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+ + 2026-08-31 +

OSIS 2.1.1 version

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+ + Japanese Living Bible (リビングバイブル JCB) + + + + 2011 + Japanese Contemporary Living Bible (リビングバイブル) + + Bible + jcb + + ja + + + + + Bible + +
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+ + まだ何もなかった時、神は天と地を造りました。 + 地は形も定まらず、闇に包まれた水の上を、さらに神の霊が覆っていました。 + 「光よ、輝き出よ。」神が言われると、光がさっとさしてきました。 + それを見て、神は大いに満足し、光と闇とを区別しました。しばらくの間、光は輝き続け、やがて、もう一度闇に覆われました。神は光を「昼」、闇を「夜」と名づけました。こうして昼と夜ができて、一日目が終わりました。 + 「もやは上下に分かれ、空と海になれ」と神が言われると、 + そのとおり水蒸気が二つに分かれ、空ができました。こうして二日目も終わりました。 + 「空の下の水は集まって海となり、乾いた地が現れ出よ。」こう神が言われると、そのとおりになりました。神は乾いた地を「陸地」、水の部分を「海」と名づけました。それを見て満足すると、 + 神はまた言われました。「陸地には、あらゆる種類の草、種のある植物、実のなる木が生えよ。それぞれの種から同じ種類の草や木が生えるようになれ。」すると、そのとおりになり、神は満足しました。 + これが三日目です。 + 神のことばはさらに続きます。「空に光が輝き、地を照らせ。その光で、昼と夜の区別、季節の変化、一日や一年の区切りをつけよ。」すると、そのとおりになりました。 + こうして、地を照らす太陽と月ができました。太陽は大きく明るいので昼を、月は夜を治めました。このほかにも、星々が造られました。 + 神はそれをみな空にちりばめ、地を照らすようにしました。 + こうして昼と夜を分け終えると、神は満足しました。 + ここまでが四日目の出来事です。 + 神は再び言われました。「海は魚やその他の生き物であふれ、空はあらゆる種類の鳥で満ちよ。」 + 神は海に住む大きな生き物をはじめ、あらゆる種類の魚と鳥を造りました。みなすばらしいものばかりです。神はそれを見て、「海いっぱいに満ちよ。鳥たちは地を覆うまでに増えよ」と祝福しました。 + これが五日目です。 + 次に神は言われました。「地は、家畜や地をはうもの、野の獣など、あらゆる種類の生き物を生み出せ。」そのとおりになりました。 + 神が造った生き物は、どれも満足のいくものばかりでした。 + そして最後に、神はこう言われました。「さあ、人間を造ろう。地と空と海のあらゆる生き物を治めさせるために、われわれに最も近い、われわれのかたちに似せて人間を造ろう。」 + このように人間は、天地を造った神の特性を持つ者として、男と女とに創造されました。 + 神は人間を祝福して言われました。「地に増え広がり、大地を治めよ。あなたがたは、魚と鳥とすべての動物の主人なのだ。 + 全地に生える種のある植物を見てみなさい。みなあなたがたのものだ。実のなる木もすべて与えるから、好きなだけ食べるがいい。 + また、動物や鳥にも、あらゆる草と植物を彼らの食物として与える。」 + 神はでき上がった世界を隅から隅まで見渡しました。とてもすばらしい世界が広がっていました。こうして六日目が終わりました。 + + + ついに全世界が完成しました。 + すべてを創造し終えると、神は七日目には休まれ、 + この日を祝福して、聖なる日と定めました。この日、天地創造の働きが完了したからです。 + 主(イスラエルの神の名)なる神が世界を創造された時の模様は、次のとおりです。 + 初めのうち、地には穀物はおろか、一本の植物さえも生えていませんでした。神がまだ地に雨を降らせず、土地を耕す人もいなかったからです。 + しかし、あちこちから泉がわき出て、全地を潤していました。 + やがて、主なる神が人を造る時がきました。まず、地のちりで体を造り上げ、それにいのちの息を吹き込んだのです。そこで人は、生きた人格を持つ者となりました。 + それから神は、東の方のエデンに園をつくり、そこに人を住まわせました。 + 園には、あらゆる種類の美しい木が植えられています。どれも、極上の実をつける木ばかりでした。園の中央には、「いのちの木」と、善悪を判断する知恵のつく「良心の木」とがありました。 + さて、エデンの地からは一つの川が流れ出て園を潤し、それはやがて四つの流れに分かれていきます。 + その一つピション川は、ハビラ地方全域を蛇行していました。その地方からは、純度の高い金と美しいブドラフ(香りの良い樹脂を出す木)や、しまめのうが取れます。 + 第二の川はギホンと呼ばれ、クシュの全域を流れる川です。 + 第三がティグリス川で、アシュルの町の東側を流れていました。そして第四がユーフラテス川です。 + 神は、人をエデンの園の番人にし、その管理を任せました。 + ただし、一つだけきびしい注意がありました。「園の果物はどれでも食べてよい。だが、『良心の木』の実だけは絶対に食べてはいけない。それを食べると、正しいことと間違ったこと、良いことと悪いことについて、自分勝手な判断を下すようになるからだ。それを食べたら、あなたは必ず死ぬ。」 + また、神はこう考えました。「人が一人でいるのはよくない。彼を助ける者がいなくては。」 + そこで神は、土からあらゆる種類の動物と鳥を造り、アダムのところへ連れて来て、名前をつけさせました。それぞれみな、アダムがつけたとおりの名前をもらいましたが、アダムの助けになるようなものは見当たりませんでした。 + それで神はアダムをぐっすり眠らせ、彼の体から肋骨を一本取り出し、そのあとをふさぐと、 + その骨で女を造り、彼のところへ連れて来ました。 + 「ああ、これはすばらしい!」アダムは思わず叫びました。「私の骨と私の肉から造られた、まさに私の一部です。そうだ、『男』から造ったのだから、『女』と呼ぶことにします。」 + 人が両親のもとを離れて妻と結ばれ、二人が一体となるのはこうした背景があるのです。 + この時、まだ二人とも裸でしたが、恥ずかしいとは思いませんでした。 + + + さて、主なる神が造ったものの中で、蛇が最も賢い動物でした。蛇は女に、ことば巧みに話を持ちかけました。「ほんとうにそのとおりなんですかね? ほかでもない、園の果実はどれも食べてはいけないという話ですよ。神様は、これっぽっちも食べてはならないと言ったっていうじゃないですか。」 + 「そんなことないわ。食べるのは少しもかまわないのよ。ただね、園の中央にある木の実だけは、食べてはいけないの。そればかりか、さわってもいけないんですって。さもないと死んでしまうって、神様はおっしゃったわ。」 + 「ほおーっ。でも、それはうそっぱちですよ。死ぬだなんて、でたらめもいいところだ。 + 神様はわかっているんです。その実を食べたら、善と悪の見分けがついて神様のようになってしまうってことを。」 + 言われてみれば、そう思えないこともありません。それに、その実はとてもきれいで、おいしそうなのです。「あれを食べたら何でもよくわかるようになるんだわ。」女はそう思いながら見ていると、もう我慢できなくなり、とうとう実をもいで食べてしまいました。そばにいたアダムにも分け与えたので、彼もいっしょに食べました。 + はっと気がつくと、なんと、二人とも裸ではありませんか。急に恥ずかしくなって、とっさにいちじくの葉をつなぎ合わせ、腰の回りを覆いました。 + その日の夕方のことです。主なる神が園の中を歩いておられる気配がしたので、二人はあわてて木陰に隠れました。 + 神の呼ぶ声が聞こえます。「アダム、なぜ隠れるのだ。」 + 「あなたがおいでになるのに私は裸だったからです。こんな姿はお見せできません。」 + 「裸だということを、いったいだれが教えたのか。あれほど食べるなと言ったあの木から実を取って食べたのか。」 + 「は、はい。でも、あなたが私といっしょにしてくださったこの女がくれたので……。」 + そこで神は女に尋ねました。「いったいどうして、こんなことをしたのだ。」「蛇がいけないのです。私はただ、だまされただけです。」 + それを聞いて、神は蛇に言いました。「おまえがそんなことをした罰だ。いいか、あらゆる家畜、野生の動物の中で、おまえだけがのろわれるようになる。生きている間中、ちりの中をはい回るがいい。 + これからのち、おまえと女は敵対するようになる。おまえの子孫と女の子孫も同じだ。女はおまえを恐れるだろう。子孫同士も、互いに相手を敵視するようになる。おまえは彼(キリストを暗示する)のかかとにかみついて傷を負わせるが、彼に頭を踏み砕かれてしまうのだ。」 + 次に女に向かって、神は言いました。「あなたは苦しみ抜いて子どもを産む。それでもなお夫の愛を求めるが、彼はあなたを支配する。」 + 最後に神はアダムに言いました。「あれほど食べてはいけないと言ったのに、あなたはそれを食べたので、土地はのろわれたものとなった。あなたは生きるために、一生あくせく働かなければならない。 + 土地にはいばらとあざみが生え、あなたは野草を食べるようになる。 + 死ぬまで汗水流して土地を耕し、働いて糧を得、そしてついに死に、再び土に帰る。土から造られたのだから、また土に帰らなければならないのだ。」 + アダムは妻をエバ〔「いのちを与える者」の意〕と呼びました。彼女が全人類の母となるからです。 + 神はアダムと妻エバに、動物の皮で作った服を着せました。 + それからこう言われました。「人間は、われわれと同じように、善悪の区別がわかるようになってしまった。この先、『いのちの木』にも手を出し、永遠に生きることがないようにしなければならない。」 + 結局、主なる神は人間をエデンの園から永久に追放し、土地を耕させることに決めました。 + こうして神は、人間を追放すると、エデンの園の東に炎の剣を置き、力ある天使とともにいのちの木への道を守らせました。 + + + そののち、アダムは妻エバと結ばれ、エバはカイン〔「私は得た」の意〕を産みました。この名がついたのは、エバが「主のおかげでこの子を得た」と言ったからです。 + 続いてエバは、弟のアベルを産みました。やがて、カインは農夫になり、アベルは羊飼いになりました。 + 収穫の時期になると、カインは作物の中から主に供え物をささげました。 + アベルは一番良い子羊の最上の肉を、自分で神にささげました。主はアベルのささげ物は受け取りましたが、 + カインのささげ物は受け取りませんでした。それでカインは怒って顔を伏せてしまいました。 + 主はそれを見て、「なぜ腹を立てるのだ」とただしました。「何が気に入らなくてうつむいているのか。 + やるべきことを正しく行ってさえいれば、受け入れられるのだ。もし正しく行っていないなら、あなたを滅ぼそうと、罪が待ちかまえている。だが、あなたはその力を抑えることができるはずだ。」 + ある日、カインは、「野へ行かないか」と弟アベルをさそいました。そして、野で不意にアベルに襲いかかり、殺してしまったのです。 + そのことがあってから、主はカインに尋ねました。「あなたの弟はどこにいるのか。アベルはどうしたのだ。」「そんなこと、なぜ私が知っていなければならないのですか。弟の行く先をいつも見張れとでもおっしゃるのですか。」 + 「あなたの弟の血が、大地からわたしを呼んでいる。あなたはなんということをしてしまったのか。 + 弟の血で大地を汚すとは。あなたはもう、ここに住むことはできない。 + これからは、いくら働いても、大地はあなたのために作物を実らせない。この先あなたは放浪者となり、当てもなくさすらうのだ。」 + カインは言いました。「そのような罰は重すぎて、とても負いきれません。 + この地から追い出され、神様の前からも追い払われて、放浪者にまで落ちぶれるなどとは。私を見たら、だれでも私を殺そうとするでしょう。」 + 「心配しなくてよい。あなたを殺させたりはしない。そんなことをする者は、あなたの被るものの七倍の復讐を受けることになる。」こう約束すると神は、彼が殺されないように、カインに一つのしるしを与えました。 + こうして、カインは神のもとを去り、エデンの東、ノデの地に住みついたのです。 + そのあと、カインの妻は男の子を産みました。それがエノクです。その時、カインは町を建てていたので、子どもの名にちなんで、町の名もエノクとしました。 + エノクはイラデの父。イラデはメフヤエルの父。メフヤエルはメトシャエルの父。メトシャエルはレメクの父。 + レメクにはアダとツィラという二人の妻がいました。 + アダの子ヤバルは、初めて牧畜を行う者となり、テント生活を始めました。 + 弟はユバルといい、最初の芸術家になりました。竪琴と笛を作ったのはこの人です。 + レメクのもう一人の妻ツィラには、トバル‧カインが生まれました。彼は最初の鍛冶屋になって、青銅や鉄の道具を作りました。トバル‧カインにはナアマという妹もいました。 + ある日、レメクはアダとツィラに言いました。「おまえたち、よく聞け。身のほど知らずにも私を襲い、傷を負わせた若者がいたので、彼を殺した。 + カインを殺す者が七倍の罰を受けるとしたら、私の場合はそんなものではない。あの若者のかたきを討とうとする者は、七十七倍の罰を受けなければならないのだ。」 + さて、エバは男の子をもう一人産み、セツ〔「授けられた者」の意〕と名づけました。エバが言うように、「カインに殺された子アベルの代わりに、神様がまた男の子を授けてくださった」のです。 + セツは成人し、息子が生まれると、その子をエノシュと名づけました。このころから人々は、神の名によって祈るようになりました。 + + + 神に似た者として初めに造られたアダムの子孫は、次のとおりです。 + 神はまず男と女を造り、彼らを祝福しました。そして彼らを「人」と呼んだのです。 + アダム――百三十歳で、自分によく似た息子セツが生まれる。彼はセツの誕生後さらに八百年生き、息子と娘に恵まれ、九百三十歳で死んだ。 + セツ――百五歳で息子エノシュが生まれる。そののち八百七年生き、息子と娘に恵まれ、九百十二歳で死んだ。 + エノシュ――九十歳で息子ケナンが生まれる。そののちさらに八百十五年生き、息子と娘に恵まれ、九百五歳で死んだ。 + ケナン――七十歳で息子マハラルエルが生まれる。そののちさらに八百四十年生き、息子と娘に恵まれ、九百十歳で死んだ。 + マハラルエル――六十五歳で息子エレデが生まれる。そののちさらに八百三十年生き、息子と娘に恵まれ、八百九十五歳で死んだ。 + エレデ――百六十二歳で息子エノクが生まれる。そののちさらに八百年生き、息子と娘に恵まれ、九百六十二歳で死んだ。 + エノク――六十五歳で息子メトシェラが生まれる。そののち三百年の間、敬虔な生活を送り、息子と娘に恵まれる。三百六十五歳の時、信仰あつい人として歩んだのち姿を消す。神が彼を取り去られたのである。 + メトシェラ――百八十七歳で息子レメクが生まれる。そののちさらに七百八十二年生き、息子と娘に恵まれ、九百六十九歳で死んだ。 + レメク――百八十二歳で息子ノア〔「休息」の意〕が生まれる。「神にのろわれたこの地を耕す仕事はつらいが、この子が休ませてくれるだろう」と考え、その名をつけた。レメクはそののちさらに五百九十五年生き、息子と娘に恵まれ、七百七十七歳で死んだ。 + ノア――ノアは五百歳で息子が三人あった。セム、ハム、ヤペテである。 + + + さて、地上では人々がますます増えていきました。そのころのことです。霊の世界に住む者たちが、地上に住む美しい女を見そめ、それぞれ気に入った女を妻にしていました。 + その有様を見て、主は言いました。「わたしの霊が人間のために汚されるのを放っておけない。人間はすっかり悪に染まっている。反省して、正しい道に戻れるように百二十年の猶予を与えよう。(別訳‧それで人の齢は百二十年としよう。)」 + ところで、霊の世界の悪い者たちが人々の女との間に子どもをもうけていたころも、またそののちも、地上にはネフィリムと呼ばれる巨人たちがいました。彼らはたいへんな勇士で、今でもたくさんの伝説に語られています。 + 主は、人々の悪が目に余るほどひどく、ますます悪くなっていく一方なのを知って、 + 人間を造ったことを後悔し、心を痛めました。 + 「せっかく創造した人間だが、こうなった以上は一人残らず滅ぼすしかあるまい。人間ばかりでなく、動物も、地をはうものも、それから鳥も。いっそ何も造らなければよかった。」 + しかし、ノアは別でした。彼だけは主に喜ばれる生き方をしていたのです。ノアの物語を話しましょう。 + そのころ地上に生きていた人間の中で、ただ一人ほんとうに正しい人がノアでした。彼はいつも、神のお心にかなうように生きようと心がけていたのです。彼にはセム、ハム、ヤペテという三人の息子がいました。 + 一方、世界はどうでしょう。どこでも犯罪が増えるばかりで、とどまるところを知りません。神の目から見ると、この世界はあまりに乱れ、堕落しきっていました。 + 人類全体が罪にまみれ、ますます堕落していくのを見て、神はノアに言いました。「わたしは人類を滅ぼすことにした。人間のおかげで世界は悪で満ちあふれてしまった。だから、一人残らず滅ぼそうと思う。 + ただ、あなただけは助けよう。あなたは樹脂の多いゴフェルの木で船を造り、タールで防水を施しなさい。船には甲板を張り、仕切りをつける。 + 全体の大きさは、長さ百五十メートル、幅二十五メートル、高さ十五メートルにし、 + 周囲には、屋根からおよそ五十センチ下がった所に天窓をつける。中の部屋は一階、二階、三階の三層にし、船腹にはそれぞれの階の扉をつける。 + よく聞くのだ。わたしは世界に洪水を起こし、すべての生き物を滅ぼす。いのちの息のあるものは、みな死に絶える。 + しかし、約束しよう。あなたは、妻や息子夫婦といっしょにその船に乗れば安全だ。 + 動物を一つがいずつ連れて入ることも忘れないように。洪水から守ってやるのだ。あらゆる種類の鳥と動物と地をはうものを、一つがいずつ生き残るようにしなさい。 + それから食糧は、あなたの家族と生き物たちが十分食べられるだけたくわえなさい。」 + ノアは、すべて神から命じられたとおりにしました。 + + + とうとうその日がきました。主はノアに言いました。「さあ、家族全員で船に入りなさい。この地上で正しい人間といえるのは、あなただけだから。 + 動物も一つがいずつ連れて入りなさい。ただし、食用と神へのささげ物に特別に選んだ動物は、それぞれ七つがいずつだ。 + ほかに、鳥も七つがいずつ入れなさい。こうしておけば、洪水が終わってから、もう一度生き物が繁殖できる。 + あと一週間たつと雨が降り始め、四十日の間、昼も夜も降り続く。わたしが造ったすべての生き物はみな死に絶えるだろう。」 + ノアは、すべて命じられたとおりにしました。 + 洪水が襲ってきた時、彼は六百歳でした。 + 大水から逃れるため、彼は急いで妻と息子夫婦を連れて船に乗り込みました。 + あらゆる種類の動物もみないっしょです。食用と神へのささげ物の動物も、そうでない動物も、鳥もはうものもです。すべて神がノアに命じたとおり、雄と雌のつがいで入りました。 + 一週間後、ノアが生まれて六百年と二か月十七日たった日のことです。大雨が降り始め、地下水までが勢いよく吹き出してきました。四十日の間、昼も夜もそんな状態が続きました。 + しかし、まさにその日にノアは、妻と息子セム、ハム、ヤペテとその妻たちを連れて船に乗り込んだのです。 + 家畜といわず野生のものといわず、あらゆる種類の動物、はうもの、鳥もいっしょでした。 + 主の命令どおり、それぞれが雄と雌のつがいで入れられたのです。そのあと神が船の扉を閉じ、心配はなくなりました。 + 四十日の間、地上はすさまじい勢いで増水しました。世界中がすっかり水で覆われたので、船は水の上に浮かびました。 + みるみる水かさが増していきましたが、船は水に浮かんでいるので安全でした。 + とうとう、世界中の山という山がすべて水に覆われてしまいました。 + 一番高い頂でさえ、水面から七メートルも下に沈んだほどです。 + ついに、鳥も家畜と野生の動物もはうものも、そして全人類も、地上の生き物はみな死に絶えました。 + かつて、乾いた地の上で生き、呼吸していたものは、絶滅しました。 + こうして、地上の全生物が姿を消しました。神が滅ぼされたのです。かろうじて生き残ったのは、ノアといっしょに船に乗っていたものたちだけでした。 + 水はさらに百五十日の間、地上を覆っていました。 + + + 船の中のノアとすべての生き物を、神は心にかけていました。やがて神が風を吹きつけると、しだいに水は減り始めました。 + 地下水も止まり、滝のように降っていた大雨も収まってきたようです。 + 降り始めてから百五十日目に水は少しずつ引いていき、とうとう船はアララテ山の頂に止まりました。 + 日に日に水位は下がり、三か月後にはほかの山々も姿を現し始めました。 + 水が引き始めてから四十日目、ノアは天窓を開いて、 + からすを放しました。からすは、地面が乾くまであちこちを飛び回っていました。 + しばらくしてノアは、今度は鳩を放し、乾いた土地を捜させました。 + けれども鳩は下り立つ所が見つからず、ノアのもとへ帰って来ました。水がまだ全地を覆っていたからです。ノアは腕を伸ばし、鳩を船の中に入れました。 + それから七日後、ノアはまた鳩を飛ばしてみました。 + 夕方ごろ戻った鳩を見ると、オリーブの若葉をくわえています。それで、水がかなり引いたことがわかりました。 + さらに一週間後にもう一度放してみると、鳩はそれきり戻りませんでした。 + そのあと、さらに三十日ほどたちました。ノアが船の屋根を取って外を見渡してみると、もう水は引いています。 + しんぼう強く、さらに八週間待つうちに、とうとう地面はすっかり乾きました。 + 神はノアに言いました。「さあ、家族といっしょに外に出なさい。 + 動物も鳥も地をはうものもみな出してやりなさい。それぞれ繁殖して、どんどん増えるようにするのだ。」 + それを待っていたように、ノアと妻と息子夫婦、それに動物たちはみな、その種類ごとに船から出ました。 + ノアはそこに主への祭壇を築き、神から指定された動物や鳥をささげ物としてささげました。 + 神はそれを喜び、こう心に誓われました。「もう二度とこのようなことはしない。人間は子どもの時から悪い性質を持っていて、悪い考えを抱くものだ。わたしはもう、大地をのろって生き物を滅ぼすようなことは絶対にしない。 + 大地がある限り、春の種まきと秋の収穫、暑さと寒さ、冬と夏、昼と夜とが、年ごとにくり返されるだろう。」 + + + 神は、ノアと息子たちを祝福しました。そして、子どもがたくさん生まれ、全地に増え広がるようにと命じたのです。 + 「野の獣と鳥と魚はみな、あなたたちを恐れるようになるだろう。あなたたちは動物を治めなさい。穀物と野菜のほかに動物も食用として与えよう。 + しかし、いのちの源である血をすっかり抜き取ったあとでなければ、食べてはならない。 + 人のいのちを奪うことは禁じる。人を殺した動物は生かしておいてはならない。人のいのちを奪う者には、同じくいのちが求められる。人殺しは、神に似せて造られた者を殺すことになるからだ。 + 子どもをたくさん産みなさい。どんどん増え広がって、世界を治めなさい。」 + それから神は、ノアと息子たちに約束しました。 + 「あなたたちとあなたたちの子孫、生き残った鳥、家畜、野生の動物すべてに、わたしはおごそかに誓う。もう二度と洪水で世界を滅ぼしたりはしない。 + その約束のしるしに、 + 雲の中に虹をかけよう。この約束は、あなたたちと全世界に対し、この世の終わりまで効力を持つ。 + 雲が大地を覆う時、虹が雲の中に輝くだろう。 + その時わたしは、いのちあるものを二度と洪水で滅ぼさないと、堅く約束したことを思い出そう。 + 雲間にかかる虹が、地上のすべての生き物に対する永遠の約束を思い出させるからだ。」 + ノアの三人の息子はセム、ハム、ヤペテで、このうちハムがカナン人の先祖に当たります。 + この三人から世界のあらゆる国民が出たのです。 + さて、ノアは農夫となり、ぶどうを栽培してぶどう酒を作るようになりました。ある日、彼はぶどう酒に酔って前後不覚になり、裸のままテントの中で寝入ってしまいました。 + その醜態を見たハムはあわてて外に飛び出し、二人の兄に、父親が裸で寝ていることを話しました。 + 話を聞いたセムとヤペテは父の服を取りに行き、その服を自分たちの肩にかけ、二人並んでうしろ向きのままそろそろとテントに入りました。そして、父親の裸を見ないように注意しながら、服を肩から落として、父の体にかけたのです。 + ノアは酔いがさめて起き上がると、とっさに何があったのか悟りました。末の息子ハムがしたことを知った時、彼はこう言いました。 + 「カナン人〔ハムの子カナンから出た民族〕はのろわれよ。セムとヤペテの奴隷となって仕えよ。」 + また、こう言いました。 + 「神がセムを祝福なさるように。カナンは彼の奴隷となれ。神がヤペテを祝福し、セムの繁栄にあずかる者としてくださるように。カナンは彼の奴隷となれ。」 + ノアは洪水のあとさらに三百五十年生き、九百五十歳で死にました。 + + + ノアの三人の息子セム、ハム、ヤペテの家系は次のとおりです。以下は、洪水のあと三人に生まれた子どもたちです。 + ヤペテの子孫はゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メシェク、ティラス。 + ゴメルの子孫はアシュケナズ、リファテ、トガルマ。 + ヤワンの子孫はエリシャ、タルシシュ、キティム、ドダニム。 + この人たちの子孫は各地に散らばり、海に沿ってそれぞれの言語を持つ国々をつくりました。 + ハムの子孫はクシュ、ミツライム、プテ、カナン。 + クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカ。ラマの子孫はシェバ、デダン。 + クシュの子孫の一人に、ニムロデという人がいました。地上で最初の王になった人です。 + 彼は神に祝福された力ある狩猟家で、その名が知れ渡っていました。「神に祝福された力ある狩猟家ニムロデのような人」という称賛のことばもあったほどです。 + 彼は帝国をシヌアルの地に建て、バベル、エレク、アカデ、カルネなどを中心に栄えました。 + 領土はやがてアッシリヤまで広がりました。ニネベ、レホボテ‧イル、ケラフ、ニネベとケラフの間にあるレセンなどは、みな彼が建てた大きな町です。特にレセンは、王国の中でも重要な町でした。 + ミツライムは、次の地域に住みついた人たちの先祖となりました。ルデ、アナミム、レハビム、ナフトヒム、パテロス、ペリシテ人が出たカスルヒム、カフトル。 + カナンの長男はシドンで、ヘテも彼の子です。カナンの子孫から次の氏族が分かれ出ました。エブス人、エモリ人、ギルガシ人、ヒビ人、アルキ人、シニ人、アルワデ人、ツェマリ人、ハマテ人。カナンの子孫はやがて、シドンからガザ地区のゲラルに至る一帯に進出し、さらにソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイム、そしてレシャの近くまで広がりました。 + 以上がハムの子孫で、たくさんの国や地方に散らばり、多くの国語を話すようになりました。 + ヤペテの兄セムはエベルのすべての子孫の父祖となりました。 + セムの子孫は次のとおりです。エラム、アシュル、アルパクシャデ、ルデ、アラム。 + アラムの子孫はウツ、フル、ゲテル、マシュ。 + アルパクシャデの息子はシェラフで、シェラフの息子がエベルです。 + エベルには二人の息子が生まれました。ペレグ〔「分裂」の意〕とヨクタンです。ペレグという名の由来は、彼の時代に世界が分裂し、人々が散らされたからです。 + ヨクタンの子孫はアルモダデ、シェレフ、ハツァルマベテ、エラフ、ハドラム、ウザル、ディクラ、オバル、アビマエル、シェバ、オフィル、ハビラ、ヨバブ。ヨクタンの子孫はみな、メシャからセファルに至る東部の丘陵地帯に住みつきました。 + 以上がセムの子孫です。それぞれを政治区分、国語、地理的な位置などによって分けると、このようになります。 + これらの人々はみなノアの子孫の家系で、洪水のあと何世代にもわたって、彼らからいろいろな国が興ってきたのです。 + + + 初めのころ、人類はみな同じことばを話していました。 + しだいに人口が増えると、人々は東の方に移って行きました。こうしてシヌアル(バビロン)の地に平原を見つけ、大ぜいの人がそこに住みついたのです。 + やがて大都市を建設しようという話が持ち上がりました。永久に残る記念碑として、天にも届くような塔を造り、自分たちの力を見せつけようというのです。「こうやって一致団結すれば、あちこちに散らされる心配もなくなるだろう。」そう豪語すると、人々はよく焼いた固いれんがをうず高く積み上げ、アスファルトで固めました。 + 神は降りて来て、人間たちが造っている町と塔をごらんになりました。 + 「なんということだ。同じことばを使い、一致して事に当たると、人間はこれだけのことをやすやすとやり遂げてしまう。この分だと、これからもどんなことを始めるか、わかったものではない。思ったことを何でもやってのけるに違いない。 + 地上へ降りて行って、彼らがそれぞれ違ったことばを話すようにしてしまおう。そうすれば、互いの意思が通じなくなるだろう。」 + こうして、神は人間を世界の各地に散らしたので、都市建設はもうできなくなりました。 + この都の名がバベル〔「混乱」の意〕と呼ばれたのは、このためです。つまり、神がたくさんの国語を与えて人間を混乱させ、各地に散らしたのが、この地だったからです。 + さて、セムの家系は次のとおりです。洪水の二年後、セムが百歳の時に、息子アルパクシャデが生まれました。セムはそのあとも五百年生き、多くの息子、娘に恵まれました。 + アルパクシャデは三十五歳の時、息子シェラフをもうけ、そのあと四百三年生き、ほかにも息子と娘が大ぜい生まれました。 + シェラフは息子のエベルが生まれた時、三十歳でした。そのあと四百三年生き、多くの息子、娘に恵まれました。 + エベルは息子のペレグが生まれた時、三十四歳で、そのあと四百三十年生き、息子、娘が大ぜい生まれました。 + ペレグは息子のレウが生まれた時、三十歳で、さらに二百九年生き、息子、娘が大ぜい生まれました。 + レウはセルグが生まれた時、三十二歳で、その後も多くの息子、娘に恵まれて二百七年生き長らえました。 + セルグは息子のナホルが生まれた時、三十歳で、その後も多くの息子、娘に恵まれて、二百年生き長らえました。 + ナホルは息子テラが生まれた時、二十九歳で、その後も百十九年生き、多くの息子、娘に恵まれました。 + テラが七十歳の時には、息子が三人いました。アブラム、ナホル、ハランです。 + ハランにはロトという息子が生まれました。 + しかし、ハランは若くして生まれ故郷のカルデヤのウルで死に、あとには父のテラが残されました。 + 一方、アブラムは腹違いの妹サライと結婚し、ナホルも、ハランが死んで孤児となった姪のミルカを妻にしました。ミルカにはイスカという兄弟がいましたが、二人ともハランの子です。 + サライは子どもができない体でした。 + テラは、息子のアブラムと嫁のサライ、ハランの息子で孫に当たるロトを連れてカルデヤのウルを出発し、カナンの地へ向かいました。しかし途中、ハランの町に立ち寄ったまま、そこに住みつき、 + 二百五歳の時、ハランで死にました。 + + + 父テラが死んだ時、主はアブラムに命じました。「あなたは、ここを発ちなさい。あなたの親族も住み慣れた地も捨てて出かけるのです。行く先はわたしが教えるから、ただ示されたとおりに進みなさい。 + そうすれば、あなたを偉大な国民の父にしよう。あなたを祝福し、その名を広めて、だれ一人知らぬ者がないようにしよう。あなたによって、ほかの多くの者も祝福されます。 + わたしは、あなたを祝福する者を祝福し、あなたをのろう者をのろう。アブラムによって、全世界が祝福されるのです。」 + アブラムは主のことばに従って出発しました。ロトも彼といっしょです。その時、アブラムは七十五歳でした。 + 彼は妻のサライと甥のロトのほか、ハランで得た家畜や奴隷などを連れて旅をし、カナンに着きました。 + そのまま旅を続け、シェケムの近くまで来ると、モレの樫の木のそばで野営することにしました。当時、この地方にはカナン人が住んでいました。 + その時、主がアブラムに現れ、「この地をあなたの子孫に与えよう」と約束されました。アブラムは喜んで、主とお会いした記念に、そこに祭壇を築きました。 + 彼はそれからさらに南へ向かい、西のベテルと東のアイにはさまれた丘陵地帯に来ました。アブラムは野営をし、主のために祭壇を築いて祈りました。 + そのあとはまた、時々休みながらゆっくりと南のネゲブへ向けて旅を続けました。 + ちょうどそのころ、この地方一帯がひどいききんに見舞われたので、何とかしなければならなくなったアブラムは、ひとまずエジプトに避難することにしました。 + エジプトの国境に近づくと、彼は妻のサライに、人に聞かれたら私の妹だと言ってほしいと頼みました。「あなたは美しいから、きっとエジプト人の目を引くだろう。『たいそう美しい女だが、夫がじゃまだ。夫を殺して彼女を奪おう』と考えるかもしれない。だが、妹ということにしておけば、あなたの手前、私を大事にしてくれるだろう。それで、無事に生き延びることができるかもしれない。」 + エジプトに着くと、案の定サライの美しさは評判となり、 + ファラオに仕える役人までが王の前で彼女のことをほめそやしたので、王はサライを宮殿に召し入れました。 + おかげでアブラムは、王から羊、牛、ろば、男女の奴隷、らくだなど、たくさんの贈り物をもらいました。 + しかし、事はそれで終わらず、王がサライを召し入れたことで、主は宮殿に恐ろしい疫病をはやらせたのです。 + 王はアブラムを呼び出し、激しく非難しました。「いったい、なんということをしてくれたのだ。サライがおまえの妻だということを、どうして隠していたのか。 + 妹だなどとうそをついて、彼女が私のものになるのを平気で見ていたとは。さあ、あの女を連れて、この国から出て行ってくれ。」 + 王は兵士にアブラムと妻をその縁者や財産とともに護送させ、エジプトから追放しました。 + + + そこでアブラムの一行はエジプトを出て北へ向かい、ネゲブまで来ました。アブラムと妻サライ、甥のロトもいっしょでした。アブラムは裕福で、家畜と金銀をたくさん持っていました。 + そこからさらに北のベテルに向かい、やがて、ベテルとアイにはさまれた、以前野営したことのある所まで来ました。かつて祭壇を築いた場所で、アブラムは、もう一度そこで主を礼拝しました。 + ロトも、羊や牛をはじめ大ぜいの使用人をかかえ、非常に裕福でした。 + そのため、たくさんの家畜の群れを持つアブラム家とロト家の両方が住むには、その土地は狭すぎました。 + そこに、アブラムの羊飼いとロトの羊飼いとの間に争いが起きました。しかも、その地にはカナン人やペリジ人の部族も住んでいて、いつ襲われるかわからない危険があったのです。 + アブラムはロトと話し合うことにしました。「なあ、ロト、お互い身内同士の使用人のけんかはやめさせなければならない。伯父、甥の仲なのだから。 + それで、こうしようと思うのだが、おまえの意見はどうだ。まずおまえが、どこでも好きな場所を選ぶのだ。そして、私たちはここで別れる。おまえが東の方を欲しいなら、私はここに残るし、この地がいいと言うなら、私が東へ移ることにしよう。」 + ロトは、ヨルダン川周辺の水に恵まれた肥沃な平野をじっと見つめました。まだソドムとゴモラの町が神に滅ぼされる前だったので、そこは、まるでエデンの園のように見えました。エジプトやツォアル近辺の美しい田園にも似ています。 + ロトはその土地を選びました。東部一帯に広がるヨルダン渓谷の低地です。彼は家畜と使用人を連れてそこへ行くことにし、アブラムはカナンの地に残りました。二人はこうして別れました。 + ロトは平野に下って、ソドムの町の近くに住みつきましたが、 + ソドムの住民はひどく質が悪く、主に背くようなことばかりしていました。 + ロトが行ってしまうと、主はアブラムに言いました。「さあ、四方を見渡しなさい。目の届く限り、遠くまでよく見るのだ。 + その土地をすべて、あなたとあなたの子孫に与えよう。 + わたしはあなたの子孫を増やそう。海辺の砂のように、数えきれないほどの数に。 + さあ、出かけて行き、やがてあなたのものになるこの新しい土地をよく調べるのだ。」 + アブラムはヘブロンに近いマムレの樫の木のそばに移り、そこで主のために祭壇を築きました。 + + + 折りも折り、この地方に戦争が起こりました。シヌアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアルの同盟軍が、ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデマの王シヌアブ、ツェボイムの王シェムエベル、のちにツォアルと呼ばれたベラの王の連合軍と戦ったのです。 + ソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイム、ベラの王たちは、今は塩の海といわれるシディムの谷に全軍を集めました。 + この五人の王は、十二年間ケドルラオメル王に支配されていましたが、十三年目に反乱を起こしたのです。 + 一年後、ケドルラオメル王の率いる同盟軍が討伐に乗り出し、むごたらしい戦いが始まりました。同盟軍は、アシュテロテ‧カルナイムのレファイム人、ハムのズジム人、キルヤタイムの平原にいたエミム人、セイルの山のホリ人を打ち破り、さらにその勢いに乗って、砂漠との境にあるエル‧パランまで進軍しました。 + そこから引き返し、今のカデシュに当たるエン‧ミシュパテでアマレク人を破り、さらにハツァツォン‧タマルのエモリ人をも破りました。 + ソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイム、ベラ〔ツォアル〕の連合軍は、ケドルラオメル王の同盟軍に塩の海で戦いを挑みましたが、敗れました。 + そのころ、谷にはアスファルトの穴がたくさんあり、退却する時、ソドムの王とゴモラの王はその穴に落ち、残りの者は山へ逃げ込みました。 + 同盟軍は勝利の余勢をかってソドムとゴモラを略奪し、町中の財産と食糧をことごとく奪って引き揚げました。 + その時、アブラムの甥ロトもソドムに住んでいたので、捕虜にされ、全財産を奪われました。 + 一人の男が逃亡して、ヘブル人のアブラムのところへ駆け込み、一部始終を報告しました。アブラムはそのころ、エモリ人マムレの所有地にある樫の木立の中に野営していました。マムレは、アブラムと盟約を結んでいたエシュコルとアネルの兄弟でした。 + ロトたちが捕虜になったことを聞くと、アブラムは家のしもべたち総勢三百十八人を引き連れ、引き揚げるケドルラオメルの同盟軍をダンまで追いかけました。 + そして夜になって、奇襲攻撃を展開して、敗走する敵軍をダマスコの北、ホバまで追跡し、 + 略奪された全財産とロト、それに捕虜になっていた人々すべてを取り返しました。 + こうしてアブラムがケドルラオメル王を打ち破り、現在の「王の谷」に当たるシャベの谷まで引き揚げると、ソドムの王が彼を出迎えました。 + また、シャレム〔エルサレム〕の王、いと高き天の神の祭司メルキゼデクは、パンとぶどう酒を持って来て、 + アブラムを祝福しました。 + 「天地のすべてを造られた、いと高き神の祝福が、アブラムよ、あなたにあるように。あなたを敵に勝たせてくださった神があがめられるように。」アブラムは、メルキゼデクに戦利品の十分の一を贈りました。 + ソドムの王は、取り戻された財産を受け取ろうとせず、「捕虜にされていた国民を返してくださるだけで十分です。町から盗まれた物は、どうぞそのままあなたがお取りください」と言いました。 + しかしアブラムは答えました。「私はいと高き神、世界を造られた神に堅く誓いました。 + ですから、くつひも一本頂くわけにはまいりません。『アブラムは私が物を与えたから豊かになった』などと言われたくないのです。 + ただし、追跡に加わった私の軍の若者が食べた分まではお返ししません。それ以外は、いっさい頂きません。戦利品の分け前は、アネル、エシュコル、マムレに与えてください。」 + + + そののち主が幻の中でアブラムに現れ、こう語りかけました。「アブラムよ、心配することはない。わたしがあなたを守り、大いに祝福しよう。」 + 「ああ神様、私に息子がないのはご存じでしょう。どんなに祝福していただいても、子どもがいなければ、全財産は一族のだれかほかの者が相続することになるのです。」 + 「いや、そんなことはない。ほかの者があなたの跡継ぎになることは決してない。財産を相続する子が、あなたに必ず生まれる。」 + それから主はアブラムを外へ連れ出し、満天の星空の下に立たせました。「空を見なさい。あの星を全部数えられますか? あなたの子孫はあの星のようにとても数えきれないほどの数になる。」 + アブラムは主を信じました。主はアブラムの信仰を義と認めました。 + 「カルデヤのウルの町からあなたを導き出したのは、このわたしだ。それは、この土地を永遠にあなたのものとするためだ。」 + 「神様、できれば、その確かな証拠を見せてください。」 + すると、主は次のように言われました。「それぞれ三歳の雌牛と雌やぎと雄羊、それに山鳩とそのひなを持って来て、 + 殺し、真ん中から引き裂いて二つに分けなさい。ただし、鳥は裂いてはいけない。」 + アブラムは言われたとおりにし、はげたかが死体の上に舞い下りて来そうになると、追い払いました。 + やがて夕方になり、日が西に傾きました。アブラムは眠くて、どうにも我慢ができなくなりました。すると、何か恐ろしいことが起きる前兆のような、深い闇が忍び寄ってきたのです。 + その時、主の声がしました。「あなたの子孫は四百年の間、外国で奴隷とされ、苦しめられるだろう。 + だが、その国をわたしは罰する。そしてついには、あり余るほどの富を携えて、彼らはその国から脱出することになる。 + あなたは天寿を全うし、安らかにこの世を去るだろう。 + 四世代ののち、彼らはこの地に帰る。今ここに住んでいるエモリ人の国々の悪行は、まだ最悪には至っていない。だがその時がきたら、きびしい罰を受けることになる。」 + もう日はすっかり沈み、あたりは真っ暗です。見ると、煙のたち込めるかまどと燃えるたいまつが現れ、二つに引き裂かれた動物の死体の間を通り抜けました。 + こうしてその日、主はアブラムと契約を結ばれたのです。「わたしはこの地をあなたの子孫に与える。ワディ‧エル‧アリシュ〔エジプト川〕からユーフラテス川に至る地を。 + また、ケニ人、ケナズ人、カデモニ人、ヘテ人、ペリジ人、レファイム人、エモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の国々をも与えよう。」 + + + 主の約束にもかかわらず、サライとアブラムには、なかなか子どもができませんでした。そこでサライは、ハガルというエジプト人の女の召使を、 + アブラムにそばめとして与えました。「主はいつまでたっても子どもを授けてくださらないので、あなたが私の召使を迎え入れるしかないと思います。もし子どもが生まれたら、私の子ということにしてください。」アブラムは同意しました。こうしてカナンの地に来てから十年後、 + アブラムはハガルを迎え、やがて彼女は妊娠しました。ところが、そのことがわかると、ハガルはとたんに傲慢になり、女主人のサライに横柄な態度をとるようになったのです。 + サライはアブラムに申し立てました。「召使が私を見下げるなんて、みんなあなたのせいですよ。ハガルはいったいだれのおかげで、子どもを身ごもったと思っているのでしょう。こうなったら、どちらが正しいか、主に決めていただきましょう。」 + 「まあまあ、そこまで言わなくても。あの娘をおまえの好きなように罰したらいいではないか。」それならと、サライは召使ハガルにとてもつらく当たりました。我慢できず、ハガルは逃げ出しました。 + ようやく彼女が、シュルに通じる道のわきにある砂漠の泉のそばまでたどり着いた時、神の使いが彼女を見つけました。 + 「サライの召使ハガルよ。どこから来て、これからどこへ行くつもりですか。」「女主人のところから逃げ出して来たのです。」 + 「それはいけない。戻って従順に仕え、務めをきちんと果たしなさい。心配はいりません。あなたには男の子が生まれるから、イシュマエル〔「神は聞いてくださる」の意〕と名づけなさい。あなたの子孫は大きく増え広がります。主があなたの苦しみを聞き届けられたからです。その子は野生のろばのように荒々しく、思うままにふるまう暴れ者となって、すべての人を敵に回し、ほかの人たちも彼に敵意を抱きます。彼はまた、親族の者とも敵対するでしょう。」 + そののちハガルは、主のことをエル‧ロイ(「私を顧みてくださる神」の意)と呼ぶようになりました。彼女の前に現れたのは、実は神ご自身だったのです。「私は神様を見たのに死にもせず、こうして、そのことを人に話すこともできる」と、彼女は言いました。 + のちにその井戸は、ベエル‧ラハイ‧ロイ(「私を顧みてくださり、生きておられるお方の井戸」の意)と名がつきました。それはカデシュとベレデの間にあります。 + やがて、ハガルはアブラムの子どもを産み、アブラムはその子をイシュマエルと名づけました。 + その時、アブラムは八十六歳でした。 + + + アブラムが九十九歳になった時、主が彼に現れました。「わたしは全能の神である。わたしの命令に従って正しく生きなさい。 + わたしはあなたと契約を結ぶ。あなたが大いなる国民となることを保証する契約である。これから、あなたは一つの国民だけでなく、たくさんの国々の先祖となるのだ。」主が語るのを、アブラムは地にひれ伏し、額をすりつけんばかりにして聞いていました。 + 「契約はもう一つある。わたしはあなたの名前を変える。これからは『アブラム』〔「地位の高い父」の意〕ではなく、『アブラハム』〔「国々の父」の意〕と名乗りなさい。 + あなたの子孫を数えきれないほど増やすので、たくさんの国ができるだろう。その子孫からは王も出る。 + この契約を、わたしは何世代にもわたって永遠に守り続ける。あなたとの間だけでなく、あなたの子孫との間の契約でもあるからだ。わたしがあなたの神となり、また、あなたの子孫の神となるという契約である。このカナンの全土は永久にあなたとその子孫のものだ。すなわち、わたしがあなたがたの神となる。 + あなたは契約の条件を忠実に守らなければならない。あなたもあなたの子孫も、一人残らずそうしなければならない。その条件とは、男子はみな割礼を受けるということ、 + つまり、性器の包皮の一部を切り取ることが、あなたがたがこの契約を受け入れたしるしとなる。 + 男子はみな、生まれて八日目に割礼を受けなければならない。あなたの家の子だけでなく、外国人の奴隷もみな受けなければならない。これは永遠に、あなたの子孫全員に適用すべきものである。 + 割礼は、あなたたちの体そのものが、永遠の契約にあずかっていることのしるしだからだ。 + これを拒否する者はだれでも、わたしとの契約を破ったことになり、部族の一員とはみなされない。」 + 神はさらに続けました。「あなたの妻サライの名だが、これからは『サライ』ではなく、『サラ』〔「王女」の意〕にしなさい。 + わたしは彼女を祝福する。彼女はあなたに男の子を産むだろう。すばらしい祝福を与えて、彼女を国々の母とする。彼女の子孫からは多くの王が出る。」 + これを聞いたアブラハムは、地にひれ伏して神を礼拝しました。しかし、とても信じられないことなので、心の中で笑って言いました。「この私が父親になるだって? この百歳の老人が? それにサラだってもう九十歳だ。赤ん坊なんかできるはずがない。」 + そこでアブラハムは神に申し上げました。「それはありがたいことです。どうぞ、イシュマエルを祝福してくださいますように。」 + 「いや、わたしはそうは言っていない。妻のサラが、あなたに男の子を産むのだ。その子をイサク〔「笑い声」の意〕と名づけなさい。わたしは永遠の契約を、彼と彼の子孫との間に結ぶ。 + イシュマエルのことはわかった。あなたの願いどおり彼を祝福し、彼の子孫を増やして、大きな国にしよう。十二人の族長が彼から出る。 + しかし、わたしが契約を結ぶのはイサクである。来年の今ごろ、サラはイサクを産む。」 + こう言い終えると、神はアブラハムのもとを去りました。 + その日アブラハムは、直ちに息子イシュマエルをはじめ、すべての男子を集めました。彼の家で生まれた者も外部から買い入れた奴隷も。そして、神に命じられたとおり、全員に性器の包皮を切り取る儀式を行いました。 + その時アブラハムは九十九歳、イシュマエルは十三歳で、二人とも同じ日に割礼を受けました。家の中の男子は、そこで生まれた者も奴隷として買い取られた者もみな、いっしょに割礼を受けたのです。 + + + アブラハムがマムレの樫の木のそばにテント(天幕と呼ばれる移動式住居)を張っていた時、神は再び彼に現れました。そのいきさつは次のとおりです。夏のある暑い日の午後でした。アブラハムはテントの入口に座っていました。 + ふと目を上げると、三人の人がこちらに向かって来ます。アブラハムはすぐさま立ち上がり、走って行って、喜んで出迎えました。 + 「まあまあ、そんなに先を急がないで、どうぞゆっくりこの木陰でお休みください。水をお持ちしますから、足でも洗ってさっぱりなさるといいですよ。 + 大したものもありませんが、食事でもいかがですか。元気がつきますよ。しばらく休んで、それから旅を続けられたらよろしいでしょう。」「ありがとう。おっしゃるとおりにさせていただきましょう。」 + アブラハムはさっそく、テントの中にいるサラのところへ駆け戻りました。「さあ、一番上等の粉で、大急ぎでパンケーキを作っておくれ。お客様が三人お見えだ。」 + 次は家畜のところに走って行って、群れの中から太った子牛を選ぶと、召使に急いで料理するよう言いつけました。 + まもなく、チーズとミルクと子牛のあぶり肉が運ばれ、食卓が整えられました。客が木の下で食事をしている間、アブラハムはそばに立っていました。 + 「ところで、奥さんはどちらにおられますか?」と三人が尋ねるので、「テントの中です」と答えました。 + 三人のうちの一人(実は神だった)が言いました。「来年の今ごろわたしがまた来る時、あなたとサラの間に、男の子が生まれている。」サラはうしろのテントの入口で一部始終を聞いていました。 + この時、すでにアブラハムもサラもすっかり年をとり、サラは子を産める時期はとうの昔に過ぎていたので、 + 彼女は笑いをかみ殺すのがやっとでした。そして、「私みたいな老いた者が、赤ん坊を産むだなんて」と、彼女はおかしそうにつぶやきました。「それに主人だってもうかなりの年だし……。」 + 神はそれを聞きとがめ、アブラハムに言いました。「なぜ、サラは笑ったのか。なぜ『私みたいな老人に赤ん坊なんか産めるわけがない』とつぶやくのか。 + 神にできないことは何もない。あなたに言ったとおり、来年の今ごろまた来る時には、必ずサラに男の子が生まれている。」 + サラはあわてて否定しました。「笑っただなんて、とんでもないことです。」しかし、どうなることかと、怖くてたまりません。必死になってごまかしましたが、神はご存じでした。 + このあと三人の客は腰を上げ、ソドムに向かいました。アブラハムは彼らを見送ろうと、途中までいっしょに歩いて行きました。 + その時、主は考えました。「わたしの計画をアブラハムに隠しておいていいだろうか。 + アブラハムの子孫は大きな国になるのだし、世界中の国々が彼のおかげで祝福を受けるのだ。 + わたしは彼を選んで、主を敬う、正しく善良な者たちを彼の子孫から起こそうとしている。その約束は果たさなければならない。」 + そこで主は、アブラハムに打ち明けました。「ソドムとゴモラの住民は、すっかり悪に染まってしまったという。ずいぶんひどいことをしているようだ。 + 今、その知らせがほんとうかどうか調べに行くところなのだ。向こうに着けばはっきりわかるだろう。」 + ほかの二人は、そのままソドムへ向かいましたが、アブラハムはなお主の前に立っていました。彼は恐る恐る神に近づいて言いました。「お尋ねしてもよろしいでしょうか。あなたは正しい人も悪人も同じように殺してしまうおつもりですか。 + もしあの町に正しい人が五十人いたとしても、それでも滅ぼされますか。その人たちのために町を救おうとはなさらないのですか。 + だとしたら、正義はどこにあるのでしょう。悪人も正しい人もいっしょに殺してしまうなどということを、あなたがなさるはずはありません。もしも、もしもそんなことをされるなら、正しい人も悪人も全く同じ扱いをされることになってしまいます。あなたは決してそんなことはなさらないでしょう。全地をさばかれる方は、公平でなければならないのですから。」 + 「わかった。正しい人が五十人見つかったら、彼らのために町全体を救うことにしよう。」 + 「ありがとうございます。こう申し上げる私自身が、ちりや灰にすぎない者だということは、よく承知しております。ですが、もう少しお尋ねしてよろしいでしょうか。 + もし正しい人が四十五人しかいない時にはどうでしょう。五人足りないだけで、町をすべて滅ぼされますか。」「四十五人いれば滅ぼすまい。」 + 「では、四十人しかいなかったら?」「四十人でも。」 + 「どうぞお怒りにならないでください。あえてお聞きするのですが、三十人ではいかがですか。」「やはり滅ぼすまい。」 + 「許されるなら、もう少し続けさせてください。もし二十人だけでしたら?」「よろしい。その二十人のために滅ぼさない。」 + 「神様、お怒りにならないでください。もうひと言だけ、これが最後です。もしも、たった十人だったら、いかがでしょう。」「もうよい。その十人のために町を滅ぼすことはしない。」 + 主はアブラハムと話し終えると、去って行きました。アブラハムは自分のテントに帰って行きました。 + + + その日の夕方、二人の天使がソドムの町の入口に着きました。ちょうどそこに、ロトが座っていました。ロトは二人を見るとすぐさま立ち上がって迎え、伏し拝んであいさつをしました。 + 「ご主人がた、どうぞ私どもの家にお泊まりください。明日の朝、お好きな時間にお発ちになればよろしいでしょう。」「いいえ、けっこうです。一晩くらいこの広場で休みますから。」 + けれども、ロトはしきりに勧めました。とうとう二人はロトについて彼の家に行きました。ロトは客のためにパン種(パンの製造に使用する酵母)を入れない焼きたてのパンを出し、ごちそうを並べました。食事が終わり、 + ベッドの用意にかかろうとしていると、若者から年寄りまで町中の男たちがぐるりと家を取り囲み、 + 大声でわめき立てました。「やい、ロト! あの二人を外に出せ。うんとかわいがってやろう。」 + ロトは彼らをなだめようと外へ出て、うしろの戸を閉めました。 + 「お願いだ。乱暴はやめてくれ。 + うちには結婚前の娘が二人いるから、好きなようにしてかまわない。けれども、客人に手出しをすることだけはやめてくれないか。私が責任をもってお泊めしたのだから。」 + 「うるさい、引っ込んでいろ!」暴徒たちは口々に叫びました。「だいたい自分を何様だと思っていやがるんだ。お情けでこの町に住ませてもらっているよそ者なのに、おれたちに命令しようっていうのか? こうなったら、あの二人のことなんかどうでもいい! それより、おまえの生意気な面の皮をひっぱがしてやろう。」言うが早いか、彼らはどっとロトに飛びかかり、戸を壊そうとし始めました。 + ところが、客の二人がさっと腕を伸ばしてロトをつかみ、家の中に連れ込むと、戸にがっちりかぎをかけたのです。 + そして、外の男たちの目を一時的に見えなくしたので、彼らは戸がどこにあるのかわからなくなってしまいました。 + 二人はロトに言いました。「この町に親戚がいますか。家族の皆さんも、それからもし親戚があれば、その人たちもみな、ここから逃げなさい。 + われわれは今からこの町を滅ぼします。この町の腐敗は天にまで知れ渡り、主は、この町を滅ぼすためにわたしたちを遣わされたのです。」 + ロトは急いで表へ飛び出し、娘の婚約者のところへ駆けつけました。「すぐ町から出るんだ。主がこの町を滅ぼそうとしておられる!」ところが彼らには、ロトが気が変になってしまったとしか思えず、あっけにとられてロトを見つめるだけでした。 + 翌日、夜が明けるころ、二人の天使はしきりにロトをせかせて言いました。「さあ、ぐずぐずしないで。奥さんと、ここにいる二人の娘さんを連れて、大急ぎで逃げるのです。さもないと、町もろとも滅びうせてしまいます。」 + それでもまだロトがぐずぐずしているので、天使はロト夫婦と二人の娘の手を取り、町の外の安全な場所へ連れ出しました。それは、神のあわれみによるものでした。 + 一人の天使が言いました。「いのちが惜しかったら一目散に逃げなさい。絶対にうしろを振り返ってはいけません。山の中へ逃れるのです。いつまでもこの低地にいると死んでしまいます。」 + 「どうぞ、そんなことになりませんように。これほどまでして、いのちを助けてくださるご親切には、お礼の申しようもございません。けれども、山の中ではなく、あそこに見える、小さな村に逃げ込んではいけないでしょうか。きっと山にたどり着く前に力尽きて、滅ぼされてしまいます。あの村ならそんなに遠くないですし、それにほんの小さな村ではありませんか。お願いです。あそこへ行かせてください。どんなに小さい村か、どうぞごらんください。あそこなら、私たちは助かります。」 + 「よろしい。言うとおりにしてあげよう。あの小さな村は滅ぼさないことにします。 + だが、急がなければなりません。あなたが向こうに着くまで、わたしは何もしないから。」この時から、その村はツォアルと呼ばれるようになりました。「小さな村」という意味です。 + ロトが村に着くと、ちょうど太陽が昇ったところでした。 + その時、天から、火のように燃える硫黄が、ソドムとゴモラの上に降りかかりました。 + そして、平野に点在するほかの町や村といっしょに、ソドムとゴモラをすっかり焼き尽くしてしまったのです。人間も植物も動物も、いのちあるものはみな死に絶えました。 + ロトの妻も夫のあとからついて行ったのですが、天使の警告に背いてうしろを振り返ったため、塩の柱になってしまいました。 + その日、アブラハムは早く起きて、神と話をした場所に急ぎました。 + ソドムとゴモラのあった平野を見渡すと、まるでかまどのように熱気がたちこめ、煙の柱が町のあちこちから立ち上っているのが見えます。 + しかし神は、アブラハムの願いを聞き入れ、ロトのいのちを救いました。町を覆い尽くした死の災いから、ロトを救い出されたのです。 + その後、ロトはツォアルの人々を恐れて山へ逃げ、二人の娘といっしょにほら穴で暮らしました。 + そんなある日、姉が妹に言いました。「このあたりには男の人がいないし、お父さんも私たちを結婚させることはできないわ。それにお父さんもずいぶん年をとってきたわ。 + だから、お父さんをぶどう酒で酔いつぶして、いっしょに寝ましょう。私たちの家系が絶えないようにするには、そうするしかないのよ。」 + 相談がまとまり、二人はその夜、父親に酒を飲ませ、まず姉が父親のところに行きました。しかしロトは、娘が自分のところに入ったことはおろか、寝たのも起きたのも何一つ覚えていませんでした。 + 次の朝、姉は妹に言いました。「ゆうべ私はお父さんと寝床を共にしたわ。だから、今夜もまた、お酒を飲ませましょう。今度はあなたの番よ。」 + 二人はその夜もまた父親に酒を飲ませ、妹が父親と寝ました。前の晩と同じように、父親は、娘がそばに来たことに全く気がつきませんでした。 + こうして、娘は二人とも父親の子どもを宿したのです。 + やがて生まれた姉の子はモアブと名づけられ、モアブ人の先祖となりました。 + 妹の子はベン‧アミという名で、アモン人の先祖です。 + + + さて、アブラハムは南のネゲブ地方へ移り、カデシュとシュルの間に住みました。そして彼がゲラルの町にいた時、 + 妻サラを妹だと言ったので、アビメレク王は彼女を王宮に召し入れました。 + ところがその夜、神が夢で王に現れました。「あなたは夫のある女を召し入れた。そのために死ななければならない。」 + しかしアビメレクは、まだ彼女に近づいてはいませんでした。「とんでもないことです、主よ。 + 自分の妹だと言ったのは、あの男のほうです。それに彼女自身も、『ええ、彼は兄です』と言ったのです。私には、やましさなど全くありません。」 + 「それはよくわかっている。だから、あなたが罪を犯さないようにしたのだ。彼女に指一本ふれさせないように、わたしが仕向けたのだ。 + さあ、彼女を夫のもとに返しなさい。彼は預言者だから、あなたのために祈ってくれるだろう。そうすればあなたは助かる。だが、彼女を返さなければ、あなたもあなたの一族も、いのちはない。」 + 翌朝、王は早く起き、宮殿で働く者を全員を集めました。王からこれらのことを聞いた者たちはみな、恐ろしさに震え上がりました。 + このあと、王はアブラハムを呼び寄せました。「いったいなんということをしてくれたのか。もう少しで、私も国も、たいへんな罪を犯すところだった。こんな仕打ちを受ける覚えはさらさらない。私があなたに何をしたというのか。どうして、こんなひどいことを考えついたのだ。」 + アブラハムは答えました。「実を言うと、この町は神を恐れない町だと思ったのです。ですから、きっと私を殺して妻を奪うだろうと思いました。それに、彼女が妹だというのはうそではありません。腹違いの妹で、私の妻となったのです。 + そんなわけで、神の命令で故郷を発つ時、妻には、『これからどこへ行っても、おまえは私の妹だということにしてほしい』と頼んでおいたのです。」 + アビメレク王は、羊と牛と男女の奴隷をアブラハムに与え、妻のサラを返しました。 + 王は、「さあ、私の領地を見てごらんなさい。どこが気に入りましたか。どこでも好きな所に住んでかまいません」とアブラハムに言うと、 + サラのほうを向いて続けました。「あなたの『お兄さん』に、弁償金として銀貨一千枚を差し上げることにしよう。それで万事収めてもらえないだろうか。これで、間違いはなかったと認められるだろう。」 + アブラハムは神に、王と王妃をはじめ、一族のすべての女性の病が治るようにと祈ったので、彼女たちはまた子どもを産むようになりました。 + というのは、アビメレクがアブラハムの妻を召し入れた罰で、みな子どもができないようにされていたのです。 + + + さて神は、約束どおりのことをなさいました。サラは子どもを身ごもり、年老いたアブラハムの息子を産んだのです。その時期も、神が言われたとおりでした。 + アブラハムはその子をイサク〔「笑い声」の意〕と名づけました。 + そして、生まれて八日目に、神から命じられたとおり、割礼を受けさせました。この時、アブラハムは百歳でした。 + サラは言いました。「神様は、私を笑えるようにしてくださった。私に赤ちゃんができたと知ったら、皆さんがいっしょに喜んでくれるでしょうね。 + まるで夢のようだわ。年老いた主人のために、赤ちゃんを産んだのですもの。」 + 子どもは日を追って大きくなり、やがて乳離れする時になりました。アブラハムは息子の成長を祝ってパーティーを開きました。 + ところが、エジプト人の女ハガルがアブラハムに産んだイシュマエルが、弟イサクをからかい半分にいじめているのを見ました。それを見つけたサラは、 + アブラハムに訴えました。「どうかあの女奴隷と子どもを追い払ってください。跡継ぎはイサクと決まっています。」 + アブラハムは困り果てました。イシュマエルも自分の子どもなのです。 + すると神は、アブラハムを力づけました。「あの子と女奴隷のことは心配しなくてよい。サラの言うとおりにしなさい。わたしの約束は間違いなくイサクによって成就する。 + しかし、ハガルの子もあなたの息子だ。必ずやその子孫の国を大きくしよう。」 + 翌朝早く、アブラハムは、さっそく食べ物を用意し、水を入れた皮袋をハガルに背負わせると、息子といっしょに送り出しました。二人はベエル‧シェバの荒野まで来ましたが、どこといって行く先はありません。ただあてもなくさまようばかりです。 + やがて飲み水も底をつきました。もう絶望です。彼女は子を灌木の下に置き、 + 自分は百メートルほど離れた所に座りました。「とても、あの子が死ぬのを見ていられない。」そう言うと、わっと泣きくずれました。 + その時、天から神の使いの声が響きました。神が子どもの泣き声を聞かれたのです。「ハガルよ、どうしたのだ。何も恐れることはないのだよ。あそこで泣いているあの子の声を、神様はちゃんと聞いてくださった。 + さあ早く行って子どもをしっかり抱きしめ、慰めてやりなさい。あの子の子孫を必ず大きな国にすると約束しよう。」 + こう言われて、ふと気がつくと、なんと井戸があるではありませんか。神がハガルの目を開いたので、彼女は井戸を見つけることができたのです。彼女は喜んで水を皮袋の口までいっぱいにし、息子にも飲ませました。 + 神に祝福されて、少年はパランの荒野でたくましく成長し、やがて弓矢の達人になりました。そして、母親がエジプトから迎えた娘と結婚しました。 + このころのことです。アビメレク王と軍の司令官ピコルとが、アブラハムのところに来て言いました。「あなたは何をしても神様に守られておられる。それは、だれが見てもはっきりしています。 + そこで、折り入ってお願いしたい。私や息子、孫たちを裏切ったりせず、今後もわが国と友好関係を保っていくことを、神の名にかけて誓っていただきたい。あなたにはこれまで、ずいぶんよくしてきたはずだから、あなたも正義を尽くしてほしい。」 + 「いいですとも、誓いましょう」とアブラハムは答えました。 + またアブラハムは、王の部下たちが井戸を奪い取ったことで、アビメレクに抗議しました。 + 「はて、それは初耳です。いったいだれがそんなことを。その時すぐ言ってくださればよかったのに。」 + こうして契約を結ぶことになり、アブラハムはそのしるしに、羊と牛を王に与えて、いけにえとしました。 + ところが、アブラハムが雌の子羊を七頭別にとっておいたのを見て、王は尋ねました。「これはどういうわけか。」 + 「この子羊は王様への贈り物です。これを二人の間の証拠として、この井戸が私のものだということをはっきりさせようと思いまして。」 + そののち、この井戸はベエル‧シェバ〔「誓いの井戸」の意〕と呼ばれるようになりました。王とアブラハムが、そこで契約を結んだからです。 + その後、王と司令官ピコルは、国へ帰りました。 + アブラハムは井戸のそばに柳を一本植え、そこで主に祈りました。永遠の神に契約の証人となっていただくためです。 + こうしてアブラハムは、ペリシテ人の地に長く住むことになりました。 + + + こののち、神はアブラハムの信仰と従順を試しました。「アブラハム。」「はい、神様。」 + 「あなたのひとり息子を連れてモリヤへ行きなさい。そう、愛するイサクを連れて行くのだ。そして、わたしが指定する山の上で、完全に焼き尽くすいけにえとしてイサクをささげなさい。」 + アブラハムは明くる朝早く起きると、祭壇で燃やすたきぎを作り、ろばに鞍をつけて出かけました。息子イサクと若い召使二人もいっしょです。 + 三日目、指定された場所が遠くに見える所まで来ました。 + 「おまえたち二人は、ろばとここで待っていなさい。わしと息子はあそこへ行き、礼拝してすぐに戻って来るから」と、アブラハムは召使に言いました。 + アブラハムは、完全に焼き尽くすいけにえ用のたきぎをイサクに背負わせ、自分は刀と火打ち石を持ちました。二人はいっしょに歩いて行きました。 + 「お父さん、たきぎもあるし、火打ち石もあるけれど、いけにえにする子羊はどこ?」 + 「わが子イサク、大丈夫だ。神様がちゃんと用意してくださるよ。」二人はどんどん先へ進みました。 + やがて、命じられた場所に着きました。アブラハムはさっそく祭壇を築き、たきぎを並べました。あとは火をつけるばかりです。いよいよイサクをささげる時がきたのです。イサクを縛り上げ、祭壇のたきぎの上に横たえました。 + アブラハムは刀をしっかりと握りしめ、その手を頭上高く振りかざしました。その時です。息子の心臓めがけて刀を振り下ろそうとした、まさにその時、主の使いの声が天から響きました。「アブラハム!アブラハム!」「はい、神様。」 + 「刀を置きなさい。その子に手をかけてはならない。もうわかった。おまえが何よりも神を第一としていることが、よくわかった。最愛の息子でさえ、ささげようとしたのだから。」 + こう言われてふと見ると、雄羊が一頭、木の枝に角を引っかけて、もがいているではありませんか。「これこそ神様が用意してくださったいけにえだ。」そう思ったアブラハムは羊を捕まえ、息子の代わりに、完全に焼き尽くすいけにえとしてささげました。 + このことがあってから、アブラハムはそこをアドナイ‧イルエ〔「神は用意してくださる」の意〕と呼びました。現在でも、そう呼ばれています。 + このあと、主の使いがもう一度アブラハムに、天から呼びかけました。 + 「あなたはよくわたしの言うことを聞いた。愛する息子をさえ惜しまずに、わたしにささげようとしたのだ。神であるわたしは誓う。 + 想像もできないほどあなたを祝福し、子孫を増やそう。空の星、海辺の砂のように、数えきれないほど大ぜいに。あなたの子孫は敵を征服し、 + 世界中の国々に祝福をもたらす。それはみな、あなたがわたしの言うことに従ったからだ。」 + こうして二人は召使のところへ戻り、ベエル‧シェバにある自分たちの家へ向かいました。 + このあと、兄弟ナホルの妻ミルカにも子どもが八人生まれたという便りが、アブラハムに届きました。子どもたちの名前は次のとおりです。長男ウツ、次男ブズ、アラムの父ケムエル、ケセデ、ハゾ、ピルダシュ、イデラフ、それに、リベカの父ベトエル。 + ナホルにはまた、レウマというそばめの子が四人いました。テバフ、ガハム、タハシュ、マアカです。 + + + さて、サラはカナンの地ヘブロンにいた時、百二十七歳で死にました。アブラハムが嘆き悲しんだことは言うまでもありません。 + 激しく泣いたあと、やがて静かに立ち上がり、妻のなきがらを前に、居合わせたヘテ人に頼みました。 + 「ご存じのように、私はよその国から来た者です。妻が死んでも、いったいどこに葬ったらよいのか……。ほんの少しでけっこうですから、墓地にする土地を売っていただくわけにはまいりませんか。」 + 「あなたは神に重んじられている方です。遠慮はいりません。どうぞ、この辺で最上の墓地を選んでください。信仰心のあつい、りっぱなあなたの奥様を葬るお役に立てるなら、私たちにとっても名誉です。」 + なんというありがたい申し出でしょう。アブラハムは深々と頭を下げて言いました。 + 「ご親切に言ってくださり、お礼の申しようもありません。もしよろしかったら、ツォハルの息子さんのエフロンにお口添え願えないでしょうか。 + あの人の畑のはずれにある、マクペラのほら穴を売っていただきたいのです。もちろん、ふさわしい代金をお支払いします。そうすれば、わが家代々の墓地ができます。」 + ちょうど、エフロンもそこに居合わせました。アブラハムの願いを聞くと、彼はさっと立ち上がり、町中の人々の前で、はっきり言いました。 + 「わかりました。あのほら穴と畑地は、あなたに差し上げましょう。さあ、みんなも聞いただろう。お金はけっこうです。ご自由に奥様を葬ってください。」 + アブラハムはもう一度人々におじぎをし、 + 一同の前でエフロンに答えました。「ただだなんて、それはいけません。ぜひ売ってください。代金をお支払いしたいのです。埋葬はそれからにさせてください。」 + 「そこまでおっしゃるなら……。ざっと銀貨四百枚ほどの値打ちはあると思います。そのくらいの金額なら、私たちの間では問題はないでしょう。それでよろしければ、どうぞ奥様を葬ってください。」 + アブラハムは言い値どおり、銀貨四百枚を払いました。それが通り相場でした。 + こうして、マムレに近いマクペラにあったエフロンの畑地とそのはずれのほら穴は、アブラハムのものとなりました。そこに生えている木もすべてです。町の門で、ヘテ人の証人を前に正式に契約を交わし、アブラハムの財産と認められたのです。 + こうして、その土地の所有権はヘテ人からアブラハムに移り、彼はその墓地にサラを葬りました。 + + + アブラハムは神の祝福を豊かに受けて、何不自由なく暮らしていましたが、もうかなりの高齢になっていました。 + そんなある日、アブラハムは家を管理させていた最年長の召使に言いました。 + 「天と地を治める神、主にかけて誓ってくれ。私の息子をカナン人の娘と結婚させてはならない。 + 私の故郷に住む親類のところへ行き、嫁を見つけて来てはくれまいか。」 + 「そうおっしゃいましても、何分、あまりにも遠い所でございます。ここまで嫁に来ようという娘さんがいるかどうか……。もし見つからなかったら、どういたしますか。イサク様をあちらへお連れして、ご親類の方たちといっしょに住むようにいたしましょうか。」 + 「いいや、だめだ。どんなことがあっても、それだけはできない。 + 天の神様から、私はご命令を受けたのだ。あの土地と親族から離れるようにと。それに、私と私の子孫にこの土地を与えるというお約束もある。そう言われる以上、神様が天使を遣わして、どうすればよいか教えてくださるはずだ。息子の嫁はきっと見つかる。 + だが、どうしてもうまくいかない場合は……しかたがない、その時は一人で帰って来なさい。ただ、どんなことがあっても、息子をあそこへ連れて行くことだけはならない。」 + 召使は、指示どおりにすると心から誓いました。 + さっそく、旅行の準備にかからなければなりません。まず、らくだを十頭選びました。また、贈り物として最上の物を幾つかより分けました。それを全部らくだに積み終えると、一行はナホル(アブラハムの兄弟)の住むアラム‧ナハライム地方(現在のイラクの一地域)へ向かったのです。 + いよいよ目的地に着くという時、アブラハムの召使は、町はずれの泉のそばにらくだを座らせました。ちょうど夕方で、女たちが水くみに来る時刻でした。 + 彼は祈りました。「私の主人アブラハムの神様、どうぞご主人様に恵みをお与えください。また、私がこの旅の目的を果たせますよう、お助けください。 + いま私は、この泉のかたわらで、娘たちが水をくみに来るのを待っています。 + そこで、こうしていただけないでしょうか。娘たちに水を下さいと頼むつもりですが、その時もし、『ええ、どうぞ。らくだにも飲ませましょう』と言ってくれたら、その娘さんこそイサク様の妻となるべき娘だ、ということにしてください。そうすれば、主人アブラハムへの神様のお恵みを知ることができます。」 + このように祈っていると、リベカという美しい娘が水がめを肩にのせ、泉にやって来ました。そして、水がめに水をいっぱい入れました。彼女の父親はベトエルと言い、アブラハムの兄弟ナホルと妻ミルカの息子でした。 + アブラハムの召使はさっそく彼女に走り寄って、水を飲ませてほしいと頼みました。 + 「どうぞ、どうぞ」と、その娘はすぐに水がめを下ろし、彼が飲み終わるのを見はからって、 + こう言いました。「そうそう、らくだにもたっぷり飲ませてあげましょう。」 + 彼女は水をおけにあけると、また小走りでくみに行き、 + すべてのらくだに飲ませたのでした。召使は、はたして彼女が自分の探していた娘なのかどうか見きわめようと、無言のまま、じっと彼女のかいがいしい仕事ぶりを見守っていました。 + そして、らくだが水を飲み終わる頃合に、金の鼻輪と、金の腕輪を二つ、彼女に渡して尋ねました。 + 「つかぬことを伺いますが、お父様のお名前は何とおっしゃるのですか。それに、できれば今夜、お宅に泊めていただくわけにはまいりませんでしょうか。」 + 「父はベトエルです。ナホルとミルカの息子ですよ。もちろん、ご遠慮はいりません。どうぞお泊まりください。 + らくだのためのわらや餌も十分ありますし、お客様用のお部屋もございます。」 + 老召使は立ったまま頭を垂れ、その場で主を礼拝しました。 + 「主人アブラハムの神様、ありがとうございます。なんというお恵みでしょう。主人への約束を、こんなにもすばらしい方法でかなえてくださるとは。主人の親族にこんなに早く会えるとは思ってもみませんでした。何もかもあなたのお引き合わせです。ほんとうにありがとうございます。」 + 一方、娘は家へ駆け戻り、家族に客のことを話しました。 + 話を聞いたリベカの兄ラバンは、鼻輪と腕輪を見ると、大急ぎで泉に駆けつけました。老人はまだそこにいて、らくだのそばに立っていました。 + 「ここにおいででしたか。お話は伺いました。これも、主の特別の祝福に違いありません。さあさあ、こんな町はずれに立っていないで、どうぞ家へおいでください。部屋はお越しを待つばかりになっていますし、らくだを休ませる場所もあります。」 + 勧めに従い、老召使はラバンについて行きました。ラバンは、らくだにわらと餌を与え、供の者たちにも足を洗う水を出しました。 + やがて夕食の時間になりました。いよいよ話を切り出す時です。老召使は言いました。「お食事を頂く前に、ぜひともお聞き願いたいことがあります。どういうわけで私がここにまいったか、その用向きをお話ししなければなりません。」「かまいませんとも。そのご用向きを伺いましょう」と、ラバンが促します。 + 「実は、私の主人はアブラハムと申しまして、 + 主に特別な祝福を頂いております。土地の人々からも大いに尊敬されるりっぱな人です。家畜も多く、金銀をはじめ、多くの財産もあります。奴隷も大ぜいおり、らくだやろばもたくさんいます。 + 奥様はたいへん年を取ってからお子さんに恵まれ、主人は全財産をこの息子さんに譲りました。 + ところで、主人が申しますには、息子イサク様をカナンの地の女と結婚させてはならない、というのでございます。 + どうしてもこの遠い国まで来て、ご兄弟の親族の中から花嫁を連れて帰れというご命令で。 + 私は万一の場合を考えまして、『もし、いっしょに来るという娘さんが見つからなかったらどういたしましょう』と尋ねました。 + すると主人は、そんな心配はいらない、と申します。『必ず見つかる。これまで私は主のお心に背いたことはない。大丈夫、主が天使を遣わして、必ずうまくいくようにしてくださる。だから、私の親類から嫁を見つけて来なさい。 + 必ずそうすると誓ってもらう。それでも万一、娘をこんな遠くにはよこせないと断られたら、その時はしかたがない。そのまま一人で帰って来てよい』と、そう申すのでございます。 + そのようなわけで、今日の午後、泉にたどり着いた時、私はこう祈りました。『主人アブラハムの神様、もしも私が使命を無事に果たせるようにお助けくださるのでしたら、どうぞこのようにしてください。 + 私はちょうど泉のそばにおりますから、水をくみに来る娘さんに、「水を飲ませてください」と頼みましょう。 + そして、もし娘さんが、「ええ、どうぞ。らくだにも飲ませましょう」と答えたら、その娘さんこそ、神様がご主人の息子の嫁として選んだ人だ、ということにしてください。』 + こうお祈りしている最中に、リベカさんがいらしたのです。水がめを肩に載せ、泉に降りると、なみなみと水をくんでいらしたので、『すみませんが、水を飲ませてください』とお願いしました。 + うれしいことに、リベカさんはすぐ水がめを下ろして、飲ませてくださるではありませんか。そればかりではありません。『そうそう、らくだにもたっぷり飲ませましょう』と言って、そのとおりなさったのです。 + 私ははやる気持ちをぐっと抑えて尋ねました。『失礼ですが、どなたの娘さんですか?』『ナホル家の者です。父はベトエルといい、ナホルとミルカの息子です』とおっしゃるのを聞いて、もう間違いないと思いました。それでさっそく、鼻輪と腕輪を差し上げたわけです。 + 私は頭を垂れ、主人アブラハムの神様のすばらしいお引き合わせに、心からお礼を申し上げました。こんなにも早く、主人のご兄弟と縁続きの娘さんにお会いできるとは、思いもよらなかったものですから。 + と、こういうわけなのです。いかがなものでしょう。率直にお気持ちを聞かせていただけないでしょうか。私の主人の願いをお聞き届けくださるなら、願ってもないことです。いずれにしましても、ご返事を頂ければ、私は進む方向を決めることができます。」 + 「神様があなたを送って来られたのは明らかですから、私たちが何を言えましょう」とラバンとベトエルは答え、ベトエルが続けました。「とすれば、お断りするわけにもまいりません。 + どうぞ娘リベカを連れて行ってください。神様のお示しになったとおり、ご主人の息子さんの妻となさってください。」 + 答えを聞くと、アブラハムの召使はひざまずいて主を礼拝しました。 + それから、純金や純銀の台にはめ込んだ宝石や美しい衣装を取り出して、リベカに与え、母親と兄にも、たくさんの高価な贈り物をしたのです。 + ようやく一段落ついたところで夕食をとり、その晩、老召使は供の者たちといっしょに泊まりました。そして次の朝早く、彼は言いました。「どうもお世話になりました。そうゆっくりもできませんので、主人のところへ帰らせていただきたいのですが。」 + 「それはまた急なお話で……。せめて十日ばかりはよろしいではありませんか。リベカもいろいろ準備があることですし、これから先、もう会えないかもしれません。ゆっくり名残を惜しんでからにしていただくわけにはいきませんか。」母親と兄は、何とか引き止めようとします。 + しかし召使は、「おことばを返すようですが、やはり帰らせてください。主のおかげで用向きも無事に果たせたことですし、一刻も早く帰って主人に報告したいのです。」 + 「そうまでおっしゃるのですか。では、こうしたらいかがでしょう。娘を呼んで本人の気持ちを直接聞きましょう。」 + 二人はリベカを呼んで尋ねました。「どうだ、今すぐこの方といっしょに行くかね。」「はい、まいります。」 + 本人が承知した以上、断る理由もありません。リベカが小さい時からの乳母をつけて送り出すことにしました。 + 別れる時、彼らはリベカを祝福しました。「妹よ。数えきれないほど多くの国民の母となるように。おまえの子孫が、すべての敵に打ち勝つように。」 + こうしてリベカと使用人の少女たちは、らくだに乗り、老召使といっしょに出発しました。 + 一方、このころイサクはネゲブに住んでいましたが、ちょうどベエル‧ラハイ‧ロイから帰って来たところでした。 + 夕暮れの野を散歩しながら物思いにふけっていた時です。ふと目を上げると、向こうかららくだの一行が来るのが見えます。 + リベカもイサクに気づき、すぐにらくだから降りました。 + リベカは老召使に尋ねました。「あそこにいらっしゃる方はどなたですの? 私たちを迎えにいらしたのかしら。」「おお、あれが若だんな様でございますよ。」そう言われて、彼女はあわててベールをかぶりました。 + 老召使はイサクにこれまでの一部始終を話しました。 + イサクはリベカを、亡き母サラが使っていたテントに連れて行きました。こうして二人は結婚したのです。イサクは妻を心から愛し、母親を亡くした悲しみも、妻を得たことで慰められました。 + + + さて、アブラハムは再婚しました。新しい妻はケトラという名で、子どもも何人か生まれました。ジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデヤン、イシュバク、シュアハです。 + ヨクシャンには、シェバとデダンという二人の息子が生まれました。デダンの子孫は、のちにアシュル人、レトシム人、レウミム人となりました。 + ミデヤンの子はエファ、エフェル、エノク、アビダ、エルダアです。 + アブラハムは全財産をイサクに譲りました。 + しかし、そばめの子どもたちを放っておいたわけではありません。それぞれに贈り物を与えて東の国へ行かせ、イサクから遠く引き離したのです。 + アブラハムは幸せな老後を過ごし、天寿を全うして、百七十五歳で死にました。 + 息子イサクとイシュマエルは父を、マムレに近いマクペラのほら穴に葬りました。アブラハムがヘテ人ツォハルの息子エフロンから買い求めた、あの土地、アブラハムの妻サラを葬った所です。 + アブラハムの死後、神の祝福はイサクに向けられました。イサクはネゲブのベエル‧ラハイ‧ロイの近くに移り住みました。 + サラの女奴隷だったエジプト人ハガルとアブラハムとの子イシュマエルにも、子どもが生まれました。生まれた順に名前をあげると、次のとおりです。ネバヨテ、ケダル、デベエル、ミブサム、ミシュマ、ドマ、マサ、ハダデ、テマ、エトル、ナフィシュ、ケデマ。 + この十二人は十二の氏族の先祖となり、各氏族にはそれぞれの名がつけられました。 + イシュマエルは百三十七歳で死に、先に死んだ一族の仲間入りをしました。 + イシュマエルの子孫たちは、東はハビラから、西はエジプトとの国境を北東のアッシリヤ方面に少し行ったシュルに至る地域に住み、兄弟同士で戦争に明け暮れていました。 + イサクの子孫たちはどうでしょう。 + イサクが、パダン‧アラムに住むアラム人ベトエルの娘で、ラバンの妹リベカと結婚したのは、四十歳の時でした。 + イサクは、リベカに子どもが与えられるようにと、主に祈りました。結婚して何年もたつのに、なかなか子どもが生まれなかったからです。主はその祈りを聞き、ようやく彼女は妊娠しました。 + ところが、まるで二人の子がお腹の中でけんかしているように動き回るのです。「こんなことでは、この先どうなるのかしら」と不安になったリベカは、主に祈り、お心を尋ねました。 + 神は答えられました。「あなたのお腹にいる二人の子は、二つの国へと分かれ、互いにライバルとなる。一方がより強くなり、兄は弟に仕えるようになる。」 + 言われたとおり、ふたごが生まれました。 + 最初の子は、体中が赤い毛で覆われ、まるで毛皮を着ているようだったので、エサウ〔「毛」の意〕と名づけました。 + 次に生まれた弟は、エサウのかかとをつかんでいました。そこでヤコブ〔「つかむ人」の意〕と呼ばれました。ふたごが生まれた時、イサクは六十歳でした。 + やがて子どもたちは成長し、野性味のあるエサウは腕のいい猟師となりましたが、ヤコブのほうは穏やかな性格で、家にいるのを好みました。 + イサクのお気に入りは兄のエサウです。イサクの好きな鹿肉をよく取って来たからです。リベカは、弟ヤコブのほうをかわいがりました。 + ある日、ヤコブがシチューを作っているところへ、エサウが疲れきった様子で猟から帰って来ました。 + 「ああ、腹ぺこで死にそうだ。その赤いシチューを一口くれないか」と言ったので、このことから、エサウは「エドム」〔「赤いもの」の意〕とも呼ばれるようになりました。 + 「ああ、いいよ。兄さんの持っている長男の権利と引き換えなら。」 + 「今にも飢え死にしそうなんだよ。長男の権利なんか何の役に立つんだい。」 + 「それなら兄さん、その権利を僕に譲るって誓ってくれよ。」言われたとおりエサウは誓い、長男の権利を弟に売りました。 + わずかばかりのパンと豆のシチューと引き換えにしたのです。エサウは、腹を満たすことしか頭にありませんでした。長男の権利など、軽く考えていたのです。 + + + ところで、そのころ、国中がひどいききんに見舞われました。アブラハムの時代にあったのと同じような大ききんです。それでイサクは、ペリシテ人の王アビメレクが住むゲラルの町に移りました。 + 神はそこでイサクに現れました。「エジプトへ行ってはいけない。 + この国にとどまりなさい。わたしがついているから心配はいらない。あなたを祝福しよう。あなたの父アブラハムに約束したとおり、この地をあなたとその子孫に与えよう。 + あなたの子孫を空の星のように増やし、この地をすべて与える。彼らは世界中の国々の祝福のもととなる。 + アブラハムがわたしの命令とおきてに従ったからだ。」 + イサクはゲラルに滞在することにしました。 + しかし、リベカのことを町の男たちに何と説明したらいいでしょう。思案のあげく、イサクは「彼女は妹だ」と言うことにしました。もし妻だと言えば、だれかが彼女に目をつけ、手に入れたいと思った時、自分が殺されるかもしれないからです。それほどリベカは美しかったのです。 + しかし、それからしばらくして、ペリシテ人の王アビメレクは、たまたま、イサクがリベカを愛撫しているのを窓越しに見てしまいました。 + アビメレク王はすぐさまイサクを呼びつけました。「あの女はおまえの妻ではないか。なぜ妹だなどとうそをついたのだ!」「いのちが惜しかったのです。だれかが私を殺して妻を奪おうとするのではないかと、心配だったものですから。」 + 「全く、よくもあんなうそがつけたものだ。もしだれかがあなたの妻と寝たら、どうするつもりだったのか。そうなったら、さばかれるのはわれわれのほうなのだ。」 + そこでアビメレク王は布告しました。「イサクとその妻とに危害を加える者は死刑に処す。」 + その年、イサクの畑は大豊作でした。まいた種の百倍も収穫があったのです。まさに神からの祝福です。 + それからは裕福になる一方で、たちまち資産家になりました。 + 羊ややぎのおびただしい群れ、ばく大な数の牛、そして大ぜいの召使、全部イサクのものでした。ペリシテ人はおもしろくありません。 + それで、いやがらせに、彼の井戸を片っぱしから埋めてしまいました。彼の父アブラハムの使用人たちが掘った井戸すべてを埋めたのです。 + アビメレク王はイサクに、この国から立ち去ってほしいと頼みました。「どこかよその土地に行ってくれないか。あなたは非常に裕福で、今ではもう、われわれなど歯が立たないほどの力を持っている。」 + イサクは町を出て、ゲラルの谷間に住みつきました。 + そして父アブラハムの井戸、父の死後ペリシテ人が埋めてしまったあの井戸を、もう一度掘ったのです。井戸の名前も、父親が以前つけたのと同じ(ベエル‧シェバ)にしました。 + イサクの羊飼いたちも、ゲラルに新しい井戸を一つ掘り、勢いよく水があふれる水源を発見しました。 + すると、土地の羊飼いたちが来て、井戸は自分たちのものだと主張しました。「ここはおれたちの土地だ。だから井戸もおれたちのものだ」と、イサクの羊飼いたちに言いがかりをつけたのです。イサクはその井戸を、「エセク」〔「言い争いの井戸」の意〕と名づけました。 + イサクの羊飼いたちは別の井戸を掘りましたが、その井戸の所有権をめぐって、また争いが起きました。今度はそれを「シテナ」〔「怒りの井戸」の意〕と名づけ、 + あきらめて、また新しい所で掘りました。今度は、土地の者たちとの争いがありませんでした。そこで彼らはそれを「レホボテ」〔「広々とした場所の井戸」の意〕と名づけ、言いました。「とうとう主は、広々とした場所を与えてくださった。もう大丈夫だ。これからはここで繁栄していくのだ。」 + さて、イサクがベエル‧シェバに行った時のことです。 + その夜、主が現れて言いました。「わたしはあなたの父アブラハムの神である。恐れてはいけない。わたしはあなたとともにいてあなたを祝福する。子孫を増やし、大きな国にしよう。わたしに聞き従ったアブラハムに約束したとおりに。」 + イサクは祭壇を築き、主を礼拝しました。そして、そこに住むことにし、彼の使用人たちは井戸を掘りました。 + ある日、イサクのところにゲラルから客が来ました。アビメレク王が、顧問のアフザテと軍の司令官ピコルとを連れて来たのです。 + 「どういうご用ですか。あんなひどい仕打ちをして、私を追っ払ったのに、どうしてここまで来たのですか。」 + 「まあ、そう言わないでください。ほかでもありません、あなたは実に恵まれた人だ。神様に祝福されていることがよくわかります。それで、お互いに条約を結びたいと思ったわけです。 + 私たちに危害を加えないと約束してください。私たちも今まで、あなたに危害を加えなかったし、むしろ好意的にしてきたつもりです。あの時だって、武力をふるったわけではないし、納得のうえで国を出てもらいました。それはそれとして、今、あなたは神様に祝福されているのです。」 + そこでイサクは、ごちそうを作って一行をもてなしました。食事を共にするのは、契約を結ぶ備えでもあったのです。 + 翌朝起きるとすぐ、彼らは不可侵条約を結び、厳粛な誓いを交わしました。こうして一行は、イサクに見送られて国へ帰りました。 + ちょうどその日、イサクの使用人たちが来て、「ようやく水が出ました」と報告しました。井戸を掘っているところだったからです。 + そこでイサクは、その井戸を「シブア」〔「誓いの井戸」の意〕と名づけました。そこにできた町も「ベエル‧シェバ」〔「誓い」の意〕と呼ばれるようになり、今もその名のままです。 + ところで、エサウは四十歳でヘテ人ベエリの娘エフディテと結婚し、またヘテ人エロンの娘バセマテも妻にしました。 + この結婚は、両親のイサクとリベカには悩みの種となりました。 + + + イサクは年をとり、目がほとんど見えなくなりました。そんなある日、長男のエサウを呼びました。「エサウかい?」「はい。何ですか、お父さん。」 + 「私ももう年だ。いつお迎えが来るかわからない。これから鹿を取って来てくれないか。私の好きな鹿肉料理を知ってるな。あの、実にうまい、何とも言えない味の料理だ。あれを作って持って来てくれ。そして、死ぬ前に長男のおまえを祝福したいのだ。」 + ところが、二人の話をリベカが立ち聞きしていたのです。 + エサウが鹿を取りに出かけてしまうと、彼女は次男ヤコブを呼び、一部始終を話しました。 + 「さあヤコブ、言うとおりにするのです。群れの中から上等の子やぎを二頭引いておいで。それで私がお父さんの好きな料理を作るから、お父さんのところへ持ってお行き。食べ終わったら、お父さんは亡くなる前に、エサウではなく、おまえを祝福してくださるでしょう。」 + 「だけどお母さん、そんなに簡単にはいきませんよ。だいいち、兄さんは毛深いのに、僕の肌はこんなにすべすべです。お父さんがさわったら、すぐにばれてしまいます。そのあげく、お父さんはだまされたと思って、祝福するどころか、のろうに決まってます。」 + 「もしそんなことになったら、私が代わりにのろいを受けます。今は言うとおりにしなさい。さあ、何をぐずぐずしてるの。早く子やぎを引いておいで。」 + ヤコブは言われたとおりにしました。連れて来た子やぎで、リベカは夫の好物の料理を作りました。 + それから、家に置いてあったエサウの一番良い服を出して、ヤコブに着せました。 + また、やぎの毛皮を手にかぶせ、首の回りにも毛皮を巻きました。 + あとは、おいしそうなにおいのしている肉料理と焼きたてのパンを渡して、準備完了です。 + ヤコブは内心びくびくしながら、それらを持って父親の寝室に入りました。「お父さん。」「だれだね、その声はエサウかい? それともヤコブかい?」 + 「長男のエサウです。お父さんのおっしゃるとおりにしました。ほら、お父さんが食べたがってたおいしい鹿の肉ですよ。起き上がって、座って食べてください。そのあとで、僕を祝福してください。」 + 「それはまた、ずいぶん早く鹿を捕まえたものだな。」「ええ、主がすぐ見つけられるようにしてくださったのですよ。」 + 「それはそうと、こちらへおいで。おまえがほんとうにエサウかどうか、さわって確かめよう。」 + そばへ行ったヤコブをイサクは手でなで回しながら、ひとり言のようにつぶやきます。「声はヤコブそっくりだが、この手はどう考えてもエサウの手だ。」 + イサクはすっかりだまされてしまいました。そして、エサウになりすましたヤコブを祝福しようとしました。 + 「おまえは、ほんとうにエサウかい?」「ええ、もちろん私ですよ。」 + 「では鹿肉料理を持っておいで。それを食べて、心からおまえを祝福しよう。」ヤコブが料理を持って来ると、イサクは喜んで食べ、いっしょに持って来たぶどう酒も飲みました。 + 「さあここへ来て、私に口づけしてくれ。」 + ヤコブは父のそばへ行き、頬に口づけしました。イサクは息子の服のにおいをかぎ、いよいよエサウだと思い込みました。「わが子の体は、主の恵みをたっぷり頂いた大地と野の快い香りでいっぱいだ。主がいつも十分な雨を降らせ、豊かな収穫と新しいぶどう酒を与えてくださいますように。たくさんの国がおまえの奴隷となるだろう。おまえは兄弟たちの主人となる。親類中がおまえに腰をかがめ、頭を下げる。おまえをのろう者はみなのろわれ、おまえを祝福する者はすべて祝福される。」 + イサクがヤコブを祝福し、ヤコブが部屋を出て行くのと入れ替わるように、エサウが狩りから戻って来ました。 + 彼もまた父の好物の料理を用意し、急いで持って来たのです。「さあさあ、お父さん、鹿の肉を持って来ましたよ。起き上がって食べてください。そのあとで、約束どおり私を祝福してください。」 + 「何だと? おまえはいったいだれだ。」「ええっ? 私ですよ。長男のエサウですよ。」 + なんということでしょう。イサクは見る間にぶるぶる震えだしました。「では、ついさっき鹿の肉を持って来たのはだれだったのだ。私はそれを食べて、その男を祝福してしまった。いったん祝福した以上、取り消すことはできない。」 + あまりのショックに、エサウは気が動転し、激しく泣き叫びました。「そんな、ひどいですよ、お父さん。私を、この私を祝福してください。ね、どうかお願いします、お父さん。」 + 「かわいそうだが、それはできない。おまえの弟が私をだましたのだ。そして、おまえの祝福を奪ってしまった。」 + 「ヤコブときたら、全く名前どおりだ。『だます者』〔ヤコブという名には『つかむ人』(25‧26)以外に、この意味もある〕とは、よく言ったものだ。あいつは長男の権利も奪った。それだけでは足りず、今度は祝福までも盗んだってわけか。お父さん、念のため聞きますが、私のためには祝福を残してくれていないのですか。」 + 「すまんが、私はあれを、おまえの主人にしてしまった。おまえばかりではない。ほかの親類の者もみな、あれの召使になるようにと祈った。穀物やぶどう酒が豊かに与えられるとも保証してしまったし……、ほかにいったい何が残っているというのだ。」 + 「それでは、私にはもう何一つ祝福が残っていないとおっしゃるのですか。あんまりだ、お父さん。何とかならないのですか。どうか、どうか私も祝福してください。」イサクは何と言ってよいかわかりません。エサウは声を上げて泣き続けました。 + 「おまえは一生苦労が絶えないだろう。自分の道を剣で切り開いていかなければならないのだから。ただ、しばらくは弟に仕えることになるが、結局はたもとを分かち、自由になるだろう。」 + このことがあってからエサウは、ヤコブのしたことを根に持つようになりました。「お父さんも先は長くはない。その時がきたら、ヤコブのやつを必ず殺してやろう。」 + ところが、このたくらみは感づかれてしまいました。直ちに、母リベカのところにその報告がきました。リベカは急いでヤコブを呼びにやり、エサウがいのちをねらっていることを教えました。 + 「いいね、ハランのラバン伯父さんのところへ逃げるのです。 + ほとぼりが冷めるまで、しばらくお世話になるといいわ。 + そのうち兄さんも、あなたのしたことを忘れるでしょう。そうなったら知らせるから。一日のうちに息子を二人とも失うなんて、とても耐えられません。」 + そして、夫のイサクにうまく話を持ちかけました。「私はこのあたりの娘たちには我慢なりません。もういやけがさしました。もし、ヤコブがこの土地の娘と結婚することになったら、生きているかいもありません。」 + + + そこで、イサクはヤコブを呼び寄せ、祝福して言いました。 + 「おまえはカナン人の女と結婚してはいけない。パダン‧アラムに、ベトエルといってな、おまえのおじいさんの家がある。すぐにそこへ行きなさい。ラバン伯父さんの娘と結婚するのだ。 + 全能の神様がおまえを祝福し、たくさんの子どもを授けてくださり、たくさんの部族を持つ大きな国にしてくださるように。 + おじいさんのアブラハムに約束されたすばらしい祝福が、おまえと子孫に受け継がれるように。私たちは今ここでは外国人だが、おまえの代になって、この地を手に入れることができるように祈る。神様がおじいさんに約束されたように。」 + こうしてイサクは、ヤコブをパダン‧アラムのラバンのもとへ送りました。アラム人ベトエルの子ラバンは、リベカの兄で、ヤコブの伯父に当たります。 + エサウは、父親がこの土地の娘たちを快く思っていないこと、そして両親が、ヤコブの結婚相手をカナン人の女からではなくパダン‧アラムで見つけるために、ヤコブを祝福したうえで送り出したことを知りました。ヤコブも両親の言いつけどおり出発したといいます。 + それでエサウは、伯父イシュマエルの家へ行き、今いる妻のほかに、さらに妻をめとりました。アブラハムの子イシュマエルの娘で、ネバヨテの妹マハラテでした。 + さて、ヤコブはベエル‧シェバを出発し、ハランへ向かいました。 + とある場所まで来ると、日がとっぷり暮れたので、野営することにしました。あたりに転がっている石を枕に、ごろんと横になりました。 + その晩のことです。ヤコブは不思議な夢を見ました。目の前に天までも届く階段がそびえ、神の使いが上ったり下りたりしているのです。 + ふと見ると、神がそばに立っておられます。「わたしは神、アブラハムの神、あなたの父イサクの神、主である。あなたがいま寝ている土地はあなたのものだ。それを、あなたとその子孫に与えよう。 + 子孫は地のちりのように多くなり、東西南北、あらゆる方角に増え広がり、この地全体に住みつくだろう。あなたとあなたの子孫によって、世界中の国々が祝福される。 + あなたがどこへ行こうと、わたしはいつも共にいて、あなたを助ける。無事この地に帰れるように必ず守ろう。約束のものをすべて渡すまで、わたしはいつでも共にいる。」 + そこで目が覚めました。「主はここにもおられる。気づかなかったが、ここは神様の家なのだ。おそれ多くも天国への入口だったのだ。」ヤコブは怖くなって思わず叫びました。 + 次の朝早く起き、枕にした石を立てて記念の柱とし、オリーブ油を注ぎかけました。 + そして、そこをベテル〔「神の家」の意〕と名づけました。そのあたりは以前、ルズと呼ばれていました。 + ヤコブは神に誓いました。「神様、もし主がこの旅で私を助け、守ってくださり、衣食にも不自由させず、 + 無事に父の家に帰してくださって、私の神様となってくださるなら、 + この記念の柱を礼拝の場所とし、神様から頂いた物すべての十分の一を必ずおささげします。」 + + + ヤコブはさらに旅を続け、ついに東の国に着きました。 + そこは広々とした牧草地で、見ると、井戸のそばに羊が三つの群れになって寝そべっていました。井戸の口には重い石のふたがかぶせてあります。 + 羊の群れが全部そこに集まるまで石のふたをはずさないのが、この地方の習慣でした。水をやったあとは、また元どおり石でふたをしておくことになっていました。 + ヤコブは羊飼いたちに近づき、どこに住んでいるのか尋ねました。「ハランだよ。」 + 「では、ナホルの孫でラバンという人をご存じでは?」「ラバンだって? ああ、よく知ってるよ。」 + 「そうですか。その方はお元気ですか。」「元気だとも。順調にやっているしね。ああ、ちょうどよかった。ほら、あそこに羊を連れてやって来る娘、あれが娘さんのラケルだ。」 + 「ありがとうございました。ところで余計なことかもしれませんが、羊に早く水をやって、草のある所へすぐ帰してやらなくていいのですか。こんなに早く草を食べさせるのをやめたら、腹をすかせませんか。」 + 「羊や羊飼いがみな集まるまで、井戸のふたは取らない決まりでね。それまで水はお預けなんですよ。」 + 話をしている間に、ラケルが父の羊の群れを連れて来ました。彼女は羊飼いだったのです。 + ヤコブは、彼女が伯父ラバンの娘で、いとこに当たり、羊はその伯父のものだとわかったので、井戸に近づいて石のふたをはずし、羊に水を飲ませました。 + それから、ラケルに口づけしました。あまりうれしくて気持ちが高ぶり、とうとう泣きだしたほどです。 + そして、自分は彼女の叔母リベカの息子で、ラケルにとってはいとこなのだと説明しました。ラケルはすぐ家へ駆け戻り、父親に報告しました。甥のヤコブが来たのです。すぐ迎えに行かなければなりません。ラバンは取る物も取りあえず駆けつけ、大歓迎で家に案内しました。ヤコブは伯父に、これまでのことを語りました。話は尽きません。 + 「いやあ、うれしいなあ。甥のおまえがはるばるやって来てくれたのだからな。」ラバンも喜びを隠せません。ヤコブの結婚ヤコブが来てから、かれこれ一か月が過ぎたある日のこと、 + ラバンが言いました。「ヤコブ、甥だからといって、ただで働いてくれることはないんだよ。遠慮しなくていい。どんな報酬がほしいかね。」 + ラバンには二人の娘がありました。姉がレア、妹があのラケル。 + レアは弱々しい目をしていましたが、ラケルのほうは美しく、容姿もすぐれていました。 + ヤコブはラケルが好きだったので、ラバンに言いました。「もしラケルさんを妻に頂けるなら、七年間ただで働き、あなたに仕えます。」 + 「いいだろう。一族以外の者と結婚させるより、おまえに嫁がせるほうがいいから。」 + ヤコブは、ラケルと結婚したい一心で、七年間けんめいに働きました。彼女を心から愛していたので、七年などあっという間でした。 + ついに、結婚できる時がきました。「さあ、すべきことはみなやり終えました。約束どおりラケルさんを下さい。彼女といっしょにさせてください。」 + ラバンは村中の人を招いて祝宴を開き、みんなで喜び合いました。 + ところがその夜、暗いのをさいわい、ラバンは姉のレアをヤコブのところに連れて行ったのです。ヤコブはそんなこととはつゆ知らず、レアといっしょに寝ました。 + ラバンは、奴隷の少女ジルパをレアにつけてやりました。 + 朝になって、ヤコブが目を覚まし、見ると、レアがいるではありませんか。憤まんやる方ない気持ちです。すぐさまラバンのところへ行き、食ってかかりました。「なんてひどいことをするんですか! ラケルと結婚したい一心で、私は七年も骨身を惜しまず働いたんですよ。その私をだますなんて、いったいどういうことですか!」 + 「まあ、気を落ち着けてくれ。悪かったが、われわれのところでは、姉より先に妹を嫁に出すことはしないのだよ。 + とにかく婚礼の一週間をこのまま過ごしてくれたら、ラケルもおまえに嫁がせよう。ただし、もう七年間ここで働いてもらうということになるが。」こううまく言い抜けられては、しかたありません。 + ヤコブはさらに七年働くことにしました。そして、ようやくラケルと結婚できたのです。 + ラケルは奴隷の少女ビルハを召使として連れて来ました。 + こうしてヤコブはラケルと床を共にしました。ヤコブはレアよりも彼女のほうを愛していたため、さらに七年も余計に、ラバンのもとで働いたのです。 + ヤコブがレアに冷たくするので、主は彼女に子どもを授け、ラケルには子どもがいませんでした。 + レアが産んだ最初の子は男の子で、レアは、「主は私の苦しみをわかってくださった。子どもができたのだから、夫もきっと私を愛してくれるでしょう」と言って、ルベン〔「私の息子を見てください」の意〕と名づけました。 + 次も男の子で、彼女は、「主は私が愛されていないと知って、もう一人子どもを与えてくださった」と言って、シメオン〔「神は聞いてくださった」の意〕と名づけました。 + さらに三人目の子どもが生まれました。今度も男の子で、彼女は、「三人も男の子を産んだのだから、今度こそ愛してもらえるに違いない」と言って、レビ〔「結びつく」の意〕と名づけました。 + さらに子どもが生まれました。また男の子で、彼女は、「今こそ主をほめたたえよう」と言って、ユダ〔「ほめたたえる」の意〕と名づけました。そのあと、彼女には子どもが生まれませんでした。 + + + 一方、ラケルは自分が子どもを産んでいないので、姉に嫉妬するようになりました。そしてとうとう、「何とかしてください。私も子どもが欲しいのです。でないと、死んでしまいそうです」とヤコブに言いました。 + ヤコブは腹を立てて言いました。「何だって? 私は神様ではない。おまえに子どもが与えられないのは、神様がそうしておられるからだろう。」 + 「そう、では召使のビルハと寝てください。あの子にあなたの子どもができたら、私の子どもにするから。」 + こうして、ヤコブはビルハをそばめとしました。 + やがてビルハは男の子を産みました。 + ラケルは、「神様は正義を行ってくださった。願いどおり息子を下さったのだから」と言って、その子をダン〔「正義」の意〕と名づけました。 + ラケルの女奴隷ビルハは、二人目の男の子を産みました。 + ラケルは、「死に物狂いの争いだったけど、とうとう姉さんに勝った」と言って、その子をナフタリ〔「争い」の意〕と名づけました。 + 一方レアは、もう子どもが産めなくなったので、召使のジルパをヤコブのそばめにしました。 + やがて、ジルパは男の子を産み、レアはその子をガド〔「運が開ける」の意〕と名づけました。 + ジルパはまた男の子を産んだので、 + レアは、「私は幸せ者だわ。ほかの女たちもきっとそう思うでしょう」と言って、その子にアシェル〔「幸福」の意〕という名をつけました。 + さて、麦の刈り入れが始まったある日のこと、長男ルベンが野で恋なすび〔果実に強い麻酔性のある薬用植物で、食べると身ごもると信じられていた〕を見つけ、母レアのところに持って来ました。ラケルは黙っていられず、レアに、自分にも少し分けてくれるよう頼みました。 + レアは腹を立てて言いました。「夫を取っただけではまだ不足なの? 私の息子が見つけて来た恋なすびまで取り上げるなんて、あんまりじゃない。」ラケルは答えました。「だったら、こうしましょうよ。恋なすびをくれれば、今夜は姉さんがあの人と寝てもいいわ。」 + 夕方、畑から戻ったヤコブをレアが出迎えました。「今夜は私のところへ来てくださいね。ルベンが見つけた恋なすびをラケルにあげた交換条件ですから。」彼はそうしました。 + 神はレアの祈りに答え、彼女に五人目の男の子を授けてくださいました。 + 彼女は、「夫に私の女奴隷を与えたので、神様が報いてくださった」と喜んで、その子の名をイッサカル〔「報酬」の意〕としました。 + その後またレアに、六人目の男の子が生まれました。 + 彼女は、「神様は、夫が一番喜ぶ贈り物を下さった。六人も男の子を産んだのだから、今度こそ、あの人も私を大切にしてくれるでしょう」と言って、ゼブルン〔「贈り物」の意〕と名づけました。 + そのあと、今度は女の子が生まれ、ディナと名づけられました。 + 神はラケルを忘れてはいませんでした。ラケルの苦しみを見て、祈りに答え、男の子をお与えになりました。 + 男の子が生まれた時、彼女は、「神様は私の恥を取り除いてくださった」と言って、ヨセフ〔「もう一人、子どもが授かるように」の意〕と名づけました。「男の子をもう一人授けてください」と願ったからです。 + ヨセフが生まれてしばらくたって、ヤコブは突然、ラバンに言いました。「そろそろ国へ帰りたいと考えています。 + もちろん妻と子どもたちもいっしょです。それだけのことはしてきたつもりです。こんなに長い間、あなたのために身を粉にして働いたことは、よくご存じでしょう。」 + 「そんなことを言わず、ここにいてくれないか。実は、占い師に見てもらったのだ。そうしたら、私がこんなに恵まれてるのは、全部おまえのおかげだというではないか。 + 報酬が不足なら、上げてやってもいい。ここにいてくれるなら、おまえの望む額を喜んで出そうじゃないか。」 + 「知ってのとおり、私は長年あなたのために忠実に働きました。それで、あなたの家畜がこんなに増えたのです。 + 私が来たばかりの時は、財産といってもほんの少ししかなかったのに、今はかなりのものです。それというのも、神様が、私のすることは何でも祝福してくださったからです。それなのに、当の私はどうでしょう。いつになれば自分の財産が持てるのですか。」 + 「で? 何が欲しいのだ。」「条件は一つだけです。それさえのんでもらえれば、また喜んで働きます。今日、私はお義父さんの群れの番をしますが、まだらやぶちのあるやぎと、黒い毛の羊は、すべて別にしますから、それを私に下さい。 + あとで、もし私の群れの中に白いやぎや羊が一匹でもいれば、私があなたのものを盗んだことになる、というわけです。」 + 「いいだろう。おまえの言うとおりにしよう。」 + さっそく、ラバンは外に出て、ヤコブのために家畜の群れを分けました。雄でも雌でも、ぶちやしまのあるやぎ、つまり黒の中に少しでも白い部分のあるやぎと、黒い羊ばかりの群れができました。それがヤコブのものです。ラバンは自分の息子たちにその群れをゆだね、歩いて三日ほどかかる場所へ連れて行かせました。ヤコブは、ラバンの残りの群れの世話をしました。 + 彼はまず、ポプラ、アーモンド、プラタナスの若枝を切り、皮をむいて白い木肌を出しました。 + それを、群れが水を飲みに来たとき自然に見えるように、水飲み場のそばに置きました。家畜は水を飲みに来たとき交尾するので、 + そうしておくと、やぎは白いしまのある枝を見ながら交尾することになり、その結果、ぶちやしまのある子が生まれるというのです(そのように信じられていた)。それはみな、ヤコブのものになりました。次に、ラバンの群れから雌羊を取り出し、自分の黒い雄羊とだけ交尾させるようにしました。ヤコブの群れは増える一方です。 + そればかりではありません。彼は、力の強そうなのが交尾している時は、皮をむいた枝をそばに置き、 + 弱そうなのが来た時は、置かないようにしたのです。それで、あまり丈夫でない子羊はラバンのものとなり、丈夫なのはヤコブのものとなりました。 + 当然、ヤコブの群れはどんどん増え、らくだやろばも増えました。彼は召使も大ぜいかかえ、たいへんな資産家となりました。 + + + しかし、そのままですむわけはありません。ラバンの息子たちが不平を言いだしたのです。「ヤコブの財産は、元はと言えばうちのお父さんのものじゃないか。お父さんが犠牲になって、あいつを金持ちにしたようなものだ。」 + そのうちに、ラバンのヤコブに対する態度もよそよそしくなってきました。 + 主がヤコブに彼の父の国へ帰るように命じたのは、そのような時でした。「あなたの先祖の国、親族のところへ帰りなさい。わたしがついているから心配はいらない。」 + ヤコブはラケルとレアに使いをやり、自分が今、群れを飼っている所まで来るように言いました。 + そこで相談するためです。「お義父さんの様子が近ごろどうも変なのだ。だが、心配することはない。今日、私の父の神様が共にいてくださると約束された。 + おまえたちも知っているように、私はお義父さんのために、今まで一生懸命に働いてきた。 + ところが、お義父さんのほうでは、私のことなど少しも考えてくれなかった。報酬のことも、お義父さんは何度も何度も約束を破ったのだ。これまで害されることなく無事にやってこられたのは、ひとえに神様が助けてくださったおかげだと思っている。 + ぶちの群れを私にくれると言えば、ぶちの子ばかり生まれた。それを見て気が変わり、しまのついているのにしなさいと言うと、生まれる羊には全部しまがついていた。 + お義父さんには気の毒だったが、こういうふうに、神様が私を豊かにしてくださったのだ。 + あれは、家畜の群れが交尾する時期のことだった。夢を見たのだ。その中で交尾している雄やぎは、しま、ぶち、まだらのものばかりだった。 + それから、神様の使いが言われたのだ。 + しまや、ぶちのある雄やぎを白い雌といっしょにさせろ、と。続いてこうも言われた。『ラバンがあなたにしたことは全部わかっている。 + わたしはあなたとベテルで出会った神だ。そこであなたは石の柱に油を注ぎ、わたしに仕えると約束した。さあ今、この国を出て、生まれ故郷へ帰りなさい。』」 + ラケルとレアは答えました。「私たちのことなら心配なさらないで。これからもここにいたって、自分たちの財産なんかありませんもの。父の財産だって相続できないでしょう。 + これでは、外国人と変わりないわ。言ってみれば、父は私たちを売ったのよ。あげくの果てに、売ってもうけたお金を、すっかり使い果たしてしまったのです。 + 神様が父から取り上げ、あなたに下さった財産は、もともと私たちのものですもの。どうぞ神様がお命じになったとおりにしてください。遠慮はいりませんから。」 + それで、ある日、ラバンが牧草地で羊の毛を刈っていた時、ヤコブは妻と子どもたちをらくだに乗せ、黙って出発しました。その時、ラケルは、どさくさにまぎれて父親の守り神の像を盗み出しました。一行の先頭は、パダン·アラムで手に入れた羊、やぎなど家畜の群れです。ヤコブたちは、自分の持ち物すべてを持って、カナンの地にいる父イサクのもとへ帰ろうというのです。 + こうして、逃げるようにしてユーフラテス川を越え、ギルアデの地へ向かいました。 + ラバンがそのことを知ったのは、三日後でした。 + あわてて数名の男を連れ、あとを追いました。七日後にようやく追いついた時は、ギルアデの山地まで来ていました。 + その夜のことです。神が夢の中でラバンに現れて言いました。「ヤコブにものを言う時は気をつけなさい。かってに祝福したり、のろったりしてはいけない。」 + ヤコブが山地で野営していた時、ラバンはようやく追いつき、自分たちもテントを張りました。 + 「こそこそ逃げ出すとは、いったいどういうことだ。しかも、私の娘たちまでこんなふうに追い立てるようにして連れ出すとは。それとも、娘らを戦争で奪った捕虜のように思っているのか。」ラバンはヤコブをなじりました。 + 「知らせてくれたら、名残を惜しみ、快く送り出すこともできたのに。 + 孫たちに別れの口づけさえさせてくれなかった。これでは、あまりにひどすぎる。こんなやり方はないぞ。 + しようと思えば、私は仕返しにおまえを痛めつけることだってできるのだ。だが、ゆうべ、おまえの父の神からお告げがあった。『ヤコブにあまりつらく当たってはいけない』と。しかたがない。今度ばかりは大目に見てやろう。 + それにしても合点がいかないが、いくら故郷が恋しくて帰りたかったとはいえ、私の守り神の像まで盗むことはないだろう。」 + 「黙って家を出たのは、そうでもしないと、力ずくでも私の妻たちを奪い取られるのではないかと、心配でたまらなかったからです。 + しかし、お義父さんの守り神のことなど、全く身に覚えがありませんが。もし盗んだ者がいたら、生かしてはおきませんよ。ほかにも、何か一つでも盗品が見つかったら、みなの前で誓いますが、その場でお返しします。」ヤコブは、ラケルが守り神の像を盗んだことを知らなかったのです。 + ラバンは、まずヤコブのテントから捜し始めましたが、何もありません。そのあとは、レアのテント、そばめたちの二つのテントと捜し回っても、やはり守り神の影も形もありません。とうとうラケルのテントを調べる番になりました。 + 盗んだ張本人ラケルのテントです。彼女は像をらくだの鞍の下に押し込み、その上に座りました。これでは、いくらしらみつぶしに捜しても見つかるはずがありません。 + 「お父さん、座ったままで失礼させていただきますわ。今、生理がきつくて、立てないのです。」ラケルはすまして言いました。 + 何も出て来なかったのでヤコブは怒って、「どうでした。何か一つでも見つかりましたか? ぬれ衣もいいところですよ。まるで私が犯人だと言わんばかりに追いかけて来て、そこら中を家捜ししたりして……。さあ、見せていただきましょう。私が盗んだ物はどこにありますか。みんなの目の前に並べてください。ほんとうにお義父さんのものかどうか、とくと調べてもらいましょう。 + この二十年間というもの、私はあなたのために働き通しでした。雌羊や雌やぎの世話に明け暮れ、丈夫な子がたくさん生まれるようにしました。それでも自分が食べるためにと、雄羊一匹だってあなたのものに手をつけたことはありません。 + 野獣に襲われて殺された時も、証拠の死骸を見せて、『数が減ったのを大目に見てください』などと頼んだことがありますか。私が自分で弁償したのです。私の責任であろうがなかろうが、家畜を盗まれた時は、必ず私が弁償させられました。 + 昼は焼けつくような日ざしの中で、夜は夜で、寒さに震えて眠ることもできないままに働きました。 + この二十年間、ずっとですよ。十四年間は二人の娘さんを頂くため、六年間はあなたの群れの世話をして自分の群れを手に入れるため。おまけに、報酬は何度も減らされたのです。 + もし、祖父アブラハムや父イサクが信じる、すばらしい神様の恵みがなかったら、私は一文なしで追い出されていたことでしょう。幸い、神様は何もかもご存じだった。あなたのひどいやり方も、私が一生懸命に働いたことも見ておられた。それでゆうべ、あなたに現れてくださったのです。」 + 「ここにいるのは私の娘だし、子どもたちはみな孫だ。家畜の群れもおまえの持ち物一切合財、私のものと言っていいくらいだ。ならば、自分の娘や孫のためにならないことなど、どうしてできよう。 + さあ、契約を結ぼう。これからは、お互いその契約をしっかり守っていこうではないか。」 + そのしるしとして、ヤコブは石を一つ立て、記念碑としました。 + また、召使に石を集めさせて塚を築きました。そのそばで、ヤコブとラバンはいっしょに食事をしました。 + それで塚の名は、「証拠の塚」となりました。ラバンの国のことばでは「エガル‧サハドタ」、ヤコブの国のことばでは「ガルエデ」です。また、 + ミツパ〔「見張りの塔」の意〕とも呼ばれました。ラバンがこう言ったからです。「お互い遠く離れていても、この約束を守れるように、神様が見張ってくださるように。 + もし私の娘たちにつらく当たったり、ほかの女と結婚したりするなら、神様はお見逃しになるまい。 + お互いにこの線を越えて攻撃をしかけたりしないよう、誓いを立てよう。この石塚は誓いの証人だ。 + もしどちらかが誓いを破ったら、アブラハムとナホルの神、その父祖の神に訴えよう。その者は滅ぼされる。」そこでヤコブも、父親イサクの信じる偉大な神の前で、境界線を尊重すると堅く約束しました。 + そして、山の上で神にも誓いを立て、一同といっしょに食事をしてから、そのまま夜を過ごしました。 + 翌朝はいよいよ別れなければなりません。ラバンは、早々と起きて娘たちと孫たちに別れの口づけをし、祝福すると、家へ帰って行きました。 + + + ヤコブの一行は旅を続けました。すると神の使いたちが彼に現れました。 + ヤコブはその姿を見ると、「神様はここにおられる」と叫び、そこをマハナイム(「神の陣営」の意)と名づけました。 + さてヤコブは、セイルの地エドムにいる兄のエサウに使いをやり、こう言わせました。 + 「兄さん、おひさしぶりです。ヤコブです。長い間ごぶさたしましたが、お変わりありませんか。私は最近まで伯父のラバンのもとに身を寄せていました。 + ようやく、牛やろばや羊や奴隷を持てるようになったので、帰国することにしたのです。だれよりもまず、私の主人である兄さんに、そのことをお知らせいたします。どうか快く迎えてくださいますように。」 + 使いが戻りました。エサウは四百人の供を引き連れて、出迎えに来る途中だといいます。 + 恐れていたとおりです。手を打たなければなりません。ヤコブは気が動転しながらも策を練りました。自分たちの一行を、家畜の群れやらくだも全部、二つに分けました。 + 「もしエサウが一方に攻撃をしかけても、もう一方は助かるだろう」と考えたのです。 + やるだけのことはしました。あとは主に祈るだけです。「祖父アブラハムも信じ、父イサクもお従いする神様。国へ帰れと私に命じ、必ず祝福すると約束してくださった神様。 + 神様はいつもお約束どおり、私に恵みを与えてくださいました。そんな資格は私には全くありませんのに。実家を出た時、私は杖しか持っていませんでした。しかし、今は違います。あの二つに分けた財産はみな、私のものです。 + 神様、どうかお助けください。兄はどんな手荒なことをするかわかりません。