じになったのです。
+ 人々が飢えたときには、天からパンを降らせ、のどが渇いたときには、岩から水をほとばしらせてくださいました。それから、約束の地に進入し、征服しなさいとお命じになりました。
+ しかし私たちの先祖は高慢で、頑固で、神様の戒めに耳を傾けようとはしませんでした。
+ 彼らは反抗的で、あなたが起こしてくださった奇跡を何とも思いませんでした。それどころか、神様に刃向かい、指導者を立てて、エジプトの奴隷の身に戻ろうなどと言い始めるしまつでした。しかし、あなたは赦してくださる神です。いつも人々を赦そうとしてくださり、恵みに富み、思いやり深く、すぐにお怒りになることのないお方です。あなたは私たちの先祖をお見捨てにはなりませんでした。
+ 彼らが子牛の偶像を造って神にまつり上げ、エジプトから連れ出してくれたのはこの神だと言い出した時もそうでした。罪に罪を重ねた彼らなのに、
+ あなたは彼らを深い思いやりで包んで、荒野で見殺しにすることはなさいませんでした。毎日、昼も夜も、雲の柱と火の柱で道を示してくださいました。
+ また、恵み深い霊を送って彼らを教え導き、天からはマナ(神が天から降らせたパンのような食物)を、のどが渇いたときには水を、与え続けてくださいました。
+ そのおかげで、四十年にわたる間、私たちの先祖は荒野で支えられ、欠乏することがなかったのです。衣服もすり切れず、足も腫れませんでした。
+ あなたの助けにより、私たちの先祖は、強大な王国をはじめとする国々を次々と征服し、足を踏み入れました。ヘシュボンの王シホンや、バシャンの王オグの国をも、完全に手中に収めました。
+ 神様はイスラエル人の人口を爆発的に増やし、私たちの先祖を約束してくださった国へと導かれました。
+ 彼らの前に、すべての国々は勢いを失い、カナンの王や国民でさえ屈服しました。
+ 神の民は、城壁に囲まれた町々と肥沃な土地を占領し、すばらしい物であふれる家々を攻め取り、掘り井戸、ぶどう園、オリーブ園、果樹もたくさん手に入れました。彼らは満腹するまで食べ、あなたの恵みを楽しむことができました。
+ ところが、これほどまでにしていただきながら、人々は不従順になり、あなたに反逆したのです。律法を放り出し、神に立ち返るよう語った預言者を殺すなど、数々の恐るべきことを行いました。
+ それで、あなたは彼らを敵の手にお渡しになったのです。しかし、苦しみの中で叫び求める彼らの声を天から聞いて、かわいそうに思い、助け手を送って救い出してくださいました。
+ しかし、事態が好転すると、人々はすぐにまた罪に陥り、あなたは彼らを再び敵の手にお渡しになったのです。彼らがそのたびに反省して助けを叫び求めると、天からそれを聞き、再び手を差し伸べてくださいました。全く驚くべきあわれみです。
+ あなたは彼らを罰することによって、律法に従う者となるよう導いておられたのに、彼らは従うべき教えを高慢にも鼻であしらい、罪を犯し続けました。
+ あなたは長年にわたり、忍耐の限りを尽くし、預言者を遣わして警告をお与えになりました。しかし、いつまでたっても、彼らは耳を傾けませんでした。そこであなたは、もう一度、彼らを異教の国の手中に落とされたのです。
+ けれども、あなたは彼らを滅ぼし尽くすことはせず、永遠に見捨てることもなさいませんでした。ああ、あなたはなんと恵みに富んだ、あわれみ深いお方でしょう。
+ 大いなる、恐るべき神様。あなたは愛と思いやりに満ち、約束をお守りになる方です。私たちが経験してきたすべての困難が、全く無駄だったというようなことになりませんように。アッシリヤの王に初めて征服されてから今日まで、私たちや王、諸侯、祭司、預言者など、私たちの先祖の経験してきた困難は大きなものでした。
+ いつでも、あなたは私たちを正しく罰しました。犯した罪の深さからすれば当然の罰です。
+ 王、諸侯、祭司、私たちの先祖はあなたの律法を無視し、警告に耳を貸そうともしなかったのです。
+ 神様はどれほど素晴らしいことをしてくださり、どれほど深い恵みを注いでくださったことでしょう。しかし彼らは、神様を礼拝しようとしませんでした。広大で肥沃な国土を与えられたにもかかわらず、悪の道から離れようとしなかったのです。
+ 私たちは今、私たちの先祖に与えられたこの豊かな国で奴隷となっています。こんなに豊かな土地で奴隷となっているのです。
+ あり余る産物は、この地の王のものです。罪を重ねた私たちは征服され、王たちの手に落ちたのです。私たちも家畜も彼らの意のままに支配されています。
+ これらすべてのことを顧み、もう一度、主にお仕えすることを約束します。諸侯、レビ人、祭司たちとともに、この誓約書に署名いたします。」
+
+
+ 総督ネヘミヤは誓約書に署名しました。続いて署名した者の名は、次のとおりです。ゼデキヤ、セラヤ、アザルヤ、エレミヤ、パシュフル、アマルヤ、マルキヤ、ハトシュ、シェバヌヤ、マルク、ハリム、メレモテ、オバデヤ、ダニエル、ギネトン、バルク、メシュラム、アビヤ、ミヤミン、マアズヤ、ビルガイ、シェマヤ。以上は祭司です。
+ レビ人では――アザヌヤの息子ヨシュア、ヘナダデの子のビヌイとカデミエル、シェバヌヤ、ホディヤ、ケリタ、ペラヤ、ハナン、ミカ、レホブ、ハシャブヤ、ザクル、シェレベヤ、シェバヌヤ、ホディヤ、バニ、ベニヌ。
+ 政治家では――パルオシュ、パハテ‧モアブ、エラム、ザト、バニ、ブニ、アズガデ、ベバイ、アドニヤ、ビグワイ、アディン、アテル、ヒゼキヤ、アズル、ホディヤ、ハシュム、ベツァイ、ハリフ、アナトテ、ネバイ、マグピアシュ、メシュラム、ヘジル、メシェザブエル、ツァドク、ヤドア、ペラテヤ、ハナン、アナヤ、ホセア、ハナヌヤ、ハシュブ、ロヘシュ、ピルハ、ショベク、レフム、ハシャブナ、マアセヤ、アヒヤ、ハナン、アナン、マルク、ハリム、バアナ。
+ 以上の人々は、全国民を代表して署名しました。一般市民も、祭司も、レビ人も、門衛も、聖歌隊員も、神殿奉仕者も、家族も、大人はみな、国内の異教徒と手を切って、神に仕えようと決心していたからです。
+ 全員が心からこの誓約に同意し、もしモーセによって示された神の律法を破った場合には、神ののろいを受けてもよいと宣言したのです。
+ 私たちはまた、娘や息子をユダヤ人以外の者とは結婚させないと誓いました。
+ さらに、国内の異教徒が穀物など農産物を売りに来ても、安息日やほかの聖日には買わないことにしました。また、七年目には休耕し、ユダヤ人同士の借金は帳消しにしようと誓い合いました。
+ このほか、神殿の維持管理のために毎年、神殿税を納めることを決めました。
+ 毎日供えるパンや、安息日、新月の祭り、例祭などのときの穀物のささげ物、焼き尽くすいけにえなどを用意したり、神殿での奉仕を進め、イスラエルを贖う役割を果たしていくためには、用具も調える必要があったからです。
+ 次に、律法に定められた、焼き/尽くすいけにえ用のたきぎを供給する順番を決めるため、祭司、レビ人、指導者たちの家族がくじを引きました。
+ さらに、穀物でも果実でもオリーブの実でも、初物は神殿に持って来ることも決めました。
+ そして、長男と、牛や羊など家畜の最初に生まれたものは、律法の規定どおりに神様にささげることにしました。つまり、神殿に仕える祭司のもとに連れて来ることにしたのです。
+ 人々が持って来た産物を、祭司は神殿にたくわえます。良質の穀物、他の奉納物、初物の果実、いちばん新しいぶどう酒やオリーブ油などです。また、レビ人には国じゅうの産物の十分の一を給付することも取り決めました。各地の農村から十分の一を集める責任はレビ人にあったからです。
+ アロンの子孫である祭司は、レビ人がこの十分の一を受け取る際に立ち会わなければなりません。そして、そのまた十分の一は、神殿の倉庫に運び込むのです。
+ こうして、定めどおり、人々とレビ人の差し出した穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油は、祭司、門衛、聖歌隊員らをまかなうために、聖所の器具といっしょに倉庫に納めました。このように、私たちは神殿をなおざりにしないことで一致したのです。
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+ そのころ、イスラエルの役人階級は、聖都エルサレムに住んでいました。また、ユダやベニヤミンの地域に住む人々の中から十人ごとに一人がくじで選ばれ、その人々がエルサレムに移り住むことになっていました。
+ 志願してエルサレムに住む人もあり、そういう人たちは称賛されました。
+ エルサレムに転居した地方の役人の名は、次のとおりです。しかし、大半の指導者、祭司、レビ人、神殿奉仕者、ソロモン臣下の子孫などは、故郷のユダの町々に住んでいました。
+ ユダ部族では――アタヤ――彼の家系をさかのぼると、父ウジヤから、ゼカリヤ、アマルヤ、シェファテヤ、マハラルエルと続き、このマハラルエルがペレツの子孫に当たります。マアセヤ――彼の家系をさかのぼると、父バルクから、コル‧ホゼ、ハザヤ、アダヤ、エホヤリブ、ゼカリヤと続きます。ゼカリヤはシェラ人の子孫です。エルサレムに住んだ、ペレツの子孫に当たる屈強の人々は、四百六十八名に上りました。
+ ベニヤミン部族では――サル――彼の家系をさかのぼると、父メシュラムから、ヨエデ、ペダヤ、コラヤ、マアセヤ、イティエル、エシャヤとなります。ガバイとサライの子孫に当たる人々は、九百二十八名に上ります。その指導者はジクリの子ヨエルで、セヌアの子ユダが補佐役を務めました。
+ 祭司の指導者の中では――エホヤリブの子のエダヤ、ヤキン、セラヤ――彼の家系をさかのぼると、父ヒルキヤから、メシュラム、ツァドク、メラヨテと続きます。メラヨテは祭司の長アヒトブの子です。この人たちのもとで、八百二十二名の祭司が神殿での職務についていました。また、アダヤの指導下には二百四十二名の祭司がいました。アダヤの家系をさかのぼると、父エロハムから、ペラルヤ、アムツィ、ゼカリヤ、パシュフル、マルキヤとなります。また、アマシュサイの指導下に百二十八名の屈強の人々がいました。アマシュサイの家系をさかのぼると、アザルエルからアフザイ、メシレモテ、イメルとなります。ザブディエルがアマシュサイを補佐しました。ザブディエルはハゲドリムの子です。
+ レビ人の指導者たちでは――シェマヤ――彼の家系をさかのぼっていくと、父ハシュブから、アズリカム、ハシャブヤ、ブニとなります。シャベタイとエホザバデは、神殿の雑務の監督に当たりました。マタヌヤは祈りによる感謝礼拝を始める役でした。マタヌヤの父はミカで、その父はザブディ、その父はアサフです。バクブクヤとアブダが、マタヌヤの補佐に当たりました。アブダの父はシャムアで、その父はガラル、その父はエドトンです。
+ 合計二百八十四名のレビ人がエルサレムに住んだことになります。
+ 門衛では、アクブとタルモン、またその同族の者に率いられた百七十二名がエルサレムに住みました。
+ その他の祭司やレビ人、一般人は、めいめいの相続地に住んでいました。
+ ただし、ツィハとギシュパの監督下にある神殿奉仕者たちは、オフェルに住みました。
+ エルサレムに住むレビ人と神殿奉仕者の監督に当たったのはウジです。彼の父はバニで、順次ハシャブヤ、マタヌヤ、ミカとさかのぼります。つまり、代々神殿の聖歌隊員として仕えたアサフ氏族の子孫です。ウジは、王から歌い手に任命されました。その時、王は聖歌隊員の報酬規定も定めたのです。
+ 民政上のあらゆる問題では、ペタヘヤが王の補佐役として活躍しました。彼の父はメシェザブエルで、ユダの子ゼラフの子孫に当たります。
+ ユダの人々が住んだ町は、次のとおりです。キルヤテ‧アルバ、ディボン、エカブツェエルと周辺の村々、ヨシュア、モラダ、ベテ‧ペレテ、ハツァル‧シュアル、ベエル‧シェバと周辺の村々、ツィケラグ、メコナと周辺の村々、エン‧リモン、ツォルア、ヤルムテ、ザノアハ、アドラムと周辺の村々、ラキシュと周辺の農地、アゼカとその町々。こうして、ユダの人々は、ベエル‧シェバからヒノムの谷に及ぶ一帯に住みつきました。
+ ベニヤミン部族の居住地は、次のとおりです。ゲバ、ミクマス、アヤ、ベテルと周辺の村々、アナトテ、ノブ、アナネヤ、ハツォル、ラマ、ギタイム、ハディデ、ツェボイム、ネバラテ、ロデ、オノ、職人の谷。
+ ユダにいたレビ人の中には、ベニヤミン部族の居住地に転居させられた者もいました。
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+ シェアルティエルの子ゼルバベルやヨシュアといっしょに帰還した祭司の名前は、次のとおりです。セラヤ、エレミヤ、エズラ、アマルヤ、マルク、ハトシュ、シェカヌヤ、レフム、メレモテ、イド、ギネトイ、アビヤ、ミヤミン、マアデヤ、ビルガ、シェマヤ、エホヤリブ、エダヤ、サル、アモク、ヒルキヤ、エダヤ
+ レビ人では――ヨシュア、ビヌイ、カデミエル、シェレベヤ、ユダ、マタヌヤ。マタヌヤは礼拝で感謝の歌を歌う責任者でした。
+ 同族のバクブクヤとウニは、その向かい側に立って応答歌を歌う役を務めました。
+ ヨシュアの家系は、その子エホヤキム以下、エルヤシブ、エホヤダ、ヨナタン、ヤドアと続きます。
+ 大祭司エホヤキムのもとで仕えた祭司で、各氏族の長の名は次のとおりです。セラヤ族の長はメラヤ、エレミヤ族の長はハナヌヤ、エズラ族の長はメシュラム、アマルヤ族の長はヨハナン、メリク族の長はヨナタン、シェバヌヤ族の長はヨセフ、ハリム族の長はアデナ、メラヨテ族の長はヘルカイ、イド族の長はゼカリヤ、ギネトン族の長はメシュラム、アビヤ族の長はジクリ、ミヌヤミン族とモアデヤ族の長はピルタイ、ビルガ族の長はシャムア、シェマヤ族の長はヨナタン、エホヤリブ族の長はマテナイ、エダヤ族の長はウジ、サライ族の長はカライ、アモク族の長はエベル、ヒルキヤ族の長はハシャブヤ、エダヤ族の長はネタヌエル。
+ 祭司やレビ人の氏族長の系図は、ペルシヤ王ダリヨスの時代に作成され、当時、レビ人のエルヤシブ、エホヤダ、ヨハナン、ヤドアが、一族の指導者の地位にありました。
+ 『年代記』には、エルヤシブの子ヨハナンの時代までのレビ人の名が記されています。
+ その時代のレビ人の長は、ハシャブヤ、シェレベヤ、カデミエルの息子ヨシュアでした。同族の人々は、神の人ダビデの命令に従って彼らを守り立て、賛美と感謝の礼典を守っていたのでした。
+ 門の倉庫の責任をゆだねられた門衛は、マタヌヤ、バクブクヤ、オバデヤ、メシュラム、タルモン、アクブでした。
+ この人たちは、エホツァダクの孫でヨシュアの子のエホヤキムの時代と、私ネヘミヤが総督で、エズラが祭司および宗教教師だった時代に活躍したのです。
+ エルサレムの新しい城壁の奉献式の時には国中のレビ人がエルサレムに集まり、それぞれ感謝の歌を歌い、シンバルや十弦の琴や竪琴を鳴らして、喜ばしい式典を盛り上げました。
+ 聖歌隊員も、周辺の村々やネトファ人の村からエルサレムに集まりました。
+ エルサレム郊外に村を建てていた聖歌隊員も、ベテ‧ギルガル、ゲバ、アズマベテなどから集まりました。
+ 祭司とレビ人は、まず自分自身をきよめ、次に、人々、門、城壁をきよめました。
+ 私はユダの指導者たちを城壁に上らせ、二組に分け、城壁の上をそれぞれ反対方向へと巡らせ、感謝の歌を歌わせました。右側、糞の門の方へ進んだ半数の組には、
+ ホシャヤ、アザルヤ、エズラ、メシュラム、
+ ユダ、ベニヤミン、シェマヤ、エレミヤがいました。
+ ラッパを吹き鳴らしたのは、祭司ゼカリヤでした。ゼカリヤの父はヨナタンで、順次シェマヤ、マタヌヤ、ミカヤ、ザクル、アサフとさかのぼります。このほか、シェマヤ、アザルエル、ミラライ、ギラライ、マアイ、ネタヌエル、ユダ、ハナニも、ラッパを吹きました。使った楽器はダビデ王の楽器のものでした。行進の先頭には、祭司エズラが立ちました。
+ 泉の門まで来た一行はまっすぐ進んで、城のかたわらのダビデの町に通じる階段を上りました。そして、東の水の門へと進んだのです。
+ 私の加わったもう一組は、逆方向を巡って、相手の組と出会うことになっていました。炉のやぐらから、広い城壁へ、
+ 続いて、エフライムの門から古い門に進み、魚の門とハナヌエルのやぐらを通ってメアのやぐらへと巡りました。そして羊の門へ行き、監視の門で止まったのです。
+ 二組の聖歌隊は、そこから神殿に向かいました。ここで加わったラッパを吹く祭司の名は次のとおりです。エルヤキム、マアセヤ、ミヌヤミン、ミカヤ、エルヨエナイ、ゼカリヤ、ハナヌヤ、
+ また聖歌隊員では、次の人々も加わりました。マアセヤ、シェマヤ、エルアザル、ウジ、ヨハナン、マルキヤ、エラム、エゼル。この人たちは、イゼラフヤの指揮で、高らかに澄んだ歌声を響かせました。
+ この喜ばしい日を記念して、多くのいけにえがささげられました。神への感謝の思いでいっぱいだったからです。女性も子どもも大声で喜びを表したので、エルサレムの人々の歓声は、遠くまでとどろきました。
+ その日、財宝、奉納物、十分の一税、初物などのささげ物の管理責任者が任命され、モーセの律法に従って集めることになりました。これらのささげ物は、祭司とレビ人に割り当てられました。ユダの人々は祭司やレビ人に対し、また、その職務に対して、感謝の気持ちを抱いていたからです。
+ 民はまた、聖歌隊員や門衛の働きにも感謝していました。彼らが、ダビデとその息子ソロモンが定めた礼拝やきよめの儀式の際、祭司やレビ人の補佐役を務めたからです。
+ 神をたたえ感謝する歌を、指揮者をつけて聖歌隊に歌わせるという習慣は、ダビデとアサフの時代に始まりました。
+ このゼルバベルとネヘミヤの時代にも、人々は聖歌隊員や門衛やレビ人のために、日ごとの食糧を持って来ることになったのです。レビ人は、受けた分の一部を祭司に渡しました。
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+ その日、モーセの律法の書が朗読されましたが、その中に、アモン人やモアブ人は神殿で礼拝してはならないと書いてあることがわかりました。
+ というのは、彼らがイスラエルに対して友好的でないばかりか、バラムを雇って、のろいをかけようとさえしたことがあったからです。神は、こののろいを祝福に変えてくださったのでした。
+ この規定が読み上げられると直ちに、外国人は一人残らず集会から追放されました。
+ このことが起こる前の話ですが、神殿の倉庫の管理者で、トビヤと親しかった祭司エルヤシブが、
+ トビヤのために倉庫を豪華な客間に改造するということがありました。この倉庫には以前、穀物のささげ物、香料、器物、穀物や新しいぶどう酒やオリーブ油の十分の一税が保管されていました。モーセは、これらのささげ物はレビ人や聖歌隊員や門衛に支給すると定めていました。このほか、祭司のためのささげ物も保管されていました。
+ ちょうどその時、私はエルサレムにいませんでした。アルタシャスタ王の第三十二年に、バビロンへ帰っていたのです。再び許可を得てエルサレムに戻ると、
+ 帰着早々、この悪事を知らされたのです。
+ 私は激しい憤りを覚え、トビヤの持ち物を全部外へ放り出しました。
+ そして、部屋をきよめさせ、神殿の器物、穀物のささげ物、香料を、元どおりそこに戻したのです。
+ 私はまた、生活費の支給が打ち切られたため、礼拝の務めをする聖歌隊員ともども、おのおのの農地に引き揚げてしまったレビ人のことも聞かされました。
+ そこですぐ、指導者たちとじかに会い、「どうして、神殿をないがしろにするのだ」と談判しました。そのようにして、レビ人をみな呼び戻し、本来の職務に就かせたのです。
+ ユダの人々はみな再び、穀物やぶどう酒やオリーブ油の十分の一のささげ物を神殿の宝物倉に持って来るようになりました。
+ 私は、祭司シェレムヤ、学者ツァドク、レビ人ペダヤに倉庫の管理を任せ、マタヌヤの孫でザクルの子ハナンを補佐役にしました。みな評判のよい人々です。彼らの仕事は、仲間のレビ人に適正な配給をすることでした。
+ 神様、この私の忠実な行いを心にお留めください。私が神殿のためにしたすべてのことを、お忘れにならないでください。
+ ある日、私は畑で、安息日だというのに、ぶどうを絞ったり、麦束を運んだりしている者や、ぶどう酒、ぶどう、いちじくなどの産物をろばに積んで、エルサレムに運び込もうとしている者たちを見つけました。私は彼らを、公衆の面前でしかりつけました。
+ ツロから来た商人も、魚などの商品を持って来て、安息日にエルサレムで売っていました。
+ 私は、ユダの指導者たちに尋ねました。「よくも安息日を汚してくれたものだ。
+ 元はといえば、私たちの先祖がこんなことをしたから、私たちもこの都も、災難をこうむったのではなかったか。こんなことを続けていたら、もっと大きな御怒りを招くことになる。」
+ それ以来、私は金曜日の日没に都の門を閉め、安息日が終わるまで開かないようにと命じました。そして、従者に門を監視させ、安息日に商品が持ち込まれないようにしたのです。
+ 商人や業者が、エルサレムの外にテントを張ったことが一、二回ありましたが、
+ 私は彼らをしかって言いました。「いったい、どういうつもりなのか。城壁の回りでうろうろしてはならない。二度とこんなまねをしたら、即刻逮捕する。」それ以後、彼らは安息日に姿を見せなくなりました。
+ それから、レビ人に命じて、身をきよめさせ、安息日をきよく保つために門を守らせました。神様、このような、あなたをお喜ばせする行いを心にお留めください。大いなる愛で私を包んでください。
+ このころ、ユダヤ人の中には、アシュドデ人やアモン人やモアブ人の女と結婚している者があり、
+ ユダヤのことばが全くわからない子どもが大ぜいいることに気づきました。
+ そこで、その親たちを非難してのろい、数人をなぐり倒し、髪の毛を引き抜きました。こうして、子どもを外国人とは絶対に結婚させないと、神に誓わせたのです。
+ 「そもそも、ソロモン王はこの問題でつまずいたのではないか。彼の右に出るような王はいなかった。神から愛され、イスラエルの王として立てられたあのソロモンが、外国の女にそそのかされ、偶像礼拝に陥ったではなかったか。
+ おまえたちのしたことは、それほど罪深いことなのだ。見過ごしになどできるだろうか。」
+ また、大祭司エルヤシブを父に持つエホヤダの子の一人が、ホロン人サヌバラテの娘を嫁にしていることがわかったので、彼を神殿から追放しました。
+ 神様、どうかこの者たちを忘れないでください。祭司職を汚し、祭司やレビ人の契約と誓約を破ったからです。
+ 私は外国人を追放し、祭司とレビ人に務めを割り当て、各自の仕事を徹底させました。
+ 彼らは、定められたとおり祭壇にたきぎを運び、いけにえや初物のささげ物の管理に当たりました。神様、どうか私をあわれみ、心にお留めください。
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+ アハシュエロスは、インドからエチオピヤにまで及ぶ広大なメド‧ペルシヤ帝国の皇帝でしたが、その治世の第三年に、シュシャンの王宮で盛大な祝宴を催しました。皇帝は各地から、総督、随員、将校たちをみな招待しました。
+ お祭り騒ぎは六か月も続き、帝国の富と栄光を誇示する、またとない機会となりました。
+ この期間が終わると、王は門番から高官に至るまで王宮に仕える者を招いて、庭園で七日間、酒宴を催しました。
+ 大理石の柱の銀の輪には、飾り用の緑、白、青の布が紫のリボンで結びつけられ、黒、赤、白、黄色の大理石がはめ込まれたモザイク模様の歩道には、金銀の長いすが並べてありました。
+ 飲み物は、多種多様な金の杯に、なみなみとつがれています。すっかり気が大きくなった王は、王室とっておきのワインなども惜しげもなくふるまいました。
+ 酒を飲むのは全く自由で、むりやり勧められることも、あえて遠慮させられることもありません。王が役人たちに、皆の好きなようにさせよと言っておいたからです。
+ 同じころ、王妃ワシュティも、王宮の婦人たちを集めて宴を開いていました。
+ さて、最後の七日目のことです。かなり酒のまわった王はつい調子に乗り、王に仕えるメフマン、ビゼタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタル、カルカスら七人の役人を呼び、
+ 王妃ワシュティに王冠をかぶらせて連れて来るようにと命じました。絶世の美女である彼女の美しさを、人々に見せたかったのです。
+ 役人たちがその旨を伝えたところ、王命にもかかわらず、王妃は言うことを聞こうとしませんでした。これを知った王は怒りに燃えました。
+ しかしまず、王室つきの法律顧問たちに相談することにしました。王がこのようなことに関して、法律顧問に相談することなしに判断することはなかったからです。彼らはペルシヤの法律と裁判に通じているばかりか、臨機応変に事を処理できる知恵者でもあり、王は信頼しきっていたのです。その法律顧問というのはカルシェナ、シェタル、アデマタ、タルシシュ、メレス、マルセナ、メムカンの七人で、いずれもメド‧ペルシヤの高官でした。政府の有力者であるだけでなく、王とも個人的に親しくしていました。王はさっそく意見を求めました。「今回の件だが、どうしたらよいものか。側近を通じ、手続きを踏んで出した命令を王妃ははねつけたのだ。法律では、どのように罰せよと定めているか。」
+ メムカンが一同を代表して答えました。「陛下。王妃は、陛下ばかりか、役人や全国民にまで悪い手本を残しました。
+ と申しますのも、これをいいことに、国中の女どもは王妃のまねをして、夫に逆らうに違いないからです。
+ 今晩にも、国中の役人の妻たちは、夫たちに口答えすることでしょう。そうなれば、陛下、領地内はくまなく軽蔑や怒りであふれます。
+ もしよろしければ、勅令を出し、絶対不変のメディヤとペルシヤの国の法令として、ワシュティ王妃を永久追放にし、代わりにもっとふさわしい王妃を選ぶことをご宣言ください。
+ この勅令が帝国のすみずみまで及べば、身分にかかわりなく、妻に対する夫の尊厳は守られるでしょう。」
+ 王も側近たちも、なるほど、そのとおりだと思い、メムカンの意見に従うことにしました。
+ こうして王は各州に通達を出し、それぞれの民族のことばで、男はみな一家を治めるべきことを命じ、また家長としての威厳を保つことを強調したのです。
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+ 憤りがおさまると、アハシュエロス王は、王妃に下した決断を思い出し、今さらながらワシュティに会えないのが寂しくてたまりません。
+ 見かねた王の側近がこう勧めました。「お心が晴れますよう、国中から特に美しい娘を探してまいりましょう。
+ 各州に、このための役人を任命し、宮殿にふさわしい若くて美しい未婚の娘を選ばせるのです。後宮の監督官ヘガイには、化粧品などを取りそろえる役目を与えてください。
+ そうして、最もお気に召しました娘を、ワシュティ様の代わりに王妃にお迎えになってください。」この提案に、王が有頂天になったことは言うまでもありません。さっそく実行に移しました。
+ さて、城内に一人のユダヤ人がいました。ベニヤミン部族の出身で、名をモルデカイといい、ヤイルの息子でした。ヤイルの父はシムイ、シムイの父はキシュです。
+ キシュは、エルサレムがバビロンのネブカデネザル王の手に落ちた時に捕らえられ、ユダのエコヌヤ王をはじめ多くの人々とともに、バビロンへ送られて来たのでした。
+ このモルデカイは、ハダサ、またの名をエステルという若く美しい娘を育てていました。実際はいとこに当たるのですが、年もずいぶん離れていたことでもあり、両親が亡くなったあと、娘として引き取ったのです。
+ さて、王の勅令が出ると、エステルもほかの大勢の娘とともに、シュシャンの王宮内の後宮に連れて来られました。
+ 後宮を管理していたヘガイは特別にエステルを気に入り、彼女のためには何でもしてくれるようになりました。特別の食事や化粧用の品々など、何かにつけて便宜をはかってくれます。わざわざ王宮から七人の侍女を呼んで身の回りの世話をさせたり、後宮で一番良い部屋をあてがったり、大そうよくしてくれました。
+ エステルは、自分がユダヤ人であることを誰にも話しませんでした。モルデカイに固く口止めされていたからです。
+ モルデカイは毎日、後宮の庭に来てエステルの安否を尋ね、これからどうなるか、成り行きを見届けようとしていました。
+ 選ばれた娘たちについては取り決めがありました。まず、王の寝所に召される前に、没薬の油で六か月、ついで特製の香水と香油で六か月、それぞれ美しさにみがきをかける期間が定められていました。その期間が終わり、いざ王のもとへ召される時がくると、精いっぱい美しく装うため、衣装でも宝石でも願いどおりの物が与えられます。こうして夕刻、王の部屋へ行き、翌朝には、王の妻たちの住む別の後宮へ移るのです。そこで女性たちは、シャアシュガズという宦官の管理のもとで一生を送ることになります。そこにいる女性たちは、王に特別に気に入られ、指名されないかぎり、二度と王のそばへ行くことはできませんでした。
+ さて、いよいよエステルが王のもとへ行く番になりました。彼女は、ヘガイに見立ててもらった衣装を身につけました。その姿の美しさは、ほかの娘たちもいっせいに歓声を上げるほどでした。
+ こうしてエステルは、王の治世の第七年の第一の月に召し入れられたのです。
+ 王はほかの誰よりもエステルを愛しました。すっかり気をよくした王は、彼女に王冠を与え、ワシュティの代わりに王妃にすると宣言したのです。
+ このことをお祝いするため、王はもう一度、高官から召使に至るまで全員を集め、大宴会を開きました。諸州に対しては、気前よく贈り物を配ったり、免税を認めたりしました。
+ のちに、王がまた美人選びをしようとした時、モルデカイは政府の役人になっていました。
+ エステルはいまだに、ユダヤ人であることを隠し通していました。モルデカイの家にいた時と同じように、彼の言いつけをよく守っていたのです。
+ そんなある日のこと、宮殿警護の当直に当たっていたモルデカイは、たまたま、城門の警備についている後宮の役人ビグタンとテレシュが、王への復讐として暗殺を企んでいることを知ったのです。
+ ぐずぐずしてはいられません。モルデカイは、さっそく王妃エステルに通報しました。エステルはすぐさまこれを王の耳に入れ、これを知らせてきたのがモルデカイであることも忘れずにつけ加えました。
+ 取り調べの結果、ゆるがぬ証拠が上がり、二人ははりつけになりました。この件に関しては、アハシュエロス王の年代記にくわしく記されました。
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+ その後まもなくして王は、アガグ人ハメダタの子ハマンを総理大臣に抜擢しました。今やハマンは、国王に次ぐ実力者でした。
+ ハマンに会うと、王の家臣はみな、うやうやしく頭を下げました。そうするようにとの王の命令だったのです。ところがモルデカイだけは、絶対に頭を下げようとしませんでした。
+ 周囲の者たちは、来る日も来る日も、「どうして王の言いつけに背くのだ」と言いますが、それでも彼は頑として聞こうとしません。そこでついに人々は、モルデカイだけに勝手なまねをさせてはならないと、そのことをハマンに告げたのです。モルデカイは人々に、自分はユダヤ人だから別だと主張していたからです。
+ ハマンは怒りに駆られましたが、モルデカイ一人に手を下すだけではなく、この際、帝国中のユダヤ人を根絶やしにしてやろうと考えました。
+ その計画を決行する日は、くじで決めることにしました。アハシュエロス王の治世の第十二年の第一の月のことです。その結果、決行の日は第十二の月と決まりました。
+ こうしてハマンは、王に伺いを立てました。「この帝国のどの州にもくまなく入り込んでいる、ある民族をご存じでしょうか」と、彼は切り出しました。「彼らの法律は、どの国のものとも違っておりまして、そのために陛下の命令に従おうともいたしません。これ以上彼らを生かしておいては、陛下のためになりません。
+ もしよろしければ、彼らを抹殺せよとの勅令を出していただけませんか。必要な費用につきましては、私が銀一万タラントを国庫に納めさせていただきます。」
+ 王は同意し、考えの変わらないしるしにと、指輪をはずしてハマンに渡しました。
+ 「金の心配はいらない。とにかくおまえの考えどおりにやってよい。」
+ 二、三週間後、ハマンは王の書記官を呼び集め、帝国内の総督や役人あてに手紙を書かせました。州ごとに、それぞれの言語や方言で書かれ、一通ごとにアハシュエロス王の署名と、王の指輪の印が押されます。
+ 手紙は急使を立てて、全州に送り届けられました。手紙の内容は、ユダヤ人は老若男女を問わず、第十二の月の十三日を期して皆殺しにすべきこと、彼らの財産は手を下した者が取ってよいことなどでした。
+ そのあとに、「この勅令の写しをとり、各州の法令として公示し、全国民に通達すべきこと。各人は、決行当日のため準備をしておくこと」と書き添えてありました。
+ 勅令は、まずシュシャンの都で発令されたのち、至急便で各地方へ送られました。都が騒然とし始めたころ、王とハマンは酒をくみ交わし、上機嫌になっていました。
+
+
+ 事のいきさつを知ったモルデカイは、あまりのことに着物を裂き、荒布をまとい、灰をかぶって嘆き悲しみました。それから、大声で泣きながら町へ出て行ったのです。
+ 彼は城門の外に立ちました。荒布を着たままで城内に入ることは、誰ひとり許されていなかったからです。
+ どの州でも、ユダヤ人の間に、すさまじい嘆きの声が起こりました。王の勅令を聞いて生きる望みを失い、断食して泣き、大部分の人が荒布をまとって、灰の上に座り込みました。
+ モルデカイの様子は、侍女や後宮の役人の口を通してエステルの耳にも達しました。彼女は心配で居ても立ってもいられず、着物を送って、荒布を脱ぐようにと伝えましたが、彼は受け取ろうとしません。
+ そこでエステルは、自分に仕えてくれる役人ハタクを呼び寄せ、モルデカイのもとへ行って、なぜそのようなことをしているのか聞きただしてほしい、と命じたのです。
+ ハタクは町の広場に出て、城門のそばにいるモルデカイを見つけました。
+ モルデカイの話から、いっさいの事情がはっきりしました。ハマンが、ユダヤ人を殺すためには銀一万タラントを国庫に納めてもよい、とまで言ったというのです。
+ モルデカイは、ユダヤ人殺しを命じる勅令の写しを渡し、エステルに見せてほしいと頼みました。そして、エステル自ら王の前に出て、同胞のために命乞いをするようにとことづけたのです。
+ ハタクはそのとおりエステルに伝えました。
+ エステルは困りました。どうしたらよいのでしょう。そこでもう一度、ハタクをモルデカイのもとへ送って、こう伝えさせました。
+ 「この国ではだれでも、呼ばれてもないのに王宮の内庭に入ったりすれば、男でも女でも打ち首です。王がその者に金の笏を伸べてくださればいのちは助かるのですが。もう一か月も、陛下は私を召してくださっていないのです。」
+ ハタクはエステルの苦しい心中を告げました。
+ しかし、モルデカイの答えはきびしいものでした。「ユダヤ人が全員殺されるというのに、王宮にいるからといって、おまえだけが助かるとでも思うのか。
+ もしも、この事態をおまえがそしらぬ顔で見ているなら、神様は別の人を用いてユダヤ人をお救いになるだろう。だが、おまえとおまえの一族は必ず滅びることになるのだ。神様がおまえを王妃となさったのは、もしかすると、この時のためかもしれない。」
+ すると折り返し、エステルからの返事が届きました。
+ 「シュシャンにいるユダヤ人を全員集め、私のために断食させてください。三日間、昼も夜も、飲み食いしないでください。私も侍女も断食しますから。そのあと、国禁を犯してでも陛下にお目にかかるつもりです。そのために死ななければならないのでしたら、いさぎよく死にましょう。」
+ モルデカイはエステルの言うとおりにしました。
+
+
+ 三日後、エステルは王妃の衣装をまとい、王宮の内庭に足を踏み入れました。その向こうには謁見の間が続き、王は王座に着いていました。
+ 王がふと見ると、王妃エステルが内庭に立っています。王は、「よく来た」と言わんばかりに、金の笏を差し伸べました。エステルは進み出て、笏の先にさわりました。
+ 「どうした、エステル。何か願い事でもあるのか。申してみよ。たとえ帝国の半分でも、おまえになら与えよう。」
+ 「もし陛下さえよろしければ、今日陛下のために宴を催したいと存じます。どうかハマン様とごいっしょにお越しください。」エステルは、かしこまって答えました。
+ それを聞いて王は側近を振り返り、「ハマンに、急いで来るよう申せ!」と命じました。こうして王とハマンは、エステルの宴会に招かれることになったのです。
+ 酒がふるまわれる時になって、王はエステルに尋ねました。「さあ、どうしてほしいのか申すがよい。たとえ国の半分でもおまえに与えよう。」
+ 「お願いでございます、陛下。もし陛下が私を愛し、お心にかけてくださいますなら、どうか明日も、ハマン様を連れてお越しください。明日の夜、何もかも申し上げたいと存じます。」
+ 宴会のあと、ハマンは天にも昇る思いでした。ところが、門のそばまで来ると、またあの無礼なモルデカイがいます。例によって、ハマンを見ても起立しようとしません。怒りがこみ上げてきましたが、
+ ここで腹を立てては元も子もありません。ハマンはそんな気持ちを抑えて家に戻り、友人や妻ゼレシュを呼び集めました。
+ 彼らに自慢話をするためでした。ハマンは自分が財産家であること、子宝に恵まれていること、異例の昇進をしたこと、この国で王に次ぐ権力を握っているのは自分であることなどを得々と語り始めました。
+ 場が盛り上がってきたところで、ハマンは取っておきの話だとばかりに得意気に語りました。「実は、エステル王妃の宴に招かれたのは、陛下と私の二人だけだった。そればかりか、明日もまた、陛下と二人でご招待を受けているのだ。
+ だが、それにしても……」と、彼は急に口ごもりました。「小憎らしいのは、あのユダヤ人のモルデカイだ。城門の前に座り込んだまま、私を見てもそしらぬ顔をしている。全くあの男のおかげで、せっかくの喜びも吹き飛んでしまった。」
+ すると、ゼレシュや友人たちは、口をそろえて言いました。「だったら、こうすればいいでしょう。うんと高い絞首台を作るのです。五十キュビト(約二十五メートル)もあるのを。明日の朝にも、陛下に願い出て、モルデカイをつるしてやるのです。すっきりした気分で、陛下と宴会においでになれますよ。」なんとうまい考えだろう。ハマンは大いに乗り気になって、すぐさま絞首台を作らせました。
+
+
+ さてその夜のこと、王はどうしても寝つくことができませんでした。しばらく読書でもしようかと、書庫から王国の記録文書を持って来させました。読み進むうち、ある項目に目が行きました。門の警備に当たっていた役人ビグタンとテレシュが企てた、王の暗殺未遂事件のところです。計画が未然に防げたのはモルデカイの手柄だとありました。
+ 王は、そばにいた者に尋ねました。「このモルデカイに何かほうびを取らせたか。」「何も取らせてはおりません。」
+ 「誰か外庭で勤務についている者はいないか。」王がこう言った時、例の絞首台にモルデカイをつるす許可を得ようと、ハマンが城の外庭にさしかかりました。
+ 家来は答えました。「ハマン様がお見えです。」「ちょうどよい。ここへ呼べ。」
+ ハマンが来ると、王はさっそく話を切り出しました。「ほうびを取らせたい者がいるのだが、どんな栄誉を与えたらよいものか。」ハマンは心のうちで思いました。「きっと私のことだ。私以外に、陛下が栄誉を与えたいと思う者などいるはずがないではないか。」
+ そこで、わくわくしながら意見を述べました。「陛下ご着用の王衣、それにご愛馬と王冠をお取りそろえください。
+ そして、最も身分の高い貴族の一人にその人の世話をさせてください。つまり陛下の服を着せ、ご愛馬に乗せ、くつわを取らせて通りを引いて行かせるのです。その時、その者に『陛下のお心にかなう人は、このような栄誉を受けるのだ!』と皆に聞こえるように言わせてはいかがでしょう。」
+ 「名案だ!」 王は思わずひざを打ちました。「大至急、王衣を持って来させ、私の馬を引いて来て、そのとおりにしてくれ。栄誉を受けるのは宮廷務めのユダヤ人モルデカイだ。今言ったことを、そっくりそのまま実行するのだ。」
+ ハマンはしぶしぶモルデカイに王衣を着せ、王の愛馬に乗せ、くつわを取って通りを引き歩きながら、「王のお心にかなう人は、このような栄誉を受けるのだ!」と叫びました。
+ モルデカイは勤務に戻りましたが、おさまらないのはハマンです。何とも言えないみじめな気持ちで家に逃げ帰りました。
+ 妻のゼレシュや取り巻きたちに事の次第を話すと、一同は頭をかかえるばかりでした。「まずいですね。モルデカイがユダヤ人だと陛下に知れた以上、あの男を亡き者にする計画は台無しです。それどころか、いつまでもモルデカイを目の敵にしていたら、かえって命取りになります。」
+ 皆があれこれ知恵をしぼり、善後策を講じている最中に、王の使いが来て、エステルの設けた宴へ出向くようモルデカイをせき立てました。
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+ 王とハマンはエステルの宴にやって来ました。
+ 酒がふるまわれるころ、王はもう一度尋ねました。「エステルよ、いったい何が欲しいのだ。願い事を申すがよい。帝国の半分でも、何でもかなえてやろう。」
+ ついに、王妃エステルの重い口が開きました。「ああ、陛下。もし私を愛し、お心にかけてくださいますなら、何とぞ私と私の同胞のいのちをお助けください。
+ このままでは、私も同胞の者たちも助かるすべはありません。皆殺しにされる運命なのです。奴隷に売られるだけなら、口をつぐんでもいられました。もちろんその場合でも、陛下は測り知れない損失をこうむられたでしょう。実際、それはお金では償えないほどのものでございます。」
+ 王は唖然として言いました。「何のことを申しておるのか。かわいそうに、いったい、だれがそのようなことをしようとしているのだ。」
+ 「恐れながら陛下、ここにおりますハマンこそ、悪の張本人、私どもの敵でございます。」ハマンの顔からは、みるみる血の気が引いていきました。
+ 王は怒り、荒々しく立ち上がると、庭に出て行きました。もうだめだ、自分のいのちは風前の灯だと察したハマンは、立って王妃エステルに命乞いを始めました。
+ ハマンは絶望のあまり、エステルの腰かけていた長いすに崩れかかりました。ちょうどその時、王が庭から引き返して来たのです。「この宮殿の中で、しかも私の目の前で王妃に手を出すつもりか!」 王の怒りが爆発しました。ハマンの顔には、その場で直ちにベール(死刑囚が死刑執行の前にかけられるもの)がかけられました。
+ その時、王の側近ハルボナが申し出ました。「陛下、ハマンはモルデカイをつるそうと、五十キュビトもある絞首台を自宅の庭に作らせています。暗殺者の手から陛下のいのちを救った、あのモルデカイを処刑しようとしていたのです。」 王はすかさず命じました。「ハマンをそれにつるせっ!」
+ こうしてハマンは処刑されたのです。それでようやく王の憤りもおさまりました。
+
+
+ その日、アハシュエロス王は、ユダヤ人の敵ハマンの財産を、そっくり王妃エステルに与えました。続いて、モルデカイが王の前に召し出されました。モルデカイがいとこであり養父であることを、エステルが明かしたからです。
+ 王はハマンから取り返した指輪をはずしてモルデカイに与え、即座に総理大臣に任命しました。エステルはモルデカイに、ハマンの財産の管理を一任しました。
+ ハマンのことが片づくと、エステルはもう一度王の前に出て、足もとにひれ伏し、ユダヤ人に対するハマンの企みを無効にしてくださるようにと、涙ながらに訴えました。
+ この時も、王は金の笏を差し伸べたので、彼女は身を起こし、立ち上がって、
+ こう願い出ました。「もしこれがお心にかない、私をあわれとおぼし召されますなら、どうぞ勅令を出して、諸州のユダヤ人を殺せというハマンの指令を取り消してください。
+ 同胞がむざむざ殺されるのを、とても黙って見てはおられません。」
+ 王は王妃エステルとモルデカイに答えました。「おまえたちユダヤ人に手を下そうとしたハマンを、私は絞首台につるし、家も没収してエステルに与えたではないか。
+ ユダヤ人の件については、私の名を用いて思いどおりの通達を出すがよい。王の指輪で印を押すのだ。だれにも有無を言わせないためだ。」
+ 直ちに王の書記官が召集されました。それは第三の月の二十三日のことでした。彼らはモルデカイが口述するままに、インドからエチオピヤに及ぶ全百二十七州の、ユダヤ人をはじめ役人、総督、領主にあてた文書を作成したのです。この文書は、各民族の言語、方言にも翻訳されました。モルデカイはこの文書を、アハシュエロス王の名を記し、王の指輪で印を押して、王室専用の急使に託しました。彼らはめいめい、らくだ、らば、若いひとこぶらくだなどにまたがって、全国各地に飛んで行ったのです。
+ この通達には、各地のユダヤ人に対し、自らと家族のいのちを守るために武装蜂起すべきこと、また敵には全力を上げて対抗し、その財産を奪ってもかまわないことが記されていました。
+ しかも、全州いっせいに、その決行日は第十二の月の十三日、その一日のうちと定められていたのです。
+ さらに、この勅令の写しをとって各州の法令とすること、勅令は全国民に公示して、ユダヤ人が敵を打ち倒す十分な準備ができるようにすること、と書き添えてありました。
+ 王の急使は、特命を受けてふだんよりいっそう速く、駆けに駆けて先を急ぎました。勅令はシュシャンの城内でも発布されました。
+ モルデカイは青と白の王服をまとい、大きな金の冠をかぶり、しなやかなリンネルと紫の外套をひるがえして、王の前から、喜びに沸き立つ群衆であふれる大通りへと、姿を現しました。
+ 集まった誇らしげなユダヤ人の間からは、どっと歓声が上がりました。
+ 王の勅令が届いたどの町、どの州でも、ユダヤ人の顔は喜びに輝きました。彼らはその日を祝日にして、盛大な祝賀会を開いたのでした。国民の中には、ユダヤ人のふりをする者も大ぜいいました。ユダヤ人の仕返しを恐れたからです。
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+ いよいよ第十二の月の十三日がきました。王の二つの勅令が発効する日です。この日、ユダヤ人を征服しようと意気込んでいた敵の立場は、全く一変しました。ユダヤ人は自衛のために、全国各地の町々に結集しました。ユダヤ人にあえて手出しする者は一人もいません。全国民がユダヤ人を恐れたからです。
+ 諸州の指導者層である総督、役人、従臣たちはみなモルデカイを恐れていたので、進んでユダヤ人に手を貸しました。
+ 今やモルデカイは、宮中で大きな権力を持つようになり、その名声は諸州に鳴り響き、しかも、ますます勢力を伸ばしていたのです。
+ ユダヤ人は、決起の日がくるといっせいに行動を起こし、片っぱしから彼らの敵を倒していきました。
+ シュシャンでは五百人が殺されました。
+ ハメダタの子である宿敵ハマンの子十人も殺されました。その名は次のとおりです。パルシャヌダタ、ダルフォン、アスパタ、ポラタ、アダルヤ、アリダタ、パルマシュタ、アリサイ、アリダイ、それにワユザタ。しかし人々は、ハマンの資産には手を出しませんでした。
+ 夜も遅く、シュシャンでの死者の数が報告されると、
+ 王は王妃エステルを呼び寄せて言いました。「シュシャンだけでも五百人、ユダヤ人に殺された。もちろんハマンの息子十人もだ。ここでさえこんな具合なら、ほかの州ではどうなっていることか! まだ何かしてほしいことがあるか。あれば、かなえやろう。遠慮なく申すがよい。」
+ 「もしよろしければ、もう一日、シュシャンにいるユダヤ人に、今日と同じようにさせてください。それから、ハマンの十人の息子を絞首台につるしてください。」
+ 王が承知したので、シュシャンでは勅令が下りて、ハマンの子たちはさらし者にされることになりました。
+ シュシャンに住むユダヤ人は翌日も集まり、さらに三百人を殺しましたが、この時も財産には指一本ふれませんでした。
+ 一方、全州のユダヤ人も、シュシャンと同様、自衛のために団結して立ち上がり、敵対する七万五千人を剣にかけましたが、やはり相手方の持ち物には手を出しませんでした。
+ このことは第十二の月の十三日、全州いっせいに行われたのです。翌日は特別な休日として祝宴を設け、勝利を祝いました。
+ ただ、シュシャンにいるユダヤ人だけは二日目も敵を殺し、その翌日を休日として、祝い合ったのでした。
+ こんなことから、今もイスラエルの地方の小さな村々では、毎年、この二日目を祝日とし、贈り物を交換し合うのです。
+ さてモルデカイは、これらの出来事をすべて記録し、遠い近いには関係なく、全州のユダヤ人に手紙を送りました。
+ モルデカイはこの手紙の中で、第十二の月の末の二日間を祝日と定め、
+ この歴史的な日を記念して断食と贈り物の交換をしようと提唱しました。この日こそ、ユダヤ人が敵の手から救われ、悲しみが喜びに、嘆きが幸福に変えられた日だからです。
+ ユダヤ人はモルデカイの提案どおり、毎年この習慣を守りました。
+ ハマンがユダヤ人虐殺の日を、くじを投げて決めたこと、さらに、事の次第が明らかになった時、その陰謀がついえ去り、王命により、ハマンが自ら作った絞首台で処刑されたこと、息子たちもまた、さらし者となったことの記念日としたのです。
+ こんなことから、この祝日は「プリム」と呼ばれるようになりました。くじを投げることを、ペルシヤ語で「プル」と言ったからです。
+ 国中のユダヤ人は、帰化した者も含め、毎年この二日間を、子々孫々に至るまで、祝日として守り抜こうと決心しました。
+ こうしてこの行事は諸州に行き渡り、いつまでもこの出来事が、ユダヤ人の脳裏に鮮やかに刻まれることとなったのです。
+ 一方、王妃エステルは、プリムの祭りの制定についてモルデカイを支持するとの手紙を送りました。そのほかにも、百二十七州のユダヤ人を励ます善意に満ちた手紙を、モルデカイと王妃エステルの連名で出しました。ユダヤ人は進んで、この、国を挙げての断食と祈りの日を記念日とすることに決めました。
+ こうしてエステルの命令で、祭りの日は正式に法令で定められたのです。
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+ アハシュエロス王は、本土だけでなく島々からも貢ぎ物を納めさせました。
+ 王のすぐれた業績とモルデカイの偉大さと王から受けた栄誉については、メディヤとペルシヤの王の年代記にくわしく記されています。
+ ユダヤ人モルデカイは総理大臣となり、アハシュエロス王に次ぐ権威の座につきました。彼はユダヤ人の英雄であるばかりか、全国民から尊敬を受けました。それは、彼が同胞のために最善を尽くす一方、だれをも差別なく引き立てたからです。
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+ ウツの国にヨブという人が住んでいました。ヨブは人格者で、神を敬い、悪から遠ざかって生活していました。
+ 彼は子だくさんで、息子が七人、娘が三人もいました。それに、羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭がいる上に、大ぜいの召使をかかえていました。名実ともに、その地方きっての資産家だったのです。
+ 毎年、ヨブの息子たちは、お互いの誕生日ごとに、兄弟姉妹を自宅に招いて祝いました。
+ その誕生パーティーが一通り終わると、ヨブは決まって子どもたちを呼び寄せ、彼らの身をきよめる儀式を行いました。ヨブは朝早く起き、子どもたち一人一人のために、焼き尽くすいけにえをささげるのです。ヨブは口ぐせのように、「息子たちが、もしかしたら罪を犯し、心の中で神に背いたかもしれない」と言っていたからで、彼はいつもそのようにしていました。
+ ある日、御使いたちが主の前に出た時のことです。その中に、告発者のサタンもいました。
+ 主はサタンに聞きました。「おまえはどこから来たのか。」「地上を歩き回って、いろいろと見てきたところです。」
+ 「わたしのしもべヨブを知っているか。彼は世界で一番の人格者で、神を敬い、一点の非の打ちどころもない人物だ。」
+ 「それは当然です。あなたが特別に心にかけているのだから。
+ あなたはいつも、ヨブとその家庭、持ち物を守り、ヨブのすることは何でも栄えるように目をかけています。これでは、金がうなるほどあっても不思議はありません。あなたを拝むふりをして当然です。
+ 一度ヨブの財産を取り上げてみたら、きっとヨブはあなたをのろうでしょう。」
+ 「では、ヨブの財産のことは、おまえの好きなようにしてよい。ただ、ヨブの体に触れてはならない。」こうして、サタンは出て行きました。それからしばらくして、ヨブの息子、娘たちが長兄の家で祝宴を張っている時、悲劇の幕が切って落とされました。
+ 使者がヨブの家に飛んで来て、悲報を伝えたのです。「大変です! 牛が畑を耕し、そばでろばが草を食べているところへ、いきなりシェバ人が襲いかかりました。家畜はさらわれ、労働者たちは皆殺しです。どうにか助かったのは私一人です。」
+ 彼の話がまだ終わらないうちに、別の使いが、いっそう悪い知らせを伝えました。「恐ろしいことです。神の火が天から下って、羊と牧童を残らず焼き殺しました。難を免れたのは私だけです。」
+ この男が報告し終えないうちに、もう一人の使者が息せき切って駆け込んで来ました。「だんな様! 三組のカルデヤ人の野盗がらくだを奪い、召使たちを殺しました。私一人が、何とか逃げて来たのです。」
+ 彼がなおも話している間に、さらにもう一人が駆けつけました。「お子さんたちが大変です。皆さん、ご長男の家で宴会を開いておいででした。
+ すると突然、砂漠の方から大風が吹きつけて、家を直撃したのです。それで屋根が落ち、その下敷きになって、皆さんお亡くなりに……。私だけが、どうにか命拾いをしました。」
+ この時ヨブは立ち上がり、悲しみのあまり上着を引き裂き、地にひれ伏して、
+ 神に言いました。「生まれてきた時、私は裸でした。死ぬ時も、何一つ持って行けません。私の持ち物は全部、主が下さったものです。ですから、主はそれを取り上げる権利もお持ちです。いつでも、どんなときでも、主の御名がたたえられますように。」
+ このような事態になっても、ヨブは罪を犯したり、神を悪しざまに言ったりしませんでした。
+
+
+ このことがあったあと、御使いたちが再び主の前に出た時、サタンも同席していました。
+ 主はサタンに聞きました。「おまえはどこから来たのか。」「地上を歩き回って、いろいろと見てきたところです。」
+ 「そうか。おまえは、わたしのしもべヨブの態度を見たか。ヨブは世界で一番の人格者だ。神を敬い、いっさいの悪から遠ざかっている。おまえは、わたしをそそのかして、理由もないのに彼に危害を加えた。ところが、あの信仰深さはどうだろう。」
+ 「いのちが助かるためなら、人はどんなことでもするものです。今度は病気にしてみればいい。ヨブはきっと、面と向かってあなたをのろうでしょう。」
+ 「気のすむようにするがいい。ただし、ヨブのいのちだけは取ってはならない。」
+ こうして主の前から引き下がったサタンは、ヨブを頭のてっぺんから足の裏まで悪性の腫れ物だらけにして攻め立てました。
+ ヨブは土器のかけらで体中をかきむしり、灰の上に座り込みました。
+ それを見て、妻がそそのかしました。「こんなひどい仕打ちをされても、まだ神を大切にするのですか。いっそ、神をのろって死んでしまったほうがいいのではないかしら。」
+ 「まるで、神を知らない外国の女のような口をきくのだな。神から祝福ばかり頂いて、災いはお断わりなどという都合のいい話があるだろうか。」ヨブは、このようになってもなお、神を冒瀆するようなことは、いっさい口にしませんでした。
+ さて、ヨブの身に災難が降りかかったことを知った友人たちが三人、互いに打ち合わせをして、彼を慰め励まそうと、はるばる訪ねて来ました。この三人は、テマン人エリファズ、シュアハ人ビルダデ、ナアマ人ツォファルです。
+ 彼らはヨブを見て、ただ、びっくりするばかりでした。顔形はすっかり変わり、見分けもつかないほどです。彼らはあまりの痛ましさに声を上げて泣き、めいめい上着を裂き、ちりを空中にまき散らし、頭に土をかぶって悲しみました。
+ それから、ヨブとともに七日七夜、地に座っていましたが、だれも黙ったままでした。ヨブの苦しみようがあまりひどいので、話しかけることもできなかったのです。
+
+
+ ついにヨブは口を開き、自分の生まれた日をのろいました。
+ 「ああ、なぜ私は生まれたのか。こんなことなら、いっそ生まれないほうがよかった。
+ 私が生まれた日など忘れ去られてしまえ。神にさえ忘れられ、永遠の暗闇に包まれてしまえばよいのだ。
+ そうだ、暗闇がその日を奪い、黒雲が覆い隠すがよい。その日が暦から消し去られ、その日には何もなかったことになればよい。
+ その日の夜は荒れすさんだ、喜びのない夜となれ。
+ のろいの名人よ、その日をのろってくれ。
+ その夜は星も出るな。その夜がどんなに光を待ちわびても夜は明けることなく、朝がくることがないように。
+ それはこの日が、母が私を身ごもらせないようにできなかったから、こんな災難に会うため、わざわざ生まれさせたからだ。
+ ああ、なぜ、私は生まれてすぐに死ななかったのか。
+ なぜ、産婆は私を生かしておき、乳房をふくませて養い育てたのか。
+ 生まれてすぐ死んでいたら、今ごろ安らかに眠っていただろうに。
+ 栄華を極めた大臣や王たち、また城の中に財宝を積み上げた領主たちといっしょになっていただろうに。
+ 呼吸もせず、陽の光を見ることもない死産の子だったらよかったのだ。
+ 死んでしまえば、悪い者ももう人に迷惑をかけず、疲れきった者も休むことができる。
+ 囚人も、残忍な看守から解放されて安らぎを得るのだ。
+ 死んでしまえば、金持ちも貧しい人もない。奴隷でさえ、自由の身となる。
+ なぜ、悲惨な境遇にある者に、光といのちが与えられているのか。彼らは死にたくても死ねない。人が食べ物や金品のことで目の色を変えるように、ひたすら死を求めているのに。
+ 思いどおり死ねたら、彼らはどんなに安らかだろう。
+ 神の与えるものが無益と失意の人生だけだとしたら、なぜ、神は人を生まれさせるのだろう。
+ 私から出るのはため息ばかりで、食事ものどを通らない。うめき声は水のように止めどなくあふれている。
+ 恐れていたことがついに起こったのだ。
+ ぬくぬくと遊び暮らしていたわけでもないのに、災いが容赦なく降りかかったのだ。」
+
+
+ テマン人エリファズからヨブへの答え。
+ 「あえて、ひと言いわせてほしい。もう黙ってはいられない。
+ 以前あなたは、悩んでいる人に向かって神を信頼しなさいと口ぐせのように言っていた。弱っている人、倒れそうになっている人、立つ気力もなくして地面に座り込む人、自暴自棄に陥った人を元気づけてきた。
+ ところが、いざ自分がその身になってみると、すっかり弱り果て、自暴自棄になっている。
+ そんなときこそ、神を信頼するべきではないのか。神は正しい人に目をかけてくださることが、信じられないというのか。
+ 考えてもみなさい。心底から正しくて罪のない人が罰せられるなどという話を、一度でも聞いたことがあるか。罪と争いの種をまく者が悩みを刈り取ることは、経験の教えるところだ。
+ そのような者は、神の怒りの息吹によって死ぬ。
+ 若いライオンのように吠えたけっていても、押しつぶされて滅びるのだ。
+ いつかは、年をとって弱り果てたライオンのように飢え、子どもたちも散り散りになる。
+ 耳もとのささやきのように、こっそりと、ひとつの真理が私に伝えられた。
+ あれは、人が寝静まった夜中だった。私は幻を見たのだ。
+ 急に私は恐ろしくなり、身の毛のよだつ思いに全身がわなないた。
+ 一つの霊が前を通り過ぎたとき、髪の毛は逆立った。
+ といっても、霊の気配を感じただけで、姿を見たわけではないが。気味が悪いほど静まりかえった中で、どこからともなく、こう言う声が聞こえてきた。
+ 『人にすぎない者が神より正しいなどということがあろうか。創造者よりきよいなどということがあろうか。』
+ 御使いさえ過ちを犯し、神に信頼されていないとしたら、ちりから造られた人間はなおさらのことだ。人は虫のように、簡単につぶされて死ぬ。
+ 朝には生きていても、夕方には冷たい死体となり、だれからも気に留められないまま永久に葬られる。
+ か細いいのちの火は吹き消され、なすすべもなく死ぬだけだ。
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+ 助けを呼び求めても、だれも答えてくれない。神々によりすがっても、助けてもらえない。
+ 怒り狂い、のたうち回って息絶えるだけだ。
+ 神に背く者は、しばらくは栄えても、思いもよらない災いにみまわれる。
+ 彼らの子どもたちは、だれにもかばってもらえず、簡単にだまされる。
+ せっかく上げた収穫も人手に渡り、その富は、ほかの人の渇きをいやす。
+ 罪の種をまいた者には、罰として不幸が襲う。
+ 火種から勢いよく炎が吹き上げるように、人は罪と不幸に向かってまっしぐらに進むのだ。
+ だから、あなたに忠告したい。神に罪を告白しなさい。
+ 神は、目をみはるような奇跡を何度でも行うからだ。
+ 神は地に雨を降らせて田畑をうるおし、
+ 貧しい者と謙遜な者を富ませ、苦しむ者を安全な場所へ連れて行く。
+ 神は、悪賢い者の計画をくつがえす。
+ 彼らは知恵をこらして計画を練り、そのわなに自分でかかる。
+ 彼らは夜だけでなく、日中でも、目の見えない者のように手探りで歩く。
+ 神は、このような横暴な連中から、身寄りのない者や貧しい者を救う。
+ こうして、貧しい者は希望を見いだし、悪者の牙はへし折られる。
+ 神に誤りを正してもらえる人は、なんと幸せなことか。神の懲らしめをないがしろにしてはいけない。自分で罪を犯し、招いた結果なのだから。
+ 神は傷つけても包帯を巻き、治してくださる。
+ 何度でも救い出してくださる。だから、災いがあなたに寄りつく暇もない。
+ あなたはききんの時には死から、戦いの時には剣から守られる。
+ 人の中傷も苦にならず、将来の心配もなくなる。
+ あなたは戦いもききんも心配する必要がなく、野獣に襲われることもない。
+ どう猛な野獣は、あなたと平和協定を結ぶからだ。
+ 家を留守にしても、何の心配もない。倉庫には、だれも指一本ふれないからだ。
+ あなたの息子たちは、なくてはならぬ人物となり、子孫は草のように増え広がる。
+ 麦は、収穫の時まではどんなことがあっても刈り取られない。そのように、あなたも幸せな一生を送り、長寿を全うする。
+ このことがうそ偽りでないことを私は経験から知ったのだ。あなたのためを思えばこそ忠告するのだ。私の助言を聞いてくれ。」
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+ ヨブの返答。
+ 「ああ、この悲しみと苦しさの重さを量ることができたらよいのに。
+ まるで海辺の砂を千倍にもしたような重さなのだ。だから、思わず激しいことばを吐いてしまったのだ。
+ 主は弓矢で私を狙いうちにした。その毒矢は心臓深く突き刺さった。神からの恐怖は隊列を組んで私に襲いかかる。そのたびに、身のすくむような思いがする。
+ 野ろばが鳴くのは、草がないからだ。飼い葉のあるうちは、牛もおとなしくしているものだ。食べ物に塩気がなければ、人は苦情を言う。生卵の白身ほどまずいものはない。見るだけで食欲がなくなり、食べるところを想像するだけで吐き気がする。
+ ああ神よ、もうたくさんです。どうか死なせてください。死ねば、この痛みから解放されます。
+ 私は神のことばを一度だって拒まなかった。そのことは、この苦しい拷問の中でのせめてもの慰めだ。
+ なぜ、まだ生きる力が残っているのだろう。息を引き取る瞬間まで、このまま我慢できようか。
+ 私は石のように感覚がないというのだろうか。私の肉体は、真鍮でできているとでもいうのだろうか。
+ もう何の希望もない。天涯孤独の身となり果ててしまった。
+ 気落ちした友には、親切にすべきではないか。それなのに、あなたは神を少しも恐れず、私を責め立てるばかりだ。
+ あなたが砂漠の川のように頼りにならないことはよくわかった。雪や氷があるうちは水があふれるが、夏の盛りには干上がってしまう。川を目あてに、隊商はわざわざ脇道をして来るが、一滴の水もないのであえない最期を遂げる。
+ テマとシェバの隊商は、水を求めてそこに来るが、望みは無残にも砕かれる。あなたへの期待も、同じように裏切られた。あなたは私を見て怖がり、後ずさりした。救いの手を伸ばしてはくれなかった。
+ いったいなぜなのだ。これまで私が、一度でも頼み事をしたことがあるか。何かをくれるように言ったこともない。
+ 助けを仰いだこともない。
+ 私はただ、道理にかなった返事をしてほしいだけだ。それが聞けたら、もう何も言うことはない。だから教えてくれ。いったい私が、どんな悪いことをしたというのか。
+ 真実を言われれば、だれでも胸に響くものだ。ところが、あなたの批判にはまるで根拠がない。一時の感情にかられ、絶望的なことばをはいたというだけで、私を責めるのか。
+ それでは、身寄りのない孤児を傷つけ、友を売るのと同じではないか。
+ 私の目をまともに見てくれ。私があなたの前でうそをつくような人間に見えるか。
+ 勝手に私に罪があると考えるのはやめてくれ。私は潔白なのだ。どうか正しい判断をしてほしい。
+ 私に善悪の区別ぐらいつけられないとでも言うのか。もし落度があるなら、気づかないはずがないではないか。
+
+
+ 人は、どうして苦しみもだえなければならないのか。人の一生は、奴隷の日々のように長く苛酷だ。
+ 一日の終わりが、なんと待ち遠しいことか。人は賃金を受け取る週末まで汗水流して働く。
+ 同じように私にも、苦しい日々と、長くて物憂い夜がある。
+ 床につくとき、『今が朝ならいいのに』と思い、夜が明けるまで、寝返りを打って悶々とする。
+ 私の体にはうじ虫がたかり、皮膚はかさぶたで黒ずんでいる。肉はざくろのように口を開け、膿が流れている。
+ 望みもないまま、またたく間に一日一日が過ぎ去る。
+ 私のいのちは、はかない息のようで、良いものは何一つ残っていない。
+ 私を見ていられるのも長くはない。もうじき、私の死骸を見るようになるだろう。
+ 雲が散って消えるように死んだ者は永久に戻らない。
+ 家族の前から永久に姿を隠し、再び顔を見せることもない。
+ 頼むから、私の苦しみをわかってほしい。悩み苦しんでいる私に、気がすむまで語らせてほしい。
+ ああ神よ、どうして私を放っておいてくださらないのですか。私は獣でしょうか。
+ 眠って悲惨な境遇を忘れようとすると、あなたは悪夢で私を脅します。
+ こんな状態がいつまでも続くくらいなら、ひと思いに締め殺されたほうがましです。
+ もう生きていたくなんかありません。お願いです、神よ。残り少ない日々を、私だけにしておいてください。
+ 人とは何者なのでしょう。神がわざわざ時間をかけて苦しめるだけの値打ちがあるでしょうか。
+ 朝ごとに尋問し、一日中痛めつけなければ気がすまないのですか。
+ せめてつばを吐く間だけでもひとりにしておいてください。
+ 人間の見張り役である神よ。私の罪がご気分を害したのですか。なぜ私を標的にし、とても生きてはいられないようにさせるのですか。
+ なぜ私の罪を赦し、除いてくださらないのですか。私は今にも息絶える身ではありませんか。神が捜しても、私はどこにもいなくなるのです。」
+
+
+ シュアハ人ビルダデのヨブへの返答。
+ 「ヨブ、いつまでそんなことを言い続けるのか。そんな激しいことばでまくし立てるのはやめよ。
+ 神が正義を曲げるだろうか。
+ あなたの子どもたちが罪を犯し、神から罰を受けても、
+ あなたが全能の神に嘆願するなら、
+ 神は祈りを聞き、元どおりの幸福な家庭としてくださる。もっとも、あなたが潔白で正しければの話だが。
+ たとえ一から出直しても、やがて多くの財産を築くだろう。
+ 歴史の書物をひもとき、調べてみるがいい。
+ 私たちは生まれたばかりの赤ん坊のような者で、ほんのわずかのことしか知らないのだ。われわれの一生は影のようにはかない。
+ だが、昔の人の知恵は大したものだ。ほかの人の経験から、あなたは次のことを学ぶことができる。
+ 神を忘れる者の望みは断たれる。彼らは根を下ろす土のない葦や水分を断たれた草のように、鎌を入れないうちからしおれる。
+ 神を追い出した者は、くもの巣を頼りにするようなもので、頼みの綱はみな断ち切られる。
+ 自分の家にいれば安全だと思っていても、家はいつまでもあるわけではない。
+ 朝のうちは、青々と茂る木のように力にあふれ、枝は庭いっぱいに張っている。
+ 根は石地を伝い広がり、地下水にまで届く。
+ ところが、そんな者が急に姿を消しても、だれも悲しんではくれない。
+ 彼が期待できることといえば、これくらいだ。そればかりか、彼の代わりにほかの者が地から芽を出す。
+ いいか、考えてもみよ。神は正しい人をお見捨てにならないし、悪い者を栄えさせることもないのだ。
+ あなたにも、いつか必ず笑顔を取り戻し、喜びの叫びをあげる日がくる。
+ あなたを憎む者は、結局は恥をかき、悪者は滅ぶことになるのだ。」
+
+
+ ヨブの答え。
+ 「そのようなことぐらい、私も知っている。ちっとも耳新しいものはない。しかし、答えてもらいたいものだ。人はどうしたら神の目から見て、正しい者となれるのか。
+ 神と正面から議論しようと思ったら、人は千の質問のうち、一つも答えることはできまい。
+ 神の知恵と力は底知れないのだ。今まで、神に反抗して成功した者など、いないのだから。
+ 神は突然怒って山を動かし、ひっくり返す。
+ 大地さえ土台から揺り動かす。
+ 神が命令すると、太陽は昇らず、星も光らない。
+ 神はただひとりで天を張り広げ、海の上をゆったりと歩いた。
+ 牡牛座、オリオン座、スバル座、それに、南の星座も、みな神が造った。
+ ほかにも、目をみはるような奇跡はいっぱいある。あまりに多くて数えきれないほどだ。
+ 神がそばを通り過ぎても、私には、そのお姿は見えない。
+ 神が人のいのちを奪うとき、だれもその手をとどめることはできない。『何をするのですか』と抗議できる者もいない。
+ しかも、神は怒りを静めず、高慢で屈強な人間をも地にひれ伏させる。
+ 私には、全能の神を相手どって議論し、説き伏せることなどできない。
+ たとい私が正しくても、自分を弁護しない。ただただ、あわれみを求めるだけだ。
+ たとえ祈りが答えられても、神が私の叫びを聞いたとは思えない。
+ 神は、これほどまで私を打ちのめし、理由もないのに傷口を広げるからだ。
+ 次から次へと、息もつかせず、非常な悲しみで私の心を満たしている。
+ 強くて正しいのは、この世に神だけではないか。
+ しかし、私は正しいだろうか。そうでないことは自分がよく知っている。たとえ一点の非の打ちどころもないとしても、神は私を悪い者とする。
+ 自分が完全に潔白な人間であるかどうか私は考えようとも思わない。つくづく自分がいやになった。
+ 潔白であるにせよ、悪人であるにせよ、神にとっては同じこと。どちらにしても滅ぼされるのだ。
+ 神は、罪のない者が災難に押しつぶされるのを見て笑う。
+ 全地は悪者どもの手中にある。神は裁判官の判断力を奪い、不公平な裁判を行わせる。そうするのが神でないとしたら、いったいだれが張本人なのか。
+ 私の一生は悲劇をはらんだまま、矢のように飛び去る。
+ 私の歳月は船足の速い舟のように遠ざかり、獲物に襲いかかる鷲のように飛び去る。
+ 神への不満を忘れ、悲しむのをやめて明るく振る舞おうとしても、
+ 神は今まで以上の悲しみを与えるばかりです。ああ神よ、私にはわかっています。あなたは私を罪ある者となさいます。
+ 罪人扱いするに違いありません。だから何を言ってもむだなのです。
+ たとえ、水晶のような水で体を洗い、灰汁で手の汚れをすっかり落としても、
+ 神は私をどぶに突き落とします。そのため泥まみれになった着物でさえ、神の目には、私よりきれいに見えるでしょう。
+ 神は人間ではないので、私は自分を弁護することができません。もし神が人間なら、対等な立場で話し合えるでしょう。私たちの間には仲裁人がいません。仲を取り持つ者がいないのです。
+ これ以上、神の刑罰の恐ろしさにおびえなくてすむよう、私を打ちたたくのをやめてください。
+ そうすれば、遠慮なくお話しし、身の潔白を堂々と主張できるのです。
+
+
+ ああ、もう生きていたくない。頼むから、思いきりうっぷんを晴らさせてくれ。積もる恨みつらみをぶちまけ、
+ 神にこう言おう。むやみやたらと責めるだけでなく、なぜそうするのか、わけを聞かせてください。
+ 私を造ったのはあなたです。その私をしいたげ、さげすみ、一方では悪人にいい目を見させることは、はたして正しいことでしょうか。
+ あなたも、人間と同じように不公平なのですか。神の寿命はあまりにも短いので、私の無罪を十分に知りながらありもしない罪をとがめようと、私を追いかけ回すのですか。だれもあなたの御手から私を救い出せないことを承知のうえで、このようにしているのですか。
+ あなたは私を造っておきながら今になって滅ぼそうとなさいます。
+ お願いです。私がちりで造られたことを思い出してください。こんなにも早く、私をちりに逆戻りさせるのですか。
+ あなたは私を牛乳のように注ぎ出して、チーズのように固めました。
+ あなたは私の体を、皮や肉、骨や筋でお造りになり、
+ いのちを与え、恵みと愛を注いでくださいました。あなたのいつくしみがあったからこそ、私は今日まで生き長らえたのです。
+ ところが、あなたのほんとうのねらいは、もし私が罪を犯したら断じて赦さず、滅ぼすことにあったのです。
+ ほんの少しの落度があるだけで、たちまち悪い者とされるのです。たとえ私が正しくても、そんなことは何にもなりません。いったいどうすればいいのですか。
+ 立ち上がろうとすると、あなたはライオンのように襲いかかり、とどめを刺します。
+ 次々と不利な証言を突きつけ、いよいよ激しく憤り、新たな手勢をくり出し、これでもか、これでもかと攻め立てます。
+ こんなことをするくらいなら、なぜ、私を生まれさせたのですか。なぜ、生まれてすぐに殺さなかったのですか。
+ そうすれば、私は母の胎から墓へと移され、こんな悲惨な目に会わなくてすんだのです。
+ 私の寿命が残りわずかであることがおわかりにならないのですか。二度と帰らぬ旅路につき、暗闇と死の陰の国へ行く前に、しばらく私を苦しませるのをやめ、つかの間の安らぎを味わわせてください。
+ 私が行こうとしているのは、真夜中のように暗い国です。渾沌としていて、最も明るい光でさえ、真夜中の闇のように暗い場所なのです。」
+
+
+ ナアマ人ツォファルのヨブへの返答。
+ 「そんなにまくし立てられたら、だれだって、ひと言いいたくもなる。ことば数が多ければ潔白だと認められるとでも思っているのか。
+ あなたが大きな口をきいている間中、黙って聞いていなければならないのか。とんでもないことだ。あなたが神を欺こうというのなら、恥ずかしい思いをさせなければならない。
+ 神の目から見ても、自分は純粋だとあなたは言う。
+ 神がご自分の考えをあなたに知らせてくださったらよいのに。
+ あなたが自分のほんとうの姿に気づくように。神には、何もかもお見通しだ。それでも神は、あなたが当然受ける罰の量をかなり減らしておられるのだ。
+ あなたは神の思いと目的を知っているのか。どんなに時間をかけて調べたところで、わかるまい。全能者をさばく資格なんかないのだから。
+ 神は、天が地よりも高いように、想像もできないほどきよい方だ。神の思いは底知れず深い。それに比べ、あなたの知識はどれほどだというのか。
+ 神の知識は大地より広く、海より大きい。
+ 神がいきなり割り込んでだれかを逮捕し、法廷を開いたとしたら、だれが制止できよう。
+ 神は、人間の欠点を一つ残らずご存じで、目を光らせていなくても、すべての罪を見抜くのだ。
+ 野ろばの子が人間として生まれないように、人間が賢くなることなどありえない。
+ 神の方を向き、手を差し伸べる前に、まず自分の罪を除き去り、いっさいの悪から遠ざかるべきだ。
+ そうして初めて、罪のしみもなく、胸を張って神に近づくことができる。
+ そうなれば、悲惨な境遇も忘れることができる。みな過去のものとなるからだ。
+ そして、あなたの一生は雲一つない快晴のようになる。暗闇は消え、朝のようにまばゆく輝きだす。
+ 望みがわき、勇気があふれる。ゆったりとくつろぎ、安らかに休息する。
+ 安心しきって横になることもできる。多くの人があなたの助けを求めて集まる。
+ しかし、悪人は逃げ場を失い、死を待つだけだ。」
+
+
+ ヨブの返答。
+ 「あなたが博学で、何でも知っているらしいことは、よくわかった。だが、そんな知恵などあなたといっしょに滅んでしまうがいい。
+ あなたも、私と似たようなものだ。それくらいのことを知らない者はない。
+ 私は神に助けを願い、じきじきに答えていただいたこともあるのに、今は人の笑い草になっている。品行方正な私が、物笑いの種となっているのだ。
+ その一方では、金持ちどもが、弱っている者をあざけり、困っている者を目ざとく見つけてはさげすむ。
+ 盗人は栄えるものだ。さあ、神を怒らせてみたらどうだ。別に何が起こるというわけでもあるまい。それでも神は、必要なものは全部下さるだろう。
+ 主がそういうことをする方だということぐらい、だれでも知っている。犬や獣でも、それぐらいのことは知っている。鳥に聞いてみるがいい。そうだと答えてくれる。地と、海の魚に教えてもらうがいい。同じ答えが返ってくるだろう。
+ すべての生き物のいのちと、すべての人間の息とは、共に神の御手のうちにあるからだ。
+ 舌が、食べ物がうまいかまずいかを区別するように、思考力は、耳に入ることばがほんとうかうそかを聞き分ける。
+ あなたが言うとおり、私のような老人には知恵と分別がある。
+ だが、本物の知恵と力は神だけのものだ。ただ神だけが、私たちのなすべきことをご存じだ。何といっても、神には思慮がある。
+ おまけに、神の力ときたらどうだ。神が壊したものは、二度と建て直せない。神に追い詰められたら観念するしかない。
+ 神が雨を引き止めると地は砂漠となり、嵐を送ると、水浸しになる。
+ このように、力と知恵は神のものだ。欺く者も欺かれる者も、共に神の奴隷であることに変わりはない。
+ 神は助言者と裁判官をさげすむ。
+ 王を奴隷の身分に落とし、その召使たちを自由の身にする。
+ 祭司は奴隷のように売られていく。神は権力者を落ちぶれさせる。
+ 雄弁家からは声を、長老からは見識を奪い取る。
+ 君主をさげすみ、勇士の力をくじく。
+ 闇を光の洪水とし、死の暗い陰さえ明るくする。
+ 国を興したかと思うと滅ぼし、大国にしたかと思うと没落させる。
+ 王の分別を取り去り、道案内の明かりもないまま手探りで闇の中をさまよわせる。
+
+
+ あなたが引き合いに出したような例を私は山ほど見てきた。言いたいことはよくわかる。
+ 私はあなたと同じくらい道理はわきまえているつもりだ。
+ ああ、全能者とじかに話してみたい。この問題を直接、話し合ってみたい。
+ あなたたちは、あらゆることを誤解している。藪医者もいいとこだ。
+ 頼むから、黙っていてくれ。それが最高の知恵というものだ。
+ さあ、聞いてくれ。私の考えの背景にある道理と訴えに耳を貸してくれ。
+ 神は一度だってあなたたちの言っているようなことを口になさらないのに、それでもなお、神の代弁者を気取るつもりか。
+ 真理を曲げるような、あなたたちの助けを神は求めるだろうか。
+ 化けの皮がはがれないように注意することだ。それとも人間同様に、神も手玉にとれるとでも考えているのか。
+ とんでもないことだ。神を楯にとってうそ偽りを並べ立てると、ひどい目に会うことになる。
+ 神の威厳に、あなたたちは恐れを覚えないのか。そんなことがよくできたものだ。
+ せっかくだが、これまでのご託宣は、灰ひと握りの値打ちもない。あなたたちは神を弁護しているつもりだろうが、そんなものは土器のようにもろいのだ。
+ 余計な口出しはしないで、ほっておいてくれ。私に話させてくれ。結果がどうなろうと、私が責任をとる。
+ こうなったら、いのちをかけてもいい。思っていることを洗いざらいしゃべろう。
+ そのため神に殺されるなら、それでもいい。たとえ殺されても、私はやめない。
+ 私が不敬虔な者ではないので、神の前から即刻立ち退きを命じられないことが、せめてもの頼みの綱だ。
+ これから言うことを、最後までよく聞いてほしい。
+ 私は自分が正しいことはわかっている。これが私の言い分だ。
+ このことで私と議論できる者がいるか。もし、あなたたちが私の間違いを証明できるなら、私は自分の弁護をやめ、いさぎよく死んでみせる。
+ ああ神よ、お願いです。二つのことだけはしないでください。そうすれば、私は神と顔を合わせることができます。
+ 私を見捨てないでください。あなたご自身の存在によって、私をおびえさせないでください。
+ 来なさい、と声をかけてくだされば、すぐにお答えします。でなければ、私の質問に答えてください。
+ 私がどんな悪いことをしたか教えてください。どこがいけないのか、はっきり示してください。
+ なぜ御顔をそむけて、私を敵の手に渡すのですか。
+ なぜ、風に吹き飛ばされた木の葉のような私を責め、乾いた役立たずのわらのような私を追い回すのですか。
+ あなたは、私を痛烈に批判し、若いころの過ちを一つもらさず責め立てます。
+ 壁に囲まれた牢獄にぶち込まれ、私は朽ちた木のようになり、虫に食われた着物のようになります。
+
+
+ 人はなんともろいものでしょう。人生はなんと短く、苦しみに満ちているのでしょう。
+ 人は花のように咲いても、すぐにしおれ、通り過ぎる雲の影のようにあっという間に消え失せます。
+ あなたは、このようにはかない人間をきびしく責め、あくまでさばこうとするのですか。
+ 生まれつき汚れている者にどうしてきよさを求めることができましょう。
+ あなたは人間に、ほんのわずかな人生の期間を与えました。それは月単位ではかれる程度の日数で、それ以上、一分一秒でも延ばせません。
+ だから、つかの間の休息を与えてください。怒りに燃える目をそらして、死ぬ前に、ほんの少しでも安らぎを与えてください。
+ 木には望みがある。切り倒されても、やがて新しい芽を出し、やわらかな枝を張る。
+ たとえ根が老化し、根株が枯れても、水さえあれば新しい苗木のように芽を吹き、枝を出す。
+ しかし、人は違う。死んで葬られると、その霊魂はどこへ行くのか。
+ 水が湖から蒸発し、日照りで川が干上がるように、人は地に伏すと、永久に立ち上がらない。目も覚まさず、眠りから起きることもない。
+ あなたが私を死者のいる所に隠し、あなたの怒りが過ぎるまで忘れ、ずっとあとになって思い出してくださるとよいのに。
+ 人は死んでも生き返るかもしれません。私はそのことに望みをかけているのです。ですから、苦しみながらもひたすら死を待ち望むのです。
+ 私を呼んでください。いつでもみもとへまいります。あなたは私のしたことにことごとく報いてくださるでしょう。
+ ところが今、代わりに、私にあとわずかしか生きることを許さず、しかも、すべての過ちに目を留め、
+ それを束にして証拠として私に突きつけます。
+ 山は崩れてなくなり、水は石を打ち砕いて砂にし、大水は土砂を押し流します。そのように、人のすべての望みは絶えます。
+ あなたはいつまでも人を打ち負かすので、ついに人は舞台から姿を消します。あなたは人をしわだらけの老人とし、遠くへ追いやります。だから、自分の子どもたちが栄誉を受けても、失敗したり災難に会っても、人にはそのことを知るすべがありません。
+ 人にはただ、悲しみと痛みだけしかないのです。」
+
+
+ テマン人エリファズの返答。
+ 「あなたはりこう者のはずなのに、愚にもつかないことばかり言い続けている。あなたのことばには、まるで中身がない。
+ そんなむなしいことばを並べ立てて何になるのか。
+ あなたには、神を恐れ敬う気持ちがないのか。あなたがそんなことを言うのも、あなたの罪のせいだ。どんなうまいことを言っても、偽りは偽りだ。
+ 罪人呼ばわりされるのが不満らしいが、それもこれも、みなあなたが悪いからだ。
+ それとも、一番の知恵者だとでも思っているのか。あなたは山々が造られる前に生まれ、神の奥義を聞いたのか。神の相談役に選ばれているとでもいうのか。それとも、知恵をひとり占めにしているのか。
+ 私たちより物知りだというのか。あなたに理解できて、私たちに理解できないことがあろうか。
+ 中には、あなたの父親より年輩の者だっているというのに。
+ 神の慰めなどあなたには取るに足りないものなのか。神の優しさは、あなたの気持ちを逆なでするのか。
+ あなたは腹立ちのあまり理性を失い、異様な目つきをしている。その態度は、いったい何だ。
+ しかも、神に言ってはならないことを言い放っている。
+ あなたの言うような純粋で完全な人間が、この地上にいるだろうか。
+ 神は、御使いでさえ信頼しないではないか。天でさえ、神と比べたらきよくはない。
+ 堕落して罪深く、海綿が水を吸うように罪をのみ込むあなたのような人間は、なおさらだ。
+ よく聞け。私は経験から言っている。建国者である先祖からじかに聞いた聡明な人たちが経験によって確かめた知恵を、私は譲り受けたのだ。
+ 罪深い者は一生の間、絶え間なく苦しむ。
+ おぞましいことに囲まれ、穏やかな日があっても、すぐさま過ぎ去る。
+ 殺されるのが怖くて、暗がりに出て行けない。
+ 物乞いに落ちぶれ、さまよい歩くが、毎日びくびくしながら、苦しみ悩んで生活する。王が敵を破るように、彼の敵は彼を滅ぼす。
+ 彼はブリキの盾をとって、神に向かってこぶしを振り、全能者に挑み、身のほど知らずにも攻撃をしかける。
+ 罪深い悪者は脂肪太りで金回りがよく、攻め取った町の住民を殺して、そこに住んでいた。
+ だが、金はいつまでもあるわけではない。そんな財産は長持ちしない。
+ 暗闇が永久に彼を包み込む。神の息が彼を滅ぼし、炎が彼の持ち物全部を焼き尽くす。
+ これ以上、むなしい富をあてにするな。自分を欺いてはいけない。金をあてにすれば、ほかに報いはないからだ。
+ そんな者は生きているうちに、不幸に見舞われる。頼りにしていたものはみな姿を消し、
+ しなびたぶどうのように地面に落ちる。こうして、彼がもくろんできたことは、計画倒れに終わる。
+ 神を信じない者には実りがなく、一つとして良いものが生み出されない。神の火が、持ち物もろとも彼らを焼き滅ぼすからだ。
+ 彼らがはらむものは罪だけで、彼らの心は悪を生み落とす。」
+
+
+ ヨブの返答。
+ 「そんなことは、さんざん聞かされてきた。あなたがたは慰め役としては失格だ。
+ そんな話をいつまで続けるつもりなのか。いったい、私が何を言ったというので、そんなに長々としゃべり続けているのか。
+ とはいっても、立場が逆だったら、私も同じようなお説教をしていたかもしれない。あきれ果てて、痛烈な批判を浴びせかけていただろう。
+ ただ、私はあなたがたとは違う。私なら、もっと励ましになることを話すはずだ。あなたたちの悲しみを和らげようと、一生懸命になるはずだ。
+ しかし、私がどれほど自分を弁護したところで、悲しみは消えるものではない。だからといって、口をつぐんでいても、どうにもならない。
+ 神が私を押しつぶし、家族を取り上げたからだ。
+ ああ神よ、あなたは私を骨と皮ばかりになさいました。彼らは、私が罪を犯した証拠だと責めます。
+ 神は私を憎み、怒りにまかせて私の体を引き裂きます。私に向かって歯ぎしりし、生きている気配さえ消し去ってしまおうと身構えておられるのです。
+ ここにいる慰めにもならない慰め役たちは、私を丸のみにしようと口を大きく開けています。敵はいっせいに攻撃をしかけます。
+ 神は、私を罪人たちの手に渡し、悪者の餌食にするのです。
+ 私は神にずたずたにされるまでは、平穏無事な生活を送っていた。ところが神は、私の首をつかまえ、打ちつけて粉々にし、攻撃の的にした。
+ 私を取り巻く射手たちが、容赦なく矢を射たので、傷口から流れ出る血で地は湿った。
+ 神はたたみかけるように攻撃し、巨人のように襲いかかる。
+ 私はこうして荒布をまとって座り込み、いっさいの望みをちりの中に埋めた。
+ 目は泣きはらして赤くなり、まぶたには死の陰がただよっている。
+ だが、だれが何と言おうと、私は潔白で、私の祈りは純粋だ。
+ 大地よ、私の血を隠さないでくれ。私の血が私のために大声で抗議できるように。
+ 今でも天には、私の身の潔白を証明するお方がいる。私の弁護人は高い所にいる。
+ 友人たちは私をあざける。だが私は、神の前で涙を流す。
+ 人が友のためにとりなすように、その方に、私と神との間に立っていただきたい。
+ 私はもうすぐ、帰ることのない旅路につくのだから。
+
+
+ 私の病は重く、死の一歩手前です。墓は口を開いて私を迎えます。
+ あざける者が私を取り巻き、右を見ても左を見ても、彼らの姿が目につきます。
+ 私の潔白を証明してくれる者は、どこにもいないのでしょうか。ああ神よ、だれも私を理解しないよう仕向けたのは、あなたです。だから、お願いします。彼らが勝ち誇らないようにしてください。
+ わいろをもらって友人を告発するような者の子どもたちは、目が衰えて見えなくなる。
+ 神は私を物笑いの種にした。人々は私の顔につばを吐く。
+ あまりの情けなさに、目は涙にかすむ。今の私は昔の影にすぎない。
+ 公正な人がいたら、私を見て驚くだろう。しかし最後には、潔白な人は不信心な者の先頭に立つ。
+ 正しい人は躍進を続け、心のきよい人はいっそう力を増し加える。
+ みんな、頼むから帰ってくれないか。だれも、理解できていないのだ。
+ 私の古き良き時代は終わった。希望は失せ、夢は破れた。
+ 夜を昼、昼を夜だと人は言う。とんでもない錯覚だ。
+ 死ねば、暗闇の中に入り、墓をわが父と言い、うじ虫をわが母、わが姉妹と呼ぶ。
+ そうなったら、私の望みはどうなるのだ。だれが、望みを見つけてくれるのか。
+ それは、私とともに墓に下る。ちりの中で共に憩うようになるのだ。」
+
+
+ シュアハ人ビルダデの二度目の返答。
+ 「気でもおかしくなったのか。助言してほしいのなら、少しは筋の通ったことを言うことだ。
+ それではまるで、私たちが、愚かで物言わぬ獣みたいではないか。
+ あなたが怒って着物を裂いただけで、地震が起こったり、岩が動いて移ったりするとでも思っているのか。
+ 物事がうまくいかないとしたら、それはあなたが罪深かったからだ。炎が消えて当然だ。
+ 悪の居座る家には暗闇がつきものなのだから。
+ 罪深い悪者は肩で風を切って歩くが、急に足もとが危うくなり、全身の力が抜けていくのがわかる。
+ 彼は落とし穴に落ち、待ち伏せしていた追いはぎの餌食になる。
+ どこを通っても、罠がしかけられている。
+ 敵が、すぐあとをつけているのだから、彼が怖がるのもむりはない。
+ 飢えのために消耗しきった彼を、災難が待ちかまえている。
+ 病気が皮膚をむしばみ、死が彼をむさぼり食う。
+ 日ごろ頼りにしていた富にもそっぽを向かれ、恐怖の王のもとへ引き立てられる。
+ 家も、燃える硫黄の集中攻撃を浴びて姿をかき消す。
+ 彼は根元から枯れ、枝は一本残らず切り取られる。
+ 彼の記憶は地上から一掃され、彼を覚えている者は一人もいなくなる。
+ 彼は光の国から闇の国へと追いやられ、この世から立ち退くよう命じられる。
+ 子も孫も親類縁者もいなくなる。
+ 老人も若者も、彼の運命を知っておびえる。
+ これが、神を信じない罪人の行き着く先だ。」
+
+
+ ヨブの返答。
+ 「いつまで、あなたたちは私を悩ませ、いい加減な論法で言いくるめようとするのか。
+ もう十回も、私が罪人だと決めつけた。そんなにひどく私を責め立てて、恥ずかしいと思わないのか。
+ 私が悪いとしても、あなたがたはまだ、その事実を証明していない。
+ 何もかもお見通しだと思っているようだが、それなら、私の落度を証明してみるがよい。
+ いま言えることは、神が私を押し倒し、網で生け捕りにしたということだ。
+ 必死に助けを求めても、だれも相手にしてくれない。声を限りに叫んでも、人間扱いさえしてもらえない。
+ 神は私の道を遮断し、光を闇に変えた。
+ 私の栄光をはぎ取り、冠を取り上げた。
+ 私はとことんまで打ちのめされ、虫の息となった。もうおしまいだ。
+ 神は私を敵視し、私に向かって怒りを燃やす。
+ 神の送った軍勢は、私の回りを二重三重に取り囲む。
+ 神は兄弟や友人たちまで遠ざけた。
+ 親族は私を裏切り、友人も私を見捨てた。
+ 家の者は、召使でさえ、私を赤の他人のように扱う。私は神を知らない外国人と同じ扱いを受けている。
+ 召使は呼んでも来ない。こちらが手をついてお願いするしまつだ。
+ 妻や兄弟からも、嫌われてしまった。
+ 年端もゆかぬ子どもまでがさげすむ。起き上がって話しかけようとすると、あざけり笑う。
+ 親友は私を毛虫のように嫌い、手塩にかけてきた者たちも背いた。
+ 私は骨と皮ばかりになり、かろうじて助かったのだ。
+ 友よ、お願いだ。神の怒りの手で打たれた、私の身にもなってくれ。
+ 神といっしょになって、私をいじめないでくれ。これだけ私の悩みを見れば満足だろう。
+ ああ、この訴えを鉄のペンで岩に書きつけ、いつまでも残せたらよいのに。
+ だが、私は知っている。私を救うお方は生きておられ、ついには地上に降り立つのだ。
+ この肉体が朽ち果てたのち、私は新しい肉体で神を見る。
+ そのとき、神は私の味方になってくださるはずだ!そうだ、その時私の目に映る神は、見も知らぬお方ではなく、親しい友人であるはずだ!ああ、何とすばらしい希望だろう。
+ なのにあなたたちは、私の刑が確定したかのように、臆面もなく私を責め立てている。
+ 警告しておこう。そんな態度をとっていれば、あなたたちも罰せられることを忘れてはならない。」
+
+
+ ナアマ人ツォファルの演説。
+ 「もう我慢できない。どうしてもあなたに言ってやりたいことがある。
+ 罪人呼ばわりしたことを取り上げて、私に恥をかかせるつもりか。私は自分の霊にせき立てられて、黙っていることができない。
+ あなたにもわかっているはずだ。この地上に人が住むようになって以来、
+ 悪者が勝ち誇るのはつかの間で、不信心な者の喜びは一夜の夢だ。
+ たとえ彼が思い上がり、肩をいからせて歩いても、
+ 糞のように捨てられ、永久に滅びる。彼を知る人たちは、どこへ行ったのかといぶかる。
+ 彼は幻のように消え失せ、
+ 友人も家族も、二度とその姿を見ることはない。
+ 子どもたちは貧しい人に物乞いし、やっとの思いで負債を埋め合わせる。
+ 彼がまだ若くても、その骨はちりの上に横たわる。
+ 彼は悪の楽しみを覚え、それを口の中で溶かし、
+ ゆっくり味わいながら、少しずつ飲み下す。
+ ところが、それは突然、腹の中で苦くなる。
+ たらふく食べた利得も吐き出さなければならない。彼が食べた物を消化するのを神はお許しにならない。
+ それは彼を殺す毒となる。
+ 盗品を自分のものにして財産を増やすことはできない。
+ 労苦は報いられず、富も喜びを与えない。
+ 貧しい者を虐待し、彼らの家を差し押さえたからだ。彼が元どおりになることはありえない。
+ 彼の目はいつも貪欲に燃えていたが、今はすっかり貧乏になり、彼の夢みてきたものは、みな飛び去った。
+ 彼は機会あるごとに盗みを働いたので、その財産はすぐになくなる。
+ 権力を振りかざしている彼を、いきなり災難が襲う。不幸な人たちは、寄ってたかって彼を食い物にする。
+ 彼が腹いっぱいになる寸前に、神の怒りが下る。
+ 彼は追われ、ついに射止められる。
+ 矢を抜くと、光る矢尻が胆のうから出てくる。彼は断末魔の苦しみで顔をゆがめる。
+ 彼の宝は暗闇の中に隠される。燃えさかる炎が彼の持ち物をなめ、遺産をすべて焼き尽くす。
+ 天は彼の罪をあばき、地は不利な証言を並べ立てる。
+ 神の怒りの前には、富も役に立たない。ただ踏みにじられてなくなるばかりだ。
+ これが悪者を待ち受ける運命だ。神がそのようにする。」
+
+
+ ヨブの返答。
+ 「私の言い分をよく聞け。とにかく、話させてほしい。そのあとで、好きなだけあざければよい。
+ 人に対してではない。神に言いたいことがあるのだ。こんな状態なら、悩むのが当然だろう。
+ まともに私を見てみるがよい。あまりの恐怖に、あなたがたは手を口に当てるだろう。
+ 私さえ、自分の姿を見ると恐ろしくなって身震いする。
+ 罪深い悪者が天寿を全うし、名を上げ、羽振りをきかせているのが現実だ。
+ 彼らは子どもが成長するまで長生きし、孫の顔まで見ることができる。
+ 家庭の心配事など一つもなく、平和そのものだ。しかも、神は彼らを罰しない。
+ 家畜もどんどん増えるし、
+ 快活な子どもたちにも恵まれる。
+ 彼らは毎日、歌と踊りで明け暮れる。資産家となり、倹約などする必要もなく、死ぬまで栄える。
+ 神を追い出し、神になどかかわりたくないと思っているのに、このようになるのだ。
+ 彼らは大きな口をたたく。『全能の神だって? いったい、だれのことだ。なぜ神などに従わなきゃならないのだ。大したご利益もないのに。』
+ 悪者がさわった物は、何もかも金になる。だが私は、そんな人々とはかかわりたくない。
+ 悪者はいつでも罰を免れる。災いに会わず、神が悲しんだり、怒ったりするときも、彼らだけが見逃される。
+ 風が彼らをわらのように吹き飛ばし、嵐が運び去るというのか。とんでもない。
+ 『だが神は、少なくとも彼らの子どもを罰する』と言っても、私は納得できない。罪を犯した当人が罰されるべきで、子どもは罰されるべきではない。当人が身をもって、刑罰の痛みを思い知るべきではないか。
+ 自分が悪くて滅びを招いたのだから、全能者の怒りを自分でのみ尽くすべきだ。
+ そして死んで、二度と家族と楽しむこともできなくなるのだ。
+ とはいえ、だれが、さばき主である神に異議を申し立てることができようか。
+ 神は健康な者、富んでいる者、肥えている者、栄えている者を滅ぼす。
+ 一方では、生まれて一度も幸せだったことのない貧しい人をも滅ぼす。
+ どちらも、同じちりの中に埋められ、同じようにうじ虫の餌食になる。
+ あなたたちの言おうとすることはわかっている。
+ きっと、罪のために災いを招いた、金持ちの悪者を引き合いに出すことだろう。
+ だが、手近な人に尋ねてみるがよい。
+ 悪者はたいてい災いの日に命拾いし、逃げのびる、と答えるに決まっているから。だれも面と向かって彼を責めず、報復もしない。そればかりか、兵士が彼の墓を見張ってくれる。
+ 盛大な葬儀の行列が続き、やわらかい土が彼を覆う。
+ あなたがたは前提から間違っている。なぜ私を慰められると思っているのか。」
+
+
+ エリファズの再度の演説。
+ 「人は少しでも神の役に立つことがあるのだろうか。最高の知恵者でさえ、自分の役に立つだけだ。
+ あなたが正しいからといって、全能者は喜ぶだろうか。あなたが完全だからといって、神の得になるだろうか。
+ 罰を受けているのは、あなたが正しいからだろうか。
+ とんでもない。悪いからこそ罰せられるのだ。あなたの罪は底なしなのだ。
+ あなたは、相手の着ている物をみな担保に取らなければ、困っている友人に金を貸さなかったのではないか。彼らから身ぐるみはぎ取ったに違いない。
+ のどが渇ききっている者にも水を飲ませず、飢えている者にもパンを与えなかったに違いない。
+ ところが、権力者には欲しい物は何でもくれてやり、金持ちには好きな所に住まわせた。
+ 気の毒な未亡人を手ぶらで追い返し、みなしごの腕をへし折った。
+ だから今、突然の恐れに取りつかれ、暗闇と戦慄の波にのまれるのだ。
+ 神は、天や星よりも高い所にいる偉大なお方だ。
+ ところが、あなたは言う。『だから神には、私のしていることが見えないのだ。暗闇が覆っているのに、正しいさばきなどできるわけがない。
+ 黒雲に取り巻かれて、神には何も見えない。神は、はるかかなたの空の上を、のんびり散歩しているだけなのだから。』
+ 昔ながらの罪の道を歩いている者は早死にし、その人生の土台は押し流されることがわからないのか。
+ 彼らは神に言った。『じゃまだから離れてくれ。全能者と言っているのに、何の役にも立たないではないか。』
+ 私だったら、口が裂けてもこんなことは言えない。彼らは、神が良い物をいっぱい下さったことを忘れている。
+ そこで今度は、正しい者が悪者の滅びるのを眺める番だ。潔白な者は悪者をあざけり笑う。
+ 彼らは口々に言う。『見るがいい。敵の最後の一人が火で滅ぼされた。』
+ 神に口答えするのはやめることだ。いさぎよく和解することだ。そうしたら、心に安らぎが訪れる。間違っていたことを素直に認めれば、神のいつくしみがある。
+ 神の教えに耳を傾け、それを心にたくわえるのだ。
+ 神に立ち返り、いっさいの悪を閉め出せば、あなたは元どおり栄える。
+ 金銭欲を断ち切り、取っておきの黄金を捨てれば、
+ 全能者があなたの宝となり、神が貴重な銀となるのだ。
+ そのとき、あなたは主の恵みを感じて喜び、神を見上げる。
+ 祈れば神が答えてくれるので、あなたも神への約束をみな果たすようになる。
+ 望むことはすべて実現し、あなたの進む道には天の光がさす。
+ たとい攻撃され、打ち倒されても、必ずまた高い地位に戻される。神は謙遜な者を救い、
+ あなたのきよい手で、罪人をさえ助けるのだ。」
+
+
+ ヨブの返答。
+ 「今日も私は、やり場のない不満に苦しんでいる。間違いを犯したとしても、いくら何でも罰がきびしすぎるのではないか。
+ 神とどこで会えるかがわかりさえすれば、さっそく御座へ行って談判できるのだが。
+ こちらの言い分を何もかも話したうえで、神の返事を聞き、何がお望みなのかを知りたいのだ。
+ 偉大な神が、私を威嚇して寄せつけないことがあろうか。むしろ、私の言うことを聞いて同情するに違いない。
+ 正直で公正な者だけが神と論じ合うことが許され、さばき主である神によって無罪放免となる。
+ ところが、いくら神を探してもむだなのだ。あちこち尋ねても見つからない。
+ 北へ行っても見当たらず、南に向きを変えても、神は姿をくらましてしまう。
+ しかし神は、私の身に起こった一部始終をご存じだ。私を調べてもらえば、神は私が完全に潔白であると認めるはずだ。そうだ、純金のように混じり気がない者だと。
+ 私は神の道から離れず、神に従ってきた。一歩も脇道にそれたことはない。
+ 神の命令は食事をする以上の楽しみだった。
+ しかし、神が私について考えていることは変わるはずがない。神の決めたことは、だれにもくつがえせない。神は、望みどおりのことを意のままに行うからだ。
+ 私に対しても、全部決めたとおりに行うだろう。これから、もっと多くのことが私に起こる。
+ だから、私は怖くてたまらない。先のことを思うと、震えが止まらない。
+ 私は、すっかり弱気になってしまった。全能の神は一面の闇で私を脅かす。右を見ても左を見ても、一寸先もわからないほどの闇だ。
+
+
+ なぜ、神は法廷を開いて、私の訴えを聞いてくれないのか。なぜ、神を愛する者が待ちぼうけをくうのか。
+ ちまたには犯罪があふれている。地境が移され、羊の群れが盗まれ、
+ 貧しい人や孤児のろばまで奪われているではないか。貧しい未亡人たちは、担保に入れたわずかの物さえ取り立てられている。
+ 生活に困っている者は押しのけられ、すごすごと引き下がる。
+ 貧しい人は、野ろばのように、一日じゅうかけて、やっと何とか生きていけるだけの食料にありつく。子どもの食べる物を探しに、荒野にまで出かける。
+ 彼らは野生の植物を口に入れ、悪者のぶどう畑の取り残しにさえ手を出す。
+ 寒くても、裸で夜を過ごす。
+ 山ではにわか雨に会ってずぶ濡れになり、住む家もないので洞窟の中で生活する。
+ 悪者は貧しい人に金や穀物を貸す前に、父のない子を母親の乳房から奪い取り、その赤ん坊をまず担保として取る。
+ だから貧しい人は着物もなく、裸で歩き回り、お腹をすかせながら、他人の食糧をかついで働く。
+ オリーブ油を絞りながら味見もできず、ぶどうの実を踏みながらも、のどの渇きに苦しむ。
+ 町には瀕死の病人のうめきが起こり、傷ついた者は助けを求めて叫ぶ。しかし、神は彼らの嘆きに答えようとしない。
+ 悪者は光に反逆し、正義と善になじめない。
+ 彼らは人殺しだ。夜明けとともに起き、生活に追われる者を殺す。夜になると盗賊と姦通者に早変わりし、『だれにも気づかれない時がきた』とほくそ笑み、夕暮れを待ち受ける。正体を見破られないように覆面をつけ、
+ 夜の闇にまぎれて家々に押し込み、昼間に眠る。彼らは光を知らない。
+ 彼らにとっては暗い夜が朝なのだ。彼らは暗黒の恐怖と手を結ぶ。
+ だが、彼らはあっという間に地上から姿を消す。その持ち物はのろわれ、子どもに財産を残せない。
+ 雪が日照りと暑さで跡形もなく消えるように、罪人は死ぬと影も形もなくなる。
+ 生みの親さえ彼らを忘れ、うじ虫が湧いて、彼らを食い尽くす。二度と人の話題に上らない。罪人は、強風を受けた木のようにへし折られる。
+ 頼りになる子どものいない者を食い物にし、貧しい未亡人を助けなかったからだ。
+ ところが、どうしたことか。神は金持ちを保護し、他の者は死んでも、彼らだけを長生きさせることがある。彼らに自信と力を与え、あれやこれやと面倒を見る。
+ だが、今どんなにうまくいっていても、彼らもやはり麦の穂のように刈り取られ、帰らぬ人となる。
+ だれが、そうでないと言えよう。だれが、私はうそつきだと証明し、私の言うことは間違いだと言い張ることができるだろうか。」
+
+
+ シュアハ人ビルダデの三度目の返答。
+ 「神は力のある、恐るべきお方だ。神は天で平和をつくる。
+ だれに、おびただしい御使いの数を数えることができるだろう。神の光は地をすみずみまで照らす。
+ 人にすぎない者が、神の前に立ち、自分は正しいと主張できようか。胸を張って、自分は潔白だと言いきれる者は、この世界にただの一人もいない。
+ 神の栄光はあまりにもまばゆく、月や星でさえ比べることもできない。
+ まして、神の目には虫けらにすぎない人間は、なおさらのことだ。」
+
+
+ ヨブの返答。
+ 「そろいもそろって、なんという人たちだ。苦しみの中にいるこの私を、こんなにも励まし、助けてくれるとは。
+ 思慮の足りない私を、ご親切にも、いろいろ教え導いてくれたわけだ。
+ いったい、そんな才知あふれるこざかしい考えをどうやって思いついたのか。
+ 死者は裸のまま神の前で震えている。
+ 神はからっぽの空間に天を張り、何もないところに地をつるす。
+ 神は雨を厚い雲に包み込むが、雲は裂けない。
+ また、雲で御座を覆い、
+ 海の境界線を決め、昼と夜の境目を設けた。
+ 神がしかると、天の柱は大揺れに揺れる。
+ 神の力によって、海は鎮まる。神は海の高ぶりを打ち砕く名人なのだ。
+ 天は神の御霊によって美しく晴れ渡る。神はまた、素早くはって逃げる蛇を刺し殺す。
+ こんなことは神にすればほんの小さなことで、御力がかすかにささやいただけにすぎない。まして、神が大声を出したとしたら、だれがそれに耐えられるだろう。」
+
+
+ ヨブの最後の弁明。
+ 「私の権利を奪い取った神よ、私のたましいを苦しめた全能者を指して誓う。
+ 生きている限り、神が下さる息のある間は、
+ 私は悪を語らず、うそを言わない。
+ あなたたちの言い分が正しいとは絶対に認めない。最期の息を引き取るまで、私は身の潔白を主張し続ける。
+ 自分が絶対に罪人でないことを、私は何度でもくり返して言う。私は生涯、良心に責められることがない。
+ それを認めない者は私の敵だ。彼らは邪悪な者たちなのだ。
+ 神を信じない者には、神にいのちを断たれるとき、何の望みがあるというのか。
+ 災難が降りかかって悲鳴を上げても、神は聞いてくださらない。
+ 彼が全能者を心の喜びとせず、困ったとき以外は神を心に留めないからだ。
+ あなたたちに、神について教えよう。
+ いや、ほんとうは、その必要はないのだ。あなたたちも私と同じくらい神のことを知っているのだから。それなのに、あなたたちは意味のないことばかりしゃべっている。
+ 悪者が、全能者の手から受ける運命は決まっている。
+ たとい子だくさんでも、その子らは戦死するか、あるいは飢え死にする。
+ 生き残ったとしても、結局は病気で死んでしまう。しかも、だれも悲しんでくれない。妻でさえ嘆かない。
+ うなるほどの財があり、たんすには衣装がぎっしり詰まっていて、
+ それが特別あつらえの物ばかりであっても、結局は正しい人がそれを身に着け、彼の銀を山分けするようになる。
+ 悪者の建てた家はくもの巣のようにもろく、ほったて小屋のように隙間だらけだ。
+ 寝るときは金持ちであっても、朝、目を覚ますと財産がごっそりなくなっている。
+ 彼は恐怖に襲われ、夜の間に嵐で吹き飛ばされる。
+ 東風が彼を運び去り、彼は消えうせる。
+ 神は情け容赦なく彼に襲いかかり、彼は神から逃げようと必死にもがく。
+ 彼が死ぬと人々は歓声を上げ、非難の声を浴びせ、彼を永遠の世界へと追いやる。
+
+
+ 人は銀を掘り出し、金を精錬し、
+ 地から鉄をとり、石を溶かして銅をとる。
+ 暗闇に明かりをともして縦坑を掘り、地底の神秘を探る。体に縄をかけ、死の陰に覆われた暗い穴の中につるされて、揺れ動きながら降りて行く。
+ 人は地の表面から食物を得る方法を知っているが、地の下では火が燃えている。
+ 人はサファイヤや砂金のありかを知っている。
+ これらの宝は、猛禽も見たことがなく、鷲の目に触れたこともない。
+ 鉱山のふところ深く眠っているからだ。野獣もそれを踏んだことがなく、ライオンもその上に爪を立てたことがない。
+ 人は堅い岩を割り、山々をふもとからくつがえす。
+ 岩山にトンネルを掘り、貴金属を露出させ、
+ 川をせき止め、砂を洗って金をとる。
+ こんなにも巧みに宝石を見つける人間も、どこで知恵と悟りを見つけたらよいか知らない。
+ どのようにしてそれを手に入れるかわからない。実際、それは地上には見いだされない。
+ 大洋は、『ここにはない』と言い、海は、『ここにもない』と答える。
+ それは金や銀で買い取ることはできないし、
+ オフィルの金や高価なしまめのう、それにサファイヤを山と積んでも、譲ってはもらえない。
+ 知恵は、金や高価なガラス細工よりはるかに価値がある。宝石をちりばめた純金の器も知恵とは交換してもらえない。
+ さんごや水晶を差し出しても、知恵を得ることはできない。知恵の値段はルビーよりもけたはずれに高い。
+ エチオピヤのトパーズはもちろん、最高品質の純金をもってしても、知恵は手に入らない。
+ では、知恵はどこへ行けば手に入るのか。どこで見つけることができるのか。
+ それは全人類の目から隠されている。空を飛ぶ、鋭い目をした鳥でさえ、見つけることはできない。
+ だが、滅びと死は、『知恵のことなら少しは知っている』と言う。
+ 神はもちろん、それがどこにあるかご存じだ。地上をくまなく探し、天の下を余すところなく見つめているからだ。
+ 神は風を吹かせ、海の境を決める。
+ 雨の法則を作り、いなびかりの通り道を決める。
+ 神は知恵のありかを知っていて、耳を傾ける者にそれを聞かせる。吟味に吟味を重ね、知恵を確かなものとする。
+ 神は全人類に言う。『主を恐れることがほんとうの知恵、悪を捨てることがほんとうの悟りだ。』」
+
+
+ ヨブの弁明の続き。
+ 「神が目をかけてくださった昔がなつかしい。
+ 神が私の歩く道を照らしたので、暗がりを歩いても守られた。
+ まだ若かったころ、神の温かい思いやりは、家の中でも感じられた。
+ 全能者は私とともにおり、子どもたちも回りにいた。
+ 手がけることはみなうまくいき、岩も、私のためにオリーブ油を流れ出した。
+ あのころ、私は町の門に行くと、長老の席に座った。
+ 青年たちは私を見ると道をあけ、年老いた者も、わざわざ起立して敬意を表した。
+ 領主たちは話しをやめ、手を口にあてた。
+ 首長たちも声をひそめた。
+ だれもが私の言うことに聞き惚れ、私をほめそやした。
+ 私は曲がったことの嫌いな裁判官として、生活苦にあえぐ貧しい人や、身寄りのない子どもたちを助けてきた。
+ 死にかかっている者に救いの手を伸ばすと、彼らは私を祝福した。未亡人には、喜びの歌を歌えるようにしてやった。
+ 私のすることはみな正しく、うそ偽りがなかった。正義こそ、私の衣だったのだ。
+ 盲人には目となり、足の不自由な人には足となって仕えた。
+ 貧しい者には父親のようになり、一面識もない者でも、公平な裁判が受けられるように面倒をみた。
+ 神を信じない無法者の牙を折り、彼らの口にくわえられていた犠牲者を助け出した。
+ そこで考えたものだ。『きっと私は幸せに満ちた長寿を全うし、居心地の良い部屋で静かな最期を迎えるだろう』と。
+ 私のすることはみな栄え、畑は夜露でうるおった。
+ 次々と名誉が与えられ、私の能力は日ごとに高くなり、さえわたった。
+ だれもが私のことばに耳を傾け、私の意見を尊重した。人々は私が発言するまで静粛そのものだった。
+ そして話し終えると、それ以上何も言わなかった。私の助言が彼らを満足させたからだ。
+ 彼らは日照りのとき雨を待ちこがれる人のように口を大きく開き、私が語りだすのを真剣な顔で待った。
+ 失意に沈んでいるときでも、私が笑っただけで元気づき、明るさを取り戻した。
+ 私は彼らに何をどうすべきかを教えた。また、指導者として、軍を指揮する王として、嘆く者を慰める者として、彼らに接した。
+
+
+ ところが、今はどうだ。私より若い者たちが、私をさげすむ。彼らの父親は、私の家の番犬にも劣るというのに。
+ 彼らには力がある。だが彼らは役立たずで、愚かな者にすぎない。
+ 彼らはききんで骨と皮になり、荒れ果てた不毛の地や砂漠に放り出される。
+ 食べる物といえば木の根や葉ばかりしかない、人里離れた所へ追いやられる。どろぼうを追うように、人々は彼らの背後から叫ぶ。
+ 足のすくむような谷の斜面、洞窟、岩場が彼らの住みかとなる。
+ やぶの中で獣のようにうめき、雨露をしのぐために、いら草の下に群がって体をすり寄せる。
+ この愚かで役立たずの者たちは、世間から爪はじきにされた者たちの子だ。
+ それなのに私は今、彼らの下品な歌でばかにされ、笑い者になっている。
+ 彼らは私をさげすんで近寄らず、私の顔につばを吐きかける。
+ 神が私のいのちを危険にさらしたからだ。若い者は、私に恥をかかせるだけでは足りず、今度はしたいほうだいのことを始めた。
+ 私の足を引っかけて転ばせ、通り道に罠をしかける。
+ 私の進む道をふさぎ、助ける者がだれもいないことを知ったうえで、早く死ねとばかりに攻め立てる。
+ 四方八方から襲いかかり、倒れた私を踏みつける。
+ 私は今、恐ろしくてしかたがない。こんな者たちにまで軽蔑され、あれほどの繁栄も、強風に吹き払われる雲のように消えたのだ。
+ これが嘆かずにおられようか。昼は昼で気分が滅入り、
+ 夜になればなったで、何もかもが物憂く、骨がけずり取られるような痛みが絶え間なく襲ってくる。
+ 夜通し寝返りをうつと、着物がからまって身動きがとれなくなる。
+ 神は私を泥の中に投げ込んだので、私はちりや灰のようになってしまった。
+ ああ神よ、私がどんなに叫んでも、あなたはお答えになりません。あなたの前に立っても、あなたは顔をそむけたままです。
+ あなたは残酷にも、本気で力まかせに私を責めます。
+ 私をつむじ風に乗せ、嵐の中で五体をばらばらにします。
+ 私を殺すつもりだということがわかります。
+ 倒れた者が手を伸ばし、災難に会った者が助けを呼び求めるように、私は、この責苦から解放してくださいと願いました。
+ 私は、困っている人のために涙を流した。貧しい人を見て、心から同情した。
+ だから当然、祝福がくるものと思っていた。ところが、やってきたのは災いだった。光を望んだのに、暗闇がきた。
+ 私の心は騒ぎ、休みなくいらだつ。
+ 悲しみのあまり太陽さえも見えない。私は立ち上がり、人々に助けを呼び求めるが、何を言っても無駄だ。私は山犬の兄弟とみなされ、だちょうの仲間と思われているのだから。
+ 病気のために皮膚は黒ずみ、むけ落ちた。高熱のために骨は焼けるように痛む。
+ 喜びと楽しみの歌は、もはや嘆きの声となった。
+
+
+ 情欲をもって女性を見ないようにする。私は、そう自分の目と契約を結んだ。
+ みだらな者に、全能の神が災いを下すことを知っているからだ。
+ 神は私のなすことすべてを見ている。
+ 私がうそをつき、人を欺いたことがあるだろうか。
+ もちろん、神は私の潔白をご存じだ。
+ 私は、神の道を踏みはずしたことも、目に入るものへの欲望に取りつかれたこともない。そのほかの罪についても、全く身に覚えがない。もし少しでもやましいところがあったら、私が種をまいて育てた作物をほかの者が刈り取り、私の植えた木がみな根こそぎにされてもいい。
+ 私が人の妻を欲しがったことがあるというなら、
+ 殺されてもいい。私の妻が他の人の家に労働者として入り、あるいは他の人が彼女の夫になってもいい。
+ 情欲は恥ずべき罪、罰せられるべき罪過、
+ 何もかも焼き尽くす地獄の火だ。それは、私の植えたものをみな根こそぎにする。
+ 少しでも召使たちを不当にあしらったことがあったなら、
+ 神をまともに見ることなどできるわけがない。神にそのことを問いただされたら、何も答えようがない。
+ 神は私を造り、また召使たちをも造ったからだ。
+ 私が貧しい人を傷つけ、未亡人を泣かせたことがあるだろうか。
+ 腹をすかせた孤児に、食べ物を恵まなかったことがあるだろうか。
+ いつも、孤児を引き取って親身に世話をし、わが子同様に育てたではないか。
+ 寒さにこごえている者に着る物を与えず、その人を暖めるために羊の毛を刈らなかったことがあるだろうか。
+ だれにも責められないからといって、孤児の弱みにつけこんだことがあるだろうか。
+ こんなことを一つでもしていたら、腕がつけ根からもぎ取られ、肩の骨がはずれてもかまわない。
+ その程度の罰なら、どんなものより恐ろしい神にさばかれるよりましだ。威厳ある神を向こうに回したら、一片の望みもなくなってしまうからだ。
+ 私が金銭を頼りにしたことがあるだろうか。
+ 財産のあるなしを幸福の尺度にしたことがあるだろうか。
+ あるいは、空に輝く太陽を見、銀の道に沿って動く月を見て、
+ 心ひそかに魅せられ、手を合わせて拝んだことがあるだろうか。
+ こんな行為も、裁判にかけて罰せられるべきだ。私がこんなことをしたのなら、天の神を否定したことになるからだ。
+ 私は、敵が苦しむのを見て喜んだことがあるだろうか。
+ 人をのろったり、復讐したりしたことなど一度もない。
+ 召使を飢えさせたこともない。
+ 見知らぬ人でも追い返したりせず、だれが来ても気持ちよく迎え入れた。
+ 私は、アダムのように罪を隠したことがあるだろうか。
+ 群衆におびえ、軽蔑されることを恐れて、罪を認めようとせず、人の力になることをためらったことがあるだろうか。
+ 私の言い分を聞き、私の立場を理解してくれる者はいないのか。だれが何と言おうと、私は正しい。もし間違っていたら、全能者がそれを指摘すればよい。敵の起訴状が正当であることを、全能者が認めればよい。
+ 私はそれを、冠のように大事にしまっておく。
+ それから、自分が何をしたかを、包み隠さず神に打ち明け、堂々と自分の立場を弁護したい。
+ もし私の土地が、そこの産物を盗んだとして私を責めるなら、あるいは、私が小作人を殺して、彼らの収穫を奪い取ったことがあるというなら、
+ 小麦の代わりにいばらが生え、大麦の代わりに雑草がはびこるように。」ここでヨブのことばは終わりました。
+
+
+ 三人の友人は、それ以上ヨブに答えるのをやめました。ヨブが、自分は潔白だと言い張って一歩も譲らなかったからです。
+ このやりとりを聞いていた、ラム族のブズ人、バラクエルの子エリフは腹を立てました。ヨブが、罪を犯したことを認めず、正当な理由があるからこそ神が彼を罰したのだということを認めようとしなかったからです。
+ エリフはまた、ヨブの三人の友人にも腹を立てました。ヨブの議論に満足な受け答えもできないくせに、ヨブを罪人呼ばわりしたからです。
+ エリフは、自分の話す番がくるのを、ずっと待っていました。一番年下だったので、これまで遠慮していたのです。
+ エリフは三人が答えに詰まったのを見ると、このときとばかり、怒りに震えながら、
+ 口を開きました。「私はまだ若いし、皆さんは人生の大先輩だ。だから遠慮して、今まで黙っていた。
+ 年長者のほうが賢いと言われているからだ。
+ しかし、年をとれば自然に賢くなるというものでもないことがわかった。人を聡明にするのは、人のうちにある神の霊だ。
+ だから、しばらく私の言うことを聞いてもらいたい。
+ 私はこれまで、じっと皆さんの言い分を聞いてきた。ところが皆さんは、ヨブさんに罪を認めさせることも、彼が罪人であることを証明することもできなかった。
+ 『人に罪を認めさせるのは神だけだ』などと、言いわけしないでもらいたい。
+ ヨブさんが初めから私と議論していたら、私は絶対に、皆さんのような論法では答えなかった。
+ だれも答えることばがなくなり、途方に暮れ、口をつぐんで座り込んでしまった。それでも私は待ち続けるべきだっただろうか。
+ 私も、言うだけは言わせてもらう。
+ さっきから、言いたいことがたくさんあって、うっぷんがたまっていたのだ。
+ 密閉したぶどう酒のたるのように、私の腹は、今にも張り裂けそうだ。
+ 思いきり語って、気分を晴らさせてほしい。
+ 私は、人を侮辱することになるのを恐れて手かげんしたりしないし、だれにもへつらったりしない。遠慮なく言わせてもらう。神の罰を受けて死にたくないのだ。
+
+
+ そこでヨブさん、私の言い分を聞いてもらいたい。
+ いったん口を開いたからには、話を続けさせてほしい。
+ 私は腹を割ってほんとうのことを言う。
+ 神の御霊が私を造り、全能者の息が私にいのちを与えるからだ。
+ 反論できるなら、遠慮しないで反論してほしい。
+ 私はあなたが求めているような、あなたと神の間に立ち、双方の代弁者になれる人物だ。あなたを脅したり、怖がらせたりする人たちとは違う。私も、あなたと同じ、ただの人間だから。
+ 確かに、あなたは私の聞いているところで、何度も言った。
+ 『私は潔白だ。罪など犯していない』と。
+ 神は重箱の隅をつつくように、一つのあらも見のがすまいと目を光らせ、あなたを敵視しているとあなたは言う。
+ また、『神は私に足かせをはめ、ちょっとした動きでも監視する』とこぼしている。
+ 私の答えを言おう。このように神を悪しざまに言うことこそが、そもそも罪なのだ。神は人より偉大ではないか。
+ 神が自分のすることを、あなたにいちいち説明しないからといって、なぜ神に文句を言うのか。
+ 神は何度でもお語りになる。
+ それも、人が深い眠りについたあと、夜の夢と幻の中で。
+ 神はこのような方法で、人の耳を開き、知恵と訓戒を授け、
+ その心を変え、思い上がらないように守り、罪には刑罰のあることを警告し、罠に落ちないように守る。
+ 神は、骨は折らないにしても、人に病気と痛みを送る。
+ それで人は、生きる楽しみどころか食欲すら失い、いかにもおいしそうなごちそうでさえ見向きもしなくなる。
+ 彼はやせ細って骨と皮だけになり、
+ 死の一歩手前に近づく。
+ しかし、そこに御使いがいて、友人として彼をとりなし、彼がいかに正しいかを告げるなら、神は彼をあわれんでこう言う。『彼を自由の身にせよ。死なせるな。彼の身代わりができたからだ。』
+ すると彼は、子どものように元気になり、若さを取り戻して健康になる。
+ 彼が祈ると、神はすぐさま答え、喜んで彼を受け入れ、彼を元の働き場に戻す。
+ 彼は大声で友人に言う。『私は罪を犯したが、神は釈放してくださった。
+ 私が死ぬのをお許しにならなかった。これからは光の中で生活しよう。』
+ 神はたびたび、このようにして、
+ 人のたましいを深い穴から引き上げ、いのちの光の中で生きるようにしてくださる。
+ ヨブさん、そのことをよく考えてもらいたい。話すことはまだある。続けて聞いてもらいたい。
+ これまでのところで何か言い分があるなら、遠慮しないで言ってほしい。私はあなたの正しさを認めたいと思っているのだから、喜んで聞く。
+ 言うことがなければ、黙って、おとなしく聞いてもらいたい。これから、あなたに知恵を教えよう。」
+
+
+ エリフのことばの続き。
+ 「賢者の皆さん、私の言うことを聞いていただきたい。
+ われわれは、聞きたい音楽を選び、食べたい料理を選ぶように、
+ 正しいことには従うという選択をするべきだ。しかし、まず始めに、正しいとはどういうことか定義する必要がある。
+ ヨブさんがこう言ったからだ。『私は潔白なのに、神はそうでないと言い、
+ 私をうそつき呼ばわりする。私は罪など犯したこともないのに、恐ろしい罰を受けているのだ。』
+ ヨブさんのように尊大な人間が、ほかにいるだろうか。何しろ、『神を喜ばせることなど時間の無駄だ』と言うほどだから、悪者たちとよほど親しくしていたに違いない。
+ 理解力のある皆さん、私の言うことを聞いてほしい。神が罪を犯さないことぐらい子どもだって知っている。
+ 大切なのはむしろ、神が罪人を罰するということだ。
+ 神は絶対に悪を行わず、正義を曲げないということほど確かなことがあるだろうか。
+ ただ神だけが、地上を支配する権威を持ち、正義をもって全世界を治める。
+ 神がご自分の御霊を取り去ったら、
+ いのちあるものはみな姿を消し、人は元のちりに帰る。
+ 私のことばに耳を傾け、これから言うことを理解してほしい。
+ もし、神が正義を憎むお方だとしたら、この世を治めることなどできるだろうか。あなたは、全能の裁判官をとがめるつもりか。
+ 王や高貴な人に向かって、『おまえたちは不正を働く悪人だ』と言うこの神を、とがめるつもりか。
+ 神は、どんなに身分の高い者をも特別に重んじることなく、貧しい人より金持ちを多少でもえこひいきしたりしない。どんな人間も、神が造ったからだ。
+ 彼らはあっという間に死ぬ。身分の高い者も低い者も、真夜中に突然、人の手によらないで取り去られる。
+ 神はすべての人の行動に目を注ぎ、何もかも見通している。
+ 悪人が神の視線から身を隠せるような暗闇はない。
+ だから、人を神の法廷に引き立てるには、何か大きな罪を犯すのを待つまでもない。
+ 神は最高権力者を取り調べることもなく失脚させ、他の人を代わりに立てる。
+ 彼らのすることを監視し、一夜のうちにそれをくつがえし、彼らを滅ぼす。
+ また、公衆の面前で、彼らを悪者として打ちたたく。
+ 彼らが神から離れてわき道にそれ、
+ 貧しい者の叫びが神の耳に届いたからだ。神は虐待される者の叫びを聞く。
+ 神が沈黙を守っているからといって、だれが神を非難できよう。神は、悪者が支配権をにぎらないようにして、国を滅亡から救う。その一方で、いとも簡単に一つの国を葬る。
+ なぜ、人は神に、『私たちは罪を犯しましたが、もういたしません』と言わないのだろう。
+ あるいは、『自分がどんな悪いことをしたのかわかりません。教えていただければ、すぐに改めます』と言わないのだろう。
+ 神は、あなたの注文どおりに法を曲げるだろうか。あなたの移り気に合わせて、宇宙の秩序を変えるだろうか。答えはわかりきっている。
+ ヨブさん、知恵ある人なら、あなたが思慮のない話し方をしているという私の意見に同意するはずだ。
+ あんなに神を悪く言ったのだから、厳罰を受けて当然だ。
+ あなたは、もろもろの罪に、背き、傲慢、冒瀆の罪を加えたのだ。」
+
+
+ エリフのことばの続き。
+ 「『私は罪を犯していない。それなのに、神の前では、罪を犯した者より幸いというわけではない』と、あなたは言う。
+ 今、あなたばかりか、ここにいる皆の前で答えよう。
+ はるかに高い天を見上げてみよ。
+ あなたが罪を犯したところで、天をゆさぶり、神を御座から突き落とすことができようか。罪を山と積んだところで、神にとって、それが何になるのか。
+ あるいは、あなたが正しいとしても、それで神に恩を着せることになろうか。
+ あなたの罪は他の人を傷つけ、善行は他の人の役に立つこともあるだろうが、それだけなのだ。
+ 人々は抑圧されて叫び声を上げ、金持ちの力に屈してうめく。しかし、誰ひとり、神に泣きつき、『私を造った神はどこにいるのか。夜には私に歌を与え、
+ 私たちを獣や鳥より多少でも賢くするお方はどこにいるのか』と尋ねようとはしない。
+ 神にこう問いかけたところで、神は、抑圧する者にすぐさま報復してくれるわけではない。
+ かといって、神がこのような叫びに耳をふさいでいると思うのは間違いだ。
+ 神は事の成り行きを見ていないと考えるのは、いっそう大きな間違いだ。神を待ち望みさえすれば、正しいさばきをしてくださる。神が怒ってすぐ罰しないからといって、大声を上げて神にかみついてはいけない。
+ ヨブさん、あなたは愚か者のような口のきき方をしている。」
+
+
+ エリフのことばの続き。
+ 「もう少し続けさせてほしい。まだ、神について語るべきことがある。
+ 私を造った方の正しさを説明するために、例話を引き合いに出そう。
+ 私は豊富な知識を持っている。私が話すことは、混じり気のない真実ばかりだ。
+ 神は全能だが、だれをもさげすまない。それに、神の理解力は完璧だ。
+ 神は悪者を祝福せず、最大限の刑罰を加える。
+ 神は正しい者を、陽の当たらない所には置かず、かえって栄誉を与えて永遠の王座につける。
+ 彼らが災いに会い、奴隷となって苦しむと、
+ 災いが起こった理由を示し、どのような悪いことをしたのか、またどのように思い上がっていたかを指摘してくれる。
+ 神は、彼らが神の戒めを聞き、罪から離れるように力を貸す。
+ 彼らが神に従うなら、一生の間祝福されて繁栄する。
+ しかし、神のことばを聞かないなら、良識を失って戦場で倒れる。
+ 一方、神を信じない者は神の怒りを買う。彼らは神に懲らしめられているときでも、神に立ち返ろうとしない。
+ 快楽にうつつを抜かして堕落し、若死にする。
+ 神は悩んでいる者を救い出す。人は苦しむと、神のことばを聞くようになる。
+ 神はどんなにか、あなたを危険から救い出し、心地いい広々とした所へ連れて行き、そこであなたを繁栄させたいと思っていることか。
+ しかし、あなたは、他人への不平不満にとらわれすぎている。
+ 他人への怒りが昂じて、神を愚弄することがないように注意せよ。苦しいからといって、あなたを助け出せる、ただ一人のお方に憎しみを抱いてはならない。
+ 大声で叫べば、神は恥じて悔い改めると本気で考えているのか。そんなことで、あなたへの懲らしめが終わるだろうか。
+ 神のさばきによって人々が取り去られる夜を求めるな。
+ 悪をきっぱり捨てなさい。そもそも夜は、今の苦しみの原因である悪の生活から、あなたを守るためにあったのだ。
+ 神は全能だ。神のようなすばらしい教師はいない。
+ 神のすることに対して、ばかげているとか、悪質だと言える者はいない。
+ 目をみはるようなみわざを覚えて、神をほめたたえなさい。
+ すべての人が、遠くからこのみわざを眺めたのだ。
+ 神はあまりにも大きいので、神を知る手がかりさえつかめない。永遠というものを理解できる者はだれもいない。
+ 神は水蒸気を吸い上げ、冷やして雨とし、
+ 空から地上に降らす。
+ だれが雲の広がりと、雲の中の雷とを正確に知っているだろう。
+ どのようにして神がいなずまを走らせ、山々の頂上を雲で覆うかを見よ。
+ 神は、自然界のとてつもない力によって、人々を罰し、祝福し、食べ物を豊富に与える。
+ 神は両手にいなずまの矢をたくさん握っていて、その一本一本を的めがけて投げつける。
+ 雷の中には神の気配が感じられる。牛でさえ、いつ嵐が来るかを知っているのだ。
+
+
+ 私の心はおののく。
+ 神の声である雷の音を聞け。
+ 雷が天を渡って来ると、いなずまの閃光が四方八方に散る。
+ そのあとで、耳をつんざくような雷鳴がとどろく。神の威厳を告げ知らせているのだ。
+ 雷鳴は神の声に栄光を添える。神の力の偉大さは測り知れない。
+ 神が雪や夕立や豪雨を地上に降らせると、
+ すべての人は仕事の手を休め、神の力を認める。
+ 野獣は岩間やほら穴に避難する。
+ 雨は南から、寒さは北から来る。
+ 神が川の上に息を吹きかけると、急流でさえ凍りつく。
+ 神が雲に水分を含ませると、雲はいなずまをまき散らす。
+ いなずまは神の命令どおり、地を行き巡る。
+ 神が嵐を起こすのは懲らしめのため、また、いつくしみで人々を元気づけるためだ。
+ ヨブさん、あなたには、神のすばらしい奇跡をじっくり考えてもらいたい。
+ あなたは、どのようにして神が自然界を支配し、雲間にいなずまをひらめかすのか知っているだろうか。
+ 雲は完全な調和をもって見事につり合っているし、南風が吹くと暑くなる。いったいどうしてそうなるのか、知っているだろうか。
+ あなたは神のように、途方もなく大きな鏡のような空を張り広げることができるだろうか。
+ 自分には豊富な知識があると考える人がいたら、神に近づく方法を教えてもらいたい。私たちはあまりにも鈍く、何もわかっていないからだ。はて、そんな知識で神に近づけるだろうか。生きたままのみ込まれてもよいというのか。
+ 風が雲を吹き払うと、まぶしくて太陽をまともに見ることができないように、
+ 天の切れ間から差し込む、目のくらむような輝きを放つ神の威厳を見つめることは不可能だ。
+ 全能者の力を推し量ることはできない。しかし、神はこの上なく正しく、思いやりにあふれているので、私たちを滅ぼさない。
+ 人々が神を恐れるのは不思議ではない。世界最高の賢者も、神を感心させることなどできないのだから。」
+
+
+ その時、神はつむじ風の中からヨブに答えました。
+ 「なぜおまえは、わたしの摂理を否定しようとして、無知をさらけ出すのか。
+ さあ、遠慮なく向かって来なさい。これから幾つかの質問をするから、答えてみなさい。
+ わたしが地の土台をすえた時、おまえはどこにいたか。わかるなら言ってみよ。
+ おまえは地の寸法がどのようにして決められ、だれがその調査に当たったかを知っているか。
+ その土台を支えるものが何か、だれが隅の親石をすえたかを知っているか。その時、明けの明星は声を合わせて歌い、御使いたちは歓声を上げた。
+ 海が地の底から吹き出た時、だれが、その境界線を決めたか。だれが、雲と暗闇を海の着物とし、
+ 海岸線で区切って、それをせき止め、
+ 『ここまでだ。これ以上、来てはいけない。おまえの高ぶる波はここで止まるのだ』と言ったか。
+ おまえはただの一度でも、朝に姿を現せと命じ、暁を東の空から昇らせたことがあるか。
+ 夜明けの光に、地上をくまなく照らして、不法な夜の支配にとどめを刺せと命じたことがあるか。
+ 暁を赤く彩り、
+ 悪者の巣を乱し、振り上げられた腕をとどめたことがあるか。
+ おまえは海の源である泉を探り、深海の底を歩いたことがあるか。
+ 死の門のありかを突き止めたことがあるか。地の広さを見きわめたことがあるか。知っているなら言ってみるがいい。
+ 光はどこから来るか。どうしたらそこへ行き着けるか。暗闇についてはどうか。それはどこから来るか。
+ その境を見つけ、その源まで行くことができるか。
+ おまえがこれらのものが造られる前に生まれ、じゅうぶんな経験を積んでいるというのなら、そんなことは、すべて知っているはずだ。
+ おまえは、雪の倉に行ってみたことがあるか。雹が造られ蓄えられる場所を見たことがあるか。わたしはそれを、戦いの時に使おうと保管している。
+ 光の分岐点に通じる道はどこにあるか。東風の故郷はどこか。
+ 大雨の水路として谷を掘ったのはだれか。だれがいなずまの道を造り、砂漠に雨を降らせ、乾ききった不毛の大地に水をじゅうぶん吸わせ、やわらかい草を生えさせるのか。
+ 雨には父親があるか。露はどこから来るか。
+ 氷と霜の母親はだれか。
+ 水は姿を変え、石のように固い氷になるではないか。
+ おまえは星を取り抑え、オリオン座やスバル座を引き止めることができるか。
+ 四季の順序を正しく決め、牡牛座のすべての星を正しい軌道に導くことができるか。
+ 宇宙の法則に通じ、天がどのような影響を地に及ぼすかを知っているか。
+ おまえの叫び声を雲にまで届かせ、そこから雨を降らすことができるか。
+ いなずまを呼び寄せ、意のままに雷を落とすことができるか。
+ 人に直観や本能を授けたのはだれか。
+ 雲を全部数えられるほど知恵のある者がいるか。土地が乾ききって固まり、ほこりだらけになるとき、だれが天の水がめを傾けることができるか。
+ 子どものライオンがほら穴に伏し、またジャングルの中に寝そべって食べ物を待つとき、おまえは母親のライオンのように、獲物に忍び寄ってしとめることができるか。
+ からすの子がひもじさを訴えて巣の中で背伸びし、神に鳴き叫ぶとき、親がらすに餌を与えるのはだれか。
+
+
+ おまえは、野やぎがどのようにして子を産むのか知っているか。その光景を見たことがあるか。
+ それが身をかがめて子を産み落とし、体内の重荷から解放されるまでに、何か月みごもっているのか知っているか。
+ 野やぎの子らが野原で成長すると、親のもとを離れ、二度と帰って来ない。
+ だれが野ろばを野生にしたか。
+ このわたしが、それを荒れ地に放ち、住みかとして不毛の地を与えたのだ。
+ 野ろばはにぎやかな町を嫌い、追い手の叫び声を聞くことをいやがる。
+ 山や丘が彼らの牧場だ。彼らはそこで、ありとあらゆる緑の草を探す。
+ 野牛はおまえに素直に仕えるだろうか。飼い葉おけのそばに寄って来るだろうか。
+ おまえは野牛を使って畑を耕せるか。野牛は馬鍬を引いてくれるだろうか。
+ 野牛は力が強いからといって、おまえは頼りにするだろうか。野牛に、どこで働くかを自由に決めさせるだろうか。
+ 野牛を使いに出したら、打ち場から穀物を運んで来てくれるだろうか。
+ だちょうは誇らし気にはばたくが、母親の愛は持ち合わせていない。
+ 地面の上に産んだ卵を、砂に温めさせるだけだ。
+ だれかに踏まれたり、野獣につぶされたりするのを忘れている。
+ まるで自分の子ではないかのように冷淡にあしらい、死んでもいっこうに気にしない。
+ わたしが知恵を奪ったからだ。
+ ところが、だちょうはいったん跳びはねて走りだすと、どんなに速い馬をも追い越す。
+ おまえが馬に力を与えたのか。風になびくたてがみを、その首につけたのか。
+ 馬をいなごのように跳びはねさせることができるか。そのすさまじいいななきは、なかなかのものだ。
+ 馬は地面を前足でかき、自分の力を誇る。いったん戦場に出ると何ものをも恐れず、矢が雨あられと降って来ようと、光る槍と投げ槍が飛んで来ようと逃げ出さない。
+ 戦闘ラッパが鳴り渡ると、前足で激しく地面をかき、疾風のように敵陣へと駆けて行く。
+ ラッパの鳴るたびにヒヒーンといななき、遠くから戦いの匂いを嗅ぎつける。ときの声と、命令を伝える指揮官の怒号を聞くと喜ぶ。
+ おまえは、鷹がどのようにして高く舞い上がり、南方をさして翼を広げるかを知っているか。
+ 鷲が崖の上に高くのぼって巣を作るのは、おまえの指図によるのか。
+ 鷲は崖の上に住み、自然の要害を住みかとする。
+ そこから、はるか遠くにいる獲物をうかがう。
+ 鷲は死んだ動物を見つけて運び、ひなはその血を吸う。」
+
+
+ 主はさらに続けました。
+ 「おまえはまだ全能者と口論したいか。それとも降参するか。神を批判する者よ、答えてみよ。」
+ ヨブは主に答えました。
+ 「私は何の値打ちもない者です。どうして答えることができましょう。口に手をあてて黙り込むだけです。
+ 私は語りすぎました。」
+ 主は再びつむじ風の中から、ヨブに語りかけました。
+ 「さあ、男らしく立ち上がり、戦いに備えて身を引き締めなさい。そして、わたしの質問に答えるのだ。
+ おまえは自分の正しさを主張しようとして、わたしのさばきを信用せず、わたしを罪人呼ばわりするのか。
+ おまえは神のように強く、神のような大声で雷鳴をとどろかせることができるか。
+ そうだとしたら、おまえの尊厳と威光を身にまとえばよい。
+ おまえの怒りを吐き出し、思い上がった者の上にまき散らすのだ。
+ 横柄な者をひと目でへりくだらせ、悪者をその場で踏みにじれ。
+ 彼らをちりの中に沈め、死者の牢獄につなげ。
+ それができたら、自分の力で自分を救えるとおまえが言っていることを正しいと認めよう。
+ 河馬を見よ。わたしはおまえを造ったように、河馬も造った。河馬は牛のように草を食べる。
+ がっしりした腰と腹の筋肉を見よ。
+ 尾は杉のようにたれ、ももの筋はしっかり編み合わせてある。
+ 背骨は真鍮の管のようにまっすぐ伸び、肋骨は鉄の棒のようだ。
+ 河馬は、わたしが造ったものの中でも飛びきり凶暴だ。河馬を手なずけたいと思ったら、鋭い剣が必要だ。
+ 山々は最高の食べ物をそれに差し出す。河馬は山々の野獣を餌として食べる。
+ 河馬は葦の茂みに隠れた蓮の下に横たわる。
+ 蓮がこれを覆い、川のほとりの柳がこれを囲む。
+ 河馬は川が荒れ狂っても騒がず、水嵩の増したヨルダン川が押しかぶさっても動じない。
+ だれも、不意に襲って捕まえることができない。鼻に輪をつけ、引きずることもできない。
+
+
+ おまえは糸とつり針で巨獣をつり上げたり、舌に輪縄をかけたりすることができるか。
+ 鼻に綱を通して、つなぎ止めたり、あごを大釘で刺し通したりできるか。
+ 巨獣は、やめてくれと哀願したり、おまえの機嫌をとろうとしたりするだろうか。
+ いつまでもおまえの奴隷になることを承知するだろうか。
+ 小鳥のように飼いならしたり、幼い娘の遊び相手として与えたりできようか。
+ 漁師仲間はそれを魚屋に売るだろうか。
+ その皮を投げ槍で傷つけたり、頭にもりを打ち込んだりできようか。
+ 頭に手を乗せようものなら、そのあとに起きる恐ろしい格闘のことがいつまでも頭にこびりつき、もう二度と手出ししなくなる。
+ 生け捕りにすることなど、もってのほかで、考えただけでぞっとする。
+ それを怒らせるほど勇気のある者はいない。まして、それを征服するなど大それた話だ。誰ひとりその前に立ちはだかることができない。だとしたら、だれがわたしの前に立てようか。
+ わたしはだれにも借りがない。天の下にあるものはみな、わたしのものだからだ。
+ また巨獣には、手足や巨大な体全体にみなぎる、途方もない力がある。
+ だれがその厚い皮をはいだり、上顎と下顎の間に入ったりできるだろうか。
+ その鋭い歯は見るからに恐ろしい。
+ 巨獣が誇りとする、びっしり重なり合ったうろこは、空気も通さず、どんな物でも刺し通すことができない。
+ それがくしゃみをすると、陽の光は霧の中で、いなずまのように光り、その目は火花のように輝く。
+ 口は火を吐き、
+ 鼻の穴からは煙が出る。乾いた藺草を燃やして煮えたぎらせた釜から立ち上る水蒸気のように。
+ その息は炭火を起こし、口からは炎がほとばしる。
+ 首には途方もない力があり、行く先々で混乱を巻き起こす。
+ 肉はやわらかな脂肪ではなく、肉は固くしまっている。
+ 心臓は岩のように堅く、まるでひき臼のようだ。
+ それが体を起こすと、勇者もおじけづき、恐怖に取りつかれる。
+ 剣も、槍や投げ槍も、先のとがったもりも、その行く手をさえぎることができない。
+ 巨獣にとっては、鉄もわらと変わらず、真鍮も腐った木のようなものだ。矢もそれを追い払えず、投石器もわら同様に効き目がない。
+ 棍棒も歯が立たない。巨獣は飛んで来る投げ槍をもあざ笑う。
+ 腹は瀬戸物のかけらのように鋭いうろこで覆われ、体を引きずって歩けば、地面は削り取られる。
+ それが興奮すると水を沸き立たせ、深い淵をかき混ぜる。それが通ったあとには光るあわの筋が残るので、人は海は霜からできていると思うだろう。
+ これほど恐れを知らぬものは地上にいない。
+ それは、獣の帝王で、獣の中で最も威厳がある。」
+
+
+ ヨブは主に答えました。
+ 「あなたはどんなことでもできるお方で、だれもあなたの働きを止めることができないことがわかりました。
+ 愚かにもあなたの摂理を否定する者はだれかとお尋ねですが、それはこの私です。私は何もわかっていないことを口走り、及びもつかない不思議を論じていました。
+ 『わたしの言うことをよく聞け!おまえに質問するから、答えられるなら答えてみよ』と、あなたはおっしゃいました。
+ 私には、こう申し上げるほかありません。『あなたのことはずっと前から聞いていましたが、今私は、あなたをこの目ではっきり見たのです。
+ 私は、つくづく自分がいやになり、ちりと灰の中で悔い改めます。』」
+ 主はヨブに語り終えたのち、テマン人エリファズにこう言いました。「おまえと二人の友人に、私は怒りを燃やしている。おまえたちがわたしについて語ったことは、わたしのしもべヨブのようには正しくなかったからだ。
+ 今、若い雄牛七頭と雄羊七頭をヨブのところへ引いて行き、自分たちのために焼き尽くすいけにえとしてささげてもらいなさい。ヨブはおまえたちのために祈るだろう。わたしは彼の祈りを聞き入れる。おまえたちはヨブについて間違ったことを言ったが、わたしはその罪のために、おまえたちを滅ぼすことはしない。」
+ テマン人エリファズ、シュアハ人ビルダデ、それにナアマ人ツォファルは、命じられたとおりにしました。主はヨブの祈りを聞きました。
+ ヨブが友人のために祈ると、主はヨブを、元どおりの裕福で幸せな生活に戻しました。それどころか、前の二倍の物を与えたのです。
+ 兄弟姉妹をはじめ、以前の友人たちが一人残らずやって来て、ヨブの家で彼を囲んで食事をしました。悲しみ抜いたヨブをいたわり、主から受けたすべての試練のことでヨブを慰め、めいめい銀や金の指輪を贈りました。
+ ヨブの晩年は、初めよりずっと祝福されました。羊を一万四千頭、らくだを六千頭、千くびきの牛、雌ろば千頭を持つ身となったのです。
+ そればかりか、息子を七人、娘を三人も授かりました。娘の名は、エミマ、ケツィア、ケレン‧ハプクです。
+ ヨブの娘たちほど美しい女性は、どこにもいませんでした。ヨブは、息子たちだけでなく娘たちにも、遺産を分け与えました。
+ そののち、ヨブは百四十年生き長らえ、孫も曾孫も見ることができました。
+ こうしてヨブは十分に年老いるまで生き、幸いな人生を終えたのでした。
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+ なんと幸いでしょう。悪者のたくらみに耳を貸したり、罪人といっしょになって神のことをさげすんだりしない人は。
+ その人は、主がお望みになることを何でも喜んで行い、いつも、主の教えを思い巡らしては、もっと主のみそばを歩もうと考えます。
+ その人は、川のほとりに植えられた、季節が来ると甘い実をつける木のようです。その葉は決して枯れず、その人のすることは、みな栄えます。
+ しかし罪人には、逆の運命が待っています。彼らは風に吹き飛ばされるもみがらのようで、
+ 神のさばきにたえず、神に従う人とともに立つことはできません。
+ 主はご自分に従う人の行く道を、守ってくださいますが、神に背く者の行き着く先は滅びです。
+
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+ 主に向かって怒り狂うとは、なんと愚かな国々でしょう。神を出し抜こうとするとは、なんと身のほど知らずな人々でしょう。
+ 地上の王たちが相集い、主と、主に油注がれた者への反逆をもくろんでいます。
+ 彼らは言います。「さあ、神の鎖を断ち切ろう。神から解放されようではないか。」
+ 天におられる神は、彼らのむなしい計画を聞いて笑います。
+ それから、激しい怒りを燃やしてしかりつけ、彼らを恐れおののかせます。
+ 主は言われます。「これがわたしの選んだ王だ。わたしは彼を、わたしの聖なる都エルサレムで即位させた。」
+ 選ばれた方が答えます。「主の永遠の目的を知らせましょう。主は私に、『わが子よ、今日はあなたの戴冠式だ。今、わたしはあなたに、子にふさわしい栄光を与える』と告げられました。」
+ 「わたしに願い求めよ。そうすれば、世界のすべての国を授けよう。
+ 国々を鉄の杖で治め、粘土のつぼのように砕くがよい。」
+ ああ、この世の王、支配者たちよ。手遅れにならないうちに聞きなさい。
+ 敬虔な恐れを抱いて主に仕え、おののきをもって喜びなさい。
+ 神のひとり子の前にひれ伏し、その足に口づけしなさい。主の怒りにふれて、滅ぼされてしまう前に。私はあなたに警告しておきます。主の怒りがまもなく燃え上がろうとしています。主に信頼する人は、なんと幸いでしょう。
+
+
+ [ダビデが王子アブシャロムに追われて逃げた時の賛歌。]ああ主よ。どうして、こんなに多くの者が私に逆らうのでしょう。どうして、こんなに多くの者からいのちを狙われるのですか。右も左も敵ばかりです。
+ 神が私をお助けになるはずはないと、だれもが口をそろえて言います。
+ しかし、主は私の盾、私の栄光、ただ一つの望みです。主だけが、恥辱にまみれてうなだれている私の頭を、高く持ち上げてくださいます。
+ 私が大声で叫ぶと、主はエルサレムの神殿から答えてくださいました。
+ 私は安心して横になり、ぐっすりと眠りました。主が守ってくださったからです。
+ たとえ何万の敵に包囲されても、私は恐れません。
+ 私は主を呼び求めます。「主よ、立ち上がってください。神よ、お救いください。」すると、主は敵の顔を平手打ちして侮辱し、彼らの歯を打ち砕きます。
+ 救いは神から来ます。神はご自分の民に、なんと大きな喜びをお与えになることでしょう。`
+
+
+ ああ神よ。あなたは私を、御目にかなった完全な者だと言ってくださいました。私が苦しんでいるとき、いつも気にかけてくださいました。今また、私はあなたを呼び求めます。どうか答えてください。私をあわれみ、私の祈りを聞いてください。
+ 主は問われます。「人の子らよ、こんな空しい偶像を拝んで、いつまでわたしの栄光をはずかしめるのか。偶像が神であるはずなどないのに。」
+ 人の子らよ、よく心に留めておきなさい。主は救われた人々を、ご自分のためにえり分けました。だから、私の声に耳を傾けて、答えてくださるのです。
+ 恐れかしこんで、主の前に立ちなさい。主に対して罪を犯してはいけません。寝床で、静かに思い巡らしなさい。
+ 主に信頼し、主に喜ばれる供え物をささげなさい。
+ 神が助けるはずはないと、だれもが言っています。ああ主よ、御顔の光で私たちを照らし出し、彼らが誤っていることを実証してください。
+ あなたから頂いた喜びは、刈り入れ時に人々が穀物の山を眺めて喜ぶよりも、はるかにまさっています。
+ 私は安心して横になり、眠りにつきます。たとえひとりぼっちでも、ああ主よ、あなたはすべての危険から守ってくださるのです。
+
+
+ ああ主よ、この祈りを聞いてください。王なる神よ、私の嘆きに耳を傾けてください。私はあなた以外のだれにも、決して祈ったりしません。
+ 朝ごとに、天におられるあなたを見上げ、御前に願い事を申し上げ、ひたすら祈ります。
+ あなたは、どんな小さな悪も喜んだりなさらず、ささいな罪でも大目に見たりはなさいません。
+ ですから、おごり高ぶる罪人たちは、あなたの鋭い視線を逃れて罪を知られないままでいることはできません。あなたは悪事を徹底的に憎まれるからです。
+ うそはあばかれ、彼らは滅ぼされます。主は、殺人と欺きをどんなにお嫌いになることでしょう。
+ しかしこの私は、あわれみと愛に守られて、神殿へまいります。心の底から恐れかしこんで神を礼拝します。
+ 主よ、お約束のとおり、私を導いてください。そうでなければ、敵に踏みにじられてしまいます。何をすればよいのか、どちらへ進むべきか、はっきりとお教えください。
+ 彼らはうそばかりつき、心は悪い思いで満ちています。彼らの誘いには罪と死の悪臭がただよいます。彼らは甘いことばで人々を欺き、邪悪な目的をはたそうとしています。
+ ああ神よ、彼らに責任をとらせてください。自分でしかけた罠にかからせてください。自らの罪の重みに耐えかねて、その下敷きになりますように。彼らは神に背いたのですから。
+ しかし、すべて神を信頼する者には、喜びを与えてください。神がかばってくださることを知って、彼らがいつまでも喜びの声を上げますように。神を愛する人たちを、幸福にひたらせてください。
+ 神は心から信じる者を祝福されます。主よ、あなたは愛の盾で彼らを囲まれます。
+
+
+ 主よ、お願いです。御怒りのままに私を罰しないでください。
+ ああ主よ、あわれんでください。私は弱い者です。どうかいやしてください。私は病んでいるのです。
+ 狼狽し、心がかき乱されています。不安に駆られ、気分がすっかりめいっています。ああ、私を早く元どおりにしてください。
+ ああ主よ、帰って来て、私を健康にしてください。あわれんで、お救いください。
+ 死んでしまっては、友の前であなたをほめたたえることもできません。
+ 痛みのため、私はやせ細りました。夜ごと涙で枕をぬらします。
+ 敵のために嘆き、そのために目も衰え、かすんできました。
+ 不法を行う者ども、私から離れて行け。私の泣き声は天に届き、
+ 訴えも聞き届けられた。主は私の祈りにすべて答えてくださる。
+ 敵はみな、恥を見、恐れにわななき、恥辱を受ける。神は彼らに恥をかかせて追い返します。
+
+
+ 私の神、主よ。頼れるのは、ただあなただけです。どうか、迫害する者からお救いください。
+ だれも助ける者がいないために、彼らがライオンのように襲いかかり、私をさらって行くことがありませんように。
+ 主よ。もし、私が悪事を働いているのなら、
+ 悪をもって善に報い、えり好みして人を不当に攻撃しているというのなら、
+ もしそうであれば、敵が私を滅ぼし、押しつぶし、ちりの中でこのいのちを踏みにじることを神がお許しになったとしても、私は何も言えません。
+ しかし、主よ。怒り狂う敵に対しては、どうぞ怒りをもって立ち上がってください。目を覚ましてください。どうか、正しいさばきを行ってください、主よ。
+ 異邦の民を召集し、高い座から彼らの罪をさばいてください。そして、私の潔白を明らかにしてください。全員の前で、私の名誉を回復し、誠実を証明してください。
+ ああ主よ、すべての悪を根絶やしにし、心の底から主を礼拝する者を祝福してください。正しい神である主は、人の心の奥底まで見抜き、いっさいの動機と思いとをお調べになります。
+ 神は私の盾。私を守ってくださるお方です。神は、真実で正しい人を救われます。
+ 神は公平な裁判官。日々、悪者には怒りを燃やします。
+ 悔い改めない者を研ぎすました剣で殺します。神は弓を引きしぼり、
+ 恐ろしい火の矢をつがえています。
+ 悪者は良くないことを考え、陰謀を企てては、偽りと背信に走ります。
+ そのような者たちは、自らしかけた罠に落ち込みます。
+ 他人にふるった暴力がわが身に跳ね返り、いのちを奪われるといいのに。
+ ああ、どれほど主に感謝していることでしょう。その恵みは測り知れません。王の王なる主の御名を、力の限りほめ歌います。
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+ ああ私たちの主よ。御名の威厳と栄光は全地に満ち、天にみなぎっています。
+ あなたは幼子たちに、あなたを真心からほめたたえよと教えられました。その子どもたちの姿に、敵が恥じ入って、口をつぐみますように。
+ 夜空を仰いで、あなたが造られた月や星を眺めると、
+ なぜ、取るに足りないちっぽけな人間を心に留め、目をかけてくださるのか不思議です。
+ ところがあなたは、御使いにほんの少し及ばないだけの者として人を造り、栄光と誉れの冠を与えられました。
+ あなたは、お造りになった万物を、人の手にゆだねられ、いっさいのものは人の支配下にあります。
+ 牛も羊も、また野獣も、
+ 鳥、魚、すべての海の生物も。
+ 私たちの主よ。御名の威厳と栄光は全地に満ちています。
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+ ああ主よ。心を尽くしてあなたをたたえます。目をみはるばかりの働きを、すべての人に伝えます。
+ 私はうれしくてなりません。あなたのおかげで喜びがあふれてきます。あらゆる神々にまさる神、主よ。私はあなたをほめ歌います。
+ 敵は御前でたじろぎ、滅び去ります。
+ あなたは私を弁護してくださいました。御座から私の行いを支持し、私の潔白を保証してくださいました。
+ あなたは諸国の民をしかり、悪者を滅ぼし、その名を永久に消し去られました。
+ 敵対する者たちよ。おまえたちの行き着く先は、永遠の滅びだ。主はおまえたちの町々を廃墟となさるので、その町があったことさえ、人々の記憶から消えうせるだろう。
+ しかし、主は永遠に生きておられます。主は御座につき、世界中の国々を正しくおさばきになります。
+ 虐待された人々はみな、主のもとに来ます。主は苦しむ人々の隠れ家です。
+ 主よ。主のあわれみを知る者はみな、助けていただけることを期待しています。主はいまだかつて、ご自身に頼る者をお見捨てになったことがないからです。
+ エルサレムに住まわれる神に、賛美の歌をささげよう。世界中の人に、永久に忘れ去られることのない神のみわざを伝えよう。
+ 人を殺す者に報復なさるお方は、正しいさばきを求める者の叫びに耳を貸します。苦しんで助けを求める者の祈りを退けたりなさいません。
+ ああ主よ、私をあわれんでください。私を憎む者の手にかかって私がどんなに苦しんでいるか、目を留めてください。主よ、死の口から私を引き出してください。
+ どうかお救いください。そうなれば、エルサレムの門に集まるすべての人の前であなたをたたえ、救い出された喜びを語ることができます。
+ 異邦の民は、人を落とそうと掘った穴に落ち込みます。自分のしかけた罠にかかります。
+ 悪者は地獄へ送り込まれます。これが、主を忘れた民の定めです。
+ 困っている者の窮状は、いつまでも放っておかれるわけではありません。貧しい者の願いは、いつも踏みにじられるとは限らないのです。
+ ああ主よ、立ち上がってください。異邦の民をさばき、罰してください。彼らがあなたに勝ち誇ったりしませんように。
+ 彼らを恐れおののかせてください。異邦の民に分をわきまえさせ、自分たちが取るに足りない人間にすぎないことを、思い知らせてください。
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+ 主よ、なぜ、遠く離れて立ち、主を一番必要としているときに、お隠れになるのですか。
+ 今来て、貧しい者を邪険に扱う高慢な者どもに立ち向かってください。彼らの悪だくみを、その頭上に返してください。
+ 彼らは、汚れた欲望を自慢し、主をののしり、主に忌みきらわれる者どもと意気投合しています。彼らにとっては、金銭だけが人生の目的なのです。
+ この悪者どもは高慢で横柄で、神は死んだとみなしているようです。神を求める気持ちなど、毛頭ありません。
+ ところが、手がけることは何でも成功し、敵をなぎ倒していきます。神の刑罰が待っていることを考えもしないのです。
+ 「神も人も大した相手ではない」と彼らはうそぶきます。そしてどういうわけか、道を切り開いていくのです。
+ 彼らの口には、冒瀆と偽りと欺きとが満ちています。常に悪だくみを自慢の種にしています。
+ 薄暗い裏通りで待ち伏せ、道行く人を殺しています。
+ ライオンのように息をひそめてうずくまり、貧しい者に襲いかかろうとしています。猟師のように罠をしかけ、えじきにします。
+ 不運な人は彼らの並はずれた力に圧倒され、一撃のもとに倒されるのです。
+ 彼らは自分に言い聞かせます。「神はこのことを知らない。見てもいない」と。
+ ああ主よ、立ち上がってください。ああ神よ、彼らを御手で倒してください。どうか、貧しい者を忘れないでください。
+ なぜあなたは、悪者が神を侮るのを放っておかれるのですか。「神に追及されることはない」と彼らは高をくくっているのです。
+ 主よ。あなたは彼らの仕打ちをご存じです。悪行の数々をじっとごらんになったはずです。彼らが人々にどれだけ悩みや悲しみを引き起こしたかご存じです。ああ主よ。さあ、罰してください。貧しい者はあなただけが頼りなのです。あなたは無力な者を助ける方です。
+ 悪者どもの腕を折り、最後の一人まで、追いつめて滅ぼしてください。
+ 主は永遠から永遠まで王です。他の神々に従う者は、主の地から一掃されます。
+ 主よ。あなたは謙遜な人の望みが何であるかご存じです。必ずその叫びを聞いて救いの手を差し伸べ、心に安らぎを与えてくださいます。
+ 主は、みなしごや虐待されている人たちのそば近くにいてくださるお方です。それで彼らは、地上の者たちから、二度と脅かされることはありません。
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+ 私は主に信頼しています。なぜ、あなたたちは臆面もなく、「身の安全のため山へ逃げろ」と言うのですか。
+ 悪者どもは弓を張り、弦に矢をつがえ、神の民を射ようと待ち伏せています。
+ 「法も秩序もなくなった。正しい者は逃げるしかない」と人々は言います。
+ しかし、主は依然として聖なる宮に住み、天からすべてを支配しておられます。地上での出来事をことごとく監視しておられます。
+ 主は正しい者と悪者とをふるいにかけ、暴虐を好む者を憎みます。
+ 悪者の上に火と硫黄の雨を降らせ、燃える風で彼らをあぶります。
+ 主は正しく、正義を愛します。信仰の直ぐな者は、その御顔を拝することができるでしょう。
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+ 主よ、助けてください。神を敬う者がみるみる減っていきます。世界中を探しても、信頼できる人などいません。
+ だれもかれもがだまし合い、お世辞を並べ立て、うそをつきます。もはや、一かけらの誠実も残っていません。
+ しかし、このようにふるまう者に、主がおだやかに接するはずはありません。「好きなだけうそをついてやろう。この舌は自分の舌だ。だれも止めることはできない。」こんな高慢なうそつきどもを、主は滅ぼすのです。
+ 主はこう言われます。「立ち上がって、虐待された者、貧しい者、困っている者を守ろう。わたしの救いを待ちこがれてきた人々を助け出そう。」
+ 主の約束は確実です。不用意なことばが主の口からもれることはなく、七度も精錬された銀のように、純粋そのものの真理だけをお語りになります。
+ ああ主よ。あなたはご自分の民を、悪者の手の届かないところに永久にかくまってくださいます。
+ たとえ、悪者が周囲をうろつき、国中に不道徳が横行しようとも。
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+ 主よ、いつまで私をお忘れなのですか。まさか永久にではないでしょう。こんなに困っているというのに、いつまで顔をそむけておられるのですか。
+ いつまで日々つきまとう苦悩に耐えなければならないのでしょう。いつまで敵が私に勝ち続けるのでしょう。
+ 教えてください。ああ主よ、私の神よ。私が死なないように、暗がりに光を投じてください。
+ 敵に、「あの者を倒した」と言わせないでください。私が倒れたと言って、彼らがほくそ笑んだりしませんように。
+ 私はいつも、主とその恵みによりすがり、主の救いを喜びます。
+ 豊かな祝福を頂き、心から主に歌います。
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+ 心の中で「神などいない」と言う者は愚かです。彼の心は腐っており、正しい人であるはずがありません。
+ 主は天からすべての人々を見下ろし、神を喜ばせたいと願う賢い者をお探しになります。
+ しかし、だれもいないのです。すべての人が道を踏みはずし、罪のために腐りきっています。正しい人はいません。ただの一人もいません。
+ 彼らはわたしの民をパンのように食べ、主に祈ろうなどとは考えもしない。彼らに良心のかけらもないのか。
+ 彼らは恐怖に取りつかれることになります。神はご自分を愛する者とともにおられるからです。
+ 貧しい者や謙遜な者が悪者に虐待されるとき、神は避け所となってくださいます。
+ ああ、今すぐ救いの時がきますように。ご自分の民を救うため、主がすぐに、シオン(エルサレム)から駆けつけてくださいますように。ああ、イスラエルが救い出されるときは、どれほどの喜びがもたらされることでしょう。
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+ 主よ。聖なる山にある主の天幕に行き、自分の避け所を見いだす人はだれでしょう。
+ それは、責められるところのない生活を送る、誠実そのものの人です。
+ 人を中傷せず、うわさ話に耳を貸さず、隣人を傷つけたりしない人です。
+ 罪に対してはっきりと声を上げ、罪を犯した者にはそれを指摘し、主に忠実に従う者を尊ぶ人です。自分に害が及ぼうとも、約束を破らない人です。
+ 高い利息で負債者を窮地に追い込むことも、わいろを受け取って、無実の人に不利な証言をすることもない人です。このような人は、いつまでもしっかりと立ち続けることができます。
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+ ああ神よ、どうかお救いください。私は隠れ場を求めてまいりました。
+ 「あなたは私の主です。あなたのもと以外に助かる場所はありません。」私は主に、そう申し上げました。
+ 私は神を敬うこの国の人々の仲間に加わりたいのです。彼らこそ、真に高貴な人々です。
+ ほかの神々を選んだ者は、悲しみに打ち沈むことでしょう。私は彼らのように供え物をささげたり、神々の名を口にしたりすることもありません。
+ 主こそ、私の相続財産、また宝です。主は私の食べ物や飲み物でもあり、また最高の喜びです。主は私の持っているものをすべて守ってくださいます。
+ 主は、美しい谷川と青々とした牧場を、分け前として頂けるようにしてくださいました。なんとすばらしい相続財産でしょう。
+ 私の助言者である主をほめたたえます。夜になると、主は知恵を授けてくださいます。どうすればよいかを教えてくださいます。
+ 私は、いつも主のことを思っています。主がすぐそばにいてくださるので、つまずいたり、倒れたりする心配もありません。
+ 心も体もたましいまでも、喜びにあふれています。
+ 神は私を死人の中に置き去りにせず、墓の中で朽ち果てるのをお許しにならないからです。
+ 神は生きる喜びを教え、永遠に共にいてくださるという無上の喜びを経験させてくださいます。
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+ ああ主よ、お願いです。どうかお助けください。私はまっすぐに生き、正しいことをしてきました。ですから、どうしても、この切なる叫びを聞いていただきたいのです。
+ 主よ、人々の前で私の嫌疑を晴らしてください。神はいつも公平なお方です。
+ 神は私を調べて、正しいことを確認してくださいました。神は夜中に来られましたが、不正は何一つ見いださず、私が真実を語ってきたことを認められました。
+ 私はご指示に従い、残忍な悪者とは行動を共にしませんでした。
+ 私の足は、神の道から一歩もすべり落ちることがありませんでした。
+ なぜ、私はこのように祈っているのでしょう。お答えが頂けると信じているからです。ああ神よ、どうかこの祈りを聞いてください。
+ ああ、敵から助け出されたいと願う者すべてにとって救い主である方よ。その大いなる愛を、目をみはるほどに見せてください。
+ 私をご自身のひとみを守るように守り、御翼の陰にかくまってください。
+ 敵は殺意を抱いて私を取り囲んでいます。
+ 情け知らずで、横柄な者たちです。自慢げに語る彼らの声を聞いてください。
+ 彼らは私を追いつめ、今にも地面に投げつけようとしています。
+ ライオンのように私を引き裂こうと目を光らせ、若いライオンのようにチャンスをうかがって待ち伏せしています。
+ 主よ、立ち上がり、戦ってください。彼らを追い返してください。早く来てくださり、地上の利得しか考えていないこの世の人々から私を救ってください。神は彼らの家をご自身の宝で満たされたので、彼らの子も孫も裕福になりました。
+ しかし、私の関心は富にはなく、私が神を見ているかどうか、また、神と正しい関係にあるかどうかにあります。私は天で目覚めるとき、この上ない満足感にひたるでしょう。神の御顔をじかに見るからです。
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+ [ダビデは、主がサウルをはじめ多くの敵から彼を救い出した時、この歌を歌いました。]主よ。私はどれほど主をお慕いしていることでしょう。こんなにもすばらしいことをしてくださった主を。
+ 主は、安心して身を寄せることのできるとりでです。誰ひとり、このとりでに入って来て、私を殺すことはできません。主は、身を隠すことができる険しい山であり、私の救い主です。だれも近づくことのできない岩、安全を守る塔、また私の盾です。
+ 私はただ、主に叫び求めさえすればよいのです。そうすれば主は、あらゆる敵から助けてくださいます。ああ、主をほめたたえます。
+ 死の鎖が私に巻きつき、洪水のように滅びが押し寄せてきました。
+ 私は罠に落ち、助けてくれる人もなく、死へと引きずり込む綱の力に抵抗してもがきました。
+ 苦しみの中で、私は主の助けを叫び求めました。その声を、主は天から聞いてくださいました。叫びは届いたのです。
+ その時、大地は揺れ動き、山々は震えわななきました。主の御怒りのためです。
+ 主の御口からすさまじい炎が吹き出して地を焼き尽くし、鼻からは煙が立ち上りました。
+ 主は天を切り裂いて降りて来て、私を救ってくださいました。御足の下には暗闇がありました。
+ 主は力ある天使にまたがり、風を翼とし、矢のように速く、助けに来てくださいました。
+ 暗闇を身にまとい、一寸先もわからない濃い黒雲に覆われて、近づいてくださいました。
+ 突然、いなずまと雹の嵐を伴った御姿が、雲間から輝きました。
+ 雷のような声が天空にとどろき、神々の上に君臨する神がお語りになったのです。なんという雹、なんという火でしょう。
+ 主はいなずまを恐怖の矢として放ち、私の敵をかき乱しました。あの逃げ惑うさまを見てください。
+ 主よ、ご命令のままに海の水は引き、あなたのすさまじい鼻息で、海の底はむき出しになりました。
+ 主は天から下って来て、大きな試練から私を助け出してくださいました。深い海の底から引き上げてくださったのです。
+ 敵の手にかかって、手も足も出なかった私。その私を頑強な敵、私を憎む者から救い出してくださいました。
+ 彼らは、弱りきっている私に襲いかかりました。しかし、主は私をしっかりと支え、
+ 安全な場所へと連れ出してくださいました。私を喜びとされたからです。
+ 正しいことを行い、潔白であったことに報いてくださったのです。
+ 私はご命令に従い、主に背を向けて罪を犯すようなことはしませんでした。
+ いつも主のおきてを目の前に掲げ、一つたりとも捨てたりしなかったのです。
+ おきてを守ることに全力を尽くし、悪行への誘惑を振り払い続けました。
+ それに答えて、主は祝福を下さったのです。私が正しいことを行い、純粋な思いを抱いていたことをご存じなのです。主は私のすべての歩みに目を留めておられるのですから。
+ 主よ。あなたは、恵み深い者に対しては、なんと恵み深くあられることでしょう。また、悪の道から引き返す者には、罰をお加えになりません。
+ 心のきよい者には祝福を、主の道からそれる者には苦痛をお与えになります。
+ 謙遜な者をお救いになりますが、高慢で横柄な者は有罪に定められます。
+ 主は、私に明かりをともしてくださいました。私の神、主は、私を包む闇を光に変えてくださいました。
+ 今や私には、どんなに高い城壁でもよじ登り、どんなに強力な軍隊に対しても攻撃する力が与えられています。
+ なんとすばらしい神でしょう。神はあらゆる点で全く完全です。そのお約束がすべて真実であることは明らかです。その背後に隠れる者には盾となってくださいます。
+ 私たちの主のほかに、だれが神でありえましょう。だれが不動の岩でありえましょう。
+ 神は私に力をみなぎらせ、行く先々でお守りくださいます。
+ 私の足を、岩山ででもしっかり立つ野やぎのようにし、絶壁の上をも安全に導いてくださいます。
+ 戦いに備えて私を鍛え、鉄の弓さえ引く力を与えてくださいます。
+ 主の救いは私の盾です。ああ主よ。右の御手が私を支えています。主のご温情のおかげで、私は名の知れた者となりました。
+ 主は、私を大またで歩かせ、しかも足がすべらないようにしてくださいました。
+ 私は敵を追撃し、一人残らず倒すまでは引き返しませんでした。
+ そして、彼らを地面に突き刺しました。敵は力を失い、私はその首を踏みつけたのです。
+ 戦いに臨んで、頑丈なよろいを着せていただいたおかげです。敵は私を見ておじけづき、足もとに倒れ伏します。
+ 彼らが背を向けて逃げるように仕向けたので、私は私を憎む者を滅ぼすことができました。
+ 大声で助けを求めても、誰ひとり彼らを助ける者はいませんでした。そこで、彼らは主に向かって叫びましたが、返事がありません。
+ 私は、ここぞとばかり彼らをちりのように粉々に砕き、空中高くまき散らしました。彼らを、床を掃くように掃き捨てました。
+ 神は、次々と戦いに勝利をもたらしてくださいました。諸国の民は私のもとに来て、仕えるようになりました。私がそれまで知らなかった国民までが、やって来てひれ伏すのです。私に会ったこともない外国人が、いとも簡単に服従します。彼らは震えながら、とりでから出て来るのです。
+ 主は生きておられます。大いなる救いの岩である神をほめたたえよ。
+ 神は私に害を加える者に報復し、目の前の国々を制圧してくださいます。
+ 敵に囲まれた私を助け出して、手の届かない安全な場所に移し、猛威をふるう相手から救ってくださいます。
+ ですから、私は主を国々の間でほめたたえます。
+ 主から王に定められた私は、幾度となく、奇跡的に救い出されました。いつも愛と恵みを注いでいただきました。主は、私の子孫をも同様に、お恵みくださることでしょう。
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+ 天は、神の栄光を物語る、神の手による傑作です。
+ 天は、昼となく夜となく、神について語り続けます。
+ 大空は、音もことばもなく静まり返っているのに、大空が語っていることは全世界に知られます。太陽は天の神の定めた場所に住んでいます。
+ 太陽はその場所から出て、結婚式の花婿のように晴れ晴れと、また、競技を前にした選手のように、意気揚々と大空を闊歩します。
+ 天の端から端まで行き巡り、その熱を免れるものは何一つありません。
+ 主のおきては完全で、私たちを守り、賢くし、喜びと光を与えます。
+ 主のおきては純粋で正しく、変わることがありません。
+ また、金よりも慕わしく、みつばちの巣からしたたるみつよりも甘いのです。
+ 主のおきては、危険に近づかないように警告し、従う者には祝福を約束します。
+ しかし人は、心にひそむ罪をどうして知ることができましょう。どうか、隠れた罪からきよめてください。
+ 故意に悪に走ることからも引き止め、守ってください。そうすれば、私は過ちを犯さず、大きな罪からも逃れることができます。
+ 私の口のことばと、秘めた思いが、神に喜ばれますように。ああ、私の岩、私の救い主、主よ。
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+ 苦難の日に、主があなたとともにおられますように。ヤコブの神が、いっさいの危険から守ってくださいますように。
+ 主がシオンの聖所から、助けの手を伸べてくださいますように。
+ あなたのささげ物、焼き尽くすいけにえを、喜んで心に留めてくださいますように。
+ あなたの願いをかなえ、計画をことごとく実現させてくださいますように。
+ あなたの勝利の知らせが伝わると、喜びの声がわき上がり、神があなたのためになさったすべてを記念して、神をたたえる旗が高く掲げられますように。あなたの祈りが、すべて答えられますように。
+ 主が王をお救いになることを、今こそ知りました。主は高い天から答えて、大勝利をもたらしてくださいます。
+ 国々は軍隊や武器を誇りますが、私たちは私たちの神、主を誇ります。
+ 国々はやがて衰え、滅びます。しかし、私たちは立ち上がり、大地に根を下ろして、しっかりと立ち続けます。
+ ああ主よ、王に勝利をお与えください。どうか、この祈りをお聞きください。
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+ ああ主よ。王はどんなにあなたの御力を喜ぶことでしょう。救われたことを、どれほど喜ぶことでしょう。
+ 主が願いをかなえ、望むものをことごとくお与えになったからです。
+ 主は、名誉と繁栄が保証された王座に彼を迎え、純金の王冠をかぶせてくださいました。
+ 満ち足りた長寿を求める王の願いを聞き届けられました。彼のいのちは永遠に限りなく続くのです。
+ 主は彼に名誉と名声を与え、威光と尊厳とをまとわせました。
+ また、永遠の幸福を授け、主の前に立つことの喜びが、いつまでも薄れないようにしてくださいました。
+ 王は主により頼んでいるので、つまずいたり倒れたりすることは絶対にありません。あらゆる神々にまさる神の変わらない愛に、頼りきっているからです。
+ ああ主よ。あなたの手は敵を見つけ出します。主を憎む者を一人残らず探し出します。
+ 主が姿を現されると、御前から出る激しい火が、彼らをたちどころに滅ぼします。その子らも共に倒されます。
+ 彼らは、主であるあなたに陰謀を企んだからです。しかし、そんな計画が成功するはずはありません。
+ 彼らは、主の矢にねらわれているのを知り、あわてて向きを変え、一目散に逃げるでしょう。
+ ああ主よ、この賛美をお受けください。御力を賛美しているのですから。私たちは主の力強いみわざをたたえて、賛美の歌を歌いましょう。
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+ 神よ、私の神よ。どうして、私をお見捨てになったのですか。どうして、助けるどころか、うめきさえ聞いてくださらないのですか。
+ 私は昼となく夜となく泣いては、助けを叫び求めていますのに、あなたは答えてくださいません。
+ しかし、あなたはきよいお方です。私たちの先祖の賛美が、御座を取り囲んでいました。あなたに信頼していた彼らを、あなたは助け出してくださいました。
+ 彼らの叫びを聞いて、救い出してくださいました。助けを求める人々を、ただの一度も失望に終わらせなかったのです。
+ しかし、私は虫けら同然で人間ではありません。同国人ばかりか、すべての人々からさげすまれています。
+ 私を見ると、だれもがあざけり、冷笑し、肩をすくめます。
+ 彼らは、こう言って笑います。「これが、主に重荷を肩代わりしてもらったという男なのか。主のお気に入りだとうぬぼれていたやつか。主に助け出されるところを見せてもらおうではないか。そうしたら信じてやってもいい。」
+ 主よ、以前はいつも助けてくださったではありませんか。母の胎から安全に取り上げ、幼い日々も、無事に過ごさせてくださったではありませんか。私は生まれてこのかた、ずっと主を頼りとして生きてきたのです。主はいつも私の神でした。今になって、置き去りにしないでください。苦難が近づいており、主のほかだれも、私を助けることはできないのです。
+ バシャンの巨大な雄牛のように獰猛な敵が、私を囲んでいます。
+ まるで獲物をねらってほえたけるライオンのように、口を開けて近づいて来ます。
+ 私は水のように流れ出し、骨はみなはずれ、心臓はろうのように溶けてしまいました。
+ 天日で乾かした粘土のようにひからび、舌は上あごにくっつきました。主が私を、死のちりの中に置かれたからです。
+ 徒党を組んだ悪人どもが、群がる野犬のように私を取り巻きます。私の手足は引き裂かれています。
+ 自分の骨を、一本残らず数えることができるほどです。私を見てはほくそ笑む、この悪人どもをごらんください。
+ 彼らはくじ引きで、私の着物を分け合うのです。
+ ああ主よ、そばにいてください。ああ、私の力である神よ、大急ぎで助けに来てください。
+ 死から救い出してください。私の尊いいのちを、こんな悪人の手に渡さないでください。
+ ライオンの口や、野牛の角からお救いください。そうです、神は答えて、私を助け出してくださいます。
+ 私はすべての兄弟の前であなたをたたえ、会衆に向かって、あなたのすばらしいみわざを語ります。
+ 私は語ります。「主を恐れる人たちよ、主をほめたたえよ。主の名を恐れ、敬え。イスラエルのすべての人よ、主に向かって賛美の歌を歌え。
+ 主は、私の絶望の底からの叫びをさげすまれなかった。背を向けて立ち去ることはなさらなかった。叫び声が届くと、主は助けに来てくださった。」
+ 私は全会衆を前にして、主をほめたたえます。御名を心から敬う人々の前で誓いを果たします。
+ 貧しい者は十分に食べて満足し、主を求める者は主を見いだして、御名をほめたたえるでしょう。その心は永遠の喜びに酔いしれるはずです。
+ それを目の当たりにした全世界の人々は、主のもとに立ち返るでしょう。あらゆる国民が主を礼拝するでしょう。
+ 主は王であって、国々を支配します。
+ 高慢な者も謙遜な者も、死ぬべき運命にある人はみな、主を拝みます。
+ 私たちの子どもも主に仕えます。私たちが、主のすばらしさを語り伝えるからです。
+ のちの世代もまた、主が私たちのためになさったすべての奇跡のことを聞くでしょう。
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+ 主は私の羊飼いですから、必要なものはみな与えてくださいます。
+ 主は私を豊かな牧草地にいこわせ、ゆるやかな流れのほとりに導いて行かれます。主は傷ついたこの身を生き返らせ、主の栄光を現すことができるよう、私を助けてくださいます。
+ たとえ、死の暗い谷間を通ることがあっても、恐れません。主がすぐそばにいて、私の行く道をいつもお守りくださるからです。
+ 主は私の敵の前で、私のためにすばらしい食卓を備え、大切な客としてもてなしてくださいます。それは、あふれるほどの祝福です。
+ 生きている限り、主の恵みといつくしみが、私を追ってきます。やがて、私は主の家に帰り、いつまでもあなたとともに暮らすことでしょう。
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+ 全地は主のものです。世界中のものはすべて神のものです。
+ 主は海を押しやり、乾いた地をあらわにされました。
+ 主の山に登り、主の住まいに入ることのできる者はだれか。主の前に立つことのできる者はだれか。
+ それは、心と手のきよい人、偽りのない人だけです。
+ そのような人は、主の祝福と恵みを頂けます。しかも、救い主である神は、その恵みが日々の生活に行き渡るようにしてくださいます。
+ こうした日々が与えられる人、それは、神の前に立ち、ヤコブの神を拝むことを許された人だけです。
+ 古くからある門よ、開け。栄光の王をお通しせよ。
+ 栄光の王とはだれか。強くたくましく、戦いで負けることのない王です。
+ 門を開け放ち、栄光の王をお迎えせよ。
+ 栄光の王とはだれか。それは、天の軍勢の主なのです。
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+ ああ主よ、あなたに祈ります。
+ 主よ。あなたに信頼している私に、恥をかかせないでください。敵が有利に立ち回り、勝ち誇ったりしませんように。
+ 神を信じる者は誰ひとり、信仰のために恥をかくことはありません。しかし、罪のない者を傷つける者はみな、身をもって手痛い敗北を経験します。
+ ああ主よ、進むべき道を教えてください。正しい小道を示してください。
+ 私を導き、教えてください。主は救いをお与えになる神だからです。主以外に望みはありません。
+ 若いころの罪は忘れてください。ああ主よ。あわれみと赦しの目で、永遠の愛と恵みの目で、私を見てください。
+ 主は正しい方で、迷い出た人に、喜んで正しい道を教えてくださいます。
+ 謙遜になって主のもとに帰る人に、主は最良の道を教えてくださいます。
+ 主に従って歩むとき、その道は、どこでも、主のいつくしみと真実の香りが漂っています。
+ しかし、主よ。私はなんと数多くの罪を犯していることでしょう。ああどうか、御名のために私をお赦しください。
+ 主を恐れる人はどこにいますか。主はその人に、最善のものを選ぶ秘訣を教えてくださいます。
+ その人は神の祝福の中に住み、子孫は地を受け継ぎます。
+ 神との親密な関係は、主を敬う者にしか持つことはできません。神はそのような人とだけ、秘密の約束をかわされます。
+ 私の目はいつも助けを求めて、主に向いています。私を救い出せるのは、主おひとりだからです。
+ 主よ、早くおいでになって、あわれみを示してください。私はすっかり打ちひしがれ、手も足も出せずに悩んでいます。
+ かかえている問題は、だんだん手に負えなくなるのです。ああ、すべての苦しみから引き離してください。
+ この悲しみに目を留め、この痛みを感じ取り、この罪をお赦しください。
+ 私にはなんと敵が多く、どれほど彼らに憎まれているかをごらんください。
+ お救いください。このいのちを敵の手中から奪い返してください。ああ、主に信頼したことがむだだったなどと、決して言われないようにしてください。
+ 神を敬う心と誠実さで、私が守られますように。あなたが私を守り、
+ また、イスラエルを、あらゆる苦しみから解放してくださることを信じます。
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+ 私に対する告発をすべて却下してください、主よ。私はいつもおきてを守ろうと心がけ、迷うことなく主に信頼してきましたから。
+ きびしく調べて、お確かめください。ああ主よ、動機も愛情も探ってください。
+ 私は、主の恵み深さと真実を理想として歩んできました。
+ 私は、裏表のあるずるい人間とはつき合いません。彼らは不誠実で、偽善的です。
+ 私は、罪人のたまり場を嫌悪します。そこに出入りしません。
+ 私は手を洗って身の潔白を証明し、それから祭壇に行き、
+ 感謝の歌を歌い、主の奇跡を人々に語り聞かせます。
+ 主よ。私はあなたの家を愛しています。光り輝くその宮を。主ご自身から照り渡る、目もくらむばかりの輝きに満ちた宮を。
+ どうか、私を低俗な罪人たちといっしょにしないでください。また、罪もない者を罠にかけ、わいろを取る連中といっしょにしないでください。
+ 私はそんな人間ではありません。ああ主よ。正しいことだけを行うために、狭くてまっすぐな道を歩もうとしてきたのです。どうか、私をあわれんでお救いください。
+ 主は、私がつまずいたり、倒れたりしないよう守ってくださるので、私は人々の前で、主をほめたたえます。
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+
+ 主は私の光、また救いです。だれを恐れる必要がありましょう。
+ 私を亡き者にしようと襲いかかる悪者は、つまずき倒れます。
+ たとえ大軍が押し寄せようとも、恐れません。必ず神が救ってくださると信じているからです。
+ 私が神にお願いすることは、ただ一つです。私の求めてやまないものとは、主の宮で黙想にふけり、いのちある限り主の前で暮らすこと、比べようもない、主の麗しさと完全と栄光とを喜ぶ特権です。
+ 悩みの日に、私は宮へ出かけます。主は私をかくまってくださり、高い岩の上に座らせて、
+ 敵が手出しできないようにしてくださいます。そのとき、私は主に供え物をささげ、大喜びで賛美の歌を歌います。
+ 私の訴えに耳を傾けてください。主よ。あわれんで、お助けください。
+ 「ここに来なさい。話をしよう。」この御声を、私の心は聞きました。そして、こう答えます。「主よ、参ります。」
+ どうか、お隠れにならないでください。私は、あなたを見つけ出そうとしているのです。怒って、召使の私を退けないでください。かつてあなたは、私が試練に会うたびに助けてくださったではありませんか。私を見放さないでください。ああ救いの神よ、見捨てないでください。
+ たとえ、父や母が私を勘当しても、主は迎え入れて、慰めてくださるはずです。
+ ああ主よ。どうすべきか、はっきりと教えてください。敵が手ぐすねひいて待ちかまえているのです。
+ どうか、敵に捕まったりしませんように。私が彼らの手中に陥ることがありませんように。身に覚えのないことを、彼らは告発するのです。そして、いつも残忍な仕打ちを企んでいます。
+ 主は、今度もきっと救い出してくださいます。人々が生きているこの地上で、再び主のあわれみを見ることができますように。
+ いらだってはいけません。主を待ち望みなさい。主は必ず来てくださり、あなたを救ってくださいます。勇気を出しなさい。主を待ち望みなさい。主はきっとあなたを救ってくださいます。
+
+
+ ああ主よ、どうかお助けください。あなたは安全を守る私の岩です。あなたに顔をそむけられたら、いっさいをあきらめ、死ぬしかありません。
+ 主よ。私は両手を差し伸べ、主が助けてくださることをひたすら願っているのです。どうか、私の叫びを聞いてください。
+ 隣人に愛想をふりまきながら、心の中ではひそかに相手を殺そうと企む悪者どもといっしょに、私を罰しないでください。
+ 彼らに見合う罰が下りますように。その悪事の大きさにしたがって罰を重くし、すべてのしわざに報いてください。
+ 彼らは神のことになど無関心で、神が何をなさろうとおかまいなしです。ですから、古い建物のように神の手で取りこわされ、二度と建て直されません。
+ 訴えを取り上げてくださった主をほめたたえます。
+ 主は私の力、あらゆる危険から身を守る盾です。私の信頼に答えて、神は助けてくださいました。心にわき上がる喜びは、賛美の歌となってあふれます。
+ 神はご自分の民を守り、油を注がれた王に勝利をもたらしてくださいます。
+ 主よ、あなたの民を守ってください。主に選ばれた者を守り、祝福してください。羊飼いとなって、いつまでも彼らを抱きかかえて運んでください。
+
+
+ 御使いたちは主をほめたたえなさい。主の栄光と力をほめたたえなさい。
+ まぶしいばかりの御名の栄光を覚えて、主をほめたたえなさい。きよい衣を着て主の前に出なさい。
+ 主の御声は雲間から響きます。栄光の神は大空に雷鳴をとどろかせます。
+ 主の声は力強く、威厳に満ちています。
+ 主の声は杉の木をなぎ倒し、レバノンの巨木を引き裂きます。また、レバノン山とシルヨン山を揺り動かし、子牛のように跳びはねさせます。
+ 主の声は、いなずまを光らせ、とどろき渡ります。
+ 砂漠にこだまし、カデシュの荒野を揺るがします。
+ そして巨大な樫の木を倒します。また、大風を巻き起こして森を激しくゆさぶり、丸裸にします。しかし神の宮では、「栄光あれ。神に栄光あれ」と、すべてのものがほめたたえる声がするのです。
+ 大洪水をもたらして、全宇宙の支配者であることを示された主は、引き続きその力を顕示しておられます。
+ 主はご自分の民に力を与え、平安をもたらし、祝福を与えてくださいます。
+
+
+ 私は主をほめたたえます。神は私を敵の手から助け出し、敵が勝ち誇るのをお許しにならなかったからです。
+ ああ主よ。主は私の願いを聞き入れて、元の健康な体に戻してくださいました。
+ 墓の入口から、連れ戻してくださいました。おかげで、こうして生きることができます。
+ 主を信じる人よ。主を賛美し、主のきよい御名に感謝しなさい。
+ 主の怒りはつかの間ですが、その恵みは生きる限り続きます。たとえ、夜通し泣き明かすことがあっても、朝には喜びが訪れます。
+ 順境の日に、私は言いました。「いつまでも今のままだ。だれも私のじゃまはできない。主が恵んでくださって、私をびくともしない山のようにしてくださった。」ところが、神は顔をそむけて、祝福の川をからしたのです。たちまち私は意気消沈し、恐怖におびえました。
+ ああ主よ。私は大声でお願いしました。
+ 「主よ、私を殺したって、一文の得にもなりません。生きていてこそ、友人の前であなたをたたえることができるのです。墓に埋められたら、どうしてあなたの真実を世間に知らせることができましょう。
+ ああ主よ、どうか私をあわれみ、助けてください。」
+ すると、神は嘆きを喜びに変え、喪服を脱がせて、きらびやかな晴れ着を着せてくださいました。
+ 墓に埋められることなく、神に喜ばしい賛美の歌声を上げるためです。ああ神、主よ。私はいつまでもこの感謝の気持ちを忘れません。
+
+
+ 主よ。あなただけが頼りです。どうか敵の横暴から私を守ってください。いつも正しいことをなさる神よ、どうか助け出してください。
+ 私が泣き叫ぶとき、すぐに答えてください。祈りをささやくとき、耳を傾けてください。大きな岩となって、私を敵から守ってください。
+ あなたこそ私の岩、私のとりでです。どうかこの窮地から救い出して、あなたの御名を広く知れ渡らせてください。
+ 敵がしかけた罠から、抜け出させてください。あなただけが、そうする力をお持ちなのです。
+ 私はたましいを御手にゆだねます。ああ、約束を守られる神、主よ。私を助け出してくださったあなただけを礼拝します。神はどれほど、偽りの神である偶像を拝む者どもをおきらいになることでしょう。
+ あなたの恵み深さを知って、私の顔は喜びに輝きます。あなたは私の苦悩を知り、たましいの苦しみを察してくださいました。
+ 私を敵の手に渡さず、見通しのきく有利な場所へと移してくださいました。
+ ああ主よ、苦しみもだえるこの身をあわれんでください。泣き疲れて、目も真っ赤です。嘆き疲れた体は、悲しみのためにやつれ果てています。私の歳月は縮まり、力尽きてしまいました。罪のために、体も弱り果て、嘆きと恥とでうずくまっています。
+ 敵だけでなく、隣人や友人からも悪しざまにののしられます。彼らは私に会うのもいやだと言わんばかりに、すれ違いざま、あきらかに顔をそむけます。
+ 私はまるで死人のように、壊れたつぼのように、忘れられています。
+ 絶え間なく、私についてのうそのうわさや中傷が耳に入り、どちらを向いても、恐怖ばかりです。敵は私のいのちをつけねらっているのです。
+ しかし主よ。私はあなたに信頼し、こう申し上げました。「あなただけが私の神です。私の時はあなたの手の中にあります。情け容赦なく追い立てる者の手からお助けください。
+ 恵みの光で、もう一度このしもべを照らしてください。限りなく恵み深いお方よ、どうかお救いください。
+ 主よ、助けを叫び求める私を放りっぱなしにして、恥をかかせないでください。悪者どもこそ、頼みとするものに裏切られて、恥をかくようにしてください。その口を封じ、墓に葬ってください。
+ そのとき、正しい者を非難する、横柄きわまりない者どものくちびるは、何も言わなくなるのです。」
+ あなたの助けを信じて公言する者を、あなたはなんと大きな恵みで包んでくださることでしょう。信頼と敬愛を失わない者のために、あなたはすばらしい祝福をたくわえておられます。
+ 愛する者たちをあなたの隠れ家にかくまい、悪だくみをする者の手から守ってください。
+ ああ、恵み深い主よ。あなたは変わらない愛を示して、堅固なとりでの壁のように守ってくださいました。
+ 私は「主に見捨てられた」と口走りました。しかしそれは早合点でした。確かにあなたは、私の願いを聞き入れてくださったのですから。
+ 主の民よ、こぞって主を愛しなさい。主は忠誠を尽くす人を守り、ご自身を退ける者には厳しい罰をお下しになるからです。
+ さあ、元気を出しなさい。もし、主に信頼しているなら、雄々しく立ち上がりなさい。
+
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+ 罪を赦された人は、どれほど幸せなことでしょう。罪がすっかり消された喜びは、どれほど大きいことでしょう。罪を告白し、その記録を消し去ってもらった人は、どれほど解放感を味わうことでしょう。
+ 私には、罪を認めたくない時がありました。しかし、私はかえってみじめになり、くる日もくる日も挫折感にとらわれて過ごしました。
+ 神の御手が、いつも重くのしかかっていました。私の力は、強烈な日ざしの照りつける水たまりのように干上がりました。
+ とうとう私は、自分の罪を神の前にさらけ出さざるをえませんでした。「何もかも主にお話ししよう」と決心したのです。すると、あなたは赦してくださいました。私の罪は跡形もなく消えたのです。
+ 私は神を信じる人々に、自分の罪に気づいたら、まだ赦される間に神に告白しなさいと、大声で忠告します。そうすれば、その人はさばきを免れるのです。
+ この人生に、どんな嵐が吹き寄せようと、私は神のもとに避難します。そこでは勝利の歌が響き、苦しみに巻き込まれることがないからです。
+ 主はこう言われます。わたしはあなたを教え、最善の人生へと導こう。助言を与えて、一歩一歩を見守ろう。
+ くつわをはめなければ言うことを聞かない、馬やらばのようになってはいけない。
+ 悪者どもは次々と悲しみに見舞われますが、主に信頼する人は無限の愛に包まれます。
+ ですから、神のものとなっている人々は喜びなさい。神に従おうとする人々は、喜びの声を上げなさい。
+
+
+ 神を敬う人々の喜びが、賛美の声となってわき上がりますように。主をほめたたえるのは良いことです。
+ 竪琴と十弦の琴で、喜びにあふれる賛美の調べをかなでなさい。
+ 新しい賛美歌を作り、巧みにハープをかき鳴らして、喜びの歌を歌いなさい。
+ 主のことばには偽りがなく、その行為にも裏切りは決してありません。
+ 主はすべて正しいこと、良いことを愛しておられ、地上はその優しい愛で潤っています。
+ あの星をちりばめた天空も、主のおことばひとつで造られました。
+ 神様は海を造り、水を注がれました。
+ 全世界の人は、老いも若きも、男も女も、恐れかしこみながら主の前に立ちなさい。
+ 主のおことばで、この世界は始まったからです。
+ 主はひと息で、反抗的な国々の策略を吹き消されます。
+ 主の計画はいつまでも不滅で、主のお考えはいつの時代にも揺るぎません。
+ 主を信じる民は幸せです。主から選ばれた民だからです。
+ 人の心を造られた主は、天の住まいから全人類を見下ろし、一人一人の行動をつぶさに眺めておられます。
+ 最強の軍備を誇る軍隊でも、王を救えるわけではありません。力だけでは、誰ひとり救うことはできません。勇ましい軍馬も、勝利を保証してはくれません。力が救いとはならないのです。
+ しかし主の目線は、主を信じて従い、その変わらない愛に頼る者に注がれます。ききんのときにも、餓死することはありません。
+ 頼ることができるのは主おひとりです。主が盾となって守ってくださいます。
+ 主に信頼する私たちに、喜びがあふれます。
+ 主よ、尽きることのない愛で包んでください。あなただけが望みなのです。
+
+
+ 何が起ころうと、私は主をほめたたえます。どんなときにも、主の栄光と恵みを人々に伝えます。
+ 主の温かいご配慮のすべてを誇ります。失意の中にある人々は気を取り直しなさい。
+ さあ、共に主をほめたたえ、その御名をとどろかせましょう。
+ 声の限りに私が呼び求めた時、主はそれに答えて、いっさいの恐怖を取り払ってくださいました。
+ 主のなさることを見て、私以外の人も顔を輝かせました。もう、その表情は沈んでいません。
+ 大声で叫び求める哀れな者を、主は苦しみから助け出してくださいました。
+ 主の使いは敬虔な人を守り、救い出してくれるのです。
+ さあ、主に信頼しましょう。そうすれば、どんなに神が恵み深いお方か知ることができます。神に信頼する人には恵みが雨のように降り注ぐことを、自分で確かめてごらんなさい。
+ あなたが主のものとなっているのなら、恐れ敬いなさい。恐れ敬う者には、必要なものがいっさい与えられます。
+ 若く雄々しいライオンも、時にはひもじさに襲われます。しかし、主を敬う私たちに、祝福が足りなくなることなどありません。
+ 息子よ、娘よ、私のことばを聞きなさい。主だけに頼り、信じて従うことの大切さを教えよう。
+ あなたたちは、幸せな長い人生を送りたいと願っているのか。
+ それなら、自分のことばに注意をはらいなさい。どんなことがあっても、うそをつかないことです。
+ 罪だと思うものからは、いっさい手を引き、善を行うことに身を入れなさい。だれとでも仲良く暮らし、そのために全力を尽くしなさい。
+ 主は正しい生活を送る者をじっと見守り、その人の願うことを聞き届けてくださいます。
+ しかし主は、悪者どもを地上から抹殺し、彼らがいたという記憶さえぬぐい去られます。
+ 主は正しい人の叫びを聞き、すべての苦しみから救い出してくださいます。
+ 主は心の砕かれた人のそばにおられ、謙虚に罪を悔いる人を助け出されます。
+ 正しいからといって、すべての苦難を免れるわけではありません。しかし、主は正しい人をあらゆる苦しみから救い出し、
+ 正しい人の骨は一本も折られることがありません。
+ 悪者には、災難が降りかかり、善人を憎む者には、重い刑罰が待っています。
+ しかし、主はご自分のしもべを救い出されるのです。主のもとに逃げ込む人は、無条件で赦されます。
+
+
+ ああ主よ、私に立ち向かう者に立ち向かい、私を攻撃する者と戦ってください。
+ よろいをまとい、盾を取り、私の前に立ちはだかって守ってください。
+ 槍を高く振りかざしてください。追っ手がすぐそこまで迫っていますから。決して敵の手に渡しはしないとおっしゃってください。
+ 私のいのちをつけねらう連中をなぎ倒し、恥を見せてやってください。
+ 主の使いの起こす風で、彼らをもみがらのように吹き飛ばしてください。
+ 主の使いに追い立てられた者たちの逃げ道をすべりやすくし、暗闇で閉ざしてください。
+ 彼らは無実の私にぬれぎぬを着せようと、罠をしかけ、落とし穴を掘ったのですから。
+ どうか、自らしかけた網にかかり、たちまち滅んでしまいますように。
+ しかし、私は、主が助けてくださると信じて喜んでいます。
+ 心の底から、神への賛美が込み上げてきます。天にも地にも、主のようなお方はありません。いったいだれが、身寄りのない弱い者を強い者から守り、貧しい者を強盗から救い出してくれるでしょうか。
+ これらの悪者どもは、宣誓したその舌でうその証言をします。身に覚えのないことで私を告訴します。
+ 良いことをしてやっても、悪でそれに報いるのです。私はもう力尽きてくずおれそうです。
+ 彼らが病気の時、私は彼らを治してやってくださいと神に泣いてすがりました。そのために食を断ち、ひたすら祈り続けました。しかし、神はお聞き入れになりませんでした。
+ 私はまるで、親兄弟や友人が危篤ででもあるかのように、悲しみに暮れました。
+ ところが、いざ私が困難にぶつかると、彼らは手を打って喜び、ひとつになって押しかけて来ては、絶えず中傷するのです。中には、私の知らない顔もありました。
+ 私をのろわせるのに、町のならず者まで駆り集めていたからです。
+ 主よ、いつまで何もせずに、立ちつくしていらっしゃるのですか。どうか助け出してください。若いライオンが牙をむいて、私のただ一つのいのちをねらっています。
+ お救いください。そうすれば、私は強い人々の群れをもものともせず、感謝の祈りをささげます。
+ 理由もなく私を憎む者どもに、勝ち誇らせないでください。私が倒れるのを見て、彼らが手をたたくなど、あってよいものでしょうか。彼らにこそ、死がふさわしいのです。
+ 平和や良い行いについては口をつぐむ彼らも、善良な市民を陥れる悪だくみとなると、とたんに能弁になります。
+ 彼らは、この私が悪事を働く現場を目撃したと叫びます。「確かにこの目で、あいつが悪いことをするのを見た」とはやし立てます。
+ 主よ、あなたはすべてをご存じです。貝のように口をつぐんで、私を見捨てることがないようにしてください。
+ ああ主よ、今こそこの身の疑いを晴らしてください。
+ 正義の神よ、どうか私の無実を宣告してください。悩む私の姿を見て、彼らが喜ぶことのないようにしてください。
+ 「全く思いどおりに事が運んだ。ついに、あいつもおしまいだ」と言って、喜ぶことがないようにしてください。
+ 彼らこそ恥を見ますように。人の苦しみを喜ぶ者こそ、不幸に見舞われ、すべてを失いますように。あらゆるものを取り去って、恥をかかせてください。
+ しかし、私の幸せを願ってくれる者には、大きな喜びをお与えください。そして、こう叫ばせてください。「信じる者を喜んで助けてくださる主はすばらしい。」
+ 神がどれほど偉大で正しいお方か、私は会う人ごとに語りましょう。一日中、神をほめたたえて過ごしましょう。
+
+
+ 罪は悪者どもの心に巣くい、いつも悪事へとけしかけます。彼らには、神を恐れて悪事から遠ざかろうとする気持ちなどありません。
+ それどころか、知らないふりをして押し通せば、どんな不正行為も隠し続けることができ、捕まることはないと、自分に言い聞かせています。
+ 彼らのことばにはみな裏があり、一かけらの真実もありません。知恵や善行とは無縁の連中です。
+ 夜通し悪事を企む彼らには、悪事から遠ざかろうという気持ちなど、みじんもないのです。
+ ああ主よ。あなたの揺るがぬ愛は天のように高く、あなたの真実は雲にまで達します。
+ あなたの正義は神の山のように不動で、その判断は、満ち潮の海のように知恵であふれています。神は人にも獣にも心をお配りになります。
+ ああ神よ。尽きることのない愛を、心から感謝します。あらゆる人が御翼の陰に身を隠します。
+ その人々はあなたの祝福を豊かに受けて養われ、喜びの川の水を心ゆくまで飲ませていただけるのです。
+ あなたはいのちの泉です。私たちはあなたの光を反映しているにすぎません。
+ あなたを信じる人々に、変わらない愛を注いでください。どうか、お心にかなった生き方をしようとする人々をお救いください。
+ あの高慢な連中が私を踏みにじるのを、許さないでください。私が不正を行う者たちの手で、もてあそばれることがないようにしてください。
+ ごらんください。彼らは投げ倒され、二度と立ち上がれません。
+
+
+ 悪者をうらやんではいけません。
+ しょせん、草のようにあっという間に枯れ、消え失せる存在なのですから。
+ 主に信頼して人を思いやり、親切にしなさい。そうすれば、この地に安住し、成功を収めることもできます。
+ 主を喜びとしなさい。主は心の願いをみな、かなえてくださいます。
+ 自分のしようとすることをみな、主にゆだねなさい。信頼する者を、主は助けてくださいます。
+ あなたの潔白は、だれの目にも明らかになります。神は、真昼の太陽のようにまぶしい正義の光をあてて、弁護してくださいます。
+ すべてを主にゆだねて、安心しなさい。神が立ち上がるまで、忍耐して待つのです。悪者どもの繁栄ぶりをねたんではいけません。
+ 怒るのをやめ、憤りを捨てなさい。くよくよと思い悩んではいけません。自分に害をもたらすだけです。
+ 悪者は滅ぼされますが、神に信頼する者には祝福が降り注ぎます。
+ もうしばらくすれば、見ようとしても、悪者の姿は見つけられなくなります。
+ 一方、神の前に謙遜な人は、ありとあらゆる祝福を受け、心地よい平安に身をゆだねるのです。
+ 神は、ご自分を信じる人を陥れようと企む者を笑われます。彼らのさばかれる日が近いのをご存じだからです。
+ 悪者どもは貧しい者のいのちをつけねらい、正義の人を殺そうと身構えています。
+ しかし、彼らの剣は自分の心臓を突き刺し、その武器はみな砕かれます。
+ 不正な手段で金持ちになるより、わずかな持ち物に甘んじて、神を敬って過ごすほうがまさっています。
+ 悪者の腕はへし折られますが、罪を赦された人は主に守られて暮らせるからです。
+ 主は毎日、神を敬う人の善行をごらんになり、永遠のほうびをお与えになるのです。
+ 彼らは逆境のときにも、神に守られています。ききんの年にも飽き足りることができるのです。
+ しかし、悪者は滅びます。主に敵対する者は草のようにしおれ、煙のようにはかないのです。
+ 悪者は借りても、返済できません。しかし、正しい人は施しができるまでになります。
+ 主に祝福された人はこの地上を相続しますが、のろわれた者は滅びます。
+ 正しい人は、主の導きに従って歩みます。主はその一歩一歩をお喜びになるのです。
+ たとえ倒れても、それで終わりではありません。主がしっかり支えておられるからです。
+ 以前は若かった私も、今では年をとりました。しかしこの間、神がご自身を愛する者をお見捨てになったり、神を敬う人の子どもを空腹のまま放っておかれたりする光景を、一度も目にしたことはありません。
+ むしろ、神を敬う人は惜しげもなく人々にふるまい、金を貸しており、その祝福が子どもにまで及ぶのを見ました。
+ 永遠の住まいに行きたいと願うなら、卑劣な悪の道を捨て、正しい生活を送りなさい。
+ 主は正義と公平を愛されるからです。神はご自分の民を決してお見捨てになりません。その人々は永遠に安全を保証されているのです。反対に、悪の道を慕う者は滅びます。
+ 神を敬う人はこの地に植えられて根を張り、永遠に住むのです。
+ 神を敬う人は正しく公平で、善悪をわきまえているため、すぐれた相談役を務めます。
+ 悪者どもは神を敬う人をつけねらい、何とか訴える口実を見つけ、死罪に追い込もうと目を光らせます。
+ しかし、悪者どもの思いどおりになるのを、主が見過ごされるはずがありません。神を敬う人は、法廷に引き出されるようなことがあっても、有罪の判決を受けることはありません。
+ 主が立ち上がってくださる時を、じっと忍耐して待ちなさい。そして、神の道をしっかり歩んで行くのです。やがて、神が祝福をあふれるばかりに注ぎ、あなたの名声を高めてくださる時がきます。しかも、あなたは悪者が滅ぼされるのを目の当たりにするのです。
+ この光景は私自身も目にしました。そびえ立つレバノン杉のように、おごり高ぶった悪者が、次の瞬間には影も形もなくなっていたのです。ひとみをこらして捜しましたが、その姿は消え失せていました。
+ それに引き替え、正しい人はどうでしょう。非の打ちどころもなく高潔で、平和を愛するその人の未来は美しく輝いています。すばらしい晩年が待っているのです。
+ しかし、悪者は滅ぼされ、子孫は根絶やしにされます。
+ 神を敬う人は救われます。苦しみのとき、主は救いとなり、とりでとなってくださるのです。
+ 主は、ご自分に頼る者を助け、悪者の策略から守ってくださいます。
+
+
+ ああ主よ、お怒りのままに私を罰しないでください。
+ あなたの矢は深く突き刺さり、私は容赦なく打たれて、圧倒されました。
+ 御怒りにふれて病気となり、罪のために健康を害したのです。罪は洪水のように頭上を越えました。もう、自分では負いきれない重荷です。
+ 傷口はただれ、うみがあふれています。罪の重さに、身をかがめて苦しみもだえています。昼も夜も苦痛に満ち、
+ 腰は焼けつくように痛く、全身が病み疲れているのです。
+ 私は精根尽き果て、絶望してうめくのみです。
+ 主よ。私がどれほど健康な体に戻りたいと思っているか、あなたはご存じです。私のため息は一つ残らずお耳に達したはずです。
+ 動悸は激しく、体力は消耗し、目も見えなくなりつつあります。
+ 愛する者や友人たちは、私の病気を怖がって近寄ってくれず、家族の者さえ遠巻きにしています。
+ 敵は、このいのちをつけねらい、目覚めている間中、策略を練っているのです。
+ しかし私は、彼らが脅す声を聞かないようにしています。口がきけない人のように、黙りこんでいます。
+ 主に望みを託しているからです。ああ主よ、早く来て、私を守ってください。
+ それ見ろと言わんばかりに、失意の私を眺めるあの高慢な者どもにとどめを刺してください。
+ いつまで私は危険な崖っぷちに立っていなければならないのでしょう。悲しみの原因である罪が、四六時中、私を見すえています。
+ 私は罪を告白します。どうか、今までの行いを赦してください。
+ しかし、敵は私を憎み、激しく苦しめます。私には少しも身に覚えがありませんのに。
+ あの者どもは悪をもって善に報い、正義を掲げる私を憎むのです。
+ ああ主よ、私を置き去りにしないでください。
+ 私を救ってくださる主よ、急いで来てお助けください。
+
+
+ 私は自分に言い聞かせました。「不平を言うのはやめよう。特に、神を信じない者たちがそばにいる間は。」
+ ところが、おし黙っている私の心の中では、すさまじい暴風が吹き荒れているのです。思いにふければふけるほど、体の中で火が燃え上がります。私はたまりかねて口を開き、神にとりすがりました。
+ 主よ、地上で生きる年月などわずかであることを私にわからせてください。ここにいるのもあとほんの少しだと、思い知らせてください。
+ 残りの生涯は手の幅ほどもありません。私の一生など、神から見ればただの一瞬にすぎません。人は、なんとおごり高ぶることでしょう。人のいのちは息のようにはかないものです。しかも、どんなにあくせくしようと、何一つ残せるわけではありません。他人に渡すために、富を築くようなものです。
+ 神よ。私はあなたにだけ望みをかけているのです。
+ 私が罪に負けないように助けてください。そうでないと、愚かな者どもまでが、私をさげすみますから。
+ 主よ。もう私は何も申し上げません。不平がましいことなどひと言も口にしません。罰をお下しになるのはあなたですから。
+ 主よ、これ以上、私を打たないでください。おかげで私は、息も絶え絶えです。
+ ひとたびあなたから罪を罰せられれば、だれでも倒れてしまいます。人は、虫に食われた衣類のようにもろく、霧のようにはかないものですから。
+ ああ主よ、私の祈りを聞いてください。この涙ながらの訴えに耳を貸してください。私の涙などそ知らぬ顔で傍観しないでください。私はあなたに招かれた客ではありませんか。先祖同様、この地上を仮の宿とする旅人なのです。
+ どうかこのいのちをお助けください。死ぬ前にもう一度、元気になりたいのです。喜びに満たされたいのです。
+
+
+ 私は、ただひたすら主の助けを待ち望みました。すると、その願いは聞かれたのです。
+ あなたは絶望の穴から、どろどろのぬかるみから引き上げて、踏み固めた道に下ろし、しっかり歩けるようにしてくださいました。
+ 主は私の口に、新しい賛美の歌を授けてくださいました。私があなたに、どれほどすばらしいことをしていただいたかを知って、大ぜいの人が敬虔な心で神を敬い、信頼するようになるでしょう。
+ おごり高ぶり、偶像を拝む者には頼らず、主だけを頼りとする人には、豊かに祝福が注がれます。
+ ああ、神である主よ。あなたは何度も大きな奇跡を見せてくださり、いつも私たちのことを心に留めてくださっています。ほかのだれに、こんなすばらしいことができるでしょう。だれも比べものにはなりません。あなたのすばらしいみわざは、どんなに時間をかけても語り尽くせないのです。
+ あなたが真に望んでおられるものは、いけにえや供え物ではありません。完全に焼き尽くすいけにえが、あなたを特別喜ばせるわけではありません。しかし、生涯を通じてあなたにお仕えしたいという私の心は、受け入れてくださいました。
+ そこで、私はこう言いました。「神よ。いま私は、預言者が言っていたとおりに参りました。
+ あなたのおきてを心に刻んでいる私は、喜んでご意志に従います。」
+ 私は会う人ごとに、あなたが人の罪を赦してくださるといううれしい知らせを伝えます。私が恐れることなくそうしてきたことを、あなたはよくご存じです。
+ 私はこの良い知らせを胸の中にしまい込んだりはせず、かえって、あなたのいつくしみと真実を多くの人に伝えて回りました。
+ ああ主よ。あなたの愛と真実だけが頼りなのですから、あわれみを出し惜しまないでください。
+ それがなければ、私は滅んでしまいます。とても手に負えない問題が、山積みなのですから。そのうえ、数えきれない罪に責め立てられ、恥じ入るばかりで顔を上げることもできません。身も心も縮み上がる思いです。
+ お願いです。どうか、早く助けてください。
+ いのちをつけねらう者どもをかき乱し、追い払ってください。あざける者たちをいやと言うほど痛めつけ、恥を見させてやってください。
+ しかし、あなたとその救いを慕う人は、喜びにあふれますように。そして、常にその口からは、「主はなんとすばらしいお方でしょう」と賛美があふれますように。
+ 私は貧しくて、困っています。しかし主は、こんな時こそ私を心にかけてくださっているのです。ああ、救い主であられる神よ、直ちに駆けつけて、救ってください。
+
+
+ 貧しい者に親切な人は、神から祝福を受けます。その人が困難に会うとき、主は助けの手を差し伸べてくださいます。
+ その人を無事に守って生かし、人前で面目を施させ、敵を散らしてくださいます。
+ 病気のときは、主ご自身が看護に当たり、痛みをやわらげ、心配事を取り去ってくださるのです。
+ 私はこう祈りました。「ああ主よ、私をあわれんで、病気を治してください。私は罪を洗いざらい告白したのですから。」
+ ところが敵は、「さっさと死んで、忘れ去られてしまえばよい」と言っています。
+ 彼らは、いかにも親しげに病床の私を見舞いますが、心の中では憎悪をたぎらせ、私が苦しみの床に伏している姿を見てほくそ笑むのです。一歩外に出ると、大笑いし、あざけり、
+ 私が死んだら何をしようかと、ひそひそ耳打ちし合っています。
+ 彼らはこう言います。「どんな病気か知らないが、もうすぐおしまいだ。二度と起き上がれるものか。」
+ 食事を共にした親友さえ、私を裏切りました。
+ 主よ、どうか私を見殺しにしないでください。あわれんでください。どうか健康な体に戻し、彼らを見返すことができるようにしてください。
+ あなたは、敵が私に勝ち誇ることをお許しになりませんでした。私は自分が神の御目にかなっていることを知りました。
+ 私が正直に生きてきたからこそ、あなたはこれまで守ってくださったのです。これから先、いつまでも目をかけてくださいます。
+ イスラエルの神である主をあがめよう。この方は永遠に生きておられます。アーメン。アーメン。
+
+
+ ああ神よ。鹿が水をあえぎ求めるように、私はあなたを慕い求めます。
+ 焼けつくような渇きを覚えながら、私は、生きておられる神を求めています。どこへ行けば、お目にかかれるのでしょうか。
+ 昼も夜も涙にむせびながら、神の助けを祈っています。かたわらでは敵が、「おまえの神はどこへ行った」とあざけるのです。
+ さあ、私のたましいよ、元気を出せ。あの日のことを思い出すのだ。まさか忘れてはいないだろう。あの祭りの日、多くの人の先頭に立って神の宮に上り、喜びに満たされて賛美の歌を歌ったことを。どうしてそのように沈み込む必要があるのか。どうして悲しげにふさぎ込んでいるのか。神に望みを託すがよい。そうだ、助けを信じて、もう一度神をほめたたえよう。
+ それでもなお、私は気落ちし、ふさぎ込んでいます。しかし、やがて私は、ヨルダン川が流れ、ヘルモン山やミツァル山のそびえる美しいこの地に注がれている、神の恵みを思い巡らします。
+ 神のさかまく大波が私の頭上を越え、悲しみの洪水が、とどろく大滝のように降りかかってきます。
+ しかし主は日ごとに変わらない愛を注いでくださいます。私は夜通し賛美の歌を歌い、このいのちを授けてくださった神に祈りをささげます。
+ 「ああ、岩なる神よ」と、私は叫びます。「なぜ、私をお見捨てになったのですか。なぜ、私は敵の攻撃にさらされて、こんなにも苦しまなければならないのですか。」
+ 人のあざけりがこの身を突き刺し、深い傷を負わせます。彼らは、「おまえの神はいったいどこへ行った」とあざ笑います。
+ しかし、私のたましいよ、気落ちするな。動転するな。神に期待せよ。神がすばらしいことをしてくださり、私はきっと賛嘆の声を上げるのだから。このお方こそ、私の命綱、私の神。
+
+
+ ああ神よ、情け容赦なくだまし取ろうとする者どもの言いがかりから、守ってください。
+ あなたは、かけがえのない隠れ家なのです。どうして、私のことなど知らないかのように突き放されるのですか。どうして、私が敵に痛めつけられて嘆かなければならないのですか。
+ どうか、あなたの光と真実を送って、きよいシオンの山にある神の宮へと私を導くようにしてください。
+ この上ない喜びにあふれて祭壇の前に立ち、竪琴をかきならしながら賛美したいのです。ああ神よ。
+ 私のたましいよ、どうしてそんなに気落ちしてふさぎ込むのか。神に何もかも任せなさい。きっとすばらしい助けの手が差し伸べられ、感謝の思いに満たされる。神は再び、私をほほえませてくださる。このお方こそ、私の神。
+
+
+ ああ神よ。ずっと昔、あなたはすばらしい奇跡を行われたと聞いています。私たちの先祖は話してくれました。あなたがこの地から異教の民を追い出し、すみずみまでイスラエルの支配を行き渡らせてくださったいきさつを。
+ 人々は自分の力や腕でこの地を手に入れたのではありません。全能の神が心にかけ、力を添えくださったおかげなのです。
+ 私の王、私の神よ。あなたの民に勝利をもたらしてください。
+ その力と御名のご威光によらなければ、敵を踏みにじることはできません。
+ 武器などあてにはなりません。そんなものが救ってくれると考えるのは、大きな間違いです。
+ あなただけが、憎しみのかたまりとなっている敵に打ち勝つことができるのです。
+ 私はいつも神を誇りました。神にはどんなに感謝しても、感謝しきれません。
+ しかし神よ。あなたは私たちを拒んでおられます。そのため、私たちは大いに面目を失いました。これほど悪戦苦闘しておりますのに、あなたは助けの手を差し伸べてくださいません。
+ それどころか、私たちに対抗しようとさえなさり、敵の前で痛い目に会わせられました。敵はこの国を襲い、あちこち略奪して回りました。
+ まるでほふられる羊のように、あなたは私たちを扱い、国中に散らされました。
+ そして、ほんのわずかの値で売り飛ばされました。何の値打ちも認めてくださらなかったのです。
+ このひどい仕打ちのおかげで、私たちは国々の間で笑いものとなり、さんざんさげすまれました。
+ あなたは「ユダヤ人」ということばを、国々の間で侮蔑と恥の代名詞となさいました。
+ 復讐心に燃えた敵は、私たちを常にさげすみ、あざけり、なじり、のろっています。
+ あれほど主に忠誠を尽くし、あなたの契約を守ってきたのに、こんなひどい目に会わされています。
+ 私たちの心は、かた時もあなたから離れたことはありません。ただの一度も、あなたの道からそれたことなどないのです。
+ もしそんな過失があったのなら、荒野で罰せられても、暗闇と死の中に放り出されても納得がいきます。
+ もし、私たちが神に背いて偶像を拝んだなら、あなたの目にも留まるでしょう。
+ 神は人の心の中さえお見通しではありませんか。
+ ところが私たちは、あなたにお従いしているばかりに、常に死の恐怖にとらわれています。まるでほふり場に引かれて行く羊のようになっています。
+ ああ神よ、目を覚まし、起き上がってください。まどろまないでください。いつまでも見捨てておかないでください。
+ どうして顔をそむけ、この悲しみと苦悩を見て見ぬふりをなさるのですか。
+ 私たちは泥の中に転がっています。
+ ああ神よ、早く来て、変わらない愛で助けてください。
+
+
+ 私の心は美しい思いであふれています。さあ、うるわしい詩を王にささげましょう。またたくまに物語をつづる詩人のように、ことばがわき上がってくるのです。
+ あなたはだれより美しい。あなたのことばは優しさにあふれている。あなたは永遠に神の祝福に包まれる人。
+ 力強い方よ、威風堂々として、腰に剣を着けよ。
+ 威厳をまとい、勝ち進め。真理と謙遜と正義のために、恐るべきわざがなされるよう、粛清を推し進めよ。
+ あなたの矢は鋭く、敵の胸に突き刺さる。敵はあなたの目の前に倒れる。
+ 神の王座は永遠、神の笏は正義。
+ 真実を愛し、悪を憎むあなたに、神は格別大きな喜びをお授けになった。
+ あなたの服には没薬、アロエ、シナモンの芳香がただよいます。象牙をちりばめた宮殿では、ここちよい音楽がかなでられています。
+ 諸王の娘があなたに仕える女たちに加わり、王妃は、オフィル産の最高級の金の飾りを着け、あなたのかたわらに立っています。
+ 「娘よ、私の忠告を聞きなさい。遠い故国の父や母を思って悲しんではいけません。あなたには王という夫があり、王はあなたの美しさを喜んでおられます。主人である王に、うやうやしく仕えなさい。
+ 当世で最も金回りのよいツロの人々が、あなたの歓心を買おうと、贈り物を山と積んで来るでしょう。」
+ 花嫁姿の王女は、金の糸で織った美しい晴れ着をまとい、自室で控えています。
+ 侍女にかしずかれ、しずしずと王の前に出る、その姿の美しいこと!
+ 王宮の門をくぐる行列は、なんと楽しげで、うれしそうなのでしょう。
+ 「あなたから生まれる子どもは、いつか父の跡を継いで王となり、世界を支配します。
+ わたしはあなたの名を、のちの世までも輝かせます。諸国民はいつまでも称賛してやまないでしょう。」
+
+
+ 神は私たちの隠れ家、また力、苦難にあえぐときの確かな助けです。
+ ですから、たとえ全世界が破裂し、山々が崩れ落ちて海に沈むようなことがあっても、怖がることはありません。
+ 海よ、鳴りとどろき、白くあわ立つがよい。山よ、激しく揺れ動くがよい。
+ 喜びの川が、あらゆる神々にまさる神であられるお方の聖なる住まいのある都を流れます。
+ 神がそこにおられるので、どんなことが起ころうと、都はびくともしません。神はすばやく助けの手を差し伸べてくださるのです。
+ 国々は怒り狂い、わめき散らします。しかし、神のひと言で大地は溶けて服従し、王国はよろめき倒れます。
+ 天の軍勢の主である神が、そばにいてくださいます。このお方はヤコブの神で、私たちを助けるために駆けつけてくださいました。
+ さあ、主がどんなにすばらしいことをなさるか、よく見なさい。主は全世界を灰とし、
+ 世界のすみずみまで戦争をやめさせ、武器という武器を残らず破壊し、焼き捨てられます。
+ 「よく聞きなさい。わたしこそ神であることを、よくよく知りなさい。わたしは全世界でほめたたえられる。」
+ 天の軍勢の主は、確かに私たちの味方です。ヤコブの神であるこのお方が、駆けつけて助けてくださいました。
+
+
+ さあ、皆さん、喜んで手をたたきましょう。大声を上げて主をほめたたえましょう。
+ このあらゆる神々にまさる主は、ことばには尽くせないほど畏れかしこむべき方であり、全地を治める偉大な王です。
+ 神は、私たちの下に国々を置いて治め、
+ ご自分の愛する者たちに、ご自身で最高の祝福を選んで与えてくださいます。
+ 鳴りわたるラッパの音と勇ましい雄叫びの中を、神は昇って行かれました。
+ 私たちの主である神に向かって、賛美の歌を高らかに歌いなさい。全世界の王である神をほめ歌いなさい。心からほめ歌いなさい。
+ 神は国々を治め、聖なる御座につかれます。
+ 全世界の支配者たちも、声を合わせて、アブラハムの神をほめたたえました。
+ 諸国の勇者が手に取る盾は、神の勝利のしるしです。神は世界のどこででも大きな栄誉をお受けになります。
+
+
+ 主はなんと偉大なお方でしょう。どれほどことばを連ねても、たたえ尽くせません。神はエルサレムのシオン山に住んでおられます。
+ なんと栄光に満ちた光景でしょう。都の北に、ひときわ高くそびえ立つシオンの山をごらんなさい。そこは偉大な王の住まいで、世界中の喜びの源泉です。
+ 神ご自身が、エルサレムの守りにつかれます。
+ 諸国の王は、都を探ろうと集まって来ました。
+ しかし、ひと目見るなり驚嘆し、あわてふためいて逃げ帰りました。
+ 彼らは目に映ったものにおびえ、産けづいた女のようにうろたえます。
+ 神は、いとも簡単に強力な船隊を砕かれます。
+ 私たちは聞いていました。天の軍勢の主、神の都のすばらしさを。ついに今、それをこの目で確かめました。神はエルサレムを永遠の都となさいました。
+ 神よ。私たちは神殿の中で、あなたの恵みと愛に思いをはせています。
+ ああ神よ。あなたの御名は全世界に知れ渡っています。世界中の人を救われる神に、至る所で賛美がわき上がっています。
+ エルサレムとユダヤの人々は喜びなさい。最後には、あなたがたも正当な扱いを受けるようになると、神が保証しておられます。
+ さあ、都中を調べなさい。都の外側を巡って、塔を数えなさい。
+ 城壁に注意をはらい、宮殿を見て歩きなさい。子孫に語り伝えることができるように。
+ この偉大なお方は、いつまでも私たちの神でいてくださり、私たちが死ぬ時までずっと導いてくださいます。
+
+
+ 身分の高い者も低い者も、金持ちも貧しい人も、世界中の人々に、私のことばに耳を傾けてほしい。
+ この口から出ることばは、人の心の奥まで見通すことができ、知恵に満ちているのです。
+ 竪琴の伴奏に合わせ、奥深い人生の問いに答えて歌いましょう。
+ 悩みが訪れ、敵に囲まれようと、少しも恐れることはありません。
+ 彼らは金に信頼し、財産を誇っています。
+ しかし、王に負けないくらい裕福な彼らも、兄弟の罪を帳消しにすることはできません。罪の赦しは金では買えないのです。
+ たましいはあまりにも高価なので、この世の富をいくら積んでも買い戻せません。世界中の金をかき集めても、ただ一人分の永遠のいのちも買い与えられません。地獄から救い出すことはできないのです。
+ あなたがた金持ちも、傲慢な者も、賢い者も、結局、同じように死ぬ運命にあります。愚かで、無知な者たちより長生きできるわけではありません。しかも、わずかな金すら持って死ねはしないのです。
+ あなたがたは、まるで永久にその土地に住めるかのように、自分の名をつけています。
+ しかし、どんなに栄華をきわめた人間でも、死ぬ時は動物とそう変わりません。
+ 全く、取るに足りない存在なのです。それなのに、そういう人々は死後も、非常に賢い人物として引き合いに出されたりもします。
+ 死が全人類を飼い慣らしています。異なる世界に目覚めたその朝、邪悪な者たちは正しい人々の奴隷となるのです。死んでしまえば、金の力により頼むことはできなくなります。金を持って死ぬことはできないのですから。
+ しかし、神は私のたましいを死の力から買い戻してくださいます。私を迎え入れてくださるのです。
+ ですから、悪者が金持ちになっても、りっぱな邸宅を構えていても、気を落とすことはありません。
+ 死ぬ時には、名誉はおろか、何一つ持って行けないのですから。
+ 生きている間中、幸せ者だと自負し、世間からも称賛されるような人でも、
+ やがてはみなと同じように死に絶え、永遠の闇に沈んでいくのです。
+ どんなに華やかな生涯を送ろうと、人は動物と変わりなく死を迎えるのです。
+
+
+ 全能の神である主は、東の果てから西の果てまで、人々を呼び集めました。
+ シオンの山のうるわしい宮から、神の栄光が輝きわたります。
+ 神は焼き尽くす火をまとい、雷とともに姿を現されます。そのまわりには嵐が猛り狂っています。
+ ご自分の民をさばくためにおいでになった神は、天と地にこうお叫びになります。
+ 「祭壇にいけにえをささげた人々を捜し出せ。わたしに忠誠を誓った民を集めよ。」
+ 神は完全に公正な裁判官となって、判決を下されます。天も、神の正しさを証言します。
+ 「民よ、耳を傾けなさい。わたしはあなたがたの神である。あなたがたには告発すべきことがある。
+ わたしは、祭壇にささげられたいけにえに不満があるわけではない。それは欠かさず供えられている。
+ しかし、真にわたしの求めているものは、いけにえの雄牛や雄やぎではない。
+ 野原や林の獣は、もともとわたしのものなのだから。千の丘で草をはむ家畜も、山の鳥もみな、わたしのものである。
+ たとえ飢えても、あなたがたに頼ったりはしない。全世界とその中のものはみな、わたしのものなのだから。
+ あなたがたに、いけにえの肉と血を、どうしてもささげてもらわなければならないわけではない。
+ わたしが求めているのは、真心からの感謝、わたしへの誓いを果たすことである。苦難のとき、わたしを頼みとしてほしい。そうすれば、わたしは助けの手を差し伸べ、あなたがたはわたしをほめたたえるだろう。」
+ しかし、悪者に向かっては、神はこう宣言なさいます。「二度とわたしのおきてを口にしてはならない。わたしがおまえに約束したかのように思ってはいけない。
+ おまえはわたしの懲らしめを拒み、おきてをないがしろにしたのだから。
+ おまえは、どろぼうを見ると手を貸し、腹黒い者や不道徳な人間とつき合っている。
+ のろいのことばを吐き、うそをつき、聞くに耐えないことばを口にする、おまえのような人間は、血を分けた兄弟の悪口さえ平気で言う。
+ 今まではわたしも、じっと黙って見てきた。おまえは、神は気にかけていないと思っていた。しかしついに、罰の下る時がきた。これらのことが、おまえの罪状だ。
+ 神を忘れ去った者へ、最後のチャンスを与えよう。わたしはおまえを引き裂こうとしている。だれもおまえを助けることはできない。
+ 心からの賛美は尊いささげ物。それこそ、わたしの栄誉である。わたしの道を進む人は救われる。」
+
+
+ [ダビデがバテ‧シェバと姦通し、その夫ウリヤを殺したことに対し、預言者ナタンが神からの審判を告げた。その時のダビデの作。]ああ、愛と恵みにあふれる神よ、私をあわれんで、恐ろしい罪の汚れをぬぐい去ってください。
+ どうか私を洗い、この罪からきよめて、もう一度、潔白な身としてください。
+ 私は、自分がどんなに恥ずべきことをしたか、よく存じております。そのことで夜も昼も責めさいなまれているのです。
+ 私はあなたに、ただあなたに罪を犯し、この恐ろしいことをしてしまいました。すべてをご存じのあなたが下す判決に、誤りはありません。
+ 私は生まれながらの罪人です。母が私をみごもった時から、罪人でした。
+ あなたがお喜びになるのは、徹底した正直さです。ああ、そのことを私に心底わからせてください。
+ 汚れをきよめる血を振り注いでください。再び身も心もきれいになれるように、私を洗ってください。そうすれば、雪よりも白くなるでしょう。
+ 罰は受けます。でもそののち、喜びを取り戻させてください。
+ どうか、いつまでもこの罪を見続けず、御目から消し去ってください。
+ ああ神よ。どうか、きよい思いと正しい願いで満たされた、新しいきれいな心にしてください。
+ 私を見捨てて、永久に御前から追放してしまわれることがありませんように。聖霊を私から取り上げないでください。
+ 救いの喜びを再び鮮やかにして、心からあなたに従おうとする思いに満たしてください。
+ 私のように罪深い人々に、私はあなたの道を教えます。きっと悔い改めて、あなたに立ち返ることでしょう。
+ ああ神よ。私の頼むところはあなただけですから、どうか死刑の宣告を下さないでください。助けてくださるなら、私の舌はゆるみ、あなたの赦しを高らかに歌いだすでしょう。ああ、私はどれほどあなたをほめたたえることでしょう。
+ あなたは罪滅ぼしに何かをせよとはおっしゃいません。もしそう言われるなら、喜んで仰せに従うことでしょう。あなたは、祭壇で焼かれる供え物を求めておられるわけではありません。
+ あなたがお望みなのは、悔い改めて、くずおれたたましいです。ああ神よ。罪を深く後悔して砕かれた心にこそ、あなたは目を留めてくださるのです。
+ どうか主よ、私の罪のためにイスラエルの国を罰しないでください。あなたの民を助け、エルサレムをお守りください。
+ 私が潔白の身となってはじめて、あなたは私の善行と、祭壇に供えるいけにえの雄牛とを、喜んで受け入れてくださることでしょう。
+
+
+ [ダビデが、その敵ドエグ(Ⅰサムエル22章参照)に抗議して書いたもの。ドエグは、のちに八十五人の祭司とその家族を虐殺した。]おまえは英雄のつもりでいるのか。神の民に加えたこの暴虐を誇っているのか。
+ おまえは策略を謀ることにかけては天才だ。
+ どうしてそれほど、善より悪が、真実よりうそが好きなのか。
+ 相手を中傷するのに目がなく、でたらめを並べ立てては、平気で人を傷つける者よ。
+ 神はおまえを激しく打ち倒し、死人の国へ引きずって行かれる。
+ それを見て、神に従う人々は恐れを感じるが、まもなく笑ってこう言うだろう。
+ 「あれが、神をあなどり、富に望みを置き、ますます大胆に悪事を働いた者の末路だ。」
+ 一方、この私は、主に守られている囲いの中のオリーブのようで、いつまでも主のあわれみにすがる。
+ ああ主よ。あなたの懲らしめがどんなものかを知った私は、永久にあなたをほめたたえて、そのあわれみを待ち望みます。あなたがどんなにいつくしみ深い神であるか、知らない者などいないのですから。
+
+
+ 「神などいない」と言うのは愚か者です。心がひねくれていて、うしろ暗い生活を送っている証拠です。その人のいのちは罪にむしばまれています。
+ 神は天から全人類を見下ろして、だれか一人でも、正しいことを行い、心から神を求める者がいないかと、探しておられます。
+ しかし、神に背いていない人間などいません。人々は罪にまみれ、芯まで腐りきっています。正しい者は一人もいません。
+ どうしてこんなことになったのでしょう。彼らはわからないのでしょうか。彼らはパンのように、わたしの民を食いちぎり、神に立ち返ろうとしないからです。
+ しかし、そのうち、かつてないほどの恐怖に取りつかれます。神は、このような敵どもを見捨て、その骨をばらまかれます。
+ ああ、今、神がシオンからおいでになって、イスラエルを救ってくださいますように。主ご自身が人々を元どおりにされるとき、人々は再び幸せになれるのです。
+
+
+ [ジフの人々によって、あわやサウル王に売り渡されそうになった時のダビデの詩。]ああ神よ。大いなる力をふるって私をお救いください。力強い腕で守ってください。
+ どうか、この祈りを聞き届けてくださいますように。
+ 暴虐を働く者どもが、いどみかかってきます。神のことなど気にもかけない冷酷な者たちが、このいのちをつけねらっています。
+ しかし、神は助けてくださいます。私の友なのですから。
+ 敵の悪らつな仕打ちは、その頭上に戻って来ます。ああ神よ。お約束どおりに事を運び、悪人どもの息の根を止めてください。
+ 主よ。私はあなたに心からのいけにえをささげ、御名をほめたたえます。それこそ道理にかなったことです。
+ 神はすべての苦しみから私を救い出し、敵を蹴散らしてくださいます。
+
+
+ ああ神よ、この祈りをお聞きください。この切なる願いに、姿を隠さないでください。
+ 主よ、私に目を留めてください。私は重荷につぶされそうで、私の内からは、うめきと涙しか出て来ません。
+ 敵はわめき散らし、殺してやると脅してきます。遠巻きにして、私を殺す策略を練っています。その激しい怒りと憎しみが私をのみ込もうとしています。
+ 私は身もだえして苦しみ、恐怖の戦慄が全身を貫きます。
+ 私は身ぶるいし、おののいています。
+ ああ、鳩のように翼があれば、遠くへ飛び去り、身を横たえることもできますのに。
+ はるかかなたの砂漠へ飛んで行き、そこに潜んでいたいのです。
+ この嵐を逃れて、隠れ場へ逃げ出したいのです。
+ 主よ、敵を仲間割れさせ、自らの暴力によって自滅させてください。
+ 彼らは昼も夜も城壁の上を巡り、侵入者を見張っていますが、実際には問題は内部に巣くっているのです。邪悪と不正が町にはびこっていますから。
+ そこには殺人や盗みがあふれ、市場ばかりか至る所で詐欺がまかり通っています。
+ 私をののしるのは敵ではありません。それなら我慢もできたでしょう。身を避け、逃げることもできたでしょう。
+ しかし、相手というのは、ほかならぬおまえ、仲間であり友人であるおまえだった。
+ われわれは兄弟同様の仲だったではないか。祭りの日には連れ立って神の宮へ行き、道々楽しく語り合った。
+ 彼らの人生の全盛期に死が取りついて、彼らを倒しますように。その家は罪に冒され、心は底の底まで汚れきっていますから。
+ しかし私は、主に願えば、救っていただけるのです。
+ 朝、昼、晩と、私は神に祈り、大声で嘆願します。すると、主はその願いを聞き入れてくださいます。
+ 多数を敵に回した不利な戦いであろうと、主の救いは確実です。
+ 神を敬わず、その戒めを踏みにじった彼らには、永遠の神が報復なさるのです。
+ かつてあれほど親しかった友人が、私を裏切りました。約束を破ったのです。
+ 口当たりのいいことばの裏には殺意が、甘いことばの中には剣が隠されているのです。
+ 重荷を主にゆだねなさい。主が背負ってくださいます。信じて従う者が足をすべらせたり、倒れたりするのを、主が黙って見ておられるはずがありません。
+ 神は敵を滅びの穴に投げ込まれます。人殺しとうそつきの寿命は、半分に縮まることでしょう。しかし、私は神の救いを信じ続けます。
+
+
+ 神よ、私をあわれんでください。敵の軍勢が、夜も昼も押し寄せて来ます。尊大にも私に襲いかかって、私を制圧しようとしています。
+ 恐れるとき、私はあなたに信頼します。あなたの約束だけが頼りなのです。神に信頼している私に、ただの人間が手出しなどできるわけがありません。
+ 彼らはいつでも私のことばをねじ曲げ、どうしたら私を傷つけることができるかと考えているのです。
+ 彼らは計画を練り上げるために集まり、道ばたに潜んでは、私をねらって待ち伏せています。
+ 彼らは思いどおりに事を運ぶつもりでいるでしょう。主よ。彼らの思いのままにはさせないでください。どうか、怒りを燃やし、彼らを地面に打ちつけてください。
+ あなたは、私が夜通し寝返りを打っているのをご存じです。あなたは、私の涙を一滴残さず、びんにすくい集めてくださいました。その一滴一滴は、余すところなく、あなたの文書に記録されています。
+ 私が助けを呼び求めると、その日のうちに戦況は変わり、敵は逃げ惑います。私にわかっているのは、ただこの一事、神が味方だということだけです。
+ 私は神への信頼を失いません。ああ、神のすばらしいお約束!人間ごときが何をしかけてこようと、私は恐れません。そうです、神は約束を守ってくださるのです。
+ 神よ。あなたへの約束は、きっと果たします。助けていただいたことを心から感謝しています。
+ なぜなら、あなたは、私が地上で御前を歩めるように、死から救い出し、転ばないように支えてくださったからです。
+
+
+ ああ神よ、あなただけを頼りにしているこの私を、あわれんでください。嵐が過ぎ去るまで、御翼の陰に潜ませてください。
+ 私は、天におられる神、奇跡を行ってくださる神に叫びます。
+ すると、愛と真実の神は、天から手を差し伸べて救ってくださいます。私を亡き者にしようと、必死になっているうそつきどもから、救ってくださるでしょう。
+ 私は、獰猛なライオンに囲まれているかのようです。彼らは、まるで槍や矢のように鋭い歯をして、気炎を上げています。その舌は、まさしく剣です。
+ 主が、天より高くあがめられますように。ご栄光を地上高く現してください。
+ 敵が罠をしかけたので、私は言いようのない恐怖にとらわれています。彼らはまた、私の通る道に落とし穴を掘りました。しかし、そこに落ちたのは彼らのほうだったのです。
+ ああ神よ。私の心は平安で、確信に満ちています。あなたをたたえる歌が、自然に口をついて出ます。
+ 私のたましいよ、目を覚ませ。十弦の琴と竪琴よ、身を起こせ。さあ、歌って夜明けを待とう。
+ 私は国中を巡り、人々の前で神に感謝をささげます。諸国を行き巡り、あなたをたたえる歌を歌います。
+ あなたの恵みと愛は、天そのもののように広大無辺です。あなたの真実は、空よりも高くそびえています。
+ ああ神よ。あなたの名が天よりも高くあがめられますように。ご栄光が全世界を照らしますように。
+
+
+ 権力をふるう高慢なおまえたち政治家に、正義ということばの意味がわかるのか。おまえたちのうち、公平のかけらでも持ち合わせている者がいるのか。おまえたちの取り引きは不正だらけで、わいろと引き替えに「正義」を売り渡している。
+ こんな者たちは生まれながらの罪人で、最初に覚えたのがうそをつくことなのです。
+ 彼らは毒蛇のように口に毒を含み、熟練した蛇使いの声にさえ耳をふさぐ蛇のようです。
+ ああ神よ、彼らの牙を折り、若いライオンの歯のようなその歯を引き抜いてください。
+ 乾ききった地に吸い込まれる水のように、影も形もなくしてください。彼らの手の武器を、へし折ってください。
+ 塩をかけられて溶けるなめくじのように、日の光を知らない死産の子のようにしてください。
+ 神は、老いも若きもいっしょに掃き捨て、あっという間に滅ぼされます。
+ 神を敬う人は、ついには正義が勝つのを見て喜び、殺された悪者どもの血のしたたる野原を歩きます。
+ こうして、地上には公平にさばく神がおられ、善人に必ず報いてくださることが、だれの目にも明らかになるのです。
+
+
+ [ダビデ殺害を謀るサウル王の配下たちに包囲されたとき、ダビデが書いた詩(Ⅰサムエル19‧11参照)。]ああ神よ、私を敵の手から救い出してください。いのちをねらって押し寄せる者どもから私を守ってください。
+ 人殺しどもの手から守ってください。
+ 腕っぷしの強い者が、手ぐすねひいて待ち伏せています。主よ。私は彼らに何も悪いことをしていません。
+ それなのに、彼らは私の息の根を止めようと、意気込んでいるのです。主よ、目を覚まして、よくごらんください。そして助けの手を差し伸べてください。
+ 天の軍勢の主であるイスラエルの神よ、どうか周囲の異教の国々を罰してください。こんな恥知らずの悪党どもを、生かしておかないでください。
+ 彼らは夕暮れになると様子をうかがい、町の通りを犬のように嗅ぎ回ります。
+ 「だれも聞いてなどいない」と高をくくり、大声で悪態をついては、神をのろいます。
+ 主よ、こんな連中を笑いものにしてください。
+ 私の力の源である、神を賛美します。神は、私の安全な隠れ家ですから。
+ 神は、常に変わらない愛を注ぎ、私を助けに来てくださいます。また、敵を私の思いどおりにしてくださいます。
+ 彼らに、まだとどめを刺さないでください。私の国民の心に、貴重な教訓を刻みたいからです。私たちの盾である主よ、お力で敵をよろめかせ、ひざまずかせ、泥の中にはいつくばらせてください。
+ 彼らはおごり高ぶり、うそをつき、口汚なくののしります。どうか、激しい怒りで彼らを滅ぼし、一掃してください。そして、神がイスラエルを支配し、やがて全世界を治めるようになることを、諸国民にも知らせてください。
+ こういう邪悪な者たちは、夕方になると舞い戻って来て、夜通し町をうろつき、犬のようにほえ、食べ物をあさるがよい。
+ しかしこの私は、朝ごとに神の力と恵みを歌います。悩みの日、神は危険を避ける高い塔、安全な隠れ家となってくださったからです。
+ ああ、私の力そのものの神よ。あなたをたたえて歌います。あなたは、安全な高い塔、恵みにあふれた神だからです。
+
+
+ [ダビデがシリヤ(アラム)と戦い、戦況がまだはっきりしていなかったとき、司令官ヨアブが塩の谷でエドム人一万二千人を打ち殺した。その時のダビデの作。]ああ神よ。あなたは私たちを拒み、その守りをもくずされました。御怒りにふれて、私たちは見捨てられたのです。主よ、もう一度、情けをかけてください。
+ あなたはこの国を恐怖で震撼させ、引き裂かれました。主よ、深みまで揺るがされたこの地を今、回復してください。
+ さんざんに打ちのめされて、私たちの足はよろめいています。
+ しかし、あなたはこんな私たちを奮起させるための旗を下さいました。真理を愛する人々が、この旗のもとに集うためです。そうしてこそ、あなたは愛する国民に解放をもたらしてくださるのです。どうか、力に満ちた右の手をふるって、私たちを救い出してください。
+ 神は、ご自分の名誉にかけて救援を約束してくださいました。私は大いに喜びました。神はこう宣言なさいます。「シェケム、スコテ、ギルアデ、マナセは、依然としてわたしのものだ。ユダからは継続して王が出、エフライムからは勇士が誕生する。
+ モアブはわたしの召使となり、エドムは奴隷となる。わたしはまた、ペリシテを攻め取って、勝利の声を上げよう。」
+ あの強固なエドムの町に、この私を入城させてくださるのはどなたでしょう。それは神です。私たちを捨てて敵の手に渡された、その神です。
+ 主よ、どうか敵の攻撃から守ってください。人の助けなど、あてになりません。
+ 神の助けがあれば、私たちは強力な働きを進めることができます。神が敵を踏みつけてくださるからです。
+
+
+ ああ神よ、この声を聞き、この祈りに答えてください。
+ どこからでも、たとえ地の果てからでも、私は大声で、「助けてください」と叫びます。落胆して心がくずおれるとき、堅固な大岩に避難させてください。
+ あなたは私の隠れ家、敵を寄せつけない高い塔です。
+ 私はいつまでもあなたの天幕で暮らします。あなたの御翼の陰に身を潜めていれば、何も心配はありません。
+ ああ神よ。いつも神をほめたたえて過ごすという私の誓いを、あなたはお聞きになりました。それで私は、神を信じて従う者のために用意された祝福を頂いたのです。
+ 神は私のいのちを延ばし、何世代もの人々の人生を凝縮したような、充実した年月を送らせてくださるでしょう。
+ しかも、いつまでも主のそばで暮らせるのです。どうかあなたの慈愛と真実で、私をしっかり支えてください。
+ そうすれば、私はいつも神をほめたたえるという誓いを果たすことができるのです。
+
+
+ 私は黙って、神からの救いを待ちます。救うことができるのは神だけですから。
+ 神こそ私の岩、私を救うお方、そして私のとりでです。ですから私は、困難にぶつかるときでも、おじけづくことはありません。
+ ところが、いったいどうしたことでしょう。私の王座が揺らぐと、人々はいっせいに非難をあびせかけてくるのです。王位から追い落とそうと、策略を練り、必死になって根も葉もないうわさを流します。面と向かっては、いかにもにこやかにふるまうのに、心の中ではのろっているのです。
+ しかし、私はじっと黙って、神の救いを待ちます。救うことができるのは神だけだからです。
+ 確かに、神だけが私の岩、私を救うお方、そして私のとりでなのです。ですから、困難に出会っても、顔をこわばらせなくてよいのです。
+ 私が守られるのも、名声を獲得するのも、神のお心ひとつです。神は私の隠れ家、敵の手の届かない岩です。
+ 同胞よ。いつでも神への信頼を失わず、心にある願いを洗いざらい申し上げなさい。神はきっと助けてくださいます。
+ 身分の高い者も低い者も、神の目から見ればみな無に等しく、天秤で計れば、空気より軽いことがわかります。
+ 搾取と強奪によって財産を増やしてはいけません。金持ちだからといって、尊大になってはいけません。
+ 愛と恵みに満ちた主は、一人一人のしわざに報われるのです。
+
+
+ [ダビデの賛歌。ユダの荒野に潜伏している時の作。]ああ神よ。いったいどこにおられるのですか。一滴の水もない、からからの荒れ地で、私は必死になって神を慕い求めています。
+ 神の聖所へ行ってお力とご栄光を拝したいと、どれほど願っていることでしょう。
+ 私にとって、あなたの愛と恵みは、いのちよりも大切なのです。ああ、あなたはなんとすばらしいお方でしょう。
+ 生きている限り、私はあなたをほめたたえ、両手を上げて祈ります。
+ こうして、ついには身も心も満ち足りるのです。私は喜びにあふれて賛美します。
+ 私は夜、横になったまま、
+ 今までどれほどあなたに助けていただいたかを思い巡らします。そうして、御翼の下にいこいながら、夜通し喜びにひたるのです。
+ あなたのふところに飛び込めば、右の手でしっかり抱きしめていただけます。
+ 一方、私のいのちをつけねらう者どもは、地獄の底に突き落とされるのです。
+ 彼らは剣に倒れ、野獣のえじきとなるでしょう。
+ しかしこの私は、神に抱かれて喜びにあふれます。神に信頼する者は歓声を上げ、うそつきどもは、黙り込むのです。
+
+
+ 神よ、この訴えに耳を傾け、残忍な悪者どもの企みから守ってください。
+ 彼らの舌は、剣のように研ぎすまされていて、私をひどく傷つけます。情け容赦ないことばを矢のように、この胸に射かけてくるのです。
+ 彼らは待ち伏せては、罪のない者を不意打ちにしますが、何かを恐れるということもありません。
+ 彼らは互いに励まし、悪事を行うのです。ひそかに示し合わせては罠をしかけ、「まさか、気づかれるはずがない」と言っています。
+ 目を光らせて悪事を重ねる機会をねらっているのです。いくらでも時間をかけて、際限のない悪知恵を働かせ、策略を巡らします。
+ しかし、神から不意に矢が飛んで来て、彼らを突き刺します。
+ 彼らはよろめいてのけぞり、敵対していた相手の手によって、息の根を止められるのです。それを見ていた人々はみな、あざ笑います。
+ 同時に、すべての人は恐れに取りつかれ、神の奇跡の偉大さを口にするのです。こうして、神は驚くべきことをなさるお方だと思い知ります。
+ 正しい人は主を信頼して喜び、賛美のことばを惜しみません。
+
+
+ ああ、シオンに住まわれる神。私たちは賛美を内に秘めながら、あなたを待っています。そして、私たちの誓いを果たします。神は祈りに答えてくださるお方なので、あらゆる人が願い事を携えて集まります。
+ たとえ私の心が罪に占領されていようと、あなたはすべての罪を赦してくださいます。
+ 聖い天幕の内庭で神とともに住むようにと選ばれた人は、なんと幸いなことでしょう。そこには、すべての良いものに加えて、大いなる喜びが待ちかまえているのです。
+ 神は、恐怖におののかせるような行為や、恐ろしい力を用いて、私たちを敵から救い出してくださいます。神は、世界中の人々にとって、唯一の望みです。
+ 神は底知れない力で山々をお造りになりました。
+ また、怒濤さかまく海原を静め、世界中の騒動を鎮圧なさいます。
+ 地の果てに住む人々は、神のまばゆいばかりの行いに驚き恐れます。夜明けと日没は喜びの声を張り上げます。
+ 神は水をまいて、肥沃な土地に変えられます。神の川からは水がなくなることがありません。また神は、ご自分の民のために大地を整え、大豊作をもたらされます。
+ 水路は十分な雨で潤います。夕立が大地をやわらげ、土のかたまりをほぐして、田畑はいっせいに芽吹くのです。
+ こうして、大地は緑の絨毯で覆われ、荒れ地にはみずみずしい牧草が生い茂り、小高い山の木々は嬉々として花を咲かせます。
+ 牧草地には羊が群がり、谷間には麦の穂が波打ちます。全世界が喜びの声を張り上げて歌っています。
+
+
+ 全地よ。主に向かって歌声を上げ、栄光に輝く神を賛美しなさい。世界中の人に、神のすばらしさを伝えなさい。
+ ああ神よ。あなたのなさることの荘厳さに心打たれます。そのお力の壮大さに圧倒されます。敵が降伏するのも、もっともです。
+ 全地はひれ伏し、ご栄光をほめ歌います。
+ さあ、神がどんなにすばらしいことをなさったかをごらんなさい。神の民は、驚くべき奇跡を体験するのです。
+ 神は、海の中に乾いた道を与えてくださいました。人々はそこを踏みしめて渡りました。その日、人々はどれほど興奮し、喜びにあふれたことでしょう。
+ 神は、偉大な力で永久に支配し、国々の動静を監視なさるお方です。謀反を謀る国々は、高慢の鼻をくじかれます。
+ すべての人よ、神をほめたたえ、賛美の歌を歌いなさい。
+ 私たちのいのちを手中におさめておられるのは、神なのです。神はまた、道を踏みはずさないように、私たちを支えてくださいます。
+ ああ神よ。あなたは私たちを、銀のように炎で精錬なさいました。
+ あなたは私たちを網で生け捕りにし、背中に大きな荷をくくりつけられました。
+ 軍隊を送って、息も絶え絶えの私たちを踏みつけにされました。こうして私たちは、火の中を通り、水の中をくぐり抜け、豊かな地へと導かれました。
+ 私は今、誓いを果たすため、火で焼き尽くすいけにえの動物を引いて、宮へやって来ました。
+ 苦しみの渦中で私は、たくさんの供え物をささげますと約束しました。
+ それゆえ私は、雄やぎや雄羊、雄牛を持って来たのです。このいけにえから立ちのぼる煙は、きっとあなたのもとに届くでしょう。
+ さあ、神を敬う人よ、こちらに来て聞きなさい。神のなさったさまざまなことをお話ししましょう。
+ 私は、この口で助けてくださいと叫び、この舌で神をほめたたえてきました。
+ もし私が罪を告白していなかったら、主は祈りに答えてくださらなかったでしょう。
+ しかし、神は身を乗り出すようにして、私の祈りを聞き届けてくださいました。
+ 祈りの声を退けず、恵みと愛を豊かに注いでくださった神をほめたたえます。
+
+
+ ああ神よ。私たちをあわれんで祝福してください。私たちをごらんになるとき、あなたの御顔が喜びにほころびますように。
+ 私たちを世界に送り出し、神の救いの力と全人類への永遠のご計画とを知らせて回らせてください。
+ どの国の人々も、心から主をほめたたえるでしょう。
+ 国々は、あなたが彼らの王となり、公平にさばいてくださると知れば、喜び、歌いだすでしょう。
+ 全世界が神をほめたたえ、地上のすべての国が、感謝をささげますように。
+ 刈り入れた作物が、山のように積み上げられたからです。神が私たちを祝福してくださいますように。そうすれば、地の果てに住む人も、私たちの神をあがめるようになるでしょう。
+
+
+ ああ神よ、私をお救いください。洪水で水が氾濫し、私は泥の中にじわじわと沈み込んでいきます。
+ 泣き疲れて、のどは渇き、声はかれ果てました。神の助けを待ちわびて、目も赤くなりはれ上がりました。
+ 理由なく私を憎む者があとを絶ちません。何も悪いことをしていない私を殺そうと謀る者たちはみな、有力者ばかりです。私は身に覚えがないのに、彼らは報復しようといきり立っています。
+ ああ神よ。あなたは、私の愚かさをよくご存じです。私の罪も一つ残らず覚えておられます。
+ ああ主よ。この私の存在が、あなたを信頼しようとする人々にとって、つまずきとなりませんように。混乱を引き起こす原因となりませんように。
+ 私はあなたのためにのろわれ、辱められているからです。
+ 血を分けた実の兄弟でさえ、赤の他人のようにしかふるまってくれません。
+ 神のことを熱心に思うあまり、心は焼け尽きそうです。私があなたを弁護したため、敵は、あなたに対してするように、私に侮辱のことばを投げつけてきます。
+ 私が主の前で嘆き悲しみ、断食すると、彼らは私をあざ笑い、さげすみます。
+ 私が罪を恥じて謙遜になり、悲しんで荒布をまとうと、彼らは私を笑いものにします。
+ 町の人は私のうわさを立て、私の名は酔っぱらいの歌になりました。
+ しかし、私は祈りの手を下ろしません。神が聞いてくださる時がきたからです。あなたは、愛と恵みを十分に用意して、待っていてくださいます。どうか祈りに答え、約束どおり救ってください。
+ この泥沼から引き上げてください。このまま沈ませないでください。憎しみを抱く者どもから救い出し、深い水から引き上げてください。
+ 洪水が私の背丈を越え、海にのみ込まれたりしませんように。私を脅かす穴から救ってください。
+ ああ主よ、私の祈りに答えてください。あなたの恵みはすばらしく、あわれみにあふれています。
+ どうかお姿を隠さないでください。早く来て、苦しみのどん底から救ってください。
+ 主よ、駆けつけて来て、救い出してください。敵の手から守ってください。
+ 彼らが私のうわさをし、名誉を傷つけているのを、ご存じのはずです。彼ら一人一人がどんなことばを口にしたか、覚えておられるはずです。
+ 彼らにさげすまれて、私の心は傷つきました。心はふさぎ込んでしまいました。一人でも、同情して慰めのことばをかけてくれる人がいてくれたらと思います。
+ 彼らは、私の食べ物に毒を盛り、のどの渇きを訴えると私に酢をつぎました。
+ 彼らの喜びはなえて、不安にとらわれますように。
+ 暗闇に閉じ込められて目が見えなくなり、骨と皮ばかりに衰えますように。
+ 御怒りの火で、彼らを焼き尽くしてください。
+ その住まいは廃屋とし、荒れるにまかせてください。
+ 彼らは、神が懲らしめた者を迫害し、神が切りつけた者の傷を見てあざけったからです。
+ 彼らの罪は高く積もっています。どうか、見のがさないでください。
+ この者どもの名を、いのちの書から抹殺してください。正しい人と同じように生きる権利を、はく奪してください。
+ しかし、ああ神よ。この私は、貧困と苦痛から救い上げてくださいますように。
+ そうすれば、感謝を込めてあなたをほめたたえることができます。
+ それは、いけにえの雄牛や若い雄牛以上に、主に喜ばれるでしょう。
+ 謙遜な人々は神の助けを体験します。彼らはとても喜びます。神を探し求める人は、喜びに満たされるからです。
+ 主は困っている人々の叫びを聞き届けてくださり、拒んだりはなさいません。
+ 天と地よ、主をほめたたえなさい。海も、その中に生きるものも、神をほめたたえなさい。
+ 神はエルサレムを救い、ユダの町々を再建してくださるからです。神の国民はそこに住み、決して追い出されることはありません。
+ 彼らの子孫はその地を受け継ぎ、神を愛する人々は平穏無事に暮らします。
+
+
+ ああ神よ、お救いください。急いで手を差し伸べてください。
+ 私のいのちをねらう者どもが、傷を負わせて楽しんでいるのです。彼らが、おじ惑いますように。恥をかかせてやってください。私がいつまでも、さげすまれることがないようにしてください。
+ しかし、神にお従いする者には喜びを下さい。あなたの救いを喜ぶ者には、「なんとすばらしい神でしょう」と叫ばせてください。
+ 私は今、困り果てています。急いでください。あなたしか助けてくださる方はいないのです。主よ、さあ早く来てください。
+
+
+ 主よ。あなたは私の隠れ場です。私がくずおれないよう、お守りください。
+ 不正を憎まれる方よ、この訴えに耳を傾け、救いの手を差し伸べてください。
+ 私を守る大きな岩となり、いつでも私をかくまい、あらゆる攻撃から守ってください。
+ ああ神よ、不正をする残忍な者どもの手から、逃れさせてください。
+ ああ主よ、あなただけが頼りです。私は幼いころからあなたに信頼してきました。
+ そうです、産声を上げた瞬間から、あなたは私のそばにいて、いつも助けてくださいました。ですから、私はいつもあなたをほめたたえるのです。
+ あなたの強力な守りのおかげで、私は人々が目をみはるほどの成功を収めたのです。
+ ああ神よ。私は一日中、あなたがしてくださった数々のことを思い起こしては、あなたを賛美し、栄誉をたたえています。
+ 私は年老いて体力も衰えています。どうか、お見捨てにならないでください。
+ 敵はひそひそと話しています。
+ 「神もあいつを見限ったのだ。もうじゃまは入らない。今度こそ、打ち倒すことができる。」
+ ああ神よ、そんなに離れた所にいないでください。急いで来て助けてください。
+ 敵を痛めつけ、恥をかかせてください。
+ あなたが助けてくださると信じて待ちます。ますますあなたをほめたたえます。
+ 何度、あなたが、危ない目から助けてくださったか、数えきれないくらいです。会う人ごとに、あなたの恵み深さと、日々とぎれることのない思いやりとを告げましょう。
+ 主なる神の力をおびて歩き回り、正しくて恵み深いお方はあなただけだと伝えましょう。
+ ああ、子どもの時から私を助けてくださった神よ。私は機会あるごとに、あなたのすばらしいわざを、人々に伝えてきました。
+ 私は年をとり、髪は白くなりましたが、どうか見捨てないでください。神のすばらしい奇跡を次の世代に伝えさせてください。
+ 神よ。あなたの力と恵みは天の天にまで届きます。あなたほどすばらしいことをなさった神が、ほかにあるでしょうか。
+ あなたは私に難題を与え、苦しみもがくようになさいました。しかし、あなたは地中深くから私を引き上げ、再び生き返らせてくださいます。
+ そして、以前にもまさる名誉を与え、再び御顔を見せて慰めてくださるのです。
+ ああ、イスラエルのきよい神よ。私は楽器をかなでてほめ歌を歌い、あなたがどれほど約束に忠実なお方であるかを、告げ知らせます。
+ あなたに救い出していただいた私は、歓声を上げて、感謝の賛歌を歌います。
+ 一日中、あなたの公正なさばきと温情とを、人々に伝えます。私に害を加えようとした者はみな、恥じ入り、すっかり面目を失ったからです。
+
+
+ ああ神よ。王が、あなたが行うように政治を行い、王子が神を恐れて暮らすように、助けてください。
+ 王が、神の民にはもちろんのこと、貧しい人にも公平であるように、助けてください。
+ 王のすぐれた治世を反映して、山や丘には草木が生い茂りますように。
+ 王の手で貧しい者や困っている者が手厚く保護され、虐待する者たちは容赦なく懲らしめられるようにしてください。
+ 貧しい者や困っている者が、太陽や月が空にかかっている限り永久に、いつも神に対して敬虔でありますように。
+ 約束された王子は、牧草地に降る春の雨のようにおだやかに、世を治めますように。地を潤す夕立のように、人々を豊かにしますように。
+ 彼の治世においては、正しい者が栄え、永遠に平和を楽しみますように。
+ その支配は東の海から西の海に至るまで、ユーフラテス川から地の果てにまで及びますように。
+ 砂漠の遊牧民は彼の前にひれ伏し、敵はひざまずくでしょう。
+ タルシシュや地中海に浮かぶ島々の首長、シェバやセバの王侯はみな、貢ぎ物を納めるでしょう。
+ それどころか、全地の王が頭を下げ、すべての人が彼に仕えるでしょう。
+ 彼は、身寄りのない者や貧しい者を援護します。
+ 弱っている者や困っている者を見ると、いても立ってもいられず、助け上げるのです。
+ 彼は、虐待されたり痛めつけられたりしている人を、黙って見過ごしにはできません。彼にとって、このような者たちのいのちはとても大切なものなのです。
+ 彼は長生きし、シェバから黄金を贈られます。絶えず称賛を受け、民も一日中祝福を祈ってくれます。
+ どうか、平野ばかりか高原にも、豊作の恵みをもたらしてください。レバノンのような実り多い地にしてください。青々とした野原のように、町を人々であふれさせてください。
+ この方の名は太陽のように永遠にあがめられます。すべての人はこの方によって祝福され、世界中の国々がこの方をほめたたえます。
+ イスラエルの神に栄光がありますように。この方こそすばらしいことをしてくださるのです。
+ 栄光に輝くこの方の御名を、永遠にほめたたえなさい。主の栄光が全世界を照らしますように。アーメン。アーメン。
+ (エッサイの子ダビデの賛歌は、ここで終わります。)
+
+
+ 神はイスラエルに対して、なんと恵み深いことでしょう。心のきよい人に対して、その恵みは行き渡ります。
+ しかし私は、崖っぷちに限りなく近づき、危うく足をすべらせて落ちてしまいそうになりました。
+ 傲慢な者や悪党が栄えるのを、ねたましく思ったからです。
+ 彼らの人生には苦しみもなく、何でもうまくいくのです。顔はつややかで、体は肥えています。
+ 彼らは、他の人のように悩むこともなく、深刻な問題で頭をかかえ込んだりすることもありません。
+ そのため、きらきら光る首飾りのダイヤのように高慢をちらつかせ、残忍の糸で織ったかのような服を着ています。
+ この金持ちたちは、欲しいものが何でも手に入るのです。
+ 神をあざけり、神を信じる人々を脅す、その口のきき方は、なんと横柄なことでしょう。
+ 彼らは天を向こうに回していばり、大手を振って地上を闊歩します。
+ その影響は神を信じる人々にもまともに及び、多くの混乱ととまどいをもたらしました。
+ 彼らは言います。「いったい神は、地上でどんなことが起こっているか、ご存じなのだろうか。
+ 見るがいい。あのいばりくさった連中を。努力もせず、楽な人生を送っている。しかも、財産は増えていくのだ。」
+ 私が今までしてきたことは、むだだったのでしょうか。きよくあろうと苦しんだ日々は、何だったのでしょう。
+ 神に従う生活から得たものは、苦しみと災いだけです。しかも、それは、くる日もくる日も、朝から晩まで私につきまとうのです。
+ もし、本気でこう口にしたら、私は神の民を裏切ることになったでしょう。
+ 主を憎む者どもがこんなに栄えている現実をどう説明したらいいのでしょう。
+ ところが、ある日、神の聖所で瞑想していた時、これらの悪者どもの行き着く先を悟ったのです。
+ あの者たちは、なんとすべりやすい道を歩いていることでしょう。突然、神から崖っぷちに追いやられて、足をすべらせ、滅びの底に落ちて行くのです。
+ こうして、その幸福も、あっけなく幕切れとなり、永遠の恐怖にのみ込まれるのです。
+ 彼らの今の暮らしぶりも、つかの間の夢にすぎません。夢から現実の世界に引き戻される人のように、いつかは真実を突きつけられるのです。
+ こう悟った時、私は動揺しました。
+ 自分がどれほど愚かで無知であったかを思い知らされたのです。ああ神よ。私は獣のように見えたことでしょう。
+ しかし、それでもあなたは私を愛し、私の右手をしっかりつかんでくださっています。
+ 一生涯、神は知恵と助言を与えて私を導いてくださることでしょう。そしてついに、私は栄光の天へ入れられるのです。
+ 天でも、あなた以外に私の神はなく、地上でも、慕わしいお方はあなたひとりです。
+ やがて私の体は衰え、気力も弱ります。しかし神は、いつまでも変わらず、心の支えとなってくださいます。永久に私の神でいてくださいます。
+ 神をあがめない者は滅びます。神は、ほかの神々に仕える者を滅ぼされるからです。
+ しかしこの私は、できる限り神のお近くにいましょう。神にお従いするのです。会う人ごとに、神のすばらしい救いのわざを告げましょう。
+
+
+ ああ神よ、なぜいつまでも私たちをお見捨てになるのですか。なぜ、あなたを信じて従う私たちに、こんなにも激しい怒りを向けられるのですか。
+ その昔、奴隷の身であった私たちを救い出し、かけがえのない宝のように大切になさったことを、思い出してください。自ら地上の住まいとお定めになったエルサレムを、思い起こしてください。
+ どうか、敵の手で、見るも無残な廃墟と化した都を、あなたの聖所を、ごらんください。
+ そこで、敵は勝ちどきをあげ、勝利の碑を建てたのです。
+ あらゆるものが荒廃し、木を切り倒したあとの森のようです。彼らはハンマーや斧で、聖所の彫り物を打ち砕き、切り刻み、
+ こともあろうに、あなたの聖所に火を放ちました。彼らは、「さあ、神の名残をとどめるものを一掃しろ」と叫びながら、国中を駆け巡り、礼拝するための集会場を焼き払いました。
+ 私たちが神の民であることを証明するものは、もう何もなくなりました。預言者もいないのです。こんな状態がいつまで続くのか、だれも知りません。ああ神よ、いつまで敵があなたのお名前を踏みつけるのを、お許しになるのですか。彼らをそのままにしておかれるのですか。
+ なぜ、みわざを行うことを差し控えておられるのですか。こぶしを振り上げて、彼らの息の根を止めてください。
+ 神は、はるか昔から私の王であられました。私がどこにいても、いつもあなたのほうから、救いの手を差し伸べてくださいました。
+ あなたは紅海を二つに分け、海神の頭を打ち砕き、荒野に住む人々のえじきとされました。
+ あなたが命じると泉がわき出て、イスラエル人はその水を飲みました。常に水の流れるヨルダン川をせき止め、そこを乾いた道となさいました。
+ 昼も夜も、すべてはあなたの支配下にあります。あなたは星と太陽をお造りになったお方です。
+ 自然界を治め、夏と冬の区別を設けられました。
+ 主よ、敵があなたをあざけっていることに目を留めてください。ああ神よ。思い上がった民が、主の名を冒瀆しているのです。
+ 主よ、お救いください。あなたの山鳩を、獰猛な鷹からお守りください。あなたが愛しておられる民を、獣からお救いください。
+ 約束を思い出してください。この地は暗闇に閉ざされ、残忍な者たちが幅をきかせています。
+ 主よ、あなたの民が踏みにじられ、いつまでもさげすまれることがないようにしてください。貧しい者たちが、あなたの御名をほめたたえることができるようにしてください。
+ ああ神よ、立ち上がって、敵に申し渡してください。反逆者が一日中あびせかけてくる侮辱のことばを聞いてください。
+ 敵ののろいのことばを、聞き逃さないでください。彼らの声は、ますます大きくなっているのです。
+
+
+ 神よ。心から感謝します。このすばらしい奇跡の数々は、私たちをお心にかけてくださっていた証拠です。
+ すると、主の御声がしました。「そうだ、その時がくれば、悪者には罰を下そう。
+ 地が揺れ動き、人々が大混乱に巻き込まれても、地の柱は揺るがない。それは、わたしが据えつけたものだからだ。
+ わたしは思い上がった者に、謙遜になるよう警告した。悪者には、横柄な態度を捨て、
+ 強情で高慢な生き方もやめよと言った。」
+ 神のお力添えがあってこそ、誉れも権力も手にすることができるのです。神は、思いのままに人を栄えさせたり、低くさせたりなさいます。
+ 主の手には、熟成した白ぶどう酒のグラスがあり、このさばきの杯を、悪者たちは最後の一滴まで飲みほさなければなりません。
+ 一方、私は、神を永久にほめたたえます。
+ 神は、「悪者の力は打ち砕こう。しかし、正しい者の力は増し加えよう」と言われます。
+
+
+ 神の名声はユダとイスラエルに行き渡っています。
+ 神はエルサレムのシオン山に住まいを定めて、
+ 敵の武器を粉砕なさいます。
+ 大昔からそびえ立つ山々も、栄光をまとったあなたの足もとには及びません。
+ 最強の敵でさえ征服されて死体を横たえ、一人として手向かって来る者はありません。
+ あなたの叱責のひと声で、敵の軍馬は騎手もろとも倒れました。
+ 人々はあなたを非常に恐れ、誰ひとり御怒りに耐えることはできません。
+ あなたが天から宣告を下されると、地はおののき、口をつぐみます。
+ あなたは立ち上がって、悪事を働く者を罰し、謙遜な人を弁護なさいます。
+ 人間の無益な憤りは、あなたの飾りとなるだけで、かえってご栄光を輝かせるのです。
+ 神である主に立てた誓いは、すべて果たしなさい。すべての人に、贈り物をささげさせなさい。神を敬い、恐れるべきです。
+ 主はこの世の君主のいのちを絶ち、諸王に恐ろしいことを用意なさるのです。
+
+
+ 私は声がかれ果てるまで主を呼び続けます。どうか耳を傾けてください。
+ 苦悶に沈みながら、あえぐように助けを求めています。夜通し祈り、天に手を差し伸べて嘆願しています。祈りが聞かれるまでは、喜びなど私には関係がありません。
+ 神のことを思い巡らしてはうめき、気が遠くなるほど、あなたの助けを待ちわびています。
+ 神からの答えがあるまでは、眠ることもできません。それどころか、悲しみのあまり、もう祈りのことばさえ出てこないのです。
+ 私は、とうに終わった古き良き時代のことを思い起こします。
+ あのころは、夜になると喜びの歌が自然に口から出てきました。この、たましいのあまりにも大きな変わりようは、どうしたことでしょう。
+ 主は永久に私を吐き捨てて、二度と好意を向けてくださらないのでしょうか。
+ 主の恵みは永遠に過ぎ去り、約束も果たされないのでしょうか。
+ 受けるに値しない者に注いでくださった恵みを忘れてしまわれたのでしょうか。怒って戸を閉め、愛を隠してしまわれたのでしょうか。
+ 「これが運命なのだ。神の祝福はのろいに変わった」と、私は自分に言い聞かせました。
+ ずっと昔、主のなさった多くの奇跡を思い起こします。
+ あのころのすばらしい恵みが、いつまでも頭から離れないのです。どうして、忘れることができましょうか。
+ ああ神よ。あなたの道はきよい道です。あなたのように力に満ちたお方は、ほかにありません。
+ あなたは奇跡を行う神で、今でも恐るべき力を発揮なさいます。
+ かつて、あなたはその力強さで、ヤコブとヨセフの子孫である私たちを救い出してくださいました。
+ 紅海は、あなたを見るなり縮み上がり、海の底まで揺さぶられました。
+ 雨が降り、いなずまが走り、雷がとどろき渡りました。
+ 雷鳴とともにつむじ風が巻き起こり、いなずまが世界を照らし出すと、大地はわななき、揺れ動きました。
+ あなたの道は海の底に敷かれていました。そんな所に道があろうとは、誰ひとり知らなかったのです。
+ あなたはモーセとアロンを指導者とし、あなたの民をその道づたいに、羊の群れを牧するように導いたのでした。
+
+
+ 民よ、私の教えをよく聞きなさい。私のことばに耳を傾けなさい。
+ 先祖代々語り伝えられてきた教訓を、たとえを使って教えよう。
+ この真実の解き明かしを聞いたなら、あなたがたもまた、栄光に輝く主のわざを子どもたちに説明し、そのめざましい奇跡を語り伝えてほしい。
+ 主はおきてをまずイスラエルに授け、私たちの先祖に、それを子孫にまでも伝えよとお命じになりました。
+ こうして、神のおきては順々に、子から孫へと伝えられていくのです。
+ こうすれば、すべての世代の人々が神のおきてを守り、神に希望を見いだし、その栄光に輝く奇跡を忘れることはありません。
+ そればかりか、先祖のように、反抗的でかたくなな者や、神に心を明け渡そうとしない者も出ないでしょう。
+ エフライムの人々は、十分に武装していたにもかかわらず、いざ戦いとなると敵に背を向けて逃げ出しました。
+ 神のおきてを守らず、神の命令に従うのを拒んだからです。
+ 先祖たちが、エジプトであれほど助けていただき、すばらしい奇跡を見せていただいたのに、神を忘れてしまったのです。
+ 神が目の前で海を二つに分け、その間を通らせてくださったというのに。しかも、水は両側にせき止められたまま、そそり立っていたというのです。
+ 神は、昼は雲で、夜は火の柱で人々をお導きになりました。
+ 荒野では、岩から水を吹き出させ、十分に飲ませてくださいました。
+ 岩からほとばしり出た水は、川のように流れました。
+ それでもなお、人々は神に背き続け、罪を犯し続けました。
+ 不平ばかりで、神の下さる食べ物では満足できず、
+ 神ご自身に文句を言ったのです。「神よ、水を出されたくらいですから、もう少しましな食べ物を頂けないものでしょうか」と。
+ このことばに、主はどれほどお怒りになったことでしょう。怒りの炎がイスラエルに向かって燃え上がりました。
+ 親身になって心を砕いてくださる神に、信頼しなかったからです。
+ 神は、天の窓を開き、
+ 天上のパンとも言うべきマナを降らせてくださったというのに。
+ 御使いの食べ物を、十分に食べさせていただいたというのに。
+ 神は東風を起こし、激しい力で南風を引き寄せられました。
+ そのため、空から鳥の大群が落ちて来て、ちりのように厚く、海辺の砂のようにびっしりと敷き詰められました。
+ こうして、テントのそばに落ちた小鳥は、
+ 十分に人々の食欲を満たしたのです。人々の欲しがるものを、神はお与えになったのです。
+ しかし、肉がまだ口にある間に、
+ 神の怒りは燃え上がり、イスラエルの屈強の若者たちがなぎ倒されました。
+ それでもなお、人々は罪を犯し続け、神の奇跡を信じようとはしませんでした。
+ そこで神は人々の寿命を短くし、悲惨な生涯を用意されたのです。
+ 神が彼らを滅ぼされると、ついに、人々は熱心に神に立ち返りました。
+ 神こそ自分たちの岩であり、どんな神々にもまさるお方であることを思い出したのです。
+ しかし、その従順も口先だけで、心からのものではありませんでした。
+ 本心は遠く離れていたので、約束もすぐに破ってしまいました。
+ それでもなお、あわれみ深い神は、そんな彼らの罪を赦し、絶滅にまでは追い込まれませんでした。幾度も、怒りを押しとどめられたのです。
+ 人々が朽ちていく存在にすぎず、風のように、あわただしく去っていく身であることを、思いやられたからです。
+ 荒野をさまよっていたころ、人々は何度反抗して、神を悲しませたことでしょう。
+ 彼らは何度も背いては、神に滅ぼされそうになりました。こうして、自らの手で、神の祝福をとどめてしまったのです。
+ 神の力も愛も忘れ、どのようにして敵の手から救い出していただいたかも忘れました。
+ また、ツォアンの野でエジプト人が神罰を受け、恐ろしい病気に冒されたことも、
+ 川の水が血に変わって飲めなくなったことも、
+ エジプト全土にあぶの群れが押し寄せ、かえるが国中にあふれたことも忘れました。
+ 神はエジプト人の作物を油虫に食べさせ、その収穫をいなごの餌にされました。
+ また、彼らのぶどうといちじくを雹で全滅させました。
+ 天からの雹で家畜を、雷によって羊の群れを打ちました。
+ 神は彼らに激しい怒りを燃やし、災難をもたらす御使いの一軍を送り込まれました。
+ 神の怒りは荒馬のように駆け巡ったので、エジプト人は次々と疫病にかかって倒れました。
+ 続いて神は、エジプトの全家族から、一家の柱となるべき長男を殺しました。
+ しかし、ご自分の民を羊の群れのように導き出し、荒野の道を無事に進ませてくださいました。
+ 神が彼らを守られたので、彼らは恐れを感じることもありませんでした。結局、敵は海にのみ込まれて滅びました。
+ こうして彼らは、神が特別に備えてくださった、なだらかな丘陵の続く、祝福の地の入口まで連れて来られたのです。
+ 神はこの地に住みついている民族を追い払い、イスラエルの各部族に、領地を分配してくださいました。
+ しかし、これほどの恵みを受けながらも、彼らは神に逆らい、神の教えを守ろうとしませんでした。
+ 入ろうとしている約束の地からあとずさりして、先祖同様に神を裏切り、先の曲がった矢のように、神が意図なさった的からそれてしまったのです。
+ また、他の神々の像を作り、異教の祭壇を築いては、神の怒りを買いました。
+ 彼らのしわざをごらんになった神の怒りは激しく、ご自分の民をさえ、退けるまでになりました。
+ そこで、地上の住まいであったシロの宮を見限り、
+ 契約の箱が奪われるのも見過ごされました。ご自分の栄光を敵の手にお渡しになったのです。
+ 神の怒りの火は燃えさかり、イスラエルの民は虫けらのように殺されました。
+ 若い男は焼き殺され、若い女は、婚姻の歌を歌う年齢に達しないうちに死に絶えました。
+ 祭司は虐殺され、その未亡人は、夫の死を嘆く間もなく亡くなりました。
+ その時、神は眠りから覚めた人のように、また、ぶどう酒を飲んで景気づいた勇士のように立ち上がられました。
+ 敵はあわてふためいて逃げ、ぬぐいがたい恥をかかされたのです。
+ 神はヨセフの家系のエフライム族を見放し、
+ ユダ族を選んで、シオン山をいとおしまれました。
+ そこに、山のようにそびえ立つ不動の神殿をお建てになりました。
+ そして、ダビデをしもべとして選び、彼を羊飼いの仕事場から、
+ 子羊を連れた雌羊の番をしていた場所から召し出されました。イスラエルの羊飼いとなったダビデは、すぐれた手腕と真心をもって、人々を導きました。
+
+
+ ああ神よ。あなたの地は、外国の軍隊の占領下にあります。神殿は汚され、エルサレムは瓦礫の山となりました。
+ あなたの民の死体は野ざらしで、鳥や獣のえじきとなっています。
+ 敵がエルサレムの全住民を殺害したので、その血は川となって流れました。一人の生き残りもいないのですから、いったいだれが死体を埋葬できるでしょう。
+ 周囲の国々が私たちをあざけり、侮辱の限りを尽くします。
+ ああ主よ、いつまでお怒りになるのですか。あなたのねたみの炎は、私たちの望みをすべて焼き尽くすまで燃えるのでしょうか。
+ その激しい怒りを、私たちにではなく、神を信じない国々に注いでください。祈りもせず、あなたの御名を呼び求めもしない国々に注いでください。
+ その国々は、神の民イスラエルを滅ぼし、一軒残らず荒らし回ったからです。
+ 私たちの昔の罪を持ち出して、有罪の宣告を下さないでください。神のこの上ないあわれみによって、ちりの中ではいつくばっている私たちを立ち上がらせてください。
+ 救いの神よ、あなたの御名があがめられるために、私たちを助け、この罪を赦してください。
+ どうして、外国人が、「おまえたちの神はどこにいるのだ」とあざけるのを、放っておかれるのですか。神の民を虐殺したことについて、公の場で彼らに報復してください。
+ 牢獄につながれている者と、死刑を待つ者のうめきを聞いてください。彼らを救い出し、神の力の偉大さを証明してください。
+ ああ主よ、あなたをののしった国々に、七倍の報復を加えてください。
+ そうすれば、神の民である私たちは、いつまでも感謝し、のちのちまであなたの偉大さをほめたたえるでしょう。
+
+
+ ああ、イスラエルを導く偉大な羊飼いよ。ケルビムの上の王座におられる神よ。どうか、私の訴えを聞き入れて、お力を見せてください。光り輝くご栄光を現してください。
+ さあ、立ち上がり、どれほど強い力で私たちを救い出してくださるのか、エフライムやベニヤミンやマナセにお見せになってください。
+ ああ神よ、おそばに戻らせていただきたいのです。喜びと愛のまなざしを注いでください。そうでなければ、私たちは救われることがありません。
+ 天の軍勢の神である主よ、いつまで怒り、この祈り耳にをふさがれるのですか。
+ 悲しみと涙が私たちの食べ物なのですか。
+ いつまで私たちを、諸国の笑いものとされるのですか。
+ 天の軍勢の神よ、おそばに戻らせてください。喜びと愛のまなざしを注いでください。そうでなければ、私たちは救われることがありません。
+ 神は私たちをエジプトから、弱々しいぶどうの木を運ぶようにして連れ出し、約束の地から異教の民を追い出して、そこに植えてくださいました。
+ 土をやわらかく耕してくださったので、私たちは根を張り、国中に生い茂りました。
+ 山々も私たちの影でおおわれました。私たちは杉の大木のように枝を伸ばし、
+ 地中海からユーフラテス川に至る全土を埋め尽くしました。
+ ところが今になって、あなたは私たちの石垣を切りくずし、番人を追い払って、荒らされるままに任せられます。
+ 森のいのししには周囲を鼻で掘られ、野獣どもには格好のえじきとしてねらわれています。
+ 天の軍勢の神よ、お願いですから、お戻りになって私たちを祝福してください。天からこの惨状をごらんになり、あなたのぶどうの木を手入れしてください。
+ ご自身で植え、ご自身で育て上げた子どもを守ってください。
+ 私たちは敵に切り落とされて焼かれているのです。その敵があなたのきびしい御顔の前で滅びますように。
+ あなたが愛した、お気に入りの息子を強めてください。
+ もう二度と、私たちはあなたを捨てたりしません。私たちを再び生かし、あなたへの信頼を回復させてください。
+ 天の軍勢の神である主よ、おそばに連れ戻してください。私たちに向けられる御顔が、喜びと愛で明るく輝きますように。そうでなければ、私たちは救われることがありません。
+
+
+ 神こそ私たちの力です。さあ、賛美の歌を歌いましょう。
+ タンバリンの伴奏で歌いましょう。うるわしい音色の竪琴と十弦の琴をかなで、
+ ラッパを吹き鳴らしましょう。満月と新月の祭りに、さまざまな祭りに集まり、楽しく祝いましょう。
+ 神は祭りを喜びの時として、おきてに定めておられます。
+ 祭りは、私たちを奴隷としたエジプトに対する戦いの記念として、神が定めてくださったのです。私は、このような、聞いたことのない声を聞きました。
+ 「わたしはおまえの肩の重荷を下ろす。おまえを重労働から解放する。
+ おまえが『苦しい』と叫んだ時、わたしはおまえを助けた。雷の隠れ家であるシナイ山から、わたしは答えた。『水がない』と、おまえがメリバで不平を言った時、わたしはおまえの信仰を試していた。
+ わたしの厳しい警告を聞きなさい。おまえが耳を傾けてくれればと、わたしは願っている。
+ どんなことがあっても、ほかの神を拝んではならない。家の中に偶像を置いてもいけない。
+ エジプトから連れ出したのは、おまえの神である、このわたしではないか。疑うのなら、口を大きく開けてみるがよい。そして、わたしがその口いっぱいに恵みを満たすかどうか試しなさい。ありとあらゆる祝福はおまえのものになるだろう。
+ しかし、わたしの民はいっこうに聞こうとしない。イスラエルは、わたしに従おうとしない。
+ そこで、わたしは彼らを放っておき、闇の中を手探りしながら欲望のままに暮らすようにした。
+ ああ、わたしの民が、従順になってくれたらよいのに。イスラエルが、わたしの道を歩んでくれたらよいのに。
+ そうすれば、わたしは直ちに敵と戦って征服しただろう。」
+ 今、主を憎んでいる者も、やがては頭を下げるようになるのです。そして、そんなみじめな状態から、決して抜けられなくなります。
+ しかし、神はあなたに最上の食べ物を下さり、上質のみつで堪能させてくださるのです。
+
+
+ 神は、天の法廷を開いて、裁判官たちに判決をお授けになります。
+ いつまでおまえたち裁判官は、真実の証言に耳をふさぐのか。いつまで悪党どもに便宜をはかっているのか。
+ 貧しい者、悩む者、身寄りのない者、日々の暮らしに事欠く者を公平にさばけ。
+ 悪い者たちから、貧乏で苦しんでいる人々を救い出せ。
+ ところが、おまえたちは、何も知らない愚か者なのだ。おまえたちが暗闇に閉じ込められているため、社会の土台は根本から揺らいでいる。
+ わたしはおまえたちを「神々」とか「いと高き神の子たち」と呼んだが、
+ いずれは死んでしまう、ただの人間なのだ。王族も同じだ。人間はみな死ぬ運命にある。
+ ああ神よ、立ち上がって、この世をさばいてください。地にあるものはみな神のもので、諸国はあなたの手の中にあります。
+
+
+ ああ神よ、私たちが祈っているのに、じっと黙って、何もしないでいることがありませんように。祈りに答え、救い出してください。
+ あの、敵の興奮して騒ぎ立てる声が、御耳に入らないのですか。主を憎む者どもの目に余る行為が、御目に留まらないのですか。
+ 彼らは悪知恵を働かせて策略を練り、あなたにとってかけがえのない人たちを殺そうとしています。
+ 「さあ、イスラエルを抹殺しよう。そんな国があったという痕跡さえ残らないようにするのだ。」
+ これが、彼らの首領たちの一致した意見でした。全能の神を敵に回して、彼らは同盟を結んだのです。
+ こうして、イシュマエル人、エドム人、モアブ人、ハガル人、
+ ゲバル、アモン、アマレク、ペリシテ、ツロの住民たち、
+ それにアッシリヤも加わって、このロトの子孫たちとの連合軍ができました。
+ どうか彼らを、あのミデヤンと同じような目に会わせてください。もしくは、キション川でのシセラやヤビンと同じ敗北を、なめさせてください。
+ また、朽ちた死体が土地の肥やしとなったエン‧ドルでの敵のようにしてください。
+ 権力者の貴族たちには、オレブとゼエブのような死に方をさせてください(士師7‧25参照)。また高官たちも、ゼバフとツァルムナのように葬り去ってください(士師8‧21参照)。
+ この二人は、「神の牧場をそっくり頂いて、われわれのものにしよう」と企んだ連中です。
+ ああ神よ、砂ぼこりやもみがらのように、彼らを吹き飛ばしてください。
+ 森林をなめ尽くす山火事のように襲ってください。
+ 猛烈な嵐や竜巻で、追い払ってください。
+ ああ主よ、彼らがあなたの力と御名を認めるようになるまで、徹底的に恥をかかせてください。
+ 彼らがしようとすることを、すべて失敗に終わらせてください。そうして深く恥じ入り、おじけづき、
+ ついには、全地を支配する神があなたおひとりであることを、思い知るようにしてください。
+
+
+ 天の軍勢の主よ。あなたの神殿は、なんと美しいことでしょう。
+ この神殿の内庭に入り、生ける神のおそば近くに出ることを、私は夢にまで見ているのです。
+ 雀やつばめでさえ、祭壇のまわりに巣を作らせてもらい、ひなを育てています。天の軍勢の主、私の王、私の神よ。
+ 神殿に住み、いつもあなたを賛美できる人は、なんと幸せなことでしょう。
+ 主の力を頂き、あなたに従って歩むことをほかの何より願う人は幸いです。
+ そのような人にとっては、涙の谷も、祝福のわき出る泉となるでしょう。
+ 彼らはいよいよ溌剌としてシオンに向かい、一人一人呼ばれて、神にお会いすることを許されるのです。
+ ああ天の軍勢の神である主よ、私の祈りを聞いてください。
+ 私たちを守る盾であられる神よ、あなたが油を注いでお立てになった王をあわれんでください。
+ あなたの神殿で過ごす一日は、ほかで過ごす千日よりもすばらしいのです。悪の宮殿に住むよりは、神の家の門番になりたいと思います。
+ 神である主は、私たちの光であり、守り手であるからです。主は恵みと栄光を下さる方であり、ご自分の道を歩む者に、良いものを下さらないことがありません。
+ 天の軍勢の神に信頼する人は幸いです。
+
+
+ 主よ、あなたは驚くべき恵みをこの国に注がれました。イスラエルの繁栄を回復し、
+ 民の罪を赦し、そのいっさいを水に流されたのです。
+ こうして、神の激しい怒りは、きれいに消え去りました。
+ ああ神よ、あなたを愛していた昔に私たちを戻してください。そうすれば、二度とお怒りを買うこともないでしょう。
+ それとも、子々孫々に至るまで、いつまでもお怒りがやまないのでしょうか。
+ 私たちを生き返らせてください。そうなれば、神の民は、再びあなたを喜ぶようになります。
+ 主よ、私たちに愛と恵みを注いで、救ってください。
+ 私は、神である主の口から出ることばをひと言も聞きもらすまいと、耳をそばだてています。神の民である聖徒たちが罪を離れさえすれば、平和を告げられるからです。
+ 救いは、主を敬う人たちのすぐそばにあるのです。私たちの国は、やがて主の栄光で満ちあふれるようになるでしょう。
+ 恵みと真実は出会いました。厳正な正義と平和は口づけしました。
+ 真実は地に生い茂り、神の公正は天からほほ笑みます。
+ 主から祝福されて、この国には豊作が続きます。
+ 正義は主の前を進んで、道を踏み固めます。
+
+
+ ああ主よ、こちらを向いて、私の祈りをお聞きください。私は悩み果てています。
+ 私はあなたのおきてをすべて守ろうとしています。どうか、このいのちをお守りください。私はあなたに信頼して仕えています。どうかお救いください。
+ ああ主よ、最後まで望みを失わず、あなたを見上げている私をあわれんでください。
+ 私はあなた以外のだれをも拝んだりはしません。どうぞ、幸いを与えてください。
+ 主は恵み深いお方で、赦すのをためらったりなさいません。助けを求めて来る人にはだれにでも、あふれるほどにあわれみをかけてくださいます。
+ ああ主よ。私は追い詰められて祈っています。この叫びを聞いてください。
+ 苦しいことに出会うたび、私はあなたを呼び求めます。すると、あなたは助けてくださるのです。
+ 異教の神々の中に、あなたのような方はいません。あのような奇跡を行うことのできる神々はいません。
+ あなたがお立てになった国々は、目の前でひれ伏し、聖なる御名をたたえるでしょう。
+ あなたは偉大ですばらしい奇跡を行われます。あなただけが神です。
+ 主よ、私がどちらへ行けば、あなたのお心にかなうのかを教えてください。私は喜んで、そちらへ行きます。全身であなたの御名を恐れる者としてください。
+ 心の底からあなたを賛美し、永遠にあなたの御名をたたえます。
+ あなたが私をこんなにも愛し、いつも情けをかけてくださるからです。あなたは、地獄の底から私を救い出してくださったお方なのですから。
+ ああ神よ。思い上がった者たちが、公然と向かって来ます。神を退ける横暴な者が、私のいのちをねらっています。
+ しかし主よ。あなたはあわれみ深くて優しく、短気を起こさず、恵みと真実にあふれておられます。
+ ですから、あなたのしもべである私にあわれみをかけ、力を与えて救い出してください。
+ 私をお心にかけてくださっているというしるしを、見せてください。私が神から助けられ慰められていることを知ったら、私を憎む者たちは恥をかくことでしょう。
+
+
+ エルサレムは神のきよい山の上にあります。この神の都を、主はどの場所よりも深く愛しておられます。
+ 神の都については、なんとすばらしい語り伝えがあることでしょう。
+ 友人たちと話していると、エジプトやバビロン、ペリシテやツロ、さらに、はるかエチオピヤの名前が話題にのぼりました。それらの国の生まれだと誇らしげに語る者がいました。
+ しかし、いつの日か、エルサレムの生まれであることが最高の栄誉となる日が訪れます。あらゆる神々にまさる神が、格別この都に目をかけ、祝福してくださるからです。
+ エルサレム出身者は国籍を登録する時、主から特別なしるしを付けていただくでしょう。
+ 祭りの日には、人々は、「ああ、わが心のエルサレム」と歌うでしょう。
+
+
+ ああ、私を救ってくださる神よ。私は昼も夜も、あなたの前で嘆いています。
+ この叫びに耳を傾け、祈りを聞き届けてください。
+ 苦しみにがんじがらめにされた私に、死の足音が忍び寄って来たのです。
+ 人々は、私のいのちは尽きかけていて、手の施しようもないと言います。
+ 戦場で倒れ、神からのあわれみも絶たれた兵士のように、見殺しにされるのです。
+ あなたは私を、深い真っ暗闇の穴に投げ込まれました。
+ あなたの激しい怒りは、息つく暇もなく押し寄せる波のように、私をのみ込みます。
+ あなたは、友人たちが私を嫌って、私のもとを去るようにされました。私は捕らえられ、逃れることができません。
+ 目は泣き疲れてかすんでいます。ああ主よ。くる日もくる日も、助けてくださいと、取りすがっているのです。あわれんでくださいと、両手を差し伸べているのです。
+ もうすぐ、手遅れになってしまいます。死んでしまえば、どんな奇跡を行ってくださろうと、何の役にも立ちません。死んだら、あなたをたたえることもできません。
+ 墓の中にいる者が、どうしてあなたの恵みや真実を言い広めることができるでしょう。
+ 暗闇に、あなたの奇跡を証言することができるでしょうか。忘却の地にいる人間に、あなたの助けを語り伝えることができるでしょうか。
+ ああ主よ。くる日もくる日も、私は命乞いをしています。
+ なぜ、私の寿命を縮められるのですか。なぜ、御顔をそむけられるのですか。
+ 私は若いころから病気がちで、いつも死にさらされていました。死におびえて、なすすべもなく立ち尽くしていました。
+ あなたの激しい怒りに私は震え上がりました。
+ 私は一日中、恐怖に襲われています。
+ 愛する人も、友人も、知人も、みな去って行きました。どちらを向いても、暗闇ばかりです。
+
+
+ 私は主の優しいお心づかいを、いつまでも歌います。
+ あなたの愛と恵みと真実は、永遠に絶えることがありません。
+ 主なる神はこう言われます。「わたしは、よりすぐったしもべダビデと厳粛な契約を結んだ。彼の子孫を永久に王座につけると誓ったのだ。」
+ ああ主よ。天はあなたの奇跡をたたえ、御使いたちは、あなたの真実をたたえます。
+ 天に、主と並ぶ存在などありえませんから。最も偉大な御使いでさえ、主の足もとにも及びません。
+ 天使の中で最高位の者さえ、御前では恐れおののきます。ほかのだれが、主のようにあがめられているでしょうか。
+ 天の軍勢の神である主よ。あなたのように権威ある方は一人もいません。主は真実そのものです。
+ 海にすさまじい嵐が起こって波が荒れ狂っても、あなたのひと言で凪いでしまいます。
+ 傲慢な態度を捨てなかったエジプトは、あなたの手で切り刻まれました。あなたの恐るべき腕を見て、敵は逃げて行きました。
+ 天も地も、万物はあなたの手の中にあります。いっさいのものを造られたのはあなたなのですから。
+ 北も南も神がお造りになりました。タボル山とヘルモン山は、創造主であるあなたに感謝しています。
+ あなたの腕の力は天下に並ぶものがなく、あなたの栄光ある右の手は、高くあげられています。
+ あなたの王座を支えているのは、公平と正義の太い二本の柱です。あわれみと真実は、いつもおそばに控えています。喜びに震えるラッパの音を聞く人々は幸せです。あなたの光の中を歩くことができるからです。
+ 彼らは、あなたのすばらしい名声と、完全な正義を知って、一日中喜びに満たされます。
+ あなたは彼らの力です。あなたの恵みが私たちの力の源であるとは、なんという光栄でしょう。
+ 私たちを守るのは、ほかならぬ主ご自身です。この、イスラエルのきよいお方が、私たちに王をお立てくださいました。
+ 神は幻の中で、預言者にこう告げました。「わたしは国民の中から、一人のすぐれた若者を選んで王とした。
+ それは、わたしのしもべダビデだ。わたしは彼に、きよい油を注いだ。
+ わたしは彼をしっかり支えて、強めよう。
+ だから彼は、決して敵に優位に立たれたり、悪者にひけをとったりすることはない。
+ わたしは敵を打ち倒し、彼を憎む者の息の根を止めよう。
+ 常に彼を守り、祝福し、愛で包もう。彼はわたしのゆえに、偉大な者となる。
+ 彼はユーフラテス川から地中海に至るまでを支配する。
+ 彼はわたしを『あなたはわたしの父、わたしの神、わたしの救いの岩』と呼ぶだろう。
+ わたしは彼を長男として迎え、地上で最強の王としよう。
+ いつまでも愛を注ぎ、常に恵みを与えよう。彼との間に立てた契約は、決して破棄されはしない。
+ 彼の跡継ぎは絶えることがなく、王座は永遠に受け継がれる。
+ しかし、もし彼の子孫がわたしのおきてを無視して守らなくなれば、罰が下ることになる。
+ とはいえ、恵みを根こそぎ奪ったり、約束を破ったりはしない。
+ わたしは契約を破りはしない。前言を翻すようなこともしない。
+ わたしはダビデに、その王朝はいつまでも続き、王座も、この世界が続く限り途切れることはない、と誓ったからだ。きよい神は決してうそをつかない。
+ 大空にかかる忠実な証人である月のように、彼の王座はいつまでも続く。」
+ このようにおっしゃった神が、どうして彼を拒絶し、お捨てになるのですか。なぜ、王として選んでおきながら、こんなにもお怒りになるのですか。
+ あなたは、ダビデとの契約を解消なさったのでしょうか。その王冠をはく奪しておられるではありませんか。
+ あなたは城壁をくずし、要塞を一つ残らず破壊なさいました。
+ 行きずりの者たちがその廃墟を物色してあさり、近隣の者もあざけって見ています。
+ あなたは、むしろ敵を勇気づけ、喜ばせておられるのです。
+ 戦場では、王の手から剣をたたき落とし、見殺しになさいました。
+ その勢いにとどめを刺し、その王座をくつがえされました。
+ 彼を実際の年齢以上に老いさせ、公衆の面前で恥をかかせられました。
+ ああ主よ、いつまでこんな状態が続くのですか。いつまで顔をそむけて、燃えさかる怒りを注がれるのですか。
+ あなたが人間の一生を、どんなに短く、むなしいものにお定めになったか思い起こしてください。
+ 人はいつまでも生きることはできません。みな死に果てるのです。だれが、墓から自分のいのちを救い出せましょう。
+ 主よ、以前は、あんなに愛してくださったではありませんか。かつてダビデに約束された確かな恵みは、どこへ行ったのでしょう。
+ 主よ、ごらんください。人々がこのように私をさげすんでいるのです。
+ 敵も、神が王として油を注がれたこの私を、あざけっています。
+ しかし、それでもなお、主は永遠にほめたたえられるべきお方です。アーメン。アーメン。
+
+
+ [神の人モーセの祈り。]主よ。あなたはいつまでも私たちの住まいです。
+ 大地が造られ、山が生まれる前から、あなたは神であられました。あなたには初めも終わりもないのです。
+ あなたのひと言で、人は土に帰ります。
+ 千年の昔も、あなたにとっては昨日のことにすぎず、ほんのひと時のようです。
+ 私たちは、流れの速い潮に乗って見る間に過ぎ去り、一夜の夢のように、あわただしく消えていきます。朝のうちは青々と生い茂っていても、夕暮れには刈られてしおれる草のようです。
+ 私たちはあなたの怒りのうちに死に、あなたの憤りに打ち滅ぼされます。
+ あなたは隠された罪をあばき、私たちのすべての罪をごらんになります。
+ あなたの御怒りの日々は、私たちにとって重く長く、ため息ばかりで過ぎていくのです。
+ 人生は七十年、中には八十まで生きる人もいるでしょう。しかし、一番良い時期でも、人生はむなしく、苦しみに満ちています。しかも、月日は矢のように過ぎて、私たちは、たちまち帰らぬ身となるのです。
+ だれが、あなたの怒りの真の恐ろしさを知っているでしょう。だれが、ほんとうに恐れることを知っているでしょう。
+ どうか、私たちに与えられた日の数え方を教え、それがどんなに短いものか気づかせてください。どうか、正しい日の過ごし方を教えてください。
+ ああ主よ、祝福してください。いつまでこの状態が続くのですか。御怒りを、はるか向こうに遠ざけてください。
+ あなたの恵みで若い日々を満ち足らせ、この生涯を閉じる日まで、喜びを絶えさせないでください。
+ 悲惨な日々のことなど、思い返さないほどの喜びを、頂きたいのです。災いの年月を、祝福の日々と取り替えてください。
+ もう一度、奇跡を見せてください。子どもたちに、以前のように栄光を見させてやってください。
+ どうか、私たちに目をかけ、なすことすべてを成功させてください。
+
+
+ 私たちは、どんなものにもまさる神によってかくまわれ、この全能のお方のふところに住んでいます。
+ 私は宣言します。「神こそ私の避難所、また安全地帯です。この神への信頼を失うことはありません。」
+ 主はどのような罠からもあなたを救い出し、いのちを損なう病からも守ってくださいます。
+ 主の翼の下に、あなたはかくまわれるのです。また、主の変わることのない約束が、あなたのよろいとなるのです。
+ ですから、もう暗闇を恐れることはありません。真昼の襲撃にもおののくことはありません。
+ 暗闇に乗じてはびこる疫病も、明け方を襲う災害も恐れるに足りません。
+ たとえ千人がそばに倒れ、一万人の死体があたりを埋め尽くそうと、悪い者が私に触れることはありません。
+ 私はただ、悪者が罰せられるのを眺めていればよいのです。
+ 私には、主という避難所があります。私はこのお方を、すべての神々にまさる神として選びました。
+ ですから、災難に見舞われたり、病にかかったりするはずがありません。
+ 神が御使いたちに言いつけて、行く先々で守ってくださるからです。
+ 山道でも、石につまずかないように、手で支えてくださいます。
+ ライオンに出くわそうと、毒蛇を踏もうと、恐れずに踏みにじることができるのです。
+ 主はこう言っておられます。「わたしを愛する者を、救い出そう。わたしを信頼する者を偉大な人物にしよう。
+ その者が呼べば答えてやり、苦しんでいる時にはそばにいる。その者を救い出し、誉れを与えよう。
+ わたしは彼を救って、充実した人生を送らせよう。」
+
+
+ [安息日に歌う歌。]主に「感謝します」と言うこと、神々にまさる神に賛美の歌をささげることは、なんとすばらしいことでしょう。
+ 朝ごとに、「恵みを感謝します」と言い、夜ごとに、神の真実を喜びなさい。
+ 十弦の琴やリュート、竪琴をかなでながら、賛美の歌を歌いなさい。
+ こんなにも多くのことをしてくださった主に、感謝せずにはいられません。喜びの歌を歌わずにはいられません。
+ 主よ、あなたはなんとすばらしい奇跡をなさることでしょう。あなたの御思いの深さには測りがたいものがあります。
+ 浅はかな者には、とても理解できず、愚かな者の想像も越えています。
+ たとえ、今は雑草のようにはびこっていようと、悪人を待ち受けているのは永遠の滅びだけです。
+ 主は永遠に天であがめられるお方ですが、
+ 神に対して悪事を働く者は、滅びに至るのです。
+ しかし、あなたは私を、野牛のように強くしてくださいました。あなたに祝福されて、力がみなぎりました。
+ 敵が刑罰を宣告されて滅ぶ様子を、私はこの目で見ました。
+ しかし、神を信じて従う人は、なつめやしの木のように青々と茂り、レバノン杉のようにそびえ立ちます。
+ 主の農園に移植され、神ご自身が世話をしてくださるからです。
+ その木々は、老木となっても実を結び、青々と茂ることができるのです。
+ このことは主の栄誉となり、その真実を人々に知らせます。主は私の隠れ家です。主は恵みそのもののお方です。
+
+
+ 世界の王、主は、威光と権能をまとっておられます。ああ神よ。永遠の昔から、あなたは世界を支配しておられます。
+ 大洋も鳴りとどろいて、あなたを賛美しています。
+ 岸に打ち寄せ、白く砕け散る大波よりもあなたは力強いお方です。
+ そのおきては不変で、その支配の原理は、きよさです。
+
+
+ 復讐の神である主よ。あなたのご栄光を輝かせてください。地上の人々をさばき、おごり高ぶる者どもを罰してください。
+ 主よ、いつまで悪者は勝ち誇り、有頂天でいるのですか。
+ あの横柄なことば、尊大な態度、自慢げな様子をごらんください。
+ ああ主よ。彼らは、あなたが愛しておられる人々をあれほどまで悩ませています。
+ 「主に知れるわけがない。神は気にかけることもない」と、未亡人や移民、みなしごなどを殺します。
+ 愚か者どもよ。
+ 耳と目をお造りになった神が、耳が聞こえず、目が見えないということがあろうか。
+ 世界をおさばきになる方が、どうしておまえたちの罪を見過ごしになさるだろうか。いっさいのことをお見通しの神に、おまえたちの悪事がばれないはずはないのだ。
+ 主は、人の考えや判断にはどれほど限りがあり、無益であるかを、よくご存じです。
+ ですから、痛い目に会わせることによって、私たちを神の道へと導かれるのです。一方、神は敵に罠をしかけて滅ぼし、私たちに、ひと時の休息を与えてくださいます。
+ 主は決して、ご自分の民を見捨てたりなさいません。宝のように思っておられるのですから。
+ 裁判は再び公平さを取り戻し、正直な人が喜ぶようになります。
+ だれが、盾となって私を悪者から守ってくれるのでしょう。
+ もし主の助けの手が差し伸べられなかったら、今ごろ私は死んでいたことでしょう。
+ 「神よ、私はよろめいています」と叫んだ時、主は救い上げてくださいました。
+ 神よ、何もかもが信じられず動揺してしまうとき、私の心を静め、新しい希望を与え、快活さを取り戻させてください。
+ どうか、悪が正義を打ち負かす腐敗した政治を、あなたが支持し、存続させることがありませんように。
+ 罪もない人を死刑にする者を、見過ごされることがありませんように。主は私のとりで、難を避けるための、揺るぎない岩です。
+ 主は悪者どもの罪が、自らの頭上に返るようにしてくださいました。そして悪者の計略を逆用し、彼らを滅ぼしてくださいます。
+
+
+ さあ、主をたたえましょう。救いの岩である神に向かって、喜びの声を上げましょう。
+ 感謝の思いを込めて御前に近づき、賛美の歌をささげましょう。
+ 主は、どんな神にもまさる偉大な王であられます。
+ 主は地中深いところも、そびえ立つ高い山々も、支配しておられます。すべてのものは主のものです。
+ 主は海と陸をお造りになりました。それらは主のものです。
+ さあ、創造主である主の前に出て、ひざまずきましょう。
+ 私たちは神の羊であり、神は羊飼いなのです。今日、呼びかけられる声を聞いたなら、神のもとへ行きましょう。
+ 荒野のメリバやマサでのイスラエル国民のように、強情になってはいけません(参照)。
+ あの時、あなたがたの先祖は、わたしの奇跡を何度も目にしながら、信じようとしなかった。わたしがどこまで忍耐するかを試そうとするように、彼らは不平やぐちを言い続けた。
+ 「この四十年間、わたしは苦々しい思いで民を見すえてきた。心も思いも遠く離れているこの民は、わたしのおきてに見向きもしなかった。
+ だから、わたしは激しい怒りを込めて誓った。彼らに約束した安息の地へ、彼らが入ることは決してない。」
+
+
+ 世界中どこででも、主に新しい歌をささげましょう。
+ 賛美の声を上げましょう。日ごと、だれかに、神の救いを人々に知らせましょう。
+ 栄光に輝く主を世界中に伝え、神のお働きを話して聞かせましょう。
+ 主は、ことばで言い表せないほど偉大で、大いにほめたたえられるべきお方です。他の神々には目もくれず、このお方だけを礼拝しなさい。
+ 他国の神々は、人が作った偶像にすぎません。しかし私たちの主は、天を造られたお方です。
+ 栄誉と威光が神を包み、力と美が宮に立ちこめています。
+ 世界の国々よ、主だけに栄光と力があることを認めなさい。
+ 主にふさわしい栄誉をささげ、供え物を携えて来て礼拝しなさい。
+ きよい生活を守ることによって主を礼拝しなさい。全地は神の前で震えおののきなさい。
+ 諸国民に、主の支配が行き渡ると告げなさい。神の権威はいつまでも落ちることなく、主はすべての国を公平にさばかれるのです。
+ 天は喜び、地は小躍りしなさい。見渡す限りの海は、鳴りとどろいて神の栄光を伝えなさい。
+ 青々とした野原を見て、ほめたたえなさい。草の一本一本が、主の偉大さを物語っているのです。森の木々も、こずえを鳴らして賛美しなさい。
+ 主は世界をさばくために来てくださり、公平で真実なさばきを下されます。
+
+
+ 主は全世界の王です。大地よ、喜んで跳びはねなさい。最果ての島々も喜びなさい。
+ 雲と暗闇が主を取り囲み、正義がその王座の土台です。
+ 火が神の前を先だって進み、敵をみな焼き滅ぼします。
+ 大地は、主のいなずまがあちこちで光るのを見て、おののきます。
+ 山々は、主の前でろうのように溶けました。
+ 天は主の正義を宣言し、世界中の人々が主の栄光を仰ぎます。
+ 拝む価値もない神々を誇る者どもは、恥をかきますように。その神々はみな、主の前にひれ伏すべき存在です。
+ 主よ。エルサレムとユダの町々は、あなたの公正な判決を耳にし、喜びにわいています。主の威厳に満ちた支配が全地に行き渡り、他の神々ははるか足もとにも及ばないのですから。
+ 主は、悪を憎む人をいとおしまれます。主の民はいのちを守られ、悪者の手から救い出されます。
+ 光は神を敬う者のために種のように蒔かれ、喜びは正しい者のために蒔かれます。
+ 神を敬う者がみな幸せになり、きよい神に冠をささげますように。
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+ 主のめざましい働きをたたえる、新しい歌をささげましょう。その御力ときよさが、すばらしい勝利を主にもたらしたからです。
+ 神はこの勝利を全世界に知らしめました。イスラエルを恵むという約束の実現によって。全世界は、神がご自分の民を救われる様子を目の当たりにしました。
+ だからこそ、大地は大声を上げてほめたたえ、感きわまって歌うのです。
+ 竪琴の音色に合わせて、賛美の歌を歌いましょう。
+ 角笛とラッパの音を高らかに響かせなさい。主である王の前で、喜びに満ちたシンフォニーをかなでなさい。
+ 広大な海と、その中のすべてのものは、鳴りとどろいて賛美しなさい。地と、そこに住むものはみな、「神様に栄光があるように」と叫びなさい。
+ 海の波は楽しげに手を打ち鳴らし、山々は、喜びの歌を合唱しなさい。正義を貫いて世界をさばくために、主はおいでになるのです。
+
+
+ 全世界の王、主は、ケルビムの上の王座についておられます。諸国民は震え上がり、大地は揺らぎますように。
+ シオンに立たれる主のご威光は、この世の支配者たちには、はるかに及ばないものです。
+ どうか彼らが、きよく偉大な主の御名を、恐れかしこみますように。
+ 公正なさばきを行うこと、それこそが、この絶大な王の統治の基です。イスラエル中に正しい判決が下ります。
+ 聖なる神である主をあがめ、その足もとにひれ伏しなさい。
+ 預言者モーセとアロン、それにサムエルが助けを呼び求めた時、主はお答えになりました。
+ 雲の柱の中から響いてくる声に、彼らは従順に従いました。
+ 神である主よ。あなたは、人々の祈りに答えて罪をお赦しになりましたが、その誤った行為に対しては、厳然として罰を下されました。
+ 私たちの神である主をあがめ、エルサレムの聖なる山で礼拝しなさい。神である主はきよいお方なのです。
+
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+ 大地よ。主に向かって喜びの声を上げなさい。
+ 喜びをもって主に仕え、喜びの歌を歌いつつ、神の御前に進み出なさい。
+ 主が神であるとはどんなことか、悟ることができるように努めなさい。主は私たちをお造りになりました。私たちは神の民、その牧場の羊です。
+ 感謝の思いも新たに神殿の門をくぐり、賛美の歌声とともに宮の内庭に入りなさい。さあ、感謝してほめたたえなさい。
+ 主はいつも正しく、愛と思いやりに満ち、いつまでも変わることのない真実を示されるからです。
+
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+ 主よ。あなたがどんなに恵み深く公正なお方であるかを、ほめ歌います。
+ 私は潔白な道を歩もうと心がけていますが、神の助けなしには何もできません。特に、御心にそった歩みをしたいとせつに願う家庭の中でこそ、助けていただきたいのです。
+ 卑しいものを退け、あらゆる不正を憎んで、それにかかわることがないように助けください。
+ いっさいの自己中心を捨て、すべての悪から遠ざかります。
+ 陰で隣人を中傷するような人間には容赦をしません。また、人々のうぬぼれや思い上がりも黙って見てはいられません。
+ 神を敬う人こそ真の英雄と考えて、私の家へ招きます。身も心も潔白な人だけが、わが家の召使となれるのです。
+ うそを言ったり裏切ったりする人を泊めることなどいたしません。
+ 悪人を追い出して神の都を守ることが、私の日々の務めなのです。
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+ [悩みに打ちひしがれている人の祈り]主よ。私の祈りを聞き、私の訴えに耳を傾けてください。
+ この悩みの時にこそ、私を放っておかず、すみやかに答えてください。
+ 私の日々は、煙のように消えていくからです。私は肉体ばかりか心も病み、草のように踏みにじられ、しおれてしまいました。食欲もなく、何を食べても味けないのです。
+ 絶望して嘆き、うめき続けたこの身は、骨と皮だけになりました。
+ まるで、はるか遠い荒野に住むはげたかや、仲間からはずれて荒野をさまようふくろうのようです。
+ 屋根にとまった一羽の雀のように孤独をかみしめ、一睡もできずに身を横たえているのです。
+ 敵は、くる日もくる日も私をののしり、のろいます。
+ 神の激しい御怒りにふれて、私はパンの代わりに灰を食べ、涙まじりの飲み物を飲むのです。私は神から放り出されました。
+ 私の一生は、夕方の影のように素早く過ぎ去り、草のようにしおれます。
+ それに引き替え、永遠の王である主のご名声は、いつまでも語り継がれます。
+ 私は、あなたがエルサレムをあわれんでくださることを知っています。今こそ、その時です。
+ あなたの国は、城壁の一つ一つの石にも愛着を覚え、通りの土さえ大切に思っているのです。
+ 諸国の民や支配者たちは、主の前で震え上がりますように。
+ 主が栄光の姿で現れ、必ずエルサレムを再建してくださるからです。
+ 神は、苦闘している人の祈りを聞かれます。主には、忙しくて彼らの願いが耳に入らないなどということはありません。
+ このことを記録にとどめるのは、子孫たちにも神のなさったことをたたえさせ、次の時代の者に主を賛美させるためです。
+ さあ、こう伝えなさい。主は天から見下ろし、
+ 奴隷として死ぬ運命にある民のうめきを聞いて、解放してくださったと。
+ すると人々はエルサレムの神殿になだれ込み、主を賛美し、その歌声は都中に広がるでしょう。世界の国々の王も、主を拝もうと詰めかけて来ることでしょう。
+ 主は、寿命を短くして、人生半ばで私を倒れさせました。
+ そこで、こう申し上げました。「ああ、永遠に生きておられる神よ、どうか私を、人生半ばで死なせないでください。
+ はるか昔、あなたは地の基礎をすえ、天をお造りになりました。
+ それらはやがて消え去りますが、あなたは永遠に生き続けられます。着古した着物のようにすり切れたものは、新しいものと取り替えられますが、
+ あなたご自身は永遠に不変です。
+ そして私たちの家系も、あなたの守りのもとに世代から世代へ継承されていくのです。」
+
+
+ 私は心から、主のきよい御名をたたえます。
+ 私は主をほめたたえます。あなたがなしてくださった数々のすばらしいことを私は決して忘れません。
+ 主は私の罪をみな赦し、病気を治してくださいます。
+ 地獄に行くはずのこの身を贖い、恵みとあわれみで包んでくださいます。
+ 私の一生は祝福で覆われ、鷲のように若返ります。
+ 主は、不当に扱われている者を公平にさばかれます。
+ 主はご自分の意思とご性質を、モーセおよびイスラエルの民に知らされました。
+ 主は、虫けら同然の者をあわれみ、優しくいたわってくださいます。すぐにお怒りにならず、恵みと愛に満ち、
+ いつまでも怒りの心を持ち続けたりはしません。
+ 罪の深さに応じて私たちが当然受けるべき罰をそのまま下すこともありません。
+ 神を恐れ、あがめる者には、無尽蔵のあわれみをかけてくださいます。
+ 神は私たちの罪を取り除き、はるか地平線のかなたに投げ捨ててくださいました。
+ 主は、恐れかしこむ者に対しては、父親のように優しい思いやりを示してくださいます。
+ 私たちが土くれにすぎず、
+ また草花のようにはかなく、
+ 風に吹き飛ばされて消えるようなちっぽけなものであることを知っておられるからです。
+ しかし主は、ご自分を信じる者をいつまでも恵み、神との契約を忠実に守り従う人を、子々孫々に至るまでお救いになります。
+ 主は天に御座をすえ、すべてのものを支配なさいます。
+ 神の命令を一つとして聞きもらさず、すぐ実行に移す御使いたちよ、主をほめたたえなさい。
+ 神に仕える天使の軍団よ、絶え間なく主をほめたたえなさい。
+ 万物が声を合わせて、賛美しますように。私も力いっぱいにほめ歌います。
+
+
+ 主はすばらしいお方です。栄誉と尊厳をまとわれたそのお姿は、なんと威光に満ちていることでしょう。あなたは、天には星をちりばめ、
+ 地表のくぼみには海原を創造されました。雲の馬車に乗り、風の翼でかけ抜けられます。
+ その前ぶれを務める天使は、風のように速い、炎の使者です。
+ 大地はくずれ落ちることのないように、しっかりと据えつけられました。
+ また、山々をのみ尽くすほどの大洪水で、大地は覆われました。
+ あなたのひと声で、水はたちまち広大な海の底に吸い込まれ、山々は姿を現し、谷はあなたが定めた高さまで沈みました。
+ あなたはまた、海水が二度と地表を覆うことのないよう、境界線をお定めになりました。
+ 谷には泉を、山には渓流を、神は配置なさいます。
+ あらゆる獣はそこでのどを潤し、野ろばは渇きをいやします。
+ 鳥は渓流のほとりに巣を作り、木々のこずえでさえずります。
+ 神は山々に雨を降り注ぎ、地を果物の宝庫となさいます。
+ そのひと言で、家畜の食べる柔らかい草が生え、人の糧となる果樹や野菜、それに穀物も育ちます。
+ また、喜びをもたらすぶどう酒、皮膚をつややかにするオリーブ油、力の源となるパンも作ることができます。
+ 主がお植えになったレバノン杉は、すくすくと伸び、みごとな大木に成長しました。
+ そこには鳥が巣を作り、こうのとりは、もみの木に宿ります。
+ 高原には野やぎの牧草地があり、岩だぬきは、岩の間を隠れ場にしています。
+ 主は、月を造ってひと月の長さを定め、一日を区切る目じるしとして太陽を置かれました。
+ 神が夜をもたらし、闇を送ると、森の獣たちはいっせいに出て来ます。
+ 若いライオンは、獲物を求めてほえたけります。しかし、神の助けなしに、食物にありつくことはありません。
+ 明け方近く、獣たちはほら穴に引き返して横になり、
+ 入れ替わりに、人間が一日の仕事を始め、夕暮れまで働きます。
+ 主よ。あなたの知恵で、さまざまな営みができ上がり、地は豊かに満ちあふれています。
+ 目の前に開ける広大な海には、大小さまざま、ありとあらゆる生き物が生息しています。
+ 海を見れば船が行き交い、沖合にはくじらが戯れています。
+ 生き物はみな、あなたが下さる食物を待っています。
+ そして、配られた食物を満腹するまで食べるのです。
+ もし、あなたのそのような配慮がなければ、彼らは途方にくれ、飢え死にするしかありません。
+ あなたが御霊を送られると、新しいいのちが誕生します。
+ 主をいつまでもほめたたえなさい。主は、ご自分の手のわざを喜んでおられるのです。
+ 主に見つめられると、大地はすくみ上がり、神の手が少しでも触れれば、山は噴火するのです。
+ 私は息を引き取るその時まで、主をたたえ続けます。
+ どうか、この思いが神に喜ばれますように。私にとって、主は喜びの泉なのです。
+ 神などどうでもいいと思っている罪人たちはみな、地上から消え去りますように。しかしこの私は、主をほめたたえます。ハレルヤ。
+
+
+ 主のなさるすばらしいことの一つ一つに感謝し、諸国の民に伝えなさい。
+ 賛美の歌を歌い、会う人ごとにその奇跡を告げ知らせなさい。
+ 主を拝む人々は、その名を誇り、喜びなさい。
+ 常に主を求め、御力を慕い続けなさい。
+ 主がどれほど大きいことをしてくださったか、考えてみなさい。それは、私たちが主のしもべアブラハムとヤコブの子孫であり、選ばれた民だからです。さあ、どのようにして敵を滅ぼしていただいたか、思い起こしなさい。
+ 私たちの神の恵みは、国中の至る所で明らかです。
+ たとえ、何千年を経たのちでも、主は約束を忘れず、アブラハムやイサクと結んだ契約を守られます。
+ そして、この契約をヤコブに再確認されました。「カナンの地を相続させよう」という、イスラエルへの約束です。
+ このころはまだ、イスラエルはほんの一にぎりの民族で、カナンの寄留民にすぎませんでした。
+ 彼らは国々に散らされ、国から国へと放浪したこともありました。
+ しかし、そんな時でも、主の許しなしには、だれも彼らを攻撃することはできなかったのです。彼らを攻撃しようとする多くの王が滅ぼされました。
+ 神の警告が響き渡りました。「わたしの選んだ者にさわるな。わたしの預言者に害を加えるな。」
+ 主がカナンの地にききんを呼び寄せられると、食糧が底をつきました。
+ 一方、ご自分の民を飢えから救うため、ヨセフを奴隷としてエジプトに送られました。
+ ところがヨセフは牢獄につながれ、足かせや鉄の首輪をかけられたのです。
+ 神の時がくるまで、ヨセフは忍耐を試されました。
+ 彼はついに、王によって自由の身とされ、
+ 王室の全財産の管理を任されました。
+ ヨセフは、思いどおりに王の補佐官を投獄したり、側近を教育したりできる身分となったのです。
+ そののち、ヤコブもエジプトを訪れて、息子たちとともに住みつくことになりました。
+ それ以後、イスラエルの民は増え、支配者たちを脅かす大民族とまでなったのです。
+ このころ神は、エジプト人をイスラエルの敵と変え、イスラエルは奴隷にされました。
+ しかし、主はご自分の代理として、モーセをアロンとともに派遣なさいました。
+ エジプトに、恐ろしいみわざを行うためです。
+ 主からの指図を受けて、この二人は国中を暗闇で覆い、
+ あの大河を血に変え、魚を死滅させました。
+ また、おびただしいかえるが現れ、王の部屋に侵入しました。
+ モーセのひと言で、あぶやぶよが、雲が立ちこめるように、エジプト全土を覆いました。
+ 主は、雨の代わりに、人の頭を打ち砕く雹をお降らせになりました。また、いなずまの先に、エジプトの民は震え上がりました。
+ ぶどうといちじくの木は全滅し、木という木の幹は、ことごとく裂けたのです。
+ また、主のひと声で、いなごの大群が襲来し、
+ 青いものを跡形なく食い尽くし、穀物をすべて食い荒らしました。
+ 続いて、主はエジプト人の全家庭の長男を、その家の誇りである長男を打たれました。
+ 一方、ご自分の民には、銀と金をふんだんに持たせて、エジプトを脱出させてくださいました。その時、一行の中からは、体の弱い者や病人は一人も出ませんでした。
+ エジプトは彼らを非常に恐れるようになっていたので、彼らが出て行くことを喜びました。
+ 主は雲の幕を広げて、彼らを焼けつく日ざしから守り、夜には火の柱を立てて、明かりとされました。
+ 人々が肉を欲しがると、空からうずらを降らせ、天からパンであるマナをお与えになりました。
+ 主が岩を裂かれると、水がほとばしり出て、乾いた地を潤す川となりました。
+ 主は、しもべアブラハムへの約束を覚えておられたのです。
+ こうして、選ばれた民イスラエルは、意気揚々と約束の地に入りました。
+ 主が、麦の穂の波打つ他民族の地を与えてくださったので、彼らは他人が育てた穀物を食べました。
+ これは、かれらが主のおきてを忠実に守るようになるためでした。ハレルヤ。
+
+
+ ハレルヤ。主の恵み深さを感謝します。その愛は、いつまでも変わることがありません。
+ 栄光に輝く主の奇跡を、一つ残らず書き留めることのできる人がいるでしょうか。だれが、あなたを十分に賛美し尽くせましょう。
+ 公平と正義と思いやりとを身につけている人々には、幸福が訪れます。
+ ああ主よ。あなたの民に祝福と救いを注がれるとき、私にも目を留めてください。
+ この身をも、選ばれた民の繁栄にあずからせ、彼らと同じ喜びに浸り、ご栄光を共に味わわせてください。
+ 私たちも先祖と同じように、はなはだしく悪の道にそれました。
+ 私たちの先祖はエジプトで、あれほどの奇跡を目撃しながら、感動することもなく、たちまち数々の恵みを忘れてしまいました。それどころか、紅海のほとりで、神に逆らったのです。
+ しかし、そんな人々をも、主はお救いになりました。それは、ご自身の名誉を守り、お力を全世界に知らせるためでした。
+ 神が紅海に命じると、海は二つに裂け、まるで荒野のように乾ききった、一本の道ができたのです。
+ こうして、主は人々を敵の手から救い出し、
+ そののちすぐに水を元に戻して、敵を一人残らずおぼれさせました。
+ ここまで来て、ようやく先祖たちは神を信じ、堅く閉じていた口を開いて、賛美の歌を歌いました。
+ しかし、たちまち元に戻ってしまったのです。彼らは神を無視して行動し、
+ もっとおいしいものを食べたいと注文をつけました。こうして、もはや赦しを頂くことができない時点まで、神の忍耐を試したのです。
+ 主は欲しがるものをお与えになりましたが、彼らの心を空虚になさいました。
+ 人々は、モーセと、主が祭司に任命したアロンをねたんだのです。
+ そのため、大地は口をあけてダタンとアビラムと、アビラムの友人たちをのみ込みました。
+ しかも、天から降って来た火は、悪者どもを焼き尽くしたのです。
+ それは、彼らが栄光に輝く神より、草を食べる牛の像を選んだことへの罰でした。
+ エジプトと紅海のほとりで大きな奇跡をなさった神の顔に、彼らは泥を塗ったのです。
+ 神は、人々を滅ぼそうとなさいましたが、選ばれた人モーセが間に入ってとりなしました。怒りを静め、人々を滅ぼさないでほしいと神に嘆願したのです。
+ 彼らは、神の祝福の約束を信じず、約束の地に入ることを拒みました。
+ おのおのの天幕で口をとがらせ、嘆き悲しみ、主の命令を全く無視したのです。
+ そこで主は、彼らを荒野で殺し、
+ その子孫を遠い国へ追い散らすことになさったのです。
+ そのあと私たちの先祖は、ペオルでのバアル礼拝に加わり、死人にまでいけにえをささげました。
+ こうして、神の怒りは極限に達し、恐ろしい災いが下りました。
+ ピネハスが、災いを引き起こした張本人たちを処刑すると、神の罰は収まりました。
+ このピネハスの適切な処置は歴史に残ることでしょう。
+ イスラエルはメリバでも主を怒らせ、モーセを窮地に追い込みました。
+ そのため怒りに燃えたモーセは、思わず軽率なことを口にしてしまったのです。
+ イスラエルの民は、主の命令に逆らい、カナンに住む外国人を滅ぼさなかったばかりか、
+ いっしょになって悪の道に励みました。
+ その地の偶像にいけにえをささげ、神には目もくれませんでした。
+ 彼らは、わが子をカナンの偶像の悪霊にささげることまで行い、罪のない者の血を流し、国土を汚したのです。
+ 偶像を愛することは、神の目から見れば姦淫の罪であり、自分自身を汚すことになりました。
+ 主の怒りは激しく燃え上がり、神は彼らを嫌悪なさいました。
+ そのためイスラエルは、外国人に踏みにじられるようになったのです。彼らは敵に支配され、抑圧されました。
+ 主はそのような奴隷状態から、彼らを何度お救いくださったことでしょう。しかし人々は、反抗的な態度を続け、自らの罪ゆえに自滅していったのです。
+ それでもなお、主はその叫びを聞き、その苦境を思いやってくださいました。
+ 愛の主は、以前の約束を思い出してあわれみ、
+ 敵でさえ、捕虜となったイスラエル人をあわれむように配慮してくださいました。
+ ああ神である主よ、お救いください。各地に散らされた人々を再び集めてください。私たちは、躍り上がって喜び、感謝と賛美をささげたいのです。
+ イスラエルの神である主は、永遠から永遠まで賛美を受けるにふさわしいお方です。人々が口々に、「アーメン」と言いますように。ハレルヤ。
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+ 主に感謝しなさい。主は恵み深く、愛と思いやりにあふれたお方なのです。
+ 主のおかげで自由の身となれた人は、大声でそう人に伝えなさい。主に敵の手から救い出してもらったことを、ほかの人に知らせなさい。
+ 主は、最果ての地で囚われの身となった人々を連れ戻されました。
+ 住む家もない人々は、荒野をあてどなくさまよい、
+ 空腹をかかえ、のどはからからに渇き、体力も衰え果てました。
+ しかし彼らが「主よ、助けてください」と叫ぶと、その切なる願いは聞かれました。
+ 神はすぐさま、安全で住むのに適した地へと移してくださったのです。
+ 主が優しい心づかいを示し、すばらしいことをしてくださったかを知って、彼らが主を賛美しますように。
+ 主は渇いたたましいを潤し、飢えたたましいを良いもので満たされるからです。
+ みじめな奴隷になり下がり、暗闇に座り込んでいる人はだれですか。
+ 神に逆らい、神々にまさる神をさげすんだ人々です。
+ それゆえ、彼らは主から重労働を強いられ、倒れても、だれにも起こしてもらえないのです。
+ 八方ふさがりの中で、彼らが主に助けを求めた時、その願いは聞かれました。
+ 暗闇から引き上げられ、奴隷の鎖を断ち切っていただきました。
+ すばらしい思いやりと恵みをかけていただいたことについて、彼らが主を賛美しますように。
+ 牢獄の青銅のとびらを押し倒し、鉄格子を切断してくださったのは主なのですから。
+ 愚かな人々は、罪深い行いのために、病気にかかりました。
+ 食欲もなく、死の一歩手前にいましたが、
+ その苦境の中から主を呼ぶと、力を与えられ救い出されたのです。
+ 主のひと声で病気はたちどころに治り、死の入口から引き上げられました。
+ これほどすばらしい恵みを頂いたことについて、彼らが主を賛美しますように。
+ 彼らが主へのいけにえとして感謝をささげ、主がしてくださったすばらしいことを歌にして、語り継ぎますように。
+ 七つの海をまたにかけて商売をする船乗りたちがいました。
+ この人たちも、主の力を目の当たりに見るのです。
+ 主がお命じになると、波は山のように高くうねり、
+ 船を天まで持ち上げます。しかし次の瞬間、船は深みに落とされ、船乗りたちは恐怖に震えます。
+ 彼らは酔っぱらいのようによろめいて、途方にくれます。
+ こうして、あえぎながら神を呼び求めるとき、彼らは救われるのです。
+ 主は嵐を静め、波を穏やかにされます。
+ 海が凪ぐと、目ざす港に無事に導かれるのです。なんという祝福でしょう。
+ このすばらしい恵みを頂いたことについて、彼らが主をほめたたえますように。
+ どうか、人々の前でも神をほめたたえ、権力者の前でも、ものおじしませんように。
+ 主は川の水を干上がらせ、
+ 悪者どもの手に入れた肥沃な地を、塩分の多い荒れ地に変えられます。
+ また、荒野を豊かな水で潤された肥沃な平野に変えられます。
+ そこに飢えた人々を住まわせると、彼らは町を作り、
+ 畑に種を蒔き、ぶどう畑には苗木を植え、やがて豊作を祝うようになります。
+ 主の祝福を受けて、大家族をかかえるようになり、家畜も大いに増えます。
+ しかし、虐待され、苦しみや悲しみを経験することで、惨めな状態に陥る人々もいます。
+ 主は、おごり高ぶった人々をさげすみ、権力者に廃墟をさまよわせます。
+ しかし、神を信じて従う貧しい人には救いを与え、多くの子どもを与え、繁栄をもたらされます。
+ 正しい人々はそれを見て喝采を送り、悪者どもは貝のように堅く口を閉ざさざるをえません。
+ あなたに知恵があるというのなら、私の言っていることをよく聞いて、主の恵みを深く思い巡らしなさい。
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+ ああ神よ。賛美が私の口からあふれてきます。心から喜んで、あなたへの歌をささげましょう。
+ 十弦の琴と竪琴よ、目覚めなさい。共々に歌って、夜明けを迎えようではないか。
+ 私は世界のどこでも、主をたたえます。
+ あなたの恵みは測り知れず、その真実は天にまで達します。
+ ご栄光は、大空を突き抜くようにそびえています。
+ あなたが愛しておられる子、私の叫びを聞いてください。あなたの偉大な力で、私を救ってください。
+ 神が聖なる約束を交わしてくださったので私はほめたたえます。神は、シェケムの全土とスコテの谷を下さると約束してくださいました。
+ 「ギルアデとマナセは、おまえたちに与える、わたしの領地だ。エフライムは、わたしのかぶと、ユダはわたしの笏。
+ しかし、モアブとエドムはさげすまされる。わたしはペリシテ人に向かって、勝ちどきを上げよう。」
+ 神以外のだれが、こんな要塞で固められた町々を征服する力を、私に授けてくれるでしょう。また、エドムまで導いてくれるでしょう。
+ 神よ、あなたは私たちを見捨て、その軍勢を置き去りになさったのでしょうか。
+ どうか、敵に立ち向かう力を与えてください。同盟軍の助けなどあてにできません。
+ 神の助けさえあれば、勇敢に戦うことができます。神が敵を踏みにじってくださるからです。
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+ ああ、すばらしい神よ、そんなに遠くで黙っていないでください。
+ 悪者どもは私を中傷し、偽りばかり並べ立てています。
+ 理由もないのに私を憎み、攻めかかって来るのです。
+ 私は彼らを愛し祈っているのに、私のいのちをつけねらうのです。
+ 善の代わりに悪を、愛の代わりに憎しみを返してよこします。
+ 私がどんな気持ちでいるか、敵に知らせてください。彼に、ありもしないうわさが立てられますように。彼が不公平な裁判官のいる法廷に引き出されますように。
+ そして、有罪宣告が下されますように。彼の祈りさえも、罪とみなされますように。
+ 彼の寿命は縮まり、彼の仕事はほかの者に奪われますように。
+ 彼の子どもは父なし子に、妻は未亡人になり、荒れ果てた家から立ち退きを命じられますように。
+ 債権者に全財産を没収され、見も知らぬ者に、たくわえをみな巻き上げられますように。
+ 誰ひとり同情せず、残された彼の子どもにもあわれみをかけてやりませんように。一家の者が死に絶え、その家系が一代でとだえますように。
+ 両親の罪まで見のがさず、徹底して罰してください。
+ 彼のした悪事をかた時も忘れず、その名を人々の記憶から消し去ってください。
+ 彼は人を思いやる気持ちなどみじんも持たず、困っている人を虐待し、傷心の者を死に追いやったからです。
+ 人をのろうことばかりしていた彼を、今度は、あなたがのろってください。一度も人を祝福したことがない彼に、祝福をお与えにならないでください。
+ 彼にとってのろうことは、水を飲んだり、好きな物を口にしたりするのと同様に、体にしみついているのです。
+ 今度は、そののろいが舞い戻って来て、彼にからみつきますように。
+ それこそ、私のことでうその証言をし、殺してやると言って脅した敵への、主からの刑罰なのです。
+ しかし神である主よ、私のことは、あなたの子として扱ってください。どうか、優しいお心をかけてください。ああ、限りなく恵み深いお方よ、どうか救い出してください。
+ 私は、まっさかさまに谷へ落ちて行くような心境です。人の腕から払いのけられるいなごのようです。
+ 断食のため、ひざが弱くなり始め、体は骨と皮になりました。
+ まるで失敗の見本でも見るように、人々は私をあざけります。
+ 愛と真実に満ちた神である主よ、どうかお救いください。
+ 人々の目の前で私に救いの手を差し伸べてくださるなら、きっとだれもが、あなたこそ力ある神であることを知るでしょう。
+ 彼らは、のろいたいだけのろえばよいのです。あなたの祝福さえあれば、私は何も気にしません。私を亡き者にしようとする彼らの努力は水の泡となり、私は喜びながら出歩けるようになります。
+ 彼らは何をしても失敗し、恥じ入りますように。
+ しかし、私は絶えず主に感謝をささげ、あらゆる人々の前で賛美します。
+ 主は、飢えている貧しい者の味方となって、敵の手から救ってくださるからです。
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+ 主は、私の救い主にお告げになりました。「わたしに代わって、天地を治めなさい。わたしは敵を服従させ、あなたの前にひれ伏させよう。」
+ 主は、あなたが敵を支配するために、エルサレムに強固な王座をお据えになりました。
+ あなたのご威光が輝き渡ると、民はきよい祭服をまとって、喜んでやって来るでしょう。あなたは朝露のように、日々新しい力を帯びられます。
+ 主は、こう誓われました。「あなたが永遠にメルキゼデクのような祭司であるという契約は決して無効にはならない。」
+ 主はあなたのそばにいて、あなたを守られます。神はご自身の御怒りの日に、多くの国々の王を打ち倒されます。
+ 主は国々を罰し、指導者を全滅させ、死体でいっぱいにされます。
+ しかし、主は道のほとりの泉から水を飲み、勢いを増されます。
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+ ハレルヤ。私がどれほど主に感謝しているか、人々に知ってほしいと思います。感謝を忘れない人たちよ、さあいっしょに、主のなさった数々の奇跡を思い巡らしましょう。
+ この奇跡こそ、神の栄誉と威厳、そして永遠の恵みを物語るものです。
+ だれが、主のあわれみと恵みを簡単に忘れるでしょう。
+ 主はご自分に信頼を寄せる人に食物を与え、決して約束を破棄なさいません。
+ 神はご自分の民を大きな力で支え、多くの民族が住んでいた、イスラエルの地をお与えになりました。
+ 神のなさることはみな正しく、そのおきてはどれ一つ取っても誤りがありません。
+ 神のおきては真理と恵みで成り立っていて、永遠に続きます。
+ 主に身の代金を払っていただいた民は、今や自由に神の前に出入りできるのです。
+ 人はどうすれば知恵をみがけるでしょうか。それには、主を信じて従うことです。神のおきてを守ってこそ、賢くなれるのです。神を永遠にほめたたえましょう。
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+ ハレルヤ。主を信じて従う人は、言い表せないほどの祝福を受けます。心から、神のことばのとおりにする人は幸せです。
+ 正しい人は、子どもたちにまで祝福が受け継がれます。その子らは至る所で尊敬を集めます。
+ 正しい人は資産にも恵まれ、善行をたたえられるでしょう。
+ たとえ、暗闇の力に巻き込まれたとしても、すぐに輝くばかりの光に照らされるでしょう。主はあわれみ深く、親切です。
+ 公平な取り引きをする人には、万事がうまく運びます。
+ このような人は、事態が思わしくなくなっても、動じたりしません。周囲の人々は、神が彼をいつも目にかけておられるのを見て、深い感銘を受けるのです。
+ 彼は悪い知らせを受けても恐れず、今度は何が起こるかと、不安になることもありません。主に見放されるわけがないと、信じきっているからです。
+ それゆえ、何事も恐れず、冷静に敵の顔を見つめることができるのです。
+ 彼は物惜しみしたりせず、貧しい人に気前よく与えます。その善行は、いつまでも忘れられず、人々の尊敬を集めます。
+ これを見たひねくれ者は、怒りに震えますが、歯ぎしりしながら、逃げ出すしかありません。望みが消え去ったからです。
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+ ハレルヤ。主に仕える人々は、主の御名をほめたたえなさい。
+ 永遠から永遠まで、主の御名がたたえられますように。
+ 夜明けから日没まで賛美し続けなさい。
+ 主は国々を高い所から見下ろし、ご栄光は世界中に満ちています。
+ これほど高い御座についておられる神である主を、ほかのだれと比べることができましょう。
+ 主は、はるか下の天と地を、身をかがめて眺めては、
+ 弱い者や、飢えた者を拾い上げ、
+ 人々の指導者とされるのです。
+ 不妊の女は子宝に恵まれ、幸せな母親となるのです。ハレルヤ。神をほめたたえなさい。
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+ 昔、イスラエルの民は、ことばの通じない異国の地、エジプトから逃げ出して来ました。
+ その時、ユダとイスラエルの地は、神の新しい住まいとなり、王国となったのです。
+ 紅海は、神の民の近づく足音にあわてて二つに分かれ、ヨルダン川は、歩いて渡れる道を作りました。
+ 山は雄羊のように、丘は子羊のように跳びはねました。
+ なぜ、紅海は二つに分かれたのですか。どうして、ヨルダン川の水が逆流したのですか。
+ なぜ、山は雄羊のように跳びはね、丘は子羊のように躍ったのですか。
+ 大地よ、主の前におののきなさい。
+ 神は、堅い岩から、ほとばしる泉のように水を出された方だからです。
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+ ああ主よ。私たちではなく、あなたがあがめられますように。すべての人が、神の恵みと真実をたたえますように。
+ 諸国の民に、「彼らの神は死んだのではないか」などと言わせておいて、よいものでしょうか。
+ 天におられる私たちの神は、意のままに事を運ばれます。
+ ところが彼らの神々は、銀や金でこしらえた手製のものなのです。
+ 目や口があっても、見ることも話すこともできません。
+ 聞くことや、嗅ぐことはおろか、
+ 手足を動かすことも、声をたてることもできないのです。
+ そのようなものを作ったり、拝んだりする者たちは、偶像と同じくらい愚かです。
+ イスラエルよ、主にすがりなさい。主はあなたがたを助け、盾となって守ってくださいます。
+ アロンの家の祭司よ、主に信頼しなさい。主はあなたがたを助け、盾となって守ってくださいます。
+ 主の民となった人々も、主に信頼しなさい。主はあなたがたを助け、また盾となって守られます。
+ 主はいつも私たちを心にかけて、祝福してくださいます。イスラエルの民とアロンの家の祭司、
+ それに、主を信じてお従いする人は、だれでも祝福されるのです。
+ 主が、あなたがたとその子孫を十分に祝福してくださいますように。
+ 天と地をお造りになった主は、進んであなたがたを祝福してくださいます。
+ 天は主のものですが、地は人間にゆだねられています。
+ 死人は、主を賛美することもできません。
+ しかし、私たちには、それができます。主をいつまでもほめたたえましょう。ハレルヤ。
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+ 私は主を愛しています。主が私の祈りを聞いてくださるからです。
+ 身を乗り出して聞いてくださる主に、私は生きている限り祈り続けます。
+ 私は死に直面し、恐怖にかられ、悲しみのどん底に突き落とされました。
+ 私が「主よ、どうかお救いください」と叫ぶと、
+ 主は実にあわれみ深く、恵みを注いでくださいました。
+ 主は子どものように素直な者を、お見捨てにはなりません。私も、死の一歩手前で救われました。
+ 今、私は安らいでいます。主がすばらしい奇跡を行ってくださったからです。
+ 死の手から私を救い出して、つまずくことも、泣くこともないようにしてくださいました。
+ 私は生きることができるのです。主の前で、この地上で生きていくのです。
+ 私は失意に沈んでいたころ、「人々は私に良くなると言ってくれるが、それはうそだ」と思い悩んでいました。
+ しかし今では、これほどよくしてくださった主に、どのようにお返しをすればよいのか迷っています。
+ 感謝のしるしに、ぶどう酒を供え、主の御名をほめたたえましょう。
+ また、かねてからの約束どおり、人々の目の前でいけにえをささげます。
+ 主に愛されている人は、主にとって大切な存在です。主はそのように人々を簡単に死なせたりなさいません。
+ ああ主よ。自由の身としていただいた私は、いつまでもあなたにお仕えします。
+ あなたを拝み、感謝のしるしのいけにえをささげます。
+ ここエルサレムの神殿の庭で、すべての人々の前で、誓いどおりのことをみないたします。主をほめたたえましょう。
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+ 世界の国々よ。主をほめたたえなさい。地に住む人はみな、賛美しなさい。
+ 主は私たちを、この上もなくいとおしく思ってくださり、永遠に真実であられます。主をほめたたえなさい。
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+ さあ、主に感謝しましょう。主はあわれみ深く、その恵みはいつまでも尽きません。
+ イスラエルの人々よ、口々に、「主の恵みは尽きることがありません」とほめたたえなさい。
+ アロンの家の祭司よ、「主の恵みはいつまでも尽きません」と歌いなさい。
+ 主を信じるようになった外国人も、「主の恵みはいつまでも尽きません」と歌いなさい。
+ 苦しみの中から祈り求めると、主は答えて、救い出してくださいました。
+ 主は私の味方です。私には、怖いものなどありません。ただの人間に何の手出しができましょう。
+ 主がそばにいて助けてくださるので、私を憎む者どもが勝ち誇ることはありません。
+ 人をあてにするより、主を信頼したほうがよいのです。
+ 力ある王にかくまわれるより、主の保護を受けるほうがよいのです。
+ たとえ、世界中の国が攻めて来ても、私は主のあとについて進軍し、敵を全滅させます。
+ 敵に包囲され、攻撃をしかけられても、私は高々と翻る主の旗のもとで、勇気を得て、彼らをすべて打ち倒します。
+ 敵ははちのように群がり、燃え上がる炎のように襲いかかります。しかし、私は主の旗のもとで彼らを滅ぼします。
+ 敵は私を亡き者にしようと図り、あらゆる手を打って攻めてきましたが、主はいつも助けてくださいました。
+ 激戦のさなかに、主は私の力となり、私は主のことを歌いました。こうして、私は勝利を手にしました。
+ 私たちの勝利の知らせを聞いて、主を信じ、従う人々の家には、喜びの歌がわき起こります。主はめざましい働きをしてくださいました。
+ 私はいのちを落とすことなく、生き長らえて、主のなさったことを人々に語り伝えましょう。
+ 主は私を懲らしめましたが、死には渡されませんでした。
+ 神殿の門よ、開きなさい。私は中に入って、主に感謝します。
+ 主を信じて従う人が、この門から入って主の前に出るのです。
+ ああ主よ。祈りに答えて私を救ってくださったことを、心の底から感謝します。
+ 大工の捨てた石が、今では一番大切な土台石になりました。
+ これこそ主のなさることで、人の思いをはるかに越えています。
+ 今日こそ、主がお造りになった日です。さあ、この日をぞんぶんに楽しみましょう。
+ ああ主よ、どうかお助けください。お救いください。私たちがすることを、すべて成功させてください。
+ 主がまもなく遣わしてくださる方に、祝福がありますように。私たちは神殿であなたがたを祝福します。
+ 主は私たちの光です。私はいけにえを祭壇にささげます。私は主に感謝し、賛美の声を上げます。
+ 感謝の祈りをささげましょう。主はあわれみ深く、その恵みはいつまでも尽きないからです。
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+
+ 主のおきてを完全に守る人は幸いです。
+ 主を探し求め、常にそのご意志に従う人は幸いです。
+ そのような人は、悪と妥協することなく、主の道をひたすら歩みます。
+ あなたは、守るべき戒めを与えてくださいました。
+ 私はそのおきてから少しでもそれないでいたいと、心から願っています。
+ それができれば、いつも良心はすみきって、恥じることもないでしょう。
+ あなたに懲らしめられたら、私はあなたに喜ばれる生活をして、感謝の気持ちを表します。
+ 私はあなたに従います。どうか私を見捨てず、私が二度と罪の中に落ち込まないように導いてください。
+ どうすれば、若い人は身も心もきよく保つことができるのでしょうか。あなたのおことばを読み、その規範に従うことです。
+ 私は、あなたを見いだそうと、あらゆる努力をしてきました。どうか、御教えからはみ出さないよう守ってください。
+ 私はおことばを深く味わい、心にたくわえました。それによって罪から遠ざかるためです。
+ 主よ、あなたの規範をお教えください。
+ 私はあなたのおことばを暗唱し、
+ 宝よりも大切にしました。
+ あなたの戒めをかみしめて味わい、心からの敬意をはらいます。
+ あなたのおきては私の喜びであり、常に忘れることがありません。
+ 私を長く生かして、いつまでもお従いできるようにしてください。
+ 私の目を開いて、おことばの中に隠されている、すばらしい祝福を見させてください。
+ 私はこの地上では旅人です。あなたの命令が私の地図であり、道案内なのです。
+ 私はあなたの教えを、どれほど切望していることでしょう。
+ あなたは、言いつけを守らず、思い上がった者たちをおしかりになります。
+ 彼らが、あなたにお従いする私をさげすんだりしませんように。
+ たとえ、町の名士らがそろって非難してきても、私は、あなたのお定めになった道から一歩もそれません。
+ あなたのおきては私の光であり、相談相手です。
+ 私は失望のあまり、ちりの中にはいつくばっています。おことばによって、生き返らせてください。
+ 私の考えを申し上げると、あなたは答えてくださいました。どうか、指示をお与えください。
+ 何をお望みなのか、私に教えてください。そうすれば、私はあなたの奇跡を見ることができます。
+ 私は悲しみのあまり涙を流し、すっかり滅入ってしまいました。どうか、あなたのおことばによって私を勇気づけ、奮い立たせてください。
+ どうか、いっさいの過ちから守り、そのような資格もない者ですが、私があなたのおきてを守れるよう助けてください。私はすでに、正しい道を歩もうと決心したからです。
+ 私はあなたの戒めを堅く守り、力を尽くして忠実に従います。主よ、どうか、さまざまな失敗からお守りください。
+ あなたのお心に従いたいと思うように助けてください。そうすれば私は、あなたのおきてにさらに情熱を傾けることができるでしょう。
+ 主よ、どのように歩めばいいか教えてください。あなたの教えのとおりにします。いのちある限り、心を尽くしてお従いします。
+ 私に正しい道を歩ませてください。私は、それがどれほど喜ばしいことか、よく知っているのです。
+ 不正な利益を求めることなく、従順の道を選び取らせてください。
+ あなたのご計画以外のものに目を奪われることがないようにしてください。私の心を奮い立たせ、ひたすらあなたを慕わせてください。
+ お約束をもう一度保証してください。私はあなたを信頼し、あがめていますから。
+ なぜ私は、あなたに従うゆえのあざけりを恐れるのでしょう。あなたのおきてはみな正しく、良いものばかりです。
+ 私はあなたのおきてを守りたいと、ひたすら願っています。どうぞ私を生かしてください。
+ 救いの手を差し伸べてくださることが、あなたからの約束でした。どうか私を、あなたの恵みと愛でお救いください。そうすれば、私をさげすむ者たちに言い返すことばを持つことができます。私はあなたの約束を信じているからです。
+ どんなことがあっても、あなたのおことばを忘れさせないでください。それこそ、ただ一つの望みなのです。
+ 私はいつまでも、心から神にお従いします。あなたのおきての中でこそ、ほんとうの自由があるからです。神のおきてを国王に告げれば、彼らは関心と敬意を持って聞き入るでしょう。
+ 私はどれほどあなたのおきてを愛し、ご命令に従うを喜んでいるでしょう。
+ 「さあ、早く来てください」と、私はおきてを手招きします。それを愛し、身も心もささげたいと願っているからです。
+ 神に仕えている私への約束を、お忘れにならないでください。それこそ頼みの綱なのですから。困難なとき、どれほど力づけられたかしれません。全く息を吹き返す思いでした。
+ おごり高ぶる者どもは、神に従う私をさげすみますが、私は動揺しません。
+ 幼いころからずっと、私はあなたに従おうと心がけてきました。あなたのおことばによって、いつも慰められてきました。
+ あなたの命令を無視する者たちに、私は怒りを覚えます。
+ あなたのおきては、地上の人生の旅路にある私にとって、喜びと歌の原動力なのですから。
+ ああ主よ。私は夜でもおきてを守り、あなたに思いをはせます。
+ 常にあなたに従うことが、どれほど祝福であったことでしょう。
+ 主は私の大切なお方ですから、喜んでお従いします。
+ 私はひたすら祝福を求めています。どうか、お約束どおり、私をあわれんでください。
+ 私は、知らないうちに誤った方向に進んでいる自分に気づき、あわてて引き返し、神のもとに駆け戻りました。
+ 悪者どもは、私の首に綱を巻き、罪に引きずり込もうとしました。しかし、私はあなたのおきてに守られています。
+ 真夜中に私は起きて、こんなにすばらしいおきてを授けてくださったお方に感謝します。
+ 主を信じて従う人は、だれでも私の兄弟です。
+ ああ主よ。大地は恵みであふれています。正しい道をお教えください。
+ 主よ。お約束のとおり、私は十分に祝福を頂いています。
+ どうか、知識だけでなく、正しい判断力をも与えてください。あなたの戒めは、案内の杖です。
+ あなたに懲らしめられる前には、私はよく迷い出ました。これからは、おことばにはすべて従います。
+ あなたは情け深く、いつも恵みを注いでくださいます。どうか、従順にならせてください。
+ 思い上がった者どもは、私について根も葉もないことを言いふらします。しかし、私はただひたすら、神のおきてを守ります。
+ 彼らの良心は麻痺しています。私は冷静に、あなたにお従いしています。
+ あなたから懲らしめを受けたことは、この上ない幸いでした。私はそのおかげで、おきてに目を向けることを学びました。このおきてこそ、金や銀より価値あるものです。
+ 主よ。あなたは私をお造りになった方です。ですから、おきてを第一にして歩むための知恵をお授けください。
+ あなたを信じて従っている人々は、私を心から迎え入れてくれるでしょう。私があなたのおことばを信頼しているからです。
+ ああ主よ。私はあなたが正しい決定と罰を下すお方であることを知っています。どうか、お約束のとおり、優しく慰めてください。あなたのあわれみで包んで、生かしてください。あなたの教えこそ、私の喜びなのですから。
+ 思い上がっている者たちの高慢さを、打ち砕いてください。彼らは全くの偽りを並べ立てて人を傷つける者たちです。しかし私の関心は、あなたの戒めにあります。
+ あなたに信頼し、従っている人々を、もっと仲間に加えてください。みなであなたの教えについて語り明かします。
+ あなたの御心に添いたいと、熱心に思わせてください。そうすれば、わが身を恥じることもなくなりましょう。
+ 私はあなたの救いを待ち続けて、疲れてしまいました。それでもなお、助けてくださるというお約束に期待しています。
+ 約束どおりになる瞬間を見のがすまいと、私の目は緊張し続けています。いったいいつ、私を助け、慰めてくださるのですか。
+ 私は疲れ果て、煙の中の革袋のようにしぼんでしまいました。しかしなお、あなたのおきてを慕い求めます。
+ いつになれば、迫害してくる者どもに報復してくださるのですか。
+ あなたの真実とおきてを目の敵にする、この思い上がった連中は、私を蹴落とそうと深い穴を掘ったのです。彼らの偽りのおかげで、ひどい目に会わされました。あなたは真実を愛されるお方なのですから、どうか助けの手を伸べてください。
+ 私は、彼らに殺されそうになりました。しかし、私は降伏せず、あなたの教えを捨てたりもしませんでした。
+ お願いですから、このいのちをお救いください。そうすれば、こののちずっと、あなたにお従いできるのです。
+ ああ主よ。あなたのおことばは、天にある、びくともしない岩のようです。
+ あなたの真実は、あなたの手でできた大地のように、いつまでも存続します。万物はご計画の完成を目ざして、ご命令どおりに動くのです。
+ あなたのおきてが、心の底からわき上がる喜びになっていなかったら、私は失望の果てに滅んでいたことでしょう。
+ どんなことがあろうと、戒めだけは手放しません。その教えによって、喜びと健康を回復していただいたからです。
+ あなたのものとなった私を、どうか救ってください。私は、あなたのお望みにかなう生活をしようと心がけてまいりました。
+ 悪者どもはいのちをねらって待ち伏せしますが、私は静かに、あなたのお約束を思い巡らします。
+ あなたのおことば以外に、完全なものはありません。
+ どれほど私が、そのおことばを愛していることか。一日中、そのことばかり思い巡らしているのです。
+ それは、かた時も離れず道案内を務めてくれ、敵にまさる知恵を授けてくれます。
+ それどころか、私は、教師と呼ばれる人たちよりも賢くなります。それは私が一日中、あなたのおことばを思って暮らしているからです。
+ さらにまた、私は、長年の経験を積んだ人々より賢い知恵を頂くのです。
+ 私はあなたのおことばに従順でありたいと思い、決して悪の道に足を踏み入れませんでした。
+ あなたのおことばはみつより甘いので、私はその教えから離れませんでした。
+ あなたの戒めから受ける真の知恵と理解力のおかげで、私はまちがったすべての教えを退けることができました。
+ あなたのおことばは、つまずかないように道を照らしてくれる明かりです。
+ 私はあなたのすばらしい教えに従います。何度でもそう宣言します。
+ 私は敵の手に落ちて、死と背中合わせになっています。どうか、お約束どおり私を生かしてください。
+ この、心からの感謝を受け入れ、あなたの望みを私に悟らせてください。
+ 私は危うい状況で生きていますが、あなたのおきてを手放したりはしません。
+ 悪者どもは、あなたに従う道に罠をしかけましたが、私は、その道からそれようとは思いません。
+ あなたのおきては、いつまでも私の宝です。
+ 死ぬまであなたに従うと、堅く決心しています。
+ 神に従おうかどうしようかと迷う優柔不断な人々を、私は軽蔑します。私は、あなたの教えを愛する心を貫きます。
+ あなたは私の隠れ家、また盾です。あなたのお約束だけが、私の望みです。
+ 悪事を企む者よ、私の前から消え去れ。私が神の命令を守ることを妨げてはならない。
+ 神よ。私を生かすと言われたお約束が果たされなかったなどと言われることがないようにしてください。
+ 私を敵の手の届かない高い所で、しっかり支えてください。そうすれば、こののち、おきてを守ることができます。
+ あなたのおきてを捨てる人はみな、あなたに捨てられました。彼らは結局、自分をあざむいただけでした。
+ 悪者どもは、神に捨てられる金かすにすぎません。だからこそ、私は喜んであなたのおきてに従います。
+ 私はあなたの罰を恐れるあまり、震えています。
+ どうか、私を敵のなぶりものにしないでください。私は正しいことを行い、いつも公平であったからです。
+ 私を豊かに祝福してください。思い上がった者どもの攻撃から、この身を守ってください。
+ いつあなたがお約束を果たして、救い出してくださるのかと、一心に見つめてきた私の目は、すっかりかすんでしまいました。
+ 主よ、優しく私を取り扱い、このしもべに従順を学ばせてください。
+ どうか、あなたにお仕えする身である私に、すべての点であなたの規範に照らして考える知恵を、お授けください。
+ 主よ、どうか今、行動を起こしてください。悪者どもが、あなたのおきてを破りましたから。
+ 一方、私は、あなたの戒めを純金より慕っています。
+ あなたのおきては、どれを取っても正しいのです。この道以外に慕うべき道はありません。
+ あなたのおきてはすばらしく、私は何のためらいもなくそれを守ります。
+ あなたのご計画が明らかにされると、それは心の鈍い者にさえ理解できるのです。
+ 私は、あなたがどんな戒めを下さるか、とても期待して待っています。
+ あなたを愛する者にいつもかけてくださるあわれみを、そばに来て、私にもかけてください。
+ 悪に打ち負かされることのないように、どうか、そのおことばで導いてください。
+ 悪者どもの虐待から、救い出してください。そうすれば、私はあなたにお従いすることができます。
+ 愛情のこもったまなざしを注ぎ、すべてのおきてを教えてください。
+ あなたのおきてが平気で破られる現状に、私は涙をこぼしています。
+ ああ主よ。あなたは公明正大で、人を正しくさばいて罰を下されます。
+ あなたの要求はみな正しく、理にかなっているのです。
+ 私は、敵があなたのおきてを軽んじていることに耐えられません。
+ 私はあなたのおことばをくまなく調べ、吟味しました。そのうえで、私はそれを愛しているのです。
+ 私は取るに足りない存在で、人からさげすまれていますが、戒めだけは大事に守っています。
+ あなたの教えは完全なので、あなたの正義は永遠に朽ちません。
+ あなたの戒めは、苦しみ悩んでいる私を慰めてくれます。
+ 公平そのもののおきてを、真に理解させてください。そうすれば、私は生きることができます。
+ ああ主よ、ひたすら祈り続ける私にお答えください。私はあなたのおきてに従います。
+ 「どうか、お救いください。あなたにお従いしていますから」と、私は叫びます。
+ 朝早く、日がのぼる前に私は祈り、どんなにあなたを信頼しているかを示してきました。
+ 私は夜通し起きていて、お約束をかみしめます。
+ 愛と思いやりに満ちた主よ、私の声を聞き、以前のように生かしてください。
+ 攻撃をしかける無法者が迫って来ました。
+ しかし、主がそばにいてくださいます。主の戒めはみな、真理なのです。
+ あなたは決して変わることのないお方だと、私は小さいころから知っています。
+ 悲しみの涙にくれる私を救い出してください。私は、あなたの命令を忠実に守っているからです。
+ 私を救い出して、かねてからのお約束どおり、再び胸を張って歩けるようにしてください。
+ あなたのおきてを気にも留めない悪者どもは、救いから遠ざかります。
+ 主よ、限りないあわれみを注いで、どうか、再び私を生かしてください。
+ おびただしい数の敵が、何とかして私をあなたに背かせようとしています。しかし、私はあなたの御心から、一歩たりとも迷い出たりしませんでした。
+ あなたのおことばに見向きもしない、こんな裏切り者どもを、私は憎んでいます。
+ 主よ、私があなたの戒めをどんなに愛しているか、わかってください。どうか、あふれる恵みで、私を生かしてください。
+ あなたのおことばは真理そのものであり、永遠にすたれません。
+ この世の権力者は、いわれもない迫害を加えますが、私の恐れるものはただ一つ、あなたのおことばだけです。
+ 私は、金鉱を見つけた人のように、あなたのおことばを喜んでいます。
+ 私はどんなうそでも徹底して憎み、あなたのおきてを心から愛します。
+ このすばらしい教えを思い巡らし、一日に七回、あなたをたたえます。
+ この教えを愛する人は、平安な心を与えられ、過ちを犯すこともありません。
+ 主よ。私は救いを待ち望み、あなたの命令を守ってきました。
+ あなたの戒めを何よりも愛し、慕い求めてきました。
+ 私がそれを追い求めたことを、あなたはご存じです。私のすることはみな、知っていらっしゃるからです。
+ ああ主よ、この祈りを聞き届け、お約束の知恵をお授けください。
+ どうか、お約束のとおり、救い出してください。
+ おきてを学ばせてくださるあなたを、ほめたたえます。
+ あなたの口から出る完全なことばを、ほめ歌わずにはいられません。
+ あなたの御心に従う道を選び取った私に、いつでも助けの手を差し伸べてください。
+ ああ主よ。私はあなたの救いを慕い求めてきたのです。あなたの教えはこの上ない喜びです。
+ 生かし続けていただける限り、私はあなたをほめたたえましょう。どうか、おきてによって支えてください。
+ 羊のようにあてどもなくさまよう私を捜し出してください。私は、ご命令に背いたりしませんでしたから。
+
+
+ 苦しみの底から助けを呼び求めると、主は救いの手を差し伸べてくださいました。
+ ああ主よ、偽りでこり固まった者どもから救い出してください。
+ 平気でうそをつく者には、どれほど恐ろしい運命が待っていることでしょう。
+ 彼らは鋭い矢で射抜かれ、真っ赤な炭火で焼かれるのです。
+ 私は、神を憎むメシェクとケダルの住人の間に住んでいるようなもので、気苦労がますます重なります。平和をきらうこの者どもと暮らすのには疲れました。
+ 私は平和を愛しますが、彼らは戦いを好みます。彼らのどなり声に、私の声もかき消されてしまいます。
+
+
+ 私は山の神々に助けを仰ぐべきなのでしょうか。
+ いいえ、真の助けは、山々を造られた主から来るのです。主は、天をもお造りになりました。
+ このお方は、私が決してつまずいたり、足をすべらせたり、倒れたりしないように守ってくださいます。また、眠り込んだりもなさいません。いつも大きく目を見開いて、見守っていてくださいます。
+ 主は自ら、あなたのために配慮してくださるのです。危険からも守ってくださいます。
+ 昼も夜も注意深く、
+ あらゆる害悪を寄せつけず、あなたいのちを守られます。
+ 主はあなたが出て行くのも帰って来るのも見守り、いつもあなたを守ってくださいます。
+
+
+ エルサレムの主の宮に行こうと誘われた時のうれしさは忘れられません。
+ 私たちは今、都の雑踏の中に立っています。
+ 神のおきてに従って、イスラエル中の主の民がここに集まり、主を礼拝し、感謝と賛美をささげるのです。
+ 都の門のそばでは、裁判官が人々の論争を裁いています。
+ エルサレムの平和のために祈ってください。この都を愛する人々に繁栄がもたらされますように。
+ エルサレムの城壁のうちに平和がみなぎり、宮殿は富み栄えますように。
+ この都に住む友、兄弟のために願います。
+ 主の宮にふさわしい平和で満たされますようにと。
+
+
+ 私は天の王座におられる神を見上げます。
+ いつ主があわれんでくださるかと見つめています。ちょうど、召使が主人の様子をうかがい、何げない表情にさえ気を配るのと同じように。
+ 主よ、お願いですから、あわれんでください。私たちはさんざん、金持ちや高慢な者たちにさげすまれ、あざけられてきたのです。
+
+
+ イスラエル中の人々は、次のことを知りなさい。もし主が味方でなかったなら、
+ 私たちは敵にいけにえとされ、皆殺しの目に会っていたことでしょう。
+ その激しい怒りと思い上がりの洪水にのまれて、おぼれていたことでしょう。
+ 主のおかげで、敵のえじきにならずにすんだのです。心から感謝しなさい。
+ 猟師のしかけた網から逃げる鳥のように、助かったのです。網が裂けて、たちまち自由に舞い上がることができたのです。
+ 助けの手は、天地をお造りになった主から伸べられます。
+
+
+ 主を信頼する人は、シオンの山のように、どのような状況でも動じません。
+ エルサレムがその周囲の山々に守られているように、主もご自分の民を取り囲んで、守ってくださいます。
+ 神を信じて従っている人々を悪者どもが支配し、悪事を押しつけるようなことがあってはならないからです。
+ ああ主よ、心のまっすぐな正しい人々を恵んでください。
+ そして、悪者どもは、処刑場へ連れ去ってください。イスラエルに平和がありますように。
+
+
+ 主が、捕虜となっていた人々をエルサレムへ連れ戻された時、私たちは、まるで夢でも見ているようでした。
+ 笑いが込み上げ、ひとりでに歌ったものです。他国の人々も言いました。「主は彼らのために、驚くべきことをなさった。」
+ 確かにすばらしいことでした。信じられないことでした。どれほどうれしかったことか。
+ 旅人が砂漠でオアシスを見つけたときのように、私たちが元気を取り戻すことができますように。
+ 涙を蒔く人は、やがて喜びを刈り取ります。
+ 種を手にし、泣きながら出て行った人々が、やがて収穫の束をかかえ、歌いながら帰って来るのです。
+
+
+ 主が建てたものでなければ、家を建ててもむだです。主に町を守っていただかないのなら、見張りが立つ意味もありません。
+ 暮らしを支えるために朝早くから夜遅くまで身を粉にして働いたとしても、それが何になるでしょう。主は、愛する者には必要な休息を与えようとなさるお方です。
+ 子どもたちは主からの贈り物であり、報いです。
+ 若いうちに生まれた子どもは、身を守る鋭い矢のようです。
+ 矢筒が矢で満ちている人は幸せです。敵と論争するときにも、助けを得ることができるからです。
+
+
+ 主を恐れかしこみ、信じて従う人に、祝福がありますように。
+ その人へのほうびは、繁栄と幸福です。
+ あなたの妻は、家庭の中で、満足して暮らしています。食卓に集まる子どもたちも、オリーブの若木のように生き生きとしています。
+ これこそ、主を信頼する人たちの姿です。
+ 主が天から祝福と喜びを注いでくださいますように。
+ あなたが長生きし、孫の誕生を喜ぶことができますように。神がイスラエルを祝福してくださいますように。
+
+
+ イスラエルは言う。「私は若いころから迫害され、
+ 長い間差別に甘んじてきましたが、滅ぼされることはありませんでした。敵には、私の息の根を止めることはできなかったのです。
+ 彼らは私の背中をむちで引き裂きましたが、主はあわれみ深く、悪者どもが巻きつけた鎖を断ち切ってくださいました。
+ ユダヤ人を憎む者どもに、屈辱的な敗北を味わわせてください。
+ 彼らが、土の浅い地に生えた草のようになりますように。しおれて黄色くなり、刈り取る者からも束ねる者からも、見向きもされない草のような者になりますように。
+ 道行く人々も、「主の祝福がありますように。神の名によって祈ります」などと言って彼らを祝福することがありませんように。
+
+
+ ああ主よ。私は失意のどん底から、あなたの助けを叫び求めます。
+ 「お願いですから、私の訴えを聞いて、助けてください。」
+ 主がいつまでも私たちの罪を心に留められるとしたら、この祈りも聞いてはいただけないでしょう。しかし、恐れ多いことですが、あなたは赦してくださるお方です。
+ だからこそ私は、助けを信じ、期待をこめて待っているのです。
+ 見張りの者が夜明けを待つよりも切実に、主を待ち望んでいます。
+ イスラエルよ、主を信じて希望を持ちなさい。主は恵み深く親切で、両手いっぱいの祝福をかかえて来てくださるからです。
+ 主は、罪の奴隷となったイスラエルを買い戻してくださいます。
+
+
+ 主よ。私は思い上がったり、横柄な態度をとったりしません。何でも知っているふりをしたり、他の者より自分がまさっていると考えたりすることもしません。
+ 今こうして、乳離れした幼児のように、主の前で静かにしています。もう、あれこれと願い事を並べ立てるのはやめました。
+ イスラエルよ、おまえもまた、今だけでなく、いつまでも静まって主に信頼していなさい。
+
+
+ 主よ。あなたは、私の心が騒ぎ立っていたころのことを覚えておられますか。
+ 契約の箱を納める、イスラエルの全能の主の神殿をどのように建てればよいかと思い巡らし、休むことも、眠ることもできない日々でした。あの時、私は、どんなことがあっても神の宮を建てようと誓ったのです。
+ 契約の箱は、最初エフラテにあり、次に遠く離れたヤアルの田舎に移されました。
+ しかし今こそ、神の地上のお住まいである神殿にお迎えいたします。私どもはそこで、神を礼拝するのです。
+ ああ主よ、どうぞ立ち上がって、御力の象徴である箱とともに、神殿にお入りください。
+ 祭司には、純潔のしるしの白い服をまとわせます。わが国の人々を、歓声でわき立たせてください。
+ あなたの民の王として選ばれたしもべダビデを退けないでください。
+ 主は私の息子が後継者となって王座につくと約束してくださいました。あなたが約束を破られるはずはありません。
+ あなたはまた、もし子孫が、あなたと私との間の契約を守るなら、ダビデ王朝はいつまでも終わることがないと約束してくださいました。
+ ああ主よ。あなたはエルサレムを住まいとしてお選びになり、
+ こう言われました。「エルサレムこそわたしの永遠の住まい。わたしの望みの地。
+ わたしはこの都を繁栄させ、貧しい住民を満腹にしよう。
+ 祭司には救いの服を着せよう。わたしを信じる都の住民は、喜びの声を張り上げるだろう。
+ わたしはダビデの子孫を全世界の王とし、その権力をますます増大させよう。
+ 敵対する者には恥を見させ、ダビデ王家は栄光に輝かせよう。」
+
+
+ 兄弟たちがいっしょに仲良く暮らすことは、なんと楽しく、なんとすばらしいことでしょう。
+ 仲良く暮らすことは、頭に注がれた香り高い油のように尊いことです。アロンに注がれた香油はひげに流れ落ち、服のえりにまでしたたりました。
+ 仲良く暮らすことは、ヘルモン山やイスラエルの山々に降りる露にも似ていて、新たな息吹を呼びさますのです。こうして、主はイスラエルに、永遠のいのちの祝福を与えると約束なさったのです。
+
+
+ 夜ごと神殿の警備に立ち、主に仕える人々よ。さあ、ほめたたえなさい。
+ きよい手をあげて、ほめたたえなさい。
+ 天地をお造りになった主が、シオンからあなたを祝福してくださいますように。
+
+
+ ハレルヤ。主の民は、神殿の内庭に立って、ほめたたえなさい。
+ 恵み深い主のすばらしい御名をたたえて歌いなさい。
+ 主はイスラエルを、ご自分のものとして選んでくださったのです。
+ 主の偉大さは、とてもほかの神々とは比べものになりません。
+ 天も地も、深い海も、主は思いどおりに治められます。
+ 地上にもやを立ちこめさせ、雨をもたらすいなずまを光らせ、その宝物倉から風を送り出されます。
+ 主はエジプト人に生まれた長男をみな、家畜の初子もろとも滅ぼされました。
+ エジプトの王や国民の目の前で、大きな奇跡を見せられたのです。
+ 強い国々を滅ぼし、負けを知らない王侯を殺されました。
+ エモリ人の王シホン、バシャンの王オグ、それにカナンの王たちを。
+ 主は彼らの土地を、ご自分の民イスラエルに、永遠の贈り物としてお与えくださいました。
+ ああ主よ。あなたの御名はいつまでもすたれず、あらゆる時代の人々に知れ渡ります。
+ 主はご自分の民を弁護し、仕える人々をあわれまれるからです。
+ 外国人は、人の手で作った金や銀の偶像を拝みます。
+ 口があってもしゃべれず、目があっても見えず、
+ 耳があっても聞こえす、呼吸もしていない偶像を拝んでいるのです。
+ 偶像を作る者や、信仰する者も、同じく愚かです。
+ イスラエルよ、主をほめたたえなさい。アロンの家系の大祭司よ、ほめたたえなさい。
+ レビの家系の祭司も、主を信じて従う人々も、主をほめたたえなさい。
+ エルサレムの住民よ、ほめたたえなさい。エルサレムは主の御住まいではありませんか。
+
+
+ 絶え間なく恵みを注いでくださる主に感謝しなさい。
+ 神の神であられるお方に感謝しなさい。その恵みはいつまでも絶えることがありません。
+ 主の主に感謝しなさい。その恵みはいつまでも絶えません。
+ すばらしい奇跡をなさる、ただひとりのお方をほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。
+ 天を造られたお方をほめたたえなさい。その恵みは永遠のものです。
+ 地中に水脈を巡らされたお方をほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。
+ 天に明かりをともされたお方をほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。
+ 昼のために太陽を、夜のために月と星とを造られたお方の恵みは、絶えることなく続きます。
+ エジプト人の長男を打ち滅ぼした神をほめたたえなさい。イスラエルへの恵みは絶えることがありません。
+ 神は、大いなる力によってイスラエルの人々をエジプトから連れ出し、敵に対しては、こぶしを振り上げました。イスラエルへの恵みは絶えることがありません。
+ 紅海を二つに分け、道を開いてくださった主を、ほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。
+ 主は人々に、その道を無事に通らせてくださいました。その恵みは絶えることがありません。
+ 敵であるエジプト王の軍隊はおぼれてしまいました。イスラエルへの神の恵みは、絶えることがありません。
+ 荒野を旅する間も導いてくださったお方を、ほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。
+ 強大な諸国の王の手から救い出してくださったお方を、ほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。
+ 勇名をとどろかせた敵の王たちも、主の手で打たれました。イスラエルへの神の恵みは、絶えることがありません。
+ エモリ人の王シホンも、バシャンの王オグも、神の手にかかって殺されました。イスラエルへの恵みは絶えることがありません。
+ これらの王の領地は、イスラエルのものになりました。神の恵みは絶えることがありません。
+ そうです、主に仕えるイスラエルへの、変わることのない贈り物としてです。神の恵みは絶えることがありません。
+ 主は、私たちがどれほど弱い存在か、知っていてくださいます。その恵みは絶えることがありません。
+ 敵の手から救い出してくださる主の恵みは、絶えることがありません。
+ 主はいのちあるすべてのものを養われるお方です。主の恵みは絶えることがありません。
+ ああ、天の神に感謝しなさい。その恵みは絶えることがないのです。
+
+
+ バビロンの川のほとりに座り、私たちはエルサレムのことを思って泣きました。
+ 手にしていた竪琴も、柳の枝にかけてしまいました。
+ それなのに、冷酷な征服者たちは、余興にシオンの歌を歌えと言うのです。歌う気になどなれません。
+ ああエルサレムよ。もし私がおまえを忘れるようなことがあれば、私の右手が琴の弾き方を忘れるように。私がおまえへの愛を失うようなことがあれば、もう二度と歌えなくなるように。
+ 主よ、バビロン軍によるエルサレム陥落の日の、エドム人たちの仕打ちを忘れないでください。彼らは「エルサレムを破壊してしまえ」と叫んだのです。
+ どう猛な野獣バビロンよ。おまえは滅ぼされる。おまえを滅ぼす人に、祝福があるように。おまえは私たちを滅ぼしたからだ。
+ おまえの赤ん坊を、岩に投げつける人に、祝福があるように。
+
+
+ 主よ。私は心の底から感謝し、御使いたちの前でほめたたえます。
+ 礼拝するたびにあなたの宮に向かい、そのすべての恵みと真実を思い起こして感謝をささげます。あなたは、ご自身の名にかけて、約束を守るお方ですから。
+ あなたは必ず私の祈りに答えて、力を与え、励ましてくださいます。
+ 主よ。この世の王はみな御声を聞き、感謝をささげます。
+ 彼らは、栄光に輝く主の道をたたえて歌います。ご栄光の偉大さに圧倒されるからです。
+ この上なく偉大な主は、謙遜な人を重んじ、高慢な人を寄せつけません。
+ たとえ、四方八方を苦しみに取り巻かれても、私は無事に救い出していただけます。怒り狂った敵には、あなたのこぶしが振り下ろされるのです。
+ 私のためのご計画は、次々に実現していきます。主の恵みは絶えることがないからです。どうか、私を置き去りにしないでください。私はあなたの手で造られた者ですから。
+
+
+ 主よ。あなたは私の心の奥底まで探り、どんなささいなことも見のがされません。
+ 私の立つのも座るのも、すべてご存じです。遠くからでも、私の心をすべて読み取られます。
+ あなたは、私の進む道もご存じで、どこで休息をとるべきかも教えてくださいます。どんなときも、私の居場所もご存じです。
+ そして、口を開く前から、私が何を言いたいかも見抜いておられます。
+ あなたは私の前を行き、後ろからも来られます。あなたは私に、祝福の御手を置いてくださいます。
+ このようなことはあまりにも栄光にあふれ、すばらしい話なので、ほんとうだとは信じがたいほどです。
+ あなたの視界から逃れることは決してできません。身を隠すことも不可能です。
+ 天まで昇ろうと、あなたはそこにおられ、死者の世界まで降りて行っても、あなたはそこで待っておられるのです。
+ 朝風に乗って、地の果てまで飛んで行っても、
+ あなたの力強い腕は、私を導き、支えてくださいます。
+ 私が暗闇にまぎれ込もうとしても、夜は私を照らし出す光となるのです。
+ 暗闇も、神から隠れることはできません。神から見れば、暗闇も光も同じようなものなのです。
+ 神は、精巧に私の体のすべての器官を造り、母の胎内で組み立ててくださいました。
+ こんなにも複雑かつ緻密に仕上げてくださったことを感謝します。想像することもできないくらい、すばらしいことです。あなたのわざは驚くべきもので、私にはとうてい、理解することはできません。
+ だれも立ち入ることのできない場所で私が組み立てられた時、あなたはそこにおられました。
+ 生まれる前から、まだ呼吸を始める前から、あなたの目は私に注がれ、私の生涯にわたるご計画も、練り上げられていたのです。
+ 主よ。あなたが私をかた時も忘れずにいてくださることは、ほんとうにたいせつな事実です。あなたは一日に、数えきれないほど何度も、私のことを思い起こしてくださいます。眠っているときも、朝までずっと、私のことを考えていてくださるのです。
+ 悪者どもは必ず、主の御手にかかって滅びます。血に飢えた者どもよ、すみやかに消え失せるがよい。
+ 彼らはあなたの御名を汚し、横柄な態度をとっています。なんと愚かなことでしょう。
+ 主よ。あなたを憎む者どもを、この私が憎まずにいられましょうか。心を痛めずにいられましょうか。
+ 私は彼らを憎みます。あなたの敵は私の敵だからです。
+ ああ神よ。私の心を探り、内面を調べ上げてください。
+ あなたを悲しませるようなものがあるなら、教えてください。私が永遠のいのちへの道からそれないようにお導きください。
+
+
+ ああ主よ、私を悪者から救い出し、乱暴者から守ってください。
+ 彼らは一日中、悪事を企み、騒ぎを引き起こしています。
+ 彼らのことばは、毒蛇の牙のように人を刺すのです。
+ 彼らの手の届かない所に私を置き、その暴力から守ってください。彼らは危害を加えようと策略を練っています。
+ 彼らは傲慢で、私を生け捕りにしようと罠をしかけました。足をすくい、宙吊りにする輪なわを仕掛けます。身動きがとれないように網をかけようと待ち伏せています。
+ ああ、私の救い主であり盾であられる主よ、この祈りに耳を傾けてください。悪者どもの思いどおりにはさせないでください。彼らのすることがうまくいき、彼らが傲慢になることがありませんように。
+ その企みが、そのまま彼らの頭上に返りますように。彼らが自分たちのしかけた罠で、身を滅ぼしますように。
+ 赤々と燃える炭火を、その上に降らせてください。また、火の中に、二度と上って来ることのできない深い穴に、彼らを投げ込んでください。
+ うそつきどもが、この国で繁栄することがありませんように。彼らをすみやかに罰してください。
+ しかし主は、踏みにじられている人々を助け、貧しい者の権利を守ってくださいます。
+ 神を信じて従う人は、きっと感謝の声を上げるようになるでしょう。神のおそばで暮らせる時が、必ずくるからです。
+
+
+ 主よ、どうか早く、私の祈りに答えてください。助けを呼び求める声を聞いてください。
+ 私の祈りが、夕方の供え物となり、あなたの前に立ち上る香となりますように。
+ 主よ、どうか、この口を堅く閉じ、くちびるに封をさせてください。
+ 悪に走る汚れた心を取り除いてください。罪人の仲間入りをして、彼らのごちそうにありつこうなどと思うことのないようにしてください。
+ 神を敬う人からのきびしい忠告は、私を思う心から出たものです。非難されたように感じても、私にとって薬となるのです。私が彼らの非難を拒絶することがありませんように。私は、悪者どもには警戒を怠らず、彼らの悪行に対抗して絶えず祈ります。
+ 悪者どもの指導者たちが罰を受け、その骨が地にばらまかれるなら、彼らは初めて私のことばに注意をはらい、今まで、私が彼らを助けようとしていたことに気づくでしょう。
+ 私の主よ。私はあなたを見つめ、いつ助けてくださるかと待っています。あなたは私の隠れ家ですから、彼らに手出しをさせないでください。
+ 彼らの罠に近づけないでください。
+ その罠には彼ら自身がかかり、私は難を免れることができますように。
+
+
+ 私は主の前に悩み事をさらけ出して、あわれんでくださいと祈ります。
+ 私は打ちひしがれ、絶望しています。どの道を進めば敵のしかけた罠にかからずにすむのか、あなただけがご存じです。
+ 右側の少し先に、罠が一つあります。誰ひとり、声をかけて助けてくれる人はいないのです。私がどうなろうと、だれも気にも留めないのです。
+ そこで、私は主に祈りました。「主よ。あなたは唯一の隠れ家です。あなただけが、無事に守ってくださるお方なのです。
+ 私の叫びを聞いてください。迫害する者どもの手から救い出してください。相手は強すぎて、とても手に負えません。
+ どうか、私を牢獄から連れ出し、あなたへの感謝にあふれさせてください。私が助けられたことを知れば、神を敬う人々は、あなたの力を喜ぶでしょう。」
+
+
+ 主よ、私の祈りを聞き、願いに答えてください。あなたは、約束を決して破らないお方です。
+ 私を裁判にかけないでください。あなたほど完全なお方はいないのですから。
+ 私は敵に追いつめられ、地面にたたきつけられました。そして、墓のように暗い所に住まわせられたのです。
+ いっさいの希望を失った私は、恐怖に取りつかれ、身震いしています。
+ 私はあなたがかつてなさったすばらしい奇跡の数々を思い出しています。
+ 乾ききった地が雨を慕うように、私はあなたに両手を差し伸べています。
+ 主よ、すぐにもこの祈りに答えてください。悩みはますます深刻になります。どうか見放さないでください。そうでなければ、私は死んでしまいます。
+ 朝になったら、あなたの恵みを見せてください。あなたを支えとして生きている私に、どの道を選ぶべきか教えてください。私は心の底から祈っているのですから。
+ 主よ、敵からお救いください。私はあなたのふところに飛び込んで危険を避けます。
+ あなたは私の神ですから、ご意志にそった行動をとらせてください。恵み深い御霊によって、私を祝福の道へと導いてください。
+ 主よ。私をお救いくだされば、ご威光はひときわ明るく輝くでしょう。あなたは約束を守ってくださるお方ですから、どうか、私をいっさいの苦しみから引き上げてください。
+ 私を愛してくださる恵み深い神よ。すべての敵を根絶やしにし、危害を加えようとする者どもを滅ぼしてください。私はあなたに仕えるしもべなのですから。
+
+
+ 揺るぎない岩である主をほめたたえます。戦いが起こると、主は、弓をひく私の腕を強めてくださいます。
+ いつも恵み深く、愛を注いでくださる主は、私の要塞であり、びくともしないやぐらです。私を救ってくださる神は、盾となって立ちはだかってくださいます。こうして、神は民を私に服従させてくださるのです。
+ 主よ。あなたが気に留めてくださるのは、人間が何者だからなのでしょう。どうしてあなたは、こんな人間にかかわってくださるのでしょう。
+ 人の一生は、ただのひと呼吸のよう、また影のようで、はかなく消えるではありませんか。
+ 主よ、どうか、天を押し曲げて降りて来てください。あなたの手が山に触れると、煙が吹き出します。
+ 主よ、いなずまの矢を敵に放ち、彼らを散らすように蹴散らしてください。
+ 天から御手を差し伸べ、私を引き上げてください。深い水の中から、強い敵の腕から、助け出してください。
+ 彼らの口はうそで満ち、間違っていることをほんとうだと言い張ります。
+ ああ神よ。私は十弦の琴をかなで、あなたに新しい歌をささげます。
+ あなたは王に勝利をもたらされるお方です。あなたのしもべダビデを、悪の剣から救い出されるお方です。
+ どうか、悪賢い敵から、私を救い出してください。
+ 神を信じる国の祝福された様子を語りましょう。男の子は、すくすくと成長する木のように、元気いっぱいに育ちます。女の子は、宮殿にふさわしく飾られた柱のように、しとやかで優雅です。倉には穀物がこれ以上入らないほど豊かにあります。羊の群れは、何千頭、何万頭と増え、牛は次々と子どもを産みます。敵は一人も攻めて来ず、平和が満ちあふれています。町には一つの犯罪も起こりません。このように、主を神とする民は幸いです。
+
+
+ 私の王である神よ。私は毎日、そしていつまでも、あなたをほめたたえます。
+ 声の限り、偉大な主をたたえましょう。神の偉大さは、一生かけても窮めることができません。
+ それぞれの時代に生きる人々が、その子どもたちに、神のすばらしさを伝えていきますように。
+ そのまぶしいばかりの栄光、威光、それに奇跡を、私は深く思い巡らします。
+ だれもが、神のなさる恐ろしいみわざについて語ります。私はその偉大さを伝えます。
+ 人々は、神の恵み深さと、正しさについて歌います。
+ 主は優しく、あわれみ深く、すぐには怒らず、愛にあふれておられます。
+ だれにでも恵み深い主の思いやりは、造られたすべてのものに注がれます。
+ 主よ。いのちあるものはみな、あなたに感謝をささげます。あなたの民は賛美し、
+ 栄光に輝くあなたの王国について語り、その力について語り合うでしょう。
+ また、主の行われた奇跡と、栄光に包まれたご支配についても語るでしょう。
+ あなたの王国に終わりはなく、その統治は、代々限りなく続くからです。
+ 主は倒れた人を起こし、あまりの重荷に身をかがめている人の背筋を伸ばされます。
+ すべての人が、あなたに助けを求め、必要な食べ物を頂くのです。
+ あなたはいつも、生きているすべての者の願いに答えてくださいます。
+ 主はいつでも公平で、恵みにあふれています。
+ そして、真心から願い出る人のそば近くにいてくださるのです。
+ 主は、敬虔な心で信頼を寄せる人々の願いを、かなえてくださいます。助けを呼び求める声を聞いてくださいます。
+ 主を慕う人はみな守られ、悪者どもは滅ぼされます。
+ 私は主をほめたたえ、世界中の人に、神のきよい御名をいつまでもあがめるようにと呼びかけます。
+
+
+ 真心から、主をほめたたえましょう。
+ 私は一生涯、主を賛美し、生きているかぎり、私の神に賛美の歌を歌います。
+ 人の助けをあてにしてはいけません。どんなに偉大な指導者も、頼りにはならないのです。
+ 人はみな死ぬ運命にあるからです。呼吸が止まり、いのちの火が消えた瞬間に、その人の人生の計画は、すべて無になるのです。
+ しかし、神の助けをあてにし、主に望みを置く人は幸せです。
+ 主は、天と地と海と、その中のいっさいのものをお造りになりました。どんな約束でも守り抜き、
+ 貧しい人や虐待されている人に公平なさばきを保証し、飢えた人には食べ物をお与えになるお方です。主は囚人を解放し、
+ 盲人の目を開き、身をかがめている人の重荷を取り除かれます。主は正しい人を愛しておられます。
+ 主は外国人の権利を守り、孤児や未亡人を支えますが、その一方、悪者の計画をくつがえされます。
+ エルサレムよ。あなたの主は、永遠に支配なさる王です。ハレルヤ。主をほめたたえましょう。
+
+
+ ハレルヤ。主をほめたたえましょう。神を賛美するのは、なんと麗しく、喜ばしいことなのでしょう。
+ 主はエルサレムの町を建て直し、捕虜として連れ去られた人々を返してくださいます。
+ 心の傷ついた人々を優しくいたわり、傷口を覆ってくださいます。
+ 主は星を数え、その一つ一つの名を呼ばれます。
+ 偉大な主の御力は限りなく、主の知恵は無限です。
+ 主は謙遜な人を支えますが、悪者どもは地面に倒されます。
+ 主に感謝の歌を歌いなさい。竪琴の伴奏で、賛美の歌を歌いなさい。
+ 神は雲で天を覆い隠し、夕立を送り、牧草を青々と生えさせてくださいます。
+ また野の獣を養われます。からすの子は、神に食べ物をねだって鳴くのです。
+ どんなに足の早い馬でも、神から見れば、歩みの遅いかたつむりと同じです。どんなに腕力を誇る人でも、神からすれば、赤ん坊の手をねじ伏せるより簡単なのです。
+ しかし、主を敬い、その愛と恵みを待ち望む人々を、主はことのほかお喜びになります。
+ エルサレムは主をほめたたえなさい。シオンも賛美の声を上げなさい。
+ 主は敵に備えてあなたの城の守りを固め、あなたの子どもたちを祝福されるからです。
+ 主は平和を与え、最上の小麦で倉を満たしてくださいます。
+ 主のご命令は全世界に行き渡ります。そのおことばは、飛ぶように駆け巡るのです。
+ 主は真っ白な雪を降らせ、地面に霜をまき、
+ 雹を地上に投げつけられます。その凍りつくような寒さに、だれが耐えられましょう。
+ しかし、主が春をお呼びになると、暖かい風が吹いてきて、川面の氷を溶かすのです。
+ 主はイスラエルに、ご自分のおきてと礼拝の仕方を教えてくださいました。
+ こんなことは、ほかの国にはなかったことです。他の国民は、神の戒めを聞かされていません。ハレルヤ。主をほめたたえましょう。
+
+
+ ハレルヤ。天から主をほめたたえなさい。
+ 御使いたちよ、天の軍勢よ、賛美の声を上げなさい。
+ 太陽と月、輝く星たちもみな、主をほめたたえなさい。
+ 大空も、空の上にある水も、神をほめたたえなさい。
+ 造られたものがみな、主を賛美しますように。みな、主のおことば一つででき上がったからです。
+ これらは、いつまでも残るものとして造られました。主の命令は、どんなことがあろうと、取り消されはしません。
+ 海の底にいる生き物よ、主をほめたたえなさい。
+ いなずま、雹、雪、雲、ご命令に従う嵐、
+ 山や丘、実のなる木や杉、
+ 野獣や家畜、小さな動物や鳥、
+ 諸国の王たちとその国民、それに支配者や裁判官、
+ 若い男や女、老人や子どもなど、
+ みな声を合わせて、主をほめたたえなさい。賛美を受けるのにふさわしいお方は、主だけなのですから。主の栄光は、天地の一切のものより、はるかに尊いのです。
+ 主はご自分の民を強くし、かけがえのないものとされた民イスラエルの名声を大いに高めてくださいました。ハレルヤ。主をほめたたえましょう。
+
+
+ ハレルヤ。主をほめたたえ、新しい歌を歌いましょう。神の民よ。賛美の歌声を上げなさい。
+ イスラエルよ、あなたを造られた主を喜びなさい。エルサレムの人々よ、王であるお方の前で喜びなさい。
+ タンバリンと竪琴の伴奏で、踊りながら神の御名をほめたたえなさい。
+ 主はご自分の民を喜んで受け入れ、謙虚な者を救ってくださるのです。この光栄を思い浮かべて、神の民が感謝しますように。寝床でも、喜びのあまり歌いだしますように。
+ 神の民よ、主をあがめなさい。神に代わって両刃の剣を取り、国々を罰しなさい。
+ 王や指導者を鉄の鎖で縛り上げ、
+ 宣告されたとおりに処罰しなさい。神の民の栄光は神ご自身です。ハレルヤ。主をほめたたえましょう。
+
+
+ ハレルヤ。神の家でほめたたえましょう。神のお力を示す天で、神をほめたたえましょう。
+ 偉大な奇跡を思い起こして、ほめたたえましょう。
+ ラッパと十弦の琴と竪琴をかなでながら、賛美の歌を歌いましょう。
+ タンバリンを打ち、神をほめたたえましょう。弦楽器と笛で神をほめたたえましょう。
+ 大音響を出すシンバルを打ち鳴らして、神をほめたたえましょう。
+ 生きているものはみな、主に賛美の声を上げなさい。さあ、あなたも神をほめたたえなさい。ハレルヤ。
+
+
+
+
+ ダビデ王の子、イスラエルの王ソロモンの教え。
+ ソロモン王がこの教訓を書いたのは、人々がどんな時にも物事を正しく判断し、公正であってほしいと考えたからです。
+ 「未熟な人たちが賢くなってほしい。」「若い人が正しい生活を送るように注意したい。」
+ 「賢い人には、これらの知恵のことばの深い真理をもっと探究し、より賢くなり、人々を指導できるようになってほしい。」それが彼の願いでした。
+ では、どうしたら賢くなれるのでしょう。まず主を信じ、主を大切にすることです。愚かな人は主の教えをさげすみます。両親の忠告に従いなさい。そうすれば、あとになって人々にほめられるようになります。
+ もし悪い仲間が、「われわれの仲間に入れ」と言っても、きっぱり断りなさい。
+ 「待ち伏せして人を襲い、身ぐるみ巻き上げ、殺そう、
+ 正しい者も悪い者も見境なく。
+ 盗んだ物はわれわれのものだ。あらゆる物が!
+ さあ、仲間に入れ。山分けしよう」と誘われても、
+ 決してその誘いにのってはいけません。そんな者たちには近寄らないようにしなさい。
+ 彼らは悪いことをするだけが生きがいで、人殺しは彼らの専売特許なのです。
+ 鳥は罠が仕掛けられているところを見れば、近寄りません。
+ ところが、彼らは自分で自分を罠にかけているのです。愚かなことに、罠をかけて自分のいのちをつけねらっているのです。
+ 暴力をふるったり人殺しをしたりする者たちは、みなこうなるのです。彼らには悲惨な死が待っています。
+ 知恵は町の中で叫んでいます。
+ 大通りの群衆や法廷の裁判官、そして国中の人に呼びかけます。
+ 「愚か者よ、いつまで聞き分けがないのか。いつまで知恵をさげすみ、素直に真実を認めないのか。
+ さあ、わたしの言うことを聞きなさい。あなたに知恵の霊を注ぎ、賢くしよう。
+ わたしは何度も呼んだのに、あなたがたはそばに来ようともしなかった。嘆願までしたのに、知らん顔をしていた。
+ わたしの忠告にも叱責にも、耳を貸そうとしない。
+ あなたがたには、いつか災いが起こる。そのとき、わたしはあなたがたを笑う。
+ 災いが嵐のように襲いかかり、恐れや苦しみに打ちのめされそうになるとき、
+ そのときになって助けてくれと言っても、わたしはあなたがたを助けない。わたしを懸命に捜しても、もう遅い。
+ それはあなたがたが真実から目をそむけ、主を信頼せず、
+ わたしの忠告を聞かずに、やりたいことをやっていたからだ。
+ あなたがたは、その報いを受けなければならない。自分で選んだ道なのだから、十分苦しみ、恐ろしい思いをするがいい。
+ わたしをきらうとは、全く愚かな人たちだ。一歩一歩死に近づいているのも知らずに、いい気になっている。
+ しかし、わたしに聞き従う人は、何の心配もなく、毎日を平和に暮らす。」
+
+
+ 若者よ。私のことばを聞き、私の教えに従う者はみな、英知を与えられます。
+ もっと深い洞察や識別力がほしいなら、なくした銀貨や秘密の宝を捜すように、熱心に求めなさい。そうすれば、主ご自身を知り、すばらしい主の知恵が与えられます。主を信じ敬うことがどんなに大切かわかります。
+ 主が知恵をお授けになるからです。主のことばはどれも知恵の宝庫です。
+ 主は正しい人に英知を授け、彼らの盾となって、安全に守ってくれます。
+ 主は、どんなときにも何が正しく何が間違っているか、正しく判断する方法を教えてくれます。
+ それは知恵と真理があなたの心に入り、喜びにあふれるからです。
+ こうしてあなたは、仲間に引き込もうとする悪い者たちから離れられます。彼らは神の道からそれ、暗い悪の道に歩み、悪事を働くのが何より楽しいのです。
+ 彼らは、ひねくれたこと、間違ったことばかりします。
+ 悪い女の甘い誘いに惑わされないために、神の知恵を身につけなさい。彼女は結婚の誓いをさげすみ、平気で夫を裏切りました。
+ 彼女の家は死と地獄への通り道です。
+ その家に入る者は身をもちくずし、二度と立ち直れません。
+ 身も心もきよく生きなさい。何があろうと、正しい道からそれてはいけません。
+ 人生を思う存分楽しめるのは正しい人だけです。
+ 悪人はせっかく幸運を手にしても失い、やがて破滅に至るのです。
+
+
+ わが子よ。私の教えたことを忘れてはいけません。充実した生涯を送りたければ、私の命令を忠実に守りなさい。
+ いつも正しい生活をし、人には親切にしなさい。この二つが心から行えるように、しっかり身につけなさい。
+ 神にも人にも喜ばれ、正しい判断力と英知を得たいなら、とことん主に信頼しなさい。決して自分に頼ってはいけません。
+ 何をするにも、主を第一にしなさい。主がどうすればよいか教えてくださり、それを成功させてくださいます。
+ 自分の知恵を過信してはいけません。むしろ主に信頼して、悪の道から離れなさい。心も体もみずみずしく元気がみなぎります。
+ 収入があったなら、まずその一部をささげて、主をあがめなさい。そうすれば、倉には食べ物があふれ、酒蔵は極上の酒で満たされます。
+ 主に懲らしめられても、腹を立ててはいけません。あなたを愛していればこそ、そうするのです。父親がかわいい子どもの将来を思って罰するのと同じです。
+ 善悪の区別がつき、正しい判断力と英知を持った人は、大金持ちよりも幸せです。高価な宝石も、このような知恵に比べたら取るに足りません。
+ 知恵が与えるものは、長く良き人生、財産、名誉、楽しみ、平安です。
+ 知恵はいのちの木、いつもその実を食べる人は幸せです。
+ 主の知恵によって地球は造られ、宇宙全体ができました。
+ 神の知恵によって、泉は地中深くからわき上がり、空は雨を降らせるのです。
+ 二つのものを求めなさい。善悪を見分ける知恵と良識です。この二つを見失ってはいけません。
+ それらはあなたを生きる力で満たし、あなたの誉れです。
+ 挫折や失敗からあなたを守ります。
+ それらがあなたを見張ってくれるので、安心して眠れます。また、主があなたとともにいて守ってくださるので、みじめな思いをすることも、悪者の悪だくみを恐れることもありません。
+ 人に何か頼まれたら、すぐにしてあげなさい。「いつかそのうち」などと、先に延ばしてはいけません。
+ あなたを信じきっている隣人を陥れてはいけません。
+ 意味のないことで争うのはやめなさい。
+ 暴力をふるう者たちをうらやんで、彼らの手口をまねてはいけません。
+ 主はそのような者たちをきらいます。しかし、神の前に正しく生きる人には親しくしてくださいます。
+ 悪者は主にのろわれ、正しい人は祝福されます。
+ あざける者はあざけられ、謙遜な人は助けられ、
+ 知恵ある人はたたえられ、愚か者は恥を見るのです。
+
+
+ さあ、父親の話を聞くように、私の言うことを聞きなさい。知恵のある人になるために、私が教える真理を勉強しなさい。顔をそむけてはいけません。
+ 私も若いころは、母にはひとり息子としてかわいがられ、父とはよく、いろいろなことを話し合ったものです。
+ そんな時、父は口ぐせのように、こう言い聞かせてくれました。「よく聞きなさい。私のことばと教えを大切にすれば、一生幸せに暮らせる。
+ 何よりも、知恵と悟りのある人間になりなさい。このことを決して忘れてはならない。」
+ 知恵があなたを守ってくれます。しっかり心に留め、大切にしなさい。
+ 知恵のある人になるには、まず賢くなろうと決心することです。それが、物事を正しく判断する力と知恵を養うのです。
+ 知恵を高めれば、あなたも高められます。知恵を抱きしめると、それはあなたに大きな誉れを与えます。
+ わが子よ。私の言うようにしなさい。そうすれば長生きし、生涯幸せに過ごせます。
+ 正しい生活をするのが、いちばん賢い生き方です。この大切な真理を学びなさい。
+ そのように生きれば、もたつかないで歩み、走ってもつまずきません。
+ 私の訓戒を実行し、忘れないようにしなさい。それはあなたにいのちとなるからです。
+ 悪者のまねをしてはいけません。
+ 彼らの集まる場所に近寄らず、そこを避けて通りなさい。
+ 彼らは一日分の悪事を働かないと、その夜はおちおち眠ることもできず、人をつまずかせないうちはゆっくり休むこともできません。
+ 悪いことをし、暴力をふるわないと生きていられないのです。
+ 神は正しい人の道を優しく見守り、真昼のように明るく照らしてくださいます。
+ 一方悪者は、暗がりでうろうろ手探りし、あちこちでつまずくのです。
+ わが子よ。私のことばをよく聞きなさい。
+ それを肝に銘じ、忘れないようにしなさい。
+ そうすることがあなたのいのちとなり、健やかにするのです。
+ 何よりも、あなたの心を守りなさい。心は生活全体に影響を与えるからです。
+ 悪い女の慎みのない口づけをはねのけなさい。悪い女に近づいてはいけません。
+ ただまっすぐ前を見つめ、うしろを振り返らないことです。
+ 足もとに気をつけ、確実に進みなさい。
+ 横道にそれてはいけません。危険だとわかったら、一目散に引き返しなさい。
+
+
+ わが子よ。私の言うことばを聞きなさい。私に与えられている知恵を教えよう。
+ 大切なことをうっかり聞きもらさないようにしなさい。
+ 悪い女は甘いことばと調子のいいお世辞が得意です。
+ それにのせられると、あとで苦しまなければなりません。鋭い剣で突き刺されたように、良心がずきずき痛むのです。
+ 苦しみもがけばもがくほど、ずるずると地獄の底へ引きずり込まれます。
+ 彼女は自分でも正しく生きる道を知りません。不確かな道を、行き先も知らずによろよろ歩いているだけです。
+ 子どもたちよ。私の言うことを聞きなさい。しっかり心に刻み込むのです。
+ 悪い女を遠ざけなさい。彼女の家に近寄ってもいけません。
+ 女の誘惑に負けて自分を台なしにし、あなたの人生を残忍で薄情な者に与えることにならないためです。
+ せっかく築いた財産を、見ず知らずの者に横取りされないためです。
+ 体をむしばむ病に冒され、恥をかかないためです。
+ あとで悔やんでも、どうにもなりません。「ああ、言われたとおりにしていたらよかった。一時の欲望に負けなければ、こんなことにならなかっただろうに。
+ ああ、どうして忠告も聞かず、あんな愚かな行為をしたのだろう。
+ もう、だれにも会わせる顔がない。」
+ だから、自分自身の井戸から水を飲みなさい。妻を裏切ってはいけません。
+ 通りすがりの女に子どもを産ませてもいいのですか。
+ 妻でもない女との間に、子どもがあってもいいのですか。
+ あなたの源を祝福されたものとし、若い時からの妻と喜び楽しみなさい。
+ 優しく抱きしめてくれる妻に満足し、愛されている幸せをかみしめなさい。
+ どうして悪い女にうつつを抜かし、妻以外の女を抱くのですか。
+ 神は何もかもご存じです。あなたのなすことすべてに目と心を配っているのですから。
+ 悪者は、自分自身の罪で自分の足をすくっているのです。罪はその人を捕らえ、逃れることができないようにする縄です。
+ その人が死ぬのは真理に背いたからです。自分から愚かなことをした罰なのです。
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+
+ わが子よ。見ず知らずの人の保証人になり、借金の肩代わりをすることになったら、それは深刻な問題です。
+ あなたは自分が承諾したことによって、罠に陥ったのです。
+ もしそうなったら、すぐに手を打ちなさい。プライドを捨て、恥をかくことを覚悟して相手のところへ飛んで行き、証書から名前を消してもらいなさい。
+ 先に延ばさず、今すぐしなさい。眠るのはそのあとにしなさい。
+ 鹿が猟をする者の手を逃れ、鳥が網から逃れるように、うまく逃れるのです。
+ 怠け者よ、蟻を見ならいなさい。蟻のやり方を見て学びなさい。
+ 蟻には、働けと命じる支配者がいません。
+ それでも夏の間懸命に働き、冬の食糧を集めます。
+ ところが、あなたがたは眠ってばかりいます。いったいいつ目を覚ますのですか。
+ 「まだしばらく寝かせてほしい」と言っていますが、その「ほんの少し」が問題なのです。
+ のんびり眠っている間に泥棒のように貧しさが近づいてきて、気がついたときには手遅れです。
+ 悪者は、どうしようもない人間です。彼らは平気でうそをつき、仲間には目くばせや合図で企みを伝えます。
+ 反抗心が人一倍強く、悪いことばかり考え、いさかいを巻き起こすのです。
+ しかし、あっという間に身を滅ぼし、倒れたら二度と立ち直れません。
+ 神のきらいなものが六つ、いいえ七つあります。高慢な態度、うそをつくこと、人殺し、悪だくみ、悪事に熱中すること、偽証、仲たがいの種をまくことです。
+ 若者よ。親の言いつけを守りなさい。
+ 一瞬たりとも忘れないように、親の教えをしっかり心に刻み込みなさい。
+ 昼も夜も彼らの助言に従えば、いつも安全です。朝、目を覚ましたら、教えどおりに一日を始めなさい。
+ 危険だとわかっていればこそ、前もって忠告してくれるのです。だから忠告を聞き、良き人生を送りなさい。
+ そうすれば、悪い女の甘いお世辞に惑わされることもありません。
+ 彼女の美しさに心を奪われてはなりません。誘惑するような目つきにだまされてはいけません。
+ 彼女におぼれると金を巻き上げられ、人妻にうつつを抜かすと身を滅ぼすからです。
+ 火をかかえ込めばやけどをし、
+ 熱く燃える炭火の上を歩けば、やけどを負います。
+ 同じように、人妻と汚らわしい関係を結ぶ者も罰を免れません。
+ 空腹のあまり盗みをしてしまったとしたら、言い訳の余地があるかもしれません。
+ しかし、盗みは盗みです。償いにたくさんの罰金を払わなければなりません。持ち物を全部売り払ってでも、支払わなければならないのです。
+ 人妻と関係する者は愚かな者で、自分で自分を滅ぼします。
+ 身も心も傷つき、取り返しのつかない恥をかくのです。
+ 嫉妬に狂った彼女の夫はあなたに復讐し
+ どんな償いをしても赦しません。
+
+
+ わが子よ。私の忠告を聞きなさい。この忠告をいつも心に留めて、忘れないようにしなさい。
+ それが生きる秘訣です。私のことばを宝物のように大事にしなさい。
+ 肝に銘じ、心に刻みつけなさい。
+ 知恵を恋人のように愛し、家族のように親しくしなさい。
+ そうすれば、悪い女の家に通うことも、甘いことばに耳を貸すこともなくなります。
+ ある日、窓の外を眺めると、
+ 意志の弱そうな者の中に、思慮に欠けた一人の若者が通りを歩いていました。
+ もうまもなく日も暮れようという時です。若者は悪い女を訪ねました。
+ 女はなまめかしい身なりで、媚を売りながら若者に近づきます。
+ よく通りや市場で見かける、下品でがさつな女です。そうやって、あちこちの町角で男を誘惑するのです。
+ 女はその若者を抱きしめて口づけし、何食わぬ顔で言いました。
+ 「私の家にいらっしゃい。おいしいごちそうを作りましょう。
+ 寝床には最高のエジプト麻のすてきなシーツを敷いて、没薬やアロエやシナモンの香りがしみ込ませてあるの。
+ さあ、朝までうんと楽しみましょう。
+ 夫は長い旅に出ています。
+ お金をたくさん持って行ったので、数日は帰らないでしょう。」
+ 女が巧みにくどくので、若者はとうとう甘いことばに負けてしまいました。
+ 彼は屠り場に引かれて行く牛のように、罠にかかった鹿のように女のあとについて行き、
+ 心臓を射抜かれるのを待つだけです。まるで罠に飛び込む鳥のように、どんな運命が待ち受けているか知らないのです。
+ 子どもたちよ。私の言うことを聞き、そのとおりにしなさい。
+ どうにもならなくなる前に欲望を抑えなさい。女のことなど考えないようにして、言い寄るすきを与えないように、彼女のいそうな所は避けて通りなさい。
+ 大ぜいの者が彼女のために一生を棒にふりました。犠牲者は数えきれないほどです。
+ それでも、あえて地獄への道を知りたい人は、彼女の家を探しなさい。
+
+
+ 知恵が呼んでいるのが聞こえませんか。丘の頂や道ばた、町の門、四つ角、家々の玄関で、知恵は叫んでいます。
+ 「皆さん、あなたがたは何もわかっていない。愚かなことばかりしている。だから、わからせてあげよう。
+ これは大切なことだ。わたしはごまかしは大きらいだから、絶対にうそはつかない。
+ 皆さんのためになること、正しいことしか言わない。
+ 聞く気があれば、だれにでもすぐわかること、
+ それでいて、銀や金よりも値打があることを教えよう。」
+ 知恵は宝石よりずっと価値があります。どんな物も比べものになりません。
+ 知恵のある人は正しい判断ができます。知恵がその人に、いろいろなことを教えるからです。
+ 主をないがしろにしないで尊ぶ人は、悪いことがきらいです。知恵のある人はみな、傲慢や腐敗やごまかしをきらいます。
+ 「わたし、知恵がためになることを教えてあげよう。王が国を治めるのも、裁判官が善悪を見分けるのも、わたしによる。
+ 国の指導者は、知恵であるわたしがいなければ正しく治めることはできない。
+ わたしは、わたしを愛する人を愛するから、熱心に探せば必ずわたしを見いだす。
+ いつまでも続く富と名誉、正しいことを行う力はわたしにある。
+ それがわたしの贈り物。純金やよりすぐりの銀よりもすばらしい。
+ わたしはだれをも正しく扱い、えこひいきしない。
+ だから、わたしを愛し、わたしのことばを守る人は、あらゆる面で裕福になる。
+ 主は創造のみわざを始める前に、わたしを造られた。
+ 永遠の昔から、まだ地球もない大昔から、わたしはいた。
+ 海もなく、泉もなく、
+ 山や丘がそびえる以前から、わたしはいた。
+ 主が大地や草原を造る以前に、わたしはすでにいた。
+ 主が大地の上に天を広げ、海の底から大きな泉をわき上がらせたとき、わたしはそこにいた。海と陸の境界線を決め、水があふれないようにされたときも、わたしはいた。そうだ。主が大地と海の青写真を作ったとき、わたしもいたのだ。
+ わたしはいつもいっしょに働き、子どものように毎日そばにいて、主を喜ばせた。
+ そして主が造られたこの世界で、人々と楽しく過ごした。
+ だから、わたしのことばに聞き従いなさい。わたしの命令を守ることが幸福のかぎなのだから。
+ わたしの言うことを聞いて、知恵ある人になりなさい。耳をふさいではいけない。
+ 何としてもいっしょにいたいと、毎日門の前で、わたしが出て来るのを待ちかまえている人は幸せだ。
+ わたしを見いだす人はいのちを見いだし、主に受け入れていただくことができる。
+ しかしわたしを見失う人は、自分をだめにする。わたしの忠告を退ける人は死を愛しているのだ。」
+
+
+ 知恵はりっぱな宮殿を建て、
+ 大宴会を開こうと、ぶどう酒を用意し、
+ 娘たちに客を呼びに行かせました。娘たちは人通りの多い場所で呼びかけました。
+ 「謙遜な人々は、どうぞおいでください。
+ 知恵が開く宴会で、私が作ったぶどう酒をお召し上がりください。
+ どうしたら賢くなれるか、賢明に生きられるか、よくわかるでしょう。」
+ 人をさげすむような者に忠告を与えても、辛辣なことばで言い返されるだけです。その人のことを思ってしてあげても、恨まれるだけなので、もうかかわらないほうがよいのです。知恵のある人は違います。忠告すると、前以上にあなたを愛してくれます。
+ 知恵のある人を教えなさい。その人は、ますます賢くなります。正しい人を教えなさい。その人は、さらに多くのことがわかるようになります。
+ 知恵の基本は、主を恐れ、大切にすることです。物事がよくわかるようにしたければ、まず神を知りなさい。
+ 「生きがいのある実り多い人生を送らせてあげよう」と、知恵は勧めます。
+ 知恵は知恵ある人を助けます。知恵をあざけるなら、自分が傷つくだけです。
+ 悪い女はがさつで、みだらで、恥知らずです。
+ 自分の家の前や町角で、
+ 通りがかりの人や仕事に出かける人をつかまえては誘惑し、
+ だましやすそうな人を見つけると、しつこくささやきかけます。「私の家にいらっしゃい。
+ 盗んだ水は甘く、盗んだ食べ物はおいしいのです。」
+ 彼らは、この女の客になった者が今は地獄にいることを知らないのです。
+
+
+ ソロモンの教訓。知恵のある子を持つ人は幸せですが、愚かな子は母親にとって悲しみでしかありません。
+ 悪いことをしてもうけた金はすぐになくなります。どこまでも正しく生きることが幸福のかぎです。
+ 正しく生きている人を、主は飢えさせません。悪人は、せっかくもうけた金を主に取り上げられます。
+ 怠ければたちまち貧しくなり、一生懸命働けば財産ができます。
+ 利口な若者は陽の高いうちに干し草を作り、恥知らずの若者は、いざというとき平気で居眠りしています。
+ 正しい人は、頭のてっぺんから足のつま先まで祝福され、悪人は心の中で不運をのろいます。
+ 正しい人のことを思い出すのは楽しいものです。しかし悪人の名前は、思い出すだけでも不愉快です。
+ 知恵のある人は喜んで人から教わり、愚か者は知ったかぶりをして失敗します。
+ 正しい人はしっかりした足どりで歩き、ひねくれ者はすべって転びます。
+ 罪を見て見ぬふりをすると、悲しみをもたらします。しかし思いきって注意すれば、平和がもたらされます。
+ 正しい人は相手の役に立つことばかりを語り、悪人は人をのろうことしか知りません。
+ 憎しみはいつも争いを起こし、愛は裏切られても相手を赦します。
+ わきまえのある人は適切な助言をして人に称賛され、わきまえのない人はひどい扱いを受けます。
+ 知恵のある人はことば数が少なく、愚か者は知っていることを洗いざらいしゃべり続けます。そのため、不幸と災難ををかかえ込むのです。
+ 金持ちは自分の財産に頼り、貧しい人はひたすら自分の貧困をのろいます。
+ 正しい人はもうけたお金を生かして使い、悪人はお金を手に入れると、ますます悪いことをします。
+ 進んで誤りを指摘してもらう人はいのちの道を歩み、忠告を聞かない者は、またとないチャンスを逃がします。
+ ひそかに人を憎むのはうそつき、あからさまに中傷するのは愚か者です。
+ ことば数が多いと失敗します。配慮をもって話す人が、ほんとうに知恵ある人です。
+ 正しい人の言うことは聞く値打があります。愚か者の言うことは聞くだけむだです。
+ 神を信じる正しい人は、有益なことを語り、かたくなに信じない者は、何もわからないまま死んでいきます。
+ 主に祝福されることほどすばらしい富はありません。人間は、どんなにがんばっても、この富に少しでも加えることはできません。
+ 愚か者の楽しみは悪事を働くこと、知恵ある人の楽しみは知恵を増すことです。
+ 悪人が恐れることはすべてそのとおり起こり、正しい人が望むことはみな、そのとおりかなえられます。
+ 災いは竜巻のように襲いかかり、あっという間に悪人を巻き上げます。しかし、正しい人には重い錨があるので安心です。
+ 煙が目にしみ、酢で歯が不快になるように、怠け者は雇い主の悩みの種です。
+ 主を敬う人の毎日は充実していますが、悪者の一生は全くむなしいものです。
+ 正しい人の望みは永遠の幸せにつながり、悪者の期待はむなしく消えます。
+ 主は正しく生きる人を守り、悪者は滅ぼしてしまいます。
+ 正しい人は必ず神に祝福され、悪者は何もかも失います。
+ 正しい人は、よく考えてから忠告します。だれも、うそつきの言うことなど聞きません。
+ 正しく生きる人は役に立つことを話し、悪者は何にでも反対します。
+
+
+ 主は人をだます者を憎み、正直な人を愛します。
+ 高慢な人は恥をかきますが、謙遜な人は知恵を身につけます。
+ 正しい人は誠実に歩み、悪人は不正直なために破滅します。
+ 財産さえあれば大丈夫と高をくくってはいけません。さばきの日には、正しく生きる人だけが救われるのです。
+ 正しい人は正直に生き、悪人は犯した罪の重さに耐えられず、ついには押しつぶされてしまいます。
+ 正しく生きる人の身は安全ですが、裏切り者はいつかは破滅します。
+ 悪人はこの世のことしか考えないので、死んでしまえば希望もなくなります。
+ 神は正しい人を危険な場所から助け出し、代わりに悪者をその場所へ投げ込まれます。
+ 悪人のことばは破壊し、正しい人の知識は建て直します。
+ 正しい人が成功すると町中が祝い、罪深い人が死ぬとみな大喜びします。
+ 神を信じる市民が良い影響を与えているうちは町は栄え、悪者たちによって道徳が腐敗すると、町はたちまち衰えます。
+ 隣近所とけんかをするほど愚かなことはありません。賢い人は不必要なことは話しません。
+ おしゃべりな人は根も葉もないことを言いふらし、信頼できる人はうわさ話を口にしません。
+ 良い指導者がいなければ国民は苦しみ、良い助言をする人がいれば国は安泰です。
+ 保証人になる時は相手をよく見なさい。あとで苦しむより、初めから断るほうが賢明です。
+ 親切で優しい女は良い評判を得、横暴な男は富を得ようとします。
+ 人に親切にすると心が豊かになり、思いやりのないことをすると気持ちがすさみます。
+ 悪いことをしてもうけた金はすぐになくなり、正しいことをして得た報酬はいつまでも残ります。
+ 正しい人は生きる意味を見つけ、悪人はただむなしく死んでいきます。
+ 心の曲がった者を主はきらいます。主が喜ぶのは正しい人です。
+ 悪人はいつか必ず罰せられます。しかし、神は正しい人の子孫をいつか必ず救います。
+ 美人でも浅はかで慎みがない女性は、まるで豚の鼻にかかった金の輪のようなものです。
+ 正しい人は幸せを望み見、悪者の望みは怒りを招きます。
+ 惜しげなく人に施しても、ますます金持ちになる人もあれば、財布のひもを固く締めても、一文無しになる人もいます。物惜しみしない人が裕福になります。人を潤すことで、自分も潤うのです。
+ 値上がりするまで穀物を売り惜しみする者は恨まれ、みなが困っているときにそれを売りに出す人は喜ばれます。
+ 良いことをしようとひたすら努力する人は神に愛され、悪いことばかりに熱中する者はきらわれます。
+ お金に頼ると失敗します。神に頼れば、若木がすくすく成長するように、すべてのことがうまくいきます。
+ 家族を怒らせるような愚か者は、やがて大事なものまでもなくし、ついには知恵ある人の使用人になりさがります。
+ 神を信じる人はいのちの実のなる木を育て、知恵ある人は人のたましいを破滅から救います。
+ 神を信じる人がこの世で報われるとすれば、神に逆らう者が相応の報いを受けるのは当然です。
+
+
+ 人の言うことを聞く気がある人は、知識を得ることができます。叱責に耳をふさぐ者は愚か者です。
+ 主は正しい人を祝福し、悪人を罰します。
+ 悪いことをして成功する者はいません。成功するのは正しい人だけです。
+ 良い妻は夫の誇り。悪い妻は夫に肩身のせまい思いをさせ、事ごとに足を引っ張ります。
+ 正しい人の考えは正直一筋ですが、悪人はうそと偽りでこり固まっています。
+ 悪人は人を責め、神を恐れる人は人をかばいます。
+ 悪人の家は必ず滅び、正しい人の家は最後まで存続します。
+ 見識のある人は、だれからも称賛され、ひねくれ者はみんなに軽蔑されます。
+ 高慢で働きもせず、食べるにも事欠くより、目立たない仕事でもまじめに働き、食にありつくほうがまさっています。
+ 正しい人は自分の家畜にまで細かく気を配ります。しかし神を恐れない人は、うわべは親切そうでも思いやりがありません。
+ こつこつ働けば生活は楽になります。怠けて遊んでいるのは愚か者だけです。
+ 曲がった者は仲間の分け前まで欲しがり、正しい人は自分の物をなげうってでも人を助けます。
+ うそをつくとあとで苦しみますが、正直者にはそんな心配はありません。
+ ほんとうのことを言う人も、こつこつ働く人も必ず報われます。
+ 愚か者は忠告を無視し、知恵ある人は人のことばに耳を傾けます。
+ 愚か者はすぐ怒り、知恵ある人は侮辱されても冷静です。
+ 正しい人かどうかは正直さでわかり、不誠実な人はうそと欺きでわかります。
+ 批評好きは人を傷つけますが、知恵ある人のことばは慰め、いやします。
+ 真実はいつまでも変わらず、うそで塗り固めたものはすぐにはがれ落ちます。
+ 悪いことを企む者は、人をだますことで頭がいっぱいです。しかし、良いことをする人は、いつも喜びに満たされています。
+ 正しい人はどんな災いにも会わず、悪者には苦しみがつきまといます。
+ 主は約束を守る人を愛しますが、約束を破る人はきらいです。
+ 知恵ある人は知っていても黙っていますが、愚か者は言いふらして、愚かさをさらけ出します。
+ 勤勉な人は指導者になり、怠け者はいつまでたっても成功しません。
+ どんなに沈んでいる人も、励ましのひと言で心が軽くなります。
+ 正しい人は友の助言を求めますが、悪者は軽率に突き進んで失敗します。
+ 無精者は、捕らえた獲物を料理するのも面倒がります。しかし勤勉な人は、見つけた物は少しもむだにせず、うまく利用します。
+ 神を信じる人はいのちの道を歩いているので、死を恐れることがありません。
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+ 知恵のある若者は父親の忠告を聞き、親をさげすむ子はそれを鼻であしらいます。
+ 正しい人は注意深く語って訴訟に勝ちますが、邪悪な者は争いを欲するだけです。
+ 自分を制するとは、ことばに気をつけることです。とっさに言い返すと、何もかもぶち壊しになることがあります。
+ 怠け者は、いくら欲しがっても、何も得ることができません。しかしこつこつ働く人は、裕福になります。
+ 正しい人はうそを憎み、悪者はうそばかりついて恥をかきます。
+ 何よりもまず正しく生きることです。悪いことをすれば必ず身を滅ぼします。
+ 自分で金持ちだと思っていても貧しい人がおり、貧乏だと思っていても富んでいる人がいます。
+ 富がなければ、身の代金目当てに子どもを誘拐される心配もありません。
+ 正しい人は明るく生き生きした毎日を送り、悪者は陰気な日陰の道を歩きます。
+ 自分に自信がありすぎる人は、なかなか主張を曲げません。素直に忠告を聞く人は賢くなります。
+ 賭け事で得た財は羽が生えて飛んでいき、こつこつためた財は確実に増えていきます。
+ 長い間期待が延ばされると心を病みますが、待ち望んだ夢が実現すると、生きているのが楽しくなります。
+ みことばをおろそかにすると苦しい目に会い、みことばに従えば成功します。
+ 知恵のある人の助言を聞くのは、泉の水を飲むようなものです。たちまち元気が出て、前方の落とし穴がよく見えるようになります。
+ 物事のよくわかる人は高く評価され、裏切り者は苦い思いをします。
+ 見識のある人は先を見て動き、愚か者はそれとは違い、愚かさを自慢します。
+ あてにならない人に伝言を頼むとめんどうが起き、信頼できる人に頼めば目的は果たされます。
+ 正しい批判に耳を貸さないと貧乏になり、恥をかきます。聞くべき批判を聞けば、名をなす人になります。
+ 計画どおりにいくのは快いものです。しかし愚か者は、間違った計画でもあきらめがつきません。
+ 知恵ある人のそばにいれば知恵ある人になり、悪人のそばにいれば悪に染まります。
+ 悪いことをすれば人にのろわれ、正しいことをすれば祝福されます。
+ 正しい人は孫にまで遺産を残しますが、罪人の財産は、最後には神を恐れる人のものになります。
+ 貧しい人の畑でも土は肥えています。しかし不正があれば、その収穫は奪われます。
+ 子どもを懲らしめない親は、その子を心から愛していないのと同じです。愛している子なら罰するはずです。
+ 正しい人は生きるために食べ、悪人は食べるために生きます。
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+ 知恵のある女は自分の家を建て、愚かな女は自分の家を自分で壊します。
+ 正しいこととは主をたたえること、罪を犯すことは主をさげすむことです。
+ 高慢な者はむだ口をたたいて自分の尊厳を傷つけ、知恵のある人は役に立つことを語って人から尊敬されます。
+ 働かなければ、手を汚さない代わりに収入もありません。
+ 真実な証人はうそをつかず、偽りの証人はうそを語ります。
+ 人をさげすむ者に知恵は寄りつかず、思慮のある人には、知恵のほうからやって来ます。
+ 正しい忠告をもらいたいなら、愚か者を相手にしてはなりません。
+ 知恵のある人は先を見越し、愚か者は自分をごまかして事実を直視しません。
+ 神の教えに背く者たちは過ちを犯し、神を恐れる者たちは人を思いやります。
+ 悲しみも喜びも、真にわかるのはその人自身で、他の人が完全に共有することはできません。
+ 悪者の働きは失敗し、神を恐れる人だけが成功します。
+ だれでも、広く歩きやすい道が正しい道と考えますが、それは死に通じる道です。
+ 笑っても苦しみは隠せません。笑ったあと、悲しみがそのまま残っています。
+ 信仰をなくした人は自分に嫌気がさしますが、神を恐れる人の生活には活気があります。
+ わきまえのない人は言われたことを鵜呑みにし、慎重な人は将来をよく考えて行動します。
+ 賢い人は用心深く危険を避け、愚か者は自信満々につき進みます。
+ 短気な人は愚かなことをし、忍耐強い人をきらいます。
+ 愚か者は愚かさを報いとして得ますが、賢い人は知識を得ます。
+ 悪人は、いつかは神を恐れる人に頭を下げることになります。
+ 貧しい人は隣近所にさえ相手にされず、金持ちは友に不自由しません。
+ 貧しい人を軽蔑してはいけません。貧しい人に親切にすれば、自分も幸せになります。
+ 悪いことを企む者は道に迷い、良いことを計画する人は神に愛されて安全です。
+ まじめに働けば収入は増え、むだ話ばかりしていると貧しくなります。
+ 知恵のある人は知恵をほめられ、愚か者は愚かさを軽蔑されます。
+ 真実を言う証人は無実の罪をはらしてくれますが、偽りの証人は平気で人を裏切ります。
+ 神を恐れる人は頑健で、子どもたちは安心して、その人に頼ります。
+ 主を恐れることはいのちの泉です。その水を飲めば生きる力がわいてきます。
+ 民が増えるのは王にとって栄光であり、民が減るのは王座の揺らぐしるしです。
+ 利口な人は腹を立てるのは愚かだと知っているので、自分の感情を抑えます。
+ 心がおおらかだと長生きし、激しやすい人は寿命を縮めます。
+ 貧しい人をいじめるのは、その人たちを造った神をさげすむこと、貧しい人を助けるのは神をほめたたえることです。
+ 神を信じる人には、死ぬ時にも心の拠り所がありますが、悪者は罪に押しつぶされます。
+ 知恵は聡明な人の心に住み、愚か者がそれを聞くには大声で叫ばなければなりません。
+ 神を敬うことは国を高め、罪は民をおとしめます。
+ やるべきことを心得ている召使は王に好かれ、やっかいな召使は王の怒りを買います。
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+ 穏やかに答えれば相手の心を静め、激しいことばでやり返すとけんかになります。
+ 良い教師がいれば学習が楽しくなり、無力な教師は益にならないことをまくし立てます。
+ 主はあらゆる所で、悪人も正しい人も一人残らず見張っています。
+ 優しいことばは人を元気づけ、不平は人の気をくじきます。
+ 愚かな子ほど父親の忠告を見くびり、利口な子ほど、ひと言ひと言を熱心に聞きます。
+ 正しい人は裕福になり、悪者は収穫を得ても、めんどうなことに巻き込まれます。
+ 人を教えられるのは知恵のある人だけで、神に背く者にはとてもできません。
+ 主は悪者の供え物を憎み、正しい人の祈りを喜びます。
+ 主は悪者の行いをきらい、正しく生きようとする人を愛します。しかし途中で心変わりしたら、きびしい罰が待っています。その罰を受け入れなければ死ぬだけです。
+ 地獄の深遠まで知っている主には、人の心など手に取るようにわかります。
+ 人をさげすむ者は、しかられるのをきらって、知恵のある人を避けようとします。
+ 楽しければ顔が輝き、悲しければ顔が曇ります。
+ 知恵のある人は熱心に真理を求め、人をさげすむ者はつまらないことに熱中します。
+ 気が重いと何もかも悪く見え、気分がいいと、いつも喜んでいられます。
+ 財産があるばかりにあれこれ気を遣うより、貧しくとも主を信じて生きるほうが幸せです。
+ 憎む者といっしょにごちそうを食べるより、愛する人と質素な食事をするほうが幸せです。
+ 気の短い者はすぐにけんかを始め、冷静な人はその場をうまく収めます。
+ 怠け者は年中問題をかかえ込み、誠実な人は平和な一生を送ります。
+ 分別がある息子は父親を喜ばせ、反抗的な息子は母親を悲しませます。
+ 愚かなことをして喜ぶのは、何かが間違っている証拠です。分別の備わった人は正しい道を踏みはずしません。
+ 良い助言をくれる人が少ないと計画は失敗し、多いと成功します。
+ 良い助言は喜びをもたらし、時宜にかなったことばは、いかにすばらしいものか。
+ 神を恐れる人の道は天国へ上る道。地獄からはどんどん遠ざかります。
+ 主は高慢な者を破産させ、未亡人を心に留めます。
+ 主は悪者の計画を憎み、親切なことばを喜びます。
+ 不正を働いて得た金は家族みんなを不幸にし、わいろを憎むことは幸福をもたらします。
+ 正しい人はよく考えてから話し、悪者は見境なく悪いことばを吐き出します。
+ 主は悪者とは距離を置き、正しい人の祈りを聞きます。
+ 生き生きした目の輝きと良い知らせは、人を喜ばせ、力づけます。
+ 有益な批判を取り入れるのは賢い人です。批判を拒絶すれば自分をだめにします。
+ 主を恐れ、謙遜に生きる人は知恵を身につけ、人の称賛を得ます。
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+ 人は計画を立てますが、その結果は主の手の中にあります。
+ 人はいつも自分が正しいと思います。しかし、主もそう思っているでしょうか。
+ 自分でしようとしていることを主にゆだねなさい。そうすればうまくいきます。
+ 主はすべてのものを目的をもって造りました。悪者でさえ、罰するために造られたのです。
+ 主は高慢な人をきらいます。そういう人は必ず罰せられます。
+ 思いやりと真心があれば罪は除かれ、主を恐れる気持ちがあれば悪に手を染めません。
+ 主を喜ばせようとすれば、その人の最大の敵も、主が味方に変えてくれます。
+ 人をだまして大もうけするより、わずかずつでも正直にかせぐほうがましです。
+ 人は心に計画を立てます。しかし、それを確かなものにするのは神です。
+ 神は、王が正しく裁けるように助けるので、王は間違ったことを言ってはいけません。
+ 正直に商売すること、それが主の決めた鉄則です。
+ 王が悪を行うのは恐ろしいことです。正しく治めてこそ、その地位は長続きするのです。
+ 国民が正しく生きることは王の喜びです。
+ 王を怒らせるのは死刑を宣告されたようなもので、知恵のある人は王の怒りをうまくなだめます。
+ 王を喜ばせる者は目をかけられます。
+ 知恵は金にまさり、すぐれた理解力は銀にまさります。
+ 神を恐れる人は悪を行いません。その道を歩む者は安全です。
+ プライドが高すぎると身を滅ぼし、高慢は失敗を招きます。
+ 金持ちで高慢な人より、貧しくても謙遜な人のほうが幸せです。
+ 神のみことばを聞く人は祝福されます。主に信頼する人は幸せです。
+ 知恵のある人は聡明な人と呼ばれ、人に好かれる最高の教師です。
+ 知恵のある人は生きる喜びにあふれ、愚か者は愚かさのために苦しみます。
+ 知恵のある人のことばは的確で説得力があります。
+ 親切なことばははちみつのように甘く、人々を元気づけます。
+ 広くて歩きやすい道は正しい道に見えます。しかし、その終点は死です。
+ 食べるために働く気を起こさせるなら、ひもじさも役に立ちます。
+ 怠け者の手は悪魔の手、その口は悪魔の口です。
+ 悪人は争いを起こし、陰口を言う者は親友が離れていきます。
+ 悪者は仲間を作るのが大好きで、人を罪に誘い込みます。
+ 悪者は心の中で悪いことを企み、口をすぼめてうかがっています。
+ 白髪は光栄の冠、神に従う人の中に多く見いだされます。
+ 英雄よりも温和な者のほうがすぐれ、軍隊を動かす指揮官よりも自分を制する者のほうに力があります。
+ 人はくじを引きますが、その結果を決めるのは主です。
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+ ごちそうがありながら毎日争いごとがある家より、たった一切れのパンを仲良く食べる家のほうが幸せです。
+ 賢い使用人は、主人の恥知らずの息子を監督し、財産の分け前をもらいます。
+ 銀や金は火で精錬しますが、人の心をきよめるのは主です。
+ 悪人は悪人同士でつき合い、うそつきはうそつき同士でつき合います。
+ 貧しい人をさげすむのは、その人を造った神をさげすむのと同じです。神は人の不幸を喜ぶ者を罰します。
+ 孫は老人の無上の栄誉、子どもの栄誉は彼らの父です。
+ 神に背く者が真実を言ったり、王がうそをついたりすることはめったにありません。
+ わいろには魔力があり、だれが使っても効果があります。
+ 愛のある人は人の誤りを水に流し、いつまでもこだわる者は親友までも失います。
+ 理解力ある人は一度しかれば十分です。それは、聞き分けのない者の背を百ぺんむち打つよりも効き目があります。
+ 悪者は何でも逆らって生きるので、きびしい罰を受けます。
+ 愚かなことにふける愚か者に会うより、子を奪われた雌熊に会うほうがよほど安全です。
+ よくしてもらいながら、その好意を裏切る者はのろわれます。
+ いったん火のついた争いごとは、なかなか収まりません。だから、初めから争いはしないことです。
+ 間違いを正しいと言い、正しいことを間違いだと言う者は、主に憎まれます。
+ 真理を学ぶ気がなければ、いくら授業料を払っても意味がありません。
+ 真の友は決して裏切りません。兄弟は苦しみに会ったときに助け合うためにいるのです。
+ 思慮の足りない者は気安く保証人になり、その人の借金の責任を負います。
+ 罪人は争いが大好きで、高ぶる者は問題を探し求めます。
+ 悪人はだれにでも疑いの目を向け、いつも災いに陥ります。
+ 反抗する者の父親には、生きる楽しみがありません。
+ 心が陽気になれば体も健康になり、気がふさげば病気になります。
+ 買収されて正義を曲げるのはよくありません。
+ 分別のある人は知恵から目を離さず、愚か者は遠くをぼんやり眺めています。
+ 反抗的な子は親泣かせです。
+ 正しい人を正しさゆえに罰金を科し、高潔な人を正直さゆえに罰するのは、なんと愚かなことでしょう。
+ 賢い人は無口で、すぐに怒ったりしません。だから、愚かな人も黙っていれば賢く見え、くちびるを閉じていれば得をします。
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+ 自分のことしか考えない者は、あらゆる規則に盾をつき、自分のやり方を押し通します。
+ 神に背く者はただ大声で叫びたいだけで、事実はどうでもよいのです。
+ 悪いことをすれば必ず恥をかきます。
+ 知恵のある人は、深い流れのように味わいのあることを言います。
+ 裁判官が悪者をかばい、無実の者を罰するのはよくありません。
+ 愚か者はすぐにけんかをします。愚か者の口は破滅のもとで、いつも危ない橋を渡ります。
+ 陰口はよだれの出そうなごちそうのように、大いに食欲をそそります。
+ 怠け者は破壊する者の兄弟です。
+ 主は絶対安全なとりで、正しい人はその中に逃げ込みます。
+ 金持ちは浅はかにも、「富がすべて。富さえあれば絶対安全だ」と思っています。
+ 高慢になると身を滅ぼし、謙遜になると人から称賛されます。
+ よく聞かないで早合点すると、恥をかきます。
+ 心がしっかりしていれば病気にも負けません。しかし、心が失せたら望みはありません。
+ 知識のある人はいつも、新しいことを知ろうと努力します。
+ 贈り物には不思議な力があります。地位ある人の前に彼を導きます。
+ だれの話でも、他の人が裏を明かして、全貌がわかるまではもっともらしく思えます。
+ いくら言い争っても解決しないときは、くじで決めなさい。そうすれば丸く収まります。
+ 堅固な城を攻め落とすより、けんかした友人と仲直りするほうが大変です。怒った相手は、頑としてあなたを受けつけません。
+ 忠告するのが上手な人は、ごちそうをたらふく食べたときのような満足感をいつも味わいます。
+ おしゃべり好きは、おしゃべりの後始末をさせられます。うっかり間違ったことを言って死ぬ場合もあるのです。
+ 良い妻を見つける人は幸せ者です。良い妻は神からのすばらしい贈り物です。
+ 貧しい人は拝むようにして頼み、金持ちは相手を軽蔑しきって答えます。
+ 友人のふりをする「友人」もいれば、実の兄弟より親しい友人もいます。
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+ 人をだまして金持ちになるより、貧しくても正直に生きるほうが幸せです。
+ よく調べもせずに突っ走るのは、失敗のもとです。
+ 人は自分の不注意でチャンスを逃しては、それを主のせいにします。
+ 金持ちには友がたくさんできますが、貧しい人にはだれも寄りつきません。
+ 偽証すれば罰せられ、うそをつけば罰を免れません。
+ 気前のいい人は大ぜいの人に好かれ、だれとでも友になります。
+ 貧しいと、友ばかりか兄弟にもそっぽを向かれます。どんなに呼んでも、去った人は戻りません。
+ 知恵のある人は、自分の一番大事な仕事を愛して成功します。
+ 偽証すれば罰せられ、うそをつけば捕まります。
+ 愚か者が成功し、使用人が主人を支配するのはふさわしくありません。
+ 利口な人は侮辱されても、忍耐を働かせて信用を得ます。
+ 王の怒りはライオンのうなり声のように恐ろしく、優しいことばは草に降りる露のように快いものです。
+ 不従順な子は、父にとってわずらわしい存在です。文句ばかり言う妻は、したたり続ける雨もりのようにやっかいです。
+ 家や財産なら父親でも息子に残すことができます。賢い妻は、主に与えていただくしかありません。
+ 怠けて眠りこけてばかりいると、そのうち飢えることになります。
+ いのちが惜しければ命令を守りなさい。命令を無視する者は死にます。
+ 貧しい人に手を差し伸べるのは、主に貸すのと同じです。あとで主が報いてくれます。
+ まだ望みのあるうちに子どもを懲らしめなさい。放っておいて、その一生を台なしにしてはいけません。
+ 短気な者が失敗したら、自分で後始末をさせなさい。一度でも助けてやると、くり返すようになります。
+ 忠告はできるだけ聞いて、賢く生きなさい。
+ 人はたくさんの計画を立てますが、主の計画だけが成るのです。
+ 親切な人はだれにも好かれます。貧しくても、うそつきよりは良いのです。
+ 主を恐れることは、幸せで安全な生活のかぎです。
+ 目の前に食べ物があるのに、口に入れようともしない怠け者がいます。
+ 人をさげすむ者を罰すれば見せしめになり、知恵のある人をしかると、ますます賢くなります。
+ 親に乱暴する者は辱めを受けます。
+ 間違っていると思う教えを聞くのはやめなさい。
+ 偽りの証人は正しい裁判を侮り、こりずにまた罪を犯します。
+ さばきをさげすんで守らない者は、きびしく罰せられます。
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+ 酒を飲むと気が大きくなり、酔っぱらってけんかになります。酒に飲まれて失敗する者は愚か者です。
+ 王が怒るのは、ライオンがほえるようなものです。王の怒りを買うといのちが危うくなります。
+ 争いを避けるのは名誉なことです。けんか好きなのは愚か者だけです。
+ 冬のうちに耕しておかないと、刈り入れ時になっても収穫は望めません。
+ 人が心の中で考えていることを、知恵のある人はうまく引き出して役立てます。
+ 人はだれでも、自分を頼りになる友だと言いますが、それがほんとうかどうかはわかりません。
+ 子どもにとって一番の遺産は、正直に生きることを教わることです。
+ 裁判の席につく王は、あらゆる証拠を注意深く調べ、ほんとうのこととうそとを見分けます。
+ 「心を入れ替えたから、もう潔白だ」と、だれが言えるでしょう。
+ 神はごまかしやうそをきらいます。
+ 小さな子どもでも、行いが正しいかどうかを見れば性格がわかります。
+ 目が見え、耳が聞こえるなら、目と耳を与えてくれた神に感謝しなさい。
+ 眠ってばかりいると貧しくなります。目を覚まし、力いっぱい働けば、食べるに事欠きません。
+ 買手は、「こんな物どこがいいんだ」と言って値切りますが、買ってしまうと、良いものを買ったと自慢します。
+ 金や宝石を持っていることより、思慮のあるほうが、ずっとすばらしいことです。
+ 見ず知らずの人に金を貸すと、それきりになるおそれがあります。
+ 人をだまして喜んでいる人がいます。しかし、だまし取った金で買ったパンは、口の中でじゃりに変わるのです。
+ 計画を立てるときは人の意見をよく聞き、戦いを始めるのはみなが賛成してからにしなさい。
+ おしゃべり好きにうっかり秘密をもらすと、世界中に喧伝されます。
+ 親をのろう者は死ななければなりません。
+ 思わぬ大金が転がり込むと、かえって不幸になることがあります。
+ 悪いことをされても仕返ししてはいけません。主があなたを救うのを待ち望みなさい。
+ 主はごまかしやうそをきらいます。
+ 主が私たちの歩みを導いてくださいます。人は自分に起こることすべてを理解することなどできるでしょうか。
+ よく考えもしないで神に約束すると、あとで大変なことになります。
+ 知恵のある王は犯罪をなくすために、犯人をきびしく罰します。
+ 良心は心の中をはっきり照らして、隠れた思いを明るみに出す、主の光です。
+ 正しく思いやりのある王が治める国は、何があっても揺らぎません。
+ 若い人の良いところはその若さ、老人のすばらしいところは豊富な経験です。
+ こらしめのむちは、二度と悪いことをしないように教えるためです。
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+ 灌漑の水が流れ込むように、主は王の心を思いのままに動かされます。
+ どんな行いでも、もっともらしい理由をつければ正しく見えますが、神はどんなつもりでそうしたかを見ます。
+ 供え物をするより、正しい人であるほうが主に喜ばれます。
+ 高慢も、情欲も、悪い行いも、みな罪です。
+ 地道に努力すれば利益がもたらされ、一儲けしようと急ぐと貧困がもたらされます。
+ 不正で得た富はすぐなくなります。それなのになぜ、危険を冒そうとするのでしょう。
+ 悪者は不正を行ってばかりいますが、いずれその悪事が戻ってきて、自分を滅ぼすことになります。
+ 行いを見ればその人がわかります。悪人は悪いことをし、正しい人は神の教えを守るのです。
+ 怒りっぽい女とりっぱな家に住むより、屋根裏部屋の隅で暮らすほうがましです。
+ 悪人は人を傷つけるのが大好きで、人に親切にしようなどとは考えもしません。
+ 知恵のある人は聞くだけで学ぶことができます。愚か者は、人をばかにする者が罰を受けるのを見るまでは、学ぶことができません。
+ 正しい方である神は、悪者が家の中で何をしているのか知っていて、その者にさばきを下します。
+ 貧しい人を助けない者は、自分が困ったときにも助けてもらえません。
+ 贈り物をすれば、怒っている人も機嫌を直します。
+ 正しい人は喜んで正しいことをし、悪人を恐れさせます。
+ わきまえのない怠け者は、のたれ死にするしかありません。
+ 毎日遊び暮らしていると貧しくなります。酒やぜいたく品は富をもたらしません。
+ 最後に勝つのは、悪人ではなく正しい人です。
+ 口うるさく不平ばかりこぼす女といるより、荒野に住むほうがましです。
+ 知恵のある人は将来に備えて貯金をし、愚か者は考えもなしに金を使います。
+ 正しく思いやりのある者になろうとする人は、充実した生活を送り、人からもたたえられます。
+ 知恵のある人は強い相手と戦っても負けません。とりでに立てこもる敵も見事に打ち負かします。
+ 口を開かないでいれば、苦難に陥ることもありません。
+ 人をばかにする者は傲慢で、自分が一番だと思い上がっています。
+ 怠け者は働きもしないで、やたらに欲しがり、人をうらやむことしか知りません。しかし神を恐れる人は、喜んで人に与えます。
+ 神は悪人からの贈り物がきらいです。何か下心があるときはなおさらです。
+ 偽証すれば罰せられ、正直に証言すれば安全です。
+ 悪人は強情ですが、神を恐れる人は、悪いとわかれば素直に考え直します。
+ どんなに賢明な人でも、どんなに良い教育を受けた人でも、主と対等にやり合うことなどできません。
+ さあ、戦う準備をしなさい。しかし、勝利は主によってもたらされます。
+
+
+ 富よりも名誉を大事にしなさい。金や銀で名声は買えません。
+ 金持ちも貧しい人も、神の前では同じです。すべての人を主が造ったからです。
+ 注意深い人は先まで見通しを立て、失敗しないように準備します。考えの足りない者はむやみやたらに進み、あとで苦しみます。
+ 謙遜で主を敬う人は、富も名誉も長寿も与えられます。
+ 神の教えに背く者の道には、危険な罠が待ち受けています。自分を大切にする人は、決してそこに近寄りません。
+ 子どもの時に正しい生き方を教えておけば、年をとってからも変わりません。
+ 貧しい人が金持ちに押さえつけられるように、金を借りる者は貸してくれた人の奴隷になります。
+ 悪い支配者は必ず災いに会い、権力を失います。
+ 親切な人は貧しい人に食べ物を分けて喜ばれます。
+ 人をさげすむ者を追い出せば、みんなうちとけて、争いも口げんかもなくなります。
+ きよい心を愛し、良いことを語る人は、王のほうから友になってくれます。
+ 主は正しい人を守り、悪者の計画を葬り去ります。
+ 怠け者は「仕事になんかとても行けない。外に出たらライオンに食い殺されるかもしれない」と言いわけをします。
+ 売春婦は危険な罠、主にのろわれた者は、その罠に簡単に引っかかります。
+ 若者は反抗心でいっぱいですが、正しく罰すれば素直になります。
+ 貧しい人からせしめたり、金持ちにわいろを贈ったりして財産を作っても、結局は貧しくなります。
+ 主を信じて任せなさい。知恵のことばを聞いて忘れずに守りなさい。そうすれば、自分の益になるばかりでなく、人にも教えることができるようになります。
+ 私は間違ったことを言ったことはないから、私の言うことを信じて、そのとおり人にも教えなさい。
+ 貧しい人や病人のものを横取りしてはいけません。神が見ています。そんなことをする者は必ず罰せられます。
+ すぐに腹を立てる愚か者には近づかないようにしなさい。安易に近寄ると罠に陥ります。
+ 手もとに余分な金もないのに、人の保証人になってはいけません。他人の借金のかたに、寝具まで取り上げられてしまいます。
+ 昔からある境界線を勝手に変えるのは、どろぼうと同じことです。
+ まじめに良い仕事をする人は、必ず成功します。
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+ 金持ちといっしょに食事するときは、どんなにごちそうが並んでいても、満腹するまで食べてはいけません。彼らはあなたを買収しようとしているからです。そんな所に招待されても、良いことは何もありません。
+ 金持ちになろうとあくせくするのは時間のむだです。そうやってもうけても、札束にはすぐに羽が生えて飛んで行くからです。
+ 悪者とつき合ってはいけません。気に入られたいとか、贈り物をもらいたいとか思ってはいけません。いかにも親切そうに見せかけて、ほんとうはあなたを利用しているのです。彼らのごちそうは、食べると気分が悪くなり、吐き出してしまいます。礼を言ったことさえばからしくなります。
+ 忠告に逆らう者に言い聞かせてもむだです。どんなにためになることを言っても、顔をそむけるだけです。
+ 先祖代々の地境を勝手に変えて、みなしごの土地を横取りしてはいけません。彼らには神がついているからです。
+ 耳の痛いことばも喜んで聞き、ためになることはどんどん取り入れなさい。
+ 子どもはきびしく育てなさい。むちで打っても死にはしませんが、甘やかすと、やがて地獄に落ちることになります。
+ わが子よ。あなたが知恵のある人間になってくれたら、どんなにうれしいでしょう。私の胸は、あなたの思慮深いひと言ひと言におどります。
+ 将来は希望にあふれているのだから、悪人をうらやまず、いつも主を恐れて生活しなさい。
+ わが子よ。知恵を身につけ、神を信じる道をまっすぐに進みなさい。大酒飲みや大食いとつき合ってはいけません。そんなことをしていると貧しくなるばかりです。怠けぐせがつくと、ぼろをまとうようになります。
+ 父親の忠告を聞き、経験を積んだ母親を敬いなさい。
+ どんな犠牲をはらっても、ほんとうのことを知るよう努めなさい。物事を正しく判断できる力をしっかりと身につけるのです。
+ 神を恐れる人の父親は幸せ者、知恵のある子は父親の誇りです。これ以上の親孝行はありません。
+ わが子よ。悪い女に近寄ってはいけません。彼女は狭くて深い墓穴のようにぽっかり口を開けて、あわれな犠牲者が落ちるのを待っています。まるで強盗のように待ち伏せて、男たちに妻を裏切らせるのです。
+ 悩みと悲しみに争いばかりしているのはだれでしょう。血走った目をし、生傷の絶えないのはだれでしょう。それは、飲み屋に入り浸って酒ばかり飲んでいる者です。
+ ぶどう酒の輝きと、魅力的な味にだまされてはいけません。
+ ぶどう酒はあとで、毒蛇やまむしのようにかみつくからです。
+ 酔っ払うと、ものがまともに見えず、何を言っているかわからなくなり、普通のときなら恥ずかしくて言えないことを、はてしなくしゃべります。
+ まっすぐに歩くこともできず、しけに会って揺れるマストにしがみつく船乗りのように、ふらふらとよろめくのです。
+ そして、「なぐられたなんて、ちっとも気がつかなかった。もっと飲みたいものだ」と言います。
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+ 神を信じない人々をうらやんではいけません。仲間になろうと思ってもいけません。
+ 彼らは毎日毎日、人に乱暴し、だますことに明け暮れているのです。
+ 事業を始めるときは、よく考えてきちんと計画を立て、しっかり基礎を固めなさい。こうして実際をしっかり見ながら進めば、成功は間違いなしです。
+ 知恵のある人は力のある人より強く、知恵は力より優れています。
+ 戦いに出かけるときは、知恵のある人の意見を聞いてからにしなさい。助言する人が大ぜいいれば安心です。
+ 神に背く者には、知恵は高すぎて買えません。だから、人前で意見を言わせてもらえません。
+ 悪いことを企むのも、それを実行するのも、同じように悪いことです。
+ 神に背く者は悪い計画ばかり立て、人をさげすむ者は世界中の人にきらわれます。
+ 逆境のとき、苦しみに耐えられない者は弱い者です。
+ 無実の罪で死刑を宣告された人を助けなさい。その人が殺されるのを、黙って眺めていてはいけません。「全く知らなかった」ととぼけても、神の目はごまかせません。神はそれぞれの行いにふさわしく報いられるのです。
+ わが子よ。はちみつが食欲をそそるように、知恵はあなたの心に賢くなりたいという意欲を起こさせます。それがあれば、希望にあふれた将来が約束されます。
+ 悪者よ。正しい人に手出しをしてはいけません。正しい人は七度倒れても、そのたびに起き上がることを知らないのですか。しかし悪者は、一度つまずくと滅びるのです。
+ 敵が苦しむのを喜んではいけません。敵が失敗したからといって、うれしがってはいけません。
+ そんなことをしたら主が心を痛め、彼らを罰するのをやめるかもしれません。
+ 悪人をうらやみ、その財産を欲しがってはいけません。悪人の最後は目に見えているからです。
+ わが子よ。主と王の前では注意深く行動しなさい。過激な者たちとつき合ってはいけません。彼らのいのちは短く、思いもよらない災いに会うからです。
+ 貧しい人を有罪とし、金持ちを赦すのはよくありません。
+ 悪者に向かって「無罪だ」と言う者は、大ぜいの人にのろわれます。
+ 逆に、悪者の罪をはっきりと指摘する人は、だれからも感謝されます。
+ 率直に答えてもらえることは、ありがたいことだと思いなさい。
+ 家を建てるのは、仕事がうまくいってからにしなさい。
+ 無実の人について、わざと不利な証言やうその証言をしてはいけません。「いい機会だから、これまでの仕返しをしてやろう」と考えてはいけません。
+ 怠け者の畑のそばを通ったら、いばらと雑草だらけで柵も壊れています。
+ これを見て学びました。「もうちょっと眠り、もうちょっと昼寝し、もうちょっと休もう。」
+ こんな生活をしていると、どんどん貧しくなり、どうにもならなくなります。
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+ 次にあげるソロモン王の教訓は、ユダのヒゼキヤ王(ソロモンより二百年のちの王)に仕えた人々が見つけ、書き写したものです。
+ 物事を秘密にするのは神の特権、それを探り出すのは王の特権です。だから、天の高さや地の深さ、それに王の考えを知ることはできません。
+ 銀からかすを除けば良い入れ物ができ、宮廷から心の腐った役人を追い出せば正しい政治ができます。
+ 自分が有力な貴族でもあるかのように、ずうずうしく王の前に出てはいけません。列の最後に回されて、みんなの前で恥をかくより、呼ばれるまでじっと待つほうが利口です。
+ かっとなって、よく考えもせずに人を訴えてはいけません。引っ込みがつかなくなり、おまけに裁判にも負けたらどうするのでしょうか。そんな恥をかかないためにも、まず二人だけでよく話し合いなさい。第三者に告げ口して、陰口をたたいたといって責められないためです。口に出してしまったことばを取り消すことはできません。
+ ほんとうに必要なときに的確なことばで忠告するのは、銀の器に金のりんごを盛るようなものです。
+ 正しい批判を聞くのは、勲章を受けるようにありがたいものです。
+ 使用人がよく言いつけを聞いてくれるのは、真夏の涼しい日のように気持ちのよいものです。
+ 贈り物をすると約束しながらそれを破る者は、雨を一滴も降らせずに荒野を横切る雲のようです。
+ 小さな水のしずくでも、長い間には堅い岩をけずります。同じように、じっと忍耐していれば、やわらかい舌が堅い骨を砕くことになるのです。
+ いくら好きな物でも、食べすぎると気持ちが悪くなります。
+ 近所だからといって、人の家にあまり通いすぎるときらわれます。
+ うそを言いふらすのは、斧を振り回したり、刃物で切りかかったり、鋭い矢を射かけたりするのと同じです。
+ あてにならない人に頼るのは、痛む歯でかみ、折れた足で走るようなものです。
+ 気が沈んでいる人のそばで騒ぐのは、寒さに震えている人の上着を盗み、傷口に塩をすり込むようなものです。
+ 敵がお腹をすかせていたら食べさせ、のどが渇いていたら飲ませなさい。そうすれば、相手は恥じ入り、あなたは主からほうびをもらえます。
+ 北風が吹くと寒くなるように、陰口をたたかれると腹が立ちます。
+ 怒りっぽい女と大邸宅に住むより、屋根裏部屋の片隅で暮らすほうがましです。
+ 遠くの人からうれしい知らせをもらうのは、のどが渇いた時に冷たい水を飲むようなものです。
+ 神を恐れる人が悪者の言い分を認めるのは、井戸にごみを投げ込むようなものです。
+ どんなに良い食物でも、食べすぎは体に毒です。同じように、人にほめられるのはすばらしいことですが、それを意識しすぎるのはよくありません。
+ 自分の心をコントロールできない人は、堀を埋めた城のように戦う力がありません。
+
+
+ 愚か者がほめられるとしたら、真夏に雪が降り、太陽が西から昇っても不思議はありません。
+ 雀やつばめが、すいすい飛び回っている限りだれにも害を与えないように、理由もなく人にのろわれることはありません。
+ ろばはくつわをかけることによって、馬や、反対ばかりする者は、むちで打つことによって言うことを聞かせます。
+ 反対する者と議論するときは、相手のペースに乗せられないように気をつけなさい。そうでないと、同じような愚か者になります。愚かなことを言う相手には、わざととぼけた返事をして、うぬぼれさせないようにしなさい。
+ 反対する者を信用してことづけを頼むのは、自分で足を切り、毒を飲むように愚かなことです。
+ どんなにもっともらしく語っても、愚か者の言うことは、しびれた足のように役立ちません。
+ 反対する者に高い地位を与えるのは、銃に弾をこめるように危険です。
+ 酔っぱらいがいばらを握っても痛さを感じないように、反対する者が教訓を語っても、少しも心に訴えません。
+ 腕は良くても言うことを聞かない工員より、新人の工員のほうが良い仕事をすることがあります。
+ 犬が自分の吐いた物をまた食べるように、愚か者は何度でも愚かなことをします。
+ 愚か者より始末の悪いのはうぬぼれが強い者です。
+ 怠け者は仕事にも出かけず、「外にライオンがいるかもしれない」と言いわけします。
+ 彼はちょうどドアがちょうつがいで回るように、寝床でごろごろしています。
+ 皿から口に食べ物を運ぶことさえ面倒くさがります。
+ それでいて自分は、知恵ある人を七人束にしたより利口だとうぬぼれるのです。
+ 関係もないことに口出しするのは、犬の耳を引っ張るのと同じくらいばかげています。
+ 人をだましておきながら、「ちょっとからかっただけだ」としらばくれる者は、手当たりしだい物を投げつける気がおかしくなった人のように危険です。
+ たきぎがなければ火は消え、うわさがやめば争いもなくなります。
+ マッチ一本で簡単に火がつくように、争い好きな人はすぐにけんかを始めます。
+ うわさ話は、おいしいごちそうのように食欲をそそります。
+ 素焼きの土器でも、きれいな上薬をかければ上等に見えるように、お世辞がうまいと悪意を隠せます。
+ 憎しみを抱く者も、表面は愉快そうにしています。でも信じてはいけません。うまいことを言われても油断しないようにしなさい。心の中では、あなたをのろっているからです。どんなに親切そうにしても憎しみは隠せません。
+ 罠をしかければ自分がかかり、人に向かって石をころがすと、石が戻ってきて、その下敷きになります。
+ お世辞は憎しみが形を変えただけで、人をひどく傷つけます。
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+ 今日一日、何が起こるかわからないのに、明日の予定を得意になって話してはいけません。
+ 自分で自分をほめるより、人からほめられるようにしなさい。
+ 神に背く者は、思いどおりにならないと腹を立て、手のつけようがありません。
+ 怒られるよりも、嫉妬されるほうが怖いものです。
+ 愛するあまり、悪いことをしても何も注意しないより、しかるときははっきりしかるほうがよいのです。
+ 敵にうわべだけ親切にされるより、友に傷つけられるほうがましです。
+ 腹がいっぱいだと、どんなごちそうもまずく感じますが、腹がすいていると何でもおいしく食べられます。
+ 家を離れてあちこち渡り歩く人は、巣を離れてさまよう鳥のようです。
+ 友に励まされるのは、香水をつけたように気持ちのよいものです。
+ 自分の友でも父の友人でも、彼らを大事にしなさい。いざというとき、遠くの親類よりあてになります。
+ わが子よ。知恵のある人間になりなさい。そうすれば、私もどんなに鼻が高いことでしょう。
+ 何かを始めるとき、思慮深い人はきちんと見通しを立てますが、考えの足りない人は向こう見ずに手をつけて失敗します。
+ 見ず知らずの人の借金を立て替える以上に危ない賭けはありません。
+ 朝まだ暗いうちに大声であいさつすると、いやがられます。
+ 気むずかしい女は、いつまでもしたたり続ける雨もりのようです。
+ 風を止めることも、油でぬるぬるした手で物をつかむこともできないように、彼女のぐちを止めることはできません。
+ 鉄が鉄によって研がれるように、友との熱のこもった議論は、互いを研ぎ合います。
+ 果樹園の番人がそこの果物を頂けるように、主人のために働く者が報酬を受けるのは当然です。
+ 顔を映すのは鏡ですが、人のほんとうの心は、その人がどんな友を選ぶかでわかります。
+ 野心と死には終わりがありません。
+ 銀と金の純度はるつぼで試され、人は、称賛を浴びるときに試されます。
+ 神の教えに背く愚か者につける薬はありません。
+ 財産はすぐになくなり、王位はいつまでも続きません。だから自分の収入や、家畜の状態を知っておきなさい。
+ 牧草を刈り取り、二番草も刈り取ったあと、山の草を集めなさい。そうすれば、子羊の毛もやぎの乳も十分に取れ、家族の生活に困りません。
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+ 悪者は追われもしないのに逃げ回りますが、神を恐れる人に怖いものはありません。
+ 国民が平気で悪いことをするようになると、政府は簡単に倒れますが、良識と分別のある指導者がいれば、国は安全です。
+ 貧しい人が自分より貧しい人をいじめるのは、激しい流れが、あっという間に最後の頼みの綱を押し流すようなものです。
+ 教えに文句を言うのは、悪者をほめることです。教えを守ることは、悪者と戦うことです。
+ 悪人は、正しいことをするのがどんなに大切なことかわかりませんが、主の教えを守ろうとする人は、それがよくわかっています。
+ うそつきの金持ちになるより、貧しくても正直に生きるほうがずっと幸せです。
+ 賢い若者はきちんと教えを守り、非行に走る息子は父親に恥をかかせます。
+ 貧しい人からしぼり取った金は、巡り巡って、彼らに親切にする人のものになります。
+ 教えをおろそかにする者の祈りはかなえられません。
+ 神を恐れる人を悪い仲間に誘う者はのろわれ、正しく生きる人を励ます人はだれにも好かれ、尊敬されます。
+ 貧しくても知恵のある人は、金持ちだとうぬぼれている人のほうがほんとうは貧しいことを見抜きます。
+ 神を恐れる人が成功するとだれもが喜び、悪者が成功するとがっかりします。
+ 自分の誤りを認めない者は成功しませんが、素直に認め、直そうとする人には、別のチャンスが転がり込みます。
+ 神を大切にする人は幸せになり、神のことなど気にもかけない者はめんどうに巻き込まれます。
+ 貧しい人にとって、悪い支配者は襲いかかるライオンや熊のように恐ろしいものです。
+ 力にものを言わせるのは、愚かな支配者です。金に動かされない正直な王が、長く国を治めるのです。
+ 殺人者は良心に責められ、地獄へ落ちます。その人を止めてはいけません。
+ 正しい人は災いに会っても助け出されますが、人をだますような者は滅ぼされます。
+ こつこつ働けば生活は楽になり、遊んでばかりいると貧しくなります。
+ 正しいことをしようとする人は必ず報われ、金をもうけようとあせる者はすぐ失敗します。
+ 金持ちをえこひいきするのは、一切れのパン欲しさにたましいを売り渡すことです。
+ 金持ちになろうとあせる者は、かえって貧乏になります。
+ 最後に感謝されるのは、お世辞ではなく率直な忠告です。
+ 親のものを横取りして、「何が悪いのか」ととぼけるのは、人殺しと同じです。
+ 欲張りはけんかばかりしますが、主に頼る人は幸せになります。
+ 自分に頼るのは愚かですが、神の知恵に頼れば安全です。
+ 貧しい人を助けておけば、いざというときに困りませんが、見て見ぬふりをすると恨まれます。
+ 正しい人は、悪人が幅をきかせると隠れ、彼らが滅びると戻って来ます。
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+ 何度しかられても言うことを聞かない者は、突然倒れて二度と立ち直れません。
+ 正しい人が治めると国民は喜び、悪者が権力を握ると嘆きます。
+ 知恵のある子は父親を幸せにしますが、悪い女とつき合う者は財産を使い果たして、親に恥をかかせます。
+ 正しいことをする王は国をしっかり治め、わいろを要求する王は国を滅ぼします。
+ 調子のいいお世辞は罠です。悪人はそれに足をとられて転びますが、正しい人は近寄ろうともしないので安全です。
+ 正しい人は貧しい人の権利も認めますが、神を信じない者は気にもかけません。
+ 愚か者はけんかの種をまき散らし、知恵のある人は事を丸く収めます。
+ 愚か者と言い争っても無駄です。相手はかっとなり、感情をむき出しにして、こちらをさげすむだけです。
+ 神を恐れる人は、いのちをつけねらう者のためにも祈ります。
+ 神に逆らう者は頭にくるとすぐにどなり、知恵のある人はじっと我慢します。
+ 悪い指導者の回りには、悪い部下が集まるものです。
+ 金持ちも貧しい人も、主の前では全く同じように太陽の恵みを受けます。
+ 貧しい人を差別せずに正しく裁く王は、長く国を治めます。
+ 子どもは、しかられ懲らしめられることで、何が悪いことなのかを知ります。わがままいっぱいに育てると、あとで母親が恥をかきます。
+ 支配者が悪いと国民も悪くなりますが、正しい人は必ず彼らの滅びを見届けます。
+ 子どもをきびしくしつければ、老後は幸せに過ごせます。
+ 神を知らない民は好き勝手に振る舞い、手がつけられませんが、国中の人が神の教えを守ろうとする国は幸いです。
+ 右から左に聞き流す者は、しかるだけでなく、懲らしめなければ言うことを聞きません。
+ 短気な者に比べたら、愚か者のほうがまだましです。
+ 使用人を子どものころから甘やかすと、息子のように大きな顔をするようになります。
+ 短気な者は争いの種をまき散らし、いつもめんどうに巻き込まれます。
+ 自分を鼻にかけすぎるとたたかれ、謙遜にしているとほめられます。
+ 悪いとわかっていながら、どろぼうに手を貸す者は、いつかは自分にいや気がさします。
+ 人を恐れることは危険な罠ですが、主に頼れば安心です。
+ 正しい裁判をしてほしかったら、裁判官に取り入ろうとせず、主に任せなさい。
+ 正しい人は悪者のすることが、悪者は正しい人のすることが大きらいです。
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+ 次に挙げるのは、マサの人(アラビヤ半島の中央部以東に住む、イシュマエルの子孫)でヤケの子アグルが、イティエルとウカルに教えたことです。
+ 私は疲れ果て、今にも死にそうです。そのうえ、人間の資格さえないような愚か者です。
+ 神はもとより、人間というものがわかりません。それがわかるのは神だけです。
+ 神のほかにだれが、天と地の間を上り下りしたでしょう。だれが風や海を思いのまま造り、治めているでしょう。神のほかにだれが、世界を造ったというのでしょう。いるとしたら、どこのだれで、子どもは何という名前ですか。
+ 神のことばはすべて真実で、神は頼ってくる者をみな守ってくださいます。
+ だから、神の言うことに何かを付け加えて、うそをついたと言われないようにしなさい。
+ ああ、神よ。最後の二つの願いを聞いてください。
+ 私が決してうそをつきませんように。それから、私を特に貧乏にも金持ちにもせず、ただ生きるのにどうしても必要なものだけを与えてください。
+ ぜいたくに慣れすぎて主を忘れたり、貧しさのあまり盗みを働いて神の名を汚したりしたくないのです。
+ 主人にしもべの悪口を言ってはいけません。そんなことをすれば恨まれるだけです。
+ 親をのろい、悪いことばかりしているくせに、自分は少しも欠点がないとすましている者がいます。
+ 彼らは自分のことを鼻にかけ、人を人とも思いません。貧しい人を陥れようと、いつも歯を研ぎすましているのです。
+ 蛭のようにしつこく、いつまでも満足しないものが二つ、三つ、いいえ四つあります。地獄、不妊の胎、乾ききった荒野、それに火です。
+ 父親をあざけり、母親を軽蔑するような者は、からすに目をほじくられ、はげたかの餌になるのです。
+ どんなに考えてもわからないことが三つ、いいえ四つあります。どのようにしてわしは大空を飛び、どのようにして蛇は岩の上をはい、どのようにして船は海を横切る道を見つけ、どのようにして若い二人の間に愛情が芽生えるのでしょう。
+ わからないことがもう一つあります。どうして悪い女は、悪いことをしながら厚かましく、「いったい、どこがいけないの」と言えるのでしょう。
+ 地も震えるほどいやなことが三つ、いいえ四つあります。奴隷が王になり、反逆者が成功し、きらわれた女が結婚し、女中が女主人に取って代わることです。
+ 体は小さくても、頭の良さでは何にも負けないものが四つあります。力はなくても、冬の食糧を集める蟻、弱くても、岩の間に住んで身を守る岩だぬき、指導者がなくても、いっしょに行動するいなご、簡単に捕まるけれど、王宮にでも住みつくやもりです。
+ 地上に堂々としたものが三つ、いいえ四つあります。怖いもののない百獣の王ライオン、くじゃく、雄やぎ、軍隊を指揮する王です。
+ 得意になって悪いことをするのは愚か者です。少しは恥ずかしいと思うべきです。
+ クリームをかきまぜるとバターができ、鼻をなぐられると血が出るように、人を怒らせると争いが起きます。
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+
+ これは、マサの王レムエルが母親から教わったことです。
+ レムエルよ、おまえは神から授かった子です。
+ だから、女に夢中になって自分をだめにしてはいけません。
+ レムエルよ、強い酒は王が飲むものではありません。
+ 酔ってばかりいたら、王の仕事は務まりません。苦しめられている人のために、正しい裁判をしてあげることもできません。
+ 酒は、治る見込みのない病人や悲しみに沈んでいる人に飲ませるものです。酒で苦しさをまぎらわせるためです。
+ だれからも見放された人を守ってあげなさい。
+ 正しい裁判をして、貧しい人や困っている人を助けてあげなさい。
+ ほんとうに良い妻を見つけたら、宝石よりもすばらしいものを手に入れたことになるのです。
+ 彼女は夫に信頼され、夫に決して不自由な思いはさせません。
+ いつも陰にあって夫を助け、足を引っ張るようなことはしません。
+ また羊毛や亜麻を見つけては、喜びながらつむぎ、
+ 外国から船で運ばれて来た輸入食品を買います。
+ まだ暗いうちに起きて朝食のしたくをすませ、使用人の仕事の計画を立てるのが、彼女の務めです。
+ 畑を買うときは自分の目でよく調べて買い、ぶどう畑をつくります。
+ こまねずみのように働き、
+ 無駄な買い物はしません。夜は夜で、遅くまでせっせと働くのです。
+ 貧しい人には服を縫って与え、困っている人を喜んで助けます。
+ 家族みんなの冬服をちゃんと用意してあるので、冬がきてもあわてません。
+ 部屋には最高級のじゅうたんを敷き、紫色の上等のガウンを着ます。
+ 夫は人々に信頼される町の指導者の一人です。
+ 彼女はまた、リンネルでベルトつきの服を作り、商人に売ります。
+ 上品で何事にもしっかりしている彼女には、老後の心配など少しもありません。
+ 決して愚かなことは言わず、いつも人を思いやります。
+ 家のことに何から何まで気を配り、かた時も怠けません。
+ 子どもたちは彼女をほめ、夫も負けずにほめます。
+ 「君はほんとうにすばらしい。世界中を探しても、君ほどの女性はいない。」
+ 人は見かけの美しさにすぐだまされますが、そんな美しさは長続きしません。しかし主を恐れる女はほめたたえられます。
+ 「りっぱな女だ」と評判になり、ついには国の指導者にまで称賛されるようになります。
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+
+
+ ダビデ王の子で、エルサレムの王であり、「伝道者」と呼ばれたソロモンの教え。
+ 思うに、この世に価値のあるものなどない。すべてがむなしい。
+ 人はあくせく働いた報酬として、何を手に入れるというのか。
+ 一つの時代が去り、新しい時代が来るが、少しも変わらない。太陽は昇っては沈み、また昇ろうと、急ぎ元の所に帰って行く。風は南に吹き、北に吹き、あちこち向きを変えるが、結局行き着く所はない。川は海に注ぐが、海は決してあふれることはない。水は再び川に戻り、また海に流れて行く。
+ 何もかも、くり返すばかりで、あきあきする。どれだけ見ていても満足できない。どれだけ聞いても、もうこれで良いということはない。歴史はくり返すだけ。ほんとうに新しいものなど何もない。新しいように見えても、必ず前例があるか、すでに言い古されたものです。何か、「これは新しいものだ」と指摘できるものがあるでしょうか。それがずっと昔になかったと、どうしてわかるのですか。私たちは、先の時代にどんなことが起こったのか忘れてしまいます。そればかりか、のちの時代になれば、私たちが今していることを、だれも覚えていないのです。
+ 伝道者である私はイスラエルの王で、エルサレムに住んでいました。私はこの世のあらゆることを理解しようと、全力を注ぎました。その結果、神が人間への分け前としてお与えになったものは、決して楽しいものでないことがわかりました。それはみな愚かに見え、風を追うようにむなしいものです。
+ 間違ってしまったことは、もう正せない。あったかもしれないものを考えてみたところで、何の役に立とうか。
+ 私は自分に言い聞かせました。「私はこれまでのエルサレムのどの王より、いろんな勉強もした。どの王より知恵や知識を得た。」私は賢くなろうと、一生懸命に努力しました。しかし、今ではそんな努力さえ、風をつかまえるようにむなしいことだとわかったのです。
+ 賢くなればなるほど、悲しみも増える。知識を増すことは、悩みを増す。
+
+
+ それで私は、「愉快に生きよう。思う存分楽しむのだ」と思いました。ところが、こうした生き方も実にむなしいことがわかりました。一日中笑っているのは愚かなことです。それが何の得になるのでしょう。
+ いろいろ試してみてから、私は知恵を探求し続ける一方で、酒を飲んで元気になろうと思いました。次に、もう一度考えを変えて、愚かな者になりきることにしました。多くの人が経験する幸福を味わってみようと思ったのです。
+ 今度は、大規模な事業に乗り出して、仕事からくる充実感を得ようとしました。邸宅を建て、ぶどう園、庭園、公園、それに果樹園まで造り、良い作物を実らせるために貯水池まで造ってみたのです。
+ 次に、男女の奴隷を買いました。私の家で生まれた奴隷たちもいます。ほかに家畜の群れも飼ってみましたが、その数は以前のどの王よりも多かったのです。さらに、多くの州や国から、税金として金銀をかき集めました。また文化的な活動として、混声コーラス‧グループやオーケストラを組織しました。そのうえ私には、大ぜいの美しいそばめがいたのです。
+ こうして、歴代のエルサレムの王もしなかったような、あらゆることをやってみました。両眼をしっかり見開いて、これらのものの価値を見極めようとしたのです。
+ 欲しいものは何でも手に入れ、したい放題の楽しみをしてみました。つらい仕事にも大きな喜びがあることを知りました。この喜びこそ、実に、あらゆる労働に共通した報酬なのです。
+ しかし、してきたことを振り返ってみると、どれもこれも役に立たないことばかりで、風を追うようなものでした。これこそ価値があると言えるものなど、どこにもありませんでした。
+ そこで、知恵と無知の価値を比較してみることにしました。おそらくだれでも、同じ結論に達するでしょう。
+ それは、こういうことです。光が闇にまさっているように、知恵は無知よりはるかに価値があります。賢い人は先々を正しく判断しますが、愚かな人は先のことがわかりません。ところが私は、知恵のある人にも知恵の足りない人にも共通点があることに気づきました。
+ 知恵の足りない人が死ぬように、いずれこの私も死ぬということです。それなら、知恵をつけたところで、いったい何の益があるというのでしょう。私は、知恵をつけることでさえむなしいものだと悟ったのです。
+ 賢い人も愚かな人も死ぬのです。時がたてば、両者とも、すっかり忘れられてしまいます。
+ 私はここまでわかると、生きているのがいやになりました。人生は不条理きわまりないからです。何もかもむなしく、風を追うようなものです。
+ 一生懸命に築き上げたものが他者のものになると思うと、いやになってきます。
+ そればかりか、跡取り息子が愚か者か賢い者か、だれにわかるでしょう。それでも、私の財産はすべて、息子のものになるのです。なんと気分がめいることではありませんか。
+ こうして、満足感を与えてくれると考えていた労苦も愚かしく思われ、見切りをつけました。生涯をかけて知恵や知識や技術を追求しても、せっかく手に入れたものを全部、何もしなかった者に譲るはめになるのです。そんな者が、私が努力して得たものを受け継ぐのです。むなしいだけでなく、不公平です。どれほど必死に働いても何の役にも立ちません。あるものといえば、悲しみと悩みに押しつぶされそうな、心の休まらない日々と眠れない夜です。全くむなしい話ではありませんか。
+ そこで私は、食べたり飲んだりすることと、労働を楽しむこと以外に生きがいはない、と判断しました。しかも、このような楽しみさえ神の御手から来るとわかったのです。というのも、神の世話にならなければ、だれも食べたり楽しんだりすることはできないからです。神は、お心にかなった者に知恵、知識、喜びを与えます。ところが神は、罪人が金持ちになると、その財産を取り上げ、お心にかなった者に分け与えるのです。ここにも、風を追うようなむなしさの一例があります。
+
+
+ 何事にも定まった時があります。
+ 生まれる時、死ぬ時、植える時、収穫の時、
+ 殺す時、病気が治る時、壊す時、やり直す時、
+ 泣く時、笑う時、悲しむ時、踊る時、
+ 石をばらまく時、石をかき集める時、抱きしめる時、抱きしめない時、
+ 何かを見つける時、物を失う時、大切にしまっておく時、遠くに投げ捨てる時、
+ 引き裂く時、修理する時、黙っている時、口を開く時、
+ 愛する時、憎む時、戦う時、和解する時。
+ 一生懸命働いたところで、何の益になるでしょう。
+ 私はこのことを、神が人間に与えたさまざまの仕事と関連して考えてみました。
+ あらゆることには、ふさわしい時というものがあります。また神は、人間の心に永遠を思う思いを与えました。しかし、人は神の働きの全体を見ることができないのです。
+ 私の結論はこうです。第一に、できるだけ幸福に過ごし、人生を楽しむ以上にすばらしいことはないということです。
+ 第二に、人は食べたり飲んだりして自分の労苦の実を楽しみ、味わうべきだということです。それは神からの贈り物だからです。
+ 続いて、次のことも知りました。神のすることは一点の非の打ちどころもなく、何一つ付け加えたり、取り除いたりすることはできません。神はこのことを通して、人が全能の神を恐れるようにと願っているのです。
+ 今あるものは、ずっと昔にもあったことです。これから起こることも、以前に起こったことです。神は、はるか昔にあって今は跡形もなくなっているものを再び生じさせているのです。
+ 私はそれだけでなく、世界中で正義がすたれて犯罪が増し、法廷さえ金次第になっていることを知りました。
+ 私は心の中で言いました。「やがて、神が人間のしたことを、良いことも悪いことも全部さばく時がくる。」
+ 私はまた、神が罪深い今の世界をそのままにしておくのは、人間を試すためであり、人間が獣と変わらないことを悟らせるためであることに気づきました。
+ 人間も動物も、同じ空気を吸い、同じように死んでいきます。人間が獣より優れている点などないのです。なんとむなしいことでしょう。
+ どちらも同じ所へ行くのです。土から出て土に帰るのです。
+ こんなことを言うのも、人の霊は天に上り、動物の霊は地中深く降りて行くことを、誰ひとり証明できないからです。
+ だからこそ、自分の仕事に生きがいを見いだす以上に幸福なことはないと判断したのです。これが人間が地上にいる理由です。未来に起こることを楽しむことはできないのですから、今のうちに人生を十分に楽しむことです。
+
+
+ 次に私は、世界中で行われているしいたげと悲しみを見ました。しいたげられている人が涙を流しても、だれも手を貸そうとしません。一方で、しいたげる者たちはしっかりと手を組んでいます。
+ 私は、死んだ人のほうが生きている人よりましだと思いました。
+ 一番幸福なのは、生まれて来なかった人で、地上の悪を見たことのない人です。
+ 次に私は、物事を成功させる原動力がねたみであることを知りました。これもまたむなしいことで、風を追いかけるようなものです。
+ 愚か者は、いっこうに働こうとせず、餓死寸前のところをさまよう。しかし結局は、むなしいの一語に尽きるような労働を続けるより、のんびりその日暮らしをするほうがましだ。
+ 愚かしく思えることが、もう一つあります。
+ 息子も兄弟もいない一人暮らしの人が、さらに金持ちになろうと目の色を変えている場合です。この人は、だれに全財産を残そうというのでしょう。全く割の合わない、憂うつな話です。
+ 二人が手を組めば、一人の人の倍以上のことができます。結果から見れば、二人のほうがずっといいのです。
+ 二人なら片方が倒れても、もう一方が起こせます。ところが、一人のときに倒れてしまうと、だれにも起こしてもらえず、何とも惨めです。
+ また、寒い夜、二人が一枚の毛布でもかぶって寝れば、お互いの体温で暖かくなります。しかし一人では、どうにも暖まることができません。
+ 一人では、攻撃を受けると負けてしまいます。しかし二人なら、背中合わせになって戦うことができ、相手に勝つことができます。三人なら、なおいいのです。三つ撚りの糸は、めったなことでは切れないからです。
+ 貧しくても賢い若者は、どんな忠告も受けつけない、年取った愚かな王よりましです。
+ そのような若者は、牢獄から出て立身出世することでしょう。それどころか、生まれが卑しくても、王にさえなれるかもしれません。
+ こんな若者なら、たとい王位を奪うことになっても、人々は喜んで協力するに違いありません。
+ こうして彼は、幾百万もの人の指導者となり、非常に有名になるかもしれません。ところが次の世代の人は、彼を追放してしまいます。これもまたむなしいことで、風を追いかけるようなものです。
+
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+ 神殿に入るときは、耳をすまして、口は堅くつぐみなさい。神に軽はずみな約束をするのは罪です。それがわからないほど愚かになってはいけません。神は天におられ、私たちは地にいるのですから、ことば数はできるだけ少なくすべきです。仕事が多いと悪夢にうなされ、口数が多いと愚かになる。
+ 神に、何かをすると誓いを立てたときは、すぐに実行しなさい。神は、愚かな人間を喜ぶことがないからです。神との約束は、どんなことがあっても果たしなさい。
+ 何かをすると言いながらしないより、初めから口にしないほうがずっと良いのです。
+ 約束を果たさないなら、口で罪を犯すことになります。神の使者に、「誓いを立てたのは間違いでした」などと弁解してはいけません。それを聞いて神は腹を立て、あなたの繁栄を奪い去るかもしれないからです。夢ばかり見ていて実行しないのは愚かで、むなしいことばが多いと、滅びを招きます。そんなことをしないで、神を恐れなさい。
+ 貧しい人が金持ちにいじめられ、国中で正義が踏みにじられているのを見ても、別に驚くにあたりません。どの役人にも上役がいて、その上にさらに高官がいるからです。それが国の政治の仕組みなのです。
+ その全体の上に王が立てられています。その王が国のために献身する王なら、どんなにすばらしいことでしょう。そうした人物だけが国を混乱から救えるのです。
+ 金銭を愛する者は、決してこれで満足だということがありません。金さえあれば幸せだという考えは、なんと愚かなことでしょう。
+ 収入が多くなれば、それに応じて支出も多くなります。金銭にどんな利益があるというのでしょう。彼らは金銭が指の間からこぼれ落ちていくのを眺めていることしかできないのです。
+ 汗水流して働く人は、満腹していようが腹をすかしていようが、ぐっすり眠ることができます。しかし、金満家は不安につきまとわれ、不眠に悩まされます。
+ 私はまた、ここかしこに深刻な問題があるのに気づきました。せっかくの貯金が危険な投資に使われ、子どもに残す財産もなくなってしまうという現実です。
+ 投機に手を出す者は、すぐさま無一文の振り出しに戻ります。
+ これは言ったように、とても深刻な問題です。どんなに働いても、ざるで水をくむようなものであり、風を追うようなものです。せっかく手に入れたものが、全部なくなってしまうのです。
+ 残る生涯を暗い気持ちで、失意と挫折感、怒りを持ちながら生きることになります。
+ でも、良いことが少なくとも一つあります。生きている限りは、おいしい物を食べ、上等のワインを飲み、置かれた立場を受け入れ、与えられた仕事がどのようなものであれ、それを楽しむことです。
+ 主のおかげで財産家になり、健康にも恵まれているとしたら、それこそ申し分のないことです。仕事を楽しみ、与えられた人生に満足することこそ、神からの贈り物です。こういう人は、神から喜びを与えられているのですから、悲しい思いで過去を振り返る必要などありません。
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+ 至るところに、悲しい不幸が見られます。ある人は神から巨万の富と名誉を与えられ、欲しいものは何でも手に入る身分でありながら、人生を楽しむだけの健康に恵まれていません。そのため早死にして、全財産を他人の手に渡すことになってしまいます。これは実に悲しむべきことで、やりきれない思いがします。
+ 一方でもし、百人の息子と娘に恵まれ、長寿を得ながら、わずかばかりの遺産もなく、満足な葬式さえ出せなかったとしたら、この人は生まれて来なかったほうがよかったかもしれません。
+ たとえその誕生が喜ばれず、闇から闇に葬られ、名前さえつけてもらえず、
+ その存在さえ知られないとしても、死産の子のほうがみじめな老人になるよりずっとましです。
+ 何千年生きたとしても、満足することがなければ、生きていることに何の価値があるのでしょう。
+ 知恵ある者も愚か者も、食べ物を得るために人生を費やすが、もうこれで十分だということはない。そういう意味では、どちらも同じです。しかし、貧しくても知恵ある人は、ずっと良い生活をしています。
+ 手の中の一羽の鳥は、やぶの中の二羽より価値があります。あこがれているものを夢見ているだけであればむなしいことで、風を追いかけるようなものです。
+ あらゆるものには定めがあります。それぞれの将来は、ずっと以前からわかっているのです。だから、自分の運命について神と議論しても無駄です。
+ しゃべればしゃべるだけ、口にすることばの意味が薄れてきます。だから、全然しゃべらないほうがましなのです。
+ 短くむなしい人生を、どのように過ごすのが最善なのかはだれにもわかりません。死んだ先のことまで考えると、何が最善かを知ることはできません。将来のことがわかる人は一人もいないのです。
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+ 良い評判を得ることは、最高級の香水より値打ちがあり、死ぬ日は生まれた日より大切である。
+ 宴会に顔を出すより、葬式に列席するほうがよい。やがて死ぬわけだから、生きているうちに死について考えるのは良いことだ。
+ 悲しみは笑いにまさっている。悲しみは、私たちの心から不純物を取り除く効果があるからだ。
+ 知恵ある者は死についてじっくり考えるが、愚か者はどうしたら今愉快に過ごせるかだけを考える。
+ 愚か者からちやほやされるより、知恵ある者に痛烈な批評を受けるほうが良い。
+ 愚か者のお世辞は、火にくべた紙切れのように、何の役にも立たない。そんなものに心を動かすのは、なんとむなしいことか。
+ 知恵ある者も、わいろによって愚かな者になる。わいろは人の判断力を麻痺させるからだ。
+ 終わりは初めにまさっている。忍耐は高慢にまさっている。
+ 短気を起こしてはならない。短気は愚か者の特徴だからだ。
+ 過ぎ去った昔の栄光に未練を残してはいけない。ほんとうに昔が今より良かったか、わからないからだ。
+ 知恵ある者になることは、金持ちになるのと同じくらいいや、それ以上の価値がある。
+ 知恵からでも金銭からでも、利益を上げることができる。しかし賢くなることのほうが、多くの利点がある。
+ 神のすることに目を留め、それに従いなさい。神が決めたことを変えることなどできません。
+ 順境のときには、できるだけ楽しみなさい。逆境が訪れたら、神は与えると同時に取り上げる方だと知りなさい。こうしてすべての人が、この世ではあらゆるものがむなしいと悟るのです。
+ 私は、このむなしい人生のすべてを見てきました。正しい人が若死にし、悪人がたいそう長生きすることもあるのです。だから、正しすぎたり、知恵がありすぎたりして、自滅してはいけません。かといって、悪人になりすぎるのも、愚か者になるのも考えものです。自分の時が来る前に死んではいけません。
+ 任せられた仕事は、どんなことがあっても手放してはいけません。神を敬っているなら、必ず神からの祝福を期待できるのです。
+ 知恵ある者は、町の十人の有力者の力を合わせたより力があります。
+ この世界には、いつも品行方正で一度も罪を犯さない人など一人もいません。
+ 人の言うことをすべて気にしてはいけません。時として使用人からのろわれるかもしれません。あなたも、何度も人をのろったはずです。
+ 私は知恵ある者になろうと、できるだけのことをしてみました。「知恵ある者になりたい」と人前で言ってみましたが、知恵ある者になることはできませんでした。
+ 知恵は遠いかなたにあって、探し出すのはきわめて困難です。
+ 私は知恵と道理を見つけようと、あらゆる所を探しました。また、悪行が愚かで、愚かさがどれほどばかげたことであるか悟ろうとしました。
+ 悪い女は死よりも大きな苦痛を与えます。神に喜ばれる者は恵みによって彼女から逃れますが、罪を犯す者は彼女のしかけた罠にかかってしまいます。
+ そこで、「私の結論はこうだ」と伝道者は言います。私はあらゆる方面から調べてみて、次のことを確信するようになりました。私が話を聞いた男の千人に一人は、確かに知恵がある人物です。しかし女には、知恵のある者は一人もいませんでした。
+ さらに、次のことも知りました。神は人を正しい者に造ったのに、人々は堕落の道に向かって行ったということです。
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+ 知恵を身につけて、物事を正しく判断し、さらに分析し説明できる能力があったなら、どんなにすばらしいことか。知恵は人の顔を輝かし、その顔を和らげる。
+ 誓ったとおりに王に従いなさい。どんないやなことであっても、誓いを果たすことから逃げようとしてはなりません。王は不従順な者に罰を加えるからです。
+ 王のことばには権威があるので、それに逆らったり疑問を差しはさんだりできる者はいません。
+ 従順な者は罰せられることがない。知恵ある者は、自分のことばを実行する時と方法とを知っている。
+ そうです。困難が重くのしかかっていても、すべてのことに時と方法があります。人は予期できないことが身に降りかかるのを、避けることはできません。
+ だれも、たましいが体から離れるのをとどめることはできません。自分の死ぬ日をかってに決めることもできません。この暗黒の戦いを免れることは絶対にできないのです。その場に臨んだら、どんなにじたばたしても始まりません。
+ 私は、人々が支配したりされたりして互いに傷つけ合っていることを考えてみました。悪者でも葬式をすませ、墓地から帰って来るときには、友人たちは故人のした悪事をすっかり忘れています。それどころか、その男は生前に多くの犯罪を重ねた当の町で、ほめそやされるのです。なんとおかしな話でしょう。
+ 神はすぐに罪人を罰しないので、人々は悪いことをしても別に怖くないと思っているのです。
+ 百度も罪を犯して、なお生き長らえている人があるとしても、神を敬っている人のほうが幸せです。
+ 悪者どもは幸福な長い人生を送ることもできません。彼らは神を敬わないので、その一生は影のように早く過ぎ去ります。
+ この地上では、奇妙なことが起こっています。正しい人が悪人のような待遇を受け、逆に、悪人が正しい人のような待遇を受けているのです。これもまた、割り切れない思いにさせられます。
+ そこで私は、おもしろおかしく一生を送ろうと決心しました。この世では、食べて、飲んで、愉快にやること以外に良いことはないと考えたのです。この幸福は、神が世界中の人に与えているつらい仕事に添えられてくるものです。
+ 私は知恵を尋ね求めている間に、地上での、休むことのない人の活動を観察してみましたが、すべてのことを見抜くのは神だけでした。自分は何でも知っているとうそぶく、知恵のかたまりのような人でも、実はわずかのことさえ知らないのです。
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+ 私は注意深く、次のことも探求してみました。神を敬う人も知恵のある人も神の計画の中にありますが、神がその人のことを喜んでいるかどうかは、だれにもわかりません。確かなことは何も言えないのです。
+ 善人でも悪人でも、信仰がある人もない人も、神をののしる者も神を敬う者も、どんな人も、同じ摂理で動かされています。すべての人に同じ結末が来るとは、なんと不公平でしょう。だからこそ、人は正しく生きようとはせず、常軌を逸した道を選ぶのです。待ちかまえているのは死だけですから、希望などありません。
+ 生きている人にだけ、希望があります。「死んだライオンより、生きている犬のほうがましだ」と言われるとおりです。
+ 生きている者には、少なくとも自分は死ぬという自覚があります。ところが、死んだ者は何一つわからないのです。記憶さえありません。
+ 愛したことも、ねたみ憎んだことも、とうの昔に消えてなくなり、もはやこの地上には一つも分け前がないのです。
+ さあ、食べて、飲んで、愉快に生きればよい。神はそんなことで動じることはない。
+ かぐわしい香水をかけ、上等の服を着なさい。
+ 短い一生の間、愛する女性と幸福に過ごしなさい。神が下さった妻は、地上での労苦に対する最大の報酬だからです。
+ 何をするにしても、りっぱに仕上げなさい。あなたが行くことになる死後の世界では、仕事も計画も知識も知恵もないからです。
+ 私は再び今の世を見て、足の速い人が必ずしも競走で勝つとは限らず、強い人が必ずしも戦いに勝つわけでもなく、知恵ある人が貧しい暮らしをし、実力があるのに認められない人がいることを知りました。あらゆることが偶然の組み合わせであり、すべては時と機会とによって決まるのです。
+ いつ運の悪さに見舞われるかを知っている人はいません。人はみな、網にかかった魚、罠にかかった鳥のようです。
+ 人の世の出来事を見てきた私に、もう一つ深く印象に残っていることがあります。
+ 人口の少ない町があり、そこに強い王が大軍を率いて攻めて来て、包囲した時のことです。
+ この町に、知恵はありながら非常に貧しい人がいました。この人は町を救う方法を知っており、力を尽くして町を攻撃から守りました。ところが、あとになると、誰ひとり彼のことを思い出さないのです。
+ このことで、知恵は力以上のものだが、その人が貧しければさげすまれ、彼が何を言っても聞かないことがよくわかりました。
+ しかし、そうは言うものの、知恵ある人の穏やかなことばは、愚かな王のどなり散らすことばより、人々に聞かれる。
+ 知恵は武器にまさるが、たった一度のミスが物事全部をだめにする。
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+ 死んだハエは香水さえ臭くし、ほんの少しの失敗は多くの知恵と名誉をだいなしにする。
+ 知恵ある者は正しい道に足を向け、愚か者は悪の道に向かう。
+ どこを歩くかで、その人が賢いのか愚かなのかがわかる。
+ 上司にしかられても、職場を放棄してはいけません。冷静な態度は、相手の不きげんをなだめます。
+ 世の中の移り変わりを見ていると、もう一つの悪が目についた。王や支配者たちの嘆かわしい有様だ。
+ 愚か者に大きな権威が与えられているのに、富む者に当然と思える社会的地位さえ与えられていないことがある。
+ また、召使が馬にまたがり、君主が召使のように歩いている姿を見た。
+ 井戸を掘ると中に落ち、古い石垣を壊すと蛇にかまれる。採石場で働いていると落石に会い、伐採場では斧を振り上げるたびに危険にさらされる。
+ 斧の切れ味が悪くなると、余計な力がいる。そんなときには刃を研ぐことだ。
+ 馬が盗まれてから馬小屋に鍵をかけても、もう遅い。
+ 知恵あることばは心地よいが、愚か者のおしゃべりは身を滅ぼします。愚か者の話は前置きがばかげ、結論も常軌を逸している。
+ 愚か者は将来について知っているふりをして、事細かに話して聞かせる。しかし、これから起こることは、だれにもわからない。
+ 愚か者は大した仕事でもないのにうろたえ、ささいなことにも力を出せない。
+ 王が幼く、指導者たちが朝から酔っている国は、とんでもない目に会う。王が名門の出で、指導者たちが勤勉を第一と心がけていて、これからの仕事のための英気を養うときにだけ宴会を開いている国は幸せです。
+ 怠けていると、天井から雨がもり、梁が落ちる。
+ 祝宴は笑いを、ぶどう酒は幸福感を、金銭はすべてのものをあたえる。
+ たとえ心の中でも、王をのろってはいけない。金持ちをのろってもいけない。小鳥が彼らに、あなたがどんなことを言ったかを告げるからだ。
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+ 惜しみなく与えなさい。あなたが与えた者は、あとになって戻って来るからだ。
+ 持っているものを、人々に分け与えなさい。あとになってあなたも、人から助けてもらうことになるからだ。
+ 雲が垂れこめると雨が降り出し、木が北風か南風で倒されると、そのままそこで朽ち果てる。
+ しかし、風の状態が良くなるまで待っていたら、何一つなすことはできません。
+ 神のすることは風の通り道と同様に神秘的です。それはまた、母親の胎内の赤ん坊にたましいが吹き込まれるのと同じように不思議なものです。
+ 手を休めずに種をまきなさい。どの種が芽を出すか、わからないからです。もしかしたら、全部芽を出すかもしれません。
+ 生きていることは実にすばらしいことです。
+ 長生きしている人は、一日一日を存分に楽しみなさい。ただし永遠と比べたら、地上のことはみなむなしいことを覚えておきなさい。
+ 若い人よ。若いことは実にすばらしいことです。若い日を存分に楽しみなさい。したいことは何でもしなさい。欲しいものは何でも手に入れなさい。しかし、自分のしたことはみな、神の前で申し開きをしなければならないことを覚えておきなさい。
+ だから、悲しみと痛みを取り除きなさい。しかし、これから長い人生が待ち受けている若い日にも、過ちを犯してしまうことを忘れてはいけません。
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+ 若い日を夢中で楽しむあまり、あなたの造り主を忘れてはいけません。生きていることを楽しむ余裕などない逆境の時が来る前に、神を信じなさい。
+ 年を取り、日の光や月、星がかすんでよく見えず、夢も希望もなくなってから、神を思い出そうとしても手遅れです。
+ やがて、手足が老齢のため震えるようになり、しっかりしていた足も弱くなり、歯がなくなって食べ物もかめず、目も見えなくなる時がきます。
+ 歯がなくなったら、物を食べるときは口を開かないようにしなさい。鳥がさえずり始める朝早く目が覚めても、耳が遠くて聞こえず、声もしわがれてきます。
+ あなたは白髪でしわだらけの老人となり、高い所を怖がり、転ぶことを心配しながら足を引きずって歩きます。性欲もなく、死の門のそばに立ち、死んだ人を嘆く者のように永遠の家へと近づいて行きます。
+ もう一度言います。あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えなさい。銀色のいのちのひもが切れ、金の器が壊れ、水がめが泉のそばで壊れ、滑車が井戸のそばで壊れてしまう前に。
+ やがて、ちりは元の地に帰り、たましいは、これを授けた神のもとに帰ります。
+ 伝道者は言います。すべて何もかもむなしい、と。
+ しかし、伝道者は知恵があったので、自分の知っていることを全部人に教えました。また、さまざまの人生訓を集め、それを分類しました。
+ 知恵があっただけでなく、優れた教師でもあったからです。伝道者は人々に、自分の知っていることを興味深く教えました。
+ 知恵ある人のことばは、家畜を追い立てる突き棒のようなものです。大切な真理を逃しません。教師の語ることを身につける学生は賢い学生です。
+ 若い人よ、注意しなさい。人の意見には際限がありません。それを全部学ぼうと思うなら、いつになっても終わりがなく、疲れ果ててしまいます。
+ これが私の最終的な結論です。神を恐れ、その命令に従いなさい。これこそ人間の本分です。
+ 神は私たちのすることをすべて、隠れたこともすべて、善も悪も、みなさばくのです。
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+ ソロモン王が作ったこの歌は、ほかのどんな歌よりすばらしいものです。
+ [おとめ]「もっともっと口づけしてください。あなたの愛はぶどう酒より甘く、
+ あなたの香油は、なんとすてきな香りでしょう。名前もとても魅力的です。若い娘たちが夢中になるのもむりはありません。
+ 私を連れて行ってください。さあ、走って行きましょう。」[おとめ]「王は私を、宮殿に連れて行ってくれました。私たちは幸せでいっぱいです。あなたの愛はぶどう酒にもまさります。若い娘たちが夢中になるのも当然です。」
+ [おとめ]「エルサレムの娘さん、私はケダルの天幕(荒野のアラビヤ人が住む黒いテント)のように、日焼けして黒いのです。でも、きれいでしょう。」[ソロモン王]「いや、あなたは私の絹の天幕のように愛らしい。」
+ [おとめ]「町の娘さん、そんなに見つめないでください。私の肌はとても黒いのです。兄にしかられ、強い日照りのぶどう園の番をさせられたので、すっかり日焼けしてしまったのです。」
+ [おとめ]「私の愛する方、どうか教えてください。今日は、羊の群れをどこへ連れて行くのですか。お昼には、どこにいらっしゃるのですか。私は、あなたの仲間に混じって流れ者のようにうろつきたくありません。いつもおそばにいたいのです。」
+ [ソロモン王]「世界で一番美しい女よ、それなら、群れのあとについて行って羊飼いのテントを探しあて、そこで、あなたの羊と子羊の世話をしなさい。
+ 愛する人よ。あなたはかわいい子馬のようだ。
+ 頬にかかる髪の毛が、とてもすてきだ。宝石をちりばめた首飾りをつけた首には気品が漂っている。
+ あなたのために、金のイヤリングと銀の首飾りを作ってあげよう。」
+ [おとめ]「ベッドに横になった王は、私のつけている香水の香りにうっとりしています。
+ 私の愛するお方は、私の乳房の間にある、没薬の匂い袋のようです。」
+ [ソロモン王]「私の愛する人は、エン‧ゲディ(死海西岸のオアシス)の植物園にある花束のようだ。
+ 愛する人よ。あなたはなんと美しいのだろう。どう言ったらいいかわからないほどだ。目は鳩のように優しく、
+ 草の上に身を横たえる姿は、なんと美しく、麗しいのだろう。
+ その上に、杉や糸杉が影を落としている。」
+
+
+ [おとめ]「私はシャロンのサフラン、谷間のゆりです。」
+ [ソロモン王]「そう、ゆりのようだ。私の愛する人とほかの娘たちを比べたら、いばらと、その中に咲くゆりの花ほども違う。」
+ [おとめ]「私の恋人は、ほかの男の方と比べたら、果樹園の中で最上のりんごの木のようです。私は慕わしい方の陰に座りましたが、その実は口の中でとろけそうです。
+ あの方は私を宴会の広間に連れて行きますが、そこでだれもが、あの方がどんなに私を愛しているかを見るのです。
+ 干しぶどうの菓子で、りんごで力づけてください。そうです、あなたの愛で私を元気づけてください。私は恋わずらいをしているのです。
+ あの方は、左手を私の頭の下にあて、右手でしっかり抱いてくださいます。
+ エルサレムの娘さん、あなたがたに、かもしかや野の鹿を指して誓ってほしいのです。どうか、私の恋人を起こさないでください。十分に寝かせてあげてください。」
+ [おとめ]「ああ、愛する方の声が聞こえます。あの方は、山々を跳び越え、丘々を跳ねるようにしておいでになります。
+ まるでかもしかか若い雄鹿のように。ごらんになってください。あの方は壁のうしろにいます。今度は、窓からのぞいています。
+ あの方はおっしゃいました。『愛する人、いとしい人よ。さあ起きて、出ておいで。
+ 冬は過ぎ、雨もすっかり上がった。
+ 花が咲き、小鳥の歌う季節になった。そう、もう春なのだ。
+ 若葉がもえいで、ぶどうの木は花ざかりだ。たまらないほどいい香りを放っている。愛する人、いとしい人よ、さあ、起きて、出ておいで。』
+ 崖の岩のうしろに隠れている私の鳩よ、私を呼んで、美しい声を聞かせてください。りりしいお顔を見せてください。
+ 小ぎつねがぶどう園を荒らし回っています。捕まえてください。ぶどうの木は花ざかりなのですから。
+ 私の愛する方は私のもの、私はあの方のもの。あの方は、ゆりの花の間で羊の群れを飼っています。
+ ああ、お慕いしてやまない方、夜が明け、影が消える前に、私のところへ来てください。帰って来て、険しい山の上のかもしかや、若い雄鹿のようになってください。」
+
+
+ [おとめ]「ある夜のこと、恋人は私のベッドから姿を消してしまいました。私は起きて捜しましたが、見当たりません。
+ 通りへ出て夢中で捜しましたが、どこにもいないのです。
+ 途中、警備の人に呼び止められたので、『どこかで、私が心から愛している方を見かけませんでしたか』と尋ねてみました。
+ それからほんの少しして、あの方は見つかりました。私はうれしくて、あの方をしっかりつかまえ、実家へお連れして、母の古い寝室へ案内しました。
+ エルサレムの娘さん、あなたがたに、かもしかや野の鹿を指して誓ってもらいたいのです。私の恋人を起こさないでください。十分に寝かせてあげてください。」
+ [エルサレムの若い娘たち]「没薬や香料、そのほか手に入る限りの香りのあるものを漂わせながら、煙のように荒野から上って来る人はだれでしょう。
+ ごらんなさい。あれは六十人のえりぬきの勇士に守られた、ソロモン王のみこしです。
+ みな腕の立つ兵士で、経験を積んだ護衛の者たちです。めいめい、夜襲に備えて王を守るため、腰に剣を下げています。
+ みこしは、王がレバノンの木で特別にあつらえたものです。
+ その支柱は銀、天蓋は金、座席は紫のカバーがかかっています。背当てには、『エルサレムの娘たちから愛を込めて』という文字がちりばめてあります。」
+ [おとめ]「シオン(エルサレム)の娘さん、さあ、ソロモン王を見に出かけなさい。王の喜びの結婚式の日に、母上がじきじきにかぶせたという冠を見てごらんなさい。」
+
+
+ [ソロモン王]「愛する人よ。あなたはなんと美しいのだろう。私は全く心を奪われてしまっている。その鳩のような目がきれいだ。あなたの顔にかかる髪は、ギルアデの山腹を跳ね回るやぎの群れのようだ。
+ あなたの歯は、毛を刈って体を洗ってもらったばかりの羊の群れのように真っ白で、きれいな歯ならびだ。
+ くちびるは赤い糸のようで、かわいらしい口もとが魅力的だ。巻き毛のかかる頬は愛らしく、ふくよかだ。
+ 首は、千人の英雄の盾で飾られたダビデのやぐらのようにしっかりしている。
+ 二つの乳房は、ゆりの間で草を食べているふたごの子鹿のようだ。
+ 夜が明け、影が消えるまでに、私は没薬の山、香料の丘に行っていよう。
+ 愛する人よ。あなたのすべてが美しい。あなたには何の汚れもない。
+ 花嫁よ、私といっしょにレバノンから来なさい。山の頂上から、ヘルモン山の頂から見下ろしてみよう。そこにはライオンのほら穴があり、ひょうがうろついている。
+ 美しい花嫁よ。あなたは私をとりこにしてしまった。あなたのただ一度のまなざしと、首飾りのただ一つの宝石で、私はすっかり心を奪われてしまった。
+ いとしい花嫁よ。あなたの愛はなんと甘いことか。ぶどう酒も比べものにならない。あなたの愛の香水は、最高の香料よりかぐわしい香りを放っている。
+ いとしい人よ。あなたのくちびるは、はちみつでできている。舌の裏にはみつとクリームがある。あなたの服は山やレバノン杉の香りがする。
+ 私のいとしい花嫁は、ほかの人の入れない庭園、私だけの泉だ。
+ あなたはまるで最高の実の取れる、すばらしい果樹園のようだ。そこでは、ナルド、サフラン、しょうぶ、シナモン、没薬、アロエをはじめ、さまざまな最上の香料が取れる。
+ あなたは庭園の泉、湧き水の井戸で、レバノンの山々から流れ落ちる冷たい水のように、私をさわやかな気分にしてくれる。」
+ [おとめ]「北風よ、さあ吹いておくれ。南風よ、私の庭に吹いて、愛する方のもとに香りを届けておくれ。あの方がご自分の庭に来て、最上の実を召し上がるように。」
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+ [ソロモン王]「いとしい花嫁よ。さあ私は、自分の庭園にやって来た。私は没薬と香料を集め、はちの巣からみつを取って食べ、ぶどう酒とミルクを飲んでいる。」[エルサレムの娘たち]「愛する方たちよ、食べて飲んでください。十分に飲んでください。」
+ [おとめ]「ある夜のことです。眠っているとき、夢の中で愛する方の声が聞こえました。あの方は、私の寝室のドアをたたいていました。『いとしい人、私の恋人、私のかわいい鳩よ、開けておくれ。夜通し外にいたので、すっかり露にぬれてしまった。』
+ 私は答えました。『もう寝間着を着てしまったのに、また着替えるのですか。足も洗ったので汚したくありません。』
+ それでも、愛する方が鍵を開けようとするのを見て気の毒になり、
+ 私は跳び起きて、ドアを開けました。かんぬきの取っ手を引いたとき、私の手から香水が、指からかぐわしい没薬の液がしたたり落ちました。
+ ところが、せっかくお開けしたのに、もうあの方の姿は見えません。私は心臓の止まる思いでした。どんなにあちこち捜しても、あの方は見当たらないのです。必死にお呼びしても返事はありません。
+ 私は警備の人に見つかり、たたかれました。城壁の見張りにはベールをはぎ取られました。
+ エルサレムの娘さん、どうか誓ってください。私の愛する方を見かけたら、私が恋の病をわずらっていると伝えてほしいのです。」
+ [エルサレムの娘たち]「女性の中で一番美しい人よ。私たちにそれほどまでに頼み込むだれよりもすてきな人とはどんなお方ですか。」
+ [おとめ]「私の愛する方は日焼けして魅力的で、ほかのどの男の方よりすてきです。
+ 頭は純金、黒い髪はウェーブがかかっています。
+ 目は流れのほとりにいる鳩のようで、穏やかに輝き、深く澄んでいます。
+ 頬はかぐわしい香料の花壇、くちびるはゆりの花、息は没薬のようです。
+ 腕はトパーズをはめ込んだ丸い金の棒。体は宝石をちりばめた光沢のある象牙。
+ 足は純金の台座にすえられた大理石のようで、レバノン杉のようにたくましいのです。あの方にまさる人はいません。
+ あの方のことばは、うっとりするほどです。あの方のすべてがすてきなのです。エルサレムの娘さん。これが私の愛する方、私の恋人です。」
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+ [エルサレムの娘たち]「だれよりも美しい人よ。あなたの愛する人はどこへ行ったのですか。その方を捜してあげましょう。」
+ [おとめ]「あの方は、ご自分の庭園、香料の花壇へ行きました。羊の群れを飼い、ゆりの花を集めるためです。
+ 私は愛する方のもの、愛する方は私のもの。あの方は、ゆりの花の間で羊の群れを飼っています。」
+ [ソロモン王]「愛する人よ。あなたは眺めのよいティルツァ(サマリヤの東にある町)のように美しく、エルサレムのように愛らしい。あなたは私をとりこにした。
+ そんなに見つめないでくれ。あなたの目に、吸い込まれてしまいそうだ。あなたの顔にゆれる髪は、ギルアデの山腹を跳びはねて降りて来るやぎの群れのようだ。
+ 歯は、体を洗い流したばかりの雌羊のように、真っ白で、きれいな歯ならびだ。
+ 髪の毛のかかる頬はなんともかわいらしい。
+ 私には、王妃が六十人、そばめは八十人、おとめたちは数知れずいる。
+ だが、あなたのような完全な女性は、ただの一人もいない。エルサレムの女たちは、あなたを見て歓声を上げた。王妃やそばめたちでさえ、あなたをほめそやした。
+ 『夜明けのように上ってきて、月のようにおしとやかな、太陽のように明るい、私たちを魅了してしまうこの方は、いったいだれですか』と。」
+ [おとめ]「私はくるみ林と谷へ行ってみました。春の訪れを知りたかったからです。ぶどうの木が芽を吹いたか、もう、ざくろの花が咲いたかを見に。
+ でも、いつしか生まれ故郷がたまらなく恋しくなり、帰りたくなりました。」
+ [エルサレムの娘たち]「シュラムの娘さん、帰って来てください。私たちのところへ戻って来てください。もう一度、あなたの顔を見たいのです。」[おとめ]「どうして、ただのシュラムの女を、そんなに見たいのですか。」[ソロモン王]「それは、あなたが見事な舞を見せるからだ。」
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+ [ソロモン王]女王のような高貴な人よ。軽やかに歩くあなたの足はなんと美しいことか。丸くてふっくらしたももは、名人が磨き上げた宝石のようだ。
+ あなたのほぞは、ぶどう酒をなみなみとつぐ器のように愛らしい。腰は、ゆりの花をあしらった小麦の山のようだ。
+ 乳房は、ふたごの子鹿のようにかわいらしい。
+ 首は、象牙の塔のように形がよく、なめらかで、目はバテ‧ラビムの門のほとりにあるヘシュボンの池のように澄んでいる。鼻は、ダマスコを見下ろすレバノンのやぐらのように、形がよく、筋が通っている。
+ カルメル山が山々の冠となってそびえているように、あなたの髪はあなたの冠だ。私は、その豊かな髪のとりこになってしまった。
+ ああ、あなたはなんとすてきな人なのだろう。そばへ行くだけで、すっかり夢中になる。
+ あなたはやしの木のように背が高く、ほっそりしている。乳房はなつめやしの房のようだ。
+ 私は言った。やしの木によじ登って、枝をつかもう。あなたの乳房はぶどうの房のよう、あなたの口の匂いはりんごの香りのようであればいい。
+ あなたの口づけは、最上のぶどう酒のようにすばらしく、なめらかで甘く、眠っている者のくちびるを開かせる。」
+ [おとめ]「私は愛する方のもの、あの方の望みどおりの者。
+ 私の愛する方、さあ、野原へ出かけ、村にしばらく滞在しましょう。
+ 早起きしてぶどう園へ行き、ぶどうの木が芽を出したか、花が咲いたか、ざくろの木が花をつけたかを見てみましょう。そのぶどう園で、私の愛をあなたにささげます。
+ そこでは恋なすびが香りを放ち、私たちの門のそばには、古いのも新しいのも取り混ぜた最高の果物があります。それは私の愛する方のために、わざわざたくわえておいたものです。」
+
+
+ [おとめ]「ああ、あなたが私のお兄さんだったらいいのに。そうしたら、あなたに口づけしているのをだれに見られても笑われませんから。
+ あなたを実家にお連れして、そこでいろいろ教わりたいことがあるのです。また、香料を混ぜたぶどう酒、甘いざくろの果実酒を差し上げたいのです。
+ あの方の左手が私の頭の下にあり、私を右手でしっかりと抱いてくださるとよいのに。
+ エルサレムの娘さん、どうか、あの方が十分に眠るまで起こさない、と誓ってください。」
+ [エルサレムの娘たち]「愛する人に寄りかかって、荒野から上って来るのはだれでしょう。」[ソロモン王]「あなたの母が産みの苦しみをして、あなたを産んだりんごの木の下で、私はあなたの愛を呼び起こした。」
+ [おとめ]「私をあなたの心に刻みつけて、どんなことがあっても見捨てないでください。愛は死のように強く、ねたみは地獄のようにきびしいからです。それは炎となって輝く、主の炎です。
+ どんなに水をかけても、愛の炎を消すことはできません。洪水も、それを押し流すことはできません。たとえ全財産をはたいてその愛を買おうとしても、買うことができません。」
+ [おとめの兄弟たち]「私たちには、まだ乳房がふくらんでいない妹がいます。だれかが彼女に結婚を申し込んだらどうしよう。」
+ 「彼女が純潔なら、励ましてあげよう。しかしだらしないなら、男たちから切り離そう。」
+ [おとめ]「私は純潔です。もう乳房は成熟しています。そのため、愛する方の目にとまり、かわいがってもらいました。
+ 王様はバアル‧ハモンにぶどう園を持っています。それを土地の使用人に、めいめい銀貨千枚で貸しています。
+ でも、王様。私のぶどう園の場合は、王様には銀貨千枚を差し上げ、管理人には銀貨二百枚ずつを払います。
+ 庭園に住んでいる私の愛する方。お仲間は、あなたの声に聞きほれています。私にもぜひ聞かせてださい。
+ 愛する方、早く来て、険しい山の上のかもしかや、若い雄鹿のようになってください。」
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+ ユダの王のウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に、アモツの子イザヤに幻の中で神から与えられたことば。その中で、神はイザヤに、ユダ王国と首都エルサレムがどうなるかを示しました。
+ 天も地も、耳をすまして主の告げることばを聞きなさい。「長い間かけて育て、世話をしてきた子どもたちがわたしに逆らった。
+ 犬や猫でさえ飼い主の顔を覚えていて、その恩に感謝するというのに、わたしの民イスラエルは違う。どんなに尽くしても、知らん顔なのだ。
+ なんと罪深い民だろう。罪の重さに耐えかね、前かがみで歩いている。彼らの先祖も悪い者だった。彼らは生まれながらの悪人で、わたしに背き、わたしをさげすんだ。自分から、わたしの助けを断わったのだ。
+ ああ、わたしの民よ。おまえたちはもう十分に罰を受けたではないか。それなのになぜ、なおもわたしにむちで打たれようとするのか。いつまでも反逆するつもりか。からだ全部が病気にかかり、弱り果て、今にも倒れそうではないか。全身切り傷と打ち身だらけで、傷口はひどく化膿している。しかも、薬はおろか包帯も巻いてもらえない。
+ 国は荒れ放題、町々は焼け落ちた。外国人がおまえたちの見ている前で、目につく物を手当たりしだい破壊し、略奪している。
+ しかし、おまえたちは取り残され、ただ呆然と眺めるだけだ。収穫期の終わったあとの番小屋、荒れた畑の掘っ立て小屋のように、だれからも捨て置かれている。」
+ もし天の軍勢の主が介入して、わずかに生き残った私たちを救ってくれなかったら、私たちはソドムやゴモラ(悪行のために神に滅ぼされた町)の住民のように全滅していただろう。
+ さあ、聞きなさい。ソドムとゴモラのようなイスラエルの指導者と住民ども。主が語ることを聞きなさい。
+ 「おまえたちのいけにえなど、もううんざりだ。これ以上わたしのところへ持って来るな。丸々太った子羊もいらない。おまえたちの供え物からしたたる血など見たくもない。
+ 罪を悔いていない者のいけにえなど欲しくもない。おまえたちのたく香は、匂いをかぐだけで胸がむかつく。新月や安息日の儀式、それに、おまえたちが最もおごそかな行事だという特別の断食も、すべてまやかしだ。これ以上、そんなものにわずらわされたくない。
+ わたしは嫌気がさしている。見ただけでも気分が悪くなるのだ。
+ これからは、手を天に差し伸べて祈っても無駄だ。目を閉じ、耳をふさぐ。どんなに祈っても、わたしは聞かない。おまえたちの手は人殺しの手で、罪のない犠牲者の血がこびりついているからだ。
+ 身を洗いきよめなさい。もうこれ以上、悪い行いをわたしに見せるな。悪の道ときっぱり縁を切るのだ。
+ 正しいことに打ち込み、貧しい人やみなしご、気の毒な未亡人を助け、人並みに扱いなさい。」
+ 主はこうも告げます。「さあ、語り合おう。おまえたちの罪のしみがどんなに頑固でも、わたしはそれをきれいにし、降ったばかりの雪のように真っ白にする。たとい紅のような真っ赤なしみでも、羊毛のように白くする。
+ 喜んでわたしの助けを求め、わたしに従いさえすれば、おまえたちを富む者にしよう。
+ だが、わたしに背き、言うことを聞かないままでいるなら、おまえたちは敵の手にかかって殺される。主であるわたしがこう言うのだ。
+ エルサレムよ。一度はわたしの貞淑な妻であったおまえが、今では娼婦になり下がり、ほかの神々に夢中になっている。一度は『紳士の都』と呼ばれたのに、今では人殺しのならず者だ。
+ 以前は、混じり物のない銀のようだったのに、今では安っぽい金属が混ざっている。以前は純粋そのものだったのに、今では混ざりもののぶどう酒のようになってしまった。
+ 指導者たちは謀反人、どろぼうの仲間で、だれもかれもわいろを取り、未亡人やみなしごの肩をもたない。」
+ だからイスラエルの全能の神よ、天の軍勢の主は告げます。「わたしは、敵となったおまえに怒りをぶちまける。
+ この手でおまえを溶鉱炉にぶち込み、溶かし、金かすを取り除く。
+ こうしていつか、以前いたようなりっぱな裁判官や助言者たちを与えよう。そうすれば、エルサレムはまた『正義の都』『忠実な町』と呼ばれるようになる。
+ 神のもとに帰る正しい者は罪を免れる。
+ だが罪人は、最後の一人まで滅び去る。わたしのところへ来ようとしないからだ。
+ おまえたちは恥ずかしくてたまらなくなる。おまえたちにとって神聖だった樫の木立で、偶像にいけにえをささげた時を思って赤面する。
+ まるで枯れ木か水のなくなった庭園のように、見る影もなくなる。
+ 勇士も燃えるわらのように姿を消す。悪の火花がわらに燃えつき、いったん燃え上がったらだれも消せない。」
+
+
+ ユダ王国とエルサレムについて、主からイザヤに別のことばがありました。
+ 終わりの時代には、だれもが、一度はエルサレムと神の神殿に行ってみたいと思うようになります。世界各地から多くの民が、主を礼拝しに詰めかけます。
+ そして彼らは言います。「さあ、主の山へ登ろう。イスラエルの神の神殿に行くのだ。そこで主の教えを習おう。私たちはそれに喜んでお従いしたい。」その時代になると、世界の支配権はエルサレムへ移ります。
+ 主が国家間の紛争を解決するのです。世界中で、武器を平和の道具に作り直します。その時になって初めて、いっさいの戦争は終わりを告げ、いっさいの軍事訓練が不要になるのです。
+ イスラエルよ、さあ主の光の中を共に歩み、主の教えに従うのです。
+ 主はあなたがたを捨てました。あなたがたがペリシテ人の習慣にならい、魔術や悪魔礼拝をする東方の外国人を迎えたからです。
+ イスラエルは金や銀に満ち、馬や戦車も数知れません。
+ そのうえ国中に偶像があふれています。人間が造った像を拝んでいるのです。
+ 地位のある人もない人も、だれもが偶像を拝んでいます。こんな罪を、神は決してお赦しになりません。
+ 洞穴にもぐり込み、主のまばゆいばかりの威光から身を隠しなさい。
+ 身のほど知らずの思い上がりが、打ち砕かれる日がきたからです。たたえられるのはただ主だけです。
+ その日には、天の軍勢の主はおごり高ぶる者にいどみかかり、ちりの中でひれ伏させます。
+ レバノンの高くそびえる杉とバシャンの樫の大木は、難なくへし折られ、
+ すべての高い山と丘も、
+ 高い塔と城壁も、
+ 誇らしげに波を砕く外航船も美しく装った内航船も、その日にはみな、主の前で無残に壊されます。
+ 全人類の栄光は輝きを失い、その誇りも地に落ち、ただ主だけがたたえられるのです。
+ すべての偶像は壊され、影も形もなくなります。
+ 主が御座から立ち上がって地を揺るがすとき、敵どもはおじ気づき、威光を恐れて洞穴や洞窟に逃げ込みます。
+ その時彼らは、金や銀で造った偶像をもぐらやこうもりに投げ与えます。
+ こうして崖の上の岩の裂け目に隠れ、身震いするような主の御姿と、地を恐怖に陥れる威光から、少しでも遠ざかろうとするのです。
+ 息のようにはかなく、あわれな人間よ。そんな人間を絶対に信頼してはいけません。
+
+
+ 天の軍勢の主は、エルサレムとユダ王国の食糧と水の補給路を断ち、
+ 指導者たち、軍隊、裁判官、預言者、長老、将校、
+ 実業家、法律家、魔術師、政治家を取り去ります。
+ 若者がイスラエルの王になり、稚拙な政治をします。
+ そのため手のつけられない無政府状態となり、だれもが人を踏みつけ、隣人同士で牙をむき合い、権威に反抗し、身分の低い者が高貴な人をあざ笑うようになります。
+ そのとき人は、兄弟にすがって哀願します。「おまえには余分の着物があるではないか。王になって、この混乱した社会を何とかしてくれないか。」
+ ところが、相手は口をとがらせるばかりです。「私は何の助けにもならない。着物も食べ物も余分にはない。巻き添えにしないでくれ。」
+ イスラエルが落ちぶれたのは、ユダヤ人が主に背を向け、主を礼拝しようとしなかったからです。彼らは主の栄光に逆らいました。
+ 彼らの顔つきが心の内をさらけ出し、罪があることを物語っています。おまけに、自分たちの罪はソドムの住民の罪に匹敵することを誇り、恥ずかしいなどと少しも思っていません。なんという絶望的な状況でしょう。自分で自分の滅亡を決めてしまったのです。
+ しかし神を敬う人は、何もかもうまくいきます。そういう人には、「すばらしい報いがある」と励ましなさい。
+ 悪者には、「あなたにもふさわしい報いがある。あなたは今に恐ろしい刑罰を受けるだろう」と言いなさい。
+ かわいそうな民よ。支配者がどんなにあなたがたを惑わしているか、わからないのですか。女のように弱く、子どものように愚かな者が、王のまねごとをしているのです。それで指導者といえるのでしょうか。彼らはあなたがたを滅びへと真っさかさまに突き落とす者たちです。
+ 主は立ち上がります。検察官として、自分の民の起訴状を読み上げます。
+ 真っ先に主の怒りに触れるのは、長老や重臣です。彼らは貧しい人から力ずくで巻き上げ、力のない小作人から取り上げた穀物で、倉をいっぱいにしました。
+ 天の軍勢の主は、「どうしてわたしの民をこんなに踏みにじったのか」と、彼らを責めます。
+ 次に主は、高慢なユダヤの女たちをさばきます。彼女たちは気取って歩き、鼻をつんと高くし、くるぶしの飾り輪を鳴らし、男の気をひこうと人ごみの中で流し目を使います。
+ 主はその頭をかさぶただらけにし、裸にして人々のさらし者にします。
+ 彼女たちはもう二度と、これ見よがしに外を歩けません。美しい化粧や装飾品、
+ ネックレス、腕輪、それにストールはみな、はぎ取られるからです。
+ スカーフ、くるぶしの飾り輪、ヘア‧バンド、イヤリング、香水、
+ 指輪、宝石、
+ 夜会服、チュニック‧コート、ケープ、彫り物のついたくし、さいふ、
+ 鏡、美しい肌着、高価なドレス、ベールなどもなくなります。
+ 彼女たちから香水の香りは消え、吐き気をもよおす匂いがただよいます。きれいにセットした髪は抜け落ち、帯の代わりに荒なわをしめ、夜会服の代わりに麻袋を着ます。美貌は失われ、あるのは恥と屈辱だけです。
+ 夫たちは戦いに倒れ、何もかも失って、座り込んで泣くのです。
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+ その時、生き残りの男は数えるほどしかいません。そこで、七人の女が一人の男を奪い合います。「食べる物や着る物は何とかしますから、どうか私たち全員と結婚してください。あなたの名で呼ばれるようになればよいのです。あざけりの目で見られるのはいやです。」
+ 滅びゆくエルサレムと運命を共にしないように、名前を書き記された人の汚れは洗いきよめられ、不道徳のしみも火で焼かれます。その人たちは、神のきよい国民となるのです。それだけでなく、地は黄金色の穂波と、みずみずしい果物を実らせます。
+ その時、主はイスラエル中の家と会合の場所に、昼は煙と雲の覆いをかけ、夜は火の雲の覆いをかけて、栄光の国を、
+ 日中の暑さや風雨から守ります。
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+ さあ、私の愛する方のために、ぶどう園の歌を歌いましょう。私の愛する方のぶどう園は、よく肥えた丘の上にありました。
+ その方は畑を十分に耕し、石ころを全部取り除き、最上のぶどうの木を植えました。見張り台を建て、岩を掘って酒ぶねを造り、収穫期を楽しみに待ったのです。ところが、実ったぶどうは野生ですっぱく、全くの期待はずれでした。
+ 「エルサレムとユダ王国の者たちよ。このような訴えがなされた。あなたが裁判官だ。
+ わたしはこのうえ、いったい何ができよう。ここまでしたのに、なぜわたしのぶどう園は甘いぶどうではなく、野生のぶどうを実らせたのか。
+ さくを壊し、ぶどう園を牧場にして、家畜や羊の踏みにじるままにするほかない。
+ 枝を下ろしたり雑草を除いたりせず、いばらのはびこるままにしておこう。もう二度と雨を降らせないよう、雲に命じよう。」
+ このぶどう園というのは神の民のことです。イスラエルとユダは、神のお気に入りの土地でした。神はそこが正義の国となるのを期待していたのに、実際に目にしたのは流血でした。正しいことが行われるようにと願っていたのに、実際に耳にしたのは、しいたげられた人たちの叫びでした。
+ 土地はどんどん買い占められ、住む所さえない人が大ぜいいました。それなのにあなたがたは、広々とした土地の真ん中に大邸宅をかまえ、まるでこの地は全部自分のものだと言わんばかりの顔をしています。
+ しかし、それも今のうちです。天の軍勢の主は、あなたがたがきっと恐ろしい目に会うと予告しています。「多くの美しい邸宅が荒れ果て、そこに住む者は殺されるか、行方不明になる」と告げるのを、この耳ではっきり聞きました。
+ 十ツェメド(十組の牛が一日で耕す面積)のぶどう園から、たった一バテ(二十三リットル)のぶどう汁も取れず、一ホメル(二百三十リットル)の種をまいても、たった一エパ(二十三リットル)の収穫しかありません。
+ 朝早くから夜ふけまで酒をあびる者は、必ず災難に会います。飲んだくれはひどい目に会います。
+ あなたがたの豪勢な宴会には心地よい音楽が流れ、雇った音楽隊も一流のものです。ところが主のことは頭にありません。
+ 「だから、おまえたちを捕虜として遠い国へ連れて行く。おまえたちは、わたしにどんなによくされたか知りもせず、心にも留めていない。大いに尊敬される者さえ飢え、庶民は飲む水もなく、渇きで死ぬ。」
+ 地獄は、エルサレムという、おいしそうなごちそうを前にして舌なめずりし、その市民を飲んだくれた群衆もろとものみ込みます。
+ その日には、傲慢な者もちりの中にひれ伏し、尊大な者も腰を低くします。
+ 天の軍勢の主だけが、ひときわたたえられるのです。きよく正しい方は主だけだからです。
+ その時、廃墟の中では家畜の群れが草を食べ、子羊と子牛、子やぎがたわむれます。
+ 雄牛に綱をつけて引くように自分の罪を引きずり歩く者はひどい目に会います。
+ イスラエルのきよい神さえさげすみ、罰を受けることなど平気だという顔で言うのです。「主よ、罰するなら早く罰してください。あなたの力のほどを拝見したいものです。」
+ 彼らは白を黒、黒を白と言い、苦いものを甘い、甘いものを苦いと言い張ります。
+ 自分には知恵があると思い、利口ぶる者は、ひどい目に会います。
+ 酒ならだれにも負けないと豪語する者も同じです。
+ 彼らはわいろをもらって正義を曲げ、悪者を保釈して罪のない者を牢にたたき込みます。
+ それゆえ神は彼らをきつく罰し、火で焼くのです。彼らはわらのように、あっという間に燃え尽きます。その根はたちまち腐り、花はしぼみます。主の教えを捨て、イスラエルのきよい神のことばを軽んじたからです。
+ だからこそ、主はイスラエルに向かって怒りを燃え上がらせ、御手を下して彼らを打ったのです。丘々は震え、人々のしかばねがごみのように町の中に捨てられます。それでもまだ神の怒りが収まったわけではありません。御手はなおも重くのしかかります。
+ 神が遠く離れた国々に合図を送り、地の果ての人たちを笛で呼ぶと、彼らはエルサレムへなだれ込みます。
+ 彼らは全く疲れを知らず、つまずいたり立ち止まったりしません。腰のベルトはきつく締まり、くつひもも丈夫で切れません。休むことも眠ることもなく走り続けます。
+ その矢じりは研ぎすまされ、弓はいっぱいに張られ、馬のひづめは火花を散らし、戦車の車輪は風車のように回ります。
+ 彼らはライオンのようにほえ、獲物に襲いかかってわたしの民をつかまえ、捕虜として連れ去りますが、誰ひとり彼らを救い出す者はいません。
+ 海鳴りのようなうなり声とともに、犠牲者を、ひと呑みにします。イスラエル中が絶望のやみと悲しみに沈み、空は暗黒になります。
+
+
+ ウジヤ王の死んだ年に、私は主を見ました。主は高い御座に座っていましたが、神殿は栄光で満ちあふれていました。
+ 神の回りを、三対の翼のあるセラフィム(人間の罪をきよめる天使)が舞っていました。セラフィムは一対の翼で顔を覆い、一対で両足を覆い、残りの一対で飛んでいます。
+ セラフィムは互いに歌いました。「聖なる、聖なる、聖なるお方。それは天の軍勢の主。全地は主の栄光で満ちている。」
+ このすばらしい合唱のために神殿は土台から揺らぎ、聖所はたちまち煙でいっぱいになりました。
+ 私は恐ろしくなって、思わず叫びました。「もうおしまいだ。口の汚れた罪深い民に属する口の汚れた私が、天の軍勢の主である王を見てしまったのだから。」
+ すると、セラフィムの一人が祭壇へ飛んで行き、燃える炭を火ばさみでつまみ、
+ その炭を私のくちびるにつけて言いました。「さあ、これであなたは罪がないと宣言された。この炭がくちびるに触れたからだ。あなたの罪はすべて赦された。」
+ 続いて主の声がしました。「だれをわたしの民への使いとしよう。だれが行ってくれるだろうか。」「主よ、私が行きます。私を使いに出してください。」
+ 「では行って、こう言うのだ。『おまえたちは、わたしのことばを何度も聞くが、悟ることがない。わたしが奇跡を行うのを何度見ても、それが何を意味するのか理解することができない。』
+ 彼らの理解力をにぶらせ、耳を閉じ、目を見えないようにしなさい。彼らには、見たり聞いたり悟ったり、また病気を治してもらったりするために、わたしのもとに戻ってほしくないのだ。」
+ 「主よ、人々があなたに聞きたいと思うようになるまで、どのくらいの年月が必要でしょうか」と私が言うと、主は答えました。「町々が破壊され、住む者もいなくなり、国中が荒れ果て、
+ すべての者が遠い外国へ奴隷となって連れ去られ、イスラエル全土が荒野となる時までだ。
+ それでもなお民の十分の一は残る。イスラエルは何度も侵略され、戦火に見舞われる。しかし、切り倒されてもなお新芽を出す切り株のように、必ず立ち直る。」
+
+
+ ヨタムの子で、ウジヤ王の孫に当たるアハズ王が治めている時、エルサレムはシリヤの王レツィンと、レマルヤの子であるイスラエルの王ペカの攻撃を受けました。幸いエルサレムは占領されず、無事でした。
+ ところが、「シリヤとイスラエルが連合して攻めて来る」という情報が伝わると、王も民も震え上がり、暴風に揺さぶられる木々のようにおびえました。
+ その時、主はイザヤに命じました。「息子のシェアル‧ヤシュブを連れて、アハズ王に面会を求めなさい。王は今、ギホンの泉から布さらしの野に通じる道の近くにある、上の貯水池へと向かう上水道の端にいる。
+ 会って、『心配するな』と伝えるのだ。『すでに勢いを失っているレツィンとペカが怒りを燃やしているからといって、怖がることはない』と言って聞かせるのだ。
+ 確かに、シリヤとイスラエルの王は攻めて来る。彼らはこう言うだろう。
+ 『さあ、ユダに攻め上ってかき乱そう。それから一気にエルサレムへ進撃し、タベアルの子を新しい王にしよう。』
+ だがわたしは断言する。この計画は成功しない。
+ ダマスコはシリヤの首都で終わり、レツィン王の領土はこれ以上増えないからだ。またイスラエルも、六十五年以内に跡形もなくなる。
+ サマリヤはイスラエルだけの首都で終わる。ペカ王の勢力が拡大することはない。わたしのことばを信じることができるか。わたしに守ってほしければ、わたしの言うことを素直に信じるのだ。」
+ それからまもなく、主はアハズ王に告げました。
+ 「アハズよ、わたしはおまえの敵を粉砕すると言った。この約束の確かなしるしを求めよ。天でも地でも、望みどおりのものを。」
+ 「とんでもないことです。そんなことで主を煩わすことなどできません。」王は首を振りました。
+ その返事を聞き、イザヤは言いました。「ダビデの家よ。あなたがたは私の忍耐を切らせるだけで満足せず、神の忍耐まで切らせようとするのですか。
+ それならそれでいいでしょう。しるしは主が決めます。見ていなさい。処女が男の子を産みます。彼女は生まれた子にインマヌエル(「神が私たちとともにいる」の意)という名前をつけます。
+ その子が乳離れして、正しいことと悪いことの区別を知るまでには、あなたがたが怖がっているイスラエルとシリヤの王は二人とも死にます。
+ しかし安心はできません。やがて、あなたとあなたの民とあなたの父の家に、恐ろしいのろいが下ります。ソロモンの王国がイスラエルとユダに分かれて以来、一度もなかった恐怖が襲います。アッシリヤの大王が大軍を率いて押し寄せるのです。
+ その時になると、神はエジプトとアッシリヤの軍隊に合図します。彼らははえのように群がり、はちのように襲いかかって、あなたがたを刺し殺します。
+ 国中至るところに攻め入り、よく肥えた地だけでなく、人家のない谷や洞穴、いばらだらけの地までも侵略します。
+ その日には、あなたが援軍として雇ったアッシリヤ人は、神の手に握られたかみそりとなり、土地も作物も人も、あなたがたのものを全部そり落とします。
+ 略奪を終えた時には、国土は牧草地に変わり果てているでしょう。家畜の群れは手当たりしだいに殺されるので、一頭の牛と二匹の羊が残っているだけでも、幸運な人と呼ばれます。それでも牧草はあり余るほどあるので、乳をたっぷり生み出し、生き残った者は凝乳と野生のはちみつを常食にします。
+ 豊かなぶどう園は、いばらの生い茂る雑草地となり、
+ 全土が巨大ないばらの野、野獣の跳びはねる狩猟地となります。
+ 以前はよく耕されていた土壤の肥えた山腹もいばらに覆われ、だれも寄りつかなくなります。ただ牛や羊が草を食べに来るだけです。」
+
+
+ 神はまた、私に命じました。「大きな看板を作り、やがて授かる子どもの名を、だれもが読めるように書きなさい。名前はマヘル·シャラル·ハシュ·バズ。『敵はまもなく滅びる』という意味だ。」
+ 私は祭司ウリヤとエベレクヤの子ゼカリヤに頼んで、証人になってもらいました。まだ子どもの生まれないうちに、確かに私がこのことを書いた、と証言してもらうためです。
+ やがて妻はみごもり、男の子を産みました。その時、主の声が響いてきました。「この子をマヘル‧シャラル‧ハシュ‧バズと呼べ。
+ この名は、この子が『お父さん』『お母さん』と言うようになるまでの数年のうちに、アッシリヤ王がダマスコ(シリヤ)とサマリヤ(イスラエル)を侵略し、金銀財宝を奪い去ることを予告している。」
+ 主はさらに続けました。
+ 「エルサレムの住民は、わたしが親身に世話をしたのに見向きもせず、レツィン王とペカ王が、助けに来てくれないかと、やっきになっている。
+ だからわたしは彼らの上に、ユーフラテス川の大洪水をもたらそう。アッシリヤ王が大軍を率いて彼らに襲いかかる。ああ、インマヌエル。この洪水は、おまえたちユダ王国に堰を切ったように流れ込み、端から端まで水浸しにする。」
+ シリヤもイスラエルもほかの国々も、悪の限りを尽くしてみるがよい。だが、そんな計画が成功するはずはない。必ず計画倒れになる。さあ敵どもよ、私の言うことを聞け。私たちに戦争をしかけてみよ。そして滅ぶがいい。参謀を呼び集め、緻密な作戦を立て、抜かりなく攻撃準備を整えよ。そして滅ぶがいい。私たちには神がついている。
+ 主はきびしく命じました。「どんなことがあっても、シリヤとイスラエルに降伏しようという計画に乗るな。
+ 神に忠実であることで同胞から裏切り者呼ばわりされるのを恐れるな。人々はシリヤとイスラエルが攻めて来るというので恐れているが、あなたはあわてふためいてはならない。
+ 天の軍勢の主のほかは、だれをも恐れてはならない。わたしだけを恐れていれば、誰ひとりとして怖くないはずだ。
+ おまえの安全は、わたしが保証する。ところがイスラエルとユダは、わたしの守りを拒んだために、救いの岩につまずき、倒れて下敷きになった。わたしが彼らとともにいたことがかえって彼らに危害を及ぼすことになった。
+ これからわたしのしようとしていることを残らず書き留め、将来のために封をしておけ。神を敬う者に託して、のちの時代の神を敬う者らに渡してもらうのだ。」
+ 主は今姿を隠していますが、私は主の助けを信じて、ひたすら待ち望みます。主だけが私の希望です。
+ 私の名も、神が授けてくれた子どもたちの名も、みな天の軍勢の主の計画を暗示しています。イザヤというのは「神はご自分の民を救う」、シェアル‧ヤシュブは「残りの民が帰って来る」、マヘル‧シャラル‧ハシュ‧バズは「敵はまもなく滅びる」という意味です。
+ だというのに、なぜあなたがたは魔術師や霊媒師などに相談し、将来どんなことが起こるかを知ろうとするのですか。彼らのささやきや呪文を聞いてはなりません。そもそも生きている者が、死んだ人間から将来のことを聞き出せるものでしょうか。知りたかったら、どうして神に直接尋ねないのですか。
+ 神はこのように語ります。「魔術師どものことばを、神のことばと比較してみよ。彼らの言うことは、わたしの言うことと違うが、それは彼らがわたしの使者ではないからだ。彼らには真理の光などない。
+ わたしの民は捕虜となり、飢えて弱り果て、つまずきよろけながら連れ去られる。空腹のあまりうわ言をいい、天に向かってこぶしを振り、王と神をのろう。
+ どこを見ても、目につくものは苦しみと悩みと暗たんとした絶望だけだ。こうして彼らは暗闇の中に追いやられる。」
+
+
+ しかしながら、暗闇と絶望の時代は、いつまでも続くわけではありません。もうすぐ、ゼブルンの地とナフタリの地は神からの辱しめとさばきを受けますが、将来は、海沿いの道、外国人の住むガリラヤ、ヨルダン川の東の地は、神の栄光でまぶしいほどになります。
+ 暗がりを歩いていた人たちは大きな光を見ます。それは、死の陰の地に住んでいた者を照らす光です。
+ イスラエルはもう一度、偉大な民族となり、収穫期を迎えた農夫のような喜びにあふれ、分捕り物を山分けする者のように喜びに満たされます。
+ 神は、ギデオンのわずかな部下でミデヤン人の大軍を破った時のように、ご自分の民をつないでいる鎖を壊し、懲らしめの鞭をへし折るのです。
+ すばらしい平和の時代が訪れ、軍靴や血にまみれた軍服はみな焼き捨てられます。
+ 一人の男の子が私たちのために生まれます。その肩にすべての主権が与えられ、その子は、「すばらしい助言者」「全能の神」「永遠の父」「平和の君」と呼ばれます。
+ その主権は増し、平和は絶えることがありません。彼はダビデの王座につき、世界のすべての国々に真の正義と平和をもたらします。天の軍勢の主の熱意で、このことは必ず実現します。
+ われわれの国は廃墟となったが、やがて、前よりりっぱに再建してみせると言う、大ぼら吹きのイスラエルを主はたしなめます。いちじく桑の木は切り倒されたが、代わりに杉の木を植えようと、イスラエルは考えているのです。
+ このうぬぼれに対して、神は東からシリヤ人を西からペリシテ人を送り、あなたがたに敵対させます。彼らは牙をむき出して、イスラエルに襲いかかります。それでも主の怒りはやまず、振り上げたこぶしを下ろされません。
+ こんなにひどい罰を受けてもまだ、悔い改めて、天の軍勢の主に立ち返ろうとしないからです。
+ それゆえ主は、たった一日のうちに、イスラエルの指導者と、偽りを教える預言者を消し去ります。
+ それは、彼らが民を滅びの道へと引きずり込んだからです。
+ 主はイスラエルの若い男たちを喜ばず、未亡人やみなしごにさえ、あわれみをかけません。だれもが下品なことばを吐き、たちの悪いうそをつくからです。主の怒りはなおも去らず、一人残らず打ち殺そうと、こぶしを振り上げたままなのです。
+ 彼らの悪を焼き尽くす火は森林までなめ尽くし、煙は立ち上って天を覆います。
+ 地は、その火と天の軍勢の主の怒りによって黒ずみ、地の住民は火をあおる燃料となります。人々は兄弟と戦って食べ物を奪い合いますが、まだ飢えて空腹はつのり、ついには、わが子まで食べるようになります。
+ マナセとエフライムは争いが絶えませんでしたが、その時ばかりはいっしょになってユダを襲います。それでも、神の怒りは去らず、その手はまだ振り上げられています。
+
+
+ 「不正な裁判官と不公平な法律を作る者は災いである」と主は言います。
+ 彼らは、貧しい人やみなしごを見殺しにし、未亡人や父のない子の権利を奪っています。
+ 「わたしが遠い国から滅亡を招き寄せる。さあ、どうするつもりか。そのとき、だれに助けを求めるのか。どこに財宝を隠すつもりか。
+ わたしは助けない。道は二つ。囚人となって、よろめきながら引かれて行くか、虐殺されて横たわるかだ。それでもわたしの怒りは収まらない。なお打ちのめそうと、こぶしを振り上げる。
+ アッシリヤはわたしの怒りのむちだ。わたしはその軍事力を使って、滅びの運命にある、不敬虔なこの国を攻め立てる。アッシリヤはこの民を捕虜にし、略奪をほしいままにし、泥のように踏みにじる。
+ ところが当のアッシリヤ王は、わたしにあやつられているとは夢にも思わない。世界征服の一部として、神の民を攻めているだけだと考える。
+ 占領した国々の王に高官たちを据え、得意げに言う。
+ 『さあ、カルケミシュのようにカルノもやっつけてしまおう。ハマテなど一飲みだ。アルパデのように必ず降伏するだろう。サマリヤもダマスコのように足腰が立たないようにしてやろう。
+ エルサレムやサマリヤの神より偉大な神々の国を、われわれは片っ端から打ち倒してきた。
+ サマリヤとその神を打ち砕いたように、エルサレムとその神もそうしよう。』」
+ 主はアッシリヤ王を用いて目的を果たしたのち、今度は、高ぶるアッシリヤに襲いかかって罰を加えます。
+ 彼らは豪語したのです。「われわれは自分の力と知恵で戦いに勝ってきた。われわれは高度の文明を誇る偉大な民だ。われわれの手で国々の城壁をぶち壊し、住民を滅ぼし、財宝を運び出した。
+ 諸国の富を略奪し、農夫が卵を集めるように、王国を奪い取ってきた。彼らはわれわれを阻止するどころか、抗議することさえできなかった。」
+ しかし主は、きびしく問い返します。「斧は主人に、自分のほうに力があると自慢できるだろうか。のこぎりは、それを使う人よりほめられるだろうか。棒は、それを動かす手がなかったら、人を打つことができるだろうか。杖は一人で歩くことができるだろうか。」
+ あなたのおごりのゆえにアッシリヤの王よ、天の軍勢の主は負け知らずのあなたの軍隊に疫病をはやらせ、兵を打ちます。
+ 光であるイスラエルの聖なる神は、燃えさかる炎となって全軍を焼き尽くします。イスラエルの国土を荒らした、いばらのようなアッシリヤ人を、一夜のうちに焼き払うでしょう。
+ 今は壮麗な森のような大軍も無残な姿をさらし、病人がやせ細っていくように、身もたましいも滅び去ります。
+ おびただしい兵力を誇った大軍のうち生き残る者はわずかで、子どもにも数えられるほどの数です。
+ そうなってようやく、イスラエルとユダに残っていた者は、二度とアッシリヤ人を恐れなくなり、イスラエルの聖なる神である主だけを頼みとするようになります。
+ 全能の神に立ち返るのです。
+ しかし今、イスラエルの民は海辺の砂のように多くいようとも、その時まで生き残り、神に立ち返る者は、ごくわずかしかいません。神はご自分の民を滅ぼそうと、堅く覚悟を決めているからです。
+ 彼らを根こそぎにすることは、主なる神によってすでに決められたことです。
+ それゆえ主なる神は命じます。「エルサレムに住むわたしの民よ、かつてのエジプト人のようにアッシリヤ人が圧力をかけても、怖がってはならない。
+ もうしばらくの辛抱だ。わたしの怒りはおまえたちから離れ、アッシリヤ人に向けられる。彼らは滅びるのだ。」
+ 全能の主は、ギデオンがオレブの岩でミデヤン軍を打ち破った時のように、またエジプト軍が海でおぼれた時のように、アッシリヤ軍に立ち向かいます。
+ その日、神はご自分の民を解放し、奴隷のくびきをはずして粉々に壊します。
+ 見なさい。アッシリヤの大軍が押し寄せて来ます。さっきまでアヤテにいたのに、もうミグロンに着きました。彼らはミクマスに軍用物資を置き、渡し場を過ぎ、ゲバで野営します。ラマの町は震え上がり、サウルの町ギブアの住民は命からがら逃げ去ります。
+ ガリムの人たちよ、恐怖につかれて声の限り叫びなさい。大軍がやって来るのだから、ラユシャに大声で危険を知らせなさい。哀れなアナトテよ、あなたの運命は何とも哀れです。
+ あそこに行くのは、落ち伸びて行くマデメナの人たちではありませんか。ゲビムの住民は逃げる準備をしています。
+ その日、敵軍はノブで止まり、シオンの山の上にあるエルサレムに向けて進軍の手を振ります。
+ しかし、あれを見なさい。天の軍勢の主が屈強な木々を切り倒しています。大木と小木、将校と兵卒の区別なく、あの大軍を滅ぼし尽くしています。
+ 全能の主が、きこりが斧でレバノンの森の木々を切り倒すように、敵をなで切りにするのです。
+
+
+ ダビデ王の家系は切り倒されますが、その切り株から新芽が生え、そこから一本の若枝が出て、
+ その上に主の霊が宿ります。それは知恵の霊、悟りの霊、助言と力の霊、知識の霊、そして主を恐れる霊です。
+ この方は主に従うことを喜びとし、外見や捏造された証拠、うわさによってさばかず、
+ 貧しい人やさげすまれている人の味方になります。反対に、このような人にひどい仕打ちをする悪者どもには容赦しません。
+ 公平と真実を身にまとっているからです。
+ その日には、狼と子羊がいっしょに休み、ひょうと子やぎは大の仲良しになります。子牛や丸々と太った家畜がライオンの間にいても心配はなく、小さい子どもがその群れを追って行きます。
+ 牛は熊の間に入り込んで草を食べ、その子らはじゃれ合い、ライオンは牛のように草を食べます。
+ 幼子が毒蛇の間をはい回ってもかまれず、子どもは平気でまむしの巣に手を入れます。
+ 主の聖なる山のどこででも、傷つけたり危害を加えたりするものは一つもありません。水が海を満たすように、主を知る知識が地にあふれるからです。
+ その日、エッサイの家から出てダビデ王朝を開いたお方は、全世界の人々の救いの旗となって翻ります。この方のいる地は栄光のとどまる所となるので、国々の民がこの方のもとへ集まります。
+ その時になって、主は、生き残ったご自分の民を呼び戻します。これは二度目の帰郷で、彼らはアッシリヤ、エジプト、エチオピヤ、エラム、バビロン、ハマテ、および遠く離れた島国からイスラエルへ帰って来るのです。
+ 神は国々の中に合図の旗を上げ、散り散りになったイスラエル人を、地の果てから呼び集めます。
+ ついにその時、イスラエルとユダの互いのねたみはなくなり、二度と戦いを交えません。
+ 彼らは力を合わせて国々に飛びかかり、東西に領土を延ばし、エドム、モアブ、アモンを占領します。
+ 主はエジプトの海の入江を干上がらせて道をつくり、大河に向かって手を振り、強い風を送って七つの流れに分けるので、容易に渡れるようになります。
+ 生き残った民のために、アッシリヤからの広い道が備えられます。かつて、イスラエル人がエジプトから帰って来た時に備えられたように。
+
+
+ その日、あなたは言うでしょう。「主はなんとすばらしいお方だろう。私のことを怒っておられたのに、今は慰めてくださる。
+ そればかりか、神は私を救うために来てくださった。私は主に信頼し、少しも怖くない。主は私の力、歌、そして救い。
+ 救いの泉から十分に飲める喜びを、何にたとえたらいいのだろう。」
+ この記念すべき日に、あなたは言うでしょう。「主に感謝し、御名をたたえよう。世界中の人に、主の驚くべき愛を伝えよう。主はなんと偉大なお方なのだろう。」
+ 主がすばらしいことをなさったのだから、主に歌いましょう。その賛美を世界中に響かせましょう。
+ エルサレムの全住民が、喜びにあふれて高らかに賛美しますように。あなたの内に住んでおられるイスラエルの聖なる神は、この上なく偉大で力あるお方だからです。
+
+
+ 以下は、神がアモツの子イザヤに示したバビロン滅亡の幻です。
+ 「バビロンに攻め上る敵軍の旗を見よ。資産家どもと権力者どもの屋敷を壊そうと進撃して来る彼らに、歓声を上げて手を振れ。
+ 主であるわたしは、この時のために彼らを取っておいた。わたしは、わたしの怒りを晴らすために喜んで協力する者を呼び集めた。
+ 山の上の騒動と、軍隊が行進して来る音を聞け。あれは、多くの国の兵士がどよめき叫ぶ声だ。天の軍勢の主が彼らを連れて来た。
+ それも、ずっと遠い国々からだ。バビロンよ、彼らはおまえを攻め立てる神の武器だ。神の怒りを運んで来て、おまえの国を見るも無残に踏みにじる。
+ いよいよ主の時が来たのだから、恐怖におびえて泣き叫べ。全能の神がおまえたちを打ち砕く時がついにきた。
+ あまりの恐ろしさに腕は麻痺し、勇気はくじけ、
+ 震え上がる。産みの苦しみにあえぐ女のように、激しい苦痛を伴う恐れに取りつかれる。おまえたちは絶望して互いに見つめ合うが、青ざめたその顔に映るのは、町を焼く炎ばかりだ。
+ さあ、神の日が来る。それは、神の憤りと激しい怒りに包まれた、身の毛もよだつような日だ。地は、そこに住む罪人もろとも滅びうせる。
+ 星も太陽も月も一筋の光さえ放たず、天は真っ暗になる。
+ わたしは世界をその悪のために、悪者どもをその罪のために罰する。傲慢な者とおごる金持ちとを踏みつぶす。
+ わたしがそれを終えた時、生き残っている者はほんの一握りだ。その時、人を見いだすことは金鉱を掘り当てることより難しく、オフィルの金より価値あるものとなる。
+ わたしが憤りと激しい怒りで天を震わすので、大地は元の場所から移動する。
+ バビロンの兵士は逃げ回り、ついに精根尽きて倒れる。まるで犬に追われる鹿のように故国めざして一目散に走り、羊飼いに捨てられた羊のようにさまよう。
+ 走る気力を失った者は無残に殺される。
+ 幼子たちは彼らの目の前で、舗道の石に投げつけられて殺される。家は略奪され、妻は攻め入った敵兵に犯される。
+ わたしはメディヤ人をバビロンに敵対させる。どれほど金銀を積んでも、彼らを買収することはできない。
+ 侵入した軍隊は、若者にも子どもにも幼子にも、いっさい手ごころを加えない。
+ こうして、王国の誉れでありカルデヤ文明の華であったバビロンは、天からの火に焼かれたソドムとゴモラのように滅びる。
+ バビロンは二度と立ち上がれず、永久に人が住みつかない。遊牧の民でさえ、そこにテントを張らず、羊飼いも、そこでは羊の群れを休ませない。
+ バビロンは荒野の野獣やだちょうの住みかとなり果てる。家々はみみずくの巣となり、悪鬼が来ては踊り回る。
+ ハイエナや山犬は宮殿を巣窟とする。バビロンの寿命はあとわずか、運命の時はそこまで来ている。」
+
+
+ しかし主は、イスラエル人にはあわれみをかけます。彼らが特別の民であることに変わりはないからです。主は彼らを連れ戻し、再びイスラエルに住まわせます。多くの国が彼らと手を結び、忠実な同盟軍となります。
+ 世界中の国々が彼らの帰国を助け、イスラエルに移住した外国人は彼らに仕えます。イスラエル人を奴隷にした者は、逆に奴隷となります。こうしてイスラエルは、かつての敵を支配するようになるのです。
+ 主がご自分の民から悲しみや恐れを取り除き、奴隷の鎖から解放して休息を与えるとき、
+ あなたがたはバビロンの王をあざけって、こう言います。「弱い者をしいたげる者よ、とうとう、おまえに起こるはずのことが起こった。
+ 主がおまえの力と支配を打ち砕いたのだ。」
+ あなたはイスラエルを怒りにまかせて迫害し、国々を牛耳り、圧制をほしいままにしてきました。
+ やっと今、全地は安らかに憩い、静けさを取り戻しました。世界中の人々の口に喜びの歌が上りました。
+ 糸杉やレバノン杉のような森の木さえ、うれしそうに声を張り上げて歌います。「バビロンは力を失った。もうだれにも煩わされない。平和が来たのだ。」
+ あなたが地獄の門に着くと、そこの住民はこぞって迎えに出ます。以前に死んだ世界の指導者や大王たちも会いに来て、
+ 声をそろえて叫びます。「とうとう、おまえも私たちと同じように弱くなってしまったのか。」
+ あなたの権力は失われ、あなたとともに葬られます。あなたの宮殿で聞かれた華やかな音楽もとだえ、うじがあなたの敷布のように下に敷かれ、虫けらが毛布になってしまいました。
+ 暁の子、ルシファー(天使)よ、どうしてあなたは天から落ちたのか。世界に並ぶ者のない権力者だったのに、どうして切り倒されたのか。
+ それは、心の中でこう言ったからです。「天に上り、最高の王座について、御使いたちを支配しよう。
+ 最も高い天に上って、全能の神のようになろう。」
+ だがあなたは地獄の深い穴に落とされ、しかもどん底まで突き落とされます。
+ そこにいる者はみな、あなたをまじまじと見つめて言うでしょう。「ほんとうにこの人が、世界中の王国を縮み上がらせた人なのか。
+ 全世界を足の踏み場もないまでに破壊し尽くし、大都市を瓦礫の山とし、捕虜に少しもあわれみをかけなかった人か。」
+ 国々の王は、りっぱな墓に手厚く葬られています。
+ しかしあなたの体は、折られた枝のように放り出されるだけです。戦場で殺された兵士の死体といっしょに、口を開いたままの墓に投げ込まれ、道ばたに転がる死体のように、馬のひづめにかかり、無残に引き裂かれます。
+ 自分の国を滅ぼし、自分の民を殺したのだから、記念碑は建てられず、あなたの子は王位を継ぐことができません。
+ この罪人の子どもたちは刀にかけて殺しなさい。もう二度と立ち直れず、世界を征服せず、町を建てることがないようにするのです。
+ 「わたしは立ち上がって彼に刃向かい、彼の子どもと孫を切り殺し、誰ひとり王座につかせない。
+ わたしはバビロンを湿地と沼に囲まれた、針ねずみの住む荒れ地にする。この地を滅亡というほうきで一掃する」と、天の軍勢の主は断言します。
+ 主は誓って言いました。そうすることが神の目的であり計画だからです。
+ 「わたしは、イスラエルに攻め込んだアッシリヤ軍を打ち破り、わたしの山で踏みつけることに決めた。わたしの民は二度と彼らの奴隷にならない。
+ これが全地に対するわたしの計画だ。わたしは、世界のすみずみにまで及ぶ全能の力によってこの計画を実現する。」
+ 主が取り決めた計画をだれが変更できるでしょう。いったん動きだした神の御手は、だれも止められません。
+ これは、アハズ王が死んだ年に私に臨んだ、神のことばです。
+ 「ペリシテ人よ、おまえを打った王が死んだからといって、喜んではならない。なるほど、あの杖は折れた。だが、息子は父以上の災難をもたらす。蛇からまむしが生まれ、おまえをかみ殺すのだ。
+ わたしの民のうちの貧しい者は、わたし自身が羊飼いになって養う。わたしの牧場で草を食べさせ、生活に困っている者にも心配はさせない。だが、おまえたちは別だ。わたしはおまえたちを飢えと剣で一掃する。
+ ペリシテの町々よ、大声で泣き叫べ。おまえたちの運命は決まっている。国は滅ぶのだ。北から鍛え抜かれた軍隊が攻めて来る。」
+ 外国には、どう知らせたらよいでしょうか。「神はすでにエルサレムの土台を築き、貧しい民を城壁内にかくまうことに決定した、と伝えておけばよい。」
+
+
+ これは、モアブへの神のことばです。「たった一夜で、アルとキルの町は灰になる。
+ ディボンの住民は、災難に会ったネボとメデバを悼もうと、泣きながら神殿へ行く。彼らは頭をそり、ひげを切り落として悲しみ嘆く。
+ 荒布を着て町を歩けば、どの家からも泣き声が聞こえる。
+ ヘシュボンとエルアレの住民の叫びは、ずっと離れたヤハツまで聞こえる。モアブで一番勇敢な勇士でさえ、すっかりおじ気づいて泣き声を上げる。
+ わたしはモアブのために涙を流す。人々はツォアルとエグラテ‧シェリシヤまで落ち延び、泣きながらルヒテに通じる坂道を登る。その泣き声は、ホロナイムの道でひっきりなしに聞こえる。
+ ニムリム川でさえ干上がり、青々としていた土手は茶褐色に変わり、柔らかい芽をふく木々はなくなり、見る影もない。
+ 避難民は両手に持てるだけの物を持ち、命からがらアラビム川を渡って逃げる。
+ モアブの全土は端から端まで泣き声で満ちる。
+ ディモンの流れは血で真っ赤に染まるが、それでもまだ、わたしはさばきの手を緩めない。やっとの思いで逃げ延びた生き残りの者に、ライオンを襲いかからせる。
+
+
+ セラにいるモアブの避難民は、ユダの王と同盟を結んだしるしとして子羊を送りなさい。
+ モアブの女たちは、アルノン川の渡し場で、帰る巣のなくなった鳥のように置き去りにされる。
+ エルサレムに貢ぎ物を運ぶ使節たちは、助言と助けを求める。『私たちをかくまってください。お願いですから、敵の手に渡さないでください。
+ 見捨てられた私たちの同胞が、この国に住めるよう計らってください。その親切に、神はきっと報いてくださるでしょう。モアブの亡命者を受け入れてくださるなら、災いが過ぎ去ったのち、神はダビデの王座を永久に不動のものにするでしょう。そしてその王座に正義を座らせます。』
+ これが、うわさに聞いていた、あの高慢なモアブだろうか。人を人とも思わない態度はどこへ行ったのか。
+ それゆえ、モアブ中の者は泣く。打ちのめされたキル‧ハレセテのために嘆き、
+ 荒れ果てたヘシュボンの畑とシブマのぶどう園のために悲しむ。敵将たちが、品質を誇るぶどうの木を切り倒したからだ。彼らは荒野のヤゼルにまで兵を進め、さらに海岸地帯までも攻撃する。
+ だからわたしは、ヤゼルのため、またシブマのぶどう園のために大声で泣く。ヘシュボンとエルアレのため、滝のように涙を流す。そこでは夏のくだものと穀物が台なしになったからだ。
+ 楽しみも刈り入れの喜びも、むなしく消え去った。ぶどう園で聞いた陽気な歌声は二度と聞けない。酒ぶねでぶどうの実を踏む光景も、もう見ることができない。このわたしが、刈り入れの喜びを終わらせたのだ。
+ わたしはモアブのために、胸が張り裂けるほどに泣く。キル‧ヘレスへの悲しみは、とてもことばで表すことができない。
+ モアブ人が丘の上で身もだえしながら偶像に祈っても、気休めにすらならない。偶像を祭り、神々に叫んでも、救いは来ない。」
+ モアブについて、主は以前からこのように語っていました。しかし今度は、三年以内に間違いなくモアブの栄光は去り、ごく少数の者しか生き残らないと断言するのです。
+
+
+ これは、シリヤ(アラム)の首都ダマスコへの神のことばです。「見よ。ダマスコは影も形もなくなる。もはや町ではなく、巨大な瓦礫の山となる。
+ アロエルの町々には人が住まず、羊は追い払われる心配もなくゆったりと伏して、草を食べる。
+ エフライム(北イスラエルの町)とダマスコの権勢は失われ、残ったシリヤ人も滅びる。イスラエルの栄光が去ったように、彼らの栄光も消えてなくなる。
+ 貧困が全土に広がり、イスラエルの栄光は風前のともしびになる。
+ イスラエルは、刈り入れを終えたレファイムの谷の畑のように見捨てられる。
+ 残っている者は数えるほどしかいない。収穫を終えた木に、ごくわずかのオリーブの実が残っているようなものだ。こずえに二つ三つ、枝先に四つ五つの実が残るように。ダマスコとイスラエルはこのようになり、ごく少数の貧しい人だけが残される。」
+ その時ようやく、彼らは創造者である神を心に留め、イスラエルの聖なる方を敬うようになります。
+ もはや、偶像に助けを求めるようなことはせず、自分の手で造ったものを拝まなくなります。二度と、アシェラ像や香の祭壇に心を寄せません。
+ 彼らの自慢の大都市は、遠く離れた丘や山の頂のように捨てられ、昔イスラエル軍によって破壊されたエモリ人の町々のように荒れ果てます。
+ それは、あなたを守ってくれる神に背いたからです。それゆえ、貴重で高価な実を結ぶ苗を植え、
+ それがすくすく伸びて、植えた日の朝にはもう花を咲かせたとしても、あなたは刈り入れることができません。刈り入れるのは、山のような大きな悲しみと、いつまでも除かれない痛みだけです。
+ 神に守られている国をめがけて、怒濤のように押し寄せる軍勢を見なさい。
+ しかし心配はいりません。たとえ彼らが海鳴りのような大声を上げても、神はたちまち沈黙させます。彼らは一目散に逃げ、風に吹き飛ばされるもみがらや、嵐にもてあそばれるちりのようになります。
+ 夕べには、恐怖に包まれていても、夜明けになれば、敵は山のような死体を残して姿を消します。これが、神の民を滅ぼし略奪する者たちへの正当な報いです。
+
+
+ これは、エジプトについての神のことばです。「見よ。わたしは速い雲に乗ってエジプトへ向かう。エジプトの偶像は身震いし、エジプト人は恐ろしさのあまり意気消沈する。
+ わたしが同士討ちをさせるので、兄弟は兄弟と、隣人は隣人と、町は町と、州は州と争う。
+ 知恵ある助言者も、どうしたらよいかわからず途方にくれ、あげくの果てに、偶像に助けを求め、霊媒や魔術師や魔女に伺いを立てる。
+ 「わたしはエジプトを、過酷な支配者に引き渡す」と全能の主は告げます。
+ ナイル川の水は、いつものようにあふれて土地をうるおすこともなく、水路は干上がり、
+ 運河は水草が腐って悪臭を放ちます。
+ 川沿いの緑の草々は枯れ、風に吹き飛ばされます。あらゆる作物が立ち枯れ、死に絶えるのです。
+ 漁師は仕事がなくて嘆き、釣り師や網を打つ者は一人残らず解雇されます。
+ 機を織る者は、亜麻や綿が手に入りません。
+ 織工も労働者も大きな打撃に心を痛めます。
+ ツォアン(エジプト北東部の有力都市)の助言者は、なんという愚か者でしょう。エジプトの王に進言する策さえ、全く愚かなものです。それでも、知識をひけらかすことができるのでしょうか。王の前で、学者の家柄を誇らしげに言えるでしょうか。
+ エジプト王よ、あなたの知恵袋と呼ばれた賢者は、どうしたのですか。あの知恵はどこへ行ったのですか。彼らに知恵があるというなら、主がエジプトに何をしようとしているかを、彼らから聞けばよいのです。
+ ツォアンの博学者たちは頼りにならず、メンピス(エジプト古王国時代の首都)の知識人たちも、すっかり惑わされています。なるほど、彼らはあなたにとって最高の策略家でしょう。しかし、その浅はかな進言によって、エジプトは滅んだのです。
+ 主が正しく判断できないようにさせたので、彼らは見当はずれのことばかり言います。それを聞くエジプトは、飲んだくれのようにふらつきながら歩きます。
+ どんなものも、エジプトを救えません。エジプトに正しい道を示すことのできる者は、誰ひとりいません。
+ その日、エジプト人は女のように弱くなり、振り上げられた神のこぶしを見て、恐れおののきます。
+ イスラエルの名を耳にしただけでおびえます。それというのも、全能の主の計画が知らされたからです。
+ その時、エジプトの五つの都市が全能の主に忠誠を誓い、ヘブル語を話すようになります。その一つはヘリオポリス(「太陽の都」の意)と呼ばれます。
+ その時代には、主の祭壇がエジプトの中心地に設けられ、国境には主の記念碑が立てられて、
+ 主への忠誠のしるしとなります。彼らが迫害の中で助けを呼び求めると、主は救い主を送ります。この方が彼らを救い出すのです。
+ その日、主はエジプト人にご自分を示します。彼らは主を知り、誓願のためのいけにえと供え物をささげ、神との約束を守るようになります。
+ 主はエジプトを打ちのめしたあとで、もう一度建て直すのです。エジプト人が素直に主を信じるので、願いを聞き入れ、すべてを元どおりにします。
+ その日、エジプトとアッシリヤは街道で結ばれて自由に行き来し、共に同じ神を拝むようになります。
+ イスラエルはこの両国と同盟を結び、三つの国が団結します。そしてイスラエルは、両国にとって祝福となるのです。
+ イスラエルとの親交によって、エジプトとアッシリヤも祝福します。主は彼らに言います。「わたしの民エジプトに祝福あれ。わたしの造った国アッシリヤに祝福あれ。わたしのものであるイスラエルに祝福あれ。」
+
+
+ アッシリヤのサルゴン王が、司令官にペリシテの町アシュドデを襲わせ、占領させた年のことです。
+ 主はアモツの子イザヤに、腰の荒布を取り、はだしで歩くように命じました。イザヤが言われたとおりにすると、
+ 主は言いました。「わたしのしもべイザヤが、三年間、裸のままはだしで歩いたことは、わたしがエジプトとエチオピヤに下す恐ろしい災害のしるしだ。
+ アッシリヤの王はエジプト人とエチオピヤ人を捕虜にし、老人も若者もみな裸のままはだしで歩かせ、エジプトの恥をさらす。
+ これを見て、エチオピヤの力をあてにし、同盟国のエジプトを頼りにしていたペリシテ人はあわてふためき、口々に言うだろう。『なんということだ。エジプトでさえこのありさまなら、とうていわれわれに勝ち目はない。』」
+
+
+ これは、バビロンについての神のことばです。ネゲブから吹きつける竜巻のように、荒野から恐ろしい災難が、うなり声を上げてあなたを襲う。
+ 主は幻の中で、将来起こる恐ろしい出来事を私に示しました。見ると、エラム人とメディヤ人(どちらも、バビロンの東、ティグリス川の東側に住む民)が包囲網に加わり、あなたがたは略奪され、破壊されています。バビロンは陥落し、今までバビロンの仕打ちに泣いていた国々のうめきは、二度と聞かれなくなります。
+ 私の胃袋はしめつけられ、苦痛で焼けつくようです。子どもを産もうとする女に苦しみが臨むように、激しい苦痛が私を襲います。神の計画を聞いているうちに、恐怖に取りつかれ、私は失神しそうになりました。
+ 恐ろしさのあまり、体はすくみ、頭はくらくらし、心臓は早鐘を打つようです。夜は心地よい憩いの時だったのに、今は一睡もできず、恐怖に震えています。
+ 見なさい。彼らは宴の準備をしています。テーブルにごちそうを山盛りにし、いすを並べて、まさに食べようとするところです。もうすぐ敵が攻めて来ます。さあ、急いで盾を取り、戦いの支度をしなさい。
+ 主は幻の中で私に命じました。「城壁には見張りを立て、変わったことがあったら大声で報告させなさい。見張りの者が、ろばやらくだに乗った二列の騎兵が見えると言ったら、『それだ』と声をかけてやるのだ。」
+ 私は言われたとおり、城壁に見張りを立てました。やがて、声を振り絞るようにして、見張りの者が報告してきました。「来る日も来る日も、片時も休まず見張ったかいがありました。ほら、二列に並んだ騎兵がやって来ます。」その時、彼らの大きな声が響き渡りました。「バビロンは倒れた。倒れた。バビロンの偶像は一つ残らず無残に壊され、投げ捨てられた。」
+ 脱穀され、ふるいにかけられたユダの人々よ、天の軍勢の主であるイスラエルの神のことばは、すべて話しました。
+ これは、ドマ(エドムのこと。パレスチナ南部の山地。住民はエサウの子孫で、イスラエルとは深い関係にある)への神のことばです。「だれかがひっきりなしに私に問いかける。『見張りの人よ、今は夜の何時ですか。見張りの人よ、今は夜の何時ですか。夜明けまで、まだかなり間がありますか。』
+ その見張りの者は言う。『あなたがたのさばかれる日が、もうそこまで来ています。神に立ち返りなさい。そうしたら、もっと良い知らせを聞かせましょう。神を求めなさい。そのあとでもう一度、聞きに来なさい。』」
+ これは、アラビヤについての神のことばです。「デダンから来た隊商よ、アラビヤ砂漠に身を隠しなさい。
+ テマの人たちよ、疲れきった亡命者に水と食べ物を持って行ってやりなさい。
+ 彼らは抜き身の剣と飛び交う矢、それに戦争の恐怖から、やっとの思いで逃げて来たのです。
+ しかし、主は言います。「もう一年したら、彼らの敵であり、今は絶大な力を持つケダル人の栄光は地に落ちる。
+ ごくわずかの勇敢な射手しか残らない。」イスラエルの神である主が、そう語ったのです。
+
+
+ これは、エルサレムについてのことばです。「いったい、どうしたというのでしょう。だれもかれも、どこへ行こうとしているのでしょう。屋上に駆け上り、何を見つめているのでしょう。
+ 町中が上を下への大騒ぎになっています。あれほど繁栄していた優雅な都に、足の踏み場もないほど死体が転がっています。勇敢に戦い、戦死したのではなく、疫病で倒れた人たちの死体なのです。
+ 指導者はわれ先に逃げ、あっさりと降伏します。住民も脱出を図りますが、途中で捕虜になります。
+ 私を一人にして泣かせてください。慰めないでください。同胞が目の前で滅ぼされるのを見て、どうして泣かずにおられましょう。
+ ああ、胸の張り裂けそうな悲しみの日。天の軍勢の主が与える混乱と恐怖の日。エルサレムの城壁はくずれ落ち、山々に断末魔の叫びがこだまします。
+ エラム人は弓の名手、シリヤ人は戦車をあやつる名人です。さらに、キル人は盾を並べて逃げ場を絶ちます。彼らは、最も美しい谷に押し寄せ、城門の前にあふれます。
+ 神が防御の手を引いてしまったので、あなたがたは武器を取りに兵器庫へ走ります。
+ 大急ぎで城壁を調べて、修理が必要な箇所を探し、家々を見て回り、ある家を壊して城壁を修理する材料にします。また、二重になっている城壁の間に貯水池を造り、下の池から水を引きます。しかし、このような必死の努力も無駄になります。ずっと前からこのような計画を立てていた神の助けを、求めなかったからです。」
+ 天の軍勢の主である神はあなたがたに、悔い改め、罪を犯したことを悲しんで頭をそり、荒布で作った着物をまとうように呼びかけました。
+ ところがあなたがたは、歌と踊りと遊びに興じ、飲み食いに明け暮れて、言います。「さあ、大いに飲み、たらふく食べよう。せいぜい愉快にやろうではないか。何をやっても同じだ。どうせ明日は死ぬのだから」と。
+ 全能の主は、『この罪は死ぬまで赦されない』と言います。
+ 天の軍勢の主である神は、次のようにも語りました。「さあ、宮殿を管理しているシェブナに言いなさい。『おまえは岩を掘ってりっぱな墓を造ったが、いったい自分を何者だと考えているのか。
+ ああ、勇士よ。おまえにこんなぜいたくな暮らしを許した主は、おまえを放り投げ、捕虜として遠くへ連れて行く。
+ 神はおまえを手の中で丸めてまりのようにし、草木も生えない遠くの不毛の地に投げ捨てる。ああ、名声をほしいままにした者、国の恥さらしよ。おまえはそこで死ぬのだ。
+ わたしはおまえを追放し、高い地位から引きずり下ろす。
+ そのあとで、ヒルキヤの子である、わたしのしもべエルヤキムを召し、おまえの代わりとする。
+ 彼はおまえの長服を身に着け、おまえの肩書きと権力を譲り受け、エルサレムの住民とユダ国民の父となる。
+ 彼に、わたしの民を支配する権威を与える。彼の言うことは何でもそのとおりになる。誰ひとりその前に立ちはだかることはできない。
+ わたしは彼を、わたしの民を支えるための、しっかり打ち込まれた太い釘とする。人々は彼に全権をゆだね、彼は家門の誉れとなる。』」
+ しかし主はやがて、壁にしっかり打ち込まれたこの太い釘を抜きます。それはすっぽり抜け落ち、支えていた物もいっせいにくずれ落ちます。神がそう語ったからです。
+
+
+ これは、ツロへの神のことばです。「遠い国から来るタルシシュの船よ、なくなった母港のために泣きなさい。キプロスで聞いたうわさは全部ほんとうだったのです。
+ どこも死の静寂が覆っています。海の向こうから、また、エジプトとナイル川沿いの地から品々を運んで来たシドンの船でいっぱいになり、にぎわっていたかつての貿易中心地は、今ではひっそり静まり返っています。
+ 海の要塞であるシドンよ、今はもう子(ツロ。シドンの植民地)がいないのだから恥じなさい。
+ エジプトがこのことを聞いたら、悲しみにくれるでしょう。
+ ツロの人たちよ、泣きながらタルシシュへ逃げなさい。
+ もの言わぬ廃墟が、かつては喜びにあふれていた地の、ただ一つの名残りです。輝かしい歴史を振り返り、遠くにあった植民地の一つ一つを思い出しなさい。
+ だれが、大帝国を築き上げて世界貿易の王者にのし上がったツロを、こんな悲惨な目に会わせたのでしょう。
+ 天の軍勢に命令を下す主が、その思い上がりをたたきのめし、人間の偉大さなど取るに足りないことを示そうと、このようにしたのです。
+ タルシシュの船よ、母港がなくなってしまったのだから、あてもなく航海を続けなさい。
+ 主は海の上に御手を伸ばし、地上の国々を縮み上がらせます。この偉大な商都を滅ぼせと命じた神は、こう語りします。『ああ、名誉を傷つけられたシドンの娘よ、二度と小躍りして喜ぶな。おまえはたといキプロスに逃げ伸びても、休むことはできない。』
+ 見なさい。バビロンもアッシリヤ人に滅ぼされ、野獣の住みかになっています。彼らはしつこく攻撃して宮殿を壊し、瓦礫の山にしました。
+ 大洋をわがもの顔で走る船よ、母港は無残に壊されたのだから泣き叫びなさい。
+ ツロは七十年の間忘れられます。そのあと別の王が治めるようになって、町は息を吹き返し、娼婦が久しく会わない恋人を捜して、甘い歌を歌いながら通りを歩くように恋の歌を歌います。
+ 七十年たって、主がツロを生き返らせても、ツロは昔のままです。世界中で同じ悪事を重ねるのです。
+ ところが、ずっとのちになって、その利益は主のために使われるようになり、祭司の食卓を潤し、上等の服で着飾らせるようになります。
+
+
+ 主は地をくつがえし、広大な荒れ地にしようとしています。全国民を地上のあちこちに追い散らします。
+ 祭司も一般の民も、召使も主人も、女奴隷も女主人も、売り手も買い手も、貸す者も借りる者も、銀行家も債務者も、一人として免れることはできません。
+ 地は完全にすたれ、いっさいのものが略奪されます。主がそれを語りました。
+ 国は民の罪のために苦しみ、地はやせ衰え、作物はしおれ、空は雨を降らせません。国は犯罪によって汚れました。住民が神のおきてに背き、神の永遠の命令を破ったからです。
+ そのため神ののろいが下り、人々は心がすさみ、日照りで死に絶えます。生き残る者は数えるほどしかいません。
+ 人生の喜びは去り、ぶどうは収穫期になっても実らず、ぶどう酒は底をつきます。陽気だった人も顔をくもらせ、うなだれます。
+ 竪琴やタンバリンの陽気な音は二度と聞かれません。楽しかった時代は終わりました。
+ ぶどう酒を飲みながら歌う喜びはなくなり、強い酒を飲んでも、口の中が苦くなるばかりです。
+ 町は無法地帯も同然で、どの家も店も戸締まりを厳重にし、略奪されないようにと神経をとがらせます。
+ 暴徒は群れをなし、「酒をくれ」とわめきます。喜びは失われ、楽しみは忘れ去られました。
+ 町は荒れ放題、城門は無残な姿をさらすばかりです。
+ 国中どこでも、わずかな生存者しかいません。
+ しかし、残った者は大喜びで歌います。西に住む者が神の偉大さをたたえれば、
+ 東に住む者も、喜んで声を合わせます。地の果てから主をほめ歌い、正義の神の誉れをたたえる声に耳をすましなさい。ああ、それなのに、私の心は憂いのために重く沈んでいます。悪は依然としてはびこり、裏切り行為が至るところで見られます。
+ 全世界の人々よ。あなたがたが恐怖の地獄へ引かれて行く運命に変わりはありません。
+ 恐ろしくなって逃げようとすると、穴に落ち込みます。やっとの思いで穴からはい出せば、今度は罠にかかります。天から滅びが降ってくるので、足の下で大地は揺れ動きます。
+ 地はずたずたに裂け、何もかも原形をとどめないほどになり、足の踏み場もなくなります。
+ 世界中が酔った者のようにふらつき、嵐に会ったテントのように揺れ動きます。あまりの罪の大きさに耐えきれず、世界は倒れて、二度と起き上がれません。
+ その日、主は天上の堕落した天使を罰し、地上の国々の高慢な支配者に罰を加えます。
+ 彼らは囚人のように駆り集められ、刑の執行の時まで地下牢に閉じ込められます。
+ ついに天の軍勢の主はシオンの御座に上り、イスラエルの長老たちの見ている前で、エルサレムを中心に世を治めます。その栄光は、太陽の輝きも月のうるわしさも、色あせてしまうほどです。
+
+
+ 主よ、私はあなたをあがめ、御名をたたえます。あなたは私の神であり、すばらしいことをする方だからです。あなたはずっと昔から計画しておられたことを、そのとおり実現しました。
+ 大都市を廃墟とし、難攻不落を誇っていた要塞を瓦礫の山にしました。外国人の建てた美しい宮殿は影も形もなくなり、再建のあてさえありません。
+ どんなに強い国でも、神の前に出たら、怖くてひざが震えます。どんなに血も涙もない冷酷な国でも、神に服従し、御名をあがめます。
+ しかし主は、貧しい者にとっては、嵐を避ける隠れ家、暑さをしのぐ木陰、土塀をくずす激しい雨のように非情な人間からかくまう避け所です。
+ 乾燥し熱しきった地が、上空を覆う雲でほてりを静めるように、神は血も涙もない国々の思い上がりを冷まします。
+ 天の軍勢の主は、エルサレムにあるシオンの山で、全世界の人々のために豪華な宴会を催します。おいしいごちそうと、熟成したぶどう酒、それに脂肪ののった肉が出ます。
+ その時、神は、地表を覆っている死の雲を取り除き、
+ 永久にのみ尽くします。神である主は、すべての涙をぬぐい、ご自分の国と国民に対するいっさいの侮辱とさげすみとを、永久に取り除きます。主がそう語ったのですから、必ずそのとおりになります。
+ その日、人々は、「このお方こそ、私たちが信頼し、長い間待ち続けた神だ。とうとう、おいでになったのだ」と大声で叫びます。なんと喜びにあふれた日でしょう。
+ 主の恵みの御手はエルサレムにとどまり、一方、モアブは御足の下でわらのように踏みにじられ、腐ってしまうのです。
+ 泳ぐ人が水をかくように、モアブも必死に手を伸ばしますが、神は彼らを押さえつけます。彼らの思い上がりと、いっさいの悪を終わらせるのです。
+ モアブの高い城壁はくずれ落ち、ただの土くれになります。
+
+
+ ユダの民の歌う声を聞きなさい。その日、国中にこのような歌が流れます。「私たちの町はびくともしない。神の救いの城壁で囲まれているからだ。」
+ 門を開けて、自由に入らせなさい。神を愛する人なら、だれでも中に入れます。
+ 神を信頼し、いつも主のことに思いをはせる者を、神は何の心配もないように守ってくださいます。
+ どんなときでも、神である主に信頼しなさい。あなたの永遠の力は主のうちにあるからです。
+ 主は思い上がった者を辱め、横柄な町をひざまずかせ、城壁をくずします。
+ 神はそれを、貧しい人や困っている人に与えます。
+ 正しい人の道は、息の切れる坂や、歩きにくいでこぼこ道ではありません。神が道をならし、平らにするのです。
+ 主よ、私たちは、神がお喜びになることを行いたいと思っています。私たちの心からの願いは、御名を高らかにたたえることです。
+ 私は夜通し神を探し求めます。真剣に尋ねます。あなたがさばきの神として地上に下り、罰を加えなければ、人々は悪を離れ、正しいことを行わないからです。
+ あなたがどんなに親切にしても、悪者は善人になりません。彼らは悪事を働くだけで、あなたの偉大さやすばらしさを心に留めないのです。
+ 神の警告を聞いても、いっこうに気にかけず、振り上げられたこぶしを見ようともしません。どうか、イスラエルをどんなに愛しているかを、はっきり示してください。そうすれば彼らも恥じ入るでしょう。神の敵のために取っておいた火で、彼らを焼き尽くしてください。
+ 主よ、私たちに平和を与えてください。私たちが今持っているもの、私たちの今の境遇は、みなあなたから頂いたものばかりです。
+ 私たちの神、主よ。私たちは以前、ほかの神々を拝んでいましたが、今はあなただけを礼拝しています。
+ 私たちが仕えた神々は死んで姿を消し、もう息を吹き返しません。あなたが彼らに立ち向かい、滅ぼしたからです。彼らはすっかり忘れ去られました。
+ 主はなんとすばらしい方でしょう。私たちの国境を広げ、私たちを偉大な民にしました。
+ 神よ、彼らは苦しいときに神を求めました。神の罰が下った時、絶え入るような声で祈りました。
+ 神よ、私たちはなぜ、あなたのもとから遠ざかったのでしょう。そのため、苦しみもだえる産婦のように苦しみました。
+ 身もだえしてうめきました。どんなに努力しても、自由の身になれませんでした。
+ しかし私たちは、神に従う者は必ず生き返ると確信しています。そのような人の体はよみがえります。ちりの中に住んでいる者は、やがて目を覚まし、喜びの歌声を上げるはずです。神のいのちの光が、露のように降ってくるからです。
+ 私の民よ、家へ帰って、戸に鍵をかけなさい。敵に対する主の憤りが過ぎ去るまで、ほんのしばらく隠れていなさい。
+ 主は、地に住む者の罪を罰するために、天から下りて来ます。地は、もはや人殺しをかくまいません。一人一人の罪状が明らかになるのです。
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+ その日、主は恐ろしく鋭い剣で、素早く動く蛇、とぐろを巻いている蛇、海の竜であるレビヤタンを殺します。
+ イスラエルの解放の日、民にこの賛歌を歌わせなさい。
+ 「イスラエルはわたしのぶどう園。神であるこのわたしが、実を結ぶぶどうの手入れをする。毎日水をかけ、昼も夜も、敵が近づかないように見張る。
+ イスラエルへの怒りは、もう収まった。いばらが彼らを煩わせているなら、ひざまずいて赦しを求めない限り、この私の敵を焼き払う。
+ やがてイスラエルが根を張り、つぼみをつけ、花を咲かせ、世界をその実で満たす時が来る。」
+ 神はイスラエルの敵を罰したように、イスラエルを罰したのでしょうか。そんなことはありません。敵は息の根を止められました。しかしイスラエルは、ほんの少し罰を受けただけです。東からの嵐に吹き飛ばされるように、遠く離れた地へ追いやられたにすぎません。
+ では、なぜ神はそのようにしたのでしょう。イスラエルの罪をきよめ、偶像とその祭壇とを取り除くためです。これらのものは二度と礼拝の対象にはなりません。
+ 城壁で囲まれた町々はひっそり静まり返り、家は荒れ、通りには草が茂り、牛は町をのし歩いて草を食べ、木の枝を食べるようになります。
+ 私の国民は枯れ枝のように折られ、猟師用のたきぎになります。彼らは鈍い民で頭の回転が遅く、思考力に欠けています。それは神に背いているからです。だから、彼らをお造りになった方は、少しもあわれみをかけません。
+ しかし、穀物の穂を一粒一粒拾い上げるように、主が彼らを集め、ユーフラテス川からエジプト国境に及ぶ、広大な打穀場から選び分ける時がきます。
+ その日、大きなラッパが鳴りわたり、アッシリヤやエジプトで、息も絶え絶えになっている多くのイスラエル人が救い出され、聖なる山で主を拝むためにエルサレムへ連れ戻されます。
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+ よく肥えた谷に囲まれたサマリヤの町は、恐ろしい目に会います。酔いどれイスラエルの誇りであり、喜びでもあるサマリヤよ。その色あせていく美しさと、路上で酔いつぶれている者にとっての最大の栄誉は、見る影もなくなります。
+ 主があなたに、アッシリヤの強大な軍隊を差し向けるからです。荒れ狂う雹の嵐のように、大軍が襲いかかり、あなたを地にたたきつけます。
+ 酔いどれイスラエルの喜びだった高慢なサマリヤの町は、地面に投げつけられ、踏みにじられます。
+ よく肥えた谷に囲まれた、まぶしいまでの美しさは、またたく間に消え、初なりのいちじくの実が摘み取られて口に放り込まれるように、貪欲な手で、もぎ取られます。
+ その時になって、全能の主が彼らの最大の栄誉となり、残った民の美しい冠となります。
+ 主は、裁判官には正義心を、城門の外で最後まで踏みとどまって戦う兵士には、大きな勇気を与えます。
+ しかし今のところ、エルサレムは酔いどれの手に握られています。祭司も預言者も足もとがふらつき、考えられない過ちを犯します。
+ 彼らの食卓は吐いた物だらけで、どこもかしこも汚物でいっぱいです。
+ 民は口々に不平を言います。「イザヤは自分をだれだと思っているのか。このようなことを私たちに言うとは。ろくにしゃべれない子どもとでもいうのか。
+ もうたくさんだ。同じことをくどくどと、何度にも分けて少しずつ話す。それでは、子どもでもわかるだろう。」
+ こう言って、いっこうに耳を貸そうとしません。彼らに思い当たるのは、罰を受けるということばだけです。だから神は罰として、よくわからない話し方をする外国人を送って彼らに語らせます。そうなって初めて、彼らは神のことばを聞くようになるのです。
+ 最初から神の命令を守り、正しい生活を送っていたなら、自分の国で安らぎをもって暮らせたはずです。せっかくの神の約束に、彼らは耳をふさぎました。
+ そこで主は、機会あるごとに、わかりやすいことばで同じことを語りました。ところがこの簡単明瞭なことばに、彼らはつまずいて倒れ、足を折り、罠にかかって捕らえられるのです。
+ それゆえ、あざけるエルサレムの指導者たちよ、主のことばを聞きなさい。
+ あなたがたは死と契約を結んだとうそぶいている。しかも、アッシリヤ人の攻撃から守ってもらうという交換条件で、悪魔に身を売り渡したのだ。「彼らは、われわれに指一本ふれることもできない。われわれには、彼らをあざむいてくれる強い味方がついているのだ」と、おまえたちは高をくくっている。
+ しかし、神である主のことばは違います。「わたしはシオンに土台石を置く。それは試験ずみの、かけがえのない隅の親石で、どんな重さにも耐える。信じる者は二度と逃げなくてもよい。
+ わたしは測りなわと正義の重りで、おまえたちの城壁の基礎工事を調べる。それは、見た目にはりっぱだが、実際はもろく、雹の嵐で簡単にくずれる。敵は洪水のように押し寄せて城壁をのみ込み、おまえたちはおぼれる。
+ わたしは、おまえたちが死や悪魔と結んだ協定を破棄するので、恐ろしい敵がなだれ込み、おまえたちを踏みにじる。
+ 洪水はくり返し襲いかかり、おまえたちを一人残らず押し流す。だから、わたしが前もって警告しておいたことが実際どれほど恐ろしいことか、身にしみてわかる。」
+ あなたがたの作ったベッドは短くて足が出るし、毛布は小さすぎて体をくるむことができません。
+ 主は、ペラツィム山での時(ダビデがペリシテ人を打ち破った出来事。)のように、ギブオンの谷での時(ヨシュアがエモリ人の王を打ち殺した出来事。)のように、思わぬ時に突然来て、神の民を滅ぼすという、ありえないことをします。
+ だから、刑罰がいっそう重くならないためにも、これ以上あざけってはいけません。主である神は私にはっきりと、あなたがたを押しつぶすことにした、と語っているからです。
+ 私の言うことをよく聞き、私の嘆願に耳を傾けなさい。農夫は、畑を耕すばかりで、いつまでも種をまかないでいるでしょうか。
+ 耕し終えたら、さまざまの穀物の種を、それぞれの場所にまかないでしょうか。
+ 農夫は作物をどのように扱えばよいかを知っています。神が、物事を見て正しく判断する力を与えたからです。
+ どの穀物も同じように脱穀したりはしません。いのんどの実は、大槌ではなく棒で打ちます。クミンの場合は、脱穀車の車輪を回して押しつぶすのではなく、からざおで静かにたたきます。
+ パンの材料になる麦はすぐにつぶれるので、いつまでもたたいたりはしません。
+ 全能の主はすぐれた教師であり、農夫に知恵を授けるのです。
+
+
+ 「ああ、ダビデの町エルサレムよ、おまえは大きな災難に会う。年ごとに、おまえは多くの供え物をささげる。
+ しかし、わたしが重い罰を加えるので、泣き声と悲しみがあふれる。「アリエル」というあだ名のとおり、エルサレムは血だらけの祭壇になるからだ。
+ わたしはおまえの敵となる。エルサレムを包囲し、攻めたて、周囲に要塞を築いて滅ぼす。
+ おまえの声は、埋められた地中から、幽霊のようにかすかに聞こえるばかりだ。
+ だが残酷な敵も、あっという間にもみがらのように吹き飛ばされる。
+ 天の軍勢の主であるわたしは、雷と地震とつむじ風、火をもって不意に彼らに襲いかかる。
+ エルサレムに戦いをいどむ国はすべて、一夜の夢のように消え去る。
+ 空腹の人が食事の夢を見ても変わらず空腹であるように、また、のどの渇いた人が水を飲む夢を見ても変わらず渇きで苦しむように、敵は勝利の夢を見るが、現実とはならない。」
+ あなたがたは信じられないのですか。信じたくないのなら、かってに行動し、見えない目で進んで行きなさい。あなたがたは頭の働きが鈍くなりますが、ぶどう酒に酔ったせいではありません。足がふらつきますが、強い酒のせいではありません。
+ 主が深い眠りの霊を注いだからです。主が預言者や先見者の目をふさいだので、
+ 将来の出来事のいっさいは、彼らにとって封をされた書物同然になりました。ですから、いくら読解力のある人に渡しても、「読めません。封がしてありますから」と答えます。
+ 別の人に回すと、「残念ながら、私は文字を読むことができません」という返事です。
+ そこで主は語ります。「この民は、口先ではわたしの民だと言いながら、実際にはわたしに従っていない。彼らの礼拝は、機械的に覚えた文句の反復にすぎない。
+ もう黙ってはいられない。偽善者どもに思い知らせよう。最高の知恵さえ、愚か者同然にしてしまおう。」
+ ああ、自分の計画を神に隠そうとする者、陰で悪を行う者。彼らは言います。「神はこんなところまで目が届かない。ここで何が起こっているかなど、知っているわけがない。」
+ なんと愚かなことを言うのでしょう。陶器師である神は、陶器にすぎないあなたがたより偉くないのでしょうか。あなたは神に向かって、「あなたは私を造らなかった」と反抗するのですか。機械がその考案者に、「あなたを解雇する」と言うでしょうか。
+ もうしばらくすると、レバノンの荒野は再び実り豊かな平野となり、樹木が茂るよく肥えた森となります。
+ その日、耳の聞こえない人が書物のことばを聞き、盲人は暗闇ごしに神の計画したことを見ます。
+ 柔和な人は主からくる新しい喜びにあふれ、貧しい人はイスラエルのきよい神によって喜び踊ります。
+ 弱い者をしいたげる者はいなくなり、あざける者は断たれ、悪事を企む者は一人残らず殺されます。
+ そういう者たちは、ほんの少しのことにも言いがかりをつけてはけんかを売り、裁判になれば、有罪の判決を下した裁判官を待ちぶせて袋だたきにします。あらゆる口実をもうけて不正を行うのです。
+ それゆえ、アブラハムを贖い出した主は、こう語ります。「わたしの民は恐れのあまり青ざめたり、恥じ入ったりしない。
+ 人口が急増し、経済が発展するのを見て、わたしの名を恐れ、わたしをたたえるようになる。
+ 間違いを犯していた者は真理を信じ、不平ばかり言っていた者は、進んで教えを受けるようになる。」
+
+
+ 主は語ります。「ああ、逆らってばかりいるわたしの子どもたち。おまえたちは、わたし以外の者なら、だれの忠告でも聞く。しかも、これだけはしてもらいたくないことを、平気でする。不信者と手を結び、罪を重ねる。
+ わたしとは相談せず、助けを求めてエジプトへ下り、ファラオの保護をあてにした。
+ しかし、ファラオをあてにすれば失望し、屈辱を受け、恥がもたらされることは間違いない。彼にはおまえたちを救う力などないからだ。
+ たとえ王の勢力がツォアンにまで及び、おまえたちを歓迎する使者をハネスにまで遣わしても、
+ わずかな助けもできない。おまえたちは恥をかくだけだ。
+ エジプトめざして、恐ろしい荒野を進んで行く様子を思い浮かべよ。エジプトの援助を買いつけるための宝物を積んだ、ろばやらくだの列が進む。ライオンやすばしこいまむしの住む地を越えて行く。ところがエジプトは、何一つお返しをしてくれない。
+ エジプトは助ける力もない。わたしはこの国を、『無気力なわに』と呼ぶ。
+ さあ、行って、エジプトについてわたしが言ったことを書き記せ。のちのちまで、イスラエルの不信仰に対する起訴状として残しておくためだ。
+ そうでもしなければ、彼らは口をとがらせて、『何ですって。神はただの一度だって、そんな警告はしませんでした』と文句を言うに違いない。彼らは意地っぱりで、強情な反逆者だ。
+ 神の預言者たちに向かって、彼らは言う。『黙れ。おまえの言うことなど、もう聞きたくもない』とか、『ほんとうのことなど、どうでもいい。耳ざわりのいいことだけを話してくれ。うそでもかまわない。陰気くさいことはまっぴらだ。「イスラエルのきよい神がこう言った」という決まり文句はうんざりだ』と言う。」
+ イスラエルの聖なる神の返事はこうです。「おまえたちはわたしの言うことを無視し、根も葉もないことを信じて悔い改めようとしなかった。
+ それゆえ、災難が突然おまえたちを襲う。ちょうど城壁にひびが入り、がらがら音を立ててくずれ落ちるように、あっという間の出来事だ。
+ わたしは皿を割るようにおまえたちを砕き、少しも手かげんしない。いろりから炭火を移したり、井戸の水を少しでも運べるほどの破片も残らない。」
+ イスラエルのきよい神、主は、こう語ります。「わたしに立ち返り、わたしの助けを待ち望みさえすれば、おまえたちは救われる。心を落ち着けて信頼することが、おまえたちの力となるのだ。ところがおまえたちは、そうしなかった。」
+ あなたがたは言います。「とんでもないことだ。さっそくエジプトの力を借りよう。足の速い軍馬を提供してくれるはずだ。」しかし実際に見るのは、あなたがたを追いかける敵の速さだけです。
+ たった一人の敵に千人が追い回され、わずか五人の敵で散り散りばらばらにされます。こうしてあなたがたは、遠くの山頂のまばらに生えた木のようになるのです。
+ しかし主は、あなたがたを愛し、いつの日か、みもとに帰って来るのを待っています。約束どおり、あなたがたをむりやりつかまえてでも祝福しようと待ちかまえています。主は約束は必ず守るお方なので、主の助けを待ち望む人は幸いです。
+ エルサレムに住む私の民よ、もう泣くことはありません。神はあなたの叫びにこたえ、必ず恵みを与えるからです。
+ 獄中でわずかなパンと水しか与えられないときでさえ、主はあなたのそばにいて教え導いてくれます。あなたは自分の目でその主を見ることができるのです。
+ あなたが神の道を離れて迷っても、うしろから、「そちらではない。こっちの道を歩きなさい」という声が聞こえます。
+ あなたは金や銀で造った偶像を打ち砕き、それらを手にするのも汚らわしい物のように、「消えうせろ」と言って投げ捨てるでしょう。
+ そののち、神は種まく時期には雨を、収穫時には黄金の穂波を、また乳牛には牧草をたっぷりと与えます。
+ 畑を耕す雄牛や若いろばは、もみがらを除いたおいしい穀物を食べます。
+ 神が乗り出して敵を滅ぼすとき、どの山や丘からも水が豊かに流れます。
+ 主がご自分の民の傷をいやすときには、月は太陽のように明るくなり、太陽の光は七倍も明るく輝くのです。
+ 主が怒りを燃え上がらせ、立ち上る濃い煙に包まれて遠くから来る様子を見なさい。口は激しい怒りの火を吐き、ことばは炎のように何もかも焼き尽くします。
+ 憤りは洪水のようにあふれ、人も物も洗いざらい流し去ります。神は思い上がった国々をふるいにかけ、くつわをかけ、ほふり場へ連れて行きます。
+ しかし神の民は、聖なる祭りの晩のように、心をこめて喜びの歌を歌います。巡礼の一団が笛の音に合わせて、イスラエルの岩である主の山へ登って行くときのように、心をはずませます。
+ 主が威厳ある声を響かせ、怒りをこめて敵の頭上に力強い腕を振り下ろすとき、燃える炎とつむじ風、恐ろしい嵐と大きな雹の音となります。
+ 主は恐ろしい声で、以前は懲らしめの杖の役目をしたアッシリヤ人を罰するのです。
+ 彼らが打たれるたびに、主の民は音楽を奏で、歌を歌って喜びます。
+ アッシリヤのためには、ずっと前から火葬のたきぎが高く積み上げてあります。主の息が吹き上げる火山の火のように、たきぎの山を一瞬のうちに燃やしてしまいます。
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+
+ ああ、エジプトに助けを求めて走り、イスラエルの聖なる神の指示を仰がず、エジプトの強い騎兵と戦車をあてにする者。
+ 神はご自分の知恵によって、その民に大きな災難を下します。しかも、お心を変えることがありません。彼らの悪を決して見逃さず、彼らの味方につく者も打ち倒します。
+ エジプト人はただの人間であって神ではありません。その馬は取るに足らぬ動物で、どんなものでも蹴散らす霊ではありません。主がこぶしを振り上げると彼らはつまずき、助けるはずだった人たちの間で倒れ、どちらも滅んでしまいます。
+ しかし主は、こう語りました。「ライオンが羊をかみ殺すときに、羊飼いの叫び声や騒ぎなど気にもかけない。さっと襲いかかって一気に食べる。同じように、シオンの山の上で戦うわたしは、おびえて逃げたりはしない。わたしは天の軍勢の主だ。鳥が巣の上を飛び回るように、エルサレムの上空を舞う。こうして都を守り、救い出す。」
+ それゆえ、私の民よ。反抗する者よ。神のもとへ帰りなさい。
+ やがて、あなたがたがみな、罪深い手で造った金や銀の偶像を捨てる、すばらしい日が来ます。
+ アッシリヤ人は滅びますが、人の剣によってではありません。「神の剣」が彼らを打ち倒すのです。彼らはあわてふためいて逃げます。屈強な若者は奴隷として引かれて行きます。
+ 「イスラエルの軍旗を見ると、将軍たちさえ恐れて身震いし、一目散に逃げる」と主は言います。神の炎が、赤々とエルサレムに燃え上がるからです。
+
+
+ 見よ。正義の衣をまとった王が、忠実な部下を引き連れて来ます。
+ 王はイスラエルを嵐と風から守ります。イスラエルを砂漠を流れる川のようにし、日照りで乾ききった地にある、大きな岩の涼しい陰のようにします。
+ その時になって、イスラエルの目は神に向かって大きく開かれ、民は御声に耳を傾けます。
+ 性急な者も沈着冷静になり、口ごもる者もはっきり話せるようになります。
+ その時には、神を敬わない無神論者は賞賛されません。たとえ金持ちでも、人をだます者は、りっぱな人とは呼ばれません。
+ だれもが見たとたん、これは悪人だとわかります。偽善者は、もう誰もだませません。神についてのうそも、飢えた人へのあざむきも、一目瞭然だからです。
+ 悪者の巧妙な手口も難なくあばかれます。法廷で貧しい人を脅すための偽証も、例外ではありません。
+ しかし、正しい人は他の人に寛大で、何をしても神に祝福されます。
+ 何もせずに怠けている女は、私の言うことを聞きなさい。その報いがどんなものか話してあげよう。
+ あと一年少しで、大変なことが起こります。収穫期になっても作物がとれなくなるのです。その時になってあわてても手遅れです。
+ 女たちよ、のんきにかまえていないで、無頓着な態度を改めなさい。美しい服を脱ぎ、悲しみの日に備えて荒布をまといなさい。
+ 涙を絞って嘆きなさい。よく肥えた畑は見る影もなくなり、かつては実をいっぱいつけたぶどうの木は、見る影もなくなるからです。
+ 土地にはいばらや野ばらが生い茂り、笑い声の絶えなかった家や、活気に満ちていた町は、あとかたもなくなります。
+ 宮殿や邸宅は荒れ果て、にぎわっていた町も廃墟となります。見張り塔のあった山の上では、野生のろばややぎが草を食べるようになります。
+ しかしついには、天から御霊が注がれ、再び見渡す限りの黄金の穂波が見られるようになります。
+ その時、正義が全地を支配し、
+ 正義が平和をつくり、平穏と信頼がいつまでも続きます。
+ 私の民はいっさいの危害から守られ、静かに落ち着いて暮らします。
+ しかしアッシリヤは滅び、その町々は破壊されます。
+ 神はご自分の民に豊かな祝福を注ぎます。どこに種をまいても作物は豊富に実り、牛やろばは緑の牧場で草を食べるのです。
+
+
+ ああ、回りのものを手当たりしだいに破壊したが、自分は痛い目に会ったことのないアッシリヤ人たち。あなたがたは、人々には約束を守ることを期待しながら、自分は彼らを裏切ります。今度はあなたが裏切られ、滅ぼされる番です。
+ しかし主よ、私たちはあなたを待ち望んできましたから、お心にかけてください。毎日私たちの力となり、苦難のときには救いとなってください。
+ 主が大声を上げると、敵は逃げ、神が立ち上がると、国々の民は散って行きます。
+ いなごが畑やぶどうの木を丸裸にするように、エルサレムは、アッシリヤの敗残兵から奪い取ります。
+ 主は偉大な方で、天に住み、エルサレムを正義と恵みの住まいにします。
+ ユダのためには、あふれんばかりの救いが、知恵と知識、それに神への尊敬とともに、安全な場所に用意されています。
+ しかし今は、あなたがたの使者は大いに失望して泣いています。アッシリヤが和平の申し入れを退けたからです。
+ 街道は荒れ果て、旅人は裏道を遠回りしなければなりません。アッシリヤ人は平和協定を破ります。証人の前で取り決めた約束など何も気にかけていないのです。相手がだれであれ、手かげんしません。
+ イスラエル全土が苦難に巻き込まれます。レバノンは滅ぼされ、シャロンは荒れ地となり、バシャンとカルメルは略奪されます。
+ しかし主は宣言します。「わたしは立ち上がり、大きな力を天下に示す。
+ おまえたちアッシリヤ人は、どれほどがんばっても、何一つ手に入れることはできない。かえって自分の息の炎で焼き殺されるだけだ。
+ 自慢の軍隊は、いばらが切り払われ、火に投げ込まれるように、焼かれて石灰になる。
+ 遠い国々は、わたしのしたことを聞け。近隣の国々は、わたしの力の偉大さを知れ。
+ わたしの民のうちの罪人は、恐れに取りつかれて身震いし、口々に叫ぶ。『すべてのものを焼き尽くす永遠の火の前に、だれが立ちはだかれよう。』
+ それができるのは、正直で公正な者、詐欺でもうけない者、わいろが差し出されたとき、すぐに手を引っこめる者、殺人の計画に耳をふさぐ者、いっさいの誘惑に目をつむる者だ。
+ このような者は高い所に住む。山の岩が、彼らを守る頑丈なとりでとなる。食べ物は十分にあてがわれ、欲しいだけの水が補給される。」
+ あなたの目は美しく着飾った王を見、はるかかなたの御国を見ます。
+ また、アッシリヤの将校たちが城壁の外で塔の数を数え、この都を占領したらどれだけの分捕り物があるだろうかと考えていた、あの恐ろしい時を思い浮かべます。
+ しかし彼らを見るのも、あとわずかです。訳のわからないことばを話す荒くれ男たちは、どこかへ行ってしまいます。
+ 代わりにあなたがたは、平和なたたずまいのエルサレムを見ます。それは神を礼拝する場所で、どんなことがあっても揺るがない都です。
+ 栄光の主が大河となって私たちを守るので、敵は一歩も近づけません。
+ 主はさばく方、立法者、また王となって、私たちを救います。
+ 敵の船の帆は折れたマストに垂れ下がり、船具は役に立ちません。戦利品は神の民が分配し、足の弱っている人も割り当てにあずかります。
+ イスラエルの民は二度と、「病が重く、頼るものもない」とは言いません。主が彼らの罪を赦し、彼らを祝福するからです。
+
+
+ 国々と、世界のすべてのものは、私のことばを聞きなさい。
+ 主の激しい怒りの炎が、国々の軍隊に向けられたからです。主は彼らを徹底的に打ち、虐殺する者の手に渡します。
+ 死体は放り出されたまま腐って、悪臭が満ち、山々は血の海となります。
+ その時、天は溶けて巻物のように巻かれ、星は木の葉や熟しきった実のように落ちて来ます。
+ 「わたしの剣が天で一暴れしたあとどうなるか、よく見ているのだ。それは、わたしが滅亡の宣言をしておいたエドム人の上に落ちる。
+ 剣には血がしたたっている。いけにえの子羊ややぎを裂いたときのように、血をたっぷり吸っている。わたしがエドムで大がかりないけにえをほふり、大虐殺するからだ。
+ 最強の勇士も倒れ、若者も経験を積んだ者も共に滅びる。地はたっぷり血を吸い、脂肪でよく肥える。
+ さあ、復讐の日だ。エドムのイスラエルへの仕打ちに報復する時だ。
+ エドムの川には燃えるピッチがあふれ、地は一面の火に包まれる。」
+ エドムのさばきは終わりがありません。煙はいつまでも立ち上り、地は何世代にもわたって荒廃します。誰ひとり住みつく者もありません。
+ 人間の代わりにペリカンや針ねずみが住み、ふくろうやからすが巣を作ります。神がこの地を見て、滅ぼす以外にないと考えたからです。そこの貴族たちのありさまを見て、生きている資格はないと判断したのです。その地は「虚無の地」と呼ばれ、
+ 王子たちはみな姿を消します。
+ 宮殿にはいばらが生い茂り、要塞にはいらくさが一面に生えます。こうして、山犬のねぐら、だちょうの住みかとなるのです。
+ 荒野の野獣が山犬といっしょになり、その遠吠えが夜通し聞こえます。夜の怪物はぶきみな叫び声を上げ、悪鬼がそこを休み場にします。
+ 蛇も巣を作って、卵を産み、それをかえして、大事に育てます。鳶のつがいもそこに来ます。
+ 主の書を調べて、主がこれからどうするかに目を留めなさい。ただの一つも欠きません。その地には、つがいでないものはいません。主がそう命じ、主の御霊が、そのとおりになるようにしたからです。
+ 主はこの地を調べて区分し、これらの生き物の住みかと定めました。彼らは、代々にわたって、この地を所有します。
+
+
+ その日には、荒野や砂漠さえ喜びます。荒野には花が咲き乱れます。
+ いっせいに花が咲き競い、歌声と喜びの声がわき上がります。荒野はレバノン山のように緑に囲まれ、カルメル山の牧場やシャロンの牧草地のように、美しい景色になります。そこは神の栄光の舞台となるからです。
+ この良い知らせで、絶望した人を元気づけ、
+ 怖がっている人を励ましなさい。「さあ、元気を出しなさい。怖がることはありません。神が敵を滅ぼしに来ます。あなたがたを救いに来ます」と伝えなさい。
+ 神が来れば、盲人の目は見えるようになり、耳の聞こえない者の耳は聞こえるようになります。
+ 足の不自由な者は鹿のように跳びはね、口のきけなかった者は大声で叫び、歌います。荒野には泉がわき、砂漠には川が流れます。
+ 乾いた地は池となり、日照りのために地割れした所から水がわき上がります。荒野の山犬の住みかは、葦やいぐさの茂みになります。
+ かつては荒野だった所に主要道が通ります。それは「聖なる道」と呼ばれ、心の汚れた者は通れません。神が共に歩むので、どんなに愚かと言われる人でも道に迷いません。
+ 道にライオンが潜んでいることもなく、危険な目に会うこともありません。罪を赦された者だけが、そこを通ります。
+ 彼らは喜び歌いながら、この道を通ってシオンへ帰るのです。悲しみもため息もみな過去のものとなります。あるのは、喜びと楽しみだけです。
+
+
+ ヒゼキヤ王の治世の第十四年に、アッシリヤの王セナケリブがユダの要塞化された町々を残らず占領しました。
+ それからだいぶたってからのことです。王はラキシュから大軍をつけて使者を送り、エルサレムのヒゼキヤ王と交渉させました。使者の一行は、布さらしの野を通る道のほとりの、上の貯水池の出口近くに陣を張りました。
+ ヒルキヤの子でイスラエルの首相のエルヤキム、王の書記官シェブナ、それにアサフの子で王の秘書官のヨアフが休戦交渉の委員となり、彼らに会いに出かけました。
+ 使者は、次のようなヒゼキヤ王への伝言を突きつけました。「アッシリヤの大王は、エジプトのファラオの助けをあてにするのは愚か者だと仰せになっている。
+ ファラオの約束など、ぼろきれ同然だ。口先だけでは勝てない。それなのに、おまえは彼の助けをあてにし、私に手向かった。
+ エジプトは危険な同盟軍だ。何をしでかすかわかったものじゃない。寄りかかってきたら手を刺してやろうと、杖の先をとがらせて待っている。忘れるな、今までこの国に助けを求めた者は、例外なくひどい目に会ったのだぞ。
+ ひょっとしたらおまえは、『われわれは神にお頼りしている』と殊勝なことを言うかもしれない。だが、よく考えてみろ。その神にしてからが、ヒゼキヤ王が丘の上の神殿や祭壇を片っ端から壊したあげく、ユダの民に、エルサレムの祭壇の前でだけ拝めと命じた、あの神ではないか。
+ わが主君、アッシリヤの大王は、ちょっとした賭けをしたいと言っておられる。どうかな、そちらの兵は二千とは残っていまい。もし残っていたら、大王は二千頭の馬をくれてやろうとおっしゃる。それで編成した、吹けば飛ぶような軍隊では、わが軍の一番弱い部隊ですら撃退できまい。エジプトの助けなどあてにならないからだ。
+ それだけではない。そもそも、ここまでわざわざ出かけて来たのも、主がこの国を占領せよと言ったからだ。『さあ、行って、ユダを滅ぼせ。』そう、神は言ったのだ。」
+ これを聞いたエルヤキムとシェブナ、それにヨアフは、使者に頼みました。「私どもはアラム語(当時の国際共通語)がよくわかります。どうか、ヘブル語でなくアラム語で話してください。城壁の上にいる者たちに聞かれたくありませんので……。」
+ ところが、相手はますます居丈高に答えました。「大王は、おまえたちだけでなくエルサレム中の者に知らせたいと思っておられるのだ。おまえたちが降伏しなければ、この都はすっかり包囲され、だれもが飢えと渇きに我慢できなくなって、自分の糞を食べ、自分の尿を飲むようになることを知らせたいと。」
+ こう言うと、城壁の上で聞き耳を立てているユダヤ人たちに、大声でどなりました。「アッシリヤの大王のおことばを、よおく聞け。大王はこう仰せだ。
+ 『ヒゼキヤにだまされるな。彼がどんなにもがいても、おまえたちを救えない。
+ 神を信じろ、神がついていれば、アッシリヤ王に征服されることはないと言われても、耳を貸すな。
+ ヒゼキヤの言うことを聞くな。大王はすばらしい条件を出しておられる。さあ、降伏のしるしに貢ぎ物を出せ。門を開けて出て来い。そうすれば、もれなく畑と庭と飲み水を与え、
+ いずれ、こことよく似た国へ連れて行ってやろう。穀物もぶどうもよく取れる、豊かな国だ。
+ 気休めにすぎないヒゼキヤのことばにつられて、こんなすばらしい特権をふいにするな。これまでに、大王の無敵の軍隊を負かした神々がいたか。
+ ハマテやアルパデがどんな目に会ったか覚えているだろう。彼らの神々は彼らを救ったか。セファルワイムとサマリヤの場合はどうだ。今、彼らの神々はどこにいる。
+ これらの国々の神が、私の手から人々を救い出したか。そんな例があったら、その神の名を挙げてみろ。なのに、おまえたちの神に限ってエルサレムを救えるとでも考えているのか。頭を冷やして、よく考えてみることだ。』」
+ 人々は押し黙ってひと言も答えません。ヒゼキヤがそう命じておいたからです。
+ 首相のエルヤキム、王の書記官シェブナ、それに王の秘書官ヨアフは、絶望のしるしに、着ている服をずたずたに裂き、ヒゼキヤのところへ帰って一部始終を報告しました。
+
+
+ 王は会談の結果を聞いて王服を裂き、屈辱と嘆きを示して、目のあらい布を身にまといました。それから、祈るために神殿に行きました。
+ 一方、首相のエルヤキム、王の書記官シェブナ、それに年長の祭司たちにも同じような格好をさせ、アモツの子である預言者イザヤのところへ行かせたのです。
+ 彼らは王のことづけを伝えました。「今日は苦しみと懲らしめと侮辱の日です。女が子を産もうとしてひどく苦しんでいるのに、なかなか産み落とせないような日です。
+ おそらくあなたの神である主は、アッシリヤの王の使者の、あの聞くに耐えないののしりをお聞きになったと思います。神がこのままで済ますはずはありません。あんな暴言を吐いたやつを責めるでしょう。お願いですから、ここに残っているわれわれのために祈ってください。」
+ 「わかりました。王様に神のおことばを取り次ぎなさい。アッシリヤの王の家来の脅しと暴言で取り乱してはいけない。
+ アッシリヤから王のもとへ、帰国しなければならない急な知らせが届く。王は国へ帰り、そこで殺される。すべてわたしが手はずを整えたのだ。」
+ アッシリヤの使者はエルサレムを離れ、ラキシュに続いてリブナを攻撃中の王と相談するため道を急ぎました。ところが、アッシリヤの王はちょうどこの時、エチオピヤの皇太子ティルハカが軍隊を率いて向かって来るとの知らせを受けたのです。これを聞くと、もう一度エルサレムへ使いをやり、ヒゼキヤに手紙を渡しました。
+ 「おまえは、エルサレムは私の手に渡さないとか、偉そうな口をたたいておるが、おまえの信じている神にごまかされるな。
+ 私の行く先々でどんなことが起こったかを思い出せ。刃向かう者は手当たりしだいに押しつぶしてきた。自分だけは例外だと思うのか。
+ ゴザン、カラン、レツェフの町々、それにテラサルにいるエデンの住民が神々に救い出されたか。とんでもない! 彼らは皆殺しにされた。
+ ハマテの王、アルパデの王、セファルワイム、ヘナ、イワの町々の王の最期がどうであったか、忘れないことだ。」
+ ヒゼキヤ王はこの手紙を読み終えると、すぐさま神殿に駆けつけ、主の前に手紙を広げ、
+ こう祈りました。
+ 「天の軍勢の主、ケルビム(契約の箱を守る天使の像)の上におられるイスラエルの神よ。あなただけが世界でただひとりの神です。あなただけが天と地をお造りになりました。どうか今、私の願いをお聞きください。祈っている私に目を留めてください。ごらんください。これがセナケリブ王の手紙です。王は生きておられる神をあざけりました。
+ 手紙にもあるように、王が国々を滅ぼしたのは事実です。
+ そして国々の神を火に投げ入れました。みな神とは名ばかりで、人間が木や石で造った偶像にすぎませんが。だからアッシリヤ人は、難なくこれらの神々の息の根を止めることができたのです。
+ ああ神よ、世界中の国が、あなただけが神であることを知るためにも、どうか私たちをお救いください。」
+ その時、アモツの子イザヤは使いをやり、ヒゼキヤ王にことづけを伝えました。「イスラエルの神、主のお告げがありました。主は、あなたがアッシリヤの王セナケリブのことで祈るのを、お聞きになりました。
+ 彼についてのお告げはこうです。よるべのないシオンの処女の娘であるわたしの民は、おまえを軽蔑し、笑い者にし、さげすんで頭を振る。
+ おまえがののしり、あざけった相手はだれか。おまえはだれに毒づいたのか。だれに高ぶり、言ってはならぬことを口にしたのか。イスラエルの聖なる神、わたしにではないか。
+ おまえは使いをよこして、わたしをあざけった。そして得意になって語った。『私は強力な軍勢を引き連れ、西の国々を攻めた。そびえるレバノン杉と良質の糸杉を切り倒した。高い山々を征服し、密林を踏みにじった』と。
+ おまえは、征服した地に多くの井戸を掘ったことを自慢している。エジプトが全軍をあげてかかっても、おまえには歯が立たない。
+ だが、こうなるように昔から決めていたのは、このわたしだ。まだそのことに気づかないのか。大昔からこのような力を与えておいたのは、わたしだったのだ。おまえが城壁に囲まれた町々を瓦礫の山にしたのは、わたしの計画で実現させたのだ。
+ だからこそ、おまえが攻めた国々の住民は弱く、やすやすと餌食になったのだ。彼らは草のように無力で、容易に踏みにじられる新芽のようにもろく、屋根の草のように、太陽に当たると黄色くしなびた。
+ わたしはおまえをよく知っている。あらゆる行動が手に取るようにわかる。わたしに向かっていきりたったのも知っている。
+ 神にいどみかかるとは何事だ。わたしは暴言を全部聞いた。もう黙ってはいない。おまえの鼻に鉤をかけ、口にはくつわをはめて、もと来た道を引き返させる。」
+ 続いて神は、ヒゼキヤに言いました。「この都をアッシリヤの王から救い出すのはわたしであるという証拠を見せよう。今年、彼は包囲を解く。種をまくには遅すぎるので、今年の秋は落ち穂から生えたもので我慢しなければならない。だが来年は、まずまずのところまで持ち直し、二年先には、以前のように豊かな暮らしができる。
+ ユダにいるあなたがたはまた自分の土地に住み、繁栄し、増え広がる。
+ 生き残った者がエルサレムを出て再び定住するからだ。わたしが、これらのことをみな実現する。
+ アッシリヤ軍はエルサレムに侵入しない。矢を放ち、城門の外に迫り、城壁沿いにとりでを築くこともしない。
+ もと来た道を引き返す。この都に入ることは絶対にない。
+ わたしの名誉にかけて、また、わたしの忠実なしもべダビデのためにも必ずここを守る。」
+ その夜、主の使いがアッシリヤ軍の陣営に出て行って、十八万五千人の兵士を打ちました。翌朝、何も知らずに目を覚ました者たちの前には死体が累々と横たわっていました。
+ アッシリヤの王セナケリブは、自分の国のニネベへ逃げ帰りました。
+ そののち、彼が守護神ニスロクの神殿で拝んでいた時、息子のアデラメレクとサルエツェルが、いきなり剣を抜いて切りかかって彼を殺しました。二人はアララテの地へ逃げました。こうして、別の息子エサル‧ハドンが王になったのです。
+
+
+ この出来事の少し前、ヒゼキヤは死の病に取りつかれました。そこへアモツの子である預言者イザヤが来て、主のことばを伝えました。「あなたはもう長くない。身の回りを整理しておきなさい。治る見込みはない。」
+ ヒゼキヤはこれを聞いて顔を壁に向け、必死に祈りました。
+ 「ああ神よ、お忘れになったのですか。あんなに真実を尽くし、いつも言いつけに従おうと努力してきましたのに。」王は肩を震わせ、大声で泣きました。
+ それを見て、主はイザヤに告げました。
+ 「さあ行って、ヒゼキヤに言ってやりなさい。『あなたの父祖ダビデの神である主は、確かにあなたの祈りを聞いた。あなたの涙を見て、あと十五年いのちを延ばすことにした。
+ あなたとこの都をアッシリヤ王の手から救い出し、あなたを守る、と主は言われる。
+ その保証として、アハズの日時計の目盛りを十度あとに戻す。』」すると、日時計に落ちる日の影は十度あと戻りしました。
+ ヒゼキヤは元気になると、この経験を詩にまとめました。
+ 「まだ働き盛りだというのに、いっさいをあきらめなければならないのか。これからの歳月は奪い取られ、よみの門に入ろうとしている。
+ もう二度と、生きている人の国で主を見ることはないだろう。この世で友人の顔を見ることもない。
+ 私のいのちは、羊飼いの天幕のように風で吹き飛ばされ、機を織る人が中途で手を止めるように中断された。私のいのちは、たった一日で消えていく。
+ 私は夜通しうめいた。まるでライオンに引き裂かれるような苦しみだ。
+ 私は錯乱状態になり、雀のようにさえずり、鳩のようにうめいた。助けを求めて上を見続けていたので、目はすっかりかすんでしまった。私は叫んだ。『ああ神様、助けてください。苦しくてたまりません。』
+ しかし、私に何を言うことができよう。私を病気にしたのは主なのだから。苦しさのあまり眠ることもできない。
+ 『主よ、あなたの懲らしめは益となり、いのちと健康に導きます。どうか病気を治し、私を生かしてください。
+ 今やっとわかりました。この苦しい経験は、みな私のためだったのです。神が愛をもって私を死から救い出し、いっさいの罪を赦してくださったからです。
+ 死人はあなたを賛美できません。そこには希望も喜びもありません。
+ 生きていてこそ、今日の私のように、あなたを賛美できるのです。あなたの真実は父から子へ代々語り継がれます。』
+ ああ、主は病気を治してくださった。これからは毎日、いのちある限り、神殿で主への賛美を奏でよう。」
+ イザヤは王の召使に、「いちじくで塗り薬をつくり、はれものに塗りなさい。そうすれば、王様は元どおり元気になられます」と言いました。
+ するとヒゼキヤは、「病気が必ず治る保証として、主はどんなしるしを与えてくださいますか」と尋ねてきました。
+
+
+ それからまもなくのことです。バルアダンの子、バビロンの王メロダク‧バルアダンは、ヒゼキヤ王に好意を示し、贈り物を届けました。重病であったヒゼキヤが元気になったと聞いたからです。
+ ヒゼキヤはこれを喜び、バビロンからの使者を宮殿のあちこちに案内して回り、銀、金、香料、香水で満ちた宝物倉まで見せました。さらに宝石のしまってある部屋へ連れて行き、そこにある物を一つ残らず見せたのです。
+ それを聞いた預言者イザヤは、さっそく王のところに来て質しました。「いったい何をお見せになったのですか。使者というのは、どこから来たのですか。」「遠いバビロンからだ。」
+ 「それであなたは、どの程度までお見せになったのですか。」「全財産だ。貴重な宝物も残らず見せた。」
+ 「そのことで、全能の主のことばがありました。
+ あなたの全財産、先祖がたくわえた宝物全部が、バビロンに運び去られる時がくる。何一つ残らない。
+ またあなたの子どもの中にも、バビロンの王の宮殿で宦官として仕える者が出る。」
+ 「それはけっこうだな。神のおことばはみな、ためになることばかりだ。しかし、少なくとも私が生きている間は、平和が続くのであろう?」
+
+
+ 「わたしの民を慰めよ」と主は命じます。
+ 「エルサレムに優しく語りかけ、悲しみの日は過ぎ去ったと言ってやりなさい。その罪は赦された。すべての罪に倍する報いを受けた、と。」
+ 耳を傾けなさい。荒野で叫ぶ声が聞こえます。「主が通られる道を準備せよ。荒野に、平らでまっすぐな道を、主のために準備せよ。
+ 谷を埋め、丘をけずり、曲がりくねった道をまっすぐにし、荒れた道を広げて平らにせよ。
+ 主のすばらしさをすべての人々に示せ。」主が命じた以上、そのとおりになります。
+ 「大声で叫べ」という声が聞こえます。「何と叫んだらよいのですか」と私は尋ねました。「こう叫びなさい。人は、しおれてしまう草のようなものだ。人の美しさは、しぼんでいく花のように色あせる。
+ 神の息がかかると、草はしおれ、花はしぼむ。弱くもろい人間もそれと同じだ。
+ 草はしおれ、花はしぼむ。しかし神のおことばは、いつまでもすたれることがない。」
+ 良い知らせを伝える者よ。山の頂上からエルサレムに向かって叫びなさい。恐れずに大声で言いなさい。ユダの町々に「神が来られる」と知らせなさい。
+ 神である主は、全能の力を持って来ます。恐ろしいまでの力で支配し、一人一人の行いに応じて報います。
+ また、羊飼いのように群れの世話をし、子羊を抱いて運び、雌羊を優しく導きます。
+ 主のほかにだれが、手で海を支え、手の幅で天の大きさを測ったでしょう。だれが、地球の重さと、山や丘の重さを知っているでしょう。
+ だれが主の御霊の助言者となり、主の教師になったでしょう。
+ 主は人間の助言を必要としたでしょうか。何が正しく、何が最善であるかを知るために、だれかの指示を仰いだでしょうか。
+ そんなことは絶対にありません。すべての人間は、主と比べたら無に等しく、桶の中の一滴の水、はかり皿の上のちりにすぎないのです。神は島々を、少しも重さがないもののように、いとも軽々と持ち上げます。
+ レバノンの森林の木を全部集めても、神にささげるいけにえを焼くたきぎにも足りません。そこにいる獣を一匹残らず集めても、いけにえとするには、とうてい足りません。
+ すべての国々は、神の目から見れば無に等しいのです。
+ 神をどう説明したらいいでしょう。神を何と比べることができるでしょう。
+ 泥をこね、金をかぶせ、首に銀の鎖をかけた偶像とでしょうか。
+ 高価な神々を買えない貧しい人は、腐らない木を見つけ、それに顔を彫ってくれる人を雇います。こうしてできた動くことさえできないものが、神となるのです。
+ あなたがたは、何も知らないのですか。世界が造られる前からあった神のおことばが全く聞こえないというのですか。一度もおことばを聞き、理解したことがないのですか。
+ 神はこの地のはるか上にいます。下界の人間など、いなごのように見えるでしょう。神は、天を天幕のように広げて、ご自分の住まいとします。
+ 世界の偉大な者たちをすべて無き者のようにします。
+ 彼らがようやく仕事に取りかかり、芽が出始めると、神は痛い目に会わせ、彼らの働きは頓挫します。そのうえ風が吹いて、彼らをわらのように巻き上げるのです。
+ 「おまえたちは、わたしをだれと比べるというのか。わたしと肩を並べられる者がいるか」と、聖なる方は問いかけます。
+ 天を仰いでみなさい。だれが星を造ったのですか。羊飼いは群れを導き、羊たちを愛称で呼び、一匹でもいなくなってはいないかと数えます。同じように神も、星々を数えます。
+ ああ、ヤコブよ。イスラエルよ。主は苦しみを見て見ぬふりをしているから不公平だと、どうして言えるのですか。
+ まだわからないのですか。全世界を造った永遠の神は、決して疲れたり、衰弱したりしません。神の知恵の深さを推し測ることができる者は、一人もいません。
+ 神は疲れた者に力を、弱い者に活力を与えます。
+ 若者も疲れ果て、若い男も限界に達します。
+ しかし、主を待ち望む者は新しい力がみなぎり、わしのように翼を張って舞い上がることができます。どれだけ走っても疲れず、どんなに歩いても息切れしません。
+
+
+ 海の向こうの島々よ。わたしの前では口をつぐんで聞きなさい。どんな難問でももってきなさい。おまえたちのために法廷が開かれるから、そこで話すがよい。
+ だれが、東の国に一人の人物(クロス王を指す)を起こし、行く先々で勝利を得させたのか。わたし以外の者であるはずはない。わたしが彼に、多くの国々を征服し、王たちを踏みにじり、敵の軍隊を剣の餌食にする力を与えたのだ。
+ 彼は敵を追いかけるが、一度も通ったことのない道を安全に進んで行く。
+ その進撃によって歴史は大きく塗り変えられる。こんな途方もなく大きなことを演出したのはだれか。それはわたし、初めであり終わりである、このわたしだ。わたしこそが主である。
+ 海の向こうの国々はおびえ、今度の遠征計画について彼のことばを待っている。遠く離れた国々も戦々恐々で、戦争に備える。
+ 職人は互いに励まして、「心配するな。彼が勝つはずないから」と気休めを言って、
+ 新しい偶像造りを急ぐ。彫刻師は鍛冶屋をせかせ、鋳物師は、かなとこをたたく手伝いをして、「もう十分火が通った。さあ、腕の部分をはんだづけしよう」と言う。注意深く各部をつけて、堅くしめつけ、ばらばらにならないようにする。
+ しかし、わたしのしもべイスラエルよ。あなたはわたしの友アブラハムの家族だ。だから、わたしはあなたを選び、わたしのものとした。
+ あなたを地の果てから呼び出し、わたしだけに仕えよと言った。わたしはあなたを選び、どんなことがあっても見捨てない。
+ 恐れるな。わたしがついている。取り乱すな。わたしはあなたの神だ。わたしはあなたを力づけ、あなたを助け、勝利の右の手でしっかり支える。
+ いきりたつ敵はみな、無残に踏みにじられる。あなたに刃向かう者はみな死に絶える。
+ 彼らの姿を捜し回っても無駄だ。一人もいなくなるからだ。
+ わたしがおまえの右手をつかみ、「恐れるな。あなたを助けに来た」と励ます。
+ イスラエルよ、たとえ軽蔑されても恐れるな。わたしは必ずあなたを助ける。わたしは主、あなたを贖う者だ。わたしはイスラエルの聖なる神だ。
+ あなたは新しい鋭い刃のついた打穀機となり、敵という敵を粉々にし、もみがらの山をつくる。
+ それを空中に放り上げると、風が吹き飛ばし、つむじ風がまき散らす。こうして主の喜びがあなたの心を満たし、あなたはイスラエルの神を誇りに思うようになる。
+ 貧しい者や困っている者が水を求めても得られず、のどは渇き、舌が上あごにつく。そのようなとき、わたしを呼べば、わたしは答える。イスラエルの神であるわたしは、いつまでも彼らを見捨てない。
+ わたしは台地に川を開き、谷間には泉を湧かせて、彼らに与える。砂漠には池ができ、からからに乾いた地には、多くの泉から川が流れだす。
+ わたしは不毛の地に、杉、アカシヤ、ミルトス、オリーブ、糸杉、プラタナス、松の木を植える。
+ だれもがこの奇跡を見て、これをしたのはイスラエルの聖なる神だと認める。
+ おまえたちの偶像に、こんなことができるのか、わたしに見せてみなさい。イスラエルの王である神は言います。
+ 昔どんなことが起こったか、将来どんなことが起こるかを、偶像に話させてみなさい。
+ 偶像が神であるなら、これから何が起こるかを説明させてみなさい。あるいは、わたしたちを驚かせるような、すばらしい奇跡を行わせてみなさい。
+ もちろん、そんなことができるはずはない。神といっても名ばかりで、何一つできないのだから。あなたがたを選んだ者は、自分の頭が正常かどうか、調べてもらえばよい。
+ わたしは北と東から人(クロス王)を起こす。彼は国々を相手に戦いをいどみ、わたしの名を呼ぶ。わたしはそれにこたえ、国々の王や領主を征服する力を与えるので、彼は陶器師が土くれを踏むように、彼らを踏みにじる。
+ こんなことを、わたし以外にだれが告げたか。いったいだれが、説得力をもって、こうなると予告したか。誰ひとりいなかったではないか。ほかの神々は、ただのひと言も口をはさまなかった。
+ 「さあ、目を上げて見るのだ。助けはすぐそこまで来ている」と、真っ先にエルサレムに伝えたのは、わたしだった。
+ おまえたちの偶像のどれ一つとして、こうは言わなかった。わたしが問いかけても返事さえしなかった。
+ みな愚かで、役に立たない者ばかりだ。まるで風のように頼りにならない。
+
+
+ わたしの支えるしもべ、わたしの喜びとする選ばれた者に目を留めよ。わたしは彼に、わたしの霊を与えた。彼は世界の国々に正義を示す。
+ 彼は穏やかで、大声を上げたり路上で言い争ったりしない。
+ いたんだ葦を折らず、今にも消えそうな火でも消さない。気落ちしている人を元気づけ、もうだめだとあきらめる者を励ます。こうして、痛めつけられた者たちに完全な正義が与えられるのを見届ける。
+ 真実と正義が全地に行き渡り、海の向こうの遠い国々の民が彼を信頼するようになるまで手を休めない。
+ 天を造ってそれを引き伸ばし、地と地上のすべてのものを造り、すべての人間にいのちと霊とを授けた、神である主が、ご自分のしもべであるメシヤ(救い主)に、こう語ります。
+ 「主であるわたしが、わたしの正義をはっきり示すために、あなたを呼んだ。わたしはあなたを守り、あなたを支える。わたしの民と結んだ契約を確かなものとするために、わたしはあなたを彼らのもとへ送った。あなたはまた、国々の民をわたしのもとへ導く光となる。
+ 盲人の目をあけ、暗い牢獄で希望もなく座り込んでいる人々を解き放す。
+ わたしは主である。これがわたしの名だ。わたしは、ほかの者に栄光を譲るようなことはしない。わたしの栄誉を、彫刻した偶像たちに与えるようなことは絶対にしない。
+ わたしが今まで預言したことはすべてそのとおりになった。再び預言しよう。未来のことを、それが起こる前に知らせよう。」
+ 主に向かって新しい歌を歌いなさい。地の果てに住む人たちは、こぞって神をたたえる歌を歌いなさい。海も、海の向こうの遠い国々に住む人たちも、こぞって歌いなさい。
+ ケダルとセラの荒野の町々、山の上に住む人たちも、コーラスに加わりなさい。
+ 西の海沿いの国々や島々は、主をあがめ、その全能の力をほめ歌いなさい。
+ 主は、だれも立ち向かえない勇敢な戦士となり、激しい怒りを敵に見せつけます。ときの声を上げ、敵を蹴散らします。
+ 主は長い間沈黙を守り、じっとこらえてきましたが、今は怒りをぶちまけ、子を産もうとしている女のようにあえぎます。
+ 主は山や丘を平らにし、青草を枯らし、川や池を干上がらせます。
+ 目の見えないイスラエルの手を引いて、初めての道を通らせ、行く手の暗闇を明るくし、前方の道をまっすぐ平らにします。主は決してイスラエルを見捨てません。
+ しかし偶像を頼りにし、それを神と呼ぶ者には失望落胆します。そのような者たちは退けられます。
+ 「あなたがたは神のこととなると、何も見えず、何も聞こえなくなる。なぜ聞こうとしないのか。なぜ見ようとしないのか。
+ 真理の使者となるべきわたしの民ほど目の見えない者がこの世にいるだろうか。わたしのためにささげられた『主のしもべ』ほど、耳の聞こえない者がいるだろうか。
+ あなたがたは真理を見て、頭ではわかっていても、それを心に留めようとも行おうともしない。」
+ 主はご自分の教えを広め、それを栄光に輝くものとしました。それによって、ご自分が正しい方であることをこの世の人々に示そうとしたのです。
+ ところが、主の教えがどんなにすばらしいかを伝えるはずの民は、なんという有様でしょう。略奪され、奴隷になり、捕えられ、罠にはまり、格好のえじきになっても、だれも守ってくれる者がありません。
+ 過去の教訓に学んで、目の前に滅びが待っていると予測できる者が、ただの一人もいないのでしょうか。
+ だれが、イスラエルを奪い取り、傷つけるのを許したのでしょう。それは主ではないですか。彼らは主に罪を犯し続けてきました。彼らは、主が行くように命じた所へ行こうとせず、主の教えに耳をふさぎました。
+ だからこそ、神はこれほどまでに激しく怒り、ご自分の民を戦いで滅ぼしたのです。しかし、火がついて燃え上がっても、彼らはなぜそうなったかに気づきませんでした。神は、彼らが悔い改めることを望んでいるというのに。
+
+
+ しかし、イスラエルよ。あなたを造った主は、今こう言って慰めてくれます。「恐れるな。わたしはあなたを買い戻したのだ。わたしはあなたの名を呼んだ。あなたはわたしのものだ。
+ たとえ水の中をくぐり、大きな困難にぶつかっても、わたしは共にいる。悩みの川を渡るときも、おぼれはしない。迫害の火の手が上がり、そこを通り抜けていくときも心配はない。炎はあなたを焼き殺さないからだ。
+ わたしは主、あなたの神、あなたの救い主、イスラエルの聖なる神だ。わたしはあなたを自由の身とする代わりに、エジプトとエチオピヤとセバを与えた。
+ あなたを生かすために他の者が犠牲になった。あなたのいのちを買い戻すため、他の者のいのちと交換した。わたしにとって、あなたは高価で尊いからだ。わたしはあなたを愛している。
+ 恐れるな。わたしがついている。わたしはあなたを東と西、南と北から集める。地の果てから、私の子孫をイスラエルに連れ戻す。
+ わたしを神として礼拝する者はみな集まってくる。わたしはそのような人たちを、わたしの栄光のために造った。
+ わたしに呼ばれても、目が見えず、耳が聞こえない者たちを、わたしのもとに連れ戻せ。
+ すべての国々の民を集めよ。どの偶像が、このようなことを前もって知らせたか。どの偶像が、一日先のことでも予告できるか。どこに、彼らのことばを少しでも聞いた証人がいるか。そんな者は一人もいない。だとしたら、預言できるのは神だけだと認めないわけにはいかないだろう。
+ わたしには証人がいる。イスラエルよ、あなたがたがわたしの証人、わたしのしもべだ。わたしを信じ、わたしだけが神であることを知るために選ばれたのだ。わたしのほかに神はいない。今までも、またこれからも。
+ わたしが主であって、ほかに救い主はいない。
+ あなたがたが偶像を捨てるとき、わたしは力を示した。ただひと言で、あなたがたを救った。あなたがたはわたしの救いをその目で見たのだから、わたしの証人だ。
+ 永遠から永遠まで、わたしは神である。わたしが何かをしようと身を起こすとき、その前に立ちはだかる者はだれもいない。」
+ あなたがたの救い主、イスラエルの聖なる神は、こう告げます。「わたしはあなたがたのために、バビロンに軍隊を侵入させる。それもほとんど無傷のままに。おごり高ぶっていたバビロニヤ人は、恐怖の叫びを上げる。
+ わたしは主、あなたがたの聖なる神、イスラエルを造った、あなたがたの王である。
+ 海の中に道を開き、海の底を進む道を造った主である。
+ わたしはエジプトの強力な軍隊を、戦車や馬とともに海のもくずとした。彼らのいのちは燈心のように吹き消された。
+ しかしこんなことは、これからすることに比べれば物の数ではない。
+ わたしは新しいことをしようとしている。いや、すでに手をつけた。あなたがたの目には見えないか。わたしの民が故国へ戻るために、荒野に道を造り、彼らの飲み水として荒野に川を開く。
+ 野の獣、山犬、だちょうも、わたしに感謝する。わたしに選ばれた民は、この荒野の泉でのどをうるおし、元気づく。
+ わたしはイスラエルを自分のために造った。この民は、いつかきっと、人々の前でわたしをたたえるようになる。
+ だがイスラエルよ、あなたはわたしに助けを求めなかった。わたしにいや気がさしたのか。
+ いけにえの子羊を持って来なかったし、供え物をささげて、わたしをあがめもしなかった。わたしが自分からささげ物を要求したことは、ほとんどない。あなたがたを奴隷扱いしたこともない。
+ それなのに、わたしのために香りのよい香料を持って来ず、いけにえの脂肪でわたしを喜ばせようともしなかった。それどころか、贈り物といえば罪だけで、ありとあらゆる欠点を見せつけ、わたしを煩わせた。
+ わたしは自分のために、あなたがたの罪をぬぐい去り、それを二度と思い出さない。
+ ああ、この罪の赦しの約束を、わたしに思い出させよ。あなたがたの罪について論じよ。赦してほしければ、あなたがたのほうから申し出なさい。
+ あなたがたの先祖は、最初からわたしに罪を犯し、わたしの教えに背いた。
+ それで、わたしは祭司たちを免職し、イスラエルを滅ぼし、彼らを辱しめられるままにしておいたのだ。」
+
+
+ 「わたしのしもべイスラエル、わたしの選んだ者たちよ。わたしのことばを聞け。」
+ あなたを造り、あなたを助ける主は、こう告げします。「わたしのしもべよ、恐れるな。わたしの選んだエルサレムよ、恐れるな。
+ 渇いたのどと干上がった地をうるおす水を、ふんだんに与えよう。あなたの子どもたちには、わたしの霊と祝福とを注ごう。
+ 彼らは、水分を十分に吸った青草や岸辺の柳のように繁栄する。
+ 誇らしげに、『私は主のものだ』とか『私はユダヤ人だ』と言い、手にわたしの名かイスラエルの名を記す。」
+ イスラエルの王である主、イスラエルを救う全能の主は、こう言います。「わたしは初めであり、終わりである。わたしのほかに神はいない。
+ わたし以外にだれが、これから先何が起こるかを言いあてることができるか。もしそのような者がいたら、遠慮なく名乗りを上げ、大きな力があるところを見せてみよ。わたしが昔からしてきたのと同じことをしてみよ。
+ 恐れるな。決して恐れるな。わたしは古くから、あなたを救うと言っていたではないか。あなたがたはわたしの証人だ。わたしのほかに神があろうか。断じていない。わたしのほかに岩はない。」
+ 偶像を造り、それを神にするとは、なんと浅はかな者でしょう。そんな者たちの希望はむなしい夢にすぎません。見ることも知ることもできない偶像を頼みにしているのですから。そんな偶像を拝む者が恥を見るのは当然です。
+ 何のも頼りにもならない偶像を作る者は、愚か者と言われてもしかたありません。
+ 偶像を拝む者はみな、顔を真っ赤にして主の前に立つことでしょう。自分は神を造ったと誇っていた大工も同じです。彼らは共に震えおののきながら主の前に立ちます。
+ 金属細工師は斧を作るために炉のそばに立ち、焼けた鉄をかなとこの上で力いっぱいたたきます。そのうちのどが渇き、腹がへり、ふらふらになります。
+ それから、大工がその斧で偶像を造るのです。木切れの寸法を測り、しるしをつけ、人の形に彫ります。こうして、一歩も歩けないのに見かけは美しい偶像ができ上がります。
+ 彼は杉を切り、糸杉や樫を選びます。森に月桂樹を植えれば、雨が育ててくれます。
+ こうして大きくなった木の一部をたきぎにして暖をとり、またパンを焼きます。その残りはどうするのでしょう。なんと、それで人々が拝む偶像を造るのです。人々は偶像にひれ伏して祈ります。
+ その木の一部で体を暖め、肉をあぶって満腹感を味わってから、
+ その残り物で神を造るのです。彫って造った偶像を拝み、「私をお救いください。あなたは私の神です」と願うのです。
+ こんな愚かなことがあっていいのでしょうか。神は、見えないようにと彼らの目をふさぎ、理解できないようにと心を鈍くしました。
+ 彼らはよく考えようともしません。「これはただの木片ではないか。同じ木で体を暖め、パンを焼き、肉をあぶった。その残りが神ということがありえるだろうか。木片にひれ伏すなど、ばかげている」と自問自答することもありません。
+ 人にだまされている哀れな者は灰を食べます。何の助けにもならないものを頼りにしているからです。彼はまともな考え方ができません。「この手に握っている偶像は偽の神ではないか」と自分に問うことができないのです。
+ 「わたしのしもべイスラエルよ、注意して聞くのだ。わたしがあなたを造った。だから、どんなことがあってもあなたを助ける。
+ わたしは、あなたの罪をすっかり消した。それは、昼になると朝もやが消えてなくなるように、影も形もなくなった。さあ、わたしのもとに帰って来なさい。あなたを自由にする代価は支払いずみだ。」
+ 天よ、喜び歌え。主がこんなにもすばらしいことをなさったのだから。地よ、喜び叫べ。山々も森も木々も歌声を響かせよ。主がイスラエルを買い戻し、あがめられているからです。
+ あなたを造り、あなたを買い戻した主は、次のように言います。「わたしはこの手ですべてのものを造った。わたしひとりで、天を引き伸ばし、地とその中にあるすべてのものを造った。
+ わたしは、偽預言者の予想をくつがえし、彼らが大うそつきであることを証明する。知恵ある者に見当違いの助言をさせ、愚か者にする。
+ しかしわたしは、わたしの預言者が語ることは必ず実現させる。彼らが、エルサレムは敵の手から救い出され、ユダの町々に再び人が住むようになると言うと、そのとおりになる。
+ わたしが川に、『干上がれ』と言うと、水はかれる。
+ クロスに向かって、『わたしの羊飼いだ』と言うと、彼はわたしが言ったとおりのことをする。こうしてエルサレムは再建され、神殿は元どおりになる。わたしがそう言ったからだ。」
+
+
+ これは、多くの国々を征服させるために神が選び、油を注いで任命したクロスへの主のことばです。神が力を与えると、彼は強大な王たちの力を砕きます。神が彼の前でバビロンの城門を開くと、門は二度と閉まりません。
+ 「クロスよ、わたしはあなたの前を進む。山々を平らにし、青銅の城門を破壊し、鉄のかんぬきを飴のようにねじ曲げる。
+ こうして、暗闇に隠された財宝や、だれも知らない富を与える。その時あなたは、あなたを名ざしで呼ぶ、このわたし、イスラエルの神がこれをしていることに気づく。
+ この仕事のためにあなたを名ざしで呼んだのはなぜか。それは、わたしのしもべヤコブ、わたしの選んだイスラエルのためだ。あなたがまだわたしを知らない時、わたしはおまえの名を呼んだ。
+ わたしは主である。わたしのほかに神はいない。たとえあなたがわたしを知らなくても、わたしはあなたを強くし、どの戦いにも勝利を得させる。
+ すべての人々に、わたしのほかに神はいないことを知らせる。わたしが主、ほかにはいない。
+ わたしは光を呼び、闇を招き、時代を良くも悪くもする。わたしは、これらのことをするものである。
+ 天は窓を開き、空は正義を降らせよ。救いと正義が地から共に芽を出すようにせよ。わたしが、それらのものを造ったのだ。」
+ 創造主に敵対して戦う者は、災難に会います。つぼは、それを作る者と言い争うでしょうか。粘土が細工する者に、「待ってくれ。作る物が違っているのではないか」と言ったり、つぼが、「なんと不器用なんだ」と文句を言ったりするでしょうか。
+ ああ、自分の両親に、「なぜ私を産んだのか。産んだのは間違いではないか」とわめきたてる者よ。
+ イスラエルの聖なる方、イスラエルの創造者である主は語ります。「どんな権限があって、わたしのすることに口をはさむのか。わたしの仕事にあれこれと注文をつけるあなたは、いったい何者なのだ。
+ わたしは世界を造り、その上に住む人間を造った。自分の手で天を引き伸ばし、無数の星に命令した。
+ わたしの目的を果たすためにクロスを起こし、彼の進む道を整える。彼はわたしの都を再建し、捕虜になったわたしの民を解放する。わたしは、そのための代価を求めない。」
+ 神は、こうも語ります。「エジプト人、エチオピヤ人、セバ人はあなたの言いなりになる。彼らは国の産物を山と積んでやって来る。それが全部あなたのものになる。彼らは鎖でつながれた囚人のようにあなたについて回り、ひれ伏して「あなたの神だけが本物の神です」と言う。
+ イスラエルの神、救い主よ。まことに、あなたは不思議なことを行います。
+ 偶像を拝む者たちはみな失望し、恥を見ます。
+ しかしイスラエルは、主の永遠の救いを手に入れます。彼らはいつまでも神を信じ、一度も期待を裏切られません。
+ 主は天と地を造り、すべてのものをあるべき所に置きました。世界を何もない空間ではなく、人の住む所として造ったのです。主は語ります。「わたしは主で、ほかに神はいない。
+ わたしは人々の見ている前で大胆な約束を伝えた。暗がりでひそひそと、何を言ったかわからないような言い方はしない。イスラエルに、むなしい約束はしない。わたしは、真実で正しいことだけを口にする。
+ クロスの手から逃げて来た人々よ、さあ、手をつないで集まれ。木の偶像をかつぎ回り、救うことのできない神々に祈りをささげる者は、なんという愚か者だろう。
+ 額を寄せて相談し、偶像礼拝にどんなご利益があるか、証拠を出してみるがいい。ほんとうの神以外にだれが、クロスはこんなことをすると言ったか。どこの偶像が、そんなことを知らせたか。わたしのほかに、ほんとうの神はいない。
+ すべての人々よ、わたしだけが神なのだから、わたしを仰ぎ見て救われなさい。
+ 世界中の人がわたしの前にひれ伏し、すべての口がわたしの名に忠誠を誓うようになることを、わたしは自分にかけて誓う。わたしの言ったことは真実で、必ずそのようになる。」
+ 人々は、「主にこそ私の正義と力がある」と胸をたたいて言います。それまで敵対していた者もみな主のもとに来て、深く恥じ入ります。
+ イスラエルの子孫は主にあって正しい者と認められ、勝ち誇ります。
+
+
+ バビロンの偶像ベルとネボは、牛の引く荷車に載せられ、遠くへ運ばれます。ところが、牛はよろめき、荷車はひっくり返り、造られた神々は地面に放り出されます。自分が転げ落ちることさえ防げないのに、彼らを拝んでいる者をクロスの手から、救い出すことなどできるわけがありません。
+ 「残ったすべてのイスラエル人よ、わたしの言うことを聞け。わたしはあなたがたを造り、生まれる前から心にかけてきた。
+ あなたがたが生きている間、年をとり、頭が白くなっても、わたしはあなたがたの神となる。わたしがあなたがたを造ったのだから、あなたがたを背負い、救い出そう。
+ 天と地にあるものの何を引き合いに出して、わたしと比べようというのか。わたしと等しい者を、だれか探すことができるか。
+ わたしを、金と銀を惜しげもなく使った偶像と比べるつもりか。あなたがたの金を奪って金細工人を雇う者は、偶像を造り、ひれ伏して拝む。
+ 彼らは偶像をかついで運び、下に置くが、それはじっと立ったままで動けない。どんなに祈っても答えがない。拝む者を苦しみから救えない。
+ やましいところのある者よ、このことを忘れるな。
+ わたしがはっきり何度も、将来何が起こるか告げてきたことを忘れてはならない。わたしだけが神であり、わたしのような者はいない。
+ 何が起こるかを教えることができるのは、このわたしだけだ。わたしの言ったことは、みなそのとおりになる。心に決めたことはどんなことでも実行する。
+ 東から猛禽を、遠い地からクロスを呼ぶ。彼は来て、わたしが言っておいたことを行う。わたしは、すると言ったことは必ず実行する。
+ 強情でよこしまな者たち、わたしの言うことを聞け。
+ わたしはあなたがたを救う。遠い将来ではなく、今すぐに。すでにあなたがたを救う準備は整った。わたしは、わたしの栄光であるエルサレムとイスラエルを再建する。
+
+
+ 負け知らずのバビロンよ、下って来て、ちりの中に座れ。栄光の日々は終わり、おまえたちの栄華と栄誉は色あせたからだ。カルデヤの娘よ、おまえは二度と、優雅で美しい王妃とは呼ばれない。
+ 重いひき臼で粉をひけ。娼婦のようにベールを取り、王妃の衣を脱ぎ捨てて、人々の目に身をさらせ。
+ おまえは裸になり、恥をかく。わたしはおまえに報復し、少しも後悔しない。」
+ バビロンの強大な力からイスラエルを救う、私たちの救い主、その名は全能の主で、イスラエルの聖なる神がこう告げます。
+ 「バビロンよ、黙って暗がりに座れ。おまえは二度と、諸国の女王と呼ばれない。
+ バビロンよ、わたしはイスラエルを怒っておまえの手に渡し、少しばかり罰しようとした。ところがおまえは、少しも手かげんしなかった。それどころか、老人にまでも重い荷を負わせた。
+ おまえは、自分がいつまでも世界の女王として君臨するものと思った。わたしの民を少しもあわれまず、また彼らに危害を加えたらどうなるかも考えなかった。
+ ああ、自らを大国だと自慢し、安逸をむさぼり、快楽を追い求める国よ。おまえの罪に対する、わたしの法廷での判決を聞け。おまえは、『私だけが神だ。天地が引っくり返っても、私が未亡人になるわけがない。子どもを失うこともない』とうそぶく。
+ それも今のうちだ。次の二つのことが、一日のうちに、しかも、あっという間に実現する。どんなにまじないや魔術に頼ってみても、おまえは未亡人となり、子どもを失う。
+ おまえは、どんなに悪いことをしても大丈夫だと考えていた。『だれも見ていない』と言った。その知恵と知識が災いして、わたしに背き、自分こそ神だと言うまでになった。
+ だから、大きな災難が突然おまえに襲いかかる。あまりに突然なので、それがどこから来たのかわからない。そのとき、おまえの罪をきよめる神への供え物はない。
+ 長い間拝んできた悪鬼の群れを、呼び出してみよ。彼らの助けを借りて、もう一度多くの人を恐れさせることができるかどうか、試してみよ。
+ 助言をする者は掃いて捨てるほどいる。星占い、天文学者など、未来の出来事を言いあてる者はたくさんいる。
+ しかし彼らは、火がつくとぱっと燃え上がる枯れ草のように、役に立つどころか手がつけられなくなる。自分さえ救えないのだから、とても頼りにはならない。その火は、そばに座って体を暖める火ではない。
+ さらに、古くからの友人まで、みなこそこそと逃げ出し、姿を隠して、力になってくれない。
+
+
+ わたしの民よ、わたしの言うことを聞け。あなたは、聖なる都に住んでいることを誇り、イスラエルの神に頼っていることを自慢しているが、それは口先だけのことだ。あなたの主への忠誠心は見せかけだ。
+ わたしは何度も、これから何が起こるかを知らせてきた。そして語り終えるか終えないうちに、言ったとおり実行した。
+ わたしは、あなたがどんなに強情で頑固かを知っている。首はまるで鉄の棒のように曲がらず、頭は石のように硬い。
+ だから、これからしようとすることを、あらかじめ知らせておいたのだ。あなたに、『私の偶像がしたのだ。私の彫像が、そうなるようにと命令したのだ』と言わせないためである。
+ あなたはわたしの預言を聞き、しかも実現するのを見た。しかし、わたしがそのようにしたことを認めない。今度は、今まで話したこともない、一度も耳にしたことのない、新しいことを知らせよう。
+ あなたは、『そのことなら、ずっと前から知っていた』と言うことはできない。
+ わたしは全く新しいことを告げる。あなたがどんなにひどい裏切り者で、ものごころついたころから背き続け、芯まで腐りきっているかをよく知っているからだ。
+ しかしわたしは、自分のため、自分の栄誉のために怒りを抑え、あなたを滅ぼさなかった。
+ わたしはあなたを苦しみの炉で精錬したが、銀は見つからず、少しも良いところがなかった。
+ それでもわたしは、自分のためにあなたを怒りから救い、滅ぼさない。異邦人が、自分たちの神々がわたしを征服したと言わないように。わたしは彼らにわたしの栄光を譲り渡すようなまねは、絶対にしない。
+ わたしの民、わたしの選んだ者たちよ、わたしの言うことを聞け。わたしだけが神だ。わたしは初めであり、終わりである。
+ この手で地の基礎を据え、この右の手で天を引き伸ばした。わたしが命じると、たちまちそのとおりの物ができた。
+ みな集まって、よく聞け。偶像のうち、このように知らせてくれたものが一つでもあったか。『主はクロスを愛し、彼にバビロン帝国の息の根を止めさせる。彼はカルデヤ人の軍隊を根こそぎにする。』
+ こんなことが言えるのは、このわたしだけだ。わたしがクロスを呼び、使いに出した。わたしは彼のすることを成功させる。」
+ 近寄って聞きなさい。私はこれまでいつも、どんなことが起こるかをはっきり知らせてきました。あなたが十分に理解するためでした。今度も、神である主とその御霊が告げたことばを伝えます。
+ あなたを救うイスラエルの聖なる神は、こう言います。「わたしはあなたの神、主である。わたしは、あなたのためを思って罰し、進むべき道に導く。
+ ああ、あなたが、わたしの教えに従ってくれさえしたら、平安は川のように流れ、正義は大波のように打ち寄せるであろうに。
+ あなたは浜辺の砂のように、数えられないほど多くなり、滅亡することもないであろうに。」
+ 今からでも遅くはありません。あなたを奴隷としていた者の手から逃げなさい。バビロンをあとにし、歌いながら出て来なさい。主がご自分のしもべユダヤ人を救い出したことを、地の果てまで大声で知らせなさい。
+ 彼らが荒野を越えて来た時も、少しも渇きませんでした。主が岩を裂くと、水があふれ出たからです。
+ しかし、「神に逆らう者に平安はない」と主は言います。
+
+
+ 遠い国々よ、私の言うことを聞きなさい。主は生まれる前から私を心に留め、母の胎内にいた時から私の名を呼びました。
+ 主は私のさばきのことばを、剣のように鋭くし、私を御手の中に隠しました。私は神の矢筒の中にある、研ぎすました矢のようです。
+ 主は私に告げました。「あなたはわたしのしもべ、神の力を授かった王子として、わたしの栄光を現す。」
+ 私は答えました。「しかし、私のこれまでの仕事はみな失敗に終わりました。力を使い果たしましたが、何の手ごたえもありません。どうぞ、お心のままに報いてください。」
+ ところが、神の民イスラエルを回復させる使者として、私を母の胎内で形づくり、この仕事を成し遂げる力を与えた主は、なお語ります。
+ 「あなたはイスラエルをわたしに立ち返らせるにとどまらず、国々の光となって、諸国にまでわたしの救いをもたらす。」
+ イスラエルを救う聖なる方は、さげすまれている者、のけ者にされている者、支配者たちに踏みつけられている者に向かって、こう言います。「あなたが通ると、王は立ち上がって敬意を表す。わたしがあなたを選んだので、首長たちも深々と頭を下げる。イスラエルの聖なる神であるわたしが、あなたを選んだのだ。」
+ 主はまた語ります。「あなたは、ちょうどよい時に願った。わたしはまだ危害が及ばないうちからあなたを守り、イスラエルへの約束のしるしを与える。わたしが国を再建し、そこに人を住まわせるという証拠だ。わたしはあなたの口を通して、暗闇の中に閉じ込められた囚人に、『さあ、出て来い。おまえたちはもう自由だ』と語りかける。彼らはわたしの羊となり、緑の牧草地と青々とした丘で草を食べる。
+ ひもじくなることも、のどが渇くこともない。こげつくような太陽も、焼けるような荒野の風も、二度と害を与えない。わたしが彼らを思いやり、冷たい水のわく所へ連れて行くからだ。
+ わたしは彼らのために、山々を平らな道とし、谷の上に大路を走らせる。
+ わたしの民は遠くから、あらゆる地から帰って来る。」
+ 天は喜んで歌いなさい。地は歓声を上げなさい。山々は歌声を響かせなさい。主が、悲しみに沈んでいたイスラエルを優しく慰めるからです。
+ ところが、「主は私たちを見捨て、私たちを忘れた」とあなたは言います。
+ 「いや、母親がわが子を忘れ、愛さなくなることがあるだろうか。たとえそんなことがあっても、わたしはあなたを忘れない。
+ 見よ。わたしはあなたの名を手のひらに刻んだ。わたしの目の前にはいつも、くずれたエルサレムの城壁が見えている。
+ まもなく、イスラエルを再建する者が来て、あなたを滅ぼした者どもを追い払う。
+ さあ来て、よく見よ。敵は一人残らずあなたの奴隷になると誓おう。彼らはあなたにとって、飾り棚の宝石か花嫁の装飾品のようになる。
+ だれもが見捨てた荒れた土地でさえ、人々でにぎわうようになる。あなたを奴隷にした敵どもは、はるかかなたに去る。
+ 異国に捕らわれていた時に生まれた者は帰って来て、『もっと部屋が欲しい。ここは狭すぎる』と言う。
+ そのとき、あなたは心の中でつぶやくだろう。『こんなにたくさんの子どもを下さったのは、いったいだれだろう。大半の子は殺され、残りは捕虜として連れて行かれ、私だけここに残されたというのに。だれがこの子たちを産み、育ててくれたのだろう。』」
+ 主はこうも語ります。「わたしが異邦人に合図すると、彼らはあなたの幼い息子たちをあなたのふところに連れ戻し、娘たちを肩に載せてやって来る。
+ 王たちはあなたに仕え、行き届いた世話をしてくれる。彼らはひれ伏し、あなたの足についたちりをなめる。その時、あなたはわたしが主であることを知る。わたしを待ち望む者は決して恥を見ない。」
+ 力ある者の手から、だれが、奪い取られたものを取り戻せるでしょうか。だれが暴君に、捕虜を自由の身にしてやれと要求できるでしょうか。
+ しかし、主は言います。「暴虐無道な王の捕虜になった者も、解放される。あなたと戦う者とわたしは戦い、あなたの子どもたちを救い出すからだ。
+ あなたの敵には彼ら自身の肉を食べさせる。彼らはしたたり落ちる自分の血を飲む。こうしてすべての者が、主であるわたしがあなたの救い主であり、イスラエルの全能の神であることを知る。」
+
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+ 主はこう尋ねます。「わたしはあなたがたを債権者に売り飛ばしただろうか。そのため、あなたがたはここにいないのか。わたしがあなたがたの母親と離婚し、追い出したから、彼女の姿が見当たらないのか。いや、あなたがたは自分の罪のために捕虜となって行ったのだ。母親も借金のかたに連れて行かれた。
+ わたしに力がないから、あなたがたを救えないのか。そのために、わたしが帰ってみると、家はからっぽで静まり返っているのか。わたしにはもう、救い出す力がないとでも言うのか。いや、そのつもりなら、海をしかりつけ、干上がらせることもすぐできる。多くの川が流れる平野を荒野とし、死んだ魚で満たすこともできる。
+ 空一面を闇で覆うことさえできる。」
+ 神である主は私に、知恵のことばを授けました。疲れきった人に何を言ったらいいかを教えるためです。朝ごとに、主は私を目ざめさせ、御心への理解を深めさせてくれます。
+ 主のことばを、私は耳をすまして聞きます。逆らったり、顔を背けたりしません。
+ むち打つ者に背中をさらし、ひげを抜こうとする者に頬を差し出しました。彼らは私の顔につばをはきました。しかし私は辱められても、身を隠しません。
+ 主の助けがあるので、うろたえたり、気を落としたりしません。固く心に勝利を収めると確信しています。
+ 私を正しいと認めてくれる方がそばにいるのです。さあ、だれが相手になるのか。私の敵はどこか。いるなら、出て来なさい。
+ 見なさい。神が味方である以上、だれも、私を罪に定めることはできません。敵はみな、虫に食われた古着のように、ぼろぼろになります。
+ あなたがたのうち、主を恐れ、主のしもべに聞き従う者はいるでしょうか。そのような人が今、闇の中を歩み、一筋の光もないというなら、主を信じ、自分の神により頼みなさい。
+ しかし、自分の光の中を歩き、神ではなく、自分の火に暖まっている者よ。あなたがたは悲しみの中を生きるようになります。
+
+
+ 自由の身となることを願い、主を尋ね求める者よ。わたしの言うことを聞け。あなたがたが掘り出された採石場、切り出された岩を見よ。先祖アブラハムとサラのことを考えてみよ。あなたがたは、力がなく数も少ないと思い悩んでいる。だが、わたしがアブラハムを呼び出したとき、彼はたった一人ではなかったか。それが祝福を受けて、大きな国になった。
+ わたしは再びイスラエルを祝福し、荒野を花畑とする。何も生えなかった荒野はエデンの園のように美しくなる。そこは喜びと楽しみにあふれ、感謝と美しい歌声が絶えない。
+ わたしの民イスラエルよ、よく聞け。わたしは必ず正義が勝つようにする。
+ わたしの恵みと正義はすぐに来る。救いは門口まで来ている。わたしは国々を支配する。彼らはわたしを待ち望み、わたしが来るのを待ちこがれている。
+ 高い空と足もとの地を見よ。大空は煙のように消えてなくなり、大地は着物のように古びる。そこに住む者は、はえのように死ぬ。だが、わたしの救いはいつまでもすたれることがない。わたしの公正な支配は、とだえることも行きづまることもない。
+ わたしの言うことを聞け。正しいことと間違ったことを知り、わたしの教えを大切に胸にしまっている人よ。人々のそしりや中傷を恐れてはならない。
+ 彼らは、虫が衣を食い荒らすように食い尽くす。だが、わたしの正義と恵みはいつまでも続き、わたしの救いは代々限りなく続く。
+ 主よ、目を覚ましてください。立ち上がって、力を奮い起こしてください。エジプトを打った昔のように、ナイルの竜を刺し殺した時のように、どうぞ立ち上がってください。
+ あなたは今も、海を干上がらせ、自ら救い出した民の通り道を造った時と同じように、全能の神ではありませんか。
+ 神に救い出された人たちの帰って来る時がきます。彼らは喜びと永遠の歓喜にあふれ、歌いながらエルサレムに帰って来ます。悲しみと嘆きは消え去っています。
+ 「あなたを慰め、喜びを与えるのはわたしだ。だから、草のようにしおれて枯れるただの人間を恐れてはいけない。
+ あなたは、あなたを造った神を恐れず、星を大空にちりばめ、地を造ったわたしを忘れてしまった。人からの圧力に絶えずおびえ、その怒りを買いはしないかと一日中心配しているのか。
+ 奴隷の生活も長くはない。もうすぐ自由の身になるのだ。地下牢や飢えや死とは縁がなくなる。
+ わたしはあなたの神、主であって、海を真っ二つにし、とどろく波を壁にして通り道を造った。
+ わたしのことばをあなたの口に入れ、わたしの手の中にあなたを隠し、守った。星をそれぞれ決められた場所に置き、この世界を造った。わたしこそイスラエルに向かって、『あなたはわたしのものだ』と言いきれる神だ。」
+ エルサレムよ、目を覚ましなさい。あなたはもう十分に、神の憤りの杯を飲み干しました。恐怖の杯を最後の一滴まで飲みました。
+ 力を貸し、相談相手になってくれる息子は、一人も残っていません。
+ 荒廃と滅亡、それだけがあなたの分け前です。ほかには、ききんと剣しかありません。だれが同情し、慰めてくれるでしょう。
+ 息子たちは網にかかった大かもしかのように気を失い、道に転がっています。主が怒りを燃やしたからです。
+ 困りはて、酒も飲まないのに頭がもうろうとしている人たちよ、安心しなさい。
+ ご自分の民をかばうあなたの神、主は告げます。「さあ、あなたの手から恐ろしい杯を取り上げよう。もう二度とわたしの怒りを飲まなくてよい。それは過ぎ去った。
+ 今度はこの恐ろしい杯を、あなたを苦しめ、あなたのたましいを踏みにじり、あなたの背中を踏み越えた者の手に渡す。」
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+
+ エルサレムよ、さあ、目を覚まして神の力を着なさい。聖なる都、シオン(エルサレム)よ、美しい衣をまといなさい。神に背く罪人は、もはやあなたの門をくぐりません。
+ エルサレムよ、ちりを払って立ち上がりなさい。捕囚のシオンの娘よ、首から奴隷のかせをはずしなさい。
+ 主はこう語ります。「捕虜としてあなたがたを圧制者どもに売った時、わたしは彼らに何の代価も求めなかった。だから今度は、あなたがたを無償で取り戻す。
+ 理由もなくエジプトとアッシリヤに痛めつけられた時も、わたしはそのようにあなたがたを救い出した。」
+ ところが今、「これはどうしたことか」と主は尋ねます。「なぜわたしの民はまた奴隷となり、理由もなく痛めつけられているのか。彼らの支配者は歓声を上げ、わたしの名は一日中さげすまれている。
+ だから、わたしの民にわたしの名をはっきりと知らせる。彼らはこの名を聞いて励まされ、語りかけているのがわたしだと認めるようになる。」
+ イスラエルの神が王座についたという、平和と救いの良い知らせを伝える者の足は、山の上を巡り、なんと美しいことでしょう。
+ 見張り人たちが声を張り上げ、喜びいっぱい歌っています。主が再びエルサレムに帰るのを目の当たりに見るからです。
+ エルサレムの廃墟よ、大声で喜びの歌を歌いなさい。主がご自分の民を慰め、エルサレムを敵の手から買い戻したからです。
+ すべての国々の目の前に、主は聖なる御腕を現しました。地の果ての人たちも私たちの神の救いを見ます。
+ さあ今、奴隷のかせをはずし、自由になりなさい。バビロンと、それにかかわりのある、いっさいのものから遠ざかりなさい。それはみな、あなたがたにとって汚れています。あなたがたは主の聖なる民です。主の祭具を故国に持って帰る者は身をきよめなさい。
+ あわてて逃げることはありません。主があなたがたの先頭を進み、またうしろからも、あなたがたを守ります。
+ 「見よ。わたしのしもべ(メシアである主イエス)は繁栄し、高く上げられる。
+ ところが、彼を見て多くの人が驚く。遠い外国から来た者や王は、その前に出ると、ことばもなく黙り込む。今まで一度も見たことのないものを見、一度も聞いたことのないことを聞くからだ。彼らは、打ちたたかれて血まみれになり、人とは思えないほどくずれた顔だちの、わたしのしもべを見る。だが彼は、多くの人の罪をきよめるのだ。」
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+
+ しかし、それを信じる人はなんと少ないことでしょう。だれが、耳をすまして聞くでしょう。神はだれに、救いの力を示すのでしょう。
+ 主の目には、彼は不毛の地に芽を吹いた柔らかな新芽のようで、私たちの目には、心引かれるものは何一つなく、慕うようなものもありません。
+ 私たちは彼をさげすみ、受け入れませんでした。彼は悲しみの人で、苦しみをなめ尽くした人でした。私たちは彼に背を向け、そばを通っても顔をそらしました。彼が侮られても、そ知らぬふりをしていました。
+ しかし、彼は私たちの悲しみを負い、私たちの嘆きをにないました。私たちは、彼がそんなに苦しむのは、罪を犯して神に罰せられているからだと思いました。
+ しかし、私たちの罪のために傷つき、血を流したのです。彼は私たちに平安を与えようとして、進んで懲らしめを受けました。彼がむち打たれたので、私たちはいやされました。
+ 私たちは神の道を離れ、羊のようにさまよい出て、自分勝手な道を歩いてきました。しかし神は、私たち一人一人の罪を彼に負わせたのです。
+ 彼は痛めつけられ、苦しみ悩みました。それでも、ひと言も語りませんでした。子羊のようにおとなしくほふり場へ引いて行かれ、毛を刈り取られる羊のように、非難を浴びせる者たちの前に黙って立ちました。
+ 人々は彼を裁判にかけ、刑場へ引き立てました。はたして、彼が死ぬのは自分たちの罪のためであり、身代わりに罰を受けて苦しんでいることを知っていた者が、その時代にいたでしょうか。
+ 彼は罪人扱いを受け、富む者の墓に葬られました。悪いことをしたわけでもなく、悪いことばを口にしたわけでもありません。
+ 彼を傷つけ、悲しみで満たすのは、主の計画だったのです。罪の赦しのためのささげ物として、そのたましいをささげるとき、彼は多くの子孫を見ることができます。彼は復活し、神の計画は彼の手によって成し遂げられます。
+ 彼は、自分のたましいが苦しみもだえた末、神のみわざが実現するのを見て、満足します。「わたしの正しいしもべは、このような苦しみを経験して、多くの人を神の前に義とする。彼が人々の罪をすべてになうからだ。
+ それゆえ、わたしは彼に、偉大な勝利者としての栄誉を与える。彼は進んでいのちをささげたのだ。彼は罪人の一人に数えられ、多くの人の罪を負い、罪人のために神にとりなしをした。」
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+ 「子どものない女よ、歌え。エルサレムよ、大声を張り上げ、喜びの歌を歌え。今や、捨てられた女のほうが、夫のある女より、祝福されているからだ。
+ 住まいを広げ、部屋を造れ。
+ 以前の着物は小さくなり、今にもはち切れそうだ。あなたの子孫は、外国の捕虜になっていた間荒れはてていた町々を取り戻し、祖国を占領していた国々を支配するようになる。
+ 恐れてはいけない。あなたは二度と辱めを受けない。若いころの恥も、やもめの時代の悲哀も、永久に思い出さない。
+ あなたを造った者が夫になるからだ。その名は全能の主。あなたを救い出す者、イスラエルの聖なる神、全地の神である。
+ わたしは、夫に捨てられて悲しむ若妻のようなあなたを呼んだ。
+ ほんの少しの間あなたを見捨てたが、今はあわれんで、あなたを取り戻す。
+ しばらくの間、怒って顔をそむけたが、今は永遠の愛をもって愛する」と、あなたを救い出す主は約束します。
+ 「わたしはノアの時代に、いのちあるものを再び洪水で滅ぼさないと誓った。同じように今は、あなたを外国の捕虜にした時のようにもう怒りをぶつけないと誓う。
+ 山々が動いて場所を変え、丘が消えてなくなっても、わたしの愛はあなたから離れない。平安を与えるという約束を、どんなことがあっても破らない。」あなたをあわれむ主は告げます。
+ 「嵐にもてあそばれ、苦しみ悩んできたわたしの民よ。わたしはあなたをサファイヤの土台の上に建て替え、回りの壁を宝石で造る。
+ 光るルビーで塔を建て、まぶしく輝く宝石で門と城壁を造る。
+ あなたの町に住む者はみな、わたしの教えを受け、めざましい繁栄を遂げる。
+ 正しく公正な政治が行われ、敵に侵略される心配もなく、平和な生活を楽しむようになる。恐ろしいことは起こらない。
+ たとえ戦いをしかける国があっても、あなたを罰するために、わたしがそうさせるのではない。わたしはあなたの味方だから、相手はあなたによって倒される。
+ 炉の火を吹き起こして武器を作る者は、わたしが造った。破壊する軍隊も、わたしが造った。
+ しかし、やがて来る日には、あなたに向けられるどんな武器も役に立たなくなり、法廷でどんなに偽証がなされようと、あなたは正しいと認められるようになる。これが、主のしもべの特権であり、わたしからの祝福だ。」こう主は語ります。
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+ 「渇いている人がいるなら、金を持っていなくても、自由に飲みに来なさい。最上のぶどう酒とミルクと穀物を無料で持って行きなさい。
+ どうして、少しも力のつかないもののために金を無駄遣いするのか。少しも腹の足しにならない食べ物のために金を払うのか。わたしの言うことを聞きなさい。そうすれば、たましいを元気にする栄養価の高い食べ物をどこで手に入れるか、教えよう。
+ わたしのところへ来て、耳を傾けてよく聞くのだ。あなたがたは立つか倒れるかの瀬戸際なのだ。わたしはあなたがたと永遠の契約を結び、ダビデ王を愛したように、今も変わらず、あなたがたを愛したい。
+ 彼は回りの国々を倒し、わたしの力を証明した。
+ あなたもまた国々に命令するだけで、彼らは走って来て仕える。それは、あなたの力や功績によるのではない。あなたの神であるこのわたしが、あなたを輝かせた結果である。
+ 見いだすことのできる間に主を探し求めなさい。近くにいる間に主を呼び求めなさい。
+ 悪事を捨て、悪いことをしようとする思いを、きっぱりと捨てなさい。主に立ち返るなら、主はあなたをあわれんでくださいます。私たちの神に帰りなさい。神は赦してくださいます。
+ 「わたしの計画はあなたがたの考える計画とは違い、わたしの思いはあなたがたの思いと同じではない。
+ 天が地より高いように、わたしの道はあなたがたの道より高く、わたしの思いはあなたがたの思いより高い。
+ 雨や雪は天から降って来て地をうるおし、穀物を成長させ、農夫には種を、空腹な人にはパンを与える。
+ わたしのことばも同じだ。送り出せば必ず実を結ぶ。わたしの望みどおりのことをし、送られた先々で大きな影響を及ぼす。
+ あなたは喜びと平安に包まれて生活し、山も丘も野の木々も、周囲のものはみな喜ぶ。
+ いばらの生えていた所には、糸杉が茂り、いらくさが生えていた所には、ミルトスの木が芽を出す。この奇跡はわたしの名を偉大にし、わたしの力と愛を示す永遠のしるしとなる。」
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+ 神である主はこう命じます。「正義を守り、すべての人に公正であれ。正しいことを行いなさい。もうすぐ、あなたを救い出しに行くからだ。
+ わたしの安息日には仕事をせず、この日を守る人は幸いだ。きびしく自戒して、悪いことをしない人は幸いだ。
+ わたしの祝福は、主を信じる外国人にも及ぶ。彼らに、『主は私たちを劣った者とする』と考えさせてはならない。宦官(宮廷につかえる去勢男子)の場合も同じだ。ほかの人同様、彼らも完全にわたしのものとなれる。
+ 安息日をきよい心で守り、わたしの喜ぶことを進んで行い、わたしの教えを守る宦官に、こう約束する。
+ わたしの家とわたしの城壁のうちで、息子や娘を持つことにまさる名を彼らに与える。わたしが与える名はいつまでも価値のあるもので、決してすたれることはない。
+ また、神の民の仲間入りをしてわたしに仕え、わたしの名を愛し、わたしのしもべとなって安息日をきよく守り、わたしの契約を受け入れた外国人には、次のように約束する。
+ わたしは彼らをエルサレムにあるわたしの聖なる山へ連れて行き、わたしの祈りの家で喜ばせる。わたしは彼らのいけにえや供え物を受け入れる。わたしの神殿は『すべての民の祈りの家』と呼ばれるからだ。」
+ 追放されたイスラエルの民を呼び戻す主は、その民イスラエル以外の者たちも集めると告げます。
+ 「野の獣よ、来て羊を裂き殺せ。森の獣よ、来て、わたしの民の骨まで食らえ。
+ わたしの立てた見張りであり羊飼いであるイスラエルの指導者は、みな目が見えないので、危険に気づかない。みな愚かで、危険が近づいても警告しない。寝ころんで夢を見るのが大好きだ。
+ 彼らは貪欲な犬で、満足することを知らない。自分の利益だけを追い求める愚かな羊飼いで、めぼしいところから、できるだけ多くもうけてやろうと目を光らせている。
+ 彼らはこう言った。『さあ、酒を手に入れ、宴会を開こう。みんなで酔っ払うのだ。これこそ生きがいというものだ。さあ、浴びるほど飲もう。明日は今日よりもっとすばらしいことがあるかもしれない。』」
+
+
+ 正しい人が滅び、神を敬う人が道半ばで死んでも、誰ひとり深刻に考えず、不思議にも思いません。神がそのような人を、災いが来る前に取り去ったことに気づく者は一人もいません。
+ 神を敬う人は、死んで、平和そのものの安息に入ります。
+ 「だがおまえたち、女占い師の子、姦夫と娼婦の子孫よ、ここに来るがよい。
+ おまえたちは、だれをからかい、大きな顔をして舌を出すのか。罪人とうそつきの子よ。
+ おまえたちは木の陰で熱心に偶像を拝み、谷や岩の間で子どもをいけにえにする。
+ おまえたちの神々は、谷川に転がっているなめらかな石ではないか。おまえたちはそれを拝み、わたしとは似ても似つかぬその神々を、相続財産としている。そんなことをして、わたしが喜ぶと思うのか。
+ おまえたちは山の上で偶像を拝み、わたしを捨てて姦淫の罪を犯した。とびらを閉めて偶像を据え、それらを拝んだ。わたしの代わりに偶像を愛することは姦淫である。
+ おまえたちは、かぐわしい香と香水をモレクへの供え物にした。遠い道をいとわず、地獄にまでも行って、愛を注ぐ新しい神々を見つけようと必死になった。
+ 長い旅に疲れても決してあきらめず、気持ちを強く持ちながら旅を続けた。
+ どうして、わたしよりも他の神々を恐れるのか。わたしのことなど心になかったのは、どういうわけか。わたしがあまりにも優しすぎたので、恐れることはないと考えるようになったのか。
+ さらに、おまえたちの正しさと良い行い、そんなものは、おまえたちを救えない。
+ 集めた偶像が、はたして、いざというときに救ってくれるかどうか試してみるがいい。それらの偶像は、吹けば飛ぶように頼りにならない代物だ。一息で吹き飛んで行く。しかし、わたしに信頼する者はこの地を得、わたしの聖なる山を受け継ぐ。
+ さあ、道を造れ。石や岩を取り除け。捕らわれていたわたしの民の帰国に備えて、すばらしい道を整えるのだ。」
+ 永遠を住まいとする高く上げられた聖なるお方が語ります。「わたしは高くて聖なる所に住んでいるが、そこには、心のへりくだった謙遜な人が住む。わたしは謙遜な人を生き返らせ、悔い改めた人に新たな勇気を起こさせる。
+ いつまでもあなたと戦い、怒りをぶつけるわけではない。そんなことをしていたら、わたしが造った全人類は死に絶えてしまう。
+ わたしは怒って、貪欲な者たちを打った。ところが、彼らは性懲りもなく罪を犯し続け、思いのままに悪の限りを尽くした。
+ 彼らのしわざはこの目で見た。しかし今は、ともかく彼らをいやそう。彼らを導き、慰め、罪を嘆いて告白するように導こう。
+ 近くにいる者にも遠くにいる者にも、平安があるように。わたしは彼らをいやす。
+ それでもなお逆らう者は、少しも静まることのない海のようだ。片時も休まず泥を吐き出している。
+ そのような者に平安はない。」こう神は語ります。
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+
+ 「ラッパのような大声で叫べ。わたしの民に、彼らの罪が何であるかを知らせよ。
+ 彼らはいかにも神を敬うかのように振る舞っている。毎日神殿へ来て、律法の朗読を聞いて喜ぶ。彼らはそれに従うことを望み、神の戒めを軽んじることなど考えられない、といったふうに見える。見た目には、正しく礼拝することを心から願い、神殿での奉仕をことのほか愛しているようだ。
+ 彼らは不満げに言う。『あなたの前で断食したのに、なぜ心に留めてくださらないのですか。なぜ、私たちのいけにえをごらんにならないのですか。どうして、私たちの祈りを聞いてくださらないのですか。たくさんの罪滅ぼしをしたのに、目も向けてくださいませんでした。』その理由を説明しよう。おまえたちは断食の最中にも悪い楽しみにふけり、雇った労働者を虐げている。
+ 考えてもみなさい。仲間割れしながら断食して、いったいどんな益があるというのか。そんな断食をしても、わたしとの関係は少しも良くなるはずがない。
+ そんな罪滅ぼしが何だ。風に揺られる葦のように頭を下げたり、荒布をまとって灰をかぶったりすることを、はたしてわたしが望んでいるだろうか。
+ わたしの喜ぶ断食とは、労働者を虐げるのをやめ、公平な扱いをし、彼らに正当な支払いをすることではないか。
+ 空腹の者には食べ物を分け与え、身寄りのない者、暮らしに困っている者を家に迎えること、それがおまえに望むことだ。寒さに震えている者には着物を着せ、親族が助けを求めるなら助けを惜しまないことだ。」
+ このようにすれば、神はあなたに輝かしい光を注ぎ、あなたはいやされ、神への思いが、あなたを導きます。あなたの善良さがあなたの前を守る盾となり、主の栄光があなたをうしろから支えます。
+ あなたが呼べば、「わたしはここにいる」と、主はすぐに答えます。あなたのすべきことは、弱い者を虐げることをやめ、偽りの告発をしたり悪質なうわさを流したりするのをやめることです。
+ 飢えた者に食べさせ、困っている者を助けなさい。そうすれば、あなたの光は暗闇の中から輝き渡り、あなたを取り囲む暗闇は真昼のように明るくなります。
+ 主は片時も休むことなくあなたを導き、ありとあらゆるすばらしいもので満足させ、いつも元気で満たしてくださいます。あなたは、よくうるおった庭園のようになり、豊かに水がわく泉のようになります。
+ 息子たちは、長い間人の住んでいなかった町々の廃墟を建て直し、「城壁と町を造り直す恩人」と呼ばれます。
+ 「安息日をきよい心で守り、その日には仕事や趣味に熱中したりせず、喜んで一日を過ごし、主の聖なる日だと喜びをこめて言い、自分のしたいことをせずに無駄口を慎み、わたしをあがめるなら、
+ わたしはあなたの喜びとなる。わたしは、あなたに高い所を駆け巡らせ、あなたの父ヤコブに約束しておいた祝福をあますところなく受け継がせる。」主は、このように語りました。
+
+
+ さあ、耳をすまして聞きなさい。主があなたがたを救わないのは、力がないからではありません。耳が聞こえなくなったのでもありません。あなたがたの声は間違いなく主の耳に届きます。
+ 問題はあなたがたの罪です。罪があなたがたと神との断絶のもとなのです。罪のために、神は顔をそむけ、いっこうに聞こうとされません。
+ あなたがたの手は血に染まり、あなたがたの指は罪に汚れています。あなたがたはうそをつき、不平を言い、正しいことに盾を突きます。
+ 公正で、人に偏見をもつまいと心がける者は、一人もいません。訴えはうそで固められています。あなたがたは悪事を企んで、それを行うことに力を入れます。
+ 恐ろしい結果を招く計画を練ることに時間をかけます。
+ 手当たりしだい人をだまし、不当に扱います。やることなすこと罪にまみれ、暴虐があなたがたのしるしです。
+ 足は悪を求めて走り、人殺しとなると全速力で走ります。頭には罪を犯すことしかなく、どこへ行っても悲惨と死の足跡を残します。
+ 平和がどんなものか、正義や善意がどんなものか知りません。いつでも、どんな所でも悪いことをするので、あなたがたに従う者たちも、平和の味を知りません。
+ こんな悪に染まっているからこそ、あなたがたは神の祝福を見いだせないのです。だからこそ、あなたがたに危害を加える者を、神は罰しないのです。光を望みながら暗闇に閉ざされているのも、むりはありません。暗がりの中を歩いて当然です。
+ 盲人のように手探りで歩き、真昼なのに真夜中のようにつまずいても、不思議ではありません。元気な若者と比べたら、死人同然に見えるのも、もっともです。
+ あなたがたは飢えた熊のようにほえ、鳩のように、いかにも悲しそうなうめき声を上げます。神を見上げますが、神は守ってくれません。横を向いてしまったのです。
+ 正しい神の前に、あなたがたの罪が積み上げられ、それが、あなたがたに不利な証言をするからです。私たちは、自分がどんなにひどい罪人であるかを知っています。
+ 自分の不従順さを知っています。私たちは、神である主を否みました。自分がひどい反逆者であり、どんなに誠実さに欠けているかを知っています。それというのも、私たちはどううそをつこうかと、入念に考えているからです。
+ 法廷では正しい人を不利にし、公正な精神など、かけらもありません。真実は路上で行き倒れになり、正義は追放されています。
+ 真実は行方不明になり、まじめな生活をしようと心がける者は、すぐさま攻撃の的になります。主はこのような悪を見、何の手も打たれていないのを不快に思いました。
+ また、誰ひとりあなたがたを助ける者がなく、誰ひとりも介入しないのを不思議に思いました。そこで、ご自分の大能の力と正義をもってあなたがたを救い出そうと、介入してきたのです。
+ 神は正義のよろいをまとい、救いのかぶとをかぶり、復讐と激しい怒りの衣を身に覆いました。
+ 敵国の悪事に報い、遠くの国々に対しても怒りに燃えて報復するのです。
+ そしてついに、人々は西から東に至るまで、神の御名を敬い、あがめるようになります。御口の息に押し流されるように、神はやって来ます。
+ 罪に背を向けたシオン(エルサレム)の住民のもとに、救い主としてやって来るのです。
+ 主はこう告げます。「これが彼らへの約束だ。わたしの霊は決して彼らから離れない。彼らは正しいことを望み、悪を憎むようになる。彼らだけでなく、子々孫々、永遠にそのようになる。」
+
+
+ 「わたしの民よ、起き上がれ。神の栄光があなたから輝き始めた。すべての民に見えるように、その光を輝かせるのだ。
+ 夜のような暗闇が地上に住む者全部を覆うが、主の栄光があなたから輝き出る。
+ 国々の民は、あなたの光を慕って来る。力ある王たちは、その上に輝く主の栄光を見るために来る。
+ 目を上げて回りを見よ。息子や娘が遠い国から帰って来るからだ。
+ 世界中の商人が多くの国々の財宝を運んで来るので、あなたの目は喜びに輝き、心は躍る。
+ らくだの大群が押し寄せる。ミデヤンとシェバとエファからも、ひとこぶらくだが黄金と乳香を携えて来て、共に神をほめたたえる。
+ ケダルの羊の群れはあなたのものとなり、ネバヨテの雄羊はわたしの祭壇にささげられる。こうして、わたしはその日、栄光に輝くわたしの神殿をひときわすばらしいものとする。
+ 雲のようにイスラエルへ飛び帰り、鳩のように巣へ舞い戻るのはだれか。
+ わたしは多くの国々の船を取っておいた。それも最良の船を。イスラエルの子らを遠い所から連れ帰り、いっしょに財産も運んで来るためだ。それは、世界中に知れ渡ったイスラエルの聖なる神が、すべての人の見ている前で、あなたを光り輝く者としたからだ。
+ 外国人も来て、あなたの町々を建てる。その王たちも、こぞってあなたに仕える。わたしは怒ってあなたを打ったが、恵みをもってあなたにあわれみをかける。
+ あなたの城門は常に開かれていて、多くの国々からの富を受け入れる。世界中の王があなたに仕える。
+ 同盟を結ぼうとしない国々は滅び、二度と立てなくなるからだ。
+ レバノンの栄光である糸杉、プラタナス、松などの森はあなたのものとなり、わたしの聖所を美しくするのに役立つ。こうして、わたしの神殿は神々しい光を放つようになる。
+ セム族(ノアの長男セムを祖とする種族。ユダヤ人の別称)を敵視する者たちの子孫が来て、あなたに深々と頭を下げ、その足に口づけする。彼らはエルサレムを、『主の都』、『イスラエルの聖なる神の栄光に輝く山』と呼ぶ。
+ あなたはすべての人に軽蔑され、憎まれ、のけ者にされていたが、これからは永遠の誉れ、代々にわたるすべての人の喜びとなる。わたしが、そうするからだ。
+ 力ある王や強国が、競ってあなたの必要にこたえようと、最上の物資を持って来る。あなたはその時、主であるこのわたしがあなたの救い主であり、イスラエルの全能の神であることがわかる。
+ わたしは、青銅を金と、鉄を銀と、材木を青銅と、石を鉄と交換する。平和と正義があなたの監督者となる。
+ 暴虐は姿を消し、あらゆる戦争は終わりを告げる。あなたの城壁は救いとなり、あなたの門は賛美となる。
+ もはや太陽や月の光はいらない。あなたの神であるわたしが、あなたの永遠の光、あなたの栄光となるからだ。
+ あなたの太陽は永久に沈まず、その月は欠けない。わたしが永遠の光となり、悲しみの日は終わるからだ。
+ 民は一人の例外もなく正しい人となり、いつまでもその他を継ぐ。わたしが自分の手で彼らをそこに植えるからだ。これは、わたしの栄光を現す。
+ 最小の家族が大氏族となり、弱小の群れが強大な国家となる。時がきたら、主であるわたしは、これらのことをみな実現する。
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+ 神である主の霊が私の上にあります。苦しんでいる人や悩んでいる人にすばらしい知らせを伝えるために、主は私に油を注ぎました。心の傷ついた人を慰め、捕虜になった人に自由を、捕らわれていた人に釈放を告げるために、神は私を送りました。
+ 嘆き悲しんでいる人に、神の恵みの時と敵が滅びる日のきたことを知らせるために、神は私を送りました。
+ 嘆き悲しむすべてのイスラエル人に、神は与えます。灰の代わりに美しさを。悲しみの代わりに喜びを。重い心の代わりに賛美を。神はご自分の栄光のために、優雅で強い樫の木のように彼らを植えたのです。
+ 彼らは廃墟を建て直し、はるか昔に壊された町々に手を加え、長い間荒れはてていた所を、にぎやかな町に戻します。
+ 外国人は使用人となって家畜の群れを飼い、畑を耕し、ぶどう園の番人となります。
+ あなたがたは、主の祭司、神に仕える者と呼ばれるようになります。あなたがたは国々の富で肥え太り、その財宝を誇りにします。
+ 恥と不名誉に代わって、二倍の繁栄にあずかり、永遠の喜びにひたるのです。
+ 「主であるわたしは、正義を愛し、不正と盗みを憎む。わたしは、苦しんだわたしの民に報い、彼らと永遠の契約を結ぶ。
+ 彼らの子孫は国々の間に知れ渡り、尊敬される。すべての者が、彼らは神に祝福された民だと認める。」
+ 神が私をどんなに幸福にしてくださったか、お話ししましょう。神は私に救いの衣を着せ、正義の外套をかけてくださいました。私はまるで、婚礼の服をまとった花婿、宝石で身を飾った花嫁のようです。
+ 主は諸国に、ご自分の正義を示します。こうして、すべての人が神をたたえるのです。神の正義は芽を吹いた木々、ここかしこに青い芽が出た早春の庭園のようです。
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+ 私はシオンを愛し、エルサレムを心から慕っています。だからこそ、エルサレムが正義をまとってまぶしく輝き、救いによって栄光を放つまでは、この都のために祈るのをやめたり、神に叫ぶのをやめたりしません。
+ やがて国々はあなたの正義に気がつき、王たちはあなたの栄光に目がくらむようになります。あなたは神から、新しい名を頂きます。
+ 神はあなたを御手の中に抱きしめ、すべての者に見えるように高く上げます。あなたは、王の王である方の、光り輝く冠となるのです。
+ もう二度と、「神に見捨てられた地」とか「神が忘れてしまった地」とか呼ばれません。新しい名は「神が喜ぶ地」また「花嫁」です。主があなたを喜び、ご自分のものにするからです。
+ エルサレムよ、あなたの子らは、おとめをめとる若者のような喜びをもって、あなたを世話します。神は、花婿が花嫁を喜ぶように、あなたを喜びます。
+ エルサレムよ、私は城壁の上に見張りを置きました。その人が昼となく夜となく、約束の成就を神に祈り求めるためです。祈る人たちよ、少しでも手を抜いてはいけません。神がエルサレムをしっかり建て上げ、全地の人の尊敬と称賛の的とされるまでは、神の手を休ませてはいけません。
+ 主はエルサレムに、心をこめて誓いました。「再びあなたを敵の手に渡さない。再び外国の兵士に穀物とぶどう酒を横取りさせない。
+ 自分で栽培したものは自分の口に入れ、わたしをたたえるようになる。神殿の内庭で、手づくりのぶどう酒を飲む。
+ さあ、行って、わたしの民が帰って来るための道を整えよ。土を盛り、石を除き、イスラエルの旗を高く掲げよ。」
+ 見なさい。主はあらゆる国に使者を送って、こう言わせました。「わたしの民に、神である主が、たくさんの贈り物を持ってあなたを救いに行く。」
+ 彼らは「聖なる国民」「主に買い取られた者」と呼ばれ、エルサレムは「慕わしい地」「神が祝福した都」と呼ばれるようになります。
+
+
+ エドムから来る、あの人はだれですか。目にも鮮やかな深紅の衣を着て、ボツラの町から来る、あの人はだれですか。王の衣をまとい、威風堂々とやって来る、あの人はだれですか。「それは、あなたに救いを告げ知らせる主だ。大きな力をもって救う主だ。」
+ 「どうしてお着物が、ぶどうを踏みしぼったときのように真っ赤なのですか。」
+ 「わたしは、ひとりで酒ぶねを踏んだ。手伝ってくれる者は一人もいなかった。わたしは激しく怒り、敵をぶどうのように踏みつぶした。真っ赤になって怒り、敵を踏みにじった。着物に染みついているのは、彼らの血だ。
+ わたしの民のかたきを討ち、虐げる者の手から救い出す時がついに来たのだ。
+ わたしは辺りを見回したが、彼らに手を貸す者は一人もいなかった。わたしはあきれ返り、身のすくむ思いをした。だから、だれの手も借りず、ひとりで復讐したのだ。
+ わたしが怒って国々を踏みつけたので、彼らはよろめき、倒れた。」
+ 私は神の恵みを人々に知らせます。そのなさったすべてのことのゆえに神をたたえます。私はまた、イスラエルに示された神の深いあわれみを喜びます。神は愛によって、あわれみを示したのです。
+ 「彼らはわたしのものだ。彼らはもう二度と道を誤らない」と、神は言いました。こうして神は、彼らの救い主となったのです。
+ 彼らが苦しむとき、神はいつもいっしょに苦しみ、彼らを救い出しました。神は、ご自分の愛によって彼らを買い戻し、彼らを高く掲げ、これまでずっと彼らを導きました。
+ ところが、彼らは神に反抗し、神の御霊を悲しませたのです。それで神は、彼らの敵となり、彼らと戦ったのです。
+ その時、彼らは神のしもべモーセがイスラエルをエジプトから連れ出した時のことを思い出し、叫びました。「モーセを羊飼いに立てて、イスラエルの民を導き、海を通らせた方は、どこにいますか。ご自分の国の中に御霊を送られた神は、どこにいますか。
+ モーセが手をあげた時、人々の見ている前で海を二つに分け、ご自分の評判を永遠のものとした方は、どこにいますか。
+ 人々に海の底を通らせたのは、どなたですか。彼らは荒野を駆け巡る優秀な馬のように、少しもつまずきませんでした。
+ 谷間で草を食べる家畜のように、主の御霊は彼らに休息を与えました。」こうして神は自ら、ご自分の名声を不動のものとしたのです。
+ ああ主よ、どうか天から見下ろして、栄光に輝く聖なるお住まいから、私たちに目を留めてください。いつも示してくださった愛は、どこへ行ったのですか。神の力、あわれみ、同情は、いったいどこにあるのですか。
+ 神が今でも私たちの父であることに、変わりはありません。たとえ、アブラハムとヤコブが私たちを見捨てても、神は私たちの父であり、大昔からの救い主です。
+ 主よ、なぜ私たちを頑固にし、罪を犯して神に背くようにされたのですか。どうか、戻って来て、私たちを助けてください。私たちは神のもの、どうしても神が必要です。
+ エルサレムが私たちのものであった期間は、なんと短かったことでしょう。敵はこの都を破壊しました。
+ ああ神よ、どうして私たちを、主の名で呼ばれたことのない外国人のように取り扱われるのですか。
+
+
+ ああ、神が天を引き裂いて地上に降りてきますように。山々は御前で、どれほど揺れ動くことでしょう。
+ すべてのものを焼き尽くす栄光の火は、森林を灰にし、海を干上がらせるでしょう。国々は御前で震えるでしょう。その時になって、敵どもは、神の御名が響き渡っている理由を知ります。
+ 神は私たちが夢にも考えていなかったような恐ろしいことをするので、神が来る時、山々は打ち震えるでしょう。
+ 世界が始まって以来、私たちの神のように、待ち望む者にすばらしいことをしてくれる方は、ほかにありません。
+ 神は、喜んで正しいことを行う者、神につき従う者を喜んで迎えてくれます。ところが、私たちは神を敬わず、一生罪を犯し続けています。そのため、神の怒りが重くのしかかっているのです。このような者が、どうして救われるでしょう。
+ 私たちはみな罪の毒に冒され、汚れきっています。これこそ正義だという最上の着物をまとっても、悪臭を放つぼろきれにすぎません。私たちは秋の木の葉のように色あせ、しおれて落ちます。あえなく罪の風に吹き飛ばされるばかりです。
+ それでもなお、誰ひとり神の名を呼び、あわれみにすがろうとしません。そこで神も、私たちから顔をそむけ、罪に引き渡したのです。
+ しかし主よ、それでもなお、神は私たちの父です。私たちは粘土で、神は陶器師です。私たちはみな御手によって造られました。
+ 主よ、どうか、そのように怒らないでください。私たちの罪を早く忘れてください。どうか、私たちを見て、神の民であることを心に留めてください。
+ あなたの聖なる町々は破壊されたままです。エルサレムは住む者もいない荒れ地になっています。
+ 先祖が神を礼拝した、あの聖なる美しい神殿は焼け落ちました。美しい物は何もかも壊されました。
+ 主よ、これでもなお、私たちを助けることを拒むのですか。黙って眺めるだけで、なおも私たちを罰するのですか。
+
+
+ 主はこう告げます。「わたしのことを聞きもしなかった民が、今ではわたしを捜し出す。かつてわたしを捜しもしなかった民が、わたしを見いだす。
+ ところが、イスラエルはどうだろう。わたしが一日中手を広げて招いているのに、今も逆らっている。自分の思いどおりに悪の道を歩き続けている。
+ 多くの園で偶像を拝み、家の屋上で香をたき、いつもわたしを怒らせている。
+ 夜は夜で、墓地や洞窟へ出かけて悪霊を拝み、豚や、その他の禁じられているものを食べる。
+ それでいて、人には平然と、『そばに来るな。汚らわしい。おれはおまえよりきよいのだ』と言う。彼らを見ると、わたしは息苦しくなる。昼も夜も、わたしを怒らせるからだ。