私たち一家を皆殺しにするかもしれないのです。考えただけでもぞっとします。 + 神様は、私を祝福し、子孫を海辺の砂のように多くしてくださる、と約束されました。今そのお約束を思い出してください。」 + その夜はそこに泊まり、彼は兄エサウへの贈り物を用意しました。雌やぎ二百頭、雄やぎ二十頭、雌羊二百頭、雄羊二十頭、乳らくだ三十頭とその子、雌牛四十頭、雄牛十頭、雌ろば二十頭、雄ろば十頭。 + ヤコブは召使たちに、ひと足先に群れを追って行くように指示しました。また、それぞれの群れの間に距離を置くようにも言いました。 + 先頭の群れを追う男たちには、特に念を押しておかなければなりません。兄エサウと出会ったらきっと、「どこへ行くのか。主人はだれで、この家畜はだれのものだ」と聞かれるだろうから、 + 「エサウ様ですね。これはみな、あなた様のしもべヤコブのもので、ご主人のあなた様に差し上げる贈り物でございます。ヤコブもすぐあとからまいります」と答えるように、と言い含めました。 + あとに続くグループにも同じようにし、同じことを言うように指示しました。 + 顔を合わせる前にまず贈り物をして、エサウをなだめようというのです。「こうすれば、いくら兄さんでも手荒なことはしないだろう。」 + 贈り物を持って行かせたあと、その夜はテントで寝ることにしました。 + しかし、やはり心配でなかなか眠れません。まだ夜中だというのに起き出し、二人の妻と二人のそばめ、十一人の子どもたちを連れてヨルダン川を越えました。全員が無事にヤボクの渡しを渡り終えるのを見届けると、ヤコブは一人で、もう一度テントに戻りました。もう全く一人きりです。と、そこへ一人の人が現れ、二人は明け方まで格闘を続けました。 + なかなか勝負がつきません。その人はヤコブに勝てないとわかると、ヤコブの腰を打って関節をはずしてしまいました。 + 「もう行かせてくれ。じきに夜が明ける。」その人が頼みました。しかしヤコブは、はあはあと息を切らせながら答えました。「私を祝福してくださるまでは絶対に放しません。」 + 「あなたの名前は何というのか。」「ヤコブです。」 + 「いや、もうヤコブではない。神と戦い、人と戦って強さを示したのだから、イスラエルと変えるがいい。」 + 「よろしければ、お名前を聞かせてください。」「いや、それはできない。」そう答えると、その人はその場でヤコブを祝福しました。 + ヤコブはそこをペヌエル〔「神の顔」の意〕と名づけました。彼が、「神様と直接お会いしたのに、死なずにすんだ」と言ったからです。 + さあ、出発です。日も昇りました。しかし、腰の関節がはずれていたので、足を引きずらなければなりませんでした。 + イスラエル人が今でも腰のすじ肉を食べないのは、ここに由来があります。 + + + やがて、向こうから、エサウが四百人の供を引き連れて来るのが見えました。ヤコブは、今度は家族を幾つかのグループに分けました。二人のそばめとその子どもたちを先頭に、レアとその子どもたちを次に、そしてラケルとヨセフを最後に置きました。 + そして自分は、一番先頭に立ちました。エサウとの距離はどんどん縮まります。ヤコブは、立ち止まっては深々と頭を下げ、また少し行ってはおじぎをするというぐあいに、七度もくり返しました。 + それを見たエサウは走り寄って出迎え、弟をきつく抱きしめると、愛情を込めて口づけをしました。感激のあまり、二人は涙にくれるばかりです。 + エサウは女と子どもたちを見て尋ねました。「あの連れの者たちは?」「私の子どもです。」 + まず二人のそばめが子どもたちといっしょに進み出て、ていねいにおじぎをしました。 + 次にレアと子どもたち、最後にラケルとヨセフがあいさつしました。 + 「ここに来る途中、たくさんの家畜の群れを見たが、あれは何かな。」「私から、ご主人である兄さんへの贈り物です。ほんの心ばかりのものですが、ごあいさつ代わりに。」 + 「ヤコブ、私は家畜なら十分持っているよ。わざわざ贈り物をくれなくていい。自分で持っておきなさい。」 + 「そんなことを言わず、受け取ってください。兄さんのにこやかな笑顔を見て安心しました。兄さんに会うのが怖かったのです。神様の前に出る時のように。 + 遠慮しないで、気持ちよく納めてください。神様のおかげで、私も多少は財産を持てる身になったのですから。」ヤコブがしきりに言うので、とうとうエサウは贈り物を受け取りました。 + 「さあ、そろそろ出かけよう。道案内はわれわれが引き受けるよ。」 + 「ありがとう、兄さん。でもせっかくですが、ごらんのとおり、小さな子どもや生まれたばかりの家畜もいるものですから。あまり急がせたら、群れは死んでしまうでしょう。 + ですから、兄さんは先に行ってください。私たちはあとからゆっくり行きます。兄さんのいるセイルでまたお目にかかりましょう。」 + 「わかった、それでは手伝いに何人か残していくから、道案内にでも使ってくれ。」「それには及びません。ご厚意は十分に受けましたし、私たちだけでも何とかなりますから。」 + エサウはその日、セイルに向けて出発しました。 + ヤコブ一家はスコテまで行くとテントを張り、家畜の群れには囲いを作りました。そこがスコテ〔「小屋」の意〕と呼ばれるのはそのためです。 + こうして、無事カナンのシェケムに到着し、町の外にテントを張りました。 + その土地を、ヤコブはシェケムの父ハモルの家から銀貨百枚で買い取り、 + 祭壇を築いて、エル‧エロヘ‧イスラエル〔「イスラエルの神のための祭壇」の意〕と名づけました。 + + + ある日、ヤコブとレアの娘ディナは、近所の娘たちのところへ遊びに出かけました。 + ところが、ヒビ人の族長ハモルの息子シェケムは、ひと目見て彼女が好きになり、むりやり自分のものにしてしまいました。 + 彼の恋心は募る一方で、彼女の愛を得ようと手を尽くしました。 + シェケムは父のハモルに頼みました。「あの娘といっしょになりたいのです。結婚できるように話をまとめてください。」 + いきさつはヤコブの耳にも入りましたが、その時、息子たちはみな群れの番をしに出かけていました。ヤコブは、彼らが戻るまで、そのままにしておくことにしました。 + ところが、シェケムの父ハモルが出向いて来たのです。ちょうどそこへ、ヤコブの息子たちも戻って来ました。彼らは妹が辱めを受けたことを聞いて驚き、怒りが収まりません。これは妹一人の問題ではなく、家族全体に対する辱めだといきり立ちました。 + ハモルはこう申し出ました。「今度のことは、いいかげんな気持ちからではありません。息子はほんとうにお宅の娘さんが好きなのです。妻に頂きたいと心から願っております。いかがなものでしょう。二人の結婚をお許し願えないでしょうか。 + 皆さんが私どもの土地に住み、互いにお近づきできれば幸いです。娘さんを嫁に頂ければ、私どもの娘もお宅の若い人たちに差し上げましょう。どこでもお好きな所に住んでください。商売をなさってもけっこうです。きっとうまくいきますよ。」 + シェケムも、愛するディナの父親と兄弟たちに頼みました。「お願いです。どうぞディナさんを私に下さい。お望みのものは何でも差し上げます。贈り物でもお金でも。ですから、どうぞ結婚させてください。」 + しかし兄たちは、シェケムとハモルに悪いたくらみを持ちました。シェケムが妹をひどい目に会わせた仕返しをしようというのです。 + 「ちょっと待ってください。それはできない相談だな。あなたたちは割礼を受けていないから、そういう人と妹を結婚させるのは一家の恥です。 + もっとも、あなたたちが一人残らず割礼を受けるというなら、話は別ですが。 + そうすれば、われわれもあなたたちの一族から嫁をもらうし、お互い親戚同士になれます。 + 割礼を受けたくないならしかたありません。妹を連れてここから出て行きます。」 + ハモルとシェケムは喜んで提案を受け入れ、すぐさま言われたとおりにすることにしました。シェケムはディナを深く愛していたので、このことを町のほかの男たちにも勧めることは、少しも苦ではありませんでした。それに、彼は人気があり、町の人たちから尊敬されていたのです。 + ハモルとシェケムは町の議会で提案しました。 + 「あの人たちはわれわれの味方だ。ここに住んでもらって、自由に商売してもらおうではないか。土地は十分あるから心配ない。彼らと親戚になったら、大いに有利だと思う。 + ただ、そのためには一つだけ条件がある。男はみな、彼らと同じように割礼を受けなければならないというのだ。 + 簡単なことじゃないか。ただそれだけで彼らのものは全部われわれのものになり、この土地も豊かになるのだ。どうだろう、みんな、あの人たちがここに住めるように、この提案に賛成してくれないか。」 + 全員が賛成し、割礼を受けました。 + しかし、それから三日後、傷がまだ治りきらず、少しでも動けば痛くてたまらない時、ディナの兄シメオンとレビが、剣を振りかざして町を襲ったのです。彼らは何の反撃もできず、男は一人残らず殺されてしまいました。 + ハモルもシェケムも殺されました。二人はディナをシェケムの家から取り返し、テントに連れ帰りました。 + そのあと、ヤコブの息子が全員で町を略奪しました。妹がそこで辱められたからです。 + 町の中にある物も外にある物も、羊も、牛も、ろばも何もかも奪い、 + 女や子どもたちは捕虜にし、全財産を取り上げてしまいました。 + そのやり方のひどさにヤコブは、レビとシメオンを責めました。「おまえたちのおかげで、私はすっかり憎まれ者になってしまった。付近に住むカナン人やペリジ人は、私のことを、さぞかし血も涙もない男だとうわさするだろう。こちらがこんな少人数では、彼らに攻められたらひとたまりもない。」 + 「ではお父さんは、妹が売春婦のように扱われてもかまわないのですか?」二人も負けずに言い返しました。 + + + 神はヤコブに命じました。「ベテルへ行って、そこに住みなさい。祭壇を築くのも忘れないように。兄エサウのもとを逃げ出した時、あそこで会った神を礼拝するのだ。」 + ヤコブは一族の者みなに、手もとにある偶像を捨て、身を洗いきよめて新しい服を着るよう命じました。 + そして、一同に言い渡しました。「これからベテルへ行く。これまで、どんなに苦しかった時も祈りに答えてくださった神様、旅の間、いつも共にいて守ってくださった神様のために、そこで祭壇を築くことにしたのだ。」 + 彼らは、持っていた偶像や耳につけていたイヤリングなどをヤコブに渡したので、彼は全部ひとまとめにして、シェケムのそばの樫の木の下に埋めました。 + 彼らが旅立つと、神が行く先々の町の住民に恐れを与えたので、旅の間だれからも攻撃されずにすみました。 + ついにカナンのルズ〔別名ベテル〕に着きました。 + ヤコブはそこに祭壇を築き、エル‧ベテル(「ベテルでお会いした神の祭壇」の意)と呼びました。エサウのもとから逃げる時、神と会ったのが、このベテルだったからです。 + まもなく、リベカの年老いた乳母デボラが死に、ベテルのふもとの谷にあった樫の木の下に葬られました。その木はのちに、「嘆きの樫の木」と呼ばれるようになりました。 + こうして、はるばるパダン‧アラムからベテルまで戻ったヤコブに、神は再び現れ、祝福しました。 + 「あなたの名はこれからヤコブ〔「つかむ者」の意〕ではなく、イスラエル〔「神に勝つ者」の意〕としなさい。 + わたしは全能の神だ。」また、こうも約束されました。「あなたに子どもをたくさん与え、子孫を増やそう。彼らは大きな国となり、たくさんの国が分かれ出る。あなたの子孫から何人もの王が出るのだ。 + わたしがアブラハムとイサクに与えた土地はみな、あなたとあなたの子孫のものだ。」 + そのあとヤコブは、神が現れた場所に石の柱を立て、神へのささげ物として柱にぶどう酒を注ぎ、オリーブ油を塗りました。 + このことがあってから、ヤコブはそこをベテル〔「神の家」の意〕と名づけました。 + やがてベテルを出発したヤコブ(イスラエル)の一行は、エフラテ〔ベツレヘム〕へと旅を続けました。ところが目的地まではまだかなりあるうちに、ラケルが産気づいたのです。 + ひどい陣痛でラケルは苦しみ、気をもみながら待つうち、ようやく助産婦の大声が聞こえました。 + 「よかったわね。また男のお子さんですよ。」難産で息も絶え絶えのラケルは、最後の息の下から、その子をベン‧オニ〔「私の悲しみの子」の意〕と呼びました。しかし父親は、ベニヤミン〔「私の右手の子」の意〕と名づけました。 + ラケルは死に、エフラテへ向かう道のそばに葬られました。 + その墓石は、今も残っています。 + イスラエルは旅を続け、エデルの塔を越えた所にテントを張りました。 + そこにいた時、ルベンが父親のそばめビルハと寝たのです。そのことはイスラエルの耳にも入りました。ところで、ヤコブの十二人の息子は次のとおりです。 + レアの子は、長男ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。 + ラケルの子は、ヨセフ、ベニヤミン。 + ラケルの召使ビルハの子は、ダン、ナフタリ。 + レアの召使ジルパの子は、ガド、アシェル。みなパダン‧アラムで生まれた息子です。 + こうしてヤコブは、今はヘブロンと呼ばれるキルヤテ‧アルバのマムレにいた父親イサクのところへ帰りました。そこはアブラハムも住んだことのある所です。 + その後まもなく、イサクは天寿を全うして百八十歳で死にました。彼の子エサウとヤコブが二人で父を葬りました。 + + + エサウ、別名エドムの子孫は次のとおりです。 + エサウには妻が三人いました。三人ともカナン人で、アダ〔ヘテ人エロンの娘〕、オホリバマ〔アナの娘、ヒビ人ツィブオンの孫娘〕、バセマテ〔イシュマエルの娘でネバヨテの妹、エサウにはいとこに当たる〕。 + アダとの間にはエリファズという息子がいました。バセマテにはレウエルという息子が生まれました。 + オホリバマにはエウシュ、ヤラム、コラという三人の息子が生まれました。以上はみな、カナンの地でエサウに生まれた息子です。 + それからエサウは、妻子、召使、家畜の群れなど、カナンの地で手に入れた全財産を携え、セイルの山地に移りました。ヤコブといっしょでは、家畜の数に比べて土地が狭すぎたからです。 + セイルの山地へ移ってからは、エドム人として次の人々が生まれました。 + アダの息子エリファズの子は、テマン、オマル、ツェフォ、ガタム、ケナズ、そして、エリファズのそばめティムナが産んだアマレク。 + もう一人の妻バセマテにも孫ができました。息子レウエルの子で、ナハテ、ゼラフ、シャマ、ミザ。オホリバマには孫はいません。 + エサウの孫はそれぞれの氏族の長となりました。次のとおりです。テマン族、オマル族、ツェフォ族、ケナズ族、コラ族、ガタム族、アマレク族。以上は、エサウの長男エリファズの子孫です。 + エサウとバセマテがカナンに住んでいた時、生まれたレウエルからは、次の氏族が出ました。ナハテ族、ゼラフ族、シャマ族、ミザ族。 + アナの娘オホリバマにできた息子たちからは、次の氏族が出ました。エウシュ族、ヤラム族、コラ族。 + もともとセイルの山地に住んでいたホリ人セイルから出た氏族は、次のとおりです。ロタン族、ショバル族、ツィブオン族、アナ族、ディション族、エツェル族、ディシャン族。 + セイルの息子ロタンの子はホリとヘマムです。ロタンにはティムナという妹がいました。 + ショバルの子は、アルワン、マナハテ、エバル、シェフォ、オナム。 + ツィブオンの子は、アヤ、アナ〔父親のろばに草を食べさせていた時、荒れ地で温泉を発見した少年〕。 + アナの子は、ディション、オホリバマ。 + ディションの子は、ヘムダン、エシュバン、イテラン、ケラン。 + エツェルの子は、ビルハン、ザアワン、アカン。 + ディシャンの子は、ウツ、アラン。 + イスラエルを統治する王がまだいなかった当時、エドム地方を治めていた歴代の王は次のとおりです。エドムのディヌハバ出身のベラ王〔ベオルの息子〕、続いてボツラ出身のヨバブ王〔ゼラフの息子〕、続いてテマン人の出のフシャム王、続いてハダデ王〔ベダデの息子。ミデヤン人がモアブを侵略した際、これを撃退した指導者。出身地はアビテ〕、続いてマスレカ出身のサムラ王、続いて川のそばのレホボテ出身のサウル王、続いてバアル‧ハナン王〔アクボルの息子〕、続いてパウ出身のハダル王。ハダル王の妻はマテレデの娘でメヘタブエルと言い、メ‧ザハブの孫娘に当たります。 + エサウの氏族は次のとおりです。ティムナ族、アルワ族、エテテ族、オホリバマ族、エラ族、ピノン族、ケナズ族、テマン族、ミブツァル族、マグディエル族、イラム族。これらの氏族の名はまた、それぞれが住んでいた土地の名ともなりました。以上がエサウの子孫であるエドム人です。 + + + ヤコブはまた、カナンの地に住むことになりました。かつて父イサクが住んでいた所です。 + この時、息子のヨセフは十七歳になっていました。腹違いの兄である、ビルハやジルパの息子たちといっしょに、父親の羊の群れの番をするのが、ヨセフの仕事でした。そんな時、兄たちが何か悪いことをすると、ヨセフはいちいち父親に知らせるのです。 + イスラエルはヨセフを、どの息子よりもかわいがっていました。年をとってからの子だったからです。それで、彼には飾りつきの特別仕立ての服を作ってやりました。 + こうあからさまにえこひいきされては、兄たちもおもしろくありません。ヨセフが憎らしくて、優しいことばなどかけられないのです。 + そんなある晩、ヨセフは夢を見ました。その話をさっそく事細かに話したものですから、ますます兄たちに嫌われてしまいました。 + 「聞いてよ。僕、こんな夢を見たんだ。」得意げに、ヨセフは言いました。 + 「みんなが畑で束をたばねていたんだ。そうしたら僕の束が、いきなりすっくと立ち上がった。それからどうなったと思う? 兄さんたちの束が回りに集まって来て、僕の束におじぎをするんだ。」 + 「じゃあ何かい、おまえがおれたちの主人になって支配するとでもいうのかい?」兄たちはせせら笑いました。「いつものことだが、なんて生意気なやつだ。だいいち、その夢が気にくわない。」ヨセフがますます憎らしくなるばかりでした。 + ヨセフはまた夢を見て、兄たちに話しました。「また夢を見たんだけど、太陽と月と十一の星が、僕におじぎしたんだ。」 + 今度は父親にも話をしました。父親はさすがに彼をしかりつけました。「いったいどういうことなんだ! 母さんと兄さんたちだけでなく、私までが、おまえにおじぎをするというのか。」 + 兄たちは彼がねたましくてなりませんでしたが、父親はいったいどういう意味なのかと、あれこれ考えて心に留めておきました。 + ある日のこと、兄たちは羊の群れに草を食べさせるためにシェケムへ出かけました。 + 数日後、イスラエルはヨセフを呼び寄せて言いました。「兄さんたちはシェケムで羊に草を食べさせている。ちょっと行って、ちゃんと仕事をしているか、家畜の状態はどうか調べて来てくれないか。わかったら、戻って報告してくれ。」「わかりました、お父さん。」ヨセフはさっそくヘブロン谷の家を出て、シェケムへ向かいました。 + ところが、兄たちはなかなか見つかりません。シェケムの野を歩き回っていると、一人の人に呼び止められました。「おまえさん、だれを捜してるのかね。」 + 「兄たちと羊の群れです。見かけませんでしたか?」 + 「ああ、あの人たちか。だったら、ここにはもういないよ。確かドタンに行くとか言っていたな。」ヨセフはドタンまであとを追って行き、ようやく彼らを見つけました。 + 兄たちも、ヨセフがまだ遠くにいるうちから、いち早く彼の姿を認めました。ヨセフが一人でやって来る、またとないチャンスです。そこで、とんでもない相談を始めました。彼を殺してしまおうというのです。 + 「あの大ぼらふきが来るぞ。あんなやつ、殺して井戸に投げ込んでしまおう。おやじには獣に食われたとでも言えばいい。例のすばらしい夢がどうなるか見たいものだ。」 + けれども、ルベンはヨセフを助けたかったので、異議を唱えました。「殺すこともないじゃないか。血を流すのはよくないよ。生きたまま井戸に投げ込んでおけばいいんだ。あいつに手を下すのはやめよう。」こうしておけば、あとで井戸から救い出し、父のもとに帰してやれると考えたのです。 + そこへヨセフが来ました。彼らはいきなり弟の派手な飾りつきの上着をはぎ取り、 + 空っぽの井戸に投げ込みました。 + それから、腰をおろして夕食にしたのですが、ふと気がつくと、遠くから、らくだの一隊がやって来るではありませんか。おそらく樹脂や香料、薬草類をギルアデからエジプトに運ぶ、イシュマエル人の隊商でしょう。 + 「おい、見ろよ。」ユダが叫びました。「イシュマエル人が来るぞ。ヨセフのやつを売り飛ばすってのはどうだい。殺すのは、どう考えても気持ちのいいもんじゃない。自分たちの手で殺したりすれば、あとでいやな思いをするだろう。虫の好かないやつだけど、やっぱり弟なんだからな。」みな賛成です。 + そこで、隊商がそばまで来ると、ヨセフを井戸から引き上げて銀貨二十枚で彼を売りました。ヨセフはエジプトへ連れて行かれるのです。 + 〔この時、居合わせなかった〕ルベンは、こんなことになっていようとは夢にも思いません。戻って来ると、ヨセフを井戸から救い出そうとしました。ところが、ヨセフの影も形もありません。どうしたらいいのだろうと、あまりのショックで服を引き裂き(悲しみを表すときの習慣)、悲嘆にくれました。 + 「あの子がいなくなってしまった。いったいどこへ捜しに行ったらいいのだ。」ルベンは泣いて訴えました。 + それから、兄弟たちはやぎを殺し、その血をヨセフの着ていた上着に振りかけました。 + そして何くわぬ顔でそれを父親のところへ持って行き、だれのものか調べてほしいと頼んだのです。「お父さん、これを野で見つけました。ヨセフの上着のようですが、違いますか。」 + ひと目見れば、だれのものかはわかります。父親はすすり泣きながら言いました。「ああ、間違いない。ヨセフの上着だよ。あの子は野獣に食われてしまったんだ。ずたずたにかみ裂かれて……。」 + イスラエルは胸がつぶれる思いで服を引き裂き、麻布を着て、何週間もの間、息子の死を嘆き悲しみました。 + 家族が慰めようとしても、耳を貸そうともしません。「あの子は死んでしまった。何もかもおしまいだ。私もこのまま死んでしまいたい」と言って泣きました。 + 一方、エジプトに着いた隊商は、ヨセフをエジプト王に仕える役人ポティファルに売りました。ポティファルは侍従長という立場にある宮廷の役人で、監獄の責任者でした。 + + + そのころ、ユダは家を出て、ヒラというアドラム人の近くに住むことになりました。 + そこでカナン人シュアの娘を見そめ、結婚しました。 + 彼らはケジブに住み、エル、オナン、シェラという三人の息子をもうけました。子どもたちの名前は母親がつけたものです。ただし、エルだけは父親がつけました。 + 長男エルが成人すると、ユダはタマルという娘と結婚させました。 + ところが、エルは主の目に悪い者だったので神の怒りを買い、いのちを落としてしまったのです。 + ユダは弟のオナンに言いました。「おまえはタマルと結婚しなければいけない。それが、兄に先立たれた弟の義務なのだ。そうして子どもができたら、兄の家系を継がせるのだ。」 + しかしオナンは、自分の子として育てられないような子どもなら、いらないと思いました。それで、結婚はしましたが、いっしょに寝る時はいつも、子どもができないようにベッドの上に射精していました。兄の子孫になる子どもを産ませたくなかったのです。 + しかし、主がそんなことをお赦しになるはずはなく、結局、彼もいのちを落としてしまいました。 + 打つ手がなくなったので、ユダは嫁のタマルに、しばらく実家へ帰ることを勧めました。末息子のシェラが結婚できる年齢になったら必ず呼び戻す、という条件で、ひとまず両親のもとへ帰したのです。しかし、それは表向きで、ほんとうはシェラと結婚させる気はありませんでした。この子まで、二人の兄と同じように、神に殺されてはたまりません。タマルは、言われたとおり両親のもとへ帰りました。 + 何年かして、ユダの妻が死にました。喪の期間が過ぎると、ユダは友人のアドラム人ヒラと、ティムナへ行って羊の毛を刈る仕事を監督することにしました。 + ある人がタマルに、そのことを教えました。 + シェラはもう大人になっているのに、彼と結婚させてもらえないことを、タマルはこの時すでに感づいていました。そこで、未亡人の服を脱ぎ、ベールをかぶって、エナイムの村の入口の道路わきに座りました。エナイムはティムナへ行く途中にあります。 + ユダはそこを通りかかった時、彼女を売春婦だと思いました。顔をベールで隠していたので、タマルとはわからなかったのです。 + 彼は足を止め、自分の相手をしてくれと誘いました。もちろん、義理の娘だとは夢にも思いません。「いくらで?」 + 「子やぎ一頭ではどうだ? あとできっと送ってやるから。」「送ってくれるったって、確かな保証がなければだめよ。」 + 「それはもっともだ。で、何が欲しいのかね。」「そうね、あなたの印章と杖がいいわ。」ユダは言われたとおりにしました。タマルは彼を家に引き入れ、一夜を共にしました。こうして彼女は子どもを身ごもり、 + その後また未亡人の服を身につけました。 + ユダはアドラム人ヒラに子やぎを届けてもらおうとしました。そして、預けた品を取り戻すつもりでした。ところが、いくら捜しても、それらしい女は見つかりません。 + ヒラは町の男たちの間を尋ね回りました。「ちょっとお尋ねしますが、村の入口の道ばたで客を取っていた女は、どこに住んでいるのでしょう。」「さあね、この辺じゃ、そんな女がいるという話は聞いたこともないが。」同じ答えが返ってくるばかりです。 + しかたがありません。ユダのところへ帰り、八方手を尽くして捜したが、女は見つからず、だれも心当たりのある者はいなかったことを伝えました。 + 「それでは、しかたがない。あれは女にやったと思えばいい。できるだけのことはしたのだ。またあそこへ取りに戻ったりすれば、町中のいい笑い者になるだけだ。」ユダもあきらめるしかありませんでした。 + さて、それから三か月ほどしたある日、タマルに子どもができたという知らせが届きました。未亡人の身でありながら、ふしだらなことをしたに違いないというのです。「けしからん。ここへ連れて来て焼き殺してしまえ。」ユダは、かんかんに怒って叫びました。 + 人々はタマルの家へ押しかけ、外に引きずり出そうとしました。このままでは殺されてしまいます。彼女は急いで義父に言づてを送りました。「この印章と杖の持ち主が、生まれて来る子の父親です。だれの物か、おわかりですね。」 + ユダはひと目見て驚きました。なんと自分が渡した品物ではありませんか。「私が悪かった。タマルを責めるわけにはいかない。こうなったのもみな、私が息子のシェラと結婚させると約束しながら、それを守らなかったからだ。」そしてユダは、二度と彼女と寝ることはありませんでした。 + 月が満ちて、タマルはふたごの男の子を産みました。 + 生まれる時、助産婦は、最初に手を出した子の腕の回りに赤い糸を結びました。 + ところが、その子は手を引っ込めてしまい、もう一人のほうが先に生まれたのです。「おやまあ、この子ったら、先に飛び出したりして」と、助産婦は思わず叫びました。それで、その子の名はペレツ〔「飛び出して来た者」の意〕となりました。 + そのあとすぐ、腕に赤い糸をつけた子どもが生まれました。彼はゼラフ(「輝く」の意)と名づけられました。 + + + さて、イシュマエル人の隊商に売り飛ばされたヨセフに話を戻しましょう。彼はエジプトに着くと、エジプト王ファラオに仕える役人の一人、ポティファルに買い取られました。 + ヨセフはこの主人となった人の家の仕事をさせられましたが、いつも主が助けてくださるので、何をしてもうまくいきました。 + ポティファルの目に、主がヨセフに特別よくしておられることは明らかでした。 + ヨセフは主人の気に入り、家の管理と業務のすべてを任されるようになったのです。 + すると、ポティファルの家は祝福され、万事がスムーズに運びました。収穫も、羊の群れも増える一方でした。 + 喜んだポティファルは、全財産の管理をヨセフに任せることにしました。ヨセフさえいれば、何の心配もありません。しかも、ヨセフはたいへん美青年でした。 + そこで、困ったことが持ち上がりました。事もあろうに、ポティファルの妻がヨセフに目をつけて、彼を誘惑するようになったのです。 + ヨセフはそれを拒みました。「ご主人は家のこといっさいを私にお任せになりました。 + 家では、私のすることに、決して口出ししたり、指図したりなさいません。あなた以外は何でも私の自由にさせてくださいます。これほどまでにしていただいて、どうして、そんな大それたことができましょう。ご主人ばかりか、神様にまで背くことなどできません。」 + それでも彼女はあきらめません。毎日しつこく言い寄り、ヨセフが相手にしないと何とかして気を引こうとやっきになりました。 + そんなある日のこと、ヨセフは家で仕事をしていました。たまたま周囲にはだれもいません。この時とばかり彼女がやって来て、ヨセフの袖をつかみました。 + 「ちょっと私の部屋に来ておくれ。」とんでもないと、ヨセフがその手を振り払って逃げようとしたところ、上着が脱げてしまいました。しかし彼はそのまま家の外へ逃げ出しました。彼女はそのうしろ姿を、残された上着を手にしたままじっと見つめていましたが、 + 突然叫び声を上げました。何事が起こったのかと、男たちが駆けつけると、彼女が興奮して泣いています。「私の主人が、あんなヘブル人(イスラエル人)の奴隷なんか連れて来るからいけないのよ。おかげで危ない目に会うところだったわ。とてもひどいことをしようとしたので、私、大声で叫んでやったわ。そうしたら、上着を置いたままあわてて逃げ出したのよ。」 + 彼女はヨセフの上着を手もとに置き、その夜、夫が家に帰ると、 + 昼間の出来事を話しました。「うちで仕事をさせている、あのヘブル人の奴隷ですが、今日私にひどいことをしようとしたのです。 + 大声を上げたから助かったものの、そうでなければ、どうなっていたかわかりませんわ。あの男ったら、あわてて上着を残したまま逃げ出して……。これがその上着です。」 + 主人がかんかんに怒ったのは、言うまでもありません。 + 真相をよく調べもせず、すぐさまヨセフを捕らえ、王の囚人が入れられる監獄に放り込みました。 + しかし、主は監獄の中でさえヨセフとともにいて、何事にも心にかけてくださったので、ヨセフは看守長にとても気に入られました。 + この男なら大丈夫と見抜いた看守長は、やがてすべての囚人の面倒を見るよう、監獄内の管理をいっさいヨセフに任せることにしました。 + それからというもの、ヨセフが取り仕切ったので、看守長は何の心配もなくなりました。主がヨセフとともにおられるので、彼は何をしてもスムーズに事が運びました。 + + + その後、王宮の料理長とぶどう酒の毒味役とが、王のきげんをそこねて、監獄に入れられました。それはポティファルの邸内にある、ヨセフが入っているあの監獄です。 + しばらくの間、二人はそこに閉じ込められていました。ポティファルはヨセフに、彼らの世話をするよう命じました。 + ある夜、二人は夢を見ました。 + 翌朝ヨセフが行くと、二人とも元気がなく、うなだれています。 + 「どうなさったのです。何か心配事でも?」 + 「実はゆうべ二人とも夢を見てね、その意味がさっぱりわからないので、困っていたのだ。」「夢を解釈するのは神様です。で、どんな夢ですか? よろしければお聞かせください。」 + ぶどう酒の毒味役が、先に話し始めました。「私の夢はこうだ。目の前にぶどうの木があって、見ると枝が三本ある。それにつぼみができ、花が咲き、実がなった。 + 私は片手に王様のワイングラスを持っていたので、その中にぶどうの汁を絞り出し、王様にささげると、それを飲んでくださった、という夢だよ。」 + 「その夢の意味はこうですよ。ぶどうの三本の枝は三日間という意味です。 + 三日したら、王様はあなたを監獄から出し、前と同じ、ぶどう酒の毒味役に取り立ててくださいます。 + その時は、私のことも思い出してください。再び王様のお気に入りになられるのですから、私の身の上をじきじきに話し、ここから出られるようお口添えください。 + 私はもともとヘブル人ですが、さらわれてここに来たのです。そして、無実の罪で投獄されてしまったのです。」 + 最初の夢の解き明かしがよかったのを見て、料理長は期待しながら自分の夢を話し始めました。「私の夢では、自分の頭にパンかごを三つ載せていた。 + 一番上のかごは、王様の召し上がるパンやケーキ類でいっぱいだった。ところが鳥が来て、片っぱしから食べてしまったのだ。」 + 「三つのかごは、やはり三日間のことです。ただ、あとがいけません。三日後、あなたは死刑になります。枝につるされ、あなたの肉は鳥がついばむでしょう。」 + 三日後はファラオの誕生日でした。それで、王宮の役人や使用人たちをみな招いて、宴会が開かれました。その時、王が使いをやって、ぶどう酒の毒味役と料理長を呼んだので、二人は監獄から出され、王のところへ連れて来られました。 + 王は、毒味役を前と同じ仕事に戻したのですが、 + 料理長のほうは死刑にして木につるすよう命じました。ヨセフの言ったとおりでした。 + ところが、毒味役はあまりにうれしくて、ヨセフのことを思い出さず、王に口添えすることをすっかり忘れてしまいました。 + + + それから二年後のある夜、今度は王が夢を見ました。ナイル川のほとりに立っていると、 + 突然、川から丸々と太った雌牛が七頭出て来て、あたりの草を食べ始めるのです。 + 次に、また別の雌牛が七頭出て来ます。骨と皮だけで、あばら骨が浮いて見えるようなやせた牛ばかりです。それが、歩いて行って太った牛の隣に立ったかと思うと、 + その太った牛を食べてしまったのです。王は、そこで目が覚めました。 + やがて、またうとうとと寝入ると、別の夢を見ました。今度は、一本の茎に穀物の穂が七つ出て来るのです。一つ一つはみな形も良く、実がいっぱいに詰まっています。 + ところが突然、同じ茎にまた別の穂が七つ現れました。どれもこれも熱い東風にやられてちりちりに焼け、実が入っていません。 + なんと、このしなびた穂が、実のたっぷり入った形の良い七つの穂をのみ込んでしまいました。そこでまた目が覚めました。全部、夢だったのです。 + 夜が明けると、王はあれこれ考えましたが、考えれば考えるほど、夢のことが気になってしかたありません。国中の魔術師や学者を呼び集め、夢の意味を解かせようとしましたが、だれにも何のことかわかりません。 + その時、王の毒味役が口をはさみました。「実は、うっかりしておりましたが、とうに申し上げておかなければならないことがありました。 + いつでしたか、王様のお怒りを買って、私と料理長とがポティファル様の屋敷内の監獄に入れられたことがございました。 + ある夜、私どもは夢を見たのです。 + その夢を、ポティファル様の奴隷だったあるヘブル人の青年に話しましたところ、夢の意味をちゃんと説明してくれました。 + そしてすべてがそのとおりになりました。私はお赦しを得てお毒味役に復帰できましたし、料理長は死刑にされ、木につるされてしまいました。」 + 王はすぐさまヨセフを呼びにやりました。さっそく地下牢から呼び出されたヨセフは、急いでひげをそり、服を着替えて王の前に出ました。 + 「わしはゆうべ夢を見たのだが、それがどういう意味か、ここにいる連中は一人もわからんのだ。話によると、おまえはそういうことにくわしいそうだな。わざわざ呼び寄せたのはほかでもない、その夢の意味を説明してほしいのだ。」 + 「王様、私が自分の力でそうするわけではありません。神様が王様の幸せについて教えてくださるのです。」 + そこで、王は夢の話をしました。「わしはナイル川のほとりに立っていた。 + すると突然、川から丸々と太った健康そうな雌牛が七頭出て来て、川岸のあたりの草を食べ始めた。 + ところが、別の雌牛が七頭また川から出て来た。やせて骨が浮いて見えるようなやつばかりだ。全く、あんなやせこけた牛は、エジプト中どこを捜してもいないだろう。 + ところが、そのやせた牛が、最初の太った牛をぺろりとたいらげてしまった。 + それなのに、まだやせたままなのだ。その時、目が覚めた。 + しばらくして、もう一つ夢を見た。今度は一本の茎に七つの穂が出て来たのだ。たっぷり実の入った穂ばかりだった。 + そのあと同じ茎から、やせた実のない穂が七つ出て来た。 + そして、やせた穂が、実の入ったものをのみ込んでしまった。この話を魔術師どもにしたのだが、満足に説明できる者は一人もいなかったのだ。」 + 「夢は二つとも同じ意味でございます。神様が、これからエジプトでなさろうとしていることをお告げになったのです。 + 七頭の太った雌牛と、実のよく入った七つの穂はどちらも、これから七年の間、豊作が続くということです。 + 七頭のやせた雌牛と七つのしおれた実のない穂は、その七年間の豊作のあと、七年間ききんが続くことを表しています。 + 神様は、今からしようとしておられることを、そのように王様に示されたのです。 + これから七年間は、エジプト中が豊かな繁栄を楽しむ時となりましょう。 + しかしそのあと、七年間のききんに見舞われます。以前の繁栄がすっかり忘れられ、跡形もなくなるほどの大ききんです。国土はすっかり荒れ果て、 + あまりのひどさに、豊作の年があったことなど信じられなくなるでしょう。 + 同じ夢を二度ごらんになったのは、今お話ししたことが間違いなく起こるという証拠です。神様がそうお決めになったからには、すぐに夢のとおりになります。 + あまり猶予はありません。さっそくエジプト一の人材を探して、国全体の農業計画を管理させたらよろしいと存じます。 + エジプトを五つの管轄区に分けます。七年間は各地区の役人に命じて、余った穀物を王様の倉庫へ納めさせたらいかがでしょうか。 + そうすれば、大ききんになっても困りません。でないと、国中が災害にやられて、とんでもないことになるでしょう。」 + ヨセフの提言に、王も家臣たちもうなずきました。 + では、この仕事の責任者をだれにしたらよいのか、一同が相談を始めると、王が言いました。「ヨセフがよい。彼は神様の特別の力を頂いている。まさにうってつけではないか。」 + そして、ヨセフのほうに向き直り、こう続けました。「夢の意味を神様がおまえにお示しになったからには、おまえがわが国で一番の知恵者に違いない。 + したがってわしは今、おまえをこの仕事全体の責任者に任命する。何でもおまえの命令どおりすることにしよう。この国でおまえの上に立つ者は、わしだけだ。」 + 王は自分の印のついた指輪を、権威のしるしとしてヨセフの指にはめ、美しい服を着せて、首には王がつける金の首飾りをかけました。「おまえをエジプトの総理大臣に任命する。王のわしがそう宣言する。」 + 王はまた、国で第二の地位にあることを示す車を、ヨセフに与えました。ヨセフがどこかへ出かける時は、必ずだれかが、「総理大臣閣下のお通りーっ!」と叫ぶのです。 + 王はヨセフに言いました。「エジプトの王であるわしが誓う。わが国を治める全責任をおまえにゆだねる。」 + 王はまた、ヨセフに、「生死をつかさどる神のような権力を持つ者」という意味のエジプト名を与えました。また、オンの祭司〔当時の有力な宗教的‧政治的指導者〕ポティ‧フェラの娘アセナテを、妻として与えました。ヨセフの名はたちまちエジプト中に知れ渡りました。 + この時、彼はまだ三十歳でした。王の前から下がると、さっそく国中の巡察を始めました。 + ヨセフの言ったとおり、初めの七年間はどこも豊作でした。 + その間にヨセフは、収穫の一部を国が買い上げ、近くの町々にたくわえるようにしました。 + 七年たつと、倉庫はあふれるほどいっぱいになり、いったいどれほどあるのか見当もつきませんでした。 + 祭司ポティ‧フェラの娘アセナテは、男の子を二人産みました。ききんが来る前のことです。 + ヨセフは長男をマナセ〔「忘れさせてくださった」の意〕と名づけました。自分の青年時代のいろいろな苦しみや、父の家から離れた悲しみなどを忘れるほどに、神がよくしてくださったからです。 + 次男はエフライム〔「豊かな実り」の意〕としました。「以前は奴隷だったこの国で、神様は私を豊かにしてくださった」と、彼が言ったからです。 + こうしてついに、七年の豊作期は終わりました。 + そのあと、ヨセフの言ったとおり七年間のききんが始まりました。近隣の国々もひどい不作でした。しかし、エジプト中の倉庫には穀物がたっぷりたくわえてありました。 + やがて飢える人が出始めると、王のもとには、食物を求める人たちがひっきりなしにやって来ました。すると、王は決まって、「総理大臣の指示どおりにせよ」と命じ、ヨセフのところへ行かせるのです。 + ききんはますますひどくなり、全世界を覆い尽くす勢いです。ヨセフは倉庫を開け、穀物をエジプト人に売ることにしました。また、ほかの国々から、ぞくぞくと買い求めに来る人々にも売りました。 + + + ところでそのころ、ヤコブの一家はどうしていたでしょう。やはり食べるに事欠く毎日でした。聞くところによると、エジプトへ行けば穀物が手に入るということです。ヤコブは息子たちに言いました。「みんな、お互いに顔を見合わせていたってしかたない。 + エジプトには穀物があるといううわさだ。さあ、ぐずぐずしている暇はない。すぐ買いに行ってくれ。このままではみな飢え死にだ。」 + ヨセフの十人の兄は、こうして、エジプトへ穀物を買いに行くことになりました。 + しかしヤコブは、ヨセフの弟ベニヤミンだけは、どうしても行かせませんでした。〔ヨセフの時のように〕ベニヤミンの身にも何か悪いことが起こるといけないと思ったのです。 + イスラエル(ヤコブ)の息子たちは、ほかの国からの大ぜいの者たちに混じってエジプトへ行きました。カナン地方のききんも、どこにも劣らないくらいひどかったからです。 + ヨセフの兄たちは、エジプトの総理大臣であり、穀物を売る責任者に会いに出かけました。まさかそれが、弟のヨセフだとは思いもよりません。顔を地につけんばかりに深々と頭を下げました。 + ヨセフはひと目で兄たちだとわかりましたが、わざとそ知らぬふりをし、きびしく問いただしました。「おまえたちはどこから来たのか。」「カナンからまいりました。穀物を少し分けていただきたいと思います。」 + 兄たちはまだ気づきません。ヨセフはふっと少年時代に見た夢を思い出し、荒々しく問い詰めました。「おまえたちはスパイに違いない。わが国がききんでどんなに苦しんでいるか、調べに来たのだろう。」 + 「とんでもないことです。ほんとうに食糧を買いに来ただけです。 + 私どもはみな兄弟で、正直な者です。スパイだなんてありえません。」 + 「いや、スパイだ。そうに決まっている。われわれがどのくらい弱ったか見に来たのだ。」 + 「恐れながら申し上げます。私どもは十二人兄弟で、父親はカナンの地におります。末の弟は父の家に残りました。もう一人は死んでしまいましたが……。」 + 「それがどうした! 何の関係もない。やはりスパイに違いない。 + もしおまえたちの言うとおりなら、その末の弟を連れて来なさい。それまではエジプトから一歩たりとも出ることは許さない。 + だれか一人が行って、弟を連れて来なさい。あとの者は全員、拘束させてもらう。そうすれば、おまえたちの申し立てがほんとうかどうかわかる。もし弟がいなければ、おまえたちは間違いなくスパイだ。」 + こうしてヨセフは、一同を三日間、監禁しました。 + 三日目にヨセフは彼らに言いました。「私は神様を恐れる人間だ。もしおまえたちが潔白なら、それを証明する機会を与えよう。 + 一応おまえたちの申し立てを信じるから、一人だけここに残れば、あとの者は穀物を持って帰ってよい。 + ただし、末の弟を連れて来るのだ。おまえたちが正直者かどうか、確かめなければならないから。うそでないとわかれば、いのちは助けよう。」一同は言われたとおりにすることにしました。 + 彼らは互いに言いました。「昔、ヨセフにひどいことをしたからなあ。こんなことになったのもその罰だろう。あいつは怖がって必死で助けを求めたのに、おれたちは知らん顔をして、耳を貸そうともしなかった。」 + ルベンが口を開きました。「だからやめろと言ったんだ。それをおまえたちときたら、全く聞こうともしなかった。おかげで今は、自分たちが死ぬはめになったというわけだ。」 + もちろん彼らは、そこに立っているエジプトの総理大臣がヨセフで、話がつつ抜けになっているとは夢にも思いません。それまでは通訳付きで話をしていたからです。 + ヨセフはいたたまれなくなり、部屋を出て一人きりになれる場所を探して泣きました。ひとしきり泣くと、また戻り、兄たちの中からシメオンを選んで、みなの見ている前で縛り上げました。 + それから召使たちに、一同の袋に穀物をいっぱい詰めさせ、支払った代金をそれぞれの袋の口のところにこっそり戻しておくよう指示しました。そのうえ、旅行に必要な食糧まで取りそろえさせたのです。 + 一同はろばに穀物を背負わせて帰途につきました。 + その夜、一人がろばに餌をやろうと穀物の袋を開けてびっくりしました。口のところに、払ったはずの代金があるではありませんか。 + 「いったいどういうことか。おれの袋に銀が入っているぞ。」彼らは身を震わせました。「きっと神様がこうなさったんだ。だが、どういう意味なのだろう。」 + やがて、彼らはカナンの地の父ヤコブのもとへ帰り、一部始終を報告しました。 + 「総理大臣というのがとても恐ろしい人でね、われわれをスパイだと言ってきかないのです。 + そこで、『とんでもない。私たちはまじめな人間で、スパイなんかではありません。 + 全部で十二人兄弟ですが、一人は死に、末の弟はカナンの地で父といっしょにいます』 + と説明すると、その人は言いました。『うそをついているかどうか調べなければならん。一人だけここに残り、あとは穀物を持って家へ帰るがよい。 + ただし、末の弟を連れて来なければならない。そうすれば、おまえたちがスパイかそれとも正直な人間かがわかる。おまえたちの言ったとおりなら、人質も返してやるし、何度でも穀物を買いに来てよろしい』と言うのです。」 + 彼らが袋を空にしようとすると、みなの袋に、それぞれの代金がそっくりそのまま入っていました。彼らは恐ろしくなりました。父も同じです。 + しばらくしてヤコブが叫びました。「おまえたちのおかげで、私は子どもをなくしてしまった。ヨセフは出かけたまま戻らず、シメオンも捕らえられてしまった。今度はベニヤミンを連れて行きたいだと? 私をどれだけ苦しめれば気がすむのだ!」 + その時、ルベンが言いました。「お父さん、もしベニヤミンが戻らなかったら、私の二人の子どもを殺してかまいません。責任は私が負います。必ずベニヤミンを連れて帰ります。」 + しかし、ヤコブは聞き入れません。「あの子は絶対エジプトへはやらない。兄のヨセフはすでに死に、同じ母親の子はあれしかいない。あの子に万一のことがあれば、私も死ぬ。」 + + + この地のききんはひどくなる一方でした。カナン地方を覆い尽くし、少しも衰えを見せません。 + エジプトから買って来た穀物も底をつきました。「ご苦労だが、また買いに行ってもらわなければならないな。」父親は息子たちに言いました。 + しかし、ユダが口をはさみました。「忘れたのですか、お父さん。『弟といっしょでなければ来てはならない』とあの人が言ったのは、決してただの脅しではないのですよ。ベニヤミンがいっしょでなければ、あそこへは行けません。」 + 「ああ、なぜおまえたちは、弟がもう一人いるなどと言ってしまったのだ。私をこんな目に会わせおって。」 + 「あの人が家族のことをしつこく聞くので、しかたがなかったのです。お父さんが元気かどうか知りたがっていたし、ほかに弟はいないのかと尋ねるものだから、『いる』と答えたのです。『その弟を連れて来るように』などと言われようとは、夢にも思わなかったのです。」みな口々に弁解しました。 + その時ユダが言いました。「ベニヤミンを連れて行かせてください。お願いします。今すぐに出かけなければ、家族みんなが飢え死にします。私たちばかりか、お父さんや子どもたちまで……。 + 弟の安全は私が保証します。万一のことがあったら責任を負います。 + 初めからお願いしたとおりにしてくだされば、その間に二回は穀物を持ってエジプトから帰っているはずですよ。」 + とうとうイスラエルも承諾しました。「どうしても連れて行くのなら、せめてこうしてくれ。ろばにこの国の最良の産物を積むのだ。その総理大臣とやらへの贈り物にな。香油、はちみつ、香料、没薬、くるみ、アーモンドなどを持って行くといい。 + 代金の二倍の銀を持って行きなさい。この前、袋の口にあった銀も持って行って返すのだ。あれはきっと、何かの間違いだったのだろう。 + さあ、弟を連れて行きなさい。 + その人の前に立つ時、全能の神様が守ってくださり、シメオンが自由にされ、ベニヤミンも無事に帰れるように。もし、この二人が死ぬことにでもなったら……それもしかたあるまい。ただじっと耐えるだけだ。」 + 彼らは、贈り物と二倍の代金を持ってエジプトのヨセフのもとへ出かけました。 + 今度はベニヤミンもいっしょです。ヨセフはそれを見るとすぐ、家の執事に命じました。「この人たちは昼食を私といっしょにする。家へお連れして、盛大な宴会の用意をしなさい。」 + 執事は言われたとおり、一同をヨセフの屋敷へ案内しました。 + びっくりしたのは兄弟たちです。まさか、ヨセフの屋敷へ連れて行かれようとは思ってもみなかったので、どうなることかと心配でなりません。思い当たることを、お互いにひそひそ話し合うばかりです。「これはきっと、袋に返してあったあの銀のせいだぞ。あの銀を盗んだとでも言うつもりだろう。言いがかりをつけてわれわれを捕まえ、奴隷にしようっていうのだろう。ろばから何から、全部取り上げる魂胆だな。」 + そうこうするうちに屋敷の入口に着きました。ぐずぐずできません。彼らはすぐ執事のところへ行きました。 + 「折り入ってお話があるのですが。この前、食糧を買いにこちらへまいりまして、 + 帰る途中、ある所で夜を過ごしたのです。ところが、袋を開けてみると、代金としてお支払いしたはずの銀が入っておりました。これがその代金です。お返ししようと持ってまいりました。 + 今回の分は、別に用意してあります。あれ以来、どうしてこれが袋の中にまぎれ込んでしまったのかと、みなで首をひねっておりました。」 + 「ご心配には及びません。代金は確かに頂きましたよ。きっと、あなたがたの神様、つまりあなたがたのご先祖の神様が、入れておかれたのでしょう。不思議なこともあるものです。」こう言うと、執事はシメオンを釈放し、兄弟たちのもとへ連れて来ました。 + 彼らは屋敷に招き入れられ、足を洗う水を与えられました。ろばの餌ももらいました。 + 昼にはヨセフが戻って来るということです。彼らはすぐに贈り物を渡せるよう、抜かりなく用意しました。何でも、昼食をいっしょにするらしいのです。 + ヨセフが戻って来ると、彼らはていねいにおじぎをし、持って来た贈り物を差し出しました。 + ヨセフはみなにその後のことを尋ねました。「で、おまえたちの父親はどうしているのだね。この前も聞いたが、まだ達者なのか?」 + 「はい、おかげさまで元気でおります。」そう言って、もう一度おじぎをしました。 + ヨセフは弟ベニヤミンの顔をじっと見つめました。「これが末の弟か。そうか、この子がなあ。どうだ、疲れてはいないか? あなたに神様の恵みがあるように。」 + ここまで言うのがやっとでした。あまりのなつかしさに胸がいっぱいになり、涙がこみ上げてきたのです。あわてて部屋を出て寝室に駆け込み、思いきり泣きました。 + 泣くだけ泣くと、顔を洗い、何事もなかったように彼らのところへ戻り、感情を押し殺して、「さあ食事にしよう」と言いました。 + ヨセフは自分のテーブルで食事をし、兄弟たちは別のテーブルです。またもう一つのテーブルには、エジプト人が座りました。エジプト人はヘブル人(イスラエル人)とはいっしょに食事をしなかったからです。 + ヨセフは一人一人に、どこへ座るか指示しました。一番上の兄から始まって末の弟まで、きちんと年の順になっています。みなはびっくりしました。 + 料理は主人であるヨセフのテーブルからみなに配られ、ベニヤミンには特別たくさん与えられました。ほかの兄弟の五倍はあります。一同はぶどう酒をくみ交わし、とても楽しい酒宴となりました。 + + + さて、いつまでもそうしてはいられません。出発のしたくにかかる時です。ヨセフは執事に、それぞれの袋に穀物を詰められるだけ詰めるよう命じました。そのうえ、袋の口には、また代金を戻しておいたのです。 + ベニヤミンの袋には、代金のほかにヨセフの銀の杯も忍ばせました。 + 兄弟たちは朝早く起き、荷物を積んだろばを連れて出発しました。 + 一行が町を出るころを見はからって、ヨセフは執事に命じました。「あの者たちのあとを追って捕まえろ。そして、あれほど親切にもてなしたのに、なぜひどいことをするのか、と問いつめるのだ。 + 『主人の銀の杯を盗むとはいったい何事か。あれは占いに使う主人の大切な物だ。恩知らずもはなはだしい!』と言うのだ。」 + 執事は一行に追いつき、言われたとおり彼らを責めました。 + 彼らも黙ってはいません。「ばかばかしい。ひどい話じゃありませんか。とんでもない言いがかりです。われわれを何だと思っているのですか。 + この前の銀だって、ちゃんと返しに来たのに。ご主人の家から銀や金を盗むはずがないではありませんか。 + もし、その杯が見つかったら遠慮はいりません。犯人はどうぞ処刑してください。ほかの者も、一生涯ご主人様の奴隷になりましょう。」 + 「それはけっこう。だがそこまでしなくても、盗みの張本人だけ奴隷になればすむことだ。ほかの者は帰ってよい。」 + すぐさま袋をろばの背から下ろし、一つ一つ開けさせて、 + 調べ始めました。一番上の兄の袋から始めて、だんだん末の弟まで調べていきます。とうとうベニヤミンの番になりました。口を開けると、どうでしょう。信じられないことですが、杯が入っていたのです。 + 彼らは一瞬、目の前が真っ暗になりました。みなは絶望のあまり服を引き裂きました。ろばにまた荷物を載せ、エジプトの町までとぼとぼと引き返すよりしかたありません。 + ユダと兄弟たちが戻ると、ヨセフはまだ家にいました。彼らはヨセフにひれ伏しました。 + ヨセフは言いました。「いったいどういう了見だ! 盗みをすれば、すぐにわかるのだぞ。」 + ユダが恐る恐る答えました。「ああ、どう申し上げたらよろしいのでしょう。申し開きもできません。私たちは無実です。ですが、どうすればそれをわかっていただけますでしょう。きっと神様が私たちを罰しておられるのです。いくらなんでも、弟一人を置いて行くわけにはいきませんので、兄弟みんなで戻ってまいりました。どうぞ私たちを奴隷にしてください。」 + 「それは許さん。杯を盗んだ者だけが奴隷になればよい。ほかの者は国の父のもとへ帰れ。」 + その時、ユダが一歩前に進み出ました。「恐れながら、ひと言申し上げます。お怒りにならずに聞いてください。閣下は王様と同じように、今すぐにでも私を処刑することができるお方だということは、よく承知しております。 + この前の時、父親や弟がいるかとのお尋ねでしたので、 + 私どもは正直に申し上げました。『はい、おかげさまで父は健在です。それから年寄り子の弟がいます。末の弟です。その上にもう一人、母親が同じ弟もいたのですが、ずっと前に死んで、この子だけが残りました。そんなわけで、父はその子を目に入れても痛くないほどかわいがっているのです。』 + それを聞いて閣下は、『ぜひその子に会いたい。ここへ連れて来るように』とおっしゃいました。 + 私たちは困って、『あの子は父親のもとを離れることはできません。そんなことをしたら、まるで父のいのちを縮めるようなものです』と申し上げましたが、 + お聞き入れにならず、『いや、ならん。その末の弟を連れて来なければ、二度とここへは来るな』とおっしゃったのです。 + 私どもは戻って、そのとおり父に申しました。 + このたび、『またエジプトへ買い出しに行ってくれ』と言われた時も、 + 『末の弟もいっしょにやってください。でなければ行けません』と頼みました。 + すると、父はこう申すのです。『おまえたちも知っているとおり、ラケルの息子は二人いた。 + だが兄のほうは、ある日出かけたっきり帰って来ない。野獣にかみ殺されたに違いない。 + それなのに、今度は、たった一人残った弟まで取り上げようというのか。万が一にもあれの身に何か起こったら、私は悲しみのあまり死んでしまう。』 + そこへ今度の出来事です。もし弟を連れ帰らなければ、どうなるでしょう。父は決して大げさに申しているのではありません。 + 弟が戻らないと知ったら、ほんとうに死んでしまいます。老い先短い父を悲しませるにしのびません。父が死んだら、責任は私どもにあるのです。 + 私は、わが身に代えても弟を守ると父に約束しました。 + そこでお願いがございます。弟の代わりに私が奴隷になりますから、弟はほかの者といっしょに帰してください。 + 弟を連れずに、どうしておめおめと父のもとへ帰れましょう。」 + + + ヨセフはもうこれ以上自制できなくなりました。「みな、下がっていなさい!」と大声で、そばで仕えている者たちに命じました。あとには、兄弟たちとヨセフだけが残りました。 + そのとたん、ヨセフはこらえきれなくなって、あたりはばからず泣きだしました。泣き声は屋敷中に聞こえ、その知らせがすぐ王宮にまで伝えられるほどでした。 + 「兄さん、ヨセフですよ。ほら、よく見てください。お父さんは元気ですか。」びっくりしたのは兄弟たちです。あまりのことに口をきくこともできません。 + 「さあ、そんな所にいないで、ここへ来てください。」そう言われて、彼らはそばに寄りました。「お忘れですか。ヨセフですよ。あの、エジプトへ売られた弟ですよ。 + だけど、そのことで自分を責めないでください。神様のお取り計らいだったのです。私がここへ来るようにしたのも、ほんとうは兄さんたちでなく神様なのです。こんなふうに兄さんたちを助けることができるようにしてくださった。 + もうこれで丸二年もききんが続きましたが、まだまだ収まりません。あと五年はこのままです。その間は種まきもできないし、収穫もありません。 + それでも私たち一族が滅びず、やがて大きな国になることができるように、神様が先に私をここに遣わされたのです。 + ですから、決して兄さんたちのせいではありません。神様のお導きです。神様は私を王の顧問にし、この国の総理大臣にしてくださいました。 + さあ、急いでお父さんのところへ帰り、伝えてください。『ヨセフは無事で、こう申しております。「神様が私をエジプトの総理大臣にしてくださいました。すぐこちらへ来てください。 + ゴシェンの地に住んでいただきます。子どもや孫を引き連れ、家畜をはじめ全財産を持って来てください。そうすれば、また近くに住むことができます。 + いっさいの面倒は私が見ます。ききんはまだ五年も続くのですから、もしエジプトに来なければ、一族は飢え死にするしかありません。」』私にお任せください。約束します。兄さんたちが証人です。それにベニヤミンも。 + とにかくお父さんに、そう話してください。私がエジプトでどんな権限を与えられているか、何でも命令できる立場なのだということを伝えてください。お願いです。早くお父さんの顔が見たいのです。」 + こう言うと、ヨセフはベニヤミンを抱きしめて涙にくれました。ベニヤミンも泣きました。 + 彼はほかの兄弟一人一人にも同じようにしました。その時になって、ようやく兄弟たちは口がきけるようになりました。 + やがて王に、「ヨセフの兄弟たちがエジプトに来られた」と知らされ、王も役人たちも喜びました。 + 王はヨセフに言いました。「兄さんたちに伝えてくれ。荷物を家畜に載せて早くカナンの家へ帰り、 + 改めてお父上と家族ともどもエジプトへ来るようにと。ぜひエジプトに住んでもらわねばならん。『王がエジプトで最良の土地を用意いたします。その土地の豊かな収穫で生活してください』と伝えるのだ。 + 兄さんたちには、エジプトから荷馬車を持って行ってもらおう。婦人や子ども、ご高齢のお父上をお連れするのに役立つだろう。 + 財産の心配はいらない。エジプトの最良の土地が手に入るのだから、置いて来ても惜しくはないだろう。」 + ヨセフは王の命によって、荷馬車と旅に必要な食糧を兄たちに与えました。 + 一人一人に新しい服を渡し、ベニヤミンには特に五着も渡したうえに、銀貨三百枚を与えました。 + 父親には、エジプトの珍しい産物を積んだろば十頭と、穀物や旅に必要な食糧を積んだ雌ろば十頭を贈り物としました。 + これで、すっかり準備は整いました。「途中で言い争いなどしないでください」と、ヨセフは兄弟たちに言って送り出しました。 + こうして一行は出発し、カナンにいる父ヤコブのもとへ帰りました。 + 「お父さん! ヨセフが、ヨセフが生きていたのです。それも驚くではありませんか、エジプトの総理大臣なのです!」一同は、帰るとすぐさま父のところへ飛んで行き、勢い込んで知らせたのに、ヤコブはうれしそうな顔ひとつしません。今さらそんなことが、どうして信じられるでしょう。 + しかし、細かく話を聞くと、どうもほんとうらしいのです。ヨセフの言づても聞きました。それに、エジプトに迎えるために送ってよこした荷馬車も見ました。夢ではないのです。父のヤコブは急に元気が出てきました。 + 「ほんとうだ。間違いない。ヨセフは生きている。私は行くぞ。死ぬ前にどうしてもひと目会いたい。」 + + + イスラエル(ヤコブ)は彼に属するすべてのものとともに出発し、ベエル‧シェバまで来ると、そこで父イサクの神にいけにえをささげました。 + やがて夜になり、幻の中で神の語りかける声がありました。「ヤコブ、ヤコブ。」「はい。」 + 「わたしは神、あなたの父の神だ。エジプトへ行くのを恐れてはならない。大きな国になるよう、あなたを守ろう。わたしもいっしょにエジプトへ下り、時がきたら、あなたの子孫を再びここに連れ帰る。あなたはエジプトで、ヨセフに看取られながら死ぬだろう。」 + それからヤコブはベエル‧シェバを発ちました。息子たちはヤコブを、エジプトの王からもらった荷馬車に乗せました。女性や子どもたちもいっしょです。 + また、家畜と、カナンの地で手に入れた全財産も持って行きました。ヤコブをはじめ、 + 息子、娘、孫と、一族こぞってエジプトへ移住したのです。 + ヤコブといっしょにエジプトに行った息子と孫は、次のとおりです。長男ルベンとその息子エノク、パル、ヘツロン、カルミ。シメオンとその息子エムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ツォハル、それから、カナン人の母親を持つサウル。レビとその息子ゲルション、ケハテ、メラリ。ユダとその息子エル、オナン、シェラ、ペレツ、ゼラフ〔エルとオナンはエジプトへ行く前にカナンで死んだ〕。ペレツの息子ヘツロンとハムル。イッサカルとその息子トラ、プワ、ヨブ、シムロン。ゼブルンとその息子セレデ、エロン、ヤフレエル。 + 以上は、パダン‧アラムでヤコブとレアの間に生まれた息子とその孫で、娘ディナを除いて総勢三十三人でした。 + このほかに、ガドとその息子ツィフヨン、ハギ、シュニ、エツボン、エリ、アロディ、アルエリ。アシェルとその息子イムナ、イシュワ、イシュビ、ベリア、妹セラフ。ベリアの息子ヘベル、マルキエル。 + 以上十六人は、ラバンが上の娘レアに与えた奴隷ジルパとヤコブの間に生まれた息子と孫です。 + この一族には、ヤコブとラケルに生まれた息子と孫、合わせて十四名も含まれます。ヨセフとベニヤミン。エジプトで生まれたヨセフの息子はマナセとエフライム〔母親はヘリオポリスの祭司ポティ‧フェラの娘アセナテ〕。ベニヤミンの息子はベラ、ベケル、アシュベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシュ、ムピム、フピム、アルデ。 + さらに、ラバンが下の娘ラケルに与えた奴隷ビルハとヤコブの間に生まれた息子と孫、合わせて七人も含まれます。ダンとその息子フシム。ナフタリとその息子ヤフツェエル、グニ、エツェル、シレム。 + エジプトへ下ったヤコブの子孫は、ヤコブの息子たちの妻を除いて総勢六十六名でした。 + ヨセフとその二人の息子、それにヤコブ自身を加えると、エジプトでのヤコブの一族は七十名になります。 + ヤコブはユダを先に送り、まもなくゴシェンに到着すると、ヨセフに伝えました。やがて、一行はゴシェンに着きました。 + ヨセフは馬車で駆けつけ、父親を出迎えました。二人はしっかり抱き合ってただ泣くばかりです。 + 「こうしておまえの顔を見られるとは、夢にも思わなかった。無事でほんとうによかった。もう思い残すことはない。これで安心して死ねる。」イスラエルは涙ながらに言いました。 + ヨセフは彼らに言いました。「これから王のところへ上がります。一族の者がカナンから到着したと報告しなければなりませんから。 + その時、『一族の者はみな、羊飼いで、羊や牛の群れを連れ、全財産を携えて来ました』と申し上げておきます。 + あとで王のお召しがあり、職業は何かと聞かれたら、 + 『先祖代々の羊飼いで、私どもも若い時からずっと羊を飼っております』と答えてください。そう申し上げれば、このゴシェンの地に住まわせてもらえるでしょう。エジプト人は羊飼いを軽蔑し、嫌っていますから、いっしょには住まないのです。」 + + + ヨセフはさっそく、王宮へ報告に出かけました。「父が全家族を連れてカナンからまいりました。羊や牛の群れ、財産もいっしょです。お許し願えれば、ゴシェンの地に住みたいと申しております。」 + そう言うと、同行した兄弟五人を王に紹介しました。 + 「して、おまえたちの職業は?」「先祖代々、ずっと羊飼いでございます。 + このたびは、ありがたいおことばに甘え、お国に住まわせていただこうとやってまいりました。カナンは不作続きで、もう牧草がありません。そのひどさはたいへんなものです。どうか、ゴシェンの地に住む許可をお与えください。」 + 王はヨセフに言いました。「ご一族の皆さんには、どこでも好きな所に住んでいただこう。万事おまえに任せる。エジプトの一番良い土地を見つけてあげればよい。まあ、ゴシェンの地はふさわしいかもしれない。もし兄弟に有能な者がいれば、遠慮はいらん。私の家畜の管理責任者に取り立てるがよい。」 + 次にヨセフは、父ヤコブを王に引き合わせました。ヤコブはていねいにあいさつしました。 + 「これはこれは、ヨセフの父上。だいぶお年のようだが、幾つにおなりかな?」 + 「百三十歳になります。苦労が多く、こんなに老いぼれてしまいました。先祖には、もっともっと長生きした者も大ぜいおりますのに。」 + こう言って、もう一度あいさつすると、ヤコブは王の前から下がりました。 + ヨセフは王の命じたように、一族にエジプトでも最上のラメセス(ゴシェンの北部)の地を割り当てました。 + それぞれの家族の人数に応じて食物も与えました。 + そうしている間にもききんはますますひどくなり、カナンばかりかエジプトでも飢える人がたくさん出てきました。 + ヨセフはどんどん穀物を売り、エジプトとカナンに出回っていた銀を、ほとんど全部と言っていいくらい王のもとに集めてしまいました。王の金庫にはますます銀がたまる一方です。 + 銀を使い果たした人々は、ヨセフに泣きつくしかありません。「穀物を売っていただこうにも、財布は空っぽです。かといってこのままでは、飢え死にするしかありません。どうか食べ物をお恵みください。」 + 「わかった。それなら家畜をよこしなさい。引き換えに食糧を与えよう。」 + 背に腹は代えられません。人々は食べ物を買うために、家畜を連れて来ました。まもなく、エジプト中の馬、羊、牛、ろばが王のものになりました。 + 翌年になると、人々はまたやって来ました。「もう銀もなくなり、家畜も全部あなた様に差し上げました。残っているものといえば、自分の体と土地しかありません。 + このままでは死ぬのを待つだけです。どうぞ、私どもと土地を買ってください。王様の農奴となりますから、食糧と引き換えにしてください。そうすれば生き延びられるし、土地を耕すこともできますから。」 + ヨセフはエジプト中の土地を買い上げました。エジプト人がみな自分の土地を手放さなければならないほど、ききんはひどかったのです。土地は全部、王のものになり、 + 国民もみな王の農奴になりました。 + 王が買い取らなかったのは祭司の土地だけでした。祭司は王から食糧をあてがわれていたので、土地を売る必要がなかったのです。 + ヨセフは人々に言いました。「今からは、あなたがたもあなたがたの土地も王様のものです。さあ、種を渡すから、行ってまきなさい。 + 収穫の五分の一は王様に納め、あなたがたの取り分は五分の四です。それを、次の年にまく種や家族の食糧にするのです。」 + 「おかげさまで助かります。喜んで王様の奴隷になりましょう。」 + ヨセフは法律をつくり、全エジプトに公布しました。祭司が所有する土地の産物以外は、全収穫の二〇パーセントを王が徴収するというものです。この法律は今も効力を持っています。 + さてイスラエルは、エジプトのゴシェンの地に住みつきました。そこで大いに繁栄し、人口も急激に増え続けていきました。 + ヤコブは、エジプトに着いてから十七年目に、百四十七歳で死にました。 + 最期が迫った時、ヤコブはわが子ヨセフを呼んで言いました。「最後の願いだ。必ず守ると誓ってくれ。決して私をエジプトに葬ってはならない。 + 私が死んだらエジプトから運び出し、先祖のかたわらに葬ってくれ。」ヨセフが約束すると答えると、 + ヤコブは重ねて言いました。「いや、必ずそうすると誓わなければいけない。」それでヨセフは誓いました。ヤコブは横になったまま礼を言いました。 + + + こののち、父親の容態が悪化したという知らせが届いたので、ヨセフはマナセとエフライムを連れて父を見舞いました。 + ヨセフが来たと聞いて、イスラエルは力をふりしぼって起き上がり、彼を迎えました。 + 「全能の神がカナンの地ルズで私に現れ、祝福してくださった時のことは、今でもはっきり覚えている。 + あの時、神様は、『わたしはあなたを大いなる国とし、カナンの地を永遠にあなたと子孫とに与えよう』と約束なさった。 + それはそうと、私がここへ来る前に生まれたおまえの息子らのことだが、エフライムとマナセ、あの二人を私の養子にしようと思う。ルベンやシメオンと同じように、あの二人にも私の遺産を相続させたいのだ。 + しかし、おまえの息子をみな、私の子にするとは言わない。次の子が生まれたら、その子らにおまえの跡を継がせればいいだろう。 + おまえの母さんのラケルは、パダン‧アラムから帰る途中、エフラテの近くで死んだ。二人の子を残して。それで私は、泣く泣くベツレヘムへ行く道のかたわらに葬ったのだ。」 + この時イスラエルは、二人の少年に気づきました。「もしや、この二人が?」 + 「そうです。神様がエジプトで私に恵んでくださった息子たちです。」「そうか、そうか。ちょうどよかった。私のそばに連れて来なさい。祝福しよう。」 + イスラエルは年老いて目がほとんど見えません。ヨセフが少年たちをそばに連れて行くと、二人をぎゅっと抱きしめて祝福の口づけをしました。 + そして彼はヨセフに、「私はおまえの顔を二度と見ることはあるまいとあきらめておったのだ。それがどうだ。こうして、かわいい孫の顔まで見られるとは……」としみじみ言いました。 + ヨセフはもう一度、二人の息子の手を取り、ていねいにおじぎをしてから、彼らを祖父の前に進ませました。イスラエルから見て、エフライムが左側、マナセが右側です。 + ところが頭に手を置く時、イスラエルは伸ばした手をわざわざ交差させました。右手を弟エフライムの頭に、左手を兄マナセの頭に置いたのです。 + 次に、イスラエルはヨセフを祝福しました。「祖父アブラハム、父イサクの神様。羊飼いのように、私を生涯守ってくださった神様。 + どうぞこの子どもたちを大いに祝福してください。神様は私をあらゆる危険から守ってくださいました。この子どもたちが、私やアブラハム、イサクの名を汚すことなく、一族の名を上げてくれますように。彼らが大きな国となりますように。」 + しかし、父が右手をエフライムの頭に置いたのがヨセフには納得いかず、それで父の手を取り、マナセの頭に置こうとしました。 + 「違いますよ、お父さん。手の置き方が反対です。こちらが長男です。右手はこの子に置いてください。」 + 「いや、ちゃんとわかっている。マナセも大きな国になる。だが弟のほうがもっと強くなるのだ。」 + ヤコブはその日、二人の少年に次のような祝福を与えました。「イスラエル人は互いに祝福し合う時、これからは、『神様があなたがたを、エフライムとマナセのように栄えさせてくださいますように』と言うだろう。」この時も、エフライムの名をマナセの前にしました。 + そのあとイスラエルは、またヨセフに言いました。「私はもう長くはない。だがおまえには神様がついている。きっともう一度、先祖の国カナンへ帰れるだろう。 + その時のために、シェケムの地をおまえにやろう。あれは、私がエモリ人から苦労して戦い取った土地だ。ほかのだれにも与えない。おまえのものだ。」 + + + いよいよ最期の時がきました。ヤコブは息子たちをみな呼び寄せました。「いいか、みんな私の回りに集まるのだ。一人一人の将来がどうなるか教えよう。 + おまえたちはみな、私の息子だ。これから言うことをよく注意して聞くのだよ。 + 長男のルベン。おまえは私がまだ若く、血気盛んなころに生まれた子だ。長男として、あらゆる点で兄弟の上に立ってもよいはずだった。 + だが実際は、海の荒波のような無法者だ。長男の資格はない。義理の母と関係するとは何事だ。私の顔に泥を塗った報いを受けるがよい。 + シメオンとレビは似た者同士だ。乱暴で手がつけられない。 + くれぐれもこの二人には近づくな。その悪だくみに加担するな。彼らは怒りにまかせて人を殺し、おもしろ半分に牛を傷つけた。 + 彼らの怒りにのろいあれ。激しく残虐な怒りにのろいあれ。二人の子孫は、イスラエルの各地に散らしてしまおう。 + ユダよ。兄弟はおまえをたたえる。おまえは敵を滅ぼし、兄弟はみなおまえにひざまずく。 + ユダは、獲物をたいらげる、たくましく成長した若いライオンだ。何ものをも恐れず、ゆうゆうと寝そべっている。だれも、これを起こすことはできない。あえてそんな危険を冒す者はいない。 + その王位はシロ(権威を持つ者、メシヤとも解される)が来る時まで続く。人々がみなシロに従うその時まで、ユダは安泰である。 + 彼は大いに栄え、ろばをえり抜きのぶどうの木につなぎ、服をぶどう酒で洗う。 + その目はぶどう酒より黒く、その歯はミルクより白い。 + ゼブルンは海のそばに住む。港は船でにぎわい、境界線はシドンにまで及ぶ。 + イッサカルはたくましいろばだ。鞍袋の間にうずくまって休む。 + 美しい田園、住みよい土地を見た時、彼は肩にくい込む重い荷をもいとわず、人に仕えることをも拒まない。 + ダンはほかの部族と同じように、自分の部族を治める。 + その数は少なくとも、小道をはい回る蛇のように、馬のかかとにかみつき、乗り手を落とす。 + 主の救いは確実だ。 + ガドは強盗の一団に襲われる。だが奪い取るのはガドのほうで、敵をさんざんに追い散らす。 + アシェルは実り豊かな地を耕す。その産物は王の食卓にも上る。 + ナフタリは解き放たれた鹿で、かわいらしい子鹿を生む。 + ヨセフは泉のそばの実り豊かな木だ。その枝は伸びて垣根を覆う。 + 一度は、迫害する者に矢を射込まれ、ひどい手傷を負った。 + だが、力あるヤコブの神、イスラエルを守る羊飼い、また岩である方のおかげで、みごと敵を打ち負かした。 + 先祖代々にわたり頼ってきた全能の神が、天の恵みと地の恵みをもって、あなたを祝福なさるように。大ぜいの子孫に恵まれ、 + 山々には穀物と花が満ち、永遠に変わらない祝福があるように。これが、かつて兄たちから追放されたヨセフの受ける祝福だ。 + ベニヤミンはほえたける狼だ。明け方には敵を食い荒らし、夕べには戦利品を分け合う。」 + こうして、彼らそれぞれにふさわしいことばで祝福を与えたのです。 + それから、こうつけ加えました。「私はじきに死ぬ。そうしたらカナンの地に葬ってくれ。マムレに面したマクペラの野にあるほら穴を知っているだろう。おまえたちのひいおじいさんのアブラハムが、墓地にしようとヘテ人エフロンから買ったあの土地だ。 + そこは一族の墓として代々使われ、私もレアをそこに葬った。よいか。私も必ずそこへ葬ってくれ。」 + ヤコブはもう思い残すことはないと、安心して床について息を引き取りました。 + + + ヨセフは父に取りすがって泣き、最後の別れをしました。 + 父の遺体をミイラにする(防腐処理のため)よう医者に命じました。 + それだけで四十日かかり、そのうえエジプトの国をあげて、七十日間の喪に服したのです。 + 喪が明けると、ヨセフは王のお付きの者に、王への取り次ぎを願い出ました。 + 「王様にお伝えください。亡父のたっての願いで、遺体をどうしてもカナンの地へ葬りに行かなければなりません。どうぞ出かけるお許しをください。埋葬がすみしだい、すぐに帰ってまいります。」 + 王は、「お父上との約束を心おきなく果たすがよい」と答えました。 + そこで、ヨセフは父を葬るためにカナンに向けて出発しました。王の顧問をはじめ、すべての高官たち、 + ヨセフの全家族もいっしょでした。ただ、子どもたちと家畜はゴシェンの地に残りました。 + たくさんの戦車と騎兵が護衛にあたって同行したので、盛大な行列となりました。 + やがてヨルダン川を越え、ゴレン‧ハアタデ〔「アタデの打ち場」の意〕まで来ました。ひとまずそこで、おごそかな葬式を行い、七日間、ヨセフの父の死を追悼しました。 + 土地のカナン人は、それからその場所を、アベル‧ミツライム〔「エジプト人の嘆き」の意〕と呼ぶようになりました。葬式の有様を見た人々が、「あのエジプト人たちには、この葬式がよほど悲しいものなのだ」と言い合ったからです。 + こうしてイスラエルの息子たちは、父に命じられたとおりに、彼の遺体をカナンの地へ運び、マクペラのほら穴に葬ったのです。マムレの近くで、アブラハムがヘテ人エフロンから買った畑の中のほら穴です。 + その後、ヨセフは兄弟や葬儀のために同行した人たち全員とともに、エジプトへ帰りました。 + ところが兄たちは、父親が死んでしまった今、ヨセフに仕返しをされるかもしれないと、急に心配になってきました。「ヨセフにはずいぶんひどいことをしたから、まだ恨んでいて、今度こそ仕返しされるかもしれない。」 + そこで、ヨセフに手紙を出しました。「実は、父さんが死ぬ前に、言い残したことがあるのです。私たちとあなたの仲を心配して、かつてのことを赦すよう言ってくれ、それだけが気がかりだ、ともらしていました。私たちはあなたの父の神様に仕えるしもべです。どうぞ、昔のことは赦してください。」ヨセフは手紙を読むと激しく泣きました。 + 兄たちも気が気ではなく、ヨセフのところに出向いて来ました。「手紙でも申し上げたとおり、われわれはあなたの奴隷です。」そろってヨセフの前にひれ伏し、恐る恐る言いました。 + ところが、ヨセフの返事は意外でした。「そんなに怖がらないでください、兄さんたち。私だって神様ではないのですから、さばくだの罰するだのと大それたことなどできません。 + それは、あの時はずいぶんひどいことをするものだと思いましたよ。でも、そのおかげで家族みんなが助かったではありませんか。悪意から出たことでも、神様はこのように良いことに役立てられるのです。私のような者が今日あるのもみな、神様の深いお考えがあってのことです。たくさんの人のいのちを救うためです。 + だから、心配などしないでください。兄弟ではありませんか。今後のことは万事お任せください。悪いようにはしません。」なんという優しいことばでしょう。 + こうして、ヨセフと兄弟の一族は、そのままずっとエジプトに住みつきました。ヨセフは百十歳まで生きました。 + 長生きをしたので、エフライムの子どもたちばかりか、マナセの子マキルの子どもたちの顔も見ることができ、かわいいひ孫たちをそのひざで遊ばせました。 + ヨセフは兄弟たちに遺言しました。「もうじき私は死にます。けれどもイスラエル人は、このままでは終わりません。必ずカナンの地へ帰れます。神様が、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫に与えると約束された土地に、連れ帰ってくださるのです。」 + このあと兄弟たちに、カナンへ帰る時には、自分の遺体を必ず運び帰るように誓わせました。 + こうして、ヨセフは百十歳で死にました。人々は彼の遺体をミイラにし、棺に納めて安置しました。 + +
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+ + 自分の家族を連れ、ヤコブ(イスラエル)といっしょにエジプトに移ったヤコブの子たちの名前は、次のとおりです。ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン、ベニヤミン、ダン、ナフタリ、ガド、アシェル。 + 総勢七十人でした。ヨセフはみなより先にエジプトへ行っていたので、この数には入りません。 + やがて、ヨセフも兄弟たちも死に、新しい世代になりました。 + イスラエル人は多くの子どもに恵まれたので、人口は増え続け、ゴシェンの地はイスラエル人であふれ、一つの国と言ってもよいほどの勢力にふくれ上がりました。 + やがて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトの王になりました。 + 王は国民に言いました。「このままイスラエル人どもを放っておくと危険だ。あまりに数が多すぎる。 + 何とか彼らの勢力を食い止めなければならない。戦争にでもなり、彼らが敵方についたら大変だ。われわれに戦いを挑み、難なくこの国から逃げてしまうだろう。」 + そこで、イスラエル人を奴隷にしてしまおうとしました。きびしい監督を立て、重労働につかせるのです。こうして建てられたのが、ファラオ(王)のための倉庫の町ピトムとラメセスです。 + ところが、いくら重労働を課しても、締めつけをきびしくしても、いっこうに効果はありません。むしろ、前よりすさまじい勢いで人が増え続けるのです。エジプト人は警戒して、 + ますます過酷な仕事を押しつけました。畑での長時間の重労働や、粘土でれんがを造る激しい仕事をさせました。 + これほどにしても、まだ効き目がありません。とうとう王は、シフラとプアというヘブル人(イスラエル人)の助産婦に、ひそかに命じました。ヘブル人の男の子は生まれたらすぐに殺し、女の子だけを生かしておくようにというのです。 + ところが、助産婦たちは神を恐れていたので王の命令に従わず、男の子も生かしておきました。 + そこで王は彼女たちを呼びつけ、問い詰めました。「おまえたちは男の子を生かしておくそうだな。なぜ私の命令に背いたのだ。」 + 彼女たちは言いました。「王様はご存じないでしょうが、ヘブルの女はとても丈夫で、簡単に赤ん坊を産んでしまうのです。私たちが駆けつけた時には、もう生まれてしまっているのです。エジプトの女と違って出産に手間取らないものですから。」 + 神はこの助産婦たちを心にかけてくださったので、イスラエル人はさらに増え続け、強大な民になりました。 + 神を畏れ敬う助産婦たちも子どもに恵まれました。 + それで、王は全国民に、「以後、ヘブル人の子は、女の子だけを残して、男の子はみなナイル川に投げ込め」と命じたのです。 + + + そのころ、あるヘブル人の若い男女が結婚しました。二人ともレビ族の出身で、やがて二人の間に男の子が生まれました。たとえようもなく、かわいらしい子でした。どうして、川へなど投げ込めるでしょう。母親は三か月の間、家に隠しておきました。 + しかし、もうそれ以上は隠しきれません。彼女はパピルス(植物繊維)製のかごにタールを塗って防水し、その子を入れると、ナイル川のほとりの葦の茂みにそっと置きました。 + その子の姉は、弟がどうなるのか遠くから見守っていました。 + さて、それから何が起こったでしょう。ちょうどその時、王女が川へ水浴びに来たのです。侍女たちを従えて岸を歩いていると、葦の茂みの間に小さなかごがありました。王女は何かしらと思って侍女をやり、それを引いて来させました。 + 開けてみると、なんと中で子どもが泣いているではありませんか。「まあ、かわいそうに! きっとヘブル人の赤ちゃんだわ。」王女は思わず叫びました。 + それを見ていたその子の姉は、この時とばかり王女のそばへ駆け寄りました。「王女様、その赤ちゃんを、お育てになりますか? でしたら、お乳をあげる人がいりますよね。だれかヘブル人の女の人を捜して来ましょうか。」 + 「よく気のつく子ね。そうしておくれ。」王女の返事を聞いて、少女はうれしくてたまらず家に飛んで帰り、母親を呼んで来ました。 + 「お礼は十分しますから、この子を連れて行って、私の子として育ててください。」王女はその子の実の母親とも知らず頼みました。もう何の遠慮もいりません。彼女は子どもを抱いて家に帰りました。 + やがてその子は大きくなり、養子として正式に王女の屋敷へ引き取られました。王女はその子をモーセ〔「引き出す」の意〕と名づけました。水の中から引き出した子だったからです。 + やがて、モーセはりっぱに成人しました。ある日、彼が同胞のヘブル人を訪ねた時、そこで目にしたのは、あまりにもひどい苦役でした。エジプト人が一人のヘブル人をなぐっているのを見て、同胞の苦しみを知ったモーセの血が騒ぎました。自分と同じヘブル人が痛めつけられているのを見過ごしにできませんでした。 + 急いであたりを見回し、だれも見ていないのを確かめると、そのエジプト人を殺して砂の中に隠しました。 + 次の日もまたヘブル人を訪ねましたが、今度はヘブル人同士がけんかをしていました。「同じヘブル人なのに仲間をなぐるとは、いったいどういうつもりだ。」モーセは悪いほうの男を責めました。 + すると男は、「何だと? よけいなお世話だ。だいたい、そういうおまえこそ何者だ。まるで王様か裁判官みたいな口をきくじゃないか。昨日のエジプト人だけでは足りず、おれまで殺そうというのか」と言いました。あんなに用心したのに、昨日したことがばれていたのです。モーセは非常に不安になりました。 + そして、心配したとおり、エジプト人殺害の話は王の耳にも達していたのです。王は、「直ちにモーセを捕らえ、処刑せよ」と命じました。窮地に立たされたモーセは、ミデヤン(アラビヤ半島の北西部、アカバ湾東沿岸)の地へ逃げて行きました。モーセが井戸のかたわらに座っていると、 + 父親の羊の群れに水を飲ませるために、ミデヤンの祭司の娘が七人、水をくみにやって来ました。ところが、水おけに水をくみ始めると、 + あとから来た羊飼いたちが娘たちを追い払おうとしました。モーセは立ち上がって彼女たちを助け、羊の群れに水を飲ませてやりました。 + 家に戻った娘たちに、父親のレウエルが尋ねました。「おや、今日はいつになく早いじゃないか。どうしたんだね。」 + 「いつものように羊飼いたちがじゃまをしてきたのだけど、一人のエジプト人が助けてくれたの。羊飼いを追い払って、羊に飲ませる水までくんでくれたのです。」 + 「ほほう、親切な人だな。で、その人はどこにいるのだ。ちゃんとお連れしたのかね。さあ呼んできて、お食事を差し上げなさい。」 + モーセは、レウエルから彼のもとにとどまってほしいと言われ、申し出を受け入れることにしました。レウエルは、娘の一人チッポラを妻としてモーセに与えました。 + やがて男の子が生まれ、ゲルショム〔「外国人」の意〕と名づけました。モーセが、「私はこの国では外国人だ」と言ったからです。 + 何年かして、エジプトの王が死にました。しかし、イスラエル人の重労働は少しも変わりませんでした。相変わらず奴隷として酷使され、うめき苦しんでいました。その苦しみに耐えかねて、泣きながら神に助けを求めました。その叫びは天に届き、 + 神は、子孫をカナンの地に連れ戻すという、アブラハム、イサク、ヤコブへの約束を思い起こしたのです。 + 神は天から一部始終をごらんになり、イスラエル人を救い出す時がいよいよ来たと考えました。 + + + ある日モーセは、ミデヤンの祭司であるしゅうとイテロ〔別名レウエル〕の羊の群れの番をしていました。砂漠のはずれにある神の山ホレブ(シナイ山)に近い所です。 + と、突然、柴の燃える炎の中に、主の使いが現れました。よく見ると、柴には火がついているのに、いつまでも燃え尽きません。 + 「いったい、どういうことだろう。」不思議に思いながら、そばに近寄りました。その時です。神が燃える柴の中からモーセに呼びかけました。「モーセ、モーセ。」「は、はい。どなたでしょう。」 + 「それ以上近寄ってはならない。くつを脱ぎなさい。あなたが立っている場所は聖なる地だ。 + わたしはあなたの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。」モーセはあわてて顔を覆いました。 + 主は続けて語りました。「わたしの民が、エジプトで非常な苦しみを受けているのを見た。無慈悲な監督のむちを取り除いてほしい、と叫んでいる声を聞いた。 + わたしは彼らをエジプト人の手から救い出す。エジプトから助け出し、乳とみつの流れる国、広々とした美しい国へ連れて行こう。今は、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人が住んでいる地である。 + 今こそイスラエル人の嘆きがよくわかった。苦役に明け暮れ、エジプト人に酷使されている。 + そこで、あなたをエジプトの王ファラオのもとへ遣わそう。わたしの民をエジプトから助け出すのだ。」 + 「そんな大それた仕事など、とても私にはできません。」モーセは思わず叫びました。 + 「心配することはない。わたしがついている。あなたを遣わしたのがわたしだという証拠に、必ずあなたとともにいよう。人々を無事エジプトから助け出したら、この山で礼拝しなければならない。」 + 「ですが神様、イスラエル人のところへ行って、先祖の神に遣わされて来たと言ったら、きっと聞かれます。『先祖の神様とは、いったい何という名の神様だ。』その時、私はどう説明したらよいのでしょう。」 + 「わたしは『わたしはある』(「永遠に生ける神、創造者」の意で、イスラエルの神の名。「主」のもともとの意味)という者だ。『「わたしはある」という方から遣わされた』と言えばよい。 + そして、『あなたがたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブの神、主が私を遣わした』と言いなさい。これが永遠に変わらないわたしの名だ。」 + 神はまた、モーセに命じました。「イスラエルの長老全員を呼び集めなさい。そして神が燃える柴の中に現れ、こう語ったと伝えるのだ。『わたしの民イスラエルがエジプトでどんなに苦しんでいるかを、この目で見た。 + しかし、もうそんな屈辱を味わうことも、つらい労働をしいられることもない。わたしが必ず救い出す。そして、今、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人が住んでいる、「乳とみつの流れる」国へ連れて行く』と。 + 長老たちはあなたの言うことを聞くだろうから、いっしょにエジプトの王のところへ行き、こう言うのだ。『ヘブル人の信じる神様からお告げがありました。砂漠を三日ほど行った所で、神様にいけにえをささげるようにとのことです。どうぞ出かける許可を下さい。』 + だが、王も一筋縄ではいかない。 + だからわたしが、いやおうなしに王が承知するようにしよう。奇跡を起こしてエジプトを懲らしめる。そのあとで、ようやく行かせることになるだろう。 + その時には、エジプト人からたくさんの贈り物をもらえるようにする。何も持たずにエジプトを出ることは決してない。 + 女はみな、エジプト人の主人の妻や隣人から、金、銀、宝石、美しい服を求め、それらエジプトの最上のものを息子や娘たちに着させなさい。」 + + + モーセは反論しました。「あの人たちは私を信じてくれないでしょう。私の言うことなど聞くはずがありません。『神がおまえに現れたって? それはうそだろう』と言うに決まっています。」 + 「モーセ、あなたが今、手にしているのは何か。」「羊飼いの杖です。」 + 「地面に投げてみなさい。」そう言われて杖を投げると、たちまち蛇に変わったではありませんか。モーセは驚いて、あとずさりしました。 + すかさず主は命じました。「蛇のしっぽをつかみなさい。」言われたとおりにすると、蛇は手の中で、また杖に戻りました。 + 「みなの前で、今と同じことをして見せるのだ。そうすれば、あなたを信じるだろう。そして、先祖アブラハム、イサク、ヤコブの神が、ほんとうにあなたに現れたのだと納得するだろう。 + 今度は、手をふところへ入れなさい。」また言われたとおりにして手を出してみると、なんとツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)にかかり、彼の手は雪のように白くなっていました。 + 「もう一度ふところへ入れなさい。」すると不思議なことに、ツァラアトはすっかり治っていました。 + 「たとえ最初の奇跡を信じなくても、二番目の奇跡は信じるだろう。 + それでもまだ信じなかったら、ナイル川の水をくんで地面に注ぎなさい。水は血に変わるだろう。」 + しかし、モーセはなおも食い下がりました。「主よ、私はとても口べたです。うまく話ができたためしがありません。こうしてお話ししていても、思うように物が言えません。すぐにつかえてしまうのです。」 + 「人間の口を造ったのはだれか。神であるわたしではないか。人が話せたり話せなかったり、目が見えたり見えなかったり、耳が聞こえたり聞こえなかったりするのは、だれの力によることか。 + さあ、ぐずぐず言わず、わたしの言うとおりにしなさい。はっきり話せるように助け、何を話すかも教えよう。」 + それでも、モーセは心を決めかねて言いました。「主よ、お願いです。だれかほかの人を遣わしてください。」 + 主は怒って、答えました。「もうよい。あなたの兄アロンは話すのが上手だ。ちょうど今、彼はあなたを捜しに来るところだ。あなたを見つけたら大喜びするだろう。 + わたしが言うことを彼に教え、代わりに話してもらうがいい。二人ともうまく話せるようにわたしが助け、しなければならないことはすべて教える。 + 彼はあなたの代わりに語る。あなたはわたしの代わりに、語るべきことを彼に告げるのだ。 + そして、あの奇跡を行うために、杖を持って行くのを忘れてはならない。」 + モーセは家に帰り、義父のイテロに相談しました。「お許しいただければ、エジプトに帰って親類を訪ねたいのですが……。まだ生きているかどうかさえ、わからないのです。」「遠慮はいらない。行っておいで。」イテロは快く承知しました。 + いよいよミデヤンの地を出発するという時、主はモーセに告げました。「エジプトへ帰るのを恐れてはならない。あなたを殺そうとしていた者たちは、みな死んだ。」 + モーセは妻と息子たちをろばに乗せ、エジプトへ帰りました。手には、あの奇跡を行った神の杖がしっかり握りしめられていました。 + 主はモーセに言いました。「エジプトに帰ったらファラオのところへ行き、教えたとおり奇跡を行いなさい。だが彼は強情を張って、すぐにはイスラエル人の出国を認めないだろう。わたしがそうさせるのだ。 + その時はファラオにこう言いなさい。『主はこう言われます。「イスラエルはわたしの長男である。 + 彼らがエジプトを出てわたしを礼拝できるようにせよと、わたしはあなたに命じたが、あなたは拒否した。その罰に、あなたの長男を殺す」と。』」 + 旅の途中、モーセはある所で一夜を過ごすことになりました。その時、不意に主が現れ、今にもモーセを殺そうとしました。 + 妻のチッポラはとっさに火打ち石をつかみ、自分の息子の包皮を切り取り、割礼を施しました。それから、切り取った息子の包皮をモーセの両足につけ、「あなたは私にとっての血の花婿です!」と叫びました。それで主は、モーセに手をかけるのをやめました。 + さて、主はアロンに、「荒野へ行ってモーセに会いなさい」と言いました。アロンは神の山ホレブ(シナイ山)まで出かけ、モーセと会い、再会を喜び合いました。 + モーセはアロンに、主が自分たち二人に、これから何をし、何を語るよう命じられたのかを伝えました。もちろん、エジプトのファラオの前で行わなければならない奇跡のことも話しました。 + モーセとアロンはエジプトへ行き、イスラエル人の長老たちを集めて会合を開きました。 + アロンは、主がモーセに語ったことをみなに話し、モーセがみなの目の前であの奇跡を行ったので、 + 長老たちは二人の話を信じました。一同は、主が人々の苦しみをごらんになり、救い出そうとしていることを聞いて大喜びし、その場にひざまずいて主を礼拝しました。 + + + その後、モーセとアロンはファラオに会いに行きました。「私どもはイスラエルの神、主のお告げを持ってまいりました。『わたしの民を行かせよ。荒野で聖なる祝宴を張り、わたしを礼拝させるためだ』とのことです。」 + 「ふむ、そうか。だが、どうしてこの私が、その主とやらの言うことを聞いて、イスラエル人たちを行かせなければならないのだ。主とはいったい何者だ。聞いたこともない。いちいち、そんなお告げなどに取り合ってはいられない。イスラエル人たちは絶対に行かせない。」王はきげんをそこねたようです。 + しかし、アロンとモーセも引き下がりません。「ヘブル人の神様が私どもに現れたのです。私どもは荒野を三日行った所で、主にいけにえをささげなければなりません。もし神様に従わなければ、病気で死ぬか、さもなければ剣で殺されるかです。」 + 「ええい、いいかげんにしないか! おまえたちは自分をだれだと思っているのだ。イスラエル人にはそれでなくても仕事が山ほどある。その仕事を放り出させるつもりか。おまえたちも余計なことに口出ししないで、仕事に戻れ!」王は激高して言いました。 + その日、王は腹立ちまぎれに、イスラエル人を使う監督と配下の人夫がしらに命令を出しました。 + 「以後れんが作り用のわら(れんがに混ぜていた)を彼らに与えてはならない。自分で取りに行かせるのだ。しかも、生産割り当ては一個たりとも減らすな。荒野へ行って自分たちの神にいけにえをささげたいなどとぬかすのは、暇を持て余しているからだ。 + どんどん仕事をさせて、へとへとになるまでこき使え。モーセやアロンのうそっぱちな話を聞いていると、どんな目に会うか、思い知らせてやるのだ。」 + 監督と人夫がしらは、さっそくそれを全員に伝えました。「王様の命令によって、これからはわらを渡さないことになった。自分で探せ。ただし、れんがは前と同じだけ作るのだぞ。」 + そこで、イスラエル人たちはあちこちに出かけて行って、必死でわらを集めました。 + それでも監督は容赦しません。「一日分の仕事は前と同じにちゃんとやれ。言いわけは許さん!」ときびしく要求し、 + イスラエル人の人夫がしらたちを打ちたたきました。「昨日の割り当て分を作らなかったな。今日も数が足りないぞ、怠け者めが。命令どおりに働け。」 + 人夫がしらたちは思い余って、ファラオのところへ嘆願に行きました。「王様、お願いでございます。こんなひどいやり方は、もうやめさせてください。 + わら一本もらわず、前と同じ数のれんがを作るのはむりです。私たちが悪いわけでもないのに、しょっちゅうむち打たれるのはかないません。こんな理屈に合わない仕事をさせる監督が悪いのです。」 + しかし、ファラオは相手にしません。「いいや、おまえたちは暇すぎるのだ。そうでなければ、『主にいけにえをささげに行かせてほしい』などとぬかすはずがない。 + さあ、さっさと仕事に戻れ。わらは一本も渡さないぞ。れんがの割り当ても減らさない。今までどおり、きちんと持って来い。」 + もう、どうにもなりません。人夫がしらたちは頭をかかえ込みました。 + 途方にくれて外に出ると、モーセとアロンが待っていました。彼らは二人の姿を見ると、 + 無性に腹が立ち、思いっきりののしりました。「ファラオやエジプト人からこんなひどい仕打ちを受けることになったのも、元はと言えばおまえたちのせいだ。まるで、われわれを殺させるための口実を与えたようなものだ。二人とも主のさばきを受けるがいい。」 + モーセも気持ちが収まりません。主のもとに戻って抗議しました。「主よ、どうしてご自分の民なのに、こんなひどい取り扱いをなさるのですか。私が来たのは、いったい何のためでしょう。 + あなたの命令をファラオに伝えてからというもの、事態はよくなるどころか、ますます悪くなるばかりです。それなのにあなたは、いっこうに救いの手を差し伸べてくださらないではありませんか。」 + + + 主はモーセに言いました。「わたしがしようとしていることは、そのうちわかる。王はどうにもならなくなってから、ようやくわたしの民を行かせるだろう。その時には、行くのを許すというより、むしろ国から追い出さないわけにはいかなくなるのだ。 + わたしはアブラハム、イサク、ヤコブに現れた全能の神、主である。もっとも、彼らには主という名ではわたしを知らせていなかったが……。 + わたしは彼らと聖なる契約を結んだ。彼らと子孫とに、彼らが当時住んでいたカナンの地を与えると約束した。 + 今、イスラエル人がエジプト人の奴隷となってうめき苦しんでいるのが、よくわかった。そして、昔の約束を思い起こした。 + だから人々に、主が必ず救い出すと伝えなさい。見ているがいい。わたしは大きな力をふるい、みわざを行う。彼らを奴隷の鎖から解き放ち、自由にする。 + 彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。彼らは、エジプトから救い出したのがわたしであることを知る。 + アブラハム、イサク、ヤコブに与えると約束した地に、わたしは彼らを連れて行く。その地はわたしの民のものとなるのだ。」モーセは、主から聞いたとおり人々に伝えました。しかし、もうだれも耳を傾けようとしませんでした。彼の言うことを聞いてひどい目に会ったため落胆していたのです。 + 主はまた、モーセに語りかけました。「さあもう一度、ファラオのもとへ行き、イスラエル人を行かせるように言いなさい。」 + しかし、モーセは素直に従えません。「主よ、同胞のイスラエル人でさえ、もう私の言うことを聞こうとしないのです。まして、ファラオが聞くはずがありません。それにだいいち、私は口べたなのです。」 + 主はモーセとアロンに再び、イスラエルの民とファラオにもう一度話し、イスラエル人の出国を要求しなさいと命じました。 + 彼らの家系の長は次のとおりです。イスラエルの長男ルベンの子は、エノク、パル、ヘツロン、カルミ。 + シメオンの子は、エムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ツォハル、サウル〔母親はカナン人〕。 + レビの子の家系は、ゲルション、ケハテ、メラリ。レビは百三十七歳で死にました。 + ゲルションの子は、リブニ、シムイの氏族。 + ケハテの子は、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエル。ケハテは百三十三歳で死にました。 + メラリの子は、マフリ、ムシ。以上がレビの一族の家系です。 + アムラムは父親の妹ヨケベデと結婚しました。その子がアロンとモーセです。アムラムは百三十七歳で死にました。 + イツハルの子は、コラ、ネフェグ、ジクリ。 + ウジエルの子は、ミシャエル、エルツァファン、シテリ。 + アロンは、アミナダブの娘でナフションの妹エリシェバと結婚しました。彼らの子は、ナダブ、アビフ、エルアザル、イタマル。 + コラの子は、アシル、エルカナ、アビアサフ。これがコラの一族です。 + アロンの子エルアザルは、プティエルの娘と結婚しました。その子の一人がピネハスです。以上がレビ族の長とその氏族に属する家族の名です。 + この中のアロンとモーセの二人が、「イスラエル人を一人残らずエジプトから救い出せ」と、主から命令を受けたのです。 + 彼らはファラオのところへ行き、イスラエル人をエジプトから去らせるようにと要求しました。 + 二人はまた、「わたしが主である。行って、わたしの言うことをみなファラオに伝えよ」という命令も受けました。 + その際モーセは、「私にはできません。口べたなのです。どうして彼が、私などの言うことを聞くでしょう」と答えました。 + + + 主はモーセに言いました。「あなたをわたしの使者として、エジプトの王ファラオのもとへ遣わす。兄アロンがあなたの代わりに話す。 + あなたはわたしから聞いたとおりをアロンに話し、それを彼がファラオに伝えればよい。イスラエル人をエジプトから行かせるように要求するのだ。 + ファラオは簡単には承知しないので、わたしはエジプトで数々の奇跡を行う。 + それでも、彼はなかなか言うことを聞かないだろう。そこで最後に、大きな災いを送って痛めつけ、そのあとで、わたしの民を救い出す。 + その力を目の当たりにする時、エジプト人は、わたしがほんとうに主であることをはっきりと知るだろう。」 + モーセとアロンは、主の命令どおりにしました。 + その時、モーセは八十歳、アロンは八十三歳でした。 + 主はさらにモーセとアロンに言いました。 + 「ファラオは、神から遣わされた証拠に奇跡を見せろと要求するだろう。その時、アロンはこの杖を投げるのだ。それはすぐさま蛇に変わる。」 + モーセとアロンは宮殿に出かけて行ってファラオと面会し、奇跡を行いました。主に教えられたとおり、ファラオをはじめ居並ぶ家臣たちの前でアロンが杖を投げると、たちまち蛇になったのです。 + 王も負けじと、魔術を行う呪術師を呼び寄せ、彼らも魔法で同じことをしました。 + 彼らの杖も蛇に変わりましたが、その蛇はアロンの蛇にのみ込まれてしまいました。 + それでもファラオは、頑としてモーセの言うことを聞こうとしません。 + 彼は強情で、イスラエル人の出国はあくまで許さないだろうと、主が言ったとおりでした。 + しかし、主はなおも命じます。「がっかりしてはいけない。朝になったら、またファラオのところへ行きなさい。彼は川へ水浴びに行くから、この前、蛇に変わった杖を持って、岸で待っているのだ。 + 彼に会ったなら、こう言いなさい。『ヘブル人の神、主が私を遣わして、「荒野で神を礼拝できるように民を行かせなさい」と言われました。しかしこの前は、私の言うことを聞こうともしませんでした。 + 今、主はこう言われます。「今度こそ、わたしが神であることを必ず思い知ろう。モーセに杖でナイル川の水を打てと命じると、川は血に変わるからだ。 + 魚は死に、水は臭くなり、エジプト人はナイルの水を飲めなくなる」と。』」 + 主のことばはさらに続きます。「エジプト中のあらゆる水を杖で指すよう、アロンに言いなさい。そうすれば、川、運河、沼地、池から、家の中の鉢や水差しにくんだ水まで、みな血に変わる。」 + そこで、モーセとアロンは命じられたとおりにしました。ファラオと家臣たちの目の前で、アロンが杖でナイル川の水面を打ちました。と、どうでしょう。ナイルの水はみるみる真っ赤な血に変わったのです。 + 魚は死に、水は臭くなって、とても飲むことはできません。国中が血であふれました。 + しかしエジプトの魔術師たちも、秘術を用いて水を血に変えて見せたので、ファラオはかたくなな心を変えず、モーセとアロンには耳を貸そうとしませんでした。やはり主が言ったとおりです。 + ファラオは何事もなかったように、平然と宮殿へ帰りました。 + エジプト人は飲み水を手に入れるため、川岸に沿って井戸を掘りました。ナイル川の水が飲めなかったからです。 + さて次の週のことです。 + + + 主はモーセに言いました。「もう一度、ファラオのところへ行って警告しなさい。『主はこう言われます。「わたしの民が行ってわたしを礼拝するのを拒んではならない。 + もし行かせないなら、かえるの大群を発生させて国の端から端まで、かえるだらけにする。 + ナイル川はかえるであふれ、家の中まで跳び込んで来る。寝室もベッドも、家中かえるで足の踏み場もなくなる。かまどや粉をこねる鉢にまで入り込む。エジプトはかえるで埋め尽くされるだろう。」』」 + そして、こう続けました。「杖をエジプト中の川や水たまりに向けるよう、アロンに命じなさい。この国の隅々までかえるであふれる。」 + アロンが言われたとおりにすると、エジプトはかえるであふれ返りました。 + しかし、魔術師たちも手をこまねいてはいません。秘術を使って、同じようにかえるを生じさせました。 + 困り果てたファラオは、モーセとアロンを呼びました。「かえるを何とかしてくれ。もうたくさんだ。おまえたちの神に頼んでくれ。かえるさえいなくなったら、おまえたちをこの国から出してやろう。神でも主でも、好きなように拝みに行くがよい。」 + 「ありがたいことです。それで、いつ出発できますか。その日が決まりしだい、さっそく祈りましょう。お望みの時に、ナイル川のかえるを残して、かえるは一匹残らず死にます。」 + 「よしわかった。明日にでも。」「けっこうです。おっしゃるとおりにしましょう。その時、私たちの神、主のような方はほかにいないことが、よくおわかりになるでしょう。 + ナイル川にいるかえるのほかは、みな死にます。」 + モーセとアロンはファラオの前から下がりました。モーセがかえるのことを主にお願いすると、 + そのとおりになりました。田舎といわず町といわず、家の中までもいたかえるは死に絶えて、死骸でいっぱいになりました。 + あちこちに山と積み上げられた死骸から、吐き気をもよおすような悪臭がぷんぷんにおってきます。 + ところが、かえるが死んでしまうと、ファラオはまた強情になり、約束を破って、イスラエル人を行かせないことにしました。主が予告したとおりでした。 + 主はまた、モーセに言いました。「地面のちりを杖で打つよう、アロンに命じなさい。エジプト中のちりは、ぶよになる。」 + 二人は命じられたとおりにしました。すると、ぶよが大発生し、エジプト人と家畜に取りつきました。 + 魔術師たちも同じことをしようとしましたが、今度は失敗しました。 + 「これはまさしく神のわざです。」魔術師たちはファラオに叫びました。しかし、ファラオはますますかたくなになるばかりで、それにも耳を傾けようとしませんでした。まさに神が予告したとおりでした。 + 次に主はモーセに命じました。「明日の朝早く起きなさい。王が水浴びに川へ来るから、その時こう告げなさい。『主はこう言われます。「わたしの民が礼拝しに行くのを許しなさい。 + もし許さないなら、エジプト中にあぶの大群を発生させる。家々はあぶだらけになり、地面もあぶで見えなくなる。 + しかし、イスラエル人が住むゴシェンの地には、そういうことはない。あぶは一匹も出ない。こうして、わたしが全地を支配する神、主であることをあなたは知る。 + あなたの民とわたしの民とを、はっきり区別するからだ。これらのことはみな、明日起こる」』」 + 神がそのとおりにしたので、王の宮殿にもエジプトのどの家にも、恐ろしいあぶの大群が現れました。 + あわてたのはファラオです。急いでモーセとアロンを呼びつけました。「わかった、わかった。おまえたちの好きにするがいい。自分たちの神にいけにえをささげるのもよかろう。ただし、この国の中においてだ。荒野へ出かけることは許さない。」 + 「おことばを返すようですが、それはだめです。私たちがささげるいけにえは、エジプトではたいへん嫌われているものです。そこでいけにえをささげたら、私たちのほうが殺されかねません。 + 神様の命令どおり、三日ほど旅をして、荒野でいけにえをささげなければなりません。」 + 「もう好きにしろ。ただ、あまり遠くへ行ってはならない。それよりも、急いで、私のためにも祈ってくれ。」 + 「わかりました。あぶの大群がいなくなるよう、神様にお願いしましょう。ですが、また気が変わって約束を破るようなまねは、二度となさらないでください。」 + モーセはファラオの前から退き、あぶがいなくなるようにしてくださいと主に願いました。 + 主はその願いどおりにし、あれほどのあぶの大群がすっかり姿を消し、どこにも見えなくなったのです。ところが、心配がなくなると、王はまたまた強情になり、イスラエル人を行かせようとはしませんでした。 + + + 主はまた、モーセに命じました。「ファラオのところに戻り、こう言うのです。『ヘブル人の神、主が要求する。神の民がいけにえをささげに行くことを許しなさい。 + もし拒否したら、 + わたしは恐ろしい疫病をはやらせよう。馬やろば、らくだ、羊の群れ、牛の群れなど、家畜は全滅する。 + ただし、死ぬのはエジプト人の家畜だけだ。イスラエル人の牛や羊は、一頭も被害を受けない。』」 + 主は、翌日すぐこのことを行うと宣告し、 + 実際そのとおりになりました。明くる朝、エジプトの家畜がばたばた倒れ始めたのです。しかし、イスラエル人の家畜は病気にさえなりません。 + ファラオは使いをやり、イスラエル人の家畜が一頭も死なないというのはほんとうかどうか調べましたが、間違いありませんでした。それでも、やはり彼の気持ちは変わらず、イスラエル人を行かせようとはしませんでした。 + そこで、主はモーセとアロンに命じました。「かまどからたくさんのすすを取り出し、モーセはファラオの目の前でそれを空にまき散らしなさい。 + それは細かなちりとなってエジプト中に散らばり、人と動物の区別なくどこにでもつき、できものとなる。」 + 二人はすすを取ってファラオのもとへ行き、彼の目の前で、モーセが空に向かってまきました。すると、それはエジプト中の人間と動物にはりつき、できものができてうみが出ました。 + 魔術師たちにもできものができ、とてもモーセの前に出られません。 + しかし主は、ファラオが強情を張るままにさせたので、彼は神の命令に従おうとはしませんでした。主がモーセに予告したとおりです。 + それから、主はモーセに命じました。「朝早く起きてファラオの前に立ち、こう言いなさい。『ヘブル人の神、主は次のように言われます。「わたしの民を行かせ、わたしを礼拝させなさい。 + 今度は、あなたをはじめ、あなたの家臣そしてエジプト中の人間が、骨身にこたえるような災害を起こす。この世界にわたし以外に神がいないことを教えるためだ。 + これまでも、あなたたちを滅ぼそうと思えば滅ぼすことができた。 + そうしなかったのは、わたしの力を、あなたと全世界にはっきり示したかったからだ。 + それなのにあなたは、わたしに対抗できるとうぬぼれている。それで、わたしの民を行かせないと強情を張っているのだ。 + それもよいが、明日の今ごろ、わたしはこの国全体に雹を降らせる。エジプトの国が始まってからこのかた、だれも経験したことがないような雹だ。 + 急いで家畜を小屋へ入れなさい。野にいるものは、人間も動物もみな、雹に打たれて死ぬ。」』」 + エジプト人の中には、この警告を聞いて恐れ、家畜や奴隷を家に入れた者もいました。 + しかし、主のことばなど心にとめない者たちは、「雹ぐらい何だ」とたかをくくっていました。 + 主はモーセに命じました。「天を指さしなさい。すると、雹がエジプト全土に降る。人間、動物、木、ありとあらゆるものの上に降る。」 + モーセが杖を天に向けて伸ばすと、たちまち雷が鳴り、いなずまが走り、雹が激しく降り始めました。 + その激しさは、とてもことばでは表現できないくらいで、エジプト史上、これほどの嵐はありませんでした。 + エジプトはまたたく間に荒廃し、野外にいたものは人間も動物もすべてが死に絶え、木々は引き裂かれ、作物もなぎ倒されました。 + その日、エジプトの中で、雹が降らなかったのは、イスラエル人が住むゴシェンの地だけでした。 + ファラオはモーセとアロンを呼びにやりました。「私が間違っていた。おまえたちの主の言われるとおりだ。私も私の民も悪いことをした。 + この恐ろしい雷と雹を何とかしてくれ。早くやむよう、主に願ってくれ。すぐにでも、おまえたちを立ち去らせることにするから。」 + 「けっこうです。町を出たらすぐ、私は両手を主に差し伸べて祈りましょう。雷と雹は必ずやみます。主は地を支配しておられるのです。あなたはそれをごらんになります。 + しかし、なお、あなたは主の命令には従わないでしょう。家臣がたも同じです。」 + この時すでに、亜麻と大麦は壊滅状態でした。大麦は穂を出し、亜麻もつぼみをつけていたからです。 + 小麦と裸麦はまだ穂が出ていなかったので、全滅を免れました。 + モーセはファラオの前から退き、町の外に出て両手を高く天に伸べました。すると、雷と雹はピタリとやみ、雨もすっかり上がりました。 + それを見て、ファラオと家臣たちはまたかたくなになって、今度も約束を破りました。 + 神が予告したとおり、イスラエル人の出国を許さないことにしたのです。 + + + 主はモーセに言いました。「再び王のところへ行って要求しなさい。しかし、承知しないだろう。わたしがそうさせるからだ。それは、彼らの間で奇跡を通して、わたしの力をさらに見せるためであり、 + わたしが主であることをあなたがたが知るためである。わたしがエジプトでどんなことを行ったか、あなたの子どもや孫たちに語り伝えなさい。」 + モーセとアロンはもう一度、ファラオに会見を申し入れました。「ヘブル人の神、主が言われます。『いつまであなたは、わたしの言うことに逆らうのだ。わたしの民がわたしを礼拝できるよう、行かせなさい。 + もし行かせないなら、明日いなごの大群を送る。国中がいなごで覆われ、地面を見ることさえできなくなる。雹の害を免れた作物も、今度ばかりは助からない。 + 宮殿も役人たちの家も、エジプトの家という家は全部いなごで満ちる。エジプトの歴史上、だれも体験したことのない災害になるだろう。』」そう言いきると、モーセはファラオの前から出て行きました。 + 心配になった家臣たちは、ファラオに願い出ました。「王様、私たちを滅ぼすおつもりですか。それでなくとも、エジプトは雹にやられて、すっかり荒れ果ててしまいました。もうたくさんです。彼らが行きたいと言うなら、どうぞ行かせてください。主とかいう神でも何でも、好きなように礼拝させてやってください。」 + モーセとアロンは、王のもとに呼び戻されました。「おまえたちの言い分はわかった。出かけて行って、おまえたちの神、主に仕えるがよかろう。だが、行きたがっているのは、実際のところだれなのか。」 + モーセが答えました。「若い者も年寄りもみなです。息子、娘、羊や牛の群れも、すべて連れて行きます。一家をあげて、この聖なる巡礼に参加するのです。」 + すると王は、憤慨して言いました。「何だと? 神にかけて、子どもたちを連れて行くことは許さん。おまえたちの計略は見えすいている。 + 全員行くなど決して許さん。大人の男だけが出かければすむことだ。もともとそういう話ではなかったのか。」二人は王の前から追い払われました。 + 主はモーセに命じました。「あなたの手をエジプトの国に差し伸べなさい。いなごが出て来て国中を覆い、雹の害を免れた物を食い尽くそう。」 + モーセが杖を上げると、神はまる一昼夜、東風を吹かせました。朝になると、東風がいなごの大群を運んで来ました。 + いなごはエジプト全土の隅々まで埋め尽くしました。エジプト史上、これほどのいなごの大群は、後にも先にも一度も見ないものでした。 + いなごが全地を覆ったので、太陽の光もさえぎられて薄暗くなりました。雹の害を免れた作物は全部いなごに食べられてしまいました。エジプト中の木や草が食い尽くされ、緑のものは何一つ残りませんでした。 + ファラオはあわてて、急いで使いをやり、モーセとアロンを呼んで言いました。「おまえたちの神、主とおまえたちとに悪いことをした。すまなかった。 + もう一度だけ私の罪を赦してほしい。主に祈ってくれ。このままでは死んでしまう。今度こそ約束を守るから。」 + モーセは王のところから出て行き、神に願いました。 + すると強い西風が吹き始め、いなごを紅海まで運び去ったので、エジプトには、いなごは一匹もいなくなりました。 + しかし主は、またもファラオの心をかたくなにしたので、今度も彼はイスラエル人を行かせませんでした。 + 主はモーセに命じました。「あなたの両手を天に向けて伸ばしなさい。暗闇がエジプトを覆い、光は一筋もささなくなる。」 + モーセは言われたとおりにしました。すると、エジプトは三日間、漆黒の暗闇に覆われました。 + あまりの暗さに身動きさえできません。ただイスラエル人の住んでいた所だけは、光がさしていました。 + ファラオはまたまたモーセを呼びました。「早く出て行ってくれ。行って主を礼拝するがいい。ただし、羊と牛の群れは置いて行け。妻子は連れて行ってかまわない。」 + 「おことばを返すようですが、それは承知できません。あなたご自身も私たちの手にいけにえを与え、私たちの神、主にいけにえをささげなければならないのです。 + 一頭でも残して行くわけにはまいりません。神様には動物のいけにえをささげなければならず、向こうへ着くまでは、神様がどの動物をお選びになるかわかりません。ですから、すべて連れて行きます。」 + これを聞いて、ファラオはまた心を固くしました。神がそうされたのです。「そんな勝手を言うなら行かせてやるものか」と彼は思いました。 + 「ええい、下がれっ! おまえの顔など二度と見たくもない。」彼は怒りをあらわにして言いました。「よく覚えておけ。今度、私の前に姿を現したら生かしておかない。」 + 「けっこうです。私も二度とお目にかかるつもりはありません」とモーセは答えました。 + + + ついに主はモーセに命じました。「いよいよ、これが最後だ。ファラオとエジプト人たちを徹底的に打つのだ。そのあとでファラオはようやく、あなたがたの出発を認めるだろう。いや、むしろ早く出て行かせたくて追い立てるだろう。 + その時は、遠慮はいらない。エジプト人の隣人に金や銀の高価な飾り物を要求するのだ。今からその心備えをしておくよう、イスラエル人全員に伝えなさい。」 + これは、エジプト人がイスラエル人に好意を示すよう、主が計ったからです。モーセ自身、エジプトではファラオの家臣や国民に尊敬されていました。 + モーセはファラオに宣言しました。「主はこう言われます。『真夜中ごろ、わたしはエジプトを通り過ぎる。 + その時、王位を継承する王子から奴隷の長男に至るまで、エジプトの家々の長男はみな死ぬ。家畜の初子も同じだ。 + 嘆き声が全土に響き渡るだろう。いまだかつてなかったような、これからも二度とないような悲痛な叫びだ。 + しかし、イスラエル人とその家畜には犬がほえることすらない。こうして、エジプト人とイスラエル人とははっきり区別される。』 + あなたの家臣たちはその時、私のところに来てひれ伏し、『どうか今すぐ出て行ってください。イスラエル人は一人残らず連れ出してください』と言うでしょう。そのあと私は出て行きます。」モーセは怒りに燃え、言うべきことを言うと、宮殿から出て行きました。 + モーセは、前もって主から言われていました。「ファラオはあなたの言うことを聞き入れないだろう。そのため、わたしは大きな奇跡を行い、わたしの力を十分示すようになる。」 + そういうわけで、モーセとアロンが数々の奇跡をファラオの目の前で行ったにもかかわらず、神はファラオの心をかたくななままにしておかれ、イスラエル人の出国をなかなか許そうとはしなかったのです。 + + + さて、主はモーセとアロンに言いました。 + 「これから今月をユダヤの一月(太陽暦の三月中旬から四月中旬)とし、一年で最も重要な月とする。 + イスラエル人全員にこう布告しなさい。毎年この月の十日に、家族ごとに子羊を一頭用意しなければならない。家族が少人数で食べきれないときは、近所の少人数の家族と分け合ってもよい。家族の人数によってどうするか決めなさい。 + 用意するのは、羊かやぎの傷のない一歳の雄でなければならない。 + まず、この月の十四日の夕方に子羊をほふる。 + 次に、その血を家の戸口の二本の門柱とかもい(門扉の上の横木)に塗る。血は、その家で食べる子羊のものを使うこと。 + その夜は家族全員で、丸焼きにした子羊の肉を、種なしパン(イースト菌を入れないで焼くパン)、苦味のある野草といっしょに食べなければならない。 + 肉は生で食べたり煮たりするのではなく、必ず焼くこと。頭、足、心臓、肝臓もつけたまま丸焼きにする。 + どの部分も、翌日まで残しておいてはならない。夜のうちに食べきれなかったら焼却しなさい。 + 長い旅に備えて旅仕度のまま食べなさい。くつをはき、杖を持ったまま急いで食べなさい。以後これは『主の過越』と呼ばれる。 + 今夜わたしがエジプトを通り過ぎ、エジプトの家々の長男と家畜の初子とを殺し、エジプトの神々にさばきを下すからだ。わたしは主である。 + 戸口の門柱とかもいに塗った血は、わたしに従うというしるしだ。エジプトの地を打つ時も、血が塗ってある家は過ぎ越そう。その家の子は安全である。 + この夜の重大な出来事を忘れないために、毎年、記念の祭りを祝わなければならない。これは永遠に守るべき変わらない決まりとなる。 + 祭りの期間は七日間、その間は種なしパンしか食べてはならない。この規則を破る者は、だれであろうとイスラエルから追放される。 + 祭りの一日目と七日目に、全イスラエル人のために聖なる集会を開く。その日は、食事の準備以外はどんな労働もしてはならない。 + この『種なしパンの祭り』を毎年行い、いつもその日を、わたしがあなたがたをエジプトから救い出した日として記念しなさい。子々孫々、この日を例祭としなければならない。 + この月の十四日の夕方から二十一日の夕方まで、パン種を入れないパンしか食べてはならない。 + この七日間、パン種の一かけらも家にあってはならない。その間にパン種の入ったものを食べた者はだれでも、イスラエル人の社会から追放される。同じ規則は、いっしょに住んでいる外国人にも適用される。イスラエルに生まれた者と全く同じである。 + もう一度くり返す。この期間中はパン種を使ったものを食べてはならない。どこにいても、パンは種を入れないものだけを食事に出しなさい。」 + モーセは、イスラエルの長老たち全員を呼び集めて言いました。「さあ、群れの中から子羊を取って来なさい。一家族に一頭、少人数の場合は数家族に一頭ずつだ。そして、神があなたがたを手にかけないで過ぎ越してくださるように、その羊をほふりなさい。 + その血を鉢に入れ、ヒソプの枝を取って血に浸し、かもいと二本の門柱に塗りなさい。夜の間はだれも外に出てはならない。 + 神は、エジプト中を巡ってエジプト人を打たれる。けれども、かもいと二本の門柱とに血がついている家は過ぎ越し、死の使いが入って長男を殺さないように守ってくださる。 + これは、あなたがたばかりか、子々孫々に至るまで永遠に守るべきことだということを忘れてはならない。 + 約束の地に入ったら、この過越の祭りをして祝いなさい。 + その時、子どもたちが、『なぜこの祭りをするのですか』と尋ねたら、 + こう答えなさい。『神様が私たちを過ぎ越してくださったことを記念する祭りだよ。エジプト人は殺されたが、イスラエル人は無事だった。神様は私たちを滅ぼしに家に来なかったのだよ。』」人々はみなひざまずいて礼拝し、 + それから、モーセとアロンの指示どおりにすべて行いました。 + その夜のこと。真夜中ごろ、ファラオの世継ぎから地下牢に入れられている捕虜の子に至るまで、エジプト人の家の長男はすべて、神の手にかかって死にました。家畜の初子も同じです。 + ファラオやその家臣たちをはじめ、エジプト中のすべての人々が夜中に起き出し、国中に悲鳴が響き渡りました。死人の出ない家は一軒もなかったからです。 + ファラオは、その夜のうちに、モーセとアロンを呼びました。「もうたくさんだ。早く出て行ってくれ。一人残らず、今すぐ出て行ってくれ! 主だろうが何だろうが、好きなように礼拝すればいい。 + 羊も牛もみんな連れて、早く行ってくれ! そして出かける前に私のためにも祈ってもらいたい。」 + エジプト人は、「このままでは、われわれまで死んでしまう」と言い、できるだけ早く国から出てもらおうと、イスラエル人をせきたてました。 + ぐずぐずできません。イスラエル人はみな、パン種の入っていないパン生地を鉢に入れ、衣類で包んでかつぎました。 + それから、モーセに言われたとおり、エジプト人に金や銀の飾り物と衣服を求めたのです。 + 神はイスラエル人がエジプト人に好意を持たれるようにされたので、イスラエル人が欲しい物は何でも、自分の財産をはたいてまで譲ってくれました。 + イスラエル人はその夜のうちにラメセスを出発し、スコテに向かいました。女性、子どもを除く男性だけで六十万人いました。 + 一行の中には、たくさんの外国人たちも交じっていました。おびただしい数の羊や牛の家畜もいっしょでした。 + 食事には、持って来たパン種抜きのパン生地で、パンを焼きました。あまりにあわただしく、パンがふくれるまで待っている暇がなかったからです。 + ヤコブの息子たちとその子孫は、結局、エジプトに四百三十年の間滞在したことになります。エジプトを出発したのは、四百三十年目のちょうど最後の日でした。 + この夜は、神がイスラエル人をエジプトから連れ出すために、特に選ばれた夜でした。毎年その日が、神の救いを記念する祭りの日となったのは、そういういきさつがあるのです。 + 主はモーセとアロンに告げました。「過越の祭りについて次のように定める。外国人は過越の子羊を食べてはならない。 + しかし、買い取られた奴隷は、割礼(男子が生まれて八日目にその性器の包皮を切り取る儀式)を受けていれば、食べてかまわない。 + 雇い人や外国人寄留者は、食べてはならない。 + 子羊を食べる者はみな、家に集まっていっしょに食べなければならない。決して家の外へ持ち出してはならない。また、骨一本も折ってはならない。 + イスラエル人は全員、この記念日を守らなければならない。 + 在留外国人で、過越の祭りを共に祝いたいと願う者は、男なら割礼を受けさせなさい。そのうえでなら参加してもよい。その時は、イスラエルに生まれた者と同じに扱いなさい。しかし割礼を受けていない者は、決して子羊を食べてはならない。 + イスラエルに生まれた者にも、在留外国人にも、同じ規定が適用される。」 + イスラエル人は、主がモーセとアロンに命じたことをみな守りました。 + その日、主はエジプトからイスラエル人を救い出したのです。幾つもの集団が続々と国境を越えて行きました。 + + + 主はモーセに告げました。「イスラエル人の長男と家畜の初子とはみな、わたしにささげなさい。それはわたしのものだから。」 + モーセは人々に言いました。「この日こそ、永遠に記念すべき日、エジプトの奴隷の鎖から解放された日だ。主がすばらしい奇跡を起こして救い出してくださったのを、忘れないようにしよう。だから、毎年この出来事を記念する日には、パン種を使ってはならない。 + 毎年、一月半ば(太陽暦の三月末)のこの日を、エジプト脱出の記念日としよう。今日から主があなたがたをカナン人、ヘテ人、エモリ人、ヒビ人、エブス人の国、つまり先祖たちに約束された乳とみつの流れる国へ導いてくださるのだ。 + 七日間は、種なしパンしか食べてはならない。イスラエルの領土ではどこでも、家の中にパン種も、パン種が入ったパンもあってはならない。七日目は主のための祭りを行う。 + 毎年その祭りのたびに、子どもたちに祭りの意味を説明しなさい。これはエジプトを脱出する時、主がどんなにすばらしいことをしてくださったかを記念する祭りだからである。 + 毎年この一週間を記念することによって、自分たちが特別な民であることを心に刻もう。われわれが主のものだというしるしに、民の手や額に焼き印を押すようなものである。 + この祝祭は、毎年定められた時に行わなければならない。 + 主がずっと昔に先祖たちに約束された地、今カナン人が住んでいる地に導いてくださった時には、 + どの家の長男も、どの家畜の初子も、それが雄であればみな主にささげなさい。それらは主のものだということを忘れてはならない。 + ただし、ろばの初子の場合は身代わりに子羊や子やぎをささげることができる。そうしない場合はろばは殺す。しかし人間の場合、長男の身代わりをささげて、必ず買い戻さなければならない。 + 子どもたちが将来、『これはどういう意味ですか』と聞いてきたら、こう教えなさい。『主がすばらしい奇跡を行って、私たちを奴隷生活から救い出してくださったのだよ。 + エジプトの王はなかなか行かせてくれなかった。それで主は、エジプト中の家の長男と家畜の初子をみな殺した。だから私たちもこうして、最初の男の子は家畜も含めて、すべていけにえとして主にささげるのだ。ただ人間の場合はいけにえにするわけにいかないので、必ず身代わりのいけにえをささげて、長男を買い戻すのだよ。』 + もう一度言おう。この祭りを守ることによって、あなたがたが主の民であることがはっきりする。神の焼き印が額に押されるのと全く同じことである。祭りを守ることによって、主の偉大な力でエジプトから救い出された出来事を、毎年新たに思い起こすのだ。」 + このようにしてついに、エジプトの王ファラオはイスラエル人を行かせることになりました。さて、エジプトから約束の地へ行くには、ペリシテ人の地を通るのが最も近道でしたが、神は別の道を通るようにしました。人々はエジプトを出る時、一応は武装していましたが、道中ずっとペリシテ人と戦うのはつらいことです。みな勇気を失って、またエジプトへ帰ってしまうかもしれません。そこで神は、紅海を通る荒野の道へ行かせたのです。 + モーセはヨセフの遺骨を持って出ました。神の御力によってエジプトから救い出される時には必ず持って行くようにと、ヨセフが神の前で、イスラエル(ヤコブ)の子たちに約束させたからです。この日がくることを、ヨセフは確信していたのです。 + 一行はスコテを出たあと、荒野のはずれにあるエタムに野営しました。 + 神が昼間は雲の柱、夜は火の柱を立て、進む道をはっきり示してくれたので、彼らは昼も夜も旅を続けることができました。 + 雲の柱と火の柱は、その後もずっと、見えなくなることはありませんでした。 + + + 神はモーセに告げました。 + 「引き返して、ミグドルと海との間、バアル‧ツェフォンに面したピ‧ハヒロテに向かいなさい。そこの岸辺にテントを張るのだ。 + ファラオはきっと、『イスラエル人どもは砂漠と海の間で立ち往生しているに違いない』と考えるだろう。 + そして、またも意地になって、あとを追いかけて来る。すべてわたしの思うつぼだ。ファラオとその軍隊に、はっきりとわたしの力と栄光を見せよう。エジプト人も今度こそ、わたしが主であることを認めるようになる。」イスラエル人はそのとおりにしました。 + 三日たってもイスラエル人がエジプトへは戻ろうとせず、そのまま逃げ出すつもりらしいという知らせが届くと、王と家臣たちはまた気が変わりました。「あの奴隷どもをみな逃がすとは、なんと愚かなことをしてしまったのだ。」 + このまま放ってはおけないと、ファラオは戦車に跳び乗り、先頭に立って追跡の指揮をとりました。 + あとにはエジプト戦車隊の精鋭六百と将校の戦車が続きます。 + こうして追跡が始まりました。みすみすエジプトの富を持って行かせるのは、何としても許せません。 + 馬、戦車、騎手、歩兵と、王の全機動部隊が追跡作戦に駆り出されました。エジプト軍は、バアル‧ツェフォンの手前、ピ‧ハヒロテの岸辺に野営していたイスラエル人に追いつきました。 + イスラエル人が見ていると、はるかかなたからエジプト軍がやって来ます。彼らはだんだんスピードを増して近づいて来るのです。人々はすっかり震え上がり、主に助けを求めました。 + そして、ついにはモーセに泣きごとを言うのでした。「エジプトには墓が足りないので、こんな砂漠まで連れ出して死なせようというのですか。これでは、何のためにエジプトから逃げ出したかわかりません。 + そもそも初めからおかしいと思ったのです。だからあの時も、このまま放っておいてくれと言ったのに。こんな荒野で死ぬくらいなら、エジプトで奴隷になっていたほうがまだましです。」 + しかし、モーセは言いました。「みんな、怖がってはいけない。今いる場所にしっかり腰をすえて、今日、主がすばらしい方法で救ってくださるのを、よく見ようではないか。あのエジプト人を見るのも、今日が最後だ。 + 主が代わりに戦ってくださる。だから、みんなは指一本、動かす必要もない。」 + 主はモーセに命じました。「いつまでもわたしに叫び求めないで、人々を前進させなさい。 + 杖を海(紅海)の上に差し伸べると、水が分かれて道ができる。その乾いた土の上を歩いて海を渡りなさい。 + わたしはエジプト人の心をかたくなにさせ、彼らにあなたがたのあとを追わせる。だがその時、ファラオとその全軍勢、戦車や騎手たちをわたしは滅ぼす。そしてわたしの栄光を現す。 + 全エジプトは、わたしが主であることを知る。」 + その時、いつも人々の前を進んでいた神の使いがうしろに移ったので、雲の柱も、 + ちょうどイスラエル人とエジプト軍の間に立ちふさがるように、うしろに移りました。突然、真っ黒な雲が垂れ込めました。あたりは夜のように暗くなり、エジプト人にはイスラエル人が見えなくなってしまったのです。 + モーセが杖を海に差し伸べると、主は海の真ん中に道を作りました。両側には水の壁がそそり立ち、強い東風が一晩中吹きつけて、海の底に乾いた地が現れたのです。 + イスラエル人は、その乾いた道を進みました。 + エジプト軍もあとを追ってどっと海の中の道へなだれ込みました。ファラオの馬、戦車、騎手など全部です。 + 明け方になって、主は火と雲の柱の間からエジプトの軍勢をごらんになり、彼らを攪乱しました。 + 車輪がはずれて、戦車は海の真ん中で、動きが取れなくなってしまったのです。「逃げろ! ぐずぐずするなっ。とてもかなわない。やつらには主がついている!」あちこちから叫び声が上がります。 + 主はイスラエル人がみな無事に渡り終えたのを確かめると、モーセに言いました。「もう一度、手を海の上に差し伸べなさい。そうすれば水が戻って、エジプト軍の戦車と騎手に覆いかぶさるだろう。」 + モーセはそのとおりにしました。たちまち水の壁はくずれ、海は元どおりになりました。何事もなかったように、朝日を受けて波がきらきら輝いています。エジプト軍は迫る水から逃げようとしましたが、海の中に引きずりこまれました。 + ついさっきまで道だった所も、エジプト軍の戦車も騎手も、みな海の底に沈みました。あとを追って海に入ったエジプト軍の中でいのちが助かった者は、一人もいませんでした。 + イスラエル人は、両側に水の壁がそそり立つ中を歩いて、海の中の乾いた地を渡ったのです。 + こうして主はその日、イスラエル人をエジプト軍の手から救い出されました。イスラエル人は岸に流れついたエジプト人の死体を見ました。 + 主はなんという大きな奇跡を起こして助けてくださったのでしょう。人々はあまりに大きな主の力を見て、主を恐れ、主とそのしもべモーセとを信じました。 + + + その時、モーセとイスラエル人は主をたたえる歌をうたいました。「主の勝利をたたえ、心から喜び歌おう。主は馬も人も、海に投げ込んだ。 + 主は私の力、私の歌、私の救いだ。私は、私の神、主をたたえよう。先祖の神、主をあがめよう。 + 主は兵士。まことに主と呼ぶにふさわしい。 + 主はエジプト王の戦車と軍勢を滅ぼした。えり抜きの将校たちもおぼれ死んだ。 + 水にのまれ、石のように海の底へ沈んだ。 + おお、主の右の手は力と栄光に満ち、敵を粉みじんに打ち砕く。 + その輝かしい御力によって、主は立ち向かう敵をすべて滅ぼした。主の怒りの火は激しく、彼らはわらのように燃え尽きた。 + 主が息を吹きかけると、水は真っ二つに分かれた! 水は壁となってそそり立ち、海を二つに分けた。 + 敵は言った。『あとを追え。彼らを滅ぼせ。剣のえじきにし、戦利品を分け合おう。』 + だが、それもつかの間、風が巻き上がり、海が彼らをのみ込んだ。彼らは大海に沈んだ、まるで鉛のように。 + 主のような神がほかにいるだろうか。主のようにすばらしく、聖なる方がほかにいるだろうか。奇跡を行われる主のようにたたえられ、恐れられる神がほかにいるだろうか。 + 主が手を伸ばすと、大地は彼らをのみ込んだ。 + 自ら買い取った国民を、主は導いてくださった。聖なる地に優しく導いてくださった。 + 国々はこの話を聞いておののく。ペリシテ人は恐れ、 + エドムの王たちは驚きまどい、モアブの君たちは震え上がり、カナン人は恐怖のとりことなった。 + だれもが驚き恐れた。主の大きな力を恐れ、敵もわれわれを襲わない。主が買い取った国民は、何の心配もなく外国人の間を通る。 + 主はその国民を導き、神の山に植えてくださる。畏れ多くも、主ご自身の地、われわれのために備えてくださった聖なる地に。 + 主は永遠に世界を治める。」 + ファラオの馬と騎手と戦車が、海の中を進もうとした時、水の壁はくずれ、彼らの頭上に覆いかぶさったのです。しかしイスラエル人は、乾いた地を渡りました。 + アロンの姉で女預言者のミリヤムが、タンバリンを手に、女たちの先頭に立って踊り始めました。 + ミリヤムは歌いました。「主の勝利をたたえ、心から喜び歌おう。主は馬も人も海に投げ込んだ。」 + このあとモーセは人々を率いて、紅海からさらにシュルの荒野へ出ました。三日間、水のない日が続きました。 + やっとマラに着きましたが、水はあるものの苦くてとても飲めません。それで、マラ〔「苦い」の意〕という名がついたのです。 + 人々はモーセに不平を言い立てました。「何とかしてくれ! のどが渇いて死にそうだ。」 + モーセは主に助けを求めました。すると、主は彼に一本の木を示し、それを水に投げ入れなさいと命じるのです。そのとおりにすると、水は甘くなりました。このマラで、主はモーセを試みました。 + 「もしもあなたがわたしに従い、正しいことを行うなら、エジプト人を悩ませた病気であなたが苦しまなくてすむようにしよう。わたしはあなたを癒やす主である。」 + こうして一行がエリムに着くと、そこには泉が十二と、なつめやしの木が七十本ありました。その泉のそばで、彼らは野営しました。 + + + それから、彼らはエリムを発ち、エリムとシナイ山との間に広がるシンの荒野に向かいました。荒野に着いたのは、エジプトを出た翌月の十五日でした。 + そこでも人々は、モーセとアロンを非難しました。 + 「ああ、エジプトにいればよかったのに。あのまま主の手にかかって死んだほうがまだましだった。あのころは、少なくとも食べ物はたっぷりあった。なのに、あなたたちはこんな荒野に私たちを連れ出し、ここでみんなを飢え死にさせようとしている。」 + 主はモーセに言いました。「天からパンを降らせよう。毎日みんな外へ出て、その日に必要なだけ集めなさい。これは、わたしの指示を守るかどうかを見るテストにもなる。 + ただ、六日目だけは、ふだんの二倍集めさせなさい。」 + モーセとアロンは、人々を全員呼び集めて言いました。「あなたがたをエジプトから救い出したのは主だったということが、今日の夕方にはわかる。 + そして朝になったら、主のすばらしさをもっとよく知ることになるだろう。不平を言ったのを、主はちゃんと聞いておられたのだ。私たちに文句を言ったつもりだろうが、私たちは取るに足りない人間なのだ。けれども、主は夕方には肉を、朝にはパンを下さると約束なさった。さあ主の前へ出て、どうお答えになるか聞くがいい。」 + そして、アロンが一同を呼び集めると、今まで人々を先導してきた雲の柱の間から、突然、主の栄光が荒野に輝きわたりました。 + 主はモーセに告げました。「みなの不平は確かに聞いた。わたしの返事はこうだ。『夕方には肉を、朝にはパンを満足のいくまで食べさせよう。これによって、わたしがあなたがたの神、主であることを知るようになる。』」 + その夕方、おびただしい数のうずらが飛んで来て、宿営全体を覆いました。翌朝、テントの回りの砂漠に露が降り、 + 露が消えると、あとには霜のような薄くて小さなものが一面に残りました。 + 人々はそれを見て口々に、「いったいこれは何だ?」と言いました。そこで、モーセが説明しました。「これは主があなたがたに下さったパンです。 + みんな、一人当たり一オメル(一オメルは二‧三リットル)の割で、家族に必要なだけ集めなさい。」 + 人々は外へ出てそのパンのようなものを集めました。 + 集めたものを量ると、ちょうど一人当たり一オメルずつあって、みなに十分行き渡りました。たくさん集めた者も余らず、少ししか集めなかった者も足りなくならず、どの家族にもちょうど必要なだけありました。 + 「これを明日まで残しておいてはいけない。」モーセはきつく注意しました。 + ところが中には言うことを聞かない者もいて、翌朝まで残しておいたところ、そのパンのようなものは朝になると、虫がついて悪臭を放ちました。モーセは指示を守らない者をしかりました。 + こうして人々は毎朝、それぞれ家族の人数に応じて必要なだけ集めました。日が昇って日ざしがだんだん強くなると、それは溶けて消えてしまうのです。 + 六日目には、ふだんの二倍に当たる二オメル(四‧六リットル)を集めました。どうして六日目だけ二倍なのか、指導者たちは不思議に思い、モーセにわけを尋ねました。 + モーセは言いました。「主が、その翌日を休息の日と定められたからだ。その日は一日、主のことだけを考えて過ごし、日常の仕事はいっさい休まなければならない。だから、今日のうちに、明日の分まで調理しておきなさい。」 + 今度は、次の朝になっても、虫もつかず、悪臭もなく、少しも傷んでいません。 + モーセは言いました。「今日は、昨日取っておいた分を食べなさい。主の安息日だから、今日は外に出ても何もない。 + 集められるのは六日間だけだ。七日目は安息日で、何も見つけることはできない。」 + そう言われたにもかかわらず、ある者は安息日に食べ物を集めに出かけました。しかし、やはり何も見つかりませんでした。 + 主はあきれてモーセに告げました。「いつになったら、この民は言うことを聞くのか。六日目にいつもの二倍を与えるのは、二日分の量が十分あるようにということなのがわからないのか。七日は休息の日としてわたしが与えたのだから、テントの中にいて、食べ物を取りになど外へ出たりしないようにしなさい。」 + そこで、人々は七日目には休むようになりました。 + この食べ物はのちに、「マナ」〔「これはいったい何だろう」の意〕と呼ばれるようになりました。コエンドロ(エジプトやパレスチナ地域に自生する一年草)の種のように白く、平べったくて、はちみつ入りのパンのような味がしました。 + モーセはさらに、主からの指示をみなに伝えました。「記念としてマナを一オメル取っておき、主がエジプト脱出の時、荒野でどういうパンを与えてくださったか、のちの時代の人たちが見られるようにするのです。」 + モーセはアロンに、容器を持って来て一オメル分のマナを入れ、それを主の前の聖なる場所に納めて、何代も保存するよう命じました。 + アロンはそのとおりにしました。すべて主が命じたとおりです。やがて、それは契約の箱に納められることになります。 + こうしてイスラエル人は、その地の作物が取れるカナンの地に着くまで四十年間、ずっとマナを食べ続けました。 + + + さて、主の命令に従って、イスラエルの民はシンの荒野をあとにし、レフィディムへ旅を続けました。ところが着いてみると、また水がありません。 + 再び、彼らの不満が爆発しました。「水はどこだ? 水をくれーっ!」彼らは騒ぎたてます。モーセは、「静かに! いいかげんにしなさい。いったいどこまで主が忍耐してくださると思っているのだ」と、彼らをしかりました。 + しかし、のどの渇きに苦しむ彼らに効果はありません。「何だと? おまえこそ、なぜわれわれをエジプトから連れ出したんだ! 子どもたちや家畜もいっしょにこんな所まで連れて来て、あげくの果てに死なせようなんて、あんまりではないか。」 + モーセは主に願いました。「どうしたらよいのでしょう。この人たちは、今にも私に石を投げつけて殺しかねない有様です。」 + 主はモーセに言いました。「長老たちを連れ、あなたが先頭に立ってホレブ山(シナイ山)まで人々を導きなさい。わたしはその岩の上であなたに会う。岩をあなたの杖、ナイル川を打ったあの杖で打ちなさい。すると水があふれ出て、みなに十分行き渡るだろう。」モーセが言われたとおりにすると、水が吹き出しました。 + モーセはその場所を、マサ〔「主を試みる」の意〕、また、メリバ〔「議論」あるいは「争い」の意〕と名づけました。この場所で人々が、「主はわれわれを助けてくれるのか、どうなのか」と言い争い、主が自分たちを生かすかどうか試みたからです。 + さて、アマレクの戦士たちがイスラエル人に戦いを挑もうと、レフィディムへやって来ました。 + モーセはヨシュアに、アマレク軍と戦うために人々を召集するよう命じました。そして、「私は明日、神の杖を持って丘の頂に立つ」と言いました。 + ヨシュアとその部下はアマレク軍と戦うために出て行き、一方、モーセとアロンとフルは丘に登りました。 + モーセが手に持った杖を差し伸べている間は、イスラエル軍が優勢に立ちましたが、腕を下げるとアマレク軍が優勢になりました。 + モーセの腕はしびれて、とうとう棒のようになってしまいました。もうこれ以上、杖を持っていることができません。アロンとフルは、石を転がして来てモーセを座らせ、両側に立って、日が暮れるまで二人がかりで彼の腕を支え続けました。 + こうして、ヨシュアの率いるイスラエル軍は、アマレク軍をみごとに打ち破ったのです。 + 主はモーセに言いました。「このことを書き記して永遠に残る記録としなさい。いつまでも忘れないようにするのだ。またヨシュアに、アマレク人はわたしが完全に滅ぼし、記憶にさえ残らないようにする、と伝えなさい。」 + モーセは祭壇を築き、それをアドナイ‧ニシ〔「主は私の旗」の意〕と呼びました。モーセは言いました。「主の旗を掲げなさい。こののち何代にもわたって、主がアマレク人と戦ってくださる。」 + + + やがてモーセのしゅうと、ミデヤンの祭司イテロのもとに知らせが届きました。神がご自分の民とモーセのために、どんなにすばらしいことをなさったか、どのようにしてイスラエル人をエジプトから助け出されたかを知らされたのです。 + イテロは、家に帰されていたモーセの妻チッポラを連れ、モーセのところに来ました。 + ゲルショム〔「外国人」の意〕とエリエゼル〔「神は私の助け」の意〕の二人の息子もいっしょでした。こういう名がついたのは、上の子が生まれた時、モーセが「私は外国をさまよう放浪者だ」と言い、次の子の時は、彼が「父祖の神は私を、エジプトの王の剣から助け出してくださった」と言ったからです。 + 一行が来たのは、ちょうど人々がシナイ山のふもとで野営していた時でした。「私だ、イテロだよ。チッポラと孫たちを連れて、会いに来たのだ。」 + イテロがそう伝えると、モーセは大喜びで迎えに出、あいさつを交わしました。さっそくその後の消息を尋ね合い、それからモーセのテントに入って、時のたつのも忘れるほど、心ゆくまで語り合いました。 + モーセはイテロに、今までのことをくわしく話しました。イスラエル人を救うために、主がエジプトの王とその国民に何をされたのか、ここまで来る途中どんな問題が起こり、主がそれをどのように解決してくださったか話したのです。 + イテロは、主がイスラエル人を心にかけ、エジプトから助け出してくださったことをたいへん喜びました。 + 「主はすばらしい。ほんとうにおまえたちをエジプトと王の圧制から救ってくださった。イスラエル人を助けてくださったのだ。 + われわれの信じる主のように偉大な方は、ほかにいない。今度こそ、それがよくわかったよ。あの傲慢で残忍なエジプト人から、ご自分の民を救い出されたのだから。」 + イテロは神にいけにえをささげました。そのあと、アロンやイスラエルの指導者たちも会いに来て、みなでいっしょに食事をし、神の恵みを感謝し合いました。 + 翌日、モーセはいつものように座って、朝から夕方まで人々の間の不平や訴えを聞いていました。 + 全く息つく暇もありません。モーセのあまりの忙しさに驚いたイテロが聞きました。「一日中こんなに大ぜいの人が、あなたに相談しにやって来るとは。どうして、この山のような仕事を一人だけで片づけようとするのか。」 + 「それは、難しい問題が起きると、みな私のところへ来て判断を仰ぐからです。裁判官のように、どちらが正しいか、どちらが間違っているかを決めたり、神様が求める生き方はどういうものかを教えたりします。みんなのために神のおきてを実際問題に当てはめて裁くのです。」 + 「うむ、それはよくない。 + こんなやり方を続けていたら、あなたのほうがまいってしまうよ。もしあなたが倒れたら、みんなはどうなってしまうだろう。 何もかも一人で片づけるには、荷が重すぎるのではないかな。 + 余計なことかもしれないが、私の意見を聞いてもらえるだろうか。あなたはこの人たちの顧問弁護士のような存在になったらいいと思う。神様の前に立つ代理人になるのだ。彼らの問題を神様のもとに持って行って決定していただき、その決定を彼らに伝える。人々におきてを教え、正しい生活を送る原則を示すのだ。 + そして、全員の中から有能な、神を敬う、わいろなど取らない正直な人物を探し、問題の処理に当たらせたらどうだ。千人につき一人そういう指導者を選び、その下に十人の責任者を置く。それぞれが百人の面倒を見る。さらにその下に、五十人の問題を処理する者を二人ずつ置き、その二人がまた、十人の相談相手になる者を五人ずつ受け持つ。 + これらの人たちがいつでも問題の処理に当たって、正しく職務を果たせるようにするのだ。特に重要な問題とか難しい問題は、あなたのところへ直接持って来させるが、小さな問題は彼らに任せる。こうやって、少しずつ責任を分担すれば、あなたは今より負担が軽くなるはずだ。 + どうだね、私の言うとおりにしてみないか。主も、きっと賛成してくださると思うが。そうすれば、どんな大変な仕事もやり抜けるだろうし、野営地の中も平穏になるだろう。」 + モーセは、イテロの提案を受け入れることにしました。 + すべてのイスラエル人の中から有能な人物を選び、指導者に任命しました。千人、百人、五十人、十人、それぞれのグループごとに指導者を置いたのです。 + この人たちは、問題が起こればすぐ解決して、正しい判決を下すことができるようになっていました。難しい問題はモーセのところへ持って来ますが、小さな問題は自分たちだけで裁きました。 + それからまもなく、しゅうとのイテロはモーセに別れを告げ、国へ帰って行きました。 + + + エジプトを出てから三か月後、イスラエル人はシナイ半島に入りました。 + レフィディムの野営地をたたみ、シナイ山のふもとに来て、そこにテントを張ったのです。モーセは神に会うため、ごつごつした岩山を登りました。すると、どこからともなく、主の呼ぶ声が聞こえました。「モーセ、人々にわたしのことばとして伝えなさい。 + 『あなたがたはわたしがエジプト人に何をしたか見た。わしの翼に乗せるようにして、あなたがたをわたしのところへ連れて来たのを見た。 + もし、わたしに従い、契約を守るなら、あなたがたは地上のあらゆる国々の中にあって、わたしの大切な民となる。全世界はわたしのものだからだ。 + あなたがたは神に仕える祭司の国、聖なる民となる。』」 + モーセは山から帰ると指導者たちを呼び集め、主のことばを伝えました。 + 「私たちは、主がせよと言われることは、必ずそのとおり行います。」一同は口をそろえて答えました。 + モーセがそのことばを伝えると、主はモーセに語りました。「わたしは厚い雲の中からあなたと会おう。あなたと話す時、民もわたしの声を自分の耳で聞けるようにしよう。そうすれば、彼らはいつもあなたを信じるだろう。 + さあ、山を下りなさい。わたしが行ってもいいように、人々に準備をさせなさい。今日と明日、特別に身をきよめ、衣服を洗うように言いなさい。 + 三日目に、わたしは人々全員が見守る中で、シナイ山に降りる。 + 間違って人々がそこへ足を踏み入れたりしないよう、周囲に境界線を引きなさい。そしてこう言うのだ。『気をつけよ。山へ登ってはならない。境界線に触れてもいけない。万一そんなことをしたらいのちはないものと思いなさい。 + よいか、決して手を触れてはならない。さもないと、人であろうと動物であろうと、石で打ち殺されるか、刺し殺されることになる。』雄羊の角笛が長く響き渡るのを聞くまで、山へは絶対近づかないようにしなさい。角笛が鳴ったら山のふもとに集まりなさい。」 + モーセは山を下り、民のところに帰ると、すぐに身をきよめ、衣服を洗うように言いました。 + 「二日後に神様がおいでになるから、準備をしなさい。男は女に近づいてはならない。」 + いよいよ三日目です。朝から恐ろしい嵐になりました。雷は耳をつんざき、いなずまは宙を走ります。厚い雲が山に垂れ込め、雄羊の角笛のような大きな音が長く響き渡りました。あまりの恐ろしさに、人々はみな震え上がりました。 + 神をお迎えしなければなりません。モーセは人々を促して野営地から連れ出し、全員が山のふもとに立ちました。 + 見ると、シナイ山全体が煙に包まれています。主が山の上に、炎に包まれて下ったのです。煙は、まるで炉に燃えさかる火のように空に渦巻き、山全体が強い地震で揺れ動きました。 + ラッパのような響きがますます大きくなる中で、モーセが語り、神の答える声は天地にとどろき渡るのでした。 + こうして、主はシナイ山の頂上に降り、モーセを招きました。モーセは主のもとに登って行きました。 + しかし、主はモーセに告げました。「今すぐ下り、決して境界線を越えないよう人々に警告して来なさい。主を見ようという気を起こして、ここへ来るといけないからだ。そんなことをしたらいのちはない。 + 祭司でさえ、務めをするときは主に打たれないよう身をきよめるのだ。」 + モーセは主に言いました。「だれ一人、山へ登って来る者はありません。あなたのきびしいご命令を、みな聞いております。あなたは山の回りに境界線を引けとおっしゃいました。あなたの場所だから人が入ってはならないと宣告するよう、お命じになったからです。」 + 主は彼に言いました。「とにかく、今は山を下りなさい。今度はアロンを連れて来るのだ。しかし、祭司も民も境界線を越すことは決して許されない。そんなわきまえのない者は滅ぼす。」 + そこでモーセは山を下りて人々のところに行き、主の語ったことを告げました。 + + + それから、神は次のようなことば(十戒)を告げました。 + 「わたしは、あなたをエジプトの奴隷生活から救い出した、あなたの神、主である。 + わたしのほかに、どんなものも神として拝んではならない。 + 決して偶像を造ってはならない。鳥でも動物でも魚でも、どんな像も造ってはならない。 + それらを拝んでもならない。どのような方法で礼拝してもならない。あなたの神はこのわたしだけである。わたしはねたみ深いから、わたしとほかの神を同時に愛することは許さない。わたしの罰は、わたしを憎む者の子ども、孫、ひ孫までも及ぶ。 + しかし、わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、千代に至るまでも恵みを与えよう。 + 実行するつもりもないのに、むやみにわたしの名を使って誓ってはならない。そのようなことをしたら必ず罰せられる。 + 主の定めた安息日を特別の日として守りなさい。 + すべての仕事は六日のうちにすませなさい。 + 七日目は神の休息の日だから、その日は一日、人も家畜も仕事をしてはならない。外国人も、ここでいっしょに住んでいる限り、この戒めを守る義務がある。 + わたしが六日の間に天と地と海と、その中のいっさいのものを造り、七日目に休んだからだ。わたしは安息日を祝福し、特別な日と定めた。 + あなたの両親を尊敬しなさい。そうすれば、主であるわたしが与える国で、長く幸せな一生を送ることができる。 + 人を殺してはならない。 + 姦淫してはならない。 + 盗んではならない。 + うそをついてはならない。 + 隣人の家をうらやんではならない。隣人の妻に情欲を燃やしたり、使用人、牛、ろば、そのほか何でも、隣人の持ち物を欲しがったり、持ち主をねたんだりしてはならない。」 + 人々はみな、山にいなずまが走り、煙が立ちこめるのを見ました。また、雷と恐ろしいラッパの音が鳴り続けるのも聞きました。だれもが遠く離れて立ち、恐怖に身を震わせました。 + 人々はモーセに言いました。「神様がどんなことをおっしゃったか教えてください。私たちは言われたとおり従います。ただ、神様が直接私たちにお話しにならないようにしてください。そうしないと、私たちは死んでしまいますから。」 + 「心配はいらない。神様がおいでになったのは、偉大なるお力をあなたがたに示すためだ。神様の力を知れば、これからは罪を犯すことを恐れるようになるだろう。」 + 民が遠く離れて立ち尽くしている中を、モーセは神のおられる濃い暗闇の中に入って行きました。 + 主はモーセに、神の代弁者として人々に語るよう命じました。「わたしは天からあなたがたに呼びかけ、わたしの気持ちを知らせた。あなたがたはその証人である。 + 金や銀、そのほかの偶像を造ったり拝んだりしてはならないことを忘れてはならない。 + わたしの祭壇は簡素な土の祭壇でなければならない。羊と牛の、焼き尽くすいけにえや和解のいけにえなどをその上でささげなさい。祭壇はわたしが命じる場所にだけ築けばよい。そこで、わたしはあなたがたを祝福する。 + 石を使うのはさしつかえないが、切り石はいけない。道具を使って、石をけずったり刻んだりしないようにしなさい。そんな石はわたしの祭壇にふさわしくない。 + 祭壇には階段をつけてはならない。服の間からあなたがたの裸が見えたりするといけないからだ。 + + + ほかに守らなければならないおきてには、次のようなものがある。 + ヘブル人(イスラエル人)の奴隷を買う場合は、六年の間仕事をさせたあと、七年目には無償で自由にしなければならない。 + 奴隷になった時は独身で、のちに結婚した男の場合は、男だけが自由にされる。奴隷になる前に結婚していたなら、妻もいっしょに自由にされる。 + しかし、主人が妻を与え、息子や娘が生まれたのであれば、妻と子どもたちは主人のものだから、自由の身になるのは夫だけである。 + しかし、もし彼が、『自由になるより、ご主人様や妻子といっしょにいたい』とはっきり宣言するなら、 + 主人は彼を裁判官のもとへ連れて行き、公にこの家に仕え続ける奴隷であることを示すため、彼の耳をきりで刺し通さなければならない。そのあと彼は一生主人に仕えることができる。 + 娘を奴隷に売る場合は、六年たっても、男奴隷のように自由を与えてはならない。 + 主人は、いったん自分のものにした女が気に入らなくなったら、必ず彼女を買い戻せるようにしてやらなければならない。彼女を傷つけたのだから、外国人に売り飛ばす権利はない。 + ヘブル人の女奴隷と息子を婚約させたなら、もはやその女を奴隷として扱ってはならない。娘と同じに考えるべきである。 + 自分が女奴隷と結婚し、そののち別の妻を迎えた時は、彼女への食べ物や衣類の割り当てを減らしてはならないし、夫婦の営みをおろそかにしてもいけない。 + この三つの点で少しでも主人に落度があれば、女は金を支払わずに自由に家を出てかまわない。 + 人を強く打って死なせた者は死刑に処せられる。 + しかし、殺意がなく、事故でそうなった場合は、むしろ、神であるわたしがそうしたと言ってよいかもしれないので、わたしが彼の安全な逃げ場所を指定する。そこへ逃げ込めばいのちは助かる。 + しかし殺意を持って計画的に人を殺した者は、たとえわたしの祭壇から引きずり降ろしてでも、殺されなければならない。 + 自分の父または母を打つ者は死刑に処せられる。 + 誘拐した者は死刑に処せられる。人質を手もとに置いている時に逮捕された場合でも、すでに奴隷として売り飛ばした場合でも同じである。 + 自分の父または母の悪口を言ったり、のろったりする者は死刑に処せられる。 + 人がけんかをし、一人が石かこぶしで相手を打って傷つけ、そのために一命はとりとめたが床につかなければならなくなった場合、 + たとえ、少々不自由であっても歩けるまでに快復したときは、打った男は刑罰を免れる。ただし、完全に傷が治るまで、いっさいの損害の弁償をし、治療費は全額払わなければならない。 + 人が、男奴隷でも女奴隷でも、奴隷を打って死なせたなら、必ず罰せられる。 + ただし、奴隷が一日、二日の間に死ななければ罰せられない。奴隷はその人の所有物だからである。 + 人が争ったときに妊娠中の女を傷つけ、女は助かったものの流産した場合、彼女を傷つけた男は、裁判官が認める範囲で、女の夫が要求するだけの罰金を支払わなければならない。 + しかし、母親まで死ぬようなことになれば、男は死刑に処せられる。 + もし女の目が傷ついたら、償いとして男の目を傷つけ、歯が折れたら歯を折る。手には手を、足には足を、 + やけどにはやけどを、傷には傷を、むちにはむちをもって償わなければならない。 + 人が、男奴隷でも女奴隷でも、奴隷の目を打ち、そのために目が見えなくなってしまったら、奴隷は目の代償として自由にされる。 + 人が奴隷の歯を折ったら、その歯の代償として彼を自由にしなければならない。 + 牛が男または女を突いて死なせたなら、その牛は石で打ち殺さなければならない。その肉は食べてはいけない。しかし、牛の持ち主は罰せられない。 + ただし、その牛が人間を突くくせがあるとわかっていた場合、そして、持ち主がそのことを知っていながら、なお管理を十分にしていなかったのであれば、牛は石で殺され、持ち主も死刑に処せられる。 + しかし被害者の身内の者が願うなら、補償金を取って釈放することもできる。金額は裁判官が決める。 + 牛が少年あるいは少女を突いた場合も、同じ規定が適用される。 + もしその牛が、男でも女でも奴隷を突いた場合は、その牛の持ち主は奴隷の主人に銀貨三十枚を支払い、牛は石で打ち殺さなければならない。 + 人が井戸を掘り、ふたをしなかったために、牛やろばが落ちた場合は、 + 井戸の持ち主は家畜の持ち主に、損害の全額を弁償しなければならない。ただし、死んだ家畜は井戸の持ち主のものになる。 + 牛がほかの人の牛を傷つけて死なせた場合は、生きているほうの牛を売り、その代金と死んだ牛を、双方の持ち主が半分ずつ分ける。 + しかし、もともと突くくせがあるとわかっていたのに、牛の所有者が管理を十分していなかったのであれば、代金を分け合うことはしない。生きている牛の所有者は、全額を弁償しなければならない。ただし、死んだ牛は彼のものになる。 + + + 人が牛か羊を盗み、それを殺したり売り飛ばしたりしたなら、五倍の罰金を払わなければならない。盗んだ牛一頭につき五頭分を弁償する。羊の場合は四倍にし、盗んだ羊一頭につき四頭分を返す。 + どろぼうが家に押し入るところを見つけ、捕まえて殺しても、殺した者は無罪である。 + ただし、昼間であれば殺人とみなされ、有罪となる。どろぼうして捕まった場合は、損害を全額弁償しなければならない。できなければ、奴隷として身を売ってでも弁償する。 + 牛、ろば、羊、そのほか何でも盗みの現行犯として捕まったなら、二倍にして償わなければならない。 + 放した家畜が他人のぶどう畑に侵入したり、わざと人の畑に家畜を放して作物を食べさせたりした場合は、損害の全額を弁償しなければならない。畑の持ち主に、最良の収穫に見合う分を支払う。 + 野焼きの最中に火が燃え広がって人の畑に燃え移り、刈り穂や穀物を焼いた場合、出火させた者は損害の全額を弁償しなければならない。 + 隣人に預けた金や物が盗まれた場合、どろぼうが捕まれば、その犯人が損害の倍額を支払う。 + 犯人が捕まらない場合は、貴重品を預かった者は神の前で裁判を受け、自分が盗んだのではないことをはっきりさせなければならない。 + 牛、ろば、羊、衣類、そのほか何でも紛失した場合、持ち主がほかの人に疑いをかけ、しかも、相手がそれを否認する場合は、双方が神の前で裁判を受ける。神に有罪と宣告された者は、損害の倍額を支払わなければならない。 + ろば、牛、羊、そのほかどんな動物でも、人に預け、死ぬか傷つくか盗まれるかした場合、それが実際にどうであったかを報告する目撃者がいない場合は、 + 預かった者は、自分が盗んだのではないことを神に誓わなければならない。持ち主がその言い分を受け入れれば、弁償の必要はない。 + しかし、その家畜が確かに盗まれたのであれば、預かっていた者は持ち主に弁償しなければならない。 + また、野獣に襲われたのであれば、証拠として、食い荒らされた死体を持って来なければならない。この場合は弁償の必要はない。 + 人から家畜を借り、それが傷つくか死ぬかして、しかも、持ち主がその場に居合わせなかった場合は、借りた者が弁償しなければならない。 + しかし、持ち主が居合わせた場合は弁償の必要はない。ただし、有料で借りたものについては、借り賃はきちんと払わなければならない。 + だれとも婚約していない女性を誘惑し、彼女と関係を結んだ者は、しきたりどおりの結納金を支払って彼女を妻にしなければならない。 + しかし、父親が結婚に反対の場合は慰謝料を払う。 + 女の呪術師は死刑に処せられる。 + 動物と性的関係を持つ者はすべて死刑に処せられる。 + 唯一の主以外の神々にいけにえをささげる者は死刑に処せられる。 + 在留異国人を苦しめてはならない。自分たち自身がエジプトで外国人だったことを忘れてはならない。 + 未亡人や孤児につらく当たってはならない。 + 少しでもそんなことがあれば、彼らはわたしに助けを求めるだろうし、わたしは必ず彼らを助ける。 + わたしの怒りは燃え上がり、剣であなたがたを殺す。あなたがたの妻が未亡人に、子が孤児になる。 + 困っている仲間のヘブル人(イスラエル人)に金を貸す場合、利息を取る普通の取り引きをしてはならない。 + 服を借金のかたに取ったら、夕方には返さなければならない。 + おそらくそれが、彼の体を暖める唯一の物だからである。着る物もなくて、どうして眠ることができるだろう。もし返さなければ、彼はわたしに助けを求めるだろう。わたしは願いを聞き、彼を助ける。わたしは情け深いからである。 + 神を冒瀆してはならない。国の指導者をのろってはならない。 + 収穫物やぶどう酒のささげ物、また長男を買い戻す金をささげるのに、遅れてはならない。 + 牛と羊の初子は七日間、母親のそばに置き、八日目にささげなさい。 + あなたがた自身が聖なるもの、わたしの特別な民だから、野獣に殺された動物の肉を食べてはならない。死体はそのままにして、犬に食べさせなさい。 + + + 根拠のないうわさを流してはならない。証言台で偽証をし、悪人を助けることがないようにしなさい。 + 多数の力に流されて、悪事に加担してはならない。証言台に立つとき、その場の雰囲気に左右されて不当な証言をしてはならない。また、ただ貧しいというだけで人に同情し、証言をゆがめてはいけない。 + あなたの敵の牛やろばが道に迷っているのを見たら、彼のもとに送り返しなさい。 + もしあなたの敵のろばが重荷に押しつぶされてうめいていたら、そのまま見過ごしにしてはならない。力を貸してろばを立たせてやりなさい。 + 正義を曲げ、貧しい人に不利になる裁判をしてはならない。 + 絶対に、うその訴えをしてはならない。無実の者が死刑になるようなことは決してあってはならない。 + わいろを取ってはならない。わいろは人の目をくらませ、判断を誤らせるからである。わいろは正しい人の申し立てをゆがめる。 + 在留異国人をしいたげてはならない。外国に住む心細さはよく知っているはずである。エジプトでの体験を思い出しなさい。 + 六年間は種をまき、収穫を得なさい。 + 七年目は土地を休ませ、貧しい者が自然に生えたものを刈り取れるようにする。あとは、野の動物たちが自由に食べられるように残しておきなさい。この規定はぶどう畑とオリーブ畑にも当てはまる。 + 六日間は働いて七日目は休みなさい。牛やろばを休ませ、奴隷や在留異国人も含め、家族全員に休息をとらせるためである。 + これらのおきてを必ずすべて守らなければならない。特に忘れてはならないのは、ほかの神々の名を決して唱えてはならないことだ。 + 毎年、守るべき祭りが三つある。 + 最初は種なしパンの祭りである。すでに命じておいたように、七日間、種を入れないパンを食べる。この祭りは第一月(太陽暦では三月)、つまり、あなたがたがエジプトから脱出した時期に毎年行う。この時はささげ物を持って来る。 + 次に、刈り入れの祭りがある。この時は最初の収穫物を持って来なければならない。最後に、収穫期の終わりに収穫の祭りがくる。 + 毎年この三回、イスラエル人はみな神の前に出なければならない。 + いけにえの血は、種を入れたパンといっしょに供えてはならない。いけにえの脂肪を翌朝までそのまま残しておいてはならない。 + 刈り入れの時、最初の収穫の中でも最良の物を持って来なさい。それをあなたの神、主にささげなければならない。子やぎを母親の乳で煮てはならない。 + わたしは、約束の地に無事にあなたがたを連れて行くため、使いを送る。 + 彼を敬い、その教えに従いなさい。背いてはならない。彼はあなたがたの罪を赦さないからだ。この使いはわたしの名において行動する。 + しかし、心を尽くして彼に従い、あらゆる戒めを守るならば、あなたがたの敵はわたしの敵となる。 + わたしの使いが先立って、あなたがたをエモリ人、ヘテ人、ペリジ人、カナン人、ヒビ人、エブス人の国に導き、そこに住まわせる。その国々を、わたしはあなたがたの目の前で滅ぼそう。 + こういった国々の偶像を拝んではならない。どんなことがあっても、それらの神々にいけにえをささげてはならない。異教徒の悪い習慣に染まらず、むしろ完全に彼らを征服し、その汚れた偶像を打ち壊さなければならない。 + あなたがたの神、主にだけ仕えなければならない。そうすれば、わたしはみなを祝福して食べ物と水を与え、あらゆる病気をなくす。 + 流産もなくなり、子を産めない女もいなくなる。それぞれの一生を全うできるようにする。 + わたしは、これから征服する地の民に恐れを抱かせる。彼らはあなたがたの前から逃げ去る。 + わたしはまた、ヒビ人、カナン人、ヘテ人を追い払うために、くまばちを送る。 + しかし、一年のうちに彼らを追い出すことはしない。そんなことをしたら、土地が荒れ果て、野生動物が増えて手に負えなくなってしまうからだ。 + だから、あなたがたの人口が増え、国の全土に広がって住むようになるまで、彼らを少しずつ追い払う。 + あなたがたの領土も広げよう。紅海(ここではアカバ湾)からペリシテの海岸(パレスチナ西海岸)まで、南の砂漠からユーフラテス川に至るまでとする。その地の住民をあなたがたの手に渡すので、あなたがたは彼らを追い出すことになる。 + 彼らといっさい契約を結んではならない。彼らの神々とかかわり合ってはならない。 + 彼らをイスラエルに住ませてはならない。さもないと、偽りの神々を拝む彼らの罪に染まってしまう。それは、あなたがたにとって災い以外の何ものでもない。」 + + + 主はモーセに告げました。「アロン、ナダブ、アビフをはじめ、イスラエルの長老たち七十人といっしょに、わたしのもとに上って来なさい。しかし、あなた以外の者は遠く離れて拝するように。 + あなただけはわたしに近づいて来なさい。忘れてはならない。そのほかの一般の民はだれも山に登ることは許されない。」 + モーセが、主から与えられたことばと定めを伝えると、人々は声を合わせて答えました。「すべて言われたとおりにします。」 + モーセは主から与えられたことばを書き記しました。そして翌朝早く、山のふもとに祭壇を築き、その回りに、イスラエルの十二部族を表す十二本の柱を立てました。 + それから数名の青年を送り、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえを主にささげさせました。 + モーセはいけにえの血を半分取って鉢に入れ、残りの半分は祭壇に注ぎました。 + そして、自分が書いた契約の書を読み上げました。人々は、「この戒めを一つ残らず守ることを約束します」と誓いました。 + モーセは人々に鉢の血を振りかけました。「主はこれらのことばを与えることによって、あなたがたと契約を結ばれた。この血が契約のしるしだ。」 + モーセ、アロン、ナダブ、アビフ、それにイスラエルの長老七十人は、主のもとに上りました。 + そしてイスラエルの神を仰ぎ見ました。その足もとはサファイヤを敷きつめたように青く輝き、澄みきった空を思わせました。 + 長老たちは神を見たのに死なず、そればかりか、神の前でいっしょに食事をしました。 + 神はモーセに告げました。「山に登り、わたしのもとに来なさい。そこで待ちなさい。わたしが石に記したおきてをあなたに授けよう。あなたはそれにより人々を教えることができる。」 + モーセと従者のヨシュアは、神の山に登りました。 + モーセは長老たちに言いました。「われわれが戻るまで、ここで待ちなさい。留守中に何か問題が起こったら、アロンとフルに相談しなさい。」 + そう言うと、モーセは山に登り、頂上を覆う雲の中に姿を消しました。 + 主の栄光がシナイ山を包み、雲は六日間、山をすっぽり覆い隠しました。七日目に主は雲の間からモーセに呼びかけました。 + 一方、ふもとにいたイスラエル人たちの目には恐ろしい光景に映りました。山頂に、燃えさかる火のような主の栄光が現れたのです。 + モーセは雲に包まれた山頂に、四十日四十夜とどまりました。 + + + 主はモーセに命じました。「次のように人々に告げなさい。だれでも心から進んでするなら、ささげ物をわたしのところへ持って来てよい。ささげてよいのは、次のものである。金、銀、青銅、青の撚り糸、紫の撚り糸、緋色の撚り糸、亜麻布、やぎの毛、赤く染めた雄羊のなめし皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、ともしび用のオリーブ油、注ぎの油と香に使う香料、しまめのう、エポデと胸当てにはめる宝石類。 + わたしがイスラエルの民の中に住めるよう、聖なる住まい(幕屋)を造りなさい。 + 住まいは天幕(テント)にすること。その設計図と必要な器具の細かい寸法は、次のとおりである。 + まずはアカシヤ材を使って長さ二キュビト半(一‧一メートル)、幅一キュビト半(六十六センチ)、高さ一キュビト半の箱を作りなさい。 + 内側にも外側にも純金を張り、周囲に金の縁飾りをつける。 + 金の環を四つ作り、箱の下の四隅につける。片側に二個ずつ。 + アカシヤ材で棒を作って金をかぶせ、箱の両側につけた金の環に通してかつげるようにする。 + 棒は取りはずさず、差し込んだままにしておかなければならない。 + わたしが与える十のおきて(十戒)を記した石板を、その箱に納めなさい。 + また、純金のふたを作りなさい。長さ二キュビト半、幅一キュビト半にする。これは罪を赦す神の恵みの座となる。 + 次にふたの両端に、一対の天使の像を槌で打ち出して作る。 + それは『恵みの座』の一部分で、その両端になる。 + ケルビムというその天使の像は、互いに向かい合って『恵みの座』を見下ろし、翼が金のふたを覆うようにしなければならない。 + ふたができたら箱にかぶせる。箱には十のおきてを記した石板を納めなさい。 + わたしはそこであなたに会い、ケルビムにはさまれた『恵みの座』からあなたと語る。箱にはわたしの契約のおきてを納める。わたしはそこから、イスラエルの人々に命じることをあなたに伝える。 + 次に、二キュビト(八十八センチ)、幅一キュビト(四十四センチ)、高さ一キュビト半のテーブルをアカシヤ材で作りなさい。 + それに純金を張り、周囲に金の縁飾りをつける。 + テーブルの上部に一手幅(約七‧四センチ)のわくをつけ、その周囲にぐるりと金の縁飾りをつける。 + テーブルを運ぶ棒を通すために、金の環を四つ作り、それを四本の足の上部に、外側へ向けてつける。 + 棒はアカシヤ材で作り、金をかぶせる。 + 金で皿、ひしゃく、水差し、細口びんなどを作り、 + テーブルの上には、供え物用に特別なパンをいつも置きなさい。 + 純金のかたまりを槌で打って燭台を作りなさい。燭台は台座と支柱から成り、ともしび皿と飾りの花びらをつける。 + 真ん中の支柱の両側から三本ずつ枝を出し、それぞれの枝は三つのアーモンドの花で飾る。 + 真ん中の支柱は四つの花で飾る。三対になっている枝の間に一つずつ、その上に一つ、その下に一つ、計四つの花をつける。 + 飾りと枝と支柱はみな、一かたまりの純金を打って作る。 + それに七つのともしび皿を作り、あかりが前を照らすように置く。 + 芯切りばさみと芯取り皿も純金で作る。 + 燭台とその付属品のために、一タラント(約三十四キログラム)の純金が必要となる。 + 作る物はみな、この山の上でわたしが指示する型どおりに、正確に作らなければならない。 + + + 上等の撚り糸で織った亜麻布十枚をつなぎ合わせ、神の天幕(幕屋)を作りなさい。布はそれぞれ長さ二十八キュビト(十二‧三メートル)、幅四キュビト(一‧七六メートル)でそろえる。青と紫と緋色の撚り糸を使い、全体にケルビム(天使の像)を織り出す。 + 五枚ずつへりとへりをつなぎ合わせて、大きな布を二枚作り、幕屋の両側面とする。 + この二枚の端と端をつなぎ合わせるために、へりに青いループをつける。それぞれのへりに対になるよう五十ずつのループを作る。 + ほかにループをつなぐ五十個の留め金を金で作る。こうしてわたしの住まいである幕屋を一つに組み立てる。 + 屋根の部分にはやぎの毛皮の防水布をかぶせる。それぞれ長さ三十キュビト(十三‧二メートル)、幅四キュビトのものを十一枚用意する。 + このうち五枚をつなぎ合わせて幅広の幕にし、残りの六枚も、つないで一枚の幕にする。長いほうの六枚目に当たる部分は、上から垂らして、聖なる天幕の正面で折り重ねる。 + この二枚の幕をつなぎ合わせるために、それぞれのへりに五十個のループを作り、五十個の青銅の留め金を使って一枚にする。 + 天幕のうしろは、屋根を覆う幕が一キュビト垂れ下がり、 + また、正面にも一キュビト垂れ下がる。 + この防水布の上に、赤く染めた雄羊のなめし皮を敷き、その上にじゅごんの皮をかける。これで屋根が完成する。 + 幕屋のわく組みをアカシヤ材で作りなさい。それぞれ長さ十キュビト(四‧四メートル)、幅一キュビト半の板を、まっすぐ立てて組み合わせる。 + 側面にほぞ(はめ込み用の突起)を二つ作り、隣の板をはめ込む。 + こうして二十枚つなぎ合わせたものが、幕屋の南側になる。それぞれの板は銀の土台二個にはめ込む。板一枚につき二個ずつ、計四十個の銀の土台が必要となる。 + 北側にも同じような板が二十枚、 + それぞれに二個ずつ、計四十個の銀の土台を使う。 + 西側には六枚の板、 + そして両隅に二枚の板を使う。 + 隅の板は下を重ね、上を環でつなぎ合わせる。 + 最終的に、西側には板が八枚、銀の土台がそれぞれに二個ずつで、計十六個あることになる。 + アカシヤ材で横木を作り、わく組み全体に張り渡しなさい。両側面に五本ずつ、さらに西に面するうしろ側に五本、 + わくの真ん中になる中央の横木は、端から端まで通す。 + 板に金をかぶせ、横木を通すために金の環を作る。横木にも金をかぶせる。 + この幕屋を、わたしが山で指示したとおりに建てなさい。 + 〔幕屋の内側には〕青と紫と緋色の上等の撚り糸で織った亜麻布で垂れ幕を作り、それにケルビムを織り出しなさい。 + これをアカシヤ材の四本の柱の上から、金のかぎ四つを使って垂らす。柱には金をかぶせ、それぞれ銀の土台に立てる。 + 幕はかぎから垂らし、その奥に、契約の箱を置きなさい。この幕が聖所と最も神聖な至聖所とを分ける。 + 至聖所の箱には金のふたをし、『恵みの座』をしつらえなさい。 + 幕の外の聖所に、テーブルと燭台を向かい合わせに置く。燭台は南側、テーブルは北側である。 + 幕屋の入口にかける垂れ幕を、もう一枚作りなさい。青と紫と緋色の上等の撚り糸と、撚り糸で織った亜麻布で作り、精巧な刺しゅうを施す。 + その幕を五本のアカシヤ材の柱から、金のかぎを使って垂らす。柱には金をかぶせ、青銅の土台に立てる。 + + + アカシヤ材で祭壇を作りなさい。一辺が五キュビト(二‧二メートル)の正方形で、高さは三キュビト(一‧三二メートル)にする。 + 四隅に角をしっかり取りつけ、全体に青銅をかぶせる。 + 灰を取るつぼ、十能(灰をすくう道具)、鉢、肉刺し、香炉も、みな青銅で作る。 + 青銅の格子を作り、四隅に青銅の環をつける。 + 炉の半ばほどの高さの所に棧を作り、そこに格子を取りつける。 + 祭壇を移動させるために、青銅をかぶせたアカシヤ材の棒を作る。 + 祭壇の両側面に環をつけ、その中に棒を通して運ぶ。 + 祭壇は板で作り、中を空洞にする。すべて、わたしが山の上で指示したとおりに作りなさい。 + 次に幕屋の庭を造る。上等の撚り糸で織った亜麻布で幕を作り、庭を囲む。南側には百キュビト(四十四メートル)にわたって幕を張り、二十個の青銅の土台にはめ込んだ二十本の柱で支える。柱に取りつけた銀のかぎに銀の環をかけ、幕を垂らしなさい。 + 北側も同じようにする。青銅の土台に二十本の柱をはめ込み、銀のかぎと環で百キュビトの幕を張る。 + 西側は土台十個に柱十本、幕は幅五十キュビト(二十二メートル)とする。 + 東側も同じく五十キュビトである。 + ただし、中央に入口があり、その両側に十五キュビト(六‧六メートル)ずつ幕を張る。三個の土台にはめ込んだ三本の柱が、それを支える。 + 庭の入口は幅二十キュビト(八‧八メートル)の幕をかける。青と紫と緋色の撚り糸と、撚り糸で織った亜麻布で作った、美しい刺しゅう入りの幕である。幕は、四個の土台にはめ込んだ四本の柱に取りつける。 + 庭の回りの柱はすべて銀の環をつけ、銀のかぎを使う。柱は青銅の土台にしっかりはめ込んでおく。 + こうして庭全体は長さ百キュビト、幅五十キュビトになる。周囲の幕は撚り糸で織った亜麻布で、高さ五キュビトの仕切りとなる。 + 幕屋での奉仕に使う道具類、それを壁からつるすための釘や庭のくいなど、すべて青銅で作る。 + 人々に命じて、ともしび用の純粋なオリーブ油を持って来させ、幕屋の中で、絶えずともしびを燃やし続けなければならない。 + アロンとその子らは、この永遠の炎を契約の箱の前にある垂れ幕の外側に置き、昼も夜も消えることがないように、主の前で番をする。これはイスラエルの永遠のおきてである。 + + + あなたの兄アロンとその子ナダブ、アビフ、エルアザル、イタマルを選び出して祭司に任命し、わたしに仕えさせなさい。 + そして神に対して特別にきよくされた者だというしるしに、アロンのために特製の服を作りなさい。それは見た目にも美しく、祭司としての威厳を示す服である。 + そのための特別な才能を、わたしはある者たちに与えた。彼らに、アロンがほかの者とは違うことを示す服を作らせなさい。祭司としてわたしに仕えることができるようにするのだ。 + 祭司が着る服は、胸当て、エポデ(ひざ下までの、そでなしの上着)、青い上着、市松模様(チェック柄の一種)の長服、ターバン、飾り帯である。このほかアロンの子らのためにも、特別あつらえの服を作りなさい。 + エポデは、最も優秀な技術者に、金と青と紫と緋色の撚り糸で織った亜麻布で作らせなさい。 + その両方に肩当てをつけ、両端を留める。 + 同じ生地、金と青と紫と緋色の撚り糸で織った亜麻布で、あや織りの帯を作る。 + 二個のしまめのうに、イスラエルの十二部族の名を彫りなさい。 + それぞれに六つずつの名を彫り、全部族の名が誕生順になるようにする。 + 名前を彫る時は、印章を彫る技術を用いる。その二つの石を金の台にはめ、 + エポデの肩に縫いつけて、イスラエル国民を記念する石とする。アロンは主の前に出るとき、いつも全部族の名を身につけ、絶えずそのことが頭から離れないようにする。 + また、純金を撚って二本の鎖を作り、エポデの肩の部分で金の留め金につける。 + 次に、最もすぐれた技術を用いて、神の託宣を聞くために用いる胸当てを作りなさい。エポデと同じく、金と青と紫と緋色の撚り糸で織った亜麻布を使う。 + 大きさは一あたり(親指と小指を広げた間の長さ。約二十二センチ)四方で、二つに折って袋状にする。 + それに石を四列に取りつける。最初の列はルビー、トパーズ、エメラルド。 + 二列目はトルコ玉、サファイヤ、ダイヤモンド。 + 三列目はヒヤシンス石、めのう、紫水晶。 + 四列目は緑柱石、しまめのう、碧玉。これらはみな金の台にはめる。 + それぞれの石はイスラエルの部族を表し、その部族の名を、印章と同じように彫りつけなければならない。 + 二本の純金を撚って鎖を作り、胸当ての縁をエポデにつなぎ合わせなさい。それぞれの鎖の一端は、胸当ての上辺の外側につけた金の環に結びつける。 + もう一端は、エポデの両肩に取りつけたしまめのうの台に、外向きに結びつける。 + 次に金の環をもう二個作り、胸当ての下のへり、内側の二箇所に取りつける。 + また、もう二つ金の環を作り、エポデの肩当てのすその外側、帯を締める位置につける。 + 胸当ての下とエポデのすそにある環とを青いひもで結び、胸当てとエポデを、ずれないようにしっかりつなぐ。 + アロンは、聖所に入るときはいつでも、胸当てに十二部族の名をつけていることになる。こうして主がイスラエルのことを絶えず心にかけ、神の託宣が下されるようにするのである。 + 胸当てのポケットにウリムとトンミム〔神意を伺う一種のくじ〕を入れ、アロンが主の前に出るときはいつも、胸の上にあるようにしなさい。アロンは主の前にいるとき、いつでも神の託宣を胸に入れていることになる。 + エポデの下に着る服は、青い布で作らなければならない。 + それに頭を通す口を開ける。口の回りには織った縁をつけ、ほつれないようにする。ちょうど、よろいの首回りのようにする。 + 青服のすそのへりには、青と紫と緋色の撚り糸でざくろを作ってつけ、ざくろとざくろの間に金の鈴をつける。 + アロンは、この務めのために主の前に出るときはいつも、これを身につけなければならない。聖所の主の前に出入りするたびに、鈴が鳴るようにする。そうすれば死を免れる。 + 次に、純金のプレートを作り、ちょうど刻印を彫るように、『神のために特別に選ばれた者』と彫りなさい。 + このプレートは、青いひもでアロンのターバンの正面につける。アロンはそれを額につけ、イスラエルの民のささげ物のことで何か過ちがあれば、その罪を負う。主の前に出るときはいつもそれを額につけなければならない。こうして、人々は主に受け入れられ、罪を赦される。 + 上等の撚り糸で市松模様に織った亜麻布を使って、アロンの長服を作りなさい。ターバンも同じ布で作る。そのほかに刺しゅうをした帯も作る。 + アロンの子らには上着と帯を作り、また、名誉と威厳を与えるためのターバンを作りなさい。 + アロンとその子らにこれらの服を着せ、頭にオリーブ油を塗って、祭司に任命しなさい。わたしに仕える者として特別に選び、きよめるのである。 + また、体にじかにつける下着を亜麻布で作りなさい。これは腰からももまでを覆う。 + アロンとその子らが幕屋に入ったり祭壇に近づいたりするときは、いつでもこの下着をつけなければならない。罪を負って死ぬことがないためだ。これは、アロンとその子らが守る永遠のおきてである。 + + + アロンとその子らをわたしに仕える祭司として選びきよめるために、次の儀式を行いなさい。若い雄牛一頭と傷のない雄羊二頭を用意する。 + また、種を入れないパン、油を混ぜた輪型の種なしパン、種を入れない薄焼きパンに油を塗ったものを準備する。これらは精製した小麦粉で作らなければならない。 + それらをかごに入れ、若い雄牛一頭、雄羊二頭といっしょに幕屋の入口に持って来る。 + 入口のところでアロンとその子らに沐浴させる。 + 次に、アロンに上着を着させ、長服、エポデ、胸当て、帯をつけさせ、 + 頭には金のプレートつきのターバンをかぶらせる。 + 次に、特別に選ばれた者に注ぐ注ぎの油を、彼の頭に注ぐ。 + さらに、彼の息子たちにも上着を着させ、 + 織って作った帯をつけさせ、頭に帽子をかぶらせる。こうして、彼らは永遠に祭司となる。あなたは、アロンとその子らを祭司職に任命しなさい。 + まず、あなたが若い雄牛を幕屋に引いて来なさい。アロンとその子らは手を牛の頭に置き、 + あなたが幕屋の入口、主の前でそれをほふる。 + 血は指で祭壇の角に塗り、残りは祭壇の土台に注ぐ。 + 内臓を覆う脂肪の全部と、胆のうと二つの腎臓と、それらを包む脂肪を、祭壇の上で焼きなさい。 + 死体は皮や汚物ごと野営地の外へ持って行き、罪の赦しのためのいけにえとして焼かなければならない。 + 次に、あなたは雄羊の一頭を引いて来なさい。アロンと息子たちがその頭に手を置いたら、あなたがこれをほふり、その血を集めて祭壇に振りかける。 + 死体を切り開いて内臓を取り出し、足を切り取る。それらをきれいに洗い、頭や体のほかの部分といっしょに置きなさい。 + こうして、羊を全部、祭壇の上で焼く。それは主にささげる焼き尽くすいけにえで、神に大いに喜ばれるものである。 + もう一頭の雄羊もほふる。その前に、アロンとその子らは手を羊の頭に置かなければならない。あなたは血を集めて、その一部分をアロンとその子らの右の耳たぶと手足の右親指につけ、残りは祭壇に振りかける。 + 続いて祭壇の上の血を取り、注ぎの油といっしょに、アロンとその子ら、また彼らの服に振りかける。このようにして彼らと彼らの服を、主のために選ばれたものとしてきよめなければならない。 + 次に、その雄羊の脂肪を取る。あぶら尾、内臓を覆う脂肪、さらに胆のうと二つの腎臓、それらの回りの脂肪、右のもも肉である。これは、アロンとその子らを祭司に任命する雄羊だからである。 + さらに一かたまりのパン、油を混ぜた輪型のパン一個、薄焼きパン一枚を、主の前に置かれた種を入れないパンのかごから取る。 + これらをアロンとその子らの手に載せ、彼らは奉納物として主にささげる。 + そのあと、もう一度それらを受け取り、神への香ばしい焼き尽くすいけにえとして、祭壇の上で焼く。 + それから、アロンの任職用の雄羊の胸肉を取り、奉納物として主にささげる。それはあなたの受ける分となる。 + 雄羊の胸とももは、アロンとその子らに与えなさい。イスラエル人はいつでも、和解のための感謝のいけにえのうち、胸とももは主へのささげ物として、アロンとその子らに与えなければならない。 + アロンの神聖な服は、跡を継ぐ息子たちのために取っておかなければならない。こののち何代にもわたって、大祭司の油注ぎの儀式に用いるのだ。 + アロンの次の大祭司がだれであろうと、その者は幕屋と聖所で務めを始める前に、七日間この服を着なければならない。 + 祭司の任職式にささげた雄羊の肉を、神聖な場所で煮なさい。 + アロンとその子らはその肉とかごの中のパンとを、天幕の入口で食べなければならない。 + 彼らの罪を赦し、祭司として特別に選んで任命する儀式に用いられたこれらのものは、彼らだけが食べる。ほかの者は食べてはならない。これらはきよめ分けられたものだからである。 + 肉やパンが翌日まで残ったら焼き捨てなさい。食べてはならない。それは聖なるものである。 + このようにして、アロンとその子らを祭司に任じなさい。任職式は七日間続く。 + 毎日、罪の赦しのためのいけにえとして、若い雄牛を一頭ささげなければならない。祭壇をきよめるために、罪の赦しのためのいけにえをささげ、その上にオリーブ油を注ぎなさい。 + 七日間、毎日それを続け、神のための祭壇としてきよめ分けなさい。それで祭壇は最も神聖なものとなり、それに触れるものは、主のために選び分けられ、きよめられたものとなる。 + 毎日、祭壇に一歳の雄羊を二頭ささげなさい。 + 朝に一頭、夕方に一頭である。 + 朝の雄羊をささげる時は、上等の小麦粉十分の一エパ(約二‧三リットル)とオリーブ油四分の一ヒン(約一リットル)を混ぜたものを、いっしょにささげ、また、四分の一ヒンのぶどう酒を注ぎの供え物にしなさい。 + もう一頭の雄羊は夕方、朝と同じ小麦粉のささげ物とぶどう酒の注ぎの供え物といっしょにささげる。これは神への香ばしい焼き尽くすいけにえである。 + このささげ物は、一日でも絶やしてはならない。毎日、幕屋の入口、主の前でささげる。そこでわたしはあなたに会い、あなたと語る。 + また、そこでイスラエルの民と会う。幕屋はわたしの栄光によってきよめられる。 + 幕屋と祭壇、また、わたしに仕える祭司、アロンとその子らは、わたしがきよめる。 + わたしはイスラエルの民とともに住み、彼らの神となる。 + 彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知らなければならない。彼らといっしょに住めるように、わたしは彼らをエジプトから助け出したのだ。わたしは彼らの神、主である。 + + + 香をたく小さな祭壇をアカシヤ材で作りなさい。 + 一辺が一キュビト(四十四センチ)の正方形で、高さは二キュビトとする。祭壇には角を彫りつけなさい。別に作ってあとから接着するのではなく、初めから祭壇の一部として作る。 + 香の祭壇の上と側面と角は純金をかぶせ、周囲には金の縁飾りをつける。 + 両側面の縁飾りの下に金の環を二つつけ、祭壇を運ぶ棒を通すようにする。 + 棒はアカシヤ材で作り、金をかぶせる。 + この香の祭壇は聖所の垂れ幕のすぐ外側に置きなさい。十のおきて(十戒)を記した石板が納めてある箱(契約の箱)のふた、つまり『恵みの座』の近くに置くのだ。わたしはあなたとそこで会う。 + アロンは毎朝ともしびの芯を切るとき、香の祭壇の上で、香りの高い香をたかなければならない。 + また夕方、明かりをともすときにも、わたしの前で香をたかなければならない。これは代々守るべきことである。 + この祭壇の上では、認められていない香や、焼き尽くすいけにえ、穀物のささげ物、注ぎのぶどう酒の供え物をささげてはならない。 + アロンは年に一度、人々の罪が赦されるため、いけにえの血を香の祭壇の角に塗り、それをきよめなさい。これは毎年必ず行い、代々続けなければならない。主の最も神聖な香の祭壇だからである。」 + 主はさらにモーセに告げました。「イスラエル人の人口調査をする時は、登録される成年男子はみな、金を納めて自分自身を買い取らなければならない。人口調査によって、民に災いが起きないようにするためである。 + 金額は半シェケル(五‧七グラム)とする。 + 満二十歳以上の者はみな、このささげ物をしなければならない。 + 金持ちもそれ以上ささげてはならないし、貧しい者もそれ以下であってはならない。自分自身を買い取るために主にささげるものだからである。 + この献金は神の天幕の用にあてる。それは、イスラエル人をわたしが心にかけ、買い取るためである。」 + 主はまた、モーセに告げました。「青銅の洗い鉢を作り、青銅の台をつけなさい。それを幕屋と祭壇の間に置き、水を満たす。 + アロンと息子たちは手と足をそこで洗う。 + 幕屋に入り、わたしの前に立つとき、あるいは、わたしの前でいけにえを焼くために祭壇に近づくとき、その前にいつも手足を洗わなければならない。さもなければ死ぬ。 + これは、アロンとその子孫に代々伝えなければならないおきてである。」 + 神はモーセに、最上の香料を集めるよう命じました。純粋な没薬五百シェケル(五‧七キログラム)、シナモンとにおい菖蒲が、それぞれ没薬の半分の量、 + 桂枝が没薬と同じ量、オリーブ油が一ヒン(三‧八リットル)集まりました。 + そこで神は、熟練した香料作りに、これらの材料を使って聖なる注ぎの油を作らせるよう命じました。 + また主は、次のように告げました。「神の幕屋と、契約の箱(十戒を記した石板が納められている)、供えのパンのテーブルおよびその付属品すべて、燭台およびその付属品、香の祭壇とに、この油を注ぎなさい。 + 焼き尽くすいけにえをささげる祭壇とその器具全部、また、洗い鉢とその台にも同じようにしなさい。 + それらを、特別に選ばれたものとしてきよめるためである。それらに触れるものは何でもきよくなる。 + アロンと息子たちにもこの油を塗り、祭司としてわたしに奉仕できるようにきよめなさい。 + 人々にはこう言うのだ。『これは主の聖なる注ぎ油としなければならない。 + 決して一般の者に注いではならない。自分でかってに作ってはならない。聖なるものだから厳重に取り扱わなければならない。 + このような香料を作ったりする者、また、それを祭司でない者に注ぐ者はだれであれ、みな共同体から除名されなければならない。』」 + 香について主がモーセに与えた指示は次のとおりです。「香料として、ナタフ香、シェヘレテ香、ヘルベナ香、純粋な乳香を同量ずつ用意し、 + 香料作りの通常の方法で、それに塩を混ぜ、純粋で聖なる香にしなければならない。 + その一部分は細かく砕き、天幕の中の、わたしがあなたに会う箱の前に置きなさい。この香は最も神聖なものである。 + 自分のためにそれを作ってはならない。それは主のためのものだから、神聖なものとして取り扱わなければならない。 + 自分のためにそれを作る者は、共同体から除名されなければならない。」 + + + 主はまた、モーセに告げました。「わたしはユダ族のウリの子で、フルの孫に当たるベツァルエルを選んだ。 + 彼に神の霊を満たし、幕屋とその中にある物いっさいを作るのに必要な、知恵と才能と技術を与えた。 + 彼は、金、銀、青銅の細工を美しくデザインすることができる。 + また宝石の細工にも、木の彫刻にも熟練した腕を持っている。 + 助手には、ダン族のアヒサマクの子オホリアブを任命した。さらにまた、優秀な技術者たちにも特別な力を与え、わたしの指示どおりの物を作れるようにした。 + 天幕、契約の箱とそのふたの『恵みの座』、天幕の中のあらゆる造作、 + 供えのパンのテーブルとその付属品、純金の燭台とその付属品、香の祭壇、 + 焼き尽くすいけにえの祭壇とその器具類、洗い鉢とその台、 + 祭司アロンの神聖な服、彼の子らが祭司として奉仕する時に着る服、 + 注ぎの油、聖所でたく香りのよい香である。彼らは、すべて、わたしがあなたに与えた指示どおりに作らなければならない。」 + 主はさらに、モーセに次のことも告げました。「人々に、安息日は休むよう命じなさい。安息日は、あなたとわたしの間の契約を永遠に思い出させるものである。わたしが主であり、わたしの民を聖なる民とする者であることを、安息日は思い出させてくれる。 + だから、神聖な日として安息日には休みなさい。この日仕事をし、命令に従わない者はだれであれ死刑に処せられる。六日間だけ働きなさい。七日目は神の聖なる日、全くの休息の日である。 + この律法は、イスラエルの民が永遠に守るべき契約であり義務である。 + 安息日はわたしとイスラエルとの契約の、永遠のしるしである。六日間、わたしは天と地を造り、七日目に休んだからである。」 + こうして神は、シナイ山でモーセと話し終え、彼に二枚の石板を与えました。その板には、神の指で書かれた十戒が記されていました。 + + + モーセがなかなか山から下りて来ないので、人々は不安になり、アロンのもとに文句を言いに行きました。「さあ、われわれを導く神を造ってくれ。そうしたら、その神のお告げに従おうではないか。エジプトからここまでわれわれを連れて来たモーセは姿を消してしまったではないか。きっと何かあったに違いないんだ。」 + 「それなら、あなたがたの耳にある金のイヤリングをはずして、持って来なさい。」アロンは答えました。そこで、男も女も子どもたちもみな言われたとおりにしました。 + アロンはその金を火で溶かし、鋳型に入れ、道具を使って子牛の形にしました。イスラエルの民は、「イスラエルばんざい! これこそ、われわれをエジプトから連れ出した神だ」と言って、喜び叫びました。 + アロンはこれを見て、子牛の前に祭壇を築いて人々に告げました。「明日は主のために盛大な祝いをしよう。」 + 彼らは次の日、朝早く起き、子牛の像に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげました。そのあと、彼らは座り込んで食べたり飲んだりし、乱痴気騒ぎに興じました。 + それを知った主は、モーセに命じました。「急いで山を下りなさい。あなたがエジプトから連れ出した者たちが、かってなことを始めている。目に余る有様だ。 + わたしのおきてをもう捨ててしまったのか。子牛の像を造って拝み、それにいけにえまでささげ、『これこそ、イスラエル人をエジプトから連れ出した神だ』と言っている。」 + 主はまたモーセに言いました。「イスラエル人がどんなに強情で恩知らずの民か、よくわかった。 + もう容赦はしない。こうなったら彼らを滅ぼし尽くす。じゃまをしてはならない。モーセよ、あの者たちの代わりに、あなたを大きな国民にしよう。」 + しかし、モーセは必死で嘆願しました。「主よ、あなたご自身があれほど大きなお力を示し、すばらしい奇跡をもって、ご自分の民をエジプトから救い出されたのではありませんか。その民に、なぜそのようにお怒りになるのでしょう。 + そのようなことをなさったら、エジプト人は何と言うでしょう。『それ見ろ。イスラエルの神は彼らをだまして山へ連れ出したのだ。その証拠に、彼らは一人残らず殺されてしまった』とあざけるかもしれません。どうぞ怒りを収めてください。そんな恐ろしいさばきは思いとどまってください。 + あなたのしもべアブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)に約束されたことを思い出していただきたいのです。『あなたの子孫を空の星のように増やそう。約束の地をすべてあなたの子孫に与え、永遠に受け継がせよう。』こう誓われたではありませんか。」 + すると、主は思い直し、彼らへの制裁を見合わせることにしました。 + モーセは山を下りました。手には、十戒を表と裏の両面に記した二枚の石板を持っています。 + 神が自らその板に記されたのです。 + やがて、ふもとの方から人々のどよめきが聞こえてきました。ヨシュアはモーセに言いました。「まるで戦いでもしているような騒ぎです。」 + 「いや、あれは勝利の歓声でもないし、敗北を嘆く声でもない。歌って騒いでいるのだ。」 + 野営地に近づくと、子牛の偶像と踊り狂っている人々の姿が目に入りました。それを見たモーセは怒りがこみ上げ、思わず石板を地面に投げつけ、山のふもとで砕きました。 + 彼はやにわに子牛の像をつかみ、火にくべて溶かし、粉々にして水の上にまき散らし、イスラエル人にむりやり飲ませました。 + それからアロンに向き直り、きびしく問い詰めました。「いったい何があったのです! ただごとではありませんよ。兄さんも兄さんだ。いっしょになってこんな恐ろしい罪を犯すとは、どういうつもりなんですか!」 + 「まあ、そんなに興奮しないでくれ。あなたも知っているだろう。この民はひどい者たちなんだ。 + 『おれたちを導く神を造ってくれ。エジプトからおれたちを連れ出したモーセはきっとどうかなってしまったに違いない』と詰め寄ってくるのだ。 + それで、『みんなから金のイヤリングをはずして、持って来い』と言ってやった。するとどうだ。彼らは持って来るじゃないか。それを火に投げ込んだら、この子牛が出て来たというわけなんだ。」 + アロンにはまるで反省の色がありません。人々の醜態をなすがままにしていたので、敵方の物笑いになっていました。 + モーセは野営地の入口に立って叫びました。「主につく者、私と行動を共にする者は、ここに集まってくれ。」すると、レビ族が全員集まって来ました。 + モーセは彼らに言いました。「イスラエルの神、主が言われる。『剣を持って野営地中を回り、兄弟だろうが、友人だろうが、知り合いだろうが、子牛を礼拝した者を殺しなさい』と。」 + 彼らは命令どおりにしたので、その日、約三千人が死にました。 + モーセはレビ族に言いました。「今日、あなたがたはりっぱに主に仕えた。息子や兄弟を殺してでも、主に従った。必ずすばらしい祝福を受ける。」 + 翌日、モーセは人々に言いました。「あなたたちは大きな罪を犯した。それで、もう一度山に登り、主にお願いしようと思う。あなたたちの罪を赦していただけるかもしれない。」 + モーセは主のもとに戻って言いました。「主よ、あの者たちは大きな罪を犯しました。金で偶像を造ったのです。 + けれども、あえてお願いします。どうか罪を赦してやってください。もし、どうしてもだめだと言われるのなら、あなたが書き記される書から、私の名前を消してください。」 + すると、主は答えました。「わたしに罪を犯した者はみな、わたしの書から名前を消される。 + 今は黙って、わたしが話しておいた地に民を導くのだ。わたしの使いが必ずあなたの前を行くようにする。だが、今度のことは見逃すわけにはいかない。彼らの罪は罰する。」 + こうして、そのことばどおり主は、人々がアロンの子牛を礼拝した罰として大きな災いを下しました。 + + + 主はモーセに告げました。「あなたはこの民をエジプトから連れ出した。あなたは、わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに約束した地に彼らを導きなさい。『この地をあなたの子孫に与えよう』と約束したからだ。 + わたしは先立って神の使いを送り、カナン人、エモリ人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い払わせよう。 + その地は、『乳とみつの流れる』国である。しかし、わたしは行かない。あなたがたが手に負えない強情者なので、いっしょに行けば、途中であなたがたを滅ぼしてしまうかもしれない。」 + 民はこのきびしいことばを聞いて悲嘆し、宝石や飾りを身につける者は一人もいませんでした。 + それは、彼らにこう伝えるよう、主がモーセに命じておいたからです。「あなたがたは、わがままで強情な民だ。たとえ一時でもわたしがいっしょに行くなら、あなたがたを地上から消し去ってしまうだろう。自分たちの処分がはっきり決まるまでは、宝石や飾りは全部取りはずしなさい。」 + それ以後、イスラエル人は飾り物を身につけなくなりました。 + モーセはいつも、神とお会いする天幕を、野営地から遠く離れた所に張りました。主に伺いを立てる者は、みなそこまで行くのです。 + モーセがその天幕へ行くときはいつも、人々はみな自分のテントの入口に立ち、彼が中に入るのを見守るのでした。 + 中に入ると雲の柱が降りて来て、主がモーセと話している間、入口に雲がかかるのです。 + 人々はみな自分のテントの入口で、雲の柱に向かって伏し、礼拝しました。 + 天幕の中では、まるで親しい友のように、主はモーセに語りました。そのあと、モーセが野営地に帰ると、彼の従者であるヌンの子ヨシュアはそのまま天幕に残りました。 + さて、モーセは天幕の中で主に言いました。「あなたは私に、『人々を約束の地へ連れて行け』とおっしゃいます。けれども、だれが私といっしょに遣わされるのか、まだ教えてくださいません。あなたは、もったいなくも私を友のように扱ってくださいます。また、あなたのお心にかなった者だとも言ってくださいました。 + もしそれがほんとうなら、どうぞ私の歩むべき道をはっきりと示してください。そうすればあなたを理解できるようになり、あなたに喜ばれるでしょう。この民があなたご自身のものであることを、お忘れにならないでください。」 + 「わかった。安心しなさい。わたしがいっしょに行って、失敗のないようにあなたを守ろう。」 + モーセは言いました。「あなたがごいっしょでなければ、この場所から一歩でも動くのを許さないでください。 + あなたが共にいてくださらなければ、私とこの民があなたのお心にかなっていること、また、地上の他の民とは違うことがどうしてわかりましょう。」 + 「いいだろう。あなたの言うとおりにしよう。確かにわたしはあなたに目をかけている。あなたを友のように思っている。」 + それからモーセは、神の栄光を見させていただきたいと願いました。 + 主は答えました。「わたしが与えるあらゆる良いものを、あなたに見せよう。また、わたしの名によってはっきり宣言しよう。わたしは、自分がそうしようと思った者に恵みを与え、あわれみを与える。 + しかし、あなたはわたしの顔の栄光を見てはならない。わたしを見た者で、生きている者はいない。 + だから、そばの岩の上に立ちなさい。 + わたしの栄光が今、通り過ぎる。あなたを岩の裂け目に入れ、わたしが通り過ぎるまで、手であなたを覆う。 + わたしが手をのけると、あなたはわたしをうしろから見るが、顔を見ることは決してできない。」 + + + 主はモーセに命じました。「前と同じ石板を二枚用意しなさい。あなたが割った板に書いたのと同じことばを、もう一度その板に書こう。 + 朝になったら、準備を整えてシナイ山に登りなさい。山頂でわたしと会うのだ。 + だれもいっしょに来てはならない。山のどこにも人がいてはならない。羊や牛の群れも、山の近くでは放牧しないようにしなさい。」 + そこで、モーセは前と同じ石板を二枚用意し、東の空が白むころ、主に命じられたとおり、二枚の石板をかかえてシナイ山に登りました。 + 主は雲の柱となって天から下り、モーセのそばに立ちました。それから彼の前を通り過ぎ、ご自分の名によって宣言しました。「わたしは主である。あわれみと情けに富み、怒るのに遅く、恵み深い神である。わたしは愛と真実の神である。 + わたしは人々の罪を赦し、千代にもわたって彼らを愛し通す。しかしまた、罰すべき者を見過ごしにはしない。父親の犯した罪のために、息子や孫、さらにのちの世代の者が報いを受ける。」 + それを聞いて、モーセは思わず主の前にひざまずき、ひれ伏して願いました。 + 「主よ、ほんとうに私があなたのお心にかなっているのでしたら、どうぞ私たちといっしょに約束の国まで行ってください。彼らは確かに頑固でわがままな民に違いありません。けれどもお願いです。どうぞその罪をお赦しください。神の民として受け入れてください。」 + 「では、あなたと契約を結ぼう。かつて地のどこでも、見たことも聞いたこともない奇跡を行う。イスラエル人はみな、主の力を目の当たりにするのだ。あなたによって、わたしは恐るべき力を示す。 + 契約の相手としてのあなたの義務は、わたしの戒めをすべて守ることである。そうすれば、あなたの前からエモリ人、カナン人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い払う。 + 目指す約束の国へ着いたら、そこの住民と決して妥協しないよう、くれぐれも気をつけなさい。一度でも妥協すれば、知らず知らずのうちに、彼らの悪習に染まってしまうからだ。 + 異教の祭壇や礼拝用の石柱などは取り壊しなさい。偶像も切り倒しなさい。 + わたし以外に、どんな神々も拝んではならない。わたしは絶対の忠誠と、心からの献身を求める神である。 + その地の住民と、どんな契約も結んではならない。彼らは、偶像を慕ってみだらなことをし、神々にいけにえをささげることによって姦淫を行っている。万一あなたが彼らと親しくなり、食事に招かれると、偶像にささげられた食物を拒むことができなくなるだろう。 + 他の神々を拝む娘たちを息子の嫁に迎えると、息子たちは妻の信じる神々を拝み、堕落した道徳が持ち込まれ、わたしに反逆することになる。 + だから、偶像とはいっさい関係を持たないようにしなければならない。 + 種なしパンの祭りを七日間、必ず祝わなければならない。毎年第一の月(太陽暦では三月)の決まった時に、教えておいたとおりに祭りを守りなさい。それは、あなたがたがエジプトを出た月である。 + 牛、羊、どんな家畜も最初に生まれた雄は、わたしのものだ。 + ろばの初子は代わりに羊をささげて買い戻すことができる。買い戻さないなら、首を折らなければならない。しかし人間の場合、長男はみな買い戻さなければならない。ささげ物を持たずにわたしの前に出てはならない。 + 忙しい耕作期や収穫期でも、六日間働いて七日目は休みなさい。 + 毎年、祭りを祝うことを忘れてはならない。小麦の最初の収穫の時には七週の祭りを、それに収穫の祭りを祝いなさい。 + 年に三度、祭りの時にはイスラエルの男子はみな、わたしの前に出なければならない。 + 男子全員が主の前に出るこの時は、だれもイスラエルに攻撃をしかけない。しかけてくるような国はわたしが追い払い、イスラエルの国境を広げる。 + わたしへのささげ物を、パン種を入れたパンに添えてささげてはならない。過越の子羊の肉は、どの部分でも翌朝まで取っておいてはならない。 + 毎年の最初の収穫から、一番良い物をあなたの神、主の天幕に持って来なければならない。子やぎを母親の乳で煮てはならない。」 + また、主はモーセに言いました。「わたしが示したことばを書き記しなさい。これらのことばによって、わたしはあなたとイスラエルに対して契約を結ぶ。」 + モーセは山で四十日四十夜、神とともにいました。その間は、食べることも飲むこともしませんでした。この時、契約のことば、十戒を石板に記したのです。 + それから、モーセは二枚の石板をかかえて山を下りました。それまで神と話していたので、モーセの顔は輝いていましたが、自分では気がつきませんでした。 + 彼の顔の輝きを見て、アロンをはじめ、人々はそばに行くのを恐れました。 + モーセに呼ばれてやっとアロンと指導者たちは来て、彼と話しました。 + そのあと、今度は人々が全員集まったので、モーセは山で主に告げられたことを伝えました。 + 話し終えると、モーセは顔にベールをかけました。 + 主と話すために天幕に入る時はいつでもベールを取り、外へ出るまでそのままにしていました。そして、神から示されたことは全部人々に伝えました。 + 外に出て来る彼の顔を見ると光り輝いていました。そこでまた、彼は主と語るために天幕に入るまでベールをかけました。 + + + さてモーセは、全国民を呼び集めて言いました。「あなたがたが守らなければならない神のおきては、次のとおりだ。 + 六日間だけ働きなさい。七日目は主を礼拝する神聖な日、休息の日である。この日に働く者は、だれでも死刑に処せられる。 + 家の中で火をおこすこともいけない。」 + モーセはまた、彼らに言いました。「主は次のことをお命じになった。 + ささげ物をしたい者はだれでも、これらのささげ物を主のもとに持って来てよい。金、銀、青銅、青の撚り糸、紫の撚り糸、緋色の撚り糸、上質の亜麻布、やぎの毛、赤く染めた雄羊のなめし皮、処理を施したじゅごんの皮、アカシヤ材、ともしび用のオリーブ油、注ぎの油と香に使う香料、エポデや胸当てにはめる、しまめのうや宝石類。 + 特別な技能に恵まれ、熟練した技術者はみな集まりなさい。そして、主が命じられたとおりの物を作りなさい。幕屋の天幕とその覆い、留め金、わく組み、横木、柱、土台、契約の箱とかつぎ棒、『恵みの座』、至聖所を囲む垂れ幕、テーブルとかつぎ棒と器具類いっさい、供えのパン、燭台、ともしび皿と灯油、香をたく祭壇とかつぎ棒、注ぎの油と香りの高い香、幕屋の入口用の垂れ幕、焼き尽くすいけにえをささげる祭壇、祭壇の青銅製の格子とかつぎ棒、器具類、洗い鉢とその台、庭の周囲を仕切る引き幕、柱と土台、庭の入口用の垂れ幕、幕屋用の釘、庭用の釘とひも、祭司が聖所で務めをするときの式服、祭司アロンとその子らが着る聖なる装束。」 + 人々はみな、ささげ物を用意するため各自のテントに戻りました。 + 心に感じた者たちは、幕屋とそれに必要な器具類、また聖なる装束を作るための材料を、ささげ物として持って来ました。 + 男も女も、すべて喜んでささげる者は、金や宝石でできたイヤリング、指輪、ネックレスなど、あらゆる種類の金の奉納物を持って来ました。 + ほかの者は青、紫、緋色の撚り糸、上質の亜麻布、やぎの毛、赤く染めた雄羊のなめし皮、特別に処理したじゅごんの皮などを持って来ました。 + 銀や青銅を持って来た者もいます。ある者は建築に必要なアカシヤ材をささげました。 + 縫うことと紡ぐことが上手な婦人たちは、青、紫、緋色の撚り糸や、上質の亜麻布を持って来ました。 + ほかの婦人たちは、腕によりをかけてやぎの毛を紡ぎ、布を織りました。 + 指導者たちはまた、エポデや胸当てに使うしまめのうや宝石、 + それに、ともしび用や、注ぎの油や香り高い香を調合するための香料やオリーブ油を持って来ました。 + こうして、神がモーセに命じた仕事に少しでも役に立ちたいと願った者たちはみな、心からのささげ物をモーセのところに持って来たのです。 + モーセは彼らに言いました。「主はユダ族のウリの子で、フルの孫に当たるベツァルエルを名指しで召し出し、この仕事の総監督に任じられた。 + 彼は金や銀や青銅の細工にたけ、 + 宝石を切ったり磨いたりすることもうまい。美しい彫刻も得意だ。必要な技術はすべて身につけている。 + また、ほかの人に教えるのも上手だ。ダン族のアヒサマクの子オホリアブも、同じような才能に恵まれている。 + 主はこの二人に特別な才能を与え、宝石細工人、建築師にしてくださった。そればかりか、亜麻布に青、紫、緋色の糸で美しい刺しゅうもできるし、織物も上手だ。これからの仕事に必要なあらゆる技術に秀でている。 + + + ほかにも、才能に恵まれた技術者がたくさんいる。二人を中心にみなで力を合わせ、調度品を作り上げてほしい。」ベツァルエルとオホリアブをはじめ、この仕事に参加したいと思った者たち全員に、モーセは仕事を始めるよう命じました。 + そして、人々がささげた材料を彼らに渡しました。しかしそのあとも、新しい材料が毎朝ささげられました。 + あまりに多くて、もうとても、現場ではさばききれません。彼らは仕事を中断し、モーセに実情を報告しました。「材料があまりにたくさん集まりすぎて、使いきれないくらいです。」そこでモーセは野営地中に、これ以上奉納する必要はないと伝えさせたので、ようやく人々は持って来るのをやめました。 + 腕のいい織物師たちが、まず上等の細い撚り糸で織った亜麻布で幕を十枚作り、青、紫、緋色の撚り糸でケルビム(天使の像)を織り出しました。幕の大きさは長さが二十八キュビト(十二メートル)、幅が四キュビトで、 + これを五枚ずつつなぎ合わせ、長い布を二枚作りました。 + 次に、それぞれの端に青いひもでループを五十ずつ作り、対になるようにしました。 + ループをつなぎ合わせる留め金を五十個作り、二枚の長い布を一枚にして、天幕ができ上がりました。 + 布の上には、二番目の覆いとして、やぎの毛皮で作った十一枚の幕を使いました。それぞれ長さ三十キュビト(十三メートル)、幅四キュビトのものです。 + ベツァルエルはこの五枚をつなぎ合わせて一枚の長い幕とし、残りの六枚も別の長い幕としました。 + 次に、それぞれのへりに沿ってループを五十ずつ作り、 + 五十個の小さな青銅の留め金でつなぎ、二枚の幕をぴったりつなぎ合わせました。 + 屋根の外側にかぶせる覆いは、赤く染めた雄羊のなめし皮とじゅごん(海に住む哺乳動物)の皮で作りました。 + 天幕の側面にするために、まっすぐ立ったわく組みをアカシヤ材で作りました。 + 一枚の板は高さ十キュビト(四‧四メートル)、幅一キュビト半です。 + それぞれの板には二個のほぞをつけて、隣の板にはめ込みます。 + 南側に板が二十枚、 + 下の部分は銀の土台四十個にさし込みます。一枚の板に二個ずつの土台とほぞを使って、しっかり固定しました。 + 北側にも板が二十枚、それぞれに二個ずつ、全部で四十個の銀の土台を作りました。 + 西側、つまり天幕のうしろ側は板六枚と、 + 両隅に一枚ずつの板を置きました。 + この二枚はそれぞれ下を重ね、上を環でつなぎます。 + ですから西側には、全部で板が八枚、それぞれの下に二個ずつ、計十六個の銀の土台があることになります。 + 次にベツァルエルは、わく組みの板をしっかりつなぎ合わせるために、アカシヤ材で横木を作りました。天幕の三方に五本ずつの横木です。 + 五本のうち真ん中の横木は、板のほぼ中央を端から端まで通っています。 + 板と横木にはすべて金をかぶせ、木を通す環は純金で作りました。 + 天幕内を仕切る垂れ幕は、青、紫、緋色の撚り糸で亜麻布を織り、ケルビムを織り出しました。 + 幕は、アカシヤ材の四本の柱に金のかぎを四つ取りつけ、そこから垂らしました。柱には金をかぶせ、四個の銀の土台にはめ込んでありました。 + 次に幕屋の入口用の垂れ幕を作りました。目のつまった亜麻布に青、紫、緋色の刺しゅうをしたものです。 + 垂れ幕は五個のかぎで取りつけ、柱の頭部と環に金をかぶせました。土台は青銅で五個作りました。 + + + 次に、ベツァルエルは契約の箱を作りました。アカシヤ材で作り、長さ二キュビト半(一‧一メートル)、幅一キュビト半、高さ一キュビト半に仕上げました。 + 内側にも外側にも純金を張り、周囲に金の縁飾りを巡らせました。 + 片側に二つずつ並ぶよう、四隅に金の環を四個つけました。 + アカシヤ材でかつぎ棒を作って金をかぶせ、 + 箱の側面の環に通します。その棒をかついで箱を運ぶのです。 + それから、純金で箱のふたを作りました。これは「恵みの座」と呼ばれます。長さ二キュビト半、幅一キュビト半です。 + 両端には、金をつちで打って作ったケルビムの像がついています。 + ケルビムはふたの一部分で、切り離すことはできません。 + ケルビムは互いに向かい合い、伸ばした翼が「恵みの座」に覆いかぶさって、それを見下ろす形になっていました。 + 次はテーブルです。同じくアカシヤ材で、長さ二キュビト(八十八センチ)、幅一キュビト、高さ一キュビト半です。 + それに純金を張り、ぐるりと金の縁飾りをつけました。 + 周囲に一手幅(約七‧四センチ)のわくをつけ、それに沿って金の縁飾りをつけました。 + 次に金の環を四つ作り、四本の足の、 + 縁飾りに近いところにつけ、アカシヤ材に金をかぶせたかつぎ棒を通すようにしました。 + また、純金で鉢、水差し、皿、びんを作り、テーブルの上に置きました。 + 純金を打ち出して燭台を作りました。それは、台座、支柱、ともしび皿、アーモンドの花飾りが一体となるようにしています。 + 燭台の支柱には、両側から三本ずつ、計六本の枝が出るようにしました。 + それぞれの枝は三つの花で飾りました。 + 支柱にも同じようにアーモンドの花飾りをつけました。三対の枝の間に二つ、下と上に二つ、合計四つです。 + 飾りと枝はみな、一かたまりの純金を打ち出して作りました。 + 枝の先に七つのともしび皿を作りつけ、芯切りばさみと灰皿とを純金で作りました。燭台全体は一タラント(三十四キログラム)の重さがあり、すべて純金です。 + 香の祭壇はアカシヤ材で作りました。一キュビト(四十四センチ)四方の正方形で、高さは二キュビト。隅に、壇の一部として角を彫りつけました。 + 全体に純金をかぶせ、へりには金の縁飾りをつけました。 + 壇の両側面、縁飾りの少し下に金の環を二個つけ、かつぎ棒を通しました。 + かつぎ棒はアカシヤ材で、金をかぶせてあります。 + 次に、香りのよい香料を使って、聖なる油を調合しました。祭司に注ぐ油や、純粋な香として用いる油です。調合には高度の技術が必要でした。 + + + 焼き尽くすいけにえの祭壇も、アカシヤ材で作りました。上部は五キュビト(二‧二メートル)四方の正方形、高さは三キュビトです。 + 四隅に、他の部分と切れ目なく続くよう、四本の角をつけました。祭壇には青銅を張り、 + 祭壇で使うつぼ、十能(灰をすくう道具)、鉢、肉刺し、火皿などの器具類も青銅で作りました。 + 次に、炉の半ばあたりに棧を張り、そこに青銅の格子を置きました。 + 環を四つ作り、格子の四隅の部分でかつぎ棒を通せるようにしました。 + かつぎ棒はアカシヤ材で、青銅をかぶせてあります。 + 祭壇の側面につけた環に、その棒を通します。祭壇の側面は板で、中は空洞でした。 + 幕屋の入口で奉仕していた女たちが、青銅の鏡をささげたので、それを使って青銅の洗い鉢とその台を作りました。 + 次は庭です。南側は百キュビト(四十四メートル)で、細い上等の撚り糸を織って幕を作り、それを張り巡らしました。 + 幕を垂らす柱を二十本立てました。土台は青銅で、柱には銀のかぎと環をつけました。 + 北側にも百キュビトの幕を張り、青銅の柱二十本とその土台、銀のかぎと環があります。 + 西側は五十キュビトで、十本の柱と土台で幕を支えました。柱には、やはり銀のかぎと環がついています。 + 東側も五十キュビトです。 + 入口の両側には、幅十五キュビトの幕を垂らし、それぞれ三個の土台に立てた三本の柱で支えました。 + 庭の仕切りとして巡らした幕は、どれも細い上等の撚り糸で織ったものです。 + 柱はみな青銅の土台にはめ込み、かぎと環は銀です。柱の頭部には銀をかぶせ、幕を垂らす環は純銀でした。 + 庭の入口に垂らすカーテンは上質の亜麻布で作り、青、紫、緋色の撚り糸で美しい刺しゅうをしました。幕の幅は二十キュビト、高さは五キュビトで、庭の仕切りとした他の幕と同じ高さです。 + 幕は四本の柱と四個の青銅の土台、銀のかぎと環で支えました。柱の頭部も銀でした。 + 幕屋と庭を作るのに用いた釘は、すべて青銅です。 + これが、契約の箱を納める幕屋(聖所)の建設工事の諸工程です。幕屋ができ上がり、ようやくレビ族が奉仕につけるようになりました。いっさいの工事は、モーセが立てた計画どおり行われ、祭司アロンの子イタマルが監督しました。 + ユダ族のウリの子で、フルの孫に当たるベツァルエルが技術面での責任者となり、 + ダン族のアヒサマクの子オホリアブが助手を務めました。彼も熟練した職人で、彫刻、設計、色とりどりの刺しゅうをするのに、すぐれた腕を発揮しました。 + 人々が奉納し、幕屋建設に使った金は約一千キログラムに達しました。 + 銀は三、四四〇キロ使われました。これは、人口調査の時に登録する二十歳以上の人から取り立てた、半シェケルの人頭税でまかなわれました。登録したのは、計六十万三、五五〇人です。 + 聖所の壁となるわく組みの土台と、垂れ幕を支える柱の土台には、一個につき三十四キログラム、計三、四〇〇キログラムの銀が必要でした。 + 残った銀は柱頭にかぶせたり、環やかぎを作るために使いました。 + 青銅は約二、四〇〇キログラム奉納され、 + 天幕の入口に立てる柱の土台、祭壇、格子、祭壇に付属する器具類、庭を仕切る引き幕を支える柱の土台、天幕と庭の釘などを作るのに使われました。 + + + 次に、青、紫、緋色の撚り糸で、祭司用の式服を作りました。同じ生地で、アロンの聖なる装束も作りました。すべて、主がモーセに命じたとおりです。 + エポデ(祭司が着用する、ひざ下までのそでなしの上着)も、同じ亜麻布と、金、青、紫、緋色の撚り糸で作りました。 + ベツァルエルは金の板を薄く延ばし、細く切って金糸を作りました。それを青、紫、緋色の糸に撚り込み、布に織ると、実に精巧な美しい布ができ上がりました。 + エポデには肩当てをつけ、両端を留めるようにしました。上に締める帯も織りました。生地はエポデと同じく、金、青、紫、緋色の細い撚り糸を織り込んだ亜麻布で、たいへん美しいものでした。主がモーセに指示したとおりです。 + 二個のしまめのうを金の台にはめ、エポデの肩当てに縫いつけましたが、石には印章を彫るようにして、イスラエルの全部族の名を彫りました。この石を見て、神がイスラエルの民を絶えず思い起こせるようにしたのです。すべて主がモーセに指示したとおりです。 + 胸当てもエポデと同じように、金、青、紫、緋色の撚り糸で織った上質の亜麻布で作りました。 + これは一あたり(約二十二センチ)四方の布で、二つに折って袋状にしました。 + そこには宝石を四列に並べました。最初の列はルビー、トパーズ、エメラルド。 + 二列目はトルコ玉、サファイヤ、ダイヤモンド。 + 三列目はヒヤシンス石、めのう、紫水晶。 + 四列目は緑柱石、しまめのう、碧玉。これらはみな金の台にはめました。 + 石には、イスラエルの十二部族の名を、印章と同じように彫りつけました。 + 胸当てをエポデに結びつけるために、エポデの肩当てに金の環をつけました。この環と、胸当ての上部の金の留め金とを金の鎖でつなぐのです。 + ほかに、胸当ての下のへり、ちょうどエポデと接するところの内側にも、金の環を二個つけました。 + 別の金の環を、エポデの肩当ての下部につけました。エポデの上から、美しく織った帯を締めるあたりです。 + 胸当ての環とエポデの環とを青いひもでしばり、胸当てを、帯の上にしっかり結びつけました。すべて主の命じたとおりです。 + エポデの下に着る服は青糸で織りました。 + 真ん中に、ちょうどよろいの首の部分のように頭を通す穴を開け、ほつれないようにかがりました。 + 長服のすそには、青と紫と緋色の撚り糸で作ったざくろをつけました。 + ざくろとざくろの間には、純金の鈴もつけました。服のすそに鈴とざくろが交互に並ぶわけです。この長服は、アロンが祭司の務めをするときに着ます。主がモーセにそう命じたのです。 + 細い撚り糸で織った亜麻布で、アロンと息子たちのために上着を作りました。 + 美しいターバン、帽子、下着もみな同じ布で作り、帯には青、紫、緋色の糸で美しい刺しゅうをしました。主がモーセに命じたとおりです。 + 最後に、ターバンの正面につける聖なるプレートを純金で作りました。その上には、「神のために特別に選ばれた者」ということばを彫り、 + 青いひもでターバンに結びつけました。これも主が教えたとおりです。 + こうしてついに、主がモーセに指示したいっさいの作業が終わりました。 + そこで担当者は、でき上がった幕屋と付属品を全部、モーセのもとに運んで来ました。調度品、留め金、わく組みの板、横木、柱、土台、屋根と側面用の赤く染めた雄羊のなめし皮、特別になめしたじゅごんの皮、仕切り用の垂れ幕、十戒を納めた契約の箱、かつぎ棒、「恵みの座」、供えのパンのテーブルと付属品、供えのパン、純金の燭台とともしび皿、付属品、油、金の香の祭壇、注ぎの油、香りの高い香、天幕の入口用の垂れ幕、青銅の祭壇、青銅の格子、かつぎ棒と付属品、洗い鉢とその台、庭を仕切る引き幕とそれを支える柱、柱の土台と庭の入口に下げる幕、ひも類と釘、幕屋で使うあらゆる用具類です。 + そのほか、美しく仕立てた祭司用の式服も、モーセに点検してもらいました。つまり大祭司アロンの聖なる装束と、彼の息子たちが公式に着る衣装などです。 + このようにしてイスラエルの民は、主がモーセに指示したことを全部、そのとおりに行いました。 + モーセはでき上がったものを見て、すべての仕事が主の指示どおりにされていたので、彼らを祝福しました。 + + + 主はモーセに告げました。 + 「第一の月の一日(ユダヤ暦による。太陽暦では三月中旬)に、神の幕屋を組み立てなさい。 + そこに、十戒を納めた契約の箱を安置しなさい。至聖所に箱を置き、その前には仕切りの垂れ幕をしつらえる。 + 次に、供えのパンのテーブルを運び入れ、その上に用具類を並べる。燭台を持って来て、ともしび皿を載せる。 + 箱の前には金の香の祭壇を置き、天幕の入口に幕を垂らす。 + 入口の前に、焼き尽くすいけにえ用の祭壇を置く。 + 天幕と祭壇との間に洗い鉢を置き、水を満たす。 + それがすんだら天幕の回りに庭を設け、庭の入口には幕をかけなさい。 + 組み立てが終わったら、きよめのための注ぎの油を幕屋とその中にある物全部に注ぎなさい。いろいろな用具類、すべての調度品にも注いで、それらをきよめる。 + 焼き尽くすいけにえ用の祭壇とその用具類も同じようにする。これで、祭壇は最も神聖なものとなる。 + 洗い鉢とその台も同様である。 + 次に、アロンと息子たちを幕屋の入口に連れて来て沐浴させ、 + アロンに聖なる装束を着せて油を注ぎなさい。祭司としてわたしに仕えることができるように、彼をきよめなさい。 + 次に、彼の息子たちを連れて来て祭司の式服を着せ、 + 父親と同じように彼らにも油を注いで祭司とする。その『油注ぎ』は何代にもわたり、永遠に続く。息子たちも、そのまた息子たちも、永遠にわたしの祭司となるからだ。」 + そこでモーセは、主に命じられたことをすべて実行に移しました。 + 二年目の第一の月の一日に、幕屋が組み立てられました。 + モーセはまず、わく組みの板を土台にはめ込み、横木をつけました。 + それから、屋根の覆いをかけ、さらに幕を重ねました。すべて主に命じられたとおりです。 + 契約の箱の中に十戒を刻んだ二枚の石板を入れ、環にかつぎ棒を通しました。箱の上には、『恵みの座』と呼ばれる金のふたを載せました。 + それから箱を幕屋に入れ、仕切りの垂れ幕をかけました。すべて主に命じられたとおりです。 + 次に、供えのパンのテーブルを垂れ幕の外の北側に置き、 + 供えのパンを主に供えました。これも、すべて主に命じられたとおりです。 + 天幕の南側、テーブルの反対側に燭台を置きました。 + 次に、指示されたとおり、主の前にともしび皿を整えました。 + それから、垂れ幕のすぐ前に金の香の祭壇を置き、 + 香りの高い香料で作った香をたきました。すべて主に命じられたとおりです。 + 天幕の入口には垂れ幕を取りつけました。 + そして、外に出た所に焼き尽くすいけにえ用の祭壇を置き、その上でいけにえと穀物のささげ物を供えました。すべて主に命じられたとおりです。 + 次は洗い鉢です。幕屋と祭壇の間に置き、水を満たしました。祭司たちがその水で手足を洗えるようにしたのです。 + モーセとアロンとアロンの息子たちは、そこで手足を洗いました。 + 天幕に入るために祭壇のところを通って行くときは、いつもそこで立ち止まり、手足を洗うのです。すべて主に命じられたとおりです。 + それから、幕屋と祭壇を囲む庭を造りました。庭の入口にも幕を垂らしました。こうして、ついにモーセはいっさいの仕事を終わったのです。 + すると、雲が幕屋にかかり、神の栄光が輝きわたりました。 + あまりの神々しさに、モーセは中に入れませんでした。 + 雲が幕屋から離れて動き出した時には、イスラエル人はいつもそのあとに従って旅をしました。 + 雲が動くのをやめると一行もそこに止まり、雲が動き出すまでじっと待ちました。 + 昼間は雲が幕屋にかかり、夜は雲の中に赤々と火が輝き、人々はみなその有様を見ました。この光景は旅の間ずっと絶えることがありませんでした。 + +
+