+ さあ、これが、わたしの書いた声明文だ。『わたしは黙っていない。きっと報復する。そうだ、間違いなく報復する。』
+ 彼らの罪だけではない。先祖の罪にも報復する。先祖たちも、山々の上で香をたき、丘の上でわたしを侮辱したからだ。今こそ、いやと言うほど悪に報いよう。
+ だが、全部を滅ぼすわけではない。悪いぶどうの房に良いぶどうも混ざっていることだから、イスラエル人全部を滅ぼしはしない。中には、心のきよい、わたしのしもべもいるのだ。
+ その残りの者を取っておき、イスラエルの地を与える。わたしの選ぶ者がその地を受け継ぎ、そこでわたしに仕えるようになる。
+ わたしを尋ね求めた者のために、シャロンの平野は再び羊の群れで埋まり、アコルの谷は家畜の群れを飼う所となる。
+ しかし、それ以外の者たちには容赦しない。彼らはわたしと神殿とを捨て、『幸運』と『運命』の神々を拝んできた。
+ それゆえ、剣に渡す『運命』に定めよう。また、彼らの『幸運』は暗いものとなろう。わたしが呼んだ時にこたえず、わたしが語った時に聞こうとしなかったからだ。そればかりか、わたしの目の前でわざと罪を犯し、よりによってわたしの憎むことをしてきた。」
+ それで、神である主は告げます。「おまえたちは飢えるが、わたしのしもべたちは十分に食べる。おまえたちはのどが渇くが、彼らは存分に飲む。おまえたちは悲しみに沈み、恥を見るが、彼らは喜ぶ。
+ おまえたちは、悲しみと苦しみと絶望の中で泣き叫ぶが、彼らは喜びのあまり歌いだす。
+ おまえたちの名は、わたしの民の間で、のろいの代名詞となる。」それは、主があなたがたを殺し、真の主のしもべをほかの名で呼ぶからです。
+ 「しかし、祝福を祈り求め、誓う者がみな、まことの神の御名を使うようになる日が来る。わたしが怒りを静め、おまえたちのした悪事を忘れるからだ。
+ わたしは新しい天と地とを造る。それは目をみはるほどすばらしいので、もうだれも、古い天と地とを思い出さなくなる。
+ わたしの造るものをいつまでも喜びなさい。わたしはエルサレムを、幸福の都として建て直す。そこに住む者はいつも喜びにあふれる。
+ エルサレムとわたしの民は、わたしの喜びだ。そこにはもう、泣き声や叫び声は聞かれない。
+ 生まれてすぐに死ぬ赤ん坊はいなくなる。百歳まで長生きしても、まだ老人とは呼ばれない。その若さで死ぬのは罪人だけだ。
+ その時には、家を建てればいつまでも住むことができる。昔のように、外国の軍隊が侵入し、家を壊されることはない。わたしの民はぶどう園を作り、取れた実を自分で食べる。敵が横取りすることはない。だれもが木の寿命ほども長生きし、丹精して作った穀物を、長い間楽しみながら食べる。
+ せっかく刈り入れた物が敵の食糧になったり、生まれた子どもが戦場で死んだりすることはない。彼らは主に祝福され、その子らも祝福されるからだ。
+ 彼らが呼ぶ前から、わたしは答える。彼らが困って相談を持ちかけるとき、わたしは先回りして、彼らの祈りに答える。
+ 狼と子羊はいっしょに草を食べ、ライオンは牛のようにわらを食べ、蛇はちりを食べて、人にはかみつかない。その時、わたしの聖なる山で、傷つくものは一人もなく、壊れるものは一つもない。」主はそう語ります。
+
+
+ 「天はわたしの王座、地はわたしの足台だ。あなたがたにこれ以上の神殿を建てることができようか。
+ わたしはこの手で天と地を造った。全部がわたしのものだ。それでもわたしは、謙遜になって深く罪を悔い、わたしのことばにおののく者に目をかける。
+ しかし、自分勝手な道を選び、罪にふける者はのろわれる。彼らのささげ物を、わたしは絶対に受け入れない。たとえ牛を祭壇にささげても、見向きもしない。子羊や穀物をささげても、犬や豚の血を供えたときのように、顔をしかめる。わたしに香をたいているつもりでも、偶像を拝んでいるのだとみなす。
+ わたしは彼らに、彼らが恐れているものを送る。わたしが呼んだのに答えようとせず、話しかけたのに聞こうともしなかったからだ。それどころか、わたしの見ている前で悪いことをし、わたしが憎むことを、そうと知りながら行った。
+ 神を恐れる者は、神のことばを聞いておののけ。あなたがたの同胞は、わたしに忠実だというだけで、あなたがたを憎み、退ける。『神に栄光があるように。主を信じて、せいぜい幸せになるがいい』と彼らはあざける。だが、そう言う彼らが恥を見るようになる。」
+ 町が騒ぎ立っています。いったいどうしたというのでしょう。神殿から聞こえてくる、あのすさまじい物音は何でしょう。あれは、主が敵に報復している音です。
+ こんなに不思議なことを見聞きした者がいるでしょうか。まだ産みの苦しみの前に、一日のうちに、突然、イスラエルの国が産み落とされるのです。陣痛が始まると同時に、赤ん坊が生まれ、国が出現するのです。
+ 「わたしは胎を開かせておきながら、産ませないことがあろうか」と、あなたの神である主は言います。そんなことは、天地がひっくり返っても、あるはずがありません。
+ エルサレムを愛し、そのために嘆いてきた者よ、エルサレムといっしょに喜び、楽しめ。
+ エルサレムをこの上もない喜びとせよ。赤ん坊が母親の豊かな乳房を吸うように、エルサレムの栄光を堪能するまで飲め。
+ 主は告げます。「繁栄が川のようにエルサレムにみなぎりあふれる。わたしがそのようにするからだ。外国の富はこの都に流れ込む。子どもたちはエルサレムの乳房を吸い、わきに抱かれ、ひざの上であやされる。
+ わたしはその都で、幼児が母親に慰められるように、あなたがたを慰める。
+ あなたがたはエルサレムを見て心を躍らせる。あなたがたのからだは力が満ちる。すべての人が、神の民に加えられた主の恵み深い御手と、敵に向けられた主の憤りとを見る。」
+ 見よ。神は怒りをぶちまけ、激しく責めたてるために、火に包まれ、すべてのものを破壊する速い戦車に乗って来ます。
+ 火と剣で、世界をさばくのです。主に殺される者が、いかに多いことでしょう。
+ 主は告げます。「庭の木のうしろに隠してある偶像をこっそり拝み、そこで豚の肉やねずみ、その他の禁じられている物をおいしそうに食べる者はみな、悲惨な最期を迎える。
+ わたしには、彼らが何をしようとしているか、すべてわかっている。何を考えているかも知っている。そこで、すべての国の人々をエルサレムの前に集め、わたしの栄光を見せる。
+ 彼らの目の前で驚くような奇跡をして見せ、逃れた者を宣教師として諸国に送る。行く先は、タルシシュ、プル、ルデ、メシェク、ロシュ、トバル、ヤワン(ギリシヤ)、それに、わたしの評判を耳にしたこともなく、わたしの栄光を見たこともない、海の向こうの国々だ。こうして、わたしの栄光を外国人に告げ知らせる。
+ 彼らは、すべての国々から、あなたがたの同胞を神への贈り物として、馬、車、かご、らば、らくだに乗せ、わたしの聖なる山エルサレムへ大切に運んで来る。ちょうど刈り入れの時期に、主のものとしてきよめた器に供え物を載せ、続々と神殿へ運び込むのと同じように。
+ こうして帰って来た者の中から、わたしは祭司とレビ人を選び出す。」主はそう告げます。
+ 「わたしの造る新しい天と地がいつまでも残るように。あなたがたはいつまでもわたしの民となり、あなたがたに与えられる名は永久にすたれない。
+ すべての者が、週ごとに、また月ごとに、わたしを礼拝するために来る。
+ 彼らは出て行って、わたしに背いた者たちのしかばねを見る。それにわいたうじはいつまでも死なず、しかばねを焼く火も消えず、すべての人が目をそむける。」
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+ ここに書いてあるのは、ユダのベニヤミンの地のアナトテという町にいた祭司、ヒルキヤの子エレミヤに与えられた神のことばです。
+ ユダ王国のアモンの子、ヨシヤ王の治世第十三年に最初のことばがありました。
+ そののち、ヨシヤの子、エホヤキム王の時代、ヨシヤの子、ゼデキヤ王の治世第十一年の七月にエルサレムが陥落し、住民が捕囚として連れ去られるまで、数回にわたって神のことばがありました。
+ 主は私に、こう語りました。
+ 「わたしは、母の胎内に宿る前からおまえを知っていた。生まれる前から、わたしの聖なる者として取っておき、国々にわたしのことばを伝える者に任命していた。」
+ 「神よ、とんでもないことです。私にできるはずがありません。若すぎて、何を語ればよいのかわかりません。
+ 「そんなことを言ってはならない。わたしが送り出す所どこへでも行き、命じることはすべて語るのだ。
+ 人を恐れてはいけない。主であるわたしがついていて、どんな時にも助けるのだから。」
+ こう言ってから、神は私の口に触れました。「わたしのことばをおまえの口に授けた。
+ 今日から、世界の国々に警告する仕事が始まる。おまえの口から語られるわたしのことばどおりに、ある国を引き倒し、滅ぼし、ある国は起こし、育て、大国にする。」
+ それから、主はこう尋ねられました。「エレミヤよ、何が見えるか。」「アーモンドの枝でできたむちです。」
+ 「そのとおりだ。それは、わたしが必ず恐ろしい罰を下すしるしだ。
+ 今度は何が見えるか。」「煮立っているなべが南の方に傾き、煮え湯がユダの上にこぼれていくのが見えます。」
+ 「そのとおりだ。北からの恐怖が、全住民に降りかかる。
+ わたしは北方の国々の軍隊に、エルサレムを攻めさせる。彼らは都の門と城壁沿いに、またユダのほかの町々に、それぞれの王座を作る。
+ こうして、わたしの民に罰を加える。わたしを捨て、自分の手で作った神々を拝んだからだ。
+ さあ、身じたくを整えて出かけなさい。わたしが伝えることをすべて語るのだ。彼らを怖がるな。恐れるなら、彼らの目の前でおまえをもの笑いの種にする。
+ わたしは今日、おまえを彼らにはたち打ちできない者とした。彼らはどうしても、おまえに危害を加えることができない。おまえは、難攻不落の町のようにがんじょうそのもので、鉄の柱、青銅の重い門のように強い。王たち、将校たち、祭司たちをはじめ、この国の民は、おまえと戦っても、とうてい勝ち目がない。
+ 攻撃をしかけても、途中であきらめる。わたしがおまえと共にいて、必ず救い出すからだ。」
+
+
+ 主は再び、私に語りました。
+ 「さあ、エルサレムの町の通りへ行き、大声で次のように語りなさい。ずっと昔、おまえがまだ若い花嫁だったころ、わたしを喜ばせようとしてどんなに尽くしてくれたかを覚えている。また、わたしを愛し、草木の生えていない荒野にいる時でさえ、わたしについて来てくれたことも覚えている。
+ そのころ、イスラエルはきよい民、わたしの初子だった。これに害を加える者はだれでも犯罪人とみなされ、これに触れる者には大きな災いが降りかかった。
+ ああ、イスラエルよ。おまえの先祖は、どうしてわたしを置き去りにしたのか。わたしに何か罪でもあったというのか。わたしに背き、偶像を拝むなど、全く愚かなことだ。
+ 彼らは、自分たちをエジプトから無事に連れ出し、だれも足を踏み入れたことのない、乾ききった死の地である荒野を導き通したのが、主であるわたしであったことに、目をふさいでいる。
+ わたしは彼らを、実り豊かな地に連れて入り、大いに祝福した。ところが、彼らはそこを罪と腐敗の地に変え、わたしが与えた相続地を汚した。
+ 祭司でさえ、主を軽んじ、裁判官もわたしを無視した。指導者たちはわたしに盾つき、預言者はバアルを拝み、意味のないことで時間をつぶした。
+ だがわたしは、まだおまえたちのことをあきらめていない。わたしに立ち返るようにと、根気強く、何度でも説得する。のちのちの子孫にも、同じようにする。
+ あなたがたの周囲に、それがどんなものであれ、昔からいた神々を新しい神々と取り替えた国があったかどうか、調べてみよ。西にあるキプロスに使いを出し、東にあるケダルの荒野に人を遣わし、今までにこんなことを聞いたことがあるかどうか、調べさせてみよ。ところがわたしの民は、栄光に輝く神を捨て、代わりに何の役にも立たない偶像を取り入れた。
+ 天はこれを知って衝撃を受け、恐怖に身をすくめる。
+ わたしの民は悪事に悪事を重ねた。いのちの水の泉であるわたしを捨て、水をためることもできない、壊れた水ためを作った。
+ イスラエルは、どうして奴隷の国になり下がったのか。どうして捕虜となり、遠い国へ連れて行かれたのか。
+ わたしには、エルサレムに向かって進んで来る大軍が見える。彼らは天まで届く大声を上げてエルサレムを破壊し、焼き払い、人の住めない荒れ地とする。
+ エルサレムへ攻め上ろうとするエジプトの軍隊も見える。メンピスとタフパヌヘスの町々から行軍し、イスラエルの栄光と力を踏みにじろうとしている。
+ 神であるわたしが、行くべき道を示したのに、おまえが反抗したからだ。
+ おまえはエジプトやアッシリヤと手を組んで、どんな得をしたのか。
+ おまえ自身の悪が、おまえを罰する。神である主に刃向かい、神を捨てることがどんなに悪いことであり、恐ろしいことであるかを、身をもって知るようになる。」こう天の軍勢の主は宣告します。
+ 「おまえはとうの昔に、わたしのくびきを払いのけ、わたしのきずなを断ち切った。わたしの言うことを頑として聞こうとしない。すべての丘の上、またすべての木の下で、偶像に深々と頭を下げた。
+ こんなことが、ありえるだろうか。どうして、こんなことになったのか。おまえを植えた時、あれほど注意して、最上の苗木を選んだのに、どうしてこれほど堕落した悪い作物がなったのか。
+ 石けんと灰汁をどんなにたくさん使っても、おまえはきれいにならない。どうしても洗い流せない罪の汚れが、こびりついている。それがいつも、わたしの目の前に見え隠れしている。」こう神は言います。
+ 「それでもなお、そんなはずはない、偶像を拝んだ覚えなどない、と言いはるのか。なぜ、そんなことが言えるのか。試しに、この国のどの谷へでも行ってみよ。必死に雄を探し求める雌のらくだよ、おまえの犯した恐ろしい罪を直視せよ。
+ おまえは、くんくんと鼻を鳴らす、さかりのついた野ろばそのものではないか。だれが、おまえの欲情を抑えることができようか。雄は、おまえを探す必要がない。おまえのほうから飛んで来るのだから。
+ ほかの神々を追い回すのは、いいかげんにやめたらどうだ。けれどもおまえは言う。『言ってもむだですよ。私はこの他国人に恋をしてしまいました。あとについて行きたいのです。』
+ イスラエルは、捕まることだけを恥と考えているどろぼうのようだ。王、指導者、祭司、それに預言者も、みな同じだ。彼らは木彫りの像を父と呼び、石細工の偶像を母と呼ぶ。ところが、いざ困ったことが起こると、助けてくださいと、わたしに泣きつく。
+ 自分たちが作った神々に呼ばわったらどうだ。危険が近づいたら、彼らに助けてもらえばいい。ユダの町の数ほど神々をかかえているのだから。
+ おまえたちはみな反逆者だ。なぜわたしを主と呼ぶのか。
+ おまえたちの子らを懲らしめたが、むだだった。彼らは、いっこうに従おうとしない。おまえたち自身も、ライオンが獲物を殺すように、わたしの預言者たちを殺した。
+ ああ、わたしの民よ、神のことばに耳を傾けよ。わたしはイスラエルに、何か不正をしただろうか。わたしは彼らにとって、暗闇に覆われた地のようだったか。それなのにどうして、わたしの民は『やっと神から自由になれた。もう二度とかかわり合いになりたくない』と言うのか。
+ どうして、いとも簡単に神を捨てることができるのか。おとめは、自分の大切な宝石を忘れはしない。どんな花嫁も、結婚衣装を隠すような愚かなまねはしない。ところがどうだ。わたしの民は、最も貴重な宝であるわたしを、長い間忘れたままでいる。
+ おまえたちは恋人を手に入れるためには、なんと念入りで巧みな計画を立てることか。そのやり方は、ベテランの売春婦でさえ、学ぶところが多いくらいだ。
+ 着ている物には、罪のない貧しい人の血がついている。おまえたちは理由もなく、平然と人殺しをやってのける。
+ しかも、そのあとは口をぬぐい、『神を怒らせることなど、何もしていない。神が腹を立てるわけがない』としらを切る。『罪を犯していない』と、あくまでもしらを切るので、わたしはおまえたちをきびしく罰する。
+ おまえたちは、ここかしこと飛び回り、次々と同盟国を乗り換え、助けを求めて歩き回る。だが、そんなことをしてもむだだ。おまえたちの新しい友人、エジプトは、かつてのアッシリヤのように、おまえたちを見捨てる。
+ わたしがおまえたちの頼りにしている者を退けるので、おまえたちは両手で顔を覆い、失望のあまりしゃがみ込んでしまう。たとえ彼らの助けがあったにしても、うまくいくはずはない。
+
+
+ ある人が妻を離縁し、彼女が再婚した場合、彼女が再び戻って来ても妻にすることはできないという法律がある。彼女は汚れた者となっているからだ。だが、おまえたちは、わたしを置き去りにして幾人もの恋人と結婚しておきながら、あつかましくも、またわたしのもとへ帰ると言っている。
+ ほかの神々を拝む姦淫の罪で汚れていない所は、国中どこにもない。おまえたちは売春婦のように道ばたに座り込み、相手が来るのを待っている。荒野のベドウィン族のように、たった一人で座っている。おまえたちは、赦しがたい淫行の罪で地を汚してしまった。
+ 今は春の雨も降らなくなった。おまえたちが恥知らずの売春婦だからだ。
+ それでもなお、おまえたちは臆面もなく言う。『神よ。あなたは、これまでずっと私の夫でした。だから、こんな小さなことでお怒りになるはずはありません。私の罪など、きれいさっぱり忘れてくださるはずです。』こう言って、相も変わらず、ありとあらゆる悪事を積み重ねている。」
+ ヨシヤ王の時代に、私に次のような主のことばがありました。「おまえは、イスラエルのしていることを見たか。ほかの男に体を許すみだらな妻のように、イスラエルはすべての丘の、すべての木の下で、ほかの神々を拝んできた。
+ いつかはわたしのもとへ帰り、わたしのものになってくれると思っていたのに、とうとう帰って来なかった。不真実な妹であるユダも、イスラエルがいつも神に逆らっているのを見た。
+ ユダは、わたしが背信のイスラエルを離縁したのを見ていながら、少しも気にかけなかった。それどころか、自分もわたしを置き去りにして、淫行に身をゆだねた。彼女も、ほかの神々を拝んだ。
+ しかも、木や石で作った偶像を拝むなど、彼女にとっては、いとも簡単なことだった。そのため、国中がひどく汚れた。
+ あとになってこの背信の女は、涼しい顔をしてわたしのところへ帰って来た。彼女は悲しんだふりをしただけだ。
+ 事実、背信のイスラエルのほうが、裏切り者のユダよりはいくらかましだ。
+ だから、出かけて行って、イスラエルにこう言いなさい。ああ、罪深いわたしの民イスラエルよ、もう一度、わたしのもとへ帰って来るがよい。わたしはあわれみ深い。いつまでも怒っているわけではない。
+ ただ、罪を認めよ。神であるわたしに逆らい、すべての木の下で偶像を拝み、わたしに姦淫の罪を犯したことを認めよ。わたしに従おうとしなかったことを告白せよ。
+ ああ、罪深い子らよ、帰って来なさい。おまえたちの主人であるわたしは、ここから一人、あそこから二人とおまえたちを集め、再びイスラエルの地に連れ戻す。
+ また、わたしの心にかなった指導者を与える。彼は知恵と知識をもって、おまえたちを導く。
+ こうして、イスラエルが再び人で満ちあふれる時、おまえたちは、神の契約の箱があったころの『古き良き時代』がなつかしいなどと言わなくなる。当時のことは思い出されず、契約の箱を作り直すこともない。
+ わたしがおまえたちの内にいるので、エルサレム全市は主の御座となり、世界中の人がそこでわたしに会い、二度と以前のようにひどく悪い思いのままに生活しなくなるからだ。
+ その時、ユダとイスラエルの民は肩を組み、捕虜として連れて行かれた北の国から、わたしが彼らの先祖に与えた永遠の相続地へ戻って来る。
+ わたしは、おまえたちがわたしの子らといっしょにこの地にいるのは、どんなにすばらしいことかと考えていた。おまえたちに、世界で一番美しいこの国の一部を与えようと思っていた。また、おまえたちがわたしを「父」と呼ぶ日を待ちわび、おまえたちが二度とわたしから離れないと考えていた。
+ ところが、おまえたちはわたしを裏切った。おまえたちはさまよい出て、夫のもとを去る不貞の妻のように多くの外国の神々に身をゆだねた。
+ 吹きさらしの高い山の上から、泣き叫ぶ声が聞こえる。神に背き、遠くへさまよい出たイスラエルの子らの泣き声だ。
+ わたしの背信の子らよ、もう一度わたしのところへ戻って来なさい。そうすれば、おまえたちの罪という病を治そう。」この神の呼びかけに、彼らはこう答えます。「帰ります、神よ。神は私たちの主だからです。
+ 丘の上で偶像を拝んだり、山の上でお祭り騒ぎをするのはもううんざりです。私たちは悪い夢を見ていました。神だけに、イスラエルの助けと救いがあるのです。
+ 私たちは子どものころから、先祖のものであった羊や牛の群れ、それに息子、娘が、偶像や異教の祭司の食い物になるのを見てきました。
+ 私たちは恥と不名誉の中に伏しています。私たちも先祖も、子どものころから神に罪を犯し、従わなかったからです。」
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+
+ 「イスラエルよ、本気でわたしのもとへ帰りたければ、偶像を完全に捨てよ。
+ もしおまえが、生ける神であるわたしによってだけ誓い、誠実できよく正しい生活を始めるなら、おまえは世界の国々へのあかしとなる。こうして、諸国の民はわたしのもとへ来て、わたしの名をあがめるようになる。」
+ 主はユダとエルサレムの人たちに、こう告げます。「固くなったおまえたちの心を耕せ。そうでなければ、良い種がいばらにふさがれてだめになる。
+ 体だけでなく、心と思いもきよめよ。そうでなければ、おまえたちの罪のためにわたしの憤りが爆発し、おまえたちを黒こげにしてしまう。誰ひとり、その火を消すことはできない。
+ エルサレムとユダに向かって叫べ。国中に響くように警報を鳴らせと言いなさい。『いのちが危ないから、走って逃げるのだ。要塞で固めた町へ逃げ込め。』
+ エルサレムから合図を送りなさい。『すぐ、逃げ出せ。ぐずぐずするな。』主であるわたしが、北から、とてつもなく大きな破滅をもたらすからだ。
+ ライオンのように国々を滅ぼす者が住みかから出て来て、おまえたちの国へ向かっている。町々は住む者もなく、廃墟となる。」
+ 喪服を着て、胸も張り裂けんばかりに泣きなさい。主の激しい怒りが、まだ私たちから去らないからです。
+ 「その日には、王や指導者は恐ろしさで震え、祭司と預言者は恐怖に顔をこわばらせる」と、主は言います。
+ そこで、私は申し上げました。「ですが神よ。民は、あなたのおことばにだまされました。確か、エルサレムに大きな祝福がくるとのお約束だったのに、今になっても剣が住民に突きつけられています。」
+ その時、神は荒野から、すさまじい勢いで吹きまくる熱風を送ります。こうして、滅亡の時がきたことを宣告するのです。
+ 敵は嵐のように襲いかかります。その戦車は竜巻のようで、その馬はわしよりも速く走ります。ついに滅亡の時がきたのです。ああ、なんという大きな災いでしょう。
+ エルサレムよ、手遅れにならないうちに心をきよめなさい。今ならまだ、悪い思いを捨てれば、救われます。
+ ダンから、エフライムの山から、あなたの滅びが言い渡されました。
+ ほかの国々に知らせなさい。遠い国から敵が来て、エルサレムとユダの町々に叫びながら向かって来ます。
+ 彼らは、野獣に立ち向かう羊飼いたちのように、エルサレムを包囲します。「それは、わたしの民がわたしに背いたからだ」と、主は言います。
+ あなたの行いが、この災いを招いたのです。それはあなたにとって苦い薬で、腹の底までしみわたります。
+ 私は苦痛のため身もだえします。心臓は激しく波打っています。とても黙ってはいられません。敵のラッパの音と雄たけびを聞いたからです。
+ 破壊に次ぐ破壊の波が押し寄せ、国土はすっかり荒れ果ててしまいます。一瞬のうちに、家は一軒残らず押しつぶされます。
+ いつまで、このような状態が続くのでしょう。いつまで、戦いと死を見続けなければならないのでしょう。
+ 「わたしの民が愚かなことをやめるまでだ。彼らは、わたしの言うことを聞こうとしない。理解力のない子で、判断力がない。悪いことをするとなると素早いが、正しいことをする才能など、まるで持ち合わせていない。」
+ 彼らの地を見下ろすと、見渡す限りの廃墟で、空は真っ黒です。
+ 山々は震え、揺れ動いていました。
+ なおもよく見ると、人々はいなくなり、鳥は飛び去っていました。
+ よく肥えた谷間は荒野となり、町という町はことごとく、破壊され、神の激しい憤りによって押しつぶされていました。
+ 滅ぼせという主の命令が、全地に行き渡っているのです。しかし、神は宣言します。「それでも、わたしの民はほんの少しだけ残る。
+ 地は嘆き悲しみ、天は真っ暗になる。わたしが、滅ぼせとの勅令を出したからだ。わたしはいったん決心したことは、絶対に変更しない。」
+ 町中の者は近づいて来る軍隊の行進の音におびえ、逃げ出します。草むらに隠れ、山へ逃げます。住民は恐ろしさのあまり、われ先にと逃げるので、町にはだれもいなくなります。
+ どうして晴れ着をまとい、宝石を身につけ、飾り立てるのですか。そんなことは、何の役にも立ちません。同盟軍はあなたがたをさげすみ、殺してしまいます。
+ 「わたしは、初産の女の陣痛のような、大きなうめき声を聞いた。それは、殺そうとする者の前にひれ伏し、あえぎながら助けを請う、わたしの民の叫びだ。
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+ エルサレム中の通りを駆け巡れ。高い所も低い所も探して、正直で公平を愛している者が一人でもいるかどうか、調べてみなさい。あらゆる広場を探して、そのような者がただの一人でもいたら、わたしはこの都を滅ぼさない。
+ 彼らは、誓いを立てる時でもうそをつく。」
+ 主よ。あなたは真実以外のものを受け入れません。神は罰を加えて、正直になることを期待したのに、彼らは少しも変わりませんでした。彼らを打ったのに、彼らは罪から離れようともしませんでした。彼らは、顔を岩のように堅くし、どんなことがあっても悔い改めないと決心しています。
+ 私は思いました。「無知で哀れな者に、いったい何を期待できよう。神の道を知らないのだから、神に従うことなどどうしてできるだろう」と。
+ 「今度は、身分の高い人のところへ行って話してみよう。指導者なら、主の道に通じ、罪を犯せばさばきが来ることを知っているだろうから。」ところが彼らも、神を完全に拒絶したのです。
+ 「だからこそ、わたしは怒って、彼らに『森のライオン』を送る。『荒野の狼』は彼らに襲いかかり、『ひょう』が町々の周りをうろつくので、一歩でも町から出ようものなら引き裂かれる。彼らの罪は数えられないほど多く、わたしへの背信は、はなはだしいからだ。
+ これでは、どうして赦すことができようか。おまえたちの子どもでさえ、わたしに背き、神とは似ても似つかぬものを拝んでいる。わたしは彼らが満腹になるまで食べさせたのに、彼らは、これ見よがしに姦淫の罪を犯し、町の売春宿に押しかけた。
+ 彼らは丸々と太った、さかりのついた馬で、隣の妻を慕っていななく。
+ このようなことを、わたしが罰しないでおくだろうか。このような国に、報復しないでおくだろうか。
+ ぶどう園へ行き、手当たり次第ぶどうの木を引き抜け。だが、ごくわずかの木は残しておくのだ。枝を切り落とせ。主のものではないからだ。」
+ イスラエルとユダの民はわたしを踏みつけたと、主は言います。
+ 彼らは平気でうそをつきました。「神がわれわれに手を出すはずはない。災いが降りかかるはずはない。ききんも戦争もあるものか。
+ 預言者は、神の権威のないことばをしゃべりまくるだけだ。彼らの言う滅びの宣言は、われわれにではなく、彼ら自身に下るのだ。」
+ 彼らがこのように言ったので、天の軍勢の主は、預言者たちにこう告げます。「わたしは、おまえたちのことばを燃える火とし、彼らを火のついたたきぎのように焼き尽くす。
+ ああ、イスラエルよ。わたしは遠い国の民を連れて来て、おまえを攻めさせる。それは大昔から強大な国(古バビロニヤ帝国)で、おまえには彼らの話すことばが通じない。
+ 彼らの武器には恐ろしい威力があり、一人一人は大勇士だ。
+ 彼らは、おまえの刈り入れた穀物と子らのパンを略奪し、おまえの羊の群れ、家畜の群れ、ぶどう、いちじくを食べ、安全だと思っていた城壁のある町々に侵入し、略奪する。
+ しかし、わたしはおまえたちを根絶やしにはしない。
+ おまえの同胞が『どうして主はこんなことをするのか』と尋ねたら、こう答えなさい。『あなたがたは神を捨て、自分の国でほかの神々に身も心もささげました。だから今度は、その神々の国々で、外国人の奴隷になるのです。』
+ ユダとイスラエルに告げなさい。
+ 目があっても見えず、耳があっても聞こえない、愚かで思慮のない者たちよ。
+ よく聞くがいい。おまえたちには、わたしを尊敬する気持ちが少しもないのか。わたしの前に出ても恐れおののかないとは、いったいどうしたことか。わたしは永遠の命令を出して、世界中の海岸線を決めた。だから、たとえ海の波がとどろき、逆巻いても、最後の一線を越えることはない。このような神を、恐れもせず、あがめもしないことが許されるだろうか。
+ ところが、わたしの民はわたしに背き、偶像礼拝に走った。わたしは、春と秋には雨を降らせ、刈り入れの時を与える神なのに、彼らはわたしを敬いもせず、恐れもしない。
+ そこでわたしは、このような四季の恵みをいっさい彼らから遠ざけた。何もかも彼らの罪のためだ。
+ わたしの民のうちに、人を待ち伏せして血祭りにあげる悪人がいる。彼らは暗がりに隠れている猟師のようで、罠をしかけておく。
+ 彼らの家は、鶏がいっぱいいる鳥小屋のように、悪だくみであふれ返る。その結果はどうなっただろうか。今彼らは名を上げて、金持ちになり、
+ ごちそうをたらふく食べ、周りの人にもてはやされている。彼らの悪事は際限がなく、みなしごを正しく扱わず、貧しい者の権利をないがしろにしている。
+ わたしは腕組みしたまま見ているだけで、手を下さないだろうか。このような国を罰しないでおくだろうか。
+ 実に恐ろしいことが、この国に起こっている。
+ 祭司はまやかしの預言者の意のままになり、民は、そうなることを喜んでいる。おまえたちは必ず滅びる。その時はどうするつもりなのだ。」
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+ ベニヤミン族よ、走って逃げなさい。エルサレムから逃げ出しなさい。それしか助かる道はありません。テコアで警報を鳴らし、ベテ‧ハケレムでのろしを上げなさい。この国を滅ぼそうと、強力な軍隊が北方から攻めて来たことを、すべての人に知らせなさい。
+ あなたがたはおとめのように美しく繊細だが、滅びる運命にあります。
+ 悪い羊飼いたちが、あなたがたを取り囲みます。彼らは都の周りにテントを張り、自分たちの羊のために牧場を没収します。
+ 彼らが戦いの準備をしている様子を見なさい。それは正午から夕方まで続きます。
+ 彼らは言います。「さあ、夜襲をしかけて、宮殿を壊そう。」
+ 天の軍勢の主が、彼らにこう命じたのです。「木を切って、城壁を突きくずす槌を作り、それでエルサレムの城壁をくずすのだ。この都は悪に悪を重ねたので、もはや罰を免れることはできない。
+ 泉のように悪を吹き出し、通りには暴虐の声が響く。この町の病気と打ち傷は、いつもわたしの前にある。
+ エルサレムよ、これが最後の警告だ。わたしの言うことを聞かないと、この町にだれも住まないようにする。
+ 災難に次ぐ災難が襲い、イスラエルに残っているわずかな者さえ、再び刈り取られてしまう。」こう天の軍勢の主が告げます。「ぶどうの実を摘む者が、摘み残しはないかと一本一本調べて回るように、わたしの民の残りの者は、もう一度滅ぼされる運命にある。
+ ところが、だれもわたしの警告に耳を傾けない。彼らの耳はふさがれていて、聞こうともしない。わたしのことばに彼らは腹を立て、二度と聞きたくないと思った。
+ 彼らへの憤りがわたしのうちにあふれた。それを抑えるのに疲れ果てた。わたしは憤りをエルサレムに注ぐ。路上で遊んでいる子どもにも、若い人の集まりにも、夫や妻や祖父母にも憤りを注ぐ。
+ 敵が彼らの家に住み、畑や妻を横取りする。わたしがこの民を罰するからだ。
+ 彼らは、最も身分の低い者から最も高い者まで、詐欺師で大うそつきだ。預言者や祭司も同様だ。
+ 傷などないと言ったとしても、それで傷が治るわけではない。祭司と預言者は、戦争が起きているのに、平和だと言いはっている。
+ わたしの民は、偶像を拝んで、恥ずかしいと思ったことがあるだろうか。いや、顔を赤らめさえしなかった。それで、彼らは死人の間に転がり、わたしの憤りによって死ぬ。」
+ ところが、それでもなお主はあなたがたに訴えます。「ずっと昔おまえたちが歩いていた、神を恐れる幸いな道を探し出し、その道を歩きなさい。そうすれば、たましいに安らぎがくる。だがおまえたちは、『いや、その道は通りたくない』と答える。
+ わたしは見張りを立て、『ラッパの音に注意しなさい。危険が近づいた合図だ』と警告した。だがおまえたちは、『そんなものに注意する必要などない』と言い返した。
+ だから、今こそ宣言する。全地よ聞け、遠い国々もエルサレムのわたしの民も聞け。わたしはこの民に災いをもたらす。というより彼ら自身が災いを招いたのだ。わたしの言うことを聞こうとしなかった罰だ。彼らはわたしの戒めをはねつけた。
+ 今になって、シェバの香り高い香をわたしの前でたいても、何の役にも立たない。高価な香はしまっておきなさい。おまえたちの供え物を受け入れるわけにはいかない。それらのものは、もはやわたしにとって良い香りとはならない。
+ わたしは彼らの道につまずきの石を置く。父や子はつまずき、隣人や友人も共に倒れる。
+ 北から攻めて来る軍隊を見なさい。それは、おまえたちに襲いかかる強国だ。
+ 彼らは血も涙もない残忍な民で、完全武装し、馬にまたがっている。この軍隊のざわめきは、海のとどろきに似ている。」
+ 私たちはこの軍隊のうわさを聞いて、恐怖に取りつかれ、意気消沈しました。産みの苦しみをする女のような恐怖と苦痛が、私たちを捕らえました。
+ 畑に出てはいけません。道を歩いてもいけません。どこもかしこも敵だらけで、人を見たら殺そうと待ちかまえているからです。私たちは、曲がり角に来るたびに、びくびくします。
+ ユダの誇りであるエルサレムよ。喪服を身にまとい、灰の中に座り、ひとり子を亡くしたときのように激しく泣きなさい。何もかも滅ぼす軍隊が、あっという間に攻めかかるからです。
+ 「エレミヤよ。わたしはおまえを金属を試す器具にした。おまえがわたしの民を試して、彼らの価値を調べるためだ。彼らの言うことに耳を傾け、彼らがすることに目を留めよ。
+ 彼らは最悪の反逆者で、口から出るのは神に逆らうことばだけだ。真鍮のようにあつかましく、鉄のように堅くて残忍だ。
+ ふいごで勢いよく吹き、火の温度を上げても、彼らを精錬することはできない。彼らの内にはもともと、純粋なものなど少しもない。だから、どんなに時間をかけて精錬してもむだだ。彼らには、かすしかない。どんなに火を熱くしても、彼らを悪の道から引き離すことはできない。
+ わたしは彼らに、『不純で使いものにならない銀』というレッテルを張り、捨ててしまった。」
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+ 主はエレミヤに、次のように語りました。
+ 「神殿の入口へ行き、そこで人々にこう言いなさい。神のことばを聞け。ここで礼拝している者はみな、耳を傾けよ。
+ 天の軍勢の主であるイスラエルの神は、こう言う。今からでも遅くはない。悪の道を離れさえすれば、おまえたちをこの地に住まわせよう。
+ 神殿のあるエルサレムが破壊されるのを、神が黙って見ているはずはないと言う者たちのことばにだまされてはならない。
+ 次の条件を満たさなければ、ここにいることはできない。悪い思いと行いを捨て、人には公平に接し、
+ みなしご、やもめ、外国人をだましたりしないこと。人殺しをやめること。偶像を拝んで自分を傷つけるような愚かなまねはしないこと。
+ 以上の条件にかなったとき、先祖に永遠の相続地として与えたこの地に住むことができる。
+ 神殿があるから災いに会うはずはない、と考えて、自分をあざむいてはならない。
+ おまえたちは平気で盗み、人を殺し、姦淫の罪を犯し、うそをつき、バアルや今まで知らなかった神々を拝んでいる。
+ しかも、わたしの宮に入ってわたしの前に立ち、『われわれは救われています』と言いながら悪事をくり返すことができると、本気で考えているのか。
+ わたしの宮は強盗の巣なのか。ありとあらゆる悪がはびこっていて、目も当てられない。
+ わたしが初めにわたしの名にふさわしい町としたシロへ行きなさい。そこで、イスラエル人の悪のために、わたしがどんなことをしたかをよく見て来なさい。
+ おまえたちの行ったもろもろの悪事のために、ここでも同じことをする。わたしは何度も語りかけ、しきりに呼び続けたのに、おまえたちは聞こうともせず、答えようともしなかった。だからシロでしたように、この神殿を壊す。おまえたちの心の拠り所である、わたしの名で呼ばれるこの神殿、おまえたちと先祖に与えたこの場所をだ。
+ しかもおまえたちを、おまえたちの兄弟エフライム人(北のイスラエル王国)のように、捕虜として外国に追い払う。
+ エレミヤよ、二度とこの国の民のために祈ってはならない。彼らのために泣くことも、彼らを助けるようにと、わたしに祈ったり哀願したりしてはならない。わたしは耳をふさぐからだ。
+ 彼らがユダの町々、エルサレムの通りで何をしているか、知らないとでも思うのか。
+ わたしがこんなに怒っているのは、もっともなことではないか。子どもはたきぎを集め、父親は火をたき、女は粉をこね、愛の女神『天の女王』をはじめ、偶像の神々に供えるパン菓子を作っている。
+ 彼らが傷つけているのは、はたしてこのわたしだろうか。自分を傷つけ、自分の恥をさらしているだけではないのか。」
+ だから、神である主はこう宣言します。「わたしは激しい怒りをこの地に注ぐ。人も家畜も木も穀物も、どんなことをしても消えないわたしの怒りの火によって焼き尽くされる。」
+ イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう命じます。「おまえたちの供え物といけにえを捨てなさい。
+ わたしがおまえたちの先祖をエジプトから連れ出した時、彼らに求めたのは供え物やいけにえではなかった。わたしの戒めの真意は、そんなものではなかった。
+ わたしの真意はこうだ。わたしに従いさえすれば、わたしはおまえたちの神となり、おまえたちはわたしの民となる。わたしの命令どおりにしさえすれば、何もかもうまくいく。
+ ところが、彼らはわたしの言いつけを聞こうとせず、頑固で悪い思いをもって、したいほうだいのことをした。前進するどころか後退した。
+ おまえたちの先祖がエジプトを出た日から今日に至るまで、わたしは毎日、預言者を彼らのもとに送り出した。
+ ところがどうだ。彼らは耳を傾けるどころか、聞こうとするそぶりさえ見せなかった。先祖よりもさらに手のつけようもないくらいかたくなで反抗心が強く悪質だ。
+ わたしがこれからすることを、一から十まで知らせても、彼らが聞くと思ってはならない。大声で警告しても、反応を示すと甘く考えてはならない。
+ 彼らに言ってやるのだ。おまえたちは、神である主に従うことを拒み、教えられることを拒む民だ。ひどい偽りの生活を続けている。
+ エルサレムよ、深く恥じて頭をそり、ひとり山の上で泣け。わたしは憤って、この民を退け、捨てたからだ。
+ それは、ユダの民がわたしの目の前で罪を犯したからだ。彼らはわたしの神殿に偶像を持ち込み、神殿を汚した。
+ ベン‧ヒノムの谷にトフェテという名の祭壇を築き、そこで、幼い息子や娘を神々へのいけにえとして焼き殺している。これは、わたしが思いもよらず、まして命じた覚えなど全くない恐ろしい行為だ。
+ だから、この谷が『トフェテ』でも『ベン‧ヒノムの谷』でもなく、『虐殺の谷』と呼ばれる時がくる。あまりにも多くの者が殺され、墓を作る場所がなくなり、遺体をこの谷に投げ捨てるようになるからだ。
+ 遺体は鳥や獣のえじきになるが、これを追い払う者は一人もいない。
+ わたしはエルサレムとユダの町々から、楽しそうな歌声や笑い声を消し、花婿や花嫁のはずんだ声を絶やす。この国は廃墟となる。」
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+ 主はこう語ります。「その時、敵は歴代のユダの王の墓、指導者、祭司、預言者、住民の墓をあばき、
+ 骨を掘り出して、わたしの民が愛して拝んだ太陽や月や星の前にさらす。骨は再び集められて葬られることもなく、肥やしのように地面にばらまかれる。
+ それでもまだ生き残る者は、わたしが追いやる国で生き延びるより、むしろ死ぬことをひたすら願うようになる。」天の軍勢の主はこのように宣告します。
+ 「もう一度、わたしの言うことを伝えよ。人は倒れたら起き上がり、間違った道を歩いていると気づいたら、来た道を引き返す。ところがこの民は、わたしからの警告があるにもかかわらず、悪い道をどんどん進んで行く。
+ わたしは彼らの会話をじっと聞いていたが、いったいどんなことが耳に入ったと思うか。自分の罪を悔いる者は一人もいない。『なんと恐ろしいことをしたのだろう』と言う者は、一人もいない。みな、戦場に突進して行く馬のように、全速力で罪の道を走って行く。
+ こうのとりは、生まれ故郷に帰る時を知っている。山鳩、鶴、つばめも、毎年、神の定めた季節がくると、帰って行く。しかし、わたしの民はそうではない。彼らは神のおきてを受け入れようとしない。
+ どうしておまえたちは、『われわれは神のおきてを知っている』と言えよう。教師たちが、おきてを、わたしが言ったことのないようなものにねじ曲げているのだから。
+ この賢い教師たちは、神のことばを変えた罪のために遠い国へ流され、恥をさらす。その時になっても、変わることなく賢い者だと言えるだろうか。
+ わたしは、彼らの妻と畑をほかの者に与える。彼らはみな、身分の高い者も低い者も、預言者も祭司も、人の物を自分のふところに入れることだけを目的に生きてきたからだ。
+ 彼らは、実際には平安などないのに、すべてがうまくいくと保証する。こうして、わたしの民のひどい傷に、効き目のない薬を塗っている。
+ 偶像を拝むことを恥じるどころか、顔を赤らめることさえしない。その報いで彼らは死に、倒れた者の間に転がる。
+ いちじくとぶどうは姿を消し、果物の木は枯れ、わたしが与えたすべての良い物は、すぐになくなる。
+ その時、人々はこう言うだろう。『私たちはなぜ、ここでじっと死を待っているのだろう。城壁のある町へ行って、そこで死のう。主は、われわれを滅ぼすことに決め、われわれの罪と引き替えに、毒薬を盛った杯を下さったのだから。
+ 平和を期待したが、平和はこなかった。健康の回復を待ち望んだが、あるのは恐怖だけだ。』
+ 戦争の音が北の国境から鳴り響く。全地は、恐ろしい軍隊が近づく音に震えおののく。敵が来て、国中の町や住民を滅ぼし尽くすからだ。
+ わたしはおまえたちに、蛇使いでも操ることのできない毒蛇のような敵軍を送り届ける。どんなに抵抗しても、彼らはおまえたちにかみついて殺す。」
+ あまりの悲しみに、どうしたらよいかわかりません。私の心はすっかり弱り果てました。
+ 国中に響き渡る彼らの泣き声を聞いてください。「主は、どこにおられるのだろう。神は私たちを置き去りにされたのだろうか」と、彼らは叫びます。ところが主は、「どうして彼らは、自分たちで作った偶像や、外国の悪い習慣をまねることによって、わたしを怒らせてしまったのか」と答えるのです。
+ 「刈り入れは過ぎ、夏も終わったのに、私たちはまだ救われない。」
+ 傷ついた同胞のことを思うと、涙があふれます。あまりの驚きと悲しみのために、口もきけません。
+ ギルアデには薬がないのですか。医者はいないのですか。どうして神は、何か手を打たないのでしょう。どうして助けてくださらないのでしょう。
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+ ああ、私の目が涙の泉であったら、殺された同胞のために、昼となく夜となく、永久にすすり泣くことだろう。
+ ああ、どこか遠くへ行って何もかも忘れ、荒野の小屋に住めたら、どんなに気が楽だろう。彼らはみな姦淫の罪を犯し、裏切り者になり下がってしまった。
+ 「彼らは舌を弓のように曲げ、不真実という矢を射る。正しいことには縁もゆかりもない者で、悪から悪へと進み、わたしのことなどいっこう心に留めない」と、主は言います。
+ 隣人や兄弟に気をつけなさい。だれもかれも人を利用しようと、中傷し合うからです。
+ 彼らは、よく訓練された舌で互いにだまし合い、罪を犯し続けて、弱り果てます。
+ 「彼らは悪に悪を、偽りに偽りを積み重ね、絶対にわたしのところへ来ようとしない」と、主は言います。
+ そのため、天の軍勢の主は、さらにこうつけ加えます。「わたしは彼らを悩みの炉に入れてとかす。彼らを精錬し、金属のように試す。これ以外にどんなことができよう。
+ 彼らの舌は毒矢のようなうそを射る。口先では穏やかに語るが、心の中では相手を殺そうと企む。
+ この事実に目をつぶり、罰せずに放っておけるだろうか。このような国に復讐しないでいられようか。」
+ 私は泣きながら、山や牧場を指さします。そこには住む者もなく、すっかり荒れ果てているのです。家畜の鳴き声は絶え、鳥や獣も姿を消しました。
+ 「わたしはエルサレムを、瓦礫の山にする。そこを住みかとするのは山犬だけだ。ユダの町々は、誰ひとり住む者のない廃墟になる。」
+ このことを悟る知恵者は、どこにいるでしょう。このことを説明してくれる主の使者は、どこにいるのでしょうか。どうしてこの国は荒れ地となり、通行人さえいなくなったのでしょうか。
+ 「それは、わたしの民がわたしの戒めを捨て、おきてに従わなかったからだ。
+ それどころか、好き勝手なことばかりして、先祖が伝えたバアルを拝んだ。
+ そこで、イスラエルの神であるわたしは言う。彼らに苦い物を食べさせ、毒を飲ませる。
+ 彼らを世界中に散らし、遠くの国々に追い払う。どこへ行っても、剣に追い回され、ついに根絶やしにされる。
+ わたしは言う。大急ぎで泣き女を呼んで来て、泣かせなさい。涙を滝のように流させるのだ。
+ エルサレムが絶望しきって泣いているのを聞け。『町はすっかり荒れ果てた。悲劇が私たちを襲った。こうなったら、国も家も見捨てるよりほかない。』」
+ 大声を上げて泣く女たちよ、神のことばに耳を傾けなさい。娘と隣人に、泣き方を教えなさい。
+ 死が窓から家に忍び込み、若いいのちをもぎ取ったからです。道ばたで遊ぶ子どもの姿はなく、広場にも若者の姿はありません。
+ 次のことを話すようにと、主は言います。死体は肥やしのように、刈り入れのあとの束のように、あちこちに散らされたままで、だれも埋めてくれない。
+ 主は命じます。「知恵のある者は、知恵をひけらかしてはいけない。力のある者は力を、金持ちは富を誇ってはいけない。
+ 誇る者は、わたしをほんとうに知っていることと、わたしが正義の主であって、その愛は変わらないと知っていることを誇りなさい。
+ わたしが、体に割礼(男子が生まれて八日目にその生殖器の包皮を切り取る儀式)を受けていても、心に割礼を受けていないエジプト人、エドム人、アモン人、モアブ人、アラブ人、そしておまえたちユダの民を罰する時が近づいている。異教の国々の民でも体の割礼は受ける。わたしを愛するしるしに心の割礼を受けなければ、おまえたちの割礼は、異教徒の儀式と少しも変わらない。」
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+
+ イスラエルよ、主のことばを聞きなさい。
+ 「星占いで、自分の運命や将来を知ろうとする者のまねをしてはいけない。彼らの予言を聞いておびえてはいけない。うそで固めたものだからだ。彼らの生き方はむなしく、愚かだ。彼らは木を切り倒して偶像を刻み、
+ それを金と銀で飾り、金槌と釘で動かないように打ちつける。
+ かかしのように立っているだけの神は、ものも言えない。歩けないから、だれかが運んでやらなければならない。そんな神は、人に災いを下すことも助けることもできず、わずかな利益も与えられないのだから、少しも怖がることはない。」
+ 主よ。あなたのような神はほかにいません。神は偉大な方で、御名には力があふれています。
+ 神だけが、国々の王と呼ばれるのにふさわしい方です。神を恐れない者がいるでしょうか。地上の知恵者の中にも、世界の王国の中にも、神と並ぶ者は一人もいません。
+ どんなに知恵があっても、偶像を拝む者はみな、愚か者です。
+ 彼らはタルシシュから銀の延べ板を、ウファズから金を運んで来て、偶像を作る熟練した細工人に渡します。でき上がった神々に、名人が仕立てた、王の着る紫の衣を着せます。
+ しかし、主はただ一人の生けるまことの神、永遠の王です。ひとたび主が怒れば、全地は震えます。このお方の不興を買えば、世界は御前から隠れます。
+ ほかの神々を拝む者に言ってやりなさい。天と地を造らなかった神々は、地上から姿を消す運命にある、と。
+ しかし私たちの神は、ご自分の力と知恵によって世界を造り、すぐれた知性によって星を空間にちりばめ、天を張り広げました。
+ 嵐を運ぶ雲から聞こえる雷鳴は、御声の響きです。神は地から霧を立ちのぼらせ、いなずまを送り、雨を降らせ、倉から風を呼び出します。
+ 神を知らない愚か者は、偶像に頭を下げます。彼らは恥ずかしいことをしています。いのちも力もない、偽りの神々を作っているからです。
+ そんなものはみな、全く値打ちのない、むなしいもので、刑罰が下る時には粉々に壊されます。
+ しかしイスラエルの神は、くだらない偶像とは違います。神はあらゆるものを造ったお方で、しかもイスラエルは神に選ばれた国です。「天の軍勢の主」というのが、その方の名前です。
+ 神は命じます。「さあ、荷物をまとめよ。もうまもなく攻撃が始まるから、逃げるしたくをせよ。
+ 今度こそ、わたしは大きな悩みをもたらし、おまえたちをこの地から放り出す。これでやっと、おまえたちはわたしの憤りを実感するようになる。」
+ 私の傷は重く、悲しみは深い。私は不治の病にかかっていますが、耐えていかなければなりません。
+ 家はなくなり、連れ去られた子どもたちとは、二度と会えないでしょう。家を建て直す手伝いをしてくれる者は、一人も残っていません。
+ 指導者たちは分別を失いました。彼らはもはや神に従おうとせず、御心を尋ねようともしません。そのため、彼らは滅び、群れは散り散りになります。
+ 北から来る大軍の巻き起こす、すさまじい物音を聞きなさい。ユダの町々は山犬の住みかになってしまいます。
+ 主よ。人は自分の力で人生の設計図を作り、進路を決められないことを、私は知っています。
+ どうか私を、正しい道に導いてください。怒りにまかせて、つらく当たらないでください。そうでないと、私は死んでしまいます。
+ 主に従わない民に、激しい怒りを注いでください。彼らはイスラエルを破壊し、国を見渡す限りの荒れ地にしたからです。
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+ 主はまた、エレミヤに語りました。「ユダの民と、エルサレムの全住民に、わたしが彼らの先祖と契約を結んだことを思い出させなさい。その契約を守らない者はのろわれる。
+ わたしは、エジプトの奴隷だった彼らを助け出した時、わたしの言いつけを守りさえすれば、彼らも子孫もわたしの民となり、わたしは彼らの神となると言った。
+ だからわたしに従いなさい。そうすれば、誓いどおり、すばらしいことをしよう。今日あるとおりの『乳とみつの流れる地』を与えたい。」これを聞いて、私は「主よ、ぜひ、そうしてください」と答えました。
+ すると、主は命じました。「以上のことをエルサレムの町中で、大声で伝えよ。国中の町々を巡って、『私たちの先祖が神と結んだ契約を思い出し、約束どおりに行え』と言うのだ。
+ わたしは、おまえたちの先祖をエジプトから助け出した時から今日まで、繰り返し、『わたしのすべての命令に従え』と言い続けてきた。
+ だがおまえたちの先祖は、従うどころか聞こうとさえせず、頑として、好き勝手にふるまった。彼らが従うことを拒否したので、わたしは契約の中にある災いをみな下した。」
+ 神はまた、私に語りました。「わたしは、ユダとエルサレムの住民の間に、わたしに対する陰謀があることを知った。
+ 彼らは先祖の道にあと戻りし、わたしの命令を破り、偶像を拝んだ。わたしが彼らの先祖と結んだ契約を破棄したのだ。
+ だから、彼らに災いを下す。それから逃げることはできない。あわれみを叫び求めても、わたしは耳を貸さない。
+ 彼らは、偶像の前で香をたいて祈る。だが、そんなことをしても、悩みと絶望からは救われない。
+ ああ、わたしの民よ。おまえたちの神々は町の数ほど多く、バアルに香をたくための恥ずべき祭壇は、エルサレムのどの通りにもある。
+ だからエレミヤよ、もう、この民のために祈ってはならない。彼らのために、泣いたり嘆願したりしてはならない。わたしは、彼らが追い詰められ、助けを求めてきても、耳をふさぐことに決めた。
+ わたしの民は、何の権利があって、わたしの宮に来るのか。おまえたちは裏切り者で、ほかの神々を拝んできた。おまえたちのいろいろな約束やいけにえが、今になって、滅びの運命をいのちと喜びに変えることなどできようか。
+ わたしはかつて、おまえたちを『おいしい実をたくさんつける、美しい緑のオリーブの木』と呼んだ。だが今度は、おまえたちを焼き焦がし、丸坊主にするため、敵という火を送り込んだ。
+ イスラエルとユダがバアルに香をたく悪事を働いたので、木を植えたわたしが滅ぼせと命じたのだ。」
+ 神は私に、彼らの計画を全部知らせ、その悪だくみを教えてくださいました。
+ 私は、ほふり場に引かれて行く子羊や牛のように、先にある危険に少しも気づいていませんでした。彼らが私を殺そうとしているとは、夢にも思わなかったのです。彼らは、「あの男を殺し、口を封じてしまおう。殺して、彼の名を永久に葬り去ろう」と相談していました。
+ ああ、天の軍勢の主よ。あなたは正しいお方です。彼らの心と動機とを探り、彼らの企てた悪事に報いてください。私は、神が正義を行うのを見守っています。
+ すると、主は私にこう答えました。「アナトテの町の住民は、おまえを殺そうとしたので罰を受ける。彼らはおまえに、『神の名によって預言したら殺してやる』と言うだろう。だから、彼らの若い男たちは戦場で死に、息子、娘は飢えに苦しむ。
+ こうして、陰謀に加わった者は一人もいなくなる。わたしが大きな災いを下すからだ。彼らの刑罰の時はすでにきた。」
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+ 神よ。これまでどんな問題にも、あなたはいつも正義をもって答えてくださいました。しかし今度は論じ合いたいのです。どうして、悪人がこんなに栄えているのですか。どうして、心の曲がった者がこんなにも幸福なのですか。
+ 神が彼らを植えると、彼らは根を張り、その事業は発展します。大きな利益をあげ、大金持ちになります。彼らは、口では「神様、ありがとうございます」と言いますが、心の中では舌を出しているのです。
+ 私の心をご存じである主よ。あなたは私がどんなにあなたを慕っているか、ご存じです。神よ、どうか彼らを、哀れな羊のように、ほふり場に引いて行ってください。ああ神よ、彼らをさばいてください。
+ あなたのものであるこの地を、いつまで彼らのなすままにされるのですか。野の草でさえ、彼らの悪事のためにうめき、泣いています。野獣や鳥は姿を消し、地は荒れ果てました。それでもなお人々は、「神がわれわれをさばくはずがない。われわれは全く安全だ」と言います。
+ 主は私に、こう答えました。「もしおまえが、このアナトテの住民のような、ただの人間と競走して息を切らせるとしたら、どうして、馬や王、その家来、悪い祭司を相手に競争できるだろうか。平地でつまずき、倒れるとしたら、ヨルダンの密林ではどうなるのか。
+ 兄弟や家族でさえ、おまえに背いたのだ。彼らは暴徒を呼んで、おまえに乱暴しようとした。だから、彼らがどんなに愛想よく話しかけてきても、信じてはならない。」
+ 主は、続けて言いました。「わたしは、わたしの相続財産である民を見限った。一番愛している者たちを、敵の手に渡した。
+ わたしの民は、密林のライオンのように、わたしに向かってうなり声を上げた。そのため、わたしは彼らを、憎んでいる者のように扱った。
+ わたしの民は倒れた。わたしは、はげたかと野獣の群れに、その死体の肉を食べさせる。」
+ 多くの外国の支配者が来て、私のぶどう園を荒らし、木を踏みにじり、美しい地所を草木の生えない荒野にしました。
+ 彼らはそこを人の住まない地としました。泣いている悲しげな声が聞こえます。全地は荒れ果てているのに、誰ひとり心に留めようとしません。
+ あらゆるものを破壊する軍隊が、全地を荒らします。主の剣が国の端から端まで暴れ回るので、だれも逃げることができません。
+ 小麦をまいても、刈り取るのはいばらです。どんなに汗水流して働いても、何の足しにもなりません。ただ恥を刈り取るだけです。主の激しい怒りが注がれるからです。
+ 今度は、ご自分の民イスラエルに与えた地を包囲する悪い国々への宣告です。「わたしはおまえたちを、ユダにしたと同じように、おまえたちの国から引き抜く。
+ だが、あとになって同情を寄せ、おまえたちの相続地である国へ連れ戻す。
+ もし、これらの異教の国々が素早くわたしの民の生き方を身につけ、イスラエルに輸出したバアルではなく、わたしを神とするなら、わたしの民のうちでも強いものとなる。
+ だがわたしに従わない国は、もう一度追放され、根絶やしにされる。」
+
+
+ 主は私に、こう命じました。行って、リンネルの帯を買い、それを締めなさい。ただし、水で洗ってはいけない。」
+ 私はさっそく帯を買って、それを締めました。
+ すると、またことばがありました。
+ 「その帯を取り、ユーフラテス川に持って行き、岩の割れ目に隠せ。」
+ 私は言われたとおりにしました。
+ かなりしてから、また命令がありました。「もう一度出かけ、あの帯を取り出しなさい。」
+ 私はすぐさま出かけ、隠しておいた岩の割れ目から帯を取り出しました。ところが帯は、かびが生えてぼろぼろになり、とても使いものになりません。
+ すると、主が言いました。「わたしはこのように、ユダとエルサレムの誇りを腐らせる。
+ この悪い民は、わたしのことばを聞こうともせず、欲望のままに生活して偶像を拝んでいる。だから、この帯のように全く役に立たなくなる。
+ 帯を腰に巻きつけるように、わたしはユダとイスラエルをわたしに結びつけた。彼らはわたしの名の栄光を現すための、わたしの民である。ところが、彼らはわたしから離れて行った。
+ 彼らに告げなさい。おまえたちのつぼには、ぶどう酒が満ちている。彼らはこう答えるだろう。『そんなことぐらい、わかっている。われわれがどんなに富んでいるかを、教えてもらう必要はない。』
+ そこで、こう言いなさい。おまえたちの性根は腐っている。わたしは、ダビデの王座につく王、祭司、預言者、それにすべての民が途方にくれるようにする。
+ 父と息子をいがみ合わせる。少しもあわれむことなく、徹底的に滅ぼす。」
+ 主が語ったのだから、素直に聞きなさい。そのように思い上がり、強情を張ってはいけません。
+ 何も見えない暗闇を送り込まれる前に、手遅れにならないうちに、神に栄光をお返ししなさい。闇が覆えば、あなたがたは山につまずき、倒れます。その時に、光を探し求めても、身の毛もよだつ暗闇があるだけです。
+ それでもなお、耳をふさぐのですか。もしそうなら、私は心を痛め、思い上がったあなたがたのために、一人で嘆き悲しみましょう。主の民が奴隷になって連れ去られるのです。とても泣かずにはいられません。
+ 「王と王母に、王座から降りて、ちりの中に座れと告げなさい。頭上に輝く冠は奪い取られ、ほかの人に与えられるからだ。
+ エルサレムの南にあるネゲブの町々は、敵の来襲に備えて門を閉めた。エルサレムは助けにならないので、自分で自分を守らなければならない。それに、ユダのすべての民は、奴隷として連れ去られる。
+ 北から攻めて来る軍隊を見よ。エルサレムよ、おまえの羊の群れはどこにいるのか。わたしが預けておいた美しい羊の群れはどこか。
+ わたしがおまえの同盟軍をおまえの支配者とするとき、おまえはどう思うだろう。おまえは、子どもを産もうとしている女のように、身もだえて苦しむだろう。
+ どうしてこんなことが起こったのかと聞くだろう。何もかも、おまえの犯した多くの罪のためだ。だからこそ、おまえは侵入して来た軍隊に辱められ、破壊される。
+ エチオピヤ人は自分で皮膚の色を変えることができるだろうか。ひょうが斑点を消すことができるだろうか。同じように、悪いことをし慣れたおまえも、善人になることなどできない。
+ おまえはわたしを忘れ、偽りの神々に頼っているので、荒野の強い風に吹き飛ばされるもみがらのように散らす。これが、おまえのために考えておいた運命だ。
+ おまえの恥を洗いざらいさらけ出す。
+ おまえの背信、わたしへの裏切り、野原や丘の上でのいまわしい偶像礼拝を、いやと言うほど見せられてきた。エルサレムよ。おまえはひどい目に会うだろう。いったい、いつになったらきよくなるのか。」
+
+
+ 主は日照りについて、次のようにエレミヤに説明なさいました。
+ 「ユダは嘆き悲しむ。いっさいの仕事の手を止め、だれもかれも地にひれ伏す。エルサレムから大きな叫び声が上がる。
+ 貴族たちは召使に井戸の水をくませようとするが、井戸は干上がっている。召使は水の入っていない桶を持って帰り、悲しみながら頭をかかえこむ。
+ 水不足で地面はからからに乾き、あちこちに地割れができ、農夫はおびえきる。
+ 草はどこにもなく、鹿は子どもを置き去りにする。
+ 野ろばは裸の丘に立ち、のどの渇いた山犬のように肩で息をする。目を大きく開けて草を探し求めるが、一本の草も見つからない。」
+ ああ主よ。私たちはひどい罪を犯しました。けれども、ご自身の御名のために、私たちを助けてください。
+ イスラエルの望みであるお方、困った時に助けてくださる主よ。どうして、一夜の宿を求める旅人のように、この国をあわただしく通り過ぎて行くのですか。
+ まるで、とまどっているかのようです。力がないので、救うことができないのですか。主は私たちの真ん中におられます。だれもが知るとおり、私たちは神の名を頂いた民です。どうぞ私たちを見捨てないでください。
+ ところが主は、こうお答えになりました。「おまえたちはわたしを離れてさすらってばかりいて、わたしの道を歩こうとしなかった。今さら、わたしの民として受け入れることなどできない。わたしは今、おまえたちの犯したいっさいの悪を思い出し、おまえたちの罪を罰する。」
+ 主はまた、私に命じました。「これ以上、この民を祝福してほしいと願ってはならない。二度と彼らのために祈ってはならない。
+ 彼らが断食しても、わたしは答えない。供え物やいけにえをささげても、受けつけない。わたしは戦争とききんと病気を返す。」
+ そこで私は言いました。「神よ。彼らの預言者たちは、戦争もききんもなく、平穏無事だと告げています。神は間違いなく平和をもたらし、祝福してくださると伝えています。」
+ 主はこう答えました。「預言者たちは、わたしの名によってうそをついている。わたしは彼らを送り出したことも、何か話すようにと命じたこともない。彼らは、見たことも聞いたこともない幻と啓示について預言している。口から出まかせに、まやかしごとを話す。
+ わたしはこの預言者たちを罰する。彼らは戦争もききんも起こらないと言うが、そう言う彼らが、戦争とききんで死ぬ。
+ 彼らの預言を聞く者も、ききんと戦争の犠牲となり、遺体はエルサレムの通りに捨てられる。葬る者は一人もいない。夫も妻も息子も娘も、みな姿を消す。罪の罰として、わたしが恐ろしい刑罰を下すからだ。
+ だから、彼らにこう言いなさい。『私の目からは、夜となく昼となく涙があふれる。同胞が剣で刺され、重傷を負って地面に転がっているからだ。
+ 野に出ると、切り殺された者の死体が転がっている。通りを歩くと、飢えや病気で死んだ者の遺体がごろごろしている。ところが預言者や祭司は、おろおろさまよい歩くばかりだ。』」
+ 主よ、ユダを完全にお見捨てになったのですか。エルサレムを憎んでいるのですか。これほどの罰を受けても、まだ平和は訪れないのですか。ようやく傷を治していただけると思っていました。ところがどうでしょう。平和になるどころか、どこもかしこも悩みと恐れでいっぱいです。
+ 主よ、お赦しください。私たちが間違っていました。
+ 御名のために、私たちを憎まないでください。私たちを祝福するという約束を破棄して、ご自身と栄光の御座を辱めないでください。
+ どこの国の神が、私たちのために雨を降らせるでしょう。私たちの神以外に、そんなことのできる神はいません。ですから私たちは、あなたが助けてくださるのを待っています。
+
+
+ すると主は、こう私に語りました。「たとえモーセとサムエルがわたしの前に立ち、この国の民のために嘆願しても、わたしは彼らを助けない。彼らのことなど放っておきなさい。わたしの目の届かない所へ追い払うのだ。
+ もし彼らがおまえに、どこへ行ったらいいのかと尋ねたら、わたしがこう言ったと告げなさい。死に定められた者は死に、剣で殺される運命にある者は剣に、ききんに定められた者はききんに、捕虜になる者は捕虜に。
+ わたしは彼らのために、四種類の罰し方を決めておく。切り殺す剣、食いちぎる犬、残った物をきれいに平らげるはげたかと野獣だ。
+ ユダの王、ヒゼキヤの子マナセがエルサレムで行った悪事のために、おまえたちを厳しく罰する。おまえたちの身に起こることは、世界中の人々に、鳥肌が立つほどの恐怖を与える。
+ エルサレムよ。だれが、おまえのために心を痛めて泣くだろうか。だれが、おまえの安否を尋ねるだろうか。
+ おまえはわたしを捨て、わたしに背いた。だからわたしは、おまえを打ちすえようと、こぶしを振り上げる。おまえに立ち直る機会を与えるのがいやになったのだ。
+ おまえを町の門でふるいにかけ、おまえが大切にしている物をみな奪い取る。わたしの民は悪の道を振り切ってわたしに立ち返ろうとしないので、彼らを滅ぼす。
+ 未亡人の数は数えきれなくなる。わたしは真昼に若い男を死に渡し、母親を嘆かせる。彼らに突然、苦痛と恐怖を与える。
+ 七人の子をもつ母親は、息子がみな死ぬので半狂乱になる。昼なのに、目の前は真っ暗だ。子どもがみな殺されるので、子どもがない女になり果てて恥をかく。」
+ その時、エレミヤはこう言いました。「お母さん、何ということでしょう。こんな悲しい思いをするくらいなら、生まれてすぐ死んでしまえばよかったのに。どこへ行っても、私は憎まれ者です。きびしく返済を迫ったことも、借りた物を返さなかったこともないのに、だれもかれも私をのろいます。
+ 彼らがのろうままにしておこう。主よ。あなたは、敵対する彼らのために私がどんなにとりなし、どんなに助命を嘆願したかをご存じです。」
+ 「北の国の鉄や青銅のかんぬきは、どうしても壊れない。同じように、この国の民の強情な心も、砕くことはできない。わたしへの罪のために、おまえたちの富と財宝を戦利品として敵に与える。
+ 敵がおまえたちを捕虜とし、知らない国へ連れて行くにまかせる。わたしの怒りは火のように燃え上がり、おまえたちを焼き尽くす。」
+ これに答えて、エレミヤが言いました。「主よ。私がこんなに苦しんでいるのは、神のためであることを、あなたはご存じです。あなたのおことばを伝えたので、人々は私を迫害します。どうか、私が彼らの手にかかって殺されることがありませんように。私を彼らの強い力から救い出し、彼らにふさわしい罰を与えてください。
+ 神のおことばは、私をしっかり支えます。それは、飢え渇いた私のたましいにとっての食物です。私の重い心に喜びをもたらし、楽しみで満たしてくれます。主よ。私は、神の預言者にされたことを誇りに思います。
+ 私は、笑いさざめく彼らの宴会に列席しませんでした。神の御手のもとに一人で座っています。彼らの罪ために、心は憤りで張り裂けんばかりです。ところが神は、いざという時に私を助けてくれませんでした。迫害をやめさせてくれなかったのです。彼らは、私に害を加える手を、ただのひと時も止めないのでしょうか。神の助けは、ある時は水があふれ、ある時は干上がってしまう谷川のように、あてにならないものです。」
+ 神はこう答えました。「そのような愚かなことを言ってはならない。分別のあることばを語りなさい。おまえが、前のようにわたしに頼るようになれば、わたしの代弁者にしておく。おまえが彼らに影響を与えるべきであって、彼らの影響を受けてはならない。
+ 彼らは、高い城壁に向かって攻撃をしかける軍隊のようにおまえと戦うが、どうしても勝てない。わたしが味方について、おまえを守り、救い出すからだ。
+ わたしは必ず、悪人どもからおまえを助け出し、彼らの無慈悲な手からおまえを救う。」
+
+
+ 別の機会に、神はこうも語りました。
+ 「おまえは妻をめとり、この地で子どもをもうけてはならない。
+ この町で生まれる子どもも、その両親も、
+ 恐ろしい病気にかかって死ぬからだ。彼らのために嘆いたり、埋葬したりしてくれる者は、一人もいない。死体は地面に放り出されたまま腐り、地の肥やしになる。彼らは戦争やききんで死に、死体は、はげたかや野獣につつかれ、引き裂かれる。
+ 彼らのために嘆いたり、泣いたりしてはならない。わたしは彼らを保護するのをやめ、平安を取り上げたばかりか、恵みとあわれみを与えることさえやめたからだ。
+ 身分の高い者も低い者も、死んでも埋葬してもらえず、悲しんでもらえない。友人でさえ、髪を刈ったり頭をそったりして悲しみの気持ちを表そうとしない。
+ 誰ひとり、悲しむ者に食事を出して慰めず、死んだ人の両親を慰めるために一杯のぶどう酒を与えようとさえしない。
+ こんな悲惨なことが待っているのだから、それを示すために、宴会に二度と顔を出してはならない。彼らと食事を共にすることも許されない。
+ イスラエルの神、天の軍勢の主であるわたしが、こう言うのだ。おまえの生きている間に、しかもおまえの見ている前で、わたしはこの国から笑い声を絶やす。楽しい歌声、結婚披露宴、花婿と花嫁の歌声はとだえる。
+ これらを包み隠さずに話すと、彼らはこう聞き返すだろう。『どうして神は、こんなに恐ろしいことをするのか。こんなひどい目に会わせられる覚えはない。私たちが神に、いったいどんな罪を犯したというのか。』
+ 彼らに主の返事を知らせなさい。おまえたちの先祖がわたしを捨てたから、こんなことになったのだと。彼らはほかの神々を拝み、それに仕えた。わたしのおきてを守らなかった。
+ そればかりか、おまえたちも、先祖より悪いことをしてきたではないか。思いのままに悪の道へ走り、わたしの言うことを聞こうとさえしなかった。
+ だから、おまえたちをこの国の外に放り出し、だれも知らない異国に追い払う。そこで、好きなだけ偶像を拝むがいい。わたしは少しも恵みを与えない。」
+ しかし、栄光に輝く日がくると、主は宣言します。その時の話題の中心は、神がご自分の民を、みせしめのために奴隷として追いやった北の国々から連れ戻すということです。「その時、おまえたちはもはや、わたしがおまえたちをエジプトから連れ戻した時のことを、なつかしそうに振り返らなくなる。あの時の大きな奇跡でさえ、ほとんど話の種にならなくなる。わたしがおまえたちを、先祖に与えたこの地に連れ帰るからだ。」そう主は断言します。
+ 「わたしは大ぜいの漁師を遣わして、わたしの憤りから逃れて深い所に隠れているおまえたちを、網で引き上げる。狩人を遣わして、森の中の鹿や、断崖の上に立つ野やぎを狩り出すように、おまえたちを低地へ追い立てる。さばきを逃れようと逃げ出しても、必ず見つけ出して罰する。
+ わたしはおまえたちに目を光らせ、一部始終を見ている。すべての罪を心に留めている。わたしから逃げ出すことなどできない。
+ わたしはおまえたちのすべての罪に対して、二倍の罰を加える。おまえたちがわたしの地をいまいましい偶像で汚し、あらん限りの悪事で満たしたからだ。」
+ 主よ。私の力、私の要塞、悩みの日の私の隠れ家よ。世界中の民がみもとに来て、こう言うでしょう。「私たちの先祖はほんとうに愚かでした。少しも価値のない偶像を拝んでいたのです。
+ 神を作ることが人間にできるでしょうか。人間の作る神々は本物の神ではありません。」
+ 「彼らがこのような気持ちでわたしのところへ来るとき、わたしは彼らに力を示し、わたしだけが神であることを悟らせる。
+
+
+ 鉄のペンかダイヤモンドの先端で、石の心と祭壇の端に、悪いおきてが刻み込まれているかのように、わたしの民は罪を犯す。
+ 若者でさえ罪を犯すことだけは忘れず、木々の下で偶像を拝み、高い山でも平地でも偶像に仕えている。だから、おまえたちの全財産を、罪に見合う代価として、敵に渡す。
+ こうして、わたしがおまえたちのために取っておいたすばらしい相続財産は、おまえたちの手からこぼれ落ちる。わたしはまた、おまえたちを奴隷として、遠い敵国へ売り渡す。それは、おまえたちが、いったん燃えたら永久に消えないわたしの憤りに、火をつけたからだ。」
+ 主はこう告げます。「いつかは死ぬ人間を頼りとし、心が神から離れている者は、のろわれる。
+ そのような者には、荒野の乾いた灌木のように、将来の希望など少しもない。古き良き時代から永久に見放された彼は、草木も生えない、塩分の多い荒野に住む。
+ だがわたしを頼りとし、わたしを望みとする者は、祝福される。
+ 彼は川の土手に沿って植えられた木のように、深く張った根で川から直接水分を吸収するので、暑さにもしおれず、長いかんばつでも弱らない。葉はいつも青々と茂り、みずみずしくおいしい実をつける。
+ 人の心は何より欺きやすく、芯まで腐っている。それがどんなに悪質であるか、だれにもわからない。
+ ただわたしだけが人の心を知っていて、隅々まで探り、一番奥に隠された動機までわかる。そして、一人一人にそれぞれの生き方に応じた報いを与える。
+ 自分でかえさなかったひな鳥を抱く鳥は、やがて、そのひなに逃げられる。不正な手段で富を手に入れる者も同じだ。遅かれ早かれ富を失い、結局は哀れなばか者になる。」
+ 私たちの逃げ場は、永遠の栄光に輝く、高くあげられた神の御座です。
+ イスラエルの望みである主よ。神に背く者はみな、面目を失い、恥をかきます。そのような者の名は、地上の名簿には載っていますが、天の名簿には載っていません。いのちの泉である主を見捨てたからです。
+ 主よ。私を健康にし、救ってくださるのは、神だけです。ですから、ただ神だけをほめたたえます。
+ 人々は私をあざけります。「おまえがしきりに口にしていた主のことばは、いったいどうなったのか。おまえの言っていた脅しが、ほんとうに神から出たのなら、どうしてそのとおりにならないのだ。」
+ 神よ。私は人々が恐ろしい災難の下敷きになるのを見たくありません。そのような計画は神が立てたもので、私が立てたのではありません。私が彼らに伝えたのは、神のおことばであって、私のことばではありません。私は、彼らが滅びるのを見たくありません。
+ 主よ、今になって、私を置き去りにしないでください。神だけが私の望みです。
+ 私を迫害する者に混乱と悩みをもって報いてください。私には平安を与え、彼らには滅びを倍にして与えてください。
+ 主は私に語りました。「さあ、エルサレムの門に立て。まず、王の通用門へ行き、次にほかのすべての門へ行って、
+ すべての者にこう言いなさい。ユダの王とその民、それにエルサレムの全住民よ、よく聞きなさい。
+ 主はこう言う。生き方に気をつけなさい。安息日は身も心もきよく過ごし、必要のない仕事をしてはならない。わたしはこの命令をおまえたちの先祖に伝えた。
+ ところが彼らは聞かず、従おうともしなかった。強情を張り、注意深く教えを聞こうとしなかった。
+ だが、おまえたちがわたしに従い、安息日に働くのをやめ、きよい特別な日とするなら、
+ この国はいつまでも繁栄する。エルサレムの王座には、いつもダビデの子孫が座るようになる。いつの時代にも、はなやかに着飾った王や君主が車に揺られて大路を通る。
+ 人々は、エルサレムの周囲、ユダとベニヤミンの町々、南のネゲブとユダ西部の低地から、完全に焼き尽くすいけにえや穀物の供え物、香料などを携えて来る。さらに、神殿で主をほめたたえるために、いけにえを引いて来る。
+ しかし、わたしの言うことを聞かず、安息日を汚し、ほかの日と同じように、エルサレムの門の中に商品の荷を運び込むなら、わたしはこれらの門に火をつける。火は宮殿にまで燃え広がり、それを灰にする。しかも、燃えさかる炎はだれにも消すことができない。」
+
+
+ 主からエレミヤに、次のようなことばがありました。
+ 「さあ、陶器を作っている者の家に行きなさい。そこで、おまえに話そう。」
+ 言われたとおりにすると、陶器師はろくろを回している最中でした。
+ ところが、彼は手がけていたつぼが気に入らなかったので、それをつぶして粘土のかたまりに戻し、初めからやり直しました。
+ その時、主が語りました。
+ 「イスラエルよ。この陶器師と同じことを、わたしがおまえたちにできないというのか。陶器師の手の中に粘土があるように、おまえたちもわたしの手の中にある。
+ わたしが、一つの国が引き抜かれて滅ぼされると言ったとき、
+ その国が悪の道を捨てるなら、わたしは予定を変更して、その国を滅ぼすのをやめる。
+ また、わたしが、ある国を強くすると言ったとしても、
+ その国が途中で考えを変えて悪の道に走り、わたしに従わなくなれば、わたしも考えを変えて、祝福の約束を撤回する。
+ だから出かけて行って、ユダとエルサレムの全住民に、こう警告しなさい。さあ、神のことばを聞きなさい。わたしは今おまえたちのために、良いことではなく悪いことを計画している。だから悪の道を捨て、正しいことを行うのだ。」
+ ところが彼らは、こう答えました。「おせっかいはやめてくれ。神の言われたことを行う気など全くない。私たちはだれからも束縛されない。強情を張りとおし、悪を身につけたまま、いつまでも好き勝手な生活をしたい。」
+ そのとき、主はこう言いました。「たとえ異教の民の間でも、こんなことを聞いた者はいない。考えただけでもおぞましいことをわたしの民がしたのだ。
+ レバノン山頂の雪は決してとけず、ヘルモン山から流れ下る冷たい水は決してかれない。
+ これらのものは、いつもあてにできる。ところがわたしの民は、全くあてにならない。彼らはわたしを置き去りにし、むなしい偶像のもとに走った。昔からの正しい道をはずれ、罪の泥沼に迷い込んだ。
+ そのため、国は荒れ果て、そこを通る人は思わず息をのみ、あまりにもすさまじい光景に驚いて頭を振る。
+ わたしはわたしの民を、東風がちりを巻き上げるように、敵の前でまき散らす。彼らがどんなに悩んでも、知らないふりをし、彼らの苦しみを心に留めない。」
+ すると、人々はこう相談しました。「エレミヤを殺してしまおう。われわれには、祭司や学者、それに預言者がついている。彼の忠告などいらない。二度とわれわれに不利なことを語り、われわれを苦しめないように、彼の口を封じよう。」
+ ああ主よ、私を助けてください。彼らが私にどんなことをしようとしているか、見てください。
+ 彼らは、悪をもって善に報いようとするのですか。彼らは私を殺そうと、罠をしかけました。それでも私は神に、彼らのことを良く伝え、何とかして、神の怒りが彼らに向かないように努力しました。
+ 神よ、彼らの子どもを飢え死にさせてください。彼らを剣にかけてください。彼らの妻を未亡人とし、子どもを一人残らず奪ってください。男は疫病で死なせ、若者は戦場で倒れさせてください。
+ 兵士の一隊が不意に襲うとき、彼らの家から泣き叫ぶ声が聞こえますように。彼らは落とし穴を掘り、私の歩く道に、こっそり罠をしかけたからです。
+ 主よ。あなたは、私を殺そうとする彼らの計画をご存じです。彼らを赦さないでください。彼らの罪を赦さず、御前で滅ぼしてください。彼らに御怒りをもって罰してください。
+
+
+ 主はこう語りました。「粘土で作ったつぼを買い、都の南東にある瀬戸のかけらの門に近いベン‧ヒノムの谷へ持って行きなさい。長老と年長の祭司を数人連れて行き、わたしがあなたに伝えることは何でも語るのだ。」
+ 主は彼らにこう語りかけました。「ユダの王とエルサレムの市民よ、わたしのことばを聞け。わたしはイスラエルの神、天の軍勢の主だ。わたしはこの地に恐ろしい災害をもたらす。それは想像を絶するほど恐ろしく、それを聞く者の耳は刺されたように痛む。
+ イスラエルがわたしを捨て、この谷を恥と悪でいっぱいにしたからだ。この民は、今の世代の者も先祖も、またユダの諸王も拝んだことのない偶像に香をたき、この地を罪のない子どもたちの血で満たした。
+ バアルのために高い祭壇を築き、自分の子をいけにえとして焼いたのだ。こんなことは、命じもしなければ考えもしなかったことだ。
+ だから、この谷が『トフェテ』でも『ベン‧ヒノム』でもなく、『虐殺の谷』と呼ばれる日がくる。
+ わたしはユダとエルサレムの作戦の裏をかき、侵入して来る軍隊におまえたちを殺させ、死体をはげたかと野獣のえじきとするからだ。
+ また、わたしがエルサレムを地上から一掃するので、通り過ぎる人はみな、わたしがこの町にしたことを見て、驚きのあまり息をのむだろう。
+ 敵が町を包囲するので食糧はなくなり、閉じ込められた者が自分の子や友人の肉を食べるようになる。
+ エレミヤよ。連れの者たちの前で、持って来たつぼを砕き、
+ 天の軍勢の主のことばだと言って、こう伝えなさい。このつぼが粉々になったように、わたしはエルサレムの市民を粉々にする。つぼが元どおりにならないように、彼らも元どおりにならない。殺される人があまりにも多いので、埋葬する場所もなくなり、ついには、死体がこの谷に山積みになる。
+ それと同じことをエルサレムでもするので、そこも死体であふれる。
+ わたしはエルサレムのすべての家を汚す。その中には、ユダ王国の王宮や屋上で星の神々に香をたき、ぶどう酒を注いだ家々もある。」
+ エレミヤは、以上のことをトフェテで伝えたのち、市内に戻り、神殿の前で、全市民に言いました。
+ イスラエルの神である天の軍勢の主のことばだ。「わたしはこの町と周囲の町々に、約束どおり災いを下す。おまえたちが強情を張り、わたしのことばを聞こうとしなかったからだ。」
+
+
+ 神殿を管理する祭司であるイメルの子パシュフルは、エレミヤの語ることを聞くと、
+ 彼を逮捕してむちで打たせ、神殿に近いベニヤミンの門にある足かせにつなぎました。
+ エレミヤは、一晩中そこにさらされたのです。翌日、パシュフルがエレミヤを釈放すると、エレミヤは言いました。「パシュフル、主はあなたの名を変えました。あなたはこれからは『おびえながら生きる者』と呼ばれるようになる、と主は言われます。
+ 主があなたとあなたの友人に、恐怖を与えるからです。あなたは、友人が敵の剣で殺されるのを見るでしょう。主はこう断言します。『わたしはユダをバビロンの王に引き渡す。王はこの民を奴隷としてバビロンへ連れて行き、そこで殺す。
+ またわたしは、敵にエルサレムを略奪させる。この町の財宝は、王の宝石や金銀もろとも、遠くバビロンへと運ばれる。
+ パシュフルよ。おまえと家族、一族の者どもはみなバビロンで奴隷となり、そこで死ぬ。おまえをはじめ、万事うまくいくという、うその預言を聞いた者もみな、同じ運命に会う。』」
+ その時、私はこう言いました。ああ主よ。あなたは、助けようと約束しておきながら、私を欺きました。神は私より強い方なので、おことばを伝えないわけにはいきません。ところが今、私は町中の笑いものになり、だれからもさげすまれています。
+ 神は、私が彼らに優しいことばをかけることを、ただの一度も許しませんでした。私が話すのは、いつも災害や恐怖、それに滅亡のことだけでした。彼らが私をあざけり、さげすみ、もの笑いの種にするのは当然です。
+ ところが、私は神の使者になることをやめるわけにはいきません。二度と主のことを口にしないでおこう、これ以上、神の名によって語るのはやめようと言うと、私の心のうちにある神のことばは、まるで火のように骨の中で燃えています。そのため、苦しくてたまりません。
+ そのうえ、四方八方から脅す声が聞こえるので、私はおじけづきます。「彼を訴えてやろう」と、彼らは言います。かつての友人でさえ、私がつまずき倒れるのを待っています。「きっと彼は、自分でしかけた罠に落ちる。そうしたら、うんと仕返ししてやろう」とてぐすね引いて待っているのです。
+ しかし主は、偉大な勇士のように私のそばに立っています。この力ある恐ろしいお方の前で、彼らは縮み上がります。彼らは私に歯が立ちません。かえって恥をかき、徹底的に屈辱感を味わい、一生、汚名を着せられるようになります。
+ ああ、天の軍勢の主よ。正しい者を見分け、人の心の奥底にある思いを調べるお方よ。いっさいをお任せしますから、あなたが彼らに復讐してください。
+ 神よ、ありがとうございます。私は神をたたえ、ほめ歌います。困りきって哀れなこの私を、迫害する者の手から救い出してくださったからです。
+ けれども、やはり、私は自分が誕生した日をのろいたくなります。
+ 父に、男の子が生まれたと報告した人は、のろわれるがいい。
+ 神が少しも手かげんせずに打ち倒した昔の町々のように、滅ぼされてしまえ。一日中、戦いの叫び声を聞いておじけづけばいいのだ。
+ 私が生まれた時に、私を殺してくれなかったからだ。母の胎内にいる時に死に、そこが私の墓となっていたら、どんなによかったか。
+ どうして、私は生まれて来たのだろう。悩みと悲しみと恥ばかりの一生だったのに。
+
+
+ 次もまた、神からエレミヤにあったことばです。ゼデキヤ王は、マルキヤの子パシュフルと、マアセヤの子で祭司のゼパニヤをエレミヤのもとへ遣わし、こう言わせました。「主がお助けくださるように祈ってほしい。バビロンのネブカデネザル王が、宣戦布告をしてきたからだ。もしかしたら主は私たちへの恵みを忘れず、昔のようにすばらしい奇跡を行って、王が軍隊を撤退させるようにしてくださるかもしれない。」
+ エレミヤは答えました。「ゼデキヤ王のところへ戻り、イスラエルの主が、こう語ったと伝えなさい。『わたしは、バビロンの王と、おまえたちを包囲しているカルデヤ人との前で、おまえたちの武器を役に立たないようにする。それどころか、敵を町の真ん中に引き入れ、
+ 自らおまえたちと戦う。わたしは激しく怒っているからだ。
+ そのうえ、恐ろしい疫病をはやらせるので、人も家畜も共に死ぬ。
+ ゼデキヤ王も町に残っている者も、バビロンのネブカデネザル王の手に渡す。彼らは少しもあわれみをかけられることがなく、家畜のように殺される。
+ この民にそう知らせてやるのだ。』そう主は告げます。『生きるか死ぬかの、どちらかを選べ。
+ エルサレムに残り、敵の手にかかって殺されたり、飢えや病気で死んだりするほうを取るか。それとも、町を出てカルデヤ軍に降伏し、生きるほうを取るか。
+ わたしはこの町をこらしめようとしているのだ。この町の敵となり、友とはならない。この町はバビロン王の手に渡され、灰となる。』」
+ ユダの王に、神はこう告げます。
+ 「おまえのしているいっさいの悪のため、おまえをさばくことにした。さあ、急いで公平な裁判をするのだ。わたしの燃える憤りが、だれにも消せない火となっておまえに燃え移る前に、正しいことを始めなさい。
+ 『われわれは安全だ。ここにいる以上、だれも指一本ふれることはできない』と、うそぶいているエルサレムを相手に、わたしは戦う。
+ 自ら手を下し、罪を犯した罰としておまえたちを滅ぼす。わたしが森に火を放つので、周りのものは何もかも灰になる。」
+
+
+ 神は私に語りました。「出かけて行って、直接ユダの王に伝えよ。
+ ダビデの王座についているユダ王国の王と家来たち、それに民よ、わたしのことばを聞きなさい。
+ これがわたしの命令だ。公平で正しいことを行え。正義を求める人を助け、悪いことは即刻やめよ。外国人や移民、それに孤児と未亡人の権利を守り、罪のない者を殺してはならない。
+ もしおまえが、今している恐ろしいことに終止符を打つなら、わたしはこの国を解放し、再びダビデの王座に次々と王をつかせる。しかも、すべての民が栄えるようになる。
+ だが、もしおまえがこの警告を聞かないなら、わたしは自分の名にかけて誓うが、この宮殿は必ず廃墟となる。
+ この宮殿については、こう宣告する。おまえは、わたしにとっては豊作の地ギルアデであり、青々としたレバノンの森林だ。だが、わたしはおまえを滅ぼし、人の住まない、荒れ果てた場所にする。
+ おまえを解体する道具を持った者たちを集める。彼らは、木目の美しい杉の木を引き抜き、火に投げ込む。
+ 多くの国々の民が、この町の廃墟のそばを通り、口々に言う。『イスラエルの主はなぜ、このようなことをしたのだろう。なぜ、こんなに大きな都をつぶしたのだろう。』
+ この疑問に、次のような答えが返ってくる。『この住民が、神を忘れ、神との契約を破ったからだ。彼らは偶像を拝んだのだ。』
+ 死人のために泣いてはならない。連れて行かれた捕虜のために泣きなさい。彼らは二度と祖国の土を踏めないからだ。
+ また、父ヨシヤの跡を継いで王位につき、捕虜として連れ去られたエホアハズについては、こう宣告する。
+ 彼は遠い異国で死に、二度と故国を見ることができない。
+ エホヤキム王よ。おまえはひどい目に会う。強制労働によって宮殿を建てているからだ。おまえは、賃金を支払わないという不正を宮殿の壁に塗り込み、戸のわくと天井に虐待をはめ込んでいる。
+ そして、こう言っている。『広々した部屋が幾つもあり、窓のたくさんついた、壮大な宮殿を建てよう。香りの高い杉材をふんだんに使い、鮮やかな朱に塗り上げよう。』
+ だが、美しい宮殿ができたからといって、りっぱな王になれるわけではない。おまえの父ヨシヤは、なぜ長い間王位についていたのか。彼が正しく、公平を第一としたからだ。だからこそ、彼には神の祝福があった。
+ 彼は、貧しい人や困っている人に正義と援助の手が差し伸べられるようにした。それで、何もかもうまくいったのだ。このような人こそ、神のそば近くにいることができる。
+ だが、おまえはどうだ。自己中心で、貪欲であり、不誠実この上もない。罪のない者を虫けらのように殺し、貧しい者を苦しめ、血も涙もない暴君になり下がっている。
+ だから、父ヨシヤの跡を継いだエホヤキム王に、次の刑罰を下す。彼が死んでも、家族の者はだれも泣かない。家来は、彼が死んだことなど気にもかけない。
+ 彼はエルサレムの外に引きずり出され、門の向こうのごみ捨て場に投げ込まれて、死んだろばのように埋められる。
+ 頼みの連合軍は姿を消したのだから、大声を上げて泣くがいい。レバノンに行って彼らを捜し、バシャンで叫べ。アバリムで彼らを尋ねよ。彼らは一人残らず死んでいて、助けてくれる者は一人も残っていない。
+ おまえに勢いがあった時、わたしは警告したが、おまえは『干渉しないでください』と言った。おまえは子どものころから、わたしのことばを聞いたためしがない。
+ おまえの連合軍は、ひと吹きの風で姿を消した。友人はみな、奴隷となって連れて行かれる。こうして、いやでも自分の悪を認めざるをえなくなり、おまえは恥をかく。
+ レバノンの杉の木立の中の美しい宮殿で優雅な生活を送ることは、快適この上ない。だが、まもなくおまえは大声を上げ、陣痛に襲われた産婦のようにうめき苦しむ。
+ それから、ユダ王国のエホヤキム王の子エコヌヤよ。たとえ、おまえがわたしの右手にはめた印鑑つきの指輪だったとしても、わたしはおまえを抜き取り、おまえが最も恐れているバビロンのネブカデネザル王と、その強力な軍隊に渡す。
+ おまえとおまえの母親をこの国から放り出す。おまえは外国で死ぬ。
+ 慕っている祖国へは決して帰れない。
+ エコヌヤは、壊れて捨てられた皿のようだ。彼も彼の子どもも、遠い国に流される。」
+ 地よ、主のことばを聞きなさい。
+ 主はこう語ります。「エコヌヤを、子どものない者として記録しておけ。彼の子どものうち一人も、ダビデの王座につき、ユダを支配することはないからだ。こうして、彼の一生はあわのように消える。」
+
+
+ 神は宣告します。「わたしは、民の羊飼いである指導者に災いを下す。彼らは、世話をしなければならない者を滅ぼし、散らしたからだ。
+ おまえたちは、群れを安全に導くどころか、置き去りにし、滅びへと追いやった。わたしは、おまえたちが彼らに行った悪のために刑罰を下す。
+ 一方、群れの残りを、わたしが追いやった所から集め、元の牧場に連れ戻す。彼らは再び子を生んで増える。
+ また彼らの上に、責任感の強い羊飼いを立てる。彼らは二度と怖がる必要はなく、四六時中、守られるようになる。
+ やがて、わたしがダビデの王座に、正義の若枝を置く時がくる。彼は知恵と正義をもって治める王となり、地上に正しさが行き渡るようにする。『主は私たちの正義』が、彼の呼び名だ。その時、ユダは救われ、イスラエルは平和のうちに過ごす。
+ その日、誓いを立てる時、人々は『イスラエルの民をエジプトから救い出した神は生きておられる』ではなく、
+ 『ユダヤ人を、追いやられた国々からイスラエルへ連れ戻した神は生きておられる』と言うようになる。」
+ うそで固めた偽預言者たちのことを考えると、心が痛みます。私は恐ろしくなって目を覚まし、酔っぱらいのようにふらつきます。彼らには、恐ろしい運命が待ちかまえているからです。神は刑罰を下すと宣告なさいました。
+ この国は姦淫する者で満ちているため、神ののろいがかかっています。地そのものが嘆き悲しみ、牧草地は枯れています。預言者たちは悪に走り、不正を行うことに力を注いでいます。
+ 祭司も預言者同様、神を敬わない悪党ばかりです。主は言います。「わたしは神殿の中でさえ卑劣なことが行われるのを見た。
+ そのため、彼らの道は暗く、すべりやすくなる。彼らは、暗い危険な小道に追い込まれて倒れる。わたしは彼らに災いを下し、時がきたら、罰金を必ず全額支払わせる。
+ わたしは、サマリヤの預言者が考えられないほど悪いことを知った。彼らはバアルによって預言し、わたしの民イスラエルを罪に引きずり込んだからだ。
+ エルサレムの預言者はもっと悪い。彼らのしていることは、目をそむけたくなるほどで、姦淫を犯し、不正を愛している。悪いことをしている者を罪から引き戻すどころか、反対にほめ、励ましている。この預言者たちは、ソドムやゴモラの住民のように、徹底して堕落している。」
+ そのため、天の軍勢の主は宣告します。「わたしは彼らに苦い物を食べさせ、毒を飲ませる。彼らがいたばかりに、この国に悪がはびこるようになったからだ。」
+ これがわたしの民への警告だと、天の軍勢の主は告げます。「むなしい希望を与える偽預言者の言うことを聞いてはならない。彼らは口から出まかせを言い、わたしのために語ろうとしない。
+ わたしを侮る反逆者たちに、『何も心配することはない。何もかもうまくいく』としきりに言う。自分勝手な生活をしている者たちには、『平安があるとの、神のことばがありました』と言っている。
+ だが、神のことばを聞けるほど近くにいる預言者を、ただの一人でも挙げることができようか。彼らのうちの一人でも、神のことばを聞こうと努力しただろうか。
+ このような悪者どもを吹き飛ばすために、わたしは激しいつむじ風を送る。
+ わたしの恐ろしい憤りは、刑罰を余すところなく下すまでは終わらない。後に、エルサレムが敵の手に落ちたとき、おまえたちはわたしの言ったことを認めるようになる。
+ わたしが遣わした覚えのない預言者が、わたしのために語っていると言っている。わたしは彼らに何も言わなかったのに、自分たちの預言がわたしのものだと言いはる。
+ もし彼らがわたしの預言者なら、わたしの民を悪の道から立ち返らせようと努力しただろうに。
+ わたしはどこか一つの場所にだけいて、彼のしていることが見えないような神だろうか。
+ 人はわたしから姿を隠せるだろうか。わたしは、天にも地にも、どこにでもいるではないか。
+ 『ゆうべ、神からの夢を見た。その話を聞いてほしい』と、彼らは言う。こうして、わたしの名によってうそを並べるのだ。
+ こんなことが、いつまで続くのか。もし彼らが『預言者』だと言うなら、彼らは偽預言者で、自分で考え出したことを語っているのだ。
+ わたしが見せなかった夢を得々と説明して、バアルの偶像礼拝に転向していった先祖のように、わたしの民にわたしを忘れさせようとしている。
+ こんな偽りの預言者は、夢物語にうつつを抜かしていればいい。だがわたしの本物の使者は、わたしのことばを余すところなく忠実に語る。両者には、麦ともみがらほどの差がある。
+ わたしのことばは、火のように燃えないだろうか。それは、岩でさえ粉々に砕く巨大なハンマーではないか。
+ わたしは、語ることを互いに教え合っている『預言者』どもに立ち向かう。舌先三寸の預言者どもは、『このことばは神からのものだ』と言う。
+ 彼らが知恵をしぼって考え出した夢は、わたしの民を罪へ誘い込む、まことしやかなうそで固まっている。わたしは彼らを遣わさなかったし、彼らには、わたしの民に告げることなど何もない。
+ 民の一人、または『預言者』か祭司の一人が、『エレミヤよ。今日は神からどんな悲しいニュースを聞いたのか』と尋ねたら、こう答えなさい。『どんなニュースを聞きたいのか。おまえたち自身が悲しいニュースそのものではないか。神がおまえたちを捨てたのだから。』
+ 『今日の神からの悲しいニュース』などと悪ふざけをする偽預言者、祭司、民がいたら、わたしは彼らとその家族を罰する。
+ 『神はどんなことを語りましたか』と真剣に尋ね合うのはよい。
+ だが、『神からの悲しいニュース』と言って悪ふざけをしてはならない。悲しいのは、おまえたち自身のこと、おまえたちが平気でうそをつくことにほかならないからだ。おまえたちはわたしのことばを曲げ、わたしが言いもしない『神のことば』を作り上げている。
+ 『神からどんなことばがありましたか。神は何と言われましたか』と、敬意を込めてエレミヤに尋ねるべきだ。
+ だが、わたしの警告を無視して、『今日の神からの悲しいニュース』について聞こうとすれば、神であるわたしは、重荷となっているおまえたちを捨てる。おまえたちと、おまえたちの先祖に与えたこの町を、共にわたしの前から放り投げる。
+ わたしはおまえたちの恥をさらすので、おまえたちの名はいつまでも不名誉なものとなる。」
+
+
+ バビロンのネブカデネザル王が、エホヤキムの子でユダ王国のエコヌヤ王を捕虜とし、ユダの高官、大工や鍛冶屋などの熟練工と共にバビロンへ連れ去ったのち、主は次の幻を私に示しました。
+ エルサレムの神殿の前に、いちじくを盛った二つのかごが見えました。一つのかごには、よく熟した採り立てのいちじくがありました。しかし、もう一方のかごのいちじくは、ひどく腐っていて、とても食べられない状態でした。
+ その時、主が尋ねました。「エレミヤよ、何が見えるか。」「いちじくです。とてもおいしそうなものもありますし、ひどい状態のものもあります。」
+ 「良いいちじくとは、バビロンに移された人のことだ。わたしは彼らのためを思って、彼らを外国に送った。
+ わたしは、彼らが行った先で丁重に扱われるようにし、またこの地に連れ戻す。彼らを助けこそすれ、傷つけることはしない。彼らを植えて、二度と引き抜かない。
+ わたしに対して正しく応答する心を彼らに与える。彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。彼らは大喜びで、わたしのもとに帰って来るからだ。
+ 一方、腐ったいちじくとは、ユダのゼデキヤ王をはじめ役人たち、それにこの地に残っているエルサレムの住民のことだ。エジプトに住んでいる者も、この中に含まれる。わたしは彼らを腐ったいちじくのように処分する。
+ 彼らは、地上のあらゆる国々から毛虫のようにきらわれる。彼らは、わたしが強制的に追いやる地で、あざけられ、ののしられ、のろわれる。
+ わたしが大虐殺とききんと疫病を送るので、彼らはついに、わたしが彼らと先祖に与えたイスラエルの地から絶たれる。」
+
+
+ ユダのすべての民にあてられた次のことばは、ヨシヤの子でユダ王国のエホヤキム王の治世の第四年に、主がエレミヤに語ったものです。この年に、バビロンのネブカデネザル王が即位しました。
+ アモンの子でユダ王国のヨシヤ王の第十三年から今まで、二十三年間にわたって、私に神のことばがありました。私はそのことばを忠実に伝えたのに、あなたがたは聞こうとしませんでした。
+ 神は何度も、ご自分の預言者を遣わしたのに、あなたがたは耳をふさぎました。
+ 神のことばは、いつも次のようなものでした。「悪の道から離れ、悪事から足を洗いなさい。そうすれば、わたしがおまえたちと先祖に与えたこの地に、いつまでも住むことができる。
+ 偶像礼拝という大それたことをして、わたしを怒らせてはならない。わたしに真実を尽くすなら、害は加えない。
+ だがおまえたちは、わたしのことばを聞こうとしなかった。かえって、まっしぐらに悪の道に進み、偶像のことでわたしを怒らせた。ありとあらゆる災いを受ける結果を、自ら招いた。」
+ そして今、天の軍勢の主である神は、こう宣告します。「おまえたちはわたしのことばを聞かなかったので、わたしの代理人に立てたバビロンのネブカデネザル王の率いる北方軍団を呼び、この国と住民、それに周囲の国々を攻めさせる。こうして、おまえたちを徹底的に滅ぼし、永久にさげすみの代名詞とする。
+ 喜びと楽しみ、結婚式の喜びを取り除く。事業は失敗し、家庭は暗闇に閉ざされる。
+ 国の全土は見渡す限りの荒れ地となるので、全世界の人は、おまえたちに降りかかった災害を知ってショックを受ける。イスラエルと近隣諸国は、七十年間バビロン王に仕える。
+ この奴隷の期間が終わったら、わたしはバビロン王とその国の民を、彼らの罪のために罰する。カルデヤの地を永久に荒れ果てた所とする。
+ この書の中で約束した恐ろしい災害、エレミヤが国々に宣告した刑罰を全部、この地にもたらす。
+ 多くの国々と強い王たちは、カルデヤ人がわたしの民を奴隷にしたように、今度はカルデヤ人を奴隷にする。わたしは彼らを、彼らがわたしの民を扱った基準に従って罰する。」
+ 主は私に、こう語りました。「わたしの手から、わたしの憤りがなみなみとつがれているぶどう酒の杯を取り、わたしがあなたを遣わす、すべての国々の人に飲ませなさい。
+ 彼らは飲んでふらつき、わたしが下す致命的打撃によって錯乱状態になる。」
+ そこで、私は主の手から憤りの杯を取り、遣わされたすべての国々の人に飲ませました。
+ 私はエルサレムとユダの町々へ行きました。すると、王と長官はその杯から飲んだので、その日以来、彼らはみじめな状態になり、憎まれ、のろわれるようになりました。
+ 私はまた、エジプトの王とその家来、指導者とすべての国の民のところへ行きました。彼らもまた、その地に住む外国人ともども、この恐怖の杯から飲みました。ウツの地のすべての王、ペリシテの町々の王、すなわちアシュケロン、ガザ、エクロン、アシュドデの残りの者にも、同じようにしました。
+ 私はさらにエドム、モアブ、アモンの国々へ行きました。
+ またツロとシドンのすべての王、海の向こうにある地方の王、
+ デダン、テマ、ブズ、およびそこにいる異教の民、
+ アラビヤのすべての王、荒野の遊牧民のすべての王、
+ ジムリ、エラム、メディヤのすべての王、
+ 北方のすべての王を、一人一人訪ね、地上のすべての王国を巡りました。最後に、バビロンの王自身が、神の憤りを盛ったこの杯から飲みました。
+ 「あなたは彼らにこう言いなさい。『イスラエルの神である天の軍勢の主は言う。酔っ払って、嘔吐し、二度と立てなくなるまで、わたしの憤りを盛ったこの杯から飲め。おまえたちに恐ろしい戦争を送るからだ。』
+ もし杯を受け取らないなら、こう言いなさい。『天の軍勢の主は、どうしてもこれを飲めと命じている。避けるわけにはいかない。
+ すでに、自分の民さえ罰し始めているからだ。おまえたちだけ無罪放免になるわけがない。どんなにもがいても、刑罰を免れることはできない。わたしは地上の全住民に戦争を呼び寄せる。』
+ だから、彼らに預言して言え。主は天の聖所から自分の民に呼びかけ、全世界の民に呼びかける。『主は、酒ぶねの中でぶどうの実を踏みつぶす者のように、大声を張り上げる。
+ このさばきの叫び声は、地の果てまで届く。神が全世界の人をさばき、すべての悪者を殺すからだ。』
+ 天の軍勢の主はこう言う。『刑罰が国から国へと渡り歩き、神の憤りの暴風は地の果てまで吹きつける。
+ その日、主に殺される者は地の果てから果てまで及ぶ。だれも彼らのために嘆き悲しんだり、死体を埋葬したりしないので、彼らは地の肥やしとなる。
+ 悪い羊飼いよ、泣きわめけ。民の指導者よ、石に頭を打ちつけよ。おまえたちが虐殺され、散らされる時がきたからだ。おまえたちは弱々しい女性のように倒れる。
+ 逃げ隠れする場所を探しても、どこにも見つからない。
+ 羊飼いの半狂乱の叫び声、指導者の絶望まじりの叫び声を聞くがいい。わたしは彼らの牧場を荒らしたのだ。
+ 今まで平穏無事な生活を送ってきた者も、主の激しい怒りによって切り倒される。
+ 神は、獲物を探すライオンのように、忍び足で出て行った。主の激しい怒りのために、彼らの国は侵入してくる軍隊によって荒れ果てた。』」
+
+
+ ヨシヤの子でユダ王国のエホヤキム王の治世の第一年に、主からエレミヤに、次のことばがありました。
+ 「神殿の前に立って、ユダの各地から礼拝しに来たすべての人に語りなさい。わたしの言ったことを全部知らせるのだ。わたしが彼らに聞かせたいと思っていることを、ひと言も省略してはいけない。
+ 彼らはわたしのことばを聞いて、悪の道から離れるかもしれないからだ。そうすればわたしは、彼らの悪事のために下そうとしている刑罰を思いとどまる。
+ 彼らに、わたしがこう言っていると告げよ。もし、わたしのことばを聞かず、わたしが与えたおきてに従わず、
+ また、わたしのしもべの預言者の言うことを聞かないなら――もっとも、何度も預言者を遣わして警告させたのに、おまえたちは聞こうとしなかったが――
+ この神殿をシロの神殿のように壊し、エルサレムを全世界ののろいの代名詞とする。」
+ エレミヤが主から告げられたことをみな語り終えた時、祭司と偽預言者、神殿の中にいたすべての者がエレミヤに襲いかかり、「殺せ、殺せ!」と絶叫しました。
+ 「どんな権威があって、主がこの神殿をシロの神殿のように壊すなどと言うのか。エルサレムが破壊され、一人も生き残る者がいないとは、いったいどういうことか。」こうして騒ぎは大きくなり、だれもがエレミヤを攻撃しに、神殿へ押しかけました。
+ 役人は事の成り行きを聞くと、宮殿から駆けつけ、神殿の入口に座って裁判を開きました。
+ すると、祭司と偽預言者たちは、役人と集まった全員に、「この男は死刑にすべきだ。こいつがどんなにひどい裏切り者かは、お聞きのとおりだ。今まで、この都に不利な預言ばかりしてきた」と告訴しました。
+ エレミヤは次のように自分を弁護しました。「主が、この神殿とこの町に不利な預言をせよと、私にお命じになったのです。私の話したことはみな、神のおことばです。
+ もし、あなたがたが罪を犯すのをやめて主に従うなら、神はすでに宣告されたいっさいの刑罰を思いとどまるでしょう。
+ 私は無力で、しかもあなたがたの手中にあるのですから、好きなようにしてください。
+ ただし、ひと言だけ言っておきます。私を殺したら、罪のない者のいのちを奪ったことになります。その責任はあなたがたと、この町の全住民がとらなければなりません。主は確かに、あなたがたの聞いたことを残らず話すようにと、私にお命じになったからです。」
+ これを聞いて、役人をはじめとする人々は、祭司と偽預言者に言いました。「この男は死刑に当たらない。神の名によって語ったのだから。」
+ その時、知恵のある何人かの老人が立って、全員に話しかけました。
+ 「この決定は正しいと思います。以前、モレシェテ人ミカが、ユダ王国のヒゼキヤ王の時代に預言しました。『神は言う。この丘は平地の畑のように耕され、エルサレムの都は石の山となり、今大きな神殿の建っている山頂は森になる』
+ そのミカを、ヒゼキヤ王と民は殺したでしょうか。いいえ、そんなことはありません。彼らは悪から離れ、主を礼拝し、主のあわれみをひたすら求めたのです。それで主は、予告しておいた恐ろしい刑罰を下すことを思いとどまったのです。もし私たちが、神のことばを伝えたという理由でエレミヤを殺すなら、神がどんな仕返しをするかわかりません。」
+ エレミヤのほかにも、シェマヤの子でキルヤテ‧エアリム出身のウリヤという主の預言者がいて、同じ時期に、エルサレムとその住民とをきびしく非難しました。
+ エホヤキム王をはじめ将校、役人もみな、彼のことばを聞きました。ところが王は、人を遣わして彼を殺そうとしたのです。そのことを知ったウリヤは、エジプトへ逃げました。
+ すると王はウリヤを捕まえるために、アクボルの子エルナタンに数人の者をつけて、エジプトまで行かせました。
+ 彼が逮捕され、王のもとへ連れ戻されると、王は彼を八つ裂きにし、死体を共同墓地に捨てさせました。
+ しかし、シャファンの子で王室の秘書官アヒカムは、エレミヤの味方になり、彼のいのちをねらう暴徒たちの手に渡さないようにしました。
+
+
+ ヨシヤの子でユダ王国のエホヤキム王の治世の初めに、主からエレミヤに別のことばがありました。
+ 「くびきを作り、それを農耕用の牛につけるように、おまえの首に革ひもで結びつけなさい。
+ それから、エドムの王、モアブの王、アモンの王、ツロの王、シドンの王に、エルサレム在住の大使を通じてメッセージを送れ。
+ それぞれの王に、イスラエルの神である天の軍勢の主からのことばだと言わせなさい。
+ 『わたしは大きな力をもって、地と、全人類と、あらゆる動物を造った。これらを、わたしの目にかなった者に与える。
+ わたしはすでにおまえたちの国々を、わたしの代理人、バビロンのネブカデネザル王に与えた。また、おまえたちの家畜を全部彼のものとした。
+ 彼の時がくるまで、すべての国は彼とその子孫に仕える。そのあとで、多くの国の民と強い王たちがバビロンを征服し、住民を奴隷とする。
+ 今は彼に従い、彼に仕えよ。おまえたちの首をバビロンのくびきに入れるのだ。わたしは、彼の奴隷になろうとしない国の民を罰する。戦争とききんと疫病を送るので、その国は彼に征服される。
+ バビロンの王はおまえたちを奴隷にしないと言う偽預言者、占い師、夢見る者、霊媒、魔術師のことばに耳を傾けてはならない。
+ 彼らはみなうそつきだ。もし彼らの助言に従い、バビロンの王に降伏しないなら、おまえたちを国外へ追放し、遠い地で滅ぼす。
+ だが、バビロン王の意のままになる国の民は、今までのように自国に住み、土地を耕す。』」
+ エレミヤはこの預言をユダのゼデキヤ王にも伝え、こうつけ加えました。「生きていたい者は、バビロン王に降伏しなさい。
+ あなたも民も、なぜ、そんなに死に急ぐのですか。なぜ、主がバビロン王に従わない国々に、与えると言った戦争とききんと疫病を選ぶのですか。
+ バビロン王がこの国を征服するはずはないと、しきりに言っている偽預言者のことばを聞いてはなりません。彼らは、とんでもないうそつきです。
+ 『わたしは送り出した覚えもないのに、彼らはわたしの名によって、おまえたちにうそをついている。どうしても彼らの言うことを聞くというなら、おまえを、偽預言者ともどもこの国から追放して、殺すよりほかはない』と、神は言っています。」
+ 私はくり返し、祭司とすべての民に告げました。「主は命じます。神殿から運び出された金の皿はまもなくバビロンから戻ってくる、と言っている預言者に、耳を貸すな。そんなことがあるはずはない。
+ 彼らの言うことを聞いてはならない。バビロン王に降伏して生き延びよ。そうでないと、この町は全部破壊される。
+ もし、彼らがほんとうに神の預言者なら、まだ神殿に残っている金の皿や、王宮とエルサレムの宮殿にある金の皿が、おまえたちといっしょにバビロンへ持ち去られないよう、祈るべきではないか。
+ 天の軍勢の主は、こう言います。『バビロンのネブカデネザル王が、ユダとエルサレムの重立った人々を、エホヤキムの子でユダ王国のエコヌヤ王と共に連れ去った時残しておいた、神殿の前にある青銅の柱、神殿の庭の大きな青銅の水盤、そのほか金属製の台や儀式用具などは、
+ みなバビロンに運び去られ、わたしが取り返すまでそこにある。後に、わたしはそれらの物をみな、エルサレムへ持ち帰る。』」
+
+
+ 同じ年、ユダ王国のゼデキヤ王の治世の第四年の七月のある日、アズルの子でギブオン出身の偽預言者ハナヌヤが、神殿の中で私に挑みました。祭司全員と人々が聞いている前で、きっぱり断言したのです。
+ 「イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言っています。『わたしは、おまえたちの首からバビロン王のくびきをはずした。
+ 二年以内に、ネブカデネザルがバビロンへ運び去った神殿の宝物を、全部持ち帰る。
+ また、エホヤキムの子でユダ王国のエコヌヤ王と、バビロンに移された捕虜全員を連れ戻す。わたしは必ず、バビロン王がおまえたちの首にかけたくびきをはずす。』」
+ これを聞いたエレミヤは、祭司と人々の前で、ハナヌヤに言いました。
+ 「アーメン。あなたの預言どおりになるように。主があなたの言ったことを全部実現して、神殿の宝物を、愛する同胞といっしょにバビロンから取り戻してくださればよいと、私も思っている。
+ しかし今は、ここにいる人たちの前ではっきりさせておこう。
+ 昔の預言者たちは、多くの国々に不利なことを話し、いつも決まって、戦争とききんと疫病の警告をしたものだ。
+ だから、平和を予告する預言者は、ほんとうに神から遣わされたのかどうか、証明しなければならない。預言がそのとおり実現してはじめて、それが明らかになるからだ。」
+ ハナヌヤはエレミヤの首から例のくびきをはずし、それを壊しました。
+ そして、集まっていた人々に、「見るがいい、このとおりだ。主は二年以内に、今バビロンのネブカデネザル王の奴隷になっている国々の民を解放する、と約束なさった」と宣言しました。ここまで聞いてから、エレミヤは出て行きました。
+ するとまもなく、神からエレミヤに次のことばがありました。
+ 「ハナヌヤのところへ行き、主がこう言うと伝えよ。おまえは木のくびきを壊したが、これらの国の民は首に鉄のくびきをつけている。
+ イスラエルの神、天の軍勢の主であるわたしが言う。わたしは、これらの国の民に鉄のくびきをはめ、むりやりバビロンのネブカデネザル王の奴隷とした。この運命は、どんなことがあっても変わらない。おまえたちの家畜まで、彼のものになる。」
+ そこで、エレミヤは偽預言者ハナヌヤに言いました。「よく聞け、ハナヌヤ。主はあなたをお遣わしにならなかった。ところが人々は、あなたのうそを信じ込んでいる。
+ だから、あなたはどうしても死ななければならない。これは主のことばだ。今年中に、あなたの寿命は尽きる。主に逆らったからだ。」
+ このことばのとおり、二か月後にハナヌヤは死にました。
+
+
+ エコヌヤ王と王母、宮廷の役人、地方長官、それに技術者たちが、ネブカデネザルによってバビロンへ移されてのち、エレミヤはユダヤ人の長老、祭司、預言者、すべての民にあてて手紙を書きました。
+ この手紙を、ゼデキヤ王の使節としてバビロンのネブカデネザル王を訪問した、シャファンの子エルアサとヒルキヤの子ゲマルヤに託しました。内容は次のとおりです。
+ 「イスラエルの神である天の軍勢の主は、エルサレムからバビロンへ移された捕虜全員に、こう告げます。
+ 『家を建て、長期の滞在計画を立てなさい。長年にわたってそこにいることになるから、ぶどう園を造れ。
+ 結婚して、子どもをもうけよ。子どもにも相手を見つけてやり、多くの孫が生まれるようにしなさい。人口を減らしてはならない。
+ バビロンの平和と繁栄のために努力し、そのために祈るのだ。バビロンが平和であれば、おまえたちも平和に過ごせるからだ。』
+ イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう告げます。『おまえたちのうちにいる偽預言者や霊媒にだまされてはならない。彼らの考え出した夢物語を聞いてはならない。
+ 彼らは、わたしの名によってうその預言をするからだ。わたしは彼らを遣わさなかった。
+ 実際、おまえたちは七十年間バビロンにいることになる。そののち私は、おまえたちに約束しておいたすべての祝福を与え、故国に連れ戻す。
+ わたしは、おまえたちのために立てた計画をよく知っている。それは災いではなく祝福を与える計画で、将来と希望を約束する。
+ その時になったら、わたしはおまえたちの祈りに耳を傾ける。
+ 真剣に探し求めるなら、おまえたちはわたしを見つけることができる。
+ そうだ。わたしはおまえたちに見つけられる。わたしはおまえたちを奴隷の身分から解放し、財産を回復し、追いやられた国々から集め、再び故国の土を踏ませる。
+ だが今は、偽預言者の言うことを信じ、主が彼らを遣わしたと言っているので、
+ わたしは、エルサレムに残っているおまえたちの親族とダビデの王座についている王に、戦争とききんと疫病を送る。彼らは、腐ったいちじくのようになる。
+ しかもわたしは、彼らを世界中に散らす。彼らは行った先々の国で、のろわれ、ののしられ、あざけられる。
+ わたしが、わたしの預言者を通して何度も語ったのに、いっこうに聞こうとしなかったからだ。』」
+ だから、バビロンにいるすべてのユダヤ人捕虜よ、神のことばを聞きなさい。
+ イスラエルの神である天の軍勢の主は、神の名によってうそをついている、コラヤの子の偽預言者アハブとマアセヤの子ゼデキヤについて、こう告げます。「わたしは二人をネブカデネザルの手に渡し、人々の前で処刑させる。
+ 彼らの運命は悪いことを表すことわざとなり、のろいのことばとして、『神がおまえを、バビロンの王に焼き殺されたゼデキヤやアハブと同じ目に会わせるように』と言われるようになる。
+ 彼らはわたしの民の間で恐ろしいことをした。隣人の妻と姦通し、わたしの名によってうそをついた。わたしは彼らのすることを全部見てきたので、その行動の一部始終を知っている。
+ 夢見る者シェマヤには、次のように言いなさい。」
+ イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう告げます。「おまえはマアセヤの子の祭司ゼパニヤに手紙を書き、その写しをほかの祭司とエルサレムの全住民に送った。
+ おまえは手紙にこう書いた。『主はエホヤダの代わりに、あなたをエルサレムの祭司に任命しました。ですから、預言者だと自称する気が変になった男を捕まえ、足かせと首かせをはめる責任があります。
+ それなのにどうして、アナトテ出身の偽預言者エレミヤを放っておくのですか。
+ 彼はバビロンにいる私たちに、捕虜になる期間は長いので、しっかりした家を建て、長期の滞在計画を立て、果物の木を植えるようにと指図しました。私たちがこれから先もずっとここにいて、その木の実を食べることになると言うのです。』」
+ ゼパニヤは、この手紙をエレミヤのところへ持って行き、読んで聞かせました。
+ すると、主からエレミヤに次のことばがありました。
+ 「バビロンに流された者全員に封をしていない手紙を出し、こう伝えなさい。わたしは任命した覚えがないのに、ネヘラム人シェマヤは勝手に『預言』し、うそを信じ込ませようとした。
+ わたしは彼とその家族を罰する。彼の子孫は誰ひとり、わたしが民のために用意している祝福を見ない。彼がおまえたちに、わたしに背くように教えたからだ。」
+
+
+ これは、主からエレミヤにあった別のことばです。
+ イスラエルの神はこう命じます。「わたしがおまえに語ったことをみな、記録に残しなさい。
+ わたしの民イスラエルとユダを、元どおり、先祖に与えたこの地へ連れ戻す時がくるからだ。彼らはこの地を所有し、再び住みつく。
+ また、わたしがイスラエルとユダについて語った次のことばも、書き留めておくのだ。
+ 『平和はどこにあるのだ。あるのは恐怖とおののきだけだ。
+ 男が子どもを産むだろうか。そんなことはありえないのに、どうして彼らは、真っ青な顔をして、産婦のように腰に手を当てて立っているのか。』」
+ ああ、今までの歴史の中で、やがてくる日のような恐怖の時があったでしょうか。それは、同胞イスラエルの苦しみの時で、今までに一度も経験したことのないものです。しかし、神は彼らを救い出してくださいます。
+ 天の軍勢の主は、こう約束します。「その日になると、わたしは彼らの首のくびきを壊し、体に巻きついている鎖を断ち切る。外国人は二度と彼らの主人にならない。
+ 彼らは、わたしと、わたしが彼らのために立てるダビデ王に仕えるようになる。
+ わたしのしもべヤコブよ、怖がることはない。イスラエルよ、うろたえなくてもいい。わたしがおまえを遠い国から連れ戻し、おまえの子孫を、流されて行った先から連れ戻すからだ。彼らは自分の国でゆったりくつろぎ、だれも彼らを脅かさなくなる。
+ わたしがそばについていて救うからだ。わたしはおまえの寄留先の国々を全滅させることがあっても、おまえを根絶やしにすることはしない。もちろん、おまえが完全に罰を免れるというわけではないが。
+ おまえの罪は、どうしても治らない打ち傷のようで、ひどく痛んでいる。
+ 助ける者はなく、傷口に包帯を巻く者もいない。どんな薬も効き目がない。
+ 恋人はみな、おまえを置き去りにし、二度と世話をしない。わたしが、まるで敵ででもあるかのように、おまえをひどく傷つけたからだ。血も涙もない敵のように、容赦なく痛めつけた。おまえの罪があまりにも多く、とががあまりにも大きかったからだ。
+ なぜ抗議するのか。当然の刑罰ではないか。おまえの罪は目も当てられないほど醜いので、悲しみはいつまでも終わらない。こんなにも懲らしめるのは、おまえのとがが途方もなく大きいからだ。
+ だがいつか必ず、おまえを滅ぼす者はみな滅ぼされ、おまえの敵はみな奴隷となる。おまえから略奪する者は略奪され、おまえを攻撃する者は、逆襲される。
+ わたしはおまえの傷を治し、元の健康な体にする。今は、おまえは『捨てられた者』『だれも欲しがらないエルサレム』と呼ばれている。」
+ しかし、神は約束します。「わたしがおまえたちを捕虜になっていた地から連れ帰り、元の状態に戻す時、エルサレムは廃墟の上に再建される。宮殿は以前のように建て直され、
+ 町には喜びと感謝の声があふれる。わたしの民は増え、名誉ある偉大な民となる。
+ 彼らの子孫は、ダビデが王位についていたころのように栄える。民はわたしの前に堅く立てられ、わたしは彼らに危害を加える者を罰する。
+ 彼らには、再び指導者が立てられる。しかも、外国人ではない指導者が。わたしが彼を、わたしの祭壇に仕える祭司にするために招くと、彼はわたしに近づく。招かれないのに近づく者はいない。
+ おまえたちはわたしの民となり、わたしはおまえたちの神となる。
+ すべてを吹き飛ばす主のつむじ風が突然起こり、悪者どもを直撃する。
+ わたしは、計画しておいた恐ろしい破壊を完了するまでは、激しい憤りをおさめない。のちになって、おまえたちはわたしの言ったことを理解する。
+
+
+ その時、イスラエルの全家族はわたしを主と認める。彼らは、わたしの民としてふるまうようになる。
+ 昔わたしが、エジプトから逃げて来たイスラエル人を、荒野であわれみ、休息を与えた時のように、彼らをいたわり、愛を注ぐ。
+ それは、かつてイスラエルにこう言ったからだ。わたしの民よ。わたしは永遠の愛をもっておまえを愛してきた。あわれみの綱でおまえを引き寄せてきた。
+ イスラエルのおとめよ。わたしは、おまえの国を再建する。おまえは以前のように幸せになり、タンバリンをたたいて陽気に踊る。
+ もう一度サマリヤの山の上にぶどう園を造り、その実を食べるようになる。
+ エフライムの丘に立つ見張りが声を張り上げ、『さあ、シオン(エルサレム)に上って、神のもとへ行こう』と言う日がくる。」
+ 神はこう語ります。「地上で最も偉大な国イスラエルに、わたしがどんなことをするかを知って、喜び歌え。『主は、イスラエルの残りの民であるご自分の民を救った』と、賛美と喜びをもって大声で語り伝えなさい。
+ わたしが彼らを、北から、また地の果てから連れ戻すからだ。盲人や足の不自由な人、赤ん坊を連れた若い母親、お産の近い女には、特別に心を留める。彼らは大きな集団となって帰る。
+ だれの頬にもうれし涙がこぼれる。わたしは彼らを、壊れ物を運ぶように注意して連れ帰る。彼らは静かに流れる川のほとりを歩き、つまずくことはない。イスラエルにとってわたしは父であり、エフライムはわたしの長男だからだ。」
+ 世界の国々よ、主からの次のことばを聞き、言い広めなさい。主はご自分の民を散らしたが、再び集め、羊飼いがその群れを飼うときのように見守ります。
+ イスラエルを、とても歯が立たない敵の手から救い出すのです。
+ 彼らは帰国して、シオンの丘で喜びの歌を歌います。豊作の穀物、麦とぶどう酒と油、健康そのものの羊と家畜の群れという主の恵みに浴して、彼らの顔は喜びに輝きます。彼らのたましいは潤った園のようになり、悲しみは一つ残らず逃げ去ります。
+ 娘たちは喜びのあまり踊り出し、男たちは、年老いた者も若者も陽気にはしゃぎます。「わたしは彼らの嘆きを喜びに変え、彼らを慰め、楽しませる。苦しいことばかりの捕虜の時代は、もう過去のこととなった。
+ わたしは祭司たちを、神殿に運ばれる山のような供え物で再びもてなす。わたしの民がすっかり満足するまで、十分に食べさせる」と、主は約束します。
+ 主は私に、再び語りました。「ラマ(バビロンの捕虜となったユダヤ人が集合させられた場所)で激しい泣き声が聞こえる。ラケル(ヤコブの妻。イスラエル王国の母として象徴的に言われている)は子どものために泣いているが、どうしても慰めることはできない。それは、子どもがいなくなったからだ。」
+ しかし、神は約束します。「おまえはもう、泣かなくていい。わたしは確かにおまえの祈りを聞いた。おまえはまた子どもに会える。彼らは遠い敵の国から、おまえのふところへ帰って来る。
+ おまえの将来には希望がある。おまえの子どもは生まれ故郷へ帰って来る。
+ 私はエフライムのうめき声を聞きました。」「神は私をひどく罰しました。子牛がくびきを負う訓練をさせられるように、私にも懲らしめが必要だったのです。私を神のもとに立ち返らせ、元どおりにしてください。神よ。ただあなただけが主だからです。
+ 私は神いたことを後悔しました。なんと愚かな人間だったのかと反省し、ももの肉を打ちました。若かったころにしたことを考えると、恥ずかしくなります。」
+ 神のお答えはこうです。「エフライムは今でもわたしの子だ。かけがえのない子であることに変わりはない。罰を加えないわけにはいかないが、それでもなお、彼を愛している。いとおしくてたまらないので、必ずあわれみをかける。
+ 捕虜として遠い国へ引かれて行く時、イスラエルに帰る目じるしとなる道しるべを、あちこちに立てておきなさい。通った道をしっかり頭に入れておくのだ。おとめイスラエルよ。やがて、おまえは自分の町に帰って来ることになる。
+ 気まぐれな娘よ。いつまで、どっちつかずでいるのか。わたしは、今までだれも聞いたこともないような新しいことをする。その時イスラエルは、わたしを尋ね求めるようになる。」
+ イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「わたしが彼らを連れ戻す時、彼らはユダとその町々で、次のように言うだろう。『義の中心であるきよい山よ。神があなたを祝福されるように。』
+ 町の住民も、農夫も、羊飼いも、平和で幸福な暮らしをするようになる。
+ わたしは疲れた者には休息を、悲しむ者には喜びを与えるからだ。」
+ ここでエレミヤは目を覚まし、「この眠りは、とてもここちよかった」と言いました。
+ 主はこう言います。「わたしが、このイスラエルで人口をおびただしく増やし、家畜を増し加える時がくる。
+ 以前この国をくり返し痛めつけたが、今度は気を配って築き上げる。
+ 人々は二度と、『父親の罪のあとしまつを子どもがさせられる』ということわざを口にしなくなる。
+ だれもが自分の罪のために死ぬようになるからだ。すっぱいぶどうを食べた本人の歯が浮くのだ。」
+ 主は言います。「わたしがイスラエルおよびユダの民と、新しい契約を結ぶ日がくる。
+ それは、わたしが彼らの先祖の手をとってエジプトから導き出した時、結んだようなものではない。彼らがそれを破ったので、やむなく、わたしは彼らを見捨てた。
+ 新しい契約とはこうだ。わたしは、わたしのおきてを彼らの心に刻みつける。そのため彼らは、わたしをあがめたいという気持ちになる。こうして、彼らは文字どおりわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。
+ その時はもう、主を知るようにと互いに忠告する必要はなくなる。身分の高い者も低い者も、だれもがわたしを心底から知るようになるからだ。わたしは彼らの罪を赦し、忘れる。」
+ 日中は太陽の光を与え、夜を明るくするために月と星を与え、海をかき立てて大波を起こす天の軍勢の主は、こう言います。
+ 「もし、これらの自然界の法則がなくなるものなら、わたしはわたしの民イスラエルを見限るだろう。
+ 天が正確に測られ、地中深くの基礎が現れない限り、罪を犯したからといって、わたしが彼らを捨てることなどありえない。」
+ 主は言います。「エルサレムの町全体が、わたしのために再建される時がくる。北東の端にあるハナヌエルの塔から、北西にある隅の門まで、また南西にあるガレブの丘から、南東にあるゴアに至るまで、すべて建て直される。
+ 墓地と谷にある灰捨て場を含め、全市が、わたしにとってきよいものとなる。キデロン川に至るまでの畑全部、そこから町の東側にある馬の門に至るまでの地区も、きよいものとなる。これからは、二度と敵に踏みにじられたり、占領されたりはしない。」
+
+
+ ネブカデネザル王の第十八年に当たる、ユダ王国のゼデキヤ王の第十年に、主からエレミヤに次のことばがありました。
+ そのころ、エレミヤは王宮の地下牢に閉じ込められており、バビロンの軍隊はエルサレムを包囲していました。
+ ゼデキヤ王が彼をそこに閉じ込めたのは、彼があくまで、エルサレムはバビロンの王に占領され、
+ ゼデキヤ王も捕まり、捕虜としてバビロンの王の前に連れ出され、さばかれると預言し続けたからです。
+ 「彼は王をバビロンへ連れて行き、死ぬまで牢に入れておきます。どうして、この事実を素直に認めないのですか。勝てるはずがありません。今、降伏しなさい。」エレミヤは何度も言いました。
+ その時、主からエレミヤに次のことばがありました。「まもなく、シャルムの子ハナムエルが来て、アナトテにある畑を買ってほしいと頼む。おまえはいとこなので、法律によって、それを買う優先権があるからだ。」
+ ハナムエルは、そのとおり、牢にいるエレミヤを訪ね、こう頼みました。「ベニヤミンの地のアナトテにある、私の畑を買ってくれないか。法律によって、君にそれを買う優先権があるのだ。」私は、彼の言うことが間違いなく主から出たことを知りました。
+ 私は畑を買い、ハナムエルに銀貨十七枚を払いました。
+ 証人の前で契約書に署名したうえで封印し、支払いをすませたのです。
+ それから、さまざまの規約を記した封印された証書と、封印されていない写しを受け取り、
+ いとこのハナムエルと証書に署名した証人との前で、看守に見守られながら、その証書をマフセヤの子ネリヤの子であるバルクに渡しました。
+ それから、全員の聞いている前でこう指示しました。
+ 「イスラエルの神である天の軍勢の主の命令です。『封印してある証書と封印のない写しを、つぼに入れて長く保管しておきなさい。
+ やがてこの証書に価値の出る時がくる。そのうちに必ず、人々は再びこの国に土地を持ち、家やぶどう園や畑を売り買いするようになる。』」
+ 証書をバルクに渡すと、私は祈りました。
+ 「ああ神よ。あなたは大きな力をもって天と地をお造りました。あなたにとって、難しいことは何一つありません。
+ あなたは愛と恵みに満ちたお方です。しかし、父親が罪を犯したら、その子どもを苦しめるお方でもあります。偉大な全能の神、天の軍勢の主です。
+ あらゆる知恵をたくわえ、目をみはる大きな奇跡を行います。神の視線は人のすべての道に注がれており、それぞれの生き方と行為に従って、一人一人に報いるのです。
+ あなたはエジプトでは、信じられないようなことを行いました。それらはみな、今日も私たちの記憶に残っています。しかもあなたは、イスラエルばかりか全世界で、今も大きな奇跡を行い続けています。こうして、ご自分の名を今日のように偉大なものとしました。
+ 神は、目をみはる奇跡と、大きな力、大きな恐れをもって、イスラエル人をエジプトから連れ出しました。
+ ずっと以前に先祖に約束したこの国をお与えになりました。まことにそれは、乳とみつの流れる地です。
+ 私たちの先祖はこの地を占領し、ここに住みつくようになりました。ところが、彼らは神に従わず、神のおきてを守りませんでした。神に命じられたことを、一つも行おうとしませんでした。だからこそ、この恐ろしい災いが下ったのです。
+ ごらんください。町の城壁沿いに、とりでが築き上げられました。バビロニヤ人がこの町を、剣とききんと疫病によって攻め取ろうとしています。何もかも、おことばのとおりになりました。
+ まもなくこの町が敵の手に渡るというのに、神は私に、畑を買い、証人たちの前で大金を払うようにお命じになるのです。」
+ すると、エレミヤにこのようなことばがありました。
+ 「わたしは、全人類の神、主だ。わたしにとって、不可能なことは一つもない。
+ わたしは必ず、この町をバビロニヤ人とバビロンのネブカデネザル王の手に渡す。彼がここを占領する。
+ また、今城壁の外にいるバビロニヤ人は、市内に侵入して町に火をつける。屋上で香をたき、ほかの神々にぶどう酒を注いで、わたしの激しい怒りを買う原因となった家々を焼き払う。
+ イスラエルとユダは、若いころから悪いことばかりしてきた。彼らは、ありとあらゆる悪でわたしを激怒させた。
+ この町は、建てられた時から今日まで、わたしを怒らせることばかりしてきた。だから、わたしはこの町を滅ぼす。
+ イスラエルとユダの罪が、わたしを怒らせる。
+ 彼らはわたしに背いたまま、いっこうに立ち返ろうとしない。わたしは毎年、くる日もくる日も正しいことと悪いことの区別を教えたのに、彼らは聞こうとも、言いつけを守ろうともしない。
+ 神殿の中でさえ憎むべき偶像を拝み、そこを汚した。
+ それでも足りず、ヒノムの谷にバアルの高い祭壇を築いた。そして自分の子どもを焼き、モレクへのいけにえとした。こんなことは、命じた覚えもなければ、考えもしなかったことだ。ユダに大きな罪を犯させる原因となったこの罪は、けたはずれに大きなものだ。
+ だから今、イスラエルの神であるわたしは、この町が戦争とききんと疫病によってバビロン王の手に落ちると断言する。
+ しかしわたしは、わたしの民を、憤って散らした国々から連れ戻す。この町に連れ帰って、安らかに住まわせる。
+ こうして彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。
+ また、わたしは彼らと彼らの子孫のためを考えて、彼らに、わたしを永久にあがめる心と思いを与える。
+ わたしは、二度と彼らを見限ることはなく、恵みだけを与える約束として、彼らと永遠の契約を結ぶ。彼らの心に、わたしを礼拝しようという願いを入れるので、どんなことがあってもわたしから離れなくなる。
+ わたしは心から喜んで彼らを幸福にし、再びこの地に植える。
+ これらの恐怖と災いを送ったように、その時は、約束したすべての祝福を注ぐ。
+ 今はバビロニヤ人に荒らされ、人も家畜も姿を消したこの国で、再び畑が売買されるようになる。
+ ベニヤミンの地でも、エルサレムでも、ユダの町々でも、山地でも、平野でも、ネゲブでも、もう一度、証書に署名し、封印し、証人を立てて畑を売買するようになる。わたしは必ず、土地を彼らに返すからだ。」
+
+
+ まだエレミヤが牢につながれていた時、神は再び彼にことばを与えました。
+ 「主という名の、天と地の造り主である神は、こう言います。
+ 『わたしに尋ねなさい。そうすれば、この地に起ころうとしている、信じられないほど不思議なことを教える。
+ たとえ敵のとりでに対抗するために、この町の家々と王宮を壊して城壁を補強する材料にしたとしても、
+ バビロニヤ人は侵入して来る。この町の男たちは、すでに死んだも同然だ。わたしが、激しい怒りをもって殺そうと決めているからだ。彼らのひどい悪のために、わたしは彼らを見捨てた。たとえ助けを呼び求めても、あわれまない。
+ しかし、わたしがエルサレムの損害を補償し、繁栄と平和を与える時がくる。
+ ユダとイスラエルの町々を再建し、彼らの財産を元どおりにして返す。
+ 彼らのすべての罪をきよめ、赦す。
+ その時、この町はわたしにとって名誉となる。また、わたしの喜びとなり、地上のすべての国々の間で、わたしをあがめ、わたしの栄光を現す中心地となる。世界中の人は、わたしがわたしの民にどんな祝福を与えたかを知って、恐れに取りつかれ、身震いする。
+ 花婿と花嫁の喜びに満ちた声、わたしに感謝の供え物を運んで来る人の喜びの歌が、再び、この破滅を宣告された地で聞かれるようになる。人々は、『神をほめたたえよう。神は恵み深く、そのあわれみは永遠に続く』と歌うようになる。わたしはこの地を、前よりも幸福にし、栄えさせる。
+ 今は全住民と家畜の滅亡が決まっているが、もう一度、羊や子羊を導く羊飼いの姿を見るようになる。
+ 山地の村々、平野部の東にある町々、ネゲブのすべての町々、ベニヤミンの地、エルサレム近郊、それにユダのすべての町々でも、再び羊の群れが増える。
+ イスラエルとユダに、わたしが約束しておいたすべての祝福の実現する日がくる。
+ その時、わたしはダビデの真実の子を王にする。彼は正義をもって支配する。
+ その日、ユダとエルサレムの人たちは安心して住み、『主は私たちの正義』という標語を掲げる。
+ それからは、ダビデの世継ぎが永久にイスラエルの王座につく。
+ さらに、いつもレビ人が、完全に焼き尽くすいけにえをはじめ、その他のいけにえや供え物を、神にささげるようになる。」
+ その時、主からエレミヤに次のことばがありました。
+ 「わたしが昼および夜と結んだ契約を破り、きちんと決まった時間に、昼や夜がこないようにできるか。もしできたら、わたしがわたしのしもべダビデと結んだ契約も破られ、彼の王座につく子孫はいなくなる。このように、神に仕えるレビ人の祭司たちと結んだわたしの契約も、決して破棄されない。
+ 星が数えきれず、海辺の砂が量りきれないように、わたしのしもべダビデの子孫と、わたしに仕えるレビ人の子孫は増える。」
+ 神は再び、エレミヤにこう語りかけました。
+ 「おまえは人々が何と言っているか聞かなかったのか。彼らは、神はユダとイスラエルを選んでおきながら見捨ててしまった、と言っている。イスラエルはもはや国家としての価値がなくなったと、あざ笑っている。
+ だが、わたしはこう答えよう。わたしが昼と夜、天と地の法則を変えないように、わたしの民を捨てるはずはない。わたしは決して、ユダヤ人とわたしのしもべダビデとを見限らない。また、ダビデの子がやがてアブラハム、イサク、ヤコブの子孫を支配するという計画を変えない。それどころか、彼らにあわれみをかけ、その財産を元どおりにする。」
+
+
+ バビロンのネブカデネザル王とその支配下の国々の軍隊が一つになって、エルサレムとユダの町々を攻めている時、主からエレミヤに次のことばがありました。
+ 「ユダのゼデキヤ王に、主がこう言うと伝えなさい。わたしはこの町をバビロン王に渡すので、彼は町を焼く。
+ おまえは逃げられない。捕虜になってバビロン王の前に引き出され、有罪を宣告される。そしてバビロンへ連れて行かれる。
+ だがユダのゼデキヤ王よ、次のことをよく聞くのだ。おまえは戦争や虐殺に巻き込まれて死ぬことはなく、
+ 人々に囲まれて安らかに死ぬ。みな、おまえの先祖にしたように、おまえを記念して香をたく。人々はおまえのために、『ああ、王様が死んでしまった』と泣く。このことを確かに言っておく。」
+ そこでエレミヤは、そのとおりゼデキヤ王に知らせました。
+ ちょうどその時、バビロン軍はエルサレムとラキシュ、アゼカを包囲していました。ユダでまだ残っている城壁のある町は、ここだけだったのです。
+ ゼデキヤ王が、エルサレムにいる奴隷を全員解放したのちに、主からエレミヤに次のことばがありました。
+ 王は全住民に、ヘブル人(イスラエル人)の奴隷は男女を問わずすべて自由の身にするようにと命じたのです。ユダヤ人は兄弟同士だから、奴隷にしてはいけないというのです。
+ 高官や住民はみな王の命令に従い、奴隷を自由の身にしましたが、それは一時的なことでした。
+ あとで心変わりして、使用人を再び奴隷にしました。
+ それで、次のことばがエルサレムにあったのです。
+ イスラエルの神は、こう言います。「わたしは、奴隷だったおまえたちの先祖をエジプトから連れ出した時、彼らと契約を結んだ。
+ わたしは彼らに、ヘブル人の奴隷は例外なしに、六年の年季が明けたら自由の身にしなければならない、と念を押した。だが、このことは実行されなかった。
+ しかし最近になって、おまえたちは、わたしが命じたとおりの正しいことをして、奴隷を自由の身とした。『きっと命じられたとおりにします』と、神殿で、おごそかに約束した。
+ ところが今になって急に態度を変え、誓いを破ってわたしの名を汚し、いったん自由にした者たちを再び奴隷にした。
+ 結局おまえたちはわたしの言うことを聞こうとせず、奴隷を解放しなかったので、戦争とききんと疫病でおまえたちを殺す。流浪の民として世界中に散らす。
+ おまえたちは契約を守らなかったので、誓いを確かなものとするために牛を二つに断ち切ってその間を通る儀式にならい、おまえたちを真っ二つにする。高官であろうが、宮廷の役人であろうが、祭司であろうが、一般市民であろうが、誓いを破った以上は、家畜のように殺す。
+ わたしがおまえたちを敵の手に渡すので、敵はおまえたちを殺す。おまえたちの死体は、はげたかや野獣のえじきとなる。
+ わたしはまた、ユダのゼデキヤ王と部下である役人たちを、いったんこの町から遠のいたバビロン王の軍勢に引き渡す。
+ わたしが呼び戻すので、バビロン軍は再びこの町を攻撃して占領し、火をつける。ユダの町々を、必ず見る影もなく壊し、猫の子一匹いない廃墟にする。」
+
+
+ ヨシヤの子のエホヤキムがユダ王国の王であった時、主はエレミヤに、こう語りました。
+ 「レカブの家系の人たちが住んでいる所へ行き、神殿へ連れて来なさい。奥の一室に案内し、ぶどう酒をすすめるのだ。」
+ そこで私は、ハバツィヌヤの子エレミヤの子ヤアザヌヤのところへ行き、レカブ家を代表する彼と、その兄弟、息子たちを連れて、
+ 神殿へ行き、イグダルヤの子で預言者のハナンの息子たちに与えられている部屋に入りました。その部屋は宮殿の役人が使う部屋の隣で、神殿の入口を守るシャルムの子マアセヤの部屋の真上にありました。
+ 私は彼らの前にぶどう酒の入ったつぼとコップを置き、「さあ飲みなさい」とすすめました。
+ ところが、彼らはことわったのです。「私たちはぶどう酒を飲みません。先祖レカブの子ヨナダブが、子々孫々、永久にぶどう酒を飲んではならないと命じたからです。
+ また、家を建てたり、作物を植えたり、ぶどう園を造ったり、畑を所有したりせず、いつもテントに住むようにと言いつけました。言われたとおりにして、自分の地で、満ち足りた長寿を全うするためです。
+ 私たちは、あらゆる点でヨナダブの言いつけを守りました。ぶどう酒は一滴も口にしませんでしたし、家族の者も、同じようにしてきました。
+ 家を建てたり、畑を所有したり、作物を植えたりもしませんでした。
+ テントに住み、先祖ヨナダブが命じたことをみな忠実に守ってきました。
+ ところが、バビロンのネブカデネザル王がこの国に攻め上った時、怖くなってエルサレムへ引っ越すことに決めました。それで今、ここにいるのです。」
+ その時、主はエレミヤに語りました。
+ イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「ユダとエルサレムへ行って、レカブ家の人たちから教訓を学びなさい。
+ 彼らは先祖の命令を守り、ぶどう酒を飲まない。ところがおまえたちは、わたしがくり返し語ったのに、聞こうとも従おうともしない。
+ わたしは次々に預言者を送り、悪の道から離れ、ほかの神々を拝むのをやめるようにと言わせた。わたしのことばに従うなら、おまえたちと先祖に与えたこの地で、平和に暮らせるようにすると言わせた。だがおまえたちは、聞こうとも従おうともしなかった。
+ レカブ家の人たちは先祖の言いつけを守ったというのに、おまえたちはわたしの言うことを聞こうとしなかった。
+ だから、イスラエルの神であるわたしは言う。おまえたちはわたしのことばに耳を傾けず、呼んでも顔をそむけているので、ユダとエルサレムに、前々から言っておいたすべての災いを下す。」
+ エレミヤはレカブ家の人たちのほうを向いて、こう言いました。「イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。『おまえたちはあらゆる点で先祖の命令に従ったので、おまえたちの家系には、わたしを礼拝する者が絶えない。』」
+
+
+ ヨシヤの子でユダ王国のエホヤキム王の第四年に、主からエレミヤに次のことばがありました。
+ 「巻物を取り、わたしがイスラエル、ユダ、その他の国々について語ったことをみな書き記しなさい。ヨシヤの時代に語ったことから始め、わたしのことばを残らず書き留めるのだ。
+ ユダの民は、わたしがこれからしようとしている恐ろしいことが文字になっているのを見て、悔い改めるかもしれない。そうすれば、わたしは彼らを赦す。」
+ そこでエレミヤは、ネリヤの子バルクを呼びました。バルクはエレミヤの口述どおり、全部の預言を筆記しました。
+ 書き終わったあと、エレミヤはバルクに言いました。「私は囚人の身だから、
+ 次の断食の日、私の代わりに神殿でこれを読み上げなさい。その日は、人々がユダ全国から上って来る。
+ もしかしたら、彼らは悪の道を離れ、手遅れにならないうちに主に赦しを求めるかもしれない。もっとも、ここに書かれている神ののろいは、すでに宣告ずみなのだが。」
+ バルクは言われたとおり、神殿で、神のことばをひと言ももらさず人々の前で読みました。
+ このことは、ヨシヤの子エホヤキム王の第五年に当たる十二月の断食日に起こりました。その日、ユダ全国から、神殿の儀式に参列するために人々が上って来ました。
+ バルクは巻物を読むため、シャファンの子の書記ゲマルヤの事務所へ行きました。この事務所は新しい門の入口に近く、境内の奥の集会所のそばにありました。
+ シャファンの子ゲマルヤの子ミカヤは、神のことばを聞くと、
+ 宮殿の会議室へ報告に行きました。ちょうど、役人たちが待っています。そこは、書記官エリシャマをはじめ、シェマヤの子デラヤ、アクボルの子エルナタン、シャファンの子ゲマルヤ、ハナヌヤの子ゼデキヤのほかに、同じ職務につく人たちがいました。
+ ミカヤが事情を伝えると、
+ 役人たちはクシの子シェレムヤの子ネタヌヤの子エフディを使いに出し、バルクに、彼自身の口から神のことばを語るため、出向くようにと言わせました。バルクは同意しました。
+ バルクが読み終えると、一同はおびえきって言いました。「ぜひ王のお耳に入れなければ。
+ 何はともあれ、このことばはどこから手に入れたのだ。エレミヤが口述したのか。」
+ バルクは、エレミヤの口述どおり書き写したと説明しました。
+ 役人たちはバルクに忠告しました。「さあ、二人とも身を隠しなさい。居場所をだれにも知らせてはいけない。」
+ それから、巻物を書記官エリシャマの部屋に隠し、王に報告するために出かけました。
+ 報告を聞いた王は、さっそくエフディに、その巻物を取って来させました。エフディはそれを書記官エリシャマのところから持って来て、王と側近の者たちの前で読みました。
+ ちょうど十二月で寒かったため、王は宮殿の暖房設備のある部屋にいて、暖炉の前に座っていました。
+ エフディが三、四段読むたびに、王はナイフでその部分を切り裂き、火に投げ入れたので、とうとう巻物は全部灰になってしまいました。
+ ところが、エルナタンとデラヤとゲマルヤのほかは、だれも抗議もしません。この三人は、巻物を焼かないようにと訴えましたが、王は耳を貸しませんでした。そのほかの家来は、王のひどい仕打ちを見ても、感情を外に出しませんでした。
+ 王は王子エラフメエルとアズリエルの子セラヤとアブデエルの子シェレムヤに命じて、バルクとエレミヤを逮捕させようとしました。しかし、主は二人を隠したのです。
+ 王が巻物を焼いたのち、主はエレミヤに命じました。
+ 「別の巻物を手に入れ、前のように、わたしの言ったことをすべて書き、
+ そのうえで王に言うのだ。『主は、こう宣告する。前の巻物には、バビロン王がこの国を荒らし、何もかも壊すと書いてあったので、おまえは怒って焼いた。
+ そこで、ユダ王国のエホヤキム王について、次の一項目をつけ加える。彼には、ダビデの王座につく者がいなくなる。彼の死体は捨てられ、太陽の炎熱と夜の霜にさらされる。
+ わたしは彼とその家族、家来たちを、それぞれの罪のゆえに罰する。彼らに、またユダとエルサレムの全住民に、予告しておいたすべての災いを下す。わたしの警告を聞こうとしなかったからだ。』」
+ エレミヤは、もう一つの巻物を取り、先に言ったことをみなバルクに口述しました。ただし、今度は、前にはなかったこともつけ加えてありました。
+
+
+ バビロンのネブカデネザル王は、エホヤキムの子エコヌヤの代わりにヨシヤの子ゼデキヤを、ユダの新しい王に選びました。
+ ところが、ゼデキヤ王も、家来も、国に残っている民も、主がエレミヤを通して語ったことばを聞きませんでした。
+ それにもかかわらず王は、シェレムヤの子エフカルとマアセヤの子の祭司ゼパニヤをエレミヤのもとに送り、自分たちのために祈ってほしいと言わせたのです。
+ そのころ、エレミヤはまだ牢に入れられていなかったので、自由に出入りできました。
+ エジプト王の軍隊が、包囲されたエルサレムを救援するためユダの南の国境に現れたので、バビロン軍は一戦を交えるため、エルサレムから退却していました。
+ その時、主からエレミヤに次のことばがありました。
+ 「イスラエルの神が、こう言う。これから先どうなるかを聞くため、使いをよこした王に言いなさい。エジプト王の軍隊はおまえたちを助けに来たが、やがてエジプトへ逃げ帰る。バビロニヤ人が彼らを破って、もと来た所に押し返す。
+ 一方、バビロニヤ人はこの町を占領し、すっかり灰にする。
+ バビロニヤ人がもう来ないと考えて、自分を欺くな。そんなはずはないからだ。
+ 万一バビロン軍を負かし、生き残りのわずかな兵が重傷を負ってテントに横たわっていたとしても、彼らははい出して来ておまえたちを破り、この町に火をつける。」
+ バビロン軍がエジプトと戦うためにエルサレムの囲いを解いた時、
+ エレミヤは町を出てベニヤミンの地へ行き、自分の買った土地がどうなっているかを見ようとしました。
+ ところが、ベニヤミンの門を出ようとした時、歩哨に見つかり、バビロニヤ人に通じる裏切り者として捕らえられたのです。その歩哨は、ハナヌヤの孫でシェレムヤの子のイルイヤでした。
+ 「とんでもない誤解だ。味方を裏切るつもりは少しもない」と、エレミヤは抗議しました。しかし、イルイヤは聞こうとせず、役人たちの詰め所に連れて行きました。
+ 彼らが怒ったのは言うまでもありません。彼らはエレミヤをむちでさんざんたたいたあげく、書記官ヨナタンの家を改造した地下牢に閉じ込めました。エレミヤは長い間そこにいました。
+ ゼデキヤ王は彼のところへ使いを送り、こっそり宮殿に呼び寄せました。主からのことばが最近あったかどうか尋ねたかったのです。エレミヤは、「はい、ありました。あなたはバビロン王に負けます」と答えました。
+ 続いてエレミヤは、牢に入れられたことに話題を変えました。「私は牢に入れられるようなことは何もしていません。いったいどんな罪を犯したというのですか。もし私が、あなたや家来や一般の民衆に対して何か悪いことをしたのなら、それを教えてください。
+ あなたの前で、バビロン王は来ないと断言した預言者たちは、今どこにいるのですか。
+ お願いです。どうか私を、あの地下牢に戻さないでください。あそこにいたら、死んでしまいます。」
+ そこでゼデキヤ王は、エレミヤを地下牢に戻さないよう手配し、代わりに宮殿付属の牢に入れて、町にパンがある限りは、毎日、焼き立てのパンを一個ずつ与えるようにと命じました。こうして、エレミヤは宮殿付属の牢にとどまることになりました。
+
+
+ しかし、マタンの子シェファテヤ、パシュフルの子ゲダルヤ、シェレムヤの子ユカル、マルキヤの子パシュフルは、エレミヤが人々に次のように言うのを聞いていました。
+ 「エルサレムに残っている者はみな、剣かききんか疫病で死ぬ。しかし、バビロニヤ人に降伏する者は助かる。
+ エルサレムの町は、間違いなくバビロニヤ人に占領される。」
+ これを聞いた四人は王のところへ行き、こう進言しました。「あの男を生かしておいてはいけません。あんなことを言われたら、わずかしか残っていない兵士と民衆の士気は、くじかれてしまいます。あの男は裏切り者なのです。」
+ 王は同意しました。「よろしい。おまえたちの好きなようにせよ。私には、おまえたちを止めることはできない。」
+ そこで彼らはエレミヤを牢から連れ出し、綱を使って、構内にある空の井戸につり降ろしました。この井戸は王子マルキヤのものでした。中に水はありませんでしたが、泥がたっぷりたまっていたので、エレミヤはその中に沈みました。
+ 王の信任の厚い役人でエチオピヤ人のエベデ‧メレクは、エレミヤが井戸に閉じ込められたと聞くと、
+ 王がさばきの座についているベニヤミンの門に駆けつけました。
+ 「王よ。あの四人は、エレミヤを井戸につり降ろすという、悪を行いました。町にはもう、パンはほとんどありません。このままだと、彼は飢え死にします。」
+ すると王は、エベデ‧メレクに、三十人を連れて行き、エレミヤが死なないうちに引き上げるようにと命じました。
+ エベデ‧メレクはさっそく三十人の男たちを連れて、使い古した衣料が保管してある宮殿の倉庫へ行きました。そこで見つけたぼろきれや着物をかかえてエレミヤのいる井戸へ行き、綱に結びつけてつり降ろしました。
+ エベデ‧メレクは、大声でエレミヤに言いました。「ぼろきれをわきの下にはさみ、その上に綱を巻きつけなさい。」エレミヤがそのとおりにすると、
+ 彼らはエレミヤを引き上げ、元いた宮殿の牢に帰しました。
+ ある日、ゼデキヤ王は使いを出し、エレミヤを神殿の通用門に呼んで言いました。「ぜひとも聞きたいことがある。何事も隠し立てはならない。」
+ 「ほんとうのことを申し上げたら、王は私を殺すに決まっています。あなたが私のことばに耳を貸すはずがありませんから。」
+ 王は、自分の造り主である全能の神を指して、絶対にエレミヤに手をかけたり、いのちをねらう者に引き渡したりしないと誓いました。
+ そこでエレミヤは、王に言いました。「イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう告げます。『もしおまえがバビロン軍に降伏するなら、おまえもおまえの家族も生き延び、しかも町は焼かれずにすむ。
+ だが、降伏することを拒むなら、町はバビロンの兵士によって焼き払われ、おまえは恐ろしい運命をたどる。』
+ 王は言いました。「だが、私は降伏するのが怖い。バビロニヤ人は、先に投降したユダヤ人に私を引き渡すだろう。そうなったら、どうなることかわかったものではない。」
+ ためらう王に、エレミヤは答えました。「主に従いさえすれば、彼らの手に落ちることはありません。王のいのちは助かり、万事がうまく運びます。
+ しかし、あくまで降伏を拒むなら、王宮にいる女性はみな引き出され、バビロン軍の将校たちのものになります。女性たちは、王を恨み、こう言うでしょう。『王はエジプト人という、すてきな友人をお持ちです。ごらんなさい、彼らはみごと裏切り、王を悲惨な運命に渡しました。』
+ ご家族はみな、バビロニヤ人の前に引き出されます。王ご自身も同じ目に会います。あなたはバビロン王に捕らえられ、町は焼け野原になります。」
+ これを聞いた王は、エレミヤに言いました。「今私に言ったことをだれにも話してはならない。
+ 家来どもが、会見のことを知って、話の内容を教えなければ殺すと脅したら、こう言うのだ。
+ 『ヨナタンの地下牢にいたら死ぬに決まっているので、そこへ送り返されないよう、王に嘆願しただけです』と。」
+ 王の推測どおり、まもなく町の役人たちが押しかけ、エレミヤに、なぜ王はおまえを呼び出したのかと尋ねました。エレミヤは、王に言われたとおり答えたので、だれもほんとうのことを知ることがありませんでした。王との会見を立ち聞きした者はいなかったからです。
+ エレミヤは、エルサレムがバビロニヤ人の手に落ちるまで、牢に閉じ込められたままでした。
+
+
+ ユダ王国のゼデキヤ王の第九年の十二月末、ネブカデネザルの率いる軍隊は再びエルサレムを攻撃し、町を包囲しました。
+ それから二年後の六月末、ついに彼らは城壁を破り、町を占領しました。
+ バビロン軍の将校はみな入城して中央の門に座り、戦勝祝賀会を開きました。そこにいたのは、ネルガル‧サル‧エツェル、サムガル‧ネブ、サル‧セキム、指揮官のネルガル‧サル‧エツェル、そのほか大ぜいでした。
+ ゼデキヤ王とその護衛兵たちは、町が落ちたのを見て、夜の間に抜け出し、王宮の庭のうしろにある二重の城壁の間にある門を通り、ヨルダンの渓谷に向かって野原を横切ろうとしました。
+ ところがバビロニヤ人は王を追いかけてエリコの草原で捕まえ、ハマテの地リブラにいたネブカデネザルのところへ引き立てました。バビロン王はゼデキヤに宣告を下しました。
+ バビロン王はゼデキヤの目の前で、彼の子どもと、ユダの貴族全員を殺しました。
+ そのあとでゼデキヤの両眼をえぐり出し、鎖につないで、奴隷としてバビロンへ引いて行ったのです。
+ 一方、エルサレムの町は王宮もろとも焼き払われ、城壁は無残な姿をさらすばかりでした。
+ 親衛隊長ネブザルアダンとその部下は、町に残っている住民と、投降した者をバビロンへ連れて行きました。
+ しかし、すごく貧しいわずかの人たちはそのままユダの各地に残しておき、畑とぶどう園を与えました。
+ 一方、ネブカデネザル王はネブザルアダンに、エレミヤを捜し出すよう命じました。「あの男が無事かどうか見て来い。十分面倒を見てやり、欲しい物は何でも与えるのだ。」
+ そこで、親衛隊長ネブザルアダン、宦官の長ネブシャズ‧バン、指揮官ネルガル‧サル‧エツェル、そのほかの将校たちは、王の命令を実行に移す相談をしました。
+ まず兵士たちを送ってエレミヤを牢から連れ出し、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤに預け、無事に家へ帰らせることにしました。こうしてエレミヤは、国に残っている人々と共に、故国で暮らすことになったのです。
+ バビロン軍が来る前、エレミヤがまだ牢に閉じ込められていた時、主から次のことばがありました。
+ 「エチオピヤ人エベデ‧メレクに、こう伝えよ。イスラエルの神である天の軍勢の主は言う。わたしはこの民に、予告した災いをすべて下す。この町をおまえの見ている前で滅ぼすが、
+ おまえは救い出す。おまえがひどく恐れている者の手にかかって殺されるようなことはないから、安心するがいい。
+ わたしに信頼した報いとして、おまえのいのちを助け、危害を受けないように守るから。」
+
+
+ 親衛隊長ネブザルアダンは、バビロンへ引いて行かれるエルサレムとユダの捕虜といっしょに、エレミヤをラマまで連れて行き、そこで彼を釈放しました。
+ 隊長はエレミヤを呼んで言いました。「あなたの主は、かねてからの預言どおり、この国に災いを下しました。ユダの民が主に罪を犯したので、こうなったのです。
+ さあ、鎖をはずして、あなたを自由の身としましょう。私といっしょにバビロンへ来るなら、それもけっこうです。あなたの生活が十分に保証されるように、責任をもって取り計らいましょう。もちろん、帰ってもかまいません。あなたの自由です。好きな所へ行きなさい。
+ もし、自分の国にいたければ、バビロン王がユダの総督に任命したゲダルヤのもとへ帰り、残っている人たちといっしょに生活しなさい。いずれにしても、あなたの気持ちしだいです。好きなようにしなさい。」ネブザルアダンは、食糧と贈り物を与えたうえでエレミヤを去らせました。
+ エレミヤはゲダルヤのもとへ帰り、国に残っている人たちといっしょに暮らしました。
+ 田舎にいたユダヤのゲリラ隊の隊長たちは、バビロン王が民全員をバビロンへ連れて行ったわけでなく、ゲダルヤを総督に任命して、あとに残った貧しい民を治めさせていることを聞きました。
+ そこで彼らは、総督府のあるミツパに来て、ゲダルヤに面会しました。隊長たちの名は次のとおりです。ネタヌヤの子イシュマエル、カレアハの子ヨハナンとヨナタン、タヌフメテの子セラヤ、ネトファ人エファイの子ら、マアカ人の子エザヌヤ。ほかに部下もいっしょでした。
+ ゲダルヤは、バビロン軍に降伏するのが一番安全だと説得しました。「ここにいて、バビロン王に仕えなさい。そうすれば、何もかもうまくいきます。
+ 私はミツパにいて、行政指導に来るバビロニヤ人たちに、あなたがたのことを口添えしましょう。好きな町に落ち着いて、この国で生活しなさい。ぶどうと夏の果物、それにオリーブの実を取って、たくわえておきなさい。」
+ モアブや、アモン人のところ、エドム、その他の近くの国々にいたユダヤ人たちは、ユダにはわずかながらもまだ人々が住んでいること、バビロン王は全員を連れて行かなかったこと、ゲダルヤが総督になったことなどを聞きました。
+ 彼らはみな、亡命先の国々からユダに帰って来ました。まず、ミツパに足を止め、ゲダルヤと善後策を講じてから、放置されていた畑へ行き、ぶどう酒用のぶどうをはじめ、多くの作物を集めました。
+ このことがあってからまもなく、カレアハの子ヨハナンとほかのゲリラ隊長らがミツパに来て、アモン人の王バアリスがネタヌヤの子イシュマエルに、ゲダルヤを暗殺させようとしていると知らせました。ところが、ゲダルヤは信じようとしません。
+ しかたなく、ヨハナンはゲダルヤとひそかに相談することにしました。だれにもわからないようにイシュマエルを殺す役を、買って出ようというのです。ヨハナンは言いました。「彼があなたを殺すのを、黙って見ていることはできません。そんなことになったら、国へ帰って来たユダヤ人は、どうなるのですか。残っている人たちが散り散りになって滅んでも、いいのでしょうか。」
+ しかし、ゲダルヤは答えました。「そんなことは、絶対してはならない。あなたはイシュマエルについて、うそをついているのだ。」
+
+
+ 十月に入って、王族の一人、エリシャマの子ネタヌヤの子イシュマエルは、十人の部下を連れてミツパに来ました。ゲダルヤは一行を食事に招きました。
+ ところが食事の最中に、イシュマエルと、仲間の者は、突然立ち上がって剣を抜き、ゲダルヤを殺したのです。
+ さらにそこから出て、ミツパでゲダルヤのそばにいたユダヤ人の役人、バビロンの兵士をも虐殺しました。
+ 次の日、外部の人がこの出来事をまだ知らないうちに、
+ シェケム、シロ、サマリヤから、神殿で礼拝するために、八十人の者がミツパに来ました。めいめいひげをそり、着ている物を裂き、体に傷をつけて、供え物や香を運んでいました。
+ イシュマエルは、わざと泣きながら町の外へ出て、彼らを見ると言いました。「さあ、いっしょに来て、ゲダルヤがどうなったか見てください。」
+ こうして全員が町に入ると、イシュマエルと部下たちは、そのうちの十人を残して全員を殺し、死体を穴に放り込みました。
+ 助かった十人は、「隠しておいた小麦、大麦、油、それにみつを必ず持って来るから、いのちだけは助けてくれ」と、イシュマエルに頼んだのです。
+ 死体を投げ込んだ穴は大きなもので、アサ王がイスラエル王国のバシャ王を恐れて、ミツパの防備を固めた時に掘ったものでした。
+ イシュマエルは、王女たちと、親衛隊長ネブザルアダンがゲダルヤに任せた人たちを捕虜にし、すぐさまアモン人の国へ旅立ちました。
+ カレアハの子ヨハナンをはじめとするゲリラ隊長たちは、イシュマエルのしたことを聞くと、
+ 部下を引き連れてあとを追い、ギブオンの近くの池のそばで一行を見つけました。
+ 捕虜になっていた人たちは、ヨハナンとその部下たちの姿を見ると、歓声を上げて走って来ました。
+ 一方、イシュマエルは八人の部下と共に、アモン人の地へ逃げ延びました。
+ さて、ヨハナンとその部下は、救い出した兵士、女性、子ども、宦官などを引き連れて、ベツレヘム近郊のゲルテ‧キムハムという村へ行き、そこでエジプトに脱出する準備を始めました。
+ イシュマエルが、バビロン王の立てた総督ゲダルヤを殺したというニュースが伝わったら、バビロニヤ人はどんな報復に出てくるかわからない、と恐れたのです。
+
+
+ ヨハナン、ホシャヤの子イザヌヤ、将校たちをはじめ、身分の高い者も低い者も、そろってエレミヤのところへ行き、
+ こう頼みました。「どうか、あなたの神である主に祈ってください。よくご存じのように、私たちはあとに残った、ほんのひと握りの仲間です。
+ あなたの神である主が私たちに、どうしたらいいか、またどこへ行ったらいいかを教えてくださるよう、頼んでください。」
+ 「いいでしょう。神に尋ねてみましょう。神の語ることは、包み隠さずお知らせします。」
+ 「もし、私たちが神の語ったことに背くなら、のろわれてもかまいません。
+ 私たちは、おことばが気に入っても気に入らなくても神に従います。従いさえすれば、何もかもうまくいくからです。」
+ それから十日して、主の返事がエレミヤにありました。
+ 彼はヨハナンと、その下にいる隊長たち、それに身分の高い者も低い者もみな呼んで、
+ こう言いました。「あなたがたは私を代わりに立て、イスラエルの神に尋ねさせました。これが神からの返事です。
+ 『この地にとどまりなさい。そうすれば、おまえたちを祝福する。誰ひとり危害を加える者はいない。わたしは、おまえたちに刑罰を下したことを後悔している。
+ これ以上バビロン王を怖がらなくてよい。わたしがついているからだ。必ず彼の手からおまえたちを助け出す。
+ おまえたちのために、王に同情心を起こさせるので、彼はおまえたちを殺したり、奴隷にしたりせず、かえって、これまでどおり国にいられるように取り計らってくれる。』
+ しかし、主に逆らって、『ここにいるのはいやだ』と言い、戦争や飢えや危険のない別世界だと考えているエジプトへ、どうしても行こうとするなら、
+ イスラエルの神は、きっぱり断言します。『ユダの残りの者よ。どうしてもエジプトへ行くと言ってきかないなら、
+ おまえたちの恐れている戦争とききんが、すぐうしろからついて行き、おまえたちを滅ぼす。
+ これが、エジプトに住もうと言いはる者の運命だ。おまえたちは間違いなく剣と、ききん、疫病で死ぬ。エジプトでわたしが下す災いを免れる者は、一人もいない。』
+ イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう断言します。『わたしの怒りと憤りは、エルサレムの住民に注がれたように、エジプトへ行った者にも注がれる。おまえたちは侮られ、憎まれ、のろわれ、ののしられる。しかも、二度と祖国を見ることはできない。
+ なぜなら、わたしは「ユダの残りの者よ、エジプトへ行ってはならない」と、はっきり命じたからだ。』」こう言うと、エレミヤは話をしめくくりました。「私が今日警告したことを、決して忘れてはなりません。
+ もし、それでも行くなら、いのちはありません。あなたがたが私を代わりに立てて神に祈らせ、『神の語るとおりを知らせてください。私たちは従いますから』と言ったことは偽りだったということになるからです。
+ 私は今日、神のご命令を、そのとおり伝えました。ところがあなたがたは、いつものように、やはり従おうとしません。
+ だから、このことを心に刻みなさい。あなたがたは、どうしても行くのだと言ってきかないエジプトの地で、剣とききんと疫病によって死にます。」
+
+
+ エレミヤが、神のことばをすべての人に語り終えた時、
+ ホシャヤの子アザルヤと、カレアハの子ヨハナン、その他の思い上がった者が、エレミヤに言いました。「うそをつけ。神が、エジプトへ行ってはならないなどと言うはずがない。ネリヤの子バルクが陰謀を企て、そう言わせたに違いない。われわれをこの地に残して、バビロニヤ人に殺されるようにしたり、奴隷としてバビロンに連れて行かれるようにしたりするために。」
+ このように、ヨハナンをはじめゲリラ隊長たちと残っていた者はみな、主の命令に従ってユダにとどまることを拒みました。
+ こうして、亡命先の近くの国々から帰って来た人も含めて、すべての者が、ヨハナンや他の隊長と共に、エジプトをめざして出発しました。
+ その中には、男、女、子ども、王女たち、それに親衛隊長ネブザルアダンがゲダルヤに託したすべての人がいました。彼らは、エレミヤとバルクも力ずくで連れて行き、
+ エジプトのタフパヌヘスに着きました。彼らは主のことばに従わなかったのです。
+ タフパヌヘスで、主は再びエレミヤに語りました。
+ 「ユダの人たちを呼び集めなさい。彼らの見ている前で、このタフパヌヘスにあるエジプト王の宮殿の入口にある敷石の間に、大きな石を埋めなさい。
+ それから、皆にこう言うのだ。イスラエルの神である天の軍勢の主は言う。わたしは間違いなく、わたしの意のままに動くバビロンの王ネブカデネザルを、エジプトに連れて来る。そして彼の王座を、今隠した石の上にすえる。彼は、その石の上に王の天蓋を張る。
+ 彼はエジプトに来て町を破壊し、わたしが殺そうと思っている者をみな殺し、わたしが捕虜にしようと思っている者を捕虜にする。また、多くの者が疫病にかかって死ぬ。
+ 彼はエジプトの神々の神殿に火をつけ、偶像を焼き、人々を奴隷にして連れ去る。彼はまた、羊飼いが着物についたしらみをつぶすように、エジプトを踏みつぶし、しかも無傷で去る。
+ ヘリオポリスにある偶像の記念塔は壊され、エジプトの神々の神殿も焼き払われる。」
+
+
+ エジプト北部のミグドル、タフパヌヘス、メンピスの町々、それにエジプト南部に住む全ユダヤ人について、次のことばがエレミヤにありました。
+ 「イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。『おまえたちは、わたしがエルサレムとユダのすべての町にしたことを見た。それらの町々は、はなはだしい悪のために灰になり、廃墟となって、今は住む者がだれもいない。自分も先祖も知らなかった神々を拝んで、わたしの怒りを買ったからだ。
+ わたしはわたしのしもべである預言者を送って、わたしの憎んでいるこのような恐ろしいことをしないようにと、何度も警告し、説得してきた。
+ それなのに彼らは少しも言うことを聞かず、悪の道を捨てなかった。そして、神々にいけにえをささげ続けた。
+ そのため、わたしの憤りは爆発し、火のようにユダの町々とエルサレム市内に燃え移り、現在のような廃墟としたのだ。』
+ イスラエルの神であり、天の軍勢の神である主は、あなたがたに尋ねます。『なぜおまえたちは、自らいのちを絶とうとしているのか。ユダから逃げてこの地に来た者は、男、女、子どもはもちろん、抱かれている乳飲み子さえ、一人として死を免れることはできない。
+ おまえたちは、エジプトへ来てまで偶像を拝み、香をたいて、わたしの怒りをかき立てている。だから、おまえたちを徹底的に滅ぼし、全世界の国々ののろいとし、きらわれ者とする。
+ おまえたちは、ユダとエルサレムでの先祖の罪、ユダの王と王妃たちの罪、おまえたち自身の罪、それにおまえたちの妻の罪を忘れたのか。
+ 今この時まで、わびた者は、だれもいない。一人として、わたしに立ち返ろうとせず、わたしがおまえたちの先祖に与えたおきてに従おうともしない。』
+ そのため、イスラエルの神である天の軍勢の主は言います。『わたしは怒りで全身が熱くなった。おまえたちを一人残らず滅ぼす。
+ エジプトに来ることを強く主張した、生き残りのユダヤ人を皆殺しにする。彼らはこのエジプトの地で倒れ、ききんと剣でいのちを失い、身分の高い者も低い者も、一人残らず死ぬ。彼らはさげすまれ、忌みきらわれ、のろわれる。
+ わたしは、エルサレムの住民を剣とききんと疫病で罰したように、エジプトにいる彼らを罰する。
+ ここに来たことを悔い、ほかの者と別行動をとって故国に帰る者のほかは、ただの一人も、わたしの憤りから逃げることはできない。』」
+ そこに居合わせた女たちと、妻が偶像に香をたいていることを知っている男たちは、声を一つにして言い返しました。エジプト南部には、おびただしい数のユダヤ人がいたのです。
+ 「そんな偽のおことばには、同意できません。
+ 好きなようにさせてください。先祖や王たち、重立った人たちが、ユダの町々やエルサレムでいつもしていたように、『天の女王』に思うぞんぶん香をたきたいのです。あのころは、食べ物がどっさりあり、幸せいっぱいでした。
+ ところが、『天の女王』に香をたいて拝むのをやめてからは、災い続きで、剣とききんに倒れてきたのです。」
+ 女たちも、負けずに口をはさみました。「私たちは夫と相談して『天の女王』を拝み、それにぶどう酒を注ぎ、女王にかたどったケーキを作ったのです。黙って内緒でしたわけではありません。」
+ エレミヤは答えました。
+ 「あなたがたや、あなたがたの先祖、王、重立った人たち、それにすべての民が、ユダの町々とエルサレムで偶像に香をたいていたことを、主がご存じないとでも思うのですか。
+ 神があなたがたの悪に我慢できなくなったので、祖国は今のように荒れ果て、徹底的に破壊され、のろわれ、だれも住まない地になったのです。
+ こんな恐ろしい運命に見舞われたそもそもの原因は、あなたがたが香をたき、主に罪を犯し、主に従うことをやめたことにあります。」
+ さらにエレミヤは、女たちも含め、全員に言いました。「エジプトに住むすべてのユダヤ人は、主のおことばを聞きなさい。
+ イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう語ります。『おまえたちも妻も、「天の女王」にいけにえをささげることは絶対にやめないと言った。しかも、そのことを態度で証明してきた。それなら、「天の女王」に誓ったことを果たすがいい。
+ だが、エジプトに住むすべてのユダヤ人よ。わたしの言うことをよく聞きなさい。これからは、「神よ、どうか助けてください」と言って、わたしの助けと祝福を求めても無駄だ。
+ わたしはおまえたちに目を留めるが、祝福のためではない。災いが直接襲うようにするためだ。だから、おまえたちは戦争とききんで倒れ、ついには死に絶える。
+ ユダに帰るほんのひと握りの者だけは、わたしの憤りに会わない。だが帰国を拒んで、エジプトに居すわる者はみな、ほんとうのことを言っているのがわたしであるか、それとも彼らであるかを、いやというほど思い知る。
+ わたしが前々から警告していたことはみな実現し、わたしはこの地でおまえたちを罰する。これが、わたしのことばが正しいという証拠だ。
+ わたしは、ユダ王国のゼデキヤ王をバビロンのネブカデネザル王に渡したように、エジプトのホフラ王を、彼のいのちをねらう者の手に渡す。』」
+
+
+ ヨシヤの子エホヤキム王が即位して四年目に、バルクはエレミヤが語る神のことばをそのまま書きつけました。そののち、エレミヤは彼に言いました。
+ 「バルクよ。イスラエルの神が、あなたにこう言います。
+ 『おまえはこう言った。「私は実にみじめな人間だ。もう十分に苦しんできたのに、神は、なおも苦しみを加えた。出るのはため息ばかりで、ゆっくり休むことさえできない。」
+ こう言うバルクに、次のように答えてやりなさい。わたしは、わたしの建てたこの国を壊し、わたしの築いたものを引き抜く。
+ おまえは、自分のために特別なことを求めてはならない。わたしはこの民に大きな災いを下すが、おまえのことは、報いとして、どこへ行っても守ることにしている。』」
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+ ほかの国々についてエレミヤが聞いた神のことばを、次に書き留めておきます。エジプト人について――
+ ユダ王国のヨシヤの子エホヤキム王が即位して四年目に、エジプトのネコ王の率いる軍隊が、ユーフラテス川沿岸のカルケミシュで、バビロンのネブカデネザル王に敗れた時、エジプトについて次のことばがありました。
+ 「エジプト人はよろいに身を固め、戦いに出て行け。
+ 馬に鞍をつけ、いつでも乗れるようにしておくのだ。かぶとをかぶり、槍の穂先をみがき、よろいを着よ。
+ だがどうしたわけか、エジプトの軍勢は恐れに取りつかれて逃げて行く。人一倍の武勇を誇る兵士さえ、うしろを振り向きもせず、一目散に逃げる。恐れが四方八方から彼らを取り囲む。
+ どんなに足の速い者も、どんな勇士も、逃げることはできない。北のユーフラテス川のほとりで、彼らはつまずき倒れる。
+ 洪水の時期のナイル川のようにわき上がり、各地にあふれていくこの強大な軍隊は、どこの国のものか。
+ それは、すべての国々を洪水のように覆い、すべての敵を破るとうそぶく、エジプトの軍隊だ。
+ 馬と戦車、それに無敵を誇るエジプト兵たちよ、さあ、来なさい。盾を取り、弓を引きしぼるエチオピヤ、プテ、ルデの人たちも来るがいい。
+ 今日こそ、天の軍勢の主の日、わたしが敵に復讐する日だ。剣は、おまえたちの血に飽き、酔うまで働く。今日、天の軍勢の主であるわたしに、北の地ユーフラテス川のほとりで、いけにえがささげられるからだ。
+ エジプトの娘よ、薬を探しにギルアデに上れ。だが、それでも、おまえの傷は治らない。どんなに薬を使っても、元の健康は取り戻せない。
+ 国々はおまえの恥を聞いた。地はおまえの絶望と敗北の叫び声で満ちる。おまえの勇士たちは鉢合わせして、共に倒れる。」
+ 次に神は、バビロンのネブカデネザル王がエジプトを攻撃することについて、こう語りました。
+ 「エジプトで、バビロン軍の来襲を大声で伝えよ。ミグドル、メンピス、タフパヌヘスの町の人々に言い広めよ。滅びの剣が周囲を食い尽くすから、兵士を集めて戦いの準備をせよ。
+ なぜ、おまえたちの雄牛の神アピスは、真っ青になって逃げたのか。主が敵の前で、彼を打ちのめしたからだ。
+ 数えきれないほどの人が倒れ、死人の山ができる。その時、ユダヤ人の残った者は言う。『さあ、生まれ故郷のユダへ帰ろう。こんな恐ろしい虐殺の現場から遠ざかろう。』
+ エジプトの王ホフラの名を、『力はないが、実に騒がしい男』と変える。」
+ 天の軍勢の主である王は、こう言います。「タボル山か海に突き出たカルメル山のように背の高い者が、エジプトに襲いかかる。
+ エジプトの住民は、荷物をまとめ、捕虜となって連れて行かれるしたくをせよ。メンピスの町は根こそぎにされ、一人も生き残らないからだ。
+ エジプトは若い雌牛のように肌がつややかだ。だが、北からあぶが飛んで来て彼女を追い回す。名高い傭兵たちも、おびえきった子牛のようになり、向きを変えて逃げる。徹底的な罰がエジプトに下り、大災害の見舞う時がきたからだ。
+ エジプトは、蛇が身をくねらせて姿を消すように、音もなく逃げる。代わりに侵略軍が入って来て、数えきれないほどの兵士が、森の木立を切り払うきこりのように、人々をなで切りにする。
+ この北から来た民の前では、エジプトは少女のように無力だ。」
+ イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「わたしはテーベの神アモン、その他のエジプトの神々を罰する。また、エジプト王と、王を頼りとするすべての者を罰する。
+ 彼らを、彼らを殺すことを生きがいとするバビロンのネブカデネザル王と、その軍隊の手に渡す。しかし後に、エジプトは戦争の荒廃から立ち直る。
+ 祖国に帰るわたしの民よ、怖がったり、うろたえたりしてはならない。わたしは遠くにいるおまえたちを救い、おまえたちの子孫を遠くの国から連れ戻すからだ。イスラエルは帰って来て平穏無事に住み、何ものにもおびえない。
+ わたしのしもべヤコブよ、恐れるな。わたしがついている。わたしは、おまえの寄留していたすべての国々を滅ぼすが、おまえには手をかけない。懲らしめはするが、それはおまえを正しい者とするためだ。
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+ ペリシテ人について――ガザがエジプト軍に占領される前に、この町のペリシテ人について神がエレミヤに語ったことばは、次のとおりです。
+ 主はこう言います。「北から洪水が押し寄せて、ペリシテ人の地にあふれようとしている。それは、町々とその中にあるものを何もかも破壊する。強い男たちでも恐れて悲鳴を上げ、国中の民が泣きわめく。
+ 遠くから聞こえるひづめの音と、地響きを立てる戦車の車輪の音を聞きなさい。父親は、泣き叫ぶわが子には目もくれず、一目散に逃げる。
+ すべてのペリシテ人と、ツロおよびシドンの同盟軍の滅ぼされる時が、ついにきたのだ。主が、カフトル(クレテ島周辺)からの開拓者であるペリシテ人を滅ぼすのだ。
+ ガザとアシュケロンの町は、跡をとどめないまでに破壊され、廃墟となる。アナク人の子孫は、どれほど嘆き悲しまなければならないことか。」
+ 主の剣は、いつになったら休むつもりでしょう。さやに収まって、静かに休みなさい。
+ しかし、いったん主が使命を与えたからには、じっとしていることはできません。アシュケロンの町と、海岸沿いの住民は、どうしても滅ぼされなければならないのです。
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+ モアブ人について――モアブについて、イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「ネボの町はひどい目に会い、跡形もなく壊される。キルヤタイムの町は占領され、それを守る要塞はつぶされる。
+ もう、だれもモアブのことを誇りにする者はいない。そのいのちがつけねらわれているからだ。すでにヘシュボンでは、モアブを破壊する手はずが整った。『さあ、あの国を滅ぼして、地上から抹殺しよう』と、彼らは言う。マデメンはひっそり静まり返っている。一方、ホロナイムには戦いの物音が近づく。こうしてモアブは全滅し、その叫び声はツォアルにまで響く。
+ 泣きながらルヒテの坂を上る避難民の耳には、下に見える町からの恐怖の叫びが聞こえる。
+ いのちが助かるために逃げ、荒野に身をひそめよ。
+ おまえたちは自分の腕を頼みとし、富を誇ったので、滅びる。おまえたちの神ケモシュは、祭司や重立った人たちと共に、遠い国へ連れ去られる。
+ 村や町は、高台にあっても谷間にあっても、すべて滅びる。わたしがそう言ったからだ。
+ モアブに羽が生えてどこかへ飛んで行けたら、どんなにいいだろう。この国の町々には、いのちある者は一人もいなくなるからだ。
+ モアブの血を流すのをいとい、剣を抜くのをひかえる者は、のろわれよ。わたしが与えた仕事に手をつけない者は、のろわれよ。
+ モアブは建国以来、外敵から守られ平穏無事に過ごしてきた。この国は、器から器に移し変えられないぶどう酒のようで、香りがよく、口当たりがなめらかだ。だが今度は、捕虜として外に注ぎ出される番だ。
+ 乱暴者が来て、つぼからつぼへ荒々しく移し変え、しかも、そのつぼを粉々に砕く時がすぐにくる。
+ その時になってはじめて、イスラエルがベテルで子牛の偶像を恥じたように、モアブは自分の偶像ケモシュを恥ずかしく思うようになる。」
+ あなたがたは、「われわれは英雄だ。歴戦の勇士だ」とうぬぼれていたころのことを覚えていますか。
+ しかし今、「モアブは滅ぼされようとしている。滅ぼす者が近づいている。えり抜きの若者も殺害される」と、天の軍勢の主である王が言います。
+ 大きな災害が足早にモアブに近づいています。
+ モアブの友人たちよ、モアブのために大声で泣きなさい。力と美しさを誇ったこの国は、粉々に砕かれました。
+ ディボンの人たちよ、栄光の座を降り、ちりの中に座りなさい。モアブを滅ぼす者はディボンをも荒らし、すべての塔を倒すからです。
+ アロエルの住民よ、道のそばに立って、モアブから逃げて来る人たちに、「いったい何が起こったのですか」と聞いてみなさい。
+ 彼らは答えるでしょう。「モアブは焼け野原になりました。大声で泣きなさい。アルノン川の土手で、モアブは滅びたと伝えなさい。」
+ 平地にあるすべての町は廃墟になりました。神の刑罰は、これらの町全部に下されたのです。ホロンも、ヤハツ、メファアテも、
+ ディボン、ネボ、ベテ‧ディブラタイムも、
+ キルヤタイム、ベテ‧ガムル、ベテ‧メオンも、
+ ケリヨテ、ボツラも、モアブの国の遠くや近くにあるすべての町々も、同じ運命に会いました。
+ モアブは角を切り取られ、両腕を折られ、非常に弱くなりました。
+ 酔った者のようにふらつき、倒れるままにしておきなさい。主に背いた罰です。モアブは自分の吐いた物の中で転げ回り、すべての人にさげすまれます。
+ それは、イスラエルをさげすんで強奪し、それが倒れた時、手をたたいて喜んだからです。
+ モアブの人たちよ、町を捨てて逃げ、岩の裂け目に巣を作る鳩のように、ほら穴に住みなさい。
+ モアブの思い上がりは並はずれたものだったので、私たちの耳にまで達しました。その、他人を見下す横柄な態度、思い上がった心を、私たちは知っています。
+ 「わたしはモアブの思い上がりを知っている」と、主は言います。しかし、そのうぬぼれは根拠のないもので、から威張りにすぎません。
+ 私はモアブのために泣き、私の心は、キル‧ヘレスの人々のことを思って痛みます。
+ ぶどうのお陰で富んでいるシブマ(良質のぶどうの産地)の人よ。私はヤゼルの人以上に、あなたがたのために泣きます。滅ぼす者が来て、よく伸びたあなたがたのつるを切り、ぶどうと夏の果物を横取りしたからです。そのため、あなたがたは丸裸になりました。
+ 実り豊かなモアブから、喜びと楽しみの声が消え、酒ぶねに入れるぶどうもなく、喜びの声を上げてぶどうを踏む者もいません。叫び声は聞こえますが、歓声ではありません。
+ 恐怖と苦痛の、身の毛もよだつ叫び声が、ヘシュボンからエルアレとヤハツ、ツォアルからホロナイムとエグラテ‧シェリシヤにわたる国中に響きます。ニムリム川沿いの牧草地は、今ではすっかり荒れ地になりました。
+ 「わたしは、モアブが偽の神々を拝み、偶像に香をたくのをやめさせた」と、主は言います。
+ 私は、モアブとキル‧ヘレスのために嘆き悲しみます。彼らの富が消えうせたからです。
+ 彼らは苦しみもだえて頭の毛とひげをそり、手に傷をつけ、袋を作る材料の荒布を身にまといます。
+ どのモアブ人の家からも、路上からも、泣き悲しむ声が聞こえます。「わたしがモアブを、だれも見向きもしない古い器のように割ったからだ」と、主は言います。
+ なぜ壊されたのでしょう。泣き叫ぶ声を聞き、モアブの恥に目を留めなさい。モアブは今、周囲の人たちにとって、恐怖とさげすみのしるしとなっています。
+ 「モアブの上空を、不吉の使者のわしが輪を描いて飛んでいる」と、主は言います。
+ 町々は攻め取られ、要塞はつぶされます。偉大な勇士も、産みの苦しみをする女のように、恐れに取りつかれて弱くなります。
+ モアブは、もはや国ではありません。主に大きな口をきいたからです。
+ 「モアブよ、恐れと罠と裏切りが、おまえの分け前になる。
+ 逃げる者は落とし穴に落ち、そこからようやくはい上がったかと思うと、今度は罠に足をはさまれる。わたしは、おまえがどんなにもがいても脱出できないように、目を光らせている。おまえの刑罰の時がきたのだ」と、主は言います。
+ 彼らは、やっとの思いでヘシュボンまで逃げのびますが、それ以上は行けません。シホンの先祖の土地であるヘシュボンから火が出て、国の端から端までなめ尽くし、反逆者たちをみな焼き殺します。
+ ああ、モアブよ。恐ろしい運命があなたを待ち受けています。ケモシュの神を拝む人々は滅びました。あなたの息子と娘は、奴隷として連れ去られます。
+ 「だが、後に、わたしはモアブの国を再建する」と、主は言います。モアブについての預言は、これで終わりです。
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+ アモン人について――「おまえたちは、ここで何をしているのか。なぜユダヤ人の町に住んでいるのか。そこはユダヤ人だけの住みかであり、彼らがわたしから受け継いだ所ではないか。それなのに、ミルコムの神を拝むおまえたちが、なぜガドとその町々を占領したのか。
+ このため、わたしはおまえたちを罰し、おまえたちの町ラバを破壊する。そこは人の住まないごみの山となり、近くの町々も焼き払われる。そのあとイスラエルが来て、おまえたちの手から国を取り戻し、失った物を奪い返す。」主はこう言います。
+ 「ヘシュボンよ、アイが滅びたのだから、泣きわめくがいい。ラバの娘よ、喪服を着て垣根に身を隠し、ぞんぶんに泣け。おまえの神ミルコムが、重立った人や祭司と共に、遠い国へ連れて行かれるからだ。
+ おまえは、よく肥えた谷間の地を自慢にしているが、それはまもなく荒れ地になる。根性の曲がった娘よ。おまえは自分の財産を心の拠り所とし、手出しする者はだれもいないと考えていた。
+ だが、見ているがいい。わたしはおまえに恐怖を送る。」天の軍勢の主である神が、こう言います。「隣人たちはおまえをおまえの国から追い出し、おまえが捕虜になって連れ去られるのを横目で見ながら逃げて行く。
+ だが、後に、わたしはアモン人の国を元どおりに繁栄させる。エドムについてのメッセージエドム人について――
+ 天の軍勢の主はこう言います。「昔いた賢い者たちはどこへ行ったのか。テマンには、もう知恵のある者は一人もいないのか。
+ デダン(隊商で栄えた、アラビヤ北部の町)の人よ、荒野の一番奥まで逃げて行け。わたしはエドムを罰する時に、おまえたちをも罰するからだ。
+ ぶどうを収穫する者は、貧しい者のことを考えて少しは残しておく。どろぼうでさえ、すべてを盗んで行くようなことはしない。だが、わたしがエドムを丸裸にするので、隠れる所はどこにもない。子どもも、兄弟も、隣人も、一人残らず殺され、おまえ自身も滅びる。
+ だがわたしは、生き残ったみなしごたちを守り、未亡人たちがわたしを頼りとするようにする。」
+ 主はエドムに言います。「罪のない者さえ苦しむとしたら、おまえは、どれほど苦しまなければならないことか。罰を受けずにすむはずはない。どうしても、このさばきの杯を飲まなければならない。
+ ボツラは荒れ果て、のろいとあざけりを受けるようになると、わたしは自分の名にかけて誓ったのだ。その町々は永遠に廃墟となる。」
+ 私は主から、次の知らせを聞きました。神はエドムを滅ぼす同盟軍を起こすため、国々に呼びかける使者を送り出しました。
+ 神は言います。「わたしはこの国を弱くし、周囲の国々にさげすまれるようにする。
+ おまえはペトラの山々や岩の裂け目に住み、自分の名声と思い上がりによって自分を欺いてきた。だが、わしのように高い峰に住んでいても、わたしはおまえを引きずり降ろす。
+ エドムは非常に恐ろしい目に会う。そこに近づく者はみな、あまりにも悲惨な光景に背筋が凍り、息の止まる思いがする。
+ おまえの町々は、ソドムとゴモラやその近くの町々のように静まり返る。二度とそこに住む者はいない。
+ わたしが彼らのもとに、ヨルダンの密林から出て囲いの中の羊に忍び寄るライオンのような侵略者を送るので、エドムは一瞬のうちに滅びる。そのあとで、わたしの選んだ者をエドム人の上に立てよう。わたしのような者がいるだろうか。だれがわたしを呼びつけて、報告を求めることができるだろう。どの羊飼いが、わたしに反抗できるだろうか。」
+ 次のことを心に留めておきなさい。主は間違いなくエドムとテマンの住民に、小さな子どもさえ奴隷になって引きずられて行く光景を見せます。それは、見るに耐えない悲惨なことです。
+ エドムが倒れる音で地は揺れ動きます。人々の叫び声は紅海にまで聞こえます。
+ 襲いかかる者は、わしのように速く飛んで来て、ボツラに向かって翼を広げます。それを見て、大勇士の勇気もくじけ、産みの苦しみをする女のようになります。
+ ダマスコについて――「ハマテとアルパデの町々は、恐れに取りつかれた。彼らの運命がどうなるかを聞いたからだ。彼らの心は、嵐の荒れ狂う海のように、ざわめき立っている。
+ ダマスコはすっかりおじけづき、住民はみな逃げた。恐れと苦しみと悲しみが、産婦に取りつくように、ダマスコに取りついた。
+ ああ、名の知れた町、喜びの町よ。どうしておまえは、今になって見捨てられたのか。
+ 若者たちは、路上に死体となって横たわっている。おまえの軍隊は、ただの一日で蹴散らされてしまう。」そう天の軍勢の主は言います。
+ 「わたしはダマスコの城壁に火をつける。その火で、ベン‧ハダデの宮殿は焼け落ちる。」
+ 次の預言は、ケダルとハツォル(どちらも、パレスチナ東方の荒野に住むアラブ遊牧民)の王国についてです。これらの王国は、主の命令を受けたバビロンのネブカデネザル王によって、まもなく滅ぼされようとしています。
+ 神は言います。「彼らの羊の群れもテントも、家庭用品ともども奪い取られる。らくだも連れ去られ、『われわれは包囲された。いよいよ最期だ』という恐怖にひきつった叫び声が、あちこちから聞こえる。
+ いのちが助かるために逃げなさい。ハツォルの人たちは荒野の奥に隠れるのだ。バビロンのネブカデネザル王が陰謀を巡らし、おまえたちを根絶やしにしようと手はずを整えているからだ。」
+ 主はネブカデネザル王に、こう言いました。「さあ、のん気に荒野で孤立して住んでいる金持ちのベドウィン族に襲いかかるのだ。彼らは、だれの力も借りずにやっていけるとうぬぼれ、城壁も門もいらないと大口をたたいている。
+ 彼らのらくだと家畜は、みなおまえのものになる。わたしはこのアラブ人を風で吹き散らし、四方八方から災難を呼び寄せる。」
+ ハツォルは荒野の野獣の住みかになります。人の住まない、永遠の荒れ地となるのです。
+ ユダのゼデキヤ王の治世の初めに、エラムについてのことばが、エレミヤにありました。
+ 「天の軍勢の主はこう言います。『わたしはエラムの軍隊を破る。
+ また、四方からの風でエラムの住民を吹き散らす。そのため、彼らは世界中の国々に流れ着く。
+ わたしは激しく怒ってエラムに大きな災いを下し、敵がこの地の住民を一掃するように仕向ける。
+ わたしはわたしの王座をエラムに置き、王と重立った者たちを滅ぼす。
+ だが後に、わたしはエラム人を呼び戻す。
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+ 次は、主が預言者エレミヤを通して、カルデヤ人の国バビロンについて語ったことばです。
+ 「全世界の人に、バビロンは滅びると告げなさい。その国の神であるメロダクは恥をかく。
+ 北から一つの国が攻め上り、この地を二度と人が住めないほど徹底的に荒らすからだ。人も家畜も逃げる。
+ その時、イスラエルとユダの民は泣きながら、彼らの神であるわたしを尋ね求める。
+ シオン(エルサレム)に通じる道を尋ね、故国をめざして帰る。『二度と破られない永遠の誓いを立て、主にしっかり結びつこう』と、彼らは言う。
+ わたしの民は迷った羊だ。羊飼いたちはとんでもない方向に彼らを連れて行き、山の中に置き去りにした。彼らは道に迷い、どうすれば元の場所へ帰れるかと途方にくれた。
+ 彼らを見つけた者は彼らをさんざん食い物にし、『彼らを好きなように料理しよう。彼らは、正義の神であり、彼らの先祖の望みであった主に罪を犯したのだから』と言った。
+ しかし今度は、カルデヤ人の国バビロンから逃げ出すのだ。わたしの民を故国に連れ帰りなさい。
+ わたしは北方の強い国々の軍隊を奮い立たせ、バビロンに敵対させるからだ。バビロンは滅びる。敵の矢は的をめがけて飛んで来て、一本もはずれない。
+ バビロンは丸裸になる。
+ わたしの民から身ぐるみはぎ取ったカルデヤ人よ。おまえたちは喜び、みずみずしい草の茂る放牧地の牛のように肥え太り、種馬のようにいなないても、
+ おまえたちの母は恥をかいて顔を伏せる。おまえたちは一番弱い国となり、荒野となり、乾ききった砂漠となるからだ。
+ わたしの怒りによって、バビロンはさびれた荒れ地となる。そこを通り過ぎる者は血の気を失い、そのすべての傷を見てあざける。
+ 周りを囲むすべての国々よ、バビロンと戦う準備をしなさい。弓を引く者は、バビロンをめがけて矢を放て。彼は神に逆らって罪を犯したのだから、矢を惜しまず、容赦なく射かけるのだ。
+ 四方から、いっせいにときの声を上げなさい。城壁はくずれ、バビロンは降伏する。わたしはとうとう復讐した。バビロンがしたとおりのことを、やり返しなさい。
+ 畑で働く外国人は、みな逃げなさい。敵の軍勢が攻めて来るから、自分の国に走って帰りなさい。
+ イスラエル人はライオンに追われる羊のようだ。初めはアッシリヤの王がその肉を食い、次にはバビロンのネブカデネザル王が、骨まで食いつくした。」
+ そこで、イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「わたしは今度は、アッシリヤを罰したように、バビロンの王とその国に罰を加える。
+ わたしはイスラエル人を故国に連れ戻す。彼らはカルメルとバシャンで草を食べ、もう一度、エフライムとギルアデの山々で幸せに暮らすようになる。
+ その日には、イスラエルにもユダにも、罪は一つも見当たらなくなる。わたしは残った者たちを赦すからだ。
+ わたしの勇士たちよ。メラタイム(南部バビロニヤ)とペコデ(東部バビロニヤ)に攻め上りなさい。わたしがさばこうとしている反逆の国バビロンに、威勢よく進撃しなさい。命令しておいたとおり、彼らを根絶やしするのだ。
+ 国中に戦いの雄たけび、大きな破滅の叫びが上がるように。
+ 地上のすべての国々を打った強力な金槌は、粉々になった。バビロンは国々の中で、荒れ果てた地となった。
+ バビロンよ。わたしがおまえに罠をしかけ、おまえを捕まえた。おまえがわたしに戦いをいどんだからだ。
+ わたしは兵器庫を開き、敵に怒りを表そうと武器を取り出した。バビロンに降りかかった恐怖は、天の軍勢の主であるわたしが指図したものだ。
+ 遠くから来てバビロンに攻めかかりなさい。穀物倉に押し入り、城壁と家々を壊して高く積み上げ、とことん荒らすのだ。めぼしいものは何一つ残してはならない。
+ 家畜にまで、のろいが下るように。それを一頭残らず殺すのだ。バビロンの荒廃の時がきたのだから。
+ だが、わたしの民は逃げ出す。彼らは故国に逃れ、彼らの神であるわたしが怒りに燃え、神殿を壊した者たちに仕返ししたと報告する。
+ 弓を引く者をバビロンに呼び集めなさい。この都を包囲し、蟻一匹はい出るすきもないようにするのだ。バビロンがほかの国々にしたとおりに報いなさい。彼らはイスラエルのきよい神であるわたしに大言壮語し、公然と反抗したからだ。
+ 若者は路上に倒れて死に、勇士は皆殺しになる。
+ 思い上がっている者たちよ。わたしはおまえたちの敵になる。おまえたちのさばきの日が、ついにきたのだ。
+ 高ぶる国よ。おまえはつまずいて倒れるが、だれも起こしてくれない。わたしが町々に火をつけ、何もかも灰にするからだ。」
+ 天の軍勢の主はこう言います。「捕虜になったイスラエルとユダの民は虐待されている。主人たちは彼らを釈放しようとしない。
+ だが、彼らを救い出す者は強く、その名は天の軍勢の主だ。わたしは彼らの訴えを聞き、彼らが自由の身となり、再びイスラエルの地で平穏に暮らせるように取り計らう。だが、バビロンの住民に安息はない。
+ 破滅の剣がカルデヤ人に切りかかる。その剣はバビロンの住民を、重立った者も知恵のある者も区別なしに切りまくる。
+ 賢い助言者も愚かになり、何ものをも恐れない勇士もあわてふためく。
+ 戦いが起こって、馬も戦車ものみ尽くす。同盟を結んだほかの国々の者たちは、女のように弱くなり、財宝はみな略奪される。
+ そればかりか、水の補給さえなくなる。どうして、このようになるのだろうか。国中に神々の像が立ち、民が熱心に偶像を慕っているからだ。
+ バビロンの都は、だちょうや山犬、荒野の野獣の住みかとなり、人は二度と住みつかない。永久に荒れ果てた地となる。
+ わたしは、ソドムとゴモラとその近くの町々を滅ぼしたように、バビロンを滅ぼす。これらの町々に人が住まなくなったように、バビロンにも人が寄りつかなくなる。」
+ 北から大軍が押し寄せて来ます。神が多くの国から呼び集めた王たちが、この軍隊を指揮しています。
+ 彼らは完全武装していて、残忍で容赦しません。その雄たけびは、海辺に打ち寄せる波のように響き渡ります。バビロンよ。彼らは戦いのしたくを整え、馬に乗って攻めかかります。
+ バビロンの王は、敵が来たという報告を受けると、肩を落としました。産みの苦しみをしている女のように、恐怖の苦痛に取りつかれたからです。
+ 「ヨルダンの密林から出て、草を食べている羊に飛びかかるライオンのような侵略者が、彼らに突然襲いかかるようにする。彼らを守る者たちを追い払い、わたしの気に入った指導者を立てる。わたしのような者がいるだろうか。わたしの決めたことに反抗する支配者が、どこにいるだろうか。だれがわたしを呼びつけて、説明を求めることができようか。
+ カルデヤ人の国バビロンへの、わたしの計画を聞きなさい。小さな子どもたちでさえ、奴隷になって引かれて行く。身の毛もよだつほど恐ろしいことではないか。
+ バビロンの倒れる地響きで、全地は揺れ動く。その断末魔の叫びは、世界の隅々に届く。」
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+ 神はこう言います。「わたしは、カルデヤ人の住むバビロンを隅々まで滅ぼす者たちを、勇気づける。
+ ふるい分ける者たちが来て、バビロンをふるいにかけ、風を起こして吹き飛ばす。彼らは、災いの日に四方八方から来て、攻め立てる。
+ 敵の矢はバビロンの射手を倒し、勇士のよろいを貫く。生き延びる者は一人もいない。若者も老人もみな、いのちを落とす。
+ カルデヤ人の地に倒れ、めった切りにされて路上で息絶える。
+ わたしは、イスラエルとユダを見捨てたわけではなく、依然として彼らの神である。だがカルデヤ人の地は、イスラエルのきよい神に対する罪で満ちている。」
+ バビロンから逃げ出し、自分のいのちを救いなさい。罠にかかってはいけません。そのまま残ったら、神がバビロンのすべての罪に報復する時、巻き添えを食います。
+ バビロンは、主の御手にある金の杯のようでした。すべての国々はこれから飲んで、酔いつぶれました。
+ ところが今度は、突然、そのバビロンが倒れたのです。この国のために泣きなさい。薬を与えなさい。もしかしたら、元どおりになるかもしれません。
+ できることなら助けたいのです。しかし今となっては、どんな手を打っても救えません。この国を見捨てて、故国へ帰りなさい。主がこの国に天罰を下したからです。
+ 主は私たちの顔を立ててくださいました。さあ、エルサレムで、神のなさったすべてのことを言い広めましょう。
+ 矢じりを研ぎ、盾を高く掲げなさい。主はメディヤ人の王たちを勇気づけてバビロンに乗り込ませ、これを滅ぼすことに決めたからです。これが、神の民を虐待し、神殿を汚した者たちへの報復です。
+ バビロンよ、守備を固め、城壁に見張りを大ぜい立て、伏兵を隠しておきなさい。神は宣言したことをみな実行するからです。
+ 商業の中心地である繁栄した港よ。いのちの糸が切られる最期の時がきました。
+ 天の軍勢の主はご自分の名にかけて、こう誓いました。おまえの町々は、無数のばったが群がる畑のように、敵兵であふれ返る。彼らは、天にも届けとばかり、勝ちどきを上げる。
+ 神は力と知恵をもって地をお造りになりました。すぐれた知性をもって天を張り広げました。
+ 神が口を開くと大空に雷がとどろき渡ります。神は大地から水蒸気を上らせ、ご自分の倉から、雨と風を伴ういなずまを取り出します。
+ 神に比べたら、人間は愚かな獣で、一かけらの知恵もありません。金細工人は偶像を作るたびに、ますます良心が鈍くなります。偶像には、いのちのしるしである息がないのに、それを作るたびに神ができたと言って、うそをつくからです。
+ 偶像は、むなしいものです。神が来てそれをみな滅ぼす時が近づいています。
+ イスラエルの神は偶像ではありません。この神があらゆるものを造り、イスラエルをご自分の民としました。その名は天の軍勢の主です。
+ バビロンは神のための戦いの斧であり、また剣です。主は言います。「わたしは国々を木端微塵に砕き、多くの王国を滅ぼすためにおまえを用いる。
+ おまえを使って軍勢を蹴散らし、馬と乗り手を倒し、戦車とそれに乗っている者を打ち砕く。
+ おまえを使って、年老いた者も若者も、若い男も若い女も、
+ 羊飼いも羊の群れも、農夫も牛も、指揮官も総督も倒す。
+ わたしはイスラエルの目の前で、バビロンとカルデヤ人に報いる。彼らがわたしの民に加えたすべての悪に仕返しするのだ。
+ 全世界を破壊する大きな山、バビロンよ。わたしはおまえを攻める。おまえにこぶしを振り上げ、高い所から突き落とし、おまえを焼けただれた山にする。
+ おまえは永久に荒れ地となり、おまえの石さえも、建築用として再生されることはない。おまえは地上から完全に一掃されるのだ。」
+ 多くの国々に合図して、バビロンを攻める兵士を集めなさい。雄たけびをあたりに響かせなさい。アララテ、ミニ、アシュケナズの軍隊を呼びなさい。指揮官を決め、長蛇の列をなして馬を進めなさい。
+ バビロンめざして、メディヤ人の王たちと将軍たち、その支配下の国々の軍隊を攻め上らせなさい。
+ バビロンは震え、苦痛で身もだえします。主がこの国について計画したことはみな、少しも変更されないからです。バビロンは、だれも住まない荒れ地となります。
+ 大勇士でも、戦う気力を失い、仮小屋に引きこもります。力が尽きて、女のようになるのです。侵略者たちは家々を焼き、町の門を壊しました。
+ 伝令が四方八方から王のもとへ駆けつけ、何もかも失われたと報告します。
+ 退路はすべて断たれ、とりでは焼き払われ、兵士たちは大混乱に陥っています。
+ イスラエルの神である天の軍勢の主が、こう言ったからです。「バビロンは打ち場に積まれた麦のようだ。もうすぐ、からざおで打たれる。」
+ バビロンのユダヤ人たちは訴えます。「バビロンのネブカデネザル王は、私たちを食い物にし、踏みつけ、骨なしにしました。怪物のように私たちをのみ込み、私たちの財宝で腹を満たし、私たちをイスラエルから追放しました。バビロンに、このすべての悪事の報いを刈り取らせ、その手で流した私たちの血を完全に償わせてください。」
+ それに対して、主はこうお答えになります。「わたしはおまえたちを弁護する者となり、おまえたちのために報復する。バビロンの川を干上がらせ、水の補給を断つ。
+ こうしてバビロンは、石くれの山となり、山犬が住みつき、だれもいない見るも恐ろしい地となる。
+ バビロニヤ人は宴会を開いて、ライオンのようにほえる。
+ 彼らがありったけのぶどう酒を飲んで気持ちが大きくなっている時、わたしは彼らのために別の宴会を設け、彼らが意識を失って倒れ、永遠の眠りにつくまで飲ませる。
+ 彼らを子羊のように、また雄羊や雄やぎのように、ほふり場に引いて行く。
+ 全世界の人のあこがれの的だった、あの偉大なバビロンは、なぜ倒れたのか。世界は、バビロンが倒れるのを見て、目を疑う。
+ 海がせり上がってバビロンを包むと、それは波に覆われた。
+ 町々は廃墟となった。バビロンは、誰ひとり住まず、旅人さえ寄りつかない、乾ききった荒れ地となる。
+ わたしはバビロンの神であるベルを罰し、その口から、彼がのみ込んだ物を取り出す。諸国の民は二度と彼を拝まない。バビロンの城壁は倒れてしまった。
+ わたしの民よ、バビロンを脱出し、わたしの激しい怒りから自分を救いなさい。
+ 外国の軍隊が近づいて来るといううわさを聞いても、うろたえてはならない。うわさは、いつになっても絶えないものだ。だが、この国に内戦が起こり、各州の総督が互いに戦う時がくる。
+ わたしがこの大都市とこの国のすべての偶像を罰する時が、きっとくる。そうなれば、町中に死人が転がるようになる。
+ バビロンを攻める強力な軍勢が北から来るので、天も地も喜ぶ。」そう主は言います。
+ かつてイスラエルの民を殺したように、今度はバビロンが殺される番です。
+ 剣から逃れた者は、立ち止まって、あたりの様子を見ていてはいけません。力の限り逃げなさい。主を思い出して、はるかかなたのエルサレムへ帰って行きなさい。
+ 「バビロンから来た外国人たちの手で神殿が汚されたので、私たちはとても恥ずかしい思いをしました。」
+ 「そのとおりだ」と、主は言います。しかし、バビロンの偶像が壊される時が近づいています。国中に、傷ついた人のうめき声が聞こえます。
+ 「たとえ、バビロンが天のように高くなり、その力が信じられないほど増し加わったとしても、必ず死ぬ」と、主は言います。
+ カルデヤ人の支配する地、バビロンに上がる大きな破壊の叫びを聞きなさい。
+ 主はバビロンの息の根を止めます。その大きな声も、やがては大波にのまれて消えます。
+ すべてのものを破壊する軍勢が攻めて来て、勇士たちを滅ぼします。武器という武器はどれも、まるで役に立ちません。神がバビロンに与えるものは、当然の刑罰だけです。
+ 「わたしは、この国の重立った者、知恵のある者、支配者、指揮官、それに勇士たちを酔いつぶす。彼らは深い眠りに落ち、二度と目を覚まさない。」こう天の軍勢の主である王が言います。
+ バビロンの厚い城壁はくずれて平らになり、高い城門も無残に焼け落ちます。多くの国から呼び集められた建築士は、造った物が火で焼かれるため、むだ骨を折ったことに気づきます。
+ ゼデキヤ王の治世の第四年に、エレミヤを通して、次のことばがマフセヤの子のネリヤの子セラヤにありました。それは、宿営長セラヤがユダのゼデキヤ王と共に捕まり、バビロンへ流される、というものでした。
+ エレミヤは、先に書いたような、神がバビロンに下そうとしているすべての災害を巻物に書き留め、
+ その巻物をセラヤに渡して言いました。「バビロンに着いたら、私の書いたことを読み、次のように言いなさい。『主よ。あなたはバビロンを滅ぼし、そこを猫の子一匹いない、永遠に見捨てられた所にする、と語りました。』
+ 読み終えたら、石を結びつけてユーフラテス川に投げ込み、こう言いなさい。『このように、バビロンは沈み、二度と浮かび上がらない。わたしがこの国に災いを招くからだ。』」これで、エレミヤのことばは終わります。
+
+
+ (以下は、三十九章の記事の補足です。)ゼデキヤは二十一歳で王となり、十一年間エルサレムで王座につきました。彼の母はリブナ出身のエレミヤの娘で、名をハムタルといいました。
+ ところが彼は、先代のエホヤキムのように悪名の高い王でした。
+ 悪事の限りを尽くす王に、神はとうとう怒りを燃やし、バビロン王に反逆するよう仕向けたのです。こうして王とイスラエルの民は、神の前から追放され、エルサレムとユダをあとにして、遠くバビロンへ捕虜として連れ去られました。
+ ゼデキヤが即位して九年目の、十二月二十五日(ユダヤ暦では十月十日)に、バビロンのネブカデネザル王は全軍を率いてエルサレムを攻め、周囲にとりでを築き、
+ 二年間この町を包囲しました。
+ 六月二十四日(ユダヤ暦では四月九日)になって、町ではききんがひどくなり、ついに最後の食糧も底をついたので、
+ 住民は城壁に穴をあけ、また兵士たちもみな夜の闇にまぎれ、王の庭園の近くにある二重の城壁の間にある門を通って、町の外へ逃げました。町はカルデヤ人にすっかり囲まれていたからです。人々は野原を横切り、アラバめざして急ぎました。
+ しかし、カルデヤ兵はあとを追い、エリコに近い野原で、護衛兵に逃げられて孤立しているゼデキヤ王を捕まえました。
+ 兵士たちは、ハマテのリブラという町にいるバビロン王のところへ彼を引き立てて行き、そこで軍事裁判にかけました。
+ ゼデキヤは、目の前で、息子をはじめユダの重立った人たちが虐殺されるのを見せつけられたあと、
+ 両眼をえぐり出され、鎖につながれてバビロンへ引いて行かれ、死ぬまで牢に閉じ込められていました。
+ バビロンのネブカデネザル王が即位して十九年目の七月二十五日(ユダヤ暦では五月十日)に、親衛隊長ネブザルアダンがエルサレムに乗り込んで、
+ 神殿と王宮、それにすべての邸宅を焼き、
+ 兵士たちに、町の城壁をいっせいに取り壊すように命じました。
+ それから、貧しい人々の一部、町が壊された時に生き残っていた者、ゼデキヤを見限ってバビロン軍に投降した者、それにまだ残っていた交易商人を、捕虜としてバビロンへ連れて行きました。
+ しかし貧しい人々の一部は残して、ぶどう園の手入れをさせたり、畑を耕させたりしました。
+ バビロニヤ人は、神殿の入口に立つ二本の大きな青銅の柱と、牛の形をした青銅の台と、その上にすえてある青銅の洗盤を取りはずして、バビロンへ運びました。
+ また、すべての青銅のつぼと湯わかし、祭壇で使う十能、芯切りばさみ、そのほか神殿で使ういっさいの器具を差し押さえました。
+ さらに、火皿、純金と純銀の燭台、茶わん、鉢も奪いました。
+ 途方もなく大きな二本の柱、洗盤、それに十二の青銅の牛の重さは、大変なものでした。とても量りようがありません。みな、ソロモン王の時代に作られたものです。
+ 柱はそれぞれ高さ九メートル、周囲六メートル、厚さ八センチで、中は空洞でした。
+ 柱の頭の部分二‧五メートルは、青銅のざくろを彫刻した網目模様になっていました。
+ 回りには九十六のざくろがあり、周囲の網細工には、さらに百のざくろがありました。
+ 親衛隊長はまた、祭司長セラヤと次席祭司ゼパニヤ、三人の神殿警備隊長、軍の参謀、町の中で見つかった王の特別補佐官七人を捕まえました。さらに、ユダヤ軍の徴兵指揮官と、隠れていた六十人の高官も捕まえました。
+ そのあと、彼らを、リブラにいるバビロン王のところへ連れて行ったのです。
+ 彼らは王の命令によって、一人残らず死刑になりました。こうしてユダの民は、捕虜となって故国をあとにすることになったのです。
+ ネブカデネザルが即位して七年目に、捕虜としてバビロンへ連れ去られた人々の数は、三千二十三人でした。
+ それから十一年後には、八百三十二人が加わりました。
+ さらに五年後、王の命令を受けた親衛隊長ネブザルアダンは、七百四十五人を連れて来ました。結局、合計で四千六百人です。
+ ユダ王国のエホヤキン王が、バビロンの牢に入って三十七年目の三月十日(ユダヤ暦では十二月二十五日)に、その年バビロン王となったエビル‧メロダクは、エホヤキンに親切にし、彼を牢から出しました。
+ しかも、親しみを込めて彼に話しかけ、バビロンのどの総督よりも高い位を与え、
+ 新しい衣服をあてがい、生涯、いつも王の料理係の作る物を食べさせました。
+ エホヤキンは死ぬ日まで、生活費を王から支給されました。
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+ かつて人々でにぎわっていたエルサレムの通りが、今はひっそり静まり返っています。諸国の女王だった町は今では奴隷のようで、悲しみに沈む未亡人のように座り込んで嘆いています。
+ 夜通し泣いて、涙が彼女の頬を伝います。恋人たち(エジプトや他の同盟国)は、誰ひとり声をかけてもくれません。今ではみな、敵となっているからです。
+ ユダは労役で苦しんだ果てに、捕囚となって遠い国へ引いて行かれたのです。今は征服者の手に落ち、外国で不安な毎日を過ごしています。
+ シオン(エルサレム)への道は、神殿で例祭を祝うにぎやかな参拝客の列も途絶え、すっかりさびれて、憂いに沈んでいます。都の城門はさびつき、祭司たちはうめき、おとめたちは悲しみに打ちひしがれています。シオンは泣き伏しています。
+ 敵がわがもの顔に振る舞っています。エルサレムの多くの罪のために、主が罰を加えたからです。幼い子どもたちは捕らえられ、奴隷として遠くへ連れ去られました。
+ シオンの美しさも威厳も、すっかりなくなりました。指導者たちは、あてもなく牧草地をさまよう飢えた鹿のようで、敵に出会っても逃げる力さえありません。
+ エルサレムは悲しみのどん底で、過ぎ去った楽しい日々を思い浮かべます。今はもう、援助の手を伸ばしてくれる者もなく、屈した敵の前で、あざけりの的となっています。
+ エルサレムは罪に罪を重ねたので、汚いぼろきれのように捨てられました。丸裸にされ、人前にさらされ、かつては尊敬の眼で見た人たちも、今では軽蔑のまなざしを向けるだけです。彼女はあまりの恥ずかしさにうめき、顔を隠します。
+ この都は不品行の罪にうつつを抜かし、確実に罰が下るという事実に顔を背けていました。落ちぶれてしまった今、だれも助けてくれないので、彼女は叫びます。「ああ主よ、私の不幸に目を留めてください。敵はあんなに勝ち誇っています。」
+ 敵は貴重品をすべて取り上げ、彼女を無一物にしました。そればかりか、神聖な神殿を荒らし回りました。そこに入ることさえ神が禁じた外国人によって。
+ 民はうめき、必死にパンを探し求めます。持ち物を全部売り払い、少しでも体力を回復しようと、食べ物をあさります。「主よ、ごらんください。私がどんなにさげすまれているかを知ってください」とエルサレムは祈ります。
+ 道行く人よ、何とも思わないのですか。主が燃える怒りの日に、こんなにも私を悩ませたのです。これ以上の悲しみを見たことがあるでしょうか。
+ 主が天から送った火は、私の骨の中で燃え続けています。主は行く道に落とし穴を置き、私を追い返しました。私を病気にしたまま置き去りにし、つらい思いをさせました。
+ 主は私の罪を編んで綱とし、それで私を引いて、奴隷のくびきに結びつけました。私を骨抜きにして、敵の手に渡しました。私は敵のなすがままになっています。
+ 主は味方の勇士をみな踏みつけました。主の命令によって強力な軍隊が押し寄せて来て、すぐれた若者たちを倒しました。主は愛する都を、酒ぶねのぶどうのように踏みつぶしました。
+ このことで、私は泣いています。私を助けられるのは主だけだというのに、主は私を慰めもせず、遠く離れて立っています。子どもたちに未来はありません。私たちは征服された民です。
+ エルサレムは助けを求めて哀願しますが、だれも慰めてくれません。主がこう語ったからです。「隣人が敵となれ。この都は悪臭を放つぼろきれのように、投げ捨てられてしまうがいい。」
+ 主がこう言うのも、もっともなことです。私たちは神に反逆したからです。しかし、すべての国々の民よ、私の苦悩と絶望に目を留めてください。息子も、娘も、奴隷として遠い国へ引いて行かれました。
+ 私は同盟国の助けを求めましたが、彼らは少しも役に立たず、がっかりするばかりでした。祭司も、長老も、同じことでした。彼らは、残飯をあさってうろつきながら、道ばたで飢え死にしたのです。
+ 主よ、私の苦しみに目を留めてください。私の心は傷つき、たましいは絶望にあえいでいます。私がひどく背いたからです。外に出ると、剣が待ち伏せし、家にいても、病気と死が私を捕らえて放しません。
+ 私のうめきを聞いてください。助けてくれる者はどこにもいません。敵は私が苦しんでいるのを聞きました。彼らは、主が私に罰を加えたと知って、喜んでいます。しかし主よ。お約束どおり、彼らも私と同じ目に会う時が来るはずです。
+ 主よ、彼らの罪にも目を留め、あなたが私に下したのと同じ罰を彼らにも下してください。私はため息をくり返し、私の心はしおれきっているのです。
+
+
+ 主の怒りの雲がエルサレムを覆いました。イスラエルで最も美しい町は、ちりの中に伏し、主の命令によって天から投げ落とされました。御怒りの燃え上がる日になると、神はご自分の宮にさえ、一かけらのあわれみもかけませんでした。
+ 主は容赦なく、イスラエル中の家を倒し、怒りにまかせて、すべての要塞と城壁を壊しました。この国を、支配者もろとも地にたたきつけたのです。
+ イスラエルの力は、主の憤りの前に、あえなく消滅します。主は敵が攻めて来た時、擁護から手を引きました。神は猛り狂う火のように、イスラエルを焼き尽くします。
+ 神はご自分の民に向けて、まるで敵でもあるかのように弓を引きます。主の御力は彼らに向かい、えり抜きの若者たちを虐殺し、憤りの火を注ぎます。
+ 主は、敵のようになって、イスラエルを地上から抹殺し、その要塞と宮殿を破壊しました。こうして、悲しみと涙がエルサレムの受ける分となったのです。
+ 主は、庭先の木の枝と葉で作ったあばら屋のように、ご自分の神殿を手荒く壊しました。もう例祭と安息日を守ることができません。王も、祭司も、主の激しい怒りの前に倒れます。
+ 主はご自分の祭壇から顔を背けました。形ばかりの礼拝に失望したからです。主は宮殿を敵の手に渡しました。彼らは、例祭の日にイスラエル人がしたように、神殿で飲み騒ぎました。
+ 主はエルサレムを滅ぼそうと決め、「破壊」という物差しでこの都を測ったのです。それで、とりでも城壁も音を立ててくずれました。
+ エルサレムの門はもう役に立ちません。主の手にかかって、錠もかんぬきも壊されたからです。王も首長も奴隷となり、引かれて行きました。そこには神殿もなく、生活の指針となる律法もなく、預言者の幻もありません。
+ エルサレムの長老たちは、荒布をまとって地に座り、黙り込んでいます。彼らは悲しみ、失望して、頭にちりをかぶります。おとめたちも、恥ずかしがって頭を垂れます。
+ 私は涙のかれるまで泣きました。同胞の身に起こったことを見て、悲しみのあまり胸が張り裂け、身を切られる思いでした。幼い子どもや、生まれたばかりの赤ん坊が、道ばたで衰弱し、息絶えていくのです。
+ 子どもたちは「何か食べたい」と訴えるように、乳の出ない母の胸に顔を埋めます。小さないのちは、戦場で傷ついた兵士のように消えていきます。
+ 今までこんな悲惨なことがあったでしょうか。エルサレムよ。あなたの苦悩を何にたとえたらよいでしょう。どのようにして慰めたらよいのでしょう。その傷は海よりも深く、だれにもいやせません。
+ 預言者たちは、多くのまやかしを預言しました。あなたの罪を指摘して、何とかしてあなたが奴隷にならないようにしようと、努力することもありませんでした。うそを並べ立て、万事うまくいくと言ったのです。
+ 道行く人たちはみな、あざけって頭を振り、「これが『世界で最も美しい都』とも、『全地の喜び』とも呼ばれていた町なのか」とさげすみます。
+ 敵はあなたをあざ笑い、ののしって言います。「とうとう、この都を滅ぼしたぞ。待ちに待った時がついにきた。この目で、都が倒れるのを見た。」
+ しかし、このようにしたのは主です。主は、警告どおりのことをしたのです。ずっと前から決めていたエルサレムを破壊するという約束を実現させたのです。容赦なくエルサレムを滅ぼし、敵がこの町のことで喜び、自分たちの力を自慢するように仕向けたのです。
+ その時、人々は主の前で泣きました。エルサレムの城壁よ、昼も夜も、存分に泣きなさい。涙が川となって落ちるまでに。
+ 夜を徹して、神に叫びなさい。主に向かって両手を上げ、心を水のように注ぎ出しなさい。飢えて道にしゃがみ込んでいる子どもたちのために、ひたすら祈りなさい。
+ 主よ、思い直してください。このような仕打ちをしている相手は、神の民ではありませんか。母親が、ひざの上であやしたわが子を食べていいのでしょうか。祭司や預言者が、神殿で殺されてよいのでしょうか。
+ 老人も幼い者も、男も女も、敵の剣にかかって路上に倒れています。主よ。あなたが怒って無慈悲に殺したのです。
+ あなたが、この恐ろしい破壊を招き寄せたのです。あなたの怒りの日、逃げ延びた者や生き残った者は、一人もいません。幼い子どもたちはみな敵の手に落ち、冷たくなって路上に横たわっています。
+
+
+ 私は、神の激しい怒りのむちが振り下ろされるのを、この目で見ました。
+ 主は暗闇の底に私を連れて行き、いっさいの明かりを吹き消しました。
+ 私に襲いかかる主の御手は、昼も夜も重くのしかかっています。
+ 私は憔悴しきって、すっかり老け込んでしまいました。
+ 主は私の前にとりでを築き、苦しみと悩みで私を取り囲みました。
+ 私を、ずっと前に死んだ者のように、暗がりに埋めました。
+ 主が私を閉じ込めたので、どんなにもがいても逃げられません。主は私を重い鎖でつなぎました。
+ 私がどんなに声を張り上げても、主は祈りを聞こうとされません。
+ 私は、高い崖が周囲にそそり立つ所に閉じ込められ、どんなに急いでも、道を先へ進めません。
+ 主は熊やライオンのように、私に襲いかかろうと待ち伏せています。
+ 主は私をやぶに引きずり込み、前足でずたずたに引き裂いて、置き去りにしました。
+ 主は弓を引きしぼり、私にねらいをつけました。
+ その矢は、私の心臓に突き刺さりました。
+ 同胞は私を笑い者にし、一日中、下品な歌であざけります。
+ 主は私に悲しみの杯を飲ませたので、口の中が苦くなりました。
+ 小石を食べさせられ、歯が折れました。主は、私が灰とちりの中を転げ回るようにしました。
+ 主よ、平和も繁栄も、ずっと前に姿を消しました。あなたが取り去ったからです。私は、楽しみとはどんなことか、すっかり忘れ、
+ 夢も希望もなくなりました。もう気力さえ残っていません。主が私を置き去りにしたからです。
+ どうか、私に突きつけた苦い杯と苦しみとを思い出してください。
+ 私は身のすくむような恐ろしい年月を、忘れようにも忘れられません。私のたましいは屈辱に沈んだままなのです。
+ それでもなお、一つの望みが残っています。
+ 主の恵みは決してなくなることがない、ということです。私たちが滅亡しなかったのは、主の恵みによります。
+ 神の真実は限りなく、その恵みは朝ごとに新しくなります。
+ 主こそ私の受ける分で、私は主に望みを置きます。
+ 主は、ご自分を待ち望む者、ご自分を求める者をいつくしみます。
+ 主の救いだけに望みを置いて、静かに待つのは良いことです。
+ 若い時にきびしく訓練されるのは良いことです。
+ その人は主から命令があったとき、黙ってそれを受け止め、
+ 下を向きますが、ついには希望を見いだすようになります。
+ 自分を打つ者にもう一方の頬を向け、ひどい侮辱を受けなさい。
+ 主がいつまでも見捨てておくはずがないからです。
+ たとえ、彼に悩みを与える場合でも、主は恵み深いお方ですから、忘れずにあわれみをかけてくれます。
+ 主は意味もなく人を苦しませ、悲しませたりはしません。
+ しかし、あなたは身分の低い者を踏みつけ、神に与えられた彼らの権利を奪い、公平に扱いませんでした。だから今、主がつらく当たるのは当然のことです。
+ 主の許しがなければ、だれもあなたに、あれほどひどい仕打ちをするはずがありません。
+ ある人を助け、ほかの人に災いを下すのは主です。
+ どうしてただの人間にすぎない私たちは、自分の罪のために罰を受けたからといって、つぶやいたり、不平を言ったりするのでしょう。
+ むしろ、自分自身を振り返り、悔い改めて、主に立ち返るべきです。
+ 手だけでなく、心もいっしょに、天におられる神に向けようではありませんか。
+ 私たちは罪を犯したのです。主に反抗し、主は、そのことを忘れませんでした。
+ 主よ。あなたは怒って私たちを追いつめ、容赦なく打ちました。
+ あなたは雲で姿を隠しているので、私たちの祈りは届きませんでした。
+ あなたは私たちを、国々の間で、ごみのように捨てられるものとしました。
+ 敵はみな、私たちに大きな口をたたきました。
+ 私たちは罠にかかり、見殺しにされたので、恐れに取りつかれました。
+ 同胞が滅んでいくのを見て、昼となく夜となく、涙があふれ出ます。
+ ああ、主が天から見下ろして、私の叫びに答えてくださるとよいのに。
+ 私の胸は、エルサレムの娘たちの災いを知って、張り裂けんばかりです。
+ 今までに一度もこちらから害を加えたことのない敵が、まるで鳥をねらうように、私を追いかけました。
+ 彼らは私を井戸に放り込み、大きな石でふたをしたのです。
+ 水が頭の上まで来たので、これで終わりだと思いました。
+ しかし主よ。私は井戸の底から、主の名を呼びました。
+ すると、あなたはその叫びを聞いてくださいました。私の訴えに耳を傾け、私の泣き声を聞かれたのです。
+ 私の絶望の声を聞いて近づき、「恐れてはいけない」と語りました。
+ 私を弁護してくれる主よ、私をお守りください。あなたは私のいのちを買い戻してくださったのです。
+ あなたは、敵が私にどんなことをしたかを見ました。裁判官となって、私の身の潔白を証明してください。
+ あなたは、敵が企んださまざまの陰謀を見て、
+ 聞くに耐えない名で私を呼んだのをご存じです。
+ また、彼らが私について言っていること、ひそひそ声で相談している計画をご存じです。
+ 私の失脚を謀って、あざ笑い、はしゃいで歌っている様子を見てください。
+ 主よ、彼らのしたすべての悪に、報いてください。
+ 主よ、彼らを強情にし、のろってください。
+ とことんまで追いつめ、天の下から根絶やしにしてください。
+
+
+ どうして、純金は光沢を失ったのでしょうか。それを埋め込んだ神殿の壁がくずれ落ち、道ばたに散らばったからです。
+ 純金とも言うべき、えりすぐりの若者が、土の器のように扱われています。
+ 山犬でさえ、自分の子を育てるというのに、イスラエルは荒野のだちょうのように、赤ん坊の泣き声を聞いても知らぬふりをしています。一滴の水も残っていないので、子どもたちは渇きのため、のどがかれています。幼子はパンが欲しくて泣きますが、誰ひとり、一かけらも与えることができません。
+ 味にうるさい美食家たちも、口に入る物なら何でも恵んでくれと、道ばたで物乞いしています。宮殿育ちの貴族までが、ごみ捨て場をあさります。
+ それというのも、イスラエルの罪は、またたく間に、人の手によらず滅んだソドムの罪より大きいからです。
+ 上流階級の人たちは、ほっそりして日に焼け、見るからに健康そうで、最高の人々でした。
+ それが今では、顔はすすけたように真っ黒です。町の中にいても見分けがつきません。皮膚はかさかさに乾いてしなび、骨にへばりついています。
+ 剣でひと思いに殺される者は、飢えのためにじわじわと死に追いつめられる者よりはるかにましです。
+ 心の優しい女でさえ、生き延びるために、自分の腹を痛めた子どもを食べました。
+ こうして主の怒りは晴らされ、激しい憤りが出し尽くされました。主がエルサレムに放った火は、その土台まで焼き尽くしました。
+ 世界中のだれもが、まさか敵軍がエルサレムの門を破るとは、夢にも思いませんでした。
+ 神がそれを許したのは、罪のない者の血を流して都を汚した預言者や祭司たちの罪のためです。
+ 今や、彼らは血にまみれ、触れるものは何でも汚しながら、あてもなく町の中をさまよい歩いています。
+ 彼らを見て、人々は「あっちへ行け。汚らわしい」と叫びます。彼らは遠い国へ逃げて行き、外国人の居留地をなおさまよい歩きます。しかし、どこへ行っても仲間はずれで、誰ひとり居住権を与えてくれません。
+ 主は彼らにつらく当たり、援助の手を伸べるのを差し控えました。神に最後まで忠実だった祭司や長老たちを、彼らが迫害したからです。
+ 私たちは、同盟国の助けを待っていましたが、来ませんでした。最もあてにしていた国さえ、少しも動こうとしませんでした。
+ 一歩外に出れば、身の危険にさらされどおしです。私たちの最期は間近です。私たちの余命は、もう数えるほどしかありません。私たちは滅亡の宣告を受けています。
+ 敵はわしより速く飛ぶので、たとえ山へ逃げても、すぐに見つかります。荒野に隠れても、先回りして待っています。
+ 頼みの綱であった、主に油注がれた私たちの王は、敵の罠にかかって捕まりました。この偉大な王さえいれば、どんな国が来ても大丈夫だったのに。
+ ウツの地に住むエドムの人たちよ。喜んでいるのですか。しかしあなたがたも今に、主の恐ろしい怒りを感じるようになります。
+ イスラエルは罪を犯して遠い国へ移されましたが、刑期はやがて終わります。しかしエドムの刑期は、いつまでも終わりません。
+
+
+ 主よ、私たちの身に起こったことをみな思い出してください。私たちが、どんなに大きな悲しみを忍ばなければならないかに、目を留めてください。
+ 私たちの家にも、国にも、見知らぬ外国人が住みついています。
+ 父親は死に、母親は未亡人となり、私たちは孤児となりました。
+ 飲み水にさえ、金を払わなければならなくなりました。たきぎを買おうとすると、とほうもない値段をつけられます。
+ 私たちは支配者の足もとにひれ伏し、いつ終わるとも知れない労働にせき立てられます。
+ パンを得るために、エジプトやアッシリヤに頭を下げます。
+ 私たちの先祖は罪を犯しましたが、さばきが下る前に死にました。私たちは、彼らの受けるはずの刑罰を背負い込んだのです。
+ 以前は私たちに仕えていた召使が、今では主人に取って代わりました。私たちを救ってくれる者は一人もいません。
+ 私たちは、敵に襲われていのちを落とすのを覚悟して、食べ物を探しに荒野へ行きました。
+ 皮膚は、飢えのため黒ずんできました。
+ 敵はエルサレムの女や、ユダの町々の娘を辱めました。
+ 指導者たちは彼らの手でつるされ、長老たちもさげすまれました。
+ 彼らは、ひき臼をひかせるために若い人たちを、重い荷をかつがせるために幼い子どもたちを、労働力として連れ去りました。
+ もう町の門に、老人たちは座っていません。若者が踊ったり歌ったりする姿も、もう見ません。
+ 喜びを忘れ、踊りは死の踊りとなりました。
+ 私たちの栄光は去り、頭から冠が転げ落ちました。私たちが罪を犯したために、災いが降りかかったのです。
+ 私たちの心は弱って疲れはて、目はかすんでいます。
+ エルサレムと神殿は荒れはてて、住む人もなく、いるのは廃墟を歩き回る野獣だけです。
+ 主よ。あなたはいつまでも変わらないお方で、御座は永久に続きます。
+ それなのになぜ、私たちを忘れてしまったのですか。なぜ、こんなに長い間、見捨てておくのですか。
+ 私たちに御顔を向け、もう一度、みもとに戻してください。それだけが私たちの望みです。以前の喜びを返してください。
+ それとも、神は私たちをすっかり見放してしまったのですか。まだ私たちを怒っているのでしょうか。
+
+
+
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+ ブジの息子である私エゼキエルは祭司でしたが、バビロンに連れて来られた捕囚のユダヤ人の一人として、ケバル川のほとりに住んでいました。第四の月の五日、突然、天が開いて、私は神からの幻を見たのです。その時、私は三十歳になっていました。
+ その幻の中で、私は見たのです。北の方から、燃える火のような巨大な雲を前面に押し出しながら、激しい嵐が私を目がけて突進して来ます。雲に包まれた火は絶え間なく閃光を放ちながら、火の中には、みがき上げた真鍮のように輝くものがありました。
+ すると、その雲の真ん中から、人間のように見える奇妙な姿をした四つのものが現れました。
+ その四つのものは、それぞれ四つの顔と二対の翼を持っていました。
+ 足は人間の足のようですが、先が子牛のひづめのように分かれていて、みがいた真鍮のように輝いているのです。
+ また、それぞれ翼の下から人間の手が出ているのが見えました。
+ この四つの生きものは翼を連ねて、曲がらずにまっすぐ飛んで来ました。
+ それぞれの顔は、正面は人の顔、右側はライオンの顔、左側は牛の顔、背面はわしの顔でした。
+ それぞれの二対の翼は、背中の中央から広げられ、一対は両側の生きものの翼に触れ合い、他の一対は体を覆っていました。
+ そして、彼らの霊が行く所はどこへでも、曲がることなく、まっすぐに進んで行きました。
+ これらの生きものの間を、赤く燃える炭火や明るいたいまつのように輝く別の生きものがうごめいていました。それらの生きものからは、いなずまが出ていました。
+ その生きものたちは、いなずまの光のように速く、あちこち動き回っていました。
+ 私がこの光景に見入っていると、四つの生きものの下には、地上でそれらを支えるように四つの輪があるのが見えました。それぞれの生きものに一つの輪がついているのです。
+ 輪はみがき上げた琥珀でできているように見え、輪の中にもう一つの輪が内側にあるようにはめ込まれていました。
+ これらの輪は、向きを変えずに四つの方向に向かうことができました。
+ 四つの輪には縁と輻があり、縁の外側には目がいっぱいついていました。
+ 四つの生きものが前方に飛ぶときは輪も前方に動き、上に飛ぶと輪も上に動きました。生きものが止まると輪も止まりました。生きものの霊が輪の中にあったからです。それで、霊が行く所はどこへでも、輪と生きものも行きました。
+ 生きものの上に広がった大空は、まるで水晶のように輝き、ことばでは表現できないほどの美しさでした。
+ それぞれの生きものの翼は、互いにまっすぐに伸びて触れ合い、もう一対の翼が体を覆っていました。
+ 生きものが飛ぶと、翼は打ち寄せる波や神の声のように、あるいは大軍勢の雄たけびのようなとどろきを立てました。生きものは止まると、翼を下に垂れました。
+ 生きものが止まるたびに、頭上の水晶のような大空から声が聞こえました。
+ 生きものの頭上の空高く、壮麗な青いサファイヤで作った王座のようなものがあり、人間の姿に似た方が座っていたのです。
+ その方は、腰から上は、火のように照り輝く、燃える青銅のように見えました。腰から下は炎に包まれ、その方の回りには虹のような輝きがありました。このように、主の栄光が示されたのです。これを見て、私は地にひれ伏しました。そして、私に語りかける方の声を聞いたのです。
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+ その方は私に、「人の子よ、立て。わたしはあなたに語ろう」と言いました。
+ その方が語ると、御霊が私の中に入り、私を立たせました。
+ 「人の子よ、あなたをイスラエルの国、すなわち、わたしに反逆している国に遣わす。彼らも、彼らの先祖も、この時までわたしに罪を犯し続けてきた。
+ 彼らは恐ろしく強情で頑固者だ。それでもわたしは、神である主のことばを伝えるために、あなたを遣わす。
+ 彼らは反逆者なのだ。だが忘れてはならない。彼らが聞いても聞かなくても、少なくとも、彼らの間に預言者がいたことだけは知るだろう。
+ 人の子よ、彼らを恐れるな。どんなに彼らの脅しが激しく、とげとげしくて、さそりのように突き刺してきても、ひるんではならない。険悪な様相であってもたじろぐな。彼らは反逆者なのだから。
+ 彼らが聞こうが聞くまいが、あなたはわたしの言うことを語れ。もっとも彼らは、骨の髄まで反逆者だから聞かないだろうが……。
+ 人の子よ、わたしが語ることを聞け。あなたが反逆者になってはならない。口を大きく開けて、わたしが与えるものを食べるがいい。」
+ そこで私が見ていると、裏表両面に字が書いてある巻物を持つ手が、目の前に差し出されたのです。その方は巻物を広げましたが、そこには警告や悲嘆や、審判の宣告などがびっしり書かれていました。
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+ その方は命じました。「人の子よ、わたしが与えるものを食べなさい。さあ、この巻物を食べるのだ。それから出て行って、そのことばをイスラエルの民に告げるのだ。」
+ 私は巻物を手に取りました。
+ 「それを残らず食べなさい」と、その方は言います。食べてみると、なんとみつのように甘い味がしました。
+ 命令はさらに続きます。「人の子よ、あなたをイスラエルの民に遣わす。わたしのことばを携えて行け。
+ ことばが通じない遠い外国へ遣わすのではない。
+ 難しい外国語を話す国に遣わすわけではない。もっとも、そのような国であれば、人々は耳を傾けるだろう。
+ わたしがあなたを遣わすのは、イスラエル人のところだ。彼らはわたしの言うことを聞こうとしない。あなたの言うことも聞こうとしないだろう。彼らは強情で、ずうずうしく、頑固なのだ。
+ だから、わたしもあなたを彼らと同じように、あつかましい頑固者にした。
+ あなたの額を岩よりも堅くした。しかし、彼らがどんなにしぶとい反逆者でも、恐れてはならない。どんなにいやな顔や怒った顔をされても、たじろいではならない。」
+ その方は続けて言いました。「人の子よ、まず、わたしのことばをすべて心の奥底に収め、注意深くそれに聞き従いなさい。
+ それから、捕囚とされた同胞のところへ行き、彼らが聞いても聞かなくても、『神である主はこう言う』と告げるがいい。」
+ すると、御霊が私を持ち上げました。大きな地震のとどろきを伴って、主の栄光が上り始めました。
+ それは、生きものたちの翼が互いに触れ合う音と、輪の音でした。
+ 御霊は私を持ち上げると、ケバル川のほとりにある、別のユダヤ人居留地テル‧アビブに連れて行きました。私は憤り、苦々しい思いでしたが、神の御手が強く私の上に置かれていました。七日間というもの、私はただ呆然と彼らの中に座っていました。
+ 七日目の終わりに、主はこう語りました。
+ 「人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの見張り役とした。わたしの民に与える警告をただちに伝えなさい。
+ わたしが悪者に、『おまえに死の罰を加える。悔い改めて、自分のいのちを救え』と伝えてほしいとき、そのように警告しないなら、彼らは自分の罪のために死ぬが、わたしはあなたを罰する。彼らの血の責任をあなたに問う。
+ だが、あなたがいくら警告しても彼らが罪を犯し続け、いっこうに悔い改めないなら、彼らは自分の罪のために死ぬ。そして、あなたには責任がない。あなたはできるかぎりのことをしたのだから。
+ もし善良な人が悪を行っているのに、あなたが警告しないなら、わたしは彼を滅ぼす。以前の善行は何の助けにもならない。彼は自分の罪のために死ぬ。だが、わたしは彼の死の責任をあなたに問い、あなたを罰する。
+ もしあなたが警告し、彼が悔い改めるなら、二人とも自分のいのちを救うことになる。」
+ 私はどうすることもできないで、主の御手の中にありました。主が「さあ、谷間に出て行きなさい。そこであなたと語ろう」と言ったので、
+ 私はすぐに立って谷間へ出て行きました。すると、ケバル川のほとりで最初に見たのと同じ主の栄光を、そこでも見たのです。私は思わず地面にひれ伏しました。
+ それから、御霊が私の中に入り、私を立たせました。主は私に命じました。「行って、家に閉じこもりなさい。
+ 家から出られないように、あなたの体を動けなくさせる。
+ また、あなたの舌を上あごにつかせるので、彼らを責めることができなくなる。彼らは反逆者だからだ。
+ だが、わたしがあなたに語るときは、その舌を自由にし、話せるようにする。彼らに『神である主はこう言う』と言いなさい。聞きたい者には聞かせ、聞きたくない者には聞かせてはならない。彼らは反逆者だからだ。
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+ 人の子よ、大きな一枚の粘土板を置いて、その上にエルサレムの町の地図を描きなさい。
+ 町を攻撃するために築かれるとりで、町を包囲する敵軍の陣営、さらに城壁の回りに破城槌(城門を突破する兵器)を描きなさい。
+ また、あなたと町との間に、鉄の壁のように一枚の鉄板を立てなさい。こうして、敵軍がどのようにエルサレムを攻略するかを表現して見せるのだ。わたしが命じた一つ一つのことには、それぞれ特別の意味がある。というのは、それはイスラエルの民に対する警告だからだ。
+ 三百九十日間、左わきを下にして横になりなさい。それは、捕囚と破滅によって三百九十年間、イスラエルが罰せられることを示すためだ。その一日は、イスラエルにやがて訪れる一年間の罰を表している。
+ 次に、ユダに対する罰の期間を示すために四十日間、今度は右わきを下にして横になりなさい。やはり一日は一年に相当する。
+ その間も、エルサレムの包囲の様子を実演して見せるのだ。その包囲と攻撃がどんなに強烈なものかを教えるために、腕をまくって横になりなさい。これはエルサレム滅亡の預言だ。
+ わたしがあなたの体を動けなくさせるので、あなたは包囲の全期間が終わるまで寝返りさえ打てない。
+ 初めの三百九十日間は、小麦、大麦、そら豆、レンズ豆、あわ、裸麦の粉をつぼに入れて混ぜ合わせ、その粉でパンを作って食べなさい。
+ 一日に一食、一回二十シェケル(二百三十グラム)ずつに分けて食べるのだ。
+ 水は一日に六分の一ヒン(一ヒンは三‧八リットル)だけ飲んでよいが、それ以上飲んではならない。
+ 毎日、たるから粉を取り出し、大麦のパン菓子を作りなさい。みんなの見ている前で、乾いた人糞の火の上で焼いて、そのパンを食べなさい。
+ わたしの命令だ。イスラエルは捕囚となる異国の地で、汚れたパンを食べるのだ。」
+ 「おお神よ。私は人糞で身を汚さなければならないのでしょうか。今まで、一度も身を汚したことがありません。子どもの時から今まで、病気で死んだ動物や、野獣に殺された動物を食べたことはありません。また、律法が禁じている獣を食べたこともありません。」
+ すると、主は答えました。「それなら、人糞の代わりに牛の糞でもよい。」
+ 主はこう言って、さらにことばを続けました。「人の子よ。エルサレムではパンの配給が乏しくなる。注意深く量り、こわごわ食べることになるだろう。水も少量しか分け与えられず、人々は不安のうちにそれを飲むようになる。
+ わたしは人々を乏しくさせる。また、異常な恐怖心を抱いて互いを見るようにし、罰によって疲れはてさせる。
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+ 人の子よ。鋭い刃の剣を取り、床屋のかみそりのようにそれを使って頭とひげをそりなさい。また、その毛をはかりにかけて、三等分にしなさい。
+ その三分の一をエルサレムの地図の真ん中に置き、包囲の期間が終わったらそこで燃やしなさい。次の三分の一を、地図に描いた町の回りに広げ、ナイフで切りきざみなさい。残りの三分の一は、風で吹き散らしなさい。わたしは剣をもってわたしの民を追いかけるからだ。
+ その毛を少し取っておき、衣のすそで包みなさい。
+ また、そこから数本の毛を取り出し、火に投げ込みなさい。この残りの毛から出る火が、全イスラエルを焼き滅ぼす。」
+ 主は言います。「これはエルサレムに起こることである。エルサレムはわたしのおきてから離れ、周囲の国々よりも悪くなってしまったからだ。」
+ それで、神である主は言います。「今、わたしもあなたを攻め、すべての国々が見守る中で罰する。
+ あなたが犯した恐ろしい罪のゆえに、今までにも下したことがなく、これからも下さないような重い罰を下す。
+ 親がわが子を食べ、子も親を食べるようになる。幸いにして生き残った者も、世界中に散らされる。
+ あなたに約束する。偶像や忌まわしいいけにえによってわたしの聖所を汚したからには、あなたを惜しんだり、あわれんだりしない。
+ あなたの三分の一はききんと疫病で倒れ、他の三分の一は敵に殺される。残りの三分の一は四散するが、そのあとから敵の剣が追いかける。
+ こうして、わたしの怒りがようやく収まる。全イスラエルは、わたしが警告どおりに実行することを悟るだろう。
+ わたしは、周囲のすべての国々に、また、廃墟となったこの地を通り過ぎるすべての旅人に対して、あなたを見せしめとする。
+ あなたは全世界の笑いものとなり、すべての人への恐ろしい見せしめとなる。主が一つの国を激しく叱責し、その国全体に立ち向かうとき、どのようなことが起こるかを見るからだ。主であるわたしが、これを語っている。
+ わたしは恐ろしいききんの矢を雨と降らせて、あなたを滅ぼす。ききんはますますひどくなり、一切れのパンも残らなくなる。
+ ききんばかりでなく、野獣があなたとあなたの家族を襲って、かみ殺す。疫病と戦争が国中に起こり、敵の剣があなたを虐殺する。主であるわたしが、これを語っている。」
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+ 再び、主からのことばがありました。
+ 「人の子よ、イスラエルの山々に預言せよ。
+ ああ、イスラエルの山々よ。あなたに、また、川や谷に語られる神、主のことばを聞け。わたしが、主であるこのわたしが、あなたがたの偶像を滅ぼすために戦争を起こす。
+ 町々はすべて打ち砕かれ、焼かれる。偶像の祭壇は捨て去られる。神々の像は粉々に砕かれ、偶像の礼拝者たちの骨も祭壇の回りにまき散らされる。その時、ようやくあなたがたは、わたしこそ主であることを知る。
+ しかし、わたしは、わたしの民のうち少数の者を逃れさせ、国々の間に散らそう。
+ そうすれば、国々に捕囚として連れて行かれるとき、彼らはわたしを思い起こすだろう。わたしが彼らの姦淫の心、偶像を愛する心を取り去り、ほかの神々を慕うみだらな目を見えなくするからだ。その時になってやっと、彼らは自分が犯した悪のゆえに自分自身を嫌悪するようになる。
+ 彼らは、わたしだけが神であり、わたしがこれらすべてのことが起こると語ったとき、決して理由もなく言ったのでないと気づくだろう。」
+ 神である主はこう語ります。「恐れおののきつつ両手を上げ、激しい自責の念にかられて叫べ。『ああ、何という悪事をしでかしたことか』と叫ぶがいい。戦争とききんと疫病で滅びようとしているからだ。
+ 捕囚の地にある者は疫病で死に、イスラエルの国にいる者は戦争で倒れ、生き残った者もききんと籠城で死ぬ。こうして、わたしの憤りもようやく収まる。
+ 殺された者が、丘や山の上にある偶像や祭壇の回りに、また、神々に香をたいた青い木や茂った樫の木の下に散り散りに横たえられるとき、わたしだけが神であることに気づく。
+ わたしはあなたがたを押しつぶし、南は荒野から北はリブラまで、町々を荒廃させる。その時、わたしが主であることを知るだろう。」
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+ 続いて、神からのことばが私にありました。
+ 「イスラエルに告げよ。あなたの見るところはみな、東も西も、南も北も、もう終わりだ。この国はもう終わりが来た。
+ わたしは、偶像を拝んだあなたに怒りをぶつける。もう絶体絶命だ。
+ わたしはあなたから目を背け、あわれんだりはしない。とことんまで罰する。そうすれば、わたしが主であることを、あなたがたは知るようになるだろう。」
+ 神である主は言います。「次から次へと災いを送って、あなたにとどめを刺そう。終わりはすでにきている。終局の破滅が待っているだけだ。
+ ああ、イスラエルよ。滅亡の日のきざしは現れ、時はきた。苦難の日は近い。それは喜びの声を上げる日ではなく、苦しみもだえて叫ぶ日だ。
+ やがて、わたしは憤りを注ぎ、おまえたちの悪のすべてを徹底的に罰しよう。もはや、あなたを惜しまず、あわれまない。これをしているのが、主であるわたしであることを、あなたがたは知るようになるだろう。
+ ついに、さばきの日がきた。朝日が昇ってくる。あなたの悪と高ぶりは頂点に達し、行き着くところまで行ったからだ。富におごり、高ぶる悪者は、一人も生き長らえない。高慢の鼻は完全にへし折られ、あなたがたの運命を嘆く者もいなくなる。
+ さあ、その時がきた。その日が近づいた。神の怒りがその地に臨むので、買う物もなく、売る物もなくなる。
+ 主がイスラエルの民全体にさばきを宣言したので、たとえ商人が生き長らえても、商売はできなくなる。すべての人が滅ぼされる。罪に満ちた生活をしている者はだれも立ち直れない。
+ イスラエル軍に、『進め』と角笛を吹き鳴らしても、だれも聞こうとしない。わたしの怒りがすべての者に臨むからだ。
+ 城壁の外に出れば、敵が彼らを殺そうと待ちかまえている。城壁の内側にとどまれば、ききんと疫病で滅ぼし尽くされる。
+ 運よく逃れた者も、山々にひそむ鳩のように、その寂しさを嘆き悲しみ、自分の罪のために泣き悲しむ。
+ 手も弱くなり、ひざもがくがく震えるようになる。
+ 彼らは荒布をまとい、恐怖と恥で包まれ、悲しみと自責の念にかられて頭をそる。
+ 金銀を投げ捨てよ。怒りの日には何の価値もなくなるのだから、がらくたのように放り出せ。彼らの罪の根本は金銀を愛することにある。それが、腹を満たすことも満足させることもできなくなるのだ。
+ わたしの神殿を美しく飾るために与えた金で、彼らは偶像を造ってしまった。それゆえ、わたしはそれを全部取り上げる。
+ 戦利品として外国人や悪者どもに与える。彼らはわたしの神殿を汚すだろう。
+ その時、わたしは見て見ぬふりをする。止めはしない。彼らは強盗のように宝物をあさり、神殿を廃墟のようにする。
+ わたしの民のために鎖を用意せよ。この国は流血の罪で満ちているからだ。エルサレムは暴虐に満ちているので、わたしはその住民を奴隷とする。
+ 諸国の中でも最悪の国を、エルサレムに来させよう。彼らの家々を占領させ、彼らが誇っている要塞を破壊させ、神殿を汚させ、高慢の鼻をへし折らせる。
+ イスラエルを切り捨てる時が、いよいよきた。平和を求めても得られない。
+ 災いの上に災いが、悲しみの上に悲しみが、惨事の上に惨事が襲う。彼らは預言者の指導を求める。それなのに、祭司も長老も、王も君主も、ただ手をこまねいているだけで、絶望のうちに泣き悲しんでいる。わたしは彼らが行った悪に対し、それに十分見合った報いをするので、彼らは恐怖のあまり震えおののく。そして、わたしが主であることを知るようになる。」
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+ それから、エホヤキン王の捕囚六年目の第六の月の五日のこと、私が家でユダの長老たちと話していると、神である主の力が私に臨みました。
+ 私は人の姿のようなものを見ました。腰から下は火で、上は琥珀色(黄褐色)に輝いています。
+ その方が手の形をしたものを伸ばして私の髪の毛をつかむと、御霊が私を宙に持ち上げ、エルサレムの北の門の入口に連れて行ったのです。そこに、主の激しい怒りを引き起こした偶像がありました。
+ すると突然、前に谷間で見たのと同じようなイスラエルの神の栄光が現れました。
+ その方は私に、「人の子よ、北の方を見なさい」と言ったので、そちらを見ると、祭壇の門の北にある入口に偶像が立っているではありませんか。
+ その方はさらに言いました。「人の子よ、彼らのしていることが見えるか。わたしを神殿から追い出すために、イスラエルの民がそこで犯している大きな罪が見えるか。さあ、もっと大きな罪を見せよう。」
+ こう言うと、その方は私を神殿の庭の入口に連れて行きました。そこの壁に穴がありました。
+ するとその方が、「さあ、壁を掘り抜くのだ」と命じたので、そのとおりにすると、隠れた部屋に通じる入口があるではありませんか。
+ 「入って行って、そこで行われている邪悪なことを見なさい。」
+ 入ってみて驚きました。あらゆる種類の蛇やとかげ、おぞましい獣の絵が、イスラエルの民が礼拝する各種の偶像とともに壁一面に描かれているのです。
+ そこに、イスラエルの七十人の長老が、シャファンの子ヤアザヌヤとともに立ち、それらの絵を拝んでいます。長老たちはそれぞれ香をたく香炉を持っており、一同の頭上には、香の濃い煙が雲のように立ちこめていました。
+ 「人の子よ、イスラエルの長老たちが自分から進んでしていることを、よく見たか。彼らは、『主は見ていない。主は去って行った』とうそぶいている。
+ さあ、もっと大きな罪を見せよう。」
+ その方は私を、神殿の北の門に連れて行きました。そこには女たちが座って、異教の神タンムズのために泣いていました。
+ 「これを見たか。しかし、もっと大きな悪を見せよう。」
+ こう言うと、その方は私を神殿の内庭に連れて行きました。そこでは、神殿の玄関と青銅の祭壇との間に、二十五人ばかりの人が神殿に背を向けて立ち、東を向いて太陽を拝んでいたのです。
+ 「これを見たか。こんな恐るべき罪を犯して民全体を偶像礼拝に導き、わたしを軽んじて、ますますわたしを怒らせるようなことは、ユダの人々にとって取るに足りないことなのだろうか。
+ それで、わたしも激しい憤りをもって彼らをあしらう。少しもあわれまず、惜しみもしない。彼らがあわれみを求めて叫んでも、耳をふさいでいよう。」
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+ それから、その方は大声で叫びました。「わたしがこの町を与えた者たちを呼びなさい。武器を持って攻めて来るようにと言うのだ。」
+ 六人の男がこの呼び声に答えて、おのおの剣を持って北側の上の門から現れました。そのうちの一人は亜麻布の衣を着て、腰に筆入れをつけていました。彼らはみな神殿に入り、青銅の祭壇のそばに立ちました。
+ その時、イスラエルの神の栄光がケルビム(神の契約の箱を守る天使)から立ち上り、神殿の入口の上にとどまりました。主は筆入れを持った男を呼び寄せ、
+ 「エルサレム中を巡り、この町で行われているあらゆる罪のために、泣き悲しんでいる者の額にしるしをつけなさい」と命じました。
+ また、主がほかの男たちにこう言うのが聞こえました。「彼について行って、町中を巡り、額にしるしがついていない者を打て。惜しんだり、あわれんだりしてはならない。
+ 老若男女を問わず、小さい子どもも、残らず打つのだ。しかし、あのしるしのついている者には触れてはならない。まず、この神殿から始めよ。」そこで彼らは、七十人の長老たちから始めました。
+ ついで主は命じました。「神殿を汚し、打ち殺す者たちの死体で庭を満たすのだ。さあ、行け。」彼らは出て行って、命令どおりにしました。
+ その間、私はひとり残されました。私は地にひれ伏し、こう叫びました。「ああ神、主よ。あなたはエルサレムに対する憤りで、イスラエルに残された者たちを皆殺しにするのでしょうか。」
+ しかし、主は私に言いました。「イスラエルとユダの罪は非常に大きく、民全体に虐殺と不正行為が満ちている。彼らは、『主は見ていない。主は去って行った』と言っている。
+ だから、わたしは彼らを惜しまず、あわれみもしない。彼らがしたことに対して、十分な報いを行う。」
+ ちょうどその時、亜麻布の衣を着て、筆入れを持った男が戻って来て、「ご命令のとおりにしました」と報告しました。
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+ 突然、ケルビムの頭上の大空に、青く輝くサファイヤの王座のようなものが現れました。
+ 主は亜麻布の衣を着た者に命じました。「ケルビムの下で回っている輪の間に入り、真っ赤に燃える炭火を両手いっぱいに持ち、エルサレムの町の上にまき散らせ。」私の見ている前で、彼はそのとおりにしました。
+ その男が入って行った時、ケルビムは神殿の南端に立っていて、栄光の雲が内庭いっぱいに広がっていました。
+ すると、主の栄光がケルビムから立ち上り、神殿の入口に向かいました。神殿は栄光の雲に包まれ、庭は主の栄光で輝いています。
+ ケルビムの翼の音も、全能の神の声のように、外庭にまではっきり聞こえます。
+ 主が亜麻布の衣を着た男に、「ケルビムの間に入り、輪の間から燃える炭火を取りなさい」と命じると、その人は入って行って、一つの輪のそばに立ちました。
+ ケルビムの一つが翼の下から手を伸ばして、燃えさかる火の中から炭火を取り出し、亜麻布の衣を着た男の両手に盛りました。彼はそれを受け取ると出て行きました。
+ 四つのケルビムのそばにそれぞれ一つの輪があり、それが「車輪」と呼ばれているのを、私は聞きました。第二の輪が交差して第一の輪の中にはめ込まれており、その輪は黄緑の輝きを放ち、緑柱石のように光って見えました。このような輪の構造から、ケルビムは四方にまっすぐに進むことができました。向きを変えなくても、ケルビムの顔の向く方向に進めるのです。四つの輪はどれも、縁や輻まで全部、目で覆われていました。
+ 四つのケルビムはそれぞれ四つの顔があり、第一の顔は牛の顔、第二の顔は人間の顔、第三の顔はライオンの顔、第四の顔はわしの顔でした。
+ これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで見たのと同じものでした。ケルビムが飛び立つと、輪も同じように飛び立ちます。ケルビムが飛んでいる間、輪もそばについています。
+ ケルビムが立ち止まると、輪も立ち止まります。ケルビムの霊が輪の中にあったからです。
+ その時、主の栄光が神殿の入口から移動して、ケルビムの上にとどまりました。
+ そのまま見ていると、ケルビムが輪とともに神殿の東の門に飛んで行き、イスラエルの神の栄光がその上を覆ったのです。
+ これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで、イスラエルの神の下にいるのを見たのと同じものでした。同じケルビムであることはすぐにわかります。
+ それぞれ四つの顔と四つの翼を持ち、その翼の下には人間の手のようなものがあったからです。
+ その容貌も、かつてケバル川のほとりで見たものと同じでした。ケルビムはみな、まっすぐ前へ進んで行きました。
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+ その時、御霊が私を持ち上げて、神殿の東の門に連れて行きました。そこには、町の名士二十五人がいて、その中に、アズルの子ヤアザヌヤとベナヤの息子ペラテヤという名の二人の高官がいました。御霊は私に言いました。「人の子よ。この者たちは、この町で立てられた邪悪な計画のすべてに責任を負っている。
+ 彼らは人々に、『さあ、エルサレムを再建する時がきた。われわれの町は鉄の盾だ。どんな危害からも守ってくれる』と言っている。
+ だから、人の子よ。大声で、はっきりと預言しなさい。」
+ それから、主の御霊が私に下り、次のように警告せよと命じました。「主はイスラエルの民に、こう語ります。あなたがたが言おうとすることを、わたしが知らないとでも思うのか。あなたがたの考えていることは、何もかも知っている。
+ あなたがたは繰り返し人を殺し、町の通りを死人の山とした。」
+ 神である主は語ります。「あなたがたは本気で、この町が鉄の盾だと思っているのか。いや、この町はあなたがたを守ることはできない。町の中には、あなたがたに殺された者の死体が散乱し、あなたがたも引きずり出されて虐殺される。
+ また、恐れていた戦争に巻き込まれる。」神である主がこう言うのです。
+ 「わたしは、あなたがたをエルサレムから連れ出し、わたしに代わってさばきを下す外国人の手に渡そう。
+ あなたがたは、イスラエルの国境に至るすべての道で殺される。その時、わたしが主であることを知る。
+ この町は鉄の盾とはならず、その中は少しも安全ではない。わたしは、イスラエルの国境まであなたがたを追いかける。
+ そうされてようやく、あなたがたはわたしが主であることを知るのだ。わたしに服従せず、回りのすべての国々の習慣に従っていたからだ。」
+ 私がこう預言している最中に、ベナヤの子ペラテヤが突然、倒れて息絶えました。そこで、私は地にひれ伏して叫びました。「ああ、神、主よ。イスラエルにいる者を残らず殺そうというのですか。」
+ その時、主からのことばがありました。
+ 「人の子よ。エルサレムに残された者たちは、捕囚の同胞についてこう言っている。『あんなにも悪いことをしたから、主は彼らを追放し、その土地をわれわれに下さったのだ』と。
+ だが、わたしはそうは言わない。わたしは世界の国々にあなたがたを散らしたが、そこにいる間、わたし自身があなたがたの聖所となる。
+ そして、散らされた国々から連れ戻し、再びイスラエルの地を与える。
+ 再び戻ると、あなたがたは、すべての偶像礼拝を跡形もなく取り除くようになる。
+ わたしはあなたがたに、一つの心と一つの新しい霊を与える。石の心を取り除き、代わりに神を愛する柔らかい心を与える。
+ あなたがたがわたしのおきてを守れるようになるためである。こうしてあなたがたはわたしの民となり、わたしもまた、あなたがたの神となる。
+ しかし、今エルサレムに住んで偶像を慕っている者たちには、その罪に対する十分な報いを与えよう。」
+ その時、ケルビムは翼を広げ、輪とともに空中に舞い上がり、イスラエルの神の栄光がその上に輝きました。
+ それから、主の栄光は町の上に上り、東方の山の上にとどまりました。
+ そののち、神の霊は私を再び、バビロンにいる捕囚のユダヤ人のところへ連れ戻しました。私のエルサレム訪問の幻は、ここで終わったのです。
+ 主が私に示したすべてのことを、私は捕囚の民に語って聞かせました。
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+ ついで、主から私に、このようなことばがありました。
+ 「人の子よ、あなたは反逆者たちの中に住んでいる。彼らは真理を知ろうとするなら知ることができるのに、知ろうともしない。また、聞こうとするなら聞けるのに、聞こうともしない。
+ 彼らは反逆者なのだ。だから、捕囚になることがどんなものか教えるために、実演して見せるがいい。背中にかつげるだけの荷物をかついで、家を出なさい。昼のうちに、みんなが見ている前でそうするのだ。どんな反逆者も、それを見て、その意味することを考えるかもしれない。
+ 昼のうちに、みんなが見守る中で、荷物を家の外へ運び出しなさい。それから、遠くの地へ長い旅をする捕囚の民のように、夕方、家をあとにして出かけなさい。
+ 町の人々が見ている前で壁に穴をあけ、そこから荷物を運び出すのだ。
+ また、みんなが見守る中で、荷物をかついで夜の暗闇の中を出て行け。顔を覆い、回りを見てはならない。これはみな、イスラエルの民に与える、エルサレムに降りかかる災いのしるしだ。」
+ 私は命じられたとおりにしました。昼のうちに、捕囚に持って行けるだけの荷物を外へ運び出しました。夕方になると、手で壁に穴をあけ、みんなが見ている前で、荷物をかついで暗闇の中を出て行ったのです。
+ 翌朝、主からことばがありました。
+ 「人の子よ。反逆者であるイスラエルの民は、『いったい、これは何の意味なのか』と尋ねている。
+ だから説明してやりなさい。『これは、エルサレムのゼデキヤ王とイスラエルの民全体への、神である主の宣告だ』と。
+ これまで実演して見せたことは、これから起こることなのだ、と教えてやるのだ。彼らは家から連れ出され、捕囚の地へ送られる。
+ ゼデキヤ王さえ、自分で持てる物だけ持って、何も見えないように顔を覆い、壁にあけた穴から、闇にまぎれて出て行くのだ。
+ わたしは網で王を捕らえ、カルデヤ人の地、バビロンへ連れて行く。だが王は、その地を自分の目で見ることなく、そこで死ぬ。
+ わたしは、王に仕える者や、兵士たちを四方に風のように追い散らし、剣をそのあとから送る。
+ このように諸国に散らされて初めて、彼らはわたしが主であることを知る。
+ わたしはまた、わずかな者たちを戦争とききんと疫病から免れさせよう。免れた者たちは、自分がどんなに悪いことをしてきたかを、国々の前で告白するだろう。こうして彼らも、わたしが主であることを知る。」
+ さらにまた、主からのことばがありました。
+ 「人の子よ、震えながら食事をしなさい。水も、これで最後であるかのように制限して飲みなさい。
+ そして、こう警告するのだ。『神、主は言います。イスラエルとエルサレムの住民は、そのあらゆる罪のゆえに、食糧を最大限に節約し、水も絶望感にさいなまれながら少量ずつ飲むようになる。
+ 町々は滅ぼされ、耕作地は荒れはてる。その時、あなたがたは、わたしが主であることを知る。』」
+ 続いて、主は語りました。
+ 「人の子よ。『時がたてば預言は意味を失う』という、イスラエル人たちが口にすることわざは何か。
+ 神である主は、このことわざをやめさせる。人々はもう、それを口にしなくなる。代わりに、このことわざを言わせなさい。『すべての預言の成就する時がきた。』
+ その時、エルサレムの安全は保証されているという偽りの予告が暴露される。
+ わたしは主である。わたしが起こると警告することは、必ず起こる。ああ、イスラエルの反逆者たち。もう決して遅れることはない。おまえたちが生きているうちに、わたしはそのようにする。」こう神である主が言うのです。
+ また、このようなことばがありました。
+ 「人の子よ。イスラエルの民は、『彼が見ている幻は、まだ当分の間実現しそうにない』と言っている。
+ だから、『神である主はこう言います。もう、これ以上遅れることはない。わたしは今、それを行う』と言ってやりなさい。」
+
+
+ それから、次のようなことばがありました。
+ 「人の子よ、イスラエルの偽預言者どもに預言しなさい。彼らは自分勝手に幻を考え出し、わたしが何も語らないのに、わたしからのお告げだと主張している。そのような者はのろわれるべきだ。
+ ああ、イスラエルよ。あなたの預言者どもは、まるで廃墟にいるきつねのように城壁再建の役には立たない。
+ ああ、悪い預言者ども。敵の攻撃に備えて城壁を補強し、主によってイスラエルを強化するために、おまえたちは何をしたのか。
+ かえって、『これは神からのお告げです』と言って、偽りを語っている。わたしはおまえたちなど遣わさなかった。それなのに、自分たちの預言が実現することを期待している。
+ 見たこともないのに幻を見たと言ったり、わたしが何も語らないのに、『このお告げは神からのものです』と言ったりしたことを否定できるのか。」
+ それゆえ、神である主は語ります。「わたしはこれらの幻と偽りのゆえに、おまえたちを滅ぼそう。
+ わたしはおまえたちに向かい、イスラエルの指導者の中から切り捨てる。おまえたちの名を消し去る。おまえたちは二度と祖国を見ることがない。その時、おまえたちは、わたしが主であることを知る。
+ まことに、この悪者どもは、『神は平安を下さる』と言って、わたしの民を惑わしている。彼らに平安を与えることなど、わたしの計画には全く入っていない。わたしの民はもろい壁を建てているのに、偽預言者どもはそれをほめそやし、しっくいで上塗りをしている。
+ その者たちに、『その壁は倒れるぞ』と警告せよ。大雨が土台を浸食し、大粒の雹と激しい風が壁を打ち倒す。
+ 壁が倒れると、人々は、『なぜ初めから、それではだめだと注意してくれなかったのだ。なぜ、上塗りをして欠陥を覆うようなことをしたのだ』と叫ぶ。
+ 壁は必ず倒れるのだ。」そう主は言います。「わたしは怒りの嵐と洪水と雹とによって、壁をなぎ倒す。
+ しっくいで上塗りした壁を打ち壊す。壁はおまえたちの上に倒れて、おまえたちを押しつぶす。その時、おまえたちは、わたしが主であることを知る。
+ こうして、わたしの怒りは消える。それで、壁をほめそやした者どもについてわたしは、『壁も、それを建てた者たちも消え去った』と言おう。
+ 彼らはまさしく偽預言者だった。ほんとうは平安がないのに、エルサレムには平安がある、と言っていたのだ。」神である主がこう語るのです。
+ 「人の子よ。主からお告げを与えられているかのように装っている女預言者どもに、神である主はこう言うと語れ。『人々の手首に魔術のお札を結び、魔術のベールをかぶらせ、わたしの民のたましいを破滅させている女たちはのろわれよ。この女たちは、自分に利益がないと知ると、すぐに援助の手を引っ込める。
+ ほんの一つかみの大麦のために、あるいは、ほんの一切れのパンのために、わたしの民をわたしから去らせようとするのか。おまえたちは、死んではならない者を死に追いやったのだ。わたしの民を欺き、生きていてはならない者にいのちを約束している。そうするのが、彼女たちの好む手口だ。』」
+ 主は語ります。「おまえたちがわたしの国民のたましいを魔術にかけているので、おまえたちを押し倒す。わたしは魔術のひもを引きちぎり、かごの鳥を放つように、わたしの民を解放する。
+ 魔術のベールも引き裂き、おまえたちの手からわたしの民を救い出す。もう彼らは、おまえたちの餌食ではない。その時、おまえたちも、わたしが主であることを知る。
+ おまえたちの偽りは、わたしの意に反して、正しい人を落胆させた。それどころか、罪の生活を続ける者たちにいのちの約束をして、その悪者どもを力づけるようなことまでしたのだ。
+ だが、もうそんなことは許されない。見たこともない幻を見たと言ったり、魔術をしたりすることもできなくなる。わたしがおまえたちを滅ぼして、わたしの民をおまえたちの手から救い出すからだ。こうしておまえたちも、わたしが主であることを知る。」
+
+
+ それから、イスラエルの長老たち数人が来て、主の御告げをうかがってほしいと願い出ました。
+ 彼らのために私に示されたことばは、次のとおりです。
+ 「人の子よ、この者たちは心の中で偶像礼拝をしている。どうして、彼らの願いなど聞いてやれるだろうか。
+ むしろ、わたしはこう言っていると告げなさい。イスラエルの中で偶像を礼拝しながら、平気でわたしに助けを求めて来るような者に、わたしは、それぞれに応じた処置をする。
+ わたしから離れて偶像礼拝に走る者たちの思いと心を、わたしは罰する。」
+ それゆえ、神である主は次のように警告します。「悔い改めよ。偶像を打ち壊し、心の中で偶像礼拝をすることをやめよ。主であるわたしは、イスラエル人でも、イスラエルに住む外国人であっても、わたしを拒んで偶像を礼拝していながら、わたしの助けや助言を求めて預言者のところへ来る者を必ず罰しよう。
+ そういう不届き者の敵となり、彼を完全に滅ぼして、恐るべきさばきの見本としよう。その時、あなたがたは、わたしが神であることを知る。
+ 偽預言者の一人がお告げを語ったとしても、それは偽りだ。その預言は実現しない。わたしはその預言者を、わたしの民イスラエルから絶ち滅ぼす。
+ 偽預言者と偽善者たち。わたしのことばが欲しいなどと、ぬけぬけと言う悪者たちはみな、その罪のために罰を受ける。
+ その時、イスラエルの民は、わたしを捨ててこれ以上罪に汚れた生活を続けるべきではなく、わたしの民となり、わたしも彼らの神となるべきだと身をもって知る。」主は、そう語ります。
+ また、次のようなことばがありました。
+ 「人の子よ。この国の人々がわたしに罪を犯すとき、わたしは、こぶしで彼らを打ちのめし、食糧の供給を絶ち、ききんで人間も動物も絶ち滅ぼす。
+ たとえノアやダニエルやヨブが、今ここにいたとしても、本人だけがその思いや行いの正しさによって救われるだけだ。だれも、ほかの者を助けることはできない。わたしはイスラエルの残りの者を滅ぼす。」このように主は言います。
+ 「わたしがこの地に危険な野獣を放ち、荒らすにまかせれば、
+ たとえこの三人がいたとしても何の役にも立たない。彼らは、待ちかまえている滅びから人々を救えない。」こう主は言います。「この三人だけは救われても、地は荒れはてる。
+ あるいは、わたしがこの地に戦争を起こし、敵軍にすべての物を破壊するようにと命じるとき、
+ たとえ彼らがここにいても、わたしが言うとおり、救われるのは彼らだけだ。
+ あるいは、わたしがこの地に憤りを注いで疫病をはやらせ、その災害で人間も動物も死ぬとき、たとえノアやダニエルやヨブが生きていたとしても、わたしが言うとおり、その思いや行いの正しさのゆえに救われるのは彼らだけだ。」
+ 主は語ります。「戦争とききん、どう猛な野獣と疫病、この四つの厳罰がエルサレムに下り、すべての生きものを滅ぼそうとしている。
+ もし生き残る者がいて、バビロンに捕囚の身とされているあなたがたのところへ来たなら、あなたがたは自分の目で、彼らがどんなに悪い者であるかを見て、わたしがエルサレムを滅ぼしたのは当然だと認めるだろう。
+ 彼らに会えば、起こるべきことがイスラエルに起こったのだとうなずくことだろう。」
+
+
+ それから、このようなことばが主から与えられました。
+ 「人の子よ。森の中のぶどうの木に、どれだけの価値があるか。ほかの木のように役に立つだろうか。その枝の一本ほどの価値があるだろうか。
+ いや、ぶどうの木は、食器を掛ける木くぎにさえできない。
+ 役に立つことといえば、たきぎにするぐらいだが、それも、燃えがよくない。
+ だから、たきぎにして燃やす前も、燃やしたあとも、大して役に立たない。」これは次のようなことを意味していると、主は語ります。「エルサレムの住民は森のぶどうの木のようなものだ。火に投げ入れられる前も、投げ入れられたあとも、まるきり役に立たない。
+ わたしは敵のように、彼らの前に立ちはだかり、彼らが一度は火から逃れても、次には必ず火に追い込む。その時、あなたがたは、わたしが主であることを知る。
+ 彼らが偶像礼拝をやめないので、わたしはこの地を荒れはてさせる。」神である主は、そう語るのです。
+
+
+ 再び、主からのことばがありました。
+ 「人の子よ、忌まわしい罪についてエルサレムに言いなさい。
+ 神である主は、エルサレムについてこう語ると。あなたはカナン人の地で興ったが、カナン人にまさるところは何もない。父はエモリ人、母はヘテ人だったのだ。
+ あなたが生まれた時、だれも面倒を見てくれなかった。へその緒を切ってもらえず、裸のまま、産湯にも入れてもらえず、産声も上げられずに放置されていた。
+ 目をかける人も、かわいそうに思って世話をしてくれる人もいなかった。生まれたその日に野に捨てられ、死ぬばかりだった。望まれない子だったのだ。
+ ところが、わたしが通りかかって、血まみれのあなたを見つけたのだ。『死んではいけない。野の草のようにたくましく、大きくなるのだ』と、わたしは言った。そして、そのとおりになった。あなたは背も高く、ほっそりとしなやかになり、玉のように美しい、うら若いおとめに育ち、乳房もふくらみ、髪も伸びた。だが裸のままだった。
+ しばらくして、あなたのそばを通りかかると、結婚できる年ごろになっていた。そこで、わたしは自分の衣であなたを覆い、結婚の誓いをした。誓約を交わして、あなたはわたしのものとなった。
+ 結婚式の時、わたしは刺繍をほどこした豪華な服や、じゅごんの皮のサンダルをあなたに贈った。
+ また、美しい装身具、腕輪や首飾り、鼻輪、イヤリング、宝石のついた冠も整えた。
+ こうして、あなたは金や銀で美しく身を飾り、刺繍した絹や亜麻布をまとった。そのうえ最高のごちそうを食べて、いちだんと美しくなり、まるで女王のように、いや、女王そのものになった。
+ その美しさは回りの国々の評判になった。あなたはわたしの贈り物で美しさを極めた。
+ しかしあなたは、自分の美しさを鼻にかけ、それさえあれば、わたしなしでもやっていけると考えた。そして、やって来る男には、だれかれかまわず、娼婦のように身を任せた。その美しさは、それを求める男のものになり下がった。
+ わたしが贈った物を偶像の宮のために使い、また売春の床を飾るために使ってしまった。信じられない、それまで見たこともないようなことだった。
+ あなたはわたしが与えた宝石や金銀の装身具で男の像を造り、それを拝んだ。それこそ、わたしを裏切る姦淫だ。
+ また、わたしが与えた刺繍入りの美しい服を偶像に着せ、わたしの油と香とをその前に供えた。
+ あなたは、わたしが与えた上等の小麦粉や油やみつまでも偶像にささげたのだ。
+ そして、わたしのために産んだ自分の息子や娘を、偶像の神々にいけにえとしてささげ、殺してしまった。自分が娼婦になるだけでは満足できなかったのか。
+ ほんとうの神でもない偶像の祭壇で、わたしの子どもまで、いけにえとして焼き殺さなければならなかったのか。
+ あなたは長い間姦淫と罪の生活にふけり、裸で血まみれだった昔のことを一度も思い出さなかった。
+ あなたのすべての悪行、ああ、それはなんと忌まわしいことか。そのために災いが降りかかる。そのほかにも、
+ あなたは愛人たちのために売春宿を設け、道々に偶像の祭壇を建てた。
+ そこで、飽きもせず、通りかかる男という男に身を任せた。
+ さらに、好色なエジプト人たちに身を売り、同盟を結んだ。わたしの怒りは頂点に達した。
+ そのため、わたしはこの手であなたを打ち倒した。あなたの領土を小さくし、あなたを憎むペリシテ人の手中に陥らせた。ところが、その彼らでさえ、あなたの行状を見て顔を赤くしている。
+ あなたは、アッシリヤ人とも密通した。次から次へと新しい神々を見つけても、まだ満足できないようだ。アッシリヤ人と密通してもまだ飽き足りず、
+ あの大商都バビロンの神々をも拝んだ。だが、それでもまだ満足しなかった。」
+ 神である主は語ります。「こんなことをするあなたの心は、なんと汚れているのだ。道々に売春宿である偶像の祭壇を築き、ずうずうしく淫行を重ねている。あなたは娼婦よりも悪い。金を得るためでもなく、ただ悪にふけるためにそうしているからだ。
+ あなたは夫以外の男と同棲する不貞の妻だ。
+ 娼婦は報酬を得るために働き、男たちは多くの贈り物をする。ところがあなたは自分のほうから贈り物をして、自分のところへ来てくれるように男たちを買収している。娼婦とは全く反対のことをしているのだ。だれからも求められないから、自分から報酬を払わなければならないのだ。
+ ああ、ふしだらな女よ、神のことばを聞け。」
+ 主は語ります。「わたしはあなたの汚れた罪や、偶像礼拝という姦淫の罪、わが子をいけにえとして神々にささげたことなどを見てきた。
+ その報いとして、このようにする。あなたが愛した者であろうと、憎んだ者であろうと、あなたと同罪の愛人、つまりあなたの同盟国すべてを集め、彼らの見ている前であなたを裸にする。
+ あなたを人殺しをした女、また不貞を働いた女として罰する。
+ あなたの愛人である多くの国々の手で、あなたを滅ぼす。彼らはあなたが建てた売春宿や偶像の祭壇を打ち壊し、着ている物をはぎ取り、美しい宝石を奪い取って裸にし、さんざん辱める。
+ 彼らはあなたの家を焼き払い、大ぜいの女の見ている前であなたを罰する。わたしは、あなたが他の神々と通じることをやめさせる。あなたが同盟国にこびて報酬を支払うようなこともやめさせる。
+ その時ようやく、わたしは激しい怒りを静め、ねたむことをやめ、心穏やかになる。もう怒ることをしない。
+ だがまず、あなたが犯したすべての罪を徹底的に罰する。あなたは若いころに受けた恵みを忘れ、これらの悪を働いて、わたしを怒らせたからだ。」主は言います。「あなたは悪を重ねるばかりか、感謝することも忘れている。
+ 『あの母にして、この娘あり。』みながあなたのことを、そう言っている。
+ あなたの母親は夫と子どもをきらったが、同じことをあなたもしている。姉妹も同じで、夫や子どもをないがしろにした。あなたの母はヘテ人、父はエモリ人だったのだ。
+ あなたの姉サマリヤは娘といっしょに北に住み、妹ソドムは娘といっしょに南に住んでいる。
+ あなたは二人のようには罪を犯さなかった。いや、無関係と言ってよいくらいだった。それが、あっという間に、二人をはるかにしのぐほど堕落してしまった。」
+ 主は語ります。「ソドムとその娘たちは、あなたやあなたの娘たちほど邪悪ではなかった。
+ 妹ソドムとその娘たちの罪とは、貧しい人が飢えて苦しんでいるのを見ながらも思い上がり、安逸をむさぼって腹いっぱい食べていたことだ。
+ 彼女たちはわたしの見ている前で、無礼にも多くの偶像を拝んでいた。だから、わたしは彼女たちを滅ぼしたのだ。
+ サマリヤでさえ、あなたの半分も罪を犯していない。あなたは姉妹たちがした以上に偶像を礼拝した。それに比べたら、姉妹たちはずっとまともに見える。
+ だから、彼女たちの罰があなたより軽いと言って驚いてはならない。あなたがやったことはひどいことだ。あなたに比べたら、姉妹たちは潔白にさえ見える。
+ いつの日にか、わたしはソドムやサマリヤ、そしてユダをも、以前のように栄えさせる。
+ あなたが受ける恐ろしい罰を見てソドムやサマリヤは、自分たちの罰はまだ軽かったと慰められるだろう。
+ やがて、あなたの姉妹ソドムとサマリヤ、また、その全住民は元の所へ帰る。その日には、ユダにも繁栄が戻ってくる。
+ あなたは、自分だけは特別だと得意になっていた時には、ソドムなど気にも留めなかった。
+ だが今、あなたの悪は全世界にあばかれ、エドムやその近隣の国々、すべてのペリシテ人の笑いものになっている。
+ これは、あなたが犯したすべての罪に対する罰の一部だ。」
+ 神である主はこう語ります。「わたしは、あなたが約束を破ったので報復する。あなたは、わたしと結んだ神聖な契約を、いとも簡単に破ってしまった。だが、わたしは、あなたの若いころに結んだ契約を、これからも守る。わたしはあなたと永遠の契約を結んだのだ。
+ それであなたもようやく、自分のしてきた悪を残らず思い返して、恥じるようになるだろう。わたしがあなたの姉妹であるサマリヤとソドムとを選び取り、彼女たちをあなたの娘とし、あなたに統治させるとき、あなたは恥じ入る。わたしとの契約を破ったからには、こんな優しい取り扱いを受ける資格などないことが、よくわかっているからだ。
+ わたしがあなたとの約束をし直すとき、あなたはわたしが神であることを知るようになる。
+ あなたの今までの行いにもかかわらず、わたしは思いやりを示す。わたしがあなたの行った悪のすべてを赦すとき、あなたは恥じ入って口をつぐむだろう。」神である主が、このように語るのです。
+
+
+ それからまた私は、このようなことばを主から与えられました。
+ 「人の子よ、このなぞをイスラエルの民に示せ。
+ 色とりどりの羽を持つ大わしがレバノンに飛んで来て、いちばん高い杉の木のこずえの若枝を摘み取り、商人の町へ運んで行った。
+ そして、その地の種を取って、柳のように早く育つようにと、大きな川のほとりの肥えた地に植えた。
+ やがて、そのぶどうの木は根を張って成長し、たけは低いが、わしに向かってつるを張り、強い枝とよく茂った葉をつけた。
+ さて、大きな翼と豊かな羽をもった別の大わしが来ると、木はそのわしに向かって、根と枝を伸ばした。
+ もっとも、この木はすでに、葉を茂らせ、実を結ぶ良いぶどうの木となるように、水に恵まれた良い地に植えられていたのだ。」
+ 主はこう言います。「わたしがこの木を成長させ、繁茂させるだろうか。いや、断じてさせない。根こそぎ引き抜いてしまおう。枝は切り落とし、葉は枯らす。それはたやすいことだ。大ぜいの人手も、いろいろな道具もいらない。
+ 最初は順調に育っていても、ぶどうの木はそれでよく茂るだろうか。いや、そんなことはない。東風が吹きつけると、もののみごとに枯れてしまう。順調に育ってきた最適の地でも枯れてしまうのだ。」
+ また、次のようなことばがありました。
+ 「イスラエルの反逆者どもに問いなさい。この二羽のわしのなぞが何を意味するか、わからないなら、わたしが教えよう。最初の大わしはバビロンの王ネブカデネザルだ。彼はエルサレムに攻めて来て、木のこずえの若枝である王と王子たちを捕らえ、バビロンへ連れて行った。ネブカデネザルは王家の一人ゼデキヤと契約を結び、忠誠を誓わせた。その若枝を摘み取って、大きな川のそばの肥えた地に植えた。これは、イスラエルの政治的指導者たちを捕囚として連れ去ったことを指す。
+ イスラエルが再び力をつけ、反逆することがないようにしたのだ。こうして、イスラエルはその契約を守ることにより、かろうじて国としての体面を保ち、その立場を認められた。
+ それにもかかわらず、ゼデキヤはバビロンに反逆を企て、ネブカデネザルと戦うため、別のわしであるエジプトに使者を立て、軍勢と馬の救援を求めた。このように約束を破って、イスラエルは繁栄し、存続できるだろうか。
+ そんなことがあるはずはない。」主はこう語ります。「わたしは生きている。イスラエルの王は必ず死ぬ。ゼデキヤは、自分を王位につけてくれた王の住むバビロンで死ぬ。ネブカデネザルとの契約をないがしろにし、それを破ったからだ。
+ バビロンの王が再びエルサレムを包囲し、そこに住む多くの者を虐殺しても、エジプトの王とその軍勢はイスラエルを助けない。
+ イスラエルの王は忠誠を誓いながら、あとでその約束を破ったからだ。彼は罰を免れない。」
+ 主はこう語ります。「わたしは生きている。だから、わたしの名にかけて誓った神聖な誓約をないがしろにした者を、必ず罰する。
+ その者の上にわたしの網を広げ、罠にかけて捕らえ、バビロンへ引いて行く。こうして、わたしに反逆した罪を罰するのだ。
+ イスラエルの精鋭もみな剣で殺され、エルサレムに残った者も四散させらされる。その時あなたは、主であるわたしがこのことを語ったのだとわかる。」
+ 神である主はこう語ります。「わたし自身が、一番高いレバノン杉の木のこずえから、一番柔らかい若枝を摘み取り、イスラエルの一番高い山の頂に植える。木はやがて枝を伸ばし、実を結んで、りっぱな杉の木となる。その下にはあらゆる種類の動物が集まり、枝にはあらゆる種類の鳥が巣を作る。
+ こうして、高い木を切り倒し、低い木を高くし、緑の木を枯らし、枯れた木を生き返らせるのが主であるわたしであることを、すべての人が知る。主であるわたしがすると言ったことは、必ずそのとおりになる。」
+
+
+ さらに、主からのことばがありました。
+ 「人々がイスラエルについて、『父親の罪で子が罰せられる』といわれるのはなぜか。」
+ 主はこう語ります。「わたしは生きている。もう二度と、こんなことわざをイスラエルで口に上らせない。
+ わたしは、父であろうと子であろうと、すべての人を同じようにさばく。それも、自分の犯した罪のために罰せられて死ぬのだ。
+ もしある人が、法に従って正しく生き、
+ 山に行ってイスラエルの偶像の前で食事することをせず、偶像を拝まず、姦淫をせず、生理中の女性に近づかず、
+ 貧しい者に親切にし、金を貸しても質物は返してやり、飢えている者には食物を与え、裸の者には着物を着せ、
+ 利息を取らずに貸し、悪の道から離れ、公平にさばきをし、
+ わたしのおきてを守るなら、わたしのことばどおり、その人はまさに正しい人だ。その人は必ず生きる。
+ だが、もし彼の息子が盗みや人殺しをし、自分の責任もはたさず、
+ わたしのおきてに逆らって、丘の上で偶像を拝み、姦淫を行い、
+ 貧しい者を苦しめ、質物を取り上げ、偶像を愛してやまず、
+ 高利で金を貸しつけるなら、その人は生きることができるだろうか。そんなことがあるはずはない。彼は自分の罪のために必ず死ぬ。
+ 反対に、この罪深い男の息子が、父親のしている悪を見て神を恐れ、そんな生活は絶対しないと決意し、
+ 丘に行って偶像の前で食事することをせず、偶像を拝まず、姦淫をせず、
+ 借りる者を公平に扱い、不当な取り立てをせず、飢えている者に食べさせ、裸の者には着せ、
+ 貧しい者を助け、利息を取らずに貸し、わたしのおきてを守るなら、彼は父親の罪のために死ぬことはない。必ず生きる。
+ しかし父親は、自分の罪のために死ぬ。
+ あなたがたは驚いて、『どうしてですか。子が親の罪を負わなくていいのですか』と聞き返すだろう。そうだ。負わなくていいのだ。その子が正しく生き、わたしのおきてを守るなら、必ず生きる。
+ 罪を犯した本人が死ぬのだ。子は親の罪のために罰せられてはならず、親も子のために罰せられてはならない。正しい者は自分の善行に対する報いを受け、悪者は自分の悪行に対する報いを受ける。
+ だが悪者でも、すべての罪から離れ、わたしのおきてを守って正しく誠実に生きるなら、必ず生きて、死ぬことはない。
+ 過去の罪はすべて忘れられ、彼は善行のために生きる者となる。」
+ 主はこう尋ねます。「わたしが、悪者の死ぬのを見たがっているとでも思うのか。わたしは、彼が悪の道から離れ、正しく生きるようになることしか願っていない。
+ だが、正しい人が罪を犯し、ほかの悪者と同じことをするなら、そのような者を生かしておけるだろうか。もちろん、生かしておくわけにはいかない。これまでの正しい行いはすべて忘れられ、その罪のために死ななければならない。
+ しかしあなたがたは、『神は不公平だ』と文句を言う。さあ、イスラエルの民よ、聞きなさい。不公平なのはわたしだろうか。それとも、あなたがただろうか。
+ 正しい人が正しく生きることをやめて悪を行い、そのまま死ぬなら、それは彼が行った悪のせいだ。
+ また、もし悪者であっても、悪から離れ、わたしのおきてに従って正しいことを行うなら、彼は自分のいのちを救うことになる。
+ 深く反省して、罪の道からきっぱり離れ、正しい人生を送ろうと決心したからだ。彼は必ず生きる。決して死ぬことはない。
+ それでもイスラエルの民は、『神は不公平だ』と言い張る。ああ、イスラエルよ。公平でないのは、わたしでなくあなたがただ。
+ ああ、イスラエルよ。わたしは一人一人を、その行いに応じてさばき、報いを与える。さあ、今のうちに悪から離れるのだ。
+ 悪の道をあとにして、新しい心と新しい霊を受けよ。ああ、イスラエルよ。なぜ死に急ぐのか。
+ わたしは、あなたがたが死ぬことを喜ばない。悔い改めなさい。悔い改めて、生きるのだ。」神である主がこう語るのです。
+
+
+ イスラエルの指導者たちのために哀歌を歌いなさい。
+ あなたの母はなんという女だろう。まるで雌のライオンのようで、子どももライオンの子のようだ。
+ そのうちの一頭(エホアハズ王)は強いライオンに育ち、獲物を捕らえることを習い、ついに人を食べるようになった。
+ そこで、諸国から狩人が集められ、そのライオンを落とし穴で捕らえると、鎖につないでエジプトへ連れて行った。
+ 母ライオンであるイスラエルは、その子への望みが絶たれたので、残る子の中から別の一頭(エホヤキン王)を取り、百獣の王となるように訓練した。
+ それで、このライオンは仲間の指導者となり、獲物を捕らえることを習い、やがて人を食べるようになった。
+ 近隣の国々の宮殿を破壊し、町々を廃墟とし、農地を荒らし回り、作物をだめにした。この地の人はみな、そのうなり声を聞くと、恐ろしさのあまり震え上がった。
+ それで、諸国の軍が四方から攻め上り、彼を落とし穴に追い込んで捕らえた。
+ そして彼を檻に入れ、バビロン王の前に連れて行った。彼は捕囚となり、その声は二度とイスラエルの山々で聞かれなくなった。
+ あなたの母はまた、水のほとりに植えられたぶどうの木のようだった。豊かな水のおかげで葉も青々と茂っていた。
+ その一番強い枝が王の杖となった。それは他のものから抜きんでて高く、遠くからもすぐ目についた。
+ だが、そのぶどうの木も憤りで根こそぎ引き抜かれ、地に投げ捨てられた。枝は強い東風に折られて枯れ、実も焼かれてしまった。
+ 今ぶどうの木は、水のない乾ききった荒野に植えられている。
+ すでに内側から枯れ始め、強そうな枝ぶりも見られない。この悲しい預言は、すでに現実となっている。もう、その実現をとどめることはできない。」
+
+
+ エホヤキン王が捕らえ移されてから六年後の第五の月、イスラエルの長老たち数人が、主に伺いを立ててほしいと尋ねて来て、私の前に座っていました。
+ その時、主はこのようなことばを私に与えました。
+ 「人の子よ、イスラエルの長老たちに、神である主はこう語ると言いなさい。よくも助けを求めに来られたものだ。わたしは決して語らない。
+ さあ、人の子よ、彼らをさばき、責めなさい。先祖の時代から今日まで、この国の人々が行ってきた、すべての罪を教えてやりなさい。
+ 神はこう語ると告げるのだ。わたしがイスラエルを選び、エジプトでわたしが神であることを示した時、彼らとその子孫とにこう誓った。彼らをエジプトから連れ出し、彼らのために探しておいた、乳とみつが流れる最良の地に導くと。
+ それから、こう命じた。『すべての偶像を捨てよ。わたしこそ、おまえたちの神、主だ。エジプトの神々を拝んで身を汚すようなことをしてはならない。』
+ だが彼らは、わたしに背いて、いっこうに聞こうとしなかった。偶像を除くことも、エジプトの神々を捨てることもしなかった。それで、彼らがまだエジプトにいる時、わたしは彼らに怒りを注ごうと思った。
+ しかし結局、そうはしなかった。イスラエルの神は自分の民を守ることもできなかった、とエジプト人にあざ笑われることがないように、わたしの名誉を守ろうとしたからだ。それで、エジプト人の目の前で、わたしの民をエジプトから連れ出し、荒野へ導き入れたのだ。
+ そして、その荒野で、彼らにおきてを与えた。そのおきてを守ることによって、彼らが生きるためだった。わたしのおきてを守るなら、だれでも生きる。
+ わたしは彼らに安息日(毎週七日目の休息日)を与えた。それは彼らとわたしとの間で、彼らを選び分けて、ほんとうに神の民とするのは、このわたしであることを思い起こさせるしるしだった。
+ それなのに、イスラエルはわたしに逆らった。あの荒野で、わたしのおきてに従うことを拒んだのだ。わたしの定めを守るなら真のいのちが与えられるのに、それを守ろうとはしなかった。安息日も悪用した。それで、わたしは怒りを爆発させ、荒野で彼らを滅ぼしてしまおうと考えた。
+ しかし、わたしの名誉を守るために、またも思いとどまった。エジプトから彼らを連れ出すのを見ていた国々の民に、主は民を守ることができず滅ぼすことになってしまったと言わせないためだ。
+ そこでわたしは彼らに、一度は与えようと思った選ばれた地、乳とみつの流れる地に、彼らを導き入れないことにすると告げた。
+ わたしのおきてを鼻であしらい、わたしの願いを無視し、安息日を守らなかった報いだ。彼らの心は偶像に引き寄せられていたのだ。
+ それでも、わたしは彼らを惜しんで、荒野で滅ぼすことはしなかった。
+ わたしは彼らの子どもたちに警告した。『親と同じ罪を犯してはならない。偶像礼拝で身を汚すな。
+ わたしこそ、あなたがたの神である。わたしのおきてを守り、わたしの命令に従え。
+ 安息日を特別な日として、身も心もきよく過ごすのだ。安息日は、わたしがあなたがたの神、主であることを思い起こさせるために、わたしたちの間に立てた契約のしるしなのだから。』
+ しかし、子どもたちもまた、わたしに逆らった。わたしのおきてを守るなら、正しく生きることができるのに、それを拒んだ。安息日も汚した。そこでわたしは言った。『もう限界だ。今すぐ、この荒野で、あなたがたに怒りを注ぎ出す。』
+ それでもなお、わたしは彼らを罰せずにおいた。エジプトから彼らを連れ出したわたしの力を見た国々の中で、わたしの名が傷つけられないためだ。
+ だが、彼らが荒野にいた時、はっきり言い渡した。わたしのおきてを守らず、それをあざ笑うかのように安息日を破り、父たちが拝んだ偶像を慕ったので、地の果てにまで彼らを散らす、と。
+ わたしは、彼らが愚かな習慣や教えを取り入れるのを見ても、好きなようにさせておいた。そんなものを守っても、いのちを得ることなどできない。
+ わたしは彼らに、自分のやっていることがどんなに恐ろしいことかを知らせ、また、わたしだけが神であることに気づいてほしいと思い、わたしが与えた非常に良いもので、彼らが自分の身を汚すのをそのままにさせた。彼らは、最初に生まれた子どもを偶像にささげて、焼き殺したのだ。
+ 人の子よ、神である主がこう語ると、彼らに告げよ。あなたがたの先祖は、約束の地に導き入れられてからも、高い丘や木の下で、所かまわずいけにえをささげ、香をたいて、いつもわたしを裏切り、冒瀆してはばからなかった。彼らが神々にいけにえをささげた時、わたしの怒りは燃え上がった。事もあろうに、偶像に香をたき、ぶどう酒を注いだからだ。
+ そこで、『おまえたちがいけにえをささげに行く場所は何なのだ』と問いただした。それで、そこは今も、『いけにえの高台』と呼ばれている。
+ 神、主は、知りたがっている。あなたがたも先祖のように身を汚し、偶像を拝み続けるつもりなのか。
+ 現に今、偶像へのささげ物として幼児を焼き殺し、灰にしているのに、イスラエルよ、どうしてあなたがたの願いを聞いて、助けることができるだろうか。」神である主は語ります。「わたしは生きている。いくら願っても、わたしは何も答えない。
+ いくら、回りの国々を見ならって木や石の偶像を拝もうとしても、それはできない。
+ わたしが鉄のこぶしを振り上げ、大きな怒りをこめて、おまえたちを治めるからだ。
+ 憤りをこめた強い力で、散らされていた国々からあなたがたを連れ出し、
+ 荒野にあるわたしの法廷に集め、そこであなたがたをさばく。あなたがたをエジプトから連れ出したあと、荒野でした時のように、反逆者を取り除く。
+ あなたがたを念入りに数え上げ、ほんの一握りの者だけをイスラエルに戻す。
+ 残る大部分の者は、わたしに反逆して罪を犯しているので、みなの間から取り除く。彼らは捕らえられている国から連れ出されるが、イスラエルには入れない。このとおりのことが起こる時、あなたがたは、わたしが神であることを知るようになる。」
+ ああ、イスラエルよ。神である主はこう語ります。「そんなにも偶像を拝みたければ拝むがいい。だが、そうするなら、わたしにささげ物を持って来るようなことはしてはならない。そのようなことをして、わたしの聖なる名を汚すようなことはやめよ。」
+ 主はこう語ります。「わたしの聖なる山エルサレムで、全イスラエルはわたしを礼拝する。その所で、わたしはあなたがたを喜んで迎え、いけにえと最上のささげ物を求めよう。
+ わたしがあなたがたを捕囚から連れ戻す時、あなたがた自身がわたしにささげられた良い香りとなる。諸国の民はあなたがたの心に大きな変化が起こったことを知る。
+ さらに、わたしが約束した地に連れ戻す時、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。
+ その時、自分が犯した罪をことごとく思い起こし、その悪のゆえに自分自身を忌みきらうようになる。
+ その悪にもかかわらず、あなたがたを祝福することによって、わたしの名誉を守る時、イスラエルよ、あなたがたはわたしが主であることを知るようになるのだ。」
+ さらに、このようなことばが主からありました。
+ 「人の子よ、エルサレムの方へ顔を向け、エルサレムとネゲブの森に、
+ こう預言せよ。神のことばを聞け。ああ、森よ。わたしはおまえに火をつける。生木も枯れ木も、木という木をすべて焼き尽くそう。その燃えさかる炎は消されず、国中を焼け野原とする。
+ そしてすべての国々は、主であるわたしが火をつけたことを知るだろう。その火が消されることはない。」
+ そこで、私は叫びました。「おお主よ。彼らは私のことを、『なぞをかけるようにしか語らない者』と言っています。」
+
+
+ それから、このようなことばが主からありました。
+ 「人の子よ、エルサレムに顔を向け、イスラエルとわたしの神殿とに預言しなさい。
+ 主はこう語る。イスラエルよ。わたしはあなたを攻める。剣を抜き、善人も悪人も区別なく、みな滅ぼす。
+ 正しい者も生かしてはおかない。南のネゲブから北の国境まで、国中の者をきれいに一掃する。
+ すべての国々は、こうしたのが主であるわたしであることを知る。わたしは剣を手にし、このことをやり遂げるまで剣をさやに納めない。
+ 人の子よ、激しい苦悶のあまり、人々の前で嘆き、うめき声を上げよ。
+ どうしたのかと聞かれたら、こう答えよ。『神が恐ろしいことを語ったからだ。そのとおりになったら、どんな勇敢な者も恐怖におののき、意気消沈し、だれのひざも震える。神である主がそう語ったのだ。』あなたは滅びに向かっている。わたしのさばきは成就する。」
+ 続いて、主のことばがありました。
+ 「人の子よ、このように人々に告げよ。大虐殺のために、もう一振りの剣が研ぎすまされている。それでも、笑い飛ばそうというのか。あなたよりずっと強い者も滅んでいった。その剣が今、刑を執行する者の手に渡されている。
+ 人の子よ、さあ、人目もはばからず泣きわめけ。その剣で、わたしの民と指導者がみな殺されるからだ。みな同じように死ぬ。
+ こうして、すべての者が試される。逃れることはできない。」神である主がこう語るのです。
+ 「このように預言せよ。力いっぱい手を打ち鳴らせ。それから剣を取って、二回、三回と振り回せ。それこそ彼らが虐殺されるしるしだ。
+ 彼らを震え上がらせよ。抜き放たれた剣が、どの家の門口でも光っている。その鋭い刃先が、人を切り殺そうと、いなずまのように光っている。
+ さあ剣よ、右に左に、思うままに切りまくれ。
+ あなたが手を打ち鳴らして預言したように、主であるわたしがエルサレムを打ちのめして、わたしの憤りを静めよう。」
+ それから、このようなことばが示されました。主はこう語りました。
+ 「人の子よ、地図を作りなさい。その上に、バビロンの王が攻めて来る二つの道を書きつけるのだ。一つはエルサレムに通じる道、もう一つはヨルダン川東岸のラバに向かう道だ。バビロンからの道が二つに別れる地点にしるしをつけておきなさい。
+ バビロンの王はその地点で、エルサレムを攻撃しようか、ラバを攻撃しようか、と思案するからだ。彼は占い師を呼んで占わせる。占い師は矢筒から矢を振り出したり、偶像にささげたいけにえの肝を調べたりする(神々から情報を得る、古代の占い法)。
+ その結果、エルサレムに向かえ、と言うだろう。彼らは城壁を破壊する兵器を持って、城門めがけて攻めかかり、『皆殺しにしろ』と口々に叫ぶ。また、包囲攻撃用に塔を建て、城壁を乗り越えるためにとりでを築く。
+ エルサレムはバビロンの裏切りを理解できない。どうして占い師は、こんな恐ろしい間違いをしでかしたのか。バビロンはユダの同盟国ではないか。エルサレムを守ると約束してくれたではないか。だがバビロンの王には、ユダの民が反逆した時のことしか念頭にないのだ。王はユダを攻め、民を滅ぼす。」
+ さらに主は語ります。「あなたがたの罪は何度もあばかれている。人前もはばからず、ぬけぬけと悪を行っているからだ。あなたがたはどこへ行っても、何をしても、悪いことばかりしている。今こそ罰を受ける時だ。
+ ああ、悪にまみれたイスラエルの王ゼデキヤよ。あなたの最後の刑罰の日がきた。」
+ 神である主が語ります。「宝石をちりばめた冠を取り去れ。世の中がひっくり返る。今や、貧しい人が高い地位につき、金持ちが低くされる。
+ わたしはユダの王国を根底からくつがえす。たとえ新しい体制が生まれても、それに権威を授ける者が現れるまで、決して国は確立しない。わたしが、その者にあらゆる権威を与えるのだ。
+ 人の子よ、アモン人にも預言せよ。彼らはわたしの民が苦しんでいた時、それをあざ笑っていた。彼らにこう言え。おまえたちを切るために、わたしの剣がさやから抜き放たれた。その剣は鋭く研ぎすまされ、いなずまのように光っている。
+ おまえたちの占い師や偽預言者どもは、おまえたちの神々がバビロンの王の手から救ってくれるから、『安全だ。心配はない』と偽りを言った。こうして、おまえたちを他の悪者とともに死に追いやったのだ。最後の罰の下る日がくるとき、おまえたちは傷ついて死ぬ。
+ おまえたちを罰せずに、わたしの剣が元のさやに納められることはない。おまえたちの祖国で滅ぼそう。
+ わたしの憤りをぶちまけ、怒りの炎を吹きつけよう。そして、破壊することの上手な、残忍な者どもの手に引き渡そう。
+ おまえたちは火に注がれる油で、その血が自分の国で流される。おまえたちは一掃されて、歴史から完全に忘れ去られる。主であるわたしが、こう語ったからだ。」
+
+
+ また、別のことばがありました。主はこう語ったのです。
+ 「人の子よ、エルサレムを殺人のかどで告発しなさい。その恐るべき残虐行為を、公然と非難しなさい。