+ + さて主は、幕屋(主がイスラエル人と会う天幕、聖所)からモーセに語りました。 + 「イスラエルの民に次のような指示を与えなさい。主にいけにえをささげるときは、自分の群れの牛か羊を使いなさい。雄牛を焼き尽くすいけにえとしてささげるときは、体に傷のないものでなければならない。まず、いけにえ用の雄牛を幕屋の入口へ引いて来る。そこで、祭司がそのささげ物を受け取る。 + いけにえをささげる人は、その雄牛の頭に手を置く。そうすることで、身代わりのいけにえと認められる。本人が自分の罪の刑罰として死ぬ代わりにその動物が死ぬことを、わたしは認めよう。 + わたしの前で、自ら手を下していけにえを殺しなさい。祭司であるアロンの子たちが、その雄牛の血をわたしにささげる。幕屋の入口で、祭壇の回りに血を振りかけるのだ。 + 続いて、皮をはいで四肢に分け、祭司が祭壇に火を置き、たきぎを並べ、 + ばらした部分と頭と脂肪を載せる。 + そのとき、内臓と足は、いけにえをささげる本人がきれいに洗う。祭司はそれをみな祭壇の上で焼く。これが、主に受け入れられる、焼き尽くすいけにえである。 + 焼き尽くすいけにえにする動物が、羊かやぎの場合は、傷のない雄でなければならない。 + いけにえをささげる人は、祭壇の北側で、わたしの前でそれを殺す。祭司であるアロンの子らが、その血を祭壇の回りに振りかける。 + その人は死体を四肢に分け、祭司はそれを頭や脂肪といっしょに祭壇のたきぎに載せる。 + その前に、内臓と足は、いけにえをささげる人自身が水で洗う。祭司は主へのささげ物として、その動物をみな祭壇で焼く。焼き尽くすいけにえをわたしは喜ぶ。 + 鳥を使う場合は、山鳩か家鳩のひなのどちらかにしなさい。 + 祭司はそれを祭壇へ持って行き、首をひねって殺し、血は祭壇の横に絞り出す。餌袋(胃袋)と羽毛は祭壇の東側の灰捨て場に捨てる。このあと翼をつかんで引き裂くが、ばらばらにしてはならない。それを祭壇で焼く。わたしはこのいけにえを喜ぶ。 + + + 穀物の供え物をするときは、上等の小麦粉にオリーブ油を注ぎ、香料を加えなさい。 + そのうちの一つかみを、祭司のところへ持って行き、焼いてもらう。わたしはその香りを喜ぶ。 + 残った粉は、アロンとその子らの食物となるが、それも神聖な焼き尽くすいけにえとみなされる。 + かまどで焼いたパンをささげるときは、細かくひいた粉にオリーブ油を混ぜて焼きなさい。パン種(イースト菌)を入れてはならない。オリーブ油を塗った、パン種の入らない薄焼きパンも、ささげ物に使える。 + 菓子用の鉄板で焼いたものをささげるときは、細かくひいた粉をオリーブ油でこねて作りなさい。パン種を入れてはならない。 + でき上がったものを細かくちぎって油をかける。これが穀物の供え物の形式である。 + なべで作る場合も、細かくひいた粉をオリーブ油でこねて作る。 + こうして用意ができたら、祭司のところへ持って行き、祭壇でささげてもらう。 + 祭司が焼くのはその一部だけだが、わたしは全部をささげ物と認める。 + 残りは祭司が取ってかまわない。それは全部、主への神聖なささげ物とみなされる。 + 粉で作るささげ物は、パン種を使ってはならない。主へのささげ物にはパン種やみつの使用は許されない。 + 粉で作るささげ物は最初の収穫を感謝する場合に認められ、焼き尽くすいけにえとしては使ってはならない。 + ささげ物はすべて塩で味をつける。塩〔契約が真実であることを象徴的に表す〕は神の契約を思い出させるものだからである。 + 最初の収穫をささげるときは、初穂を砕くか焼くかしてささげなさい。 + それにオリーブ油と香料を加えなさい。これが穀物の供え物である。 + 祭司は主の前で、オリーブ油と穀物を混ぜたささげ物を一つかみと、香料の全部をささげ物として焼く。 + + + 和解(主への感謝)のいけにえの場合は、雄牛でも雌牛でも、どこにも傷のないものをささげなければならない。 + いけにえをささげる人は、幕屋の入口でその牛の頭に手を置き、ほふる。祭司がその血を祭壇の回りに振りかける。 + 次に内臓を覆う脂肪、二つの腎臓とその上を覆う腰の脂肪、胆のうを主の前で焼く。わたしはそのいけにえを喜ぶ。 + 和解のいけにえに羊かやぎを使うときは、傷のないものであれば、雄でも雌でもかまわない。 + 羊の場合は、天幕の入口でその頭に手を置き、殺す。祭司は血を祭壇の回りに振りかけ、 + 背骨に沿って取り除いた脂肪、内臓を覆う脂肪、二つの腎臓とその上を覆う腰の脂肪、胆のうを、火によるいけにえとしてささげなさい。 + そのささげ物がやぎの場合、 + 幕屋の入口でその頭に手を置き、ほふる。祭司は血を祭壇の回りに振りかけ、 + 火によるいけにえとして、内臓を覆う脂肪、二つの腎臓とその上を覆う腰の脂肪、胆のうを祭壇にささげなさい。このいけにえをわたしは喜ぶ。脂肪は全部、主のものだから、 + あなたがたは脂肪も血も食べてはならない。これはイスラエルの永遠のおきてである。」 + + + 主はさらに、次のような指示をモーセに与えました。 + 「人々に言いなさい。過ってわたしの戒めを破った場合の規定はこうである。 + 大祭司が過って罪を犯し、人々に悪影響を及ぼした場合、罪の赦しのためのいけにえとして傷のない若い雄牛をささげなければならない。 + 幕屋の入口に引いて来てその雄牛の頭に手を置き、主の前でほふる。 + 大祭司は血を持って幕屋に入り、 + 指を浸し、奥の至聖所へ通じる道をふさぐ垂れ幕の前に、七回振りかける。 + 次に、幕屋の中の主の前にある香の祭壇の角に血を塗る。残った血は、幕屋の入口にある焼き尽くすいけにえ用の祭壇の土台に注ぎかける。 + 内臓を覆う脂肪、二つの腎臓とその上を覆う腰の脂肪、胆のうを祭壇で焼く。主への和解のいけにえとしてささげる雄牛や雌牛の場合と同じである。 + 皮、肉、頭、足、内臓、腸など残りの部分は、野営地の外のきよい場所である祭壇の灰捨て場で焼く。 + イスラエルの民全体が過って罪を犯し、してはならないことをした場合は、全国民が有罪となる。 + 罪に気づきしだい、罪の赦しのためのいけにえとして、若い雄牛を天幕の入口に引いて来なさい。 + 指導者たちが代表して、主の前でその雄牛の頭に手を置いてほふる。 + 大祭司は血を幕屋の中へ持って行き、 + 指を浸し、主の前で垂れ幕の前に七回振りかける。 + 次に、天幕の中にある香の祭壇の角に血を塗る。残りの血は、天幕の入口にある焼き尽くすいけにえ用の祭壇の土台に注ぎかける。 + いけにえの脂肪はすべて取り除き、祭壇で焼く。 + 罪の赦しのためのいけにえの雄牛のときと同じようにする。こうして、祭司は民全体の罪を償う。これで初めて、全国民が赦される。 + 最後に祭司は、いけにえの死体を野営地の外へ運び出し、個人の罪のためのいけにえと同じように焼く。 + 指導者のだれかが過って罪を犯し、主の戒めに背いた場合は、 + 罪に気づきしだい、傷のない雄やぎをいけにえとして引いて来なさい。 + 焼き尽くすいけにえをささげる場所で、その頭に手を置いてほふり、主にささげる。これは指導者の罪の赦しのためのいけにえである。 + 祭司はそのいけにえの血を祭壇の角に指で塗り、残りは祭壇の土台に注ぎかける。 + 和解のいけにえと同じように、脂肪はすべて祭壇で焼く。こうして、祭司は指導者の罪を償い、彼は赦される。 + 一般のイスラエル人が、過って罪を犯したとき、 + または自らそれに気づいたなら、罪の償いとして傷のない雌やぎを引いて来なさい。 + 焼き尽くすいけにえをほふる場所で、いけにえの頭に手を置いてほふる。 + 祭司は指に血をつけ、焼き尽くすいけにえ用の祭壇の角に塗る。残りの血は祭壇の土台に注ぎかける。 + 和解のいけにえの場合と同じように、脂肪はすべて取り除き、祭司が祭壇で焼く。わたしはそれを受け入れる。こうして、祭司が罪の償いをするとき、罪を犯した者は赦される。 + 罪の赦しのためのいけにえに子羊を引いて来るときは、傷のない雌でなければならない。 + 焼き尽くすいけにえを殺す場所に連れて来て、その頭に手を置き、罪の赦しのためのいけにえとして殺す。 + 祭司は指に血をつけ、祭壇の角に塗り、残りの血は土台に注ぎかける。 + 脂肪は和解のいけにえの羊と同じようにする。火で焼いて主にささげる他のいけにえと同じように、祭壇で焼く。こうして祭司が償いをし、罪は赦される。 + + + ある犯罪について何かの事実を知っていながら、証言を拒否すれば、その人は罪に定められる。 + 野生でも家畜でも、食用にすることを禁じられている動物や昆虫の死体など、礼拝規則で汚れているとみなされるものにさわったら、気づかずにした場合でもその人は汚れ、責めを負う。 + 何であれ人体から生じる汚れにさわったら、たとえその時は気づかなくても、あとで気づいたときに責めを負う。 + 良いことでも悪いことでも、軽々しく誓いを立て、あとで愚かなことをしたと気づいたときには、責めを負う。 + 以上のどの場合も、罪を告白し、 + 償いとして、雌の羊かやぎを罪の赦しのためのいけにえとしてささげなさい。祭司はその人の罪の償いをしなさい。 + 貧しくて羊をささげる余裕がない場合は、山鳩か家鳩のひなを二羽ささげなさい。一羽を罪の赦しのためのいけにえに、もう一羽を焼き尽くすいけにえとする。 + 祭司は、初めに手渡されたほうを、罪の赦しのためのいけにえとし、その首をひねって殺す。ただし、切り落としてはならない。 + 次に、その血を祭壇の側面に振りかけ、残りは土台に絞り出す。これが罪の赦しのためのいけにえである。 + 祭司はもう一羽も、定められたとおりに、焼き尽くすいけにえとしなさい。こうして、祭司はその人が犯した罪の償いをし、その者は赦される。 + もしその人が貧しくて、山鳩や家鳩のひなさえささげられないときは、細かくひいた小麦粉二‧三リットルを持って来なさい。オリーブ油を混ぜたり、香料をかけたりしてはならない。罪の赦しのためのいけにえだからである。 + それを祭司のところへ持って行き、そのうちの一つかみを祭壇で焼いてもらう。火で焼く他のささげ物の場合と同じである。これが、罪の赦しのためのいけにえとなる。 + こうして、祭司はその人が犯した罪の償いをし、その者は赦される。残りの粉は穀物のささげ物と同じように、祭司のものとなる。」 + さらに、主はモーセに告げて言いました。 + 「不実なことを行い、過って神聖なものを汚したときは、その罪を償うのに見合ういけにえとして、傷のない雄羊を一頭ささげなさい。 + そのほかに、自分が汚した神聖なものや、ささげるのを怠った十分の一のささげ物の償いをしなければならない。自分が与えた損害額に二割を加えた額を、祭司に納める。祭司は罪を償ういけにえの雄羊で償いをし、その者は赦される。 + 主がしてはならないと定めたおきてのどれかに違反すれば、たとえ気づかずにしたことでも罪に定められる。そのときは、犯した罪に見合ういけにえをささげなければならない。これは自分の罪過を償ういけにえで、傷のない雄羊を一頭ささげる。祭司は雄羊一頭でその者の罪過の償いをする。過って犯した過失、知らずに犯した過失は、これで赦される。 + 罪を犯し、主の前に責めを負った者は、このようにして罪過を償ういけにえをささげなければならない。」 + + + 続いて主はモーセに命じました。 + 「借り物や預かり物、担保の品などを返さなかったり、盗んだり、脅し取ったり、落とし物を見つけながらも取った覚えはないと偽るなどして罪を犯した場合は、 + その事実がはっきりした日に、取ったものを相手に返し、それに加えて二割の罰金を支払いなさい。また、幕屋に罪を償ういけにえを引いて来なさい。 + その罪に見合ういけにえは、傷のない雄羊一頭である。それを祭司のところへ引いて来る。 + 祭司は主の前で罪の償いをし、その者は赦される。」 + 主はモーセに命じました。 + 「アロンとその子らに、焼き尽くすいけにえについての決まりを示しなさい。焼き尽くすいけにえは、祭壇の上で一晩中、焼き続ける。 + 翌朝、祭司は亜麻布の下着と上着をつけ、その灰をすっかり集め、祭壇のそばに置く。 + このあと着替えをし、灰を野営地の外のきよい場所に運ぶ。 + 祭壇の火はいつも燃やし続け、消してはならない。祭司は毎朝たきぎをくべて、毎日ささげる焼き尽くすいけにえを供え、和解のいけにえの脂肪を焼く。 + 祭壇の火は絶やしてはならない。 + 穀物の供え物の決まりは次のとおりである。アロンの子らは、祭壇の前に立ち、供え物を主の前にささげる。 + なだめの香りとして、オリーブ油のかかった細かくひいた粉一つかみを、香料全部とともに祭壇で焼きなさい。わたしは喜んでそれを受けよう。 + 残りはアロンとその子らの食物となる。幕屋の庭で、パン種を入れずに焼いたパンにして食べなさい。 + 念を押すが、焼くときは絶対にパン種を入れてはならない。火で焼くささげ物のうち、この分は祭司に与える。罪の赦しのためのいけにえや、罪過を償ういけにえの場合と同じく、ささげられた全部がきよいとされる。 + アロンの家系で祭司を務める者は、子々孫々に至るまで、これを食べることができる。火で焼く主へのささげ物は、祭司だけが食べられる。」 + 主はモーセに命じました。「アロンとその子らが油を注がれ、祭司の務めに就く日には、日々の穀物の供え物をささげなさい。細かくひいた上等の小麦粉二‧三リットルを、朝と夕方に半分ずつ、 + オリーブ油でこね、鉄板で焼いてささげる。わたしはそれを受け入れる。 + 祭司の子らは父の跡を継ぐ場合、油を注がれる任命式の日にこれと同じささげ物をする。これは永遠に変わらない定めである。このささげ物は全部を主の前で焼く。ほんの一口でも食べてはならない。」 + 主はモーセに告げました。 + 「次は、罪の赦しのためのいけにえについて、祭司が知っていなければならない決まりである。このいけにえは最もきよいものだから、焼き尽くすいけにえをほふる場所、主の前でほふる。 + いけにえの儀式を行う祭司は、幕屋の庭でそれを食べる。 + 特別に選ばれ、きよくされた者、祭司だけしかその肉にさわれない。そのとき衣服に血がかかったなら聖所内で洗いきよめる。 + 煮沸するのに使った容器は、土の器なら壊し、青銅製ならきれいに磨き上げ、よくすすぐ。 + 祭司はみな、このささげ物を食べることができるが、それ以外の者は絶対に食べてはいけない。最も聖なるものだからだ。 + しかし、聖所での罪の償いのためにささげるいけにえで、その血を幕屋の中に持って行くいけにえは、祭司といえども食べてはならない。それは、主の前で完全に焼きなさい。 + + + 罪過を償う最もきよいいけにえについての決まりは、次のとおりである。 + いけにえの動物は、焼き尽くすいけにえと同じ場所でほふり、血は祭壇の回りに振りかける。 + 祭司は脂肪を全部、祭壇にささげる。背骨に沿ってついている脂肪、内臓を覆う脂肪、 + 二つの腎臓、腰のあたりの脂肪、胆のうなどをより分けて、いけにえとする。 + それを、罪を償ういけにえとして祭壇で焼く。 + 祭司はみな、その肉を食べることができるが、それを神聖な場所で食べなければならない。最も聖なるいけにえだからだ。 + 罪の赦しのためのいけにえ、罪過を償ういけにえ、どちらの場合も、動物の死体は儀式を行う祭司の食物となる。 + 焼き尽くすいけにえの場合は皮が与えられる。 + 主への穀物の供え物をささげる祭司は、儀式に使った残りを全部与えられる。この規定は、供え物をかまどや鉄板で焼く場合も、なべで料理する場合も変わりはない。 + ほかの穀物の供え物も、油を混ぜたものでも乾いたものでもすべて、アロンの子である祭司のものとなる。 + 次は、和解のいけにえとしてささげるいけにえについての決まりである。 + それが感謝のささげ物の場合、いけにえのほかにパン種を入れていないドーナツ型のパン、オリーブ油を塗った薄焼きのパン、小麦粉をオリーブ油でこねて作ったパン、 + さらに、パン種を入れたドーナツ型のパンを添える。 + このうち一部を、儀式どおり祭壇の前で揺り動かしてささげる。それは、いけにえの血を注ぎかける祭司のものとなる。 + 感謝を表す和解のいけにえとして主にささげた動物の肉は、その日のうちに食べなさい。翌日まで残しておいてはならない。 + 感謝のいけにえでなく、誓願や任意のささげ物の場合は、その日に食べきれなければ、翌日まで残しておいてかまわない。 + ただし、三日目まで残った分は焼き捨てなさい。三日目に食べるようなことがあれば、わたしはそのいけにえを受け入れない。いけにえとしての価値がなくなるからである。せっかくのいけにえも無効となり、肉を食べた祭司は罪を犯したことになる。それは主にとって汚れたものだからだ。食べた者は罪の償いをしなければならない。 + 礼拝規定で汚れているとみなされるものに触れた肉は、食べてはならない。焼き捨てなければならない。食用にする肉は、礼拝規定できよいとみなされる者だけが食べられる。 + 人が汚れている身でありながら和解のいけにえを食べるなら、もはやイスラエル国民ではない。神聖なものを汚したからだ。 + だれでも、人であれ動物であれ、礼拝規定で汚れているとみなされるものに触れながら、和解のいけにえを食べるなら、イスラエル国民とはみなされない。神聖なものを汚したからだ。」 + さらに主はモーセに命じました。 + 「イスラエル人は牛、羊、やぎの脂肪を食べてはならない。 + 死んだり野獣に裂き殺されたりした動物の脂肪は、何に使ってもかまわないが、食べることはできない。 + 火で焼くささげ物の脂肪を食べる者は、イスラエル国民とはみなされない。 + どこであろうと、鳥や動物の血を食べてはならない。食べればイスラエル国民とはみなされない。」 + 神はモーセに告げました。 + 「人々に命じなさい。主への和解のいけにえは、本人の手でささげなければならない。 + 脂肪と胸の部分を持って来て祭壇の前で揺り動かし、主にささげるのだ。 + 脂肪は祭司が祭壇で焼き、胸肉はアロンとその子らのものになる。 + 右のもも肉は、いけにえの儀式を行う祭司がもらう。 + 胸とももは、国民から祭司へ納める物と決めたからである。祭司はいつも、いけにえのこの部分をもらう。 + 火で焼くいけにえのこの部分は、報酬として、主に仕える祭司、アロンとその子らのものとなる。 + このことは、わたしが彼らに油を注いで祭司に任命する日から、必ず守らなければならない。子々孫々に至るまで変わらない彼らの権利である。」 + 以上が、焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、罪の赦しのためのいけにえ、罪過を償ういけにえ、祭司の任職式のいけにえ、和解のいけにえについての決まりです。 + これが、シナイの荒野で主がモーセに教えた、いけにえのささげ方です。 + + + 主はモーセに命じました。「アロンとその子らを幕屋の入口に連れて来なさい。装束、注ぎの油、罪の赦しのためのいけにえ用の若い雄牛一頭、雄羊二頭、パン種を入れないパンが入ったかごを用意し、すべての民を集めなさい。」 + 幕屋の入口に集まった全員に、モーセは語りました。「これからすることは主のご命令だ。」 + こう言うと、アロンとその子らを呼び寄せ、彼らの体を水で洗い、 + アロンには特製の上着、飾り帯、青地の長い式服を着せ、美しく織った帯でエポデ(祭司が祭儀において着用する聖なる装束)をつけさせました。 + 次は胸当てです。その袋にはウリムとトンミム〔神意を伺う一種のくじ〕を入れました。 + ターバンをかぶらせ、主に特別に選ばれた者であることを表す金のプレートを、正面につけさせました。主に命じられたとおりです。 + それから聖なる注ぎの油を手に取り、幕屋とその中の用具全部に振りかけ、神聖なものとしてきよめました。 + 祭壇には特別に七回、その用具や、洗い鉢と台にも振りかけて、きよめました。 + 最後はアロンでした。頭に油を注ぎ、特別にきよめ分けられた主の祭司に任命しました。 + それが終わると、今度はアロンの息子たちに式服を着せ、帯を締めさせ、ターバンをかぶらせました。主に命じられたとおりです。 + いよいよいけにえをささげる時です。モーセは、罪の赦しのためのいけにえ用の若い雄牛を引いて来ました。アロンとその子らはその頭に手を置き、 + モーセが牛をほふりました。モーセはその血を指につけ、祭壇の四本の角に塗って祭壇をきよめ、残りの血は祭壇の土台に注ぎました。こうして、祭壇を神聖なものとし、きよい儀式に使えるようにしたのです。次に、内臓を覆う脂肪、胆のう、二つの腎臓とその脂肪を祭壇で焼きました。 + そのほかの部分は、皮も肉も糞も、野営地の外で焼き捨てました。主に命じられたとおりです。 + 次にモーセは、焼き尽くすいけにえとして雄羊をささげました。アロンとその子らがその頭に手を置き、 + モーセがほふって血を祭壇の回りに振りかけました。 + そのあと四肢に切り分け、まず頭と脂肪をいっしょに焼きます。 + 内臓と足は水洗いし、祭壇で焼きます。こうして全部を主の前で焼き尽くすのです。これが、主の受け入れる焼き尽くすいけにえです。モーセは、すべて主の命令どおりきちんと行いました。 + それからモーセは、もう一頭の任職式用の雄羊を引いて来ました。まず、アロンとその子らがその頭に手を置きます。 + モーセは雄羊をほふり、その血をアロンの右の耳たぶと手足の右の親指に塗りました。 + 続いて、アロンの息子たちにも同じようにします。残りの血は祭壇の回りに振りかけました。 + 次に、背骨に沿ってついている脂肪と内臓を覆う脂肪、胆のう、二つの腎臓とその脂肪、右のももなどを取りました。 + その上に、かごから、パン種を入れないパンと、油を入れて焼いたドーナツ型のパンを一個ずつ、それに、オリーブ油を塗った薄焼きパン一枚を取り出して載せました。 + それを全部、アロンとその子らの手に載せ、祭壇の前で揺り動かして主にささげさせたのです。 + モーセはそれをもう一度もらい受け、焼き尽くすいけにえといっしょに、祭壇で焼きました。これが祭司任職のいけにえで、主に受け入れられるささげ物です。 + このあとモーセは、雄羊の胸の部分を祭壇の前で揺り動かして主にささげました。これはモーセが受け取る分です。すべて主に命じられたとおりです。 + 続いてモーセは、注ぎの油と祭壇に振りかけた血を取り、アロンとその装束、息子たちとその装束に振りかけました。アロンとその子ら、およびその装束を、主の務めにささげるためです。 + モーセは、アロンとその子らとに言いました。「教えたとおり、幕屋の入口で肉を煮て、任職式用のかごに入っているパンといっしょに食べなさい。 + 残った肉やパンは焼き捨てなさい。」 + またモーセは、七日間は幕屋の入口を離れないようにと命じました。祭司の任命には七日を要するからです。 + さらに、その日の儀式はすべて、主が命じられたとおりだと言いました。 + そして最後にもう一度、七日間は昼も夜も幕屋の入口を離れてはならないこと、もし離れたら必ず死ぬと主に言われたことを告げました。 + アロンとその子らは、主がモーセに命じたことをみな行いました。 + + + 任職式の八日目にモーセは、アロン、その息子たち、イスラエルの指導者たちを集め、 + 雄牛一頭を罪の赦しのためのいけにえとして、傷のない雄羊を焼き尽くすいけにえとして、主にささげるようアロンに命じました。 + 「人々に、罪の赦しのためのいけにえ用に雄やぎを、焼き尽くすいけにえ用に傷のない一歳の子牛と子羊を用意させなさい。 + また、雄牛と雄羊を和解のいけにえ用に、また、オリーブ油でこねた小麦粉を穀物の供え物用に持って来させなさい。今日、主があなたがたに現れるからだ。」 + そこで人々は、命じられたとおりのものを幕屋の入口へ持って来て、主の前に立ちました。 + モーセは、「主のご命令に従えば、必ずそのご栄光を仰げるのだ」 + と言うと、アロンに、「祭壇に進み出て、罪の赦しのためのいけにえと、焼き尽くすいけにえをささげ、まず自分の罪の償いをし、次に民の罪の償いをしなさい」と命じました。主が命じたとおりです。 + アロンは祭壇に進み出て、自分の罪が赦されるためのいけにえとして、子牛をほふりました。 + 息子たちがその血を手にすくうとアロンはそれに指を浸し、祭壇の角に塗り、残りは祭壇の土台に注ぎました。 + そして主の命令どおり、祭壇でいけにえの脂肪、腎臓、胆のうを焼きました。 + ただし、肉と皮は宿営の外で焼き捨てました。 + 次に焼き尽くすいけにえを殺し、息子たちがその血をすくい、それをアロンが祭壇の回りに振りかけました。 + 続いて息子たちは死体をばらばらにし、頭といっしょにアロンのところに持って来ました。アロンはそれを一つ残らず祭壇で焼きました。 + そして、内臓と足もきれいに洗い、焼き尽くすいけにえとして祭壇で焼きました。 + 次は民のささげ物の番です。アロンは自分のときと同じ要領で、罪の赦しのためのいけにえとして、やぎをささげました。 + さらに、主の指示どおり、焼き尽くすいけにえもささげました。 + 穀物の供え物がそれに続きます。その中から一つかみを取り、朝ごとのささげ物とは別に、祭壇で焼いてささげました。 + ついで、雄牛と雄羊をほふりました。民のための和解のいけにえです。アロンの息子たちがその血をアロンのところに持って行き、アロンは祭壇の回りに振りかけました。 + 続いて、背骨に沿ってついている脂肪と内臓を覆う脂肪、腎臓と胆のうを取り出しました。 + 脂肪はいけにえの胸に載せ、祭壇で焼きました。 + ただし胸と右ももは、モーセが命じたとおり、主の前でゆっくり揺り動かしてささげました。 + それから民に向かって両手を上げ、彼らを祝福し、罪の赦しのためのいけにえ、焼き尽くすいけにえ、和解のいけにえをささげて祭壇から降りました。 + 今度はモーセとアロンがそろって幕屋に入ります。やがて出て来た二人が民を祝福すると、なんと彼らが見ている前で主の栄光が現れたのです。 + その時、主の火が下り、祭壇のいけにえと脂肪を焼き尽くしました。民はみな大声を上げ、ひれ伏しました。 + + + さて、アロンの子ナダブとアビフは、自分の香炉に神聖でない火を盛り、香をくべ、主の前にささげました。これは主の命令に反することでした。 + たちまち主の前から火が吹き出し、二人を焼き殺してしまいました。 + 「『わたしに近づく者によってわたしのきよさを現し、すべての人々の前で栄光を現す』と主が言われたのは、こういうことなのだ」と言うモーセのことばに、アロンはただ黙ってうなだれるだけでした。 + モーセはただちに、アロンのおじウジエルの子のミシャエルとエルツァファンとを呼び、「あなたがたの親族の遺体を神の幕屋の前から宿営の外に運び出しなさい」と命じました。 + 彼らは言われたとおり、式服のままの二人の遺体を外に運びました。 + それからモーセは、アロンと残った二人の子エルアザルとイタマルに言いました。「気をしっかり持ちなさい。このことを悲しんではいけない。髪を乱したり、服を引き裂いたりして嘆いてはいけない。そんなことをしたら、あなたがたまで殺されてしまう。そうなれば、主の怒りはすべての民に下るだろう。ほかの者が、主の下された恐るべき火のことで、ナダブとアビフのために嘆き悲しむのはかまわない。 + だが、あなたがたはだめだ。たとえ家族の者が主の罰を受けて死んだときでも、幕屋での務めを離れてはならない。あなたがたは油を注がれた者だからだ。」彼らは命令どおりにしました。 + 次に、主はアロンに命じました。「幕屋に入るときは、ぶどう酒や強い酒を飲んではならない。さもないといのちはない。あなただけではない。息子たちも同じだ。このおきては、末代までも守らなければならない。 + 人々に代わって正しい判断を下すことが、あなたがたの務めだからだ。神聖なものと俗なもの、きよいものと汚れたものの区別を示し、 + わたしがモーセに与えたすべてのおきてを教えなさい。」 + このあとモーセは、アロンとエルアザル、イタマルの三人に言いました。「祭壇で焼いて主にささげる穀物の供え物は、必ずパン種の入らないものとし、一つかみだけささげる。残りは祭壇のそばで食べなさい。ささげ物は最も神聖なものだから、 + 聖所の神聖な場所で食べなければならない。それは、火で焼くささげ物のうち、あなたがたの取り分である。そのように、私は命じられている。 + しかし、揺り動かしてささげる胸肉ともも肉は、聖所でなくとも、きよい場所ならどこで食べてもかまわない。家族全員が食べられるものだ。人々がささげる和解のいけにえのうち、これだけはあなたがたの取り分である。 + 脂肪を焼くとき、人々は取り分けてあるももと胸肉を、主の前で揺り動かしてささげる。そのあとで、あなたと家族がもらう。主がそうお命じになったのだ。」 + こう言うと、モーセは罪の赦しのためのいけにえ用のやぎを捜しましたが、どこにも見つかりません。すでに焼いてしまっていたのです。このことで、モーセはエルアザルとイタマルとをしかりました。 + 「なぜ罪の赦しのためのいけにえを聖所で食べなかったのだ。それは最も神聖なもので、全国民の罪を取り除くために、主の前でその償いをさせようと主が下さったものではないか。 + その血は聖所の中に持って行かなかった。だから、聖所で食べなければならない。ちゃんとそう言っておいたはずだ。」 + その時、アロンが中へ割って入りました。「まあまあ、そこまで言わなくても……。確かに二人は今日、罪の赦しのためのいけにえと焼き尽くすいけにえをささげました。でも、あんなことが起こった日にいけにえの肉を食べても、主はお喜びにならないでしょう。」 + 言われてみればもっともです。モーセも納得しました。 + + + さて主は、モーセとアロンに命じました。 + 「人々に言いなさい。食用にできる動物は、ひづめが分かれ、反芻するものだけである。 + らくだ、岩だぬき、野うさぎは食べてはならない。反芻はするが、ひづめが分かれていないからだ。ひづめは分かれているが、反芻しない豚もだめだ。 + これらは肉を食べることはおろか、死体にさわってもいけない。絶対に食用にできない動物である。 + 魚は、ひれとうろこがあるものなら、海のものでも川のものでも食べてよい。 + しかし、それ以外の水中動物は絶対に食べてはならない。 + 肉を食べてもいけないし、死骸にさわってもいけない。 + くり返すが、ひれとうろこのない水中動物は食べられない。 + 鳥の中では、次のものは食べてはならない。はげわし、はげたか、みさご(タカ科の鳥)、はやぶさの類全部、とび、からすの類全部、だちょう、よたか、かもめ、たかの類全部、ふくろう、鵜、みみずく、白ふくろう、ペリカン、野がん、こうのとり、さぎの類全部、やつがしら、こうもり。 + 飛ぶもので四つ足のものは食べてはならない。 + しかし、跳びはねるもの、いなごなどの類は別である。いなご、ばった、大いなご、小いなごなどは食べてかまわない。 + それ以外に飛ぶもので、四つ足のものは食べてはならない。 + その死骸にさわる者はみな、夕方まで汚れる。 + 死骸を持ち運んだ者はすぐ衣服を洗いなさい。礼拝規定で汚れた者とみなされ、夕方まで身を慎まなければならない。 + ひづめが完全に分かれていない動物や、反芻しない動物にさわる者は汚れる。 + 足の裏のふくらみで歩く動物は食べられない。死骸にさわるだけで夕方まで汚れる。 + 死骸を持ち運ぶ者は衣服を洗わなければならない。夕方まで、礼拝規定で汚れた者とみなされる。 + 地面をはい回る動物のうち、次のものは汚れている。もぐら、とびねずみ、大とかげ類、やもり、わに、とかげ、すなとかげ、カメレオン。 + これらの死骸にさわれば、夕方まで汚れる。 + 死骸が何かの上に落ちた場合は、木の容器でも衣服でも敷物でも袋でも、みな汚れる。それにさわった物は何でも水につけなさい。夕方まで汚れるが、また使ってもかまわない。 + 土の容器の中に落ちた場合、中の物は何でも汚れる。容器は砕いてしまいなさい。 + 汚れた容器の水がかかった食べ物はみな汚れる。汚れた容器に入っている飲み物も汚れる。 + それらの動物の死骸が触れたかまどや炉は汚れたものなので、壊してしまいなさい。 + 死骸が泉とか水ために落ちた場合は、水は汚れない。ただし、死骸を引き上げる者は汚れる。 + 畑にまく種に死骸が触れても、種は汚れない。 + ただし、ぬれた種の上に落ちた場合は汚れる。 + 食用にできる動物が病死した場合は、その死骸にさわれば夕方まで汚れる。 + その肉を食べたり死体を運んだりした者は、衣服を洗いなさい。その者は夕方まで汚れる。 + 地面をはう動物は食べてはならない。爬虫類のうち、腹ではうもの、足のあるものも含まれる。たくさんの足ではうものも食べてはならない。汚れたものだからだ。 + それにさわって自分を汚してはならない。 + わたしはあなたがたの神、主である。以上のものについて身をきよく保ちなさい。わたしは聖なる者だから、あなたがたも聖なる者になりなさい。地をはい回るものにさわって身を汚さないようにしなさい。 + わたしはあなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトから救い出した。だから、わたしが聖なる者であるように、あなたがたも聖なる者にならなければならない。」 + 以上が、動物、鳥、水中に住む動物、地をはう動物についての指示です。 + これによって、地上の動物の中で、礼拝規定上どれがきよくて、食べてよいものか、どれが汚れていて、食べてはならないものかの区別ができます。 + + + 主はモーセに、民に次のような指示を与えるよう命じました。 + 「男の子が生まれたときは、母親は七日間汚れる。生理のときと同じである。 + 八日目にその子に割礼(男子の性器の包皮の一部を切り取る儀式)を施しなさい。 + さらに三十三日間は汚れをきよめる期間だから、聖なるものにさわったり幕屋に入ったりしてはならない。 + 女の子を産んだときは、汚れは二週間続く。その期間中、母親は生理のときと同じ制約を受ける。さらに、汚れをきよめるのに六十六日かかる。 + 彼女のきよめの期間が終わったら、男の子の場合も女の子の場合も、次のとおりにいけにえをささげなさい。一歳の子羊一頭を焼き尽くすいけにえに、家鳩のひなか山鳩一羽を罪の赦しのためのいけにえにする。それを幕屋の入口の祭司のところに持って来る。 + 祭司がいけにえを主にささげ、罪の償いをしてくれる。こうして、彼女は出産のときの出血の汚れからきよめられる。これが産後のきよめの規定である。 + しかし、貧しくて子羊を用意できない場合は、山鳩か家鳩のひな二羽でもよい。一羽を焼き尽くすいけにえ、もう一羽を罪の赦しのためのいけにえとしなさい。祭司がそれで罪の償いをしてくれる。これで、再び礼拝規定上きよい者となる。」 + + + 主はモーセとアロンに命じました。「皮膚に腫れもの、かさぶた、できもの、吹き出物が出て皮膚が透明状になったときは、ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)の疑いがある。祭司アロンか、その息子のところに患者を連れて行き、 + 患部を見てもらいなさい。患部の毛が白くなり、患部が皮膚の下まで及んでいるようなら、ツァラアトである。祭司はツァラアトだと宣告しなければならない。 + ただし、白い患部が皮膚の下までは及んでいないようで、毛も白く変わっていないなら、患者を七日の間、隔離する。 + 七日目に祭司が患部を調べる。患部がそのまま広がっていないなら、さらに七日の間、隔離する。 + 七日目にまた調べ、患部がよくなり、広がっていないなら、「きよい」と宣言する。ただの発疹にすぎなかったのだから、患者は衣服を洗うだけで、元どおりの生活に戻れる。 + もし、調べてもらったあとで患部が広がったら、もう一度、祭司のところに行かなければならない。 + 調べた結果、患部が広がっているなら、祭司は彼を「汚れている」と宣告する。これはツァラアトである。 + ツァラアトの疑いのある患者は、必ず祭司のところに連れて来る。祭司は皮膚に白い腫れものがあるか、患部の毛は白いか、腫れものがひどくただれているかなどを調べる。 + そのような症状がはっきり見えたら、慢性のツァラアトである。祭司は患者に「汚れている」と宣言しなければならない。その人は明らかに汚れているので、検査を続けるために隔離される必要はない。 + ツァラアトが足の先から頭の先まで全身に広がっているのがわかったら、 + 祭司はその人に、「きよい」と宣言する。全身が白くなっているので治ったのである。 + ただし、一箇所でもただれたままの赤肌が残っているなら、「汚れている」と宣告される。 + それがあとで白く変わったら、祭司に見てもらう。患部が完全に白く変わっていたら、祭司は「きよい」と宣言する。 + できものが治っても、 + 白く腫れ上がっていたり、赤みがかって白く光っていたりしたら、祭司に見せなければならない。 + 祭司は調べて、できものが皮膚の下まで及んで見えたり、患部の毛が白くなっていたりしたら、「汚れている」と宣言する。できものの痕がツァラアトにかかったからだ。 + ただし、患部の毛が白くなっておらず、患部が皮膚の下まで及んでいないように見え、色も灰色なら、患者を七日の間、隔離する。 + その期間に患部が広がれば、「汚れている」と宣言する。 + 患部がひどくもならず、広がってもいないなら、できものの痕にすぎないから、祭司は彼を「きよい」と宣言する。 + やけどの箇所が赤みがかった白か、ただ白く光っている場合は、必ず祭司に見せる。 + 光った患部の毛が白くなり、ただれが皮膚の下まで及んでいるようなら、やけどをした部分がツァラアトにかかったのだ。祭司は患者を「汚れている」と宣言する。 + 祭司が見て、患部の毛も白くなく、ただれも皮膚の下まで及んでおらず、治りかけているようなら、患者を七日間、隔離する。 + 七日目に彼を調べて、患部が広がっていたら「ツァラアトだ」と宣告する。 + 患部が転移したり広がったりせず、治りかけているようなら、やけどの痕にすぎない。祭司は「ツァラアトではない」と宣告する。 + 男でも女でも、頭かあごに、腫れものがあったなら祭司はその患部を調べる。患部が皮膚の下まで及んでいるように見え、黄色い毛が見つかったらツァラアトを宣告する。 + ただし祭司が見て、患部は皮膚だけにとどまり、しかも黒い毛がないなら、患者を七日の間、隔離する。 + 七日目にもう一度調べるのだ。それで患部が広がりもせず、黄色い毛も見つからず、患部も皮膚の下まで及んでいないようなら、 + 患部の毛は残し、回りの毛を全部そり落とす。こうしてさらに一週間だけ隔離する。 + 七日目にまた調べて、患部が広がりもせず皮膚の下まで及んでもいないようなら、祭司は彼を「きよい」と宣言する。その人は衣服を洗えばいつでも帰してもらえる。 + しかし、あとで患部が広がり始めたら、 + 祭司はその人を再び調べなければならない。確かに広がっていれば、黄色い毛を調べるまでもなくツァラアトを宣告する。 + 特に広がっているわけでもなく、患部に黒い毛が生えているなら治ったのであり、ツァラアトではない。祭司は彼を「きよい」と宣告する。 + 男でも女でも、皮膚に透明状の部分はあるが、 + それが鈍い白色で、だんだん消えていくなら、単なる湿疹である。 + 髪の毛が抜け、はげてきたからと言って、ツァラアトである決め手にはならない。 + 前頭部の毛が抜けても、はげただけで、ツァラアトではない。 + もし、はげた箇所に赤みがかった白い部分があれば、ツァラアトの疑いがある。 + その場合は祭司が調べ、ツァラアトのような赤みがかった白い腫れものがあれば、 + ツァラアトを宣告しなければならない。 + ツァラアトだと宣告された者は、衣服を引き裂き、髪を乱し、口を覆って、『私は汚れている。汚れている』と叫んで歩かなければならない。 + その症状がある間は汚れた者とみなされ、野営地の外で暮らす。 + 毛や亜麻布の衣服や織物、皮や皮細工物に緑あるいは赤みがかった斑点ができ、ツァラアトの疑いがある場合は祭司に見せなさい。 + 祭司はそれを七日の間、隔離しておき、 + 七日目に取り出して調べる。もし斑点が広がっていれば、伝染性のツァラアトである。 + ツァラアトが発生した物は、衣服でも織物でも亜麻布や毛の覆いでも皮製品でも、焼き捨てなければならない。伝染するといけないからだ。 + 七日目に調べて斑点が広がっていなければ、 + 問題の物を洗い、さらに七日間そのままにしておきなさい。 + そのあとも斑点の色が元のままなら、広がっていなくても確かにツァラアトだから焼き捨てなさい。その物は完全に汚染されている。 + 洗ったあと、斑点が消えたら、布でも皮製品でも、その部分を切り取る。 + それでもなお斑点が現れるときはツァラアトだから焼き捨てなさい。 + 洗っただけで斑点がすっかり消えれば、もう一度洗い直してから前のように使える。」 + 以上は、皮や布製の衣服などにツァラアトが発生した場合の指示です。このようにして、ツァラアトかどうかの判断を下します。 + + + 主はまた、モーセに、ツァラアトが治った人をどうするかを指示しました。 + 「まず、祭司が野営地を出て、患者を調べ、確かにツァラアトが治っていたら、 + 食用にできる鳥を生きたままで二羽、杉の木、緋色の撚り糸、ヒソプの枝をその人のために持って来させる。治った者のきよめの儀式をするのだ。 + 祭司は、二羽のうち一羽を土器に入れた湧き水の上でほふるよう命じる。 + 生きているほうの鳥を、杉の木、緋色の撚り糸、ヒソプの枝といっしょにその血に浸す。 + 次にツァラアトが治った者にその血を七度振りかけ、「きよい」と宣告する。そのあと、生きているほうの鳥を野に放す。 + 治った者は衣服を洗い、毛を全部そり落として体を洗う。こうしてから野営地に戻り、元の生活をする。ただし初めの七日間は、自分のテントに入ってはならない。 + 七日目にもう一度、髪もひげもまゆも全部そり落とし、衣服と体を洗う。これで、完全にツァラアトが治ったと宣告される。 + 翌日、傷のない雄の子羊二頭と、傷のない一歳の雌の子羊一頭、細かくひいた上等の小麦粉六‧九リットルをオリーブ油でこねたもの、オリーブ油〇‧三リットルを持って来る。 + 祭司は、その者とささげ物を幕屋の入口へ引いて来る。 + まず、雄の子羊一頭とオリーブ油〇‧三リットルをささげ、祭壇の前で揺り動かして罪過を償ういけにえとしなさい。 + 幕屋の中の、焼き尽くすいけにえと、罪の赦しのためのいけにえをほふる場所で、その子羊をほふるのだ。このいけにえは、罪過のためのいけにえと同じく最も聖なるささげ物で、祭司の食物となる。 + 祭司はその血を取り、きよめられる者の右の耳たぶと手足の右親指に塗る。 + それからオリーブ油を左の手のひらに注ぎ、 + 右手の指で、神の前に七回振りかける。 + 手に残った油は、患者の右の耳たぶと手足の右親指に塗る。つまり、罪を償ういけにえの血の上に塗ることになる。 + まだ残っている油は、最後にその者の頭に注ぐ。こうして祭司は、主の前でその者の罪を償う。 + このあと、罪のためのいけにえをささげ、もう一度、汚れからきよめられた人の罪を償う。それがすんだら、焼き尽くすいけにえをほふり、 + 祭壇に穀物の供え物といっしょにささげる。これらの儀式が全部すんで初めて、その人はきよくなったと宣告される。 + 貧しくて子羊二頭をささげられないときは、罪過を償ういけにえとして雄の子羊を一頭ささげなさい。ほかに、二‧三リットルの上等の小麦粉をオリーブ油でこねたものを穀物の供え物とし、〇‧三リットルのオリーブ油を添える。 + また、山鳩か家鳩のひなを二羽持って来る。どちらでも手に入るほうでかまわない。一羽を罪が赦されるためのいけにえに、もう一羽を焼き尽くすいけにえにする。 + この場合も子羊と同じように、八日目に幕屋の入口にいる祭司のところに持って来る。主の前で、きよめの儀式を行うためである。 + 祭司は子羊と〇‧三リットルの油を罪過を償ういけにえとし、祭壇の前で揺り動かしてささげる。 + 子羊を殺し、その血を、きよめの儀式にあずかる者の右の耳たぶと手足の右親指に塗る。 + 次に、オリーブ油を左の手のひらに注ぎ、 + 主の前に右手の指で七回振りかける。 + 続いて、その者の右の耳たぶと右手足の親指に塗る。罪過を償ういけにえの血と同じ場所につけるのだ。 + 残りの油はきよめにあずかる者の頭に注ぎかけ、主の前でその者の罪を償う。 + それから彼は、山鳩か家鳩のひな二羽をささげる。どちらでも手に入るほうでかまわない。 + 一羽を罪の赦しのためのいけにえ、もう一羽を焼き尽くすいけにえとし、穀物の供え物といっしょにささげる。こうして、祭司は主の前で、その者のために罪の償いをするのである。」 + 以上は、ツァラアトが治っても、きよめの儀式に普通のささげ物ができない者についての指示です。 + 続いて主は、モーセとアロンに命じました。「約束の地であるカナンの国に着いたら、ある家にツァラアトが発生するだろう。 + その時は家の持ち主に、『家にツァラアトが発生したようです』と報告させなさい。 + 報告を受けた祭司は、検査の前に必ず家を空にするよう命じる。さもないと、祭司がその家にツァラアトが発生したと宣告するとき、家財道具まで全部汚染されたことになってしまうからだ。 + 家の壁に、緑あるいは赤みがかったしまがあり、表面だけでなく中まで及んでいるようだったら、七日間その家を閉鎖する。 + 七日目にもう一度調べ、しまが壁に広がっていたら、 + その部分を取り壊すよう命じる。取り除いた石は町の外の汚れた場所に捨てる。 + それから壁の内側をすっかり削り落とし、町の外の汚れた場所に捨てる。 + 代わりに新しい石を入れ、新しいモルタルを塗る。 + それでもまた、しまが現れたら、 + 祭司が確かめる。しまが広がっているのがはっきりすれば、ツァラアトに間違いない。その家は汚れている。 + すぐ取り壊させなさい。石も材木もモルタルも全部、町の外の汚れた場所に運び出す。 + 閉鎖中の家に入った者は夕方まで汚れる。 + その家で休んだり食事したりした者は、衣服を洗わなければならない。 + 祭司がもう一度見に来た時、塗り替えた壁にしまが広がっていなければ、その家はきよめられ、ツァラアトは治ったと宣告する。 + そして、二羽の鳥、杉の木、緋色の撚り糸、ヒソプの枝で、きよめの儀式を行う。 + 祭司は、土の器に入れた湧き水の上で鳥の一羽をほふり、 + その血の中へ生きている鳥を、杉の木、ヒソプの枝、緋色の撚り糸といっしょに浸し、七回その家に振りかける。これで家はきよくなる。 + それが終わったら、生きている鳥を町の外の野に放す。こうしてその家をきよめ、また住めるようにする。」 + 以上が、ツァラアトにかかった場所についての指示です。 + すなわち、衣服、家、 + 皮膚の腫れもの、やけどの痕、透明状の斑点などに関するものです。 + この指示に照らし合わせて、ほんとうにツァラアトかどうかがわかるのです。 + + + さらに、主はモーセとアロンに告げました。「人々に次のような指示を与えなさい。だれでも陰部から漏出があれば、汚れた者とみなされる。 + 実際に漏出があるときだけでなく、漏出がないときも、その期間は汚れた者となる。 + 寝床や座る物もみな汚れる。 + 患者の寝床にさわるだけで、夕方まで汚れた者となる。そうなれば、衣服と体を洗わなければならない。 + 汚れた者の座った物に座る者も、礼拝規定上は夕方まで汚れた者となる。やはり、衣服と体を洗わなければならない。 + また、漏出を病む人の患部にさわった場合も同じである。 + 患者につばをかけられたときも夕方まで汚れた者となり、衣服と体を洗わなければならない。 + 患者の乗った鞍は汚れる。 + 何でも患者が座った物にさわったり、それを運んだりした者は、夕方まで汚れた者となり、衣服と体を洗わなければならない。 + 患者が手を洗わずに人にさわったら、さわられた者は衣服と体を洗わなければならない。夕方までは汚れた者とみなされる。 + 汚れた者がさわった土の器は全部壊しなさい。木の容器は水できれいに洗えばよい。 + 漏出が止まったら、七日間きよめの儀式を行いなさい。衣服を洗い、流水で体を洗うのだ。 + 八日目に、幕屋の入口に、山鳩か家鳩のひな二羽を持って来て、祭司に渡す。 + 祭司はそこでいけにえをささげる。一羽を罪の赦しのためのいけにえに、もう一羽を焼き尽くすいけにえにする。こうして祭司は、漏出を病んだ患者のために罪の償いをする。 + 精液を漏らしたときは全身を洗うこと。本人は夕方まで汚れた者となる。 + 精液のついた衣服や皮も夕方まで汚れたものとなり、洗わなければならない。 + 性行為後は、男も女も体を洗わなければならない。二人とも翌日の夕方まで、汚れた者とみなされる。 + 女が生理のとき、七日間は汚れた者となる。その期間に女にさわる者はだれでも、夕方まで汚れる。 + その期間に女の寝る床や座る物は汚れる。 + 女の寝床や座った物にさわる者も、衣服と体を洗わなければならない。夕方まで汚れた者となる。 + この期間に女と性行為をする者は、礼拝規定で七日間汚れた者となる。彼の寝床も汚れる。 + 生理の出血が、普通の期間を過ぎても止まらないか、不定期にあった場合にも、同じ規定を適用する。 + その期間に寝た床は、通常の生理の場合と同様に汚れる。座った物も同じである。 + その女の寝床や座った物にさわる者は夕方まで汚れる。衣服と体を洗いなさい。 + 月のものが止まって七日たったら、汚れはきよくなる。 + 八日目に、山鳩か家鳩のひな二羽を、天幕の入口の祭司のところに持って行きなさい。 + 祭司は一羽を罪の赦しのためのいけにえに、もう一羽を焼き尽くすいけにえにする。生理の汚れのために、主の前でその女の罪の償いをする。 + こうして、人々を汚れからきよめる。彼らの間に建てられたわたしの聖所を汚し、死ぬようなことがないためだ。」 + 以上が、陰部に漏出のある者や、精液を出して汚れた者、生理の期間中の女、その期間中の女と性行為を行った者に関する指示です。 + + + アロンの二人の息子が主の前に近づいて死んだのち、主はモーセに告げました。「あなたの兄アロンによく言っておきなさい。勝手に垂れ幕の奥の聖所(至聖所と呼ばれる)に入り、契約の箱(十戒が納められている)の上の『恵みの座』に近づいてはならない。死なないためである。『恵みの座』にかかる雲の中に、わたしは現れるからだ。 + アロンがそこに入るときは、次のようにしなさい。若い雄牛を罪の赦しのためのいけにえとして、また、焼き尽くすいけにえとして用意し、 + 体を洗い、神聖な亜麻布の長服、下着、帯、ターバンを必ず身に着けなさい。 + それから、罪の赦しのためのいけにえに雄やぎ二頭、焼き尽くすいけにえに雄羊一頭を、会衆から受け取る。 + アロンはまず自分のために、罪の赦しのために若い雄牛をささげ、自分と家族の罪の償いをする。 + 続いて、主の前、幕屋の入口にやぎ二頭を引いて来て、 + くじを引き、神のものになるほうと、すべての民の罪の身代わりに荒野へ放つほうを決める。 + 主のものと決まったほうを、罪の赦しのためのいけにえとする。 + もう一頭は、生かしたままで主の前に置く。罪を償う儀式を行ったら、すべての民の罪の身代わりとして荒野へ放つ。 + 自分と家族の罪が赦されるために若い雄牛をささげたあと、 + アロンは主の祭壇から炭火を火皿いっぱいに取り、細かく砕いた香り高い香を両手いっぱいにつかんで垂れ幕の奥に入る。 + そこで主の前に香を炭火にくべる。香の煙が契約の箱の上の『恵みの座』を包むようにする。こうすればアロンは死なない。 + 次に、若い雄牛の血を持ってもう一度中へ入り、指につけて『恵みの座』の東側に振りかけ、前面にも七回振りかける。 + それが終わったら出て行って、民の罪が赦されるためのいけにえとしてやぎをほふり、その血を垂れ幕の奥へ持って入り、若い雄牛のときと同じように、『恵みの座』の上と前面に振りかける。 + このようにして、アロンは至聖所の汚れをきよめる。至聖所が人々の罪で汚されたからだ。人々のただ中にあって、汚れに囲まれている幕屋のためにも、同様にする。 + アロンが聖所に入って罪の償いをするときは、自分と家族と全イスラエル人のために罪の償いをして出て来るまで、だれひとり幕屋に入ってはならない。 + それがすんだら、主の前にある祭壇の汚れをきよめる。若い雄牛とやぎの血を祭壇の角に塗る。 + また、指に血をつけて祭壇に七回振りかける。こうして、祭壇を全イスラエル人の罪からきよめ、神聖なものとする。 + 至聖所と幕屋全体と祭壇をきよめる儀式が終わったら、アロンはもう一頭の生きているやぎを引いて来て、 + その頭に両手を置き、民の犯した罪をすべて告白する。すべての罪をやぎの頭に載せ、特別その仕事に任じられた者が荒野に放つ。 + やぎは人々のすべての罪を背負ったまま無人の地へ引いて行かれ、荒野に放たれる。 + それからアロンはまた幕屋に入り、垂れ幕の奥へ入るときにつけていた亜麻布の装束を脱ぐ。服はそこへ置いたままにして、 + 神聖な場所で体を洗い、大祭司のいつもの服に着替えて外へ出て、自分と民のために、焼き尽くすいけにえをささげ、罪の償いをする。 + 罪の赦しのためのいけにえの脂肪も祭壇で焼く。 + やぎを荒野へ引いて行った者は、衣服と体を洗ってから野営地に戻る。 + 罪の赦しのためのいけにえにした若い雄牛とやぎの死骸で、アロンが至聖所内で罪の償いの儀式に使ったものは野営地の外に運び出し、皮も内臓もみな焼き捨てる。 + これを焼く者は、衣服と体を洗ったあと野営地へ戻る。 + これから命じることは、あなたがたが永遠に守るべきおきてである。毎年第七の月の十日(太陽暦では九月二十四日)は何の仕事もせず、謙虚に自分を反省する日としなさい。イスラエル人も共に住む外国人も区別はない。この日は、すべての罪が赦され、神の目から見てきよい者と認められる、罪の償いの日だからだ。 + 完全な休息の日として、身も心も静め、謙遜な思いで一日を過ごしなさい。これは永遠のおきてである。 + アロンの死後も、彼の後継者として油を注がれる大祭司が、代々この儀式をとり行う。神聖な亜麻布の装束を身にまとい、 + 聖所、幕屋、祭壇、祭司、全国民の汚れをきよめ、罪の償いをしなさい。 + くり返すが、これはイスラエルの永遠のおきてであり、年に一度、すべての民の罪が赦されるためになされるものである。」 + アロンは、主がモーセに指示したとおり、すべて行いました。 + + + 主はまた、アロンと祭司への教え、すべてのイスラエルの民への教えをモーセに示しました。 + 「雄牛、子羊、やぎを幕屋以外の場所でいけにえとしてささげる者は殺害の罪に問われ、国から追放される。 + これは、野外でいけにえをささげることを禁止し、いけにえはすべて幕屋の入口の祭司のところに持って来させ、そこで、脂肪を焼き、わたしの受け入れる香りを放つようにさせるためである。 + このようにして、祭司は幕屋の入口にある神の祭壇に血を振りかけることができ、また、わたしの受け入れる香りを放つための脂肪を焼くことができる。 + そして、イスラエル人は二度と野外で悪霊にいけにえをささげなくなる。これは彼らにとって守るべき永遠のおきてである。 + くり返すが、イスラエル人であっても共に住む外国人であっても、焼き尽くすいけにえや他のいけにえを、幕屋の入口以外の場所でささげる者は追放される。 + また、イスラエル人であっても、在留外国人であっても、血を食べる者からわたしは顔をそむけ、イスラエルから追放する。 + 血はいのちそのものであり、罪を償い、たましいを救う代償として祭壇に振りかけるものだからだ。 + イスラエル人も在留外国人も、血を食べてはならないと命じたのは、このためである。 + イスラエル人でも在留外国人でも、猟に出かけ、食用にできる動物や鳥を殺した場合は、血を絞り出し、土をかぶせておかなければならない。 + 血はいのちだからである。動物でも鳥でも、いのちは血にあるのだから、血を食べてはならない。血を食べる者は追放される。 + 自然に死ぬか、野獣に裂き殺されるかした動物を食べるなら、イスラエル人でも在留外国人でも、衣服と体を洗わなければならない。夕方まで汚れた者となる。そのあとは、彼はきよい者とみなされる。 + この決まりどおりにしなければ、どんな罰を受けようと、すべて本人の責任である。」 + + + 主はモーセに、次のことを人々に教えるように言いました。「わたしはあなたがたの神、主である。 + だから、異教徒のまねをしてはならない。長い間住んでいた異教の地エジプトや、これから行こうとするカナンの人々のようにふるまってはならない。 + わたしのおきてだけに従いなさい。細かな点に至るまできちんと守りなさい。わたしはあなたがたの神、主だからだ。だれでも、わたしのおきてに従うなら生きる。わたしは主である。 + 近親者と性的に交わってはならない。わたしは主である。 + 娘が父と、息子が母と性的に交わってはならない。 + また、父の妻(継母)も同じである。 + 実の姉妹とでも片方の親が違う姉妹とも、交わってはならない。同じ家で生まれても、ほかの家で生まれても変わりはない。 + また、娘の娘であれ、息子の娘であれ、孫娘と交わってはならない。 + 腹違いの妹とも、 + 父方のおばとも交わってはならない。 + 母方のおばとも交わってはならない。 + 父方のおじの妻である義理のおばとも交わってはならない。 + 息子の妻である義理の娘とも交わってはならない。 + 兄弟の妻も同様である。 + あなたは、女とその娘、あるいはその孫娘の両者と性的に交わってはならない。二人は肉親であり、それは恥ずべき行為である。 + 姉妹を同時に妻にしてはならない。嫉妬に駆られて争うようになるからだ。妻が死んだあと、その姉妹と結婚することは許される。 + 生理中の女と、性行為をしてはならない。 + 人の妻と関係して身を汚してはならない。 + 子どもを異教の神モレクにささげて焼き殺してはならない。わたしの名を決して汚してはならない。わたしはあなたがたの神、主だからだ。 + 同性間の性行為は許されない。それは憎むべきことである。 + 男も女も、動物と性行為をして不道徳を行ってはならない。それは、絶対にあってはならない行為である。 + このようなことをして身を汚してはならない。それは異教徒のすることである。彼らがそんなことをしているからこそ、わたしはあなたがたの目指す国から彼らを追い出すのだ。 + 国全体がそれらの行為で汚れ果てている。そこの住民を罰し、国から追い出す。 + あなたがたはわたしのおきてと定めをしっかり守りなさい。このような恐るべきことを行ってはならない。イスラエル人も在留外国人も、わたしに従いなさい。 + 確かに、これから行こうとしている国の住民は、このような憎むべきことをくり返して国中を汚した。 + そのまねをしてはならない。さもないと彼らばかりか、あなたがたまで追い出すことになる。 + このようなことを行う者は、だれであっても追放する。だから、どんなことがあってもわたしのおきてに従いなさい。くれぐれも、これから行く国で悪い習慣に染まり、身を汚すことがないように。わたしはあなたがたの神、主である。」 + + + さらに主はモーセに、次のことを人々に教えるように告げました。「あなたがたの神、主であるわたしは聖なる者であるから、あなたがたも聖なる者となりなさい。 + 両親を尊敬し、安息日の定めを守りなさい。わたしはあなたがたの神、主だからだ。 + 偶像の神々を造ったり、拝んだりしてはならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + 和解(感謝)のいけにえをささげるときは、正しくささげなければならない。 + その肉はささげた日か、遅くとも翌日には食べなさい。三日目になってまだ残っている分は必ず焼き捨てなさい。 + 三日目に食べても、わたしは不快に思うだけで受け入れない。 + そればかりか、食べた本人は主の神聖さを汚したのだから罪となる。彼はイスラエルから追放される。 + 刈り入れのときは、畑の隅々まで刈り取ってはならない。地面に落ちた穂を拾い集めてもいけない。 + ぶどうの収穫の場合も同じで、実をすっかりもぎ取ったり、ぶどう畑に落ちた実を拾ったりしてはならない。貧しい者や在留外国人が取れるように残しておきなさい。わたしはあなたがたの神、主だからだ。 + 盗んだり、うそをついたり、だまし取ったりしてはならない。 + わたしの名にかけて偽って誓ってはならない。それは神の名をひどく傷つけることである。 + 人を虐待したり、人のものを奪い取ったりしてはならない。使用人にはきちんと給料を払いなさい。支払いを翌朝まで延ばしてはならない。 + 耳の聞こえない人をさげすんだり、目の見えない人をわざとつまずかせたりしてはならない。神を恐れなさい。わたしは主である。 + 人をさばくときは、いつも公正なさばきをしなければならない。強い人か弱い人か、金持ちか貧しいかによって、左右されてはならない。 + うわさ話をして回ってはならない。ありもしないことで人を訴え、罪に陥れてはならない。 + 人を憎んではならない。罪を犯した者は戒めなさい。放っておいてはいけない。さもないと同罪とみなされる。 + 復讐してはならない。人を恨んではならない。むしろ、自分を愛するように人を愛しなさい。 + わたしのおきてを守りなさい。種類の違った家畜を交配させてはならない。畑に二種類の種をまいてはならない。毛と亜麻の混紡の服を着てはならない。 + 婚約している女奴隷を誘惑した場合、二人とも裁判を受けるが死刑にはならない。女が自由の身でないからだ。 + 誘惑した男は、罪過を償ういけにえを幕屋の入口に持って来る。いけにえは雄羊でなければならない。 + 祭司は雄羊をささげて、その男が犯した罪の償いをする。そうすれば赦される。 + 約束の国へ入って果樹を植えたら、何の木であっても三年は実を食べてはならない。礼拝規定で汚れたものとみなされるからだ。 + 四年目に全収穫をささげ、神の恵みをたたえる供え物としなさい。 + 五年目からは、収穫はあなたがたのものとなる。 + 血抜きしていない肉を食べてはならない。占いや魔術を使ってはならない。 + こめかみの毛をそったり、ひげの両端を刈り込んだりしてはならない。それは異教徒のすることだ。 + 葬儀の時に死者を悼んで自分の体に傷をつけたり、入れ墨をしたりしてはならない。 + 娘に売春をさせて身を汚させてはならない。恐ろしい悪が国中にはびこらないように、こう警告しておく。 + 安息日の定めを守り、幕屋を神聖な場所として重んじなさい。 + 霊媒や口寄せに頼って心を惑わせてはならない。 + 老人には一目おき、尊敬を払いなさい。また、神を恐れなさい。わたしは主である。 + あなたがたの間に住む在留外国人の弱みにつけ込んだり、虐待したりしてはならない。 + 国民と同様に扱い、自分を愛するように愛しなさい。自分たちもエジプトでは在留外国人だったことを忘れてはならない。 + 判断は公平で正しくなければならない。正確なはかりを用いなさい。長さでも重さでも量でも、正しくはかりなさい。わたしは、あなたがたをエジプトから救い出した、あなたがたの神、主である。 + わたしの命じたことは、どれも注意深く守りなさい。わたしは主である。」 + + + 主はイスラエルの民のために、さらに次のような指示をモーセに与えました。「イスラエル人でも在留外国人でも、わが子を異教の神モレクのいけにえとする者は、必ず同胞の手で石打ちの刑に処せられる。 + わたしもその者から顔をそむけ、イスラエルから断つ。わが子をモレクにささげることによって、わたしの名を汚し、わたしの聖所を汚したからだ。 + たとえ全国民がそのことに目をつぶり、処刑を拒んでも、 + わたしは決して赦さない。本人ばかりか家族からも顔をそむけ、モレクを求めて不道徳なことを行うすべての者を、イスラエルから断つ。 + わたしの代わりに霊媒や口寄せなどに頼る者からもわたしは顔をそむけ、イスラエルから断つ。 + だから、自分をきよめて聖なる者になりなさい。わたしはあなたがたの神、主だからだ。 + わたしのおきてを忠実に守りなさい。わたしはあなたがたを聖なる者とする主である。 + 自分の両親をのろう者は必ず死刑に処せられる。それが当然の報いである。 + 人妻と姦淫を犯せば、男も女も共に死刑に処せられる。 + 父の妻(継母)と性的に関係する者は父を辱めたので、当然の報いとして男も女も死刑に処せられる。 + 義理の娘と関係すれば二人とも死刑に処せられる。互いの責任で道ならぬことをし、この結果を招いたのである。 + 同性愛にふける者は、二人とも死刑に処せられる。それは彼らの責任である。 + 娘と母親の両方と関係することは、重い罪である。三人とも火あぶりにし、悪をぬぐい去りなさい。 + 動物と性行為を行う者は死刑にし、動物も殺してしまいなさい。 + 女の場合も同じだ。女も動物も殺しなさい。当然の報いである。 + たとえどちらかの親が違っても自分の姉妹と関係することは、恥ずべき行為である。二人とも公にイスラエルから追放される。それだけの罪を犯したからである。 + 生理中の女と関係すれば、二人とも追放される。女の身の汚れを人前にさらしたからだ。 + 父方でも母方でも、おばと関係してはならない。近親者だからだ。この戒めを破った者は必ず罰を受ける。 + おばと関係する者は、おじのものを奪うのである。二人は当然の罰を受け、子を残さずに死ぬ。 + 兄弟の妻と結婚するのは恥ずべきことである。兄弟のものを奪うからだ。彼らには子は生まれない。 + わたしのすべてのおきてと定めに従わなければならない。きちんと守りさえすれば、新しく住む国から放り出されることはないだろう。 + これからあなたがたの前から追い出す国々の習慣に従ってはならない。彼らは、わたしがしてはならないと警告したことを平気な顔でやっている。わたしはそんな者たちを激しく嫌う。 + 約束どおりあなたがたにあの国々を与えよう。そこは乳とみつの流れる地だ。あなたがたは、ほかのどんな国民とも違う。わたしが特別に選び、わたしがあなたがたの神、主となったからだ。 + 鳥でも動物でもわたしの命令どおり、食べられるものと、そうでないものをはっきり区別しなさい。どれほどたくさんいても、禁じたものは食べてはならない。食べ物のことで身を汚し、わたしに嫌われないようにしなさい。 + 主であるわたしが聖なる者だから、あなたがたも聖なる者となりなさい。あなたがたはほかの国民とは違う。わたしが選び出してわたしの国民としたからだ。 + 霊媒や口寄せを行う者は、男であっても女であっても石で打ち殺される。それが当然の報いである。」 + + + 続いて、主はモーセに告げました。「縁者に不幸があった場合、遺体にさわって身を汚してはならないと祭司に命じなさい。 + ただし、両親、息子、娘、兄弟、同居している未婚の姉妹といった近親者の場合は例外である。 + 祭司はすべての民の指導者だから、特に身をきよく保ちなさい。一般の人と同じにふるまって、身を汚してはならない。 + 祭司は髪やひげをそってはならない。異教徒がするように体を傷つけてはならない。 + 神の前に聖なる者となるように、神の名を冒瀆してはならない。さもないと、火で焼く食物の供え物を神にささげる資格はない。 + また、売春婦や離婚歴のある女と結婚することも許されない。祭司は神のもので、聖なる者だからだ。 + 神へのいけにえをささげるために選ばれた祭司を、聖なる者としなさい。あなたがたを選び、きよい者とするわたしが聖なる者だからだ。 + 祭司の娘でありながら売春婦になる者は、自分ばかりか父親のきよさまで汚すのだから、火あぶりの刑に処しなさい。 + 大祭司として油を注がれ、そのための装束を身につける者は、どんなに悲しいときも、髪を乱したり衣服を引き裂いたりしてはならない。 + たとえ両親の遺体であっても、近づいてはならない。 + 務めの間は聖所を離れてはならない。神聖な務めを果たす者として、神から任命されているからだ。 + 大祭司は同族の、しかも処女を妻にしなければならない。未亡人や離婚歴のある女、売春婦と結婚してはならない。大祭司の家系に一般人の血が混じってはならない。わたしが彼を特別に選び、きよい者としたからである。」 + 主はまた、モーセに語りました。「アロンに言いなさい。代々の子孫のうち、体に欠陥のある者は神にいけにえをささげてはならない。 + 目や足の不自由な者、鼻に欠陥のある者や手足の不釣り合いな者、 + 手足の折れた者、 + 背中の曲がった者、小人、できものや疥癬のある者、睾丸のつぶれた者など。 + アロンの子孫のうち、以上のような体に欠陥のある者は、火で焼くいけにえを主にささげることはできない。 + ただし、いけにえのうち祭司の食物になる分は、聖なるものでも最も聖なるものでも食べてよい。 + しかし、垂れ幕や祭壇に近づいたりしてはならない。彼はわたしの聖所を汚してはならない。そこを神聖な所とするのは主だからである。」 + モーセはこれらのことをアロンとその子ら、およびイスラエルのすべての民に告げました。 + + + 主はモーセに告げました。「アロンとその子らに、ささげ物を不用意に扱って、わたしの名を汚さないように教えなさい。わたしは主である。 + 今から永遠に、祭司が汚れたまま、人々の持って来た動物をいけにえにしたり、供え物を扱ったりするなら、その者は永久に祭司職を解かれる。 + ツァラアトにかかったり漏出のある祭司は、完全に治るまで聖なるものを食べてはならない。死体にさわった者、精液を漏らした者、 + 爬虫類など汚れた動物にさわった者、あるいは、何らかの理由で礼拝規定に定められた汚れたものにさわった者は、 + 夕方まで汚れる。夕方、体を洗うまでは、聖なるものを食べてはならない。 + 日が沈めばきよくなるから、そのあとは食べてもよい。それは祭司のいのちの糧だからだ。 + 祭司は、自然に死んだか、野獣に裂き殺された動物を食べてはならない。身を汚すことになるからだ。 + これらの命令を細心の注意をもって守るよう警告しなさい。それを破って、死を招くことがないように。わたしはあなたがたを選び、きよい者とする神である。 + 祭司でない者は、聖なるいけにえを食べてはならない。祭司の家の同居人や使用人であっても、口にしてはいけない。 + しかし、祭司が自分の金で買った奴隷は、そのいけにえを食べてよい。その家に生まれた奴隷の子も同じだ。 + 祭司の娘がほかの部族の者と結婚したときは、聖なるものを食べてはならない。 + ただし、未亡人となるか離婚するかして、面倒を見てくれる息子もなく、実家に戻った場合は、また食べることができる。 + 知らずに聖なるいけにえを食べた者は、食べた量の二割増しを祭司に返しなさい。 + 人々が持って来た聖なるいけにえは、神へのささげ物だから、一般の人が食べて汚してはならない。 + それを破れば罪に定められ、非常に危険な状態に陥る。聖なるささげ物を食べたからだ。わたしはささげ物をきよくする神である。」 + 続いて神は、モーセに告げて言いました。「アロンとその子ら、およびすべての民に命じなさい。イスラエル人、あるいは在留外国人が焼き尽くすいけにえを主にささげるときは、誓願のためのものであっても、自分から進んでするささげ物であっても、 + 傷のない雄でなければならない。それも若い牛か羊、あるいはやぎに限る。 + 傷のあるものはいっさい認めない。わたしはそのようなものは受け取らない。 + 和解のいけにえの場合も、誓願のためのものと、自分から進んでするささげ物の別なく、牛や羊は傷のあるものをささげてはならない。わたしはそのようなものは受け取らない。 + 目が見えなかったり、骨折していたり、傷があったり、うみが出ていたり、湿疹や皮膚病にかかったりしているものはささげてはならない。主の祭壇にささげる焼き尽くすいけにえにふさわしくないからだ。 + 神にささげる若い牛か羊の体の一部が伸びすぎていたり、欠陥があったりしたら、自分から進んでするささげ物にはできるが、誓願のためにささげてはならない。 + どんな傷でも睾丸の傷ついた動物は、つぶれていようが切り取られていようが、主にささげてはならない。 + イスラエル人だけでなく、在留外国人も同じ制限を受ける。わたしは傷のある動物は、いけにえとして受け取らないからだ。」 + 続いて主は、モーセに命じました。「牛か羊かやぎが生まれたら、七日間は母親のそばに置きなさい。八日以上たてば、火で焼くささげ物として主にささげることができる。 + 牛でも羊でも、母親と子を同じ日にほふってはならない。 + 感謝のいけにえをささげるときは、決まりどおりささげなければならない。翌日まで残さず、その日のうちにいけにえの肉を食べなさい。 + わたしのすべての命令に従いなさい。 + わたしを軽んじてはならない。聖なる神としてあがめなさい。あなたがたを聖なる者とし、エジプトから救い出してわたしの民としたのは、主であるこのわたしだ。」 + + + 主はモーセに命じました。「主の祭りを毎年欠かさず守るよう、人々に言いなさい。その時には全国民が集まり、主を礼拝するのだ。 + この祭りは安息日とは別のものである。毎週六日間は仕事をし、七日目は休み、集まるのは礼拝のためだけとしなさい。あとは家で静かに過ごしなさい。この安息日は、どこにいても守らなければならない。 + あなたがたが毎年行う聖なる祝祭は、次のとおりである。 + まず過越の祭り。これは第一の月の十四日(太陽暦では三月末)に祝う。 + 次は種なしパンの祭り。この祭りは過越の祭りの翌日から一週間、パン種を入れないパンを食べて祝う。 + 最初の日はふだんの仕事をすべて休み、礼拝のために集まる。 + 七日目も同様である。その間、毎日、火で焼くささげ物を神にささげる。 + 次は刈り入れの祭り。わたしがあなたがたに与える国で最初の収穫を上げたなら、安息日の翌日に、そのうちの一束を祭司のところに持って来なさい。祭司は、主の前でその束を揺り動かしてささげる。わたしはそれを受け取ろう。 + 同じ日に、焼き尽くすいけにえとして、一歳の傷のない雄の子羊をささげなさい。 + 穀物の供え物もいっしょにささげなさい。細かくひいた上等の小麦粉四‧六リットルをオリーブ油でこね、火で焼くささげ物としなさい。わたしはそれを受け入れる。また、ぶどう酒約一リットルを飲み物の供え物としてささげなさい。 + 最初の収穫をささげ終えないうちは、どんな収穫物も食べてはならない。新麦もパンも炒り麦も食べてはならない。これは、イスラエルの代々守るべきおきてである。 + 七週の祭りとして、最初の収穫をささげてから五十日目に、その後の収穫の中から、新しい穀物の供え物を持って来なさい。 + 家で焼いたパンを二つ、主の前で揺り動かしてささげる。パンは、四‧六リットルの小麦粉にパン種を入れて焼く。これは収穫物の初穂としてささげるのである。 + パンとぶどう酒といっしょに、傷のない一歳の子羊七頭と若い雄牛一頭、雄羊二頭を、焼き尽くすいけにえとして主にささげる。全部を火で焼いてささげる。それがわたしの受け入れるいけにえである。 + ほかに、罪の赦しのためのいけにえとして雄やぎ一頭を、和解のいけにえとして一歳の雄の子羊二頭をささげる。 + 収穫物の初穂としてささげたパンといっしょに、祭司はこれらのいけにえを揺り動かして主にささげる。 + その日はすべての民が礼拝に集まる。どんな仕事もしてはならない。これは代々守るべきおきてである。 + 刈り入れのときは、畑の隅々まで刈り取ってはならない。落ち穂を拾ってはいけない。貧しい人や土地を持たない在留外国人のために残しておきなさい。 + 第七の月の一日(太陽暦では九月十五日)は、すべての民が礼拝に集まる聖なる記念日である。ラッパを高らかに吹き鳴らし、その時を告げなさい。 + その日は一日、どんな仕事もしてはならない。ただ、火で焼くささげ物を主にささげなさい。 + すべての民の罪を償う日はその九日後、あなたがたは主の前に集まり、めいめいの犯した罪を悔い、火で焼くささげ物をささげなければならない。 + その日は、どんな仕事もしてはならない。主の前で罪の償いをする特別な日だからだ。 + その日一日、罪を悔い改めて過ごさないような者はイスラエルから追放され、 + その日に仕事をするような者は死刑に処せられる。これはイスラエルの永遠のおきてである。 + その日は神聖な安息日だから、謙遜に罪を悔い改めなさい。前日の夕方から、当日の夕方まで丸一日、身を慎んで過ごしなさい。 + さらに五日後の第七の月の十五日(太陽暦では九月二十九日)からは、主の前に七日間の仮庵の祭りを祝う。 + 最初の日はすべての民が仕事を休み、聖なる集会を開く。 + 祭りの七日間は毎日、火で焼くささげ物を神にささげる。八日目にもう一度、すべての民の聖なる集会を開く。その日も火で焼くささげ物をささげる。これは結びの集会で、仕事はすべて休まなければならない。 + 以上が毎年の祝祭である。その時は、すべての民が聖なる集会を開き、火で焼くいけにえをささげる。 + これらは毎週の安息日とは別に加えられるものである。ふだんのささげ物や誓願の供え物とは別のものをささげなければならない。 + なお、収穫の終わる時期に当たる第七の月の十五日から、この七日間の祭りを行う。祭りの最初の日と最終日は聖なる休息の日である。 + 最初の日に、実のついた果物の木の大枝と、なつめやしの木の葉、川べりにある柳などの葉の茂った大枝を持って来て〔仮小屋を作り〕、主の前で七日間、共に喜び合う。 + この祭りは永遠のおきてである。 + イスラエルで生まれた者はみな、この七日間を仮小屋で過ごす。 + わたしがエジプトからあなたがたを救い出し、仮小屋に住ませたことを永遠に忘れないためだ。わたしはあなたがたの神、主である。」 + モーセは人々に、これらの祭りを毎年欠かさず守るよう教えました。 + + + 続いて、主はモーセに告げて言いました。「至聖所を仕切る垂れ幕の外側に置いた純金の燭台に、絶えず火をともしておくために、純粋なオリーブ油を持って来るよう人々に命じなさい。毎日、朝と夕方二回、アロンは新しい油を足し、芯を調節する。その火は主の前に永遠にともし続けなければならない。 + 安息日ごとに、大祭司は神の前にある金のテーブルに、輪型のパン十二個を二列に並べる。パンは細かくひいた小麦粉を、一個につき四‧六リットルずつ使って焼き、純粋な香料を振りかける。これは、わたしがイスラエルと結んだ永遠の契約を記念するささげ物である。 + パンは、アロンとその子らが指定された場所で食べる。主の永遠のおきてに基づいてささげる火で焼くささげ物で、最も神聖なものだからだ。」 + さてある日、母がイスラエル人で父はエジプト人という男と、イスラエル人の男が野営地でけんかをしました。 + その最中、エジプト人を父に持つ男のほうが、神を冒瀆し、のろうことばを吐いたのです。ただではすまされず、彼はモーセのところへ連れて来られました。その男の母親はシュロミテといい、ダン部族のディブリの娘でした。 + 男は主の判決が下るまで、牢に入れておかれました。 + 主の下した判決はこうでした。「その者を野営地の外へ引き出し、のろいのことばを聞いた者全員が、その者の頭に手を置く。それから全員で石打ちにしなさい。 + はっきりさせておきなさい。神をのろう者は必ず罰を受ける。それも、全員で石打ちにする死刑である。神の名を冒瀆する者は、イスラエル人であっても在留外国人であっても、このおきてを適用し、死刑とする。 + 殺人犯もすべて死刑となる。 + 他人の動物を殺した者は、弁償しなければならない。 + 人を傷つけた者は、刑罰として同じ傷を負わされる。 + 骨折には骨折を、目には目を、歯には歯を。人にしたとおり、自分にも返ってくるのだ。 + もう一度言う。動物を殺せば弁償しなければならず、人を殺せば死をもって償わなければならない。 + イスラエル人も在留外国人も区別はない。わたしはあなたがたの神、主である。」 + 人々は主がモーセに命じたとおり、その男を野営地の外へ引き出し、石打ちにしました。 + + + モーセがまだシナイ山にいる間に、主は次のような人々への指示を彼に与えました。「わたしが与えようとしている国に着いたら、七年に一度は土地を休ませなさい。 + 六年間は畑に種をまき、ぶどう園の手入れをして収穫を上げるがいい。 + だが七年目は休耕して、主の前に土地を休ませなさい。種をまいたり、ぶどう園の手入れをしたりしてはならない。 + 手入れもしないのに自然に生えた実やぶどうを収穫するのも許されない。土地を休ませる年だからだ。 + その年に育った実は収穫はできないが、必要な分だけなら、だれが取ってもかまわない。あなたがたはもちろん、使用人、奴隷、あなたのもとにいる外国人も含まれる。家畜や野生動物にも自由に食べさせなさい。 + さらに五十年目を特別な年、ヨベルの年とする。 + その年の全国民の罪を償う日に、ラッパを国中に高く鳴り響かせなさい。 + 五十年目は聖なる負債免除の年である。負債のある者は、公私の別なく負債はすべて帳消しにされる。また、人手に渡った財産も戻ってくる。 + 種まきも、刈り入れもしてはならない。なんと恵まれた年だろう。 + 聖なる五十年祭だ。その年は、野に自然に育ったものを食べなさい。 + ヨベルの年には、だれもが元の財産を取り戻す。売ったものでも再び自分のものとなる。 + だから、それまでの四十九年間に土地を売買する場合は、ヨベルの年までの年数によって公正な値段をつけなさい。残りの年数が長ければ値段は高くなり、短ければ安くなる。つまり、土地を返すまで何回収穫できるかによって値段を決めるのだ。 + 神を恐れなさい。不当に高い値段をつけてはならない。わたしは主である。約束の国で安全に暮らしたければ、わたしのおきてに従いなさい。 + そうすれば豊作に恵まれ、不自由なく安全に暮らせる。 + 『七年目は作物を作れないのなら、いったい何を食べたらいいのか』と言うのか。 + 心配はいらない。六年目を豊作にし、たっぷり三年分の収穫を上げさせよう。 + 土地はわたしのものだから、それを永久に売り渡してはならない。あなたがたは任されている者にすぎないのだから。 + 土地を売るときは、いつでも買い戻せることを条件にしなければならない。 + 生活に困り、土地を手放さなければならなくなったときは、近親者が買い戻してかまわない。 + そのとき買い戻す者がいなくても、金ができしだい、売った本人が、ヨベルの年までの収穫の回数に見合う値段でいつでも買い戻せる。買い主は代金を受け取り、土地を返さなければならない。 + 元の持ち主が買い戻せないときは、ヨベルの年まで買い主のものとなる。ヨベルの年になったら当然返さなければならない。 + もし、城壁で囲まれた町の中にある家を売る場合は、一年間は買い戻す権利がある。 + 一年以内に買い戻せないときは、永久に新しい所有者のものとなる。ヨベルの年にも返す必要はない。 + 城壁で囲まれていない村にある家は、畑地と同じようにいつでも買い戻すことができ、ヨベルの年には元の持ち主に返される。 + ただし、レビ人の町の家の場合は、城壁に囲まれた町であっても、レビ人はいつでも買い戻せるし、 + ヨベルの年には彼らに返さなければならない。レビ人はほかの部族のように農地はもらえず、それぞれの町にある家と、その回りの畑しか持っていないからだ。 + レビ人は、町の周囲の公用地を売ってはならない。そこは彼らの永久の所有地だからである。 + 同胞のイスラエル人が生活に困ったら、助ける責任がある。客として家に招き、 + いっしょに住まわせなさい。神を恐れなさい。金を貸すなら無利子で貸しなさい。 + 決して利息を取ってはならない。必要なものは買い与えなさい。困っている人を利用して、もうけようとしてはならない。 + わたしは、あなたがたをエジプトから救い出してカナンの地を与える、あなたがたの神、主である。 + 同胞のイスラエル人が生活に困って身売りしても、奴隷のように扱ってはならない。 + 使用人か客のように扱いなさい。その者が仕えるのはヨベルの年までだ。 + その時が来れば、子どもたちといっしょに家族のところへ戻り、財産も取り戻せる。 + わたしは、あなたがたをエジプトから救い出した神であり、あなたがたはみな、わたしのしもべである。奴隷のように売られることも、 + 手荒く扱われることもあってはならない。神を恐れなさい。 + 周辺の国の外国人なら、奴隷として買ってもかまわない。 + また、イスラエル生まれの外国人の子どもも、奴隷として買うことができる。 + 生涯奴隷として使い、子孫に譲り渡してもよい。ただし、同胞のイスラエル人を、そのように扱ってはならない。 + 生活に困ったイスラエル人が、富裕な在留外国人やその家族に身売りした場合は、 + 兄弟か、おじか、いとこ、あるいは親せきの者ならだれにでも買い戻してもらえる。金ができれば、自分で自分を買い戻すこともできる。 + 自由の身となる代価は、ヨベルの年までの残りの年数によって決める。 + まだかなり間があるときは、身売りした時に受け取った額を払いなさい。 + 何年もたってヨベルの年まで残り少なくなっている場合は、それに見合うだけ払えばよい。 + イスラエル人が外国人に身売りした場合、買った外国人は、奴隷だからといって酷使してはならない。年ごとに雇われる使用人並みに扱いなさい。 + たとえ買い戻せない場合でも、ヨベルの年がくれば子どもたちといっしょに自由の身となる。 + イスラエル人は、わたしがこの手でエジプトから救い出した、わたしのしもべだからだ。 + + + 偶像を造ってはならない。彫像だろうが、石像だろうが、石の柱だろうが、偶像を拝んではならない。わたしがあなたがたの神、主だからだ。 + 安息日の定めを守り、幕屋(神がイスラエルの民と会う聖所)を重んじなさい。わたしは主である。 + わたしのおきてに従って歩むなら、 + 季節ごとに雨を降らせ、豊作をもたらす。麦の脱穀はぶどうの時期までかかり、ぶどうの取り入れは次の種まきの時まで続く。不自由なく安心して暮らせるだろう。 + 少しの心配もない平和な毎日を送ることができる。危険な野の獣はわたしが追い払おう。戦争で国土を荒らされることもない。 + あなたがたは敵を追い払い、さんざん打ちのめす。 + 五人で百人を、百人で一万人を追い散らし、敵の息の根を完全に止める。 + わたしは契約どおり、あなたがたを増やし、心にかける。 + 刈り入れ時がきても、まだ前の収穫が残っていて困るほどになるだろう。 + わたしはあなたがたと共に住む。あなたがたを嫌ったりはしない。 + 共に歩み、あなたがたの神となる。そして、あなたがたはわたしの民となる。 + わたしがあなたがたをエジプトから救い出し、奴隷の鎖を断ち切ったのだ。だから、胸を張って堂々と歩きなさい。 + しかし、わたしの言うことを聞かず、従おうともせず、 + おきてを無視するなら、 + あなたがたを罰する。突然、恐怖が襲いかかり、結核や熱病が猛威をふるうだろう。目は衰え、生きる気力もなくなる。種をまいても、収穫は全部、敵が横取りする。 + わたしの責任ではない。敵に追い散らされても助けはしない。あなたがたは憎しみに燃えた敵に支配され、追いかけられもしないのに逃げ出す。 + それでもなお従わないなら、七倍の罰を加える。 + 自分の力に頼ろうとする思い上がりを、粉々に砕く。思い知るがいい。天は鉄のように、地は青銅のようになり、一滴の雨も降らず作物も実らない。 + いくら耕し、手入れをしても、収穫は全くない。 + それでもなお従わず、言うことを聞かないなら、さらに七倍の災害で苦しめる。 + 野の獣を放って子どもたちや家畜を殺させ、人口を減らす。こうしてイスラエルは荒れ果てる。 + しかしなお行いを改めず、反抗し続けるなら、 + わたしは黙ってはいない。その罪の重さを、いやと言うほど思い知らせる。この手で七倍も強く打ちのめす。 + 契約の違反は戦争で罰する。町に逃げ込んでも、町中に疫病がはやり、結局は敵に征服されてしまう。 + 食べ物は底をつき、十家族分のパンを焼くのに、一つのかまどで間に合うほどになる。配給はわずかで、とうてい腹を満たすことはできない。 + しかしなお聞き従わないなら、 + もう容赦はしない。さらに七倍も重い罰を加える。 + あなたがたを、わが子の肉まで食べるほどに飢えさせる。 + あなたがたが偶像として拝む山の祭壇を打ち壊し、香の祭壇を切り倒す。偶像に混じって、あなたがたの死体がそこここに転がり、腐り果てていくのを黙って眺めよう。わたしはあなたがたを忌み嫌う。 + 町々を廃墟とし、礼拝所を打ち壊す。ささげ物でなだめようとしても、ふだんは受け入れる香りさえ嗅ぐ気もしない。 + 国はすっかり荒れ果て、代わって住みついた敵でさえ、あまりのひどさに驚き恐れるだろう。 + あなたがたは散り散りに国外へ逃げ、行く先々でも戦いに敗れる。国はすっかり荒れ果て、町々は廃墟と化す。 + こうして、ようやく土地を休ませることができる。あなたがたが利用できるだけ利用し尽くした土地を、敵の捕虜となっている間、ずっと休ませよう。あなたがたが住んでいた時、七年ごとに一年の休みを与えなかった分を、まとめて取り戻す。 + 生き残った者は、捕虜や奴隷として遠い国へ連れて行かれる。外国でおびえながら暮らすのだ。風に舞う木の葉の音にもおびえ、剣で追い立てられるように逃げ惑う。追いかけられもしないのに倒れる。 + 戦いで弱気を起こし、敵前を逃げ惑うように、追いかけられもしないのに力なく恐怖におののく。 + あげくの果ては敵地であえない最期を遂げる。 + 運よく生き残った者も、自分と先祖たちの犯した罪の重さに耐えきれず、見る影もなくやつれ果てるだろう。 + しかし最後には、自分たちの裏切りを認める。苦しい思いをするのも、元はと言えばわたしに反抗したからだ。それで、わたしも黙ってはおらず、あなたがたを敵の手に渡した。だが、みなが悪かったと反省し、素直に罰を受けるなら、 + アブラハム、イサク、ヤコブと結んだ契約を思い出し、荒れ果てたイスラエルをもう一度心に留めよう。 + その間に国土は十分に地力を回復する。一方、国民は神のおきてを破り、定めを軽んじた罰を受け入れるようになる。 + 彼らの行状は目に余ったが、わたしは誠実に契約を守り、完全に滅ぼすことはしなかった。わたしは彼らの神、主だからだ。 + わたしは彼らの先祖と結んだ契約を思い出す。彼らの神となるという契約である。周囲の国々が驚き見守る中で、彼らの先祖をエジプトから救い出したのは、このわたしだ。わたしは彼らの神、主である。」 + 以上は、シナイ山で神がモーセに語った、イスラエルの民の守るべきおきて、定め、指示です。 + + + 主はまた、モーセに命じました。「人々に言いなさい。主に身をささげるという誓願を立てる者は、その代価として次の額を納める。 + 二十歳から六十歳までの男子は銀五十シェケル(一シェケルは十一‧四グラム)、女子は三十シェケル。 + 五歳から二十歳までの少年は二十シェケル、少女は十シェケル。 + 一か月から五歳までの男児は五シェケル、女児は三シェケル。 + 六十歳以上の男子は十五シェケル、女子は十シェケル。 + 貧しくて全額を払いきれない者は祭司に申し出ること。事情を話し合ったうえで、祭司が決めた額を払えばよい。 + 主にささげると誓ったいけにえの家畜は、そのとおりささげなければならない。 + 一度誓った以上、むやみに変えてはいけない。良い家畜を悪いものに取り替えることはもちろん、悪いものを良いものに取り替えるのもいけない。もしそうするなら、両方とも主のものになる。 + ささげ物がいけにえにできない汚れた家畜の場合、持ち主は祭司に申し出て適当な値をつけてもらい、その金額を代わりに支払う。 + いけにえにできる家畜の場合でも、買い戻したいときは、祭司がつけた値の二割増しを支払えばよい。 + 家を主にささげたが買い戻したくなったときは、祭司が評価した額の二割増しを支払いなさい。そうすれば、また自分のものになる。 + 畑の一部を主にささげるときは、まく種の量で評価する。大麦の種二三〇リットルをまける広さの土地は、銀五十シェケル。 + ヨベルの年に畑をささげる場合は、評価額の全額を支払う。 + ヨベルの年以後は、次のヨベルの年まであと何年あるかによって決める。 + 買い戻したいときは、祭司が決めた評価額の二割増しを支払う。それでまた自分のものになる。 + ただし買い戻さないと決めるか、すでに人手に渡っている場合はもう取り戻せない。 + その畑はヨベルの年に、主にささげられた土地として祭司のものになる。 + もともとの所有地でなく、買った土地の一部を主にささげる場合は、 + 祭司が決めたヨベルの年までの評価額を直ちに支払わなければならない。 + ヨベルの年には、土地は元の持ち主に戻る。 + 代金はすべて通貨で支払う。 + 牛や羊の初子をささげてはならない。初めから主のものだからだ。 + いけにえにできない家畜の初子の場合は、祭司がつけた評価額の二割増しを支払う。持ち主に買い戻すつもりがないなら、祭司はほかの者に売ってかまわない。 + しかし、人であれ家畜であれ畑であれ、主に完全にささげたものは、売ることも買い戻すこともできない。それは主のもので、最も神聖なものだからだ。 + 死刑を宣告された者は、代わりに罰金を支払って免れることはできない。必ず死刑となる。 + 穀物でも果実でも、農産物の十分の一は主のもので、神聖なものである。 + 十分の一の穀物や果実を買い戻したいときは、評価額の二割増しを支払わなければならない。 + 牛であれ羊であれ、家畜はすべて十頭ずつ数え、十頭目が主のものとなる。 + 質の良し悪しで選んではならない。取り替えてもいけない。取り替えた場合は両方とも主のものになる。もちろん買い戻すこともできない。」 + 以上は、シナイ山で主がモーセに告げた、イスラエルの民への命令です。 + +
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+ + エジプトを出てから二年目の第二月の一日(太陽暦の四月十五日)、イスラエルの人々がシナイ半島で野営していた時のことです。神は、幕屋(イスラエルの民が神と会う聖所、天幕)の中にいたモーセに告げて言いました。 + 「氏族、家族ごとに、戦いに出られる二十歳以上の男の人数を調べなさい。あなたとアロンが指図し、それぞれの部族の長に調べさせるのだ。」各部族の長は次のとおりです。ルベン族からシェデウルの子エリツル、シメオン族からツリシャダイの子シェルミエル、ユダ族からアミナダブの子ナフション、イッサカル族からツアルの子ネタヌエル、ゼブルン族からヘロンの子エリアブ、ヨセフの子エフライム族からアミフデの子エリシャマ、ヨセフの子マナセ族からペダツルの子ガムリエル、ベニヤミン族からギデオニの子アビダン、ダン族からアミシャダイの子アヒエゼル、アシェル族からオクランの子パグイエル、ガド族からデウエルの子エルヤサフ、ナフタリ族からエナンの子アヒラ。 + 以上が選ばれた各部族の長です。 + その日、モーセとアロンと族長たちは、神の指示どおり、氏族、家族ごとに、兵役に就くことができる二十歳以上の男を全員集めて登録させました。 + 最終の部族ごとの登録数は次のとおりです。ルベン族〔ヤコブの長男〕四万六、五〇〇人、シメオン族五万九、三〇〇人、ガド族四万五、六五〇人、ユダ族七万四、六〇〇人、イッサカル族五万四、四〇〇人、ゼブルン族五万七、四〇〇人、エフライム族〔ヨセフの子〕四万五〇〇人、マナセ族〔ヨセフの子〕三万二、二〇〇人、ベニヤミン族三万五、四〇〇人、ダン族六万二、七〇〇人、アシェル族四万一、五〇〇人、ナフタリ族五万三、四〇〇人、計六〇万三、五五〇人。 + この数に、レビ族は含まれていません。 + 主がモーセに、次のように告げたからです。「レビ族の者は兵役を免除し、人数も調べてはいけない。 + 彼らには幕屋を運び、管理する仕事があるからだ。幕屋の近くに住み、 + よそへ移るときはいつでも、天幕を解体し、また組み立てる。ほかの者が手を出してはいけない。幕屋にさわるだけでも死刑に処せられる。 + 各部族ごとに集まって宿営し、目じるしにそれぞれの旗を立てなさい。 + レビ族は幕屋の回りに宿営しなさい。彼らがわたしとあなたがたの間に入り、あなたがたが罪を犯したとき、わたしの怒りに触れないですむためだ。」 + 人々は、すべて主がモーセに告げたとおりにしました。 + + + 主はさらに、モーセとアロンに命じました。「野営地の真ん中に幕屋を作り、距離をおいて各部族はその回りに、部族ごとに旗を立てて宿営しなさい。」 + こうして、各部族の配置は次のように決まりました。ユダ族アミナダブの子ナフション――幕屋の東側に七万四、六〇〇人。イッサカル族ツアルの子ネタヌエル――ユダの隣に五万四、四〇〇人。ゼブルン族ヘロンの子エリアブ――イッサカルの隣に五万七、四〇〇人。ユダの宿営に属する三部族の合計は一八万六、四〇〇人。このグループは、人々が別の所へ移動するとき、先頭に進みます。ルベン族シェデウルの子エリツル――幕屋の南側に四万六、五〇〇人。シメオン族ツリシャダイの子シェルミエル――ルベンの隣に五万九、三〇〇人。ガド族デウエルの子エルヤサフ――シメオンの隣に四万五、六五〇人。ルベンの宿営に属する三部族の合計は一五万一、四五〇人。このグループは、人々が別の所に移動するとき、二番目に進みます。次に続くのは、野営地の中央を占める幕屋とレビ族です。移動するときも野営地にいるときと同じように、各部族はそれぞれの旗のもとに、いっしょにいなければなりません。エフライム族アミフデの子エリシャマ――幕屋の西側に四万五〇〇人。マナセ族ペダツルの子ガムリエル――エフライムの隣に三万二、二〇〇人。ベニヤミン族ギデオニの子アビダン――マナセの隣に三万五、四〇〇人。エフライムの宿営に属する人数は一〇万八、一〇〇人で、彼らは三番目に進みます。ダン族アミシャダイの子アヒエゼル――幕屋の北側に六万二、七〇〇人。アシェル族オクランの子パグイエル――ダンの隣に四万一、五〇〇人。ナフタリ族エナンの子アヒラ――アシェルの隣に五万三、四〇〇人。ダンの宿営に属する人数は、一五万七、六〇〇人です。彼らは別の所へ移動するとき、最後に進みます。 + イスラエル軍の総勢は六〇万三、五五〇人でした。 + この中に、主の命令で兵役が免除されたレビ族は含まれていません。 + こうして人々は、主がモーセに命じたとおりの場所に、部族ごとに旗を立て、テントを張り、進みました。 + + + シナイ山で神がモーセに語った当時、 + アロンには息子が四人いました。長男ナダブ、次男アビフ、三男エルアザル、四男イタマルです。 + 四人とも祭司でした。幕屋で仕えるために選ばれ、任命されたのです。 + ところが、ナダブとアビフはシナイの荒野にいた時、幕屋で規定に反して香をたいたために死んでしまいました。二人には跡継ぎの子がいなかったので、アロンを助けて祭司の仕事をするのは、エルアザルとイタマルだけになりました。 + その後、主はモーセに命じました。 + 「レビ族を集め、アロンの仕事を手伝わせなさい。 + 彼らはアロンのもとで、全国民に代わって幕屋の仕事をするのだ。主に幕屋の祭具の管理や修理をする。 + 祭司の仕事をするのはアロンとその子らだけで、ほかに近づく者はみな死ぬこととなる。」 + さらに、主は命じました。「レビ人を、イスラエル人の長男全員の身代わりとする。 + だから、レビ人はわたしのものとなる。エジプト人の長男をすべて殺した日、イスラエル人の長男を家畜の子も含め、一人残らずわたしのものとしたように、彼らの長男はみなわたしのものだ。すべてのものを造ったのは、神であるわたしである。」 + 主はまた、シナイの荒野でモーセに命じました。「レビ人で生後一か月以上の男の数を、氏族ごとに調べなさい。」 + モーセはそのとおりにしました。レビ族は、ゲルション族、ケハテ族、メラリ族の三氏族。そのうち、ゲルション族はリブニ族とシムイ族から成り、族長はラエルの子エルヤサフ。幕屋の西側に宿営し、人数は七、五〇〇人。 + このゲルション族は幕屋を管理します。その覆い、入口の垂れ幕(カーテン)、さらに庭の柵の垂れ幕、天幕と祭壇を囲む庭の入口の垂れ幕、それに、天幕を結び合わせる綱の管理です。次に、ケハテ族は、アムラム族、イツハル族、ヘブロン族、ウジエル族から成り、族長はウジエルの子エリツァファン。幕屋の南側に宿営し、人数は八、六〇〇人。 + このケハテ族の仕事は、契約の箱(十戒を記した石板を納めた箱)、テーブル、燭台、祭壇と幕屋の中で使ういろいろな祭具、覆いなどの管理と修理です。この仕事は、アロンの子エルアザルが責任者として、レビ人の家長たちを監督しました。最後に、メラリ族は、マフリ族とムシ族から成り、族長はアビハイルの子ツリエル。幕屋の北側に宿営し、人数は六、二〇〇人。 + このメラリ族の仕事は、幕屋の骨組みに必要な柱、土台、付属の部品類と、庭の回りの柱、その土台、釘、綱などの管理です。 + モーセとアロンとその子らは、いつも幕屋の東側に天幕を張りました。彼らはイスラエルの人々に代わって、幕屋で仕事をするのです。祭司でもレビ人でもない者が一歩でも幕屋に近づいたら、その者は殺されます。 + 主の命令によって、モーセとアロンが登録した生後一か月以上のレビ族の男の数は、二万二、〇〇〇人でした。 + その後また、主はモーセに命じました。「イスラエル人で生後一か月以上の長男の数を調べなさい。 + イスラエル人の長男の代わりに、レビ人をわたしのものとする。同じように、家畜の初子の代わりに、レビ人の家畜をわたしのものとする。」 + モーセは主に命じられたとおり、イスラエル人の長男の数を調べました。 + その結果、二万二、二七三人いることがわかりました。 + そこで、主はモーセに告げて言いました。 + 「イスラエル人の長男全員の代わりにレビ人を、家畜の初子の代わりにレビ人の家畜を、わたしにささげなさい。レビ人はわたしのものだ。わたしは主である。 + イスラエル人の長男の数が二七三人超過しているので、その分は金銭でささげなさい。 + 一人につき五シェケル(一シェケルは十一‧四グラム)をアロンとその子らが取りなさい。」 + モーセは二七三人から代金を徴収しました。〔他の者は、レビ人が身代わりになったので、金を払う必要はありません。〕 + 全部で一、三六五シェケルを、 + モーセはアロンとその子らに渡しました。 + + + 神はモーセとアロンに告げて言われました。「レビ人の中のケハテ族で、幕屋で働ける三十歳から五十歳までの男の数を調べなさい。 + 彼らは、次のような最も神聖な仕事を行う。 + あなたがたが別の場所へ移動するときは、まずアロンとその子らが幕屋に入り、仕切りの垂れ幕をはずし、それで契約の箱を包む。 + それをさらに、じゅごんの皮と青い布で包み、最後にかつげるように棒を環に通す。 + 次に、毎日供えるパンを置くためのテーブルに青い布を広げ、その上に皿、スプーン、椀、コップ、パンを置く。 + それに赤い布とじゅごんの皮の覆いをかけ、最後にテーブルに棒を通す。 + 燭台、ともしび皿、芯切りばさみ、皿、オリーブ油のつぼを青い布とじゅごんの皮で包み、それをかつぐための台に載せる。 + それから、金の祭壇を青い布とじゅごんの皮で包み、祭壇に棒を通す。 + 残りの用具はみな、青い布とじゅごんの皮で包んでから台に載せる。 + 祭壇は灰を取り除いてから紫の布で覆い、 + 祭壇で使う火皿、肉刺し、シャベル、鉢や、その他の容器はみなその上に置き、じゅごんの皮で覆う。こうして、最後に棒を通すのだ。 + 別の場所に移動するときはいつでも、アロンとその子らが聖所と用具をみな包み終えたら、ケハテ族がそれを運ぶ。しかし彼らは、神聖な用具にさわることはできない。少しでもさわれば死ななければならない。以上がケハテ族の仕事である。 + アロンの子エルアザルが、明かり用の油、香り高い香、毎日の穀物の供え物、注ぎの油を管理する。つまり、幕屋全体とその中のすべての物について責任を持つ。」 + それから、主はモーセとアロンに命じました。「くれぐれも、ケハテの諸氏族が絶えてしまわないように注意しなさい。彼らは最も神聖なものを運ぶのだから、神聖なものに触れて死なないように気をつけるのだ。アロンとその子らがいっしょにいて、だれが何を運ぶかを指図しなさい。 + 聖所に入り、うっかり神聖なものを見てしまったら死んでしまうからだ。」 + 主はモーセに命じました。「レビ部族の中のゲルション族で、幕屋で働ける三十歳から五十歳までの男の数を調べなさい。 + 彼らは次のような仕事を行う。 + 幕屋の垂れ幕、幕屋とその覆い、それにかけるじゅごんの皮の覆いと幕屋の入口の垂れ幕、 + さらに、庭の柵にかける垂れ幕、天幕と祭壇を囲む庭の入口の垂れ幕を運ぶ仕事だ。綱と付属品類も全部運ぶ。これらの神聖な用具を運ぶのが彼らの仕事だ。 + アロンかその子なら、自由にゲルション族の者に指図できるが、 + 直接彼らを監督するのは、アロンの子イタマルである。 + レビ人の中のメラリ族で、幕屋で奉仕できる三十歳から五十歳までの男の数を調べなさい。 + 彼らは幕屋をよそへ移動するとき、幕屋の骨組み、横木、土台、 + 庭の柵の骨組み、その土台、釘、細いひもなど、それを使ったり直したりするのに必要な物を全部運ぶ。だれが何を運ぶか、はっきり指図しなさい。 + メラリ族もイタマルが監督する。」 + そこで、モーセとアロンをはじめとする指導者たちは、ケハテ族の中で、 + 幕屋の仕事ができる三十歳から五十歳までの男の数を調べました。 + 全部で二、七五〇人でした。 + すべて主に命じられたとおりに行いました。 + 同様にゲルション族は二、六三〇人、 + メラリ族は三、二〇〇人でした。 + こうして、幕屋を運んだり、奉仕したりできる三十歳から五十歳までのレビ人は、全部で八、五八〇人であることがわかりました。 + この調査は、主の命じられたとおりに行われました。 + + + 主はさらにモーセに告げて言われました。「ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)の人、傷口のふさがらないけが人、死体にさわって汚れた者は、野営地から追放するように言いなさい。 + 野営地が汚れないように、そのような者は男でも女でも遠ざけなさい。わたしがあなたがたの中に住んでいるからだ。」 + このことも、命じられたとおりに行われました。 + それから、主はまたモーセに告げて言われました。「男でも女でも、神を欺き、人に罪を犯した者は、 + 罪を告白し、全額を被害者に弁償したうえで、さらに盗んだ額の二割を加えて支払わなければならない。 + 被害者が死に、近親者もいない場合、その金は神のものであり、罪過を償うためにささげる雄の子羊とともに祭司に差し出す。 + イスラエルの人々が祭司のもとに持って来るささげる物はみな、祭司のものとなる。」 + また主は、こうも命じました。「人々に言いなさい。人妻が姦淫したにもかかわらず、 + 現場を押さえることができず、証拠もなく証人もいない場合、 + また、夫が嫉妬のあまり妻を疑った場合、 + 彼女を祭司のところへ連れて行きなさい。そのとき、油や香料を混ぜない大麦の粉を十分の一エパ(二‧三リットル)持って行きなさい。それは、彼女が白か黒かをはっきりさせるためにささげる穀物の供え物である。 + 祭司は彼女を主の前に連れて行きなさい。 + それから、土の器にきよい水を取り、それに幕屋の床のちりを混ぜる。 + さらに女の髪をほどかせ、夫の疑いが正しいかどうかを決めるために、女の手に供え物を載せる。そして、のろいをかける苦い水の入った水がめを持って女の前に立ち、 + 女に身の潔白を誓わせてから、こう言いなさい。『夫以外の男と寝たことがなければ、この水を飲んでも何ともない。 + だが、もし姦淫したのであれば、 + あなたは主にのろわれる。その証拠に、ももは腐り、腹はふくれ上がるだろう。』そのとき、女は『それでもかまいません』と答える。 + 祭司はのろいのことばを書きつけ、苦い水の中に洗い落とす。 + もし罪を犯していたなら、祭司が女にその水を飲ませると、彼女の体内で苦くなる。 + そのあと祭司は、女の手から供え物を取り、主に向かって揺り動かし、祭壇にささげなさい。 + それを一つかみ祭壇の上で焼き、女に水を飲ませなさい。 + 女が罪を犯して身が汚れていれば、水は腹の中で苦くなり、腹はふくれ、ももは腐りだす。こうして、のろわれたことがはっきりする。 + しかし潔白であれば、害も受けず、まもなく子を宿すようになる。 + 以上は、妻が姦淫したとき、 + または夫が嫉妬して妻を疑ったときの指示である。夫は妻を主の前に連れて行き、祭司は彼女を指示のとおりにさばくのだ。 + その結果、妻が恐ろしい病気にかかっても、それは妻の責任だから、夫はさばかれない。」 + + + 主はさらに、イスラエルの人々が守るべきことを、モーセに示しました。「男でも女でも、ナジル人(親や自分の誓願によって神に特別に仕える決意をした者)になると誓って、特別にわたしに身をささげる者は、 + 誓いの期間、強い酒、ぶどう酒、ぶどうジュース、ぶどうおよび干しぶどうを食べてはいけない。ぶどうから生じるものは、種や皮でもいっさい食べてはいけない。 + その間は髪を切ってもいけない。きよい者としてわたしに身をささげているのだから、髪は伸ばしたままにしておきなさい。 + 誓いの期間中は死体に近づいてはいけない。たとえ、親、兄弟、姉妹であっても。 + その間はきよい者としてわたしに身をささげているからだ。 + 偶然だれかが死ぬところに居合わせて汚れてしまった場合は、七日目に頭髪をそれば、汚れはきよめられる。 + そして八日目に、山鳩か若い鳩を二羽、幕屋の入口にいる祭司のところへ持って来なさい。 + 祭司は、一羽を罪の赦しのためのいけにえ、もう一羽を焼き尽くすいけにえとしてささげ、汚れをきよめる儀式をしなければならない。こうしてから、誓いをし直し、もう一度髪を伸ばす。 + それ以前の期間は無効だから、改めて誓いを立て、初めからやり直すのだ。罪過を償ういけにえとして、一歳の雄の子羊を引いて来なさい。 + わたしに身をささげると誓った期間が終わったら、幕屋の入口に行き、 + 傷のない一歳の子羊を、焼き尽くすいけにえとしてささげなさい。また、罪の赦しのためのいけにえとして傷のない一歳の雌の子羊を、和解のいけにえとして傷のない雄羊をささげる。 + さらに、パン種(イースト菌)を入れないパン一かご、オリーブ油と上等の小麦粉で作ったドーナツ型のパン、油を塗った薄焼きパンなどの穀物の供え物を、飲み物の供え物といっしょにささげる。 + 祭司はこれをみな神の前にささげる。初めに罪の赦しのためのいけにえと、焼き尽くすいけにえ、 + 次に、和解のいけにえの雄羊とパン種を入れないパン一かごとをいっしょにささげ、最後に穀物と飲み物の供え物をささげる。 + それから、幕屋の入口で、献身の誓いのしるしの長い髪をそりなさい。そった髪は和解のいけにえの火にくべる。 + 頭をそり終わったら、祭司は焼いた子羊の肩とパン種を入れないドーナツ型のパン一個、薄焼きパン一枚を、そのナジル人の手に載せる。 + そして、祭司がいけにえであることを示すために、わたしの前でそれを揺り動かしてささげる。それは、みなきよいもので、ささげられた胸の肉、ももの肉とともに祭司のものとなる。こうして初めてナジル人の誓いが解け、ぶどう酒を飲むことができるようになる。 + 以上が、ナジル人としての誓いの期間が終わった時にささげるいけにえについての規定である。ナジル人になる誓いをしたときに、規定以外の物もささげると約束した場合は、それも持って来なければならない。」 + 続けて主はモーセに告げました。「アロンとその子らに、人々を祝福させなさい。 + 『どうか神様があなたを祝福し、守られるように。あなたを喜んでくださるように。あなたに優しく親切にし、平安を与えてくださるように』と。 + このように、アロンとその子らが祈るなら、わたしも人々を祝福しよう。」 + + + モーセは幕屋を建て終わった日に、幕屋の各部に油を注いできよめの儀式を行いました。祭壇とその用具にも同じようにしました。 + それから、人口調査をした族長たち(各部族の長)がささげ物を持って来ました。 + 覆いをかけた六台の荷車を、それぞれ二頭の雄牛に引かせて来たので、二人に車一台、一人につき雄牛一頭の割でした。それを幕屋の前で主にささげました。 + すると主はモーセに、「そのささげ物を受け取りなさい。荷車も幕屋の仕事に必要だから、レビ人に渡しなさい」と言いました。 + モーセは言われたとおり、荷車と雄牛をレビ人に渡しました。 + ゲルション族には荷車二台と雄牛四頭、 + アロンの息子イタマルの監督のもとにあるメラリ族には、荷車四台と雄牛八頭です。 + ケハテ族には何も渡しませんでした。彼らは幕屋の用具をかつぐことになっていたからです。 + 族長たちはまた、祭壇に油を注ぐ日には、ささげ物を持って来て祭壇の前に供えました。 + 主はモーセに命じました。「祭壇のささげ物は、一日に一人の割で持って来させなさい。」 + 第一日は、ユダ族のアミナダブの子ナフションの番でした。 + 彼は、重さ百三十シェケルの銀の皿と七十シェケルの銀の鉢に、穀物の供え物として、油でこねた上等の小麦粉を山盛りにして来ました。 + 香を入れた十シェケルの金のひしゃくもありました。 + さらに、焼き尽くすいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭、 + 罪の赦しのためのいけにえとして雄やぎ一頭、 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭を引いて来ました。 + 二日目は、イッサカル族の族長でツアルの子ネタヌエルの番でした。彼は、前日のナフションと全く同じ物をささげました。 + 三日目は、ゼブルン族の族長でヘロンの子エリアブが、前の二人と全く同じ物をささげました。 + 四日目は、ルベン族の族長シェデウルの子エリツルで、これも全く同じ物でした。 + 五日目は、シメオン族の族長でツリシャダイの子シェルミエルが、同じ物を持って来ました。 + 六日目は、ガド族の族長デウエルの子エルヤサフですが、これも全く同じでした。 + 七日目は、エフライム族の族長でアミフデの子エリシャマが、やはり同じ物をささげました。 + 八日目もまた、マナセ族の族長でペダツルの子ガムリエルが、同じ物を持って来ました。 + 九日目も、ベニヤミン族の族長でギデオニの子アビダンが、同じ物を持って来ました。 + ダン族の族長でアミシャダイの子アヒエゼルは、十日目に当たりました。ささげ物は前の九人と同じでした。 + 十一日目に当たった、アシェル族の族長でオクランの子パグイエルも、やはり同じ物をささげました。 + 十二日目は、ナフタリ族の族長でエナンの子アヒラの番でしたが、これもまた、他の者と全く同じでした。 + 以上が、祭壇に注ぎの油を注ぐ日に、まず各族長たちが祭壇奉納のためにささげた物です。ささげ物の総計は次のとおりです。銀の皿十二枚、銀の鉢十二個、金のひしゃく十二個。 + 焼き尽くすいけにえとして持って来た物は、雄牛十二頭、雄羊十二頭、一歳の雄の子羊十二頭。罪の赦しのためのいけにえとして持って来た物は、雄やぎ十二頭。 + 和解のいけにえとして持って来た物は、若い雄牛二十四頭、雄羊六十頭、雄やぎ六十頭、一歳の雄の子羊六十頭。 + モーセが神と話すために幕屋に入って行くと、神の恵みを示す場所である契約の箱の上の二つのケルビム(天使を象徴する像)の間から声が聞こえました。 + + + 主はモーセに語りました。 + 「燭台の七つのともしび皿に火をつけるときは、前を明るくするようにアロンに言いなさい。」 + アロンはそのとおりにしました。 + 燭台は、すべて主がモーセに示した設計図どおり作られ、台座の飾りも枝のように分かれた部分も金箔で覆ってありました。 + 続いて主はモーセに告げました。「レビ人を他の部族から分け、彼らをきよめなさい。 + まず、きよめの水を注ぎかけて全身をそり、衣服と体を洗わせ、 + 若い雄牛一頭と穀物の供え物として油でこねた上等の小麦粉を持って来させる。さらに、罪の赦しのためのいけにえとして別の若い雄牛一頭を持って来させる。 + そして、みなが見ている前で、レビ人を幕屋の入口のところに連れて来て、 + 族長たちがレビ人の頭に手を置く。 + このようにして、アロンはイスラエルすべての民のささげ物として、彼らをわたしにささげなさい。彼らはすべての民に代わってわたしに仕える。 + 次に、レビ人の代表が若い雄牛に手を置いて、それをささげる。一頭は罪の赦しのためのいけにえ、もう一頭は焼き尽くすいけにえで、レビ人の罪の償いのためにささげるのである。 + それから、ささげ物を祭司の前に置くように、レビ人をアロンとその子らの前に立たせなさい。 + 民の中で特別に、レビ人がわたしのものとなるのだ。 + こうして彼らをきよめ、わたしにささげてから、彼らに幕屋の仕事をさせなさい。 + レビ人は、民の中から特別にわたしのものとされたのである。わたしは、イスラエル人の長男の代わりに、レビ人をわたしのものとする。 + イスラエルでは、人も動物も初めに生まれたものは、わたしのものだからだ。エジプト人の長男をすべて殺したあの夜、わたしはイスラエル人の長男や家畜の初子をきよめてわたしのものとした。 + だから、イスラエル人の長男の代わりにレビ人をもらうのだ。 + 彼らにアロンとその息子たちの手伝いをさせよう。全イスラエルの民の代わりに、幕屋でわたしに仕えさせよう。いけにえをささげ、人々の罪を償わせるのだ。そうすれば、イスラエル人が過って幕屋に入り、罰せられることもないだろう。」 + モーセとアロンとイスラエルの民は、主の命令どおり、注意深くレビ人をささげました。 + レビ人は体と衣服を洗いきよめ、アロンは彼らを主にささげる儀式ときよめの儀式を行いました。 + それが全部終わって、レビ人はアロンとその子らを助けるために、幕屋の仕事に就いたのです。すべて主がモーセに命じたとおりでした。 + 主はまた、モーセに告げました。「レビ人は二十五歳になったら奉仕を始め、五十歳で引退する。 + 引退後も幕屋での仕事を手伝うことはできるが、責任ある務めはできない。レビ人の務めについて、以上のように指示しなさい。」 + + + イスラエル人がエジプトを出てから二年目の第一の月に、主はシナイの荒野でモーセに告げて言いました。 + 「イスラエルの民はみな、過越の祭りを行いなさい。祭りは毎年この月の十四日(太陽暦の三月二十八日)の夕方から始める。すべてわたしの言うとおりに行わなければならない。」 + そこでモーセはその場所で、第一月の十四日の夕方から過越の祭りを始めるように民に言いました。民は、神がモーセに命じたとおりに行いました。 + ところが、問題が起きました。何人かの者が葬式の席で死体にさわり、身を汚していたので、そのままでは過越の祭りを祝うことができなかったのです。彼らはモーセとアロンのところに来て尋ねました。「死体にさわって汚れたので、定められた時にいけにえをささげることができません。いったいどうしたらいいでしょう。」 + モーセが、「主に伺ってみましょう」と言って祈ると、 + 主は答えました。 + 「今後、だれでも、過越の祭りの期間に死体にさわって体を汚したり、旅行中だったりして祭りが守れない場合は、一か月後に守ればよい。 + 第二月の十四日の夕方に始めるのだ。そのとき、子羊とパン種を入れないパンと苦菜を食べなさい。 + 翌朝まで残しておいてはいけない。子羊の骨は一本も折ってはいけない。すべて決まりどおりに行いなさい。 + 身を汚したわけでもなく、旅行中でもないのに過越の祭りを祝わない者は追放しなさい。 + もし、在留外国人が祭りを祝いたいと言ったら、やはり決まりどおりにやらせなさい。」 + 幕屋ができたその日、幕屋はすっぽりと雲に覆われました。夕方になると雲は火のように赤くなり、夜通しあかあかと輝いていました。 + いつも、昼間は雲、夜間は火のようなものが幕屋を覆いました。 + 雲が上ると人々も移動し、雲がとどまると、そこで野営しました。 + すべて神の命令によって旅を進めたのです。雲がとどまっている間は、人々もとどまりました。 + 雲が長い間とどまるときは、人々も長くとどまり、二、三日のときは、やはり人々も二、三日とどまるといったぐあいでした。 + 時には、真っ赤な雲が夜の間だけとどまり、翌朝には動きだすこともありました。昼であろうが夜であろうが、雲が動くと、人々は急いで天幕(テント)をたたみ、雲について行きました。 + 二日でも、一か月でも、一年でも、雲がとどまっている間は人々もとどまり、雲が動くと人々も移動したのです。 + 野営をするのも旅をするのも、みな主の御心のままでした。人々は、主がモーセに命じたことは何でも、そのとおりにしました。 + + + 続けて、主はモーセに言いました。「集合と出発の合図用に、銀でラッパを二本作りなさい。 + 二本のラッパが長く鳴ったら、人々が神の幕屋に集まる合図、 + 一本の時は、族長があなたのところに集まる合図としなさい。 + 集合と出発の合図は吹き方で区別する。短く鳴ったら、まず幕屋の東側に野営している部族が出発し、次の合図で、南側の部族が出発しなさい。 + ラッパを吹けるのは祭司だけである。これは代々にわたって守らなければならない。 + 約束の国カナンに着いてから敵と戦う場合、これで非常ラッパを鳴らせば、あなたがたを助けよう。 + また、毎年行う祭りの時や、焼き尽くすいけにえ、和解のいけにえをささげる月初めの祝いの日にも、ラッパを吹き鳴らしなさい。それを聞いて、あなたがたとの約束を思い出す。わたしはあなたがたの神、主だからだ。」 + イスラエル人がエジプトを出てから二年目の第二月の二十日に、雲は幕屋を離れて上りました。 + そこで彼らはシナイの荒野をあとにし、雲に導かれてパランの荒野に向かいました。 + モーセを通して示された主の命令による、初めての旅でした。 + 先頭はユダ族で、旗を立てアミナダブの子ナフションが率いました。 + そのあとに続くのは、ツアルの子ネタヌエルが率いるイッサカル族と、 + ヘロンの子エリアブが率いるゼブルン族です。 + 続いて、レビ族のうちのゲルション族とメラリ族(氏族)が、解体した幕屋をかついで進みました。 + そのうしろに、旗を先頭にシェデウルの子エリツルが率いるルベン族、 + ツリシャダイの子シェルミエルが率いるシメオン族、 + デウエルの子エルヤサフが率いるガド族と続きました。 + 次は、聖所で使う用具を運ぶケハテ族です。こうすれば、彼らが着くまでに幕屋を組み立てておけるのです。 + そのあとに、アミフデの子エリシャマが率いるエフライム族、 + ペダツルの子ガムリエルが率いるマナセ族、 + ギデオニの子アビダンが率いるベニヤミン族が、それぞれの旗を立てて続きました。 + 最後に、それぞれの旗を先頭に、アミシャダイの子アヒエゼルが率いるダン族、 + オクランの子パグイエルが率いるアシェル族、 + それに、エナンの息子アヒラが率いるナフタリ族が進みました。 + これが、イスラエルの各部隊の出立の順序でした。 + ある日モーセは、しゅうとのミデヤン人レウエルの息子で、義理の兄弟に当たるホバブに言いました。「私たちは、いよいよ約束の地へ出発します。どうです、いっしょに来ませんか。主のすばらしい約束があるのですから、何も心配はいりません。」 + 「せっかくだが、国の家族のもとに帰りたい。」 + 「そう言わず、どうかいっしょに来てください。荒野の道にくわしい人がいてくれると、ほんとうに助かるのです。 + 主が私たちに下さるものは何でもお分けしますから。」 + こうして一行は、シナイ山を出発してから三日間、旅を続けました。その間、主の契約の箱が先頭になって進み、そうして、彼らは休む場所を探しました。 + 彼らが野営地を出発した時、雲が一行の前を進みました。 + 契約の箱がかつぎ上げられる瞬間、モーセは大声で祈りました。「神様、立ち上がってください。敵をみな、さんざん追い散らしてください!」 + また、休むために箱が下ろされる時、「ああ神様! すべてのイスラエルの民のところにお戻りください」と祈りました。 + + + まもなく、人々が主に対して激しく不平を言い始めました。主はそれを聞いて非常に怒り、野営地を端から焼き払おうとしました。 + 驚いた彼らが、「た、大変だ! 何とかしてくれ」と叫んだので、モーセが祈ると、火はようやく消えました。 + その事件があってから、そこはタブエラ(「燃える地」の意)と呼ばれるようになりました。そこで主が、イスラエル人を焼き滅ぼそうとされたからです。 + それが一段落すると、イスラエル人に混じって来たエジプト人が食べ物のことで文句を言い始め、おまけに一部のイスラエル人までが、いっしょになって不満をぶちまけました。「ああ、ひと口でもいいから肉が食べたい。エジプトの魚はうまかったなあ。それに、きゅうり、すいか、にら、玉ねぎ、にんにく。思い出すだけでもよだれが出そうだ。 + なのに今はどうだ。毎日毎日こんなマナばっかりじゃ、力も出ない。」 + マナはコエンドロ(コリアンダー。セリ科の一年草で、夏、白い小さな花をつける)の種ぐらいで、白っぽい樹脂のような色をしていました。 + それを拾い集め、つぶして粉にするか、臼でつくかしてから、蒸してパンを作るのです。味は油で揚げたパンのようでした。 + マナは夜の間に露といっしょに降りました。 + 人々がそれぞれ自分の天幕の入口に集まって泣き言を言っているのを聞くと、主はまた憤りを覚えました。モーセも同じでした。 + モーセはとうとう主にぐちをこぼしました。「なぜ、こんなに手のかかる連中の面倒を見させて、私をお苦しめになるのですか。 + どうして、親子でも何でもないのに、こんな赤ん坊みたいな者たちを、約束の国まで連れて行かなければならないのですか。 + 『肉が欲しい』と泣きつかれても、どこで手に入れたらよいのでしょうか。 + 私ひとりでは手に負えません。荷が重すぎます。 + これ以上苦しみが続くのでしたら、もうたくさんです。いっそ、今すぐ私を殺してください。」 + 主は答えました。「指導者を七十人選び、幕屋へ連れて来て、あなたといっしょに立たせなさい。 + わたしはそこであなたと話し、あなたの仕事を手伝えるように、彼らにもあなたと同じ霊の力を与えよう。 + それから、人々に身をきよめるように言いなさい。明日、肉が食べられると言いなさい。『おまえたちが、エジプトに残してきたものを泣くほど恋しがり、不平を言うのを、主はお聞きになった。望みどおり肉を下さるそうだ。 + それも、一日や二日ではない。五日、十日、二十日、いやそれ以上、毎日だ。まる一か月も食べ続ければ吐き気を催し、もう、うんざりだと言うだろう。主がいっしょにおられるのに見向きもせず、泣いてエジプトを恋しがった罰だ。』」 + モーセは言いました。「ですが主よ、男だけでも六十万人はおります。その全員に一か月分の肉とは! + 羊と牛を全部殺しても足りません。海の魚を一匹残らず捕り尽くさないかぎり、とてもそれだけの肉は手に入りません。」 + 「モーセよ。いつからわたしはそんなに弱くなったのか。わたしの言うことがほんとうかどうか、今にわかる。」 + モーセは幕屋を出て、人々にそのことばを伝えました。それから七十人の長老を集め、幕屋の回りに立たせました。 + と、どうでしょう。主が雲の中に身を隠して降りて来られ、モーセと話をしているではありませんか。そして主は、モーセに与えた霊の力を長老たちにも与えました。すると、しばらくの間、彼らは預言をしたのです。 + ところが、エルダデとメダデの二人はその時、野営地内に残っていたのに他の長老たちと同じように預言し始めました。 + そのことを、一人の若者が走って伝えに来ると、 + モーセが助手に選んだヌンの子ヨシュアはモーセに、「そんなことはやめさせてください」と抗議しました。 + 「おまえは二人のことをねたんでいるようだ。だが、私は、イスラエル人がみな主の霊を頂き、預言者になってくれたらどんなにいいかと思っているのだ。」 + こう答えると、モーセは長老たちと共に野営地に帰りました。 + さて次の日、主が風を起こすと、それに乗って海の向こうからうずらが飛んで来て、野営地の回りに落ちました。どの方向に進んでも、一日の道のりの所にうずらが落ちています。それも九十センチほどの高さに、びっしり敷き詰めたようになっているのです。 + 人々は、その日一日では足りず、夜の間も翌日もずっと、うずらを集めました。一番少ない者でも山ほど集めることができ、それを野営地中に広げて干しました。 + ところが、その肉を食べ尽くさないうちに主の罰が下り、大ぜいの者が疫病にかかって死にました。 + それから、この場所は、キブロテ‧ハタアワ(「欲望の墓場」の意)と呼ばれるようになりました。人々が肉を欲しがり、エジプトでの生活を恋しがった人々を埋葬したからです。 + このあと人々はハツェロテまで行き、しばらく滞在しました。 + + + ある日、ミリヤムとアロンは、モーセの妻がクシュ人だということで彼を非難しました。 + 「主のことばを伝えるのはモーセだけじゃない。私たちだって、ちゃんと話ができるのではないか。」 + このことを聞いた主は、さっそくモーセとアロンとミリヤムを幕屋に呼びました。「三人ともここに来なさい。」言われるままに彼らは、主の前に出ました。モーセはだれよりも謙遜な人でした。 + それから、主は雲に身を隠して降りて来て、幕屋の入口に立って命じました。「アロンとミリヤム、前に出なさい。」二人は言われたとおりにしました。 + 「わたしは預言者には幻や夢の中で話をするが、 + モーセはそうではない。彼はいつでもわたしと会って、直接話ができる。わたしの姿も見ることができる。それなのになぜ、恐れもなく彼を非難するのか。」 + 主は激しく二人をしかり、立ち去りました。 + そして、雲が幕屋を離れると、そのとたんミリヤムはツァラアトにかかり、見る見る肌が白くなっていきました。 + それを見たアロンは必死で叫びました。「ああ、モーセ。赦してくれ! あんな愚かなことを言って悪かった。 + ミリヤムを、肉が腐りかかった死産の子のようにしないでくれ。」 + モーセは祈りました。「神様! どうか姉を治してやってください。」 + しかし、主は答えました。「父親が娘の顔につばをしてさえ、娘は七日間汚れるではないか。ミリヤムを野営地の外に出しなさい。七日たったら連れ戻してもよい。」 + それでミリヤムは宿営の外に締め出され、一週間、イスラエル人は彼女が戻るまで旅に出ませんでした。 + そのあと彼らはハツェロテを去り、パランの荒野に野営することになりました。 + + + 主はモーセに告げて言いました。 + 「いずれはあなたがたのものになるカナンの国に、まず偵察隊を送り込みなさい。各部族から一名ずつ選ぶのだ。」 + この時、一行はパランの荒野に野営していました。モーセは主が命じたとおり、十二人の偵察者を選びました。ルベン族からザクルの子シャムア、シメオン族からホリの子シャファテ、ユダ族からエフネの子カレブ、イッサカル族からヨセフの子イグアル、エフライム族からヌンの子ホセア(ヨシュア)、ベニヤミン族からラフの子パルティ、ゼブルン族からソディの子ガディエル、ヨセフ族〔実際はマナセ族〕からスシの子ガディ、ダン族からゲマリの子アミエル、アシェル族からミカエルの子セトル、ナフタリ族からボフシの子ナフビ、ガド族からマキの子ゲウエル。 + モーセがヌンの子ホセアの名をヨシュアと変えたのは、この時です。 + 彼らを送り出す時、モーセはこう命じました。「北へ進み、ネゲブの山地に入り、 + カナンがどんな国か探って来なさい。住民は強いか弱いか、多いか少ないか、 + 土地は肥えているかどうか、どんな町があるか、ただの村か、それとも城壁のある町なのか、 + 繁栄しているか、貧しいか、木は多いかなどを探って来るのだ。恐れてはいけない。試しに、その土地のくだものを取って来なさい。」ちょうど、ぶどうの初物が熟す季節だったからです。 + 彼らは、南はツィンの荒野から北はハマテに近いレホブまで探りました。 + 北へ進み、まずネゲブを通り、ヘブロンに着きました。そこには、アナクの子孫のアヒマン族、シェシャイ族、タルマイ族が住んでいました。ヘブロンは、エジプトのタニスより七年も前に建てられた、非常に古い町です。 + それから、のちにエシュコルの谷と呼ばれるようになった地に来て、ぶどうが一房ついた枝を切り取りました。とても大きく、棒に通して二人でかつがなければならないほどでした。ざくろやいちじくの実もいくらか取りました。 + その時から、イスラエル人は、そこをエシュコル〔「一房のぶどう」の意〕の谷と呼ぶようになりました。 + 彼らは四十日の間カナンの国を探り、 + パランの荒野のカデシュに戻ると、モーセ、アロンはじめイスラエルの民全体にさっそく報告し、持ち帰ったくだものを見せました。 + 彼らの報告は次のとおりです。「ただいま戻りました。カナンは実にすばらしい国です。まさに、乳とみつが流れる国でした。その証拠に、持ち帰ったくだものをごらんください。 + しかし残念なことに、住民は強く、町々は非常に大きく、城壁を巡らしてあります。そのうえ、アナクの子孫の巨人族がいるのです。 + 南にはアマレク人、山地にはヘテ人、エブス人、エモリ人、地中海沿岸とヨルダン川流域には、カナン人が住んでいます。」 + この報告に、人々はざわつきました。しかし、カレブはモーセの前でみなを静めると、きっぱり言いました。「われわれは、すぐ攻め上ってカナンを占領しよう。大丈夫、やれば必ずできる。」 + 「むちゃなことを言うな。あんな強い相手では、かなうわけがない。とても歯が立つものか。」偵察に行ったほかの者は大反対です。 + 結局、ほとんどの者はあまり乗り気ではなかったので、彼らは人々に言いました。「国中に兵士がおり、住民はたくましい体格をしている。 + 昔の巨人の子孫アナク人もいるし、彼らと比べたら、私たちなど虫けら同然に見える。」 + + + それを聞いた人々は、絶望的な声を上げて、夜通し泣き続けました。 + やがて嘆き声は、モーセとアロンへの痛烈な非難の声に変わりました。「なんてことだ。こんなことならエジプトで死んだほうがよかった。そんな国に行くくらいなら、この荒野で死んだほうがまだましだ。神様はおれたちを殺すつもりなんだ。そうなったら、妻や子は奴隷にされてしまう。さっさと引き返して、エジプトへ帰ろう。」 + この声は野営地中に広まり、「エジプトに連れ戻してくれる指導者を立てよう」と、人々は叫ぶのでした。 + モーセとアロンはみなの前で顔を地につけ、ひれ伏しました。 + 偵察に加わったヌンの子ヨシュアとエフネの子カレブは、人々のあまりのふがいない姿に着物を引き裂き、 + こう訴えました。「私たちの目の前にあるのはすばらしい国だ。 + それに主が味方なのだ。主は私たちを安全に導き、必ずその国を下さる。乳とみつの流れるすばらしい国を下さるのだ。 + 主に背くのはやめよう。人間など恐れなくていい。主がいっしょにおられる。だれも神様にはかなわないのだから、恐れることはない!」 + ところが人々は、二人の言うことを聞こうともせず、かえって石で打ち殺そうとしました。その時、神の栄光が現れ、声が響きました。「モーセよ、この者たちはいつまでわたしを軽んじるのか。あれだけの奇跡を見ても、まだわたしを信じないのか。 + こうなったら、彼らを疫病で滅ぼしてしまおう。代わりにあなたから、もっと強く、もっと偉大な国民を起こそう。」 + しかしモーセは、必死になって主に願いました。「ですが、そのようなことをエジプト人が聞いたら、彼らは何と言うでしょう。私たちがエジプトから助け出された時、彼らはあなたの力をいやというほど思い知ったはずです。 + そのことはすでにこの地の住民にも知れ渡り、彼らは、あなたが私たちと共にいて、親しくかかわってくださっていることを知っているのです。