+ のろわれ、滅ぼされようとしている流血の町、汚れと悪臭にまみれた偶像の町。
+ あなたは殺人と偶像礼拝の罪を犯している。今、滅びの日が近づいている。あなたに与えられた年月は終わりに達した。あなたをすべての国々の笑いものとし、非難の的としよう。
+ 近くの者も遠くの者も、悪名高き反逆の町として、あなたのことをあざ笑うだろう。
+ 城壁の中に住むイスラエルの指導者たちは、人殺しに夢中だ。
+ 両親は全く顧みられず、寄留者や旅行者は保護という名目で不当な金を払わされ、孤児や未亡人は不正な扱いを受け、さんざんな目に会っている。
+ 神に関することは、どうでもよいことのように思われ、安息日も軽んじられている。
+ 囚人はぬれ衣を着せられ、死刑にまでされている。どの山の上も偶像で満ち、みだらなことが至るところで行われている。
+ 父の妻と姦淫したり、生理中の女と寝たりする男がいる。
+ 人妻や息子の嫁、あるいは腹違いの姉妹との姦淫も普通のことになっている。
+ 雇われて人殺しをする者、暴利をむさぼる高利貸し、不当に搾取する者がそこらじゅうにいる。わたしのことも、わたしの戒めのことも、念頭にない。」主はこう語ります。
+ 「さあ今、わたしは手を鳴らして、あなたの不正な利得と流血をやめさせる。
+ わたしが罰する日に、あなたは強く、勇敢でいられるだろうか。主であるわたしが語るのだ。みなそのとおり行われる。
+ わたしはあなたを世界中に散らし、あなたのうちにある悪を焼き滅ぼそう。
+ あなたは国々の間で辱められる。その時、あなたはわたしが主であることを知る。」
+ それから、主は語りました。
+ 「人の子よ。イスラエルの民は、銀を精錬するときに出る、何の役にも立たないかすのようなものだ。真鍮、すず、鉄、鉛を混合するとき出る浮きかすだ。」主はこう語ります。「あなたがたは役に立たない浮きかすだから、わたしの炉であるエルサレムに集め、わたしの怒りの火で溶かそう。
+ 憤りの炎を吹きつけ、
+ その激しい熱で、銀のように溶かしてしまおう。その時、あなたがたは主であるわたしが怒りをぶちまけたことを知る。」
+ さらに、このような主のことばがありました。
+ 「人の子よ、イスラエルの民に言いなさい。わたしの憤りが爆発する日、あなたは汚い荒れ地、雨の降らない荒野のようになる。
+ あなたの預言者たちは、獲物に忍び寄るライオンのように陰謀を巡らす。彼らはむさぼり食うように多くのいのちを奪い、財産や宝を強奪し、国中に未亡人を増やす。
+ また、祭司は祭司で、わたしの律法を破り、神殿を汚し、わたしを汚した。彼らにとって、祭司の務めは日々の仕事以上に重要なものではない。わたしの民に善悪の区別を教えず、安息日も無視した。こうして、わたしは彼らの間でひどくさげすまれている。
+ 指導者も、獲物に飛びかかる狼のように、自分の利得のために人のいのちを奪っている。
+ 預言者は偽りの幻を語り、わたしがひと言も語らないのに、神がこう語ったと偽りを語っている。こうして、しっくいで壁の上塗りをするようにごまかしている。
+ それで民も、貧しい者たちを虐げ、物をかすめ、在留外国人からも強奪している。
+ わたしは、この国を守る正義の城壁を建て上げ、破れ口に立ちふさがって、わたしのさばきからあなたを守ってくれる者を探し求めたが、一人も見つからなかった。
+ そこで、怒りの炎で、あなたを焼き尽くそう。あなたのすべての罪に見合う報いをする。」
+
+
+ 再び、主からのことばが私にありました。
+ 「人の子よ、二人の姉妹のことを話そう。二人はうら若いおとめであったころ、エジプトで淫行を繰り返していた。
+ 姉はオホラ、妹はオホリバと言った。この二人とは、サマリヤとエルサレムのことだ。二人はわたしの妻となり、それぞれ息子や娘を産んだ。ところが、オホラはわたしのもとを離れて他の神々に走り、隣のアッシリヤ人を愛した。
+ みな魅力的な若者で、鮮やかな青い衣を着て、さっそうと馬にまたがった司令官や隊長だったからだ。
+ こうして彼女はアッシリヤのえり抜きの男たちと姦通の罪を犯し、彼らの偶像を拝んで身を汚した。
+ オホラはエジプトを出てからも、みだらな心が消えていなかった。エジプト人が彼女に欲情を募らせて、その純潔を奪った、あの若いころと少しも変わっていなかったのだ。
+ それでわたしは、アッシリヤの神々に夢中になっている彼女を、アッシリヤ人の邪悪な手に渡した。
+ 彼らは彼女を裸にして殺したうえ、その子どもたちを連れ去って奴隷にした。彼女の名は、当然の報いを受けた悪女として、女たちの語り草となった。
+ 妹のオホリバ(エルサレム)も、姉の身に起こったことを見ていながら、同じことをしたばかりか、さらにひどい罪を犯した。
+ 彼女も、堂々と軍馬にまたがった若者、りっぱな制服を着た士官であるアッシリヤ人に、手当たりしだい、だれでもよいとばかりに媚びへつらった。
+ こうして妹も、姉の歩んだ道をまっしぐらに進んだ。
+ 事実、オホリバの堕落ぶりはサマリヤをはるかに上回っていた。彼女は壁にかかっている絵を見て、そのとりこになってしまったのだ。そこに描かれていたのは、バビロンの士官たちで、目の覚めるような赤い制服を着け、りっぱなベルトを締め、頭には垂れるほどのターバンを巻きつけていた。
+ その絵を見ただけで、彼女は男たちにすっかり魅せられ、使者をカルデヤに遣わした。もちろん、彼らを自分のもとに招くためだ。
+ 彼らは来て彼女と姦淫し、恋の寝床で彼女を汚した。しかしその後、彼女は彼らをいやがるようになり、彼らのもとを離れて行った。
+ わたしは、姉と同様、妹にも愛想が尽きた。この妹は、これ見よがしに裸体を彼らの前にさらけだし、彼らの情欲に身をまかせたからだ。
+ それでもいっこうに懲りもせず、さらに淫行を重ね、エジプトで淫行をした若いころの愛人たちを思い出し、よりを戻してみだらな行為を重ねたのだ。
+ こうして、エジプト人に純潔をささげた、あの若かった昔の日々をたたえているしまつだ。」
+ それで今、神である主は語ります。「ああ、オホリバ。わたしは、あなたが愛想を尽かして別れたその国々を奮い立たせて、あなたに立ち向かわせる。
+ 見よ、バビロニヤ人が攻めて来る。ペコデやショアやコアから、すべてのカルデヤ人がやって来る。それに、馬にまたがった、アッシリヤの美しい若者、高官たちが加わっている。
+ 彼らは戦車や車に乗り、戦闘準備を整えた大軍を率いて、北から攻めて来る。この大軍団は四方からあなたを囲み、やりたい放題のことをする。
+ わたしはあなたを断じて赦さず、恐ろしい目に会わせる。耳も鼻も切り落とされ、生き残った者も殺される。子どもたちは奴隷として連れ去られ、残った者は焼き払われる。
+ 美しい服や宝石もはぎ取られる。
+ こうしてわたしは、エジプトから持ち込んできた、みだらな行為をやめさせる。あなたはもう二度とエジプトにあこがれたり、その神々を慕うことがない。」
+ 神である主は語ります。「わたしは、あなたが忌みきらう敵どもの手にあなたを必ず渡す。
+ 彼らは憎しみをこめてあなたを罰し、何もかも奪い取って、裸にして放り出す。こうして、淫乱の恥がすべての国々にさらされるのだ。
+ それも自分で招いたことだ。外国の神々を拝み、偶像礼拝によって自分自身を汚したからだ。
+ あなたは姉と同じ道をたどったので、わたしは姉を滅ぼしたのと同じ恐ろしい罰を、あなたにも下す。
+ そう、姉に臨んだ恐るべきことが、あなたにも降りかかる。姉が飲んだ杯は、あふれていた。おまえが苦しむのを見て、国々があざ笑うだろう。
+ あなたも、姉サマリヤのように悲嘆にくれ、酔っぱらいのようによろめき歩くようになる。
+ 苦しみもだえながら、なおも恐怖の杯を最後の一滴まで飲み干すのだ。これを語ったのはわたしだ。
+ わたしを忘れ、わたしに背を向けた責任はみな、あなたが自分で負わなければならない。
+ 人の子よ、恐ろしい悪を重ねているエルサレムとサマリヤを非難せよ。
+ 彼らは姦淫と殺人の罪を犯した。偶像を拝み、わたしのために産んだ子どもたちを、偶像の祭壇にいけにえとしてささげ、焼き殺してしまったのだ。
+ その同じ日にわたしの神殿を汚し、安息日を無視した。
+ 子どもを殺して偶像にささげておきながら、同じ日にその足で、神殿へ礼拝に来るのだから。彼らのわたしに対する態度は、こんなものでしかないのだ。
+ そればかりか、遠くの国にまで使いを送り、偶像の神々に仕える祭司を招いて歓迎している。彼らの気を引こうと、おまえは体を洗い、アイシャドーを塗り、最上の宝石で身を飾った。
+ 豪華な寝床にいっしょに腰をかけ、その前に置いたテーブルの上に香と油とを並べた。
+ あなたの部屋からは、荒くれ者や飲んだくれのばか騒ぎが聞こえてきた。彼らはあなたの腕に腕輪をはめ、頭にきらきら輝く冠をのせた。
+ だれが、年老いて疲れきった娼婦を抱くだろうか。
+ ところが、この男たちはそうしたのだ。恥じらいを忘れた娼婦サマリヤとエルサレムのもとへ、情欲にかられて彼らは行った。
+ だが、正しい人々は、どこででも、彼女たちの正体が姦淫の女や人殺しであることを見抜き、律法に従って彼女たちを裁く。」
+ 神である主はこう語ります。「大軍を攻め上らせて、彼女たちを辱め、打ち砕く。
+ 敵兵は彼女たちを石で打ち、剣で殺し、息子や娘を虐殺し、家は火で焼き払う。
+ こうして、わたしはこの地から、みだらな行為や偶像礼拝をなくす。わたしのさばきは、それを見るすべての人々に、偶像礼拝の非を悟らせるだろう。
+ あなたがたは、売春や偶像礼拝の罪の報いを余すところなく受ける。その全部の罰を負わなければならない。その時、あなたがたはわたしだけが神であることを知る。」
+
+
+ エホヤキン王が捕囚となって九年目の第十の月の十日、私に次のような主のことばがありました。
+ 「人の子よ、今日の日付を書き留めよ。今日、バビロンの王がエルサレムに攻撃をしかけたからだ。
+ さあ、反逆者であるイスラエルに、このたとえを語りなさい。神である主がこう命じる。なべに水を入れ、火にかけて沸騰させなさい。
+ そこに最上の羊の肉、ももや肩などの柔らかい肉をたくさん入れなさい。
+ 群れの最良の羊だけを使うのだ。火にはどんどん薪をくべ、肉が骨から離れるまでよく煮なさい。」
+ 神である主はこう語ります。「ああ、流血の町、エルサレムはのろわれよ。おまえは、さびと傷とで穴だらけになったなべのようだ。その中から一切れ一切れ、肉を取り出せ。どれが良いということはなく、みな同じだからだ。
+ エルサレムの醜悪さは周知のことだ。平気で人を殺し、その血が岩にたれて、人目にさらされても、隠そうともしない。
+ だから、わたしもそのままにして、その血がエルサレムの犯行を訴えるにまかせた。わたしの怒りと憤りはいやがうえにも募った。
+ 流血の町、エルサレムはのろわれよ。わたしはその下に薪を積み上げる。
+ さあ、薪をくべ、どんどん火を燃やせ。なべを煮えたぎらせるのだ。肉をよく煮てから、なべを空にし、骨を燃やすのだ。
+ 空のなべを炭火にかけ、そのさびや汚れを焼き落とせ。
+ だが、すべては骨折り損だ。火をどんなに強くしても、さびや汚れは落ちずに残るからだ。
+ そのさびと汚れとは、偶像を礼拝してやまない、みだらな行為のことだ。わたしはあなたをきよめようとしたが、あなたが拒んだので憤りを燃え上がらせ、恐ろしい目に会わせる。それまで汚れたままでいるがいい。
+ 主であるわたしが、これを語ったのだ。このことは必ず起こる。わたしがそうするからだ。」
+ また、私に次のような主のことばがありました。
+ 「人の子よ。わたしはあなたの愛する妻を取り去る。彼女は急死する。しかし、悲しんではならない。決して泣いてはならない。涙を流してはならない。
+ ため息はついても、声を立ててはいけない。彼女の墓で、声を上げて泣いてはいけない。頭にターバンを巻き、足に靴をはきなさい。慰めにと、友人が持って来る食べ物を受け取ってはいけない。」
+ その朝、私はこのことを人々に語りました。その晩、妻が死にました。翌朝、私は主が語ったとおりにしました。
+ すると人々は、「なぜ、そんなふうにするのですか。わけを教えてください」と尋ねてきました。
+ そこで私は答えました。「主が私に、イスラエルの民にこう言え、と語ったのです。『わたしは、あなたがたが国の力と頼み、わたしが愛してやまない美しい神殿を破壊しよう。そして、ユダヤにいるあなたがたの息子や娘を剣で殺そう。』
+ その時あなたがたは、私がしたのと同じことをするようになります。つまり、人前で嘆き悲しむことも、同情して友人が持って来てくれた食べ物を食べることもできなくなるのです。
+ 喪中だというのに、頭にはターバンを巻き、足に靴をはき、嘆くことも泣くこともしません。互いの罪を嘆き合い、自分たちが犯した多くの悪を悲しむのです。
+ 主が言われるとおり、私は手本を示したのです。『エゼキエルがしたとおりに、あなたがたもするようになる。その時がきたら、あなたがたはわたしが神であることを知るようになる。
+ 人の子よ。わたしがエルサレムの住民から、心の喜びであり誇りでもある妻や、息子や、娘を取り去る日に、
+ エルサレムから命からがら逃れた者が、バビロンにいるあなたに、その出来事を知らせるために向かう。
+ その者が到着したら、さっそく話をするがいい。あなたはこの人々のためのしるしとなるのだ。その時、彼らはわたしが神であることを知る。』」
+
+
+ それから、このような主のことばがありました。
+ 「人の子よ。アモン人の地に顔を向け、その住民に預言せよ。
+ 彼らにこう告げるのだ。神、主が語ることを聞け。おまえは、わたしの神殿が破壊された時、あざ笑った。イスラエルが苦しんでいる時、これをさげすんだ。ユダが捕囚として連れて行かれた時、それ見たことかと笑った。
+ それゆえ、わたしは東の荒野からベドウィン族をおまえの地に侵入させる。彼らはおまえのうちに陣取り、住みつき、おまえが育てた作物を全部刈り取り、乳牛を盗んでいく。
+ わたしはラバの町をらくだの牧場とし、アモン人の住む全地を羊の放牧地として荒れるにまかせよう。その時、おまえはわたしが神であることを知る。」
+ 神である主はこう語ります。「おまえはわたしの民の滅亡を見て手をたたき、足を踏み鳴らして喜んだ。
+ それゆえ、重い罰を加え、多くの国を侵入させて、おまえを廃させる。国として立ち行かなくなるまで滅ぼそう。その時、おまえはわたしが主であることを知る。」
+ 神である主はこう語ります。「モアブ人は、『ユダの国も他の国と変わらないではないか』と言った。
+ それゆえ、わたしはモアブの東の国境を開け放ち、モアブ人が誇りとしているベテ‧ハエシモテ、バアル‧メオン、キルヤタイムの町々を掃討する。東の荒野から来るベドウィン族が、アモン人に対するようにモアブにもなだれ込む。モアブは国々の間から抹消される運命にある。
+ こうして、わたしのさばきが下る時、彼らはわたしが主であることを知る。」
+ 神である主はこう語ります。「エドムの住民は、自分の手でユダの民に復讐するという大きな罪を犯した。
+ それゆえ、こぶしでエドムを打ちたたき、人も家畜も羊の群れも一掃する。テマンからデダンまで、すべてのものを剣で切り倒す。
+ わたしの民イスラエルの手によって、このことを行う。彼らがわたしの激しい復讐を遂げる。」
+ 神である主はこう語ります。「ペリシテ人は昔からユダに恨みを抱き、復讐の念に燃えて攻めて来た。
+ それゆえ、ペリシテ人の地にこぶしを振り上げ、ケレテ人を一掃し、海岸に住む者を完全に滅ぼす。
+ 彼らのしてきたことに対して恐ろしい復讐をする。それが現実となる時、彼らはわたしが主であることを知る。」
+
+
+ エホヤキン王が捕囚となって十一年目のその月の第一日、主から新しいことばが示されました。
+ 「人の子よ。ツロはエルサレムの滅亡を喜んで、『それ見たことか。エルサレムは地中海沿岸と、ヨルダン川沿いの南北に通じる通商路を支配し、利益を得ていたが、ついに打ち破られた。あとは私のものだ。エルサレムが廃墟になったので、私は金持ちになれる』と言った。」
+ それゆえ、神である主はこう語ります。「ツロよ。わたしはおまえを攻める。波が打ち寄せるように、たくさんの国が次から次へと攻め寄せる。
+ 彼らはツロの城壁を破壊し、やぐらを倒す。わたしは、その土を削り取って、そこを裸の岩にしよう。
+ 島には、住む人もなく、ただ漁師が網をしかける場所となる。」これを語ったのはわたしであると、神である主が言います。「ツロは多くの国のえじきとなる。
+ 本土にあるツロの町も剣によって滅びる。その時、彼らはわたしが主であることを知る。」
+ 神である主はこう語ります。「北から、王の王であるバビロンの王ネブカデネザルを連れて来よう。彼は騎兵と戦車の大軍を率いて、ツロに攻め寄せる。
+ まず、周辺の村々を攻略し、それから本土の町を包囲してとりでを築き、盾を屋根のように掲げて攻撃する。
+ 破城槌で城壁を突きくずし、大づちをふるってとりでを粉砕する。
+ 騎兵隊の巻き上げる土煙で、町は息もつけないありさまとなるだろう。打ち破られた城内から、戦車を引いて疾駆する馬の地響きに、城壁は震え上がるだろう。
+ 騎兵たちが町にひしめき、住民を片っぱしから殺して回る。あの名高い、大きな柱も倒される。
+ 財宝も商品も残らず略奪され、城壁も打ち壊される。快適な家は取り壊され、石も木も、そしてちりまでも、海に投げ捨てられる。
+ わたしは、おまえが歌うのをやめさせる。もう竪琴の音も聞こえなくなる。
+ おまえを裸岩とし、漁師たちが網をしかける所とする。おまえは二度と建て直されることはない。主であるわたしが言うのだ。
+ おまえがくずれ落ちる響きで国中が震え、虐殺が続けられる中で、傷ついた者たちが悲鳴を上げる。
+ その時、海辺の諸国の指導者たちは、王座から降り、王衣も美しい衣服も脱ぎ捨て、あまりに恐ろしい光景に、身を震わせながら地に座り込む。
+ 彼らはおまえのために嘆き悲しみ、こんな哀歌を口にする。『ああ、難攻不落を誇った港の町。その強大な海軍力が本土を恐れさせたのに、どうして海に消えてしまったのか。
+ 島々はおまえの滅亡に恐怖に駆られ、おびえたまなざしで見つめている。』」
+ 神である主は語ります。「わたしはツロを完全に滅ぼす。ツロは大洪水のような敵の猛攻撃で、その下に沈められる。大海がおまえをのみ込んでしまうのだ。
+ わたしはおまえを地獄の穴に送り込み、昔の民といっしょに横たえさせる。町は荒れはて、死の町となる。再び人が住むことはなく、その美しさを取り戻すこともない。
+ わたしはおまえに恐ろしい最期を遂げさせる。いくら捜しても、おまえを見つけることはできない。」このように主が語るのです。
+
+
+ 次のような主からのことばがありました。
+ 「人の子よ、ツロのために、この悲しみの歌を歌え。
+ ああ、貿易の中心地、強大な港町よ。主のことばを聞きなさい。おまえは『私は世界で一番美しい町だ』と自慢している。
+ 領土を海の中にまで広げ、建築家たちはおまえを豪華に仕上げた。
+ おまえはセニル産の最上のもみの木で造った船のようだ。マストにはレバノン杉を使った。
+ 櫂にはバシャン産の樫の木、船室の壁にはキプロス南岸産の糸杉材を使った。
+ その帆はエジプト亜麻の最上の帆布で、おまえを覆う日よけは東部キプロス産の紫と紅の染料で明るく彩られている。
+ 船員はシドンとアルワデ出身の者、舵手はツロの腕ききだ。
+ ゲバル出身の経験豊富な船大工が船板の継ぎ目を修理する。世界の各地から商品を満載した船がやって来て、おまえと商いをする。
+ 軍隊には遠くペルシヤ、ルデ、プテの出身者がいて、おまえに仕えた。城壁にかけた彼らの盾は、自慢の種だった。
+ アルワデとヘレク出身の者が城壁の歩哨に立ち、やぐらはガマデ出身の者が守りを固めていた。彼らの盾も城壁にずらりと並び、おまえの栄誉はまさに完全そのものだった。
+ タルシシュから、銀、鉄、すず、鉛など、あらゆる種類の財宝が手に入った。
+ ヤワン、トバル、メシェクの商人は奴隷や青銅の器を持参し、
+ ベテ‧トガルマからは軍馬、戦車用の馬、らばが運ばれて来た。
+ デダンからも商人が来た。おまえは地中海沿岸の市場を支配し、黒檀や象牙で支払わせた。
+ エドムの貿易商人はおまえの製品をたくさん買い、エメラルド、紫の染料、刺繍品、上質の亜麻布、さんごやめのうなどの宝石と交換した。
+ ユダと、かつてイスラエル王国にあった町々も、ミニテの小麦といちじく、はちみつ、香油、香料などを持参して、商いをした。
+ ダマスコもやって来て、ヘルボンのぶどう酒とシリヤの羊毛を、おまえの豊富な製品と交換した。
+ ベダンとヤワンも、アラビヤ糸、銑鉄、桂枝、菖蒲を持参して商いをした。
+ デダンは鞍に敷く高級な布地を持参した。
+ アラビヤ人もケダルの裕福な君主たちも、子羊、雄羊、やぎを持参した。
+ シェバとラマの商人は、いろいろな種類の香料、宝石、金を持って来た。
+ カランとカネ、エデン、アッシリヤ、キルマデも、それぞれの製品を持って来た。
+ 青の布地、刺繍品、固く撚った太ひもでしっかり織り上げた多彩な敷物など、最上質の織物類だった。
+ タルシシュの船団は、おまえが雇った海のキャラバンだ。おまえの島の倉庫はあふれるばかりだ。
+ だが今、ツロの政治家たちはおまえの船を嵐の真っただ中にこぎ出した。激しい東風に、さすがの巨船もぐらつき、海の真ん中で難破する。
+ すべてのものが海のもくずと消える。財宝も商品も、船員も水先案内人も、船大工も商人も兵隊も、すべての人が、ツロの壊滅の日に、海の底に沈む。
+ 恐怖におののく水先案内人の叫び声に、近隣の町々は震え上がる。
+ 海に出ていた船員が上陸し、本土の岸に立って見回しながら大声で泣き、頭にちりを振りかけ、灰の中をころげ回る。
+ 彼らは悲しみのあまり頭をそって丸坊主となり、荒布をまとい、ツロのために心を痛めて、泣きくずれる。
+ そして悲しみの歌を歌う。『海の真ん中で滅ぼされたツロのように不思議な町が、世界のどこにあっただろうか。
+ おまえの商品は多くの国の人々の欲望を満足させた。地の果てに住む王たちも、おまえが送った財宝を喜んだ。
+ だが今、おまえは海の底に横たわっている。すべての商品も、それを運ぶ船員もみな、おまえとともに沈んでしまった。
+ 沿岸に住む者はみな、わが目を疑い、立ちすくんでいる。王たちも、おびえた表情でじっと見つめている。
+ 他国の商人も、おまえがたどった運命の恐ろしさに、頭を振って考え込んでいる。おまえは永久に滅び去ったのだ。』」
+
+
+ また、次のような主のことばが示されました。
+ 「人の子よ、ツロの君主に言いなさい。」神である主はこう語ります。「おまえは身のほどをわきまえず、自分を神にしてしまうほど思い上がり、大海に浮かぶ島で神の座についている。だが、いくら神のようにふるまっても、おまえは人であって神ではない。確かに、おまえはダニエルよりも賢く、どんな秘密もおまえには筒抜けだ。
+ その知恵と知識を駆使して、おまえは金、銀、財宝を手に入れ、大きな富を築いた。
+ そう、おまえの知恵がおまえを大金持ちにし、高慢にしたのだ。」
+ それゆえ、神である主はこう語ります。「おまえは、自分が神のように賢いと言っている。
+ それで、諸国に恐れられている敵の大軍が、知恵を自慢しているおまえに向かって剣を抜き、その栄華を汚す。
+ 海の真ん中の島で、おまえを地獄の穴へ突き落とし、剣で八つ裂きにする。
+ それでも、自分は神だと言うのか。侵略者たちにとっては、おまえは神ではなく、ただの人間だ。
+ おまえは外国人の手で、まるでごみ屑のように、無造作に殺される。」わたしがこう言うと、神である主は語ります。
+ また、次のような主のことばがありました。
+ 「人の子よ、ツロの王のために泣け。神、主はこう語る、と告げよ。おまえは知恵に満ち、美を極めていた。
+ おまえは神の園、エデンのような所にいて、その服には、最高級の金の台に、ルビー、トパーズ、ダイヤモンド、かんらん石、しまめのう、碧玉、サファイヤ、紅玉、エメラルドなどあらゆる種類の宝石をはめ込んだ飾りをつけていた。みな、おまえが王となった日に贈られた物だ。
+ わたしはおまえを、油注がれた守護者ケルブに任命した。おまえは神の聖なる山に近づき、火の石の間を歩いていた。
+ 王となってから、不正が見つかる時まで、おまえがやったことはみな完璧だった。
+ しかし、莫大な富に目がくらんで、おまえは罪を犯したのだ。そこでわたしは、普通の罪人と同じように、おまえを神の山から追い出した。ああ、すぐれたケルブよ。わたしはおまえを火の石の間から消滅させた。
+ おまえは自分の美しさを鼻にかけ、思い上がっていた。栄華のために、自分の知恵を台なしにしてしまった。それゆえ、おまえを地面にたたき伏せ、何事が起こったのかと好奇の目をみはる王たちの前に、おまえの無力さを見せつけたのだ。
+ おまえは不正な商いをして自分を汚した。それゆえ、おまえ自身の所業から火を引き出し、みんなが見ている前でおまえを焼き、地上の灰としたのだ。
+ おまえを知っていた者はみな、その恐ろしい運命に背筋を凍らせる。おまえは見せしめとして、永久に滅ぼされるのだ。」
+ 次のようなことばもありました。
+ 「人の子よ、シドンの町にこう預言せよ。」
+ 神である主がこう語ります。「シドンよ。わたしはおまえの敵となり、わたしの力を現そう。おまえを滅ぼして、わたしのきよさが示されるとき、それを見る者はみな、わたしが主であることを知る。
+ 疫病をはやらせ、兵を送って滅ぼす。傷ついた者たちは町の通りで、四方から攻め寄せる敵兵に殺される。その時、おまえはわたしが主であることを知る。
+ おまえも、他のイスラエルの近隣の国々も、かつてはイスラエルをさげすみ、邪険にしてきたのだが、これからはもう、いばらやとげのようにイスラエルを突き刺したり、引き裂いたりしなくなる。
+ イスラエルの民は、わたしがその先祖ヤコブに与えた地に再び住むようになる。散らしておいた遠くの国々から、わたしがもう一度、彼らを集めるからだ。こうしてわたしは、国々にわたしのきよさを示す。
+ 彼らはイスラエルに安らかに住み、家を建て、ぶどう畑を作る。こうしてイスラエルをさげすんだ回りの国々がみな罰せられるとき、彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知る。」
+
+
+ エホヤキン王が投獄されて十年目の第十の月の十二日に、主から次のようなことばがありました。
+ 「人の子よ、エジプトの王と民に預言しなさい。
+ 神である主がこう語る、と告げよ。川の真ん中にいる巨竜のようなエジプトの王よ。わたしはおまえの敵となる。おまえが、『ナイル川は私のものだ。私が自分のためにつくったのだ』と言っているからだ。
+ わたしは、おまえのあごに鉤をかけ、うろこについた魚ごと岸に引き上げる。
+ おまえを魚もろとも、死ぬまで荒野に放っておく。遺体を葬る者はいない。わたしがおまえを野獣や鳥のえじきとしたからだ。
+ イスラエルがわたしに頼る代わりにおまえに助けを求めた時、おまえにはそれだけの力がなかった。そのことから、おまえたちはみな、わたしが主であることを知るようになる。
+ イスラエルはおまえに寄りかかった。だがおまえは、ひびの入った杖のように折れた。イスラエルは肩を砕き、痛みのあまりよろめいた。」
+ それで、神である主は語ります。「ああ、エジプトよ。わたしは軍隊を送っておまえを攻め、人も家畜もみな滅ぼす。
+ エジプトは荒れはてる。その時、エジプト人は、このようにしたのは主であるわたしだと知る。おまえは、『ナイル川は私のもの。私がつくったのだ』と言っている。
+ それゆえわたしは、おまえとその川に向かって立ち上がり、ミグドルからセベネ、さらに南のエチオピヤとの国境に至るまで、エジプト全地を完全に滅ぼす。
+ 四十年間、誰ひとり、獣一匹さえエジプトを通らないだろう。もちろん、住む者もいなくなる。
+ エジプトばかりか周囲の国々も荒廃させ、町々も四十年間、荒れ放題にする。わたしはエジプト人を他の国々に追い散らす。」
+ 主は語ります。「四十年が過ぎたら、エジプト人を散らされていた国々から連れ戻そう。
+ エジプトの富を回復し、彼らが生まれ育った地、南エジプトのパテロスに帰らせる。だが、もうエジプトは、何の影響力もない小国となる。
+ すべての国々の中でも最小の国となり、二度と他の国の上に立つこともない。今までのような大国には決してなれない。
+ イスラエルも、二度とエジプトに助けを求めたりはしない。助けを求めようとするたびに、以前の苦い失敗を思い出すからだ。こうしてイスラエルは、わたしだけが神であることを認めるようになる。」
+ エホヤキン王の捕囚から二十七年目の第一の月の一日、次のような主のことばがありました。
+ 「人の子よ。バビロンの王ネブカデネザルの軍隊がツロを激しく攻撃した。兵士たちは、土をいっぱい入れた重いバケツを載せて運んだために頭がはげ、肩は包囲攻撃に使う石の重さですりむけ、手にはまめができた。そうまでしても、ネブカデネザル王は何の戦利品も得られず、兵士たちに何も報いることができなかった。」
+ そこで、神である主は語ります。「わたしは、バビロンの王ネブカデネザルにエジプトの地を与えよう。彼はエジプトの財宝を取り上げ、すべての物を奪って部下への報いとする。
+ そう、わたしは、エジプトの地を報酬として彼に与える。彼はツロで十三年間、わたしのために働いたからだ。」このように主が語ります。
+ 「やがて、わたしがイスラエルに、昔の栄えを回復する日がくる。その日には、イスラエルの発言が重視される。こうしてエジプトは、わたしが主であることを知る。」
+
+
+ また、主から私に別のことばが示されました。
+ 「人の子よ、預言せよ。」神である主は語ります。「大声で泣け。恐ろしい日が間近に迫っている。それは神の日、暗雲の垂れ込めた日、諸国の民の絶望の日だ。
+ 剣がエジプトに振り下ろされ、殺された者で地が覆われる。その富は奪い去られ、土台はくつがえされる。エチオピヤも強奪される。
+ エチオピヤ、プテ、ルデ、アラビヤ、リビヤ、そのほかエジプトと同盟を結んだ国々はみな、その戦争で滅ぼされる。」
+ 主がこう語るからです。「エジプトの同盟国はみな滅び、自慢していたエジプトの勢力も消え失せる。エジプトの町はミグドルからセベネに至るまで、残らず剣でなぎ倒される。
+ エジプトは荒廃し、周囲の国々も荒れはてる。町々も廃墟となり、さらに廃墟と化した回りの町々が、これを取り囲む。
+ わたしがエジプトに火をつけ、その同盟国をも滅ぼす時、彼らは、わたしが主であることを知る。
+ その時、わたしは早馬の使者を立ててエチオピヤ人をあわてさせる。エジプトの運命が定まる時、彼らは大きな恐怖に包まれる。このことは、すべて必ず起こる。」
+ 神である主がこう語るからです。「バビロンの王ネブカデネザルは、大ぜいのエジプト人を殺す。
+ 国々に恐れられる王とその軍隊は、エジプトを破壊するために遣わされる。彼らはエジプトを攻め、地を死体で覆う。
+ わたしはナイル川を干上がらせ、国全体を悪人どもの手に渡す。外国人の手を借りて、エジプトとその中にあるすべてのものを滅ぼす。神であるわたしが、こう語ったのだ。
+ わたしは、エジプトの偶像やメンピスの神々の像を打ち壊す。エジプトには王がいなくなり、無政府状態になる。
+ ナイル川上流のパテロスの町々、ツォアンやテーベは、わたしの手で廃墟と化す。
+ またわたしは、エジプト最強のとりでペルシウムに怒りを注ぎ、テーベの人々を絶ち滅ぼす。
+ わたしは必ずエジプトに火をつけ、ペルシウムを痛みで苦しませ、テーベを引き裂き、メンピスを連日、恐怖におののかせる。
+ ヘリオポリスとブバスティスの若い男たちは剣で殺され、女たちは奴隷として連れ去られる。
+ わたしがエジプトの力を砕く時、タフパヌヘスも暗黒の日となる。暗雲が地を覆い、娘たちはとりことして連れ去られる。
+ このようにして、エジプトをきびしく罰する時、彼らはわたしが主であることを知る。」
+ それから一年後、すなわちエホヤキン王が捕囚となって十一年目(エルサレム陥落の年)の第一の月の七日、次のようなことばがありました。
+ 「人の子よ。わたしはエジプト王の腕を打ち砕いた。その腕は手当てもされず、添え木も当てられなかったので、二度と剣を持つことができない。」
+ 神である主が言います。「わたしはエジプト王を攻め、骨折した腕とともに、もう一方の丈夫な腕も砕き、その手から剣をたたき落とす。
+ そして、エジプト人を多くの国に追い散らす。
+ わたしはバビロンの王の腕を強くし、その手にわたしの剣を握らせて、エジプトの王の腕を砕く。彼はバビロンの王の前で、瀕死の重傷を負った者のようにうめく。
+ わたしはバビロンの王の手を強くするが、エジプトの王の腕はわきに垂れ下がるだけで、使えないものとする。だから、バビロンの王がわたしの剣を握り、それをエジプトに振りかざす時、エジプトはわたしが主であることを知る。
+ わたしはエジプト人を外国に散らす。その時、彼らはわたしが主であることを知る。」
+
+
+ エホヤキン王が捕囚となって十一年目の第三の月の一日、次のような主のことばがありました。
+ 「人の子よ、エジプトの王とその全国民に告げよ。おまえはかつての大国アッシリヤと同じく、まるでレバノン杉のようだ。枝を大きく張って涼しい木陰を作り、その先端は高く雲にまで達している。
+ 根は地下深く伸びて、枝はよく生い茂り、水を回りの木々にも供給していた。
+ どの木よりも高くそびえ立ち、根から十分に水分を吸収して枝も大きく伸び、こんもりと茂っていた。
+ 枝には鳥が巣を作り、木陰で家畜が子を産んだ。このように世界の大国がみな、その木陰に住んだのだ。
+ 木はたくましく、美しかった。深く根を張り、十分に水分を吸収していたからだ。
+ 神の園の中にも、この木より高くそびえるものはなかった。糸杉もこの木の枝とは比べようがなく、その美しさにはかなわなかった。
+ わたしが与えたその雄姿を、エデンのすべての木がうらやましがった。」
+ しかし、主はこう語ります。「エジプトは思い上がって、尊大になった。雲にまで達するほど自分を高くして、他を見下した。
+ その罰として、わたしはエジプトを大国の手に渡して滅ぼす。わたしがエジプトを切り倒すのだ。
+ 国々から恐れられているバビロンからの軍隊を侵入させ、その木を切り倒して、地に投げ捨てさせる。枝はエジプトの山や谷や川に散らされる。その木陰に身を寄せていた者はみな、倒れたエジプトを見捨てて出て行く。
+ いろいろの鳥が、倒れた木の小枝をむしり取り、野獣が枝の間に住みつくようになる。
+ どんな国も、雲より高くそびえても、その繁栄を鼻にかけて思い上がってはならない。すべてのものは滅びるからだ。それらはみな、世界中のおごり高ぶる者とともに、地獄に落とされる。」
+ 主は語ります。「エジプトが滅んだ日に、わたしは大海原を喪に服させ、その潮の満ち干を止めてしまった。レバノンに喪服をまとわせ、その木々を嘆き悲しませた。
+ エジプトがくずれ落ちる大音響で、多くの国を恐れさせた。エジプトと同罪の国々をも、いっしょに地獄に投げ込んだからだ。エデンでおごり高ぶっている他のすべての木々、レバノンのえり抜きの大木、根を深く下ろして水分を吸い上げた木々は、エジプトが共に地獄にいるのを見て慰められる。
+ エジプトの同盟国も、いっしょに滅ぼされる。その木陰に宿っていた国々も、共に下界に下って行った。
+ ああ、エジプトよ。おまえはエデンの木々、すなわち世界の国々の中で、その偉大さと栄光を誇っている。だが、他のすべての国々とともに地獄の穴に投げ込まれてしまう。おまえが見下していた国々のように、剣で切り殺されるのだ。」これがエジプト王とその大軍の運命だと、主は語ります。
+
+
+ エホヤキン王の捕囚から十二年目の第十二の月の一日、このような主のことばがありました。
+ 「人の子よ、エジプトの王のために嘆け。そして、王に告げよ。おまえは自分を、国々の中で強くて若いライオンのようだと思っている。だがおまえは、ナイル川の岸で水をかき混ぜて濁らせている、わにのような存在でしかない。
+ 神、主はこう語る。わたしは大軍を差し向け、わたしの網でおまえを捕らえる。それから引き上げ、
+ 死ぬまで地に放り出しておく。空のあらゆる鳥がその上に群がり、全地の野獣がむさぼり食って、飽きるほどになるだろう。
+ わたしは山々をおまえの肉で覆い、谷をその骨でうずめる。
+ 谷川から山の頂上に至るまで、地をおまえのほとばしる血で染めよう。
+ わたしはおまえを抹殺し、空を覆い、星を暗くする。太陽は雲に隠れ、月も光を放たない。
+ ほんとうに、暗黒が全地を支配し、明るく輝く星さえ、おまえの上では暗くなる。
+ わたしがおまえを滅ぼす時、見たこともない遠い国々の人が嘆き悲しむ。
+ 確かに、わたしがおまえにすることを見て、多くの国々が恐怖に襲われ、王たちはおびえる。わたしが彼らの前で剣を振り回すと、わなわなと震える。おまえが倒される日、彼らは死の恐怖に取りつかれる。」
+ 神である主はこう語ります。「バビロンの王の剣がおまえの上に振り下ろされる。
+ わたしは、国々に恐れられているバビロンの大軍を差し向けて、おまえを滅ぼす。エジプトの誇りも民もみな、粉々にする。何もかも滅ぼされてしまうのだ。
+ 流れのほとりに放牧されている家畜の群れも滅ぼす。その水を濁らせる人も動物もいなくなる。
+ それで、エジプトの川はオリーブ油のように澄んで、穏やかに流れるようになる。」主は語ります。
+ 「わたしがエジプトを破滅させ、その財産を全部取り上げる時、エジプトは、主であるわたしがそうしたことを知る。
+ さあ、エジプトのために泣き叫べ。すべての国々よ、エジプトとその民のために悲しめ。」主がそう語るのです。
+ 二週間後、主から次のようなことばがありました。
+ 「人の子よ、エジプトの民のために、また他の強大な国々のために泣け。彼らを死者の住みかに送り込め。
+ ああ、エジプトよ。おまえのように美しい国があるだろうか。だが、その終わりは地獄であり、おまえが見下していた者たちといっしょに横たわるのだ。
+ 彼らは剣によって殺された者たちとともに死ぬ。エジプトの地に下される、剣が抜かれたからだ。エジプトはさばきの座に引きずり下ろされる。
+ よみの勇士たちは、エジプトの到着を仲間たちといっしょに待ちかねている。エジプトは、自分が見下していた国々、また剣の犠牲となったすべての人々といっしょに、そこに横たわるのだ。
+ アッシリヤの君主たちは、剣で殺されたアッシリヤの全民衆の墓に囲まれている。
+ それらの墓は地獄の奥深くにあり、回りには同盟国の墓がある。かつて人々に恐れられた勇士たちも、みな敵の手にかかって死んでしまった。
+ エラムの大王たちも、その民とともにそこに横たわっている。生前、彼らは国々をさんざん荒らし回った。しかし今では、落ちぶれて地獄に横たわっている。その終わりは、普通の人間と少しも変わらない。
+ 殺された全民衆の墓の間に眠るだけだ。生きている時は国々に恐れられていたのに、今は剣に倒れ、その恥を地獄にさらしている。
+ メシェクとトバルの君主たちも、兵士たちの墓に囲まれてそこにいる。みな偶像礼拝者で、かつては人々を恐れさせた者だったのに、今は死んで横たわっている。
+ 昔の君主たちは、その武具をわきに置き、剣を枕とし、盾で体を覆うようにして、大きな栄誉を受けて埋葬された。だが彼らは、共同墓地に埋められただけだ。生前は人々に恐れられていたのに、
+ 今は打ち砕かれて、偶像礼拝者や剣で殺された者とともに横たわっている。
+ そこには、エドムとその王たち、そのすべての族長たちがいる。かつては勇者だった彼らも、剣で殺された者や地獄に落ちた偶像礼拝者とともに横たわっている。
+ そこには、殺された北の国々の君主たちやシドン人もいる。かつて恐れられていた彼らも、今は恥をさらして横たわっている。殺されて地獄の穴に落ちた者とともに、同じ屈辱を味わっているのだ。」
+ 神である主はこう語ります。「エジプトの王はそこに来ると、殺された配下の兵士たちもいるのを見て、胸をなでおろす。
+ わたしは生きている者すべてを、恐怖のどん底に突き落とす。エジプトの王とその軍勢は、剣で殺された偶像礼拝者とともに横たわる。」
+
+
+ 再び主からのことばがありました。
+ 「人の子よ、あなたの同胞に告げよ。わたしがある国に軍隊を差し向けると、その国では見張りを立て、
+ 敵軍の来襲を見て警報を鳴らす。
+ その時、警報を聞き流して死ぬ者がいても自業自得だ。
+ 警告を聞いてもそれに従わなかったのだから、非は彼にある。警告に従っていたら、助かっただろう。
+ だが、見張り役が敵の来襲を見ながら警報を鳴らさず、警告もしなかったなら、人々の死の責任は見張り役にある。人々は自分の罪のために死ぬが、その死の責任は見張り役にある。わたしはその責任を問う。
+ 人の子よ、あなたにも言う。わたしはあなたをイスラエルの見張り役とした。だから、わたしの語ることに耳を傾け、わたしに代わって彼らに警告せよ。
+ わたしが悪者に向かって、『悪者よ。おまえは必ず死ぬ』と言うとき、あなたがそれを伝えなければ、彼は悔い改めることをせず、その罪のために死んでいく。ただし、わたしはその死の責任をあなたに問う。
+ あなたが悪者に悔い改めるように警告しても、それを聞かないなら、彼は自分の罪のために死ぬ。しかし、あなたには何の責任もない。
+ イスラエルは、『自分たちの犯した罪が重くのしかかって、私たちはすっかりやせ衰えた。どうして生きていられよう』と嘆いている。
+ 彼らに告げなさい。神である主がこう語る、と。わたしは生きている。わたしは悪者どもの死を喜ばない。それどころか、悪者が悪の道から悔い改めて生きるようになることを願っている。さあ帰って来なさい。悪の道から離れ、立ち返るのだ。ああ、イスラエルよ。なぜ、そんなにも死にたがるのか。
+ たとえ正しい行いをしていた人でも、罪を犯すなら、その人は救われない。どんな悪者も、その人が悔い改めて罪から身を引くなら、滅ぼされることはない。
+ わたしは『正しい人は生きる』と言った。しかし、今まで良いことをしてきたから大目に見てもらえるだろうと罪を犯す人には、以前の正しい行いは何の役にも立たない。わたしは、その罪のゆえに彼を滅ぼす。
+ また、わたしから『必ず死ぬ』と言われた悪者が、罪から身を引いて立ち返り、きよく正しいことを行うなら、
+ すなわち、質草を返し、盗んだ物を償い、正しい道を歩んで悪を行わないなら、彼は必ず生きる。決して死ぬことはない。
+ もう二度と、過去の罪によって責められることはない。正しい道に立ち返ったから、彼は必ず生きるのだ。
+ それでもイスラエルの民は、『主は公正ではない』と不平を鳴らす。問題は、そう言っている彼ら自身が正しくないことだ。
+ もう一度言う。正しい人でも、悪の道に入るなら、必ず死ぬ。
+ 悪者でも、悪から身を引いて、きよく正しいことを行うなら、必ず生きる。
+ おまえたちは今も、『主は公正ではない』と非難している。わたしは、おまえたち一人一人を、その行いに従ってさばく。」
+ 私たちが捕囚となってから十一年目の第十の月の五日に、エルサレムから逃げて来た者たちの一人が、「エルサレムが陥落した」と私に告げました。
+ その前夜、主の御手が私の上に置かれ、私を元気に立ち上がらせてくれました。それで、彼が到着した時には、再び語ることができるようにされていました。
+ そののち、次のような主のことばがありました。
+ 「人の子よ。廃墟と化したユダの町々に残って散り散りに住んでいる者たちは、『アブラハムはたった一人で、この地を所有していた。これだけの者がいれば、この地を取り返せないはずはない』と息まいている。」
+ しかし、神である主はこう語ります。「おまえたちは悪いことをしているのだから、何の力もない。血がついたままの肉を食べ、偶像を礼拝し、人を殺している。それでも、わたしがその地を与えると思っているのか。
+ 人を殺す者、偶像礼拝者、姦淫を行う者であるおまえたちが、この地を所有できるだろうか。」
+ 彼らに告げよ、と主は語ります。「わたしは生きている。あの廃墟に住んでいる者は必ず剣に倒れる。原野に住んでいる者は野獣のえじきとなり、要害やほら穴にいる者は疫病にかかって死ぬ。
+ わたしはその地を荒廃させ、彼らの高慢の鼻をへし折り、その力にとどめを刺す。イスラエルの山地にある村々は荒れはて、通る人もいなくなる。
+ わたしが彼らの罪のゆえにその地を滅ぼす時、彼らはわたしが主であることを知る。
+ 人の子よ。あなたの同胞は、あなたの陰口を言っている。家や戸口で、ひそひそ話している。『主がどんなことを言っているか、彼に聞いて楽しもう』と。
+ 彼らはもっともらしい顔をしてやって来る。そして、あなたの前に座って聞くだろう。だが、わたしの言うとおりにする気はさらさらない。口では、いかにも調子よく、わたしを愛しているようなことを言うが、心は金銭欲でいっぱいだ。
+ 彼らにとってあなたは、すてきな声で恋の歌を歌い、上手に楽器を奏でる人のようなものだ。ただ聞くのを楽しむだけで、言われたことを心に留めようとはしない。
+ しかし、先に語った恐ろしいことが全部起こると、それは必ず起こるが、その時になって初めて、彼らは自分たちの間に預言者がいたことを知る。」
+
+
+ また、次のような主からのことばがありました。
+ 「人の子よ、羊飼いであるイスラエルの指導者に預言せよ。彼らに言え。」神である主は語ります。「羊の世話はそっちのけで、私腹を肥やすことしか考えていない羊飼いは災いだ。羊飼いなら羊を養うべきではないか。
+ 自分たちは最上の物を食べ、最高の衣をまといながら、群れの羊を飢えさせている。
+ 弱い羊の面倒を見ず、病気の羊を介抱せず、骨を折った羊の手当てをせず、迷って行方不明になった羊を捜すこともない。それどころか、力ずくで残酷な支配をしてきた。
+ だから、羊は羊飼いがいないために散らされ、野獣のえじきとなってしまった。
+ わたしの羊は山々や丘など至るところをさまよったが、捜し出してくれる者も、世話してくれる者もいなかった。
+ それゆえ、羊飼いたち、主のことばを聞け。」
+ 神である主はこう語ります。「わたしは生きている。おまえたちはわたしの羊を放り出し、野獣に襲われても助けようとしなかった。おまえたちはほんとうの羊飼いではなかった。だから、いなくなった羊を捜し出そうともしなかったのだ。自分はたらふく食べて、羊を平気で餓死させていた。
+ わたしは羊飼いたちに、わたしの羊の身に降りかかった災いの責任を問う。彼らにはもう羊を飼わせない。また、彼ら自身が食べることも許さない。わたしの羊を救い出す。彼らのえじきにはさせない。」
+ 主は語ります。「わたしは自分の羊を必ず捜し出す。
+ 羊飼いのように、わたしの群れを捜し回る。あの暗雲に包まれた日に散らされて行った所から、わたしの羊を捜し出し、救い出す。
+ いろいろな国や民族の中に散らされた彼らを、母国イスラエルへ連れ戻し、山や、よく肥えた川のほとりで養う。
+ そうだ、イスラエルの高原の良い牧場を与えよう。そこでは安心して身を横たえ、おいしい牧草を十分に食べることができる。
+ わたしが自ら羊飼いとなって、安心して休めるように世話をする。」主はこう語ります。「わたしは、道に迷っていなくなった者たちを捜し出し、無事に家へ連れ帰る。また、折れた骨には添え木を当て、傷には包帯を巻き、病気を治す。だが、権力をふるって肥えた羊飼いは滅ぼす。罰を下すことによって、彼らを養おう。」
+ わたしの群れ、わたしの民よ、と神である主は語ります。「わたしは子羊と子やぎとを、雄羊と雄やぎとを分ける。
+ ああ、悪い羊飼いども。牧場の最上の場所を自分のために取っておきながら、残りの場所を踏みにじるとはもってのほかだ。自分が澄んだ水をたっぷり飲むと、足でその水を濁らせているが、とんでもないことだ。
+ わたしの群れに残されたものは、踏みにじられた牧草と濁った水だけだ。」
+ それゆえ、神である主はこう語ります。「わたしは、この肥えた羊飼いとやせこけた羊との間をさばいて、黒白をはっきりさせる。
+ この羊飼いどもは、飢えて病気にかかったわたしの羊を圧迫し、突き倒し、むりやり遠くにまで散らしてしまったのだ。
+ それで、わたしは自分の手でわたしの群れを救い出す。もう二度と、いじめたり殺したりはさせない。わたしには、どれが肥えているか、どれがやせているか、その訳がはっきりわかっている。
+ わたしは、民全体を牧する一人の羊飼いを立てよう。それはわたしの忠実なしもべ、ダビデである。彼は羊飼いとなって、わたしの民を養う。
+ こうして、主であるわたしが彼らの神となり、わたしのしもべダビデは君主となる。主であるわたしがこう語ったのだ。
+ わたしは彼らと平和の契約を結び、危険な獣をこの国から追い払う。それで、民はどんな荒れ地でも安心して住み、森の中でも安らかに眠ることができる。
+ わたしの民と、わたしの丘の回りにある彼らの家々とを祝福しよう。そこに恵みの雨を降らせよう。季節ごとに雨を降らせる。
+ 果樹は実をたわわにつけ、畑も豊作で、みな安心して日を送る。こうして、わたしが奴隷の鎖を断ち切り、金もうけのために酷使した者の手から彼らを解放する時、彼らはわたしが主であることを知る。
+ もう二度と、他国に征服されたり、野獣に襲われたりしない。だれからも脅かされず、安心して過ごすことができる。
+ わたしはイスラエルに、りっぱなぶどうの木(メシヤ)を生やす。わたしの国民は、二度とひもじい思いをしたり、異教徒に征服されて恥をかいたりはしない。
+ こうして、彼らは、神、主であるこのわたしが共におり、自分たちが神の民であることを知る。」主はこう語ります。
+ 「おまえたちはわたしの羊、わたしの牧場の羊だ。おまえたちはわたしのもの、わたしはおまえたちの神だ。」
+
+
+ 再び、次のような主からのことばがありました。
+ 「人の子よ、セイル山の方を向き、そこに住む人々に預言せよ。」
+ 神である主がこう語ります。「わたしはおまえの敵となる。こぶしでおまえを打ち砕き、完全に滅ぼそう。
+ おまえがわたしの民イスラエルを憎んでいるので、町々を破壊し、荒れはてさせる。その時、おまえはわたしが神であることを知る。わたしがイスラエルの罪をきびしく罰し、彼らが窮地に立たされていた時、おまえは彼らを虐殺した。」
+ 主は語ります。「わたしは生きている。そんなに血を流したいのなら、わたしがおまえを血に染めてやろう。今度はおまえが殺される番だ。
+ わたしはセイル山の住民を一掃する。逃げ出そうとする者も、引き返して来る者も一人残らず殺す。
+ 山々を死体でいっぱいにする。丘も谷も川もみな、剣で殺された者で埋め尽くされる。
+ おまえが活気を取り戻すことは決してない。永久に見捨てられ、町々も再建されることがない。その時、おまえたちはわたしが主であることを知る。
+ おまえは、『イスラエルもユダも、われわれのものだ。占領してしまおう。神がいようがかまうものか』と言った。」
+ それゆえ、神である主はこう言います。「わたしは生きている。おまえが怒りにまかせてわたしの民にした数々の行為に仕返しする。ねたみと憎しみに駆られた、おまえの行為のすべてを必ず罰する。わたしがおまえにすることを見て、イスラエルはわたしをほめたたえるようになる。
+ その時、『神の民と言っても、力も何もあったものではない。われわれの格好のえじきだ』と悪口を言ったのを、わたしが聞いていたことをおまえは知る。
+ おまえは主に対して不遜なことばを吐いた。それをみな、わたしは聞いたのだ。
+ わたしがおまえの地を荒廃させる時、すべての国々は喜ぶだろう。
+ おまえはイスラエルの恐ろしい破滅を見て喜んだ。今わたしは、おまえの破滅を喜ぼう。ああ、セイル山の住民よ、エドムに住むすべての者よ。おまえたちは一掃されるのだ。その時、おまえたちはわたしが主であることを知る。
+
+
+ 人の子よ、イスラエルの山々に預言せよ。この主のことばを聞け、と告げるのだ。
+ あなたがたの敵はさんざんあざ笑い、昔からあなたがたのものであった高地を、自分たちのものだと主張している。
+ そして、四方八方から攻撃してあなたがたを滅ぼし、多くの国々に奴隷として連れて行った。あなたがたはあざけられ、なぶりものにされている。」
+ それゆえ、イスラエルの山々よ、神である主のことばを聞きなさい。主は、山や丘、谷や川、周囲の異教の国々にかすめ取られ、あざけられたまま荒れはてた農地、長い間見捨てられた町々に、こう語ります。
+ 「わたしの怒りは、これらの国々、特にエドムに対して燃えている。彼らはわたしを完全に無視し、楽しみながらわたしの国を横領し、自分たちのものにしたからだ。」
+ それゆえ、イスラエルの山や丘、谷や川に預言せよ、と主は語ります。「あなたがたが周囲の国々に恥をかかされているので、わたしは大いに憤慨している。
+ だから、手を高く上げて誓う。これらの国々が恥をさらす時が必ずくる。
+ そしてイスラエルには、良い時代が戻ってくる。わたしの民が帰って来るためにくだものを豊かに実らせよう。わたしの民はもうすぐ祖国に帰って来る。
+ さあ、わたしはあなたがたの味方としてあなたがたのところに行き、土地を耕させ、種をまかせる。
+ わたしはイスラエルの人口を大いに増し加え、荒れはてた町々も再建して、人々で満たす。
+ 人だけではない。家畜も大いに増やそう。ああ、イスラエルの山々よ。そこにまた、家々がたくさん建ち並ぶ。以前にも勝って、あなたがたを栄えさせる。その時、あなたがたはわたしが主であることを知る。
+ わたしの民はまた山々を歩き、そこを領土とする。もう二度と山々が、焼き尽くすいけにえとして子どもを偶像の祭壇にささげる場所となることはない。」
+ 神である主は語ります。「他の国々はあなたをあざ笑い、『イスラエルの山々は、その住民を食い尽くす地だ』と言っている。
+ だが、もうそんなことは言わなくなる。」主がこう語るからです。「イスラエルの出生は増え、幼児の死亡は目に見えて少なくなる。
+ 二度と異教の国々に見くびられることはない。あなたはもう罪人の国ではないからだ。」
+ さらに私に、次のような主のことばが示されました。
+ 「人の子よ。イスラエルの民は、自分の国に住んでいた時、悪い行いで国を汚した。彼らの礼拝は、わたしから見ると、まるで汚いぼろ切れのように不潔だった。
+ 彼らは人殺しや偶像礼拝で国を堕落させた。それで私は怒って、
+ 彼らを厳しく罰した。彼らを多くの国々に追放し、その悪い生き方を厳しく罰したのだ。
+ しかし国々の間に散らされた時、彼らはまたも私の聖なる名に泥を塗った。行った先の国々で『彼らは神の民だと言うが、その神がどうして彼らを災いから守ることができないのだ』とあざけられているからだ。
+ 彼らによってわたしの名がおとしめられていることに、わたしは心を痛めている。
+ それゆえ、イスラエルの民に言え。」神である主はこう語ります。「わたしはあなたがたを祖国に連れ戻す。それだけの取り柄があなたがたにあるからではない。そうするのは、あなたがたが国々の間で傷つけた、わたしの評判を回復するためだ。
+ あなたがたが汚したわたしの名を、もう一度あがめられるようにする。その時、国々はわたしが神であることを知る。あなたがたを捕囚の地から救い出す時、わたしは彼らの目の前であがめられる。
+ わたしがあなたがたをイスラエルの地に連れ戻すからだ。
+ その時、あなたがたは、きれいな水を浴びたようになり、汚れがすっかりきよめられ、偶像礼拝も行われなくなる。
+ わたしはあなたがたに新しい心を与える。それで、あなたがたは正しい願いを抱くようになる。また、あなたがたに新しい霊を授ける。それで、石のように堅い罪の心が取り除かれて、愛に満ちた新しい心が生じる。
+ わたしの御霊を授けるので、あなたがたはわたしのおきてを守り、わたしの命令に何でも従うようになる。
+ そして、あなたがたは、わたしが先祖に与えたイスラエルの地に住み、あなたがたはわたしの民となり、わたしもあなたがたの神となる。
+ わたしはあなたがたの罪を洗いきよめる。作物の不作やききんもなくなる。
+ 果樹園からも畑からもたくさんの収穫があるので、周囲の国々も、もう二度とイスラエルをききんのためにそしることはできない。
+ その時、あなたがたは過去に犯した罪を思い出し、そんなことをした自分自身を嫌悪するようになる。
+ しかし、このことだけはいつも心に刻んでおきなさい。こうするのは、あなたがたのためではなく、わたし自身のためなのだ。ああ、わたしの民イスラエルよ、あなたがたがしたすべてのことを、心の底から恥じよ。」
+ 神である主は語ります。「わたしは、あなたがたを罪からきよめる日に、祖国イスラエルに連れ戻し、廃墟と化した国を再建する。
+ 捕囚の間不毛の荒れ地のように放っておかれた農地は、再び耕される。その地の荒れはてた姿に、そこを通る者は大きな衝撃を受けた。
+ だが、わたしがあなたがたを連れ帰る時、彼らは言うだろう。『神に見捨てられていた地がエデンの園のようになった。廃墟となった町々が再建され、城壁が築かれ、人があふれている。』
+ その時、まだ残っていた周囲の国々は、廃墟を建て直し、荒れはてていた土地に豊かな作物を実らせたのは、主であるわたしだということを知る。神であるわたしが約束したからには、必ずそのとおりになるのだ。」
+ 神である主はこう語ります。「わたしは今、祝福を求めるイスラエルの祈りを聞き、その願いをかなえよう。彼らに祈らせなさい。わたしは、祭りの時エルサレムの通りを埋め尽くす羊の群れのように、彼らを増やそう。廃墟であった町々に再び人が満ちあふれる。その時、すべての者はわたしが主であることを知る。」
+
+
+ 主の力が私に臨み、私は御霊によって、干からびた骨が至る所に散らばっている谷間に連れて行かれました。主は私を引っ張って行き、あちらこちらを行き巡らせてから、
+ こう語りました。「人の子よ。これらの骨は、また元のように生きた人間になれるだろうか。」私は、「主よ。その答えは、あなただけがご存じです」と答えました。
+ すると主は、これらの骨に向かって語るように私に言いました。「ああ、干からびた骨よ、神のことばを聞け。
+ 神である主がこう語るからだ。見よ。わたしはおまえたちを生かし、息を吹き返させる。
+ 元のように肉をつけ、筋を与え、皮膚で覆う。わたしが息を吹き入れると、おまえたちは生き返る。その時、おまえたちはわたしが主であることを知る。」
+ 私は、言われたとおり神のことばを告げました。すると突然、谷間のあちらこちらから、がさがさという音がして骨が集まり、それぞれが元のようにつながり始めたではありませんか。
+ さらに見ていると、骨の上に筋肉がつき、その上を皮膚が覆ったのです。しかし、その体にはまだ息が入っていませんでした。
+ そこで、主は私に、息に呼びかけて次のように語れ、と命じました。「神である主が言う。さあ、息よ、四方から風のように吹いて来い。この殺された者たちの体に吹きつけて、彼らを生き返らせよ。」
+ 私はそのとおりに命じました。すると、それらの体は息を吹き返し、起き上がったのです。それは、ものすごい大集団となりました。
+ その時主は私に、この幻が告げようとしている意味を教えてくれました。「これらの骨は、イスラエルの民全体を表している。彼らは、『われわれは干からびた骨の山になってしまった。もう何の望みもない』と嘆いている。」
+ 神である主はこう語ります。「そんな彼らに告げよ。わたしの民よ。わたしは捕囚という墓を開いて、あなたがたを生き返らせ、イスラエルの地に連れ戻す。
+ その時、わたしの民よ。あなたがたはやっと、わたしが主であることを知るのだ。
+ わたしの霊を注ぎ入れると、あなたがたは生き返り、懐かしい祖国に帰ることができる。その時、あなたがたはわたしが約束を果たしたことを知る。」
+ ついで、次のような主のことばがありました。
+ 「一本の杖を取り、それに『この杖はユダとその味方の諸部族を表す』と刻みなさい。それから、もう一本の杖を取り、『この杖はイスラエルの残りの全部族を表す』と刻みなさい。
+ さあ、その二本の杖を片手でつかんで一本の杖とするのだ。
+ それを高く掲げて、みなに見せながら言いなさい。神である主はこう語る、と。わたしはイスラエルの諸部族をユダといっしょにし、わたしの手の中で一本の杖とする。」
+ 主はこう語ります。「わたしはイスラエルの民を国々から集め、世界中から連れ出して祖国に帰らせる。
+ そして、彼らを一つの国民にする。一人の王が立てられ、二度と二つの国に分かれることはない。
+ 人々はもう偶像礼拝やそのほかの罪で身を汚さない。わたしが、この罪の忌まわしさすべてから、彼らを救い出すからだ。こうして、彼らは真実にわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。
+ わたしのしもべダビデ(メシヤ)が彼らの王となり、ただ一人の羊飼いとなる。彼らはわたしのおきてを守り、わたしが望むとおりの生活をする。
+ 彼らは、わたしがわたしのしもべヤコブに与えた地、彼らの先祖が住んでいたイスラエルの地に住むようになる。彼らだけでなく、子々孫々に至るまで、そこに住むようになる。そして、わたしのしもべダビデが永遠に彼らの王となる。
+ わたしは彼らと、平和の契約を結ぶ。それは永遠に変わらない契約だ。わたしは彼らを祝福し、その数を増やし、わたしの神殿を彼らのうちにいつまでも置こう。
+ 彼らのうちにわたしの住まいを設ける。そう、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。
+ わたしの神殿が変わることなく彼らのうちにとどまっているのを見て、国々は、主であるわたしがイスラエルを選んで、これを祝福していることを知る。」
+
+
+ さらに、主から別のことばがありました。
+ 「人の子よ。北の方、マゴグの地に顔を向け、メシェクとトバルの王ゴグ(神に敵対する勢力を総結集した軍隊を表す、象徴的な存在)に預言して言え。神である主はこう語る、と。ゴグよ、わたしはおまえの敵となる。
+ わたしはおまえのあごに鉤針をかけ、破局へと引きずり込もう。おまえの軍隊や武装した騎兵隊を総動員し、完全武装の強力な大軍に仕立てよう。
+ ペルシヤ、エチオピヤ、プテも、それぞれの武器を持っておまえに合流する。
+ また、ゴメルとその全軍、北の果てのベテ‧トガルマの軍隊、その他多くの軍勢も、おまえの味方につく。
+ いつでも出動できるように、備えておくのだ。ゴグよ、おまえが全軍の総指揮官なのだから。
+ おまえが出動命令を下すのは、ずっと先のことだ。幾多の年月を経てから、おまえはイスラエルに襲いかかる。そこには、多くの国々から帰って来た民が平穏に暮らしている。
+ おまえとその同盟国は、恐ろしい大軍となって、嵐のように攻め寄せ、雲のように地を覆う。
+ その時、おまえは悪いことを考えるようになる。
+ おまえはこう言うだろう。『イスラエルは、城壁のない、無防備な村の集まりのようなものだ。よし、この地に攻め入り、そんな大胆不敵な態度で暮らしている彼らを、一気にひねりつぶしてやろう。
+ 一度は廃墟となり、今は国々から戻った者らで栄えている町々を攻め、山のような分捕り物と大ぜいの奴隷を手に入れよう。彼らは、今はたくさんの家畜や財産を持ち、世界の中心のようにふるまっているのだから。』
+ だが、シェバやデダン、それにイスラエルと交易しているタルシシュの豪商たちは、こう問い返すだろう。『イスラエルの金銀を奪い、家畜や財産を略奪して彼らを貧乏にしようとするおまえは、いったい何者か。』」
+ 主はゴグにこう語ります。「わたしの民が自分の国で平和に暮らしている時、おまえは動きだす。
+ 騎兵の大軍を率いて北から攻め入り、雲のようにこの地を覆う。このことが起こるのは終わりの日、末の遠い将来だ。わたしはおまえに、わたしの地を攻めさせる。みなが見ている前で、おまえは徹底的に打ちのめされる。それによってわたしのきよさが示され、すべての国々は、わたしが神であることを知る。」
+ 神である主はこう語ります。「わたしが昔、イスラエルの預言者たちを通して語った人物とは、おまえのことだ。彼らは、ずっとのちに、わたしがおまえにイスラエルを攻めさせる、と長年にわたり預言していたのだ。
+ だが、おまえがイスラエルを滅ぼそうと攻めて来る時、わたしの怒りは燃え上がる。
+ その日には、わたしはねたみと激しく燃える怒りとで、イスラエルに大地震を起こそう。
+ すべての生き物は、あまりの恐ろしさに、わたしの前で震え上がる。山々は倒れ、崖はくずれ落ち、城壁は粉々に壊れる。
+ わたしはおまえをあらゆる恐怖に直面させる。」神である主はこう語ります。「おまえたちは同士打ちで倒れる。
+ わたしは、剣、疫病、大洪水、大きな雹、火と硫黄で、おまえと戦おう。
+ こうして、わたしの大きさを示し、わたしの誉れを表そう。国々は、わたしが行ったことを聞き、わたしが神であることを知る。」
+
+
+ 「人の子よ、このこともゴグに預言し、彼にこう告げよ。メシェクとトバルの王であるゴグよ、わたしはおまえを攻める。
+ おまえを遠い北の果てから引き回すように連れて来て、イスラエルの山地まで攻め入らせる。そして、おまえの軍隊の大半を山の中で滅ぼす。
+ おまえの手から武器をたたき落とし、手も足も出ないようにする。
+ おまえもその大軍も山の中で死に、はげたかや野獣のえじきとなる。
+ おまえが町まで達することは絶対にない。野で倒れてしまうからだ。わたしがこれを語ったのだ。」神である主は言います。
+ 「わたしは、マゴグや沿岸地域に安住しているおまえの同盟国すべてに、火の雨を降らせる。その時、彼らもわたしが主であることを知る。
+ こうして、わたしの民イスラエルの間に、わたしの聖なる名を知らせよう。わたしの名があざけられるようなことは、二度とさせない。諸国の民も、わたしがイスラエルの聖なる神、主であることを知る。
+ 審判の日は必ずくる。わたしが予告したとおりに、すべてのことが起こる。
+ イスラエルの町々の住民は出て来て、おまえの盾と大盾、弓と矢、投げ槍と槍を拾い集めて薪とする。それは七年分もある。
+ 七年間は、ほかに薪はいらない。野や森の木を切らなくても、それだけで十分間に合う。イスラエルの民は、略奪した者たちの持ち物を使うようになる。
+ 死海の東にある旅人の谷に、わたしはゴグとその軍隊の広大な墓地を設ける。そのため旅人の道がふさがれてしまうほどだ。そこにゴグとその軍隊が埋葬され、『ハモン‧ゴグ(ゴグ軍)の谷』と呼ばれるようになる。
+ 死体の埋葬に七か月かかり、
+ イスラエルのすべての民がこれを手伝う。わたしの栄光が現されるこの日こそ、イスラエルにとって輝かしい勝利の日となるからだ。」主がこう語るのです。
+ 「さて、七か月目の終わりに、国をきよめるために、国中をくまなく調査し、残っている骨を埋葬する人々が選び出される。
+ 骨を見つけた者は、埋葬する者にわかるように、そばに標識を立てる。それを見て、埋葬する者がその骨を『ハモン‧ゴグの谷』に運び、埋葬する。そのために、そこの町はハモナと呼ばれるようになる。こうして、国全体が完全にきよめられる。
+ さあ、人の子よ、鳥にも獣にも呼びかけて、こう言いなさい。みな集まれ。いけにえの大饗宴だ。近くからも遠くからも、イスラエルの山々に来なさい。さあ、肉を食べ、血を飲むのだ。
+ 勇士たちの肉を食べ、君主たちの血を飲むのだ。彼らこそ、わたしの祭りのための雄羊、子羊、雄やぎ、バシャンの肥えた若い雄牛だ。
+ 飽きるほどたらふく肉を食べ、とことん酔っ払うまで血を飲み干せ。これが、おまえたちのために準備したいけにえのごちそうだ。
+ わたしの宴のテーブルで、心ゆくまで食べるのだ。さあ、馬も、騎手も、勇敢な戦士も。」主がこう語るのです。
+ 「こうして、わたしは国々の中にわたしの栄光を現す。諸国の民はゴグが受けた刑罰を見て、わたしがそれをしたことを知る。
+ その時から、イスラエルの民は、わたしが彼らの神、主であることを知る。
+ 諸国の民は、イスラエルが捕囚として異国に送られたのは、彼らの罪に対するさばきであったことを知る。事実、彼らは神を裏切る行為をしたからだ。それで、わたしは彼らから顔をそむけ、敵の手で滅ぼされるようにしたのだ。
+ 顔をそむけて、その大きな罪にふさわしく、彼らを厳罰に処したのだ。」
+ しかし今、神である主はこう語ります。「わたしは、わたしの民の捕囚を終わらせ、彼らをいつくしんで、また元のように栄えさせる。こうするのは、わたしの栄誉のためだ。
+ 彼らの反逆と恥辱の時代は過ぎ去る。彼らは祖国に帰り、平和で安らかな生活を送る。もう、だれにも脅かされず、悩まされることもない。
+ わたしは彼らを、敵の国々から祖国へ帰らせる。そうする時、わたしの栄光がすべての国々に示される。イスラエルの民を通して、わたしのきよさが、国々の前で示されるのだ。
+ その時、わたしの民は彼らを捕囚に追いやったのも、また祖国に連れ戻したのも、彼らの神である主であることを知る。わたしは一人も残さず国々から連れ戻す。
+ 再び、彼らから顔をそむけることはしない。わたしの霊を彼らに注ぐからだ。」神である主がこう語るのです。
+
+
+ 捕囚となって二十五年目、エルサレムが占領されてから十四年目の第一の月の十日、主の御手が私の上に置かれました。
+ 幻の中で、主は私をイスラエルへ連れて行き、高い山の上に降ろしました。そこから見下ろすと、町のようなものが見えました。
+ 近づいてみると、青銅のように輝く顔をした人が、神殿の門のそばに立っており、手には巻き尺と測りざおを持っています。
+ その人は私に言いました。「人の子よ。目でよく見、耳で聞き、わたしが見せるものをすべて心に留めよ。ここに連れて来たのは、多くのものを見せたいからだ。それで、イスラエルの民のもとへ帰ったら、見たことを細大もらさず語り告げよ。」
+ その人は六キュビト(ここでの一キュビトは五十一‧九センチメートル)の測りざおで、神殿の外側に張り巡らされている塀を測り始めました。そして私に、「この塀の高さは一さお(六キュビト)、厚さも一さお」と教えました。
+ それから、私は東向きの門に連れて行かれました。そこの階段を七段昇ったところで、その人は門の入口の部分を測りました。その幅は一さおでした。
+ その門を通り抜けると、両側に三つずつ控え室が並んでいるのが見えました。どれも一さお平方の部屋で、部屋と部屋との間には、厚さ五キュビトの壁がありました。各部屋の前には高さ一キュビト、幅一キュビトの低い仕切りがありました。控え室を過ぎると、一さおの入口があって、八キュビトの玄関に通じていました。その玄関の壁柱は二キュビトでした。玄関を過ぎると、通路の奥に幅十三キュビト、奥行き十キュビトの控えの間がありました。
+ それから、この通路の外側から見た全体の幅を測るために、控え室の外側の戸口から屋根越しに測ると、二十五キュビトありました。
+ 次に、入口の両側の柱の高さを測ると、六十キュビトでした。
+ 入口の通路の全長は、端から端まで五十キュビトでした。
+ 通路の両側の壁と控え室の壁とに、格子窓が取りつけてありました。また、出入りをする部屋にも窓があり、柱にはなつめやしの木が彫刻してありました。
+ それから私たちは、通路から庭に出ました。塀の内側には石畳が敷かれ、その上に塀に面するように三十の部屋が建っていました。
+ これは『下の石畳』と呼ばれ、入口の通路の長さと同じ幅でした。
+ それから、この神殿の『外庭』と呼ばれていた庭から内側の塀までの距離を測ると、百キュビトありました。
+ その人は私を連れて、東の門から北に向いた門へ行き、そこを測りました。
+ ここにも、両側に控え室が三つずつあり、大きさは東の門と同じでした。全長は五十キュビトで、控え室の屋根越しに端から端まで測ると、幅は二十五キュビトありました。
+ 窓も、玄関も、なつめやしの木の彫刻も、東の門のものと全く同じでした。七段の階段があり、それをのぼると入口があって、玄関に通じていました。
+ この北の門も東の門と同じで、通路を通って庭に出て、そこをまっすぐ横切ると内側の塀に通じ、そこを抜けて内庭に出ます。この間の距離は、やはり百キュビトありました。
+ それから、その人は私を南の門に連れて行き、その通路の各部を測りましたが、前の二つの門と同じ寸法でした。
+ 壁に沿った窓も同じで、玄関もありました。他の通路と同じように、その通路も長さ五十キュビト、幅二十五キュビトでした。
+ 玄関に通じる階段も七段で、壁にはなつめやしの木が彫刻してありました。
+ ここでも、通路を通って庭を横切り、内側の塀の通路から内庭に抜けることができました。この間の距離も百キュビトありました。
+ それから、その人は私を南の門の内側の塀に連れて行きました。その人がその通路を測ったところ、外側の塀の通路と同じ寸法でした。
+ 控え室も、柱も、玄関も前のものと全く同じです。壁や玄関の窓もそっくり同じです。通路も同じく、長さ五十キュビト、幅二十五キュビトです。
+ ただ一つ違っていたのは、玄関に通じる階段が七段ではなく八段になっていることでした。柱のなつめやしの木の彫刻も前のものと同じでした。
+ それから、その人は私を庭から内側の塀の東の門へ連れて行きました。その人はその通路も測りましたが、寸法は他の通路のものと同じでした。
+ 控え室も、柱も、玄関も、他の通路のものと同じ大きさです。壁や玄関の窓も、他の通路のものと変わりません。その通路も長さ五十キュビト、幅二十五キュビトです。
+ その玄関は外庭に面しており、柱にはなつめやしの木が彫刻してありました。階段は七段ではなく八段ありました。
+ それから、その人は私を北にある内側の門へ連れて行きました。そこの寸法も他のものと同じでした。
+ 通路の控え室も、柱も、玄関も、他と変わりなく、通路も長さ五十キュビト、幅二十五キュビトです。
+ その玄関も外庭に面しており、通路の両側の壁にはなつめやしの木が彫刻してあり、階段は八段ありました。
+ 玄関の一つの戸から脇間に通じていましたが、そこは、いけにえの肉を祭壇にささげる前に洗う所でした。
+ 通路の玄関の両側には、それぞれ二つずつ台が置いてありました。その上で、神殿でささげる焼き尽くすいけにえ、罪が赦されるためのいけにえ、罪を償ういけにえが殺されるのです。
+ 玄関の外側には二つずつ台が置かれていました。
+ それで内側と外側とで合計八つの台があることになります。その上でいけにえが切り裂かれ、整えられるのです。
+ また、四つの石の台があって、その上に肉切り包丁など、いけにえを処理するための道具が置かれていました。この台は一キュビト半平方で、高さが一キュビトありました。
+ 玄関の壁には、一手幅(約七‧四センチメートル)の留め金が幾つも取りつけてあり、台の上には、いけにえの肉を置けるようになっていました。
+ 内庭には一間の建物が二つあり、一つは北の門のわきにあって南を向き、もう一つは南の門のわきにあって北を向いていました。
+ その人は私に教えてくれました。「この北の門のわきの建物は、神殿を管理する祭司のためのものだ。
+ 南の門のわきの建物は、ツァドクの子孫に当たる、祭壇の責任をもつ祭司のためのものだ。レビの子孫の中で神に近づいて仕えることができるのは、彼らだけだからだ。」
+ それから、その人が神殿の前の内庭を測ったところ、百キュビト平方ありました。その内庭の神殿の前に祭壇がありました。
+ その人は私を神殿の玄関に連れて行きました。内庭からはそこに昇る十段の階段がありました。玄関の壁は両側に広がって壁柱となり、どちらも五キュビトありました。入口は幅十四キュビトセンチあり、その両わきの壁は三キュビトありました。玄関の間口は二十キュビト、奥行きは十二キュビトでした。
+
+
+ その後、その人は私を、神殿の中央の大広間である本堂へ連れて行きました。その入口の壁柱を測りましたが、幅は縦横とも六キュビトでした。
+ 玄関の間口は十キュビト、奥行きは五キュビトでした。本堂は長さ四十キュビト、幅二十キュビトでした。
+ その人は本堂の奥の部屋に入り、入口の柱を測ると、二十キュビトの厚さがありました。入口の幅は六十キュビト、それに続く廊下の長さは七キュビトでした。
+ 奥の間は二十キュビト平方あり、「これが至聖所だ」と私に教えてくれました。
+ その人が神殿の壁を測ると、六キュビトあり、その外側に小部屋が並んでいました。各部屋の間口は四キュビトでした。
+ これらの部屋は階段式に三段に重なっており、各階に三十の小部屋がありました。部屋はみな、神殿の壁に固定してあり、大梁で支えられていませんでした。
+ 階段式の小部屋は上に行くほど広くなり、神殿の壁が上に行くほど狭くなっているのと対応していました。神殿のわきには階段があり、上の階に上がれるようになっていました。
+ 私は、神殿が高台の上に建てられていて、一番下の小部屋の土台も、その高台にあるのを見ました。その高さは六キュビトでした。
+ これらの小部屋の外壁の厚さは五キュビトあり、高台の端まで五キュビトの空地が両側に残っていました。
+ その高台から二十キュビト離れた内庭には、神殿をはさんで両側に部屋が並んでいました。
+ 階段式の小部屋には戸が二つあり、五キュビトの空地に向かって開くようになっていました。一つの戸は北に向き、もう一つの戸は南に向いていました。
+ 西側には、神殿の庭に面して大きな建物が建っていました。その間口は七十キュビト、奥行きは九十キュビトありました。壁の厚さは五キュビトでした。
+ それから、その人が神殿とその回りとを測ると百キュビト平方でした。
+ 神殿の東側の内庭も幅が百キュビトあり、
+ 神殿の西側の建物も、二つの壁を含めると同じ百キュビトの幅になりました。神殿の本堂にも、至聖所にも、玄関にも羽目板が張り巡らされ、それぞれ格子窓が取りつけてありました。神殿の内側の壁にも、窓の上と下の部分に羽目板が張られていました。
+ 至聖所に通じる戸の上も羽目板が張られていました。壁には、それぞれ二つの顔を持つケルビムとなつめやしの木とが交互に彫刻してありました。
+ その顔の一つ、人間の顔は一方のなつめやしの木の方を向き、もう一つの顔、若いライオンの顔は反対側のなつめやしの木の方を向いていました。このような彫刻が、神殿の内壁全体を覆っていました。
+ 本堂の入口の柱は四角で、至聖所の前には祭壇のようなものがありました。しかも、それは木製でした。
+ この祭壇は二キュビト四方で、高さが三キュビトありました。その四隅も、台も、側面も、全部木でできていました。その人は私に、「これは神の壇だ」と説明してくれました。
+ 本堂と至聖所には二重の扉がついていて、
+ それぞれの扉は折りたたみ式の二枚戸になっていました。
+ 本堂に通じる扉には、神殿の内側の壁と同じように、ケルビムとなつめやしの木が彫刻してありました。玄関の上には木製のひさしがついていました。
+ そのひさしの上と、玄関の両側と、神殿のわきの小部屋にも、それぞれなつめやしの木の彫刻がしてあり、格子窓がついていました。
+
+
+ それから、その人は私を神殿から連れ出し、内庭にある神殿の北側の部屋と、もう一つの建物に連れて行きました。
+ これらの建物のある場所は、長さが百キュビト、幅が五十キュビトありました。
+ この建物の裏に階段式の小部屋があり、庭の内側の壁になっていました。この階段式の小部屋は三階までありました。その片側から外庭が見渡せ、もう一方の側は長さ二十キュビトの内庭に面していました。
+ その建物と階段式の小部屋との間に、幅十キュビト、全長百キュビトの通路があり、その建物の入口は北に向いていました。
+ 二階、三階と上に行くほど通路が広くなり、その分だけ部屋が狭くなりました。
+ この建物は、外庭の建物と違って大梁を用いていないため、上の階へ行くにしたがって狭くなっていたのです。
+ 北側に並んだ階段式の小部屋は外庭に続いており、その全長は五十キュビトでした。神殿の内庭に面した側は百キュビトあったので、その半分の長さです。外側の塀が、短い側の端から長い側へと平行して伸びていました。
+ 外庭からこれらの小部屋へ入る入口は東側にありました。神殿をはさんで反対側にも、神殿と外庭との間にある内庭の南側に、同じように二組の建物がありました。構造は北側のものと全く同じでした。
+ 庭の向こう側の建物と同じように、この二組の建物の間にも通路があり、建物の長さも幅も、出入口も戸も全く同じでした。
+ また、外庭からの入口は東側にありました。
+ その人は私にこう言いました。「この、神殿に面している北と南の階段式の部屋は、聖なる部屋だ。そこで、神にいけにえをささげる祭司たちが、最も聖なるいけにえである、穀物のささげ物、罪の赦しのためのいけにえ、罪過を償ういけにえを食べたり、たくわえたりするのだ。
+ 祭司は聖所(神殿の本堂)を出るときには、外庭へ出る前に服を着替えなければならない。聖所で仕えるときに着る服は聖なるものだから、まずそれを脱がなければならない。だれもが入れる場所へ行くときには、他の服に着替えなければならない。」
+ その人は神殿を測り終えると、私を東の門から連れ出して、神殿の周囲を測りました。
+ それは五百キュビト平方で、ほかの公共の場所と区別するために塀で囲まれていました。
+
+
+ そのあと、その人は外塀を回って、私を東の門に連れ戻しました。
+ すると突然、イスラエルの神の栄光が東の方に現れました。その近づく音は激流のとどろきのようで、その全光景が栄光に輝いていました。
+ その光景は、私が最初にケバル川のほとりで、次にエルサレムで、神がその町を滅ぼすために来られた時に見た幻と同じでした。私は顔を地にすりつけるようにして、ひれ伏しました。
+ 主の栄光は、東の門を通って神殿に入って行きました。
+ それから、私は御霊によって引き上げられ、内庭に連れて行かれました。神殿は主の栄光に包まれていました。
+ すると、神殿の中から主が私に語りかける声を聞いたのです。神殿を測っていたあの人は、まだ私のそばに立っていました。
+ 主はこう語りました。「人の子よ。ここはわたしの王座、わたしの足台、わたしが永遠にイスラエルの民の間に住む場所である。民も王たちも、無節操にほかの神々を礼拝したり、王たちの墓を拝んだりして、わたしの聖なる名を汚すことはもうしなくなる。
+ 彼らはわたしの神殿のすぐわきに、塀一つ隔てただけで偶像の宮を建て、偶像を礼拝していた。このような悪行によって、わたしの聖なる名を傷つけたので、わたしは怒って彼らを滅ぼした。
+ さあ今、その偶像や王たちの墓を取り除け。そうすれば、わたしは永遠に彼らの間に住もう。
+ 人の子よ。おまえに見せた神殿の光景を、イスラエル国民に描きなさい。神殿の構造や造りを教えるのだ。そうすれば、彼らも罪を恥じるようになるだろう。
+ もし彼らがほんとうに自分たちのしたことを恥じるなら、そのときには、戸や入口などの構造を細大もらさず説明しなさい。守らなければならない命令や規則を、みな書き記すのだ。
+ きよさこそ神殿の生命である。神殿が建っている山の頂全域がきよいのだ。これこそ、神殿についてのおきてである。
+ 祭壇の寸法は次のようにしなさい。土台の高さは一キュビト、その回りのみぞの幅は一あたり(約二十二‧二センチメートル)。また、土台は祭壇の回りより一キュビトずつ広くする。
+ 祭壇の第一段は石の台座で、その高さは二キュビト。この台座は土台よりも一キュビトずつ狭くする。この台座の上にはさらに一キュビト狭くなった台座があり、その高さは四キュビト。
+ その上にさらに狭い台座があり、これが祭壇の最上部で、その高さは四キュビト。その四隅に一キュビトの角が上方に突き出ている。
+ この最上部の台座は、十二キュビトの正方形である。
+ その下の台座は十四キュビトの正方形で、その回りのみぞは半キュビトである。この台座は四方とも上の台座より一キュビトずつ広くなっていて、東側に祭壇に上る階段がある。」
+ さらに主は、次のように語りました。「人の子よ、神である主がこう言う。以上が、焼き尽くすいけにえをささげて血を注ぐために、将来建てる祭壇の寸法である。
+ 祭壇が建てられた時には、わたしに仕えるレビ部族のツァドク家の者たちに、罪の赦しのためのいけにえとする若い雄牛一頭を与えなさい。
+ あなたはその血を取って、祭壇の四本の角と、最上部の台座の四隅と、その回りのみぞとに塗りつけなさい。その血によって祭壇はきよめられ、神のものとされるのだ。
+ それから、罪の赦しのためのいけにえの雄牛を取り、聖所の外にある所定の場所で焼きなさい。
+ 二日目に、病気がなく、欠陥も傷も傷跡もない若い雄やぎを、罪の赦しのためのいけにえとしてささげなさい。こうして、雄牛できよめたのと同じように祭壇をきよめる。
+ このきよめの儀式が終わったら、群れのうちから、傷や欠陥のない完全な雄牛と雄羊を、さらに一頭ずつささげなさい。
+ わたしの前にこの二頭を差し出すのだ。祭司がその上に塩をまき、焼き尽くすいけにえとしてささげる。
+ 七日間、毎日、罪の赦しのためのいけにえとして、群れの中から雄やぎ、雄牛、雄羊を取ってささげなさい。いけにえには、どんな欠陥も病気もあってはならない。
+ 七日間、毎日このようにして祭壇をきよめ、神のものとしてささげるのだ。
+ 八日目以後は毎日、祭司は祭壇の上で、民のために焼き尽くすいけにえと、和解のいけにえとをささげなければならない。そうすれば、わたしはあなたがたを受け入れる。」神である主がこう語るのです。
+
+
+ 彼が私を東の門に連れ戻ると、門は閉ざされていました。
+ 主はこう語りました。「この門は閉ざされたままにしておく。開けてはならない。だれもここから入ってはならない。イスラエルの神である主がここから入ったからだ。だから、この門は閉じておかなければならない。
+ ただ王だけが君主として、門の内側に座って、神の前でパンを食べることができる。だが、その王も、門の玄関を通って出入りしなければならない。」
+ それから彼は、私を北の門から神殿の正面に連れて行きました。目を上げると、神殿が主の栄光にすっかり包まれているではありませんか。私はただ地に顔をすりつけるように、ひれ伏すばかりでした。
+ すると、主はこう語りました。「人の子よ。細心の注意をはらって、わたしの言うことを心に留め、しっかりと目を開き、耳を傾けなさい。主の神殿の規定と律法を教えるから、聞きもらさないようにするのだ。神殿に入ることが許される者と、許されない者とをはっきり区別しなさい。
+ 反逆のイスラエルの民に、神である主はこう語る、と言いなさい。ああ、イスラエルよ。おまえたちは、なんとひどい罪を犯してきたことか。
+ わたしにパンと脂肪と血をささげるとき、わたしの聖所に、割礼も受けず、神に従う心を全く持たない者たちを入れるとは、どういうことか。ほかのもろもろの罪に加えて、あなたがたはこうしてわたしとの契約を破ったのだ。
+ またあなたがたは、わたしが与えた聖所での聖なる務めについての規定を守らなかった。その大切な務めをさせるために、わざわざ外国人を雇っていたのだ。」
+ 神である主はこう語ります。「あなたがたの中に大ぜいいる外国人で、割礼を受けておらず、主を愛していない者は一人もわたしの聖所に入らせてはならない。
+ また、レビ部族の者でも、イスラエルが神から離れて偶像に走った時、わたしを捨てた者たちは、その不誠実をきびしく罰せられなければならない。
+ 彼らは神殿警備と門衛の務めに当たり、焼き尽くすいけにえの動物を殺し、民に仕えるべきだった。
+ それなのに、ほかの神々を礼拝するように民をそそのかし、恐ろしい罪に引きずり込んだ。」それゆえ、神である主はこう語ります。「わたしは手を上げて誓う。彼らは罰を受けなければならない。
+ 彼らは祭司として仕えるために、わたしに近づいてはならない。神聖な物にさわってもいけない。自分たちが犯したすべての罪の責任をとらなければならないからだ。
+ 今後、彼らは神殿の管理人として、神殿で行われる各種の行事を管理し、人々を助ける務めに当たるのだ。
+ しかし、レビ部族でもツァドクの子孫だけは、イスラエルがわたしを捨てて偶像に走った時も、祭司として神殿における務めをはたしていた。これからは、この者たちがわたしに仕える者となり、わたしの前に脂肪といけにえの血とをささげることになる。」神である主がこう語るのです。
+ 「彼らがわたしの聖所に入り、わたしに近づいて、わたしに仕え、わたしの命令を守るのだ。
+ 彼らは門から内庭に入るとき、亜麻布の服を着なければならない。内庭や神殿で務めをするときは、毛織物を着てはならない。
+ 亜麻布のターバンをかぶり、亜麻布のズボンをはかなければならない。汗をかかないようにするためだ。
+ 外庭に出るときには、わたしに仕えるために着ていた服を脱ぎ、それを聖所の部屋にしまって、ほかの服を着なければならない。祭司以外の者が聖所で着る服にうっかり触れて、聖なる者とされることがないためである。
+ 祭司は髪を長く伸ばしすぎても、そり落としてもいけない。適度に刈らなければならない。
+ 祭司はだれでも、内庭に入る前には、ぶどう酒を飲んではならない。
+ 結婚するなら、ユダヤ人の処女か祭司の未亡人とすべきである。離縁された女と結婚してはいけない。
+ 祭司はわたしの民に、聖と俗、善と悪との区別を教えなければならない。
+ 祭司は、人々の争いを収拾する裁判官ともなる。その裁定は、わたしの律法に基づいていなければならない。祭司自身が、すべての聖なる祭りにおいて、わたしの律法と規定に従い、また、安息日を聖なる日として守らなければならない。
+ 祭司は、死体に近づいて身を汚してはならない。ただし、両親、子ども、兄弟、未婚の姉妹の場合は例外で、そのときは近づいてもよい。
+ その場合、身をきよめる期間として、普通よりさらに七日間待ち、それから神殿での務めに就くことができる。
+ 再び務めに就くために内庭や聖所に入る最初の日に、その祭司は、まず自分のために罪の赦しのためのいけにえをささげなければならない。」神である主がこう語るのです。
+ 「祭司は私有財産を持ってはならない。わたし自身が彼らの相続財産だからだ。それで十分である。
+ 彼らの食物は、穀物のささげ物や罪の赦しのためのいけにえ、罪過を償ういけにえなど、人々が神殿に持って来たささげ物やいけにえである。主にささげられる物は何でも、祭司のものとなる。
+ あらゆる果実の初物や主にささげられたすべての物は、祭司のものとなる。穀物の初物も祭司に贈られる。そうするなら、わたしはあなたがたの家を祝福しよう。
+ 祭司は、自然に死んだ鳥や動物、あるいは他の動物に殺された鳥や動物の肉は、絶対に食べてはならない。
+
+
+ イスラエルの各部族に土地を分割するときは、その一部を、まず聖なる土地として、主にささげなければならない。その土地は、長さ二万五千キュビト(約十二‧五キロメートル)、幅一万キュビトで、その全体が聖なる地である。
+ そのうち、縦横五百キュビト四方の土地を聖所にあて、その回りを五十キュビト幅の空地にしなければならない。
+ 神殿は、長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトの土地の中に建てるようにしなさい。
+ この区域はすべて聖なる地で、聖所の務めに当たる祭司たちが、彼らの住む家とわたしの神殿のために用いる。
+ それに隣接する長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトの区域は、神殿で奉仕するレビ人の居住地としなさい。
+ これらの聖なる区域に沿った、長さ二万五千キュビト、幅五千キュビトの土地は、町の区域としてイスラエルの人々に利用させるのだ。
+ 聖なる区域と町の区域との両側に、君主のための特別区域を設けなさい。その幅は、隣接している聖なる区域と町の区域を合わせたもので、東と西の境界線は各部族の分割地と同じにする。
+ これが君主の分け前だ。君主たちは、もう二度とわたしの民を抑圧したり、搾取したりすることはない。残りの土地は全部、イスラエルの民に与え、各部族に分割しなさい。
+ 主は支配者たちにこう語ります。「わたしの民の土地を奪ったり、だまし取ったりして、彼らを家から追い出すようなことをやめよ。いつも公平に、正直にふるまうのだ。
+ あなたは、正確な量りを使いなさい。
+ ホメル(約二百三十リットル)を計量単位の基準としなさい。さらに小さな単位として、液体でないものにはエパ(ホメルの十分の一)、液体にはバテ(ホメルの十分の一)を用いなさい。
+ 重さの単位は銀のシェケル(約十一‧四グラム)を使いなさい。一シェケルはいつも二十ゲラと両替される。それ以下であってはならない。五シェケルは五シェケル、十シェケルは十シェケルでなければならない。それをごまかしてはならない。五十シェケルはいつも一ミナに相当する。
+ 君主に納める税は、次のようにしなさい。小麦や大麦は収穫量一ホメルにつき六分の一エパ、つまり六十分の一の割合、
+ オリーブ油は百分の一の割合、
+ イスラエルで飼う羊の群れから二百頭ごとに一頭を差し出すのだ。これらは穀物のささげ物、焼き尽くすいけにえ、和解のいけにえであって、ささげる者たちの罪の償いとなる。」神である主がこう語ります。
+ 「イスラエルのすべての民は、そのささげ物を君主に納めなければならない。
+ 君主は、イスラエルの民を神と和解させるために公の礼拝で用いる、罪の赦しのためのいけにえ、焼き尽くすいけにえ、穀物やぶどう酒のささげ物、和解のいけにえを用意しなければならない。新月祭、安息日、その他の祭りの時に、そのようにする義務がある。」
+ 主はこう語ります。「毎年第一の月の一日(ユダヤ暦による。太陽暦では三月中旬)に、傷のない若い雄牛をいけにえとしてささげ、神殿をきよめなさい。
+ 祭司は、この罪の赦しのためのいけにえの血を取り、それを神殿の入口の柱や、祭壇の台座の四隅や、内庭の入口の壁に塗らなければならない。
+ 同じ月の七日にも、誤って、あるいは知らずに罪を犯した者のために同じようにしなければならない。こうして神殿はきよめられる。
+ 同じ月の十四日には、過越の祭りを守りなさい。この祭りは七日間にわたり、その間は常にパン種を入れないパンを食べなければならない。
+ 過越の祭りの日に、君主は、自分自身とイスラエルのすべての民のために、罪の赦しのためのいけにえとして、若い雄牛をささげなければならない。
+ その祭りの七日間、君主は毎日、焼き尽くすいけにえを主にささげなければならない。このように毎日ささげられるいけにえは、傷のない若い雄牛七頭と雄羊七頭である。また雄やぎ一頭も、毎日、罪の赦しのためのいけにえとしてささげなさい。
+ 君主は、穀物のささげ物として、雄牛一頭に一エパ、雄羊一頭に一エパの穀類をささげなければならない。また、穀類一エパにつき一ヒン(六分の一エパ)のオリーブ油を添える。
+ 毎年、第七の月の十五日に行われる祭りにも、七日間、過越の祭りと同じように君主は、罪の赦しのためのいけにえ、焼き尽くすいけにえ、穀物とオリーブ油のささげ物とをささげなければならない。」
+
+
+ 神である主はこう語ります。「東の内側の門は、労働をする週日の六日間は閉ざし、安息日と新月祭のときだけ開けるようにしなさい。
+ 君主は外側の門の玄関から入り、内側の壁のすぐ手前まで進まなければならない。そのとき、祭司は焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげるのだ。君主は門の内側で礼拝したら、その入口まで戻らなければならない。入口は、日が暮れるまで閉じてはならない。
+ 一般の民は、安息日と新月祭に、この入口の手前で礼拝しなさい。
+ 君主が安息日に神にささげる焼き尽くすいけにえは、傷のない子羊六頭と傷のない雄羊一頭である。
+ 雄羊一頭につき小麦粉一エパ、子羊については各自が喜んでささげられる量だけをささげるようにすること。オリーブ油は小麦粉一エパごとに一ヒンの割合でささげる。
+ 新月祭には、完全な状態の若い雄牛一頭、傷のない子羊六頭、傷のない雄羊一頭をささげる。
+ 若い雄牛とともに小麦粉一エパを穀物のささげ物とし、雄羊にも小麦粉一エパをささげる。子羊のために、各自が喜んでささげられる量だけをささげる。また、小麦粉一エパごとにオリーブ油一ヒンをささげる。
+ 君主は門の玄関から入り、同じ所から出て行かなければならない。
+ しかし、一般の民は祭りの期間中、北の門から入り、ささげ物をしたら、南の門を通って出て行かなければならない。南の門から入って来た者は、北の門から出て行かなければならない。要するに、入って来た門から出てはならないのであって、必ず反対側の門から出る。
+ 君主も、こうした祭りの期間には、一般の民といっしょに入り、また出るようにすべきである。
+ 特別の祭りや神聖な祝いのときには、穀物のささげ物は、若い雄牛一頭につき一エパ、雄羊一頭につき一エパ、子羊については、君主が喜んでささげられる量だけをささげるようにしなさい。また、小麦粉一エパごとにオリーブ油一ヒンをささげる。
+ 君主が神に、特別の焼き尽くすいけにえや和解のいけにえをささげるときには、東の内側の門を開け、彼はそこから入って、安息日にするのと同じように、そのいけにえをささげる。そして、同じ門から出て行く。彼が出たら、門は閉じる。
+ 毎朝、一歳の子羊を一頭、焼き尽くすいけにえとして神にささげなければならない。
+ それと同時に、毎朝、穀物のささげ物として、小麦粉六分の一エパと、それに混ぜる油三分の一ヒンをささげなければならない。これは永久に変わらない定めである。毎朝、日ごとのささげ物として、子羊と穀物のささげ物とオリーブ油を整えなければならない。」
+ 主がこう語ります。「君主がその子に土地を贈与するなら、その土地は永遠にその子のものとなる。
+ しかし、奴隷の一人に贈与した場合には、彼が自由の身とされる七年目ごとの解放の年まで、彼のものとなるだけである。その後、その土地は君主に返される。永続するのは息子に贈与されたものだけだ。
+ また、君主は力ずくで人の土地を取り上げてはならない。その子には自分の土地を与えなければならない。わたしの民が土地を失って、追い出されるような事態になることをわたしは望まないからだ。」
+ そのあと、私は正面の門のわきの出入口を通って、北側の、祭司たちの部屋が並んでいる所に連れて行かれました。部屋の並びの西の端に、料理場がありました。私を案内した人の説明によると、そこは、祭司たちが罪過を償ういけにえや、罪の赦しのためのいけにえを煮たり、穀物のささげ物の小麦粉を焼いてパンにしたりする所でした。そうしたのは、いけにえを外庭に持ち出して、一般の民を聖なる者とされた仲間に加えるようなことを避けるためでした。
+ それから、私は再び外庭に連れ出され、その四隅に連れて行かれました。四隅には、それぞれ縦四十キュビト、横三十キュビトの、壁に囲まれた庭がありました。
+ 壁の内側にれんが製のかまどが並んでいて、調理ができるようになっています。
+ その人は、「この庭は神殿で祭司を助けるレビ人のもので、人々が持って来たいけにえを料理する場所だ」と話してくれました。
+
+
+ それから、その人は私を神殿の入口に連れ戻しました。見ると、神殿の下から東に向かって、水が流れ出ているのです。水は祭壇の右側、すなわち南側を通って流れていました。
+ 私は北の門を通って塀の外へ連れて行かれ、東の門へと回らされました。見ると、水は東の門の南端を流れていました。
+ その人は流れに沿って測りながら東に進み、一千キュビト行ったとき、その流れを渡るように私に命じました。水はくるぶしまでありました。
+ さらに一千キュビト行くと、また、渡るように命じられました。今度は、水はひざまでありました。
+ それから一千キュビト行くと、水の深さは腰までになりました。さらに一千キュビト先へ行くと、もう泳がなければ渡れないほどの川となっていました。深くて、とても歩いて渡ることはできなかったのです。
+ その人は、今見たことをよく脳裏に刻み込んでおくようにと言って、私をその川の岸に沿って連れ帰りました。
+ すると驚いたことに、川の両岸にたくさんの木が茂っているではありませんか。
+ その人はこう言いました。「この川は東に流れて、砂漠地帯とヨルダン渓谷を通って死海に注いでいる。こうして死海の塩分の多い水を浄化し、新鮮な水に変えるのだ。
+ この川の水に触れるものはすべて生き生きとする。魚が住める水に変えられるので、死海にも魚がいっぱいになる。この水が流れ込む所はどこでも、すべてのものが生かされる。
+ 南はエン‧ゲディから北はエン‧エグライムに至るまで、死海の沿岸で漁師が漁をするようになる。岸には一面に網が干されるようになる。魚の種類も、地中海の魚と同じくらい豊富になる。
+ だが、沼地や湿地は相変わらず塩水のまま残される。
+ 川岸にはあらゆる種類の果樹が茂り、その葉は枯れず、落ちることもなく、いつも実がなっている。毎月、必ず新しい実がなる。神殿から流れ出る水で潤されているからだ。その実は食物に、葉は薬になる。」
+ 神である主はこう語ります。「イスラエルの十二の部族に土地を分割するときは、次のようにしなさい。ヨセフ(エフライムとマナセ)の部族には二区分を与えよ。
+ 他の部族には、それぞれ平等に一区分が与えられる。わたしはあなたがたの先祖に、土地を与えると約束した。今、その土地を受け継ぐのだ。
+ 北の境界線は、地中海からヘテロンに、さらにレボ‧ハマテからツェダデに、
+ ダマスコとハマテの境にあるベロタとシブライムを経て、ハウランの境にあるハツェル‧ハティコンに至る。
+ つまり地中海から、北はハマテと、南はダマスコと接しているハツァル‧エナンまでである。
+ 東の境界線は、ハツァル‧エナンからハウラン山へと南下し、そこで西に曲がってガリラヤ湖の南岸から、イスラエルとギルアデとを分けるヨルダン川に沿って死海に下り、さらにタマルに至る。
+ 南の境界線は、タマルから西に向かってメリバテ‧カデシュの泉を通り、エジプト川(ワディ‧エル‧アリシュ)に沿って地中海に至る。
+ 西側は地中海が境界線で、南の境界線から北の境界線が始まる所までである。
+ これらの境界線の内側を、イスラエルの部族に分割しなければならない。
+ その土地をあなたがたと、あなたがたの中に住んでいる外国人の相続地として割り当てるのだ。イスラエルの地で生まれた子どもはみな、たとえ親が外国人でも、イスラエルの市民権が与えられ、あなたがたの子どもと同じ権利を与えられる。
+ このような移住者全員に、現在住んでいる部族の間で土地を与えなければならない。
+
+
+ 以下は、各部族と、その土地のリストである。ダンの所有地は、地中海に面する北西の境界線からヘテロン、レボ‧ハマテを経て、さらに南はダマスコと、北はハマテと接する境界線上のハツァル‧エナンまでである。ダンの地の東と西はそれぞれ境界線が境となっている。
+ アシェルの土地は、ダンの南で、東と西はそれぞれの境界線が境となっている。
+ ナフタリの土地は、アシェルの南で、東と西はそれぞれの境界線が境となっている。
+ マナセの土地は、ナフタリの南で、同じように、東と西はそれぞれ境界線が境となっている。
+ さらに南へと、エフライム、ルベン、ユダの土地が続き、その東と西は同じように境界線が境となっている。
+ ユダの南は神殿のために取っておかれた土地で、その中央に神殿がある。その東と西の境は、各部族の土地の境と同じである。
+ この神殿のための土地は、長さ二万五千キュビト、幅二万キュビトである。
+ 神殿は、東西二万五千キュビト、南北一万キュビトの土地の中央にある。
+ この区域は祭司たちのものである。この祭司たちは、イスラエルの民やレビ部族の残りの者たちが罪を犯したとき、わたしに従って罪を犯さなかったツァドクの子孫である。
+ この土地は、分割される土地の中の特別の区域で、最も神聖な土地である。それに隣接して、他のレビ部族の住む区域がある。
+ その広さは祭司のための区域と同じで、二つ合わせると、長さ二万五千キュビト、幅二万キュビトになる。
+ この特別区の買売や交換は厳禁され、ほかの者に使わせてもいけない。それは主のために聖別された地だからである。
+ 神殿のための特別区域の南にある、長さ二万五千キュビト、幅五千キュビトの細長い地は、一般用のもので、町を中心にして、家や牧場や農園を造るようにしなさい。
+ 町は四千五百キュビト平方の正方形とする。
+ 牧場は約二百五十キュビトの幅で、町の回りを囲むようにする。
+ 聖なる区域に接したこの地域で、町の外にある残りの地は、東西にそれぞれ一万キュビトで、町の住民のための農園である。
+ 町で働くイスラエル人なら、どの部族の者でもこの農園で働くことができる。
+ 聖なる区域と町の所有地とを合わせた、この土地全体は二万五千キュビト平方である。
+ この区域の両側の、イスラエルの東と西の境までの地は君主のものである。ユダとベニヤミンとの土地にはさまれたこの土地は、聖なる区域と町の所有地との両側にあって、幅はそれぞれ二万五千キュビトである。
+ 残りの部族に分割される土地は、次のとおり。ベニヤミンの土地は、東の境界線から西の境界線まで、イスラエルの全地を横切っている。
+ ベニヤミンの土地の南にはシメオンの土地があり、同じように東と西の境界線の間に広がっている。
+ イッサカルの土地が、その南に同じようにある。
+ さらに、その南にゼブルンの土地が同じようにある。
+ それから、ガドの土地がその南にあるが、東と西の境界線は同じでも、南の境界線は、タマルからメリバテ‧カデシュの泉、さらにエジプト川に沿って地中海に至っている。
+ 以上が各部族に割り当てられた土地である。」このように、主が語るのです。
+ 「町の門には、それぞれイスラエルの各部族の名がつけられている。北側の四千五百キュビトの城壁には三つの門があり、ルベンの門、ユダの門、レビの門と名づけられている。
+ 東側の四千五百キュビトの城壁にも、ヨセフの門、ベニヤミンの門、ダンの門と名づけられた門がある。
+ 南側の城壁も同じ長さで、シメオンの門、イッサカルの門、ゼブルンの門と呼ばれる三つの門がある。
+ 西側の四千五百キュビトの城壁にも、ガドの門、アシェルの門、ナフタリの門と呼ばれる三つの門がある。
+ 町の周囲は一万八千キュビトあり、町の名は『神の都』と呼ばれる。」
+
+
+
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+ エホヤキム王がユダを治めるようになって三年後、バビロンの王ネブカデネザルが大軍を率いてエルサレムに攻めて来ました。主は、ネブカデネザル王に勝利を与えました。バビロンへ帰る時、王は、神殿から聖なる器具を持ち出し、シヌアルにある自分の神の宝物倉に納めました。
+ その後、ネブカデネザル王は、宮殿の人事担当者アシュペナズにこう命じました。「捕囚として連れて来たユダヤ人の中から、ユダの王族か貴族出身の若者を数人選び、われわれカルデヤ人のことばと文学を教えよ。いろいろの分野の知識に通じ、知恵にすぐれ、鋭敏なうえに良識を備え、宮廷に仕えるにふさわしく、身体剛健で容姿端麗な若者を選ぶのだ。」
+ 王はこの若者たちに、三年間の訓練期間中、王が食べるのと同じ最上の食物とぶどう酒を与えました。訓練ののちにこの若者たちを、王の参議官に取り立てる計画だったのです。
+ こうして選ばれた若者の中に、ダニエル、ハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤの四人がいました。四人ともユダ部族の出身でした。
+ ところで、彼らの監督官は、それぞれにバビロニヤ名をつけました。それで、ダニエルはベルテシャツァル、ハナヌヤはシャデラク、ミシャエルはメシャク、アザルヤはアベデ‧ネゴと呼ばれました。
+ しかしダニエルは、王の支給する食物(ユダヤの法律で食べることが禁止されていた豚肉などが含まれていたと思われる)もぶどう酒も断じて口にしないと決心し、ほかの食事をとることができるよう、監督官に許可を願い出ました。
+ 実は神は、この監督官に、ダニエルを特別に思いやる心を与えていました。
+ それでも監督官は、ダニエルの申し出に不安を覚え、こう言いました。「ほかの同じ年頃の若者と比べて、あなたがたの顔が青白く、やせ細ってしまったら、職務怠慢のかどで、私は王に首をはねられるだろう。」
+ そこでダニエルは、監督官が彼ら四人につけてくれた世話役と、このことについて話し合い、
+ ともかく十日間、野菜と水だけの食事で試してほしいと頼みました。
+ その期間が終わった段階で、王のごちそうを食べた者たちと比較し、野菜と水だけの食事を続けるかどうかを決めてはどうかと提案したのです。
+ 世話役は、ついにこれを試してみることに同意しました。
+ そして、十日が過ぎました。ダニエルとその三人の友人は、王のごちそうを食べた若者たちよりも健康そうで、栄養がいきわたっているように見えます。
+ そこで世話役はそれからも、ごちそうやぶどう酒抜きの、野菜と水だけの食事をダニエルたちに与えました。
+ 神はこの四人の若者に、すぐれた学習能力を与えました。それで四人はすぐに、当時の文学や科学を修得したのです。また、神はダニエルに、夢や幻の意味を知る特別の能力を与えました。
+ 三年にわたる訓練期間が終わると監督官は、前もって命じられていたように、口頭試問を受けさせるため、若者たちを王の前に連れて来ました。王は一人一人と時間をかけて話しました。その時、ダニエル、ハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤの四人は群を抜いて、王に感銘を与えたのです。そこで、この四人が王に仕える常任補佐官に取り立てられました。
+ 知識やバランスのとれた判断を必要とする全分野で、この若者たちの意見は、国中のどの熟練した呪法師や知恵のある占星学者の意見よりも、十倍もまさっていることに王は気づきました。
+ ダニエルは、クロス王の治世の第一年まで、王の参議官の地位にありました。
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+ ネブカデネザル王の治世第二年のある夜、王は恐ろしい夢を見、震えおののきながら目を覚ましました。
+ 王は直ちに呪法師、呪文師、呪術師、占星学者を呼び寄せて、その夢を解き明かすよう要求したのです。
+ 一同が召し出されると、王は言いました。「よく思い出せないのだが、恐ろしい夢を見た。不吉な予感がしてならない。私の見た夢を説明してくれ。」
+ そこで占星学者たちは、アラム語で王に言いました。「まず、どんな夢かをお教えください。そうすれば、その意味を解き明かしてごらんに入れます。」
+ 「今言ったではないか。どんな夢か思い出せないのだ。どんな夢で、それがどんな意味か説明しないのなら、おまえたちの手足をばらばらにし、おまえたちの家をごみの山としてくれよう。
+ しかし、夢とその意味を説明したなら、たくさんの褒美を取らせ、栄誉も与えよう。さあ、教えてくれ。」
+ 「まずその夢をお教えくださらないことには、どうして意味を解き明かすことができましょう。」
+ 「おまえたちの魂胆はわかったぞ。夢の示す災いが私に降りかかるまで、時間をかせごうというのだろう。どんな夢かもわからないくらいなら、おまえたちの解き明かしなど信じられるか!」
+ 「人の見た夢をあてる者など、地上にはおりません! また、そんなむりなことをお尋ねになる王も、世界にはおられません!
+ 王は、できないことをしろとおっしゃるのです。神々ではない人間に、ごらんになった夢はわかりません。それができる神々は、ここにはいないのです。」
+ これを聞いた王は、かんかんに怒り、「バビロンの知者を一人残らず死刑にせよ」と命じました。
+ ダニエルと三人の友人も、他の知者たちといっしょに殺されることになりました。
+ しかし、死刑執行の責任者アルヨクが姿を現した時、ダニエルは非常な知恵をもって事態に対処し、こう尋ねました。
+ 「なぜ王はそんなにご立腹なのですか。いったい何があったのですか。」そこでアルヨクは、事の次第を説明しました。
+ すると、ダニエルは王にお目どおりを願い出て、「しばらくのご猶予を下さい。ごらんになった夢と、その意味をお教えいたします」と言いました。
+ ダニエルは家に帰り、さっそく、仲間のハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤに事の成り行きを話しました。
+ 彼らは天の神に、ほかの者といっしょに殺されなくてもすむように、この夢の秘密を明らかにし、そのことによってあわれみを示してくださるよう願いました。
+ その晩、幻の中で、神はダニエルに、王が見た夢を示したのです。ダニエルは天の神をほめたたえました。
+ 「神の御名が、永遠にほめたたえられますように。神だけがすべての知恵と力をお持ちです。
+ 世界の出来事は、すべて神の支配下にあります。王を退け、ほかの者を王位につけるのは、神にほかなりません。知者に知恵を与え、学者に知性を与えるのも、神です。
+ 神は、人の理解を越えた深い奥義を明らかにしてくださいます。人の目に隠されているどんなこともご存じです。神は光ですから、どんな暗闇も見通してしまわれるのです。
+ 私の先祖の神よ。心から感謝し、賛美します。私に知恵と健やかな体を与えてくださったばかりか、今、王の夢とその意味をお教えくださいました。」
+ それからダニエルは、バビロンの知者を死刑にするよう命令されていたアルヨクに会い、こう言いました。「彼らを殺してはなりません。私を王のもとへ案内してください。王の知りたがっておられることをお教えします。」
+ アルヨクは急いでダニエルを王のもとへ案内して、こう言いました。「ユダヤ人の捕虜の中に、王の夢を解き明かせる者を見つけました。」
+ 王はダニエルに言いました。「なに、ほんとうか。私の見た夢と、その意味を解き明かせるのだな。」
+ ダニエルは答えました。「どんな知者も、占星学者も、呪法師も、魔術師も、そのようなことはできないでしょう。
+ しかし、隠されていることを明らかにする神が、天におられます。この神が、夢の中で、将来どのようなことが起こるかを王に示したのです。これから申し上げることが、王のごらんになった夢です。
+ 王様。あなたは、これから起こる出来事を夢でごらんになりました。それは隠されていることを明らかにする神が、王に語ったのです。
+ ところで、おことわりしておかなければなりませんが、私が王の夢の秘密を知っておりますのは、ほかの人よりも知恵があるからではありません。神が王のために、私に示してくださったからです。
+ 王様。あなたがごらんになったのは、人の形をした、巨大な力ある像で、まぶしく光り輝き、ぞっとするほど恐ろしい姿をしていました。
+ この像の頭は純金、胸と両腕は銀、腹とももは青銅、
+ すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土でできていました。
+ けれども王が見ておられるうちに、一つの岩が、超自然的な方法で山腹から切り出されました。その岩は像に向かって突進し、鉄と粘土の足を粉々に砕きました。
+ すると像全体が倒れ、鉄、粘土、青銅、銀、金も砕けて破片の山と化したのです。その破片はもみがらのように小さく、すべて風に吹き飛ばされてしまいました。ところが、その巨像を打ち砕いた岩は、大きな山となって全地を覆いました。
+ 以上が、王のごらんになった夢です。さて、その意味はこうです。
+ 王様。恐れながら、あなたは諸国の王の上に君臨する王であられます。天の神が、あなたに王国と権威と力と光栄とを与えたからです。
+ 神は、あなたが辺境の地まで治め、動物や鳥をも支配するよう定めました。あなたは、あの金の頭です。
+ しかし、王国の命運が尽きると、別の強国(メド‧ペルシヤ)が代わって起こります。その国は、王の王国に比べると劣ります。この第二の国が倒れると、巨像の青銅の腹が表す第三の強国(ギリシヤ)が起こり、世界を支配するようになります。
+ 続いて、鉄のように強い第四の国(ローマ)が起こり、その国は、鉄が打ち砕くように他の国々を粉砕し、征服していくのです。
+ 一部が鉄で、一部が粘土でできている足は、のちに第四の国が分裂することを示しています。分裂した国の一部は鉄のように強く、一部は粘土のようにもろいのです。
+ この鉄と粘土の混合は、分裂した王国同士が支配者相互の政略結婚によって同盟を結び、勢力を強化しようとすることも示しています。しかし、それは成功しません。鉄と粘土とは混じり合わないからです。
+ この王たちの時代に、天の神は、決して滅ぼされることのない一つの国を起こします。だれもこの国を征服できません。その国は、すべての国々を打ち砕いて滅ぼします。まさに永遠不滅の国なのです。
+ これが、人手によらずに山腹から切り出された岩、鉄も青銅も粘土も銀も金もすべて粉々にしてしまったあの岩の意味するものです。偉大な神が、このように将来起こることを示したのです。王の夢についてのこの解き明かしは、私が夢の内容を描写したのと同様、確かなものです。」
+ すると、ネブカデネザル王はダニエルの前にひれ伏し、ダニエルを拝みました。それからダニエルにささげ物をし、その前で良い香りのする香をたかせました。
+ 王はこう言いました。「ダニエルよ。まことに、おまえの神は、この秘密をおまえにお示しになったのだから、神々の神、王の王、奥義の啓示者だ。」
+ 王はダニエルを高い位につけ、たくさんの高価な贈り物を与えました。ダニエルはバビロン全州の知事となり、王に仕える知者たちの長官に任じられたのです。
+ また王は、ダニエルの求めで、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴをダニエルの補佐官とし、バビロン州の政務全般をつかさどらせました。ダニエルは総務長官として王の宮廷で仕えました。
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+ ネブカデネザル王は、高さ三十メートル、幅三メートルある金の像を造って、バビロン州のドラの平野に立てました。
+ それから、命令を発して、すべての君主、長官、総督、参議官、財務官、司法官、保安官および各州の知事たちを召集し、その像の除幕式に出席させることにしました。
+ これらの指導者たちが全員そろい、像の前に立つと、伝令官が大声で叫びました。「諸国、諸国語の皆様。王の命令です。
+ 楽隊の奏楽と同時に、地にひれ伏して、王が立てた金の像を拝みなさい。
+ 命令に従わない者は、直ちに火の燃える炉に投げ込まれます。」
+ それで、楽隊の奏楽が始まると、諸国、諸国語、諸宗教の者たちがいっせいにひれ伏し、金の像を拝みました。
+ ところが、ある役人たちが王のもとへ来て、像を拝まなかったユダヤ人のことを訴えました。
+ 「王様。あなたは、『楽隊の演奏と同時に、全員がひれ伏して金の像を拝め。命令に従わない者はだれでも、火の燃える炉に投げ込まれる』という法令を出されました。
+ ところが、王がバビロン州の政務を任せたシャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴは、王を無視し王の神々に仕えず、王がお立てになった金の像を拝まなかったのです。」
+ これを聞いた王は激しく怒り、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴを連れて来るよう命じました。
+ 王は三人に問いただしました。「シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴ。おまえたちが私の神々に仕えず、私の立てた金の像を拝まなかったというのは、ほんとうか。
+ もう一度チャンスを与えよう。奏楽が始まったら、ひれ伏して像を拝めばよし、さもなければ、直ちに火の燃える炉に投げ込むぞ。どのような神が、私の手からおまえたちを救い出せるというのか。」
+ シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴは答えました。「王よ。私たちの身にどんなことが起ころうと、ご心配には及びません。
+ たとえ燃えさかる炉に投げ込まれても、私たちの神は、私たちを王の手から救い出すことがおできになります。
+ たとえそうでなくても、ご承知ください。私たちはどんな状況に置かれても、決して王の神々に仕えたり、王の立てた金の像を拝んだりはいたしません。」
+ すると王はかんかんに怒り、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴへの憤りで顔が真っ赤になりました。そして、炉をいつもの七倍も熱くするよう命じました。
+ また、王の軍隊の中で最も強い者たちに、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴを縛って火に投げ込むよう命じたのです。
+ 三人は衣服を着たまま縛られ、炉に投げ込まれました。
+ 王が怒って炉を熱くするよう命じたので、炉は灼熱の状態でした。三人を投げ込んだ兵士たちが、吹き上げる炎で焼け死んだほどです。
+ シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴは縛られたまま、音を立てて燃えさかる炎の中に落ちていきました。
+ 突然、じっと見つめていた王が驚いて立ち上がり、側近の者たちに叫びました。「炉に投げ込んだのは三人ではなかったのか。」「さようでございます、王様。」
+ 「だが、よく見ろ。四人いるではないか。縛られずに火の中を歩いているぞ。しかも、焼かれた様子は全くない。第四の人は、まるで神のようだ。」
+ それから、王は燃える炉の入口にできるだけ近づいて、こう叫びました。「シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴ、いと高き神のしもべたちよ、出て来い。ここに来い!」すると、三人が出て来たではありませんか。
+ 君主、長官、総督、参議官たちが駆け寄って三人を調べると、焼かれたあとは少しもありません。頭の毛も焦げず、上着も焼けず、煙の臭いさえしません。
+ 王は言いました。「シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴの神はすばらしい! 王の命令を拒み、自分たちの神以外の神を拝むくらいなら死もいとわないほど信仰に徹したしもべたちを、御使いを送って救い出してくださるとは。
+ よいか、私の命令だ。シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴの神に逆らうことばを口にする者は、どの国、どの国語、どの宗教の者であっても、手足を引き裂き、その家をごみの山とする。この三人の神のようなことができる神は、ほかにいないからだ。」
+ 王は、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴを昇進させました。それで三人は、バビロン州で大いに栄えたのです。
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+ ネブカデネザル王は、次のような声明文を、世界の諸国、諸国語の民に送りました。諸国の民に告ぐ。
+ いと高き神が、私に行われた不思議なことについて、あなたがたすべてに知らせたい。
+ それは信じ難いほどの奇跡であった。今こそ、この神の王国が永遠のものであることを、私ははっきり知った。その神の支配は永遠に変わらない。
+ 私、ネブカデネザルは、平安と繁栄の中で生きていた。
+ ところがある夜、非常に恐ろしい夢を見た。
+ そこで、バビロン中の知者を集めて、夢の解き明かしをさせることにした。
+ 呪法師、占星学者、占い師、魔術師が、みな集まった。その席で私の夢のことを話したが、だれも解き明かせなかった。
+ 最後にダニエルが来た。私は自分の神の名にちなんで、彼にベルテシャツァルと名をつけたが、この者には聖なる神の霊が宿っていた。そこでダニエルに夢のことを話した。
+ 「呪法師の長ベルテシャツァルよ。おまえのうちに聖なる神の霊が宿っており、どんな秘密も見事に解き明かせることを知っている。私の夢の意味を教えてほしい。
+ 私は野原に立っている大木を見た。その木は天へ向かってどんどん伸び、ついに世界中の人々から見えるほどになった。
+ 葉は青々と茂り、枝にはすべての人が食べても足りるほど、実がたわわになっていた。野の動物はその木陰にいこい、鳥はその枝を住みかとし、全世界がその木によって養われた。
+ 以上のようなことを夢で見ていると、神の使いの一人が天から降りて来るのが見えた。
+ その使いはこう叫んだ。『その木を切り倒し、枝を切り払え。葉を振り落とし、実をまき散らせ。動物を木陰から、鳥を枝から追い払え。
+ だが、切り株と根は地に残し、鉄と青銅の鎖をかけて、野の若草の中に置け。天の露にぬれさせ、野の動物といっしょに草を食べさせるのだ。
+ 七年間、人の心ではなく動物の心を持たせよ。
+ これは見張り人たちの宣告であり、聖なる者たちの命令である。このように宣言するのは、いと高き方が世界の国々を支配し、御心のままに、人間の中で最もへりくだった者にさえその国々をお与えになるということを、全世界が知るためである。』
+ ベルテシャツァルよ。以上が私の見た夢だ。さあ、その意味を教えてくれ。ほかに助けてくれる者はいない。この王国で最も知恵のある者でもだめだった。だが、おまえならできる。聖なる神の霊が宿っているのだから。」
+ その時ダニエルは、しばらくの間、その夢の意味にがくぜんとして、おびえてひと言も口をきけなかった。ついに、私が口を開いた。「ベルテシャツァル、恐れることはない。夢の意味を話してくれ。」ダニエルは答えた。「この夢の示していることが、王にではなく、王の敵に当てはまるのならよろしいのですが……。
+ 夢でごらんになりました木、青々とした葉を茂らせ、みなが食べても足りるほど実をたわわにつけ、その陰には野獣が住まい、枝には鳥がいっぱいに宿り、世界中の人々に見えるように天にまで達した高い木は、王ご自身でございます。あなたは強く、大きくなり、その偉大さは天にまで達し、ご支配は地の果てにまで及びます。
+ しかし王は、神の使いが天から降りて来て、こう言うのをお聞きになりました。『この木を切り倒して滅ぼせ。ただし、切り株と根は若草に囲まれたまま地に残し、鉄と青銅の鎖をかけておけ。天の露にぬれさせ、七年間、野の動物たちといっしょに草を食べさせよ。』
+ 王様。これはいと高き神がお定めになったことですから、必ず起こります。
+ 国民があなたを宮殿から追い出します。あなたは動物のように野に住んで、牛のように草を食べ、背中は天の露でぬれるでしょう。いと高き神が人間の国々を支配し、お選びになった者に支配権を与えるということを、王が悟るまでの七年間、このような生活が続きます。
+ ただし、切り株と根とは地に残されました。その意味は、天の神が支配しておられることを王が悟った時、国は戻って来るということです。
+ ネブカデネザル王よ、お願いです。どうぞ、罪を犯されませんように。正しいことを行い、貧しい者をあわれんでください。そうすれば、あるいは神の赦しがあるかもしれません。」
+ ところが、これらのことがみな私の身に起こった。
+ この夢を見てから十二か月後、私はバビロンの王宮の屋上を歩きながら、
+ こう言った。「私は自分の力で、この美しい都を、王宮のある町、帝国の首都に建て上げたのだ。」
+ このことばを語り終えないうちに、天から声があった。「ネブカデネザル王よ。あなたに宣告する。あなたはもう、この国の王ではない。
+ 宮殿から追い出され、七年間、野の動物たちと共に住み、牛のように草を食べるのだ。それでやっと、神が人間に国々を分け与え、お選びになった者に国を与えることを悟るだろう。」
+ そのことは、すぐ実現した。私は宮殿から追われ、牛のように草を食べ、体は露でぬれ、髪の毛はわしの羽のように長くなり、爪は鳥の爪のようになった。
+ 七年目の終わりに、私は天を見上げた。すると正気に戻ったので、いと高き神を賛美し、礼拝した。そして、永遠に生きておられる方、その御国の支配が代々限りなく続くお方をほめたたえた。
+ 神に比べれば、地上の人間はみな無に等しい。神は、天の御使いたちの中にあっても、地上に住む人々の中にあっても、最善とお考えのことを行われる。それに対して、「どうして、こんなことをするのですか」と言って、神に挑戦したり、神を止めたりはできない。
+ 正気に戻った時、私の名誉も光栄も、王国も戻って来た。参議官も役人も戻って来てくれたので、私は以前にもまさる栄誉に包まれ、王位を確立することができた。
+ ここに今、私、ネブカデネザルは、その行うことがすべて正しく善である方、すべての者をさばく方、天の王を賛美し、ほめたたえる。このお方は、思い上がって歩む者を取り、ちりの中に押し込むことができる。
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+ ベルシャツァル王は、千人の高位高官を招いて大宴会を催し、ふんだんにぶどう酒をふるまいました。
+ 王はぶどう酒を飲みながら、ずっと以前、ネブカデネザル王の治世にエルサレムの神殿からバビロンに持って来た、金と銀の杯のことを思い出しました。そこで、この聖なる杯を宴席に持って来るよう命じました。杯が運ばれて来ると、王と王子たち、妻とそばめたちは、金や銀、青銅や鉄、木や石で作られた偶像のために、その杯で乾杯したのです。
+ すると突然、居並ぶ者たちの目の前に人の手の指が現れ、燭台の向こうの塗り壁に何かを書いたのです。王も確かにその指を見ました。
+ 恐ろしさのあまり、王の顔は蒼白となりひざはがくがくと震えだし、その場に座り込んでしまいました。
+ 王は叫びました。「呪文師、占星学者を呼べ。カルデヤ人を呼べ。だれでも、壁に書かれた文字を読み、その意味を解き明かすなら、王室の栄誉を帯びた紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけ、この国の第三の支配者としよう!」
+ しかし、呼び集められた者のうち、一人としてその文字を読み、意味を解き明かせる者はいません。
+ 王はますます興奮し、恐怖におびえています。居並ぶ高官たちも、うろたえるばかりです。
+ このことを聞いた王母は、すぐ宴会場に駆けつけ、王に言いました。「王よ、落ち着いてください。そんな顔をしたり、おびえたりするのはおやめください。
+ あなたの王国には、聖なる神の霊が宿っている人がいるではありませんか。あなたの父上、ネブカデネザル王の時代に、その人は、まるで神のように知恵と理解力に満ちていました。それで父上の治世に、バビロン全土の呪文師、占星学者、カルデヤ人、占い師の長とされたのです。
+ その人はダニエルという者です。父上はベルテシャツァルと呼んでおられました。その人を召してください。その頭脳は神の知恵と理解力に満ちています。それで、夢を解き明かし、なぞを解き、どんな難問も解決できるのです。あの壁に書かれた文字の意味も教えてくれましょう。」
+ ダニエルは、すぐさま王のもとに召されました。王はダニエルに尋ねました。「ネブカデネザル王がイスラエルから捕虜として連れて来たダニエルというのは、おまえか。
+ おまえのうちには神の霊が宿り、知恵と理解力にすぐれていると聞いている。
+ 私の知者や占星学者たちは、あの壁に書かれた文字を読み、その意味を解き明かそうとしたが、できなかった。
+ おまえは、どんななぞも解くことができるそうだな。この文字を解き明かしてくれるなら、紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけ、おまえをこの国で第三の支配者としよう。」
+ 「ありがたい仰せですが、その褒美は、ご自分のために取っておかれるか、ほかの者に与えてください。とにかく、壁の文字の意味はお教えします。
+ 王よ。いと高き神は、先王ネブカデネザルに、偉大な王国と、それにふさわしい威厳と光栄とを与えました。
+ その威厳はたいへんなもので、世界の国々はみな、王の前に震えおののいたものです。先王は気に入らない者は殺し、気に入る者は生かすというふうに、気の向くままに人を用いたり、捨てたりなさいました。
+ こうして、先王の心がおごり高ぶった時、神は先王を位から退け、栄光を奪ったのです。
+ 先王は宮殿から野に追われ、心も感情も動物と同じようになり、野ろばと共に住み、牛のように草を食べ、体は天の露にぬれました。そして先王もついに、いと高き方が人間の国々を支配し、御心にかなう者に国々を支配させることを悟ったのです。
+ その後継者であるあなたは、そのことをみな知っていながら、へりくだることをなさいませんでした。
+ それどころか、天の主に逆らい、主の神殿の杯をここに持って来させました。王も、高官たちも、王妃やそばめたちも、その杯でぶどう酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石でできた、見ることも聞くことも、悟ることもできない神々をほめたたえました。こうして、王にいのちの息を与え、王の人生を手中に握っている神をほめたたえなかったのです。
+ それで神は手の指を送り、この文字を書かせたのです。その文字は、『メネ』『メネ』『テケル』『パルシン』と読みます。
+ 意味はこうです。『メネ』は、数えられたという意味で、神が王の治世の日数を数えて、その日がもう尽きたということです。
+ 『テケル』は、はかりで量られたという意味で、王が神のはかりで量られ、審査に落ちたということです。
+ 『パルシン』は、分割されたという意味で、王の国が分割されて、メディヤとペルシヤに与えられるということです。」
+ それから、ベルシャツァル王の命令で、ダニエルは紫の衣を着せられ、首に金の鎖をかけられ、王国で第三の支配者であると宣言されたのです。
+ その夜のうちに、カルデヤ人の王ベルシャツァルは殺され、
+ メディヤ人ダリヨスが都に入り、その国を支配するようになりました。時に、ダリヨスは六十二歳でした。
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+ ダリヨス王は国を百二十の州に分け、それぞれに知事を置きました。
+ 州知事の上に三人の大臣を置き、ダニエルはその一人でした。この三人への報告を義務づけることで、王は効果的に王国を治めることができました。
+ ダニエルにはすぐれた能力があり、他の大臣や州知事よりも有能であることが、だれの目にも明らかになりました。そこで王は、彼を行政長官にして全国を治めさせようと考えました。
+ そのため、他の大臣や州知事は激しく嫉妬し、ダニエルの行政に落度はないかと探り、王に訴える口実を見つけようとしました。しかし、何一つ批判できる点を見つけることができません。ダニエルは誠実で、正直にふるまい、間違いを犯すことがありませんでした。
+ そこで、「残された道はただ一つ、ダニエルの宗教に関することだ」ということになったのです。
+ 彼らは王のもとへ行き、次のように進言しました。「ダリヨス王よ。いつまでもご健勝であられますように。
+ 私ども大臣、州知事、参議官ならびに総督は、どんな事情があっても取り消すことのできない法令を制定していただくよう、全会一致で決議いたしました。その法令とは、向こう三十日間、王以外のどんな神にも人にも祈りをささげる者があれば、ライオンの餌食にされる、というものでございます。
+ この法令に署名をお願いいたします。そうすれば、これは無効にすることも変更することもできない『メディヤとペルシヤの法律』となるのでございます。」
+ そこで王は、この法律に署名しました。
+ ところが、ダニエルはそのことを知りましたが、家に帰るといつものように、二階の寝室でひざまずきました。エルサレムの方角の窓を開けて、彼は一日に三度、神に祈り、感謝をささげていたのです。
+ 陰謀を企てた者たちがダニエルの家に押しかけてみると、神に哀願し、祈っているダニエルの姿を見つけました。
+ 彼らは王のもとに急ぎ、あの法律について念を押しました。「王は、向こう三十日間、王以外のどんな神にも人にも祈りをささげてはならないという法律に署名なさいました。その法律に背く者は、ライオンの餌食にされるのでしたね。」「そのとおりだ。変更も取り消しもできない『メディヤとペルシヤの法律』だ。」
+ そこで彼らは王に訴えました。「あのユダヤ人捕虜の一人、ダニエルは、王も王の法律も無視して、日に三度、彼の神に祈りをささげているのです。」
+ これを聞いて、王は法律に署名したことを悔やみ、何とかしてダニエルを助けようとしました。そして日が暮れるまで、ダニエルを救い出す手だてはないものかと思い巡らしていました。
+ 夕方になると、陰謀を企てた者たちがまた来て、こう言います。「王様。もう、どうしようもありません。王が署名された法律ですから、変更の余地はございません。」
+ とうとう王は、ダニエルを逮捕するよう命じました。ダニエルは捕らえられ、ライオンの穴に投げ込まれたのです。王はダニエルに呼びかけました。「おまえがいつも礼拝している神が、どうか、おまえを救ってくださるように。」
+ それから一つの石が運んで来られ、穴の口に置かれました。だれもダニエルをライオンの穴から救い出せないようにと、王と政府の公印をもって封じたのです。
+ 王は宮殿に帰ると、食事もせずに寝室に入りました。いつもの余興も受けつけず、一睡もしないで夜を明かしました。
+ 翌日、まだ夜の明けないうちに、王はライオンの穴に駆けつけ、悲痛な声で叫びました。「ダニエル! 生ける神のしもべよ! おまえがいつも礼拝している神は、おまえをライオンから救ってくださったか。」
+ すると、ダニエルの声がするではありませんか。「王様。永遠に生き長らえられますように。
+ 私の神が御使いを送り、ライオンの口をふさいでくださったので、ライオンは何もできませんでした。それは、神の前で、私に罪のないことが認められたからです。また、王に対しても、何も悪いことをしていないからです。」
+ 王は我を忘れて喜び、ダニエルを穴から引き上げるよう命じました。ダニエルは神に信頼していたので、体にはかすり傷一つ負いませんでした。
+ 王は、ダニエルを訴えた者たちを妻子ともども捕らえ、ライオンの穴に投げ込みました。すると、彼らが穴の底に落ちないうちにライオンが飛びかかり、引き裂いてしまいました。
+ そののち、ダリヨス王は国中の全国民に、次のような声明文を書き送りました。「すべての民に告ぐ。私の国のどこでも、ダニエルの神の前に、震えおののくようにせよ。
+ 彼の神こそ、変わることのない生ける神であり、その国は滅びることがなく、その力は尽きることがない。
+ この神はご自分の民を救い出し、危険から守られる。天と地において、驚くべき奇跡を行われる。ライオンからダニエルを救い出してくださったのは、実に、この神だ。」
+ こうしてダニエルは、ダリヨス王の治世とペルシヤ人クロス王の治世に栄えました。
+
+
+ バビロンの王ベルシャツァルの治世第一年のある晩、ダニエルは夢を見、それを書き留めました。夢は次のようなものです。
+ 「大海に激しい嵐が起こり、強風が四方から吹きまくっていました。
+ すると、四頭の巨大な獣が海から上がって来たのです。四頭とも、みな別の生き物でした。
+ 第一の獣はライオンのようで、わしの翼をつけています。見ていると、その翼はもぎ取られ、もはや飛べなくなり、人間のように地上に二本足で立ち、人間の心が与えられました。
+ 第二の獣は熊のようで、横ざまに寝ていました。牙の間に肋骨を三本くわえています。すると、それに向かって、『起き上がれ! 大ぜいの人を食らえ!』と言う声がしました。
+ 第三の奇妙な獣は、ひょうのようでした。背中には鳥のような翼があり、さらに四つの頭があります。しかも、この動物には全人類を治める偉大な権力が与えられました。
+ さらに、夢の中で見ていると、第四の獣が海から姿を現しました。その形相の恐ろしさは、ことばに表せません。また、その強さは信じられないほどです。巨大な鉄の牙で餌食を食い裂き、ほかの餌食を足で踏みつぶしてしまいました。この第四の獣は、前に現れた獣よりはるかに荒々しく残忍で、十本の角を持っていました。
+ その角を見ていると、突然、角の間から別の小さな角が出て来ました。そのために、最初の十本の角のうち三本が根こそぎ引き抜かれてしまいました。この小さな角には、人間の目と、大言壮語する口がついていました。
+ 見ていると、幾つかの王座が備えられ、全能の神が審判のため、その座におつきになりました。その衣は雪のように白く、髪の毛は純白の羊毛のようでした。燃える車輪で運ばれて来た火の王座に、神は座りました。
+ 神の前からは火の川が流れ出ていました。何百万の御使いが神に仕えており、何億という人が神の前に立って、さばきを待っていました。それから法廷が開かれ、幾つかの書物が開かれたのです。
+ 見ていると、あの残忍な第四の獣が殺され、体を焼かれてしまいました。全能の神に対して尊大にふるまい、その小さな角を誇っていたからです。
+ 残りの三頭は、王国を取り上げられたものの、しばらくは生き延びることを許されました。
+ 次に、人のように見えるお方が、天からの雲に乗って来るのが見えました。その方は、神の前に導かれました。
+ 人のように見えるこの方は、世界の国々を治める権力と栄光とを与えられていました。それで、どの国の民もみな、この方に従わなければなりません。この方の権力は永遠で、決して終わることがありません。その国は滅びることがないのです。
+ 私は夢で見たことによって、すっかり混乱し、動揺しました。
+ そこで、王座のそばに立っている者の一人に近づき、見たことすべてについて、その意味を尋ねました。すると、次のように説明してくれたのです。
+ 『四頭の巨大な獣は、のちに地上を治める四人の王を表している。
+ だが最後には、いと高き神の民が、代々限りなく世界を治めるようになる。』
+ 次に、第四の獣について尋ねました。それはぞっとするほど恐ろしく、残忍で、鉄の牙と青銅の爪で人々を引き裂き、足で他の人々を踏み殺しました。
+ また、十本の角と、あとから出て来て、前の十本のうち三本を滅ぼした小さい角のことも尋ねました。その小さい角には目があり、大声で自慢する口があって、他の角よりも強いようでした。
+ 見ていると、その角は神の民と戦って、勝ったのです。
+ しかしその勝利も、永遠の神が来て法廷を開き、神の民の正しさを立証して、彼らに全世界を治める権威をお与えになるまでのことでした。
+ 王座のそばに立っている人は、このように説明してくれました。『この第四の獣は、世界を治める第四の国(一般にはローマ帝国であると言われる)のことだ。それは他の国々をしのぐ残忍さで、全世界を食い尽くし、自分の前にあるすべてのものを打ち壊す。
+ 十本の角は、この国から立つ十人の王のことだ。それから、もう一人の王が立つが、他の十人の王より残忍で、その中の三人の王を打ち倒してしまう。
+ この王は、いと高き神に反抗し、聖徒たちを迫害して滅ぼし、すべての法律、道徳、慣習を変えようとする。神の民も、三年半の間、この王の手中にあって、どうすることもできない。
+ だが、永遠の神が来て正義の法廷を開き、この残忍な王からすべての権力を取り去り、完全に滅ぼし尽くす。
+ それから、天の下にあるすべての国と権力が、神の民に与えられる。彼らは永遠にすべてのものを治め、すべての支配者が彼らに仕え、従うようになる。』
+ 夢はそこで終わりました。目を覚ますと、私はひどく動揺し、顔色も恐怖で青ざめていました。夢で見たことは、だれにも話しませんでした。」
+
+
+ ベルシャツァル王の治世の第三年に、私は最初の夢と同じような、もう一つの夢を見ました。
+ その夢では、私はエラム州の首都シュシャンにいました。夢の中の私をよく見ると、私はウライ川のほとりに立っていました。
+ あたりを見回すと、川岸に、二本の長い角を持った雄羊が立っています。そのうちに、雄羊の一本の角が伸び始め、もう一本の角より長くなりました。
+ この雄羊は、道をふさぐものを片っぱしから突きのけて進みました。だれも立ち向かえず、被害にあった者を助けることもできません。雄羊は思いのままにふるまい、ますます尊大になっていきました。
+ これは何を意味するのかと思っていると、突然、一頭の雄やぎが地の上を飛ぶようにして、西方から素早く姿を現しました。この雄やぎには、目と目の間に一本の大きな角がありました。
+ そして、二本の角がある雄羊に向かって猛烈な勢いで突進して行きました。
+ 雄やぎは雄羊に近づくとますます怒り狂い、激しくぶつかって、二本の角をへし折ってしまいました。雄羊はどうすることもできず、雄やぎに打ち倒され、踏みつけられるままでした。雄羊を救い出そうとするものは、どこにもいなかったからです。
+ 勝利した雄やぎは高慢になり、強大な力を誇るようになりましたが、突然、その権力の絶頂で、大きな角が折られました。すると、その折れた所に、四方に向かって四本のかなり大きい角が生えてきたのです。
+ そのうちの一本は、初めは伸びるのが遅かったのですが、そこから小さな角が生え、やがて非常に強くなり、南と東とを攻撃し、イスラエルに戦いを挑みました。
+ 彼は神の民と戦って、その指導者の幾人かを打ち倒しました。
+ そればかりか、天の軍勢の将にさえ挑戦して、その方に毎日ささげられるいけにえを取り消し、その神殿を汚したのです。
+ それでも天の軍勢は、悪事を行うこの者にとどめを刺すことを禁じられていました。その結果、真理と正義は姿を消し、悪がわがもの顔にふるまっていたのです。
+ それから私は、聖なる御使い二人が話し合っているのを耳にしました。一人が次のように尋ねました。「以前のように、毎日いけにえをささげることができるようになるのは、いつのことだろうか。神殿が破壊されたことの復讐をし、神の民が勝利を得るのは、いつだろうか。」
+ もう一人が答えました。「二千三百日が過ぎてからだ。」
+ この幻の意味を知ろうと思い巡らしていると、突然、目の前に、人のように見える方が立ったのです。
+ すると川の向こうから、「ガブリエル、見た夢の意味をダニエルに教えてやりなさい」と言う、人の声が聞こえました。
+ ガブリエルが近づいて来ると、私は恐ろしさのあまり立っていることができず、地面にひれ伏しました。ガブリエルは言いました。「あなたが幻の中で見た出来事は、終わりの時に起こることだ。」
+ 私は意識を失って、地面にうつぶせに倒れてしまいました。御使いは手を貸して起こし、立ち上がらせてくれました。
+ そして、こう言いました。「私がここに遣わされたのは、恐ろしい終わりの日に起ころうとしていることを知らせるためだ。あなたが見たことは、歴史の終わりに起こる出来事にかかわるからだ。
+ あなたが見た雄羊の二本の角は、メディヤとペルシヤの王のことだ。
+ 毛むくじゃらの雄やぎはギリシヤで、その大きな角は、ギリシヤの第一の王を表している。
+ その大きな角が折れて、それより小さな四本の角が生えてきたのは、ギリシヤが四人の王に四分されることを意味している。四人の王には、第一の王のような力はない。
+ これらの王国の末期に、道徳的腐敗が極みに達すると、非常に狡猾で抜け目のない一人の王が、怒りを込めて権力の座につく。
+ その強大な権力は悪魔から出たもので、彼自身のものではない。彼は何をやっても成功し、どんなに強力な軍隊でも、敵対する者はみな打ち滅ぼし、神の民をも荒らし回る。
+ 彼は人を欺く天才で、偽りの安全に浸っている大ぜいの人を、不意に襲って打ち負かす。それで、自分こそ偉大な王だとうぬぼれ、君主の中の君主に戦いを挑む。だが、そうすることによって、自分の破滅の運命を決定的なものにするのだ。人間の力では打ち負かすことができなくても、神の御手によって、彼は打ち砕かれるからだ。
+ それから、あなたは先の幻で、礼拝をする権利が回復されるまで二千三百日かかるということを聞いた。この数字は、そのとおりのことを意味している。だが、これらのことが起こるのはまだ遠い将来のことなので、だれにも話してはならない。」
+ こののち数日間、私は病気になって床についてしまいました。その後、ようやく起き上がり、王に仕えることができるようになりましたが、夢のことで思案にくれるばかりでした。その意味が理解できなかったからです。
+
+
+ 時が過ぎて、今やアハシュエロスの子ダリヨス王の治世の第一年となりました。ダリヨスはメディヤ人でしたが、カルデヤの王となったのです。
+ このダリヨス王の治世の第一年に、私、ダニエルは、預言者エレミヤの書から、エルサレムが七十年の間荒廃した状態に置かれるということを知りました。
+ そこで神に、捕囚を終わらせ、祖国に帰してくださいと熱心に願いました。断食をし、荒布を着、灰をかぶり、自分の罪や同胞の罪を告白して祈り求めました。「ああ主よ。あなたは大いなる恐るべき神です。あなたを愛し、そのおきてを守る者には、あわれみによる約束を必ず果たされます。
+ 私たちは多くの罪を犯しました。あなたに反逆し、命令を無視しました。
+ また、あなたのしもべである預言者の言うことを聞きませんでした。長年にわたり、何度も何度も預言者を遣わして、王や指導者、またすべての民に語ってくださったのに、私たちは耳を傾けませんでした。
+ ああ主よ。あなたは正しいお方です。それなのに、私たちは相も変わらず罪を犯し、恥ずかしい生き方をしています。ユダの民も、エルサレムの住民も、あなたに対する不真実のために散らされました。近くに、あるいは遠くにいるイスラエル人も、みなそうなのです。
+ ああ主よ。私たちも、私たちの王、指導者、先祖も、そのあらゆる罪のために、いやと言うほど恥ずかしい思いをしています。
+ しかし、私たちの神、主はあわれみに満ちたお方で、反逆した者をもお赦しになります。
+ 私たちの神、主よ。私たちは不従順で、主のしもべである預言者を通して与えてくださったすべてのおきてを、鼻であしらいました。
+ イスラエル人はみな、不従順の罪を犯しました。あなたから離れ、御声を聞きませんでした。それで、神のしもべモーセの律法に書かれている恐ろしいのろいが、私たちを押しつぶしてしまったのです。
+ 神は警告どおりのことを行われました。エルサレムで私たちや指導者たちに降りかかったこのような惨事は、歴史上、一度も見たことがありません。
+ 私たちへののろいは、モーセの律法にあるとおり、みなそのとおりになりました。モーセが予告した災いが、みな現実となったのです。それでもなお、私たちは罪を捨てて正しいことをして、私たちの神、主の期待にこたえようとはしなかったのです。
+ そこで主は、用意しておられた災いを下して、私たちを押しつぶしてしまわれました。主が行われたことはすべて正しいのに、私たちは従おうとしませんでした。
+ 私たちの神、主よ。あなたは偉大な力を現して、エジプトからご自分の民を導き出し、御名の限りない栄誉を示されました。主よ、もう一度、同じことをしてください。私たちは多くの罪を犯し、悪を行っています。
+ それでも主よ、真実なあわれみのゆえに、激しい憤りを、ご自身の町、聖なる山エルサレムから取り除いてください。神の町が私たちの罪のゆえに廃墟と化しているのを見て、異邦人があなたをあざけっているからです。
+ ああ、私たちの神よ。しもべの祈りを聞き入れ、その願いに耳を傾けてください。主よ。ご栄光のために、荒廃した神殿の上に御顔を輝かせ、平和と喜びとを満たしてください。
+ 神よ、どうか私の願いを聞いてください。御目を開いて、私たちの惨状をごらんください。神の町がどんなに荒れ果ててしまっているか、よくごらんください。この町はあなたのものであることを、だれもが知っているのです。助けていただくに値する者だからお願いしているのではありません。私たちのどうしようもない罪にもかかわらず、あなたはあわれみに満ちたお方なので、お願いしているのです。
+ 主よ、お聞きください。どうか赦してください。私の願いをかなえてください。神よ、ご自身のために、それを遅らせないでください。あなたの民とあなたの町とには、御名がつけられているからです。」
+ 私がまだ祈り、自分と同胞との罪を告白し、神の聖なる山エルサレムのために、私の神、主に一心に願っていた時、初めに見た幻の中に現れたガブリエルが、夕方のいけにえがささげられるころ、私のところへさっと飛んで来ました。
+ そして、こう言いました。「ダニエル。私は神の計画を悟らせるためにやって来た。
+ あなたが祈り始めた時、一つの命令が出たので、それを伝えに来たのだ。それというのも、神があなたを非常に愛しておられるからだ。よく耳を傾けて、あなたが見た幻の意味を悟るようにせよ。
+ 主は、エルサレムとあなたの同胞とに、さらに四百九十年に及ぶさばきを言い渡した。そののち、ようやく彼らは罪から離れるようになり、その罪のとがめから解き放たれる。それから、永遠の義の支配が始まり、預言者たちが告げたように、神殿の至聖所が再建される。
+ さあ、よく聞け。エルサレム再建の命令が出てから油を注がれた方が来るまで、四十九年に加えて四百三十四年かかる。それは苦しい時代だが、その間にエルサレムの城壁も町も再建される。
+ この四百三十四年が過ぎると、油を注がれた方は、その王国が実現する前に殺されてしまう。すると、一人の王が起こり、その軍隊がエルサレムの町と神殿とを破壊する。神の民は、まるで洪水に会ったように、一気に押し流されてしまう。その時から終わりの時まで、戦争と荒廃が続く。
+ この王は、神の民と七年の条約を結ぶが、その期限の半ばで約束を破り、ユダヤ人がいけにえとささげ物をささげるのをすべてやめさせる。それから、その恐ろしい行為の絶頂として、この敵である王は神の聖所を徹底的に汚す。だが、神の時と計画に従って、この悪者に断固たるさばきが下される。」
+
+
+ ペルシヤの王クロスの治世の第三年に、ベルテシャツァルとも呼ばれたダニエルは、もう一つの幻を見ました。それは、いつか必ず起こる出来事について、すなわち、打ち続く戦争や悲惨による激しい苦難の時代のことでした。この時ダニエルは、その幻の意味を悟ることができました。
+ (ダニエルはのちに、次のように言ったのです。)この幻を見た時、私はまる三週間、喪に服していました。
+ その間ずっと、ぶどう酒も肉も、甘いものさえも口にすることはありませんでした。体を洗ったり、ひげを剃ったり、髪を梳いたりもしませんでした。
+ 第一の月の二十四日、私はティグリス川のほとりに立っていました。
+ 突然、目の前に、亜麻布の衣服をまとい、腰に純金の帯を締め、光り輝く肌をした人が立っているのが見えたのです。その顔からは、いなずまのような、目もくらむばかりの閃光がきらめいています。目は燃える火の池のようであり、腕と足は磨き上げた真鍮のように輝き、その声は大群衆の叫びのようです。
+ この圧倒されるような幻を見たのは、私だけでした。いっしょにいた者たちは何も見なかったのに、突然、異常な恐怖に取りつかれ、逃げて身を隠してしまい、
+ 私だけが残ったのです。この恐ろしい幻を見て、私はすっかり力が抜け、恐怖のあまり顔色も青ざめてしまいました。
+ それからその人が語りかけましたが、私は意識を失い、うつぶせに地面に倒れてしまいました。
+ すると、一つの手が、手もひざも震えている私を起こしてくれました。
+ その時、その人の声が聞こえました。「さあ、神に大いに愛されているダニエルよ、立ちなさい。これから語ることを、よく聞くがいい。神が私をあなたのところへお遣わしになったのだ。」そこで私は、まだ恐怖で震えながらも立ち上がりました。
+ その人は続けました。「ダニエル、恐れることはない。あなたが神の前で断食し、幻の意味を悟ることができるように祈り求めた最初の日に、あなたの願いは天において聞かれ、すでに答えられているからだ。その日に、私はあなたに会うため、ここに遣わされていた。
+ ところが二十一日間、ペルシヤを支配する強力な悪の霊が行く手に立ちふさがっていた。その時、天の軍勢の最高指揮官の一人ミカエルが助けに来てくれたので、私はペルシヤのこの悪の霊たちを突破することができたのだ。
+ 今、私は、終わりの時にあなたの同胞であるユダヤ人に起こることを知らせるために、ここに来ている。この預言の実現はまだ何年も先のことだ。」
+ このことばを聞いている間、私はずっとうつむいて、ひと言も話すことができませんでした。
+ その時、人のように見える者がくちびるに触れてくれました。すると再び話せるようになり、私は天からの使者に言いました。「あなたの出現に恐れおののき、力も抜けてしまいました。
+ 私のような者が、どうしてあなたとお話しできましょう。力が抜けて、息をするのがやっとです。」
+ その時、もう一度その人が私に触れてくれました。すると、元気を取り戻したような気がしたのです。
+ その方は言いました。「神はあなたを非常に愛しておられる。だから、恐れるな。気を落ちつけて、しっかりするのだ。」このことばを聞くと、急に力がわいてきました。「どうぞ、先を続けてください。あなたが力づけてくださったので、もう大丈夫です。」
+ 「なぜ私が来たか知っているか。『未来の書』に書かれていることを知らせるために、ここにいるのだ。それから私はここを去り、再びペルシヤの君主と戦うために帰って行く。そのあとで、ギリシヤの君主とも戦う。あなたの同胞イスラエルを守る天使ミカエルしか、私を助けてくれる者はいない。
+
+
+ メディヤ人ダリヨスをその治世の第一年に力づけ、助けるために遣わされたのは、この私だった。
+ 今、その私が、将来起こることをあなたに示そうとしている。さらに三人のペルシヤ人の王が治め、そのあと、この三人よりはるかに富んだ第四の者が王位を継ぐ。この王は、その富を政治的に利用し、ギリシヤに全面戦争をしかける。
+ その時、ギリシヤに強力な王が起こる。この王は、広大な国を治め、計画したことをすべて実現する。
+ だが、その権力の絶頂で王国は崩壊し、分割されてこれよりも弱い四つの国になる。しかも、それらの国も王の息子たちのものとはならず、ほかの者たちに与えられる。
+ そのうちの一人、エジプトの王は権力を増すが、高官の一人が反逆して王国を乗っ取り、さらに強大な国にする。
+ 数年後、シリヤの王とエジプトの王とは同盟を結ぶ。エジプト王の娘が、和睦のしるしとしてシリヤの王に嫁がされる。だが、彼女はやがてシリヤの王に対する影響力を失い、彼女自身の期待だけでなく、父親であるエジプト王をはじめ、大使や、彼女が産んだ子どもの期待をも踏みにじる結果となる。
+ だが、彼女の兄弟がエジプトの王になると、軍隊を率いてシリヤの王と戦い、ついに打ち負かす。
+ エジプトに凱旋する時、彼はシリヤの偶像や高価な金銀の食器類を、戦利品として持ち帰る。そののち何年間か、彼はシリヤの王にかまわない。
+ そうこうするうち、シリヤの王は短期間エジプトを侵略するが、すぐに自分の国へ帰ってしまう。
+ ところが、このシリヤ王の息子たちは大軍を集めて、イスラエルからエジプトへ洪水のように押し寄せ、攻め入ろうとする。それを見てエジプトの王は非常に怒り、シリヤの大軍を迎え撃って敗走させる。
+ この大勝利に気をよくした王は、さらに幾千もの敵を打ち殺すが、その勝利は長続きしない。
+ 二、三年してシリヤの王は、かつて敗北した時よりもはるかに装備された大軍を率いて、攻め返す。
+ その時は、他の国々もエジプト攻撃に加わる。さらに、あなたの同胞であるユダヤ人の暴徒もそれに加わり、こうして預言を実現させようとするが、失敗に終わる。
+ それから、シリヤの王と同盟国軍が攻め寄せ、エジプトの要塞化された町を包囲し、占領する。エジプトが誇る精兵も打ち負かされる。
+ シリヤの王は抵抗を受けずに攻め進み、だれもそれを食い止めることができない。彼はまた、『栄光の国』イスラエルに踏み込み、そこを略奪する。
+ 全エジプトを征服しようとするシリヤの王の策略は、自分もエジプトの王と同盟を結び、娘を政略結婚させ、その国を内部からくつがえそうというものである。だが計画は失敗する。
+ そののち、シリヤの王は沿岸の町々に目を向け、その多くを征服する。だが、一人の将軍がその攻撃を阻み、不面目な退却を余儀なくさせる。
+ 王は再び国へ引き返すが、途中で災難に会い、姿を消す。
+ 彼の後継者は、イスラエルに収税官を派遣した王として知られるが、ごく短期間、王座にあるだけで、戦争にも暴動にもよらず、不可解な死に方をする。
+ その跡を継ぐ王は、王家の血筋に関係のない悪者で、国の危機に乗じて、巧言と陰謀で王国を奪い取る。
+ 彼の前から、祭司の指導者を含むすべての反対者が一掃される。
+ この王の約束は無意味で、そのやり口は最初から欺きによる。ほんの一にぎりの側近を伴って、彼は強大な権力者となる。
+ 彼は不意に、その国の最も肥沃な地域に侵入し、だれもしたことがないことをする。富む者たちの富と財産を取り上げて、民に気前よく与えるのだ。領土内の強力な要塞をうまく包囲し攻略するが、これも短期間のことだ。
+ それから、彼は勇気を奮い起こし、大軍を率いてエジプトを攻める。エジプトも強力な軍隊をもって応戦するが、どうすることもできない。エジプトに対する陰謀が功を奏するからだ。
+ エジプト王の身内の者たちが彼に反逆し、軍隊も持ち場を捨てて、多くの人が殺される。
+ この二人の王は、会談の席でも互いにだまし合い、陰謀を巡らし合う。だが、それで事情が変わるわけではない。神の定めた時がくるまで、どちらも成功することはない。
+ シリヤの王はばく大な富を携えて国へ帰って行くが、真っ先にイスラエルに進撃して、これを滅ぼそうとする。
+ それから、定められた時に、すでに脅しをかけておいたとおり、再び南へ軍隊を進めるが、今度は以前のようにはいかない。
+ というのも、ローマの軍艦におびえて退却し、国へ逃げ帰るはめになるからだ。退却を余儀なくされた王は腹を立て、再びエルサレムを襲って聖所を汚し、毎日のささげ物をやめさせ、神殿の中で偶像を礼拝する。エルサレムを去る時、父祖の信仰を捨ててしまった不信仰なユダヤ人を、権力の座につかせる。
+ 王は、神を憎む者たちにこびて、自分の側につかせようとする。だが、神を知る人々は勢力を増し、大きなことを行うようになる。
+ その時霊的理解力を備えた人々は、多くの人を教える幅広い働きをする。だが、いつも危険にさらされ、そのうちの多くの者は火や剣で殺され、あるいは獄につながれ、略奪される。
+ やがて、こうした迫害も収まるだろう。だが、不信仰な者たちの中から、援助の手を差し伸べるように見せかけ、実は自分たちに有利に事を運ぼうとする者たちが現れる。
+ その時には、神のことをよく悟っている人々の中からも、つまずき倒れる者が出る。これは、神の定めた試練が終わる時まで、彼らを精錬し純化するためである。
+ この王は、何でも自分の好きなようにふるまい、どんな神よりも自分は偉いと主張して、まことの神さえも冒瀆し、なお栄えている。それも彼の時が終わるまでだ。神の計画は揺らぐことがないから。
+ 彼は先祖の神々も、女たちの慕う神も、その他のどんな神も心にかけない。どの神々よりも自分は偉いと思い上がっている。
+ その代わりに、先祖たちの知らなかった、とりでの神を礼拝し、高価なささげ物を惜しげもなくささげる。
+ この神の助けによると主張して、彼は最強を誇るとりでの攻略に成功する。また、自分によく従う者たちを重用し、彼らに権力を与え、報奨として領土を与える。
+ それから、終わりの時がくると、南の王は北の王に再び攻めかかる。北の王はつむじ風のような力と狂暴さをもって反撃し、その巨大な陸軍と海軍の総力をあげて、南の王を葬り去ろうと攻め寄せる。
+ 進撃の途上、麗しい国イスラエルを含む多くの国々を侵略し、その政府を打ち倒す。モアブとエドム、およびアモンの大部分は侵略を免れる。
+ だが、エジプトと他の多くの国々は占領される。
+ 彼はエジプトの宝物を戦利品とし、リビヤ人やエチオピヤ人を従わせる。
+ ところが、東と北からの知らせが王を脅かし、激しい怒りに燃えて引き返す時、その行く先々を荒らし回る。
+ 彼はエルサレムと海との間に立ち止まり、そこに本営を置く。ところが、そこに滞在する間に、突然、彼の時が終わり、助ける者は一人もいなくなる。
+
+
+ その時、あなたの国を守る強力な御使いの君主、ミカエルが立ち上がり、あなたのために天で悪魔の軍勢と戦う。こうして、これまでのユダヤの歴史で経験したどの苦難よりも深刻な、苦しみの時がくる。だが、あなたの同胞のうち、いのちの書に名が記されている者は、みな耐え忍ぶことができる。
+ 死んで葬られた者のうち、多くの者が生き返る。ある者は永遠のいのちへ、ある者は永遠の辱めへと。
+ 賢い神の民は、太陽のように明るく輝く。多くの人を正しい道に導く者は、いつまでも星のようにきらめく。
+ ところで、ダニエルよ、この預言を人に知らせてはならない。終わりの時がくるまで、だれにも悟られないように、この預言のことばを封じておけ。人々は知識を増そうとあちこち行き巡るだろう。」
+ それから、私が見ていると、川の両岸に一人ずつ、人が立っていました。
+ その一人が、今は川の水の上に立っている、あの亜麻布の衣を着た人に尋ねました。「いつになったら、この恐ろしいことがすべて終わるのですか。」
+ その人は両手を天にあげ、永遠に生きておられる方を指して誓ってこう答えました。「神の民の勢力が打ち砕かれてから三年半が過ぎるまでは、終わりません。」
+ 私はその人が言うことを聞いても、その意味を理解できませんでした。そこで、こう尋ねました。「恐れ入りますが、これはどんな結末になるのでしょうか。」
+ その人は言いました。「ダニエルよ、さあ行け。私が言ったことは、終わりの時がくるまで理解されない。
+ 多くの者は、激しい試練や迫害によってきよめられる。しかし悪者は悪の中に生き続け、一人として悟る者がない。進んで学ぼうとする者だけが、その意味を知るようになる。
+ 毎日のささげ物が取り除かれて、『恐るべきもの』が礼拝されるために据えられてから、千二百九十日ある。
+ なお忍耐して千三百三十五日に至る者は、なんと幸いなことか。
+ あなたは自分の人生を全うし、休息に入るがよい。あなたは生き返り、終わりの時に受けるべき分を完全に受けるようになる。」
+
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+
+
+ ユダ(南王国)の四人の王、ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの治世、そしてイスラエル(北王国)の王の一人、ヨアシュの子ヤロブアムの治世に、ベエリの子ホセアに主からのお告げがありました。
+ 最初に告げられたのはこうです。「遊女と結婚せよ。その女から生まれる子どものうちには、ほかの男が父親である子もいる。そのことは、わたしの民がわたしに対して不誠実であることを表している。彼らは他の神々を礼拝し、わたしを無視して、堂々と姦淫をしている。」
+ こうしてホセアは、ディブライムの娘ゴメルと結婚しました。彼女はみごもり、男の子を産みました。
+ すると、主は言いました。「その子をイズレエルと名づけよ。わたしはイズレエルの谷で、エフーが犯した殺人(Ⅱ列王10‧11参照)に報復するため、エフー王家を罰しようとしている。そうだ、わたしはイズレエルの谷で、イスラエルの独立を失わせ、その国の力を打ち破ろう。」
+ まもなくゴメルは、もう一人の子を産みました。今度は女の子です。そして神はホセアに言いました。「その子をロ‧ルハマ(『もうあわれみをかけない』の意)と名づけよ。わたしは二度とイスラエルにあわれみをかけず、イスラエルを赦そうとは思わないからだ。
+ だが、ユダ部族にはあわれみをかける。ユダ王国の軍隊や武器の力によらず、わたし自身の力で、ユダを敵の手から救い出して自由にする。」
+ ロ‧ルハマが乳離れすると、ゴメルはまたもみごもり、今度は男の子を産みました。
+ そして神は言いました。「その子をロ‧アミ(『わたしのものではない』の意)と名づけよ。イスラエルはわたしのものではなく、わたしも彼らの神ではないからだ。
+ それでも、イスラエルが栄え、大きな民となる時がくる。その日には、彼らは海辺の砂のように数えきれないほどの数となる。その時わたしは彼らに、『あなたたちはわたしの民ではない』と言わずに、『あなたたちはわたしの息子、生ける神の子どもだ』と言おう。
+ それから、ユダとイスラエルの民は統一され、一人の指導者が立てられる。人々は捕囚の地からいっしょに帰って来る。それが実現する日は、なんとすばらしいことか。その日、わたしはわたしの民を、彼らの土地である肥沃な土壌に、再び植えつける。」
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+ 「イズレエルよ、あなたの弟と妹の名を改めよ。弟をアミ(『今、あなたはわたしのもの』の意)、妹をルハマ(『あわれみを受けた』の意)と呼ぶのだ。神があわれみをかけようとしておられるからだ。
+ あなたたちの母親を責めよ。彼女はほかの男の妻になったからだ。わたしはもう彼女の夫ではない。姦淫をやめ、ほかの男たちに身を任せないよう、彼女に懇願するがいい。
+ もしやめなければ、わたしは彼女の着物をはいで生まれた日のように裸にし、ききんや日照りで地割れした土地にいるように、渇きでやせ衰えて死ぬようにさせる。
+ わたしは彼女の子どもたちを、わが子を愛するようには愛さない。わたしの子ではなく、ほかの男の子どもだからだ。
+ それというのも、その母親が姦淫したからだ。彼女は『ほかの男たちを追いかけよう。食べ物、飲み物、着物のために身を売ろう』と言って、恥ずかしいことをした。
+ わたしは、いばらの茂みで彼女を囲み、道をふさいで迷わせる。
+ そのため、彼女が愛人たちを追いかけても、追いつくことができない。捜し回っても見つけることができない。そこで、『夫のもとに戻ろうか。今よりも、あの人といっしょの時のほうがよかった』と考えるようになる。
+ 彼女は、持っているものはすべて、わたしが与えたものであることに気づかない。彼女の神バアルを拝むために使った金や銀も、全部わたしが与えたものだ。
+ だからわたしは、今からは、わたしが欠かさず与えたぶどう酒と穀物を取り戻そう。彼女の裸を覆うために与えた着物も取り戻そう。もう、季節ごとの豊かな収穫を約束せず、ぶどうの収穫の時にもぶどう酒を与えない。
+ さあ、彼女の裸を人前にさらして、愛人たちに見せつけよう。だれもわたしの手から彼女を救い出すことはできない。
+ 彼女のすべての喜び、宴、休日、祭りをやめさせる。
+ 彼女が愛人たちに報酬として要求したぶどう畑と果樹園を荒らし、雑木林のようにする。野獣がその実を食う。
+ 彼女が自分の偶像バアルのために香をたき、耳輪や宝石を身につけ、わたしを捨てて、恋人たちを探し求めて行ったこと、こうしたすべてのことのために、わたしは彼女に仕返しをする。」主がこう言うのです。
+ 「だが、わたしは再び彼女をくどいて荒野に連れて行き、やさしく語りかけよう。
+ そこで彼女のぶどう畑を返し、アコル(『苦しみ』の意)の谷を、望みの門に変えよう。彼女はそこでわたしに答え、喜びにあふれて歌うようになる。まだ彼女が若かったころ、わたしが彼女をエジプトの奴隷から解放した時のように。
+ 主はこう言います。「来ようとしているその日には、彼女はわたしを『私の主人(バアル)』とは呼ばず、『私の夫』と呼ぶようになる。
+ ああ、イスラエルよ。わたしはあなたの偶像を忘れさせよう。その名さえ口にすることがなくなるように。
+ その時わたしは、もうこれ以上、互いに恐れることがないように、あなたと野獣や鳥や蛇との間に契約を結ぼう。すべての武器を滅ぼすので、戦争はすべて終わる。あなたたちは、何の心配もなく休むことができる。
+ 正義と公平、愛とあわれみの鎖で、永遠にあなたをわたしにつなぎとめる。
+ 真実と愛をもって、あなたと婚約する。その時、以前とは全く違って、ほんとうにわたしがわかるようになる。
+ その日、雨を降らせてほしいという天の叫びに答えて、わたしは雨雲を呼ぼう。すると地は、穀物やぶどうやオリーブの木の求めに応じて、水分と露を供給する。全地から、『神が種をまいてくださる』(イズレエル)という大合唱が起こる。神がすべてを与えるのだ。
+ その時わたしはイスラエル人という種をまき、自分自身のためにそれを育てる。『あわれみをかけられなかった』者たちをあわれみ、『わたしの民ではない』者たちに、『今、おまえたちはわたしの民だ』と言おう。すると彼らは、『あなたこそ私たちの神です』と答える。」
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+ それから、主は私にこう言いました。「さあ、もう一度、妻を連れ戻せ。たとえ姦通を愛する女であっても、彼女を愛せ。イスラエルが他の神々に心を向けて、高価な贈り物をささげても、主はなおもイスラエルを愛しているからだ。」
+ そこで私は、銀十五シェケル(百七十一グラム)と大麦一ホメル半(三百三十リットル)で、奴隷であった妻を買い戻し、
+ こう言い渡しました。「当分、ひとりで暮らすのだ。ほかの男たちと出かけたり、遊女になることはやめろ。私は待っているから。」
+ これは、イスラエルが今後ずっと、王も君主もなく、祭壇も神殿も祭司も、また偶像もなく過ごすことを示しています。
+ のちに彼らは、彼らの神、主と、彼らの王であるメシヤのもとに帰って来るでしょう。終わりの日に、彼らは震えおののきながら、うやうやしく主とその祝福に近づいて来るのです。
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+ イスラエルの民よ、主のことばを聞きなさい。主は次のようにあなたがたを訴えています。「あなたたちの地には、誠実もなく、親切もなく、神を知ることもない。
+ ののしり、うそをつき、殺し、盗み、姦淫にふけっている。至る所に暴力があり、殺人は後を断たない。
+ それで、この地には産物がなく、悲しみだけが満ちる。すべての生き物は病んで倒れ、動物も鳥も、そして魚までもが姿を消す。
+ だれかを指さして、責めるようなことをするな。そら、祭司よ。わたしの指はあなたをさしている。
+ その罪のため、おまえたち祭司は真昼でも夜と同じようにつまずく。あなたたちの偽預言者も同じだ。わたしは、あなたたちの母であるイスラエルを滅ぼす。
+ わたしの民は、わたしを知らないために滅ぼされる。それもみな、あなたたち祭司のせいだ。あなたたちがわたしを知ろうとしなかったからだ。だからわたしも、あなたたちをわたしの祭司とは認めない。あなたたちがわたしのおきてを忘れてしまったので、わたしもあなたの子どもたちを祝福することを忘れよう。
+ わたしの民は数を増せば増すほど、わたしに罪を犯した。神の栄光を偶像の恥に変えたのだ。
+ 祭司は民の罪を喜び、それをむさぼり食い、もっと欲しいと舌なめずりする。
+ だから『祭司も民も変わらない』と言われる。祭司が悪いから、民も悪くなるのだ。だから、祭司も民も、その邪悪な行いに応じて罰する。
+ 彼らはいくら食べても腹がへる。いくら姦淫しても、望む子どもは生まれない。わたしを見捨てて、他の神々へ心を向けたからだ。
+ 酒と女と歌は、わたしの民から判断力を奪ってしまった。
+ 驚いたことに、彼らは木片に向かって、自分はどうしたらよいかと尋ねている。神の真理を占いによって知るというのだ。偶像を恋い慕ううちに、彼らは愚か者になってしまった。遊女のようにふるまって他の神々に仕え、わたしを捨ててしまった。
+ 山の頂で偶像にいけにえをささげ、丘に登って、樫やポプラやテレビンの木の心地よい木陰で香をたく。あなたたちの娘はそこでみだらな行為に走り、あなたたちの嫁はそこで姦淫をする。
+ だが、どうしてわたしが彼女らを罰するだろうか。男のあなたたちも同じことをし、遊女や神殿娼婦と共に罪を犯しているのだから。愚か者め。いっこうに理解しようとしないので、あなたたちの運命は定まっている。
+ イスラエルが売春婦のようであっても、どうかユダはそのような生活から遠ざかっていてくれるように。ユダよ、彼らの仲間になるな。彼らはギルガルやベテルで、心にもなくわたしを礼拝している。その礼拝は見せかけにすぎない。
+ イスラエルは若い雌牛のように扱いにくく、主が草の生い茂る牧場へ連れて行こうとしても、少しも言うことを聞かない。ユダよ、そのようになるな。
+ イスラエルは偶像崇拝から離れない。そのような者から遠ざかれ。
+ イスラエルの男たちは酒を飲みあかし、それが終わると売春婦をあさる。名誉よりも恥を愛している。
+ だから、強い風が彼らを吹き飛ばす。偶像にいけにえをささげたので、恥さらしな死に方をするのだ。
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+ 祭司とイスラエルの指導者よ、よく聞け。王家の者たちよ、聞け。あなたたちはもう終わりだ。あなたたちはミツパとタボルで、民をたぶらかして偶像に走らせた。
+ 心の曲がった者は、深い穴を掘って彼らをその中に落とし込んだ。しかし、決して忘れるな。わたしは必ずあなたたちを懲らしめる。
+ あなたたちの邪悪な行いはすべて見た。イスラエルよ。売春婦が夫を置き去りにするように、あなたたちはわたしを捨てた。全身汚れきっている。
+ その行いにとどまる彼らは神のもとへ帰ろうとは考えない。姦淫の霊が心の奥深くにあって、主を知ることができないからだ。
+ イスラエルの鼻持ちならない思い上がりは、わたしの法廷で不利な証言となる。イスラエルは罪の重荷によろめき、ユダも倒れる。
+ それからやっと、羊や牛の群れを引いて、神にいけにえをささげにやって来る。だが、もう遅い。もう神を見つけることはできない。神は彼らから離れて行き、彼らだけが取り残される。
+ 彼らは主の子でない子どもを産んで、主の顔に泥を塗ったからだ。あっという間に、彼らも彼らの富も消えうせる。
+ 警告を発せよ。ギブアとラマで、ベテ‧アベンまでもラッパを吹き鳴らして警告せよ。ベニヤミンの地も震えおののけ。
+ イスラエルよ、この知らせを聞け。刑罰の日がくれば、おまえたちは瓦礫の山となるのだ。
+ ユダの指導者たちは、最もたちの悪い盗人となる。だから、私の怒りを彼らの上に、滝のように注ぎかける。
+ エフライム(イスラエル)は偶像に従う決心をしたので、わたしの宣告によって押しつぶされる。
+ しみ(小さな虫)が羊毛を食い尽くすように、わたしはエフライムを滅ぼす。木材が腐るように、ユダの力を取り去る。
+ エフライムとユダが自分たちの病状を知ると、エフライムはアッシリヤの大王に頼ろうとする。だが、大王は助けることも、治すこともできない。
+ ライオンが獲物を引き裂くように、わたしはエフライムとユダとを引き裂き、連れ去る。彼らを助けようとする者たちを追い散らす。
+ 非を認めて、再びわたしに助けを求めるまで、彼らを放置し、家に戻っていよう。苦しい目に会うと、たちまち彼らはわたしを捜し求め、次のように言うからだ。
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+ 『さあ、主に帰ろう。私たちを引き裂いたのは主だ。その方が治してくださる。主は傷つけたが、手当てしてくださる。
+ ほんの二日で、いや、せいぜい三日で、私たちを立ち上がらせて再び愛のうちに生かしてくださる。
+ ああ、主を知りたい。さらに主を求めよう。そうすれば、必ず夜明けが訪れ、早春の雨期がくるように、必ず答えてくださる。』
+ エフライムとユダよ。あなたたちをどうしたらいいのか。あなたたちの愛は、朝もやのように消えうせ、露のように消え去る。
+ わたしは預言者たちを遣わして、あなたたちに迫る滅びを警告した。『あなたがたを滅ぼす』と脅すことばによって、あなたたちを切り殺した。前ぶれもなく突然に、ちょうど昼のあとに夜がくるように、わたしのさばきがあなたたちを打ち倒す。
+ いけにえはいらない。わたしを愛してほしいのだ。ささげ物もいらない。わたしを知ってほしいのだ。
+ ところが、あなたたちはアダムのように契約を破り、わたしの愛をはねつけた。
+ ギルアデは罪人たちの町で、血の足跡がついている。
+ 強盗が犠牲者を待ち伏せるように、祭司は徒党を組み、シェケムへ通じる道で人を殺し、ありとあらゆる犯罪を重ねている。
+ まさに、わたしはイスラエルの中に恐ろしいことを見た。エフライムは他の神々を追い求め、イスラエルはとことんまで身を汚している。
+ ユダよ。あなたたちにも、重い刑罰を刈り入れる時がやってくるる。わたしはあなたたちを、どれほど祝福したかったことか。
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+ わたしはイスラエルを赦したかったが、イスラエルの罪はあまりにもひどかった。うそつきやどろぼうや追いはぎにならなければ、だれもサマリヤに住めないほどだ。
+ イスラエルの民は、わたしが見ていることなど気にもかけない。その罪深い行いが、あらゆる面から彼らの正体をあばいている。わたしはそれをすべて見ている。
+ 王は彼らの悪事を喜び、君主たちは彼らのうそに笑い転げる。
+ 彼らはみな姦通者だ。パンを焼く者が小麦粉をこね、それがふくらむのを待つ間を除いて、パン焼きがまがいつも燃えているように、この民はいつも欲望を燃やしている。
+ 王の誕生日に、君主たちは王を酔わせる。王は自分を笑い者にし、自分をあざける者たちと酒を飲む。
+ 彼らの心は陰謀で炉のように燃えさかる。その計略は夜通しくすぶり、朝になると、めらめらと燃え上がる。
+ 彼らは次から次へと王を殺す。だが、誰ひとり、わたしに助けを呼び求めようとしない。
+ わたしの民は異教徒とつき合い、その悪に染まっている。こうして生焼けの菓子のように、何の役にも立たなくなる。
+ 外国の神々を礼拝することで、彼らの力は奪われてしまった。だが、それに気づいていない。エフライムは白髪になっているのに、自分が老い衰えたことを知らない。
+ ほかの神々を自慢することで、公然と自分を罪に定めている。それでも自分の神のもとには帰らず、神を見つけようともしないのだ。
+ エフライムは愚かで、思慮の欠けた鳩だ。エジプトに呼びかけ、アッシリヤに飛んで行く。
+ だが、わたしは飛んでいるイスラエルに網を投げ、空から落ちる鳥のように引き落とす。わたしは、そのすべての悪行に報いる。
+ わたしを捨てたわたしの民は災いだ。わたしに罪を犯したのだから滅びうせよ。わたしは救い出したかったが、彼らは強情で、真理を受け入れようとしなかった。
+ 彼らは心配のあまり眠れない。それでも、わたしに助けを求めない。それどころか異教の神々を拝み、それらに収穫と繁栄を願い求めている。
+ わたしは彼らを助け、また強くした。それなのに今、彼らはわたしに背を向けている。
+ 彼らはあたり一帯を見回すが、いと高き神がいる天には目を向けない。まるで、いつも的をはずす、曲がった弓のようだ。指導者たちは、わたしへの傲慢な態度のために敵の剣に倒れる。こうして全エジプトが彼らをあざ笑うようになる。
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+ 警告を発せよ。敵が来る。はげたかのように、神の民を襲って来る。彼らがわたしとの契約を破り、わたしのおきてに背いたからだ。
+ 今になってイスラエルは、『神よ、助けてください』と泣きつく。
+ だが、もう遅い。イスラエルはまたとない機会を軽蔑して投げ捨てた。だから今、敵に追いかけられることになる。
+ イスラエルはわたしの同意なしに、王や君主を立てた。金や銀で偶像を作り、それを拝んで、わたしの助けをはねのけた。
+ サマリヤよ。わたしはあの子牛など認めない。あれはあなたたちが作った偶像だ。あなたたちには全く腹が立つ。いつになったら、あなたたちの中に正直者をたった一人でも見つけることができるのだろう。
+ いつになったら、自分たちが拝んでいる子牛を、人間の手で作られたものだと認めるのだろう。そんなものは神ではない。だから粉々に砕いてしまわなければならない。
+ 彼らは風を蒔いて、つむじ風を刈り取る。麦には穂が出ず、茎だけが立っている。そのうち枯れて病気になり、実を結ばない。たとえ実を結んでも、外国人に食べられてしまう。
+ イスラエルは滅ぼされ、壊れた壺のようになって、国々の間に横たわる。
+ ひとりぼっちでさまよう野生のろばのようだ。友と言えば、自分が雇った者たちだけで、アッシリヤもその一人だ。
+ たとえ多くの国から『友』を雇っても、わたしはイスラエルをさばき、国から追い出す。そうすればしばらくの間は、イスラエルは自分たちのすばらしい王の重荷から解放されることになる。
+ エフライムは多くの祭壇を築いたが、わたしを礼拝するためのものではない。それは罪のための祭壇だ。
+ たとえわたしが一万のおきてを授けても、彼らはそれを自分のものではないと言い、遠くにいるだれかのものにするだろう。
+ この民は、いけにえの儀式を好むが、わたしにとっては無意味なものだ。わたしは彼らの罪の清算を要求し、罪を罰する。彼らはエジプトに戻る。
+ イスラエルは大きな宮殿を多く建て、ユダは町々の防備を固めた。しかし、自分たちを造った方を忘れてしまった。だから、わたしはそれらの宮殿に火を送り、それらの要塞を燃やしてしまう。
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+ イスラエルよ、ほかの国々のように喜ぶな。あなたは自分の神を捨て去り、すべての麦打ち場で、ほかの神々にいけにえをささげたからだ。
+ それゆえ、収穫は乏しく、ぶどうの木も枯れてしまう。
+ あなたはこの神の地にこれ以上とどまることができず、エジプトやアッシリヤに連れ去られる。そこで残飯を食べて暮らすようになる。
+ 祖国を遠く離れたその地では、神へのささげ物としてぶどう酒を注ぐことは許されない。その地でささげられるいけにえは、どれも神を喜ばせることができないからだ。それは、葬式の食物のように汚れている。そのようないけにえを食べる者は汚れる。自分のためにそれを食べるのはかまわないが、神にささげることは許されない。
+ それでは、アッシリヤに奴隷として連れて行かれる時、聖なる日や主の祭りの日に、何をしようとするのか。あとに残された財産は、だれが相続するのか。エジプトだ。エジプトはあなたたちの死体を集め、メンピスが埋葬する。その廃墟には、いばらとあざみが生える。
+ イスラエルの刑罰の日がきた。報復の日がほぼきており、まもなくイスラエルは、そのことをいやというほど思い知らされる。『預言者たちは頭がおかしい。』『霊感を受けた人たちは狂っている。』こう言って人々はあざ笑う。それは、この国が罪の重りをつけられ、神を愛する者たちに憎しみしか示さないからだ。
+ わたしは自分の民を守ろうと預言者を任命した。だが、民はことあるごとに預言者たちを妨害し、公の場で憎しみを露骨に示し、主の神殿でも同じようにふるまった。
+ 今わたしの民がしていることは、昔、彼らがギブアでしたこと(士師19‧14以下参照)と同じように堕落している。主はそれを忘れず、必ず罰を下す。
+ ああ、イスラエルよ。荒野であなたたちを導いた、あのころ、わたしはあなたたちを荒野で見つけたぶどうのように、夏の初物のいちじくのように、大切にした。ところがあなたたちは、バアル‧ペオル(イスラエル人が偶像礼拝をした山)でわたしを捨て、ほかの神々に身をゆだね、やがて、それらの神々と同じように汚れてしまった。
+ イスラエルの栄光は鳥のように飛び去る。あなたたちの子どもは出産と同時に死に、あるいは胎内で消えうせ、あるいははらまれることもなくなる。
+ たとえ子どもが育っても、わたしは彼らを取り去る。すべてが滅びに定められている。わたしがあなたたちから離れ、あなたたちを放り出す時は、悲しみの日となる。」
+ わたしはイスラエルの息子たちを滅びに定めた。父親は、虐殺が行われる場所まで息子たちを連れて行かなければならない。
+ 主よ、あなたの民のために、何を願ったらよいのでしょう。子を産まない胎を、乳を出して養うことをできない乳房を、私は求めます。
+ 「彼らのすべての悪事はギルガルで始まった。わたしも、その地で彼らを憎み始めた。その偶像礼拝のゆえに、わたしは彼らをわたしの地から追い出す。もう彼らを愛さない。彼らの指導者はみな反逆者だからだ。
+ エフライムは滅びに定められている。イスラエルの根は干からび、もう実を結ばなくなる。たとえ子を産んでも、わたしはそのいとし子を殺す。」
+ 私の神は、イスラエルの民が聞くことも従うこともしないので、彼らを滅ぼします。彼らは諸国の民の間で、祖国のない、さすらいの民となるのです。
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+ 「イスラエルの繁栄ぶりの、なんとすばらしいことか。まるで実を豊かに結んだぶどうの木のようだ。ところが、わたしが富を増やせば増やすほど、異教の神々の祭壇に多くの物が供えられる。収穫を豊かにすればするほど、それだけ多くの美しい彫像や偶像が立てられる。
+ イスラエルの民の心は神への偽りで満ちている。彼らには罪があり、刑罰を受けなければならない。神は彼らの作った異教の偶像を砕き、その祭壇を打ち壊す。」
+ その時、彼らは言います。「私たちが主を捨てたので、主は王を取り去ってしまった。でも、だからどうだというのだ。王などいらない。」
+ 彼らは守る気もないのに約束をします。そのため、畑のうねの間に生える毒草のように、さばきが彼らの間に生え出るのです。
+ サマリヤの住民は、ベテ‧アベンの子牛像が傷つけられないだろうかと震えおののきます。祭司と民も、打ち砕かれた神々の失われた名誉のために嘆きます。
+ この子牛の神の像は、彼らがアッシリヤに奴隷となって行く時、そこの大王への贈り物としていっしょに運ばれます。こんな偶像に信頼していたのかとエフライムはあざけられ、イスラエルは恥をかきます。
+ サマリヤの王は、大海の波間にただよう木切れのように消えうせます。
+ イスラエルが罪を犯した、ベテルにあるアベンの祭壇はくずれ落ち、いばらやあざみがその回りに生い茂ります。人々は山や丘に、「私たちの上に落ちかかり、押しつぶせ」と叫ぶのです。
+ 「ああ、イスラエルよ。ギブアでのあの恐怖の夜以来、ただ罪、罪、罪の連続だ。あなたたちには全く進歩が見られない。ギブアの者たちに戦いが襲いかかったのは当然のことだと思わないのか。
+ わたしはあなたたちの不従順に立ち向かう。山のように積み上げられた罪を罰するために、諸国の軍隊を集めてあなたたちを攻めさせる。
+ エフライムは麦打ち場で麦を踏むことに親しみ、その楽な仕事を好む。わたしはこれまで、エフライムに重いくびきをかけたことはなかった。そのか弱い首をいたわったのだ。だが今、くびきをかけて馬鍬を引かせ、畑を耕させる。気楽に過ごす時代は終わった。
+ 正義という種をまけ。そうすれば、わたしの愛という実を刈り取る。堅くなった心を耕せ。今は主を求める時だ。主は来て、救いを雨のように注いでくださる。
+ ところが、あなたたちは悪を耕し、はびこる罪という実を育ててきた。巨大な軍事力があれば国は安全だと信じたので、そのような偽りに信頼した報いを、十分に受けたのだ。
+ それで、戦争の恐怖が民の中に起こり、シャレマンがベテ‧アレベルを破壊したように、あなたたちの要塞はみなくずされる。母親も子どもも、その場で一気に殺される。
+ イスラエルの民よ。それもみな、あなたたちの罪悪があまりにもひどいからだ。ある朝、イスラエルの王は滅ぼされる。
+
+
+ イスラエルが子どものころ、わたしは彼を息子のように愛し、エジプトから連れ出した。
+ それなのに、呼べば呼ぶほど彼はますます反逆し、バアルにいけにえをささげ、偶像に香をたいた。
+ わたしは、彼が赤ん坊の時から面倒を見、歩くことを教え、腕に抱いた。だが彼は、彼を育てたのはこのわたしであることを、知りもしなければ心にかけようともしない。
+ 人が大切な牛を引いて歩くように、わたしはイスラエルを愛の綱で導いた。食べる時には、くつわをゆるめ、わたし自身が身をかがめて食べさせてやった。
+ しかし、わたしの民はエジプトやアッシリヤに帰る。わたしのところへ帰りたくないからだ。
+ イスラエルの町々は戦争のうずに巻き込まれ、敵は門を突き破り、彼らを要塞に閉じ込める。
+ わたしの民が、わたしを離れると決心したからだ。わたしは彼らが奴隷となると宣告した。解放してくれる者はだれもいない。
+ ああ、わたしのエフライム。どうして、あなたを捨て去ることができよう。どうして見放せよう。どうして、アデマやツェボイム(ソドム、ゴモラと共に滅びた町)のように見捨てることができよう。わたしの心は叫んでいる。何としても、あなたたちを助けたい。
+ 燃えるような怒りがあなたたちを罰するよう命じるが、わたしは罰しない。エフライムを滅ぼすのは、これが最後だ。わたしは神であって、人ではないからだ。わたしはあなたたちのうちに住む聖なる者であって、滅ぼすために来たのではない。
+ 人々は、主のあとについて歩くようになる。わたしはイスラエルの敵に向かってライオンのようにほえ、わたしの民は西方から震えおののきながら帰って来る。
+ 鳥の群れのようにエジプトから、鳩のようにアッシリヤからやって来る。こうしてわたしは、彼らを再び家に住まわせる。これは主からの約束である。」
+ イスラエルは偽りと欺きで私を取り囲みますが、ユダはまだ主に信頼し、聖なる方に忠実です。
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+ イスラエルは風を追い、つむじ風の番をしています。全く危険な遊びです。エジプトやアッシリヤに贈り物をし、援助を求めますが、そのお返しは価値のない約束です。
+ けれども、主はユダを告訴しようとしています。ヤコブはその行いのゆえに、公正に罰せられます。
+ ヤコブは生まれる時に兄弟と争い、大人になってからは神とさえ戦ったのです。
+ まさに、御使いと格闘して勝ちました。彼は御使いに、祝福してくれるようにと泣いて頼みました。ベテルでは、神と顔と顔を合わせるようにして出会い、神は彼に語りかけました。
+ まことに、主は天の軍勢の神であり、主と呼ばれるにふさわしい方です。
+ さあ、神に立ち返り、愛と公正の原理に立ちなさい。いつも、あなたの神に期待しなさい。
+ ところが私の同胞は、不正なはかりで物を売る、ずる賢い商人のようです。だますことが好きなのです。
+ エフライムは自慢しています。「私はこんなに金持ちになった。すべて自分でもうけたのだ。」しかし、富に罪を償うことはできません。
+ 「わたしは、あなたをエジプトの奴隷生活から救い出した主、同じ神だ。わたしは、毎年の仮庵の祭りの時のように、あなたを再び天幕(テント)に住まわせる。
+ わたしは預言者を遣わし、多くの幻やたとえや夢で警告した。」
+ それなのに、ギルガルの罪は相も変わらず、公然と行われています。畑のうねのように何列も祭壇が築かれ、偶像へのいけにえのために使われています。ギルアデも、偶像を拝む愚か者であふれています。
+ ヤコブはアラム(シリヤ)へ逃げ、羊の番をして妻をめとりました。
+ それから主はその民をエジプトから連れ出すために一人の預言者を立て、彼らを導き、守るようにさせました。
+ それなのに、エフライムは主をひどく怒らせました。その罪の支払いとして、主は死の宣告を下すのです。
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+ かつてはイスラエルが何か言うと、国々は恐れのあまり震え上がったものです。イスラエルが強力な君主だったからです。ところが、イスラエルはバアルを拝んで、滅びを決定的なものにしました。
+ 今や民はますます不従順になっています。銀を溶かして鋳型に入れ、人の手で巧みに偶像を作っています。「これにいけにえをささげろ」と言い、子牛の像に口づけしているのです。
+ 彼らは朝もやのように、すぐ乾いてしまう露のように、風で吹き散らされるもみがらのように、煙のように、消え去ります。
+ 「わたしだけが神であり、あなたの主だ。そのことは、エジプトからあなたを連れ出した時から、ずっと変わらない。わたしのほかに神はいない。わたしのほかに救い主はいない。
+ あの乾いて一滴の水もない荒野で、わたしはあなたの面倒を見た。
+ だが、あなたは食べて満足すると、高慢になり、わたしを忘れてしまった。
+ だから、わたしはライオンのように、道で待ち伏せるひょうのように襲いかかる。
+ 子を奪われた熊のようにあなたを引き裂き、ライオンのように食い尽くす。
+ ああ、イスラエルよ。わたしが滅ぼしたなら、だれがあなたを救えよう。
+ あなたの王はどこにいる。なぜ、その王に助けてもらわないのか。この地の指導者はどこにいるのか。あなたは王や指導者を頼みにした。それなら、彼らに救ってもらうがいい。
+ わたしは怒って王を与え、憤って王を取り上げた。
+ エフライムの罪は刈り取られ、罰せられるために積み上げられている。
+ イスラエルは、新生の機会が与えられているのに、母親の胎から出ようとしない子どものようだ。なんと頑固で、愚かなことか。
+ わたしは身代金を払ってイスラエルを地獄から救い出そうか。死から買い戻そうか。死よ、その恐ろしさをイスラエルに存分に味わわせよ。墓よ、その災いをはっきりと示せ。わたしはもうあわれまない。
+ イスラエルは、兄弟たちの中で一番実り豊かな者と呼ばれた。だが、東風、荒野からの主の風が吹きまくり、イスラエルを干上がらせてしまう。そのあふれる湧き水も泉も枯れて、イスラエルは渇きで死ぬ。
+ サマリヤは自分の神に反逆したので、刑罰を受けなければならない。住民は侵略軍に殺され、赤子は地面にたたきつけられ、妊婦は剣で切り裂かれる。」
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+ イスラエルよ、あなたの神、主のところに帰りなさい。あなたは自分の罪によってたたきのめされたのだから。
+ 願い事を携えて来なさい。主のもとへ来て、こう言うのです。「主よ、私たちの罪を取り去り、恵みによって私たちを受け入れてください。私たちは賛美のいけにえをささげます。
+ アッシリヤは私たちを救えません。私たちの戦力も救えません。もう二度と、自分たちの作った偶像を『私たちの神』と呼びません。主よ、みなしごは、あなたの中にしか、あわれみを見つけることができないのです。」
+ 「その時、おまえたちの偶像礼拝と不信の罪をいやそう。わたしの愛は尽きることがない。わたしの怒りは永久に消え去った。
+ わたしは天からの露のようにイスラエルを潤すので、イスラエルはゆりのように花を咲かせ、レバノン杉のように土の中に深く根を張る。
+ 枝はオリーブの木のように美しく伸びて広がり、レバノンの森のように良い香りがする。
+ イスラエルの民は遠い地での捕囚から帰り、わたしの陰にいこうようになる。彼らは水をまいた庭園のようになり、ぶどうの木のように花を咲かせ、レバノンのぶどう酒のように良い香りを放つ。
+ エフライムよ、偶像から離れよ。わたしは生きていて、力強い。わたしがあなたの世話をし、面倒を見る。わたしは常磐木のように、一年中、あなたのために実をむすぶ。わたしのあわれみは決して絶えることがない。」
+ 賢い者はみな、これらのことを悟りなさい。知恵のある者はみな、聞きなさい。主の道は真実で正しく、良い人はその道を歩みます。しかし罪人は、その道を歩こうとして失敗します。
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+ ペトエルの息子ヨエルに、主から次のようなことばがありました。
+ イスラエルの長老たちよ、聞きなさい。すべての者よ、聞きなさい。一生のうちに、いや、イスラエルの全歴史で、これから話すようなことを、聞いたことがあるだろうか。
+ やがて時がきたら、このことを子どもたちに話してやりなさい。この恐ろしい話を代々語り伝えるのだ。
+ 歯のするどいいなごが作物を食いちぎると、いなごの大群が残りを食いあさる。そのあとをばったが襲い、その残したものを、食い荒らすいなごがあさる。
+ 酔いどれどもよ、起きて泣け。ぶどうがすべて荒らされ、ぶどう酒がなくなったからだ。
+ いなごの大群が地を覆う。数えきれないほどの大群で、ライオンのような鋭い歯を持った恐ろしい軍団だ。
+ わたしのぶどうの木を荒らし、いちじくの樹皮をはぎ取り、幹も枝も白く、丸裸にしてしまう。
+ 婚約者の死を悲しむおとめのように、泣き悲しめ。
+ 主の神殿にささげる穀物とぶどう酒はなくなり、祭司たちは喪に服す。神に仕えるこの者たちの叫ぶ声を聞け。
+ 畑には作物がなく、どこもかしこも嘆きと悲しみでいっぱいだ。穀物も、ぶどうも、オリーブ油もなくなった。
+ あなたがた農夫は衝撃を受けて打ちのめされる。あなたがたぶどう栽培者は嘆く。小麦も大麦もなくなったので、嘆き悲しめ。
+ ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれ、ざくろは枯れ、りんごの木はしなびた実をつける。すべての喜びが消えうせてしまった。
+ 祭司たちよ、荒布をまとえ。神に仕える者たちよ、祭壇の前で夜どおし泣き明かせ。あなたがたに必要な穀物やぶどう酒のささげ物が、もうないからだ。
+ 断食を布告し、聖なる集会に集まるよう呼びかけなさい。主の神殿に、長老たちと全国民を集め、神の前で泣き悲しめ。
+ ああ、恐ろしい刑罰の日がこようとしている。全能のお方からの破壊がすぐそこまできている。
+ 食べ物が私たちの目の前から消え、神の神殿では、喜びも楽しみも終わってしまう。
+ 種は土の中で腐り、納屋や穀物倉もからっぽだ。穀物は畑で枯れてしまった。
+ 家畜は腹をすかしてうめき、牧草がないので途方に暮れている。羊は悲しい鳴き声を上げる。
+ 主よ、助けてください。暑さで牧草は枯れ、木々はすべて焼き尽くされました。
+ 野の獣も、水がないのであなたに助けを求めています。小川は干上がり、牧場は乾ききっています。
+
+
+ さあ、エルサレムに警報を鳴らせ。わたしの聖なる山に警告の角笛を響かせよ。すべての者よ、恐れおののけ。主のさばきの日が近づいているからだ。
+ それは陰うつな暗闇の日、暗雲の重く垂れ込めた日。なんという大軍か。山々を夜のように覆い尽くしている。なんと大きく、何と強力な「民」であることか。このような民は、世界が始まって以来見たこともないし、これから見ることもないだろう。
+ その行く先々に火の手が上がり、回りにも広がる。前には、エデンの園のように美しい地が広がっているが、彼らはそれを根こそぎ破壊する。
+ まるで小馬のように、すばやく駆け回る。
+ 山々の頂を跳びはねる様子を見よ。そのざわめきに耳を傾けよ。まるで戦車の押し寄せる響きか、野原をなめ尽くす炎の音のよう、また、戦場に突入する強大な軍隊のようである。
+ 迎える民は、恐怖のあまり青ざめる。
+ その「兵士」は歩兵のように突撃し、えり抜きの精兵のように城壁をよじ登る。列を乱すことなく、まっすぐに進む。
+ 互いに群がることもなく、整然と行進する。どんな武器も、彼らを止めることができない。
+ たちまち町に殺到し、城壁をよじ登る。窓から押し入る強盗のように、家々の壁をもよじ登る。
+ 彼らの前で、地は揺れ動き、天も震え上がる。太陽と月は光を失い、星も姿を消す。
+ 主はひと声で、彼らを指揮する。これは主の大軍で、主の命令に従う。主のさばきの日は実に恐ろしい。だれが、それに耐えることができるだろうか。
+ だから、主はこう言うのです。「まだ間に合ううちに、今、わたしのところに戻れ。心をすべてわたしに向けよ。断食し、嘆き悲しみながら来なさい。
+ 悪かったと心底から認め、衣を引き裂くのではなく、心を引き裂け。」あなたがたの神、主のもとに戻りなさい。主は恵み深く、あわれみに富んでいるからだ。親切で、すぐに怒ることはなく、あなたがたを何とか罰しないでおこうとしている。
+ だれが知るだろう。もしかすると、主はあなたがたをそのままにして、恐ろしいのろいをやめて祝福を下さるかもしれない。以前と変わらず、主に穀物とぶどう酒をささげることができるように、たくさん与えてくださるかもしれない。
+ シオンで角笛を吹き鳴らせ。断食を呼びかけ、民を聖なる集会のために集めなさい。
+ 老人も子どもも赤ん坊も、みな連れて来なさい。花婿を寝室から、花嫁をその部屋から呼び出しなさい。
+ 神に仕える祭司たちは、民と祭壇の間に立って、泣きながら祈るがいい。「神様、あなたの民をお救いください。あなたに属する者たちなのですから、異教徒の支配下に置かないでください。『彼らの神はどこにいるのか。きっと弱くて、何もできないのだろう』と、異教徒にあざけられないようにしてください。」
+ すると主は民をかわいそうに思い、ご自分の地の名誉が傷つけられることに憤慨します。
+ 主はこのように答えます。「さあ、おまえたちが不自由しないように、たくさんの穀物とぶどう酒と油を送ろう。もう決しておまえたちを、諸国の物笑いの種にはさせない。
+ 北からのこの軍隊を立ち退かせ、遠くへ追いやる。からからに乾いた荒れ地に退かせ、彼らはそこで死ぬ。半分は死海に追いやられ、残りは地中海に押しやられる。それからその死体の悪臭がこの地に満ちる。主はあなたがたのために、すばらしい奇跡を行われたのだ。」
+ 私の民よ、恐れるな。さあ、楽しみ喜べ。主が驚くべきことをしてくださったのだから。
+ 羊や牛の群れに、飢えを忘れさせよ。牧場は再び緑に覆われる。木々は実をつけ、いちじくやぶどうも再び豊かな実りをもたらす。
+ 喜べ、エルサレムの民よ。あなたがたの神、主を喜べ。神が送る雨は、赦しの確かなしるしだ。春に雨が降るように、秋にもまた雨が降る。
+ 脱穀場の床には再び小麦がうず高く積まれ、圧搾機からはオリーブ油とぶどう酒があふれ出る。
+ 「わたしは、いなご――あなたがたを滅ぼすために送り込んだ軍勢――が食い尽くした作物を返そう。
+ 再び、欲しいだけ食物を手に入れることができる。このような奇跡を行った主を、ほめたたえよ。わたしの民は、再びこのような災いに会わない。
+ そしてあなたがたは、わたしの民イスラエルの中にわたしが確かにいることを、また、わたしだけがあなたがたの神、主であることを知る。わたしの民は、再びこのような打撃をこうむることはない。
+ わたしは再び雨を注いだあと、わたしはあなたがたすべてにわたしの霊を注ぐ。その時、あなたがたの息子、娘は預言し、老人は夢を見、若者は幻を見る。
+ 奴隷にさえも、男にも女にも同じように、わたしの霊を注ぐ。
+ 地上にも大空にも、不思議なしるし、血と火と煙の柱を置く。
+ 主の大いなる恐るべき日がくる前に、太陽は暗くなり、月は血に変わる。
+ 主の名を呼び求める者はみな、救われる。主が約束したように、エルサレムにも幾人か難を逃れる者がいる。主が幾人かを選んで、生き残るようにしたからだ。」
+
+
+ 主はこう告げます。「ユダとエルサレムの繁栄を回復させるその時、
+ わたしは世界の軍隊を『主がさばきを行う谷』に集めて罰する。彼らはわたしの民を傷つけ、わたしの相続財産を諸国の中に散らし、わたしの地を分割したからだ。
+ 彼らはわたしの民を分け合って、奴隷にした。少年を娼婦と交換し、幼女を酒代の足しにした。
+ ツロとシドンよ、じゃまをしてはならない。ペリシテの町々よ、わたしに復讐しようとするのか。気をつけるがいい。わたしはすばやく打ち返し、おまえたちの頭に傷を返してやろう。
+ おまえたちはわたしの金銀と高価な宝を取り、異教の神殿に運び去った。
+ ユダとエルサレムの民をギリシヤ人に売り、ギリシヤ人は遠い祖国に彼らを連れて行った。
+ だがわたしは、おまえたちが売り飛ばしたすべての場所から、彼らを連れ戻す。そして、おまえたちがしたこと全部に報いる。
+ おまえたちの息子や娘をユダの民に売り渡そう。するとユダの民は、遠くのシェバ人に彼らを売る。これは主からの約束だ。」
+ このことを、できるだけ遠くまで告げ知らせなさい。戦いの準備をせよ。精兵を集め、全軍を召集せよ。
+ 鋤を溶かして剣に作り変え、鎌を打ち直して槍にせよ。弱い者を強くせよ。
+ あらゆる地の諸国の民よ。束になってかかって来るがよい。――主よ、あなたの勇士たちを遣わしてください。
+ 「諸国の民を集めてヨシャパテの谷に連れて来たら、そこで、わたしは全員に判決を下す。
+ さあ、鎌を入れよ。時がきて、刈り入れを待っている。酒ぶねを踏め。この者たちの悪が満ちあふれているからだ。」
+ 谷は、人、また人で埋まっている。運命の判決が下るのを待っているのだ。さばきの谷で主の日が近づいているからだ。
+ 太陽と月は暗くなり、星も光を失う。
+ 主がエルサレムの神殿から叫ぶと、地と空は震えだす。しかし、ご自分の民イスラエルにはとても優しい。主は彼らの避難所、また力なのだ。
+ 「その時あなたがたは、わたしが聖なる山シオンに住み、あなたがたの神、主であることをついに知る。エルサレムは永遠にわたしのものとなる。もう外国の軍隊がそこを通ることはない時がくる。
+ 山々から甘いぶどう酒がしたたり、丘には乳が流れる。水はユダの乾いた川床を満たし、泉は主の神殿から噴き出て、シティムの谷をうるおす。
+ エジプトは滅ぼされ、エドムも同じ運命をたどる。彼らがユダヤ人を虐げ、彼らの国で罪のない人々を殺したからだ。
+ しかし、ユダは永遠に栄え、エルサレムは代々にわたって繁栄する。
+ わたしが、わたしの民を殺した者たちに復讐するからである。わたしの民を虐待した者たちを、そのままにはしておかない。わたしの家は、わたしの民とともにエルサレムにあるからだ。」
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+ アモスはテコアの村に住む羊飼いでした。一日中、丘の中腹にいて、羊が迷い出ないように見張っていたのです。
+ ある日、神はアモスに、イスラエルに起ころうとしていることを幻の中で語りました。この幻をアモスが見たのは、ウジヤがユダの王、ヨアシュの子ヤロブアムがイスラエルの王であった時で、地震が起こる二年前のことでした。アモスは見聞きしたことを、次のように報告しています。主は、ねぐらからほえるどう猛なライオンのように、シオンの山にある神殿から、大声で叫びました。すると突然、カルメル山のみずみずしい牧草地がしおれて枯れ、羊飼いはみな、声を上げて泣きました。
+ 主はこう言います。「ダマスコの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らは穀物を鉄の打穀棒で打つように、ギルアデでわたしの民を打った。
+ だから、ハザエル王の宮殿に火を放ち、ベン‧ハダデの堅固なとりでを破壊する。
+ ダマスコの町の門のかんぬきを折り、アベンの平野に住む者や、ベテ‧エデンで王位についている者を殺す。シリヤの民は奴隷としてキルに戻る。」
+ 主はこう言います。「ガザは何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。ガザはわたしの民を追い出し、エドムで奴隷として売った。
+ だから、ガザの城壁に火を放ち、とりではすべて破壊される。
+ アシュドデの民を殺し、エクロンと、アシュケロンの王を滅ぼそう。残ったペリシテ人は滅びる。」
+ 主はこう言います。「ツロの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らは兄弟であるイスラエルとの協定を破り、攻撃をしかけて征服し、奴隷としてエドムに渡した。
+ だから、ツロの城壁に火を放ち、とりでも宮殿も灰にする。」
+ 主はこう言います。「エドムは何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らは兄弟であるイスラエルを剣で追いかけ、怒りにまかせて冷酷にふるまった。
+ だから、テマンに火をかけ、ボツラのとりでをすべて灰にする。」
+ 主はこう言います。「アモンの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らはギルアデの戦いで、領土を広げるために残虐なことを行い、剣で妊婦を切り裂いた。
+ だから、ラバの城壁に火を放ち、とりでと宮殿は灰となる。嵐の時のつむじ風のように、戦いのものすごい叫び声が上がる。
+ 王も君主たちも捕囚として連れ去られる。」
+
+
+ 主はこう言います。「モアブの住民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らはエドムの王たちの墓を汚し、死者を丁重に取り扱わなかったからだ。
+ 今、その報いとしてモアブに火を放ち、その火はケリヨテの宮殿をすべて破壊する。勇士が叫び、角笛が鳴り響くうちに、モアブは混乱の中で倒れる。
+ わたしは彼らの王を滅ぼし、その臣下をみな殺す。」
+ 主はこう言います。「ユダの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らは神の教えを受け入れず、従うことを拒んだからだ。先祖がそうであったように、心をかたくなにして罪を犯した。
+ だから、ユダを火で滅ぼし、エルサレムの宮殿もとりでもすべて灰にする。」
+ 主はこう言います。「イスラエルの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らはわいろを取って公正な裁判を曲げ、借金を返せない貧しい者を奴隷に売ったからだ。それも、たったのくつ一足分の代金のために。
+ 彼らは貧しい者を踏みつけ、おとなしい者を足蹴にする。父と息子とが同じ巫女を犯し、わたしの聖なる名を傷つけている。
+ 祭りの日には、借金のかたに取った着物の上で横になり、わたしの神殿に、取り立てた金で買ったぶどう酒を携えて来る。
+ わたしが彼らにしてやったことを、よく考えてみよ。目の前のエモリ人をこの地から追い払ったのは、このわたしだ。彼らは杉のように背が高く、樫の木のように強かった。だが、わたしはその実を切り落とし、根を切った。
+ あなたがたをエジプトから連れ出し、荒野の中を四十年間導き、エモリ人の地を所有させたのだ。
+ また、あなたがたの息子の中からナジル人や預言者を選んだ。イスラエルよ、そうではなかったか」と主は尋ねます。
+ 「ところがあなたがたは、ナジル人にむりやりぶどう酒を飲ませて罪を犯させ、『うるさい、黙れ!』と言って預言者を沈黙させた。
+ だから、穀物を満載した荷車がきしむように、あなたがたをうめかせよう。
+ あなたがたの中で一番すばやい戦士が逃げてつまずき、強い者はみな弱くなり、勇士ももはや自分のいのちを救えない。
+ 射かける矢は、みなはずれ、足の速い者も逃げのびれず、熟達した騎手も危険地帯を逃げ切ることができない。
+ その日には、どんなに勇敢で力のある者も、武器を捨てて、いのちからがら逃げる。」神、主がこのように語ったのです。
+
+
+ 聞きなさい。これがあなたがたの運命です。エジプトから連れ出したイスラエルとユダの全家族に、主はこう言います。
+ 「地上のすべての民の中から、あなたがただけを選んだ。それだけに、その罪を罰しないわけにはいかない。
+ 罪がわたしたちの間にあるのに、どうして肩を並べて歩けるだろうか。
+ わたしは理由もなく、ライオンのようにほえているのではない。実は、あなたがたを滅ぼす準備をしている。幼いライオンでも、うなり声を上げるのは、えさに飛びかかる前だ。
+ 罠は、踏みつけなければパチンと閉じたりしない。あなたがたは当然の刑罰を受ける。
+ 警告の角笛が鳴っている。聞け。そして恐れよ。主であるわたしがあなたがたの地に災いを下そうとしているからだ。
+ わたしはいつも、事が起こる前に預言者をとおして警告する。今もそうしている。」
+ ライオンがうなり声を上げました。恐れ、わななきなさい。神である主の宣告が聞こえます。それを宣言することをことわろうとは思いません。
+ 「アシュドデとエジプトの指導者たちを共に呼び寄せて、こう言え。『さあ、サマリヤの山々に陣取って、イスラエルの恥ずべき罪悪の現状を見届けよ。』
+ わたしの民は、正しいことを行うとはどういうことか忘れてしまった」と主は言います。「彼らの宮殿は、盗んだり奪い取ったりした物でいっぱいだ。
+ それゆえ、敵が来て、彼らは取り囲まれ、とりでを破壊され、宮殿も略奪される。」
+ 主は言います。「羊飼いは羊をライオンから救い出そうとしたが、間に合わなかった。ライオンの口から、二本の足と耳の一部をもぎ取っただけだった。サマリヤのイスラエル人が最後に助け出されるときもそうなる。彼らに残っているのは、壊れかかった椅子とぼろぼろの枕だけだ。」
+ 全能の神である主は言います。「これから言うことをよく聞き、イスラエルにくまなく告げよ。
+ 罪を犯したイスラエルを罰するその同じ日に、ベテルの偶像の祭壇も取り壊す。祭壇の角は切り取られ、地に落ちる。
+ 金持ちの美しい家、冬の家と夏の家を破壊し、象牙の宮殿も破壊する。」
+
+
+ 私の言うことを聞きなさい、サマリヤに住むバシャンの太った雌牛たち。夫をけしかけて貧しい人から取り上げ、困っている者からしぼり取っている女たち。いくら飲んでも十分でない者たちよ。
+ あなたがたの鼻に鼻輪をつけて、牛のように引いて行く時がくると神である主は、ご自分のきよさにかけて誓いました。最後の一人まで、釣り鉤にかけられて引かれて行きます。
+ 美しい家から引きずり出され、城壁の破れ口から放り出されます。主がそう言ったのです。
+ ベテルとギルガルの偶像にもっといけにえをささげなさい。いつまでも逆らい続けなさい。あなたがたの罪は山のように積まれていきます。いけにえは毎朝、十分の一のささげ物は週に二回持ってきなさい。
+ すべて適切な方法で行い、特別のささげ物もしなさい。あなたがたは、そうすることを得意がり、どこでもそれを自慢しています。
+ 主はこう言います。「あなたがたを飢えさせたが、何にもならなかった。それでも、わたしのもとに帰ろうとはしなかった。
+ 収穫の前に三か月間雨を降らせないで作物をだめにした。ある町には雨を降らせたが、他の町には降らせなかった。ある畑には雨が降っているのに、他の畑は乾ききっていた。
+ 二、三の町の住民が飲み水を求めて、雨の降った町へ疲れきった体で出かけて行った。それでも満ち足りることはなかった。そんなことがあっても、あなたがたはわたしのもとへ帰ろうとしなかった」と主は言います。
+ 主はこう告げます。「立ち枯れ病と黒穂病を、農場やぶどう畑ではやらせた。いなごがいちじくとオリーブの木を食った。それでもあなたがたは、わたしのもとへ帰ろうとしなかった。
+ 昔のエジプトのように、わたしは疫病を送った。戦争で若者を殺し、馬を追い払った。死体からの悪臭が鼻をついた。それでもあなたがたは、帰ることを拒んだ。
+ わたしはソドムとゴモラにしたように、あなたがたの町の幾つかを破壊した。生き残った者たちは、火の中から取り出された燃えさしのようだ。それでも、わたしのもとへ帰ろうとしない。
+ それゆえ、話しておいたとおり、あなたがたをもっとひどい災いに会わせる。イスラエルよ、さばきの中で神に会う備えをせよ。」
+ 山々を造り、風を造り、あなたがたの思いを全部知っている方と向かい合うことになるからだ。その方は、朝を暗闇に変え、山を踏み砕く。その名は、全能の神、主である。
+
+
+ イスラエルよ。私は悲痛な思いで、あなたがたのためにこの悲しみの歌を歌います。
+ 「美しいおとめイスラエルは砕かれて倒れ、地に押しつぶされて、起き上がることができない。助けてくれる者もなく、孤独のうちに死んでいく。」
+ 神である主がこう言うからです。「戦場に千人を送り出した町には百人が帰り、百人を送り出した町には十人だけ帰って来る。」
+ 主はイスラエルの民に告げます。「わたしを求めよ。そして生きよ。
+ ベテルやギルガルやベエル‧シェバの偶像を求めるな。ギルガルの民は連れ去られ、ベテルの民には必ず悲しみが襲いかかる。」
+ 主を求めて、生きなさい。さもないと、主は炎のようにイスラエルを通り過ぎて焼き尽くします。ベテルの偶像はどれも、その火を消すことができません。
+ 邪悪な者たち。あなたがたは正義の名のもとに貧しい人を虐げています。正義も公正も、あなたがたには無意味な絵空事です。
+ すばる座やオリオン座を造った方を求めなさい。その方は、闇を朝に、昼を夜に変え、海から水を呼んで地上に雨として降らせます。その名は主。
+ 目にもとまらぬ速さと力で、強い者を打ちのめし、すべての要塞をつぶします。
+ あなたがたは公平な裁判官を憎んでいます。真実を告げる者をさげすんでいます。
+ 貧しい者たちを踏みつけ、税や罰金や利子と言っては、わずかしかない持ち物を取り上げています。それゆえ、今建てている石造りの美しい家に、あなたがたは決して住めません。今植えている見事なぶどう園から作るぶどう酒も飲めません。
+ あなたがたの罪が極悪で、いかに数多いかを知っています。あなたがたは、良いことすべてに反対しています。わいろを取り、貧しい人の益になることは何もしません。
+ それゆえ賢い者たちは、あなたがたが罰せられる恐ろしい日には、主に口出しをしようとはしません。
+ 正しいことをし、悪から逃げなさい。そのように生きなさい。そうすれば、願いどおり、全能の主が助けてくれます。
+ 悪を憎み、善を愛して、正しい裁判を行いなさい。あるいは、天の軍勢の神である主が、残っているご自身の民をあわれんでくださるかもしれない。
+ それゆえ、神である主は言います。「あちらの通りでもこちらの道でも、叫ぶ声が起こる。農夫を呼んで、いっしょに泣いてくれるように頼め。泣き男や泣き女を呼んで、大いに嘆かせよ。
+ わたしが通り過ぎて破壊するので、どのぶどう畑にも悲しみと叫びがある。
+ あなたがたは、『早く主の日がきてくれたら、神が敵の手から救い出してくださるのに』と言う。だが自分たちが何を願っているのか、わかっていない。その日は、光でも希望でもない。暗闇と絶滅の日だ。それはなんと恐ろしい闇であろう。喜びや希望の光などかけらもない。
+ その日あなたがたは、ライオンに追いかけられていて熊に出会った者のようだ。あるいは、真っ暗な部屋で壁に寄りかかると、手が蛇に触れた者のよだ。
+ まさに、あなたがたにとって暗闇と絶望の日だ。
+ あなたがたが祭りと聖なる集会を開いて、わたしをあがめているふりをするのは、もうごめんだ。
+ 焼き尽くすいけにえも穀物のささげ物も受けたくない。和解のいけにえも見たくない。
+ 賛美歌も歌うな。わたしの耳には騒音にしか聞こえない。どんなに甘い響きを奏でても、あなたがたの音楽は聞きたくない。
+ わたしは、正義が貫かれ、正しい行いが堂々と通じるのを見たい。
+ イスラエルよ。あなたがたは四十年、荒野にいる間わたしにいけにえをささげた。だが、ほんとうの関心はいつも異教の神々にあった。あなたがたの王サクテや星の神キウン、自分たちが造った神々の像に。それゆえ、あなたがたといっしょに、それらの神々も、ダマスコのはるか東へ捕らえ移そう。」全能の主が、こう言うのです。
+
+
+ イスラエルの民の間で有名なエルサレムとサマリヤで、ぜいたくにのんびり暮らしている者たちは、災いだ。
+ カルネへ行って、そこで起こったことを見なさい。それから大ハマテへ行き、ペリシテ人の地にあるガテへも下って行きなさい。かつてそこは、あなたがたより栄えていました。しかし、今はどうなっているかを見なさい。
+ あなたがたは、迫っている罰のことを考えようとしません。しかし、その行いによって、さばきの日は近くなっているのです。
+ あなたがたはぜいを尽くした象牙のベッドに横になって、柔らかい子羊の肉や最上の子牛の肉を食べています。
+ 堅琴に合わせて、むなしい歌を歌い、ダビデ王のような偉大な音楽家のつもりになっています。
+ 浴びるほどぶどう酒を飲み、香油を体に塗っても、助けを求める兄弟たちのことは全く気にしません。
+ そのため、あなたがたが真っ先に奴隷となって引いて行かれます。酒盛りは突然終わるのです。
+ 全能の主は、ご自分の名にかけて誓います。「わたしはイスラエルの思い上がりと偽りの栄光をきらい、彼らの美しい宮殿を憎む。この町とそこにあるすべての物を敵の手に渡す。」
+ 一つの氏族で十人が残ったとしても、彼らもまた死にます。
+ 親戚の者が葬ることになり、死体を家から運び出す時、家の中に一人だけ生き残っている者に「ほかに残っている者がいるか」と聞くと、「いない」という答えが返ってきます。すると、「しーっ、声を出すな。主の名を口にするな。おまえの言うことを聞いているかもしれないから」と言うのです。
+ 主がこのように命じたからです。大きな氏族も小さな氏族も、木っ端みじんになれと。
+ 馬は岩の上を走れるでしょうか。牛は海を耕せるでしょうか。これは聞くだけ愚かなことだが、あなたがたのやっていることより愚かなことはありません。正義をあざけり、良いこと、正しいことを腐敗させ、堕落させているではありませんか。
+ また、無に等しい者なのに、愚かにも、偉い者であるかのように喜びます。ちっぽけな力を、たいそう自慢しています。
+ 全能の主は言います。「イスラエルよ。わたしは一つの民を起こして、あなたがたを攻めさせる。北の国境から南の端まで、レボ‧ハマテからアラバの川筋までの全域で、彼らはあなたがたを虐げる。」
+
+
+ これは、神である主が私に示した幻です。主は、最初の刈り取りのあとに生えた、王に納める主要な穀物をすべて滅ぼすいなごの大群を用意していました。
+ いなごが目の前にあるすべてを食い尽くそうとした時、私は言いました。「神、主よ。どうか、あなたの民をお赦しください。このような災いに会わせないでください。神がイスラエルに立ち向かわれたら、ひとたまりもありません。イスラエルはこんなに小さいのです。」
+ そこで主は思い直して、その幻を実行に移さず、「やめよう」と言いました。
+ それからは、人々を罰するために用意された、勢いよく燃え上がる火を示しました。その火は水の流れを蒸発させ、全地を焼き尽くそうとしていました。
+ それで私は言いました。「神、主よ。どうかやめてください。神が立ち向かわれたら、ひとたまりもありません。イスラエルはこんなに小さいのです。」
+ それで主は、この計画も思い直し、「これもやめよう」と言いました。
+ それから、次のことを示しました。主は築き上げた城壁のそばに立って、重りをつけた糸で、それがまっすぐかどうか調べていました。
+ そして主は、「アモス、何を見ているのか」と私に言いました。「重りをつけた糸です。」そう答えると、主は続けて語りました。「重りをつけた糸で、わたしの民がまっすぐかどうか調べてみよう。もう罰することを控えたりしない。
+ イスラエルにある偶像の祭壇と神殿は破壊される。また、剣でヤロブアム王家を滅ぼそう。」
+ ところが、ベテルの祭司アマツヤは、アモスが語ったことを聞くと、すぐにヤロブアム王に伝えました。「アモスは反逆者で、あなたの死をたくらんでいます。これは許しがたいことです。放っておいたら、国に反乱が起こります。
+ あの男は、あなたが殺され、イスラエルは奴隷として遠い地に連れて行かれると言っております。」
+ そして、アモスにこう命じました。「ここから出て行け、預言者め。ユダの地へ逃げて行って、好きなだけ預言するがいい。
+ この首都でわれわれを幻で煩わすのは、いいかげんにしてくれ。ここは王の礼拝堂がある所なのだ。」
+ しかしアモスは答えました。「私は預言者などではありません。預言者の家の者でもありません。ただの羊飼いで、果樹を栽培しています。
+ ところが主は、羊の群れの世話をしている私に、『さあ、わたしの民イスラエルに預言せよ』とお命じになったのです。
+ ですから今、主からのお告げを聞きなさい。『イスラエルに反対する預言はするな』とのことですが、
+ 主のお答えはこうです。『わたしにじゃまだてしたので、あなたの妻はこの町で娼婦となり、息子と娘は殺され、あなたの土地は分割されてしまう。あなた自身も異教の地で死に、イスラエルの民も、祖国から遠く離れた地へ引いて行かれ、そこで奴隷となる。』」。
+
+
+ それから神である主は、熟した果物がいっぱい入ったかごを、幻のうちに私に示しました。
+ 「アモス、何を見ているのか。」「熟した果物がいっぱい入ったかごです。」すると主は言いました。「この果物は、わたしの民イスラエルを表している。彼らが罰を受ける時は熟したのだ。もう二度と見過ごしにしない。
+ その時、神殿から聞こえる騒々しい歌声は、すすり泣きに変わる。そこら中に死体が散らばる。無言のうちに、それは町の外へ運び出される。」主がこう言ったのです。
+ 貧しい人から取り上げ、困っている人を踏みつける商人たち。聞きなさい。
+ あなたがたは、安息日や新月の祭りが早く終わることをひたすら願っています。そうすれば、重くした量りと短くした物差しで、ごまかして儲けることができるから。
+ わずかな借金、たった一足のくつの代償に貧しい人を奴隷とし、かびた小麦を売りつけています。
+ イスラエルの誇りである主は誓います。「おまえたちの行いは忘れない。
+ この地は、滅びを目前にして震えおののき、だれもが嘆き悲しむ。この地は、増水したナイル川のように盛り上がり、激しく揺れ動き、再び沈む。
+ その時、わたしは真昼に太陽を沈ませ、日中に地上を暗闇にする。
+ 宴会を嘆きの時に変え、喜びの歌を絶望の叫びに変える。おまえたちは喪服を着、頭をそり、まるでひとり息子が死んだように悲しむ。その日には、悲惨、ただ悲惨があるのみだ。」
+ 主はこう言います。「時は近づいている。その時には、この地にききんを送る。パンや水のききんではない。主のことばを聞くことのききんだ。
+ 人々は海から海へと至る所を歩き回り、主のことばを探し求める。だが、あちこち探し回っても見つからない。
+ 美しい娘も、りっぱな若者も、神のことばを渇き求めて弱り、疲れはてる。
+ サマリヤ、ダン、ベエル‧シェバの偶像を拝む者は倒れて、二度と起き上がらない。」
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+ 私は、主が祭壇のそばに立っているのを見ました。主はこう言いました。「柱の頭を打って神殿を揺り動かし、柱が崩れて屋根が下にいる人々の上に落ちかかるようにせよ。彼らは逃げようにも逃げられず、一人残らず死ぬ。
+ 彼らが地獄まで下っていってもわたしは引っ張り上げ、天に上っても、引き降ろす。
+ たとえカルメル山の頂の岩間に隠れても、見つけ出して捕まえる。深海に身を潜めても、海蛇を送ってかみ殺させる。
+ 自ら進んで国外へ捕らえ移されても、剣に命じて、そこで殺させる。彼らが善ではなく悪を受け取るのを、しっかりと見届ける。」
+ 全能の主が地に触れると、地は溶け、そこに住む人々はみな嘆き悲しみます。地はエジプトのナイル川のように盛り上がり、また沈みます。
+ その住まいの階上は天にあり、一階は地の上にあります。その方は海から蒸気を呼んで、地に雨として降らせます。その名は主です。
+ 「イスラエルの民よ。わたしにとって、あなたがたはエチオピヤ人より大切であろうか。確かにあなたがたをエジプトから連れ出したが、ほかの民も同じようにしたのだ。ペリシテ人をカフトルから、シリヤ人をキルから連れ出した。
+ わたしの目は、罪深い国イスラエルに向けられている。わたしはイスラエルを根元から抜いて、世界にまき散らす。しかし、永久に根こそぎにはしないと約束した。
+ わたしが命じたとおり、穀物をふるいにかけるように、本物の穀粒はなくさないように、イスラエルを他の国々にふるわせる。
+ しかし、『神は私たちに手を下さない』と言っている罪人は、みな剣によって死ぬ。
+ その時には、今は荒れ果てたままになっているダビデの町を再建し、以前のように栄えた町にする。
+ イスラエルは、エドムの残りの者と、私に属するすべての国の残りの者とを所有する。」このすべてを計画した主が、このように言うのです。
+ 「大豊作で、やっと収穫が終わると思ったら、息つく暇もなく別の種をまく有様で、イスラエルの丘のぶどう畑は甘いぶどう酒をしたたらせる時がくる。
+ わたしは、わたしの民イスラエルの繁栄を回復する。彼らは荒れた町々を建て直し、再びそこに住んで、ぶどうや果樹を栽培する。自分たちの収穫した物を食べ、ぶどう酒を飲む。
+ わたしは彼らを、わたしが与えた地にしっかり植えつける。彼らは、再び引き抜かれることがない。」あなたの神、主がこう言うのです。
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+ 神である主は幻によって、これからエドムの地に起こることをオバデヤに示しました。オバデヤは言いました。「主から知らせがあった。神は国々に使者を遣わして、次のようにお命じになったと。『よく聞け。軍を動員し、エドムを滅ぼすのだ。』
+ エドムよ。わたしはおまえを国々の中で小さい者とし、さげすまれる者としよう。
+ おまえは人が寄りつけないような高い断崖に住んで、高慢になっている。『だれも、ここまで登って来られまい』と誇っている。思い違いをしてはならない。
+ おまえが鷲のように高く舞い上がり、星の間に巣を設けても、わたしはおまえを引きずり降ろす」と主は言います。
+ 「夜中にどろぼうが来るほうが、はるかにましだ。根こそぎ持って行きはしないから。あるいは、ぶどう畑の実を全部盗まれるほうがましだ。少なくとも落ちた実は残るだろうから。
+ だがおまえは、隅から隅まで家捜しされ、奪われる。宝はすべて見つけ出され、持ち去られる。
+ 同盟国はみな敵に回り、この地からおまえを追い出そうとする。平和を約束しながら、滅ぼすことを企んでいる。信頼する友が罠をしかけ、反撃はことごとく失敗する。
+ その日、エドム中を捜しても、賢い者など残っていない」と主は言う。「わたしがエドムの賢者たちを愚かにするからだ。
+ テマンの最も強力な兵士もあわてふためき、虐殺者を防げなくなる。
+ どうして、そんな目に会うのだろうか。それは兄弟イスラエルにしたことへの報いだ。今、おまえの罪は白日のもとにさらされる。何の抵抗もできず、さんざん辱しめられ、永遠に切り捨てられる。
+ イスラエルが困っていた時、見捨てたからだ。イスラエルに侵入した者が財宝を持ち去り、くじでエルサレムを分け合っていても、知らん顔をして、指一本動かそうとしなかった。まるで敵のようだった。
+ おまえは、そうすべきではなかった。侵入者がイスラエルを遠い異国へ連れ去るのを見て、ほくそ笑むべきではなかった。彼らの不幸を喜ぶべきではなかった。彼らが困っている時にあざけるべきでなかった。
+ そればかりか、災いにつけ込んで、イスラエルの地に入り、略奪した。彼らを犠牲にして豊かになったのだ。
+ おまえは十字路に立って、逃げようとする者を殺した。彼らが恐ろしい窮地に立たされた日に、生き延びた者を捕らえ、敵の手に渡した。
+ 主はすぐにすべての国に復讐する。イスラエルにしたとおりのことが、おまえの身に起こる。人にしたとおりのことが自分に返ってくる。
+ わたしの聖なる山で、おまえたちはわたしの罰の杯を飲んだ。回りの国々も飲むことになる。そうだ、飲んで、よろめきながらあとずさりし、歴史から姿を消す。そのような国々は、もう存在しなくなる。
+ しかし、エルサレムは避難所となり、逃げ道となる。イスラエルは再びその地を占領する。
+ イスラエルは、エドムの乾燥した平野に放たれた火となる。そこには、だれも生き残らない。」主が、そう語ったのです。
+ そして、ネゲブに住む私の民はエドムの丘陵地を占有し、ユダの低地に住む者はペリシテの平野を所有し、エフライムやサマリヤの平野を取り戻します。ベニヤミンの部族はギルアデを所有します。
+ 捕囚のイスラエル人は帰って来て、フェニキヤの海岸地帯を遠く北のツァレファテまで占領します。小アジヤに連れて行かれた者も故国に帰り、ネゲブの辺境の村々を征服します。
+ 救う者たちがエルサレムに来て、エドムすべてを支配するからです。そして、主が王となられるのです。
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+ アミタイの子ヨナに、主から次のようなことばがありました。
+ 「あの大きな町ニネベへ行って、主からの知らせを告げよ。『わたしはおまえたちを滅ぼす。おまえたちの悪行がわたしの前に上り、その悪臭が天にまで達したからだ』と。」
+ しかし、ヨナは行くことを恐れ、主の前から逃げました。ニネベとは反対方向の海岸の方へ向かい、ヨッパの港に着くと、タルシシュ行きの船が出るところでした。船賃を払って船に乗り込んだヨナは、主から身を隠そうと暗い船底に下りて行きました。
+ ところが航海が始まると、主が嵐を起こしたので、突然船は突風に見舞われ、今にも沈みそうになりました。
+ 身の危険を感じた水夫たちは、必死の思いで、自分の信じている神々に助けを叫び求め、船を軽くしようと、積み荷を海に捨てました。その間、ヨナは船底でぐっすり眠っていたのです。
+ それで船長は船底に下りて行って、大声でどなりました。「おい! どういうつもりだ、こんな時に眠っているのは。さっさと起きて、あなたの神に祈ったらどうだ。そうすれば、お恵みで助けてもらえるかもしれないぞ。」
+ 水夫たちはくじを引くことにしました。神々を怒らせて、こんな恐ろしい嵐を引き起こしたのはだれか、知ろうというのです。くじはヨナに当たりました。
+ 「いったい何をしたのか、こんなに恐ろしい嵐を起こすとは。あなたは何者なのだ。仕事は何をしている? どこの国から来た?」
+ ヨナは答えました。「私はユダヤ人です。この地と海とをお造りになった天の神様である主を拝んでいる者です。」それから、主から逃げているところであることを話しました。人々は話を聞くと、とても恐ろしくなり、「何でそんなことをしたのか。
+ 嵐を静めるために、あなたをどうすればいいのだろう」と叫びました。海がいっそう荒れてきたからです。
+ ヨナは言いました。「私を海に投げ込んでください。そうすれば静まるでしょう。このひどい嵐は私のせいだとわかっていますから。」
+ 彼らは陸に近づこうと必死に船をこぎましたが、どうにもなりません。暴風が猛烈に向かって来るのです。
+ そこで人々は、ヨナの神である主に大声で祈りました。「ああ主よ。この男の罪のために、私たちを死なせないでください。この男が死んでも、どうか責任を負わせないでください。私たちのせいではありません。特別な理由があって、あなたがこの男のところに嵐を送られたのですから。」
+ そして彼らは、ヨナを荒れ狂う海に投げ込みました。すると、嵐はおさまりました。
+ 人々は主の前に恐れ、いけにえをささげて、主に仕えることを誓いました。
+ さて、主は大きな魚を用意して、ヨナをのみ込ませました。ヨナは三日三晩、魚の腹の中にいました。
+
+
+ ヨナは魚の腹の中から、自分の神、主に祈りました。
+ 「苦しくてどうしようもない時、私が主に向かって叫ぶと、主は答えてくださいました。死の淵から叫ぶと、主よ、あなたは聞いてくださいました。
+ あなたは私を大海の深みに投げ込まれました。私は大水の流れの中に沈み、激しくさかまく波をかぶりました。
+ その時、私は言いました。『ああ主よ。主は私を退け、投げ捨てました。もう二度と、あなたの聖なる神殿を見ることはできません』と申しました。
+ 波にのまれ、もう少しで死ぬところでした。大水が私をふさぎ、海草が頭にからみつきました。
+ 私は海底にそびえる山々の底まで沈んだのです。いのちから締め出され、死の国の囚人になってしまいました。しかし、私の神、主よ、あなたは大きく開いた死の口から、私を引き上げてくださいました。
+ 全く望みが断たれようとした時、もう一度、私は主に思いを向けました。そして聖なる神殿におられるあなたに、真剣な祈りをささげました。
+ (偽りの神々を拝む者は、主が与えようとしておられるあわれみに背を向けています。)
+ 私は、あなた以外の何ものも拝みません。あなたがしてくださったことを、どう感謝したらよいでしょう。私は必ず約束をはたします。私の救いは主のみです。」
+ そして主が命じると、魚はヨナを海岸に吐き出しました。
+
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+ 主は再び、ヨナに語りました。「あの大きな町ニネベへ行き、前に命じたように、滅びが迫っていることを警告せよ。」
+ そこでヨナは、言われたとおりニネベへ行きました。ニネベは非常に大きな町で、その周囲にもたくさんの村々がありました。町を一回りするだけでも、歩いて三日かかるほどでした。
+ しかし、ヨナが町に入って説教を始めたその日から、人々は悔い改め始めたのです。ヨナは回りを取り囲んだ群衆に、「今から四十日後に、ニネベは滅びることになる」と叫びました。すると、彼らはヨナのことばを信じて断食を呼びかけ、身分の高い者から低い者まで、すべての者が荒布をまとって、悲しみを表したのです。
+ ニネベの王は、ヨナが語っていることを聞くと、王座から下り、王服をわきに置いて荒布をまとい、灰の中に座りました。
+ そして王と大臣たちは、町中に次のようなおふれを出したのです。「何人も、動物さえも、食べ物を口にしてはならない。水も飲んではならない。
+ 荒布を身にまとい、ひたすら神様に向かって叫べ。暴力や強奪をやめ、悪の道から足を洗うようにせよ。
+ もしかすると、神様は私たちを生かそうと決め、怒りを静めて、滅ぼさないでくださるかもしれないからだ。」
+ こうして神は、彼らが悪の道から離れたのを見ました。それで、彼らを滅ぼす計画を思い直し、それを実行しませんでした。
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+ ところが、この主の計画変更にヨナはひどく腹を立て、
+ 主に文句を言いました。「主よ、私が国にいて、ニネベへ行けと最初に言われた時、こうなさることはわかっていたのです。ですから私はタルシシュへ逃げたのです。あなたが恵み深く、あわれみに富み、なかなかお怒りにならず、思いやりのある神であることを知っておりましたから。ニネベの人々を滅ぼす計画も、簡単に取りやめることになるだろうと、わかっていました。
+ 主よ、どうか私を殺してください。私が人々に語ったことが偽りになったのですから、生きているより死んだほうがましです。」
+ すると、主は言いました。「このことで、あなたは当然のように怒るのか。」
+ ヨナは町の外に出て、不機嫌な顔で、町の東側に腰を下ろしました。そこに木の葉の茂った日よけ小屋を作り、町がどうなるかを見るつもりだったのです。
+ 小屋を覆っていた葉っぱが暑さでしおれてしまうと、主はとうごまを用意してすぐに成長させ、大きな葉がヨナの頭の上で日をさえぎるようにしました。それで彼は快適になり、とても喜びました。
+ ところが、神は一匹の虫を備え、翌朝、その虫が茎を食い荒らしたので、とうごまは枯れてしまいました。
+ 太陽が昇って暑くなると、神は焼けつくような東風を吹かせました。太陽が頭にじりじり照りつけたので、ヨナはすっかりまいって死にたいと願い、「こんな思いをするくらいなら、もう死んだほうがましです」と言いました。
+ 神はヨナに言いました。「この草が枯れたことで怒るのは当然のことだろうか。」ヨナは言いました。「もちろんです。死ぬほど怒って当然です。」
+ すると主は言いました。「あなたは、日よけが壊れただけでそんなにも嘆いているが、あれは自分が働いて作ったものではないし、もともと、はかないいのちでしかないものだ。
+ だとしたなら、このニネベのように大きな町をわたしが惜しまないはずがあるだろうか。そこには、霊的な闇の中にいる十二万の人々と、たくさんの家畜がいるのだ。」
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+ 次に述べるのは、ヨタム王、アハズ王、ヒゼキヤ王がユダ王国を治めていた時代に、モレシェテの町に住むミカに伝えられた主からのことばです。それはサマリヤとユダの両国へのことばで、幻によってミカに示されたものです。
+ よく聞け。世界のすべての国々の民よ、耳をすませよ。主が聖なる神殿の中から、あなたがたを告発したのだ。
+ 見よ、主が来ようとしている。天の王座を離れ、山々の頂の上を歩きながら、地上に来る。
+ 山々は、火の中の蝋のように主の足の下で溶け、丘を流れ落ちる水のように谷へ流れ込む。
+ どうしてこんなことが起こっているのか。イスラエルとユダの罪のせいだ。どんな罪か。首都サマリヤとエルサレムを中心に行われている偶像崇拝と虐待である。
+ それゆえ、サマリヤの町は瓦礫の山となり、開けた野となって、その通りはぶどうを植えるために掘り返される。主はその城壁と要塞を壊し、土台をあばき、その石を下の谷へ流し入れる。
+ 刻んだ像は一つ残らず粉々に砕かれ、礼拝者たちの寄進で建てたきらびやかな偶像の神殿は焼き払われる。
+ わたしは声をあげて嘆こう。山犬のようにほえ、夜、泣きながら砂漠を横切るだちょうのように悲しげに。はだし、裸で歩こう。
+ わたしの民の傷が治せないほど深いからだ。主はエルサレムを罰しようと、すでにその門に立っている。
+ ガテの町は災いだ。嘆き悲しむな。ベテ‧レアフラでは、悩み、恥じてちりの中を転げ回れ。
+ シャフィルの民は身ぐるみはがされて、裸になって恥じたまま、奴隷として引かれて行く。ツァアナンの民は城壁の外に姿を現そうとしない。ベテ‧エツェルは町の土台ごと一掃される。
+ マロテの民は、これから良い時代になるだろうと望みをかけている。だが、待ちかまえているのは苦痛だけだ。主が、今にもエルサレムを打とうとしているからだ。
+ 急げ、ラキシュの民よ、一番速い戦車で逃げるのだ。ユダの町で最初にイスラエルの偶像礼拝の罪にならったのは、あなたなのだから。そして南のすべての町が、あなたの例にならうようになった。
+ ガテのモレシェテに書き送れ。もう救われる望みはない。アクジブの町は、できもしない援助を約束して、イスラエルの王を欺いた。
+ マレシャの民よ、あなたは敵の賞品になる。敵は、「イスラエルの誉れ」であるアドラムにまで侵入する。
+ 泣け。子どもたちのために泣き悲しめ。子どもたちは奪い去られ、二度と会えなくなる。奴隷として遠くの地へ連れて行かれてしまった。頭をそって嘆き悲しむがいい。
+
+
+ 夜中に寝床で悪事を企む者は災いだ。あなたがたは計略を実行するために夜明けに起き出し、実行する力があるのでやってのける。
+ その人の財産すべてなのに、人の土地や家を欲しがり、詐欺と脅しと暴力でそれを取り上げる。
+ しかし、神である主は言います。「あなたがたの悪には悪をもって報いる。何ものもわたしを止めることはできない。わたしが見放したあとはもう二度と、いばって人を見下すことはできなくなる。」
+ その時、敵はあなたがたをあざけり、「私たちはおしまいだ。だめになった。神は土地を没収し、私たちを遠くへ追い払い、私たちのものを他人にやってしまう」という、あなたがたの嘆きの歌をまねて、からかう。
+ その時には、他人があなたがたの領土の境界線を決める。「主の民」は連れ去られた所に住むようになる。
+ 「そんなことを言うな」と人々は言う。「そのようなことをくどくど言うのはやめろ。そんな話はみっともない。そんな悪いことが私たちに起こるはずがない。」
+ ヤコブの家よ。それは正しい答え方だろうか。主の御霊が、好きでそんな荒々しい話し方をすると思っているのか。そうではない。その脅しは、あなたがたのため、正しい道に立ち返らせるためのものだ。
+ それなのに、今この時まで、わたしの民はわたしに反抗している。あなたがたを信頼し、安心して歩いている者の背後から上着をはぎ取っている。
+ 未亡人を家から追い出し、その子どもたちから神が与えた権利をもぎ取っている。
+ さあ、立て! 出て行け!もうここは、あなたがたの土地でも家でもない。罪でこの地をいっぱいにしたので、吐き出されるのだ。
+ 「酒の喜びについて説教しよう」と言うのが、あなたがたの好きな飲んだくれの偽預言者だ。
+ イスラエルよ。わたしが残りの者を集め、囲いの中の羊のように、牧場の群れのように、もう一度集める時がくる。それは騒々しく、幸せな集団だ。
+ メシヤがあなたがたを連れ去られた地から導き出し、捕らわれていた町の門を通って、自分たちの地に連れ戻す。イスラエルの王はあなたがたの前を進み、主が先頭に立って進んで行く。
+
+
+ イスラエルの指導者たちよ、聞け。あなたがたは善悪の区別を知るべきだ。
+ それなのに、善を憎み、悪を愛している。わたしの民の皮をはぎ、骨までしゃぶっている。
+ 民を食い尽くし、こき使い、その骨を砕いて、まるでなべに入れる肉のように切り刻んでいる。
+ それでいて、困ったことになると、主に助けてくれと願う。願いを聞いてもらえると本気で思っているのか。顔をそむけられるだろう。
+ 偽預言者たち、神の民を迷わせる者たちよ。あなたがたは、食べ物をくれる者には「平安があるように」と言い、何もしてくれない者は脅すのだ。そんなあなたがたに、神はこう告げている。
+ 「夜があなたがたを取り囲み、あなたがたの幻を断ち切る。闇があなたがたを覆い、神から何のことばもない。太陽は沈み、あなたがたの日は終わる。
+ そのようになってついに、恥じ入って顔を隠し、自分たちの語ったことが神から出たものでなかったことを認める。」
+ 私は力に満たされ、主の御霊に満たされて、神が罪を犯したイスラエルを罰すると、恐れず告げよう。
+ イスラエルの指導者たち、私の言うことを聞け。あなたがたは正義を憎み、不正を愛している。
+ エルサレムに、殺人とあらゆる罪をはびこらせている。
+ 指導者はわいろを取り、祭司と預言者は、金をもらわなければ教えることも預言することもしない。それでいて、主にこびへつらって、「すべて大丈夫。主は私たちとともにおられる。どんな災いもくるはずがない」と言う。
+ そんなあなたがたのせいで、エルサレムは畑のように耕され、廃墟となる。神殿が立っている山の頂も藪で覆われる。
+
+
+ しかし、終わりの日に、シオンは世界中の山々で最も名を知られるようになり、世界のすべての国々から称賛され、世界中から巡礼が訪れる。
+ 彼らは互いに言う。「さあ、主の山へ行き、イスラエルの神の神殿を見よう。神は、私たちがどうしたらよいか教えてくださる。そうしたら、そのとおりにしよう。」その日には、主がエルサレムから全世界を支配する。エルサレムから主の教えが発せられ、主のことばが告げられる。
+ 主は諸国の間を仲裁し、遠く離れた強国に指令を下す。彼らは剣を鋤に、槍を鎌に打ち直し、国々はもう争うことがない。すべての戦争が終わるからだ。平和が実現し、軍の士官学校や訓練場は閉鎖される。
+ 彼らはみな自分の家で、豊かで落ち着いた生活を営む。恐れるものが何もないからだ。主ご自身がそう約束している。
+ それゆえ、たとえ回りの国々が偶像を拝んでも、私たちの神、主に従おう。
+ やがてくるその日に、主は次のようにすると言います。罰せられたご自分の民、すなわち、病弱な者、足の悪い者、貧しい者を連れ戻し、
+ 彼らの地で再び強くし、強力な国とし、主ご自身が永久に王となり、シオンの山から支配すると。
+ エルサレム、神の民の見張り塔よ。あなたの王権と力は、以前のように回復される。
+ だが、今は違う。あなたはおびえて金切り声を上げる。あなたを導く王はどこにいるか。彼は死んだ。賢い者たちはどこにいるか。みないなくなった。産みの苦しみをしている女のように、苦痛があなたを捕らえて放さない。
+ シオンの娘よ、激しい苦痛に、身もだえしてうめけ。あなたはこの町を出て、野宿しなければならない。遠くバビロンへ追放されるのだ。だが、そこでわたしはあなたを救い出し、敵の手から解放しよう。
+ 今、多くの国があなたに敵対して集まり、あなたの血を求め、滅ぼそうとやっきになっている。
+ だが、彼らは主の考えを知らず、主の計画を理解してもいない。主がご自分の民の敵を、脱穀される麦束のように寄せ集める時がくる。イスラエルに対して、彼らは全く無力となる。
+ シオンの娘よ、立って麦を打て。わたしが鉄の角と青銅のひづめを与える。多くの国々を踏みつけ、粉々にせよ。そして彼らの富を、全地の主の主に、ささげ物としてささげるのだ。
+
+
+ 軍を結集せよ。敵がエルサレムを包囲している。彼らは、イスラエルを治める者の頬を杖で打つ。
+ 「ベツレヘム‧エフラテよ。あなたはユダの小さな村にすぎないが、永遠の昔から生きている、イスラエルの支配者が生まれる地となる。」
+ 神は、子を産む女が男の子を産むまで、ご自分の民を敵に渡す。そののち、彼の同胞、捕囚の地で生き残ったイスラエル人が、ついに故国の兄弟たちのもとに帰る。
+ その王は立ち上がり、主の力によって、彼の神、主の御名の威光によって群れを養う。民は、そこで平安な生活を営む。この方が全世界からほめたたえられるからだ。
+ この方は私たちの平和となる。アッシリヤが攻め入り、私たちの領土を踏みにじる時、この方は、七人の牧者と八人の指導者を立てる。
+ 彼らは抜き身の剣でアッシリヤを支配し、ニムロデの地(バビロニヤ)の門に入る。アッシリヤ人が私たちの国に侵入する時、この方が私たちを救い出す。
+ その時、イスラエルの国民は、そっと下りる露や待ちに待った雨のように、世界を潤してさわやかにする。彼らはもはや人に望みを置かない。
+ イスラエルはライオンのように強くなり、その前で、世界の国々は羊のようにおとなしくなる。
+ イスラエルが敵の前に立ちはだかると、敵はひとたまりもない。
+ 主はこう告げます。「その日、あなたが頼みにしている武器を一つ残らず破壊し、
+ 城壁を破壊し、要塞を取り壊そう。
+ わたしはいっさいの魔術の息の根を止める。運勢を占う易者はどこにもいなくなる。
+ また、すべての偶像を壊す。あなたはもう二度と、自分たちで造った物を拝まない。
+ わたしがあなたの間から異教の宮を取り除き、偶像の宮がある町々を破壊するからだ。
+ わたしは、わたしに従うことを拒む国々に復讐し、思い知らせよう。」
+
+
+ さあ、主がご自分の民に話そうとしていることを聞きなさい。「立ち上がって、わたしに対する反対を述べてみるがいい。山や丘を呼び寄せて、あなたの訴えについて証人になってもらえ。
+ 山々よ、主の訴えに耳を傾けよ。主はご自分の民イスラエルに、言いたいことがある。主は彼らを容赦なく告訴する。
+ わたしの民よ、なぜ、わたしに背くのか。わたしがどんな悪いことをしたというのだ。なぜ我慢できなくなったのか。はっきり答えよ。
+ わたしはあなたをエジプトから連れ出し、奴隷の鎖を断ち切った。あなたを助けるために、モーセ、アロン、ミリヤムを送ったのだ。
+ わたしの民よ、忘れたのか。モアブの王バラクが、ベオルの子バラムにのろわせて、あなたを滅ぼそうとした時のことを。わたしはバラムに、あなたをのろうどころか、かえって祝福させたのだ。このように幾度も、あなたに好意を示した。シティムやギルガルで起こったことも、そこであなたを祝福したことも、みんな忘れてしまったのか。」
+ あなたは尋ねます。「私たちがやったことを、どうしたら償えるでしょうか。一歳の子牛をささげて、主の前にひれ伏したらよいのですか。」そうではありません。
+ 主は、幾千の雄羊と、幾万の川となるくらいのオリーブ油をささげたら、喜ぶでしょうか。満足するでしょうか。長子をいけにえとしてささげたら、主を喜ばせることになるでしょうか。そして、罪を赦してもらえるでしょうか。もちろん違います。
+ 神は望んでいることをあなたに告げたました。すなわち、えこひいきせず、公平で、あわれみ深くあること、また、謙遜にあなたの神と共に歩むことです。
+ 主の声はエルサレム中に響き渡ります。賢い人は主に耳を傾けなさい。「侵入軍がやって来る。主がそれを送っているのだ。
+ あなたの罪があまりにもひどいからだ。人をだまして金を巻き上げることを、いつやめるのか。悪者の家は、汚らわしい財宝といんちきな量りでいっぱいだ。
+ 人を欺く偽りの重りを使う商人に、わたしは『それでよい』などと言うだろうか。公正である神が、どうしてそんなことを言えようか。
+ 金持ちは、脅しと暴力で富を得ている。市民は、偽りを言うことに慣れているので、その舌は真実を語れない。
+ それゆえ、あなたを痛い目に会わせよう。罪を犯した罰に、みじめな思いをさせる。
+ あなたは食べても満腹せず、いつも飢えで苦しみ、空腹感に悩まされる。いくら金をためようとしても、何も残らない。ほんのわずかな蓄えも、わたしはあなたを征服する者に渡す。
+ 種をまいても収穫することはなく、オリーブを絞っても自分の体に塗るほどの油も出ない。ぶどうを踏んでも、ぶどう酒を作るだけのぶどう液は得られない。
+ あなたがたはオムリの命令しか守らず、アハブの例にならうだけだ。それゆえ、見せしめのためにあなたがたを滅ぼす。あなたがたは世界中の物笑いになる。あなたがたを見る者はみな、さんざんあざけるだろう。」
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+ ああ、悲しいことだ。正直者を見つけるのがこんなにも困難だとは。まるで、収穫期を過ぎてから、ぶどうやいちじくの実を見つけるようなものだ。どんなに欲しくても、ぶどう一ふさ、初なりのいちじく一個もない。正しい人は地上から消えてしまった。誠実な人は一人も残っていない。みな人殺しで、自分の兄弟まで手にかけようとしている。
+ 彼らは、あらゆる手段を用いて悪を働いている。しかも、その手口のうまいこと。政治家も裁判官も、わいろを求める。金持ちは彼らを買収し、じゃま者を消す相談をする。正義はゆがめられてしまった。
+ 一番ましな者でも、いばらのようにとげとげしい。最もまっすぐな者でも、いばらの垣根よりねじれている。そんなあなたをさばく日が、すばやくやってくる。処罰の時がそこまできている。混乱と破滅と恐怖があなたに起こる。
+ だれも信用するな。親友も、妻でさえも。
+ 息子は父親をばかにし、娘は母親に逆らい、嫁はしゅうとめをのろう。まさに、敵は自分の家の中にいる。
+ それでも、私は主に助けを求め、神が私を救い出すのを待ち望む。神は私の言うことを聞いてくださる。
+ 敵よ、私のことで喜ぶな。私は倒れても、また起き上がるからだ。たとえ暗闇の中に座っていても、主が私の光となる。
+ 主から罰を受けている間、私はじっと耐えていよう。私が主に罪を犯したからだ。そののち、私を敵の手から守り、彼らが私にしたすべての悪を罰する。神は私を暗闇から光の中へ連れ出し、私は神のいつくしみを見る。
+ その時敵は、神が私の味方であることを認め、「おまえの神はどこにいるのか」とあざけったことを恥ずかしく思う。今すでに、彼らが道の土のように踏みつけられるさまが見えている。
+ 神の民よ。あなたの町々は建て直され、前よりも大きくなり、繁栄する。
+ アッシリヤからエジプトまで、エジプトからユーフラテス川まで、海から海まで、遠い山と丘から、多くの国の人々が来て、あなたをほめる。
+ しかしまず、恐ろしい滅亡がイスラエルに臨む。それはイスラエルの民のはなはだしい悪のためだ。
+ 主よ、来て、あなたの民を治めてください。あなたの群れを養い、平和で豊かな生活を送らせてください。昔のように、バシャンとギルアデの肥沃な牧草地を楽しませてください。
+ 主はこう答えます。「そうしよう。エジプトで奴隷となっていたおまえを連れ出した時のように、おまえのために力強い奇跡を行おう。
+ 全世界はわたしのすることに驚き、自分たちの力が取るに足りないものであることを知って困惑する。恐れのあまり口もきけず、周囲のことは何も耳に入らない。」
+ 彼らは、蛇や穴からはい出す虫けらのように、みじめな自分に気づく。そして、私たちの神、主に会うため、自分たちのとりでから震えながら出て来る。彼らは主を恐れかしこんで、立ち尽くす。
+ あなたのような神が、ほかにいるでしょうか。あなたはご自分の民の中で生き残った者の罪を赦してくださいます。あわれみを好み、ご自分のためをいつまでも怒ってはおられません。
+ 再び、私たちにあわれみをかけてくださいます。私たちの罪を踏みつけ、海の底に投げ込まれます。
+ 昔ヤコブに約束したように、私たちを祝福してくださいます。先祖アブラハムに約束したように、私たちを愛してくださいます。
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+ 神は、エルコシュに住むナホムに、ニネベに差し迫っている運命について次のような幻を示しました。
+ 神は、ねたむほどにご自分の民を愛している。だから、その民を痛めつける者たちに復讐する。その民の敵をすさまじい勢いで滅ぼす。
+ 神は怒るのに遅いが、いったん怒ると、その力は信じられないほどで、簡単には赦さない。その力を恐ろしい台風や暴風雨の中に示し、渦まく雲も、神の足の下でかき立てられる砂ぼこりのようなものだ。
+ 命じると、海も川も乾いた砂地となる。バシャンとカルメルの青々とした草はしおれ、レバノンの緑の森も枯れはてる。
+ 神の前に出ると、山々は震え、丘は溶ける。大地は崩れ、その住民は滅ぼされる。
+ だれが、怒りに燃える神の前に立てるだろう。神の怒りは火のようで、山々はその怒りの前に崩れ落ちる。
+ 主はいつくしみ深い方、苦難に会うとき、身を寄せるべき場所だ。主は、ご自分に信頼する者をすべて知っている。
+ しかし、敵はあふれみなぎる洪水で一掃し、一晩中追いかける。
+ ニネベよ、主に反抗するとは、何をもくろんでいるのか。神はおまえを一撃で仕留め、二度打つ必要もない。
+ ご自分の敵を、からみついたいばらの塊のように火に投げ込む。彼らはわらのように、あっという間に燃え尽きる。
+ 主に刃向かおうとするとは、おまえの王は、いったい何者か。
+ 主は、少しも恐れていない。主はこう宣言する。「何百万もの強力な軍隊を組織しても、消えうせる。わたしの民よ。あなたはもう十分に罰を受けた。
+ 今、あなたの鎖を砕き、このアッシリヤの王の奴隷のくびきから解放しよう。」
+ それから、アッシリヤの王にこう宣告する。「おまえの王朝はもう終わりだ。息子たちが王位につくことはない。わたしはおまえの神々や神殿を破壊し、おまえを葬り去ろう。罪の悪臭がひどいからだ。」
+ 見なさい。うれしい知らせを伝える使者たちが、山を駆け下りて来る。「侵入者は一掃され、もう心配はない。」ユダよ、感謝祭をするとふれ回り、誓ったとおり、主だけを礼拝せよ。二度と、ニネベから敵が攻めて来ることはない。彼らは永久に滅ぼされ、再びその姿を見ることはない。
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+ ニネベよ。おまえはもうおしまいだ。すでに敵の軍隊に囲まれている。警鐘を鳴らせ。城壁に人を配置し、守りを固め、全力を尽くして敵の侵入を見張れ。
+ 神の民の地は、おまえの攻撃で人はいなくなり、破壊された。だが主は、彼らの誉れと力とを回復する。
+ 兵士の盾は太陽の光を受け、真っ赤に輝く。攻撃開始だ。深紅の軍服を見よ。飛び跳ねる馬に引かれて、ぴかぴかの戦車が並んで進んで来るのを見よ。
+ あなたの戦車は、たいまつのような光を放ちながら、向こう見ずに通りを突っ走り、広場を走り抜ける。
+ 王は役人たちを呼んで叫ぶ。彼らはあわてふためいてつまずきながら、守備を固めようと、城壁に向かって走る。
+ だが、もう遅い。水門は開かれた。敵が入って来る。宮殿は大騒ぎだ。
+ ニネベの王妃は裸で通りに引き出され、奴隷として引いて行かれる。泣き悲しむ侍女たちもいっしょだ。彼女たちが鳩のように泣く声と、悲しんで胸を打つ音を聞け。
+ ニネベは水のもれる水槽のようだ。兵士たちは町を見捨てて、こっそり逃げ出す。呼び戻すことはできない。「止まれ、止まれ」とニネベが叫んでも、彼らは走り続ける。
+ 銀を奪え。金を奪え。財宝はいくらでもある。山のような富もはぎ取られてしまう。
+ まもなく、この町は人っ子一人いない散乱状態となる。心は恐怖におののき、ひざは震え、彼らはぼう然として青ざめる。
+ 諸国の間でライオンのようにふるまい、闘志と大胆さをみなぎらせていた町、年老いて弱くなった者も、いたいけな子どもも恐れることなく暮らしていた町、あの偉大なニネベは今、どこにあるのか。
+ ニネベよ、かつての勇猛なライオンよ。おまえは妻子に食べさせるために多くの敵を押しつぶし、町と家を分捕り物と奴隷でいっぱいにした。
+ しかし今、全能の主がおまえに立ち向かう。武器は破壊され、戦車は使われないままひっそりと放置される。すぐれた若者も死んで横たわる。もう、他国を征服して奴隷を連れて来ることもない。再びこの地を支配できないのだ。
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+ ああ、流血の町、偽りと略奪に満ちたニネベは災いだ。
+ 聞け、むちの音を。戦車がニネベに向かって進んで来る。車輪とひづめの音を響かせて、荒々しく通りを走り抜けて行く。その音のすさまじいことよ。
+ 騎兵が振りかざす剣と槍が、きらめいているのを見よ。死人が通りに横たわっている。どこもかしこも死体の山だ。人々はそれにつまずいて転び、ようやく置き上がり、再び倒れる。
+ こうなったのもみな、ニネベが神の敵に自分を売ったからだ。美しいが不誠実な町、死に至らせる魅力をもつ女王は、その美しさで国々の気を引き、彼らすべてに偽りの神々を拝むことを教えて、あらゆる場所で人々を魅了した。
+ 全能の主は言う。「わたしがおまえに反対するのは当然のことだ。今、全地がおまえの裸と恥を見ることになる。
+ おまえを汚物で覆い、実際どんなに汚い者であるかを世界に見せよう。」
+ おまえを見る者はみな、恐れてしりごみする。「ニネベは完全に廃墟と化した」と。それでも、おまえの運命を悲しむ者は一人もいない。
+ おまえは、ナイル川の両岸にまたがり、四方を川で守られていたテーベよりもすぐれているだろうか。
+ エチオピヤとエジプト全土はテーベの力強い同盟者で、テーベはプテとリビヤからと同様、彼らからどんな援助でも求めることができた。
+ それでもテーベは陥落し、住民は奴隷となって連れて行かれたのだ。赤ん坊は道路の石にたたきつけられて死んだ。高官たちは、くじ引きで兵士たちの召使にされた。指導者はみな鎖につながれた。
+ ニネベも、酔っぱらいのようにふらつき、おびえて身を隠すようになる。
+ 要塞はすべて陥落する。木を揺さぶる人の口の中に落ちる、初なりのいちじくのように食べられる。
+ おまえの軍隊は女のように弱く、頼る相手がいない。国のすべての門は敵に対して広く開けられ、火で焼かれる。
+ 籠城に備えよ。水をたくわえよ。要塞を強固にせよ。城壁を修理するために、れんがをたくさん用意せよ。洞窟に入って粘土を足でこね、型に詰めるのだ。
+ しかし、準備の最中に、火がおまえを焼き尽くす。剣がおまえを切り倒す。若いいなごが目の前にある物を平らげるように、敵がおまえを食い尽くす。おまえはばったのように増え広がるが、逃れることはできない。
+ 商人は星のように多く、巨万の富でこの町を満たしたが、敵はいなごのように群がり、それを持ち去る。
+ 君主や役人たちは、いなごが寒い季節に生け垣に群がるように、群がっている。ところが、日が昇って地が暖まりだすといなごも姿を消すように、全員が逃げていなくなる。
+ アッシリヤの王よ。おまえの君主たちは、死んでちりの中に横たわる。おまえの民は山の向こうに散らされる。今、彼らを集める牧者はいない。
+ おまえの傷は治らない。あまりにも傷が深いからだ。おまえの最期を聞く者はみな、手をたたいて喜ぶ。みな、おまえの残虐なふるまいに苦しんだからだ。
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+ これは、幻のうちに、神から預言者ハバククに示されたことばです。
+ 主よ、助けを求める私の祈りに、いつになったら耳を傾けてくださるのですか。何の答えもないので、むなしく叫ぶばかりです。「助けてくれ、人殺しだ」と叫んでも、だれも助けに来てくれません。
+ 私を取り囲んでいる罪と悲惨を、いつまでも見ていなければならないのですか。どこを見ても圧制とわいろがはびこり、人は議論や争いにふけっています。
+ 律法は無視され、法廷では正しい裁きが行われません。悪者の数は正しい人よりはるかに多く、わいろと詐欺が公然と行われているからです。
+ 主は答えました。「見よ、そして驚け。わたしがしようとしていることを知ったら、驚愕するだろう。それはあなたが生きているうちに起こる。目で見なければとても信じられないようなことだ。
+ 地上の新しい勢力として、カルデヤ人を起こす。残忍で横暴なこの民は、世界を行き巡り、征服する。
+ その残酷さは世に鳴り響く。やりたい放題のことをするが、だれにもそれをじゃまされない。
+ その馬は豹よりすばやく、民の狂暴さは日暮れの狼もかなわないほどだ。騎兵は遠い地から誇らしげに前進して来る。鷲のように急降下して獲物に飛びかかる。
+ 反対する者はみな、その姿を見ると、おびえていなくなる。まるで砂を集めるように、彼らは捕虜を集める。
+ 彼らは王や君主をあざけり、要塞を鼻であしらう。城壁に向かって土を積み上げただけで、それを占領してしまう。
+ 風のように吹き抜け、去って行くが、彼らの罪は重い。その力は自分たちの神々から与えられたと言い張るからだ。」
+ ああ、私の神である主、聖なる永遠のお方よ。このことはみな、私たちを抹殺するためなのですか。そんなはずはありません。私たちの岩である神よ、あなたは、恐ろしい罪を犯した私たちを懲らしめ、正しい者にしようとして、カルデヤ人を起こされたのです。
+ 私たちは悪い者ですが、彼らはもっと悪いのです。どんな罪をも見のがさないあなたは、私たちが彼らにのみ込まれるのをただ立って見ておられるのですか。悪者たちが彼らよりましな者を滅ぼすのを、黙って見過ごすべきでしょうか。
+ 私たちは、捕らえられて殺される魚にすぎないのですか。敵から守ってくれる指導者のいない、はい回る虫けらにすぎないのですか。
+ 彼らは楽しみながら、私たちを釣り針で釣り上げ、網で引きずるのでしょうか。
+ そうならば、彼らはその網を拝み、その前で香をたいて、「これが、われわれを豊かにしてくれる神々だ」と言うでしょう。
+ いつまでも、こんなことをさせておくのですか。彼らは情け容赦なく戦い、いつまで勝ち続けるのでしょうか。
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+
+ 今、私は見張り台に立ち、神が私の訴えにどう答えるか待っていましょう。
+ すると主はこう言いました。「板に、わたしの答えを書き記せ。だれでもひと目で読んでほかの者にすぐ伝えることができるように、大きな字で、はっきり書きなさい。
+ だが、わたしが計画しているこのことは、今すぐには起こらない。ゆっくりと、着実に、確かに、幻が実現する時が近づいている。遅いように思えても、失望してはならない。これらのことは必ず起こる。忍耐していなさい。ただの一日も遅れることはない。
+ 今から言うことをよく聞いておけ。このカルデヤ人たちがそうするように、悪者は自分だけを信頼して失敗する。だが正しい人は、わたしを信頼して生きる。
+ そのうえ、このおごり高ぶったカルデヤ人は、自分たちのぶどう酒によって裏切られる。ぶどう酒は人を欺くものだからだ。彼らは貪欲で、多くの国をかき集めてきたが、まるで死や地獄のように、決して満足しない。
+ 捕らえられた者たちが彼らをあざける時がこようとしている。『強盗ども。とうとう年貢の納め時だ。人を虐げ、ゆすり取った当然の報いを受けろ』と。」
+ 「突然、おまえに借りのある者たちが怒って刃向かい、おまえの持ち物を奪い取る。その時、おまえはなすすべもなく立ち尽くし、震える。
+ おまえは多くの国を破滅させた。今度はおまえが破滅する番だ。人殺しめ。おまえは田舎とすべての町を無法状態にした。
+ 邪悪な手段で富を得ながら、危険を逃れて生きようとしているおまえは災いだ。
+ 殺人を犯すことで自分の名を辱め、いのちさえ失っている。
+ まさに、自分の家の壁の石がおまえを訴え、天井の梁がそれに同調している。
+ 殺人と強奪で得た金で町を築くおまえは災いだ。
+ 主に逆らう国々の利益は彼らの手の中で灰になると、主は定めていなかったか。彼らがどんなに精を出しても、すべてが水の泡だ。
+ (海が水で満たされているように、全地が主の栄光を知ることで満たされる時がくる。)
+ 酔っぱらいをこづくように、近隣の国々をよろめかせ、その裸と恥を眺めて楽しんでいるおまえは災いだ。
+ やがておまえの全盛期は終わり、辱められる。神のさばきの杯を飲み干すがいい。よろめいて倒れよ。
+ おまえはレバノンの森を切り倒した。今度はおまえが切り倒される。おまえは罠で捕らえた野獣を恐ろしい目に会わせた。今度はおまえが恐ろしい目に会う。至るところの町々で、殺人と暴虐を行ったからだ。
+ 人間が造った偶像を拝んで、何の得があったのか。そんな物が助けになるなど、全く愚かなうそだ。自分で造った物を信頼していたとは、なんと愚かな者か。
+ いのちのない木の偶像に、起きて自分たちを救えと命じる者、物言わぬ石に、何をすべきか教えてほしいと呼びかける者は災いだ。偶像は、神の代わりに語ることができるのか。金銀で覆われているが、その中にいのちは全くない。
+ しかし主は、ご自分の聖なる神殿にいる。全地はその御前に静まれ。」
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+ これは、ハバククが主の前で歌った勝利の祈りです。
+ 主よ。今、私は、あなたのうわさを聞きました。あなたがしようとしておられるみわざを知り、恐れをもって礼拝しています。この非常時に直面している私たちを、再び、昔のあなたのようにお助けください。あなたの力を示してください。御怒りの中にも、あわれみを忘れないでください。
+ 神がシナイ山から砂漠を越えて来られるのが見えます。その輝きが天地に満ちています。その栄光は天に満ち、地は神への賛美でいっぱいです。神は、なんとすばらしい方でしょう。
+ 両手からは、まばゆいばかりの光が放たれます。神は恐るべき力を秘め、
+ 疫病を従えて進みます。
+ 神はしばらくの間じっと立ち止まり、地上を見渡します。それから国々を揺り動かし、今までびくともしなかった山々を打ち砕き、丘を平らにするのです。あなたの力は変わることがありません。
+ クシャンとミデヤンの人々が恐れおののいているのが見えます。
+ 主よ、川を打ち、海の水を左右に分けたのは、怒ってそうしたのですか。川や海に不満を抱いたからですか。いいえ、あなたの救いの戦車を遣わそうとされたのです。すべての人がその力を見ました。それから、あなたが命じると、泉が地の上にわき出ました。
+ 山々はそれを見て、震えました。激流が走り、深い淵が叫んで、主への降伏を告げました。
+ 見上げる太陽と月は光を失い始め、あなたの矢から発する輝きと槍のひらめきとで、ぼやけています。
+ あなたは憤りに燃えて地を行き巡り、御怒りで国々を踏みつけました。
+ ご自分が選んだ民を救うために出て行き、悪者たちの頭を砕き、頭のてっぺんから足のつま先まで、その骨をさらしものにしました。
+ イスラエルなど物の数ではないと、つむじ風のようにやって来た者たちを、彼らの武器で滅ぼしました。
+ あなたの騎手たちは海を渡って前進し、大水は高くもり上がりました。
+ このすべてを聞いて、私は震え、歯ががくがくしています。足もとがふらつき、ぶるぶる震えています。私は、侵略した民に苦しみが襲いかかる日を、静かに待ち望みましょう。
+ いちじくの木が全滅して花も実もつけず、オリーブの木も実りがなく、畑が荒れたままであっても、羊の群れが野で死に、牛小屋がからっぽでも、
+ 私は主を喜びます。私を救ってくださる神のおかげで幸せです。
+ 神、主は私の力です。私を鹿のように速く走れるようにし、山の向こうに安全に連れて行ってくださるのです。(聖歌隊の指揮者のために。この頌歌を歌うときは弦楽器の伴奏で歌うこと。)
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+ 表題――主からのことば。あて先――ゼパニヤ。彼はクシの子、ゲダルヤの孫、アマルヤの曾孫、ヒゼキヤの曾々孫。時代――ユダの王、アモンの子ヨシヤの治世。
+ 主はこう言う。「わたしは、おまえの国にあるものを一掃し、徹底的に滅ぼす。
+ 人も動物もだ。人間と人間が拝む偶像、すべては消え去る。空の鳥も海の魚も死に絶える。
+ わたしはこぶしでユダとエルサレムを打ち砕き、残っているバアルの礼拝者を断ち滅ぼす。偶像に仕える祭司を抹殺し、そのため、彼らの記憶さえ消え去る。
+ 彼らは屋上に上って、太陽や月や星を拝んでいる。『主に従っている』と言いながら、モレクをも礼拝している。わたしは、そんな彼らを滅ぼす。
+ そして、以前は主を礼拝していたのに今は礼拝していない者や、主を愛したことも愛そうと思ったこともない者を滅ぼす。」
+ 静まって、主の前に立て。主のさばきの恐ろしい日がくるからだ。神はご自分の民を虐殺する手はずを整え、死刑執行人を選んでいる。
+ 「さばきの日に、わたしはユダの指導者と君主たち、それに異教の服を着ている者すべてを罰する。
+ そうだ、異教の習慣に従う者や、盗みや人殺しをほしいままにして、主人の家を暴力と詐欺による邪悪な利得で満たす者を罰する。
+ 警告を発する叫び声が、エルサレムの中心から遠く離れた門から上がり、だんだん近づいてきて、ついに前進する軍勢の音が、町が立っている丘の頂に達する。
+ エルサレムの民よ、泣き悲しめ。町の貪欲な商売人、高利貸しは一人残らず死ぬのだ。
+ わたしは、ともしびをかざして、エルサレムの暗い隅々まで捜し回る。罪にどっぷりつかり、神に関心を示さず、神はそっとしておいてくれると考えている者たちを見つけ出して罰するのだ。
+ 彼らの財産は敵に奪われ、家は荒らされる。自分たちが建てた新しい家に住む機会は決してない。自分たちが植えたぶどう畑のぶどう酒を飲むことも決してない。
+ その恐るべき日は近い。急ぎ足でやってくる。その日には、勇士たちも泣きくずれる。
+ それは神の怒りが注ぎ出される日、恐ろしい苦悩と苦痛の日、崩壊と荒廃の日、暗闇と陰鬱、暗雲と暗黒の日。
+ 角笛が吹き鳴らされ、ときの声が上がる。城壁で囲まれた町と、最も強固な胸壁が崩れ落ちる。
+ わたしは彼らを、目が見えずに手探りで道を捜し回る人のように無力にする。主に罪を犯したからだ。それで、彼らの血はちりの中に注ぎ出され、死体は地面に置かれたまま朽ちはてる。」
+ あなたがたの金銀も、主の怒りの日には役に立たない。そんなもので自分の身代金を払うことはできない。神のねたみの炎が、全地をなめ尽くすからだ。神はユダの民すべてをたちまちのうちに取り除く。
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+ 集まって祈れ、恥知らずの民よ。
+ まだ時間があるうちに。さばきが始まり、残された機会がもみがらのように吹き飛ばされる前に。主の激しい怒りが襲いかかり、御怒りの恐るべき日が始まる前に。
+ 謙遜な者たちよ、従おうと努力してきた者たちよ、神に助けを請え。謙遜に歩み、正しいことを行え。そうすれば、その運命の日に主に守ってもらえるかもしれない。
+ ガザ、アシュケロン、アシュドデ、エクロン、これらのペリシテ人の町も、根こそぎにされ、荒れはてたままにされる。
+ 海岸とカナンの地に住むペリシテ人は災いだ。さばきはおまえたちにも向けられているからだ。主はおまえたちを一人残らず滅ぼしてしまう。
+ 海岸地帯は牧草地となり、羊飼いがテントを張り、羊がたわむれるようになる。
+ そこでは、わずかに生き残ったユダ部族が家畜を放牧する。彼らは、使われなくなったアシュケロンの家に身を横たえて休む。神である主が、ご自分の民を親しく訪れ、元どおり繁栄させてくださるからだ。
+ イスラエルの神、全能の主は言う。「わたしは、モアブとアモンの民がわたしの民をあざけり、この地を侵略した時のののしりを聞いた。だから確実に、モアブとアモンは、ソドムとゴモラのように滅ぼされ、いら草が茂る所、塩の穴、永久に荒廃した地となる。生き残ったわたしの民が、そこを奪って自分のものにする。」
+ 彼らは高慢の報いを受ける。全世界を支配する主の民をあざけったからだ。
+ 主は彼らをひどい目に会わせる。外国の勢力の神々をことごとく餓死させ、全世界ですべての人々が自分の住む地で主を礼拝するようになる。
+ エチオピヤ人よ。おまえたちも主の剣で殺される。
+ 北の地も同様だ。神はアッシリヤを滅ぼし、その壮大な首都ニネベを荒野のような不毛の地にする。
+ あの隆盛を誇っていた町は羊の牧草地となる。あらゆる野の獣がそこに住みつく。針ねずみは巣穴を掘り、はげたかやふくろうは宮殿の廃墟に住み、破れた窓で鳴く。からすは扉のところで鳴く。高価な杉の羽目板も、風雨にさらされたままになる。
+ これが、「世界中で自分ほどすばらしい町はない」と言って、安らかに暮らしていた、あの広大で繁栄した都の運命だ。しかし今、見るがいい。荒れはて、動物の住みかとなってしまった。そこを通る者はみなあざけるか、とても信じられないといった顔で首を振る。
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+ 罪と汚れに満ちたエルサレム、暴力と犯罪の町は災いだ。
+ おごり高ぶって、神の声にさえ耳を貸そうとしない。だれもこの町と話ができない。あらゆる懲らしめを拒んでいるからだ。主に信頼せず、神を求めようとしない。
+ エルサレムの指導者たちは、獲物を求めてほえるライオンのようだ。手に入れることができるなら、どんなものでもねらっている。裁判官たちは日暮れの飢えた狼のようだ。明け方には、獲物の痕跡を残さない。
+ エルサレムの預言者たちは自分の利得を求める偽り者だ。祭司たちは律法に背いて、神殿を汚している。
+ しかし、主はそんな町の中にいても不正を行わない。日に日に神の正義が明らかになる。ところが、だれも注意を払わない。悪者たちは恥知らずだ。
+ 「わたしは多くの国を切り捨て、その全領域を荒廃させた。通りは荒れはてて静まり返り、町々は、何が起こったかを思い出す者は一人も残らないまま見捨てられた。
+ わたしは思った。『今こそ、彼らはわたしの言うことを聞くだろう。確かにわたしの警告に耳を傾けるから、二度と打つ必要はない』と。ところが、そうではなかった。どんなに罰しても、夜明けから夕暮れまで、夕暮れから夜明けまで、悪を行っている。」
+ それでも、主はこうお語りになる。「もう少しの我慢だ。悪に染まったこの国々を告発するためにわたしが立ち上がる時が、すぐにくる。地上の国々を一つに集め、最も激しい怒りと憤りを下すと決めている。全地は、わたしのねたみの炎で焼き尽くされる。
+ その時、戻って来るわたしの民の語ることばを純粋なヘブル語に変え、全員が共に主を礼拝できるようにする。
+ 散らされたわたしの民でエチオピヤの川の向こうのスーダンに住んでいる者も、ささげ物を携えて来て、もう一度彼らの神になってくれるよう、わたしに願う。
+ その時あなたは、もうわたしに反逆しないので、恥じ入る必要はない。あなたの中から、高ぶっている横柄な人々を取り除く。わたしの聖なる山に、おごり高ぶる者は一人もいなくなる。
+ 残された者は貧しく謙遜な人々で、主の名に信頼する。
+ 罪を犯さず、偽りを言わず、欺くこともない。静かで平和な生活を送り、安らかに眠りにつく。だれにも脅やかされることがない。」
+ シオンの娘よ、歌え。イスラエルよ、叫べ。エルサレムの娘よ、心から喜び楽しめ。
+ 神はさばきの手を引っ込め、あなたの敵の軍を追い散らすからだ。イスラエルの王である主ご自身が、あなたのうちに住む。ついにあなたの苦しみは終わる。もう恐れる必要はない。
+ その日、エルサレムに告げ知らされる。「元気を出せ。恐れるな。
+ あなたの神、主が、あなたのうちに住むために到着したからだ。この方は力ある救い主で、勝利をお与えになる。あなたのことをことのほか喜ぶ。あなたを愛し、責めることはなさらない。」聞こえてくるのは、喜びにあふれた聖歌隊の歌声だろうか。いや、神が、あなたがたのことを喜び、歌っているのだ。「わたしは傷ついた者を集め、あなたの恥を取り去ろう。
+ また、あなたを虐げた者をきびしく扱おう。頼る相手のいない弱い者を救い、追い払われた者を集めよう。捕囚としてあざけられ、辱めを受けたわたしの民に誉れを与えよう。
+ その時、わたしはあなたがたを呼び集め、連れ戻そう。そして、全地のあらゆる国民の間で抜きん出た、りっぱな名を授けよう。あなたがたの目の前で、あなたがたを元どおり繁栄させる時、彼らはあなたがたを称賛する。」このように主が言う。
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+ 表題――主からのメッセージ。あて先――預言者ハガイ。それを、シェアルティエルの子、ユダの総督ゼルバベルと、エホツァダクの子、大祭司ヨシュアに伝えた。時代――ダリヨス一世の治世の第二年の第六の月の一日。
+ 「なぜ、今はわたしの神殿を再建するのにふさわしい時ではないと、だれもが言うのか」と主は尋ねます。
+ 彼らに対する主の答えはこうです。「では、神殿が荒れはてたままなのに、あなたがたはぜいたくな家に住むのにふさわしい時なのだろうか。
+ その結果を見よ。
+ たくさん種をまいても、ほとんど収穫がない。飲み食いにも事欠き、寒さを防ぐ衣服も十分にない。収入は、穴の開いた財布に入れるようにすぐなくなる。」
+ 全能の主はこう言います。「自分たちがどのようなことをしてきたか、その結果どうなったかをよく考えなさい。
+ そして、山に登り、材木を切り出して、わたしの神殿を再建するのだ。わたしは喜んで受け入れ、わたしの栄光をそこに現そう。
+ あなたがたは多くを望んでも、少ししか得られない。それを家に持ち帰っても、わたしが吹き飛ばす。結局続かないのだ。なぜか。わたしの神殿が廃墟のままなのに、気にかけないからだ。自分たちのりっぱな家にばかり気を配っている。
+ それゆえ、わたしは天から雨を降らせず、わずかな収穫しか与えない。
+ 事実、平地にも高地にも、日照りを呼び寄せた。麦もぶどうもオリーブも他の穀物も、みな干からび、人も家畜も飢えに苦しむ。いくら仕事に精を出しても、すべては水の泡だ。」
+ そこで、シェアルティエルの子でユダの総督ゼルバベルと、エホツァダクの子で大祭司ヨシュアと、その地に残ったわずかな民は、ハガイが語った、彼らの神、主からのことばに従いました。真剣に主を礼拝するようになったのです。
+ その時主は、主の使者であるハガイを通して再びメッセージを送り、彼らに語りました。「あなたがたと共にいて祝福する」と。
+ そして、主は神殿再建の願いを彼らに起こさせたので、彼らはダリヨス王の治世第二年の第六の月の二十四日にみな集まり、進んで仕事に取りかかりました。
+
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+ 同じ年の第七の月の二十一日に、主は次のようなことばをハガイを通して彼らに送りました。
+ 「総督と大祭司、およびこの地に残っているすべての者に、こう尋ねよ。
+ 『あなたがたの中に、前にあった神殿を思い出せる者がいるか。それは栄光に輝く神殿であった。それに比べると、今は無に等しいのではないか。
+ しかし勇気を出せ、ゼルバベル、ヨシュア、すべての民よ。元気を出して働け。わたしが共にいるのだからと、全能の主が言われる。
+ エジプトを出た時、わたしの霊がおまえたちにとどまる、と約束した。だから恐れるな。』
+ 全能の主は語ります。『しばらくして、わたしは天と地を、また海も、そして乾いた地を揺り動かし始める。
+ すべての国を揺り動かす。すべての国の望みである者がこの神殿に来て、わたしはここをわたしの栄光で満たす。
+ この神殿の未来の輝きは、最初の神殿の輝きより大きくなる。それに必要な金銀を、わたしがたくさん持っているからだ。そしてわたしは、ここに平和をもたらす』と主は言われる。」
+ ダリヨス王の治世第二年の第九の月の二十四日に、次のようなことばが、主から預言者ハガイを通して示されました。「
+ 祭司たちに、律法について次のように尋ねよ。
+ 『あなたたちのうちだれかが、聖なるいけにえを衣のすそに入れて運んでいて、そのすそがパンかぶどう酒か肉に触れたなら、触れたものも聖なるものとなるか。』」祭司は答えました。「いや、そんなことできよさは他のものに移らない。」
+ ハガイは続けて尋ねました。「しかし、だれかが死人に触れるなら汚れる。では、その人が何かに触れると、それも汚れるか。」「そのとおり」と祭司たちは答えました。
+ ハガイは質問の真意をはっきりさせて、こう言いました。「あなたがた民は、身勝手な態度と良くない思いをもって過ごすことで、自分がささげるいけにえを汚していた。いけにえだけではなく、わたしに対する奉仕として行うことも汚していた。
+ それで、なすことすべてうまくいかなかったのだ。だが、今からは違う。神殿を建て始めたからだ。
+ 前には二十束の収穫を期待しても、十束しかなかった。五十桶分のオリーブ油を絞ろうとしても、二十桶分しか絞れなかった。立ち枯れ病と黒穂病と雹で、あなたがたの労働に報いたからだ。それでもあなたがたは、わたしのもとに帰ろうとしなかった、と主は言われる。
+ さあ今、このことを心に留めよ。この月の二十四日、すなわち、主の神殿の土台が据えられたこの日から、そしてこの日から先、わたしはあなたがたを祝福しよう。心に留めよ。あなたがたが神殿の再建を始める前、穀物を刈り入れる前に、ぶどう、いちじく、ざくろ、オリーブが実を結ぶ前に約束しておこう。今日からのち、わたしはあなたがたを祝福する。」
+ 同じ日に、主からもう一つのことばがハガイに示されました。
+ 「ユダの総督ゼルバベルに告げよ。『わたしは天と地を揺り動かそうとしている。
+ 王座をくつがえし、諸国民の王国の力を滅ぼそうとしている。わたしはその兵力を砕き、兄弟や仲間は互いに殺し合う。
+ しかし、そのことが起こったら、わたしのしもべゼルバベルよ、あなたを選んで、わたしの指にはめた印章のように誉れを授ける。わたしがあなたを選んだからだ。』このように、全能の主は言われる。」
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+ 表題――主からのことば。これはダリヨス王の第二年の第八の月に、ベレクヤの子、預言者イドの孫、ゼカリヤに主から示されました。
+ 全能の主は、あなたがたの先祖に激しい怒りを燃やした。
+ だが、あなたがたが主のもとに帰りさえすれば主もあなたがたのもとに帰る。
+ 先祖たちのようであってはならない。先の預言者たちは、先祖たちに悪の道から離れるように訴えたが、むだだった。「さあ、わたしのもとに帰れ」と神、主は語った。だが彼らは聞こうとせず、全く心を向けなかった。
+ 先祖も預言者も、とうの昔に死んでしまったが、彼らが学んだ、「神のことばは永遠にとどまる」という教訓を忘れてはならない。神のことばは彼らに迫り、彼らを罰した。それで、ようやく悔い改めたのだ。彼らは言った。「神から当然の報いを受けた。神は警告どおりのことをなさったのだ。」
+ 続く第十一の月、主からのことばが、夜の幻のうちに、ベレクヤの子で預言者イドの孫、ゼカリヤに示されました。
+ 私は、川のそばのミルトスの木の間に、一人の人が赤い馬にまたがっているのを見ました。そのうしろに赤、栗毛、白の別の馬が続き、それぞれ人が乗っています。
+ 一人の御使いが私のそばに立っていたので、「あの馬は何のためですか」と尋ねました。「話してあげよう」と彼は返事をしました。
+ そして、赤い馬に乗っていた人が答えました。その人は主の使いだったのです。「主が彼らを遣わして地上を巡回させたのだ。」
+ ほかの乗り手が主の使いに報告しました。「世界中を巡回したところ、どこも繁栄し平和です。」
+ これを聞いて、主の使いは祈りました。「全能の主よ。七十年間、あなたの怒りはエルサレムとユダの町々を襲いました。いつになったら、もう一度あわれみを示してくださるのでしょうか。」
+ 主は、私のそばに立っている御使いに答えて、慰めと確信に満ちたことばを語りました。
+ その御使いは言いました。「全能の主からのこのことばを、大声で告げなさい。『ユダとエルサレムに起こったことに、わたしが無関心でいると思うか。夫が捕虜となった妻を思うように、わたしは彼らのことを思っている。
+ 安逸をむさぼっている異教の国々に、激しい怒りを燃やしている。わたしは自分の民にほんの少し腹を立てただけなのに、その国々は彼らを、わたしが考えていたよりもずっとひどい目に会わせたからだ。』
+ そえゆえ、主は宣言します。『わたしはエルサレムに帰って、そこをあわれみで満たす。わたしの神殿は再建され、エルサレム全体も建て直される』と、全能の主が言われます。
+ もう一度言いなさい。『全能の主は、イスラエルの町々が再び栄え、主が再びエルサレムを慰め、祝福し、そこに住む、と宣言しておられる』と。」
+ それから私は、動物の四本の角を見ました。
+ 私はその御使いに、「これは何ですか」と尋ねました。「ユダとイスラエルとエルサレムを散らした四つの世界勢力を表している」と御使いは答えました。
+ それから主は私に、四人の鍛冶職人を見せました。
+ 私は、「この人たちは何をしに来たのですか」と尋ねました。御使いが答えました。「ユダを散り散りにさせた四本の角をつかんで、金床の上でたたいて砕き、投げ捨てるために来たのだ。」
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+
+ もう一度あたりを見回すと、一人の人が手に測り縄(物差しとして用いる縄)を持っているのが見えました。
+ 「どこへ行くのですか。」「エルサレムを測りに行く。民全員を入れる大きさがあるかどうか、調べたいのだ」とその人は答えました。
+ 私と話していた御使いが出て行くと、もう一人の御使いが彼に近づき、
+ こう言いました。「あの若者に、『いつの日かエルサレムは人であふれ、狭すぎるようになる』と告げなさい。町の城壁の外に多くの人がたくさんの家畜といっしょに住むようになる。それでも危険はない。
+ 主が、彼らとエルサレム全体を守る火の城壁となるからだ。主はこの町の栄光となる。』
+ 『さあ、北の国から、バビロンから逃げよ』と、主はバビロンに連れて行かれた者に言われる。「わたしはあなたがたを空中に散らしたが、もう一度連れ帰る。さあ、逃れよ、シオンに逃れよ。」
+ あなたがたを虐待した国々に私をお遣わしになった主は言う。『あなたがたを害するのは、わたしの目に指を突き刺すのと同じだからだ。
+ わたしは、こぶしで彼らを打ちのめし、彼らの奴隷が彼らの支配者となる。』その時あなたがたは、私を遣わした方が全能の主であることを知る。
+ エルサレムよ、喜び歌え。わたしが来て、共に住むからだと主は言われる。
+ その時、多くの国が主に心を向け、彼らもわたしの民となる。わたしは彼らすべてと共に住む。その時あなたがたは、私をあなたがたに遣わした方が全能の主であることを知る。ユダは、聖なる地で神の相続財産となる。神がもう一度エルサレムを選んで祝福するからだ。
+ すべての人よ、主の前で静まれ。主が天から、その聖なる住まいから地に来られるからだ。」
+
+
+ それから、その御使いは私に幻の中で、主の使いの前に立っている大祭司ヨシュアを見せてくれました。サタンも主の使いの右手にいて、ヨシュアを多くのことで訴えていました。
+ 主はサタンに言いました。「サタンよ、おまえの訴えは退ける。私、主が、エルサレムに情け深くすると決めたので、おまえを非難する。ヨシュアとその民を助けると決めた。彼らは火の中から取り出した燃えさしのようなものだ。」
+ 主の使いの前に立った時、ヨシュアの服は汚れていました。
+ するとその御使いはそこに立っているほかの者たちに、「汚れた服を脱がせなさい」と言いました。それからヨシュアの方を向いて、「さあ、あなたの罪を取り去った。今、このりっぱな新しい服を着せよう」と言いました。
+ 私が「どうぞ、きれいなターバンも」と言うと、彼らはそのとおりにしてくれました。それから、主の使いはおごそかな調子でヨシュアに語りかけました。
+ 「全能の主は、こう宣言される。『わたしが用意した道に従い、わたしが命じることをすべて行うなら、わたしの神殿を管理させ、そこをきよく保たせよう。そして、この御使いたちと共に、わたしの前を出入りさせる。
+ 聞け、大祭司ヨシュアとほかの祭司たちよ。あなたがたは、やがて起こる良いことのしるしとなる人たちだ。わからないか。ヨシュアは、わたしが遣わす若枝(メシヤ)、わたしのしもべを表している。
+ 彼は、ヨシュアがそのかたわらに立っている神殿の礎石となり、わたしはその上に七回、「わたしは一日で、この地の罪を取り去る」と彫りつける。』
+ 全能の主はこう宣言される。『そののち、あなたがたは平和で豊かな生活をし、それぞれ自分の家を持ち、隣人を招くようになる。』」
+
+
+ それから、話していた御使いが、私が眠っていたかのように私を呼び起こしました。
+ 「今、何が見えるか。」「七つのともしび皿がついた金の燭台です。てっぺんにオリーブ油をためる所があり、七本の管を通ってそれぞれの皿に油が流れ込みます。
+ また、燭台の油タンクの両側に、オリーブの木が一本ずつ彫りつけてあるのが見えます。
+ 何でしょう。意味がわかりません。」
+ 「ほんとうに知らないのか。」「はい。知りません。」
+ 「これは、ゼルバベルへの神のことばだ。『権力によるのでも、能力によるのでもなく、わたしの霊によって』と全能の主が言われる。あなたがたは少数で、弱いが、わたしの霊のゆえにやり遂げることができる。
+ だから、どんなに高い山が立ちはだかってもゼルバベルには何でもない。そして彼は、神のあわれみに大声で感謝しながらこの神殿を建て上げ、すべてが恵みによってのみ行われたと言うようになる。」
+ 私は主から次のような別のことばを示されました。
+ 「ゼルバベルは神殿の土台を据え、それを完成させる。その時あなたは、これらのことばが全能の主である神からのものであったことを知る。
+ これを小さなことと考えてはならない。主はその仕事が始まり、ゼルバベルの手に重りをつけた糸があるの見て喜んでいる。七つのともしびは、世界中を見渡す主の目を表すからだ。」
+ それから私は、燭台の両側にある二本のオリーブの木と、
+ 二本の管を通して油を金の鉢に注ぐ二本の枝のことを御使いに尋ねました。
+ 「あなたはこれが何か知らないのか。」「はい。」
+ 「それは、全地の主を助ける、二人の油を注がれた者を表す。」
+
+
+ また目を上げると、空中を飛んでいる巻物が見えました。
+ 「何が見えるか。」「飛んでいる巻物です。長さが二十キュビト(約九メートル)、幅が十キュビトくらいあるようです。」
+ 「巻物は、全地に及ぶ神ののろいのことばを示している。盗みをしたり、うそをついたりする者はみなさばかれ、死刑の宣告を受けたと書いてある。」
+ 全能の主は言います。「こののろいを、すべての盗人の家と、わたしの名によって偽りの誓いをするすべての者の家に送る。わたしののろいはその家にとどまり、徹底的に滅ぼす。」
+ それから御使いは、しばらく私を置き去りにしていましたが、戻って来てこう言いました。「上を見よ。何かが空を通って行く。」
+ 「何ですか、あれは。」「全地にはびこる罪でいっぱいの大きなかごだ。」
+ 突然、かごの重い鉛のふたが開きました。かごの中に一人の女が座っているではありませんか。
+ 御使いは「この女は罪悪を表している」と言い、女をかごに押し込め、重いふたをしっかりかぶせました。
+ 続けて見ていると、こうのとりのような翼を持った二人の女が、こちらに飛んで来ました。二人は大きなかごを持つと、空高く舞い上がりました。
+ 「かごの中の女を、どこへ連れて行くのですか」と私は尋ねました。
+ 「バビロンだ。そこにかごのために神殿を建て、それを拝むことになる。」
+
+
+ それから、また見上げると、青銅でできた二つの山のように見えるものの間から、四台の戦車が出て来ました。
+ 初めの戦車は赤毛の馬たちが、次のは黒い馬たちが、
+ 三番目のは白い馬たちが、四番目のあし毛の馬たちが引いています。
+ 「これは何ですか」と私が尋ねると、
+ 御使いは答えました。「全地の主の前に立つ、天の四つの霊だ。自分の仕事を行うために出て行くところだ。
+ 黒い馬が引く戦車は北へ行き、白い馬のがあとに従う。あし毛の馬が引く戦車は南へ行く。」
+ 赤い馬たちは、出て行って地を駆け巡るのを待ちきれないでいました。そこで主が、「行け。巡回を始めよ」と言うと、すぐ出て行きました。
+ その時、主は私を呼んで、こう言いました。「北へ行った者たちはわたしのさばきを執行し、その地でわたしの怒りを静める。」
+ 主から別のことばがありました。
+ 「ヘルダイとトビヤとエダヤは、バビロンで捕囚の身となっているユダヤ人からの贈り物として、金や銀を持って来る。一行が着いたその日に、ゼパニヤの子ヨシヤの家で出迎えよ。そこに彼らは滞在することになる。贈り物を受け取り、そこから、金と銀で冠を作れ。そして冠をエホツァダクの子大祭司ヨシュアにかぶせる。
+ 全能の主がこう言われると彼に告げよ。『あなたは、やがて来る人を表している。その名は「若枝」で、自分自身から成長し、主の神殿を建てる。
+ さらに王の称号を受ける。彼は王としても、祭司としても世を治め、二つの間には完全な一致がある。』
+ それから、ささげ物をしたヘルダイ、トビヤ、エダヤと、ヨシヤの栄誉のために、主の神殿にその冠を安置せよ。
+ 遠い地から来たこの三人は、主の神殿を再建するために、いつか遠い地から来る人々を表している。そのことが起こる時、あなたがたは、私のことばが全能の主である神からのものであったことを知る。だが、神である主の命令に注意して従わないなら、このようなことは一つも起こらない。」
+
+
+ ダリヨス王の第四年の第九の月に、主から私にことばがありました。
+ ベテルの町のユダヤ人は、王の行政長官サル‧エツェルとレゲム‧メレクの率いる人々を、エルサレムにある主の神殿に遣わしました。それは、神の祝福を求めるためと、
+ 毎年第五の月に断食をして嘆くという伝統的習慣を続けるべきかどうか、祭司や預言者に尋ねるためでした。
+ 主の答えは次のとおりでした。
+ 「ベテルに帰ったら、全住民と祭司たちに言いなさい。『捕囚の七十年間、あなたがたは第五の月と第七の月に断食して嘆いたが、本気で罪から離れてわたしに帰ろうとしたか。全く、そんなことはなかった。
+ そして今、神への聖なる祝宴の時も、わたしのことなど考えず、自分たちのことばかり考えている。
+ 昔、エルサレムが栄え、その南方にも平地に沿って人が大ぜい住んでいたころ、預言者が警告していたのは、このような状態のままでは滅びを免れないということだったが、そのとおりになった。』」
+ それから、主からゼカリヤに、次のようなことばがありました。「彼らにこう言いなさい。正直に公平にふるまえ。わいろを取ることなくだれに対しても情け深く、親切にせよ。
+ 未亡人や孤児、外国人や貧しい人を虐げることをやめ、互いに悪をたくらむな、と彼らに告げなさい。
+ あなたがたの先祖は、それに耳を貸そうとしなかった。強情に顔をそむけ、耳をふさいでわたしのことばを聞くまいとした。
+ 心を火打ち石のように堅くして、全能の主である神が命じたことば、主の霊によって先の預言者たちを通して示された教えを聞くことを怖がった。だから、あれほど激しい神の怒りが下ったのだ。
+ わたしが呼んでも、彼らは聞こうとしなかった。それでわたしは、彼らがわたしに向かって叫んだ時、顔をそむけた。
+ 彼らをはるかかなたの国々に、つむじ風で吹き飛ばすようにまき散らした。彼らの地はさびれ、行き交う者もいなくなった。麗しい地は荒れすたれ、不毛の地となった。」
+
+
+ 再び主のことばが私にありました。
+ 全能の主はこう言います。「エルサレムの敵がエルサレムに行ったすべてのことで、わたしは心穏やかでないどころか、激しく怒っている。
+ 今、自分の地に帰り、自分から進んでエルサレムの中に住もう。エルサレムは『忠実な町』『聖なる山』『全能の主の山』と呼ばれるようになる。」
+ 「エルサレムには平和と繁栄が長く続くので、再び、通りは老人たちが杖をついてゆっくり歩き、
+ 子どもの遊ぶ声でいっぱいになる」と。
+ 主は言います。「こんなことは、わずかな生き残りで落胆しているあなたがたにはとても信じられないだろう。だが、このわたしには取るに足りないことだ。
+ たとえどこに散らされていても、わたしの民を西からも東からも救い出す。そのことを確信してよい。
+ 彼らを故郷に連れ帰り、安全にエルサレムに住まわせる。彼らはわたしの民となり、わたしは公正と真実をもって彼らの神となる。」
+ 全能の主は言います。「仕事を進めて完成させよ。もう長く聞いてきたことだ。神殿の基礎工事が始まって以来、預言者たちは、完成のあかつきには祝福が待っていると言い続けてきたのだから。
+ 工事が始まる前は、仕事も収入も安全もなかった。町を出たら、戻れる保証はなかった。犯罪がはびこっていたからだ。」
+ 全能の主は言います。「しかし今、すべてが変わった。
+ あなたがたの間にわたしが平和と繁栄の種をまいているからだ。穀物の収穫は豊かで、ぶどうの枝は実の重みでたれさがる。雨に恵まれて土地は肥沃になる。この地に残された民に、これらの祝福がすべて与えられる。
+ 『ユダのように貧しくなるがいい。』人をのろうとき、異教徒はそう言った。それもこれまでだ。今からは『ユダ』はのろいのことばではなく、祝福のことばとなる。人々は、『ユダのように栄え、幸せであるように』と言うだろう。だから、恐れたり、気落ちしたりするな。神殿の再建を進めるのだ。
+ そうすれば、必ずあなたがたを祝福する。わたしが心変わりするかもしれないなどと思うな。あなたがたの先祖がわたしを怒らせた時、わたしは必ず罰すると約束し、言ったことを実行した。あなたがたを祝福するという決意も変えることはしない。
+ これがあなたがたの果たすべき役割だ。真実を語り、公平であれ。すべての人と平和に暮らしなさい。
+ 人を傷つけることをたくらんではならない。ほんとうではないのに、ほんとうだと誓ってはいけない。わたしはそのようなことを憎むからだ。」
+ さらに次のようなことばが、主から私に示されました。
+ 「第四の月、第五の月、第七の月、第十の月に守ってきた断食はもう終わりだ。あなたがたが真実と平和を愛するなら、それは喜びの祝祭に変わる。
+ 世界中から人々が巡礼に訪れ、この例祭に参加しようと、外国の多くの町から人々がエルサレムへ押しかける。人々は、他の町にいる親しい者に手紙を書いて、『主の祝福とあわれみを求めて、エルサレムへ行きましょう。私も行きます。いっしょに行きましょう。さあ、今!』と言う。
+ 多くの人が、強い国々からも、祝福と助けを求めてエルサレムにいる全能の主のもとに来る。
+ その時には、いろいろな国から来た十人の者が、一人のユダヤ人の上着のそでをつかんで、『どうか友だちになってください。神があなたがたと共におられるのはわかっていますから』と言うようになる。」
+
+
+ このことばは、ハデラクとダマスコの地に対する神ののろいに関するものです。主がイスラエルだけでなく、全人類をくまなく見ているからです。
+ 「ダマスコに近いハマテにも、抜け目のないツロやシドンにも審判が下される。
+ ツロは完全武装し、大金持ちになったので、ツロにとって銀は泥のようなもの、純金は道のほこりのようなものだ。
+ だが、わたしはツロの所有物を取り上げ、とりでを海に投げ込む。ツロは火をつけられて焼け落ちる。
+ アシュケロンは、これを見て恐れに満ち、ガザは絶望でうずくまり、エクロンは恐怖で震える。ツロが敵の前進を防いでくれると思っていたのに、望みは断たれてしまうからだ。ガザは征服されて王が殺され、アシュケロンは完全に破壊される。
+ 外国人が、繁栄を誇るペリシテ人の町アシュドデを占領する。
+ わたしは、その口から偶像崇拝を引っぱり出し、歯の間から血といっしょに食べたいけにえを引き出す。残された者はみな、神を礼拝し、イスラエル人の新しい一族となる。エクロンのペリシテ人は、昔のエブス人のように、ユダヤ人と結婚する。
+ わたしはイスラエルに侵入する敵を防ぐ見張りのように、わたしの神殿を囲む。敵の動きを見張り、近づかせない。外国の迫害者がわたしの民の地を襲うことは二度とない。
+ わたしの民よ、大いに喜べ。歓声を上げよ。見よ。おまえたちの王が来る。その王は正しい方、勝利者だ。柔和で、ろばの子に乗っている。
+ わたしは、イスラエルにいるわたしの民も含めて、地上のすべての民の武装を解除する。この王は諸国に平和をもたらす。その領土は海から海へ、川から地の果てに及ぶ。
+ わたしはおまえを、水のない穴で死なないように助け出した。血でサインした、あなたとの契約を守るためだ。
+ 囚人たちよ、安全な場所に来なさい。まだ希望がある。味わった苦悩の二倍の祝福を返すと今約束しよう。
+ ユダよ、おまえはわたしの弓だ。エフライムよ、おまえはわたしの矢だ。二人とも、わたしの剣、ギリシヤ人に向かって勇士が振りかざす剣のようだ。」
+ 主は戦っているご自分の民の先頭に立ちます。その矢は、いなずまのように飛びます。神である主は召集ラッパを吹き鳴らし、南から砂漠を通って吹いて来るつむじ風のように、敵に突進するのです。
+ 神の守りがあるので、神の民は敵を制圧し、踏みにじるでしょう。彼らは勝利を味わい、勝ちどきを上げます。敵は殺され、至る所で恐ろしい大虐殺が行われます。