昼も夜も私たちを導き守る雲の柱、火の柱が彼らにも見えないはずはありません。 + 今、イスラエルの民を一人残らず滅ぼしでもされたなら、どうなるでしょう。あなたのすばらしさを耳にしていた人々は、これ幸いに、 + 『なんだ、あの神は。荒野でイスラエル人どもを養うこともできず、結局は殺してしまった。約束の地へ連れて行く力など、初めからなかったのだ』と、ばかにするに違いありません。 + お願いです。どうか力をお示しください。どうか忍耐してください。以前と変わらず私たちを愛し、罪を赦してください。確かにあなたは、『罪は必ず罰する。父親の罪を三、四代にわたるまで罰する』と言われました。 + しかし、あえてお願いします。私たちをお赦しください。エジプトを出てから今日まで、いつも赦してくださったように、今も変わらず私たちを愛してください。」 + 「あなたがそれほど言うなら赦そう。だが、これだけは言っておく。エジプトでもこの荒野でも、すばらしい奇跡を見ながら十度も強情を張り、わたしを信ぜず、従おうともしなかった者たちは、決して約束の国を見ることはできない。栄光が全地に満ちている神であるわたしがこう言う以上、それは絶対だ。 + ただ、カレブは違う。彼はいつもわたしを信じ、従い通した。彼はカナンに入り、子孫たちにその地を残す。 + しかし、あなたがたは今、アマレク人や渓谷地帯に住むカナン人を恐れているので、ひとまず引き返すのだ。そして、明日から向きを変えて紅海に向かいなさい。」 + このあと神は、モーセとアロンだけに語りました。「このひねくれた民は、いつになったら不平を言わなくなるのだろう。もう十分だ。 + 彼らに言いなさい。『主はあなたがたが何よりも恐れていることをされる。 + あなたがたはみな、この荒野で死ぬのだ。二十歳以上の者で主に不平を言った者は、エフネの子カレブとヌンの子ヨシュアのほかは一人も約束の国に入れない。 + あなたがたは子どもが奴隷にされると言ったが、神は彼らを守り、あなたがたがさんざん文句を言ったカナンの国を彼らに与える。 + あなたがたの死体は、この荒野に捨てられる。 + 最後の一人が死ぬまで、あなたがたの子らはあてもなく四十年もさまよい歩く。それもみな、主を信じなかったからだ。 + 偵察隊が四十日間カナンの国にいたように、彼らの一日を一年と数えて四十年間、荒野にいて罪を償わなければならない。神に背けばどうなるか、よく思い知るだろう。それらの者は一人残らずこの荒野で死ぬと、主が言われたのだ。』」 + このことがあってから、人々を不安にして主に背くようにそそのかした十人の偵察者たちが、疫病にかかって死にました。生き残ったのはヨシュアとカレブの二人だけでした。 + モーセが神の言われたことを人々に告げると、野営地中が深い悲しみに覆われました。 + 翌朝早く、人々は約束の地を目指し、山地の方角に向かって出発しようとしました。「私たちが悪かった。これからは主の約束を信じて進もう。」 + するとモーセが言いました。「もう遅い。荒野へ行けと言われる主の命令に背くつもりか。 + 勝手に進んだら、敵にやられるだけだ。主はもういっしょにはおられないのだぞ。 + そこにはアマレク人やカナン人がいるのを忘れたのか。おまえたちが主を見捨てたから、今度は主がおまえたちをお見捨てになるのだ。」モーセが止めるのも聞かず、 + 彼らはどんどん山地に向かって進みました。しかし契約の箱もモーセも、野営地にとどまっていました。 + 案の定、山地に住んでいたアマレク人やカナン人が彼らに襲いかかり、彼らはやっとの思いでホルマまで逃げました。 + + + 主はモーセに命じて、人々にこう言わせました。「あなたがたの子が、ついにわたしの与える地に住み、 + わたしを喜ばせるために、焼き尽くすいけにえをはじめ、火で焼くいけにえをささげる場合には、次のようにしなさい。いけにえは羊かやぎ、あるいは牛にし、普通のものも、誓願を果たすためのものも、自分から進んでささげるものも、年ごとの祭りのときにささげるものも、それぞれ穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょにささげなさい。子羊をささげるときは、〇‧九五リットルの油で混ぜた上等の小麦粉二‧三リットルを、〇‧九五リットルのぶどう酒といっしょにささげなさい。 + 雄羊の時は、一‧三リットルの油で混ぜた上等の小麦粉四‧六リットル、 + さらに、わたしへのなだめの香りとして、ぶどう酒一‧三リットルをささげなさい。 + 若い牛のときは、一‧九リットルの油で混ぜた上等の小麦粉六‧九リットルとぶどう酒一‧九リットル。これを火で焼くと、とても良い香りがする。 + 以上が牛、雄羊、子羊、子やぎのいけにえといっしょにささげる物についての決まりである。 + 火で焼くささげ物をしてわたしを喜ばせようと思う者は、イスラエル人でも、在留外国人でも、みなこの決められたことを守らなければならない。 + おきてはだれに対しても同じであり、このことは代々にわたって変わらない。わたしの前では、すべての人が平等だから、すべての人が同じおきてを守らなければならない。」 + 主はさらにモーセに告げて言いました。「人々にこう教えなさい。『約束の国に着いたら、 + 毎年、収穫の一部を主にささげなさい。ささげるときはこうする。小麦の初物の粗びき粉でドーナツ型のパンを焼き、それを祭壇の前で前後に揺り動かしてささげる。これが小麦粉のささげ方で、代々このように行わなければならない。 + うっかりして、わたしが教えた指示を守らなかったり、 + 命じられた日から、命令を一つでも守らなかった場合、失敗を素直に認め、民が無知ゆえに守らなかったのなら、焼き尽くすいけにえとして若い雄牛を一頭ささげなさい。わたしはその香りを受け入れる。また、いつもの穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょに、罪の赦しのためのいけにえとして、雄のやぎを一頭ささげなさい。 + それから、祭司が民全体の罪を償う儀式をすれば、彼らは赦される。この場合は、間違って罪を犯したのだから、神に、火で焼くいけにえと罪の赦しのためのいけにえをささげることによって償うことができる。 + 民全体の罪は、在留外国人も含めて、このようにして赦される。 + また個人が過って罪を犯した場合は、一歳の雌やぎを一頭、罪の赦しのためのいけにえとしてささげなさい。 + 祭司はその者が赦されるように、罪を償う儀式をする。 + 在留外国人の場合も同じである。 + しかし、イスラエル人でも在留外国人でも、故意に罪を犯した者は神を冒瀆する者で、殺されなければならない。 + 主のことばを軽んじ、わざとその命令を破った罰だ。』」 + 人々が荒野にいたある日のことです。安息日にたきぎを集めているのが見つかって、 + 一人の男が捕らえられました。男は、モーセとアロン、他の指導者たちの前に連れて来られましたが、 + どう裁いてよいかわからず、ひとまず監禁しておくことになりました。 + やがて、主はモーセに言いました。「あの男を死刑にしなさい。宿営の外で、全員が石を投げつけて殺さなければならない。」 + そこで人々は、男を宿営の外へ引いて行き、命じられたとおりに処刑しました。 + 主はまた、モーセに命じました。「人々にこう言いなさい。『着物のすその四隅に青いひもで房をつけなさい。これから代々そうするのだ。 + その房を見るたびに、わたしの命令を思い出すためだ。もう以前のように、自分勝手にやりたいことをやったり、他の神々に仕えたりしてはいけない。主のおきてをしっかり守りなさい。 + その房は、イスラエルの神だけに従っていかなければならないことを思い出させてくれるだろう。 + あなたがたをエジプトから助け出したのはわたしである。わたしがあなたがたの神なのだ。』」 + + + ある日のこと、レビのひ孫で、ケハテの孫に当たるイツハルの子コラは、ルベン族のエリアブの子ダタンとアビラム、それにペレテの子オンとともに、 + 人々をそそのかしてモーセに逆らわせました。その支持者には、名の知れた二百五十人の指導者たちもいたのです。 + 彼らは徒党を組み、モーセとアロンのところに来て、二人に盾突きました。「分を越えるのもいいかげんにしてほしい。二人の説教はもうたくさんだ、大した人物でもないくせに。われわれだって主に選ばれた者ではないか。主はわれわれみなの主だ。二人だけが特別に偉いのだろうか。そんなに威張る権利がどこにあるんだ。」 + これを聞くとモーセは、地にひれ伏しました。 + それから、コラとその仲間に言いました。「明日の朝、主は、だれが主の選んだ正しい指導者か、だれがきよく、だれが祭司かをはっきりさせてくださる。 + あした香炉を持って来て、主にささげる香をたきなさい。そうすれば、主がだれをお選びになったかわかるはずだ。レビの子たちよ、あなたがたこそ分を越えている。」 + さらに、モーセはコラに言いました。「イスラエルの神があなたを選び、おそばで幕屋の仕事をさせ、人々の前で奉仕させてくださるだけでは不足なのか。 + この仕事ができるのはレビ族だけだというのに、それでも不満なのか。だから、祭司の職を求めるのか。 + 祭司になりたいばかりに、あなたは主に背いているのだ。アロンに不平ばかり並べたてるが、いったい彼が何をしたというのか。」 + モーセは続けて、エリアブの子ダタンとアビラムを呼びつけましたが、二人は来ようともしません。 + そのうえ、モーセの口まねをして言い返したのです。「あんたこそ、美しいエジプトからわれわれを連れ出して、こんなひどい荒野でのたれ死にさせるだけでは不足なんですか。それだけでは不満で、王様にでもなろうというのですか。とんでもないことだ。 + あんたは約束の国とかいうけっこうな地に、ちっとも連れて行ってくれないではないか。畑やぶどう畑をくれるって? もうだまされないぞ。ついて来いと言ったって行くものか!」 + モーセは激しく怒り、主に願いました。「あの者たちのいけにえを受け入れないでください。これまで私は、彼らのろば一頭さえ取り上げたこともなく、彼らを傷つけたこともないのに、あんな言いがかりをつけてくるのです。」 + それからコラに言いました。「明日、あなたもあなたの仲間全員も、アロンとともに主の前に出なさい。 + 香を入れた香炉を忘れてはいけない。一人一つずつ二百五十個を用意し、あなたもアロンも自分のものを持って来なさい。」 + 彼らはそのとおりにしました。香炉を持ち、火をつけ、モーセとアロンといっしょに幕屋の入口に立ちました。 + 事の成り行きを見ようと、民がみな集まって来ました。コラは人々をけしかけ、モーセとアロンに逆らわせようとしました。と、その時、さっとあたりが明るくなり、 + 神の声がとどろきました。 + 「モーセとアロン、この者たちから離れなさい。わたしは今すぐこの者たちを滅ぼす。」 + しかし、モーセとアロンは主の前にひれ伏して願いました。「ああ、神様。世界にただおひとりの神様。たった一人の罪のために、すべての人を罰するのですか。」 + すると主は、モーセに答えました。「わかった。それなら、人々にコラとダタンとアビラムの天幕から離れるように言いなさい。」 + モーセは長老たちを従え、ダタンとアビラムの天幕(テント)の方に走って行き、 + 叫びました。「急いでその天幕を離れなさい。彼らの持ち物にさわるな。さもないと、仲間ということで殺されてしまうぞ。」 + 驚いた人々は、コラとダタンとアビラムの天幕から離れました。ダタンとアビラムは、妻や子どもたちを連れて天幕を出て入口に立ちました。 + モーセは宣言しました。「これから起こることを見れば、主が私を遣わされたことが、はっきりわかるだろう。私はこれまで、自分の考えでやってきたのではない。 + いいか、もしこの者たちがよくある事故や病気で死んだのなら、うそをついたのは私のほうだ。 + しかし、主が奇跡を起こして地面を裂き、地が彼らを天幕もろとものみ込み、生きたまま地獄に落とされたなら、主を冒瀆したのは彼らのほうだ。」 + こう言い終わるか終わらないうちに、なんと、コラたちの足もとの地面がぱっくりと裂け、 + いっしょにいた家族、友人を、天幕もろとものみ込みました。 + 彼らは一人残らず生きたまま地獄に落ち、地の底に閉じ込められたのです。 + 彼らの回りにいた人々はみな、彼らの絶叫を聞いて、自分たちものみ込まれると思って、逃げ惑いました。 + その時、天から火が下り、香をささげていた二百五十人を焼き殺しました。 + 主はモーセに命じました。「祭司アロンの子エルアザルに、香炉を火の中から取り出させなさい。その香炉はわたしにささげられた神聖なものだからだ。 + また、罪を犯して死んだ者たちの香炉から、火のついた香を取り出してまき散らすように言いなさい。次に、香炉を打ち延ばして一枚の板にし、それで祭壇を覆いなさい。この香炉は、わたしの前で使ったから神聖なものだ。こうしておけば、祭壇の覆いを見るたびにこの出来事を思い出すだろう。」 + 祭司エルアザルは、命じられたとおり二百五十個の青銅の香炉を板金にし、祭壇に覆いをかけました。 + アロンの子孫でない者はだれも、神の前で香をたいてはならないこと、これを破ればコラと同じ目に会うことを思い出させるためでした。すべて主がモーセに命じたとおりです。 + ところが翌朝になると、人々はモーセとアロンを批判し始めたのです。「あなたたちは主の民を殺してしまったのだ。」 + 批判のうずはたちまち広がり、険悪な雰囲気になっていきました。と、突然、雲がわき起こり、人々が振り返って幕屋を見ると、目もくらむばかりに輝いていました。 + モーセとアロンが幕屋の入口に立つと、主はモーセに命じました。 + 「人々から離れなさい。今すぐ彼らを滅ぼす。」それを聞いて、モーセとアロンは主の前にひれ伏しました。 + モーセはアロンに言いました。「急いで香炉を持って来て、祭壇の火で香をたき、すぐ人々のところへ行って主の赦しを願ってくれ。早くしないと手遅れになる。見なさい、もう神罰が下って病気で倒れた者もいる。」 + アロンは言われたとおり、人々のところへ走って行きました。すでに疫病がはやりだしていたので、急いで香をたき、主の赦しを願いました。 + アロンが死者と生きている者の間に立っていると、ようやく疫病は収まりましたが、前日のコラの事件で死んだ者とは別に、 + 死者はすでに一万四、七〇〇人にも達していたのです。 + 疫病が収まると、アロンは幕屋の入口にいたモーセのところへ戻りました。 + + + それから、主はモーセに命じました。「族長たちに、自分の名を彫った杖を持って来させなさい。アロンの名はレビ族の杖に彫る。 + 十二本の杖を幕屋の契約の箱の前、わたしがあなたと会う場所に置きなさい。 + この杖で、わたしがだれを選ぶかを決めよう。わたしの選んだ者の杖は芽を出すのだ。これだけはっきりさせれば、彼らも不平は言わなくなるだろう。」 + 十二人の族長は、それぞれモーセのところに杖を持って来ました。アロンの杖も入っています。 + モーセは、幕屋の奥の主の前にそれを置きました。 + 翌日そこへ行ってみると、レビ族を代表するアロンの杖が芽を出し、花が咲き、アーモンドの実がなっているではありませんか。 + それを持って来て見せると、人々はあっけにとられ、ただ見つめるばかりです。それでも族長たちは気を取り直し、自分の杖を引き取りました。 + 「アロンの杖を、この事件の苦い思い出として、いつまでも契約の箱のそばに置きなさい。アロンの権威を疑う者がまた出たら、それを見せてやりなさい。そうすれば、民が不平を言っていろいろな災難を被らずにすむだろう。」主がそう命じたので、 + モーセはそのとおりにしました。 + しかし人々は、それでもこりずに不平を言うのでした。「これでは、みんな死んだも同然だ。幕屋に近づくだけで死ぬのなら、だれも助かるわけないではないか。」 + + + 主は、今度はアロンに言いました。「あなたとあなたの一族は、どんな事情であっても、聖所が汚されたら責任を負わなければならない。祭司の仕事で失敗したときも同じだ。 + あなたと同族のレビ人にも手伝わせるが、幕屋での神聖な務めは、あなたの一族しかできない。他のレビ族の者が祭壇の神聖な用具にさわらないように注意しなさい。気をつけないと、あなたもあなたの一族も、罰せられて死ぬことになる。 + レビ族でない者には絶対に手伝わせてはいけない。 + 聖所や祭壇で奉仕するのは祭司だけである。このとおりにすれば、わたしのおきてを破って、そのためにわたしが人々に罰を下すこともなくなる。 + くり返すが、同族のレビ族に幕屋での仕事を手伝わせよう。 + しかし、祭壇や聖所の垂れ幕の内側での仕事や神聖な務めはすべて、祭司であるあなたとあなたの息子たちが行わなければならない。あなたがただけが祭司として選ばれたからだ。他の者で不要な手出しをする者は、必ず死ななければならない。」 + 主は続けてアロンに命じました。「わたしにささげられた物はみな、祭司に与える。イスラエル人のすべての聖なるささげ物はみな、あなたとあなたの子らのものとなる。これはいつまでも変わらぬ定めである。 + 穀物の供え物、罪の赦しのためのいけにえ、それに罪過を償ういけにえも、祭壇で焼いてわたしにささげる一部を除いては、全部あなたがたのものだ。これは最も神聖なものだから、 + 最も神聖な場所で食べなければならない。しかも、食べることができるのは男だけだ。 + イスラエル人の奉納物はみな、あなたと家族全員に与えよう。男でも女でもおきてどおり身をきよく保っているなら、だれでも食べられる。 + 初物としてささげられる、最良のオリーブ油、ぶどう酒、穀物、 + 他の収穫物もみな、あなたがたのものだ。おきてどおり身をきよく保っているなら、家族はそれを食べてよい。 + わたしへの奉納物はみな、あなたがたのものだからだ。イスラエル人の長男も、家畜の初子もみな、あなたがたのものだ。 + しかし、長男や食べてはいけない家畜の初子の場合は、代金で受け取りなさい。一人あるいは一匹につき銀五シェケル(一シェケルは十一‧四グラム)を、生後一か月過ぎたら持って来させるのだ。 + ただし、牛、羊、やぎの初子は、いけにえとしてささげなさい。その血を祭壇に振りかけ、脂肪を火で焼くささげ物とする。わたしはそれを受け入れよう。 + 肉はあなたがたの分としてかまわない。祭壇で揺り動かしてささげる胸や右のももの肉もそうだ。 + 人々が持って来る奉納物はみな、あなたに与える。それを家族全員の食物としなさい。これは、わたしがあなたとあなたの子孫に対して結ぶ、永遠の契約である。 + 祭司は相続地もなく、他の収入もない。必要な物はみな、わたしが与える。 + 同族のレビ族には、幕屋での仕事の報酬として、イスラエル中からささげられる中から十分の一のささげ物を与えよう。 + もうこれからは、祭司とレビ人以外の者は、だれも聖所に入ってはならない。もし入ったなら罪を犯した罰として死ぬ。 + 聖所で働けるのはレビ人だけだ。その彼らも、間違ったことをすれば罰せられる。これは永遠の定めである。彼らには相続地が与えられない。 + その代わり、イスラエルの奉納物である十分の一のささげ物を与える。彼らが相続する財産はそれだけで、ほかに相続地を持つことはできない。」 + 主はまた、モーセに告げて言いました。「レビ人に、人々から受け取る物の十分の一を、わたしに奉納物としてささげるよう命じなさい。 + それをレビ人の財産の十分の一とみなし、穀物の初物やぶどう酒の代わりに受け取ろう。 + その場合、人々から受け取る十分の一のささげ物の中でも、最も良い物を選び、祭司アロンに与える。 + それは穀物の粉やぶどう酒の代わりである。 + アロンとその家族は、ささげた物の残りを、家でもどこででも食べてかまわない。幕屋で仕事をした報酬だからだ。 + レビ人は、受け取った物の十分の一、それも最も良い物を祭司にささげるなら、その残りのささげ物を食べても罪にはならない。しかし、それは人々の神聖なささげ物だから、大事に扱いなさい。注意しないと、罰せられて死ぬことになるからだ。」 + + + 主はモーセとアロンに告げて言いました。「さらに、わたしが定めた規定は次のことである。人々に、傷のない、一度も仕事をしたことのない赤い雌牛を一頭引いて来させなさい。それを祭司エルアザルに渡し、宿営の外に引いて行き、彼の目の前でほふりなさい。 + エルアザルは牛の血を指で取り、幕屋の正面に七度まく。 + そのあと、彼の目の前でその雌牛を焼きなさい。皮も肉も血も糞もである。 + その火の中へ、エルアザルが杉の木とヒソプの枝と赤い糸とを投げ込む。 + それがすんだら、着物と体を洗いきよめる。これでもう宿営に戻れるが、祭司は夕方まで汚れる。 + 雌牛を焼いた者も着物と体を洗いきよめるが、同じように夕方まで汚れる。 + それから、汚れていない者が灰を集め、宿営の外のきよめられた場所に置いて保存する。その灰で、人々の汚れをきよめる儀式に使う水を作る。 + 灰を集めた者も着物と体を洗いきよめるが、夕方までは、やはり汚れる。イスラエルの人々も、いっしょに住んでいる外国人もみな、永遠にこのおきてを守らなければならない。 + 人の死体にさわったら、だれでも七日間は汚れる。 + 三日目と七日目に、赤い雌牛の灰を入れた水で体を洗えばきよめられるが、三日目にこの儀式をしないと、七日たっても、まだ汚れたままである。 + 死体にさわったのに、決まりどおり体を洗いきよめないのは、幕屋を汚すのと同じことだ。そんな不届き者は追放しなさい。きよめの水をかけなかったので、まだ汚れたままだからだ。 + 天幕の中で人が死んだ場合は、次のようになる。その天幕に入る者も、その時、中にいた者もみな七日間は汚れる。 + 人だけでなく、中にあるふたのない入れ物も汚れる。 + また、戦争その他の理由で死んだ者の死体に野外で触れた者、骨や墓にさわった者も、七日間汚れる。 + それをきよめるには、まず汚れをきよめる赤い雌牛の灰を器に入れ、わき水を加える。 + それから、汚れていない者がヒソプの枝をその水に浸し、天幕と中にある水さしや皿、中にいて汚れた者などに振りかける。また骨や、殺されるかその他の理由で死んだ者の死体や、墓にさわった者にも振りかける。 + 三日目と七日目に、このようにする。それから、本人が着物と体を洗いきよめる。そうすれば、七日目の夕方には汚れからきよめられる。 + 身が汚れたのにきよめようとしない者は、神の聖所を汚したのだから追放される。彼はきよめの水を体にかけなかったので、汚れたままである。 + このおきては永遠に変わらない。水を注ぎかける者も、あとで着物を洗いきよめる。水に触れた者はだれでも、その日の夕方まで汚れる。 + また、汚れた者がさわるものもみな、夕方まで汚れる。」 + + + さて、イスラエルの民は第一の月にツィンの荒野に着き、カデシュで野営することになりました。その間にミリヤムが死に、そこで葬られました。 + そこには飲み水が十分ありませんでした。またまた不満が爆発し、モーセとアロンをつるし上げようと人々がぞくぞくと集まって、 + 抗議の集会を開きました。「あの時、主に殺された者たちといっしょに死んでしまえばよかったのだ。 + あんたたちの魂胆はわかっている。わざと、この荒野にわれわれを連れ出し、家畜もろとも皆殺しにしようというんだろう。 + 何の恨みがあって、おれたちをエジプトからこんなひどい所に連れて来たのだ。すばらしい土地があるとか言っていたが、いったいどこだ。いちじくやぶどうやざくろが山ほど採れるって? 笑わせるなよ、飲み水もないじゃないか!」 + モーセとアロンは幕屋の入口に引き返し、主の前にひれ伏しました。すると、主の栄光が輝きわたりました。 + 主はモーセに命じました。 + 「アロンの杖を取り、二人で人々を集めなさい。みんなの目の前で、向こうにある岩に『水を出せ』と命じるのだ。その水を、みんなにも家畜にも欲しいだけ飲ませなさい。」 + そこでモーセは命じられたとおりに、聖所の奥の主の前に置いてあった杖を取り、 + アロンと二人で岩の前に人々を集めました。そして、「さあ、わからず屋ども。この岩から水を出してやるから、ありがたく思いなさい」と言うと、 + モーセは杖を振り上げて岩を二回たたきました。と、どうでしょう。水がどんどんわき出て来るではありませんか。人も家畜も、大喜びでその水を飲みました。 + ところが主は、モーセとアロンをしかりました。「あなたがたはわたしを信じなかった。岩に命じなさいと言ったのに、杖でたたくとは何事だ。わたしを信じきらず、わたしが聖なる者であることを民に示さなかったのだから、あなたがたは約束の地に入ることができない。」 + それでこの場所は、メリバ〔「反逆の水」の意〕と名づけられました。イスラエルの民が主に背いて争ったからです。この事件によっても、主はご自分の聖なることを示しました。 + カデシュにいる間に、モーセはエドムの王のもとへ使いを出しました。「王様、私たちはあなたの身内も同然です。私たちの先祖ヤコブは、あなたのご先祖エサウ様の弟でした。ご存じのように、私どもはずいぶん悲しい思いをしてきました。事情があってエジプトへ行きましたが、長く住んでいるうちに奴隷にされてしまったのです。 + あまりの苦しさに主に助けを求めると、主はひとりの御使いを遣わし、私たちをエジプトから連れ出してくださったのです。今、私たちはあなたの国との境にあるカデシュに野営しております。 + どうぞ、あなたの領土を通らせてください。畑やぶどう園を荒らさないように十分気をつけます。井戸の水も飲みません。あなたの領土を通過するまで、ただまっすぐ街道を進み、決してわき道にそれたりはしません。」 + しかしエドムの王は、すげなくそれを突っぱねました。「だめだ、許可できない。一歩でも踏み込んだら、軍を差し向けるぞ。」 + 「そうおっしゃらず、お許し願えないでしょうか。街道からは絶対にそれませんし、水も飲みません。どうしても飲ませていただかなければならないときは、きちんと代金をお払いします。ただ、通らせていただければよいのです。」 + 「だめと言ったらだめだ!」王はあくまでも聞き入れません。そして警告どおり、大軍をくり出して国境の守りを固めました。 + これではどうにもなりません。イスラエル人は迂回することにし、カデシュからホル山へ移りました。 + エドムとの国境で、主はモーセとアロンに告げました。 + 「アロンはもうすぐ先祖のもとに行く。約束の地に入ることはできない。あなたがた二人がメリバの水のことで、わたしの命令に逆らったからだ。 + さあモーセは、アロンとその子エルアザルを連れてホル山に登りなさい。 + そこでアロンの祭司の服を脱がせ、子エルアザルに着せるのだ。アロンはそこで死に、先祖の民に加えられる。」 + モーセは主の言うとおりにしました。人々に見送られ、三人はホル山へ登って行きました。 + 頂上に来ると、モーセはアロンの服を脱がせ、息子エルアザルに着せました。アロンはそのままそこで死に、モーセとエルアザルは山を下りました。 + アロンが死んだことを聞くと、イスラエルのすべての民は、三十日の間、泣いて悲しみました。 + + + 人々は、先の偵察隊の一行と同じ道を通り、アラデの近くに来ました。それを知ったカナン人アラデの王はイスラエル人を攻撃し、何人かを捕虜にしました。 + そこでイスラエルの民は、「アラデの国を征服させてください。国中の町を必ず全滅させます」と主に誓願しました。 + 願いは聞かれ、彼らはカナン人と彼らの町を滅ぼしました。そこをホルマ〔「全滅」の意〕と呼ぶようになったのは、この時からです。 + このあと彼らはホル山に帰り、そこから南へ行き、エドムの国をぐるりと回って、紅海へ通じる道に出ました。ところが、途中で我慢できなくなり、 + また文句を言い始めたのです。不平不満はモーセに集中しました。「何の恨みがあって、われわれをエジプトから連れ出し、こんな荒野で飢え死にさせるのか。食べ物も飲み物もないではないか。あんなまずいマナは、もうたくさんだ。」 + これに主は怒り、彼らを毒蛇にかませたので、多くの者が死にました。 + 人々は困り果ててモーセに泣きつきました。「赦してください。私たちが間違っていました。主とあなたのおっしゃるとおりにしていればよかったのです。お願いですから、毒蛇がいなくなるように主に祈ってください。」モーセは民のために祈りました。 + 主の答えはこうでした。「銅で毒蛇の複製を作り、竿の先に掲げなさい。かまれた者で、わたしの言うとおり、それを見上げる者は助けよう。」 + モーセはさっそく蛇の複製を作り、竿の先につけました。かまれた者で、それを見上げた者は一人残らず治りました。 + このあと一行はオボテに行き、そこで野営しました。 + そこからさらに、モアブに近い荒野にあるイエ‧ハアバリム、 + ゼレデの谷へと進み、そこに野営しました。 + それから、モアブとエモリとの国境沿いを流れるアルノン川の向こう岸に移りました。 + アルノン川のことは、『主の戦いの書』(折々に作られたイスラエルの戦いの歌)に、ワヘブの町を通り、 + モアブとエモリの国境を流れている、と記されています。 + 次に向かったのはベエル〔「井戸」の意〕です。そこは主がモーセに、「水を与えるから、みなを集めなさい」と命じた場所でした。 + その時のことは、次のようなイスラエルの歌になっています。「水よ、どんどんわき上がれ。喜びの歌を歌おう。おお、すばらしい井戸。指導者たちが杖とシャベルで掘った井戸。」一行はそこで荒野を離れ、マタナ、 + ナハリエル、バモテを通って、 + モアブ平原の谷まで行きました。そこはピスガ山のふもとで、山頂からは荒野がはるかに見渡せました。 + イスラエルは、エモリ人の王シホンに使者を送りました。 + 「どうか、領内を通らせてください。国境を越えるまでは、決して街道からそれたりしません。畑を踏み荒らしたり、ぶどう園に入ったり、水を飲んだりもしません。」 + しかし、王は承知しませんでした。それどころか軍を集め、わざわざ荒野に出て、ヤハツで戦いをしかけてきたのです。 + ところが王は戦死し、勝ったのはイスラエル人のほうでした。結局、アルノン川から、北はヤボク川、東はアモンとの国境までを占領しました。アモンとの国境は地形が険しく、それ以上は進めなかったのです。 + こうしてイスラエルはエモリ人の国を占領し、そこに住みつきました。首都だったヘシュボンもイスラエル人のものになりました。シホン王は以前にモアブを治めていた王と戦って勝ち、アルノン川までの全土を占領していたのです。 + 昔の詩人が歌っているとおりです。「シホン王の都、ヘシュボンに来てみるがいい。岩のように堅い都に。王は炎のような勢いでモアブの町アルに攻め上り、完全に滅ぼしてしまった。アルノン川の高地にそびえるあのアルを。気の毒なモアブ、ケモシュの神を拝む人たち。とうとう最期が来たのだ。息子は外国へ逃げ、娘はエモリ人の王シホンに捕らえられた。しかし、今やわれわれが彼らの子孫を滅ぼした。ヘシュボンからディボンに至るまで、メデバの近くのノファフまで。」 + エモリ人の国にいる間に、モーセはヤゼルのあたりに偵察を送り込みました。よく調べてから攻めようとしたのです。そして、とうとう町々を占領し、エモリ人を追い出しました。 + 次の目標はバシャンの都でした。バシャンの王オグはこれに対抗し、エデレイに兵を集めました。 + 主はモーセを励ましました。「恐れるな。勝敗はもう決まっている。ヘシュボンでシホン王と戦ったように、オグ王と戦いなさい。」 + そして、イスラエルは勝利を収めたのです。オグ王とその子らから部下に至るまですべて打ったので、バシャンもイスラエル人のものとなりました。 + + + さて、イスラエルはモアブの平原に移り、ヨルダン川の東側、ちょうどエリコの町の反対側あたりに野営しました。 + ツィポルの子でモアブの王バラクは、イスラエル人の数があまりにも多く、エモリ人がひどい目に会ったことを知ると、恐怖におびえました。国民もイスラエル人を恐れました。 + ぐずぐずしてはいられません。そこで王はすぐ、近隣のミデヤン人の指導者たちに相談しました。「いったいどうしたらいいのだ。あの暴徒どもは、まるで牛が草を食い尽くすように回りの者を滅ぼしている。このままでは絶対に助からない。」 + 相談の結果、ベオルの子バラムを呼び寄せることになりました。彼は、ユーフラテス川に近い、王の故郷ペトルに住んでいます。「バラムが来れば何とかなる。」そう望みをかけて、王は使いを送りました。使いの者は王のことづてをバラムに伝えました。「イスラエル人とかいう暴徒どもがエジプトからやって来て、国中が大騒ぎだ。何しろ彼らは、まるで世界中を征服しそうな勢いで手のつけようがない。それが今にもわが国に攻め込んで来そうなのだ。すぐ来て、彼らをのろってくれないだろうか。そうすれば難なく追い出すことができる。彼らは強すぎて、このままではとてもかなわない。おまえが祝福する者は祝福され、おまえがのろう者は必ず破滅するということだから、ぜひ頼みを聞いてくれないか。」 + モアブとミデヤンの長老たちによる使いの一行は、進物を携え、急いでバラムに用件を伝えました。 + するとバラムが、「今夜はここにお泊まりください。明日の朝、主がお示しになったことをお伝えしましょう」と言うので、彼らはそうすることにしました。 + その晩、神がバラムに現れ、「その者たちはいったい何者だ」とお尋ねになりました。 + 「モアブの王バラクの使いの者でございます。 + 暴徒たちがエジプトから来て、国境に迫っているから、すぐ彼らをのろいに来てくれというのです。戦いに勝ちたがっているのです。」 + 「行ってはならない。頼みを聞いてその民をのろってはならない。わたしはイスラエルの民を祝福しているからだ。」 + 翌朝、バラムはバラクの使いの者たちに言いました。「申しわけありませんが、お帰りください。主は行ってはならないと言われました。」 + 長老たちは、すごすごと王のもとへ戻り、断られたことを伝えました。 + しかし王はあきらめません。もう一度、より地位の高い者たちを、前よりも大ぜい送りました。 + 一行が持って行った親書には、こうありました。「ぜひともおいでください。おいでいただければ手厚くおもてなしし、お望みのものは何でも差し上げましょう。どうか、イスラエル人をのろいに来てください。」 + バラムは承知しません。「たとえ金銀で飾り立てた宮殿を下さると言われても、私の神、主の命令には逆らえません。 + しかし、この前とは別のお告げがあるかもしれませんから、今夜はここにお泊まりください。」 + その夜、神はバラムに命じました。「彼らとともに行きなさい。だが、わたしが命じることだけをするのだ。」 + 翌朝、バラムはろばに鞍をつけ、モアブの指導者たちと出かけました。 + ところが、神はバラムの心に欲があることを怒り、途中で彼を殺してしまおうと主の使いを送ったのです。そうとは知らないバラムは、供の者二人と先を急いでいました。と、突然、バラムのろばの前に抜き身の剣を下げた主の使いが立ちはだかりました。驚いたろばは急に駆けだし、道ばたの畑に入り込んでしまいました。バラムはわけがわからず、あわててろばに鞭を当てて道に戻しました。 + 主の使いは、今度はぶどう園の石垣の間の道に立っていました。 + その姿を見るなり、ろばはもがいて体を石垣に押しつけたので、バラムは足をはさまれてしまいました。怒ったバラムは、また鞭を当てました。 + すると、主の使いが先に行って道幅の狭い所に立ちふさがったので、 + ろばは道にうずくまってしまいました。バラムはかっとなって、ろばを杖で打ちました。 + この時、急にろばが口をききました。主がそうなさったのです。「どうして私を三度もぶつのですか。」 + 「私をばかにしたからだ。剣があれば、切り殺してやるところだ。」 + 「でも、これまでに、私が一度でもこんなことをしたでしょうか。」「いや、なかった。」 + その時バラムの心の目が開き、剣を抜いて行く手に立ちはだかっている主の使いが見えました。バラムはびっくりし、その方の前にひれ伏しました。 + 「なぜ、ろばを三度も打ったのか。あなたが破滅の道を進んでいるので、止めに来てやったのに。 + ろばはわたしを見て、三度ともしりごみした。そうでもしなかったら今ごろ、ろばは助かっても、あなたのいのちはなかった。」 + 「私が間違っていました。お赦しください。あなたがおいでになろうとは、気がつきませんでした。これ以上進むなと申されるなら、引き返します。」 + 「いや、このまま行きなさい。ただ、わたしが命じることだけを言うのだ。」そこでバラムは一行と旅を続けました。 + バラク王は、バラムが途中まで来ていると聞いて待ちきれず、わざわざ国境のアルノン川まで迎えに出ました。 + 「なぜ、こんなに遅くなったのか。絶対に悪いようにはしないと約束したのに、信じてくれなかったのか。」 + 「王様、おおせに従い、参るには参りましたが、残念ながら、神が命じられることしか申し上げられません。」 + バラムは、王といっしょにキルヤテ‧フツォテに行きました。 + 王はそこで牛と羊をほふり、バラムや使いの者たちにそれを与えました。 + 翌朝、王はバラムをバモテ‧バアル山の頂上に連れて行きました。そこから見下ろすと、多くのイスラエル人が集まっているのが見えました。しかも、それは彼らの一部でした。 + + + バラムはバラク王に言いました。「ここに祭壇を七つ築き、若い雄牛と若い雄羊を七頭ずつ用意してください。」 + 王は指示どおり、雄牛と雄羊を一頭ずつ、それぞれの祭壇の上でいけにえとしてささげました。 + 「ここでお待ちください。主が何と言われるか聞いてまいりましょう。」こう言うと、バラムは木も生えていない山の頂上に登って行きました。そこに神が現れたので、バラムは言いました。「七つの祭壇を用意し、それぞれに若い雄牛と雄羊を一頭ずつ、いけにえとしておささげしました。」 + 主は王に伝えることを教えました。 + 戻ってみると、王はモアブの指導者全員とともに、焼き尽くすいけにえのそばに立っていました。 + バラムは言いました。「王よ、あなたは私を東のアラムの国から呼び寄せ、『イスラエル人どもをのろい、滅ぼしてくれ』とお頼みになりました。ああ、しかし、神がのろわないのに、どうして私がのろえましょう。神が滅ぼすと言われないのに、どうして私が滅びると言えましょう。山の頂から眺め、丘の上からよく見ると、イスラエル人はどの国民とも違います。あんな国民は見たこともありません。まるで海辺の砂のように多く、とても数えきれません。死ぬ時は、私もイスラエル人のように幸せに死にたいものです。」 + 王はバラムに言いました。「なんだと! 敵をのろってくれとは頼んだが、祝福しろと言った覚えはない。」 + 「何と言われましても、神様が言えとおっしゃること以外は申し上げられません。」 + 「では、やつらがほんの一部しか見えないこちらに来い。そのくらいの数なら、のろってもかまわないだろう。」 + 王はバラムをピスガ山の頂上のセデ‧ツォフィムの原に連れて行き、そこに祭壇を七つ築き、それぞれに若い雄牛と雄羊を一頭ずついけにえとしてささげました。 + バラムは王に言いました。「主にお会いして来る間、祭壇のそばに立っていてください。」 + 主はバラムに現れ、何を言ったらよいかを教えました。 + バラムはさっそく王や指導者たちのもとに戻りました。そばには、焼き尽くすいけにえがありました。王はまどろっこしくなり、じりじりしながら尋ねました。「それで、主は何と言われたのだ?」 + バラムは、答えました。「よろしいですか、ツィポル殿のご子息である王よ。お聞きもらさないように、よくお聞きください。神は人間と違って、うそなどおつきになりません。神が約束を実行なさらなかったことがあるでしょうか。その神が、『祝福しなさい』とお命じになったのです。神の祝福を変えることはできません。イスラエル人に悪いところはないのだから、災いに会うこともありません。神が彼らとともにおられ、イスラエル人は彼らの王をたたえています。神は彼らをエジプトから連れ出しました。神はイスラエルのために野牛のように戦います。イスラエルには、のろいも魔術も通じません。『イスラエルの神は、なんと不思議なことをなさるのだ』と、だれもが言うでしょう。彼らはライオンのように立ち上がり、獲物を食い尽くし、その血を吸い尽くすまで休もうとはしません。」 + 「ええい、もうやめないか! のろわないなら、せめて祝福するのだけはやめてくれ!」王はこらえきれずに叫びました。 + 「王様、私は主がお告げになったことだけをお伝えすると、最初に申し上げたではありませんか。」 + 「それなら、また別の場所へ連れて行ってやろう。そこからなら、やつらをのろってもいいと、神は言われるかもしれない。」 + 王はバラムを、荒野を見下ろすペオル山の頂上に連れて行きました。 + バラムが、「祭壇を七つ築き、若い雄牛と雄羊を七頭ずついけにえにしてください」と頼むと、 + 王は言われたとおり、それぞれの祭壇に一頭ずつ、雄牛と雄羊をささげました。 + + + バラムは、主がイスラエル人を祝福することがもうよくわかっていたので、これまでのように、わざわざ主に会おうとはしませんでした。その代わり、すぐさまイスラエル人の宿営を眺めに行きました。 + 見ると、部族ごとに一まとまりになった天幕の列が、平原を横切って、はるかかなたまで延びています。その時、神の霊がバラムに下り、 + こう預言しました。「ベオルの子バラムが知っていることは、こうだ。私は目のよく見える者。私は神のことばを聞き、全能の神がお見せくださったものを見た。神の前にひれ伏すと、それまで見えなかったものが見えるようになった。ああ、イスラエルはやがて繁栄し、大いに祝福される。緑に覆われた谷間のように、家々は建ち並び、川辺の豊かな果樹園のように、主が植えたかぐわしいアロエのように、川のそばに植えた杉の木のように、水を吸って大きくなり、ますます領地を広げていく。彼らの王はアガグよりも偉大で、人々は口々にイスラエルのすばらしさを褒める。神は彼らをエジプトから連れ出された。イスラエルは野牛のように強く、敵対する国々をことごとく滅ぼす。敵をさんざん打ち負かし、雨あられと矢を射かける。ライオンのようにうずくまり、眠っているイスラエル。だれがその目を覚まさせられよう。イスラエルを祝福する人は幸せになり、のろう人は不幸になる。」 + あまりのことばに、王は怒りに身を震わせ、もうたくさんだとばかりに声を荒げて言いました。「いいかげんにしろ! おまえを呼んだのは、やつらをのろわせるためだ。それが口を開けば祝福ばかりだ。それも一度や二度でなく、三度もだ。 + もうよい、とっとと国へ帰れ。手厚くもてなすつもりだったが、主がじゃまだてするのではどうにもならぬ。」 + 「王様、あの時、使いの方に、『たとえ金銀で飾り立てた宮殿を頂いても、神様のおことばには背けません。勝手に自分の考えを言うわけにはまいりません。ただ神様の言われることだけを申し上げましょう』と念を押したはずです。 + おっしゃるとおり、帰らせていただきます。しかしその前に、お国がこれからどんな目に会うか申し上げましょう。」 + バラムは王に預言しました。「ベオルの子バラムが知っていることは、こうだ。私は目のよく見える者。私は神のことばを聞き、その考えを知り、そのなさることを見た。神の前にひれ伏すと、目が見えるようになり、イスラエルの将来が見通せた。いつか、ずっと先、イスラエルから一つの星が輝き出る。一人の王が起こり、モアブ人を打ち破り、セツの子孫を滅ぼす。エドムとセイルの全土は、イスラエルのものとなる。イスラエルは向かうところ敵なく、その全地を治め、町々を滅ぼす。」 + このあとバラムは、アマレク人の住む地方を見渡して預言しました。「これまで最も強国だったアマレク。そのアマレクもやがて滅びる。」 + 次に、ケニ人の国を見渡して言いました。「ケニ人の国は堅固で、回りを岩山に囲まれている。しかしこの国も、いつかは滅びる。アッシリヤの王が大挙して攻め寄せ、国民を捕らえ、外国へ連れ去る。」 + 最後にバラムは、こう締めくくりました。「神がこのとおりにしたら、だれ一人、生き残れない。力を誇ったエベルやアッシリヤもキプロスから攻め上る船団に手を焼き、ついには、ひとたまりもなく滅びる。」 + 預言し終えると、バラムはさっさと国へ帰り、バラク王も自分のところへ帰りました。 + + + さて、イスラエルの民がモアブのシティムに野営していた時のことです。青年たちの何人かが、土地の娘とふしだらな関係を持ち始めました。 + モアブ人の信じる神々にいけにえをささげる儀式に加わるようそそのかされ、彼らは宴会に連なるばかりか、ほんとうの神でない偶像を拝むようになりました。 + やがてイスラエル人は、ペオル山で、進んでモアブの神バアルを拝むほどになったのです。主の怒りが燃え上がったのは言うまでもありません。 + そこで、主はモーセにきびしく命じました。「族長たちを死刑にせよ。白日のもとで、さらし者とするのだ。そうすればあなたがたを赦そう。」 + モーセは、バアルを拝んだ者を一人残らず処刑するよう命じました。 + ところが、人々が幕屋の入口に集まって泣いているところへ、モーセをはじめ国民全員の目の前に一人の男がミデヤン人の娘を連れて来ました。 + エルアザルの子で祭司アロンの孫に当たるピネハスは、それを見るなり槍を取り、 + その男のあとを追いました。天幕の中に駆け込むと、ピネハスは奥で寝ていた二人を間髪を入れず突き刺しました。槍は男の背を抜け、女の腹をも刺し貫きました。これで神罰はやみましたが、 + すでに二万四千もの人が死んでいました。 + このことがあってから、主はモーセに告げて言いました。「ピネハスは見上げたものだ。わたしの怒りを思って、悪事に目をつぶらず、手加減もしなかった。それでわたしの怒りも治まり、これ以上罰を下すのはやめたのだ。 + だからわたしは、彼に約束しよう。彼の子孫は永遠に祭司の職に就く。あんなにもわたしのことを思い、勇気を出して人々のいのちを救ったからだ。」 + ところで、ミデヤン人の娘といっしょに殺された男はジムリといって、シメオンの族長サルの息子でした。 + 女のほうはミデヤン人の王子ツルの娘で、コズビといいました。 + 主はモーセに命じました。「ミデヤン人を打ち滅ぼしなさい。 + 向こうもあなたがたを滅ぼそうと策略をめぐらしているからだ。彼らはバアルを拝ませて道を誤らせようとしている。コズビの事件がいい例だ。」 + + + 罰がやんだあと、主は、モーセとアロンの子エルアザルとに告げて言いました。 + 「部族ごと、氏族ごとに、二十歳以上の男の数を調べなさい。戦いに出られる者が何人いるか確かめるのだ。」 + そこで二人は、族長全員に調査を命じました。ちょうど、ヨルダン川の東側、エリコの向かいあたりにあるモアブ平原に野営している時でした。 + ルベン族――四万三、七三〇人。ルベンはヤコブの長男です。この部族は、エノク族、パル族、ヘツロン族、カルミ族の四つの諸氏族に分かれますが、その先祖はみなルベンの子です。パルの子の一人エリアブから、ネムエル一族、アビラム一族、ダタン一族が出ました。このダタンとアビラムは、コラと手を組んでモーセとアロンに盾突き、主に逆らった反逆者です。彼らにはたちまち神のさばきが下り、地面が裂けて、のみ込まれてしまったのです。その日はまた、全国民への警告として、彼らの誘いにのった二百五十人の者も焼き滅ぼされました。 + シメオン族――二万二、二〇〇人。この部族には、シメオンの子から興された五つの諸氏族があります。ネムエル族、ヤミン族、ヤキン族、ゼラフ族、サウル族。 + ガド族――四万五〇〇人。この部族に含まれる諸氏族は七つで、みなガドの子から出たものです。ツェフォン族、ハギ族、シュニ族、オズニ族、エリ族、アロデ族、アルエリ族。 + ユダ族――七万六、五〇〇人。この部族に属する氏族は、ユダの子の名を受け継いでいますが、カナンで死んだエルとオナンは含まれません。シェラ族、ペレツ族、ゼラフ族。この調査には、さらにペレツから出た、ヘツロン族、ハムル族の一族も含まれていました。 + イッサカル族――六万四、三〇〇人。この部族には四つの氏族があり、それぞれイッサカルの子の名を受け継いでいます。トラ族、プワ族、ヤシュブ族、シムロン族。 + ゼブルン族――六万五〇〇人。この部族の氏族はゼブルンの子が興したもので、セレデ族、エロン族、ヤフレエル族の三氏族です。 + ヨセフの子孫は、エフライム族が三万二、五〇〇人、マナセ族が五万二、七〇〇人。マナセ族には、先祖マキルの名を継いだマキル族があります。マキルからは、さらにギルアデ族が出ました。ギルアデ族は次のとおりです。イエゼル族、ヘレク族、アスリエル族、シェケム族、シェミダ族、ヘフェル族。ヘフェルの子ツェロフハデには息子がなかったので、娘の名を挙げておきます。マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァ。エフライム族で登録された三万二、五〇〇人の中には、次のような諸氏族があります。みなエフライムの子の名を受け継いだものです。シュテラフ族、ベケル族、タハン族。シュテラフ族からは、その子エランの名をとったエラン族が出ました。 + ベニヤミン族――四万五、六〇〇人。この部族では、ベニヤミンの子が次の氏族を興しました。ベラ族、アシュベル族、アヒラム族、シェフファム族、フファム族。ベラの息子たちが興した一族は次のとおりです。アルデ族、ナアマン族。 + ダン族――六万四、四〇〇人。この部族には、ダンの子シュハムが興したシュハム族があります。 + アシェル族――五万三、四〇〇人。この部族では、アシェルの子から次の諸氏族が興りました。イムナ族、イシュビ族、ベリア族。ベリアの子が興した一族は、次の二つです。ヘベル族、マルキエル族。アシェルにも、セラフという名の娘がいました。 + ナフタリ族――四万五、四〇〇人。この部族は四つの諸氏族に分かれます。それぞれナフタリの子が興したものです。ヤフツェエル族、グニ族、エツェル族、シレム族。 + 以上、戦いに出られる者の数は全部で六〇万一、七三〇人でした。 + 調査の結果がわかると、主はモーセに命じました。「調べた人数の割合で、各部族に土地を割り当てなさい。 + 人数の多い部族には広い土地を、少ない部族には狭い土地を与えるのだ。 + 大きい部族の間では広い土地が当たるくじによって、小さい部族の間では狭い土地が当たるくじによって分配しなさい。」 + さて、レビ族で氏族ごとに登録された者は、次の三つです。ゲルション族、ケハテ族、メラリ族。 + レビ族諸氏族は、次のとおりです。リブニ族、ヘブロン族、マフリ族、ムシ族、コラ族。レビには、かつてエジプトでヨケベデという娘が生まれました。この娘がのちに、ケハテの子アムラムの妻になったのです。こうして、アロン、モーセ、ミリヤムが生まれました。 + アロンの息子は、ナダブ、アビフ、エルアザル、イタマルの四人です。 + しかしナダブとアビフは、主の前で規定に反した火をささげたために死にました。 + この調査では、レビ族の生後一か月以上の男の数は、全部で二万三千人でした。レビ族は他のイスラエル人とともには登録されませんでした。彼らには土地が与えられていなかったからです。 + 以上が、ヨルダン川の東、エリコに向かい合ったモアブ平原で、モーセとエルアザルが行った人口調査の結果です。 + シナイの荒野での調査で登録された者は、ここでの調査では一人もいませんでした。当時の大人はみな、主が言われたとおり、荒野で死んでしまったからです。ただ、エフネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアは別でした。 + + + さて、ある日のこと、ツェロフハデの娘マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァの五人が、幕屋の入口に来て、モーセ、エルアザル、族長たちをはじめ、そこに居合わせた者たちに願い出ました。この娘たちは、ヨセフの子マナセの部族の者で、先祖はマナセの子マキルでした。彼女たちの曾祖父ギルアデは、マナセの孫に当たります。父親のツェロフハデはヘフェルの息子で、ギルアデには孫になります。 + 「私たちの父は荒野で死にました。コラの反逆に加わったわけではありませんが、とにかく死んだのです。困ったことに、父には跡取り息子がいませんでした。でも、男の子がいないからといって、父の家系を絶やしたくありません。私たちにも伯父たちと同じように、土地を割り当てていただけないでしょうか。」 + モーセはこの訴えをどう扱ったらよいか、主に尋ねました。 + 主の答えはこうでした。「ツェロフハデの娘たちの言うとおりだ。土地を与えなさい。父親が生きていたら受け取るはずの土地を分けてやるのだ。 + こんな時のために、次のことを定めなさい。息子のない人が死んだら、遺産は娘が相続してよい。 + もし娘もいなければ彼の兄弟に、 + 兄弟もいなければ伯父に、 + 伯父もいなければ、一番近い親戚の者に相続させなさい。」 + またある日、主はモーセに言いました。「アバリム山に登り、川向こうの、わたしが与えると約束した土地を見渡しなさい。 + そのあと、あなたは兄のアロンと同じように天に移される。 + ツィンの荒野で、わたしの命令に従わなかったからだ。人々が水が欲しいと騒いだ時、わたしは岩に命じて水を出すよう言ったのに、そのとおりにしなかった。そうして、彼らの前で、わたしが聖なる者であることを示さなかった。」それは、ツィンの荒野にあるカデシュでのメリバの水の事件のことでした。 + モーセは主に言いました。 + 「すべての人間の心を支配なさる神、主よ。死ぬ前にお願いがあります。私が死んだら、だれが民を指導するのでしょう。 + 戦いを指揮し、民を守る指導者を選んでください。どうか、主が特別に目をかけてくださるこの民を、飼い主のない羊のようにしないでください。」 + 「では、ヌンの子ヨシュアを呼びに行きなさい。ヨシュアは神の知恵と力を持っている。 + 彼を祭司エルアザルのところへ連れて行き、全国民の前で指導者に任命しなさい。 + あなたの権威を正式に譲り渡し、すべての民が彼に従うようにするのだ。 + わたしの指示が必要になったら、彼は祭司エルアザルに相談する。エルアザルがウリム(神意を伺う一種のくじ)を使って聞けば、わたしは答えよう。それを、エルアザルはヨシュアと民に知らせる。このようにして、わたしはこれからもイスラエルを導こう。」 + モーセは言われたとおり、ヨシュアを祭司エルアザルのもとに連れて行きました。そして人々の前で、 + ヨシュアの頭に手を置き、新しい指導者に任命しました。 + + + 主はまた、モーセに告げて言いました。「人々にこう伝えなさい。祭壇で焼いてささげるいけにえは、わたしの食物だから、毎日きちんと、わたしが教えたとおりにささげなさい。わたしはその香りによるささげ物を喜ぶ。 + 火で焼くいけにえには、傷のない一歳の雄の子羊を使う。毎日二頭ずつ、焼き尽くすいけにえをささげる。 + 朝に一頭、夕方に一頭。 + それといっしょに、細かくひいた粉二‧三リットルに〇‧九リットルの油を混ぜ合わせたものを、穀物の供え物としてささげる。 + シナイ山で定めたとおりである。良い香りのする、火で焼くささげ物として、毎日ささげなければならない。 + そのほかに、子羊一頭につき〇‧九リットルの強いぶどう酒を、飲み物の供え物としてささげ、聖所のわたしの前で注ぐ。 + 夕方には、もう一頭を、穀物の供え物、飲み物の供え物といっしょにささげる。それもまた、良い香りのする、火で焼くささげ物である。 + 安息日には、いつものささげ物のほかに、傷のない一歳の雄羊を二頭ささげる。上等の小麦粉四‧六リットルに油を混ぜた穀物の供え物と、ふだんと同じ飲み物の供え物を、いっしょにささげなさい。 + さらに、毎月一日には、焼き尽くすいけにえをささげる。傷のない若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭である。 + 雄牛一頭につき、細かくひいた粉六‧九リットルに油を混ぜた、穀物の供え物をささげる。雄羊には、これも細かくひいた粉四‧六リットルに油を混ぜたもの、 + 子羊なら、同じような粉二‧三リットルに油を混ぜたものをささげる。これは、わたしの受け入れる、火で焼くいけにえである。 + このほかに、それぞれのいけにえに飲み物の供え物をつける。雄牛一頭につきぶどう酒一‧九リットル、雄羊には一‧一リットル、子羊には〇‧九リットル。以上が、月ごとにささげる焼き尽くすいけにえの決まりである。 + 毎月一日にはまた、罪が赦されるためのいけにえとして、雄やぎを一頭ささげる。毎日ささげるいけにえや飲み物の供え物のほかに、これをささげなさい。 + 毎年第一の月の十四日に過越の祭りを祝いなさい〔これは、イスラエル人がエジプトを脱出する時、エジプト人の長男を殺すために来た神の使いが、イスラエル人の長男は見逃したことに感謝し、記念する祭り〕。 + 翌日から一週間は、盛大な祭りを祝う。この間は、パン種の入ったパンは食べられない。 + 最初の日には、全国民が仕事を休み、わたしの前で聖なる集会を開く。 + その時、傷のない若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭を、焼き尽くすいけにえとしてささげなさい。 + それに穀物の供え物として上等の粉に油を混ぜたものを、雄牛一頭につき六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、子羊には二‧三リットルずつささげる。 + また、罪を赦してもらうために、雄やぎ一頭を、罪が赦されるためのいけにえとしてささげなさい。 + 毎日するささげ物のほかに、以上のささげ物をしなければならない。 + 祭りの期間中、毎日、同じいけにえをささげる。わたしはそのいけにえを受け入れる。 + そして七日目にはまた、すべての民が仕事を休み、聖なる集会を開くのだ。 + 七週の祭り〔のちのペンテコステの祭り〕とも言われる刈り入れの祭りの日には、収穫を祝う神聖な集会を開きなさい。その日には、どんな仕事も休み、穀物の供え物として初物をささげる。 + また、何よりも私の心にかなう焼き尽くすいけにえをささげなさい。若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭である。 + それに、油を混ぜた上等の粉を穀物の供え物として、雄牛一頭につき六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、子羊には二‧三リットルずつつける。 + また、罪が赦されるために、雄やぎを一頭ささげる。 + この特別ないけにえは、いつもの焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物のほかにささげる。いけにえにする動物は、必ず傷のないものでなければならない。 + + + 毎年第七月の一日は祝日とし、ラッパを吹き鳴らしなさい。その日はすべての民が仕事を休み、聖なる集会を開く。 + そして、傷のない若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭を、焼き尽くすいけにえとしてささげなさい。このいけにえはわたしの心にかなうから、喜んで受け取ろう。 + それに添える穀物の供え物は、油を混ぜた上等の粉が、雄牛には六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、子羊には一頭につき二‧三リットルの割合である。 + そのほかに、罪を赦してもらうため、雄やぎを一頭、罪の赦しのためのいけにえとしてささげる。 + これは、新月ごとの焼き尽くすいけにえ、毎日の焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物のほかに特別にささげる物で、すべて決められているとおりである。 + その十日後に、もう一度、すべての民が集まって聖なる集会を開く。その日は、どんな仕事も休み、身を慎んで静かに過ごさなければならない。 + その日はまた、わたしの受け入れる焼き尽くすいけにえとして、傷のない若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭をささげなさい。 + それといっしょに、上等の粉に油を混ぜた穀物の供え物をする。雄牛には六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、子羊には一頭につき二‧三リットルの割合である。 + そのほかに、罪の赦しのためのいけにえとして、雄やぎを一頭ささげる。これは、第七月の十日の贖罪の日にささげる、罪の赦しのためのいけにえとは別である。また、毎日の焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物とも別である。 + さらに五日後の十五日にも、国中が仕事を休み、聖なる集会を開く。その日から一週間、わたしのために祭りをしなさい。 + まず最初の日は、わたしの受け入れる焼き尽くすいけにえとして、傷のない若い雄牛十三頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をささげなさい。 + それといっしょに、穀物の供え物をする。油を混ぜた小麦粉を、一頭につき、雄牛の場合は六‧九リットル、雄羊には四‧六リットル、 + 子羊には二‧三リットルささげる。 + 毎日のいけにえや供え物のほかに、さらに雄やぎ一頭を、罪の赦しのためのいけにえとして、ささげなければならない。 + 祭りの二日目には、傷のない若い雄牛十二頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をいけにえにする。 + それといっしょに、いつもと同じ割合で、穀物と飲み物の供え物をそれぞれささげる。 + このほかに、雄やぎ一頭を、毎日のいけにえや供え物とは別に、罪の赦しのためのいけにえとしてささげる。 + 三日目には、傷のない若い雄牛十一頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をささげなさい。 + それぞれといっしょに、いつものとおりの割合で、穀物と飲み物の供え物をする。 + そのほか、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎ一頭を、罪の赦しのためのいけにえとしてささげる。 + 四日目には、傷のない若い雄牛十頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、穀物と飲み物の供え物といっしょにささげる。 + また雄やぎ一頭を、毎日のいけにえや供え物とは別に、罪の赦しのためのいけにえとしてささげる。 + 五日目には、傷のない若い雄牛九頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、いつもと同じ、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。 + ほかに、罪の赦しのためのいけにえとして、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎを一頭ささげる。 + 六日目には、傷のない若い雄牛八頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、いつもと同じ、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。 + さらに雄やぎ一頭を、毎日のいけにえや供え物とは別に、罪が赦されるためのいけにえとしてささげる。 + 七日目にも、やはり傷のない若い雄牛七頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭を、いつもと同じ、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。 + また罪の赦しのためのいけにえとして、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎを一頭ささげる。 + 八日目には国中が仕事を休み、聖なる集会を開く。 + そして、わたしの受け入れる焼き尽くすいけにえをささげなさい。傷のない若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭を、いつもと同じ割合の、穀物と飲み物の供え物をつけてささげる。 + そのほかに、罪が赦されるためのいけにえとして、毎日のいけにえや供え物とは別に、雄やぎを一頭ささげる。 + 祭りの時はいつも、以上のようなささげ物をしなければならない。これは、誓願を立てるか自発的にささげる、焼き尽くすいけにえ、穀物の供え物、飲み物の供え物、あるいは和解のためのいけにえとは、別のものである。」 + モーセはこの命令を、一つ残らず人々に伝えました。 + + + モーセは、族長を集めて言いました。「主に誓ったことは必ず守りなさい。何かをする、あるいはやめると誓ったら、そのとおり実行しなければならない。主がそう命じておられる。 + ただ、結婚前でまだ父親の家にいる女性の場合は違う。そういう女性が誓いを立て、それを破ったら罰せられてもかまわないと言った場合、父親の同意が必要となる。そのことを聞いて、父親が何も言わなければ、誓いはそのまま有効である。 + しかし、父親が認めなかったり、罰が重すぎると考えたときは、それだけで無効になる。ただし、そのことを聞いた日のうちに、はっきり『認めない』と言わなければならない。父親が認めなかったのだから、娘は誓いを果たさなくても罰せられない。 + 娘がよく考えもしないで誓いを立て、そのあとで結婚した場合はどうなるのか。 + 夫がそのことを聞いた日に何も言わなければ、誓いはそのまま有効である。 + しかし、夫が『認めない』と言えば無効になる。妻は、誓いを果たさなくても罰せられない。 + 未亡人や離婚した女性の場合は、自分で立てた誓いは果たさなければならない。 + 結婚して、夫といっしょに暮らしているときに誓いを立てた女性の場合は、 + 夫がそれを聞いて何も言わなければ、誓いは有効である。 + しかし、聞いた日のうちに『認めない』と言えば無効である。そして、妻も罰せられない。 + 夫は妻の立てた誓いを認めることも、無効にすることもできるが、 + その日のうちに何も言わなければ、同意したことになる。 + あとになって『誓いを認めない』と言っても無効であるばかりか、妻が受けるはずの罰を、夫が代わりに受けなければならない。」 + 以上が、誓いを立てる場合の夫と妻、父親と結婚前の娘がどういう関係にあるかをはっきりさせたおきてです。 + + + それからまた、主はモーセに告げて言いました。 + 「ミデヤン人に報復をしなさい。ほんとうの神でない偶像を拝めとそそのかした罰である。それがすんだら、あなたは天に移される。」 + そこで、モーセは人々に言いました。「さあ、主の命令だ。武器を取って、ミデヤン人たちと戦え。 + 各部族から千人ずつ兵を出すのだ。」直ちにこのとおりにされ、一万二千人が戦場に送られました。 + 祭司エルアザルの子ピネハスもいっしょです。進軍ラッパを鳴らし、聖具を持っていく役だからです。 + 戦いは大勝利でした。敵方の男はみな殺され、 + ミデヤン人の五人の王、エビ、レケム、ツル、フル、レバも、あえない最期を遂げました。あのベオルの子バラムも、この戦いで死にました。 + イスラエル軍はミデヤン人の女と子どもを全員捕虜にし、牛や羊のほか、いろいろな戦利品を奪い、町や村を一つ残らず焼き払いました。 + 捕虜を引っ立てて、戦利品を山ほどかかえて意気揚々と引き揚げて来た一行を、モーセや祭司エルアザルをはじめ指導者たちが迎えました。その時、人々はまだヨルダン川の東側で、エリコに向かい合うあたりのモアブ平原に野営していました。 + ところが、モーセは一行を見るなり、将校や指揮官をしかりつけました。 + 「なぜ女たちを生かしておいたのか。 + あのバラムの勧めに従って、ペオル山で偶像を拝めとそそのかしたのはこの者たちである。それで、大ぜいの者が疫病にかかって死んだ。 + 子どものうち男の子と、男と寝たことのある女は生かしておくな。 + 女の子だけは助け、めいめいが引き取ってもかまわない。 + ところで、殺害に加わった者、死体にさわった者はみな、七日間は宿営に入ってはならない。そして三日目と七日目に、自分と捕虜の身をきよめなければならない。 + また、衣服、皮ややぎの毛や木で作った物など全部をきよめるのを忘れるな。」 + 祭司エルアザルも兵士たちに言いました。「主がモーセに命じたのは、こういうことだ。 + 金、銀、青銅、鉄、すず、鉛など、燃えない物はみな、 + 火で焼ききよめ、それからきよめの水できよめる。燃える物は水できよめるだけでかまわない。 + そして七日目に、衣服を洗い、身をきよめてから宿営に戻りなさい。」 + 主はモーセに言いました。 + 「祭司エルアザルや族長たちといっしょに、捕虜、家畜、戦利品の数を表にまとめなさい。 + それを、兵士と国民とに半分ずつ分けるのだ。 + 兵士はその中から、捕虜、牛、ろば、羊の五百分の一を主に献納しなければならない。 + 祭司エルアザルがそれを受け取り、神への奉納物としてささげる。 + また国民も同じように、分け前の捕虜や家畜のそれぞれ五十分の一を納めなければならない。それはわたしの取り分だから、幕屋で働くレビ人に与えるのだ。」 + そこでモーセと祭司エルアザルは、命じられたとおりにしました。 + 宝石、衣服などを除いた戦利品の総計は、羊六七万五、〇〇〇頭、牛七万二、〇〇〇頭、ろば六万一、〇〇〇頭、少女三万二、〇〇〇人でした。 + この半分が兵士の分け前です。羊三三万七、五〇〇頭〔うち主にささげたのは六七五頭〕。牛三万六、〇〇〇頭〔うち主にささげたのは七二頭〕。ろば三万五〇〇頭〔うち主にささげたのは六一頭〕。少女一万六、〇〇〇人〔うちレビ部族に与えられたのは三二人〕。 + 主がモーセに命令されたとおり、主の取り分はみな祭司エルアザルが受け取りました。 + 兵士の分とは別に、人々も全く同じだけの分け前を受け取れます。 + 主の命令どおり、その五十分の一はレビ人のものになります。 + その時、将校や指揮官たちがモーセに申し出ました。「兵士の数を調べたところ、出兵した者は全員無事に戻ってまいりました。 + そこで、戦利品の中から、金製の腕飾り、腕輪、くるぶしの飾り輪、指輪、イヤリング、ネックレスなどをささげて、感謝の気持ちを表したいのです。どうかこれをお納めください。全員のいのちが守られたお礼でございます。」 + モーセと祭司エルアザルはささげ物を受け取りましたが、全部で金一万六、七五〇シェケル(一九二キログラム)以上にもなりました。 + このほかにも、兵士たちはそれぞれ戦利品を持っています。 + ささげ物は幕屋に運ばれ、戦勝の記念品として大切に保管されました。 + + + さて、イスラエルの中でルベン族とガド族は、羊をたくさん持っていました。その羊を飼うには、今いるヤゼルやギルアデの地域が最適です。 + そこで、モーセと祭司エルアザル、族長たちに願い出ました。 + 「主は私たちに味方して、このあたりのアタロテ、ディボン、ヤゼル、ニムラ、ヘシュボン、エルアレ、セバム、ネボ、ベオンの住民をみな滅ぼされました。ここはもともと、羊を飼うには理想的な場所です。 + ヨルダン川の向こう側の土地はいりませんから、ここを私たちに下さい。」 + モーセは答えました。「ほかの者が向こう側へ渡ってこれからも戦いを続けるのに、ここに残りたいと言うのか。 + 主が下さる国へ進んで行こうとする、他の部族の士気をくじくつもりか。 + それでは先祖たちと少しも変わらない。四十年前、カデシュ‧バルネアから偵察を送り込んでカナンの地を探らせた時、 + エシュコルの谷から戻って来た者たちは何と言ったか。あきれたことに、約束の地へは上って行かないほうがいいと言って、みんなの士気をくじいたのだ。 + もちろん、主は怒って、『エジプトから助け出された者のうち、二十歳以上の者にはだれ一人、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓った地は見せない』と断言なさった。主のお考えに従おうとしなかったからだ。 + しかし、ケナズ一族のエフネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアは違う。主の言われるとおり、あくまでも約束の国へ行こうと熱心に勧めたのだ。 + 主に背いた者がみな死んでしまうまで、四十年もの間、私たちは荒野をさまよい歩いた。 + ああ、それなのに、やはり血は争えないものだ。また同じことをくり返すとは、なんということか。しかも、今は以前より人数も多い。主はもっと激しくお怒りになるだろう。 + またしても主に背いたら、これからもずっと荒野をさまよわなければならない。おまえたちのせいでみなが苦しみ、死ぬはめになったらどうするつもりだ。」 + 彼らは言いました。「とんでもない。私たちはただ、羊を飼えるように柵を作り、子どもたちのために町を建ててやりたいだけです。 + ここに残るつもりは全くありません。武装し、みなの先頭に立ってカナンに攻め入ります。ただその前に、残る家族が安全に住めるように、城壁で囲まれた町を建てさせてもらいたいのです。 + 他の部族がそれぞれ相続地を手に入れるまでは、決して戻って来ません。 + ヨルダン川のこちら側の土地さえ頂ければ、向こう側の土地はいりません。」 + モーセは答えました。「よくわかった。今言ったとおり武装し、 + 主が敵を追い払うまでヨルダン川の向こう側で戦いに加わるなら、 + 征服を終えしだい戻ってよい。それで主と他の部族に対する責任は果たしたことになる。主はヨルダン川のこちら側の土地を下さるだろう。 + しかし約束を破ったなら、主に罪を犯すのだから、必ず罰せられる。 + さあ、言ったとおり町を建て、羊を飼う柵を作りなさい。」 + 「すべて命令どおりにいたします。 + 子ども、妻、羊、牛は、このギルアデの町に残りますが、 + 兵役に就いている者は全員、おっしゃるとおり主のために戦います。」 + モーセはこれを承知し、エルアザル、ヨシュア、族長たちに言いました。 + 「ガド族とルベン族のうち兵役に就いている者が、いっしょにヨルダン川を渡り、神様のために戦う。だから征服し終えたら、このギルアデの土地を与えてやりなさい。 + しかし、いっしょに行こうとしなかったら、あなたがたと同じように、ヨルダン川の向こう側のカナンに土地を持たせるのだ。」 + これに答えるように、ガド族とルベン族の者は、口をそろえて誓いました。「主のご命令どおりにいたします。 + 武装して、カナンの地へまいります。ただ相続する所有地は、ヨルダン川のこちら側の土地を頂きたいのです。」 + そこでモーセは、エモリ人の王シホンとバシャンの王オグの領土を、ガド族とルベン族、それにヨセフの子マナセの半部族に割り当てました。 + ガド族が建てたのは次の町です。ディボン、アタロテ、アロエル、アテロテ‧ショファン、ヤゼル、ヨグボハ、ベテ‧ニムラ、ベテ‧ハラン。以上はみな、城壁を巡らし、羊を飼う柵のある町です。 + ルベン族が建てた町は次のとおりです。ヘシュボン、エルアレ、キルヤタイム、ネボ、バアル‧メオン、シブマ。この中の幾つかは、再建した時に新しい名をつけました。 + 一方、マナセ族のうちのマキル族がギルアデを征服し、エモリ人を追い出したので、 + モーセはそこを彼らに与えました。 + また、やはりマナセ族であるヤイル族は、ギルアデの村を幾つも占領し、ハボテ‧ヤイルと名前を変えました。 + さらにノバフという男がケナテと周辺の村を攻め落とし、自分の名にちなんで、その地域をノバフと名づけました。 + + + 以下は、イスラエルの民が、モーセとアロンに導かれてエジプトを出てからの旅の記録です。 + モーセは主の命令によって、旅の経過を記しておいたのです。 + 過越の祭りの晩の翌日、つまり第一月の十五日に、彼らはエジプトの町ラメセスを出発しました。エジプト人は、前の晩、主に打ち殺された長男たちの埋葬に忙しく、手が出せません。そんな彼らをしり目に、イスラエルの民は大手を振って出発しました。イスラエルの神は、エジプトのすべての神々にさばきを下したのです。 + ラメセスを出てから、スコテ、荒野の端にあるエタム、ミグドル山のふもとのバアル‧ツェフォンに近いピ‧ハヒロテに野営を続けました。 + そこから紅海の真ん中を通り、三日間エタムの荒野を進んで、マラに野営しました。 + マラの次はエリムでした。そこには、泉が十二もあり、なつめやしの木が七十本も茂っていたので、しばらくとどまりました。 + エリムを発ったあと、紅海のほとり、続いてシンの荒野に野営しました。 + 次に、ドフカ、アルシュと進んで、レフィディムへ行きましたが、そこには飲み水がありませんでした。 + レフィディムからシナイの荒野に向かい、さらにキブロテ‧ハタアワまで行きました。このあと、ハツェロテ、リテマ、リモン‧ペレツ、リブナ、リサ、ケヘラタ、シェフェル山、ハラダ、マクヘロテ、タハテ、テラ、ミテカ、ハシュモナ、モセロテ、ベネ‧ヤアカン、ホル‧ハギデガデ、ヨテバタ、アブロナ、エツヨン‧ゲベル、ツィンの荒野のカデシュ、エドムの国境にそびえるホル山へと旅を続けました。 + そこまで来た時、祭司アロンは主の命令でホル山に登り、山の上で息を引き取りました。ちょうど、エジプトを出てから四十年目の第五月の一日のことでした。百二十三歳でした。 + この時、カナン人でネゲブに住むアラデの王は、イスラエル人がカナンの国を目指して進んで来ているということを耳にしました。 + 王は戦いを挑みましたが、結局はイスラエルが勝ちました。このあとホル山を出発し、ツァルモナ、プノン、オボテ、モアブの国境イエ‧ハアバリムと野営を重ね、 + さらにディボン‧ガド、アルモン‧ディブラタイム、ネボ山に近いアバリムの山地へと進み、 + ついに、エリコに近いヨルダン川の東に広がるモアブ平原まで来たのです。 + そこにいる間は、ヨルダン川に沿ってベテ‧ハエシモテからアベル‧ハシティムまでの、いろいろな場所に野営しました。 + その平原で、主はモーセに人々への命令を伝えました。「ヨルダン川を渡ってカナンの地に入ったら、 + 住民をことごとく追い払い、偶像をみな破壊しなければならない。石像も鋳像も、丘の上にある礼拝所もすべてだ。 + わたしがその地を与えたのだから遠慮はいらない。自分の国にして、どんどん住みつきなさい。 + 土地は部族の大きさに合わせて分ける。広い土地は大きい部族の間で、狭い土地は小さい部族の間でくじ引きするのだ。 + 言うとおりに住民を追い払わないと、あとで問題が起こる。残った者たちが、目に入ったごみや、わき腹にささったとげのように、絶えず悩みの種となる。 + そればかりでなく、わたしは彼らを滅ぼそうとしたように、今度はあなたがたをそうするだろう。」 + + + 主はまた、人々への命令をモーセに伝えました。「カナンの地に入ったら、イスラエルの国境は次のようになる。 + 南はエドムに接するツィンの荒野までで、その国境線は、死海からアクラビム峠を通ってツィンに向かう。最南端はカデシュ‧バルネアで、そこからハツァル‧アダル、アツモンと進み、 + エジプト川に沿って地中海に至る。 + 西は地中海の海岸線が国境である。 + 北は、地中海から東に向かって延び、ホル山、レボ‧ハマテ、ツェダデ、ジフロン、ハツァル‧エナンを結ぶ線が国境となる。 + 東の国境線は、ハツァル‧エナンからシェファムを通って、アインの東方のリブラまで南に下る。そこからは大きく半円を描き、初めは南へ、それから西へ進み、ガリラヤ湖の南端をかすめてヨルダン川を下り、死海に至る。 + これがイスラエルの全土である。これを九部族と半部族とで、くじを引いて分ける。 + ルベン族とガド族とマナセの半部族は、ヨルダン川の東側、エリコの向かいに当たる土地を所有することに決まっている。」 + さらに主は命じました。「土地を分けるときは、祭司エルアザル、ヌンの子ヨシュア、それに各部族の代表に監督させなさい。代表者は次のとおりである。ユダ族はエフネの子カレブ、シメオン族はアミフデの子サムエル、ベニヤミン族はキスロンの子エリダデ、ダン族はヨグリの子ブキ、マナセ族はエフォデの子ハニエル、エフライム族はシフタンの子ケムエル、ゼブルン族はパルナクの子エリツァファン、イッサカル族はアザンの子パルティエル、アシェル族はシェロミの子アヒフデ、ナフタリ族はアミフデの子ペダフェル。 + 以上が、各部族に土地を割り当てる際の代表者である。」 + + + 次のことばも、ヨルダン川のほとりに広がるモアブ平原に野営している時、主がモーセに伝えたものです。 + 「それぞれの所有地から、幾つかの町と放牧地をレビ族に与えるよう、人々に命じなさい。 + 彼らにも住む場所と、牛や羊など家畜を飼う土地が必要となる。 + 町の城壁から外側に向かって回り四百四十メートルの範囲を放牧地としなさい。 + そうすれば、町の中心から境界線までの距離は、東西南北とも八百八十メートルということになる。 + レビ族に与える町は、過って人を殺した者が逃げ込める、避難用の六つの町のほかに四十二だ。 + 全部で四十八の町を、放牧地も含めて与えることになる。 + 町は、大きい部族からは多く、小さい部族からは少しというふうに、全土の各地から選ぶ。」 + 次もまた、主からモーセへの命令です。「カナンの地に入ったら、 + 避難用の町を幾つか指定するように言っておきなさい。過って人を殺した者がそこへ逃げ込むためだ。 + そうすれば、被害者の家族も容易に復讐はできない。裁判で有罪と決まるまでは、たとえ人殺しでも死刑にはできない。 + そのような町をカナンに三つ、ヨルダン川の東側に三つ、全部で六つ選びなさい。 + イスラエル人だけでなく、外国人や旅行者でも、過って人を殺したときはいつでも、この町に逃げ込んでよい。 + しかし、鉄の道具で人を打ち殺したときは明らかに殺人罪だから、犯人は死刑だ。 + 大きな石を使った場合も殺人罪で死刑。 + たとえ木製でも武器を使ったら、やはり殺人罪とみなされる。 + 被害者のために復讐したければ、自分で手を下してもかまわない。犯人に出会ったら殺してもよい。 + 憎しみに燃えて物を投げつけたり、待ち伏せして襲いかかったり、 + 怒りに狂ってなぐりつけたりして人を殺した場合は、明らかに殺人罪だから、犯人を処刑してもかまわない。 + しかし、過失の場合はそうではない。わざと物を投げたのでも、怒って石を投げたのでもなく、投げた本人が人に当てようなどとは夢にも考えず、人を殺そうと思ったわけでもないのに、たまたまそれが当たって人が死んだ場合は、 + 事故かどうかよく調べなさい。その結果によって、加害者を復讐者に引き渡すかどうかを決めるのだ。 + 事故だとはっきりしたら、加害者を保護しなければならない。その時の大祭司が死ぬまで、彼は避難用の町に住むことになる。 + ただし、彼が勝手に避難用の町を出、 + 町の外で復讐者に殺されたときは別である。それは殺人罪にはならない。 + 大祭司が死ぬまで町の中にいなければならないのに、勝手に町を出たからだ。大祭司が死んだら、いつでも国へ帰れる。 + このおきては永遠に変わらない。 + 殺人犯はみな死刑だが、証人が二人以上いる場合に限る。一人だけでは死刑にできない。 + 殺人罪には代償はきかない。必ず死刑に処せられる。 + また、大祭司が死ぬ前に家へ帰りたいと保釈金を積んでも、避難用の町から出ることはできない。 + こうして、自分たちの土地が汚れるのを防ぐのだ。殺人で流された血は土地を汚す。それをきよめるには、殺人犯を死刑にするしかない。 + これから行く地は、わたしもいっしょに住むのだから、このようなことで汚したりしないよう、くれぐれも注意しなさい。」 + + + ヨセフの子の一人、マナセの部族から出たマキル族に、ギルアデという一族がありました。その代表者が、モーセとイスラエルの指導者たちに訴えました。「主は私たちに、領地をくじ引きで分けるようにとお命じになりました。実は、そのことでちょっと気になることがあります。親類のツェロフハデの相続地の件ですが、確か娘たちに土地を分けるようにとのことでしたが、 + どうしたものでしょうか。もし彼女たちが他の部族の者と結婚したら、土地までその部族のものになり、その分だけギルアデ族の土地は減ってしまいます。 + そうなったら、負債が免除されるヨベルの年が来ても戻りません。」 + そこでモーセは、この問題をはっきりさせるため、主の指示を伝えました。「ギルアデ一族の訴えはもっともだ。 + だから、ツェロフハデの娘の件はこうしなさい。彼女たちは同族の者と結婚すること。 + それなら、土地が他の部族に移ることもない。相続地はいつまでも、最初にくじで決めたとおりのままにしておかなければならない。 + どの部族でも、娘が相続人となる場合は、必ず同族の者と結婚しなさい。 + こうすれば、相続地が他の部族のものになる心配はない。」 + ツェロフハデの娘たちは、主の命じたとおりにしました。 + マフラ、ティルツァ、ホグラ、ミルカ、ノアの五人は、ヨセフの子マナセの部族の者と結婚したので、相続地はそのまま残りました。 + 以上が、エリコに近いヨルダン川の対岸にあるモアブ平原で、イスラエルの人々が宿営していた時、主がモーセを間に立て、人々に伝えた命令とおきてです。 + +
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+ + この書は、モーセがヨルダン川の東、モアブ平原のアラバ渓谷でイスラエルの人々に向けて語った時の記録です。当時、イスラエルの人々はそこに宿営していましたが、付近にはスフ、パラン、トフェル、ラバン、ハツェロテ、ディ·ザハブなどの町がありました。この時、ホレブ山(シナイ山)を出発してから四十年目の第十一月の一日(太陽暦二月十五日)でした。ホレブ山のふもとからカデシュ·バルネア〔約束の地パレスチナの南端〕までは、セイルの山地を通れば、普通なら歩いても十一日ほどで来られます。それはともかく、ヘシュボンでエモリ人の王シホンを、エデレイに近いアシュタロテでバシャンの王オグを打ち破ったあとのことでした。ここにたどり着くまでの間、主はいろいろな律法(教えと定め)をモーセを通して伝えましたが、それを全部まとめて、もう一度、モーセが説明し直したのです。 + 「皆さん、今からちょうど四十年前、主がホレブ山でこう言われたのを覚えていますか。『もうこれ以上、ここにいる必要はない。 + 向きを変えて出発しなさい。エモリ人の山地、アラバ渓谷、ネゲブ、カナンとレバノンの全土、つまり地中海からユーフラテス川までの全地域を占領するのだ。 + わたしが与えると言うのだから、大胆に入って行きなさい。そこは、昔あなたがたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブおよびその子孫に必ず与えると約束した地だからだ。』 + あの時、私はあなたがたにこう訴えました。『私一人では、これから先、とても全員の面倒を見きれない。どうしても助け手がいる。 + 主があなたがたを、星の数ほどに増やしてくださったからだ。 + それどころか、お約束どおり今の千倍にもしてくださる。 + こんなに大ぜいでは、もめごとや問題もたくさん起こるだろう。とても一人ではさばききれない。 + そこで頼みたいのだが、各部族から、人生経験が豊かで知恵もあり、物事のよくわかる者を選んでくれないか。その者たちを指導者に任命しよう。』 + みんなが賛成してくれたので、 + 私は彼らを助け手として任命しました。一番上に千人の者を指導する長を置き、その下にそれぞれ百人、五十人、十人の者の世話をする長を置いたのです。彼らはめいめい、自分の管理のもとにある人々のもめごとを解決したり、必要な世話をしたりすることになりました。 + 当然ですが、いつでも、だれに対しても、たとえ外国人でも決して差別をせず、あくまで正しくふるまうように言いました。 + 『決定を下すとき、金持ちの肩をもってはいけない。身分の高い者も低い者も同じように正しく扱いなさい。神様の代わりにさばくのだから、人の不平不満を恐れることはない。手に負えない事件は、私のところに持ってくれば処理しよう。』 + あの時、私はほかにもいろいろと指示しました。 + それからホレブ山を発って、恐ろしく果てしない荒野を旅し、主の守りのもとにエモリ人の山地に着きました。そしてついに、約束の地との境にあるカデシュ‧バルネアまで行ったのです。あそこで私はあなたがたに、『主がこの国を下さったのだから、ご命令どおり前進して占領しなさい。恐れたり疑ったりしてはいけない』と告げました。 + これに対してあなたがたは、『まず偵察隊を送り込もう。一番攻めやすい町から占領したほうがいい』と提案したのです。 + もっともなので、各部族から一名ずつ、全部で十二名を選びました。 + 彼らは山地に潜入し、エシュコルの谷まで行くと、その地のくだものを持ち帰りました。それを見て、主の下さる地が実に良い地であることがはっきりわかりました。 + ところが、あなたがたは神様の命令に逆らい、前進したくないと言いだしたのです。 + そして、天幕(テント)の中でぶつぶつ不平を言いました。『主はきっと、私たちがお嫌いなんだ。だから、わざわざエジプトから連れ出し、エモリ人の手にかけて殺そうとしておられるのだ。 + どうしよう。偵察隊の報告では、彼らは背が高く、力もあり、町の城壁は恐ろしく高いというではないか。そのうえ、アナク人の子孫の巨人を見たとも言っていた。考えるだけでもぞっとする。』 + そこで私は反論しました。『恐れることはない。 + 私たちの神、主が先頭に立って戦ってくださる。主は、エジプトでは奇跡を行い、 + その後も父親のように気を配り、荒野の旅を安全に守ってくださったことを忘れたのか。』 + しかし、何を言ってもむだでした。それまでいつも共にいて、野営するのに最適の場所を選び、夜は火の柱、昼は雲の柱の中にいて進む道を教えてくださった主を、あなたがたは信じようとしなかったのです。 + これには主もお怒りになりました。そのため、当時すでに大人だった者は一人も約束の地に入れなくなりました。 + ただ、エフネの息子カレブは別です。主に従い通したほうびに、自らが偵察して潜入した地の一部を相続地として与えられることになったのです。 + 不信仰な者たちのために私でさえ主の怒りを買い、こう言い渡されました。『あなたは約束の地には入れない。 + 代わりに、あなたに仕えているヌンの子ヨシュアが指導者となる。その準備ができるように彼を励ましてやりなさい。 + 約束の地は、荒野で死ぬ者の子どもたちに与えよう。 + 決してあなたがたのものにはならない。だから、向きを変えて荒野の道を紅海の方へ戻りなさい。』 + するとあなたがたは、今度はあわてて罪を告白し始めたのです。『お赦しください。私たちが悪かったのです。ご命令どおり、その国に攻め入ります。』そう言うと、簡単に全地を征服できるとでも思ったのか、あたふたと武装し始めました。 + しかし主は、私にはっきり言われました。『やめさせなさい。わたしがいっしょにいないのに無謀なことをしたら、ひどい目に会うだけだ。』 + ところが、その警告は聞き入れられず、あなたがたはまたもや主の命令に背いて、山地に攻め入ったのです。 + 案の定、結果はさんざんでした。エモリ人の返り討ちに会い、逆にセイルからホルマのあたりまで激しく追撃されてしまったのです。 + 逃げ帰ったあなたがたは主に泣きつきましたが、主は耳を傾けようとはなさいませんでした。 + こうして、長い間カデシュにとどまることになったのです。 + + + そのあと私たちは、主の告げられたとおり荒野を通って、紅海の方に戻りました。それから、長らくセイル山のあたりをさまよったあげく、 + ようやく主のおことばを頂いたのです。 + 『ここにはもう、とどまらなくてよい。北へ行きなさい。 + これからエドム人の国を通る、とみなに知らせなさい。エドム人は、ヤコブの兄でセイルに住みついたエサウの子孫に当たり、あなたたちとは同族だが、ひどく神経をとがらせているから、くれぐれも注意が必要だ。 + 間違っても戦いをしかけてはいけない。セイルの山地はみな、わたしが永遠の領地として彼らに与えたからだ。ほんの一部でもあなたがたに与えるつもりはない。 + 食糧や水が必要なときは、金を払って買いなさい。 + この四十年間、わたしが守り、祝福していたからこそ、あなたがたは果てしもない荒野をさまよいながらも、不自由なく過ごせたのだ。』 + そこで私たちは、同族のエドム人が住むセイルをあとにし、南のエラテ、エツヨン‧ゲベルに至るアラバ街道を横切って北へ向かい、モアブの荒野へと旅を続けました。 + すると主は、『モアブも攻撃してはいけない。そこはロトの子孫のものだ。あなたがたに与えるつもりはない』と警告されたのです。 + ――モアブには以前、アナクの巨人と同じように背の高いエミム人が大ぜい住んでいました。 + エミム人もアナク人と同じようにレファイム人だと考えられていたのですが、モアブ人は彼らをエミム人と呼んだのです。 + それより以前、セイル地方にはホリ人が住んでいましたが、追い出され、エサウの子孫のエドム人が代わって住みつきました。ちょうど、イスラエル人がカナン人を追い出し、その地に住みついたようにです。―― + 『さあ、ゼレデ川を渡りなさい』と主に命じられ、私たちは従いました。 + こうしてみると、カデシュに着いてからゼレデ川を渡るまで、実に三十八年もかかったことになります。それというのも三十八年前、すでに成人し、戦いに出られるようになっていた者が死に絶えるまでそうはならないと、主が誓われたからです。そのおことばどおり彼らは全員、罪の報いを受けました。 + そして、待ちに待った主のおことばがありました。 + 『今日、モアブの領土、アルを通って、 + アモン人の国へ入りなさい。ただし、そこはロトの子孫のもので、そこをあなたがたに与えるつもりはないから、戦いをしかけてはいけない。』 + ――その地にも以前、アモン人がザムズミム人と呼んだレファイム人が住んでいました。 + アナク人のように背が高く強大な民でしたが、アモン人に侵略されたのです。主が彼らを滅ぼされたので、アモン人が替わって住みつきました。 + 同じように主は、今セイル山に住むエサウの子孫のために、先に住んでいたホリ人を滅ぼされました。 + ガザにまで及ぶ地方の村々に散在していたアビム人をカフトル人が侵略し、滅ぼした時も同じです。―― + 続けて、主はお語りになりました。『アルノン川を渡り、ヘシュボンの王、エモリ人シホンの国を攻め取りなさい。 + 今日から、天下のあらゆる民はあなたがたを恐れ、あなたがたが来ると聞いただけで震え上がるだろう。わたしが彼らを怖がらせるからだ。』 + そこでまず、ケデモテの荒野からヘシュボンの王シホンに使者を送り、和平を申し入れました。 + 『あなたの国を通らせてください。わき道にそれたり畑に入ったりはせず、ただ街道をまっすぐ進みます。 + 途中で食糧を盗んだりもしません。食糧や水を分けてもらったら、代金をきちんとお払いします。ただ通らせていただくだけです。 + セイルのエドム人や、アルを首都としているモアブ人は、彼らの国を通らせてくれました。私たちはヨルダン川を渡り、私たちの神、主が下さると言われた国へ行く途中なのです。』 + ところが、ヘシュボンの王シホンはこれを断りました。今日見るとおり、王をあなたがたの手で滅ぼそうと、主が強情を張らせたのです。 + そのあと、主は私に、『さあ、シホン王の国を与えよう。遠慮なく占領するがいい。そこは永遠にイスラエルのものだ』と約束なさいました。 + シホン王は宣戦を布告し、ヤハツに軍隊を集めました。 + しかし主の助けで、私たちは彼を負かしました。町という町はすべて占領し、男も女も赤ん坊さえも打ち滅ぼし、 + 家畜以外、生き残ったものはありませんでした。家畜は分捕り物とし、ほかにも戦利品を奪い取って引き揚げました。アルノン渓谷のアロエルやその他の町々をはじめ、ギルアデまでの全地を占領したのです。主が下さった町々ですから、向かうところ敵なしでした。 + ただし、アモン人の国、ヤボク川、山地の町々など、主のお許しがない所には近づきませんでした。 + + + 次に行ったのは、バシャンの王オグの国です。ここでもまた、王は直ちに軍隊を出し、エデレイで戦いをしかけて来ました。しかし、少しも恐れることはありませんでした。主が、『この国も民も、あなたがたのものだ。ヘシュボンのエモリ人の王シホンと同じ目に会わせるがいい』と励ましてくださったからです。 + そのとおり、私たちは彼らを全滅させ、 + バシャンのアルゴブ地域にある六十の町を占領しました。 + どの町も、高い城壁とがっちりした門で守りを固めてありました。ほかに城壁のない町も奪いました。 + ヘシュボンの王シホンの国と同じようにバシャンの国を全滅させ、男も女も子どもも、一人残らず打ったのです。 + ただし、家畜と戦利品は分捕り物としました。 + こうして、エモリ人の二人の王を滅ぼし、ヨルダン川の東側に広がる、アルノン渓谷からヘルモン山までの全地域を占領したのです。 + ――なお、ヘルモン山のことをシドン人はシルヨンと呼び、エモリ人はセニルと呼んでいました。―― + 高原にあるすべての町、ギルアデの全土、サルカからエデレイまでのバシャンの町々は、私たちのものになりました。 + ――バシャンの王オグは、巨人レファイムの最後の生き残りでした。彼が使ったベッドがアモン人の町ラバの博物館に保存されていますが、鉄製で、長さがなんと四メートル半、幅は一‧八メートルもあります。―― + さて、征服したバシャンの国は、ルベン族、ガド族、マナセの半部族に与えました。ルベン族とガド族には、アルノン川のアロエルのほかギルアデの山地の半分と町々を、 + マナセの半部族には、ギルアデの山地の残り半分とオグ王の国のアルゴブ地域全部です。――バシャンはレファイムの国と呼ばれることもあります。―― + マナセ族から出たヤイル族は、ゲシュル人とマアカ人の国境までのアルゴブ地域全体を取り、彼らの名にちなんで、現在のようにハボテ‧ヤイル〔「ヤイルの村」の意〕と変えました。 + ギルアデはマキルのものになりました。 + ルベン族とガド族に与えられたのは、ギルアデからアルノン渓谷の中ほどまで、北はアモン人との国境ヤボク川までの地域、 + それにアラバ〔荒れ地〕です。つまり、西の境をヨルダン川に接し、キネレテの海からピスガ山、塩の海〔別名アラバの海〕までの地域です。 + その時、私は、これらの三部族に注意しました。主は確かにその土地を下さるが、兵士たちはみな武装し、ほかの部族の先頭に立ってヨルダン川を渡り、約束の国を占領するまで、そこに住みつくことはできない、と。 + 『ただし、女と子どもはここに住んでもよい。家畜の世話をしながら、戦いに出た者の帰りを待つのだ。ヨルダン川の向こう側にある約束の地を征服し、ほかの部族の土地を確保したら、自分たちの所へ帰ってよい。』 + 私はヨシュアに、命じました。『よいか、あなたは主があの二人の王になさったことをよく見ただろう。同じことを、ヨルダン川の向こう側のすべての国にもするのだ。 + あなたがたの神、主が戦ってくださるから、敵を恐れるな。』 + そして、主に必死でお願いしました。『ああ主よ、お願いでございます。どうか、ヨルダン川の向こうに広がる約束の地に入らせてください。あのなだらかな山地、豊かな土地、そして美しいレバノン山脈を見せてください。これまであなたの偉大なみわざを見せていただいてきましたが、最後にその結実を見たいのです。そのようなすばらしいことのできるお方は、あなたのほかにはいません。』 + しかし主は、どうしてもそれをお聞き入れくださいませんでした。私がこのような怒りをこうむったのも、あなたがたのためです。主は言われました。『もう、そのことは言ってはならない。 + ただ、ピスガ山の頂上から四方を見渡せるので、登って行って約束の地を眺めるがいい。けれどもヨルダン川を越えることは、断じて許さない。 + あなたに代わってヨシュアを任命する。人々を率いて約束の地に入るのは彼だから、彼を励ましてやりなさい。』 + こうして私たちは、ベテ‧ペオルの近くの谷間にとどまっていました。 + + + ところで皆さん、生きて約束の地に入り、自分のものにしようと思うなら、これから教えるおきてと定め(律法)を注意深く聞き、そのとおり守りなさい。 + ほかのものを加えたり、勝手に削ったりしてはいけない。神の教えなのだから、何も言わず、忠実に従いなさい。 + 主が偶像バアル‧ペオルになさったことを見たでしょう。そんな偽りの神を拝んだ者はみな、罰せられて死んでしまいました。 + しかし、主に忠実だった者たちは、今もまだ元気です。 + いいですか、これから住もうとしている地へ行ったら、このおきてと定めをきちんと守りなさい。これは主からじきじきに示されたもので、あなたがたに伝えるようにと言われたのです。 + これを守れば、知恵のある賢明な国民だと評判になるでしょう。回りの国々がこれを知ったら、『イスラエル人ほど賢明な国民はいない』と驚くに違いありません。 + 呼べば必ずそばにいてくださる、私たちの主のような神を信じている国はほかにはありません。 + どんなに偉大な国でも、今日私が教えるような正しいおきてと定めをもつ国はありません。 + 気をつけなさい。神様がしてくださったことを忘れてはいけません。これから先もずっと、神のなさったみわざを思い出しなさい。子どもにも孫にも、すばらしいみわざについて話してやりなさい。 + 特に、ホレブ山(シナイ山)で主の前に立った日のことは大事です。その時、主は私にこう言われました。『人々を集めなさい。わたしを大切にし、わたしのことばを子どもたちに教えられるように、まずわたしが、彼らに聞かせよう。』 + あなたがたはふもとに立っていましたが、山には黒雲が垂れ込めて真っ暗で、赤々と火に包まれ、炎は天を焦がしていました。 + その時、炎の中から主の声が聞こえたのです。お姿は全く見えません。 + そこで主は、行うべきこととして十戒をお示しになり、それを二枚の石板に記されました。 + そして、それをあなたがたに与えるよう私に命じられたのです。約束の地へ行ったら、そのとおり守らなければなりません。 + 気をつけなさい。その日ホレブ山で、神が炎の中からお語りになった時、その姿は見なかったのです。 + ですから、神の像を造ってはいけません。そんなことをしたら、正しい信仰をなくしてしまいます。どんな像も造ってはいけません。男だろうが女だろうが、あるいは動物、鳥、 + 地をはう小さな動物、魚だろうが、絶対にいけません。 + また、太陽、月、星などを拝むのもいけません。外国人は大目に見られても、あなたがたはそうはいきません。 + あの牢獄のようなエジプトから救い出し、ご自分の民として宝物のように大切に守ってくださったのは主だからです。 + しかし、よくないこともありました。あなたがたのことで私は主の怒りを買い、ヨルダン川を渡って約束の地へ行けなくなったのです。あなたがたは、あのすばらしい地を与えられますが、私はヨルダン川を渡れずに死ななければなりません。 + 神である主が結んでくださった契約をあなたがたのほうから破らないよう、くれぐれも注意しなさい。偶像を造ることは重大な契約違反です。 + 主はご自身に背く者を激しく憎み、焼き尽くす火のように徹底的に罰するお方です。 + この先、あの地に定住し、子や孫が生まれてから悪を行い、正しい信仰を捨てて偶像を造りでもしたら、主はお怒りになり、 + あなたがたはすぐさま滅ぼされるでしょう。もうすぐヨルダン川を渡り、あの地を征服しますが、もしそんなことがあれば、どれほども住まないうちに、あなたがたは滅びうせます。 + 生き残るのはほんの一握りで、その者たちも国々に散らされます。 + あなたがたは、やがてその国々で、見ることも、聞くことも、食べることも、においをかぐこともできない、木や石の偶像を拝むようになるのです。 + しかし、あなたがたがもう一度、主を慕い求めるなら、必ず主を見いだせるでしょう。 + 苦しい時を過ごしたあと、ついに主のもとへ立ち返り、その教えに従うようになります。 + 主は思いやりのあるお方ですから、あなたがたを見捨てたり、滅ぼしたりはなさいません。先祖たちへの約束は必ず果たしてくださいます。 + 神が地上に人間をお造りになって以来、このようなことがあったかどうか調べてみなさい。 + 全国民が、おそれ多くも炎の中から語られる神の声を聞き、なお生き長らえている民がほかにいるでしょうか。 + あるいは、恐ろしい疫病や目をみはるような奇跡を起こし、激しい戦いに勝って国々を恐れさせ、奴隷となった国民を救い出した神がほかにいますか。私たちの神は、まさにそのとおりのことをエジプトで、あなたがたの目の前でなさったのです。 + ご自分こそほんとうの神であり、ほかに神はいないことをわからせるためです。 + 天からの声、地に燃え上がる巨大な火の柱、炎の中から語られる神の声、何もかも驚くことばかりでした。 + 神はあなたがたの先祖に目をかけ、その子孫を祝福しようとお決めになりました。だからこそ、あのような大いなる力をもって、あなたがたをエジプトから救い出されたのです。 + そればかりでなく、あなたがたよりはるかに強い民を追い出し、現在のように、その国々の領土をあなたがたのものとしてくださいました。 + だから、これだけは忘れないようにしなさい。天にも地にも、この主のほかに神はいないことを。 + 主が下さる地で子々孫々幸せに暮らしたいなら、今日、私が告げる律法を守りなさい。」 + このあとモーセは、ヨルダン川の東にある三つの町を特別に選んでおくように命じました。 + 過って人を殺した者が逃げ込むための町です。 + 町は、ルベン族の領地からは荒野の高地にあるベツェル、ガド族の領地からはギルアデにあるラモテ、マナセ族の領地からはバシャンにあるゴランが選ばれました。 + 次に記すのは、イスラエルの人々がエジプトを出て、ヨルダン川の東、ベテ‧ペオルの町の近くに宿営していた時、モーセが彼らに語った律法です。そこは以前エモリ人の領地で、首都をヘシュボンに置き、シホン王が治めていましたが、モーセとイスラエルに滅ぼされたのです。 + イスラエルはさらに、ヨルダン川の東側に勢力を張る、もう一人のエモリ人の王オグを滅ぼし、バシャンを征服しました。 + こうして、アルノン渓谷沿いの町アロエルからシーオン山、またの名をヘルモン山に至る全地域、 + つまり、ヨルダン川の東側全域とその南に広がるアラバの全域、ピスガ山の傾斜地のふもとにある塩の海までを征服したのでした。 + + + モーセはイスラエル人を呼び集めて言いました。「さあ、私の語る律法をよく聞きなさい。それを正しく理解し、きちんと守るのです。 + いいですか、私たちの神、主はホレブ山(シナイ山)で、あなたがたと契約を結ばれました。私たちの先祖とではなく、今ここにいる一人一人とです。 + その時、主は炎の中からじきじきにお語りになりました。 + あまりのことにあなたがたは震え上がり、だれ一人、山に登って主のもとへ行こうとしなかったので、私が行って主のおことばを聞き、それをあなたがたに伝えたのです。そのおことばはこうでした。 + 『わたしは、エジプトでの奴隷生活からあなたを救い出した、あなたの神、主である。 + わたしのほかは、どんなものも神として拝んではならない。 + 決して偶像を造ってはならない。鳥でも動物でも魚でも、どんな像も造ってはならない。 + それらを拝んでもならない。どのような方法で礼拝してもならない。あなたがたの神は、このわたしだけだ。わたしはねたみ深いから、わたしとほかの神を同時に愛することは許さない。わたしの罰は、わたしを憎む者の子ども、孫、ひ孫までも及ぶ。しかし、わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、千代に至るまでも恵みを与えよう。 + 実行するつもりもないのに、むやみにわたしの名を使って誓ってはならない。そのようなことをしたら必ず罰せられる。 + 主の定めた安息日を特別の日として守りなさい。 + すべての仕事は六日のうちにすませなさい。 + 七日目はあなたの神、主の安息の日だから、その日は一日、人も家畜も仕事をしてはならない。外国人も、ここでいっしょに住んでいる限り、この戒めを守る義務がある。すべての人が休むのだ。 + 安息日を守るのは、エジプトで奴隷にされていたあなたを、主であるわたしが力強い手を差し伸べて救い出したことを忘れないためである。 + あなたの両親を尊敬しなさい。そうすれば、主であるわたしが与える国で、長く幸せな一生を送ることができる。 + 人を殺してはならない。 + 姦淫してはならない。 + 盗んではならない。 + うそをついてはならない。 + 隣人の家をうらやんではならない。隣人の妻に情欲を燃やしたり、家、土地、使用人、牛、ろば、そのほか何でも、隣人の持ち物を欲しがったり、持ち主をねたんだりしてはならない。』 + 暗雲の垂れ込めるシナイ山でこれらのことばを、主は炎の中からあなたがた一人一人に告げられました。主はそれを二枚の石板に記して私に下さいました。 + ところが、あなたがたはどうしたでしょう。暗闇にとどろく主の声を聞き、山頂に燃え上がる無気味な火を見ると、恐ろしさのあまり震え上がったではありませんか。族長たちは私のところへ駆けつけ、 + 必死に訴えました。『私たちの神、主がどんなにすばらしいお方か、よくわかりました。何しろ、炎の中からお語りになったのですから。しかも、その声を聞いても、私たちはこうして生きています。 + ですが、もう一度こんなことがあったら、その時はきっと助からず、恐ろしい火で焼き殺されてしまうでしょう。 + 炎の中から語られる神の声を聞いたら、ただではすみませんから。お願いですから、あなたが代表で聞きに行ってください。どんなことを言われても、そのとおりにします。』 + 主はそれを聞き、こう言われました。『みなの気持ちはわかった。願いどおりにしよう。 + わたしの命じるとおりにすると言うが、いつもそのような心がけでいてくれたらどんなにうれしいだろう。そうすれば彼らばかりか、子々孫々に至るまで、何の心配もなく幸せに生きられる。 + さあ、帰って、めいめいの天幕へ戻るように言いなさい。 + そのあとでもう一度、わたしのところへ来て命令を聞き、人々に伝えなさい。わたしが与える国で、それをみな守るのだ。』」 + そこでモーセは人々に命じました。「主の戒めをすべて守りなさい。どんな細かな点もきちんと守りなさい。何もかも、主が定められたとおりに行うのです。 + そうして初めて、約束の地に入ってから末長く幸せに暮らせるのです。 + + + もうすぐ約束の地へ入りますが、そこに住みついたら、すべての戒めを守りなさい。主がそう命じておられるのです。 + あなたがたには、子々孫々に至るまで主を大切にし、生涯その教えを忠実に守ってほしいからです。そうすれば、いつまでも幸せに生きられます。 + だから、少しも聞きもらさないよう気をつけ、一つ一つの戒めを注意深く守りなさい。そうすれば、神が先祖たちに約束されたとおり、乳とみつの流れる地で大きな民になるでしょう。 + いいですか、私たちの神は主おひとりです。 + だから、心を尽くし、たましいを尽くし、力を尽くして主を愛しなさい。 + 今日与えるこれらのことばを、一時も忘れてはいけません。 + 子どもたちにも、しっかり覚えさせなさい。家にいるとき、外を歩いているとき、寝る前、朝起きたとき、いつでもまず第一に暗唱させるのです。 + 忘れないように手に結び、額につけ、 + 家の門柱に記しなさい。 + あなたがたの神、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに約束された地を下さった日には、そこにある良い物はみな、あなたがたのものになります。町、井戸、ぶどう園、オリーブ畑が、自分で作ったわけでもないのに与えられるのです。しかし、いくら豊かになり、何不自由なく食べられるようになっても、主を忘れてはいけません。あのエジプトでのみじめな奴隷生活から救い出してくださったのは主です。 + 満ち足りたときにこそ、主を大切にし、心からお仕えしなさい。また、その方以外のどんな名にかけても誓わないようにしなさい。 + 外国の神々を拝んではいけません。 + あなたがたとともにおられる主はそれをお赦しになりません。怒りをもって、あなたがたを一人残らず滅ぼしてしまうかもしれません。 + マサであなたがたは不平を言って、主の怒りを買いましたが、何とか赦していただくことができました。もう二度と主を試みてはなりません。 + 主の命令には、どんなことでも進んで従いなさい。 + でなければ、決して「よし」とは言ってくださいません。事がうまくいき、約束の地を占領できるかどうかは、心から主にお従いするかどうかにかかっているのです。 + 主の助けさえあれば、敵を追い出すことぐらい、わけはありません。 + いつか息子たちが、『どうして神様は、このような教え(律法)を私たちに与えたのですか』と尋ねたら、 + こう答えてあげなさい。『私たちイスラエル人は昔、エジプトで王の奴隷だった。その私たちを、主はとても考えられないような奇跡を起こして、そこから助け出してくださったのだ。その大いなるわざに、王をはじめエジプト中の人々が驚き、震え上がるのを、私たちはこの目ではっきり見た。 + そんなにまでしてエジプトから助け出したのも、先祖への約束どおり、この地を私たちに与えるためだった。 + だからこそ主は、これらの律法を守り、主を大切にするようにお命じになったのだ。そうすれば、これから先もずっと神様のお守りがある。 + 神様の律法に従っているならば、私たちはすべてがうまくいくのだよ。』 + + + まもなく約束の地に入りますが、主が共におられるので心配はありません。あなたがたよりずっと強大な国も、主の相手ではありません。ヘテ人の国をはじめ、ギルガシ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の国々は、七つとも滅ぼされます。 + 主がそうなさるのだから、徹底的に戦いなさい。こざかしい取り引きをしたり、あわれみをかけたりせず、敵を一掃するのです。 + ましてや、彼らとの結婚などもってのほかです。息子や娘たちとも結婚させてはいけません。 + 外国人と結婚させたら、外国の神々を拝むようになるかもしれないからです。そうなれば取り返しがつきません。主の怒りを買って、あなたがたまで滅ぼされてしまいます。 + 異教の祭壇や石の神殿や柱は取り壊し、神々の偶像も切り倒して焼き払いなさい。 + あなたがたは、主にささげられた聖なる国民だからです。地上のあらゆる国々の民の中から選ばれ、主のものとされたのです。 + 主がこんなに目をかけられたのはなぜでしょう。あなたがたが、ほかのどの国よりも大きな民だったからでしょうか。そうではありません。それどころか、世界中で最も小さな民です。 + にもかかわらず、主はあなたがたを愛し、先祖への約束を果たされるのです。ただそのためにこそ、驚くべきみわざを行い、エジプトの奴隷だったあなたがたを助け出してくださったのです。 + このように主は誠実なお方なので、約束されたことは千代のちまでも守り、主を愛し、命令を守る者に最善のことをしてくださいます。 + しかし、主を憎む者にはそうではありません。みなの見ている前で一人一人罰せられ、打ち滅ぼされます。 + だから、今日命じることをみな守りなさい。 + 素直に従えば主も、私たちの先祖と結んだ恵みあふれる契約を守ってくださいます。 + あなたがたを愛し祝福して、大きな民にしてくださるのです。約束の地で、あなたがたは裕福になります。家畜はどんどん増え、土地も肥えているので、小麦、ぶどう、オリーブが豊かに実ります。 + 世界中のどの国よりも祝福されることは確かです。一人として子どもに恵まれない者はなく、家畜も次々と子を産みます。 + すべての病気はなくなり、エジプトでよく悩まされた疫病もなくなります。反対に、敵が疫病に苦しめられることでしょう。 + 念を押しますが、主が滅ぼせと言われた国は、みな滅ぼし尽くさなければなりません。決してあわれみをかけてはいけません。その国の神々を拝んではいけません。それは悲惨な結果を招くだけです。 + 『自分たちより強い国を征服できるだろうか』と心配になるかもしれません。 + しかし、恐れることはありません。そんな時は、主がエジプトの王と国になさったことを思い出しなさい。 + あの、エジプト中を巻き込んだ恐怖、すばらしい奇跡、とても考えられないような不思議な出来事を忘れてはいないでしょう。あれだけのことをしてあなたがたをエジプトから助け出された方に、できないことは何もありません。あなたがたの親は自分の目でそれを見ました。だとしたら、今あなたがたが恐れている国に対しても、主は同じようになさいます。 + そればかりか、あなたがたの目を逃れた者へもくまばち(神への恐れ)を送り、追い払われるのです。 + 偉大な、恐るべき力を持った主が共におられるので、恐れることはありません。 + 主は敵を一度に全部ではなく、少しずつ、徐々に追い払われます。さもないと、急に野の獣が増えて危険だからです。 + あせらず、しかも着実に攻め取りなさい。 + 主がその国の王を負かしてくださるのです。彼の名が二度と思い出されないように完全に滅ぼしなさい。だれ一人、あなたがたに刃向かえる者はありません。 + 偶像を焼き払いなさい。それにかぶせてある金や銀に心を奪われてはいけません。あなたの神、主は偶像をとても憎まれるので、そんなものを分捕ったら、自分が罠にかかるだけです。 + さらに、偶像を家に持ち込んだりすれば、そんなことをしたが最後、死をもって罰せられます。のろわれた偶像は心底から憎みなさい。 + + + 私が今日命じることをみな守りなさい。そうすれば生き長らえ、人口が増え、約束の地を占領することができます。 + 主は四十年の間、荒野の旅を続けさせて、あなたがたが謙遜になり、ご自分の戒めにどのように応えるようになるか、はたして心から従うようになるかどうかを試されたのです。 + ひもじい思いをさせたのも、謙遜を学ばせるためでした。なぜならそのあとで、マナという見たこともない食べ物を下さり、人はただパンだけで生きるのではなく、神の命令を守ることによって真に生きるのだということを教えてくださったからです。 + 思えばこの四十年間、衣服も古びず、足も腫れませんでした。 + 主があなたがたを懲らしめるのは、ちょうど親が子どものためを思って懲らしめるのと同じなのです。 + あなたの神、主の律法を守りなさい。主を恐れ、命じられるとおりに歩みなさい。 + 主が小川や池や泉、谷や丘のあるすばらしい地へ導いてくださいます。 + そこは、小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろ、オリーブ、はちみつが山ほど採れ、 + 不自由なく暮らせます。その地の石は鉄を多く含み、丘の至る所からは銅が採れます。 + そこで恵まれた生活ができるようになったら、すばらしい地を下さった神である主に感謝しなさい。 + しかし油断は禁物です。何の心配もないからといって気がゆるみ、あなたの神、主を忘れ、主に背くようになってはいけません。 + 家を持ち、羊や牛も増え、財産ができ、満ち足りるようになったときこそ危ないのです。気をつけないと、主のおかげでそうなったのに、思い上がり、エジプトでの奴隷生活から救い出されたことなど忘れてしまうのです。 + 蛇やさそりがいるあの広大な恐ろしい荒野、暑く渇ききった荒野を無事に旅できたのは、主のおかげなのです。その神様を忘れていいでしょうか。岩から水を出し、 + 〔パンに似ているけれど〕それまで見たこともない食物、マナを下さったのも主です。こうして、あなたがたに謙遜を学ばせ、信仰を強め、ほんとうの幸せを与えようとなさったのです。 + そんなやり方をなさったのにはわけがあります。そこまでしなければ、あなたがたは自分の力で豊かになったと思い込むでしょう。 + しかし、豊かにしてくださるのは主です。先祖との約束を果たすためになさったのだということを、いつも自分に言い聞かせなさい。 + 万が一、あなたの神、主を忘れ、ほかの神々を拝み、悪の道に迷い込んだりすれば、あなたがたは必ず滅ぼされます。 + 主にのろわれ、滅びの道をたどった国々と同じ運命をたどることになるのです。主に従わなければ、あなたがたといえども容赦はされません。 + + + さあ、よく聞きなさい。今日、あなたがたはヨルダン川を渡り、川向こうの国々を征服します。どの国も、あなたがたより強い国々です。町々は高い城壁で守りを固め、おまけに、無敵の巨人と恐れられるアナク人もいます。 + しかし主がおられる以上、心配はいりません。あなたがたの先頭に立ち、火のような勢いで敵を滅ぼしてくださるでしょう。だから、すぐさま国々に攻め入って占領しなさい。 + しかし、思い違いをしないように。主があなたがたを助けるのは、あなたがたが正しいからではなく、ほかの国々が悪いからです。 + 決して、あなたがたがりっぱなので、ほかの国々を滅ぼすのではありません。先祖アブラハム、イサク、ヤコブに、そうすると約束されたのです。 + くり返しますが、主があの良い地を下さるのは、あなたがたが正しいからではありません。それどころか、あなたがたは強情な民です。 + あなたがたは、エジプトを出てから今まで、主を怒らせ通しだったではありませんか。どんなに主に逆らい続けてきたか忘れてはなりません。 + ホレブ山(シナイ山)ではどうでしたか。あまりに主を怒らせたので、すんでのところで殺されそうになりました。 + あの時、私は、主があなたがたと結ばれる契約の板を受け取りに山へ登って、飲まず食わずで四十日間も待っていました。 + そして、ようやく授かったのです。そこには、人々が見守る中で、主が真っ赤に燃え立つ山の炎の中からお語りになったことばが記してありました。 + その板を下さるとすぐ、主は私に急いで山を下りるようにせかせました。エジプトから連れ出した民が早くも堕落し、戒めを破って鋳物の偶像を造ったのです。 + あまりのことに主の怒りが爆発しました。『なんということだ。こんなに強情で心の曲がった民は生かしておけない。一人残らず滅ぼそう。止めてもむだだ。代わって、あなたの子孫を強い民に育てよう。彼らよりもっと強く偉大な民になるように。』 + 私は石板をしっかりかかえ、燃える山を一目散に駆け下りました。 + その私の目に真っ先に映ったのは、忌まわしい子牛の像でした。よりによって、これほどひどい罪を犯し、こんなにも早く主を捨てるとは何事かと、 + 私は怒りのあまり石板を地面にたたきつけました。石板はあなたがたの目の前で、木端微塵に砕け散りました。 + それで、私はもう一度、飲まず食わずで四十日間、主の前にひれ伏しました。あなたがたが主の最も憎まれることをして、怒りを買ってしまったためです。 + 私はその間中、あなたがたのことで頭がいっぱいでした。何しろ、主はすぐにでもあなたがたを滅ぼしかねないようすだったのです。しかしその時もまた、主は私の祈りを聞いてくださいました。 + 一番危なかったのはアロンです。彼のしたことを非常に怒っておられたので、一心に赦しを乞いました。こうして、アロンのいのちは助かったのです。 + 最後に私は、あの忌まわしい子牛の像を始末しました。それを取って火で焼き、粉々に打ち砕き、山を下る川に投げ捨てました。 + 数え上げればきりがありませんが、タブエラでも、マサでも、キブロテ‧ハタアワでも、あなたがたは主を怒らせました。 + カデシュ‧バルネアでは、約束の地へ入れと命じられたにもかかわらず、怖がるばかりで少しも言うことを聞きませんでした。主が助けてくださると励ましましたが、あなたがたは、主に逆らったのです。 + 全く、あなたがたを知ってからというもの、主に逆らわなかった時はないと言っていいくらいです。 + あまりのひどさに、主はあなたがたを滅ぼそうとなさいました。それで、私は四十日の間、昼も夜も主の前にひれ伏して祈りました。 + 『どうか神、主よ、特別に目をかけてくださった民を滅ぼさないでください。この民は、あなたが驚くべき御力によってエジプトから救い出された、大切な宝ではありませんか。 + 今度のことは、どうかお見逃しください。あなたに忠実にお従いした先祖のアブラハム、イサク、ヤコブへの約束に免じて、彼らの強情な心をお赦しください。 + それに、もし彼らを滅ぼしたりすれば、エジプト人たちは言うでしょう。「そうら、何てざまだ。イスラエルの神はどうにも約束の地へ連れて行けなくなって、荒野で彼らを殺してしまった。それとも彼らを嫌いだったから、初めから殺すつもりで連れ出したのかもしれない」と。 + お忘れにならないでください。彼らはあなたの大切な宝、あなたのすばらしい御力によって助け出された民なのです。』 + + + すると主は言われました。『前と同じような石板を二枚切り出し、それを入れる木の箱を作ってから、もう一度山に登って来なさい。 + あなたが砕いてしまった前の板にあったのと同じことばを新しい板に記そう。それを箱に納めなさい』と言われるのです。 + 私はさっそくアカシヤの木で箱を作り、石板を二枚切り出すと、それを持って山に登って行きました。 + 主は、前と同じように石板に十戒を記してくださいました。それは、あなたがたが真っ赤に燃える山を見上げる中で、炎の中から命じられたのと同じことばでした。板を授かると、 + 私は山を下り、二枚とも箱に納めました。主に命じられたとおり、それは今でも箱の中にあります。 + 話は飛びますが、私たちはその後、ベネ‧ヤアカンのベエロテからモセラに向かいました。そこでアロンが死に、葬られたので、息子エルアザルが二代目の祭司に任じられました。 + そのあとグデゴダに行き、さらに、渓流が流れる水の豊かなヨテバタに向かいました。 + 主がレビ族に今のような特別な務めをお与えになったのは、その時です。つまり、十戒を入れた箱をかつぎ、主のための仕事をし、主の名によって祝福する務めです。 + このように、主ご自身がレビ族の相続地となるので、彼らは、ほかの部族のように約束の地で相続地をもらうことはできません。 + 最初の時と同じように、私は四十日の間、山にとどまり、昼も夜も主の前で祈りました。ついに主は私の願いを聞き入れてくださり、あなたがたは滅ぼされずにすんだのです。 + その時、主は、『さあ、立って人々の先頭に進み、約束の地へ行きなさい。そこを占領する時がきたのだ』と、私にお命じになりました。 + いいですか、よく聞きなさい。あなたの神、主がお求めになるのは次のことだけです。主のおことばに注意深く耳を傾けること、今日私が与えた戒めを守ること、主を愛すること、心を尽くし、たましいを尽くして主を礼拝することです。 + 天も地も、主のものです。 + 今のように特別に目をかけていただけるのは、ただ主が私たちの先祖を愛されたからです。 + だから、いつまでも強情を張らず、心を入れ替えなさい。 + あなたがたの信じる神様は、神の中の神、主の中の主です。偉大な力あるお方、えこひいきもしなければ、わいろを取ることもなさいません。 + 孤児や未亡人のために正しい裁判をし、外国人をも差別せず、食べ物や衣服をお与えになります。 + だからあなたがたも、いっしょにいる外国人に親切にしなさい。エジプトではあなたがたも外国人だったではありませんか。 + あなたの神、主だけを恐れ、礼拝し、頼りなさい。主の名以外のものにかけて誓ってはいけません。 + 主はほめたたえるべきお方です。あなたがたも見てきたとおり、あれほどすばらしいみわざをなさる方はいません。 + あなたがたの先祖がエジプトに行った時は七十人だったのに、今では星の数ほどにも増やされたのです。 + + + あなたの神、主を愛し、すべての命令に従いなさい。 + いいですか、私はあなたがたの子どもたちにではなく、あなたがた自身に話しているのです。子どもたちはまだ、主に罰せられたこともなく、その偉大さや恐ろしいまでの御力を見たこともありません。 + もちろん、主がエジプトの国や王に行った数々の奇跡も見ていません。 + エジプト軍がイスラエル人を追って来た時、主が彼らを馬や戦車もろとも紅海の底に沈め、それ以来エジプト人があなたがたに手出しできないようにされたことも見ていません。 + その後も、ここに来るまでの長い道中、荒野をさまようあなたがたを主が守り続けてこられたことも知りません。 + また、エリアブの子で、ルベンの孫に当たるダタンとアビラムが反逆したこと、そのためにイスラエル人全員の目の前で、彼らも家族も一人残らず、天幕(テント)もろとも地にのみ込まれてしまったことも、子どもたちは見ていません。 + しかし、あなたがたは違います。あの目をみはるような奇跡を確かに見たのです。 + だから、今日私が与える戒めをどんなに注意深く守らなければならないか、よくわかるはずです。そうして初めて、今、目前にしている地を占領できるのです。 + それを守れば、先祖以来約束されてきた地で、いつまでも幸せに暮らせます。そこは、乳とみつの流れる地なのです。 + エジプトのように灌漑する必要もありません。 + 雨に恵まれ、丘や渓谷もある地だからです。 + あなたの神、主はあなたがたのことをいつも心にかけ、絶えずその地を見守ってくださいます。 + 今日私が与えるすべての戒めを注意深く守り、心を尽くし、たましいを尽くして主を愛するなら、 + 主は春と秋に必ず雨を降らせ、穀物も、ぶどう酒用のぶどうも、油を採るオリーブも豊かに実らせてくださいます。 + 家畜には青々とした牧草地を、あなたがたには十分な食糧を与えてくださるのです。 + しかし、気持ちがゆるんで神様から離れ、外国の神々を拝んだりしないようにくれぐれも気をつけなさい。 + 万一そんなことをしたら、主は激しくお怒りになり、雨を一滴も降らせないでしょう。収穫がなくなり、主が下さった良い地にいながら、みすみす飢え死にすることになります。 + そうなりたくなかったら、主のことばと戒めをしっかり心に刻みつけなさい。それをしるしとして手に結び、額に張りつけて絶えず覚えなさい。 + 子どもたちにも教えなさい。家に座っているときも、外を歩いているときも、寝るときも、朝食の前にも話して聞かせなさい。 + 家の門と戸に書き記しなさい。 + そうすれば、天地の続く限り、約束の地で子々孫々まで幸せに暮らせます。 + 私が与える戒めをみな注意深く守り、主を愛し、主に頼って歩めば、 + どんなに強大な民であっても、主が必ず追い払ってくださいます。 + 行く所はどこもあなたがたの土地になるのです。南はネゲブから北はレバノンまで、東と西はそれぞれユーフラテス川と地中海までも。 + だれ一人、あなたがたに太刀打ちできる者はいません。主はお約束どおり、行く先々で敵に恐れと不安を抱かせるからです。 + 主の祝福を選ぶかのろいを選ぶか、今はっきり決めなさい。 + 私が与える主の戒めに従うなら祝福されます。 + しかし、それを拒否し、外国の神々を拝んだりするならのろわれます。 + あなたの神、主が約束の地に導き入れてくださったら、ゲリジム山から祝福を、エバル山からのろいを宣言しなさい。 + どちらもカナン人が住むヨルダン川の西側の地域にある山で、ギルガルに近く、モレの樫の木のある荒野にそびえています。 + あなたがたは、これからヨルダン川を渡り、主が与えてくださる地に入るのです。 + だから、今日、私が与えるすべての律法を守りなさい。 + + + 先祖たちの神、主があなたがたに与えようとしておられる地で生きている限り、守るべきおきてと定め(律法)は次のとおりです。 + 異邦人(外国人)の祭壇は、見つけしだい壊すこと。高い山の上にあっても、丘の上にあっても、木の下にあっても、すべて壊さなければなりません。 + 祭壇も石柱も粉々に砕き、みだらな偶像は焼き払い、鋳像は壊しなさい。思い出すことさえないように、跡形もなく破壊し尽くすのです。 + 異邦人のようにどこででも、見境なく神にいけにえをささげないこと。ささげ物をする場所は、神がお選びになる所に建てなさい。 + 焼き尽くすいけにえをはじめ、主にささげるいけにえはみな、そこへ持って来なさい。十分の一のささげ物、祭壇の前で揺り動かしてささげるささげ物、誓いを果たすためのささげ物、進んでささげるささげ物、羊や牛の初子のささげ物などすべてそうです。 + そこで家族とともに主の前で食事をし、恵みを喜び祝いなさい。 + 今まで、それぞれが正しいと思うようにやってきましたが、これからは、そうしてはなりません。 + ただし、約束の地に落ち着いてからの話です。 + ヨルダン川を渡り、その地に住みつき、敵に攻められる心配もなく安心して暮らせるようになったら、 + 主がご自分の家としてお選びになった場所に、焼き尽くすいけにえや、ほかのいけにえを持って行かなければなりません。 + 主の前で、子どもたちや使用人たちとともに祝いなさい。祝いには、同じ町に住む領地を持たないレビ人も忘れずに招きなさい。 + 焼き尽くすいけにえを、かってに好きな場所でささげてはいけません。 + 主がお選びになる場所でだけささげなさい。主は、一つの部族に与える領地から一箇所を選ばれます。いけにえやささげ物は、そこだけに持って行きなさい。 + しかし食用にする場合は、鹿やかもしかの肉をそうしているように、どこで動物をほふってもかまいません。主が下さったのですから、好きなだけ食べてかまわないし、礼拝規定で汚れた者とみなされる人が食べてもかまいません。 + ただし、血は決して食べてはいけません。一滴残らず、水のように地面にしぼり出してしまいなさい。 + 穀物や新しいぶどう酒、オリーブ油の十分の一の供え物、羊や牛の初子、誓いのささげ物、祭壇で揺り動かしてささげるささげ物など、どんなささげ物も家で食べないこと。 + みな、主がお選びになるただ一つの場所に持って来て、主の前で、家族やレビ人といっしょに食べなさい。主の恵みを、みなで感謝するのです。 + その時、レビ人を招くのを忘れないように。一生の間、何でもレビ人と分け合いなさい。 + やがて国が大きくなり、主がお選びになった場所から遠く離れた所に住むようになったら、鹿やかもしかにしているように、羊や牛をそれぞれの牧場でほふってもかまいません。汚れた人も食べてかまいません。ただし血は例外です。血はいのちであり、いのちを食べてはいけないからです。 + 血は地面にしぼり出しなさい。そうすれば、子々孫々まで幸せに暮らせます。 + 誓いのささげ物や焼き尽くすいけにえなど、主へのささげ物は主の選ばれる場所に持って来なければなりません。あなたの神、主の祭壇の上でいけにえとするのです。こうして血は祭壇に注ぎ、肉は食べなさい。 + 以上、私の命じることに注意深く従いなさい。主の目にかなうことを行えば、後々まで幸いを得ます。 + 主が国々を滅ぼされ、あなたがたがそこに住みつくようになっても、 + その地の神々を拝むようなことをしてはいけません。『どんなふうに拝めばいいのですか』などと言って、自分から求めて拝みに行ってはいけません。 + それはほかでもない、あなたがたの神、主を侮辱することだからです。それらの国々は宗教の名を借りて、主の憎まれる忌まわしいことをしてきました。子どもを神々のいけにえとしてささげ、火で焼き殺しさえしたのです。 + そんな恐ろしいことをしないように、私が与えるすべての戒めを守り行いなさい。それにつけ加えたり、削ったりしてはいけません。 + + + あなたがたの中で、自分は預言者だとか、夢で未来を占える者だとか言う者には気をつけなさい。 + 言い当てたからといって、うっかり信じてはいけません。どんなに占いが上手でも、『ほかの神々を拝もう』などと誘惑する者の言うことを聞いてはいけません。 + 主は、あなたがたが心とたましいを尽くしてあなたがたの神、主を愛しているかどうかを試しておられるのです。 + 決してほかの神々を拝んではいけません。神の命令にだけ従い、神だけを頼りなさい。 + あなたがたを惑わすような預言者は殺されなければなりません。エジプトの奴隷生活から助け出してくださったあなたがたの神、主に背かせようと誘惑する者だからです。悪い考えがはびこらないように、そんな者たちは処罰しなさい。 + ひそかにあなたがたをそそのかして外国の神々を拝ませようとする者には、近い親類や親しい友人、あるいは血を分けた兄弟、愛する妻や子であっても、 + 決して同意してはいけません。その話を聞くことも、同情することもなりません。罪を見逃したり、かばったりするなどもってのほかです。 + そんな者は一人残らず死刑に処せられます。まず身内の者が手を下し、次に全員が手を下しなさい。 + エジプトの奴隷生活から助け出してくださった主に背かせようとしたのですから、石打ちによって殺しなさい。 + そうすれば、そのことを知っただれもが、自分たちの中に恐ろしい悪の根があることに気づき、二度と同じ罪を犯さなくなるでしょう。 + イスラエルの町のどこかで、ほかの神々を拝むようにそそのかす者がいると聞いたら、まず、うわさが本当かどうか確かめなさい。事実そのとおりで、そんな恐ろしいことが主の下さった町で起こっていることがはっきりしたら、 + その町を攻め、住民も家畜も生かしておいてはなりません。 + 戦利品は道に積み上げて燃やし、町にも火を放って、主への焼き尽くすいけにえとしなさい。そこは永遠の廃墟となり、再建されることはありません。 + 決して戦利品を持ち帰ってはいけません。すべて焼き尽くすことによって、主は激しい怒りを静め、もう一度あなたがたに目をかけ、先祖への約束どおり、私たちを大きな民にしてくださいます。 + 従順に、今日、私が与える戒めを守り、あなたがたの神、主の目にかなう正しいことを行えば、必ずそのようになるのです。 + + + あなたがたは神の民ですから、〔異邦人が偶像を拝むときするように〕体を傷つけたり、葬式の時に額をそったりしてはいけません。 + あなたがたは特別な民なのです。神様が地上のどの民よりも、あなたがたをご自分のものとしてお選びになったからです。 + 礼拝規定で汚れたものとみなされる動物を食べてはいけません。食べていい動物は次のとおりです。牛、羊、やぎ、鹿、かもしか、のろじか、野やぎ、くじか(大かもしかの一種)、大鹿、野羊。 + ひづめが分かれていて反芻する動物は、食べてかまいません。 + それ以外のものはだめです。らくだ、野うさぎ、岩だぬきなどは反芻しますが、ひづめが分かれていないので食べられません。 + その反対に、豚はひづめが分かれていますが、反芻しないので、やはり食べてはいけません。このような動物は死体にも触れてはいけません。 + 水中の動物では、ひれとうろこのあるものは食べてかまいません。 + それ以外はみな汚れたものです。 + 鳥は、次のものを除いて全部食べられます。はげわし、はげたか、黒はげたか、黒とび、はやぶさ、とびの類、からすの類全部、だちょう、よたか、かもめ、たかの類、ふくろう、みみずく、白ふくろう、ペリカン、野がん、鵜、こうのとり、さぎの類、やつがしら、こうもり。 + 例外もありますが、羽のある昆虫類は汚れたもので、食べてはいけません。 + 自然に死んだものは食べてはいけません。ただ、在留外国人は別です。その肉を彼らに与えても、売ってもかまいません。しかし、あなたがたは主にとってきよい者とされているのですから、食べてはいけません。子やぎをその母の乳で煮てはいけません。 + 毎年、収穫の十分の一をささげなさい。 + それを、主が聖所としてお選びになった場所へ持って行き、いっしょに食べなさい。穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油、牛や羊の初子などの十分の一です。こうして、いつも神を第一にして生きることを学ぶのです。 + 聖所が遠すぎてささげ物を持って行けないときは、 + それを売った代金を持って行きなさい。 + 着いてから、その金で牛や羊、ぶどう酒や強い酒など、何でも欲しい物を買い、家族とともに主の前で楽しく食事し、祝い合いなさい。 + 同じ町に住むレビ人にも、忘れずにその一部を分け与えなさい。レビ人には土地もなければ、収穫もないからです。 + 三年ごとに、その年の十分の一のささげ物を、それぞれの地域の福祉に使いなさい。 + 財産のないレビ人や外国人、町に住む未亡人や身寄りのない子に与えるのです。そうすれば、だれもが食べて満ち足り、主があなたも、あなたの仕事も祝福してくださいます。 + + + また七年目ごとに、イスラエル人の負債はみな、帳消しにしなさい。 + 貸し主は借用証書に『免除』と書き込まなければなりません。それ以上返済の必要はないと主が決められたからです。 + ただし、外国人にはこの決まりは適用されません。 + この命令をすべて守るなら、貧しい者はいなくなり、約束の地であなたがたが祝福されることは確かです。ただ、今日、私が伝える主の戒めに注意深く従うことが条件です。 + それさえ守れば、主は約束どおりあなたを祝福してくださいます。多くの国に金を貸すことはあっても借りることはなく、多くの国を支配することはあっても、支配されることはありません。 + 主が下さる地に着いてから貧しい者がいたら、その人に冷たくしてはいけません。 + 必要な物は何でも貸してあげなさい。 + もうじき負債免除の年だからと、貸すのを断ってはいけません。その人がどうしようもなくなり、主に訴えたら、言い逃れはできません。悪いのは明らかにあなたです。 + 未練がましいことは言わずに、何でも快く貸しなさい。そうすれば、主はあなたを祝福し、ますます豊かにしてくださいます。 + 貧しい人がこの国からいなくなることはないでしょうから、この律法はどうしても必要です。くり返しますが、貧しい人には進んで貸しなさい。 + ヘブル人(イスラエル人)の奴隷を買ったら、男でも女でも、七年目には自由にしてやりなさい。 + そのときは、手ぶらで去らせてはいけません。 + 必ず、羊の群れと収穫したオリーブやぶどうの中から、十分な餞別を持たせなさい。主の恵みを分け合うのです。 + エジプトで奴隷だったあなたがたを、主が助け出してくださったことを決して忘れないように、今日、私はこの戒めを与えるのです。 + しかし奴隷のほうから、『自由になりたくありません。ご主人様が大好きですから、どうぞ、いつまでもおそばに置いてください』と言ったら、 + その者の耳たぶを戸に押しつけ、きりで刺し通しなさい。そうすれば、永久にあなたの奴隷となります。女奴隷の場合も同じです。 + 一方、自由になりたいと言う者は、気持ちよく解放しなさい。六年もの間、使用人の賃金の半分以下の費用で働いてくれたからです。奴隷を自由にすることで、主はあなたがたのすることをいっそう栄えさせてくださいます。 + 羊や牛の雄の初子は神のために取っておきなさい。牛の初子を働かせたり、羊ややぎの初子の毛を刈ったりしてはいけません。 + その代わり、毎年、聖所で、家族とともに主の前でそれを食べなさい。 + しかし、足が悪かったり、目が見えなかったりして欠陥のあるものはいけにえにできません。 + 家で食用にしなさい。きよい者も、汚れているとみなされた者も、鹿やかもしかの肉と同じように、その肉を食べてかまいません。 + ただし血は食べず、水のように地面にしぼり出しなさい。 + + + 第一の月(太陽暦では三月)には必ず、過越の祭りを祝いなさい。あなたの神、主が、夜、エジプトから助け出してくださった月だからです。 + 過越のいけにえには、子羊と雄牛を聖なる場所でほふりなさい。 + それを、パン種(イースト菌)を入れないパンといっしょに食べます。エジプトから逃げ出す時に食べたパンをしのんで、七日間パン種を入れないパンを食べるのです。エジプトを発つ時には、パンをふくらませる時間もありませんでした。生涯、あの日のことを忘れないようにしなさい。 + 七日間は、ほんの少しのパン種も家に置いてはならず、過越の子羊の肉は翌朝まで残しておいてはなりません。 + 過越のいけにえは家では食べられません。 + 主が聖所としてお選びになった場所で食べなさい。毎年その日が来たら、夕方、日の沈むころに聖所でいけにえをささげ、 + 子羊を調理して食べ、翌朝、家に帰りなさい。 + 続く六日間は、種を入れたパンを食べてはいけません。七日目には、それぞれの町から集まり、主の前で共に静かに過ごしなさい。その日一日、どんな仕事もしてはいけません。 + 刈り入れが始まって七週間目に、 + 主の前に七週の祭りを祝います。その時には、主が収穫させてくださった量に応じて、それぞれ、進んで行うささげ物をしなさい。 + こうして、家族をはじめ家中の者が、主の前で共に喜び合うのです。この祝いには、同じ町に住むレビ人、外国人、未亡人、身寄りのない子も招待しなさい。 + エジプトで奴隷だったことを忘れないように、必ずこのとおりにしなければなりません。 + 取り入れも終わり、穀物を脱穀し、ぶどうをしぼり終えたころ、七日の間、仮庵の祭り(荒野での天幕生活を記念して、祭りの間、小屋に住むことから名づけられた)を祝いなさい。 + 家族も使用人も共に楽しく過ごします。同じ町に住むレビ人、外国人、身寄りのない子、未亡人も忘れずに招待しなさい。 + この祭りは聖所で祝います。収穫を感謝し、主の祝福を大いに喜び合いなさい。 + イスラエルの男子はみな、年に三度、種なしパンの祭り、七週の祭り、仮庵の祭りの時に聖所に集まり、主の前に出なければなりません。そのたびに主へのささげ物を持って来なさい。 + 受けた祝福に応じてささげなさい。 + 主が与えてくださるすべての町々に、裁判官と行政官を任命しなさい。正義が行われるためです。 + 金持ちの肩をもって裁きを曲げたり、わいろを取ったりしてはいけません。知恵ある人も欲に目がくらむと、正しい判断ができなくなります。 + 至る所で正義が行われなければなりません。でなければ、主が与えてくださる地で成功を収めることはできません。 + あなたの神、主の祭壇のほかは、たとえどんな事情があろうとも、偶像を立ててはいけません。 + 石柱も同じです。主はそのどちらも憎まれるのです。 + + + 病気や欠陥のある牛や羊は、主へのいけにえにできません。それらをささげるのは、主の忌み嫌われることです。 + どの町であろうと、だれであろうと、私が固く禁じたにもかかわらず、主との契約を破り、ほかの神々、太陽、月、星などを拝んでいる者がいると聞いたら、 + まず、うわさが事実かどうかよく調べなさい。事実であれば、 + 男だろうが女だろうが、町の外に連れ出し、石打ちによって殺しなさい。 + ただし、一人の証言だけで死刑にしてはなりません。必ず二人か三人の証言を聞きなさい。 + 死刑と決まったら、初めに証人が石を投げつけ、続いて全員が手を下します。こうして悪の根を断ち切るのです。 + 判断の難しい証拠が不十分な流血事件、人権侵害の問題などの場合は、聖なる場所に行き、 + レビ人の祭司か、その時、任に就いている裁判官に上告しなさい。彼らが判決を下します。 + その判決に不服を申し立てることはできません。 + 彼らの判決に従って、完全に実行しなさい。 + 主がお選びになった祭司や裁判官の判決に従わなければ死刑に処せられます。そのような罪人は、イスラエルから除き去らなければなりません。 + きびしい罰を加えるのは、法廷を侮辱してはならないことを教えるためです。 + あなたの神、主が与えようとしている地を占領し、住みついて、ほかの国のように王が必要になったときは、 + 必ず主がお選びになる者を王としなさい。イスラエル人でない者は絶対に王になれません。 + 王は自分のために大きな馬屋を建てたり、馬を買いにエジプトへ部下をやったりしてはいけません。主が、『二度とエジプトへ帰ってはならない』と言われたからです。 + 大ぜいの妻をもってはいけません。主よりも妻のほうに心を奪われる危険があるからです。莫大な財産を蓄えるのもよくありません。 + 戴冠式を終え、王位についたら、レビ人の祭司が保管している原本から、これらの教えを書き写しなさい。 + それをいつも手もとに置き、一生の間、毎日読みなさい。主のすべての戒めを守ることによって、主を大切にすることを学ぶのです。 + 毎日、規則的に読み続けていけば、民を見下したり、神のおきてからそれたりしません。長い間りっぱに国を治め、王位は何代のちまでも、子孫に受け継がれます。 + + + 祭司とレビ人は、ほかの部族と違って土地がもらえません。彼らは、祭壇にささげられるいけにえやささげ物で生計を立てるのです。 + 主のものはみな頂けるのですから、相続地を受ける必要はありません。それが主のお約束です。 + いけにえにする牛や羊の肩、頬、胃は、祭司に与えなさい。 + 祭司はそのほかに、収穫を感謝するしるしとしてささげられる穀物の初物、新しいぶどう酒、オリーブ油、羊の毛の初物などももらえます。 + 主はすべての部族の中からレビ人を、代々主に仕える者としてお選びになったのです。 + レビ人はイスラエルのどこに住んでいようと、いつでも聖所に来てかまいません。そこで仕えているほかのレビ人と全く同様に、彼らの神、主の御名によって仕事ができます。 + そして同じように、いけにえやささげ物の分配も受けられます。貧しいからではなく、受ける権利があるからです。 + 約束の地に着いたなら、そこの住民の忌まわしい習慣に染まらないよう、くれぐれも注意しなさい。 + 自分の子どもを、異教の神々へのいけにえとして焼き殺すような者は死刑です。そのほか、魔術師、占い師、まじない師、蛇使い、霊媒師、魔法使い、呪術師も赦されません。 + これらを行う者は、主に嫌われ憎まれます。ほかの国が滅ぼされるのもそのためです。 + だからあなたがたは、主の前に正しく歩みなさい。 + その地から追い払われる国々はみな、このような悪いことを行いましたが、それに倣ってはいけません。 + 代わりに主は、イスラエル人の中から私のような預言者を起こされます。その預言者の言うことを聞きなさい。 + これはあなたがたが願ったことです。あれは、ホレブ山(シナイ山)のふもとでした。あの時あなたがたは、『恐ろしくて生きた心地もしません。もう二度と主の恐ろしい声を聞かなくてすむように、山に燃え上がる火を見なくてすむようにしてください』と訴えました。 + 主は願いを聞き、私に言われました。『よろしい、言うとおりにしよう。 + イスラエル人の中から、あなたのような預言者を立てよう。わたしが言いたいことはみな、その者に語らせる。 + その者の言うことを聞かないような者は、わたしの教えをいいかげんに扱ったのだから、わたしが罰しよう。 + しかし、預言者が自分の考えをわたしの教えのように見せかけて語ったり、ほかの神々の教えを語ったりしたときは、その預言者は死ななければならない。』 + では、主の教えかそうでないか、どうすればわかるのでしょう。 + 預言どおりのことが起こらなければ、それはうそです。ただの偽りです。そんな預言者を恐れることはありません。 + + + あなたの神、主があなたのものになる地の国々をすべて滅ぼし、あなたがその町々に住むようになったら、 + 避難用の町を三つ確保しなさい。過って人を殺した者が安全に逃げ込めるようにするためです。国を三つに区分し、各地域に一つずつ避難用の町を設けます。町に通じる道はよく補修しておきなさい。 + その町を設けるのは、たとえば次のような場合のためです。 + 二人の人が森へ木を切りに行き、一人が木を切ろうと斧を振り上げたとたん、刃が柄から抜けて相手に当たり、運悪くその人は死んでしまった。そういう場合、避難用の町に逃げ込んで身を守るのです。 + だれも復讐はできません。これらの町は、どこに住む人でも必ず三つの町の一つには逃げ込めるように、距離をよく考えて町を選びなさい。でないと、町まで行かないうちに怒りに燃えた復讐する者に追いつかれ、殺されるかもしれません。過って殺しただけで死刑にならないのです。 + 先祖への約束どおり、主が領土を広げ、約束の地を全部下さったら、 + 避難用の町をさらに三つ増やしなさい。もっともそのためには、今日、私が与える律法をみな守り、あなたの神、主を愛し、主の言われるとおりに歩まなければなりません。 + 避難用の町が十分にあれば、罪のない者が殺されることもなく、不法な処刑が行われた責任を取ることもなくなります。 + しかし、以前から憎んでいた相手を待ち伏せて殺した場合は、避難用の町に逃げ込んでもむだです。 + 犯人の出身地に当たる町の長老が彼を連れ戻し、殺された者の復讐をする者に殺させなさい。 + 容赦はいりません。イスラエルから人殺しを除き去りなさい。それはあなたがたのためになることです。 + あなたの神、主が与えてくださる地に着いたら、かってに境界線を動かして人の土地を盗んではいけません。 + たった一人の証言で、人を有罪にしてはいけません。少なくとも二人、できるなら三人の証言が必要です。 + 無実の人を捕まえて、罪を犯す現場を見たと偽証する者がいたら、 + その者と訴えられた者とを二人とも、その時に任に就いている祭司と裁判官のところへ連れて行きなさい。 + 裁判官がよく調べた結果、偽証であることがはっきりしたら、 + 訴えられた者が受けるはずだった刑を、反対に偽証人が受けることになります。こうして悪の根を取り除きなさい。 + それが見せしめとなり、だれも偽証しなくなるでしょう。 + みな自分の罪に見合う刑罰を受けるのです。いのちの代わりにはいのち、目の代わりには目、歯の代わりには歯、手の代わりには手、足の代わりには足で償われるのです。 + + + 戦いに出て行って、自分たちよりはるかに強い大軍を目の前にしても、馬や戦車の数に恐れをなしてはいけません。エジプトから安全に助け出してくださった主がついておられます。 + 戦う前に、祭司はイスラエル全軍にこう告げなさい。 + 『みなよく聞け。今日の戦いを恐れてはならない。 + あなたがたの神、主がわれわれの味方だ。主が戦われるからには、勝利は間違いなくわれわれのものだ。』 + 続いて司令官は民に勧めなさい。『家を建てたばかりで、まだそれを奉献していない者はいないか。戦死でもして、ほかの者がその家を奉献することにならないように、すぐ家へ帰りなさい。 + ぶどうの木を植えて、まだその実を食べていない者はいないか。戦死でもして、ほかの者に食べられてはよくない。すぐ家へ帰りなさい。 + 婚約したばかりの者はいないか。戦死したら、ほかの者がその娘と結婚することになる。今すぐ家へ帰り、結婚しなさい。 + おじけづいている者はいないか。そんな者がいたら、全体の士気に影響する。すぐに家へ帰りなさい。』 + 民にそう告げ終わったら、司令官は各部隊の長の名を告げなさい。 + 攻略しようとする町に近づいたら、まず降伏を勧めなさい。 + その町が降伏して門を開いた場合、住民は全員奴隷にしなさい。 + 降伏を拒み、対戦するというのなら、町を包囲しなさい。 + そしてその町があなたがたの手に落ちたら、男はすべて打ちなさい。 + ただし、女と子ども、家畜、戦利品は自分たちのものにしてかまいません。 + これは、遠くの町々を攻めるときのことであって、約束の地においてはそうではありません。 + 約束の地の中の町々では、住民を生かしておいてはなりません。 + ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を全滅させるのです。これは主の命令です。 + こうしないと、その地の住民があなたがたを惑わして、偶像礼拝をさせるかもしれません。あなたがたまで忌まわしい習慣に染まり、あなたがたの神、主にひどい罪を犯したら、取り返しがつきません。 + 町を攻め取るときは、その町の木を全滅させないようにしなさい。木の実を取って食べてもよいが、切り倒してはいけません。木は敵ではないのです。 + 食用にならない木は切り倒し、城攻め用のはしご、やぐら、兵器などを作りなさい。 + + + 主の与えてくださった約束の地で殺人事件があり、被害者は町の外で発見され、現場を目撃した者がいない場合は次のようにしなさい。 + まず、長老と裁判官が、死体から最も近い町はどこか調べます。 + どこかわかったら、その町の長老が、まだ農作業に使われたことのない雌の子牛を引いて、 + 渓流のある開墾されていない谷間へ行き、そこで子牛の首を折ります。 + それから祭司たちが進み出ます。主は、聖所での仕事や人々を祝福することばかりでなく、争いごとや傷害事件が起きたとき、判断を下すためにも祭司を選ばれたのです。 + そこで、町の長老たちは子牛の上で手を洗いきよめ証言します。 + 『被害者に手をかけたのは私たちではありません。私たちが全く知らないうちに事件は起きたのです。 + 主よ、あなたが買い取られた民イスラエルを、どうぞお赦しください。私たちに、罪のない者を殺した罪を負わせないでください。』 + このように、主が正しいとみなされる方法で罪悪を取り除きなさい。 + 主が敵をあなたの手に渡され、戦いに勝ち、捕虜を連れて引き揚げるとき、 + その中に美しい娘がいて妻にしたいと思ったなら、 + 家へ連れ帰りなさい。娘は髪をそり、つめを切り、 + すっかり着替えをし、捕虜になった時に身に着けていた物を全部はずして、あなたの家で、自分の両親のために一か月の間、喪に服します。そのあとで結婚しなさい。 + 彼女を好きでなくなったら、自由の身にして去らせなさい。彼女を辱めたのですから、売り払ったり、奴隷のように扱ったりしてはいけません。 + 妻が二人あり、どちらにも子どもがある場合、長男の母親である妻は嫌いで、 + 次男の母親である妻のほうを愛しているからといって、次男に長男としての財産を与えることはできません。 + 嫌われている母親の子でも、父親には初めての子であり、長男の権利を持っているのだから、兄に弟の二倍の財産を与えなければなりません。 + いくら懲らしめても親の言うことを聞かない、強情で反抗的な息子は、 + 町の長老のところへ連れて行きなさい。 + 『息子は強情っ張りのうえに反抗的で、とても手に負えません。親の言うことなどそっちのけで、大酒ばかり飲んで、遊び暮らしています』と訴えるのです。 + そのあと、町の者が息子に石を投げつけて殺します。二度と若者たちがそんな親不孝をしないように見せしめとするためです。 + 人が死刑に当たる罪を犯し、殺され、木にかけられる場合は、 + 次の日までそのままにしてはいけません。その日のうちに埋葬しなさい。木にかけられた者は、神にのろわれた者だからです。あなたの神、主に与えられた地を汚してはいけません。 + + + 迷い牛や羊を見つけたら、そ知らぬふりをせず、持ち主のところへ連れて行きなさい。 + 持ち主がわからないときは自分の家で預かり、持ち主が捜しに来たら返してあげなさい。 + このほか、ろばや衣服などを見つけたときも同じようにしなさい。持ち主がわかるまで大事に預かりなさい。 + 足をすべらせて荷物の下敷きになった牛やろばを立たせようとしている人を見たら、素通りしてはいけません。すぐに行って手を貸しなさい。 + 女が男の格好をしたり、男が女の格好をしたりしてはいけません。主はそのようなことを嫌われます。 + 鳥の巣が地面や木の上にあるのを見つけたとき、ひなや卵が母鳥といっしょだったら、全部取ってはいけません。 + 母鳥は逃がして、ひなだけを取りなさい。そうすれば、あなたがたも幸せに生きることができます。 + 家を新築するときは、人が落ちないように屋上に手すりをつけなさい。そうしておけば、万一だれかが落ちても、その家にも持ち主にも責任がありません。 + ふどう園にはほかの種をまいてはいけません。そんなことをしたら、どちらの実も汚れたものとなり、祭司に没収されます。 + 牛とろばを組にして耕してはいけません。 + 毛糸と亜麻糸というように、二種の糸で織った衣服を着てはいけません。 + 神の律法を思い出すために、外套の四隅に房を縫いつけなさい。 + 結婚してから夫が、結婚前にほかの男と関係があったと妻に言いがかりをつけ、『妻は処女ではなかった』と訴えたら、 + その妻の両親は町の長老たち(裁判官)のもとに、娘が処女であった証拠を持って来なさい。 + まず父親が裁判官に、『この男に娘を嫁がせましたが、娘が処女でなかったと言いがかりをつけるのです。しかし、ごらんください。ちゃんと処女のしるしがあります』と言い、裁判官の目の前でシーツを見せなさい。それが認められれば、裁判官は夫をむち打ちの刑にし、 + 彼に銀百シェケルの罰金を科し、妻の父親に与えなさい。イスラエル人の処女に対して悪口を言いふらした罰です。彼は生涯、妻を離縁することができません。 + しかし、夫の訴えどおり、妻が処女でなかったことがはっきりしたら、 + 裁判官は彼女を父親の家の戸口に引き出し、町の者が石を投げつけて殺しなさい。両親のもとにいながら淫行の罪を犯し、イスラエルの名を汚したからです。このような罪悪は除き去らなければなりません。 + また、夫のある女と男が寝て見つかった場合、男も相手の人妻も殺されます。こうして、イスラエルから罪悪を除き去りなさい。 + 婚約中の娘が町の城壁内(町の中)で男に誘惑された場合、娘も男も町の外に連れ出して石で打ち殺しなさい。娘は町の中にいながら助けを求めず、男は他人の婚約者を奪ったからです。 + 罪悪は除き去らなければなりません。ただし町の外であれば、殺されるのは男だけです。その娘は死刑に当たる罪は問われません。叫び声を上げたのに、町から遠かったのでだれも助けに来なかったとみなされます。 + ある男が婚約前の娘に暴行して捕まった場合は、娘の父親に罰金五十シェケルを払い、娘と結婚しなければなりません。絶対に離婚はできません。 + また、義理の母は自分の父の妻なのですから、父が死んでからも関係を持ってはいけません。 + + + 睾丸のつぶれた者、陰茎を切り取られた者は主の集会に加わることはできません。 + 婚外子とその十代あとまでの子孫も、主の集会に加わることはできません。 + アモン人とモアブ人はその十代あとまでの子孫も、絶対に主の集会に加わることはできません。 + 彼らは、あなたがたがエジプトを出て来た時、食べ物も水もくれなかったからです。歓迎しないばかりか、わざわざメソポタミヤのペトルからベオルの息子バラムを雇い、あなたをのろわせようとさえしました。 + しかし主は、バラムの言うことに耳を貸さず、のろうどころか祝福するようにされました。あなたを愛しておられたからです。 + 生涯、どんな方法ででも、アモン人やモアブ人を助けてはいけません。 + ただし、エドム人やエジプト人を嫌ってはなりません。エドム人は兄弟、エジプト人はかつて生活を共にした人たちだからです。 + あなたといっしょに来たエジプト人の孫は、主の集会に加わることが許されます。 + 戦争中、陣営内の男子は身をきよく保たなければなりません。夜、夢精で身を汚した者は陣営を出て、 + 夕方まで外にいなければなりません。日が暮れたら体を洗い、陣営に戻ることができます。 + 用を足すときは陣営の外に出なさい。 + 武器とくわを持って行き、穴を掘って用を足したら、きれいに土をかけます。 + 陣営内はいつも清潔にしておきなさい。あなたがたを守り、敵を負かそうと、主がその中を歩まれるからです。見苦しいものをごらんになって、主の心が離れないように気をつけなさい。 + 逃げて来た奴隷を、むりやり主人のもとへ引き渡してはいけません。決してしいたげず、どこでも好きな所に住まわせなさい。 + イスラエルの女子は神殿娼婦になってはいけません。イスラエルの男子も、神殿男娼になってはいけません。そのようなことで得たものを主にささげてはいけません。主はそれらのことを憎まれるからです。 + イスラエル人には、利息を取って物を貸してはいけません。金銭、食物、そのほかどんなものについてもです。 + 外国人ならかまいませんが、イスラエル人からはだめです。兄弟であるイスラエル人から利息を取ったりするなら、約束の地において、主に祝福されません。 + あなたの神、主に誓いを立てたら、すぐ実行しなさい。どんなことでも、ぐずぐずとあとに延ばしてはいけません。誓いを破るのは罪です。 + 誓いを取り消せば、罪にはなりません。 + 誓った以上、そのとおり実行するよう努めなさい。みずから主に誓ったのですから責任を取りなさい。 + 人のぶどう園に入って好きなだけ食べるのはかまいませんが、持ち帰ってはいけません。 + 麦畑でも同じです。そこで食べる分だけ手で摘むのはかまいませんが、かまで刈り取ってはいけません。 + + + 妻のことで何か恥ずべきことがあり、気に入らないことがあったら、離縁状を渡して去らせなさい。 + 彼女が再婚し、 + その夫からも離縁されるか死別した場合、 + 前の夫は彼女と再婚できません。彼女は汚されているからです。そんなことをしたら、あなたの神、主が相続地として与えてくださる地に罪を持ち込むことになります。 + 新婚の男子は兵役やその他の務めを免除されます。一年間は家にいて、妻を喜ばせなければなりません。 + ひき臼を担保に取ってはいけません。粉がひけなくなったら、毎日の食事ができなくなります。 + また、同胞のイスラエル人をさらって奴隷にしたり売り飛ばしたりする者は死刑に処せられます。そのような罪悪は除き去りなさい。 + ツァラアトの場合は、祭司の言うとおりにしなさい。どうすればよいかは、すべて祭司に教えてあります。 + エジプトからの道中、主がミリヤムになさったことを思い出しなさい。 + 物を貸すときは、担保の品を取るために、相手の家にずかずかと入り込んではいけません。 + 相手が持って来るのを外で待ちなさい。 + その人が貧しくて、外套しか担保として出せない場合は、夜の間はそれを返してやりなさい。あなたがそれを掛けて寝てはいけません。返してもらった人は、これで寒さをしのげると感謝するでしょう。主はあなたの正しい行いをちゃんと認めてくださいます。 + 貧しい使用人を過酷に働かせてはいけません。イスラエル人でも町に住む外国人でも同じです。日が暮れないうちに、その日の賃金を払いなさい。貧しい人はすぐにでも金が必要なのです。あまりひどい扱いをすると、その人があなたのことを主に訴え、あなたがとがめを受けることになります。 + 父親が子どもの罪で死刑になることはなく、子どもも父親の罪で死刑になることはありません。人が死刑になるのは自分の罪のためです。 + 外国からの移住者や身寄りのない子を正当に扱いなさい。借金のかたに未亡人の外套を取ってはいけません。 + あなたも、エジプトでは奴隷だったではありませんか。主が助けてくださったから、今はこうしていられるのです。そのことを忘れないためにも、気の毒な人には親切にしなさい。 + 刈り入れをし、畑に一束置き忘れて来たら、わざわざ取りに戻らず、移住者や身寄りのない子、未亡人のために残しておきなさい。そうすれば、あなたの神、主があなたによくしてくださいます。 + オリーブの実を打ち落とすときも同じです。あとでもう一度、残りを打ち落としに行ってはいけません。移住者や身寄りのない子、未亡人のために残しておきなさい。 + ぶどう園のぶどうもそうです。落ちた実を拾い集めたりせず、貧しい人のために残しておきなさい。 + エジプトで奴隷だったことを思い起こしなさい。以上のことを命じるのもそのためです。 + + + 人々の中に争いがあり、どちらかが裁判でむち打ちの刑と決まったら、裁判官は自分の前に罪人を伏させ、罪の程度に応じて、適当な回数だけ打ちなさい。ただし最高は四十回で、それ以上は絶対に打ってはいけません。あまりにきびしい刑を科して、同胞が不当に扱われないためです。 + 脱穀をしている牛に口かせをはめてはいけません。 + 息子がないまま死んだ人の妻は、夫に兄弟がいる場合はほかの者と再婚はできません。必ず夫の兄弟と結婚するのです。 + そして、二人の間にできた長男に前の夫の名を継がせ、その家が絶えないようにしなさい。 + 兄弟が結婚したがらず、義務を果たさないときは、町の長老に、『夫の兄弟は夫の名を残そうとせず、私と結婚してくれません』と訴え出なさい。 + 長老はその男を呼んで話し合います。それでも頑として承知しないなら、 + 長老の見ている前でその男に近寄り、くつを脱がせ、顔につばを吐いて言ってやりなさい。『兄弟の家を立てないような男は、こうされるのよ。』 + 彼の家は後々、『くつを脱がされた者の家』と呼ばれます。 + 二人の男がけんかをし、一方の男の妻が自分の夫を助けようとして相手の男の急所をつかんだときは、 + その女の手を切り落としなさい。 + 取り引きには正確なはかりを使い、正直に量りなさい。そうすれば、主が与えてくださる地でいつまでも幸せに暮らせます。 + 目盛りをごまかす者は主に嫌われます。 + エジプトからの道中でのアマレク人の仕打ちを、決して忘れないようにしなさい。 + 神を恐れず、ひきょうにも彼らは、疲れ果てて列のうしろに離れてしまった者たちに襲いかかったのです。 + あなたの神、主が約束の地で敵を破り、あなたがたが安心して住めるようになったら、アマレク人をすべて打ち滅ぼし、その名を完全に葬り去りなさい。どんなことがあっても必ずそうしなさい。 + + + 約束の地を征服し終え、そこに住むようになったら、 + 聖所で、毎年の収穫の初物を主にささげなければなりません。かごに入れたささげ物を、その時、任に就いている祭司に渡し、『これは、主が先祖に約束された地に私たちを連れて来てくださったことへの感謝のしるしです』と言いなさい。 + 祭司はかごを受け取り、祭壇の前に置きます。 + それから、あなたの神、主の前でこう告白しなさい。『私の先祖は、エジプトへ避難したアラム人の移住者です。初めは少人数でしたが、エジプトにいる間に大きな強い国民となりました。 + そのためにひどい虐待を受け、主なる神に必死に助けを求めたのです。その叫びを聞き、苦しみあえいでいるさまをごらんになった主は、大きな奇跡を起こしてエジプトから救い出してくださいました。エジプト人の目の前で、目をみはるようなしるしと不思議を次々となし、 + ついに私たちを、この乳とみつの流れる地に連れて来てくださったのです。 + 主よ、ごらんください。この土地から採れた初物でございます。』次に、主の前にそれを供え、礼拝しなければなりません。 + そのあと、あなたに与えられたすべての良きものを感謝して食べなさい。家族はもちろんのこと、レビ人やイスラエルに住む外国人といっしょに祝いなさい。 + 三年ごとに、特別な十分の一のささげ物をします。その年は十分の一のささげ物をみな、レビ人、在留外国人、身寄りのない子、未亡人に分け与えて、彼らの必要を満たすのです。 + そうして、主の前で言いなさい。『ご命令どおり、十分の一のささげ物をみな、レビ人や在留外国人、身寄りのない子、未亡人に分け与えました。すべて教えられたとおりに行い、忘れたことは一つもありません。 + 喪中など、礼拝規定で汚れているとみなされる時は、十分の一のささげ物にさわりませんでした。また、そのうちのほんの少しでも死人に供えたことはありません。いつも私の神、主にお従いし、ご命令はすべて守りました。 + どうか、天の聖所からごらんになり、お約束どおり私たちに与えられた地を祝福し、乳とみつの流れる地にしてください。』 + 今日、あなたの神、主がお与えになるこれらすべての律法に心から従いなさい。 + あなたは今日、イスラエルの主こそほんとうの神であり、これからは主に従い、そのおきてと命令と定めを守り、あなたのことばに聞き従うと断言しました。 + そこで主は、こう宣言なさいました。『すでに約束したとおり、あなたはわたしの宝の民だ。すべてのおきてを守るなら、 + あなたを他のどの国よりもすばらしい国とし、称賛の的となるようにする。そしてすでに約束したとおり、あなたを、あなたの神、主の聖なる民とする』と。」 + + + さらに、モーセとイスラエルの長老たちは、民に次のような指示を与え、そのとおり行うよう命じました。 + 「ヨルダン川を渡り、約束の地、乳とみつの流れる地に入ったら、川底から丸い石を取り、川向こうのエバル山に記念碑を建てなさい。石の表面には石灰を塗り、神様の律法のすべてのことばを書き記しなさい。 + またそこに、主のために祭壇を築きなさい。自然のままの丸い石を積み重ね、その上で、焼き尽くすいけにえをささげるのです。 + さらに和解のいけにえをささげ、あなたの神、主の前で喜び祝いなさい。 + 重ねて言いますが、記念碑にこの律法のことばをすべてはっきりと書き記しなさい。」 + それから、モーセとレビ人の祭司たちとは、イスラエルのすべての民に呼びかけました。「みんな、よく聞きなさい。今日、あなたがたは主の民となりました。 + だから今日から、主の御声に聞き従い、今日、私が与える律法を行いなさい。」 + その日、モーセは民に命じました。 + 「約束の地に入ったら、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフ、ベニヤミンの各部族は、ゲリジム山に立って祝福を告げ、 + ルベン、ガド、アシェル、ゼブルン、ダン、ナフタリの各部族は、エバル山に立ってのろいを告げなさい。 + それから、レビ人が両者の間に立って全国民に向かって宣言しなさい。 + 『隠れて、彫像や鋳像を造って拝む者はのろわれる。主は人間が造った神々を憎まれるからだ。』民はみな、『アーメン』(「そのとおりです」「そうしてください」の意)と答えなさい。 + 『親を侮辱する者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『隣人の土地との境界線を移す者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『盲人の弱みにつけ込む者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『在留外国人、身寄りのない子、未亡人などに不正を働く者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『父の妻(義理の母)と寝る者はのろわれる。彼女は父親のものだからだ。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『獣姦をする者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『異父姉妹であれ異母姉妹であれ、自分の姉妹と寝る者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『妻の母と寝る者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『ひそかに殺人を犯す者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『報酬をもらって、罪のない人を殺す者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + 『この律法を守らない者はのろわれる。』民はみな、『アーメン』と答えなさい。 + + + 今日、私が与えるこの主の律法をすべて守り行うなら、あなたの神、主は、あなたを世界中で最もすぐれた民とし、 + 次のような祝福をお与えになります。あなたは町の中でも外でも祝福され、多くの子ども、作物、羊や牛、くだものやパンに恵まれます。戦いや仕事に出て行くときも帰って来るときも祝福されます。 + 主はあなたの敵を撃退し、彼らが束になってかかってきても、くもの子を散らすように追い散らします。 + 主は約束の地において、良い収穫をあげ、丈夫な牛が生まれ、あなたのすべての手のわざが祝福されるように守ってくださいます。 + あなたの神、主に従い、主の道に歩むなら、あなたは聖なる民としていただけます。 + 世界中の国々は、あなたが主のものであることを知って恐れるでしょう。 + 主は約束どおり、多くの子どもたちを与え、家畜や作物の実りに至るまで祝福してくださいます。 + 天の雨の倉を開き、豊かな収穫をもたらす雨を季節ごとに降らせてくださるのです。すべてが順調にいくのであなたは栄え、多くの国に貸し与えるようにはなっても、借りることはありません。 + 今日、私が与えるあなたの神、主の律法に従い、それを守り行うなら、どの国より上に立つ国にされるでしょう。 + ただし、それはみな、私が与える律法を忠実に守るかどうかにかかっています。だから、絶対にほかの神々に仕えてはいけません。 + もし、主の言われることを聞かず、律法に従わないなら、あなたは必ずのろわれます。町の中でも外でものろわれ、くだものやパンに不自由し、子どもを授からず、作物の実りも乏しく、牛や羊まで減っていきます。出て行くときも帰って来るときも、よくないことばかり起こります。 + 主が自らのろいをお下しになるからです。混乱に陥り、なすこと全部が失敗して、最後には滅びます。主を捨てて悪を行った結果です。 + これから占領する地で、主は疫病をはやらせ、難なくあなたを滅ぼしてしまわれます。 + あなたは、結核、熱病、伝染病、戦争、さらに黒穂病によって打たれます。 + また、天は青銅のように堅く閉じて雨を降らせず、地は鉄のように堅くしまり、作物を実らせません。 + 日照りで国土が干上がり、猛烈な砂嵐が荒れ狂って、生き残る者は一人もありません。 + 勢い込んで戦いに出ても、主に見離されているので、たちまち総くずれし、みじめに敗走することになります。そうなったら、地上のすべての国々にとっていい見せしめになるでしょう。 + 戦死者の死体が鳥や野獣のえじきとなっても、追い払う者さえいません。 + また主は、エジプトの皮膚病、できもの、腫瘍、壊血病、疥癬によってあなたを打ち、いやされることはありません。 + 恐怖で気が転倒し、何が何だかわからなくなり、パニック状態に陥ります。 + 盲人が暗闇で手探りするように、真昼の明るい所でも手探りしなければ歩けません。何をしてもうまくいかず、痛めつけられ、略奪されるばかりなのに、だれも助けてくれません。 + 婚約者を奪われ、自分が建てた家には他人が住み、自分が育てたぶどう園の実を他人が食べるようになります。 + 自分の牛が目の前で殺されても、その肉の一片さえもらえません。目の前でろばが連れ去られても、黙って見ているだけで、取り返すことはできません。羊がみな敵に奪われても、だれも守ってくれません。 + 目の前で、息子や娘が奴隷に売られます。いくらかわいそうだと思っても、助けることができません。 + 名前さえ聞いたこともない民が、あなたが汗水流して育てた作物を食べ、あなたを痛めつけます。 + 見ることすべて悲しいことばかりで、心痛のあまり気がおかしくなります。 + さらに主は、あなたをつま先から頭のてっぺんまで、できものだらけにされるでしょう。 + 主は、あなたも王も国外追放にし、先祖のだれも知らなかった地へ追いやります。そこでは、木や石の神々を拝むしかありません。 + こうして主に追い払われ、国々の恐怖、物笑いの種とされるのです。 + いくら種をまいても、いなごが食べてしまうので、収穫はわずかです。 + ぶどう園を作り、せっせと手入れしても、虫に食い荒らされ、実を食べることもぶどう酒を飲むこともできません。 + オリーブの木はどこにでもありますが、実が熟さないうちに落ちてしまうので、体に塗るほどのオリーブ油さえ採れません。 + 息子や娘はあっという間に連れ去られ、奴隷になります。 + いなごは、木といわずぶどうといわず、あらゆるものを食い尽くします。 + 在留外国人がますます金持ちになっていく一方、あなたはますます貧しくなります。 + 物を貸すのは彼らで、あなたではありません。外国人のほうが恵まれ、あなたより優位に立ちます。 + あなたの神、主の言われることを聞かないと、これらののろいが次々に降りかかり、ついには滅ぼされます。どこにも逃げ場はありません。 + これらのことはみな、あなたがたと子孫への警告なのです。 + 何の不自由もなく守っていただきながら、主をほめたたえようとしなければ、敵の奴隷にされます。敵に攻められ、飢え渇き、着る物もなく、あらゆる不自由を忍ばなければなりません。絶対にはずせない鉄のくびきをはめられ、最後には全滅するのです。 + 主は遠く離れた国を立ち上がらせ、わしが飛びかかるように、あなたを襲わせます。その民は聞いたこともないことばを話し、 + 子どもだろうが老人だろうが容赦せず、どう猛で怒りに燃えています。 + 家畜も農産物も食い尽くされ、イスラエルでは麦も新しいぶどう酒もオリーブ油も底をつき、牛や羊もいなくなります。 + 町々は包囲され、頼みの高い城壁もついにくずれ落ちる日がきます。 + 激しい包囲攻撃の中で、わが子の肉さえ食べるほどの食糧難に見舞われます。 + ふだんは優しい男でさえ、兄弟や妻はおろか子どもにまでむごい仕打ちをします。 + 町の中には食べる物が何もなくなり、飢えをしのぐためにわが子の肉を食べるばかりか、それを一人占めにしようとする者さえ出るでしょう。 + 足を地面に着けようともしないほどの淑女が、愛する夫や子どもたちと分け合おうともせずに、自分の産んだ子の肉を一人で食べてしまいます。敵の包囲攻撃のために町中が恐ろしいききんに陥り、死ぬほど苦しい目に会うからです。 + この書にあるすべての律法に従わず、主の輝かしく恐るべき御名をあがめようとしないなら、あなたも子孫たちも、絶えず疫病に苦しめられるでしょう。 + あの恐ろしいエジプトの病気を、主がはやらせるのです。疫病は国中に広がります。 + それだけではありません。主は、この書にも書いてない、ありとあらゆる疫病や災いを下し、ついにはあなたがたを滅亡させるでしょう。 + 星の数ほどいるあなたがたも、ほんの一握りが生き残るだけです。主の御声に聞き従わなければ、必ずこのとおりになります。 + かつて主があなたがたの幸せを願い、その数を増やすことを喜ばれたように、その時には、あなたがたを滅ぼすことを喜ばれるでしょう。一人もイスラエルには残れません。 + 世界の果てから果てまで追い散らされます。そこで、あなたも先祖も知らなかった、木や石でできた外国の神々を拝むのです。 + 一時も安心できず、不安と絶望に打ちのめされ、悲しみと恐れのあまり体はやせ衰えてしまうでしょう。 + いつも死の危険にさらされ、昼も夜も、恐ろしさのあまり生きた心地もしません。明日のいのちさえわからないのです。 + 朝がくると、『夜になればいいのに』と言い、夜になれば、『朝がくればいいのに』とため息をつきます。そう言わずにはいられないほど、恐ろしいことばかり起こるのです。 + もはや行くこともないだろうと言われたエジプトへ、主は船で人々を連れ帰ります。そこで自分を奴隷として敵に身売りしようとしても、買ってくれる者もいません。」 + + + 神である主がホレブ山(シナイ山)でイスラエル人と結ばれた契約を、モーセがもう一度語ったのは、モアブ平原においてでした。 + モーセはすべての民を集めて言いました。「皆さんは、主がエジプトで王とその国民に下された大きな災害と、驚くべき奇跡とを目の当たりにしました。 + それなのに、今までまるで悟らず、見る目も聞く耳も持ちませんでした。 + 荒野を放浪した四十年間を振り返ってみなさい。その間、衣服は古びず、履き物もすり切れなかったではありませんか。 + 主は、あなたがたが定住して、パンを作る麦を植えたり、ぶどう酒や強い酒を作るぶどうの木を育てたりするのをお許しになりませんでした。それは、あなたがたの世話をしてきたのがあなたがたの神、主であることをわからせるためです。 + ここへ来た時、ヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグが戦いをしかけてきました。私たちは彼らを打ち破り、 + その領地を、ルベン族とガド族とマナセの半部族に与えました。 + ですから、この契約を守りなさい。あなたがたのすることがみな、栄えるためです。 + 族長も、国民も、裁判官も、行政官もみな、主の前に立っています。 + 妻子も、在留外国人も、たきぎを割り、水をくむ下働きの者までも含め全員です。 + 今日ここに立っているのは、主と契約を結ぶためです。 + 先祖のアブラハム、イサク、ヤコブに約束されたとおり、今日、主はあなたを神の民とし、またご自分があなたの神となられるためです。 + この契約は、今、主の前に立っている者とだけでなく、イスラエルの子孫全員と結ばれます。 + エジプトでどんなみじめな生活をしたか、そこを出てからは、敵の領地を通りながら、いかに安全に過ごしてきたか、今さら言うまでもないでしょう。 + 木、石、銀、金でできた異教の偶像も、いやと言うほど見ました。 + あなたがたの中に、個人だろうが家族だろうが部族だろうが、主に背を向け、外国の神々を拝みたいと言いだす者が出たら気をつけなさい。それは、渋くて毒のある実しか結ばない根を植えるのと同じです。 + こののろいのことばを聞きながら、『何と言われたって、やりたいようにやるだけだ。大丈夫、絶対にうまくいく』などとうそぶいているなら、 + 主は決してお赦しになりません。そのような者は激しいねたみと怒りを買うだけです。この書に書かれたすべてののろいが降りかかり、地上から永遠に消し去られてしまうでしょう。 + 主はその者をイスラエルの全部族から除外し、契約の違反者に下ることになっている、すべてののろいを下されるのです。 + その結果、子孫たちや遠くから来た外国人が、ひどい災害や疫病のつめ跡をまざまざと見ることになるでしょう。 + 全土が塩分を含んだアルカリ性の荒れ地となり、種もまけず収穫もなく、一本の草木も生えません。まるで、主の怒りによって滅ぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイムのようになってしまいます。 + 『こんなひどいことをするとは、いったいどういうわけか。それも特別に目をかけていた国に、なぜ主はこれほどまでに怒りを燃やすのか』と、国々の民は不思議がるでしょう。 + 答えはこうです。『彼らの先祖の神が昔、彼らをエジプトから助け出し、特別な契約を結ばれたのに、彼らのほうからその契約を破った。 + はっきり禁止されていたのに、ほかの神々を拝んだからである。 + それで主は激しく怒り、前もって警告してあったすべてののろいを下された。 + 彼らを一人残らずこの国から追い出し、情け容赦なく外国へ追いやったのである。彼らは今もまだ故国に帰れず、そこに住んでいる。』 + 主はすべてのことをお示しになったわけではありません。確かに、主だけがご存じの秘密もあります。しかし、はっきり示されたことには、私たちも子孫も永遠に従わなければならないのです。 + + + これらのことがみな起こり、外国へ追いやられても、絶望してはいけません。その時にはもう一度、この祝福とのろいのことをよく考えなさい。 + そしてあなたの神、主のもとに立ち返りたいなら、今日、私が与える律法に、あなたも子どもたちも心から従いなさい。 + そうすれば主は、囚われの身から救い出してくださいます。あなたをかわいそうに思い、いったんは散り散りに追いやった国々から集めてくださるのです。 + たとえ地の果てにいようと、心配はいりません。主は必ず見つけ出し、あなたの先祖の地に連れ戻します。そして国を取り戻したら、先祖たちの時よりも、さらに祝福され、もっとよくしていただけるでしょう。 + あなたも、子どもたちも、孫たちもみな、心をきよめられ、心から主を愛するようになり、イスラエルは生き返るのです。 + 主のもとに立ち返り、今日、私の命じる戒めをすべて守るなら、主はのろいを取り去り、あなたを憎んで迫害する敵に、それをそのまま下します。 + 反対に、あなたのすることは再び栄えるようになります。子どもたちに恵まれ、家畜はどんどん増え、豊かな収穫をあげるでしょう。昔の先祖たちのように、あなたも心に留めていただけるからです。 + この律法の書にある戒めを守り、主に立ち返るなら、主は必ず喜んでくださいます。 + これらの律法を守るのは決してむりなことではありません。 + この律法は手の届かない天にあるわけではないからです。あなたは、聞こうにも聞こえず、守ろうにも守れず、かといって地上に届けてくれる者もいないと、途方にくれることはありません。 + また、だれも伝えてくれないほど遠い海のかなたにあるわけでもありません。 + むしろ、いつでも守れるように、すぐ近くに、あなたの唇、あなたの心にあるのです。 + いいですか、これは生きるか死ぬかの問題です。主に従って生きるか、従わないで死ぬかの、どちらかしかありません。 + 私は今日、主を愛し、その道に従い、律法を守るようにと命じました。そのとおりにすれば生きることができます。主はあなたと、もうすぐあなたのものになる地とを祝福し、大きな国民としてくださるでしょう。 + しかし、心が離れ、その教えに耳も傾けず、外国の神々を拝んだりすれば、 + 今はっきり断言しますが、必ず滅びます。あなたのものになる地で、いつまでも幸せに生きることはできません。 + さあ、天と地が証人です。どちらを選びますか。生きることですか、それとも死ぬことですか。祝福ですか、のろいですか。もちろん、あなたのためにも子孫のためにも、生きるほうを選ぶべきです。 + 主はあなたのいのちです。あなたの神、主を愛し、信頼し、ご命令に従いなさい。そうすれば、先祖アブラハム、イサク、ヤコブに約束された地で平安に生きられます。」 + + + モーセはさらにことばを続けました。「私はすでに百二十歳です。これ以上あなたがたを指導することはできません。それに、ヨルダン川を渡ってはならないと主から言われています。 + これからは、主ご自身があなたがたを導き、川向こうの国々を滅ぼされます。そこを征服するための新しい司令官は、主が告げられたようにヨシュアです。 + エモリ人の王シホンやオグと戦った時のことは忘れていないでしょう。主はその国々にも同じようにされます。 + 完全にあなたがたの自由になるようにしてくださるので、命令どおり、必ず滅ぼしなさい。 + 心を強くもち、勇敢に戦いなさい。恐れてはいけません。おじけづいてはいけません。主が味方なのです。主は絶対に、あなたを裏切ったり見捨てたりなさいません。」 + ここで、モーセはヨシュアを呼び、イスラエル全国民の前で命じました。「心を強くもち、勇敢にふるまいなさい。あなたに、約束の地へ民を導き入れる務めを与えよう。そこを征服するのを見届けなさい。 + 主が味方だから、恐れてはならない。主はいつも先頭に立ち、途中で見放すことも見捨てることもなさらないのだ。」 + それから、モーセは以上の律法を書き記し、十戒の入った箱(契約の箱)をかつぐレビ人の祭司と、長老とに渡しました。 + この律法を、七年目ごとの負債免除の年の仮庵の祭りに、全国民が聖所で主の前に集まった時、読み聞かせるのです。 + そのことについて、主はモーセにこう命じました。「男も、女も、子どもも、在留外国人も全員集めて、主の律法を読み聞かせなさい。どのように生きることをわたしが望んでいるかを彼らに学ばせるのだ。こうして、わたしを大切にし、忠実に律法を守ることをくり返し教えれば、 + 今この教えを知らない子どもたちも、約束の地に住む間、主をどのように敬うかを学ぶだろう。」 + このあと主はモーセに、「いよいよあなたの最期が来た。これからのことを指示するから、ヨシュアを幕屋(神がイスラエルの民と会う場所)に来させなさい」と告げました。二人は命じられたとおり、主の前に立ちました。 + すると、幕屋の入口に大きな雲が現れ、その中から主の声がありました。 + 「モーセよ、あなたは死んで先祖の仲間に加えられる。そのあとこの民は、約束の地で外国の神々を拝むようになる。わたしのことなどすっかり忘れ、平気で契約を破るだろう。 + そうなれば、黙っているわけにはいかない。彼らを見捨て、顔をそむけてしまおう。次々と恐ろしい目に会い、もうだめだという時、ようやく彼らは気がつき、『神様はもう私たちの味方ではない』と言うだろうが、すでに手遅れだ。 + あれほど禁じたのに外国の神々を拝む者には、わたしもきっぱりと背を向けるだけである。 + その警告のために、次の歌を書き記しなさい。 + 彼らの先祖に約束した乳とみつの流れる地で順調にいき、ぜいたくに慣れてくると、彼らはわたしをうとみ、平然と契約を破り、外国の神々を拝むようになるからだ。 + そしてついに、大きな災いが襲うのだ。その時、代々歌い続けられたこの歌を聞き、どうしてそんなことが起こったのか思い知るだろう。この民がどんな民か、約束の地に入る前からわたしははっきり知っている。」 + その日モーセは、歌を書き記し、イスラエルの国民に教えました。 + それから主は、ヌンの子ヨシュアに、「強く、勇敢な者でありなさい。約束の地にイスラエルの民を導き入れなさい。わたしはいつもあなたと共にいる。」と命じました。 + モーセはすべての律法を書き終えると、 + 十戒の入った箱をかつぐレビ人に、 + この律法を箱のそばに置き、民への厳粛な警告とするよう指示しました。 + 「あなたがたが反抗的で強情であることはわかっている。こうして私がいっしょにいてさえ主に反抗するのだから、私が死んだらどうなることかわかったものではない。 + さあ、部族の長老、高官を全員集めなさい。天と地とを証人に立てて、言っておきたいことがある。 + 私の死後、あなたがたはきっと堕落し、主の命令に背くだろう。主を怒らせるような悪いことをし、その報いで結局は破滅を招くのだ。」 + それでモーセは、イスラエルのすべての民に聞こえるように、次の歌を初めから終わりまで歌いました。 + + + 天よ、地よ、じっと耳をすませ、私のことばに。 + こぬか雨や露のように静かに、若草をぬらす雨のように心地よく、山腹を駆ける夕立のように激しく、私のことばは下る。 + さあ、主の偉大さを告げよう。主は、この上なくすばらしい方。 + 岩のように堅く、なさることはみな完全で正しく、何事にも公平で忠実な方。主はいつも潔白な方。 + しかし、イスラエルは堕落し、罪に汚れてしまった。強情で曲がったことばかりする。もはや神の民ではない。 + これが主への恩返しか。愚かな民よ。神は父親ではなかったか。あなたの造り主ではなかったか。あなたを強く育て上げた方ではなかったか。 + 昔を思い出せ。父や老人に聞けば、すべてがはっきりするだろう。 + 世界を造られた時、神は天使を遣わし、国々を監督させた。 + だが、イスラエルは特別だ。神ご自身のものだからだ。 + 獣の遠ぼえの聞こえる寂しい荒野を行く時、神はまるで自分の目のようにイスラエルを守られた。 + わしが翼を広げ、ひなを乗せて飛ぶように、神はその国民を、翼に乗せて運ばれる。 + 主だけがイスラエルを指導し、国民が外国の神々を知らずにいた時、 + 丘は豊かな実りを約束し、ゆるやかに起伏する畑は肥えていた。岩からはちみつが、石地からオリーブ油が採れた。 + ほかにも、乳と肉、バシャンの極上の雄羊と雄やぎ、最良の小麦、あわ立つぶどう酒と、何でも欲しいだけあった。 + イスラエルはじきに満腹し、丸々と太った。ぜいたくに慣れて高慢になり、自分を造った神を捨て、救いの岩を軽んじた。 + イスラエルは外国の神々のあとを追い、神の激しい怒りを燃えさせた。 + あろうことか、外国の神々、それまで拝んだこともない神々にいけにえをささげた。 + 生みの親である岩をけとばし、いのちを与えてくれた神を忘れるとは。 + 神は憎しみに燃えた。自分の息子、娘たちに侮辱されたのだ。 + ついに神は言われた。「強情で不信仰な者ども、もうわたしは知らない。どんなことになるか見ているがいい。 + 恨みを買ってでも、まやかし物の偶像を拝みたいのか。ならば報いを与えよう。あなたを捨て、無知な異教の諸国民に救いを与えるから、さんざん恨みごとを言うがいい。 + わたしの怒りの炎は燃え上がり、地とその産物を焼き尽くし、山々をなめ尽くす。 + 息つくまもなく災いを下し、次々と矢を放ち、射倒そう。 + 飢えと熱病と不治の病で痛めつけてもかまわない。滅ぼしてしまおう。野獣が彼らを八つ裂きにし、毒蛇は獲物を求めて地をはい回る。 + 外には敵の剣、内には恐れ。老人も若者も、乳飲み子さえも逃れられない。 + あげくは、遠い国へ散り散りに追いやる。そこに彼らがいたことさえ忘れさせるために。 + だが、それでは敵の思うつぼだ。『われわれがイスラエルを滅ぼした。主なんかじゃない』と大言壮語させることになる。」 + イスラエルは愚かな国、知恵のない、わからず屋。 + ああ、少しでも知恵があり、ものわかりがよかったら、自分の末路を見きわめることもできたろうに。 + 彼らの岩である主が見捨てず、滅ぼそうとされなかったら、一人の敵が千人を追い散らし、二人が万人を敗走させることもなかったろうに。 + この岩にまさる岩はどこにもない。敵も、神々への祈りがむなしいことを知っている。 + 彼らの行いは、ソドム、ゴモラの人たちと同じで、苦々しい毒がある。 + 彼らの飲むぶどう酒はまむしの毒液だ。 + 「だがイスラエルは、わたしの取っておきの国民、倉に納めた宝だ。 + 復讐はわたしの務め、イスラエルの敵には罰を下す。判決はすでに下った。」 + 神はイスラエルをさばき、彼らの失敗を優しくかばわれる。奴隷も自由人も力が衰えていくのを見て、 + こう言われる。「ほかの神々はどこへ行った。頼みの岩はどうしたのだ。 + あぶら身やぶどう酒をささげた神々はどうなったのか。さあ、神々を奮い立たせて助けてもらうがいい。 + どうだ、よくわかったか。ほんとうの神はわたしだけなのだ。殺すも生かすも、傷つけるのも癒やすのも、思いのまま。わたしの手から救い出せる者はいない。 + 手を天に差し伸べ、わたしの存在をかけて誓おう。きらめく剣をとぎすまし、敵に刑罰を下す。 + 矢は血に酔いしれ、剣は肉と血をむさぼる。刺し殺され、捕らわれた者の肉と血を。敵の頭は血にまみれる。」 + 異教の国民よ、神の国民をたたえよ。神は彼らのかたきを討ち、御国と民をきよめられたから。 + モーセはヨシュアとともにこの歌を歌い終えると、 + 人々に命じました。「今日与えた律法をすべて心に留め、子どもたちに教えなさい。 + この律法は、ただ意味もなくことばを並べてあるのではありません。あなたがたのいのちそのものです。この律法を守れば、ヨルダン川の向こうの、これから占領する地で、長く生きることができる。」 + 同じ日、主はモーセに告げて語りました。 + 「エリコに向かい合った、モアブのアバリム高地にあるネボ山に登りなさい。頂上から、わたしがイスラエル人に与えるカナンの国を見渡すのだ。 + 兄のアロンがホル山で死に、先祖の仲間入りをしたように、あなたもその国を見たら、先祖の仲間入りをしなければならない。 + ツィンの荒野のメリバテ‧カデシュの泉でしたことの報いだ。あの時あなたは、わたしの神聖さを人々に示さなかった。 + だから、約束の地を目の前にしながら、入って行くことはできない。」 + + + 次にあげるのは、神に立てられた忠実な指導者モーセが、死を目前にしてイスラエルの人々を祝福した時のことばです。 + 「主はシナイ山でわれわれのところに来られ、セイル山からご自身を現し、無数の天使に囲まれ、パラン山から光を放たれました。その右手には炎が燃えさかっていました。 + ああ主は、どんなに深く民を愛しておられることか。聖徒はあなたの腕にしっかりと抱かれています。主よ、彼らはあなたの跡に従い、御告げを受けました。 + 私が伝えたあなたの御教えは、何よりも大切な宝です。 + 主は部族の指導者たちに選ばれ、エルサレム(エシュルン)で王(神)となられました。」 + 「ルベン族はいつまでも滅びず、その数も増すように。」 + ユダ族への祝福のことば。「主よ、ユダ族の叫びをお聞きください。決して彼らをイスラエルから切り離さず、彼らの敵と戦ってください。」 + レビ族への祝福のことば。「ウリムとトンミム(神意を伺うための一種のくじ)を、敬虔なレビ族にお与えください。マサとメリバでの試練の時にも、 + レビ族は御教えに従いました。大ぜいの悪人を殺し、自分の子ども、兄弟、両親さえも容赦しませんでした。 + レビ族はイスラエルに神様の律法を教えます。また、香をたく祭壇や、焼き尽くすいけにえをささげる祭壇で、神様のご用に励みます。 + 主よ、レビ族を栄えさせてください。彼らの働きを認め、彼らに敵対する者を打ち砕き、二度と立てないようにしてください。」 + ベニヤミン族への祝福のことば。「主に愛され、みそばで安らかに住む者よ。主は優しく見守り、あなたがたにどんな害も受けさせません。」 + ヨセフ族への祝福のことば。「その所有地は神様に祝福され、天と地の最良の物に恵まれるように。 + 作物は太陽の恵みによって育ち、月を追うごとに実りを増し、 + 永遠の山と丘が最良の産物に覆われるように。 + 地とそこに満ちるもろもろの物、燃える柴の中に現れる神様の恵み、そのすべてが、兄弟の中の王子、ヨセフにあるように。 + ヨセフの力と威厳は若い雄牛のようです。頭には野牛の角をいただき、すべての国々を突き倒します。これがエフライムへの祝福、これがマナセへの祝福です。」 + ゼブルン族への祝福のことば。「喜べ、ゼブルン、野の人よ。喜べ、イッサカル、家を愛する人よ。 + 彼らは人々を集め、共にいけにえをささげて喜びます。海の富、砂に隠れた宝をも自分の物にするからです。」 + ガド族への祝福のことば。「ガドに手を貸す方に祝福があるように。ガドはライオンのように待ち伏せ、猛々しく獲物の腕と顔と頭を引き裂きます。 + 彼は最良の土地を見つけました。指導者となる者の土地です。こうして人々の先頭に立ち、イスラエルのために主からの刑罰を下すのです。」 + ダン族への祝福のことば。「ダンはライオンの子、バシャンから躍り出ます。」 + ナフタリ族への祝福のことば。「主の祝福はみなあなたのもの、何一つ不自由はしません。ガリラヤ湖の西と南に広がる土地、それがあなたのふるさとです。」 + アシェル族への祝福のことば。「アシェルは兄弟のだれよりも愛されている息子。神様の怒りを静めるオリーブ油に足をひたし、 + 鉄と青銅の頑丈なかんぬきに守られ、生きる限り力にあふれているように。 + エルサレム(エシュルン)の神様のような神は、ほかにありません。神様はあなたを助けようと雲に乗り、おそれ多くも天から下られます。 + 永遠の神様があなたの避難所。永遠の御手があなたを支え、敵を追い散らし、『滅ぼせ』と命じます。 + しかし、イスラエルは平和です。穀物とぶどう酒はあふれ、雨は静かに、しかも絶え間なく地を潤します。 + 幸せなイスラエル。これほど主に祝福されるとは。これほど主に助けられた国がほかにあるでしょうか。主はあなたを守る盾、あなたを助ける剣です。敵はあなたの前で小さくなり、あなたは難なくその背中を踏みつけます。」 + + + モーセはモアブ平原から、エリコの向かいにあるネボ山に登り、ピスガの頂に立ちました。主に示されるままに約束の地を眺めると、ギルアデのずっと向こう、はるかかなたのダンまで見渡せます。 + 北から、ナフタリの領地、エフライムとマナセの領地、ユダの領地と続き、西は地中海まで広がっています。 + ネゲブ、ヨルダン渓谷、なつめやしの町エリコ、それにツォアルも見えます。 + 主はモーセに語りました。「これが約束の地、いつか子孫にこの地を与えると、アブラハム、イサク、ヤコブに約束した地だ。あなたは今ようやくその国を見た。しかし、入ることは絶対に許されない。」 + モーセは生涯、神に忠実に仕え、主が言われたとおりモアブの国で死にました。 + 主はモーセをモアブのベテ‧ペオルの近くの谷に葬りましたが、その正確な場所を知る者はいません。 + その時、モーセは百二十歳でしたが、まだ視力は衰えず、体力も若者のようでした。 + イスラエル人は三十日間、モアブ平原でモーセのために喪に服しました。 + ヌンの子ヨシュアは、知恵のあるりっぱな指導者でした。モーセがかつて、彼の頭に手を置いて任命したからです。そこで、人々はヨシュアの指導に従い、主がモーセに与えた戒めをそのとおり守りました。 + モーセのような預言者はもう二度と現れませんでした。実に主が、面と向かって彼と話したのです。 + 神の命令で、モーセは目をみはるような奇跡を行いました。あれほどの奇跡は、その後なされたことはありません。彼は、エジプトでは王と宮廷の人々の前で、荒野ではイスラエル人の見ている前で、神の力を示すために驚くべき奇跡を行いました。 + +
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+ + 主に忠実に従ったモーセが死ぬと、彼に仕えていたヌンの子ヨシュアに、神は告げて言いました。 + 「わたしのしもべモーセは死んだ。あなたこそ次のイスラエルを担う新しい指導者だ。さあ、人々を率いてヨルダン川を渡り、約束の地へ行きなさい。 + モーセに約束したとおりのことをあなたにも約束しよう。『あなたがたの行く所はどこも、イスラエルの領地となる。 + 南はネゲブの砂漠から北はレバノン山脈まで、西は地中海から東はユーフラテス川まで、ヘテ人の全領地も含まれる。』 + 一生の間、あなたに手向かう者などいない。わたしがモーセと共に歩んだように、あなたとも共に歩むからだ。決して見放したり、見捨てたりはしない。 + ヨシュアよ、雄々しく立ち、勇気を出しなさい。りっぱな指導者になるのだ。わたしが先祖に与えると約束した地を全部、占領しなさい。 + 強く雄々しくあって、勇気を出しなさい。モーセが与えた律法をしっかり守りなさい。そうすれば、あなたは成功する。 + 人々に、律法をいつも思い出させなさい。まずあなたが、昼も夜も律法を忘れず、それを完全に守るよう心がけなさい。模範を示し、どんなことも律法どおりきちんと行わなければならない。成功するもしないも、すべてその一点にかかっている。 + さあ、勇気を出しなさい。恐れたり迷ったりしてはならない。どこへ行っても、あなたの神であるわたしがついている。」 + ヨシュアは指導者たちを集め、人々にヨルダン川を渡る準備をさせるよう命じました。そして、はっきりと宣言したのです。「三日以内にわれわれはヨルダン川を渡る。神様が与えてくださる地を占領するのだ。」 + それから、ルベン族とガド族、およびマナセの半部族の族長たちを召集し、彼らがモーセと取りかわした協定を思い出させました。その協定とは、こうでした。「主は、ヨルダン川の東側のこの地を、彼らの安住の地としてお与えになった。 + だから、妻子と家畜はここに落ち着いてよい。ただし、武装した彼らの部隊が、他の部族よりも先にヨルダン川を渡り、川の西側の約束された領地を占領するために手を貸すこと。 + 他の部族がその地を完全に征服するまで、共に行動すること。その任務を果たして初めて、ヨルダン川の東側の地に落ち着くこと。」 + 彼らはそれを受け入れ、ヨシュアを総指揮官として、その命令に従うことを堅く誓いました。 + 「私たちは、モーセに従ったと同様、あなたに従います。主がモーセとともにおられたように、あなたにも伴われますように。ご命令に逆らう者はだれであろうと死に値します。どうぞ遠慮なく、断固とした姿勢で臨んでください。」 + + + さてヨシュアは、シティムの野営地から対岸へ二人の偵察者を送り込むことにしました。任務は、特にエリコの様子を調べることでした。二人は娼婦ラハブの家に着きました。そこで夜を過ごす計画だったのです。 + ところがエリコの王に、「イスラエル人のスパイらしい、怪しい二人組が、今晩、町に忍び込んだ」と通報する者がありました。 + 王はすぐに憲兵隊をラハブの家に差し向け、二人の引き渡しを要求しました。「あいつらはスパイだぞ。イスラエルが送り込んだのだ。どうやってわれわれを攻撃しようか、探りに来たのだ。」 + しかしラハブは、二人をかくまったまま、憲兵隊長に答えました。「ああ、あの人たちならとっくに帰ったよ。ここにいたんだけどねえ。まさかスパイだなんて、思いもよらなかったわ。 + 町の門が閉まるころ、夕闇にまぎれて町から出て行ったみたい。行き先までは知らないけど、急いで追いかければ捕まえられるかもしれないよ。」 + ところが実際は、彼女は二人を屋上へ連れて行き、乾燥させるために積み上げた亜麻(麻糸の材料となる植物)の中に隠していたのです。 + そうとも知らず、憲兵たちは二人を追って、くまなく捜しながらヨルダン川まで下って行きました。その間に、町の門は閉じられました。 + ラハブは、二人がまだ寝ないうちに屋上に上って来て、彼らに言いました。 + 「あなたたちの神様が、この地をあなたたちのものにしようとしていることは、よくわかっています。みんな怖がっているわ。イスラエルと聞いただけで震え上がるほどよ。 + だって、イスラエルの人たちがエジプトを出た時、神様が紅海に道をつくられたっていうじゃない。それに、ヨルダン川の東側にいたエモリ人の二人の王様、あのシホン王とオグ王をどんな目に会わせたかということも、みんな聞いてるわ。何でもそこを攻め落とし、住民を皆殺しにしたんですって? + そんなことを聞いたら、怖がらないほうがおかしいでしょう。戦う勇気なんか吹っ飛ぶもの。あなたたちの神様はただの神様じゃないわね。きっと、天地を支配なさるお方に違いないわ。 + だから、一つだけお願いを聞いてほしいの。このエリコを占領する時、いのちだけは助けてもらえないかしら。私の両親や兄弟、それにその家族も。そのことを、あなたたちの神様の聖なる御名にかけて誓ってください。あなたたちを助けた私の真心に応えてほしいのです。」 + 彼らはうなずきました。「われわれのことをしゃべらなければ、あなたにも家族にも傷一つ負わせないと誓おう。いのちにかけても、あなたを守る。」 + ラハブの家は町の城壁の上にあったので、二人の偵察者は、綱で窓からつり降ろしてもらいました。 + ラハブは二人に注意しました。「山へお逃げなさい。あなたたちを捜してる追っ手が引き返して来るまで、三日間、隠れていればいいわ。それからお帰りなさい。」 + 二人は別れぎわにこう言い残しました。「いいかい。この赤いひもを窓に結びつけておきなさい。そして、両親や兄弟など身内の者はみな、この家でいっしょにいなさい。そうでなければ、何が起きても責任はもてない。 + 一歩でもこの家から外へ出たら保証はないが、この家にいるかぎり、一人だって殺されたり傷つけられたりはしないと、はっきり約束しよう。 + ただし、もしあなたが裏切れば、誓いは無効だ。いいね。」 + 「そのとおりにするわ。」こうしてラハブは、窓に赤いひもを結びつけました。 + 二人の偵察者は山へ逃げ、三日間身を隠しました。追っ手は二人を捜し回りましたが、ついに見つけることができず、すごすごと町へ引き返して行きました。 + その後、二人は山を下りてヨルダン川を渡り、ヨシュアのもとへ帰って一部始終を報告しました。 + 「主は、あの地を全部、われわれに下さいます。間違いありません。住民はみな、われわれを死ぬほど恐れているのです。」 + + + 翌朝早く、ヨシュアに率いられたイスラエル人は、シティムを出発し、夕方にはヨルダン川の岸に着きました。川を渡る前に、そこに幾日かとどまりました。 + 三日目に、指導者たちは野営地を巡って、人々に次のような命令を伝えました。「主の契約の箱(十戒を記した石板が納めてある)をかついでいる祭司たちの姿が見えたら、あとに従いなさい。これから行く所は見知らぬ地だから、祭司が先導するのです。ただし、箱との間は、二千キュビト(約九百メートル)の距離を保ちなさい。それより近づいてはなりません。」 + それから、ヨシュアは人々に、それぞれ身をきよめるように命じ、「明日、主が偉大な奇跡を行われるから」と言いました。 + 翌朝、ヨシュアは祭司たちに命じました。「契約の箱をかつぎ、先頭に立って川を渡りなさい。」言われたとおり、祭司たちは出発しました。 + 主はヨシュアに、「今日、あなたに大きな栄誉を授けよう。わたしがモーセとともにいたように、あなたとともにいることを、イスラエルの人々に知らせるためだ。 + 契約の箱をかつぐ祭司たちには、水ぎわに来たら水の中に立つよう命じなさい」と告げました。 + ヨシュアは人々を召集し、語りました。「さあ、よく聞きなさい。主のことばを告げよう。 + 生ける神があなたがたのうちにおられ、カナン人、ヘテ人、ヒビ人、ペリジ人、ギルガシ人、エモリ人、エブス人など、やがて占領する地の全住民を必ず追い払ってくださることが、今日、はっきりわかるだろう。 + いいですか。全地の支配者である主の契約の箱が、先頭に立って、ヨルダン川を渡ろうとしている。 + 今、各部族から一人ずつ、十二人を選びなさい。 + 箱をかつぐ祭司たちの足が川に入った瞬間、流れはせき止められるだろう。まるで見えない壁にはばまれたように、水は盛り上がるはずだ。」 + ちょうど刈り入れの季節を迎えたヨルダン川は、岸いっぱいに水をたたえていました。イスラエルの民が川を渡ろうと出発し、箱をかつぐ祭司たちが足を入れた時、 + 突然、はるか川上のツァレタン付近の町アダムで水はせき止められ、盛り上がり始めたのです。また、その地点より川下の水は塩の海(死海)に流れ込み、ついに川床がむき出しになりました。こうして人々はみな、エリコの町に向かって渡ったのです。 + 箱をかつぐ祭司たちは、川の真ん中の乾いた地面に立ち、全員が渡り終えるまで待っていました。 + + + 人々が無事に渡り終えた時、主はヨシュアに語りました。 + 「各部族から一人ずつ選ばれた十二人に命じて、ヨルダン川の真ん中の、祭司が立っている所から、一つずつ石を拾わせなさい。その十二の石を集めて、今夜野営する地に記念碑として積み上げなさい。」 + ヨシュアは十二人を呼び出し、 + こう命じました。「あの契約の箱のある川の真ん中に行き、一つずつ石を肩にかついで来なさい。それぞれ一つずつ、全部で十二だ。それらは十二部族を象徴する。 + その十二の石で記念碑を建てよう。そうすれば、将来、子どもたちに『これは何の記念碑ですか』と尋ねられて、 + 『ヨルダン川を主の箱が渡った時、水がせき止められたことを忘れないための碑だよ』と話して聞かせることができる。この記念碑は、偉大な奇跡をイスラエル人が永久に忘れないためのものだ。」 + 十二人はヨシュアの命令に従い、川の真ん中から十二の石を拾いました。主がヨシュアに命じたとおりに、彼らはそれらの石を野営地まで運び、記念碑を建てました。 + ヨシュアはまた、川の真ん中の祭司たちが立っていた場所にも、十二の石で記念碑を築きました。それは今もそこに建っています。 + 箱をかついでいた祭司たちは、モーセからヨシュアに与えられた主の命令がことごとく成し遂げられるまで、川の真ん中に立ち続けていました。その間に、人々は急いで川を渡ったのです。 + 全員が渡り終えると、みなの見守る中で、箱をかついだ祭司たちが、川から上がって先頭に立ちました。 + 武装したルベン族とガド族、それにマナセの半部族からなる四万人の軍勢は一隊となり、主のために戦う他部族の先頭に立って、エリコの平原を目指して進みました。 + その日は、ヨシュアにとって生涯忘れることのできない日となりました。主はイスラエル人全員の目の前で、ヨシュアに大きな栄誉を与えたのです。人々は、モーセを敬ったと同じようにヨシュアを心から敬いました。 + ヨシュアこそが主の命を受けて、契約の箱をかつぐ祭司たちに命令を下した人だったからです。「川から上がりなさい」と祭司たちに命じるよう、主はヨシュアを促しました。 + ヨシュアがそのとおりに命じ、 + 祭司たちが川から上がると、たちまち水は元どおりに流れ込み、岸いっぱいにあふれました。 + この奇跡が起こったのは第一の月の十日(太陽暦の三月二十四日)のことです。この日、全イスラエルはヨルダン川を渡り、エリコの町の東方にあるギルガルに宿営しました。 + このギルガルに、ヨルダン川から運んだ十二の石を積み上げ、記念碑を建てました。 + その時ヨシュアは、その意味について説明しました。「いつの日か、子どもたちが、『なぜここに、こんな石が置いてあるのですか。これはどういう意味ですか』と尋ねる時がくるだろう。 + その時には、この十二の石は、イスラエル人がヨルダン川の乾いた土の上を渡ったのだと教えてやりなさい。 + さらに、その時どのようにして主が、われわれの目の前で川の水をからし、全員が渡り終えるまで乾いたままにしておかれたかを教えなさい。それはまさに、四十年前の紅海での出来事と同じである。 + 主がこうなさったのは、全世界の国民が、イスラエルの神である主こそ力ある唯一の神であると悟り、さらにあなたがたがみな、この主をいつも礼拝するようになるためなのだ。」 + + + ヨルダン川の西側の諸国民、エモリ人および地中海沿岸に住むカナン人の王はみな、主がヨルダン川の水をからし、イスラエル人が川を渡って来たと聞いて、すっかり意気阻喪し、恐怖におののきました。 + その時、主はヨシュアに、「日を定めて、イスラエルの男子全員に割礼(男子が生まれて八日目にその性器の包皮を切り取る儀式)を施しなさい」と命じました。この儀式が行われたのは、イスラエルの歴史上、二度目のことです。主は、このために火打ち石でナイフを作るよう指示しました。この時の場所は「包皮の丘」と呼ばれています。 + 二度目の割礼の儀式を行った理由はこうです。イスラエルがエジプトを出た時、兵役に就く年齢の男子は、すべて割礼を受けていました。しかしその世代の人々はみな、荒野を旅する間に死んでしまい、その後に生まれた子どもたちは、だれ一人割礼を受けていなかったのです。 + イスラエルの民は四十年荒野をさまよい歩き、エジプトを出た時に兵役に就く年齢にあった男子は、ついに死に絶えました。彼らが主に従わなかったので、約束されていた乳とみつの流れる地に入らせないと主は誓ったのです。 + ですから今、ヨシュアは彼らに代わって息子たちに割礼を施したのです。 + 主はヨシュアに語りました。「今日わたしは、割礼を受けていないという恥をあなたがたから取り除いた。」それで、この出来事のあった場所はギルガル〔「終わらせる」の意〕と呼ばれ、現在でもそう呼ばれています。割礼を終えたのちも、彼らは傷が治るまで宿営にとどまっていました。 + エリコの平原にあるギルガルに滞在中も、イスラエル人は第一の月の十四日の夕方になると、過越の祭りを祝いました。 + そして翌日、自分たちの占領下にある畑から収穫した産物、パン種を入れないパンと炒り麦を食べました。すると、次の日からマナは降らなくなり、二度とマナを見ることはありませんでした。それ以来、人々はカナンの地の産物を食べるようになったのです。 + さて、ヨシュアがエリコの町を見上げていた時、一人の人が目の前に現れました。その人は抜き身の剣を手にしていました。ヨシュアは歩み寄り、「味方か、それとも敵か」と問いただしました。 + すると、「わたしは主の軍の将である」という答えが返ってきました。その声を聞くと、ヨシュアは地にひれ伏して彼を拝み、「どうぞご命令を」と言いました。 + その将なる天の御使いは、「くつを脱げ。ここは聖なる地である」と言いました。ヨシュアはそのことばに従いました。 + + + さて、エリコの町の城門は堅く閉じられていました。だれもがイスラエル人を恐れていたからで、人っ子ひとり出入りできないほどでした。 + ところが、主はヨシュアにこう告げたのです。「あなたは、もう勝ったも同然だ。町も人もみな、あなたたちのものだ。 + 六日の間、全軍を率いて、日に一度、町の周囲を回りなさい。そのあと、ラッパを手にした七人の祭司と契約の箱が続き、七日目には七度回り、祭司がラッパを吹き鳴らしなさい。 + 祭司がラッパをひときわ高く、長く吹き鳴らしたら、全員、大声でときの声を上げなさい。町の城壁はくずれ落ちるだろう。その時、四方八方から町へ攻め込むのだ。」 + ヨシュアは祭司たちを召集し、指示を与えました。すなわち、武装した者たちが行進の先頭に立ち、そのあとに七人の祭司がラッパを吹き鳴らしながら続くこと、そのうしろを主の契約の箱をかつぐ祭司が進み、さらに、護衛兵がしんがりを務めることなどです。 + ヨシュアは命じました。「ラッパの音以外、音を出してはいけない。一言も発してはならない。私が『ときの声を上げよ』と言ったら、いっせいに大声で叫びなさい。」 + その日、主の箱は一度だけ町の周囲を回りました。人々は宿営に帰り、夜を過ごしました。 + 翌朝、夜明けとともにもう一度町の周囲を回り、宿営に戻りました。こうして六日間が同じように過ぎたのです。 + 七日目、夜の白むころ、またも人々は立ち上がり、この日は一度ではなく七度回りました。 + 七度目に、祭司たちが高らかに長くラッパを吹き鳴らすと、ヨシュアは大声で言いました。「ときの声を上げよ! 主はこの町をわれわれに下さったのだ! + 住民はみな滅ぼせ。だが娼婦ラハブと、その家の中の者たちは助けなさい。ラハブはわれわれの偵察者をかくまってくれたからだ。 + 戦利品には手を出さず、すべて滅ぼし尽くしなさい。もしこれに背けば、イスラエル全体を災いが襲うだろう。 + ただし、金、銀、および青銅や鉄の器具はみな、主にささげ、主の宝物倉に納めなさい。」 + 祭司の吹き鳴らすラッパの音を聞くと、人々はあらん限りの大声を出して、いっせいにときの声を上げました。と、どうでしょう。突然、城壁がくずれ落ちたのです。それっとばかり、四方八方から攻め込み、彼らはたちまちエリコの町を占領しました。 + 町中の者は全部、男も女も、老いも若きも死にました。また、牛や羊、ろばも殺されました。 + それからヨシュアは、例の二人の偵察者に命じました。「約束を守りなさい。すぐ行って、ラハブと身内の者を助け出すのだ。」 + その若者たちは、ラハブを見つけて助け出しました。もちろん、彼女の両親、兄弟、いっしょにいた親族の者たちも。彼らは、イスラエルの宿営の外で生活することになりました。 + その間イスラエル人は、町とその中のすべてを焼き払いました。ただし、金、銀、および青銅や鉄の器具は別で、主のものとして取っておきました。 + こうしてヨシュアは、ラハブとその家に共にいた身内の者とを救ったのです。今もなお、その一族はイスラエル人の中に住んでいます。ヨシュアがエリコ偵察のために送り込んだ者たちを、ラハブがかくまってくれたからです。 + ヨシュアは、エリコを再建しようとする者には恐ろしい災いが下ると誓って言いました。その土台を築く者は長男を殺され、その門を建てる者は末息子を失うというのです。 + 神が共に歩まれたので、ヨシュアの名声はこの地方一帯に知れ渡りました。 + + + しかし、イスラエル人の中に罪が潜んでいました。主にささげるもの以外は滅ぼし尽くせというヨシュアの命令が、実は守られていなかったのです。ユダ族のカルミの子で、祖父はザブディ、曾祖父がゼラフであるアカンが、戦利品の一部をふところに入れていました。そのために、主の激しい怒りがイスラエルの民に下ったのです。 + エリコ陥落後すぐに、ヨシュアはまた、ベテル東方の町アイに数人の偵察者を送り込みました。 + 彼らは戻って報告しました。「小さな町ですから、二、三千人もいれば十分です。すぐに占領できるでしょう。全員で攻めるまでもありません。」 + そこで、およそ三千の兵がアイに送り込まれました。ところが、彼らはさんざんに痛めつけられたのです。 + 戦闘中に三十六人ほどが殺されたうえ、大ぜいの兵士がアイの住民に石切り場まで追われ、次々に倒れました。イスラエル軍は、この敗北ですっかりおびえてしまいました。 + ヨシュアと長老たちは心を痛め、衣服を裂き、頭にちりをかぶって、夕方まで主の箱の前にひれ伏しました。 + ヨシュアは主に向かって叫びました。「ああ主よ。エモリ人の手によって私たちを滅ぼすおつもりなら、どうして私たちにヨルダン川を渡らせたのですか。どうして、すでに得ていたもので満足させてくださらなかったのですか。こんなことになるくらいなら、ヨルダン川の東側にとどまっていればよかったのです。 + ああ主よ。敵に背を見せてしまった今となっては、どうすることもできません。 + カナン人や近隣の民族がこれを聞けば、攻めて来るに決まっています。もはや全滅です。そうなれば、あなたの大いなる御名はどうなるのでしょう。」 + それに対して、主は答えました。「顔を上げて立ちなさい。イスラエルは罪を犯したのだ。わたしの命令に背いて、取ってはならないと命じた戦利品を盗んだ。盗んだだけではない。偽って、自分の持ち物の中に隠している。 + だからあなたがたは敗れた。これで敗北の原因がわかっただろう。今ではイスラエルのほうが滅ぼされる運命にある。その罪が完全に取り除かれなければ、もう、わたしはあなたがたとは共に歩まない。 + 立て。みなにこう告げよ。『各自、明日に備えて、自分を聖別しなさい。イスラエルの神である主がこう言われるからだ。だれかが主のものを盗んだ。この罪を取り除くまで、敵を破ることはできない。 + 明朝、あなたがたは部族ごとに進み出なさい。主が犯人のいる部族を示されるだろう。その部族は氏族ごとに分かれて進み出なさい。主が犯人のいる氏族を示してくださるだろう。次に、その氏族は家族ごとに進み出なさい。そして、犯人のいる家族は、一人ずつ前へ出るのだ。 + 主のものを盗んだ者は、全財産もろとも、火で焼かれる。主の契約を破って、全イスラエルに災難をもたらしたからだ。』」 + 翌朝早く、ヨシュアは主の前にイスラエルの各部族を進み出させました。すると、ユダ族に犯人がいることがわかりました。 + ついでユダの各氏族を進み出させると、ゼラフの氏族だとわかりました。今度は、家族に分かれて主の前に進み出させたところ、ザブディの家族ということになりました。 + ザブディ家の男子が一人ずつ連れ出されると、ついに、犯人はザブディの孫アカンであると判明したのです。 + ヨシュアはアカンにただしました。「わが子よ。イスラエルの神に栄光を帰し、ほんとうのことを白状しなさい。さあ、何をしたか、包み隠さず話しなさい。」 + 「私はイスラエルの神に対して、取り返しのつかない罪を犯しました。 + ふと見ると、バビロン産の美しい外套と、金の延べ棒と、銀とがあったのです。銀は二百シェケル、金は五十シェケルの値打ちがあると思いました。すると、どうしようもなく欲しくなり、それらを自分の天幕(テント)の下に埋めたのです。銀はいちばん深い所に隠しました。」 + さっそく人をやって戦利品を捜させたところ、アカンの供述どおり、天幕の下に隠してあった盗品が掘り出され、さらに深い所からは銀が見つかりました。 + それらはすべてヨシュアのもとへ運ばれ、主の前に並べられました。 + ヨシュアは全イスラエル人とともに、アカンをアコルの谷に連れて行きました。盗んだ銀、外套、金の延べ棒、それに息子、娘、牛、ろば、羊、天幕など、全財産もいっしょでした。 + ヨシュアはアカンに言い渡しました。「どうして、われわれにこんな災難を招くようなことをしでかしたのだ。今度は、主があなたに災難を下される。」人々は彼とその家族を石で打ち殺し、死体を焼き、 + その上に石を高く積み上げました。その石塚は現在も残っており、谷は、今もなおアコル〔災い〕の谷と呼ばれています。こうして、ようやく主の激しい怒りは収まりました。 + + + それから、主はヨシュアに命じて言いました。「恐れてはいけない。勇気を出しなさい。全軍を率いて、アイを攻撃せよ。勝利は目の前にある。わたしは、アイの王と全住民をあなたの手に渡す。 + エリコとその王にしたとおり、アイとその王にもせよ。ただし、今回は奪い取ったものや家畜を自分たちの戦利品としてもよい。町の後方には伏兵を置きなさい。」 + 本隊がアイに向かう前に、ヨシュアは三万の精兵をひそかに派遣し、いつでも行動を起こせるよう、アイの後方のそれほど遠くない場所に、伏兵として忍ばせました。 + ヨシュアは伏兵たちにこう説明しました。「さて作戦だが、まず本隊が攻撃をしかける。アイの軍は前回同様に町から出て来て戦うだろう。そこで、本隊は逃げる。 + 彼らはそれを追いかけて来る。つまり、町は空っぽになるというわけだ。彼らは、『イスラエル軍がまた逃げて行くぞ。この前のとおりではないか』と言うに違いない。 + そこに、隠れていたあなたたちが飛び出し、町に攻め入るのだ。主は町を私たちの手に渡してくださる。 + そこに入ったら、町に火をかけるのだ。」 + こうして三万の精兵は夜中に本隊を離れ、アイの西端とベテルとの中間の地点に隠れました。一方、ヨシュアの率いる本隊は、エリコの宿営にとどまって夜を過ごしました。 + 翌朝早く、ヨシュアは兵を起こして長老たちを伴ってアイを目指し、 + アイの北にある谷を前にして陣を敷きました。その夜、ヨシュアはさらに五千の兵を選んで、町の西方に隠れている別動隊に合流させ、自分はその谷で夜を過ごしました。 + アイの王は、イスラエル軍が谷を渡って来るのを見ると、朝早く、アラバの平原で迎え撃とうと町を出ました。もちろん、町の後方に伏兵がいるとは夢にも思いませんでした。 + ヨシュアの率いるイスラエル軍は、さんざん痛めつけられたように見せかけ、いっせいに荒野へ退却しました。 + すると、アイの町中の兵士が追撃しようと、おびき出されたのです。案の定、町は無防備になりました。 + アイからもベテルからも、兵士は一人もいなくなり、町の城門は開け放たれたままでした。 + その時、主はヨシュアに命じました。「手にしている投げ槍を、アイの方に差し伸べよ。わたしがアイをあなたの手に渡すからだ。」言われたとおりにすると、 + その合図を待っていた伏兵がいっせいに飛び出して町の中になだれ込み、火を放ちました。 + アイの兵士たちが振り返ると、町から上る煙が空いっぱいに立ち込めているではありませんか。彼らは逃げ場を失いました。ヨシュアとその全軍は、煙を見て、伏兵が町に侵入したことを知りました。それで、追いかけて来た者たちに向き直り、反撃に出ました。 + 町に侵入したイスラエル軍も出て来て、背後から敵に襲いかかりました。このようにしてアイは罠にはまり、全滅したのです。生き残ったり逃れたりした者は一人もいませんでした。 + しかし、アイの王だけは捕虜とされ、ヨシュアのもとに連れて来られました。 + イスラエル軍はアイの全軍を一人残らず倒すと、町へ取って返し、残っていた人々を次々に打ちました。 + こうして、アイの全住民一万二千人が、その日のうちに死に絶えたのです。 + ヨシュアは、最後の一人にとどめが刺されるまで、投げ槍をアイの方に差し伸べたままでいました。 + ただし、家畜と分捕り物はそのまま残しておきました。それはイスラエル軍のものでした。あらかじめ主がヨシュアに、そうしてよいと告げていたのです。 + 焼き払われたアイは荒れ果てた丘となり、現在に至っています。 + ヨシュアは、アイの王を夕方まで木にかけてさらし、日が沈むと死体を降ろして町の門の入口に投げ捨てました。その上に積み上げた石の山は、今も見ることができます。 + ついでヨシュアは、モーセが命じたとおり、イスラエルの神である主のためにエバル山に祭壇を築きました。 + 律法の書に、「わたしのために、のみを当てたことのない石で祭壇を築け」と言われているとおりに。祭壇が完成すると、祭司たちはその上に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。 + またヨシュアは、人々が見守る中で、祭壇の石に十戒を刻みつけました。 + それから、長老、裁判官、在留外国人も含むイスラエル人全員は二組に分けられ、一方はゲリジム山のふもとに、もう一方はエバル山のふもとに立ちました。両者の間には、主の契約の箱をかつぐ祭司たちが全員を祝福しようと待ちかまえていました。すべて、先にモーセが命じたとおりに行われました。 + ヨシュアは、モーセが律法の書に記した祝福とのろいのことばを、ことごとく読み上げました。 + モーセの与えたすべての戒めが、女や子ども、それに在留外国人も含む全会衆の前で読み上げられたのです。 + + + さて、エリコでの出来事を耳にした周辺国の王たちは、さっそく連合し、ヨシュアとイスラエル軍に全力を挙げて対抗しようとしました。ヨルダン川の西側で、北はレバノン山脈までの地中海沿岸に住む、ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の王たちでした。 + しかしギブオンの住民は、エリコとアイでの一部始終を聞いて、何とか生き延びようと策略を巡らし、使者をヨシュアのもとへ送りました。使者の一行は、いかにも遠い国から旅して来たかのように、ぼろぼろの服を着て、繕ったくつをはき、風雨にさらされた袋と、つぎはぎだらけのぶどう酒の皮袋と、かび臭い乾ききったパンをろばに積んでいました。 + 一行はギルガルのイスラエルの陣営に着くと、ヨシュアと人々にこう言ったのです。「私どもは、友好条約を結んでいただきたくて、遠い国からまいりました。」 + 人々は、このヒビ人たちに答えました。「あなたたちがこの近くに住んでいないという確証はない。このあたりの住民を滅ぼせと主から命じられている以上、条約を結ぶわけにはいかない。」 + 「私どもを奴隷にしてくださってもけっこうです。」「それにしても、あなたたちはいったい何者だ。どこから来たのか」とヨシュアは尋ねました。 + 「私どもは遠い国からまいりました。あなたの神、主の偉大なお力と、エジプトでなさったすべてのことは知っております。 + それに、あなたがエモリ人の二人の王、あのヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグとを、どんな目に会わせられたかもよく知っております。 + それで、私どもの長老や住民がこう言うのです。『さあ、長旅の用意をして、イスラエルの人々を訪ねてくれ。そして、奴隷になると申し上げて、和平を求めて来るように』と。 + このパンなど、出発した時には焼き立てのほかほかでしたが、今はごらんのとおり、すっかりひからびて、かび臭くなっております。 + このぶどう酒の皮袋も新品でしたが、今は古びて、破れてしまっておりますし、着物もくつも、難儀な長旅ですっかりぼろぼろになってしまいました。」 + このことばに、ヨシュアもほかの指導者たちも、とうとうその一行を信用し、主の指示を仰ぐこともせず、和を講じてしまったのです。そして、厳粛な誓いを立てて協定を結びました。 + それから三日たって、彼らが近くの者だという事実が明らかになりました。 + イスラエル軍は直ちに調査を開始し、三日目に彼らの町々に踏み込みました。その町の名は、ギブオン、ケフィラ、ベエロテ、キルヤテ‧エアリムです。 + しかし、イスラエル軍は彼らを攻撃しませんでした。イスラエルの指導者たちが、先に主にかけて誓っていたからです。しかし、治まらないのは会衆で、協定を結んだことで、指導者たちに不平を鳴らしました。 + 指導者たちは言いました。「われわれはイスラエルの神、主の前で、彼らに手を下さないと誓ってしまったのだ。だから手出しはしないでくれ。 + どうしても生かしてやらなければならないのだ。もし誓いを破れば、主の怒りが下る。」 + こういうわけで、ギブオンの住民は、イスラエル人の奴隷として、たきぎを割ったり、水をくんだりして暮らすことになったのです。 + ヨシュアは彼らを呼んで、問いただしました。「あなたたちは、私たちの近くに住んでいながら、なぜ遠い国から来たなどと、だますようなまねをしたのか。 + 今にのろいが降りかかり、あなたたちはこの後いつまでも、私たちの奴隷となり、私たちの神に仕えて、たきぎを割り、水をくむことになるだろう。」 + 「私どもがあんなことをしたのは、イスラエルの神様が忠実なしもべモーセ様に、『この全土を征服し、住民を皆殺しにしなさい』とお命じになったことを、はっきり知っていたからです。殺されるのが怖かったのです。お赦しください。 + どうぞ、どのようにでもお気のすむようになさってください。」 + そこでヨシュアは、彼らを殺すことを禁じました。 + 彼らはイスラエル人のため、また、やがて主の選ぶ場所に築かれる祭壇のためにたきぎを割り、水をくむ者となりました。それは今も続いています。 + + + エルサレムの王アドニ‧ツェデクは、ヨシュアがエリコ同様アイを占領して破壊し、その王を殺害したことや、ギブオンの住民がイスラエルと和平交渉を行い、同盟を結んだことなどを聞いて、 + 非常に恐れました。それは、ギブオンが実質的には王国の都のようであり、アイよりも大きく、そこの男たちはみな勇士だったからです。 + そこでアドニ‧ツェデク王は、ヘブロンの王ホハム、ヤルムテの王ピルアム、ラキシュの王ヤフィア、エグロンの王デビルに使者を送り、 + こう伝えました。「さあ、ギブオンを滅ぼすために手を貸してくれ。彼らはヨシュアやイスラエル人どもと和を講じたからだ。」 + それで五人のエモリ人の王は、連合軍を編成してギブオンを攻撃しました。 + ギブオンの人々は急いで、ギルガルにいるヨシュアのもとへ伝令を走らせました。「しもべどもをお助けください。少しでも早く援軍を出してください。山地のエモリ人の王たちが連合して攻めて来ます。」 + そこでヨシュアはイスラエル軍を率いてギルガルを立ち、救援に向かいました。 + 主はヨシュアに語りました。「恐れることはない。わたしは、彼らをあなたの手に渡した。一人としてあなたに立ち向かえる者はいない。」 + ヨシュアはギルガルから夜通し行軍して、敵軍を急襲しました。 + 主が敵を混乱に陥れたので、イスラエル軍はギブオンで彼らに大打撃を与え、逃げる者をベテ‧ホロンとアゼカとマケダまで追って打ち倒しました。 + 敵がベテ‧ホロンの丘を下って敗走する時、主はアゼカへ至る道に大粒の雹を降らせ続けて、彼らを滅ぼしました。事実、イスラエル軍が剣で殺した者よりも、雹に打たれて死んだ者のほうが多かったのです。 + イスラエル軍が敵を追いつめた時のことです。ヨシュアは民の前で大声で祈りました。「太陽よ、ギブオンの上にとどまれ。月よ、アヤロンの谷から動くな。」 + すると、太陽も月も、イスラエル軍が敵を全滅させるまで動かずにいました。この出来事は『ヤシャルの書』(イスラエルに古くから伝わる詩的文書)にくわしく記されています。太陽は丸一日、天にとどまっていました。 + こんなことは、あとにも先にもありませんでした。この日、主は一人の人の祈りを聞き入れ、イスラエルのために戦ったのです。 + そののち、ヨシュアとイスラエル軍は、ギルガルの陣営に引き揚げました。 + 五人の王は戦いの最中に逃げ出し、マケダのほら穴に身を潜めていました。 + その王たちが見つかったという知らせを受けたヨシュアは、 + ほら穴の入口を大きな石でふさぎ、番兵を立てて、見張るよう命じました。 + 続いて、ヨシュアは全軍に命じました。「敵のあとを追い、しんがりから切って捨てよ。みすみす生かして帰らせてはならない。主が敵を全滅させるために、力を貸してくださるからだ。」 + ヨシュアとイスラエル軍は、追撃の手を少しもゆるめず、五人の王の連合軍を全滅させました。ただ、ほんの一握りの者が生き残って、いのちからがら自分たちの町へ逃げ込みました。 + 一方イスラエル軍は一人の兵士も失うことなく、マケダの陣営のヨシュアのもとに引き揚げたのです。このことがあってから、もはやイスラエルに刃向かう者はいなくなりました。 + さてヨシュアは、部下に命じて、ほら穴の入口から石を取り除き、エルサレム、ヘブロン、ヤルムテ、ラキシュ、エグロンの五人の王を連れて来させました。 + そして、イスラエル軍の指揮官たちに、王たちの首を踏みつけるよう命じ、 + 言いました。「恐れたり、失望したりしてはならない。雄々しくあり、勇気を出しなさい。主は、すべての敵にこのようになさるからだ。」 + それから、ヨシュアは五人の王を次々に打ち、死体を五本の木にかけて、夕方までさらしました。 + 日が沈むころ、死体を木から降ろさせ、彼らが隠れていたほら穴に投げ込むよう命じました。入口には石を山のように積み上げました。それは今も残っています。 + 同じ日、ヨシュアはマケダの町を占領し、王と全住民を打ちました。 + 次に、イスラエル軍はリブナへ向かい、 + そこでも、主がその町と王をイスラエルの手に渡したので、エリコと同様、最後の一人に至るまで剣で打ちました。 + さらにイスラエル軍は、リブナからラキシュを目指し、攻撃をかけました。 + 二日目に、主がその町をイスラエルの手に渡したので、ここでもリブナ同様、全住民が打たれました。 + ラキシュ攻撃のさなか、ゲゼルの王ホラムが、ラキシュへ援軍を率いてやって来ましたが、ヨシュアはホラムをも倒して、彼らを一人も残しておきませんでした。 + 次いでイスラエル軍はラキシュからエグロンに進み、一日でエグロンを占領し、ラキシュと全く同じようにしました。 + そのあとエグロンからヘブロンに進み、 + その町と周囲の村々を片っぱしから占領し、全住民を打ちました。 + それからデビルに引き返し、 + そこと周囲の村々をまたたく間に占領しました。そしてリブナと全く同じように、主と全住民を打ったのです。 + こうして、ヨシュアが率いるイスラエル軍は、山地、ネゲブ、低地、および山の斜面の国々と王とを征服したのです。彼らはイスラエルの神、主が命じたとおり、その地に住む者を打ち滅ぼしました。 + カデシュ‧バルネアからガザまで、またゴシェンからギブオンまで、その地の全住民を打ったのです。 + これらはすべて、一度の出撃で果たしたものでした。イスラエルの神、主が、イスラエルのために戦ったからです。 + こうしてヨシュアは、全イスラエルを率い、ギルガルの陣営に凱旋しました。 + + + ハツォルの王ヤビンは、これらの出来事を聞いて、次の諸国の王たちに使者を立てました。マドンの王ヨバブ、シムロンの王、アクシャフの王、北方の山地の王たち、キネレテの南のアラバの王たち、低地の王たち、西方のドルの高地にいる王たち、東西のカナンの王たち、エモリ人の王たち、ヘテ人の王たち、ペリジ人の王たち、山地のエブス人の王たち、ミツパにあるヘルモン山麓の町々に住むヒビ人の王たちです。 + 王たちはみな、呼びかけに応じて全軍勢を出動し、打倒イスラエルを掲げて結集しました。連合軍は、おびただしい馬と戦車をくり出し、 + 海辺の砂のように戦士がメロムの泉の周辺を見渡すかぎり埋め尽くしていました。 + しかし、主はヨシュアに語りました。「恐れてはいけない。明日の今ごろには、彼らはすべて死に果てている。敵の馬のうしろ足の腱を切り、戦車を焼き払いなさい。」 + ヨシュアの率いる軍勢は、突然メロムの泉に現れ、連合軍に襲いかかりました。 + 主が敵の大軍をことごとくイスラエル軍に渡したので、彼らは大シドンおよび「塩の穴」と呼ばれた場所まで、また、東はミツパの谷まで追い撃ちをかけました。この戦いで生き残った敵軍は一人もいません。 + ヨシュアとその軍は主の命令どおり、馬のうしろ足の腱を切り、彼らの戦車を次々に焼き払いました。 + 帰途、ヨシュアはハツォルを占領し、その王を打ちました。ハツォルは以前、この連合王国の首都だった町です。 + 住民はすべて殺され、町は炎上しました。 + ヨシュアは、ほかの王たちのすべての町々を攻撃し、打ち滅ぼしました。以前モーセが命じたとおり、住民をすべて殺したのです。 + ただし、丘の上に建つ町々で焼き払ったのは、ハツォルだけでした。 + 破壊された町々から奪い取った物と家畜はすべて、イスラエル人のものとなりました。しかし、その他の住民はみな殺されました。 + そうするように主がそのしもべモーセに命じておかれたからです。モーセはこの命令をヨシュアに伝え、ヨシュアはそのとおり実行しました。ヨシュアは、主がモーセに与えた指示にことごとく従い、一つもたがえませんでした。 + こうしてヨシュアは、山地、ネゲブ、ゴシェンの地、低地、アラバ、イスラエルの山地と低地を占領しました。 + イスラエルの領土は、今やセイルに近いハラク山から、ヘルモン山麓のレバノンの谷にあるバアル‧ガドに至る全域に及びました。ヨシュアはまた、その地域のすべての王を打ちました。 + これらの戦いは長い年月かかり、 + ギブオンに住むヒビ人を除いては、和を講じた町は一つもありませんでした。ほかの町は、ことごとく戦い取ったものです。 + それは、主が敵の王たちに、イスラエルと和を講じるよりも対抗する道を選ばせたからです。それで敵は、主がモーセに命じたとおり、非情にも一掃されることになったのです。 + この戦いの間にヨシュアは、ヘブロン、デビル、アナブ、ユダやイスラエルの山地に住む巨人族、アナクの子孫を捜し出し、町もろとも全滅させました。 + それで、イスラエルの地から巨人族は絶えましたが、それでもガザ、ガテ、アシュドデには、少数の生き残りがいました。 + こうしてヨシュアは、主がモーセに告げた地の全域を獲得したのです。ヨシュアは、この地を相続地としてイスラエル人に与えるため、部族ごとに割り当てました。ついに戦いはやみました。 + + + ヨルダン川の東側でイスラエルに滅ぼされた町々の王は次のとおり。この地域は、アルノン川の谷からヘルモン山に達する全域に及び、東方の荒れ地の町々も含みます。 + ヘシュボンに住んでいたエモリ人の王シホン。その国は、アルノン渓谷の縁にあるアロエルから、アルノン川の中央部、さらにアモン人との境界線であるヤボク川まで及んでいました。つまり、ヤボク川の北まで広がる現在のギルアデ地域の、半分を含んでいたことになります。 + シホンはまた、ヨルダン渓谷を、北はガリラヤ湖の西岸まで、南は塩の海(死海)とピスガ山の斜面まで支配していました。 + アシュタロテとエデレイに住み、レファイムの最後の生き残りであったバシャンの王オグ。 + 彼の領地は、北はヘルモン山、東はバシャン山中のサルカに達し、西はゲシュル人とマアカ人との境界線まで及んでいました。その国は、さらに南に伸びてギルアデの北半分を含み、ヘシュボンの王シホンの国と国境を接していました。 + モーセとイスラエル人は彼らを滅ぼし、この地はモーセによって、ルベン族、ガド族、マナセの半部族に分け与えられたのです。 + ヨルダン川の西側で、ヨシュアとイスラエル軍に滅ぼされた王たちは次のとおり。レバノン渓谷にあるバアル‧ガドと、セイル山西方のハラク山との間にあるこの地は、ヨシュアの手で、イスラエルの他の諸部族に割り当てられました。 + この地域には、山地、低地、アラバ、山の斜面、ユダの荒野、ネゲブが含まれていました。そこに住んでいたのは、ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人です。エリコの王、ベテルのそばのアイの王、エルサレムの王、ヘブロンの王、ヤルムテの王、ラキシュの王、エグロンの王、ゲゼルの王、デビルの王、ゲデルの王、ホルマの王、アラデの王、リブナの王、アドラムの王、マケダの王、ベテルの王、タプアハの王、ヘフェルの王、アフェクの王、シャロンの王、マドンの王、ハツォルの王、シムロン‧メロンの王、アクシャフの王、タナクの王、メギドの王、ケデシュの王、カルメルのヨクネアムの王、高地の町にいるドルの王、ギルガルのゴイムの王、ティルツァの王。以上、合計、三十一人の王とその町々が滅ぼされたのです。 + + + 老人となったヨシュアに、主は声をかけました。「あなたは年老いたが、まだまだ占領しなければならない国が多くある。 + その地は次のとおりである。ペリシテ人の全地域、ゲシュル人の地、エジプト川からエクロンの南の境に至る、カナン人の地。また、ペリシテ人の五つの町であるガザ、アシュドデ、アシュケロン、ガテ、エクロン。南のアビム人の地。北のカナン人の全地域、つまり、シドン人の領地メアラから、北はエモリ人との国境の町アフェクに至る地域。海岸地帯のゲバル人の地と、南はヘルモン山麓のバアル‧ガドから、北はレボ‧ハマテに至る、レバノンの山地全域。シドンの全地を含む、レバノンからミスレフォテ‧マイムに至る山地全域。わたしは、これらの地域の住民をイスラエル人の前から一掃しよう。そうしたら、この地を、わたしの命令どおり九つの部族とマナセの半部族とに分配すればよい。」 + マナセの残りの半部族と、ルベン、ガドの各部族は、すでに、ヨルダン川の東側に相続地を与えられていました。モーセがあらかじめ割り当てておいたからです。 + 彼らの土地は、アルノン渓谷の縁にあるアロエルから、その谷の中にある町を通ってディボンに至るメデバの台地までです。 + その地域には、ヘシュボンを統治し、アモン人との境にまで手を広げていたエモリ人の王シホンのすべての町が含まれていました。 + また、ギルアデ、ゲシュル人およびマアカ人の領地、ヘルモン山全域、サルカの町のあるバシャン、 + それに、アシュタロテとエデレイを治めていたバシャンの王オグの全領土が含まれていました。オグはレファイム族の最後の生き残りでした。レファイム族はモーセに攻められ、追い払われていました。 + なお、イスラエル人はゲシュル人とマアカ人を追放しなかったので、彼らは今もイスラエル人といっしょに住んでいます。 + ただ、モーセはレビ族にだけ土地を割り当てませんでした。その代わり、彼らは神へのささげ物を受けることができました。 + 領地の広さが人口に比例するよう、モーセはルベン族に、 + アルノン渓谷の縁に位置するアロエルから、その谷にある町を通って、メデバの台地周辺に及ぶ地域を割り当てました。 + そこには、ヘシュボンおよび他の台地の町々、ディボン、バモテ‧バアル、ベテ‧バアル‧メオン、 + ヤハツ、ケデモテ、メファアテ、 + キルヤタイム、シブマ、谷を見下ろす山にあるツェレテ‧ハシャハル、 + ベテ‧ペオル、ベテ‧ハエシモテと、ピスガ山の斜面が含まれていました。 + ルベンの領地は、さらに台地の町々とシホンの王国をも含んでいました。シホン王はかつてヘシュボンに住んでいましたが、モーセの手にかかって、ミデヤンの他の君主、エビ、レケム、ツル、フル、レバともども打ち殺されてしまいました。 + このほか、ベオルの息子で魔術師のバラムも、イスラエル人に殺されたのでした。 + ヨルダン川は、ルベン族の地の西の境界でした。 + モーセはガド族に、その人口に見合った土地を割り当てました。 + その領地は、ヤゼル、ギルアデのすべての町、ラバに近いアロエルまでの、アモン人の地の半分を含んでいました。 + つまり、ヘシュボンからラマテ‧ハミツパおよびベトニムまで、マハナイムからデビルの境界まで広がっていました。 + 渓谷(流域の平野部)には、ベテ‧ハラム、ベテ‧ニムラ、スコテ、ツァフォン、シホン王の国の残りの部分がありました。北はガリラヤ湖に達するヨルダン川が西の境界で、彼らの地はヨルダン川の東でした。 + モーセは、マナセの半部族に、その必要に応じて以下の地を割り当てました。 + その領地は、マハナイム以北で、バシャンの全域、かつてのオグの王国、バシャンにあるヤイルの六十の町を含む地域でした。 + ギルアデの半分とオグの王国の町アシュタロテとエデレイは、マナセの息子マキルの氏族の半分に与えられました。 + モーセは、かつてイスラエル人がエリコのかなた、ヨルダン川の東に野営した時、その地をこのように分配したのです。 + ただし、レビ族には土地を与えませんでした。あらかじめ申し渡されていたとおり、主ご自身が相続地だったからです。主が彼らの必要をすべて満たすのです。 + + + 占領したカナンの地は、イスラエルの残りの九部族と半部族とに割り当てられました。どの地域をどの部族に割り当てるかを決めるのに、くじを引きました。そうするように、主が指示したからです。祭司エルアザルとヨシュア、それに各部族の族長が立ち会いました。 + 他の二部族と半部族とには、モーセによってヨルダン川の東側の土地をすでに割り当ててありました。ヨセフ族は、マナセとエフライムの二部族に分かれていました。レビ族には、居住地となる町々と家畜のための放牧地を除いては、土地の割り当ては全くありませんでした。 + こうして、主がモーセに指示されたとおり、土地の分配は厳正に行われたのです。 + ユダ族から、カレブに率いられた一団が、ギルガルにいるヨシュアのもとへ来ました。カレブはヨシュアに言いました。「昔カデシュ‧バルネアで、われわれ二人のことで、主がモーセに仰せられたことを忘れてはないはずだ。 + 当時、私は四十歳だった。モーセはカナンの地を偵察させるため、われわれをカデシュ‧バルネアから偵察に送り出した。私は実状をありのままに報告したが、 + いっしょに行った仲間はそうではなかった。みなを震え上がらせるようなことを言って、約束の地に踏み入る勇気をくじいてしまった。だが、私はずっと主に従い続けてきた。 + モーセは私に、『あなたが足を踏み入れたカナンの地は、永久に、子々孫々あなたの相続地となる。あなたが、私の神、主に従い通したからだ』と約束してくれたのだ。 + ごらんのとおり、あれから今まで、荒野をさまよった四十五年間も、主は私を生かしておいてくださり、もう八十五歳となった。 + あの旅の空で、モーセが偵察を命じてくれた時と比べて、私は少しも弱ってなどいない。今でもちゃんと旅もできるし、戦うことだってできる。 + だからどうか、主が約束してくださったこの丘陵地を、私に与えてくれないか。われわれが偵察隊だったころ、城壁を巡らした大きな町々にアナク人が住んでいるのを、この目で見たのを覚えているだろう。だが、主が共にいてくださるなら、彼らを追い払うことなどたやすいと思っている。」 + ヨシュアはカレブを祝福し、末代までの相続地としてヘブロンを与えました。カレブがイスラエルの神である主に従い通したからです。 + 以前、そこはアナク人の英雄にちなんでキルヤテ‧アルバと呼ばれていました。こうして、イスラエル人がこの地を治めるようになったあと、この地から戦いはやみました。 + + + くじによってユダ族に割り当てられた地は、その南の境界線が、エドムの北の境から始まってツィンの荒野を通り、ネゲブ地方の北端まででした。 + もっとくわしく記すと、この境界線は、塩の海(死海)の南の入り江から始まり、アクラビム丘陵地帯の南を走る道路に沿って、ツィンの荒野からカデシュ‧バルネアの南にあるヘツロンに延び、さらにカルカとアツモンを通り、最後にエジプト川に出て、地中海に達します。 + 東の境界線は、塩の海の西岸沿いにヨルダン川の河口までです。北の境界線は、ヨルダン川が塩の海に注ぐ河口の入り江から始まり、 + ベテ‧ホグラとベテ‧ハアラバの北方を経て、ルベンの子ボハンの石に至り、 + その地点からアコルの谷を通ってデビルに進みます。デビルでギルガル方面へ北西に曲がりますが、ギルガルはその谷の南斜面、アドミム一帯の反対側に当たります。ギルガルより先は、エン‧シェメシュの泉とエン‧ロゲルに進みます。 + さらにこの境界線は、その先ベン‧ヒノムの谷を通り、エルサレムの町であるエブスの南側に沿って進み、それから西に向かい、ヒノムの谷とレファイムの谷の北端を見下ろす、山の頂に達します。 + 続いて、その山頂からメ‧ネフトアハの泉へ延び、さらにエフロン山の町々に達し、そこからキルヤテ‧エアリムとも呼ばれるバアラの周辺を北に迂回します。 + 続いて境界線は、バアラから西に回ってセイル山に至り、エアリム山の北斜面にあるケサロンの町を経て、ベテ‧シェメシュに下ります。そこで再び北西に向きを変え、ティムナの南を通って、エクロンの北側にある山の斜面に出ます。そこで左に折れ、シカロンの南とバアラ山を通ります。そこから再び北に向かい、ヤブネエルを通って、最後は地中海に達するのです。 + 地中海の海岸線が、ユダ族の西の境界線です。 + 主はヨシュアに、ユダの領地の一部をエフネの子カレブに割り当てるよう指示しました。それでカレブは、アナクの父親にちなんだ名前の町キルヤテ‧アルバ、すなわちヘブロンを与えられたのです。 + カレブは、アナクの三人の息子、シェシャイ、アヒマン、タルマイの子孫を追い払い、 + ついで、元はキルヤテ‧セフェルといっていたデビルの住民と一戦を交えました。 + その時カレブは、「キルヤテ‧セフェルを攻め取った者には、私の娘のアクサを妻として与えよう」と宣言しました。 + ケナズの子で、カレブの甥に当たるオテニエルがその町を征服したので、アクサはオテニエルの妻となりました。 + 嫁入りの際、オテニエルは、結婚祝いに父親から畑をもらうようにアクサを説き伏せました。父親と話そうと、彼女がろばから降りたので、カレブは彼女に尋ねました。「どうした。私にしてやれることがあれば、何でも言いなさい。」「お父さん、お祝いにもっと頂きたいものがあるの。ネゲブの土地を下さるのなら、そこは荒れ地ですから、泉も分けてほしいわ。」それでカレブは、アクサに上の泉と下の泉も与えることにしました。 + ユダ族に割り当てられた地は、次のとおり。 + ネゲブにあるエドムの国境に面したユダの町々、すなわち、カブツェエル、エデル、ヤグル、キナ、ディモナ、アデアダ、ケデシュ、ハツォル、イテナン、ジフ、テレム、ベアロテ、ハツォル‧ハダタ、ケリヨテ‧ヘツロンすなわちハツォル、アマム、シェマ、モラダ、ハツァル‧ガダ、ヘシュモン、ベテ‧ペレテ、ハツァル‧シュアル、ベエル‧シェバ、ビズヨテヤ、バアラ、イイム、エツェム、エルトラデ、ケシル、ホルマ、ツィケラグ、マデマナ、サヌサナ、レバオテ、シルヒム、アイン、リモン。全部で、二十九の町とそれに属する周辺の村々です。 + 低地にあった次の町々も、ユダに与えられました。エシュタオル、ツォルア、アシュナ、ザノアハ、エン‧ガニム、タプアハ、エナム、ヤルムテ、アドラム、ソコ、アゼカ、シャアライム、アディタイム、ゲデラ、ゲデロタイム。全部で、十四の町とそれに属する周辺の村々です。 + ユダ族は、このほか二十五の町と、それに属する村々も相続しました。すなわち、ツェナン、ハダシャ、ミグダル‧ガド、ディルアン、ミツパ、ヨクテエル、ラキシュ、ボツカテ、エグロン、カボン、ラフマス、キテリシュ、ゲデロテ、ベテ‧ダゴン、ナアマ、マケダ、リブナ、エテル、アシャン、エフタ、アシュナ、ネツィブ、ケイラ、アクジブ、マレシャ。 + ユダ族の領地は、エクロンの町々と村々の全部も含んでいました。 + その境界線はエクロンから地中海にまで達し、アシュドデの境界付近の町々と周辺の村々、 + アシュドデの町と周辺の村々、エジプト川に至るまでのガザと周辺の村々、さらに、南はエジプト川の河口から北はツロに至るまでの、地中海沿岸全域も含んでいました。 + ユダはさらに、山地の四十四の町と周辺の村々も相続しました。すなわち、シャミル、ヤティル、ソコ、ダナ、キルヤテ‧サナすなわちデビル、アナブ、エシュテモア、アニム、ゴシェン、ホロン、ギロ、アラブ、ドマ、エシュアン、ヤニム、ベテ‧タプアハ、アフェカ、フムタ、キルヤテ‧アルバすなわちヘブロン、ツィオル、マオン、カルメル、ジフ、ユタ、イズレエル、ヨクデアム、ザノアハ、カイン、ギブア、ティムナ、ハルフル、ベテ‧ツル、ゲドル、マアラテ、ベテ‧アノテ、エルテコン、キルヤテ‧バアルすなわちキルヤテ‧エアリム、ラバ、ベテ‧ハアラバ、ミディン、セカカ、ニブシャン、塩の町、エン‧ゲディ。 + しかしユダ族は、エルサレムに住んでいたエブス人を追い出すことができませんでした。それでエブス人は、今もなおユダの人々とともに生活しています。 + + + ヨセフ族〔エフライムと、マナセの半部族〕がくじで割り当てられた地の境界線は、エリコ付近のヨルダン川から荒野を通り、ベテルの山地へと延び、ベテルからルズに、それからアルキ人の領地アタロテへと進みます。次に西に向かって、下ベテ‧ホロンに近いヤフレテ人との境界に下り、さらにゲゼルに出て、地中海に行き着きます。 + エフライム族に割り当てられた相続地は次のとおり。その東の境界線は、アテロテ‧アダルから始まり、上ベテ‧ホロンを通って地中海に達します。北の境界線は、地中海から東方へとミクメタテを通り、さらに東進してタアナテ‧シロとヤノアハを通ります。 + ヤノアハから南に回ってアタロテとナアラに下り、エリコを経てヨルダン川で終わるのです。 + 北の境界線の西半分は、タプアハからカナ川に沿って進み、終わりは地中海に達します。 + なお、エフライム族には、マナセの半部族の領地内の町々も一部与えられました。 + ゲゼルに住むカナン人は追い払われなかったので、今も奴隷として、エフライムの人々の中で生活しています。 + + + ヨセフの子マナセの半部族がくじで割り当てられた地は次のとおり。マナセの長男で、ギルアデの父マキルの氏族は、〔ヨルダン川東岸の〕ギルアデとバシャンの地をすでに与えられていました。彼らが勇敢な戦士だったからです。 + それで、ヨルダン川の西側の地は、アビエゼル、ヘレク、アスリエル、シェケム、シェミダ、ヘフェルの各氏族に割り当てられることになりました。 + ところが、ギルアデの孫、マキルのひ孫、マナセから四代目に当たる、ヘフェルの子ツェロフハデには息子がいませんでした。その代わり、マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァという五人の娘がいました。 + 娘たちは、祭司エルアザル、ヨシュア、およびイスラエルの指導者たちの前に進み出て、申し立てました。「主がモーセ様におっしゃったことによれば、私どももこの部族の男の方々と同様、土地を相続できるはずです。」 + その結果、主がモーセを通して与えた命令どおり、五人の娘は五人の大伯父と並んで相続地を受けました。結局マナセの相続地の全体は、ヨルダン川の東岸のギルアデとバシャンのほかに十の地区となりました。 + マナセ族の北の境界線は、アシェルの境界から南下して、シェケム東方のミクメタテに達し、さらに南進し、ミクメタテからエン‧タプアハに至ります。 + タプアハの地はマナセのものでしたが、境界線上のタプアハの町はエフライム族に属していました。 + 境界線は、そこからカナ川の北岸に沿って下り、地中海に至ります。川の南にある町々は、マナセの領地にありながら、エフライム族のものでした。 + 川の南側、西は地中海に至るまでの地域は、エフライム族に割り当てられました。川の北側の地中海東岸地域はマナセ領となりました。マナセは、北はアシェルの領地と、東はイッサカルの領地とそれぞれ境を接していました。 + マナセの半部族にはまた、イッサカルとアシェルの領地内の次の町も与えられました。ベテ‧シェアン、イブレアム、ドル、エン‧ドル、タナク、メギドとその周辺の村々です。 + しかし、マナセの子孫はこれらの町の住民を一掃できなかったので、カナン人が残りました。 + イスラエル人が勢力を増し、カナン人を奴隷として酷使するようになってからも、彼らを追い出すことはできなかったのです。 + その後、ヨセフの二部族がヨシュアのもとに来て問いただしました。「主が私たちをこんなにも大所帯にしてくださったのに、なぜ一つの割り当て地しか下さらないのですか。」 + 「もしエフライムの山地が狭いのなら、こうしたらいいだろう。その気があるのなら、ペリジ人やレファイム人が住んでいる森林地帯を切り開くのだ。」 + 「あそこならありがたい。何しろ、ベテ‧シェアンの回りの低地やイズレエルの谷のような所には、鉄の戦車を備えた、なかなか手強いカナン人がいますから。」「ではまず、山地の森林地帯を手に入れることだ。あなたたちはこんなに数も多く、力も強い部族だから、きっとあそこを切り開いて住みつけるだろう。それに、いかに相手が手強く、鉄の戦車を持っていようと、谷からカナン人を追い出すことさえ不可能ではない。」 + + + 約束の地を征服したのち、といっても、まだ七つの部族は、神が与えてくださるという約束の地を征服したわけではありませんでした。イスラエルの民はシロに集まり、幕屋を建てました。 + そこで、ヨシュアは言いました。「いつまでためらっているのか。主が与えてくださる地の住民を追い出しに行こうとしないのか。 + さあ、各部族から三人ずつを選びなさい。その者たちに、まだ征服していない地を偵察させ、広さや分配方法について報告させよう。その情報に基づいて、土地を割り当てることにしたい。 + 偵察して来た者は、七区分に色分けした地図を作りなさい。私がくじを引いて、それぞれの地区をどの部族に割り当てればよいかを決めよう。 + ただし、よく覚えておきなさい。レビ族はどの土地も受けてはならない。彼らは主に仕える祭司であり、そのこと自体がすばらしい相続なのだ。言うまでもないが、ガドとルベンの各部族およびマナセの半部族にも割り当て地はない。すでにヨルダン川の東側に、モーセが約束した相続の地を得ているからだ。」 + そこで、調査隊は地図を作って、ヨシュアに報告するために出かけて行きました。その報告書に基づいて、ヨシュアはくじを引いて、その他をそれぞれの部族に割り当てることにしたのです。 + 調査隊は命じられたとおり、調べ上げた全地域を七区分し、それぞれに町の名を記入して、シロの宿営にいるヨシュアのもとに戻りました。 + そこで主は、シロの幕屋の中で、くじによる土地の割り当てをヨシュアに指示したのです。 + ベニヤミン族がくじによって割り当てられた地域は、先にユダとヨセフの部族が得た領地の間にありました。 + 北の境界線はヨルダン川から始まり、エリコの北に出て山地を西に進み、ベテ‧アベンの荒野を通ります。 + そこからベテルとも呼ばれるルズに向かって南下し、下ベテ‧ホロンの南の山地にあるアテロテ‧アダルに至ります。 + そこで境界線は南に回り、ベテ‧ホロン付近の山を通って、ユダ部族の町キルヤテ‧バアルすなわちキルヤテ‧エアリムで終わるのです。これが西の境界線です。 + 南の境界線は、キルヤテ‧バアルの端から、エフロン山を越えてメ‧ネフトアハの泉に至り、 + レファイムの谷の北に当たるベン‧ヒノムの谷を見下ろす山のすそに下ります。そこからヒノムの谷を越え、エブス人の住むエルサレムの町の南を通り、エン‧ロゲルに下ります。 + エン‧ロゲルから北東に向きを変え、エン‧シェメシュに出て、さらにアドミムの坂に対しているゲリロテに出ます。それからルベンの息子ボハンの石に下り、 + アラバの北端に沿って進みます。境界線はさらにアラバに下り、 + ベテ‧ホグラの南を通り、塩の海(死海)の北の入り江で終わるのです。入り江はヨルダン川の南端に当たります。 + 東の境界線はヨルダン川で、これがベニヤミン族の割り当て地です。 + ベニヤミン族の相続地には、次の二十六の町が含まれていました。エリコ、ベテ‧ホグラ、エメク‧ケツィツ、ベテ‧ハアラバ、ツェマライム、ベテル、アビム、パラ、オフラ、ケファル‧ハアモナ、オフニ、ゲバ、ギブオン、ラマ、ベエロテ、ミツパ、ケフィラ、モツァ、レケム、イルペエル、タルアラ、ツェラ、エレフ、エブス〔別名エルサレム〕ギブア、キルヤテ‧エアリム。これらの町とその周辺の村々がすべて、ベニヤミン族に与えられたのです。 + + + 二番目のくじによって、シメオン族は次の相続地を受けましたが、それは、先にユダ族に割り当てられた地に含まれていたものです。 + 彼らの相続地は、以下の十七の町とその周辺の村々を含んでいました。すなわち、ベエル‧シェバ、シェバ、モラダ、ハツァル‧シュアル、バラ、エツェム、エルトラデ、ベトル、ホルマ、ツィケラグ、ベテ‧マルカボテ、ハツァル‧スサ、ベテ‧レバオテ、シャルヘン、エン‧リモン、エテル、アシャン。 + ネゲブにあるラマとしても知られていたバアラテ‧ベエルのような南の町も、シメオン族のものとされました。 + こうしてシメオンの相続地は、先にユダに与えられた地の一部を取りました。ユダに割り当てられた地域が広すぎたからです。 + 三番目のくじで領地を割り当てられたのはゼブルン族でした。その境界線はサリデの南側から始まり、 + そこから西に回り、マルアラからダベシェテを通って、ヨクネアムの東を流れる川まで達します。 + 次に東に向きを変え、キスロテ‧タボルの境界に至り、そこからダベラテとヤフィアに出ます。 + それから東のガテ‧ヘフェル、エテ‧カツィン、リモンに進み、ネアの方へ曲がります。 + 北の境界線は、ハナトンを通り、エフタ‧エルの谷で終わります。 + この地域の町々には、すでに挙げた町のほか、カタテ、ナハラル、シムロン、イデアラ、ベツレヘムなどの町と、その周辺の村々が含まれていました。町は全部で十二です。 + 四番目のくじで土地を割り当てられたのはイッサカル族でした。その境界内には、次の町が含まれています。すなわち、イズレエル、ケスロテ、シュネム、ハファライム、シオン、アナハラテ、ラビテ、キシュヨン、エベツ、レメテ、エン‧ガニム、エン‧ハダ、ベテ‧パツェツ、タボル、シャハツィマ、ベテ‧シェメシュ。これら十六の町には、周辺の村々も含まれます。イッサカルの境界線はヨルダン川で終わります。 + 五番目のくじで土地を割り当てられたのはアシェル族でした。その境界内には、次の町が含まれていました。ヘルカテ、ハリ、ベテン、アクシャフ、アラメレク、アムアデ、ミシュアル。境界線は、西のカルメルから始まってシホル‧リブナテに至り、 + 東のベテ‧ダゴンに向きを変え、エフタ‧エルの谷にあるゼブルンまで進み、ベテ‧ハエメクの北を通ってネイエルに達します。次にカブルの東を通り、 + エブロン、レホブ、ハモン、カナを経て大シドンに至るのです。 + それから境界線はラマに向かい、要塞の町ツロを経て、ホサのあたりで地中海に達します。その領地には、マハレブ、アクジブ、 + アコ、アフェク、レホブなど、合計二十二の町と周辺の村々が含まれていました。 + 六番目のくじで土地を割り当てられたのはナフタリ族でした。 + その境界線は、ヘレフとツァアナニムの樫の木から始まり、アダミ‧ハネケブ、ヤブネエル、ラクムを通って、ヨルダン川で終わります。 + 西の境界線は、ヘレフの近くからアズノテ‧タボルを通過しフコクに出ます。南はゼブルンと、西はアシェルと境を接し、東の境界線はヨルダン川です。 + 領地内の城壁を巡らした町は、次のとおりです。ツィディム、ツェル、ハマテ、ラカテ、キネレテ、アダマ、ラマ、ハツォル、ケデシュ、エデレイ、エン‧ハツォル、イルオン、ミグダル‧エル、ホレム、ベテ‧アナテ、ベテ‧シェメシュ。ナフタリの領地内の町は合計十九で、周辺の村々も含まれます。 + 最後、七番目に土地を割り当てられたのはダン族でした。 + その地域には次の町がありました。ツォルア、エシュタオル、イル‧シェメシュ、シャアラビン、アヤロン、イテラ、エロン、ティムナ、エクロン、エルテケ、ギベトン、バアラテ、エフデ、ベネ‧ベラク、ガテ‧リモン、メ‧ハヤルコン、ラコン、ヨッパ(ヤフォ)の近くの地。 + しかし、その中には征服できない地域もあったので、ダン族はレシェムの町と戦って占領し、住みつきました。そして町の名を、先祖にちなんで「ダン」と呼ぶことにしたのです。 + こうして、全地が明確な境界線のもとに、各部族に分配されました。さらに、特別な地域がヨシュアのものとされました。 + 主が、ヨシュアには望みどおりの町を与えようと言われたからです。ヨシュアはエフライム山中のティムナテ‧セラフを選び、町を再建して住みました。 + この部族間の土地分配をめぐる神聖なくじ引きには、祭司エルアザル、ヨシュア、各部族の族長が立ち会いました。これらは、神の見守りのうちに、シロにある幕屋の入口で行われました。 + + + さて、レビ族の指導者たちはシロに出向いて来て、祭司エルアザルやヨシュア、および他部族の族長に相談を持ちかけました。 + その申し出は、「主がモーセによって指示なさったことだが、われわれにも住む家と家畜用の放牧地とを確保してもらいたい」というものでした。 + そこで、征服したばかりの幾つかの町が、放牧地も含めて、レビ人に与えられることになりました。 + 町は十三でしたが、初めにユダ、シメオン、ベニヤミンの各部族に割り当てられたものです。これらの町は、レビ族の中でも、アロンの子孫であるケハテ氏族の祭司たちに与えられました。 + このほかのケハテの人々には、エフライム、ダン、マナセの半部族の各領地から十の町が与えられました。 + 同様にゲルション氏族は、くじによってバシャンにある十三の町を譲り受けました。その町は初め、イッサカル、アシェル、ナフタリの各部族と、マナセの半部族に与えられたものでした。 + メラリ氏族は、ルベン、ガド、ゼブルンの各部族から十二の町を譲り受けました。 + モーセへの主のご命令どおり、これらの町と放牧地は、くじによって、レビ人に割り当てられたのです。 + 最初に割り当てを受けたのは、祭司、つまりレビ人のうちでもケハテ氏族の中のアロンの子孫でした。その領地の内訳を見ると、ユダとシメオンの部族から、次にあげる九つの町が、周囲の放牧地とともに与えられたのでした。まず、ユダの山地内の、避難用の町でもあるヘブロン。別名を、アナクの父アルバの名にちなんで、キルヤテ‧アルバともいいます。ただし、町の畑と周辺の村々は、エフネの子カレブのものです。ほかに、リブナ、ヤティル、エシュテモア、ホロン、デビル、アイン、ユタ、ベテ‧シェメシュ。 + また、次にあげる四つの町と放牧地が、ベニヤミン族から譲られました。ギブオン、ゲバ、アナトテ、アルモン。 + 以上の合計十三の町が、アロンの子孫である祭司に与えられたのです。 + ケハテの他の諸氏族は、エフライム族から、次の四つの町と放牧地を譲り受けました。避難用の町シェケム、ゲゼル、キブツァイム、ベテ‧ホロン。 + ダン部族からは、次にあげる四つの町と放牧地が譲られました。エルテケ、ギベトン、アヤロン、ガテ‧リモン。 + マナセの半部族は、タナク、ガテ‧リモンの町と周囲の放牧地を譲りました。 + 以上、ケハテの他の諸氏族が受けた町と放牧地の数は、全部で十に上ります。 + レビ人に属するゲルション氏族は、マナセの半部族から、次の二つの町と放牧地を譲り受けました。バシャンにある避難用の町ゴラン、ベエシュテラ。 + イッサカル族は、次の四つの町と放牧地を譲りました。キシュヨン、ダベラテ、ヤルムテ、エン‧ガニム。 + アシェル族は、次の四つの町と放牧地を譲りました。ミシュアル、アブドン、ヘルカテ、レホブ。 + ナフタリ族は、次の三つの町と放牧地を譲りました。ガリラヤにある避難用の町ケデシュ、ハモテ‧ドル、カルタン。 + こうして、合計十三の町と放牧地がゲルション氏族の所有となったのです。 + レビ人のもう一つの氏族であるメラリ氏族には、ゼブルン部族から、次の四つの町と放牧地が譲られました。ヨクネアム、カルタ、ディムナ、ナハラル。 + ルベン族は、次の四つの町と放牧地を譲りました。ベツェル、ヤハツ、ケデモテ、メファアテ。 + ガド族は、次にあげる四つの町と放牧地を譲りました。避難用の町ラモテ、マハナイム、ヘシュボン、ヤゼル。 + これでメラリ氏族は、合計十二の町を与えられたことになります。 + レビ人に与えられた町と放牧地の数は、全部で四十八でした。 + このようにして主は、イスラエルの先祖に約束した地をすべてイスラエル人に与えました。そこで、人々はその地を占領して住みついたのです。 + 約束どおり平和が訪れ、立ち向かって来る敵は一人もいませんでした。敵という敵はすべて、主の助けによって滅ぼし尽くしたからです。 + 主がイスラエルに約束された良いことはみな、そのとおりに実現したのです。 + + + さてヨシュアは、ルベンとガドの各部族、マナセの半部族からなる一隊を召集し、 + こう語りました。「みんな、主のしもべモーセの命令をよく守ってくれた。また、私が語った主の命令も、ことごとく守ってくれた。戦闘がこんなに長引いたにもかかわらず、仲間の部族を見捨てず、よく戦ってくれた。 + 今われわれは、主のお約束どおり、勝利と安息を手に入れたのだ。さあ今、主のしもべモーセが与えた、あのヨルダン川の向こうの地へ帰るがよい。 + これからも、モーセが与えたすべての律法を守り続けなさい。いのちの限り主を愛し、あなたがたのための主の計画に従い、主にすがり、主に熱心に仕えなさい。」 + ヨシュアは彼らを祝福し、各自の領地へ帰らせました。 + マナセ部族の場合は、その半分に、モーセがバシャンの地を割り当ててありましたが、他の半分は、ヨルダン川の西側の土地を与えられました。ヨシュアは彼らを送り出すに当たり、祝福し、彼らが得た莫大な富、すなわち家畜、金、銀、青銅、鉄、衣服などの戦利品を持たせてやり、帰ったら同胞と分け合うように指示しました。 + それで、ルベンとガドとマナセの半部族は、カナンの地のシロでイスラエル人に別れを告げ、ヨルダン川を渡って自分の地であるギルアデの地へ向かいました。 + ところがヨルダン川を渡る寸前、まだカナンの地にいる時、彼らは、だれの目にも留まるほど大きな、祭壇をかたどった記念碑を建てたのです。 + このことを伝え聞いた他のイスラエル人は、 + シロに全軍を集結し、戦いを交える構えを見せました。 + それで、まず祭司エルアザルの子ピネハスを団長とする代表団を送ることにしたのです。一行はヨルダン川を渡り、ルベン、ガド、マナセの各部族と話し合うことにしました。 + この代表団には、十部族の族長の家から一人ずつ、十人が加わっていました。 + ギルアデに着いた一行は問いただしました。 + 「主の国民である私たちは、なぜ君たちがイスラエルの神に罪を犯すようなまねをしたのか、ぜひとも知りたい。なぜ主から離れ、反逆のしるしである祭壇を築いたのだ。 + 私たちがかつてペオルで犯した罪を覚えているか。そのために、あれほど大きな災いが下ったというのに、まだあの罪はぬぐい去られていなかったというわけか。あんなことなど問題ではないと言うつもりか。それで、また反抗するのか。わかっているのだろうか。君たちが今日、主に反逆すれば、明日、全員に主の怒りが燃え上がるだろう。 + この地が汚れているので祭壇が必要だというのなら、川向こうの幕屋のある私たちの地に来るがよい。私たちの土地を君たちと共有にしてもかまわないのだ。主の祭壇はただ一つだ。ほかに祭壇を築いて、主に反逆するようなまねはやめなさい。 + まさか忘れてはいないだろう。ゼラフの子アカンのことだ。彼一人が罪を犯したために、イスラエルの全国民がきびしく罰せられたではないか。」 + こう言われて、ルベンとガドとマナセの半部族の人々は弁明しました。 + 「神の神、主に誓って申し上げます。私たちは反逆するつもりで祭壇を築いたのではありません。主はご存じです。皆さんにもわかってほしいのですが、私たちは、焼き尽くすいけにえや、穀物の供え物や、和解のいけにえをささげるために祭壇を築いたのではありません。もしそうなら、幾重にも主にのろわれますように。 + 実は、イスラエルの神、主を愛すればこそ、このようにしたのです。それに将来、私たちの子どもが皆さんの子どもから、こう言われはしないかと心配だったのです。『どんな権利があって、おまえたちはイスラエルの神様を礼拝するのだ。おまえたちと僕らは別々なんだ。主がちゃんとヨルダン川という境界を置いていらっしゃるではないか。おまえたちなんか主の民ではない』と。実際、息子の代になってから、私たちの子どもが主を礼拝するのをはばまれるかもしれませんから。 + ですから、私たちも焼き尽くすいけにえや和解のいけにえ、その他のいけにえをささげて主を礼拝できることを、私たちと皆さんとの子どもに示す記念碑として、あの祭壇を築いたのです。そうすれば、私たちの子孫が、『おまえらなんか主の民ではない』などと言われることもないでしょう。 + たとえそう言われても、胸を張って答えることができます。『僕らの先祖が、主の祭壇の型にならって作った、この祭壇を見てくれ。これは焼き尽くすいけにえや、その他のいけにえをささげるつもりのものではない。ただ、僕らと君たちが、共に神様と結び合わされた者どうしであることのしるしなのだ。』 + 焼き尽くすいけにえや穀物の供え物、その他のいけにえをささげる祭壇を築いて、主から離れたり、反逆したりするなんて、とんでもない。ありえないことです。いけにえをささげる祭壇は、幕屋の前にある祭壇だけなのですから。」 + 祭司ピネハスと随員は、ルベン、ガド、マナセの各部族から事情を聞いて、安堵しました。 + ピネハスはこう言いました。「本日、私たちの真ん中には主がおられることが明らかになった。なぜなら君たちは、こちらが懸念したような主への罪を犯していないのだから。いやむしろ、私たちを滅びから救ってくれたのだ。」 + ピネハスと十人の代表は、帰って一部始終を報告しました。 + イスラエル人はみな大喜びし、神をほめたたえ、二度とルベンやガドの部族と戦おうとは言わなくなりました。 + 一方、ルベンとガドの人々は例の祭壇を、「私たちにとっても彼らにとっても、主が神であることの証拠だ」と言って、「あかしの祭壇」と名づけました。 + + + 主がイスラエルを敵から守り、彼らに勝利を与えてから、かなりの年月がたち、ヨシュアも老人になりました。 + 彼は、イスラエルの指導者である長老、裁判官、長たちを呼び、語りました。「私も、もう年をとった。 + あなたがたは、私の生涯を通じて、主があなたがたのためにどれほどのことをしてくださったか、つぶさに見てきたはずだ。敵と戦い、この地を分け与えてくださったのもあなたがたの神、主である。 + 見てのとおり、私は、すでに征服した国々だけでなく、まだ征服していない国々をも各部族に分配した。ヨルダン川から地中海に至る全地域はあなたがたのものだ。主が必ず、現在そこに住んでいる人々を一掃し、約束どおり、あなたがたが住めるようにしてくださる。 + ただ、モーセの律法に記されたことは、一つ残らず守りなさい。少しでも違反してはならない。 + この地になお残っている異教の民とは、断じて交わってはならない。その神々の名を口にしてもいけない。まして神々によって誓ったり、礼拝したりすることなど、あってはならない。 + ただ、今まで同様、主にのみ従いなさい。 + 主が、目の前の強大な国を次々と追い払ってくださった以上、もうだれ一人、立ち向かう者はいない。 + あなたがたは一人で千人を向こうに回して戦うことができる。主が約束どおり、あなたがたに味方して戦ってくださるからだ。 + 心して、いつまでも主を愛し続けなさい。 + もし主を愛さず、周辺の民と結婚したりするなら、 + しっかり覚えておきなさい。主は、敵であるその住民をこの地から追い出すのをやめられるだろう。それどころか、彼らの存在はあなたがたにとって罠となり、落とし穴となる。また、わき腹を打つむち、目を刺すとげとなる。そしてついには、あなたがたのほうが主の与えてくださったこの良い地から消え失せることになるのだ。 + まもなく私は、世の人々の例にならい死を迎えるだろう。よくわかってくれていると思うが、主のお約束はすべて実現した。 + だが主は、約束どおり良いものを与えてくださったのと同じ確かさで、あなたがたが従わない場合には、災いを下す方である。ほかの神々を拝んだりすれば、この地から抹殺されることになる。主の怒りが燃え上がれば、たちどころに滅ぼされてしまうのだ。」 + +
+
+ + ヨシュアの死後、イスラエルの民は主からの指示を仰ごうと尋ねました。「カナン人と戦うには、まずどの部族が出陣すればよいでしょうか。」 + すると、「ユダ族が行きなさい。彼らに輝かしい勝利を約束しよう」と主は言いました。 + そこで、ユダ族の指導者たちは、シメオン族に加勢を求めました。「私たちの割り当て地に住む者たちを追い払うのに力を貸してほしい。その代わり、あなたたちが戦う時には必ず応援するから。」そうして、シメオンとユダの軍隊は合流して出陣しました。 + 主の助けによって、彼らはカナン人とペリジ人を打ち破りました。このベゼクでの戦闘で、なんと一万人もの敵を打ったのです。アドニ‧ベゼク王は逃げ出したものの、すぐ捕らえられ、手足の親指を切り取られました。 + 「わしもこうやって七十人もの王の親指を切り取り、わしの食卓から落ちるパンくずを食べさせたものだが、今、神はそのつけを回してこられたというわけか」と、ベゼク王は嘆きました。王はエルサレムへ連れて行かれ、そこで息を引き取りました。 + ユダ族はエルサレムを占領し、住民を打ち、町に火をかけました。 + そののちユダの軍隊は、低地に住むカナン人を攻めたばかりか、山地やネゲブのカナン人とも戦いました。 + また、以前キルヤテ‧アルバと呼ばれたヘブロンにいるカナン人に向かって進撃し、シェシャイ、アヒマン、タルマイなどの町を滅ぼしました。 + さらにそののち、以前キルヤテ‧セフェルと呼ばれたデビルを攻めました。 + カレブは、「だれか、率先してデビルを攻撃する者はいないか。占領した者には、私の娘アクサを妻として与えるぞ」と全軍に呼びかけました。 + カレブの弟ケナズの子オテニエルが、先陣を志願してデビルを占領し、アクサを花嫁に迎えました。 + アクサは嫁ぐ時、夫にそそのかされて、贈り物としてもっと土地をくれるよう父に求めました。彼女がろばから降りると、カレブは尋ねました。「どうした。何か欲しいものでもあるのか。」 + アクサは答えました。「ネゲブの地は十分に頂いたのですけれど、できれば泉も頂きたいのです。」そこでカレブは、上の泉と下の泉を彼女に与えました。 + ユダ族が、アラデの南方ネゲブの荒野の新天地に移った時、モーセの義父の子孫であるケニ族の人々も同行しました。彼らは、「なつめやしの町」と呼ばれたエリコを離れ、以後ずっといっしょに生活しました。 + そののちユダ軍はシメオン軍の加勢を得て、ツェファテの町に住むカナン人を打ち、彼らを滅ぼしました。今でも、その町はホルマ〔「絶滅」の意〕と呼ばれています。 + ユダ軍はさらに、ガザ、アシュケロン、エクロンの町々と周辺の村々を手中に収めました。 + 主の助けがあったので、山地一帯の住民を滅ぼすことができたのです。ただ、谷の住民は鉄の戦車を持っていたので、征服できませんでした。 + ヘブロンの町は、主の約束どおりカレブの手の中に落ちました。カレブは、そこに住むアナクの三人の息子を追い出しました。 + ベニヤミン族は、エルサレムに住むエブス人を根絶やしにできませんでした。それでエブス人は、今でもイスラエル人といっしょに住んでいます。 + ヨセフ族も、以前ルズと呼ばれたベテルの町を襲撃しました。主はヨセフ族とともにいました。まず、偵察隊が派遣され、 + 彼らは町から出て来た男を捕まえ、「町の城壁の出入口を教えてくれたらいのちを助けよう」と持ちかけたのです。 + 男が町に入る方法を話したので、ヨセフ族は町に攻め込み、全住民を打ちました。もちろん、その男と彼の家族だけは助かりました。 + のちに、その男はヘテ人の地に町を建て、ルズと名づけました。今も知られているとおりです。 + マナセ族は、ベテ‧シェアン、タナク、ドル、イブレアム、メギドとその周辺の町々の住民を追い出すことに失敗しました。それでカナン人は、その地にとどまり続けました。 + のちにイスラエルは強大になりましたが、カナン人を奴隷として働かせることはあっても、追い出すことはしませんでした。 + ゲゼルに住むカナン人についても同じです。彼らは今もなお、エフライム族に混じって生活しています。 + ゼブルン族も、キテロンとナハラルの住民を滅ぼすには至らず、奴隷として働かせました。 + アシェル族は、アコ、シドン、マハレブ、アクジブ、ヘルバ、アフェク、レホブの住民を追い出しませんでした。それでイスラエル人は、今なお、原住民であるカナン人といっしょに住んでいます。 + ナフタリ族は、ベテ‧シェメシュとベテ‧アナテの住民を追い出しませんでした。彼らは奴隷として、イスラエル人に混じって暮らし続けました。 + ダン族の場合は、エモリ人に圧倒されて山地へ追いやられ、谷に降りることができませんでした。 + しかし、のちにエモリ人は、ヘレス山、アヤロン、シャアルビムへと散在するにつれてヨセフ族に征服され、奴隷となりました。 + エモリ人との境界線は、アクラビムの丘陵地帯から始まり、セラと呼ばれる地点を通り、そこから上の方に及びました。 + + + ある日、主の使いがギルガルから上って来てボキムに到着し、イスラエルの民に告げました。「わたしはあなたがたを、あなたがたの先祖との約束に従って、エジプトからこの地へ連れて来た。また、あなたがたと結んだ契約を決して破らないと宣言した。 + ただし、それには条件があったはずだ。この地の先住民と友好契約を結んではならないという条件だった。この地の異教の祭壇を取り壊せと命じたではないか。それにもかかわらず、なぜ従わなかったのか。 + あなたがたが契約を破った以上、もはや無効だ。もう、あなたがたの地に住む諸国民を滅ぼすとは約束できない。それどころか、あの人々はあなたがたの悩みの種となり、彼らの神々は常に誘惑となるだろう。」 + 主の使いが語り終えると、人々は声を上げて泣きました。 + それでこの地は、ボキム〔「人々が泣いた場所」の意〕と呼ばれるようになったのです。人々はそこで主にいけにえをささげました。 + ヨシュアがイスラエルの全軍を解散させると、各部族はそれぞれ新しい領地を目指して移動し、各自の所有地を手に入れました。 + 神の人ヨシュアは百十歳で世を去り、エフライム山中、ガアシュ山の北にあるティムナテ‧ヘレスの自分の領地に葬られました。ヨシュアが生きている間、人々は主に忠実でした。彼の死後も、主がイスラエルに行った驚くべきわざを目撃した長老たちの存命中は、その態度に変わりはありませんでした。 + ところが、ヨシュアと同世代の人々がみな世を去ると、あとの世代は彼らの神を主として礼拝せず、主がイスラエルのために行ったわざさえ関心を示さなくなったのです。 + 彼らは主に禁じられたことを次から次に行い、異教の神々を拝むことさえしました。 + イスラエル人をエジプトから連れ出し、先祖たちが慕い礼拝してきた神、主を捨ててしまったのです。そればかりか、近隣諸国の偶像にひれ伏し拝んだので、主の怒りが全イスラエルに対して燃え上がりました。主に背を向け、バアルやアシュタロテのような偶像を拝むイスラエル人を、主は敵のなすままに任せたのです。 + 今や、彼らが敵と戦おうと出て行っても、主が行く手をはばむことになりました。こうなることは、主が前もって警告し、はっきり告げていたことでした。それでもなお、かつてない苦境に立たされた彼らを、 + 敵の手から救い出すために、主は士師(王国設立までの軍事的‧政治的指導者)を起こしました。 + しかしイスラエルは、その士師にさえ耳を貸そうとせず、ほかの神々を拝んで、主への信仰を捨て去りました。なんと早く、彼らは主の命令に従うことを拒み、先祖が歩んだ信仰の道から離れてしまったことでしょう。 + どの士師も生涯を通して、イスラエルの民を敵の手から救い出しました。苦しみに押しつぶされそうな人々のうめきを聞き、主があわれんだからです。こうして主は、士師のいる間はイスラエルを助けました。 + しかし、士師が死ぬと、人々はたちまち正しい道を捨て、先祖たちよりもいっそう堕落してしまったのです。人々は再び異教の神々に祈りをささげ、地にひれ伏して礼拝するようになりました。イスラエルの民はかたくなで、周辺諸国の悪習慣から抜け出すことができませんでした。 + それで、主の怒りが再びイスラエルに対して燃え上がりました。「この民は、わたしが彼らの先祖と結んだ契約を踏みにじったので、 + ヨシュアが死んだ時まだ征服していなかった民を、これ以上追い出すのはやめよう。 + むしろ彼らを用いて、イスラエル人がほんとうに先祖にならってわたしに従うかどうか試すことにしよう。」 + このように主は、これらの民を滅ぼすことを許さず、彼らをすぐにこの地から追い出さずに残したのです。 + + + カナンで戦ったことのない、イスラエルの新しい世代を試すために、主がこの地に残しておいた諸国の民は次のとおりです。主はイスラエルの若者たちに、敵を征服することによって信仰と従順を学ぶ機会を与えようとしたのです。ペリシテ人の五つの町、カナン人、シドン人、バアル‧ヘルモン山からレボ‧ハマテまでのレバノン山系に住むヒビ人。 + これらの民は新しい世代にとっての試金石となりました。モーセが与えた主の命令に、新しい世代が従うかどうかがはっきりするからです。 + それでイスラエル人は、カナン人、ヘテ人、ヒビ人、ペリジ人、エモリ人、エブス人に混じって生活しました。 + しかし、異民族を滅ぼすどころか、イスラエル人の若者は彼らの娘を妻にめとり、イスラエル人の娘たちも異民族の息子に嫁いだのです。やがてイスラエルの民は、異教の神々を拝むようになりました。 + このように彼らは、彼らの神、主を裏切って、主の目に悪を行い、バアルやアシェラなどの偶像を拝んだのでした。 + それで、主の怒りが燃え上がりました。イスラエルはメソポタミヤの王クシャン‧リシュアタイムに征服され、八年間その支配に服することになったのです。 + しかし、イスラエルが主に叫び求めると、主は救いの手を差し伸べ、カレブの甥オテニエルを遣わしました。 + 主の霊が彼を支配していたので、彼はイスラエルの改革と粛清を断行しました。その結果、オテニエルの率いるイスラエル軍がクシャン‧リシュアタイム王の軍勢と対戦した時、主はイスラエルに加勢し、彼らに完全な勝利を収めさせたのです。 + こうして、オテニエルが治めた四十年の間は平和が続きました。エフデところが彼が世を去ると、 + イスラエルの民は再び罪を犯すようになりました。すると主はモアブの王エグロンに加勢し、彼らにイスラエルの一部を占領させました。 + エグロン王と同盟を結んだのは、アモン人とアマレク人でした。同盟軍はイスラエルを破り、「なつめやしの町」と呼ばれたエリコを手に入れました。 + こうしてその後十八年の間、イスラエルの民はエグロン王の圧制に苦しむことになったのでした。 + イスラエル人が主に叫び求めると、主は、ベニヤミン人ゲラの子で左ききのエフデを救助者として立てました。エフデは、モアブの都に年貢を届ける務めに任じられていました。 + 彼は出発を前にして、長さ一キュビト(約四十四センチ)の両刃の短剣を作り、右ももに皮ひもでくくりつけて服の下に隠しました。 + エグロン王はたいへん太っていました。貢ぎ物を渡すと、エフデは帰路につきました。ところが、町を出てギルガルの石切り場まで来た時、彼は同行の者を先に帰し、一人で王のもとへ戻ったのです。エフデは王に言いました。「王よ、内々に申し上げたいことがございます。」王はすぐに、お付きの者たちに座を外させ、二人きりになりました。 + 涼しい屋上の部屋に座っている王に歩み寄りながら、エフデは言いました。「実は、神のお告げがございまして……。」王は、お告げを受けようと立ち上がりました。 + すかさずエフデは左手を伸ばし、隠し持った短剣を抜き放ち、王の腹めがけて突き刺したのです。 + 短剣は柄までくい込んではらわたが流れ出し、刃は脂肪にふさがれて抜けなくなりました。すばやくエフデは部屋の戸に錠をかけ、階段伝いに逃げました。 + 戻って来た家来は部屋の戸に錠がかかっているので、王は用を足しているのだろうと思い、しばらく待っていました。 + ところが、いつまで待っても王が戸を開けないので、心配になって開けてみると、なんと王は床に倒れて死んでいました。 + その間にエフデは、石切り場を駆け抜けてセイラへ逃げました。 + そして、エフライムの山地にたどり着くと、ラッパを吹き鳴らして兵を集め、全軍を指揮下に置いたのです。 + 「私に続け。主はモアブに勝たせてくださるぞ!」エフデは全軍に呼びかけました。エフデは進軍し、モアブに通じるヨルダン川の渡し場を押さえて、人っ子ひとり通らせないようにしました。 + それからモアブを襲い、屈強のモアブの勇士、約一万人を打ち、一人も逃しませんでした。 + モアブはその日のうちに征服され、そののちイスラエルには八十年の間、平和が続きました。 + エフデの次に士師になったのは、アナテの子シャムガルでした。彼は牛の突き棒で、ペリシテ人を一度に六百人も打ち、イスラエルを災いから救いました。 + + + エフデが世を去ると、イスラエルの民はまた主に罪を犯しました。 + それで主は、ハツォルにいたカナン人の王ヤビンにイスラエルを征服させたのです。王の軍の将軍はシセラで、ハロシェテ‧ハゴイムに住んでいました。彼は鉄の戦車九百台をかかえ、二十年間イスラエル人を悩まし続けたので、イスラエル人はついに主に助けを求めました。 + そのころイスラエルの指導者で民を神に立ち返らせる務めを負っていたのは、ラピドテの妻、女預言者デボラでした。 + 彼女は、エフライム山中のラマとベテルの間にある「デボラのなつめやしの木」と呼ばれる場所にいて、人々はそこに行って争い事を裁いてもらっていたのです。 + ある日デボラは、ナフタリの地のケデシュに住むアビノアムの子バラクを呼び寄せ、言い渡しました。「イスラエルの神、主があなたに、ナフタリとゼブルンの両部族から一万人を動員せよとおっしゃっています。その一万の兵を率いてタボル山へお行きなさい。 + もちろん戦う相手は、ヤビン王の軍勢、シセラ将軍の指揮のもとで戦車を擁する大軍です。主は、『敵をキション川に引き寄せるから、そこで打ち破れ』とおっしゃいます。」 + バラクは彼女に言いました。「わかりました。ご命令のとおりにしましょう。しかし、あなたにもごいっしょ願いたいのです。」 + 「いっしょに行きましょう。ただし今のうちに言っておきますが、シセラを倒す栄誉はあなたではなく、一人の女が受けることになりますよ。」こう言って、デボラはバラクとともにケデシュへ向かいました。 + バラクがゼブルンとナフタリの人々から義勇兵を募ると、一万人がケデシュに結集しました。デボラもいっしょでした。 + さて、モーセの義兄弟ホバブの子孫のケニ人でヘベルという人が、氏族の者から離れて、ケデシュ近郊のツァアナニムの樫の木の近くに天幕を張っていました。 + 将軍シセラは、バラクの率いるイスラエル軍がタボル山に陣を敷いたとの知らせを受けて、 + 鉄の戦車九百台を備えた全軍を動員し、ハロシェテ‧ハゴイムからキション川へと進みました。 + その時、デボラはバラクに言いました。「さあ、今こそ攻撃のチャンスですよ。主が先頭に立っておられます。もうシセラのいのちはあなたの手に渡されています。」そこでバラクは、一万人を率いてタボル山を下り、戦いに臨みました。 + 主がシセラの兵と戦車隊をパニックに陥れたので、敵は総くずれとなり、シセラは戦車から飛び降り、走って逃げ出しました。 + バラクの軍隊は、敵兵と戦車をハロシェテ‧ハゴイムまで追いつめ、ついに打ち滅ぼし、生き残った兵は一人もいませんでした。 + ところがシセラだけは、ケニ人ヘベルの妻ヤエルの天幕に逃げ込みました。ハツォルの王ヤビンとヘベルの一族との間は友好関係にあったからです。 + ヤエルはシセラを迎えに出て、「まあ、シセラ様、どうぞお入りくださいませ。ここならもう安心、ご心配には及びません」と言いました。そして天幕に入ったシセラに、毛布をかけて休ませました。 + シセラは、「頼む、水をくれないか。のどがからからだ」と訴えました。ヤエルは牛乳を与え、また、毛布をかけてやりました。 + シセラは、「お願いだ、天幕の入口で見張っていてくれ。もし、だれかが私を捜しに来ても、『ここにはいない』と追っ払ってほしい」と頼みました。 + しかしヤエルは、先のとがったテントの杭と槌を手に取るや、眠っているシセラに忍び寄り、こめかみ目がけて打ち込んだのです。杭は地面をも刺し通し、シセラの息の根を止めました。疲労困憊して眠りこけていたからです。 + バラクがシセラを捜して追って来た時、ヤエルは迎えに出て、「どうぞこちらへ。あなたがお捜しの方をお目にかけます」と言いました。案内されるままに中へ入ると、杭がこめかみに突き刺さったまま死んでいるシセラの姿がありました。 + こうして、その日のうちに、主はカナンの王ヤビンの軍勢を打ち破らせたのです。 + その時以来、イスラエルの勢力はしだいに王ヤビンを圧するようになり、ついにヤビンとその民を絶ち滅ぼしました。 + + + デボラとバラクは、この大勝利をたたえて歌いました。 + 「主をほめたたえよ。イスラエルの指導者が雄々しく先頭を行くと、民は喜んで従った。そうだ、主をほめたたえよ。 + 王よ、君主よ、耳を傾けよ。イスラエルの神、主にささげる私の歌声に。 + 主がセイルからわれわれを導き出し、エドムの平原を進まれた時、地は震え、天は雨を降らせた。 + イスラエルの神、主の前では、シナイ山さえ揺れ動いた。 + シャムガルの日々に、ヤエルの日々に、街道は荒れ果て、旅人は細いわき道を通った。 + デボラがイスラエルの母となるまでは、イスラエルの人口は減り続けた。 + イスラエルが新しい神々を選んだ時、すべてが衰えた。いったい、どこのだれが盾や槍を持たせてくれるというのか。イスラエルの兵四万のうちから武器は消えた。 + 喜んで自らをささげるイスラエルの指導者たちの姿に、どれほど私は喜んだことか。主をほめたたえよ。 + 全イスラエルよ、貧しい者も富む者も賛美の列に加われ。さあ、白いろばに乗り、豪華な敷物に座る者も、歩くほかない貧しい者も。 + 村の楽隊は井戸の回りに集まり、主の勝利を歌う。くり返しくり返し、主がどれほど、農民の軍隊イスラエルをお助けくださったかを。主の民は、城門を通って行進した。 + 目を覚ませ、デボラ。高らかに歌え。起きよ、バラク。アビノアムの子よ、とりこを引き連れて進め。 + 生き残った者は堂々とタボル山から下りて来た。主の民は、大敵を向こうに回して降りて来た。エフライムから、ベニヤミンからマキルから、ゼブルンからやって来た。 + イッサカルの指導者はデボラやバラクともども谷へと下った。谷を突進することが、主のご命令だから。ルベン族は出て行かなかった。 + なぜ、おまえは牧場の柵内の家に座し、羊飼いの笛をもてあそんでいたのか。そうだ。ルベン族は落ち着きを失っている。 + なぜ、ギルアデはヨルダン川の向こうでとどまったのか。なぜ、ダンは舟から下りて来なかったのか。なぜ、アシェルは海辺に座り込み、波止場でのんきにかまえていたのか。 + しかし、ゼブルンとナフタリの両部族はいのちを賭して戦場に赴いた。 + カナンの諸王はメギドの泉のほとりタナクで抗戦したが、勝利は得られなかった。 + 天の星さえもシセラと戦った。 + キションの逆巻く流れが彼らを押し流したのだ。わが心よ、勇ましく進め。 + 聞け、敵軍のひづめが地を踏み鳴らす音を。見よ、軍馬が跳ね回る姿を。 + だが、主の使いはメロズの町にのろいをかけた。『その住民を激しくのろえ。主の民を助けにも来ず、敵と戦いもしなかった者たちめ』と。 + 祝福あれ、ケニ人ヘベルの妻、ヤエルに。天幕に住む女のうち、彼女ほど祝福された者はない。 + 水を求めるシセラにヤエルは高価なコップで牛乳を勧めた。 + 天幕の杭と職人の槌とを手に取るや、シセラのこめかみを刺し通し、その頭を砕いた。杭が頭を刺し通すまで打ち続けた。 + ついにシセラはヤエルの足もとに倒れて死んだ。 + シセラの母は、窓から外を眺めながら、息子の帰りを待っていた。『なぜ、あの子の戦車はなかなか戻らないのか。なぜ、あの車の音が聞こえないのか。』 + 女官たちは答え、母もくり返した。 + 『戦利品が多くて分配に手間取るのでしょう。勇士はおのおの、一人か二人の娘をあてがわれ、シセラ様は豪華な織物を手にし、贈り物をどっさり携えてお帰りになるでしょう。』 + 主よ、敵をみなシセラのように滅ぼしてください。主を愛する者を太陽のように輝かせてください。」そののち、イスラエルには四十年間、平和が続きました。 + + + やがてイスラエルの民は、またもや他の神々を拝み始めました。それで主は、敵を起こしてイスラエルを懲らしめたので、彼らはミデヤン人に七年間苦しめられることになりました。 + ミデヤン人はとても残忍だったので、イスラエル人は山に難を避けて、洞窟やほら穴に身を隠しました。 + また、イスラエル人が種をまくと、ミデヤン人やアマレク人をはじめ、近隣の国から略奪者が来て農作物を荒らしたり、ガザに至るまで各地を荒らし回り、食糧を全部奪い取ったのです。羊、牛、ろばも奪って行きました。 + 彼らはおびただしい数のらくだの群れを連れて来て、その地を荒らし尽くすまで動きませんでした。 + そのためイスラエルは、ミデヤン人のために衰え果ててしまいました。 + ついに、たまりかねた人々は、主に助けを求めて叫びました。 + 主は一人の預言者を遣わして応えました。「イスラエルの神、主は、あなたがたをエジプトでの奴隷生活から救い出してくださった。 + また、エジプト人やあなたがたを苦しめる者たちの手から助け出し、敵を一掃して、この地を与えてくださったのだ。 + その神様が、『わたしは、あなたがたの神である主だ。あなたがたの回りを取り囲むエモリ人の神々を拝んではならない』とお命じになったではないか。それなのに、あなたがたは聞き従わなかった。」 + ある日、主の使いが現れ、アビエゼル人ヨアシュの農地内にあるオフラの樫の木の下に座っていました。ヨアシュの子ギデオンは、酒ぶね〔ぶどうを絞ってぶどう酒を作るために、岩に掘られた箱形の穴〕の中で小麦を打っていました。ミデヤン人から身を隠していたのです。 + 主の使いはギデオンの前に立ち、「勇士よ、主はあなたとともにおられる」と告げました。 + ギデオンは答えました。「初めてお目にかかりますが、どうか教えてくれませんか。主が共におられるのなら、なぜ、こんなことが次から次へと起こるのですか。先祖から聞かされました。主がエジプトから導き出してくださった時には、驚くべきみわざがたくさん行われたと。なのに、今はどうです。そんなみわざのかけらもないではありませんか。もう主は私たちを見捨てて、ミデヤン人にしたい放題をさせ、踏みつけられるに任せておられるのです。」 + すると主は、ギデオンに向かって言いました。「わたしがあなたを強くする。行きなさい。イスラエルをミデヤン人から救い出すのだ。わたしがあなたを遣わす。」 + ギデオンは答えました。「主よ、とんでもありません。私がイスラエルを救うことなど、できるわけありません。私の家はマナセ族の中で最も弱く、それに私は家で一番年下なのです。」 + 主は彼に言います。「神であるわたしがついているのだ。だからあなたは、たちどころにミデヤンの大軍を打ち破ることができる。」 + 「もしそれがほんとうなら、その証拠にしるしを見せてください。今、語りかけてくださっているあなたが主であることを見せてほしいのです。 + でも、少し待っていてくださいませんか。あなたに贈り物を差し上げたいのです。」「わかった。あなたが戻るまで待っていよう。」 + ギデオンは大急ぎで家に駆け込んで子やぎを一匹焼き、一エパ(約二十二リットル)の粉で種を入れないパンをこしらえました。次いで肉をかごに詰め、スープをなべに入れて、樫の木の下にいる御使いのところに持って来て差し出しました。 + すると、御使いはギデオンに言いました。「肉とパンをあそこの岩の上に置いて、スープをかけてみなさい。」ギデオンが言われたとおりにすると、 + 御使いは手にしていた杖で肉とパンにさわりました。すると、たちまち岩から火が燃え上がり、肉とパンを焼き尽くしてしまったのです。その瞬間、御使いの姿は見えなくなりました。 + ギデオンは、ほんとうにそれが主の使いであったと知って、思わず叫びました。「ああ、主なる神様! 私は面と向かって主の使いを見てしまいました。」 + すると、主の声がありました。「大丈夫だ、心配しなくていい。あなたは死にはしない。」 + ギデオンはそこに祭壇を築き、「主との平和の祭壇」と名づけました。この祭壇は、今もアビエゼル人の地オフラにあります。 + その夜、主はギデオンに、父親の一番上等の雄牛を、父親の持っているバアルの祭壇のところへ引いて行き、祭壇を引き倒し、そばにある女神アシェラの木像を切り倒すように命じました。 + 「さあ、わたしのために、高い所に石を積んで祭壇を築き直しなさい。次に、さっきの雄牛を焼き尽くすいけにえとして祭壇にささげ、壊した木像をくべて火をたきなさい。」 + そこでギデオンは、十人の使用人を駆り出して、命じられたとおりにしました。ただ、家族や町の人々の目をはばかって、夜中にそれを行いました。もし見つかれば、どんな目に会うかわかっていたからです。 + 翌朝早く、町がにぎわい始めるころ、人々は、バアルの祭壇が取り払われ、そばのアシェラの偶像も壊されて、代わりに新しく築かれた祭壇の上に雄牛のいけにえがささげられているのを見つけました。 + 「いったい、どこのだれがやったのだ。」人々は調べ回り、ついにヨアシュの子ギデオンのしわざであることを突き止めました。 + 人々はヨアシュに怒りをぶつけました。「息子を出せ! あんなやつは殺してやる! よくもバアル様の祭壇をめちゃめちゃにして、おまけにアシェラ様の像まで壊してくれたな。」 + しかしヨアシュは、たけり狂う人々を前にして言い返しました。「バアル様は、おまえたちに助けてもらわなきゃならないのか。なんとだらしない神様なのだ。おまえたちはこんな情けないバアル様のために、いのちを投げ出そうというのか。もしほんとうの神様なら、ご自分の祭壇を壊した者など、さっさとやっつけておしまいになればいいのだ。」 + この時からギデオンは、「エルバアル」とあだ名されるようになりました。「バアルは自分の面倒ぐらい見るがよい」という意味です。 + それからしばらくして、ミデヤン人、アマレク人、その他の近隣諸国が連合してイスラエルに対抗しようと兵を挙げ、その軍勢はヨルダン川を渡り、イズレエルの谷に陣を敷きました。 + すると、主の霊がギデオンをとらえたので、ギデオンが召集ラッパを吹き鳴らすと、アビエゼルの男たちが結集しました。 + マナセ、アシェル、ゼブルン、ナフタリにも使者を送り、戦士を募ると、みな応じました。 + ギデオンは神に願い出ました。「お約束どおり、イスラエルを救うために私を立ててくださるおつもりなら、 + 今夜、打ち場に羊の毛を置いておきますから、明日の朝、羊の毛だけが露でしめり、土が乾いているようにしてください。そうすれば、あなたがついていてくださるのだと確信できます。」 + すると翌朝、そのとおりのことが起こりました。ギデオンが早く起きて羊の毛をしぼると、鉢いっぱいの水がしたたり落ちたのです。 + ギデオンはまた主に願いました。「どうか、お怒りにならないでください。もう一度だけ試させていただきたいのです。今度は反対に、羊の毛だけを乾かして、地面全体をしめらせてください。」 + 主はギデオンの願いどおりにされました。その夜、羊の毛は乾いたままで、地面は露で覆われていたのです。 + + + それで、エルバアル、すなわちギデオンの率いる軍勢は朝早く出立し、ハロデの泉まで進みました。ミデヤンの連合軍はその北の方、モレの山沿いの谷に陣を敷いていました。 + その時、主はギデオンにこのように告げました。「兵が多すぎる。このままでミデヤンと戦わせるわけにはいかない。イスラエルの民が自力で勝ったつもりになって、わたしに対して誇ってしまうかもしれないからだ。 + 臆病風に吹かれている者は、すぐに家に帰らせなさい。」すると、兵のうち二万二千人が去り、戦闘意欲のある者だけ一万人が残りました。 + しかしなお主はギデオンに、「まだ多すぎる。全員を連れて泉のほとりに下りなさい。だれがあなたとともに行くべきで、だれが行くべきでないか、はっきりと示そう」と言います。 + ギデオンは一同を水辺に集合させました。すると主の声があって、「水の飲み方で全員を二組に分けなさい。手で水をすくい、口にあてて飲む者と、かがみ込んで犬のように口を水につけて飲む者とを振り分けなさい。」すると、手で水をすくって飲んだのは三百人だけで、ほかの者はみな、水に口をつけて飲んだのです。 + そこで主はギデオンに言われました。「わたしは、手ですくって飲んだ三百人でミデヤン人を征服しよう。残りの者はすべて家へ帰らせなさい。」 + ギデオンは、彼らが持っている兵糧用のつぼと角笛(ラッパ)を供出させてから、三百人だけを残し、あとの者は帰宅させました。さて、ミデヤン人の陣営はギデオンたちの所から眼下に見下ろせる谷にありました。その夜、主はギデオンに命じました。「起きなさい! ミデヤンの陣地に突入しなさい! 必ず勝利するから。 + しかし心配なら、部下のプラを連れて敵陣に侵入し、 + 敵の間でどんな会話が交わされているか、自分の耳で確かめるがいい。勇気百倍になって攻撃に出られるはずだ。」ギデオンはプラを連れ、闇にまぎれて敵の前哨基地にもぐり込みました。 + ミデヤン人、アマレク人、そのほか東方諸国の兵士がいなごのように谷に群がり、らくだも浜辺の砂のように数えきれないほどでした。一つの天幕まで近づくと、ちょうど一人の男が、彼の見た恐ろしい夢を仲間に話しているところでした。「全くいやな夢を見たよ。どでかい大麦のパンのかたまりが、この陣地めがけて転がり落ちて来るのさ。それで、テントをぺしゃんこにしてしまうのだ。」 + 「そりゃ、こうに違いないよ。イスラエル軍にヨアシュの子のギデオンというのがいてな、そいつがわれわれ連合軍を全滅させようとしてるんだ。」 + これを聞いたギデオンは、その場に立ち尽くしたまま、主を礼拝しました。すぐさまイスラエルの陣営に取って返し、こう叫びました。「集まれ! 主はわれわれの手にミデヤンの大軍を渡してくださるのだ!」 + 彼は三百人を三隊に分け、めいめいに角笛とつぼを持たせました。つぼには、たいまつが隠してありました。 + 「よいか。敵の最前線に着いたら、私がするとおりにするのだ。 + 私と私の部隊の者が角笛を吹いたら、ほかの部隊の者も敵陣をぐるりと取り囲んで、いっせいに角笛を吹き鳴らせ。そして、『主のために、ギデオンのために戦うぞ!』と叫ぶのだ。」 + ギデオンの率いる百人が、ミデヤン軍の前線に忍び込んだ時は真夜中で、ちょうど歩哨の交替が終わったところでした。この時とばかり、彼らはラッパを吹き鳴らし、つぼを打ち砕きました。暗闇の中で、たいまつがぱっと燃え上がります。ほかの二百人も同じようにしました。右手に持ったラッパを吹き鳴らし、左手にたいまつを掲げながら大声で叫んだのです。「主のために、ギデオンのために戦うぞ!」 + 敵の大軍は大混乱に陥り、右往左往し、悲鳴を上げて逃げ出しました。イスラエル軍は、ただ立って見ているだけで十分でした。 + 大混乱の中で、主はミデヤン軍全体が同士打ちするようにさせたので、そこは修羅場と化し、生き延びた者たちは闇の中をツェレラ近くのベテ‧ハシタや、タバテに近いアベル‧メホラの境界まで逃げて行きました。 + ギデオンは、ナフタリ、アシェル、マナセの軍隊を呼び寄せ、逃走中のミデヤン軍を追撃して滅ぼすよう命じました。 + また、エフライムの山地全域に使者を送り、エフライム人にベテ‧バラにあるヨルダン川の渡し場を押さえさせ、ミデヤン軍の退路を閉ざしました。 + 彼らはミデヤン軍の二人の将軍、オレブとゼエブを捕らえ、オレブは、今では「オレブの岩」と呼ばれるようになった岩の上で殺され、ゼエブも、「ゼエブの岩」と呼ばれるようになった酒ぶねの中で殺されました。こうしてイスラエル軍は、ヨルダン川の西側にいたギデオンのもとに二人の首を届けました。 + + + ところが、エフライム人の指導者たちはギデオンに詰め寄り、激しく彼を責めました。「ミデヤン人との初陣で、なぜわれわれに声をかけてくれなかったのだ。」 + 「あなたがたには、神様がちゃんと、ミデヤンの将軍オレブとゼエブを捕らえさせてくださったではないですか。それに比べたら私のしたことなど取るに足りません。この戦いの最後を飾ったのはあなたがたですよ。そのほうが、戦いをしかけるよりも大仕事だったのではありませんか。」ギデオンの答えに、彼らはようやく怒りを収めました。 + それから、ギデオンと三百人の兵士はヨルダン川を渡りました。かなり疲れていましたが、追撃の手はゆるめません。 + ギデオンは、スコテの人々に食べ物をくれるよう頼みました。「われわれは、ミデヤン人の王ゼバフとツァルムナを追いかけているが、くたくたのうえ空腹なんです。」 + しかし、スコテの指導者たちからは冷淡な返事が戻ってきただけでした。「まだゼバフとツァルムナを捕らえたわけではないだろう。食べ物を恵んだのに負けられでもしたら大変なことになる。あいつらはここへ来て、われわれを殺すに違いないから。」 + そこでギデオンは、こう警告しました。「主が二人を捕らえさせてくださったあかつきには、ここに戻って来て、野のいばらやとげで、おまえたちの身を引き裂いてくれよう。」 + それからペヌエルに上り、食糧を求めたところ、ここでも同じ返事でした。 + そこで、ギデオンはペヌエルの人々にも警告しました。「この戦いに決着がついたら、戻って来てこのやぐらをたたき壊してやる。」 + そのころゼバフ王とツァルムナ王は、残りの兵一万五千とともにカルコルにたてこもっていました。これが生き残ったすべてで、すでに連合軍の兵士は十二万人が戦死していたのです。 + ギデオンは、ノバフとヨグボハの東にある隊商路を迂回して、ミデヤンの陣営を急襲しました。 + 二人の王は逃げ出しましたが、ギデオンが追いかけて捕らえたので、敵軍は総くずれとなりました。 + 戦いがすんで、ギデオンはヘレスの坂道を通って帰路につきましたが、 + その時、スコテから一人の若者を捕らえて来て、町の七十七名の名前を挙げさせました。 + そこで、ギデオンはスコテに取って返し、こう言いました。「よくも、ゼバフ王やツァルムナ王を捕らえられないだろうとあざけってくれたな。それに、疲れて空腹をかかえていたわれわれに、パン一つ与えなかった。よく見るがいい。これがゼバフとツァルムナだ。」 + ギデオンは町の重要人物を捕らえ、野生のいばらやとげを取って彼らを打ち、 + またペヌエルにも赴いて町のやぐらを破壊し、男子全員を殺しました。 + それからギデオンは、ゼバフ王とツァルムナ王に問いただしました。「おまえたちがタボル山で殺した者たちはだれに似ていたか。」「あなたと同じような服を着ていました。まるで王子のようでした。」 + 「ああ、私の兄弟に違いない。誓ってもいい。彼らを殺さずにいてくれたら、おまえたちを助けてやったのに。」 + ギデオンは長男エテルに、二人を殺すように命じました。しかし、エテルはまだ少年だったので、恐ろしくて剣を抜くことができません。 + ゼバフとツァルムナはギデオンに懇願しました。「あなた自身が手を下してください。われわれも、あなたのような大人に殺されたほうがいい。」そこで、ギデオンがとどめを刺し、二人のらくだの首にかけてあった飾りをはずしました。 + その時、イスラエルの人々は叫びました。「ばんざい!あなたもご子息も、子々孫々に至るまで私たちを治めてください。あなたが私たちをミデヤン人からお救いくださったのですから。」 + しかし、ギデオンは答えました。「私は王にはならない。息子もそうだ。主があなたがたを治める王だ。そこで、一つ聞いてほしいことがある。敵から分捕った耳輪を私に渡してもらえないか。」ミデヤン軍はイシュマエル人だったので、金の耳輪をつけていたのです。 + 「喜んで」と彼らは答え、上着を広げると、一人一人、分捕り物の耳輪を投げ込みました。 + 集まった金の耳輪は全部で千七百シェケル(約二十キログラム)にも上りました。このほかにも、投げ込まれた三日月形の飾り、垂れ飾り、王衣、らくだの首飾りなどがありました。 + ギデオンはそれらの金で、エポデ〔そでなしの上着。普通は祭司が着るが、ここでは金の装飾がついて重く、壁にかけた〕を作り、自分の町オフラに置きました。ところが、イスラエル人はみな、それを拝んで淫行にふけるようになり、ギデオンとその一族にとって悪への落とし穴となりました。 + 以上が、ミデヤン人がイスラエル人に屈服するに至った経過です。ミデヤン人は二度と立ち直れず、ギデオンが生きている四十年間は、イスラエルに平和が続きました。 + ギデオンは自分の家に帰ってそこに住みました。 + 彼には息子が七十人もいました。大ぜいの妻がいたからです。 + また、シェケムにも内縁の妻が一人おり、アビメレクという男の子がいました。 + 年老いたギデオンはついに世を去り、アビエゼル人の地オフラにある、父ヨアシュの墓に葬られました。 + ギデオン亡きあと、イスラエル人はたちまちバアルやバアル‧ベリテの偶像崇拝に陥りました。 + 周囲のすべての敵から救い出してくださった彼らの神、主を、もう心に留めようとはしなかったのです。 + 人々はギデオンの数々の功績を忘れ、その一族を手厚く待遇することも怠りました。 + + + ある日、ギデオンの息子アビメレクは、シェケムに住む母方のおじたちを訪ねて言いました。 + 「シェケムのすべての首長のところへ行って話していただけませんか。ギデオンの七十人の息子に支配されるのがよいか、それとも、皆さんの身内である私に支配されるのがよいか尋ねてほしいのです。」 + おじたちは町の首長を訪ね、アビメレクの考えを伝えて相談しました。すると、母親がこの町の者だということで、彼らはアビメレクを受け入れたのです。 + 事が決まると、彼らはバアル‧ベリテの偶像にささげた金を、仕度金としてアビメレクに渡しました。彼はさっそくその金で、自分の言いなりになりそうなならず者たちを雇いました。 + そして、彼らを率いてオフラにある父の家に行き、そこにある石の上で、腹違いの兄弟七十人を殺してしまったのです。ただ、最年少のヨタムだけは隠れていたため生き延びました。 + シェケムとベテ‧ミロの住民は、シェケムの要塞のそばにある樫の木の下に集まって相談し、アビメレクをイスラエルの王にまつり上げました。 + これを知ったヨタムは、ゲリジム山の頂上に立ち、シェケムの人々に大声で叫びました。「神に祝福されたければ、私の言うことを聞いてくれ。 + 昔、木々が自分たちの中から王を選ぶことにした。最初に、オリーブの木に王になってくれと頼んだが、 + 断られてしまった。『私は神と人とを祝福するためのオリーブ油を作り出すのが楽しいんだよ。ただ木々の上にそよいでいるだけだなんて、まっぴらだ。』 + それで木々たちは、いちじくの木に、『あなたこそわれわれの王だ』と言った。 + しかし、いちじくの木も断った。『甘い実をならすのをやめてまで、ほかの木の上に頭をもたげようとは思わない。』 + それで、ぶどうの木に、『どうか私たちを治めてください』と頼んだ。 + しかし、ぶどうの木も断った。『私は神と人とを楽しませるぶどう酒を作り出すのをやめてまで、ほかの木より偉くなろうなんて思わない。』 + そこで、とうとういばらに、『あなたが王になってくれないか』と懇願した。 + いばらは答えた。『ほんとうにそう思うのなら、私の陰に身を低くしてもらおう。それがいやなら、私から火が燃え上がって、レバノンの大杉まで焼き尽くしてしまうから。』 + さあ、はっきりしてもらいたい。アビメレクを王にしたことは正しいことだったかどうか。それが、ギデオンとその家族を正しく扱ったことになるかどうか。 + 私の父はあなたたちのために戦い、命がけでミデヤン人から救い出した。 + それなのに、あなたたちは父に反逆し、息子七十人を石の上で殺すようなまねをした。そのうえ、女奴隷の子アビメレクを、身内というだけで王にした。 + これがギデオンとその家族とに対する正しい態度であるなら、あなたたちもアビメレクも末長く幸福だろう。 + だが、もし正しくないなら、アビメレクはシェケムやベテ‧ミロの住民と、互いを滅ぼし合うことになるだろう。」 + そののちヨタムは、アビメレクを恐れてベエルに逃げ、そこに住みつきました。 + 三年が過ぎたころ、神がアビメレク王とシェケムの住民との間にもめ事を起こさせたので、シェケムの住民は、アビメレクに反旗をひるがえしました。 + その結果、アビメレクと、ギデオンの七十人の息子殺害に加担した者たちとに、殺人に対する報復がなされることになったのです。 + シェケムの住民は、峠の小道のわきに、アビメレクを待ち伏せする者を潜ませました。ところがその者たちが、手当たりしだいに通行人を襲って略奪したので、やがてこの陰謀はアビメレクの知るところとなりました。 + 当時、エベデの子ガアルが兄弟といっしょにシェケムに移住し、町の要職に就いていました。 + その年の収穫祭が、シェケムの彼らの神の宮で催されていた時のことです。ぶどう酒の酔いが回ると、人々は口々にアビメレクの悪口を言い始めました。 + ガアルは大声で言いました。「アビメレクが何だっていうんだ。どうしてあいつが王にならなきゃならないのだ。あんなやつにペコペコしていられるか。やつも仲間のゼブルも、私たちが仕えるような者たちなのか。 + みんな、私に託してくれるなら、あんなやつ、あっという間に片づけてやる。アビメレクよ! せいぜい強い者を集めて出て来い! いつでも相手になってやる。」 + 町長のゼブルはガアルの暴言を聞くと、怒りに震えました。 + さっそくアルマにいるアビメレクに使者を遣わして、こう言わせたのです。「エベデの子ガアルが、身内の者といっしょにシェケムに来ています。彼らは今、町中をあなたに背かせようとやっきになっています。 + 夜のうちに兵を率いて野へ行き、隠れていてください。 + 朝早く、日が昇るころ、町に突入するのがよろしいでしょう。ガアルとその一味が手向かって来たら、それこそ、思いどおりに打ち負かすことができます。」 + アビメレクとその部隊は夜中に出動し、四隊に分かれて、シェケムの町を取り囲みました。 + 翌朝、ガアルが町の長老と話し合うために町の門のところに座った時、アビメレクの部隊は、いっせいに攻撃を開始しました。 + それを見たガアルは、ゼブルに叫びました。「見ろ、あの山を! 大ぜい駆け降りて来るぞ。」「いや、山の影が人のように見えるだけですよ。」 + 「なに、私の目がふし穴だと言うのか。よく見ろ! 確かに人がこっちへ来る。ほかの一組は、メオヌニムの樫の木の方から来るぞ。」 + するとゼブルは向き直り、勝ち誇って言いました。「あれほど大口をたたいたのは、どこのどなたですか。『アビメレクがどうした! なんであんなやつを王にした!』とわめいたのはだれでしたかね。あなたが見くびってののしった者たちが、町を取り囲んだではありませんか。さあ、早く戦ったらどうです。」 + そこで、ガアルはシェケムの住民を率いて、アビメレクと一戦を交えました。 + しかし、たちまち打ち負かされ、町の門のところまで死傷者があふれかえりました。 + アビメレクはその後もアルマにとどまり、ゼブルはガアルとその一族をシェケムから追放し、二度と住まわせないようにしました。 + 翌日、シェケムの住民は再び戦おうと出て行きましたが、そのことをアビメレクに通報する者があったので、 + 彼は兵を三隊に分け、野で待ち伏せました。そして、住民が勇んで出て来たところを襲いかかったのです。 + アビメレクとともにいた部隊は、彼らが引き返せないように町の門を占拠し、ほかの二隊は野で彼らを打ち殺しました。 + 戦闘は一日中続き、ついにアビメレクは町を占領し、住民を殺して町を破壊しました。 + これを見て、近くのミグダルの町の住民は、バアル‧ベリテの宮に続くとりでに逃げ込みました。 + このことを聞いたアビメレクは、兵を率いてツァルモン山に登り、斧で木の枝を切り、束ねて背負うと、「私のやるようにしなさい」と彼らに命じました。 + そこで彼らはめいめい急いで枝を切って束ね、かついでとりでの町に引き返しました。そしてアビメレクのするとおり、たきぎをとりでの回りに積み上げ、火をつけたのです。それで、とりでの中にいた約千人の男女が焼け死にました。 + 次にアビメレクは、テベツの町を攻撃し、占領しました。 + しかし、町にはとりでがあったので、住民はみな、そこに逃げ込み、バリケードを築いて立てこもり、屋根に見張りを立てました。 + そこで、アビメレクがとりでを焼き打ちにしようと近づいた時、 + 屋根の上にいた一人の女が石臼を投げたのです。それがアビメレクの頭上に落ち、頭蓋骨を打ち砕きました。 + 「殺してくれ!」苦しむアビメレクは、よろい持ちの若者に向かってうめきました。「女の手にかかって死んだなど言われてたまるか。」ほかにどうしようもなく、その若者は剣でアビメレクを刺し通しました。これがアビメレクの最期でした。 + 彼の兵たちは、アビメレクが死んだのを見て散り散りになり、家へ帰ってしまいました。 + こうして神は、ギデオンの七十人の息子殺害の罪を、アビメレクとシェケムの人々に報いたのです。同時に、生き残ったギデオンの末子ヨタムののろいも実現したのです。 + + + アビメレクの死後、イスラエルの士師として立てられたのは、ドドの孫、プワの子トラでした。この人はイッサカル族の出身で、エフライムの山地にあるシャミルの町に住んでいました。 + 彼は二十三年間、士師としてイスラエルを治めました。 + 彼が世を去ってシャミルに葬られると、ギルアデ出身のヤイルが後継者となり、二十二年間イスラエルを治めました。 + ヤイルの三十人の息子は、三十頭のろばを乗り回し、ギルアデにある三十の町を所有していました。それらの町は今も「ヤイルの町」と呼ばれています。 + ヤイルは死んで、カモンに葬られました。 + するとまたも、イスラエルの民は主から離れ、バアルやアシュタロテといった異教の神々を拝み、シリヤ、シドン、モアブ、アモン、ペリシテの神々に仕えるようになりました。そればかりか、真の神を礼拝することなど、きれいさっぱりやめてしまったのです。 + これが主の怒りを引き起こさないはずはなく、主は直ちにペリシテ人とアモン人を動かして、イスラエル人を苦しませることになりました。彼らは、ヨルダン川の東にあるエモリ人の地ギルアデにいたイスラエル人を攻め、 + さらにアモン人はヨルダン川を渡り、ユダ、ベニヤミン、エフライムにまで攻撃の手を伸ばしました。それは十八年間も続きました。 + ついにイスラエル人は苦境に立ち、たまりかねて主に救いを求めました。「私たちはとんでもない罪を犯しました。自分たちの神を捨てて、偶像を拝んでおりました」と罪を告白したのです。 + 主は言いました。「わたしは以前、エジプト人、エモリ人、アモン人、ペリシテ人、シドン人、アマレク人、マオン人からあなたがたを救ったではないか。これまで、いつでも叫び求めてくれば救い出したはずだ。 + それなのに、あなたがたはわたしを捨て、性懲りもなくほかの神々を拝んでいる。勝手にするがいい。もう助けることはしない。 + 行って、新しく選んだ神々にでも助けてもらうがよい。」 + それでも人々は、主に助けを求めて言いました。「私たちが間違っていました。どうぞ存分に罰してください。ただ、もう一度だけ敵の手から救い出してください。」 + こう言って彼らが外国の神々を取り除き、ひたすら主を礼拝したので、主は彼らをかわいそうに思いました。 + そのころアモン人の軍がギルアデに集結し、ミツパに陣を敷いたイスラエル軍を攻撃しようとしていました。 + 途方にくれたギルアデの指導者たちは、「いったいだれが、私たちを率いてアモン人と戦ってくれるのか。その役を買って出る者こそ私たちの王だ」と話し合っていました。 + + + さて、エフタはギルアデ出身の勇士でしたが、母親は売春婦でした。父ギルアデには、正妻の産んだ数人の息子がいました。息子たちは成長すると、腹違いの兄弟エフタを、ギルアデの地から追い出しました。「売春婦の子に、父の財産などこれっぽっちもやるわけにはいかない」というわけです。 + エフタは父の家を飛び出し、トブの地に移り住みました。まもなく、そこでならず者たちを従えるようになり、盗みを働いて日々を送っていました。 + そんな時、アモン人がイスラエルに宣戦布告してきたのです。 + ギルアデの要人たちはエフタを呼びにやり、 + 指揮官としてアモン人と戦ってくれるように頼みました。 + しかし、エフタは冷ややかに答えるばかりでした。「私を憎むあまりに父の家から追い出しておきながら、どうしてここへ来たのです。自分たちが困ったからって、今さらよくも来られたものですね。」 + 「どうしてもおまえに帰ってもらいたいんだ。もし総指揮官としてアモン軍と戦ってくれたら、ギルアデの住民のかしらになってもらう。」 + 「ほんとうかな。とても信じられないが。」 + 「主にかけて誓う。」 + こう言われて、エフタも気を変え、彼らの願いどおり総指揮官となり、彼らのかしらになりました。この契約は、人々がミツパに集まった時、主の前で結ばれました。 + エフタはアモン人の王に使者を送り、イスラエルへの攻撃の理由を尋ねました。 + すると、「そこは、もともとアモン人の土地だったのだ」という返事で、エジプトから移って来たイスラエルが、アルノン川からヤボク川、ヨルダン川に至るアモン人の全領地を奪い取ってしまったというのです。「すみやかに、われわれの土地を返してくれ」と、アモン人の王は要求してきました。 + エフタは答えました。「イスラエルはその土地を奪ってはいない。 + 真相はこうだ。イスラエル人がエジプトを出て紅海を渡り、旅を続けてカデシュに来た時、 + エドムの王に使者を送り、その領地を通過する許可を求めた。しかし聞き入れてもらえなかった。モアブの王にも同様の許可を求めたが、やはり断られ、やむなくカデシュにとどまった。 + それでも、とうとうイスラエルは荒野に出て、エドムとモアブの地を迂回し、その東の境に沿って旅を続け、モアブの境界線であるアルノン川の向こうに着いた。ただし、モアブの領地には決して入らなかった。 + それからイスラエルは、ヘシュボンに住むエモリ人の王シホンに使者を送り、目的地に行くため領地内を通らせてほしいと頼んだ。 + しかし王はイスラエルを信用せず、ヤハツに兵を集結させ、攻撃をしかけてきた。 + しかしイスラエルの神、主は、われわれに力を貸し、王とその国民を打ってくださった。それでイスラエルは、アルノン川からヤボク川までと、荒野からヨルダン川までの、エモリ人の全地を手中に収めたのだ。 + このように、この土地をエモリ人から取り上げてイスラエルに与えてくださったのは、われわれの神、主なのだ。それなのにどうして、あなたたちに返さなければならないのか。 + そちらはそちらで、自分たちの神ケモシュが与えてくれるものを、しっかり守ればよいだろう。われわれは、主が下さったものを大事にしたいのだ。 + いったい、あなたがたはモアブの王バラクより偉いつもりか。バラクはイスラエルに打ち負かされたあと、土地を取り返そうとしたか。もちろん、しなかった。 + 今さら三百年も昔のことを問題にしてどうなる。イスラエルは三百年もここに住み、ヘシュボンからアロエルに至る一帯へ、またアルノン川沿岸の全域へと広がっていったのだ。その気があるなら、どうしてもっと早く取り戻そうとしなかったのか。 + こちらは何も悪いことをした覚えはない。それなのに、そちらが勝手に戦いを挑んできて悪事を働こうとしている。しかしもうじき、どちらが正しいか、主がはっきりさせてくださるだろう。」 + アモン人の王は、エフタのことばに全く耳を貸しませんでした。 + その時、主の霊がエフタに下りました。エフタは兵を率いてギルアデとマナセの地を通り、ギルアデのミツパからアモン軍を攻撃しました。 + 一方、エフタはこう主に誓ったのです。「もしあなたの助けによってアモン人を打ち破り、無事に帰還できたなら、私の家から最初に迎えに出た者を、焼き尽くすいけにえとしてささげます。」 + エフタは兵を率いてアモン人と戦い、勝利を収めました。 + そして、アロエルからミニテにかけての二十の町と、アベル‧ケラミムに至るまで徹底的にアモン人を打ちました。こうして、ついにアモン人はイスラエルに屈服したのです。 + エフタが家に戻った時、なんと彼のひとり娘が家から出て来て、大喜びでタンバリンを鳴らし、踊りながら駆け寄って来ました。 + 娘を見て、エフタは胸を引き裂かれる思いで着物を引きちぎり、叫びました。「ああ、なぜこんなむごいことに! いったん主に誓いを立てたからには、もう取り消すわけにはいかないのだ。」 + すると娘は言いました。「お父様、どうか主にお誓いになったとおりになさってください。主は敵のアモン人をやっつけて、こんなすばらしい勝利をもたらしてくださったのですもの。 + ただ、二か月の間、私を女友達と山に行かせ、さまよい歩かせてください。結婚もしないで終わることを泣き悲しみたいのです。」 + 「ああ、ああ。行くがいい。」そこで彼女は、自らの運命を友達とともに嘆きながら、二か月間さまよいました。 + 二か月が過ぎて戻って来た娘を、エフタは誓願どおり主にささげました。〔ただし、いけにえとして実際に殺されたのか、処女のままで主に生涯をささげたのかは不明。〕こののちイスラエルでは、 + 毎年四日間、若い娘たちは出て行って、エフタの娘のために嘆き悲しむというしきたりができました。 + + + さて、エフライム族はツァフォンに兵を集め、エフタにこう言い送りました。「アモン人と戦う時、なぜわれわれに援軍を求めなかったのだ。おまえの家など、おまえもろとも焼き払ってやるから。」 + 「かつて、われわれはあなたがたに召集をかけました。しかし、駆けつけてくれなかったではないですか。助けてほしい時に助けてくれなかったのです。 + ですから、あなたがたを当てにせず、命がけで戦ったのです。幸い、主が助けてくださり、敵を破ることができました。それなのに何だって、今になって私たちに戦いをしかけてくるのですか。」 + エフタは、エフライム族が「ギルアデの者らはどこの馬の骨かわからない、人間のくずだ」と侮辱するのに激怒し、兵を集めてエフライム軍を攻撃しました。 + そして、エフライム軍の背後にあるヨルダン川の渡し場を占領したのです。逃げて来る者が川を渡ろうとすると、ギルアデ人の見張りが尋問しました。「おまえはエフライムの者ではないのか」と聞き、「違う」という答えが返ってくると、 + 「『シボレテ』と言ってみろ」と命じるのです。もし「シボレテ」と正しく発音できず、「スィボレテ」と発音すれば、引っ立てて行って殺すのです。こうして、ここで四万二千人のエフライム人が死にました。 + エフタは六年間、イスラエルをさばき、世を去ると、ギルアデの町に葬られました。 + エフタの次に士師となったのは、ベツレヘムに住んでいたイブツァンです。 + 彼には息子と娘が三十人ずついました。彼は娘を自分の氏族以外の者に嫁がせ、息子たちにはよそから三十人の嫁を迎えました。彼は世を去るまでの七年間イスラエルをさばき、ベツレヘムに葬られました。 + 次に士師となったのは、ゼブルン族のエロンです。彼は十年間イスラエルをさばき、ゼブルンのアヤロンに葬られました。 + そのあとを継いだのは、ピルアトン人ヒレルの子アブドンです。 + 彼には四十人の息子と三十人の孫がおり、彼らは七十頭のろばを乗り回していました。アブドンが士師であった期間は八年です。 + 死んだのち、アマレク人の山地にあるエフライムのピルアトンに葬られました。 + + + イスラエル人はまたも、ほかの神々を拝む罪を犯しました。それで主は、ペリシテ人がイスラエルを征服するにまかせたので、イスラエルは四十年間、彼らの支配下に置かれることになりました。 + ある日のこと、主の使いが、ツォルアに住むダン族の氏族でマノアという人の妻に現れました。彼女は子どものいない女でしたが、主の使いはこう告げたのです。「あなたには長い間子どもができなかったが、まもなく身ごもり、男の子を産む。 + 今からはぶどう酒や強い酒を飲んではいけない。それに、律法で禁じられている食べ物も口にしてはいけない。 + 生まれてくる子の頭には、かみそりを当ててはならない。その子は、神に仕えるナジル人(「ささげられた者」「聖別された者」の意)として、生まれた時から特別にきよめられているからだ。やがてその子は、イスラエルをペリシテ人から救い出すことになる。」 + マノアの妻は夫のもとへ駆けつけ、一部始終を話しました。「神様からのお使いが来られたの。天使に違いありません。あまりに神々しくて、まともに見ることもできなかったわ。どちらからいらしたのか、お尋ねもできなかったし、その方も名をお告げにならなかったの。 + でも、こうおっしゃったわ。『あなたは男の子を産む』って。そして、ぶどう酒や強い酒を飲んではいけないし、律法で禁じられている食べ物も口にしてはいけないと。その子は、生涯、神様にささげられたナジル人だからとおっしゃったのです。」 + それを聞いて、マノアは祈りました。「ああ、主よ。どうかそのお方をもう一度、私たちのもとへお送りください。生まれてくる子にどうしてやればよいのか、もっと教えていただきたいのです。」 + 祈りは聞かれ、神の使いがもう一度、マノアの妻のもとに遣わされました。この時も、彼女は一人だけで畑にいて、夫は居合わせませんでした。 + 彼女は急いで夫を捜しに行き、「あの方がまた、おいでになった」と告げました。 + マノアは妻といっしょに大急ぎでその人のところに駆けつけました。「あなた様は、いつか妻にお語りくださったお方でしょうか。」「そうです。」 + 「男の子が生まれたら、どのように育てたらよいか、教えていただきたいのです。」 + 「あなたの妻に言っておいたことすべてを守りなさい。彼女は、ぶどうも干しぶどうも食べてはならない。ぶどう酒も強い酒も口にせず、律法で禁じられている物も食べてはいけない。」 + 「少しお待ちください。何かお食事をご用意いたします。」 + 「ここにいるのはよいが、何も食べるわけにはいかない。どうしてもと言うなら、主にささげるいけにえとして持って来なさい。」マノアは、その人が主の使いであることに、まだ気づいていなかったのです。 + マノアは、その人の名前を尋ねました。「おことばどおり男の子が生まれたら、あなた様の預言のとおりになったと、みんなに知らせたいのです。」 + 「なぜ名前など尋ねるのか。それは知らされるべきではない。」 + マノアは子やぎと穀物の供え物を手にし、主にささげました。すると主の使いは、とても不思議なことをして見せたのです。 + 祭壇から天に立ちのぼる炎をマノアとその妻が見ていると、なんと、その炎の中をその人が昇って行くのです。二人は思わず地にひれ伏しました。 + これが、二人がその人を見た最後でした。この時初めて、マノアはその人が主の使いであることを悟ったのです。 + マノアは叫びました。「私たちは助からないだろう。神様を見てしまったのだから。」 + しかし、妻は答えました。「もし神様が私たちのいのちを取るおつもりなら、どうして焼き尽くすいけにえをお受けくださったのでしょう。それに、このように私たちの前に現れてくださったり、不思議なことを予告なさったり、先ほどのような奇跡を見せてくださったりするはずもありません。」 + さて、二人に男の子が生まれると、サムソンという名がつけられました。その子は主に祝福されて、すくすくと育ちました。 + 成人したサムソンが、ツォルアとエシュタオルの町との中間点にあるダン族の練兵場を訪れるたびに、主の霊は、彼を奮い立たせ始めたのです。 + + + ティムナへ行ったある日のこと、サムソンはペリシテ人の娘にひと目ぼれしました。 + 家へ帰ると、さっそく両親に、その娘と結婚させてほしいと頼みました。 + もちろん、両親は大反対でした。「どうしてイスラエル人の娘と結婚しないのだ。ほんとうの神を知らないペリシテ人を妻にする必要があるのか。国中探しても、おまえが結婚したい相手はいないとでも言うのか。」「私が結婚したいのは、あの人だけなのです。どうか嫁にもらってください。」 + 両親は、まさか背後で主がこうなるように画策しておられるとは気づきませんでした。主は、当時イスラエルを支配していたペリシテ人を、計略にかけようとしておられたのです。 + サムソンと両親がティムナに向かって行き、町のぶどう畑にさしかかった所で、一頭の若いライオンがサムソンに襲いかかってきました。 + その瞬間、主の霊が激しくサムソンに力を注ぎました。サムソンは武器を持っていませんでしたが、素手でライオンのあごをつかむと、真っ二つに引き裂きました。まるで子やぎを引き裂くように、難なくやってのけたのです。しかし、このことを両親には黙っていました。 + ティムナに着くとさっそく、サムソンはその娘と語り合い、ますます気に入って、結婚の約束を交わしました。 + 結婚式のためにまた出かけて来たサムソンは、途中ライオンの死骸が気になり、その場所へ立ち寄ってみました。すると死骸にはみつばちが群がり、みつがしたたっていたので、 + 彼はみつをかき集め、歩きながら食べました。また、両親にも食べさせました。しかし、どこで手に入れたかは教えませんでした。 + 父親が結婚の手はずを整えてくれると、サムソンはしきたりどおり村の若者三十人を招いて祝宴を催しました。 + サムソンがなぞ解きをしないかと彼らに持ちかけると、みなは乗り気になりました。「もし君たちが、七日間の祝宴中に私のなぞを解いたら、白生地の着物三十着と柄もの三十着を差し出そう。 + だが、もし解けなかったら、同じものをもらうから。」「いいだろう。言ってみろよ。」 + 「食らう者から食い物が出、強い者から甘い物が出た。」三日たっても、彼らはまだ解けません。 + 四日目に、彼らはサムソンの新妻のもとに来て、こう持ちかけました。「あなたの夫から答えを聞き出してくれないか。さもないと、あなたもあなたの父親の家も焼き払ってやる。われわれは何も、丸裸にされるために呼ばれたわけじゃないんだ。」 + そうまで言われては、夫に泣きすがるほかありません。「いったい、あなたは私を愛してくださっているの? 村の人たちになぞをかけておいて、私にも種明かしをしてくださらないなんて……。」「両親にも教えてないんだから、おまえにだって話せないよ。」 + そう言われても彼女は、残りの祝宴の間中もサムソンのそばで涙にくれ、「教えて」とせがみ続けました。七日目、彼はとうとう種を明かしてしまいました。彼女がそれを客の若者たちに教えたことは言うまでもありません。 + 七日目の日没前、彼らはサムソンに答えました。「はちみつよりも甘い物は何か。ライオンよりも強いものは何か。」サムソンは憤然として言い返しました。「私の若い雌牛で耕さなかったら、このなぞは解けなかっただろう。」 + その時、主の霊がサムソンに下りました。彼はアシュケロンの町へ行き、三十人を殺して着物を奪い、なぞを解いた若者たちにくれてやりました。サムソンは怒りのあまり妻を放り出し、両親の家へ帰ってしまいました。 + すると妻のほうも、サムソンとの結婚式に立ち合った仲間の一人と結婚してしまったのです。 + + + やがて、小麦の刈り入れの季節になりました。サムソンは子やぎ一頭を妻への贈り物として持参し、結婚生活を続けようとしました。ところが、彼女の父親は娘の部屋に入れてくれません。 + 「私はてっきり、娘があなたにきらわれたのだと思いまして、あなたの介添え人にやってしまったんですよ。どうです、妹のほうがあれよりきれいですよ。代わりに妹をもらってやってくれませんか。」 + サムソンは腹を立てて言いました。「いいか、これから先、何が起ころうと、私の知ったことではないから。」 + 彼は出て行ってきつねを三百匹捕らえ、二匹ずつしっぽを結び合わせ、結び目にたいまつをくくりつけました。 + そして、たいまつに火をつけると、ペリシテ人の麦畑にいっせいに放ったのです。たちまち火は燃え上がり、山積みにしてある麦束にも燃え移り、ぶどう畑やオリーブ畑まで丸焼けになってしまいました。 + 「いったい、だれのしわざだ。」ペリシテ人は非常に怒りました。「サムソンだ。あいつの妻の父親が娘をほかの男にやってしまったからだ。」それに違いないということで、その娘と父親とを捕らえ、焼き殺してしまったのです。 + これを知ったサムソンは言い放ちました。「見ていろ。かたきは必ず取ってやる!」 + 激しい怒りに燃えて彼らを攻め、多数のペリシテ人を打ち殺したあと、彼はエタムの岩にあるほら穴で暮らしました。 + そうこうするうち、ペリシテ人はユダに大軍を差し向け、レヒに攻め入って来たのです。 + 「なぜここに攻めて来たのか」とユダの人々が尋ねると、彼らは言いました。「サムソンを捕まえ、あいつに仕返ししてやるのだ。」 + そこで、ユダから三千人がサムソンを捕らえにエタムの岩のほら穴へ行って、サムソンに言いました。「なんということをしてくれたのか。ペリシテ人は、われわれの支配者ではないか。」するとサムソンは言いました。「彼らが私にしたとおり、彼らにしただけだ。」 + 「われわれはおまえを捕まえてペリシテ人に引き渡そうとやって来たのだ。」「わかった。ただし、私を殺さないと約束してくれ。」「もちろんだ。」こうしてサムソンは、二本の新しい綱で縛り上げられ、引き立てられました。 + 一行がサムソンを捕らえてレヒに着くと、ペリシテ人は歓声を上げました。主の力がサムソンに注がれたのは、その時です。綱は、まるで糸のようにぷっつりと切れ、手首から解けました。 + すかさずサムソンは、そこに転がっていたろばのあご骨を拾い上げ、あっという間に千人のペリシテ人を打ち殺しました。 + 彼はろばのあご骨を投げ捨てると、こう言いました。「ろばのあご骨で山また山。ろばのあご骨で千人のしかばね。」以来そこは、ラマテ‧レヒ〔あご骨の丘〕と呼ばれています。 + それからひどくのどが渇いたサムソンは、主に祈りました。「あなたはこの私に目覚ましい働きをさせ、今日、イスラエルをお救いくださいました。ところが、私はのどが渇いて死にそうです。こんなことで異教徒の手に落ちてよいでしょうか。」 + すると主は、そばのくぼ地から、水をわき出させました。水を飲んですっかり元気を取り戻したサムソンは、そこをエン‧ハコレ〔祈りの人の泉〕と名づけました。その泉は今もあります。 + サムソンは、こののち二十年間イスラエルの士師でしたが、なおこの地はペリシテ人の支配下にありました。 + + + ある日、サムソンはペリシテ人の町ガザへ行き、一人の娼婦と夜を過ごしました。 + たちまち、「サムソンを見かけた」といううわさが広まり、町の人々は警戒を強化し、彼の帰りぎわを押さえようと、夜通し町の門で待ち伏せました。「明け方になったら、見つけ出して殺してしまおう」と思ったのです。 + しかし、真夜中まで女と過ごしたサムソンは、そのあと町の門まで行き、二本の門柱もろとも引き抜くと、高々とかつぎ上げ、ヘブロンの向こう側にある山の頂まで運んで行きました。 + そののちサムソンは、ソレクの谷に住むデリラという女を愛するようになりました。 + ペリシテ人の五人の領主がじきじきに彼女を訪ね、「サムソンの力の秘密を探ってくれないか。どうしたら、あの男を鎖で縛り上げてやれるか、ぜひとも知りたいのだ」と頼みました。もちろん、ただではありません。「この仕事を引き受けてくれたら、めいめいが銀千百枚を出そう」と約束したのです。 + そこでデリラはサムソンに、力の秘密を打ち明けてほしいと頼みました。「ねえサムソン、どうしてそんなに強いの。教えてちょうだい。だれかがあなたを捕まえるなんて、できっこないわよね。」 + 「そうだな。真新しい七本の弓の弦で縛られでもすれば、私も人並みの力しか出せないだろうな。」 + 例の領主たちは、さっそく七本の弓弦を持って来ました。デリラは眠っているサムソンを縛り上げ、 + 隣室には幾人かを潜ませておいて、大声で叫んだのです。「サムソン! ペリシテ人が襲いに来たわ!」するとどうでしょう。サムソンは、弓弦を木綿糸のようにあっという間に断ち切ってしまったのです。こうして彼の力の秘密は、だれにも知られませんでした。 + するとまた、デリラはサムソンにからみました。「私をからかったのね。うそつき。ねえ、どうしたらあなたを縛り上げることができるのか、教えてちょうだい。」 + 「わかったよ。まだ使ったことのない新しい綱で縛ってみろよ。普通の人と同じぐらいの力しか出せないから。」 + それでデリラは、サムソンが眠ったころを見はからって新しい綱を取り出し、縛り上げました。前と同じように隣室に幾人かを潜ませ、またも大声で叫んだのです。「サムソン! ペリシテ人が捕まえに来たわ!」ところがサムソンは、まるでくもの巣でも払うように、綱を腕からはずしてしまったのです。 + 「また私をばかにして、とんでもないでたらめを言ったのね。ねえ、お願い。ほんとうのことを教えて。どうしたらあなたを縛り上げることができるのか。」「ああ、わかったよ。私の髪を、おまえの機に織り込んでみるんだな。」 + デリラはサムソンが眠ったのを確かめ、言われたとおり、彼の長い髪の毛を機に織り込むと、わざと悲鳴を上げました。「ペリシテ人よ! サムソン!」サムソンは目を覚ますと、髪をぐいと引っぱり、機を壊してしまいました。 + デリラは泣き出しそうな声で言いました。「よくも愛してるなんて言えるわね。ちっとも私を信用してくれないくせに。もう三度もだまされたわ。それでもまだ、力の秘密を教えてはくれないのね。」 + 寝ても覚めても彼女がせがみ続けるので、サムソンは死ぬほどつらくなって、ついに秘密を打ち明けました。「実は、私の頭にはかみそりが一度も当てられたことがないんだ。私は生まれる前から神にささげられたナジル人だから。もし髪がそり落とされたら、私の力もおしまいさ。ほかの人と同じになるんだ。」 + とうとう彼はほんとうのことを明かしたのです。デリラはさっそく、ペリシテ人の五人の領主を呼びにやりました。「もう一度お越しください。今度こそ間違いありません。」彼らは約束の金を用意してやって来ました。 + 彼女はひざ枕でサムソンを眠らせると、床屋を呼び、髪をそり落とさせました。念のためサムソンをたたいてみると、確かに彼の力はなくなっているようです。 + もう大丈夫と、デリラはまた悲鳴を上げました。「ペリシテ人が捕まえに来たわ! サムソン!」サムソンは目を覚まし、「なあに、いつもの調子で片づけよう。体をひと揺すりすれば、思いのままさ」と考えました。主が自分から去ったことに気づいていなかったのです。 + ペリシテ人はサムソンを捕まえると、目をえぐり出し、ガザへ連れて行きました。そこで青銅の足かせをはめて牢に入れ、臼を引かせました。 + しかしその間に、サムソンの髪は少しずつ伸びていました。 + ペリシテ人の領主たちは、サムソンを捕らえたことを祝う盛大な祭りを催しました。人々は彼らの神ダゴンにいけにえをささげ、熱狂的に賛美しました。獄中のサムソンを満足げに眺めながら、「われわれの神は、宿敵サムソンを引き渡してくださった。同胞を大ぜい殺した元凶が、今はあのざまだ」と言いました。 + いいかげん、みなの酔いが回ったころでした。「サムソンを連れ出せ! 見せ物にして楽しもうじゃないか」という声が上がりました。サムソンは牢から引き出され、神殿の中央の大屋根を支える二本の柱の間に立たされました。彼は手を引いている若者に頼みました。「両手を二本の柱にすがらせてくれ。寄りかかって休みたいんだ。」 + この時、神殿は立錐の余地もないほど、人で埋め尽くされていました。五人の領主も臨席しており、バルコニーにも三千人の男女がひしめいて、サムソンの様子をおもしろ半分に見つめていました。 + サムソンは主に祈りました。「ああ神、主よ。どうかもう一度、私のことを思い出してください。今一度、力をお与えください。ペリシテ人にえぐられた二つの目の復讐をさせてください。」 + 祈り終わると、全力を振り絞って二本の柱を押しました。 + 最後にサムソンは、「ペリシテ人もろとも死なせてください!」と祈りました。すると神殿は、領主たちをはじめ、居合わせた全員の上にくずれ落ちていったのです。なんと、サムソンがこの時殺した者は、彼が生きている間に殺した者より多くいました。 + その後、サムソンの兄弟や身内が来て遺体を引き取り、郷里に運んで、ツォルアとエシュタオルとの間にある、父マノアの墓に葬りました。サムソンが士師としてイスラエルを裁いたのは二十年間でした。 + + + エフライムの山地に、ミカという名の人が住んでいました。 + ある日、彼は母親に言いました。「盗まれたとお母さんがしきりにのろって言っていた銀千百枚のことだけど、実はあれは私が盗んだのです。」すると母親は、「よく正直に話してくれたね。主が祝福してくださるように」と答えました。 + ミカがその金を母親に返した時、彼女は言いました。「おまえの名誉のためにも、これを主にささげます。これでおまえのために彫像を造り、銀をはってもらいましょう。」 + 母親は銀二百枚を銀細工人に渡し、彫像を造らせました。彫像は、屋敷内にあるミカの聖堂に安置されました。ミカはたくさんの偶像を集めており、エポデとテラフィム(占いや霊媒に使う偶像)もそろえて、息子の一人を祭司に任命していたほどでした。 + 当時イスラエルには王がなく、各人各様、自分の目に正しいと思うことを行っていたのです。 + ある日、ユダのベツレヘム出身の若い祭司が、安住の地を求めてエフライム地方にやって来ましたが、道中、ふとミカの家の前で立ち止まりました。 + ミカは、「どちらからお越しですか」と尋ねました。「ユダのベツレヘムから参った祭司です。どこか住むのによい所はないものかと、旅しております。」 + 「よろしければ、ここにとどまってください。私どもの祭司になっていただきたいのです。毎年、銀十枚と新しい衣服ひとそろい、それに生活費いっさいを面倒みて差し上げますよ。」若者は同意し、ミカの家族同様の扱いを受けました。 + ミカはおかかえの祭司を得たのです。 + 「私は今、主からほんとうに祝福していただいた。正真正銘の祭司がいるのだから」と、彼は感激して言いました。 + + + こうした話でもわかるように、そのころイスラエルには王がいませんでした。さて、ダン族は自分たちの相続地を得ようとしていました。まだ割り当て地を攻め取っていなかったからです。 + そこで、ツォルアとエシュタオルの町から勇士五人を選び、土地を偵察させました。エフライムの山地に着いた五人は、ミカの家に宿を取りました。 + そして、レビ人なまりの若者に気づき、近くに呼んで尋ねたのです。「ここで何をしているのですか。なぜこんな所にいるのです?」 + 若者はミカとの取り決めについて話し、ミカの私的な祭司であることを告げました。 + 「そうですか。それなら、われわれの旅が成功するかどうか、ひとつ、神に伺ってくれませんか。」 + 「安心して旅を続けてください。主は皆さんを、お心にかけていらっしゃいますよ。」 + やがて五人は、ライシュの町に入り込みました。そして、住民がみな安穏と暮らしているのに気づきました。生活ぶりもフェニキヤ人らしく、たいそう裕福なものでした。この辺りでは脅威を与える強い部族もなかったので、彼らは無防備同然で、安心しきっていました。そのうえ、シドンにいる同族とも遠く離れ、近隣の村々ともほとんど交渉を断っていたのです。 + 偵察に来た五人は、ツォルアとエシュタオルへ帰りました。待ちかねていた人々は尋ねました。「どうだったのか、向こうの様子は?」 + 「ぜひ攻め取ろう。見た限りでは申し分ない所だ。土地は広々として、よく肥えている。それに、全く無防備だった。さあ、出かけよう。神様があの地を与えてくださるのだ。」 + そこで、ダン族の兵六百人が、ツォルアとエシュタオルから送り込まれました。 + 第一夜は、ユダのキルヤテ‧エアリムの西側で過ごしました。そこは今も、マハネ‧ダン〔ダンの陣営〕と呼ばれています。 + そこからエフライムの山地へと、進軍を続けたのです。ミカの家に差しかかった時、 + 先の偵察隊の五人が言いました。「この家にはエポデやテラフィム、それに彫像をたくさん安置した聖堂がある。となると、われわれのなすべきことはわかっているな。」 + 五人は残りの兵を門外に立たせたまま、邸内に入りました。まず、あの若い祭司にあいさつすると、 + 五人は聖堂に踏み込み、彫像やエポデやテラフィムを持ち出そうとしました。 + 「何をするんだ」と、若い祭司はさえぎりました。 + 「どうか、おとなしく私どもとともにおいでくださり、われわれの祭司におなりなさい。あなただって、一軒の家でたった一人に仕えるより、部族全体の祭司になるほうがいいのではありませんか。」 + すると祭司は誘いに応じ、エポデやテラフィム、彫像を取って彼らの一員に加わりました。 + 一行はそこを引き揚げ、子ども、家畜、家財などを隊列の先頭に立てて先を進みました。 + ミカの家からかなり離れたところで、ミカと近所の人々が追いかけて来て、 + 大声で言いました。「待ちなさい!」「いったいどうしたのですか。ずいぶんものものしいですが。」 + ミカは答えました。「『どうしたのだ』とは、しらじらしい。私の神々から祭司まで、いっさいがっさい持ち出しておきながら。家が空っぽになっているではないか!」 + 「何ですと? もっと気をつけてものを言ってほしいな。でないと、腹を立てた連中が、あなたがたを皆殺しにしかねませんよ。」 + こう言い捨てると、ダンの人々は去って行きました。相手が大ぜいすぎて手出しがかなわないと悟ったミカは、すごすごと家へ引き返しました。 + 一方ダンの人々は、ミカの造った彫像と祭司を伴い、ライシュの町に着きました。町は全く無防備だったので、住民を襲って打ち、町を焼き払いました。 + だれも、住民を助ける者はいません。シドンから遠く離れていたうえ、周囲の町とも同盟を結んでおらず、どことも交渉がなかったからです。町はベテ‧レホブに近い谷にあり、ダン族は町を再建し、そこに住みつきました。 + 町の名も「ダン」と改めました。彼らの先祖で、イスラエルの息子の一人ダンの名にちなんだものです。元の名はライシュでした。 + ダンの人々は自分たちのために彫像を立て、ゲルショムの子で、モーセの孫に当たるヨナタンとその子孫を祭司に任命しました。彼らは、その地の民が捕囚となるまで代々祭司を務めました。 + こうして、神の宮がシロにあった間中、ダン族はミカの彫像を拝んでいました。 + + + イスラエルにまだ王がいなかったころ、あるレビ人がエフライムの山地の奥に住んでいました。その人は、ユダのベツレヘムから一人の娘をそばめとして連れて来ました。 + ところが彼女はその人をきらって、ベツレヘムの実家へ逃げ帰り、四か月もそこにいました。 + そこで夫は従者を一人伴い、そばめを乗せるろばをもう一頭連れて、彼女を連れ戻そうと会いに出かけたのです。彼女は訪ねて来た夫を招き入れ、父親に引き合わせると、父親も歓待してくれました。 + 勧められるまま三日間滞在し、うちとけて、楽しい時を過ごしました。 + 四日目の朝早く、出立しようと腰を上げると、父親は、朝食をすませてからにするよう熱心に勧めます。 + そうこうするうち、たいそう楽しかったのか、父親は、もう一晩泊まってくれとしきりに頼むのです。 + 初めはなかなか承知しませんでしたが、しゅうとがあまりに頼むので断りきれず、泊まることにしました。 + 翌朝、二人が早く起きると、またも父親が、「夕方までいてください。そして、日暮れ前にお発ちなさい」と、拝み倒さんばかりに頼むのです。二人はこの日も、ごちそう攻めに会いました。 + 午後になって、夫婦と従者は出立の用意をしました。すると、しゅうとが言いました。「もう日も暮れかかった。今晩だけ泊まってお行きなさい。楽しい最後の晩を過ごそうじゃないか。明日の朝早く発てばいいだろう。」 + しかし、今度ばかりは耳を貸さず、彼らは出立し、日暮れまでに、エブスとも呼ばれたエルサレムの近くまで来ました。 + 従者が主人に言いました。「日が暮れかかっておりますので、これ以上旅を続けるわけにはいきません。今夜はここに泊まってはいかがでしょう。」 + 「いや、だめだ。イスラエル人のいない異教徒の町だから。ギブアか、できればラマまで行こう。」 + こうして、一行は旅を続けました。ベニヤミン族の村ギブアまで来た時、ちょうど日が沈みました。 + ここで一泊しようと町へ入って行きましたが、だれも招き入れてくれません。しかたなく町の広場で野宿することにしました。 + ちょうどそこへ、野良仕事を終えた老人が通りかかりました。そこはベニヤミンの領地でしたが、この老人はエフライムの山地出身で、今はギブアに住んでいる人でした。 + 広場に野宿している旅人に目を留めた老人は、「どちらからお越しかな。どこまで行かれるのじゃ」と尋ねました。 + 「ユダのベツレヘムから戻る途中です。シロからそう遠くないエフライムの山奥に住んでおります。今夜は、どこの家にも泊めてもらえなかったのです。 + ろばの餌も私たちの食糧やぶどう酒も、たくさん持っています。」 + 「お気づかいは無用ですよ。私の家にお泊まりなさい。こんな所に野宿してはいけない。」 + 老人は一行を自宅に案内しました。ろばにたっぷりまぐさをやったあと、共に食卓を囲みました。 + 夕食の席がしだいにはなやいできた時、ならず者の一団が家を取り囲み、戸をたたき始めたのです。彼らは大声で、「おまえの所に泊まった男を出せ。そいつに興味があるのだ」とどなります。 + 老人は外へ出て、彼らと話し合いました。「そんな悪いことはよしなされ。あの方は私の客人だ。 + 代わりに、私のところの生娘と客人のそばめを差し出そう。いま二人を連れて来るから、好きなようにすればいい。ただし、客人には指一本ふれてくれるな。」 + それでも彼らは聞き入れません。すると客人のレビ人は、自分のそばめを外のならず者の前に放り出しました。彼らは夜通し代わる代わる彼女を辱め、夜が明けるころようやく解放したのです。 + 彼女は、明るくなるまで戸口に倒れたままでした。 + 旅立とうとして夫が戸を開けると、自分のそばめが手を敷居にかけたまま入口に倒れているのを見ました。 + 「さあ、立ちなさい。出かけよう」と声をかけましたが、何の返事もありません。すでに彼女は死んでいたのです。彼は死体をろばに乗せ、家まで運びました。 + 家に着くと、ナイフで死体を十二に切り分け、一つずつイスラエルの各部族に送りました。 + それを見た民はみな、ベニヤミン人の野蛮な行為に怒りをかきたてられました。「エジプトを出て以来、こんなひどい出来事があっただろうか。この事件を見過ごすわけにはいかない。」 + + + そこで全イスラエルから、ミツパに指導者たちと四十万の兵が向かい、主の前に一つの心になって集結したのです。ダンからベエル‧シェバに至る全国各地はもとより、ヨルダン川の東側のギルアデからも、ぞくぞくと集まって来ました。 + イスラエル軍がミツパに集結したという知らせは、まもなくベニヤミン領内に伝わりました。イスラエルの指導者たちは殺された女の夫を呼んで、真相を話すよう求めました。 + 「私たちは、ベニヤミン領内のギブアに行き、その夜ある家に泊まりました。 + ところが夜中に、ギブアの者どもが家を取り囲み、私を殺そうとしたのです。一味は私のそばめに暴行を加え、無残にも殺してしまいました。 + 私はそばめの死体を十二に切り分け、イスラエルの全地に送りました。それというのも、彼らの仕打ちがあまりにむごかったからです。 + さあ、皆さん、どうか協議してください。」 + 彼らは口をそろえて言いました。「ギブアの村に報復するまでは、一人たりとも家には帰らない。全軍の十分の一をくじで選び分け、食糧補給に当たらせよう。残りは結集して、こんな恥ずべきまねをしたギブアを滅ぼそう。」 + イスラエル全国民は、そのために一丸となりました。 + さっそくベニヤミン族に使者を立て、要求を突きつけました。「おまえたちは、あの忌まわしい事件を知っているのか。 + あの悪事を働いた者たちを引き渡せ。彼らを処刑して、イスラエルから悪を除き去るのだ。」しかし、ベニヤミン族は聞こうとはしませんでした。 + それどころか、二万六千の兵をギブアに集め、地元ギブアから募った七百人と合流し、イスラエル軍に対抗する構えを見せたのです。 + ベニヤミン軍には、左ききの石投げの名手が七百人いました。その腕まえは大したもので、一本の毛をねらっても的をはずさないほどでした。 + 一方、ベニヤミンを除くイスラエル軍は、総勢四十万人に上りました。 + 戦いを前にして、まずイスラエル軍は、ベテルで神に伺いを立てました。「ベニヤミンと一戦交えるのに、どの部族が先陣を切るべきでしょうか。」すると主は、「ユダが先頭に立ちなさい」と答えました。 + そこで全軍は、翌朝早く、ベニヤミンを攻撃するためにギブアへ向かいました。 + しかし、ギブアを守っていたベニヤミン軍が不意に襲いかかり、その日のうちに二万二千人のイスラエル兵を倒したのです。 + イスラエル軍は主の前で夕方まで泣き続け、再び伺いを立てました。「私たちは、同胞ベニヤミンとまだ戦うべきでしょうか。」「戦いなさい」という主の答えが返ってきました。イスラエル軍は奮い立ち、翌日も、同じ場所で戦おうと出陣しました。 + ところがこの日も、剣の使い手一万八千人を失うはめになったのです。 + そこで、イスラエル全軍はベテルに上り、主の前に泣き伏して夕方まで断食し、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。 + 当時、神の契約の箱はベテルにあり、アロンの孫で、エルアザルの子ピネハスが祭司でした。イスラエルの民は主に尋ねました。「また出陣して、兄弟ベニヤミンと戦うべきでしょうか。それとも、やめるべきでしょうか。」すると主は、「行きなさい。明日、あなたがたはベニヤミンを打ち破ることができる」と答えました。 + そこで、イスラエル軍はギブア周辺に伏兵を潜ませ、 + 三日目に攻撃に移り、いつものような陣形をとりました。 + ベニヤミン軍が迎え撃とうと町から出てくると、退却すると見せかけて町からおびき出したのです。ベニヤミン軍は前回同様、ベテルとギブアを結ぶ路上でイスラエルを撃破し、たちまち三十人を倒しました。 + ベニヤミン軍は、「また勝ったぞ!」と雄たけびを上げましたが、実はそれがイスラエル軍の作戦だったのです。初めからわざと逃げて、ベニヤミン軍を町からおびき出そうと考えていたのでした。 + 本隊はバアル‧タマルまで来た時、一転して反撃に移り、ゲバの西に隠れていた伏兵一万も飛び出しました。 + 伏兵は、まだ危険に気づいていないベニヤミン軍のしんがりを襲いました。 + 主が助けを与えたので、イスラエル軍はベニヤミン軍を打ち破ることができたのです。その日、ベニヤミン軍は二万五、一〇〇人を失い、生き残った兵士は数えるほどでした。実際ベニヤミン軍は、イスラエル軍が彼らの前から退却したことで、前回同様の大勝利を確信しました。しかしその時、伏兵がギブアに突入し、村にいた全員を殺し、火を放ちました。その煙を合図に、イスラエル軍は反撃に転じ、いっせいに攻撃を開始したのです。 + ベニヤミン軍はうしろを振り返り、町が炎に包まれているのを見て恐怖に襲われました。危険が身に迫るのを感じ、 + 彼らは荒野へ逃げようとしましたが、イスラエル軍は追跡し、伏兵の一隊も駆けつけて、背後からベニヤミン軍を打ちました。 + そして、包囲しながらギブアの東方へと追いつめ、彼らの大半を殺しました。 + その戦いで、一万八千人のベニヤミン軍兵士が死にました。 + 生き残った兵は荒野へ逃げ、リモンの岩に向かいましたが、その途中で五千人が殺され、さらにギデオム付近で二千人が倒されました。 + こうしてベニヤミン族は、一日で二万五千の勇士を失ったのです。リモンの岩へ逃げ延びたのはたった六百人で、四か月間そこにこもっていました。 + その後イスラエル軍は引き返し、ベニヤミンに属するものを男も女も子どもも家畜も打ち、町々村々を片っぱしから焼き払いました。 + + + イスラエルの指導者たちはミツパで、自分の娘をベニヤミン族へは嫁がせないという誓いを立てました。 + そして、ベテルに集まり、神の前に座して、夕方まで声を上げて泣き悲しんだのです。 + 彼らはイスラエルの神、主に叫びました。「主よ。なぜこんなことが起こったのでしょう。今われわれは一つの部族を失いました。」 + 翌朝、民は早く起き出し、祭壇を築き、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。 + そして、彼らは言い始めました。「ミツパで主の前に集まった時、イスラエルの部族で欠席した者はいなかっただろうか。」というのは、その時、「出席を拒む者は必ず殺される」というきびしい誓いを立てていたからです。 + とにかく全イスラエルにとって、ベニヤミン族を失ったことは、あまりに深い悲しみでした。「ああ、もうベニヤミンはなくなるのだ。なくなってしまうのか。」口を開けば、そのことばかりです。「れっきとしたイスラエルの部族の一つが切り捨てられ、消えていく。 + あの生き残った一握りの者に、どうやって妻をめとらせたものだろう。われわれは主に、娘をベニヤミン人に嫁がせないと誓ってしまった。」 + その時、ミツパへの集結を拒んだ者を殺すという誓いに、再び思いが及びました。すると、ヤベシュ‧ギルアデからは、だれも出ていなかったことがわかりました。 + そこで精兵一万二千を送って、そこの住民を滅ぼすことにしたのです。すべての男子、既婚の女子、子どもらの血が流されました。ただし、適齢期の若い処女だけは助けました。その数は四百人で、全員シロの陣営へ連れて行きました。 + それから、リモンの岩にこもるベニヤミンの少数の生存者に、和解の使者を送りました。 + 四百人の処女が妻として与えられ、めいめい家に戻りました。ただ、全員に嫁がせるには、四百人では足りません。 + この時代は、イスラエルにとって悲しみに満ちた時期でした。主がイスラエルの部族の間を引き裂かれたからです。 + 長老たちは思案にくれました。「あの残りの者に妻をめとらせるには、どうしたらいいだろう。ベニヤミンの女は残らず死んでしまっている。 + しかし、何としても妻をあてがってやらなければ、イスラエルの一つの部族が永遠に絶えてしまう。 + かといって、われわれの娘を与えるわけにはいかない。厳粛な誓いを立てた以上、破った者は神からのろわれるからだ。」 + その時、突然だれかが、毎年シロの畑で催される祭りのことを思いついたのです。シロの町は、レボナとベテルとの間、ベテルからシェケムへ至る道の東側にありました。 + そこで長老たちは、妻を求めているベニヤミンの男たちにこう指示しました。「さあ、行って、ぶどう畑に隠れていなさい。 + シロの娘たちが踊りに出て来たら、飛び出して、めいめい娘をさらって連れ帰り、妻にしなさい。 + 娘の父親や兄弟が私たちに抗議してきたら、こう言おう。『どうか、わかってくれ。われわれに免じて、娘さんをベニヤミンの男たちに嫁がせてやってくれ。ヤベシュ‧ギルアデを滅ぼしても、彼ら全員に妻をもたせてやれなかった。こうでもしなければ、あなたがたが罪を犯さず、娘さんを彼らに与えることはできないわけだから。』」 + ベニヤミンの男たちは、言われたとおりにしました。祭りに出て来た娘をさらって領地に連れ帰ったのです。彼らは町を再建して定住しました。 + こうしてイスラエルの民は、それぞれの相続地へと戻りました。 + 当時のイスラエルには王がなく、各人が正しいと思うことを思うままに行っていました。 + + + 次にヨシュアはイスラエル人全員を、指導者である長老、裁判官、長たちとともに、シェケムに召集しました。全部族が神の前に立った時、 + ヨシュアは次のように告げました。「イスラエルの神、主は、こうお語りになった。『もともとあなたがたの先祖たち、アブラハムやナホルの父テラはユーフラテス川の東に住み、ほかの神々を礼拝していた。 + しかし、わたしはあなたがたの父祖アブラハムをユーフラテス川の向こうから連れ出し、カナンの地に導き入れ、その子イサクから多くの子孫が生まれるようにした。 + イサクが授かった息子はエサウとヤコブだ。エサウにはセイル山周辺の地域を与えたが、ヤコブとその子どもたちは、エジプトへ下って行った。 + その後、わたしはモーセとアロンを遣わし、エジプトに大災害をもたらした。そうして、エジプトからわたしの民を解放しようと連れ出した。 + ところが、紅海まで来た時、エジプト人が戦車と騎兵で追いかけて来たのだ。 + その時、イスラエル人がわたしに助けを叫び求めたので、わたしはイスラエル人とエジプト人との間に暗闇を置き、海を彼らに襲いかからせておぼれさせた。あなたがたイスラエル人はこの出来事を、その目でしっかりと見たあと、長い間、荒野で暮らした。 + そして、ついにわたしは、ヨルダン川の東側、エモリ人の住む地にあなたがたを連れて行った。エモリ人は抵抗したが、わたしは彼らを滅ぼし、その地をあなたがたに与えた。 + ついで、モアブの王バラクがイスラエルに宣戦布告をした。バラクは、ベオルの子バラムを呼び、あなたがたにのろいをかけようとたくらんだが、 + わたしはバラムの願いなどに聞く耳を持たず、かえってあなたがたを祝福させた。こうしてイスラエルはバラクの陰謀から救われたのだ。 + 次にいよいよ、あなたがたはヨルダン川を渡ってエリコまで来た。エリコの住民は対抗して戦った。ほかにも、ペリジ人、カナン人、ヘテ人、ギルガシ人、ヒビ人、エブス人が同じように応戦してきた。しかし、入れ替わり立ち替わり立ち向かって来る敵を、わたしは全滅させた。 + また、あなたがたの前にくまばち(神への恐れ)を送り、エモリ人の二人の王とその国民を追い散らしたこともあった。勝利をもたらしたのは、剣でも弓でもなかった。 + わたしは、あなたがたが手に入れるために自ら労したわけでもない地と、自ら建てたわけでもない町々とをあなたがたに与えた。今住んでいるこれらの町々がそうだ。また、あなたがたの手で植えもしなかったぶどう畑とオリーブ畑から、わたしはあなたがたに食べ物を与えた。』 + まさに、おことばのとおりだ。だから主を恐れかしこみ、誠心誠意、お仕えしようではないか。ユーフラテス川の向こうやエジプトで、先祖が拝んでいたような偶像とはきっぱり縁を切りなさい。ただ主に仕え、主を礼拝しなさい。 + もし主に従いたくなければ、たった今、だれに従うかを決めなさい。ユーフラテス川の向こうで先祖が拝んでいた神々であろうが、この地に住むエモリ人の神々であろうが、好きに選ぶがいい。しかし、私と私の家族とは、あくまでも主に仕える。」 + すると、民は言いました。「私たちが主を捨てて、ほかの神々を拝むなどありえないことです。 + 私たちの神、主は、エジプトで奴隷だった先祖を救い出してくださったお方ではありませんか。そして、荒野を旅する間にも、私たちの目の前で数々のくすしいわざを見せてくださったお方です。また、敵地を進む私たちを、いつも守ってくださいました。 + エモリ人をはじめ、この地の全住民を追い出してくださったのも主です。もちろん、私たちは主に従う道を選びます。私たちにとって、神様は主おひとりだけですから。」 + 「いや、あなたがたは主に仕えきることはできないだろう。主は聖なるお方であるばかりか、ねたむお方なのだ。だから、あなたがたの反逆や罪を決してお見逃しにはならない。 + もし主を捨てて、ほかの神々を拝むようなことでもあれば、たとえこうして長い間心にかけていただいたあなたがたでも、手加減はなさらない。」 + しかし、民は断言しました。「私たちは主に従います。」 + 「今言ったことをほんとうに守れるのか。あなたがたは主に従う道を選んだのだ。」「はい、私たち自身が証人です。」 + 「よろしい。では、今あなたがたのうちにあるすべての偶像を除き去りなさい。そして、イスラエルの神、主に従いなさい。」 + 「はい。主おひとりを礼拝し、ひたすらお従いいたします。」 + ヨシュアはその日、シェケムで人々と契約を結びました。こうしてイスラエル人は、主と永遠の契約を結んだのです。 + ヨシュアは、人々の応答を神の律法の書に記し、その記念として大きな石を取り、幕屋のそばにある樫の木の下にそれを立てました。 + それから、人々を見渡して言いました。「この石は、主がお語りになったことをすべて聞いた。もしあなたがたが自分たちのことばに背くなら、この石が証人として罪を告発することになる。」 + このあとヨシュアは、各部族をそれぞれ割り当てた地へ送り出しました。 + この後まもなくしてヨシュアは、百十歳で世を去りました。 + 遺体は、エフライムの山地、ガアシュ山の北側のティムナテ‧セラフにある、彼の所有地に葬られました。 + イスラエル人はヨシュアの存命中、主に従い続けました。その態度は、イスラエルのために行われた、主の驚くべきわざを目撃した長老たちが生きている間は変わりませんでした。 + エジプトを出る時、忘れずに携えて来たヨセフの遺骨はシェケムに葬られました。そこは、以前ヤコブが、ハモルの子から銀貨百ケシタ(羊百頭分に値する)で買い取った土地の一角でした。この地は、ヨセフ族に割り当てられた地域内にありました。 + さらに、アロンの子エルアザルも世を去りました。彼はエフライム山中にある、彼の子ピネハスの所有する町ギブアに葬られました。 + +