+ その日、彼らの神である主は、羊飼いが羊の世話をするようにご自分の民を救います。彼らは、王冠にきらめく宝石のように、神の地で光り輝くのです。すべてはなんとすばらしく、美しいことでしょう。あり余る穀物とぶどう酒が、青年たちをはつらつとさせます。彼らは健康と幸福に満ちあふれるのです。
+
+
+ 春の雨を主に願いなさい。そうすれば、いなずまと夕立で答えてくれます。どこの野も青々とした牧場となるでしょう。
+ そのようなことを偶像に願い求めるのは、なんと愚かなことでしょう。占い師の予言することは、ばかばかしい偽りだけです。実現しない約束に、どんな慰めがあるでしょうか。ユダとイスラエルは、迷子の羊のように迷い出てさまよっています。守ってくれる羊飼いがいないので、攻撃の的にされているのです。
+ 「わたしの怒りは、あなたがたの『羊飼い』である指導者たちに向かって燃え上がる。わたしは、この雄やぎを罰する。全能の主が、自分の羊の群れであるユダを助けに来たからだ。わたしは彼らを強くし、戦場を誇らしげに駆ける軍馬のようにする。
+ 彼らの中から礎石が、すべての望みがその上にかかる杭が、戦いを勝利に導く弓が、全地の支配者が出て来る。
+ 彼らは神のために戦う力強い戦士となり、敵の顔を泥に押しつけ、踏みつける。戦いには、主が共にいるので、敵は全滅する。
+ わたしはユダを、そしてイスラエルをも強くする。彼らを愛しているので、立て直すのだ。彼らは、わたしが捨てたことがない者のようになる。彼らの神、主であるこのわたしが、その叫びを聞くからだ。
+ 彼らは力強い戦士のようになる。ぶどう酒に酔った時のような喜びを味わい、子どもたちも主のあわれみを見て喜ぶ。彼らの心は主にあって喜びにあふれる。
+ わたしが口笛を吹くと、みな駆け寄って来る。わたしが連れ戻したからだ。残されている者は少ないが、以前と同じくらいに数が増える。
+ わたしは彼らを種のように諸国にまき散らしたが、それでも彼らはわたしを思い出し、神のもとへ帰って来る。子どもたちをみな連れて、イスラエルのわが家へ帰って来る。
+ わたしは彼らをエジプトとアッシリヤから連れ戻し、イスラエルに、ギルアデとレバノンに再び住みつかせる。そこは、すべての者が住むには狭すぎるようになる。
+ 波が退くので、彼らは困難の海を安全に通り過ぎる。ナイル川は干上がる。わたしの民に対するアッシリヤとエジプトの支配は、終わりを告げる。」
+ 主は言います。「わたしから出る力によって、わたしの民を強くする。彼らはどこへでも行きたい所へ行き、どこへ行っても、わたしの保護のもとにある。」
+
+
+ レバノンよ、さばきへの扉を開け。おまえの森が火で焼き尽くされるように、おまえは滅ぼされる。
+ 糸杉よ、泣け。すべての杉が損なわれるからだ。高くそびえ立つ見事な杉がすべて倒れる。バシャンの樫の木よ、恐ろしさのあまり叫べ。一番深い森まで切り倒されるのを見るからだ。
+ 悪質な羊飼いであるイスラエルの指導者たちの泣き叫ぶ声を聞け。彼らの富が失われたからだ。若いライオンのほえる声を聞け。君主たちが泣いている。栄光に満ちたヨルダン渓谷が荒れはてているからだ。
+ それから、私の神、主は私にこう言いました。「さあ、ほふられるための羊の群れを養う羊飼いになりなさい。
+ これは、わたしの民の姿を表している。彼らは悪い指導者たちに買われて殺されているが、指導者は罰せられない。民を裏切った者たちは、『神よ、ありがとうございます。おかげで裕福になりました』と言う。羊飼いが惜しみなく民を売り飛ばしたからだ。
+ わたしも民を惜しまない。彼らを邪悪な指導者たちの手に陥らせる。指導者たちは民を殺し、この地を荒れ地にする。わたしは、地を彼らから守らない。」
+ そこで、私は羊飼いの杖を二本取り、一本を「恵み」と名づけ、もう一本を「結合」と名づけました。そして命じられたとおり、羊の群れを飼いました。
+ そして一月のうちに、三人の悪質な羊飼いを追い出しました。ところが私は、この羊である民にも我慢できなくなったのです。彼らもまた私を憎みました。
+ 私は彼らに言ってやりました。「もう、おまえたちの羊飼いはまっぴらだ。死ぬならば死ぬがいい。殺されても知るものか。行って自滅するがいい。」
+ 私は「恵み」と名づけた杖を取り、二つに折りました。彼らを守り導くという契約を破棄したことを示したのです。
+ こうして、それは無効になりました。すると羊を売買した者たちは、これを見ていて、神が何かを語っていることを悟りました。
+ 私は彼らの指導者たちに言いました。「よかったら、私に見合う賃金を払いなさい。ただし、ほんとうにそうしたければです。」それで彼らが払った賃金は、わずか銀貨三十枚でした。
+ すると主はこう言いました。「それを陶器師たちから畑を買うために使いなさい。おまえを評価したこのすばらしい金額で。」そこで私は銀貨三十枚を取って、神殿で陶器師たちに投げ与えました。
+ それから、「結合」というもう一本の杖を折って、ユダとイスラエルとの結合が破られたことを示しました。
+ それから主は私に、もう一度、羊飼いの務めにつくようにと命じました。今度は、役立たずの悪い羊飼いを演じることになったのです。
+ 神は私にこう言いました。「これは、わたしがこの国に与える羊飼いの姿を説明している。その羊飼いは、死にそうな羊の世話をせず、子羊の面倒も見ず、骨を折った羊の手あてもせず、元気な羊にえさを与えず、歩けない羊を運んでやることもしない。その代わりに、肥えた羊を食べ、その足を引き裂きさえする。
+ 羊の群れの世話をしない、役立たずの羊飼いは災いだ。神の剣が彼の腕を切り、右目を刺し通す。腕は使えなくなり、右目は見えなくなる。」
+
+
+ 天を張り、地の基を据え、人間の中に霊を造った主は、イスラエルの運命を次のように語ります。
+ 「わたしは、エルサレムを包囲する近隣の国々にとってエルサレムとユダを、毒を盛った杯のようにする。
+ エルサレムは、世界を苦しめる重い石となる。地のすべての国々が力を合わせて動かそうとするが、みな押しつぶされてしまう。
+ その日、わたしはエルサレムに迫る敵軍をうろたえさせ、笑いものにする。わたしがユダの民を守り、すべての敵の目を見えなくするからだ。
+ そしてユダ部族の者は、『エルサレムの民は、彼らの力が、彼らの神、全能の主のうちにあることを知った』と心の中で言う。
+ その日、わたしはユダ部族を、森を燃え立たせる小さな炎のように、わらの束の間にあるマッチのようにする。彼らは、右も左も近隣の国々を焼き尽くすが、エルサレムは動かされずにいる。
+ 主はエルサレムより先に、まずユダに残されていた者に勝利を与える。それは、エルサレムの民とダビデの家が、その成功を自慢することがないためだ。
+ 主はエルサレムの民を守る。その中で一番弱い者も、ダビデのように強くなる。ダビデの家は彼らにとって神のようになり、彼らの前を行く主の使いのようになる。
+ わたしが、エルサレムに敵対する国をことごとく滅ぼすことにしたからだ。
+ その日、わたしはエルサレムのすべての民に、恵みと祈りの霊を注ぐ。彼らは、自分たちが突き刺した者を見て、まるでひとり息子のためのように嘆き、長男が死んだときのように深く悲しむ。
+ その時のエルサレムでの悲しみと嘆きは、神を敬うヨシヤ王がメギドの谷で殺された時の嘆きよりも深い。
+ 全イスラエルは、深い悲しみの涙を流す。国中の者が残らず、王も預言者も祭司も民も、苦悩のあまり身をかがめる。それぞれの家族が嘆き、夫と妻も別れて、だれもがひとりで嘆き悲しむ。
+
+
+ その時、一つの泉がイスラエルとエルサレムの民に対して開かれる。彼らをすべての罪と汚れからきよめる泉が。」
+ 全能の主は宣告します。「その日、わたしはこの地にはびこる偶像礼拝を、跡形も残さず取り除く。偶像の神々の名さえ忘れ去られる。偽預言者や占い師は一掃され、
+ 再び偽りの預言をする者は両親に殺される。両親は、『主の名を使って偽りの預言をするような者は死ね』と言うだろう。
+ それで、預言する力を自慢する者はいなくなる。その時は、民をだまそうとして預言者の衣装を着る者もいない。
+ 彼は、『私は預言者ではありません。農夫です。若い時から土地を耕して暮らしを立ててきたのです』と言う。
+ 『それなら、胸と背中にある傷(偽預言者が自分でつける傷)は何ですか?』と聞かれると、彼は、『友人の家でけんかをしたのです』と答えるだろう。」
+ 全能の主は言います。「剣よ、目を覚まして、わたしの仲間、わたしの同僚である牧者に切りかかれ。その牧者を打ち倒せ。そうすれば、羊は散り散りになる。しかし、わたしは戻って来て、子羊を慰め、世話をする。
+ イスラエルの民の三分の二が切り落とされて死ぬが、三分の一がその地に残される。
+ わたしは、その残った三分の一を、金や銀を精錬するように、火の中を通らせて純化する。彼らはわたしの名を呼び、わたしはその声を聞く。わたしは『これはわたしの民』と言い、彼らは『主はわたしたちの神です』と言う。」
+
+
+ 気をつけなさい。主の日がすぐにきます。その日、主は国々を集めて、エルサレムを攻めさせます。町は取られ、家々は略奪され、戦利品は分配され、女は暴行されます。住民の半分は奴隷として連れ去られ、半分が廃墟の町に残されます。
+ その時、主は完全武装して、それらの国々と戦うために出て来ます。
+ その日、主はエルサレムの東、オリーブ山の頂に立ちます。すると、オリーブ山は真っ二つに裂け、東西に走る非常に広い谷ができます。山の半分が北へ、別の半分が南へ動くからです。
+ 谷は町の門に通じているので、あなたがたはそこを通って逃げます。何世紀も昔、ユダのウジヤ王の時代に、民が地震を避けて逃げたように逃げることになるでしょう。そして、すべての聖徒と御使いと共に、私の神、主が来ます。
+ 太陽と月と星は、もう輝きません。
+ それでも昼が続きます。どうしてなのか、主だけが知っています。これまでのような昼と夜ではなくなり、夕暮れ時にも、なお光があります。
+ いのちを与える水がエルサレムから流れ出て、半分は死海に、半分は地中海に注ぎ、夏も冬も、絶え間なく流れ続けます。
+ そして、主は全地を支配する王となります。その日には、ひとりの主だけがいて、その御名だけがあがめられます。
+ ユダの北端にあるゲバから、南端のリモンまで、全地が一つの広大な平地となります。しかしエルサレムは高台にあり、その区域はベニヤミンの門から古い門の跡、それから隅の門、さらにハナヌエルの塔から王のぶどう酒を絞る所までです。
+ エルサレムは安心して住める場所になります。もう二度と、のろわれて滅ぼされることはありません。
+ 主は、エルサレムを攻撃したすべての民に疫病を送るので、彼らは歩く屍のようになり、肉は腐りはてます。目はまぶたの中でしぼみ、舌は口の中で腐ります。
+ 主は彼らを狼狽させ、恐怖でおののかせます。彼らは互いに争い、格闘します。
+ 全ユダがエルサレムで戦います。回りのすべての国々の財宝、多量の金銀と上等の衣類は押収されます。
+ 同じ疫病が、馬、らば、らくだ、ろば、および敵陣にいるすべての動物を打ちます。
+ 最後に、この災いの中で生き残った者たちが、毎年エルサレムへ上り、全能の主である王を礼拝し、神への感謝を祝うようになります。
+ 世界中どこでも、全能の主である王を礼拝しにエルサレムへ来ない民には、雨が降らなくなります。
+ もしエジプトが来ないなら、神はほかの災いによっても罰します。
+ エジプトであっても、ほかの国であっても、もし来ないなら、みな罰せられるのです。
+ その日、馬の鈴には「これは聖なるもの」と書かれ、主の神殿のごみ箱までも祭壇の前の鉢のように神聖なものとなります。
+ 実際、エルサレムとユダにあるすべての器は主への聖なるものとなります。礼拝に来る者は、いけにえを煮るために、どれでも自由に使ってかまいません。全能の主の神殿には、もう強欲な商人はいなくなります。
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+ これは、神が預言者マラキを通してイスラエルに与えたことばです。
+ 「わたしはあなたがたをとても愛してきた」と主は言います。ところが、あなたがたは問い返します。「ほんとうですか。いつ、そうしてくださいましたか。」主は答えます。「わたしは、あなたがたの先祖ヤコブを愛することによって、あなたがたに対する愛を示した。そうする理由などなかったのに。わたしは、ヤコブの兄エサウを退け、エサウの住む山々と相続地を荒廃させ、荒野のジャッカルに与えた。
+ エサウの子孫が、『廃墟を建て直そう』と言うなら、全能の主はこう言う。『建て直したいのなら、建て直すがいい。わたしは再びそれを打ち壊す。』彼らの国は『悪の地』と呼ばれ、彼ら住民も『神に赦されない者たち』と呼ばれるからだ。」
+ さあ、イスラエルよ、目を上げて、神が世界中でしていることを見なさい。その時、あなたがたはこう言うようになります。「ほんとうに神の大いなる御力は、私たちの国境をはるかに越えている。」
+ 「子は父を敬い、召使は主人を敬うものだ。わたしはあなたがたの父であり、また主人なのに、あなたがたはわたしを少しも敬わない。ああ、祭司たちよ、あなたがたはわたしの名をさげすんでいる。」「私たちがあなたを?いつあなたの名をさげすんだというのですか。」
+ 「わたしの祭壇に、汚れたいけにえをささげるときだ。」「汚れたいけにえですって?私たちがいつ、そんなことをしましたか。」「いつも、あなたがたは言っている。『わざわざ高価なものを主にささげる必要はない。』
+ あなたがたは人々に教えている。『主の祭壇に足の悪い動物をささげてもよい。病気の動物や目の見えない動物でもよい。』これを悪いことではないと言い張るのか。あなたがたの総督に、同じことをしてみるがよい。同じような贈り物を贈ってみるがよい。総督がそれを喜んで受け取るだろうか。
+ あなたがたは唱える。『神よ、あわれんでください。恵みをお与えください。』しかし、そのようなささげ物を持って来る者に、どうして好意を示せるというのか。
+ ああ、あなたがたの中に、神殿の扉を閉ざして、このようないけにえを拒絶する祭司が、一人でもいればいいのだが。わたしはあなたがたに喜びを感じない。あなたがたのささげ物は受け取らない。」主は言います。
+ 「わたしの名は、外国人の間で朝から晩まであがめられるようになる。世界中で人々がわたしの名をあがめ、かぐわしい香りと、きよいささげ物をささげるようになる。国々の間で、わたしの名が大いに高められるからだ。」主は言います。
+ 「しかし、あなたがたはわたしをあがめず、祭壇など大切ではないと言って、病気にかかった弱々しい動物を神にささげるよう、人々に教えている。」主は言います。
+ 「『ああ、神に仕え、神の言うとおりにしなければならないとは、なんとやっかいなことだろう』とあなたがたは言う。そして神が与え、守るように言われた規則を気にもかけない。どういうことなのか。盗んだ動物や、足の悪い動物や病気の動物を神へのささげ物とするとは。わたしはそのようなささげ物を受け入れなければならないというのか。」主は問います。
+ 「神へのいけにえとして、自分の群れの中から上等の雄羊をささげると約束しながら、病気の雄羊を神にささげる者はのろわれよ。わたしは大いなる王だから。」全能の主は語ります。「わたしの名は異邦人の間で、大いに尊ばれるようになるからだ。」
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+ 祭司たちよ、全能の主の警告を聞きなさい。「あなたがたが生き方を変えず、わたしの名をあがめないなら、恐ろしい罰を下す。わたしが与えたいと思っている祝福を与えず、のろいを与える。もうすでにのろっている。わたしにとって何よりも大切なことを、あなたがたが真剣に受け止めなかったからだ。
+ よく聞くがよい。わたしはあなたがたの子どもを責める。わたしにささげた動物の糞をあなたがたの顔にぶちまけ、あなたがたを糞のように投げ捨てる。
+ そのとき、やっとあなたがたは、あなたがたの先祖レビに与えた律法に立ち返れと警告したのが、このわたしだったことを知る。」全能の主は語ります。
+ 「その律法の目的は、これを守る人にいのちと平安を与えること、それを守る人が、それによってわたしへの尊敬と恐れを示すことだ。
+ レビは、わたしから学んだすべての真理を人々に伝えた。偽ったり、欺いたりしなかった。わたしと共に歩み、誠実な正しい生活をして、多くの人を罪から立ち返らせた。
+ 祭司のくちびるは、人々が律法を学べるように、神の知識であふれているべきだ。祭司は全能の主の使者であり、人々は導きを求めて祭司のもとへ来るからだ。
+ だがあなたがたは違う。神の道から離れてしまった。その「導き」によって、多くの人が罪を犯すようになった。あなたがたはレビとの契約をゆがめ、似て非なる醜悪なものにしてしまった。」全能の主は語ります。
+ 「それゆえ、わたしはあなたがたを、すべての人の軽蔑の的にする。わたしに従わず、お気に入りの者たちが律法を破るままにし、叱責することもしなかったからだ。」
+ 私たちはアブラハムという共通の先祖を持ち、同じ神によって創造された者です。それなのに先祖の結んだ契約を破り、互いに不信実なことをしています。
+ ユダの中で、イスラエルの中で、エルサレムの中で、裏切りが行われています。ユダの人々が偶像を拝む外国の女と結婚して、神が愛する聖所を汚したからです。
+ 主がこのようなことをする者を、祭司であっても祭司以外の者であっても、一人残らず契約から断ち切りますように。
+ それでも、あなたがたは涙で祭壇をぬらしています。もう主があなたがたのささげ物に目を向けず、主の祝福が受けられなくなったからです。
+ 「なぜ神は私たちを見捨ててしまったのか」と、あなたがたは泣き叫んでいます。そのわけは、主があなたの裏切り行為を見たからです。あなたは、長い間あなたに信実を尽くした妻を裏切り、大切に養うことを約束した伴侶を離縁したのです。
+ あなたは主によって妻と一体にされました。結婚した二人は、神から見れば一人なのです。それが神の深いご計画です。神は何を望んでいるのでしょうか。それは、あなたがたから生まれる、主に従順な子どもたちです。ですから情欲に気をつけなさい。若い時の妻に誠実でありなさい。
+ イスラエルの神、主は離婚を憎み、心ない男をきらうと言っているからです。それゆえ、情欲を抑えなさい。妻を離縁してはなりません。
+ あなたがたは、自分のことばで主を煩わしたのです。「主を煩わしたですって? どのようにして?」あなたがたはそう言って、わざと驚いてみせます。あなたがたはこう言ったのです。「悪を行うのはいいことだ。主は喜んでいる。」また、こうも言いました。「神は私たちを罰しない。気にも留めていない。」
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+ 「聞きなさい。わたしはわたしが行く前に使者を遣わして、道を備えさせる。そののち、あなたがたが探し求めている主が、突如として神殿にやって来る。神が約束したその使者は、あなたがたに大きな喜びをもたらす。必ず彼は来る。」全能の主は語ります。
+ 「だが彼が現れる時、だれが生きていられるだろう。彼が来ることに、だれが耐ええよう。彼は燃えさかる火のようであり、真っ黒に汚れた上着を、真っ白にすることができるからだ。
+ 彼は銀を精錬する人のように、腰を据えて、不純物が燃え尽きていくのを、目を凝らして見守る。神に仕えるレビ人をきよめ、金や銀のように精錬して、きよい心で神の働きができるようにする。
+ その時、主はまた以前のように、ユダとエルサレムの人々が携えて来るささげ物を喜んで受ける。
+ その時、わたしのさばきは速やかに、確実に行われる。罪のない人を欺く悪者に、不品行な者と偽り者に、雇い人を不当な賃金で虐げる者に、未亡人や孤児を苦しめる者に、外国人をだます者に、わたしを恐れない者に、わたしはただちに向かう。」と主は語ります。
+ 「わたしは主であり、決して変わることがない。あなたがたは滅ぼし尽くされてはいない。わたしのあわれみは永遠に変わらないからだ。
+ あなたがたは最初からわたしの律法を軽んじてきたが、まだわたしのもとに帰ることができる。」主は語ります。「さあ、帰って来なさい。そうすれば、あなたがたを赦そう。しかし、あなたがたは言う。『私たちは背いたことなどありません』と。
+ 人は神のものを盗めるだろうか。できるわけがない。ところがあなたがたは、わたしのものを盗んでいる。『何のことですか。いつ神のものを盗みましたか。』あなたがたは、わたしに納めるべき収入の十分の一とささげ物を盗んだ。
+ それであなたがたは、神の恐ろしいのろいによって、のろわれているのだ。あなたがたの民全体が、わたしのものを盗んでいるからだ。
+ 収入の十分の一をすべて倉に携えて来なさい。そうすれば、わたしの神殿には食べ物が十分あるようになる。あなたがたが十分の一をささげれば、わたしはあなたがたのために天の窓を開いて、受け止めることができないほどの祝福をあふれるばかりに注ごう。試してみなさい。わたしは、そのことを証明しよう。
+ わたしが穀物を害虫や病害から守るから、あなたがたの収穫は多くなる。ぶどうが熟す前にしぼんでしまうこともない。」主は語ります。
+ 「すべての国々の民は、あなたがたを祝福された者と言う。あなたがたが幸福に輝く国となるからだ。」これが全能の主の約束です。
+ あなたがたのわたしに対する態度は、なんと高慢で横柄なことか。」と主は言います。「ところが、あなたがたは言う。『何のことでしょう。言ってはならないことを言ったでしょうか。』
+ 聞きなさい。あなたがたはこう言った。『神を礼拝したり、神に従ったりするのは愚かなことだ。律法を守っても、罪を悲しんでも、何の良いことがあるだろう。これからは、「高ぶる者は幸いだ」と言おう。悪を働く者が栄え、神に罰せられるようなことをしても、罰を免れて平気でいるからだ』と。」
+ その時、神を恐れる者たちが、互いに主のことを語り合っていました。主は記憶の書を作成して、主を恐れ、主について考えることを喜ぶ者たちの名前を記しました。
+ 全能の主はこう語ります。「わたしが自分の宝石を仕上げるその日、彼らはわたしのものとなる。人が忠実に務めをはたす子を扱うように、わたしも彼らを扱おう。
+ その時あなたがたは、正しい人と神に逆らう人、また神に仕える者と仕えない者との違いを見ることになる。」
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+ 全能の主はこう宣言します。「さあ、見よ。審判の日がくる。かまどのように燃えながら。高ぶる者、悪を行う者は、わらのように燃えつき、木のように根も枝もすべて焼き払われる。
+ だが、わたしの名を恐れるあなたがたには、正義の太陽が昇る。その翼によって癒やされる。あなたがたは自由にされ、牧場に放された子牛のように喜んで跳びはねる。
+ その時あなたがたは、灰を踏みつけるように、悪者どもを踏みつける。」全能の主は語ります。
+ 「わたしがホレブ山(シナイ山)で、わたしのしもべモーセを通して全イスラエルに与えた律法を守ることを忘れてはならない。
+ 見よ。わたしは、神の大いなる恐るべき審判の日がくる前に、エリヤのような預言者を遣わす。
+ 彼の宣教によって、再び父と子が結び合わされ、一つ心、一つ思いとされる。彼らは、もし悔い改めないならわたしが来て、この地を完全に打ち滅ぼすことを知るからだ。」
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+ これは、イエス‧キリストの系図です。イエス‧キリストはダビデ王の子孫、さらにさかのぼってアブラハムの子孫です。
+ アブラハムはイサクの父、イサクはヤコブの父、ヤコブはユダとその兄弟たちの父です。
+ ユダはパレスとザラの父〔彼らの母はタマル〕、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父です。
+ アラムはアミナダブの父、アミナダブはナアソンの父、ナアソンはサルモンの父です。
+ サルモンはボアズの父〔母はラハブ〕、ボアズはオベデの父〔母はルツ〕、オベデはエッサイの父です。
+ エッサイはダビデ王の父、ダビデはソロモンの父〔母はウリヤの妻でした〕です。
+ ソロモンはレハブアムの父、レハブアムはアビヤの父、アビヤはアサの父です。
+ アサはヨサパテの父、ヨサパテはヨラムの父、ヨラムはウジヤの父です。
+ ウジヤはヨタムの父、ヨタムはアハズの父、アハズはヒゼキヤの父です。
+ ヒゼキヤはマナセの父、マナセはアモンの父、アモンはヨシヤの父です。
+ ヨシヤはエコニヤとその兄弟たちの父です〔彼らは、イスラエルの人たちがバビロンに移住していた時に生まれました〕。
+ バビロンに移住してからは、エコニヤはサラテルの父、サラテルはゾロバベルの父です。
+ ゾロバベルはアビウデの父、アビウデはエリヤキムの父、エリヤキムはアゾルの父です。
+ アゾルはサドクの父、サドクはアキムの父、アキムはエリウデの父です。
+ エリウデはエレアザルの父、エレアザルはマタンの父、マタンはヤコブの父です。
+ そして、ヤコブはヨセフの父です〔このヨセフが、キリストと呼ばれるイエスの母マリヤの夫となった人です〕。
+ こういう次第で、アブラハムからダビデ王までが十四代、ダビデ王からバビロン移住までが十四代、バビロン移住からキリストまでが十四代となります。
+ イエス‧キリストの誕生は次のとおりです。母マリヤはヨセフと婚約していました。ところが結婚する前に、聖霊によってみごもったのです。
+ 婚約者のヨセフは、神の教えを堅く守る人でしたから、婚約を破棄しようと決心しました。しかし、人前にマリヤの恥をさらしたくなかったので、ひそかに縁を切ることにしました。
+ ヨセフがこのことで悩んでいた時、天使が夢に現れて言いました。「ダビデの子孫ヨセフよ。ためらわないで、マリヤと結婚しなさい。マリヤは聖霊によってみごもったのです。
+ 彼女は男の子を産みます。その子をイエス(「主は救い」の意)と名づけなさい。この方こそ、ご自分を信じる人々を罪から救ってくださるからです。
+ このことはみな、神が預言者(神に託されたことばを語る人)を通して語られた、次のことばが実現するためです。
+ 『見よ。処女がみごもって、男の子を産む。その子はインマヌエル〔神が私たちと共におられる〕と呼ばれる。』」
+ 目が覚めるとヨセフは、天使の命じたとおり、マリヤと結婚しました。
+ しかし、その子が生まれるまでは、マリヤに触れませんでした。そして、生まれた子をイエスと名づけました。
+
+
+ イエスはヘロデ大王の時代に、ユダヤのベツレヘムの町でお生まれになりました。そのころ、天文学者たちが、東の国からはるばるエルサレムへやって来て、こう尋ねました。
+ 「このたびお生まれになったユダヤ人の王様は、どこにおられますか。私たちは、その方の星をはるか東の国で見たので、その方を拝むために参ったのです。」
+ それを聞いたヘロデ大王は、ひどくうろたえ、エルサレム中がそのうわさで騒然となりました。
+ ヘロデはさっそくユダヤ人の宗教的指導者たちを召集し、「預言者たちは、メシヤ(ヘブル語で、救い主)がどこで生まれると告げているのか」と尋ねました。
+ 彼らは答えました。「ユダヤのベツレヘムです。預言者ミカがこう書いております。
+ 『ベツレヘムよ。あなたはユダヤの中で、決して小さな町ではない。あなたから偉大な支配者が出て、わたしの国民イスラエルを治めるようになるからだ。』」
+ それでヘロデは、ひそかに天文学者たちを呼びにやり、その星が初めて現れた正確な時刻を聞き出しました。
+ そして彼らに、「さあ、ベツレヘムへ行って、その子を捜すがいい。見つかったら、必ず知らせてくれ。私も、ぜひその方を拝みに行きたいから」と命じました。
+ 彼らがさっそく出発すると、なんと、あの星がまた現れて、彼らをベツレヘムに導き、とある家の上にとどまりました。
+ それを見た彼らは、躍り上がって喜びました。
+ その家に入ると、幼子と母マリヤがいました。彼らはひれ伏して、その幼子を拝みました。そして宝の箱を開け、黄金と乳香(香料の一種)と没薬(天然ゴムの樹脂で、古代の貴重な防腐剤)を贈り物としてささげました。
+ それから、ヘロデ大王に報告をしにエルサレムへは戻らず、そのまま自分たちの国へ帰って行きました。神から夢の中で、ほかの道を通って帰るように警告を受けたからです。
+ 彼らが帰ったあと、天使が夢でヨセフに現れて言いました。「起きなさい。子どもとその母を連れて、エジプトに逃げるのです。そして、私が帰れと言うまで、ずっとそこにいなさい。ヘロデがこの子を殺そうとしています。」
+ ヨセフは、マリヤと幼子を連れて、その夜のうちにエジプトへ旅立ちました。
+ そして、ヘロデ大王が死ぬまでそこに住みました。こうして、「わたしは、わたしの子をエジプトから呼び出した」という預言者のことばが実現することになったのです。
+ ヘロデは天文学者たちにだまされたとわかると、怒り狂い、すぐさまベツレヘムに軍兵をやって、町とその近辺に住む二歳以下の男の子を一人残らず殺せ、と命じました。というのは、学者たちが、その星は二年前に現れたと言っていたからです。
+ ヘロデのこの残忍な行為によって、エレミヤの次の預言が実現しました。
+ 「ラマから声が聞こえる。苦しみの叫びと、大きな泣き声が。ラケルが子どもたちのために泣いている。だれも彼女を慰めることができない。子どもたちは死んでしまったのだから。」
+ ヘロデ大王が死ぬと、エジプトに住むヨセフの夢に天使が現れ、
+ 「さあ、子どもとその母を連れてイスラエルに帰りなさい。子どもを殺そうとしていた者たちは死んだから」と言いました。
+ そこでヨセフは、イエスとマリヤを連れて、すぐイスラエルに帰りました。
+ ところが途中で、ユダヤの新しい王がヘロデ大王の息子アケラオだと聞いて、危険を覚えました。すると、夢でユダヤに行ってはならないと警告を受けたので、ガリラヤ地方に行き、
+ ナザレという町に住みました。こうして、預言者がメシヤのことを、「彼はナザレ人と呼ばれる」と語ったとおりになったのです。
+
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+ ヨセフの一家がナザレに住んでいたころ、バプテスマのヨハネがユダヤの荒野で教えを宣べ始めて、言いました。
+ 「悔い改めて、神に立ち返れ。神の国が近づいたからだ。」
+ このバプテスマのヨハネの働きについては、その数百年前、すでに預言者イザヤが語っています。「荒野から叫ぶ声が聞こえる。『主のための道を準備せよ。主が通られる道をまっすぐにせよ。』」(イザヤ40‧3)
+ ヨハネはらくだの毛で織った服に皮の帯をしめ、いなごとはちみつを常食にしていました。
+ このヨハネの教えを聞こうと、エルサレムやヨルダン川流域だけでなく、ユダヤの全土から、人々が荒野に押しかけました。
+ 神にそむく生活を送っていたことを全面的に認め、それを言い表した人たちに、ヨハネはヨルダン川でバプテスマ(洗礼)を授けました。
+ ところが、パリサイ派(特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)やサドカイ派(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)の人々が大ぜい、バプテスマを受けに来たのを見て、ヨハネは彼らをきびしく責めました。「まむしの子たち! だれがおまえたちに、もうすぐ来る神のさばきから逃れられると言ったのか。
+ バプテスマを受ける前に、悔い改めにふさわしいことをしなさい。
+ 『私はユダヤ人だから、アブラハムの子孫だから大丈夫』などと思ってはいけない。そんなことは何の役にも立たない。神はこんな石ころからでも、今すぐアブラハムの子孫をお造りになれるのだ。
+ 今にでも、神はさばきの斧をふり上げ、実のならない木を切り倒そうと待ちかまえておられる。そんな木はすぐにも切り倒され、燃やされるのだ。
+ 私は今、罪を悔い改める者たちに水でバプテスマを授けている。しかし、まもなく私など比べものにもならない、はるかに偉大な方がおいでになる。その方のしもべとなる価値さえ、私にはない。その方は、聖霊と火でバプテスマをお授けになり、
+ 刈り入れの時が来たら、麦ともみがらをふるい分け、麦は倉に納め、もみがらは永久に消えない火で焼き捨ててしまわれる。」
+ そのころイエスは、ガリラヤからヨルダン川へ来て、ヨハネからバプテスマ(洗礼)を受けようとされました。
+ ところが、ヨハネはそうさせまいとして言いました。「とんでもないことです。私こそ、あなたからバプテスマを受けなければなりませんのに。」
+ しかしイエスは、「今はそうさせてもらいたい。なすべきことは、すべてしなければならないのです」とお答えになり、ヨハネからバプテスマを受けました。
+ イエスが、バプテスマを受けて水から上がって来ると、突然天が開け、イエスは、神の御霊が鳩のようにご自分の上に下るのをごらんになりました。
+ その時、天から声が聞こえました。「これこそ、わたしの愛する子。わたしは彼を心から喜んでいる。」
+
+
+ それからイエスは、聖霊に導かれて荒野に出て行かれました。悪魔に試されるためでした。
+ イエスはそこで、まる四十日間、何一つ口にされなかったので、空腹を覚えられました。
+ 悪魔が誘いかけてきたのは、その時です。「ここに転がっている石をパンに変えてみたらどうだ。そうすれば、あなたが神の子だということがわかる。」
+ しかしイエスは、お答えになりました。「いいえ。聖書には、『人はただパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』と書いてある。わたしたちは、神のすべてのことばに従うべきなのです。」
+ すると悪魔は、イエスをエルサレムに連れて行き、神殿の一番高い所に立たせて言いました。
+ 「さあ、ここから飛び降りてみろ。そうすれば、あなたが神の子だということがわかるだろう。聖書に、『神は、天使を送って、あなたを支えさせ、あなたが岩の上に落ちて砕かれることのないように守られる』と、はっきり書いてあるのだから。」
+ イエスは言い返されました。「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてあるではないか。」
+ 次に悪魔は、非常に高い山の頂上にイエスを連れて行きました。そして、世界の国々とその繁栄ぶりとを見せ、
+ 「さあ、ひざまずいて、この私を拝みさえすれば、これを全部あなたにやろう」とそそのかしました。
+ 「立ち去れ、サタン! 『神である主だけを礼拝し、主にだけ従え』と聖書に書いてあるではないか。」イエスは悪魔を一喝しました。
+ すると悪魔は退散し、天使たちが来て、イエスに仕えました。
+ イエスはヨハネが捕らえられたと聞くと、ユダヤを去って、ガリラヤのナザレにお帰りになり、
+ まもなくゼブルンとナフタリに近い、ガリラヤ湖畔のカペナウムに移られました。
+ これは、イザヤの預言が実現するためでした。
+ 「ゼブルンとナフタリの地、海沿いの道、ヨルダン川の向こう岸、多くの外国人が住んでいる北ガリラヤ。そこで暗闇の中にうずくまっていた人たちは、大きな光を見た。死の陰の地に座っていた彼らの上に、光が差した。」
+ その時から、イエスは宣教を始められました。「悔い改めて神に立ち返りなさい。神の国が近づいているから。」
+ ある日、イエスがガリラヤ湖の岸辺を歩いておられると、シモン〔別名ペテロ〕とアンデレの二人の兄弟が舟に乗り、網で漁をしているのに出会いました。彼らは漁師でした。
+ イエスが、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしてあげよう」と声をおかけになると、
+ 二人はすぐに網を捨て、イエスについて行きました。
+ しばらく行ったところで、今度は別の二人の兄弟ヤコブとヨハネが、父のゼベダイといっしょに舟の中で網を直しているのを見つけ、そこでも、ついて来るようにと声をおかけになりました。
+ 彼らはすぐ仕事をやめ、父をあとに残して、イエスについて行きました。
+ イエスはガリラヤ中を旅して、ユダヤ人の会堂で教え、あらゆる場所で福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を宣べ伝え、さらに、あらゆる病気や苦しみをいやされました。
+ このイエスの奇跡の評判は、ガリラヤの外にまで広がったので、シリヤのような遠方からも、人々は病人を連れてやって来ました。悪霊につかれた人、てんかんの人、中風(脳の出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の人など、その病気や苦しみがどのようなものであろうと、一人残らず治るのです。
+ こうして、イエスがどこに行かれても、たいへんな数の群衆があとをついて行きました。それは、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤのあらゆる所から来た人々で、中にはヨルダン川の向こうから来た人もいました。
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+ ある日、大ぜいの人が集まって来たので、イエスは弟子たちを連れて山に登り、そこに腰をおろして、彼らにお教えになりました。
+ 「心の貧しさを知る謙遜な人は幸いです。神の国はそういう人に与えられるからです。
+ 悲しみ嘆いている人は幸いです。そういう人は慰められるからです。
+ 柔和で高ぶらない人は幸いです。全世界はそういう人のものだからです。
+ 神の前に、正しく良い者になりたいと心から願っている人は幸いです。そういう人の願いは完全にかなえられるからです。
+ 親切であわれみ深い人は幸いです。そういう人はあわれみを受けるからです。
+ 心のきよい人は幸いです。そういう人は親しく神とお会いできるからです。
+ 平和をつくり出す人は幸いです。そういう人は神の子どもと呼ばれるからです。
+ 神の御心に従ったために迫害されている人は幸いです。神の国はそういう人のものだからです。
+ わたしの弟子だというので、悪口を言われたり、迫害されたり、ありもしないことを言いふらされたりしたら、それはすばらしいことなのです。
+ 喜びなさい。躍り上がって喜びなさい。天の国では、大きな報いが待っているからです。昔の預言者たちも、そのようにして迫害されたことを思い出しなさい。
+ あなたがたは地の塩です。もしあなたがたが塩けをなくしてしまったら、この世はどうなるでしょう。あなたがたも無用のものとして外に捨てられ、人々に踏みつけられてしまうのです。
+ あなたがたは世の光です。丘の上にある町は夜になると灯がともり、だれにもよく見えるようになります。
+ あなたがたの光を隠してはいけません。すべての人のために輝かせなさい。だれにも見えるように、あなたがたの良い行いを輝かせなさい。そうすれば、人々がそれを見て、天におられるあなたがたの父を、ほめたたえるようになるのです。
+ 誤解してはいけません。わたしは、モーセの律法や預言者の教え(旧約聖書)を無効にするために来たのではありません。かえって、それを完成させ、ことごとく実現させるために来たのです。
+ よく言っておきますが、聖書にあるどんなおきても、その目的が完全に果たされるまで、無効になることはありません。
+ ですから、どんな小さいおきてでも、破ったり、また人に破るように教えたりする人は、天の国で最も小さい者となります。しかし、神のおきてを教え、また自分でもそれを実行する人は、天の国で偉大な者となります。
+ よく聞きなさい。パリサイ人や、ユダヤ人の指導者たちは、神のおきてを守っているのは自分たちだと言いはります。だが、彼ら以上に正しくなければ天国には入れません。
+ あなたがたの教えでは、『人を殺した者は、死刑に処す』とあります。
+ しかし、わたしはさらにこうつけ加えましょう。人に腹を立てるなら、たとえ相手が自分の家族であっても、裁判にかけられます。人をばか呼ばわりするなら、裁判所に引っぱり出されます。人をのろったりするなら、地獄の火に投げ込まれます。
+ ですから、神殿の祭壇に供え物をささげようとしている時、人に恨まれていることを思い出したら、
+ 供え物はそのままにして、相手に会ってあやまり、仲直りをしなさい。神に供え物をささげるのはそのあとにしなさい。
+ あなたを告訴する人と、一刻も早く和解しなさい。裁判所に引っぱって行かれてからでは間に合いません。そうなったら、あなたは留置場に放り込まれ、
+ すべてを払い終えるまで、出て来られないでしょう。
+ あなたがたの教えでは、『姦淫してはならない』とあります。
+ しかし、だれでもみだらな思いで女性を見るなら、それだけでもう、心の中では姦淫したことになるのです。
+ ですから、もしあなたの目が情欲を引き起こすなら、その目をえぐり出して捨てなさい。体の一部を失っても、体全体が地獄に投げ込まれるより、よっぽどましです。
+ また、もしあなたの手が罪を犯させるなら、そんな手は切り捨てなさい。地獄に落ちるより、そのほうがどんなによいでしょう。
+ また、あなたがたの教えでは、『離縁状を手渡すだけで、妻を離縁できる』とあります。
+ しかし、わたしは言いましょう。だれでも、不倫以外の理由で妻を離縁するなら、その女性が再婚した場合、彼女にも、彼女と結婚する相手にも姦淫の罪を犯させることになるのです。
+ さらにあなたがたの教えでは、『いったん神に立てた誓いは、破ってはならない。どんなことがあっても、みな実行しなければならない』とあります。
+ しかし、わたしは言いましょう。どんな誓いも立ててはいけません。たとえ『天にかけて』と言っても、神に誓うのと同じです。天は神の王座だからです。
+ 『地にかけて』と言ってもいけません。地は神の足台だからです。また『エルサレムにかけて』と言って誓ってもいけません。エルサレムは偉大な王である神の都だからです。
+ 『私の頭にかけて』と言って誓ってもいけません。あなたがたは髪の毛一本さえ白くも黒くもできないからです。
+ だから、『はい、そうします』か、『いいえ、そうしません』とだけ言いなさい。それで十分です。誓いを立てることで約束を信じてもらおうとするのは、悪いことです。
+ あなたがたの教えでは、『人の目をえぐり出した者は、自分の目もえぐり出される。人の歯を折った者は、自分の歯も折られる』とあります。
+ しかし、わたしはあえて言いましょう。暴力に暴力で手向かってはいけません。もし右の頰をなぐられたら、左の頰も向けてやりなさい。
+ 借金のかたに下着を取り上げようとする人には、上着もやりなさい。
+ 荷物を一キロ先まで運べと命令されたら、二キロ先まで運んであげなさい。
+ 『何か下さい』と頼む人には与え、借りに来た人を手ぶらで追い返さないようにしなさい。
+ 『隣人を愛し、敵を憎め』とは、よく言われることです。
+ しかし、わたしは言います。敵を愛し、迫害する人のために祈りなさい。
+ それこそ、天の父の子どもであるあなたがたに、ふさわしいことです。天の父は、悪人にも善人にも太陽の光を注ぎ、正しい人にも正しくない人にも分け隔てなく雨を降らせてくださいます。
+ 自分を愛してくれる人だけを愛したからといって、取り立てて自慢できるでしょうか。悪人でも、そのくらいのことはしています。
+ 気の合う友達とだけ親しくしたところで、ほかの人とどこが違うと言えるでしょう。神を信じなくても、そのくらいのことはだれでもします。
+ ですから、あなたがたは、天の父が完全であるように完全でありなさい。
+
+
+ 人にほめられようと、人前で善行を見せびらかさないようにしなさい。そんなことをすれば、天の父から報いをいただけません。
+ 貧しい人にお金や物を恵む時には、偽善者たちのように、そのことを大声で宣伝してはいけません。彼らは人目につくように、会堂や街頭で大げさに慈善行為をします。いいですか、よく言っておきますが、そういう人たちは、もうそれで、報いは受けているのです。
+ ですから、人に親切にする時は、右手が何をしているのか左手でさえ気づかないくらいに、こっそりとしなさい。
+ そうすれば、隠れたことはどんな小さなことでもご存じの天の父から、必ず報いがいただけます。
+ ここで、祈りについて注意しておきましょう。人の見ている大通りや会堂で、さも信心深そうに祈って見せる偽善者のように祈ってはいけません。よく言っておきますが、そういう人たちは、もうそれで、報いを受けてしまったのです。
+ 祈る時には、一人で部屋に閉じこもり、父なる神に祈りなさい。隠れたことはどんな小さなことでもご存じのあなたの父から、必ず報いがいただけます。
+ ほんとうの神を知らない人たちのように、同じ文句を何度も唱えてはいけません。彼らは、同じ文句をくり返しさえすれば、祈りが聞かれると思っているのです。
+ 父なる神は、あなたがたに何が必要かを、あなたがたが祈る前からすでに、ご存じなのです。
+ ですから、こう祈りなさい。『天におられるお父様。あなたのきよい御名があがめられますように。
+ あなたの御国が来ますように。天の御国でと同じように、この地上でも、あなたの御心が行われますように。
+ 私たちに必要な日々の食物を、今日もお与えください。
+ 私たちの罪をお赦しください。私たちも、私たちに罪を犯す者を赦しました。
+ 私たちを誘惑に会わせないように守り、悪から救い出してください。アーメン。』
+ もしあなたがたが、自分に対して罪を犯した人を赦すなら、天の父も、あなたがたを赦してくださいます。
+ しかし、あなたがたが赦さないなら、天の父も、あなたがたを赦してくださいません。
+ 次に断食についてですが、偽善者たちのような、人目につくやり方は避けなさい。彼らは、やつれた顔をわざと見せつけ、同情を買おうとします。よく言っておきますが、そういう人たちは、もうそれで、報いを受け取ってしまったのです。
+ 断食をする時は、むしろ晴着をまといなさい。
+ そうすれば、だれもあなたが断食をしているとは気づかないでしょう。しかし、あなたの父は、どんなことでもご存じです。そして、報いてくださるのです。
+ 財産を、この地上にたくわえてはいけません。地上では、損なわれたり、盗まれたりするからです。
+ 財産は天にたくわえなさい。そこでは価値を失うこともないし、盗まれる心配もありません。
+ あなたの財産が天にあるなら、あなたの心もまた天にあるのです。
+ 目が澄みきっているなら、あなたのたましいも輝いているはずです。
+ しかし、目が悪い考えや欲望でくもっているなら、あなたのたましいは暗闇の中にいるのです。その暗闇のなんと深いことでしょうか。
+ だれも、神とお金の両方に仕えることはできません。必ずどちらか一方を憎んで、他方を愛するからです。
+ ですから、食べ物や飲み物、着る物のことで心配してはいけません。いのちのほうが、何を食べ、何を着るかということより、ずっと大事です。
+ 空の鳥を見なさい。食べ物の心配をしていますか。種をまいたり、刈り取ったり、倉庫にため込んだりしていますか。そんなことをしなくても、天の父は鳥を養っておられるでしょう。まして、あなたがたは天の父にとって鳥よりはるかに価値があるのです。
+ だいたい、どんなに心配したところで、自分のいのちを一瞬でも延ばすことができますか。
+ また、なぜ着る物の心配をするのですか。野に咲いているゆりの花を見なさい。着る物の心配などしていないでしょう。
+ それなのに、栄華をきわめたソロモンでさえ、この花ほど美しくは着飾っていませんでした。
+ 今日は咲いていても、明日は枯れてしまう草花でさえ、神はこれほど心にかけてくださるのです。だとしたら、あなたがたのことは、なおさらよくしてくださらないでしょうか。ああ、信仰の薄い人たち。
+ ですから、食べ物や着物のことは、何も心配しなくていいのです。
+ ほんとうの神を信じない人たちのまねをしてはいけません。彼らは、それらがたくさんあることを鼻にかけ、そうした物に心を奪われています。しかし天の父は、それらがあなたがたに必要なことをよくご存じです。
+ 神を第一とし、神が望まれるとおりの生活をしなさい。そうすれば、必要なものは、神が与えてくださいます。
+ 明日のことを心配するのはやめなさい。神は明日のことも心にかけてくださるのですから、一日一日を力いっぱい生きなさい。
+
+
+ 人のあら探しをしてはいけません。自分もそうされないためです。
+ なぜなら、あなたがたが接するのと同じ態度で、相手も接してくるからです。
+ 自分の目に大きなごみを入れたままで、どうして人の目にある、小さなちりを気にするのですか。
+ 大きなごみが目をふさいで、自分がよく見えないというのに、どうして、『目にごみが入っている。取ってあげよう』などと言うのですか。
+ 偽善者よ。まず自分の目から大きなごみを取り除きなさい。そうすれば、はっきり見えるようになって、人を助けることができます。
+ 聖なるものを犬に与えてはいけません。真珠を豚にやってはいけません。豚は真珠を踏みつけ、向き直って、あなたがたに突っかかって来るでしょう。
+ 求めなさい。そうすれば与えられます。捜しなさい。そうすれば見つかります。戸をたたきなさい。そうすれば開けてもらえます。
+ 求める人はだれでも与えられ、捜す人はだれでも見つけ出します。戸をたたきさえすれば開けてもらえるのです。
+ パンをねだる子どもに、石ころを与える父親がいるでしょうか。
+ 『魚が食べたい』と言う子どもに、蛇を与える父親がいるでしょうか。いるわけがありません。
+ 罪深いあなたがたであっても、自分の子どもには良いものを与えたいと思うのです。それならなおのこと、あなたがたの天の父が、求める者に良いものを下さらないはずがあるでしょうか。
+ 人からしてほしいと思うことを、そのとおり、人にもしてあげなさい。これがモーセの律法の要約です。
+ 狭い門を通らなければ、天の国に入ることはできません。人を滅びに導く道は広く、多くの人がその楽な道を進み、広い門から入って行きます。
+ しかし、いのちに至る門は小さく、その道は狭いので、ほんのわずかな人しか見つけることができません。
+ 偽教師たちに気をつけなさい。彼らは羊の毛皮をかぶった狼だから、あなたがたを引き裂いてしまうでしょう。
+ 彼らの行いを見て、正体を見抜きなさい。ちょうど木を見分けるように。実を見れば、何の木かはっきりわかります。ぶどうといばら、いちじくとあざみとを見まちがえることなどありえません。
+ 実を食べてみれば、どんな木かすぐにわかります。
+ おいしい実をつける木が、まずい実をつけるはずはないし、まずい実をつける木が、おいしい実をつけるはずもありません。
+ まずい実しかつけない木は、結局は切り倒され、焼き捨てられてしまいます。
+ 木でも人でも、それを見分けるには、どんな実を結ぶかを見ればよいのです。
+ わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う人がみな、神の国に入れるわけではありません。天におられるわたしの父の御心に従う人だけが入れるのです。
+ 最後の審判の時、多くの人が弁解するでしょう。『主よ、主よ。私たちは熱心に伝道しました。あなたのお名前を使って悪霊を追い出し、すばらしい奇跡を何度も行ったではありませんか。』
+ しかし、わたしはこう宣告します。『あなたがたのことは知らない。ここから出て行きなさい。あなたがたがしたのは悪いことばかりではありませんか。』
+ わたしの教えを聞いて、そのとおり忠実に実行する人はみな、堅い岩の上に家を建てる賢い人に似ています。
+ 大雨が降り、大水が押し寄せ、大風が吹きつけても、その家はびくともしません。土台がしっかりしているからです。
+ 反対に、わたしの教えを聞いても、それを無視する人は、砂の上に家を建てる愚かな人に似ています。
+ 大雨、大水、大風が襲いかかると、その家はあとかたもなく、こわれてしまうからです。」
+ 群衆は、イエスの教えに目をみはりました。
+ イエスの話し方が、どんなユダヤ人の指導者たちとも違っていたからです。
+
+
+ イエスが山を降りると、大ぜいの群衆がついて来ました。
+ その時です。ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)の人が一人、イエスに駆け寄り、足もとにひれ伏しました。「先生。お願いですから、私を治してください。お気持ちひとつで、治すことがおできになるのですから。」
+ イエスはその男にさわり、「そうしてあげましょう。さあ、よくなりなさい」と言われました。するとたちまち、ツァラアトはあとかたもなくきれいに治ってしまいました。
+ 「さあ、まっすぐ祭司のところに行き、体を調べてもらいなさい。モーセの律法にあるとおり、ツァラアトが治った時のささげ物をしなさい。完全に治ったことを人々の前で証明するのです。」
+ イエスがカペナウムの町に入られると、ローマ軍の隊長がやって来て、「先生。うちの若い召使が中風で苦しんでおります。とてもひどく、起き上がることもできません。どうか治してやってください。お願いします」としきりに頼みました。
+ 「わかりました。では、行って治してあげましょう」とイエスは承知されました。
+ ところが、隊長の返事はこうでした。「先生。私には、あなたを家にお迎えするだけの資格はありません。わざわざ来ていただかなくても、ただこの場で、『治れ』と言ってくださるだけでけっこうです。そうすれば、召使は必ず治ります。
+ と申しますのは、私も上官に仕える身ですが、私の下にも部下が大ぜいおります。その一人に私が『行け』と言えば行きますし、『来い』と言えば来ます。また奴隷に『あれをやれ。これをやれ』と命じると、そのとおりにします。私にさえそんな権威があるのですから、先生の権威で、病気に『出て行け』とお命じになれば、必ず治るはずです。」
+ イエスはたいへん驚き、群衆のほうをふり向いて言われました。「これほど信仰深い人は、イスラエル中でも見たことがありません。
+ いいですか、皆さん。やがて、この人のような外国人がたくさん世界中からやって来て、神の国で、アブラハム、イサク、ヤコブといっしょに席に着くでしょう。
+ ところが、神の国はもともとイスラエル人のために準備されたのに、多くのイスラエル人が入りそこねて、外の暗闇に放り出され、泣いてくやしがることになるのです。」
+ それから、ローマ軍の隊長に、「さあ、家に帰りなさい。あなたの信じたとおりのことが起こっています」と言われました。そして、ちょうどその時刻、召使の病気はいやされていたのです。
+ イエスがペテロの家に行かれると、ペテロのしゅうとめが、高熱でうなされていました。
+ ところが、イエスがその手におさわりになると、たちまち熱がひき、彼女は起き出して、みんなの食事のしたくを始めました。
+ その夕方のことです。悪霊につかれた人たちが、イエスのところに連れて来られました。イエスがただひとことお命じになると、たちまち悪霊どもは逃げ出し、病人はみな治りました。
+ こうして、イエスについてイザヤが、「彼は、私たちの痛みを身に引き受け、私たちの病を負った」と預言したとおりになったのです。
+ イエスは、自分を取り巻く群衆の数がだんだんふくれ上がっていくのに気づき、湖を渡る舟の手配を弟子たちにお命じになりました。
+ ちょうどその時、ユダヤ教の教師の一人が、「先生。あなたがどこへ行かれようと、ついてまいります」と申し出ました。
+ しかし、イエスは言われました。「きつねにも穴があり、鳥にも巣があります。しかし、メシヤ(救い主)のわたしには、自分の家はおろか、横になる所もありません。」
+ また、ある弟子は、「先生。ごいっしょするのは、父の葬式を終えてからにしたいのですが」と言いました。
+ けれどもイエスは、「いや、今いっしょに来なさい。死んだ人のことは、あとに残った者たちに任せておけばいいのです」とお答えになりました。
+ それから、イエスと弟子たちの一行は舟に乗り込み、湖を渡り始めました。
+ すると突然、激しい嵐になりました。舟は今にも、山のような大波にのまれそうです。ところが、イエスはぐっすり眠っておられました。
+ 弟子たちはあわてて、イエスを揺り起こし、「主よ。お助けください。舟が沈みそうです」と叫びました。
+ するとイエスは、「そんなにこわがるとは、それでも神を信じているのですか」と答えると、ゆっくり立ち上がり、風と波をおしかりになりました。するとどうでしょう。嵐はぴたりとやみ、大なぎになったではありませんか。
+ 弟子たちは恐ろしさのあまり、その場に座り込み、「なんというお方だろう。風や湖までが従うとは」と、ささやき合いました。
+ やがて、舟は湖の向こう岸に着きました。ガダラ人の住む地方です。と、そこに二人の男がやって来ました。実はこの二人は悪霊に取りつかれ、墓場をねぐらにしている人たちでした。何をされるかわかったものではないので、だれもそのあたりには近寄りませんでした。
+ 二人は、イエスに向かって大声でわめき立てました。「おれたちをどうしようというんだ。確かに、おまえは神の子だ。だが、今はまだ、おれたちを苦しめる権利はないはずだ。」
+ ところで、ずっと向こうのほうでは、豚の群れが放し飼いになっていました。
+ そこで悪霊たちは、「もし、おれたちを追い出すのなら、あの豚の群れの中に入れてくれ」と頼みました。
+ イエスが、「よし、出て行け」とお命じになると、悪霊たちは男たちから出て、豚の中に入りました。そのとたん、豚の群れはまっしぐらに走りだし、湖めがけていっせいにがけを駆け降り、おぼれ死んでしまいました。
+ びっくりした豚飼いたちが近くの町に逃げ込み、事の一部始終を知らせると、
+ 町中の者が押しかけ、「これ以上迷惑をかけてもらいたくないから、この地を立ち去ってくれ」とイエスに頼みました。
+
+
+ それで、イエスは舟に乗り込み、ご自分の町カペナウムに帰られました。
+ そうこうするうち、数人の人が、中風の男を寝床に寝かせたまま運んで来ました。必ず治していただけると信じていたからです。イエスはこの人たちの信仰を見て、病人に、「さあ、元気を出しなさい。わたしがあなたの罪を赦したのですから」と言われました。
+ 「なんと罰あたりなことばだ! まるで、自分が神だと言っているようなものではないか。」ユダヤ教の指導者のある者は、腹の中が煮えくり返る思いでした。
+ イエスは、彼らの心中を見抜いて、「なぜそんな悪いことを考えているのですか。
+ この人に『あなたの罪が赦されました』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのと、どちらがやさしいですか。さあ、わたしに地上で罪を赦す権威があることを証明してみせましょう」と言い、向き直って、中風の男に命令なさいました。「さあ、起きて寝床をたたみ、家に帰りなさい。もう治ったのですから。」
+ すると男は飛び起き、家に帰って行きました。
+ この有様を目のあたりにした群衆は、恐ろしさのあまり震え上がり、このような権威を人にお与えになった神をあがめました。
+ イエスはそこを去り、道を進んで行かれました。途中、マタイという取税人が取税所に座っていたので、「来なさい。わたしの弟子になりなさい」と声をおかけになると、マタイはすぐ立ち上がり、あとについて行きました。
+ そのあと、イエスと弟子たちは、マタイの家で夕食をとることになり、取税人仲間や律法の規定を守らない人も大ぜい招かれました。
+ これを見たパリサイ人たちはかんかんになり、弟子たちに、「おまえたちの先生は、どうしてあのような者たちとつき合うのだ」と食ってかかりました。
+ イエスはこれを聞いて、「健康な人には医者はいりません。医者が必要なのは病人です」とお答えになり、
+ さらにこう続けました。「聖書に、『わたしが喜ぶのは、いけにえやささげ物ではなく、あなたがたがあわれみ深くなることである』とあります。このほんとうの意味を、もう一度学んできなさい。わたしは、自分を正しいと思っている人たちのためにではなく、罪人を神に立ち返らせるために来たのです。」
+ ある日、バプテスマのヨハネの弟子たちがイエスのところに来て、尋ねました。「なぜ、先生の弟子たちは、私たちやパリサイ人のように断食しないのですか。」
+ するとイエスは、こうお話しになりました。「花婿の友達は、花婿がいっしょにいる間は、嘆き悲しんだり食事をしなかったりするでしょうか。しかし、やがて花婿のわたしが、彼らから引き離される日が来ます。その時こそ彼らは断食することになるでしょう。
+ 水洗いしていない新しい布で、古い着物に継ぎ当てをする人がいるでしょうか。そんなことをしたら、当て布は縮んで着物を破り、穴はもっと大きくなるでしょう。
+ また、新しいぶどう酒を貯蔵するのに、古い皮袋を使う人がいるでしょうか。そんなことをしたら、古い皮袋は新しいぶどう酒の圧力で張り裂け、ぶどう酒はこぼれ、どちらもだいなしになってしまいます。新しいぶどう酒を貯蔵するには、新しい皮袋を使います。そうすれば両方とも長持ちするのです。」
+ このように話していると、町の会堂管理人が駆け込んで来ました。そしてイエスの前にひれ伏し、「先生。私の幼い娘がたったいま息を引き取りました。どうかおいでくださって、手を置いて、あの子を生き返らせてください」と訴えました。
+ そこでイエスと弟子たちは、彼の家へ向かいました。
+ その途中、十二年間も出血の止まらない病気で苦しんでいた一人の女が、人ごみにまぎれて、うしろからイエスの着物のふさにさわりました。
+ 「このお方にさわるだけでも、きっと治る」と思ったからです。
+ イエスはふり向き、女に声をかけました。「さあ、勇気を出しなさい。あなたの信仰があなたを治したのです。」この瞬間から、女はすっかりよくなりました。
+ さて、イエスが会堂管理人の家に着くと、人々であふれ返り、弔いの音楽が聞こえてきます。
+ そこでイエスは、「さあ、この人たちを外に出しなさい。娘さんは死んではいません。ただ眠っているだけです」と言われました。それを聞くと、みんなはイエスをあざ笑いました。
+ 人々がみな出て行くと、イエスは少女の寝ている部屋に入り、その手を取りました。するとどうでしょう。少女はすぐに起き上がり、もとどおり元気になったのです。
+ このうわさはたちまち、その地方一帯に広まりました。
+ イエスが少女の家をあとにされると、二人の盲人が、「ダビデ王の子よ! あわれな私たちをお助けください」と叫びながらついて来ました。
+ そしてついに、イエスが泊まっておられる家にまで入り込んで来ました。イエスが、「わたしに目を開けることができると思いますか」とお尋ねになると、彼らは、「はい、もちろんです」と答えました。
+ そこでイエスは、二人の目にさわり、「あなたがたの信じるとおりになりなさい」と言われました。
+ すると、彼らの目が見えるようになったのです。「このことをだれにも話してはいけません」と、イエスはきびしくお命じになりましたが、
+ それでも彼らは、イエスのことを町中に言いふらしました。
+ この人たちと入れ替わりに、悪霊につかれてものが言えなくなった男が連れて来られました。
+ イエスが悪霊を追い出されると、その人はすぐに口をきき始めたので、みんなは驚きあきれ、「こんなことは、今まで見たことがない」と大声で言い合いました。
+ しかし、パリサイ人たちは、「あいつは、悪霊の王ベルゼブル(サタン)を使っているのだ。それで悪霊どもを簡単に追い出せるのだ」と言いました。
+ イエスはその地方の町や村をくまなく巡回し、ユダヤ人の会堂で教え、神の国についての福音を伝えられました。また、行く先々で、あらゆる病人を治されました。
+ このように、ご自分のところにやって来る群衆をごらんになって、イエスの心は深く痛みました。彼らは、かかえている問題が非常に大きいのに、どうしたらよいか、どこへ助けを求めたらよいかわからないのです。ちょうど、羊飼いのいない羊のようでした。
+ イエスは弟子たちに言われました。「収穫はたくさんあるのに、働く人があまりにも少ないのです。
+ ですから、収穫の主である神に祈りなさい。刈り入れの場にもっと多くの働き手を送ってくださるように願うのです。」
+
+
+ イエスは、十二人の弟子たちをそばに呼び寄せ、彼らに、汚れた霊を追い出し、あらゆる病気を治す権威をお与えになりました。
+ その十二人の名前は次のとおりです。シモン〔別名ペテロ〕、アンデレ〔ペテロの兄弟〕、ヤコブ〔ゼベダイの息子〕、ヨハネ〔ヤコブの兄弟〕、ピリポ、バルトロマイ、トマス、マタイ〔取税人〕、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、タダイ、シモン〔「熱心党」という急進派グループのメンバー〕、イスカリオテのユダ〔後にイエスを裏切った男〕です。
+ イエスは、次のような指示を与え、弟子たちを派遣されました。「外国人やサマリヤ人のところに行ってはいけません。
+ イスラエル人のところにだけ行きなさい。この人たちは神の囲いから迷い出た羊です。
+ 彼らのところに行って、『神の国は近づいた』と伝えなさい。
+ 病人を治し、死人を生き返らせ、ツァラアトの人を治し、悪霊を追い出しなさい。ただで受けたのだから、ただで与えなさい。
+ お金は、たとえわずかでも持って行ってはいけません。
+ 旅行袋や着替え、くつ、それに杖も持って行ってはいけません。そういうものは、あなたがたが助けてあげる人たちから世話してもらいなさい。それが当然のことです。
+ どんな町や村に入っても、神を敬う人を見つけ、次の町へ行くまで、その家に泊まりなさい。
+ 泊めてもらう時は、その家の祝福を祈りなさい。
+ もし神を敬う家庭なら、その家は必ず祝福されるし、そうでなければ、祝福されないでしょう。
+ あなたがたを受け入れない町や家があったら、そこを立ち去る時、足のちりを払い落としなさい。
+ よく言っておきますが、さばきの日には、あの邪悪なソドムとゴモラの町(悪行のため、神に滅ぼされた町)のほうが、その町よりまだ罰が軽いのです。
+ いいですか。あなたがたを派遣するのは、羊を狼の群れの中へ送るようなものです。ですから、蛇のように用心深く、鳩のように純真でありなさい。
+ 気をつけなさい。あなたがたは捕らえられて裁判にかけられ、会堂でむち打たれるからです。
+ わたしのために、総督や王たちの前で取り調べられるでしょう。その時、わたしのことを彼らと世の人々にあかしすることになります。
+ 逮捕されたら、どう釈明しようかなどと心配することはありません。その時その時に適切なことばが与えられます。
+ 釈明するのは、あなたがたではありません。あなたがたの天の父の御霊が、あなたがたの口を通して語ってくださるのです。
+ 身内からさえ迫害が起こります。
+ わたしの弟子だというので、あなたがたはすべての人に憎まれます。けれども、最後まで耐え忍ぶ者は救われるのです。
+ 一つの町で迫害されたら、次の町に逃げなさい。あなたがたがイスラエルの町を全部めぐり終えないうちに、わたしは戻って来るからです。
+ 生徒は先生にまさることはなく、使用人は主人より上ではありません。
+ 生徒は先生のようになれたら十分だし、使用人は主人のようになれたら十分です。主人のわたしがベルゼブル(サタン)と呼ばれるくらいなのだから、ましてあなたがたは、どんなひどいことを言われるでしょうか。
+ しかし、脅迫する者たちを恐れてはいけません。やがてほんとうのことが明らかになり、彼らがひそかに巡らした陰謀は、すべての人に知れ渡るからです。
+ わたしが今、暗闇で語ることを、明るいところで大声でふれ回りなさい。わたしがあなたがたの耳にささやいたことを、屋上から言い広めなさい。
+ 体だけは殺せても、たましいには指一本ふれることもできないような人々を、恐れてはいけません。たましいも体も地獄に落とすことのできる神だけを恐れなさい。
+ たった一羽の雀でさえ、あなたがたの天の父の許しなしに地に落ちることはありません。
+ あなたがたの髪の毛さえ一本残らず数えられています。
+ ですから、心配しなくてもいいのです。あなたがたは神にとって、雀より、ずっと大切なものではありませんか。
+ もしあなたがたが、だれの前でも、『私はイエスの友だ』と認めるなら、わたしも、天の父の前で、あなたがたをわたしの友だとはっきり認めましょう。
+ しかし、もし人々の前で、『イエスなど知らない』と言うなら、わたしもまた天の父の前で、あなたがたを知らないと、はっきり言うでしょう。
+ わたしが来たのは、地上を平和にするためだ、などと誤解してはいけません。平和ではなく、むしろ争いを引き起こすために来たのです。
+ そうです。息子を父親に、娘を母親に、嫁をしゅうとめに逆らわせるためです。
+ 家族の者さえ敵となる場合があるのです。
+ わたし以上に父や母を愛する者は、わたしを信じる者にふさわしくありません。また、わたしよりも息子や娘を愛する者は、わたしを信じる者にふさわしくありません。
+ さらに、自分の十字架を負ってわたしに従って来ない者は、わたしを信じる者にふさわしくありません。
+ 自分のいのちを一生懸命守ろうとする者は、それを失いますが、わたしのためにいのちを捨てる者は、それを自分のものとします。
+ あなたがたを受け入れる人は、わたしを受け入れるのです。わたしを受け入れる人は、わたしをお遣わしになった神を受け入れているのです。
+ もし預言者を、神から遣わされた預言者だというので受け入れるなら、預言者と同じ報いを受けるでしょう。また、神を敬う正しい人たちを、彼らが神を敬うというので受け入れるなら、彼らと同じ報いを受けます。
+ また、この小さい者のひとりに、わたしに代わって冷たい水一杯でも与えるなら、よく言っておきますが、その人は必ず報いを受けるのです。」
+
+
+ イエスは、十二人の弟子たちにこのような指示を与えると、ご自分も教え、宣べ伝えるために、彼らが行くことになっていた町々へお出かけになりました。
+ さて、そのころ牢獄にいたバプテスマのヨハネは、キリストがさまざまな奇跡を行っておられることを聞きました。そこで、弟子たちをイエスのもとに送り、
+ 「あなたはほんとうに、私たちの待ち続けてきたお方ですか。それとも、まだ別の方を待たなければならないのでしょうか」と尋ねさせました。
+ イエスは答えて言われました。「ヨハネのところに帰り、わたしの行っている奇跡について、見たままを話しなさい。
+ 盲人は見えるようになり、足の立たなかった者が今は自分で歩けるようになり、ツァラアトの人が治り、耳の聞こえなかった人も聞こえ、死人が生き返り、そして、貧しい人々が福音を聞いていることなどを。
+ それから、こう伝えるのです。『わたしを疑わない人は幸いです。』」
+ ヨハネの弟子たちが帰ってしまうと、イエスは群衆に、ヨハネのことを話し始められました。「あなたがたはヨハネに会おうと荒野へ出かけて行った時、彼をどんな人物だと考えていましたか。風にそよぐ葦のような人だとでも思っていたのですか。
+ それとも宮殿に住む王子のように、きらびやかに着飾った人に会えるとでも思ったのですか。
+ あるいは、神の預言者に会えると期待していたのですか。そのとおり彼は預言者です。いや、それ以上の者です。
+ 彼こそ、聖書の中で、『見よ。わたしはあなたより先に使者を送る。その使者は、人々にあなたを迎え入れる準備をさせる』と言われている、その人です。
+ よく言っておきます。今までに生まれた人の中で、バプテスマのヨハネほどすぐれた働きをした人はいません。しかし、神の国で一番小さい者でも、ヨハネよりずっと偉大なのです。
+ ヨハネが教えを宣べ伝え、バプテスマ(洗礼)を授け始めてから現在まで、多くの熱心な人々が天国を目指して押し寄せました。
+ すべての律法と預言者(旧約聖書を指す)とは、メシヤ(救い主)を待ち望んできたからです。そして、ヨハネが現れました。
+ ですから、わたしの言うことを喜んで理解しようとする人なら、ヨハネこそ、天国が来る前に現れると言われていた、あの預言者エリヤだとわかるでしょう。
+ さあ、聞く耳のある人は聞きなさい。
+ あなたがたイスラエル人のことを、何と言えばいいでしょう。まるで小さな子どものようです。あなたがたは友達同士で遊びながら、こう責めているのです。
+ 『結婚式ごっこをして遊ぼうと言ったのに、ちっともうれしがってくれなかった。だから葬式ごっこにしたのに、今度は悲しがってくれなかった。』
+ つまり、バプテスマのヨハネが酒も飲まず、また何度も断食していると、『あいつは気が変になっている』とけなし、
+ メシヤのわたしがごちそうを食べていると、『大食いの大酒飲み、最もたちの悪い罪人の仲間だ』とののしります。もっとも、賢いあなたがたのことですから、うまくつじつまを合わせるでしょうが、知恵が正しいかどうかは、行いによって証明されるのです。」
+ それからイエスは、多くの奇跡を目のあたりに見ながら、それでも、神に立ち返ろうとしなかった町々を責められました。
+ 「ああ、コラジンよ。ああ、ベツサイダよ。わたしがあなたがたの街頭で行ったような奇跡を、あの邪悪な町ツロやシドン(悪行のため、神に滅ぼされた町)で見せたなら、そこの人々は、とうの昔に恥じ入り、へりくだって悔い改めていたでしょうに。
+ いいですか、さばきの日にはツロとシドンのほうが、あなたがたよりまだましなものとされるのです。
+ ああ、カペナウムよ。大きな名誉を受けたあなたも、地獄にまで突き落とされるのです。あなたのところでしたすばらしい奇跡を、もしあのソドムで見せたなら、ソドムは滅ぼされずにすんだでしょうに。
+ いいですか、さばきの日には、ソドムのほうがあなたより、まだましなものとされるのです。」
+ そして、こう祈られました。「ああ、天地の主である父よ。自分を賢いとうぬぼれる者たちには、あなたの真理を隠し、それを小さな子どもたちに示してくださって、ありがとうございます。
+ 父よ。これが、お心にかなったことでした。
+ あなたは、すべてのことを、わたしに任せてくださいました。わたしを知っておられるのは、父であるあなただけですし、あなたを知っているのは、子であるわたしと、わたしが教える人たちだけです。
+ 重い束縛を受けて、疲れはてている人たちよ。さあ、わたしのところに来なさい。あなたがたを休ませてあげましょう。
+ わたしはやさしく、謙遜な者ですから、負いやすいわたしのくびきを、わたしといっしょに負って、わたしの教えを受けなさい。そうすれば、あなたがたのたましいは安らかになります。
+ わたしが与えるのは軽い荷だけだからです。」
+
+
+ そのころのことです。イエスは弟子たちといっしょに、麦畑の中を歩いておられました。ちょうど、ユダヤの礼拝日にあたる安息日(神の定めた休息日)でしたが、お腹がすいた弟子たちは、麦の穂を摘み取って食べ始めました。
+ ところが、それを見た、あるパリサイ人たちが言いました。「あなたの弟子たちがおきてを破っている。安息日に刈り入れをするなど、もってのほかだ。」
+ しかし、イエスは言われました。「ダビデ王とその家来たちが空腹になった時、どんなことをしたか、聖書で読んだことがないのですか。
+ ダビデ王は神殿に入り、祭司しか食べられない供え物のパンを、みんなで食べたではないですか。ダビデ王でさえ、おきてを破ったわけです。
+ また、神殿で奉仕をする祭司は安息日に働いてもよい、と聖書に書いてあるのを読んだことがないのですか。
+ ことわっておきますが、このわたしは、神殿よりもずっと偉大なのです。
+ もしあなたがたが、『わたしは供え物を受けるより、あなたがたにあわれみ深くなってほしい』という聖書のことばをよく理解していたら、罪もない人たちをとがめたりはしなかったはずです。
+ 安息日といえども、天から来たわたしの支配下にあるのですから。」
+ このあと、イエスは会堂にお入りになりました。
+ ふとごらんになると、そこに、片手の不自由な男がいました。ここぞとばかり、パリサイ人たちは、「安息日に病気を治してやっても、おきてに違反しないでしょうか」と尋ねました。それは、イエスがきっと「さしつかえない」と答えるだろうから、そうしたら逮捕しようという計略でした。
+ ところが、イエスの答えは違いました。「あなたがたが、羊を一匹飼っていたとします。ところが、その羊が安息日に井戸に落ちてしまった。さあ、どうしますか。もちろん、すぐに助けてあげるでしょう。
+ 人間の価値は、羊とは比べものになりません。だから安息日に良いことをするのは、正しいことなのです。」
+ それからイエスは、片手の不自由な男に、「手を伸ばしなさい」と言われ、彼がそのとおりにすると、手はすっかりよくなりました。
+ そこでパリサイ人たちは、どうにかしてイエスを逮捕し死刑にしようと、集まって陰謀を巡らしました。
+ しかし、それに気づいたイエスは、いち早く会堂を抜け出しました。すると、大ぜいの人がついて来たので、その中の病人をみないやし、
+ そして彼らに、この奇跡のうわさを言い広めないように注意しました。
+ こうして、イザヤの預言のとおりになったのです。
+ 「わたしのしもべを見よ。彼こそわたしの選んだ者。わたしが喜ぶ、わたしの愛する者。わたしは彼の上にわたしの霊を置き、彼は国々をさばく。
+ 彼は争わず、叫ぶことも大声をあげることもない。
+ 弱い者を踏み倒さず、どんな小さな望みの火も消さない。ついには、正義に勝利をもたらす。
+ 彼の名こそ、全世界の希望となる。」
+ その時、悪霊につかれて、目も見えず、口もきけない人が連れて来られたので、イエスは彼の目を開け、口もきけるようになさいました。
+ これを見た人々は驚いて、「やはり、この人がメシヤ(救い主)ではないだろうか」と言い合いました。
+ しかし、このことを耳にしたパリサイ人たちは、「イエスが悪霊を追い出せるのは、自分が悪霊の王ベルゼブル(サタン)だからだ」とうそぶきました。
+ イエスは彼らの考えを見抜き、こう言われました。「内紛の絶えない国は、結局滅びます。町でも家庭でも、分裂していては長続きしません。
+ もしサタンがサタンを追い出すなら、自分で自分と戦い、自分の国を破壊することになるのです。
+ わたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出していると言うが、あなたがたの仲間も、悪霊を追い出しているではありませんか。彼らは、いったい何の力で追い出しているのですか。あなたがたの非難があたっているかどうか、彼らに答えてもらいましょう。
+ ところで、もしわたしが神の霊によって悪霊を追い出しているとしたら、どうでしょう。神の国はもう、あなたがたのところに来ているのです。
+ 強い者の家に押し入って、物を盗み出すにはまず、その強い者を縛り上げなければなりません。悪霊も同じことです。まずサタンを縛り上げなければ、悪霊を追い出せるわけがありません。
+ わたしに味方しない者はみな、わたしの敵なのです。
+ だから、あなたがたに言っておきます。どんなにわたしを悪く言おうと、またどんな罪を犯そうと、神は赦してくださいます。ただ一つ、聖霊を汚すことだけは例外です。この罪ばかりは、いつの世でも絶対に赦されることはありません。
+ 木の良し悪しは、実で見分けます。良い品種は良い実をつけ、劣った品種は悪い実をつけるものです。
+ ああ、まむしの子らよ。あなたがたのような悪者の口から、どうして正しい、良いことばが出てくるでしょう。人の心の思いが、そのまま口から出てくるのですから。
+ 良い人のことばを聞けば、その人の心の中にすばらしい宝がたくわえられていることがわかります。しかし、悪い人の心の中は悪意でいっぱいです。
+ 言っておきますが、やがてさばきの日には、あなたがたは今まで口にしたむだ口を、一つ一つ釈明しなければならないのです。
+ あなたがたのことばしだいで、あなたがたの将来は決まります。自分のことばによって、正しい者とされるか、あるいは罪に定められるか、どちらかになるのです。」
+ ある日、ユダヤ人の指導者とパリサイ人のうちの何人かがやって来て、「あなたがほんとうにメシヤなら、その証拠を見せてほしい」と頼みました。
+ しかしイエスは、お答えになりました。「邪悪な不信の時代の人々は、証拠を要求するのです。けれども、預言者ヨナに起こったこと以外は、何の証拠も与えられません。
+ つまり、ヨナが三日三晩大きな魚の腹の中で過ごしたように、メシヤのわたしも、三日三晩、地の中で過ごすからです。
+ さばきの日には、あのニネベの人々が、あなたがたをきびしく罰する側に立つでしょう。ニネベの人々はヨナの教えを聞いて、それまでの堕落した生活を悔い改め、神に立ち返ったからです。ところが、今ここに、ヨナよりもはるかにまさる者が立っているのに、あなたがたはその人を信じようとしません。
+ シェバの女王でさえ、あなたがたをきびしく罰する側に回るでしょう。彼女は、ソロモンから知恵のことばを聞こうと、あんなに遠い国から旅して来ることもいとわなかったのです。ここに、そのソロモンよりまさる偉大な者がいるのに、あなたがたは信じようとしません。
+ この邪悪な時代に生きる人たちは、ちょうど悪霊につかれた人のようです。せっかくその人から悪霊が出て行っても、しばらくの間、悪霊は別の住みかを求めて荒野をあちこち歩き回るだけです。結局、適当な場所が見つからないので、
+ 『もとの家に帰ろう』と帰ってみると、その人の心はきれいに片づけてあり、しかも空っぽです。
+ そこで、しめたとばかり、もっとたちの悪い七つの霊を連れ込んで、住みついてしまうというわけです。こうなると、その人の状態は以前より、はるかに悲惨なものとなります。」
+ イエスが人々のひしめき合う家の中で話しておられた時、母と弟たちがやって来ました。イエスに話したいことがあったからです。
+ だれかが、「先生。お母様と弟さんたちがお見えです」と知らせると、
+ イエスはみんなを見回して、「わたしの母や兄弟とは、いったいだれのことですか」と言われました。
+ そして弟子たちを指さし、「ごらんなさい。この人たちこそわたしの母であり兄弟です。
+ 天におられるわたしの父に従う人はだれでも、わたしの母であり、兄弟であり、姉妹なのです」と言われました。
+
+
+ その日のうちに、イエスは家を出て、湖の岸辺に降りて行かれました。
+ ところがそこも、またたく間に群衆でいっぱいになったので、小舟に乗り込み、舟の上から、岸辺に座っている群衆に、多くのたとえを使って教えを語られました。「農夫が畑で種まきをしていました。
+ まいているうちに、ある種が道ばたに落ちました。すると、鳥が来て食べてしまいました。
+ また、土の浅い石地に落ちた種もありました。それはすぐに芽を出したのですが、
+ 土が浅すぎて十分根を張ることができません。やがて日が照りつけると枯れてしまいました。
+ ほかに、いばらの中に落ちた種もありましたが、いばらが茂って、結局、成長できませんでした。
+ しかし中には、耕された良い地に落ちた種もありました。そして、まいた種の三十倍、六十倍、いや百倍もの実を結びました。
+ 聞く耳のある人はよく聞きなさい。」
+ その時、弟子たちが近寄って来て尋ねました。「どうして、人々にはいつも、このようなたとえでお話しになるのですか。」
+ 「あなたがたには神の国を理解することが許されていますが、ほかの人たちはそうではないからです。」イエスはこう答え、
+ さらに続けて説明なさいました。「つまり、持っている者はますます多くの物を持つようになり、持たない者はわずかな持ち物さえも取り上げられてしまいます。
+ だから、たとえを使って話すのです。彼らは、いくら見てもいくら聞いても、少しも理解しようとしません。
+ こうして、イザヤの預言のとおりになりました。『彼らは、聞くには聞くが理解しない。見るには見るが認めない。
+ その心は肥えて鈍くなり、その耳は遠く、その目は閉じられている。彼らは見もせず、聞きもせず、理解もせず、神に立ち返って、わたしにいやされることがない。』
+ しかし、あなたがたの目は見ているから幸いです。また、あなたがたの耳は聞いているから幸いです。
+ よく言っておきますが、多くの預言者や神を敬う人たちが、今あなたがたの見聞きしていることを見たい、聞きたいと、どんなに願ったことでしょう。しかし、残念ながらできなかったのです。
+ さて、さっきの種まきのたとえ話を説明しましょう。
+ 最初の道ばたというのは、踏み固められた土のことで、御国についてのすばらしい知らせを耳にしながら、それを理解しようとしない人の心を表しています。こういう人だと、悪魔がさっそくやって来て、その心から、まかれた種を奪い取っていくのです。
+ 次に、土が浅く、石ころの多い地というのは、教えを聞いたその時は大喜びで受け入れる人の心を表しています。
+ ところが、その人の心は深みがないので、このすばらしい教えも深く根をおろすことができません。ですから、しばらくして信仰上の問題が起こったり、迫害が始まったりすると、熱がさめ、いとも簡単に離れて行ってしまうのです。
+ また、いばらの生い茂った地というのは、神のことばを聞いても、生活の苦労や金銭欲などがそれをふさいでしまい、しだいに神から離れていく人のことです。
+ 最後に、良い地というのは、神のことばに耳を傾け、それを理解する人の心のことです。このような人こそ、三十倍、六十倍、百倍もの実を結ぶことができるのです。」
+ イエスは、別のたとえ話もなさいました。「神の国は、自分の畑に良い種をまく農夫のようなものです。
+ ある晩、農夫が眠っているうちに敵が来て、麦の中に毒麦の種をまいていきました。
+ 麦が育つと、毒麦もいっしょに伸びてきました。
+ 使用人は主人のところに駆けつけ、このことを報告しました。『ご主人様、大変です! 最良の種をまいた畑に、なんと毒麦も生えてきました。』
+ 『敵のしわざだな。』主人はすぐに真相を見抜きました。使用人たちが、『毒麦を引き抜きましょうか』と尋ねると、
+ 主人は、『いや、だめだ。そんなことをしたら、麦まで引き抜いてしまうだろう。
+ 収穫の時まで、放っておきなさい。その時がきたら、まず毒麦だけを束ねて燃やし、あとで麦はきちんと倉庫に納めればよいのだ』と答えました。」
+ またイエスは、こんなたとえも話されました。「天国は、畑にまいたからし種のようなものです。
+ それはどんな種よりも小粒ですが、成長すると大きな木になり、鳥が巣を作れるほどになります。」
+ さらに、こんなたとえも話されました。「神の国は、女の人がパンを焼くのにも似ています。小麦粉に、ほんの少しのパン種(パンの製造に使用する酵母)を入れるだけで、パン生地全体がふくらんできます。」
+ 群衆に話をする時、イエスはいつも、このようにたとえで語られました。それは、預言者によって言われたことが実現するためでした。「わたしはたとえを使って語り、世の初めから隠されている秘密を説き明かそう。」
+ こうしてイエスが群衆と別れ、家に入られると、弟子たちは、さきほどの毒麦のたとえの意味を説明してほしいと願いました。
+ イエスは、お答えになりました。「いいでしょう。良い麦の種をまく農夫とは、わたしです。
+ 畑とはこの世界、良い麦の種というのは天国に属する人々、毒麦とは悪魔に属する人々のことです。
+ 畑に毒麦の種をまいた者とは悪魔であり、収穫の時とはこの世の終わり、刈り入れをする人とは天使たちのことです。
+ この話では、毒麦がより分けられ、焼かれますが、この世の終わりにも同じようなことが起こります。
+ わたしは天使を送って、人をそそのかす者や悪人たちをより分け、
+ 炉に投げ込んで燃やしてしまいます。悪人たちは、そこで泣いて歯ぎしりするのです。
+ その時、正しい人たちは、父の国で太陽のように輝きます。聞く耳のある人はよく聞きなさい。
+ 神の国は、ある人が畑の中で見つけた宝のようなものです。見つけた人はもう大喜びで、だれにも知らせず、全財産をはたいてその畑を買い、宝を手に入れるに違いありません。
+ また神の国は、良質の真珠を探している宝石商のようなものです。
+ 彼はすばらしい価値のある真珠を見つけると、持ち物全部を売り払ってでも、それを手に入れようとするのです。
+ また神の国は、漁師にたとえることもできます。漁師は、いろいろな魚でいっぱいになった網を引き上げると、岸辺に座り込んで網の中の魚をより分けます。食べられるものはかごに入れて、食べられないものは捨てるというふうに。
+ この世の終わりにも、同じようなことが起こります。天使がやって来て、正しい者と悪い者とを区別し、
+ 悪い者を火に投げ込むのです。彼らはそこで泣きわめいて、くやしがります。
+ これでわかりましたか。」弟子たちは、「はい」と答えました。
+ そこでイエスは、さらにこう言われました。「ユダヤ人のおきてに通じ、しかも、わたしの弟子でもある人たちは、古くからある聖書の宝と、私が与える新しい宝と、二つの宝を持つことになるのです。」
+ これらのたとえを語り終えると、イエスはガリラヤのナザレに帰り、町の会堂で教えられました。すると、人々はみなイエスの知恵とその不思議な力に驚きました。「なんということだ。
+ あの人は、たかが大工の息子ではないか。母親はマリヤで、弟のヤコブも、ヨセフも、シモンも、ユダも、
+ 妹たちも、おれたちはよく知っている。みんなここに住んでいるのだから。あのイエスがどれほどの人だというのか。」
+ こうして人々は、かえってイエスに反感を持つようになりました。「預言者はどこででも尊敬されますが、ただ自分の故郷、身内の者の間ではそうではないのです」と、イエスは言われました。
+ このような人々の不信仰のために、そこでは、ほんのわずかの奇跡を行われただけでした。
+
+
+ そのころ、イエスのうわさを聞いたヘロデ王(ヘロデ‧アンテパス)は、回りの者に言いました。
+ 「あれはバプテスマのヨハネだ。ヨハネが生き返ったに違いない。そうでなければ、あんな奇跡ができるわけがない。」
+ 実はこのヘロデは以前、兄のピリポの妻であったヘロデヤのことが原因でヨハネを捕らえ、牢獄につないだ張本人でした。
+ それは、ヨハネが、兄嫁を奪い取るのはよくないとヘロデを責めたからです。
+ その時ヘロデは、ヨハネを殺そうとも考えましたが、それでは暴動が起きる恐れがあったので思いとどまりました。人々がヨハネを預言者だと認めていたからです。
+ ところが、ヘロデの誕生祝いが開かれた席で、ヘロデヤの娘がみごとな舞を披露し、ヘロデをたいそう喜ばせました。
+ それで王は娘に、「ほしいものを何でも言うがよい。必ず与えよう」と誓いました。
+ ところがヘロデヤに入れ知恵された娘は、なんと、バプテスマのヨハネの首を盆に載せていただきたいと願い出たのです。
+ 王は後悔しましたが、自分が誓ったことでもあり、また並み居る客の手前もあって、引っ込みがつきません。しかたなく、それを彼女に与えるように命令しました。
+ こうしてヨハネは、獄中で首を切られ、
+ その首は盆に載せられ、約束どおり娘に与えられました。娘はそれを母親のところに持って行きました。
+ ヨハネの弟子たちは死体を引き取って埋葬し、この出来事をイエスに知らせました。
+ この知らせを聞くと、イエスは舟をこぎ出し、ご自分だけで人里離れた所へ行こうとなさいました。ところが、大ぜいの群衆がそれと気づき、町々村々から、岸づたいにイエスのあとを追って行きました。
+ 舟から上がったイエスは群衆をごらんになり、あわれに思って、彼らの病気を治されました。
+ 夕方になったので、弟子たちはイエスのところに来て、「先生。もうとっくに夕食の時間も過ぎています。こんな寂しい所では食べ物もないですし、みんなを解散させてはどうでしょう。村へ行けば、めいめいで食べる物を買えますから」と勧めました。
+ しかし、イエスはお答えになりました。「それにはおよびません。あなたがたで、みんなに食べる物をあげなさい。」
+ 弟子たちはイエスに言いました。「先生、今手もとには、小さなパンが五つと、魚が二匹あるだけです。」
+ ところがイエスは、「そのパンと魚とを持って来なさい」と言われました。
+ それから群衆を草の上に座らせると、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて神の祝福を祈り求め、パンをちぎって、弟子たちに配らせました。
+ こうしてみんなが食べ、満腹したのです。あとで余ったパン切れを拾い集めると、なんと十二のかごにいっぱいになりました。
+ そこには、女性や子どもを除いて、男だけでも五千人ぐらいの人がいました。
+ このあとすぐ、イエスは弟子たちを舟に乗り込ませて向こう岸に向かわせ、また、群衆を解散させられました。
+ みんなを帰したあと、ただお一人になったイエスは、祈るために丘に登って行かれました。
+ 一方、湖上は夕闇に包まれ、弟子たちは強い向かい風と大波に悩まされていました。
+ 朝の四時ごろ、イエスが水の上を歩いて弟子たちのところに行かれると、
+ 弟子たちは悲鳴をあげました。てっきり幽霊だと思ったのです。
+ しかし、すぐにイエスが、「わたしです。こわがらなくてよいのです」と声をおかけになったので、彼らはほっと胸をなでおろしました。
+ その時、ペテロが叫びました。「先生。もしほんとうにあなただったら、私に、水の上を歩いてここまで来いとおっしゃってください。」
+ 「いいでしょう。来なさい。」言われるままに、ペテロは舟べりをまたいで、水の上を歩き始めました。
+ ところが高波を見てこわくなり、沈みかけたので、大声で、「主よ。助けてください」と叫びました。
+ イエスはすぐに手を差し出してペテロを助け、「ああ、信仰の薄い人よ。なぜわたしを疑うのです」と言われました。
+ 二人が舟に乗り込むと、すぐに風はやみました。
+ 舟の中にいた者たちはみな、「あなたはほんとうに神の子です」と告白しました。
+ やがて、舟はゲネサレに着きました。
+ イエスが来られたという知らせはたちまち町中に広まり、人々がどっと押しかけました。互いに誘い合い、病人という病人をみな連れて来て、
+ イエスに頼みました。「せめてお着物のすそにでもさわらせてやってください。」そして、さわった人たちはみな治りました。
+
+
+ パリサイ人やユダヤ人の指導者たちが、イエスに会いに、エルサレムからやって来ました。
+ 彼らはイエスに、「どうしてあなたの弟子たちは、先祖の言い伝えを守らないのか。食事の前に手を洗わないのはどうしてか」と迫りました。
+ そこで、イエスは言われました。「それならお聞きします。あなたがたも自分たちの言い伝えのために、神の戒めを破っています。それはどういうわけですか。
+ たとえば、律法には、『あなたの父と母とを敬え。だれでも父や母をののしる者は死刑に処せられる』とあります。
+ ところが、どうでしょう。あなたがたは、両親が困っていようと何だろうと、『このお金は神にささげました』と言いさえすれば、もう両親のためにそのお金を使わなくてもよいと教えています。つまり、人間の作った規則を盾にとって、両親を敬い、そのめんどうをみなさいという神の戒めを破っているのです。
+ まさに偽善者です。イザヤが預言したとおりです。
+ 『彼らは口先ではわたしを敬うが、心はわたしから遠く離れている。
+ 彼らがわたしを拝んでも、むだなことだ。神のおきての代わりに、人間の規則を教えているのだから。』」
+ それからイエスは、群衆を呼び寄せて言われました。「いいですか、よく聞きなさい。
+ 禁じられている物を食べたからといって、それで汚れるわけではありません。人を汚すのは、口から出ることばであり、心の思いなのです。」
+ その時、弟子たちが来て言いました。「先生があんなことをおっしゃったので、パリサイ人たちはかんかんに怒っています。」
+ しかし、イエスは言われました。「わたしの父がお植えにならなかった木は、みな根こそぎ抜かれてしまいます。
+ だから、あの人たちのことは放っておきなさい。彼らは盲目なのです。おまけに、ほかの盲人の手引きまでして、結局、二人とも溝に落ちてしまうでしょう。」
+ すると、ペテロが尋ねました。「きよくないとされている物を食べても汚れない、と先生がおっしゃるのは、どうしてですか。」
+ イエスは言われました。「そんなことがわからないのですか。
+ 口から入る物は何でも腹に入って、外へ出てしまいます。
+ ところが、悪いことばは悪い心から出てくるので、人を汚すのです。
+ つまり、悪い考え、殺人、姦淫、不品行、盗み、うそ、また悪口などは、心から出て、
+ 人を汚すのです。しかし、食事の前に手を洗うという規則を破ったからといって汚れるわけではありません。」
+ イエスはその地方を去り、ツロとシドンに向かわれました。
+ この地方に住んでいるカナン人の女がイエスのところに来て、必死に願いました。「主よ。ダビデ王の子よ!お願いです。どうか、私をあわれと思ってお助けください。娘が悪霊に取りつかれて、ひどく苦しんでいるのです。」
+ しかし、イエスは堅く口を閉ざして、ひとこともお答えになりません。とうとう弟子たちが、「あの女に早く帰るように言ってください。うるさくてしかたがありません」と頼みました。
+ それでイエスは、「わたしが遣わされたのは、外国人を助けるためではありません。ユダヤ人を助けるためです」と説明なさいました。
+ それでも女は、イエスの前にひれ伏し、「主よ。どうかお助けください」と願い続けました。
+ イエスは、「子どもたちのパンを取り上げて、犬に投げてやるのはよくないことです」と言われました。
+ しかし、女はあきらめませんでした。「おっしゃるとおりです。でも、食卓の下にいる小犬でも、落ちたパンくずぐらいは食べさせてもらえます。」
+ そのことばにイエスは感心し、「あなたの信仰は見上げたものです。いいでしょう。願いをかなえてあげましょう」と言われました。その時から、彼女の娘は治りました。
+ さて、再びガリラヤ湖に移ります。イエスは丘に登り、腰をおろしておられました。
+ そこへ、大ぜいの人が、足の不自由な者、盲人、体の不自由な者、口のきけない者をはじめ、たくさんの病人を連れて来たので、イエスはその人たちをいやされました。
+ なんという驚くべき光景でしょう。口のきけなかった者が興奮して話しだし、歩けなかった者が歩きだし、盲人が見えるようになったのです。人々は驚き、心からイスラエルの神をほめたたえました。
+ イエスは、弟子たちを呼び寄せて言われました。「この人たちがかわいそうです。もう三日もわたしといっしょにいて、食べ物はとっくになくなっています。このまま帰らせたら、きっと途中で倒れてしまうでしょう。」
+ 「でも、こんな寂しい所で、これほどたくさんの人です……。それだけの食べ物を、いったいどこで手に入れるのですか。」
+ 「今、手もとにどれぐらい食べ物がありますか」「パンが七つと、小さい魚がほんの少しだけです。」
+ それを聞くと、イエスはみんなを地べたに座らせました。
+ そして、七つのパンと魚を取り、神に感謝をささげてからそれを裂き、弟子たちに渡して、一人一人に配らせました。
+ 女性や子どもを除いても、四千人もの群衆でしたが、だれもが満腹するほど食べました。あとでパンくずを拾い集めると、なんと七つのかごがいっぱいになりました。
+ そこで、イエスは人々を家に帰し、舟に乗ってマガダン地方へ向かわれました。
+
+
+ ある日、パリサイ人やサドカイ人たちがイエスのところに来て、天からのすばらしい奇跡を見せてほしいと頼みました。メシヤだと自称するイエスの主張がほんとうかどうかを、試してやろうと思ったのです。
+ イエスの返事はこうでした。「あなたがたは、天気を予測するのが得意です。夕焼けになると、『明日は晴れだ』と言うし、朝焼けを見ると、『今日は荒れ模様だ』と言います。そんなに上手に空模様を見分けるのに、これほどはっきりした時代の兆候が読み取れないのですか。
+ 今の邪悪な不信の時代は、不思議なしるしが天に現れることばかり求めています。しかし、ヨナの身に起こった奇跡以外に神からの証拠は与えられません。」そしてイエスは、彼らを残したまま去って行かれました。
+ 一行は湖の向こう岸へ渡りましたが、食べ物を持って来るのを忘れていました。
+ イエスは、「パリサイ人とサドカイ人のパン種に気をつけなさい」と忠告しましたが、
+ 弟子たちはパンを忘れてきたので、自分たちをしかっておられるのだろうと勘違いしました。
+ それに気づいたイエスは言われました。「ああ、信仰の薄い人たちよ。なぜそんなに、食べ物を持って来なかったことを気に病むのですか。
+ まだわからないのですか。五つのパンを五千人に食べさせた時、幾かごものパンが余ったではありませんか。
+ また四千人に食べさせた時も、たくさんのパンが余りました。
+ パンのことなど問題ではないことが、どうしてわからないのですか。もう一度、はっきり言いましょう。わたしは、『パリサイ人とサドカイ人のパン種に気をつけなさい』と言ったのです。」
+ それでやっと弟子たちにも、パン種とは、パリサイ人やサドカイ人のまちがった教えのことだとわかったのです。
+ ピリポ‧カイザリヤに行った時、イエスは弟子たちに、「みんなは、わたしのことをだれだと言っていますか」とお尋ねになりました。
+ 弟子たちは答えました。「バプテスマのヨハネだと言う人もいますし、エリヤだと言う人もいます。また、エレミヤだとか、ほかの預言者の一人だとか言う人もいます。」
+ 「では、あなたがたは、どうなのですか。」
+ シモン‧ペテロが答えました。「あなたこそキリスト(ギリシャ語で、救い主)です。生ける神の子です。」
+ 「ヨナの息子シモンよ。神があなたを祝福してくださったのです。それを明らかにしたのは、人ではなく、天におられるわたしの父です。
+ あなたはペテロ(岩)です。わたしはこの大きな岩の上にわたしの教会を建てます。地獄のどんな恐ろしい力も、わたしの教会に打ち勝つことはできません。
+ あなたに天国のかぎをあげましょう。あなたが地上でかぎをかけるなら、天でも閉じられ、あなたが地上でかぎを開けるなら、天でも開かれるのです。」
+ このあとイエスは、ご自分がキリストであることをほかの人に話してはいけない、と弟子たちに注意なさいました。
+ その時からイエスは、ご自分がエルサレムに行くことと、そこでご自分の身に起こること、すなわち、ユダヤ人の指導者たちの手でひどく苦しめられ、殺され、そして三日目に復活することを、はっきり弟子たちに話し始められました。
+ ところが、ペテロはイエスをわきへ呼んでいさめました。「先生。とんでもないことです。あなたのようなお方に、そんなことが起こってなるものですか!」
+ しかし、イエスはふり向いて、「サタンよ。下がれ。そのようなことを言って、わたしをわなにかける気ですか。あなたは人間的な見方をして、神の見方を忘れている」とおしかりになりました。
+ それから、弟子たちに言われました。「だれでもわたしの弟子になりたければ、自分を捨て、自分の十字架を負って、わたしについて来なさい。
+ いのちを大事にする者は、いのちを失うことになります。しかし、わたしのためにいのちを投げ出す者は、それをもう一度自分のものにできるのです。
+ たとえ、全世界を自分のものにしても、永遠のいのちを失ってしまったら、何の得になるでしょう。いったい、永遠のいのちほど価値のあるものが、ほかにあるでしょうか。
+ メシヤのわたしは、やがて、父の栄光を帯びて、天使たちと共にやって来ます。そして、一人一人を、その行いによってさばくのです。
+ 今ここにいる者の中には、生きているうちに、わたしが御国の力を帯びて来るのを、その目で見る者がいます。」
+
+
+ 六日後、イエスは、ペテロとヤコブと、彼の兄弟ヨハネを連れて、人里離れた高い山の頂上に登られました。
+ すると、三人の目の前で、たちまちイエスの姿が変わりました。顔は太陽のように輝き、着物はまばゆいほど白くなりました。
+ そこへ突然、モーセとエリヤが現れて、イエスと親しく話し始めたではありませんか。
+ これを見て、ペテロは思わず口走りました。「ああ、先生。なんとありがたいことでしょう。こんなすばらしいところに居合わせるなんて! もし、よろしければ、幕屋(神がイスラエルの民と会う聖所)を三つお建てしましょう。あなたと、モーセとエリヤのために。」
+ ところが、そう言っているうちにも、光り輝く雲が現れて、三人をすっぽり包んでしまいました。そして雲の中から、「これこそ、わたしの愛する子。わたしはこれを心から喜んでいる。彼の言うことを聞きなさい」という声がしました。
+ この声を聞いた弟子たちは、恐ろしさのあまりわなわなと震え、ひれ伏しました。
+ イエスは近寄り、彼らにさわって言われました。「さあ、起きなさい。こわがることはありません。」
+ それで、彼らがようやく顔を上げると、そこにはもう、イエスのほかにはだれもいませんでした。
+ 山を降りながら、イエスは、いま見たことを、ご自分が復活するまではだれにも話してはいけないとお命じになりました。
+ そこで、弟子たちが尋ねました。「どうしてユダヤ人の指導者たちは、メシヤが来る前に、エリヤが必ず戻って来ると主張しているのでしょうか。」
+ 「彼らの言うとおりです。まずエリヤが来て、すべての準備をするのです。
+ 実際、エリヤはもう来たのです。しかし人々は彼を認めず、ひどい目に会わせました。そればかりか、メシヤのわたしもまた、彼らの手で苦しめられるのです。」
+ その時、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言っておられるのだと気づきました。
+ 彼らがふもとに着くと、大ぜいの群衆が待ちかまえていました。その時、一人の男が駆け寄り、イエスの前にひざまずいて叫びました。
+ 「先生。息子をあわれと思ってお助けください。ひどいてんかん持ちで、火の中でも水の中でも、おかまいなしに倒れるのです。
+ それで、お弟子さんたちのところに連れて来てお願いしたのですが、だめでした。」
+ 「ああ、なんと不信仰な人たちでしょう。いったいいつまで、あなたがたのことを我慢しなければならないのですか。さあ、その子をここに連れて来なさい。」
+ イエスがこう言って、その子に取りついている悪霊をおしかりになると、悪霊は出て行き、子どもはその場ですっかり治ってしまいました。
+ あとで弟子たちは、そっとイエスに尋ねました。「どうして、私たちには悪霊が追い出せなかったのでしょう。」
+ イエスはお答えになりました。「信仰が足りないからです。もしあなたがたに小さなからし種ほどの信仰があったら、この山に向かって『動け』と言えば、そのとおり山は動くのです。何でもできないことはありません。
+ ただし、こういった悪霊は、祈りと断食によらなければ、とても追い出せないのです。」
+ まだガリラヤにいたある日のこと、イエスはこんなことをお話しになりました。「わたしは裏切られ、人々の手に引き渡され、殺されますが、三日目には必ず復活します。」これを聞いて、弟子たちの心は悲しみと恐れとで、いっぱいになりました。
+ カペナウムに着いた時、神殿に納める税金を取り立てる役人がペテロのところへ来て、「あなたがたの先生は税金を納めないのか」と尋ねました。
+ 「もちろん、納めますとも。」こう答えると、ペテロは急いで家に入り、このことを話そうとしました。ところがまだ話を切り出さないうちに、イエスのほうからお尋ねになりました。「ペテロ。あなたはどう思いますか。世の王たちは、だれから税を取り立てるでしょうか。自分の子どもたちからですか、それとも、ほかの人たちからですか。」
+ 「ほかの人たちからです」とペテロは答えました。「では、王の子どもたちは税金を納める必要はないのです。
+ しかし、役人たちを怒らせたくはありません。今から湖へ行って、つり糸をたらしてみなさい。最初につれた魚の口から、わたしたち二人分の税金を払うだけのお金が見つかるはずです。それで払いなさい。」
+
+
+ そこへ弟子たちがやって来て、「私たちのうち、だれが天国で一番偉いのでしょうか」と尋ねました。
+ するとイエスは、近くにいた小さい子どもを呼び寄せ、みんなの真ん中に立たせてから、話しだされました。
+ 「よく聞きなさい。悔い改めて神に立ち返り、この小さい子どもたちのようにならなければ、決して天国には入れません。
+ ですから、小さい子どものように自分を低くする者が、天国では一番偉いのです。
+ また、だれでもこの小さい者たちを、わたしのために受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。
+ 反対に、わたしに頼りきっているこの子どもたちの信仰を失わせるような者は、首に大きな石をくくりつけられて海に投げ込まれたほうが、よっぽどましです。
+ 悪がはびこるこの世はいまわしいものです。誘惑されるのは避けられないとしても、誘惑のもとになる人はいまわしいものです。
+ 罪を犯させるものは、手だろうが足だろうが、切り取ってしまいなさい。五体満足で地獄へ行くより、片手片足になっても天国に入るほうが、よっぽどましです。
+ また、目が罪を犯させるなら、そんなものはえぐり出しなさい。両眼そろって地獄へ行くより、片目でも天国に入るほうが、よっぽどましだからです。
+ この小さい子どもたちの一人でも、見下げたりしないように気をつけなさい。言っておきますが、天国では、子どもたちを守る天使が、いつでもわたしの父のそば近くにいるのです。
+ メシヤのわたしは、神から離れ、迷っている者を救うために来たのです。
+ ある人が百匹の羊を持っていたとします。そのうちの一匹が迷い出ていなくなったら、その人はどうするでしょう。ほかの九十九匹はその場に残したまま、いなくなった一匹を捜しに、山へ出かけるでしょう。
+ そして、もし見つけようものなら、何ともなかったほかの九十九匹以上に、この一匹のために大喜びします。
+ 同じように、わたしの父も、この小さい者たちの一人でも滅びないようにと願っておられるのです。
+ 信仰の仲間があなたがたに罪を犯した時は、一人で行って、その誤りを指摘してあげなさい。もし、相手が忠告を聞いて罪を認めれば、あなたはその人を取り戻したことになるのです。
+ しかし、もしあなたの言うことに耳を貸そうとしないなら、一人か二人の証人を立てて、もう一度相手のところへ行きなさい。あなたの言い分をすべて証明してもらうためです。
+ それでも忠告を聞き入れないなら、その問題を教会に持ち出しなさい。そして、教会があなたを支持してもなお、相手がそれを受け入れないなら、教会はその人と交わるのをやめなさい。
+ 言っておきますが、あなたがたが地上で赦したり、禁じたりすることは、天でも同じようになされるのです。
+ このことも言っておきましょう。もし、あなたがたのうち二人の者が、何であれ、この地上で心を一つにして祈り求めるなら、天におられるわたしの父は、その願い事をかなえてくださいます。
+ たとえ二人でも三人でも、わたしを信じる者が集まるなら、わたしはその人たちの真ん中にいるからです。」
+ その時、ペテロがイエスのそばに来て尋ねました。「先生。人が私に罪を犯した場合、何回まで赦してやればいいでしょうか。七回でしょうか。」
+ イエスはお答えになりました。「いや、七回を七十倍するまでです。
+ 神の国は、帳じりをきちんと合わせようとした王にたとえることができます。
+ 清算が始まってまもなく、王から一万タラント(一タラントは六千デナリに相当。一デナリは当時の一日分の賃金)というばく大な借金をしていた男が引き立てられて来ました。
+ その男は借金を返すことができなかったので、王は、自分や家族、持ち物全部を売り払ってでも返済するように命じました。
+ ところが、男は王の前にひれ伏し、顔を地面にすりつけて、『ああ、王様。お願いです。もう少しだけお待ちください。きっと全額お返しいたしますから』と、必死に願いました。
+ これを見て王はかわいそうになり、借金を全額免除し、釈放してやりました。
+ ところが、赦してもらった男は王のところから帰ると、百デナリ貸してある人の家に出かけました。そして、彼の首根っこをつかまえ、『たった今、借金を返せ』と迫ったのです。
+ 相手は、男の前にひれ伏して、『今はかんべんしてください。もう少ししたら、きっとお返ししますから』と、拝まんばかりに頼みました。
+ しかし、男は少しも待ってやろうとはせず、その人を捕らえると、借金を全額返すまで牢にたたき込んでしまいました。
+ このことを知った友人たちが王のところへ行き、事の成り行きを話しました。
+ 怒った王は、借金を免除してやった男を呼びつけて、言いました。『この人でなしめ! おまえがあんなに頼んだからこそ、あれほど多額の借金も全部免除してやったのだ。
+ 自分があわれんでもらったように、ほかの人をあわれんでやるべきではなかったのか!』
+ そして、借金を全額返済し終えるまで、男を牢に放り込んでおきました。
+ あなたがたも、心から人を赦さないなら、天の父も、あなたがたに同じようになさるのです。」
+
+
+ これらのことを話し終えると、イエスはガリラヤを去り、ヨルダン川を渡って、ユダヤ地方に向かわれました。
+ すると、大ぜいの人があとを追って来たので、そこで病人を治されました。
+ イエスを試み、陥れようと、何人かのパリサイ人がやって来ました。そして、「あなたは離婚をお認めになりますか」と尋ねました。
+ 「聖書を読んだことがないのですか。聖書には、神が初めに男と女を造られたので、人は両親から離れて永遠に妻と結ばれ、二人の者は一体となる、と書いてあるではないですか。彼らはもう二人ではなく、一人なのです。ですから、神が結び合わせたものを、だれも離すことはできません。」
+ 「でも、モーセは、離縁状を渡しさえすれば、妻と別れてもよいと言いました。」なおも食い下がる彼らに、
+ イエスは答えて言われました。「モーセがそう言ったのは、あなたがたの心が強情なのを知っていたからです。しかしそれは、神がもともと望んでおられたことではありません。
+ 言っておきますが、不倫以外の理由で妻を離縁し、ほかの女性と結婚する者は、姦淫の罪を犯すのです。」
+ 「それなら、結婚しないほうがましです。」弟子たちがイエスに言いました。
+ 「そうは言っても、それは、だれにでもできることではありません。ただ、それを許された者だけができるのです。
+ 結婚しないように生まれついた人もいますし、人の手で結婚できないようにされた人もいます。またある人は、天国のために、自分から進んで独身を通します。わたしの言ったことを受け入れることのできる人は、受け入れなさい。」
+ その時、イエスに手を置いて祈っていただこうと、人々が小さい子どもたちを連れて来ました。ところが弟子たちは、「先生のおじゃまだ」としかりました。
+ しかし、イエスはそれをとどめて、「子どもたちを自由に来させなさい。止めてはいけません。天国は、この子たちのような者の国なのですから」と言われました。
+ そして、子どもたちの頭に手を置いて祝福し、そこを去って行かれました。
+ 一人の青年がイエスのところに来て、こう質問しました。「先生。永遠のいのちがほしいのですが、どんな良いことをしたら、もらえるでしょうか。」
+ 「良いことについて、なぜわたしに尋ねるのですか。ほんとうに良い方は、ただ神おひとりなのです。しかし、質問に答えてあげましょう。天国に入るには、神の戒め(おきて)を守ればいいのです。」
+ 「どの戒めでしょうか。」「殺してはならない、姦淫してはならない、盗んではならない、うそをついてはならない、
+ あなたの父や母を敬いなさい、隣人を自分と同じように愛しなさい、という戒めです。」
+ 「それなら、全部守っています。ほかに何が欠けているでしょうか?」
+ 「完全な者になりたければ、家に帰って、財産を全部売り払い、そのお金を貧しい人たちに分けてあげなさい。天に宝をたくわえるのです。それから、わたしについて来なさい。」
+ 青年はこれを聞くと、悲しそうに帰って行きました。たいへんな金持ちだったからです。
+ イエスは、弟子たちに言われました。「金持ちが天国に入るのは、なんとむずかしいことでしょう。
+ 金持ちが天国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうがずっとやさしいのです。」
+ このことばに、弟子たちはすっかり面食らってしまいました。「それなら、この世の中で、救われる人などいるでしょうか。」
+ イエスは、弟子たちをじっと見つめて言われました。「人間にはできません。だが、神には何でもできます。」
+ その時、ペテロが質問しました。「私たちは何もかも捨てて、お従いしてきました。それで、いったい何がいただけるのでしょうか。」
+ イエスはお答えになりました。「メシヤ(救い主)のわたしが、やがて、御国の栄光の王座につく時、あなたがたも十二の王座について、イスラエルの十二の部族をさばくことになるのです。
+ わたしに従うために、家、兄弟、姉妹、父、母、妻、子、あるいは財産を捨てた者はだれでも、代わりにその百倍もの報いを受け、また永遠のいのちをもいただくのです。
+ ただ、今は先頭を行くように見える者が、その時には最後になり、今は最後にいるように見えても、その時には先頭になる者が多くいるのです。
+
+
+ 天国を、こんなふうにたとえることもできます。農園の経営者が、果樹園で働く日雇い労働者を雇おうと、朝早く出かけて行きました。
+ そして、一日一デナリの約束で、彼らを果樹園へ行かせました。
+ 二、三時間後、また職を求める人々の集まる場所へ行ってみると、仕事にあぶれた者たちがたむろしています。
+ それで、その人たちにも、夕方には適当な賃金を払うという約束で、果樹園へ行かせました。
+ 昼ごろと午後の三時ごろにも、同じようにしました。
+ 夕方も五時近くに、もう一度出かけてみると、まだぶらぶらしている者たちがいます。『どうして一日中、何もしないでここにいるのか』と尋ねると、
+ 『仕事がないのです』と答えたので、農園主は言いました。『それなら今すぐ行って、私の農園でみんなといっしょに働きなさい。』
+ 終業の時刻になり、農園主は監督に言いつけて、労働者たちを呼び集めました。そして、最後に雇った男たちから順に日当を支払いました。
+ 五時に雇われた男たちの日当はなんと一人一デナリです。
+ それで、早くから仕事にかかっていた男たちは、もっとたくさんもらえるだろうと思いました。ところが、彼らの日当もやはり一デナリだったのです。
+ 当てがはずれた者たちはみな、農園主に文句を言いました。『あの人たちは、たった一時間働いただけなのです。なのに、この炎天下、一日中働いた自分たちと同じに払ってやるんですか。』
+ ところが、農園主はその一人に答えました。『いいかね。私はあなたに何も悪いことはしていない。あなたは一日一デナリで働くことを承知したはずだ。
+ 文句を言わずに、それを持って帰りなさい。私はだれにでも分け隔てなく払ってやりたいのだ。
+ 自分の金をどう使おうと自由だろう。私がほかの者たちに親切なので、あなたは腹を立てているのか。』
+ このように、最後の者が最初になり、最初の者が最後になるのです。」
+ さて、エルサレムへ行く途中のことです。道々イエスは十二人の弟子だけを呼び寄せ、
+ やがて自分がエルサレムでどんな目に会うかをお話しになりました。「わたしは、祭司長やユダヤ人の指導者たちに引き渡され、彼らから死刑を宣告されます。
+ そしてローマの役人の手に渡され、あざけられ、十字架につけられます。しかし、わたしは三日目に復活するのです。」
+ その時、ゼベダイの息子ヤコブとヨハネとの母親が、息子たちを連れて来ました。母親はイエスの前にひざまずき、「お願いがございます」と言いました。
+ 「どんなことですか。」「どうぞ、あなたの御国で、この二人の息子を、あなたの次に高い位につかせてやってください。」
+ ところがイエスは、「あなたには、何もわかっていません」と答え、今度は、ヤコブとヨハネのほうをごらんになりました。「あなたがたは、わたしが飲もうとしている杯を飲むことができますか。」「はい。できます。」イエスの質問に、二人はきっぱり答えました。
+ しかしイエスは、「確かに飲むことにはなるでしょう。しかし、だれをわたしの次の位につかせるかは、わたしの決めることではありません。わたしの父がお決めになることです」と言われました。
+ ほかの十人の弟子たちは、ヤコブとヨハネがイエスにどんな願い事をしたかを聞いて、ひどく腹を立てました。
+ そこでイエスは、彼らを呼び集め、言われました。「この世の普通の人たちの間では、王は暴君であり、役人は部下にいばり散らすものです。
+ だが、あなたがたの間では違います。リーダーになりたい者は、仕える者になりなさい。
+ 上に立ちたいと思う者は、身を低くして仕えなければなりません。
+ メシヤのわたしでさえ、人々に仕えられるためではなく、みなに仕えるためにこの世に来たのです。そればかりか、多くの人の罪の代償として自分のいのちを与えるために来たのです。だからあなたがたも、わたしを見ならいなさい。」
+ イエスの一行がエリコの町を出ると、大ぜいの人があとについて行きました。
+ 途中の道ばたに二人の盲人が座っていました。イエスが通られると聞いた二人は、大声で訴えました。「主よ。ダビデ王の子よ! 私どもをあわれんでください。」
+ 人々が黙らせようとすると、ますます激しく叫び立てます。
+ イエスは二人の前で足を止め、「どうしてほしいのですか」とお尋ねになりました。「先生。見えるようになりたいのです。」彼らは答えました。
+ イエスは心からかわいそうに思い、彼らの目にさわられました。すると、たちまち目が見えるようになり、二人はイエスについて行きました。
+
+
+ 一行がエルサレムに近づき、オリーブ山のふもとのベテパゲ近くまで来た時、イエスは弟子を二人、こう言って使いに出しました。
+ 「村に入るとすぐ、一頭のろばといっしょに、子ろばがつないであるのに気づくでしょう。子ろばをほどいて、連れて来なさい。
+ もしだれかに、何をしているのかと聞かれたら、『主が必要なのです』とだけ答えなさい。そうすれば、何もめんどうは起こらないはずです。」
+ それは、次のような預言が実現するためでした。
+ 「エルサレムに告げよ。『王がおいでになる。ろばの子に乗って。柔和な王がおいでになる。』」
+ 二人の弟子は、イエスの言いつけどおりに、
+ ろばの親子を連れて戻って来ました。そして、子ろばの背に自分たちの上着をかけ、イエスをお乗せしました。
+ すると、群衆の中の多くの者が、イエスの進んで行かれる道に自分たちの上着を敷いたり、木の枝を切ってきて敷き並べたりしました。
+ 押し寄せた群衆は、イエスを取り囲み、口々に叫びました。「ダビデ王の子、ばんざーい!」「主をほめたたえよ!」「このお方こそ神の人だ!」「主よ。このお方に祝福を!」
+ イエスがエルサレムに入られると、町中が上を下への大騒ぎです。だれもが興奮して、「いったい、その方はどなたなんだ」と尋ねます。
+ イエスについて来た群衆は、「ガリラヤのナザレ出身の預言者イエス様だ」と答えました。
+ それから、イエスは宮にお入りになり、境内で商売していた者たちを追い出し、両替人の机や、鳩を売っていた者たちの台をひっくり返しました。
+ そして、彼らにはっきりと言われました。「聖書には、『わたしの神殿は祈りの場所と呼ばれる』と書いてあります。ところがあなたがたは、それを強盗の巣にしてしまったのです。」
+ この宮の中へも、盲人や足の不自由な人たちがやって来たので、イエスは彼らを治されました。
+ ところが、祭司長やユダヤ人の指導者たちは、イエスが不思議な奇跡を行うのを見、また宮の中で、小さい子どもまでが「ダビデ王の子、ばんざーい!」と叫ぶのを聞いて、すっかり腹を立てました。
+ そしてイエスに、「子どもまでがあんなことを言っているのに、あなたには聞こえないのですか」と言いました。イエスはお答えになりました。「もちろん聞こえています。いったい、あなたがたは聖書を読んだことがないのですか。『小さい子どもでさえ神をたたえる』と書いてあるのを。」
+ それからイエスはエルサレムを出て、ベタニヤ村にお戻りになり、そこで一泊なさいました。
+ 翌朝、エルサレムに向かう途中、イエスは空腹を覚えられました。
+ ふと見ると、道ばたにいちじくの木があります。さっそくそばへ行き、実がなっているかどうかをごらんになりましたが、葉ばかりです。それで、イエスはその木に、「二度と実をならせるな」と言われました。すると、いちじくの木はみるみる枯れていきました。
+ 「先生。どうしたことでしょう。こんなにもすぐに枯れるとは……。」すっかり驚いた弟子たちに、
+ イエスはお答えになりました。「よく聞きなさい。あなたがたも、信仰を持ち、疑いさえしなければ、もっと大きなことができるのです。たとえば、このオリーブ山に、『動いて、海に入れ』と言っても、そのとおりになります。
+ ほんとうに信じて祈り求めるなら、何でも与えられるのです。」
+ イエスが宮に戻って教えておられると、祭司長とユダヤ人の指導者たちが来ました。「昨日、あなたは商人たちを、ここから追い出しましたね。いったい何の権威があって、そんなことをしたのです。さあ答えてください。」彼らはイエスに詰め寄りました。
+ イエスはお答えになりました。「いいでしょう。だが、まずわたしの質問に答えなさい。そのあとで答えましょう。
+ バプテスマのヨハネは、神から遣わされたのですか。そうではないのですか。」彼らは集まって、ひそひそ相談しました。「もし、『神から遣わされた』と答えれば、『それを知っていて、どうしてヨハネのことばを信じなかったのか』と聞かれるだろう。
+ だからといって、『神から遣わされたのではない』と言えば、今度は、ここにいる大ぜいの群衆が騒ぎだすだろう。なにしろ彼らはみな、ヨハネを預言者だと信じきっているのだから。」
+ 結局、「わかりません」と答えるほかありませんでした。するとイエスは言われました。「それなら、わたしもあなたがたの質問には答えません。
+ ところで、次のような話をどう思いますか。ある人に息子が二人いました。兄のほうに『今日、農場で働いてくれ』と言うと、
+ 『はい、行きます』と答えたのに、実際には行きませんでした。
+ 次に、弟のほうに、『おまえも行きなさい』と言いました。弟は『いやです』と答えましたが、あとで悪かったと思い直し、農場へ出かけました。
+ 二人のうち、どちらが父親の言うことを聞いたのでしょう。」「もちろん、弟です。」彼らは答えました。イエスは言われました。「確かに、悪人や売春婦たちのほうが、あなたがたより先に神の国に入ります。
+ なぜなら、バプテスマのヨハネが来て、悔い改めて神に立ち返れと言った時、あなたがたはその忠告を無視しました。しかし、悪人や売春婦たちは言われたとおりにしました。あなたがたは、それを目のあたりにしながら、なお罪を捨てようとしませんでした。ですから、信じることができなかったのです。
+ もう一つのたとえを話しましょう。ある農園主がぶどう園を造り、垣根を巡らし、見張りの塔を建てました。そして、収穫の何割かを取り分にするという約束で、農夫たちにぶどう園を貸し、自分は外国へ行って、そこに住んでいました。
+ さて、収穫の時期になったので、彼は自分の分を受け取ろうと、幾人かの代理人を送りました。
+ ところが農夫たちは、代理人たちに襲いかかり、袋だたきにするやら、石を投げつけるやらしたあげく、一人を殺してしまいました。
+ 農園主はさらに多くの人を送りましたが、結果は同じことでした。
+ 最後には、ついに息子を送ることにしました。息子なら、きっと敬ってくれるだろうと思ったからです。
+ ところが農夫たちは、その息子が来るのを見ると、『あれは、ぶどう園の跡取りだ。よし、あいつを片づけよう。そうすれば、ここは自分たちのものだ』と言って、
+ 彼をぶどう園の外に引きずり出し、殺してしまいました。
+ さあ、農園主が帰って来た時、この農夫たちはどんな目に会うでしょうか。」
+ 「もちろん農園主は、その悪者どもを情け容赦なく殺して、きちんと小作料を納めるほかの農夫たちに貸すに違いありません。」
+ 「聖書にこう書いてあるのを、読んだことがないのですか。『家を建てる者たちの捨てた石が、なくてはならない土台石となった。なんとすばらしいことか。主は、なんと驚くべきことをなさる方か。』
+ わたしが言いたいのは、こういうことです。神の国はあなたがたから取り上げられ、収穫の中から神に納める分をきちんと納める、ほかの人たちに与えられるのです。
+ また、この真理の石につまずく者は打ち砕かれ、この石が落ちてくると、粉みじんにされます。」
+ 祭司長やパリサイ人たちは、このたとえ話を聞いて、その悪い農夫とは、実は自分たちのことなのだと気づきました。
+ それで、イエスを捕らえようと思いましたが、群衆がこわくて手出しができませんでした。群衆は、イエスを預言者だと認めていたからです。
+
+
+ 天の御国(神が支配される国、生き方)がどのようなものかを教えようと、イエスはまた幾つかのたとえ話をなさいました。
+ 「たとえば天の御国は、王子のために盛大な結婚披露宴を準備した王のようなものです。
+ 大ぜいの客が招待されました。宴会の準備がすっかり整ったので、王は使いを送り、招待客を呼びに行かせました。ところが、みな出席を断ってきたのです。
+ それで王は、もう一度別の使いをやり、こう言わせました。『何もかも用意ができました。肉も焼き始めています。おいでを待つばかりです。』
+ ところが、招待客はそれを気にかけず、ある者は農場へ、ある者は自分の店へと出かけて行きました。
+ そればかりか、中には王の使者に恥をかかせたり、なぐったり、殺してしまう者さえいました。
+ これを聞いて怒った王は、すぐさま軍兵を出動させ、人殺しどもを滅ぼし、彼らの町を焼き払ってしまいました。
+ そして王は、『披露宴の準備はできたというのに、招いておいた者たちはそれにふさわしくなかった。
+ さあ、町へ行って、出会う者は片っぱしから、みな招くのだ』と命じました。
+ 王の使者たちは、命令どおり、善人悪人の区別なく、だれでも招待しました。宴会場は客でいっぱいです。
+ ところが、王が客に会おうと出て来ると、用意しておいた婚礼の礼服を着ていない客が一人います。
+ 『礼服もつけずに、どうしてここへ入って来たのか』と尋ねましたが、その男は何とも返事をしません。
+ それで王は、側近の者たちに命じました。『この男の手足を縛って、外の暗闇に放り出しなさい。そこで泣いてくやしがるのだ。』
+ 招待される人は多くても、選ばれる人は少ないのです。」
+ そのころパリサイ人たちは、イエスをわなにかけて逮捕のきっかけになることを言わせようと、知恵をしぼっていました。
+ そして、数人の仲間をヘロデ党(ヘロデを支持する政治的な一派)の者たちといっしょにイエスのところへやり、こう質問させました。「先生。あなたがたいへん正直なお方で、だれをも恐れず、また人をえこひいきもなさらず、いつも堂々と真理を教えておられることは、よく存じ上げております。
+ それで、ぜひともお教え願いたいのですが、ローマ政府に税金を納めることは正しいことでしょうか。それともよくないことでしょうか。」
+ イエスは、彼らの策略を見抜いて言われました。「偽善者たち。わたしをわなにかけようというのですか。
+ さあ、銀貨を出して見せなさい。」
+ 銀貨を受け取ったイエスは、彼らに問いました。「ここに刻まれているのは、だれの肖像ですか。その下にある名前はだれのものですか。」
+ 「カイザル(ローマ皇帝)のです。」「そのとおりです。ローマ皇帝のものなら、それはローマ皇帝に返しなさい。しかし神のものは全部、神に返さなければなりません。」
+ 彼らはこの答えに驚き、返すことばもなく、すごすごとイエスの前から立ち去りました。
+ ちょうど同じ日に、死後の復活などはないと主張するサドカイ人たちも来て、イエスに尋ねました。
+ 「先生。モーセの律法では、ある男が結婚して子どものないまま死んだ場合、弟が兄の未亡人と結婚して、生まれた子どもに兄のあとを継がせることになっています。
+ ところで、こういう場合はどうなるのでしょう。七人兄弟の家族があって、長男は結婚しましたが、子どもがないまま死んだので、残された未亡人は次男の妻になりました。
+ ところが、次男も子どもがないまま死に、その妻は三男のものになりました。しかし、三男も四男も同じようになり、ついにこの女は、七人兄弟全部の妻になりましたが、結局、子どもはできずじまいでした。
+ そして、彼女も死にました。
+ そうすると、復活の時には、彼女はいったいだれの妻になるのでしょう。生前、七人とも彼女を妻にしたのですが。」
+ しかし、イエスは言われました。「あなたがたは聖書も神の力もわかっていません。思い違いをしています。
+ いいですか。復活の時には、結婚などというものはありません。みんなが天使のようになるのです。
+ ところで、死人が復活するかどうかについて、聖書を読んだことがないのですか。神が、『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』と言われた時〔すでに死んでしまったアブラハム、イサク、ヤコブがいま神の御前で生きていなければ、神は『アブラハム、イサク、ヤコブの神であった』と言われるはずです〕、あなたがたにも直接そう語りかけておられたのだということが、わからないのですか。神は死んだ人の神ではなく、生きている人の神なのです。」
+ 群衆はこのイエスの答えに、すっかり感心しました。
+ しかし、パリサイ人たちはそうはいきません。サドカイ人たちが言い負かされたと知ると、彼らは彼らで新しい質問を考え出し、さっそくイエスのところにやって来ました。その中の律法の専門家が、
+ 「先生。モーセの律法の中で一番重要な戒めは何でしょうか」と尋ねました。
+ イエスはお答えになりました。「『心を尽くし、たましいを尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』
+ これが第一で、最も重要な戒めです。
+ 第二も同じように重要で、『自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい』という戒めです。
+ ほかのすべての戒めと預言者たちの命令も、この二つから出ています。ですから、この二つを守れば、ほかの戒めを全部守ったことになるのです。これを守りなさい。」
+ それから、イエスは、回りを取り囲んでいるパリサイ人たちに質問されました。
+ 「キリストをどう思いますか。彼はいったいだれの子ですか。」「ダビデ王の子です。」
+ 「それでは、なぜダビデは聖霊に動かされて語った時、このように、キリストを『主』と呼んだのでしょうか。
+ 『神が私の主に言われた。「わたしがあなたの敵をあなたの足の下に置くまで、わたしの右に座っていなさい。」』
+ ダビデがキリストを『主』と呼んでいるのなら、キリストが、ただのダビデの子であるわけはありません。」
+ これには、返すことばもありませんでした。その日以来、だれも、あえてイエスに質問しようとする者はいませんでした。
+
+
+ イエスは、群衆と弟子たちにお語りになりました。
+ 「ユダヤ人の指導者やパリサイ人たちが、あまりにたくさんの戒めを作り上げているので、あなたがたは、彼らをまるでモーセのようだと思っているでしょう。
+ もちろん、彼らの言うことは、みな実行すべきです。言っていることは良いことなのですから。だが、やっていることだけは絶対にまねてはいけません。彼らは言うとおりに実行していないからです。
+ とうてい実行できないような命令を与えておいて、自分では、それを守ろうとしないのです。
+ 彼らのやることと言ったら、人に見せびらかすことばかりです。幅広の経札(聖書のことばを納めた小箱で、祈りの時に身につける)を腕や額につけたり、着物のふさ(神のおきてを思い出すために着物のすそにつけるように命じられていた)を長くしたりして、あたかも聖者であるかのようにふるまいます。
+ また、宴会で上座に着いたり、会堂の特別席に座ったりするのが何より好きです。
+ 街頭でていねいなあいさつを受けたり、『ラビ』(へブル語で、教師)とか『先生』とか呼ばれることも大好きです。
+ だがあなたがたは、だれからもそう呼ばれないようにしなさい。なぜなら、神だけがあなたがたのラビであって、あなたがたはみな同じ兄弟だからです。
+ またこの地上で、だれをも『父』と呼ばないようにしなさい。天におられる神だけが『父』と呼ばれるにふさわしい方だからです。
+ それに、『先生』と呼ばれてもいけません。あなたがたの先生は、ただキリストひとりです。
+ 人に仕える人が最も偉大な者です。ですから、まず仕える者になりなさい。
+ われこそはと思っている人たちは、必ず失望し、高慢の鼻をへし折られてしまいます。一方、自分から身を低くする者は、かえって高く上げられるのです。
+ ああ、いまわしいパリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは偽善者です。神の国に入ろうとしている人たちのじゃまをし、自分でも入ろうとはしないのです。
+ 町の大通りで、見栄のための長い祈りをし、聖者のようなふりをしながら、未亡人の家を食いものにしています。偽善者たち。
+ そうです。あなたがたのような偽善者こそいまわしいものです。たった一人の改宗者(ユダヤ教に転向する人)をつくるために、どんな遠くへでもせっせと出かけて行くが、結局その人を、自分より倍も悪い地獄の子にしてしまうのです。
+ 自分の目が見えないのに人の手引きをしようとする者たち。あなたがたの規則では、『神殿にかけて』と誓った誓いは何でもないが、『神殿の黄金にかけて』と誓った誓いは果たさなければならないと言います。
+ 愚かな人たち。黄金と、黄金を神聖なものにする神殿と、いったいどちらが大切なのですか。
+ また、『祭壇にかけて』と誓った誓いは破ってもいいが、『祭壇の上の供え物にかけて』と誓った誓いは果たさなければならないと言います。
+ 愚かな人たち。祭壇の上の供え物と、その供え物を神聖なものにする祭壇自体と、いったいどちらが大切なのですか。
+ 『祭壇にかけて』と誓うことは、祭壇の上のすべてのものにかけて誓うことにもなり、
+ 『神殿にかけて』と誓うなら、神殿と、そこにおられる神にかけて誓うことになるのです。
+ また、『天にかけて』と誓うなら、神の御座と神ご自身にかけて誓うことになるのです。
+ パリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは偽善者です。自分の畑でとれる、はっかの葉の最後の一枚に至るまで、実にきちょうめんに十分の一をささげているのに、律法の中ではるかに大切な正義と思いやり、信仰はおろそかにしています。もちろん十分の一はささげるべきですが、もっと大切なことをなおざりにしては何にもなりません。
+ 自分の目が見えないのに、他人の手引きをしようとする者たち。あなたがたは、小さなぶよは気にして取り出しながら、大きならくだは丸ごとのみ込んでいるのです。
+ いまわしい人たちよ。パリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは偽善者です。杯の外側はきれいにみがき上げるが、内側はゆすりと貪欲で汚れきっています。
+ 目の見えないパリサイ人たち。まず杯の内側をきれいにしなさい。そうすれば、杯全体がきれいになるのです。
+ ああ、いまわしいパリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは美しく塗り立てた墓のようです。外側がどんなにきれいでも、中は死人の骨や汚らわしいもの、腐ったものでいっぱいです。
+ 自分を聖人らしく見せようとしているが、その外見とは裏腹に、心の中はあらゆる偽善と罪で汚れているのです。
+ いまわしいパリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは偽善者です。先祖が殺した預言者の記念碑を建てたり、先祖の手にかかった、神を敬う者たちの墓前に花を飾ったりして、
+ 『私たちには、先祖がしたような、こんな恐ろしいまねはとてもできません』と言っています。
+ そんなことを言うこと自体、自分があの悪人たちの子孫だということを、自分で証言するようなものです。
+ あなたがたは先祖の悪業を継いで、それを完成させているのです。
+ 蛇よ。まむしの子らよ。あなたがたは、地獄の刑罰を逃れることはできません。
+ わたしがあなたがたのところに、預言者や、聖霊に満たされた人、神のことばを書き記す力を与えられた人たちを遣わすと、あなたがたは彼らを十字架につけて殺したり、会堂でむち打ったり、町から町へと追い回して迫害したりします。
+ こうして、義人アベルから、神殿と祭壇との間で殺されたバラキヤの子ザカリヤに至るまで、正しい人たちが流したすべての血について、あなたがたは有罪とされます。そうです。何世紀にもわたって積み重ねられてきたこれらの報いは、今この時代の者たちの上に一度に降りかかってくるのです。
+ ああ、エルサレム、エルサレム。預言者たちを殺し、神がこの都のために遣わされたすべての人を石で打ち殺す町よ。わたしは、めんどりがひなを翼の下に集めるように、何度、あなたの子らを集めようとしたことでしょう。それなのに、あなたがたはそれを拒んでしまったのです。
+ ですから、あなたがたの家は荒れ果てたまま見捨てられます。
+ はっきり言っておきます。神から遣わされた方を喜んで迎えるようになるまで、あなたがたは二度とわたしを見ることはありません。」
+
+
+ イエスが神殿の庭から出ようとしておられると、弟子たちが近寄って来て、「この神殿は、たいそうりっぱですね」と言いました。
+ ところが、イエスは言われました。「今、あなたがたが目を見張っているこれらの建物は、一つの石もほかの石の上に残らないほど、あとかたもなく壊されてしまいます。」
+ そのあと、イエスがオリーブ山の中腹に座っておられると、弟子たちが来てこっそり尋ねました。「そんな恐ろしいことがいつ起こるのですか。あなたがもう一度おいでになる時や、この世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。」
+ そこでイエスは、彼らに説明されました。「だれにもだまされないようにしなさい。
+ そのうち、自分こそキリストだと名乗る者が大ぜい現れて、多くの人を惑わすでしょう。
+ また、あちらこちらで戦争が始まったといううわさが流れるでしょう。だがそれは、わたしがもう一度来る時の前兆ではありません。こういう現象は必ず起こりますが、それでもまだ、終わりが来たのではありません。
+ 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、至る所でききんと地震が起こります。
+ しかし、これらはみな、やがて起こる恐ろしい出来事のほんの始まりにすぎないのです。
+ その時、あなたがたは苦しめられ、殺されることもあるでしょう。また、わたしの弟子だというだけで、世界中の人から憎まれるでしょう。
+ ですから、その時には多くの者が罪の生活に逆戻りし、互いに裏切り、憎み合います。
+ また多くの偽預言者が現れ、大ぜいの人を惑わします。
+ 罪があらゆる所にはびこり、人々の愛は冷えきってしまいます。
+ けれども、最後まで耐え忍ぶ者は救われるのです。
+ そして、御国についてのすばらしい知らせが全世界に宣べ伝えられ、すべての国民がそれを耳にします。それから、ほんとうの終わりが来るのです。
+ ですから、預言者ダニエルが語った、あの恐るべきものが聖所に立つのを見たなら〔読者よ、この意味をよく考えなさい〕、
+ その時は、ユダヤにいる人たちは山に逃げなさい。
+ 屋上にいる人たちは、家の中の物を持ち出そうと下に降りてはいけません。
+ 畑で仕事をしている人たちは、着物を取りに戻ってはいけません。
+ このような日には、妊娠している女と乳飲み子をかかえている母親はたいへん不幸です。
+ あなたがたの逃げる日が、冬や安息日にならないように祈りなさい。
+ その時には、歴史上、類を見ないような大迫害が起こるからです。
+ もし、このような迫害の期間が短くされないなら、一人として救われないでしょう。だが、神に選ばれた人たちのために、この期間は短くされるのです。
+ その時、『キリストがここにおられるぞ』とか、『あそこだ』『いや、ここだ』などとうわさが乱れ飛んでも、そんなデマを信じてはいけません。
+ それは、偽キリストや偽預言者たちです。彼らは不思議な奇跡を行って、できることなら、神に選ばれた者たちさえ惑わそうとするのです。
+ いいですね。よく警告しておきます。
+ ですから、だれかが、『メシヤがまたおいでになった。荒野におられる』と知らせても、わざわざ見に出かけることはありません。また、『メシヤはこれこれの所に隠れておられる』と言っても、信じてはいけません。
+ なぜなら、メシヤのわたしは、いなずまが東から西へひらめき渡るように戻って来るからです。
+ 死体がある所には、はげたかが集まるものです。
+ これらの迫害が続いたすぐあとで、太陽は暗くなり、月は光を失い、星は天から落ち、天体に異変が起こります。
+ その時、わたしが来るという前兆が天に現れるのです。地上のあらゆる国の人々は深い悲しみに包まれ、わたしが力と輝く栄光を帯びて、雲に乗って来るのを見ます。
+ ラッパが高らかに鳴り響く中で、わたしは天使たちを遣わします。天使たちは、天と地の果てから果てまで行き巡り、選ばれた者たちを集めるのです。
+ さあ、いちじくの木から教訓を学びなさい。いちじくの葉が出てくれば、夏は間近です。
+ 同じように、このようなことが起こり始めたら、わたしはもう戸口まで来ているのです。
+ それらのことが全部起こってから、この時代は終わりになるのです。
+ 天地は消え去りますが、わたしのことばは永遠に残ります。
+ しかし、その日、その時がいつであるかは、だれも知りません。天使ばかりか、神の子さえも知らないのです。ただ父だけがご存じです。
+ ちょうど、ノアの時代のように。当時の人々は洪水が襲う直前まで、宴会だ、結婚式だと陽気に楽しんでいました。
+ 何もかも押し流されてしまうまで、洪水のことなど信じようとしなかったのです。わたしが来る時も、それと同じです。
+ その時、二人の人が畑で仕事をしていると、一人は天に上げられ、一人はあとに残されます。
+ 家事をしている二人の女のうち、一人は天に上げられ、一人はその場に残されます。
+ 主はいつ来られるかわからないのだから、いつ来られてもいいように準備をしていなさい。
+ 寝ずの番をしていれば、どろぼうに入られることもありません。
+ 同じように、日ごろの備えが万全であれば、わたしが何の前ぶれもなくやって来ても、少しも困ることはないはずです。
+ 主人の賢い忠実な管理人とはだれでしょう。召使たちの食事の世話をし、家の中を管理する仕事をする人です。主人が帰って来た時、その仕事を忠実にやっているところを見られる人は幸いです。
+ 主人はそのような忠実な人たちに、全財産を管理させます。
+ しかしもし、あなたがたが悪い召使で、『主人はまだ当分、帰って来ないだろう』と高をくくり、
+ 仲間をいじめたり、宴会を開いて酒を飲んだりし始めたらどうでしょう。
+ 主は何の前ぶれもなく、思いがけない時に帰って来て、この有様を見、
+ あなたがたを激しくむち打ち、偽善者たちと同じ目に会わせるでしょう。あなたがたは泣いて歯ぎしりするのです。
+
+
+ 神の国は、ランプを持って花婿を迎えに出た、十人の娘(花嫁の付き添い)のようです。
+ そのうちの五人は賢く、ランプの油を十分用意していましたが、残りの五人は愚かで、うっかり忘れていました。
+ 花婿の到着が遅れたので、みな横になり寝入ってしまいました。
+ 真夜中ごろ、ようやく、『花婿のお着きー。迎えに出なさーい』と叫ぶ声がします。
+ 娘たちは飛び起きると、めいめい自分のランプを整えました。その時、油を用意していなかった五人の娘は、ランプが今にも消えそうなので、ほかの五人に油を分けてほしいと頼みました。
+ 『ごめんなさい。分けてあげるほどはありません。それよりもお店に行って、買ってきたほうがいいのではないかしら。』
+ こう言われて、あわてて買いに行っているうちに、花婿が到着しました。用意のできていた娘たちは、花婿といっしょに披露宴に行き、戸は閉じられました。
+ そのあとで、例の五人が帰って来て、『ご主人様、戸を開けてください!』と叫びました。
+ ところが主人は、『私はあなたがたを知りません』と答えました。
+ こんなことにならないために、目を覚まして、いつでもわたしを迎える準備をしていなさい。わたしが来るその日、その時が、いつかわからないのですから。
+ 天の御国はまた、他国へ出かけたある人のようです。彼は出発前に、使用人たちを呼び、『さあ、元手をやるから、これで留守中に商売をしなさい』と、それぞれにお金を預けました。
+ めいめいの能力に応じて、一人には五タラント(一タラントは六千日分の賃金)、ほかの一人には二タラント、もう一人には一タラントというふうに。こうして、彼は旅に出ました。
+ 五タラント受け取った男は、それを元手にさっそく商売を始め、じきに五タラントもうけました。
+ 二タラント受け取った男もすぐ仕事を始め、二タラントもうけました。
+ ところが、一タラント受け取った男は、地面に穴を掘ると、その中にお金を隠してしまいました。
+ だいぶ時がたち、主人が帰って来ました。すぐに使用人たちが呼ばれ、清算が始まりました。
+ 五タラント預かった男は十タラントを差し出しました。『ご主人様。ごらんください。あの五タラントを倍にしました。』
+ 主人は彼の働きをほめました。『よくやった。おまえはわずかなお金を忠実に使ったから、今度はもっとたくさんの仕事を任せよう。私といっしょに喜んでくれ。』
+ 次に、二タラント受け取った男が来て、『ご主人様。ごらんください。あの二タラントを倍にしました』と言いました。
+ 『よくやった。おまえはわずかなお金を忠実に使ったから、今度はもっとたくさんの仕事を任せよう。私といっしょに喜んでくれ。』主人はこの男もほめてやりました。
+ 最後に、一タラント受け取った男が進み出て言いました。『ご主人様。あなたはたいそうひどい方でございます。私は前々からそれを知っておりましたから、せっかくお金をもうけても、あなたが取り上げてしまうのではないかと、こわくてしかたがなかったのです。それで、あなたのお金を土の中に隠しておきました。はい、これがそのお金でございます。』
+ これを聞いて、主人は答えて言いました。『なんという悪いやつだ! なまけ者めが! 私がおまえのもうけを取り上げるのがわかっていたというのか。
+ だったらせめて、そのお金を銀行にでも預金しておけばよかったのだ。そうすれば、利息がついたではないか。
+ さあ、この男のお金を取り上げて、五タラント持っている者にやりなさい。
+ 与えられたものを上手に使う者はもっと多くのものが与えられ、ますます豊かになる。だが不忠実な者は、与えられたわずかなものさえ取り上げられてしまうのだ。
+ 役立たずは、外の暗闇へ追い出してしまいなさい。そこで、泣きわめくなり、くやしがったりするがいい。』
+ メシヤのわたしが、その栄光の輝きのうちに、すべての天使と共にやって来る時、わたしは栄光の王座につきます。
+ そして、すべての国民がわたしの前に集められます。その時わたしは、羊飼いが羊とやぎとを選別するように、人々を二組に分け、
+ 羊はわたしの右側に、やぎを左側に置きます。
+ 王として、わたしはまず、右側の人たちに言います。『わたしの父に祝福された人たちよ。さあ、この世の初めから、あなたがたのために用意されていた御国に入りなさい。
+ あなたがたは、わたしが空腹だった時に食べ物を与え、のどが渇いていた時に水を飲ませ、旅人だった時に家に招いてくれたからです。
+ それにまた、わたしが裸の時に服を与え、病気の時や、牢獄にいた時には見舞ってもくれました。』
+ すると、これらの正しい人たちは答えるでしょう。『王様。私たちがいったいいつ、あなたに食べ物を差し上げたり、水を飲ませたりしたでしょうか。
+ また、いったいいつ、あなたをお泊めしたり、服を差し上げたり、
+ 見舞いに行ったりしたでしょうか。』
+ 『あなたがたが、これらの困っている一番小さい人たちに親切にしたのは、わたしにしたのと同じなのです。』
+ 次に、左側にいる人たちに言います。『のろわれた者たちよ。さあ、悪魔とその手下の悪霊どものために用意されている、永遠に燃え続ける火の中に入りなさい。
+ あなたがたは、わたしが空腹だった時にも食べ物をくれず、のどが渇いていた時にも水一滴恵もうとはせず、
+ 旅人だった時にも、もてなそうとはしませんでした。また、わたしが裸の時にも着物一枚くれるわけでなく、病気の時にも、牢獄にいた時にも知らん顔をしていたではありませんか。』
+ すると彼らは、こんなふうに抗議するでしょう。『王様。私たちがいったいいつ、あなたが空腹だったり、のどが渇いていたり、旅人だったり、裸だったり、病気だったり、牢獄におられたりするのを見て、お世話しなかったとおっしゃるのですか。』
+ そこで、わたしはこう言います。『あなたがたが、これらの一番小さい者たちを助けようとしなかったのは、わたしを助けなかったのと同じです。』
+ こうして、この人たちは永遠の刑罰を受け、一方、正しい人たちには永遠のいのちが与えられるのです。」
+
+
+ イエスはこれらのことを話し終えると、弟子たちに言われました。
+ 「あなたがたも知っているように、あと二日で過越の祭りが始まります。いよいよ、わたしが裏切られ、十字架につけられる時が近づいたのです。」
+ ちょうどそのころ、大祭司カヤパの家では、祭司長やユダヤ人の指導者たちが集まり、
+ イエスをひそかに捕らえて殺そうという相談のまっ最中でした。
+ しかし、「祭りの間は見合わせたほうがよいだろう。群衆の暴動でも起こると大変だから」というのが、彼らの一致した意見でした。
+ さて、イエスはベタニヤへ行き、ツァラアトの人シモンの家にお入りになりました。
+ そこで食事をしておられると、非常に高価な香油のつぼを持った女が入って来て、その香油をイエスの頭に注ぎかけました。
+ それを見た弟子たちは、腹を立てました。「なんてもったいないことを!
+ 売ればひと財産にもなって、貧しい人たちに恵むこともできたのに。」
+ イエスはこれを聞いて言われました。「なぜ、そうとやかく言うのですか。この女はわたしのために、とてもよいことをしてくれたのです。
+ いいですか。貧しい人たちならいつも回りにいますが、わたしはそうではありません。
+ 今、この女が香油を注いでくれたのは、わたしの葬りの準備なのです。
+ ですから、この女のことは、いつまでも忘れられないでしょう。そして御国のすばらしい知らせが伝えられる所ならどこででも、この女のしたことも語り継がれるでしょう。」
+ このことがあってから、十二弟子の一人、イスカリオテのユダが祭司長たちのところへ来て、「あのイエスをあなたがたに売り渡したら、いったい、いくらいただけますか」と聞きました。こうして、とうとう彼らから銀貨三十枚を受け取ったのです。
+ この時から、ユダはイエスを売り渡そうと機会をねらい始めました。
+ 過越の祭りの日、すなわち種なしパン(イースト菌を入れないで焼くパン)の祭りの最初の日に、弟子たちが来て、イエスに尋ねました。「先生。過越の食事は、どこですればよろしいでしょうか。」
+ 「町に入って行くと、これこれの人に会います。その人に言いなさい。『私どもの先生が、「わたしの時が近づいた。お宅で弟子たちといっしょに過越の食事をしたい」と言っております。』」
+ 弟子たちはイエスの言われたとおりにして、夕食の用意をしました。
+ その夕方、十二弟子といっしょに食事をしている時、
+ イエスは、「あなたがたのうちの一人が、わたしを裏切ろうとしています」と言われました。
+ これを聞いた弟子たちはひどく悲しみ、口々に、「まさか私のことではないでしょうね」と尋ねました。
+ 「わたしといっしょに鉢に手を浸している者が裏切るのです。
+ わたしは預言のとおりに死ななければなりません。だが、わたしを裏切るような者はのろわれます。その人は、むしろ生まれなかったほうがよかったのです。」
+ ユダも、何げないふりをして尋ねました。「先生。まさか私ではないでしょう。」「いや、あなたです。」イエスはお答えになりました。
+ 食事の最中に、イエスは一かたまりのパンを取り、祝福してから、それをちぎって弟子たちに分け与えました。「これを取って食べなさい。わたしの体です。」
+ またぶどう酒の杯を取り、感謝の祈りをささげてから、弟子たちに与えて言われました。「みな、この杯から飲みなさい。
+ これは新しい契約を保証するわたしの血、多くの人の罪を赦すために流される血です。
+ よく言っておきますが、やがて父の御国で、あなたがたといっしょに新しく飲む日まで、わたしは二度とぶどう酒を飲みません。」
+ このあと、一同は賛美歌を歌うと、そこを出て、オリーブ山に向かいました。
+ その時、イエスは弟子たちに言われました。「今夜あなたがたはみな、わたしを見捨てて逃げるでしょう。聖書に、『わたしが羊飼いを打つ。すると羊の群れは散り散りになる』と書いてあるからです。
+ しかし、わたしは復活して、もう一度ガリラヤに行きます。そこであなたがたに会います。」
+ 「たとえ、みんながあなたを見捨てようと、この私だけは絶対に見捨てたりしません」と訴えるペテロに、
+ イエスは言われました。「はっきり言いましょう。あなたは今夜鶏が鳴く前に、三度、わたしを知らないと言います。」
+ しかしペテロは、「死んでも、あなたを知らないなどとは申しません」と言い、ほかの弟子たちも、口々に同じことを言いました。
+ それからイエスは、弟子たちを連れて、木の茂ったゲツセマネの園に行かれました。そして弟子たちに、「わたしが向こうで祈っている間、ここに座って待っていなさい」と言い残し、
+ ペテロと、ゼベダイの子ヤコブとヨハネだけを連れて、さらに奥のほうへ行かれました。その時です。激しい苦悩と絶望がイエスを襲い、苦しみもだえ始められました。
+ 「ああ、恐れと悲しみのあまり、今にも死にそうです。ここを離れずに、わたしといっしょに目を覚ましていなさい。」
+ 三人にこう頼むと、イエスは少し離れた所に行き、地面にひれ伏して必死に祈られました。「父よ。もしできることなら、この杯を取り除いてください。しかし、わたしの思いどおりにではなく、あなたのお心のままになさってください!」
+ それから、弟子たちのところへ戻って来られると、なんと、三人ともぐっすり眠り込んでいるではありませんか。そこで、ペテロを呼び起こされました。「起きなさい、ペテロ。たったの一時間も、わたしといっしょに目を覚ましていられなかったのですか。
+ 油断しないで、いつも祈っていなさい。さもないと誘惑に負けてしまいます。あなたがたの心は燃えていても、肉体はとても弱いのですから。」
+ こうしてまたイエスは、彼らから離れて、祈られました。「父よ。もし、この杯を飲みほさなければならないのでしたら、どうぞ、あなたのお心のままになさってください。」
+ イエスがもう一度戻って来られると、三人はまたもや眠り込んでいました。まぶたが重くなって、どうしても起きていられなかったのです。
+ イエスは、三度目の祈りをするために戻り、前と同じ祈りをなさいました。
+ それからまた、弟子たちのところに来て、「まだ眠っているのですか。目を覚ましなさい。時が来ました。いよいよ、わたしは悪い者どもに売り渡されるのです。
+ 立ちなさい。さあ、行くのです。ごらんなさい、裏切り者が近づいて来ます」と言われました。
+ イエスがまだ言い終わらないうちに、十二弟子の一人ユダがやって来ました。彼といっしょに、ユダヤ人の指導者たちが差し向けた大ぜいの群衆も、手に手に剣やこん棒を持っていました。
+ 彼らの間では、ユダがあいさつする相手こそイエスだから、その人物を捕まえるように、前もって打ち合わせがしてありました。
+ それで、ユダはまっすぐイエスのほうへ歩み寄り、「先生。こんばんは」と声をかけ、さも親しげにイエスを抱きしめました。
+ イエスが、「ユダよ。さあ、おまえのしようとしていることをしなさい」と言われた瞬間、人々は飛びかかり、イエスを捕らえました。
+ その時、イエスといっしょにいた一人が、さっと剣を抜き放つと、大祭司の部下の耳を切り落としました。
+ ところが、イエスは彼を制して言われました。「剣をさやに納めなさい。剣を使う者は、自分もまた剣で殺されるのです。
+ わからないのですか。わたしが願いさえすれば、父が何万という天使を送って、わたしを守ってくださるのです。
+ しかし、もし今そんなことをしたら、こうなると書いてある聖書のことばが実現しないではありませんか。」
+ そして今度は、群衆に向かって言われました。「剣やこん棒で、これほどものものしく武装しなければならないほど、わたしは凶悪犯なのでしょうか。わたしが毎日神殿で教えていた時には、何の手出しもしなかったではありませんか。
+ いいですか、こうなったのはすべて、預言者たちのことばが実現するためです。」この時、弟子たちはみな、イエスを見捨てて逃げ去りました。
+ 暴徒たちは、イエスを大祭司カヤパの家に引っ立てました。ちょうど、ユダヤ人の指導者たちが一堂に集まり、今や遅しと待ちかまえているところでした。
+ 一方、ペテロは遠くからあとをつけて行き、大祭司の家の中庭にもぐり込みました。そして兵士たちにまじって、イエスがどんなことになるのか見届けようとしました。
+ そこには、祭司長たちやユダヤの最高議会の全議員が集まり、なんとかイエスを死刑にしようと、偽証する者を捜していました。
+ ところが、偽証する者は多かったのですが、その証言がみな食い違っているのです。そうこうするうちに、ようやく、格好の証人が現れました。二人の男が進み出て、
+ 「この男は、『神殿を打ちこわして、三日の間に建て直すことができる』と言っていました」と証言したのです。
+ 大祭司はここぞとばかりに立ち上がり、イエスに問いただしました。「さあ、黙っていないで答えたらどうだ。ほんとうにそんなことを言ったのか。それとも言わなかったのか。」
+ それでもなお、イエスは黙っていました。大祭司は続けました。「生ける神の御名によって命じる。あなたは神の子キリストなのかどうか。さあ、はっきり答えてみなさい。」
+ イエスはお答えになりました。「あなたの言ったとおりです。あなたがたは、やがてメシヤ(救い主)のわたしが、神の右の座につき、雲に乗って来るのを見るでしょう。」
+ これを聞いた大祭司は、即座に着物を引き裂き、大声で叫びました。「冒瀆だ! 神を汚すことばだ! これだけ聞けば十分だ。さあ、みんなも聞いたとおりだ。
+ この男をどうしよう。」一同はいっせいに叫びました。「死刑だ、死刑にしろ!」
+ そうして、イエスの顔につばをかけたり、なぐったりしました。またある者は、イエスを平手で打ち、
+ 「おい、キリストなんだろ。当ててみろ。今おまえを打ったのはだれだ」とからかいました。
+ 一方、ペテロは中庭に座っていましたが、一人の女中がやって来て、「あら、あなたイエスといっしょにいた人じゃないの。二人ともガリラヤの人でしょう」と話しかけました。
+ ところがペテロは、「人違いだ。変な言いがかりはよしてくれ」と大声で否定しました。
+ まずいことになったと、ペテロが急いで出口のほうへ行きかけると、また別の女中に見つかりました。女中は回りの人たちに、「この人もナザレから来たイエスという人といっしょだったわ」と言いました。
+ ペテロはあわててそれを打ち消し、その上、「断じて、そんな男は知らない」と誓いました。
+ ところが、しばらくすると、近くにいた人たちが彼のところへ来て、口々に言い始めました。「いや、おまえは確かにあの男の弟子の一人だ。隠してもむだだ。そのガリラヤなまりが何よりの証拠だ。」
+ たじたじとなったペテロは、「そんな男のことなど、絶対に知らない。これがうそなら、どんな罰が下ってもかまわない」と言いだしました。するとすぐに、鶏の鳴く声が聞こえました。
+ その瞬間、ペテロは、はっとわれに返りました。「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うでしょう」と言われたイエスのことばを思い出したからです。ペテロは外へ駆け出して行くと、胸も張り裂けんばかりに激しく泣きました。
+
+
+ さて、朝になりました。祭司長とユダヤ人の指導者たちはまた集まり、どうやってローマ政府にイエスの死刑を承認させようかと、あれこれ策を練りました。
+ それから、縛ったまま、イエスをローマ総督ピラトに引き渡しました。
+ ところで、裏切り者のユダはどうなったでしょう。イエスに死刑の判決が下されると聞いてはじめて、彼は自分のしたことがどんなに大それたことだったか気づき、深く後悔しました。それで祭司長やユダヤ人の指導者たちのところに銀貨三十枚を返しに行き、
+ 「私はとんでもない罪を犯してしまった。罪のない人の血を売ったりして」と言いました。しかし祭司長たちは、「今さらわれわれの知ったことか。かってにしろ」と言って、取り合おうとしませんでした。
+ それでユダは、銀貨を神殿に投げ込み、出て行って首をくくって死んでしまいました。
+ 祭司長たちはその銀貨を拾い上げてつぶやきました。「まさか、これを神殿の金庫に入れるわけにもいくまい。人を殺すために使った金だから。」
+ 彼らは相談し、その金で、陶器師が粘土を取っていた畑を買い上げ、そこをエルサレムで死んだ外国人の墓地とすることにしました。
+ そこでこの墓地は、今でも「血の畑」と呼ばれています。
+ こうして、「彼らは銀貨三十枚を取った。それは、イスラエルの人々がその人を見積もった値段だ。彼らは、主が私に命じられたように、それで陶器師の畑を買った」
+ というエレミヤの預言のとおりになったのです。
+ さてイエスは、ローマ総督ピラトの前に立ちました。総督はイエスを尋問しました。「おまえはユダヤ人の王なのか。」イエスは「そのとおりです」と答えました。
+ しかし、祭司長とユダヤ人の指導者たちからいろいろな訴えが出されている時は、口をつぐんで、何もお答えになりませんでした。
+ それでピラトはイエスに、「おまえにあれほど不利な証言をしているのが、聞こえないのか」と尋ねました。
+ それでもイエスは何もお答えになりません。これには総督も、驚きあきれてしまいました。
+ ところで、毎年、過越の祭りの間に、ユダヤ人たちが希望する囚人の一人に、総督が恩赦を与える慣習がありました。
+ 当時、獄中にはバラバという名の知れた男が捕らえられていました。
+ それでその朝、群衆が官邸に詰めかけた時、ピラトは尋ねました。「さあ、いったいどちらを釈放してほしいのか。バラバか、それともキリストと呼ばれるイエスか。」
+ ピラトがこう言ったのは、イエスが捕らえられたのは、イエスの人気をねたむユダヤ人指導者たちの陰謀だと気づいたからです。
+ 裁判の最中に、ピラトのもとへ彼の妻が、「どうぞ、その正しい方に手をお出しになりませんように。ゆうべ、その人のことで恐ろしい夢を見ましたから」と言ってよこしました。
+ ところが、祭司長とユダヤの役人たちは、バラバを釈放し、イエスの死刑を要求するように、群衆をたきつけました。
+ それで、ピラトがもう一度、「二人のうち、どちらを釈放してほしいのか」と尋ねると、群衆は即座に、「バラバを!」と大声で叫んだのでした。
+ 「では、キリストと呼ばれるあのイエスは、どうするのだ。」「十字架につけろ!」
+ 「どうしてだ。あの男がいったいどんな悪事を働いたというのか。」ピラトがむきになって尋ねても、人々は、「十字架だ! 十字架につけろ!」と叫び続けるばかりでした。
+ どうにも手のつけようがありません。暴動になるおそれさえ出てきました。あきらめたピラトは、水を入れた鉢を持って来させ、群衆の面前で手を洗い、「この正しい人の血について、私には何の責任もない。責任は全部おまえたちが負いなさい」と言いました。
+ すると群衆は大声で、「かまわない。責任はおれたちや子どもたちの上にふりかかってもいい!」と叫びました。
+ ピラトはやむなくバラバを釈放し、イエスをむち打ってから、十字架につけるためにローマ兵に引き渡しました。
+ 兵士たちはまず、イエスを兵営に連れて行き、全部隊を召集すると、
+ イエスの着物をはぎとって赤いガウンを着せ、
+ 長いとげのいばらで作った冠を頭に載せ、右手には、王の笏に見立てた葦の棒を持たせました。それから、拝むまねをして、「これはこれは、ユダヤ人の王様。ばんざーい!」とはやし立てました。
+ また、つばをかけたり、葦の棒をひったくって頭をたたいたりしました。
+ こうしてさんざんからかったあげく、赤いガウンを脱がせ、もとの服を着せると、いよいよ十字架につけるために引いて行きました。
+ 刑場に行く途中、通りすがりの男にむりやりイエスの十字架を背負わせました。クレネから来合わせたシモンという男でした。
+ ついに、ゴルゴタ、すなわち「どくろの丘」という名で知られる場所に着きました。
+ 兵士たちはそこで、薬用のぶどう酒を飲ませようとしましたが、イエスはちょっと口をつけただけで、飲もうとはされませんでした。
+ イエスを十字架につけ終わると、兵士たちはさいころを投げてイエスの着物を分け合いました。
+ それがすむと、今度はその場に座って見張りをしました。
+ またイエスの頭上には、「この者はユダヤ人の王イエスである」と書いた罪状書きを打ちつけました。
+ その朝、強盗が二人、それぞれイエスの右と左で十字架につけられました。
+ 刑場のそばを通りかかった人々は、大げさな身ぶりをしながら、口ぎたなくイエスをののしりました。
+ 「やい。神殿を打ちこわして、三日のうちに建て直せるんだってな! おまえが神の子だって? それなら、十字架から降りてみろ。」
+ 祭司長やユダヤ人の指導者たちも、イエスをあざけりました。
+ 「他人は救えるが自分は救えないというわけか。イスラエルの王が聞いてあきれる。さあ、十字架から降りて来い! そうしたら信じてやろうじゃないか。
+ おまえは神に頼っているのだろう。神のお気に入りなら、せいぜい助けていただくがいい。自分を神の子だと言っていたのだから。」
+ 強盗までがいっしょになって、悪口をあびせました。
+ さて時間がたち、正午にもなったころ、急にあたりが暗くなり、一面の闇におおわれました。それが三時間も続きました。
+ 三時ごろ、イエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれました。それは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味です。
+ 近くでその声を聞いた人の中には、「あれはエリヤを呼んでいるのだ」と思う者もいました。
+ 一人の男がさっと駆け寄り、海綿に酸っぱいぶどう酒を含ませると、それを葦の棒につけて差し出しました。
+ ところが、ほかの者たちは、「放っておけよ。エリヤが救いに来るかどうか、見ようじゃないか」と言いました。
+ その時、イエスはもう一度大声で叫んで、息を引き取りました。
+ すると、神殿の至聖所を仕切っていた幕が、上から下まで真っ二つに裂けたのです。大地は揺れ動き、岩はくずれました。
+ さらに墓が開いて、生前神に従っていた多くの人たちが生き返りました。
+ 彼らはイエスが復活されたあと、墓を出てエルサレムに入り、多くの人の前に姿を現したのです。
+ 十字架のそばにいた隊長や兵士たちは、このすさまじい地震やいろいろの出来事を見て震え上がり、「この人はほんとうに神の子だった!」と叫びました。
+ イエスの世話をするためにガリラヤからついて来たたくさんの女たちも、遠くからこの様子を見ていました。
+ マグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフの母マリヤ、ゼベダイの息子ヤコブとヨハネの母などです。
+ 夕方になりました。イエスの弟子で、アリマタヤ出身のヨセフという金持ちが来て、
+ ピラトに、イエスの遺体を引き取りたいと願い出ました。ピラトは願いを聞き入れ、遺体を渡すように命じました。
+ ヨセフは遺体を取り降ろすと、きれいな亜麻布でくるみ、
+ 岩をくり抜いた、自分の新しい墓に納めました。そして、大きな石を転がして入口をふさぎ、帰って行きました。
+ この有様を、マグダラのマリヤともう一人のマリヤが、近くに座って見ていました。
+ 翌日の安息日に、祭司長やパリサイ人たちがピラトに願い出ました。「総督閣下。あの大うそつきは、確か、『わたしは三日後に復活する』と言っていました。
+ それをいいことに、弟子たちが死体を盗み出し、イエスは復活したと言いふらしては、まずいことになりかねません。それこそ、このところの騒ぎではすまず、大混乱になるかもしれません。ですからどうぞ、墓を三日目まで見張るように命令を出してください。」
+ ピラトは答えました。「よろしい。では厳重に見張らせるがよい。」
+ そこで彼らは、石に封印をし、警備の者をおいて、だれも忍び込めないようにしました。
+
+
+ 安息日も終わり、日曜日になりました。マグダラのマリヤともう一人のマリヤは、明け方早く、墓へ出かけました。
+ 突然、大きな地震が起きました。天使が天から下って来て、墓の入口から石を転がし、その上に座ったのです。
+ 天使の顔はいなずまのように輝き、衣は雪のような白さでした。
+ 警備の者たちはその姿を見て、恐怖で震え上がり、死んだようになってしまいました。
+ すると、天使がマリヤたちに声をかけました。「こわがらなくてもいいのです。十字架につけられたイエスを捜していることはわかっています。
+ だがもう、イエスはここにはおられません。前から話していたように復活されたのです。中に入って、遺体の置いてあった所を見てごらんなさい。
+ さあ早く行って、弟子たちに、イエスが死人の中から復活されたこと、ガリラヤへ行けば、そこでお会いできることを知らせてあげなさい。」
+ 二人は、恐ろしさに震えながらも、一方ではあふれる喜びを抑えることができませんでした。一刻も早くこのことを弟子たちに伝えようと、一目散に駆けだしました。
+ すると、そこへ突然イエスが姿を現され、目の前に立ち、「おはよう」とあいさつなさいました。二人はイエスの前にひれ伏し、御足を抱いて礼拝しました。
+ イエスは言われました。「こわがらなくてもいいのです。行って、わたしの兄弟たちに、すぐガリラヤへ行くように言いなさい。そこでわたしに会えるのです。」
+ 二人が町へ急いでいるころ、墓の番をしていた警備の者たちは祭司長たちのところに駆け込み、一部始終を報告しました。
+ ユダヤ人の指導者が全員召集され、どうしたらよいか相談しました。その結果、警備の者たちに多額の賄賂を渡し、「夜、眠っている間に、イエスの弟子たちが死体を盗んでいった」と言わせることにしました。
+ 「もしこのことが総督の耳に入ったとしても、うまく説得してやるから心配することはない。あなたたちには決して迷惑はかけない。」彼らはこう約束しました。
+ 賄賂を受け取った彼らは、言われたとおりに話しました。そのため、この話は広くユダヤ人の間に行き渡り、今でもそう信じられています。
+ 一方、十一人の弟子はガリラヤに出かけ、イエスから指示された山に登りました。
+ そこでイエスにお会いして礼拝しましたが、中にはイエスだと信じない者もいました。
+ イエスは弟子たちに言われました。「わたしには天と地のすべての権威が与えられています。
+ だから、出て行って、すべての人々をわたしの弟子とし、彼らに、父と子と聖霊との名によってバプテスマ(洗礼)を授けなさい。
+ また、弟子となった者たちには、あなたがたに命じておいたすべての戒めを守るように教えなさい。わたしは世界の終わりまで、いつもあなたがたと共にいます。」
+
+
+
+
+ 神の子イエス‧キリストのすばらしい福音(救いの知らせ)の始まりは、こうです。
+ 神が地上にご自分のひとり子を遣わされることと、彼を迎える準備のために特別な使者を送られることとは、預言者イザヤがずっと以前に告げていました。
+ 「この使者は、不毛の荒野に住み、すべての人に呼びかける。『生活を正せ。主をお迎えする準備をせよ』」と。
+ この使者とは、バプテスマのヨハネのことです。彼は荒野に住み、人々にこう教えました。「罪を赦していただくために、悔い改めて神に立ち返りなさい。そして、そのしるしにバプテスマ(洗礼)を受けるのです。」
+ このヨハネのことばを聞こうと、エルサレムばかりか、ユダヤ全国からおびただしい数の人たちが詰めかけ、次々と今までの自分の悪い思いや行いを神に告白しました。ヨハネはそういう人たちに、ヨルダン川でバプテスマを授けていたのです。
+ らくだの毛で織った着物に、皮の帯、いなごとはちみつが常食という生活を送りながら、
+ 彼は次のように宣べ伝えました。「私よりもはるかにすばらしい方が、もうすぐおいでになります。私など、その方のしもべとなる価値もありません。
+ 私はあなたがたに水でバプテスマを授けていますが、その方は聖霊によってバプテスマをお授けになります。」
+ そのころ、イエスもガリラヤのナザレから来て、人々といっしょに、ヨルダン川でヨハネからバプテスマをお受けになりました。
+ ところが、イエスが水から上がられたちょうどその時、天がさっと開け、聖霊が鳩のようにご自分の上に下って来るのが見えました。
+ そして天から、「あなたはわたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ」という声が聞こえました。
+ このあとすぐ、聖霊はイエスを荒野へ追いやられました。
+ イエスは、そこで四十日間、野の獣たちと共に過ごし、罪を犯させようとするサタンの誘惑をお受けになりました。しかし後には、天使たちがやって来て、イエスに仕えていました。
+ ヨハネがヘロデ王(ヘロデ‧アンテパス)の命令で逮捕されると、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べ伝えました。
+ 「いよいよ来るべき時が来ました。神の国が近づいたのです。みな、悔い改めて、福音を信じなさい。」
+ ある日、イエスがガリラヤ湖の岸辺を歩いておられると、シモンとアンデレの兄弟が網を打っている姿が目に入りました。二人は漁師でした。
+ イエスは声をおかけになりました。「さあ、ついて来なさい。人間をとる漁師にしてあげましょう。」
+ すると二人はすぐ網を置き、イエスについて行きました。
+ また少し先に行くと、ゼベダイの息子で、同じく漁師のヤコブとヨハネとが舟の中で網を修繕していました。
+ そこで、イエスはこの二人もお呼びになりました。二人とも、父と雇い人たちとを舟に残したまま、イエスについて行きました。
+ さて、一行はカペナウムの町にやって来ました。土曜日の朝、イエスはユダヤ人の礼拝所である会堂へ出かけて、教えられました。
+ それを聞いた会衆は驚きました。イエスの話し方が、これまで聞いてきたものとは全く違っていたからです。イエスは、律法学者たちのようにむやみに他人のことばを用いず、権威をもって話されたからです。
+ ところが、その会堂に悪霊につかれた人がいて、大声で叫びだしました。
+ 「おい、ナザレのイエス! おれたちをどうしようというんだ。おれたちを滅ぼすために来たんだろう。あんたのことはよく知ってるぜ。そうとも、神の聖なる御子よ!」
+ イエスは悪霊にそれ以上は言わせず、「その人から出て行きなさい!」とお命じになりました。
+ すると悪霊は大声をあげ、その人を激しく引きつけさせて、出て行きました。
+ この有様に会衆は肝をつぶし、興奮して口々に論じ合いました。「いったい、どうなっているんだ!」「悪霊どもでさえ、命令を聞くなんて……。」「これは新しい教えなのかね。」
+ イエスの評判は、たちまちガリラヤの全地方に広まりました。
+ このあと会堂を出た一行は、シモンとアンデレの家に行きました。
+ ところがこの時、シモンのしゅうとめは高熱にうなされて、床についていました。イエスはそれを知ると、
+ さっそく彼女のそばに行き、手を取って起こされました。するとどうでしょう。たちまち熱が下がり、すっかり元気になったしゅうとめは、みんなをもてなすために、食事の用意を始めたのです。
+ 日の沈むころになると、シモンの家の庭は、イエスに治していただこうと連れて来られた病人や悪霊につかれた者たちで、いっぱいになりました。
+ また戸口には、カペナウム中の人たちが詰めかけ、がやがや騒ぎながら中の様子をながめていました。
+ イエスはこの時も多くの病人を治し、悪霊を追い出されました。しかも、悪霊にひとことも口をきかせませんでした。悪霊は、イエスがどういう方か知っていたからです。
+ 翌朝、イエスは夜明け前に起き、ただひとり、人気のない所へ行って祈られました。
+ そのうちに、あちらこちらとイエスを捜し回っていたシモンたちが来て、
+ 「みんなが先生を捜しています」と言いました。
+ イエスは、「さあ、ほかの町へ出かけましょう。そこでも教えなければなりません。わたしはそのために来たのですから」とお答えになりました。
+ こうしてイエスは、ガリラヤ中をくまなく回り、会堂で教え、悪霊につかれた人を大ぜいお助けになりました。
+ ある時、一人のツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)に冒された人がやって来て、イエスの前にひざまずき、熱心に頼みました。「お願いでございます。どうか私の体をもとどおりに治してください。先生のお気持ちひとつで治るのですから。」
+ イエスは心からかわいそうに思い、彼にさわって、「そうしてあげましょう。さあ、よくなりなさい」と言われました。
+ するとたちまち、ツァラアトはあとかたもなくなり、完全に治ってしまいました。
+ 「これからすぐに祭司のところへ行き、体を調べてもらいなさい。途中で寄り道や立ち話をしてはいけません。健康な体に戻ったことを明らかにするために、モーセの命じたとおりの供え物をしなさい。」
+ イエスにきびしく止められたにもかかわらず、男はうれしさを抑えきれず、この出来事を大声でふれ回って歩きました。そのため、イエスの回りにはみるみる人垣ができ、公然と町へ入れなくなりました。しかたなく町はずれにとどまっておられましたが、そこにも、人々が押しかけて来ました。
+
+
+ 数日後、イエスはカペナウムに戻られました。すると、イエス来訪のニュースはたちまち町中に伝わり、
+ 人々が大ぜい集まって来ました。家は足の踏み場もないほどで、外まで人があふれています。その人たちに、イエスは神の教えを語られました。
+ その時、四人の人が、中風(脳出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の男をかついで運んで来ました。
+ しかしあまりの人に、群衆をかき分けて中へ入ることもできません。そこで、屋根にのぼり、穴をあけると、そこから病人を寝床のまま、イエスの前へつり降ろしました。
+ 必ず治してもらえると、堅く信じて疑わない彼らの信仰をごらんになって、イエスは中風の男に、「あなたの罪は赦されました」と言われました。
+ ところが、その場にいた何人かのユダヤ人の宗教的指導者たちの心中は、おだやかではありませんでした。
+ 「なんだと! 今のは神を汚すことばだ。いったい自分をだれだと思っているのか。罪を赦すなんて、神にしかできないことなのに。」
+ イエスはすぐに、彼らが心の中で理屈をこねているのを見抜かれました。「どうして、そう思うのですか。
+ この人に、『あなたの罪が赦されました』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのと、どちらがやさしいですか。さあ、メシヤ(ヘブル語で、救い主)のわたしが罪を赦したという証拠を見せてあげましょう。」イエスは中風の男のほうに向き直り、「あなたはもうよくなりました。床をたたんで、家に帰りなさい」と言われました。
+ すると男は飛び起き、寝床をかかえ、あっけにとられている見物人を押し分けて、出て行ってしまいました。「こんなことは、見たこともない!」人々は口々に叫び、心から神を賛美しました。
+ イエスはまた湖畔に行き、集まって来た群衆にお教えになりました。
+ 岸辺を歩いておられると、税金取立て所にアルパヨの子レビ(マタイ)が座っていました。「ついて来て、わたしの弟子になりなさい。」イエスの呼びかけに、レビはさっと立ち上がり、あとに従いました。
+ その夜、レビはイエスを夕食に招待しました。その席には、取税人仲間や、評判の悪い人たちも多く招かれていました。イエスに従う者には、こういう人々も多かったのです。
+ これを見たパリサイ派(特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)の律法学者は、弟子たちに詰め寄りました。「おまえたちの先生は、どうして、こんなどうしようもない連中といっしょに食事をするのか。」
+ 彼らの非難に、イエスはこうお答えになりました。「丈夫な者に医者はいりません。病人こそ医者が必要なのです。わたしは、自分を正しいと思っている人たちのためにではなく、罪人を神に立ち返らせるために来たのです。」
+ バプテスマのヨハネの弟子やパリサイ人たちは、断食のおきてを守っていました。ある時、彼らが来て、「どうして先生のお弟子さんたちは断食しないのですか」と問いただしました。
+ イエスは、こうお答えになりました。「花婿の友人は、披露宴の席で、ごちそうに手をつけなかったり、嘆き悲しんだりはしません。
+ しかし、やがて花婿が彼らから引き離される日が来ます。その時には断食するのです。
+ こう言えばわかるでしょう。水洗いしていない新しい布で、古い着物の継ぎ当てをしてごらんなさい。どうなりますか。当て布は縮んで着物を破り、穴はますます大きくなってしまうでしょう。
+ 新しいぶどう酒を古い皮袋に入れることもしません。そんなことをしたら、皮袋は張り裂け、ぶどう酒はこぼれ、どちらもだいなしでしょう。新しいぶどう酒には、新しい皮袋が必要なのです。」
+ ある安息日(神の定めた休息日)のこと、イエスと弟子たちは麦畑の中を歩いていました。すると、弟子たちが麦の穂を摘んで、食べ始めました。
+ これを見たパリサイ人たちは、「お弟子さんたちがあんなことをするなんて! 安息日に刈り入れをするのは違反なのをご存じのはずでしょう」と、イエスに抗議しました。
+ しかし、イエスはお答えになりました。「アビヤタルが大祭司のころ、ダビデ王とその家来たちが空腹でがまんできなかった時、神殿に入って、祭司以外が食べてはいけない特別のパンを食べたというのを、読んだことがないのですか。それもおきてに反することでしょうか。
+ いいですか。安息日は人間のためにつくられたのであって、人間が安息日のためにつくられたのではありません。
+ メシヤ(救い主)のわたしには、安息日に何をしてよいかを決める権威もあるのです。」
+
+
+ カペナウムで、イエスがまた会堂に入られると、そこに片手の不自由な男がいました。
+ その日は安息日だったので、イエスに敵対する者たちは、イエスの行動に目を光らせていました。この男の手を治しでもしたら、訴えてやろうと待ちかまえていたのです。
+ イエスはその男を呼び、会衆の前に立たせられました。
+ それから、敵対する者たちのほうを向いて言われました。「さあ、答えてください。安息日に良いことをするのと悪いことをするのと、どちらが正しいですか。安息日はいのちを救う日ですか、それとも殺す日ですか。」彼らは押し黙っていました。
+ イエスは、彼らの冷淡さ、頑固さを深く嘆き、怒りを込めて見回すと、その男に、「さあ、手を伸ばしてごらんなさい」と言われました。男がそのとおりにすると、男の手はたちどころに治ってしまいました。
+ おさまらないのはパリサイ人です。すぐ会堂を飛び出し、ヘロデ党(ヘロデ王を支持する政治的な一派)の者たちと、イエスを殺す計画を相談し始めました。
+ 一方、イエスと弟子たちは湖のほとりへ立ちのきましたが、それでも、ガリラヤ全地、ユダヤ、エルサレム、イドマヤばかりか、ヨルダン川の向こう岸、さらにツロやシドンといった遠方からも、たくさんの群衆がやって来て、あとについて行きました。イエスの奇跡の評判が広まるにつれ、「ひと目でいいからイエス様を見たい」と、人々が押しかけたのです。
+ イエスは、群衆が岸辺に押し寄せても大丈夫なように、弟子たちに小舟を一そう用意させました。
+ その日、多くの病人が治されたと聞いて、病気の人たちがみな、何とかしてイエスにさわろうと詰めかけたからです。
+ また、悪霊につかれた人たちは、イエスの姿が目に入りさえすればその前にひれ伏して、「あなたは神の子です!」と叫ぶのでした。
+ イエスは彼らに、ご自分のことをだれにも口外してはいけないと、きびしく警告なさいました。
+ その後イエスは丘に登り、これまでに選んだ者たちを召集されました。みなが集まったところで、
+ 十二人の者を特別に選び出されました。いつもそば近くに置き、彼らに福音(キリストによる救いの知らせ)を宣べ伝えさせたり、
+ 悪霊を追い出させたりするためでした。
+ 十二人の名前は次のとおりです。シモン〔イエスによって「ペテロ」と名づけられた〕、ヤコブとヨハネ〔ゼベダイの息子で、イエスから「雷の子」と呼ばれた〕、アンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、タダイ、シモン〔「熱心党」という急進派のメンバー〕、イスカリオテのユダ〔後にイエスを裏切った男〕。
+ イエスが泊まっていた家に戻られると、群衆がまた集まって来ました。まもなく家の中は人でいっぱいになり、みなは食事をする暇もないほどでした。
+ イエスのことを身内の者たちが聞き、家に連れ戻そうとしました。「あの男は気がおかしくなっている」と言う人たちがいたからです。
+ また、エルサレムから来ていたユダヤ教の教師たちは、こんなふうにうわさしました。「やつは、悪霊の王ベルゼブル(サタン)に取りつかれているのだ。だから、手下の悪霊どもがやつの言うことを聞いて、おとなしく引き下がるのだ。」
+ イエスは、そんなことを言う人々をそばに呼び、だれもがわかるように、たとえを使って話されました。「どうして、サタンがサタンを追い出せるでしょうか。
+ 内部で分かれ争っている国は、結局自滅してしまいます。
+ 争い事や不和が絶えない家庭は、崩壊するだけです。
+ サタンの場合も全く同じことです。内部で争っていたら、何もできないばかりか、生き残ることさえできません。
+ 強い人の家に押し入って、その財産を盗み出すには、まずその強い人を縛り上げなければならないでしょう。悪霊を追い出すには、まずサタンを縛り上げなければならないのです。
+ これは大切なことですから、はっきり言います。人が犯す罪は、どんな罪でも赦してもらえます。たとえ、わたしの父を汚すことばでも。
+ しかし、聖霊を汚す罪だけは、決して赦されません。それは永遠の罪なのです。」
+ こう言われたのは、彼らが、イエスの奇跡を聖霊の力によるものだとは認めず、サタンの力によるのだと言っていたからです。
+ さて、イエスの母と弟たちが、教えを聞く人々でごった返す家に来て、イエスに話があるから出て来るようにと、ことづけました。
+ 「お母様と弟さんたちが、お会いしたいと外でお待ちです」と言われて、
+ イエスはこうお答えになりました。「わたしの母や兄弟とは、いったいだれのことですか。」
+ それから、ぐるりと回りを見渡し、「この人たちこそわたしの母であり兄弟です。
+ だれでも、神のお心のままに歩む人が、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです」と言われました。
+
+
+ イエスが湖のほとりで教えておられると、またもや多くの群衆が集まって来ました。それでイエスは小舟に乗り、そこに腰をおろして、お話しになりました。
+ イエスが人々に教えられる時には、たとえ話を使うのが普通でしたが、この日の話は次のようなものでした。
+ 「よく聞きなさい。農夫が種まきをしました。畑に種をまいていると、
+ ある種はあぜ道に落ちました。すると鳥が来て、その種を食べてしまいました。
+ 別の種は土の浅い石地に落ちました。初めは勢いよく成長した種も、
+ 土が浅いため、根から十分養分を取ることができず、強い日差しの中で、すぐに枯れてしまいました。
+ また、いばらの中に落ちた種もありましたが、いばらが茂って成長をはばみ、結局、実を結べませんでした。
+ けれども中には、良い地に落ちた種もありました。その種は、三十倍、六十倍、いや百倍もの収穫をあげることができたのです。
+ 聞く耳のある人はよく聞きなさい。」
+ その後、イエスが一人になられると、十二人の弟子とほかの弟子たちが、そろってイエスに尋ねました。「先生。さっきのお話はどういう意味でしょう。」
+ イエスはお答えになりました。「あなたがたには、神の国の真理を知ることが許されていますが、ほかの人には隠されているのです。
+ 預言者イザヤが言ったように、『彼らは見もし、聞きもするが、悔い改めて神に立ち返り、その罪を赦していただくことはない』のです。
+ それにしても、こんな簡単なたとえがわからないのですか。そんなことで、これから話すほかのすべてのたとえは、どうなることでしょう。
+ いいですか。農夫とは、人々に神のことばを伝える人のことです。このような人たちは、聞く人の心に良い種をまこうとします。
+ 初めの種が落ちた踏み固められたあぜ道とは、神のことばを聞いても心を堅く閉ざした人のことです。すぐにサタンがやって来て、そのことばを忘れさせてしまうのです。
+ 土が浅く石ころの多い地とは、最初は喜んで神のことばを聞く人の心を表しています。ところが、そんな地に落ちた種は、根を深くおろすことができません。だから、初めのうちこそうまくいっても、迫害が始まると、たちまちぐらついてしまうのです。
+ いばらの地とは、神のすばらしい知らせに耳を傾け、それを受け入れる人の心を表しています。けれども、すぐにこの世の魅力、金もうけの楽しさ、欲望のとりこになり、神のことばなどは心からはじき出されて、実を結ぶまでには至らない人です。
+ 良い地とは、神のことばをまちがいなく受け入れて成長し、神のために、三十倍、六十倍、百倍もの収穫をあげる人の心を表しています。」
+ イエスは、続けてお話しになりました。「せっかくあかりをともしたランプに箱をかぶせ、光をさえぎる人がいるでしょうか。もちろんいません。それでは意味がありませんから。ランプは台の上に置き、あたりを照らしてこそ、存在価値があるのです。
+ いま隠されているものはみな、いつかは明るみに出されます。
+ 聞く耳のある人はよく聞きなさい。
+ また、聞いたことは必ず実行しなさい。そうすればするほど、わたしの言ったことがわかるようになります。
+ 持っている人はさらに与えられ、持っていない人は、持っているわずかな物さえ取り上げられてしまうのです。
+ 神の国のたとえを、もう一つ話しましょう。ある農夫が畑に種をまいて、
+ 家に帰りました。日がたつにつれて、別に何もしなくても、種はどんどん成長しました。
+ 土が種を成長させるからです。まず芽が出て、次に穂、そして最後に穂の中に実が入ります。
+ すると、さっそく農夫が刈り取るのです。」
+ また、こうも言われました。「神の国をどう説明し、何にたとえたらいいでしょう。
+ それは、小さなからし種のようです。からし種は種の中でも最も小さいものですが、
+ 成長すると、とても大きくなり、鳥が巣を作れるほどになります。」
+ このように、イエスは多くのたとえを使って、人々の理解力に応じて教えられました。
+ たとえを使わずに話をなさることはありませんでした。ただ弟子たちにだけは、その意味を解き明かされました。
+ 夕闇の迫るころ、イエスは弟子たちに、「さあ、湖の向こう岸に渡ろう」と言われました。
+ 弟子たちは群衆をあとに残し、イエスの乗られた小舟をこぎ出しました。あとからついて来る舟も、何そうかありました。
+ ところが、まもなく恐ろしい嵐が襲って来たのです。小舟は大波にほんろうされ、舟は水浸しです。
+ イエスを見ると、船尾のほうで眠っておられます。弟子たちは気が気ではありません。すっかり動転して、イエスを呼び起こしました。「先生! 舟が沈みかけているのに、よく平気でいられますね!」
+ イエスはゆっくり起き上がると、風をしかり、湖に「静まれ」と言われました。するとどうでしょう。たちまち風はやみ、湖は何事もなかったかのような大なぎになりました。
+ イエスは弟子たちに言われました。「どうしてそんなにこわがるのですか。まだわたしが信じられないのですか。」
+ 弟子たちは、ただもう恐怖に打ちのめされて、「ああ、なんというお方だ。風や湖までが従うとは」と、ささやき合いました。
+
+
+ やがて一行は湖を渡り、向こう岸のゲラサ人の地に着きました。
+ イエスが小舟をおりる間もなく、悪霊に取りつかれた男が墓場から走って来て、イエスを迎えました。
+ この男は墓場に寝起きしていましたが、たいへんな強力で、手かせ足かせをはめられても、たちまち引きちぎって逃げてしまうのでした。そんなわけで、だれもこの男を取り押さえることができません。
+ 昼も夜も大声でわめき、とがった石で体をかきむしりながら、墓場や山の中をさまよい歩いていました。
+ この男は、イエスがまだ遠く湖上におられる時からその姿を認め、走り寄って来てイエスの前まで来ると、いきなり地にひれ伏しました。
+ その時です。イエスは男に取りついている悪霊に、「悪霊よ、出て行きなさい」とお命じになりました。すると悪霊は、ぞっとするような声で、「おれを、どうしようというんだ。頼むから、苦しめないでくれ! いと高き神の子、イエスよ」とわめきたてました。
+ イエスが「おまえの名前は?」と聞くと、「レギオン(ローマの軍隊の一軍団)だ。おれたちは大ぜいでこの男に取りついているのだ」と、悪霊は答えました。
+ それから、自分たちを遠方へ追い払わないでほしいと、しきりに頼み続けました。
+ その時、湖畔に沿った丘の上で、豚の大群がえさをあさっていました。
+ 悪霊どもは、「おれたちをあの豚の中へやってくれ」と願いました。
+ イエスがお許しになると、悪霊はすぐさまその男から出て、豚の中に入りました。とたんに、二千匹もの群れがいっせいにがけを駆け降り、湖に飛び込んでおぼれ死んでしまいました。
+ 豚飼いたちは近くの町や村に逃げて行き、この出来事をふれ回りました。人々は自分の目で確かめようと、ぞろぞろと出かけて来ました。
+ たちまちイエスの回りは黒山の人だかりとなり、しかも、うわさの男は、服を着て、すっかり正気に戻って座っているではありませんか。人々は恐ろしくなりました。
+ 初めからこの出来事を目撃していた人たちが、みんなに一部始終を説明しました。
+ それを聞くと、人々はイエスに、かかわりあいになりたくないから、どこかへ行ってほしいと願い始めたのです。
+ イエスはまた舟に乗り込みました。悪霊につかれていた男が、「ぜひお伴を」と願いましたが、
+ お許しにならず、「家族や、友人のところへお帰りなさい。神がどんなにすばらしいことをしてくださったか、また、どんなにあわれんでくださったかを話してあげなさい」と言われました。
+ 男はさっそくデカポリス地方を回り、イエスがどんなにすばらしいことをしてくださったかを知らせました。その話を聞いた人々はみな驚きました。
+ イエスがもう一度、舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆が詰めかけました。
+ そこへ、その地方の会堂管理人で、ヤイロという名の人が来て、イエスの前にひれ伏しました。
+ 娘を助けてほしいというのです。「先生。私の娘が死にかけています。まだ、ほんの子どもなのに……。どうぞ、娘の上に手を置き、治してやってください。」
+ そこで、イエスはヤイロといっしょに出かけました。群衆は押し合いへし合い、イエスについて行きます。
+ その中に、出血の止まらない病気で十二年間も苦しみ続けてきた女がいました。
+ 多くの医者にかかり、さんざん苦しい目に会い、治療代で財産をすっかり使い果たしてしまいましたが、病気はよくなるどころか、悪化する一方でした。
+ イエスがこれまでに行ったすばらしい奇跡を耳にした彼女は、人ごみにまぎれて近づき、背後からイエスの着物にさわりました。
+ 「せめて、この方の着物にでも手を触れさせていただけば、きっと治る」と考えたのです。
+ さわったとたん、出血が止まり、彼女は病気が治ったと感じました。
+ イエスはすぐ、自分から病気を治す力が出て行ったのに気づき、群衆のほうをふり向いて、「今、わたしにさわったのはだれですか」とお尋ねになりました。
+ 「こんなに大ぜいの人がひしめき合っているのです。それなのに、だれがさわったのかと聞かれるのですか。」弟子たちはけげんな顔で答えました。
+ それでもなおイエスは、あたりを見回しておられます。
+ 恐ろしくなった女は、自分の身に起こったことを知り、震えながら進み出てイエスの足もとにひれ伏し、ありのままを正直に話しました。
+ イエスは言われました。「娘さん。あなたの信仰があなたを治したのです。もう大丈夫です。いつまでも元気でいるのですよ。」
+ こう話しておられる時、ヤイロの家から使いの者が来て、娘は死んでしまったので、来ていただいても手遅れだと伝えました。
+ しかしイエスは、ヤイロに言われました。「恐れてはいけません。ただわたしを信じなさい。」
+ イエスは群衆をその場にとどまらせ、ペテロとヤコブとヨハネのほかは、だれもついて来ることをお許しになりませんでした。
+ ヤイロの家に着くと、だれもかれも取り乱し、大声で泣いたり、わめいたり、たいへんな騒ぎになっています。これを見たイエスは、
+ 中に入り、「なぜ、そんなに取り乱しているのですか。子どもは死んだのではありません。ただ眠っているだけです」と言われました。
+ それを聞いた人々は、イエスをあざ笑いました。しかし、イエスはみなを家の外に出すと、娘の両親と三人の弟子だけを連れて、娘のいる部屋に入られました。
+ そして娘の手を取り、「さあ、起きなさい」と声をかけました。
+ するとどうでしょう。少女はすぐに起き上がり、歩き始めたではありませんか〔娘はこの時、十二歳でした〕。両親は、ただあっけにとられています。
+ イエスは、このことを決して口外しないようにときびしくお命じになってから、少女に何か食べさせるように言われました。
+
+
+ まもなくイエスはその地方を去り、弟子たちを連れて故郷の町ナザレに帰られました。
+ 次の安息日に、イエスが会堂に出かけて話をされると、聴衆はその教えに驚きました。イエスのことを、自分たちと同じ、ただの田舎者だと思っていたからです。「あれのどこがおれたちと違うというんだ。ただの大工のせがれじゃないか。母親はマリヤだし、ヤコブやヨセやユダやシモンは兄弟だ。妹たちだって、われわれとこの町に住んでいるじゃないか。」こうして、町の人たちはイエスに背を向けました。
+ そこで、イエスは言われました。「預言者(神に託されたことばを語る人)はどこででも尊敬されます。ただ、自分の故郷、親族、家族の中ではそうではありません。」
+ そのため、わずかの病人に手を置いて治されただけで、そこでは何一つ力あるわざを行うことができませんでした。
+ イエスは、ナザレの人たちの不信仰に驚かれました。このことがあってから後、イエスは近辺の村々を巡り歩いて、教えられました。
+ また、十二人の弟子を呼び、悪霊を追い出す力を与えると、二人ずつ組にして送り出されました。
+ そして、携帯品は杖だけにし、食料も旅行袋も、お金も、はき替えのくつも、着替えの下着も持って行ってはいけないと注意されました。
+ また、言われました。「どこの村ででも、一軒の家に泊まるようにしなさい。あっちこっち家々を渡り歩いてはいけません。
+ もしその村が、あなたがたを門前払いにし、あなたがたのことばに耳を貸そうともしないなら、そこから出る時、足のちりを払い落としなさい。それは、その村を滅びるに任せたというしるしです。」
+ こうして弟子たちは出て行き、出会ったすべての人に、悔い改めて神に立ち返るようにと教え、
+ 多くの悪霊を追い出し、オリーブ油を塗って大ぜいの病人を治しました。
+ イエスの奇跡は至る所で話題になったので、まもなくヘロデ王の耳にも入りました。王は、バプテスマのヨハネが生き返ったのだと考えました。そして人々も、「だからこそ、イエスにはあんな奇跡ができるのだ」とうわさしました。
+ 中には、預言者エリヤが生き返ったのだと言う者もあり、昔の偉大な預言者たちのような新しい預言者だ、と主張する者もありました。
+ しかしヘロデは、「いや、あれはわしが処刑したヨハネに違いない。ヨハネが死人の中から生き返ったのだ」と言いました。
+ 実は、このヘロデが兵士たちに命じて、ヨハネを捕らえ、投獄したのです。ヨハネがヘロデに、兄嫁のヘロデヤを自分の妻にするのはよくないと批判したからです。
+ ヘロデヤは、その腹いせにヨハネを殺してやろうと思いましたが、ヘロデの許可なしには手出しができません。
+ ヘロデがヨハネを正しくきよい人物だと知って尊敬し、保護していたからです。ヘロデはヨハネと話をすると、決まって不安にかられましたが、それでも好んで聞いていました。
+ ところが、とうとうヘロデヤに絶好のチャンスが訪れました。それはヘロデの誕生日のことでした。王は、宮中の高官、高級将校、ガリラヤ地方の名士などを招待して、宴会を開きました。
+ その時、ヘロデヤの娘が居並ぶ客の前で舞をまい、一同をたいそう楽しませました。喜んだ王は、「ほしいものはないか。何なりと申せ」と言い、
+ その上、「国の半分をやってもよいぞ」と誓ったのです。
+ 娘は出て行って、母親と相談しました。すると母親は、しめたとばかり、「バプテスマのヨハネの首をいただきたいと申し上げなさい」と入れ知恵しました。
+ 娘は王の前に進み出ると、「今すぐ、バプテスマのヨハネの首を、盆に載せていただきとうございます」と言いました。
+ 王は、困ったことになったと心を痛めましたが、誓ったことでもあり、また一同の手前もあって引っ込みがつきません。
+ やむなく護衛兵に、獄中のヨハネの首を切り、その首を持って来るように命じました。兵士は言われたとおり、
+ ヨハネの首を盆に載せて来て、ヘロデヤの娘に渡しました。すると、娘はさっそく、それを母親のところへ持って行きました。
+ ヨハネの弟子たちはそのことを聞くと、遺体を引き取り、墓に葬りました。
+ さて、十二人の弟子は旅を終えてイエスのもとに帰り、自分たちのしてきたこと、また、行った先々で人々に教えたことなどを、くわしく報告しました。
+ イエスは弟子たちに言われました。「さあ、しばらく人ごみを避けて休みましょう。」イエスのもとには人の出入りが多く、食事をする暇もなかったからです。
+ 彼らは舟に乗り、静かな場所へ出かけました。
+ ところが多くの群衆がそれと気づき、岸づたいに走って行って、一行が上陸するのを待ちかまえていました。
+ 舟から上がられたイエスの前には、おびただしい数の人々が集まっていました。まるで、羊飼いのいない羊のような群衆を見て、イエスは深くあわれみ、いろいろなことを教え始められました。
+ 午後も遅くなって、弟子たちがイエスのところに来ました。「先生。この人たちに、近くの村や農場へ行って、めいめいで食べ物を買うように言っていただけませんか。こんな寂しい所では、何もありません。それに時刻も遅いことですし……。」
+ しかし、イエスは言われました。「あなたがたが、この人たちに食べ物をあげるのです。」「ええっ! いったい何を食べさせたらいいんですか、こんな大ぜいの人たちに。そんなことをしたら破産してしまいます。」
+ 「手持ちの食べ物がどのくらいあるか、見て来なさい。」こう言われて、弟子たちは調べに行きました。その結果、パンが五つと魚が二匹あるだけでした。
+ イエスは、群衆に分かれて座るようにお命じになりました。まもなく人々は、五十人から百人ずつの組に分かれ、それぞれ緑の草の上に座りました。
+ イエスは五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて感謝の祈りをささげると、パンをちぎって、人々に配るよう弟子たちに手渡されました。魚も同様になさいました。
+ 群衆は、もうこれ以上は食べられないというほど十分に食べました。
+ その場で食事をしたのは、男だけでも五千人はいました。あとで残ったパン切れを拾い集めると、なんと十二のかごにいっぱいでした。
+ それからすぐ、イエスは弟子たちに、舟に戻り、先にベツサイダまで行くようにお命じになりました。あとで弟子たちと落ち合うつもりで、イエスだけその場に残り、群衆を解散させられたのです。
+ そのあと、イエスは山へ登られました。祈るためです。
+ 夜になり、舟に乗った弟子たちは湖の真ん中までこぎ出していましたが、イエスはただ一人、陸地におられました。
+ ふと、ごらんになると、弟子たちは向かい風と波のためにこぎあぐね、危険にさらされています。夜明けの三時ごろ、イエスは水の上を歩いて彼らに近づき、そのままそばを通り過ぎようとされました。
+ ところが弟子たちは、湖上を歩くイエスを幽霊と見まちがい、恐怖のあまり大声をあげました。
+ みな、おびえきっています。イエスはすぐに、「安心しなさい。ほら、わたしです。こわがることはありません」と、声をおかけになりました。
+ イエスが舟に乗り込まれると、風はぴたりとやみました。弟子たちは訳がわからず、ただぼんやりと座っているだけでした。
+ 前日の夕方、あれほどのパンの奇跡を目のあたりにしながら、弟子たちには、イエスがどんな方か、まだわかっていなかったのです。その心が堅く閉じていたからです。
+ 一行は、湖の向こう岸のゲネサレに着き、舟をつなぎました。
+ 彼らが舟から上がると、人々はすぐにイエスだと気づき、
+ その地方全体に、イエスがおいでになったことを告げ知らせたので、寝たままの病人が次々に、イエスのもとに運ばれて来ました。
+ そして、村でも町でも農場でも、人々は病人を広場に寝かせ、せめて着物のすそにでもさわらせてほしいと願うのです。さわった者はみな治りました。
+
+
+ ある日、ユダヤ人の宗教的指導者たちが数人、イエスを調べてやろうと、わざわざエルサレムから出向いて来ました。
+ そして、イエスの弟子の中に、ユダヤの食前のしきたりを守らない者がいるのを見つけました。
+ そのしきたりというのは、ユダヤ人の中でも、特にパリサイ人たちがやかましく守っているものでした。古くからの言い伝えで、食事の前には必ず、腕からひじにかけて水を注ぐ決まりだったのです。
+ また市場から帰って来た時には、食べ物に触れる前に必ず体に水を注ぎかける決まりもありました。そのほかにも、水差し、なべ、皿を洗うことなど、何世紀ものあいだ守り続けてきた、こまごまとしたおきてやしきたりがあったのです。
+ そこで、彼らはイエスに、「どうしてあなたの弟子は、昔からの言い伝えを守らないのか。手も洗わないで食事をするとはけしからん」と言って、詰め寄りました。
+ イエスはお答えになりました。「そう言うあなたがたこそ偽善者です。預言者イザヤが言ったのは、あなたがたのことだったのです。『彼らは口先ではわたしを敬うが、心はわたしから遠く離れている。
+ 彼らがわたしを拝んでも、むだなことだ。神の命令の代わりに、人間の規則を教えているのだから。』なんと的を射たことばでしょう。
+ あなたがたは神のほんとうの戒めをないがしろにして、自分たちの言い伝えとすり替えているのです。
+ それを守るために、よくも神の戒めを捨て、踏みにじったものです。
+ モーセは、『あなたの父と母とを敬え』という戒めを神から託され、あなたがたに伝えました。また、『父や母をののしる者は死刑に処せられる』とも言いました。
+ ところがどうです。あなたがたときたら、父や母に、『すみませんが、助けることはできません。差し上げるはずのものは神にささげてしまいました』と言いさえすれば、助けを求める両親をおろそかにしてもかまわない、と教えているのです。
+ あなたがたは自分たちのつくった言い伝えを守るために、神のことばを空文化しているのです。そして、ほかにも同じようなことをたくさんしているのです。」
+ イエスは、もう一度群衆を呼び寄せて、「さあ、よく聞いて、その意味を考えなさい。
+ 人は決して外から入る食べ物によって汚されるのではありません。むしろ、内から出て来ることばや思いによって汚されるのです」と言われました。
+ それから群衆と別れ、家に入られました。すると弟子たちが、「さっきのおことばは、どういう意味でしょうか」と尋ねました。
+ イエスはお答えになりました。「あなたがたまでわからないのですか。食べ物は人を汚さないということが、そんなに不思議なのですか。
+ いいですか。食べ物は人の心に入るわけではないでしょう。腹に入って、外へ出るだけではありませんか。」イエスは、あらゆる食べ物がきよいものであることを示し、
+ さらに続けて言われました。「人の内側から出るもの、それが問題です。
+ 肉欲、盗み、殺人、姦淫、
+ 貪欲、邪悪、あざむき、好色、ねたみ、悪口、高慢、あらゆる愚かさ、それらのものはみな、人の心の中からあふれ出ます。
+ この内側から出て来るものが人を汚し、神にふさわしくない者とするのです。」
+ イエスはガリラヤを去り、ツロとシドンの地方に行かれました。人目を避けて旅していましたが、いつものように、イエス来訪のニュースは、あっという間に広がってしまいました。
+ 自分の小さな娘が悪霊につかれて困っていた母親が、うわさを聞いて駆けつけました。彼女はイエスの前にひれ伏すと、
+ 娘から悪霊を追い出してくださいと懇願しました。実は、この女はスロ‧フェニキヤ人で、ユダヤ人から見れば、軽蔑すべき「外国人」でした。
+ イエスは女に言われました。「わたしはまず、同胞のユダヤ人を助けなければなりません。子どもたちのパンを取り上げて、小犬に与えるのはよくないことです。」
+ 「おっしゃるとおりでございます。でも先生、食卓の下の小犬だって、子どもたちのパンくずは食べるではありませんか。」
+ この答えにイエスは感心しました。「実に見上げたものです。さあ、安心して家にお帰りなさい。悪霊はもう、娘さんから出て行きました。」
+ 女が家に戻ってみると、娘は静かに床に横たわっており、すでに悪霊は出たあとでした。
+ イエスはツロをあとにし、シドンからデカポリス地方を通って、ガリラヤ湖畔にお帰りになりました。
+ その時、人々が、耳も聞こえず、口もきけない男をイエスのところに連れて来て、「どうぞ、手を置いて治してやってください」と頼みました。
+ イエスはその男を群衆の中から連れ出し、自分の指を彼の両耳に差し入れ、それからつばをして、彼の舌にさわられました。
+ そして、天を見上げてふっと息をつき、「開け」とお命じになりました。
+ するとどうでしょう。男の耳は聞こえるようになり、舌のもつれもとけて、はっきり話せるようになったではありませんか。
+ イエスは群衆に、うわさを広めないようにと堅く口止めされましたが、そう言われれば言われるほど、人々はかえって言い広めました。
+ イエスのなさったことにあきれ驚いたからです。人々は、「ああ、なんてすばらしいことをなさるお方だろう。耳が聞こえず、口もきけない人さえお治しになった!」と言い合いました。
+
+
+ そのころ、またおびただしい群衆が集まって来ましたが、みんなの食べる物がなくなったので、
+ イエスは弟子たちを呼んで言われました。「この人たちはかわいそうに、もう三日もわたしといっしょにいるのだから、食べ物はとっくにないはずです。
+ このまま帰らせたら、きっと途中で倒れてしまいます。それに遠くから来た人もいるでしょうから。」
+ 「でも、先生。こんな寂しい所で、これほど大ぜいの人たちのために、いったいどこで食べ物を手に入れるのですか。」
+ 「パンは幾つありますか。」「七つです。」
+ イエスは、群衆に地べたに座るようにお命じになりました。そして七つのパンを取り、神に感謝の祈りをささげてから、ちぎって弟子たちに手渡され、弟子たちはみなに配りました。
+ また、小さい魚が少しばかりあったので、これも同様に祝福してから、人々に配るよう弟子たちに手渡されました。
+ こうして、全員が満腹するほど食べました。それからイエスは、人々を家にお帰しになりました。その日集まった人の数はおよそ四千人でしたが、あとでパン切れを拾い集めると、なんと七つのかごいっぱいになりました。
+ このあとすぐ、イエスは弟子たちと舟でダルマヌタ地方へ向かわれました。
+ その地方のパリサイ人たちはイエスが来たと知り、議論をふっかけてやろうと、勇んでやって来ました。「奇跡を見せたらどうだ。天から不思議なしるしが現れでもしたら、あなたを信じようじゃないか。」
+ このことばに、イエスは思わず、ため息をおつきになりました。「いったいどれだけ奇跡を見れば気がすむのですか。」
+ イエスは彼らを残してまた舟に乗り、湖の向こう岸に渡られました。
+ ところが、弟子たちが出発前に食べ物を用意するのをうっかり忘れたので、舟の中にある食べ物といえば、一かたまりのパンだけでした。
+ 舟の中で、イエスは弟子たちに、厳粛な表情で、「ヘロデ王とパリサイ人たちのパン種(彼らの誤った教えと偽善)に気をつけなさい」と言われました。
+ 弟子たちは、「先生は、なぜあんなことをおっしゃったんだろう」と首をかしげ、結局、パンを持って来なかったからだろうということに話が落ち着きました。
+ 弟子たちがそのことで互いに議論し合っているのを聞いて、イエスは言われました。「いや、そんなことではありません。まだわからないのですか。なんとものわかりの悪い人たちなのでしょう。
+ 目も耳も持っているのに、見えも聞こえもしなかったのですか。何も覚えていないのですか。
+ 五つのパンを五千人に食べさせた時、余ったパン切れは幾かごになりましたか。」「十二かごです。」
+ 「では、七つのパンで四千人に食べさせた時は?」「七かごです。」
+ 「それなのに、まだあなたがたは、パンがないのをわたしが苦にしていると思うのですか。」
+ 一行がベツサイダに到着すると、人々が盲人の手を引いて来ました。「どうか、さわって治してやってください」と頼むので、
+ イエスはその盲人の手を取り、村の外へ連れ出されました。そして彼の両眼につばをつけ、手をあてて、「どうですか、何か見えますか」とお尋ねになりました。
+ 男はあたりをきょろきょろ見回しながら、「は、はい、見えます。人が見えます。ぼんやりしていますが……。まるで、木が歩いてるみたいです」と答えました。
+ イエスはもう一度、両眼におさわりになりました。男はじっと見つめていました。するとだんだん視力が回復し、すべてのものがはっきり見えるようになりました。
+ イエスは男を家族のもとへ帰し、「村へは行かないように」と注意されました。
+ イエスの一行はガリラヤを去り、ピリポ‧カイザリヤの村々へ行きました。その道々、イエスは弟子たちに、「人々は、わたしのことをだれだと言っていますか」とお尋ねになりました。
+ 「バプテスマのヨハネだと言う者もいれば、エリヤだと言う者もいます。また昔の預言者が生き返ったと言う者もいます」と、弟子たちは答えました。
+ するとイエスは、「では、あなたがたは、わたしをだれだと思っているのですか」とお尋ねになりました。即座にペテロが、「あなたこそキリスト(ギリシャ語で救い主)です」と答えました。
+ ところがイエスは、このことをだれにも話してはいけないと、きびしく言われました。
+ それから、やがてご自分が経験する恐ろしい出来事――長老、祭司長、ユダヤ人の指導者たちに捨てられ、殺され、三日目に復活すること――を弟子たちに話し始められました。
+ それも、実にはっきりとお話しになったので、ペテロはイエスをわきに呼び、「そんなことをおっしゃるものではありません」といさめました。
+ イエスはふり返って弟子たちを見ながら、非常にきびしい口調でペテロに言われました。「下がれ、サタン! あなたはただ人間的な見方をして、神のことを考えてみようともしていません。」
+ それから、弟子たちと群衆とを呼び寄せ、こう言われました。「だれでもわたしについて来たければ、自分中心の生活をやめ、自分の十字架を負って、わたしについて来なさい。
+ 自分のいのちを守ることばかりにとらわれている者は、それを失います。わたしと福音とのためにいのちを捨てる者が、いのちを得るのです。
+ たとえ全世界を自分のものにしても、いのちを失ったら、何の得があるでしょう。
+ いのちを買い戻すどんな手だてがあるというのでしょう。
+ この不信仰と罪の時代にあって、わたしとわたしのことばとを恥じるなら、メシヤであるわたしも、やがて父の栄光を帯びて聖なる天使と共に帰って来る時、そのような者を恥じるのです。」
+
+
+ イエスはさらに、ことばをお続けになりました。「ここに立っている人たちの中には、神の国が大きな力を持って来るのを見るまで、生きている人がいます。」
+ それから六日後、イエスはペテロとヤコブとヨハネだけを連れて、山に登られました。すると突然、イエスの顔が栄光に輝き、
+ 着物はまばゆいばかりの白さになりました。世のどんな布さらし屋も、こんなに白くはできないと思われるほどの白さでした。
+ そこへ、なんとエリヤとモーセが現れ、イエスと親しく話し始めたではありませんか。
+ これを見たペテロは、思わず叫びました。「先生。なんとすばらしいことでしょう! ここに、お一人に一つずつ、三つの幕屋(神がイスラエルの民と会う聖所)を建てましょう。」
+ こう言う以外に、何と言ってよいかわからなかったのです。弟子たちはおびえ切っていました。
+ ペテロがまだ言い終わらないうちに、雲がすっぽり彼らを包んで、太陽をさえぎったかと思うと、雲の中から、「これはわたしの愛する子。彼の言うことを聞きなさい」という声がしました。
+ あっけにとられた弟子たちがあたりを見回すと、すでにモーセとエリヤの姿はありませんでした。ただイエスがおられるだけでした。
+ 山を降りながら、イエスは弟子たちに、いま見たことを、自分が死者の中から復活する時まで、だれにも口外しないようにとお命じになりました。
+ 三人はそのことを深く心に秘めておきましたが、「死者の中から復活する」とはどういう意味かわからず、あれこれ話し合いました。
+ そこで彼らはイエスに、「どうしてユダヤ人の宗教的指導者たちは、メシヤ(救い主)が来る前に必ずエリヤが来るはずだ、と言っているのでしょうか」と尋ねました〔もしイエスがメシヤなら、先に来ているはずのエリヤはどうなっているのかと思ったからです〕。
+ イエスは、「まずエリヤが来て道を整えるというのはほんとうです。実際、エリヤはもう来たのです」とお答えになりました。そして、エリヤが預言どおり、人々からひどい仕打ちを受けたことを説明してから、「では、メシヤが多くの苦しみを受け、さげすまれると預言されていることは、どう考えますか」とお尋ねになりました。
+ 四人が弟子たちのところに帰って来てみると、大ぜいの群衆に囲まれて、弟子たちと数人のユダヤ人の指導者たちが論争のまっ最中でした。
+ 人々は、イエスの姿を見て驚き、すぐに駆け寄り、あいさつしました。
+ イエスは、「何を議論しているのですか」とお尋ねになりました。
+ すると一人の男が、こう答えました。「先生。あなたに息子を治していただこうと連れてまいりました。息子は悪霊につかれていて、ものを言うことができません。
+ この悪霊が取りつくと、どこであろうと、あたりかまわず押し倒すので、息子は口からあわを吹き、歯ぎしりして、体を硬直させてしまいます。お弟子さんたちに、悪霊を追い出してくださるよう願ったのですが、できませんでした。」
+ 「ああ、なんと信仰の薄い人たちでしょう。いつまで、あなたがたといっしょにいなければならないのでしょうか。さあ、その子を連れて来なさい。」
+ さっそく少年が連れて来られました。ところが、イエスを見るなり悪霊が彼をひどくひきつけさせたので、彼はばったり倒れ、あわを吹いて転げ回りました。
+ イエスは父親にお尋ねになりました。「いつからこのようになったのですか。」「それが、小さい時分からなのです。
+ 悪霊はこの子を殺そうと、何度も火の中、水の中に倒したのです。先生、お願いです。もしおできになるなら、何とかして助けてください。」
+ 「もしできるなら、と言うのですか。あなたが信じるなら、どんなことでもできるのです。」
+ 「信じます、信じますとも! ああ、どうか不信仰な私をお助けください。」
+ 人だかりがだんだん大きくなるのを見て、イエスは悪霊をしかりつけました。「聞くことも言うこともできなくさせる霊よ。さあ、この子から出て行きなさい。二度と戻って来てはいけない。」
+ すると悪霊は大声をあげ、もう一度、少年を激しくひきつけさせて出て行きました。少年はぐったりとなり、まるで死んだように動きません。人々はざわつき始めました。「おい、死んでしまったぞ」というささやきも聞こえます。
+ ところが、イエスが少年の手を取って起こされると、彼はぱっと立ち上がり、すっかり元気になりました。
+ あとで家に入り、ほかにはだれもいなくなった時、弟子たちはイエスに尋ねました。「どうして私たちには、あの悪霊を追い出せなかったのでしょう。」
+ イエスは、「こういうことには、特に祈りが必要なのです」とお答えになりました。
+ 一行はそこを去り、ガリラヤを通って行きました。イエスは、できるだけ人目につかないように心を配っておられました。
+ なるべく多くの時間をさいて、弟子たちと語り合い、教育するつもりだったからです。「メシヤ(救い主)であるわたしは裏切られ、殺され、そして三日目に復活します」と、イエスは教えられました。
+ しかし、弟子たちには何のことかわかりませんでした。かといって、イエスに直接その意味を尋ねるのもこわかったのです。
+ カペナウムに着き、泊まることになっていた家に入ってしばらくすると、イエスは弟子たちに、「ここへ来る途中、何を言い合っていたのですか」とお尋ねになりました。
+ 弟子たちは顔を真っ赤にして、うつむいてしまいました。実は、自分たちの中でだれが一番偉いかと言い合っていたからです。
+ イエスは腰をおろし、弟子たちを回りに呼び寄せると、「だれでも一番偉くなりたい人は、一番小さい者となり、だれにでも仕える者となりなさい」と教えられました。
+ それから、小さな子どもを真ん中に立たせ、腕に抱いて言われました。
+ 「見なさい。だれでもわたしの名のゆえに、このような小さい者をも受け入れる人は、わたしを受け入れているのです。そして、わたしを受け入れるなら、わたしを遣わされたわたしの父をも受け入れているのです。」
+ ある時、弟子のヨハネがイエスに言いました。「先生。あなたのお名前を使って悪霊を追い出している人を見かけました。でも、私たちの仲間ではなかったので、すぐにやめさせました。」
+ するとイエスは言われました。「やめさせることはありません。わたしの名によって奇跡を行いながら、そのすぐあとで、わたしに逆らう者はいないのですから。
+ わたしたちに反対しない者は、味方なのです。
+ よく言っておきますが、あなたがたがキリストの弟子だと知って、水一杯でも飲ませてくれる人は、必ず報いを受けます。
+ だが反対に、私を信じるこのような小さい者の一人にでも信仰を失わせる者は、大きな石を首にくくりつけられて、海に投げ込まれたほうがましです。
+ もしあなたの手が悪いことをするなら、切り取ってしまいなさい。片手になっても永遠に生きるほうが、両手そろって、いつまでも燃え続ける地獄の火に投げ込まれるよりは、ずっとよいのです。
+ もし足があなたを悪事に引きずり込むなら、切り取ってしまいなさい。片足になっても永遠に生きるほうが、両足そろって地獄に落ちるよりは、ずっとよいのです。
+ もし目が罪を犯すなら、えぐり出してしまいなさい。片目になっても神の国に入るほうが、両目そろって地獄の火を見るより、はるかによいのです。
+ 地獄では、彼らを食ううじはいつまでも死なず、燃えさかる火は消えることがありません。
+ すべてのものは、火のような試練によって塩けをつけられるのです。
+ 良い塩も、塩けをなくしたら、だいなしです。味つけの役に立たなくなってしまいます。だからあなたがたも、塩けをなくさないように、よく注意しなさい。そして、互いに仲良く暮らしなさい。」
+
+
+ イエスはカペナウムをあとにし、ユダヤ地方とヨルダン川東岸へ行かれました。すると、再び群衆が集まって来たので、イエスは彼らに教えておられました。
+ そこへ何人かのパリサイ人たちが来て、イエスに、「あなたは離婚をお認めになりますか」と尋ねました。もちろん、これはわなでした。
+ 「モーセは、離婚について何と言いましたか。」反対に、イエスがお尋ねになりました。
+ 「離婚してもさしつかえないと言いました。ただその時は、男が女に離縁状を書くのが決まりですが。」
+ 「なぜモーセはそう言ったのか、考えてみなさい。あなたがたの心が邪悪で強情だったから、しかたなく認めたのです。
+ 離婚は神の意思に反します。神は創造の初めから、人を男と女とに造られたのです。ですから、人は両親から離れて、
+ 妻と一体となるのです。もはや二人ではなく一人なのです。
+ 神が一つにしてくださったものを、だれも引き離してはなりません。」
+ イエスが家に戻られると、弟子たちはまた、この問題を持ち出しました。
+ イエスは言われました。「ほかの女と結婚したいばかりに妻を離縁するなら、妻に対して姦淫を犯すのです。
+ また夫と離婚して別の男と再婚する女も同様です。」
+ さて、イエスに祝福していただこうと、人々が子どもたちを連れてやって来ました。ところが弟子たちは、彼らをじゃま者扱いし、追い返そうとしました。
+ それをごらんになったイエスは、憤って弟子たちをおしかりになりました。「子どもたちを自由に来させなさい。神の国は、この子どもたちのような者の国なのです。追い払うなど、とんでもないことです。
+ いいですか。よく言っておきますが、小さな子どものように神の国を受け入れる者でなければ、決してそこに入ることはできません。」
+ それから、子どもたちを抱き上げ、頭に手を置いて、祝福されました。
+ イエスが道に出て行くと、一人の人が走り寄ってひざまずき、「先生。あなたは尊いお方です。お教えください。天国に入るにはどうしたらよいでしょうか」と尋ねました。
+ 「どうしてわたしを尊いと言うのですか。尊いお方は神おひとりです。
+ それはさておき、今の質問に答えましょう。守るべき戒めは知っていますね。殺してはならない、姦淫してはならない、盗んではならない、うそをついてはならない、だまし取ってはならない、あなたの父と母とを敬いなさい、という戒めです。」
+ 「はい、先生。私は今まで、それらを一つも破ったことはありません。」
+ イエスは心から彼に同情して言われました。「あなたには、たった一つだけ欠けたところがあるのです。さあ、家に帰って財産を全部売り払い、そのお金を貧しい人たちに分けてあげなさい。そうすれば、天に宝をたくわえることになるのです。それから、わたしについて来なさい。」
+ このイエスのことばに、その人は顔をくもらせ、悲しそうに帰って行きました。たいへんな金持ちだったからです。
+ そのうしろ姿をじっと見ていたイエスは、弟子たちのほうをふり返り、「金持ちが神の国に入るのは、実にむずかしいことです」と言われました。
+ このことばに、弟子たちはびっくりしました。イエスは、もう一度言われました。「愛する子どもたちよ。財産を頼みとする人が神の国に入るのは、なんとむずかしいことでしょう。
+ 金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうが、よほどやさしいのです。」
+ 弟子たちはますます驚いて言いました。「そうだとしたら、この世の中で、いったいだれが救われるのでしょう。」(金持ちこそ神から祝福された人だと考えられていたからです。)
+ イエスは弟子たちをじっと見つめ、「それは、神でなければできません。神には、どんなことでもできるのです」と言われました。
+ するとペテロが、自分や他の弟子たちが捨ててきたものを数え上げ始めました。「私たちは何もかも捨てて、あなたに従ってまいりました。」
+ これを聞いて、イエスは言われました。「はっきり言っておきます。わたしを愛するゆえに、また福音を人々に告げ知らせるために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、財産をすべて投げ捨てた者は、必ずその百倍の報いを受けます。この地上では迫害されますが、それでも家、兄弟、姉妹、母、子、土地はちゃんと戻ってきます。そればかりか、次の世では永遠のいのちを受けるのです。
+ 今は一番偉く見える者が、その時には一番軽んじられ、今は小さい者と見下げられていても、その時には一番大きい者となる者が多いのです。」
+ さて一行は、エルサレムを目指して進んで行きました。イエスが先頭で、弟子たちはあとから続きます。彼らは、恐れと不安な気持ちにかられていました。そこでイエスは、弟子たちをわきへ呼び、エルサレムに到着してからご自分の身に起こることを、もう一度、話して聞かせました。
+ 「エルサレムに着くと、メシヤのわたしは捕らえられ、祭司長やユダヤ人の指導者たちに引き渡され、死刑を宣告されます。そして死刑執行のためにローマの役人の手に渡され、
+ あざけられ、つばをかけられ、むちで打たれ、殺されます。しかし、わたしは三日目に復活するのです。」
+ さて、ゼベダイの息子のヤコブとヨハネが来て、イエスにこっそりと頼みました。「先生。折り入ってお願いしたいことがあるのですが。」
+ 「どんなことですか。」
+ 「実は、あなたの御国で、私たちをあなたの次に高い位につかせていただきたいのです。一人はあなたの右に、一人は左にというように。」
+ しかし、イエスは言われました。「あなたがたは、何もわかっていませんね。わたしが飲もうとしている恐るべき杯を飲み、わたしが受けようとしている苦しみのバプテスマ(洗礼)を受けることができるとでも言うのですか。」
+ 「できますとも!」と、自信をもって答える二人に、イエスは、「確かにあなたがたはわたしの杯を飲み、バプテスマを受けるでしょう。
+ だが、だれをわたしの次の位につかせるかは、わたしが決めることではありません。もうすでに決まっているのです」とおっしゃいました。
+ この、ヤコブとヨハネの願い事を知ったほかの弟子たちは、非常に腹を立てました。
+ それでイエスはみなを呼び集め、こう言われました。「あなたがたも知っているとおり、この世の王や高官は、支配者として権力をほしいままにしています。
+ しかし、あなたがたの間では違います。偉くなりたければ、みなに仕える者となりなさい。
+ 人を支配したければ、奴隷のように仕える者となりなさい。
+ メシヤのわたしでさえ、人に仕えられるためではなく、仕えるために来たのであり、多くの人の罪の代償として、自分のいのちを与えるために来たのです。」
+ 一行はエリコに着きました。やがてその町を出ようとすると、大ぜいの群衆がついて来ます。その時、テマイの子でバルテマイという名の盲目の物ごいが、道ばたに座っていました。
+ ナザレのイエスのお通りだと聞いて、バルテマイは大声を張り上げました。「イエス様、ダビデ王の子よ!どうぞお助けを!」
+ 「うるさい。黙れ!」と、だれかがどなりました。それでも、バルテマイはますます声を張り上げ、「ああ、ダビデ王の子よ。お助けください」と、くり返し叫びました。
+ その声を聞きつけて、イエスは立ち止まり、「あの男を連れて来なさい」と言われました。そこで、人々はその盲人に、「運のいいやつだ。おい、イエス様がお呼びだぞ」と告げました。
+ バルテマイは、はおっていた上着をぱっと脱ぎ捨てると、喜び勇んでイエスのそばに飛んで来ました。
+ 「わたしに、どうしてほしいのですか」と、イエスがお尋ねになると、彼はもどかしげに、「先生。見えるように、見えるようになりたいんです」と答えました。
+ 「わかりました。さあ、もうあなたの目は治りました。あなたの信仰があなたを治したのです。」イエスがこう言われた瞬間、彼の目は見えるようになり、イエスについて行きました。
+
+
+ エルサレム郊外のオリーブ山のふもとに、ベテパゲとベタニヤという二つの村がありました。その近くまで来られた時、イエスはこう言って、弟子を二人、村に使いに出されました。「あそこの村に行きなさい。するとすぐに、だれも乗ったことのないろばの子がつないであるのに気づくでしょう。それをほどいて、連れて来なさい。
+ もし、だれかに何をしているのかと聞かれたら、『主がお入用なのです。すぐお返しします』とだけ答えなさい。」
+ 二人が出かけてみると、なるほど、表通りに面した家の外に、ろばの子がつないであります。さっそく綱をほどきにかかると、そばにいた人たちが見とがめ、「そのろばの子を、いったいどうしようというんだ」と尋ねました。
+ 二人がイエスに教えられたとおりに答えると、その人たちは納得しました。
+ ろばの子をイエスのところに連れて来た弟子たちは、上着を脱ぎ、ろばの背中にかけました。イエスがその上に乗られると、
+ 群衆の中の多くの者たちも次々と上着を脱ぎ、イエスの進んで行かれる道に敷いたり、野原から葉のついた枝を切ってきて、敷き並べたりしました。
+ イエスを行列の真ん中にし、ぐるりと取り囲んだ群衆が、口々に叫びました。「王様、ばんざーい!」「主の御名によって来られる方に祝福を!」「この方が興される御国に、われらの父祖ダビデの国に祝福を!」「全世界の王、ばんざーい!」
+ こうしてイエスはエルサレムに着き、宮に入られました。そして中の様子をよくごらんになってから、もう時間も遅かったので、十二人の弟子たちといっしょに、ベタニヤまで引き返されました。
+ 翌朝、ベタニヤを出たイエスは、途中で空腹になられました。
+ ふと見ると、少し離れた所に、葉の茂ったいちじくの木があります。近づいて、実がなっているかどうかごらんになりました。ところが、その木は葉ばかりでした。まだ実のなる季節ではなかったからです。
+ それでイエスは、その木に向かって、「二度と実をつけることがないように」と言われました。弟子たちはこのことばを心にとめていました。
+ エルサレムに着くと、イエスは宮に入り、境内で商売をしていた者たちを追い出しにかかって、両替人の机や、鳩を売っていた者たちの台をひっくり返されました。
+ また、いろいろな荷物を持って境内を通り抜けることも、お許しになりませんでした。
+ そういう人たちに、イエスは、このように言われました。「聖書には、『わたしの家は、世界中の人たちの祈りの場所と呼ばれる』と書いてあるではありませんか。それなのに、あなたがたはここを強盗の巣にしてしまったのです。」
+ こうしたイエスの言動を耳にした祭司長やユダヤ人の指導者たちは、どうすれば首尾よくイエスを始末できるかと、相談を始めました。人々がみなイエスの教えに夢中になっていたので、へたに動いて暴動でも起きたら、それこそ一大事と考えたからです。
+ その夕方、いつものようにイエスと弟子たちはエルサレムを出ました。
+ 翌朝、例のいちじくの木のそばを通りかかると、なんと、根もとまですっかり枯れているではありませんか。
+ ペテロはすぐ、前の日にイエスがこの木に向かって言われたことばを思い出し、大声をあげました。「先生。ごらんください。昨日あなたがのろわれた木が枯れています!」
+ イエスは、弟子たちにお答えになりました。「よく言っておくが、あなたがたでも神を信じさえすれば、この山に『動いて、海に入れ』と言っても、そのとおりになります。大切なのは、信じて疑わないことです。
+ いいですか。よく聞きなさい。あなたがたはどんなことでも祈り求めることができます。そして信じて疑わないなら、それらのものはみな与えられるのです。すでにあなたがたのものなのです。
+ しかし、祈っている時、だれかに恨みをいだいていたら、まずその人を赦してやりなさい。そうすれば、天におられるあなたがたの父も、あなたがたの罪を赦してくださいます。」
+ 一行は、またエルサレムにやって来ました。イエスが宮の中を歩いておられると、祭司長やユダヤ人の指導者たちが近づいて、「ここで何をしているのか。いったいだれがあなたに、商人たちを追い出す権利を与えたのか」と責めました。
+ イエスはお答えになりました。「では、まずわたしの質問に答えなさい。そのあとで答えましょう。
+ バプテスマのヨハネは、神から遣わされたのですか。それとも、違うというのですか。さあ、答えてもらいましょう。」
+ 彼らは集まってひそひそ相談しました。「もし、『神から遣わされた』と答えれば、『それを知っていながら、なぜ、ヨハネを信じなかったのか』と聞かれるだろう。
+ かといって、もし、『神から遣わされたのではない』と答えれば、ここにいる群衆が騒ぎだすだろう。」〔人々はみな、ヨハネは預言者だと堅く信じていたのです。〕
+ 彼らはしかたなく、「わかりません」と答えました。するとイエスは、「それなら、わたしもあなたがたの質問には答えないことにします」と言われました。
+
+
+ それからイエスは、たとえを使って人々に話し始められました。「ある農園主がぶどう園を造り、垣根を巡らし、ぶどうの汁をしぼる穴を掘り、見張りのやぐらを建てました。そして、このぶどう園を農夫たちに貸し、外国へ出かけました。
+ ぶどうの収穫の季節になったので、農園主は代理の者をやり、分け前を受け取ろうとしました。
+ けれども農夫たちは、代理の者を袋だたきにしたあげく、手ぶらで送り返したのです。
+ そこで、もう一人の代理人を送りましたが、彼も同じような仕打ちを受け、しかも頭にひどいけがを負いました。
+ 農園主はまた別の人を送りました。事もあろうに、農夫たちはその人を殺してしまいました。そのあとも次々に人が送られましたが、みな袋だたきにされたり、殺されたりして、
+ 残るは、農園主の息子だけになりました。愛するたった一人の息子でした。農園主は、『息子だったら、農夫たちも敬意を持ってくれるだろう』と思い、ついにその息子を送り出しました。
+ ところが、農夫たちは息子を見ると、『絶好のチャンスだ。ぶどう園の跡取りを殺してしまえば、ここは自分たちのものになる』とばかり、
+ 息子を捕らえて殺し、死体をぶどう園の外に放り出しました。
+ 農園主がこのことを知ったら、どうすると思いますか。すぐさま帰って来て、農夫たちを皆殺しにし、ぶどう園はほかの人たちに貸すでしょう。
+ あなたがたは、聖書にこう書いてあるのを読んだことがないのですか。『建築士たちの捨てた石が、最も重要な土台石となった。
+ なんとすばらしいことか。主はなんと驚くべきことをなさる方か。』」
+ このたとえ話を聞いた祭司長やユダヤ人の指導者たちは、その悪い農夫が自分たちを指していることに気づき、イエスを捕らえようと思いましたが、群衆の暴動がこわくて手出しができません。しかたなく、イエスをそのままにして、そそくさと立ち去りました。
+ それでも、何とかして逮捕の口実をつかもうと、パリサイ派やヘロデ党(ヘロデ王を支持する政治的な一派)の者たちを送りました。
+ 彼らはイエスに尋ねました。「先生。あなたのおっしゃることは、いちいちごもっともです。あなたは私利私欲にとらわれず、まじめに神の道を教えておられます。つきましては、ちょっとお尋ねしたいのですが、ローマ政府に税金を納めるのは正しいことでしょうか。それとも、正しくないことでしょうか。」
+ 彼らのわなを見破ったイエスは、「なぜ、わたしを試すのですか。銀貨を見せなさい」と言われました。
+ そして銀貨を受け取ると、彼らにこうお尋ねになりました。「この銀貨に刻んである肖像と名前はだれのものですか。」「ローマ皇帝のものです。」
+ 「そのとおりです。皇帝のものなら、皇帝に返しなさい。しかし、神のものはすべて、神に返さなければなりません。」これを聞いて、彼らは頭をかかえ込んでしまいました。
+ 次に、復活などありえないと主張していたサドカイ派(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)の人たちがやって来ました。
+ 「先生。モーセの律法によると、ある男が結婚して子どもがないまま死んだ場合、弟が兄の未亡人と結婚して、生まれた子どもに兄のあとを継がせることになっています。
+ ところで、ここに七人兄弟がいたとしましょう。長男は結婚しましたが、子どもがないまま死に、残された未亡人は次男の妻になりました。ところが次男も子どもができずに死んだので、その妻は三男のものになりました。三男も四男も同じことで、ついにこの女は、七人兄弟全部の妻になりましたが、結局、子どもはできずじまいでした。最後に、この未亡人も死にました。
+ そこでお尋ねしたいのですが、復活の時、この女はいったいだれの妻になるのでしょう。七人とも彼女を妻にしたのですが。」
+ イエスはお答えになりました。「聖書も神の力もわかっていないようですね。全く思い違いをしています。
+ 復活の時には、結婚などはないのです。みんなが天の使いのようになるのですから。
+ それに、復活のあるなしについては、聖書の、モーセと燃える柴の箇所を読んだことがないのですか。神はモーセに、『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』と言われました。
+ 実際には、これらの人たちは数百年も前に死んでいたのに、神はモーセに、彼らはなお生きていると教えられたのです。そうでなければ、すでに存在していない人の『神である』などと、おっしゃるはずがありません。あなたがたは、この点で決定的にまちがっています。」
+ イエスのそばで、この見事な返答ぶりを聞いていた一人のユダヤ教の教師が、「先生。すべての戒めの中で、どれが一番重要な戒めでしょうか」と尋ねました。
+ 「『イスラエルよ、聞け。主なる神こそ、ただひとりの神です。
+ 心を尽くし、たましいを尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの主を愛しなさい。』これが最も重要な戒めです。
+ 第二は、『自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい』という戒めです。これ以上に重要な戒めはありません。」
+ 「先生。あなたは今、神様はおひとりで、ほかに神はいないとおっしゃいましたが、まさにそのとおりです。
+ そして、神殿の祭壇にどんな供え物をささげるよりも、『心を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして主を愛し、また隣人を自分と同じように愛する』ことのほうが、ずっと大切です。」
+ この賢明な答えに感心したイエスは、「あなたは神の国から遠くない」と言われました。そのあとはもう、だれも、あえてイエスに質問しようとはしませんでした。
+ その後、神殿の境内で教えておられた時、イエスはこうお尋ねになりました。「ユダヤ教の教師たちは、どうしてキリストがダビデ王の子だと言いはるのですか。
+ ダビデ自身が、といっても、ほんとうは聖霊がダビデを通して語られたのですが、こう言っているではありませんか。『神が私の主に言われた。「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまで、わたしの右に座っていなさい。」』
+ ダビデがキリストを主と呼んでいるのなら、どうしてキリストがダビデの子でありうるでしょうか。」こういう議論に群衆は好奇心を募らせ、イエスの話に聞き入っていました。
+ イエスは、ほかにも次のような話をなさいました。「ユダヤ教の教師たちを警戒しなさい。彼らは見るからに学者らしいぜいたくなガウンをはおったり、広場で人からあいさつされたりするのが、何よりうれしいのです。
+ また、会堂で特別席に座ったり、宴会で上座に着いたりするのも大好きです。
+ 裏では、恥知らずにも、未亡人の家を食いものにしながら、人前では長々と祈り、これ見よがしに神を敬うふりをしています。こういう人たちは、人一倍きびしい罰を受けるのです。」
+ それから、神殿の献金箱のそばに座り、人々がお金を投げ入れる様子をじっと見ておられました。多くの金持ちが気前よく大金をささげているところへ、
+ みすぼらしい身なりの未亡人がやって来て、そっと小額の硬貨二枚を投げ入れました。
+ それをごらんになったイエスは、弟子たちを呼び寄せて、こう言われました。「あの貧しい未亡人は、どの金持ちよりも、はるかに多く投げ入れたのです。金持ちはあり余る中からほんの少しばかりささげたのに、この女は、乏しい中から持っている全部をささげたのですから。」
+
+
+ イエスが宮から出ようとしておられた時、弟子の一人が言いました。「先生。これはまあ、なんと美しい建物でしょう。なんと見事な石でしょう。」
+ すると、イエスはお答えになりました。「なるほどすばらしいものです。しかし、この建物も、たった一つの石さえほかの石の上に残らないほど、あとかたもなくくずれ落ちてしまうのです。」
+ イエスがオリーブ山で、宮のほうを向いて座っておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレがこっそりイエスに尋ねました。「いったいいつ、神殿にそんなことが起こるのですか。そうなる前に、何か前兆でもあるのでしょうか。」
+ そこで、イエスはゆっくり話し始められました。「だれにもだまされてはいけません。
+ 自分こそキリストだと名乗る者が大ぜい現れて、多くの人を惑わすからです。
+ また、あちこちで戦争が始まるでしょう。けれども、まだ終わりが来たわけではありません。
+ 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、至る所で地震やききんが起こります。しかしこれらはみな、やがて襲って来る苦しみの、ほんの始まりにすぎないのです。
+ しかし、これらのことが起こり始めたら、よく警戒しなさい。非常な危険が迫っているからです。あなたがたは法廷に引き出され、会堂でむち打ちの刑を受け、また、わたしに従う者だというだけで、総督や王たちの前で訴えられるでしょう。しかしその時こそ、神をあかしするチャンスです。
+ 終わりの時が来る前に、福音が世界中の人々に伝えられなければなりません。
+ 逮捕されても、取り調べの時、どう釈明しようかと心配することはありません。ただその時、神があなたがたに語ってくださることだけを話せばいいのです。話をするのはあなたがたではなく、聖霊です。
+ 兄弟同士が殺し合うかと思えば、親までが子を裏切り、子もまた親に反逆し、殺します。
+ そしてあなたがたは、わたしの弟子であるというだけで、すべての人に憎まれます。しかし終わりまで、わたしへの信仰を捨てずに耐え忍ぶ者はみな救われます。
+ 恐るべきものが神殿に立つのを見たら〔読者よ、よく考えなさい〕、ユダヤにいる人たちは、山へ逃げなさい。
+ 急ぐのです。もしその時、屋上にいたら、家の中に戻ってはいけません。畑にいたら、お金や着物を取りに帰ってはいけません。
+ このような日に妊娠している女と乳飲み子をかかえている母親は、ほんとうに不幸です。
+ また、あなたがたの逃げるのが、冬にならないように祈りなさい。
+ それは、神が天地を創造された初めから今に至るまで、いまだかつてなかったような恐るべき日だからです。
+ 主が、このわざわいの期間を短くしてくださらないかぎり、地上には、一人も生き残れないでしょう。しかし、神に選ばれた人たちのために、その期間は短くされるのです。
+ その時だれかが、『この方がキリストだ』とか『いや、あの方がそうだ』とか言っても、気をとられてはいけません。
+ 偽キリストや偽預言者が次々に現れて、不思議な奇跡を行い、神に選ばれた者たちをさえ惑わそうとするからです。
+ 気をつけていなさい。警告しておきます。
+ この苦難の時に続いて、太陽は暗くなり、月は光を失い、
+ 星は落ち、宇宙に異変が起こります。
+ その時すべての人が、メシヤのわたしが大きな力と栄光とを帯びて、雲に乗って来るのを見るでしょう。
+ わたしは天使たちを遣わし、世界中から、まさに天と地の果てから、選ばれた者たちを呼び集めるのです。
+ さて、いちじくの木から教訓を学びなさい。いちじくの葉が出てくれば、夏は間近です。
+ 同じように、いま言ったようなことが起これば、わたしはもう戸口まで来ているのです。
+ そうです。これが、この時代の終わりの前兆なのです。
+ 天地は消え去りますが、わたしのことばは永遠に残ります。
+ しかしだれも、天の使いも、わたし自身でさえも、その日、その時がいつかは知りません。ただ、父なる神だけが知っておられます。
+ だから、いつ終わりが来ても困らないように、わたしの帰りを目を覚まして待っていなさい。
+ こう言えば、もっとはっきりわかるでしょう。ちょうど、外国旅行に出かける人が、使用人たちに留守中の仕事の手配をし、門番には、主人の帰りを見張っているようにと命じて出かけるのと同じです。
+ だから、しっかり目を覚ましていなさい。いつわたしが帰って来るか、夕方か、夜中か、明け方か、それともすっかり明るくなってからか、わからないのですから。
+ 不意をつかれて、居眠りしているところを見られないようにしなさい。
+ あなたがただけでなく、すべての人にも念を押しておきます。わたしの帰りを、抜かりなく見張っていなさい。」
+
+
+ 過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、年に一度のユダヤ人の祭り)が二日後に迫りました。いぜんとして、祭司長やユダヤ人の指導者たちは、イエスを捕らえて死刑にしようと、その機会をうかがっていました。
+ しかし、「祭りの間はまずいだろう。民衆が暴動でも起こすと取り返しがつかないから」と用心していました。
+ さてイエスは、ベタニヤの、ツァラアトに冒されたシモンという人の家におられました。ちょうど食卓に着いておられる時、女が一人、入って来ました。高価な香油の入った美しいつぼを持っています。女はイエスに近づくと、いきなりつぼの封を切り、香油をイエスの頭に注ぎかけました。
+ 同席していた何人かの者たちは腹を立て、「なんてもったいないことをする女だ。この香油なら高く売れて、貧しい人たちに施しをすることもできたのに」と、女をとがめました。
+ しかしイエスは、彼らに言われました。「彼女のするままにさせておきなさい。良いことをしてくれたのに、なぜ非難するのですか。
+ 貧しい人たちは、いつも身近にいるのだから、その気があれば、いつでも助けることができます。しかし、わたしはもう、そんなに長くこの地上にいないのです。
+ この女は、精一杯のことをしてくれました。わたしの葬りの準備に香油を塗ってくれたのですから。
+ よく言っておきます。世界中どこででも、福音が伝えられる所では、この女のしたことも必ず賞賛されるでしょう。」
+ ところで、弟子の一人イスカリオテのユダは、イエスを売り渡そうと祭司長たちのところに出かけました。
+ ユダが来意を告げると、祭司長たちは喜び、謝礼を払うことを約束しました。それ以来ユダは、イエスを引き渡すチャンスをねらうようになりました。
+ 過越の祭りの最初の日、すなわち、小羊をいけにえとしてささげる日に、弟子たちはイエスに、「どこで過越の食事をなさるおつもりですか」と尋ねました。
+ そこでイエスは、弟子を二人エルサレムへやり、その準備をさせることにしました。「町を歩いて行くと、水がめを持って来る男に出会うから、その男について行きなさい。
+ 彼が入った家の主人に、『私どもの先生が、過越の食事をする部屋を見て来るようにと申しました』と言いなさい。
+ 主人はすっかり用意の整った二階の広間を見せてくれるはずです。そこで食事のしたくをしなさい。」
+ 二人が町に入って行くと、何もかもイエスの言われたとおりでした。こうして、過越の準備は整いました。
+ 夕方、イエスと弟子たちは連れ立って、そこにやって来ました。
+ みなが食卓を囲んで食事をしていると、イエスは言われました。「いいですか。よく言っておきます。今わたしといっしょに食事をしている者の一人が、わたしを裏切ります。」
+ これを聞いた弟子たちは、ひどく心を痛め、口々に、「まさか、私ではありませんよね」と尋ねました。
+ 「あなたがた十二人の中の一人で、今、わたしといっしょに同じ鉢にパンを浸している者です。
+ 預言者が、ずっと昔からはっきり預言してきたように、わたしは死ななければなりません。けれども、わたしを裏切る者はのろわれます。その人はむしろ生まれてこなかったほうがよかったのです。」
+ 食事の最中にイエスはパンを取り、神の祝福を祈ってからそれをちぎり、弟子たちに分け与えられました。「食べなさい。これはわたしの体です。」
+ それからぶどう酒の杯を取り、神に感謝の祈りをささげた後、弟子たちに与えられました。弟子たちはみな、その杯から飲みました。
+ イエスは言われました。「これは多くの人のために流す、わたしの血です。神と人間との新しい契約を保証する血です。
+ よく言っておきますが、やがて神の国で新しく飲むその日まで、わたしはもう決してぶどう酒を飲みません。」
+ 一同は賛美歌を歌ってから、オリーブ山に向かいました。
+ イエスは、弟子たちに言われました。「あなたがたはみな、わたしを見捨てるでしょう。神が預言者を通して、『わたしが羊飼いを打つ。すると羊は散り散りになる』と言われたとおりに。
+ だが、わたしは復活してガリラヤに行きます。そこであなたがたに会うでしょう。」
+ すると、ペテロが言いました。「だれがどうあろうと、私だけは、この私だけは絶対にあなたを捨てません。」
+ イエスは、「ペテロよ。あなたは明日の朝、鶏が二度鳴く前に、三度わたしを知らないと言うでしょう」と言われました。
+ 「とんでもない! たとえ死んでも、絶対にあなたを知らないなどとは言いません。」ペテロは大声で言いはりました。ほかの弟子たちも、口々に誓い始めました。
+ さて一同は、オリーブの木の茂っている、ゲツセマネと呼ばれる園にやって来ました。「わたしが向こうで祈っている間、ここに座っていなさい。」
+ イエスはこうお命じになると、ペテロとヤコブとヨハネだけを連れて、奥のほうに行かれました。そして、恐れと絶望に襲われて、イエスはもだえ苦しみ始められました。
+ 「わたしは悲しみのあまり、今にも死にそうです。ここを離れず、わたしといっしょに目を覚ましていなさい。」
+ イエスはそう言うと、三人から少し離れた所へ行き、地面にひれ伏して、もしできることなら、自分を待っているその時が来ないように、と祈られました。
+ 「父よ、わたしの父よ。あなたはどんなことでもおできになります。どうぞ、この杯を取り除いてください。しかし、わたしの思いどおりにではなく、あなたのお心のままになさってください。」
+ イエスが弟子たちのところへ戻って来られると、三人とも、ぐっすり眠り込んでいるではありませんか。そこで、ペテロに声をかけました。「シモンよ。眠っているのですか。たったの一時間でも、わたしといっしょに目を覚ましていられなかったのですか。
+ しっかり目を覚まして祈っていなさい。さもないと誘惑に負けてしまいます。心は燃えていても、肉体は弱いのですから。」
+ こうしてまた彼らから離れ、先ほどと同じことを祈られました。
+ そのあと、もう一度弟子たちのところへ戻って来ると、またもや三人とも眠り込んでいます。ひどく眠気がさして我慢できなかったからです。彼らは何と言いわけしたらよいか、わかりませんでした。
+ イエスは三度目に戻って来て言われました。「まだ眠っているのですか。それだけ眠れば十分でしょう。さあ、時が来ました。いよいよ、わたしは悪い者たちの手に売り渡されるのです。
+ さあ、立ちなさい。行くのです。見なさい。裏切り者がやって来ました。」
+ イエスがまだ言い終わらないうちに、祭司長やユダヤ人の指導者たちの差し向けた暴徒たちが、手に手に剣やこん棒を持って、弟子の一人であるユダを先頭に近づいて来ました。
+ ユダは前もって彼らと、自分が口づけのあいさつをする相手がイエスだから、その男を捕まえて、引き立てて行くように、と打ち合わせておきました。
+ それで、やって来るとすぐイエスに近づき、「先生」と声をかけて、さも親しそうに抱きしめ、あいさつの口づけをしました。
+ そのとたん、暴徒たちがいっせいにイエスを取り押さえました。
+ その時、イエスのそばにいた一人がさっと剣を抜き放つと、大祭司の部下に切りかかり、相手の耳を切り落としました。
+ イエスは暴徒たちに向かって言われました。「剣やこん棒で、これほどものものしい武装をして来なければならないほど、わたしは凶悪な犯罪者なのですか。
+ なぜ、神殿で捕らえようとしなかったのですか。わたしはあそこで毎日教えていたのに。けれども、これもみな、わたしについての預言が実現するためなのです。」
+ この時にはもう弟子たちはみな、イエスを見捨てて逃げ去っていました。
+ ただ一人、亜麻布を一枚だけまとって、イエスのうしろからついて行く青年がいました。ところが、途中で暴徒たちに見つかり、危うく捕まりそうになったので、引きちぎられた亜麻布を脱ぎ捨て、裸のまま逃げて行きました。
+ イエスは、大祭司の家に引き立てられて行きました。祭司長やユダヤ人の指導者たちも急いで駆けつけ、まもなく全員がそろいました。
+ さて、ペテロは遠くからあとをつけて行き、うまく門からもぐり込んで、兵士たちにまぎれて火のそばでうずくまっていました。
+ 中では、イエスに死刑の宣告を下すための証拠集めに、祭司長やユダヤの最高議会の全議員がやっきになっていましたが、何も見つけることができません。
+ 偽の証人は大ぜい名乗り出たのですが、証言がみな食い違っていたのです。
+ そのうち何人かが、「確か、この男が、『人間の手で造られた神殿をこわして、人間の手によらない神殿を三日で建ててみせる』と言っているのを聞きました」と偽証しました。
+ しかしこの点でも、証言は一致しませんでした。
+ その時、大祭司が進み出て、イエスに問いただしました。「おまえはこれらの訴えに答えないつもりか。どうなんだ。何も釈明する気はないのか。」
+ イエスは、ひとこともお答えになりません。大祭司は続けて、「おまえは神の子、キリストなのか」と尋ねました。
+ 「そのとおりです。あなたがたは、やがてわたしが神の右の座につき、雲に乗ってもう一度この地上に来るのを見るでしょう。」
+ この答えに、大祭司は即座に自分の着物を引き裂き、叫びました。「これだけ聞けば十分だ! さあ、お聞きのとおりだ。神を汚したこの男をどうしてくれよう。」こうして彼らは、イエスの死刑を全員一致で決めました。
+ このあと、ある者たちは、イエスにつばを吐きかけたり、目隠ししてこぶしで顔をなぐり、「今なぐったのはだれか当ててみろ」とあざけったりしました。役人たちもイエスの身柄を受け取って、平手で打ちました。
+ 一方ペテロは、下の中庭にいました。大祭司の女中の一人が、
+ 火にあたっているペテロに気づき、じっと見つめて言いました。「あら、あんた。あのナザレ人イエスといっしょにいた人じゃないの?」
+ ペテロはそのことばを打ち消し、「変な言いがかりはよしてくれ」と言って、出口のほうへ行きかけました。その時、鶏が鳴きました。
+ すると女中は、またもペテロをしげしげと見て、そばに立っている人たちに、「ほら、あの人。あの人はイエスの弟子よ」と言いふらしました。
+ ペテロはあわててそれを打ち消しました。しばらくすると、火のそばに立っていたほかの男たちも、「おまえは確かにイエスの仲間だ。ガリラヤ人だからな」と騒ぎだしました。
+ ペテロは、「そんな男のことなど知らない。これがうそだったら、どんな罰があたってもかまわない」と叫びました。
+ するとすぐ、鶏が二度目に鳴くのが聞こえました。その瞬間ペテロは、「鶏が二度鳴く前に三度わたしを知らないと言います」という、イエスのことばを思い出したのです。ペテロは激しく泣きくずれました。
+
+
+ 朝早く、祭司長と長老、それにユダヤ教の教師たちからなる最高議会の全議員が、次の手はずをあれこれ協議した結果、イエスを縛ったまま、ローマ総督ピラトに引き渡すことに決まりました。
+ 「おまえはユダヤ人の王なのか」というピラトの尋問に、イエスは、「そのとおりです」とだけお答えになりました。
+ そこで祭司長たちは、あることないことをあげつらい、イエスを訴えました。
+ これを聞いたピラトは、「どうして何も言わないのか。あんなにまで訴えているのに平気なのか」と尋ねました。
+ しかしイエスは、ひとこともお答えになりません。これにはピラトも驚き、あきれてしまいました。
+ さてピラトは、毎年、過越の祭りには、人々の願うままにユダヤ人の囚人を一人、釈放してやることにしていました。
+ たまたまこの時、暴動で人殺しをし、投獄されていた暴徒たちの中に、バラバという男がいました。
+ 群衆はピラトの前に押し寄せ、例年どおり囚人を釈放するよう迫りました。
+ そこで、ピラトは尋ねました。「『ユダヤ人の王』を釈放してほしいのか。おまえたちが赦してほしいのはこの男か。」
+ ピラトがこう言ったのは、イエスが捕らえられたのは、彼の人気をねたむ祭司長たちのでっち上げによるとにらんだからです。
+ ところが、祭司長たちも抜かりはありません。たくみに群衆をけしかけ、イエスではなくバラバの釈放を要求させたのです。
+ 「バラバは釈放するとして、おまえたちが王と呼んでいるあの男はいったいどうするつもりか。」
+ 「十字架につけろ!」
+ 「なぜだ。あの男が、いったいどんな悪事を働いたというのだ。」それでも群衆はおさまりません。なおも大声で、「十字架につけろ!」と叫び続けます。
+ ピラトは群衆のきげんをそこねたくなかったので、結局、バラバを釈放することにしました。イエスのほうは、先端に鉛のついたむちで打たせてから、十字架につけるために引き渡しました。
+ ローマ兵たちはイエスを総督官邸内の兵営に引き立てて行き、全部隊を召集しました。
+ その目の前で、イエスに紫色のガウンを着せ、長く鋭いとげのあるいばらで冠を作り、頭にかぶせると、
+ 「おい、ユダヤ人の王よ」とはやしたて、皮肉たっぷりに敬礼しました。
+ それから、頭を葦の棒でたたいたり、つばをかけたり、ひれ伏して拝むまねをしたりして、からかいました。
+ こうしてさんざん笑いものにしたあげく、紫色のガウンをはぎとってもとの着物を着せ、いよいよ十字架につけるために引き出しました。
+ 途中、ちょうど田舎から来合わせていたクレネ人のシモンという男に、むりやりイエスの十字架を背負わせました〔シモンは、アレキサンデルとルポスの父〕。
+ 兵士たちは、イエスをゴルゴタ〔どくろ〕と呼ばれる場所に連れて行きました。
+ そこで、没薬を混ぜたぶどう酒(痛みを和らげる飲み物)を飲ませようとしましたが、イエスはお断りになりました。
+ 兵士たちは、イエスを十字架につけてしまうと、さっそくくじを引き、その着物を分け合いました。
+ イエスが十字架につけられたのは、朝の九時ごろでした。
+ イエスの頭上には罪状書きが掲げられ、それには「ユダヤ人の王」と書いてありました。
+ その日、二人の強盗も、イエスといっしょに十字架につけられました。二人の十字架はイエスの両側に立てられました。
+ こうして、「彼は罪人の一人に数えられた」という聖書のことばどおりになったのです。
+ 刑場のそばを通りかかった人たちは、大げさな身ぶりで、「神殿を打ちこわして三日で建て直すんだってなあ。そんなに偉いなら、たった今、十字架から降りて来いよ。自分を救ったらどうなんだ!」と、口ぎたなくイエスをののしりました。
+ 祭司長やユダヤ人の指導者たちも、同じようにあざけりました。「人を救っても、自分は救えないというわけか。」
+ 「キリスト様。イスラエルの王様。十字架から降りてみろ。そうしたら信じてやろうじゃないか。」イエスの両側で十字架につけられていた強盗までが、悪口をあびせました。
+ さて正午になったころ、あたりが急に暗くなり、一面の闇におおわれました。それが三時間も続きました。
+ 三時ごろイエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれました。それは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味です。
+ 近くでその声を聞いた人の中には、預言者エリヤを呼んでいるのだと思った者もいました。
+ その時、一人の男がさっと駆け寄り、海綿に酸いぶどう酒を含ませると、それを葦の棒につけて差し出しました。そして、「さあ、エリヤがこの男を降ろしに来るかどうか、とくと見ようじゃないか」と言いました。
+ イエスはもう一度大声で叫ぶと、息を引き取られました。
+ するとどうでしょう。神殿の幕が、上から下まで真っ二つに裂けたのです。
+ 十字架のそばに立っていたローマ軍の士官は、イエスの死の有様を見て、「この方はほんとうに神の子だった」と言いました。
+ 数人の婦人が、遠くから恐る恐るこの様子をながめていました。それは、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセの母マリヤ、サロメをはじめ、何人かの婦人たちで、
+ イエスがガリラヤにおられた時、いつも仕えていた人たちでした。ほかにもたくさんの婦人が、イエスといっしょにエルサレムまで来ていました。
+ 以上の出来事はすべて、安息日の前日に起こったことです。その日の夕方、一人の人がピラトのところへ行き、勇気を奮い起こして、イエスの遺体を引き取りたいと申し出ました。その人はアリマタヤ出身のヨセフといい、ユダヤの最高議会の有力な議員で、神の国が来ることを熱心に待ち望んでいました。
+ ピラトは、イエスがもう死んでしまったとは信じられず、ローマ軍の士官を呼びつけ、問いただしました。
+ 士官が死を確認したので、それならよいと遺体の引き取りを許可しました。
+ ヨセフは亜麻布を買って来ると、イエスの遺体を十字架から取り降ろし、布でくるんで、岩をくり抜いた墓の中に納め、入口は石を転がしてふさぎました。
+ マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが葬られるのをじっと見守っていました。
+
+
+ 翌日の夕方、安息日が終わると、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤ、それにサロメの三人は、さっそくイエスの遺体に塗る香料を買い求めました。
+ その翌朝早く、日が昇るとすぐ、女たちは香料を持って墓へ急ぎました。
+ 女たちには気にかかることが一つあり、道々、そのことばかり話し合っていました。どうしたら、あの大きな石を入口から取りのけることができるかということでした。
+ それがどうでしょう。墓に着いてみると、あの重い石は動かしてあり、入口が開いているではありませんか。
+ 中に入ると、右のほうに白い服を着た青年(天使)が座っています。女たちはびっくりして、息も止まるほどでした。
+ その青年がおもむろに口を開きました。「そんなに驚くことはありません。十字架につけられたナザレのイエスを捜しているのでしょう。あの方はもうここにはおられません。復活されたのです。ごらんなさい。ここが、あの方の納められていた場所です。
+ さあ、行って、ペテロやほかの弟子たちに、『イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれます。前もって言われたとおり、そこでお会いできるのです』と知らせてあげなさい。」
+ 婦人たちは震え上がり、転がるようにして墓から逃げ帰りました。そして、あまりの恐ろしさに、この出来事をだれにも話すことができませんでした。
+ 〔さて、イエスが復活されたのは日曜日の早朝のことで、最初にイエスにお会いしたのはマグダラのマリヤでした。彼女はかつて、イエスに七つの悪霊を追い出していただいたことがありました。
+ マリヤはすぐさま、悲しみに打ちひしがれて泣いている弟子たちのところへ行き、「大変です! イエス様は生きていらっしゃいます。私、実際にお目にかかったのです」と話しました。しかし弟子たちは、マリヤの言うことを信じようとしませんでした。
+ その日の夕方、二人の弟子がエルサレムから田舎へ向かう道を歩いていました。そこへイエスが現れましたが、とっさには、だれだか見分けがつきませんでした。以前とは違った姿をしておられたからです。
+ やっとイエスだとわかると、二人はエルサレムに飛んで帰り、ほかの弟子たちにこの出来事を知らせました。しかし、だれも彼らの言うことを信じませんでした。
+ その後、十一人の弟子たちが食事をしているところにイエスが現れ、彼らの不信仰をとがめられました。「どうして、わたしが復活したと言う者たちの証言を信じなかったのですか。」
+ それから、こう宣言されました。「全世界に出て行きなさい。すべての人々にこの福音を宣べ伝えるのです。
+ 信じてバプテスマ(洗礼)を受ける者は救われます。しかし、信じない者は罪に定められます。
+ 信じる人々はわたしの権威によって悪霊を追い出し、新しいことばを語ります。
+ 蛇をつかんでも、毒を飲んでも害を受けません。病人に手を置けば病気は治ります。」
+ こう語り終えると、イエスは天に上げられ、神の右の座につかれました。
+ 弟子たちは命じられたとおりに出て行き、あらゆる所でこの福音を宣べ伝えました。主が共に働いてくださったので、数々の奇跡が起こり、弟子たちの教えの確かさが証明されました。〕
+
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+ イエス‧キリストの伝記は、最初からの目撃者であり弟子であった人たちの証言をもとに、すでに幾つかでき上がっています。
+ しかし私は、すべての記録をもう一度初めから検証し、徹底的に調査した上で、あなたのために順序正しく書いて差し上げたいと思うようになりました。
+ それによって、あなたが教えを受けられたことはみな、正確な事実であることがよくおわかりいただけると思います。
+ 私の話は、ヘロデがユダヤの王であった時代に、ユダヤの祭司(神殿で神に仕える人)をしていたザカリヤという人のことから始まります。ザカリヤは神殿で奉仕するアビヤの組の一員で、妻エリサベツも祭司の家系でアロンの子孫でした。
+ この夫婦は神を愛し、神のおきてを忠実に守り、心から従っていました。
+ しかし、エリサベツは子どものできない体だったので、夫婦には子どもがなく、二人ともすっかり年をとっていました。
+ さて、ザカリヤの組が週の当番となり、彼は神殿で祭司の務めをしていましたが、
+ 祭司職の習慣に従ってくじを引いたところ、聖所に入って主の前に香をたくという光栄ある務めが当たりました。
+ 香がたかれている間、民衆は神殿の庭で祈るのです。大ぜいの人が集まっていました。
+ ザカリヤが聖所で香をたいていると、突然、天使が現れ、香をたく壇の右側に立ったではありませんか。
+ ザカリヤはびっくりし、言い知れぬ恐怖に襲われました。
+ しかし、天使は言いました。「ザカリヤよ。こわがることはありません。うれしい知らせなのだから。神が、あなたの祈りをかなえてくださったのです。エリサベツは男の子を産みます。その子にヨハネという名前をつけなさい。
+ その子はあなたがたの喜びとなり、楽しみとなります。また多くの人もあなたがたと共に喜びます。
+ その子が、主の前に偉大な者となるからです。彼はぶどう酒や強い酒は絶対に飲みません。生まれる前から聖霊に満たされており、
+ やがて多くのユダヤ人を神に立ち返らせるのです。
+ 昔の預言者(神に託されたことばを伝える人)エリヤのように、たくましい霊と力にあふれて、メシヤ(ヘブル語で、救い主)の来られる前ぶれをし、人々にメシヤを迎える準備をさせます。大人には子どものような素直な心を呼び覚まし、逆らう者には信仰心を起こさせるのです。」
+ ザカリヤは答えました。「そんなことは信じられません。私はもう老いぼれですし、妻も年をとっているのです。」
+ 「私はガブリエル、神の前に立つ者です。神がこの喜びの知らせを伝えるために、私を遣わされたのです。
+ その私のことばをあなたは信じなかったので、あなたは神に打たれて口がきけなくなります。子どもが生まれるまで話すことはできません。その時が来れば、必ず私の言ったとおりになるのです。」
+ 外の人たちは、ザカリヤが出て来るのを、今や遅しと待ちかまえていましたが、なぜそんなに手間どっているのか不思議でなりません。
+ そして、ようやく彼が出てきたのですが、口がきけません。しかし人々は、ザカリヤの身ぶりから、きっと神殿の中で幻を見たのだろうと考えました。
+ ザカリヤは残りの期間の奉仕をすませ、家に帰りました。
+ まもなくエリサベツは妊娠し、五か月間、家に引きこもっていました。
+ エリサベツは、「主は私に子どもを与えて、恥を取り除いてくださった。なんとあわれみ深いお方でしょう」と言いました。
+ その翌月、神は天使ガブリエルを、ガリラヤのナザレという町に住むマリヤという処女のところへお遣わしになりました。
+ この娘は、ダビデ王の子孫にあたるヨセフという人の婚約者でした。
+ ガブリエルはマリヤに声をかけました。「おめでとう、恵まれた女よ。主が共におられます。」
+ これを聞いたマリヤは、すっかり戸惑い、このあいさつは、いったいどういう意味なのかと考え込んでしまいました。
+ すると、天使が言いました。「こわがらなくてもいいのです、マリヤ。神様があなたにすばらしいことをしてくださるのです。
+ あなたはみごもって、男の子を産みます。その子を『イエス』と名づけなさい。
+ 彼は非常に偉大な人になり、神の子と呼ばれます。神である主は、その子に先祖ダビデの王座をお与えになります。
+ 彼は永遠にイスラエルを治め、その国はいつまでも続くのです。」
+ マリヤは尋ねました。「どうして私に子どもができましょう。まだ結婚もしておりませんのに。」
+ 「聖霊があなたに下り、神の力があなたをおおうのです。ですから、生まれてくる子どもは聖なる者、神の子と呼ばれます。
+ ちょうど半年前、あなたのいとこのエリサベツも、『不妊の女』と言われていたのに、あの年になってみごもりました。
+ 神の約束は、必ずそのとおりになるのです。」
+ 「私は主のはしためにすぎません。何もかも主のお言いつけどおりにいたします。どうぞ、いま言われたとおりになりますように。」マリヤがこう言うと、天使は見えなくなりました。
+ 数日後、マリヤはユダヤの山地へ急ぎました。そして、ザカリヤの住む町へ行き、エリサベツを訪ねました。
+ マリヤのあいさつを聞くと、エリサベツの子が、お腹の中で跳びはね、エリサベツは聖霊に満たされました。
+ 彼女は喜びを抑えきれず、大声でマリヤに言いました。「あなたほどすばらしい恵みを受けた女性はいないでしょう。あなたの子が、神様の大きな誉れを表すようになるのですから。
+ 主のお母様がおいでくださるとは光栄です。
+ あなたが入って来てあいさつされた時、私の子どもがお腹の中で喜び躍りました。
+ 神様が語られたことは必ずそのとおりになると信じたので、神様はあなたに、このような祝福をくださったのです。」
+ マリヤは言いました。「ああ、心から主を賛美します。
+ 救い主である神様を心から喜びます。
+ 神様は取るに足りない私のような者さえ、お心にとめてくださいました。これから永遠に、どの時代の人々も、私を神に祝福された者と呼ぶでしょう。
+ 力ある聖なる方が、私に大きなことをしてくださったからです。
+ そのあわれみは、いつまでも、神を恐れ敬う者の上にとどまります。
+ その御手はどんなに力強いことでしょう。主は心の高ぶった者を追い散らし、
+ 権力をふるう者を王座から引きずり降ろし、身分の低い者を高く引き上げ、
+ 飢え渇いた者を満ち足らせ、金持ちを何も持たせずに追い返されました。
+ 主は約束を忘れず、しもべイスラエルをお助けになりました。
+ 先祖アブラハムとその子孫を、永遠にあわれむと約束してくださったとおりに。」
+ マリヤは、エリサベツの家に三か月ほどいてから、家に帰りました。
+ さて、エリサベツの待ちに待った日が来て、男の子が生まれました。
+ このニュースはたちまち近所の人たちや親類の間に伝わり、人々は、神がエリサベツを心にかけてくださったことを心から喜び合いました。
+ 子どもが生まれて八日目に、友人や親類が集まりました。その子に割礼(男子の性器の包皮を切り取る儀式)を行うためです。だれもが、子どもの名前は父親の名を継いで、「ザカリヤ」になるものとばかり思っていました。
+ ところがエリサベツは、「いいえ、この子にはヨハネという名をつけます」と言うのです。
+ 「親族にそのような名前の者は一人もいないのに。」
+ 人々は、父親のザカリヤに身ぶりで尋ねました。
+ ザカリヤは、書くものがほしいと合図し、それに「この子の名はヨハネ」と書いたので、みんなはびっくりしました。
+ すると、とたんにザカリヤの口が開き、話せるようになったのです。彼は神を賛美し始めました。
+ これには近所の人たちも驚き、このニュースはユダヤの山地一帯に広まりました。
+ 人々はその出来事を心にとめ、「この子はいったい、将来どんな人物になるのだろう。確かにこの子には、主の守りと助けがある」とうわさしました。
+ さて、父親のザカリヤは聖霊に満たされ、こう預言しました。
+ 「イスラエルの神、主をほめたたえよう。主は来て、ご自分の民を解放し、
+ そのしもべダビデ王の血筋から、力ある救い主を遣わされた。
+ ずっと昔から、聖なる預言者を通して約束されたとおりに。
+ 救い主は、私たちを憎むすべての敵から救い出してくださる。
+ 主は私たちの先祖をあわれみ、特にアブラハムをあわれみ、彼と結んだ聖なる契約を果たされた。
+ 私たちを敵の手から解放し、恐れず主に仕える者としてくださった。
+ 私たちはきよい者、神の前に立つにふさわしい者とされた。
+ 幼い息子よ。おまえは栄光ある神の預言者と呼ばれよう。おまえがメシヤのために道を備え、
+ 主の民に、罪を赦され、救われる道を教えるからだ。
+ これはみな、ただ神の深いあわれみによることだ。天の夜明けがいま訪れようとしている。
+ その光は、暗黒と死の陰にうずくまる者たちを照らし、私たちを平和の道へと導くのだ。」
+ ヨハネは成長し、心から神を愛する者となり、イスラエルの人々の前で公に語り始めるまで、たった一人、荒野に住んでいました。
+
+
+ そのころ、皇帝アウグストが全ローマ帝国の住民登録をせよと命じました。
+ これは、クレニオがシリヤの総督だった時に行われた最初の住民登録でした。
+ 登録のため、国中の者がそれぞれ先祖の故郷へ帰りました。
+ ヨセフは王家の血筋だったので、ガリラヤ地方のナザレから、ダビデ王の出身地ユダヤのベツレヘムまで行かなければなりません。
+ 婚約者のマリヤも連れて行きましたが、この時にはもう、マリヤのお腹は目立つほどになっていました。
+ そして、ベツレヘムにいる間に、
+ マリヤは初めての子を産みました。男の子です。彼女はその子を布でくるみ、飼葉おけに寝かせました。宿屋が満員で、泊めてもらえなかったからです。
+ その夜、町はずれの野原では、羊飼いが数人、羊の番をしていました。
+ そこへ突然、天使が現れ、主の栄光があたり一面をさっと照らしたのです。これを見た羊飼いたちは恐ろしさのあまり震え上がりました。
+ 天使は言いました。「こわがることはありません。これまで聞いたこともない、すばらしい出来事を知らせてあげましょう。すべての人への喜びの知らせです。
+ 今夜、ダビデの町(ベツレヘム)で救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。
+ 布にくるまれ、飼葉おけに寝かされている幼子、それが目じるしです。」
+ するとたちまち、さらに大ぜいの天使たちが現れ、神をほめたたえました。
+ 「天では、神に栄光があるように。地上では、平和が、神に喜ばれる人々にあるように。」
+ 天使の大軍が天に帰ると、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださった、すばらしい出来事を見てこようではないか」と、互いに言い合いました。
+ 羊飼いたちは息せき切って町まで駆けて行き、ようやくヨセフとマリヤとを捜しあてました。飼葉おけには幼子が寝ていました。
+ 何もかも天使の言ったとおりです。羊飼いたちはこのことをほかの人に話して聞かせました。
+ それを聞いた人たちはみなひどく驚きましたが、
+ マリヤはこれらのことをすべて心に納めて思い巡らしていました。
+ 羊飼いたちは、天使が語ったとおり幼子に会えたので、神を賛美しながら帰って行きました。
+ 八日たち、割礼を行う日になり、その子は、母の胎内に宿る前から天使に示されたとおり、「イエス」と名づけられました。
+ モーセの律法によるきよめ(母親のきよめと幼子の献児)の時が来ると、両親はイエスを主にささげるため、エルサレムに連れて来ました。
+ モーセの律法には、「女から最初に生まれる子が男であれば、その子を主にささげなければならない」とあったのです。
+ 両親は、決まりどおり、「山鳩一つがい、または家鳩のひな二羽」をきよめの供え物としてささげました。
+ その日、神殿には、エルサレムに住むシメオンという人がいました。信仰のあつい正しい人で、聖霊に満たされ、イスラエルにメシヤ(救い主)の来るのを待ち望んでいました。
+ 神が遣わされるその方を見るまでは絶対に死なない、と聖霊のお告げを受けていたのです。
+ その日彼は、聖霊に導かれて神殿に来て、マリヤとヨセフがイエスを主にささげるためにやって来るのに出会ったのです。
+ シメオンはイエスを抱き上げ、神を賛美しました。
+ 「主よ。今こそ私は安心して死ねます。
+ お約束どおり、この目でメシヤを見、
+ あなたが遣わされた救い主にお会いしたのですから。
+ この方はすべての国を照らす光、あなたの民イスラエルの光栄です。」
+ ヨセフとマリヤはそこに立ったまま、驚いてシメオンの言うことを聞いていました。
+ シメオンは両親を祝福してから、マリヤに言いました。「剣があなたの胸を刺し通すでしょう。イスラエルの多くの人がこの子を信じようとしないで、滅びるからです。しかし、この子によって大きな喜びを受ける人も多くいます。こうして、多くの人の思いが現されるのです。」
+ その日、女預言者アンナも神殿にいました。彼女はアセル族のパヌエルの娘で、非常に年をとっていました。七年の結婚生活の後、未亡人で通し、もう八十四歳にもなっていたのです。彼女は神殿を一歩も離れず、祈りと断食に明け暮れ、神に仕える毎日を送っていました。
+ この時、そこにいたアンナも神に感謝をささげ、救い主の来るのを待ちわびていたエルサレムのすべての人に、メシヤがおいでになったことを語りました。
+ モーセの律法どおりにすべてのことをすませると、ヨセフとマリヤはガリラヤのナザレに帰りました。
+ イエスは成長してたくましくなり、たいへん賢い子だと評判になるほどでした。神も絶えずイエスを祝福してくださいました。
+ さて、両親は過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、年に一度のユダヤ人の祭り)には、毎年かかさずエルサレムに行きました。
+ 十二歳の時、イエスは祭りの慣習に従って、両親についてエルサレムに行きました。
+ 祭りが終わると、両親は帰途につきましたが、イエスはそのままエルサレムに残っていました。そうとは知らない両親は、
+ てっきりほかの人たちといっしょに帰っているものと考え、気にもとめず、その日一日、旅を続けました。ところが、夕方になってもイエスの姿が見あたりません。あわてて、親族や友人たちの間を捜し始めました。
+ それでも見つからず、とうとう、捜しながらエルサレムまで引き返しました。
+ 三日後、ようやくイエスの居場所がわかりました。なんと、神殿で律法の教師たちを相手にむずかしい議論をしていたのです。
+ 取り巻く見物人はみな、イエスの知恵と答えに舌を巻いていました。
+ 両親は、わが子が落ち着きはらって座っているのを見て、驚きました。「どうしてこんなことをしたのです。お父さんもお母さんも、どんなに心配して捜し回ったか知れないんですよ」とマリヤが言いました。
+ ところがイエスは、「なぜ捜したのですか。ぼくが父の家(神殿)にいるとわからなかったのですか」と答えました。
+ こう言われても、どういうことか、両親にはさっぱりわかりませんでした。
+ それからイエスは、両親といっしょにナザレに帰り、彼らによく仕えました。マリヤは、このことをみな心にとめておきました。
+ イエスは身長も伸び、ますます知恵も加わって、神にも人にも愛されました。
+
+
+ ローマ皇帝テベリオの治世の十五年目に、神は、荒野に住むザカリヤの子ヨハネにお語りになりました。〔当時、ポンテオ‧ピラトがローマから遣わされた全ユダヤの総督で、ヘロデはガリラヤ、その兄弟ピリポがイツリヤとテラコニテ、ルサニヤがアビレネを治めていました。大祭司はアンナスとカヤパでした。〕
+ ヨハネはヨルダン川周辺をくまなく歩き、罪が赦されるために、今までの生活を悔い改めて、神に立ち返ったことを表明するバプテスマ(洗礼)を受けるようにと、教えを説き始めました。
+ 預言者イザヤの書にあるとおりです。「荒野から叫ぶ声が聞こえる。『主の道を準備せよ。主が通られる道をまっすぐにせよ。
+ 山はけずられ、谷は埋められ、曲がった所はまっすぐにされ、でこぼこ道は平らにされる。
+ こうして、すべての人が神から遣わされた救い主を見るのだ。』」
+ バプテスマを受けに来る人たちに、ヨハネはきびしい口調で話しました。「まむしの子ら! あなたがたは神に立ち返ろうともせず、ただ地獄から逃れたい一心でバプテスマを受けようとしている。
+ その前に、悔い改めたことを行いで示しなさい。アブラハムの子孫だから大丈夫などと思ってはいけない。そんなものは何の役にも立たない。神はこの石ころからでも、今すぐアブラハムの子孫をお造りになれるのだ。
+ 今の今でも、神のさばきの斧はふりかぶられ、あなたがたを根もとから切り倒そうと待ちかまえている。だから、良い実を結ばない木はすぐにも切り倒され、火に投げ込まれるのだ。」
+ 「では、いったいどうすればいいのですか。」
+ こう尋ねる群衆に、ヨハネは答えました。「下着を二枚持っていたら、一枚は貧しい人に与えなさい。余分な食べ物があるなら、お腹をすかせている人に与えなさい。」
+ 取税人たち(ローマに納める税金をあくどいやり方で取り立て、人々からきらわれていた)までもが、バプテスマを受けようとやって来ました。そして、恐る恐る、「私たちはどうしたらよいのでしょう」と尋ねました。
+ 「正直になりなさい。ローマ政府が決めた以上の税金を取り立ててはいけない。」
+ 兵士たちも尋ねました。「私たちはどうすればいいのですか。」「脅しや暴力で金をゆすったり、何も悪いことをしない人を訴えたりしてはいけない。与えられる給料で満足しなさい。」
+ 民衆は、救い主を待望していました。そして、もしかしたらヨハネがキリストではないかと考えたのです。
+ この疑問を、ヨハネはきっぱり否定しました。「私は水でバプテスマを授けているだけだ。しかし、もうすぐ私よりはるかに権威ある方が来られる。その方のしもべとなる価値さえ、私にはない。その方は、聖霊と火でバプテスマをお授けになる。
+ また、麦ともみがらとをふるい分け、麦は倉に納め、もみがらを永久に消えない火で焼き尽くされる。」
+ ヨハネはほかにも多くのことを教え、民衆に福音を伝えました。
+ 〔当時、ガリラヤの領主ヘロデ‧アンテパスが、兄嫁のヘロデヤを奪い取るなど悪事を行っていたので、ヨハネは彼を非難しました。そのためヨハネは捕らえられ、投獄されました。こうしてヘロデは、多くの悪に悪を重ねました。〕
+ さて、そうしたある日のこと、イエスは、ヨハネからバプテスマを受ける人々に加わりました。バプテスマを受け、祈っておられると、天が開き、
+ 聖霊が鳩のようにイエスに下りました。そして天から、「あなたはわたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ」という声が聞こえました。
+ イエスが公に教え始められたのは、およそ三十歳のころでした。人々はイエスを、ヨセフの息子と思っていました。このヨセフの父はヘリ、ヘリの父はマタテ、マタテの父はレビ、レビの父はメルキ、メルキの父はヤンナイ、ヤンナイの父はヨセフ、ヨセフの父はマタテヤ、マタテヤの父はアモス、アモスの父はナホム、ナホムの父はエスリ、エスリの父はナンガイ、ナンガイの父はマハテ、マハテの父はマタテヤ、マタテヤの父はシメイ、シメイの父はヨセク、ヨセクの父はヨダ、ヨダの父はヨハナン、ヨハナンの父はレサ、レサの父はゾロバベル、ゾロバベルの父はサラテル、サラテルの父はネリ、ネリの父はメルキ、メルキの父はアデイ、アデイの父はコサム、コサムの父はエルマダム、エルマダムの父はエル、エルの父はヨシュア、ヨシュアの父はエリエゼル、エリエゼルの父はヨリム、ヨリムの父はマタテ、マタテの父はレビ、レビの父はシメオン、シメオンの父はユダ、ユダの父はヨセフ、ヨセフの父はヨナム、ヨナムの父はエリヤキム、エリヤキムの父はメレヤ、メレヤの父はメナ、メナの父はマタタ、マタタの父はナタン、ナタンの父はダビデ、ダビデの父はエッサイ、エッサイの父はオベデ、オベデの父はボアズ、ボアズの父はサラ、サラの父はナアソン、ナアソンの父はアミナダブ、アミナダブの父はアデミン、アデミンの父はアルニ、アルニの父はエスロン、エスロンの父はパレス、パレスの父はユダ、ユダの父はヤコブ、ヤコブの父はイサク、イサクの父はアブラハム、アブラハムの父はテラ、テラの父はナホル、ナホルの父はセルグ、セルグの父はレウ、レウの父はペレグ、ペレグの父はエベル、エベルの父はサラ、サラの父はカイナン、カイナンの父はアルパクサデ、アルパクサデの父はセム、セムの父はノア、ノアの父はラメク、ラメクの父はメトセラ、メトセラの父はエノク、エノクの父はヤレデ、ヤレデの父はマハラレル、マハラレルの父はカイナン、カイナンの父はエノス、エノスの父はセツ、セツの父はアダム、アダムの父は神です。
+
+
+ さて、イエスは聖霊に満たされ、ヨルダン川をあとにすると、聖霊に導かれるまま、ユダヤの荒野に向かわれました。
+ そこで、悪魔が四十日間、イエスを誘惑したのです。その間イエスは、何も口にしなかったので、空腹を覚えられました。
+ その時、悪魔がたくみに誘いかけました。「もしあなたが神の子なら、ここに転がっている石をパンに変えてみたらどうだ。」
+ しかしイエスは、お答えになりました。「『人はただパンだけで生きるのではない』と聖書に書いてあるではないか。」
+ 次に悪魔は、イエスを高い所へ連れて行き、一瞬のうちに、世界の国々とその繁栄ぶりとを見せて言いました。
+ 「さあ、ここにひれ伏して、この私を拝みなさい。そうすれば、これらの国々とその栄光とを、全部あなたにやろう。」
+ イエスはお答えになりました。「『神である主だけを礼拝し、主にだけ従え』と聖書に書いてあるではないか」
+ さらに悪魔は、イエスをエルサレムへ連れて行き、神殿の頂に立たせて言いました。「さあ、ほんとうに神の子だと言うなら、ここから飛び降りてみなさい。
+ 聖書には『神は天使を送って、
+ あなたを支えさせ、あなたが岩の上に落ちて砕かれることのないように守られる』と、はっきり書いてあるのだから。」
+ しかしイエスは、お答えになりました。「『あなたの神である主を、試みてはならない』とも書いてある。」
+ あの手この手の誘惑のかぎりを尽くすと、悪魔は一時、イエスから離れて行きました。
+ イエスが聖霊の力に満たされてガリラヤに戻られると、まもなくその地方一帯にイエスの評判が広まりました。
+ あちこちの会堂で教えを語るイエスは、人々の賞賛の的でした。
+ それからイエスは、少年時代を過ごしたナザレに帰り、いつものように土曜日(安息日)に会堂へ行かれました。聖書を朗読しようと席を立つと、
+ 預言者イザヤの書が手渡されたので、次の箇所をお開きになりました。
+ 「わたしの上に主の御霊がとどまっておられる。主は、貧しい人たちにこの福音(神の救いの知らせ)を伝えるために、わたしを任命された。主はわたしを遣わして、捕虜には解放を、盲人には視力の回復をお告げになる。踏みにじられている人を自由にし、主の恵みの年をお告げになる。」
+ イエスは朗読を終えると、聖書を閉じ、係の者に返して、腰をおろされました。みんなの目はいっせいにイエスに注がれました。
+ それにこたえるように、イエスはこう言われました。「この聖書のことばは、今日、実現したのです。」
+ 人々はみなイエスをほめ、そのことばのすばらしさに驚きました。しかし一方では、「いったいどうなっているのだ。ただのヨセフのせがれではないか」とささやき合いました。
+ そこで、イエスは言われました。「きっとあなたがたは、『医者よ、自分を治せ』ということわざを引いて、『カペナウムで行った奇跡を、自分の郷里でもしてくれ』と言うのでしょう。
+ はっきり言いましょう。どんな預言者でも、故郷では歓迎されないものです。
+ エリヤはどうだったでしょうか。三年半のあいだ雨がなく、国中が大ききんに見舞われた時、イスラエルには助けを求める未亡人が多くいました。しかしエリヤは、そういう人たちのところへではなく、シドンのツァレファテに住む外国人の未亡人のところへ遣わされ、奇跡によって彼女を助けました。
+ また、預言者エリシャの場合はどうだったでしょうか。ユダヤにもツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)の人がたくさんいたというのに、そのだれもがいやされず、ただシリヤ人ナアマンだけがいやされたではありませんか。」
+ こう言われて、会堂にいた人たちはひどく腹を立て、
+ どっとイエスに襲いかかり、その町の丘のがけっぷちまで連れて行きました。そこから突き落とすつもりだったのです。
+ ところがイエスは、群衆の間をすり抜け、去って行かれました。
+ それからイエスは、ガリラヤの町カペナウムに帰り、毎土曜日、会堂で教えられました。
+ ここでもまた、人々はイエスの教えに驚きました。イエスが、権威あることばで真理を語られたからです。
+ ある時、会堂で教えておられると、悪霊につかれた男が、イエスに向かって大声でわめき立てました。
+ 「ナザレのイエス。お願いだから出て行ってくれ! おれたちをどうしようというのだ。おれたちを滅ぼしに来たのだろう。あなたがだれなのか、よくわかっている。神のきよい御子だ。」
+ イエスは悪霊をさえぎり、「黙りなさい。その人から出て行きなさい」とお命じになりました。すると突然、悪霊は、人々の目の前で男を投げ倒しましたが、それ以上は何の危害も加えずに出て行きました。
+ あっけにとられた人々は、口々に言いました。「悪霊までが言うことを聞くとは、この方のことばにはなんと力があるのだろう。」
+ こうしてイエスのうわさは、この地方一帯に非常な勢いで広まりました。
+ その日イエスは、会堂からシモン(ペテロ)の家へ行かれました。すると、シモンのしゅうとめが高熱にうなされているところでした。「お願いです。治してやってください」と人々に頼まれて、
+ イエスは彼女の枕もとに立ち、熱病をおしかりになりました。するとどうでしょう。たちまち熱が引き、平熱に戻ったしゅうとめはすぐに起き上がり、食事の用意を始めたではありませんか。
+ 夕方になると、病人を連れた村の人たちが、ぞくぞくとイエスのもとに詰めかけました。イエスは、どんな病気であろうと、連れて来られた病人の一人一人にさわり、治されました。
+ 中には悪霊につかれた人もいましたが、イエスが命令すると、悪霊は大声で、「あなたは神の子だ!」と叫びながら出て行きました。しかし、イエスは悪霊がものを言うことを許されませんでした。悪霊は、イエスがキリスト(ギリシャ語で、救い主)であることを知っていたからです。
+ 翌朝早く、イエスはただ一人、人気のない寂しい所へ行かれました。人々はあちこち捜し回り、やっとのことでイエスを見つけ出すと、もうどこへも行かないように頼みました。
+ しかし、イエスはお答えになりました。「ほかの町々にも、神の福音(救いの知らせ)を伝えなければならないのです。そのために、わたしは来たのですから。」
+ こうしてイエスは、ユダヤ中を旅し、各地の会堂で教えられました。
+
+
+ ある日、イエスがゲネサレ湖(ガリラヤ湖)のほとりで教えておられると、群衆が神のことばを聞こうと押し寄せました。
+ 見ると、水ぎわの二そうの小舟のそばで、漁師たちが網を洗っています。イエスはそのうちの一そうに乗り込んで、持ち主のシモンに少しこぎ出してもらい、舟の中に座ったまま群衆に教えられました。
+ 話が終わると、イエスはシモンに言われました。「さあ、もっと沖へこぎ出して、網をおろしてごらんなさい。」
+ 「でも先生。私たちは夜通し一生懸命働きましたが、雑魚一匹とれなかったのです。でも、せっかくのおことばですから、もう一度やってみましょう。」
+ するとどうでしょう。今度は網が破れるほどたくさんの魚がとれたのです。
+ あまりに多くて、手がつけられません。大声で助けを求めました。仲間の舟が来ましたが、二そうとも魚でいっぱいになり、今にも沈みそうになりました。
+ シモン‧ペテロは、あわててイエスの前にひれ伏し、「先生。どうぞ私みたいな者から離れてください。私は罪深い人間で、とてもおそばには寄れません」と叫びました。
+ あまりの大漁に、ペテロも仲間たちも恐ろしくなったからです。
+ 仲間には、ゼベダイの息子のヤコブとヨハネもいました。イエスはシモンに、「こわがることはありません。あなたは今からは人間をとる漁師になるのです」と言われました。
+ 岸へ上がると、彼らはすべてを捨てて、イエスに従いました。
+ イエスがある村におられた時のことです。そこに、ツァラアトに全身を冒された男がいました。彼はイエスを見るや、その前にひれ伏し、額を地面にこすりつけて頼みました。「主よ。お願いでございます。どうぞ私の体をもとどおりにしてください。お気持ちひとつで治るのですから。」
+ イエスは手を伸ばして男にさわり、「治してあげましょう。さあ、もう大丈夫です」と言われました。すると驚いたことに、ツァラアトはたちまち消え去り、あとかたもなくなったのです。
+ 「このことをだれにも話してはいけません。すぐに祭司のところへ行って、体を調べてもらい、モーセの律法どおりのささげ物をしなさい。そうすれば、治ったことがみんなの前で証明されるのです。」しかし、
+ イエスのうわさはあっという間に広まり、多くの人が、教えを聞こう、病気を治してもらおうと集まって来ました。
+ しかしイエスは、何度も荒野に身を避け、祈っておられました。
+ ある日、イエスが教えておられると、パリサイ人(特におきてを守ることに熱心なユダヤ教の一派)と律法の専門家たちもそばに座っていました〔ガリラヤやユダヤの村々、またエルサレムから来た人たちです〕。イエスには、病気を治す神の力がありました。
+ その時、数人の人がやって来ました。見ると、中風(脳出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の男を、それも床のままかついでいます。彼らは何とか群衆をかき分けてイエスのところへ行こうとしましたが、人が多くて、とても近づけたものではありません。しかたなく彼らは屋根にのぼり、天井に穴をあけ、病人をふとんごと、人々の真ん中に立っておられるイエスの目の前につり降ろしました。
+ イエスはこれほどまでの信仰を見て、病人に、「あなたの罪は赦されました」と宣言なさいました。
+ すると、「なんと罰あたりなことばだ! いったい自分をだれだと思ってるのか。明らかに神への冒瀆だ! 罪を赦すことなど、神にしかできないことなのに」と、パリサイ人や律法の専門家たちは、心の中で強く反発しました。
+ それを見抜いたイエスは、「なぜ、わたしのことばが神を汚すことになるのですか。
+ この人に、『あなたの罪は赦されました』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのと、どちらがむずかしいですか。わたしは病気を治す力も、罪を赦す権威も持っているのです。それを証明してみせましょう」と言い、中風の男に、「さあ、起きなさい。床をたたんで、家に帰りなさい」とお命じになりました。
+ 男はすぐにはね起き、床をたたむと、並み居る人をしり目に、神を賛美しながら帰って行きました。
+ 居合わせた人たちは、みな恐れに満たされて、「不思議だ。まるで考えられないことだ」と幾度もくり返しては、神をほめたたえました。
+ このあと、イエスが町を出ようとされた時、一人の取税人が税金取立所に座っているのが見えました。その男の名はレビ(マタイ)と言いました。「さあ、ついて来て、わたしの弟子になりなさい。」
+ イエスの誘いに、レビは何もかも捨てて立ち上がり、あとに従いました。
+ まもなくレビは、家で、イエスのために盛大な歓迎会を催しました。取税人仲間をはじめ、大ぜいの人が招かれました。
+ ところが、パリサイ人や律法の専門家たちはこの光景を見て、弟子たちに激しい非難をあびせました。「あなたたちは、どうしてこんなくずのような連中といっしょに食事をするのか。」
+ イエスは、お答えになりました。「医者が必要なのは病人で、健康な人ではありません。
+ わたしは、自分を正しいと思う人を招くためではなく、罪人を招いて、罪を悔い改めさせるために来たのです。」
+ 彼らも負けてはいません。今度は違った面から、詰め寄りました。「バプテスマのヨハネの弟子たちは、いつも断食して祈っている。パリサイ人の弟子たちも同様だ。なのに、あなたの弟子たちときたら、平気で飲み食いしている。そのわけを聞かせてもらいたい。」
+ イエスは言われました。「幸せな人が断食しますか。結婚披露宴で、花婿の招待客がお腹をすかせたままでいることがあるでしょうか。もちろん、ありえません。
+ しかし、花婿が彼らから引き離される日が来ます。その時こそ断食するのです。」
+ 続いて、もう一つのたとえを話されました。「古い着物に継ぎを当てるのに、新しい着物から布切れを切り取る人がいるでしょうか。そんなことをしたら、新しい着物もだめになるし、古い着物も継ぎ目が破れて、結局どちらもだいなしです。
+ また、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れる人がいるでしょうか。そんなことをしたら、古い皮袋は新しいぶどう酒の圧力で張り裂け、ぶどう酒もこぼれてしまいます。
+ 新しいぶどう酒は、新しい皮袋に入れるものです。
+ こうも言えます。だれでも古いぶどう酒を飲んだあとで、新しいぶどう酒を口にしたいとは思わないでしょう。『古い物は良い』と言われるとおりです。」
+
+
+ ある安息日(神の定めた休息日)のことです。イエスと弟子たちは麦畑の中を歩いていました。弟子たちは歩きながら、麦の穂を摘んでは、手でもみ、殻を取って食べました。
+ パリサイ人たちが目ざとくそれを見つけ、非難しました。「どう見ても律法違反だ! 弟子たちのやっていることは、明らかに刈り入れではないか。安息日の労働はユダヤのおきてで禁じられているというのに。」
+ イエスは、お答えになりました。「聖書を読んだことがないのですか。ダビデ王とその家来たちが空腹になった時、どうしたでしょうか。
+ ダビデ王は神殿に入り、主に供えられた特別なパンを取って食べたではありませんか。これはおきてに反することでしたが、自分ばかりか、家来たちにも分けてやりました。」
+ また、こうも言われました。「わたしは安息日の主です。」
+ 今度は別の安息日のことです。イエスは会堂で教えておられました。ちょうどそこに、右手の不自由な男が居合わせました。
+ 安息日だというので、律法の専門家やパリサイ人たちは、イエスがこの男を治すかどうか、様子をうかがっていました。何とかしてイエスを訴える口実を見つけようと必死だったのです。
+ 彼らの魂胆を見抜いたイエスは、その男に、「さあ、みんなの真ん中に立ちなさい」とお命じになりました。男が言われたとおりにすると、
+ イエスはパリサイ人たちに、「ひとつ聞きたいのですが、安息日に良いことをするのと悪いことをするのと、どちらが正しいでしょうか。人のいのちを救うのと、いのちを奪うのと、どちらが正しいでしょうか」とお尋ねになりました。
+ それから、会衆をぐるりと見回し、男に、「さあ、手を伸ばしなさい」と言われました。男がそのとおりにすると、なんと彼の右手はすっかり治っていました。
+ これを見たパリサイ人たちはすっかり逆上し、イエスを殺そうとたくらみ始めました。
+ それからまもなく、イエスは山へ行き、夜通し祈られました。
+ 夜明けごろ、弟子たちを呼び寄せると、その中から十二人を選び、「使徒」という名をおつけになりました。
+ 十二人の名前は次のとおりです。シモン〔イエスはペテロともお呼びになった〕、アンデレ〔シモンの兄弟〕、ヤコブ、ヨハネ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、シモン〔「熱心党」というユダヤ教の急進派グループのメンバー〕、ユダ〔タダイとも呼ばれた〕、イスカリオテのユダ〔後にイエスを裏切った男〕。
+ イエスは弟子たちといっしょに山を降り、広々とした所にお立ちになりました。すると、ほかの大ぜいの弟子と群衆が集まって来て、たちまちイエスの回りは人の波で埋めつくされました。ユダヤ全地、エルサレム、はるか北のツロやシドンの海岸地方などから、イエスの話を聞き、また病気を治してもらおうと、はるばるやって来た人ばかりです。ここでは、悪霊に苦しめられている人もいやされました。
+ だれもがみな、イエスにさわろうと押し合いへし合いの大騒ぎです。さわれば、病気を治す力がイエスから出て、どんな病気もいやされたからです。
+ それからイエスは、弟子たちのほうをふり向き、話し始められました。「あなたがた貧しい人は幸福です。神の国はあなたがたのものだからです。
+ いま空腹な人は幸福です。やがて十分満足するようになるからです。泣いている人は幸福です。もうすぐ笑うようになるからです。
+ わたしの弟子だというので、憎まれたり、追い出されたり、悪口を言われたりするなら、なんと幸いなことでしょう。
+ そんなことになったら、心から喜びなさい。躍り上がって喜びなさい。やがて天国で、目をみはるばかりの報いがいただけるからです。そして、同じような扱いを受けた、昔の預言者たちの仲間入りができるのです。
+ これとは反対に、金持ちたちを待ち受けているのは悲しみだけです。彼らの幸福はこの地上限りのものだからです。
+ 肥え太り、今は栄えていても、やがて飢え渇く日が来れば、彼らの笑いは一瞬にして悲しみに変わるでしょう。
+ ほめそやされる者はあわれです。偽預言者はいつの時代でも、そのような扱いを受けたからです。
+ いいですか、よく聞きなさい。あなたの敵を愛しなさい。あなたを憎む者によくしてあげなさい。
+ あなたをのろう者を祝福しなさい。あなたを侮辱する者に神の祝福を祈り求めなさい。
+ もしだれかが頬をなぐったら、もう一方の頬もなぐらせなさい。また、もしだれかが上着を取ろうとしたら、下着もつけてやりなさい。
+ 持ち物は何でも、ほしがる人にあげなさい。盗難にあっても、取り返そうと気をもんではいけません。
+ また、人からしてほしいと思うことを、そのとおり人にもしてあげなさい。
+ 自分を愛してくれる人だけを愛したところで、ほめられたことでも何でもありません。神を知らない人でさえ、それぐらいのことはします。
+ よくしてくれる人にだけよくしたところで、何の意味があるのでしょう。罪人でさえ、それぐらいのことはします。
+ 返してもらえる人にだけお金を貸したところで、善行と言えるでしょうか。全額戻るとわかっていれば、どんな悪党でも仲間にお金を貸してやります。
+ 自分の敵を愛しなさい。彼らによくしてやり、返してもらうことなど当てにせずに貸してあげなさい。そうすれば、天からすばらしい報いがあり、あなたがたは神の子どもになれるのです。神は、恩知らずの者や極悪人にも、あわれみ深い方だからです。
+ あなたがたも、天の父のように、あわれみ深い者になりなさい。
+ 人のあら捜しをしたり、悪口を言ったりしてはいけません。自分もそうされないためです。人には広い心で接しなさい。そうすれば、彼らも同じようにしてくれるでしょう。
+ 与えなさい。そうすれば与えられます。彼らは、量りのますに、押し込んだり、揺すり入れたりしてたっぷり量り、あふれるばかりにして返してくれます。自分が量るそのはかりで、自分も量り返されるのです。」
+ イエスはさらに、もう一つのたとえを話されました。「盲人が盲人の道案内をしたら、どうなるでしょう。一人が穴に落ち込めば、もう一人も巻き添えになるでしょう。
+ 弟子が師より偉くなれますか。しかし、一生懸命努力すれば、自分の師と同じぐらいにはなれます。
+ また、自分の目に大きなごみが入っているのに、どうしてほかの人の目の中にある、小さなちりを気にするのでしょう。
+ 自分の目の大きなごみで、よく見えもしないのに、どうして、『あなたの目にごみが入ってるから、取ってあげよう』などと言うのでしょう。偽善者よ。まず自分の目のごみを取り除きなさい。そうすれば、はっきり見えるようになって、ほかの人の小さなごみを取ってあげることもできるのです。
+ おいしい実をつける木が、まずい実をつけるはずはないし、まずい実をつける木が、おいしい実をつけるはずもありません。
+ つまり、木は実によって見分けることができるのです。いばらにいちじくの実はならないし、野ばらにぶどうの実はなりません。
+ 良い人は、良い心から良い行いを生み出します。悪い人は、隠された悪い心から悪い行いを生み出します。心に秘めたことが、ことばになってあふれ出るからです。
+ なぜ、『主よ、主よ』と呼びながら、わたしに従おうとはしないのですか。
+ そばに来て、わたしの教えを聞き、そのとおり実行する人はみな、
+ 地面を深く掘って、岩の上に土台をすえ、その上に家を建てる人のようです。洪水になり、激流に洗われても、家はびくともしません。土台がしっかりしているからです。
+ しかし、わたしのことばを聞いても実行しない人は、ちょうど、土台なしで家を建てる人のようです。水が押し寄せると、家はあとかたもなく流されてしまいます。」
+
+
+ これらの話を終えると、イエスはカペナウムの町に帰って行かれました。
+ ちょうどそのころ、あるローマ軍の隊長が目をかけていた召使が、病気で死にかかっていました。
+ イエスの評判を聞いた隊長は、日頃みんなに尊敬されているユダヤ人の長老たちをイエスのところにやり、召使のいのちを助けに来てくださいと願いました。
+ 長老たちは、この隊長がどんなにすばらしい人物かを説明し、熱心にイエスに頼みました。「あなたに助けていただく価値のある人がいるとしたら、この方こそふさわしい人です。
+ ユダヤ人を愛し、会堂も建ててくれました。」
+ そこで、イエスは長老たちといっしょに出かけました。家まであとわずかという時、隊長の友人たちが来て、彼のことづけを伝えました。「先生。わざわざおいでくださいませんように。とてもそんな名誉を受ける資格はございません。自分でお迎えに上がることさえ失礼と存じます。どうぞ今おられる所で、おことばをください。それで十分でございます。そうすれば、召使は必ず治ります。
+ 私は上官の権威の下にある者ですが、その私でさえ、部下には権威があります。私が『行け』と命じれば行きますし、『来い』と言えば来ます。また奴隷にも、『あれをやれ』『これをやれ』と言えば、そのとおりにするのです。」
+ これを聞くと、イエスはたいへん驚き、群衆のほうをふり向いて言われました。「皆さん。これほどの信仰を持った人は、イスラエル中でも見たことがありません。」
+ 使いの者たちが戻ってみると、召使はすっかり治っていました。
+ それからまもなく、イエスは弟子たちといっしょにナインの町へ行かれました。いつものように、あとから大ぜいの人の群れがついて行きます。
+ 町の門の近くで、葬式の列にばったり出会いました。死んだのは、夫に先立たれた女の一人息子でした。町の人が大ぜい母親に付き添っています。
+ 痛々しい母親の姿を見てかわいそうに思ったイエスは、「泣かなくてもいいのですよ」と、やさしく声をおかけになりました。
+ そして歩み寄り、棺に手をかけると、かついでいた人たちが立ち止まったので、「少年よ、起きなさい」と言われました。
+ すると少年はすぐに起き上がり、回りの人たちに話しかけるではありませんか。イエスは少年を母親に返しました。
+ 人々はびっくりし、ことばも出ませんでしたが、次の瞬間、あちこちから神を賛美する声がわき上がりました。「大預言者だ!」「神様のお働きだ!この目で見たぞ!」
+ この日の出来事は、あっという間にユダヤ全土と回りの地方一帯に広まりました。
+ イエスのこうしたわざの数々は、バプテスマのヨハネの弟子たちの耳にも入り、細大もらさずヨハネに報告されました。
+ ヨハネは、弟子を二人イエスのもとへやり、こう尋ねさせました。「あなたは、ほんとうに私たちの待ち続けてきたお方ですか。それとも、まだ別の方をお待ちしなければならないのでしょうか。」
+ ちょうどその時、イエスはさまざまな病気にかかった大ぜいの病人を治し、盲人を見えるようにし、悪霊を追い出しておられるところでした。
+ イエスの答えはこうでした。「帰って、ヨハネに、今ここで見聞きしたことを話しなさい。盲人が見えるようになり、立てなかった人が今は自分で歩けるようになり、ツァラアトの人が治り、耳の聞こえなかった人が聞こえるようになり、死人が生き返り、貧しい人々が福音(神の救いの知らせ)を聞いていることなどを。
+ それから、わたしを疑わない人は幸いです、と伝えなさい。」
+ ヨハネの弟子たちが帰ってから、イエスは人々に、ヨハネのことを話し始められました。「あなたがたは、ヨハネに会いに荒野へ出かけた時、どんな人物だと考えていましたか。風にそよぐ葦のような人だとでも思ったのですか。
+ それとも、きらびやかに着飾った人に会えるとでも……。ぜいたくな暮らしをしている人なら宮殿にいます。荒野にはいません。
+ あるいは、預言者に会えると期待したのですか。そのとおり、ヨハネは預言者以上の者です。
+ 彼こそ聖書の中で、『見よ。わたしはあなたより先に使者を送る。その使者は人々に、あなたを迎える準備をさせる』と言われている、その人です。
+ 今まで生まれた人の中で、ヨハネほどすぐれた働きをした人はいません。けれども、神の国で一番小さい者でも、ヨハネよりはずっと偉大なのです。
+ ヨハネの教えを聞いた人はみな、取税人たちでさえ、神の正しさを認め、バプテスマ(洗礼)を受けました。
+ ただ、パリサイ人と律法の専門家だけが受け入れなかったのです。彼らはあつかましくも、神のご計画を退け、ヨハネのバプテスマを拒否したのです。
+ このような人々のことを、どう言ったらいいでしょう。
+ まるで遊び友達に文句を言っている子どものようです。『結婚式ごっこをしようって言ったのに、ちっともうれしがってくれないし、それで葬式ごっこにしたら、今度はぜんぜん悲しがってくれない』と嘆くのです。
+ つまり、バプテスマのヨハネが何度も断食し、生涯、酒も飲まずにいると、『彼は気が変になっている』と言い、
+ わたしが食事をしたり、ぶどう酒を飲んだりすると、『あいつは大食いで大酒飲み、一番たちの悪い罪人どもの仲間だ』とののしります。
+ けれども、神の知恵の正しさは、神を信じる者たちが証明するのです。」
+ あるパリサイ人から食事に招待されたので、イエスはその家に入りました。一同が食卓に着いていると、
+ 町の女が一人、高価な香油の入った美しいつぼを持ってやって来ました。この女は不道徳な生活をしていました。
+ 女は部屋に入るなり、イエスのうしろにひざまずき、さめざめと泣きました。あまり泣いたので、イエスの足が涙でぬれるほどでした。女はていねいに自分の髪でイエスの足の涙をぬぐい、心を込めて足に口づけしてから、その上に香油を注ぎかけました。
+ イエスを招待したパリサイ人はこの出来事を見て、「これで、やつが預言者でないことがはっきりした。もしほんとうに神から遣わされた者なら、この女の正体がわかるはずだから」とひそかに思いました。
+ ところが、イエスはすべてを見通しておられました。「シモンよ。あなたに言っておきたいことがあります。」「はい、先生。何でしょう。」
+ 「ある男が二人の人に金を貸しました。一人は五百デナリ(一デナリは一日の賃金)、もう一人は五十デナリ借りました。
+ ところが二人とも、どうしても借金を返せません。金を貸した男はたいへん思いやりのある人だったので、二人の借金を帳消しにしてやりました。この二人のうちどちらの人がよけいに貸し主に感謝し、彼を愛したでしょうか。」
+ 「たくさん借りていたほうでしょう。」シモンの答えに、イエスも、「そのとおりです」とうなずかれました。
+ それから、ひざまずいている女のほうをふり向き、シモンに言われました。「ほら、この女を見なさい。わたしがこの家に来た時、あなたは足を洗う水さえ出してくれませんでした。ところがこの女は、涙でわたしの足を洗い、髪でふいてくれました。
+ あなたはあいさつの口づけをしてくれませんでしたが、この女はわたしが入って来た時から、何度も足に口づけしてくれました。
+ あなたはわたしの頭にオリーブ油を注いでくれましたか。この女は、わたしの足にこんなに高価な香油を注いでくれたのです。
+ この女の多くの罪が赦されたからです。そして、わたしを多く愛してくれたからです。少ししか赦されていない者は、少ししか愛さないのです。」
+ そして女に言われました。「あなたの罪は赦されています。」
+ その場に同席していた人たちは、心の中でつぶやき始めました。「罪を赦すなんて、いったい自分をだれだと思っているのだろう。」
+ しかし、イエスは女に、「あなたの信仰があなたを救ったのです。安心してお帰りなさい」と言われました。
+
+
+ その後しばらくして、イエスはガリラヤの町や村を回り、神の福音を伝え始められました。十二人の弟子も同行しました。
+ イエスに悪霊を追い出してもらったり、病気を治してもらったりした女たちもいっしょでした。この中には、七つの悪霊を追い出してもらったマグダラのマリヤや、
+ ヘロデ王の執事クーザの妻ヨハンナ、スザンナをはじめ、自分の財をもって、イエスや弟子たちの世話をする大ぜいの女性がいました。
+ ある日、話を聞こうと、大ぜいの群衆が町々村々から押しかけたので、イエスはこんなたとえ話をなさいました。
+ 「農夫が、種まきをしようと畑に出かけました。種をまいているうちに、ある種は道ばたに落ちて、踏みつけられ、そのうち鳥が来て食べてしまいました。
+ 土の浅い石地に落ちた種もありました。それは芽を出したのですが、水分が足りないので、すぐ枯れてしまいました。
+ いばらの中に落ちた種もありましたが、いばらがいっしょに生え出て、結局、成長できませんでした。
+ しかし、中には良い土壌に落ちた種もありました。それはぐんぐん育ち、百倍もの実を結びました。」イエスは話しながら、「聞く耳のある人はよく聞きなさい」と、みんなの注意をうながされました。
+ 「そのたとえはどういう意味ですか。」弟子たちに質問されて、
+ イエスはお答えになりました。「あなたがたには神の国の奥深い真理を理解することが許されていますが、群衆はそうではありません。だから、たとえで話すのです。彼らは見たり聞いたりしても、少しも理解しようとしません。
+ さて、このたとえの意味を説明しましょう。種とは神の教えのことです。
+ ある種が落ちた道ばたとは、神のことばを聞いても、受け入れない頑固な心を表します。やがて悪魔が来て、それを持ち去り、信じて救われるのをじゃまするのです。
+ 次に、土の浅い石地とは、喜んで教えは聞くものの、ほんとうの意味で心に根を張らない状態のことです。教えられたことはいちいちもっともだと納得し、しばらくの間は信じているのですが、迫害の嵐がやってくると、すぐにぐらついてしまうのです。
+ いばらの中の種とは、聞いて信じても、その後、いろいろな心配事や金銭欲、また人生のさまざまな重荷や快楽などに、信仰を妨げられてしまう人のことです。これでは、せっかく教えを聞いても、実を結びません。
+ 良い土壌とは、素直で正直な心の人を表します。こういう人は、神のことばを聞くと、それをしっかり守り、実を結びます。」
+ また、次のようなたとえも話されました。「ランプをつけてから、すっぽりおおいをかけ、光をさえぎる人がいるでしょうか。ランプはあたりを照らすように台の上に置くものです。
+ これは、いつの日か、すべてのことが明るみに出されることを示しています。
+ だから、神のことばをどのように聞いたらよいか、よく注意しなさい。持っている者はさらにたくさん与えられ、持っていない者は、持っているつもりの物までも取り上げられてしまうからです。」
+ ある時、イエスの母と弟たちがイエスに会いに来ました。ところが、イエスが教えておられた家は黒山の人だかりで、とても中へは入れません。
+ だれかが、「先生。お母様と弟さんがたがお見えですよ」と知らせると、
+ イエスはみんなを見回し、「わたしの母、わたしの兄弟たちとは、神のことばを聞いて、それを守る人たちのことです」とお答えになりました。
+ そのころのことです。ある日、イエスは弟子たちと舟に乗り込み、「さあ、湖の向こう岸に渡ろう」と言われました。
+ 途中、イエスが横になり、眠っておられると、風が出てきました。風はだんだん強くなります。恐ろしい嵐になり、舟は水をかぶって、今にも沈みそうになりました。もう一刻の猶予もありません。
+ 弟子たちはあわててイエスを揺り起こし、「先生、先生。舟が沈みそうです!」と叫びました。そこで、イエスはゆっくり起き上がると、「静まれ!」と嵐に命じました。すると、たちまち風も波もおさまり、何事もなかったかのように静かになりました。
+ イエスはおっしゃいました。「ああ、あなたがたの信仰はどこにあるのですか。」弟子たちは驚くやら恐ろしいやらで、「なんてすごいお方だろう。風や波までが言うことを聞くとは」とささやき合いました。
+ こうして一行は、無事、ガリラヤの対岸にあるゲラサ人の地方に着きました。
+ 彼らが舟から上がると、この町に住む男が一人、イエスに会いに来ました。長年、悪霊につかれ、家もなく、裸のまま墓場をねぐらにしている男でした。
+ 男はイエスを見るやいなや、恐ろしい叫び声をあげて、その場に倒れました。「おれをどうしようというんだ! いと高き神の子イエスよ。お願いだから苦しめないでくれ!」
+ こう叫んだのは、イエスが悪霊に、出て行けとお命じになったからです。今までは、悪霊が何度も男に取りつくので、鎖でしっかり縛りつけておいたのですが、どんなに太い鎖でも、男はいつもそれを引きちぎり、荒野へ逃げてしまうのでした。
+ 「あなたの名前は?」とイエスが尋ねると、悪霊は、「レギオン(ローマ軍の一軍団で多数を意味する)だ」と答えました。男には何千という悪霊が入り込んでいたからです。
+ 悪霊どもは、底なしの穴に行かせることだけはしないでほしいと、必死に願いました。
+ ちょうど近くの山の中腹で、豚の群れがえさをあさっていました。そこで悪霊どもは、その豚の中に入らせてくれと頼みました。イエスがお許しになると、
+ 悪霊どもはすぐさまその男から出て、豚の中に入りました。すると、豚の群れはいっせいにがけを駆け降り、湖に飛び込んで、おぼれ死んでしまいました。
+ びっくりした豚飼いたちは近くの町や村に逃げ込み、この出来事を言いふらしました。
+ まもなく、大ぜいの者が、自分の目で確かめようと集まって来ました。と、どうでしょう。今まで悪霊につかれていた男が、きちんと服を着て、すっかり正気に戻って、イエスの前に座っているではありませんか。みんなは、あっけにとられてしまいました。
+ 初めから一部始終を目撃していた人たちが、事細かにその時の状況を説明しました。
+ それを聞くと、人々はますます恐ろしくなり、イエスに、ここから立ちのいて、もうこれ以上かかわり合わないでほしいと頼み始めました。それで、イエスは舟に戻り、また向こう岸へ帰って行かれました。
+ 悪霊の去った男がお伴を願い出ましたが、イエスはお許しになりませんでした。
+ 「家族のところへ帰りなさい。神がどんなにすばらしいことをしてくださったかを、話してあげるのです。」こう言われて、男は町中の人に、イエスのすばらしい奇跡を話して回りました。
+ ガリラヤに帰ると、イエスは心からの歓迎を受けました。人々はイエスを待ちわびていたのです。
+ その時、ユダヤの会堂管理人で、ヤイロという名の人が来て、イエスの足もとにひれ伏し、家に来ていただきたいと願いました。
+ 十二歳になる一人娘が、危篤状態だったからです。熱心な頼みに、イエスは人垣をかき分けるようにして、ヤイロの家に向かわれました。
+ けれども途中で、一人の女が、いやされたい一心で、うしろからイエスにさわりました。十二年もの間、出血の止まらない病気に悩まされ、どんなことをしても治らなかったのです。ところが、イエスの着物のふさにさわったとたん、出血が止まりました。
+ イエスは、「わたしにさわったのはだれですか」とお尋ねになりました。みなが自分ではないと答えたので、ペテロは言いました。「先生。わかるわけがありません。回りにはこんなにたくさんの人がひしめき合っているんですよ。」
+ 「いや、だれかがさわりました。力が出て行くのを感じたのですから。」
+ 女は、イエスがすべてをご存じなので、わなわなと震えだしました。とても隠しきれないと知って、イエスの前にひれ伏し、さわった訳とすっかりよくなったこととを、包み隠さず打ち明けました。
+ イエスは女に、「あなたの信仰があなたを治したのです。さあ、安心してお帰りなさい」と言われました。
+ まだイエスが話し終えないうちに、ヤイロの家から使いの者が駆けつけ、主人にこう言いました。「だんな様! お嬢様は、たった今お亡くなりになりました。先生にわざわざおいでいただいても、手遅れでございます。」
+ これを聞いて、イエスはヤイロに言われました。「恐れないで、わたしを信じていなさい。娘さんは必ずよくなりますから。」
+ 家に着くと、イエスはペテロ、ヨハネ、ヤコブの三人の弟子と、両親のほかはだれも、中へ入らないように言われました。
+ 家の中では、みな泣き悲しんでいました。「もう泣くのはやめなさい。娘さんは死んだのではありません。ただ眠っているだけです。」
+ 娘が死んだことをよく知っていた人々は、このイエスのことばをあざ笑いました。
+ しかしイエスが手を取り、「さあ、起きなさい」と呼びかけると、
+ その瞬間、娘は生き返り、すぐに起き上がったのです。イエスは何か食べさせるようにと言いつけられました。
+ あまりのことに、両親が驚いていると、イエスはこのことをだれにも話さないように堅く口止めなさいました。
+
+
+ ある日、イエスは十二人の弟子を呼び集め、悪霊を追い出し、病気を治す力と権威をお授けになりました。
+ こうして、すべての人に神の国が来ることを告げ知らせ、病人をいやすために、彼らを派遣したのです。
+ イエスの指示はこうでした。「杖も、旅行袋も、食べ物も、お金も持って行ってはいけません。また下着も二枚はいりません。
+ どの町でも、ずっと同じ家に泊まりなさい。
+ もし、町の人たちがあなたがたのことばに耳を貸さないなら、急いでその町から出なさい。その時は、彼らが神を拒んだという証拠に、足のちりを払い落としなさい。」
+ 弟子たちは村々を巡り、福音を伝え、病人をいやして歩きました。
+ イエスの奇跡のうわさを耳にした領主ヘロデは、ひどくとまどいました。「きっとバプテスマのヨハネが生き返ったのだ」と言う人もあれば、
+ 「いや、エリヤか昔の預言者の一人だろう」と主張する人もいるというぐあいに、それぞれ、かってなことを言い合っていたからです。うわさはうわさを呼び、いろいろな憶測が国中に乱れ飛びました。
+ 「ヨハネなら、確かに私が首をはねた。だとしたら、この不思議なうわさの主はいったい何者だろう。」そこでヘロデは、自分でイエスに会ってみようと思いました。
+ さて、旅から帰った弟子たちは、経過を残らず報告しました。イエスは彼らを連れ、ひそかにベツサイダの町に行かれましたが、
+ 人々の目を逃れることはできませんでした。大ぜいの群衆が、あとを追って来たのです。そのような彼らをイエスは心から喜んで迎え、神の国について教えたり、病人をいやしたりなさいました。
+ そのうち、日も暮れ始めたので、十二人の弟子たちはイエスのところへ来て頼みました。「先生。この人たちを解散させてください。近くの村や農場に行って、食べ物と今夜の宿を見つけることができるようにしてやらなければ……。こんな寂しい所では、何もありませんから。」
+ 「いいえ。あなたがたで、みんなに食べ物をあげるのです。」イエスの答えに、弟子たちはあきれ顔で言いました。「手もとには、パンが五つと魚が二匹あるだけです。これだけ大ぜいの人が食べる物を買い出しに行けとおっしゃるのですか。」
+ こう言うのも、むりはありません。男だけでも五千人はいたのですから。しかし、イエスは、「さあ、みんなを五十人ぐらいずつに分けて座らせなさい」と言われます。
+ 弟子たちは訳がわからないながらも、そのとおりにしました。
+ そこでイエスは、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げ、感謝の祈りをささげました。それからパンをちぎり、人々に配るため、弟子たちに手渡されました。
+ みんなが食べて満腹したあと、パン切れを集めると、なんと十二かごにもなりました。
+ ある日のこと、イエスは一人で祈っておられました。弟子たちは少し離れた所で待っていましたが、しばらくして、イエスは彼らに、「人々は、わたしのことをだれだと言っていますか」とお尋ねになりました。
+ 「バプテスマのヨハネだと言う者もいますし、エリヤだと言う者もいます。それに、昔の預言者が生き返ったのだと言っている者も……。」
+ 「では、あなたがたはどう思っているのですか。」即座にペテロが答えました。「あなたこそ神のキリスト(ギリシャ語で、救い主)です。」
+ するとイエスは、このことをだれにも言ってはいけないときびしく戒められ、
+ 「わたしは多くの苦しみを受け、ユダヤ人の指導者たち、長老、祭司長、律法の専門家たちに捨てられ、殺され、そして三日目に復活するのです」と話しました。
+ それから、一同に言われました。「いいですか。わたしについて来たい人はだれでも、自分のつごうや利益を考えてはいけません。日々自分の十字架を背負い、わたしのあとについて来なさい。
+ 自分のいのちを救おうとする者は、かえってそれを失います。ですが、わたしのために自分のいのちを捨てる者は、それを救うのです。
+ 人はたとえ全世界を手に入れても、自分自身を失ってしまったら何にもなりません。
+ わたしが自分と父と聖なる天使との栄光を帯びてやって来る時、わたしとわたしのことばとを恥じるような者たちのことを、わたしも恥じるでしょう。
+ よく言っておきますが、あなたがたの中には、神の国を見ないうちは決して死なない者たちがいます。」
+ それから八日ほどたって、イエスはペテロ、ヨハネ、ヤコブを連れ、祈るために山に登られました。
+ 祈っているうちにイエスの顔は輝きだし、着物はまばゆいばかりに白くなりました。
+ その時、二人の人が現れ、親しげにイエスと話し始めました。なんとモーセとエリヤで、
+ 彼らの姿も輝いていました。三人は、イエスがエルサレムで最期を遂げることについて話し合っていたのです。
+ ペテロとほかの二人は、眠くてまぶたが重くなっていましたが、はっと気がつくと、イエスは栄光に包まれ、モーセとエリヤといっしょに立っておられました。
+ その二人が立ち去ろうとするのを見て、すっかり動転していたペテロは、何を言ってよいのかもわからないまま、思わず口走りました。「先生。なんとすばらしいのでしょう! そうだ。幕屋(神がイスラエルの民と会う聖所)を三つ建てましょう。一つは先生のために。それから、モーセとエリヤのためにも一つずつ。」
+ ペテロがまだ言い終わらないうちに、光り輝く雲が立ち込め、一同をすっぽりおおったので、弟子たちは恐ろしさのあまり、がたがた震えだしました。
+ すると雲の中から、「これはわたしの子、わたしの選んだ者。彼の言うことを聞きなさい」という声がしました。
+ その声がやむと、イエスの姿しか見あたりません。三人の弟子たちは、この時のことを、ずっとあとになるまで、だれにも話しませんでした。
+ 次の日、一行が山から降りて来ると、大ぜいの群衆が待ちかまえていました。
+ この時、群衆の中から一人の男が叫びました。「先生、どうかお助けを! 息子を見てやってください。たった一人の息子なんです。
+ ひとたび悪霊が取りつくと、大声で叫びだし、ひきつけを起こして口からあわを吹かせ、なかなか離れようとしません。
+ そこで、ここにいらっしゃるお弟子たちに、悪霊を追い出してくださいとお願いしたのですが、だめでした。」
+ イエスは弟子たちに言われました。「ああ、全く手に負えない、不信仰な人たちよ。いつまで我慢しなければならないのでしょう。さあ、その子を連れて来なさい。」
+ 少年が近寄ると、悪霊はその子を押し倒し、激しくひきつけさせました。イエスは悪霊に出て行けと命じ、すっかり元気になった少年を、父親の手に返してやりました。
+ 人々は、こんなことは神にしかできないと考え、恐ろしくなりました。人々がイエスのなさるさまざまの不思議なわざについて驚いていると、イエスは弟子たちにおっしゃいました。
+ 「いいですか、よく聞いて、しっかり覚えておきなさい。メシヤ(救い主)であるわたしは、やがて裏切られます。」
+ ところが弟子たちには、何のことを言っているのかさっぱりわかりませんでした。このことばの真意が隠されていたからです。それに、聞き返すのもこわかったのです。
+ さて、弟子たちの間で、やがて来る神の国ではだれが一番偉いかという議論が持ち上がりました。
+ 彼らの考えを見抜いたイエスは、小さな子どもを一人そばに立たせて、
+ お話しになりました。「だれでも、このような小さな子どもを受け入れる者は、わたしを受け入れているのです。またわたしを受け入れる者は、わたしを遣わされた神を受け入れているのです。あなたがたの中で最も謙遜な者が、最も偉い者なのです。」
+ 弟子のヨハネが、そばに来て報告しました。「先生。無断であなたのお名前を使い、悪霊を追い出している人を見かけました。仲間ではなかったので、すぐやめさせました。」
+ ところが、イエスは言われました。「そんなことをしてはいけません。あなたがたに敵対しない者は、あなたがたの味方なのです。」
+ 天に上げられる日がだんだん近づいてきたイエスは、固い決意を持って、エルサレムを目指してひたすら進んで行かれました。
+ そんなある日、イエスはあらかじめ使いを出して、サマリヤ人の村で泊まろうとなさいましたが、
+ 使いの者は追い返されてしまいました。彼らがエルサレムに向かう一行だとわかり、サマリヤ人が村に迎え入れるのをいやがったからです。
+ これを聞いたヤコブとヨハネはかっとなって、「先生。天から火を呼び下し、彼らを焼き滅ぼしましょうか」と言いました。
+ しかし、イエスはふり返り、二人をおしかりになりました。
+ そして、一行は別の村に向かいました。
+ 道を歩いている時、ある人がイエスに言いました。「あなたがおいでになる所なら、どんな所へでもまいります。」
+ イエスはお答えになりました。「これだけは、よく覚えておきなさい。わたしには寝る所さえないのです。きつねにも穴があり、鳥にも巣があるというのに、天から来たメシヤのわたしには、この地上では住む家もないのです。」
+ またある時、イエスは別の人に、弟子になるようにと声をおかけになりました。彼は、父親の葬式を出すまで待ってくださいと頼みました。
+ イエスはお答えになりました。「死人のことは、あとに残った者たちに任せておきなさい。あなたの務めは、出て行って、世界中の人たちに神の国が来ると伝えることです。」
+ 別の人はこうも言いました。「先生。喜んでお従いします。でもその前に、家族に別れを告げてきたいのですが。」
+ しかし、イエスは言われました。「ほんの片時でも、自分のために計画された仕事から目をそらす者は、神の国にふさわしくありません。」
+
+
+ さてイエスは、ほかに七十人の弟子を選び、これから訪問する予定の町や村に、二人一組で、先に派遣しました。
+ その時、イエスは彼らに、次のような注意をお与えになりました。「収穫はたくさんあるのに、働く人があまりにも少ないのです。ですから、収穫の責任者である主に、もっと大ぜいの働き手を送ってくださるように願いなさい。
+ さあ、出かけなさい。だが、これだけは忘れないように。あなたがたを派遣するのは、まるで羊を狼の群れの中に送るようなものです。
+ お金も旅行袋も、はき替えのくつも持たないで行きなさい。途中、道草を食ってはいけません。
+ どんな家に入っても、神の祝福があるようにと祈りなさい。
+ その家が祝福を受けるに値するようなら、祝福はとどまるし、そうでなければ、あなたがたのところに返って来ます。
+ 一つの村に入ったら、あっちこっち家々を渡り歩いてはいけません。同じ家に泊まり、出される物をいただきなさい。ていねいなもてなしを遠慮することはありません。働く者が報酬を受けるのは当然です。
+ 喜んで迎えてくれる町では、次のことを守りなさい。出された物は何でも食べることと、病人をいやし、『神の国が、すぐそこまで来ている』と宣言すること、この二つです。
+ しかし、歓迎してくれないような町では、大通りに出て、こう言いなさい。
+ 『あなたがたは必ず滅びます。これがそのしるしです。この町のちりは、私の足から払い落として行きます。ただ、神の国がすぐそこまで来ていることは知っておきなさい。』
+ よく言っておきますが、さばきの日には、あの邪悪な町ソドム(悪行のため、神に滅ぼされた町)のほうが、その町より罰が軽いのです。
+ ああコラジンよ。ああベツサイダの町よ。どんな恐ろしいことが待ち受けていることか。わたしがあなたがたにしたような奇跡を、ツロとシドン(悪行のため、神に滅ぼされた町)でしていたら、そこの人々はとうの昔に荒布をまとい、頭に灰をかぶって嘆き悲しみ、罪を悔い改めたことでしょう。
+ さばきの日には、ツロとシドンのほうが、あなたがたより罰が軽いのです。
+ ああカペナウムの町よ。あなたがたはどうでしょう。天に上げられるとうぬぼれている者たち。あなたがたは地獄に突き落とされるのです。」
+ イエスは、さらに続けて言われました。「あなたがたを受け入れる人は、わたしを受け入れるのです。あなたがたを受け入れない人は、わたしを受け入れないばかりか、わたしを遣わされた神をも受け入れないのです。」
+ その後、七十人の弟子たちは喜び勇んで旅から帰って来て、イエスに報告しました。「あなたのお名前を使うと、悪霊どもでさえ言うことを聞きました。」
+ 「そうです。まるでいなずまのように、サタンが天から落ちるのをわたしは見ました。
+ あなたがたには、敵のあらゆる力に打ち勝ち、蛇やさそりを踏みつぶす権威を与えてあります。だから、あなたがたに危害を加えるものなど、一つもないのです。
+ しかし、悪霊どもが言うことを聞くからといって、喜んではいけません。ただ、あなたがたの名前が天国の市民として記されていることを喜びなさい。」
+ この時、イエスの心は、聖霊が与えてくださる喜びであふれました。「父よ。天地の主であるあなたをほめたたえます。これらのことを賢い者や知恵ある者たちには隠して、小さい子どものように、神を信じきっている者に示してくださいました。ほんとうにありがとうございます。これが、あなたのお心にかなったことでした。
+ すべてのことで、わたしはあなたに任せられた役割を務めます。あなただけが子であるわたしの、ほんとうの姿をご存じですし、あなたのことをほんとうに知っているのは、子のわたしと、あなたを知らせようとわたしが選んだ者たちだけなのです。」
+ それから弟子たちのほうを向いて、そっと言われました。「あなたがたの目はなんと幸せなことでしょうか。この上なくすばらしいものを見ているのですから。
+ 多くの預言者や王たちが、あなたがたの見聞きしたことを、見たい、聞きたいと、どれほど願ったか知れませんが、その願いはかなえられなかったのです。」
+ ある日、律法の専門家がやって来て、イエスを試そうとしました。「先生。お聞きしたいのですが、永遠のいのちを受けるには、何をしたらよろしいでしょうか。」
+ 「モーセの律法には、何と書いてありますか。」
+ 「『心を尽くし、たましいを尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい』、それに、『自分自身を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい』とありますが。」
+ 「そう、そのとおりにすればいいのです。そうすれば、永遠のいのちを得られます。」
+ しかし律法の専門家は、自分がある人々を愛していないことを正当化しようと、「隣人とはだれのことですか?」と聞き返しました。
+ イエスは直接答える代わりに、たとえを話されました。「エルサレムからエリコへ旅をしていたユダヤ人が、強盗に襲われました。強盗どもは、身ぐるみはぎ取り、あり金全部を奪うと、その人を殴ったり、蹴ったりして半殺しにし、道ばたに放り出して逃げて行きました。
+ ちょうどそこへ、ユダヤの祭司が通りかかりました。ふと見ると、旅人が倒れています。でも、めんどうに巻き込まれたくなかったので、道の反対側へ回り、何くわぬ顔で通り過ぎてしまいました。
+ しばらくすると、今度はレビ人(神殿で奉仕する人)が通りかかりましたが、彼も、倒れている旅人を横目でちらりとながめただけで行ってしまいました。
+ ところが、常日頃ユダヤ人に軽蔑されていたサマリヤ人がたまたま通りかかり、旅人を見つけました。その人をかわいそうに思ったサマリヤ人は、
+ 急いでそばに近づいて、傷口に薬をぬり、包帯を巻いて応急手当をしました。それから自分のろばに乗せ、宿屋まで運んで、一晩中、看病してあげました。
+ 翌日、宿屋の主人にデナリ銀貨二枚を渡し、『あの人を介抱してあげてください。足りない分は、私が帰りに寄って払いますから』と頼みました。
+ この三人のうちだれが、強盗に襲われた人の隣人になったと思いますか。」
+ 律法の専門家は答えました。「もちろん、親切にしてやった人です。」この答えを聞くと、イエスは言われました。「そのとおりです。あなたも同じようにしなさい。」
+ エルサレムへの旅の途中で、イエスはある村に立ち寄られました。マルタという女が、喜んで一行を家に迎えました。
+ マルタにはマリヤという妹がいました。マリヤはイエスのそばに座り込んで、その話にじっと聞き入っていました。
+ 一方マルタはというと、てんてこ舞いの忙しさで、「どんなおもてなしをしようかしら。あれがいいかしら、それとも……」と、気が落ち着きません。とうとう彼女は、イエスのところへ来て、文句を言いました。「先生。私が目が回るほど忙しい思いをしているのに、妹ときたら、何もしないで座っているだけなんです。少しは手伝いをするように、おっしゃってください。」
+ しかし主は、マルタに言われました。「マルタ。あなたは、あまりにも多くのことに気を遣いすぎているようです。
+ でも、どうしても必要なことはただ一つだけです。マリヤはそれを見つけたのです。彼女からそれを取り上げてはいけません。」
+
+
+ ある時、イエスは外で祈っておられました。ちょうど祈り終えたところへ一人の弟子が来て、「主よ。バプテスマのヨハネが弟子たちに教えたように、私たちにも祈りを教えてください」と願いました。
+ そこでイエスは、「このように祈りなさい」とお教えになりました。「天のお父様。あなたのきよい御名があがめられますように。あなたの御国がすぐに来ますように。
+ 私たちに日々必要な食物をお与えください。
+ 私たちの罪をお赦しください。私たちも、私たちに罪を犯した者を赦します。私たちを誘惑に会わせないでください。」
+ 祈りについての教えはまだ続きました。それが、このたとえです。「真夜中に、どうしてもパンを三つ借りなければならなくなって、友達の家に駆けつけたとします。戸をドンドンたたき、声を張り上げて、『迷惑をかけてすまない。突然のお客があったのだけど、あいにく、家には一切れのパンもないんだ。お願いだから貸してくれないか』と頼みます。
+ 友達は何と答えるでしょう。中から、『かんべんしてくれ。いま何時だと思っているんだ。戸じまりもしてしまったし、もうみんな寝ている。何も出してやれないよ』と返って来るだけかもしれません。
+ しかし、友達だからというのでは何もしてくれなくても、しつこく戸をたたき続けるなら、その根気に負けて、必要な物を出してくれるでしょう。
+ 祈りも同じです。あきらめずに求め続けなさい。そうすれば与えられます。捜し続けなさい。そうすれば見つかります。戸をたたきなさい。そうすれば開けてもらえます。
+ 求める人は与えられ、捜す人は見つけ出し、戸をたたく人は開けてもらえるのです。
+ パンをねだる子どもに、石ころを与える父親がいるでしょうか。魚が食べたいと言う子どもに、毒蛇を与える親がいるでしょうか。
+ 卵がほしいと言うのに、さそりを渡したりするでしょうか。もちろん、そんなはずはありません。
+ 罪深い人間でさえ、子どもには良い物を与えたいと思うのが人情です。そうだとしたら天の父が、求める者に聖霊を下さらないわけはありません。」
+ ある時、イエスは、悪霊につかれて口がきけない男から悪霊を追い出されました。すると、男がしゃべりだしたのです。その場に居合わせた人々はすっかり驚いてしまいました。
+ しかし中には、意地悪く中傷する者もいました。「別に驚くほどのことじゃない。悪霊を追い出すことなんか朝飯前だろう。なにしろイエスは、悪霊の王ベルゼブル(サタン)の力をもらっているのだから。」
+ またほかの者は、ほんとうにイエスがメシヤ(救い主)なら、その証拠に、何か天からのしるしを見せてほしいと求めました。
+ そういう一人一人の心を見抜いて、イエスは言われました。「内乱の絶えない国は滅びます。争ったり、けんかばかりしている家庭も同じことです。
+ あなたがたの言うように、ベルゼブルがわたしに悪霊を追い出す力を与えて、自分自身と戦っているとしたら、どうしてサタンの国はやっていけるでしょう。
+ あなたがたの仲間にも、悪霊を追い出す人がいるではありませんか。もしわたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出しているというのなら、彼らだってそうでしょう。あなたがたの考えが正しいかどうか、その人たちに聞いてみたらどうです。
+ しかし、わたしが神の力で悪霊を追い出しているのなら、もう神の国があなたがたのところに来ている証拠です。
+ 強く、完全武装したサタンが宮殿を守っているうちは、彼の国は安泰です。
+ しかし、もっと強く、もっと強力な武器を持った者が襲いかかったら、難なく倒され、武器も持ち物も、一つ残らず取り上げられてしまうでしょう。
+ わたしに味方しない者はみな敵です。助けてくれない者はじゃまをする者です。
+ 悪霊が人から追い出されると、別の住みかはないかと荒野をあちこちうろつき回ります。ところが適当な場所が見つからないので、やっぱりもとの所へ戻って行きます。
+ 帰って見ると、もとの家はすみずみまで掃除が行き届き、きれいになっています。
+ すると、自分よりたちの悪い七つの悪霊を連れて来て住みつくのです。そうなったら、その人の状態は以前よりもっと悪くなります。」
+ こう話しておられると、群衆の中から、一人の女が感きわまって叫びました。「あなたのお母様はなんと幸せな方でしょう! あなたを宿したお腹、あなたの吸った乳房はなんと祝福されているでしょう!」
+ しかしイエスは、「そのとおりです。でも、神のことばを聞いて、そのとおり実行する人のほうが、もっと祝福されているのです」と言われました。
+ 群衆の数はどんどんふくれ上がる一方でした。そこで、イエスは教え始められました。「今の時代は、悪のはびこる悪い時代です。人々は寄ってたかって、メシヤなら何か不思議なしるしを起こして見せろと、しつこく求めます。けれども、見せられる証拠はただ一つ、ヨナの奇跡だけです。
+ ヨナの経験は、ニネベの人たちの目に、神がヨナを派遣されたことの明らかな証拠と映りました。わたしも、このヨナと同じような経験をします。それが、わたしをこの世の人たちのところへ遣わしたのは神だという、動かぬ証拠となるのです。
+ さばきの日には、シェバの女王が立ち上がり、この時代の人々を名指しで断罪します。彼女は、ソロモンから知恵のことばを聞くために、あれほど遠い国から旅して来ることをいとわなかったからです。けれども、そのソロモンよりはるかに偉大な者が、ここにいるのです。それなのに、だれ一人見向きもしません。
+ ニネベの人たちも立ち上がり、この時代の人々を罪に定めます。彼らはヨナの教えを聞いて、それまでの堕落しきった生活を悔い改めたからです。けれども、そのヨナよりもっと偉大な者が、ここにいるのです。ところが、耳を傾ける人は一人もいません。
+ ランプをつけて、わざわざそれを隠す人がいますか? ランプは部屋を明るく照らすものだから、燭台の上に置かなければ何にもなりません。
+ 目は、心の中まで明るくします。澄みきった目は、たましいの中まで光を通します。肉欲に汚れた目は、光をさえぎり、あなたを暗闇に閉じ込めてしまいます。
+ ですから、光がおおい隠されないように、よく気をつけなさい。
+ 心の内面が光で満ちあふれている人は、顔も、光をあてられたように明るく輝きます。」
+ 話が一段落したところで、あるパリサイ人がイエスを食事に招待しました。イエスは誘われるまま彼の家に行き、食卓に着かれました。ところが、その時、イエスはきよめの手洗いをなさいませんでした。この儀式はユダヤでは必ず行う習慣だったので、それを見た家の主人は驚きました。
+ イエスはおっしゃいました。「あなたがたパリサイ人は、確かに外側はきれいに洗います。しかし、内側はどうですか。汚れたままで、貪欲や邪悪でいっぱいではありませんか。
+ 愚かな人たち。神は外側だけを造られたのですか。神は内側も造られたのです。
+ 内面のきよさは行いに表れます。貧しい人たちにどれだけ愛を実践するかによって、はっきりと表れるのです。
+ あなたがたパリサイ人は、実にいまわしい者です。どんなわずかな収入でも、実にきちょうめんに十分の一をささげていながら、正義を行うことと神を愛することは、きれいさっぱり忘れているのですから。もちろん、十分の一献金は大いにけっこうです。しかし、もっと大切なことをなおざりにしては意味がありません。
+ あなたがたパリサイ人は、実にいまわしい者です。会堂で上座に座ったり、市場で、みんなからていねいなあいさつを受けたりするのが、何より好きなのです。
+ そんなあなたがたを待っているのは何でしょう。恐ろしいさばきです。あなたがたはまるで、野原にある、人目につかない墓のようです。人々は、汚れたものが近くにあるとは気づかず、平気でそばを通り過ぎるのです。」
+ そばに立って話を聞いていた律法の専門家が、我慢がならないといったふうに、食ってかかりました。「ことばがすぎませんか。私たちを侮辱することを言うとは。」
+ イエスは言われました。「そんなことはありません。律法の専門家たち。あなたがたにも恐ろしいさばきが待ち受けているのです。とうてい実行できない命令を与えて、人々を押しつぶしておきながら、自分は守ろうともしないのですから。
+ あなたがたは、いまわしい者です。昔、預言者たちを殺した先祖とそっくりです。
+ 人殺しと少しも変わりません。先祖が殺した預言者たちの記念碑を建て、『先祖は正しかった』と認めているのですから。だから、あなたがたも、きっと同じことをしたでしょう。
+ 神はこう言っておられます。『わたしは預言者や使徒たちを派遣します。しかしあなたがたは、彼らを殺したり、迫害したりするのです。』
+ 今の時代に生きるあなたがたは、世界の初めからずっと、すなわち、アベルが殺された時
+ から、ザカリヤが聖所と祭壇との間で殺された時まで、神の預言者たちを殺し続けてきた責任を問われます。そうです。確かにあなたがたには責任があるのです。
+ 律法の専門家たちよ、あなたがたはわざわいです。人々の目から真理を隠しているのですから。あなたがたは自分が真理を信じないばかりか、ほかの人たちが信じるチャンスまでも奪っているのです。」
+ それは、パリサイ人や律法の専門家たちに激しい敵対心を生じさせました。この時からです。彼らがむずかしい質問を矢のようにあびせて、何とかイエスをわなにかけ、逮捕する口実を得ようとし始めたのは。
+
+
+ そのうちに、群衆の数はますますふくれ上がり、足の踏み場もない有様です。イエスはまず、弟子たちに警告なさいました。「何よりも、パリサイ人の偽善ぶりに注意しなさい。ほんとうは悪いことをたくらんでいるのに善人ぶる者たちのやり方に、ごまかされてはいけません。
+ しかし、そういう偽善は、いつまでも隠しおおせるものではありません。やがてパン種(パンの製造に使用する酵母)のようにふくれ始め、だれの目にもはっきりします。
+ 暗闇にまぎれて言ったことがみな、明るみで聞かれ、奥の部屋でささやいたことが屋上から大声で宣伝されるのです。
+ 親しい友よ。体を殺しても、たましいには指一本ふれることができない者たちを恐れてはいけません。
+ ほんとうに恐れなければならない方を教えましょう。殺した後に、地獄に投げ込む力を持っておられる神を恐れなさい。神こそ、ほんとうに恐れなければならない方です。
+ 雀五羽はいったい、いくらで売られていますか。たったの二アサリオン(一日分の賃金一デナリの八分の一)ではありませんか。こんな雀の一羽でさえ、神はお見捨てにならないのです。
+ それどころか、あなたがたの髪の毛の数さえご存じです。だから、恐れることはありません。あなたがたは、たくさんの雀よりはるかに価値があるのですから。
+ 次のことをはっきりさせておきましょう。この地上で、わたしを友とはっきり認める人を、メシヤであるわたしも、天使の前で、確かにわたしの友だと認めます。
+ だが、もし人前でわたしを知らないと言うなら、わたしも天使の前で、こんな人は見覚えもないと言います。
+ たとえ、わたしに逆らっても赦されます。しかし、聖霊を汚す者は絶対に赦されないのです。
+ 裁判を受けるために役人や会堂の権力者たちの前に引き出されても、どう釈明しようかなどと心配してはいけません。
+ 聖霊が、時にかなったことばを教えてくださるからです。」
+ その時、群衆の中から一人の男が叫びました。「先生! どうぞ兄に、父の遺産を分けてくれるよう言ってください。」
+ 「だれがわたしを、そんなことの裁判官にしたのですか。」
+ 続けてイエスは群衆に言われました。「貪欲にはくれぐれも注意しなさい。どんな金持ちでも、人のいのちは財産とは無関係なのですから。」
+ それからイエスは、たとえ話を一つなさいました。「ある金持ちが、良い作物のとれる肥えた畑を持っていました。
+ 倉はいっぱいで、収穫物を全部納めきれないほどです。あれこれ考えたあげく、うまい考えを思いつきました。
+ 『こうすればいい。あの倉を取りこわして、もっと大きいのを建てる。そうすれば、作物を全部納められる。』
+ ひとり満足した金持ちは、われとわが身に言い聞かせたのです。『もう何も心配はいらないぞ。これから先何年分もの食料がたっぷりある。さあ、食べて、飲んで、楽しくやろう。』
+ しかし神は、こう言われました。『愚か者よ! あなたのいのちは、今夜にもなくなる。そうしたら、ここにある物は、いったいだれのものになるのか。』
+ いいですか。この地上でいくらため込んでも、天国に財産を持っていない者は、愚か者なのです。」
+ それからまた、弟子たちのほうを向き、先を続けられました。「ですから、言っておきましょう。食べ物は十分か、着る物はあるか、といったことでいちいち心配するのはやめなさい。
+ 人のいのちは、食べ物や着る物よりどれだけ価値があるか知れないのです。
+ からすを見なさい。種もまかず、刈り入れもせず、倉を持っているわけでもありません。それでもゆうゆうと構えていられるのは、神が養ってくださるからです。神の目には、からすなどより、あなたがたのほうが大切なのです。
+ それに、くよくよしたところで、どうにもなりません。心配すれば、寿命が一日でも延びるのですか。
+ こんな小さなことさえできない者が、もっと大きなことを心配したところで何になるでしょう。
+ ゆりの花を見なさい。どうして育つのでしょう。紡いだり、織ったりするわけではありません。栄華をきわめたソロモンでさえ、この花ほど着飾ってはいませんでした。
+ 今日は咲き誇っていても、明日はしぼんでしまう花でさえ、神はこのように装ってくださるのです。そうだとしたら、疑い深い人たちよ、神がどんなに良くしてくださるかとは考えないのですか。
+ 何を食べようか、何を飲もうかと心配をするのはやめなさい。神が用意してくださるのに、思いわずらってはいけません。
+ 人は毎日のパンのためにあくせく働きますが、天の父は、あなたがたが必要なものをすべてご存じなのです。
+ 神の国を第一に考えるなら、神は私たちに必要なものを毎日与えてくださるのです。
+ また、たとえ少数派でも恐れることはありません。神は喜んで、あなたがたを神の国に導いてくださるのです。
+ 持ち物を売り払って、貧しい人たちに分けてあげなさい。そうすれば、天にある財布はふくらんで、はち切れそうになること間違いありません。ところが、この財布は破れもしなければ、穴があくこともないから、財産がなくなることは絶対にありません。どろぼうに盗まれることも、虫に食われる心配もありません。
+ 宝のある所に、自分の心と思いもあるのです。
+ きちんと身じたくを整え、あかりをともしていなさい。
+ 主人が婚礼から戻るのを待っている人のように。こうしていれば、主人がノックすると同時に、戸を開けて迎えることができます。
+ そのように忠実な姿を見られる人は幸いです。主人は感心して、食卓で、反対に自分のほうから給仕してくれるでしょう。
+ 主人の帰りは夜の九時になるか、真夜中になるかわかりません。しかし、いつ帰って来てもいいように準備のできている人は幸いです。
+ どろぼうがいつ入るかわかっていれば、家人は、てぐすね引いて待ちかまえているでしょう。同様に、主人の帰りが何時ごろかはっきりわかっていれば、準備をして待つのはあたりまえです。
+ だから、いつでも用意していなさい。メシヤのわたしは、思いがけない時に来るのです。」
+ ペテロが、いぶかしげに尋ねました。「主よ。今のお話は、私たちにだけ話されたのですか。それとも、ここにいるみんなのためなのですか。」
+ イエスは、お答えになりました。「では、こう言えばわかるでしょうか。主人の留守中、ほかの召使たちの面倒を見る責任を負わされた、忠実で賢い人たちに話しているのです。主人が戻った時、かいがいしく働いているところを見られるなら、ほんとうに幸いです。主人から全財産を任されることになるでしょう。
+ ところが、『主人はまだまだお帰りになるまい』とたかをくくり、召使たちを打ちたたき、食べたり飲んだりしていたらどうでしょう。
+ 主人は出し抜けに帰って来て、この有様を見ます。不届き者は、責任ある地位からはずされ、不忠実な者と同じ仕事につけられるのでしょう。
+ 自分の義務を心得ながら、果たそうとしなかった罰です。
+ しかし、自分でも気がつかないうちに悪いことをした人の罰は、軽くてすみます。だれでも多く与えられた者は多く求められ、多く任された者は多く要求されるのです。
+ わたしは、この地上に火を投げ込むために来ました。ああ、この仕事がもうすでに終わっていたらよかったのですが。
+ しかし、わたしには受けるべきバプテスマ(洗礼)が待っています。それが成し遂げられるまで、どんなに苦しむことでしょう。
+ このわたしが、地上に平和を与えるために来たと思っているとしたら、そうではありません。それどころか、争いと分裂を引き起こすために来たのです。
+ 今から後、家庭内に分裂が生じるでしょう。五人家族であれば、三人対二人というように、わたしに賛成するか反対するかで分かれて争うことになります。
+ わたしのことで、息子は父に逆らうでしょう。母と娘は一致しなくなり、しゅうとめも嫁に退けられるでしょう。」
+ 群衆にもこう語られました。「あなたがたは天気を予測するのがとても上手です。西の空に雲がわき上がれば、『にわか雨が来る』と言い、まさにそのとおりになります。
+ また南風が吹けば、『ひどく暑い日になるぞ』と言い、それもまた予測どおりになるのです。
+ 偽善者たちよ! これほど上手に空模様を見分けられるのに、目前に迫る危機については少しの注意もはらおうとしないのですか。
+ どうして、何が正しいかを見分けようとしないのですか。
+ 裁判所へ行く途中、あなたを訴える人と出会ったら、裁判官の前に出るまでに、問題を解決するよう努力しなさい。さもないと、牢獄に入れられてしまいます。
+ そうなったら、最後の一レプタ(最小単位の銅貨)まで罰金を払いきらなければ、出してもらえないのです。」
+
+
+ そのころ、ガリラヤ出身のユダヤ人が数名、エルサレムの神殿で供え物をしていた時、ピラトに殺害されたというニュースが、イエスに伝えられました。
+ これを聞いたイエスは言われました。「この人たちが、ほかのどのガリラヤ出身の人よりも罪が深かったから、こんな災難に会ったと思いますか。
+ それは違います。あなたがたも、悔い改めて神に立ち返らなければ、同じように滅びるのです。
+ また、シロアムの塔の下敷きになって、十八人が死にました。彼らのことはどう思いますか。エルサレムで一番罪深い人たちだったのでしょうか。
+ そんなことはありません。あなたがたも罪を悔い改めないなら、同じように滅びるのです。」
+ そして、次のようなたとえを話されました。「ある人が、ぶどう園にいちじくの木を植えました。そして、実がなっているかどうか、何度も見に行きました。ところが、期待はいつも裏切られてばかりです。
+ とうとう主人は怒って、『こんなろくでもない木は切り倒してしまいなさい』と番人に命じました。『三年も待ったのに、一つも実がなったためしがない。もうこれ以上、手をかけることはない。何のために土地をふさいでいるのか。』
+ すると番人は、何とか思いとどまらせようと、なだめにかかりました。『ご主人様。もう一年だけお待ちください。念入りに肥料をやってみましょう。
+ それで来年実がなれば、もうけものです。だめなら、それから切り倒しても遅くはありません。』」
+ ある安息日のこと、イエスは会堂で教えておられました。
+ そこに、十八年もの間、病で腰が曲がったきりで伸ばすことのできない女がいました。
+ イエスが女をそばへ呼び、「さあ、あなたの病気は治りました」とおっしゃって、
+ 手をふれると、女の腰は伸びました。女は喜びを抑えきれず、神をあがめ、賛美しました。
+ ところが、会堂の責任を持っていた、この地方のユダヤ人指導者は、それが安息日だというので腹を立て、群衆に怒りをぶちまけました。「よりによって安息日に病気を治してもらうなど、もってのほかだ! 仕事のできる日は、一週間に六日もあるのだから、その間に治してもらえばいいのだ。」
+ しかし、イエスは言われました。「いいえ、あなたがたこそ偽善者です。安息日に働いていないと言いきれるのですか。安息日でも、家畜を小屋から出して、水を飲ませに連れて行くではありませんか。
+ わたしは今、十八年もの間サタンに束縛されていた、ユダヤ人の女を解放してあげたのです。たまたまそれが安息日だったからといって、どこがいけないのですか。」
+ このイエスのことばに、敵対する者たちは恥じ入り、群衆はみな、イエスの行ったすばらしいみわざを喜びました。
+ そこでイエスは、神の国について教え始められました。「神の国は何に似ているでしょう。どういうふうに説明したらいいでしょう。
+ 神の国は、畑にまいた小さなからし種のようです。やがて大きな木に成長し、鳥が枝に巣をかけるほどになるのです。
+ また神の国は、パン種のようだとも言えます。目には見えないけれども、少しずつ確実に作用して、パン全体を大きくふくらませるのです。」
+ イエスは町々村々を通り、人々に教えながら、ひたすらエルサレムへと進んで行かれました。
+ ある人がイエスに、「救われる人は少ないのでしょうか」と尋ねました。イエスはお答えになりました。
+ 「天国への門は狭いのです。できるかぎりの努力をして、そこから入りなさい。よく言っておきますが、入ろうとしても、入れない人がたくさんいるのです。
+ 家の主人が戸を閉めてからでは遅すぎます。外に立ち、どんどんたたきながら、『ご主人様! 開けてください、お願いでございます』と、なりふりかまわず頼んでも、中からは、『おまえたちなど全然知らない』と、冷たい返事が返ってくるだけです。
+ あなたがたはそれでもあきらめず、『何かのまちがいでは? 私たちは、あなたと食事をごいっしょしたこともありますし、大通りで教えをいただきました』と食い下がるでしょう。
+ けれども主人は、けんもほろろに答えるのです。『おまえたちなど知らないと言うのが、聞こえないのか。おまえたちのような者は、ここには入れないのだ。とっとと行ってしまいなさい。』
+ アブラハム、イサク、ヤコブ、それに預言者たちもみな神の国に入っているのに、あなたがたはいつまでも外に立ち尽くして、泣きわめき、歯ぎしりするのです。
+ 人々は、あちらからもこちらからも来て、神の国に迎え入れられ、席に着きます。
+ いいですか。このことを肝に銘じておきなさい。今は軽んじられている者が、その時には大いにほめたたえられ、今は重んじられている者が、その時には最も軽んじられるのです。」
+ ちょうどその時、数人のパリサイ人が近寄って来て、イエスに忠告しました。「いのちが惜しかったら、ここから出て行きなさい。ヘロデ王があなたを殺そうとねらっています。」
+ イエスはお答えになりました。「あのきつねにこう言ってやりなさい。今日も、明日も、わたしは悪霊を追い出し、病人をいやし、そして三日目に目的を果たします。
+ 今日も、明日も、その次の日も、わたしは進んで行くのです。神から遣わされた預言者が、エルサレム以外の場所で殺されることはありえないからです。
+ ああ、エルサレムよ。なんという町でしょう。預言者たちを殺し、町を救うために遣わされた人たちを石で打ち殺すとは。めんどりがひなを翼の下にかばうように、わたしは何度あなたの子どもたちを集めようとしたことでしょう。しかし、あなたがたはそれを拒んだのです。
+ だから今、あなたがたの家は荒れ果てたまま見捨てられます。はっきり言いましょう。あなたがたが、『主の名によって来られる方、祝福あれ』と言うその日まで、わたしの姿を二度と見ることはないのです。」
+
+
+ ある安息日のこと、イエスはパリサイ派の指導者の家に入られました。パリサイ人たちは、イエスがその場にいた水腫を患っている男をどうするかを、息をこらし、目をさらのようにして見ていました。
+ するとイエスは、回りに立っているパリサイ人や律法の専門家たちに、「ところで、安息日に病気を治すことは、おきてにかないますか。それとも違反でしょうか」とお尋ねになりました。
+ だれも、押し黙って答えません。イエスは男の手を取り、病気を治すと、すぐに家にお帰しになりました。
+ それから、パリサイ人たちに面と向かってお尋ねになりました。「あなたがたのうちで、安息日に絶対働かない者がいますか。自分の息子や牛が穴に落ちたら、安息日だろうが何だろうが、すぐに引き上げてやるのではありませんか。」
+ 今度も、あえて答える者はいませんでした。
+ イエスは、招かれた人たちが、少しでも上席に座ろうとしているのに気づいて、こう忠告されました。
+ 「婚礼に招かれた時、いつでも上席に座ろうとしてはいけません。あなたよりもっと名誉ある人が招かれていた場合のことを考えてごらんなさい。その人が姿を見せたら、
+ 主人は、『すみませんが、こちらの方と替わっていただけませんか』と申し出るでしょう。そうなると、あなたは赤恥をかいた上に、末席に着かなければならないのです。
+ 招かれた時には、まず末席に座りなさい。そうすれば、主人が来て、『どうぞご遠慮なさらないで、もっと上席にお進みください』と勧めるでしょう。あなたは居並ぶ客の前で面目を施すことになるのです。
+ 自分から名誉を受けようとする人は低くされ、自分を低くする人は名誉を受けるのです。」
+ それからイエスは、ご自分を招いてくれた人にも話されました。「食事をふるまう時には、友人や兄弟、親類、それにお金持ちの知人などを招かないようにしなさい。彼らはお返しに、あなたを招くからです。
+ むしろ、貧しい人や体の不自由な人、足の不自由な人、盲人たちを招待しなさい。
+ 幸い、そういう人たちはお返しができないので、やがて神を敬う者たちの復活の日に、神があなたにその分を報いてくださるでしょう。」
+ この忠告を聞いて、同席していた客の一人が、「神の国で食事をする、それ以上の幸せ者はいないでしょう」と言いました。
+ イエスは、遠回しにたとえでお答えになりました。「ある人が盛大な宴会を催そうと、大ぜいの人に招待状を送りました。
+ 準備がすっかり整ったので、召使に、『宴会が始まる時間です』とふれ回らせました。
+ ところがなんと、招待客はみな、そろいもそろって口実をつくり、出席を断り始めたのです。一人は、ちょうど畑を買ったところなので、これから見に行かなければならないと断り、
+ ほかの人は、五くびき(十頭)の牛を買ったので試してみたいと言いわけをしました。
+ またある人は、結婚したばかりで行くことができないと断りました。
+ 召使は戻り、そのとおり主人に報告しました。主人はかんかんになって怒り、『よし、それなら、今度は大通りや裏通りに行って、貧しい人や体の不自由な人、足の不自由な人、盲人たちを残らず招待して来なさい』と命じました。
+ そうやって客を集めても、会場にはまだ空席が目立ちます。
+ それで、主人は言いました。『もうこうなったら、家がいっぱいになるように、街道や垣根の外へ行って、出会った者はだれでも、むりにでも連れて来なさい。
+ 初めに招待した者たちの中には、宴会の食事を味わうことのできる者は一人もいないのだ。』」
+ さて、イエスのあとには大ぜいの群衆がついて行きました。イエスはふり返り、彼らに言われました。
+ 「だれでも、わたしに従いたければ、父、母、妻、子、兄弟、姉妹以上に、いや、自分のいのち以上にわたしを愛しなさい。
+ また、自分の十字架を負い、わたしに従って来なければ、わたしの弟子になることはできせん。
+ 仕事に手をつけるのは、必要な経費を見積もってからにしなさい。家を建てるのに、資金の見通しが立たないうちに建て始める人がいますか。
+ そんなことをすれば、土台を据えただけで、資金切れとなるかもしれません。それこそいい物笑いです。
+ 人々は、『あれをごらん。建てかけで金がなくなったんだとさ』と、あざ笑うでしょう。
+ また、一万人の兵を持つ王が、二万人の敵軍と交戦しようとする時は、必ず参謀会議を開き、はたして勝ち目があるかどうか、あらゆる角度から検討するでしょう。
+ どうしても勝ち目がないとわかれば、敵軍がまだ遠くにいるうちに使者を送り、何としても講和を求めるでしょう。
+ そういうわけで、だれでも、自分の財産を数え上げ、それを全部わたしのために捨てるのでなければ、わたしの弟子になることはできません。
+ 塩が塩けをなくしたら、何の役に立ちますか。
+ 塩の価値のない塩など、肥やしにもなりません。捨てるほかないのです。聞く耳のある人は、よく聞きなさい。」
+
+
+ イエスの教えを聞きに来る人たちの中には、あくどい取り立てをする取税人や罪人といわれる者たちがかなりいました。
+ ユダヤ教の指導者や律法の専門家は、イエスがそういう問題の多い人々とつきあい、時には食事までいっしょにするのを見て、批判しました。
+ そこでイエスは、次のようなたとえ話をなさいました。
+ 「羊を百匹持っているとします。そのうちの一匹が迷い出て、荒野で行方がわからなくなったらどうしますか。ほかの九十九匹は放っておいて、いなくなった一匹が見つかるまで捜し歩くでしょう。
+ そして、見つかったら、大喜びで羊を肩にかつぎ上げ、
+ 家に帰ると、さっそく友達や近所の人たちを呼び集めて、いっしょに喜んでもらうでしょう。
+ それと同じことです。迷い出た一人の罪人が神のもとに帰った時は、迷ったことのない九十九人を合わせたよりも大きな喜びが、天にあふれるのです。
+ 別のたとえで話してみましょう。女が銀貨を十枚持っていて、もし一枚なくしてしまったら、女はランプをつけ、家の中をすみからすみまで掃除して、その一枚を見つけるまで、必死で捜し回るでしょう。
+ そして見つけ出したら、友達や近所の人を呼び、いっしょに喜んでもらうでしょう。
+ 同じように、一人の罪人が罪を悔いて神のもとに帰った時、天使たちはたいへんな喜びにわくのです。」
+ イエスはもっとよく説明しようと、また別のたとえも話されました。「ある人に息子が二人いました。
+ ある日、弟のほうが出し抜けに、『お父さん。あなたが亡くなってからでなく、今すぐ財産の分け前がほしいんです』と言いだしたのです。それで父親は、二人にそれぞれ財産を分けてやりました。
+ もらう物をもらうと、何日もたたないうちに、弟は荷物をまとめ、遠い国に旅立ちました。そこで放蕩に明け暮れ、財産を使い果たしてしまいました。
+ 一文なしになった時、その国に大ききんが起こり、食べる物にも事欠くようになりました。
+ それで彼は、その国のある人のもとで、畑で豚を飼う仕事をもらいました。
+ あまりのひもじさに、豚のえさのいなご豆さえ食べたいほどでしたが、だれも食べる物をくれません。
+ こんな毎日を送るうち、彼もやっと目が覚めました。『お父さんの家なら雇い人にだって、あり余るほど食べ物があるだろうに。なのに自分は、なんてみじめなんだ。こんな所で飢え死にしかけている。
+ そうだ、家に帰ろう。帰って、お父さんに頼もう。「お父さん。すみませんでした。神様にもお父さんにも、罪を犯してしまいました。
+ もう息子と呼ばれる資格はありません。どうか、雇い人として使ってください。」』
+ 決心がつくと、彼は父親のもとに帰って行きました。ところが、家まではまだ遠く離れていたというのに、父親は息子の姿をいち早く見つけたのです。『あれが帰って来た。かわいそうに、あんなみすぼらしいなりで。』こう思うと、じっと待ってなどいられません。走り寄って抱きしめ、口づけしました。
+ 『お父さん。すみませんでした。ぼくは、神様にもお父さんにも、罪を犯してしまいました。もう息子と呼ばれる資格はありません。』
+ ところが父親は、使用人たちにこう言いつけたのです。『さあ、何をぼやぼやしている。一番良い服を出して、この子に着せてやりなさい。宝石のついた指輪も、くつもだ。
+ それから肥えた子牛を料理して、盛大な祝宴の用意をしなさい。
+ 死んだものとあきらめていた息子が生き返り、行方の知れなかった息子が帰って来たのだから。』こうして祝宴が始まりました。
+ ところで、兄のほうはどうだったでしょう。彼は、その日も畑で働いていました。家に戻ってみると、何やら楽しげな踊りの音楽が聞こえます。
+ いったい何事かと、使用人の一人に尋ねると、
+ 『弟さんが帰って来られたのです。だんな様は、たいへんなお喜びで、肥えた子牛を料理し、ご無事を祝う宴会を開いておられるのです』というのです。
+ 事情を聞いて、兄は無性に腹が立ってきました。家に入ろうともしません。父親が出て来てなだめましたが、
+ 兄は父に食ってかかりました。『私はこれまで、お父さんのために汗水流して働いてきました。お父さんの言いつけに、ただの一度もそむいたことはありません。なのに、友達と宴会を開けと言って、子やぎ一匹くれたことがありますか。
+ ところが、遊女におぼれてあなたのお金を使い果たした弟のためには、最上の子牛を料理して、お祭り騒ぎをするのですか。』
+ すると、父親は言いました。『いいか、よく聞きなさい。おまえはいつだって、私のそばにいたではないか。私のものは全部おまえのものだ。
+ 考えてもみなさい。あれはおまえの弟なのだよ。死んだと思ってあきらめていたのが、無事に帰って来たのだ。いなくなっていたのが見つかったのだから、お祝いするのはあたりまえではないか。』」
+
+
+ さてイエスは、弟子たちにも話をされました。「ある金持ちが会計の管理者を雇いました。ところが、この管理者はずる賢い男で数字をごまかしている、といううわさを聞きました。
+ さっそく金持ちは彼を呼びつけて、言いました。『帳簿をごまかしているという、もっぱらのうわさだ。なんということをしたのか。もう任せておけないから、やめてもらおう。報告書を出しなさい。』
+ 男は考え込みました。『さて、どうしたものか。首になるのは時間の問題だ。力仕事はできないし、かといって、物ごいをするのも恥だ。
+ 待てよ。そうだ、こうしよう。これなら、いつ首になっても、みんなが面倒を見てくれるに違いない。』
+ どうしたかというと、彼は雇い主からお金を借りている人を一人一人呼び出して、話し合ったのです。まず、最初の人とはこんなぐあいに。『主人にいくら借りがありますか。』
+ 『オリーブ油百バテ(三千五百リットル)です。』『そうですか。これが証文ですね。さあ、これを破って。代わりに、その半分を借りたという証文を書くのです。』
+ 次の人にも同じように、『あなたの借りはどのくらいですか。』『小麦百コル(三十トン)です。』『いいでしょう。では、新しく八十コルの証文を書いてください。これと取り替えてあげるから。』
+ この抜け目のなさには、さすがの金持ちも舌を巻き、うまいやり方だ、とほめないわけにはいきませんでした。確かに、この世の人々のほうが、神を信じる者たちよりずっと抜け目がないのです。
+ 不正の富を利用してでも、親しい友をつくりなさい。そうしておけば、富がなくなった時、親切にしてやった人たちが、永遠の天の住まいに迎え入れてくれるでしょう。
+ 小さなことに忠実な人は、大きなことにも忠実です。小さなことに不忠実な人は、大きな責任を与えられても、忠実に果たすことはできません。
+ この世の富も任せられない人に、どうして、天にあるほんとうの富を任せることができるでしょう。
+ 他人の富に忠実でなかったら、自分の富さえ任せてもらえないのです。
+ だれも、二人の主人に仕えることはできません。一方を憎んで他方に忠実であるか、あるいは、一方を重んじて他方は軽んじるようになるからです。神と富の両方に仕えることはできないのです。」
+ 何よりもお金に目のないパリサイ人たちは、この話を聞いて、イエスをあざけりました。
+ そんな彼らに、イエスはおっしゃいました。「あなたがたは、人前ではいかにも上品でうやうやしい態度をとっています。しかし神は、あなたがたの悪い心をお見通しです。いくら人の目をごまかし、賞賛を受けても、神には憎まれるのです。
+ バプテスマのヨハネが現れて教えを説き始めるまで、モーセの律法と預言者たちのことば(旧約聖書)が、あなたがたの指針でした。しかしヨハネ以後は、神の国の福音が宣べ伝えられ、大ぜいの人がむりにでも入ろうと、押し合いへし合いしています。
+ しかし、律法の一つでも効力を失ったわけではありません。たとえ天地が滅びようと、律法はびくともしないのです。
+ だれでも、妻を離縁してほかの女と結婚する者は、姦通罪を犯すことになり、夫に離縁された女と結婚する者も同罪なのです。」
+ イエスは話を続けられました。「ある金持ちがいました。きらびやかな服を着、ぜいたく三昧の暮らしでした。
+ ある日のこと、その家の門前に、ひどい病気にかかったラザロという物ごいが横になっていました。
+ 金持ちの家の食べ残しでもいい、とにかく食べ物にありつきたいと思っていたのです。かわいそうに、犬までがおできだらけのラザロの体をなめ回しています。
+ やがて彼は死にました。天使たちに連れられて行った先は、生前神を信じ、正しい生活を送った人たちのところでした。そこで、アブラハムのそばにいることになったのです。そのうち、あの金持ちも死んで葬られましたが、
+ 彼のたましいは地獄に落ちました。苦しみあえぎながら、ふと目を上げると、はるかかなたにアブラハムといっしょにいるラザロの姿が見えます。
+ 金持ちはあらんかぎりの声を張り上げました。『アブラハム様! どうぞお助けを。お願いでございます。ラザロをよこし、水に浸した指先で、ほんのちょっとでも舌を冷やさせてください。この炎の中で、苦しくてたまりません。』
+ しかし、アブラハムは答えました。『思い出してみなさい。おまえは生きている間、ほしい物は何でも手に入れ、思うままの生活をした。だがラザロは、全くの無一物だった。それで今は反対に、ラザロは慰められ、おまえは苦しんでいる。
+ それに、そちらとの間には大きな淵があって、とても行き来はできないのだ。』
+ 金持ちは言いました。『ああ、アブラハム様。それならせめて、ラザロを私の父の家にやってください。
+ まだ五人の兄弟が残っているのです。彼らだけは、こんな目に会わせたくありません。どうぞ、この恐ろしい苦しみの場所があることを教えてやってください。』
+ 『それは聖書が教えていることではないか。その言うことを聞くべきです。』
+ 金持ちはあきらめません。『でも、アブラハム様。彼らは聖書を読みたがらないのです。ですが、もしだれかが死人の中から遣わされたら、彼らも罪深い生活を悔い改めるに違いありません。』
+ アブラハムはきっぱり言いました。『モーセと預言者たちのことばに耳を貸さないのなら、だれかが生き返って話したところで、彼らは聞き入れないだろう。』」
+
+
+ ある日のこと、イエスは弟子たちにお話しになりました。「罪を犯させようとする誘惑は、いつもあなたがたにつきまとっています。誘惑する者はいまわしいものです。
+ これら小さい者の心につまずきを与える者は、首に大きな石をくくりつけられて、海に投げ込まれるほうがましです。
+ いいですか。友達が罪を犯したら、注意してあげなさい。そして悔い改めたら、赦してあげなさい。
+ あなたに対して日に七度罪を犯しても、そのたびに『悪かった。赦してくれ』とあやまるなら、赦してあげなさい。」
+ ある日、使徒たちが主に、「もっと信仰が強くなりたいのですが、どうしたらいいでしょう」と尋ねました。
+ イエスの答えはこうでした。「ほら、あそこに桑の木があるでしょう。ほんの小さな、からし種ほどの信仰でもあれば、あの木を根こそぎ海の中へ投げ込むことぐらい簡単なことです。そう命令しさえすれば、たちまちそのとおりになります。
+ ところで、畑を耕すか、羊の番をするかして一日中働いた奴隷が、帰って来るなりどっかと腰をおろし、食事を始めるなどということがあるでしょうか。まず主人の食事のしたくをし、給仕をすませ、それから自分の食事をするのが普通です。しかも、そうしたからといって取り立てて感謝されるわけでもありません。当然のことをしただけです。
+ あなたがたがわたしに従って来るのも同じことです。『私たちはただ、するべきことを果たしているにすぎないのです』と言いなさい。」
+ 一行はエルサレムを目指して進み、途中サマリヤとガリラヤの境を通りました。
+ ある村に入ると、十人のツァラアトの人がずっと向こうのほうから、
+ 「イエス様! どうぞお助けを!」と大声で叫んでいました。
+ イエスはそちらに目をやり、「さあ、祭司のところへ行き、ツァラアトが治ったことを見せてきなさい」と言われました。彼らがそのとおり出かけて行くと、途中でツァラアトはきれいに治りました。
+ その中の一人が、イエスのところに引き返し、足もとにひれ伏して、「ありがとうございます。おっしゃるとおり、すっかりよくなりました。神様に栄光がありますように」と言いました。実はこの人は、ユダヤ人から軽蔑されていたサマリヤ人でした。
+ 「はて、十人全部がいやされたはずだが、ほかの九人はどうしたのですか。
+ 神を賛美するために帰って来たのは、この外国人のほかにはいないのですか。」
+ こう言ってから、イエスはその男に、「さあ、立って帰りなさい。あなたの信仰があなたを治したのです」と言われました。
+ ある日、パリサイ人たちがイエスに尋ねました。「神の国はいったい、いつ来るのですか。」イエスは答えて言われました。「神の国は、目に見える形では来ません。
+ 『ここに来た』とか、『あそこに来た』とか言えるものではないのです。はっきり言いましょう。神の国は、あなたがたの中にあるのです。」
+ そのあとで、イエスは神の国についてもう一度、弟子たちにお話しになりました。「まもなく、一日でいいから、わたしといっしょにいたいと願っても、もういっしょにいられない日が来ます。
+ その時にはまた、『主が帰って来られた。ここにおられるぞ』とか、『いや、あそこだ』というふうに、情報が乱れ飛ぶでしょう。そんなうわさを信じたり、彼らの扇動に乗ってあとを追いかけたりしてはいけません。
+ わたしが帰って来る時には、はっきりわかるからです。ちょうど、いなずまが空の端から端までひらめき渡るように、一目瞭然なのです。
+ しかしその前に、わたしはひどい苦しみを受け、この国の人々全部から、つまはじきにされなければなりません。
+ わたしが帰って来る時、人々は、かつてのノアの時代のように、神のことなどにはまるで無関心でしょう。
+ ノアが箱舟に入り、洪水が押し寄せ、何もかも滅ぼし尽くすまで、人々は飲んだり、食べたり、結婚したり、いつもと変わらない生活をしていました。
+ また、ロトの時代の人々とも比べることができるでしょう。当時も、人々はいつもと同じように、食べたり飲んだり、売ったり買ったり、植えたり建てたりの生活をしていましたが、
+ ロトがソドムの町を抜け出した日に、火と硫黄が天から降り注ぎ、一人残らず滅ぼされてしまったのです。
+ わたしが再び来る時も同じです。その瞬間まで、すべてがいつものとおりなのです。
+ その日、外出中の者は、荷物を取りに家へ戻ってはいけません。畑で働いている者も、家に帰ってはいけません。
+ ロトの妻がどんな目に会ったか、思い出しなさい。
+ だれでも、いのちにしがみつく者はそれを失い、いのちを捨てる者がかえってそれを自分のものにできるのです。
+ よく言っておきます。その夜二人の男が一つの部屋に寝ていると、一人は天に上げられ、一人は残されます。
+ 家事をしている二人の女のうち、一人は天に上げられ、一人は残されます。また、畑でいっしょに働いている二人の男も同様です。」
+ 「主よ。どこでそんなことが起こるのですか。」「死体のあるところに、はげたかも集まるのです。」
+
+
+ ある日、イエスは弟子たちに、いつでも祈り、また答えられるまで祈り続けることを教えようと、一つのたとえを話されました。
+ 「ある町に、少しも神を恐れず、人を人とも思わない裁判官がいました。
+ 同じ町に住む一人の未亡人が、たびたびこの裁判官のところへ押しかけ、『訴えられて困っています。どうか私を守ってください』と願い出ました。
+ 裁判官はしばらくの間、相手にしませんでしたが、あまりのしつこさに我慢できなくなり、心の中でこう考えました。『私は神だろうが人間だろうがこわくないが、あの女ときたらうるさくてかなわない。しかたがない。裁判をしてやることにしよう。そうすれば、もうわずらわしい思いをしなくてすむだろう。』」
+ 主は続けて言われました。「このように、悪徳裁判官でさえ音を上げてしまうのなら、
+ まして神は、昼も夜もひたすら訴え続ける信者たちを、必ず正しく取り扱ってくださるはずです。そうは思いませんか。
+ 神はすぐにも答えてくださるのです。ただ問題は、メシヤのわたしが帰って来る時、いったいどれだけの人が信仰を持って祈り続けているかです。」
+ それから、自分を正しい者とし、他人を軽蔑する人たちに、こんな話をなさいました。
+ 「二人の男が祈るために神殿へ行きました。一人は自尊心が強く、あくまで自分を正しいと主張するパリサイ人、もう一人は、人のお金をだまし取る取税人でした。
+ パリサイ人は心の中で祈りました。『神様。ありがとうございます。私はほかの人々、特に、ここにいる取税人のような罪人ではありません。人をだましたこともなければ、姦淫したこともありません。
+ 一週間に二回は必ず断食し、全収入の十分の一もきちんと献金しています。』
+ 一方、取税人は遠く離れて立ち、目を伏せ、悲しみのあまり胸をたたきながら、『神様。罪人の私をあわれんでください』と叫びました。
+ よく言っておきますが、罪を赦されて帰ったのは、パリサイ人ではなく、この罪人のほうです。高慢な者は卑しい者とされ、謙遜な者には大きな名誉が与えられるのです。」
+ ある日のことです。イエスにさわって祝福していただこうと、人々が子どもたちを連れて来ました。ところが弟子たちはそれを見て、じゃまだとしかりました。
+ するとイエスは、子どもたちを呼び寄せ、弟子たちに言われました。「いいから、子どもたちを自由に来させなさい。追い返してはいけません。
+ 神の国は、この子どもたちのように、素直に信じる心を持っている人たちのものなのです。」
+ ある時、一人のユダヤ教の指導者がイエスに尋ねました。「先生。あなたは尊いお方です。そこでお聞きしたいのですが、永遠のいのちを受けるにはどうすればよいのでしょう。」
+ 「わたしのことを『尊い』と言うのですか。それがどういうことか、わかっていますか。尊い方は、ただ神お一人だけです。
+ それはそれとして、質問に答えましょう。モーセの戒めはよく知っていますね。『姦淫してはいけない。殺してはいけない。盗んではいけない。うそをついてはいけない。父と母を敬え』とあります。」
+ すると、彼は言いました。「子どものころから、戒めはきちんと守ってきました。」
+ 「でも、あなたには一つだけ欠けたところがあります。財産を全部売り払って、貧しい人たちに分けてあげなさい。天に宝をたくわえるのです。それから、わたしについて来なさい。」
+ このイエスのことばに、その人は肩を落として立ち去りました。たいへんな金持ちだったからです。
+ そのうしろ姿を見つめていたイエスは、弟子たちに言われました。「金持ちが神の国に入るのは、なんとむずかしいことでしょう。
+ それよりは、らくだが針の穴を通るほうが、よほどやさしいのです。」
+ これには弟子たちも驚き、思わずことばを返しました。「そんなにむずかしいのですか。だとしたら、救われる人などいるでしょうか。」
+ 「人にはできません。だが、神にはできるのです。」
+ すかさずペテロが口をはさみました。「私たちは家も捨てて、お従いしました。」
+ 「そうです。あなたがたのように、神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子どもを捨てた者はだれでも、
+ この世ではその何倍もの報いを受け、やがて来る世では、永遠のいのちまでいただけるのです。」
+ ここでイエスは、十二人の弟子たちをそばに呼び寄せ、特に言って聞かせました。「あなたがたも知っているように、わたしたちはエルサレムへ行くところです。そこで、昔の預言者たちのことばどおりのことが、わたしの身に起こります。
+ わたしは外国人の手に渡され、あざけられ、侮辱され、つばをかけられ、
+ むち打たれ、ついには殺されますが、三日目に復活するのです。」
+ ところが弟子たちには、イエスの言われることが全く理解できず、「先生はきっと、なぞをかけておられるのだろう」としか考えられませんでした。
+ ほどなくエリコという町に近づくと、盲人が一人、道ばたに座り込み、通りがかりの人に物ごいをしていました。
+ 大ぜいの人があわただしく通り過ぎ、あたりの様子がざわついてきたので、いったいどうしたのかと思った盲人は、そばにいた人をつかまえて尋ねました。
+ すると、ナザレのイエスがお通りになると言います。
+ 盲人は、この時とばかり大声で訴えました。「イエス様! ダビデ王の子よ! どうぞ、私にあわれみを!」
+ イエスの前を進んで来た人たちが黙らせようとしましたが、そうすればするほど、ますます大声で叫び立てます。「ダビデ王の子よ! あわれみを!」
+ その時、イエスは足を止め、「あの人を連れて来なさい」と言われました。
+ それから、彼にお尋ねになりました。「わたしにどうしてほしいのですか。」「主よ。見えるようになりたいのです!」
+ 「さあ、見えるようになりなさい。あなたの信仰があなたを治したのです。」
+ その瞬間、彼の目は見えるようになりました。そして、心から神をほめたたえながら、イエスについて行きました。この出来事を見ていた人たちもみな、神を賛美しました。
+
+
+ それからイエスはエリコに入り、町をお通りになりました。この町には、ローマに収める税金を取り立てる仕事をしているザアカイという男がいました。取税人の中でもとりわけ権力をふるっていた大金持ちでした。
+ このザアカイも、ひと目イエスを見ようと思いましたが、背が低かったので、いくら背伸びをしても、人垣のうしろからは何も見えません。
+ そこで、ずっと先のほうに走って行き、道ばたにあったいちじく桑の木によじ登って、見下ろしていました。
+ やがて、そこへ差しかかったイエスは足を止め、ザアカイを見上げると、「ザアカイ。早く降りてきなさい。今晩はあなたの家に泊めてもらうつもりでいますから」と言われました。
+ ザアカイはびっくりして、急いで降りると、大喜びでイエスを家に迎えました。
+ これを見ていた人々の心中は、おだやかではありません。「なにも、あの札つきの悪党の家の客にならなくても……」と言って、つぶやきました。
+ しかし、ザアカイは主の前でこう告白しました。「先生。今からは、財産の半分を貧しい人たちに分けてあげます。税金を取り過ぎた人たちには、四倍にして払い戻します。」
+ イエスは言われました。「その告白こそ、今日この家に救いが来たことのあかしです。この人も迷い出たアブラハムの子どもの一人なのだから。メシヤ(救い主)のわたしは、このような人を捜し出して救うために来たのです。」
+ イエスがいよいよエルサレムに近づくのを見て、今すぐにでも神の国が実現するのではないか、と早合点した人々がいました。その誤解を正そうと、イエスは一つのたとえ話をなさいました。
+ 「ある所に身分の高い人が住んでいました。やがてその地方の王に任命されるため、遠くの都に出かけることになりました。
+ そこで、出発前に十人の家来を呼び寄せ、留守中に事業を始めるように、めいめいに一ミナ(一ミナは当時の約百日分の賃金に当たる)ずつ渡しました。
+ ところがそこの住民の中には、その人が王になるのを快く思わない人々があり、反対の声を送りつけました。
+ さて、その人は王位を受けて帰ると、さっそく資金を預けた家来たちを呼び集め、報告をさせました。
+ 最初の家来は、元金の十倍というすばらしい利益をあげたことを報告しました。
+ 王は非常に喜び、『よくやった! 感心なやつだ。少しばかりのものにも忠実に励んでくれた。ほうびに、十の町を治めさせよう』と言いました。
+ 次の家来が進み出て、元金の五倍の利益をあげたことを報告しました。
+ 『よくやった! おまえには五つの町を治めてもらおう。』王は上きげんで言いました。
+ ところが、三番目の家来は、預かった資金をそっくりそのまま差し出すではありませんか。『私はお金を大切に保管しておきました。
+ せっかくもうけても、横取りされてしまうのではつまりません。あなたはほんとうにひどい方で、ご自分のものでないものまで取り立て、他人の作った穀物さえ取り上げる方ですから。』
+ 王は激しく怒って言いました。『なんて悪いやつだ! わしが、そんなにひどい人間だと言うのか。それほどよくわかっていたのなら、
+ なぜ銀行に預けておかなかったのか。そうすれば、利息ぐらいついたのに。』
+ 王は側近の者たちに、『さあ、彼から金を取り上げ、一番多くもうけた者に与えなさい』と命じました。
+ 『ですが王様。あの者はもうすでに、たくさん持っていますが。』
+ 王は言いました。『そのとおり。しかし、持っている者はさらに多く与えられ、持っていない者は、そのわずかな物さえ失ってしまうのだ。
+ それから、謀反を起こした者たちはすぐここに連れて来て、わしの目の前で殺してしまえ。』」
+ 話を終えると、イエスは先頭に立ち、エルサレムに向かわれました。
+ 一行がオリーブ山のふもとのベテパゲとベタニヤの村に近づいた時、イエスは、先に二人の弟子を使いに出して、こう指示されました。
+ 「さあ、あの村へ行って、道ばたにつないであるろばの子を捜しなさい。まだだれも乗ったことのないろばの子です。見つけたら、綱をほどいて連れて来るのです。
+ もしだれかにとがめられたら、『主がお入用なのです』とだけ答えなさい。」
+ 二人は、言われたとおりろばの子を見つけました。
+ 綱をほどいていると、持ち主が来て、「何をしているのだ。おれたちのろばの子をどうしようというのだ」と聞きただしました。
+ 弟子たちは、「主がお入用なのです」と答え、
+ ろばの子を連れて来ました。そして、その背中に自分たちの上着を敷き、イエスをお乗せしました。
+ イエスがろばの子に乗って進んで行かれると、大ぜいの人が次々と上着を脱ぎ、道に敷いて並べました。この一団がオリーブ山のふもとに差しかかった時、群衆の中から大きな声が上がりました。イエスが行われたすばらしい奇跡のことで、神を賛美し始めたのです。
+ 「神がお立てくださったわれらの王に祝福があるように。天よ、喜べ。いと高き天で、神に栄光があるように。」
+ 群衆の中にいたパリサイ人たちは、これが気に入りません。「先生。あんなことを言ってます。しかってください。」
+ ところが、イエスはお答えになりました。「その人たちが黙っても、道ばたの石が叫びだします。」
+ さらにエルサレムに近づいた時、イエスは都をごらんになり、都のために涙をこぼされました。
+ 「永遠の平和がすぐ手の届くところにあったのに、この町はそれをはねつけてしまいました。もう遅すぎます。
+ 敵が城壁に土塁を築き、町を包囲し、攻め寄せ、
+ 子どもたちもろとも地面にたたきつけるでしょう。一つの石もほかの石の上に残らないほど、完全に破壊されます。この町は神の訪れの時を知らなかったからです。」
+ このあと、イエスは宮(神殿)に入り、境内で商売していた者たちを追い出しにかかりました。そして、強い調子で言われました。
+ 「聖書に、『わたしの家(神殿)は祈りの家と呼ばれる』と、はっきり書いてあるではありませんか。それなのに、あなたがたは強盗の巣にしてしまったのです。」
+ その日からイエスは、毎日、宮で教え始められました。一方、祭司長や他の宗教的指導者、それに町の実力者たちは、イエスを殺すうまい方法はないかと、機会をねらっていましたが、
+ 手出しができませんでした。民衆がみな、イエスを英雄視し、イエスの話に熱心に耳を傾けていたからです。
+
+
+ ある日、イエスが宮の中で人々を教え、福音を宣べ伝えておられると、祭司長や他の宗教的指導者たちが、イエスと対決しようとやって来ました。
+ 彼らは、何の権威で商人たちを宮から追い出したのか、とイエスに詰め寄りました。
+ イエスはお答えになりました。「答える前に、まず、わたしから質問します。
+ バプテスマのヨハネは神に遣わされて来たのですか。それとも、ただ自分の考えを主張しただけですか。」
+ 彼らは集まって、ひそひそ相談しました。「ヨハネの語ったことが神からの教えだと答えたら、なぜ信じなかったのかと言われるだろう。
+ かといって、神からでないと答えるわけにもいくまい。そんなことをしたら、今度は群衆が襲いかかって来るだろう。みな、ヨハネを預言者だと信じ込んでいるから。」
+ そこで彼らは、「わかりません」と答えました。
+ イエスは、「そうですか。では、わたしも答えません」とおっしゃいました。
+ それから、イエスはまた人々のほうを向き、次のようなたとえを話されました。「ある人がぶどう園を造り、それを数人の農夫に貸して外国へ行き、長いことそこに住んでいました。
+ やがて、収穫の季節になりました。主人は代理の者をやり、自分の分を受け取ろうとしました。ところが、農夫たちはどうしたでしょう。代理人を袋だたきにし、手ぶらで追い返したのです。
+ また別の代理人を送りましたが、彼もまた袋だたきにされ、さんざん侮辱されたあげく、手ぶらで追い返されました。
+ 三人目の代理人も同じで、傷を負わされ、やっとの思いで逃げ帰りました。
+ 考えあぐねた主人は、一人つぶやきました。『いったい、どうしたものか。そうだ、かわいい息子をやろう。息子なら、きっと農夫たちも一目おくに違いない。』
+ ところが、当の農夫たちは、主人の息子が来るのを見て、『おい、絶好のチャンスだぞ。あれは跡取り息子だ。さあ、あいつを殺そう。そうすれば、ぶどう園はおれたちのものだ』とささやき合いました。
+ そのことばどおり、農夫たちは息子をぶどう園の外に引きずり出し、殺してしまいました。さて、主人はどうするでしょう。
+ 今度は自分で乗り込み、悪い農夫たちを皆殺しにし、ぶどう園はほかの人たちに貸すに決まっています。」この話を聞いていた人たちは、「そんな恐ろしいことがあるなんて、とても考えられません」と答えました。
+ しかしイエスは、人々の顔を見回しながら、おっしゃいました。「では、聖書に、『建築士たちの捨てた石が、最も重要な土台石となった』と書いてあるのは、どういう意味ですか。」
+ さらにことばを続け、「この石につまずく者はみな、打ち砕かれます。反対に、この石が落ちてくれば、だれもかれも粉みじんになります」と言われました。
+ 祭司長や宗教的指導者たちは、この話を聞いて、その悪い農夫が自分たちを指していることに気づき、すぐにもイエスを捕らえたいと思いました。しかし群衆の暴動がこわくて、どうにもできません。
+ そこで、ローマ総督に逮捕の理由として報告できるようなことを、何とかしてイエスに言わせようとしました。こうして機会をねらっていた彼らは、良い人物を装った回し者をイエスのもとに送り、
+ こう質問させました。「先生。私どもは、あなたがどんなに正しい教師かよく承知しております。あなたはいつも真理を語り、分け隔てなく、神の道を教えておられます。
+ それで、ぜひお教えいただきたいのですが、ローマ政府に税金を納めるのは正しいことでしょうか。それとも正しくないことでしょうか。」
+ 彼らの計略は見えすいていました。イエスは言われました。
+ 「銀貨を見せなさい。ここに刻まれているのは、だれの肖像、だれの名前ですか。」「カイザル(ローマ皇帝)のです。」
+ 「それなら、皇帝のものは、皇帝に返せばいいでしょう。しかし、神のものはみな、神に返さなければなりません。」
+ 公衆の面前でイエスのことばじりをとらえようとするたくらみは、みごと失敗に終わりました。彼らはイエスの答えに恐れ入り、返すことばもありませんでした。
+ 次にやって来たのは、人は死んでしまえばそれまでで、復活などありえないと主張していたサドカイ人(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)たちでした。
+ 「モーセの律法には、もしある人が子どものないまま死んだら、その弟は残された未亡人と結婚しなければならず、二人の間にできた子どもは、法律的には死んだ者の子として家を継ぐ、と書いてあります。
+ ところで、七人兄弟がいたとします。長男は結婚しましたが、子どもがないまま死んだので、
+ 次男がその未亡人と結婚しました。ところが、彼も子どもができずに死にました。
+ こうして、兄弟が次々にこの未亡人と結婚したのですが、七人とも子どもがないまま死にました。
+ 最後に、未亡人も死にました。
+ そこでお尋ねしたいのですが、この女は復活の時、いったいだれの妻になるのでしょう。兄弟みなが彼女と結婚したのですが。」
+ イエスは言われました。「結婚とは、この地上に住む人たちのものです。死から復活したのちに、天国へ行く資格があると認められた人たちは、結婚などしません。
+ 二度と死ぬこともありません。この点では、天使と変わりなく、また、死人の中から新しいいのちへと復活したのですから、神の子どもなのです。
+ しかし、あなたがたがほんとうに聞きたいのは、復活があるかないかということでしょう。モーセ自身は何と書き残していますか。燃えさかる柴の中に現れた神とお会いした時、モーセは神を、『アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』
+ と呼びました。主を彼らの神と呼んでいる以上、彼らは生きているはずです。神は死んだ者の神ではありません。神に対して、みなが生きているのです。」
+ その場にいた律法の専門家たちは、「先生。非の打ちどころのないお答えです」と言い、
+ それ以上、尋ねようとはしませんでした。
+ すると今度は、イエスが質問なさいました。「あなたがたはどうして、キリストをダビデの子だと言うのですか。
+ ダビデ自身が、聖書の詩篇の中でこう歌っています。『神が私の主に言われた。「わたしがあなたの敵をあなたの足の下に置くまで、わたしの右に座っていなさい。」』
+ キリストはダビデの子であると同時に、ダビデの主なのです。」
+ 人々がイエスのことばに耳を傾けていると、イエスは弟子たちに言われました。
+ 「ユダヤ教の学者たちを警戒しなさい。彼らはぜいたくな着物を着て歩き回り、通りで人々からていねいなあいさつを受けるのが何より好きです。また会堂や宴会で、上座に着くのも大好きです。
+ うわべは、さも信心深そうに、長々と祈りますが、実際は、未亡人をだまして財産をかすめ奪おうとしています。こういう人々には、神から最もきびしい罰が下るのです。」
+
+
+ さて、宮の中でのことです。イエスは、金持ちたちが次々と献金箱に献金を投げ込む様子を見ておられました。
+ そこへ貧しい身なりの末亡人がやって来て、レプタ銅貨(最小単位の銅貨)を二個そっと投げ入れました。
+ それを見たイエスは、「この女は、だれよりも多くささげたのです。
+ ほかの人たちはあり余る中からほんのわずかだけささげたのに、この女は、乏しい中から持っている全部をささげたからです」と言われました。
+ 弟子たちの何人かが、宮のすばらしい石細工や壁の装飾に目を奪われ、感心していました。
+ するとイエスは、彼らに言われました。「今は賞賛の的になっているこれらのものが、一つも崩れずにほかの石の上に残らないほど完全に破壊され、瓦礫の山となる日がもうすぐ来ます。」
+ 驚いた弟子たちが質問しました。「いつのことですか! その前に、何か前兆があるのでしょうか。」
+ イエスはお答えになりました。「だれにもだまされないようにしなさい。『私がキリストだ。今こそ時が来た』と言う者が大ぜい現れるからです。そういう人々を信じてはいけません。
+ また、戦争や暴動が始まったということを聞いても、あわてふためかないようにしなさい。戦争は必ず起こりますが、すぐに終わりが来るわけではありません。
+ 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、
+ すさまじい地震が起こり、多くの国がききんに見舞われ、伝染病が流行し、恐ろしい異変が天に現れます。
+ しかし、これらのことが起こる前に、まず大きな迫害の時代が来ます。あなたがたは、わたしを信じているばかりに、会堂や牢獄、王や総督の前に引き立てて行かれます。
+ その結果、かえってメシヤ(救い主)のことが広く知られ、あがめられるようになるのです。
+ だから、人々の訴えにどう釈明しようかと心配してはいけません。
+ 答えることは、わたしが教えてあげます。どんな反対者も反論できないことばと知恵です。
+ 最も身近な両親、兄弟、親類、友人までもがあなたがたを裏切るようになるでしょう。中には殺される者もあります。
+ わたしの弟子だというので、みながあなたがたを憎むようになるでしょう。
+ しかし、あなたがたの髪の毛一本さえ失われることはありません。
+ 忍耐して忍び通せば、いのちを得るのです。
+ しかし、エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たら、滅びの時が来たと思いなさい。
+ ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。エルサレムにいる人たちは市外へ逃げなさい。地方の人たちは都に逃げ込んではいけません。
+ 神のさばきの日だからです。預言者が書いた聖書のことばどおりのことが起こるのです。
+ その日、妊娠している女と乳飲み子をかかえた母親はかわいそうです。この国に大きな苦難がふりかかり、神の怒りが下るからです。
+ 人々は敵の手にかかって、むごい殺され方をするでしょう。また、捕虜となって多くの国々に連れ去られたり、追放されたりする人もいます。エルサレムは占領され、神の恵みの時が来て、外国人の勝利の期間が終わるまで、彼らに踏みにじられるのです。
+ それから、天に不思議な現象が起こります。太陽と月と星には不吉な前兆が現れ、地上では荒れ狂う海と高潮のために、諸国民はおじ惑います。
+ 人々は、何かとてつもなく恐ろしいことが起こるのではないかという不安にかられ、意気阻喪します。不動と信じられていた天が揺れ動くのですから、むりもありません。
+ その時、地上にいる人々は、メシヤのわたしが雲に乗り、力と輝かしい栄光を帯びてやって来るのを見るでしょう。
+ いま言ったようなことが起こり始めたら、しっかりと立ち、天を見上げなさい。救いの時が近づいているのです。」
+ このあとイエスは、人々にたとえで話されました。「いちじくの木やほかの木を注意して見ていなさい。
+ 葉が出てくれば、ああ、もうすぐ夏だなと思うでしょう。
+ 同じように、こうした現象が起こるのを見たら、神の国はもうそこまで来ていると考えなさい。
+ はっきり言いましょう。これらのことが全部起こってから、世の終わりが来るのです。
+ 天と地とは消えてなくなります。けれどもわたしのことばは、永遠に真実なものとして残るのです。
+ 気をつけなさい。わたしは不意に来ます。その時になって、あわてふためかないようにしなさい。遊び騒いだり、酒におぼれたり、この世の心配事のために駆けずり回ったりしている姿を見られないようにしなさい。
+ 少しも油断してはいけません。こんな恐ろしい目に会わずにわたしの前に出られるように、熱心に祈っていなさい。」
+ イエスは毎日、宮で教えておられました。人々は朝早くから、話を聞こうと集まって来ました。そして夜になると、イエスはオリーブ山に戻って行かれました。
+
+
+ パン種を入れないパンを食べる、ユダヤ人の過越の祭りが近づいていました。
+ 祭司長や他の宗教的指導者たちは、何とかしてイエスを殺そうと、あれこれ陰謀を巡らしていました。群衆の暴動を引き起こさずにイエスを葬り去る方法がないものかと、やっきになっていたのです。
+ さて、十二人の弟子の一人イスカリオテのユダの心に、サタンが忍び込みました。
+ ユダは祭司長や神殿の警備隊長たちのところへ出かけ、イエスを彼らに売り渡すのに、一番よい方法を相談しました。
+ 彼らは大喜びし、ユダに報酬を与える約束をしました。
+ それでユダは、群衆が回りにいない時に、ひそかにイエスを逮捕させようと、チャンスをうかがい始めました。
+ さて、過越の小羊を種を入れないパンといっしょに食べる、その日になりました。
+ イエスはペテロとヨハネを先に遣わして、過越の食事をする場所を探させました。
+ 「どこへ行けば、よろしいでしょう。」
+ 「エルサレムに入るとすぐ、水がめを運んでいる男に出会うから、そのあとについて行きなさい。
+ 彼が入った家の主人に、『私どもの先生が、弟子たちといっしょに過越の食事のできる客間を見せていただきたい、と申しておりますが』と言いなさい。
+ 主人は、用意万端ととのった二階の広間を見せてくれるでしょう。そこで食事の用意をしなさい。さあ、急いで。」
+ 二人が町に行ってみると、何もかも言われたとおりです。こうして、食事の準備はできあがりました。
+ やがて時間になり、一同は、その広間でそろって食卓に着きました。
+ まず口火を切ったのはイエスです。「苦しみの始まる前に、ぜひ、いっしょに過越の食事をしたいと思っていました。
+ あなたがたに言いますが、神の国で過越が実現するまで、わたしは二度と過越の食事をとることはありません。」
+ それから、ぶどう酒の杯を取り、感謝の祈りをささげてから、こう言われました。「これを分け合いなさい。
+ わたしは神の国が来るまで、もうぶどう酒を飲むことはありません。」
+ 次にパンを取り、神に感謝してから、それをちぎり、弟子たち一人一人に分け与えながら言われました。「これはあなたがたに与えるわたしの体です。わたしの記念として、これを食べなさい。」
+ 食事のあと、杯を弟子たちに渡して言われました。「この杯は、神があなたがたを救ってくださるという新しい契約を保証するものです。つまり、あなたがたのたましいを買い戻すために、わたしが流す血を表します。
+ しかし、この食事の席にいっしょに座っている一人が、わたしを裏切ります。
+ わたしは死ななければなりません。それが神のご計画なのです。しかし裏切り者には、どんな恐ろしいのろいが待ち受けていることでしょうか。」
+ 弟子たちは、そんなことをする者はいったいだれだろう、といぶかりました。
+ また彼らの間で、やがて実現する御国でだれが一番偉いかということで議論が起こりました。
+ イエスは、それを見て言われました。「この世では、王や高官たちが支配者として権力をほしいままにしています。
+ だが、あなたがたの間では違います。一番よく人に仕える人こそ、よく人を治める人になるのです。
+ この世では、主人が食卓に着き、召使に給仕をさせます。しかし、あなたがたの間では、このわたしが給仕をするのです。
+ それにしてもあなたがたは、わたしにふりかかったさまざまの試練の時に、よくいっしょに耐え抜いてくれました。
+ だから、父がわたしに御国をお任せくださったように、わたしも、あなたがたにすばらしい特権をあげましょう。
+ 御国でわたしの食卓に着き、共に食事をする特権、また王座に座って、イスラエルの十二の部族をさばく特権です。
+ シモン、シモン。いいですか。サタンがあなたがたを麦のように、ふるいにかけることを願い出ました。
+ しかし、安心しなさい。あなたの信仰がなくならないように、祈ってあげました。だから、悔い改めて立ち直った時には、仲間の者たちもしっかり立てるように、力づけてやりなさい。」
+ するとシモンは言いました。「主よ、何をおっしゃるのです。牢獄までもついてまいります。ごいっしょに死ぬ覚悟もできております。」
+ 「ペテロよ。残念ですが、はっきり言います。明日の朝、鶏が鳴くまでに、あなたは三度、わたしを知らないと言うでしょう。」
+ それから、弟子たちにお尋ねになりました。「救いの福音を伝えようと、わたしがあなたがたを派遣した時、わずかのお金も、旅行袋も、着替えも持たせませんでした。その時、旅先で何か不自由しましたか。」「いいえ、何もありませんでした。」
+ 「しかし今は、手持ちの物があれば、旅行袋も財布も持って行きなさい。剣がなかったら、着物を売り払ってでも手に入れなさい。
+ 『彼は罪人の一人に数えられた』という預言どおりのことが、わたしに起こるのです。わたしについて言われたことは、必ずそのとおりになるのです。」
+ 「先生。剣なら二振りありますが。」「それで十分です。」
+ それから、イエスは弟子たちと連れ立って部屋を出て、いつものようにオリーブ山に行かれました。
+ 「誘惑に負けないように、神に祈りなさい。」
+ こう言い残すと、イエスは、石を投げれば届くあたりまで歩いて行き、ひざまずいて祈り始められました。「父よ。許していただけるなら、どうぞこの恐ろしい杯を取り除いてください。ですが、わたしの思いどおりにではなく、あなたのお心のままになさってください。」
+ この時、天から天使が現れ、イエスを力づけました。
+ イエスは苦しみもだえながら、いよいよ力を込めて祈られました。大粒の汗が、まるで血のしずくのようにしたたり落ちました。
+ ようやく立ち上がり、弟子たちのところに帰って来ると、弟子たちは悲しみのあまり、疲れ果てて眠り込んでいました。
+ 「どうして眠っているのですか。さあ、起きなさい。誘惑に負けないように、祈っていなさい。」
+ こう言い終わらないうちに、十二弟子の一人ユダに先導されて、大ぜいの群衆がやって来ました。ユダはイエスに駆け寄り、さも親しげに頰に口づけのあいさつをしました。
+ しかしイエスは、あわれむように、「ユダよ。口づけでメシヤを裏切るのですか」と言われました。
+ 事態の急変に取り乱した弟子たちは、「戦いましょう、先生。やつらをたたき切ってやりましょう!」と騒ぎだしました。
+ そして一人が、大祭司のしもべに襲いかかり、右の耳を切り落としました。
+ 「やめなさい。それ以上手向かってはいけません。」イエスはこう命じてから、そのしもべの傷口にさわって、いやされました。
+ 次に、群衆の先頭にいた祭司長、宮の警備隊長、ユダヤ人の指導者たちに向かって言われました。「剣やこん棒で武装をして来なければならないほど、わたしは凶悪犯なのですか。
+ わたしは毎日宮にいたのに、なぜそこで捕らえなかったのですか。しかし、今はあなたがたの時、サタンが勝ち誇る時なのです。」
+ 人々はイエスを捕らえ、大祭司の家に引っ立てました。遠くから、ペテロが恐る恐るあとをつけて行きました。
+ 家の中庭では、兵士たちがたき火を囲んで暖まっています。ペテロもその中にまぎれて座り込みました。
+ そのうち、一人の女中が火のあかりでペテロに気づき、「この人、イエスといっしょだったわ!」と叫びました。
+ 「と、とんでもない! そんな人は知らんよ。」ペテロはあわてて打ち消しました。
+ しばらくすると、ほかの男が、「いいや、おまえはやつらの仲間に違いない」と言い寄りました。「違う、違う。絶対そんなことはない。」ペテロは否定しました。
+ それから一時間ほどたって、また別の男が、「おまえは確かにイエスの弟子だ。その証拠に、二人ともガリラヤ人じゃないか」と言いました。
+ ペテロは夢中で否定しました。「何のことだ! さっぱりわからない。」ペテロがこう言い終わらないうちに、鶏の鳴き声が聞こえました。
+ その瞬間、イエスはふり向き、ペテロを見つめました。ペテロは、はっと我に返りました。「明日の朝、鶏が鳴くまでに、あなたは三度、わたしを知らないと言うでしょう」と言われたイエスのことばを思い出したのです。
+ ペテロは外へ走り出て、泣きくずれました。
+ さて、見張りの警備員たちは、イエスをからかい始めました。目隠しをしては、こぶしでなぐり、「おい、今なぐったのはだれだ。当ててみろよ、預言者様」とはやし立てるなど、
+ ありとあらゆる侮辱を加えました。
+ 夜が明けそめるころ、ユダヤの最高議会が開かれました。祭司長をはじめ、国中の指導者が勢ぞろいしています。そこへイエスは引き出され、
+ 尋問が始まりました。「ほんとうに、おまえはメシヤ(救い主)なのか。はっきり言いなさい。」イエスは言われました。「そうだと言ったところで、信じる気はないでしょう。釈明させるつもりも。
+ しかし、栄光のメシヤであるわたしが、全能の神の右の座につく時はもうすぐ来ます。」
+ 議会は騒然となり、尋問の声も荒立ってきました。「なに!あくまで神の子だと言いはるつもりか!」「そのとおりです。」イエスはお答えになりました。
+ 「これだけ聞けば十分だ! 彼の口から確かに聞いたのだから。」議員たちは叫びました。
+
+
+ 衆議一決し、全議員がそろって、イエスを総督ピラトのもとに連れて行きました。
+ そして口々に訴えました。「この男は、ローマ政府に税金を納めるなとか、自分こそメシヤだの、王だのと言って、国民を惑わした不届き者です。」
+ ピラトはイエスに問いただしました。「ほんとうに、おまえはユダヤ人のメシヤで、王なのか。」「そのとおりです。」
+ ピラトは祭司長や群衆のほうを向き、「この男には何の罪もないではないか」と言いました。
+ これを聞いて人々は、必死になって叫びました。「この男はガリラヤからエルサレムまで、ユダヤ全国で民衆をたきつけ、暴動を起こそうとしたんですよ!」
+ そこでピラトは、「では、この男はガリラヤ人なのか」と尋ね、
+ 人々がそうだと答えると、イエスをヘロデ王(ヘロデ‧アンテパス)のもとへ連行するように命じました。ガリラヤはヘロデの支配下にあり、その時ヘロデは、ちょうどエルサレムに滞在中だったからです。
+ イエスに会えて、ヘロデは大喜びでした。前々からイエスのうわさを耳にし、一度、イエスが行う奇跡を見てみたいと思っていたのです。
+ ヘロデはイエスを前にして、次から次へと質問をあびせました。ところがイエスは口をつぐみ、何一つ答えません。
+ 祭司長や他の宗教的指導者たちは、そばに立ち、激しい口調でイエスを訴えました。
+ ヘロデと部下の兵士たちは、さんざんイエスをばかにし、あざけったあげく、王が着るようなガウンを着せて、ピラトのもとに送り返しました。
+ それまで敵対していたヘロデとピラトがたいそう親しくなったのは、この日からです。
+ ピラトは、祭司長とユダヤ人の指導者たち、それに民衆もみないっしょに呼び出し、
+ 判決を言い渡しました。「おまえたちは、この男を、ローマ政府への反乱を指導したかどで訴えた。それでくわしく調べてみたが、そのような容疑事実はない。この男は無罪だ。
+ ヘロデも同じ結論に達し、私のもとに送り返してきた。この男は死刑にあたるようなことは何もしていない。
+ だから、むちで打ってから釈放しようと思う。」
+ しかし、人々はいっせいに叫び立てました。「そいつを殺せ! バラバを釈放しろ!」
+ バラバとは、エルサレムで政府転覆を図った罪と殺人罪とで投獄されていた男でした。
+ ピラトは、なんとかしてイエスを釈放しようと、なおも群衆を説得しましたが、
+ 彼らは聞き入れません。「十字架だ! 十字架につけろ!」と叫び続けるばかりです。
+ ピラトは、三度も念を押しました。「どうしてだ。この男がどんな悪事を働いたというのか。死刑を宣告する理由など見つからん。だから、むち打ってから釈放してやるつもりだ。」
+ それでも騒ぎはおさまりません。ますます大声で、イエスを十字架につけろと要求する群衆の声に、ついにピラトも負けてしまいました。
+ しかたなく彼らの要求どおりに、イエスに死刑を宣告し、
+ 反逆罪と殺人罪で投獄されていたバラバを釈放しました。一方、イエスのほうは、すぐに人々の手に渡し、彼らの好きなようにさせました。
+ 人々は、イエスを刑場に引いて行く途中、田舎からエルサレムに着いたばかりの、シモンというクレネ人にむりやり十字架を背負わせ、イエスのうしろから運ばせました。
+ 大ぜいの民衆や、イエスのことを悲しむ女たちがあとからついて行きます。
+ イエスは女たちのほうをふり向き、とぎれとぎれに言われました。「エルサレムの娘たちよ。わたしのために泣いてはならない。自分と、自分の子どもたちのために泣きなさい。
+ なぜなら、子どもを持たない女のほうが幸いと思う日が、すぐにでも来るのです。
+ その時、人々は山に向かって、『私たちの上に倒れて、押しつぶしてくれ!』と叫び、丘に向かって、『私たちを埋めてくれ!』と頼むでしょう。
+ 生木のわたしさえ、こんな目に会うとしたら、枯れ木同然の人たちには、いったい、どんなことが起こるでしょう。」
+ イエスだけでなく、ほかに二人の犯罪人が、「どくろ」と呼ばれる場所で処刑されるために、引いて行かれました。刑場に着くと、三人は十字架につけられました。イエスが真ん中に、二人はその両側に。
+ その時、イエスはこう言われました。「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、自分たちが何をしているのかわかっていないのです。」兵士たちがさいころを投げて、イエスの着物を分け合うのを、
+ 民衆はそばに立ってながめていました。一方、ユダヤ人の指導者たちもイエスをあざけり、「他人ばかり助けて、このざまは何だ。ほんとうに神に選ばれたメシヤなら、自分を救ってみろ!」と言いました。
+ 兵士たちは、酸っぱいぶどう酒を差し出しながら、
+ 「ユダヤ人の王様なら、自分を救ったらどうだ!」とからかいました。
+ 十字架のイエスの頭上には、「これはユダヤ人の王」と書いた罪状書きが掲げてありました。
+ イエスの横で十字架につけられていた犯罪人の一人が、「あんたはメシヤなんだってなあ。だったら、自分とおれたちを救ってもよさそうなもんだ。どうなんだ」とののしりました。
+ しかし、もう一人の犯罪人は、それをたしなめました。「この期に及んで、まだ神を恐れないのか! おれたちは悪事を働いたんだから、報いを受けるのはあたりまえだ。だが、このお方は悪いことは何もしなかったのだ。」
+ そして、イエスにこう頼みました。「イエス様。御国に入る時、どうぞ私を思い出してください。」
+ イエスはお答えになりました。「あなたは今日、わたしといっしょにパラダイス(天国)に入ります。」
+ その時です。正午だというのに、突然、あたりが暗くなり、午後三時までそんな状態が続きました。
+ 太陽は光を失い、神殿の幕が、なんと真っ二つに裂けたのです。
+ その時イエスは、大声で、「父よ。わたしの霊を御手におゆだねします!」と叫んで、息を引き取られました。
+ 刑を執行していたローマ軍の隊長は、不思議な出来事を見て、神への恐れに打たれ、「確かに、この人は正しい方だった」と言いました。
+ また、十字架刑を見に来ていた群衆も、このイエスの最期を見て、みな深い悲しみに沈んで、家へ帰って行きました。
+ 一方、ガリラヤからイエスに従って来た女たちやイエスの知人たちは、遠くからじっと様子を見守っていました。
+ そのころ、ユダヤの最高議会の議員で、アリマタヤ出身のヨセフという人が、ピラトのもとに行き、イエスの遺体を引き取りたいと願い出ました。彼はメシヤが来るのをひたすら待ち望んでいた神を敬う人物で、他の議員たちの決議や行動には同意していませんでした。
+ ヨセフはイエスの遺体を十字架から降ろし、長い亜麻布に包んで、まだだれも葬ったことのない、岩をくり抜いた新しい墓に納めました。
+ それは、安息日の準備の日にあたる金曜日の、午後遅いころのことでした。
+ 遺体が十字架から降ろされた時、ガリラヤから従って来た女たちは、ヨセフのあとについて行き、イエスが墓に納められるのを見届けました。
+ それから家に戻り、遺体に塗る香料と香油とを用意しましたが、すぐに安息日になったので、ユダヤのおきてに従って休みました。
+
+
+ 日曜日の明け方早く、待ちかねた女たちは香油を持って墓に急ぎました。
+ 着いてみると、どうしたことでしょう。墓の入口をふさいであった大きな石が、わきへ転がしてありました。
+ 中へ入って見ると、主イエスの体は影も形もありません。
+ 「いったい、どうなってるのかしら。」女たちは途方にくれました。すると突然、まばゆいばかりに輝く衣をまとった人が二人、目の前に現れました。
+ 女たちはもう恐ろしくて、地に伏したまま顔も上げられず、わなわな震えていました。その人たちは言いました。「なぜ生きておられる方を、墓の中で捜しているのです。
+ あの方はここにはおられません。復活なさったのです。まだガリラヤにおられたころ、何と言われましたか。メシヤは悪者たちの手に売り渡され、十字架につけられ、それから三日目に復活する、と言われたではありませんか。」
+ そう言われて女たちは、はっと思いあたりました。
+ そして、すぐさまエルサレムに取って返し、十一人の弟子やほかの人たちに一部始終を話しました。
+ そのとき墓へ行った女たちは、マグダラのマリヤとヨハンナ、ヤコブの母マリヤ、そのほか数人でした。
+ ところが、男たちには、この話がまるで物語のようで、とても現実のこととは思えません。だれも、まともに信じようとしませんでした。
+ しかしペテロは、それでも一応は確認しなければと墓へ行き、身をかがめて中をのぞき込みました。すると、どうでしょう。亜麻布のほかに何も見あたりません。それで、この出来事に驚いて家に戻りました。
+ この同じ日曜日のことです。二人の弟子が、エルサレムから十一キロほど離れたエマオという村へ急いでいました。
+ 二人が道々話し合っていたのは、イエスの死のことでした。
+ そこへ突然、当のイエスが近づき、彼らと連れ立って歩き始めました。
+ しかし二人には、イエスだとはわかりません。神がそうなさったのです。
+ イエスが尋ねました。「何やら熱心にお話しのようですね。いったい何がそんなに問題なのですか。」すると二人は、急に顔をくもらせ、思わず足を止めました。
+ クレオパというほうの弟子があきれたように、「エルサレムにいながら、先週起こった、あの恐ろしい出来事を知らないとは。そんな人は、あなたぐらいのものでしょう」と言いました。
+ 「どんなことでしょうか?」「ナザレ出身のイエス様のことをご存じないのですか。この方は、信じられないような奇跡を幾つもなさった預言者で、すばらしい教師でもあったのです。神からも人からも重んじられていたのですが、
+ 祭司長やほかの宗教的指導者たちは、理不尽にもこの方をつかまえて、ローマ政府に引き渡し、十字架につけてしまったのです。
+ 私たちは、この方こそ栄光に輝くメシヤで、イスラエルを救うために来られたに違いないと考えていたのですが。ところが、話はそれで終わらないのです。弟子仲間の女たちが、なんとも奇妙なことを言いだしたのです。処刑があった日から、今日で三日目になりますが、今朝がた早く、その女たちが墓へ行ったところ、イエス様のお体は影も形もなかったというではありませんか。しかもその場に天使が現れて、イエス様は生きておられると語ったとか……。
+ その話を聞いて、仲間のある者たちが墓へ駆けつけて確認したのですが、彼らも口をそろえて、墓は空っぽだったと証言しているのです。」
+ 「ああ、どうしてそんなに、心が鈍いのですか。預言者たちが聖書に書いていることを信じられないのですか。
+ キリストは栄光の時を迎える前に、必ずこのような苦しみを受けるはずだと、預言者たちははっきり語ったではありませんか。」
+ それからイエスは、創世記から始めて、聖書(旧約)全体にわたって次々と預言者のことばを引用しては、救い主についての教えを説き明かされました。
+ そうこうするうち、エマオに近づきましたが、イエスはまだ旅を続ける様子です。
+ 二人は、じきに暗くなるから、今晩はここでいっしょに泊まってくださいと熱心に頼みました。それでイエスもいっしょに家に入りました。
+ 食卓に着くと、イエスはパンを取り、神に祝福を祈り求め、ちぎって二人に渡しました。
+ その瞬間、二人の目が開かれ、その人がイエスだとわかりました。と同時に、イエスの姿はかき消すように見えなくなりました。
+ 二人はあっけにとられながらも、「そう言えば、あの方が歩きながら語りかけてくださった時も、聖書のことばを説明してくださった時も、不思議なほど私たちの心が燃えていたではないか」と語り合いました。
+ そして、すぐエルサレムへ取って返しました。戻ってみると、十一人の弟子たちやほかの弟子たちが迎え、「主は、ほんとうに復活された。ペテロがお会いしたのだからまちがいない」と話していました。
+ そこで二人も、エマオへ行く途中イエスと出会ったことや、パンをちぎられた時にはっきりイエスだとわかったことなどを話しました。
+ これらの話をしている時、突然イエスが現れ、みんなの真ん中に立たれたのです。
+ 彼らは幽霊を見ているのだと勘違いし、ぶるぶる震えました。
+ 「なぜそんなに驚くのですか。どうしてそんなに疑うのですか。
+ さあ、この手を、この足を、よくごらんなさい。わたしにまちがいないでしょう。さあ、さわってみなさい。これでも幽霊でしょうか。幽霊だったら、体などないはずです。」
+ イエスはそう言いながら、手を差し出して釘の跡を見せ、また、足の傷もお示しになりました。
+ 弟子たちは、うれしいけれども、まだ半信半疑です。心を決めかねて、ぼう然としていました。それでイエスは、「何か食べ物がありますか」とお尋ねになりました。
+ 焼き魚を一切れ差し上げると、
+ イエスはみんなの見ている前で召し上がりました。
+ イエスは言われました。「以前、いっしょにいた時、モーセや預言者の書いたこと、それに聖書の詩篇にあることは、必ずそのとおりになると話して聞かせたはずです。忘れてしまったのですか。」
+ イエスが弟子たちの心の目を開いてくださったので、彼らはやっと理解しました。
+ イエスは、さらに続けられました。「キリストは苦しめられ、殺され、そして三日目に復活することが、ずっと昔から記されていたのです。
+ 悔い改めてわたしのもとに立ち返る人は、だれでも罪が赦されます。この救いの知らせは、エルサレムから始まり、世界中に伝えられるのです。
+ あなたがたはこのことの証人です。初めから何もかも見てきたのですから。
+ わたしは、父が約束してくださった聖霊をあなたがたに送ります。しかし、聖霊が来て、天からの力で満たしてくださるまでは、都にとどまっていなさい。」
+ それからイエスは、彼らをベタニヤまで連れて行き、手を上げて祝福してから、
+ 彼らから離れて行かれました。
+ 彼らは喜びに胸を躍らせて、エルサレムに戻り、
+ いつも宮にいて神を賛美していました。
+
+
+
+
+ まだこの世界に何もない時から、キリストは神と共におられました。キリストは、いつの時代にも生きておられます。キリストは神だからです。
+ このキリストが、すべてのものをお造りになりました。そうでないものは一つもありません。
+ キリストには永遠のいのちがあります。全人類に光を与えるいのちです。
+ そのいのちは暗闇の中でさんぜんと輝いていて、どんな暗闇もこの光を消すことはできません。
+ イエス‧キリストこそほんとうの光です。このことを証言させるために、神はバプテスマのヨハネをお遣わしになりました。
+ ヨハネ自身は光ではなく、ただその光を指し示す証人にすぎません。
+ 後に、ほんとうの光である方が来て、全世界の人々を照らしてくださったのです。
+ ところが、世界を造った方が来られたというのに、だれもこの方に気づきませんでした。
+ ご自分の国に来ながら、ご自分の民に受け入れられなかったのです。この方を心から喜び迎えたのは、ほんのわずかな人たちだけでしたが、受け入れた人はみな、この方から神の子どもとなる特権をいただきました。それにはただ、この方が救ってくださると信じればよかったのです。
+ 信じる人はだれでも、新しく生まれ変わります。それは、人間の熱意や計画によるものではありません。神がそう望まれたからです。
+ キリストは人間となり、この地上で私たちと共に生活なさいました。彼は恵みと真実のお方でした。私たちは、この方の栄光を目のあたりにしました。それは天の父である神の、ひとり子としての栄光でした。
+ バプテスマのヨハネは、人々にキリストを紹介しました。「私が今まで、『まもなく来られる方は、私よりはるかに偉大な方だ。私が生まれるずっと前からおられたからだ』と言ってきたのは、まさにこの方のことです。」
+ この方の恵みは尽きることがありません。私たちはみな、次から次へと、あふれるばかりに恵みをいただきました。
+ モーセはきびしい命令と戒めとを与えましたが、イエス‧キリストはその上に、愛に満ちた赦しの道を備えてくださったのです。
+ いまだかつて、実際に神を見た人はいません。しかし、神のひとり子だけは別です。御子は父なる神といつもいっしょですから、神について知っていることを教えてくださいました。
+ ユダヤ人の指導者たちは、エルサレムから、祭司とその助手たちとをバプテスマのヨハネのもとへ派遣し、「あなたはキリスト(ギリシャ語で、救い主)なのか」と問いたださせました。
+ ヨハネは、「私はキリストではない」と、きっぱり否定しました。
+ 「では、いったいだれか。エリヤか。」「いや、違う。」「すると、あの預言者か。」「いや。」
+ 「では、いったい何者か。はっきりしてくれ。私たちは帰って報告しなければならないのだ。あなたはだれなのか。」
+ 「私は、イザヤが預言した、あの荒野から聞こえる叫び声です。『主を迎える準備をせよ』と叫ぶ声、それが私です。」
+ パリサイ人(特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)から派遣された人たちは、なおもヨハネに問いました。「キリストでも、エリヤでも、あの預言者でもないのなら、いったいどんな資格でバプテスマ(洗礼)を授けているのか。」
+ ヨハネは答えました。「私はただ、水でバプテスマを授けているだけです。しかし、ここにいる人々の中には、あなたがたのまだ知らない方がおられます。
+ まもなく、あなたがたの間で働きを始められるでしょう。私にはその方のしもべとなる資格もないのです。」
+ このことがあったのは、ヨハネがバプテスマを授けていたヨルダン川の東岸にある、ベタニヤ村でのことです。
+ その翌日、ヨハネはイエスが来られるのを見て、言いました。「ごらんなさい。この方こそ、世の人々の罪を取り除く神の小羊です。
+ 私が、『まもなく、私よりはるかに偉大な方がおいでになる。私よりずっと前からおられる方だ』と話していたのは、この方のことだったのです。
+ 最初、私もこの方がキリストであるとはわかりませんでした。しかし、私がここで水のバプテスマを授けているのは、まさにこの方を、イスラエルの人々に紹介するためだったのです。」
+ ヨハネはさらに続けました。「確かに、聖霊が鳩のように天から下り、この方の上にとどまられるのを見ました。
+ それまでは私も、この方がキリストだとはわかりませんでした。しかし、バプテスマを授けさせるために私を遣わす時、神がこう言われたのです。『もし、聖霊がだれかに下り、その上にとどまるのを見たら、その方こそ、あなたの捜し求めている方、聖霊のバプテスマをお授けになる方である。』
+ そのとおりのことが、この方に起こりました。しっかりこの目で見たのです。この方は神の子にまちがいありません。」
+ その翌日、ヨハネは二人の弟子といっしょに立っていました。
+ 目を上げると、イエスが歩いておられるではありませんか。その姿をじっと見つめながら、ヨハネは、「ごらんなさい。神の小羊です」と言いました。
+ これを聞いた弟子は二人とも、急いでイエスのあとを追いかけました。
+ その足音にイエスはふり向き、二人を見てお尋ねになりました。「何かご用ですか。」「先生。今、どちらにお泊まりですか。」
+ 「いっしょに来なさい。すぐにわかります。」こう言われて二人は、イエスの泊まっておられる所までついて行きました。午後四時ごろのことでした。その日二人は、それからずっとイエスといっしょにいました。
+ 二人のうち一人は、シモン‧ペテロの兄弟アンデレでした。
+ それからアンデレはシモンを捜し出し、「とうとうメシヤ(ヘブル語で、救い主)にお会いしたよ」と言いました。
+ そして、彼をイエスのところへ連れて行きました。イエスはシモンをじっと見つめ、「あなたはヨハネの子シモンですね。これからは、ペテロ(岩)と呼びましょう」と言われました。
+ その翌日、イエスはガリラヤへ出発されました。途中、ピリポを見つけ、「さあ、ついて来なさい」と言われました。
+ ピリポはアンデレやペテロと同郷で、ベツサイダの出身でした。
+ ピリポはナタナエルを捜しに行き、会うなり言いました。「私たちはメシヤにお会いした。モーセや預言者たちが言った、あのお方のことだよ。ナザレ出身のイエスという方で、ヨセフという人の息子さんだそうだ。」
+ 「ナザレだって!」ナタナエルはびっくりしました。「あんな所から、すぐれた人物など出るはずがない。」しかしピリポは、「とにかく来て、自分の目で確かめたらいいだろう」と言いました。
+ ナタナエルも行ってみる気になりました。イエスは歩いて来るナタナエルの姿に目をとめておっしゃいました。「この人こそ生粋のイスラエル人です。正直で、うそがありません。」
+ 「どうして、おわかりなのですか。」ナタナエルは聞き返しました。「わたしは、ピリポがあなたに会う前に、あなたがいちじくの木の下にいるのを見ましたよ。」
+ 「先生。あなたは神の子、イスラエルの王です。」
+ 「そう信じるのは、あなたがいちじくの木の下にいるのを見たと、わたしが言ったからですか。それよりもはるかにすばらしい証拠があります。
+ 天が開けて、天使たちがメシヤのわたしの上を行き来するのを、やがて、あなたがたは見るのです。」
+
+
+ それから三日目に、ガリラヤのカナという村で結婚式があり、イエスの母マリヤが客として出席していました。
+ イエスと弟子たちも招待されていました。
+ ところが、祝宴の最中だというのに、ぶどう酒が切れてしまったのです。マリヤは、そのことをイエスに知らせました。
+ イエスは、「今はかかわりがないことです、お母さん。まだ、その時ではありません」と、お答えになりました。
+ マリヤは手伝いの者たちに、「この人の言うとおりにしてください」と言いました。
+ さて、そこには石の水がめが六つありました。ユダヤ教の儀式に使う水がめで、それぞれ八十リットルから百二十リットルぐらい入るものです。
+ イエスは手伝いの者たちに、「さあ、縁までいっぱい水を入れなさい」と指示なさいました。彼らがそのとおりにすると、
+ 「では、それを汲んで、婚宴の世話役のところへ持って行きなさい」と言われます。彼らは言われるままに持って行きました。
+ 宴会の世話役が試しに一口味わってみると、おいしいぶどう酒です。「こんな上等の酒を、いったいどこから出してきたんだろう」と首をかしげました。もちろん手伝いの者たちは何もかも知っていました。そこで、世話役は花婿を呼び出して、
+ 言いました。「これは極上のぶどう酒じゃないですか。あなたはすばらしい方だ。たいていどこの家でも初めに良いぶどう酒を出し、酔いがまわって味がわからなくなると、安物でごまかすものです。ところがあなたは、一番上等なものを、最後まで取っておかれたのですから。」
+ このガリラヤのカナでの奇跡は、イエスが神の力を公に示された最初のものでした。これを見て弟子たちは、イエスを正真正銘のメシヤと信じたのです。
+ その結婚式のあと、イエスは、母や兄弟、弟子たちといっしょにカペナウムへ行き、数日間、滞在されました。
+ ユダヤ人の過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、年に一度のユダヤ人の祭り)が近づき、イエスはエルサレムへ行かれました。
+ 宮の境内には、供え物用の牛や羊、鳩を売る商人たちと、座って両替をしている人たちがいました。
+ それを見て、イエスはなわでむちを作り、商売人たちをみな追い出し、鳩や羊や牛を追い散らし始めました。次々に両替人の台をひっくり返したので、お金があたり一面に散らばりました。
+ イエスは鳩を売る者たちに、「それを持って出て行きなさい。父の家を金もうけの場所にしてはいけません」と言われました。
+ そのとき弟子たちは、「神の家を思う熱心が、わたしを焼き尽くす」という、聖書の預言を思い出したのです。
+ おさまらないユダヤ人の指導者たちは、かんかんになって言いました。「いったい何の権利があってこの人たちを追い出すのか。そんな権威を神から与えられているのだったら、その証拠に奇跡を見せてもらおう。」
+ イエスはお答えになりました。「わかりました。この神殿をこわしなさい。三日で建て直してみせましょう。」
+ 「なんということを! この神殿は建てるのに四十六年もかかったのだ。それを三日で建てると言うのか。」ユダヤ人たちはあきれ返りました。
+ しかし、イエスが「この神殿」と言われたのは、ご自分の体のことだったのです。
+ イエスが復活されたあとで、弟子たちはこの時のことを思い出しました。そして、イエスがご自分のことを聖書のことばを引用して話されたのであり、そのとおりになったことを知ったのです。
+ 過越の祭りの時、イエスがエルサレムで奇跡を行われたので、多くの人が、「この方は確かにメシヤだ」と信じるようになりました。
+ しかしイエスは、そういう人々を信用されたわけではありません。人間がどれほど変わりやすいものかを知り尽くしておられたからです。
+
+
+ とっぷり日も暮れたある夜のこと、パリサイ人で、ニコデモという名のユダヤ人の指導者がイエスに会いに来ました。「先生。だれも、あなたが神から遣わされた教師であることを知っております。あなたのなさる奇跡を見ればわかることです。」
+ 「そうですか。でもよく言っておきますが、あなたはもう一度生まれ直さなければ、絶対に神の国に入れません。」
+ ニコデモは、思わず言いました。「ええっ、もう一度生まれるのですか。いったい、どういうことですか。年をとった人間が母親の胎内に戻って、もう一度生まれることなどできるわけがありません。」
+ 「よく言っておきますが、だれでも水と御霊によって生まれなければ、神の国には入れません。
+ 人間からは人間のいのちが生まれるだけです。けれども御霊は、天からの、全く新しいいのちを下さるのです。
+ もう一度生まれなければならないといって、驚くことはありません。
+ 風は音が聞こえるだけで、どこから吹いて来て、どこへ行くのかわかりません。御霊も同じことです。次はだれにこの天からのいのちが与えられるか、わからないのです。」
+ 「それはいったい、どういうことですか?」
+ 「あなたはみなに尊敬されているユダヤ人の教師ではありませんか。このようなこともわからないのですか。
+ わたしは知っていること、見たことだけを話しているのです。それなのに、あなたがたは信じてくれません。
+ わたしが話しているのは、人間の世界で現に起こっていることなのです。それも信じられないくらいなら、天で起こることなど話したところで、とても信じられないでしょう。
+ メシヤのわたしだけが、この地上に下って来て、また天に帰るのです。
+ モーセが荒野で、青銅で作った蛇をさおの先に掲げたように、わたしも木の上に上げられなければなりません。
+ わたしを信じる人がみな、永遠のいのちを持つためです。」
+ 実に神は、ひとり子をさえ惜しまず与えるほどに、この世界を愛してくださいました。それは、神の御子を信じる者が、だれ一人滅びず、永遠のいのちを得るためです。
+ 神がご自分の御子を世にお遣わしになったのは、世をさばくためではなく、世を救うためです。
+ この神の子を信じる者は、永遠の滅びを免れます。しかし信じない者は、神のひとり子を信じなかったので、すでにさばかれているのです。
+ そのさばきに会ったのは、天からの光が世に来ているのに、行いが悪く、光よりも闇を愛したからです。
+ 彼らは天からの光をきらい、罪が暴露されるのを恐れて、光のほうに来ようとしません。
+ しかし正しいことを行っている人は、喜んで光のほうに来ます。神の望まれることを行っていることが、はっきりわかるためです。
+ その後、イエスと弟子たちはエルサレムを去り、しばらくユダヤに滞在し、バプテスマ(洗礼)を授けていました。
+ そのころまだ、バプテスマのヨハネは投獄されておらず、サリムに近いアイノンでバプテスマを授けていました。そこは水が豊富にあったからです。
+ ある日、ヨハネの弟子たちと一人のユダヤ人の間で、ヨハネのバプテスマとイエスのバプテスマのどちらがすぐれているかで議論になりました。
+ 弟子たちは、ヨハネのところに来てぐちをこぼしました。「先生。ヨルダン川の向こう岸でお会いした、あなたがメシヤだとおっしゃったあの方も、バプテスマを授けておられるそうです。みんなこちらには来ないで、どんどんあの方のほうへ行ってしまいます。」
+ ヨハネは答えました。「天の神様が、一人一人にそれぞれの役割を決めてくださいます。
+ 私の役目は、だれもがあの方のところへ行けるように道を備えることです。私はキリストではないと、はっきり言ったはずです。あの方のために道を備えるために、私はここにいるのです。
+ 一番魅力を感じるものに人々が集まるのは当然で、花嫁は花婿のもとへ行き、花婿の友達は花婿といっしょに喜びます。私は花婿の友達だから、花婿の喜ぶ声を聞くと、うれしくてたまらないのです。
+ あの方はますます偉大になり、私はますます力を失います。
+ あの方は天から来られた方で、ほかのだれよりも偉大なお方です。地から出た者は、地上のことしかわかりません。
+ あの方は、見たこと聞いたことをあかしされますが、それを信じる人はなんと少ないことでしょう。
+ そのあかしを信じれば、神が真理の源であることがわかります。
+ 神から遣わされたあの方は、神のことばをお話しになります。神の御霊が無限に注がれているからです。
+ 父なる神はこの方を愛し、万物をこの方にお与えになりました。
+ この方は神の御子なのです。この方に救っていただけると信じる者はだれでも、永遠のいのちを得ます。しかし、この方に従わない者は、天国を見ることができないばかりか、神の怒りがその人の上にとどまるのです。」
+
+
+ さて、イエスのもとにはぞくぞくと人々が詰めかけました。バプテスマ(洗礼)を受けて弟子になった者の数はヨハネよりも多いといううわさが、パリサイ人たちの耳に入りました。イエスはこのことを知ると、
+ ――もっとも、実際にバプテスマを授けていたのはイエス自身ではなく、弟子たちでしたが――
+ ユダヤを去り、またガリラヤ地方へ行かれました。
+ その途中で、どうしてもサマリヤを通らなければなりませんでした。
+ サマリヤのスカルという村にさしかかったのは、ちょうど正午ごろでした。そこに、昔ヤコブが息子ヨセフに与えた土地があり、ヤコブの井戸がありました。日がかんかんに照りつける長い道のりを歩いて来られたイエスは疲れて、井戸のそばに腰をおろしました。
+ まもなくサマリヤ人の女が一人、水を汲みに来ました。イエスは、「すみませんが、水を一杯下さい」と声をおかけになりました。
+ そのとき弟子たちは、村に食べ物を買いに行っており、ほかにはだれもいませんでした。
+ 女はびっくりして言いました。「まあ、あなたはユダヤ人ではありませんか。サマリヤ人の私に、どうして水をくれなどと頼むのですか。」当時、ユダヤ人はサマリヤ人を見下し、口をきこうとさえしなかったのです。
+ 「もし、神があなたにどんなにすばらしい贈り物を用意しておられるか、また、わたしがだれなのかを知っていれば、あなたのほうから、いのちの水を下さいと願ったでしょう。」
+ 「そんなこと言っても、あなたは水を汲むおけも綱も持っていないのですよ。この井戸はとても深いのです。そのいのちの水を、いったいどこから汲むのですか。
+ あなたは、私たちの先祖ヤコブ様よりも偉いと言うのですか。ヤコブ様はこの井戸を私たちにくれました。ヤコブ様も、その子孫も家畜もみんな、この井戸の水を喜んで飲んだのです。これより良い水をくれると言うのですか。」
+ イエスは言われました。「この水を飲んでも、すぐにまた、のどが渇きます。
+ けれども、わたしがあげる水を飲めば、絶対に渇くことはありません。わたしがあげる水は、それを飲む人のうちで永久にかれない泉となり、いつまでもその人を永遠のいのちで潤すのです。」
+ 「先生。そのような水があるなら、私に下さい。そうすればのども渇かないし、毎日こんな遠くまで歩いて、水汲みに来なくてすむもの。」
+ 「帰って、夫を連れて来なさい。」
+ 「……。私、結婚なんかしていません。」「そうですね。あなたは五回も結婚したけれど、今いっしょに暮らしている男は、確かに夫ではありません。」
+ 「先生。あなたは預言者でしょう。
+ だったら教えてください。ユダヤ人は、礼拝の場所はエルサレムだけだと言いはるし、サマリヤ人は、私たちの先祖が礼拝したこのゲリジム山だと言っています。どうしてなのですか?」
+ 「いいですか。父なる神を礼拝する場所は、この山か、それともエルサレムかなどと、こだわる必要のない時が来ます。大切なのは、どこで礼拝するかではありません。どのように礼拝するかです。霊的な、真心からの礼拝をしているかどうかが問題なのです。神は霊なるお方ですから、正しい礼拝をするには、聖霊の助けが必要です。神はそのような礼拝をしてほしいのです。あなたがたサマリヤ人は、神のことはほとんど何も知らないで礼拝していますが、私たちユダヤ人はよく知っています。救いはユダヤ人を通してこの世に来るのですから。」
+ 「私は、キリストと呼ばれるメシヤがおいでになることだけは知っています。その方がおいでになれば、いっさいのことを説明してくださるのでしょう。」
+ 「わたしがそのメシヤです。」
+ ちょうどその時、弟子たちが戻って来ました。驚いたことに、イエスが女と話しておられるではありませんか。しかし、どうしてなのか、何を話しているのか尋ねた者はいませんでした。
+ 女は水がめを井戸のそばに置いたまま村に帰り、会う人ごとに話しかけました。
+ 「ねえ、来て、会ってごらんよ。私のしてきたことを、何もかも言い当てた方がいらっしゃるの。あの方こそキリスト(救い主)に違いないよ。」
+ この誘いに村人たちは、イエスに会おうと、ぞくぞくと押しかけました。
+ そのころ、弟子たちはイエスに、「先生。どうぞお食事を」と勧めましたが、
+ イエスは、「いや、けっこうです。わたしには、あなたがたの知らない食べ物があるのです」と言われました。
+ 弟子たちはけげんそうに、「だれかが食べ物を持って来たんだろうか」と口々に言いました。
+ そこでイエスは説明なさいました。「いいですか、わたしの言う食べ物とは、わたしを遣わされた神のお心にかなうことをし、神の仕事をやり遂げることなのです。
+ あなたがたは、『刈り入れはまだ四か月も先のこと、夏も終わりにならなければ始まらない』と思っているようですね。だが、回りをよく見なさい。人のたましいの畑は広々と一面に実り、刈り入れを待つばかりです。
+ やがて、刈り入れをする人たちはたくさんの報酬をもらい、永遠のいのちに入るたましいを天の倉に納めます。その時、種をまいた者も、刈り入れをした者も共々に、大いに喜ぶのです。
+ 『一人が種をまき、ほかの人が刈り入れる』ということわざのとおりにです。
+ あなたがたが自分で種まきをしなかった畑に、わたしはあなたがたを遣わしました。ほかの人々が苦労して育てたものを、あなたがたが刈り入れるのです。」
+ スカルの村から押しかけたサマリヤ人の多くは、例の女が、「あの方は、私のしてきたことを何もかも言い当てた」と言うのを聞いて、イエスをメシヤと信じました。
+ 彼らは井戸のところに来てイエスにお会いすると、村に滞在してくださいと頼みました。そこでイエスは、二日間滞在しました。
+ その間に、さらに多くの人がイエスのことばを聞いて信じました。
+ 人々は女に、「もう私たちは、あなたが話してくれたことを聞いたから信じているのではない。この方が言われることを、じかに聞いたからだ。この方こそ、ほんとうに世の救い主だ」と言いました。
+ さて、その二日後、イエスはスカルの村を去り、ガリラヤへ行かれました。
+ イエスは常々、「預言者は、故郷では尊敬されないものです」と言っておられました。
+ ところが、どうでしょう。ガリラヤの人たちは、大喜びでイエスを迎えたのです。それもそのはず、この人たちは過越の祭りの時にエルサレムにいて、イエスのなさったことを全部見ていたからです。
+ ガリラヤ旅行の途中、イエスはカナの村に行かれました。以前、水をぶどう酒に変えた所です。さて、カペナウムの町に、重病の息子をかかえた政府の役人がいました。
+ イエスがユダヤを出てガリラヤを旅行中だということをうわさで聞き、役人はカナまでやって来ました。そしてイエスにお会いすると、「息子が今にも死にそうです。どうぞカペナウムへおいでになって、治してやってください」と熱心に頼みました。
+ イエスは言われました。「わたしがもっと多くの奇跡を行わなければ、信じようとしないのですか。」
+ 「先生。お願いです。子どもが死なないうちにおいでください。」
+ 「さあ、家にお帰りなさい。お子さんは治りました。」役人は、イエスのことばを信じ、家へ急ぎました。
+ 途中、召使たちが迎えに来て、「ご子息は、すっかりよくなりました」と知らせました。
+ 「えっ、いつからだ。」「昨日の午後一時ごろでしょうか、急に熱が下がりました。」
+ それはイエスが、「お子さんは治りました」と言われた時刻とぴったり一致していました。このことがあって、役人と彼の家の者全員が、イエスをメシヤと信じました。
+ これは、イエスがユダヤから来てガリラヤで行われた、第二の奇跡です。
+
+
+ その後、ユダヤ人の祭りがあったので、イエスはエルサレムに戻られました。
+ エルサレム市内には、羊の門の近くにベテスダという池がありました。池の回りには、屋根つきの五つの廊下があります。
+ そこに、足の不自由な人、盲人、手足のまひした人など、大ぜいの病人が横たわっていました。この人たちは、水面が揺れ動くのを待っていたのです。
+ というのは、時たま天使が降りて来て水をかき回すことがあり、そのとき最初に池に入った人は、病気が治ったからです。
+ その中に、三十八年間も病気で苦しんでいる男がいました。
+ イエスはこの男をごらんになり、彼が長い間どんなに苦しんできたかを知って、「よくなりたいですか」とお尋ねになりました。
+ 「もう、あきらめているんです。せっかく水が動いても、だれも池に入れてはくれないんだから。何とかして行こうとしている間に、いつでもほかの人が先に入ってしまうのです。」
+ 「さあ、立って、床をたたんで家に帰りなさい。」
+ イエスがこう言われると、たちまち男は治って、すぐに床をたたんで歩きだしたのです。ところがこの奇跡が行われたのが安息日(神の定めた休息日)だったので、
+ ユダヤ人の指導者たちはひどく腹を立て、その男を責めました。「安息日に労働するとはけしからん。床を上げて運んだりするのは違反だ!」
+ 「でも、私を治してくださった方が、そうしろとおっしゃったんです。」
+ 「そんなことを言ったのはだれだ!」彼らは問い詰めましたが、
+ 男にも、だれだかわかりません。イエスはすでに、人ごみに姿を消しておられたからです。
+ しばらくして、イエスは宮でその男を見つけ、声をおかけになりました。「どうですか、すっかりよくなったでしょう。もう前のように罪を犯してはいけませんよ。そうでないと、もっとひどい目に会うかもしれませんから。」
+ 男はユダヤ人の指導者たちを捜し出し、治してくれたのはイエスだと告げました。
+ ユダヤ人の指導者たちは、イエスを安息日の違反者だとして、しつこく攻撃を始めました。
+ ところが、イエスはお答えになりました。「わたしの父は、絶えず良い働きをしておられます。わたしはその模範にならっているのです。」
+ これを聞いたユダヤ人の指導者たちは、ますます、イエスを殺そうと思うようになりました。イエスが安息日のおきてを破ったばかりか、事もあろうに神を「父」と呼んで、自分を神と等しい者としたからです。
+ イエスはお答えになりました。「よく言っておきます。子は自分からは何もできません。ただ父がしておられることを見て、同じようにするだけです。
+ 父は子を愛して、自分のすることは何でも子に教えてくださるのです。神の子は、病気を治すということなどとは比べものにならない驚くべき奇跡を行います。
+ 父が死人を生き返らせるように、子も、思うままに人を死人の中から生き返らせもするのです。
+ 父は、罪のさばきをいっさい子に任せておられます。
+ すべての者が父を敬うように、子をも敬うためです。だから、父なる神がお遣わしになった神の子を敬わないのは、父を敬わないのに等しいのです。
+ よく言っておきます。わたしの言うことを聞き、わたしを遣わされた神を信じる人にはだれでも、永遠のいのちがあります。罪のために罰せられることは絶対にありません。すでに死からいのちに移っているのです。
+ はっきり告げましょう。死人が神の子であるわたしの声を聞く時が、もうすぐ来ます。いや、もう来ているのです。そして、聞いた者は生きます。
+ 父がご自分のいのちを、子にも与えてくださったからです。
+ また、全人類の罪をさばく権威も下さいました。それもみな、子がメシヤだからです。
+ 驚いてはいけません。墓の中の死人がみな、神の子の声を聞く時が来ます。
+ その時、彼らは復活します。良いことをしてきた者は永遠のいのちをいただくために、悪いことをし続けてきた者はさばきを受けるためにです。
+ しかしわたしは、父と相談もせずにさばいたりはしません。ただ言われるとおりにさばくだけです。ですから、わたしのさばきは絶対に公平で正しいのです。自分の考えだけによらず、わたしを遣わされた神の意思に従ってさばくからです。
+ わたしが自分について証言しても、だれも信じないでしょう。
+ しかし、わたしのことを証言してくださる方がほかにおられます。その方の証言はまちがいなく真実です。
+ あなたがたは、バプテスマのヨハネの教えを聞こうとわざわざ出かけて行きました。確かに、ヨハネがわたしについて証言したことはほんとうのことです。
+ しかし、わたしについての最高の証言は、人間による証言ではありません。ただ、ヨハネが証言していたことを思い出せば、あなたがたもわたしを信じて救われるかもしれないと願って、ヨハネのことを話しているのです。
+ ヨハネはしばらくの間、ひときわ明るく輝き、あなたがたもそれを喜びました。
+ しかしわたしには、ヨハネの証言よりも、もっとすぐれた証言があります。それは、わたしの行う奇跡です。これらの奇跡は、父がわたしに託されたもので、父がわたしをお遣わしになったという動かぬ証拠なのです。
+ また、父ご自身は直接あなたがたに姿を現したり、語りかけたりはなさいませんが、わたしのことを証言しておられます。
+ ところが、あなたがたは父のことばを聞こうともしません。神のことづけを伝えるために遣わされたわたしを信じないのですから。
+ あなたがたは、永遠のいのちを見つけようと熱心に聖書を調べています。その聖書がわたしを指し示しているのです。
+ それなのにあなたがたは、わたしのところに来ようとはしません。だから永遠のいのちを受けることができないのです。
+ あなたがたがわたしを認めなくてもかまいません。あなたがたのうちには神の愛がないのですから。
+ わたしは父の代理として来たのに、あなたがたは喜んで迎えてはくれません。それどころか、自分の権威で来るほかの者は、手をたたいて迎えるのです。
+ もっとも、あなたがたが信じられないのもむりはありません。互いにほめ合ったり、ほめられたりすることは喜んでも、ただ一人の神からほめていただくことには関心がないのですから。
+ しかし、このことであなたがたを父に訴えるのはわたしではありません。それはモーセです。あなたがたはモーセの律法にひたすら天国への望みをかけていますが、律法を与えた当のモーセがあなたがたを訴えるのです。
+ それもみな、あなたがたがほんとうはモーセを信じていないからです。なぜなら、モーセはわたしのことを書いたのです。そのモーセを信じないなら、わたしをも信じないのです。
+ モーセの書を信じないくらいだから、わたしのことばを信じないのも不思議はありません。」
+
+
+ その後、イエスはテベリヤ湖とも呼ばれるガリラヤ湖の向こう岸に行かれました。
+ 大ぜいの群衆が、どこまでもあとについて行きました。イエスが病人を治されるのを見たからです。人々の多くは、過越の祭りのため、エルサレムへ行く途中でした。イエスが丘に登り、弟子たちといっしょに腰をおろされると、大ぜいの群衆も追いかけるように、あとからあとから丘に登って来ます。その様子をながめながら、イエスはピリポにお尋ねになりました。「ピリポ。この人たち全員に食べさせるには、どこからパンを買って来たらいいでしょうか。」
+ もっとも、これはピリポを試しただけで、どうするかはもう決めておられたのです。
+ ピリポは、「こんなにたくさんの人では、とても費用が足りません」と答えました。
+ シモン‧ペテロの兄弟アンデレが口をはさみました。
+ 「ここにいる子が、大麦のパンを五つと魚を二匹持っています。でも、こんなに大ぜいでは、何の足しになるでしょう。」
+ イエスは、「さあ、みんなを座らせなさい」とお命じになりました。男だけでも五千人はいたでしょうか。それが全員、草の生えた斜面にどやどやと腰をおろしました。
+ そこでイエスはパンを取り、神に感謝の祈りをささげてから人々にお配りになりました。また魚も、同様になさいました。みんなほしいだけ食べて、満腹しました。
+ イエスは弟子たちに言われました。「さあ、少しもむだにしないよう、パン切れを集めなさい。」
+ 残りを集めると、なんと十二のかごにいっぱいになりました。
+ それを見た人々は、どんなにすばらしい奇跡が起こったのか初めて気づき、口々に、「この方こそ待ちに待ったあの預言者だ!」と叫びました。
+ 人々は熱狂して、むりやりにでもイエスを王にまつり上げかねない勢いです。イエスはそっと抜け出し、ただ一人、山に登って行かれました。
+ その日の夕方、弟子たちは湖の岸辺に降りて行きました。
+ もう暗くなったのに、イエスはまだ戻られません。そこで舟に乗り込み、カペナウムに向けて湖を渡り始めました。
+ ところが、しばらくこいで行くうちに風が出てきました。風はびゅうびゅう吹きまくり、湖も荒れ始めました。それもひどくなる一方です。四、五キロほどもこぎ出したでしょうか。ふと見ると、イエスがむこうから、湖の上を歩いて舟のほうに来られます。弟子たちはあまりの恐ろしさに、ただ震え上がるばかりです。
+ イエスが、「こわがることはありません」と声をおかけになると、
+ やっと気を取り直し、うれしそうにイエスを舟にお乗せしました。舟はほどなく目ざす地に着きました。
+ 朝になりました。湖の反対側では、大ぜいの人がイエスに会おうと集まって来ました。昨日、イエスをあとに残し、弟子たちだけが舟で出かけたことを知っていたからです。
+ イエスが感謝の祈りをささげ、みんなでパンを食べた場所の近くに、テベリヤから数隻の小舟が来ていました。
+ しかし、イエスも弟子たちもそこにはいないとわかると、人々はその舟に乗り込み、イエスを捜してカペナウムまで行きました。
+ そしてイエスを見つけると、さっそく、「先生。いったいどうやってここまでおいでになったのですか」と尋ねました。
+ 「いいですか。あなたがたがわたしのそばにいたがるのは、わたしを信じているからではありません。パンを食べさせてあげたからです。
+ 食べ物のようになくなってしまうものに心を奪われてはいけません。それよりも、永遠のいのちを手に入れる努力をしなさい。それこそ、メシヤ(救い主)のわたしが与えるものです。そのために、父なる神はわたしをお遣わしになったのです。」
+ 「神様に満足していただくには、どうしたらいいのでしょうか。」
+ 「神が遣わされた者を信じることです。それが、神の望んでおられることです。」
+ 「あなたがメシヤなら、その証拠に、もっといろいろな奇跡を見せてください。毎日ただでパンを下さるとか……。ちょうど先祖たちが荒野を旅した時、毎日パンを与えられたように。『モーセは天からのパンを彼らに与えた』と聖書には書いてあります。」
+ 「そのパンを与えたのは、モーセではありません。わたしの父です。そして今、父はあなたがたに、天からのほんとうのパンを下さるおつもりです。
+ ほんとうのパンとは、神から遣わされて天から来た一人の人のことです。その人が、世の人々にいのちを与えるのです。」
+ 「先生。ぜひそのパンを、私たちにも一生の間、いつも下さい。」
+ 「わたしが、そのいのちのパンなのです。わたしのところに来る人は、二度と飢えることがありません。わたしを信じる人は、決して渇くことがありません。
+ ところがあなたがたときたら、どうでしょう。前にも言ったように、わたしを見ながら信じないのです。全く困った人たちです。
+ けれども、父がわたしに与えてくださった人は、わたしのところに来ます。わたしは、そういう人を拒むようなことは絶対にしません。
+ わたしが天から下って来たのは、自分の思いのままをするためではなく、神の意思を行うためだからです。
+ 神が与えてくださったすべての人を一人も失わないように守り、終わりの日に永遠のいのちを与えて復活させるのです。
+ 事実、父は、子を信じる者がみな、永遠のいのちを得、終わりの日に復活することを願っておられるのです。」
+ ユダヤ人たちはイエスが、「わたしは天から下って来たパンです」とはっきり言われたので、ぶつぶつ文句を言い始めました。
+ 「たかがヨセフの息子イエスではないか。父親も母親もよく知っている。なのに『わたしは天から下って来た』などと、とんでもないことを言って」と、彼らはつぶやきました。
+ そこで、イエスはお答えになりました。「わたしの言ったことで文句を言い合うのはやめなさい。
+ わたしをお遣わしになった父が引き寄せてくださらない限り、だれもわたしのところへは来られません。わたしのところに来る者を一人残らず、わたしは終わりの日に復活させるのです。
+ 聖書には、『彼らはみな神によって教えられる』と書いてあります。父の語ることばを聞き、父から真理を学んだ人たちは、わたしのところへ来ます。
+ 実際に父を見た者は一人もいません。ただわたしだけが、この目で父を見たのです。
+ よく言っておきます。わたしを信じている人はだれでも、すでに永遠のいのちを得ているのです。
+ わたしがいのちのパンなのです。
+ あなたがたの先祖は、荒野で、空から降って来たパンを食べましたが、結局はみな死んでしまいました。
+ けれども、天から下って来たパンは違います。それを食べる人は永遠のいのちをいただくのです。
+ わたしが、その天から下って来たいのちのパンなのです。このパンを食べる人はだれでも永遠に生きます。このパンは、人類の救いのためにささげるわたしの体なのです。」
+ ユダヤ人たちは、イエスがいったい何を言っているのかと、あれこれ議論し始めました。「なんてことを言うんだ。自分の体を食べさせるなんて、そんなことができるはずないじゃないか。」
+ そこでイエスは、続けてお話しになりました。「よく言っておきます。メシヤの肉を食べ、その血を飲まなければ、永遠のいのちを得ることはできません。
+ わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む人はみな、永遠のいのちを持ちます。わたしは終わりの日にその人を復活させます。
+ わたしの肉はほんとうの食べ物、わたしの血はほんとうの飲み物です。
+ わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む人はみな、わたしのうちにとどまり、わたしもその人のうちにとどまります。
+ わたしは、わたしをお遣わしになった、いのちなる神の力によって生きています。同じように、わたしを食べる人は、わたしによって生きるのです。
+ わたしは天から下って来たほんとうのパンです。このパンを食べる人はみな、永遠に生きます。空から降って来たパンを食べたのに、やがて死んでしまった先祖たちのように、死ぬことはありません。」
+ 〔以上は、イエスがカペナウムの会堂でなさった話です。〕
+ これには、弟子たちでさえ思わず、「なんとむずかしい話だ。さっぱりわからない」ともらすほどでした。
+ それに気づいたイエスは、彼らに言われました。「こんなことでつまずくのですか。
+ そんなことでは、メシヤ(救い主)のわたしが天に帰るのを見たら、いったいどう思うことでしょう。
+ いいですか。ただ聖霊だけが永遠のいのちを与えてくださいます。肉体的にこの世に生まれただけでは、永遠のいのちはいただけません。今わたしがあなたがたに話したのは、まさにこのことで、どうしたら、ほんとうの霊のいのちをいただけるかということなのです。
+ だが残念なことに、あなたがたの中には、わたしを信じない者がいます。」イエスは初めから、信じない者はだれか、裏切る者はだれかを知っておられたのです。
+ イエスは先をお続けになりました。「『父が引き寄せてくださらない限り、だれもわたしのところへは来られません』と言ったのは、そういう意味なのです。」
+ この時から、多くの弟子たちがイエスから離れ、もはや行動を共にしなくなりました。
+ そこでイエスは、十二人の弟子たちに、「まさか、あなたがたは行ってしまわないでしょうね」とお尋ねになりました。
+ シモン‧ペテロが即座に答えました。「何をおっしゃるんです、先生。あなたをさしおいて、ほかの人のところへ行くわけがないじゃありませんか。永遠のいのちを与えることばを握っているのは、あなただけなんですから。
+ 私たちはそのことばを信じていますし、あなたが神のきよい御子だということも知っています。」
+ 「あなたがた十二人を選んだのはわたしです。しかし、なんということでしょう。悪魔が一人まぎれ込んでいます。」
+ イエスが言われたのは、イスカリオテのシモンの子ユダのことでした。ユダは十二人の弟子の一人でありながら、イエスを裏切ろうとしていたのです。
+
+
+ このあと、イエスはガリラヤに行き、村から村を巡回されました。ユダヤ人の指導者たちが命をつけねらっていたので、ユダヤ以外の地に身を避けようと思われたからです。
+ そうこうするうち、ユダヤの年ごとの祭りである仮庵の祭り(収穫祭とも呼ばれる祭り)が近づきました。
+ イエスの弟たちは、祭りのためにユダヤへ行くよう、しきりにイエスに勧めました。「もっとたくさんの人が奇跡を見てくれる所へ行ったらどうですか。
+ こんな所でくすぶっていても有名にはなれないよ。兄さんがそんなに偉い人だったら、世間の人に証明してみせなくては」と、半ばあざけるように言いました。
+ 弟たちでさえ、イエスを信じていなかったのです。
+ 「今はまだ、その時ではありません。しかし、あなたたちはいつ行ってもいいのです。
+ 世間の人に憎まれるはずもありませんから。しかし、わたしは憎まれています。彼らの痛いところを突くからです。
+ あなたたちだけで行きなさい。わたしは行く時が来たら行きますから。」
+ こう言って、イエスはガリラヤに残られました。
+ しかしイエスは、弟たちが出かけたあと、人目を避けてお出かけになったのです。
+ ユダヤ人の指導者たちは、祭りの間にイエスを見つけ出してやろうと思い、「だれかイエスを見かけた者はいないか」と、やっきになって尋ね回りました。
+ 確かに、イエスのことはいろいろと話題になりました。「あの方はすばらしい方だ」とほめる者もいれば、「いや違う。とんだ詐欺師だ」と非難する者もいました。
+ しかし、指導者たちの目を恐れて、表立って語る者はだれもいませんでした。
+ 祭りも半ばになったころ、イエスは宮へ行き、公然と教え始められました。
+ それを聞いたユダヤ人の指導者たちは驚いて、「この男は一度も学校で学んだことがないのに、どうしてこんなに深い知識を持っているのだろう」と言い合いました。
+ そこでイエスは言われました。「わたしの教えは、自分で考え出したことではありません。わたしをお遣わしになった神の教えなのです。
+ ほんとうに神の望まれるとおりのことをしようと思う人なら、わたしの教えが神から出たものか、あるいはわたしから出たものか、はっきりわかるはずです。
+ 自分の意見だけをまくし立てる人は、実はわが身がほめられたい一心なのです。しかし自分をお遣わしになった方の栄誉を求める人は、正直者です。
+ あなたがたは、自分ではモーセの律法を守らないのに、どうして律法を破ったと、わたしを非難するのですか。どうして命までつけねらうのですか。」
+ 群衆が答えました。「おい、気でも変になったんじゃないか。だれがあんたを殺そうとしているんだ。」
+ 「あなたがたは、わたしが安息日に病気の人を治したら、労働をしたと驚いています。だが、あなたがたはどうでしょうか。モーセの律法どおりに割礼(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取るユダヤ教の儀式)を施すためには〔実際は、割礼の習慣はモーセの律法より古くからあったのですが〕、安息日でも平気で労働するではありませんか。割礼の日がちょうど安息日にあたっても、割礼を施しているではありませんか。それなら、安息日に病人を元気にしてやって、どこが悪いのでしょう。何を根拠にわたしを非難するのですか。
+ よく考えてみなさい。わたしの言うことはまちがっているでしょうか。」
+ エルサレムの人々の間では、互いにこんなことが言い交わされていました。「この人は、彼らが殺そうとねらっている人じゃないか。
+ ところが、今ここで、おおっぴらに話をしてるっていうのに、だれも何も言わないのだ。指導者たちも、結局は正真正銘のキリスト(救い主)だと認めているのかね。
+ だけど、この人がキリストのわけはないよ。どこの生まれか、身元が知れているんだから。キリストは、どこからともなく突然現れるはずだからね。」
+ イエスは宮で、大声をあげて教えられました。「皆さん。確かに、わたしの生まれも育ちもはっきりしています。しかしわたしは、あなたがたの全く知らない方の代理なのです。その方は真実です。
+ わたしはその方を知っています。その方といっしょにいたのですから。その方がわたしをお遣わしになったのです。」
+ ユダヤ人の指導者たちは、何とかしてイエスを逮捕しようと思いました。しかし、実際に手を出す者は一人もいません。まだその時ではなかったからです。
+ 宮にいた人々の多くはイエスを信じ、「これだけの奇跡をなさるからには、やっぱりキリストではないだろうか」と言い合いました。
+ 群衆がそう考えていると知ったパリサイ人たちは、祭司長たちと手を組んで、イエスを逮捕するために役人を差し向けました。
+ ところがイエスは、その人たちに言われました。「まだその時ではありません。もうしばらく、わたしはここにいます。そのあとでわたしは、わたしをお遣わしになった方のところに帰るのです。
+ その時には、わたしを捜しても見つけることはできません。また、わたしのいる所に来ることもできません。」
+ このことばに、ユダヤ人の指導者たちはすっかり戸惑いました。「いったいどこへ行くつもりだろう。もしかしたら、ユダヤを出て、外国のユダヤ人や、あるいは外国人に教えを伝えようとでも考えているのかもしれない。
+ だが、捜しても見つけ出せないとは、どういうことだろう。『わたしのいる所に来ることができない』というのも、何のことやらまるで見当もつかない。」
+ 祭りの最後の一番大切な日に、イエスは大声で群衆に語りかけました。「だれでも、渇いているなら、わたしのところへ来て飲みなさい。
+ わたしを信じれば、心の奥底からいのちの水の川が流れ出ると、聖書に語られているとおりです。」
+ 〔イエスは聖霊のことを言われたのです。聖霊は、イエスを信じる人すべてに与えられることになっていましたが、この時はまだ与えられていませんでした。イエスが天にある栄光の座に戻っておられなかったからです。〕
+ イエスがこう言うのを聞いて、群衆のうちのある者は、「この人は確かに、キリストのすぐ前に来るという、あの預言者だ」と言いました。
+ 「この方こそキリストだ」と言いきる者もいました。しかし他方では、「いや、そんなはずはない。まさかガリラヤみたいな所からキリストは出ないだろう。キリストは、れっきとしたダビデ王の血筋で、ダビデ王の生地ベツレヘムの村に生まれると、聖書にはっきり書いてあるんだから」と主張する者もいました。
+ このように、イエスについての意見はまちまちでした。
+ 中には、捕らえる機会をねらう者もいましたが、手を出すまでには至りませんでした。
+ イエスの逮捕に向かった宮の役人たちは、すごすごと祭司長やパリサイ人たちのところに戻ってきました。「どうして、やつをつかまえて来なかったのか!」指導者たちは、彼らをきびしく責めました。
+ 役人たちは、口ごもりながら答えました。「は、はい。でも、あの人の話すことはとてもすばらしくて、これまで聞いたこともないような話なので……。」
+ これを聞くと、パリサイ人たちは吐き捨てるように言いました。「さては、おまえたちも惑わされたな。
+ われわれユダヤ人の議員やパリサイ人の中で、あの男をメシヤだなどと信じている者は一人もいない。
+ 無知な連中は頭から信じきっているかもしれないが、やつらに何がわかるか。罰あたり者めが。」
+ その時、ニコデモが口を開きました。〔夜ひそかにイエスを訪ねた、あのユダヤ人の指導者です。〕
+ 「おことばですが、取り調べもしないうちに有罪だと決めるのは、合法的ではありません。」
+ 「おや、あなたも卑しいガリラヤ人なんですか。まあ、聖書を調べることですな。ガリラヤから預言者など出るはずがないことを、ご自分の目で確かめたらどうです。」
+ こうして、一同は散会し、めいめい家に帰って行きました。
+
+
+ さて、イエスはオリーブ山に戻りましたが、
+ 翌朝早く、また宮にお出かけになりました。たちまち人々が集まって来て、黒山の人だかりです。イエスは腰をおろし、話し始められました。
+ その最中に、ユダヤ人の指導者やパリサイ人が、寄ってたかって一人の女を引っぱって来ました。彼らは、あっけにとられて見ている人々の前に女を突き出しました。
+ 「先生。この女を見てください。不倫の現場でつかまったのです。
+ モーセの律法では、こういう不届き者は石で打ち殺すことになっていますが、どうしたものでしょう。」
+ こう言ったのは、何かイエスのことばじりをとらえて、訴えてやろうという魂胆があったからです。ところがイエスは、体をかがめ、指で地面に何か書いておられるだけでした。
+ けれども、彼らは引き下がりません。あくまで質問を続けてやめなかったので、イエスはゆっくり体を起こし、「わかりました。この女を石で打ち殺しなさい。ただし、最初に石を投げるのは、今まで一度も罪を犯したことのない者ですよ」と言われました。
+ そして、すぐにまた体をかがめ、地面に何か書いておられました。
+ すると、ユダヤ人の指導者もパリサイ人も、ばつが悪そうに、年長者から順に一人去り二人去りして、とうとうイエスと女だけが、群衆の前に取り残されました。
+ イエスは体を起こし、女に言われました。「あなたを訴えた人たちはどこにいますか。罰する者は一人もいなかったのですか。」
+ 「はい、先生。」「そうですか。わたしもあなたを罰しません。さあ、行きなさい。もう二度と罪を犯してはいけませんよ。」
+ そのあとで、イエスは人々にお話しになりました。「わたしは世の光です。わたしに従って来れば、暗闇でつまずくことはありません。いのちの光が、あなたがたの進む道を明るく照らすからです。」
+ すると、パリサイ人たちが言いました。「うそばかり並べ立てて、自慢話もほどほどにしたらどうだ。」
+ 「わたしはありのままを言っているのです。うそでも、でたらめでもありません。自分がどこから来てどこへ行くか、よくわかっています。ところが、あなたがたは全然わかっていません。
+ 人間の基準でわたしをさばいているからです。わたしはだれのこともさばきません。
+ しかし、もしわたしがあなたがたをさばいたとしても、そのさばきは、どこから見ても正しいのです。わたしをお遣わしになった父がいっしょにさばいてくださるからです。
+ あなたがたの律法では、ある出来事について二人の証言が一致すれば、事実と認められることになっています。
+ だとしたら、わたしとわたしをお遣わしになった父とで、りっぱに二人の証人がそろいます。」
+ パリサイ人たちは言いました。「では、そのお父上とやらはどこにいるのか。」「わたしのことを知らないから、父のこともわからないのです。わたしを知っていたら、父をも知っていたでしょうに。」
+ こうした話がなされたのは、宮の中の献金箱が置いてある所ででした。しかし、だれ一人イエスを逮捕する者はいません。まだその時ではなかったのです。
+ イエスはまた、こんな話もなさいました。「わたしはもうすぐいなくなります。あなたがたは必死でわたしを捜すでしょうが、結局は、罪が赦されないまま死ぬのです。わたしが行く所へは来られません。」
+ ユダヤ人たちには、さっぱりわけがわかりません。「この人は自殺でもするつもりなのか。彼が行く所へ私たちは行けないとは、いったいどういうことだろう」と、首をかしげるばかりでした。
+ そこでイエスは言われました。「いいですか。あなたがたは地上に生まれた者ですが、わたしは天から来た者です。あなたがたはこの世の者ですが、わたしは違います。
+ だから、『あなたがたは罪が赦されないまま死ぬ』と言ったのです。わたしが神の子、メシヤであることを信じなければ、罪ののろいの下で死ぬしかないからです。」
+ 「あなたはいったい、どういう方なのですか。」「そのことは、いつもはっきり言っていたはずです。
+ あなたがたには非難したいことや、教えたいことが山ほどあります。しかし、わたしをお遣わしになった方から聞いたことだけを話しましょう。その方は真実な方だからです。」
+ それでも彼らにはまだ、イエスが神のことを話しておられるのがわかりませんでした。
+ 「あなたがたは、わたしを殺してはじめて、わたしがメシヤだったと気づくでしょう。そして、わたしが自分の考えではなく、父から教わったことを話していたとわかるでしょう。
+ わたしをお遣わしになった方が、わたしといつもいっしょにおられます。わたしをお見捨てになることはありません。わたしがいつも、その方のお心にかなうことをするからです。」
+ この話を聞いたユダヤ人の多くが、イエスをメシヤと信じるようになりました。その人たちにイエスは、「わたしが教えたとおりに生活すれば、ほんとうの弟子と言えます。
+ あなたがたは真理を知り、その真理があなたがたを自由にするのです」と言いました。
+ 「おことばですが、私たちはれっきとしたアブラハムの子孫です。これまで、だれの奴隷になったこともありません。『自由にする』とはどういうことでしょう。」
+ 「教えてあげましょう。あなたがたは一人残らず罪の奴隷なのです。
+ 奴隷には何の権利もありません。しかし、主人の息子は別です。息子はありとあらゆる権利を持っています。
+ だから、神の子が自由にしてあげたなら、それでほんとうに自由の身になるのです。
+ 確かに、あなたがたはアブラハムの子孫です。けれども、あなたがたの中には、わたしを殺そうとねらっている者がいます。わたしのことばが心にしっかり根を下ろしていないからです。
+ せっかくわたしが父といっしょにいた時に見たことを話してあげているのに、あなたがたは自分の父の言いつけに従っているだけです。」
+ 「私たちの父はアブラハムです。」彼らは言いました。「いや、あなたがたの父がアブラハムだったら、彼の良い模範にならったはずです。
+ ところが、どうです。反対にわたしを殺そうとしているではありませんか。しかもその理由は、わたしが神から聞いた真理を語ったからというのです。アブラハムなら、そんなことは絶対にしなかったでしょう。
+ そんなことをするのは、あなたがたが、あなたがた自身の父に従っているからです。」「私たちの真の父は、神ご自身です。私たちは私生児ではありません。」
+ 「ほんとうにそのとおりなら、わたしを愛したはずです。わたしは神のもとから来たのですから。自分の考えで、今ここにいるのではありません。父がここにお遣わしになったのです。
+ わたしの言うことがわからないのも、むりはありません。理解できないようにされているのですから……。
+ あなたがたの父は悪魔です。悪魔の子が悪魔の悪い行いを喜んでまねても、不思議ではありません。悪魔は初めから人殺しで、真理をきらっています。悪魔のうちには真理の一かけらもありません。悪魔がうそをつくのは当然です。うそつきの大もとなのですから。
+ だから、わたしが真理を語ってもあなたがたが信じないのはあたりまえです。
+ あなたがたのうち、だれが、たった一つでもわたしの罪を指摘できますか。できないでしょう。真理を話しているのに、なぜわたしを信じないのですか。
+ 神の子どもならだれでも、神のおっしゃることを喜んで聞くはずです。あなたがたが聞き従わないのは、神の子どもではないからです。」
+ 「おまえはサマリヤ人だ! よそ者だ! やっぱり悪霊に取りつかれているのだ。」ユダヤ人たちはわめき立てました。
+ イエスは、「いや、断じてそんなことはありません。わたしは父を尊敬しています。が、そんなわたしを、あなたがたは軽蔑しているのです。
+ しかし、わたしは栄誉を求めているのではありません。ただ、わたしに栄誉を与えたいと願っておられる神が、わたしを受け入れない人々をおさばきになるのです。
+ よく言っておきましょう。わたしに従う者は、決して死なないのです」と言われました。
+ 「おまえが悪霊に取りつかれていることが、はっきりした。アブラハムも、偉大な預言者たちも死んだのに、『わたしに従う者は死なない』などと、よく言ったものだ。
+ おまえは、先祖のアブラハムよりも偉いのか? アブラハムは死んだろう。それとも、あの預言者たちよりも偉いとでも言うのか。その預言者たちも死んだではないか。いったい自分をだれだと思っているのだ。」
+ イエスは言われました。「わたしがただ自慢しているだけなら、全くむなしいものです。しかし、わたしに栄光を与えてくださるのは父なのです。この方を、あなたがたは『私たちの神様』と呼んでいます。
+ そう呼びながら、実はこの方を知りもしません。わたしはよく知っています。知らないなどと言ったら、それこそ、あなたがたと同じように大うそつきになります。わたしがこの方を知り、この方に全く従っているというのはほんとうです。
+ あなたがたの先祖アブラハムは、わたしの日を思い見て喜びにあふれました。わたしが来るとわかったからです。」
+ 「まだ五十歳にもなっていないあんたが、よくアブラハム様を見ることができましたね。」
+ 「アブラハムが生まれるずっと前から、わたしはいるのです。これは、まぎれもない事実です。」
+ 話がここまで来ると、ユダヤ人たちは怒りを抑えることができず、手に手に石をつかみ、今にもイエスを打ち殺さんばかりになりました。しかし、イエスはすばやく身を避け、急いで宮を抜け出しました。
+
+
+ さて、道を歩いていた時のこと、イエスは生まれつきの盲人をごらんになりました。
+ そこで、弟子たちが尋ねました。「先生。どうしてこの人は、生まれつき目が見えないのですか。本人が罪を犯したからですか。それとも両親ですか。」
+ 「いや、そのどちらでもありません。ただ神の力が現されるためです。
+ わたしたちは、わたしをお遣わしになった方に命じられた仕事を、急いでやり遂げなければなりません。もうすぐ夜が来ます。そうしたら、もう仕事はできないのですから。
+ しかし、まだこの世にわたしがいる間は、わたしが光となります。」
+ こう言われると、イエスは地面につばをして泥を作り、それを盲人の目に塗って、
+ 言われました。「さあ、シロアムの池に行って洗い落としなさい」〔「シロアム」とは、「遣わされた者」の意味〕。イエスが言われたとおりにすると、どうでしょう。彼は見えるようになって戻って来たではありませんか。
+ 近所の人や、彼が盲目の物ごいだったことを知っている人は仰天し、「これが、あの人かい」と口をそろえて言いました。
+ ほかの人は、「そうだ」と言う人もいれば、「いや、あいつのはずはない。だが実によく似ている」と言う人もいました。すると当の本人が、「何を言っているんだ。おれだよ」と言いました。
+ 人々はあっけにとられながらも、「いったいどうしたのだ。どうやって見えるようになったのか」と矢つぎばやに尋ねました。
+ その男は答えました。「イエスという方が泥をこねて目に塗り、『シロアムの池に行って、泥を洗い落としなさい』と言われたのさ。それでそのとおりにすると、見えるようになったんだよ。」
+ 「その人は今どこにいるんだ。」「さあ、知らないな。」
+ 人々は、男をパリサイ人たちのところへ連れて行きました。
+ ところで、この日は安息日でした。
+ パリサイ人たちにどうして目が見えるようになったのかを尋ねられて、男はそのいきさつを、くわしく話しました。
+ パリサイ人のある者は、「そのイエスという者は、神から遣わされた者ではない。安息日に仕事なんかしたんだから」と断言しました。しかし、「罪人にすぎない普通の人間に、こんな奇跡が行えるだろうか……」と疑問を投げかける者もいます。意見は真っ二つに分かれました。
+ しかたなく、その盲目だった男に、「おまえの目を開けてくれた人のことをどう思うか」と聞きました。「きっと神様が遣わした預言者です」と男は答えました。
+ しかし、ユダヤ人の指導者たちは、盲目だった男が見えるようになったことを、どうしても信じようとはしません。とうとう両親まで呼び出し、
+ 確かめることにしました。「この男は息子だな。ほんとうに生まれつき目が見えなかったのか。だったら、どうして見えるようになったのだ。」
+ 両親は答えました。「はい、確かに息子でございます。この子は生まれつき目が見えませんでした。
+ けれども、どうして見えるようになったのか、どなたがこれの目を開けてくださったのかは、少しも存じません。どうぞ本人からじかに聞いてみてください。もう一人前の大人ですから、自分で説明できるでしょう。」
+ こう言ったのは、ユダヤ人の指導者たちがこわかったからです。指導者たちはすでに、イエスをキリストと告白する者は、だれかれの区別なく会堂から追放すると公表していたのです。
+ 指導者たちは、男をもう一度呼び寄せ、きつく言い渡しました。「イエスなどではなく、神をあがめなさい。あいつは悪党だ。」
+ 「さあ、あの方が善人か悪人かは、私にはわかりません。ただ、これだけははっきりしています。私は今まで目が見えなかったのに、今は見えることです。」
+ 「だが、あいつは何をした? どうやっておまえの目を開けた?」
+ 男はまたかと腹を立て、大声で言いました。「そのことは、もう話したではありませんか。お聞きにならなかったのですか。もう一度言えとは、どういうことでしょう。あの方の弟子にでもなりたいのですか。」
+ こう言われて、指導者たちは男をののしりました。「おまえこそあいつの弟子のくせに。われわれはモーセの弟子だ。
+ 神はまちがいなくモーセにお語りになった。しかし、あいつはどこの馬の骨だかわからない。」
+ 「これは驚きました。あの方は盲人の目を開けることができるんですよ。なのに、あの方のことは何も知らないとおっしゃる。
+ 神様は悪人の言うことはお聞きになりません。しかし、神様を礼拝し、お心にかなうことを行う者には、耳を傾けてくださるんじゃありませんか。
+ 世の初めからこのかた、生まれつきの盲人の目を開けた人など、いたためしがありません。
+ 神様から遣わされた方でなければ、こんなことはできないはずです。」
+ こうまで言われて、彼らは怒りを爆発させました。「このろくでなしめ! われわれを教えようというのか!」とどなりつけたあげく、男を外に追い出してしまいました。
+ そのいきさつを伝え聞いたイエスは、男を捜し、見つけ出されると、「あなたはメシヤを信じますか」とお聞きになりました。
+ 「先生。どなたがメシヤ様なのでしょうか。教えてください。ぜひ信じたいのです。」
+ 「もうその人に会っているのですよ。あなたと話しているわたしがメシヤなのです。」
+ 「主よ。信じます。」男はそう言って、イエスを礼拝しました。
+ するとイエスは言われました。「わたしがこの世に来たのは、心の目の見えない人を見えるようにするため、また、見えると思い込んでいる人に、実は盲目だということをわからせるためなのです。」
+ ちょうどその場に居合わせたパリサイ人たちが、けげんな顔で尋ねました。「じゃあ、私たちも盲目だと言うのか。」
+ 「もしあなたがたが盲目だったら、罪に問われないですんだでしょう。しかし、何もかもわかっているとあくまで言いはるので、あなたがたの罪はそのまま残るのです。」
+
+
+ 「よく言っておきます。羊の囲いの中に門から入らないで、柵を乗り越えて忍び込む者は強盗です。
+ 羊飼いなら堂々と門から入って来るはずです。
+ 門番も羊飼いには門を開けてくれます。彼の声を聞くと、羊は回りに駆け寄って来ます。羊飼いは一匹一匹自分の羊の名を呼んで連れ出すのです。
+ 先頭に立つのは羊飼い、羊はそのあとについて行きます。その声を知っているからです。
+ 知らない人にはついて行かず、反対に逃げ出します。聞き覚えのない声だからです。」
+ イエスがこのたとえ話をなさっても、聞いている人々には、どういう意味かさっぱりわかりませんでした。
+ そこでイエスは説明なさいました。「いいですか。わたしが羊の出入りする門なのです。
+ わたしより前に来た人々はみな、どろぼうか強盗です。羊は、彼らの言うことは聞きませんでした。
+ わたしは門なのです。この門から入る者は救われます。また、安心して出入りができ、緑の牧草を見つけるのです。
+ 強盗は、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするために来ます。しかしわたしが来たのは、いのちをあふれるほど豊かに与えるためです。
+ わたしはまた、良い羊飼いです。良い羊飼いは羊のためにはいのちも捨てます。
+ 雇い人は、狼が来れば羊を捨てて、すぐに逃げ出します。彼らは羊の持ち主でも、羊飼いでもないからです。こうして狼は羊にとびかかり、群れを追い散らしてしまいます。
+ 雇い人はお金で雇われているだけで、羊のことをほんとうに心にかけているわけではないので、平気で逃げてしまうのです。
+ わたしは良い羊飼いであり、自分の羊を知っています。また、羊もわたしを知っています。
+ わたしの父がわたしを知っておられ、わたしも父を知っているのと同じです。わたしは羊のためにいのちを捨てるのです。
+ このほかに、別の囲いにも羊がいます。その羊をも導かなければなりません。やがてその羊も、わたしの声に注意深く聞き従い、一人の羊飼いのもとに一つの群れとなるのです。
+ わたしが再びいのちを得るためにいのちを投げ出すからこそ、父はわたしを愛してくださいます。
+ だれもわたしの意に反して、わたしを殺すことはできません。わたしが、自分から進んでいのちを捨てるのです。わたしには、いのちを自由に捨て、もう一度それを得る権威と力があるからです。父がこの権威を下さったのです。」
+ この話のことで、ユダヤ人の指導者たちの意見は、また真っ二つに分かれました。
+ 「あいつは悪霊につかれているか、それとも気が変になっているかだ。あんなやつの言うことに耳を貸す必要なんかない」と息まく者があるかと思えば、
+ 「いいや、とても悪霊につかれた者のことばとは思えない。だいいち、悪霊に盲人の目を開けることなんかできるはずもないだろう」と言い出す者もいました。
+ 時は冬でした。宮きよめの祭りがあり、イエスもエルサレムにおられました。ちょうど、宮の中のソロモンの廊と呼ばれる所を歩いておられると、
+ ユダヤ人の指導者たちが来て、回りを取り囲みました。「いつまで気をもませるつもりですか。キリスト(救い主)なら、はっきりそう言ったらいいでしょう。」
+ 彼らの質問に、イエスはお答えになりました。「そのことならもう話しました。あなたがたは信じませんでしたが。わたしは、父の御名によって何度も奇跡を行ったでしょう。証拠はそれで十分なはずです。
+ それでも、あなたがたはわたしを信じないのです。あなたがたはわたしの羊の群れに属さないのですから、しかたがありません。
+ わたしの羊はわたしの声を聞き分けます。わたしは彼らを知っているし、彼らもわたしにはついて来ます。
+ わたしは彼らに永遠のいのちを与えるのです。彼らは絶対に滅びることがなく、また、だれもわたしの手から彼らを奪い取ることはできません。
+ 父がわたしに下さった群れなのですから。父はだれよりも力があります。わたしの羊をさらうことなど、だれにもできません。
+ わたしと父とは一つです。」
+ これを聞いたユダヤ人の指導者たちは、やにわに石をつかみました。イエスを打ち殺そうというのです。
+ 「わたしは神のお心どおり、たくさんの良いわざを行って人々を助けただけです。それのどこが悪くて殺されなければならないのでしょうか。」
+ 「なにも良い行いを責めているわけではない。神を汚したからだ。ただの人間のくせに、神だなどとぬかしおって!」
+ 「あなたがたの律法には、『わたしは言った。「あなたがたは神々だ」』と書いてあるではありませんか。
+ 無効になることのありえない聖書が、神のことばを受けた人々のことを神々と呼んでいるのです。
+ とすれば、父がきよめ分かち、この世にお遣わしになった者が『わたしは神の子だ』と言ったからといって、どうして神を汚すことになるのですか。
+ わたしが神のみわざを行っていないのなら、わたしを信じなくてかまいません。
+ しかし、もし神のみわざを行っているのなら、わたしを信じないにしても、みわざそのものを信用しなさい。父がわたしのうちにおられ、わたしが父のうちにいることがはっきりわかるでしょう。」
+ 彼らが、またもイエスを捕らえようとしたので、イエスはうまくその場を切り抜け、エルサレムをあとになさいました。
+ そしてヨルダン川を渡り、ヨハネが最初にバプテスマ(洗礼)を授けていたあたりに滞在されましたが、
+ ここでも、多くの人が、あとからあとから詰めかけて来ます。彼らは口々に言いました。「ヨハネは一つも奇跡を行わなかったけれど、この方について話したことは、何もかもそのとおりになった。」
+ こうして多くの人が、イエスこそメシヤ(救い主)だと信じるようになったのです。
+
+
+ さて、ラザロという名前の人が病気にかかっていました。彼はマリヤとその姉マルタの兄弟で、ベタニヤという村に住んでいました。このマリヤは、イエスの足に高価な香油を注ぎ、それを髪でぬぐったことで知られる女性です。そのマリヤの兄弟ラザロが床に伏していました。
+ マルタとマリヤが、イエスのもとに使いをよこしました。「先生。あなたが心にかけてくださっているラザロが重い病気にかかり、明日をも知れない状態です。」
+ この知らせを聞いたイエスは言われました。「この病気は、ラザロの死で終わるものではありません。神の栄光が現されるためです。それによって神の子が、栄光を受けるのです。」
+ イエスは、マルタたち三人を心から愛しておられました。
+ けれども、なぜか、なお二日間そこにとどまって、なかなか腰を上げようとはなさいません。
+ 二日たって、ようやく、「さあ、ユダヤに行きましょう」と弟子たちに言われました。
+ ところが、もうれつな反対が返ってきたのです。「なんてことを、先生! つい先日、ユダヤ人の指導者たちが先生を殺そうとしたのをお忘れですか。それなのに、またのこのこと出かけて行くおつもりですか。」
+ 「昼間は十二時間あります。その間に歩けば安全で、つまずくこともありません。
+ ところが、夜歩いたらとても危険です。暗くて足を踏みはずすかもしれませんから。」イエスはこう言って、
+ さらに続けられました。「友のラザロが眠っています。彼を起こしに行かなくては。」
+ これを、ラザロがぐっすり眠ったものと勘違いした弟子たちは、「じゃあ、病状はよくなっているんですね」と言いました。しかしイエスは、ラザロが死んだと言われたのです。
+ そこで、今度ははっきりと言われました。「ラザロは死んだのです。
+ わたしがその場に居合わせなくてよかったのです。これでまた、あなたがたがわたしを信じる機会が増えるのですから。さあ、彼のところへ出かけましょう。」
+ そこで、「ふたご」とあだ名が付けられているトマスが、「みんなで行って、危ないことがあるなら、先生とごいっしょに死のうじゃないか」と、仲間の弟子たちに言いました。
+ 一行がベタニヤに着いてみると、ラザロはすでに墓に葬られ、四日もたっていました。
+ ベタニヤは、エルサレムからわずか三キロほどの所だったので、
+ エルサレムからも大ぜいのユダヤ人たちが弔問に詰めかけていました。マルタとマリヤが慰めのことばを受けているところへ、
+ イエスの到着が知らされました。マルタはそれを聞くと、取る物も取りあえず、迎えに行きました。ところが、マリヤは家の中にじっと座ったままでした。
+ マルタはイエスに向かって訴えました。「先生。あなたがいてくださったら、ラザロは死なずにすんだでしょうに。
+ 今でも、あなたが神様にお求めになるなら、神様はそのとおりにしてくださるでしょう。」
+ イエスは言われました。「そのとおりです。ラザロは生き返るのです。」
+ マルタは言いました。「はい。いつかすべての人が復活する日には、もちろん……。」
+ しかし、イエスは言われました。「このわたしが、死人を生き返らせ、もう一度いのちを与えるのです。わたしを信じる者は、たとえほかの人と同じように死んでも、また生きるのです。
+ わたしを信じて永遠のいのちを持っている者は、決して滅びることがありません。このことを信じますか、マルタ。」
+ 「はい、先生。あなたこそ、長いあいだ待ち続けてきた神の子キリストだと信じております。」
+ マルタは家に戻り、マリヤをわきへ呼んでそっと耳うちしました。「先生がすぐそこにいらしていて、あなたを呼んでおられるわよ。」
+ そこでマリヤは、すぐにイエスのところへ出て行きました。
+ さて、イエスはまだ村に入らず、マルタが出迎えた場所におられました。
+ マリヤを慰めていたユダヤ人たちは、彼女がそそくさと出て行くのを見て、きっと墓へ泣きに行くのだろうと思って、あとについて行きました。
+ マリヤはイエスのところまで来ると、くずおれるように足もとにひれ伏し、涙ながらに言いました。「ああ、先生。あなたさえいてくださったら、ラザロは、ラザロはまだ生きていたでしょうに。」
+ イエスは、目の前でマリヤが泣き伏し、ユダヤ人たちもいっしょに嘆き悲しんでいるのに強く心を動かされ、
+ 「ラザロはどこですか」とお聞きになりました。「来て、ごらんください。」
+ イエスの目に涙があふれました。
+ そこで、ユダヤ人たちはこう言い合いました。「お気の毒に。どんなにラザロを愛しておられたことだろう。」
+ しかし、「盲人の目を開けたこの人が、ラザロを生かしておくことはできなかったのかね」と、非難めいて言う人もいました。
+ これを聞いたイエスは、またも心に深い憤りを感じながら、墓に着きました。それはほら穴で、入り口には重い石が立てかけてありました。
+ 「さあ、石をわきにどけなさい。」イエスは人々をうながされました。マルタがあわてて止めました。「でも、もうひどいにおいがしています。なにしろ、死んでから今日で四日ですもの。」
+ イエスはマルタにおっしゃいました。「もし信じるなら神のすばらしい奇跡を見る、と言ったはずです。」
+ 人々は言われるままに石を取りのけました。イエスは天を見上げ、「父よ。願いを聞いてくださってありがとうございます。
+ あなたがいつもわたしの願いを聞いてくださることはわかっています。ただ、あなたがわたしをお遣わしになったことを、ここに立っているみんなが信じるように、こう申し上げたのです」と祈られました。
+ それから、大声で、「ラザロよ。出て来なさい!」とお命じになりました。
+ すると、どうでしょう。ラザロが、手足を布で巻かれた姿のまま出て来たではありませんか! 顔も布で包まれたままです。イエスはあっけにとられている人々に言われました。「さあ、早く布をほどいてやって、帰らせなさい。」
+ マリヤについて来てこの出来事を見た多くのユダヤ人が、イエスを信じるようになりました。
+ しかし、パリサイ人たちのところへ行き、事細かにこのことを報告する者も何人かいました。
+ そこで祭司長やパリサイ人たちは、この問題を協議するため、さっそく議会を召集し議論しました。「あの男が奇跡を行っているというのに、いったい何をぐずぐずしているのか。
+ このまま放っておいたら、国民一人残らずあの男を信じるようになってしまうぞ。そんなことにでもなったら、ローマ軍が踏み込んで来てわれわれを殺し、われわれの土地も国民も乗っ取るだろう。」
+ すると、その年の大祭司カヤパが、業をにやして言いました。「ばかを言うな。こんなこともわからないのか。
+ 全国民の代わりに、彼一人に死んでもらえば事はすむのだ。国民全体が滅びるなんて、冗談じゃない。」
+ イエスが全国民の代わりに死ぬことを、大祭司が預言したのです。カヤパは別の動機から、無意識のうちに、そのように言ったのです。
+ これはイエスが、イスラエル人ばかりか、世界中に散らされているすべての神の子どもたちのためにも死んでくださるという預言でした。
+ この時から、ユダヤ人の指導者たちは、イエスを殺す計画をあれこれ練り始めました。
+ そんなこともあって、イエスはユダヤ人の間でおおっぴらに活動することをやめ、エルサレムをあとにされました。そして荒野に近いエフライムの村で、しばらく弟子たちと共に身を潜めておられました。
+ ユダヤ人の過越の祭りが近づきました。この時は、多くの人々が各地からエルサレムに集まります。みな祭りの始まる前にきよめの儀式をすませようと、数日前には着くように出かけて来るのです。
+ 人々は、イエスに会いたいと思いました。宮のあちこちで、「どうだろうね。あの方は祭りにいらっしゃるかな」と、しきりにうわさし合う声が聞こえます。
+ 一方、祭司長やパリサイ人たちはイエスを逮捕することしか頭になく、「イエスを見かけた者は直ちに届け出よ」という命令を出していました。
+
+
+ 過越の祭りの始まる六日前に、イエスはベタニヤにお着きになりました。イエスが死から生き返らせた、あのラザロがいる村です。
+ さっそく晩餐が用意されました。マルタは給仕にいとまがありません。ラザロはイエスといっしょに食卓に着いています。
+ そこへマリヤが、香油のつぼを手に入って来ました。それはナルドから作った純粋な香油で、とても高価なものでした。マリヤはイエスのそばに歩み寄ると、驚いたことに、その香油をイエスの足に注いだのです。それから、ていねいに自分の髪でぬぐいました。たちまち家中に香油の香りがたちこめました。
+ ところが、弟子の一人でイエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが、非難がましく言いました。
+ 「やれやれ、この香油はひと財産ものだよ。売って、その代金を貧しい人たちに恵んでやればよさそうなものを。全くもったいない話だ。」
+ こう言ったのは、彼が貧しい人たちのことを心にかけていたからではなく、会計を任されているのをいいことに使い込みを重ねていたからです。
+ イエスはお答えになりました。「そのままにさせておきなさい。マリヤはわたしの葬りの準備をしてくれたのです。
+ 貧しい人たちはいつでも助けてあげられますが、わたしはもう、それほど長くいっしょにはいられないからです。」
+ エルサレムの市民は、イエスがおられると聞いて、どっとラザロの家に押しかけました。イエスに会うためばかりではありません。一度死んで生き返ったラザロを一目見たいと思ったのです。
+ これには祭司長たちも頭をかかえ込み、いっそのことラザロも殺してしまおうと相談しました。
+ ラザロのことで、大ぜいのユダヤ人がユダヤ教から離れ、イエスをメシヤと信じるようになったからです。
+ 翌日、イエスがエルサレムに向かわれるというニュースが町中をかけ巡りました。過越の祭りで上京した人々は、
+ イエスを迎えようと、手に手にしゅろの枝を振りかざして駆けつけました。沿道はたちまち人の波、波、波……。あちこちで大歓声が上がりました。「救い主! イスラエルの王様ばんざーい! 神の大使ばんざーい!」
+ イエスはろばの子に乗っておられました。こうして預言どおりのことが起こったのです。
+ 「イスラエルの民よ。あなたがたの王を恐れるな。王は柔和で、ろばの子に乗って、来られるのだから。」
+ 〔この時、弟子たちには、この出来事が預言どおりに起こったこととは思えませんでした。しかし、イエスが天にある栄光の座に帰られたあと、「そういえば、あのことも聖書にあるとおりだった。このことも預言どおりだった」と思い出したのです。〕
+ 群衆の中には、イエスがラザロを生き返らせた現場を目撃した人たちもかなりいて、彼らはその出来事を一部始終、人々に伝えていました。
+ こんなに大ぜいの人がイエスを出迎えたのも、実を言えば、そのすばらしい奇跡のことを聞いたからでした。
+ この有様にパリサイ人たちは動転し、言いました。「なんてことだ! 見ろ。みんな、あいつについて行ったじゃないか!」
+ さて、過越の祭りに加わろうとエルサレムに来ていた数人のギリシヤ人が、
+ ベツサイダ出身のピリポのところへ来て、「先生。ぜひともイエス様にお会いしたいのですが」と頼み込みました。
+ ピリポはアンデレにそのことを話し、二人でお願いしようということになりました。
+ イエスはお答えになりました。「いよいよ、わたしが天の栄光の座に帰る時が来ました。
+ よく言っておきます。畑にまかれる一粒の麦のように、わたしも地に落ちて死ななければなりません。そうしなければ、いつまでたっても一人のまま、一粒の種のままです。しかし、死ねば多くの新しい実が生じ、新しいいのちが豊かに実を結ぶことになります。
+ この地上のいのちを愛するなら、結局はそれを失うだけです。しかし、地上のいのちに執着しなければ、代わりに永遠の栄光を受けるのです。
+ わたしの弟子になりたい者は、わたしについて来なさい。わたしに仕える者は、わたしのいる所にいなければならないのですから。わたしに従う者に、父は報いてくださるのです。
+ しかし、わたしの心は騒いでいる。いったい、わたしはどうしたらいいのだろうか。『父よ。これから起きることからお救いください』と祈るべきだろうか。ああ、いや、このために、この時のために、わたしは来たのでした。
+ 父よ。どうぞあなたの栄光を現し、あなたの御名があがめられるようにしてください。」その時、天から声が聞こえました。「わたしはすでに栄光を現したし、また、もう一度そうしよう。」
+ この声を聞いた群衆はかってに想像をめぐらし、「雷が鳴ったのだ」と思う者もあれば、「天使が語りかけたのだ」と言う者もいました。
+ そこで、イエスは群衆に言われました。「この声が聞こえたのは、わたしのためではありません。あなたがたのためです。
+ さばきの時が来ています。この世の支配者サタンは追い出されるのです。
+ わたしが十字架の上に上げられる時、わたしはすべての人を自分のもとに引き寄せましょう。」
+ こう言われたのは、自分がどのような死に方をするかを示されるためでした。
+ 群衆はイエスに答えました。「あなたが死ぬですって? メシヤは永遠に生きていて、絶対に死んだりなさらないものと思っておりましたのに。どうしてそんなことをおっしゃるのですか? いったいどんなメシヤのことを言っておられるのですか。」
+ イエスは彼らに言われました。「もうほんのしばらくの間、わたしの光はあなたがたのために輝いています。光のある間に光の中を歩きなさい。暗闇が襲って来る前に、行こうと思う所に行きなさい。襲って来てからでは遅すぎます。道を見つけることもできません。
+ まだ時間のある間に、光を十分に用いなさい。そうすれば、光の子になれるのです。」イエスはこう話し終えるとそこを立ち去り、身を隠されました。
+ ところが、イエスがあれほど多くの奇跡をなさったにもかかわらず、大部分の人はイエスをメシヤとは信じませんでした。
+ まさに、イザヤが預言したとおりです。「主よ。だれが私たちのことばを信じるのか。だれが神の力強い奇跡を証拠と認めるのか。」
+ イザヤは次のようにも言っているからです。
+ 「神は彼らの目を盲目に、心をかたくなにされた。彼らが見ることも、理解することも、わたしのもとに立ち返っていやされることもないためだ。」
+ この預言は、イエスのことを指しています。イザヤは、メシヤの栄光の幻を見て預言したのです。
+ しかし、だれも信じなかったというわけではありません。ユダヤ人の指導者の中にも、イエスをメシヤと信じる者がかなりいました。ただ、パリサイ人たちに会堂から除名されるのがこわくて、公に告白できなかったのです。
+ 彼らは、神にほめていただくことよりも、人の間での名誉を重んじたからです。
+ イエスは大声で群衆に語りかけました。「わたしを信じる人は、わたしを遣わした方を信じるのです。
+ わたしを見る人は、わたしを遣わした方を見るのです。
+ わたしは、この暗い世に輝く光として来ました。わたしを信じる人がだれも、もはや暗闇の中をさまようことのないためです。
+ わたしのことばを聞きながら従おうとしない人がいても、わたしはさばきません。わたしが来たのは世を救うためで、さばくためではないからです。
+ しかし、わたしを退け、わたしの言うことを受け入れないすべての人をさばくものがあります。わたしの語った真理のことばが、終わりのさばきの日にその人をさばくのです。
+ その真理はわたしが考え出したことではなく、父が語れとお命じになったことです。
+ 神の命令は、人を永遠のいのちに導きます。だから、神が語れと言われたことを、何でもそのとおり語っているのです。」
+
+
+ 過越の祭りの前に、イエスは、いよいよこの世を去って父のもとに帰る最後の時が来たことを知り、弟子たちに対する愛を余すところなく示されました。
+ 夕食の間のことです。悪魔はすでに、シモンの子イスカリオテのユダに、「今夜こそ、かねてからの計画を実行に移す絶好の時だ」という思いを吹き込んでいました。
+ イエスは、父がすべてのものを与えてくださったことと、自分が神のもとから来て、また神のもとに帰ろうとしていることを知り、
+ 夕食の席からゆっくり立ち上がり、上着を脱ぎ、手ぬぐいを取って腰に巻かれました。
+ そしてたらいに水を入れ、弟子たち一人一人の足を洗い、腰の手ぬぐいでふき始められたのです。
+ シモン‧ペテロの番になりました。ペテロは言いました。「主よ。足を洗っていただくなど、もったいなくてとてもできません。」
+ イエスは言われました。「なぜこんなことをするのか、今はわからないでしょう。だが、あとでわかるようになります。」
+ 「いいえ。どうかもう、おやめください」とペテロは言いはります。「もしわたしが足を洗わなければ、あなたはわたしの仲間にはなれません」とイエスは答えられました。
+ するとペテロはあわてて、「そ、それなら、足だけとおっしゃらず、手も、それに頭も洗ってください」と言いました。
+ 「水浴した者は、足だけ洗えば全身がきよくなります。今あなたがたはきよいのですが、みながみな、きよいというわけではありません。」
+ イエスはだれが裏切り者かわかっていたので、「みながみな、きよいわけではない」と言われたのです。
+ イエスは弟子たちの足を洗い終えると、また上着を着て席に戻り、改めてお尋ねになりました。「わたしのしたことがわかりますか。
+ あなたがたはわたしを『先生』とも『主』とも呼んでいます。それはかまいません。そのとおりなのですから。
+ その、主でも先生でもあるわたしが足を洗ってあげたのですから、あなたがたも互いに足を洗い合いなさい。
+ わたしは模範を示したのです。わたしがしたとおりに、あなたがたもしなさい。
+ 使用人はその主人にまさらず、遣わした人より使者のほうがまさるということもありません。
+ このことがわかったら、すぐ実行しなさい。そうすれば祝福されるのです。
+ あなたがた全員にこう言っているのではありません。あなたがたを選んだのは、このわたしです。ですから、一人一人がどんな人間かよく知っています。聖書には、『わたしと食事を共にしている者が、わたしを裏切る』とはっきり書いてあるでしょう。いいですか。まもなく、そのとおりのことが起こるのです。
+ 今そのことを話しておきましょう。その時になって、あなたがたがわたしを信じられるように。
+ よく言っておきます。わたしが遣わす者を心から受け入れる人はだれでも、わたしを受け入れるのです。そして、わたしを心から受け入れることは、わたしをお遣わしになった父を受け入れることなのです。」
+ ここでイエスは、込み上げる霊の悲しみを抑え、言われました。「あなたがたに言います。あなたがたのうちの一人が、わたしを裏切ります。」
+ 弟子たちは、だれのことを言われたのか見当もつきません。困惑して顔を見合わせるばかりです。
+ イエスに愛された弟子の私(筆者の使徒ヨハネ)は、食卓では先生の隣に座っていました。
+ シモン‧ペテロが私に、「そんな恐ろしいことをしでかすのは、いったいだれか聞いてくれ」と合図を送ってきました。
+ そこで私は先生に、「主よ。だれがそんなことを?」と尋ねました。
+ 「わたしの手でスープに浸したパンを与える者がそうです。」こう言うと、イエスはパンを浸し、イスカリオテのシモンの子ユダに与えられたのです。
+ ユダがそのパンを口に入れたその時、サタンがユダの心に入り込みました。そこでイエスはユダに、「さあ、急いで、することをしなさい」と言われました。
+ 食卓に着いているほかの者はみな、それが何のことやらわかりません。
+ ユダが一行の会計係だったので、祭りに必要なものを買い求めるように言われたか、貧しい人々に施しをするように言われたのだろう、と思った者もいました。
+ ユダはぱっと席を立つと、夜の闇に飛び出して行きました。
+ ユダが姿を消すとすぐ、イエスが言われました。「時が来ました。神の栄光がわたしの回りに輝き渡るのも、時間の問題です。同時にまた、わたしの身に起こるすべてのことのゆえに、神も大いにほめたたえられるでしょう。
+ 神はわたしに、ご自分の栄光を与えてくださるのです。それも、すぐにです。
+ 心から愛してやまない子どもたちよ。ああ、もう時間がありません。あなたがたを残して行かなければならないのです……。その時には、いくらわたしを捜しても、わたしのところへ来ることはできません。ユダヤ人の指導者たちにも言っておいたとおりです。
+ そこで今、新しい戒めを与えましょう。わたしがあなたがたを愛するように、互いに愛し合いなさい。
+ 互いに心から愛し合うなら、わたしの弟子であることをすべての人が認めるのです。」
+ さっそく、シモン‧ペテロが尋ねました。「主よ。いったいどこへいらっしゃるのですか?」「あなたは、今はついて来ることはできません。しかし、ずっとあとになってついて来ます。」
+ ペテロは言いました。「でも、どうしてですか。どうして今はだめなのですか。あなたのためなら死ぬ覚悟もできています。」
+ 「わたしのために死ぬ、と言うのですか。いや違います。あなたは、明日の朝、鶏が鳴く前に、三度わたしを知らないと言います。」
+
+
+ 「あなたがたは、どんなことがあっても、心配したりあわてたりしてはいけません。神を信じ、またわたしを信じなさい。
+ 父の住んでおられる所には、家がたくさんあります。もしなかったら、はっきり言っておいたでしょう。わたしは、あなたがたを迎える家を準備しに行くのです。
+ すっかり準備ができたら迎えに来ます。わたしがいる所に、あなたがたもいられるようにするためです。
+ これだけ言えば、わたしがどこへ行くか、どうしたらそこへ行けるか、もうわかったでしょう。」
+ するとトマスが言いました。「いいえ、ちっともわかりません。先生がどこへおいでになるのか、まるで見当もつきません。ましてそこへ行く道など、どうしてわかりましょう。」
+ イエスはトマスに言われました。「いいですか。わたしが道です。そして真理でもあり、いのちでもあります。わたしを通らなければ、だれ一人、父のところへは行けません。
+ わたしがどういう者か知っているなら、わたしの父のこともわかったはずです。あなたがたは、今からはもう父を知っているし、すでに父を見ているのです。」
+ 今度はピリポが口をはさみました。「先生。あなたのお父様を見せてください。それだけで十分ですから。」
+ 「ピリポ。こんなに長くいっしょにいるのに、わたしがどういう者かまだわからないのですか。わたしを見た者は、父を見たのです。それなのにどうして父を見せてくださいなどと言うのですか。
+ わたしが父のうちにおり、父がわたしのうちにおられることを信じないのですか。わたしは自分の考えを話しているのではありません。わたしのうちに住んでおられる父の命じられるままに話しているのです。父は、わたしを通して働きをなさいます。
+ わたしが父のうちにおり、父がわたしのうちにおられる、ただこのことを信じなさい。もし信じられないなら、わたしが行った力ある奇跡を思い出してごらんなさい。そうしたら信じられるでしょう。
+ よく言っておきます。わたしを信じる者は、わたしと同じわざを行うばかりか、それよりもさらに大きなわざを行うのです。わたしが父のもとに行くからです。
+ わたしの名によって、父に願い求めなさい。どんなことでもかなえてあげましょう。父が子によってほめたたえられるためです。
+ わたしの名によって願い求めることは、必ずかなえられるのです。
+ わたしを愛するなら、わたしの戒めを守りなさい。
+ わたしは父に、もう一人の助け手を送っていただくようお願いします。その助け手は、いつもあなたがたと共におられます。
+ その方とは聖霊、すなわち、すべてを真理へと導いてくださる霊のことです。世は、この方を受け入れることができません。この方を求めもしなければ、認めようともしないからです。しかし、あなたがたはこの方を知っています。あなたがたと共に住み、あなたがたのうちにおられるからです。
+ わたしはあなたがたを見捨てたり、孤児のように置き去りにしたりすることなどありません。必ずあなたがたのところに帰って来ます。
+ もうすぐわたしはこの世を去りますが、それでもなおいっしょにいるのです。わたしはよみがえり、あなたがたもいのちを受けるからです。
+ わたしが復活する時、あなたがたは、わたしが父のうちにおり、あなたがたがわたしのうちにおり、また、わたしがあなたがたのうちにいることがわかります。
+ わたしに従い、わたしの戒めを守る人は、わたしを愛する人です。わたしを愛する人を、父は愛してくださいます。わたしもまたその人を愛し、わたし自身を現します。」
+ ユダ(イスカリオテ‧ユダではなく、同名の他の弟子)がイエスに、不思議そうに尋ねました。「先生。私たち弟子にだけご自分を現そうとなさって、世の人に現そうとなさらないのはどうしてですか。」
+ イエスはお答えになりました。「わたしを愛し、わたしのことばを守る人にだけ、わたしは自分を現すのです。父もまた、そういう人を愛してくださいます。わたしたちはその人のところに来て、その人といっしょに住みます。
+ わたしのことばを守らない人は、わたしを愛していないのです。わたしは、自分で考え出したことを話しているのではありません。わたしをお遣わしになった父が教えてくださったことを話しているのです。
+ 今、まだあなたがたといっしょにいる間に、このことをみな話しておきます。
+ しかし、父がわたしの代わりに助け手(聖霊)を送ってくださる時には、その方があなたがたにすべてのことを教え、わたしが話しておいたことを、みな思い出させてくださるのです。
+ あなたがたに贈り物をあげましょう。あなたがたの思いと心を安らかにすること、それがわたしの贈り物です。わたしが与える平安は、この世のはかない平安とは比べものになりません。だから、どんな時にもおろおろしたり、恐れたりしてはいけません。
+ 『わたしは去って行くが、また戻って来る』と言ったことを思い出しなさい。ほんとうにわたしを愛しているなら、今わたしが父のもとに行けるのを、心から喜んでくれるはずです。父はわたしよりも偉大だからです。
+ わたしは、まだ起こっていないことを前もって話しました。それが起こった時に、あなたがたがわたしを信じるためです。
+ もう、あまり多くのことを話す時間がありません。この世の悪い支配者が、そこまで近づいているからです。彼はわたしに何もできません。
+ わたしは、父がしなさいとおっしゃることを進んで実行します。わたしが父を愛していることを、世の人が知るためです。さあ、出かけましょう。
+
+
+ わたしはまことのぶどうの木、わたしの父はぶどう園の農夫です。
+ 父は、実のならない枝をみな切り落とし、実のなる枝はもっとたくさんなるように、余分な枝を整理なさるのです。
+ 父は、すでにあなたがたの枝を整理し、きれいに手入れをすまされたのです。
+ ですから、わたしのうちに生きるよう心がけなさい。またわたしが、あなたがたのうちに生きられるようにしなさい。枝は幹につながっていなければ、実を結べないでしょう。同じようにあなたがたも、わたしから離れたら、実を結ぶことはできません。
+ わたしはぶどうの木で、あなたがたはその枝です。人がわたしのうちに生き、わたしもその人のうちに生きているなら、その人は多くの実を結びます。わたしを離れては何もできません。
+ わたしから離れる者はだれでも、役に立たない枝のように投げ捨てられ、枯れてしまいます。最後には、ほかの枝といっしょに積み上げられ、焼かれてしまうのです。
+ しかし、もしわたしのうちにとどまり、わたしの命令に従うなら、何でもほしいものを求めなさい。きっとかなえられます。
+ わたしのほんとうの弟子となり、多くの実を結ぶことによって、父が大いにほめたたえられるのです。
+ 父がわたしを愛してくださったように、わたしもあなたがたを愛しました。わたしの愛のうちに生きなさい。
+ わたしの戒めを守るなら、わたしの愛のうちに生き続けます。わたしが父の戒めを守り、父の愛のうちに生きているのと同じです。
+ このことを話したのは、わたしのうちにあふれる喜びを共に味わいたいからです。
+ わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。これがわたしの教えです。
+ 愛は何によって測ることができるでしょう。友のためにいのちを投げ出すこと、これより大きな愛はありません。
+ わたしの命令に従う人は、わたしの友です。
+ あなたがたはもう使用人ではありません。今からは、わたしの友です。主人は使用人に秘密を打ち明けたりはしません。しかし、わたしは父から聞いたことをみな、あなたがたに話しました。
+ あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選んだのです。そして任命しました。だから、あなたがたは行って、いつまでも残るすばらしい実を結びます。また、わたしの名前によって父に求めるものは、何でもいただけるのです。
+ もう一度言います。互いに愛し合いなさい。
+ あなたがたは、世の人にひどく憎まれます。だが忘れてはいけません。あなたがたより先に、わたしが憎まれたのです。
+ あなたがたが世の人と同じであったら、世もあなたがたを愛したでしょう。だが、そうではありません。わたしがあなたがたを選び、世から連れ出したのです。だから、世はあなたがたを憎むのです。
+ 『使用人は主人より偉くはない』と言ったのを覚えているでしょう。わたしを迫害した人々があなたがたを迫害しても、何の不思議があるでしょう。ごく当然のことです。わたしの言うことを聞く人なら、あなたがたの言うことも聞くはずです。
+ しかし世の人は、わたしの弟子だというだけであなたがたを迫害します。わたしをお遣わしになった神を全く知らないからです。
+ わたしが来なくて、何も話さなかったのであれば、彼らは罪を問われなかったでしょう。しかし今はもう、罪の言いわけは許されません。
+ だれでもわたしを憎む者は、わたしの父をも憎むのです。
+ わたしがあれほどのわざを行わなかったのなら、彼らは罪に定められることもなかったでしょう。けれども、わたしのわざをはっきり見たにもかかわらず、わたしとわたしの父を憎んだのです。
+ こうして、『彼らは理由もなしにわたしを憎んだ』というメシヤについての預言は、そのとおり実現しました。
+ わたしはあなたがたに、助け手、すなわち、すべての真理の根源である聖霊を遣わしましょう。その方は、父のもとから来て、わたしのことを語ってくださいます。
+ あなたがたもまた、わたしのことをすべての人に語らなければなりません。初めからわたしといっしょにいたからです。
+
+
+ これらのことを話したのは、これからどんなことが起こっても、あなたがたがくじけないためです。
+ 会堂から追放され、いのちまでつけねらわれる身になることを覚悟しなさい。事実、あなたがたを殺すことで神への奉仕を果たすのだと、人々がとんでもない思い違いをする時が来ます。
+ 父をも、わたしをも知らない人々のやりそうなことです。
+ いいですか。この警告をしっかり心にとめておきなさい。迫害が現実に起きた時、あわてふためかないですむようにしなさい。今までこんなことを言わなかったのは、しばらくの間でも、いっしょにいてあげられたからです。
+ しかし今、わたしは、わたしをお遣わしになった方のもとに行かなければなりません。それでもあなたがたは、わたしが何のためにそこへ行くのか、知りたくないようです。だれ一人、どこに行くのか尋ねもしません。
+ かえって、わたしの話を聞いて、悲しみに心が満ちています。
+ しかし、わたしが行くことは、あなたがたにとって一番よいことなのです。わたしが行かなければ、助け手である聖霊はおいでになりません。行けば必ずおいでになります。それというのも、わたしがその方を遣わすからです。
+ その方が来られると、世の人に誤りを認めさせます。罪、心の正しさ、神との正しい関係、さばきからの救いについて、人々は考え違いをしているのです。
+ まず、罪とはわたしを信じないことです。
+ 正しい心を持ち、神と正しい関係を結べるのは、わたしが父のもとに行き、もはやわたしを見なくなるからです。
+ さばきから救われるのは、この世の支配者がすでにさばかれたからです。
+ ああ、話しておきたいことはまだまだたくさんあります。それなのに、今のあなたがたには理解できないことばかりです。
+ しかし、真理である聖霊が来られます。その方の指導を受けて、あなたがたもいつか、すべての真理を知るのです。聖霊は、自分の考えを述べたりしません。ただ、聞くままを伝え、やがて起こることについても話します。
+ また、わたしの栄光を示すことによって、わたしに大きな栄誉を与えます。
+ 父の栄光はみなわたしの栄光です。だから聖霊がわたしの栄光を示すと言ったのです。
+ まもなく、わたしは去って行きます。もはやわたしを見ることはできません。しかし、またすぐにわたしを見るようになります。」
+ この話を聞いて、弟子たちの何人かがひそひそとささやき始めました。「いったい何のことだろう。『まもなくわたしを見なくなり、またすぐにわたしを見る』とか、『父のもとに行く』とかおっしゃったけど、どういうことだろう。」
+ 弟子たちが質問したくてうずうずしていると、イエスはそれに答えるように、また話し始められました。「何を言い合っているのですか。そんなにわたしの言うことがわからないのですか。
+ いいですか。わたしの身に起こることで、この世は大喜びし、あなたがたは悲しみます。しかし、やがてわたしに再会できるのです。その時、悲しみは大きな喜びに変わるでしょう。
+ 苦しんで子を産む母親の喜びと全く同じです。子どもが生まれると、それまでの激しい苦しみを忘れるほどの大きな喜びに変わるのです。
+ 今は悲しみでいっぱいですが、わたしはもう一度あなたがたに会います。その時あなたがたは、だれも奪うことのできない喜びにあふれるのです。
+ その時には、何一つわたしに求める必要はありません。直接父に求めることができるからです。父は、わたしの名によって求めるものは何でも与えてくださいます。
+ あなたがたは、今までこのような求め方をしたことはありませんでした。わたしの名によって求めなさい。そうすれば与えられ、あなたがたは喜びに満ちあふれるのです。
+ わたしはたとえを使って話しましたが、そんな必要はなくなる時が来ます。その時には、父についてはっきりと話しましょう。
+ その時、あなたがたはわたしの名によって願い事をするのです。わたしがあなたがたに代わって、どうぞ願いを聞いてくださいと父に頼む必要はなくなります。
+ わたしを愛し、わたしが父から来たことを信じるあなたがたを、父も心から愛してくださるからです。
+ そう、わたしは父のもとからこの世に来ました。そしてまた世を去り、父のもとに帰るのです。」
+ 弟子たちは言いました。「先生。今、はっきりとわかりました。
+ あなたは何もかもご存じです。もう何も申し上げません。あなたは、確かに神様から遣わされた方です。」
+ 「やっと信じてくれるのですね。
+ ああ、でも時が来れば、あなたがたはばらばらに散らされます。わたし一人を残して、見向きもせず、一目散に家に逃げ帰るのです。いや、その時はもう来ています。しかし、わたしは一人ではありません。父がついておられます。
+ あなたがたも心配しないで、安心していなさい。こんなにも念には念を入れて話したのは、そのためなのですから。確かに、この世では苦難と悲しみが山ほどあります。しかし、元気を出しなさい。わたしはすでに世に勝ったのです。」
+
+
+ ひとしきり語り終えられると、イエスは天を見上げて言われました。「父よ。いよいよ時が来ました。わたしがあなたに栄光をお返しできるように、わたしの栄光を現してください。
+ 地上のすべての人を支配する権威をわたしに下さったので、こうして、あなたから任せられた一人一人に、永遠のいのちを与えられるのです。
+ ただ一人のまことの神であるあなたと、あなたがこの地上にお遣わしになったわたしを知ること、それが永遠のいのちを得る道です。
+ わたしはあなたに言われたとおりを成し遂げ、地上であなたの栄光を現しました。
+ 父よ。今こそあなたの前で、わたしの栄光を現してください。世界が造られる前から、ごいっしょに持っていたあの栄光で、わたしを輝かせてください。
+ あなたのことはすべて、この人たちに話しました。彼らはこの世にいましたが、あなたが世から選び出し、わたしに下さったのです。いつもあなたのものである彼らを、わたしに下さったのです。彼らはあなたのおことばを守りました。
+ いま彼らは、わたしの持っているものはみな、あなたからの贈り物であることを知っています。
+ わたしがあなたのおことばを伝えたからです。彼らはそれを受け入れ、確かにわたしがあなたのもとからこの地上に遣わされて来たのだと信じています。
+ 父よ。お願いがあります。もちろん、世のためではなく、あなたがわたしに下さった者たちのためです。彼らはあなたのものなのですから。
+ 彼らはみな、わたしのもの、また、あなたのものです。あなたは彼らを、他のすべてのものといっしょにわたしに下さいました。ですから、彼らはわたしの栄光なのです。
+ わたしは世を去り、あなたのもとに帰ります。彼らをあとに残して……。ああ、父よ。この人たちが一人も脱落しないように守ってください。わたしと父が一つであるように、彼らも一つとならせてください。
+ 彼らがわたしといっしょにいた間は、あなたの家族として、一人一人を安全に守りました。滅びないように、いつも見守りました。ただ地獄の子だけが滅びました。聖書に言われていたことが実現するためです。
+ 今わたしは、みもとにまいります。彼らの心がわたしと同じ喜びでいっぱいになるように、いっしょにいる間は、できるだけのことを話しました。
+ あなたの命令も伝えました。するとどうでしょう。世の人は彼らを憎んだのです。わたしと同じように、彼らもこの世と調子を合わせようとしないからです。
+ 彼らをこの世から取り去ってくださいとはお願いしません。ただ、サタンから守ってください。
+ わたしと同じように、彼らもこの世のものではありません。
+ あなたの真理のことばによって、彼らを純粋な、きよい者としてください。
+ あなたがわたしを世にお遣わしになったように、わたしも彼らを世に遣わします。
+ また、彼らが真理を知る、きよい者として成長できるように、この身をささげます。
+ この人たちのことだけでなく、この人たちの証言を聞いて、わたしを信じるすべての人のためにも祈ります。
+ 父よ。お願いです。あなたとわたしが一つであるように、彼らも一つの心、一つの思いとなりますように。あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるのと同じように、彼らもわたしたちのうちにいさせてください。それを見て、あなたがわたしをお遣わしになったことを、世の人々が信じますように。
+ あなたが下さった栄光を、わたしは彼らに与えました。わたしと父が一つであるように、彼らにも完全な一致を保ってほしかったからです。
+ わたしが彼らのうちにおり、あなたがわたしのうちにおられて初めて、みな完全に一つになるのです。その時、世の人々は、あなたがわたしをお遣わしになったことを知り、わたしだけでなく彼らも、あなたが愛しておられることを認めざるをえなくなるのです。
+ 父よ。彼らがわたしといっしょにいることができるようにしてください。彼らにわたしの栄光を見させてください。世界の造られる前からわたしを愛しておられた、あなたが下さった栄光を。
+ ああ、父よ。すべての事において正しい父よ。世はあなたを知りません。けれども、わたしはあなたを知っています。この弟子たちも、あなたがわたしをお遣わしになったことを知っています。
+ わたしが教えたのです。これからも教えます。あなたの大きな愛が彼らをつつみ、わたしも彼らのうちにいられるように。」
+
+
+ 話し終えると、イエスは弟子たちといっしょに出かけ、ケデロンの谷を横切り、とあるオリーブ園に入って行かれました。
+ イエスは弟子たちといっしょによくここに来ておられ、イエスを裏切ろうとしていたユダにとってもなじみのある場所でした。イエスと弟子たちはそこでたびたび会合したからです。
+ 祭司長とパリサイ人たちは、ユダに、一隊の兵士と神殿警備の役人たちをつけて園に差し向けました。手に手にあかあかと燃えるたいまつやランプをかざし、武器を持った一隊が、オリーブ園に押しかけました。
+ イエスはご自分の身に起こることをすべてご存じだったので、前に進み出て人々を迎えました。裏切り者のユダもいっしょでした。「だれを捜しているのですか。」「ナザレのイエス!」「わたしがイエスです。」
+ このイエスのことばに、人々はみな息をのんであとずさりし、ばたばたと倒れました。
+ イエスはもう一度お尋ねになりました。「だれを捜しているのですか。」「ナザレのイエスを。」
+ 「わたしがそうだと言ったではありませんか。目当てがこのわたしなら、ほかの者は関係ありません。このまま帰らせてあげなさい。」
+ それは、「わたしに下さった人たちを、ただの一人も失いませんでした」とイエスが言われたとおりになるためでした。
+ その時、シモン‧ペテロは剣を抜き放ち、大祭司の部下、マルコスの右の耳を切り落としました。
+ しかし、イエスはペテロをたしなめて、「剣をさやに納めなさい。父が下さった杯は飲まなければならないのです」と言われました。
+ これを聞くと、ユダヤ人の役人たちは、大隊長や兵士たちといっしょにイエスに襲いかかり、縛り上げました。
+ 彼らがまずイエスを引いて行ったのは、その年の大祭司カヤパのしゅうとアンナスのところでした。
+ カヤパは以前、ユダヤ人の指導者たちに、「一人の人が全国民の代わりに死ぬほうが得策だ」と助言した人物です。
+ シモン‧ペテロは、もう一人の弟子(筆者の使徒ヨハネ)といっしょに、恐る恐るイエスについて行きました。その弟子は大祭司の知り合いだったので、イエスといっしょに中庭に入ることができました。
+ ペテロはじりじりしながら門の外に立っていましたが、あの弟子が来て、門番の女に頼み込んだので、入れてもらえることになりました。
+ ところが、女はまじまじとペテロを見やり、「ねえ、ちょっと、あなた、イエスの弟子じゃない?」と聞くのです。「とんでもない、何を言うんだ。」そう言って、その場はなんとか切り抜けました。
+ 寒い日だったので、役人や召使たちは炭火をかこんで暖まっています。ペテロは何くわぬ顔で、いっしょに立って暖まっていました。
+ 中ではいよいよ、大祭司がイエスに、弟子たちのことや教えの内容などについて尋問を始めたところです。
+ イエスはお答えになりました。「わたしの教えはわかっているでしょう。いつも会堂や宮で語っていたので、ユダヤ人の指導者の皆さんも聞いておられたはずです。それ以外に、隠れて別のことを教えたことはありません。
+ どうしてそんな質問をするのですか。そのようなことは、わたしの話を聞いた人たちに尋ねればすむのに。ここにも何人かいるでしょう。わたしが何を言ったか、その人たちが一番よく知っています。」
+ 「無礼者!それが大祭司様に対する口のきき方か。」そばに立っていた役人の一人がどなりつけ、平手でイエスをたたきました。
+ イエスはお答えになりました。「何かまちがったことでも言いましたか。だったら証拠を見せてください。なぜ、正しいことを言う者を打つのですか。」
+ こうしたやりとりのあと、アンナスは、イエスを縛ったまま、大祭司カヤパのところに回しました。
+ 一方、シモン‧ペテロはどうしたでしょう。火のそばで暖まっていると、またしても人々が、「あんた、あの人の弟子じゃないのか?」と問い詰めました。「弟子だって? 冗談じゃない。」
+ こう答えたものの、まずいことに、ペテロが耳を切り落とした、あの大祭司の部下の親類にあたる者が居合わせたのです。「しらばっくれてもだめだ。あのオリーブ園で、確かにイエスといっしょだったぞ。」
+ こうまで言われても、ペテロはあくまでしらを切りました。とその時、鶏の鳴く声が聞こえました。
+ カヤパの取り調べはその朝早く終わり、今度はローマ総督(ユダヤを統治する行政長官)の番です。訴える人々は、イエスを総督官邸まで連れて行きましたが、中に入ろうとしません。ユダヤ教のおきてでは、異教徒の家に入ることはたいへん汚らわしいことだったのです。そんなことをしたら身が汚れて、過越の食事が食べられなくなるからです。
+ それで、総督ピラトがわざわざ外に出て来て問いただしました。「何を告発しに来たのか。いったいこの男はどんな悪事を働いたのだ。」
+ 「やつが犯罪人でないなら、逮捕したりはいたしません!」彼らも負けずにやり返します。
+ 「そうか。だったらおまえたちの法律に従って、おまえたちが裁判したらよかろう。」「お忘れですか。私どもにはこの男を死刑にする権利はないのです。だから、ぜひとも閣下のご承認をいただきたいのです。」
+ こうして、ご自分がどのような方法で処刑されるか、イエスが前もって話しておられたことが現実となったのです。
+ ピラトは官邸内に戻ると、イエスを呼び寄せて尋ねました。「おまえはユダヤ人の王か。どうなのだ。」
+ 「あなたの言う王とは、普通の意味での王ですか。それとも、ユダヤ人の言う王でしょうか。」
+ ピラトはかんに触ったのか、強い口調で言いました。「私がユダヤ人だとでも言うつもりか。おまえをここに引っ立てて来たのは、ユダヤ人と祭司長たちだろう。いったい何をしでかしたのか。」
+ 「わたしは地上の王ではありません。もし地上の王であったら、逮捕された時、弟子たちは戦いをいどんだでしょう。わたしの国はこの世のものではないのです。」
+ 「なんだと、それじゃあ、やっぱりおまえは王なんだな!」「いかにもそのとおりです。わたしは、この世に真理を伝えるために生まれたのです。真理を愛する者はみな、わたしに従うのです。」
+ 「真理だと? 真理とは何だ。」ピラトは吐き捨てるように言うと、またユダヤ人たちのところへ行き、こう提案しました。「あの男は無罪だ。
+ ところで毎年、過越の祭りの時には、囚人を一人釈放してやることになっている。おまえたちさえよければ、あの『ユダヤ人の王』を釈放してやるが、どうだ。」
+ 「違う! あいつじゃない! バラバだ!」彼らはまた大声でわめき立てました。このバラバという男は強盗だったのです。
+
+
+ しかたなくピラトは、イエスの背中を鉛のついたむちで打たせました。
+ そして兵士たちは、いばらで冠を編み、イエスの頭にかぶらせ、王の着る紫色のガウンを着せました。
+ それから、「ユダヤ人の王様、ばんざーい!」とさんざんからかい、平手でたたいたりしました。
+ ピラトはもう一度外に出て、ユダヤ人たちに念を押しました。「今、あの男を連れ出す。だがいいか。私の見たところでは、あの男は無罪だ。」
+ イエスは、いばらの冠に紫色のガウンという姿のまま出て来られました。「よく見ろ。この男だ」と、ピラトが言いました。
+ 「十字架につけろ! 十字架だ!」イエスを見るやいなや、祭司長やユダヤ人の役人たちは、大声で訴えました。ピラトは言いました。「そこまで言うならおまえたちがやれ! 私の調べでは無罪だ。」
+ 「こいつは自分を神の子とぬかしました。私どもの法律では死刑です。」
+ そのことばを聞くと、ピラトはますますこわくなりました。
+ もう一度イエスを官邸へ連れ戻し、尋ねました。「おまえはいったい、どこから来たのだ。」しかし、イエスはひとこともお答えになりません。
+ ピラトはさらに問い詰めます。「何も言わないのか。わからんやつだな。私の命令ひとつで、おまえを釈放することも、十字架につけることもできるのだぞ。」
+ イエスは言われました。「神から与えられた権威でなければ、あなたは何も手出しはできません。わたしをあなたに引き渡した者の罪は、もっと大きいのです。」
+ 何とかしてイエスを釈放しようと手を尽くすピラトに、ユダヤ人の指導者たちは激しく抵抗しました。「こいつを釈放なさるおつもりですか。そんなことをしたら、あなた様はカイザル(ローマ皇帝)の味方ではありません。だれであろうと、自分を王とする者は謀反人です。」
+ こう言われて、ピラトはまたもやイエスを外に連れ出し、「敷石」〔ヘブル語で、ガバタ〕と呼ばれる場所で裁判の席に着きました。
+ それはちょうど、過越の祭りの前日、正午ごろのことでした。「さあ、おまえたちの王だ。」
+ 「殺せ、殺せ。十字架につけろ!」「なに? おまえたちの王をか?」「カイザルのほかに王はない!」祭司長たちは、むきになって叫び返します。
+ これでは、しかたがありません。ついにピラトもあきらめ、十字架につけるため、イエスをユダヤ人に引き渡しました。
+ ついにイエスはユダヤ人たちの手に渡されました。イエスは十字架を背負わされ、エルサレム市外の、「どくろ」〔ヘブル語で、ゴルゴタ〕という場所へ引かれて行きました。
+ 人々はそこで、ほかの二人といっしょにイエスを十字架につけました。イエスは真ん中、二人はそれぞれその両側に。
+ ピラトはイエスの頭上に、「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」と書いた罪状書きを掲げました。
+ 処刑の場所は都に近く、しかも罪状書きはヘブル語、ラテン語、ギリシヤ語で書いてあったので、大ぜいの人が読みました。
+ これを見た祭司長たちは、ピラトに抗議しました。「『ユダヤ人の王』とあるのは納得がいきません。『ユダヤ人の王と自称した』と書き直してください。」
+ 「私が書いたことに口出しする気か。そのままにしておけ。」ピラトは聞き入れませんでした。
+ さて、イエスを十字架につけてしまうと、兵士たちははぎ取った着物を四つに分け、一つずつ取りました。下着もそうしようとしましたが、見ると縫い目がありません。
+ 「こいつは裂くわけにいかないな。よし、だれが取るか、くじで決めよう」と話がまとまりました。「彼らはわたしの着物を分け合い、下着をくじ引きにした」という聖書のことばどおりになったのです。
+ 兵士たちがこんなやり方をしたのも、聖書のことばが実現するためでした。十字架のそばには、イエスの母マリヤ、おば、クロパの妻マリヤ、マグダラのマリヤが立っていました。
+ イエスに愛された弟子の私(ヨハネ)もいっしょでした。イエスは、私と、私のそばに立ち尽くしているご自分の母親とを見つめ、「お母さん。ほら、そこにあなたの息子がいますよ」と声をかけられました。
+ それから、弟子の私に、「さあ、あなたの母ですよ」とおっしゃいました。その時以来、私は先生のお母さんを家に引き取ったのです。
+ こうして、何もかもすっかり終わったことを知ったイエスは、「わたしは渇く」と言われました。これも聖書のことばどおりの出来事です。
+ そこには、ちょうど酸っぱいぶどう酒のつぼが置いてありました。人々は海綿を浸し、ヒソプの枝の先につけて、イエスの口もとに差し出しました。
+ それをお受けになると、最後に、「すべて成し遂げた」とひとこと叫び、頭を垂れて息を引きとられたのです。
+ 翌日は安息日でした。しかも、特別に重要な日でした。ユダヤ人の指導者たちは、どうしても死体を翌日まで十字架にかけたままにしておきたくありませんでした。ピラトに、受刑者たちの足のすねを折って早く死なせるよう取り計らってほしい、と願い出ました。そうすれば十字架から取り降ろせるからです。
+ さっそく兵士たちが来て、イエスといっしょに十字架につけられた二人の男のすねを折りました。
+ 最後にイエスのところに来て見上げると、すでに亡くなっていたので、すねを折るのはやめました。
+ ところが、兵士の一人が何を思ったのか、いきなり槍でわき腹を突きました。すると、そこから血と水が流れ出たのです。
+ この一部始終を、私は確かにこの目で見ました。それをありのままに、正確に報告しています。皆さんにも信じていただきたいからです。
+ 兵士たちがこうしたのは、聖書に、「彼の骨は一つも砕かれない」
+ 、また「彼らは自分たちが突き刺した方を見る」とあることが、そのとおり起こるためでした。
+ このあと、弟子でありながら、ユダヤ人の指導者たちを恐れてそれを隠していたアリマタヤのヨセフが、勇気を奮い起こし、ピラトにイエスの死体の引き取りを願い出ました。ピラトの許可を得ると、すぐ刑場に駆けつけ、死体を取り降ろしました。
+ 以前に、夜、イエスのところに来たことのあるニコデモも、没薬(天然ゴムの樹脂で、古代の貴重な防腐剤)とアロエでつくった埋葬用の香油を三十キロほど用意して来ました。
+ 二人はユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料をしみ込ませた長い亜麻布でイエスの体を包みました。
+ 刑場の近くに園があり、そこにはさいわい新しい墓がありました。
+ 安息日の前日ですから、急がなければなりません。すぐ近くだったこともあり、イエスをその墓に納めました。
+
+
+ 週の初めの日(日曜日)、朝早く、まだ暗いうちに、マグダラのマリヤは墓に行きました。見ると、入り口の石がわきにのけてあります。
+ 驚いたマリヤは、息せき切ってシモン‧ペテロと私のところに駆けつけ、「たいへんよ。だれかが主のお体を取って行ったわ! いったいどこに置いたのかしら」と叫びました。
+ 私たちはそれを確かめようと、二人して墓に急ぎました。私はペテロより足が速かったので、先に着きました。
+ すぐさま身をかがめてのぞき込むと、亜麻布が見えます。しかし中には入りませんでした。
+ 続いてシモン‧ペテロが駆けつけ、ためらわず中に入りました。彼もやはり亜麻布と、
+ そこからやや離れた所に、イエスの頭に巻かれていた布が、そのままの形で置いてあるのを見ました。
+ 私もあとから入り、この有様を見て、イエスが復活なさったことを信じました。
+ この時まで、イエスは必ず復活すると書いてある聖書のことばを、私たちはまだ理解していなかったのです。
+ 二人は家に帰りました。
+ けれども、マリヤは墓に戻り、外に立って泣いていました。泣きながら身をかがめて墓の中をのぞき込むと、
+ イエスのお体があった場所の、頭と足にあたる所に、白い衣を着た天使が二人、座っているではありませんか。
+ 「なぜ泣いているのですか。」天使たちがマリヤに尋ねました。「だれかが私の主を取って行ったのです。どこに持って行ったのか、わからないのです。」
+ こう答えてふり向くと、だれかが立っています。なんとイエスでした。しかし、マリヤはまだ気がつかないようです。
+ イエスはマリヤにお尋ねになりました。「どうかしましたか。泣いたりして……。だれを捜しているのですか。」マリヤは、イエスを園の管理人と勘違いしていたので、「あの方を運んだのはあなた? もしそうだったら、どこに置いたのか教えてください。私が引き取ります」と言いました。
+ 「マリヤ。」イエスが呼びかけられました。その声にマリヤは、イエスのほうを向いて叫びました。「先生!」
+ 「待ちなさい。すがりつくのはやめなさい。わたしはまだ父のもとに上っていないのですから。それよりも、してほしいことがあります。行ってわたしの兄弟たちに、『わたしは、わたしの父、またあなたがたの父であり、わたしの神、またあなたがたの神である方のもとに上って行く』と伝えてほしいのです。」
+ マグダラのマリヤはすぐに弟子たちのところへ帰って行き、主にお会いしたことを告げ、イエスが言われたとおりを話しました。
+ 同じ日曜日の夕方のことです。弟子たちは、ユダヤ人を恐れて戸にしっかりかぎをかけ、肩を寄せ合うようにして集まっていました。その時、突然イエスが一同の中にお立ちになったのです。「平安があるように。」イエスはまず、こうあいさつされてから、
+ 手とわき腹をお見せになりました。主を見た弟子たちの喜びは、どれほどだったでしょう。
+ イエスはもう一度言われました。「平安があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わします。」
+ そして一同に息を吹きかけ、また言われました。「聖霊を受けなさい。
+ あなたがたが赦すなら、だれの罪も赦されます。あなたがたが赦さない罪は赦されません。」
+ 十二弟子の一人のトマスは、その時、その場に居合わせませんでした。
+ それでみんなが、「ほんとうだ。主にお会いしたんだ」と口をすっぱくして話しましたが、本気にしません。頑としてこう言いはるばかりです。「主の御手に釘あとを見、この指をそこに差し入れ、この手を主のわき腹に差し入れてみなければ、信じない。」
+ 八日たちました。その日も、弟子たちは集まっていました。今度はトマスもいっしょです。戸にはかぎがかかっていましたが、突然、前の時と同じようにイエスが一同の中に立ち、「平安があるように」とあいさつなさいました。
+ それからイエスは、トマスにおっしゃいました。「さあ、あなたの指をこの手に当ててみなさい。あなたの手をこのわき腹に差し入れてみなさい。いつまでも疑っていないで信じなさい。」
+ 「ああ、わが主、わが神よ!」感きわまって、トマスは叫びました。
+ 「わたしを見たから信じたのですか。しかし、見なくても信じる者は幸いです。」
+ 私がこの書に記した奇跡のほかにも、もっと多くの奇跡をイエスが行われるのを、弟子たちは見ました。
+ しかし、これらのことを特に書いたのは、あなたがたがイエスは神の子キリストであると信じるため、またそう信じていのちを得るためです。
+
+
+ このことがあってから、ガリラヤ湖のほとりで、イエスはもう一度、弟子たちの前に現れました。その時のいきさつはこうです。
+ シモン‧ペテロ、トマス、ガリラヤのカナ出身のナタナエル、私の兄弟のヤコブ、それに私と、ほかに二人の弟子がいっしょにいました。
+ 「漁に行くぞ」とシモン‧ペテロが言いだしました。するとみんな、「それじゃあ、おれたちも」というわけで、そろって出かけました。小舟に乗り込み、漁が始まりました。ところが一晩中かかっても、小さな魚一匹とれません。
+ もう夜明けというころ、だれかが岸辺に立っているのが見えました。ぼんやりかすんでいるので、だれなのかはわかりません。
+ 「魚はとれましたかー。」その人が声をかけてきました。「いやー、全然だめだよー。」
+ 「では、舟の右側に網を下ろしてごらんなさい。きっと、たくさんとれますよ。」さっそくそのとおりにすると、どうでしょう。重くて引き上げられないほど、たくさんの魚がかかったのです。
+ その時、私ははっと気がつき、「おい、あの方は主だよ!」とペテロに言いました。それを聞くと、ペテロは裸だったので、あわてて上着をはおり、水に飛び込みました。
+ 舟に残った私たちは、百メートルほど離れた岸辺まで、魚ではち切れんばかりの網を引いて、そろそろ進みました。
+ 着いてみると、炭火がおこしてあります。その上では魚がいいぐあいに焼けており、パンもあります。
+ 「今とった魚を少し持って来なさい。」
+ イエスにこう言われて、シモン‧ペテロがまっ先に飛んで行き、網を陸に引き上げました。数えてみると、なんと大きな魚が百五十三匹もとれていて、しかも網はどこも破れていません。
+ 「さあ、ここへ来て、朝ごはんにしなさい」とイエスはうながされます。「ほんとうに主ですか」とあえて尋ねる者は一人もいません。それほどはっきりわかったのです。
+ イエスはそばに来られ、パンと魚をめいめいに配ってくださいました。
+ 死から復活されたあと、私たちに現れてくださったのは、これで三度目です。
+ 食事がすむと、イエスはシモン‧ペテロを見つめておっしゃいました。「ヨハネの子シモン。ほかのだれよりもわたしを愛しますか。」「はい、主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」「それでは、わたしの小羊を養いなさい。」
+ イエスは、くり返しお尋ねになりました。「ヨハネの子シモン。ほんとうにわたしを愛していますか。」「はい、主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」「それでは、わたしの羊の世話をしなさい。」
+ イエスはもう一度言われました。「ヨハネの子シモン。ほんとうにわたしを愛していますか。」三度こんな尋ね方をされたので、ペテロは心に痛みを感じながら答えました。「主よ。いっさいをご存じなのはあなたです。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」「それでは、わたしの羊を養いなさい。
+ あなたは若い時にはしたいことをし、行きたい所に行きました。だが、年をとると、そうはいかなくなります。あなたは自分の手を伸ばして差し出し、だれかほかの人が、行きたくもない所へあなたを引っぱって行くのです。」
+ こう言われたのには訳がありました。ペテロがどんな死に方をして、神の栄光を現すかを知らせようとなさったのです。それから、「わたしについて来なさい」と言われました。
+ ペテロがふり向くと、イエスに愛された弟子(使徒ヨハネ)がついて来るのを見ました。最後の夕食の席で、イエスに寄りかかって、「主よ。裏切る者はだれですか」と尋ねたあの弟子です。
+ すると、ペテロの好奇心が頭をもたげました。「主よ。彼はどうなんです? どういう死に方をするのですか。」
+ 「もう一度戻って来るまで、彼に生きていてほしいとわたしが思ったとしても、あなたとは何の関係もないでしょう。人のことは気にしないで、ただわたしについて来ればいいのです。」
+ このことから、その弟子は死なないといううわさがクリスチャンたちの間に広まりました。しかし、イエスはそう断言なさったわけではありません。ただ、「もう一度戻って来るまで彼に生きていてほしいとわたしが思ったとしても、あなたとは何の関係もないでしょう」と言われただけなのです。
+ その弟子とは、実は私(筆者)のことです。私はこれらの出来事を、見たとおり、ここに記録しました。この記録が正確なことは、私たちみんなが知っています。
+ イエスのなさったことは、ほかにもたくさんあります。それをいちいち書き記すとしたら、きりがないでしょう。世界中が本であふれるほど書いても、それでもまだ足りないと思います。
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+ 親愛なる、神を愛する友へ。この前の書(ルカの福音書)では、イエスの生涯とその教えについて書き、イエスが、ご自分のお選びになった使徒たちに聖霊によって指示を与え、天に帰られたところまでお伝えしました。
+ 十字架刑のあと、四十日にわたって、イエスは何度も使徒たちに姿を現されました。自分がまぎれもなく、生きているイエスそのものであることを、さまざまな方法で示されたのです。またそのつど、神の国のこともお話しになりました。
+ そんなある時のことです。イエスは使徒たちに、こうお命じになりました。「エルサレムから離れてはいけません。前にも言ったように、父が約束を果たしてくださるまで、待っていなさい。
+ バプテスマのヨハネは水でバプテスマ(洗礼)を授けましたが、もうすぐ、あなたがたは聖霊によるバプテスマを受けるからです。」
+ そこで、またイエスが姿を現された時、使徒たちは心躍らせながら、「主よ。今こそイスラエルを解放し、独立国として再興なさるのですか」と尋ねました。
+ 「それがいつかは、父がお決めになります。あなたがたが、あれこれ言うことはできません。
+ しかし、聖霊があなたがたに下る時、あなたがたは大きな力を受け、エルサレムからユダヤ全土、そしてサマリヤから地の果てまで、わたしの死と復活を伝える証人となります。」
+ こうお答えになると、イエスは、見守る使徒たちの目の前で天に上げられ、たちまち雲の中に姿を消されました。
+ 彼らがなおも目をこらして見上げていると、突然、白い衣を着た人が二人、そばに立って言いました。
+ 「ガリラヤの人たちよ。なぜ空ばかり見上げているのですか。イエスは天にのぼりましたが、いつかまた、今と同じようにして地上へ帰って来られるのです。」
+ このことが起こったのはオリーブ山でした。そこから一キロほど歩いてエルサレムに戻るとすぐ、
+ 使徒たちは、泊まっていた家の二階で祈り会を始めました。そこにいたのは次の人たちです。ペテロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、ピリポ、トマス、バルトロマイ、マタイ、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、シモン〔「熱心党」という反体制グループのメンバー〕、ユダ〔ヤコブの息子〕、イエスの母、イエスの兄弟たち、何人かの婦人たち。
+ この祈り会は数日間続きました。ある日、百二十人ほどが集まっていた時、ペテロが立ち上がり、次のように提案しました。
+ 「皆さん。イエスを捕らえた暴徒どもの手引きをしたユダには、聖書のことばどおりのことが起こりました。そうならなければならなかったのです。ずっと昔、聖霊によって、ダビデ王が預言したことだからです。
+ ユダは、使徒にも選ばれた、私たちの仲間でした。
+ ところが彼は、裏切りで得た金で畑を手に入れたものの、まっさかさまに落ちて体が裂け、はらわたがみな飛び出すという無残な死に方をしたのです。
+ この出来事は、あっという間にエルサレム中に広まり、人々はその場所を『血の畑』と呼ぶようになりました。
+ 実は、ダビデ王が聖書の詩篇の中で、『彼の家は荒れ果て、だれも住まなくなれ』『彼の仕事を、ほかの人に与えよ』と預言しているのです。
+ だから今、ユダの代わりにほかの人を、イエスの復活の証人に選ばなければなりません。選ばれる者の資格ですが、何と言っても、初めから私たちと行動を共にしてきた人でなければいけません。そう、イエス様がヨハネからバプテスマを受けて以来、別れを告げて天にのぼられるまでの間、ずっと私たちといっしょにいた人です。」
+ 一同は二名の候補者を立てました。ユストというヨセフ〔別名バルサバ〕と、マッテヤです。
+ それから、ふさわしい人が選ばれるように、みな一心に祈りました。「ああ、主よ。あなたはすべての人の心をご存じです。どうぞ、ユダの代わりに、二人のうちどちらを使徒にお選びになるかお示しください。ユダは当然行くべき所に行ってしまいましたから。」
+ くじを引き、当たったのはマッテヤでした。こうして、ほかの十一人に、彼が使徒として加わることになりました。
+
+
+ さて、イエスの死と復活から、七週間が過ぎました。五旬節(ユダヤ教の祭りの一つ)の日のことです。信者たちが一堂に集まっていると、
+ 突然、天からものすごい音がしました。まるで、激しい風が吹きつけるような音です。それが、家全体にごうごうと響き渡ったのです。
+ そして、めらめら燃える炎の舌のようなものが現れ、みなの頭上にとどまりました。
+ するとどうでしょう。その場にいた人たちは、みな聖霊に満たされ、知りもしない外国語で話し始めたではありませんか。聖霊が、それだけの力を与えてくださったのです。
+ その日エルサレムには、たくさんの敬虔なユダヤ人が、祭りのために、世界のあちこちから集まっていました。
+ この大音響に、人々はいったい何事かと駆けつけましたが、弟子たちの話していることばを聞いて、すっかり面食らってしまいました。まぎれもなく自分たちの国のことばだったからです。
+ 人々には、さっぱり訳がわかりません。ただ口々に、こう言い合うばかりでした。「こんなことってあるだろうか。みんなガリラヤ出身の人だというのに、
+ 私たちの国のことばですらすら話している。
+ ここには、パルテヤ人、メジヤ人、エラム人、またメソポタミヤ、ユダヤ、カパドキヤ、ポント、アジヤ、
+ フルギヤ、パンフリヤ、エジプト、それにリビヤのクレネ語が使われている地方などから来た人たちがいるし、ほかにも、ローマからの旅行者で、もともとのユダヤ人もいれば、ユダヤ教への改宗者もいる。
+ それに、クレテ人やアラビヤ人もいる。それがどうだ。それぞれの出身地のことばで、神のすばらしい奇跡の話を聞くとは……。」
+ 人々はただ呆然として、「いったい、どうなっているのだ」と顔を見合わせました。
+ しかし中には、「何、彼らは酔っぱらっているだけさ」と、あざける者たちもいました。
+ するとペテロが、十一人の使徒と共につかつかと進み出て、声を張り上げ、人々に語りかけました。「よそから来られた方も、エルサレムに住んでおられる皆さんも、どうぞお聞きください。
+ 皆さんの中には、私たちが酒に酔っているのだとおっしゃる方もいますが、そんなことはありません。酒に酔うには時間が早すぎます。朝の九時から酒を飲む人はいないでしょう。
+ いま見ていることは、何世紀も前に、まさに預言者ヨエルが預言したことなのです。
+ 『神は言われる。終わりの日に、わたしはすべての人にわたしの霊を注ぐ。その時、あなたがたの息子、娘は預言し、青年は幻を見、老人は夢を見る。
+ 聖霊は、男女を問わず、わたしに仕える者たちに注がれる。すると、彼らは預言をする。
+ また、わたしは天と地に不思議なしるしを現す。血と火と煙の雲だ。
+ 主の恐るべき日が来る前に、太陽は暗くなり、月は血のように赤くなる。
+ しかし、主にあわれみを求める者はみな、あわれみを受けて救われる。』
+ ああ、皆さん。これから申し上げることを聞いてください。よくご存じのように、ナザレのイエスは、あなたがたの前で、力ある奇跡を行われました。神様はそれによって、だれにもはっきりわかるように、イエス様の身元を保証なさったのです。
+ 神様はあらかじめ計画したとおり、この方を、あなたがたの手でローマ政府に引き渡し、十字架で処刑することをお許しになりました。
+ そうした上で、この方を死の苦しみから解放し、復活させたのです。この方が、ずっと死んだままでいることなど、ありえないことだからです。
+ ダビデ王は、イエス様のことをこう言っています。『主はいつも私と共におられる。主が私を助け、神の大きな力が私を支える。
+ だから、心は喜びにあふれ、私の舌は主をほめたたえる。たとい死んでも、私には望みがある。
+ あなたは、私のたましいを地獄に放置せず、あなたの聖なる息子の体を、朽ち果てさせることもない。
+ 私を生き返らせ、あなたの前で、すばらしい喜びにあふれさせる。』
+ 愛する皆さん。考えてください。ダビデはここで、自分のことを語っているわけではありません。そうでしょう。ダビデは死んで葬られ、その墓は今でも、ちゃんと残っているではありませんか。
+ しかし、彼は預言者でしたから、自分の子孫の一人がメシヤ(ヘブル語で、救い主)となり、ダビデの王座につくと神が誓われたことを知っていたのです。
+ それで、遠い将来を望み見ながら、メシヤの復活を預言しました。メシヤのたましいは地獄に放置されず、その体が朽ち果てることもない、と語ったのです。
+ そのとおり、神様はイエスを復活させました。私たちはみな、そのことの証人です。
+ いまイエス様は、天で最も栄誉ある神の右の座についておられます。そして、約束どおり、父なる神は聖霊を送ってくださいました。その結果、たった今、あなたがたが見聞きしたことが起こったのです。
+ ダビデは、決して自分のことを言ったのではありません。ダビデは天にのぼったことはないからです。それに、当のダビデがこうも言っています。『神は私の主に言われた。「わたしがあなたの敵を完全に征服するまで、わたしの右に座っていなさい。」』
+ ですから、イスラエルのすべての人に、はっきり言っておきます。神様が主とし、キリスト(ギリシャ語で、救い主)とされたイエスを、あなたがたは十字架につけたのです。」
+ ペテロのことばは、人々の心を強く打ちました。「それでは、私たちはどうすればいいのでしょう。」あちらからもこちらからも、使徒たちへの質問の声があがりました。
+ ペテロは答えました。「一人一人、罪の生活から悔い改めて神に立ち返りなさい。そして、罪を赦していただくために、イエス‧キリストの名によってバプテスマ(洗礼)を受けなさい。そうすれば、聖霊という賜物をいただけます。
+ それはキリストが約束してくださったことです。あなたがたは言うまでもなく、あなたがたの子孫、また遠くにいても、私たちの神である主がお招きになったすべての人に与えられるのです。」
+ このあとも、ペテロの説教はえんえんと続きました。イエスのことや、悪に満ちたこの時代から救われなければならないことを、ことばを尽くして訴えたのです。
+ この日、ペテロの言うことを信じた人はバプテスマを受けましたが、その数は全部で三千人ほどでした。
+ 彼らは、使徒たちの教えをよく守り、聖餐式(パンと杯によりキリストの体と血の祝福にあずかる、キリスト教の礼典の一つ)や祈り会に加わっていました。
+ だれもが心から神を恐れ敬うようになり、また、使徒たちは次々と奇跡を行いました。
+ 信者たちはみないっしょにいて、それぞれの持ち物を分け合い、
+ 必要がある人には、財産を売り払って与えました。
+ 毎日、神殿で礼拝をし、聖餐の時は、少人数に分かれてめいめいの家に集まり、心から喜びと感謝にあふれて食事を共にし、
+ 心から神を賛美しました。彼らは町中の人に好感をもたれ、神も、救われる人を毎日、仲間に加えてくださいました。
+
+
+ ある日の午後、ペテロとヨハネは宮へ出かけました。日課である午後三時の祈りをするためです。
+ もうすぐ宮だという所で、生まれつき足の不自由な男が運ばれて来るのに出会いました。この男はいつも、宮の「美しの門」のそばに置いてもらい、宮に入る人たちから施しを受けていたのです。
+ 二人が前を通り過ぎようとすると男は、「だんな様。どうぞお恵みを」と施しを求めました。
+ 二人は立ち止まり、男をじっと見つめました。やがて、ペテロが口を開きました。「私たちをごらん。」
+ 彼は何かもらえるのだろうと思って、二人を見上げました。
+ ところが、ペテロは全く意外なことを言ったのです。「あげようにも、お金は持っていないんだ。しかし、ほかのものをあげよう。ナザレのイエス‧キリストの名によって命じる。さあ、立って歩きなさい。」
+ そう言うなり、ペテロは手を貸して彼を立たせようとしました。すると男は、驚いたことに、足もくるぶしもたちまち強くなり、しっかりと立ち上がったのです。そして、すたすた歩き始めました。ペテロとヨハネが宮に入ると、彼は跳んだりはねたりして、神を賛美しながらついて来ました。
+ 中にいた人たちは、神を賛美しながら歩いている男を、じろじろながめました。どうしたことでしょう。
+ いつも「美しの門」で見かける、足の悪い物ごいではありませんか。だれもかれもびっくりするばかりです。
+ そうこうするうち、人々がいっせいに、三人のいる「ソロモンの廊」と呼ばれる回廊に押し寄せました。男はうれしくてたまらないのでしょう。ペテロとヨハネにまとわりついて離れません。この有様を目のあたりにした人々は、あまりのことに恐ろしくなりました。
+ 絶好の機会です。ペテロはすかさず話し始めました。「皆さん。どうして、そんなに驚くのですか? なぜ、私たちが自分の力や信仰深さによって、この人を歩かせたかのように、私たちを見つめるのですか。
+ この奇跡は、アブラハム、イサク、ヤコブの神様、つまり私たちの先祖の神様が、そのしもべイエスに栄光を与えるためになさったことです。その方を、あなたがたはピラトの面前で、はっきりと拒否しました。ピラトがあれほど釈放しようとしたにもかかわらず。
+ このきよく正しい方を自由にしようと考えるどころか、反対に人殺しの男を釈放しろと要求したのです。
+ こうして、とうとう、いのちの源である方を殺してしまいました。しかし神様は、この方を復活させてくださいました。ヨハネも私もこのことの証人です。あなたがたが処刑したあと、私たちは確かに、復活したこの方にお会いしたのです。
+ この方、すなわちイエスのお名前の力で、この人は治ったのです。彼の足が以前どんな状態だったかは、ご存じのとおりです。神から与えられた、イエスの名を信じる信仰によって、彼は完全に治ったのです。
+ 愛する皆さん。あなたがたは何も知らなかったのでしょう。知らなかったからこそ、イエスをあんな目に会わせたのでしょう。それは、指導者たちにも言えることです。
+ しかし神様は、実にこのことによって、メシヤは苦しめられるという預言を実現してくださったのです。
+ ですから、すっかり心を入れ替えて、神に立ち返りなさい。そうすれば、神様は罪をきよめてくださいます。
+ そして、すべてを新しくする恵みの時に、メシヤであるイエスを、もう一度遣わしてくださるのです。
+ この方は昔からの預言どおり、すべての者が罪ののろいから救われる時まで、天にとどまっていなければなりません。ずっと昔、モーセは言いました。『神である主は、やがて、私と同じような預言者を起こされる。この方の語ることはすべて注意深く聞きなさい。
+ この方に耳を傾けない者はだれでも、必ず滅ぼされる。』
+ サムエルをはじめ、それ以後の預言者たちも、現在起こっていることを預言しました。
+ あなたがたは預言者たちの子孫でしょう。それなら、神様がアブラハムに与えた、『全世界はユダヤ民族によって祝福される』という先祖への約束に、あなたがたも含まれているのです。
+ 神様はご自分の子であるイエスを復活させると、真っ先にあなたがたイスラエル人のもとに遣わされました。あなたがたを罪の生活から立ち返らせ、祝福なさるためです。」
+
+
+ 二人が話しているところへ、祭司たちや神殿の警備隊長、それにサドカイ人(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)たちが来ました。
+ 聞いてみると、二人は堂々と、イエスが死者の中から復活したと話しています。これはまずいと思った彼らは、
+ 二人を逮捕しましたが、もう夕方だったので、一晩、留置場に入れておくことにしました。
+ しかし、二人の話を聞いた人たちが大ぜい信じ、信者の数は、男だけで五千人に上りました。
+ 翌日、ユダヤ人の指導者たちの会議が、エルサレムで開かれました。
+ 大祭司アンナス、カヤパ、ヨハネ、アレキサンデル、そのほか大祭司の一族もみな顔をそろえています。
+ ペテロとヨハネは一同の前に引き出され、尋問が行われました。「おまえたちは、何の力で、また、だれの権威でこんなことをしたのか。」
+ その時、ペテロは聖霊に満たされ、落ち着きはらって答えました。「わが国の名誉ある指導者、ならびに長老の方々。
+ お尋ねの件は、あの足の悪い男のことで、どのようにして彼が治ったかということでしょうか。
+ そのことなら、あなたがた、いやイスラエルのすべての人たちに、はっきりお話ししたいのです。この出来事は、あなたがたが十字架につけ、神様が復活させてくださった、あのメシヤ(救い主)、ナザレのイエスの名と力とによるのです。
+ メシヤのイエスは、まさに『建築士たちの捨てた石が、最も重要な土台石になった』と聖書にある、その石なのです。
+ この方以外には、だれによっても救われません。天下に、人がその名を呼んで救われる名は、ほかにないのです。」
+ あまりにも大胆なペテロとヨハネのことばに、議員たちは驚き、たじたじとなりました。二人は明らかに、教育も受けていなければ、宗教の専門家でもないのです。とうとう、イエスといっしょにいたからそうなったのだ、と認めないわけにはいかなくなりました。
+ その上、実際に足の治った当の男が二人のそばに立っていたのでは、その事実を否定することもできません。
+ しかたなく彼らは、二人を退場させ、自分たちだけで協議しました。
+ 「さて、彼らをどうしよう。たいへんな奇跡を行ったという事実は、どうにも否定のしようがない。なにしろ、エルサレム中の者たちが知っているのだから……。
+ だが、これ以上の宣伝活動はやめさせなければならない。今後イエスのことを人前で語ったら、ただではすまないぞと脅してやろう。」
+ 話が決まったところでもう一度二人を呼び入れ、今後いっさいイエスのことを話してはならないと、きつく言い渡しました。
+ しかし、ペテロとヨハネは、きっぱり答えました。「神にではなく、あなたがたに従うことを、神様が望んでおられるとでもお考えなのですか。
+ 私たちは、イエスの行われたことやお話しになったことを、知らせないわけにはいきません。」
+ 議員たちはなおもしつこく脅しましたが、効き目はありません。かといって二人を罰しようものなら、暴動が起きかねないと考え、ついにあきらめて釈放しました。人々がみな、すばらしい奇跡を見て、神をほめたたえていたからです。
+ なにしろ、四十年も立てなかった人が完全に治ったのですから、むりもありません。
+ 晴れて自由の身になると、ペテロとヨハネはすぐほかの弟子たちのところへ帰り、議員たちの言ったことを残らず伝えました。
+ これを聞いた信者たちはみな、心を一つにして祈りました。「ああ、天と地と海と、その中にあるすべてのものを造られた主よ。
+ あなたは、はるか昔、あなたのしもべである先祖ダビデの口を通し、聖霊によって、こう語られました。『なぜ異教徒どもは主に怒りを燃やし、愚かな国々は全能の神に、むだな抵抗をするのか。地上の王たちは一つとなり、神とキリストに戦いをしかける。』
+ まさに、この預言どおりのことが、今エルサレムで起こっています。ヘロデ王と総督ピラト、それにローマ人たちが、イスラエルの民と手を組み、あなたが油を注いだ聖なるしもべイエスに反逆しました。
+ 何もかも、あなたのお考えのとおりです。彼らのやっていることは一つ残らず、知恵ある力によって、あなたが行わせているのです。
+ ああ主よ、どうか今、彼らの脅しを聞かれ、私たちが忠実に、しかも大胆に、あなたの教えを語れるように、私たちをお守りください。
+ 私たちに病気をいやす力を与え、あなたの聖なるしもべイエスの名によって、奇跡を行わせてください。」
+ こう祈った時、集まっていた家が激しく揺れ動き、一同はたちまち聖霊に満たされて、大胆に神の教えを語り始めました。
+ さて、イエスを信じた人たちは、心と思いを一つにし、だれ一人財産を惜しむ者がなく、すべてのものを平等に分け合っていました。
+ 使徒たちは主イエスの復活を力強く語り、すべての者の上に恵みがありました。
+ 土地や家を持っている者はそれを売り払い、代金を使徒たちのところに持って来ました。そのお金は必要に応じてみんなに分配されたので、貧しい者は一人もいませんでした。
+ キプロス島出身で、レビ人のヨセフもその一人です。彼はバルナバ〔慰めの子〕と呼ばれていましたが、
+ 畑を売った代金を、「困っている人たちに」と言って、使徒たちのところへ持って来ました。
+
+
+ ところが一方で、こんな事件も起こりました。アナニヤという人が、妻サッピラといっしょに自分たちの土地を売ったのですが、
+ アナニヤは、代金の一部を手もとに残しておきながら、すまして、「これで全額です」と言って使徒たちに差し出したのです。妻サッピラと示し合わせた上でのことでした。
+ しかし、ペテロはそれを見抜いて、彼を責めました。「アナニヤよ。悪魔に心を奪われたのか。これで全額ですと言った時、あなたは、ほかのだれでもなく、聖霊ご自身を欺いたのだ。
+ あなたの財産は、売ろうと売るまいと、あなたのものであることに変わりはなかったのに。たとえ売ったとしても、その代金をどれぐらい人に施すかも全く自由だった。なのに、どうしてこんなことをしたのか。あなたは私たちにではなく、神を欺いたのだ。」
+ このことばを聞くと、アナニヤはばたりと床に倒れ、あっという間に死んでしまったのです。これを見た人々は、恐ろしさのあまり、心がすくみ上がりました。
+ やがて青年たちが、死体を布でおおい、外に運び出して彼を葬りました。
+ それから三時間ほどたったころでしょうか。アナニヤの妻が、何事も知らずにやって来ました。
+ ペテロは尋ねました。「あなたがたが売った土地の代金は、これで全額ですか。」「はい、そうです。」
+ 「どうしてあなたがたは、夫婦心を合わせて聖霊を試みたのか。見なさい。あなたの夫を葬った人たちが、すぐそこまで来ている。あなたも運び出してもらうがいい。」
+ ペテロが言い終わるか終わらないかのうちに、サッピラは床に倒れ、息が絶えました。ちょうどそこへ青年たちが入って来て、確かに死んでいるのを見届けると、その足で運び出し、夫のそばに葬りました。
+ 教会全体と、この出来事を聞いたすべての人が、非常な恐れにとらわれたことは言うまでもありません。
+ 一方、使徒たちは、神殿のソロモンの廊で定期的に集会を開いていました。目をみはるような奇跡も、数多く行われました。
+ ほかの人々は、その仲間入りはしないまでも、使徒たちを心から尊敬していました。
+ こうして、男女を問わず、主を信じる者がますます増えていきました。
+ 人々はついに、病人を床に寝かせたまま通りへかつぎ出し、「せめて、ペテロ様の影だけでもかかれば……」と願うほどになりました。
+ また、エルサレム付近の町々からも大ぜいの人が、病人や、悪霊につかれた人たちを連れて来ました。その人たちは一人残らずいやされました。
+ これを知った大祭司と、その一族であるサドカイ派の人たちはみな、激しいねたみにかられ、
+ うむを言わせず使徒たちを逮捕し、留置場に放り込みました。
+ しかし、夜、主の使いが来て、留置場の戸を開け、使徒たちを外に連れ出して言いました。
+ 「さあ宮へ行き、このいのちの教えを大胆に語りなさい。」
+ 言われたとおり、使徒たちは夜明けごろ宮へ行き、すぐに教え始めました。一方、大祭司とその取り巻きたちは集まって、ユダヤの最高議会と長老全員を召集しました。そして、いよいよ尋問を始めようと、人をやり、使徒たちを引き出して来させることにしました。
+ ところが、使いの役人が留置場をのぞいてみると、どうしたことでしょう。使徒たちの影も形もありません。びっくりして議会に取って返し、
+ 「もぬけのからです。かぎもしまっていたし、外には見張りもおりましたのに」と報告しました。
+ これを聞いた警備隊長や祭司長たちは当惑しました。いったいこれからどうなるのだろうかと、あわてふためくばかりです。
+ その時、一人の人が駆けつけて、留置場にいたはずの人たちが、宮で教えていると知らせました。
+ 警備隊長は役人たちを伴って出かけ、使徒たちを連行して来ましたが、何一つ手荒なことはしませんでした。下手に手出しでもしようものなら、かえって自分たちの身が危ういと思ったからです。こうして、ようやく使徒たちが議会に引き出されました。
+ まず、大祭司が問いただしました。「二度とイエスの教えを語ってはならないと、あれほどきつく言い渡したではないか。それなのに、どういうことだ。エルサレム中に教えを広めているではないか。おまえたちの魂胆はわかっている。イエスを殺した責任を、私たちにかぶせようというのだ。」
+ しかし、ペテロと使徒たちは答えました。「人間よりも、神に従うべきです。
+ 私たちの先祖たちの神は、あなたがたが十字架で処刑したイエス様を復活させてくださいました。
+ 神様は大きな力でこの方を引き上げ、神の御子、また救い主となさったのです。それもみな、罪を悔い改め、赦していただく機会を、イスラエルの人々に与えるためでした。
+ 私たちは、まさにこのことの証人です。神に従うすべての人に与えられる聖霊もまた、このことの証人なのです。」
+ これを聞いた議員たちは烈火のごとく怒り、使徒たちを殺そうと決めました。
+ ところがこの時、一人の議員が立ち上がりました。パリサイ派(信徒で、特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)のガマリエルで、律法の専門家として名が通っている人物です。彼は意見を述べる間、使徒たちを議会の外に出すことを要求しました。
+ それから、一同に言いました。「イスラエルの皆さん。あの人たちの扱い方には、よくよく注意してください。
+ しばらく前のことになりますが、チゥダという男の事件を覚えておいででしょうか。その男がいかにも偉大な人物のように見せかけたため、四百人ほどの者が仲間になりましたね。ところが結局、当の本人は殺され、一味も散り散りばらばらになりました。
+ それから人口調査の時にも、ガリラヤ人のユダという男が民衆をそそのかして反乱を起こしました。しかし、やはりこの男も死に、仲間も散らされました。
+ それで、提案ですが、あの人たちを放っておいてはどうでしょう。もし彼らの教えや行動がただのでっち上げなら、遅からずくつがえされてしまうでしょう。
+ しかし、もし神の力によるものだったら、いかなる人といえども阻止はできません。いや、そればかりか、神に敵対することにもなりかねません。」
+ 説得は功を奏しました。一同は、ガマリエルの忠告に従うことにしたのです。そこで、使徒たちをもう一度呼び入れ、むち打ちにし、二度とイエスの名を口にしてはならないと命じてから釈放しました。
+ 使徒たちは、神の名のためにはずかしめを受けたことを、むしろ喜びながら、議会をあとにしました。
+ そして毎日、宮や家家で教え、イエスこそキリストだと宣べ伝えました。
+
+
+ 信者の数がどんどん増えるにつれて、内部から不満の声が出るようになりました。信者の中のギリシヤ語を話すユダヤ人たちが、ヘブル語を話すユダヤ人たちに苦情をぶつけたのです。原因は、彼らのうちの未亡人たちが、毎日の食料の配給で差別されていることでした。
+ そこで十二人の使徒は、信者全員を召集し、こう提案しました。「私たち使徒が食料の配給の問題に時間をさくのは、よくありません。何よりも、神のことばを伝えることに専念すべきです。
+ そこで、愛する皆さん。この仕事にふさわしい人、賢明で、聖霊に満たされた人に、いっさいを任せることにしましょう。さあ回りをよく見回して、この人と思う人を七人選んでください。
+ そうすれば私たちは、祈りと説教と教育に打ち込むことができます。」
+ 全員がこの提案に賛成し、次の人たちを選びました。ステパノ〔聖霊に満たされた信仰深い人物〕、ピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、アンテオケのニコラオ〔ユダヤ教に改宗していた外国人で、クリスチャンになった人物〕。
+ 以上の七名が前に立ったので、使徒たちは彼らのために祈り、彼らに手を置いて祝福しました。
+ こうして、神のことばはますます広まり、エルサレムでは、弟子の数が驚くほど増えていきました。ユダヤ教の祭司たちの中からも、信仰に入る者が数多く出ました。
+ さて、ステパノは聖霊の力に満たされた人で、すばらしい奇跡を行っていました。
+ ところがある日、「自由民」〔リベルテン〕といわれるユダヤ人たちが、ステパノに議論をふっかけました。するとたちまち、クレネやエジプトのアレキサンドリヤ、少アジヤのキリキヤ地方やアジヤ地方から来たユダヤ人たちも仲間に加わり、ステパノと論戦しました。
+ しかしステパノは、聖霊に助けられ、知恵のかぎりを尽くして語ったので、だれもそれに対抗することができませんでした。
+ それで彼らは何人かの者をそそのかして、「彼はモーセや神を汚すことばを語っている」と言わせたのです。
+ こうして彼らは、ステパノに対する民衆の怒りをあおり立て、ユダヤ人の指導者たちまで扇動して、とうとうステパノを捕らえ、議会に引いて行きました。
+ 偽証する者たちは、でたらめの証言を並べ立てました。「ステパノはいつも、神殿やモーセの律法に逆らうことばかり言っています。
+ 確かに彼が、ナザレのイエスはこの神殿を破壊し、モーセの律法をみな無効にしてしまう、と言うのを聞きました。」
+ この時、議会にいた者は、いっせいにステパノに目をやりました。すると、彼の顔は、天使のように輝いていました。
+
+
+ 大祭司はステパノに、「この訴えのとおりか」と問いただしました。
+ ステパノは、答弁を始めました。「お聞きください、皆さん。先祖アブラハムがまだメソポタミヤに住んでいたころ、栄光に輝く神様が彼に現れました。
+ そして、故郷を離れ、親族とも別れて、神様の命じる国へ行くように、とおっしゃいました。
+ そこでアブラハムはカルデヤ人の地を離れ、シリヤのハランに移り、父親が死ぬまでそこに住みました。そのあと神様は、彼をこの地に連れて来られたのです。
+ ところがそこには、彼の土地はたったの一坪もなく、その上、子どももいませんでした。にもかかわらず、神様は、やがてこの地が全部、アブラハムとその子孫のものになると約束されたのです。
+ 同時に、子孫たちがこの地を去って外国に住み、四百年のあいだ奴隷になるとも言われました。
+ ただ、『わたしは、彼らを奴隷とした国民を必ず罰する。その後、あなたの子孫はこの地に戻り、ここでわたしを礼拝するようになる』との約束を添えて……。
+ 神様はまた、その時、割礼の儀式(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取る儀式)を定め、それを神とアブラハムの子孫との契約の証拠となさいました。それで、アブラハムの息子イサクは、生後八日目に割礼を受けたのです。このイサクの息子がヤコブで、ヤコブからユダヤ民族の十二部族の長が生まれました。
+ その一人ヨセフは、ほかの兄弟たちのねたみを買い、エジプトに奴隷として売られました。しかし神様は、ヨセフと共にいて、
+ あらゆる苦境から彼を救い出し、エジプトの王パロの前で彼に恵みを与えられたのです。神様がヨセフにすばらしい知恵を与えたので、パロはヨセフを、エジプト全土を治める大臣に取り立て、宮中の管理もいっさい任せました。
+ やがてエジプトとカナンの全土に大ききんが起こり、先祖たちは、たいへんな苦境に陥りました。食料がなくなったのです。
+ 話に聞くと、エジプトにはまだ穀物があるそうです。ヤコブはさっそく息子たちを差し向けて、食料を買わせました。
+ 彼らが二度目に買いに来た時、ヨセフは自分のことを兄弟たちに打ち明け、パロもヨセフの家族のことを知りました。それで、
+ ヨセフは人を遣わして、父ヤコブと兄弟たちの一族、総勢七十五人をエジプトに招きました。
+ こうして、ヤコブと息子たちはエジプトに住み、そこで死にました。
+ 遺体はみなシケムに持ち帰られ、アブラハムがシケムのハモルの子から買った墓地に葬られました。
+ 神様がアブラハムに立てた、彼の子孫を奴隷から解放するという約束の時が近づくにつれ、ユダヤ人の人口は、エジプトでどんどんふくれ上がっていきました。
+ そのうち、ヨセフのことを知らない王が即位し、
+ ユダヤ人に悪巧みをはかり、親たちに子どもを捨てさせたのです。
+ モーセが生まれたのは、ちょうどこのような時でした。彼は神の目にかなった、かわいらしい子どもでした。両親は、三か月の間、家の中に隠しておきましたが、
+ とうとう隠しきれなくなり、しかたなく捨てることにしました。ところが、エジプト王パロの娘がその子を見つけ、養子として育てることになったのです。
+ こうして、モーセはエジプトの最高の教育を受け、たくましく、雄弁な王子に成長しました。
+ 四十歳の誕生日が近づいたある日、モーセは、同胞のイスラエル人のところへ行ってみよう、と思い立ちました。
+ ところが、行ってみると、どうでしょう。一人のエジプト人が、イスラエル人を虐待しているではありませんか。モーセはイスラエル人をかばおうとの一心から、相手のエジプト人を殺してしまいました。
+ モーセは、イスラエル人を助けるために神が自分を遣わされていることを、みなが認めてくれるものと思い込んでいましたが、現実はそうではありませんでした。
+ 翌日、もう一度出かけて行くと、今度はイスラエル人同士で争っているのにぶつかりました。モーセは間に割って入り、『兄弟同士じゃないか。けんかなんかやめなさい』と押しとどめました。
+ すると、相手を痛めつけていたほうの男がモーセを押しのけて言いました。『だれがあんたを、おれたちの支配者や裁判官にしたんだ。
+ 昨日、あのエジプト人を殺したみたいに、おれまでも殺そうとするのか。』
+ これを聞いて、モーセはまずいことになったと、エジプトを逃げ出し、ミデアンの地に身を寄せました。そこで、二人の子どもをもうけたのです。
+ それから四十年の歳月が流れました。ある日のことです。シナイ山に近い荒野で、モーセの前に天使が柴の燃える炎の中に現れました。
+ 彼はその光景に驚き、何事かと近寄ってみると、主の声が聞こえてきました。
+ 『わたしはあなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。』モーセはすっかり震え上がり、顔を上げる勇気もありませんでした。
+ 主は続けて語られました。『くつを脱ぎなさい。あなたの立っている所は聖なる地だから。
+ わたしは、エジプトで苦しめられているわたしの民の姿を見、またその叫びを聞いた。わたしは彼らを救い出そうと下って来たのだ。行け。わたしが、あなたをエジプトに遣わす。』
+ こうして神様は、『だれがあなたを、おれたちの支配者や裁判官にしたのか』とユダヤ人たちに退けられたモーセを、もう一度、エジプトに帰らせたのです。モーセは初めて、イスラエル人の支配者、また解放者となったのです。
+ モーセは、数々の驚くべき奇跡によって、人々をエジプトから連れ出し、紅海を横断して、四十年にわたる荒野での生活を導きました。
+ このモーセが、『神様はあなたがたの中から、私のような預言者をお立てになる』と、イスラエルの人々に宣言したのです。
+ モーセは荒野では、神と人との仲介者でした。すなわち、シナイ山で、神のいのちのことばを天使から受け、それをイスラエルの人々に与える役を果たしたのです。
+ しかし私の先祖たちは、モーセの言うことに従おうとせず、しきりにエジプトに帰りたがりました。
+ そしてアロンに、『私たちをエジプトに連れ帰ってくれる神々の像を造ってください。私たちをエジプトから連れ出したモーセは、どうなったかわからないから』と迫りました。
+ 彼らは子牛の像を造って、供え物をささげ、自分たちが造った物で楽しんでいました。
+ このため、神様は彼らに背を向け、彼らが日や月や星を神と思って仕えるのを放っておかれました。神である主は、預言者アモスの書の中で、こう語っておられます。『イスラエルよ。あなたがたは四十年の荒野の生活で、わたしに、いけにえをささげたことがあるか。いや、あなたがたのほんとうの関心は、異教徒の偶像にあったのだ。モロクの神や星の神ロンパ、そのほか自分たちで造った偶像に。だから、わたしはあなたがたを、バビロンのかなたへ捕らわれの身とする。』
+ 荒野の旅で、先祖たちは、神殿の代わりに持ち運びのできる幕屋を携えていました。その中には、神様が下さった十戒を彫った、石の板が二枚ありました。この幕屋は、神様がモーセに指示なさったとおり、寸分の狂いもなく造ってありました。
+ 先祖たちは代々、この幕屋を受け継ぎ、ヨシュアの指揮のもとに外国と戦って得た新しい領土に運び込み、ダビデ王の時代までありました。
+ さて、神様はダビデ王をたいへん祝福なさいました。ダビデ王は、ヤコブの神のために永久に残る神殿を建てさせてくださいと熱心に願いましたが、
+ 実際に建てたのは、息子のソロモン王でした。
+ しかし神様は、人間が造った神殿にはお住みにならないのです。主は預言者の口を通して、次のように語っておられます。『主は言われる。天はわたしの王座、地はわたしの足台。いったいどのような家をわたしのために建てようというのか。わたしが、そのような所にとどまるだろうか。わたしが、天と地とを造ったのではないか。』
+ あなたがたはほんとうに強情な異教徒です。いつまで聖霊にそむき続けるのですか、かつての先祖たちのように。
+ あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者の名をあげることができたら、一人でもいいから言ってごらんなさい。もっとも、先祖たちは、正しい方がおいでになると預言した人たちを殺したのですが、あなたがたは、当のメシヤ(救い主)を裏切り、殺したのです。
+ あなたがたは、天使たちを通して受けた律法を破ったのです。」
+ この告発に、ユダヤ人の指導者たちの怒りは爆発しました。彼らは歯ぎしりしてくやしがりました。
+ しかし、ステパノは聖霊に満たされ、ぐっと頭をもたげて天を見上げました。その目には、神の栄光と神の右に立っておられるイエスの姿が見えました。
+ 「ごらんなさい。天が開けて、メシヤであるイエス様が、神の右に立っておられます。」
+ しかし、そのとき人々は耳をおおい、割れんばかりの大声をあげ、ステパノ目がけて殺到したので、彼の声はほとんど聞き取れないほどでした。
+ 人々はステパノを石で打ち殺そうと、町の外に引きずり出しました。証人たち〔死刑執行人たち〕は上着を脱ぎ、パウロという青年の足もとに置きました。
+ 石が雨あられと飛んで来る中で、ステパノは祈りました。「主イエスよ。私の霊を迎え入れてください。」
+ そして、ひざまずき、「主よ。どうぞこの罪の責任を、この人たちに負わせないでください!」と大声で叫んだかと思うと、ついに息絶えました。
+
+
+ パウロは、ステパノを殺すことに大賛成でした。その日から、激しい迫害の嵐がエルサレムの教会を襲い、使徒たち以外の者はみな、ユダヤやサマリヤへ散らされました。
+ ステパノの遺体は、敬虔なユダヤ人たちの手で、悲しみのうちに埋葬されました。
+ 一方、パウロは教会を荒らし回り、家々に押し入っては男女を問わず引きずり出し、留置場にぶち込みました。
+ しかし、エルサレムから逃げ出したクリスチャンたちは、どこへ行っても、神のことばを伝えて歩きました。
+ ピリポはサマリヤの町へ行き、人々にキリストのことを話しました。
+ ピリポが奇跡を行ったので、みな彼の話に熱心に耳を傾けたのです。
+ 悪霊どもは大声でわめきながら人々から出て行き、中風(脳出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の人や足の不自由な人たちも、次々に治りました。
+ 今や、町中が喜びにわき返り、大騒ぎです。
+ さてこの町には、長年、魔術を行ってきた人がいました。シモンと言い、持ち前の不思議な力で人々を驚かせていたので、サマリヤ地方でたいへんな影響力を持っていました。メシヤではないかと言われたこともしばしばでした。
+ しかし今は、だいぶ様子が違ってきました。ピリポが来て、イエスこそメシヤだと教えたからです。彼が神の国について話すのを聞き、大ぜいの人が信じ、男も女もみなバプテスマ(洗礼)を受けました。
+ そのうちにシモンも信じ、バプテスマを受けることになりました。彼はピリポの行くところはどこへでもついて行き、その奇跡に驚いていました。
+ エルサレムにとどまっていた使徒たちは、サマリヤ人が神の教えを信じたと伝え聞き、ペテロとヨハネを派遣しました。
+ 二人はサマリヤに来ると、さっそく、新しいクリスチャンたちが聖霊を受けるようにと祈りました。
+ 主イエスの名によってバプテスマを受けただけで、まだ聖霊が下っていなかったからです。
+ 二人が信者たちに手を置いて祈ると、みな聖霊を受けました。
+ 使徒たちが手を置くと聖霊が与えられるのを見たシモンは、この力を買い取ろうと、お金を持ってやって来ました。
+ 「お願いです。手を置けば、だれでも聖霊が受けられるように、私にもその力を下さい。」彼はしきりに頼みました。
+ しかし、ペテロは答えました。「その金もろとも滅んでしまいなさい! 金で神の賜物が買えるとでも思っているのか。とんでもない見当違いだ。
+ 心が神の前に正しくないのに、この特権がいただけるはずがない。
+ こんなことは二度としてはいけない。悔い改めて祈りなさい。あなたのような不心得者でも、まだ赦していただけるかもしれない。
+ 私にはちゃんとわかっている。あなたの心の中は、ねたみと罪でいっぱいだ。」
+ シモンは驚いて叫びました。「ああ、そんな恐ろしいことが起こらないように祈ってください!」
+ ペテロとヨハネは、このサマリヤの町で、イエスのことを証言したり語ったりしてから、サマリヤ人のあちこちの村へ行って福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を伝えながら、エルサレムへ戻りました。
+ ところで、ピリポはどうしたでしょう。主の使いが現れて、「さあ、エルサレムからガザの荒野へ通じる道に出なさい」と言うではありませんか。
+ 言われたとおりにすると、エチオピヤの女王カンダケのもとで、大きな権力を持ち、女王の財政を管理していたエチオピヤ人の宦官(宮殿や支配者の後宮に仕える、去勢された男性の役人)が向こうから来ます。この人は、神殿で礼拝するためにエルサレムへ行き、
+ いま馬車で帰るところで、ちょうど預言者イザヤの書を声に出して読んでいました。
+ 聖霊がピリポをうながしました。「さあ、あの馬車に近づいて、いっしょに行きなさい。」
+ ピリポが走り寄ると、イザヤの書を読んでいるのが聞こえます。そこで、「失礼ですが、その意味がおわかりですか」と尋ねました。
+ 「残念ながら、だれかが教えてくれないとわかりません。」こう答えると、その人はピリポに、馬車に乗ってそばに座ってほしいと頼みました。
+ 読んでいたのは、こういうところでした。「その方は、殺されるために引かれて行く羊のように、また、毛を刈る者たちの前で黙っている小羊のように、口を開かなかった。その方は卑しい者と見なされ、正しいさばきも受けなかった。だれが、この時代の人々の邪悪さを語れよう。その方のいのちが地上から取り去られたからには。」
+ 宦官はピリポに尋ねました。「その方とは、いったいだれのことですか。イザヤは自分のことを言っているのでしょうか。それとも、だれかほかの人のことを言っているのでしょうか。」
+ ピリポはこのイザヤのことばから始めて、旧約聖書のあちこちを引用し、イエスのことをくわしく説明しました。
+ さて、道を進んで行くうちに、水のある所に来ました。すると宦官は、「見てください。水があります。ここでバプテスマを受けることはできないでしょうか」と言いました。
+ 「心から信じておられるなら、もちろんかまいませんよ。」「私はイエス‧キリストを神の子と信じます。」
+ 宦官がはっきり告白したので、馬車を止めさせ、二人して水の中に入り、ピリポはバプテスマを授けました。
+ 二人が水から上がった時、主の霊が、あっという間にピリポを連れ去りました。宦官はもう二度とピリポの姿を見ることはできませんでしたが、喜びに胸をはずませ、旅を続けました。
+ 一方、ピリポはアゾトの町に姿を現し、そこから町々で福音を伝えながら、カイザリヤに向かいました。
+
+
+ さてパウロは、キリストの弟子たちをせん滅しようと、エルサレムの大祭司のところへやって来ました。
+ そして、ダマスコの諸会堂あての手紙を書いてくれと頼み込みました。それはダマスコのクリスチャンを、男だろうが女だろうが、見つけしだい縛り上げ、エルサレムに連行するためでした。
+ パウロがダマスコの近くまで来た時、突然、天からまばゆい光が、さっと彼を照らしました。
+ そして、地に倒れた彼の耳に、こう語りかける声が響いてきました。「パウロ、パウロ。なぜわたしを迫害するのか。」
+ パウロが、「あなたはどなたですか」と尋ねると、「わたしは、あなたが迫害しているイエスだ。
+ さあ立って、町に入り、わたしの命令を待ちなさい」という答えが返ってきました。
+ 同行していた人々は驚き、口もきけずに立ちすくんでいました。彼らには、声は聞こえても、イエスの姿は見えなかったからです。
+ ようやくパウロは起き上がりましたが、どうしたことでしょう、目が見えません。手を引いてもらって、やっとダマスコに入り、三日間、目が見えないまま、何も飲み食いせずに過ごしました。
+ さて、ダマスコにはアナニヤというクリスチャンが住んでいました。主は幻の中で、彼に語りかけました。「アナニヤよ。」「はい。」
+ 「『まっすぐ』という名の通りに行き、ユダという人の家を探しなさい。そこにタルソ出身のパウロという人がいて、いま祈っています。
+ わたしは幻の中で、アナニヤという人が来て、彼に手を置くと、もとどおり見えるようになると知らせておいたから。」
+ アナニヤは驚いて叫びました。「主よ、パウロですって! あの男がエルサレムのクリスチャンをどんな目に会わせているか、聞いております。
+ それに、祭司長たちから逮捕状をもらい、このダマスコのクリスチャンを一人残らず捕らえる権限を持っているという、もっぱらのうわさです。」
+ しかし、主は言われました。「さあ、行きなさい。このパウロこそ、わたしの教えをイスラエル人だけでなく、世界中の人々や王たちに伝えるために、わたしが選んだ人です。
+ 彼には、わたしのために、どんなに苦しむことになるかを告げるつもりです。」
+ アナニヤは出かけ、パウロを捜し当てました。そして彼に手を置き、「兄弟パウロ。あなたはここへ来る途中、主にお会いしましたね。その主イエス様が私を遣わしました。あなたが聖霊に満たされ、また見えるようになるためです」と言いました。
+ するとたちまち、パウロの目から、うろこのようなものが落ち、目が見えるようになりました。彼は直ちにバプテスマ(洗礼)を受け、
+ 食事をとると、すっかり元気を取り戻しました。パウロはそれから数日の間、ダマスコのクリスチャンといっしょに過ごすと、
+ すぐにも会堂へ行き、「イエスは神の子である」と語り始めました。
+ そのことばを聞いて、人々は耳を疑いました。「この人は、エルサレムでイエスの弟子たちを迫害した張本人じゃないか。ここへ来たのも、クリスチャンたちをみな縛り上げ、祭司長のもとへ引いて行くためだと聞いていたが……。」
+ しかしパウロは、ますます熱心に、イエスこそほんとうのキリスト(救い主)であることを証明したので、ダマスコのユダヤ人たちは動転するばかりでした。
+ しばらくして、ユダヤ人の指導者たちは、パウロ殺害を決議しました。
+ そして、昼も夜も町の門を見張りましたが、いつしか、この陰謀はパウロの耳にも入ってしまいました。
+ そこで、パウロの話を聞いて信者になった人たちが、夜の間に彼をかごに乗せ、町囲いの城壁からつり降ろしました。
+ エルサレムに着いたパウロは、弟子たちの仲間に加わろうとしましたが、だれもパウロを仲間だとは信じられず、恐れるばかりでした。
+ しかし、バルナバは違いました。パウロを使徒たちのところへ連れて行き、一部始終を彼らに説明しました。パウロがダマスコに向かう途中で主にお会いしたこと、また、主がパウロに語られたことばや、ダマスコでパウロが、イエスの名によって力強い説教をしたことなどを。
+ それで使徒たちも、ようやくパウロを受け入れました。それからは、パウロはいつもクリスチャンと行動を共にし、主の名によって大胆に語りました。
+ また、ギリシヤ語を話すユダヤ人と意見を戦わせることもありました。ところが、彼らの中には、パウロのいのちをねらう者たちがいました。
+ それと知った信者たちは、パウロを故郷のタルソへ帰そうということになり、カイザリヤまで同行して見送りました。
+ こうして教会は、ユダヤ、ガリラヤ、サマリヤのすべてで守られ、どんどん増え広がっていきました。そして、心から主を恐れつつ、聖霊に励まされて前進し続けました。
+ さて、ペテロは、各地にいる信者を訪問する旅の途中、ルダの町にもやって来ました。
+ そこでアイネヤという人に出会いました。話を聞くと、八年間も中風で寝たきりだといいます。
+ ペテロは、「アイネヤよ。イエス‧キリストがいやしてくださるのだ。さあ起きて、自分で床を片づけなさい」と言いました。すると、アイネヤの病気は、たちどころに治ってしまいました。
+ ルダとサロン一帯に住む人々はみな、アイネヤが元気に歩き回っている姿を見て、主イエスを信じるようになりました。
+ そのころ、ヨッパの町にタビタ〔ギリシャ語で、ドルカス〕という名の婦人が住んでいました。クリスチャンで、いつも貧しい人たちのことに心を配り、親切にしていました。
+ ところが、このドルカスが病気で死んでしまったのです。友人たちは葬式の準備をし、遺体を二階に安置しました。
+ ちょうどペテロが近くのルダにいるというので、使いを出し、ぜひヨッパまで足を伸ばしてほしいと頼みました。
+ ペテロは快く承諾しました。彼がヨッパに着くやいなや、人々は待ちかねたように、遺体が置かれている二階の部屋まで連れて行きました。そこは、生前ドルカスにめんどうを見てもらった婦人たちでいっぱいでした。みな目に涙を浮かべながら、ドルカスに作ってもらった服などを彼に見せるのです。
+ ペテロは、みんなを部屋から出し、ひざまずいて祈り始めました。それから遺体のほうを向き、「タビタ、起きなさい」と声をかけました。すると、なんということでしょう。彼女が目を開いたのです! ペテロをじっと見、体を起こしたのです!
+ ペテロは、いたわるように手を取って立たせ、一同を呼び入れました。あっけにとられている人々の前に、ドルカスが立っていたのです。
+ この話はまたたく間に町中に広まり、多くの人が主を信じました。
+ ペテロはしばらくヨッパにとどまり、その間、皮なめしのシモンの家に泊まっていました。
+
+
+ カイザリヤに、コルネリオというローマ軍の士官がいました。イタリヤ連隊に所属する隊長の一人でした。
+ この人はたいそう信仰があつく、一家そろって神を信じていました。また、困っている人には惜しみなく施し、実によく祈る人でもありました。
+ ある日の午後、彼は幻を見ました。午後三時ごろのことで、意識ははっきりしていました。幻の中で天使が現れ、彼のところへ来て、「コルネリオよ」と呼びかけるではありませんか。
+ 彼はじっと天使を見つめていましたが、恐ろしくなって、「どんなご用でしょうか」と言いました。「あなたの祈りも、良い行いも、神はすべてご存じです。
+ さあ、ヨッパに使いをやって、シモン‧ペテロという人を捜させなさい。海岸沿いの皮なめし職人シモンの家にいます。彼に、ここへ来てくれるように頼みなさい。」
+ 天使が姿を消すとすぐ、コルネリオは使用人二人と、神を敬う側近の兵士一人とを呼び寄せました。
+ そして、このいきさつを話し、ヨッパへ遣わしました。
+ 翌日、三人がヨッパの町に近づいたころ、ペテロは祈るために屋上に上っていました。正午ごろのことで、お腹がすき、食事をしたくなりました。ところが、昼食の用意がなされている間に、とろとろと夢ごこちになったのです。ふと見ると、天が開け、四すみをつった大きな布のようなものが降りて来ます。
+ 中には、ユダヤ人には食べることが禁じられていた爬虫類や鳥など、あらゆる種類の動物が入っていました。
+ そして、「さあ、どれでも好きなものを料理して食べなさい」という声が聞こえました。
+ 「主よ、それはできません。生まれてこのかた、口にしたことがないものです。ユダヤのおきてで禁じられているのですから。」
+ 「ペテロよ、神に反対するのか。神がきよいと言うものはきよいのだ。」
+ 同じことが三度あってから、布はすうっと天に引き上げられました。
+ ペテロは、この幻はどういう意味なのだろうと、考え込んでしまいました。ちょうどその時です。コルネリオから遣わされた人たちがシモンの家を探し当て、門口に立ち、
+ 「こちらにシモン‧ペテロという方が泊まっておいででしょうか」と尋ねました。
+ 一方、ペテロが先ほどの不思議な幻のことを思い巡らしていると、聖霊がこう語りました。「三人の人が、あなたに会いに来ました。
+ さあ降りて行って、その人たちに会い、いっしょに出かけなさい。心配はいりません。わたしが、その人たちを遣わしたのだから。」
+ そこでペテロは下へ降り、「捜しておいでのペテロは、私です。どんなご用でしょうか」と聞きました。
+ すると三人は、ローマ軍の士官コルネリオがたいそう信心深い人で、ユダヤ人みんなから好意を持たれていることや、そのコルネリオのもとに現れた天使が、ペテロを招いて神のことばを聞くように指示したいきさつなどを話しました。
+ ペテロは三人を家に招き入れて一晩泊め、翌日いっしょに出かけました。ヨッパの信者も数人、同行しました。
+ 一行がカイザリヤに到着したのは、次の日でした。コルネリオは親類の者や親しい友人たちを呼び集め、今か今かと一行を待ちわびていました。
+ そして、ペテロが家に入ると、その前にひれ伏して拝みました。
+ ペテロはそれを押しとどめました。「お立ちなさい。私は神様ではありません。」
+ コルネリオは立ち上がり、しばらくペテロと二人で話し合ってから、人々の待つ部屋へ入りました。
+ ペテロは一同に言いました。「このようにして外国人の家に入ることが、ユダヤのおきてで禁じられていることは、よくご存じでしょう。ところが神様は私に、どんな人をも差別してはならないと、幻で示してくださいました。
+ ですから、お招きを受けた時、何のためらいもなくやって来たのです。」
+ コルネリオが言いました。「実は、四日前の午後のことです。ちょうど今ごろですが、いつものように祈っておりましたところ、突然、輝くばかりの衣をまとった人が目の前に現れたのです。
+ その人は、『コルネリオよ。あなたの祈りも良い行いも、神はすべてご存じです。
+ さあ、ヨッパに使いをやって、シモン‧ペテロという人を招きなさい。海岸沿いの皮なめし職人シモンの家にいます』と言いました。
+ それで、すぐあなたを迎えにやったのですが、早々においでくださって、何とお礼を申し上げてよいやら……。私たちは今、主があなたにお命じになったすべてのことをうかがおうと、こうして神の前に出ているのです。」
+ ペテロは話し始めました。「神様はただユダヤ人だけを愛しておられるのではないことが、はっきりわかりました。
+ 神を礼拝し、また良い行いをして神に喜ばれる人は、どこの国にもいるのです。
+ イスラエル人に伝えられた神のみことばについては、すでにお聞きでしょう。全人類の主である救い主イエスによって、私たちが神と和解できるということです。この教えは、バプテスマのヨハネが語り始め、ガリラヤからユダヤ全土に広まりました。
+ ナザレのイエスは神の聖霊と力とに満たされて、すばらしいみわざを行い、また悪霊につかれている人たちをみないやしながら、各地を巡回されました。それは、神様がこの方と共におられたからだということも、きっとご存じでしょう。
+ 私たち使徒は、イエスがイスラエル全土、またエルサレムでなさったすべてのことの証人です。このエルサレムで、イエスは十字架につけられたのです。
+ しかし神様は、三日後にイエスを復活させてくださいました。そしてそのことを、すべての人々にではなく、神様があらかじめ選んでおられた証人に示してくださったのです。私たちは復活したイエスとお会いして、いっしょに食事もしました。
+ 主は、これらのことをすべての人に伝えるように、私たちを派遣なさいました。それで私たちは、このイエスが、生きている人でも死んだ人でもすべての人を審判する方として、神に任命されたのだと証言しているのです。
+ イエスについては、どの預言者も、この方を信じる者はだれでも、その名によって罪が赦されると証言しています。」
+ ペテロがまだ話しているうちに、聖霊が一人一人に下りました。
+ ペテロに同行して来たユダヤ人のクリスチャンたちは、外国人にも聖霊の賜物が与えられたので驚きました。
+ しかし、これは疑う余地のない事実でした。人々は自由にそれぞれ異なった国のことばで話し、神を賛美していたからです。「私たちと同じように聖霊を受けたのですから、この人たちにバプテスマ(洗礼)を授けることに、だれも反対できません。」こうきっぱり言いきると、
+ ペテロは、キリスト‧イエスの名によって、バプテスマを授けました。コルネリオはペテロに、数日間、泊まってほしいと頼みました。
+
+
+ まもなく、外国人もキリストを信じたというニュースが、使徒やユダヤにいる兄弟たち(信仰を同じくする者たち)に届きました。
+ そこでユダヤ人の兄弟たちは、エルサレムに帰ったペテロに、面と向かって非難をあびせました。
+ 「外国人と親しくし、おまけに食事までいっしょにしたそうじゃないですか。」
+ そこでペテロは、その時のいきさつを包み隠さず話して聞かせました。
+ 「ある日、ヨッパで祈っていた時、幻を見たのです。四すみをつった大きな布が天から降りて来ました。
+ 中には、ユダヤ人が食べてはならない、あらゆる種類の獣、爬虫類、鳥が入っていました。
+ そして、『どれでも好きなものを料理して食べなさい』という声がしました。
+ 私は必死で、『主よ。そんなことはできません。ユダヤのおきてで禁じられているものは、口にしたこともありません』と申し上げました。
+ しかしその天からの声は、『神様がきよいと宣言されたものを、きよくないと言ってはいけない』と言うのです。
+ 同じことが三度あってから、布は天に引き上げられました。
+ ちょうどその時、カイザリヤから三人の人が、私のいた家まで迎えに来たのです。
+ 聖霊は、相手が外国人であることなど気にかけず、いっしょに行けとおっしゃいました。ここにいる六人の兄弟たちも同行しました。こうして、使いを送った人の家に着きました。
+ その人が説明するには、天使が現れ、ヨッパにいるシモン‧ペテロを招くように言われたというのです。
+ そして天使は、『ペテロが、あなたとあなたの家の者たちが救われるにはどうしたらよいか、教えてくれます』と告げたそうです。
+ そこで、私が彼らに話し始めるとすぐ、彼らにも聖霊が下ったのです。まさに、あの最初の時、私たちが受けたのと同じ光景でした。
+ その時、私は、『ヨハネは水でバプテスマ(洗礼)を授けたが、あなたがたは聖霊によってバプテスマを授けられる』と言われた主のことばを思い出したのです。
+ 私たちが主イエス‧キリストを信じた時に与えられたのと同じ賜物を、神が外国人にも与えられたのなら、だれがそれをとどめられるでしょう。」
+ ペテロの説明に、ユダヤ人たちの疑問は氷解しました。一同は、「神様は外国人にも、神に立ち返って永遠のいのちをいただく特権をお与えになったのだ」と、口々に神を賛美しました。
+ 一方、ステパノの死をきっかけとして起こった迫害のためにエルサレムから散らされた人々は、フェニキヤ、キプロス、アンテオケにまでも足を伸ばし、みことばを語りましたが、相手はユダヤ人に限られました。
+ しかし、何人かのキプロス出身とクレネ出身のクリスチャンは、アンテオケで、主イエスについての教えをユダヤ人だけでなく、ギリシヤ人にも伝えました。
+ 主がいっしょに働かれたので、多くの外国人が主を信じるようになったのです。
+ このニュースを耳にすると、エルサレムの教会は、新しく信者になった人たちを助けようと、さっそくバルナバを派遣しました。
+ アンテオケに到着したバルナバは、神のなさるすばらしいことを見て深く感動し、喜びにあふれました。そして一人一人に、どんな犠牲をはらってでも、絶対に主から離れないようにと忠告し、励ましました。
+ バルナバは聖霊に満たされた、信仰のあつい人でした。こうして、たくさんの人が主イエスを信じるようになったのです。
+ このあと、バルナバはパウロを捜しにタルソへ行きました。
+ 捜し出すと、アンテオケに連れて来て、二人でまる一年とどまり、新しくクリスチャンとなった多くの人々を教えました。このアンテオケで、キリストを信じる者たちが初めて、「クリスチャン」と呼ばれるようになったのです。
+ ちょうどそのころ、何人かの預言者がエルサレムからアンテオケにやって来ましたが、
+ その中の一人アガボが、ある集会の席上で、大ききんがローマ帝国全土に起こる、と聖霊によって預言しました。はたしてこの預言は、クラウデオの治世に現実となりました。
+ そこでアンテオケのクリスチャンは、協議の結果、ユダヤのクリスチャンのために、できる限りの援助をすることにしました。
+ そう決まると、さっそく実行に移し、救援物資をバルナバとパウロに託して、エルサレム教会の長老たちのもとへ届けました。
+
+
+ そのころ、ヘロデ王(ヘロデ‧アグリッパ一世)は一部のクリスチャンに迫害の手を伸ばし、
+ ヨハネの兄弟で使徒のヤコブを惨殺しました。
+ このことでユダヤ人の指導者たちが上きげんになったことを知ると、今度はペテロを逮捕しました。ちょうど過越の祭りの最中だったので、祭りが終わりしだい処刑のためにユダヤ人に引き渡すつもりで牢に入れ、十六人の兵士に監視させました。
+ 教会では、そのあいだ中、「ペテロをお守りください」と熱心な祈りを神にささげていました。
+ 処刑前夜、ペテロは二人の兵士にはさまれ、二重の鎖につながれて眠っていました。牢獄の門の前には、ほかの番兵が立っています。
+ そのとき突然、牢獄の中がぱっと光り輝き、主の使いが現れました。天使はペテロのわき腹をつついて起こし、「さあ立って、急ぎなさい」と言いました。そのとたん、鎖が手首からはずれました。
+ 「身じたくを整えて、くつをはきなさい。」ペテロがそのとおりにすると、今度は、「さあ上着を着て、ついて来なさい」と命じます。
+ ペテロは牢獄を出て天使について行きましたが、その間ずっと、夢か幻でも見ているような気分で、どうしても現実のこととは思えません。
+ 第一、第二の見張り所を通り抜け、とうとう町に通じる鉄の門の前までやって来ました。するとその門も、ひとりでに開くではありませんか。二人は難なく外に出て、次の通りまで歩いて行きました。そこで天使の姿は、かき消すように見えなくなりました。
+ その時、ペテロは我に返り、何が起こったのかやっと気づきました。「夢じゃない、夢じゃないんだ。確かに主が天使を遣わし、ヘロデの手から、またユダヤ人たちのたくらみから救い出してくださったのだ。」
+ そうはっきりわかると、彼は、マルコと呼ばれるヨハネの母マリヤの家へ急ぎました。そこには大ぜいの人が集まり、祈っていました。
+ ペテロは玄関の戸を、どんどんとたたきました。その音を聞きつけて、ロダという女中が取り次ぎに出て来ました。
+ ところが、声の主がペテロだとわかると、喜びのあまり戸を開けることも忘れて、そのまま家の中に駆け込み、みんなにペテロが帰って来たことを知らせました。
+ しかし人々は、「気がおかしくなったのか」と言って、取り合おうともしません。しかし彼女があくまで言いはるので、「それなら、きっとペテロについている天使だ。とすると、ペテロは殺されたに違いない」と言い合いました。
+ 一方ペテロは、そのあいだ中、戸をたたき続けていました。それで、ようやく人々が出て来ました。戸を開けた時の、彼らの驚きようといったらありません。
+ ペテロは手ぶりでその場を静め、何が起こったのか、主がどのようにして牢獄から出してくださったのかを話しました。そして、「ヤコブやほかの信者たちにもこのことを知らせてほしい」と言って、安全な場所へ立ち去りました。
+ 朝になると、牢獄では、ペテロはいったいどこに行ったのかと、上を下への大騒ぎになりました。
+ ペテロを引き出そうとしていたヘロデは、ペテロがいなくなったと知るや、十六人の番兵を片っぱしから取り調べ、軍法会議にかけ、全員を処刑にするよう命じました。ヘロデはその後、カイザリヤに行き、しばらくそこにとどまりました。
+ ヘロデはツロとシドンの住民に激しい敵意をいだいていましたが、カイザリヤ滞在中に、この二つの町の代表者たちが王の侍従ブラストに取り入って、和解を申し出ました。というのも、二つの町は経済的にヘロデの国との交易に頼っていたからです。
+ 会見の約束ができ、いよいよその当日です。ヘロデは王服を着て王座に座り、彼らに向かって演説を始めました。
+ 演説が終わると、彼らは大喝采を送り、大声で、「神の声だ! とても人間の声とは思えない」と賞賛しました。
+ するとたちまち、主の使いがヘロデを打ったので、彼は病気になり、やがて体中にうじがわいて死んでしまいました。神だけにふさわしい賞賛をわがものとし、神に栄光を帰さなかったからです。
+ 神のことばはますます広まり、力強く語られていきました。
+ エルサレムを訪問したバルナバとパウロは、務めを果たしたあと、ヨハネと呼ばれるマルコを連れて、アンテオケに帰りました。
+
+
+ アンテオケの教会の預言者や教師たちの中には、次の人たちがいました。バルナバ、シメオン〔別名「黒い人」〕、ルキオ〔クレネ出身〕、マナエン〔ヘロデ王とは乳兄弟〕、それにパウロなどです。
+ ある日、彼らが礼拝をささげ、断食していると、聖霊が、「バルナバとパウロに、わたしの特別な仕事をさせなさい」と言われました。
+ それで彼らは、さらに断食して祈ったあと、二人に手を置いて任命し、送り出しました。
+ 二人は聖霊に導かれてセルキヤに行き、そこから、船でキプロス島に向かいました。
+ その島のサラミスという町に着くと、さっそくユダヤ人の会堂で神のことばを語り始めました。マルコも、助手として同行しました。
+ そのあと、町から町へと島中を巡り歩いて教えを語り、最後にパポスという町に来ました。そこで、偽預言者でバルイエスと名乗る魔術師に出会いました。彼は総督のセルギオ‧パウロの取り巻きの一人でした。総督自身は物事に明るい、たいへん理解のある人で、かねがね神の教えを聞きたいと思っていたので、バルナバとパウロとを招きました。
+ ところが、バルイエスは二人に強く反対しました。パウロやバルナバのことばに耳を傾けないようにそそのかし、何としても、総督に主を信じさせまいとしました。
+ しかし、パウロは聖霊に満たされ、魔術師をきっとにらみつけ、
+ 「悪魔の子、ぺてん師め! おまえのように悪事にたけた者は、正義の敵だ。どこまで主に反抗するつもりか。
+ さあ、神のさばきを受けるがいい。おまえはしばらくのあいだ目が見えなくなり、日の光が見えなくなる」と言いました。するとたちまち、かすみと闇が彼をおおったので、彼は、「だれか手を引いてくれ」と叫びながら、手さぐりで歩き回りました。
+ この出来事を目のあたりにした総督は、神を信じ、改めて神の教えに驚嘆しました。
+ さて、パウロの一行は小アジヤに向かうため、船でパポスを発ち、ペルガの港に上陸しました。ここまで来たところで、マルコは一行から離れ、一人でエルサレムに帰ってしまいました。
+ しかしバルナバとパウロは、ピシデヤ地方の町、アンテオケに向かいました。安息日(神の定めた休息日)になり、二人は礼拝をするために会堂へ出かけました。
+ いつものとおり、モーセの書と預言者の書からの朗読がすむと、会堂の管理者たちが彼らに言いました。「二人の方。よろしければ、何かお話ししていただけますか。」
+ そこでパウロが立ち上がり、会衆にあいさつしてから話し始めました。「イスラエルの人たち、ならびにここにおられる、神を敬う皆さん、お聞きください。まず、私たちの国の歴史からお話ししましょう。
+ イスラエルの神様は、私たちの先祖をお選びになりました。そして、エジプトで奴隷にされた彼らを、目をみはるような方法で救い出し、名誉を回復してくださったのです。
+ 彼らが荒野をさまよい歩いた四十年の間も、ずっと養い続けてくださいました。
+ また、カナンの七つの民族を滅ぼし、その土地を相続財産として分配なさいました。こうなるまでに約四百五十年もかかりました。そのあとは、預言者サムエルが現れるまで、さばき人が国の秩序を保っていたのです。
+ やがて人々は、王がほしいと言いだしました。そこで神様は、ベニヤミン族のキスの息子サウロを王とし、四十年間、国を治めさせました。
+ しかし、そのサウロも神に退けられ、代わりにダビデが王になりました。このダビデのことを神様は、『エッサイの息子ダビデこそ、わたしの心にかなう者、わたしの意思に完全に従う者だ』と言われました。
+ このダビデ王の子孫から、約束どおり、イスラエルの救い主イエスを起こしてくださったのです。
+ この方がおいでになる前にバプテスマのヨハネが、イスラエルの全国民が罪を捨て、神に立ち返らなければならないと教えました。
+ そのヨハネが、働きを終える時、こう言ったのです。『あなたがたは、私をだれだと思っているのか。私はメシヤ(救い主)ではない。ほんとうのメシヤはまもなくおいでになる。この方に比べれば、私など全く取るに足りない者だ。』
+ アブラハムの子孫の方々、ならびに、神を敬う外国人の皆さん。この救いは、私たちみんなのものです。
+ エルサレムにいるユダヤ人とその指導者たちは、イエスを処刑することで、皮肉にも、預言を実現させたのです。彼らは安息日ごとに預言者のことばが読まれるのを聞きながら、イエスこそ、その預言されたお方であることを認めようとしませんでした。
+ そして、罰せられる正当な理由は何一つなかったのに、どうしても死刑にするようピラトに要求したのです。
+ こうして、預言どおりにイエスは死なれたのです。そのあと、イエスの遺体は十字架から降ろされ、墓に葬られました。
+ しかし神様は、このイエスを復活させてくださったのです。
+ イエスは幾日もの間、ガリラヤからエルサレムまでずっと行動を共にした人たちに、たびたび姿を現されました。復活のイエスにお会いした人たちは、人々にこのことを証言し続けてきたのです。
+ バルナバと私もまた、この喜びの知らせを伝えようと、こうしてやって来ました。その知らせとは、神様がイエスを復活させたことによって、私たちの先祖への約束が今の時代に実現したということです。聖書の詩篇に、『今日、わたしはあなたに、子としての名誉を与えた』とあるとおりです。
+ 神様はイエスを復活させ、二度と死なない方となさいました。聖書に、『わたしはダビデに約束したすばらしい祝福を、あなたがたに与える』とあるとおりです。
+ またほかの箇所では、もっとはっきり言われています。『神は、ご自分の聖なる方が朽ち果てるのをお許しにならない。』
+ これは、ダビデのことではありません。ダビデは神の意思に忠実に仕える人生を送り、死んで葬られ、その体は朽ち果てたのです。
+ しかし神が復活させた方は、墓の中で朽ちませんでした。
+ 聞いてください、皆さん! このイエスこそ、皆さんの罪を赦してくださるのです。
+ イエスを信じる人はみな、すべての罪から解放され、正しい者と宣言されるのです。これは、モーセの律法ではどうしてもできないことでした。
+ くれぐれも注意してください。預言者たちの次のことばが、皆さんに的中しないように。
+ 『見よ。真理を見下す者どもよ、滅べ。おまえたちの時代に、一つのことをなそう。どんなに説明しても、とうてい信じられないことを。』」
+ その日、二人が会堂から出る時、人々は、次の週もまた話してほしいと頼みました。
+ 礼拝が終わってからも多くのユダヤ人や熱心な外国人改宗者が、パウロとバルナバについて来ました。二人はその人たちに、神の恵みを受けるようにと教えました。
+ 次の週の礼拝には、町中の人がこぞって詰めかけ、二人が神のことばを話すのを聞こうとしました。
+ しかしユダヤ人の指導者たちは、この群衆を見てねたみに駆られ、口ぎたなくののしり、ことごとくパウロに反対しました。
+ そこでパウロとバルナバは、はっきり言いました。「この神のことばは、まずあなたがたユダヤ人に伝えられるはずだった。だが、あなたがたはそれを突っぱね、永遠のいのちを受けるにふさわしくない者であることを、自分から証明したのだ。これからは、このすばらしい知らせは、外国人に伝えよう。
+ 主が、『わたしはあなたを外国人の光とした。地の果てからも、人々を救いに導くためである』と命じておられるから。」
+ これを聞いた外国人たちは歓喜し、パウロの話に耳を傾けました。そして永遠のいのちを求める人はみな、信仰に入りました。
+ こうして神のことばは、この地方全体に広まったのです。
+ しかし、ユダヤ人の指導者たちも、おとなしく引き下がってはいません。熱心な婦人たちや町の有力者たちをそそのかし、パウロとバルナバを迫害したあげく、とうとう町から追い出してしまいました。
+ 二人は、その町と縁を切るしるしに、足のちりを払い落とし、イコニオムへ向かいました。
+ 一方、主を信じた人たちは聖霊に満たされ、喜びにあふれていました。
+
+
+ イコニオムの町でも、パウロとバルナバは連れ立って会堂に行き、力強く語ったので、ユダヤ人も外国人も、大ぜい神を信じました。
+ しかし、神のことばを軽んじるユダヤ人たちは、根も葉もないことで二人を中傷し、人々の不信をかき立てました。
+ それにもかかわらず、二人は長い間そこに滞在し、大胆に宣教を続けたのです。主は、すばらしい奇跡を行わせ、二人のことばが真実であることを証明なさいました。
+ ところが、町の人たちの意見は真っ二つに分かれました。ユダヤ人の指導者側の意見に賛成する者がいる一方、使徒たちの味方につく者もいました。
+ 外国人とユダヤ人たちが彼らの指導者たちと結託し、使徒たちを襲い、石で打ち殺そうとたくらんでいるという情報が、二人の耳に入りました。二人は急いで町を出ると、ルカオニヤ地方の町のルステラとデルベ、またその周辺に難をのがれ、
+ そこで福音を伝えました。
+ ルステラにいた時のことです。一人の足の不自由な人に出会いました。生まれてこのかた、一歩も歩いたことがない人でした。
+ その人が、パウロの説教に一心に耳を傾けていたのです。パウロは彼に目をとめ、彼に信仰があるのを見て、
+ 大声で、「立ちなさい」と言いました。その瞬間、彼は跳び上がり、勢いよく歩きだしたのです。
+ これを見た人々は、その地方のことばで、「神々だ。人間の姿をした神々だ」と叫びました。
+ そして、大騒ぎしながら、二人をギリシヤの神々にまつり上げたのです。バルナバはゼウス、パウロはおもに話をしたので、ヘルメスだということになりました。
+ 町の門のすぐ外にあるゼウス神殿の祭司までが、花飾りを持って駆けつけ、門のところで群衆といっしょに雄牛を数頭いけにえとし、二人にささげようとしました。
+ バルナバとパウロは、この、神を汚すふるまいに仰天し、着物を引き裂いて群衆の中に駆け込み、大声で叫びました。
+ 「皆さん。なんということをするのです。私たちは、皆さんと同じ、ただの人間ではありませんか。こんな愚かなことはおやめなさい! 天と地と海、それにその中のすべてのものをお造りになった神を礼拝しなさい。私たちは、そのために、福音を伝えに来たのです。
+ 過去の時代には、神様は、あらゆる国民がそれぞれ自分勝手な道に進むことを許しておられました。
+ といっても、神のことが全然わからなかったわけではありません。神を思い起こさせるものは、いつでも私たちの周囲にあったのです。たとえば、雨を降らせてくださったのも神ですし、食べ物が不足しないようにと、収穫を与えて、喜びに満たしてくださったのも神なのです。」
+ こうしてパウロとバルナバは、やっとのことで、彼らがいけにえをささげるのをやめさせました。
+ しかし、その数日後、また別の事件が起こりました。アンテオケとイコニオムから数人のユダヤ人が来て、町の人たちを味方に引き入れ、パウロを襲って石を投げつけたのです。ぐったりとしたパウロを見て、てっきり死んだものと思った彼らは、パウロを町の外へ引きずり出しました。
+ クリスチャンたちはパウロの回りを取り巻き、心配そうにながめていました。するとどうでしょう。彼はむくりと起き上がり、何事もなかったように町へ帰って行ったのです。翌日、パウロはバルナバといっしょに、デルベに向けて出発しました。
+ そこで福音を語り、多くの人をクリスチャンにしてから、ルステラ、イコニオム、アンテオケへと引き返しました。
+ それぞれの町でクリスチャンたちに会い、ますます神を愛し、また互いに愛し合うように教え、どんな迫害にもくじけず、信仰にとどまり続けるようにと励ましました。そして、「神の国に入るには、いろいろ苦しい目に会わなければならない」と語りました。
+ 二人は、どこの教会でも長老を任命し、彼らのために断食して祈り、だれよりも信頼する主にゆだねました。
+ それから、二人はピシデヤを通ってパンフリヤに帰り、
+ また、ペルガでみことばを語ってから、アタリヤに行きました。
+ そして、船でアンテオケに帰って来たのです。この町は、今まさに終えてきたばかりの務めを、神からゆだねられて出発した所でした。
+ 二人はさっそく信者たちを集めて伝道旅行の報告をし、神が外国人にも信仰の門を開いてくださったことを話しました。
+ それから、かなり長い間、アンテオケで信者たちといっしょに過ごしました。
+
+
+ パウロとバルナバがアンテオケにいた時のこと、ユダヤから来た人たちが、「古いユダヤの慣習どおり割礼を受けなければ救われない」と教え始めました。
+ パウロとバルナバは、このことで彼らと激しく対立し、大論争が持ち上がりました。それでとうとう、何人かの信者と共にパウロとバルナバをエルサレムに送り、この問題について使徒や長老たちと協議することになりました。
+ 一行は、町の外で、教会員全員の見送りを受けて出発しました。途中フェニキヤとサマリヤの町に立ち寄り、外国人も次々に主イエスを信じるようになったということを話して、クリスチャンを大いに喜ばせました。
+ エルサレムに着くと、教会と指導者たち――使徒全員と長老たち――に迎えられました。そこで、パウロとバルナバは、今回の伝道旅行で神がどんなことをしてくださったかを報告しました。
+ しかし、主イエスを信じる以前はパリサイ派だった人たちのうちの何人かが立ち上がり、外国人といえども、クリスチャンになった以上は割礼を受け、ユダヤの慣習や儀式を残らず守るべきだと主張しました。
+ そこで使徒と長老たちは、この問題に決着をつけるため、会議を開きました。
+ 激しい論争が続いたあと、ペテロが立ち上がり、意見を述べました。「皆さん、お忘れですか。ずっと以前、外国人も福音のことばを聞いて信じるために、神様が私をお選びになったことを。
+ 人の心の中をご存じの神様は、ご自分が外国人をも受け入れておられることをわからせようと、私たちと同じように、彼らにも聖霊を与えてくださったのではありませんか。
+ 神様は、外国人とユダヤ人を少しも差別なさいません。だからこそ、私たちと同じように、信仰によって彼らの心もきよめてくださったのです。
+ それなのにどうして、私たちも、私たちの先祖も負いきれなかった重荷を、彼らに負わせようとするのですか。そんなことをしたら、それこそ、神様がなさったことを訂正するようなものです。
+ 私たちは、すべての人が同じ方法で、すなわち、主イエスが一方的に与えてくださった恵みによって救われる、と信じているのではありませんか。」
+ これを聞くと、あえてそれ以上議論する者はいなくなりました。そして一同は、神が外国人の間で行われた奇跡について語るバルナバとパウロの話に、耳を傾けました。
+ 話が終わると、ヤコブが発言するために立ち上がりました。「皆さん、お聞きください。
+ 今しがたペテロが、神様が初めて外国人に目をとめ、その中から神の御名をあがめる者たちを起こされた時のことを話してくれました。
+ この事実は、次のように書いてあるとおり、預言者たちの預言とも一致します。
+ 『この後、わたしは帰って来て、とぎれていたダビデとの契約を更新する。
+ わたしを信じる人たちがみな、外国人も含めて、主を見いだすためである。
+ 初めから、ご計画を示してこられた神が、こう言われる。』
+ ですから、これはあくまで私の判断ですが、神に立ち返る外国人に、ユダヤ人のおきてを押しつけるべきではありません。
+ ただ、偶像に供えた肉を食べること、あらゆる不品行、しめ殺した動物の肉を血を抜かないまま食べること、また、血を食べることはやめるように言うべきだと思います。
+ どこの町でも、ユダヤ人の会堂では安息日ごとに、何代にもわたって、このことに反対する教えが語られてきたからです。」
+ 使徒や長老たちをはじめ全エルサレムの教会は、パウロとバルナバと共に、アンテオケまで代表を派遣し、この決定事項を報告することを決議しました。そこで選ばれたのが、教会の指導者、ユダ〔別名バルサバ〕とシラスでした。
+ 二人が持って行った手紙には、こう書いてありました。「使徒および長老たち、ならびにエルサレムのクリスチャンから、アンテオケ、シリヤ、キリキヤの外国人クリスチャンの皆様へ。
+ こちらから行った何人かのクリスチャンが、いろいろなことを言って皆様をまどわせ、救いにまで疑問をいだかせたことを、確かに聞きました。しかし、誤解なさらないでください。私たちがそのような指示を与えたわけではありません。
+ それでこの際、愛するバルナバとパウロと共に、二人の正式な代表を派遣するのが最もよい方法だと、全会一致で決議しました。
+ 代表のユダとシラスは、主イエス‧キリストのために、いのちを危険にさらしてきた人たちです。この人たちが、今回の問題についての決定を口頭でお伝えするはずです。
+ すなわち、偶像に供えた物を食べないこと、しめ殺した動物の肉は、血を抜かないままで食べないこと、血を食べないこと、それから、もちろん不品行を避けることです。これ以外のユダヤ人のおきてを押しつけるようなことは、好ましくありません。それは聖霊もお示しになったことですし、私たちも、そう判断するのです。皆様には、これだけを守っていただけば十分です。」
+ 四人はすぐにアンテオケに向かい、教会の人々を召集して、この手紙を手渡しました。
+ 人々が、この手紙でたいへん慰められ、喜びにあふれたことは言うまでもありません。
+ ユダとシラスは二人ともすぐれた説教者だったので、多くの説教をして、人々の信仰を力づけました。
+ こうして数日が過ぎました。ユダとシラスは、エルサレム教会への感謝とあいさつを託されて帰って行き、
+ パウロとバルナバは、そのままアンテオケにとどまりました。そこで説教したり教えたりしている人たちに協力したのです。
+ しばらくたつと、パウロはバルナバに、「以前に宣教した各地の町で、クリスチャンたちがその後どうしているか、ぜひこの目で確かめようじゃないか」と誘いました。
+ バルナバも、これに賛成でした。ところが、問題はだれを連れて行くかでした。バルナバはマルコを考えていました。
+ しかし、パウロは反対でした。というのも、彼はこの前、パンフリヤで、さっさと一人だけ先に帰ってしまったからです。
+ この件でのパウロとバルナバの対立は激しく、ついに別行動をとることになりました。バルナバはマルコを連れて、船でキプロスに渡りました。
+ 一方、パウロはシラスに白羽の矢を立てました。二人は人々の祝福を受けて、陸路シリヤとキリキヤに向かい、諸教会を力づけました。
+
+
+ パウロとシラスがまず行ったのは、デルベでした。それからルステラに行き、そこでテモテという信者に会いました。母親はクリスチャンのユダヤ人、父親はギリシヤ人でした。
+ テモテはルステラとイコニオムのクリスチャンたちから好感を持たれていたので、
+ パウロは、ぜひ自分たちの伝道旅行に加わるように勧めました。テモテの父親がギリシヤ人であることはだれもが知っていたので、この地方のユダヤ人の手前、出発前に彼に割礼を受けさせました。
+ 一行は町から町を訪問して回り、エルサレムの使徒や長老たちが外国人向けに決めた事柄を伝えました。
+ それで教会は、日を追って信仰もしっかりし、信者の数も増え、めざましい発展を遂げていったのです。
+ 一行は聖霊によってアジヤ州(小アジヤの西部沿岸地方)へ行くことを止められたので、一行はフルギヤとガラテヤ地方を通ることにしました。
+ それからムシヤとの境に沿って進み、北のビテニヤ地方に行こうとすると、またも聖霊に禁じられたのです。
+ そこで、ムシヤ地方を通ってトロアスに行きました。
+ その夜、パウロは幻を見ました。幻の中で、海の向こうに住むマケドニヤ人が、「こちらに来て、私たちを助けてください」としきりに頼むのです。
+ 事は決まりました。直ちにマケドニヤに向かうことになったのです。神様がそこへパウロと私たちを遣わし、福音を伝えようとしておられるのはまちがいありません。
+ 私たちは、トロアスから船でサモトラケに直航し、翌日ネアポリスに着きました。
+ そしてついに、マケドニヤの国境から少し入った、ローマの植民地ピリピに到着し、数日の間そこにいました。
+ 安息日に、私たちは郊外に出て、人々が祈りに来ると思われる川岸に行きました。やがて数人の婦人が集まってきたので、聖書のことばを教えました。
+ その中に、テアテラ市から来た紫布の商人ルデヤがいました。以前から神をあがめていた婦人です。このルデヤがパウロたちの話に耳を傾けていた時、神様は彼女の心を開き、パウロの語ることをみな信じさせたのです。
+ 彼女は一家をあげてバプテスマ(洗礼)を受けると、「私を主に忠実な者とお思いくださるなら、どうぞ家にお泊まりください」としきりに言うので、私たちはその招待を受けることにしました。
+ ある日、川岸の祈り場に行く途中、私たちは悪霊につかれた、若い女奴隷の占い師に出会いました。彼女の占いのおかげで、主人たちは甘い汁をいっぱい吸っていたのです。
+ この女がついて来て、「この人たちは神のお使いだよ! あんたたちに、どうしたら罪が赦されるか教えてくれるんだよ」と大声で叫び続けました。
+ こんなことが毎日続いたので困り果てたパウロは、ある日、彼女に取りついた悪霊に、「イエス‧キリストの名によって命じる。この女から出て行け!」としかりつけました。するとたちまち、悪霊は出て行きました。
+ 面白くないのは、この女の主人たちです。もうふところに金がころがり込むあてがなくなったので、その腹いせにパウロとシラスをつかまえ、広場にいる長官(ローマの植民地執政官)たちの前へ引きずって行き、口々に訴えました。
+ 「このユダヤ人たちときたら、町をすっかりだめにしようって魂胆なんです。ローマの法律に反することばかり教えているのです。」
+ たちまち広場は、二人に反感をいだく人たちでいっぱいになりました。そこで長官たちは、二人を裸にし、むちで打つように命じました。
+ ビュッビュッと何度もむちが振り下ろされ、二人の背中から血がしたたり落ちました。そして二人は、牢に放り込まれました。「こいつらを逃がしでもしたら命はないものと思え」と脅された看守は、
+ 二人を奥の牢に入れ、厳重に足かせをかけました。
+ 真夜中ごろ、パウロとシラスは、主に祈ったり、賛美歌をうたったりしていました。ほかの囚人たちもじっと聞き入っています。その時です。
+ 突然、大地震が起こりました。牢獄は土台からぐらぐら揺れ動き、戸という戸は開き、囚人たちの鎖もはずれてしまいました。
+ 看守が目を覚ますと、戸が全部開いています。看守は、てっきり囚人がみな脱走したものと思い、もうだめだとばかり、剣を抜いて自殺しようとしました。
+ その瞬間、パウロが叫びました。「早まるな! 全員ここにいる!」
+ 看守はあかりを取って中に駆け込み、恐ろしさのあまりわなわな震えながら、パウロとシラスの前にひれ伏しました。
+ そして二人を外に連れ出し、「先生方。救われるには、どうすればよろしいのでしょう」と尋ねました。
+ 二人は答えました。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの全家族も救われます。」
+ こうして二人は、看守とその家の者たち全員に、主のことばを伝えたのです。
+ 看守は二人を引き取り、彼らの打ち傷をていねいに洗って手当てをしたあと、家族そろってバプテスマ(洗礼)を受けました。
+ それから、二人を自宅に案内し、食事を出してもてなし、全家族がクリスチャンになったことを心から喜び合いました。
+ 翌朝、長官たちは警吏たちをよこして、「あの者たちを釈放せよ」と通告してきました。
+ そこで看守は、パウロに、「お二人とも自由の身です」と伝えました。
+ ところがパウロは、警吏たちにこう答えたのです。「とんでもないことです。あの人たちは、裁判もしないで、いきなり私たちを公衆の面前でむち打ち、そのあげく投獄したのですよ。私たちは、れっきとしたローマ市民だというのに。それを今さら、こっそり釈放してすまそうとするとは……。長官自身がやって来て、釈放するべきではありませんか。」
+ 警吏たちは、パウロのことばを長官たちに伝えました。パウロとシラスがローマ市民だと聞いた時の、彼らの驚きようといったらありません。命が危うくなるかもしれないのです。
+ すぐに牢獄に駆けつけ、「どうか、ここから出てください」と平身低頭でわび、二人を外に出して、町から立ち去ってほしいと頼みました。
+ パウロとシラスはルデヤの家に戻り、信者たちに会ってもう一度話をし、町をあとにしました。
+
+
+ さて、一行はアムピポリスとアポロニヤの町を通り、テサロニケに出ました。その町にはユダヤ人の会堂がありました。
+ パウロはいつものように会堂へ行き、三回の安息日とも、聖書から語りました。
+ そして、キリストの苦しみと復活の預言を説明し、イエスこそキリストだと論証しました。
+ 聞いた人の何人かは、よく理解して信じました。神をあがめるギリシヤ人や、町の有力な婦人たちで信じた人も少なくありません。
+ ところが、ユダヤ人の指導者たちはねたみに駆られ、町のならず者をけしかけて暴動を起こしました。ヤソンの家を襲い、処罰するために、パウロとシラスとを町の議会に引き出そうとしました。
+ しかし、当の二人が見つかりません。しかたなく、代わりにヤソンと数人の信者を役人のところに引っぱって行き、いかにも大げさに訴えました。「ご存じでしょうか。世界中をひっかき回してきたパウロとシラスが、今この町でも騒ぎを起こしているのを。
+ そんなぶっそうな連中を、ヤソンは家にかくまったのです。やつらは反逆罪を犯しています。カイザル(ローマ皇帝)でなく、イエスという別の王がいる、とふれ回っているのです。」
+ これを聞くと、町民と役人たちはひどく不安になり、保釈金を取った上で、ヤソンたちを釈放しました。
+ その夜、クリスチャンたちはパウロとシラスを、急いでベレヤへ逃がしました。ベレヤに着くと、二人はいつものように、会堂で語りました。
+ ベレヤの人たちは、テサロニケの人たちに比べてずっと心が広く、喜んで話を聞いてくれます。そればかりか、二人の言うことがそのとおりかどうか、毎日、聖書を調べるほど熱心でした。
+ その結果、多くの者が神を信じました。中には名の知れたギリシヤ人の婦人も数人いましたし、男性で信じた人も、かなりの数に上りました。
+ ところが、テサロニケのユダヤ人たちは、パウロがベレヤで伝道していると聞くと、ベレヤにまで押しかけ、騒ぎ立てたのです。
+ クリスチャンたちは、すぐにパウロを海岸へ逃がしましたが、シラスとテモテはベレヤに残りました。
+ パウロに同行した人たちは、彼をアテネまで送り、一刻も早くアテネに来るようにという、パウロからシラスとテモテへのことづけを持って、ベレヤに戻りました。
+ アテネで二人を待つ間、パウロは市内を見物することにしました。ところがどうでしょう。町は偶像でいっぱいでした。パウロの胸には、ふつふつと憤りが込み上げてきました。
+ 黙ってはいられず、会堂へ行き、ユダヤ人や敬虔な外国人たちと議論する一方、毎日広場で、そこに居合わせた人たちと論じ合いました。
+ パウロはまた、エピクロス派やストア派(二つとも当時の代表的ギリシャ哲学)の哲学者たちとも議論を戦わせました。ところが、イエスのことやその復活のことに話がおよぶと、「彼は夢を見ているのだろう」とあざ笑う者もいれば、「おおかた外国の宗教でも押しつけるつもりだろう」と言う者もいました。
+ 彼らは、アレオパゴス(アレスの丘の広場)にパウロを連れて行き、言いました。「その新しい宗教のことをもっとくわしくお聞かせ願えないでしょうか。
+ 何やら珍しいことをおっしゃっているようで、とても興味があるのです。」
+ アテネに住む人たちは、生粋のアテネ人も、寄留している外国人もみな、新しもの好きで、いつでも何か目新しいことを論じ合っては、日を過ごしていたのです。
+ アレオパゴスに立ったパウロは、大ぜいの人を前にして、演説を始めました。「アテネの皆さん。あなたがたは宗教にたいへん関心をお持ちのようです。
+ 町を歩けば、必ず多くの祭壇が目にとまります。ところで、その中に、『知られない神に』と刻まれたものがありました。あなたがたは、この神様がどういうお方かも知らずに拝んでいるわけですが、私は今、この方のことをお話ししたいと思います。
+ この方は、世界と、その中のすべてのものをお造りになった天地の主です。ですから、人の造った神殿にはお住みになりません。
+ また人は、この方の必要を満たすこともできません。第一、この方には、必要なものなど何もありません。かえって、すべての人にいのちを与え、必要なものは何でも、十分に与えてくださるのです。
+ 神様は全人類を、一人の人間アダムから造り、すべての国民を全世界に散らされました。あらかじめ、どの国が興り、どの国が滅びるか、いつそうなるか、何もかも決め、国々の境界をもお定めになったのです。
+ これもみな、人々が神を求め、神を探し出すためでした。事実、神様は私たちから遠く離れておられるのではありません。
+ 私たちは神の中に生き、動き、存在しているのです。あなたがたの詩人の一人が、『私たちは、神の子孫だ』と言ったとおりです。
+ もしこのとおりなら、神を、金や銀、あるいは石のかけらなどで人間が造った偶像のようなものと考えるべきではありません。
+ 今まで、神様はこうした無知を見過ごしてこられました。しかし今は、すべての人に、偶像を捨てて神に立ち返るようにと命じておられるのです。
+ 神の任命なさった方が正しいさばきを行う日が、決まっているからです。神様はその方を復活させ、そのことの動かぬ証拠とされたのです。」
+ 死者の復活にまで話がおよぶと、ある者たちは笑って相手にしなくなり、ある者たちは、「くわしいことはまたいつか聞くことにしよう」と言いました。
+ こうして議論は終わりましたが、
+ 数名の者がパウロの側につき、クリスチャンになりました。アレオパゴスの裁判官デオヌシオや、ダマリスという婦人なども、その中に含まれていました。
+
+
+ パウロは、アテネを去り、コリントへ行きました。
+ そこで、ポント生まれのアクラというユダヤ人と知り合いになりました。この人は妻プリスキラと連れ立って、最近イタリヤから来たばかりでした。彼らは、クラウデオ帝がローマ在住の全ユダヤ人の追放令を出したため、イタリヤから追い出されたのです。アクラもパウロと同じ天幕作りの職人だったので、パウロはその家に同居して、いっしょに仕事を始めました。
+ パウロは安息日ごとに会堂に出かけ、ユダヤ人だけでなく、外国人をも説得しようと努めました。
+ シラスとテモテがマケドニヤから来てからは、みことばを教えることにすべての時間を割き、ユダヤ人に対して、イエスこそキリストだと語りました。
+ ところが、ユダヤ人たちは反抗し、侮辱を加えるばかりか、イエスのことまでひどくののしるのです。そこでパウロは、彼らときっぱり縁を切るしるしに上着のちりを払い、こう言い放ちました。「あなたたちの血の責任は、あなたたちに降りかかれ! 私の責任ではない。これからは、外国人を教えよう。」
+ その後パウロは、テテオ‧ユストという外国人の家に泊めてもらうことにしました。この人は、外国人ながらも神を敬う人で、ちょうどよいことに、彼の家の隣が会堂でした。
+ 会堂管理人クリスポの一家は、ほかの多くのコリント人と共に主を信じ、バプテスマ(洗礼)を受けました。
+ ある夜、主は幻の中で、パウロに言われました。「恐れるな。語り続けなさい。やめてはいけない。
+ わたしがついている。だれもあなたに危害を加えることはできない。この町には、わたしにつく者がたくさんいる。」
+ パウロは一年六か月の間、コリントにとどまり、神の真理を教えました。
+ しかし、ガリオがアカヤ地方の総督(ローマから属州に派遣された行政長官)に就任すると、ユダヤ人は徒党を組んでパウロに反抗し、力ずくで総督のところへ引っぱって行き、
+ 「ローマの法律に反するやり方で、神を礼拝しろと教える不届き者です」と訴えました。
+ パウロが釈明するより早く、ガリオが口を開きました。「いいか、ユダヤ人諸君。犯罪事件なら、諸君の訴えを聞きもしよう。
+ しかし、これは何だ。ことばの解釈とか、人物批判とか、諸君のばかげたおきてに関する事ばかりではないか。そんなことは、自分たちで始末をつけるがよかろう。私にはどうでもいいことだし、かかわりになりたくもない。」
+ これだけ言うと、ガリオは人々を法廷から追い出しました。
+ 暴徒たちは、腹立ちまぎれに会堂の新しい管理人ソステネを捕らえ、法廷の外で打ちたたきました。しかしガリオは、そんなことにはまるで無関心でした。
+ このあとも、パウロはコリントにとどまりましたが、しばらくすると、コリントのクリスチャンたちに別れを告げ、プリスキラとアクラを連れて、船でシリヤに向かいました。パウロはこの時、一つの誓いを立てていたので、ケンクレヤで頭をそりました。そうするのが、ユダヤ人の慣習だったのです。
+ 一行がエペソに着くと、パウロは二人を船に残したまま会堂へ出かけ、ユダヤ人たちと議論を戦わせました。
+ 「もう少し、いてくださいませんか」と人々に頼まれましたが、「どうしても祭りまでにエルサレムへ行かなければならないのです」と、断るほかありませんでした。機会さえあれば、また必ず来ると約束して、一行は船旅を続けました。
+ やがて、船はカイザリヤに着き、上陸したパウロはまずエルサレムの教会を訪問し、みなにあいさつしてから、アンテオケに向かいました。
+ パウロはアンテオケにしばらくいたあと、また小アジヤへ行き、ガラテヤとフルギヤ地方の教会を訪問して、力づけて回りました。
+ そのころ、すばらしい聖書教師で、説教者としても有能なアポロというユダヤ人が、エジプトのアレキサンドリヤからエペソに来ました。
+ アポロはエジプトにいたころ、バプテスマのヨハネのことと、ヨハネがイエスについて語ったことを聞いた以外、何も知りませんでした。それでも大胆に、また熱心に、「メシヤ(救い主)がもうすぐ来られます。お迎えの準備をしなさい」と会堂で説教しました。プリスキラとアクラも、その力強い説教を聞きました。二人はあとでアポロに面会を求め、ヨハネの預言以後、イエスの身に起こったことと、その意味を正確に説明しました。
+ アポロの希望はギリシヤへ行くことでした。エペソのクリスチャンたちは賛成して、彼を大いに励まし、コリントの教会に手紙で、アポロのことをよろしくと伝えました。アポロはそこで、神のためにいかんなく力を発揮し、教会を励ましました。
+ また公の場では、ユダヤ人たちを論破し、聖書によって、イエスこそキリストであることを力強く示しました。
+
+
+ アポロがコリントにいる間に、パウロはトルコを通ってエペソに来ました。そこで会った何人かの弟子たちに、パウロは尋ねました。
+ 「ところで、信じた時、聖霊を受けましたか。」「いったい何のことでしょう。聖霊のことなど聞いたこともありません。」
+ 「では、バプテスマ(洗礼)を受けた時、どんな信仰告白をしたのですか?」「バプテスマのヨハネの教えた……。」
+ これを聞いたパウロは、ヨハネのバプテスマは、罪を離れて神に立ち返る決意を表すものだから、それを受けた者が、ヨハネの証言どおり、あとから来られたイエスを信じるのは当然のことだと説明しました。
+ 彼らはすぐ、主イエスの名によってバプテスマを受けました。
+ そして、パウロが彼らの頭に手を置くと、聖霊が下りました。すると彼らは、外国語で話したり、預言したりし始めたのです。
+ みなで十二名ほどでした。
+ このあと、パウロは三か月のあいだ会堂で、安息日ごとに大胆に説教し、神の国のことを教えました。
+ しかしある者たちがパウロの話を非難し、人々の面前でキリストに逆らうことばを口にしたので、もう二度と相手にしないことに決め、会堂での説教はそれきりになりました。代わりに、クリスチャンたちを誘って、ツラノの講堂で別の集会を開き、毎日そこで語りました。
+ これが二年間も続いたので、アジヤ州に住む人たちは、ユダヤ人だろうが外国人だろうが、主の教えを聞かない人はほとんどいないほどでした。
+ しかもパウロは、神によって驚くべきすばらしい奇跡を行う力に恵まれたので、
+ 彼の手ぬぐいや前かけを病人にかけるだけで、病気は治り、悪霊は出て行きました。
+ そこへ、町から町へと渡り歩く、ユダヤ人の魔よけ祈祷師の一行がエペソにやって来ました。彼らも自分たちで、試しに主イエスの名を使ってみようと、「パウロが伝えている、イエスによって命令する。出て行け!」と、まじないを唱えることにしました。
+ こんなことをしたのは、実は、ユダヤの祭司長スケワの七人の息子たちでした。
+ しかし、悪霊につかれた人に実際に試してみると、結果はさんざんでした。悪霊は平然と、「イエスなら知っている。パウロだって知っている。だが、おまえらは何者だ」と言い返してきたのです。
+ そればかりか、悪霊につかれた男が、一行のうちの二人に飛びかかり、なぐったり押さえつけたりしたので、彼らは裸にされ、重傷を負って、命からがらその家から逃げ出しました。
+ この出来事は、あっという間にエペソ中のユダヤ人やギリシヤ人に伝わり、町中が大きな恐れに包まれると同時に、主イエスの御名がほめたたえられました。
+ それまで魔術を行っていた信者たちも、そのことを告白し、呪文の本やお札を持って来て積み上げ、みんなの見ている前で焼き捨てました。ざっと見積もっても、銀貨五万枚にはなりそうな量でした。
+ このこと一つ取ってみても、この地方一帯が、どれだけ神のことばによって揺り動かされたかが、よくわかります。
+ 事件が一段落すると、パウロは聖霊の導きで、ギリシヤを回ってからエルサレムに帰ることにしました。あとでローマへも行くつもりでした。それをはっきりさせると、
+ まず助手のテモテとエラストとをギリシヤへやり、自分は、なおしばらくアジヤ州にとどまりました。
+ ちょうどそのころ、エペソで、キリスト教の伝道を巡って大騒動が持ち上がりました。
+ 事件を起こしたのは、デメテリオという銀細工人です。この男は職人を大ぜい雇い、ギリシヤの女神アルテミスの神殿の模型作りを手広くやっていました。
+ この男が、自分のところの職人や同業者を集めて、こう演説をぶったのです。「皆さん。私たちは神殿の模型作りで食べています。
+ ところが、ご存じのように、あのパウロとかいう男が、手で造ったものは神じゃないなどと不届きなことを言って、大ぜいの人にふれ回っているのです。おかげで、こちらの売り上げはがた落ちです。エペソばかりか、この地方全体がそうなのです。
+ もちろん、商売が圧迫されるとか、もうけが減るとかいったことだけを言うつもりはありません。私が声を大にして言いたいことは、このままでは、偉大な女神アルテミス様の神殿のご威光が薄れ、この地方は言うにおよばず、世界中の人たちが礼拝してきた、すばらしい女神アルテミス様が忘れられてしまうということです。」
+ この演説で人々は興奮し、大声で、「偉大なのはエペソ人の女神アルテミス様だ!」と叫び始めました。
+ たちまち町中は大混乱に陥りました。人々は、パウロに同行したガイオとアリスタルコの二人をむりやり引っ立て、円形劇場へなだれ込みました。
+ これを見て自分も中に入ろうとするパウロを、弟子たちが必死に押しとどめました。
+ パウロの友人であるこの地方のローマの役人たちも使いの者をよこし、危険だから中に入らないようにと言ってきました。
+ 一方、劇場の中では、それぞれが自分勝手なことをわめき立てるので、ほとんどの人は、なぜ集まっているのかさえわからない有様でした。
+ そうこうするうちに、ユダヤ人たちが、群衆の中からアレキサンデルという男を前に押しやりました。演説させようというのです。アレキサンデルは、進み出て、静かにするよう身ぶりで合図しました。
+ しかし、彼がユダヤ人だとわかると、群衆は前よりも激しく騒ぎだし、手のつけようがありません。「エペソ人の偉大な女神アルテミス様、ばんざーい! ばんざーい!」と二時間も叫び続けました。
+ とうとう市長が乗り出し、やっとのことで、なんとか話ができるまでに騒ぎを鎮めました。「市民の皆さん。エペソが偉大なアルテミス様の宗教の本山であることは、だれもが知っています。アルテミス様のご神体は、天からわれわれのもとに下って来たのです。
+ それははっきりしているのだから、何を言われても、あわてることはありません。くれぐれも、軽はずみなことだけはしないようにしてください。
+ さて、ここへ連れて来た二人のことですが、女神の神殿から何かを盗み出したり、女神を冒瀆したりしたわけではありません。
+ もしデメテリオや職人たちが二人を訴えたいのなら、法廷があるのだから、裁判官の前に持ち出せばいいのです。何事も法律にのっとって進めてもらいたいものです。
+ また、それ以外のことで不平があれば、定例の市議会に提出すればすむことです。
+ とにかく、今日のこの騒動は、ローマ政府から暴動を起こした罪に問われるかもしれません。なにしろ訴える正当な理由が一つもないのだから、どうなっても責任は負えませんよ。」
+ こうして、市長は人々を解散させました。
+
+
+ 騒ぎが収まると、パウロは使いをやって弟子たちを集め、別れを告げてからギリシヤへ出発しました。
+ その旅の途中でも、立ち寄るすべての町で説教し、クリスチャンを力づけながら、ギリシヤに着きました。
+ そこに三か月の間とどまったあと、船でシリヤへ向かおうと準備を進めていたところ、ユダヤ人たちがパウロの命をねらっているという情報が入ったのです。急いで予定を変え、北のマケドニヤを通って帰ることにしました。
+ 数人の人が、小アジヤまで同行することになっていました。プロの息子でベレヤ出身のソパテロ、テサロニケから来たアリスタルコとセクンド、デルベのガイオ、それにテモテです。またテキコとトロピモは、故郷の町に帰るところでした。
+ 彼らはひと足先に出かけ、トロアスで私たちを待っていました。
+ 過越の祭りが終わるとすぐ、私たちはマケドニヤのピリピから船出し、五日後にはトロアスに着いて、一週間そこで過ごしました。
+ 日曜日になって、私たちは聖餐式(パンと杯によりキリストの体と血の祝福にあずかる、キリスト教の礼典の一つ)のために集まり、パウロが説教しました。翌日には出発することになっていましたが、話は夜中まで続きました。
+ 会場の三階の部屋には、たくさんのランプが、あかあかとともされていました。
+ ところが、話がえんえんと続くので、窓ぎわに腰かけていたユテコという青年がぐっすり眠り込み、三階からまっさかさまに落ちてしまいました。人々が抱き起こした時は、もう死んでいました。
+ パウロは下に降りて来て、彼を抱きかかえ、「心配するな。大丈夫だ」と言いました。すると驚いたことに、そのことばどおり、青年は生き返ったのです。人々の喜びはたいへんなものでした。一同はもう一度三階に上がり、聖餐式をしました。パウロはそのあとも長い時間説教し、夜明けごろ、ようやく出発しました。
+ パウロは陸路でアソスに向かうつもりだったので、私たちは船で先に出発しました。
+ そしてアソスで落ち合い、いっしょに船でミテレネまで行き、
+ 翌日にはキヨスの沖を過ぎ、次の日サモスに寄港しました。その翌日にはミレトに着きました。
+ パウロは、できれば五旬節の祭りまでにはエルサレムへ行こうと先を急いでいたので、エペソには立ち寄らないつもりでした。
+ それで、ミレトに上陸すると、さっそくエペソ教会の長老たちに、船まで会いに来るようにとことづけました。
+ 集まった長老たちに、パウロは語りました。「私が小アジヤに足を踏み入れて以来、どんなふうに生きてきたかは、よくご存じですね。
+ 私は謙遜の限りを尽くし、涙を流しながら、神のために働いてきました。ユダヤ人には命をつけねらわれ、危険な目に会ったのも、一度や二度ではありません。
+ それでも、ためらわず真理を語りました。個人的にばかりでなく、堂々と多くの人々の前でも。
+ また、ユダヤ人にもギリシヤ人にも、罪から離れ、主イエス‧キリストを信じて神に立ち返るように勧めました。
+ 今、聖霊が、どうにも逆らえない強い力で、私をエルサレムへ行かせるのです。そこで何が待ち受けているか見当もつきません。
+ ただわかっているのは、行く先々の町で投獄と苦難が待っていると、聖霊が告げてくださったことだけです。
+ しかし、主イエスがしなさいと言われた務めをやり遂げるためなら、こんな取るに足らぬ命でも、喜んで投げ出す覚悟はできています。その務めとは、神の恵みの福音を伝えることです。
+ 皆さん。これまで何回か、あなたがたのところを訪問し、神の国のことを教えた私ですが、もう二度とお目にかかることもないでしょう。
+ ですから、今ここで、はっきり宣言します。あなたがたがどんなさばきを受けることになろうと、私の責任ではありません。
+ 私は、神のご計画全体を何もかも話しておいたからです。
+ 注意しなさい。あなたがたは、神の羊たち〔神がキリストのいのちと引き替えに買い取った教会〕を養い育てる立場にあるのです。このことをしっかり肝に銘じておきなさい。いいですか、聖霊があなたがたに、監督者としての責任をお与えになったのです。
+ 私が去ったあと、狂暴な狼のような偽教師たちが忍び込み、群れを荒らし回るでしょう。
+ それだけではありません。あなたがたの中からも、弟子を自分の側に引き込みたいばかりに真理を曲げる者が出るでしょう。
+ だから、よく見張っていなさい。私といっしょに過ごした三年間を忘れてはいけません。昼も夜も目を離さず、あなたがたのために流してきた私の涙を思い出してください。
+ 私は今、あなたがたを、神とそのすばらしいみことばとにゆだねます。このみことばが、あなたがたの信仰を強くし、神のためにきよい者とされた人々が相続する恵みの財産を、あなたがたにも与えるのです。
+ 私はお金やぜいたくな衣服をほしいと思ったことなど、ただの一度もありません。
+ この両手が、どれだけ私自身の生活や、いっしょにいた人たちの必要のために働いてきたかは、よくご存じでしょう。
+ また、貧しい人たちを助けることでも、常に良い手本となったつもりです。それは、『与えることは受けることよりも幸いである』という、主イエスのことばが、いつも頭にあったからです。」
+ 語り終えると、パウロはひざまずき、エペソの長老たちのために祈りました。
+ 人々は別れを惜しんで、一人一人パウロを抱きしめ、おいおい声をあげて泣きました。
+ もう二度と会えないだろうと言ったパウロのことばに、胸も張り裂ける思いだったのです。それから一同は、パウロを船まで見送りました。
+
+
+ エペソの長老たちと別れたあと、パウロと私たちはコスに直航し、翌日はロドス、それからパタラへと船旅を続けました。
+ そこで、シリヤのフェニキヤ方面に行く船に乗り替え、
+ キプロス島の南を通ってシリヤに向かい、いったんツロに上陸しました。ここで船の積み荷を陸上げすることになっていたからです。
+ 上陸すると、クリスチャンを捜し出し、一週間ほどいっしょに過ごしました。この町のクリスチャンは聖霊に示されたので、どうにかしてパウロにエルサレム行きを思いとどまらせようとしました。
+ しかし、停泊期間も終わり、私たちは予定どおり船に戻ることになったので、人々は家族総出で、浜辺まで見送りに来ました。互いに祈り合い、別れのあいさつがすむと、
+ 私たちは船に乗り込み、人々は家へ帰りました。
+ ツロの次はトレマイです。この町のクリスチャンにもあいさつをしましたが、滞在は一日だけでした。
+ 翌日には、もうカイザリヤに着き、そこでは、最初の七人の執事の一人であった、伝道者ピリポの家に泊まりました。
+ ピリポには、預言する力のある未婚の娘が四人いました。
+ 数日そこに世話になっているあいだに、やはり預言する力のあるアガボという人の訪問を受けました。この人は、わざわざユダヤから来たのです。アガボはパウロの帯を取り、それで自分の手足を縛ってから言いました。「聖霊が告げられました。『この帯の持ち主は、エルサレムでユダヤ人からこのように縛り上げられ、ローマ人に引き渡される。』」
+ これを聞いた者はみな、この町のクリスチャンも、同行していた私たちも、声をそろえてパウロに、エルサレムへは行かないでほしいと涙ながらに訴えました。
+ しかし、パウロは言いました。「なぜ泣いたり、私の心をくじいたりするのですか。私は主イエスのためなら、エルサレムで投獄されてもかまわないと、いや、殺されてもいいとさえ覚悟しています。」
+ もうこれ以上何を言ってもむだで、私たちは、「主のお心のままに」と言って、黙るほかありませんでした。
+ しばらくして私たちは、荷物をまとめてエルサレムへ出発しました。
+ カイザリヤのクリスチャンも幾人か同行し、エルサレムに着くとすぐ、古くからの仲間の一人、キプロス島出身のマナソンの家へ案内してくれました。そこに泊めてもらうことになっていたからです。
+ エルサレムのクリスチャンたちは、私たちを心から歓迎してくれました。
+ 翌日、パウロは私たちを連れ、ヤコブをはじめエルサレム教会の長老たちに会いに出かけました。
+ ひと通りあいさつがすむと、パウロは、この伝道旅行で、神がどれだけ多くのことを成し遂げてくださったかを、くわしく報告しました。
+ それを聞いた人々は神をほめたたえ、パウロに言いました。「愛する兄弟(信仰を同じくする者)よ。ご存じと思いますが、何万というユダヤ人も、主イエスを信じるようになったのです。彼らはクリスチャンになっても、ユダヤ人はユダヤの伝統と慣習を守り続けるべきだと強く主張しています。
+ そこで困ったことがあるのです。あなたが外国人の中にいるユダヤ人に対して、モーセの律法やユダヤ人の慣習に反し、子どもに割礼を施すことを禁じているといううわさが、エルサレムに流れているのです。
+ どうしたものでしょうか。あなたが来たことは、必ず彼らの耳に入るでしょうし……。
+ そこで、こうしたらどうでしょう。私たちの中に、誓願を立てて頭をそる人が四人います。
+ この人たちを神殿に連れて行き、あなたもいっしょに頭をそり、彼らの費用を払ってやるのです。そうすれば、うわさが事実無根であり、あなたがユダヤ人として律法を守り、私たちと同じ考えであることがわかってもらえるでしょう。
+ もちろん、外国人のクリスチャンには、このようなユダヤの慣習を押しつけるつもりは毛頭ありません。ただ、前に手紙で知らせたように、偶像にささげた物を食べないこと、血を食べないこと、しめ殺された動物の肉は血を抜かないままで食べないこと、不品行を避けること、これだけを守ればいいのです。」
+ パウロはこの提案を受け入れ、翌日、四人の人といっしょに儀式を受けるために宮へ行き、ほかの人たちと共に、七日後に供え物をささげる誓いを立てたことを公表しました。
+ その七日間が終わろうとしていた時、小アジヤから来た数人のユダヤ人が、宮の中でパウロを見つけたのです。彼らは群衆をそそのかして襲いかかり、
+ パウロを押さえつけると大声で叫びました。「みんな、手を貸してくれ! こいつは、とんでもないやつなんだ。ユダヤ人に逆らえだの、おきてを守るなだのとふれ回っているんだ。そればかりじゃない。神殿の規則に反することも教えている。現に、外国人をこの神聖な場所に連れ込むようなまねを平気でやっているのだ。」
+ 彼らはその日の早朝、パウロが、エペソから来た外国人のトロピモといっしょにいるのを見かけたので、パウロが彼を神殿に連れ込んだものと勘違いしたのです。
+ この訴えに、町中が騒ぎだしました。人々はパウロ目がけて殺到し、むりやり宮の外へ引きずり出すと、門をぴったりしめてしまいました。
+ 彼らがパウロを殺そうとしていた時、ローマの守備隊司令官のもとに、エルサレムが混乱状態に陥ったという知らせが届きました。
+ 司令官は、直ちに兵士と士官を率いて現場に駆けつけました。軍隊が近づいて来たので、人々はパウロをなぐるのをやめました。
+ 司令官はパウロをとらえると、まず二重の鎖で縛らせ、次に、「この男は何者で、いったい何をしでかしたのか」と人々に尋ねました。
+ ところが、人々がめいめい勝手なことを叫び続けたので、さっぱり事情がつかめません。ひとまず、パウロを兵営へ連行するように命じました。
+ しかし、階段にさしかかった時には、群衆の暴行を避けるため、兵士たちはパウロをかつぎ上げなければならなくなりました。
+ 群衆は、「そいつを殺せ! 殺しちまえ!」とわめきながら、押し寄せて来ました。
+ 兵営に連れ込まれようとした時、パウロは司令官に、「お話ししたいことがあるのですが」と言いました。そのことばに司令官は驚いて、聞き返しました。「あなたはギリシヤ語が話せるのか。ではあなたは、数年前、反乱を起こし、四千人の殺し屋を引き連れて荒野へ逃亡した、あのエジプト人ではないのか。」
+ パウロは答えました。「私はキリキヤのタルソ出身のユダヤ人です。お願いです。この人たちに話をさせてください。」
+ 司令官が許可したので、パウロは階段の上に立ち、身ぶりで人々を静めました。まもなくすっかり静かになったところで、パウロはヘブル語で話し始めました。
+
+
+ 「私の兄弟とも父とも言うべき皆さん。どうか、私の申し上げることを聞いてください。」
+ パウロがヘブル語で話すのを聞いて、人々はしーんと静まり返りました。
+ 「私はキリキヤの町タルソで生まれたユダヤ人ですが、エルサレムのガマリエル先生のもとで教育を受けました。先生の門下生として、ユダヤの律法には、特にきびしく従うように教えられました。つまり、今の皆さん同様、こと神に関する限り、人並み以上に熱心だったのです。
+ クリスチャンを迫害し、逃げる者たちを、どこまでも執念深く追い回し、男でも女でも手当たりしだいに縛り上げて投獄したり、殺したり……。
+ そのことは、大祭司様も、議会の議員の方々も証言してくださるでしょう。この人たちに頼んで、ダマスコに住むユダヤ人の指導者あてに、クリスチャンを見つけしだい縛り上げ、処罰するためにエルサレムへ連行することを認めさせる手紙を、書いてもらったくらいですから。
+ ところが、旅をして、もうすぐダマスコという時、あれはちょうど正午ごろでしたが、突然まばゆい光が、天からさっと私を照らしたのです。
+ 思わず倒れ伏した私の耳に、『パウロ、パウロ。なぜわたしを迫害するのか』と呼びかける声が聞こえました。
+ 『そう言われるあなたは?』と尋ねると、その声は、『あなたが迫害しているナザレのイエスだ』と言われるではありませんか。
+ いっしょにいた人たちには、光は見えましたが、ことばはわかりませんでした。
+ 『主よ。私はいったい、どうしたらよいのでしょう。』私がこう尋ねると、『立って、ダマスコの町に入りなさい。将来どんなことがあなたの身に起こるかは、そこで教えられるだろう』というお答えです。
+ ところが、あまりのまぶしさに目が見えなくなり、連れの者にダマスコまで手を引いて行ってもらわなければなりませんでした。
+ ダマスコには、律法を忠実に守る、信心深いアナニヤという人がいました。ダマスコのすべてのユダヤ人に、たいそう評判のよい人でした。
+ この人が来て、『兄弟パウロ。見えるようになれ』と言うと、たちまち彼の姿が見えるようになりました。
+ するとアナニヤはこう言ったのです。『先祖たちの神があなたをお選びになったのです。神がそのことをあなたに知らせ、イエス‧キリストに会わせ、その御声を聞かせてくださったのです。
+ あなたがこの方の教えを携えて行き、自分で見聞きしたことを、あらゆる所のあらゆる人たちに伝えるためです。
+ さあ、何をためらっているのです。お立ちなさい。主の名を呼んでバプテスマ(洗礼)を受け、罪をすっかり洗いきよめていただくのです。』
+ こうしてエルサレムに帰り、ある日、神殿で祈っていると、うつらうつら夢ごこちになり、神の幻を見たのです。神様は、『さあ、急いでエルサレムを離れなさい。ここの人たちは、あなたがわたしの教えを伝えても信じないから』とおっしゃいました。
+ 私は答えました。『主よ。人々はかつて私がどこの会堂ででも、あなたを信じる人たちを投獄し、むち打ったことを、いやと言うほど知っているのです。
+ しかも私は、あのステパノが殺された時には、それに賛成して現場に立ち合ったばかりか、石を投げつける者たちの上着の番をしたのです。』
+ しかし神様は、『さあ出発しなさい。あなたを遠く、外国人のところへ派遣します』と言われました。」
+ パウロがここまで話した時、人々はいっせいに叫びだしました。「こんなやつは消しちまえ! 生かしておくな。殺せ、殺せ!」
+ 大声でわめく声、声、声……。あたりは興奮のるつぼとなりました。上着は宙に舞い、あちこちで、ちりをつかんでまき散らす者も出るしまつです。
+ どうしてこれほどの怒りを買うのか、その事情を知りたいと思った司令官は、パウロを兵営に引き入れ、むち打って取り調べようと思いました。
+ 兵士たちが縛り上げた時、パウロはそばに立っている士官に、「ローマ市民の私を、裁判にもかけずにむち打ってもよいのですか」と言いました。
+ これを聞いて、士官はあわてて司令官のところへ駆けつけ、「いかがいたしましょう。あの男はローマ市民だと言っております」と耳打ちしました。
+ そこで司令官がじきじきに問いただしました。「はっきり言いなさい。あなたはローマ市民なのか。」「言われるとおり、ローマ市民です。」
+ 「私もローマの市民権を持っているが、ずいぶん金を積んだものだ。」「私は生まれながらの市民です。」
+ パウロを打とうとそこに立っていた兵士たちは、ローマ市民だとわかったとたん、びっくりして身を引きました。司令官も、知らなかったとはいえ、ローマ市民を縛ってむち打つように命令したので、ひどく不安になりました。
+ 翌日、司令官はパウロの鎖を解き、祭司長たちに、最高議会の召集を命じました。その場にパウロを連れ出し、なぜ彼がユダヤ人に告訴されたのか確かめようと思ったのです。
+
+
+ パウロは議会の面々をじっと見つめ、口を開きました。「皆さん。私はいつでも神の前で、少しも良心に恥じない生活を送ってまいりました。」
+ これを聞いただけで、大祭司のアナニヤは、パウロのそばに立っている者たちに、「やつの口を打て」と命じました。
+ パウロは、しっかりアナニヤを見すえて言いました。「神に罰せられるのは、あなたのほうだ。うわべだけは取りつくろっても、自分で律法を破っている。私を打てとは、なんという裁判官か。」
+ 「それが大祭司様に対することばか!」そばにいた者たちが叫びました。
+ 「あの人が大祭司ですって? それは知りませんでした。聖書には確かに、『指導者の悪口を言ってはならない』と書いてありますが。」
+ そう言ってパウロは、議会にはサドカイ人もいれば、パリサイ人もいることに気づき、こう叫びました。「皆さん。私は先祖代々のパリサイ人です。私が今ここでさばかれているのは、死者の復活を信じているからなのです。」
+ このことばで、議会はパリサイ派とサドカイ派に真っ二つに分かれてしまいました。
+ サドカイ派が復活も天使も信じず、永遠に生きる霊もないと主張する一方、パリサイ派は、それらを全部信じていたからです。
+ 議会は大混乱に陥りました。ユダヤ人の指導者の中にも、パウロは正しいと論じる人が現れて、彼らは大声で言いました。「この人は別に悪いことなんかしていない。たぶんダマスコへ行く途中で、何かの霊か天使が語りかけたのだろう。」
+ 叫び声はますます大きくなり、人々はパウロを両方から奪い合おうとします。パウロが引き裂かれるのではないかと心配になった司令官は、兵士たちに、力ずくでパウロを人々から引き離させ、兵営に連れ帰りました。
+ その夜、主がパウロのそばに立って、こう言われました。「パウロよ。心配はいらない。あなたは、このエルサレムでと同じように、ローマでもわたしのことを人々に証言するのだ。」
+ 翌朝、四十名以上のユダヤ人が集まり、パウロを殺すまでは飲み食いをしないと誓い合いました。
+ 彼らは、祭司長と長老たちのところへ行ってその決意を告げ、
+ 「もう少しパウロを尋問したいと言って、彼をもう一度議会に立たせるよう、司令官に頼んでいただけないでしょうか。あとは私たちが途中で待ち伏せて、うまく始末します」と願い出ました。
+ ところが、この陰謀を、パウロの甥が知ったのです。彼は急いで兵営に駆け込み、このことをパウロに知らせました。
+ パウロは士官の一人を呼び、「この青年を、司令官に会わせてやってください。重大な報告があるそうですから」と頼みました。
+ 士官はすぐに、青年を連れて司令官のところへ行き、「囚人のパウロが、この青年をお引き合わせするようにと申しております。何か報告があるそうで……」と伝えました。
+ 司令官は青年の手を取り、だれもいないところへ連れて行って、「いったいどんな用件か」と尋ねました。
+ 「ユダヤ人たちが、もう少し取り調べたいことがあるようなふりをして、明日パウロをもう一度議会に呼び出すことを願い出ます。
+ しかし、どうか許可なさいませんように。四十名以上の者が、パウロを襲い、殺そうと待ち伏せているからです。彼らは、パウロを殺すまでは飲み食いしないと誓い合っています。今、彼らは外で、あなたの許可が下りるのを待っているのです。」
+ 司令官は、「このことはだれにも口外するな」と言い含めて、青年を帰しました。
+ それからすぐ彼は、士官を二人呼び、「今夜九時、カイザリヤに向けて出発できるよう準備せよ。兵士は二百名だ。それと槍兵二百名、騎兵七十名も同行させよ。パウロを馬に乗せ、総督ペリクス閣下のもとへ無事に送り届けるのだ」と命じました。
+ このとき司令官が総督に送った手紙は、次のようなものでした。
+ 「クラウデオ‧ルシヤから、総督ペリクス閣下に、ごあいさつを申し上げます。
+ この者は、ユダヤ人に捕らえられ、危うく殺害されるところを、本官が兵を率いて駆けつけ、救出した者でございます。それというのも、れっきとしたローマ市民であったからです。
+ その後、議会で真相を調べましたところ、
+ 問題はユダヤ人の信仰上のことであり、この者を投獄したり、死刑にしたりするような事件ではないことが判明いたしました。
+ しかし、この者のいのちをねらう陰謀が巡らされているとの情報をつかみましたので、彼の身柄を閣下のもとに送ることにいたします。また、この者を訴えたければ、以後は閣下の前で訴えるようにと、その旨指示しておきました。」
+ その夜のうちに、兵士たちは命令どおりパウロをアンテパトリスまで護送し、
+ 翌朝、そこからカイザリヤまでは騎兵隊に任せて、兵営に引き返しました。
+ カイザリヤに着くと、騎兵隊は、司令官からの手紙といっしょにパウロを総督に引き渡しました。
+ 手紙を読み終えた総督が出身地を尋ねたので、パウロはキリキヤだと答えました。
+ 総督は、「おまえを訴える者たちが来てから、くわしく取り調べよう」と申し渡し、ヘロデの官邸内の牢獄に、パウロを入れておくよう命じました。
+
+
+ 五日後、大祭司アナニヤが、ユダヤ人の指導者数人と弁護士テルトロとを連れて来て、パウロの件で訴えを起こしました。
+ 総督の前に呼び出されたテルトロは、でたらめの告訴理由を並べ立てました。「閣下。われわれユダヤ人がおだやかで平和な生活を送れますのも、みな、あなたのおかげでございます。また、われわれに対する差別待遇の問題も驚くほど改善され、
+ 一同、心から感謝いたしております。
+ さて、あまりくどくならぬよう、手短に、この男に対する訴えの筋を申し上げますので、何とぞ、お聞き届けください。
+ このパウロは全く人騒がせな男で、ナザレ人という一派の首領におさまり、世界中を駆け巡ってユダヤ人をたきつけ、ローマ政府に反乱を起こそうとしているのでございます。
+ その上、神殿までも汚そうとしたので、引っ捕らえたしだいでございます。われわれとしては、当然の罰を加えようとしただけですのに、
+ 守備隊司令官のルシヤ様が、この男を力ずくで奪い、
+ ローマの法律で裁判しろとお命じになったのです。閣下がお調べくだされば、われわれの正しいことがおわかりいただけると存じます。」
+ ほかのユダヤ人たちも、口をそろえて、テルトロの言うとおりだ、とくり返しました。
+ 次に総督は、身ぶりでパウロをうながしました。パウロは立ち上がり、釈明を始めました。「閣下が長年にわたりユダヤ人の問題を裁いてこられたことは、よく存じ上げております。ですから、安心して釈明させていただきます。
+ お調べくださればすぐにわかることですが、私が神殿で礼拝するためにエルサレムに着いてから、十二日しかたっておりません。
+ 私はどこの会堂でも町でも、騒ぎを起こせと人々をそそのかしたことなど、一度もございません。
+ この人たちは、何一つ証拠をあげられないはずです。
+ しかし、この人たちが異端と決めつけている救いの道を信じていることだけは、確かでございます。私はこの道を伝えることで、私たちの先祖の神に仕えているのです。また、ユダヤ人の律法と、預言者の書にあることもみな堅く信じております。
+ この人たち同様、正しい者も不信心な者も共に復活すると信じております。
+ 神の前でも人の前でも、いつも良心に恥じない生活を精一杯心がけております。
+ 私は何年ぶりかで、ユダヤ人への支援金を携え、神に供え物をささげようと、エルサレムに帰ってまいりました。
+ 私を訴える人たちは、私が神殿で感謝のささげ物をしているのを見たのです。私は規則どおり頭を丸めておりましたし、別に、回りに人だかりがあったわけでも、騒ぎがあったわけでもありません。ただ、アジヤ州から来たユダヤ人が数人いただけです。
+ 私を訴えるのなら、まず、それを見た人たちがここに来るべきです。
+ また、この人たちには、議会で、私に不正な点を見いだせたかどうか尋ねてみてください。
+ 私は議会では、ただひとこと、『死者が復活するという信仰のことで釈明するため、議会に呼び出されたのです』と申し上げただけでございます。」
+ ペリクスは、クリスチャンが暴動を引き起こしたりはしないことを知っていたので、ユダヤ人には、守備隊の司令官ルシヤが来てから片をつけると言って、裁判を延期しました。
+ 一方、パウロのことは、また監禁するよう命じましたが、看守には、丁重に取り扱い、友人たちの面会や差し入れも自由にさせるように言いました。
+ 数日後、ペリクスはユダヤ人の妻ドルシラを伴って来て、パウロを呼び出し、二人でキリスト‧イエスに対する信仰について話を聞きました。
+ しかし、話が正義と節制、それに、やがて来る審判のことだったのでこわくなり、「もう帰ってよい。また折りを見て話を聞こう」と言いました。
+ それからも時々、ペリクスはパウロを呼び出しては話し合いましたが、それというのも、パウロから金をもらいたい下心があったからです。
+ こんなふうにして二年が過ぎ、ペリクスに替わってポルキオ‧フェストが総督となりました。しかし、ペリクスはユダヤ人のきげんを損ねたくなかったので、パウロを捕らえたままにしておきました。
+
+
+ 新総督としてカイザリヤに着いて三日後に、フェストはエルサレムへ来ました。
+ 祭司長やユダヤ人の指導者たちはさっそく面会を求め、パウロの一件を持ち出しました。
+ 願うことはただ一つ、パウロを直ちにエルサレムに送り返してほしいということでした。彼らは、途中で待ち伏せて殺そうと思っていたのです。
+ そんなこととは知らないフェストは、パウロはカイザリヤに拘留中だし、自分もすぐ戻るので、
+ パウロを告発したければ、それ相応の人が自分と同行し、向こうで裁判にかけてはどうかと提案しました。
+ 八日か十日の後、フェストはカイザリヤに帰り、翌日パウロの裁判が開かれました。
+ パウロが出廷したとたん、エルサレムから来たユダヤ人たちが取り囲み、次々に重い罪名をあげて訴えたものの、それを証拠立てることはできませんでした。
+ この訴えに対して、パウロは、「私は潔白です。別にユダヤ人の律法に反対したわけでもなく、神殿を汚したことも、ローマ政府にそむいたこともありません」ときっぱり否定しました。
+ そこでフェストは、ユダヤ人の歓心を買おうとして、パウロに尋ねました。「どうだ、エルサレムで裁判を受ける気はないか。もちろん、私の前でだが。」
+ 「それよりも、ローマ皇帝に上訴する権利を要求いたします。私が無実であることは、あなた様もご存じのはずです。もし、何か死刑にあたるようなことをしているのなら、逃げも隠れもいたしません。しかし、私は潔白でございます。だれにも、私をこの人たちの手に渡して殺させる権利はありません。私はカイザルに上訴いたします。」
+ フェストは事態をどう始末したものかと、顧問たちに相談してから、「いいだろう、おまえはカイザルに上訴したのだから、カイザルのところへ行きなさい」と言いました。
+ 数日後、新総督を表敬するため、ヘロデ‧アグリッパ(二世)王がベルニケと共にフェストを訪問しました。
+ 二人が何日間か滞在している間に、フェストはパウロの一件を王に持ち出しました。「実は、ペリクスから引き継いだ囚人が一人いるのですが、
+ どうも祭司長やユダヤ人の指導者たちは、彼を死刑にしたいらしいのです。私がエルサレムへ行った時、そう申していました。
+ もちろん私は、ローマの法律では、裁判もせずに人を有罪にはできないと答えました。それでこの男に、訴える者たちの前で釈明する機会を与えることにしたのです。
+ 告発者たちがこちらに来た翌日、私は裁判を開き、パウロを出廷させました。
+ ところが、訴えというのが全く予想外で、
+ ユダヤの宗教上の問題なのです。なんでも、死んでしまったイエスとかいう人物のことで、パウロはその人が生きていると主張しているのです。
+ こんな事件は、とても手に負えそうもありません。そこで、エルサレムで裁判を受ける気はないかと尋ねてみたら、
+ なんとこの男は、カイザルに上訴すると言いだしまして。しかたありません。皇帝陛下のもとへ送る手はずが整うまで、牢に入れてあるのです。」
+ アグリッパはこの話に興味を示し、「直接、その男の話を聞いてみたいものだ」と言ったので、フェストは、「では、明日お聞きいただきましょう」と答えました。
+ 翌日、盛装した王とベルニケが、司令官たちや町の有力者たちと連れ立って法廷に入ると、フェストはパウロを連れて来るように命じました。
+ まずフェストが立ち上がり、言いました。「アグリッパ王、ならびにご列席の皆さん。この地方のユダヤ人もエルサレムのユダヤ人も、この男の死刑を要求しております。
+ しかし、私の見る限り、彼は何も死刑にあたるようなことはしていないのであります。ところが、この男が自分でカイザルに上訴しましたので、私は、彼をカイザルのもとに送ることに決めたしだいです。
+ しかし、皇帝に何と書き送ったらよいでしょう。告訴できるだけの理由が何もないのです。それで皆さんの前に、特にアグリッパ王の前に連れてまいりました。皆さんに調べていただき、何と書いたらいいか教えていただきたいのです。
+ 何の理由もなく囚人を皇帝陛下のもとに送るのは、はなはだ理屈に合わないことだからです。」
+
+
+ アグリッパはパウロに、「さあ、おまえの言い分を話しなさい」とうながしました。アグリッパに敬意を表してから、パウロは話し始めました。
+ 「アグリッパ王。あなた様の前で釈明できますことを、たいへん光栄に存じます。
+ あなた様がユダヤ人の問題と慣習に精通しておられるからです。どうぞ忍耐してお聞きくださいますように。
+ このことはユダヤ人もよく知っているのですが、私はタルソで生まれ、エルサレムでユダヤ教徒としての徹底した訓練を受け、それにふさわしく生きてまいりました。
+ また、ユダヤのおきてと慣習を守ることでは、最も厳格なパリサイ派の一人でした。その気さえあれば、ユダヤ人も私のことをすぐに証言できることです。
+ しかし彼らが訴えたいのは、そんなことではありません。私が、先祖に与えられた約束の実現を待ち望んでいることが、彼らの気に入らないのです。
+ イスラエルの十二の部族は、私と同じ希望をいだいて昼も夜も神に仕えてきました。王よ。それなのに、私だけ罪に問われるとは理にかないません。
+ 死者の復活を信じることが犯罪でしょうか。神が人間を復活させることは、そんなに信じがたいことでしょうか。
+ かつて私は、ナザレのイエスの弟子は撲滅すべきだと堅く信じていました。
+ ですから、祭司長たちの手先になり、エルサレムでクリスチャンを片っぱしから投獄し、裁判の時には、死刑に賛成の票を投じました。
+ また、クリスチャンにキリストを冒瀆することばを吐かせるためには手段を選ばず、拷問を加えることもしばしばでした。それほど激しく反対していた私ですから、遠く外国まで迫害の手を伸ばそうとしたのも不思議はありません。
+ ところが、祭司長たちに任され、ダマスコに向かう途中、
+ あれは、ちょうど正午ごろでしたが、太陽よりもまばゆい光が、天から私と連れの者とを照らしたのです。
+ 私たちはみな、その場に倒れました。その時です。私は、ヘブル語でこう語りかける声を聞いたのです。『パウロ、パウロ。なぜわたしを迫害するのか。そんなことをしたら、自分が傷つくばかりだ。』
+ 『あなたは、いったいどなたですか』と私は尋ねました。すると主は言われたのです。『わたしは、あなたが迫害しているイエスだ。
+ さあ、立ちなさい。あなたに姿を現したのは、あなたを、わたしに仕える者、またわたしの証人として任命するためだ。あなたは、このことをはじめとして、これから後もわたしがあなたに現れて示す多くのことを、世界中に語り伝えなければならない。
+ 心配はいらない。あなたを、ユダヤ人からも外国人からも守ろう。あなたを外国人のところに派遣するのだから。
+ 人々の目を開き、自分のほんとうの姿に気づかせ、罪を悔い改め、悪魔の暗闇から出て、神の光の中に生きるようにするために。わたしを信じる信仰によって、彼らは罪の赦しを受け、きよくされたすべての人たちと共に、神の相続財産を受けるようになる。』
+ それでアグリッパ王よ。私はこの天からの幻に従ったのでございます。
+ ダマスコを手はじめに、エルサレム、ユダヤ全国、さらに外国人にも、すべての人が罪を捨てて神に立ち返り、それを良い行いで示さなければならない、と宣べ伝えてきました。
+ このために、ユダヤ人は私を神殿でつかまえ、殺そうとしたのです。
+ しかし神のお守りがあったので、私は今日まで生きながらえ、身分の高い人にも低い人にも、あらゆる人にこのことを伝えているのです。私は、預言者とモーセが語ったこと以外、何も話してはおりません。
+ 私が話しているのは、キリストは苦しみを受け、死者の中から最初に復活して、ユダヤ人にも外国人にも光をもたらすということだけです。」
+ ここで突然、フェストが大声をあげました。「パウロ、気がおかしくなったか! あまりに学問に身を入れすぎて、おかしくなったのだ。」
+ 「何をおっしゃいます、フェスト閣下。気など狂ってはおりません。まじめに真理を語っているだけでございます。
+ アグリッパ王はよくご存じのはずです。そう確信しておりますから、率直に申し上げているのです。これらはみな、どこかの片すみで起こったことではないのですから。
+ アグリッパ王、あなた様は預言者を信じておられますか。もちろん、信じておられるものと確信しておりますが。」
+ アグリッパは、パウロのことばをさえぎりました。「おまえは少しばかり話しただけで、私をクリスチャンにしようというのか。」
+ 「お話ししたことが短かろうと長かろうと、そんなことはかまいません。私がひたすら神にお願いするのは、あなた様をはじめ、ここにおられる皆さん全部が、私と同じようになってくださることです。もちろん、この鎖につながれることは別ですが……。」
+ ここで王と総督とベルニケ、またほかの人たちもみな席を立ち、出て行きました。
+ あとで話し合った結果、一致した意見は、「あの男は、死刑や投獄にあたることは何もしていない」ということでした。
+ アグリッパはフェストに、「カイザルに上訴さえしていなければ、自由の身になれたものを……」ともらしました。
+
+
+ ようやく船でローマに向かう手はずが整い、数人の囚人といっしょに、パウロはユリアスという親衛隊の士官に引き渡されました。
+ 私たちが乗り込んだ船は、トルコ沿岸の幾つかの港に寄港して、ギリシヤに向かうことになっていました。テサロニケ出身のギリシヤ人アリスタルコも同行したことを、書き添えておきましょう。
+ 翌日、船はシドンに入港しました。ユリアスはパウロにとても親切で、上陸して友人を訪問したり、もてなしを受けたりすることを許可してくれました。
+ やがてそこを出帆しましたが、まずいことに向かい風が吹いてきたので、予定の進路をあきらめ、キプロスの北側の島と本土との間を通ることになりました。
+ あとは、そのままキリキヤとパンフリヤの沿岸を航行して、ルキヤ地方のミラに入港しました。
+ ここで親衛隊の士官は、アレキサンドリヤから来たイタリヤ行きのエジプト船を見つけ、私たちを乗り込ませました。
+ 数日の間たいへんな航海を続け、ようやくクニドはもう目と鼻の先という所まで来ましたが、風があまりに強くなったので、サルモネ港の沖を通り、クレテの島陰を進みました。ひどい風に苦労しながら、島の南岸をゆっくり進んで、やっとのことでラサヤ近くの「良い港」と呼ばれる所にたどり着きました。
+ そこに数日とどまりましたが、長期の航海には天候が危険な時期になっていたので、パウロは航海士たちに忠告しました。
+ 「皆さん。このまま進んだら、きっとひどい目に会います。難破して積荷を失うだけならまだしも、けが人や死者が出るかもしれません。」
+ しかし囚人を護送している士官は、パウロのことばよりも、船長や船主のことばに耳を傾けたのです。
+ その上、この「良い港」は吹きさらしの場所で、冬を越すには適していないこともあって、大部分の船員も、海岸に沿ってピニクスまで行き、そこで冬を過ごしたほうがいいと主張しました。ピニクスは北西と南西だけが入り口になっている良港でした。
+ 折からおだやかな南風が吹き始め、絶好の航海日和と思われたので、船は錨を上げ、沿岸を進み始めました。
+ ところが、それもつかの間、突然天候が変わり、ひどい暴風〔ユーラクロン〕が襲ってきて、あっという間に船は沖へ沖へと押し流されました。最初のうちは、なんとか岸へ引き返そうと必死で船を操作した人々も、どうにも手のつけようがないとわかると、すっかりあきらめ、船は吹き流されるままでした。
+ しかし、ようやくクラウダという小島の陰に入りました。引いていたボートを甲板に引き上げ、
+ 船をロープで縛って、船体を補強しました。また、アフリカ海岸の浅瀬に乗り上げないように、船具をはずし、風に流されるままにしました。
+ 翌日、波はさらに高くなり、船員たちは積荷を捨て始めました。
+ その翌日には、もう手当たりしだいに、船具までも捨てざるをえなくなりました。
+ 来る日も来る日も恐ろしい嵐は荒れ狂い、最後の望みも絶たれてしまいました。
+ 長い間、だれも食事をしていません。パウロは船員たちを呼び集め、こう言いました。「皆さん。最初から私の忠告を聞いて、『良い港』を出なければよかったのです。そうすれば、こんな目に会わなくてすんだのです。
+ でも、元気を出しなさい。船は沈みますが、だれも死にはしません。
+ ゆうべ、天使がそばに立ち、こう知らせてくれたのです。
+ 『恐れることはない。パウロ。あなたはまちがいなく、カイザルの前で裁判を受けるのです。そればかりか、神はあなたの願いを聞き届け、同船の人たち全員のいのちも救ってくださいます。』
+ さあ、元気を出して。私は神を信じています。神様がおっしゃることにうそはありません。
+ やがて、私たちはある島に打ち上げられるでしょう。」
+ 嵐になって十四日目のことです。船はアドリヤ海を漂流していました。真夜中ごろ、水夫たちは陸地が近いと感じました。
+ それで水深を測りました。四十メートルほどです。またしばらくして測ってみました。今度は三十メートルになっています。
+ この調子では、もうまちがいありません。岸は近いのです。そこで海岸付近の岩場に乗り上げないようにと、船尾から錨を四つ降ろし、祈りながら夜明けを待ちました。
+ 数人の水夫が、船を捨てて逃げようと、船首から錨を降ろすふりをしながら、救命ボートを降ろそうとしました。
+ それを見たパウロは、いち早く兵士たちや士官に、「あの人たちがいなければ、助かる見込みはありません」と言ったので、
+ 兵士たちは綱を切り、ボートを海に落としてしまいました。
+ ついに夜明けの光がさし始めたころ、パウロは全員に、食事をするように勧めました。「皆さんは、今日で二週間も食べ物を口にしていないではありませんか。
+ さあ、食事をしましょう。皆さんの髪の毛一本も失われないのですから。」
+ こう言うと、パウロはパンを取り、みなの前で感謝の祈りをしてから、裂いて食べ始めたのです。
+ それでだれもが元気づけられ、いっしょに食べ始めました。
+ 上船していた人は、全部で二百七十六人でした。
+ 食事のあと、積んでいた麦を全部投げ捨て、船を軽くしました。
+ 夜が明けると、どこの海岸線かはわかりませんが、砂浜のある入江が見えます。それで、岩の間をぬって砂浜まで行けるかどうか相談しました。
+ そして、ついに決行と決まりました。まず錨を切り捨て、かじ綱を解き、前の帆を上げ、浜に向かって進みました。
+ ところが、浅瀬に乗り上げてしまい、船首は深くめり込み、船尾は激しい波でこわれ始めました。
+ 兵士たちは、囚人が泳いで逃げると困るので、いっそ殺してはどうかと士官に勧めました。
+ しかし、ユリアスはパウロを助けたかったので、聞き入れませんでした。そして全員に、泳げる者は海に飛び込んで陸に上がり、
+ 泳げない者は、板切れや、こわれた船の破片につかまって行くように命じました。こうして、全員が無事に上陸できたのです。
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+ そこがマルタと呼ばれる島であることは、すぐにわかりました。島民はとても親切で、雨と寒さでぶるぶる震えていた私たちを暖めようと、浜辺でたき火をしてくれました。
+ パウロが一かかえの木切れをたばねて火にくべると、熱気でまむしがはい出し、手に巻きつきました。
+ 島の人たちは、まむしがぶらさがっているのを見て、「きっと人殺しなんだよ。海からは助かっても、正義の女神がお見のがしにはならないんだ」と、ひそひそささやき合いました。
+ ところがパウロは、平気な顔でまむしを火の中に払い落とし、ぴんぴんしています。
+ 人々は、今にもはれ上がるか、突然倒れて死ぬのではないかと、息をひそめていました。しかし、いくらたっても、いっこうに何も起こりません。今度は、人々はパウロを神だと考えるようになりました。
+ この浜辺の近くに、島の首長ポプリオの領地がありました。首長は私たちを招き、三日間も親切にもてなしてくれました。
+ ところが、ポプリオの父が高熱と赤痢で苦しんでいるというので、パウロが行って、彼のために祈り、手を置いて治してやりました。
+ これを聞くと、島中の病人がぞくぞくと詰めかけ、みんな治してもらいました。
+ それで彼らは、私たちを非常に尊敬し、また出帆の時には、旅に必要なあらゆる品物を、船に積み込んでくれました。
+ 難破してから三か月後、今度は、この島で越冬していた、アレキサンドリヤの「ふたごの兄弟号」という船に乗り込むことになりました。
+ 最初の寄港地はシラクサで、三日間停泊し、
+ そこからずっと遠回りしてレギオンに行きました。一日すると南風が吹き始めたので、翌日には、順調にポテオリまで進むことができました。
+ そこで数名のクリスチャンに出会い、勧められるままに七日間世話になってから、ローマに向かいました。
+ 私たちのことを聞いて、ローマのクリスチャンたちは、わざわざ、アピア街道のポロまで迎えに来てくれました。トレス‧タベルネという所で落ち合う人たちもいました。パウロがこの人たちに会えたことを神に感謝し、勇気づけられたことは言うまでもありません。
+ ローマに着くと、パウロは、兵士の監視のもとではありましたが、好きな所に住んでもよいことになりました。
+ 到着して三日後には、パウロは地元のユダヤ人の指導者たちを呼び集め、話をしました。「皆さん。私はだれに危害を加えたわけでもなく、先祖の慣習を破った覚えもないのに、エルサレムでユダヤ人につかまり、訴えられて、ローマ政府の手に渡されました。
+ 取り調べの結果、いったんは釈放と決まりました。ユダヤ人の指導者たちが主張するような、死刑にあたる罪は認められなかったからです。
+ ところが、ユダヤ人がこの決定に異議を申し立てたのです。同胞を訴えるつもりは少しもありませんが、やむをえずカイザルに上訴しました。
+ 今日、皆さん方をお招きしたのは、お近づきになりたかったからです。また、私が捕らわれの身であるのは、メシヤ(救い主)が来られたと信じているためだと、わかっていただきたかったからです。」
+ ユダヤ人たちは答えました。「私たちは、あなたのことは何も聞いていません。ユダヤから手紙も来ていませんし、エルサレムから来た人たちからも、そのような報告は受けていません。
+ 私たちは、あなたの信じていることを、あなたの口からお聞きしたいのです。クリスチャンについて知っていることと言えば、彼らが至る所で非難の的だということだけなのです。」
+ 彼らはこうして日を決め、さらに大ぜいでパウロの家に来ました。パウロは彼らに神の国のことを語り、またモーセの律法から預言者の書に至るまで、聖書のありとあらゆる箇所を使って、イエスのことを教えました。彼の話は、朝から夕方まで続きました。
+ 信じる人もいれば、信じない人もいました。
+ しかし、さまざまなことを言い合いながら去る彼らの耳には、いつまでも、パウロの最後のことばが響いていました。「聖霊が預言者イザヤを通してお語りになったことは正しかったのです。
+ 『ユダヤ人に告げよ。「あなたがたは聞くには聞くが理解しない。見るには見るが認めない。
+ 心は肥えて鈍くなり、耳も遠く、目も閉じられている。見もせず、聞きもせず、理解もしない。わたしに立ち返って、いやされようともしない。」』
+ だから、よく覚えておきなさい。神のこの救いは、外国人に与えられました。彼らはこの救いを受け入れるでしょう。」
+ パウロはそれからまる二年の間、借家に住み、訪れる人たちを歓迎し、
+ 大胆に神の国と主イエス‧キリストのことを語りました。それを妨げる者はだれもいませんでした。
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+ キリスト‧イエスに仕える者であり、伝道者として選ばれ、神の福音(キリストによる救いの知らせ)を伝えるために遣わされたパウロが、この手紙を送ります。
+ この福音は、神が預言者(神に託されたことばを語る人)を通して旧約聖書の中で約束しておられたもので、
+ 神のひとり子、主イエス‧キリストに関するものです。この方は、人の子として、ダビデ王の家系にお生まれになりました。
+ しかも、死んでのち復活することにより、神のきよい性質を備えた、力ある神のひとり子であることが証明されたのです。
+ このキリストを通して、今や、神のすべての恵みが、それを受ける資格のない罪人の私たちに、あふれるばかり注がれています。そして今、私たちは、神がなしてくださったことを全世界の人々に知らせるために、キリストから遣わされているのです。それは、すべての人がキリストを信じ、従うようになるためです。
+ ローマの愛する皆さん。あなたがたも、キリストに深く愛されているのです。また、イエス‧キリストに招かれて、神ご自身のもの、つまり神の聖なる民とされているのです。どうか、私たちの父なる神と主イエス‧キリストから、豊かな恵みと平安が、あなたがたに与えられますように。
+ まず言っておきたいのは、どこへ行っても、あなたがたの評判を耳にするということです。神を信じるあなたがたの信仰は、世界中に知れ渡っているからです。私はこの評判を聞くたびに、イエス‧キリストによって、どんなに神に感謝していることでしょう。
+ あなたがたのために私がどれほど祈っているかは、神がご存じです。私は神のひとり子についての福音を人々に伝えながら、全力でお仕えしている神に、あなたがたに必要なものが与えられるよう昼も夜も祈っています。
+ また、神が許してくださるなら、いつかあなたがたを訪ねたいといつも祈っています。
+ どうしても行きたいと望むのは、信仰をいくらかでも分かち、あなたがたの教会が、主にあって強められるために役立ちたいからです。それだけでなく、私も皆さんの助けが必要です。あなたがたの信仰によって、私も力づけてもらいたいのです。こうして、私たちは互いに励まし合えるでしょう。
+ 愛する皆さん。私がこれまでに何度も、あなたがたのところへ行こうとしたことをぜひ知っていただきたいのです。ほかの国の諸教会と同じように、あなたがたのところでも成果を得たいと思ったのです。しかし、その計画は妨げられてきました。
+ 私はあなたがたにも、また、ほかのすべての人にも、ギリシヤのような文明の進んだ国の人にもそうでない国の人にも、教育のある人にもない人にも、大きな借りがあります。
+ ですから、何とかして、ローマにいるあなたがたのところにも福音を伝えたいと、心の底から願っているのです。
+ 私は、この福音を少しも恥じてはいません。福音は、それを信じる人をだれでも天国に導く、神の力ある手段です。福音は最初、ユダヤ人だけに伝えられていました。しかし今では、すべての国の人が同じ方法で神のもとに招かれているのです。
+ この福音は、私たちがキリストを信じる時、神が私たちを天国に入るにふさわしい者、すなわち、神の目から見て正しい者としてくださることを教えています。それは、初めから終わりまで、信仰によって達成されるのです。「正しい人は信仰によって生きる」と、聖書に書いてあるとおりです。
+ しかし、真理を押しのける、罪深い邪悪な人々には、神の怒りが天から下ります。
+ なぜなら、彼らは神の真理について本能的に知っているからです。神が、この知識を彼らの心にお与えになったのです。
+ 世界が創造されてからこのかた、人々は、天地や、神がお造りになったすべてのものを見て、神の存在とその偉大な永遠の力をはっきり知っていました。ですから、彼らには弁解の余地がありません。
+ 彼らは、確かに神を知っているのです。けれども、そのことを認めず、神を礼拝せず、日々神に守られていることを感謝しようともしません。やがて彼らは、神がどのようなお方か、また自分たちに何を求めておられるかについて、愚かなことを考えるようになりました。その結果、彼らの心はくもり、訳がわからなくなったのです。
+ 「神なんか信じなくてもいい、自分は賢いのだ」と主張しながら、実際には、全くの愚か者になってしまいました。
+ そして、栄光に輝き、永遠に生きておられる神を礼拝する代わりに、木や石で、鳥や獣や蛇あるいは滅ぶべき人間の偶像を造り、それを神としたのです。
+ そこで神は、彼らがその欲望によって性的な罪に深入りするに任せました。彼らは互いの肉体で、汚らわしく罪深い行為にふけったのです。
+ 彼らは、神の真理を知っていながら信じようとせず、あえて偽りを信じる道を選びました。そして、神によって造られた物を拝みながら、それらをお造りになった神には従いませんでした。すべてのものの創造主である神こそ、永遠にほめたたえられる方です。アーメン。
+ こういうわけで、神は彼らを放任し、したいままにさせられました。そのため、女は定められた自然の姿に逆らって同性愛にふけるようになり、
+ 男も、女との正常な関係を捨てて、同性どうしで情欲を燃やし、恥ずべきことを行いました。その結果、当然の報いを受けているのです。
+ このように彼らが神を認めようともしなかったので、神は、してはならないことを彼らが行うのをそのままにしておかれました。
+ それで彼らの生活は、あらゆる悪と罪に染まり、むさぼりや憎しみ、ねたみ、殺意、争い、偽り、非情、陰口に満ちた者となりました。
+ 彼らは人の悪口を言い、神を憎み、横柄で、高慢で、大ぼらを吹き、次々と悪事をたくらみ、親に反抗し続けました。
+ また、わきまえがなく、平気で約束を破り、情け知らずで不親切な者となりました。
+ そのような罪を犯せば、神から死の刑罰を受けなければならないことをよく知った上で、自分でそれを行うだけでなく、他の人まで引きずり込んでいるのです。
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+ こう書くと、あなたは、「なんてひどい連中だろう」と言うかもしれません。しかし、悪いことにかけてはあなたも、五十歩百歩ではありませんか。「そんな悪い連中が罰を受けるのは当然だ」ときめつける時、ほかでもない自分自身にそう言っているのです。自分も同じことをしているのですから。
+ そういうことをする人には一人残らず、神が正義をもって罰をお下しになることを、私たちは知っています。
+ それなのに、あなたは、「ほかの人の場合はいざしらず、私の場合は別だ。神は見逃してくれる」と、たかをくくっているのですか。
+ 神がどれだけ忍耐しておられるか、わからないのですか。それとも、そんなことは気にもかけていないのですか。神があなたを罰しもせず、長いあいだ待っていてくださったのは、罪から離れるのに必要な時間を与えるためでした。神の愛は、あなたを悔い改めに導くためのものです。
+ ところが、どうでしょう。あなたは耳を貸そうともしません。強情をはり、罪から離れようとしません。こうして、神の御怒りをどんどん積み上げているのです。神が裁判官として立ち、すべての人を正しくさばかれる、御怒りの日が近づいているのです。
+ 神は一人一人に、その行いにふさわしい報いをお与えになります。
+ 神の喜ばれることを忍耐強く行い、目には見えなくても、神が与えようとしておられる栄光と栄誉と永遠のいのちとを求める人には、それが与えられるのです。
+ けれども、神の真理に逆らい、不正な道を歩む人には、恐ろしい罰が下ります。神の怒りは、そのような人々に注がれるのです。
+ 罪を犯し続ける人には、ユダヤ人にも外国人にも、同じように悲しみと苦しみが降りかかります。
+ 反対に、神に従う人にはだれであっても、神からの栄光と栄誉と平安とがあります。
+ 神はすべての人を公平に扱われるからです。
+ 外国人が罪を犯した場合、たとえ彼らが文字に書かれた律法を知らなくてもさばかれます。彼らは心の奥底では、正しいことと悪いこととを区別できるからです。その心の中には、律法が書かれているのです。つまり、彼らの良心が、彼らを責めたり、また時には弁護したりするわけです。ユダヤ人が罪を犯した場合は、神が彼らを罰せられます。律法が与えられているのに従わないからです。彼らは何が正しいかを知りながら、実行しません。結局のところ、なすべきことを知りながら実行しない人はさばかれるのです。
+ 神の命令によって、キリスト‧イエスが、すべての人の心の奥底に潜む思いや動機をさばかれる日が、必ず来ます。このことは、私が伝えている神の偉大なご計画の一部です。
+ あなたは、自分はユダヤ人だと称し、「ユダヤ人には律法が与えられているのだから、私と神との間は万事うまくいっている」と考え、「私たちは神と特別親しい関係だ」と自慢しています。
+ 確かにあなたは、神が何を求めておられるかを知っています。また、小さい時からずっと律法を教えられてきたので、善悪の区別を知り、正しいほうに賛成しています。
+ 自分は神のもとへ行く道をよく知っているから、それを目の見えない人に示すことができる、と思っています。まるで、暗闇で道に迷った人々を、神のもとに導く灯台の光であるかのように考えています。
+ すべての知識と真理に満ちた神のおきてを知っている自分には、愚かな人々を導き、子どもたちにも神のことを教える資格があると思い込んでいます。
+ しかし、人を教えながら、なぜ自分を教えないのですか。人には「盗むな」と説きながら、なぜ盗むのですか。
+ 「姦淫は悪いことだ」と言いながら、なぜ姦淫するのですか。あなたは、「偶像に祈ってはいけない」と言いながら、なぜ自分は異教の神殿からかすめ取るのですか。
+ あなたは、律法を知っていると自慢しながら、律法を破って、神の名誉を汚しているのです。
+ 「あなたがたのゆえに、世の人々は神を汚す」と聖書に書かれているとおりです。
+ もしあなたが律法に従っているなら、ユダヤ人であることにいくらかの価値はあるでしょう。しかし、もし従っていないなら、外国人よりすぐれたところはありません。
+ たとえ外国人でも、律法に従うなら、神はユダヤ人に与えようと計画しておられたすべての特権と栄誉をお与えになるのではないでしょうか。
+ 事実、そのような外国人は、ユダヤ人のあなたより、はるかにすぐれています。あなたは神について多くのことを知っており、神の約束をいただいていながら、その律法に従わないからです。
+ ユダヤ人の両親から生まれたとか、ユダヤ人と認められるための割礼(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取る儀式)を受けたというだけでは、真のユダヤ人とは言えません。
+ 真のユダヤ人とは、心が神と正しい関係にある人のことです。神は、体の割礼を受けた人ではなく、心と思いが全く変えられた人を捜し求めておられるからです。そのような人こそ、人にはほめられなくても、神にほめていただけるのです。
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+ では、ユダヤ人であることに、どういう利点があるのでしょう。彼らには何か特典があるのでしょうか。ユダヤ人の割礼にどんな益があるのでしょうか。
+ もちろん、ユダヤ人であることには多くの利点があります。まず第一に、神はユダヤ人にご自分のことばをおゆだねになりました。それは、彼らに神の御心を知らせ、それを実行させるためでした。
+ 確かに、ユダヤ人の中には不忠実な者がいました。しかし、一部の不忠実な者が神との約束を破ったからといって、神も約束を破られるでしょうか。
+ 絶対にそんなことはありません。たとえ世界中の人がうそつきでも、神は真実な方です。このことについて詩篇には、「神のことばに誤りはない。だれが疑いを差しはさもうと、いつも真実で正しい」と書いてあります。
+ ところが、こんなふうに主張する人がいます。「でも、私たちの神に対する不忠実は、むしろよかったのではないか。人々は、私たちがどんなに悪い人間であるかを見て、神がどんなに正しい方であるかに気づくだろうから。」すると、彼らの罪が神の役に立っているのに、罰せられるのは不公平だということになるのでしょうか。
+ それは全く違います。罪を見過ごすような神があるでしょうか。そんなことで、神はどうして人をさばくことがおできになるでしょう。
+ もし、私がうそをついたとします。それによって神の真実がはっきりと際立ち、私の不真実が、かえって神の栄光を輝かしたとしたら、神は私を罪人としてさばくことなどできなくなってしまいます。
+ このような論理を突きつめていくと、最後には、「私たちが悪ければ悪いほど、神には好都合だ」ということになるのです。もちろん、こんなことを言う人がきびしく罰せられるのは当然です。ところが、事もあろうに、私がそのように説教していると言う人々がいるのです。
+ それでは、私たちユダヤ人は、ほかの人々よりすぐれているのでしょうか。決してそんなことはありません。すでに指摘したように、ユダヤ人であろうと外国人であろうと、みな同様に罪人です。
+ 聖書に、次のように書いてあるとおりです。「正しい人は一人もいない。罪のない人は世界中に一人もいない。
+ 真実に神の道に従って歩んだ人はかつて一人もいない。そうしたいと心から願った人さえいない。
+ すべての人が道を踏みはずし、みな、まちがった方向に進んで行った。正しいことをずっと行ってきた人はどこにもいない。一人もいない。」
+ 「彼らの会話は、不潔で腐っており、まるで開いた墓穴からもれる悪臭のようだ。彼らの舌はうそで固められている。」「彼らのことばには、恐ろしい毒蛇のような毒がある。」
+ 「彼らの口は、のろいと苦々しいことばで満ちている。」
+ 「彼らは自分と意見の合わない人を憎み、すぐに殺す。
+ 彼らの行く所ではどこででも、悲惨な結果とめんどうな問題があとを絶たない。
+ 彼らは一度も心の安らぎを感じたことがなく、神の祝福を味わったこともない。」
+ 「彼らには、神を恐れて悪事から遠ざかろうとする気持ちなど、少しもない。」
+ そういうわけで、律法がユダヤ人に重くのしかかっています。なぜなら、彼らは律法を守る責任があるのに守らず、こうした悪にふけっているからです。彼らのうち一人として、申し開きのできる者はいません。事実、全世界が全能の神の前に沈黙して立ち、罪の宣告を受けているのです。
+ おわかりでしょうか。律法の命じることを行って、神に正しい者と認められようとしてもむだです。私たちは律法を深く知れば知るほど、自分が従っていないことが明らかになるのです。律法は私たちに、自分が罪人であることを自覚させるのです。
+ しかし今、神は、別の救いの道を示してくださいました。その新しい道は、「善人になる」とか、律法を守ろうと努力するような道ではありません。神は今、「もしあなたがたがイエス‧キリストを信じるなら、あなたがたを受け入れ、罪のない者と宣言する」と言われます。どんな人間であろうと、私たちはみな、キリストを信じるという、この方法によって救われるのです。
+ すべての人は罪を犯したので、神の標準にはほど遠い存在です。
+ けれども、もし私たちがキリスト‧イエスを信じるなら、このキリスト‧イエスが、恵みにより、無償で私たちの罪を帳消しにしてくださるのです。
+ 神はキリスト‧イエスを遣わして、私たちの罪に対する償いをさせ、私たちへの怒りをとどめてくださいました。神は、私たちをご自分の怒りから救い出すための手段として、キリストの血と私たちの信仰とを用いられました。たとえ、それまでの時代に罪を犯した者たちを罰せられなかったとしても、神は完全に公正であられるのです。キリストが来て人々の罪を取り除く時を、神は待ち望んでおられました。
+ そして今日も、神はこの同じ方法で罪人を受け入れてくださいます。イエスが彼らを、義と認めてくださるためです。しかし、このように罪を犯した者を赦し、無罪を宣告するのは、神の公正なやり方に反するのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。なぜなら彼らが、自分の罪を帳消しにしてくださったイエスを信じたという事実に基づいて、神はそうなさるからです。
+ それでは、救われるために、私たちは何か誇れるようなことをしたでしょうか。何もしていません。なぜでしょう。私たちは自分の善行によって無罪とされるのではないからです。それは、キリストが成し遂げてくださったことと、キリストに対する私たちの信仰に基づいているのです。
+ つまり、私たちが救われるのは、キリストを信じる信仰だけによるのであって、善行によるのではないのですから。
+ 神はこの方法で、ユダヤ人だけをお救いになるのでしょうか。いいえ、それ以外の外国人も、同じようにして神のもとに行くことができます。
+ 神はすべての人を全く平等に扱われます。ユダヤ人であろうと外国人であろうと、人はみな、信仰によって救われて正しい者とされるのです。
+ それでは、信仰によって救われるのなら、もはや律法に従う必要はないことになるのでしょうか。いや、全く違います。私たちはイエスを信じてこそ、ほんとうに神の命令に従うことができるのです。
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+ この問題について、アブラハムの場合を考えてみましょう。アブラハムは人間的に見れば、私たちユダヤ民族の先祖にあたります。信仰によって救われる問題について、彼はどんな経験をしたでしょうか。彼が神に受け入れられたのは、行いによるものでしょうか。もしそうなら、彼は誇ることができました。しかし、神の目から見ると、アブラハムには誇る理由など少しもありませんでした。
+ というのは聖書に、「アブラハムは神を信じた。それがアブラハムの義と認められた」と書いてあるからです。
+ では、アブラハムが天国に行く資格を得たのは、良いことをしたからでしょうか。違います。救いは贈り物として与えられるものです。もし善行によって救われるとすれば、もはや贈り物ではなくなってしまいます。しかし、救いは無償なのです。救いは、自分の力で手に入れようとしない人にこそ与えられます。なぜなら罪人が、「キリストは自分を神の怒りから救い出してくださる」と信じる時に、神は彼らを正しい者と宣言してくださるからです。
+ ダビデは、救われる価値のない罪人が、神から「罪のない者」と宣言される幸いについて、こう言っています。
+ 「罪を赦された者、罪をすっかり消された者は、なんと幸いだろう。
+ もはや主に罪を数え上げられずにすむ人の喜びは、どんなだろう。」
+ すると、次のような質問が出て来ます。この祝福は、キリストを信じた上に、さらに割礼をはじめユダヤ教の規則を守っている人にだけ与えられるのでしょうか。それとも、ユダヤ教の規則は守らなくても、ただキリストを信じてさえいれば与えられるのでしょうか。アブラハムの場合はどうだったのでしょう。「アブラハムは信仰によってこれらの祝福を受けた」と言われています。それは、ただ信仰だけによったのでしょうか。それとも、ユダヤ教の規則も守ったからなのでしょうか。
+ この質問に答えるためには、まず、次の質問に答えなければなりません。神はいつ、アブラハムにこの祝福をお与えになったかということです。それは、彼がユダヤ人として認められるための儀式である割礼を受ける前のことでした。
+ アブラハムが割礼を受けたのは、神が彼をその信仰のゆえに祝福すると約束された時より、もっとあとのことです。割礼を受ける前に、アブラハムはすでに信仰を持っており、神はすでに彼を受け入れ、ご自分の目から見て正しい者、義なる者と認めておられました。割礼はそのしるしだったのです。こうしてアブラハムは、ユダヤ教の規則に従わなくても、信じて救われるすべての人の父とされています。ですから、これらの規則を守っていない人々も、信仰によって神から正しい者と認めていただけることがわかります。
+ アブラハムは同時に、割礼を受けているユダヤ人の信仰の父でもあります。ユダヤ人には、アブラハムの例から、自分たちがこの割礼の儀式によって救われるのではないとわかるはずです。アブラハムは、割礼を受ける前に、ただ信仰によって神の恵みを受けたからです。
+ そういうわけで、全地をアブラハムとその子孫に与えるという神の約束は、アブラハムが律法に従ったからではなく、神は必ず約束を果たしてくださる、と彼が信じたからこそ与えられたことは明らかです。
+ にもかかわらず、神の祝福は律法を完全に守った人に与えられると主張するなら、「信仰を持つ者に対する神の約束など無効であり、信仰は無意味だ」と言っているのと同じです。
+ しかし実際、律法を守ることによって神の祝福と救いとを得ようとしても、結局は、神の怒りを招く結果に終わるだけです。律法を破らないためには、破るような律法を持たないようにするしかありません。
+ そういうわけで、神の祝福は、無償の贈り物として、信仰によって与えられるのです。ユダヤ人の慣習に従うか否かに関係なく、アブラハムと同じ信仰を持っているなら、神の祝福を確実にいただけるのです。信仰の面から言えば、アブラハムは、私たちすべての者の父です。
+ 聖書に、「神はアブラハムを多くの国民の父とされた」とあるのは、この意味にほかなりません。神はどこの国の人でも、アブラハムと同じように、神に信頼する者をみな受け入れてくださるのです。神ご自身が、すなわち死者を生き返らせ、未来の出来事をすでに実現したかのような確実さでお語りになる神ご自身が、そう約束しておられるのです。
+ 神はアブラハムに、「あなたに一人の男の子を授けよう。その子から多くの子孫が生まれ、偉大な民族となる」と言われました。この時アブラハムは、そんな約束はとうてい実現するとは思えなかったにもかかわらず、神を信じました。
+ 彼はその信仰によって、百歳の自分がもう父親になれる年ではないとも、また九十歳の妻サラが子どもを産めないとも思いませんでした。
+ アブラハムは少しも疑うことなく信じ、そのことがまだ実現しないうちから、その祝福のゆえに神を賛美しました。
+ 彼は、神の約束はどんなことでも実現すると堅く信じました。
+ この信仰のゆえに、神は彼を義と認められたのです。
+ しかし、「彼は信仰によって神に義と認められた」と書かれたのは、ただアブラハムのためだけでなく、
+ 私たちのためでもあったのです。それは、主イエスを死者の中から復活させた神の救いの約束を信じるなら、アブラハムと同様に、神は私たちも受け入れてくださることを保証しています。
+ 主イエスは、私たちの罪のために死なれました。そして、私たちを神との正しい関係に入れ、神の恵みで満たすために復活なさったのです。
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+ ですから、信仰によって神の目に正しい者とされた私たちは、主イエス‧キリストによって、神との間に平和を得ています。
+ 信仰のゆえに、キリストは私たちを、いま立っている、この最高の特権ある立場に導いてくださいました。そして私たちは、私たちに対する神の計画がすべて実現するのを、喜びをもって待ち望んでいるのです。
+ ですから私たちは、さまざまの苦しみや困難に直面した時も喜ぶことができます。それによって忍耐を学ぶからです。
+ 忍耐によって私たちの品性が磨かれ、さらに、それによって希望が与えられるのです。こうして、私たちの希望と信仰は強められ、どんなことにも動じなくなるのです。
+ この希望は失望に終わることはありません。それは、神が聖霊を与えてくださり、その聖霊が私たちの心に神の愛を満たしてくださっているからです。
+ 私たちが逃れる道もなく、行き詰まっていた時、キリストはおいでになり、何のとりえもない、私たち罪人のために死んでくださいました。
+ たとえ私たちが良い人間であったとしても、だれかが自分のために死んでくれるなどとは考えてもみなかったでしょう。
+ しかし、私たちがまだ罪人であった時、神はキリストを遣わしてくださいました。そのキリストが私たちのために死なれたことにより、神は私たちに大きな愛を示してくださったのです。
+ キリストは、罪人のために血まで流してくださったのですから、私たちが無罪とされた今は、もっとすばらしいことをしてくださるに違いありません。今やキリストは、神の怒りから、私たちを完全に救い出してくださるのです。
+ 私たちが神の敵であった時でさえ、ひとり子の死によって、神のもとに連れ戻されたくらいですから、私たちが神の友となり、神が私たちのうちに生きておられる今は、どんなにかすばらしい祝福が備えられていることでしょう。
+ 私たちは、神との驚くべき新しい関係を心から喜んでいます。それはただ、主イエス‧キリストが私たちの罪のために死んで成し遂げてくださったこと、すなわち、私たちを神の友としてくださったことのおかげなのです。
+ アダムが罪を犯した時、罪が世界に入り込みました。アダムの罪によって死が全人類に広まり、すべての人は死ぬように定められました。それというのも、すべての人が罪を犯したからです。
+ これらの原因がアダムの罪にあることを、私たちは知っています。アダムからモーセまでの時代にも人々は罪を犯しましたが、神はそのころ、罪を犯したからといって、彼らに死刑を宣告したりはなさいませんでした。神はまだ、彼らに律法を与えておらず、また、彼らにどんなことを望んでおられるか告げてもいなかったからです。
+ そういうわけで、彼らの肉体の死はアダムの罪によるもので、彼らの罪のせいではありませんでした。アダムは人類を代表するという意味で、やがて来られるキリストの原型ですが、両者はなんと対照的でしょう。
+ 人間の罪と神の赦しとの間には、なんと大きな違いがあることでしょう。アダム一人の罪によって多くの人に死がもたらされました。しかし、イエス‧キリスト一人によって、多くの人に赦しがもたらされたのです。
+ つまりアダムの一つの罪が、多くの人に死の罰をもたらしました。一方、キリストは、無償で多くの罪を取り除き、その代わりにすばらしいいのちを下さるのです。
+ アダム一人の罪により、死はすべての人を支配するようになりましたが、神から、罪の赦しと無罪放免という無償の贈り物をいただく人はみな、イエス‧キリスト一人によって、いのちに支配されるようになります。
+ アダムの罪はすべての人に刑罰をもたらしましたが、キリストの義は、人々を神の前に正しい者とするのです。それで、人々は生きることができるのです。
+ 神に従わなかったアダムは多くの人を罪人にしましたが、神に従ったキリストは、多くの人を神に受け入れられる者としてくださいました。
+ 律法が与えられてから、すべての人は、自分がいかに神のおきてに従えない存在か、よくわかるようになりました。しかし、私たちは、自分の罪深さを知れば知るほど、赦してくださる神の満ちあふれる恵みが、いっそうわかるようになるのです。
+ 以前は、罪がすべての人を支配し、死に導きました。しかし今では、恵みが私たちを支配するようになり、主イエス‧キリストによって、私たちに神の前での正しい身分を与え、永遠のいのちへと導くのです。
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+ では、神がますます私たちを恵み、赦し続けることができるように、私たちは罪を犯し続けるほうがよいのでしょうか。
+ もちろん、絶対にそんなことはありません。罪に対して死んだのに、どうしてなお罪の中に生きていられるでしょうか。私たちがバプテスマ(洗礼)を受けてキリスト‧イエスに結び合わされた時、罪の支配力は打ち破られてしまったのです。
+ すなわち、罪を愛する古い性質は、キリストの死によって、キリストと共に葬り去られました。そして、父なる神が、栄光の力でキリストを復活させてくださった時、私たちはキリストの新しいいのちを与えられ、そのいのちに生きる者となりました。
+ 私たちがキリストに結び合わされて、キリストといっしょに死んだのなら、やがてキリストと同じように復活するのです。
+ 私たちの中にある古い性質の自分が、キリストと共に十字架につけられたのは、罪を愛する体が砕かれ、もはや罪の支配を受けず、二度と罪の奴隷にならないためです。
+ 罪に対して死んだ者は、どんな罪の誘惑や力からも自由にされるのです。
+ 罪を愛する古い性質がキリストと共に死んだのですから、確かに私たちは、キリストの新しいいのちを共有しているのです。
+ キリストは死者の中から復活されたので、もう二度と死ぬことはありません。死には、もはやキリストを支配する力がないのです。
+ キリストは、罪の力にとどめを刺すために、ただ一度死なれました。しかし今では、神との絶えることのない交わりの中に生きておられます。
+ ですから、あなたがたの古い罪の性質も、罪に対して死んだもの、反応しなくなったものとみなしなさい。そして、その代わりに、私たちの主イエス‧キリストに結ばれ、神に対して生きる者、神の御声に敏感に応答する者となりなさい。
+ これからはもう、あなたがたの死ぬべき体を罪の支配にゆだねて、その欲望に従ってはいけません。
+ 体のどんな部分をも、罪を犯す道具にしてはいけません。むしろ、自分自身を神にささげなさい。あなたがたは、死者の中から生かされた者であり、神に使っていただく良い道具として役立つ者となりなさい。
+ 罪は、二度とあなたがたを支配しません。なぜなら、あなたがたはもう律法に束縛されてはおらず、恵みの中にあって、自由の身となっているからです。
+ それでは、どうなのでしょう。律法を守ることによってではなく、恵みを受けることによって救われるのであれば、「罪を犯してもかまわないのだ」ということになるのでしょうか。絶対にそんなことはありません。
+ 知らないのですか。自分の主人は自分で選べるのです。死に至る罪を選ぶこともできれば、義(正しさ)に至る従順を選ぶこともできます。だれかに自分をささげれば、その相手があなたがたの主人となり、あなたがたは奴隷となるのです。
+ 神に感謝すべきことに、あなたがたは、以前は罪の奴隷になる生き方を選んでいましたが、
+ 今は、罪という古い主人から解放されて、義という新しい主人の奴隷になっているのです。
+ このように奴隷と主人にたとえてわかりやすく言うのですが、あなたがたはかつて、あらゆる罪の奴隷でしたが、今は、あらゆる正しいこと、きよいことに仕える奴隷とならなければなりません。
+ あなたがたは、罪の奴隷であった時には、良いことについては無関心でした。
+ その結果はどうだったでしょうか。自分がしていたことを考えるだけでも、恥ずかしくなるはずです。その行き着くところは、永遠の滅びでした。
+ しかし今は、罪の力から解放されて、神に仕える者になりました。そして、神があなたがたに下さる恵みによってきよくされ、永遠のいのちが与えられているのです。
+ 罪の支払う報酬は死です。しかし、神が下さる賜物は、私たちの主キリスト‧イエスによる永遠のいのちです。
+
+
+ キリストを信じるユダヤ人の皆さん。皆さんの知っている律法は死んだ人まで拘束しないことを知らないのですか。
+ 一例をあげれば、女性は結婚すると、夫が生きている限り、律法によって夫に束縛されています。しかし夫の死後は、もはや束縛されません。結婚の規定はもう適用されないのです。
+ ほかの男性と結婚したいなら、結婚してかまいません。そのようなことは、夫が生きているうちは罪ですが、夫の死後なら、やましいことは少しもないのです。
+ 同様に、かつて律法は、あなたがたの「夫」すなわち主人でした。しかし、あなたがたはキリストと共に十字架上で死んだのですから、律法との婚姻関係は解消されました。もう律法に支配されることはありません。そして、キリストの復活と同時に、あなたがたも復活し、新しい人になりました。今は、死者の中から復活された方と結ばれているのです。それは、神のために良い実を結ぶためです。
+ 私たちの古い性質がまだ生きていた時には、欲望が私たちの中で思うままにふるまい、神の命令に逆らって、罪深い行いという死に至る腐った実を結びました。
+ しかし、それらに捕らえられていた私たちは死んだのですから、今は文字による律法にわずらわされる必要はなく、新しい御霊によって神に仕えているのです。
+ 私が、律法は悪いものだと言っていると思いますか。絶対にそんなことはありません。それどころか、律法が私の罪を明らかにしてくれたのです。もし、「むさぼってはならない」という律法がなければ、私は自分の心にあるむさぼりを知らなかったでしょう。
+ ところが罪は、この律法を逆用して、このような欲望が悪いことをわからせながら、かえって、あらゆるむさぼりを、私のうちにかき立てました。律法さえなかったなら、罪を犯すこともなかったでしょう。
+ 私は、律法が何を要求しているかを知らなかった時には罪の自覚がありませんでした。しかし真実がわかった時、自分が律法を破っており、死を宣告された罪人であることがはっきりわかりました。
+ それで、私にとって、本来いのちの道を示してくれるはずの戒めが、かえって死の罰を科すものになってしまいました。
+ 罪は私をだましたのです。神の戒めを盾に取り、私を死罪に定めたのですから。
+ しかし、律法は聖なるものであり、戒めも聖であり、正しく、良いものです。
+ けれども、はたして納得できますか。私に死をもたらしたのは、ほかならぬ律法なのです。だとしたら、どうして律法が良いものでありえましょう。律法を利用して死罪をもたらしたのは、悪魔的なこの罪なのです。罪がどんなにずる賢く、恐ろしく、いまわしいものかわかるでしょう。自分の悪い目的のために、ぬけぬけと律法を利用するのですから。
+ 本来、律法は霊的なものであり、問題はむしろ罪ある私にあります。私は、罪という主人に、奴隷として売り渡されているのです。
+ 私は自分のしていることがわかりません。ほんとうは正しいことをしたいのに、できないのです。反対に、したくないこと、憎んでいることをしてしまいます。
+ 自分の行いが誤っていること、律法は良いものであることが、私にはわかっています。
+ ですから、したくないことをしているのは、もはや私ではなく、私のうちに巣くっている罪なのです。
+ 古い罪の性質のために、私は自分が腐敗しきっているのを知っています。正しいことを行いたいのに、どんなにもがいても、できないのです。
+ 良いことをしたいと思ってもできず、悪いことをしないように努めても、どうしてもやめられません。
+ 自分ではしたくないことをしているとすれば、問題点は明らかです。すなわち、罪がなおも私をしっかり捕らえているのです。
+ 正しいことをしたいと思っているのに、どうしても悪いことをしてしまう、そういう法則があるように思います。
+ 新しい性質をいただいた私としては、神のご意思どおり行いたいのですが、
+ 心の中に潜む悪い性質には別の力があって、それが私の心に戦いをいどみます。そして、ついに私を打ち負かし、いまだに私のうちにある罪の奴隷にしてしまうのです。私は、心では喜んで神に従いたいと願いながら、実際には、相変わらず罪の奴隷となっています。これが私の実情なのです。ああ、私はなんとみじめで哀れな人間でしょう。いったいだれが、この悪い性質の奴隷状態から解放してくれるのでしょうか。しかし、主イエス‧キリストのゆえに、ただ神に感謝します。キリストによって、私は解放されました。この方が自由の身にしてくださったのです。
+
+
+ こういうわけで、今は、キリスト‧イエスに属する人が罪の宣告を受けることはありません。
+ なぜなら、いのちを与える御霊の力が、罪と死の悪循環から解放してくれたからです。
+ 律法を知っているだけでは、罪の支配からは救い出されません。私たちはそれを守ることもできないし、実際守ってもいないからです。ところが、神は私たちを救うために、別の計画を実行に移されました。すなわち、神のひとり子を、私たちと同じ体を持つ者として〔ただ、私たちのような罪の性質を持たない点では異なりますが〕世にお遣わしになったのです。そして彼を、私たちの罪のためのいけにえとして、私たちをがんじがらめにする罪の支配を打ち破られたのです。
+ ですから今、私たちは聖霊に従って歩むなら、律法に従うことができるのです。そしてもはや、古い罪の性質の言いなりになることはありません。
+ 罪の性質に従っている人は自分を喜ばせようとしますが、聖霊に従って歩む人は、神に喜んでいただこうとします。
+ 聖霊に従って歩むならいのちと平安があり、古い罪の性質に従って歩むなら死が待っています。
+ 古い性質は神に敵対するからです。古い性質が律法に従ったことは一度もなかったし、これからも決してありません。
+ ですから、なおも古い自我に支配されて欲望に従い続ける者は、決して神をお喜ばせすることができないのです。
+ しかし、あなたがたはそうではありません。もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、新しい性質に支配されているのです。もしその人のうちにキリストの御霊が住んでおられないなら、その人はクリスチャンではありません。
+ もしキリストがうちに住んでおられるなら、古い自分は罪のために死んでも、キリストにあって新しい自分が生きるのです。
+ そして、もしイエスを復活させた神の御霊が、あなたがたのうちに住んでおられるなら、神はこの同じ御霊によって、あなたがたの滅ぶべき体をも生かしてくださるのです。
+ ですから、愛する皆さん。あなたがたの古い罪の性質がどんなことを要求しても、それに応じる必要は全くありません。
+ もし古い性質に従い続けるなら、道に迷い、やがて滅びるしかありません。しかし、もし御霊の力によってそれを打ち砕くなら、あなたがたは生きるのです。
+ 神の御霊によって導かれる者はだれでも、神の子どもだからです。
+ ですから私たちは、奴隷のようにいつもびくびくする必要はありません。神の家族の中に子どもとしてあたたかく迎え入れられたのですから、実の子どもらしくふるまい、神を「お父さん」と呼べるのです。
+ というのは、御霊が私たちに、あなたがたはほんとうに神の子どもであると語ってくださるからです。
+ 私たちは神の子どもですから、神の相続財産を受けるのです。神がひとり子イエスにお与えになったものは、今では私たちのものでもあるのです。私たちが神の子の栄光を共に受けるのなら、当然、その苦難をも共に受けなければなりません。
+ けれども、私たちがいま味わっている苦しみは、後に私たちが受ける栄光に比べたら、取るに足りないものです。
+ そして、神がお造りになったすべてのものが、神の子どもたちの復活を忍耐と希望をもって待ち望んでいます。
+ その日には、罪、死、腐敗など〔この世界は今、神の命令により、不本意ながらこれらのものに支配されていますが〕は跡形もなく消え去り、この世界は、神の子どもたちが喜びをもって味わうことができる、罪からの輝かしい解放にあずかるからです。
+ 私たちは、自然界もこのすばらしい日を待ち望みながら、苦しみうめいていることを知っています。
+ そればかりか、私たちクリスチャンでさえ、御霊を自分のうちにいただいて、将来の栄光を先取りしているにもかかわらず、罪からの完全な解放を待ち望んでうめいています。その日には、神が約束してくださった新しい体、すなわち、もはや苦しみも死もない体をいただくのです。
+ 私たちは、このように信じて待ち望むことで救われています。信じて待ち望むとは、今は持っていなくても、やがて与えられると確信して待つことです。すでに持っていると思う人は、神が与えてくださると期待したり、信じて待ち望んだりはしません。
+ しかし、まだ起こっていないことを待たなければならないのなら、忍耐をもって、確信して待ち望むのです。
+ 御霊も同じようにして、弱い私たちを助けてくださいます。私たちは、何をどのように祈ったらよいかさえわからないのですが、御霊は、ことばに表せないほどの深い同情と理解をもって、とりなしてくださるのです。
+ すべての人の心を知っておられる父なる神は、御霊が私たちのために、神ご自身のお心にかなう願いをささげてくださる時、その願いの意図をもちろん知っておられます。
+ 私たちは、神を愛し神のご計画のうちを歩んでいる人のためには、その身に起こることはすべて、神が益としてくださることを知っているのです。
+ というのは、神はあらかじめ、ご自分のもとに来る人を知っていて、そのような人々がご自分の御子と同じになるように、最初から定めておられたからです。それは、御子イエスを多くの主を信じる者たちの長子とするためでした。
+ 神はあらかじめ選んだ人々を招き、そして彼らの罪を赦し、義(正しい者)と認められた人々には、さらに栄光を与えると約束してくださいました。
+ こんなにすばらしい恵みに対して、いったい何と言ったらよいでしょう。神が味方なら、だれが私たちに敵対できるでしょうか。
+ 神は私たちすべてのために、たった一人の御子さえ惜しまずに、死に渡されたほどのお方ですから、ほかのすべてのものをも下さらないわけがあるでしょうか。
+ 神がご自分のものとして選ばれた私たちを訴えるのはだれですか。神ですか。とんでもない。神は私たちを赦し、義としてくださった方ではありませんか。
+ では、私たちを罪に定めるのはだれですか。キリストですか。とんでもない。キリストは私たちのために死に、復活し、今は神の右の座で、私たちのために祈っていてくださるお方ではありませんか。
+ では、いったいだれが、私たちをキリストの愛から引き離すことができるのでしょうか。災難や苦しみ、迫害ですか。飢えや貧乏、あるいは危険や剣ですか。
+ 聖書にこう書いてあるとおりです。「神のためには、いつでも死ねる心がまえでいなければならない。私たちは殺されるのを待つ羊のようだ。」
+ しかし、こうした中にあっても私たちは、いのちを投げ出してまで私たちを愛してくださったキリストによって、圧倒的な罪からの勝利を得るのです。
+ 神の愛から私たちを引き離すことができるものは何一つない、と確信しています。死もいのちも、そんなことはできません。天使にもできません。地獄の全勢力が結集しても、神の愛から私たちを遠ざけることはできません。恐れも、不安も同様です。
+ あるいは、私たちが空高くのぼっても、海の底深くもぐっても、どこにいようと、神の愛から私たちを引き離すことはできません。
+
+
+ 私の同胞であるイスラエルの人々、同国人であるユダヤ人の人たちがキリストのもとに来ることを、私はどんなに望んでいるでしょう。昼も夜も、彼らのことで心は重く、悲しみのあまり、胸も張り裂けんばかりです。彼らがキリストによって救われるためなら、私は永遠にのろわれてもかまいません。むしろ、のろわれたいくらいです。口先だけでこう言っているのでないことは、キリストも聖霊もご存じです。
+ 神は実に多くのものを与えてくださいました。それなのに彼らは、いっこうに神に聞き従おうとしません。神はユダヤ人たちをご自分の特別な民として選び出し、栄光に輝く雲によって導き、また、どんなに祝福したいと思っているかをお示しになりました。さらに、生きる上でのさまざまな規則も与えてくださったので、彼らは、神が自分たちに何を望んでおられるかを知ることができました。神はまた、彼らに神を礼拝することを教え、数々のすばらしい約束を与えてくださいました。
+ 彼らの先祖には、神を信じる偉大な人物がいます。キリストも、人間としての出生についてだけ言えばユダヤ人であり、彼らの同胞だったのです。このキリストこそ、すべてのものを支配しておられる方で、永遠にほめたたえられる神です。
+ それでは、ユダヤ人に対する神の約束は無効になったのでしょうか。そんなことはありません。ユダヤ人に生まれついた者がみな、真の意味でのユダヤ人だとは限りません。
+ 血筋の上でアブラハムの子孫だからと言って、真の意味でのアブラハムの子孫とは限りません。なぜなら、アブラハムにはイサクのほかにも子どもがいたが、神の約束が適用されるのは、イサクとその子孫だけであると聖書にあるからです。
+ つまり、アブラハムの子どもが全部神の子なのではなく、神がアブラハムにお与えになった救いの約束を信じる人々だけが神の子どもなのです。
+ 神はアブラハムに、「来年の今ごろ、わたしはあなたとサラに男の子を授けよう」と約束されました。
+ それだけでなく、彼の息子イサクの場合にも同じことが言えます。その妻リベカがみごもって、ふたごを産もうとしている時、神はリベカに、「兄が弟に仕える」
+ とお告げになりました。「わたしはエサウではなく、ヤコブを祝福する」とあるとおりです。神がこう宣言されたのは、彼らがまだ生まれてもおらず、まだ良いことも悪いこともしていなかった時のことです。このことからもはっきりわかるように、神は最初から決めておいたことを実行されたのです。彼らの行いによってではなく、神の意思と選びによって、すべてが決定されたのです。
+ では、神は不公平なのでしょうか。絶対にそんなことはありません。
+ 神はモーセにこう言われました。「わたしは、恵もうと思う者を恵み、あわれもうと思う者をあわれむ。」
+ したがって、神の祝福は、だれかがそれを得ようと決心したからとか、そのために努力したからといって与えられるものではありません。それは、神のあわれみによって与えられるものなのです。
+ エジプトの王パロの場合は、その良い例です。神はパロにこう言われました。「あなたにエジプトの国を与えたのは、わたしの恐るべき力をあなたに示すため、それによって、世界中の人々が、わたしの栄光ある名を耳にするためである。」
+ これでわかるように、神はみこころのままに、ある人々をあわれみ、ある人々を不従順な者とされるのです。
+ 「では、なぜ神は人々の不従順をお責めになるのでしょう」と、あなたがたは言いますか。「神のお考えどおりにしたのではありませんか」と。
+ そんなことを言ってはなりません。神を非難するあなたは、いったい何者なのですか。造られた者が造った者に、「なぜ私をこのように造ったのですか」などと言ってよいでしょうか。
+ ある人が粘土でつぼを作る時、その人は同じ粘土のかたまりを、一つは美しい花びんに、もう一つはふだん使いの容器に作り上げる権利を持っていないでしょうか。
+ そのように、どう考えても滅びるしかないような人々に対して、怒りと力を示す権利が神にないとでも言うのですか。しかも神は、これまでずっと忍耐してこられたのです。
+ 同時に神は、ユダヤ人であっても外国人であっても、ご自分の栄光のために呼び出し、あわれみを与えることで、神がどんなに偉大な方かをすべての人に示す権利を持っておられます。
+ 聖書のホセア書に何と書いてあるか、思い出してください。神は、こう言っておられます。「わたしは自分のために、ほかの子ら(ユダヤ人以外の家系の者)を見つけ出し、だれからも愛されたことのない、その子らを愛する。
+ そして、かつては『わたしの民ではない』と宣告された異教徒たちが、『生ける神の子ら』と呼ばれるようになる。」
+ またユダヤ人については、預言者イザヤがこう語りました。「たとえイスラエルの子どもの数が海辺の砂のように多くても、一握りの者しか救われない。
+ 主はおことばを完全に、しかもすみやかに、地上に成し遂げられる。」
+ イザヤはまた、ほかの箇所でこう語っています。「神のあわれみがなかったら、ユダヤ人はみな、ちょうどソドムやゴモラに住む人々が全滅したように、一人残らず滅ぼされたに違いない。」
+ では、どういうことになるでしょう。信仰によって与えられる神の救いを求めなかった外国人は、救いの機会を得ました。まさに、信仰による救いです。神は、信仰によって無罪とされる機会をお与えになりました。
+ 一方、ユダヤ人は律法を守ることによって、神の救いを追い求めようと努力したのに、それを得ることができませんでした。
+ なぜでしょう。信仰によってではなく、行いによって救われようとしたからです。彼らは、キリストというつまずきの石につまずいたのです。
+ このことについて、神は次のように警告しておられます。「わたしはユダヤ人の通り道に、一つの岩を置く。多くの者が、それ(イエス)につまずくであろう。しかし、この方を信じる者は、決して失望させられることがない。」
+
+
+ 愛する皆さん。私が心から願い、祈り求めているのは、同胞であるユダヤ人が救われることです。
+ 私は、彼らが神の誉れをどんなに熱心に求めているか、よく知っています。しかし、それは見当違いの熱心なのです。
+ というのも、彼らには、キリストが自分たちを神の前に正しい者とするために死んでくださったことが、わかっていないからです。そして、自分たちの正しさを認めさせようとして、神の救いの道に従わなかったのです。
+ 彼らが律法(旧約のおきてや戒律)を守ることによって手に入れようとしているすべてのものを、キリストはご自分を信じる人々に与えてくださいます。キリストは、律法を終結なさったのです。
+ モーセは、「神のおきてと定めを行う人は、それによって救われる」と書いています。
+ しかし、信仰を通して与えられる救いは、こう教えてくれます。「あなたは、キリストを見つけようと天を捜し回る必要も、助けていただこうと引き降ろす必要もない。」
+ また、「キリストをもう一度復活させようと、死者の中を歩き回る必要もない。」
+ というのは、キリストを信じることによって与えられる救いは、自分の心の中や口、まさに私たちのすぐ手の届くところにあるからです。
+ なぜなら、もし自分の口で、「イエス‧キリストは私の主です」と告白し、自分の心で、「神はイエス‧キリストを死者の中から復活させてくださった」と信じるなら、あなたは救われるのです。
+ 人は、心で信じることによって、神の前に正しい者とされ、その信仰を口で告白することによって救われるのです。
+ 聖書は私たちに、「主キリストを信じる者は、決して失望させられることがない」と教えています。
+ ユダヤ人と外国人との区別はありません。同じ主がユダヤ人にとっても外国人にとっても主であり、求める者にはだれにでも、恵みを惜しみなく与えてくださるからです。
+ 主の御名を呼び求める者は、だれでも救われるのです。
+ しかし、主を信じていなければ、どうして主に、「救ってください」と求めることができるでしょうか。また、主イエスのことを一度も聞いたことがなければ、どうしてそのお方を信じることができるでしょうか。だれかが教えてくれなければ、どうしてそのお方のことを聞けるでしょうか。
+ また、神に遣わされなければ、どうして人々のところへ出かけて教えることができるでしょうか。聖書に、「神との平和を宣べ伝え、良い知らせをもたらす人の足は、なんとうるわしいことか」とあるのは、まさにこのことです。
+ しかし、福音(キリストによる救いの知らせ)を耳にした人がみな、喜んで受け入れたわけではありません。預言者イザヤが、「主よ。彼らに語った時、だれが私のことばを信じましたか」と言っているとおりです。
+ 信仰は、キリストについてのことばに耳を傾けることから始まるのです。
+ しかし、ユダヤ人はどうなのでしょうか。彼らは神のことばを聞いたのでしょうか。もちろんです。神のことばは、彼らをどこまでも追いかけ、地の果てまでも告げ知らされたのですから。
+ さらにユダヤ人は、もし自分たちが神の救いを拒むなら、その救いはほかの人々に与えられることを知っていたのでしょうか。もちろん知っていました。というのは、その昔モーセの時代に、すでに神はこう告げておられたからです。「わたしは、無知な異教の諸国民に救いを与えることで、わたしの民にねたみを起こさせ、その目を覚まさせよう。」
+ 後に、イザヤも大胆にこう言っています。「捜し求めもしなかった人々によって神は見いだされる。」
+ その一方、神はユダヤ人に、なお手を差し伸べ続けておられるのですが、彼らは反抗して、神のもとに行こうとしないのです。
+
+
+ では、神はご自分の民であるユダヤ人を退け、見捨ててしまわれたのでしょうか。決してそんなことはありません。この私もユダヤ人であり、アブラハムの子孫、ベニヤミン族の一人であることを忘れないでください。
+ 神はもちろん、最初から選んだご自分の民を見捨てたわけではありません。聖書には何と書いてあるでしょうか。預言者エリヤはユダヤ人を告発し、彼らが他の預言者たちを殺し、神の祭壇をこわしたことを神に訴えています
+ 。「今なおあなたを愛する者は、この国中で私一人です。その私も、殺されそうなのです」と。
+ それに対して神が何とお答えになったか、覚えていますか。「いや、あなただけではない。わたしには、なおもわたしを愛し、偶像を拝んだことのない人がほかに七千人いる。」
+ それと同じように、神の恵みによって選ばれ、救われている人々が少数ながらいるのです。
+ しかし、それは神の恵みによるのであり、彼らの行いによるのではありません。そうでなければ、恵みが恵みでなくなってしまいます。
+ 大部分のユダヤ人は、追い求めていた神の恵みを得ることができませんでした。恵みを得たのは、神に選ばれた少数の者だけでした。ほかの人々は心を閉ざされてしまったのです。
+ ダビデも同じことを言っています。「食卓のごちそうや、さまざまの祝福は彼らのわなとなれ。彼らを、『神とは万事うまくいっている』という思いにさせよ。これらの良いものがはね返って来て、彼らの頭上に落ち、当然の報いとして彼らを押しつぶすがいい。
+ これは、神がご自分の民であるユダヤ人を退けてしまわれたことを意味するのでしょうか。絶対にそんなことはありません。神の目的は、このことによって神の救いが外国人にも及び、その結果、ユダヤ人がねたんで、自分でも救いを求めるようになることにあったのです。
+ 考えてごらんなさい。彼らが神の救いにつまずき、それを拒んだことによって、全世界が豊かに恵まれたのです。とすれば、後にユダヤ人がキリストに立ち返る時には、どんなにすばらしい祝福がもたらされることでしょう。
+ 外国人の方々に言いますが、神は私を、あなたがた外国人への使徒に任命してくださったので、私はそれを大切な使命としています。
+ しかし何とかして、ユダヤ人にも、あなたがた外国人が持っているものを求めさせ、幾人かでも救いたいのです。
+ 彼らがクリスチャンになったら、どんなにすばらしいでしょう。神がユダヤ人から御顔をそむけられたために、神の救いが、世界のユダヤ人以外の人々に差し出されたのです。とすれば、ユダヤ人がキリストに立ち返るなら、もっとすばらしいことが起こります。それはちょうど、死者が生き返るようなものです。
+ アブラハムや預言者は神の民なのですから、その子孫もまた神の民となるはずです。木の根がきよければ、その枝もきよくなるはずだからです。
+ ところが、アブラハムの子孫という、オリーブの木の幾枝かが折り取られ、そして、いわば野生のオリーブの木の枝であった外国人のあなたがたが、それにつぎ木されました。それで今、あなたがたも、神がオリーブの木に注がれる、特別に豊かな滋養分にあずかって、アブラハムとその子孫とに約束された祝福をいただいているのです。
+ ですから、折り取られた枝の代わりにつぎ木されたことを、誇ってはいけません。あなたがたは枝であって、根があなたがたを支えているからです。
+ あなたは、「前の枝が折られたのは、私に場所を譲るためだった。とすれば、私はかなりいい人間に違いない」と考えるかもしれません。
+ 気をつけなさい。ユダヤ人のその枝が折り取られたのは神を信じなかったからであり、あなたがたがつぎ木されたのは、ただ神を信じたからです。このことを忘れないようにしなさい。高ぶってはいけません。むしろ、謙虚になって神を恐れなさい。
+ もし神が台木の枝を惜しまなかったとすれば、ましてや、神をもはや信じないあなたがたを惜しむことはなさらないでしょう。
+ 神がどんなに恵み深く、また、どんなにきびしい方かを考えてみなさい。神は不従順な者にはきびしく、神を愛し、信じる者には恵み深いお方です。もし神を愛さず、信じないなら、あなたがたもまた切り取られてしまうのです。
+ 一方、ユダヤ人が不信仰な生き方をやめて神に立ち返るなら、神はまた、もとの木についでくださいます。神には、そうする力があるのです。
+ あなたがたは野生のオリーブの木の一部として、神から遠く離れた存在でしたが、神は受け入れ、ご自分の良い木についでくださったのです。とすれば、もともとその木の枝であったユダヤ人は、もっとたやすく神の台木につぎ木されるのではないでしょうか。
+ 愛する皆さん。この神の真理を知っていただきたいのです。そうすれば、高ぶったり、自慢したりすることもないでしょう。確かに今、ユダヤ人のある者はこの救いの真理に反対していますが、そのような状態が続くのは、あなたがた外国人のうち、救いを願う者がすべてキリストのもとに来るまでの間にすぎません。
+ その時が来れば、イスラエルはみな救われます。このことについて、預言者は何と言っているでしょう。「一人の救い手がシオンから出て、ユダヤ人をあらゆる不敬虔から立ち返らせる。
+ 今のところ、ユダヤ人の多くは福音に敵対し、それを憎んでいます。しかし、そのことはかえって、あなたがたには益となりました。というのは、神がその救いの賜物をあなたがた外国人に与えてくださることになったからです。しかし彼らユダヤ人は、神がアブラハム、イサク、ヤコブにお与えになった約束のゆえに、今でも愛されているのです。
+ 神の賜物と招きは決して取り消されないからです。
+ あなたがたは以前は神に逆らっていましたが、ユダヤ人が神の賜物を拒んだので、代わりに神のあわれみを受けることになりました。
+ そして今、ユダヤ人は神に逆らっていますが、いつの日か彼らもまた、あなたがたの受けている慈しみとあわれみを共に受けるようになるのです。
+ なぜなら、神はすべての人を同じようにあわれもうとして、すべての人が不従順の罪に落ちるままにされたからです。
+ ああ、なんとすばらしい神を、私たちは信じていることでしょう。その知恵と知識と富は、なんと豊かなことでしょう。神のなされる方法を理解することなど、とうていできません。
+ いったいだれが、主のお心を知ることができますか。だれが、主のご計画の相談に加わるほどの知識を持っていますか。
+ また、いったいだれが、主から報いがいただけるほど十分に主にささげましたか。
+ というのは、すべてのものは神から出て、神に生かされ、神の栄光のために存在しているからです。どうか、この神に栄光がとこしえにありますように。
+
+
+ 愛する皆さん。そういうわけですから、あなたがたにお願いします。あなたがたの体を、神に喜んでいただける、生きた、きよい供え物としてささげてください。それが神への礼拝となるのです。
+ この世の人々の生活や考え方をまねてはいけません。むしろ、神に喜ばれることは何かを思いながら、なすこと考えることすべての面で生き生きとした、全く新しい人となりなさい。
+ 私は使徒として、あなたがた一人一人に警告します。自分を過大に評価してはいけません。神から与えられている信仰に応じて、慎み深くありなさい。
+ 人の体には多くの器官があるのと同じように、キリストの体である教会にも、多くの器官があります。私たちはみな、キリストの体の各器官です。その体が形造られるには、私たちが必要です。というのは、それぞれが異なった役割を果たすからです。ですから、私たちは互いに依存し合っており、だれもがほかのすべての人を必要としているのです。
+ 神は一人一人に、何かすぐれた賜物を授けてくださっています。ですから、預言する(神に託されたことばを語る)賜物を授かっているなら、預言しなさい。
+ 他の人々に仕える賜物を授かっているなら、快く仕えなさい。教える立場にあるなら、よく教えなさい。
+ 説教をする人であれば、人の助けとなるように説教しなさい。多くのものを与えられているなら、惜しみなく分け与えなさい。管理者としての賜物を与えられ、人々を監督する立場にあるなら、その責任を誠実に果たしなさい。悲しんでいる者を慰める賜物のある人は、喜んでそうしなさい。
+ 見せかけだけで人を愛してはいけません。真心から愛しなさい。悪いことを憎み、良いことには賛成しなさい。
+ 兄弟のような愛情で互いに愛し合い、また、心から尊敬し合いなさい。
+ 決して仕事を怠けず、熱心に主に仕えなさい。
+ あなたがたのために神が計画しておられることすべてを喜びなさい。困難に耐え、常に祈りなさい。
+ 仲間が困っている時には、助けてあげなさい。客を家に招いてもてなし、宿が必要なら泊めてあげるようにしなさい。
+ 迫害されても、のろってはいけません。むしろ、神がその人を祝福してくださるように祈ってあげなさい。
+ だれかが幸せで喜んでいる時には、いっしょに喜んであげなさい。悲しんでいる人がいたら、いっしょに悲しんであげなさい。
+ 互いに心を一つにし、楽しく働きなさい。高ぶってはいけません。偉い人に取り入ろうとせず、かえって、身分の低い人々と喜んで交際しなさい。何でも知っているなどと思い上がってはいけません。
+ 悪いことをされても、決して仕返しをしてはいけません。だれが見ても、あなたがたの正直さを認めるように行動しなさい。
+ だれとも争ってはいけません。できる限り、あらゆる人と仲よくしなさい。
+ 愛する皆さん。決して自分で復讐してはいけません。復讐は神に任せなさい。なぜなら、神が、「当然報復を受けなければならない人には、わたしが報復する」と言っておられるからです。
+ むしろ、あなたの敵が飢えていたら、食べさせてやりなさい。のどが渇いていたら、飲ませてやりなさい。そうすることによって、あなたは、「敵の頭上に燃えさかる炭火を積む」ことになります。つまり彼は、あなたにしてきたことを思って、恥じ入るようになるのです。
+ 悪に負けてはいけません。かえって、善を行うことによって悪に打ち勝ちなさい。
+
+
+ 上に立つ権威に従いなさい。神がお立てになった権威だからです。神によらない権威はどこにもありません。
+ ですから、国の法律に従わない者は、神に従うことを拒んでいるのです。その人は必ず罰せられます。
+ 正しいことをしている人は支配者を恐れません。しかし、悪いことをしている人は、いつも支配者を恐れるのです。ですから、びくびくしたくなければ正しいことを行いなさい。そうすれば安心して過ごせます。
+ 支配者は、あなたを助けるために、神から遣わされているのです。しかし、何か悪いことをしていれば、支配者はあなたを罰するでしょうから、当然、恐れなければなりません。そのためにこそ、彼は神から遣わされているのです。
+ 法に従う理由は二つあります。第一に、罰を受けないためであり、第二に、良心がそれを守るべきだとわかっているからです。
+ 同じ理由で、税金も納めなさい。公務につく人々が国民のために、神から与えられた仕事を続けるには、給料が必要だからです。
+ 支払うべきものは、だれにでも支払いなさい。納税の義務をすすんで果たし、上に立つ人々に従い、敬うべき人を敬い、重んじるべき人を重んじなさい。
+ 借りがあれば、全部返しなさい。ただし、互いに愛し合うことだけは別です。というのは、人を愛することは、神のすべての律法、すべての要求にかなうことだからです。
+ 自分を愛するように隣人を愛していれば、その人を傷つけたり、だましたり、殺したり、その人のものを盗んだりしたいとは思わないでしょう。またその人の妻と罪を犯すとか、その人のものを欲しがるといった、「十戒」で禁じられていることは何一つしないでしょう。このように、「姦淫するな、殺すな、盗むな、むさぼるな」という戒めは、「自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」という一つの戒めに含まれるのです。
+ 愛はだれにも悪を行いません。だからこそ、愛は神の要求をすべて完全に満たすのです。愛こそ、あなたがたに必要なただ一つのおきてです。
+ 正しい生活をしなければならない、もう一つの理由があります。それは、今や終末に近づいており、時はどんどん過ぎているからです。目を覚ましなさい。初めに信じたころより、今はいっそう主の来られる時が近いのです。
+ 夜はふけ、昼がすぐそこまで近づいています。ですから、暗闇に属する悪い行いを捨てて、昼間にふさわしく生きるため、正しい生活という武具で身を固めなさい。あなたがたの行為は正しいとだれからも認められるよう、何をするにも、りっぱに、誠実にふるまいなさい。遊び騒いだり、酔っぱらったり、性的な欲望のとりこになったり、争ったり、ねたんだりして時間を浪費してはなりません。
+ 当然なすべき正しい生活ができるように、主イエス‧キリストに助けを求めなさい。悪を楽しむような計画を立ててはいけません。
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+ あなたがたの仲間に加わりたいという人がいたら、たとえ信仰の弱い人であっても、心を開いて迎え入れなさい。考えが違うからといって批判してはいけません。
+ 偶像に供えられた肉を食べてもよいかどうかで議論してはいけません。あなたがたは、偶像に供えられた肉を食べても別に悪くはないと信じているかもしれません。しかし、ほかの人たちの信仰はもっと弱いのです。彼らは、偶像に供えられた肉を食べるのは悪いとして肉を食べず、むしろ野菜を食べるほうがよいと思っています。
+ 肉を食べてもよいと思っている人は、食べない人を見下してはいけません。また、食べない人も食べる人を非難してはいけません。神はそのどちらをも受け入れて、ご自分の子どもとしてくださったからです。
+ どちらも神に仕えているのであって、人に仕えているわけではありません。神に対して責任を負うのであって、人に対して責任を負うのではありません。正しいか、まちがっているかは、神がその人に教えてくださるはずです。
+ ある人は、神を礼拝する特別な日として、クリスチャンもユダヤ教の祝祭日を守るべきだと考えています。しかし、他の人は、どの日もみな同様に神の日なのだから、いちいちそんな面倒なことをするのはまちがっている、と言います。こうした問題については、一人一人が自分で判断しなければなりません。
+ もし、主を礼拝するために特別な日を守っているなら、主をあがめようとしてすることなので、良いことなのです。偶像に供えた肉を食べる人についても、同じことが言えます。彼はその肉のことで主に感謝しているのですから、正しいのです。そんな肉には触れようともしない人もまた、主に喜んでいただこうと願うからそうするのであって、感謝しているのです。
+ 私たちは、自分のために存在しているのではなく、主のために存在しているのです。
+ 私たちは主のものであり、生きるにしても死ぬにしても主に従うのです。
+ キリストが死んで復活したのは、私たちが生きている時も死んでいる時も、キリストが私たちの主となられることでした。
+ あなたがたには、自分の兄弟(信仰を同じくする人)を批判したり、見下したりする資格はありません。だれもが神のさばきの座の前に立つことを、忘れてはなりません。
+ 次のように書いてあるとおりです。「主は言われる。わたしは生きている。すべてのひざは、わたしの前にかがめられ、すべての舌は、神に告白する。」
+ このように、一人一人が、神の前に申し開きをすることになります。
+ ですから、これからはもう批判し合うことのないようにしましょう。むしろ、人をつまずかせないようにすることを心がけましょう。兄弟が「悪いことだ」と信じていることを目の前で行って、彼をつまずかせてはいけません。
+ 私が主イエスの権威に基づいて確信しているのは、それ自体汚れているものは何一つないということです。ですから、偶像に供えた肉を食べることは悪くありません。しかし、それを悪いと信じている人がいるなら、悪いことは避けるべきですから、その人は食べてはいけません。
+ 兄弟があなたの食べる物のことで心を痛めているのに、平気でいるとしたら、愛によって行動しているとは言えません。あなたの食べる物のことで人を滅ぼしてはなりません。その人のためにも、キリストは死なれたのです。
+ たとえ自分の行為は正しいとわかっていても、人の批判の的になるようなことをしてはなりません。
+ 私たちクリスチャンにとって大切なのは、何を食べるか、何を飲むかではなく、義と平安と聖霊から来る喜びとに満ちあふれているかどうかだからです。
+ このようにキリストに仕えてこそ、神に喜ばれ、また、人々にも喜ばれるのです。
+ こうして、教会においては平和をはかり、互いに助け合って成長するように努めましょう。
+ 食べ物の問題で、神の働きを台なしにしてはなりません。肉そのものは悪くなくても、それが他人のつまずきとなるなら、肉を食べるのはよくないということを忘れないでください。
+ 肉だけに限りません。飲酒でも、そのほか何でも、兄弟のつまずきになるようなことをしないのは正しい行いです。
+ 自分のしていることが神の目から見て潔白だと思っていても、その確信は心にしまっておきなさい。正しいと思うことをして、それが罪を犯すことにならない人こそ幸せです。
+ しかし、「自分がしようとしていることは悪いことだ」と思いつつしている人は、してはなりません。悪いと思うことをするのは、すべて罪です。
+
+
+ 何かをする場合、ただ自分の喜びのためにするのはよくありません。それは悪いことではないかと疑問や不安を持つ人を思いやり、そういう弱さを持つ人々の「重荷」を軽くしてあげなさい。そして、人の益になることをし、その人が主にあって成長できるよう支えましょう。
+ キリストも、ご自分を喜ばせようとはなさいませんでした。「彼が来られたのは、実に、敵対する者たちの侮辱を受けて苦しむためであった」と、詩篇の作者が言っているとおりです。
+ ずっと昔に書かれたこのことばは、私たちに忍耐を教え、励ますためのものです。また、神が死と罪の力とを打ち破ってくださる時を、私たちが待ち望むためのものです。
+ どうか、強い忍耐力と励ましを与える神が、あなたがたが一つ思いとなって暮らしていけるよう、助けてくださいますように。一人一人がキリストの模範にならって互いに接することができますように。
+ そうして初めて、私たちはみな、主イエス‧キリストの父なる神をほめたたえ、声を合わせて賛美できるのです。
+ そういうわけですから、キリストがあなたがたを受け入れてくださったように、あなたがたも互いにあたたかく受け入れ合いなさい。そうすれば、神がほめたたえられるのです。
+ イエス‧キリストが来られたのは、神がご自分の約束に対して誠実な方であることを示すため、また、ユダヤ人を助けるためであったことを思い出してください。
+ それはまた、外国人も救われて、自分たちに対する神のあわれみのゆえに神をほめたたえるためでもあったことを、思い出してください。次のように書かれているとおりです。「私は外国人の中で、あなたを賛美し、あなたの御名をほめ歌おう。」
+ また、ほかの箇所にはこうあります。「外国人よ。主の民であるユダヤ人と共に喜べ。」
+ 「外国人よ。主をほめたたえよ。すべての人よ。主をほめたたえよ。」
+ また、預言者イザヤはこう言っています。「エッサイの家系に一人の世継ぎが生まれる。その方は外国人を治める王となる。彼らは、ただこの方だけに望みをかける。」
+ そこで、私はあなたがた外国人のために祈ります。どうか、希望を与えてくださる神があなたがたを幸せにし、平安で満たしてくださいますように。どうかあなたがたを、聖霊の力によって希望にあふれさせてくださいますように。
+ 私の兄弟たちよ。あなたがたが知恵に満ち、善意にあふれていること、そして、これらを他の人々に教えることができるほどよくわきまえていることを、私は知っています。
+ それにもかかわらず、私が所々かなり大胆に強調して書いたのは、あなたがたにそのことを思い起こしてもらいたかったからです。私は神の恵みにより、あなたがた外国人のためにキリスト‧イエスに仕える者であって、福音を伝え、かおり高い供え物として、あなたがたを神にささげる務めを果たしているのです。あなたがたは聖霊によって、きよい者、神に喜ばれる者とされています。
+ それで、キリスト‧イエスが私を用いてなしてくださったことを、誇りに思っています。
+ 私は、ただ外国人を神に導くために、キリストが私を役立ててくださったということだけを話します。他のことについて、何も言うつもりはありません。私は、ことばと活動、
+ および、私を通してなされた奇跡と御霊の力によって、外国人を神に導いてきました。このようにして私は、エルサレムからイルリコに至るまで、キリストの福音をくまなく伝えてきました。
+ すでに、だれかほかの人によって伝道がなされている所ではなく、むしろ、キリストの名をまだ一度も聞いたことがない人々の所で、福音を宣べ伝えたいと切に望みました。
+ イザヤが、「彼(キリスト)の名を一度も聞いたことのない人々が見て理解するようになる」と言っているとおりに働いてきたのです。
+ このような事情のもとで、私はこれまで、あなたがたの所に行けませんでした。
+ しかし、もうこちらでの働きも終わり、長いあいだ待ったかいがあって、とうとうそちらに行けそうです。
+ 実は今、スペインでの伝道を計画しています。その途中、ローマに立ち寄るつもりです。そして、わずかな間でも、共に心の満たされた時を過ごしてから、あなたがたに送られて、旅を続けたいと願っています。
+ しかし、その前に、エルサレムに行かなければなりません。そこにいるユダヤ人のクリスチャンに、献金を届けるためです。
+ ご存じのように、マケドニヤとアカヤのクリスチャンが、いま困難に会っているエルサレムのクリスチャンのために、募金することにしたからです。
+ 彼らは、それを喜んでしてくれました。エルサレムのクリスチャンには大きな借りがあると思っているのです。どうしてかわかりますか。福音がエルサレムの教会から伝えられたからです。彼らはエルサレム教会から、福音というすばらしい霊の贈り物を受けました。そこで、いくらかでも物質的な援助をして恩返しができればと願っているのです。
+ それで私は、この献金を渡し終えてから、スペインに行く途中で、あなたがたを訪ねたいと思っています。
+ その時にはきっと、主からの大きな祝福を分かち合えるでしょう。
+ どうか、私の祈りの友になってください。主イエス‧キリストのゆえに、また、聖霊によってあなたがたが私を愛する愛のゆえに、私の働きのため、共に精一杯祈ってください。
+ エルサレムにいる、クリスチャンでないユダヤ人から、私が守られるよう祈ってください。また、私の持って行くお金を、エルサレムの教会が喜んで受け取ってくれるようにも祈ってください。
+ そうすれば私は、神の御心により、喜びにあふれてあなたがたの所に行き、互いに励まし合うことができます。
+ どうか、平安を与えてくださる神が、あなたがた一同と共にいてくださいますように。アーメン。
+
+
+ ケンクレヤの町出身の、愛する姉妹(信仰を同じくする女性)フィベが、そのうちあなたがたを訪れるでしょう。彼女は教会の執事として熱心に働いてきた人です。
+ どうか、主にある姉妹として、あたたかく歓迎してあげてください。できることは何でもして、助けてあげてください。この人はこれまで、私も含めて、多くの困っている人を助けてきてくれたのです。
+ 私の同労者としてキリスト‧イエスのために働いてきたプリスカとアクラによろしく伝えてください。
+ この夫婦は、いのちをかけて私を守ってくれました。感謝しているのは、私だけではありません。どの外国人教会でも、この二人には感謝しています。
+ また、礼拝のために二人の家の教会に集まっている人々にも、よろしく伝えてください。私の親しい友であるエパネトによろしく。この人は、アジヤで真っ先にクリスチャンになった人です。
+ 骨身を惜しまず働き、助けてくれたマリヤにもよろしく。
+ それから、私の親類で、私と共に投獄されたこともあるアンドロニコとユニアスがそちらにいます。彼らは使徒たちにも尊敬されており、私よりも先にクリスチャンになった人たちです。どうぞ、この二人にもよろしく伝えてください。
+ 神の子どもの一人として私が愛しているアムプリアトによろしく。
+ また、私の同労者ウルバノと、愛するスタキスとによろしく。
+ それに、アペレがいます。主によって認められているりっぱな人です。よろしく伝えてください。またアリストブロの家で働いている人たちによろしく。
+ 私の同郷のヘロデオンによろしく。ナルキソの家で働いている人たちによろしく。
+ 主のために働いているツルパナとツルポサによろしく。また、主のために大変な苦労をした愛するペルシスによろしく。
+ 主がご自分のものとしてお選びになったルポスによろしく。また愛する彼の母上にもよろしく。彼女は、私にとっても母でした。
+ どうか、アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマス、いっしょにいる他の兄弟たちによろしく伝えてください。
+ フィロロゴ、ユリヤ、ネレオとその姉妹、オルンパ、および、いっしょにいるすべてのクリスチャンに、私の愛を伝えてください。
+ 互いに親しみをこめてあいさつを交わしてください。こちらのすべての教会が、皆さんによろしくと言っています。
+ この手紙を終える前に、もう一つ言っておきたいことがあります。キリストについて今まで学んできたことに反することを教えて、分裂を引き起こし、人々の信仰をくつがえすような人たちから離れなさい。
+ そのような教師たちは、主イエスのために働いているのではなく、自分の利益を求めているのです。彼らは口が達者なので、純朴な人たちはしばしばだまされるのです。
+ しかし、あなたがたが忠実であり、また真実であることは、だれもが知っています。ほんとうにうれしいことです。私は、あなたがたがいつも、何が正しいかについては鋭敏で、一方、いかなる悪にもうとい者であってほしいと願っています。
+ 平和の神はすぐにも、サタンをあなたがたの足の下に踏み砕いてくださいます。どうか、私たちの主イエス‧キリストからの祝福が、あなたがたと共にありますように。
+ 私の同労者テモテと、私の親類のルキオ、ヤソン、ソシパテロが、皆さんによろしくと言っています。
+ ここで、この手紙の代筆を務めた私テルテオも、主にあって皆さんにごあいさつ申し上げます。
+ ガイオも皆さんによろしくと言っています。私は今、彼の家で世話になっています。教会はそこで集会を開いているのです。市の収入役であるエラストと、クリスチャンの兄弟クワルトも、皆さんによろしくと言っています。
+ では、これで。私たちの主イエス‧キリストの恵みが、あなたがた一同と共にありますように。アーメン。
+ 私が語った福音にあるとおり、神はあなたがたを強め、不動のものとしてくださるお方です。この福音は、世の初めから秘密にされてきたものですが、今、預言者たちのことばどおり、また神の命じられたとおり、世界中の人がキリストに従うようになるために、至る所に伝えられています。ただ一人の知恵に満ちた神に、私たちの主イエス‧キリストによって、栄光がとこしえまでありますように。アーメン。パウロ
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+ 神に選ばれて、キリスト‧イエスを宣べ伝える使徒となったパウロと、信仰の友ソステネから、
+ 神の民として招かれ、キリスト‧イエスによって神に受け入れられる者とされたコリント教会の皆さん、および主イエス‧キリストの御名を至る所で呼び求めているクリスチャンの方々へ。この主は、私たちの主であると共に、すべての人の主です。
+ どうか、父なる神と主イエス‧キリストが、あなたがたをあふれるほど祝福し、すばらしい平安を与えてくださいますように。
+ 神様があなたがたにお与えになったすばらしい恵みを思う時、感謝せずにはいられません。あなたがたは、キリストのものとなったのです。
+ キリストは、あなたがたの生活とすべてのことを充実させ、キリストについて大胆に語る力や、真理を十分に理解する力を与えてくださいました。
+ 以前、私が、キリストはきっとそうしてくださると話しておいたとおりでしょう。
+ 今、あなたがたは、あらゆる恵みと祝福とを手にしたのです。主イエス‧キリストが来られるのを待ち望んでいるこの時、主のお心にかなったことをするのに必要な、あらゆる霊の賜物と力とが、あなたがたには備わっています。
+ そして、主が再び来られるその日に、あなたがたが罪も欠点もない者と認められるように、主は最後まで責任をもって守ってくださいます。
+ この神の約束は確かです。神様はいつでも、語られたことをそのとおり実行されるからです。この神様があなたがたを、神の子、すなわち主イエス‧キリストとのすばらしい交わりに招き入れてくださったのです。
+ しかし、愛する皆さん、私は主イエス‧キリストの御名によってお願いします。仲間同士の争いはやめなさい。教会の中で仲間割れなどしないよう、真の一致を保ってください。同じ考え、同じ目的で結ばれて、一つ心になってほしいのです。
+ 実は、クロエの家の者が知らせてくれたのですが、あなたがたの間には、対立や反目があるそうではありませんか。
+ ある人は「私はパウロの弟子だ」と言い、また、ある人は「私はアポロの弟子だ」とか「私はペテロの弟子だ」と言い、また、ある人は「自分たちだけがキリストの真の弟子だ」と言っているそうですね。
+ そのように言い争って、キリストを分割するつもりですか。このパウロが、あなたがたの罪のために死にましたか。あなたがたのだれが、私の名によってバプテスマ(洗礼)を受けたでしょうか。
+ いま私は、あなたがたのところで、クリスポとガイオのほかには、だれにもバプテスマを授けなかったことを心から感謝しています。
+ 私が新しく、パウロの教会を起こそうとしていたなどと考えられてはたまらないからです。
+ ステパナの家族にもバプテスマを授けましたが、そのほかは、だれにも授けた覚えはありません。
+ キリストが私をお遣わしになった目的は、バプテスマを授けさせることではなく、福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を宣べ伝えさせるためです。私の説教は貧弱に聞こえるかもしれません。難しいことばを使ったり、高尚な考えを述べたりしないからです。それは、キリストの十字架の教えの単純さに込められているすばらしい力を、そんなもので薄めてはならないと考えているからです。
+ 「イエス様は私たちを救うために死んでくださった」ということばが、滅びゆく人々にはどんなに愚かに響くか、私にはよくわかっています。しかし、救われた私たちは、これが神の力そのものであると認めるのです。
+ なぜなら、神様はこう言われるからです。「わたしは、たとえ人の目にはどんなにりっぱに見える計画でも、人間の側の救いの計画をことごとく打ちこわし、最も才気あふれる人の、最もすぐれた考えをも無視する。」
+ こうした知者、学者、この世の論客たちについては、何と言われているでしょう。神様は、彼らを愚か者とし、彼らの知恵など無用の長物としました。
+ この世がいかに人間のすぐれた知恵を結集しても神を見いだせないのは、神のお考えによることです。そして神様は、愚かで話にならないような神のことばを信じる人を、救うことにされたのです。
+ これは、ユダヤ人にはつまずきに思われるでしょう。彼らは、正しさを証拠立てるような、天からのしるしを求めているからです。また、ギリシヤ人には愚かと思われるでしょう。彼らは、理性で納得できるか、賢明と思われることしか信じないからです。
+ それで、人々を救うために死なれたキリストについて話すと、ユダヤ人は腹を立て、外国人は「まるで無意味だ」と言うのです。
+ しかし神は、ユダヤ人でも外国人でも、救いへと招かれた人々の目を開いて、キリストこそ彼らを救う偉大な神の力であることを悟らせてくださいました。実に、キリストご自身こそ、人々を救うための、神の知恵に満ちたご計画の中心なのです。
+ この「愚かしい」神の計画は、最高の知者の最も賢明な計画より、はるかにすぐれたものです。また、キリストの十字架上の死という神の弱さは、どんな人間の強さよりも強いのです。
+ 愛する皆さん。自分たちの仲間を見回してごらんなさい。キリストに従うあなたがたの中には、知者や権力者や地位の高い人はほとんどいません。
+ それどころか、神様は、この世では愚かな者、弱い者と思われている人々をあえてお選びになりました。それは、この世で知恵ある者、りっぱな人とされている人々を辱しめるためです。
+ 神様は、この世で見下されている者、取るに足りない者を選び、そういう人々を役立てることによって、力を持っている人を無きに等しい者とされたのです。
+ ですから、どこのだれであっても、神の前で誇ることはできません。
+ というのは、神によってあなたがたはキリスト‧イエスのいのちを得たからです。キリストは、神の救いの計画を明らかにしてくださいました。私たちを神に受け入れられる者としてくださったのは、このキリストでした。この方は、私たちを聖なる者とし、また、私たちを買い取るために、ご自身を投げ出されたのです。
+ 聖書の、「だれでも誇ろうとする者は、主のなさったことだけを誇れ」ということばどおりになるためです。
+
+
+ 愛する皆さん。私が初めて皆さんのところへ行った時、神のことばを伝えるのに、難しいことば遣いをしたり、高度な理論をふりまわしたりはしませんでした。
+ イエス‧キリストと、その十字架上の死以外は語るまいと決心したからです。
+ 私は弱々しく、おずおずと震えおののきながら、あなたがたのところへ行きました。
+ また私の説教も、説得力ある雄弁なことばや人間的な知恵にはほど遠く、単純そのものでした。しかし、そのことばには神の力があって、聞く人々は、それが神からのことばだとわかったのです。
+ 私がそうしたのは、あなたがたの信仰が、人間のすぐれた思想にではなく、神に根ざしてほしかったからです。
+ とはいえ、成長したクリスチャンの間では、私はすぐれた知恵のことばを語ります。しかしそれは、この地上の知恵ではなく、また滅ぶべき運命にある、この世の支配者の気に入る知恵でもありません。
+ 私たちのことばに知恵があるのは、それが神から出た教えで、天の栄光に導く、神の知恵に満ちた計画を告げるものだからです。私たちの語ることは、以前は隠されていましたが、世界の始まる前から私たちのために備えられていたものです。
+ しかし、この世の支配者たちは、このことを理解しませんでした。もし理解していたら、まさか栄光の主を十字架につけるようなことはしなかったでしょう。
+ まさに、聖書の次のことばどおりです。「人が、これまで見聞きしたことも、想像したこともないほどすばらしいことを、神は、ご自分を愛する人々のために用意してくださった。」
+ 私たちには、このすばらしいことが何かわかっています。神様がご自分の聖霊を通して知らせてくださったからです。神の霊は、神の最も奥深いお考えを探り出して、それを教えてくださるのです。
+ 人が何を考えているか、その人が実際にどんな人間であるか、本人以外にはわかりません。同様に、神の考えを知りうるのは、神の霊以外にありません。
+ 事実、神様は私たちに、この世の霊ではなく、ご自分の聖霊を与えてくださいました。それは、神からのすばらしい恵みと祝福という賜物を、私たちが知るためです。
+ この賜物について話す時、私たちは、自分が人間として選んだことばではなく、聖霊によって教えられたことばを使ってきました。つまり、聖霊のことを説明するには、聖霊のことばを用いるのです。
+ しかし、クリスチャンでない人は、聖霊が教えてくださる神の思いを理解することも、受け入れることもできません。彼らには愚かしく思えるのです。というのは、自分のうちに聖霊をいただいている人だけが、聖霊のお考えを理解できるからです。
+ 聖霊をいただいている人は、すべてを見抜きます。ところが、聖霊をいただいていない人は全く理解できないので、まごつき、とまどうのです。
+ いったい、どうすれば彼らに聖霊がわかるというのでしょう。彼らは、主の思いを知ったこともなく、それを主と論じ合ったこともなく、また、祈りによって神の御手を動かしたこともないのです。しかし驚くべきことに、私たちクリスチャンは、まさにキリストの思いと心を共有しているのです。
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+ 愛する皆さん。私は皆さんに、クリスチャンの生活面について、まるで子どもに語るように書いてきました。実際あなたがたは、主に従わないで、好きかってにふるまっています。そんなあなたがたに、聖霊に満たされた人を相手にしているようには書けないからです。
+ つまり、堅い食物を避けてミルクを飲ませました。堅い食物の消化はむりだったからです。実は今でも、あなたがたはミルクしか飲めない状態です。
+ 相変わらず、よちよち歩きもおぼつかないクリスチャンで、それは、あなたがたがねたみ合い、仲間割れをしていることからも明らかです。実際、あなたがたの態度ときたら、まるで主を信じていない人のようです。
+ 「パウロとアポロとどちらが偉いか」などと口論して、教会を分裂させている現状では、主にあって少しも成長していないことをさらけ出しているようなものではありませんか。
+ 私たちが争いの原因になるとは、いったい、私が何者だと言うのですか。アポロが何者ですか。ただ神に仕える者にすぎず、それぞれに特別の能力が与えられて、あなたがたが信じるための手助けをしたにすぎません。
+ 私の仕事は、あなたがたの心に種をまくことでした。アポロの仕事は、それに水をやることでした。しかし、あなたがたの心の中でそれを成長させたのは神であって、私たちではありません。
+ まく者も、水をやる者も、さほど大切ではありません。大切なのは、成長させてくださる神なのです。
+ アポロも私も、同じ目標を目指して働いていますが、それぞれ、その労苦に従って報酬を受けるでしょう。
+ 私たちは神の協力者にすぎません。あなたがたは私たちの畑ではなく、神の畑です。私たちの建物ではなく、神の建物です。
+ 神様は恵みによって、私に、どうしたら腕のよい建築家になれるかを教えてくださいました。私が土台をすえ、アポロがその上に建物を建てました。しかし、その土台の上に建物を建てるには、細心の注意が必要です。
+ 私たちがすでに持っている本物の土台、イエス‧キリスト以外に、土台をすえることなどだれにもできないのです。
+ しかし、この土台の上には、いろいろの材料で建てることができます。金や銀や宝石を使う人もいれば、また木や草、わらなどを用いる人もあります。
+ やがて、すべてがテストされる、キリストのさばきの日が来ます。その時には、建築家が各自どんな材料で建てたかが明白になります。それぞれの仕事は火でテストされ、なお価値が変わらないかどうか、ほんとうに完璧な建物かどうかが、だれの目にも明らかになります。
+ そして、その土台の上に適切な材料を使って建てた人は、建物がちゃんと残るので報いがあります。
+ しかし、家が焼けてしまった人は、大損害をこうむります。その人自身は、炎の中をくぐり抜けるように、命からがら逃げて救われるでしょうが。
+ あなたがたは自分たちが神の家であり、神の聖霊が自分の内に住んでおられることがわからないのですか。
+ もし神の家を汚したり、こわしたりする人がいれば、神様はその人を滅ぼされます。なぜなら、神の家は聖なるものだからです。あなたがたは、その神の家なのです。
+ 自分をだますのはやめなさい。だれか、「自分は世の知者だ」と、もし考えているのなら、そんな考えは捨てて、愚か者になるほうが身のためです。天からの真の知恵を受ける妨げにならないためです。
+ この世の知恵は、神から見れば愚かだからです。聖書のヨブ記に、「神は人の知恵を、その人を捕らえるわなとして用いられる」(5‧13)と書いてあるとおりです。つまり、人は自分の「知恵」につまずいて倒れるのです。
+ また、詩篇には、「主は、人間の考えや判断がどんな程度か、また、それがどんなに愚かしく無益か、よく知っておられる」(94‧11)とあります。
+ ですから、この世の知者の弟子であることを誇ってはなりません。神様はすでに、あなたがたに必要なものは全部与えてくださっているのです。
+ パウロも、アポロも、ペテロも、あなたがたを助けるために神がお遣わしになったのです。神様は全世界を、あなたがたの益になるようにと与えてくださいました。生も死も、あなたがたのものなのです。現在のことも、将来のことも、すべては、あなたがたの手にあります。
+ そして、あなたがたはキリストのもの、キリストは神のものです。
+
+
+ こういうわけでアポロや私を、神の深い御心を説明し、その祝福を配って回る、キリストの福音を預かる管理者と考えてください。
+ 家臣にとって一番大切なのは、主人の命令に従うことです。
+ では私の場合はどうでしょう。良い管理者だったでしょうか。この点に関してあなたがたがどう考えようと、また、ほかの人がどう思おうと、私は少しも気にしません。この件については、私は自分の判断さえ信用していないのです。
+ 良心にやましいところはさらさらありませんが、だからといって、安心しきっているわけでもありません。調べた上で判定をお下しになるのは、主ご自身だからです。
+ ですから、主がまだここにお帰りにならないうちから、何についても性急に結論を下すことがないように注意しなさい。主が来られる時、すべては明るみに出されます。一人一人の心の奥底までが見通され、ありのままの姿がはっきり見えるようになります。その時、一人一人が、ふさわしい賞賛を神から受けるのです。
+ これまで私は、アポロと自分を例にあげて説明してきました。ある人だけを特別扱いしてはならないことを教えたかったのです。神様がお立てになった教師の一人を、他の教師以上に誇ってはなりません。
+ いったい何について、そんなに得意になるのですか。あなたの持ちもので、神からいただかなかったものがありますか。その全部が神からいただいたものなら、どうして、さも偉そうにふるまうのですか。また、どうして自力で何かを成し遂げたような態度をとるのですか。
+ あなたがたは、自分に必要な霊の食べ物はみな、すでに手にしたと思っているようです。十分に満ち足り、霊的に満足しています。私たちを差し置いて、裕福な王様のようになり、王座にふんぞり返っています。ああ、あなたがたはほんとうに王様になっていたらよかったのです。そうすれば、いつか私たちも、あなたがたと共に君臨できたでしょうに。
+ こんなイメージが浮かびます。神様は私たち使徒を、死罪の判決が下された捕虜のように凱旋行列の最後に引き出し、人々や天使の前で見せ物にされたのだ、と。
+ 信仰のために私たちが愚か者になったと、あなたがたは言います。そういうあなたがたは、もちろん、たいそう賢いクリスチャンなのでしょう。私たちは弱くて、あなたがたは強いのです。人受けのよいあなたがたと違って、私たちは笑いものにされています。
+ 今の今まで、私たちは飢えと渇きに悩まされ、寒さをしのぐ着物さえありませんでした。自分の家もなく、どこへ行っても冷たくあしらわれるばかりでした。
+ また、生活のために、自ら汗水流して働きました。私たちをのろう人たちを、かえって祝福し、危害を加えられても耐え忍び、
+ ののしられても、おだやかに答えるのが常でした。それなのに、今でも私たちは、足もとのちりやごみのように扱われています。
+ このように書いたのは、あなたがたに恥をかかせるためではありません。愛する子どもとして戒め、さとすためです。
+ たとえ、キリストについて教えてくれる人が一万人いたとしても、あなたがたの父はこの私だけであることを忘れないでください。福音を伝えてキリストの救いに導いたのは、この私一人なのですから。
+ ですから、お願いがあります。どうか私の模範にならい、同じ行いをしてください。
+ その点であなたがたの助けになればと思い、テモテを遣わします。彼は、私がキリストに導いた一人で、主にあって愛し、信頼できる息子だからです。彼は、私自身が実践している信仰者の生き方を、私が行く先々の教会で教えているとおりに、あなたがたに思い出させてくれるでしょう。
+ 「パウロはこちらへ来て話をつけるのがこわいのだ」と、思い上がっている人たちがいるそうですね。
+ しかし、もし主のお許しがあれば、私はすぐにでも行くつもりです。そうすれば、その高慢な人たちが、ただ大きなことを言っているだけか、それとも、ほんとうに神の力を持っているのかがわかるでしょう。
+ 神の国は、ことばだけのものではありません。神の力によって生きることなのです。
+ さあ、あなたがたはどちらを選びますか。私が罰と叱責を持って行くほうですか。それとも、愛とやさしい心とを持って行くほうですか。
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+ あなたがたの間に起こった不品行について、みながうわさをしています。それは、異教徒でもしないほどの不品行で、父の妻(おそらく継母のこと)と関係を持っている人が、教会にいるそうではありませんか。
+ それでもなお、自分たちは信仰深いとしらを切るつもりですか。どうしてそのことで嘆き悲しみ、恥じないのですか。なぜその人を教会から除名しないのですか。
+ 私はそこにはいっしょにいませんが、私もこの問題をよく考えてみました。そして、実際その場に居合わせたように、主イエス‧キリストの御名によって、すでに対策を決めました。さっそく教会で集会を開きなさい。――その時、主イエスの力があなたがたと共にあり、私も霊において出席します。――
+ そして、その人を罰するために、教会から追放してサタンの手に引き渡しなさい。そうするのは、主イエス‧キリストが帰って来られる時に、その人のたましいが救われるようにと願うからです。
+ あなたがたが、このようなことに目をつぶっているかと思うと、ぞっとします。たとえ一人でも、罪を犯すままに放任しておけば、やがてその影響が全員に及ぶことがわからないのですか。
+ その人を、あなたがたの間から除きなさい。そうすれば、きよさを保てます。神の小羊であるキリストは、私たちのためにすでに殺されたのです。
+ ですから、悪意や不正でいっぱいの生活から、完全に離れなさい。しっかりキリストにつながり、クリスチャン生活において、力強く成長しようではありませんか。悪意や不正のまじったパンではなく、誠実と真実という純粋なパンを食べようではありませんか。
+ 私は以前、あなたがたに手紙で、不品行な者たちと交際しないように書き送りました。
+ しかしそれは、信者でない人で性的な罪を犯している者、強欲な者、どろぼう、偶像を拝む者とは口もきくな、という意味ではありません。そのような人たちから離れていようとすれば、この世から出て行かなければならないからです。
+ 私がほんとうに意図したところは、自分はクリスチャンだと公言している者で、しかも性的な罪にふける者、貪欲な者、人をだます者、偶像を拝む者、酒に酔う者、人をそしる者とはつき合うな、ということです。そのような者とは、いっしょに食事をすることもいけません。
+ 教会外の人たちをさばくことは、私たちの務めではありません。神おひとりのなさることです。しかし、教会員でありながら、このような罪を犯す者がいたら、教会として処置をとることは当然です。その悪い人を教会から除かなければなりません。
+
+
+ クリスチャン同士の争いが生じた時、どちらが正しいかを、他のクリスチャンに判断してもらうのではなく、異教徒の法廷に訴え出るとはいったいどういうつもりですか。
+ いつか、私たちクリスチャンがこの世をさばき、支配する日が来ることを知らないのですか。この世こそあなたがたにさばかれる運命にあるのに、どうしてあなたがたは、内輪のそんなささいな事件さえ解決できないのですか。
+ クリスチャンは、天使さえもさばくようになることを知らないのですか。この地上での自分たちの問題をさばくくらい、容易にできるはずです。
+ それなのになぜ、教会外の、クリスチャンでもない裁判官のもとへ出向くのですか。
+ あえてあなたがたに恥をかかせようと、私はこう言うのです。いったい教会には、こうした争いを解決できる賢明な人が一人もいないのですか。
+ だから、クリスチャンがクリスチャンを訴え、しかも、それを不信者の前に持ち出すようなまねをするのですか。
+ そもそも、訴え合うこと自体がクリスチャンにとって、すでに敗北です。なぜ、不正な仕打ちに甘んじようとしないのですか。だますよりはだまされるほうが、もっと主に喜ばれるでしょう。
+ ところが、あなたがたは不正を行い、だまし取り、しかも兄弟(信仰を同じくする者)に対して、そのようなことをしているのです。
+ こんな者が神の国を相続できないのは、当然ではありませんか。思い違いをしてはいけません。不道徳な生活をしている者、偶像を拝む者、姦淫する者や同性愛にふける者は、神の国を相続できません。どろぼう、貪欲な者、酒に酔う者、人をけなす者、強盗も同様です。
+ あなたがたの中にも、そんな過去を持つ人がいます。しかし、主イエス‧キリストと神の聖霊のおかげで、今はもう罪を洗い流され、あなたがたは神のために聖なる者とされ、神に受け入れられているのです。
+ キリストが禁じておられること以外、私には、何でもする自由があります。しかしその中には、自分のためにならないこともあります。たとえ、してよいことであっても、それに捕らえられたら最後、やめようとしても簡単にやめられないことには手を出しません。
+ 食べることについて考えてみましょう。神様は、物を食べるために食欲を与え、消化するために胃を備えてくださいました。だからといって、必要以上に食べてよいということにはなりません。食べることが第一だなどと考えてはいけません。なぜなら、いつの日か神様は、胃も食べ物も取り上げられるからです。また、性的な罪は絶対にいけません。私たちの体は、そんなことのためにではなく、主のために造られたのです。そして、主ご自身が、私たちの体に住もうと願っておられるのです。
+ 神様は、主イエス‧キリストを復活させたのと同じ力で、私たちの体をも、死人の中から復活させようとしておられます。
+ あなたがたの体は、キリストの体の一部であることがわからないのですか。キリストの体の一部と売春婦とを結びつけるようなことをしてよいでしょうか。とんでもないことです。
+ もし人が売春婦と結びつくなら、その人と彼女は一心同体になることがわからないのですか。というのは、聖書の中で言われるとおり、神の目に、二人の者は一人とみなされるからです。
+ しかし自分を主にささげるなら、その人とキリストは、一人の人として結び合わされるのです。
+ 性的な罪とは無縁になりなさいと私が言うのは、そのためです。この罪を犯すことは、自分の体に対して罪を犯すのです。
+ 体は、神様があなたがたに与えてくださった聖霊の家であって、聖霊がそこに住んでおられるのです。あなたがたの体は、自分のものではありません。
+ 神様が多額の代価を払って、あなたがたを買い取ってくださったのです。ですから、あなたがたの体のどの部分も、神の栄光を現すために用いなさい。その所有者は神だからです。
+
+
+ さて、この前の手紙にあった質問に答えましょう。もし結婚しないなら、それは良いことです。
+ しかし、普通の場合、結婚するのが一番良いでしょう。男はそれぞれ妻を、女も夫を持ちなさい。そうでないと、不品行の罪に陥る危険があるからです。
+ 夫は妻に、妻が当然受けるものを、すべて与えなければなりません。妻もまた、夫に同様の義務を負っています。
+ 結婚した女性は、もはや自分の体を自分の思いのままにする権利はありません。妻の体に対する権利は、夫にもあるからです。同様に夫も、もはや自分の体を自分だけでどうこうすることはできません。妻も、夫の体に対する権利を持っているからです。
+ ですから、互いにこの権利を拒んではなりません。ただ一つの例外があります。ひたすら祈りに専心するため、二人が合意の上で、一定の期間、夫婦生活から離れる場合です。そのあと、二人はまたいっしょになるべきです。それは、自制力の弱さにつけ込むサタンの誘惑を避けるためです。
+ 私は、結婚しなければならないと言っているのではありません。ただ、結婚したければ、してもかまわないと言っているのです。
+ 私の願いは、だれもが私のように、結婚しないでもやっていけることです。しかし、それは人それぞれです。神様は、ある人には、夫となり妻となる恵みを与え、ほかの人には、独身のまま幸福に過ごす恵みを与えておられます。
+ さて、独身者と未亡人にひとこと言いますが、もし私のようにしていられるなら、独身のままでいるほうが良いのです。
+ しかし、もし自制できないなら、ためらわずに結婚しなさい。情欲を燃やすよりは、結婚するほうが良いからです。
+ 次に、結婚した人たちには、単なる忠告ではなく、はっきりと命令しておきます。この命令は、私が考え出したものではありません。主ご自身からの命令です。妻は、夫と別れてはいけません。
+ しかし、もしすでに別れているなら、そのまま一人でいるか、夫のもとに帰るかしなさい。また、夫も、妻を離縁してはいけません。
+ ここで、少し私の考えを付け加えておきましょう。これは主からの直接の命令ではありませんが、私が正しいと思っていることです。夫がクリスチャンで妻はそうでない場合、いっしょにいることを妻が望むなら、追い出したり離婚したりしてはいけません。
+ また、妻がクリスチャンで夫はそうでない場合も、夫がいっしょにいることを望むなら、離婚してはいけません。
+ なぜなら、クリスチャンでない夫は、クリスチャンの妻の助けによって、神の恵みの中にあるからです。また、同様のことが、クリスチャンでない妻の場合にも言えるからです。そうでなかったら、あなたがたの子どもは神と無関係ということになってしまいますが、実際は神の恵みの中にいるのです。
+ しかし、もしクリスチャンでない夫や妻がどうしても別れたいと言うなら、そうさせなさい。こんな時、別れようとする相手を、むりに引き留めるべきではありません。神様は、自分の子どもたちが仲良く平和に暮らすことを望んでおられるからです。
+ なぜなら、結局のところ、妻にとって、いっしょにいれば夫がクリスチャンになるという保証はなく、夫にとっても、妻がクリスチャンになる保証はないからです。
+ しかし、これらを決めるにあたっては、神の導きと助けに従い、どんな立場に置かれようとも、それを受け入れ、神の御心にかなった生活をしていると確信しなさい。私はどこの教会でも、このように指導しています。
+ たとえば、クリスチャンになる前にユダヤ教の割礼(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取る儀式)を受けた人は、そのことを気にしてはいけません。また割礼を受けていない人は、今さら割礼を受けるべきではありません。
+ クリスチャンは、割礼を受けているかどうかで、違いはないからです。真に神を喜ばせ、神の戒めを守っているかどうかが重要なのです。
+ また人は、神の救いを受けた時にしていた仕事を続けるべきです。
+ あなたが奴隷でも、そのことを気にしてはいけません。もし自由の身になる機会があれば、もちろん自由になりなさい。
+ もし奴隷であって主に招かれたのなら、キリストは恐ろしい罪の力からあなたを解放して、自由の身にしてくださったことを忘れてはなりません。また、もしあなたが自由人であって主に招かれたのなら、今はキリストの奴隷であることを忘れてはなりません。
+ あなたがたは、キリストが代価を払って買い取ってくださった身であり、キリストのものなのです。ですから、こうしたこの世の誇りや恐れのすべてから自由になりなさい。
+ 愛する皆さん、それぞれがクリスチャンになった時の状態にとどまっていなさい。主が今、助けてくださるからです。
+ さて、別の質問に答えましょう。未婚の女性は結婚してもよいかということですが、私は主からとりたてて命令を受けたわけではありません。しかし、主は恵みによって私に、人々から信頼されるに足る知恵を授けてくださいました。それで、喜んで私の見解を申し上げましょう。
+ クリスチャンは現在、大きな危機に直面しています。このような時には、結婚しないでいるのが一番良いと考えます。
+ もちろん、すでに結婚している人は別れてはなりません。しかし、もし結婚していないなら、このような時に結婚を急いではなりません。
+ もし男性が、どうしても結婚しようと決心し、今そうしたとしても、それは正しいことです。また、このような時に女性が結婚したとしても、罪を犯すわけではありません。ただし、結婚すれば、余計な問題をかかえ込むことになるでしょう。今は、そんな目に会ってほしくないのです。
+ 私たちに残された時間はきわめて短く、主の働きをする機会もきわめて少ないのです。そういうわけで、妻のある者も、主のためにできるだけ身軽にしていなければなりません。
+ 喜びや悲しみ、財産などが、神の仕事をする妨げになってはなりません。
+ この世の魅力的なものに接することの多い者たちは、その機会を正しく利用し、おぼれることがないようにしなさい。現在の世界は、やがて過ぎ去るからです。
+ 何をするにしても、あなたがたがあれこれ思いわずらわないようにと願います。独身の男性の場合、時間を主の働きのためにささげることも、どうしたら主に喜んでいただけるかを常に考えることもできます。
+ しかし、結婚した男性はそうはいきません。どうしても、この世での責任や、妻を喜ばせることに気を取られがちになります。
+ こうして、彼の関心は分散するのです。結婚した女性についても、同様のことが言えます。独身の女性は、何とかして主に喜ばれる者になりたい、主に喜ばれることをしたいと心を配ります。しかし、結婚した女性は、家事や夫の好みまで、いろいろ考えないわけにはいきません。
+ 私がこう言うのも、あなたがたのためを思うからであって、結婚させまいとしているのではありません。私が願うのは、あなたがたが、主から思いをそらすようなことをできるだけ避けて、主のために役立つことをすることなのです。
+ しかし、もし高まる感情を抑えるのがむずかしいので結婚すべきだと考える人がいれば、それも結構です。罪ではありません。そういう人は結婚しなさい。
+ しかし、もし独身でいるだけの意志力をもち、自分は結婚する必要もないし、むしろしないほうが良いと考えるなら、その決心はりっぱです。
+ つまり、結婚する人は良いことをしているのであり、結婚しない人は、もっと良いことをしているのです。
+ 妻は、夫が生きている間は夫の一部です。夫が死ねば、再婚してもかまいません。ただし、その場合、相手はキリストにしっかりつながっている者に限ります。
+ けれども私の考えでは、もし再婚しないでいられるなら、そのほうがはるかに幸せでしょう。神の聖霊からの助言をいただいて、私はこう言うのです。
+
+
+ 次に、偶像に供えられた物を食べることはどうか、という質問に答えましょう。この件については、だれもが自分の判断は正しいと思っています。しかし、自分の知識がどんなに重要に思えても、教会を建て上げるためにほんとうに必要なのは愛です。
+ もし、自分はどんな問題にも答えられると思い上がっている人がいたなら、それは、自らの無知をさらけ出しているにすぎません。
+ しかし、ほんとうに神を愛している人は、神に知られているのです。
+ では、この問題はどうなるでしょう。偶像に供えた肉を食べてもよいのでしょうか。私たちはみな、偶像など実際には神ではなく、神様はおひとりだけで、ほかにはいないことを知っています。
+ ある人は、偉大な神々は天にも地にも数多くいると考えています。
+ しかし私たちは、父なる神ただおひとりであることを知っているのです。この神様が万物を創造し、人間をご自分のものとして造られたのです。また私たちは、ただ一人の主、イエス‧キリストがおられることを知っています。この方がすべてのものを造り、私たちにいのちを与えてくださるのです。
+ けれども、クリスチャンの中には、このことがわかっていない人もいます。そういう人はこれまでずっと、偶像を生きているもののように考えてきたので、ただの偶像に供えられたにすぎない物を、あたかも実在する神々に供えたかのように思ってしまうのです。そのため、それを食べることがひどく気になり、傷つきやすい良心が痛むのです。
+ ただ、このことを覚えておいてください。神様は、私たちがそれを食べるか食べないかなど気にかけておられません。食べなくても損にはならないし、食べても得をするわけではありません。
+ ただし、いくら自由といっても、あなたがたがそれを食べたために、あなたがたよりも良心の傷つきやすいクリスチャンがつまずかないよう、くれぐれも注意してください。
+ あなたが、偶像への供え物を食べても別に害にはならないことを知っていて、偶像の神殿の中で食事をしたとします。しかしそれを、食べてはいけないと思っている人が見たら、どう思うでしょうか。その人は、偶像崇拝してもよいのだと勘違いして、自分もそれを食べてしまうかもしれません。
+ すると、それを食べても差しつかえないことを知っていたあなたは、傷つきやすい良心を持った兄弟に、信仰上の大きな損害を与えてしまうことになります。キリストは、その兄弟のためにも死んでくださったのです。
+ ある行為を悪いと信じている兄弟が、あなたがたのふるまいに刺激されてその行為をしてしまうなら、あなたがたはその兄弟に罪を犯し、同時にキリストに対しても罪を犯すことになるのです。
+ ですから、もし偶像に供えた肉を食べることで兄弟をつまずかせるなら、私は一生それを食べません。
+
+
+ 私は使徒ですから、他のだれからも自由なのです。私は実際、この目で主イエスを見た者です。あなたがたの人生が一変したのは、私が主のために一生懸命働いた結果なのです。
+ たとえほかの人が私を使徒と認めなくても、あなたがたにとって、私は確かに使徒なのです。あなたがたは、私を通してキリストに導かれたのですから。
+ 私の使徒としての権利を問題にする人たちに対して、次のように答えることにしています。
+ いったい私には、どんな権利もないのでしょうか。ほかの使徒たちのように、あなたがたの家で、客としてもてなしてもらう権利はないのでしょうか。
+ また、もし私にクリスチャンの妻があればの話ですが、ほかの弟子や主の兄弟やペテロ同様、妻を連れて旅行もできないのでしょうか。
+ ほかの使徒はあなたがたから生活費をもらっているのに、バルナバと私だけは、生活のために働き続けなければならないのでしょうか。
+ いったい、自費で軍務につかなければならない兵士がいるでしょうか。丹精した作物を食べる権利のない農夫の話など、聞いたこともありません。世話をしている羊や、やぎの乳も飲めない羊飼いがいるでしょうか。
+ 私は、人間的な考えで言っているのではありません。律法でも同じことを言っているのです。
+ 神様は、モーセにお与えになった律法の中で、「穀物を踏んで脱穀している牛に口輪をかけて、その穀物を食べる自由を奪ってはならない」と言っておられます。神様は牛のことだけを心にかけて、こう言われたのだと思いますか。
+ 私たちのことも、心にかけておられたのではないでしょうか。働く人が、その人のおかげで益を受ける人々から報酬をもらうのは当然であることを、神様は教えたかったのです。耕す者も脱穀する者も、当然、収穫の分け前にあずかることを期待してよいのです。
+ 私たちはあなたがたの心に、良い霊の種をまきました。とすれば、そのお返しとして食べ物や着る物を求めるのは行き過ぎでしょうか。
+ あなたがたは、神のことばを伝えてくれたほかの人たちには、そうした必需品を提供しています。それは当然のことです。すると、なおさら私たちは、それらを求める権利があるはずではありませんか。けれども私たちは、一度もこの権利を持ち出したことはありません。かえって、働いて自活し、援助を受けませんでした。どんな報酬も求めなかった理由は、キリストの福音を妨げるのではないかと心配したからです。
+ あなたがたは、神殿の奉仕者が神にささげられる食べ物の一部を自分のために受け取ってよいことを知らないのですか。また祭壇に仕える奉仕者は、主へのささげ物の一部をいただくのです。
+ 同じように主は、福音を宣べ伝える者が、それを信じるようになった人々から生活を支えてもらうように定めておられます。
+ けれども、私はあなたがたにわずかなお金も要求したことはありません。今からでもそうしてほしいと、ほのめかしているのでもありません。実際、無報酬で主のために働くという誇りを失うくらいなら、私は飢え死にしたほうがましです。
+ それというのも、福音を宣べ伝えても、別に私の名誉にはならないからです。たとえやめたいと思っても、やめるわけにはいきません。当然、果たすべきこの任務をもしやめたら、全くみじめなことになります。福音を宣べ伝えなかったら、私は災いに会います。
+ もし、自分から進んでこの務めを引き受けたのであれば、主は私に特別な報酬を下さるでしょう。しかし、そうではなかったのです。神様が私を選び出して、この聖なる任務につかせてくださったのであって、選ぶ自由などなかったのです。
+ このような状況で、私の受ける報酬とはどんなものでしょう。だれにも負担をかけず、自分の権利を少しも主張せずに、福音を宣べ伝えることから来る特別の喜び、これこそ私の報酬なのです。
+ これにはまた、すばらしい利点があります。だれからも給料をもらわないということは、だれからも自由だということです。けれども私は、一人でも多くの人をキリストに導くために、自ら進んで、また喜んで、すべての人の奴隷となりました。
+ 私はユダヤ人といっしょにいる時は、ユダヤ人のようにふるまいます。それによって、彼らが福音に耳を傾け、キリストに導かれるためです。また、ユダヤ教の習慣や儀式を守っている外国人といっしょにいる時は、私自身はそのことに同意していなくても、議論したりはしません。何とかして、彼らを助けたいからです。
+ 異教徒といっしょにいる時は、できるだけ、彼らに合わせるようにしています。もちろん、クリスチャンとしての正しさだけは失わないように気をつけますが。こうして、彼らに合わせることによって、その信頼を得、彼らをも助けることができるのです。
+ 良心を悩ませやすい人たちのそばでは、自分の知識をひけらかすような行動をしたり、「それは考えが足りない」などと指摘したりはしません。すると、彼らのほうでも心を開いてくれます。その人が救われるためには、私はどんな人に対しても同じ立場に立とうと心がけています。
+ これは福音を伝えるためであり、また、キリストの救いに導かれる彼らを見て、私自身も祝福を受けるためなのです。
+ 競走をするとき、優勝者は一人だけです。ですからあなたがたも、優勝するために走りなさい。
+ 競走の選手はベストを尽くせるよう、何事にも節制しなければなりません。彼らは、やがては朽ちてしまう栄冠を得ようと、あらゆる困難と戦い、ひたすらトレーニングに励むのですが、私たちは、決して朽ちない栄光を受けるためにそうするのです。
+ ですから私は、ゴールを目指して、わき目もふらず全力で走ります。勝つために戦うのです。空を打つようなボクシングをしたり、おもしろ半分に走ったりはしません。
+ 自分の体をむち打ってきびしく鍛練し、なすべきことができるよう訓練しています。そうでないと、ほかの人たちを競技に参加させておきながら、自分は失格者として退場を命じられるかもしれないからです。
+
+
+ 愛する皆さん。昔、私たちの先祖が荒野でどんな経験をしたか、決して忘れてはなりません。神様は、雲を先導者として立てて、彼らを導きました。また、全員が安全に紅海を渡りきれるように導きました。
+ これは、彼らの「バプテスマ」であったとみなしてよいでしょう。彼らは、モーセに従う者として――すなわち、指導者であるモーセにすべてを任せて――海と雲によってバプテスマを受けたのです。
+ さらに神様は奇跡によって、荒野で彼らに食べ物と飲み水をお与えになりました。彼らはキリストから水をいただいたのです。キリストは、信仰に新しい力を与える力強い岩として、いっしょにおられたのでした。
+ それにもかかわらず、大部分の者が神に従わなかったので、神様は、彼らを荒野で滅ぼされました。
+ この事実から、大切な教訓を学べます。悪事を追い求めてはならないこと、
+ また、偶像を拝んではならないことです。〔聖書には、金の子牛を拝むために、「人々は座っては飲み食いし、立っては踊った」と書いてあります。〕
+ ほかにも教訓があります。彼らのうちのある人たちが外国人の女と不道徳な罪を犯した時は、一日のうちに二万三千人もが死にました。
+ 彼らのように、主がどれだけ忍耐してくださるかを試すようなまねをしてはなりません。主を試そうとした人たちは、蛇にかまれて死にました。
+ また、彼らのように、神に向かって文句を言ったり、「神のなさり方は不当だ」などと不平を言ってはなりません。そのために、神様は天使を遣わして、彼らを滅ぼされたのです。
+ 先祖たちの身に起こったこれらのことは、同じことをくり返してはならないという私たちへの警告です。それが記録されたのは、世の終わりが近づいている今、私たちがそれを読んで教訓を学ぶためです。
+ ですから、よく注意しなさい。「私は、そんなことは絶対にしないから大丈夫」などと思っている人がいれば、そういう人こそ注意しなければなりません。同じ罪を犯すかもしれないからです。
+ このことを覚えていてください。あなたがたの生活の中に入り込む誘惑は、別に新しいものでも、特別なものでもないということです。ほかにも多くの人たちが、あなたがたよりも先に、同じ問題にぶつかってきたのです。どんな誘惑にも抵抗するすべはあります。神様は決して、とてもたち打ちできないような誘惑や試練に会わせたりはなさいません。神様がそう約束されたのであり、その約束は必ず実行されるからです。神様は、あなたがたが誘惑や試練に忍耐強く立ち向かえるように、それから逃れる方法を教えてくださいます。
+ ですから、愛する皆さん。偶像礼拝を避けなさい。
+ あなたがたは賢いのですから、私の言うことが正しいかどうか、自分で考え、判断してください。
+ 私たちが聖餐式で主の食卓に着き、ぶどう酒を飲んで、主の祝福を求める時、それは、そのぶどう酒を飲む者がみな、キリストの血の祝福を共に受けることを意味していないでしょうか。また、一つのパンをちぎって共に食べる時、それは、私たちがキリストの体の恩恵を共に受けることを示すのではないでしょうか。
+ 私たちの数がどんなに多かろうと、みな同じパンを食べて、同じキリストの体の部分であることを示すのです。
+ ユダヤ人のことを考えてごらんなさい。供え物を食べる者は、それによって一つとされているのです。
+ 私は何を言おうとしているのでしょうか。異教徒たちが供え物をささげている偶像はほんとうに存在するとか、あるいは、偶像への供え物に何か意味があるとか言おうとしているのでしょうか。いや、違います。
+ 私が言いたいのは、彼らのささげる物は、神にではなく、悪霊にささげられたものであるということです。あなたがたの中から、偶像への供え物を異教徒たちと共に食べたりして、悪霊と一つになる人など一人も出てほしくありません。
+ 主の食卓の杯と悪霊の食卓の杯の両方を飲むことはできません。同じように、主の食卓のパンと悪霊の食卓のパンを、両方とも食べることなどできません。
+ いったい、あなたがたは主を怒らせようとしているのですか。自分が主よりも強いとでも言うのですか。
+ もし食べたければ、偶像への供え物を食べても一向にかまいません。それを食べても、神の律法には反しません。しかし、律法に反しないことでも最善とは限らず、また有益とも限りません。
+ 自分のことばかり考えてはいけません。他の人を思いやり、何がその人にとって最善か、よく考えなさい。
+ こうすればよいのです。市場で売られている肉は、どれでも自由に食べなさい。それが偶像に供えられた物かどうか、いちいち尋ねなくてよいのです。そうすれば良心を傷つけることもないでしょう。
+ 地上にある良いものはみな、主のものであり、あなたがたを楽しませるためにあるのです。
+ クリスチャンでない人から食事に招待された場合、出される物は何でも食べなさい。それについて、いちいち尋ねてはいけません。尋ねなければ、偶像に供えられた物かどうかわからないし、食べて良心が傷つく心配もありません。
+ しかし、もし、「この肉は偶像に供えられたものです」と注意してくれる人がいたら、その人のために、また他の人の良心のために、出された肉を食べるのはやめなさい。
+ この場合、肉についての自分の判断よりも、相手の考えが大切なのです。「なぜ他人の考えに支配されたり、束縛されたりしなければならないのですか。
+ 神に感謝してそれを食べることができれば、他人からとやかく言われることはないではありませんか」と言うかもしれません。
+ しかし、食べるにも、飲むにも、何をするにも、ただ神の栄光を現すためにしなさい。
+ 相手がユダヤ人であれ、外国人であれ、教会であれ、だれもつまずかせてはいけません。
+ これは私の生活の原則でもあり、何をするにも、私はすべての人に喜んでもらおうと努めています。だから、自分のしたいことや、つごうの良いことをするのでなく、人々が救われるのに最善のことをするのです。
+
+
+ 私がキリストの模範にならっているように、あなたがたも、私の模範にならってください。
+ 愛する皆さん。あなたがたが私の教えを忘れず、すべてそのとおり実行していることを、とてもうれしく思います。
+ しかし、知っておいてほしいことが一つあります。それは、妻は夫に責任があり、夫はキリストに責任があり、キリストは神に責任がある、ということです。
+ ですから、男が祈ったり説教をしたりする時、帽子を取らないなら、キリストを侮辱することになります。
+ また、女が頭にベールを着けずに、人前で祈ったり預言したりすれば、夫を侮辱することになります。ベールは、夫に対する服従のしるしだからです。
+ 何も着けたくないなら、いっそ髪もそってしまいなさい。もし頭をそるのが女として恥ずかしいことなら、ベールを着けなさい。
+ しかし、男は何もかぶるべきではありません。男は神に似せて造られたのであり、神の栄光の現れです。女は男の栄光の現れです。
+ 最初の男は女から造られたのではなく、最初の女が男から造られたのです。
+ 最初の男アダムは、エバのために造られたのではなく、エバがアダムのために造られたのです。
+ そういうわけで女は、男の権威の下にあるしるしとして、頭にベールを着けなければなりません。すべての天使たちがそれを認めて、喜ぶためです。
+ しかし、神の計画では、男と女は、お互いを必要とし合う存在であることを忘れてはなりません。
+ なぜなら、最初の女は男から造られたとは言っても、それ以後、男はすべて女から生まれたからです。そして、男も女も神から出ているのです。
+ あなたがたは、この問題についてどう考えますか。女がベールも着けずに人前で祈ることは正しいでしょうか。
+ 女が頭をおおうことは、きわめて自然ではありませんか。長い髪は女の誇りだからです。しかし、男の長い髪は恥なのです。
+ たとえ、この点について別の意見の人がいても、私はこのようにしか教えません。すなわち、女が教会で公に預言したり祈ったりする時は、必ずベールを着けなさい。このことは、どこの教会でも同じように考えています。
+ さて、もう一つ、私が残念に思っていることを書きます。それは、あなたがたの聖餐式の集まりが益になるどころか、かえって害になっているように思えることです。
+ その席で議論し合い、分裂がますます深刻化していると、私の耳にも伝わってきます。それを信じないわけにはいきません。
+ たぶん、あなたがたは、だれが正しいかをはっきりさせるには、分裂もやむをえないと思っているのでしょう。
+ あなたがたの集まりは、主の晩餐のためではなく、
+ 自分たちの食事をするためのものになっています。ほかの人と分け合おうと待っている人など一人もいず、われ先に食べているそうではありませんか。そのため、十分食べられずにお腹をすかしている者もいれば、浴びるほど飲んで酔っぱらっている者もいるということです。
+ なんということでしょう。ほんとうに、そうなのですか。食べたり飲んだりなら、自分の家でできるではありませんか。そうすれば、教会の名誉を傷つけたり、食べ物を持って来られない貧しい人たちに、恥をかかせたりしないですみます。このことについて、何と言ったらよいでしょう。ほめてでも、もらいたいのですか。そうはいきません。
+ なぜなら、以前あなたがたに伝えたとおり、聖餐式について、主ご自身がこう言われたからです。すなわち、ユダが主イエスを裏切った日の夜、主イエスはパンを取り、
+ 神に感謝の祈りをささげてから、ちぎって弟子たちに与え、こう言われました。「取って食べなさい。これは、あなたがたのために裂かれる、わたしの体です。わたしを思い出すために、このようにして食べなさい。」
+ 夕食の後、同じように杯を取って言われました。「この杯は、神とあなたがたとの間の新しい契約です。この契約は、わたしの血によって立てられ、効力を発します。これを飲むたびに、わたしを思い出すため、このようにしなさい。」
+ ですから、あなたがたは、このパンを食べ、杯を飲むたびに、「主は私たちのために死んでくださった」という主の死の意味を、くり返し告白するわけです。主が再び来られる時まで続けなさい。
+ ですから、もしふさわしくないままでこのパンを食べ、主の杯を飲む人がいれば、彼は、主の体と血とに対して罪を犯すことになります。
+ したがって、聖餐に臨む前に、めいめいが注意深く、自分を省みなければなりません。
+ もしキリストの体を気にもかけず、その意味を考えもせずに、ふさわしくないままでパンを食べ、杯を飲むなら、神のさばきを招くことになります。キリストの死をもてあそんだわけですから。
+ あなたがたの中に弱い者や病人が多く、また死者も出たのはそのためです。
+ しかし、食べる前に注意深く自分を省みるなら、さばきや懲らしめを受けることはありません。
+ けれども、私たちが主にさばかれ、懲らしめられるのは、この世の人々といっしょにさばかれないためです。
+ こういうわけですから、愛する皆さん、主の晩餐に集まる時は、皆がそろうまで待ちなさい。
+ ほんとうに空腹な人は、家で食べなさい。それは、いっしょに集まりながら、自分の身に罰を受けないためです。そのほかのことは、そちらに行ってから話しましょう。
+
+
+ さて、皆さん。聖霊があなたがたに授けてくださった特別な賜物(贈り物)について書きたいと思います。この点で、少しの誤解もないようにと願うからです。
+ 覚えがあると思いますが、あなたがたは異教徒であった時、ひとことも口がきけない偶像のもとへあちこち出かけたものでした。
+ ところが、いま接している人たちは、自分は神の御霊から託されたことばを語っている、と主張する人たちです。その人たちがほんとうに神に導かれているのか、それとも、ただそんなふりをしているだけか、どのようにして見分ければよいでしょう。それは、神の御霊の力を受けている者はだれも、イエスをのろうことはできないし、また、聖霊の助けがなければ、だれも、「イエスは主です」と告白できないということです。
+ ところで、神様は私たちに、いろいろな種類の賜物を与えてくださっていますが、みな聖霊から出たものです。
+ 神への奉仕はいろいろですが、私たちは同一の主に仕えているのです。
+ 神様は私たちの生活の中で、いろいろな方法で働きかけてくださいます。しかし、神のものとされた私たちの中で、また私たちを通してお働きになるのは、ただひとりの神です。
+ 聖霊は、教会全体の利益のために、私たちを通して神の力を現してくださるのです。
+ 聖霊はある人に、賢明な助言者としての賜物を与えておられます。またある人には、研究し、人に教える点ですぐれた賜物を与えておられます。
+ また、ある人には特別な信仰を与え、ある人には病気をいやす力を与えておられます。
+ そのほか、奇跡を行う力が与えられている人もあれば、預言や説教をする力をいただいている人もいます。また聖霊は、ある人には、「自分は神のことばを与えられている」と主張する人がほんとうに神の霊によって語っているかどうか、見分ける力を与えておられます。さらに、ある人には異言(今まで知らなかった特別なことば)で語る能力を与え、別の人にその異言を解き明かす能力を授けておられるのです。
+ こうしたすべての賜物と力は、同一の聖霊が思いのままに、私たちにも与えてくださるものです。
+ 人体には多くの部分がありますが、その各部分が結び合わされて、一つの体が成り立っています。キリストの体についても同じことが言えます。
+ 私たちはそれぞれ、キリストの体の一部です。ある者はユダヤ人、ある者は外国人、ある者は奴隷、ある者は自由人です。しかし聖霊は、私たちをみな結び合わせて、一体としてくださいました。私たちは、ただひとりの聖霊によって、キリストの体に結び合わされるバプテスマ(洗礼)を受け、みな同じ神の霊を与えられているのです。
+ 確かに、体はただ一つの部分からではなく、多くの部分から成り立っています。
+ たとえ足が、「私は手ではないから、体の一部ではない」と言いはったところで、体の一部でなくなるわけではありません。
+ また、もし耳が、「私は耳で、目ではないから、体の一部ではない」などと言っても、耳が体から離れることができますか。
+ 考えてもごらんなさい。もし体全体が目であれば、聞くことができるでしょうか。もし体全体が巨大な一つの耳なら、においをかげるでしょうか。
+ 神様は、私たちの体をそのように造られたのではありません。体を形成するために多くの部分を造り、配置されました。
+ もし単一の器官でできていたら、体はどんなものになっていたでしょう。
+ ですから、神様は多くの器官を造られましたが、体は一つなのです。
+ 目が手に、「私には、あなたなんか必要じゃない」などとは決して言えません。また、頭が足に、「あなたなんかいらない」とも言えません。
+ それどころか、弱く、不要と思われている部分が、実は最も必要なものです。
+ また私たちは、重要でないと思える部分を特に喜ぶのです。そして、人目にさらすべきでない部分は、人に見られないよう注意深く守ります。
+ 一方、見られてもよい部分は、特別な注意を要しません。そのように神様は、あまり重要視されない部分が特別に重んじられ、注意深く扱われるように、体を組み立ててくださったのです。
+ それは各部分が生かされ、互いにいたわり合うためです。
+ もし一つの部分が苦しむなら、すべての部分が共に苦しみます。そして、一つの部分が重んじられれば、すべての部分が喜ぶのです。
+ 私は次のことを言いたいのです。すなわち、あなたがたは共に、キリストという一つの体であり、一人一人がなくてはならない部分であるということです。
+ キリストは、ご自分の体である教会を形成する個々の部分として、人々を次のように任命されました。使徒、預言者、教師、奇跡を行う者、病気をいやす力のある者、人々を援助する者、人々の働きを管理する者、異言で話す者。
+ みなが使徒でしょうか。みなが説教者でしょうか。みなが教師でしょうか。もちろん違います。みなが奇跡を行うでしょうか。
+ みなが病気をいやせるでしょうか。神様は全員に、異言で話す能力を与えておられるでしょうか。またそれを、みなが理解し、解き明かすことができるでしょうか。もちろん、そんなことはできません。
+ あなたがたは、これらの賜物よりもっと大切なものを、熱心に求めなさい。私は、これらの賜物よりもすぐれたものについて教えましょう。
+
+
+ たとえ私に、異言で話す賜物があり、また、天と地のあらゆることばを話すことができても、愛がないならただの騒音にすぎません。
+ 同様に、預言(託された神のことばを語る)の賜物があり、あらゆることに通じていても、また山を動かすほどの強い信仰を持っていても、愛がないなら、何の価値もないのです。
+ そして、自分の財産を全部、貧しい人たちに分け与えても、また福音を宣べ伝えるために火あぶりの刑を受けても、愛がなければ、何の価値もありません。
+ 愛は寛容であり、親切です。愛は決してねたみません。また、決して自慢せず、高慢になりません。
+ 決して思い上がらず、自分の利益を求めず、無礼なふるまいをしません。愛は自分のやり方を押し通そうとはしません。また、いら立たず、腹を立てません。人に恨みをいだかず、人から悪いことをされても気にとめません。
+ 決して不正を喜ばず、いつも真理を喜びます。
+ 愛は、どんな犠牲をはらっても誠実を尽くし、すべてを信じ、最善を期待し、すべてを耐え忍びます。
+ 神からいただいた賜物や能力は、いつかは尽きます。しかし、愛は永遠に続きます。預言すること、異言で語ること、知識などの賜物は、やがて消え去ります。
+ たとえ特別な賜物が与えられていても、いま私たちの知っていること、預言することは、ほんの一部にすぎません。
+ しかし、私たちが完全な存在とされる時、これら不完全な賜物は不要になり、消え去ってしまうのです。
+ それは、こんなことから説明できるでしょう。子どもの時の私は子どものように話し、子どものように考え、子どものように判断していました。しかし、大人になると考え方も成長し、今では子どもっぽいこととは縁を切りました。
+ 同様に、今の私たちの神に対する知識や理解は、そまつな鏡にぼんやり映る姿のようなものです。しかし、やがていつかは、面と向かって神の完全な姿を見るのです。いま私が知っていることは、おぼろげで、ぼんやりしています。しかしその時には、いま神様が私の心を見通しておられるのと同じように、すべてがはっきりわかるでしょう。
+ いつまでも残るものが三つあります。信仰と希望と愛です。その中で最もすぐれているものは愛です。
+
+
+ 愛を、最高の目標にしなさい。それと共に、聖霊が与えてくださる賜物、特に、神のことばを伝える預言の賜物を求めなさい。
+ もしあなたが、聞いたことのない特別なことばである異言を語る場合、それは神への語りかけであって、人々へのことばではありません。人々には、そのことばが理解できないからです。あなたは聖霊の力によって語るのですが、それはみな隠された奥義なのです。
+ しかし、神から託されたことばを語る者は、人々を励まし、慰め、人々の主にある成長を助けます。
+ ですから、異言を語る者は、自分の信仰を成長させますが、神のことばを語って預言する者は、教会全体が成長することと、きよくなることとを助けるのです。
+ 私はあなたがたがみな異言を語ることを望んでいますが、それにもまして、神のことばを語って預言することを望みます。なぜなら、聞いたこともないことばで話すよりも、預言することのほうが、はるかにまさっており、有益だからです。もっとも、異言のあとで、その内容をわかるように説明できるなら、それも少しは役立つでしょう。
+ 愛する皆さん。私があなたがたのところで異言を語ったとしても、どうして益になるでしょう。しかし、もし神から与えられた啓示を明かし、神を理解する知識や預言、聖書の解き明かしを語るなら、それは、あなたがたにとって必要かつ有意義なことです。
+ 異言で語るより、はっきりした、わかりやすいことばで語るほうがよいことは、笛やハープのような楽器のことを考えてみてもわかります。はっきりした音色が出なければ、どんな曲を演奏しているのか、だれにもわからないでしょう。
+ もしラッパがはっきりした音を出さなければ、それが戦闘の合図であっても、兵士にはわかりません。
+ 相手に理解できないことばで話しかける場合も同じことです。まるで、だれもいない空間に話しかけるようなものです。
+ 世界には非常に多くのことばがありますが、どのことばも、それがわかる人にはすばらしいものです。
+ ところが私がそのことばを知らなかったら、話しかけてくる人と私とは、お互いに外国人同士ということになります。
+ あなたがたは、聖霊が下さる賜物を熱心に求めているのですから、教会全体の益となるような、最善のものを求めなさい。
+ 異言を語る人は、そのことばを自分で理解する力も与えられるように祈りなさい。そうすれば、あとで人々にわかりやすく説明できます。
+ もし私が、自分でも理解できないことばで祈るなら、霊では祈っていても、自分では何を祈っているのかわかりません。
+ では、どうすればよいのでしょう。異言で祈り、また、だれにでもわかる普通のことばでも祈るのです。異言で賛美し、また、自分にもわかるように、普通のことばでも賛美するのです。
+ もしあなたが異言を用いて、霊だけで神を賛美し、感謝をささげても、それを理解できない人たちは、どうしていっしょに賛美できるでしょう。また、どうしていっしょに感謝できるでしょう。
+ 確かに、あなたは心からの感謝をささげているのでしょうが、そこにいる人たちには何の益にもならないのです。
+ 私は、個人的には、あなたがたのだれよりも多く異言を語ることを、神に感謝しています。
+ しかし公の礼拝の場では、異言で一万語話すよりも、人々に役立つ五つのことばを話すほうが、ずっと良いのです。
+ 愛する皆さん。こんな道理がわからないような子どもであってはなりません。悪事をたくらむことにかけては、無邪気な赤ん坊でありなさい。しかし、こうしたことを理解する点では、知恵のある大人になりなさい。
+ 聖書に言われています。「主は、もつれた舌と外国のことばで自分の民に語るが、それでもなお、民は耳を傾けない」と。
+ 異言は信者のためではなく、信じない人々のさばきのしるしとして語られるのです。預言はクリスチャンにとって必要なものですが、クリスチャンでない者は、まだ、それを聞く準備ができていません。
+ それにしても、初心の人とか信者でない人が教会に来て、聞いたこともない国のことばで語っている場面に出くわしたら、きっと気が変になっていると思うでしょう。
+ しかし、もしあなたがたが、神のことばを語って預言しているなら、まだ救われていない者やクリスチャンになったばかりの者も、自分が罪人であるとはっきり自覚するでしょう。そして、耳にする一つ一つのことばによって良心を刺されるでしょう。
+ そのうちに、心の中の隠れた思いがあばかれ、ついには、「神はほんとうにあなたがたの中にいる」と言ってひれ伏し、神を礼拝するでしょう。
+ さて、皆さん、私の言おうとすることをまとめてみましょう。あなたがたが集まる時には、ある人は賛美し、ある人は教え、ある人は神から教えられた特別の知識を語ります。ある人は異言を話し、またある人は、その異言の内容を人々に説明します。ただし、これらはすべて全体の益となり、一同が主にあって成長できるよう役立つものでなければなりません。
+ 異言で話すのは、せいぜい二人か、多くても三人どまりにしなさい。一人ずつが順番に話し、その内容を解き明かせる人がそばにいなければなりません。
+ もし解き明かしのできる人がいなければ、教会では語ってはいけません。自分一人で、神に向かって語りなさい。
+ 預言する人も、二人か三人が一人ずつ預言しなさい。そして、ほかの人はみな、それを聞くのです。
+ しかし、だれかの預言中に、別の人に主から特別の啓示が与えられたら、先に話していた人は口をつぐみなさい。
+ このようにして、預言の賜物に恵まれている人は代わる代わる話しなさい。そして、だれもが学び、励まされ、助けを受けるのです。
+ 神からことばを与えられている人は、自分の番が来るまで自制して待つ力も与えられていることを忘れてはなりません。
+ 神様は無秩序や混乱の神ではなく、秩序と平和の神だからです。
+ 女性は教会の集会では黙っていなさい。口をはさんではいけません。なぜなら、聖書にもはっきり記されているように、女は男に服従すべきだからです。
+ もし何か質問があれば、家で夫に尋ねなさい。教会の集会で意見を述べることは、女性としてふさわしくないからです。
+ この考えに異存がありますか。神の御心を知るのは自分たちコリントの信者だけの特権だ、とでも思っているのですか。それはまちがっています。
+ 預言の賜物や、そのほか聖霊が与えてくださる賜物に恵まれていると自認する人はまず、私の主張が主からの命令であると認めなければなりません。
+ もしそれを認めないなら、その人も認められないでしょう。
+ ですから、信仰の友である皆さん、神からのことばをはっきりと語れる預言者になれるよう、熱心に願いなさい。また、異言を語るのはよくないなどと言ってはなりません。
+ ただし、何事も適切に秩序正しく行うようにしなさい。
+
+
+ さて、皆さん。福音とは何なのかを思い出してほしいのです。それは、以前あなたがたに宣べ伝えたもので、あなたがたが喜んで受け入れたものです。そして、あなたがたの信仰は、そこに根ざしているのです。
+ もし初めにいい加減な気持ちで信じたのでなく、今もなお堅く信じているのなら、この福音は、あなたがたを救ってくれるのです。
+ まず私は最も大切なこととして、かつて自分も知らされた、次のことを伝えました。すなわち、キリストは、聖書に記されているとおり、私たちの罪のために死なれ、
+ 葬られたこと、そして預言者たちの語ったとおりに、三日目に復活されたことです。
+ また、キリストはペテロに姿を現し、そのあと十二弟子の残りの者にも現れました。
+ さらには、五百人以上のクリスチャンにも姿をお見せになったのです。その中の何人かはもう死にましたが、大部分は今も健在です。
+ それから、キリストはヤコブ(主イエスの兄弟)に、そして使徒たち全員に現れました。
+ そして最後に、信仰の未熟児のような私の前にも現れてくださったのです。
+ 私は、使徒の中では一番小さな者であり、使徒と呼ばれる資格さえない者です。神の教会の迫害者だったのですから。
+ 今の私があるのは、あふれるほどに注がれた神の恵みとあわれみによるのです。この恵みとあわれみは、むだではありませんでした。なぜなら、私はほかのどの使徒たちよりも働いてきたからです。けれども、実際に働いたのは私ではなく、私のうちにある神の恵みです。
+ よく働いたのが、私であろうとだれであろうと、そんなことは問題ではありません。大切なのは、私たちが福音を宣べ伝え、あなたがたがそれを信じたという事実です。
+ しかし、これだけは言わせてください。私たちが伝えたとおり、あなたがたが、キリストの死からの復活を信じているのなら、なぜ、「死んだ者は二度と生き返らない」と言ったりする人が出るのですか。
+ もし死者の復活がないなら、キリストは今も死んだままのはずです。
+ もしそれが事実なら、私たちが宣べ伝えていることは無意味であり、あなたがたの信仰も価値のないものとなるのです。
+ そして、私たちは、大うそつきということになります。なぜなら、もし死者の復活がないのなら、神はキリストを復活させることはなかったはずですが、私たちは、「神がキリストを墓からよみがえらせた」と主張しているからです。
+ もし死者が復活しないのなら、キリストも復活しなかったでしょう。
+ そして、もしキリストが復活しなかったのなら、信仰はむなしく、あなたがたは今も罪の中にいるのです。
+ また、すでに死んだクリスチャンは、みな滅んでしまったことになります。
+ もしクリスチャンであることが、この世の生活でしか価値がないのなら、私たちほどみじめな者はありません。
+ しかし、事実、キリストは死者の中から復活しました。そして、復活が約束されているすべての人の初穂(その年の収穫の最初の束)となられたのです。
+ 一人の人(アダム)の行為によって、死がこの世に入って来ました。そして、このもう一人の人(キリスト)の行為によって、死者の復活が入って来たのです。
+ 罪深いアダムにあってすべての人が死んでいるように、キリストによってすべての人が生かされるのです。
+ ただし、その順番があります。最初にキリストが復活なさいました。次に、キリストが帰って来られる時に、キリストに属する全員が復活します。
+ そのあとで、終わりが来ます。その時、キリストはあらゆる敵を滅ぼし、この世界を父なる神にお渡しになります。
+ 王としてキリストが支配なさるのは、敵を全滅させる時までだからです。
+ その敵の中には、究極の敵である死も入っています。死もまた滅ぼされなければならないのです。
+ というのは、キリストには、すべてのものを支配する権威が、父なる神から授けられているからです。ただ、すべてのものと言っても、この支配権をお授けになった父なる神だけは、もちろんキリストの支配下に含まれません。
+ キリストはあらゆる敵との戦いに勝利を収めると、神の子として、ご自分を父なる神の支配におゆだねになります。それは、子にすべてを征服する力をお授けになった神様が、最高の存在となられるためです。
+ もし死者の復活がないのなら、死んだ人のためにバプテスマ(洗礼)を受けることには何の意味があるのですか。将来の死者の復活を信じてもいないのに、どうしてそんなことをするのでしょう。
+ また、なぜ私たちは、いつも死に直面し、いのちの危険にさらされるのに甘んじているのでしょうか。
+ 事実、私は毎日、死に直面しています。このことは、あなたがたの主にある成長を私が誇るのと同じように、確かなことです。
+ もし私が、この地上の生涯のためにエペソでの苦難と戦ったのだとしたら、どれだけの価値があったでしょう。死後の復活などありえないのなら、「どうせ明日は死ぬ身だ。大いに飲み食いして、愉快に過ごそう」ということになります。
+ そういう人たちにだまされてはいけません。それに耳を傾けていると、同じ状態に陥ってしまいます。
+ 目を覚まして、罪を犯すのをやめなさい。あなたがたが恥じ入るためにあえて言いますが、あなたがたの中には、神について実際には何も知らない人がいます。
+ しかし、こう聞く人もいるでしょう。「死んだ人は、どのように復活するのですか。どんな体になるのですか。」
+ なんと愚かな質問でしょう。畑を見ればわかるではありませんか。まいた種は、まず死ななければ芽を出しません。
+ そして、その種から出る緑の芽は、初めの種とは全く別物です。土にまくのは、麦でも何でも、干からびた小さな種粒です。
+ ところが神様は、その種に、それぞれにふさわしい、美しく新しい体を与えてくださいます。それで、いろいろな種類の種から、それぞれ植物が成長してくるのです。
+ いろいろな種類の種や植物があるように、肉にもいろいろな種類があります。人間、獣、鳥、魚の肉は、それぞれみな異なっています。
+ 天使は、私たちとは全く異なった体を持っています。その美しさや栄光は、人間の体の美しさや栄光とは異なっています。
+ 太陽には太陽の栄光があり、月や星には別の栄光があります。一つ一つの星にも、美しさや輝きに違いがあります。
+ 同じように、死んだら朽ち果てる、私たちの地上の体は、復活の時に与えられる体とは異なったものです。復活の体は決して死にません。
+ いま持っている体は、病気や死で私たちを悩ませます。しかし復活の時には、それは栄光に満ちたものとなるのです。確かに、今は死ぬべき弱い体ですが、復活の時には力にあふれた体となるのです。
+ そして、今は死ぬべき人間の肉体にすぎませんが、復活の時には、神から与えられる霊の体になります。自然のままの肉体があるように、神からの霊の体も存在するのです。
+ 聖書には、「最初の人アダムは、生きたものとなった」と書いてありますが、キリストは、いのちを与える方となられたのです。
+ 初めはこのような体をまとっている私たちも、後には、霊の体を与えられます。
+ アダムは地上の土から造られた者ですが、キリストは天から来られた方です。
+ 人間はだれでも、アダムと同じ土の体を持っています。しかし、キリストのものとなった人はみな、キリストと同じ、天から与えられる体を持つようになるのです。
+ 今アダムと同じ体を持っている私たちは、そのように、いつの日かキリストと同じ体を持つのです。
+ 愛する皆さん。念を押して言います。地上の、血と肉の体は、神の国から閉め出されます。今の私たちの体は死ぬべきもので、永遠に生きることはできません。
+ ここであなたがたに、驚くべき神の奥義を告げましょう。私たちはみな、新しい栄光の体をいただくのです。
+ 終わりのラッパが鳴り渡る時、一瞬のうちにそうなるのです。天からラッパの音が響くと、死んでいたすべてのクリスチャンは、たちまち朽ちない新しい体に復活します。次に、まだ生き残っている者もまた、一瞬にして新しい体に変わるのです。
+ なぜなら、地上の死ぬべき今の体は、天上の決して死ぬことのない、永遠に生きる体に変えられなければならないからです。
+ この時、「死は勝利にのみ込まれた」という聖書のことばが現実となるのです。
+ 「死よ。おまえの勝利はどこにあるのか。死よ。おまえのとげはどこにあるのか。」
+ 罪、すなわち死をもたらすとげは、ことごとく切り取られます。そして、罪をあばく律法も、もはや私たちをさばきません。
+ これらのことを、どう神に感謝したらよいでしょう。神様は、主イエス‧キリストによって、私たちに勝利を与えてくださるのです。
+ 愛する皆さん。このように将来の勝利は確実なのですから、しっかり立って、動揺することなく、いつも、主の働きに熱心に励みなさい。なぜなら、復活は確かであり、主のための働きが決してむだに終わらないことを、あなたがたは知っているからです。
+
+
+ さて、エルサレムのクリスチャンあての献金については、次のようにお願いしたいのです。〔この件に関しては、ガラテヤの諸教会にも同様に通知しておきました。〕
+ 日曜日ごとに、めいめいが、前の週の収入の一部を別にしておいて、この献金にあてなさい。その額は、主の助けによって得た収入に応じて決めなさい。私がそちらに行ってから、一度に全部集めることなどないようにしてください。
+ 私が着いたら、使者として信頼できる人たちを、あなたがたに選んでもらい、手紙を持たせてエルサレムに派遣し、その愛の贈り物を届けさせましょう。
+ 私も同行するほうがよければ、そうしましょう。
+ 私は、まずマケドニヤに行ってから、あなたがたを訪問する予定です。マケドニヤには、ちょっと立ち寄るだけです。
+ しかし、あなたがたのところには長く滞在するつもりです。もしかしたら、ひと冬を過ごすかもしれません。そうなれば、あなたがたに送られて、次の目的地へ向かえます。
+ 旅の途中で会って、すぐに別れを告げるようなことはしたくないのです。主のお許しがあれば、しばらく滞在したいと思っています。
+ ただ、五旬節(ユダヤ教の祭りの一つ)まではエペソを離れません。
+ エペソでは、福音を宣べ伝えるための門戸が、広く開放されているからです。しかし、それだけにまた、敵対する者も多いのですが。
+ テモテが着いたら、あたたかく迎えてやってください。彼も私と同じように、主の仕事に励んでいる人です。
+ 彼が若いからといって、見下したり、無視したりしないでください。彼がそちらでのすばらしい体験を胸に、喜び勇んで帰って来られるようにしてください。私は、彼ら一行の帰りを、首を長くして待っています。
+ 私はアポロにも、ほかの人たちと共にコリントへ行くようにとしきりに勧めたのですが、彼には、今、それが神の望んでおられることだとは、どうしても思えないようです。あとで機会があれば行くでしょう。
+ 目を覚まして、霊的な危険に身構えていなさい。いつも主に忠実でありなさい。男らしく行動し、強くありなさい。
+ すべての点で、親切と愛から出た行動をとりなさい。
+ ステパナとその一家を覚えているでしょう。ギリシヤで最初にクリスチャンになった人たちです。今、あちこちのクリスチャンのために、熱心に援助や奉仕の活動をしています。
+ どうか、彼らの指示には従ってください。また、彼ら同様、あなたがたのために真心から献身的に働いている人たちを、できる限り助けてください。
+ ステパナとポルトナトとアカイコの来訪を、心から喜んでいます。この人たちは、離れていて手助けできないあなたがたに代わって、助けてくれたのです。
+ 彼らから私が受けた励ましは大きく、たいへん勇気づけられました。あなたがたもきっと励まされたことでしょう。このような人たちに、心から感謝してください。
+ アジヤの諸教会から、くれぐれもよろしくとのことです。アクラとプリスカ、また礼拝のためにその家に集まっている人々が、心からよろしくと言っています。
+ こちらの友人たち全員が、よろしくとのことです。あなたがたも、会った時には、互いに愛のこもったあいさつを交わしなさい。
+ この手紙の最後のことばは、私が自分で書きます。
+ もし主を愛さない人があれば、その人はのろわれます。主イエスよ、来てください。
+ 主イエス‧キリストの愛と恵みが、あなたがたと共にありますように。
+ 私の愛が、キリスト‧イエスにあって、あなたがた一同と共にありますように。パウロ
+
+
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+ 神からキリスト‧イエスの使徒に任命されたパウロと、信仰の友テモテから、コリントおよびギリシヤ全土に住むすべてのクリスチャンへ。
+ どうか、私たちの父なる神と主イエス‧キリストが、あなたがた一人一人に、あふれるほどの祝福と平安とを注いでくださいますように。
+ 私たちの神様は、なんとすばらしいお方でしょう。神様は主イエス‧キリストの父であり、あらゆる慈愛の源です。そして、私たちが苦しみや困難にあえいでいる時、慰めと励ましを与えてくださるお方です。それは、苦しみの中にあって慰めと励ましを必要としている人々に、私たちも、神から受ける助けと慰めを与えることができるためです。
+ 私たちがキリストのために苦しめば苦しむほど、より豊かにキリストから慰めと励ましが与えられることは確かです。
+ 私たちが大きな苦しみに会うのも、あなたがたが神の慰めと救いを受けるためです。現に神様は、苦しんでいる私たちを慰めてくださいました。それは、あなたがたのためでもあるのです。つまり、あなたがたが私たちと同じような苦しい境遇に立たされた時、神の慰めがどれほどやさしさに満ちたものであるかを知ることができるのです。神様は必ず、苦しみに耐え抜く力を与えてくださいます。
+ 愛する皆さん。私たちがアジヤで味わった苦しみについて、ぜひ知っていただきたいと思います。私たちは非常に激しい迫害を受け、打ちのめされて、もうこれ以上生き延びるのはむりかと思いました。
+ 死を覚悟し、自分の無力さを痛いほど思い知らされました。しかし、それがよかったのです。というのは、そんな状態の中で、何もかも神にお任せしたからです。死者を復活させることさえできるお方なのですから。
+ やはり、神様は私たちを助け、恐ろしい死の危険から救い出してくださいました。これからも、何度でも、救い出してくださるに違いありません。
+ あなたがたも、祈りによって私たちを助けてください。それは、私たちの安全を願うその祈りに、神がはっきりと答えてくださるのを見て、あなたがたがもっと感謝と賛美をささげるようになるためです。
+ 私たちは、どんな場合でも、自分の知恵に頼らず、助けてくださる主に信頼し、きよさと誠実さをもって行動してきました。特にあなたがたに対しては、そのようにふるまってきました。胸を張ってそう言うことができます。
+ 私の手紙は、単刀直入に、しかも真心をこめて書いたものです。どちらにも取れるあいまいなことは、決して書いていません。それで、たとえ今は、私についてあまりよく知らないあなたがたでも、私を受け入れ、私を誇りとしてくださるよう望みます。もちろん今も、ある程度そうしてくれていますが、今以上に、主イエスがもう一度帰って来られる日に、私があなたがたを誇りにするくらいにです。
+ あなたがたの私に対する理解と信頼を確信したので、次のような計画を立てました。マケドニヤへ向かう途中、まずコリントであなたがたに会い、また帰りにも立ち寄るという計画です。そうすれば、あなたがたは二倍の祝福を受けることができ、私もあなたがたに送られてユダヤへ行けるからです。
+ では、なぜその計画を変更したのか、と尋ねられるかもしれません。その決心が、まだ固まっていなかったからでしょうか。それとも、私も世間の人のように、ほんとうは「いいえ」と言いたいのに、「はい」と言ったりしたのでしょうか。
+ 絶対にそんなことはしません。私の「はい」は、ほんとうに「はい」なのです。
+ テモテとシルワノと私は、神の子キリスト‧イエスについて語ってきました。この方は、本心は「いいえ」なのに「はい」と言われる方ではありません。いつも、ことばどおり実行なさいます。
+ また神の約束は、ことごとく実行され、完成されました。それで私たちは、この方がどんなに真実な方か、すべての人に知らせ、その御名をほめたたえるのです。
+ あなたがたや私を忠実なクリスチャンとし、また私たちを、キリストの福音を宣べ伝える使徒に任命してくださったのは、この神様です。
+ また、神のものとなった証拠の印を私たちに押し、私たちの心に御霊を遣わしてくださったのも神様です。御霊は、私たちが神のものであることの保証であり、また、神が下さる最初の贈り物です。
+ この神に証人となっていただいて、少しの偽りもない真実を述べましょう。私がまだあなたがたを訪問しないでいるのは、信仰に関してきびしくしかりつけて、悲しい思いをさせたくないからです。
+ コリントへ行く時には〔もっとも、すでにしっかりした信仰を持っているあなたがたのために、私はそう役に立てるわけではありませんが〕、あなたがたに喜んでもらえるようにと願っています。悲しみではなく、喜びをもたらしたいのです。
+
+
+ 私は、「コリント教会の人々を苦しめるような訪問は二度とすまい」と、自分に言い聞かせました。
+ もし、私があなたがたを悲しませているとしたら、どうして喜べるでしょう。私を喜ばせることができるのは、あなたがただけです。それなのに、私があなたがたを苦しませているとしたら、どうして喜ばせてもらえるでしょう。
+ 前の手紙であのように書いたのは、私が行く前に、あなたがたの手で事を処理してもらいたかったからです。そうすれば、会って、一番喜ばせてくれるはずの人たちから、悲しい思いをさせられなくてすむでしょう。あなたがたの喜びと私の喜びとは、切っても切れない関係なのですから。私が喜び勇んで行くのでなければ、あなたがたも幸福な気持ちにはなれません。
+ どんなにつらい思いであの手紙をしたためたことでしょう。胸も張り裂けんばかりの思いで、涙ながらに書いたのです。傷つけるつもりなどさらさらなく、あなたがたをどれほど愛しているか、また、あなたがたの間で起こった問題をどんなに心にかけているか、ぜひ知ってもらいたかったのです。
+ 覚えておいてください。あの手紙に書いた、今度の事件の張本人は、私を悲しませたというより、あなたがた全体を悲しませたのです。――もっとも、私もずいぶん悲しい思いをしましたが。私はその人に対して、必要以上にきびしい態度をとりたくありません。彼は多くの人から責められて、もう十分罰を受けています。
+ 今はむしろ、赦し、慰めてあげなさい。そうしないと、あまりの悲しみと絶望に打ちひしがれて、立ち直れなくなるかもしれません。
+ ですから、あなたがたが今もどんなに深くその人を愛しているか、どうぞ示してあげてください。
+ 私の手紙は、あなたがたがどのくらい私の指示に従ってくれるかを確かめるためのものでした。
+ あなたがたがだれかを赦すなら、私もその人を赦します。何であれ、私が赦したのは、キリストの権威によって、あなたがたのために赦したのです。
+ 赦さなければならない理由はほかにもあります。それは、サタンにだまされないためです。私たちはサタンのたくらみを知っているのです。
+ 私がトロアスの町まで行った時、主は、福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を伝える絶好の機会を与えてくださいました。
+ ところがそこでは、信仰の友である、愛するテトスに会えなかったので、彼がどこにいるのか、その身に何か起こったのではないかと気がかりでなりませんでした。そんなわけで、何とかしてテトスに会おうと、人々に別れを告げ、まっすぐマケドニヤに向かったのです。
+ しかし、神に感謝します。神様は、キリストの働きのゆえに、私たちを勝利の行進に加えてくださいました。今、神様は私たちを通して、キリストの福音の香りを放ってくださいます。
+ 私たちの生活には、かぐわしい香りが漂っています。それは、私たちのうちにあるキリストの香りであって、救われる人々にも、滅びる人々にも、一つの香りなのです。
+ 滅びる人々にとっては、私たちは死と滅びの恐れに満ちた香りですが、キリストを知る人々にとっては、いのちを与える香りなのです。このような任務にふさわしい者とは、いったいどんな人でしょう。
+ それは、私たちのように神から遣わされて、真心から語る者、キリストの力によって神の前で語る者だけです。私たちは、多くの人がするように神のことばをつごうよく曲げて、売り歩くようなことはしません。
+
+
+ 私は今、偽教師のまねをして自分の推薦を始めているのでしょうか。あなたがたの身近にいる偽教師たちは、自分で自分を推薦したり、あなたがたあての長い推薦状を持って行ったりしなければならないような人たちです。しかし私たちは、だれからも推薦状を書いてもらう必要などないと思っています。また、あなたがたからの推薦状も必要ではありません。
+ 私たちの推薦状は、あなたがた自身です。あなたがたの心の、そのすばらしい変わりようを見れば、だれにも、私たちの良い働きは一目瞭然です。
+ あなたがたそのものが、私たちが書いた「キリストからの手紙」であり、それはペンとインクではなく、生ける神の御霊によって書かれ、石の板にではなく、人の心に刻み込まれた手紙です。
+ 大胆にこのような自慢をするのは、キリストを通して、心から神に信頼しているからにほかなりません。すなわち、神様は必ず、私たちのことばが真実となるよう助けてくださると信じているからです。
+ それは私たちが不変の価値がある何かを、自分の力でできると考えているからではありません。私たちの力も成功も、ただ神から来るのです。
+ 神様は私たちが、人々を救う新しい契約について、人々に知らせることができるように助けてくださいました。それは、「神の律法(おきてや戒律)を全部守れ。さもないと滅びるぞ」と教えているのではありません。「御霊が新しいいのちを下さる」と教えているのです。「モーセの十戒」を守って救われようとする、古い方法の行き着く先は死です。しかし新しい方法によれば、御霊からいのちをいただけるのです。
+ けれども、死に通じる、石板に刻まれた文字による方法も、初めは輝かしい栄光をおびていたのです。その栄光のまばゆさに、イスラエルの人々は、モーセの顔をまともに見られないほどでした。従うべき神の律法を示した時のモーセの顔は、神の栄光そのもので光り輝いていたからです。――もっとも、その輝きは、やがて消え去る運命にあったのですが。
+ とすれば、御霊がいのちを与えてくださる、この今の時には、はるかにすばらしい栄光を期待できるのではないでしょうか。
+ 死に通じる計画にも栄光があったのなら、人々を神との正しい関係に導く計画には、なおさら栄光が満ちあふれるのです。
+ 事実、モーセの顔の最初の栄光は、新しい契約の圧倒的な栄光に比べれば、取るに足りないものです。
+ もし消え去ってゆく古い方法にも天の栄光が満ちていたとすれば、私たちの救いのために立てられた、永遠に続く神の新しい契約には、はるかにまさった栄光があるはずです。
+ この新しい栄光は決して消え去らないと確信しているので、私たちはきわめて大胆に語れるのです。
+ そしてモーセのように、栄光の消えていく様子をイスラエルの人々から隠すため、顔に覆いをかけたりはしません。
+ 覆いがかけられたのは、モーセの顔だけではありません。イスラエルの人々の霊的理解力も覆われたのです。今でも、聖書が朗読される時、ユダヤ人の思いには、厚い覆いがかかっているように思えます。というのは、聖書のほんとうの意味を知ることも、理解することもできないからです。この覆いは、キリストを信じて初めて取り除かれるのです。
+ 確かに今日でも、彼らがモーセの書を朗読する時、その心には覆いがかかったままです。
+ しかし、だれでも罪に背を向け、主のほうに向く時、その覆いは取り除かれます。
+ 主は、いのちを与えてくださる御霊です。御霊のおられるところには自由があります。
+ 私たちには顔の覆いがありません。鏡のように、主の栄光をはっきり映すことができます。そして、主の御霊が私たちのうちで働いてくださるにつれ、私たちはますます主に似た者にされていくのです。
+
+
+ 福音を伝えるという、このすばらしい務めに私たちを任命してくださったのは、神ご自身です。それはあわれみによるのです。ですから、私たちは決して落胆しません。
+ 信じさせるために、あれこれたくらむようなまねはしません。だましたりしたくないのです。書かれてもいないことを、聖書の教えであるかのように思わせることもしません。そのような恥ずかしい方法は用いません。語る時には、神の前に立って真実を語ります。私たちを知っている人はみな、このことを認めてくれるはずです。
+ もし私たちの宣べ伝える福音が、だれかの目に隠されているとしたら、永遠の滅びに向かっている人に対してです。
+ それは、この邪悪な世の神であるサタンのしわざです。目隠しをさせて、その人の上に輝いている福音の栄光が見えないようにしているのです。また、まことの神、キリストの栄光に関する私たちの証言を理解できないようにしているのです。
+ 私たちは、自分のことを宣伝しているのではありません。主であるキリスト‧イエスを宣べ伝えているのです。私たちはただ、イエスが私たちのために成し遂げてくださったことを知ったので、あなたがたに仕える者となっただけです。
+ 「闇の中に光が輝け」と言われた神様が、私たちに、イエス‧キリストの御顔に輝いている、神の栄光の輝きを理解させてくださったからです。
+ このすばらしい宝〔私たちのうちに輝いている光と力〕は、こわれやすい器〔私たちの弱い肉体〕の中に入っています。私たちのうちにある栄光に満ちた力は、神に与えられたものであって、私たち自身から出たものでないことは明らかです。
+ 私たちは四方八方から苦しめられ、圧迫されますが、押しつぶされ、打ちのめされることはありません。「どうしてこんなことが」と途方にくれることがあっても、行きづまることはありません。
+ 迫害されますが、神に見捨てられることはありません。打ち倒されても、また立ち上がって、前進を続けます。
+ この体は、かつてのイエス様がそうであったように、いつも死に直面しています。ですから、私たちを安全に守ってくださる方は、私たちのうちに生きておられるイエスだけであることが明らかになるのです。
+ まことに私たちは、主に仕えているために、絶えず死の危険にさらされています。しかし、そのことでかえって、死ぬべき私たちの体によって、イエス‧キリストのいのちを明らかに示す機会が与えられているのです。
+ 私たちはキリストの福音を宣べ伝えているために、死に直面しています。しかしその結果、あなたがたに永遠のいのちが与えられるのです。
+ 詩篇の作者は、「私は信じている。それゆえに語る」(116‧10)と言いました。同じように私たちも、自分が神の守りの中にあることを確信して、信じていることを大胆に語ります。
+ 主イエスを死から復活させてくださった神様が、私たちをもイエスと共に復活させ、あなたがたといっしょに御前に立たせてくださることを信じています。
+ こんな苦しみに甘んじているのも、あなたがたのためを思うからです。キリストに導かれる人が増えれば増えるほど、その大きな恵みがますます多くの人におよんで、感謝に満ちあふれ、主の栄光が明らかになるのです。
+ ですから、私たちは決して落胆しません。肉体はしだいに衰えますが、うちにある力は日ごとに強くなっていきます。
+ 今の私たちの苦しみや悩みは、結局のところ、取るに足りないものであり、それほど長くは続きません。そして、このつかの間の苦しみは、永遠に尽きない、あふれるばかりの神の祝福をもたらすのです。
+ ですから私たちは、いま見えるもの、すなわち身の回りの苦しみには目をとめません。むしろ、今は見えない天にある喜びを望み見ているのです。苦しみは、やがて消え去ります。しかし、その喜びは永遠に続くのです。
+
+
+ 私たちがいま住んでいる地上の家が取りこわされても〔すなわち、私たちが死んでこの肉体を離れても〕、天には新しい体、永遠に保証された家があります。それは、人の手ではなく、神の手でつくられた家です。
+ 今のこの体は傷み衰えていますが、天で与えられる体を新しい着物のようにまとえる日を、首を長くして待っているのです。
+ それを着れば、体のない霊だけの状態でいることはないからです。
+ この地上の体のために嘆きやうめきがありますが、だからといって、死んで、体のない状態になりたいとは思いません。その新しい体を着たいと願うばかりです。そうすれば、この死ぬべき体が、永遠のいのちにのみ込まれてしまうからです。
+ これこそ、神様が私たちのために用意してくださったことであり、その保証として、御霊を遣わしてくださったのです。
+ いま私たちは、確信をもって天で与えられる体を待ちこがれています。また、このように地上の体で過ごしている間は、イエスと共に過ごす、天国の永遠の家から離れていることもよく知っています。
+ 実際に見ることによってではなく、信じることによって、これを事実と認めているのです。
+ ですから、少しも恐れません。むしろ、死ぬことは願わしいのです。それは、天の家に主と共に住むことを意味するからです。
+ そういうわけで、地上でこの肉体のままでいようと、肉体を離れて主と共に天にいようと、私たちの目的は、いつも主に喜ばれることです。
+ なぜなら、やがて私たちはみな、キリストの前でさばきを受けなければならず、全生活がさらけ出されることになるからです。善であれ悪であれ、地上の体でいる時の行いに応じて、私たちはそれぞれ、ふさわしい報いを受けるのです。
+ ですから、私たちの心にいつも主を恐れる思いがあるのです。それで、ほかの人々を説得しようと必死になっているのです。それが純粋な気持ちから出ていることを、神様はご存じです。だから、あなたがたにもこのことをはっきり知っていただきたいと、心から願っています。
+ またしても、私たちが自己推薦を始めたと思いますか。そうではありません。ただ、あなたがたを、外見上のりっぱさを誇りながら、実際には、心の中は偽りと不誠実で満ちている人たちに対抗できるようにさせたいのです。あなたがたは、私たちの動機が正しく、しかも誠実である点を誇ることができます。
+ 自分のことをこのように言うとは、気がおかしくなったのでしょうか。もしおかしくなったとすれば、それは神の栄光のためです。もし正気であるとすれば、あなたがたのためです。私たちは何をするにしても、自分の利益を求めるのではなく、キリストの愛に動かされて行っているのです。キリストが私たちのために死んでくださったことを信じる以上、自分が、今までの古い生活に対して死んだことも信じなければなりません。
+ キリストは全人類のために死んでくださいました。それは、キリストから永遠のいのちをいただいて生きる人がみな、もはや自分を喜ばせるためではなく、自分のために死んで復活されたキリストに喜ばれるように生きるためです。
+ ですから、世間の評判や、外見の良し悪しで、人を評価するのはやめなさい。以前、私は、その誤った考え方で、キリストのことを自分と同じ人間とみなしていました。しかし今では、その考えは一変しました。
+ だれでもクリスチャンになると、内側が全く新しくされます。もはや今までと同じ人間ではありません。新しい人生が始まったのです。
+ この新しい出来事はすべて神から出ています。神様は、キリスト‧イエスの働きによって、私たちをご自分のもとに連れ戻してくださいました。そして、この恵みによる神との和解を、すべての人に勧める特権をも、私たちに与えてくださったのです。
+ つまり、キリストによって、この世をご自分と和解させ、その罪を数え立てずに、かえって帳消しにしてくださったのです。これが、人々に伝えるようにと私たちにゆだねられた、すばらしい知らせです。
+ こういうわけで、私たちはキリストの大使です。神様が、私たちの口を通して語りかけてくださるのです。キリストが懇願しておられるかのように、キリストに代わって、あなたがたにお願いします。どうか、差し出された愛を拒まず、神様と和解してください。
+ それは神様が、罪のないキリストに私たちの罪を負わせ、それと引き換えに、私たちに恵みを注いでくださったのですから。
+
+
+ 神と共に働く者としてお願いします。神の恵みをむだに受けないように気をつけてください。
+ 神様はこう言われるからです。「恵みの時に、あなたの叫びはわたしに届いた。救いが差し出されている日に、わたしはあなたを助けた。」まさしく今、神様はあなたを喜び迎えようとしておられます。今日、あなたを救おうとしておられます。
+ 私たちは、自分たちの行動がだれかをつまずかせたり、主との出会いを妨げたりすることがないように、また、主を非難する口実に用いられないように気をつけています。
+ あらゆる点で、自分がほんとうに神に仕える者であることを示そうと努めているのです。次から次へと襲って来る悩み、苦しみ、困難にも、しんぼう強く耐えています。
+ むちで打たれたことも、投獄されたことも、怒り狂う暴徒に取り囲まれたこともありました。ある時は力尽きるまで働き、ある時は一睡もせずに夜を明かし、また食べる物のない日もありました。
+ 健全な生活と福音に対する理解と忍耐とによって、自分の口に偽りがないことを証明してきました。いつも親切にし、愛に富み、聖霊に満たされてきました。
+ 何をするにも、神の力に助けられて、真実を貫いてきました。神を敬う人に備わる義の武器を、いつも手にしていました。
+ 人に尊敬されようと軽蔑されようと、あるいは非難されようと賞賛されようと、主への忠誠に変わりはありません。人からはうそつきと呼ばれようと、私たちは正直です。
+ この世から無視されても、私たちは神に認められています。死に直面しながらも、このとおり生きています。傷つけられたこともありますが、死を免れてきました。
+ 心に痛みがありますが、同時に主の喜びも持っています。貧しいように見えても、霊的に多くの人を富ませています。何も持っていなくても、あらゆるものに満たされています。
+ 愛するコリント教会の皆さん。私は心にあることをみな、お話ししました。私は心の底から、あなたがたを愛しているのです。
+ 今なお私たちの間に冷たい空気があるとしても、私に愛が欠けているせいではありません。あなたがたの愛があまりにも少なくて、私まで届かないのです。
+ 今、実の子どもに対するように、あなたがたに話しています。どうか心を開いてください。私たちの愛にこたえてください。
+ 神を愛していない者の仲間入りをしてはいけません。神の民と罪の民との間に、いったいどんな共通点があるでしょう。光と暗闇とが、どうして共存できるでしょう。
+ キリストと悪魔との間に、何の調和があるでしょう。クリスチャンが、信じていない人とどうして手をつなぐことができましょう。
+ 神の宮と偶像との間に、何の一致があるでしょう。あなたがたは神の宮であり、生ける神の住まいなのです。神様はあなたがたについてこう言われました。「わたしは彼ら(神の民)のうちに住み、その間を歩む。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。」
+ それゆえ、主はこう言っておられます。「彼ら(神の民)から立ち去り、縁を切れ。その汚れたものに触れてはならない。そうすれば、わたしはあなたがたを迎え入れ、
+ あなたがたの父となり、あなたがたはわたしの息子、娘となる。」
+
+
+ 愛する皆さん。私たちは、このようにすばらしい約束を与えられているのですから、肉体と霊を汚すすべてのものときっぱり縁を切って、自分をきよめようではありませんか。そして心から恐れかしこんで、神だけに自分をささげようではありませんか。
+ どうか、もう一度心を開いてください。だれ一人、私たちから害を受けた人はいないはずです。また、惑わされた人もいません。私たちは、だましたことも、人をうまく利用したこともありません。
+ あなたがたをしかったり、責めたりするためにこう言うのではありません。前にも言ったように、私はいつも心の中であなたがたのことを思い、生も死も共にしているのです。
+ 私はあなたがたに信頼を寄せ、あなたがたをたいへん誇りに思っています。私はあなたがたのことで大いに勇気づけられ、どんな苦しみの中でも喜びに満ちました。
+ マケドニヤに着いた時、私たちには少しの安らぎもありませんでした。外には四方八方に困難が立ちふさがり、心は恐れと不安でいっぱいでした。
+ その時、神様は意気消沈している者を励まし、テトスの帰還によって元気づけてくださいました。
+ また、テトスの帰還もさることながら、彼があなたがたのところですばらしい時を過ごしたと聞いて、とてもうれしく思いました。あなたがたがどんなに私の訪問を待ちこがれているか、この前の事件でどんなに嘆き悲しんでいるか、また、どんなに私に忠実であり、心から愛してくれているか、彼が報告してくれました。それを聞いて、私はほんとうに喜びました。
+ あの手紙を書き送ったことを、もう後悔していません。実は、あれがあなたがたをどんなに苦しめたかを知って、一時はとても後悔したのです。けれども、あなたがたを苦しめたのは、つかの間にすぎませんでした。
+ 今では、あの手紙を送ってよかったと思っています。苦しませたからではなく、その苦しみのおかげで、あなたがたが神様に立ち返ったからです。それは、神様がご自分の民に経験させたいと望んでおられる、良い意味での悲しみだったのです。もうこれで、そちらに行ってきびしくしからないですみます。
+ 神様は時々、罪を断ち切り、永遠のいのちを求めさせるために、私たちに悲しみを与えます。そのような悲しみを嘆いてはなりません。しかし、この世の人の悲しみは、真の悔い改めに導く悲しみではないので、永遠の死を食い止める力がありません。
+ 考えてもごらんなさい。主が与えられたこの悲しみは、どんなに益となったことでしょう。あなたがたはそこで絶望せず、かえって、私が手紙で指摘した罪を取り除こうと、誠意をもって努力しました。あんな出来事が起こったことに恐れをいだき、私の来訪と助けとを心から願うようになりました。正面からこの問題に取り組み、罪を犯した者を処罰して、問題を解決しました。実際、事態を正しく処理するために、あなたがたはできる限りのことをしたのです。
+ あの手紙は、あなたがたがどんなに私たちのことを心にかけていてくれるか、主の前で明らかにするために書きました。実は、これこそ、罪を犯した本人や被害者を助けること以上に、私が願ったことなのです。
+ こういうわけで、あなたがたの愛を知って、私たちは大いに勇気づけられました。その上、テトスの喜びが加わって、喜びも倍増しました。あなたがたがテトスをあたたかく迎え入れ、くつろがせてくれたおかげです。
+ テトスが出発する前、私は彼に、あなたがたのことを誇りに思っていると話しておきましたが、よくぞ信頼にこたえてくれました。私はいつも真実を語ってきましたが、テトスに誇ったこともうそではなかったと証明されたのです。
+ テトスは、あなたがたが彼のことばに喜んで耳を傾け、非常な心づかいと深い関心をもって受け入れてくれたことを思い出しては、今まで以上にあなたがたへの愛を深めています。
+ いま私たちの間には、何のわだかまりもなくなり、ほんとうにうれしくてたまりません。再び、あなたがたに全幅の信頼を寄せることができるのですから。
+
+
+ ところで、神様がマケドニヤの諸教会にどんな恵みを施されたか、お知らせしたいと思います。
+ 多くの試練や困難のただ中にあったマケドニヤの諸教会が、ひどく貧しいにもかかわらず喜びに満ち、その結果、あふれるほど惜しみなく、他の人々に施すようになりました。
+ 自分たちの力に応じてささげたばかりでなく、力以上にささげました。私がやかましく催促したからではなく、自発的にそうしたのです。
+ 「エルサレムのクリスチャンを援助できるのは光栄です。ぜひその仲間に入れてください」と、熱心に願ったのです。
+ 何よりもすばらしいのは、彼らが期待をはるかに超えることをしてくれた点です。まず、自分自身を主にささげ、また私たちにもゆだねてくれました。それは、神様が私たちを通してどんなことをお命じになっても、それに従うためです。
+ このような献金に対する彼らの熱意を見て、私たちはテトスに、あなたがたのところへ行くよう強く勧めたのです。初めに献金を勧めたテトスが、この際、あなたがたを励まして、献金の奉仕を完了させるのがよいと思ったからです。
+ あなたがたは、多方面にわたって指導的立場にある人々です。あつい信仰も持っています。神のことばを語るのにすぐれた人々も大ぜいいます。広い知識、燃えるような熱心、私たちに対するあふれるほどの愛も持っています。そこで今、喜んでささげるという精神においても、指導者になっていただきたいのです。
+ これは命令ではありません。献金しなければならない、と言っているのではありません。ただ、ほかの人々の献金に対する熱心さを話しているのです。しかし、この献金の奉仕は、あなたがたの愛が単に口先にとどまらず、真実のものだと証明する一つの手段にはなるでしょう。
+ あなたがたは、主イエス‧キリストが、どんなに愛と恵みに満ちておられたかを知っています。あれほど富んでおられた主が、あなたがたを助けるために、あれほど貧しくなられました。その貧しさによって、あなたがたを富む者とするためでした。
+ 一年前に始めたことを、この際、やり遂げてみたらどうでしょう。この献金を最初に申し出たのも、最初に実行に移したのも、あなたがたなのですから。
+ あんなに熱意を持って始めたのですから、自分の持っているものの中から、ささげられるものはみなささげ、喜んでこの計画を完成すべきです。最初の熱意が、現在の行動にも現れてほしいものです。
+ ささげる熱意がほんとうにあるなら、いくらささげるべきかは問題ではありません。神様は、持っていないものまでささげるようにとはおっしゃいません。
+ 私は、献金を受ける人たちが、あなたがたの犠牲によって楽をするのは当然だと言っているのではなく、
+ 両者が分け合うべきだと言っているのです。現在あなたがたは豊かなので、彼らを援助できます。そして、今度いつか、あなたがたに助けが必要な時は、彼らが助けてくれるでしょう。こうして、互いに必要なものを受け取るのです。
+ このことについて、聖書に何と書いてあるか覚えていますか。「多く集めた者も余ることがなく、少ししか集めなかった者も足りないことがなかった」とあります。ですから、困っている人たちと分かち合いなさい。
+ テトスも私と同じように、心からあなたがたのことを思っています。テトスをこのような気持ちにさせてくださった神に感謝します。
+ 彼は私の勧めに喜んで従い、もう一度あなたがたのところへ行こうとしています。――もっとも、私が勧めなくても、彼は行くことにしたでしょう。心から、あなたがたに会いたがっているのですから。
+ もう一人の、よく知られている友人を同行させます。この人は、キリストの福音を宣べ伝える者として、どこの教会でも大いに賞賛されている人です。
+ その上、私と共にエルサレムに献金を届ける役目に、諸教会から選出された人です。この働きは、主の栄光を現し、また、互いに助け合おうとする、私たちの熱意を示すものです。
+ このように同行者を連れて行くのは、だれにも疑いをさしはさむ余地を与えないためです。この多額の献金の取り扱いについては、一点の非難も受けてはならないと、気を配っているのです。
+ 私たちの公明正大さを神はご存じですが、それが他のすべての人にも明らかになってほしいので、このように取り計らいました。
+ また、もう一人の友人にも行ってもらいます。実に多くの点で、この人が熱心なクリスチャンだとわかります。あなたがたが献金に熱心であることを話したところ、彼は特別関心を持った様子で、今度の旅行を心待ちにしています。
+ もしだれかにテトスのことを聞かれたら、あなたがたのために働く私の協力者だ、と答えてください。また、ほかの二人の友人については、こちらの教会の代表で、クリスチャンのすばらしい模範だと言ってください。
+ どうか、私に対するのと同様、この人たちにも愛を示してください。そうして、私が公の場で、「コリント教会の人たちなら、きっとこうします」と、彼らに誇ってきたことを裏づけてください。
+
+
+ 神の民である人々を援助することについては、今さら言う必要はありません。
+ その件についての、あなたがたの熱心さを知っているからです。一年も前から献金を送る準備を進めてくれていることを、私はマケドニヤの友人たちに誇ってきました。実際、その影響を受けて、多くの人が他者への援助を始めたい気持ちに駆り立てられたのです。
+ ところで、今度、この友人たちに行ってもらうことにしたのは、私の誇りにたがわず、あなたがたが、ほんとうに献金をそのとおり集めて準備しているか確かめるためです。私の自慢が当てはずれだったなどということのないよう願っているのです。
+ もしマケドニヤの人たちが私といっしょに行って、あなたがたがまだ準備していないのを見たら、どうでしょう。あれだけ信じきっていた私は、非常に恥をかくことになるでしょう。そしてもちろん、あなたがたも恥ずかしい思いをするでしょう。
+ そこで、あなたがたが前に約束した贈り物の準備が整っているかどうか見るために、この友人たちにお願いして、先発隊として行ってもらうことにしました。それが真心からの贈り物であって、強制されたものでないようにと願っています。
+ しかし、次のことは心にとめておいてください。すなわち、少ししか与えない者は、少ししか受け取れないということです。少ししか種をまかない農夫は、わずかの収穫しか得られません。たくさんまけば、たくさん刈り取ります。
+ ただし、いくらささげたらよいかは、各自が決めるべきです。自分はこれだけささげようと思っている人に、もっとたくさんささげるように強制してはいけません。神様にとっては、喜んで与えるかどうかが大事なのです。
+ 神様は、必要なものは何でもあり余るほど与えて、不足がないようにしてくださいます。それで、必要が満たされたあと、なお十分な余裕があるので、他の人々に喜んで分けることができるのです。
+ 聖書にこう書いてあるとおりです。「神を敬う人は、貧しい人々に惜しみなく与える。その良い行いは、永遠に名誉となる。」
+ 農夫にまく種を与え、そのあと収穫物を与えてくださる神様は、あなたがたにもまく種を備え、それをふやして、あなたがたに義の収穫の実をもっと与えることができるのです。
+ そうです。神様から十分いただいたあなたがたは、人にもたくさん贈ることができるのです。そして、私たちがそれを必要としている人々に届ける時、そこには感謝が満ちあふれ、神への賛美がわき上がるのです。
+ そういうわけで、その贈り物は、二つのすばらしい結果を生み出します。すなわち、困っている人々が助けられること、そして、神に対する感謝の念が彼らに満ちあふれることです。
+ 援助を受けた人々は贈り物に大喜びするだけでなく、あなたがたがキリストの教えに忠実に行動している証拠を見て、神をあがめることでしょう。
+ また、あなたがたを通して神のすばらしい恵みを知り、真心から、あなたがたのために祈るようになるでしょう。
+ 神のひとり子という、言い表せないほどすばらしい神様の贈り物を感謝します。
+
+
+ お願いがあります。このパウロが、キリストにならって、おだやかにお願いします。あなたがたの中には、今も、「パウロは遠く離れていると、ずいぶん強気じゃないか。ところが面と向かうと、大きな声も出せないほど弱気になる」と言っている人がいます。
+ 私がそちらに行って、わざわざきびしくふるまって見せなくてもすむように、と願っています。もっとも、私の言動が普通の人間と少しも変わらないと見くびっている人々に対しては、きびしくふるまうつもりですが。
+ 私がごくあたりまえの弱い人間であることは事実です。しかし私は、戦いに勝つために人間的な計画や方策を用いません。
+ 悪魔の要塞を打ち破るために、人間の手によらない神の強力な武器を使います。
+ この武器は、神に逆らうあらゆる高慢な議論と、人々の目から神を隠している、あらゆる壁を打ち砕きます。この武器を用いて私は、反抗する者を捕虜として神に連れ戻し、回心させて、キリストに従わせます。
+ まず、あなたがたにこの武器を向け、キリストに従わせたあとで、残りのすべての反抗する者に挑戦するのです。
+ あなたがたはうわべしか見ずに、私を弱く無力な人間だと思っています。けれども、もし必要があれば、私だってキリストの力と権威を見せることができるのです。
+ 手紙では、あなたがたに対する権威――それは人を助けるためのものであり、傷つけるためではありません――を、必要以上に誇っているように見えるかもしれません。しかし、それについては多少誇りすぎても、恥とはならないでしょう。
+ こう言うのも、手紙での叱責が、ただの脅しと受け取られたくないからです。
+ こう言う人もいます。「パウロの手紙なんか気にするな。偉そうなことを言っても口先だけで、実際に会ってみればよくわかる。いかにも頼りなげで、話もへただ。」
+ こんな人たちに対しては、今度そちらに行ったら、手紙の文面どおり、きびしくふるまうつもりです。
+ 自分はすぐれた人物だと自己宣伝をする人がいますが、私はそのまねをするつもりはありません。彼らはただ、お互いに比較し合ったり、つまらない尺度で自分を評価したりするのです。なんと愚かなことでしょう。
+ しかし私たちは、持ってもいない権威を誇るようなことはしません。私たちの目標は、神様が立ててくださった計画を実行することです。それには、そちらであなたがたのために働くことも含まれています。
+ 私たちは、自分の分もわきまえずに権威をふり回しているわけではありません。キリストの福音を最初にあなたがたに伝えたのは、私たちなのですから。
+ ほかの人の業績を、自分のものだと主張しているのでもありません。ただ、あなたがたの信仰が成長し、私たちに許された範囲であっても、あなたがたの間で私たちの働きがもっと広がることを望んでいるのです。
+ そして私たちは、さらに遠くの町々、まだだれも働いていない町々にまで、福音を宣べ伝えたいのです。そうすれば、だれかの領域を荒らしたというような問題は起きないでしょう。
+ 「誇りたい者は、主のなさったことだけを誇れ」と聖書にあるとおりです。
+ 自分を誇り、自分を推薦する人ではなく、主に推薦される人こそ、真に価値ある人です。
+
+
+ 私が愚か者のように話し続けるのを我慢してください。私の心のうちを、忍耐をもって聞いてください。
+ 私は、神の深い思いやりをもって、あなたがたのことを心にかけています。ちょうど清純なおとめが、やがて夫となる人に愛をささげるように、あなたがたが、ただキリストだけをひたむきに愛するよう願っているのです。
+ しかし、エバがエデンの園でサタンに惑わされたように、キリストに対する、きよい純真な思いが消えてしまうのではないかと心配でなりません。
+ あなたがたときたら、だまされやすく、だれかが私たちの伝えたのとは違う教えを伝えたり、あなたがたが受けた聖霊とは違う霊を伝えたり、あなたがたが救われたのとは違う救いの道を教えたりすると、簡単にそれを信じてしまうのですから。
+ けれども、そんな自称「神の大使徒たち」が私よりすぐれているとは思いません。
+ たとえ口べたであっても、少なくとも、自分が話している内容はよく知っています。それは何度も証明してきたことです。
+ 私が何の報酬も受けずに、神の福音をあなたがたに宣べ伝えたことは、まちがいだったのでしょうか。そのために自分を安っぽく見せて、見下げられてしまったのでしょうか。
+ あなたがたのところにいる間、何の負担もかけないで奉仕したいと、むりを言って諸教会から送ってもらっていたのです。それが底をついて、食べる物に事欠いた時も、あなたがたにはいっさい要求しませんでした。マケドニヤのクリスチャンたちが、別の贈り物を持って来てくれたからです。あなたがたには、これまで少しも求めてこなかったように、今後もそうするつもりです。
+ このことは、あらん限りの真実にかけて、ギリシヤに住むすべての人に約束します。
+ なぜそうするのでしょう。あなたがたを愛していないからだとでも? とんでもない。どれほど愛しているか、神様がご存じです。
+ しかし、今のやり方を、これからも続けるつもりです。それは、私たちと同じように神のために働いていると誇る人たちにつけこむ機会を与えないためです。
+ 彼らは、決して神から遣わされた者ではありません。「詐欺師」です。キリストの使徒だと思い込ませるのです。
+ しかし、そんなことには今さら驚きもしません。サタンでさえ、光の天使に変装するのです。
+ ですから、サタンの手下どもがまねをし、敬虔な牧師になりすましたとしても、特別驚くことはありません。最後は、その悪事にふさわしいものとなるのです。
+ もう一度くり返しますが、こんなことを言う私が、理性を失ったなどとは思わないでください。しかしまた、それならそれで、「理性を失った愚か者」のことばに、とにかく耳を傾けてください。あの人たちみたいに、私も少しばかり誇ってみせます。
+ こんな自慢話は、主に命じられてするのではありませんが。私は、知恵のない愚か者のつもりになって、
+ 自分の偉さをしきりに言いふらす人たちのまねをしてみましょう。
+ 賢いあなたがたなのに、よくもうれしそうに、あの愚か者たちの言うことを聞いていますね。
+ 奴隷にされ、持ち物を奪われ、利用され、いばられ、顔をたたかれているのに、よく平気でいられますね。
+ 口にするのも恥ずかしいことですが、言わなければなりません。私たちの態度が弱すぎたのです。しかし、彼らが誇るくらいのことは何でも――またしても愚か者のつもりで言いますが――私だって誇れるのです。
+ 彼らは、ヘブル人だと自慢しているのですか。私もヘブル人です。自分たちは神の選びの民、イスラエル人だと言うのですか。私もそうです。アブラハムの子孫ですか。私もそうです。
+ 彼らはキリストに仕えていると言うのですか。しかし、私はもっと仕えてきました。こんなに自慢をする私は、気でもおかしいのでしょうか。私の労苦は彼らの比ではありません。投獄されたこともかなりの回数に及び、むち打たれたことは数えきれず、何度も死に直面しました。
+ ユダヤ人から、恐ろしい三十九回のむち打ちの刑を受けたことが五度あります。
+ それから、むちで打たれたことが三度、石で打たれたことが一度、難船したことが三度、一昼夜、海上を漂ったことが一度あります。
+ 幾度も長い苦しい旅をし、川がはんらんしたり、強盗に襲われたり、同国人からも外国人からも迫害されたりして、何度も危険な目に会いました。町々では暴徒に取り囲まれ、荒野や嵐の海でやっと命びろいしたこともあります。クリスチャンだと自称しながら、実はそうでない人たちに苦しめられたこともあります。
+ 疲れ果て、苦しみ、たびたび眠れない夜を過ごしました。飢え渇き、食べ物もなく過ごしたこともしょっちゅうです。また服もなく、寒さに震えていたこともありました。
+ こんなことのほかに、諸教会がどうなるかという心配を絶えずかかえています。
+ 誤った道を進んでいる人を見て、悲しまないでいられるでしょうか。倒れている人を見て、知らん顔ができるでしょうか。精神的に痛手を受けている人を見て、傷つけた相手に激しく怒らずにいられるでしょうか。
+ しかし、もしどうしても誇る必要があるなら、私はむしろ、自分の弱さを誇ります。
+ 主イエス‧キリストの父なる神、永遠にほめたたえられる方は、私が真実を語っているのをご存じです。
+ こんなこともありました。ダマスコで、アレタ王の代官が私をつかまえようと町の門を厳重に見張っていましたが、
+ 私は、町の城壁の穴から綱のついたかごでつり降ろされ、逃げることができたのです。よく知られている出来事です。
+
+
+ こんな自慢話は全くむだなことですが、もう少し我慢してください。私の見た幻と、主から示されたことについてお話ししたいのです。
+ 十四年前、私は天に引き上げられました。肉体のままか、それとも霊だけなのかとは聞かないでください。私にはわからないのです。答えられるのは、神おひとりです。しかしいずれにしても、私はパラダイスに引き上げられたのです。
+ そこで、人間にはとうてい表現できない、驚くべきことを耳にしました。
+ こんな経験こそ、自慢するに値します。しかし、自慢しようとは思いません。私が誇ろうとしているのは、自分の弱さと、そして、こんなに弱い私を、ご自分の栄光のために使ってくださる神の偉大さだけです。
+ 私には誇るべきことがたくさんあるのですから、たとい誇っても、愚か者にはならないでしょう。しかし私は、だれにも、私の生活やことばから実際に見聞きする以上に、私を買いかぶってほしくないのです。
+ その経験があまりにすばらしかったので、神様は、私が高ぶってはいけないと心を配られました。それで、肉体に一つのとげを与えられたのです。それは、高慢にならないように苦痛を与え、悩ませるためのサタンの使いです。
+ 私は、もとどおりに回復させてくださいと、三度も神にお願いしました。
+ そのつど返ってくる答えは、こうでした。「いや、治すまい。しかし、わたしはあなたと共にいる。それで十分ではないか。わたしの力は弱い人にこそ、最もよく現れるのだから。」だから今では、私は自分の弱さを喜んで誇ります。自分の力や才能を見せびらかすためではなく、喜んでキリストの証人になりたいからです。
+ すべてはキリストのためであることを知っているので、その「とげ」も、侮辱も、苦しみも、迫害も、困難も、大いに喜んでいます。なぜなら、弱い時にこそ、私は強いからです。――無力であればあるほど、それだけ、キリストによりすがるようになるからです。
+ あなたがたは結局、私を、自慢ばかりする愚か者にしてしまいました。ほんとうは、こんなに私に書かせるべきではなく、あなたがたが私のことを書くべきなのです。たとえ私が全く価値のない者であるとしても、あの「大使徒たち」と比べて劣る点はありません。
+ 私はあなたがたのところで、自分がほんとうに神から遣わされた使徒である証拠を、すべて明示したではありませんか。多くの驚くべきこと、しるし、力ある働きを忍耐強く行ったのです。
+ 私がほかのどの教会の場合とも違って、あなたがたにはしなかったことが一つだけあります。それは、負担をかけなかったことです。食べ物や住む場所のことで、何一つ世話をかけませんでした。この不公平については、どうか赦してください。
+ 今、私はあなたがたのところに行こうと、三度目の計画を立てています。今度も、あなたがたには負担をかけないつもりです。私がほしいのはお金ではなく、あなたがた自身だからです。いずれにしても、あなたがたは私の子どもです。小さな子どもは親を食べさせる必要はありません。その逆です。親が子どもを食べさせるのです。
+ 私はあなたがたの魂を養うためなら、喜んで自分自身でも持ち物でも、すべて差し出します。たとえ、私が愛すれば愛するほど、もっとうとまれるようになってもそうします。
+ あなたがたの中には、こう言っている人がいます。「確かに、パウロは来ても何の負担もかけなかったように見えるが、あいつは卑劣だから、きっと陰で金をまきあげていたに違いない。」
+ どうして、そんなことができたでしょう。私が行かせた人たちのうち、だれか、あなたがたを利用しましたか。
+ 私はテトスにコリント行きを勧め、また、ほかの友人を同行させましたが、彼らがあなたがたをだまして、何かもうけ仕事をしたでしょうか。もちろん、そんなことはしませんでした。私たちは、同じ聖霊をいただき、同じ方法で行動しているのですから。
+ よく思われたいばかりに、こう書くのだと思いますか。でもそれは、全く見当違いです。神様の前で宣言しておきます。愛する皆さん。私がこう書いてきたのは、あなたがたを助けるため、その信仰を成長させるためであって、自分のためではありません。
+ 心配なことがあります。私がそちらに着いてみると、期待はずれの状態で、そのため、あなたがたの望まないような行動をとらざるをえない事態が生じないかということです。もしかしたら、そちらでは、争い、ねたみ、怒り、横暴、悪口、陰口、高慢がいっぱいで、秩序がすっかり乱れているのではないでしょうか。
+ 実際、あなたがたの面前で、神様が私を、恥ずかしい思いにされるのではないでしょうか。そして、前から罪を犯していながら、その邪悪で汚れた行い――好色、不道徳、不品行など――を全く気にかけていない多くの者を見て、悲嘆にくれるのではないでしょうか。このことが、ほんとうに心配なのです。
+
+
+ あなたがたのところへ行こうとするのは、これで三度目です。聖書には、「二人か三人に目撃された犯罪は罰せられなければならない」とあります。
+ 私は、前回の滞在中、前から罪を犯していた人たちにすでに警告しておいたはずですが、今また、彼らだけでなく、あなたがた全員に警告します。次に会ったら、きびしく罰するつもりです。手かげんはしません。
+ あなたがたは、キリストがほんとうに私を通して語っておられるかどうか知りたいのでしょうから、その証拠を示します。キリストは、あなたがたに弱い態度をとられるのではなく、あなたがたの内部で強大な力を発揮なさいます。
+ キリストの、人間としての弱い体は十字架上で死にました。しかし今、キリストは、神の偉大な力を受けて生きておられます。私たちもキリスト同様、肉体的には弱い者でしたが、今は、キリストに似て、強くされた者となっています。そして、あなたがたに対処するに十分な神の力をいただいているのです。
+ よくよく自分を吟味しなさい。ほんとうにクリスチャンだと言えますか。クリスチャンとしてのテストに合格していますか。自分の内に住まれるキリストと、そのあふれる力とを、いよいよ強く実感していますか。
+ 私たちはこのテストに合格し、確実に主のものとなっています。このことを、あなたがたに認めてほしいのです。
+ あなたがたが正しい生活をするように祈っています。それは、私たちの教えの正しさが証明され、面目を施したいからではありません。たとえ私たちは軽蔑されようとも、あなたがたには正しい行いをしてもらいたいからです。
+ 私たちの務めは、いついかなる時にも、正しいことを勧めることであって、悪を望むことではありません。
+ 自分たちは弱く軽蔑されても、あなたがたがほんとうに強くなってくれればうれしいのです。最大の願いと祈りは、あなたがたが霊的に整えられた者になってくれることです。
+ そちらに行って、しかったり罰したりしないですむようにと願いつつ、今この手紙を書いています。私に託されている主の権威を、あなたがたを罰するためにではなく、強くするために使いたいからです。
+ 最後に、次のように書いて、筆を置きます。喜びなさい。健全に成長しなさい。互いに励まし合いなさい。互いに仲よくし、平和を保ちなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいてくださいます。
+ 主にあって、互いに親しみをこめて、あいさつを交わしなさい。こちらのクリスチャン全員が、心からよろしくと言っています。
+ どうか、主イエス‧キリストの恵みが、あなたがた一同にありますように。神の愛と聖霊との交わりが、あなたがたと共にありますように。パウロ
+
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+ 使徒パウロと、私と共にいるクリスチャン全員から、ガラテヤの諸教会の皆さんへ。私は、どこかの団体から任命されたのではありません。イエス‧キリストと、キリストを死から復活させた父なる神に直接任命されたのです。
+ どうか、父なる神と主イエス‧キリストが、平安と祝福をあなたがたに与えてくださいますように。
+ キリストは、父なる神のご計画どおり、私たちの罪のために死に、この悪の世界から私たちを救い出してくださいました。
+ この神に、すべての栄光が世々かぎりなくありますように。アーメン。
+ 私は、こんなにも早く、あなたがたが神から離れて行くことに驚いています。神様はあなたがたに、キリストを通して永遠のいのちを与えようと、愛と恵みをもって招いてくださったのではありませんか。それなのにもう、あなたがたは別の「天国への道」に踏み込んでいます。そんなものは、天国への道から全くかけ離れています。
+ 私が教えた道が、唯一の天国への道なのですから。あなたがたは、キリストに関する真理をゆがめて変質させる者たちにだまされているのです。
+ 私たちが伝えた救いの道以外の道を説くような者は、だれでも――この私であろうと――神にのろわれるべきです。天の使いであっても、永遠にのろわれるべきです。
+ もう一度言います。だれであっても、あなたがたが受けた福音(キリストによる救いの知らせ)とは違うものを伝えるなら、神にのろわれるべきです。
+ おわかりでしょうが、私は、甘いことばやおせじで人の歓心を買おうとは思いません。ただ、神に喜ばれようとしているのです。もし私が、今なお人の歓心を買いたがっているとしたら、キリストに仕える者とは言えません。
+ 愛する皆さん。これは厳粛なことなのですが、私が伝えた天国への道は、単なる人間の思いつきや夢に基づくものではありません。
+ それはイエス‧キリストから示された教えです。私の語るべきことは、イエス‧キリストが教えてくださったのです。この方以外のだれからも、指示されたわけではありません。
+ 以前、ユダヤ教徒であったころの私については、よくご存じのことでしょう。情け容赦なくクリスチャンを追い回して迫害し、その壊滅に全力を尽くしました。
+ 国中探しても、同年輩のユダヤ人で、私ほど熱心なユダヤ教徒はいなかったでしょう。私は先祖伝来のユダヤ教を守り伝えようと必死になっていました。
+ ところが、あることが起こったのです。生まれる前から、私をご自分のものとして選んでおられた神様が、驚くべき愛と恵みをもって、私に声をかけてくださったのです。
+ そして私に、神の子イエスを示してくださいました。それは私に、ユダヤ人以外の外国人に、イエス‧キリストを伝えさせるためでした。この体験の後、私はすぐだれかに相談するようなことはしませんでした。
+ また、以前から使徒に任命されていた人々の意見を聞くために、エルサレムに上ろうともしませんでした。アラビヤの荒野に行き、それからダマスコの町に戻ったのです。
+ ペテロに会うためにエルサレムを訪問したのは三年後のことで、その時は、十五日間ペテロのもとに滞在しました。
+ その間、ペテロのほかに会った使徒と言えば、主の兄弟ヤコブだけです。
+ 私のことばをよく聞いてください。これは、実際に起こったことなのです。
+ エルサレム訪問のあと、私はシリヤとキリキヤに出かけました。
+ ですから、ユダヤのクリスチャンは、私の顔さえ知らなかったのです。
+ ただ、彼らの間に、「以前われわれの信仰をつぶそうとした者が、今はそれを宣べ伝えている」といううわさだけは広まっていました。
+ そのため、私のことで神をほめたたえていたのです。
+
+
+ それから十四年たって、私はもう一度、エルサレムに上りました。その時はバルナバもいっしょで、テトスも同行させました。
+ このエルサレム行きは、神からの明確な指示に基づいたもので、私が外国人に伝えているキリストの福音について、エルサレムのクリスチャンと話し合うのが目的でした。私は、教会の指導者たちと個人的に話し合いました。それは、私の教えてきた内容を正しく理解してもらい、また、その正当性を認めてもらうためでした。
+ 彼らは、それを承認してくれました。そればかりでなく、ギリシヤ人であった、私の仲間のテトスにも割礼(男子の性器の包皮を切り取る儀式)を強要しませんでした。
+ だいたいこの問題は、偽クリスチャンさえもぐり込んで来なければ、生じなかったのです。実は、彼らはスパイのように偵察し、私たちがキリスト‧イエスを信じて得た自由がどんなものか、また、はたしてユダヤ教のおきてに従っているかどうかを探ろうとしていたのです。奴隷を鎖でつなぐように、彼らの規則で私たちをがんじがらめにしようとたくらんだのです。
+ しかし私たちは、ほんの一時も、彼らに耳を貸しませんでした。「割礼を受け、ユダヤ教のおきてを守ることによって救われる」などという考えで、あなたがたを混乱させたくなかったからです。
+ エルサレム教会のおもだった指導者たちも、私の宣べ伝えている内容に、何もつけ加えたりしませんでした。
+ 事実、教会の柱として知られているヤコブとペテロとヨハネは、ちょうどユダヤ人伝道のためにペテロが大いに用いられたように、外国人を救いに導くために、神がどんなに私を用いてくださったかを認めてくれました。というのも、同じ神様が、私たちにそれぞれ特別の賜物を与えてくださっているからです。彼らは、バルナバと私に握手を求めました。そして、「われわれは、ユダヤ人を対象として伝道します。あなたがたは、外国人への伝道をそのまま続けてください」と、励ましてくれました。
+ ただ一つ、貧しい人たちを援助することをいつも忘れないように、と言われましたが、そのことなら、私も熱心に努めてきたところです。
+ ところが、そのペテロがアンテオケに来た時、非常に誤った行動をとったので、私は面と向かって激しく非難しました。
+ ペテロは初めのうち、割礼にもユダヤ教のさまざまなしきたりにもとらわれない、外国人のクリスチャンと共に食事をしていました。ところが、あとからヤコブの友人であるユダヤ人が何人かやって来ると、彼らの目を恐れて、外国人と食事をするのをやめてしまいました。そのユダヤ人たちは、形式を重んじるユダヤ主義者で、「救われるためには割礼を受けなければならない」と主張していたのです。
+ すると、ほかのユダヤ人クリスチャンも矛盾を感じながら、ペテロのまねをして本心を偽った行動をし、バルナバまでが、その偽りの行動を共にしてしまいました。
+ 私はそれを見て、彼らが自分の信じていることに対して不誠実であり、救いの教えの真理に従っていないことを知りました。そこで、みなの面前で、ペテロに言ったのです。「あなたは生まれながらのユダヤ人であっても、もうずっと前から、ユダヤ教のしきたりに束縛されないで生きてきたではありませんか。それなのに、どうして急に、ここの外国人にそれを守らせようとするのですか。
+ あなたも私も、生まれながらのユダヤ人で、外国人のような罪人ではありません。
+ しかし、私たちユダヤ人クリスチャンにしても、律法の行いを守ることによって神の前で正しい者と認められたのではありません。ただ、罪を取り除いてくださるキリスト‧イエスを信じる信仰によって認められたのではありませんか。だからこそ、私たちもキリスト‧イエスを信じたのです。それは律法によってではなく、信仰によって神に認められるためです。律法の行いを守って救われる人など、一人もいないのですから。」
+ しかしもし、キリストの救いを信じた私たちが、あとになって、それはまちがいだった、やはり割礼を受け、律法もみな守らなければ救われないとわかったとしたら、どういうことになるでしょうか。キリストを信じたために、さんざんな目に会ったことになるわけです。しかし、そんなことは絶対にありえません。
+ 前に打ちこわした方法――律法を守ることで救われようとする方法――でもう一度建て直そうとするなら、それこそが罪なのです。
+ というのは、いくら律法に従おうと努力しても――それは失敗以外にないのです――神の恵みは決して受けられないことがわかったからです。キリストを信じて初めて、神に受け入れられることがはっきりわかったのです。
+ 私はキリストと共に十字架につけられました。もはや、私自身が生きているのではありません。キリストが、私のうちに生きておられるのです。私のためにご自身をささげてくださった神の御子を信じた結果、今、私のうちにはほんとうのいのちが与えられています。
+ 私は、キリストの死を無にはしません。もし私たちが、律法を守ることによって救われるなら、キリストが死ぬ必要などなかったはずですから。
+
+
+ ああ、ガラテヤの皆さん。なんと物わかりが悪いのでしょう。いったいどんな魔術師にだまされて、魔法にかけられたのですか。私は、十字架上で死なれたキリストの姿を、絵のようにありありと目の前に示して、その死の意味をはっきりと教えたではありませんか。
+ 一つだけ聞いておきます。あなたがたは、なぜ聖霊をいただくことができたのですか。律法を守ろうと努力したからですか。キリストのことを聞き、その救いを信じて初めて、聖霊はあなたがたのところに来てくださったのです。
+ とすると、信仰生活が聖霊によって始まったのに、どうして、律法を救いの条件とするのですか。
+ あれほどの経験をしたあなたがたが、福音をあっさりと投げ捨ててしまうのですか。とても信じられないことです。
+ もう一度聞きます。なぜ神様は、あなたがたに聖霊の力を与え、奇跡を見せてくださったのですか。律法を守ろうと努力したからですか。そうではないでしょう。キリストを信じ、全くお任せしたからです。
+ アブラハムも同じ経験をしました。彼は神の約束を信じたというだけで、天国へ入る資格を与えられたのです。
+ このことから、心から神に信頼する人はだれでも、アブラハムの真の子孫となることができるのです。
+ 聖書は、信仰を持った外国人が救われる時のことを予告してきました。神様がずっと昔、アブラハムに、「どこの国の人であろうと、あなたのようにわたしを信頼する人を祝福しよう」と宣言されたのは、このことを意味していたのです。
+ そういうわけで、キリストに信頼する人はみな、アブラハムと共に祝福をいただくのです。
+ 律法の行いに頼って救われようとする者は、神にのろわれます。なぜなら、聖書には、「神の律法の書にあることばを一つでも破る者は、のろわれる」とはっきり書いてあるからです。
+ したがって、律法によってはだれ一人、神の恵みを受けることはできないわけです。神の前で正しい者と認められる道は信仰による以外にない、と神様は言っておられます。預言者ハバククが、「正しい人は信仰によって生きる」と語ったとおりです。
+ この信仰による道は、律法の行いによる道とはなんと違うことでしょう。律法による道は、律法を一つ残らず完全に守ることによって救われる、と教えているのですから。
+ しかし自分の悪い行いのために、私たちが受けなければならないはずののろいを、キリストはご自分の身に引き受け、私たちを律法ののろいから救い出してくださいました。聖書に、「木にかけられる者はだれでも、のろわれた者である」と書いてあるからです。
+ 神様は、アブラハムへの約束と同じ祝福を外国人にも与えておられます。そして、私たちは信仰によって約束の聖霊を受けるのです。
+ 愛する皆さん。日常生活で人間同士が約束をかわす場合でも、文書にして署名したら、もう変更はできません。あとになって、約束を破ることはできないのです。
+ ところで、神様は一つの約束を、アブラハムとその「子」にお与えになりました。ここで「子ら」にではなく、「子」に与えられたと言われている点に注意してください。「子ら」と言えば、アブラハムの子孫であるユダヤ人全部を指すことになります。しかし、「子」と言えば、キリストを意味するのです。
+ 私の言おうとすることはこうです。つまり、信仰によって救うという神の約束――神様はそれを文書にし、署名されました――は、その後四百三十年たって、神が「十戒」という律法をお与えになった時にも、無効とされたり、変更されたりはしなかったということです。
+ もし律法による救いが可能であれば、それは明らかに、アブラハムが恵みを受けた方法とは別ものになります。アブラハムは、ただ神の約束を信じただけなのですから。
+ では、そもそも律法は何のために与えられたのでしょうか。それは、神の約束につけ加えられたものであり、それに違反することがどんなに罪深いことかを人々に示すためです。ただし、この律法の有効期間は、その約束の指し示す「子」、すなわち、キリストが来られる時まででした。さらに次のような点も指摘できます。神様は律法を、天使たちを通してモーセにお与えになり、モーセがそれを民に告げ知らせたのです。
+ しかしアブラハムは、天使やモーセのような仲介者を通してではなく、神から直接約束を与えられたのです。
+ だとすると、神の律法と約束とは、互いに対立するのでしょうか。そんなことはありません。もし私たちが律法によって救われることができたのであれば、それで事はすんだはずです。罪の力から逃れるための、別の道が開かれる必要などなかったのです。
+ 聖書は、私たちはみな、その罪の力に閉じ込められていると宣告しています。そこから解放されるには、イエス‧キリストを信じる信仰による以外にないのです。この罪からの脱出の道は、キリストを信じるすべての人に開かれています。
+ キリストが来られるまでは、私たち人間は律法の監督の下にありました。やがて来られる救い主を信じることができるようになるまで、いわば、律法の保護と監視を受けていたのです。
+ 言い換えると律法は、キリストが来られ、私たちが信仰によって神の前での正しい身分を与えられるまでの間の、私たちの教育係だったのです。
+ しかし、キリストが来られたので、もう、私たちを監督し、キリストに導く教育係は不要です。
+ 私たちはみな、すでに、イエス‧キリストを信じる信仰によって神の子どもとなったからです。
+ バプテスマ(洗礼)を受けてキリストと一体とされた今は、キリストをその身にまとっているのです。
+ もはや、ユダヤ人とギリシヤ人、奴隷と自由人、男と女という区別はありません。みな、キリスト‧イエスにあって一つなのです。
+ そして、キリストのものとなった今、私たちはほんとうの意味でアブラハムの子孫であり、アブラハムに与えられた神の約束を相続したのです。
+
+
+ しかし、次の点に心をとめてください。ある父親が、小さな子どもに莫大な財産を残して死んだとします。その場合、相続人である子どもは父の全財産の持ち主ではあっても、大きくなるまで、奴隷とほとんど変わらない立場にあります。
+ つまり、父の定めた年齢に達するまでは、後見人や管理者に従う義務があるのです。
+ キリストが来られるまでは、私たちもそれとよく似た立場にありました。ユダヤ教の戒律や規則によって救われると考えて、その奴隷となっていたのです。
+ しかし、定めの時が来ると、神様は自分のひとり子を、一人の女から生まれさせ、ユダヤ人として律法の下にお遣わしになりました。
+ それは、律法の奴隷になっていた私たちを買い戻して自由の身とするためであり、神の子どもとして迎えてくださるためなのです。
+ このように神様は、私たちの心に、神の子の御霊を送ってくださいました。それで今、私たちは神の子どもとして、神を「お父さん」とお呼びできるのです。
+ あなたがたも私たちも、もはや奴隷ではありません。神の子どもなのです。子どもであるからには、神の持っておられるものはすべて私たちのものです。それが神のご計画だからです。
+ ガラテヤの人たち。あなたがた外国人は、神を知らなかった時、実際には存在しない「神々」と呼ばれているものの奴隷でした。
+ ところが今は、神を知っているのに〔というより、むしろ神に知られているのに〕、どうして、もとの状態に逆戻りしたがるのですか。あの貧弱で、無力で、役立たずの教えの奴隷に逆戻りしようとするのですか。
+ あなたがたは、ある特定の日や月や季節や年についての定めを守り、それで神を喜ばせようとしています。
+ そんなあなたがたが、気がかりでなりません。私があれほど、あなたがたのために一生懸命尽くしてきたのは、全部むだだったのでしょうか。
+ 愛する皆さん。この点について、どうか私と同じ考えでいてください。私が初めて福音を伝えた時、あなたがたは私を軽蔑したりはしませんでした。
+ 福音を伝えるきっかけとなったのは、私が病気になったためで、
+ その病気は人に不快感を与えるものであったにもかかわらず、あなたがたは、私を拒んだり、追い返したりしませんでした。それどころか、まるで天使かキリスト‧イエスであるかのように迎え入れ、気づかってくれました。
+ あの時、お互いに味わった幸福感はどこに行ってしまったのでしょう。あなたがたは、私を助けるためなら、自分の目をえぐり出してもかまわないとさえ思ってくれたではありませんか。
+ それが今、真理を告げたために、私はあなたがたを敵に回したのでしょうか。
+ 一生懸命あなたがたに取り入っている偽教師たちは、ほんとうに、あなたがたのためを思っているのではありません。ただ、もっと自分たちの取り巻きをふやすために、私たちから人々を引き離そうとしているだけです。
+ 正しい動機と真実な心から親切にするなら、何も文句はありません。私がその場にいる時だけでなく、いない時にも、そんな態度を示してくれるなら、なおさらすばらしいことですから。
+ ああ、私の子どもたち。私はどんなに心配していることか。あなたがたがキリストに完全に支配される時をひたすら待ちながら、生まれて来る子どもを待つ母親のような苦しみを、もう一度味わっているのです。
+ 今あなたがたのそばにいられたら、そして、こんな言い方をしなくてすんだらと、どんなにか願っています。これほど離れていては、正直言って、なすすべがないといった感じです。
+ 律法を守らなければ救われない、と考えている皆さん。私のことばに耳を傾けてください。どうして律法のほんとうの意義を理解しないのですか。
+ アブラハムには二人の子どもがあって、一人は奴隷である妻から生まれ、もう一人は自由人である妻から生まれたと書いてあります。
+ 奴隷である妻の子どもの誕生については、取り立てて変わった点はありませんでした。しかし自由人である妻の子どもの場合は、まずその誕生に関して、特別な神の約束が先行し、それから生まれたのです。
+ このことは、神様が人間を助けるために開かれた二つの道を示しています。一つは、律法を示して、それを守るようにとお命じになった道です。神様は、シナイ山でこの道をお示しになりました。その時、モーセに「十戒」をお与えになったのです。アラビヤ人はこのシナイ山を、「ハガル山」と呼んでいます。ここでアブラハムの奴隷である妻ハガルは、戒めに従うことによって神に喜ばれようとする生き方の象徴、ユダヤ人の母なる都エルサレムを表しています。そして、この生き方に従うユダヤ人は、すべてハガルが産んだ奴隷の子どもなのです。
+ しかし、私たちの母なる都は天にあるエルサレムで、それは律法に属していません。
+ イザヤの次の預言は、このことを言おうとしたのです。「喜べ、子のいない女よ。喜びの声をあげよ、子を産んだことのない女よ。あなたに多くの子を、女奴隷の子より多くを授けよう。」
+ 愛する皆さん。あなたがたも私も、イサクと同じ、神の約束に基づく子どもです。
+ 約束の子イサクは、奴隷である妻の子イシュマエルにいじめられました。とすれば、聖霊によって生まれた私たちが、律法を守るように強要する人々から迫害されるのもうなずけます。
+ しかし聖書には、神様がアブラハムにこう言われたと記されています。「奴隷である妻と子どもを追い出せ。その女の子どもは、自由人である妻の子どもといっしょに、アブラハムの跡継ぎにはなれない。」
+ 愛する皆さん。私たちは、律法に縛られた奴隷の子どもではありません。信仰によって神に受け入れられる、自由の女の子どもです。
+
+
+ このように、キリストは私たちを自由の身にしてくださいました。ですから、この自由をしっかりと握っていなさい。もう二度と、律法にがんじがらめになった奴隷とならないよう、細心の注意をはらいなさい。
+ よく聞いてください。これは大切なことなのですから。もしあなたがたが、神の前で正しい者と認められるには、割礼を受け、ユダヤ教のおきてを守りさえすればいいと考えているなら、キリストに救っていただくことはあきらめなさい。
+ もう一度言います。割礼を受けることで神の恵みを手に入れるつもりなら、それ以外の律法も完璧に守るべきです。そうしなければ、死あるのみです。
+ もしあなたがたが、律法によって神への負債を帳消しにするつもりなら、キリストはあなたがたにとって全く無意味な存在です。あなたがたは、神の恵みからすべり落ちてしまったのです。
+ しかし私たちは、キリストの死によってこそ、罪が取り除かれ、神の前で正しい者と認められることを、聖霊の助けによって確信しています。
+ キリストから永遠のいのちをいただいた私たちは、割礼を受けたかどうか、ユダヤ教の儀式を守っているかどうか、心配する必要はありません。私たちに必要なのは、愛によって働く信仰だけです。
+ 皆さんは、信仰の道を順調に走っていました。それを妨害したのはだれですか。真理に逆らわせたのはだれですか。
+ もちろん、神のはずはありません。あなたがたをキリストに基づく自由へと招いてくださったのは神なのですから。
+ しかし、あなたがたの中に悪い人が一人でもいるなら、その悪影響は全体に及ぶのです。
+ 主はこの点について、あなたがたを私と同じ信仰に立ち返らせてくださるものと確信しています。人を惑わし、かき乱す者には、だれであろうと、神のさばきが下るのです。
+ よりによってこの私が、割礼やユダヤ教のしきたりが、救われるための必要条件だと教えていると言う者がいます。しかし、もしそうなら、私は迫害されることなどないはずではありませんか。そういった教えには、だれも腹を立てませんから。私が今なお迫害されているという事実こそ、私が今も、キリストの十字架を信じる信仰によってのみ救われると教えている証拠なのです。
+ 割礼を受けさせて、あなたがたの肉体の一部を切り取りたいと思っている教師たちには、いっそのこと、自分自身をあなたがたから切り離してもらいたいものです。とにかく、手を引いてくれればよいと、私はそればかり願っています。
+ 愛する皆さん。あなたがたは自由を手にしているのです。それは、悪を行うための自由ではなく、互いに愛し合い、仕え合うための自由です。
+ 律法の全体は、「自分を愛するように他の人を愛しなさい」という一つの命令に要約されるからです。
+ もし互いに愛し合わず、いがみ合ったり、非難し合ったりしているなら、結局、共倒れになってしまいます。気をつけなさい。
+ あなたがたに勧めます。聖霊の導きに従いなさい。聖霊は、どこへ行くべきか、何をなすべきか教えてくださいます。そうすれば、自分の肉の欲望のおもむくままに走ることはありません。
+ 私たちの生まれながらの性質は、聖霊がお命じになることとは正反対の悪を好みます。一方、聖霊の導きに従って歩んでいる時に行いたくなる善は、生まれながらの肉の願望とは正反対のものです。内面のこの二つの力は、どちらも私たちを思いどおりに動かそうと、いつも格闘しています。そして私たちは、この二つの力の板ばさみになって、したいと思うことが自由にできない状態なのです。
+ しかし、本来聖霊に導かれているあなたがたは、もう自分を律法に従わせる必要はありません。
+ 生まれながらの悪い性質、つまり肉に従った結果がもたらすものは明らかです。すなわち、汚れた思い、好色、
+ 偶像礼拝、心霊術、憎しみ、争い、怒り、利己心、不平、あら捜し、排他主義とそこから出て来るまちがった教え、
+ ねたみ、人殺し、泥酔、遊興、そのような種類のものです。前にも言いましたが、もう一度言いましょう。そのような生活を続ける者は、一人として神の国を相続できません。
+ しかし、聖霊が生活を支配してくださる時、私たちのうちに、次のような実を結びます。愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実、
+ 柔和、自制です。そこには、律法に反するものは何もありません。
+ キリストに属する者は、生まれながらの自分が持つ肉の欲望を十字架につけてしまったのです。
+ もし私たちが聖霊の力を受けて生きているなら、すべてにわたって、その導きに従おうではありませんか。
+ そうすれば、互いにねたみ合ったり、いがみ合ったりすることはないでしょう。
+
+
+ 愛する皆さん。もしだれかがあやまちを犯したら、聖霊によって歩むあなたがたは、やさしく謙遜な気持ちでその人を助け、正しい道に立ち返らせてあげなさい。また、自分自身も悪の道に落ち込まないように気をつけなさい。
+ 互いの悩み、苦しみを共に負い、キリストの命令に従いなさい。
+ りっぱな人間である自分が、なにもそこまで身を低くする必要はないと思う人は、自分を偽っているのです。
+ ほんとうに最善を尽くしているかどうか、もう一度、自分を点検しなさい。そうすれば、ほかの人と比較することもなくなるでしょう。
+ 人はみな、それぞれ自分の分をわきまえ、自分の分を果たすべきです。
+ 神のことばを教えてくれる人には、報酬を払い、援助しなさい。
+ 思い違いをしてはいけません。神を無視することなどできません。人は種をまけば必ずその刈り取りもすることになるのです。
+ 自分の欲望を満足させるために種をまく者は、その結果、霊的な滅びと死とを刈り取るはめになります。しかし、聖霊の良い種をまく者は、聖霊が与えてくださる永遠のいのちを刈り取ります。
+ 正しい行いをすることに疲れ果ててしまわないようにしましょう。失望せず、あきらめずにいれば、やがて祝福を刈り取る日が来るからです。
+ ですから、機会あるたびに、だれに対しても、特に信仰を持つ人たちには親切にしましょう。
+ この最後のことばは、自筆で書いています。見てください、この大きな字を。
+ 何のために、例の教師たちが、あなたがたに割礼を受けさせようと図るのかわかりますか。その理由はただ一つです。すなわち、そのようにして評判や人気を得て、迫害を免れたいからです。その迫害とは、キリストの十字架が唯一の救いの道であると認めるなら、必ず受けるものです。
+ そうした、割礼を主張する教師たちは、割礼以外の律法は守ろうとしません。それなのに、あなたがたに割礼を強要するのは、弟子をふやして誇るためなのです。
+ しかし私は、主イエス‧キリストの十字架のほかに、誇るものなど何もありません。十字架によって、私は、この世のものすべてに対して興味を失ってしまいました。この世も、私に対する興味をすっかり失ってしまったのです。
+ 割礼を受けているかいないかは、今は、全く問題ではありません。大切なのは、私たちがほんとうに別の新しい人に造り変えられているかどうか、ということです。
+ どうか、この原則に従って生きる人々、そして真に神のものとなった人々に、神のあわれみと平安がありますように。
+ もう二度と、こんな問題で論じ合わなくていいようにしたいものです。私の体には、イエスに敵対する者からむち打たれ、傷つけられた跡が残っていますが、それこそ、キリストの奴隷であることのしるしなのですから。
+ どうか、私たちの主イエス‧キリストの恵みが、あなたがた一同と共にありますように。アーメン。パウロ
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+ エペソの町に住む、主に忠実な、愛する信徒たちへ。神に選ばれてキリスト‧イエスの使徒となったパウロが、この手紙を送ります。
+ どうか、父なる神と主イエス‧キリストから与えられる恵みと平安が、あなたがたのものとなりますように。
+ 主イエス‧キリストの父なる神がほめたたえられますように。神は、天上のあらゆる祝福をもって、私たちを祝福してくださいました。それは、私たちがキリストのものとなっているからです。
+ 神はこの世界をお造りになる前から、私たちを、ご自分のものとして選んでくださいました。そして、神は私たちを、ご自分の目から見て、何一つ欠点のない、きよい者にしようとお定めになりました。
+ 神の御心は、イエス‧キリストを遣わし、その死によって、私たちを神の家族の一員として迎えることでした。
+ 神こそ、いっさいの賞賛を受けるべきお方です。神は、驚くばかりの恵みと愛とを豊かに注いでくださいました。それは、私たちが、神の最愛のひとり子につながる者となったからです。
+ 神の愛は、そのひとり子の血を流し、私たちの罪を帳消しにしてくださるほど大きいのです。この愛によって私たちは救われました。
+ 神は私たちに豊かな恵みをあふれるほど注ぎ、私たちをよく理解し、何が最善であるかを考えた上、
+ キリストを遣わすというご計画を知らせてくださいました。その計画は、はるか昔から神の愛のうちに決定されていたことでした。
+ それは、時が来れば、天でも地でもあらゆるものが、キリストのもとに一つにまとめられるということです。
+ そればかりでなく、神のご計画のままに、神のものとなるように最初から選ばれていた私たちは、神が喜んでくださる存在となっています。
+ なぜ神は、このようになさったのでしょう。それは、最初からキリストを信じ、望みをおいていた私たちが、こんなにもすばらしい恵みを見て、神をほめたたえるためなのです。
+ このキリストによって、あなたがたも救いを約束する福音を聞き、キリストを信じるようになりました。そして、キリストに属する者であるという証印を、聖霊によって押していただきました。
+ 私たちのうちに住まわれる聖霊は、神が約束のものをほんとうに与えてくださるという保証です。私たちに押された聖霊の証印は、神がすでに私たちを買い取り、ご自分のもとに引き取ってくださっていることを保証するのです。これが、栄光の神をほめたたえる、もう一つの理由です。
+ こういうわけで、私は、主イエスに対するあなたがたの信仰と、ほかの人たちに対する愛とを耳にして以来、
+ 絶えず神に感謝してきました。そしていつも、あなたがたのために、こう祈り求めています。
+ どうか、主イエス‧キリストの神、すなわち栄光の父が、あなたがたに知恵を与えて、キリストがどのようなお方か、何をしてくださったかを、正しく、はっきりと理解させてくださいますように。
+ また、心にあふれるほどの光が与えられて、神があなたがたを召して与えようとされる将来を、はっきり見きわめることができますように。
+ また、信じる者を助ける神の力が、どれほど偉大であるかを知ることができますように。
+ この同じ偉大な力が、キリストを死者の中から復活させ、ほかのどんな王、支配者、権力者、指導者よりもはるかに高い、天の神の右の座につかせたのです。このキリストの栄誉は、この世だけでなく、次に来る世でも、他のすべてにはるかにまさって輝かしいものです。
+ そして神は、すべてをキリストの足の下に従わせ、キリストを教会の最高のかしらとされました。
+ ですから教会は、キリストの体であって、すべてを造り、すべてを満たすキリストの霊が満ちあふれるところです。
+
+
+ 以前のあなたがたは、罪のために永遠に滅びる定めにありました。
+ この世の人と同じ生き方をし、罪にまみれ、主に反抗する人の心に今も働いている、力ある支配者サタンの言うままになっていたのです。
+ 私たちもみな、以前はほかの人たちと同じで、その生活は、心にある悪を反映したものでした。欲望や心のおもむくままに生き、行動していたのです。私たちは、生まれながらに神の怒りを受けて当然の者でした。
+ しかし神は、なんとあわれみに満ちたお方でしょう。こんな私たちを深く愛してくださって、
+ 罪のために霊的に死に果て、滅びる定めにあった私たちを、キリストの復活と共に生かしてくださいました。救われる価値などない私たちに、ただ一方的な恵みが注がれたのです。
+ そして、キリストと共に、私たちを墓の中から栄光へと引き上げ、キリストと共に席に着かせてくださいました。
+ 神がキリスト‧イエスを通してなしてくださった、すべてのことからも、神の恵みのすばらしさがわかります。私たちは今、その恵みがどんなに豊かであるかを示す見本とされているのです。
+ あなたがたは、恵みにより、キリストを信じることによって救われたのです。しかも、そのキリストを信じることすらも、あなたがたから自発的に出たことではありません。それもまた、神からの賜物(贈り物)です。
+ 救いは、私たちの良い行いに対する報酬ではありません。ですから、だれ一人、それを誇ることはできません。
+ 私たちをこのように造り変え、キリスト‧イエスによる新しい生活に入れてくださったのは神です。この新しい生活は、神がずっと以前から計画してくださったものであり、私たちが互いに助け合って過ごすためでした。
+ あなたがたも以前は異教徒として、ユダヤ人から、神を信じない「汚れた者」と呼ばれていたことを思い出してください。もっとも、そういうユダヤ人も、神を敬うしるしとしての割礼(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取る儀式)を受けて、信心深そうに儀式や礼拝を守っていたとはいえ、心は汚れたままだったのですが。
+ そのころのあなたがたは、キリストとは全くの無縁で、神の民に敵対し、神から何の助けも約束されていませんでした。神もなく、望みもない、滅びる以外にない存在でした。
+ しかし、以前は神から遠く離れていたあなたがたも、キリスト‧イエスがその血をもってなしてくださったことによって、今では、神のそば近くにいるのです。
+ キリストこそ、私たちの平和の道です。この方は、私たちユダヤ人とあなたがた外国人とを一つの家族とし、両者を隔てていた壁を打ちこわして、平和をつくり出してくださいました。
+ ご自分の死によって、互いの激しい敵意を除いてくださったのです。その敵意の原因は、ユダヤ人を特別扱いし、外国人をのけ者にするユダヤ教のさまざまな戒律でした。その律法制度自体を無効にするために、キリストは死んでくださったのです。そして、互いに対立していた二つのものを融合させ、新しい一つの体をつくり上げて、平和を実現されました。
+ 両者が神と和解し、同じ体のそれぞれの器官になったので、互いの怒りは消え去りました。こうして互いの反目は、十字架によって終わりを告げたのです。
+ そして、キリストは、遠く離れていたあなたがた外国人にも、近くにいた私たちユダヤ人にも、平和をもたらしてくださいました。
+ このキリストによって、ユダヤ人も外国人も、一つの御霊に助けられつつ父である神のもとに行くことができるのです。
+ あなたがたはもはや、神にとって見知らぬ他国人でも、天国に縁のないよそ者でもありません。神の家族の一員であり、神の国の市民なのです。すべてのクリスチャンと共に、神の一家を構成しているのです。
+ あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、この建物の最も重要な礎石はキリスト‧イエスです。
+ 私たち信じる者は、聖なる神殿を目指す建物として、共にキリストにあって組み合わされて成長していくのです。
+ あなたがたもまた、キリストにあって共に建てられ、聖霊によって神の住まれる所となるのです。
+
+
+ 私パウロは、今、キリスト‧イエスの囚人となって投獄されています。それは、あなたがた外国人も、ユダヤ人と同じように神の家族の一員だと語ったからです。
+ 私は、外国人に神の恵みを示すという任務を神から受けています。このことについては、前の手紙でも簡単にふれましたから、もうすでにご存じと思います。外国人もまた神の恵みの対象とされているという、この特別の計画を、神が私に明かしてくださったのです。
+ このように申し上げるのは、これらについて私がどう理解しているかをわかっていただくためです。
+ 以前、神はこの計画をご自分の民に隠しておられました。しかし今は、聖霊を通して、使徒や預言者たちにはっきりと示しておられます。
+ その特別の計画とは、神の子どもとされた者たちが、外国人もユダヤ人と共に、すべての救いの恩恵を受け継ぐということです。ユダヤ人も外国人も、共に神の教会の一員として招かれています。そして、キリストについての福音と、この方がなされたこととを受け入れる時、キリストによって大いに祝福するという神の約束に、両者ともあずかるのです。
+ 神は、そのことをすべての人に伝える光栄ある特権を私に与えてくださいました。また、その務めを果たすに十分な、神の力と賜物をも与えてくださったのです。
+ 私はそのような資格の全くない者で、クリスチャンの中で最も役立たずの人間です。それにもかかわらず、キリストのうちにある無限の富が外国人にも与えられるという計画を伝える者として、こんな私が選ばれたのです。
+ それは、万物を造られた神が、世の初めからの計画どおりに、ご自分が外国人の救い主でもあることを、すべての人に説き明かすためでした。
+ またそれは、天のもろもろの支配者たちに対して、神の全家族――ユダヤ人も外国人も――が教会の中で一つとなっている姿を見せ、神の完全な知恵を示すためです。
+ これこそ、神が主キリスト‧イエスを通して、かねてから計画しておられたことなのです。
+ 私たちはこのキリストと共にあり、キリストを信じる信仰によって、確信をもって大胆に神の前に出ることができます。
+ ですから、どうか、私がいま体験している苦しみを知って落胆しないでください。この苦しみはあなたがたのためであり、それは、あなたがたにとって名誉となり、励ましとなるはずです。
+ 神のご計画の深さと広さを思う時、私はひざをかがめて、天上と地上の家族の父である方に祈ります。
+ どうか、父なる神が、その栄光に満ちた無限の富の中から、御霊を通して人を内面から強くする力を、あなたがたに与えてくださいますように。
+ こうしてキリストが、信じるあなたがたの心に住んでくださいますように。
+ そして、神の愛がどれほど広く、どれほど高く、どれほど深いかを理解することができますように。さらに、あなたがたがキリストの無限の愛を知って、キリストの愛といのちに満たされますように。
+ どうか、私たちの祈り、願い、考え、望みをはるかに超えたすばらしいことを、その偉大な力でなされる神に、栄光がありますように。
+ どうか、キリスト‧イエスによって、教会に救いの計画をもたらしてくださった神に、栄光が永遠にありますように。アーメン。
+
+
+ 主に仕えたために、今こうして牢獄につながれている私からお願いします。このようにすばらしい神の祝福を受けるために選ばれたあなたがたは、それにふさわしく生活し、行動してください。
+ 謙遜で柔和な人になってください。愛をもって互いの欠点を思いやり、互いに忍耐してください。
+ 御霊によって心を一つにされるよう常に努力し、互いに仲良く暮らしなさい。
+ 私たちはみな、一つの体の各器官です。だれもが同じ御霊を与えられ、同じ輝かしい未来へと招かれています。
+ また、私たちの主はただ一人であり、信仰も一つであり、バプテスマ(洗礼)も一つです。
+ そして、私たちすべての上に立ち、すべての中に宿り、各器官である私たちを貫いて生きておられる、神であり父である方は一つです。
+ けれども、キリストは私たち一人一人に、それぞれ賜物を与えてくださいました。ご自分の豊かな賜物の宝庫から、お心のままに与えてくださったのです。
+ 聖書の詩篇の作者は、こう言っています。「(キリストは)復活してサタンに打ち勝ち、勝利を得て天に帰られた時、人々に惜しみなく賜物をお与えになった。」
+ ここで、キリストが「天に帰られた」という点に注意してください。つまり、最初は天の一番高い所におられたのに、地の一番低い所に下られたことを意味します。
+ この下って来られた方が、天に帰られたのです。それは、キリストが、底辺から頂点に至るまで、あらゆる点であらゆるものを満たすためなのです。
+ さてこうして、ある者には使徒としての賜物が与えられ、ある者にはすぐれた説教者としての賜物が与えられました。また、キリストを救い主として信じるように人々を指導する賜物を受けた者もいれば、羊を見守る羊飼いのように、神の民となった人たちの世話をし、教え導く力を受けた者もいます。
+ なぜこのように、それぞれに賜物が与えられたのでしょうか。それは、神の民となった人々が、神のためによりよく働けるよう整え、キリストの体である教会を、力にあふれた、完成した状態へと建て上げるためです。
+ そしてついに、私たちは、救いについて、また救い主である神の子について同じ信仰を持つに至り、主にあって完全に成長した者となるのです。
+ そこで、もはや、だれかから間違ったことを教えられたり、うそを真実のようにたくみに見せかけられたりしても、そのたびに、子どものようにふらふらと信じるものを変えてはいけません。
+ むしろ、誠実に語り、誠実にふるまい、誠実に生きて、常に真理に従うことを喜び、あらゆる点で、教会のかしらであるキリストにますます似た者となるのです。
+ このキリストのもとで、各器官が結び合わされ、体全体がしっかりと組み合わされて成長し、愛にあふれるようになるのです。
+ そこで私は、主にあって、このことを言わせていただきます。もうこれから先、救われていない人のようにむなしい生き方をしてはなりません。
+ 彼らの閉ざされた心の中は真っ暗です。神に対して心を閉ざしているので、神のいのちから遠く離れています。
+ 彼らは、善悪の区別など気にもせず、思いのままに、ふしだらな行いにふけっています。
+ しかし、キリストが教えてくださった生き方は、全く違います。
+ もしあなたがたが、ほんとうにキリストの声を聞き、キリストについて真理を学んでいるなら、
+ 古い邪悪な性質を捨て去りなさい。古い性質とは、以前のあなたがたのように肉欲に惑わされ、滅んでいくような生き方です。
+ あなたがたの態度や考えを一新しなければなりません。
+ あなたがたは、神にかたどって造られた新しい人になるように、新しい性質を身にまといなさい。
+ 私たちは互いに体の一部分なのですから、ごまかし合いをやめ、真実を語りなさい。
+ 腹を立てることがあっても、恨みをいだいて罪を犯してはなりません。いつまでも怒ったままでいないで、すぐに怒りを収めなさい。
+ 悪魔につけ込むすきを与えないためです。
+ 盗みを働いていた人はやめ、かえって困っている人に施しができるように、まともに働きなさい。
+ 悪意のこもったことばを口にしてはいけません。相手の益となり、助けとなること、また祝福を与えることだけを話しなさい。
+ 聖霊を悲しませるような生き方をしてはいけません。この聖霊は、罪からの救いが完成する日のために、救いの確かな証印を押してくださる方であることを忘れてはなりません。
+ 無慈悲、憤り、怒りなどを捨てなさい。とげのあることばやえこひいきをなくしなさい。
+ むしろ、互いに親切にし、心のやさしい人になりなさい。そして、神がキリストにあってあなたがたを赦してくださったように、互いに赦し合いなさい。
+
+
+ 子どもが、かわいがってくれる父親を見ならうように、何をするにも神を模範としなさい。
+ 思いやりに満ちあふれた者となりなさい。キリストの愛は、あなたがたの罪を取り除くために、ご自身をいけにえとして神にささげるほど深かったのです。このキリストの愛の香ばしいかおりを、神はお喜びになったのです。
+ あなたがたの間に、性的な罪やふしだらな行い、貪欲があってはなりません。そんなことで、だれからも非難されないようにしなさい。
+ みだらな会話や下品な冗談は、あなたがたにふさわしくありません。むしろ、互いに神の恵みを心にとめて、感謝しなさい。
+ もうよくご存じと思いますが、キリストと神との国に、汚れた人や貪欲な人は入ることができません。貪欲な人は偶像礼拝者であって、神よりもこの世のものを愛して拝んでいるのです。
+ これらの罪の言いわけをする者たちに、だまされてはなりません。神の恐ろしい怒りは、こういう行いをする者に容赦なく下るのです。
+ ですから、彼らとのつき合いすら禁じます。
+ あなたがたの心は以前は暗闇におおわれていましたが、今は主にあって光にあふれています。そのことを態度で示しなさい。
+ 内面がこの光で輝いているのですから、良いこと、正しいこと、真実なことだけを行うべきです。
+ 日々、主に喜ばれることは何かを、わきまえ知りなさい。
+ 邪悪で無益な快楽に身を任せてはいけません。むしろそれを非難し、明るみに出しなさい。
+ 神を敬わない者たちが暗闇でふけっている快楽は、口にするのも恥ずかしいことです。
+ しかし、あなたがたがそれを明るみに出す時、光がその罪を照らし出して正体をあばきます。その醜さに気づいて、そのうちの何人かは光の子どもとなるでしょう。
+ だから、聖書にこう言われているのです。「眠っている者よ。目を覚ませ。死者の中から起き上がれ。そうすれば、キリストがあなたを照らされる。」
+ ですから、自分の行動によくよく注意しなさい。今は困難な時代です。愚か者にならないで、賢くなりなさい。あらゆる機会を十分に生かして、正しい行いをしなさい。
+ 軽率に行動せず、主が望んでおられることを実行しなさい。
+ 酒を飲みすぎてはいけません。そこには多くの悪が潜んでいるからです。むしろ、御霊に満たされ、支配していただきなさい。
+ 聖なる歌をうたい、心の中で主に向かって賛美しながら、互いに主について語り合いなさい。
+ いつも、あらゆることを、主イエス‧キリストの名によって、父なる神に感謝しなさい。
+ 互いに従順になって、キリストをたたえなさい。
+ 妻は、主に従うように夫に従いなさい。
+ なぜなら、キリストの体である教会がキリストにゆだねられているように、妻は夫にゆだねられているからです。
+ そういうわけですから、妻は、教会がキリストに従うように、どんなことでも喜んで夫に従わなければなりません。
+ また夫は、教会のためにいのちを捨てるほどの愛を示されたキリストにならって、妻を愛しなさい。
+ キリストがそうなさったのは、バプテスマ(洗礼)と神のことばで教会を洗いきよめ、きよく、汚れのないものとするためでした。
+ こうして、一点のしみも、しわも、何の傷もない、きよく完全な栄光の教会として迎え入れようとされたのです。
+ これこそ、夫が妻に対してとるべき態度です。つまり、夫は妻を、自分の体の一部のように愛さなければなりません。二人は一体なのですから、夫が妻を愛する時、自分自身を愛しているのです。
+ 自分の体を憎む者はいません。愛し、いたわります。それは、キリストが自分の体である教会をそうされたのと同じです。私たちは、その体の各部分なのです。
+ 夫と妻が一体であることは、聖書もはっきり証言しています。「人は結婚する時、父母のもとを離れなければならない。それは、完全に結びついて、二人が一心同体となるためである。」
+ これには深い理解が必要ですが、私たちがキリストの体の各部分であることを説明するには適切な例です。
+ そこで、もう一度言います。夫は妻を、自分の体の一部のように愛しなさい。そして妻は、夫を心から尊敬し、従いなさい。
+
+
+ 子どもは両親に従いなさい。神は、親が子どもを監督する権威を認めておられるのです。従うのは正しいことです。
+ 「あなたの父と母とを敬え。」これは、「十戒」の中で対人関係について言われた第一の戒めで、その後に約束があります。
+ つまり、「父母を敬うなら、あなたは幸せになり、長生きする」という約束です。
+ 両親にもひとこと言っておきます。子どもを、いつもうるさくしかりつけて反抗心を起こさせたり、恨みをいだかせたりしてはいけません。かえって、主がお認めになる教育と、愛のこもった助言や忠告によって育てなさい。
+ 奴隷は主人に従い、最善を尽くしなさい。キリストに仕えるのと同じようにしなさい。
+ 主人の目の前でだけ一生懸命に働き、陰では怠けるようではいけません。神が望まれることを、心を尽くして行い、キリストのために働くように、いつも熱心に喜んで働きなさい。
+ あなたがたが奴隷であろうと自由人であろうと、良い行いには、一つ一つ主が報いてくださることを忘れないように。
+ 主人も、いま私が奴隷たちに勧めたのと同じ態度で、奴隷を正しく扱いなさい。脅すばかりではいけません。自分もキリストの奴隷であることを忘れないように。あなたがたの主も、奴隷の主も同じお方なのです。主は人を差別したりはなさいません。
+ 最後に、覚えておいてほしいことがあります。あなたがたは、自分のうちにある主の全能の力によって強められるようにしてください。
+ 悪魔のどんな策略にも立ち向かえるように、神のすべての武具で身をかためなさい。
+ 戦う相手は、血肉を持った人間ではなく、肉体のない者たちです。すなわち、目に見えない世界の支配者たち、この世を支配する暗闇の大王たち、それに、天にいる無数の悪霊です。
+ ですから、いつどんな攻撃にも対抗できるように、神のすべての武具を用いなさい。そうすれば、すべてが終わった時も、なおしっかり立てるでしょう。
+ しかし、そのためには、腰に真理の帯をしめ、神の承認という胸当てをつけなければなりません。
+ 次に、平和の福音を伝えるために直ちに出発できる、丈夫なくつをはきなさい。
+ どんな戦いにも、守りの盾として必要なのは信仰です。これがあれば、サタンが射かけてくる火矢を消し止めることができます。
+ また、救いのかぶとをかぶり、御霊の下さる剣である神のことばを手にしなさい。
+ どんな時にも祈りなさい。どんなことでも、聖霊の考えにそって神にひたすら願い求めなさい。各地に散っているすべてのクリスチャンのために、熱心に祈り続けなさい。
+ また、私のためにも祈ってください。主のことを大胆に告げる時に、また、主の救いは外国人にも及ぶと説明する時に、適切なことばが与えられるよう祈ってください。
+ 私は今、神に託されたこの福音を伝えたために鎖につながれています。しかし、この牢獄の中でも、語るべきことを、主のために大胆に絶えず語れるよう祈ってください。
+ 心から愛する信仰の友、主の仕事のための忠実な協力者テキコが、あなたがたに私の近況を残らず知らせてくれるでしょう。
+ テキコをそちらへ送るのは、私たちの様子を知ってもらい、それを励みにしてほしいからです。
+ どうか、クリスチャンの皆さんに、父なる神と主イエス‧キリストからくる、信仰による平安と愛とが注がれますように。
+ どうか、神の恵みと祝福が、主イエス‧キリストを心から愛する、すべての人にありますように。パウロ
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+ キリスト‧イエスの奴隷であるパウロとテモテから、ピリピの町にいる牧師と執事たち、および信徒の皆さんへ。
+ どうか、神の祝福があなたがた一同にありますように。父なる神と主イエス‧キリストが、一人一人を豊かに祝福し、心にも生活にも平安を満たしてくださいますように。
+ あなたがたを思う私の祈りは、いつも神への賛美にあふれています。
+ そして、私の心は喜びに満たされるのです。
+ それは、あなたがたが福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を初めて聞いた日から今日まで、全力をあげて、その知らせを宣べ伝える働きに協力してくれたからです。
+ あなたがたのうちに良い働きを始められた神は、必ずそれを恵みのうちに成長させ、やがてキリスト‧イエスが帰って来られる日までに、それを完成してくださると、私は堅く信じています。
+ こう考えるのは、きわめて当然です。あなたがたは、私にとって特別な存在なのですから。私が獄中にある時も、自由の身でキリストの福音を語っている時も、あなたがたは、私と共に神の祝福をいただいたからです。
+ 私がキリスト‧イエスの愛の心をもって、あなたがたをどんなに深く愛し、慕っているかをご存じなのは神だけです。
+ 私は祈っています。どうか、あなたがたの愛が、もっともっと満ちあふれますように。同時に、霊的な知識と洞察力も、さらに深められますように。
+ それは、あなたがたに、善悪をはっきり見分ける力が備わり、主が来られる日まで、だれからも非難されることなく、心がきよく保たれるよう願うからです。
+ どうか、神の子どもにふさわしく、親切な良い行いができますように。それは、大いに主をほめたたえ、主の栄光を現すことになるのです。
+ 愛する皆さん。このことを、わきまえていてほしいのです。ここで私の身に起こったことはすべて、キリストについての福音を広めるのに、たいへん役立っているという事実をです。
+ 周囲の人たちはみな、兵営の兵士に至るまで、私が、ただクリスチャンであるというだけの理由で投獄されていることを知っています。
+ また私を見て、ここにいる多くのクリスチャンは、投獄など恐れなくなりました。彼らは耐え忍んでいる私の姿に勇気づけられ、ますます大胆に、キリストのことを人々に語るようになったのです。
+ もっとも中には、神が私をこのように用いてくださるのをねたんで、福音を宣べ伝えている人もいます。彼らは、勇敢な伝道者という名声がほしいのです。しかし、もっと純粋な動機から伝道している人もいます。
+ 私を愛する気持ちから、そうしているのです。私をこのような状況下に置かれた主の目的が、福音を弁証させる点にあることを知っているからです。
+ ところが別の人たちは、自分たちの成功によって、獄中にある私の苦痛がもっと増すだろうと考えて、つまり、私にねたみ心を起こさせようとして伝道しているのです。
+ しかし、どのような動機からであれ、キリストが宣べ伝えられているのは事実であり、私は喜んでいます。
+ これからも、この喜びは続くでしょう。なぜなら、あなたがたの祈りと御霊の助けによって、このことがすべて私に益となることがわかっているからです。
+ というのも、私はこのような期待と希望とをいだいて生きているのです。すなわち、一つも自分で恥じるようなことはせず、かえって、この試練の時も、いつものように大胆に語り、また、生きるにしても死ぬにしても、いつもキリストのすばらしさを身をもって現したいと願っているのです。
+ 私にとって生きることは、キリストのために良い機会を得たことを意味し、死ぬことは、さらにすばらしいことを意味するからです。
+ しかし、生きているからこそ、人々をキリストに導く機会に恵まれているとすれば、生と死のどちらがよいのか、私にはわかりません。
+ ある時は生きていたいと思い、また、ある時は反対の気持ちになります。というのも、私にとって、この世を去ってキリストのそばにいることほど願わしいことはないからです。そのほうが、地上にとどまっているより、どれだけ幸せかわかりません。
+ しかし、地上では、もっとあなたがたの役に立てることも事実です。
+ 私にはまだ、この世で生きる使命があるのです。あなたがたの信仰の成長を助け、あなたがたがもっと喜びにあふれるために、もうしばらくの間、地上で長らえることになるでしょう。
+ 私が生き延びて、もう一度そちらに行った時、あなたがたのうちに喜びがわき上がり、私を無事に守ってくださったイエス‧キリストを心から賛美するようになることでしょう。
+ しかし、たとえ私の身にどんなことが降りかかろうと、あなたがたは、いつもキリストの福音にふさわしく生活するよう心がけてください。そうすれば、もう一度会えるにしても、会えないにしても、あなたがたについて、いつでもうれしい報告を聞けるでしょうから。つまり、あなたがたが、キリストの福音を宣べ伝えるという一つの目標に向かって、しっかり一つとなり、
+ 敵対する者たちのどんなしわざにもたじろぐことがないと。そのことは彼らの滅びを暗示するのですが、あなたがたにとっては、神が共にいて永遠のいのちを与えてくださることの確かな証拠となります。
+ あなたがたは、ただキリストを信じるだけでなく、キリストのために苦しむという特権をも与えられているのです。
+ 私たちは、共に戦っているのです。あなたがたは先に、キリストのために苦しんでいる私の姿を見ました。そして、今なお、激しく大きな戦いの真っただ中にいる私のことを、よく知っているはずです。
+
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+ あなたがたには、クリスチャンとして互いに励まし合う気持ちがありますか。私を助けたいと思うほどの愛がありますか。あなたがたは同じ御霊を共にいただいており、主にあって互いが兄弟であるということの、ほんとうの意味がわかっているでしょうか。やさしい心と思いやりが、少しでもあるでしょうか。
+ もしそうなら、互いに愛し合い、心から打ち解け合い、思いと目的とを一つにして共に働き、私を心から喜ばせてください。
+ 自己中心であったり、見栄を張ったりしてはいけません。謙遜になって、他の人を自分よりもすぐれた者と考えなさい。
+ 自分のことばかりにとらわれるのではなく、他の人のことにも目を向けなさい。
+ 私たちに対するキリスト‧イエスの態度を見ならいなさい。
+ キリストは神であられるのに、神としての権利を要求したり、それに執着したりはなさいませんでした。
+ かえって、その偉大な力と栄光を捨てて奴隷の姿をとり、人間と同じになられました。
+ そればかりか、さらに自分を低くし、犯罪人と同じようになって十字架上で死なれたのです。
+ しかし、それゆえに、神はキリストを高く天に引き上げ、最高の名をお与えになりました。
+ それは、その御名のもとに、すべてのものが天でも地でもひざまずき、
+ すべての口が「イエス‧キリストは主です」と告白して、父なる神がほめたたえられるためです。
+ 愛する皆さん。私がそちらにいた時、あなたがたはいつも、私の教えに従順に従ってくれました。離れている今はなおさら、しっかりしてください。深い尊敬の思いをこめて神に従い、神に喜ばれないことからは手を引きなさい。
+ 神は人の心に働きかけて、従おうとする思いを起こさせ、神が望まれる行いができるように助けてくださるのです。
+ 何事においても、不平を言ったり、疑ったりしてはいけません。
+ だれからも非難されないためです。心の曲がった邪悪な世の中にあって、あなたがたは神の子どもとして、汚れのない、きよらかな生活を送りなさい。世の人々の間で、いのちのことばを高く掲げ、世の光として輝きなさい。そうすれば、キリストが帰って来られた時、私はあなたがたに対する労苦がむだでなかったことを知り、どんなに喜ぶことでしょう。
+ あなたがたの信仰を供え物として神にささげる時、その上に、たとえ私の血を注がなければならないとしても――あなたがたのために、いのちを捨てなければならないとしても――私はうれしいのです。そして、あなたがた一人一人にも、この喜びを分けてあげたいのです。
+ このことは、当然、あなたがたにとっても喜びなのですから。私があなたがたのためにいのちを捨てる特権を持っていることを、共に喜んでください。
+ 主のお許しがありしだい、テモテをそちらへ送りたいと思っています。そうなれば、彼から、あなたがたのことやそちらの様子を報告してもらい、私も元気づけられると期待しています。
+ テモテほど親身になって、あなたがたのことを心配している人はいません。
+ ほかの人はみな、自分の計画に心を奪われ、キリスト‧イエスのことなど気にかけていないようです。
+ しかし、テモテは違います。よくご存じのとおり、まるで私の息子のように、福音の働きを助けてくれました。
+ それで、ここでの私の扱いがどうなるかわかりしだい、テモテを行かせるつもりです。
+ 私も、近いうちに主がそちらを訪ねさせてくださると確信しています。
+ それはさておき、エパフロデトを、あなたがたのもとに帰さなければ、と考えています。よくぞ、困っていた私を助けるために、エパフロデトをよこしてくれました。彼と私は、血を分けた兄弟のように手を取り合って働き、戦ってきました。
+ いま彼に、そちらへ帰ってもらいます。彼は、あなたがた一同のことを思ってホームシックにかかっており、その上、自分の病気のことがそちらに知れたのをひどく気にしているからです。
+ 病気のことはほんとうです。実際、危うくいのちを落とすところでした。しかし神は、エパフロデトをあわれんでくださったのです。もうこれ以上、悲しみが重ならないようにとの、私へのあわれみでもありました。
+ それで、エパフロデトを帰してやりたいと、心から願っています。あなたがたが彼に会って、感謝にあふれる姿が目に浮かぶからです。それは私にもうれしいことですし、心配も軽くなります。
+ どうか喜びにあふれ、主にあって迎えてやってください。また、その労をねぎらい、感謝の気持ちを表してください。
+ なぜなら、彼はいのちがけでキリストのために働き、今にも死にそうな目に会ったからです。彼は離れているあなたがたに代わって、私に尽くしてくれたのです。
+
+
+ 愛する皆さん。どんなことが起ころうと、主にあって喜びなさい。このように何度も言いますが、それを私はめんどうとは思いませんし、あなたがたも聞かされたほうがいいのです。
+ 救われるためには形だけでも割礼を受ける必要があると教える、あの悪い連中を警戒してください。彼らは危険な犬ですから。
+ 肉体の一部を切り取りさえすれば、神の子どもになれるのではありません。霊をもって神を礼拝する者こそ、神の子どもなのです。その礼拝こそが、ただ一つの真の「割礼」です。クリスチャンが誇れることと言ったら、キリスト‧イエスがなしてくださったみわざだけです。自分で自分を救うことなどとてもできないと、よく知っているはずです。
+ しかし万一、人間的なもので救われる人がいるとしたら、私には、確かにその可能性があります。
+ 生粋のユダヤ人として、由緒あるベニヤミンの家系に生まれた私は、八日目に、ユダヤ人のしるしとしての儀式である割礼を受けました。つまり、だれにも引けを取らない、正真正銘のユダヤ人です。その上、律法のすべてを守る点にかけては、最もきびしいパリサイ派に属していました。
+ 熱心さの点ではどうだったかと言うと、熱心のあまり教会を激しく迫害したほどで、ユダヤ教の基準からいえば、非難されるところのない者でした。
+ しかし私は、以前、非常に価値があると思っていたこれらのものを、今ではことごとく捨ててしまいました。それは、ただキリストだけを信頼し、キリストだけに望みをかけるためです。
+ 主であるキリスト‧イエスを知っているという、途方もない特権と比べれば、ほかのものはみな色あせて見えるのです。私は、キリスト以外のものは、がらくた同然と思っています。それは、キリストを自分のものとするためであり、
+ もはや、良い人間になろうとか、律法に従って救われようとか考えるのはやめて、ただキリストを信じることによって救われ、キリストと結ばれるためです。神が私たちを正しい者と認めてくださるのは、信仰――ただキリストだけを信じ頼ること――を持っているかどうかで決まるからです。
+ 私は今、ほかのことはいっさい考えず、ただこのことだけを求めています。つまり、真にキリストを知ること、キリストを復活させた力を、この身をもって体験すること、そして、キリストと共に苦しみ、また死ぬとはどういうことかを知ることです。
+ 死者の中から復活した、生き生きとした新しいいのちに生きる者となるためには、どんな犠牲もいといません。
+ なにも、自分が完全な人間だと主張するつもりはありません。学ぶべきことも、まだたくさん残っています。ただ、キリストが何のために私を救ってくださったかを知り、自分に与えられている目標に到達する日を目指して、努力しているのです。
+ 愛する皆さん。私は、まだその目標に達してはいません。ただこの一事に全力を注いでいます。すなわち、過去に執着せず、前にあるものを望み見、
+ ゴールに到達して神の栄冠を得るために、一生懸命努力しているのです。この栄冠を与えようと、神は私たちを天へと召しておられます。それは、キリスト‧イエスが成し遂げてくださった救いによるのです。
+ ですから、成熟したクリスチャンであるあなたがたはみな、この点について、私と同じ考え方をするようにと願います。もし何かの点でこの考え方からはずれているなら、神はきっと指摘してくださるでしょう。
+ もちろん、あなたがたが、与えられた真理に完全に従っているならば、の話です。
+ 愛する皆さん。どうか私の生き方を見ならってください。また、私を手本として生きている人たちに目をとめてください。
+ というのは、今までも、しばしば語ってきたことですし、今また、涙ながらに訴えたいのですが、クリスチャンとして歩みながら、実はキリストの十字架に敵対している者が多くいるからです。
+ 彼らの行き着く先は永遠の滅びです。自分の欲望を神とし、ほんとうは恥じるべきことを誇っているからです。彼らの思いは、この地上の生活のことでいっぱいです。
+ しかし、私たちのほんとうのふるさとは天にあるのです。そこには救い主である主イエス‧キリストがおられます。私たちは、キリストがそこから迎えに帰って来られるのを、ひたすら待ち望んでいるのです。
+ その時、キリストは、あらゆるものを従わせることのできる超自然的な力で、私たちの死ぬべき体を、ご自身と同じ栄光の体に変えてくださるのです。
+
+
+ 愛する兄弟(信仰を同じくする者)たち。私はあなたがたに、ぜひ会いたいと願っています。あなたがたは私の喜びであり、私の働きが結んだ実なのですから。愛する皆さん。どうかいつまでも、主に対して真実であってください。
+ ここで、愛する二人の女性ユウオデヤとスントケにお願いします。どうか、主の助けによってけんかをやめ、もとどおり仲よくなってください。
+ 私の真実の協力者である皆さん。あなたがたにもお願いします。彼女たちを助けてやってください。福音を宣べ伝えるために、私と手を組んで働いてくれた人たちだからです。それに彼女たちは、いのちの書に名前が記されているクレメンスやほかの協力者たちとともに、力を合わせて働いてくれたのです。
+ いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい。
+ 自己中心にならず、あなたがたが思いやりにあふれていることを、だれもが知る者になりなさい。主がもうすぐ来られると、いつも意識していなさい。
+ 何事も心配しないで、どんな時でも神に祈りなさい。そして、祈りに答えてくださる神に感謝しましょう。
+ そうすれば、人間の理解をはるかに超えた、すばらしい神の平安を経験します。キリスト‧イエスにあって、その平安はあなたがたの心と思いを静め、安らかにしてくれるのです。
+ さて皆さん。筆を置く前に、もう一つ申し上げたいことがあります。真実なこと、良いこと、正しいことに注目しなさい。きよいこと、愛すべきことについて思いめぐらし、他の人の長所に目をとめなさい。神を喜び、賛美することばかりを考えなさい。
+ 私から学んだこと、その行動から教えられたことがあれば、実行しなさい。そうすれば、平和の神が共にいてくださいます。
+ あなたがたがまた助けてくれるようになって、どんなに感謝し、主を賛美しているか知れません。あなたがたはいつもできるかぎりのものを私に送ろうと心がけていたのに、機会に恵まれなかったのです。
+ 生活に困っていたから、こう言うのではありません。私は、物が豊富にあろうとなかろうと、楽しく生きていくすべを学びました。
+ 無一文の時にも、何でもそろっている時にも、どのように生活すべきか知っています。満腹の時にも空腹の時にも、豊かな時にも貧しい時にも、どんな境遇でも満足する秘訣を身につけました。
+ 力を与え、強めてくださる方によって、私は、神に求められるどんなことでもできるからです。
+ しかし、それにしても、よくぞ困難な状況下にある私を助けてくれました。
+ 知ってのとおり、福音を携え、初めてあなたがたを訪問した私が、その後マケドニヤを離れて他の地方に向かった時、物をやり取りして協力してくれたのは、あなたがたピリピの教会だけでした。ほかに、そんな教会はありませんでした。
+ テサロニケ滞在中でさえ、二度までも、物資を援助してくれました。
+ 贈り物を感謝するのはもちろんのこと、何よりもうれしいのは、その親切な行いのゆえにあなたがたが受ける、豊かな報いのことです。
+ 今のところ、必要な物は何でもそろっています。それどころか、必要以上に満たされています。エパフロデトにことづけてくれた贈り物をいただいて、十分すぎるほどです。その贈り物は、神が喜んで受け入れてくださる、香ばしいかおりの供え物です。
+ 神は、キリスト‧イエスが成し遂げてくださったことによるご自身の栄光の富の中から、あなたがたに必要なものをすべて満たしてくださる方です。
+ 父なる神に、栄光が、とこしえに限りなくありますように。アーメン。パウロ
+ そちらの信徒一人一人によろしくお伝えください。こちらにいる兄弟たちがよろしくとのことです。
+ また、他の信徒もみな、特にカイザル(ローマ皇帝)の宮廷に仕えている人々が、よろしくと言っています。
+ どうか、主イエス‧キリストの祝福が、あなたがたの霊と共にありますように。
+
+
+
+
+ 神に選ばれてキリスト‧イエスの使徒となったパウロと、信仰の友テモテから、
+ コロサイの町に住む、神の民とされた忠実な兄弟たち(信仰を同じくする人々)へ。どうか、父なる神が、あなたがたに祝福を豊かに注ぎ、すばらしい平安をあふれるほどに与えてくださいますように。
+ 私たちはあなたがたのために祈る時、いつも、まず主イエス‧キリストの父なる神に感謝します。
+ それは、あなたがたの主に対する深い信頼と、神の民となった人々に対する深い愛とを耳にしているからです。
+ また、あなたがたは福音(キリストによる救いの知らせ)を初めて聞いた時からずっと、天国にある喜びを早く味わいたいと待ちこがれてきました。
+ 今ではこの同じ福音が世界中に広まり、至る所で人々の人生が変えられています。ちょうど、あなたがたが初めて福音を聞いた日に、罪人に対する神の豊かな恵みを真に理解して、人生が全く変えられたように。
+ それをあなたがたに伝えたのは、私たちと共に働いている、愛するエパフラスでした。彼はイエス‧キリストに忠実に仕えており、今ここで、あなたがたに代わって私たちを助けてくれています。
+ 彼はまた、あなたがたがどんなに他の人々を愛しているかを知らせてくれました。そのような愛は、聖霊が与えてくださったものです。
+ そういうわけで、私たちはそのことを聞いた時から、絶えずこう祈り求めています。どうか、神が何を望んでおられるか、はっきりとあなたがたにわかりますように。また、霊的なことに対する理解力が与えられますように。
+ いつも主に喜ばれる生き方をして、主の評判を高めることができますように。他の人々に善意と親切とを示し、神をますます深く知るに至りますように。
+ また、こうも祈っています。あなたがたが神の栄光ある力に満たされて、どんなことが起ころうとも前進し、いつも、主の喜びにあふれていることができますように。
+ また、光の国にすばらしい場所を備え、私たちをそこに住むにふさわしい者としてくださった父なる神に、いつも感謝できますように。
+ 神は私たちを、サタンの支配する暗黒から救い出して、愛するひとり子キリストのご支配のもとに移してくださいました。
+ この神の子は、ご自分の血という代価を払って、私たちを買い取ってくださり、すべての罪を赦してくださったのです。
+ キリストは、目には見えない神のかたちであり、神がすべてのものをお造りになる前からおられました。
+ 事実、キリストはすべてのものの創造者なのです。天にあるものも地にあるものも、目に見えるものも見えないものも、霊の世界の王座も主権も支配も権威もすべて、この方がご自身の目的と栄光のために造られたのです。
+ キリストは他のすべてのものに先立って存在し、すべてのものは、キリストによって成り立っています。
+ ですからキリストは、ご自分に属する人々からなる体〔すなわち教会〕のかしらです。キリストは、だれよりも先に死者の中から復活された方です。こうしてキリストが、あらゆる点で第一の地位を占めておられるのです。
+ 神は、ご自分のすべてが御子の中に宿ることを望み、
+ キリストの十字架の血によって、天と地のすべてのものが神のもとに行く道を開いてくださいました。神の子キリストが十字架の上で死なれたことにより、すべてのものが、神との平和な関係を持つに至ったのです。
+ そのすべてのものの中には、かつて神から遠く離れていたあなたがたも含まれています。あなたがたは以前は神の敵であり、神を憎み、悪い考えや行いによって神から離れていました。
+ しかし今、神は、キリストが人間の体をもって十字架上で死なれたことにより、あなたがたをご自分と和解させてくださったのです。それはあなたがたを、少しも非難されるところのない、きよい者として神の前に立たせてくださるためでした。
+ ただしあなたがたは真理に堅く立って、ゆるがされることなく信仰に踏みとどまらなければなりません。そして、イエスがあなたがたのために死んでくださったという福音を、決して失ってはなりません。この福音は今や世界中に広がっており、私パウロは、その福音を伝える働きに仕えているのです。
+ いま私は、あなたがたのために苦しむことも、私の務めとして喜んでいます。キリストの体である教会のために、キリストの苦しみの残された部分を担っているからです。
+ 神が私を遣わされたのは、教会を助け、あなたがたユダヤ人以外の外国人に、その救いの計画を知らせるためです。
+ 神はこれまで何世代にもわたって、この救いの計画を秘密にしてこられましたが、今ついに、神を愛し、神のために生きる人々にそれを明かされました。この計画があなたがた外国人にとって、どんなに栄光に満ちたものであるかを知らせたいと思われたのです。その計画とは、「あなたがたの心の中に住むキリストこそ、栄光にあずかる唯一の希望である」ということです。
+ ですから、私たちはどこへ行っても、耳を傾けるすべての人にキリストを伝え、できるかぎりの手を尽くして、あらゆる人をさとし、教えています。そして、彼ら一人一人を、完全な者として神の前に立たせることができるようにと願っています。
+ これが私の務めです。キリストが私のうちに力強く働いてくださるからこそ、この務めを果たせるのです。
+
+
+ あなたがたとラオデキヤの教会と、またほかにも、直接には会ったことのない多くの友人のためにも、私がどんなに苦闘しているか知ってほしいのです。
+ 私はこう祈り求めています。あなたがたが心に励ましを受け、強い愛のきずなで互いに結ばれるように。また、ゆるぎない確信と豊かな理解力をもって、ますます深く、神の奥義であるキリストを知ることができるように、と。
+ このキリストのうちには、まだ私たちの知らない知恵と知識の宝がすべて隠されているのです。
+ 私がこう言うのは、あなたがたが、だれかの巧みなことばでだまされはしないかと心配なのです。
+ 離れていても、私の心はあなたがたと共にあり、その秩序ある生活と、キリストに対するしっかりした信仰とを見て喜んでいます。
+ すでにキリストの救いを信じたあなたがたは、日常の問題についてもキリストに信頼し、キリストと共に生きなさい。
+ キリストに根を深く下ろし、そこから養分を吸収しなさい。主にあって成長し続け、真理に立って、強くたくましくありなさい。すべてに感謝し、喜びにあふれて生活しなさい。
+ あのむなしい、だましごとのような哲学によって、だれからも信仰と喜びが奪われないように注意しなさい。あのような哲学はキリストのことばによるものではなく、人間の考えや思いつきから出た、幼稚な考えでしかありません。
+ キリストのうちにこそ、神の性質のすべてが肉体をとって宿っているのです。
+ ですから、キリストを自分のものとしているなら、すべてを手に入れたことになります。あなたがたはキリストと結びつくことによって神に満たされているのです。キリストは、すべての力を従えた、権威ある、最高の支配者です。
+ あなたがたがクリスチャンになった時、キリストはあなたがたを、罪に支配された古い性質から解放してくださいました。それは、割礼という肉体の手術によってではなく、心のバプテスマ(洗礼)という霊的な手術によってなされたことです。
+ ですから、古い性質はキリストと共に死に、共に葬られたのです。そして、キリストを死者の中から復活させた、力ある神のことばを信じたあなたがたは、キリストと共に、新しいいのちへと復活させていただいたのです。
+ あなたがたは、以前は罪の中で死んでいましたが、神は、そんなあなたがたをキリストと共に生かしてくださいました。それは、すべての罪を赦し、
+ 神の定めに違反したことが記されているあなたがたに不利な証書を、塗りつぶしてしまわれたからです。この罪の証書は、キリストの十字架と共に釘づけにされて無効となったのです。
+ こうして神は、罪を犯したあなたがたを責め立てるサタンの力をくじかれました。そして、十字架上でのキリストの勝利を、公然と示されたのです。この十字架によって、罪はすべて取り除かれました。
+ そういうわけですから、食べ物や飲み物のことで、あるいはユダヤ教の祭り、新月の儀式、安息日の決まりを守らないなどという問題で、だれにも批評させてはいけません。
+ それらは、キリストが来られる前にだけ有効であった、一時的な存在にすぎないからです。つまり、キリストという本体の影でしかなかったのです。
+ 天使への礼拝を拒否する時、「今に罰があたるぞ」などと相手に言わせてはなりません。彼らは、幻を見たと言って、正当性を主張します。この、謙遜だと自任しているが高慢な人々は、実に想像をたくましくしますが、
+ 彼らはキリストにつながっていません。しかし、キリストの体を構成する私たちは、キリストをかしらとして結びついています。私たちは、関節と筋肉によって互いにしっかり結び合わされ、神から養分と力とをいただいて成長するのです。
+ キリストと共に死んだあなたがたは、この世の教えから解放されたのです。それならなぜ、「あれは食べるな、なめるな、さわってもいけない」などという規則に縛られ、この世の考えに従う生活を続けているのですか。
+ それらはすべて消えてなくなるもので、人間の作った規則にすぎません。食物は食べるためにあり、食べればなくなります。
+ このような規則は、自分を規制するきびしい礼拝とか、謙遜とか、肉体の苦行などを伴うので、いかにもすぐれたもののように思われがちですが、それによって、人の心に忍び込む、悪い思いや欲望に打ち勝つことはできないのです。それは、その人を高慢にするだけです。
+
+
+ キリストが死からよみがえられた時、あなたがたも共によみがえったのですから、天にある無尽蔵の富と喜びに目を向けなさい。そこでは、キリストが栄誉と力とを帯びて、神の右の座についておられます。
+ 地上のことをあれこれ気に病まず、天上のことで心を満たされていなさい。
+ 一度死んだわけですから、あなたがたの真のいのちは、キリストと共に天の神のもとにあるのです。
+ 真のいのちであるキリストが再び戻って来られる時、あなたがたも彼と共に輝き、そのすべての栄光にあずかるのです。
+ ですから、罪深い肉欲を捨てなさい。性的な罪、汚れ、情欲、恥ずべき欲望などと縁を切りなさい。この世の富や快楽を慕い求めてはいけません。それは、神でないものを神とする、偶像礼拝だからです。
+ そんなことをする人に、神の恐ろしい怒りは下るのです。
+ あなたがたも、この世の人間として生きていた時には、そんなことをしていました。
+ けれども今は、怒り、憎しみ、ののしり、口ぎたない悪口などの、汚れた服をみな脱ぎ捨てる時なのです。
+ だまし合いはやめなさい。うそは、あらゆる悪にまみれた古いいのちの特徴でした。しかしすでに、その古いいのちは死んだのです。
+ あなたがたは新しいいのちに生きています。正しいことへの探究心を強め、ますます、この新しいいのちを与えてくださったキリストに似る者となるよう努めましょう。
+ そこでは、国籍、人種、教育、社会的地位の違いなどは全く問題ではありません。大切なのは、キリストをしっかりつかんでいるかどうかです。そして、キリストを自分のものにする機会は、だれにも平等に与えられているのです。
+ 神に選ばれて愛され、聖なる新しいいのちを与えられたあなたがたは、他の人々に対して情け深く、やさしく親切でなければなりません。謙遜で、どんな時にも、おだやかに忍耐強く行動してほしいものです。
+ 互いに耐え、赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったのですから、あなたがたも、人を赦すべきではありませんか。
+ 何よりも大切なのは、愛をもって仕え合うことです。そうすれば、教会全体が深く結びつき、麗しい調和が与えられます。
+ キリストにある平和が、いつもあなたがたの心と生活を満たすようにしなさい。そうすることが、キリストの体の一部とされたあなたがたの責任であり、特権でもあるからです。また、いつも感謝していなさい。
+ キリストの教えを心にとめ、そのことばによって、人生が豊かに潤されるようにしなさい。知恵を尽くして、そのことばを互いに教え合い、忠告し合い、感謝にあふれて心から神に向かって賛美しなさい。
+ 何をするにも、何を語るにも、主イエスの代理人として行動し、主イエスと共に、父なる神の前に出て、心から感謝しなさい。
+ 妻は夫に従いなさい。それは、主が人々のためにお定めになったことだからです。
+ 夫は妻を愛し、いたわりなさい。つらく当たったり、邪険な態度をとったりしてはいけません。
+ 子どもはどんな時でも両親に従いなさい。それは、主に喜ばれることだからです。
+ 父親は、子どもがいらだつほどしかってはなりません。
+ 奴隷はいつも地上での主人に従いなさい。気に入られようとして、主人が見ている時だけ一生懸命に働くのではなく、陰日向なく仕えなさい。主を愛しているのですから、主に喜んでいただけるよう、真心から主人に従いなさい。
+ 人に対してではなく、主に対してするように、何事においても心からしなさい。
+ 報酬を下さるのは主キリストであることを忘れてはなりません。キリストは、所有しておられるものの中から、有り余るほどの相続財産を与えてくださいます。あなたがたは、この主キリストに仕えているのです。
+ 主のために最善を尽くさない者は、その報いを受けます。主は不誠実な者を、大目に見たりはなさらないからです。
+
+
+ 奴隷の主人は、全員を正しく公平に扱いなさい。あなたがたにも天に主人がいて、その行動は全部見られているのです。
+ 祈りをやめてはいけません。感謝をもって、熱心に祈り続けなさい。
+ また、私たちのことも忘れないでください。キリストの奥義である福音を伝える機会が多く与えられるように、祈ってほしいのです。この福音のために、いま私は投獄されているのです。
+ どうか、私がこの福音を、勇気をもって、自由に、完全に、しかもわかりやすく語れるように祈ってください。
+ 与えられた機会を最大限に生かして、あなたがたも人々に伝えなさい。教会の外部の人々とは、いつも賢く慎重に接しなさい。
+ あなたがたの会話が、良識に富み、善意にあふれるよう心がけなさい。そうすれば、一人一人に適切な答え方ができます。
+ 愛する信仰の友テキコが、私の様子を知らせてくれるでしょう。テキコは共に主に仕えている、熱心な働き人です。
+ 彼に行ってもらうのは、そちらの様子も知りたいし、また、あなたがたを慰め、力づけもしたいからです。
+ 彼に、あなたがたの仲間の一人、忠実な愛する信仰の友オネシモを同行させます。オネシモとテキコが、こちらの現状をみな知らせることでしょう。
+ 私といっしょに牢につながれているアリスタルコと、バルナバの親類のマルコが、よろしくとのことです。前にもお願いしたように、もしマルコがそちらへ行ったら、心から歓迎してやってください。
+ イエス‧ユストもまた、よろしくと言っています。以上が、こちらで共に神の国のために働く者たちです。彼らには、どんなに励まされてきたことでしょう。
+ あなたがたの町から来た、キリスト‧イエスのしもべエパフラスも、よろしくと言っています。彼はいつも、あなたがたが強く完全な者となり、何事においても、神が望まれるとおりに行動できるようにと、熱心に祈り求めています。
+ あなたがたのために、またラオデキヤやヒエラポリスのクリスチャンのために祈る彼の熱意は、私がよく知っています。
+ 愛する医者ルカ、それにデマスが、よろしくとのことです。
+ どうか、ラオデキヤに住む兄弟たちに、また、ヌンパと、礼拝のためにヌンパの家に集まっている人たちに、よろしく伝えてください。
+ それから、この手紙を読み終えたら、ラオデキヤの教会にも回してください。また、ラオデキヤの教会あての私の手紙も、そちらに回覧されたら読んでください。
+ アルキポに、「主から命じられたことを、すべて忠実に果たすように」と伝えてください。
+ このあいさつは、私の自筆です。私が獄中にいることを覚えていてください。どうか神の祝福が、あなたがたに満ちあふれますように。パウロ
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+ パウロとシルワノとテモテから、父なる神と主イエス‧キリストによって一つとされているテサロニケ教会の皆さんへ。どうか、祝福と平安があなたがたにありますように。
+ 私たちはあなたがたのために欠かさず祈り、神に感謝しています。
+ そしていつも忘れずに、あなたがたの愛の労苦と信仰、それに主イエス‧キリストを熱心に待ち望む姿を、父なる神の御前に思い起こしています。
+ 愛する皆さん。あなたがたが神に選ばれ、愛されていることを、私たちはよく知っています。
+ それは、私たちが伝えた福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を聞き流さず、非常な関心をもって迎え入れた態度から明らかです。私たちが語った教えは、あなたがたの人生に重大な影響を与えました。聖霊によって、これこそ真理だという確信があなたがたに与えられたからです。また、私たちの生活そのものも、私たちが語ったことばの正しさを実証したと言えるでしょう。
+ こうしてあなたがたも、私たちや主ご自身のあとに続く者となりました。多くの試練や悲しみにもくじけず、聖霊からいただいた喜びにあふれて、私たちの教えを受け入れたからです。
+ こうしてあなたがたは、マケドニヤとアカヤ中のクリスチャンの模範となりました。
+ その働きのおかげで、今、主のことばはマケドニヤ、アカヤばかりか、あらゆる地域の人々に伝わっています。どこへ行っても、神に対するあなたがたの信仰を賞賛する声を耳にします。ですから、そのことについてこれ以上、何も語る必要はないでしょう。
+ 彼らのほうから、私たちに対するあなたがたの歓迎ぶりや、偶像を捨てて神に立ち返り、真の生ける神にのみ仕える者となったいきさつ、
+ また、神の子の到来を待ち望む熱心さについて話してくれるからです。この神の子こそ、神が死者の中から復活させたイエスであり、罪に対する神の恐るべき怒りから救い出してくださる、唯一の救い主なのです。
+
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+ 愛する皆さん。私たちの訪問があなたがたに及ぼした大きな意義については、認めてくれることでしょう。
+ 皆さんは、私たちがそちらに行く前に、ピリピでどんな目に会い、どれほど苦しんだか、よく知っているはずです。しかし、神から勇気を与えられた私たちは、四方八方、敵に囲まれながらも、大胆に神の福音を伝えることができました。
+ ですから、私たちが不純な動機や目的からではなく、神への信仰に動かされて伝道したことを確認してほしいのです。
+ 私たちは、神から任命された伝道者として真理だけを語るのであって、聞く者の好みに合わせて内容を変えることなど絶対にしません。
+ よくご存じのとおり、私たちはこれまで、何かをもらいたくて人にへつらったことなど一度もありません。それは神が証人になってくださいます。
+ また、私たちはキリストの使徒として、当然賞賛されてもいい権利を持っています。しかし、あなたがたからはもちろん、ほかのだれからも、そのような名誉を求めたことはありませんでした。
+ それどころか、子どもを養い、世話をする母親のように、やさしくふるまってきました。
+ 心からあなたがたを愛していた私たちは、ただ神の教えを伝えるだけでなく、いのちさえ喜んで与えたいと思うほどでした。それほどまでに愛したのです。
+ 愛する皆さん。私たちが、生活費のために、どれほど苦労して働いたか覚えているでしょう。そちらにいた時も、夜昼休みなく、汗水流して働きました。それは、神の福音を伝えるにあたって、だれにも経済的な負担をかけたくないと思ったからでした。
+ 一人一人に対して、私たちが純粋な気持ちで、だれからも非難されないように行動したことは、神だけでなく、あなたがたも証人となってくれるはずです。
+ 父親が子どもをさとすように一人一人に勧め、また、励ましてきました。それを忘れてはいないでしょう。
+ また、あなたがたの日々の生活が、あなたがたを御国と栄光とに招いてくださった神の御心にかない、喜ばれるものとなるようにと教えてきました。
+ 私たちは、神に感謝せずにはいられません。私たちが伝道した時、あなたがたはそのことばを人間の口から出たものと見ず、神のことばとして聞いてくれたからです。事実、この神のことばは、信じる者の生活を一変させるものです。
+ 皆さん。あなたがたはユダヤの諸教会と同じ苦しみを味わっています。つまり、彼らが同胞のユダヤ人に苦しめられたように、あなたがたも同国人に迫害されているからです。
+ ユダヤ人たちは、自分たちの預言者を殺したばかりか、主イエスさえも手にかけてしまいました。そして今は、私たちにも激しい迫害の手を伸ばし、追い出してしまったのです。その上、神にも人間にも敵対して、
+ 外国人への伝道を妨害しています。彼らは、外国人はだれも救われてほしくないのです。このようにして罪に罪を重ねた彼らに対して、神の怒りがついに爆発しました。
+ 兄弟たち。あなたがたのもとを離れてかなりたつので〔もっとも、心はいつもそばにいるのですが〕、もう一度、ぜひ会いたいと願っていました。
+ それで私たちは、何とかしてそちらへ行こうと努力したのです。特にこのパウロは何度も試みたのですが、そのつど、悪魔にじゃまされて果たせませんでした。
+ 私たちに希望と喜びを与え、誇りの冠となってくれるものは、いったい何でしょうか。それはまさに、あなたがたなのです。そうです。主イエス‧キリストが再び来られる時、御前で大きな喜びをもたらしてくれるのは、あなたがたなのです。
+ あなたがたこそ、私たちの勝利のしるしであり、また喜びなのです。
+
+
+ そこで、私たちはあなたがたのことが気がかりで、もうこれ以上、我慢できなくなったので、私だけがアテネにとどまることにして、
+ 兄弟であり、協力者であり、また神の伝道者でもあるテモテをそちらへ行かせました。それは、あなたがたの信仰を強め、励まし、どんな困難の中でも、失望せずにしっかり立ってくれることを願ったからです。しかしご存じのとおり、クリスチャンにとって困難とは、神の計画の範囲内の出来事なのです。
+ 私がそちらにいた時、やがてきっと苦難が訪れると警告しておきましたが、それが、いま現実となったのです。
+ そういうわけで、私は不安な気持ちに耐えきれず、あなたがたの信仰が以前のようにしっかりしているかどうか確かめたくて、テモテに行ってもらいました。悪魔に誘惑されて信仰を奪い取られ、これまでの苦労が水のあわになったのではないかと心配だったからです。
+ ところが、今こちらに帰って来たテモテから、あなたがたの信仰と愛が変わらずにしっかりしているとの報告を受け、どんなに喜んだことでしょう。またあなたがたは、私たちの訪問を昨日のことのように覚えていて、私たちと同じように会いたがってくれているそうですね。
+ 愛する皆さん。身も心も押しつぶされそうな困難と苦しみの中にありながらも、あなたがたの主へのまごころが変わらないことを知って、私たちはほんとうに慰められました。
+ 主にあって堅く立っていてくれるなら、それだけで、私たちはどんな困難にも耐えていけます。
+ あなたがたが与えてくれた喜びを、どれほど神に感謝したらよいでしょう。
+ ぜひ、もう一度会って、あなたがたの信仰のなお足りないところを補いたいと、昼も夜も神に求めています。
+ どうか、父なる神と主イエスが、再会の機会を与えてくださいますように。
+ また、どうか主が、私たちがあなたがたを愛するように、あなたがたの互いの愛と、他の人々への愛を深め、満ちあふれさせてくださいますように。
+ そして、どうか父なる神が、あなたがたの心を強くし、きよめて、主イエスがご自分に属する人々と再び来られる時、御前で、あなたがたを責めるところのない聖なる者としてくださいますように。
+
+
+ 愛する皆さん。さらに付け加えます。あなたがたは日々の生活で、どうしたら神をお喜ばせできるかを、すでに知っているはずです。そのために、主イエスの教えを学んだのですから。そこでお願いします。というより、これは主イエスの命令と思ってほしいのですが、どうか、その目標に向かってさらに熱心に励んでください。
+ 神が望んでおられることは、あなたがたがきよくなることです。ですから、あらゆる不品行の罪を避け、きよらかな品位ある結婚生活を送ってほしいのです。
+ 神を知らない異教徒のように、情欲におぼれてはいけません。
+ また、他人の妻を奪って、その人を裏切るようなことをしてはいけません。前もってきびしく警告しておいたように、主はこれらについて厳罰を下されるからです。
+ 私たちが神に召されたのは、汚れた思いや情欲のとりこになったりするためではなく、きよく清潔な生活を送るためです。
+ もし、これらの戒めに従うことを拒むなら、人にではなく、聖霊を与えてくださった神にそむくことになるのです。
+ また、クリスチャン同士の純粋な兄弟愛については、何も言う必要がないと確信しています。なぜなら、神ご自身があなたがたに、互いに愛し合うことを教えてくださったからです。
+ あなたがたの愛は、国中のすべてのクリスチャンをおおうほど強いものだと聞いています。そうであればこそ、心からお願いしたいのです。ますます兄弟愛を深めなさい。
+ そして、以前にも教えたように、静かな生活を送り、仕事に身を入れ、喜んで働きなさい。
+ そうすれば、クリスチャンでない人たちからも信用され、尊敬されることでしょう。また、他の人に負担をかけなくてすむでしょう。
+ それから、皆さん。クリスチャンが死んだらどうなるか、よく知っておいてほしいのです。悲しみのあまり取り乱して、何の希望もない人たちと同じようにならないためです。
+ 私たちは、イエスが死んで復活されたことを確かなことと信じています。ですから、イエスが帰って来られる時、すでに死んで世を去ったすべてのクリスチャンを、神が共に連れて来てくださると信じてよいのです。
+ 私は主から直接聞いたとおりを伝えるのですが、主が再び来られる時、私たちがまだ生きていたとしても、すでに墓の中にいる人たちをさしおいて主にお会いすることは、断じてありません。
+ 主は、大号令と、天使の長の声と、神の召集ラッパの響きと共に天から下って来られます。その時、まず最初に復活して主にお会いできるのは、すでにこの世を去っているクリスチャンです。
+ それから、なお生きて地上に残っている私たちが、いっしょに雲に包まれて引き上げられ、空中で主とお会いするのです。そして、いつまでも主と共に過ごすことになります。
+ ですから、このことをわきまえて、互いに慰め合い、励まし合いなさい。
+
+
+ 愛する皆さん。それらがいつ起こるかについては、私は何も答える必要がありません。
+ その時を言い当てることができる人などいないことは、よくご存じのはずです。主の日は、夜中にこっそり忍び込む盗人のように、思いがけない時に来ます。
+ 人々が、「万事順調で、平穏無事だ」と言っているような時、突然、災いが襲いかかるようにやって来ます。それはちょうど、出産の時、母親に陣痛が襲うのと似ています。その災いから逃れることができる人はいません。身を隠す場所など、どこにもないからです。
+ しかし、皆さん。あなたがたはこのことについて、皆目わからない暗闇の中にいるわけではないのですから、主の日が来ても、強盗に襲われたようにあわてふためくことはありません。
+ あなたがたはみな、光の子ども、真昼の子どもであって、暗闇や夜に属する者ではないからです。
+ ですから、ほかの人たちのように眠りこけないで、目を覚ましていなさい。主が再び来られる日に備えて、節度をもって生活しなさい。
+ 夜、人々は眠り、また酔いつぶれます。
+ しかし、私たちは、昼の世界に生きる者らしく、信仰と愛のよろいで身を守り、救いの望みというかぶとをかぶり、慎しみ深く過ごしましょう。
+ 神は、怒りを向けるために私たちをお選びになったのではなく、主イエス‧キリストによって救うために選んでくださったのです。
+ 主イエス‧キリストの死は、〔主が再び来られた時、私たちの生死の状態にかかわりなく〕私たちを永遠に主と共に生かすためでした。
+ そういうわけですから、すでに実行しているように、互いに励まし合い、助け合いなさい。
+ 皆さん。あなたがたの間で一生懸命働き、何かまちがいがあれば親身になって忠告してくれる人たちを尊敬しなさい。
+ その人たちは、何とかしてあなたがたの手助けをしようとしているのですから、彼らを認め、心から愛しなさい。くれぐれも言っておきますが、争いなど起こさないようにしてください。
+ 愛する皆さん。なまけ者や手に負えない乱暴者には、きびしく注意しなさい。臆病な人を励まし、弱い人を思いやりなさい。そして、だれに対しても忍耐の心を持ちなさい。
+ 悪をもって悪に仕返ししないように、気をつけなさい。かえっていつも、お互いの間で、またどんな人にも、善意を示すよう心がけなさい。
+ いつも喜びにあふれていなさい。
+ いつも祈りに励みなさい。
+ どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト‧イエスにあって、神があなたがたに望んでおられることです。
+ 聖霊の恵みを無にしてはいけません。
+ 預言する者を軽蔑してはいけません。
+ すべてのことをよく調べ、それがほんとうに良いものであれば、受け入れなさい。
+ あらゆる種類の悪から遠ざかりなさい。
+ どうか、平和の神が、あなたがたを完全にきよめてくださいますように。あなたがたの霊とたましいと体とが、いつも健全で、主イエス‧キリストが再び来られる時、少しも非難されない者としてくださいますように。
+ あなたがたを招いてご自分の子どもとしてくださった神は、約束どおり、それらのことをなしてくださいます。
+ 愛する皆さん。私たちのために祈ってください。
+ 全員に、心からのあいさつを送ります。
+ この手紙を、すべてのクリスチャンが読むようにしてください。これは主の命令です。
+ どうか、主イエス‧キリストから、あふれるほどの祝福があなたがたに注がれますように。パウロ
+
+
+
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+ パウロとシルワノとテモテから、私たちの父なる神と主イエス‧キリストに守られている、テサロニケの教会の皆さんへ。
+ どうか、父なる神と主イエス‧キリストが、祝福と平安をあなたがたに与えてくださいますように。
+ 愛する皆さん。私は、神にたいへん感謝しています。それは、あなたがたの信仰がめざましく成長し、互いがますます深い愛で結ばれているからです。それを思うと、神に対する感謝の思いが自然にわき上がってきます。もちろん、感謝して当然なのです。
+ 激しい迫害と苦難の真っただ中にあるにもかかわらず、あなたがたが忍耐しつつ、神への完全な信仰を守っていることを、私たちは諸教会の間で大いに誇っています。
+ それは、あなたがたを神の国にふさわしい者と認める、神の裁定が正しいという証拠です。あなたがたは、この神の国のために苦しみを受けているのです。
+ あなたがたを迫害する者たちには、その報いとして、さばきが下されます。
+ そういうわけで、苦難のただ中にある、あなたがたに言っておきます。主イエス‧キリストが力ある天使たちを従えて、燃え立つ炎の中に天から姿を現される時、神はあなたがたにも私たちにも、休息を与えてくださるのです。
+ その時、神に目もくれなかった者や、主イエス‧キリストによる神の救いの計画を拒んだ者には、恐るべきさばきが下ります。
+ 彼らは永遠の地獄で刑罰を受け、主の前から追放されて、二度と栄光に輝く主を見ることはありません。
+ 再び来られた主は、その日、ご自分のものであるクリスチャンたちによって、誉れと賞賛とをお受けになります。そして、私たちが伝えた神のことばを信じ抜いたあなたがたは、主と共に生きる者となるのです。
+ そのためにも、いつも、あなたがたのことを思って祈っています。どうか神が、神の選びにふさわしい者として、あなたがたの信仰を評価してくださいますように。
+ そうすれば、神によって変えられたあなたがたを見て、すべての人が主イエス‧キリストの名を賛美するようになるでしょう。そして、あなたがたも、主のものになるという栄光を受けます。神と主イエス‧キリストの恵みによって、そうしていただけるのです。
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+
+ さて、主イエス‧キリストがもう一度来られることと、その時、一堂に集められた私たちが主にお会いすることについて、どう考えていますか。愛する皆さん。主の日はもう来たなどといううわさを耳にして、興奮したり、あわてたりしないでください。たとえ、このことについて幻を見たとか、神から特別のお告げを受けたとか言う人が現れても、また、私たちから送られたもののように偽造した手紙を見せられても、信用してはいけません。
+ どんなことを言われても、惑わされたり、だまされたりしないように気をつけなさい。なぜなら、主の日は、次の二つの現象が起こるまでは実現しないからです。まず、世をあげて神に逆らう時代が来ます。それから、反逆者である反キリスト、すなわち滅びの子が現れます。
+ 彼は、神と名のつくものにはことごとく反抗し、また、礼拝の対象をすべて打ちこわします。そして神殿に入って神の座につき、自分こそ神だと宣言します。
+ このことについては、そちらに滞在中、何度も話しておいたのを覚えていますか。
+ あなたがたは、定められた時が来ると姿を現そうとする彼を、引き止めている者がだれかを知っているはずです。
+ この、反逆と滅びの子が現れるきざしは、すでにあちこちに見られます。しかし、引き止めている者が身を引くまでは、姿を現せません。
+ 時が来れば、いよいよこの反キリストが現れることになりますが、主イエスが来られ、御口の息と輝きによって、彼を滅ぼしてしまわれます。
+ この反キリストは悪魔の手先であり、悪魔のあらゆる力を与えられてやって来ます。不思議なわざを見せては人々をだまし、力ある奇跡を行う者であるかのように見せかけるのです。
+ こうして、真理を拒んで滅びへの道を走る者たちを、すっかりとりこにします。その人たちは、真理を信じることも愛することもせず、救われようなどとは考えもしませんでした。
+ そこで神は、彼らがだまされるままに放っておかれるのです。
+ 真理を信じないで、罪を犯すことを楽しんでいた彼らに、さばきが下るのは当然です。
+ しかし、主に愛されている皆さん。あなたがたのことを考えると、神に感謝せずにはいられません。なぜなら、神は初めから、あなたがたを救おうとしてお選びになり、聖霊の働きと、真理に対するあなたがたの信仰によって、きよめてくださったからです。
+ 神は、私たちの語った福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)によってあなたがたを選び分かち、主イエス‧キリストの栄光に招いてくださったのです。
+ 皆さん。これらのことを深く心にとめて、しっかり立ちなさい。そして、私たちが説教や手紙で伝えた教えを守りなさい。
+ 私たちを愛し、値しない者に永遠の慰めと希望とを与えてくださった主イエス‧キリストと父なる神が、
+ どうか、あらゆる励ましをもってあなたがたを勇気づけ、ことばと行いによって、善を追い求めさせてくださいますように。
+
+
+ 愛する皆さん。この手紙を書き終えるにあたって、お願いしたいことがあります。どうか、私たちのために祈ってください。主のことばが至る所で急速に広まり、あなたがたのところで起きたと同じように、各地で救われる人が起きるように祈ってください。
+ また、私たちが悪い者たちの手から救い出されるように祈ってください。すべての人が、主を愛しているわけではありませんから。
+ しかし、主は真実な方ですから、あなたがたに力を与え、悪魔のどんな攻撃からも守ってくださいます。
+ 私たちは主に信頼しているので、あなたがたが私たちから教えられたことを現に実行しており、これからもその態度は変わらないと確信しています。
+ どうか、主の導きによって、神の愛とキリストの忍耐とを、あなたがたがますます深く理解しますように。
+ 最後に、皆さん。ここで私たちは、主イエス‧キリストの名により、その権威を受けて命じます。私たちが身をもって示した教えに従わず、何もせずにだらだらと日を過ごしている人たちとは絶交しなさい。
+ どういう生活をすればよいかは、もうよくわかっているはずです。私たちは、そちらで、だらしのない生活をしたことはありません。それを手本にしてください。
+ 私たちは、だれからも、ただでパンをもらいませんでした。だれにも負担をかけたくなかったので、必要な物は、昼夜働いて得た収入で手に入れました。
+ 私たちにそれを要求する権利がなかったからではなく、自分の生活は自分で支えるという模範を、身をもって示したかったのです。
+ そちらにいた時にも、「働かない者は食べる資格がない」と教えたはずです。
+ ところが聞くところによると、あなたがたの中には働くのをいやがり、一日中ぶらぶらして、うわさ話ばかりしている人がいるということです。
+ そういう人たちに、主イエス‧キリストの名によって忠告し、また命じます。腰を落ち着けて、まじめに仕事に精を出し、自活できるようになりなさい。
+ それから、あなたがたには、いつでも正しい行いをしてほしいものです。
+ もし、この手紙に書いた指示に聞き従わない者がいれば、そのような人には特に注意し、交際しないようにしなさい。自らそのことに気づいて恥じ入らせるためです。
+ しかし、その人を敵視するのではなく、兄弟に対するように忠告しなさい。
+ どうか、どんな場合にも、平和の主があなたがたに平安を与え、あなたがたと共にいてくださいますように。
+ この最後のあいさつは、私の自筆です。どの手紙にもそうしています。
+ どうか、主イエス‧キリストの祝福が、あなたがた一同の上にありますように。パウロ
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+
+ 私たちの救い主である神と、唯一の希望である主イエス‧キリストによって遣わされた使徒パウロから、
+ テモテへ。あなたは信仰の面から言えば、私の息子のようなものです。どうか、父なる神と主イエス‧キリストの恵みとあわれみによって、あなたの心と思いが豊かな平安で満たされますように。
+ 私がマケドニヤ(ギリシヤ北部の州)に出発する際、指示しておいたように、あなたは引き続きエペソの教会にとどまり、まちがった教えを言い広めている者の口を封じてください。彼らの作り話や伝説、また、むなしい系図論争を終わらせなさい。このような教えは、信仰によって救われるという神のご計画を妨げるばかりか、かえって、さまざまの疑問と議論を巻き起こすもとになります。
+ 私がひたすら願い求めるのは、すべてのクリスチャンが純粋な愛の心を持ち、その思いがきよめられ、信仰が強められることです。
+ しかし、まちがった教えを広める教師たちは、それを見失い、議論やくだらない話で時間をつぶしています。
+ 彼らは、律法の教師としての名声を得たがるのですが、律法の本質を少しもわかっていないのです。
+ 律法は、神の御心にかなって用いられるなら良いものです。
+ しかし、神に救われた私たちのためのものではありません。それは律法を無視し、神を憎み、神を汚すことばを吐き、父母に逆らい、人殺しをする罪人のためにあるのです。
+ 律法は、不道徳で不潔な者たち、すなわち、同性愛にふける者、子どもを誘拐する者、うそをつく者、そのほか健全な教えにそむく者の罪を指摘するためにあるのです。そのことは、祝福に満ちた栄光の福音と合致しており、私はその福音を伝える務めをゆだねられました。
+ 私は、主キリスト‧イエスに、どれほど感謝したらよいかわかりません。主は私をこの務めにつかせ、忠実に奉仕する者と認めてくださいました。
+ 以前の私は、キリストの名をあざけり、主を信じる者たちを追い回し、あらゆる方法で迫害しました。しかし主は、そんな私さえ、心にかけてくださったのです。その時はまだ、キリストを知らず、自分のしていることの恐ろしさもわからなかったからです。
+ 主は、なんと恵み深いお方でしょう。どのように主に信頼すべきか、どうしたらキリスト‧イエスの愛に満たされるかを教えてくださったのです。
+ 「キリスト‧イエスは、罪人を救うためにこの世に来てくださった」ということばは真実で、そのとおり受け入れるべきものです。私は、その罪人の中でも筆頭格の人間です。
+ それにもかかわらず、神は私をあわれんでくださいました。キリスト‧イエスは、どうにも手がつけられない罪人に対してさえ寛容を示して、私のような者を選ばれたのです。それによって、だれでも永遠のいのちを持つ希望が与えられるのです。
+ どうか、永遠の王であり、決して死ぬことのない、目には見えない、ただひとりの神に、栄光と誉れがいつまでもありますように。アーメン。
+ 私の子テモテよ。あなたに命じます。主が預言者(神のことばを託されて語る人)たちを通して言われたように、主のための戦いをりっぱに戦い抜きなさい。
+ キリストを信じる信仰を、しっかり守りなさい。また、正しいと思うことは進んで行い、いつも良心に恥じない歩みをしなさい。悪いことと知りながら、良心に逆らって、あえてそれを行う人がいますが、神をないがしろにするような人がたちまちキリストへの信仰を失ったとしても、少しも不思議はありません。
+ ヒメナオとアレキサンデルの二人は、その悪い見本です。私は彼らを罰するために、悪魔の手に引き渡さざるをえませんでした。それは、キリストの名を辱しめてはならないことを、身をもって学ばせるためです。
+
+
+ さて、次のことを勧めます。すべての人のために、神のあわれみが注がれるよう熱心に祈り、とりなしなさい。そして、やがて彼らにも恵みが与えられると信じて、感謝しなさい。
+ また、すべての重い責任を負っている人たちのために祈りなさい。それは、私たちが主を深く思いながら、平安のうちに落ち着いた一生を過ごすためです。
+ そうするのはたいへん良いことで、救い主である神に喜んでいただけることです。
+ 神はすべての人が救われて、真理を理解するに至ることを切に望んでおられます。
+ その真理とはこうです。神と人間とは、それぞれ別の岸に立っています。そして、人となられたキリスト‧イエスがその間に立ち、ご自分のいのちを全人類のために差し出すことによって、両者の橋渡しをされたのです。これこそ、時が至って、神が私たちに示された教えにほかなりません。
+ この真理、つまり、救いは信仰によって与えられるという神の計画を外国人に伝えるために、私は伝道者また使徒として選ばれました。これは、うそ偽りのない事実です。
+ そこで勧めます。男は、怒ったり恨みをいだいたりせずに、どこででも、きよい手を上げて祈りなさい。
+ 同じように女も、控え目な服装と態度で、品位を保つように心がけなさい。神を敬う女は、はでな髪形や宝石、高価な衣装によってではなく、良い行いとやさしいふるまいによって自分を飾りなさい。
+ 女は、静かに、謙遜な心で教えを聞き、また学ぶべきです。
+ 女が男にものを教えたり、権力をふるったりするようなことがあってはなりません。女は、教会の集会では黙っていなさい。
+ なぜなら、神は最初にアダムを、そのあとでエバをお造りになったからです。
+ アダムは悪魔にだまされませんでしたが、エバはだまされ、罪を犯してしまいました。
+ そこで神は、女に子を産む時の苦しみをお与えになったのです。しかし、もし女が慎み深く、信仰と愛ときよさを持って生活するなら、そのたましいは救われます。
+
+
+ 「人がもし牧師になりたいと願うなら、それはすばらしいことである」ということばは真実です。
+ 牧師になる人は、非難されるところがなく、一人の妻の夫で、勤勉で思慮深く、折り目正しい生活をしている人であるべきです。また、客をよくもてなし、聖書を教える力がなければなりません。
+ 酒飲みでも、乱暴者でもなく、やさしく親切で、金銭に執着がなく、
+ 子どもたちをしつけ、よく家庭を治める人でなければなりません。
+ 自分の小さな家庭すら治めきれない人が、どうして神の教会を指導できるでしょう。
+ また、牧師となる者は、クリスチャンになってまだ日の浅い人ではいけません。高慢になる危険性があるからです。高慢は堕落の前ぶれです。
+ また、教会外の人からも、評判の良い人でなければなりません。非難を受けて、悪魔のわなにはまらないためです。
+ 教会の執事も、牧師と同じように、善良でまじめな人でなければなりません。大酒飲みや、不正な利益をむさぼる人でなく、
+ キリストに真心から仕える人でなければなりません。
+ ですからまず、その人柄や能力を見定めるため、教会で何かほかの仕事をさせてみなさい。それで、非難される点がないなら、執事として任命しなさい。
+ 執事の妻〔または婦人執事〕も、思慮深く、陰口をきかず、自分を制し、すべてに忠実な人でなければなりません。
+ 執事は、一人の妻の夫で、家族のだれからも慕われる円満な家庭の主人であるべきです。
+ 執事の務めをりっぱに果たす人は、人々から尊敬され、また主への信仰の確信を強められて、二重の報いを受けることになります。
+ 私は、近いうちに、そちらを訪問したいと思いながらこの手紙を書いています。
+ もしその訪問がしばらく実現しなくても、神が生き生きと働かれる教会のために、どのような行動をすべきかを、あなたに知ってもらいたいのです。教会は真理を明らかにし、また真理を守り支えるところだからです。
+ 敬虔を保つことは、決してなまやさしいものではありませんが、その秘訣はキリストのうちにあるのです。「キリストは人として地上に来られ、その霊は汚れなく、きよらかであることが証明され、天使たちに仕えられ、諸国民の間に宣べ伝えられ、至る所で信じられ、再び栄光のうちに天に引き上げられたのです。」
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+
+ しかし、聖霊がはっきりと予告されたように、終末の時代には悪霊の教えを広める教師が現れ、教会の中からも、キリストから離れてその熱心な弟子になる者が出ます。
+ そのような教師は平気でうそをつき、しかもそれを何度もくり返すので、良心が完全にまひしています。
+ 彼らは結婚を禁じたり、肉を食べることを禁じたりします。しかし食物は、神が私たちに喜び楽しむようにと備えてくださったものです。
+ 神がお造りになったものはみな良い物で、感謝して受ければ、何一つ捨てる必要はありません。
+ 神のことばと感謝の祈りによって、きよめられるからです。
+ このことを、ほかの人たちにはっきり教えなさい。そうすれば、あなたは牧師の義務をりっぱに果たしたことになるのです。牧師は、自らの信仰と、従ってきた真理の教えとによって成長するのです。
+ 愚かな理論や作り話の議論で、むだな時間を費やしてはなりません。むしろ、時間と労力とを有効に使って、いつも霊的に高められるよう自分を訓練しなさい。
+ 体の訓練も大いにけっこうですが、霊の訓練はさらに大切であり、あらゆる行動の原動力になるのです。ですから、あなたは霊の訓練に励み、もっとすぐれたクリスチャンを目指しなさい。そうすることは、今の地上の生活のためだけでなく、未来の生活にも役立つからです。
+ これは、万人に共通の真理です。
+ この真理を人々が信じるように、私たちは多くの苦しみに会いながらも一心に励んできました。それは私たちが、生ける神に希望を託しているからです。神はすべての人のために、特にその救いを受け入れた人たちのために、死んで復活されたお方なのです。
+ これらのことを、どんな人にも十分理解できるように教えなさい。
+ 年が若いからといって、軽く見られてはいけません。かえって人々の模範になりなさい。あなたが、ことばと態度によって教えていることを、人々にも実行させなさい。愛、信仰、純潔の良い模範を示しなさい。
+ 私がそちらに行くまで、教会で聖書を朗読し、その内容を教え、神のことばを伝えなさい。
+ あなたが任職に当たって教会の長老たちの按手(頭に手を置いて祈る)を受けた時、神が預言を通して与えてくださった聖霊の賜物(神の恵みによって一人一人に与えられたもの)を大切にしなさい。
+ それを十分に活用して、今の仕事に全身全霊、打ち込みなさい。そうすれば、あなたの進歩と向上がすべての人に明らかになるでしょう。
+ 自分自身と教えることに、いつも気をつけなさい。正しいことには、あくまでも忠実でありなさい。そうすれば、神はあなたを祝福し、他の人たちを助けるのに役立つ者としてくださいます。
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+ 年上の人に、きついことば遣いをしてはいけません。むしろ父親に対するように、尊敬の念をこめて話しかけなさい。年下の人には、弟に対するように話しなさい。
+ 年上の女性には母親のように、若い女性には、少しも不純な気持ちをいだかないで、妹のように接しなさい。
+ 夫に先立たれて、だれにも面倒をみてもらえない女性がいたら、教会は親身になって世話をすべきです。
+ しかし、もしその人に子どもか孫がいる場合は、その責任は彼らにあります。なぜなら、親切はまず自分の家庭から、つまり困っている親の面倒をみることから始まるのです。神はそのことをたいへん喜ばれます。
+ 教会が世話をすべき人は、身寄りのない貧しい未亡人たちです。中でも、ひたすら神に信頼し、多くの時間を祈りに費やす人たちです。
+ ふしだらな生活をしている未亡人は、世話をする必要がありません。彼女たちのたましいは死んでいるのです。
+ しかし、ほんとうに身寄りのない未亡人が非難されないように、これらのことを明確にしておきなさい。
+ 自分の親族、ことに家族を顧みないような人は、クリスチャンと呼ぶわけにはいきません。神を知らない人よりも悪いのです。
+ 教会が認める奉仕者となる未亡人には、一定の条件をつけるべきです。すなわち、少なくとも六十歳以上で、結婚歴は一度に限らなければなりません。
+ また、これまで良い行いで認められ、評判の良かった人でなければなりません。次のことを調べる必要があります。子どもをりっぱに育て上げたかどうか。クリスチャンに限らず、見知らぬ旅人をも親切にもてなしたかどうか。病人や困っている人に助けの手を差し伸べたかどうか。だれにでも、やさしくふるまってきたかどうか。
+ 若い未亡人を、そのような女性たちと同列に扱ってはいけません。それというのも、若い人はキリストへの誓いを捨てて再婚したがるからです。
+ その結果、初めの約束を破ったというので、きびしい非難にさらされることになります。
+ その上、彼女たちは怠けがちで、あちこちの家を遊び歩いては、うわさ話ばかりし、おせっかいをやきたがるのです。
+ それで私は、そういう若い未亡人には再婚を勧め、子どもを産み、家庭を大切にするように指導するのが一番だと思います。そうなれば、だれにも非難されずにすむでしょう。
+ 実際、すでに教会に背を向け、悪魔の誘いに乗って道を踏みはずした未亡人がいるからです。
+ もう一度言いますが、身内に未亡人がいる人は、その人が面倒をみるべきです。教会に余計な負担をかけてはいけません。そうでないと、ほんとうに身寄りのない未亡人を援助することができなくなってしまいます。
+ 与えられた仕事を忠実に果たしている牧師〔または長老〕は、それに見合う十分な報酬を受け、尊敬されるべきです。説教と教育の両方にあたっている場合は、特にそうでなければなりません。
+ なぜなら聖書に、「穀物を踏んで脱穀している牛に口輪をかけ、その穀物を食べるのを禁じてはいけない」、また、「働く者が報酬を受けるのは当然である」と書いてあるからです。
+ 牧師に対する訴えは、二人か三人の証人がいなければ、取り上げてはいけません。
+ 牧師が罪を犯しているなら、教会員全員の前で責めなさい。その悪い例にならう人を出さないためです。
+ 私は、神と主イエス‧キリストと選ばれた天使たちの前で、厳粛な思いで命じます。あなたがその人と親しい間柄であろうとなかろうと、公平に対処しなければなりません。
+ 牧師を選ぶ時は慎重にしなさい。そうでないと、その人の罪を見のがす結果になり、あなたもその罪を黙認したことになるからです。あなたも、いっさいの罪から離れ、きよい生活をしなさい。
+ だからといって、ぶどう酒を全く断つ必要はありません。病気がちの人には、むしろ胃の薬として、時々は少量を飲むように勧めます。
+ ある人たちの罪は明白ですぐにもさばかれますが、中にはあとになって、その罪があばかれる場合もあります。
+ また同じように、だれの目にも明らかな良い行いもあれば、そうでない場合もあります。しかし、いつまでも隠されたままでいることはありません。
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+ クリスチャンである奴隷は、主人を心から尊敬して、一生懸命働きなさい。キリストに従う者となりながら、怠け者だと非難されてはなりません。神の御名と教えとが笑いものにされてはなりませんから。
+ 主人がクリスチャンであっても、それをいいことに気をゆるめたりせず、むしろ、いっそう熱心に働きなさい。その結果、益を受けるのは、信仰を同じくする自分の兄弟なのですから。テモテよ。すべての人にこれらの真理をよく教え、心から従うように勧めなさい。
+ 中には、それを無視する人がいるかもしれません。しかしこれは、主イエス‧キリストの健全な教えであり、神を敬う生活の基礎となるものです。
+ 違った教えを広める人がいれば、それは高慢のなせるわざであり、自分の無知をさらけ出す行為だとみなしなさい。つまり、キリストのことばをいい加減に解釈し、ねたみや怒りにかられて議論を果てしなく続け、その結果、非難や争い、不信のとりこになるのです。
+ こうして議論に明け暮れ、心が罪にゆがんでいる人々は、真理をどう表現すればよいかを知りません。彼らにとって、真理とは、金もうけの手段にすぎないのです。そんな人たちから遠ざかりなさい。
+ ほんとうに富む者になりたいと思いますか。もし今、幸福で、心が満ち足りているなら、あなたはすでに富む者なのです。
+ 私たちは、この世に生まれた時、何も身につけていませんでしたし、この世を去る時にも、何も持って行けません。
+ ですから、食べる物と着る物があれば満足すべきです。
+ しかし、金持ちになりたがる人はもうけ話に見境がなく、すぐ悪に走ってしまいます。その結果、ひどい目に会い、心を汚し、ついには地獄へ送り込まれることになります。
+ 金銭を愛することが、あらゆる悪の根です。ある人たちはお金を愛するあまり、信仰から迷い出て、ひどい苦痛をもって破滅に陥りました。
+ テモテよ。あなたは神に仕える者です。ですから、これらすべての悪から逃れて、正しく良いことに熱心に励みなさい。神を信頼し、人を愛し、忍耐強く、ものやわらかな態度を身につけ、
+ 信仰のために戦い続けなさい。神から与えられた永遠のいのちを、しっかり握っていなさい。あなたは、この永遠のいのちについて、多くの証人の前で堂々と告白したのです。
+ 私は、すべてのいのちの創造者である神と、ポンテオ‧ピラトの前で大胆に証言されたキリスト‧イエスとの御前で、あなたに命じます。
+ 主イエス‧キリストが再び来られる時まで、主が命じられたことを行い、だれからも非難されるところのない者になりなさい。
+ その時が来ると、キリストは、祝福に満ちた唯一の主権者である神に遣わされて、天から現れます。この力ある神は、王の王、主の主として、
+ 死ぬことのない、ただひとりの方であり、だれも近づくことのできない、まばゆい光の中に住んでおられます。人はだれも神を見たことはありませんし、これからも決して見ることはできません。どうか、このまことの神に、誉れと永遠の権威と支配とが、いつまでもありますように。アーメン。
+ テモテよ。富んでいる人には、高慢にならないように、そして、すぐになくなるお金に望みをかけないように教えなさい。また、必要なものをいっさい備えて、私たちの人生を楽しませてくださる生ける神を誇りとし、この方だけを信頼するように忠告しなさい。
+ また、自分の持ち物はすべて神からいただいた物だとわきまえ、困っている人には喜んで分け与えるように教えなさい。そうすれば、神の前でたくさんの善をほどこす者となり、
+ 自分のために、ほんとうの宝を天に積むことになります。これこそ、未来に備えて永遠のいのちの基礎を築く生活です。
+ テモテよ。神から託された任務を完全に果たしなさい。知識を鼻にかけ、無知をさらけ出しているような人と、無益な議論にふけることがないよう気をつけなさい。
+ 彼らの中には、人生で最も大切なものを見失った者、すなわち、もう神のことなど知らないと言う者がいるのです。神の恵みが、あなたがたと共にありますように。パウロ
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+ キリスト‧イエスを信じる者に約束された永遠のいのちを伝えるために、キリストの使徒となったパウロから、愛する子テモテへ。どうか、父なる神と主キリスト‧イエスが、恵みとあわれみと平安とを、あなたに注いでくださいますように。
+ テモテよ。私はあなたのことを、どんなに神に感謝しているか知れません。毎日、あなたのために祈り、長い夜も、何度となく思い出しては、どうかあなたに祝福があるようにと願い求めています。先祖たちが真心をもって仕えてきた神は、私の神です。そして、この神に喜んでいただくことだけが、私の生きがいなのです。
+ ぜひもう一度あなたに会いたいと願っています。この願いがかなえられたら、どんなにうれしいでしょう。今でも、あの別れの時の涙にくれたあなたの姿が、まぶたに焼きついています。
+ あなたの主に対する熱心な信仰は、お母さんのユニケやおばあさんのロイスに少しも劣らないことを、私はよく知っています。そして、今でもその信仰は変わらないと信じています。
+ ですから、お願いしたいのです。私があなたの頭に手を置いて祈った時、あなたのうちに注ぎ込まれた力と勇気を、もう一度、奮い起こしなさい。
+ なぜなら、神が私たちに与えてくださった聖霊は、人を恐れず、知恵と力とをみなぎらせ、人を愛し、喜んで人と共に歩むようにさせてくださる霊だからです。
+ もしあなたが、この力を奮い起こすなら、主について人前で語るのをためらったり、キリストのゆえに牢獄につながれている私のことを恥じたりしなくなるでしょう。それどころか、私と共に苦しむ覚悟ができるはずです。神は苦しみのただ中にあっても、力を与えてくださるのですから。
+ 神は私たちを救い、そのきよい仕事に任命するために選んでくださいました。それは、私たちにその仕事をする資格があったからではなく、神の計画と恵みによるのです。この恵みは、キリスト‧イエスにおいて、この世の始まる前から私たちに与えられたものでした。
+ そして、救い主キリスト‧イエスが地上に来られた今、神は、その計画の全貌を明らかにしてくださいました。キリストは死の力を打ち破り、ご自分を信頼する者に、永遠のいのちに至る道を開いてくださったのです。
+ このキリストの福音を外国人に宣べ伝えるようにと、神は私を任命されました。
+ そのために、私はいま獄中で苦しんでいます。しかし、それを恥とは思いません。なぜなら、私は自分が信頼している方をよく知っており、またその方は、私がお任せしたものをみな、再び来られるその日まで安全に守ってくださると確信しているからです。
+ 私が教えた真理、特にキリスト‧イエスが与えてくださった信仰と愛とをしっかり握っていなさい。
+ あなたにゆだねられている良いものを、私たちのうちに住んでおられる聖霊によって守りなさい。
+ あなたも知っているとおり、アジヤから来たクリスチャンは、みな私を捨てて行きました。フゲロとヘルモゲネさえ離れて行ったのです。
+ どうか主が、オネシポロとその家族とを祝福してくださいますように。彼はたびたび私を訪ね、励ましてくれました。彼が来るたびに、私はたいへん元気づけられたのです。しかも彼は、私が獄中にいることを、少しも恥ずかしいこととは思いませんでした。
+ その証拠に、彼はローマに着くとすぐあちこち捜し歩いて、ついに私を訪ねあててくれたのです。
+ どうか、再びキリストのおいでになる日に、主が、彼を特別に祝福してくださいますように。エペソでの彼の献身ぶりは、あなたのほうがよく知っています。
+
+
+ 私の子テモテよ。キリスト‧イエスから力をいただいて、強くなりなさい。
+ なぜなら、あなたには、多くの証人の前で私から聞いたことを、ほかの人に伝える使命があるからです。この偉大な真理を、信頼のおける人、すなわち自分が信じるだけでなく、人にも伝えることのできる人に教えなさい。
+ キリスト‧イエスのりっぱな兵士(働き手)として、私と苦しみを共にしてください。
+ キリストの兵士となった以上、この世のさまざまな事に心を奪われていてはなりません。そんなことでは、キリストの兵の一員にしてくださった方を悲しませるだけです。
+ ルールに違反した競技者が失格し、賞を得ることができないのと同様に、主の仕事に携わる人も、主の規則に従わなければなりません。
+ 身を粉にして働いた農夫が、多くの収穫をあげるのは当然です。ですから、あなたも一生懸命働きなさい。
+ いま挙げた例をよく考えなさい。主は、私が言っていることを理解する力を、必ずあなたに与えてくださいます。
+ イエス‧キリストが、人間としてダビデ王の家系から生まれ、同時にまた神であること〔それは、死者の中からの復活という事実によって証明されました〕を、いつも覚えていなさい。
+ 私が今こんな目に会い、犯罪者のように牢獄に放り込まれているのは、ほかでもなく、このすばらしい真理を人々に伝えたからです。しかし、私は鎖でつながれていても、神のことばはつながれてはいません。
+ 私は喜んで、どんな苦しみも耐え忍びます。それは、神に選ばれた人に、キリスト‧イエスの救いと永遠の栄光とをもたらすためです。
+ 私は次の真理を知っているので、慰められます。すなわち、キリストのために苦しみを受けて死ぬ時が、天で、キリストと共に生きる時の始まりを意味するということです。
+ もしも、主に仕える現状をつらいと思うことがあれば、いつの日か必ず主と共に王座につき、共に治めるようになることを思い起こして励みなさい。もし、私たちが苦しみに耐えかねて、キリストを拒むようなことがあれば、キリストも、私たちを拒まれるに違いありません。
+ しかしたとえ、信仰をなくしたかと思えるほど私たちが弱くなっても、キリストは真実を貫き、私たちを助けてくださいます。私たちは主の一部分になっているので、切り捨てられることはないのです。そして、主はいつも約束を果たしてくださいます。
+ このすばらしい事実を、人々の心にしっかり植えつけなさい。そして、つまらない問題で論争するのを、主の名によって禁じなさい。そのような論争は混乱を招くだけで、百害あって一利なしだからです。
+ あなたは、神から、「よくやった」とおほめのことばがいただけるように、熱心に励みなさい。神があなたの仕事ぶりを評価される時、胸を張っていられるような働き手になりなさい。そのために、聖書が教えていること、意味することを学びなさい。
+ 人々を憎しみの渦に巻き込むような、俗悪で無益な議論を避けなさい。
+ それは火のようにどんどん燃え広がって、人々を傷つけるばかりです。ヒメナオとピレトは、まさしくこの種の人間です。
+ 彼らは真理の道を踏みはずし、死者の復活など、もう起きたことだとして偽りの教えを言い広め、ある人々の信仰をだいなしにしています。
+ しかし神の真理は、巨大な岩のようにしっかり立っていて、だれも揺るがすことはできません。この土台となる石には、次のようなことばが刻まれています。「主は、真に自分に属する者を知っておられる。」また、「主を告白するすべての人は、悪から遠ざかりなさい。」
+ 裕福な家では、金銀の高価な器だけでなく、木や土の粗末な器も備えてあります。高価な器は客をもてなすために使い、粗末な器は台所用か残飯入れに使います。
+ 罪を離れて自分をきよく保っているなら、キリストの最高の目的のために用いていただける器になれるでしょう。
+ 若い時の情欲を避け、それから遠ざかりなさい。反対に、いつも正しいことをしたいという気持ちをいだいていなさい。信仰と愛とを保ち、純粋な心で主を愛している人々とのつき合いを、大切にしなさい。
+ くり返しますが、人々の心を乱し、怒らせるだけの論争をしないように注意しなさい。
+ クリスチャンは争ってはなりません。過ちを犯している人を、やさしく忍耐をもって正すことができるようになりなさい。
+ 真理に逆らう人たちを、謙遜な心で教えさとしなさい。おだやかに、思いやりをもって話せば、神の助けによって、その人はまちがった考え方を改め、真理を悟るかもしれません。
+ そうして目ざめた人たちは、罪の奴隷として思うままにあやつる悪魔のわなから逃れ、神のみこころに従うようになるでしょう。
+
+
+ テモテよ。これから書くことを、よく心にとめておきなさい。終末の時代には、クリスチャンになることが非常にむずかしくなります。
+ 自分だけを愛し、また、お金がすべてだと考える風潮がはびこります。その時人々は、高慢な者、大言壮語する者、神をあざける者、両親に従わない者、感謝することを知らない者、神を恐れない者になり、
+ また、他人を理解しようとしない者、人をだます者、節度のない者になります。彼らは乱暴で残忍な行動をし、善良な人をあざ笑います。
+ 人を裏切り、すぐに思い上がり、神を礼拝するよりも自分の快楽に心を奪われます。
+ 教会に出席していたとしても、聞いたことを何一つ信じようとしないのです。目をしっかり開けて、そんな人たちには近寄らないようにしなさい。
+ そういう人たちの中には、うまく他人の家に入り込み、愚かな女たちにつけ入って、新しい教えを吹き込む者がいます。
+ 彼女たちは、新しい教師にはすぐ飛びつきますが、いつまでたっても真理がわかりません。
+ また、そうした教師も、モーセに逆らったヤンネとヤンブレ(ユダヤの伝承に登場する)のように、真理に逆らっているのです。彼らは心の腐った、信仰の失格者です。
+ しかし、いつまでもそんなことが続くわけではありません。ヤンネとヤンブレの罪がだれの目にも明らかになったように、いつかは、彼らの愚かさも明白になるのです。
+ しかしあなたは、私が何を信じ、何を望み、どのように生活しているか、よく知っています。キリストに対する私の信仰も、苦しみも、そして、あなたへの愛と忍耐も知っています。
+ 福音を伝えたために、私がどれだけ痛めつけられたかも知っています。アンテオケ、イコニオム、ルステラで受けた迫害の一部始終も知っているはずです。しかし主は、私を守ってくださいました。
+ 確かに、キリスト‧イエスの教えにそって、神を敬う生活を送ろうとする人はみな、敵対する者から苦しめられ、迫害されます。
+ しかし、人をだます悪人や偽教師は、自分も悪魔にだまされて、ますます悪の深みにはまり込むのです。
+ あなたは、真理を教えた私たちを信頼していなさい。
+ また、小さいころから、自分がどのように聖書を教えられてきたか覚えているでしょう。この聖書こそ、キリスト‧イエスを信じることによって救われるための知恵を与えてくれるのです。
+ 神の霊感によって書かれた聖書は、何が真理であり、何が悪であるかをよく教えてくれます。また、私たちの生活をまっすぐにし、正しいことを行う力を与えてくれます。
+ こうして神は、私たちをあらゆる点で整え、どんな良い働きをも行う力を、十分に与えてくださるのです。
+
+
+ それで私は、神とキリスト‧イエスとの御前で、厳粛な思いで忠告します。〔キリストは、いつの日か神の国を完成させるために現れて、生きている者と死んだ者とをさばかれるお方です。〕
+ どんな時にも、神のことばを熱心に伝えなさい。機会があろうとなかろうと、つごうが良かろうと悪かろうと、しっかりやりなさい。過ちを犯している人には忠告して、正しい道に引き戻しなさい。そして善を行うよう励まし、神のことばを教え続けなさい。
+ なぜなら、人々が真理のことばを耳ざわりだと敬遠し、自分につごうの良い話をする教師を求めて歩き回る時代が来るからです。
+ 彼らは聖書の教えに耳を傾けようとせず、まちがった教えにしっぽを振ってついて行くのです。
+ ですから、危機感をもって目を覚まし、警戒していなさい。主のために受ける苦しみを、恐れてはいけません。なすべきことを十分になして、他の人たちをキリストへ導きなさい。
+ こう言うのも、私の最期が迫っているからです。いつまでもあなたを助け続けるわけにはいきません。もうすぐ天国へ旅立ちます。
+ 主のために、長いあいだ困難な戦いを続けてきた私は、主への真実を守り通しました。しかし今、ついに、休む時が来たのです。
+ 天では栄冠が待っています。正しい裁判官である主が再び来られる日にいただく冠です。もちろん私だけにではなく、主を熱心に待ち望む人々全員に授けられるのです。
+ テモテよ。できるだけ早く、こちらへ来てください。
+ デマスはこの世の楽しみに心を奪われ、私を捨て、テサロニケに行ってしまいました。クレスケンスはガラテヤへ、テトスはダルマテヤへ出かけ、私のもとに残ったのはルカだけです。こちらへは、マルコも連れて来てください。彼に頼みたいことがあるのです。
+ 〔テキコも、今はここにいません。エペソへ使いにやりました。〕
+ ついでに、私がトロアスのカルポの家に置いてきた上着を持って来てください。それから羊皮紙の書物も、お願いします。
+ 銅細工人アレキサンデルが、私にひどい仕打ちをしました。主が罰してくださるでしょうが、
+ 彼には気をつけなさい。私たちのことばに、ことごとく逆らったからです。
+ 私が初めて、裁判官の前に連れ出された時、弁護してくれる人は一人もいませんでした。だれもが見捨てて、逃げてしまったのです。どうかそのことで、彼らが神から責められませんように。
+ しかし主は共にいて、私を助けてくださいました。神のことばがあらゆる国の人に伝えられるため、大胆に福音を語る機会を与えてくださいました。また、あわやライオンのえじきとなるところを、助け出してくださいました。
+ 主は、いつもあらゆる悪から救い出し、ついには、天国に導き入れてくださるのです。神に、栄光がいつまでも限りなくありますように。アーメン。
+ プリスカとアクラに、またオネシポロの家族に、よろしく伝えてください。
+ エラストはコリントにとどまり、トロピモは病気のため、ミレトに残して来ました。
+ 冬になる前に、何とかこちらへ来てください。ユブロがよろしくとのことです。プデス、リノス、クラウデヤ、そのほかのクリスチャンもみんな、よろしくと言っています。
+ 主イエス‧キリストがあなたがたと共におられますように。パウロ
+
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+ 神のしもべであり、イエス‧キリストの使徒であるパウロから、同じ信仰によって、私の真実の子となった愛するテトスへ。どうか、父なる神と救い主キリスト‧イエスが、あなたに祝福と平安とを注いでくださいますように。私は、神に選ばれた人たちを信仰に導き、真理を教えるために遣わされた者です。神のことばの真理には、信じる人の生活を全く変える力と、永遠のいのちを与える力があります。これは、世界が造られる前からの神の約束です。神は、偽りを言うことがないお方です。それで今、約束どおり最善の時を選んで、この良い知らせを公表し、すべての人に告げ知らせる特権を私にゆだねられたのです。
+ ところで、あなたをクレテ島に残して来たのは、島の教会を強めるために、思う存分働いてもらいたかったからです。前もってお願いしておいたように、私の指示どおり、町ごとに牧師〔長老〕を任命してください。
+ 牧師として選ぶ人は、正しい生活を送っていて、評判の良い人でなければなりません。すなわち、一人の妻の夫であり、子どもも、主を愛するクリスチャンでなければなりません。子どもが親に反抗的だとか、乱暴者だとか、悪いうわさのある人は避けなさい。
+ 牧師は神に仕える者ですから、だれからも非難されない人であるべきです。高慢な人、短気な人、大酒飲み、けんか好き、金銭欲の強い人に、その資格はありません。
+ 心から客をもてなし、善意にあふれ、慎み深く、だれにでも公平で、良識ある、きよらかな心の持ち主でなければならないのです。
+ また、教えられたみことばの真理をしっかり守っている人であることも大切な条件です。なぜなら、彼らの使命は人々に真理を教え、反対する者に、その誤りをはっきり指摘することにあるからです。
+ こう言うのは、真理に従わない人が大ぜいいるからです。特に、「クリスチャンはみな、割礼を受けるべきだ」と主張する者たちは、その代表的な例だと言えます。これはまた、なんとばかげた議論でしょう。彼らは人の目をくらませて、真理を見いだすのを阻むのです。
+ そんな議論は直ちにやめさせなさい。それで、すでに何家族かが神の恵みから離れてしまいました。そんなことを教える者たちの目当ては、一にも二にも金もうけです。
+ 彼らのことを、同じクレテ出身の預言者はこう言いました。「クレテ人はみな、うそつきで悪いけだもの。なまけ者で食いしんぼう。」
+ まさにそのとおりです。ですから、人々を甘やかさず、その信仰を強めるように、きびしく教育しなさい。
+ そして、ユダヤ人の作り話や、真理に逆らう者の言い分に耳を傾けることなど、きっぱりやめさせなさい。
+ きよい心の持ち主には、すべてのものがきよく、良いものに見えます。しかし、心の曲がった不真実な者には、すべてが曲がって見えるのです。それは、その汚れた思いと反抗的な心が、見るもの聞くものすべてをゆがめるからです。
+ そういう者たちは、口先では神を知っていると言うのですが、行いを見れば、そのうそは一目瞭然です。心は腐れきって不従順で、良い行いにふさわしくない者です。
+
+
+ しかし、あなたは、教えられた真理にふさわしい生き方を人々に教えなさい。
+ 老人には、まじめで落ち着いた生活をするように、慎み深く、すべての点で信仰と愛と忍耐とをもって行動するように勧めなさい。
+ また年をとった女性には、何事にも敬虔であることを忘れないように、陰口をたたいたり、大酒を飲んだりせず、人生経験を積んだ人にふさわしく良い手本となるように勧めなさい。
+ そうすれば、彼女たちは若い女性たちに、夫と子どもとを愛し、慎み深く、家事に精を出し、やさしく、夫に従順であるようにと、さとすことができるのです。そうなれば、クリスチャンの信仰が、身近な人たちからさげすまれることもないでしょう。
+ 同じように青年にも、思慮深く、まじめに生活するように勧めなさい。
+ まずあなたが、正しい模範を示すことです。真理を愛し、何事にも真剣に取り組んでいることが、だれの目にもはっきりわかるようにしなさい。
+ 良識をもって、筋道を立てて話しなさい。そうすれば、私たちに反対する者たちは何も言えなくなって、かえって恥じ入るでしょう。
+ 奴隷には、主人に喜ばれるよう言いつけを守り、口答えせず、
+ こそこそ物を盗んだりするのはやめて、信頼に値する人間であることを示すように勧めなさい。彼らの誠実な態度を見て、ほかの人々も、救い主である神を信じる気持ちを起こすことでしょう。
+ というのも、永遠の救いという神からの一方的な恵みは、だれにでも提供されているからです。
+ しかも、この恵みをいただくと同時に、神が私たちに望んでおられることも実現するのです。それは、神を認めない生き方と罪にまみれた快楽とを捨て去って、日々神を敬う正しい生活を送ることであり、
+ 偉大な神と救い主イエス‧キリストとの栄光が現れる日を待ち望むようになることです。
+ キリストは、私たちの罪のためにご自分をささげ、神のさばきを受けて死んでくださいました。それは、罪のどろ沼にはまり込んでいた私たちを助け出してご自分の民とし、心のきよい、熱心な、善意の人と変えてくださるためでした。
+ 以上のことを彼らに話し、実行するように励ましなさい。必要とあれば、きびしく戒め、誤りを正しなさい。あなたには、当然その権威があるのですから。あなたの教えがだれからも軽んじられないように、気をつけなさい。
+
+
+ 神に立てられた指導者の権威に服従し、いつも従順で、良いことは何でも進んで行うよう、教会の人たちに教えなさい。
+ また、人の悪口を言ったり、けんかをしたりせず、やさしい態度で、すべての人に礼儀正しく接するように教えなさい。
+ 以前の私たちも、分別の足りない不従順な者であり、人に迷わされ、さまざまな快楽や欲望のとりこになっていました。心は悪意とねたみの固まりで、憎んだり憎まれたりしながら生活していました。
+ しかし、救い主である神が、恵みと愛を示してくださる時がついに来たのです。
+ 神は、私たちの罪のよごれを洗い落とし、心に聖霊を遣わして、新しい喜びで満たし、以前の悲惨な生活から救い出してくださいました。それは、私たちに救われる資格があったからではなく、ただ、神のあわれみによるのです。
+ 神は、私たちの心にこの聖霊を豊かに注いでくださいました。これは、救い主イエス‧キリストが成し遂げてくださった救いがあるからこそ実現したのです。
+ こうして神は、私たちを、ご自分の目にかなった正しい者と宣言してくださったのです。これは、神の恵み以外の何ものでもありません。私たちは今、永遠のいのちを受け継ぐことを認められ、実際にそれをいただく日を、心から待ち望んでいるのです。
+ これまで話してきたことは、すべて真実です。ですから、確信をもって、クリスチャンはいつも良い行いに励むべきだ、と教えなさい。そういう生き方は正しいだけでなく、すばらしい結果を生むことにもなるからです。
+ しかし、堂々巡りの議論にふけったり、あやしげな神学論争に巻き込まれたりしてはいけません。律法を守ることについての議論や論争も避けなさい。そんなものは何の益にもならず、むしろ害をまき散らします。
+ 教会を分裂させる人がいたら、一度か二度きびしく警告し、それでも聞き入れなければ、かかわりを断ちなさい。
+ そのような人は心が曲がっていて、悪いとわかっていながら、罪を犯しているのです。
+ ところで、アルテマスかテキコを、そちらへ派遣しようと思っています。二人のどちらかが着きしだい、あなたは、ニコポリにいる私のもとに来てください。私は、そこで冬を過ごすことにしましたから。
+ アポロと律法学者ゼナスとが旅立てるように、あなたもできるだけ骨折って、必要な物が全部そろうよう、気を配ってやってください。
+ 私たちはみな、助けが必要な人々を進んで援助する習慣をもっと身につけなければなりません。そうすれば、実を結ぶ生活を送れるでしょう。
+ こちらの人がみな、あなたによろしくと言っています。そちらのクリスチャンの友人たちに、よろしく伝えてください。神の祝福が、あなたがたと共にありますように。パウロ
+
+
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+ イエス‧キリストを伝えたことで投獄されたパウロと、信仰の友テモテから、愛する同労者ピレモンへ。また、あなたの家に集まっている皆さんと私たちの姉妹アピヤ、それに私と同じくキリストの福音の兵士となったアルキポに、この手紙を送ります。
+ 父なる神と主イエス‧キリストが、あなたがたに祝福と平安とを与えてくださいますように。
+ 愛するピレモンよ。あなたのことを、私はいつも神に感謝しています。
+ それは、主イエス‧キリストに対するあなたの信仰と、すべてのクリスチャンに対するあなたの愛をいつも耳にしているからです。
+ 人々との交際において、クリスチャンとしてのあなたのりっぱな態度が相手の心をとらえ、その生活までも変えることができるように、と祈っています。
+ 愛する友よ。こう言う私も、あなたの愛によってどれだけ慰められ、励まされたか知れません。ほんとうに、あなたの親切は多くの信徒たちを元気づけました。
+ そんなあなたを見込んで、ぜひ、お願いしたいことがあります。キリストの名によって命じてもよいのですが、私とあなたの間には愛がありますから、あえて命令はしません。年老いた今、キリスト‧イエスのために投獄されている、この私からのお願いです。
+ どうか、私が獄中で神に導いたオネシモを、愛の心でやさしく迎えてやってください。私はオネシモを、わが子のように思っているのです。
+ オネシモ(「役に立つ」という意)は、以前あなたのもとにいたころは、役立たずの奴隷であったかもしれません。しかし、クリスチャンとなった今、あなたにとっても私にとっても、その名のとおり役立つ者となりました。
+ そのオネシモを、私の心といっしょにそちらへ帰します。
+ 内心私は、福音のために捕らわれの身となっている間、彼をそばにおいて、あなたの代わりに世話をしてもらいたいと思っていました。
+ しかし、あなたの同意なしに、そんなことはしたくなかったのです。あなたがしてくれる親切はむりじいされてではなく、心から喜んでするものでなければなりませんから。
+ オネシモが、しばらくのあいだ逃亡していたのは、彼が永久にあなたのそばにいる者となるためだったのでしょう。
+ それも奴隷としてではなく、はるかにまさった者、つまり、愛する兄弟(信仰を同じくする者)としてです。そのことでは、あなたの感慨もひとしおでしょう。単なる奴隷と主人の関係を超えて、キリストを信じる兄弟同士になったのですから。
+ ですから、もしほんとうに私を友と思ってくれるなら、私を迎えるように、オネシモを、心から迎えてやってください。
+ もし彼が、何か損害をかけたり、物を盗み出していたりしたら、その請求は私にしてください。
+ 私が支払います。その保証として、自筆でこの箇所をしたためています。私の助けがあって今のようなあなたになれたという、あなたの私に対する借りについては何も言いません。
+ 愛する友よ。どうか、愛にあふれたすばらしい態度で私の弱っている心を喜ばせ、主を賛美させてください。
+ この手紙は、あなたが私の期待以上のことをしてくれると確信して書きました。
+ それから、私の泊まる部屋を用意しておいてくれませんか。神があなたがたの祈りに答えてくださり、まもなく私もそちらへ行けるようになると思っています。
+ キリスト‧イエスのことを語ったために、共に囚人となっているエパフラスが、よろしくと言っています。
+ それから、私といっしょに働いているマルコ、アリスタルコ、デマス、ルカも、よろしくとのことです。
+ 主イエス‧キリストの祝福が、あなたがたと共にありますように。パウロ
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+ 神は昔、幻や夢や、時には直接の啓示などいろいろな方法で、預言者を通してご自分の計画を少しずつ明らかになさいました。
+ しかし今の時代には、ご自分の御子(イエス‧キリスト)を通して語っておられます。神は、彼によって世界とその中のすべてのものをお造りになり、その御子にすべてを受け継がせたのです。
+ 御子は神の栄光を受けて、まばゆいばかりに輝いています。また、その人格と行動すべてにおいて神であることを示し、力あることばによって万物を治めておられます。そればかりか、私たちのすべての罪の記録を消し去ってきよめるために死んでくださいました。そして今は、最高の栄誉を受けて、天におられる偉大な神のそばにいらっしゃるのです。
+ こうして、父なる神がお与えになった「神の御子」という名が、天使たちの名よりさらにすぐれていたように、この方は天使よりもはるかにまさった存在となりました。
+ 神はどの天使に対しても、「あなたはわたしの子。今日、わたしがあなたを生んだ」などと言われたことはありません。しかし、イエスに対しては、そう言われたのです。さらに、「わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる」と宣言されました。
+ それから、長子であるイエスを地上に送る時、「天使はみな、彼を拝め」と言われました。
+ 天使たちについて神は、「風のように速い使者、燃える炎のような力を持つしもべ」と紹介しましたが、
+ 御子についてはこう言われました。「神(神の子)よ。あなたの国は永遠に続く。その支配は、いつも公平で正しい。
+ あなたは正義を愛し、悪を憎む。それであなたの神(父なる神)は、ほかのだれよりも多く、あなたに喜びを注がれた。」
+ また、御子を「主」と呼んで、こう言われました。「主よ。あなたは世の初めに地を造った。天も、あなたの手による作品である。
+ これらは、やがて無に返る。しかしあなたは、いつまでも変わらない。すべてのものは、古着のようにすり切れる。
+ いつかあなたは、それらを捨て、別のものと取り替える。しかしあなたは、決して変わらず、あなたの年には終わりがない。」
+ 神が天使に、次のようなことばをおかけになったことがありますか。「わたしがあなたの敵を完全に征服するまで、わたしの右に座っていなさい。」
+ 天使は、救われる人々を助けるために遣わされた、霊の使者なのです。
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+ ですから私たちは、すでに聞いたことを、ますますしっかり心にとめなければなりません。そうでないと、真理から離れて漂流することになります。
+ 天使のことばでさえいつも真理と認められ、そのことばに従わない人は罰せられました。
+ そうであれば、主イエスご自身の口から語られ、それを聞いた人たちが伝えたこのすばらしい救いの教えを無視したなら、どうして罰を逃れることができるでしょう。
+ 神は、この救いのことばの真実を、多くのしるしと不思議と奇跡によって示し、聖霊が信じる者に与えてくださる賜物によって、はっきり証明されました。神は、この賜物を私たち一人一人に下さったのです。
+ 私たちがいま話している未来の世界は、天使が支配する世界ではありません。
+ なぜなら、ダビデは神にこう語りかけているからです。「あなたが、こんなにも大きな関心をお寄せになる人間とは、いったい何者でしょう。こんなにも高い栄誉をお与えになった人の子とは、いったいどなたでしょう。
+ あなたはその方を、しばらくの間、天使よりも低いものとしましたが、今は、栄光と誉れの冠をお授けになり、
+ この世に存在するものすべてを支配する権威をお与えになったのです。」その支配を逃れるものは何一つありません。私たちはまだ、このことばの完全な実現を見てはいません。
+ しかし、しばらくの間、天使よりも低くされ、私たちのために死の苦しみを味わうことによって、栄光と誉れの冠を受けられたイエスを見ています。イエスは、神の大いなる恵みのゆえに全人類のために死なれたのです。
+ すべてのものをお造りになった神が、ご自分を信じる者たちを栄光ある天まで引き上げるためにイエスを苦しみに会わせられたのは、まことに正しいことでした。イエスはこの苦しみをくぐり抜けて、人々を救いに導くにふさわしい方となられたのです。
+ イエスによってきよめられた私たちは、今では、イエスと同じ父(神)を持っています。だからこそイエスは、私たちを兄弟と呼ぶことを恥とはなさらないのです。
+ イエスは、こう言っておられます。「わたしは、父なる神のことを兄弟たちに語ろう。そして、声を合わせて神を賛美しよう。」
+ また、「兄弟たちと共に、神を信じよう」とも、「さあ、わたしはここにいる。神が与えてくださった子どもたちといっしょに」とも述べています。
+ 神の子どもである私たちは、血も肉もある人間です。そこでイエスも、血肉を持った人間の姿でお生まれになりました。それは人間として死ぬことにより、死の権力をふるう悪魔の力を打ち砕くためです。
+ これだけが、一生涯死の恐怖の奴隷となっている人間を救い出す方法だったのです。
+ 私たちは、イエスが天使としてではなく、一人の人間、一人のユダヤ人として来られたことを知っています。
+ イエスは、あらゆる点で、兄弟である私たちと同じになることが必要だったのです。そうして初めて、イエスは、私たちにとってはあわれみ深く、神にとっては忠実な大祭司として、私たちの罪を取り除くことができたのです。
+ 自ら試練と非常な苦しみを体験された主イエスだからこそ、試練にあえいでいる私たちを助けることがおできになるのです。
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+ そういうわけですから、神によって天国の市民として選び出された、愛する皆さん。お願いです。どうか、私たちが告白する信仰の使徒であり、大祭司であるイエスに目をとめてください。
+ 「神の家」で忠実に奉仕したモーセと同じように、イエスも、大祭司としてご自分を任命された神に忠実な方です。
+ しかしイエスは、モーセよりはるかにまさった栄光をお受けになりました。豪華な家よりも、その家を建てる人のほうが賞賛されるのです。
+ 家を建てる人はたくさんいますが、世界のすべてのものを造られたのは神です。
+ 確かにモーセは、神の家のために賞賛に値する仕事をしましたが、モーセの果たした役割は後に起こることを指し示すことでした。
+ しかし、キリストは神の忠実な御子として、神の家のいっさいを治められるのです。もし、最後まで揺るがない確信を持ち続け、喜びと主への信頼を失わなければ、私たちも神の家となるのです。そして、神がそこに住んでくださるのです。
+ ですから、聖霊はこう警告します。キリストの声に注意深く耳を傾けなさい。今日その声を聞いたら、昔のイスラエル人のように心を閉ざしてはいけません。彼らは荒野で試練を与えられた時、神の愛にそむき、心を鋼鉄のように固くして、文句を言い続けたのです。
+ 彼らは何度も反抗しましたが、四十年の間、神は忍耐され、彼らの目の前で驚くべき奇跡を行い続けてくださいました。
+ しかし、とうとう神がこう宣言される時が来たのです。「わたしの怒りは極に達した。彼らはわたしに心を向けたことがなく、いつもほかを見ていた。そんな彼らに、わたしの用意した道が見いだせるはずがない。」
+ 神は怒りをもって、決して彼らを安息(神による休息)の地に導かないと誓われました。
+ 皆さん。心が悪に染まって信仰をなくし、生ける神から離れることがないように、自分の心を見張りなさい。
+ まだ時間があるうちに、日々、互いにこのことを確かめ合いなさい。そうすれば、罪に惑わされて神に心を閉ざす人は一人も出ないでしょう。
+ もし私たちが、初めてキリストを信じた時と同じ気持ちで神に信頼し、最後まで忠実であれば、キリストにある祝福を受けることができるのです。
+ ですから、今この時がかんじんなのです。次の警告を、片時も忘れてはなりません。「今日、語られる神の声を聞いたなら、神の怒りを招いた時のように、心をかたくなにしてはいけない。」(詩篇)
+ 神の声を聞きながら反抗した人たちとは、いったいだれでしょう。指導者モーセに率いられてエジプトを出たイスラエル人すべてです。
+ 四十年もの間、神の怒りを買ったのは、いったいだれでしたか。罪のために荒野で死に果てた、あのイスラエル人ではありませんか。
+ 神が誓って約束の地に入らせないと断言されたのは、だれに対してでしたか。従うことを拒んだ、あの人たち全員です。
+ 彼らが約束の地に入れなかったのは、神を信頼しなかったからです。
+
+
+ とはいえ、神の安息に入れるという約束は今も有効なのですから、あなたがたの中で万が一にも入りそこなう者が出ないように、心しようではありませんか。
+ モーセの時代の人たちと同様、私たちにも、救いをもたらす福音が伝えられているからです。ところが、モーセの時代の人たちには、そのことばは何の役にも立ちませんでした。彼らは聞いても信じなかったからです。
+ 安息に入れるのは、神を信じる私たちだけです。神は、「わたしは怒りをもって誓う。わたしを信じない者を決して入らせない」とも言われました。
+ 私たちは、神が準備万端ととのえて、待っておられたのを知っています。「神は創造の七日目に、計画どおりにすべてをなし終えて休まれた」とあります。
+ にもかかわらず、彼らは閉め出されてしまいました。ここでは、「彼らを決してわたしの安息に入れない」と言われているのです。
+ しかし、安息の地への約束はまだ有効であり、そこに入ることが許されている人がいます。それは、不従順のため、最初に与えられた機会を失った人たちではありません。
+ 神は、新しい機会を与えてくださいました。それが今なのです。最初の人たちの失敗の後、長い年月が過ぎたころ、神はダビデ王を通してこのことを知らせてくださいました。「今日、語りかけられる神の声を聞いたなら、心をかたくなにしてはいけない」と。
+ ここでの新しい安息の地とは、ヨシュアに率いられて入ったカナンの地(現在のパレスチナ)ではありません。もしそうなら、ずっとあとになって、今日がそこに入る時だなどと言われるはずがないからです。
+ そういうわけで、完全な安息が今なお、神を信じる人たちに備えられているのです。
+ キリストは、もうすでにそこにお入りになりました。神が創造の働きを終えて休まれたように、キリストも任務を果たして、安息の中におられるのです。
+ ですから私たちも、この安息の地に入れるように最善を尽くしましょう。イスラエルの人たちが神に不従順であったために入りそこねたことを、肝に銘じようではありませんか。
+ 神のことばは生きていて、力があります。それは鋭い刃のように切れ味がよく、心の奥深くに潜んでいる思いや欲望にまでメスを入れ、私たちの赤裸々な姿をさらけ出します。
+ 神は、人がどこにいようと、すべての人の心を見抜かれるお方です。神に造られたもので、神の目から隠れおおせるものは一つもありません。今も生きて、すべてを見抜かれる神の前に、私たちは裸のままさらけ出されているのです。私たちはこの方に対して、自分のなしたすべてのことを弁明しなければなりません。
+ しかし、私たちを助けるために天にのぼられた偉大な大祭司、神の子イエスが味方になってくださるのですから、私たちの告白する信仰を決して失うことがないようにしましょう。
+ この大祭司は私たちと同じ試練に会われたので、人間の弱さをよく知っておられ、ただの一度も、誘惑に負けて罪を犯したことはありません。
+ ですから躊躇せず、神の御座に近づいてあわれみを受け、時にかなって与えられる恵みをいただこうではありませんか。
+
+
+ ユダヤの大祭司は、人々の代表として供え物をささげ、神に仕えます。しかし、大祭司であっても同じ人間なので、人々のためだけでなく、自分の罪が取り除かれるためにもいけにえの動物の血をささげるのです。また、彼自身も弱さを身にまとっているので、無知な人や迷っている人を思いやることができるのです。
+ もう一つ、大祭司について言えるのは、自分の意志では大祭司になれないということです。アロンが選ばれた時のように、大祭司となる者は、神から直接、その務めに任命される必要があります。
+ キリストも名誉ある大祭司の地位につかれましたが、自分のご意志でそうなさったのではありません。神がお選びになったのです。神はこの方に、「わが子よ。今日、わたしはあなたを生んだ」と言われました。
+ またさらに、「あなたは、メルキゼデク(アブラハムの時代、サレムの王であり祭司であった人物。永遠の大祭司の型)と同じ位にある、永遠の祭司に選ばれた」と告げました。
+ キリストはこの地上におられた時、死から救うことのできるただひとりの方に、うめきと涙とをもって祈られました。この祈りは、どんな場合にも神に従おうとする、キリストの謙遜で切なる願いのゆえに聞き入れられたのです。
+ イエスは神の子であるのに、神に従うことには多くの苦しみが伴うことを身をもって学ばれました。
+ この経験を通してご自分の完全さを実証し、その上で、ご自分に従うすべての人に永遠の救いを与える者となられたのです。
+ 神がキリストを、メルキゼデクと同じ位に立つ大祭司としてお選びになったことを思い起こしてください。
+ このことについて、まだまだ話し足りませんが、聞く意思がないあなたがたに理解してもらうのは困難です。
+ あなたがたは、もう長い間、クリスチャンとして生きてきました。ほかの人を教えても当然なのに、もう一度、神のことばのイロハから手ほどきしてもらわなければならないほどになっています。固形物を食べるまでには成長せずに、いつもミルクばかり飲んでいる赤ん坊のようです。クリスチャン生活のごく初歩の段階を行ったり来たりして、善悪の区別さえおぼつかない状態なのです。
+ あなたがたがもっと成長し、正しい行いが伴って、善悪の区別がつくようになるまでは、堅い霊の食べ物をとることも、神のことばの深い意味を悟ることもむりでしょう。
+
+
+ ですから、キリストについての初歩の教えをいつまでも卒業できずに、堂々巡りをするのはやめましょう。もっと理解力を高め、成熟を目指して進みましょう。行いによって救われようとするまちがいや、神を信じる信仰の必要性などを、これ以上聞くには及びません。
+ バプテスマ(洗礼)、聖霊を受けること、死者の復活、永遠のさばきについても、これ以上教えられる必要はないでしょう。
+ 主のお許しがあるなら、次の段階に進もうではありませんか。
+ あなたがたが、いったん福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)の光に浴し、天からの恵みを味わい、聖霊をいただく特権を与えられ、また、神のすばらしいことばと来るべき世界の力を知った上で、なお神に背を向けるとしたら、もう主に立ち返ることはできません。それは、神のひとり子をもう一度十字架につけ、人前でさらしものにすることだからです。そんな人は、もはや悔い改めようがありません。
+ 十分に雨を吸い込んでよく潤った畑が、農夫に大豊作をもたらしたとしたら、その畑は神の祝福をむだにしなかったことになります。
+ しかし、いばらやあざみばかりを生えさせるなら、その畑は役立たずとして焼き払われてしまいます。
+ 愛する皆さん。私の言ったことすべてが、あなたがたに当てはまるわけではないでしょう。私は、あなたがたがキリストの救いにふさわしい実を結んでいるものと確信しています。
+ 神は、決して不公平な方ではありません。あなたがたが神のために熱心に働いてきたことや、同胞にずっと援助の手を差し伸べてきた愛をお忘れにはなっていません。
+ 私たちは、あなたがたがこの世にあるかぎり人を愛し続けて、十分な報いを受けることができるようにと願っています。
+ 最後まで希望を持ち続けるなら、信仰生活が怠惰に流れたり、無関心に陥ったりすることはありません。信仰と忍耐によって、神の約束なさったものを受け継ぐ人たちにならう者となってください。
+ アブラハムに与えられた約束を覚えていますか。神は、自分以上にすぐれた存在はありえないので、ご自分の名を指して誓われました。
+ 幾度もアブラハムを祝福し、多くの子孫を与え、偉大な国民の父とすると言われたのです。
+ そこでアブラハムは、その約束を忍耐して待ち望み、ついに約束のものを手にしました。
+ 人は何かを約束する時、それを必ず実行する意志と、万一破った時にはどんな罰をも受ける覚悟を示すために、自分よりもすぐれた者の名にかけて誓います。いったん誓ってしまえば、もうだれも、何も言うことはできません。
+ そういうわけで、神からの助けを約束された人たちがその約束の絶対的な確かさを知り、神の計画が変わらないことを確信するために、神も誓いによって約束の確かさを保証されたのです。
+ 神は、約束と誓いの両方を与えてくださいました。神は偽りを言われることがありません。そのため、救いを求めて神のもとに逃れて来る人たちは、確かな保証をいただいて、新たな勇気を奮い起こすことができます。そして、神の救いの約束を、少しの疑いもなく確信できるのです。
+ 自分は必ず救われるという確かな望みは、私たちのたましいにとって、信頼できる不動の錨です。この望みこそ、神聖な幕の内側(天にある神の住まい)におられる神と私たちを結び合わせるものです。
+ キリストは、私たちに先立ってそこに入られました。そこで、メルキゼデクの位を持つ大祭司として、私たちのためにとりなしていてくださるのです。
+
+
+ メルキゼデクは、サレムの町の王で、非常に高貴な神の祭司でした。アブラハムが多くの王たちとの戦いに勝って凱旋した時、メルキゼデクは出迎えて祝福しました。
+ その時アブラハムは、戦利品の十分の一をメルキゼデクに差し出しました。メルキゼデクという名前の意味は「正義」であり、サレムという町の名は「平和」を意味していました。ですから、彼は正義の王であり、平和の王です。
+ メルキゼデクには父も母もなく、先祖の記録もありません。また誕生も死もなく、そのいのちは神の子のいのちに似ています。それゆえ、彼は永遠に祭司なのです。
+ メルキゼデクがどんなに偉大な人物であるか、考えてみましょう。神がお選びになった人の中で最も尊敬されていたアブラハムでさえ、メルキゼデクには、王たちからの戦利品の十分の一をささげました。
+ メルキゼデクがユダヤ人の祭司であったなら、アブラハムのこの行為もうなずけます。後に神の民は、血のつながった部族(レビ族)である祭司のために献金することを、律法によって義務づけられたからです。
+ ところが、メルキゼデクはアブラハムの一族ではないのに、アブラハムからささげ物を受け、アブラハムを祝福しました。
+ 言うまでもなく、祝福を与える人は、祝福を受ける人よりも偉大なはずです。
+ またユダヤ人の祭司たちは、やがては死ぬべき人間であるにもかかわらず十分の一のささげ物を受けましたが、メルキゼデクは、永遠に生きていると言われています。
+ さらに、十分の一を受けるユダヤ人の祭司の先祖であるレビ自身も、アブラハムを通してメルキゼデクに十分の一をささげたと言えるでしょう。
+ なぜなら、レビはまだ生まれてはいませんでしたが、メルキゼデクに十分の一をささげた、アブラハムの直系の子孫だからです。
+ もし、ユダヤ人の祭司と律法に私たちを救う力があるとしたら、なぜ神は、あえてアロンの位に等しい祭司〔ユダヤ人の祭司はすべてアロンの位を受け継いでいる〕ではなく、メルキゼデクの位に等しい祭司であるキリストをお立てになったのでしょうか。
+ 新しい家系の祭司が立てられる時、それを受け入れるために、律法も改められなければなりません。キリストがレビ族とは別の部族であり、モーセが祭司として任命したこともないユダ族の出身であったことは、周知の事実です。
+ そういうわけで、私たちは、これまでの神の秩序に大きな変更があったことを認めざるをえません。キリストが、メルキゼデクの位に等しい、新しい大祭司として立てられたからです。
+ この新しい大祭司は、古い律法に属するレビ族からではなく、尽きることのない、いのちからほとばしる力を基として立てられたのです。
+ 詩篇の作者は、はっきりキリストのことを指して、「あなたは、永遠にメルキゼデクの位に等しい祭司です」と証言しています。
+ 家系を重んじる古い祭司職の制度は廃止されました。それは人々を救う力のない無益な制度でした。
+ だれも、祭司によっては神との正しい関係を結べなかったのです。しかし、今は違います。私たちは、もっとすぐれた希望を与えられています。キリストによって神に受け入れられた私たちは、神に近づくことができるのです。
+ 神は誓いをもって、キリストを永遠の大祭司としてお立てになりました。
+ かつて祭司たちを立てるのに、神が誓われたことはありません。しかしキリストに対してだけは、「主は、立てた誓いを変えることは決してない。あなたは、永遠にメルキゼデクの位に等しい祭司である」と誓われたのです。
+ この誓いのゆえに、キリストは、新しく、かつすぐれた約束が確かであることをいつまでも保証してくださるのです。
+ 古い契約のもとでは、大ぜいの祭司が必要でした。祭司が年老いて死ぬと、跡継ぎを立てて祭司を絶やさないようにしました。
+ しかし、キリストは永遠に存在されるので、いつまでも祭司です。
+ また、ご自分を通して神のもとに来る人々を、完全に救うことがおできになります。永遠に生きておられるキリストは、いつも神のそばで、ご自分の血によって彼らの罪が帳消しになるようにとりなしていてくださるのです。
+ このような大祭司こそ、私たちが必要としていた方です。この方はきよく、少しの欠点も罪のしみもなく、罪人によって汚されることもありません。
+ 古い大祭司は、神の前に出る時、まず自分の罪をきよめるために、そして人々の罪のために毎日、動物のいけにえの血をささげる必要がありました。しかしキリストには、その必要が全くありません。なぜなら、主ご自身が十字架にかかってご自分をいけにえとしてささげ、ただその一度の行為で、すべてを成し遂げてしまわれたからです。
+ 古い祭司制度のもとでは、彼らは大祭司であっても、自らを悪から守ることのできない罪ある弱い人間でした。しかし後に、神は誓いをもって、ご自分の御子という完全なお方を、永遠の大祭司に任命されたのです。
+
+
+ 以上述べてきたことを要約すると、次のようになります。私たちの大祭司はキリストであり、現在、天において神の右の座についておられます。
+ このお方は、人間の手によらず、主によって建てられた天の神殿で祭司の仕事をしておられます。
+ 大祭司の務めは、供え物といけにえとをささげることです。ですからキリストも、その務めをなさいます。
+ この方のいけにえは、地上の祭司たちがささげるいけにえよりはるかにまさっています。〔しかし、もしキリストが今なお地上におられるとしたら、決して祭司にはなられなかったでしょう。この地上には、ユダヤ人の古いいけにえの制度を守る祭司がいるからです。〕
+ 地上の祭司が奉仕をする神殿は、天にある本物の神殿をまねて造ったものにすぎません。幕屋(イスラエルの民が荒野で神を礼拝した聖所)を建てようとしたモーセは、シナイ山で神から指示を受け、天にある幕屋の型に寸分たがわないものを造るようにと命じられたのです。
+ しかし今、キリストは天における祭司として、古い契約に従っている祭司たちより、はるかに重要な任務をゆだねられています。キリストが私たちに伝えてくださる神の新しい契約には、さらにすばらしい約束が含まれているのです。
+ 古い契約はもはや無効になりました。もし効力があれば、別の新しい契約を立てる必要はなかったでしょう。
+ しかし神は、古い契約の欠陥を指摘して、次のように言われました。「わたしが、イスラエルやユダの民と新しい契約を結ぶ日が来る。
+ この契約は、彼らの先祖の手を引いて、エジプトの地から導き出した日に与えた古い契約とは異なるものである。彼らはそれを守らなかったので、わたしは無効にしなければならなかった。
+ ここにわたしは、イスラエルの民と新しい契約を結ぶ。わたしはこの律法を彼らの心に刻む。そうすれば、何も言わなくても、彼らに、わたしの思いがはっきりわかるようになる。心の中に律法があるので、彼らは喜んで従うようになるだろう。こうして、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。
+ その日にはだれも、友人や隣人、兄弟に向かって、『あなたも、主を知りなさい』と言う必要がなくなる。なぜなら、どんな人でも、わたしを知るようになるからだ。
+ わたしは彼らの悪い行いに対してあわれみを示し、その罪を二度と思い出さない。」
+ 神は、古い契約に代わる新しい契約について語っておられるのです。古いものは過去のものとなり、消え去っていきます。
+
+
+ ところで、神と人間との間に交わされた最初の契約にも、礼拝についての規定があり、そのために建てられた神聖な幕屋がありました。この幕屋には二つの部屋があり、第一の部屋は聖所と呼ばれ、金の燭台と、特別なきよいパンとそれを載せる机が置いてありました。
+ 聖所の奥に、幕で仕切られた第二の部屋があって、至聖所と呼ばれていました。
+ 至聖所には、金の香壇と、全面を純金でおおわれた契約の箱がありました。その箱には、「十戒」を記した二枚の石の板、マナを入れた金のつぼ、芽を出したアロンの杖が納めてあったのです。
+ 箱の上にはケルビム〔神の栄光の守護者たち〕と呼ばれる天使の像があって、黄金のふたをおおうように、大きな翼を広げていました。このふたは「恵みの座」と呼ばれます。しかし、これ以上くわしく述べる必要はないでしょう。
+ さて、これらが全部ととのえられた上で、祭司は第一の部屋に出入りして、務めを果たしました。
+ ただし、奥の第二の部屋には、大祭司だけが年に一度だけ、一人で入って行きました。そのとき彼は、血を携えて行かなければなりません。その血は、彼と民全体があやまって犯した罪をきよめるための供え物として、「恵みの座」にふりかけられました。
+ 聖霊はこのことを通して、次のことを教えています。古い制度のもとで、第一の部屋と、それに代表される儀式があるかぎり、第二の部屋である至聖所に入る道はまだ閉ざされているということです。
+ 幕屋は一つのたとえなのです。つまり、古い制度のもとでは、供え物といけにえが幾度ささげられても、それを携えて来る人たちの心まできよめることはできないのです。
+ 古い制度は、もっとすぐれた新しい制度が用意されるまで課せられた、飲み食いや体の洗いきよめなどの体に関する規定にすぎません。
+ キリストは、すでに私たちのものとなった、すぐれた制度の大祭司として来られました。そして、人間やこの世の手を借りる必要のない、さらに偉大で完全な、天の幕屋に入られました。
+ しかも、ただ一度、血を携えて至聖所に入り、それを「恵みの座」にふりかけました。それはやぎや子牛の血ではなく、ご自分の血でした。キリストは自らそうすることによって、私たちの永遠の救いとなる贖い(身代わりによって罪を赦し、救い出すこと)を成し遂げられたのです。
+ 古い制度のもとで、雄牛ややぎの血、あるいは若い雌牛の灰が、人々の体を罪からきよめることができるとすれば、
+ ましてキリストの血は、どれほど確実に私たちの心と生活を変えることでしょう。キリストご自身のささげられた血は、古い規則に縛られる悩みから私たちを解放し、生ける神にお仕えしたい気持ちに駆り立てるのです。それは、一つの罪も欠点もない完全なお方が、聖霊の助けによってご自分を喜んで神にささげ、私たちの罪のために死んでくださったからです。
+ キリストは、この新しい契約を携えて来られました。それで、神に招かれる人はみな、約束されたすばらしい祝福にいつまでもあずかることができるのです。なぜなら、古い制度のもとで犯した罪の刑罰から救い出すために、キリストは死んでくださったからです。
+ たとえば、ある人が財産の相続人を指定し、遺言状を残して死んだとします。しかし、その被相続人の死が証明されなければ、だれもその財産に手をつけられません。
+ 遺言は、被相続人の死後、初めて有効になるのです。その人が生きている間は、いくらそれが自分に関するものでも、どうすることもできません。
+ そういうわけで最初の契約も、効力を発揮するために、死の証拠として血がふりかけられなければなりませんでした。
+ モーセは、民にすべての律法を語ってから、水と共に子牛とやぎの血を取り、ヒソプの枝と紅色の羊毛とにつけて、律法の書と民全体にふりかけました。
+ そして、厳かに宣言しました。「この血は、神とあなたがたとの契約が効力を発したしるしだ。この契約は、神が私に命じて、あなたがたとの間に立てられたものだ。」
+ またモーセは、幕屋にも、礼拝用のすべての器具にも、同じように血をふりかけました。
+ 古い契約のもとで、すべてのものは、血をふりかけることによってきよめられたと言えます。血を流すことなしに、罪の赦しはないのです。
+ それで、天上のものにかたどって造られた地上の幕屋とその中のすべてのものは、このように動物の血をふりかけることによって、きよめられる必要がありました。しかし、天にある本物の幕屋は、はるかにすぐれたいけにえによってきよめられなければなりませんでした。
+ キリストは、天にあるものの模型にすぎない、地上の神殿に入られたのではありません。天そのものに入られ、今は、私たちの友として神の前に出られたのです。
+ しかも、地上の大祭司が毎年きまって動物の血を至聖所にささげたように、ご自分を何度もささげるようなことはなさいませんでした。
+ もしそうであれば、世の初めから、何度も死ななければならなかったでしょう。キリストは、この時代の終わりに、死によって罪の力を永遠に無効とするために、ただ一度おいでになったのです。
+ 人間には、一度だけ死んで、その後さばきを受けることが定められているように、
+ キリストも、多くの人の罪のためにご自身をささげて、一度だけ死なれました。そして、もう一度おいでになりますが、今度は罪を取り除くためではありません。その時は、彼を待ち望んでいるすべての人の救いを完成させるために来られるのです。
+
+
+ 律法による古い制度は、やがてキリストが与えてくださるもののすばらしさを、かすかに味わわせてくれるにすぎません。いけにえは年ごとに何度もくり返されましたが、それをささげた人たちを救えませんでした。
+ もし救う力があるのなら、一度だけのいけにえで礼拝する人々はみなきよめられ、その罪意識も消えてしまったことでしょう。
+ ところが、年ごとのいけにえは、かえって不従順と罪とを思い起こさせました。
+ 雄牛とやぎの血では、罪を取り除くことはできないのです。
+ そのためキリストは、この世に来られて、こう言われるのです。「神よ。雄牛ややぎの血は、あなたの心にかないません。それで、わたしに肉の体を与え、祭壇の上のいけにえとなさいました。
+ 罪のためのささげ物として、あなたの前で殺されて焼かれる動物のいけにえでは、あなたは満足されませんでした。
+ そこでわたしは、『まさに聖書に記されてあるとおり、わたしはあなたの御心を行い、いのちを捨てるために来ました』と申し上げたのです。」
+ すなわちキリストは、「古い制度が要求するさまざまのいけにえやささげ物では、神は満足されない」と語ったあとで、
+ 「わたしはいのちを捨てるために来ました」と言われたのです。キリストは、はるかにすぐれた制度を打ち立てるために、最初の制度を廃止されました。
+ この新しい計画にそって、キリストはただ一度死なれ、それによって私たちは罪を赦され、きよくされているのです。
+ 古い契約のもとでは、祭司たちは毎日、祭壇にいけにえをささげますが、それらは決して罪を取り除くことができません。
+ しかしキリストは、いつまでも有効な、ただ一つのいけにえとして、私たちの罪のためにご自分を神にささげ、そのあと神の右の座について、
+ 敵が足の下に踏みつけられるその日を待っておられます。
+ キリストは、この一度かぎりの行為によって、ご自分がきよめる人々をみな、永遠に完全なものとしてくださったのです。
+ 聖霊も同じ証言をされます。
+ 「イスラエル人たちは最初の契約を破ったが、わたしが新たに彼らと結ぼうとしている契約はこれである。わたしは、常にわたしの意思を知らせるために、律法を彼らの心に書き記す。そして、律法を彼らの思いの中に据えるので、彼らは喜んでこれに従うようになる。」
+ さらに聖霊は、こうも言われます。「わたしは、二度と彼らの罪と不法を思い出さない。」
+ このように罪が永久に赦され、また忘れ去られてしまうなら、罪を取り除くためのいけにえを、これ以上ささげる必要はありません。
+ ですから、愛する皆さん。いま私たちは、イエスが血を流されたことによって、神のおられる至聖所に堂々と入って行けるのです。
+ この新しいいのちに至る道は、キリストがご自分の体という幕を引き裂くことによって開いてくださいました。私たちはこの道を通って、きよい神の前に進み出ることができるのです。
+ また、このキリストという偉大な大祭司が神の家を支配しておられるのですから、
+ 私たちは、まちがいなく受け入れられるという確信と真実な心をもって、神の御前にまっすぐ進み出ようではありませんか。すでに、私たちの心はキリストの血を注がれてきよめられ、体はきよい水で洗われているのです。
+ いま私たちは、神が約束してくださった救いを、希望をもって待ち望むことができ、救いが確実であることを疑いなく語ることができます。神のことばは必ず実現します。
+ 神が成し遂げてくださったすべてのことにこたえて、私たちも互いに愛し合い、善行に励もうではありませんか。
+ 集会から離れたりする人たちにならってはいけません。主が再びおいでになる日は、もう間近なのですから、互いに励まし合っていきましょう。
+ もし罪の赦しの真理を知ってから、救い主を拒否して、罪を犯し続ける人がいるとしたら、その人はキリストの死によっても赦されません。もはや、その罪を消す方法はどこにもないのです。
+ その人には、敵対する者を一人残らず焼き尽くす、神の激しい怒りと恐ろしい刑罰が待っているだけです。
+ モーセの律法に従わなかった者たちは、その罪に対する二、三人の証言が得られれば、死刑に処せられました。
+ それならなおさら、神の御子を踏みつけ、罪をきよめるキリストの血を汚れたものとし、神のあわれみを人々にもたらす聖霊を拒絶する者に、どんなに恐ろしい刑罰が下るか、よく考えてみなさい。
+ 私たちは、「正義はわたしのものである。復讐はわたしがする」、また、「主がその民をさばかれる」と言われた方をよく知っています。
+ 生ける神の手の中に陥ることは、なんと恐ろしいことでしょう。
+ あなたがたは、初めてキリストを知った時の祝福された日々を、いつまでも忘れないようにしなさい。また、死ぬほどの苦しみに会いながらも、主と共に戦い抜いてきたことを、いつも心にとめていなさい。
+ 時には、あなたがた自身があざけられたり、打ちのめされたりし、また、同じ苦しみを味わっている人たちの友となったりしました。
+ 牢獄に捕らわれの身となった人たちと共に苦しみ、また全財産を奪われても、喜んでそれに耐え抜きました。それはあなたがたが、もっとすぐれた、永遠に残るものを持っていることを知っていたからです。
+ このようなすばらしい祝福が待っているのですから、どんなことがあっても、主を信じ続けなさい。やがて主から受ける報いを思いなさい。
+ 神の約束されたものをいただきたいと願うなら、忍耐しなければなりません。
+ キリストが再び来られる日が、これ以上遅れることはありません。
+ 神の前に義と認められる人たちは、信仰によって生きるのです。しりごみするような人を、神は喜ばれません。
+ 私たちは、神に背を向けて滅びる者ではなく、信じていのちを得る者なのです。
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+
+ 信仰とはいったい何でしょう。それは、望んでいることが必ずかなえられるという確信です。また、何が起こるかわからない先にも、その望んでいることが必ず待っていると信じて疑わないことです。
+ 神を信じた昔の人たちは、この信仰によって賞賛されました。
+ 信仰によって私たちは、この世界が神のことばによって造られ、しかも、それらが無から創造されたことを知るのです。
+ アベルが神の命令に従い、カインよりはるかに神に喜ばれる供え物をささげたのは、信仰があったからです。アベルの供え物が喜ばれたのは、神が彼の義(正しさ)を受け入れてくださったことの証明です。アベルははるか昔に死にましたが、今なお彼の信仰は大切なことを語っています。
+ エノクも神に信頼したので、神は彼に死を経験させず、天に引き上げてくださいました。神が連れ去られたので、彼は突然、姿を消したのです。神は、ご自分がどんなにエノクのことを喜んでいるか、前々から告げておられました。
+ 信仰がなければ、神に喜ばれることはできません。神のもとに来ようとする人はだれでも、神の存在と、熱心に神を求めれば神は必ず報いてくださることを、信じなければなりません。
+ ノアも、神を信じた人です。神から警告を受けた時、洪水のきざしなど何一つなかったにもかかわらず、彼はそのことばを信じました。そして、すぐに箱舟の建造に取りかかり、家族を洪水から救いました。神を信じたノアの態度は、当時の人たちの罪や不信仰と比べて、ひときわ輝いています。この信仰のゆえに、ノアは神に受け入れられたのです。
+ アブラハムも、神を信じました。神に、生まれ故郷を離れて新しく与える地に向かうようにと指示された時、彼はそのことばに従い、行く先も知らずに出て行ったのです。
+ そして、約束の地カナンに入ったあとも、外国からの旅行者のように天幕(テント)生活を送りました。神から同じ約束を受けた息子のイサクと孫のヤコブも、その地で同様に天幕生活を送りました。
+ アブラハムがこうした生活に耐えられたのは、揺るがない土台に建つ天の都に、神が必ず連れて行ってくださると確信し、待ち望んでいたからです。その天の都を設計し、建設されたのは神ご自身です。
+ アブラハムの妻サラも、信仰によって、すでに子を産む年齢を過ぎていたにもかかわらず、母親になることができました。神の約束は必ず実現すると信じたからです。
+ このようにして、年を取って全く希望がないと思われていたアブラハムから、天の星や海辺の砂のように、数えきれないほどの子孫が生まれたのです。
+ 信仰に生きたこの人たちは、神に約束されたものを手にしてから死んだのではありません。しかし彼らは、約束のものが待っているのを望み見て、心から喜びました。この地上がほんとうの故郷ではなく、自分がほんのつかの間、滞在する旅人にすぎないことを自覚していたのです。
+ そう認めた時、彼らは心から、天にある故郷を慕い求めました。
+ もし彼らに、この世の魅力ある生活に戻る気があったなら、いつでも戻れました。
+ しかし彼らは、それには目もくれず、神が用意された天の都を一心に見つめていました。それで神は、彼らの神と呼ばれることを誇りとなさったのです。
+ 神がアブラハムの信仰を試された時にも、アブラハムは最後まで神とその約束とを信じました。彼はひとり息子のイサクを神にささげ、祭壇の上で殺そうとまでしました。
+ 「イサクを通して一つの国民となる子孫を与える」という神の約束があったにもかかわらず、彼は少しもためらいませんでした。
+ たとえわが子が死んでも、神はもう一度生き返らせてくださると信じていたのです。まさに、そのとおりのことが起こりました。イサクは確かに死ぬ運命にあったのに、生きたまま、再びアブラハムの手に戻されたのです。
+ イサクが二人の息子ヤコブとエサウに、神が将来、必ず祝福を与えてくださると確信したのも、信仰によるものでした。
+ 年老いて、死を目前にしたヤコブは、信仰によって、杖にすがりながら、神に祈りをささげました。そして息子ヨセフの二人の子を、一人一人祝福しました。
+ また、死期が迫ったヨセフは、信仰によって、神がイスラエルの子孫をエジプトから脱出させてくださることを語り、自分の骨を携えて行くよう約束させました。
+ モーセの両親の行為も信仰によるものでした。すぐれた子どもが授けられたことを知った彼らは、神がエジプト王の手から、その子を救い出してくださると信じました。それで、子どもを殺せという王の命令にもひるまず、その子を三か月のあいだ隠しておいたのです。
+ 信仰によって、モーセは成人した時、王子として扱われることを拒みました。むなしい罪の快楽にふけるよりは、神の民と共に苦しむ道を選んだのです。
+ 彼はエジプト全土の宝をわがものにすることよりも、やがて来ると約束されていたキリスト(ギリシャ語で、救い主)のために苦しむほうが、はるかにすぐれていると考えました。その目は、神からの大きな報いに注がれていたのです。
+ 神を信じていた彼は、王の怒りを恐れず、エジプトの地をあとにしました。わき目もふらず、まるで、いっしょに歩まれる神の姿を見ているかのように前進しました。
+ 信仰によって、モーセは神の指示どおり、小羊の血を家々の門柱に注ぎかけました。こうして、イスラエルの家々の長子(長男)は、神から遣わされた恐ろしい死の使いから守られました。しかしエジプト人の長子は、この死の使いによって全滅したのです。
+ イスラエル人は神を信じて、まるでかわいた陸地を歩むように、まっすぐ紅海を渡りました。しかし追跡して来たエジプト人は、同じように渡ろうとして、一人残らずおぼれ死んだのです。
+ 信仰によって、イスラエルの民が、神の命令どおり七日間エリコの町の城壁を回ると、城壁はくずれ落ちました。
+ 売春婦ラハブは、神とその力とを信じていたので、イスラエルの偵察隊を自分の家にかくまいました。その信仰によって、彼女は、神への服従を拒んだエリコの住民が滅ぼされた時に救い出されたのです。
+ これ以上、何をつけ加える必要があるでしょう。ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル、そのほか多くの預言者の信仰について話し始めたら、いくら時間があっても足りません。
+ 彼らは信仰によって、戦いに勝ち、国々を征服し、正義を行い、神が約束されたものを受け取ることができました。ライオンの穴に投げ込まれても危害を受けず、
+ 燃えさかる炉に投げ込まれても、やけど一つしませんでした。ある者は、危うく切り殺されるところを救われました。ある者は病弱の身であったのに、健康な体に変えられました。ある者は戦いでめざましい力を与えられ、攻め寄せる敵の軍隊をことごとく退け、大勝利を収めました。
+ 信仰によって、愛する者を死者の中から生き返らせていただいた女たちもいました。また、さらにすばらしいいのちに復活するために、釈放など願わず、むち打ちや死刑に甘んじた者たちもいました。彼らは神を捨てて自由の身となるより、むしろ死を望んだのです。
+ またある者たちは、あざけられ、むち打たれ、さらに鎖につながれ、投獄されました。
+ 石を投げつけられ、のこぎりで引かれて死んだ者もいました。また、羊ややぎの皮を着て荒野や山をさまよい、ほら穴に隠れた者もいます。彼らは飢えと病気に悩まされ、苦しめられ、ひどい仕打ちを受けました。それは彼らが正しい生き方を追求したからです。
+ 彼らの信仰は神から賞賛されるほどでしたが、だれ一人、神が約束されたものを全部、手に入れたわけではありません。
+ 彼らが待ち望んでいたのは、もっとすぐれた報いであり、神もやがてそれをお与えになるつもりでした。それは、私たちのために用意されている報いと同じです。
+
+
+ このように、数えきれないほどの多くの証人たちが、競技場の観覧席で私たちを見つめているのです。だから、うしろへ引き戻そうとする力や、まとわりつく罪をふり捨てて、神の用意された競走を忍耐をもって走り抜こうではありませんか。
+ あなたがたの信仰の指導者であり教師であるイエスから、目を離さないようにしなさい。イエスは後にある喜びを知って、恥辱をものともせず十字架にかかられました。そして今は、神の王座の右に座しておられるのです。
+ 罪人たちの恐ろしい反抗を忍ばれたイエスのことを、いつも思っていなさい。あなたがたが気力を失い、弱り果てることがないためです。
+ あなたがたは罪や誘惑と戦っています。けれどもまだ、血を流すほどのきびしい戦いを経験したことはありません。
+ あなたがたは神の勧めを忘れていないでしょうか。神は、このように声をかけてくださっているのです。「わが子よ。主の懲らしめを、軽く考えてはならない。主の叱責に、気落ちしてはならない。
+ 主が懲らしめるのは、あなたが憎いからではなく、あなたを愛しているからである。主がむち打つのは、あなたが真に神の子どもだからである。」
+ 進んで神の訓練を受けなさい。神は、父親として当然のことを、子どものあなたがたにしておられるのです。父親から一度も懲らしめを受けたことのない子どもが、どこにいるでしょうか。
+ 神は、ほんとうの子どもだからこそ懲らしめるのです。もしそうでなければ、あなたがたは神の家族でないことになります。
+ この世では父親が子どもを罰しても、子どもから尊敬されなくなるようなことはありません。だとしたら、私たちは真に生きることを学ぶために、喜んで神の訓練を受けるべきではないでしょうか。
+ 肉親の父親は、ほんの短い間だけ、それも、限られた知識に基づいて私たちを訓練します。ところが神は、私たちの最善を願って、神のきよさを共有させようと訓練をしてくださるのです。
+ 罰を受けた当初はだれも気持ちがよいはずはなく、むしろ傷つけられたと感じるものです。しかしあとになれば、それが自分の益となり、すべての面で良かったことがわかります。
+ ですから、しっかり立ち上がりなさい。
+ そして、まっすぐな道を切り開きなさい。そうすれば、たとえ弱くて足が不自由でも、倒れたり、けがをしたりせず、かえって丈夫になるでしょう。
+ 争いを避け、きよい生活を追い求めなさい。きよくない人は主を見ることができないからです。
+ あなたがたのうちのだれも、神の祝福を失わないよう互いに注意し合いなさい。あなたがたの間に、憎しみや悪意がはびこらないよう十分に警戒しなさい。それは、多くの人の信仰生活に害を及ぼすからです。
+ また、不品行に走ったり、エサウのように神に無関心にならないよう注意しなさい。エサウは、ただ一度の食事のために、神の祝福のしるしである長子の権利を売りました。
+ あとになって後悔し、涙ながらにその権利を取り戻したいと願いましたが、遅すぎたのです。
+ あなたがたは、イスラエルの民たちがシナイ山で神から律法(十戒)を授けられた時のように、恐怖、燃えさかる火、黒雲、暗闇、たけり狂う嵐に直面しているわけではありません。
+ そこでは、すさまじいラッパの音が響き、また神の声がとどろきました。それを聞いた人たちは、あまりの恐ろしさに、それ以上何もお語りにならないでくださいと、必死に願いました。
+ 彼らは、「たとえ動物でも、山に触れるものは殺されなければならない」という神の命令におびえ、あとずさりしました。
+ モーセさえ、この光景を目のあたりにして、恐怖に震えおののいたのです。
+ しかしあなたがたは、シオンの山に近づいているのです。そこは生ける神の都、天にあるエルサレムであり、無数の天使たちが楽しげに集う所です。
+ またあなたがたは、天に登録されている人たちの教会、すべてをさばく神、すでに完全なものとされて天にいる、救われた者たちの霊に近づいているのです。
+ またさらにあなたがたは、新しい契約をもたらしたイエスご自身と、復讐を叫ぶアベルの血ではなく、恵みに満ちた罪の赦しを与える血に近づいているのです。
+ あなたがたに語りかけてくださる方に聞き従いなさい。イスラエルの民が指導者モーセに従うことを拒んだ時、彼らへのさばきは決定的なものとなりました。まして、天からの神の声を拒むなら、どんなに恐ろしい罰が下ることでしょう。
+ シナイ山から語られた神の声は、大地を揺り動かしました。しかし、「わたしはもう一度、地だけではなく、天も揺り動かす」と、神は宣言しておられます。
+ 神は次に、土台の弱いものをすべてふるいにかけ、決して動じないものだけを残そうとしておられるのです。
+ 私たちは何ものにも滅ぼされない御国を与えられているのですから、感謝の思いときよい恐れとをいだいて仕え、神に喜んでいただこうではありませんか。
+ 神はすべてを焼きつくす火です。
+
+
+ 真実の兄弟愛をもって愛し合いなさい。
+ よそから来た人を、親切にもてなしなさい。そうして、気づかないうちに天使をもてなした人もいます。
+ 獄中にある人たちのことを忘れてはいけません。その境遇を思って、苦しみを共に分け合いなさい。また、しいたげられている人たちの悲しみを思いやりなさい。あなたがたは、その苦しみがどんなものか経験ずみなのですから。
+ 結婚とその誓約を尊びなさい。純潔を保ちなさい。神は不品行な者、姦淫する者をさばかれるからです。
+ お金を愛する心を捨て、いま与えられているもので満足しなさい。神は、こう約束しておられます。「わたしはどんな場合にもあなたの期待にそむかず、あなたを見捨てない。」
+ ですから、私たちは確信をもって、こう答えることができます。「主は私を助けてくださいます。だから何もこわくありません。人間が、私にどんな手出しができましょう。」
+ 神のことばを教えてくれた指導者たちのことを思い出しなさい。その生活からにじみ出た、すべての良いものに心をとめなさい。そして、彼らに見ならって、主を信じなさい。
+ イエス‧キリストは、昨日も今日も、いつまでも変わることがありません。
+ まちがった教えに心を奪われてはなりません。あなたがたの霊的な力は神からのものであって、ある特定の物を食べる規定によって得られるものではありません。そのような規定を厳守しても、何の益にもなりません。
+ 私たちには、キリストがいけにえとなられた十字架という祭壇があります。律法に救いを見いだそうとする人は、この祭壇から助けを受けることはできません。
+ 律法によると、大祭司は罪のためのいけにえとして、殺された動物の血を携えて聖所に入りますが、動物の体は町の外で焼かれることになっています。
+ イエスも、町の外で苦しみを受けて死なれました。町の外で流されたこの血によって、私たちの罪は洗いきよめられたのです。
+ だから私たちは、町の外に出て〔この世の人たちの関心事から離れ、人々からさげすまれることも覚悟して〕、キリストのはずかしめを身に受け、共に苦しむために、この方のもとに行こうではありませんか。
+ この世は私たちが永遠に住む所ではありません。私たちは、天にある永遠の住まいを待ち望んでいるのです。
+ イエスに助けられながら、神のすばらしい御名を宣べ伝えることによって、いつも、賛美の供え物をささげましょう。
+ 良い行いをすることと、困っている人たちに持ち物を分けることを心がけなさい。神はこのような供え物を、とても喜んでくださるのです。
+ 教会の指導者たちの言うことを聞き、服従しなさい。彼らの務めは、あなたがたのたましいを見守ることだからです。彼らには、その役目をどれだけ忠実に果たしたか、神に報告する義務があるのです。彼らが、悲しみながらではなく、喜んで報告できるようにしてあげなさい。そうすることは、あなたがたのためでもあるのです。
+ 私たちのために祈ってください。私たちの良心は純粋であり、いつもそうありたいと願っています。
+ そして今は、できるだけ早くあなたがたのところへ帰れるように、特に祈ってほしいのです。
+ 偉大な羊飼いである主イエスを死者の中から復活させてくださった平和の神が、どうか、あなたがたに、神の御心にかなった行いをするのに必要なすべてのものを満たしてくださいますように。神とあなたがたとの間に立てられた永遠の契約の血によって、それが可能となりますように。どうか、キリストに栄光がいつまでもありますように。アーメン。
+ 皆さん。私がこの手紙で語ってきたことを、どうか忍耐して聞いてください。これらは要点だけを手短に書いたものです。
+ なお、同志テモテが釈放されました。もし彼が早く来れば、いっしょにあなたがたを訪問できるでしょう。
+ あなたがたの指導者たち、また、信徒たちによろしく伝えてください。私といっしょにいるイタリヤから来た人たちも、よろしくと言っています。
+ 恵みが、あなたがたと共にありますように。
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+ 神と主イエス‧キリストに仕えているヤコブから、国外にいるユダヤ人クリスチャンの皆さんにごあいさつ申し上げます。
+ 愛する皆さん。あなたがたの人生は、多くの困難と誘惑に満ちていますか。そうであれば喜びなさい。
+ 行く道が険しければ、それは忍耐を養う良いチャンスとなるからです。
+ 忍耐力を十分に養いなさい。さまざまな問題が持ち上がった時、そこから逃げ出そうともがいてはいけません。忍耐力が十分身につけば、完全に成長した、どんなことにもびくともしない、強い人になれるでしょう。
+ 神が何を望んでおられるか知りたいなら、遠慮なく、直接尋ねなさい。神は喜んで教えてくださいます。願い求める人には、神はいつでも惜しみなく、あふれるばかりの知恵を授けてくださるからです。そのことで、決してとがめたりはなさいません。
+ ただ、その場合、神は必ず答えてくださると確信して願い求めなさい。疑う人の心は、風に波立つ水面のように不安定なものです。そんな疑いの心では、主に何を期待してもむだです。
+ あなたがたの中で、貧しいために見下されている人は、そのことを喜びなさい。主が高く評価してくださるからです。
+ また裕福な人は、主にとっては富が無に等しいことを知って、喜びなさい。裕福な人の一生は、美しく咲いては枯れる花のように、はかなく過ぎ去ってしまうからです。忙しく飛び回っていても、その働きの完成を見ないうちに死んでしまうのです。
+ 誘惑に負けて悪に走らない人は幸いです。なぜなら、神を愛する人に約束されたいのちの冠を、ほうびとしていただけるからです。
+ 悪に手を出しそうになった時、神から誘惑されたなどと言ってはなりません。神が悪を望まれるはずはありませんし、また、悪へ誘ったりするわけもないのです。
+ 人は、自分の欲や悪い考えに引かれて誘惑されるのです。
+ その欲や悪い考えが悪へと駆り立て、ついには、神から永遠に引き離される死の刑罰へと追いやるのです。
+ ですから、だまされてはいけません。
+ すべての良いもの、完全なものは、光を造られた神から来るのです。神にはわずかの変化もくもりもなく、いつまでも輝いています。
+ 神は御心のままに、真理のことばによって、私たちに新しいいのちを与えてくださいました。こうして私たちは、神の新しい家族の最初の子どもとされたのです。
+ 愛する皆さん。人のことばにまず耳を傾け、自分はあとから語り、怒るのは最後にしなさい。
+ 怒りは、神の義から私たちを遠く引き離すからです。
+ ですから、自分の生活を総点検して、どんな悪をもすっかり取り除き、神のことばをすなおに受け入れなさい。神のことばには、私たちの心をとらえ、たましいを救う力があるからです。
+ また聞くだけでなく、それを実行することも忘れてはなりません。みことばを聞くだけは聞いて、自分を偽った行動をとることがありませんように。
+ 聞いただけで実行に移さない人は、鏡に映る自分の顔をながめているようなものです。
+ 鏡から離れると、自分がどんな表情をしていたか、すっかり忘れてしまいます。
+ しかし、〔完全な律法、自由の律法である〕神の教えを一心に見つめて離れない人は、すぐに忘れたりしないばかりか、その命令を実行します。神は、そのような人の行いに大きな祝福を与えてくださいます。
+ もしも、「私はクリスチャンです」と言いながら、平気でとげのあることばを口にする人がいれば、その人は自分を偽っていることになります。そのような信仰には何の価値もありません。
+ 父なる神の目から見て、純粋で汚れのない信仰とは、みなしごや未亡人が困っていれば世話をし、この世から自分をきよく守ることです。
+
+
+ 愛する皆さん。人をえこひいきし、相手が金持ちか貧しいかによって態度を変えていながら、どうして臆面もなく、「私は主イエス‧キリストを信じています」などと言えるでしょう。
+ たとえば教会に、金の指輪をはめたりっぱな身なりの金持ちと、みすぼらしい身なりの貧しい人が入って来たとします。
+ その時、金持ちには気を遣い、「こちらの良い席へどうぞ」と言って案内し、貧しい人には、「そこで立っているか、床にでも座っていなさい」と言ったとしたら、どうでしょう。
+ そのような態度は、クリスチャンとしての信仰を根本から疑わせるもので、悪い考えで人を差別し、さばいている証拠です。
+ 皆さん、よく聞いてください。神は貧しい人を選んで、豊かな信仰を持つ者としてくださいました。神の国は、そういう人のものです。神の国は、神を愛する者に約束されたものだからです。
+ それなのに、あなたがたは貧しい人を軽蔑したのです。あなたがたをひどい目に会わせ、裁判所に訴えるのは、裕福な人たちではありませんか。
+ また、あなたがたが仕えるイエス‧キリストの尊い御名をあざ笑うのも、彼らではありませんか。
+ あなたがたがほんとうに、「あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい」という最高の律法を守っているならりっぱなことです。
+ しかし、もし人をえこひいきしているなら、あなたがたは罪を犯していることになります。
+ 律法全体を注意深く守っていても、一点ででもつまずけば、その人はすべてを破った者となるのです。
+ なぜなら、「他人の妻と通じてはならない」と言われた神は、「殺してはならない」とも求められるのです。ですから、性的な罪を犯さなくても、だれかを殺せば律法の違反者になります。そして、罪ある者として神の前に立たせられます。
+ あなたがたは、キリストの命令を守る者にふさわしく語り、行動しなさい。
+ 思いやりのない人には、思いやりのないさばきが下ります。しかし、あわれみ深い人には、神のあわれみがあるのです。
+ 愛する皆さん。自分には信仰があると言っても、それを行動で表さなかったら、どうしてその信仰を実証できるでしょう。そのような信仰が、人を救うことができるでしょうか。
+ あなたがたの仲間に、着る物もなく、その日の食べ物にも事欠いている人がいて、
+ その人に、「それはお困りですね。でも神様が祝福してくださいますよ。暖かくして、お腹いっぱい食べてください」と言うだけで、必要なものを何もあげないなら、何の役に立つでしょう。
+ このように、信仰に行いが伴わなければ、その信仰は死んだも同然です。
+ さらに、こう言う人もいるかもしれません。「行いのないあなたの信仰の正しさを見せてください。私は、私の行いによって、自分の信仰を見せましょう。」
+ あなたは、神はただひとりだと信じています。それはりっぱなことです。しかし、悪魔もそう信じて、神を恐れているのです。
+ ああ、あなたは、なんと愚かであわれな人でしょう。みことばを実行しなければ、信じることなどむなしいことを、いつになったら悟るのですか。行いを伴って初めて本物と言えるのです。
+ 先祖アブラハムでさえ、その行いによって神の前に正しい者と認められたではありませんか。彼は、息子イサクを供え物として祭壇にささげよと神に命令された時、いさぎよく従いました。
+ アブラハムは心から神を信じていたので、どんなおことばにも喜んで従ったのです。こうしてアブラハムの信仰は、実際の行動によって完全なものと認められました。
+ ですから、「アブラハムは神を信じた。それで神の目に正しい者と認められた」という聖書のことばどおり、彼は、「神の友」と呼ばれるまでになったのです。
+ 人は信仰だけでなく、行いによって神に正しいと認められることがわかるでしょう。
+ 売春婦ラハブも同様です。彼女はイスラエルの使者たちをかくまい、別の道から安全に逃がしてやりました。この行為によって、彼女は神に認められたのです。
+ たましいのない体が死んだものであるように、行いのない信仰は死んだも同然です。
+
+
+ 愛する皆さん。みなが教師のようになって、人の欠点をあげつらってはいけません。自分も欠点だらけではありませんか。人よりもすぐれた判断力を持つべき私たち教師がもし悪を行うなら、ほかの人よりはるかにきびしいさばきを受けるのです。
+ また、ことばを制御できる人は、すべての点で自分を完全に制することができる人です。
+ 馬を御したい時は、口に小さなくつわをかけるだけでよいのです。
+ また大きな船も、小さなかじ一つで、どんな嵐の中でも思いのままに進路を変えることができます。
+ 同様に舌もちっぽけなものですが、使い方を誤ると、途方もなく大きな害を生じます。小さな火が大きな森林を焼き尽くします。
+ 舌は火と同じように、悪の炎で体全体を毒し、私たちの人生を滅びと災いの炎で焼き尽くすのです。
+ 人間は、あらゆる獣、鳥、魚、地をはうものを、思いのままに支配しています。
+ しかし、自分の舌だけは思いどおりにできません。舌はいつでも、死の毒を吐き出そうと待っているのです。
+ 私たちはこの舌で、天の父なる神をほめたたえ、同じ舌で、神にかたどって造られた人間をのろいます。
+ 賛美とのろいが同じ人の口から出るのです。愛する皆さん。こんなことがあってはなりません。
+ 同じ泉の水が甘くなったり、苦くなったりするでしょうか。
+ いちじくの木にオリーブの実がなったり、ぶどうの木にいちじくの実がなったりするでしょうか。塩水の池から、真水を汲むこともできません。
+ 良い生き方をする人は、柔和な行いを身につけた、知恵のある賢い人です。
+ しかし、もし自分にねたみや敵対心があるなら、決してその知恵をひけらかしてはいけません。それは偽善です。
+ ねたみや敵対心は、神からの知恵ではなく、この世のものであり、真理に逆らう悪霊から来るものです。
+ ねたみや敵対心のうず巻くところでは、秩序が乱れ、あらゆる悪がはびこっています。
+ しかし、神からの知恵は純粋であり、平和とおだやかなやさしさに満ち、思いやりと良い実に満ちています。
+ また、偏見や偽善がありません。平和をつくる人は、平和の種をまいて、義の実を結ばせるのです。
+
+
+ あなたがたの争いは、いったい何が原因ですか。あなたがたの心にうず巻く悪い欲望から出たものではありませんか。
+ あなたがたときたら、人を殺してでも欲しいものを手に入れたがるのです。うらやんでも手に入れることができないと、力ずくで奪おうとしてけんかをします。神に願い求めることをしないからです。
+ いくら願い求めても手に入らないのは、その目的や動機がまちがっているからです。自分を楽しませることのみ求めているからです。
+ あなたがたは、まるでふしだらな妻のようです。この世の快楽に親しむのは、神を敵に回すことです。世の友を求めるなら、神の友にはなれません。
+ 「神が私たちのうちに住まわせてくださった聖霊は、ねたむほどの愛をもって、私たちを見守っておられる」と書いてある聖書のことばを、どう理解しているのですか。
+ 神は私たちに、すべての悪い欲望に立ち向かうための強い力を与えてくださいます。神は高慢な者を退け、謙遜な者に力をお与えになります。
+ ですから、神の前に謙遜になりなさい。そして、悪魔に立ち向かいなさい。悪魔はしっぽを巻いて逃げ出すでしょう。
+ 神に近づきなさい。そうすれば、神も近づいてくださいます。罪ある人たちよ。罪の生活から足を洗いなさい。純粋で真実な心の持ち主だと認めてもらえるように、神への思いで心を満たしなさい。
+ あなたがたは、苦しみなさい。悲しみなさい。泣きなさい。笑いを悲しみに、喜びを憂いに変えなさい。
+ 主の前で、自分がいかに取るに足りない存在か思い知らされる時、主はあなたがたを助け起こし、力づけてくださるのです。
+ 皆さん。互いに悪口を言い合うのをやめなさい。それは、「自分を愛するように人を愛しなさい」という律法を批判し、律法をさばいているのです。あなたがたのなすべきことは、律法の良し悪しを言うことではなく、それに従うことです。
+ 正しくさばくことのできる方は、律法を定めた神おひとりです。神だけが、私たちを救ったり、滅ぼしたりすることができるのです。それなのに、あなたは何の権威によって人をさばいたり、批判したりするのですか。
+ よく聞きなさい。「今日か明日、あの町に出かけ、一年かけてひともうけしよう」ともくろむ人たち。
+ 明日どんなことがわが身に起こるか、だれにもわからないのです。あなたがたのいのちは、朝霧のようにはかないものです。
+ ですから、こう言うべきです。「もし主がお許しくださるなら、私はあのことと、このことをしよう。」
+ ところが、あなたがたは高ぶって、むなしい計画で頭がいっぱいなのです。自分に頼っていては、決して神を喜ばせることはできません。
+ ですから、何をすべきかわかっていながら行わないのは、罪だということを自覚しなさい。
+
+
+ よく聞きなさい、金持ちたち。迫り来る恐ろしい災いのために、声をあげて泣きなさい。
+ あなたがたの富は腐り、美しい着物は虫に食われ、
+ 金銀は価値を失います。しかも、そのことがあなたがたに不利な証拠となり、まるで火のように全身を焼き尽くすでしょう。やがて来る審判の日には、命より大事にしてきたものがすべて、このような運命をたどるのです。
+ 聞きなさい、あなたがたの農場で働いた労働者の叫び声を。あなたがたは彼らの賃金を搾取したではありませんか。彼らの叫びは、万軍の主の耳に達しているのです。
+ この地上でぜいたく三昧に暮らし、ありとあらゆる快楽にふけったあなたがた。まるで、屠殺場送りになるために、心を肥え太らせてきたようなものです。
+ あなたがたは、自分を守るすべを持たない善良な市民に罪をかぶせて殺してきたのです。
+ こういうわけですから、皆さん。主が再び来られる時まで、忍耐していなさい。貴重な秋の収穫を期待する、農夫の忍耐に学びなさい。勇気を出しなさい。主はもうすぐ帰って来られるのですから。
+ 互いに文句を言い合ってはいけません。自分だけは人から非難されない自信でもあるのですか。見なさい。偉大な裁判官である主が、すぐそこまで来ておられます。
+ どんな苦難の中でもじっと忍耐した預言者たちを見ならいなさい。
+ 彼らは地上で非常な苦しみに会いましたが、最後まで忠実に主に従いました。私たちは、そのように忍耐した人たちを、祝福された人と考えています。ヨブは、苦難の中で主を信じ続けた模範です。私たちは、ヨブの生き方から、主のご計画の結末には必ず祝福が伴うことを知ったのです。主は、恵みとあわれみにあふれたお方です。
+ しかし何よりも大切なことは、天にしろ地にしろ、何を指してもいっさい誓わないことです。ただ「はい」、また「いいえ」とだけ言えばいいのです。誓ったばかりに、罪を犯して、神のさばきを受けないためです。
+ あなたがたの中に、悩んでいる人がいますか。その人は、神に祈り続けなさい。また喜んでいる人がいるなら、昼も夜も主を賛美しなさい。
+ 病気の人はいませんか。その人は教会の長老を招き、主が治してくださるように、油を注いで祈ってもらいなさい。
+ その祈りが信仰によってささげられたものなら、病気は治るでしょう。もし病気の原因が罪によるものなら、主はその罪を赦してくださいます。
+ ですから、互いに罪を告白し、祈り合いなさい。正しい人の祈りは大きな力があり、驚くほどの効果があります。
+ エリヤは私たちと変わらない人でしたが、雨が降らないようにと熱心に祈ると、三年半ものあいだ一滴の雨も降りませんでした。
+ そして、再び雨が降るようにと祈ると、激しい大雨が降って、草木も作物も青々と実るようになりました。
+ 愛する皆さん。ある人が神から離れ、もはや主を信じなくなった時、だれかが彼を助け、もう一度真理をよく理解させて連れ戻したとしたらどうでしょう。
+ その務めを担った人は、迷い出たたましいを死から救い出し、犯した多くの罪を神に赦してもらう働きをしたということを、あなたがたは知っていなさい。ヤコブ
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+ イエス‧キリストの使徒ペテロから、エルサレムを追われて、ポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤ、ビテニヤの各地方に散らされたユダヤ人クリスチャンの皆さんへ。
+ 父なる神は、ずっと昔からあなたがたを選び、ご自分の子どもにしようと決めておられました。そして、聖霊が働いて、あなたがたの心はイエス‧キリストの血によってきよめられ、神に喜ばれる者へと変わったのです。どうか、神があなたがたを祝福し、すべての不安と恐れから解放してくださいますように。
+ 主イエス‧キリストの父なる神こそ、すべての賞賛を受けるにふさわしい方です。私たちは、神の測り知れないあわれみによって、新しく生まれ変わる特権を与えられ、神の家族の一員として迎えられたのです。そればかりか、キリストが死者の中から復活してくださったことにより、私たちは永遠のいのちの希望にあふれています。
+ 神はご自分の子どもたちのために、朽ちることも消えることもない資産を約束してくださいました。それはあなたがたのために天にたくわえられているのです。
+ 神の超自然的な力によって、あなたがたはまちがいなく守られ、やがて来る終わりの日に、用意されている救いをいただくのです。
+ ですから、心から喜びなさい。今しばらくの間、地上での苦しい試練が続きますが、行く手にはすばらしい喜びが待っているからです。
+ これらの試練は、あなたがたの信仰をテストするためにあるのです。それによって、信仰がどれほど強く純粋であるかを量られます。それはちょうど、金が火によって精錬され、不純物が取り除かれるのに似ています。しかも神にとっては、あなたがたの信仰は、金よりはるかに尊いものです。ですから、信仰が火のような試練のるつぼの中で鍛えられ、なお強くされるなら、あなたがたは、イエス‧キリストが再び来られる日に、多くの賞賛と栄光と名誉とを受けることになるでしょう。
+ あなたがたは、イエス‧キリストを見たことがないのに愛しており、いま見ていないのに信じています。そして、天からの、ことばに表せない栄光に満ちた喜びに浸っているのです。
+ これは信仰の結果である、たましいの救いを得ているからです。
+ この救いについては、昔の預言者も完全に知っていたわけではありません。救いの預言はしましたが、それが実際には何を意味しているのか、自分でもよくわからなかったのです。
+ 心の中のキリストの御霊が何を語っておられるのか、理解していませんでした。聖霊は、やがてキリストの身にふりかかる苦難と、それに続く大きな栄光とを書きとめるように命じられたのです。彼らは、いったいそれが、いつ、だれに実現するのか知りませんでした。
+ 彼らは、これらが自分たちの時代にではなく、ずっとあとに、すなわち今の時代に実現することを知らされました。そして今ついに、この福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)は、私たち主を信じる者全員にはっきり告げ知らされたのです。これは、預言者に語られた時と同様、天から遣わされた聖霊の力によって伝えられたのでした。それは、天使でさえ知りたいと願ったことでした。
+ そういうわけですから、あなたがたはこれまで以上の恵みを期待して、イエス‧キリストが再び来られる時を、真剣に、身を慎んで、ひたすら待ち望みなさい。
+ あなたがたは神の子どもなのですから、神に従いなさい。何も知らず、欲望のままに生きた昔の生活に舞い戻ってはいけません。
+ かえって、あなたがたを招いてくださったきよい神にならい、あらゆる点できよい者とされなさい。
+ 主みずから、「わたしはきよい者であるから、あなたがたも、きよくなければならない」と言われました。
+ あなたがたが祈りをささげる天の父なる神は、人の行いをすべて、正しく公平にさばかれます。ですから天に行くその日まで、主を恐れ、慎み深く生活しなさい。
+ 神は、あなたがたの先祖が天国への道を外れ、むなしい努力を重ねてきた生き方からあなたがたを救い出すために、身の代金を払ってくださいました。それは、金や銀のような朽ちる物ではなく、
+ 一点の罪もしみもない神の小羊、キリストの尊い血によって支払われたのです。
+ 神はこのために、世の始まる前から、キリストを選んでおられました。そしてこの終わりの時代に、あなたがたへの祝福として、キリストを遣わされたのです。
+ ですから、キリストを死から復活させ、栄光をお与えになった神を信じましょう。あなたがたの信仰と希望とは神にかかっているのです。
+ キリストを信じたあなたがたは、たましいをきよめられ、だれをも真実に愛することができるのですから、互いに心から熱く愛し合いなさい。
+ あなたがたの新しいいのちは、両親から受けた、やがて朽ち果てるいのちではなく、朽ちることのないいのちです。このいのちは、いつまでも変わらずに生きて働く神のことばによるのです。
+ 生まれながらの古いいのちは、枯れてしまう草のようです。どんな栄誉も、やがてはしぼみ、散っていく花と同じです。
+ しかし、主のことばは、いつまでも変わることがありません。これこそ、あなたがたに宣べ伝えられた福音のことばです。
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+ ですから、悪意、偽り、偽善、ねたみ、悪口を捨てなさい。
+ すでに主の恵みといつくしみを経験したのですから、乳を求める赤ん坊のように、熱心にみことばを求めなさい。
+ 主キリストに近づきなさい。主が土台石となり、神はその上に、神の家をお建てになるのです。人々は主を拒みましたが、神は主を最も重要な存在として選ばれたのです。
+ あなたがたも、神の家を建て上げるための生ける土台石となりなさい。そして、聖なる祭司として、イエス‧キリストを通して、神に喜ばれる供え物を神にささげなさい。
+ 聖書にこう書いてあります。「見よ。わたしは一つの石(キリスト)を(教会の)尊い土台石とするために選び、遣わした。彼に信頼する者は、決して失望しない。」
+ キリストは、信じる者にとって何よりも尊い方ですが、キリストを拒む者にとっては、「つまずきの石、妨げの岩」となりました。「家を建てる者たちの捨てた石が、なくてはならない土台石となった」とあるとおりです。
+ 彼らのつまずきの原因は、神のことばに耳を傾けず、従おうとしないことですが、そうなるように定められてもいたのです。
+ しかし、あなたがたはそうではありません。あなたがたは神から選ばれた王なる祭司であり、きよい民として神のものとされた人たちです。それはすべて、どうして自分が暗闇から神の驚くべき光へと招き入れられたかを、人々に語り伝えるためなのです。
+ あなたがたは、以前は全く無きに等しい者でしたが、今は神のものとされています。以前は神のいつくしみから遠い者でしたが、今では神のいつくしみによって変えられました。
+ 愛する皆さん。この地上では、あなたがたは旅人であり、一時の滞在者にすぎないのですから、あなたがたのたましいに戦いをいどむ、この世の快楽から遠ざかりなさい。
+ 異教徒の中でりっぱにふるまいなさい。そうすれば、今はあなたがたを疑いの目で見たり、非難したりしていても、やがてキリストが来られる時には、あなたがたのりっぱな行いを認めて、彼らは神をほめたたえるようになるでしょう。
+ 主のために、国家の定めたすべての制度に従いなさい。この世の主権者である王が定めたものであっても、王の任命した総督が定めたものであっても従うべきです。彼らは悪い者を罰し、正しい者に栄誉を与えるからです。
+ というのは、善を行って、愚かな人の無知の口を封じることは、神の望まれることだからです。
+ あなたがたは、この世から解放された自由人です。しかし、それを好き勝手なことをするためにではなく、ただ神に従うことに用いなさい。
+ だれであっても尊敬しなさい。お互いに深く愛し合いなさい。神を恐れ、王を尊びなさい。
+ 召使は主人を尊敬し、従いなさい。善良でやさしい主人に対してだけでなく、横暴な主人にも従いなさい。
+ 不当な罰を受けても耐えるなら、神に喜ばれます。
+ 自分が悪いことをして受けた罰をどんなに我慢しても、何の誉れにもなりません。しかし、正しいことをしたばかりに苦しみを受け、それを耐え忍ぶのは、神に喜ばれることです。
+ この苦しみは、神が与えてくださった務めでもあるのです。あなたがたのために苦しまれたキリストが見ならうべき模範となられました。この方について行きなさい。
+ キリストは一度も、罪を犯したり、偽りを語ったりなさいませんでした。
+ 侮辱されても、苦しめられても報復をせず、公平にさばかれる神にご自分をお任せになりました。
+ キリストは、私たちの罪をその身に負って、十字架上で死んでくださいました。そのおかげで、私たちは罪から離れ、正しい生活を始めることができたのです。キリストが傷つくことによって、私たちの傷はいやされました。
+ あなたがたは神から離れて迷子の羊のようにさまよっていましたが、今は、どんな敵の攻撃からもたましいを安全に守ってくださる、羊飼いである方のもとに帰ったのです。
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+ 妻は夫に従いなさい。たとえ今は、主のことばに耳を傾けようとしない夫であっても、あなたがたの敬虔な態度に打たれて、やがて信仰を持つようになるためです。神を敬う生活は、どんなことばよりも影響力があります。
+ 宝石やぜいたくな着物や、きれいな髪形で外見を美しく見せようとするよりも、
+ むしろ、やさしく、おだやかな心の持ち主となり、いつまでも色あせない魅力で、自分の内面を美しく飾りなさい。これこそ、神の目に価値あるものです。
+ 昔の敬虔な女性たちもこのような美しさを身につけ、夫に従っていたのです。
+ たとえばサラは、夫アブラハムを「主」と呼んで、彼に従いました。このサラに見ならいなさい。そうすれば、サラの信仰を受け継ぎ、正しい行いをすることになるのです。
+ 同じように夫も、妻を心にかけなさい。女性が男性よりも弱い者であることを意識して、いたわりなさい。神の祝福は、妻と共に受け継ぐべきものだと心得なさい。もし妻に対する態度が誤っていれば、あなたがたの祈りはむなしいものとなります。
+ あなたがた一同に言います。家族の一員としてお互いに思いやり、やさしい心と謙遜な思いで愛し合いなさい。
+ 人からの悪意に報復するのはやめなさい。侮辱されたからといって、口ぎたなくののしり返してはいけません。かえって、その人のために神の祝福を祈りなさい。あなたがたは、神の祝福を分け合う者とされているのです。
+ 幸福な生涯を送りたいなら、舌を抑えて、くちびるからうそが出ないようにしなさい。
+ 悪から遠ざかって、善を行いなさい。平和を追い求めて手に入れなさい。
+ 主は常に、自分の子どもたちを守り、その祈りに耳を傾けてくださいます。しかし悪を働く者には、主のきびしい顔が向けられているのです。
+ 善を行いたいと願うあなたがたに、だれが害を加えるでしょう。
+ かりにそのようなことがあっても、幸いと思いなさい。神があなたがたに報いてくださるからです。
+ 心を動揺させないで、ただ主キリストを信じなさい。もしだれかに、「なぜキリストを信じるのか」と尋ねられたら、いつでもその理由を話せるようにしておきなさい。ただし、おだやかに、真摯な態度で説明すべきです。
+ そして、正しいことを行いなさい。そうすれば、悪者呼ばわりする人たちも、やがて、あなたがたの正しい生き方に気づいて、自分たちの行為を恥じるでしょう。
+ いいですか。あなたがたが苦しむことが神の御心であれば、悪いことをして苦しみを受けるよりも、正しいことをして苦しみを受けるほうが、はるかにいいのです。
+ キリストも苦しまれました。罪を犯したことのない方であったにもかかわらず、私たち罪人のために死なれたのです。それは、肉においては死んでも、霊においては生かされて、私たちを神のもとに導くためでした。
+ そして、霊においてキリストは、捕らわれている霊を訪ね、神のことばを伝えました。
+ これらの霊とは、昔のノアの時代の者たちを指します。彼らはノアが箱舟を造っている間、神が忍耐して待っておられたにもかかわらず、神のことばを拒否しました。結局、わずか八人だけが箱舟の中で、水を通って救われたのです。
+ 〔これは、バプテスマ(洗礼)を指し示しています。私たちの受けるバプテスマは、キリストの復活による、死と滅びからの救いを意味します。それは、体の汚れを洗いきよめるものではなく、神に立ち返った私たちの心が罪からきよめられるものです。〕
+ 今、キリストは天で、神の右の座につき、すべての天使と天の軍勢を従えておられます。
+
+
+ キリストは肉体に苦しみを受けられたのですから、あなたがたも、いつ苦しみに会ってもよい心がまえでいなさい。肉体に苦しみを受けても、神に従い通した人は、罪とはっきり手を切りました。
+ こうしてあなたがたは、残りの人生を人間的な欲望の追求に費やすことなく、神の御心のままに生きるようになるのです。
+ かつて、あなたがたは異教徒がしたがるように、好色、肉欲、酔酒、遊興、偶像礼拝にふけっていました。もうそれで十分です。
+ 昔の仲間は、もうどんなに誘っても、あなたがたが悪い遊びに応じないのを見て、ずいぶん驚き、また、ばかにするかもしれません。
+ しかし、覚えておきなさい。彼らは、生きている者と死んだ者すべてをさばかれる裁判官の前で、罪を問いただされることになるのです。
+ だからこそ、福音は洪水で滅ぼされた人々にも伝えられたのです。それは、たとえ肉体には死の罰が下されても、霊においては神に生かされるためでした。
+ 世の終わりが近づいています。ですから、分別を持ち、身を慎んで祈りなさい。
+ 何よりも、互いに熱心に愛し合いなさい。愛は、多くの欠けた点を補うからです。
+ 食べる物に困り、宿のない人がいたら、気持ちよく家に迎え入れてあげなさい。
+ 神はあなたがた一人一人に賜物を与えておられます。それぞれに与えられた賜物によって、互いに助け合い、神からのあふれる恵みを他の人と分かち合いなさい。
+ 説教するために選ばれた人は、神があなたを通してじかにお語りになるように語りなさい。人に奉仕するために選ばれた人は、神が下さる力に満たされて人々を助けなさい。それは、すべてのことにおいて、イエス‧キリストを通して神がほめたたえられるためです。どうか、栄光と力がいつまでもキリストにありますように。アーメン。
+ 愛する皆さん。炎のように燃えさかる試練に直面しても、あわてたり、おじけづいたりしてはいけません。ふりかかる試練は、決して思いがけないものでも、異常なものでもないからです。
+ むしろ、その試練によってキリストと苦しみを分かち合えるのですから、喜びなさい。やがてキリストの栄光が現れる時、その栄光を共に受けて、すばらしい喜びを味わうためです。
+ もしクリスチャンであるばかりに、ののしられ、非難されるなら、あなたがたは幸いです。神の御霊がいっしょにいてくださるからです。
+ だれも、人殺しや盗みの罪に問われたり、問題を引き起こしたり、みだりに他人のことに首を突っ込んだりして、そのために苦しむことがないよう気をつけてください。そんなことが、私の耳に入らないようにしてください。
+ しかし、クリスチャンだという理由で苦しみを受けるなら、少しも恥じることはありません。それは、キリストの家族の一員として、キリストの名で呼ばれる特権を受けた証拠ですから、神をほめたたえなさい。
+ なぜなら、さばきの時がすでに来ているからです。しかもそのさばきは、神の家(教会)から始まるのです。このように、クリスチャンの私たちでさえさばかれるのなら、神に従わない人々には、どんなに恐ろしい運命が待ち受けていることでしょう。
+ 正しい人がかろうじて救われるのであれば、神を信じない人々は、いったいどんなことになるのでしょう。
+ ですから、あなたがたの今の苦しみが神の御心に添うものであるなら、なお続けて善を行いなさい。そして、あなたがたを造られた神に、すべてをお任せしなさい。神から見捨てられることは決してありません。
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+ そこで教会の長老(指導者)たちに、私も同じ長老の職にある者として、ひとこと言っておきます。私は、キリストの十字架上の死の目撃者として、また、再び来られるキリストの栄光を共に受ける者として、ぜひとも次のことをお願いしたいのです。
+ 神の羊の群れ(教会)を養いなさい。いやいやながらではなく、喜んで、その務めに当たりなさい。利益を求める気持ちからでなく、熱心に、喜んで、羊の群れを飼いなさい。
+ 支配的にふるまわず、良い模範を示して、彼らを指導するよう心がけなさい。
+ そうすれば、偉大な羊飼いであるキリストがおいでになる時、朽ちない栄光の冠を受けるのです。
+ 青年たちにも言います。長老たちの指導に従いなさい。みな、謙遜になって互いに仕え合うべきです。神は、高慢な者には敵対し、謙遜な者には恵みを与えられるからです。
+ あなたがたは、神の力強い御手の下で自分を低くしていなさい。ちょうどよい時に、神はあなたがたを高く引き上げてくださるでしょう。
+ 思いわずらいを、すべて神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。
+ 最大の敵である悪魔の攻撃に備えて、警戒しなさい。悪魔は、飢えてほえたけるライオンのように、引き裂くべき獲物を求めてうろつき回っているのです。
+ 信仰に堅く立って、悪魔の攻撃に立ち向かいなさい。ご存じのように、あらゆる地域のクリスチャンたちが、同じ苦しみを通っているのです。
+ キリストにあって、あふれるほど恵みを注いでくださる神は、しばらくの苦しみのあとで、あなたがたに永遠の栄光を与えてくださいます。神ご自身があなたがたを力づけ、しっかり立たせ、強めてくださいます。
+ どうか、神のご支配が永遠にありますように。アーメン。
+ この手紙を筆記してくれたのは、忠実な信仰の友シルワノです。私は、この手紙があなたがたを力づけるよう期待しています。なぜならここに、どうすれば神の恵みをいただけるかを記したからです。この手紙が、あなたがたを神の愛のうちにしっかりと立たせるのに役立つと信じます。
+ ローマにある教会が、よろしくと言っています。わが子マルコも、よろしくとのことです。
+ 互いに、愛に満ちたあいさつを交わしなさい。キリストを信じる皆さんに、平安がありますように。ペテロ
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+ イエス‧キリストのしもべであり、使徒であるシモン‧ペテロから、神であり救い主であるイエス‧キリストから与えられた、同じ信仰を持つ皆さんへ。
+ あなたがたは、神の恵みと平安をもっと多くいただきたいと願っているでしょう。それなら、イエス‧キリストについてもっと深く学んでください。
+ キリストを知れば知るほど、その偉大な力を通して、私たちが神に従う正しい生活を送るために必要なすべてのものをいただくことができるのです。そればかりかキリストは、ご自分の栄光と共に敬虔や品性をも、私たちに与えてくださるのです。
+ さらに神は、それによって、すばらしい約束を与えてくださいます。この約束のゆえに、私たちは欲望のもたらす滅びから守られ、キリストのご性質を備えた者となれるのです。
+ これらの贈り物をいただくために、あなたがたはあらゆる努力をして神を理解し、神が何を望んでおられるかを知らなければなりません。
+ また、自制心を持ち、忍耐と敬虔を身につけなさい。
+ さらに、兄弟愛を持って互いに愛し合い、神の愛に生きなさい。
+ これらが備われば、あなたがたはますます強められ、主イエス‧キリストのために多くの有益な働きができるのです。
+ しかし、これらのものを追い求めない人は、実を結ばない人です。そういう人は、神が正しい生活を送るようにと、過去の罪から救ってくださったことをすっかり忘れているのでしょうか。
+ ですから、愛する皆さん。ますます熱心に、自分がほんとうに神に招かれ、選ばれた者であることを確かなものとしてください。そうすれば、決してつまずくことなどありません。
+ そして神はあなたがたを、主であり救い主であるイエス‧キリストの永遠の国に迎え入れるために、門を広く開けてくださいます。
+ もちろん、こんなことは、すでによくわかっていることでしょうが、それでもなお、私はあなたがたに、いつもこれらのことを思い起こしてもらいたいのです。
+ 私の生涯も残り少なくなったことを、主イエス‧キリストから示されています。それで、この世にいる間に、これらの注意書きを送ろうと決心したのです。
+ 私が死んだあとにも、これらのことを忘れないように、あなたがたの心にはっきりと刻んでおきたいのです。
+ 主イエス‧キリストの力と再臨(キリストが再び地上に来られること)について話してきましたが、それは、私たちがうまく考え出した作り話ではありません。私はこの目で、キリストの輝きと栄光をはっきり見たのです。
+ キリストが聖なる山の上で、父なる神から誉れと栄光とを受けて輝かれた時、私はその場に居合わせました。その時、「これこそわたしの愛する子、わたしの大いなる喜び」と、栄光にあふれる厳かな声が天から響くのを、私ははっきり聞いたのです。
+ こうして私は、預言のことばが現実となるのを目のあたりにしました。そのことばは、暗い部屋をすみずみまで照らし出す明かりのようで、難解なまま、暗闇の中に置かれている多くのことがらに光をあて、理解させてくれるものです。そして、あなたがたのたましいに夜明けの光が差し込み、明けの明星であるキリストが心を照らしてくださるのです。
+ なぜなら、聖書にある預言のことばは、預言者がかってに考え出したものではないからです。それは、これら神を敬う人の心に住まれる聖霊がお授けになった、混じりけのない神からのことばなのです。
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+ しかし、預言者の活躍していた時代にも、偽預言者は現れました。同様に、あなたがたの中にも偽教師が現れます。彼らは滅びをもたらす異端をひそかに持ち込んで、自分たちを買い取ってくださった主まで否定しようとします。しかし、彼らを待っているのは、突然の恐ろしい最期です。
+ 多くの者が彼らの不道徳な教えにひかれ、そのためにキリストとその教えが非難されます。
+ 偽教師たちは貪欲で、人のふところをねらうためには、手段を選びません。しかし神は昔から、彼らをきびしく罰してこられました。彼らの滅びは確かです。
+ 神は天使でさえ、罪を犯した場合は少しも手加減せず、地獄に投げ込み、審判の日まで、ほら穴の暗闇に閉じ込めました。
+ また、神は昔、神を恐れない世界を赦さず、ノアとその家族の八人を除いて、大洪水によって滅ぼしました。
+ また、ソドムとゴモラの町を灰の山と変え、地上から消し去りました。それは、後世の不敬虔な者への見せしめであり、それによって、彼らが神を恐れるようになるためでした。
+ しかし、同時に神は、正しい人であったロトをソドムから救い出しました。ソドムに住んでいた彼は、毎日、人々の不道徳なふるまいを見て、良心を痛めていたからです。
+ このように、主は敬虔な者たちを誘惑から救い出し、神を恐れない人々には、最後の審判の日まで閉じ込めておかれるのです。
+ 汚れた情欲を燃やし、傲慢で主の権威を侮るような者には、主は特にきびしい態度で臨まれます。彼らは尊大に教会の指導者たちを非難して、恐れないのです。
+ それに比べて、天使たちははるかにまさる権威を持っていながら、主の御前で彼らを非難したりしません。
+ 偽教師たちはまるで、捕らえられて殺されるために生まれてきた理性のない動物と同じで、無分別です。彼らが滅ぼされるのは、目に見えています。
+ それが、偽教師を待つ運命です。彼らは、昼間から飲んだり騒いだりし、享楽にふけっています。彼らはしみや傷のようなもので、あなたがたの間では不名誉な面汚しです。
+ 彼らのみだらな行為は底なしで、その罪に濁った視線で、うわついた女性を誘惑しています。その貪欲の果てにわが身を滅ぼしてしまう、まさにのろわれた者たちです。
+ また彼らは、不正によって得た金を愛したベオルの子、預言者バラムのように、正しい道を踏み外してさまよい続けています。
+ もっともバラムは、狂った道をそれ以上進まないようにと、人間の声で語ったろばにとがめられました。
+ このような偽教師は、干上がった泉、風に吹き払われる霧のように、全く内実がありません。彼らを待っているのは暗闇です。
+ 彼らは臆面もなく、やっとの思いで罪の生活から足を洗った人たちを、肉の欲望や誘惑によって、もう一度罪に誘い込もうとしているのです。
+ 彼らはこう言います。「善人になったからといって、救われるとは限らないなら、いっそのこと、悪いことをしたほうがましじゃないか。やりたいことをやるのが自由というものだ。」このように、彼らは「自由」を教えながら、自分自身が罪と滅びの奴隷になっているのです。何かに支配されている人は、その奴隷なのです。
+ 主であり救い主であるイエス‧キリストを知り、この世の悪い生活からのがれた人が、またもとの罪の生活に舞い戻り、その奴隷となるなら、その状態は以前よりもっと悪くなるでしょう。
+ キリストを知ったあとで聖なる戒めにそむくくらいなら、キリストについて何も知らなかったほうが、彼らにとってよかったのです。
+ 古いことわざに、「犬は自分が吐いた物をなめる」「豚はいくら洗ってやっても、どろの中をころげ回る」とありますが、まさに罪の生活に舞い戻る人々のことではありませんか。
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+ 愛する皆さん。これは二通目の手紙です。私はこの二通の手紙で、あなたがたがすでに知っている事柄を、もう一度思い起こしてもらおうとしているのです。それは、昔の聖なる預言者たちが語ったことば、また使徒たちが伝えた、主であり救い主である方のことばです。
+ まず第一に思い出してほしいことは、終末の時代には、あざける者どもが現れ、真理をあざ笑い、思いつくかぎりの悪を行うということです。
+ 彼らはこんなことを言う議論のベテランです。「キリストがまた帰って来るという約束はどうなったのか。この世界は造られた最初の日から何も変わらないではないか。イエスが帰って来るなどということはありえない。」
+ そう言いはる彼らは、神がかつて、この世界を大洪水によって滅ぼされたという事実を見落としています。天は昔のままですが、神が最初に造られた地は、洪水によって滅びました。
+ しかし神は、今の天と地を、不敬虔な者たちのさばきの日に火で焼き滅ぼすため、そのまま残しておくようにされたのです。
+ 愛する皆さん。主にとって一日は千年のようであり、千年は一日のようです。
+ 再び主がおいでになるという約束がなかなか実現しないので、いったいどうなっているのかと思うかもしれません。しかし主は、いたずらに日を延ばしておられるのではありません。一人でも滅びないように、すべての人が悔い改めるために必要な時間を与えようと、忍耐して待っておられるのです。
+ しかし主の日は、盗人のように、思いがけない時にやって来ます。その時、天は恐ろしいとどろきと共に消えうせ、天体は焼けて崩れ落ち、地と地上のすべてのものは跡形もなく焼き滅ぼされてしまいます。
+ このように、これらのものがみな滅び去るのですから、私たちはどれほどきよく、敬虔な生活を送らなければならないことでしょう。
+ その日が来るのをただ待ち望むだけでなく、早めるようにしなければなりません。その日、神は天に火を放たれ、天体は燃えて溶け去ります。
+ しかし私たちは、そのあとに、神の目にかなう人々だけが住む、新しい天と地が用意されるという約束をいただいています。
+ 愛する皆さん。このようなことを待ち望んでいるあなたがたですから、罪を避けて生きることに精一杯励みなさい。また、すべての人と平和に過ごしなさい。
+ なぜ主が、こんなにも長く待っておられるのか考えてみなさい。主は、私たちが救いを伝える時間を与えておられるのです。学識の深い、愛する兄弟パウロも、多くの手紙の中で同じことを書いています。しかし彼の手紙はむずかしいところがあるので、中には的はずれの解釈をする者がいます。彼らは、聖書のほかの箇所もそうですが、パウロが言おうとしていることとは全く別の意味を引き出し、自分で滅びを招いているのです。
+ 愛する皆さん。あなたがたは、このことを前もって知っているのですから、偽教師たちの誤った考えに惑わされて、確固としたものを失わないようによく注意しなさい。
+ そして、主であり救い主であるイエス‧キリストをさらに深く知って、主の恵みと知識において成長しなさい。このキリストに、すべての栄光が、今も後も、永遠にいつまでもありますように。アーメン。ペテロ
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+ 私は、この世界が造られる前から存在しておられたキリストをこの目で見、そのことばをこの耳で聞き、その体にこの手でふれました。キリストは、神のいのちのことばです。
+ このいのちである方は私たちに現れ、私たちは確かにこの方を見ました。私が伝えたいのは、永遠のいのちである、このキリストのことです。キリストは初め、父なる神と共におられましたが、やがて私たちの前に姿を現されました。
+ 私たちは実際に見聞きしたことを伝えているのです。それは、あなたがたが私たちと同じように、父なる神やそのひとり子イエス‧キリストと交わることができる者となるためです。
+ この手紙を送るのは、あなたがたが喜びに満たされ、それによって私たちも共に喜びたいからです。
+ 神は光であられ、そのうちには少しも暗い部分がありません。これが、神が私たちにゆだねられた、あなたがたへの知らせです。
+ 神と交わりがあると言いながら、暗闇の中で生活しているなら、私たちはうそをついているのです。
+ しかし、神の光の中におられるキリストにならって、私たちも光の中で生活すれば、互いにすばらしい交わりを持ち、神の子イエスの血が私たちをすべての罪からきよめるのです。
+ もし自分には罪がないと言うなら、それは、自分のほんとうの姿から目をそらしているのであって、真理を受け入れようとしない証拠です。
+ しかし、もし自らの罪を神に告白するなら、神は真実な方ですから、その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます。
+ 潔白だと言いはるなら、自分がうそつきになるばかりか、神をもうそつき呼ばわりすることになります。なぜなら神は、「すべての人は罪を犯した」とはっきり宣言しておられるからです。
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+ 私の子どもたちよ。私がこう言うのも、あなたがたにいつも罪から離れていてほしいからです。しかし、もし罪を犯したとしても、父なる神の前で弁護してくださるイエス‧キリストがおられます。キリストはすべての点で正しく、神のお心に完全にかなった方です。
+ そして、私たちの罪ばかりでなく、全世界の罪に対する神の怒りを一身に引き受け、神との関係を回復させてくださいました。
+ 私たちが神に属していることを、どうすれば確かめられるでしょう。それは、神の命令を守っているかどうかです。
+ ある人が、「私はクリスチャンだ。キリストを知っている」と言っても、もしその人がキリストの命令に従っていなければ、うそをついているのです。
+ キリストのみことばを実行している人は、ますます神を愛します。それによって、キリストにつながっている人であるかどうかがわかります。
+ 自分はクリスチャンだと言う人は、キリストと同じ生き方をすべきです。
+ 愛する人たち。私は今、新しい戒め(神のおきて)をつくり出しているのではありません。これは、初めからある古い戒めであり、すでに何度も聞いているみことばです。
+ しかしこの戒めは、古くて常に新しいのです。キリストにおいても、あなたがたにとっても真理なのです。「互いに愛し合いなさい」という戒めを守る時、私たちの生活から暗闇は消え去り、新しいいのちの光が輝きます。
+ キリストの光の中を歩んでいると言いながら、兄弟(信仰を同じくする者)を憎む人は、相変わらず暗闇の中にいるのです。
+ 兄弟を愛する人は光の中を歩む者であり、つまずくことはありません。
+ しかし兄弟を憎む人は、暗闇の中をあてどなくさまよい、自分の行く先もわからない者です。暗闇のために、足もとさえよく見えないのです。
+ 子どもたちよ。このように書き送るのは、あなたがたの罪が、すでに救い主イエスの名によって赦されているからです。
+ 年長者たちよ。私がこう書き送るのは、あなたがたが、世の初めから生きておられるキリストを知っているからです。青年たちよ。私がこう語りかけるのは、あなたがたが悪魔との戦いに勝ったからです。少年たちよ。私がこう書き送るのは、あなたがたが父なる神を知ったからです。
+ 私があなたがたにこう語るのは、あなたがたが強い者であり、神のことばがそのうちにとどまり、悪魔との戦いに打ち勝ったからです。
+ この世と、この世のすべてのものに、心を奪われてはなりません。もし、それらを愛するなら、神を愛していないのです。
+ すべての世に属するもの――罪の性質から起こる欲望、性的な欲望、暮らし向きの虚栄心――は、神から出たものではなく、みな、この世の生み出したものです。
+ この世は、やがて滅び去ります。同時に、これらの禁じられた欲望も消滅します。しかし、常に神に従って歩む者は永遠に生きるのです。
+ 愛する子どもたちよ。この世の終わりが近づいています。すでに耳にしていたとおり、今や多くの反キリスト(キリストに敵対する者)が現れました。このことからも、終末の近いことは確かです。
+ キリストに敵対する者たちは、これまでずっと私たちの教会員のふりをしていましたが、ほんとうの仲間ではなかったのです。そうでなければ、教会にとどまり続けたはずです。彼らが出て行った時、私たちの仲間でなかったことが証明されたのです。
+ しかし、あなたがたは違います。あなたがたは聖霊が与えられて、すでに真理を知る者となっています。
+ ですから私は、あなたがたに真理を知らせなくてはならないと考えて、この手紙を書いているわけではありません。本物と偽物との区別ができる者となるよう注意を促しているのです。
+ では、一番のうそつきとはだれでしょう。イエスはキリスト(救い主)ではないと言う者、反キリストです。父なる神と神の子とを信じない者、それが反キリストです。
+ 神の子キリストを信じない人は、父なる神を自分の父とすることができません。しかし、信じる人は、父なる神を自分の父とできるのです。
+ ですからあなたがたは、初めから教えられてきたことを信じ続けなさい。そうすれば、父なる神や神の子と、共にいることができるのです。
+ これこそ、キリストから与えられた約束であり、永遠のいのちです。
+ これまで、私が反キリストについて注意を促してきたのは、あなたがたの目をごまかし、まちがった教えに引きずり込もうとたくらむ者に、だまされてほしくないからです。
+ しかし、あなたがたは聖霊をいただいています。聖霊が心のうちに生きておられます。ですから、何が正しいかを判断するのに、だれからも教えてもらう必要はありません。聖霊がすべてを指示してくださるからです。聖霊は真理であって、決して偽りを教えません。あなたがたは、聖霊の指示に従ってキリストのうちに生きるべきで、絶対に離れ出てはいけないのです。
+ そこで、私の子どもたちよ。いつも、主との親しい関係を保ちなさい。そうすれば、キリストが帰って来られる時、主にお会いするのをためらったり、恥じたりしないですむでしょう。
+ 私たちは、神が正しい方であり、正しいことだけを行われると知っています。ですから、正しい行いをする者はみな、神の子どもだと判断できるのです。
+
+
+ 天の父は、どんなに私たちを愛しておられることでしょう。私たちを、ご自分の子どもとして受け入れてくださったほどです。考えてもごらんなさい。神の子どもとされたのです。ところが、神を知らない多くの人は、当然、私たちが神の子どもであることを理解できません。
+ 愛する人たち。私たちは、もうすでに神の子どもなのです。これから先のことは想像もつきませんが、ただこの一事だけはわかっています。つまり、キリストが再び来られる時、私たちはキリストに似た者となるということです。その時、キリストのありのままの姿を見るからです。
+ このことをほんとうに信じる人はみな、自分の身を、いつもきよく保とうと心がけます。キリストはきよいお方だからです。
+ 罪を犯し続ける人は、神に逆らっているのです。罪はすべて、神のお心に反する行為だからです。
+ あなたがたは、キリストが人間となられたのは、私たちの罪を取り除くためであったことをよく知っています。また、キリストは何の罪も犯さず、どんな時にも、神のお心からそれなかったことも知っているはずです。
+ ですから、もし私たちが、いつもキリストのそば近くにおり、従順に従うなら、罪を犯し続けたりしないですみます。罪を犯す人々は、真の意味でキリストを知らず、キリストのものとなっていないからです。
+ 愛する子どもたち。このことで、だれにも惑わされてはいけません。もし、あなたがたがいつも善を行っているなら、キリストと同じように正しく歩んでいるのです。
+ しかし、もし依然として罪を犯し続けるなら、それは悪魔の子になり下がった証拠です。悪魔は、初めの罪以来、ずっと罪を重ねてきました。神の御子は、この悪魔のしわざを打ち破るために来られたのです。
+ 神の家族の一員として新しく生まれた人には、神のいのちが宿っているので、もはや罪を犯す習慣はありません。新しいいのちに支配されているので、罪を犯し続けることができないのです。その人は神によってもう一度生まれたのです。
+ そこで今、私たちは、神の子どもと悪魔の子どもとを、はっきり見分けることができます。罪の生活を送り、兄弟であるクリスチャンを愛さない者は、自分から神の家族ではないと証明しているようなものです。
+ 私たちは初めから、「互いに愛し合いなさい」と教えられてきたからです。
+ カインのようになってはいけません。カインは悪魔の子どもになって、弟を殺しました。弟の正しい生活と比べて、自分の生活があまりにも悪いと自覚していたからです。
+ ですから、皆さん。たとえ全世界があなたがたを憎んでも、驚いてはいけません。
+ ほかの兄弟(信仰を同じくする者)を愛しているなら、自分が霊の死から救われ、いのちを与えられたことを確信できます。そうでない者は、その死にとどまっているのです。
+ だれでも兄弟を憎む者は、心の中で人殺しをしているのです。言うまでもないことですが、人殺しをする者に永遠のいのちはありません。
+ キリストは、私たちのために進んでいのちを捨ててくださいました。そのことによって、私たちは愛を知ったのです。ですから、私たちも兄弟のために、いのちを捨てるべきです。
+ 自分ではぜいたくに暮らしていながら、困っている兄弟がいても、見て見ぬふりをするとしたらどうでしょう。どうして、その人に神の愛があると言えるでしょう。
+ 子どもたちよ。口先だけで人を愛するのではなく、真実をこめて愛し、実践によって神の愛を示そうではありませんか。
+ そうすれば、自分が神の側に立っていることを強く確信し、主の前に平安があるのです。
+ たとえ心に責められることがあってもです。
+ しかし、愛する人たち。もし私たちの良心が潔白であれば、完全な確信と信頼を持って主の前に出ることができます。
+ また、願い求めるものは何でもいただけるのです。なぜなら、私たちは主に従い、主に喜ばれる行いをしているからです。
+ 神の命令には、喜んで従わなければなりません。つまり、御子イエス‧キリストの名を信じ、互いに愛し合わなければなりません。
+ 神の命令に喜んで従う人は、神と共にいるのです。そして、神もその人のそばにいてくださるのです。これは、神が私たちに与えてくださった聖霊によって教えられることです。
+
+
+ 愛する人たち。だれかが、「これこそ神の教えです」と言っても、それをうのみにして信じてはなりません。まず、それが確かに神から出たものかどうかを試しなさい。多くの偽教師があちこちに現れているからです。
+ 彼らのことばが、聖霊から出たものかどうかを確かめる方法があります。それは、神の子イエス‧キリストが人間となって来られたことを、その人が認めるかどうかです。もしそのことを認めるなら、彼のことばは神から出たものと信じていいでしょう。
+ しかし、そうでなければ神から出たものではなく、明らかに反キリストであり、キリストに敵対する者から出ているのです。この反キリストが出現することは、以前から聞かされていたはずです。彼らは今、至る所で、キリストへの敵意をむき出しにしています。
+ 愛する子どもたち。あなたがたは神の側につく者として、キリストに敵対する者と戦い、すでに勝利を収めてきました。それは、あなたがたのうちに、この世にいるどんな悪い教師よりも、はるかに強い方がおられたからです。
+ 敵対者たちはこの世につく者であり、この世のことばを語るので、この世の人たちも彼らに関心を寄せるのです。
+ しかし、私たちは神の子どもです。いつも神と共にいて、神に親しんでいる人だけが、私たちのことばに耳を傾けるのです。そうでない人は耳を貸しません。このことからも、神から出たことばを語っている人かどうかを見分けることができるのです。
+ 愛する人たち。互いに愛し合いましょう。愛は神から出ています。ですから、愛のある人は、その行いによって、自分が神の子どもであることを明らかにし、ますます神を知るようになるのです。
+ 反対に、愛のない人に神はわかりません。なぜなら神は愛だからです。
+ 神は、かけがえのないご自分のひとり子をこの世に遣わし、そのひとり子の死によって、私たちに永遠のいのちを与えてくださいました。そのようにして、どんなに私たちを愛しておられるかを示されたのです。
+ 神に対する私たちの愛ではなく、私たちに対する神の愛によって、私たちの罪へのなだめとして、神のひとり子が遣わされました。ここに真の愛があるのです。
+ 愛する人たち。神がこれほどまでに愛してくださったのですから、私たちもまた、互いに愛し合おうではありませんか。
+ 私たちは、だれも神を見たことがありません。しかし、互いに愛し合う時、神は私たちの心の中に住んでくださり、心の中にある神の愛を、なおいっそう強めてくださるのです。
+ 神は、私たちの心に聖霊を与えてくださいました。それによって、私たちは神と共に生き、神も私たちと共に歩んでくださることがわかります。
+ さらに私たちは、神がひとり子を世の救い主として遣わされたのをこの目で見、それを、いま全世界に伝えています。
+ イエスを神の子と信じ、それをはっきり告白する人のうちには、神が生きておられます。そして、その人も神と共に歩んでいるのです。
+ 私たちは、自分がどんなに神に愛されているか知っています。現に、神の愛を身近に感じ、また、私たちを心から愛すると言われた神を信じているのです。神は愛です。愛のうちに生きる人は神と共に生きるのであり、神もまた、その人のうちに生きておられるのです。
+ キリストと共に歩む時、私たちの愛は成長し、いっそう完全なものとなっていきます。そうすれば、さばきの日に恥じ入ったり、うろたえたりしないですみます。それどころか、確信と喜びにあふれて、主の御顔を見ることができるのです。私たちはキリストと愛で結ばれているからです。
+ ですから、私たちを心から愛してくださる方を、どうして恐れる必要がありましょう。もし恐れがあるなら、それは、神が私たちに何をなさるのか不安をいだいているからです。神の完全な愛は、そんな恐れをすべて取り除きます。恐れている人は、神の愛をまだ十分理解していないのです。
+ 私たちが神を愛することができるのは、神がまず私たちを愛してくださったからなのです。
+ もし、「私は神を愛しています」と言いながら、兄弟であるクリスチャンを憎み続ける人がいれば、その人はうそつきです。目の前の兄弟を愛せない人が、どうして、見たこともない神を愛せるでしょう。
+ ですから神を愛する者は、兄弟をも愛すべきです。これは、神が命じておられることです。
+
+
+ イエスはキリストである、すなわち、神の子であり救い主であると信じるなら、その人は神の子どもです。父なる神を愛する人はみな、神の子どもたちを愛するはずです。
+ そういうわけで、あなたがたがどれだけ神を愛し、従っているかで、神の子どもたちに対する愛がわかるのです。
+ 神を愛するとは、そのご命令を守ることです。決してむずかしいことではありません。
+ 神の子どもたちはみな、神に従います。そして、キリストに信頼することによって、この世の悪に打ち勝つことができるのです。
+ イエスを神の子であると信じる人以外に、世との戦いに勝てる人はいません。
+ 私たちは、イエスが神の子であると知っています。なぜなら、イエスがバプテスマ(洗礼)を受けられた時、そして、イエスが十字架の死を目前にされた時、天からの神の声がそのことを証言したからです。さらに、永遠に真実である聖霊も、そう証言しておられます。ですから、私たちには三つの証言があるわけです。すなわち、イエスのバプテスマの時の天の声、イエスの死を目前にした時の天の声、聖霊の声です。この三つが一致して、イエス‧キリストは神の子であると証言しているのです。
+ 私たちが法廷で証人のことばを信じるのなら、神の証言はなおさら信じられるはずです。神ご自身がはっきりと、イエスは神の子であるとあかししておられるのですから。
+ このことを信じる人は、心でそう確信しています。信じない人は、神を偽り者と言っているのです。イエスについての神の証言を信じようとしないからです。
+ 神の言われたこととは、神が私たちに永遠のいのちを与えてくださったこと、そして、永遠のいのちが神の御子のうちにあるということです。
+ そういうわけで、神の子を信じる人にはいのちがあり、信じない人にはいのちがないのです。
+ すでに神の御子を信じているあなたがたにこのように書き送るのは、あなたがたが永遠のいのちを持っていることを、よく自覚してもらいたいからです。
+ 私たちは、神の御心にかなうことを願い求めるなら、いつでもその願いを聞いていただけると確信しています。
+ 私たちの願いに確かに神が耳を傾けてくださっているとわかれば、神は必ずその祈りに答えてくださると確信できるのです。
+ もし、罪を犯している兄弟を見たら、神に願いなさい。それが取り返しのつかない罪でなければ、いのちを失うことはありません。しかし、死に至る罪があります。そのような罪にはまり込んでいる人に対しては、願っても無意味です。
+ もちろん、すべての悪が罪であることに違いはありませんが、死に至る罪があるのです。
+ 神の家族の一員とされている人は、罪を犯す習慣はありません。神の御子にしっかりと支えられているので、悪魔は手出しできないのです。
+ 私たちは神の子どもですが、回りの世界は悪魔の支配下にあることを知っています。
+ また、神の御子が来て、私たちに真の神を知る力を与えてくださったことも知っています。ですから私たちは、神の御子イエス‧キリストによって、真実な方のうちにいるのです。この方こそ、真実の神であり、永遠のいのちです。
+ 愛する子どもたちよ。神に取って代わる心の中の偶像から、自分自身を守りなさい。 ヨハネ
+
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+
+
+ 教会の長老ヨハネから、選ばれた夫人とその子どもたちへ。私は、あなたがたを心から愛しています。そして、あなたがたは、私だけでなく、教会員にも心から慕われています。
+ 私たちの心のうちにはいつも真理が宿っているので、
+ 父なる神とそのひとり子イエス‧キリストが、恵みとあわれみと平安とを注いで、私たちを祝福してくださるのです。
+ あなたの子どもたちの中に、真理に従って歩み、神の命令どおりに正しく生活している者がいるのを知って、非常にうれしく思っています。
+ そこで夫人よ。もう一度、思い起こしてほしいことがあります。それは、初めから与えられていた、「互いに愛し合いなさい」という神の戒めです。
+ もし私たちがほんとうに神を愛しているなら、その命令に喜んで従うはずです。神は最初から、互いに愛し合うようにと命じておられるのです。
+ 偽教師があちこちに出現していますから、くれぐれも注意してください。彼らは、イエス‧キリストが私たちと同じ肉体を持った人間として世に来られたことを信じないのです。彼らは真理にそむく者であり、キリストに敵対する者です。
+ 彼らと同じ道をたどって、これまでの労苦が水のあわとならないようお願いします。あなたがたには、ぜひとも、主から十分な報いを受けてもらいたいのです。
+ キリストの教えからはずれて、それを守ろうとしない者は、神のものではありません。しかしキリストの教えにとどまっている者は、父なる神と御子を自分のうちに持っているのです。
+ あなたがたを訪問する人の中で、まちがった教えを説こうとたくらんでいる者たちを、絶対に迎え入れてはいけません。まして、彼らを励ますようなまねは、いっさいやめなさい。
+ そんなことをすれば、自分から悪の仲間入りをするはめになるのです。
+ あなたがたに忠告したいことはまだまだありますが、こうして手紙に書くだけにはしたくありません。一日も早くそちらへ行って、直接これらのことについて語り合い、共に楽しい時を過ごしたいからです。
+ 神に選ばれているあなたの姉妹の子どもたちから、よろしくとのことです。 ヨハネ
+
+
+
+
+ 長老ヨハネから、愛するガイオへ。
+ ガイオよ。私は、あなたがすべての点で栄え、たましいも体も健全であるようにと祈っています。
+ 旅行の途中でこちらに寄った人たちが、あなたの良い消息を聞かせてくれたので、とても喜んでいます。彼らは、あなたがいつもきよく、真理に歩んでいると報告してくれました。
+ 私の子どもたちのことで、こんな知らせを聞くことほど、大きな喜びはありません。
+ ガイオよ。あなたは、旅行中の教師や伝道者をもてなしてくれているそうですね。さぞかし、神はお喜びでしょう。
+ あなたの世話になった人たちが、こちらの教会に立ち寄って、あなたの友情と愛にあふれたもてなしについて話してくれました。あなたが物惜しみせず、心からもてなし、彼らを次の旅へ送り出してくれることは、私にとってもたいへんうれしいことです。
+ それは主のための旅行であり、人々に主を伝えに行くのですから、信者でない人に世話をしてもらうわけにはいきません。
+ ですから、私たちが協力してもてなすべきです。そうすれば、いっしょに主の働きに参加していることになるのです。
+ この件について、私はそちらの教会あてに短い手紙を送っておきました。ところが、自分を指導者として売り込もうとねらっているデオテレペスが、私の権威を認めず、私の忠告を聞き入れようとしないのです。
+ 今度そちらに行ったら、彼のしている行為を指摘するつもりです。そうすれば、彼がどんなにひどいことばで私たちを中傷しているかわかるでしょう。彼は、自分が旅行中の伝道者を歓迎しないばかりか、ほかの人にもそうさせないのです。そして、言うことを聞かない人々を、教会から追い出そうとしています。
+ ガイオよ。デオテレペスのような悪い者にならわず、良い行いをするよう心がけなさい。正しいことを行う人は、神の子どもであることを自ら証明しており、いつも悪の道を歩む者は、神から遠く離れていることを自ら示しているのです。
+ しかしデメテリオは、だれからも評判の良い人です。彼は、彼自身の告白する真理の中に生きています。私たちも彼を高く買っています。私のことばにうそはないことを、あなたはよくご存じのはずです。
+ 言いたいことは山ほどありますが、書くだけにはしたくありません。
+ まもなくそちらであなたに会い、思う存分語り合うつもりです。
+ では、ひとまず筆を置きます。こちらの友人たちから、よろしくとのことです。そちらの人たちにも、くれぐれもよろしくお伝えください。ヨハネ
+
+
+
+
+ イエス‧キリストに仕えているヤコブの兄弟ユダから、各地のクリスチャンの皆さんへ。あなたがたは、神に選ばれ、イエス‧キリストに守られている人たちです。
+ どうか、神の恵みと平安と愛とが、ますます豊かに与えられますように。
+ 愛する皆さん。私は前々から、神が与えてくださった救いについて、幾つかのことを手紙で書き送りたいと願っていました。ところが今、それとは別のことを書き送らなければなりません。それは、神を信じるすべての者に与えられた真理のことばを守るために、勇敢に戦ってほしいということです。
+ こう言うのも、実は、神を恐れない者たちが、あなたがたの中に忍び込んで来たからです。彼らの主張はこうです。「クリスチャンとなったからには、もう神のさばきなど、くよくよ考える必要はない。何でも自由にやりたいことをやればいい。」彼らはずっと昔から、聖書に書かれているとおりの運命をたどる者たちで、私たちのただひとりの支配者であり主であるイエス‧キリストを否定しているのです。
+ 私の答えはこうです。とうにわかっているでしょうが、あなたがたに思い出してもらいたいのです。主は、イスラエルの全民衆をエジプトから救い出し、そのあとで、主に信頼せず従いもしなかった者を一人残らず殺してしまわれた、という事実をです。
+ また、もう一つ心にとめてほしいことがあります。それは、かつては汚れなく、きよい存在であったにもかかわらず、罪に堕落していった、あの天使たちのことです。神は、彼らを審判の日まで鎖につなぎ、暗黒の牢獄に閉じ込めてしまわれました。
+ また、ソドムとゴモラ、およびその周辺の町々に起こったことも忘れてはなりません。これらの町は、同性愛やあらゆる種類の好色に満ち、そのために、永遠の刑罰の火で焼き滅ぼされたのです。これらのことは、最後のさばきがあることを、後世の人々に知らせる警告となったのです。
+ それにもかかわらず、偽教師は臆面もなく、邪悪で不道徳な生活にふけっています。みだらな行為によって自分の肉体を汚し、神の権威を軽んじ、さらに天使をも非難しているのです。
+ 天使として最高の権威を持つミカエルでさえ、モーセの体について悪魔と言い争った時、あえて相手をののしったり、あざけったりはせず、「主がおまえをとがめてくださるように」と言っただけではありませんか。
+ しかし、あの偽教師たちときたら、自分にもわからないことを非難し、ののしっています。まるで動物のように、したいほうだいのことをして、自分のたましいを永遠の滅びへと追いやったのです。
+ 災いが彼らに下りますように。カインやバラムやコラと同じ道をたどっているからです。
+ こういう者たちが、教会での愛の会食に加われば大きな汚点を残します。彼らは、他人のことなどおかまいなしに大声で笑ったり、ふざけたりしながら、むさぼり食うのです。まるで、からからに乾ききった大地の上を、一滴の雨も降らせずに通り過ぎる雲のようです。大いに期待させるだけで、何の役にも立ちません。また、彼らは収穫の時期になっても、実一つつけない木に似ています。その状態はただの死ではなく、二重の死を意味します。彼らは根こそぎ引き抜かれて、焼かれるしかないのですから。
+ 彼らがあとに残すのは、海岸に打ち寄せる荒波が残していく、汚いあぶくのような恥と不名誉だけです。彼らは一見、夜空に輝く星のように見えますが、その先には、神が用意された永遠の暗闇があるだけです。
+ 最初の人アダムと近い年代に生きたエノクも、彼らのことを知っていて、「見よ。主が幾百万の聖徒を連れて来られる。
+ 主は全世界の人を自分の前に立たせて、正当な刑罰を宣告される。その時、彼らの神に対する恐るべき反逆行為の数々と、神に刃向かうことばのいっさいが明るみに出される」と預言しています。
+ 彼らはいつも不平を言うだけで、ただ欲望のままに歩んでいます。どんな悪事でも平気で行い、大口をたたき、彼らが少しでも人をほめるとすれば、相手から何かをもらおうという魂胆がある時だけです。
+ 愛する皆さん。主イエスの使徒たちから教えられたことを、思い出してください。
+ 終末の時代には、主をあざける者たちが現れるはずではありませんか。彼らの生きがいは、思いつくかぎりの悪を行うことです。
+ 彼らはこの世の悪を愛し、人々をあおりたてて議論をしかけ、分裂させます。彼らの心の中には、聖霊が住んでおられないのです。
+ しかし、愛する人たち。あなたがたは、今のきよい信仰を土台として、自分の生活をしっかり打ち立てなければなりません。そして、聖霊の力と励ましを受けて祈り、
+ いつも神の愛のうちにいなさい。そうすれば、神から祝福がいただけます。永遠のいのちに至らせる、主イエス‧キリストの恵みを待ち望みなさい。
+ 偽教師の惑わしに悩まされ、神の真理を疑う人々を心にかけなさい。
+ そういう人々を、地獄の火から奪い取って救い出しなさい。あるいは、親切にして、彼らが主を見いだすよう助けてあげなさい。しかし、彼らの罪に引きずられてはなりません。罪人である彼らに心はかけても、罪そのものは憎みなさい。
+ あなたがたをつまずきから守り、罪のない完全な者とし、大きな喜びをもって栄光に輝く神の前に立てるようにしてくださる方に、すべての栄光がありますように。私たちの救い主であるただひとりの神に、栄光と尊厳、あらゆる力と権威が、今も、これから後も、いつまでもありますように。アーメン。ユダ
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+ この書物は、イエス‧キリストについて、すぐにも起ころうとする出来事を書いたものです。それらは今までベールにおおわれていましたが、神の許しを得て、キリストが神のしもべヨハネに、幻によって示してくださったのです。その時、天から遣わされた天使が、この幻の意味を説き明かしたので、
+ 私ヨハネは、それを一つ残らず書きとめました。すなわち、神とイエス‧キリストのことばと、自分が見聞きした、すべてのことを書きとめたのです。
+ この預言のことばを教会で朗読する人と、それを聞いて、書かれていることを心にとめる人は幸いです。この預言が、もうすぐ実現しようとしているからです。
+ ヨハネから、アジヤ州にある七つの教会の、愛する皆さんへ。今も昔も存在し、やがて来られる神から、またその王座の前におられる七つの霊から、
+ さらに、私たちにすべての真理を忠実に示してくださるイエス‧キリストから、恵みと平安とがあなたがたに注がれますように。このイエス‧キリストは、使者の中から最初に復活された方であり、二度と死ぬことのない方です。この方は、地上のどの王よりもはるかに偉大で、私たちに変わらぬ愛を注ぎ、罪から解放するために、自分の血を流してくださいました。
+ またこの方は、私たちを神の国の民として集め、父なる神に仕える祭司としてくださいました。イエス‧キリストが永遠にほめたたえられますように。そのご支配が永遠に続きますように。アーメン。
+ 見なさい。この方が、雲に乗っておいでになります。その時、すべての人の目が、特に、この方を突き刺して殺した者たちの目が、この方に注がれるでしょう。人々はみな、恐れと悲しみのあまり激しく泣きます。そのとおりです。アーメン。
+ 今も昔も存在し、やがて来られる全能の主なる神が、こう言われます。「わたしはあらゆることの初めであり、終わりである。」
+ この手紙を書いているのはあなたがたの兄弟ヨハネで、私もまた、あなたがたと共に主のために苦しみ、忍耐を共にし、教えられ、そして、御国に入る権利をいただいている者です。ヨハネの見た幻私は、神のことばを宣べ伝え、また、イエス‧キリストがなさったことを告げ知らせたために、パトモス島に流されています。
+ さて、ある主の日(日曜日)のことでした。私が礼拝をしていると、突然、うしろから大きな声が聞こえたのです。まるでラッパの響きのようで、
+ こう語りかけました。「わたしは初めであり、終わりである。これからあなたの目に映ることを書き記し、アジヤにあるエペソ、スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、フィラデルフィヤ、ラオデキヤの七つの教会に送りなさい。」
+ いったいだれだろうとふり向くと、私のうしろに七つの金の燭台がありました。
+ そして、その燭台の真ん中に、一人の人が立っていました。その方は、「人の子」と呼ばれるイエスのようであり、長い衣をまとって、胸には金の帯を締めていました。
+ その髪は羊毛か雪のように真っ白で、目は燃える炎のように、鋭く光っていました。
+ 足は、みがきあげられた真鍮のように輝き、声は、海岸に押し寄せる大波のとどろきのようでした。
+ この方は、右手に七つの星をつかみ、口には鋭い両刃の剣をくわえ、顔は澄みきった青空の太陽のように輝いていました。
+ それを見た時、私はその足もとに倒れて、死んだようになりました。しかしその方は、私に右手を置いて、こう言われたのです。「恐れてはいけない。わたしは初めであり、終わりです。死んでのち復活し、今は永遠に生きる者となり、死と地獄とのかぎを持っています。
+ いま見たこと、また、引き続き示されることを書きとめなさい。
+ わたしの右手にある七つの星と、七つの金の燭台の意味を教えましょう。七つの星は七つの教会の指導者たち、七つの燭台は七つの教会を指します。
+
+
+ エペソにある教会の指導者あてに、次のように書き送りなさい。『七つの教会を巡り、右手で七つの教会の指導者を支えておられる方が、こう言われます。
+ 「わたしは、あなたの多くの良い行いと、わたしのための労苦と忍耐とを、これまで見てきました。また、教会内の罪に目をつぶらず、使徒と自称しながら実はそうでない者のうそを注意深く調べて、見破った事実を知っています。
+ あなたはわたしのために、どんな時もじっと耐え、決してくじけませんでした。
+ しかし、一つだけ非難すべき点があります。それは、あなたがわたしを、初めのころのように愛していないことです。
+ どうしてそうなったのか胸に手を当てて考え、初めの愛に立ち返って、以前のように励みなさい。さもないと、わたしは行って、あなたの燭台(教会)を諸教会の中から取り除きます。
+ しかし、ほめられるところもあります。あなたが、わたしと同じように、ニコライ派(異端の一派)の人々のみだらな行いを憎んでいることです。
+ 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることを、よく聞きなさい。わたしは勝利を得る者に、神のパラダイスにある、いのちの木の実を食べさせます。」』
+ スミルナにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、初めであり、終わりであり、死んでのち復活された方からのものです。
+ 「わたしは、主のためにあなたが、どんなにひどい苦しみと貧しさに耐えてきたかを知っています。〔しかし、実際は天に宝を得ているのです。〕さらに、自分こそユダヤ人(神に選ばれた者)だと主張する人々から、白い眼で見られ、非難されてきたことも知っています。しかし、あの人たちは悪魔の仲間であって、真のユダヤ人ではありません。
+ これから先、出会うことになる苦しみを、恐れてはなりません。悪魔は、信仰を試そうとして、まもなく、あなたがたのうちの何人かを牢獄に投げ込むでしょう。そして、あなたがたは十日間、苦しむことになります。しかし、たとえ死に直面するようなことになっても、最後までわたしに忠実でありなさい。そうすれば、いのちの冠(終わりのない栄光の未来)をあげましょう。
+ 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることを、よく聞きなさい。勝利を得る者は、決して第二の死(最終的な滅び)によって危害を受けません。」』
+ ペルガモにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、鋭い両刃の剣をふるう方からのものです。
+ 「わたしは、あなたを取り巻く環境をよく知っています。そこには憎むべき悪魔の王座があり、悪魔礼拝が盛んです。それでも、あなたはいつも、わたしに従順でした。わたしの忠実な証人アンテパスが、悪魔の弟子の手にかかって殉教した時も、あなたはわたしを捨てませんでした。
+ しかしなお、二、三の非難すべき点があります。教会の中で、バラムの信奉者を見過ごしにしているではありませんか。バラムは昔バラクに入れ知恵し、イスラエルの民を性的な罪に巻き込み、偶像礼拝に走らせて、滅びに追いやろうとたくらみました。
+ あなたの教会にも、そのバラムに従う者が巣くっています。
+ だから、心と態度を改めなさい。さもないと、わたしはすぐにでも行って、口の剣で彼らと戦います。
+ 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることを、よく聞きなさい。勝利を得る人は天からの食べ物が与えられ、また、めいめいに白い石が与えられます。その石には、本人以外はだれも知らない、新しい名前が刻まれています。」』
+ テアテラにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、燃える炎のような目と、真鍮のように輝く足を持つ、神の子からのものです。
+ 「わたしは、あなたが貧しい人々に親切にし、物資を援助し、めんどうを見てあげたことを知っています。また、あなたの愛と信仰と忍耐とを知っています。そして、これらの点で、着実に成長していることも認めています。
+ しかしなお、非難すべき点があります。あのイゼベルという女を放任しているではありませんか。自ら女預言者と称しているあの女は、不品行など大した罪ではないと、クリスチャンをそそのかしています。しかも、そう口にするだけでなく、実際に不品行を行わせ、偶像への供え物の肉を食べさせようとしているのです。
+ わたしは悔い改める機会を与えましたが、あの女は拒みました。
+ さあ、今、わたしのことばに耳を傾けなさい。わたしはあの女を、激痛を伴う病気にし、彼女の不道徳にならう者も、罪を悔い改めてわたしのもとへ戻らなければ、同じ目に会わせます。
+ また、あの女の子どもたちも打ち殺します。こうしてすべての教会は、わたしが人の心と思いを見通すことを知るのです。わたしは一人一人に、それぞれの行いに応じて報います。
+ テアテラの教会の中で、この誤った教え〔この教えの支持者たちは、これを「深い真理」と呼んでいますが、実際には悪魔の落とし穴です〕に毒されていない人々については、これ以上、何も問いただすつもりはありません。
+ ただ、わたしが行くまで、いま手にしているものをしっかり握りしめていなさい。
+ 勝利を得る者、すなわち、最後までわたしの働きを全うする者に、諸国民を支配する権威を与えます。
+ 父なる神からそれを与えられたわたしにならって、あなたは、鉄の杖で人々を治めるのです。彼らは、砕けた陶器のように粉みじんになるでしょう。
+ また、あなたに明けの明星を与えます。
+ 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることに耳を傾けなさい。」』
+
+
+ サルデスにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、神の七つの霊と七つの星を持つ方からのものです。「あなたは生き生きした活動的な教会だと言われていますが、実は死んだ状態にあることを、わたしは知っています。
+ だから目を覚ましなさい。死の一歩手前まで来ている、残された者たちを力づけなさい。あなたの今までの行いは、どう見ても、神の前に正しくありません。
+ 最初に聞いたこと、また、信じたことを思い出しなさい。それをしっかり守って、もう一度、わたしに心を向けなさい。さもないと、わたしは盗人のように、思いがけない時にあなたを襲って、罰します。
+ しかしなお、サルデスの教会には、この世の汚れに染まっていない少数の人々がいます。その人々は白い衣を着て、わたしと共に歩みます。彼らには、その資格があるからです。
+ 勝利を得る者はみな、白い衣をまといます。わたしは、その人の名をいのちの書から消し去らず、父と天使の前で、彼らはわたしのものであるとはっきり宣言します。
+ 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることに耳を傾けなさい。」』
+ フィラデルフィヤにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、きよく真実な方、ダビデのかぎを持つ方からのものです。この方が、そのかぎで開くとだれも閉じることができず、閉じるとだれも開けることができません。
+ 「わたしは、あなたをよく知っています。あなたは決して強くはありませんが、わたしの教えを守ろうと努力し、わたしの名を否定しませんでした。それで、あなたの前に、だれも閉じることのできない門を開いておきました。
+ よく見なさい。神の民だと自称しながら〔実はそうではなく〕悪魔に味方する者を、わたしはこのような目に会わせます。彼らをあなたの足もとにひれ伏させ、あなたに対するわたしの愛を明らかにします。
+ あなたは迫害にもめげず、じっと忍耐して、わたしの教えに従ってきました。それで、すべての人間を試すために全世界に襲いかかる苦しみと試練の時に、わたしはあなたを守ります。
+ 見なさい。わたしはすぐに来ます。いま手にしているわずかなものを、しっかり握りしめていなさい。自分の冠をだれにも奪われないためです。
+ わたしは、勝利を得る者を、わたしの神の神殿の柱とします。そこは安全で、もはや追い出されたりしません。わたしはその人に、神の名を刻みます。そして、神の都、すなわち、天の神のもとから下って来る新しい都エルサレムの市民とします。こうして彼は、わたしの新しい名を刻まれるのです。
+ 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることに耳を傾けなさい。」』
+ ラオデキヤにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、確固として立つ方、忠実で、過去、現在、未来にわたって存在する万物の真の証人である方、神に造られたものの根源である方からのものです。
+ 「わたしは、あなたをよく知っています。あなたは冷たくもなく熱くもありません。むしろ、冷たいか熱いかの、どちらかであってほしいのです。
+ しかし、なまぬるいだけなので、わたしは口から吐き出します。
+ あなたは、『私は金持ちだ。ほしいものは何でも手に入るし、もうこれ以上望むものはない』とうそぶいています。しかし、そんなあなたは、ほんとうにあわれで、みじめで、貧しくて、盲目で、おまけに裸同然であることに気づいていないのです。
+ 忠告しておきます。真に豊かな者になるために、火で精錬された純金をわたしから買いなさい。また、裸の恥をさらさないために、しみ一つない清潔な白い衣をわたしから買いなさい。また、見えるようになるために、わたしから目につける薬を買いなさい。
+ わたしは愛する者を絶えず訓練し、しかったり、懲らしめたりします。ですから、もし神に対して熱い心を持たなければ、わたしの罰を受けることになります。
+ 見なさい。わたしは戸の外でたたいています。その呼びかけにこたえて戸を開ける人なら、わたしは中に入って、だれとでも親しく語り合います。そして、互いに楽しい時を過ごすのです。
+ 勝利を得る者を、わたしと共に王座につかせましょう。ちょうど、わたしが勝利を得た時、父から、王座に共に座ることを許されたように。
+ 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることに耳を傾けなさい。」』」
+
+
+ それから、私が見ていると、天にある開かれた門が見えました。すると、聞き覚えのある、あの大きなラッパの響きのような声がして、こう語りかけました。「さあ、ここに上って来なさい。将来、必ず起こることを見せてあげましょう。」
+ あっという間に私は、聖霊によって天に引き上げられました。そこで目にしたものは、王座とそこに座っておられる方でしたが、私はその栄光に圧倒されてしまいました。
+ その方から、碧玉や赤めのうのように(ダイヤモンドやルビーのように)きらめく光が、輝きわたっていました。また、エメラルドのように光る虹が、王座を取り巻いていました。
+ 王座の回りには二十四の座があり、二十四人の長老が座っていました。全員が白い衣をまとい、金の冠をかぶっていました。
+ 王座からいなずまと雷鳴が起こり、その中に、声も聞こえました。王座の正面には、神の七つの霊を意味する七つの明かりが、燃えさかっていました。
+ その前に、きらきらと水晶のような海が広がり、王座の四方には、前後に目のついている生き物が四つ立っていました。
+ 第一の生き物はライオンの姿で、第二の生き物は雄牛のように見えました。第三の生き物の顔は人間のようでした。第四の生き物は、大空に翼を広げたわしの姿をしていました。
+ この四つの生き物は、それぞれ六つの翼を持ち、その翼にも、おびただしい目がついていました。そして、昼も夜も、絶えずこう叫び続けているのです。「聖なる、聖なる、聖なる全能の神、主よ。昔も今も存在し、やがて来られる方。」
+ これらの生き物が、王座に座って永遠に生きておられる方に、栄光と誉れと感謝とをささげた時、
+ 二十四人の長老はこの方の前にひれ伏して礼拝し、冠を王座の前に投げ出して賛美しました。
+ 「おお主よ。あなたは栄光と誉れと力とを受けるにふさわしい方です。すべてのものをお望みどおりに造り、存在させておられるのですから。」
+
+
+ また私は、王座に座っておられる方の右手に、巻物が握られているのを見ました。その巻物には表にも裏にも文字があり、七つの封印で閉じてありました。
+ 一人の力ある神の天使が、大きな声で、「この巻物の封印を破り、それを開く資格のある方はどなたですか」と尋ねていました。
+ しかし、天にも地にも死者の中にも、だれ一人、その巻物を開いて読むことのできる者はいませんでした。
+ どこを捜しても、巻物を開くのにふさわしい人が見あたらないので、私はがっかりして泣きました。
+ すると、二十四人の長老の一人が、私を慰めてくれました。「泣くのはやめなさい。ごらんなさい。ユダ族から出たライオン、ダビデの家から出た方が勝利を得たので、あの巻物を開き、七つの封印を解くことができます。」
+ それから私は、二十四人の長老と王座と四つの生き物との間に、小羊が立っているのを見ました。小羊には、かつてささげられた時の傷跡がありました。この方は、七つの角と七つの目を持っていました。その目は、全世界に遣わされる神の七つの霊です。
+ 小羊は前に進み出て、王座に座っておられる方の右手から巻物を受け取りました。
+ その時、四つの生き物と二十四人の長老は、それぞれハープと香のたちこめる金の鉢とを手にして、小羊の前にひれ伏しました。この香は、神の民の祈りです。
+ 彼らは新しい歌を、高らかに歌っていました。「あなたこそ、巻物を受け取って封印を解き、それを開くのにふさわしい方。あなたは殺されましたが、その血によって、あらゆる民族の中から、神のために、人々を買い取ってくださいました。
+ そして、その人々を神の国に集め、神の祭司、地上の支配者とされました。」
+ それからまた、私は幻によって、王座と生き物と長老たちとの回りで歌う、数えきれない天使たちの声を聞きました。
+ 彼らは大声で、「小羊こそ、ささげられるためにふさわしい方。殺された小羊こそ、力と、富と、知恵と、強さと、誉れと、栄光と、祝福とを受けるにふさわしい方」と歌っていました。
+ それからまた、私は、天地のすべての者、地下や海中に眠る死者全員の叫び声を聞きました。「祝福と誉れと栄光と力とが、王座に座っておられる方と小羊とに、永遠にありますように。」
+ すると、四つの生き物は「アーメン」と言い、二十四人の長老はひれ伏して礼拝しました。
+
+
+ さらに見ていると、小羊は第一の封印を解いて、巻物を開き始めました。すると四つの生き物の一つが、雷のようにとどろく声で「来なさい」と呼びました。
+ 目をこらしていると、一頭の白い馬が現れました。馬上の人は弓を持ち、冠をかぶっていました。そして次々と勝利を収めながら、なお勝利を求めて出て行きました。
+ それから、小羊は第二の封印を解き、巻物を開きました。すると、第二の生き物が「来なさい」と呼ぶのが聞こえました。
+ 次に現れたのは赤い馬です。その馬上の者には、長い剣と、平和を奪って地上に混乱を招く権威が与えられました。こうして、戦争と殺し合いが各地で勃発しました。
+ 小羊が第三の封印を解いた時、第三の生き物が、「来なさい」と呼ぶのを聞きました。すると、黒い馬が現れました。その馬にまたがる者は、秤を手にしていました。
+ 四つの生き物の間から、声が聞こえました。「小麦一リットルも、大麦三リットルも一デナリ(一日分の賃金)。オリーブ油とぶどう酒を大切にしなさい。」
+ 第四の封印が解かれた時、第四の生き物が「来なさい」と呼ぶのを聞きました。
+ 今度は、青ざめた馬が現れました。その馬にまたがる者の名は「死」で、そのあとに、「地獄」という名の人の乗っている馬が続きました。彼らには、戦争とききんと伝染病と獣によって、地上の人々の四分の一を殺す権威が与えられました。
+ 小羊が第五の封印を解いた時、私は祭壇を見ました。その祭壇の下に、神のことばを伝え、自分たちの証言に忠実であったために殉教した者全員の、たましいが見えました。
+ 彼らは大声で、主に、こう叫んでいました。「おお、きよく、真実で、絶対者なる主よ。地上の人々のひどい仕打ちを、さばいてはくださらないのですか。いったいいつ、私たちの血の復讐をしてくださるのですか。」
+ すると、その一人一人に白い衣が与えられ、こう言い渡されました。「もうしばらく休むがよい。まだ、おまえたちと同じように殉教する者が、イエスに仕える同胞の中から出るからだ。」
+ 小羊が第六の封印を解くのを見ていると、突然、大地震が起こりました。太陽は黒布でおおわれたように暗くなり、月は血のように赤く変わりました。
+ そして、星が地上に落ちたのです。まるで、いちじくの青い実が、大風にばらばらと振り落とされるようでした。
+ 星をちりばめていた天は、巻物が巻き取られるように消え去り、すべての山や島は、激しい揺れのために、あちこちへその場所を変えました。
+ 地上の王、指導者、金持ち、将軍、身分の高い人も低い人も、奴隷も自由人も、人々はこぞって、ほら穴や山の岩陰に身を隠し、
+ 山々に向かって大声で叫びました。「私たちの上に倒れかかれ! 王座に座っておられる方の顔から、小羊の怒りから、私たちを隠してくれ。
+ 神と小羊の怒りの日がついに来たのだ。だれがそれに耐えられよう。」
+
+
+ それから私は、四人の天使が地の四すみに立っているのを見ました。彼らは、四方からの風をしっかり押さえていたので、木の葉一枚そよがず、海面は鏡のように静かでした。
+ 次に、もう一人の天使が、生ける神の大きな刻印を持って、東から来るのが見えました。彼は、地と海とを破壊する権限を与えられた四人の天使に、大声で叫びました。
+ 「お待ちなさい。私たちが、神に仕える人々の額に神の刻印を押し終わるまでは、手出しをしてはなりません。地にも海にも木にも、害を加えてはいけません。」
+ それから私が、「いったい何人の人に、神の刻印がつけられたのでしょうか」と尋ねると、「十四万四千人」という答えが返ってきました。その人々は、イスラエルの全十二部族から選ばれていました。内訳は次のようです。ユダの部族一万二千人、ルベンの部族一万二千人、ガドの部族一万二千人、アセルの部族一万二千人、ナフタリの部族一万二千人、マナセの部族一万二千人、シメオンの部族一万二千人、レビの部族一万二千人、イッサカルの部族一万二千人、ゼブルンの部族一万二千人、ヨセフの部族一万二千人、ベニヤミンの部族一万二千人。
+ その後、私の目には、おびただしい群衆が映りました。あらゆる国民、民族、国語の人々で、とても数えきれません。彼らは白い衣をまとい、しゅろの枝を手にして、王座と小羊との前に立っていました。
+ そして、声を張り上げ、「救いは、王座に座っておられる神と小羊とから来ます」と叫んでいました。
+ 天使はみな、王座と長老、それに四つの生き物の回りに集まり、ひれ伏して神を礼拝してから、
+ こう言いました。「アーメン。祝福と栄光と知恵と感謝と誉れと力と勢いとが、永遠に神にありますように。アーメン。」
+ その時、二十四人の長老の一人が、私に尋ねました。「この白い衣の人たちがだれだか、わかりますか。どこから来たか知っていますか。」
+ 「わかりません。どうか教えてください」と答えると、彼は言いました。「あの人たちは激しい迫害をくぐり抜け、小羊の血で、その衣を洗って白くした人たちです。
+ だから、こうして神の王座の前にいて、昼も夜も、神殿で奉仕しているのです。そして、王座に座っておられる方によって、安全にかくまわれています。
+ 彼らはもう二度と飢えることも、渇くこともありません。灼熱の太陽からも守られています。
+ それは、王座の正面に立たれる小羊が、羊飼いとして彼らを養い、いのちの水の泉に導いてくださるからです。また神は、彼らの目からあふれる涙を、すっかりぬぐい取ってくださるのです。」
+
+
+ 小羊が第七の封印を解いた時、天に、およそ半時間ほどの静けさがありました。
+ それから私は、神の前に立つ七人の天使を見ました。その天使に七つのラッパが与えられました。
+ すると、金の香炉を手にした、もう一人の天使が現れて、祭壇のそばに立ちました。彼に多量の香が与えられましたが、それは、クリスチャンの祈りと共に、王座の前にある金の祭壇にささげるためのものでした。
+ 香のかおりは、クリスチャンの祈りと混じり合って、祭壇から神の前に立ちのぼりました。
+ それから天使は、祭壇から取った火を香炉にいっぱい盛って、それを地に投げつけました。そのとたん、雷鳴がとどろき、いなずまが走り、激しい地震が起こったのです。
+ すぐさま、七つのラッパを手にした七人の天使が、ラッパを口に当てました。
+ 第一の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると、血の混じった雹と火が、激しい勢いで地上を襲いました。そのため、地上の三分の一が火に包まれ、木の三分の一と青草がすべて灰になりました。
+ 第二の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると、炎に包まれた巨大な山のようなものが、海に投げ込まれました。そのため、船の三分の一が破壊され、また、海の三分の一が血のように赤く染まって、魚の三分の一が死にました。
+ 第三の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると、燃えさかるたいまつのような大きな星が天から落ちて来て、川と泉の三分の一にばらまかれました。
+ この星は「苦よもぎ」と呼ばれました。川の水の三分の一が苦よもぎのように苦くなり、その水を飲んだ多くの人が死んだからです。
+ 第四の天使がラッパを吹き鳴らしました。するとたちまち、太陽の三分の一と、月の三分の一と、星の三分の一が打たれて暗くなりました。そのため、昼間は三分の二の明るさしかなく、夜もいっそう暗くなりました。
+ また見ていると、一羽のわしが大空高く舞いながら、鋭い叫び声をあげていました。「ああ、災いが来る。災いが地上の人々に襲いかかる。あと三人の天使がラッパを吹き鳴らせば、恐るべきことが起こるのだ。」
+
+
+ 第五の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると私は、天から地上に落ちて来る一人の人を見ました。その人には、底なしの穴を開くかぎが与えられていました。
+ 彼が底なしの穴を開くと、大きな炉から立ちのぼるような煙が吹き上げました。そのため、太陽も空も黒ずんでしまいました。
+ すると、煙の中からいなごが飛び出し、地上を駆け巡りました。そのいなごには、さそりのように人を刺す力が与えられていました。
+ いなごは、草や木には害を加えず、ただ、額に神の刻印のない人々にだけ害を加えよと、命令されていたのです。
+ しかし、人間を殺すことは禁じられ、ただ、さそりに刺されたのと同じ激しい痛みで苦しめることが、五か月間だけいなごに許されていました。
+ その間、人々は苦しさのあまり自殺をはかりますが、どうしても死にきれません。どんなに死にたいと願っても、死は逃げて行くのです。
+ このいなごは、まるで、戦闘態勢がととのった馬のような姿をしていました。頭には金の冠をかぶり、顔は人間の顔にそっくりでした。
+ 毛は女の髪のように長く、ライオンのような鋭い歯をむき出していました。
+ また、鉄製の胸当てのようなものを着け、その羽音は、戦場を駆ける戦車隊の響きを思わせました。
+ また、さそりのように鋭く刺す尾には、五か月のあいだ人々を激痛で苦しめる力がありました。
+ 彼らの王は、底なしの穴の支配者で、その名をヘブル語でアバドン(破壊)、ギリシヤ語でアポリュオン(破壊者)と呼ばれていました。
+ 第一の災いは過ぎ去りました。しかし、あと二つの災いが待っているのです。
+ 第六の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると、神の王座の前にある金の祭壇の四すみから、声が響いてきました。
+ その声が、第六の天使に命じました。「大ユーフラテス川のほとりにつながれている、四人の強い悪霊を解き放ちなさい。」
+ この悪霊は、定められた年、月、日、時が来るまでつながれていたのでした。そして今や、人類の三分の一を殺すために解き放たれたのです。
+ 彼らは、総勢二億もの大軍団を率いていました。私はその数を聞きました。
+ 私は幻の中で、彼らが馬に乗って出て来る有様を見ました。兵士たちの胸当ては、火のような赤色や、空色や、黄色でした。馬の頭はライオンの頭そっくりで、その口から吐き出される煙と火と燃える硫黄とで、人類の三分の一は殺されてしまいました。
+ 人間を殺す武器は、その口だけでなく、尾にもありました。尾は蛇の頭に似ており、それで打たれると、人間は致命傷を負うのです。
+ これらの災害に会っても生き残った人々は、それでも神を礼拝しようとはしないで、悪霊や、金、銀、銅、石、木で造られた、見ることも、聞くことも、歩くこともできない偶像を拝み続けました。
+ また彼らは、殺人や魔術、不道徳、盗みを改めようとしませんでした。
+
+
+ それから、もう一人の強い天使が、雲に包まれ、天から下って来ました。その頭上には虹がかかり、顔は太陽のように輝き、足は火のように光っていました。
+ 彼は開かれた小さな巻物を持っていました。そして、右足を海に、左足を陸に置き、
+ 大声で叫びました。それはライオンがほえるような声でした。すると、それに答えるかのように、七つの雷の語る声が私の耳をつんざいたのです。
+ 私は、雷のことばを書きとめようとしましたが、天からの声に止められました。「書きとめてはいけない。公表すべきものではないから。」
+ それから、海と陸地をまたいで立つ強い天使は、右手を高く天にさしのべ、
+ 天とその中のすべてのもの、地とそれに満ちるすべてのもの、海とその中に住むすべてのものを造られた、永遠に生きておられる神を指して誓いました。「もうこれ以上、延期されません。
+ いよいよ、第七の天使がラッパを吹き鳴らす時、神に仕える預言者に告げられてから、ずっと隠されてきた神の計画が、ついに実行に移されるのです。」
+ すると、再び天からの声が語りかけました。「さあ行って、海と陸地をまたいで立つ強い天使から、開かれた巻物を受け取りなさい。」
+ そこで私は、その天使に近寄って、「巻物をいただきたいのです」と頼みました。すると彼は、「よろしい。さあ、この巻物を取って食べなさい。初めは蜜のように甘いが、飲み下すと、腹の中で苦くなります」と言いました。
+ そこで私は、巻物を受け取って食べました。すると言われたとおり、口の中では甘かったのに、飲み下すと苦くなり、腹が痛くなりました。
+ その時、彼はこう言いました。「あなたは、多くの人々、国民、民族、王について、もっと預言しなければなりません。」
+
+
+ それから私は、杖のような物差しを手渡されました。それで神の聖所と祭壇を点検し、また、そこで礼拝している人の数を調べるように、と命令されました。
+ さらに、こう注意されました。「神殿の外庭は測る必要はありません。そこは外国人に任せられるからです。彼らは四十二か月の間、この聖なる都を踏みにじって荒らします。
+ それからわたしは二人の証人を任命し、特別な力を授けて、荒布を着たまま千二百六十日間、預言させます。」
+ この二人の預言者とは、全地の神の前にある二本のオリーブの木、また二つの燭台(教会)のことです。
+ もし彼らに害を加えようとする者があれば、彼らの口から吹き出した火で焼き滅ぼされてしまいます。
+ 彼らは、その三年半の預言のあいだ中、大空を閉じて雨を降らせない力を与えられます。また、川や海を血に変えたり、思いのままに何度でも、あらゆる災害を地上に下す力も持っています。
+ しかし、三年半にわたる証言の期間が終わると、底なしの穴から出て来る独裁者の挑戦を受け、殺されることになります。
+ その死体は、三日半、あのいまわしいソドムやエジプトと並び称される都エルサレムの大通りにさらしものにされます。彼らの主もこの都で、十字架につけられて殺されました。彼らの死体を葬る人はなく、諸国からエルサレムを訪れた人々が、その死体に群がって見物します。
+ 彼らが殺されたことで、世界中が喜び合うでしょう。なぜなら、この二人の預言者によって、非常に痛めつけられたからです。
+ ところが、どうでしょう。三日半たって、神からのいのちの霊がその二つの死体に入ると、彼らは立ち上がるのです。それを見て、すべての人が恐怖におののきます。
+ その時、天から、「のぼって来なさい」という大きな声が響きます。すると二人の預言者は、敵の目の前で雲に包まれ、天にのぼって行きました。
+ ちょうどその時刻に、恐ろしい地震が起こって、都の十分の一の建物が破壊され、死者は七千人にのぼりました。生き残った人も、恐怖に打ちひしがれて、天の神をあがめました。
+ 第二の災いが過ぎ去りました。しかし、第三の災いが待ちかまえています。
+ 第七の天使がラッパを吹き鳴らすと、天から大きな声が響きました。「世界はすべて、主とキリストの手に渡った。主は永遠に支配者である。」
+ すると、神の前の席にいた二十四人の長老が、地にひれ伏して礼拝し、声をそろえて神を賛美しました。
+ 「今も、昔も存在される全能の神、主に心から感謝します。あなたが偉大な力を発揮して、世界を支配する王となられたからです。
+ 諸国の民はあなたに怒りを燃やしましたが、今度は、あなたの怒りが下される番です。今や、地を滅ぼす原因となった者たちが滅ぼされる時が来たのです。死者がさばかれ、あなたに忠実に仕えた者が報いを受ける時です。預言者も、クリスチャンも、すべてあなたの名をほめたたえる者は、小さい者も大きい者も、あなたから報いを受けるのです。」
+ その時、天にある神の神殿が開け放たれ、中に契約の箱が見えました。いなずまが走り、雷鳴がとどろき、大粒の雹が降って、全世界は大地震で揺れ動きました。
+
+
+ また、やがて何かが起こることを暗示する、大きなしるしが天に描き出されました。一人の女が太陽をまとい、月を踏みつけ、十二の星の冠をかぶっている姿が見えました。
+ この女は妊娠しており、陣痛の苦しみにうめいていました。
+ そこに突然、巨大な赤い竜が現れました。七つの頭と十本の角を持ち、七つの冠をかぶっていました。
+ そして、しっぽで天の星の三分の一を払い落とし、地上にばらまきました。また、子どもを産もうとしている女の前に立ちはだかり、生まれおちた子をすぐに食べようと、待ちかまえていました。
+ 女は男の子を産みました。将来、その子は強大な権力を握り、すべての国の王になると約束されていたのです。その子は神のそばの王座へ引き上げられ、
+ 女は荒野に逃げのびました。そこには神の用意された場所があり、彼女は千二百六十日の間、かくまわれました。
+ やがて、天で戦争が始まりました。ミカエル(天使の長)と部下の天使たちは、竜とその手下の堕落した天使たちと戦いました。
+ 竜は敗れ、天から追放されることになりました。
+ こうして、この巨大な竜、悪魔またサタンと呼ばれ、全世界をだまし続けてきた古い大蛇は、手下もろとも、地上に投げ落とされてしまったのです。
+ そのとき私は、天のすみずみにとどろき渡る大声を聞きました。「ついに時が来た。神の救いと力と支配と、キリストの権威とが、完全に現される時が来た。私たちの兄弟たち(信仰を同じくする人々)を絶えず神の前で非難してきた者が、地上に投げ落とされたから。
+ 兄弟たちは、小羊の血と自らの証言によって打ち勝った。いのちを惜しまず、小羊のために投げ出したのである。
+ 天よ、喜べ。天に住む者よ、喜べ。しかし、地上の人々には災いがのぞむ。悪魔が自分の時の残り少ないことを知って、怒りに燃え、あなたがたのところに下って行ったからだ。」
+ 竜は自分が地上に投げ落とされたことに気づくと、男の子を産んだ女を追いかけました。
+ しかし女は、大わしのような翼を二つ与えられ、荒野へ飛んで行きました。そこには、彼女のために場所が用意されており、そこで三年半の間、竜である大蛇を避けて、安全に暮らすことができたのです。
+ ところが、大蛇は水を洪水のように吐き出し、女を殺そうと迫りました。
+ しかし、大地は口を開けて水を飲み干し、女を助けたのです。
+ 怒り狂った竜は、今度は女の子孫の残りの者、すなわち神の戒めを守り、主イエスをはっきり告白した者たちに、攻撃のほこ先を向けました。
+ そして、海辺の砂の上で待ちかまえていました。
+
+
+ 私は幻の中で、今度は海の中から、一匹の不思議な獣が現れるのを見ました。その獣には七つの頭と十本の角があり、角には十の冠がついています。そして、それぞれの頭には、神を汚し、あざける名前が書いてありました。
+ その姿はひょうに似ていましたが、足は熊、口はライオンのようでした。竜はこの獣に、自分の力と地位と大きな権威とを授けました。
+ 私は、獣の七つの頭のうちの一つが、回復の見込みがないほど傷ついているのがわかりましたが、その致命的な傷が治ったのです。すると、世界中の人がこの奇跡に驚き、獣に従うようになったのです。
+ 人々は、その獣を礼拝するばかりか、そんな不思議な力を授けた竜をも拝み始めました。彼らは大声で、「これほど偉大な獣を見たことがない。これにたち打ちできる者などいないだろう」と、喝采を送りました。
+ 竜は獣に、主をののしるようにけしかけ、四十二か月間、地上を思うままに支配する権威を与えました。
+ そこで獣は、そのあいだ中、神の名と神殿、および天に住むすべての者をののしり続けました。
+ 竜はまた、獣に、クリスチャンと戦って打ち勝つ力を与えました。さらに、世界のあらゆる人々を支配する権威も授けました。
+ 殺された小羊のいのちの書に、世の初めから名前が書き込まれていない人々は、こぞって、この悪い獣を礼拝しました。
+ 聞く耳のある人は、よく聞きなさい。
+ クリスチャンの中で投獄される運命にある人は、逮捕され、連行されるでしょう。また、死ぬように定められている人は殺されます。しかし何があろうと、あわててはいけません。このような時こそ、あなたがたの忍耐と信仰が試されるのです。
+ さて、私の目に、もう一匹、奇怪な獣が地からのぼって来る姿が映りました。小羊のように二本の小さな角をつけていましたが、その声は、竜のようにすごみを帯びていました。
+ この獣は、あの致命的な傷が治った獣の権威を使って、全世界の人に、むりやりその最初の獣を礼拝させました。
+ また、多くの人の目の前で、燃える火を天から降らせるといった奇跡を行い、人々を驚かせたりしました。
+ こうして、地上のすべての人々を惑わしたのです。このような不思議なわざができたのは、最初の獣のうしろだてがあったからです。そこでこの獣は全世界の人々に、致命的な傷を負いながらも生き返った、最初の獣の大きな像を造れ、と命令しました。
+ 出来上がった像に、この獣が息を吹き込むと、像はしゃべることさえできるようになりました。するとその像は、自分を拝まない者は皆殺しにするよう命じました。
+ また獣は、大きい者にも小さい者にも、金持ちにも貧しい人にも、奴隷にも自由人にも、すべての人に右手か額に刻印を彫らせました。
+ そして、獣の名か、その名を意味する数字を彫った刻印を持っていなければ、仕事につくことも、店で買物をすることもできないようにしたのです。
+ これは、細心の注意をはらって解くべきなぞです。この数字の意味を解ける人は解いてごらんなさい。獣の名前の文字を数字になおすと、六百六十六になるのです。
+
+
+ それから私は、エルサレムのシオンの山の頂に立っている、小羊の姿を見ました。また、そのそばに、額に小羊と小羊の父の名とが刻まれている、十四万四千人の人たちがいるのを見たのです。
+ そのとき私は、滝のとどろきか激しい雷鳴のような、天からの音を耳にしました。ハープに合わせて歌う大合唱でした。
+ それは十四万四千人の大合唱であり、彼らは神の王座と、四つの生き物および二十四人の長老の前で、今まで聞いたこともない新しい歌を歌いました。地上から救い出された、この十四万四千人を除いて、だれも、その合唱に加われませんでした。
+ 彼らは童貞で、汚れを知らず、小羊のあとをどこまでもついて行きました。また彼らは、神と小羊とにささげられる、最初のきよい供え物として、地上の人々の中から買い取られた者たちです。
+ 彼らは非難されるような偽りを言わず、とがめられることのない者です。
+ また私は、もう一人の天使が天を飛ぶ姿を見ました。天使は、地上のあらゆる民族、部族、国語の人々に、永遠の福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を運んでいるところでした。
+ 彼は大声で叫びました。「神を恐れ、神をほめたたえなさい。神のさばきの時が来たのだ。天と地と海とその源を造られた方を礼拝しなさい。」
+ 次に、もう一人の天使が天を飛んで来て、こう言いました。「大いなる都、バビロンが倒れた。世界中の人々を惑わして、不純な行為と罪のぶどう酒を飲ませた報いだ。」
+ 続いて第三の天使が飛んで来て、大声で叫びました。「海から現れた獣とその像を拝み、額か手に刻印を彫った者よ。
+ あなたがたは一人残らず、神の怒りの杯にあふれるぶどう酒――それも水で割らないもの――を飲まなければならない。そして、聖なる天使と小羊との前で、火と燃える硫黄とで苦しめられるのだ。
+ その苦しみの煙は、昼も夜も、永遠に立ちのぼる。獣とその像とを拝み、獣の名の刻印を押したからだ。
+ このことによって励まされた神の民は、どんな試みや迫害にも耐えられる。彼らは最後までしっかりと神の戒めを守り、イエスに信頼する者だから。」
+ また私は、頭上で、次のように語る天からの声を聞きました。「さあ、書き記しなさい。『主のために殉教した人々が、その報酬を受ける時がついに来たのです。』」聖霊は言われます。「そのとおり。彼らには十分な祝福が注がれる。今こそ、彼らはいっさいの労苦と試みから解放されて休む時なのだ。その良い行いが、彼らといっしょに天まで立ちのぼるのだから。」
+ その時、急にあたりの様子が変わって、白い雲がわき上がり、その雲に乗ったお方が見えました。イエスのようでした。「人の子」と呼ばれるその方は、純金の冠をかぶり、よく切れるかまを手にしておられました。
+ そこへ、もう一人の天使が神殿から現れ、その方に叫びました。「どうぞ、かまで刈り取りをお始めください。地上の穀物は実って、刈り入れ時となっています。」
+ そこで、雲に乗っておられる方がかまを入れ始め、刈り取られたものは一か所に集められました。
+ そのあと、もう一人の天使が天の神殿から出て来ました。彼もまた、鋭いかまを持っていました。
+ 同時に、火で世界を滅ぼす権威を授かっている天使が現れて、かまを持った天使に大声で叫びました。「さあ、そのかまで、地上のぶどう畑から実を刈り集めなさい。もう十分に熟して、さばかれる時を待っている。」
+ そこで天使は、言われたとおりにかまを入れ、ぶどうを刈り集めて、神の怒りの大きな酒ぶねに投げ込みました。
+ 酒ぶねの中のぶどうは、都の郊外で踏まれました。すると、酒ぶねからあふれ出た血は三百キロもの流れになり、その深さは馬のくつわに届くほどでした。
+
+
+ また私は、天に、これからの出来事を暗示する、もう一つの巨大なしるしを見ました。最後の七つの災害を地上に下す任務が、七人の天使に与えられたのです。こうして、ついに神の怒りが頂点に達しました。
+ 目の前に、火とガラスの海のようなものが広がっていました。そのほとりには、あの悪い獣とその像、またその数字の刻印とに打ち勝った、すべての人が立っていました。彼らはみな神のハープを手にして、
+ 神に仕えたモーセの歌と小羊の歌とを歌っていました。「全能の神、主よ。目を見張るべきものは、あなたの偉大なみわざです。永遠に生きておられる王よ。ただ、あなたの道だけが正しく真実なのです。ああ、主よ。あなたを恐れず、その御名をほめたたえない者は一人もおりません。ただ、あなただけがきよいお方です。すべての国々の民は来て、あなたを礼拝します。あなたの正しさが明らかにされたからです。」
+ それから、さらに見ていると、天にある神殿の聖所が大きく開かれました。
+ 七つの災害を地上に下すよう任命された七人の天使が、その聖所から姿を現しました。彼らは、しみも傷もない、真っ白な亜麻布の衣服をまとい、胸には金の帯を締めていました。
+ それから、四つの生き物の一つが、永遠に生きておられる神の激しい怒りで満ちた金の鉢を、七人の天使に一つずつ手渡しました。
+ 聖所には、神の栄光と力から立ちのぼる煙が一面に漂い、七人の天使が七つの災害を下し終えるまで、だれも、そこに入ることが許されませんでした。
+
+
+ また私は、神殿から大きな声が七人の天使に呼びかけるのを聞きました。「さあ、出かけて行って、神の怒りで満ちた七つの鉢を、地上にぶちまけなさい。」
+ そこで、第一の天使が神殿から出て行き、鉢を地上にぶちまけました。すると、獣の刻印をして、その像を拝む者全員に、恐ろしい悪性のはれものができました。
+ 第二の天使が鉢を海にぶちまけると、海の水は死者の血のようになり、海の中のすべての生き物が死に絶えました。
+ 第三の天使は、鉢を川と泉にぶちまけました。すると、水はたちまち血に変わりました。
+ 私は、水を支配している天使のことばを聞きました。「今も昔も存在される聖なる方。あなたは正しい方です。
+ あなたのきよい民や預言者は殉教を遂げ、この地上に血を流しました。今度はあなたが、彼らを殺した者たちの血をしたたらせる番です。これは当然の報いなのです。」
+ また私は、祭壇の天使の声を聞きました。「全能の神、主よ。あなたのさばきは正しく、真実です。」
+ 次に、第四の天使が鉢を太陽にぶちまけました。すると太陽は、すべての人を火で焼く力を得ました。
+ 人々は、その激しい炎熱に焼かれながらも、なおその心や態度を改めて、神の栄光を恐れようとはせず、かえって、災害をも支配される神の御名をのろいました。
+ それから、第五の天使は、鉢を海から現れた獣の王座にぶちまけました。すると獣の国は暗闇でおおわれ、その民は苦しさのあまり、舌をかみ切って自殺をはかりました。
+ 彼らは、苦痛とはれもののために天の神をのろいましたが、自分の悪い行いを悔い改めようとはしませんでした。
+ 第六の天使は、鉢を大ユーフラテス川にぶちまけました。すると、川の水がすっかり干上がり、東方の王がいつでも軍隊を率いて西方に攻め入ることができる道ができました。
+ また私は、竜と獣と偽預言者の口から、かえるに似た三つの悪霊が飛び出すのを見ました。
+ 奇跡を行う力を持ったこの悪霊たちは、全世界の支配者に相談をもちかけました。全能の神の恐ろしい審判の日に備えて、一丸となって主と戦おうとけしかけるためです。
+ 「用心していなさい。わたしは盗人のように、思いがけない時に来ます。目を覚まして待っている人は幸いです。そのような人は、着物をきちんと着ているので、裸で外を歩くような恥はかきません。」
+ こうして彼らは、ヘブル語でハルマゲドンと呼ばれる場所の近くに、世界の全軍隊を結集させました。
+ 次に、第七の天使が、鉢を空中にぶちまけました。すると、「すべてが終わった」という大きな声が、天の神殿の王座から響き渡りました。
+ 雷鳴がとどろき、いなずまが走り、史上最大の大地震が発生しました。
+ 大いなる都バビロンは三つに裂け、世界各地の都市もすべて破壊されて、瓦礫の山と化しました。神はバビロンの罪をすべてご存じであり、そのためにバビロンは、神の激しい怒りのぶどう酒であふれる杯を、最後の一滴まで飲み干す罰を受けたのです。
+ 島々は消え去り、山々は平地に変わりました。
+ また、一つが三十五キロもの重さの雹が降り、多くの被害が出て、人々はこの恐ろしい雹のことで神をのろいました。
+
+
+ 災害をぶちまけた七人の天使の一人が、私に近づき、こう話しかけました。「ついて来なさい。地の大水の上に座っている悪名高い淫乱な女がどんな目に会うか、お見せしましょう。
+ 世の王たちはこの女とみだらな関係を結び、世界中の人々も、この女の不品行のぶどう酒に酔いしれました。」
+ そして天使は、私を幻の中で荒野へ連れて行きました。そこには、赤い獣にまたがる一人の女の姿がありました。その獣には七つの頭と十本の角があり、体中に、神を冒瀆することばが書き込まれていました。
+ 女は紫と赤の服をまとい、金や宝石や真珠の、きらびやかな飾りを身につけていました。また、不品行の汚れであふれた金の杯を抱えていました。
+ そして額には、「世界中のみだらな女と偶像礼拝者の母、大いなるバビロン」という、なぞめいたことばが刻まれていたのです。
+ 彼女は血に酔っているようでした。しかもその血は、彼女が殺したクリスチャンの血だったので、私は背筋が凍りつく思いでした。
+ すると、天使が私に語りかけました。「なぜ、そんなに驚いているのですか。この女と獣の正体を教えましょう。
+ この獣は昔は生きていましたが、今はいません。しかし、やがて底なしの穴から現れて、永遠の滅びに向かうでしょう。地上に住む人々のうち、世の初めからいのちの書に名前が書かれていない人は、絶滅したと思われていたその獣がもう一度現れるのを見て、血の気を失うほど驚くでしょう。
+ さあ、よく考えなさい。この獣の七つの頭とは、女の住む七つの丘に建てられた都のことです。
+ それはまた七人の王を意味します。そのうち五人の王は、すでに倒れました。第六の王は現在、王位についており、第七の王は、まもなく姿を現すでしょう。しかし、その王座も長くはありません。
+ 赤い獣そのものは第八の王であり、しかも彼が一度死んだということは、以前七人の中の一人として、王座に君臨していたことを意味します。彼は二度目に王となってから、最後の滅びに向かうのです。
+ 十本の角は、これから王位につこうとしている十人の王を表します。彼らは赤い獣と共に支配するため、一時的に王座につくのです。
+ 彼らは同盟を結んで、自分たちの力と権威とを、その獣に与えます。
+ そして、彼らは団結して小羊と戦いますが、小羊の勝利に終わります。なぜなら、小羊は主の主、王の王であり、彼に従う者たちは、えり抜きの忠実な者だからです。
+ あの女の座っている海や湖や川は、あらゆる人種や国民からなる、おびただしい人々を表しています。
+ やがて、赤い獣と十本の角はその女を憎み、襲いかかって裸にし、あげくの果ては、火で焼き殺すことになります。
+ というのも、それらは神の計画にあることで、神は彼らの思いを支配し、目的を達成なさるのです。彼らは赤い獣に権威を与えることで一致します。これも神のお考えどおりです。
+ あなたが幻で見たあの女は、地上の王を支配している大いなる都のことです。」
+
+
+ これらのことの後、私はもう一人の天使が、大きな権威を授けられて、天から下って来るのを見ました。地上は、その輝きで明るくなりました。
+ 彼は大声で叫びました。「バビロンが倒れた。あの大いなるバビロンが倒れた。そこは悪魔の巣窟、悪霊やあらゆる汚れた霊のたまり場であった。
+ あらゆる国の人々が、彼女のみだらな毒ぶどう酒に酔いしれたからだ。また、地上の支配者たちは彼女と快楽にふけり、地上の商人たちは、彼女のぜいたくな浪費のおかげで大もうけをしたからだ。」
+ それから私は、天から別の声を聞きました。「クリスチャンよ。あの女から遠ざかりなさい。その罪に連なってはなりません。そうでないと、いっしょに罰を受けることになります。
+ あの女の罪は数えきれず、それは積み上げられて天にまで達したので、神の罰がいよいよ下るのです。
+ あなたがたは、彼女から受けた仕打ちをそっくりそのまま、いや、二倍にして返しなさい。彼女は人々に、多くの災いの飲み物を飲ませようとたくらみました。それを倍にして彼女に飲ませなさい。
+ ぜいたく三昧に遊び暮らした女に、それに見合うだけの苦しみと悲しみとを与えなさい。彼女はおごっています。『私は女王で、身寄りのない未亡人とは違う。悲しみなど知らない。』
+ そのため、たった一日のうちに、死の悲しみと嘆きと飢えとに襲われ、焼き滅ぼされてしまうのです。さばきをなさる主は、力ある偉大なお方だからです。
+ 彼女の不純な行為に手を貸し、多くの分け前をもらって、ぜいたくの限りを尽くした地上の支配者たちは、その焼けこげた死体から立ちのぼる煙を見て、涙にくれるでしょう。
+ そして、恐怖に震えながら、遠巻きにして立ち、『ああ、悲しいことだ。力ある都バビロンよ。あなたへのさばきは、一瞬のうちに下った』と叫ぶでしょう。
+ また、彼女から富を得ていた地上の商人たちも泣き悲しむでしょう。もはや、彼らの商品を買う人がいなくなったからです。
+ 商品とは、金、銀、宝石、真珠、上等の麻布、紫布、絹、緋色(真紅)の布、種々の香木、象牙細工、高価な木彫り、青銅、鉄、大理石、
+ 肉桂、香水、香料、香油、乳香、ぶどう酒、オリーブ油、上質の小麦粉、小麦、牛、羊、馬、戦車、奴隷に及び、さらには人の命までも商ったのです。
+ 地上の商人たちは嘆きます。『あなたの高価な秘蔵品は、全部その手から奪い去られた。あれほど自慢だった、ぜいを尽くした生活はもう二度とできない。すべては永久に失われたのだから。』
+ それらの品を商って、彼女から富を得ていた彼らは、わが身への危険を恐れて、遠く離れて立ち、泣き悲しむでしょう。
+ 『ああ、悲しいことだ。あんなに美しかった大いなる都が、あっという間に荒れ果ててしまった。最高級の紫布と緋色の布をまとい、金や宝石や真珠で飾りたてていた都よ。そのすべての富も一瞬のうちに消えてしまった。』また、各国の船主や商船の船長、乗組員も遠くから、
+ 彼女が焼かれる煙を見て、涙ながらに、『あれほどすばらしい都が、この世にあっただろうか』と嘆くでしょう。
+ そして、頭にちりをかぶって悲しむのです。『ああ、大いなる都よ。その有り余る富のおかげで、われわれは大金持ちになれたのに。それが何もかも、一瞬のうちに失われてしまった。』
+ しかし、天よ、神の子どもよ、預言者よ、使徒よ。彼女の最期を喜びなさい。ついに神は、あなたがたのために、彼女にさばきを下されたのです。」
+ その時、一人の強い天使が、ひき臼のような丸い石を持ち上げ、海に放り投げて叫びました。「大いなる都バビロンは、この石のように投げ捨てられ、もはや、永久に浮かび上がりません。
+ 歌声はとだえ、竪琴や笛、ラッパの音ももう聞こえません。さまざまな産業はすたれ、ひき臼をひく人影も、二度と見ることはありません。
+ 夜は真っ暗闇で、窓からは明かりももれず、結婚式の喜びの鐘も、花婿と花嫁の楽しそうな声も聞こえません。その名を世界に鳴りとどろかせた商人たちも、鳴りをひそめます。彼らは、すべての国の人々をたぶらかす彼女の魔術のおかげで、もうけていたのです。
+ 彼女には、殉教したすべての預言者や神のきよい民の、血の責任が問われるのです。」
+
+
+ この後、私は、天からおびただしい群衆の叫び声を聞きました。「ハレルヤ、主を賛美せよ。救いは神からの贈り物、誉れと権威は神だけのものです。
+ その審判は正しく、真実だからです。神は、不品行によって地上に悪をはびこらせた、あの淫乱な女を処罰し、神に仕える者たちが殺されたことに復讐されたのです。」
+ 彼らは、くり返し主を賛美しました。「主をほめたたえよ。彼女の焼かれる煙は永遠に立ちのぼる。」
+ すると、二十四人の長老と四つの生き物はひれ伏し、王座におられる神を礼拝して、「アーメン、ハレルヤ。主を賛美せよ」と言いました。
+ また、王座から声がしました。「神を恐れ、神に仕えているすべての者よ。小さい者も大きい者も、神をほめたたえよ。」
+ そのとき私は、大群衆の叫び声や、海岸に打ち寄せる大波、激しい雷鳴のとどろきのような声を聞きました。「主を賛美せよ。主である全能の神が支配なさる時が来た。
+ さあ、大いに喜び楽しみ、神をほめたたえよう。小羊の結婚の時が来て、花嫁のしたくも整った。
+ 花嫁は、輝くばかりの、きよく真っ白な麻布の衣を着せられた。」この麻布は、クリスチャンの正しい行いを表しているのです。
+ 天使は、次のことばを書きとめるよう促しました。「小羊の婚宴に招かれた人は幸いです。」天使はまた、こう付け加えました。「これは神の口から出たことばです。」
+ そのとき私は、天使の足もとにひれ伏して、礼拝しようとしました。すると天使は、「何をするのです。そんなことはやめなさい。私も、神に仕える者にすぎません。あなたや、イエスへの信仰を明らかにしているクリスチャンたちと同じ者です。すべての預言も、いま私が告げたすべてのことばも、ただイエスをあかしするためです。」
+ それから天が開かれ、私は、そこに白い馬を見ました。その馬に乗っているのは、「忠実、また真実」と呼ばれ、正しいさばきをし、戦いをなさる方です。
+ 目は炎のように輝き、頭にはたくさんの冠をかぶっていました。額には名前が記されていましたが、その意味を知っているのはご自分だけでした。
+ この方は血に染まった衣を着ていて、「神のことば」という名で呼ばれました。
+ 天の軍勢はきよく真っ白な麻布を身につけ、白馬にまたがって彼に従いました。
+ この方は、諸国の民を打つために、鋭い剣をくわえておられました。そして、鉄のような手で、国々を完全に支配なさり、また、全能の神の激しい怒りに満たされた酒ぶねを踏まれます。
+ その衣とももには、「王の王、主の主」という名が記されていました。
+ そのとき私は、光の中に立つ一人の天使が、大声で空高く飛んでいるすべての鳥に呼びかけるのを見ました。「さあ、集まりなさい。偉大な神の祝宴の始まりです。
+ さあ、王、司令官、偉大な将軍、馬と乗り手、それから大きい者と小さい者、奴隷と自由人のすべての肉を食べなさい。」
+ それから私は、悪い獣が地の支配者と軍勢とを召集し、馬に乗っておられる方とその軍勢とに、戦いをいどんでいるのを見ました。
+ しかし、悪い獣は捕らえられ、続いて偽預言者も縛り上げられました。この偽預言者は、悪い獣と手を組んで人々を奇跡で驚かせ、獣の刻印を受けた者や、獣を拝む者たちを惑わしていたのです。結局、悪い獣も偽預言者も、硫黄の燃えさかる火の池に、生きたまま投げ込まれました。
+ 彼らに従った軍勢もまた、白い馬にまたがる方の鋭い剣で殺されました。すると、天の鳥がむさぼるように、その肉をついばんでしまいました。
+
+
+ そのとき私は、底なしの穴のかぎと太い鎖とを手にした天使が、天から下って来るのを見ました。
+ 彼は、悪魔とかサタンとか呼ばれている、あの古い蛇である竜をつかまえ、鎖で縛って、千年の間、
+ 底なしの穴に閉じ込めてしまいました。こうして竜は、定められた千年が過ぎるまでは、世界の国々をだますことができなくなりました。しかし、その期間が終われば、しばらくの間だけ自由な活動が許されるのです。
+ それから私は、数多くの王座を見ました。そこには、さばく権威を神から授けられた人々が座っていました。私はまた、イエスについて証言し、神のことばを伝えたために首をはねられた人々のたましいと、獣もその像も拝まず、額や手に獣の刻印を受けなかった人々のたましいとを見ました。その人々はみな生き返って、キリストと共に千年間、世界を支配しました。
+ これが第一の復活です。〔残りの死者は、千年が過ぎるまで死んだままでした。〕
+ 第一の復活を経験する人は幸いな人であり、きよい人です。彼らには第二の死など何の力もありません。神とキリストの祭司になった彼らは、キリストと共に、千年間、支配するからです。
+ 千年の後、悪魔は閉じ込められていた場所から出されます。
+ 悪魔は、地上の国々を惑わそうと行き巡り、戦いのために、すべての人々を〔ゴグとマゴグともども〕召集します。それは、海辺の砂のように数えきれない大軍です。
+ 彼らは地上の広々とした大平原に攻め上り、クリスチャンと都エルサレムとを取り囲みます。すると、天から敵軍めがけて火が下り、彼らを焼き滅ぼします。
+ その後、人々を惑わしていた悪魔は、獣や偽預言者と同じく、硫黄の燃える火の池へ投げ込まれます。そこで、昼も夜も、永遠に苦しむのです。
+ また私は、大きな白い王座と、そこに座っておられる方とを見ました。地も空も、その方の顔を避けて逃げ出し、影も形もなくなってしまいました。
+ 私はすべての死者が、大きい者も小さい者も、神の前に立つのを見ました。いのちの書をはじめ、さまざまな書物が開かれました。死者は、これらの書物の規定に従い、それぞれの行いに応じてさばかれました。
+ 海も、死と地獄も、その中の死者を吐き出しました。そして各自が、その行いに応じてさばかれました。
+ それから死と地獄は、火の池に投げ込まれました。これが、第二の死です。
+ いのちの書に名前の記されていない者はみな、火の池に投げ込まれたのです。
+
+
+ それから私は、新しい天と新しい地とを見ました。そこには海はありません。今までの天も地も、消え去ってしまいました。
+ また、私ヨハネは、神のもとを出て天から下って来る、聖なる都、新しいエルサレムに目を奪われました。その眺めのすばらしさは、まるで美しく着飾った花嫁のようでした。
+ 私は、王座から大声で叫ぶ声を聞きました。「ごらんなさい。神の住まいが人々の間にあります。神は人々と共に住み、人々は神の国民となります。神ご自身が人々の中に住み、
+ その目から涙をぬぐってくださるのです。もはや、死も悲しみも叫びも苦痛もありません。それらはみな、永遠に姿を消したからです。」
+ 王座におられる方が宣言されました。「ごらんなさい。わたしはすべてを新しくします。」続いて言われました。「これらのことを書きとめなさい。わたしが伝えることは真実で、信頼できるからです。
+ いっさいのわざが成し遂げられました。わたしは初めであり、終わりです。のどの渇いている者には、いのちの水の泉をあげましょう。
+ 勝利を得る人はだれでも、すべての祝福を相続できるのです。わたしはその人の神となり、その人はわたしの子どもとなります。
+ しかし、わたしに従うのをやめるような臆病者、不忠実な者、堕落した者、人殺し、不道徳な者、魔術を行う者、偶像礼拝者、うそをつく者――このような者たちの行き着く先は、火と硫黄が燃えさかる池です。これが第二の死なのです。」
+ その時、最後の七つの災害の鉢をぶちまけた、七人の天使の一人が来て、私に言いました。「ついて来なさい。小羊の妻となる花嫁を紹介しましょう。」
+ 幻の中で、天使は私を高い山の頂上に連れて行きました。そこで私は、すばらしい都、きよいエルサレムが神のもとを出て、天から下って来るのを見ました。
+ 都は神の栄光に包まれ、宝石のように光り輝き、碧玉のように〔水晶のように〕透き通っていました。
+ 都には、分厚い城壁が高くそびえ、十二人の天使が守る十二の門があり、それぞれに、イスラエルの十二部族の名が記されていました。
+ また、門は東西南北の方角に、三つずつ設けられていました。
+ 城壁には十二の土台石があって、それぞれに、小羊の十二使徒の名が書き込まれていました。
+ 天使は、都と門と城壁とを測るために、金の物差しを手にしていました。
+ 実際に測ってみると、都は縦横長さの等しい正方形であることがわかりました。さらに高さも同じで、立方体をなしているのです。それぞれの長さは二千二百キロでした。
+ 次に城壁の厚さを測ってみると、六十五メートルありました。
+ 都は、ガラスのように透き通る純金でできていました。城壁は碧玉で、さまざまの宝石がちりばめてある、十二の土台石の上に築かれていました。第一の土台石は碧玉、第二はサファイヤ、第三は玉髄、第四はエメラルド、第五は赤縞めのう、
+ 第六は赤めのう、第七は貴かんらん石、第八は緑柱石、第九はトパーズ、第十は緑玉髄、第十一はヒヤシンス石、第十二は紫水晶です。
+ 十二の門は、それぞれ一つの大きな真珠でできていました。大通りは、ガラスのように透き通る純金でした。
+ それにしても、都には、どこにも神殿が見あたらないのです。というのも、全能の神である主と小羊とを、都のどこででも、自由に礼拝できるからです。
+ 都には、太陽も月もいりません。神と小羊との栄光が、明るく照らしているからです。
+ その光は全世界に及ぶのです。世界中の支配者たちが、それぞれの栄光を携えてやって来ます。
+ 都の門は決して閉じられず、一日中、開かれたままです。ここには夜がないからです。
+ あらゆる国の栄光と誉れが、都に運ばれて来ます。
+ 汚れた者は入ることができません。偶像礼拝をする者、偽りを言う者は、一人たりとも入ることができません。小羊のいのちの書に名前が記されている人々だけが、ここに入ることができるのです。
+
+
+ それから天使は、いのちの水の川を見せてくれました。それは水晶のように透き通り、神と小羊との王座から流れ出て、
+ 都の大通りの中央を貫いていました。川の両岸には、十二種の実をつける、いのちの木が生えていました。その木には、それぞれひと月ごとに実がなりました。その葉は、世界中の病気に効く薬草として使われました。
+ 都の中に、のろわれたものは何一つありません。神と小羊との王座があって、神に仕える者たちが礼拝しています。
+ 彼らは、神と顔を合わせることができます。またその額には、神の名が書き込まれています。
+ 都には夜がありません。ですから、明かりも太陽もいりません。神である主が、光そのものだからです。人々は永遠に支配し続けるのです。
+ 天使は、私にこう告げました。「『わたしはすぐに来る』という約束は真実で、信じるべきことばです。預言者に将来の出来事を予告なさった神は、それがいよいよ実現するのを知らせようと、天使をあなたに遣わしたのです。このことを信じ、この書物に記されているすべてを信じる人は幸いです。」
+ これらのことを見聞きした私ヨハネは、それらを示してくれた天使の前にひれ伏して、礼拝しようとしました。
+ ところが彼は、前と同じように、それを拒みました。「そんなことをしてはいけません。私は、イエスに仕える者にすぎません。あなたや、あなたの兄弟である(信仰を同じくする)預言者たちや、この書物の真理に心をとめるすべての人々と同じ者なのです。ただ、神だけを礼拝しなさい。」
+ それから天使は、私に指示しました。「あなたが書きとめたことを隠しておいてはいけません。いよいよ、それらが現実となるからです。
+ その時が来ると、不正な者はますます不正を重ね、汚れた者はますます汚れるでしょう。反対に、正しい者はますます正しい行いに励み、きよい者はますますきよくなるのです。」
+ 「ごらんなさい。わたしはすぐに戻って来ます。その時、それぞれの行いにふさわしい報いをもたらします。
+ わたしは初めであり、終わりです。最初であり、最後です。」
+ 都の門から入る資格と、いのちの木の実を食べる権利とを受けたいと願い、自分の衣服を洗う人は幸いです。
+ 神から離れた者、魔術師、不道徳な者、人殺し、偶像崇拝者、好んで偽りを行う者は、都の外に出されます。
+ 「わたしイエスは、これらすべてを諸教会に知らせるため、あなたがたに使者を送りました。わたしはダビデの根であり、その子孫です。また、ひときわ輝く明けの明星です。」
+ 聖霊と花嫁は、「来てください」と言っています。これを聞く人々は、同じように、「来てください」と言いなさい。渇いている人(求めている人)は、だれでも来なさい。そして、いのちの水をただで受けなさい。
+ 私は、この書物を読むすべての人に、厳かに宣言します。ここに書かれていることに、一語でも書き加える者がいれば、神はその人に、この書物にあるとおりの災いを下されます。
+ また反対に、この預言の書物から一語でも取り除く者がいれば、神はその人から、いのちの木の実を食べる権利ばかりか、きよい都に入る権利をも取り上げるでしょう。
+ これらを知らせてくださった方が、はっきり宣言します。「そのとおり。わたしはすぐに戻って来ます。」アーメン。主イエスよ、来てください。
+ 主イエス‧キリストの恵みが、あなたがた一同と共にありますように。アーメン。
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