+
+ + 昔、士師といわれる人たち(イスラエルに王国が設立されるまでの軍事的‧政治的指導者)が治めていたころのことです。イスラエルを大ききんが襲いました。そのため、ユダのベツレヘム出身のエリメレクは、家族とともにモアブの地に移り住みました。妻の名はナオミといい、二人の間にはマフロンとキルヨンという息子がいました。 + ところが、モアブで暮らしている間にエリメレクは死に、ナオミと二人の息子があとに残されました。 + やがて二人の息子は、モアブの娘と結婚しました。マフロンの妻はルツ、キルヨンの妻はオルパといいました。しかし、イスラエルを出てから十年が過ぎたころ、二人の息子も死んでしまいました。ナオミは夫ばかりか息子たちにまで先立たれ、とうとう一人になってしまったのです。 + そこで、ナオミは二人の嫁を連れてイスラエルに帰ろうと決心しました。それは、故郷のユダは主の恵みによって、ききんが去ったと伝え聞いたからでした。 + しかし、帰郷の途についてまもなく、ナオミは考えを変えてルツとオルパに言い聞かせました。「あなたたちは、私について来るより実家へお帰りなさい。息子たちや私によくしてくれてほんとうにありがとう。 + いい再婚相手が見つかるようにお祈りしていますよ。」ナオミが別れの口づけをすると、二人はわっと泣きくずれました。 + 「お母様、そんなことおっしゃらないで。お願いですから、お母様といっしょに行かせてください。」 + しかしナオミは、首を横に振るばかりです。「いいえ、いけません。お里へ帰ったほうが幸せですよ。もう私にはあなたたちの夫になれるような息子がいないのですから〔当時、夫に先立たれた嫁は、亡き夫の弟と結婚する決まりがあった〕。 + さあ、里へお帰り。私は今さら再婚できる年でもないし、かりに再婚して、今夜にでも身ごもって息子を産んだとしても、 + その子が大人になるまで待てるわけもないでしょう。私の娘たち、もう私を苦しめないでちょうだい。あなたたちにつらい思いをさせたことで、もう十分主から罰を受けたつもりですよ。」 + 二人の嫁はまた、声を上げて泣きました。そしてオルパは、泣く泣くしゅうとめに別れの口づけをし、自分の郷里へ帰って行きました。しかしルツは、ナオミにすがりついて離れようとしません。 + 「ほら、オルパは里へ帰って行ったわよ。あなたもそうしなさい。」 + 「お願いです、お母さん。私を放り出さないでください。お伴させていただきたいのです。お母さんといっしょに暮らしたいのです。お嫁に来た以上、私もお母さんと同じ民です。お母さんの神様は私の神様です。 + どうぞ、いつまでもおそばに置いてください。私たちを引き離すものは死だけです。もしおそばを離れでもしたら、主が幾重にも私を罰してくださいますように。」 + ナオミは、ルツの決心が固く、これ以上説得してもむだだと知ると、もう何も言いませんでした。 + こうして二人はベツレヘムへ帰り着き、村中がそのことでわき立ちました。女たちは、「まあ、ほんとうにナオミさんかい」と言って騒ぎましたが、 + ナオミは答えました。「お願いだからナオミなんて呼ばないで。マラって呼んでちょうだい〔ナオミは「心地よい」、マラは「苦い」の意〕。全能の神様に、ずいぶんつらい目を見させられたんですから。 + 満たされてイスラエルを出て行ったのに、すべてをなくして帰って来たのです。主に見捨てられてこんな不幸に陥った私を、どうしてナオミなんて呼ぶのでしょう。」 + ナオミとルツがモアブからベツレヘムへ帰り着いたのは、ちょうど大麦の刈り入れが始まったころでした。 + + + ところでナオミには、夫の一族でベツレヘムに住むボアズという一人の有力な親戚がいました。 + ある日、ルツはナオミに申し出ました。「お母さん、私、どなたか親切な方の畑で、刈り入れをする人たちのあとについて落ち穂を拾わせてもらおうと思うの。」「すまないね、そうしてくれるかい。」 + そこでルツは出かけて行って落ち穂を集めたのですが、なんと、その畑はボアズの畑でした。 + ルツがまだ畑にいるうちに、ボアズがベツレヘムの町から来ました。雇い人たちとひと通りあいさつをすませると、ボアズは監督役の者に尋ねました。「あそこにいるのは、どこの娘さんかね。」 + 「あれは、ナオミといっしょにモアブから参った娘でございます。 + 落ち穂を拾わせてほしいと、今朝から来まして、とにかく、木陰で休みもせず、ああしてずっと立ち働いているのです。」 + ボアズはルツのそばに歩み寄ってことばをかけました。「こんにちは。精が出ますね。いいですか、いつも私のところで落ち穂を拾いなさい。ほかの畑に行くことはありません。私のところの女たちのあとにしっかりついてお行きなさい。若い者にも、あなたを困らせないように注意しておきましたから。それから、のどが渇いたらあそこで自由に水を飲みなさい。」 + ルツはありがたくて、何と言ってよいかわかりません。「どうして、私みたいな者に、そんなに親切にしてくださるのですか。よそ者ですのに。」「もちろん、それは知っていますよ。それに、あなたがご主人を亡くしてからもしゅうとめのために一生けんめい尽くしたことや、生まれ故郷を離れて見知らぬ国まで来たことも聞いています。 + どうかイスラエルの神、主が、その翼の下に避け所を求めてやって来たあなたを祝福してくださるように。」 + 「ほんとうに、もったいないことです。使用人でもありませんのに、こんなに親切にしていただいて。」 + 昼食の時、ボアズはルツに、「さあこちらに来て、いっしょにお食べなさい」と声をかけました。ルツが農夫たちと並んで腰をおろすと、ボアズは食べきれないほどの食べ物を取り分けてくれました。 + そして、彼女が再び落ち穂拾いに戻ると、若者たちにこう命じました。「じゃまをしないで、麦の束の間でも落ち穂を拾わせてやりなさい。 + そして、もっと拾いやすいように、穂を抜き落としておきなさい。とやかく言ってはなりません。」 + こうしてルツは一日中、そこで落ち穂を拾い集めました。夕方になって、集めた大麦の穂を打ってみると、なんと一エパ(二十三リットル)にもなりました。 + それをかかえて町へ戻り、しゅうとめのナオミに見せ、また、昼食の残りも差し出しました。 + 「まあ、ずいぶんたくさんだこと!」ナオミは思わず声を上げました。「いったい、どこで拾って来たの。こんなに親切にしてくださった方のために、心から主に感謝しましょう。」ルツはしゅうとめに、ボアズの畑に行ったことなど一部始終を話しました。 + それを聞いて、ナオミはまたびっくりし、「ボアズさんですって! 主よ、ありがとうございます。神様のお恵みは、あなたが夫を亡くした時に終わったんじゃなかったのだわ。お恵みはずっと注がれていたのだね。だって、その方は一番近い親戚の一人なんですから。」 + 「まあ、そうですの。あの方は、刈り入れが全部終わるまで、毎日、落ち穂を拾い集めていいとおっしゃったわ。」 + 「それはよかったこと。それじゃおことばに甘えて、刈り入れの間中、あの方のところで若い女たちといっしょにお世話になりなさい。ほかの畑に行くよりずっと安心よ。」 + こうしてルツは、大麦と小麦の刈り入れが終わるまで落ち穂を拾い続けました。 + + + ある日、ナオミはルツに話しかけました。「ねえ、ルツや。そろそろあなたも良いお婿さんを見つけて幸せにならなければね。 + 実は、これはと思っている人がいるの。あのボアズさんよ。あの方はとっても親切にしてくださったし、近い親戚でもあるからね。たまたま耳にしたんだけど、今夜、あの方は打ち場で大麦をふるい分けるって話よ。 + さあ、私の言うとおりにしておくれ。体を洗って香油を塗り、きれいな服を着て、打ち場へお行き。ただし、あの方が夕食をすますまでは気づかれないようにね。 + あの方がお休みになる場所をちゃんと見届けてから、そっと入って行き、足もとの覆いをまくって横になりなさい。あとはあの方が、あなたがどうすべきかを教えてくださるでしょう。」 + 「わかりました。おっしゃるとおりにします。」 + ルツはしゅうとめに教えられたとおり、その夜、打ち場に出かけて行きました。ボアズは食事をすますとすっかり心地よくなって、積み重ねてある麦のそばにごろりと横になり眠ってしまいました。そこで、ルツはそっと忍び寄り、ボアズの足もとの覆いをまくって横になりました。 + 真夜中に目を覚ましたボアズは、びっくりして跳び起きました。なんと、足もとに女が寝ているではありませんか。 + 「だれだ、おまえは!」とボアズが問いただすと、ルツは答えました。「ボアズ様、私ルツでございます。どうぞ、神様の律法に従って私を妻にしてください。あなた様はその権利がある親類ですから。」 + 「ルツよ。あなたのようなすばらしい女性は見たことがない。こんなにまでしてナオミに尽くしているとは。貧しくてもまだ若いのだから、若い男に心をひかれても不思議ではないのに、そんな気持ちよりも、買い戻しの権利を持つ私と結婚してナオミのために世継ぎを残そうというのか。 + ルツよ、何も心配はいらないよ。望みどおりにしてあげよう。あなたがすばらしい女性だということは、だれもが知っているのだから。 + ただ、一つだけ問題がある。確かに私は近い親戚には違いないが、もっと近い親戚がいるのだ。 + とにかく今夜はここで休みなさい。朝になったら、その人と話をつけることにしよう。もしその人があなたを妻に迎えるというなら、そのようにしてもらおう。義務を果たさせるまでだ。だが、もし断ったら、私が責任を果たそう。今ここで、はっきり主に誓うよ。さあ安心して、朝までここで休みなさい。」 + ルツは言われたとおりボアズの足もとに寝ましたが、夜明け前に起きました。ボアズが、「この打ち場に来たことをだれにも知られないように」と注意したからです。 + 「あなたの肩掛けを持って来なさい。」ボアズはそう言うと、しゅうとめへのみやげにと、大麦六杯をその中へ入れてルツに背負わせました。こうしてルツは町へ帰りました。帰宅すると、ナオミが「どうだったの?」と尋ねました。聞かれるままにあったこと全部を話し、ボアズから受け取った大麦を渡しました。そして、「何も持たずに帰ってはいけない」と言ったボアズのことばも、忘れずに伝えました。ナオミはうなずきました。「そう、ではどうなるのか、何か知らせがあるまでおとなしくしていましょう。ボアズさんのことですもの、決着がつくように最善を尽くしてくださるわ。きっと、今日にもめどをつけてくださいますよ。」 + + + さて、ボアズはさっそく広場に出かけ、目ざす相手を見つけました。「ちょっと折り入ってお話ししたいことがあるのですが、いいですか。」二人は並んで腰をおろしました。 + それからボアズは町の指導者十人を招き、証人になってくれるように頼みました。 + 万事の手はずが整うと、ボアズは相手に話を切り出しました。「モアブから帰って来たナオミのことは、ご存じですね。実は、あの人が私たちの身内のエリメレクの畑を売りたいと言っています。 + そのことをお耳に入れるべきだと思ったのです。ここに証人の方々もおられるので、よかったら、畑を買ってください。いかがですか? はっきりしたお返事を頂きたいのです。もし、そうされないなら私が買いましょう。ただ、一番にそれを買い戻す権利はあなたにあって、私はその次なのです。」その親戚の者は言いました。「いいだろう。買うことにしよう。」 + そこで、ボアズは言いました。「ところで、ナオミから畑を買い戻すとなると、ナオミの嫁ルツを妻に迎えてもらわなければなりません。ルツは子どもをもうけ、その地を相続させて、亡き夫の名を残さなければなりませんから。」 + すると彼は言いました。「そんなことなら、私は降りる。生まれてくる子にまで財産を分けてやるなんて、それは困る。あなたが買ってくれないか。」 + 当時イスラエルでは、人が買い戻しの権利を譲る時は、くつを脱いで相手に渡す習慣がありました。こうして、すべての取り引きが公認となるのです。 + その人はボアズに「あなたに譲る」と言って、くつを脱ぎました。 + ボアズは、同席の証人や長老たちに向かって言いました。「では皆さん。今日、私がナオミから、エリメレクおよびキルヨンやマフロンの全財産を買い取ったことを、お認めいただけますね。 + また、マフロンの未亡人でモアブ人のルツも、妻として譲り受けることになります。ルツの産む子どもは亡くなった夫の家名を継ぐことができるのです。このことの証人になっていただけますか。」 + すると、その場に居合わせた人々は、証人として答えました。「喜んで証人となりましょう。どうか主が、あなたがお迎えになる女に、イスラエル国民の母ラケルとレアのように、子どもを大ぜいお授けくださるように。またあなたも、ベツレヘムで大いに栄えられますように。 + その昔、主がわれらの先祖ペレツを、タマルを通してユダにお与えくださったように、あなたもこの若い女を通して子どもを授かり、末長く繁栄されますように。」 + こうしてボアズはルツと結婚し、まもなく彼女は男の子を授かりました。 + 女たちはナオミに言いました。「よかったわね。主がこんなにかわいいお孫さんを授けてくださるなんて。きっとこの子はイスラエルでその名が知られるようになるわ。 + おかげで、あなたは若返り、老後の心配もありませんね。何しろ、あんなに母親思いで、七人の息子にもまさるあなたのお嫁さんから生まれた子どもなんだもの。」 + ナオミはその赤ん坊を手塩にかけて育てました。近所の女たちは、「ごらんなさいよ。あのナオミさんに、また男の子が生まれた」と言って、その子にオベデ(「仕える者」の意)という名をつけました。オベデはエッサイの父で、ダビデ王の祖父となった人です。 + 先祖ペレツから始まるボアズの家系は次のとおりです。ペレツ、ヘツロン、ラム、アミナダブ、ナフション、サルモン、ボアズ、オベデ、エッサイ、ダビデ。 + +
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+ + これは、エフライムの山地のラマタイム‧ツォフィムに住んでいた、エフライム人エルカナの物語です。エルカナの父はエロハム、エロハムの父はエリフ、エリフの父はトフ、トフの父はツフといいました。 + エルカナには、ハンナとペニンナという二人の妻があり、ペニンナには何人もの子どもがいたのに、ハンナは子どもに恵まれませんでした。 + エルカナの一家は毎年シロにある主の宮に出かけ、天地の主である神を礼拝しては、いけにえをささげていました。当時の祭司は、エリの二人の息子ホフニとピネハスでした。 + いけにえをささげ終えると、エルカナは、ペニンナと子どもたち一人一人に贈り物を与え、盛大に祝いました。 + 彼はだれよりもハンナを愛していましたが、一人分の贈り物しか与えることはできませんでした。主が彼女の胎を閉ざしていたので、贈り物をしようにも子どもがいなかったのです。 + さらに困ったことは、ペニンナがハンナに子どもがないことを意地悪く言うことでした。 + 毎年、シロに来ると必ずそうなるのです。ペニンナはハンナをあざけり、笑い者にしたので、ハンナは泣いてばかりいて、食事ものどを通らない有様でした。 + 「ハンナ、どうした?」エルカナは心配顔でのぞき込みました。「なぜ食べないのだ。子どもがないからといって、そんなに思い悩むことはないよ。あなたにとって、私は十人の息子以上ではないのか。」 + シロ滞在中のある夜のこと、夕食後にハンナは宮の方へ行きました。祭司エリが、いつものように入口のわきの席に座っていました。 + ハンナは悲しみのあまり、主に祈りながら、激しくむせび泣きました。 + そして、次のような誓願を立てたのです。「天地の主よ。もしあなたが、私の悲しみに目を留めてくださり、この祈りに答えて男の子を授けてくださるなら、その子を必ずあなたにおささげいたします。一生あなたに従う者となるしるしに、その子の髪の毛を切りません。」 + エリは、ハンナのくちびるが動くのに声が聞こえないので、酔っているのではないかと思って言いました。 + 「いつまで酔っ払っているのか。早く酔いをさましなさい。」 + 「いいえ、祭司様。酔ってなどいません。ただ、あまりに悲しいので、私の胸のうちを洗いざらい主に申し上げていたのです。どうか、酔いどれ女だなどとお思いにならないでください。」 + 「そうか、よしよし。元気を出しなさい。イスラエルの主が、あなたの切なる願いをかなえてくださるように。」 + 「ありがとうございます、祭司様。」ハンナは晴れやかな顔で戻って行くと、食事をして元気になりました。 + 翌朝、エルカナ一家はこぞって早起きし、宮へ行ってもう一度主を礼拝し、ラマへと帰って行きました。その後、主はハンナの願いを聞いてくださり、ハンナは身ごもって男の子を産みました。ハンナは、「あれほど主に願った子どもだから」と言って、サムエル〔「神に願った」の意〕という名をつけました。 + 翌年、エルカナはペニンナとその子どもたちだけを連れて、シロへ年ごとの礼拝に出かけました。ハンナが、「この子が乳離れしてからにしてください。この子は宮にお預けするつもりです」と、同行しなかったからです。 + エルカナはうなずきました。「いいだろう。あなたが一番いいと思うとおりにしなさい。ただ、主のお心にかなうことがなされるように。」こうしてハンナは、サムエルが乳離れするまで家で育てました。 + そののち、ハンナとエルカナは、いけにえとして三歳の雄牛一頭、小麦粉一エパ(二十三リットル)、皮袋入りのぶどう酒を携え、まだ幼いその子をシロへ連れ上りました。 + いけにえをささげ終えると、二人はその子を祭司エリのところへ連れて行きました。 + ハンナはエリに申し出ました。「祭司様。私のことを覚えておいででしょうか。かつて、ここで主に祈った女でございます。 + 子どもを授けてくださいと、おすがりしたのです。主は願いをかなえてくださいました。 + ですから今、この子を生涯、主におささげしたいのです。」こうしてハンナは、その子を主に仕える者とするため、エリに預けたのです。 + + + ハンナは祈りました。「ああ、うれしゅうございます、主よ。こんなにも祝福していただいて。私は敵にはっきり答えることができます。主が悩みを取り去ってくださいましたから。私は喜びでいっぱいです。 + 主のように聖なるお方はありません。あなたのほかに神はないのです。私たちの神のような大岩はありません。 + 思い上がりも、尊大さも許されません。主は何もかもご存じで、すべての行為をおさばきになるのです。 + 力を誇った者が弱くなり、弱かった者が今や強くなっています。 + 満ち足りていた者が今は飢え、飢えていた者が満ち足りています。不妊の女が今は七人の子持ちとなり、多産の女がもう子を産めません。 + 主は殺し、主はいのちをお与えになります。 + 主は、ある人々を貧しくし、また、ある人々を裕福になさいます。主はある者を倒し、また、ある者を立ち上がらせてくださいます。 + 主は、貧しい者をちりの中から、灰の山から引き上げ、高貴な者のように取り扱い、栄光の座につかせてくださいます。この世はすべて主のものですから。主はこの世界をふさわしくされました。 + 主は信仰者を守られます。しかし、悪者は暗闇に葬り去られます。だれも自力でははい上がれません。 + 主は手向かう者を打ちのめし、天から彼らに雷鳴をとどろかせます。主は地を隅々までさばき、ご自分が選んだ王に特別な力を授け、主に油注がれた者に大きな栄誉をお与えになるのです。」 + そののちエルカナとハンナは、サムエルを残してラマに帰りました。幼いサムエルは、祭司エリのもとで主に仕える者となりました。 + ところでエリの息子たちは、主をないがしろにする、不道徳でよこしまな者たちでした。 + いけにえをささげている人がいると、しもべを送り、いけにえの動物の肉が煮えている大なべの中に、そのしもべが三つ又の肉刺しを突き刺して、これらはみなエリの息子のものだと宣告しました。彼らは、いけにえをささげて礼拝するためにシロにやって来るすべてのイスラエル人に対して、このように行っていました。 + 時には、祭壇で脂肪を焼く儀式が行われないうちから、しもべをやって、生の肉をよこせと言うことさえありました。焼き肉にして食べるためでした。 + いけにえをささげている人が、「いくらでもお取りになってけっこうです。しかし、まず〔律法のとおりに〕脂肪をすっかり焼いてしまわなければなりません」と答えると、使いの者はこう言うのです。「いや、たった今ほしいのだ。つべこべ言うなら、力ずくでももらうぞ。」 + こんなふうに、彼らは主の前に非常に大きな罪を犯しました。主へのささげ物を侮るようなことをしたからです。 + サムエルはまだ子どもでしたが、一人前の祭司のように、小さな亜麻布の儀式服を着て、主に仕えていました。 + 毎年、母親が小さな上着をこしらえ、夫とともに、いけにえをささげに来る時に持って来てくれていたのです。 + エルカナとハンナが家路につく前に、エリは二人を祝福し、主にささげた子の代わりに、もっと子どもが授かるよう主に願い求めてくれました。 + それで主はハンナに、三人の息子と二人の娘を授けました。一方、少年サムエルは、主のもとで成長していきました。 + エリはすでに高齢に達していましたが、身辺の出来事についてはよくわきまえていました。例えば、息子たちが幕屋(聖所)の入口で仕えている女たちを誘惑したことも、ちゃんと知っていました。 + エリは息子たちを呼びつけて注意しました。「私は民から、おまえたちのおぞましい悪行についてさんざん聞かされた。よくも民を罪に惑わすようなことをしてくれたものだ。少しの罪でもきびしい罰が下るのに、主に対するおまえたちの罪には、どれほど重い罰が下るか知れたものではない。」しかし、息子たちは耳を貸そうともしませんでした。というのは、主がすでに、この二人のいのちを絶とうとしていたからです。 + 一方、少年サムエルはすくすく育ち、人からも神からも愛されました。 + ある日、一人の預言者が来て、エリに主のことばを伝えました。「イスラエルの民がエジプトで奴隷だった時、わたしははっきり力を示したではないか。 + そして、なみいる同胞の中からあなたの先祖レビを選んで、祭司としたのではなかったか。その務めは、わたしの祭壇でいけにえをささげ、香をたき、祭司の服を着て仕えることだった。わたしは、あなたがた祭司にも、いけにえのささげ物を分け与えたではないか。 + それなのに、どうしてささげ物を一人占めしようとするのか。わたしよりも息子のほうが大事なのか。よくも親子して最上のささげ物によって肥え太ったものだ。 + それゆえ、イスラエルの神であるわたしは、こう宣言する。レビ族の一門であるあなたの家系が常に祭司となると約束したのは確かだが、今や、それがいつまでも続くと考えたら、大きな間違いである。わたしは、わたしを重んじる者を重んじる。わたしを侮る者は、わたしも軽んじる。 + あなたの家系は断絶する。これ以上、祭司を務めるには及ばない。家族全員、長寿を全うせずに死ぬのだ。よわいを重ねる者は一人もいない。 + あなたがたは、わたしが民に与える繁栄をうらやむだろう。あなたの一族は苦難と窮乏に陥る。だれ一人、長生きできない。 + かろうじて生き残った者も、悲嘆にくれて日を過ごす。子どもたちは、剣によって殺される。 + わたしのことばに偽りがないことを見せよう。二人の息子ホフニとピネハスは、同じ日に死ぬことになる。 + 代わりに、わたしは一人の忠実な祭司を起こす。彼はわたしに仕え、わたしが告げるとおり正しく行うだろう。その子孫を末代まで祝福し、その一族を王の前に永遠の祭司とする。 + だから、あなたの子孫はみな、彼に頭を下げ、金と食物を乞うようになる。彼らはこう言ってすがるだろう。『どうか、祭司のどんな仕事でもさせてください。何とか食べていきたいのです』と。」 + + + 少年サムエルは、エリのもとで主に仕えていました。そのころ、主のことばが人に臨むことはまれでした。 + ある夜、年老いて目がかすんだエリが寝床に入り、サムエルも契約の箱を安置した宮で寝ていました。 + すると主が、「サムエル、サムエル」と呼びました。サムエルは、「はい。ここにいます」と答えて、「どうしたのだろう」と思って飛び起きると、エリのもとへ走って行き、「サムエルです。何かご用ですか」と尋ねました。エリはけげんな顔で、「呼んだりしていないよ。さあ、戻ってお休み」と答えました。そのとおりにすると、 + 主がまたも、「サムエル」と呼んだのです。サムエルはまた飛び起きて、エリのもとへ駆けつけました。「はい。何かご用でしょうか。」「いいや、呼んだりしていないよ。いいから、帰ってお休み。」 + サムエルはまだ、主からおことばを頂いたことがなかったのです。 + ですから三度目に呼ばれた時も、またエリのもとへ駆けつけました。「はい。ご用でしょうか。」この時エリは、主が少年に語ったのだということを悟りました。 + そこで、彼はサムエルに言い聞かせました。「さあ、もう一度帰ってお休み。今度呼ばれたら、『はい、主よ。しもべは聞いております』と申し上げるのだよ。」サムエルは寝床に引き返しました。 + すると主が来られて、さっきのように、「サムエル、サムエル」と呼びました。そこでサムエルは、「はい。しもべは聞いております」と申し上げました。 + 主はサムエルに告げました。「わたしは、イスラエルに衝撃的なことを行うつもりだ。 + エリに言っておいた恐ろしいことが全部、現実となるだろう。 + エリの家は永遠にさばかれると警告しておいた。それは、神を冒瀆する息子たちの行為を、エリは手をこまぬいて見ていたことの報いである。 + わたしは誓う。エリと息子の罪は、いけにえやささげ物をいくら積もうと、決して赦されない。」 + サムエルは朝まで寝床につき、それから、いつものように宮の扉を開けました。サムエルは、主のお告げをエリに話したものか、恐れためらいましたが、 + エリのほうがサムエルを呼んだのです。「サムエルよ。主は何とお告げになったのだ。包み隠さず話しておくれ。小指の先ほどでも隠してはいけないよ。そんなことをしたら、神様がきつく罰してくださるように。」 + サムエルは、告げられたとおりを残さずエリに打ち明けました。「それは主の御心だよ。どうか、主が最善と思われることがなるように」と、エリは答えました。 + サムエルは成長し、主が常に彼とともにおられました。人々は、サムエルのことばに真剣に耳を傾けました。 + こうして、北はダンから南はベエル‧シェバに至るイスラエル全土に、サムエルが預言者になったことが知れ渡ったのです。 + それから主は、再びシロの宮でサムエルに声をかけました。サムエルは主のことばを、イスラエルのすべての民に伝えました。 + + + 当時、イスラエルはペリシテ人と戦っていました。イスラエル軍はエベン‧エゼルの近くに陣を敷き、ペリシテ軍はアフェクまで進出していました。 + ペリシテ軍はイスラエル軍を撃破し、イスラエルでは約四千人の犠牲者が出ました。 + 戦いが終わって陣営に戻ったイスラエル軍では、さっそく指導者たちが、なぜ主がイスラエルを痛めつけられたのかを論じ合いました。「契約の箱を、シロから運んで来ようではないか。それをかついで出陣すれば、主は必ず敵の手からお守りくださるだろう。」 + 話がまとまると、ケルビム(天使を象徴する像)の上に座している万軍の主の契約の箱を迎えにやらせました。エリの二人の息子ホフニとピネハスも戦場までついて来ました。 + 契約の箱が着いた時、イスラエル軍から大歓声が上がり、その響きは地をも揺るがすほどでした。 + ペリシテ人は、「いったい、どうしたんだろう。彼らは何を喜んでいるのだ?」と不思議がりました。そして、神の箱が着いたからだと知らされて、 + すっかりうろたえ始めました。「イスラエル人が神を呼んだって? 大変なことになったぞ。こんなことは初めてだ。 + いったいだれが、あの力に満ちたイスラエルの神から、われわれを救い出してくれるのだろう。あの神は、イスラエル人が荒野をさまよっている間、ありとあらゆる災害をもたらしてエジプト人を打った神ではないか。 + さあ、みんな、今まで以上に気を引きしめて戦おう! さもないと、われわれの奴隷だったやつらに、今度は逆に奴隷にされてしまうぞ。」 + こうしてペリシテ人は、総力を挙げて戦ったので、またもイスラエルは敗れてしまいました。その日のうちにひどい疫病が発生し、三万人が死に、生存者はほうほうのていでめいめいの天幕へ逃げ帰りました。 + さらに契約の箱まで奪われ、ホフニとピネハスも殺されたのです。 + 同じ日、一人のベニヤミン人が戦場から駆け戻り、シロにたどり着きました。何か悲しいことがあったのでしょう。男の服は裂け、頭には土をかぶっています。 + その時、エリは道のそばに設けた席で、戦況報告を今か今かと待っていました。というのも、契約の箱のことが心配だったからです。前線から到着したその使者が、町中に一部始終を知らせると、人々はこぞって泣き叫びました。 + それを聞いたエリは、「この騒ぎは、いったい何だ」といぶかりました。その時、例の使者がエリのもとへ駆けつけ、すべてを報告したのです。 + エリは九十八歳で、目も見えなくなっていました。 + 「私はたった今、戦場から戻りました。今日、戦場を発って来たのです。 + わが軍はさんざん痛めつけられ、幾千もの兵を失いました。ホフニ様とピネハス様も討ち死にされ、契約の箱まで奪われてしまいました。」 + それを聞いたとたん、エリはその席から門のわきに仰向けに倒れ、首の骨を折って死んでしまいました。年老いていた上に、太っていたからです。エリは四十年間、イスラエルを裁いたことになります。 + エリの息子の嫁に当たるピネハスの妻は出産間近でしたが、神の箱が奪われ、夫としゅうとが死んだという知らせを聞いて、急に激しい陣痛に襲われました。 + 瀕死の彼女に、世話役の女たちが、「気をお確かに。お産は軽くて、男の子ですよ」と励ましました。しかし、彼女には答える気力もありません。 + しばらくして、力なくつぶやきました。「この子の名前は『イ‧カボデ』(「栄光が去る」の意)よ。イスラエルから栄光が去ったから。」神の箱を奪われ、夫としゅうととを亡くしたので、彼女はそう名づけたのです。 + + + ペリシテ人は奪い取った神の箱を、エベン‧エゼルの戦場からアシュドデの町へ移し、偶像ダゴンの宮に運び込みました。 + ところが翌朝、人々が見物に来ると、なんということでしょう。ダゴンが神の箱の前で、うつぶせに倒れているではありませんか。人々はあわてて元どおりに安置しました。 + ところが、次の日も同じことが起こったのです。ダゴンの像は神の箱の前にうつぶせに倒れ、しかも今度は胴体だけで、頭と両手は切り取られて敷居のあたりに散らばっていました。 + そういうわけで、ダゴンの祭司も参拝者も、今日に至るまで、アシュドデにあるダゴンの宮の敷居を踏んだことがありません。 + さらに主は、アシュドデと周囲の村々の住民を腫物で打ち始めました。 + この出来事に人々は浮足立ちました。「これ以上、イスラエルの神の箱をここに置いてはならない。ダゴンの神もろとも、みんな大変な目に会うぞ。」 + ペリシテ人の五つの町の指導者が召集され、イスラエルの神の箱をどうしたものか協議しました。その結果、ガテに移しました。 + ところが移せば移したで、今度はガテの町の人々が、老若を問わず、腫物によって打たれたのです。町はパニックに陥りました。 + そこで人々は、その箱をエクロンに送りました。しかし神の箱を見たエクロンの人々は、「イスラエルの神の箱を持って来たりして、われわれまで殺す気か」と騒ぎだしたのです。 + そこで人々はもう一度指導者を召集し、町が全滅しないように神の箱をイスラエルに戻してほしいと懇願しました。腫物の災難が広がり、町はどこもかしこも死の恐怖におびえていたからです。 + いのちが助かった者もひどい腫物に悩まされ、至る所で悲痛な叫びが聞かれました。 + + + 契約の箱は、まるまる七か月、ペリシテの野に放り出されたままでした。 + ペリシテ人は祭司や占い師らを呼び寄せて尋ねました。「この箱をどうしたものだろう。これだけをイスラエルに送り返すわけにもいかないし、かといって、どんな贈り物を添えたらよいものやら……。」 + 「もちろん、贈り物は必要です。腫物の災いを収めるには、罪過を償ういけにえを贈るべきです。それでも収まらなければ、原因はほかにあるのです。」 + 人々は尋ねました。「罪を償ういけにえとは、どんなものだ?」彼らは答えました。「腫物をかたどって、金で五つの模型を作り、また、全国五つの町と近隣の村々をくまなく荒らし回ったねずみをかたどって、金で五つの像を作りなさい。これらを贈り、イスラエルの神をほめたたえれば、たぶん、あなたがたや神々の悩みの種も消えるでしょう。 + かつてのエジプト人やその王のように強情を張ったり、逆らったりしてはいけません。あくまでもイスラエルを去らせまいとしたおかげで、彼らが神からどれほど恐ろしい災害を受けて痛めつけられたか。 + だから、さあ、新しい荷車を一台仕立て、それに、子牛を産み落としたばかりの雌牛、つまり、まだくびきをつけられたことのない雌牛を二頭つなぎなさい。残された子牛は牛小屋に閉じ込めておくように。 + 箱をその荷車に載せ、ねずみや腫物にかたどった金の像を詰めた箱もいっしょに置きなさい。そして、雌牛の思いのままに引かせるのです。 + もし国境を過ぎてベテ‧シェメシュの方へ向かうなら、この大災害を下したのはイスラエルの神だとはっきりするでしょう。しかし、そちらへは行かずに子牛のいる牛小屋へ戻るなら、あれは偶然の出来事で、イスラエルの神とは全く関係ありません。」 + 人々は言われたとおりにしました。子牛を産んだばかりの二頭の雌牛を車につなぎ、子牛を牛小屋に閉じ込めました。 + ついで、神の箱と、金で作ったねずみや腫物の模型を詰めた箱とを積み込みました。 + すると予想どおり、雌牛は鳴きながら、ベテ‧シェメシュへの道をまっしぐらに突き進んだのです。ペリシテ人の領主たちは、ベテ‧シェメシュの国境までついて行きました。 + 一方、ベテ‧シェメシュの人々は、谷間で小麦の刈り入れをしていましたが、神の箱が来るのを見て、喜びのあまり飛び上がりました。 + 荷車はヨシュアという人の畑にさしかかり、大きな岩のそばで止まりました。人々は荷車を割ってたきぎとし、雌牛をほふって、焼き尽くすいけにえを主にささげました。 + レビ族の何人かが、神の箱とねずみや腫物にかたどった金の像を入れた箱とを車から降ろし、岩の上に置きました。その日、ベテ‧シェメシュの人々によって、多くの焼き尽くすいけにえや供え物が神にささげられました。 + ペリシテ人の五人の領主たちは、しばらくそれを見守ってから、その日のうちにエクロンへ引き返しました。 + 罪過を償ういけにえとして送られた腫物の金の模型は、五つの町、アシュドデ、ガザ、アシュケロン、ガテ、エクロンの領主たちからのささげ物でした。 + また、金のねずみの像は、五つの町の属領である要塞の町々や地方の村々など、他のすべてのペリシテ人の町からの、イスラエルの神をなだめるささげ物でした。なお、ベテ‧シェメシュの大きな岩は、今でもヨシュアの畑にあります。 + 一方、主はベテ‧シェメシュの人々七十人を打ちました。彼らが契約の箱の中を見たからです。多くの者が殺されたのを見て、人々は悲しみに打ちひしがれました。 + 彼らは言いました。「聖なる神、主の前にだれがまともに出られよう。神の箱をどこへ移したらよいものか。」 + そこで、キルヤテ‧エアリムの住民に使者を送り、ペリシテ人が神の箱を返して来たことを知らせました。そして、「さあ、早く持って行ってください」と嘆願したのです。 + + + キルヤテ‧エアリムの人々は来て、丘の中腹にあるアビナダブの家に神の箱を運び込みました。そして、アビナダブの子エルアザルに管理を任せました。 + その箱は二十年間、そこに置かれたままでした。その間、イスラエルの全家は主に見放されたような悲しみの中にありました。 + そのような時、サムエルはイスラエルの民に言いました。「心から主のもとに帰りたいなら、外国の神々やアシュタロテの偶像を取り除きなさい。主おひとりに従う決心をしなさい。そうすれば、ペリシテ人の手から救い出していただけます。」 + そこで人々は、バアルやアシュタロテの偶像を取り壊し、主だけを礼拝するようになりました。 + それを見て、サムエルは言いました。「全員、ミツパに集合しなさい。あなたがたのために主に祈りましょう。」 + 人々はミツパに集結し、井戸から水をくみ、主の前に注ぐ大がかりな儀式を執り行い、自らの罪を悔いて、その日一日断食しました。こうしてサムエルは、ミツパでイスラエルの民を導き始めたのです。 + ペリシテ人の指導者たちは、ミツパに大群衆が集結したことを知り、兵を動員して攻め寄せて来ました。ペリシテ軍が近づいて来たと聞いて、イスラエル人は恐れおののきました。 + 「どうぞ、お救いくださるよう、私たちの神、主に嘆願してください。」彼らはサムエルに泣きつきました。 + そこでサムエルは、乳離れ前の子羊一頭を取り、焼き尽くすいけにえとして主にささげ、イスラエルを助けてくださるよう主に祈りました。そして、祈りは答えられたのです。 + ちょうどサムエルがいけにえをささげていた時、ペリシテ人が攻撃して来ましたが、主は天から大きな雷鳴をとどろかせて彼らを大混乱に陥らせました。敵はたちまち総くずれになり、イスラエル人はなお、 + ミツパからベテ‧カルまで追い打ちをかけ、彼らを討ちました。 + この時サムエルは、一つの石をミツパとシェンの間に置き、「ここまで主が私たちをお助けくださった」と言って、エベン‧エゼル(「助けの石」の意)と名づけました。 + こうしてペリシテ人は制圧され、その時代に再びイスラエルを襲撃することはありませんでした。サムエルが生きている間、主がペリシテ人を見張っていたからです。 + ペリシテ人の占領下にあったエクロンからガテに至るイスラエルの町々は、晴れてイスラエルに返還されました。イスラエル軍が奪い返したのです。当時、イスラエル人とエモリ人とは友好関係にありました。 + サムエルは生涯、イスラエルを治めました。 + 彼は毎年、最初はベテル、次はギルガル、その次はミツパと巡回しながらイスラエルのために裁きを行いました。どの町でも、その地域で紛争中の問題がサムエルのもとに持ち込まれました。 + それからサムエルは、生家のあるラマへ戻り、そこでも種々の訴えを裁きました。彼はまた、ラマに主のために祭壇を築きました。 + + + やがて、年老いたサムエルは隠退し、イスラエルを裁く仕事を息子たちに譲りました。 + 長男ヨエルと次男アビヤは、ベエル‧シェバで人々を裁きました。 + しかし彼らには、父のような高潔さが欠けていました。金に目がくらんでわいろを取り、公平であるべき裁きを曲げていました。 + そこでイスラエルの長老たちはラマに集まり、この件でサムエルと話し合いました。 + 彼らは、サムエルの隠退後、息子たちの行状が思わしくなく、物事に支障をきたしていることを話しました。そして、こう願ったのです。「どの国にも王がいます。私たちにも王を立ててください。」 + サムエルはひどく動揺し、主に祈りました。 + 主の答えはこうでした。「民の言うとおりにしてやるがよい。彼らは、あなたではなく、このわたしを退けたのだ。もう、わたしに治めてもらいたくないのだ。 + エジプトから連れ出して以来これまで、彼らはいつもわたしを捨て、ほかの神々のあとを追ってばかりいた。まさにそれと同じことを、今またしようとしているのだ。 + 願うとおりにしてやるがよい。ただし、王を立てることがどういうことか、よくよく警告しておきなさい。」 + サムエルは主のことばを、王を求めるこの民に残らず伝えました。 + 「あなたがたの言うとおり王を立てれば、あなたがたの息子は王の軍隊に取られ、王の戦車の前を走ることになりかねない。 + 中には、戦場に追いやられる者も出るだろう。そして、残りの者はみな、奴隷のように働かされる。王家の領地を耕し、刈り入れにも無報酬で駆り出され、武器や戦車の部品作りにも動員されるのだ。 + 王はあなたがたから娘も取り上げて、料理をこしらえたり、パンを焼いたり、香料を作ったりすることを強いるだろう。 + それに、ぶどう畑やオリーブ畑のうち、最良の場所を王家の所領に差し出さなければならない。 + 収穫の十分の一は、年貢として王の家来たちに納めなければならない。 + 奴隷や屈強の若者、それに家畜まで、王の私用のために駆り出されるのだ。 + 羊の群れも十分の一を要求されるし、結局、自分たちが奴隷となるわけだ。 + 王を立ててほしいと言ったばっかりに、あとで後悔して嘆いても、主は助けてくださらないだろう。」 + しかし人々は、警告に耳を傾けようとしませんでした。「かまいませんとも。それでも王が欲しいのです。 + よその国々と同じになりたいのです。王が私たちを治め、戦いを指揮してくれるでしょう。」 + サムエルは、人々の反応を主に告げました。 + 主はまたも、「言うとおりにしてやりなさい。王を立ててやるがよい」と答えました。ついにサムエルも承知し、人々をそれぞれ自分の家に帰らせました。 + + + ベニヤミン人に、キシュという裕福な有力者がいました。その人の父親はアビエル、アビエルの父はツェロル、ツェロルの父はベコラテ、ベコラテの父はアフィアハでした。 + キシュの息子サウルは国中で一番の美青年で、しかも、だれよりも頭一つ高い長身でした。 + ある日、キシュのろばがいなくなってしまいました。そこでキシュは、サウルに若者を一人つけて捜しにやったのです。 + 二人はエフライムの山地、シャリシャ地方、シャアリム地域、それからベニヤミンの全地をくまなく捜し回りました。しかし、ついにろばは見つかりません。 + ツフの地まで捜したあと、サウルは召使の若者に言いました。「もう帰ろう。こうなったら、父はろばより、おれたちのことを心配するよ。」 + 「若だんな様、名案があります。この町には神の人がおいでです。だれからも厚い尊敬を集めている方で、その人の言うことはぴたりと当たるそうです。今から、お訪ねしてみましょう。ろばがどこにいるか、きっと教えてくださいますよ。」 + 「それにしても、みやげの品が何もないな。食べ物も尽きたし、何を贈ったらいいだろう。」 + 「心配はいりません。私が少しばかりお金を持っています。それを差し上げて、ご指示を仰いではいかがでしょう。」 + 「よし、そうしよう。」話がまとまり、二人は預言者の住む町へ向かいました。町へ通じる坂道を上ると、水くみに来た若い娘たちに出会いました。そこで、「この町に先見者がおられますか」と尋ねました。当時、預言者は先見者と呼ばれていたのです。 + 「ええ。この道をちょっと行った所にいらっしゃいます。町の門のすぐ内側です。ちょうど旅からお戻りになったところで、人々のために丘の上でいけにえをささげに行こうとしておられます。さあ、お急ぎになったほうがいいわ。せっかくお訪ねになっても、丘へ行かれたあとではしかたありませんもの。あの方がおいでになって、いけにえを祝福されたあとでないと、客人は食事ができませんから。」 + 二人は町へ急ぎ、門にさしかかった時、丘に上ろうとやって来たサムエルに出会いました。 + 主はその前日、サムエルにこう告げていました。 + 「明日の今ごろ、ベニヤミン出身の者をあなたのもとに遣わそう。その者に油を注いで、わたしの民の上に立つ者としなさい。彼はイスラエルをペリシテ人から救い出すだろう。わたしが民を顧みてあわれに思い、その叫びを聞いたからだ。」 + サムエルがサウルをひと目見た時、「これが、あなたに告げた若者だ。イスラエルを治めるべき者だ」と主の声が聞こえました。 + サウルはサムエルに近づいて、「先見者のお宅はどちらでしょうか」と尋ねました。 + 「私がそうだよ。さあ、先に立って、あの丘に上りなさい。いっしょに食事をしましょう。明朝、あなたが知りたいことを説き明かしてから、お見送りします。 + 三日前に消えたろばのことは心配いりません。もう見つかっています。今やイスラエルの富はすべて、あなたの手にあるのです。」 + 「何と言われます。私はイスラエルの中でも最も小さいベニヤミン族の者で、私の家は、その中でも取るに足りない存在です。どうしてそのようなことを。」 + サムエルはサウルと連れの召使を広間に案内し、上座に座らせ、すでに招かれていた三十人のどの客よりも、うやうやしくもてなしました。 + サムエルは料理長に命じて、取っておきの特上の肉を持って来させ、 + 料理長は命じられたとおり、それをサウルの前に出しました。サムエルは勧めました。「さあ、召し上がってください。これは、この方々を招く前から、あなたのために取っておいたものです。」サウルはサムエルとともに食事をしました。 + 食事を終え、町に戻ると、サムエルはサウルを屋上に案内し、そこで話し合いました。 + 翌朝、夜が明けると、サムエルはサウルを呼びにやりました。「起きなさい。出立の時間です。」サウルが起きると、サムエルは町はずれまで送りました。町の城壁まで来ると、サムエルはサウルに、召使を先に行かせるように言いました。そうして、「私は神様から、あなたのことで特別のおことばを託されているのです」と告げました。 + + + サムエルはオリーブ油の入ったつぼを取り、サウルの頭に注ぎかけ、口づけしてから言いました。「なぜこんなことをしたか、おわかりですか。主があなたを、ご自身の民イスラエルの王に任命なさったからなのです。 + 今、私と別れたら、あなたはベニヤミン領内のツェルツァフにあるラケルの墓のそばで、二人の人に出会うでしょう。その二人は、ろばがとっくに見つかったと伝えるはずです。また、お父上があなたのことを、『いったい、どこへ行ってしまったんだ』と心配している様子も知らせてくれます。 + それから、さらにタボルの樫の木のところまで行くと、三人の人に出会うでしょう。神様を礼拝するため、ベテルの祭壇に向かう人たちです。一人は子やぎ三頭を携え、一人はパンを三つ、他の一人はぶどう酒の皮袋一袋を持っているはずです。 + 彼らはあなたにあいさつして、パンを二つくれるので、それを受け取りなさい。 + そのあとあなたは、ペリシテ人の守備隊がいる、『神の丘』として名高いギブア‧エロヒムに行くことになります。そこへ着くと、預言者の一団が、琴、タンバリン、笛、竪琴を鳴らし、預言をしながら丘を降りて来るのに出会うでしょう。 + その時、神の霊が激しく下り、あなたも共に預言を始めます。すると、全く別人になったように感じ、またそうふるまうに違いありません。 + その時から、自分の思うとおり、その時その時の状況に応じて、いちばん良いと思われることをすればよいのです。神様が導いてくださるからです。 + それから、ギルガルへ行き、七日間、私を待ちなさい。焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげるために私も行くから、今後なすべきことは、その時に教えることにしましょう。」 + サウルはサムエルのもとを辞して進んで行くうち、神から新しい心を与えられました。そしてサムエルの預言はすべて、その日のうちに現実となったのです。 + サウルと召使が神の丘に着くと、言われたとおり預言者の一団が近づいて来るのに出会いました。神の霊がサウルに下り、彼も預言を始めました。 + そのことを聞いたサウルの友人たちは驚き、「どうしたんだ。あのサウルが預言者だって?」と言いました。 + 居合わせた近所の人も、「父親もあんなふうだったかな」とささやきました。そういうわけで、「サウルも預言者なのか」ということばが、ことわざのようになったのです。 + サウルは預言を終えると、丘の祭壇へと上って行きました。 + 彼のおじはサウルと召使いに、「いったい、どこへ行っていたのだ」と聞きました。「ろばを捜し回っていたのですが、見つからないので、サムエル様のところへ、ろばの居場所を伺いに行ったのです。」 + 「そうだったのか。それで何と?」 + 「ろばはもう見つかったとおっしゃいました。」しかしサウルは、自分が王として油を注がれたことは黙っていました。 + さて、サムエルは全イスラエルをミツパに召集し、 + イスラエルの神のことばを伝えました。「わたしはあなたがたをエジプトから連れ出し、エジプト人と、あなたがたに害をもたらすすべての民の手から救い出した。ところが、こうまで心にかけたわたしを退け、『それより、王が欲しい』と叫んでいる。さあ、部族ごとに、氏族ごとに、わたしの前に出なさい。」 + こうしてサムエルは、部族の指導者を整列させました。聖なるくじで、まずベニヤミン族が選ばれました。 + ベニヤミン族を、氏族ごとに主の前に出させたところ、マテリの氏族が選ばれました。こうしてついに、キシュの子サウルをくじで選び出したのです。ところが、どこを捜してもサウルの姿は見当たりません。 + 人々が、「いったいサウルは、どこへ行ったのでしょう。ここに来ているのですか」と尋ねると主は、「見なさい。彼は荷物の陰に隠れている」と答えました。 + それで人々は彼を見つけると、そこから連れて来ました。サウルが立つと、他のだれよりも肩から上だけ高いのが目立ちました。 + サムエルはすべての民の前で宣言しました。「この人こそ、主が王としてお選びくださった人だ。イスラエル中で、この人の右に出る者はいない!」「王様、ばんざーいっ!」民の間から喜びの叫びが上がりました。 + サムエルは全国民に、王の権利と義務について語りました。さらに、それを文書にして、主の前の特別な場所に納めました。こののち、人々をそれぞれ自分の家に帰したのです。 + サウルもまた、ギブアの自宅に戻りました。この時、神によって心動かされた勇士たちは、彼について行きました。 + ところが、中には飲んだくれやならず者もいて、「こんな男がおれたちを守れるものか」と言って彼を侮り、贈り物すら持っていこうとしませんでした。しかし、サウルは何も言いませんでした。 + + + さて、アモン人ナハシュが軍を率いて、イスラエル人の町ヤベシュ‧ギルアデに迫りました。ヤベシュの人々は講和を求め、「どうか、お助けください。あなたがたにお仕えしますから」とすがりました。 + ナハシュの答えは情け容赦のないものでした。「よし、わかった。ただし、一つ条件がある。全イスラエルへの見せしめに、おまえたち一人一人の右目をえぐり取らせてもらおう。」 + なんということでしょう。ヤベシュの長老たちは困りました。「七日間の猶予を下さい。その間に、だれも助けに来てくれなければ、お申し出に従うまでです。」 + 使者がサウルの住むギブアの町に駆けつけ、苦境を訴えると、だれもが声を上げて泣きだしました。 + そこへ、畑を耕しに行っていたサウルが戻って来て、「いったい、どうしたのだ。なぜ、みんな泣いているのか」と尋ねました。人々はヤベシュからの知らせを伝えました。 + その時、神の霊が激しくサウルに下ったのです。サウルは満身を怒りに震わせ、 + 二頭の雄牛を捕まえるや、それを切り裂き、使者に託してイスラエル中に送りました。そして、「サウルとサムエルに従って戦うことを拒む者の雄牛は、このようにされる」と言い送ったのです。主が人々にサウルの怒りを恐れさせたのか、みな、いっせいに集まって来ました。 + ベゼクでその数を調べると、イスラエルから三十万人、さらにユダから三万人が加わったことがわかりました。 + そこでサウルは、使者をヤベシュ‧ギルアデに送り帰し、「明日の昼過ぎまでに助けに行く」と告げさせたのです。この知らせに、どれほど町中が喜びにわき立ったことでしょう。 + ヤベシュの人々は、敵にこう通告しました。「降伏いたします。明日、あなたがたのところへまいりますから、どうぞお気のすむようになさってください。」 + 翌朝早く、サウルはヤベシュ‧ギルアデに駆けつけ、全軍を三隊に分けてアモン人を急襲し、午前中にほとんど全員を打ち殺してしまいました。残った者たちも散り散りになり、二人の者が共に残ることさえありませんでした。 + その時、人々はサムエルに言いました。「サウルなどわれわれの王ではないと言った者たちはどこでしょうか。引っぱり出してください。息の根を止めてやります。」 + しかし、サウルは答えました。「今日はだめだ。この日、主はイスラエルを救ってくださったのだから、だれをも殺してはならない。」 + 続いて、サムエルが呼びかけました。「さあ、ギルガルへ行こう。サウルがわれわれの王であることを、改めて確認するのだ。」 + 人々はこぞってギルガルへ行き、主の前でサウルを王として立てました。それから、主に和解のいけにえをささげ、共に喜び合ったのです。 + + + サムエルは、再び民に語りかけました。「さあ、見るがいい。あなたがたの願いどおり王を立てた。 + 私は自分の息子よりも、この人を選んだ。私は若いころから公の務めについてきたが、今や白髪頭の老人になった。 + 今、私は主の前に、そして主が油を注がれた(神にきよめ分けられ、任命を受けた)王の前に立っている。さあ、言い分があるなら言ってくれ。私がだれかの牛やろばを盗んだりしただろうか。みんなをだましたり、苦しめたりしたことがあるか。わいろを取ったことがあるか。もしそんな事実があったら、言ってほしい。何か間違いを犯したことがあるなら償いたいのだ。」 + 「とんでもない。あなたからだまし取られたり、苦しめられたりした覚えなど、これっぽちもありません。それに、あなたは、わいろなどとは全く無縁な方です。」 + 「では、私があなたがたから非難される点が何一つないことについては、主ご自身と、主が油を注がれた王が証人ということでよいか。」「はい、そのとおりです」と彼らは答えました。 + サムエルは続けました。「モーセとアロンをお選びになったのは、主であった。主があなたがたの先祖をエジプトから導き出してくださったのだ。 + さあ、主の前に静かに立ちなさい。先祖たちの時代からこのかた、主があなたがたに対してどれほどすばらしいみわざを行ってくださったか思い出させよう。 + かつて、エジプトに抑留されていたイスラエル人が叫び求めた時、主はモーセとアロンを遣わし、彼らをこの地へと導いてくださった。 + ところが、だれもみな、すぐに彼らの神、主を忘れてしまった。それで、ハツォル王の率いる軍の将シセラや、ペリシテ人、モアブの王の手に落ちるのを主は放っておかれた。 + すると人々はもう一度、主に叫び求めた。主を捨て、バアルやアシュタロテなどの偶像を拝んだ罪も告白した。そして、『もし敵の手から救い出してくださるなら、あなただけを礼拝します』と泣きすがった。 + それで主は、ギデオン(エルバアル)、バラク、エフタ、サムエルを遣わして敵の手から救い出し、安らかな生活を取り戻させてくださったのだ。 + ところが、あなたがたは、アモン人の王ナハシュを怖がって、自分たちを治める王が欲しいと言いだした。あなたがたの神である主こそが、あなたがたの王であったのに。主はこれまでもずっと、あなたがたを支配してこられたのだ。 + さあ、よく見なさい。この人が、あなたがたの選んだ王だ。 + あなたがたが主を恐れかしこみ、主の命令を聞き、反抗的な態度を捨て、そして王とともに主に仕える道を歩むなら、すべてうまくいくだろう。 + しかし、もし主の命令に逆らい、主に聞き従うことを拒むなら、主のさばきが下り、先祖たちの二の舞になるだろう。 + さあ、主のみわざを見なさい。 + だれでも知っているように、小麦を刈り取るこの時期には雨が降らない。しかし、私は主に祈って、今日、雷と雨を送っていただく。王を欲しがるのがどれほど愚かなことだったか思い知るだろう。」 + そうして、サムエルが呼び求めると、主は雷と雨をもたらしたので、人々はみな驚き、震え上がりました。 + 彼らはサムエルにとりすがりました。「ああ、いのちだけはお助けくださいと祈ってください。私たちは王が欲しいと言って、今までの罪にまた罪を重ねてしまいました。」 + サムエルは彼らをなだめました。「怖がることはない。過ちを犯したのは事実だが、問題はこれからだ。心を尽くして主を礼拝し、何があっても背いてはならない。 + ほかの神々が助けてくれるわけがないのだから。 + 主は、ご自分の民を捨てて、その偉大なお名前を汚すようなことはなさらない。主はあなたがたを、特別な民として選んでくださったのではないか。そうすることが主のご意志だったのだ。 + 私も、あなたがたのために祈るのをやめて、主に罪を犯すことなどしない。これからも、良いこと正しいことを教え続けよう。 + 主を信頼し、心から礼拝をささげなさい。主があなたがたに行ったすばらしいわざを、すべて心に留めなさい。 + しかし、もしこのまま罪を犯し続けるなら、王とともに滅ぼされることになるだろう。」 + + + サウルが王位についてから、一年が過ぎました。サウルは治世の二年目に、 + 三千人の精兵を選びました。このうち二千人はサウルとともにミクマスとベテルの山地にこもり、残りの千人はサウルの息子ヨナタンに統率されて、ベニヤミン領のギブアにとどまりました。残りの者は自宅待機となりました。 + そののちヨナタンは、ゲバに駐屯していたペリシテ人の守備隊を攻略し、そのニュースがたちまちペリシテの領土中に広まりました。サウルは全イスラエルに戦闘準備の指令を出し、ペリシテ人の守備隊を破ったことで、ペリシテ人の大きな反発を買った事情を訴えました。イスラエルの全軍が再びギルガルに召集され、 + ペリシテ側も兵力を増強し、戦車三千、騎兵六千、それに浜辺の砂のようにひしめくほどの兵士たちを集結させました。そして、ベテ‧アベンの東にあるミクマスに陣を敷いたのです。 + イスラエル人は敵のおびただしい軍勢を見るなり、すっかりおじけづいてしまい、先を争ってほら穴や茂みの中、岩の裂け目、それに地下の墓所や水ためにまでも隠れようとしました。 + 中には、ヨルダン川を渡って、ガドやギルアデ地方まで逃げ延びようとする者も出ました。その間、サウルはギルガルにとどまっていましたが、従者たちは、どうなることかと恐怖に震えていました。 + サムエルはサウルに、自分が行くまで七日間待つように言ってありました。ところが、七日たってもサムエルは現れません。サウル軍は急に動揺し始め、統制が取れなくなりそうな形勢です。 + 困ったサウルは、祭司ではないのに、自分で焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげようと決心しました。 + こうして、サウルがちょうどいけにえをささげた直後、サムエルが姿を現したのです。サウルが迎えに出て祝福を受けようとすると、 + サムエルは、「あなたはなんということをしたのか」と問い詰めました。サウルは答えました。「兵士たちは逃げ出そうとしておりましたし、あなたも約束どおりおいでになりません。ペリシテ人は、今にも飛びかからんばかりにミクマスで構えています。 + 敵はすぐにも進撃してくるでしょう。なのに、まだ神様に助けを請うていません。とてもあなたを待ちきれませんでした。それでやむなく、自分でいけにえをささげてしまったのです。」 + 「なんと愚かなことを!」サムエルは思わず叫びました。「よくもあなたの神、主の命令を踏みにじってくれた。主はあなたの家系を、子々孫々まで、永遠にイスラエルの王に定めておられたのに。 + だが、もはやあなたの王家も終わりだ。主が望んでおられるのは、ご自分に従う者なのだ。すでに、お心にかなう人を見つけて、王としてお立てになっている。あなたが命令に背いたからだ。」 + サムエルはギルガルを発って、ベニヤミン領内にあるギブアに上って行きました。一方、サウルは自分の指揮下にある兵を数えてみました。すると、たった六百人しか残っていませんでした。 + サウルとヨナタンとこれらの兵は、ベニヤミンのゲバに駐屯し、ペリシテ人はミクマスに腰をすえていました。 + やがて三つの攻撃部隊が、ペリシテ人の陣営からくり出されました。一隊はシュアルの地にあるオフラに向かい、 + もう一隊はベテ‧ホロンに向かい、第三の隊は荒野に接するツェボイムの谷を見下ろす境界へと進軍したのです。 + 当時、イスラエルには鍛冶屋がありませんでした。イスラエル人が剣や槍を作ることを恐れたペリシテ人が、鍛冶屋の存在を許さなかったからです。 + そこで、イスラエル人がすき、くわ、斧、かまなどを研ぎたい場合は、ペリシテ人の鍛冶屋を訪ねなければなりませんでした。 + すきやくわの研ぎ料、斧や突き棒の修理料は一ピム(一シェケル=銀十一‧四グラムの三分の二)でした。 + この時、イスラエル兵の中で剣や槍を持っているのはサウルとヨナタンだけでした。 + そうこうするうち、ミクマスへ通じる山道は、ペリシテ軍の先陣によって厳重に封鎖されました。 + + + 一日二日が過ぎたころ、サウルの子の王子ヨナタンは、側近の若者に言いました。「さあ、ついて来い。谷を渡って、ペリシテ人の陣営に乗り込もう。」このことは、父サウルには知らせていませんでした。 + サウルと六百人の兵は、ギブア郊外のミグロンのざくろの木付近に陣を敷いていました。 + その中には祭司アヒヤもいました。アヒヤはイ‧カボデの兄弟アヒトブの子で、アヒトブはシロで祭司を務めたエリの子ピネハスの孫に当たります。ヨナタンが出かけたことは、だれ一人知りませんでした。 + ペリシテ人の陣地へ行くには、二つの切り立った岩の間の狭い道を通らなければなりませんでした。二つの岩は、ボツェツとセネと名づけられていました。 + 北側の岩はミクマスに面し、南側の岩はゲバに面していました。 + ヨナタンは従者に言いました。「さあ、あの主を知らない者たちを攻めよう。主が奇跡を行ってくださるに違いない。主を知らない兵の力など、どれほど大きかろうと、主には物の数ではない。」 + 若い従者は言いました。「そうですとも。あなたの思いどおりにお進みください。お供します。」 + 「そうか。では、こうしよう。 + われわれが敵の目に留まったとき、『じっとしていろ。動くと殺すぞ!』と言われたら、そこに立ち止まって彼らを待とう。 + もし『さあ、来い!』と言われたら、そのとおりにするのだ。それこそ、彼らを打ち負かしてくださる神のしるしだ。」 + ペリシテ人は近づいて来る二人の姿を見かけると、「見ろ! イスラエル人が穴からはい出て来るぞ!」と叫びました。 + そしてヨナタンに、「さあ、ここまで来い。痛い目に会わせてやろう!」と大声で呼びかけるではありませんか。ヨナタンはそばの若者に叫びました。「さあ、あとから登って来い。主がわれわれイスラエルを助けて、勝利をもたらしてくださるぞ!」 + 二人は崖をよじ登り、ペリシテ人がしりごみするところを打ちかかり、ヨナタンと若者は右に左に切り倒しました。 + この時に殺されたのは約二十人で、一くびきの牛が半日で耕す広さの場所に死体が散乱しました。 + 不意を突かれて、ペリシテ軍の全陣営、とりわけ先陣の部隊はパニックに陥りました。大地震にでも見舞われたように、恐怖におののきました。 + ギブアにいたサウルの陣営では、見張りの番兵が思いがけない光景を目にしていました。ペリシテ人の大軍が、うろたえて右往左往し始めたのです。 + サウルは、「だれかわれわれの陣営から消えた者がいるか調べろ」と命じました。調べると、ヨナタンと側近の若者がいません。 + サウルはアヒヤに、「神の箱を持って来なさい」と叫びました。そのころ、神の箱はイスラエル人の間にあったのです。 + サウルが祭司と話している間に、ペリシテ人の陣営の騒ぎは、ますます大きくなっていきました。サウルは祭司に、「もうよい」と言って、 + 六百人の兵とともに大急ぎで戦場に駆けつけました。すると、ペリシテ人が同士打ちをしており、どこもかしこも収拾がつかない有様です。 + それまでペリシテ軍に徴兵されていたヘブル人も、寝返ってイスラエル側につきました。 + ついには、山地に隠れていた者まで、ペリシテ人が逃げ出すのを見て、追撃に加わりました。 + こうして、この日、主はイスラエルを救い、戦闘はベテ‧アベンに場所を移していきました。 + この日、サウルは民に命じていました。「夕方まで、つまり、私が完全に敵に復讐するまで、食べ物を何も口にするな。もし食べる者がいれば、のろわれる。」それで、森に入ると地面にみつばちの巣があったのに兵士たちは目もくれず、まる一日、何も食べていませんでした。 + サウルののろいを恐れていたからです。 + ところが、ヨナタンは父の命令を知りません。手にしていた杖をみつばちの巣のみつにちょっと浸してなめてみました。すると、体中に力がわいてきたのです。 + その時、ヨナタンにだれかが耳打ちしました。「お父上は、今日、食物を口にする者にのろいをおかけになったのですよ。ですから、みんなへとへとに疲れているのです。」 + 「なんということだ!」ヨナタンは思わず叫びました。「そんな命令は、みんなを苦しめるだけだ。このみつをちょっとなめただけでも、私は元気になった。 + もしわが軍が、敵陣で見つけた食糧を自由に食べてよいことになっていたら、もっと多くのペリシテ人を打ち殺せたろうに。」 + 一日中すきっ腹をかかえたまま、彼らは、ミクマスからアヤロンにかけてペリシテ人を追いかけ、彼らを討ったのです。そのため、みな、ぐったりしていました。 + 夕方になると、人々は戦利品に飛びつき、羊、牛、子牛などをほふり、血のしたたる肉に食らいつきました。 + だれかがこの様子をサウルに告げ、血が残ったままの肉を食べて主に罪を犯していると非難しました。「けしからん!」サウルは腹を立て、こう言い渡しました。「大きな石をここに転がして来なさい。 + そして、隊中にふれ回り、牛や羊を連れて来て殺し、血を絞り出すよう命じるのだ。血が残ったままの肉を食べて、主に罪を犯してはならない。」人々は言われたとおりにしました。 + そしてサウルは、主のために祭壇を築いたのです。これは彼が築いた最初の祭壇でした。 + それからサウルは、「さあ、夜通しペリシテ人を追い、最後の一人まで打ってしまおうではないか」と気勢を上げました。従者たちは、「それはいい。お考えどおりにしましょう」と答えました。ところが祭司は、「まず、神様にお伺いを立てましょう」と言いました。 + そこでサウルは、「ペリシテ人を追うべきでしょうか。敵を打ち負かすのをお助けいただけますか」と、神に答えを請いました。しかし、夜が明けても何の返事もありません。 + そこでサウルは兵士の長を集め、「何かまずいことがあったのだ。今日、どんな罪が犯されたのか、はっきりさせる必要がある。 + イスラエルを救ってくださった主の御名にかけて誓う。罪を犯した者は、たとえわが子ヨナタンであろうと死ななければならない。」しかし、だれも真相を語ろうとしませんでした。 + そこでサウルが、「ヨナタンと私はこちらに、おまえたちはみなあちらに、両側に分かれて立ってみよう」と提案し、一同はそれに応じました。 + サウルは祈りました。「ああ、イスラエルの神、主よ。なぜ、私の問いにお答えいただけなかったのでしょう。何か責められるべき点があるのでしょうか。ヨナタンか私に罪があるのですか。それとも、ほかの者が悪いのですか。主よ、罪を犯したのはだれかはっきりお示しください。」それから聖なるくじを引くと、ヨナタンとサウルの側に当たりました。 + サウルは続けて、「私とヨナタンとでくじを引こう」と言いました。その結果、くじはヨナタンに当たりました。 + サウルはヨナタンに詰め寄りました。「何をしたのか、私に言いなさい。」「みつをなめたのです。杖の先につけて、ほんの少しばかり。でも、私は死ななければなりません。」 + 「そうだ、ヨナタン。おまえは死ななければならない。もしそうでなければ、神が私を死ぬほどに罰してくださるように。」 + すると、兵士たちが反発しました。「今日イスラエルを救ったのはヨナタン様です。その方のいのちが奪われるなんて、あってはなりません! 主にかけて誓います。あの方の髪の毛一本も失われてはなりません。今日の目ざましい働きは、神様に用いられている証拠ではありませんか。」こうして、彼らはヨナタンを救ったのです。 + そののち、サウルは追撃していた部隊を呼び戻したので、ペリシテ人は引き揚げて行きました。 + サウルはイスラエルの王位についてからこのかた、周囲のあらゆる敵、モアブ、アモン人、エドム、ツォバの王たちからペリシテ人に至るまで、派兵して戦っていました。そして、向かうところどこでも勝利を収めました。 + 彼は大きな力を振るい、アマレク人を討ちました。サウルのおかげで、イスラエルはすべての侵略者の手から救われました。 + さて、サウルには、ヨナタン、イシュビ、マルキ‧シュアという三人の息子と、メラブ、ミカルという二人の娘がいました。 + 妻はアヒノアムといい、アヒマアツの娘でした。軍の司令官はサウルのおじネルの息子で、いとこに当たるアブネルでした。アブネルの父ネルとサウルの父キシュとは兄弟で、二人ともアビエルの子です。 + イスラエル人はサウルの在世中、絶えずペリシテ人と戦い続けました。サウルは勇敢で屈強な若者を見つけると、彼らをみな軍隊に徴用しました。 + + + ある日、サムエルはサウルに言いました。「私はあなたをイスラエルの王にした。主がそうせよと言われたからだ。今、確かにあなたは主に従っている。 + それで、主はあなたにこう命じておられる。『アマレク人に罰を下す。イスラエル人がエジプトを脱出した時、彼らが領地内を通るのを拒否したからだ。 + さあ、攻め上ってアマレク人を一人残らず打ちなさい。男も女も、子どもも赤ん坊も、牛も羊も、らくだもろばも徹底的に打つのだ。』」 + サウルは兵をテライムに集結させました。兵は二十万で、それにユダの兵一万が加わりました。 + そしてアマレク人の町へ行き、谷に陣を敷きました。 + サウルはケニ人に使者を立て、アマレク人と運命を共にしたくなければ彼らの中から出て行くように警告しました。イスラエル人がエジプトから脱出した時、ケニ人が親切にしてくれたからです。ケニ人はさっそく荷物をまとめ、アマレク人の中から出て行きました。 + そののちサウルは、ハビラからエジプトの東方、シュルに至る道でアマレク人を打ち、 + 王アガグを捕虜にしたほかは、一人残らず殺しました。 + しかし、サウルと兵は、羊や牛の最上のもの、子羊のまるまる太ったものを殺さずに取り分けておきました。それらがとても気に入ったからです。そして、あまり値打ちのない、質の悪いものだけを殺したのです。 + その時、主はサムエルに語りかけました。 + 「わたしはサウルを王に立てたことを悔いる。二度までもわたしに逆らった。」サムエルはそのことばに激しく動揺し、夜通し主に叫び続けました。 + 翌朝早く、彼がサウルに会いに出かけようとした時、「サウル王はカルメル山へ行って自分のために記念碑を建て、それからギルガルへ引き返した」と告げる者がありました。 + ようやくサムエルが捜し当てると、サウルは上機嫌であいさつしてきました。「これは、ようこそ。ご安心ください。主のご命令をすべて守りました。」 + 「なに? では、この聞こえてくる、メエメエ、モウモウという鳴き声はいったい何だ。」 + 「特上の羊や牛を殺してしまうのはもったいないと考え、あなたの神、主にささげるために連れて来たのです。ほかのものはいっさい殺しました。」 + 「黙りなさい! 昨夜、主が何とおっしゃったか教えよう。」「何とおっしゃったのですか?」 + 「サウル。自分では取るに足りない者でいるつもりかもしれないが、いやしくもあなたは、イスラエルの王に任命された者ではないか。 + 主に何と命じられたか、忘れてはいないだろう。『罪人アマレクのすべてを滅ぼし尽くせ』と言われたのではなかったか。 + それなのに、どうして従わなかったのだ。なぜ戦利品に飛びついて、主の命令に背いたのだ。」 + 「私としては、お従いしたつもりです。命令どおりにいたしました。アガグ王は連れて来ましたが、ほかのアマレク人は全員殺しました。 + たまたまいた羊や牛や戦利品の最上のものを取り分け、主にいけにえとしてささげようとしたのは、民が言いだしたことです。」 + サムエルは言いました。「主は、いくら焼き尽くすいけにえやその他のいけにえをささげたとしても、あなたが従順でなければ、少しもお喜びにはならない。従順は、いけにえよりはるかに尊いのだ。主は、あなたが雄羊の脂肪をささげるよりも、主の御声に耳を傾けるほうをお喜びになる。 + 反逆は占いの罪に等しく、不従順は偶像礼拝に等しい罪なのだ。もはや主のおことばを無視したからには、主もあなたを王位から退けることだろう。」 + 「ああ、私は罪を犯しました。言われるとおり、あなたの指図にも主の命令にも背きました。民を恐れて、言いなりになったのです。 + どうか、この罪をお赦しください。主を礼拝するため、いっしょに行ってください。」 + 「今さら、むだなことだ! 主のご命令を退けたあなたを、主もイスラエルの王位から退けられたのだ。」 + こう答えて引き返そうとするサムエルにとりすがったサウルは、そのはずみでサムエルの上着を破ってしまいました。 + サムエルはサウルに言いました。「よく見るがよい。主は、今日、あなたからイスラエルの王国を取り上げて、さらにすぐれた人物にお渡しになった。 + イスラエルの栄光そのものであるお方のことばに偽りはなく、心変わりもありえない。」 + それでもサウルはとりすがりました。「私が間違っていました。しかし、どうか今、民と指導者たちとの前で私の面目をつぶさないでください。どうか、いっしょに行って、あなたの主を礼拝させてください。」 + あまりの熱心さにサムエルもついに折れました。 + そののち、サムエルはサウルに、「アガグ王を連れて来なさい」と命じました。アガグはいそいそとサムエルの前に出て来ました。「最悪の事態は免れた。きっと助けてもらえるだろう」と思ったのです。 + しかし、サムエルはきびしく言い渡しました。「おまえの剣は実に多くの母親から子どもを奪った。今度はおまえの母親が子を失う番だ。」そうしてサムエルはギルガルで、主の前にアガグを切り殺しました。 + そののち、サムエルはラマの自宅へ戻り、サウルもギブアに引き返しました。 + 二人は、もう二度と顔を合わせることがありませんでした。しかし、サムエルはサウルのことで悲しみ、主もまた、サウルをイスラエルの王としたことを悔やみました。 + + + 主はサムエルに言いました。「いつまでサウルのことでくよくよしているのか。もうわたしは、彼をイスラエルの王位から退けてしまったのだ。さあ、つぼいっぱいにオリーブ油を満たして、ベツレヘムへ行き、エッサイという人を探しなさい。わたしは、その息子の一人を新しい王に選んだ。」 + しかしサムエルは、「どうしてそんなことができましょう。それがサウルの耳に入ったら殺されます」と言いました。しかし、主は答えました。「あなたは雌の子牛を一頭取り、『主にいけにえをささげに行く』と言えばよい。 + そして、いけにえをささげる時、エッサイを呼びなさい。どの息子に油を注いだらよいかは、そこで指示しよう。」 + サムエルは主のことばどおりに行いました。一方ベツレヘムでは、町の長老たちが恐る恐るサムエルを出迎えて言いました。「これは、これは。わざわざお越しになられたのは、何か変わったことでも?」 + 「いや、心配はご無用です。主にいけにえをささげに来たまでです。いけにえをささげるため、身をきよめていっしょに来てください。」サムエルはエッサイと息子たちにきよめの儀式を行い、彼らも招きました。 + 彼らが来た時、サムエルはそのうちの一人、エリアブをひと目見るなり、「この人こそ、主がお選びになった人に違いない」と思いました。 + しかし、主は言いました。「容貌や背の高さで判断してはいけない。彼ではない。わたしの選び方は、あなたの選び方とは違う。人は外見によって判断するが、わたしは心と思いを見るからだ。」 + 次はアビナダブが呼ばれ、サムエルの前に進み出ました。しかし、「主は彼も選んでおられない」とサムエルは言いました。 + 続いてシャマが呼ばれましたが、主からは、「彼もわたしの目にかなわない」という返事しかありませんでした。同様にして、エッサイの七人の息子がサムエルの前に立ちましたが、みな主に選ばれませんでした。 + サムエルはエッサイに言いました。「どうも主は、この息子さんたちのだれをも選んでおられないらしい。もうほかに息子さんはいないのですか。」「いいえ、まだ末の子がおります。今、野で羊の番をしておりますが。」「すぐ呼びにやってください。その子が来るまで、食事は始めませんから。」 + エッサイはすぐに彼を迎えにやりました。連れて来られたのは、見るからに健康そうで、きれいな目をした少年でした。その時、「この者だ。彼に油を注ぎなさい」と、主の声がありました。 + サムエルは、その少年ダビデを兄弟たちの真ん中に立たせて、持って来たオリーブ油を取り、彼の頭に注ぎました。すると、主の霊がダビデに下り、その日から彼には卓越した力が与えられたのです。こののち、サムエルはラマへ帰って行きました。 + 一方、主の霊はサウルから離れ、主が代わりに災いの霊を送り込まれたので、彼はいつも気が滅入り、何かにおびえるようになりました。 + そこで家臣たちがサウルに治療法を進言しました。「災いの霊に苦しめられる時には、竪琴の音色が一番です。上手な弾き手を探してまいりましょう。美しい調べが心を静めてくれます。きっと晴れ晴れとしたご気分におなりでしょう。」 + 「そうだな。さっそく弾き手を見つけてまいれ。」 + その時、家臣の一人が申し出ました。「ベツレヘムにいい若者がいます。私が会ったのはエッサイという人の息子ですが、竪琴を弾かせたら、それはもう天下一品です。りっぱな戦士で勇敢ですし、分別もございます。なおすばらしいことに、彼には主がついておられるのです。」 + サウルは乗り気になり、使いをエッサイのもとへ送って、「あなたの息子で、羊飼いをしているというダビデをよこしてくれ」と頼みました。 + エッサイは要請に応じて、ダビデばかりか、子やぎ一頭と、パンやぶどう酒を積んだろば一頭とを献上しました。 + ダビデをひと目見たとたん、サウルは感嘆の声をもらし、たいそう気に入りました。こうしてダビデは、サウルのそば近くに取り立てられたのです。 + サウルはエッサイのところに人をやり、「ダビデが気に入ったので手もとに置きたい」と伝えました。 + 神からの霊がサウルをさいなむ時、ダビデが竪琴を弾くと、災いの霊が離れ、サウルは気分がよくなるのでした。 + + + ところで、ペリシテ人はイスラエルに戦いをしかけようと軍隊を召集し、ユダのソコとアゼカとの間にあるエフェス‧ダミムに陣を敷きました。 + サウルはこれに応戦するため、エラの谷に兵力を集めて戦いに備えました。 + ペリシテ人とイスラエル人は、互いに谷を隔てた丘の上でにらみ合うかたちになりました。 + その時、ゴリヤテというガテ出身のペリシテ一の豪傑が陣地から出て来て、イスラエル軍に向き合いました。身長が約三メートルもある巨人で、青銅のかぶとをかぶり、五十七キロもあるよろいに身を固め、青銅のすね当てを着け、七キロもある鉄の穂先のついた太い青銅の投げ槍を持っていました。盾持ちが、大きな盾をかかえて先に立っていました。 + 仁王立ちのゴリヤテは、イスラエルの陣営に響き渡るように大声で叫びました。「よく、こうもたくさんそろえたもんだ。おれはペリシテ人の代表だ。おまえらも代表を一人選んで一騎打ちをし、それで勝負をつけようじゃないか。 + もし、おまえらの代表の手にかかっておれ様が倒れでもすりゃあ、おれたちは奴隷になる。だが、おれ様が勝ったなら、おまえらが奴隷になるのだ。 + さあ、どうした。イスラエル軍には人がいないのか。おれと戦う勇気のあるやつは出て来い。」 + サウルとイスラエル軍は、これを聞いてすっかり取り乱し、震え上がってしまいました。 + エフラテ人エッサイの子のダビデには七人の兄がいました。 + 三人の兄エリアブとアビナダブとシャマは、このペリシテ人との戦いに義勇兵として従軍しており、 + 末っ子のダビデはサウルの身辺の警護に当たりながら、時々ベツレヘムへ帰り、羊を飼う父の仕事を手伝っていました。 + さて、巨人ゴリヤテは四十日間、毎日、朝と夕の二回、イスラエル軍の前に姿を現しては、これ見よがしにのし歩いてみせました。 + ある日、エッサイはダビデに言いつけました。「さあ、この炒り麦一エパ(二十三リットル)とパン十個を、兄さんたちに届けてくれないか。 + このチーズは隊長さんに差し上げ、あの子たちの様子を見て来ておくれ。あの子たちから何かことづかってくることも忘れないようにな。」 + サウルとイスラエル軍は、エラの谷に陣を張っていました。 + ダビデは翌朝早く、羊を他の羊飼いに任せ、食べ物をかかえて出かけました。陣営のはずれまで来ると、ちょうどイスラエル軍がときの声を上げて戦場へ向かうところでした。 + やがて、敵味方が互いににらみ合う態勢となりました。 + ダビデは持って来た包みを荷物係に預け、兄たちに会うために陣地へ駆けだしました。 + 兄たちと話をしながらふと見ると、敵陣から大男が向かって来ます。あのゴリヤテです。彼はいつものように、ふてぶてしく挑発してきました。 + イスラエル軍はゴリヤテを見ると、おじけづいて後ずさりを始めました。 + 「あの大男を見ろよ。イスラエル軍をなめていやがる。あいつを倒した者には、王様からしこたまごほうびが頂けるそうだ。王女の婿にしてもらえるうえ、一族はみな税を免除されるそうだ。」 + ダビデは、ほんとうの話かどうか、そばにいる人たちに確かめようと尋ねました。「あのペリシテ人を倒して、イスラエルへの悪口雑言をやめさせた者には、何をしていただけるのでしょうか。全く、生ける神様の軍をなぶりものにするなんて! いったい、あの、神様を知らないペリシテ人は何者ですか。」 + 人々は、先ほどのことばをくり返しました。 + ところが長兄エリアブは、ダビデがそんな話に首を突っ込んでいるのを聞いて、腹を立てました。「いったい、ここへ来て何をしようというのだ。羊の世話はどうした。とんでもないうぬぼれ屋め。戦見たさに、のこのこやって来たんだろう。」 + 「僕が何をしたっていうんです? ちょっと尋ねただけじゃありませんか。」 + ダビデはほかの人のところへ行って、次々に同じ質問をして回りました。だれからも同じような答えが返ってきます。 + そのうち、ダビデのことばの裏にある意図をくんだだれかが、そのことをサウル王に告げたので、王はダビデを呼びにやりました。 + ダビデはきっぱりとサウルに言いました。「こんなことで何も心配には及びません。私が、あのペリシテ人を片付けましょう。」 + サウルは言いました。「冗談を言うな! おまえみたいな小僧が、どうしてあんな大男と渡り合えるのだ。あいつは若い時から鍛え抜かれた戦士だぞ!」 + 「私は父の羊を飼っているのですが、ライオンや熊が現れて、群れの子羊を奪って行くことがよくあります。 + そんな時、私は棒を持って追いかけ、その口から子羊を助け出すんです。もしそいつらが襲いかかって来たら、あごひげをつかんでたたきのめします。 + ライオンも熊も、こうしてやっつけてきました。あの、神様を知らないペリシテ人だって、同じ目に会わせてやります。生ける神様の軍をばかにした男ですから。 + ライオンや熊の爪や歯から守ってくださった神様は、あのペリシテ人の手からも、私を守ってくださるに違いありません。」サウルは、ついに首をたてに振りました。「よし、わかった。行きなさい。主がついておられるように。」 + サウルは、自分の青銅のかぶととよろいをダビデに与えました。ダビデはそれをまとい、剣を持ち、試しに一、二歩、歩いてみました。そんなものを身に着けたことがなかったのです。しかし、「これじゃ、身動きがとれません」と言うや、脱ぎ、 + 川からなめらかな石を五つ拾って来ると、羊飼いが使う袋に入れました。そして、羊飼いの杖と石投げだけを持って、ゴリヤテに向かって行ったのです。 + ゴリヤテは盾持ちを先に立て、ゆっくり近づいて来ましたが、まだ初々しい少年だとわかると、ふふんと鼻で笑い、大声で言いました。 + 「杖なんか持って来やがって、おれ様を犬っころ扱いする気か。」彼は自分の神々の名を挙げてダビデをのろい、 + 「さあ、来い。おまえの肉を鳥や獣にくれてやるわい!」と叫びました。 + ダビデも負けずに答えました。「おまえは剣と槍で立ち向かって来るが、私は天地の主であり、おまえがばかにしたイスラエルの主のお名前によって立ち向かうのだ。 + 今日、主がおまえを打ち負かしてくださる。おまえの息の根を止め、首をはねてやるからな。そして、ペリシテ人らのしかばねを鳥や獣にくれてやる。すべての国々は、イスラエルに神様がおられることを知るのだ。 + そしてイスラエルは、主が武器に頼らずにご計画を実現なさるということ、神様のなさることは人間の企てとは無関係だということを学ぶのだ。主はおまえたちを、私たちの手に渡してくださる。」 + 近づいて来るゴリヤテめがけて、ダビデは駆け寄りました。そして、袋から石を一つ取り出すと、石投げでビュンとそれを放ちました。石はゴリヤテの額にみごと命中し、額に食い込み、ゴリヤテの巨体は揺らいで、うつぶせに倒れました。 + ダビデは石投げと石一つで、このペリシテ人の大男をしとめたのです。剣を持っていなかったダビデは、走り寄ってゴリヤテの剣を抜き、それでとどめを刺して、首をはねました。ペリシテ人は自分たちの代表戦士がやられてしまったので、しっぽを巻いて逃げ出しました。 + イスラエル軍は、どっと勝ちどきを上げると、あとを追いかけ、ガテとエクロンの門まで追撃しました。シャアライムへ至る道のそこかしこに、ペリシテ人の死者や負傷者があふれました。 + イスラエル軍は引き返して、もぬけの殻となったペリシテ人の陣地を略奪しました。 + ダビデはゴリヤテの首を持ってエルサレムへ帰り、ゴリヤテが着けていた武具を自分の天幕に保管しました。 + サウル王は、ダビデがゴリヤテと戦うために出て行くのを見た時、司令官のアブネルに尋ねました。「アブネル。あの若者は、どんな家系の出なんだ。」「それが、全くわからないのです。」 + 「そうか。では、さっそく調べてくれ。」 + ダビデがゴリヤテを倒して帰って来ると、アブネルはその首をかかえたダビデを、王の前へ連れて来ました。 + 「みごとであった。ところで、おまえの父親はどういう人かね。」王は尋ねました。「父はエッサイと申して、ベツレヘムに住んでおります。」 + + + サウル王がひととおりの質問を終えたあと、ダビデは王子ヨナタンを紹介され、二人はすぐに深い友情で結ばれました。ヨナタンはダビデを血を分けた兄弟のように愛し、 + 自分の上着、よろいかぶと、剣、弓、帯を与えました。王はダビデをエルサレムにとどめ、もはや家に帰そうとはしませんでした。 + ダビデは王の特別補佐官として、いつも任務を成功させたので、とうとう軍の指揮官に任命されました。この人事は、軍部からも民衆からも喜ばれました。 + ところで、ダビデがゴリヤテを倒し、勝利を収めたイスラエル軍が意気揚々と引き揚げて来た時、あることが起きたのです。あらゆる町々から沿道にくり出した女たちが、サウル王を歓迎し、タンバリンやシンバルを鳴らして、歌いながら喜び踊りました。 + 女たちが歌ったのはこんな歌でした。「サウルは千人を打ち、ダビデは一万人を打った。」 + これを聞いて、王は非常に腹を立てました。「何だと。ダビデは一万人で、この私は千人に過ぎないのか。まさか、あいつを王にまつり上げる気ではないだろうな。」 + この時から、王の目は、ねたみを帯びてダビデに注がれるようになりました。 + 翌日から、神からの災いの霊がサウル王を襲うようになり、彼は錯乱状態に陥りました。そんな王の心を静めようと、ダビデはいつものとおり竪琴を奏でました。ところが王は手に持っていた槍を、 + いきなりダビデめがけて投げつけました。ダビデを壁に突き刺そうと思ったのです。しかし、さっと身をかわしたダビデは難を逃れました。一度ならず二度もそんなことがあったのです。それほど王はダビデを恐れ、激しい嫉妬に駆られていました。これもみな、主がサウル王を離れて、ダビデとともにいたからです。 + 王はダビデを恐れ、自分から遠ざけることにし、職務も千人隊の長にまで格下げしました。しかし王の懸念をよそに、ダビデはますます人々の注目を集めるようになっていきました。 + ダビデはその行く所どこででも勝利を収めました。主がともにいたからです。 + サウル王はますますダビデを恐れるようになりました。イスラエルとユダの人々はみな、ダビデを支持しました。ダビデが民の側に立っていたからです。 + ある日、王はダビデを呼んで言いました。「私はおまえに、長女のメラブを嫁として与えてもいいと思っている。そのためにまず、主の戦いを勇敢に戦い、真の勇士である証拠を見せてくれ。」王は内心、「ダビデをペリシテ人との戦いに行かせ、敵の手で殺してしまおう。自分の手を汚すまでもない」と考えたのです。 + ダビデは答えました。「私のような者が王家の婿になるなど考えられません。私の父の家系は取るに足りません。」 + ところが、いよいよ結婚という段になって、王は娘メラブをダビデではなく、メホラ人のアデリエルと結婚させてしまいました。 + そうこうするうち、別の娘ミカルがダビデを恋するようになったのです。それを知って喜んだのはサウル王でした。 + 「あいつをペリシテ人の手で殺す機会が、また巡って来た」とほくそ笑み、さっそくダビデを呼びつけると、「今度こそ婿になってくれ。末の娘をやろう」と言いました。 + その一方でサウル王は家臣たちに、ダビデにこう勧めるようにひそかに命じたのです。「王様はあなたを大そうお気に入りですよ。私たちもみな、あなたを慕っております。お申し出を受けて、婿になられたらいいではありませんか。」 + ダビデは答えました。「私のように名もない家の貧しい者は、逆立ちしたって、王女を妻に迎えられるほどの仕度金は用意できません。」 + 家臣たちがこのことを報告すると、 + 王は答えました。「ダビデに伝えてくれ。私が望んでおる仕度金は、ペリシテ人を百人打って来ることだ。敵に復讐してくれることこそ、私の望みだと。」しかし、王の本心は、ペリシテ人との戦いでダビデが戦死することだったのです。 + ダビデはこの申し出を喜びました。そこで、期限が来る前に、 + 部下を率いて出陣し、ペリシテ人二百人を打ち殺して、その包皮を王に差し出したのです。これで王は、ダビデにミカルを与えないわけにはいかなくなりました。 + 王は、主がダビデとともにいること、また、ダビデがどれほど民の信望を集めているかを思い知らされ、 + ますますダビデを恐れるようになりました。それで、以前にも増して激しくダビデを憎むようになっていったのです。 + ペリシテ軍の攻撃を受けるたびに、ダビデはなみいるサウル王の将校たちをしり目に、はなばなしい戦果を上げました。そのため、ダビデの名声は国中に広がっていきました。 + + + ついにサウル王は、側近や息子のヨナタンにまで、ダビデ殺害をそそのかすようになりました。しかしヨナタンは、ダビデと深い友情で結ばれていたので、 + 父のたくらみをダビデに知らせました。「明日の朝、野に隠れ場所を見つけて潜んでいてほしい。 + 父をそこまで連れ出すから。そこであなたのことについて話をする。何かわかったらすぐに知らせる。」 + 翌朝、ヨナタンは父と話し合い、ダビデの正しさを力説して、敵視しないでほしいと頼みました。「ダビデは一つも害をもたらしたりしていません。それどころか、いつも精一杯、助けてくれました。 + 彼が命がけでゴリヤテを倒した時のことを、お忘れになったのですか。その結果、主がイスラエルに大勝利をもたらしてくださったのではありませんか。あの時、父上はほんとうにお喜びになりました。それなのに、なぜ今になって罪もない者を殺害しようとなさるのです。そんなことをする理由など少しも見当たりません。」 + サウル王はうなずき、「主が生きておられる限り、彼を殺すことはない」と誓いました。 + あとでヨナタンはダビデを呼び、いきさつを話しました。そしてダビデを王のところへ連れて行き、すべてが元どおりに収まりました。 + まもなくして戦いが始まりましたが、ダビデは兵を率いてペリシテ人と戦い、多数の敵兵を討ち取りました。ペリシテ軍は軍旗を巻いて遁走したのです。 + ところが、ある日、サウル王は家で腰を下ろして、ダビデの奏でる竪琴に耳を傾けていました。とその時、急に、神からの災いの霊が王を襲い、あっという間もなく、王は手にしていた槍をダビデに投げつけ、刺し殺そうとしたのです。ダビデはとっさに身をかわして助かりましたが、夜になるのを待って逃げ出しました。槍は壁の横木に突き刺さったままでした。 + その晩、王は兵をやってダビデの家を見張らせました。朝になって出て来るところをねらって、彼を殺そうとしたのです。ミカルは夫ダビデに危険を知らせました。「逃げるなら、今夜のうちですわ。朝になったら殺されてしまいます。」 + ミカルはダビデを助けたい一心で、彼を窓からつり降ろして逃がしました。 + そして、代わりに偶像を寝床に入れ、すっぽりと毛布をかけました。頭はやぎの毛で編んだものを枕にのせました。 + そこへ、ダビデを捕らえて王のもとへ連行しようと、兵士たちが踏み込んで来ました。ミカルは、ダビデは病気でベッドから動かせないと告げたのですが、 + 王は、ベッドごとでも連れて来るように命じました。そのまま殺してしまうつもりだったのです。 + しかし、運び出そうとした時、偶像であることがわかってしまいました。 + サウルはミカルにただしました。「なぜ、私をだまして彼を逃がしたのか。」「しかたがありません。そうしなければ殺すと、あの人に脅されたのです。」 + ダビデはラマまで逃げ延び、サムエルに会って、サウル王の仕打ちを洗いざらい訴えました。サムエルはダビデを連れてナヨテに行き、そこでいっしょに住むことにしました。 + ところが、ダビデがラマのナヨテにいるという報告を受けると、 + 王はダビデを捕らえようと兵を差し向けました。しかし、一行がナヨテに来て、預言をしていたサムエルはじめ預言者の一団を見た時、なんと神の霊がサウルの兵士たちにも下り、預言を始めたのです。 + この知らせに、王はほかの兵を遣わしましたが、彼らもまた預言に加わったのです。同じことが三度も起こりました。 + そこで、今度は王自身がラマへ出向き、セクにある大きな井戸まで来ると、「サムエルとダビデはどこにいるか」と尋ねました。尋ねられた人は、「ナヨテにいらっしゃるそうですよ」と答えました。 + ところが、ナヨテへ向かう途中のこと、神の霊が下り、王も預言を始めました。 + 王は着物を脱ぎ、一昼夜、裸のまま地面に横たわって、サムエルの預言者たちとともに預言していました。家臣たちは、ただもう目をみはるばかりでした。思わず、「サウル王も預言者の一人なのか」と口走る者もいました。 + + + 今や、ラマのナヨテも危険でした。ダビデはそこから逃げ、ヨナタンに会いに行きました。ダビデは言いました。「私が何をしたというのでしょう。なぜ、お父上は私のいのちをずっとつけねらわれるのでしょうか。」 + 「そんなはずはない。父がそんなことをたくらんでいるとは信じられない。父はどんなささいなことでも、思っていることを私に話してくれる人だ。そんな重大なことを隠し立てするわけがない。」 + 「そうは言われますが、あなたが知らないだけです。お父上は、私たちが親友だということも、よく知っておられます。だから、『ダビデを殺すことは、ヨナタンには黙っておこう。悲しませるといけないから』と思っておられるに違いありません。主とあなたのいのちにかけて誓いますが、ほんとうに、私は死と背中合わせなのです。」 + するとヨナタンは言いました。「何かしてあげられることがあるなら、遠慮なく言ってほしい。」 + 「明日から新月の祝いが始まります。これまではいつも、私はこの祝いの席にお父上と同席してきました。しかし、明日は野に隠れ、三日目の夕方まで潜んでいるつもりです。 + もしお父上が私のことをお尋ねになったら、こう言ってください。『ベツレヘムの実家に行きたいと願い出たので帰しました。年に一度、一族全員が集まるのだそうです。』 + もしお父上が、『そうか』とうなずかれるなら、私は取り越し苦労をしていたことになります。しかし、もしご立腹なさるなら、私を殺すおつもりなのです。 + 義兄弟の契りを結んだ者として、どうかこのことを引き受けてください。もし私がお父上に罪を犯したのであれば、あなたの手で私を殺してもかまいません。しかし、私を裏切ってお父上の手に引き渡すようなまねだけはしないでください。」 + 「そんなことをするわけがない。父が君をねらっているとわかったら、黙ってなんかいないから。」 + 「では、お父上が腹を立てておられるかどうか、どんな方法で知らせてくれますか。」 + 「さあ、いっしょに野に出よう。」二人は連れ立って出かけました。 + ヨナタンはダビデに言いました。「イスラエルの神にかけて約束する。明日の今ごろ、遅くともあさっての今ごろには、父に君のことを話してみよう。そうして、父の気持ちをすぐに知らせるよ。 + もし腹を立てて君のいのちをねらっているとわかったら、必ず知らせる。もし知らせずに君の逃亡を妨げるようなことがあれば、私は主に殺されてもいい。かつて主が父とともにおられたように、君とともにおられるように祈るよ。 + お願いだ。私が生きている限り、主の愛と恵みを示すと約束してくれ。 + いや、主が君の敵を一掃されたあとも変わりなく、私の子どもたちにまで、主の愛と恵みを示してくれ。」 + こうして、ヨナタンはダビデの家と契約を結び、「主がダビデの敵に報復してくださるように」と言いました。 + ダビデを深く愛していたヨナタンは、もう一度誓って、 + 言いました。「明日は新月祭だ。みなは君の席があいているのを気にかけるだろう。 + あさってになれば、騒ぎだすに違いない。だからこうしよう。前に隠れたことのあるあの石塚のそばにいてくれ。 + 私はその石塚を的にして、正面から三本の矢を放つことにする。 + それから、少年に矢を拾いにやらせる。その時もし、『それ、矢はこちら側にあるぞ』と私が言うのが聞こえたら、すべてが順調で何も心配ない、ということだと思ってほしい。 + しかし、『もっと先だ。矢はおまえの向こうにある』と言ったら、すぐに逃げろという意味だ。 + どうか主が、私たち二人に約束を守らせてくださるように。主がこの約束の証人だ。」 + ダビデは野に身を潜めました。新月の祝いが始まると、王は食事のために、いつもどおり壁を背にして席に着きました。ヨナタンはその向かい側、アブネルは王の隣に着席しましたが、ダビデの席はあいたままです。 + その日、王は何も言いませんでした。「彼は何か思わぬことで身が汚れ、儀式に出るのを遠慮したのだろう」と思ったからです。 + しかし、翌日もダビデの席はあいていました。そこでヨナタンに尋ねました。「なぜダビデは昨日も今日も会食に来ないのだ。」 + 「家族に祝い事があるからベツレヘムに行かせてほしいと願い出たのです。兄弟からも、ぜひにという要請があり、私が許可して行かせました。」 + 王はヨナタンに怒りを燃やして言いました。「このろくでなしめ! どこの馬の骨かもわからんやつの息子に、王座をくれてやるつもりか。自分ばかりか自分の母親まで辱めおって! このわしの目をごまかせるとでも思っているのか。 + あいつが生きている限り、おまえは王になれないのだぞ。さあ、ダビデを連れ戻して来い。絶対に殺してやる。」 + ヨナタンは言い返しました。「ダビデが何をしたというのです。どうして殺さなければならないのですか。」 + すると、サウルはヨナタンめがけて槍を投げつけ、殺そうとしました。これでついにヨナタンも、父がほんとうにダビデを殺そうとしていることを悟りました。 + ヨナタンは怒りに震えて食卓から立ち去り、その日は何も食べませんでした。ダビデに対する父のあまりに恥ずべき行為に、ひどく傷ついたからです。 + 翌朝、ヨナタンは打ち合わせどおり、少年を連れて野へ出かけました。 + 「さあ、走って行って、私の射る矢を見つけて来なさい」と言うと、少年は駆けだし、ヨナタンはその向こうに矢を放ちました。 + 少年が矢の届いた地点に近づくと、ヨナタンは大声で叫びました。「矢はもっと向こうにある。 + 急げ、早くしなさい。ぐずぐずするな。」少年は急いで矢を拾うと、主人のもとへ駆け戻りました。 + もちろん、少年には、ヨナタンのことばの真意などわかるはずもありません。ヨナタンとダビデだけがその意味を知っていたのです。 + ヨナタンは弓矢を少年に渡し、それを持って町へ帰るように言いました。 + 少年が行ってしまうと、ダビデは隠れていた野の南側から姿を現しました。二人は手を取り合って悲しみ、涙が二人の頬をぬらしました。ダビデは涙もかれ果てるほど声を上げて泣き続けました。 + ヨナタンが口を開きました。「元気を出してくれ。私たちは、子どもたちの代まで、永遠に主の御手にゆだね合った仲ではないか。」こうして二人は別れました。ダビデは去って行き、ヨナタンは町へ帰りました。 + + + ダビデは祭司アヒメレクに会うため、ノブの町へ行きました。アヒメレクはダビデを見ると、ただならぬものを感じて尋ねました。「どうして、お一人で? お供はだれもいないのですか。」 + 「王の密使として来たのです。私がここにいることはだれにも秘密です。供の者とは、あとで落ち合う手はずになっています。 + ところで、何か食べる物はないでしょうか。パン五つでも、何かほかの物でもいいのですが。」 + 「それが、あいにく普通のパンを切らしておりまして、あるのは供えのパンだけです。もしお供の若者たちが女を遠ざけているのであれば、それを差し上げてもかまわないのですが。」 + 「ご心配なく。遠征中は女を遠ざけていますから。普通の旅でも身を慎むことになっているのです。まして、今回のような場合はなおさらです。」 + そこで祭司は、ほかに食べ物がなかったので、供えのパンをダビデに分け与えました。幕屋の中に供えてあったものです。ちょうどその日、できたての新しいパンと置き替えたばかりでした。 + たまたまその時、サウル王の家畜の管理をしているエドム人ドエグが、きよめの儀式のためにそこにいました。 + ダビデはアヒメレクに、「ここに剣か槍はありませんか。実は、あまりにも急を要するご命令だったものですから、取るものも取りあえず、大急ぎで出かけて来たのです。武器も持って来られませんでしたので」と尋ねました。 + 「それはお困りでしょう。実は、あなたがエラの谷で打ち殺した、あのペリシテ人ゴリヤテの剣があるのです。布に包んでしまってあります。武器といえばそれしかありませんが、よろしかったらお持ちください。」「それはありがたい。ぜひ頂きましょう。」 + ダビデは急いでいました。サウル王の追跡の手が伸びているかもしれません。早くガテの王アキシュのもとにたどり着きたかったのです。 + ところが、アキシュの家来たちは、ダビデの出現を喜ばないふうで、「あの人はイスラエルの最高指導者ではないか」とうわさしていました。「確かにそうだ。だれもが踊りながら、『サウルが殺したのは千人で、ダビデが殺したのは一万人』と歌って、ほめそやした人に違いない。」 + ダビデはその話を聞いて、アキシュ王が自分をどう扱うかわからないと心配になりました。 + それで、気が狂ったように装うことにしました。城門の扉を傷つけてみたり、ひげによだれを垂らしたりしたので、 + アキシュ王はたまりかね、家臣たちに言いました。「よくも、こんな気がおかしくなった者を連れて来たものだな。こんな男なら、この辺りにもたくさんいる。何を好きこのんで、歓待しなければならないのだ。」 + + + ダビデはガテを去り、アドラムのほら穴へ逃げ延びました。そうこうするうち、そこに兄弟や身内の者が、しだいに集まって来たのです。 + そのほか、問題や借金をかかえた者、不満を持つ者などが集まって来たので、たちまちダビデの周囲には、四百人ほどの集団ができました。 + ダビデはこのあとモアブのミツパへ行き、モアブ王に、事態がはっきりするまで両親を保護してもらえないかと頼みました。 + それでダビデの両親は、ダビデがほら穴に立てこもっている間、ずっとモアブ王のもとにいました。 + ある日のこと、預言者ガドがダビデに、ほら穴を出てユダの地に帰るようにと言ったので、ダビデはハレテの森へ移りました。 + ダビデがユダに戻ったという知らせは、やがてサウル王の耳に届きました。ちょうどその時、サウルはギブアの柳の木の下で、槍を手にして座っていたところでした。彼の回りには家臣たちが並んでいました。 + その知らせを聞いた時、王は声を上ずらせて言いました。「ベニヤミンの者たちよ、よく聞け! ダビデはおまえたちに畑やぶどう畑をくれたか。軍の指揮官に取り立ててやるとでも約束したか。 + それなのにどうして、おまえたちは私を欺いたのだ。だれ一人、私の息子ヨナタンがダビデに通じていることを話してくれなかったではないか。私のために悲しんでくれる者もいない。考えてもみろ。息子が、ダビデが私を殺しに来るのを助けているのだ。」 + その時、家臣の中に同席していたエドム人ドエグが口を開きました。「私がノブにおりました時、ダビデが祭司アヒメレクと話しているのを見かけました。アヒメレクは、ダビデのために主にお伺いを立て、そのうえ、パンとペリシテ人ゴリヤテの剣を与えたのでございます。」 + 王は、直ちにアヒメレクとその全家族、それにノブにいる祭司全員を呼び寄せました。一同がそろうと、激しい口調でアヒメレクを責めました。「よく聞け、アヒトブの息子!」「何でございましょう。」アヒメレクはびくびくしながら答えました。 + 「おまえはダビデと組んで、この私に盾つく気か。どうしてダビデにパンと剣を与えたり、神に伺いを立ててやったりしたのだ。あいつをたきつけて謀反を起こさせ、私を攻めさせるつもりだったのだな。」 + 「とんでもないことです。あなたのご家来方の中でも、婿殿ダビデ様ほど忠義なお方はほかにおられません。ダビデ様はあなたの護衛隊長であり、王室で最も尊敬を集めているお方ではございませんか。 + 私があの方のために神に伺いを立てましたのも、今に始まったことではありません。このことで、私や一族の者が責めを受けるのは合点がまいりません。あなたに対する陰謀などとは全く寝耳に水です。」 + 「アヒメレクめ、一族もろとも、いのちはないものと思え!」 + そう言うと、王は護衛兵に命じました。「祭司どもを死罪にせよ! 彼らはダビデと共謀したのだ。ダビデが私のもとから逃げ出したのを知りながら、知らせて来ようともしなかったのだ。」しかし護衛兵は、祭司を手にかけるのが怖くて、命令を聞きません。 + それで王はドエグに、「おまえがやれ」と命じました。ドエグは彼らに飛びかかり、全部で八十五人の祭司を血祭りに上げました。全員、祭司の服を着たままでした。 + 次にドエグは、祭司の町ノブへ行き、殺された祭司の家族を、男も女も、子どもも赤ん坊も、牛もろばも羊までも、残らず殺してしまいました。 + ところが、アヒメレクの息子エブヤタルだけは難を免れて、ダビデのもとに逃げ延びたのです。 + エブヤタルは、王のしたことをダビデに告げました。 + ダビデは悲痛な声で言いました。「そうでしたか。あそこでドエグを見かけた時、彼は王に告げ口するだろうとにらんでいたのです。それにしても、私がご一族の死を招いたようなものです。 + どうか、ここでいっしょに暮らしてください。いのちに代えてもお守りします。あなたに降りかかる危害は、わが身に降りかかったも同然ですから。」 + + + ある日、ペリシテ人がケイラの打穀場を襲ったという知らせが、ダビデのもとに届きました。 + ダビデは、「ペリシテ人を攻めに行くべきでしょうか」と主に伺いを立てました。すると、「行って、ケイラを救え」との主の答えでした。 + ところが部下たちは、「ユダにいても怖いくらいなのに、とてもケイラまで行ってペリシテ軍と戦う勇気などありません」と反対します。 + もう一度、主に伺いを立てたところ、再び答えがありました。「ケイラに行け。わたしがあなたを助けてペリシテ人を征服させよう。」 + そこでダビデとその兵はケイラに急行し、ペリシテ人を打って家畜を没収しました。こうしてケイラの住民は救い出されたのです。 + 祭司エブヤタルもダビデとともにケイラへ行き、主からお告げを受けるために、エポデを携えて行きました。 + まもなく、ケイラにダビデが現れたことはサウル王の耳にも入りました。「チャンスだ! 今度こそ、必ずひっ捕らえてやるぞ。神が私の手に、あいつを渡してくださったのだ。自分から城壁に囲まれた町の中に飛び込んでくれたというわけだ。」 + 王は全軍を率いてケイラに進軍し、ダビデとその兵を包囲しようとしました。 + 王の魂胆を見抜いていたダビデは、祭司エブヤタルにエポデを持って来させ、どうしたらよいかを主に伺わせました。 + ダビデは尋ねました。「イスラエルの神、主よ。サウル王が襲って来て、ケイラを滅ぼそうとしているようです。私がここにいるからです。 + ケイラの人々は私を引き渡すでしょうか。また、王が攻めて来るという知らせはほんとうでしょうか。主よ、どうかお教えください。」主は言いました。「彼は攻めて来る。」 + 「では、ケイラの人々は、サウル王のために私を裏切るでしょうか。」主は言いました。「そのとおり、彼らは裏切る。」 + そこで、ダビデとその兵約六百人はケイラを出て、地方のあちこちをさまよいました。ダビデが去ったという報が届くと、王はケイラ攻略を断念しました。 + 今やダビデは、ジフの山地の荒野にあるほら穴に住む身となったのです。ある日、ダビデはホレシュの近くで、サウル王が自分を捜し出して殺そうとジフに向かっているという報告を受けました。王は来る日も来る日もダビデを捜し回っていましたが、神は見つからないようにダビデを守りました。 + 王子ヨナタンもダビデを捜していましたが、やっとホレシュで再会し、神は真実なお方だからと、ダビデを力づけました。 + 「心配することはない。父には君を見つけ出せるわけがないから。君こそイスラエルの王になる人だ。私は君の次に立つ者になるだろう。父にも、そのことはよくわかっているはずだ。」 + 二人は友情を新たに確かめ合い、ダビデはホレシュにとどまり、ヨナタンは帰途につきました。 + ところがジフの人々は、ギブアにいる王のもとへ出向き、こう報告しました。「私どもは、ダビデがどこに隠れているか知っております。荒野の南部、ハキラの丘にあるホレシュのほら穴です。 + 王様、さあ、お越しください。長年の念願がかないますよう、私どもの手でダビデを捕らえ、差し出してごらんにいれましょう。」 + 「うむ、それはでかした。私を心にかけてくれる者が、ついに現れた。 + 念には念を入れて、あいつが潜んでいる場所と、だれがそれを見たかを確認してくれ。何しろ、あいつは悪賢いから。 + 隠れ家を確かめしだい、戻って来てくわしく報告してくれ。すぐに、私も行こう。とにかく、この地域にいるとわかれば、草の根を分けても捜し出すぞ。」 + 人々はサウルに先立ちジフに帰って行きました。一方ダビデは、サウル王がジフに向かっていると聞くと、部下を引き連れてさらに南下し、マオンの荒野に難を避けました。しかし王は、そこまでも追って来たのです。 + 王とダビデは、同じ山の一方の側とその反対側を進むほどに近づき、サウルとその兵が迫ると、ダビデはうまくそれを避けました。しかし、まもなくその必要もなくなりました。 + ちょうどそのころ、ペリシテ人がまたもイスラエルに攻め入ったという知らせが届き、 + サウルはダビデを追うのを断念して、ペリシテ人と戦うために引き返すことになったからです。この出来事以来、ダビデが陣を敷いていた場所は「逃れの岩」と呼ばれるようになりました。 + ダビデはそこから上って行って、エン‧ゲディのほら穴に住みました。 + + + ペリシテ人との戦いから戻ったサウル王は、ダビデがエン‧ゲディの荒野に向かったと知らされました。 + そこで三千の兵をよりすぐり、野生のやぎのたむろするエエリムの岩のあたりで、ダビデを捜し回りました。 + 羊の群れの囲いに沿った道まで来た時、王は用を足すため、とあるほら穴へ入って行きました。ところが、なんとそのほら穴こそ、ダビデとその部下の隠れ家だったのです。 + ダビデの部下の一人が、「絶好の時です。主が、『わたしはサウルをあなたの手に渡す。思いどおりにせよ』とおっしゃっているではありませんか。今がその時です」とささやきました。そこでダビデは、はうように近づき、王の上着のすそをそっと切り取りました。 + しかし、そのことで彼の良心は痛みだしたのです。 + 「ああ、なんということをしてしまったのだ。神様が王としてお選びになった人にそのようなことをするなど、大それたことではなかったか。」 + このダビデのことばには、みなにサウル殺害を思いとどまらせるのに十分な説得力がありました。王がほら穴から出て行くと、ダビデも背後からついて行き、「王よ!」と大声で呼びかけました。王が振り向くと、目の前でダビデが地にひれ伏しているではありませんか。 + 「あなたはなぜ、私が謀反を企てているなどという、人々のことばに耳をお貸しになるのですか。たった今、それが根も葉もないことだとおわかりになったはずです。先ほどのほら穴の中で、主は、あなたが私に背を見せるようにしてくださったのです。配下の者は、あなたのおいのちをちょうだいするようにと勧めました。しかし、私はそうしませんでした。『王に危害を加えてはならない。この方は、神様がお選びになった王なのだから』と。 + さあ、これをよくごらんください。あなたの上着のすそです。私はこれを切り取りはしましたが、おいのちには手をかけませんでした。これでもまだ、私があなたをねらっているとお思いでしょうか。たとえあなたが私のいのちをつけねらわれても、私は謀反の罪など犯してはいないことを、どうかわかっていただきたいのです。 + 私たちの間のことは、主がおさばきくださるでしょう。もしあなたが私を殺そうとなさるなら、主の御手があなたに下ります。私は決して、あなたに手を下したりしません。 + 『悪は悪人のすること』ということわざがあります。たとえあなたが悪いとしても、私は手を下すようなまねはしません。 + いったいイスラエルの王は、だれを捕まえるおつもりなのですか。なぜ、息絶えた犬や一匹の蚤にすぎない者を追いかけ回して、時間をむだになさるのですか。 + どうか主が、どちらが正しいかをさばき、罪を犯した者を罰してくださいますように。主が私を弁護してくださり、あなたの手から救い出してくださいますように。」 + 「ああダビデよ。ほんとうにおまえはダビデなのか。」王は声を上げて泣きました。 + 「おまえのほうが正しい。私の悪行に善をもって報いてくれた。 + 今日、おまえはなんと深い情けをかけてくれたことか。主が私をおまえの手に渡されたのに、助けてくれたのだ。 + 敵を手中に収めながら逃がしてくれる者が、この世にいるだろうか。今日のこの情けに、主が十分報いてくださるように。 + これで、よくわかった。おまえは必ず王になる人物だ。イスラエルはおまえが治めるべきなのだ。 + さあ、主にかけて誓ってくれ。おまえが王になっても、私の家族を殺さず、家系も絶やさないと。」 + ダビデはそれを約束しました。サウルは自分の家に帰って行き、ダビデは部下を従えてほら穴に戻りました。 + + + その後まもなく、サムエルが世を去りました。全イスラエルが葬儀に集まり、ラマにある一族の地所の一角に葬りました。一方、ダビデはパランの荒野に下って行きました。 + ところで、カルメル村の近くにマオン出身の裕福な人がいて、大きな牧場を持っていました。羊三千頭、やぎ千頭がいましたが、ちょうどそのころ、羊の毛の刈り取りが行われていました。 + 牧場主の名はナバルといい、妻はアビガイルという名の美しく賢い、評判のよい婦人でした。ところが夫のほうは、カレブの子孫ながら、けちで頑固で、行状もよくない人でした。 + さて、ナバルが羊の毛の刈り取りの最中だと聞いたダビデは、 + 十人の若者をカルメルに送り、こう言わせました。 + 「祝福があなたとご一家に注がれ、ますます富が増し加えられますように。 + あなたが羊とやぎの毛を刈っておられると伺いました。以前お宅の羊飼いたちといっしょにいたことがありますが、私たちは害を加えたりしたことはありません。また、カルメル滞在中も、盗みを働いた覚えはありません。 + お宅の若い使用人たちにお聞きください。それがほんとうかうそか、わかるでしょう。それで私は今、わずかばかりあなたのご親切にあずかりたく、部下を遣わしました。ちょうどおめでたい日でもあり、お手もとにある物を少しだけ恵んではいただけないでしょうか。」 + 若者たちはダビデのことばを伝え、ナバルの返事を待ちました。 + ところが、ナバルからはこんな答えが返ってきました。「ダビデ? それはだれなのか。エッサイの子だか何だか知らないが、いったい何者だ。このごろは、主人のもとから逃げ出す奴隷が大ぜいいる。 + そんな、どこのだれかもわからないやつに、私のパンや水や、それに刈り取りの祝いのためにほふった肉を、どうしてくれてやらなければならないのだ。」 + 使いの者は帰って、ナバルが言ったとおりを報告しました。 + するとダビデは、「みんな剣を取れ!」と命じ、自分も剣を身につけ始めました。四百人がダビデとともに出立し、あとの二百人は持ち物を守るために残りました。 + その間一方で、ナバルの使用人の一人が、アビガイルに一部始終を知らせました。「ダビデ様がだんな様に、荒野から使者を立て、あいさつして来られましたのに、だんな様は、さんざんその方々を侮辱したり、なじったりなさったのです。 + ダビデ様に仕える人たちは、とても私たちによくしてくれ、こちらが迷惑したことなど一度もありませんでした。実際、あの方々が昼も夜も防壁のようになって、私たちと羊を守ってくださったのです。おかげで、いっしょにいた間中、何も盗まれずにすみました。 + さあ早く、ここは、しっかりとお考えください。このままでは、だんな様ばかりか、この一家に災いが及ぶことははっきりしております。だんな様はあのとおり頑固な方ですから、だれもおいさめできないのです。」 + アビガイルは大急ぎで、パン二百個、ぶどう酒の皮袋二つ、調理した羊五頭分、炒り麦三十八リットル、干しぶどうの菓子百個、干しいちじくの菓子二百個を取りそろえてろばに積み込みました。 + そして、自分の若者たちに命じました。「さあ先にお行き。私はあとからついて行くから。」しかし、夫には何も告げませんでした。 + こうして、ろばで山道を下って行ったところ、こちらに向かって来るダビデにちょうど出くわしたのです。 + ダビデは道々、こう思っていたところでした。「ナバルのために、どれほど尽くしたことか。荒野で、われわれが羊の群れを守ってやったおかげで、一頭も失わず、盗まれもしなかったではないか。なのに、彼は恩を仇で返してきた。あれほど苦労して、得たものが侮辱だけだったとは。 + 明日の朝までに、あの家の者どもは皆殺しだ。もし一人でも生き残りがいたら、主にこの身をのろわれてもかまわない。」 + アビガイルはダビデを見るやいなや、さっとろばから降り、その前に出て深々と頭を下げました。 + 「ご主人様。このたびのことにつきましては、私がすべて非難をお受けする覚悟でございます。どうぞ、私の申し上げることをお聞きくださいませ。 + 夫ナバルは融通のきかない無骨者でございます。どうぞ、あの人の申したことを、お気になさらないでください。ナバルという名のとおり、愚かな人なのです。私は、お使いの方とはお会いしておりません。 + ご主人様。あなた様が血を流しに行くのをとどめ、復讐を思いとどまらせてくださった主は生きておられます。あなた様に刃向かう者はすべて、ナバルと同じようにのろわれますように。 + 実は、皆様方のために贈り物を用意してまいりました。 + 厚かましくもこうしてまかり出ましたことを、どうぞお許しください。主は必ず、あなた様の子々孫々にまで及ぶ永遠の王国を建てて、お報いなさることでしょう。あなた様は、主のために戦っておられるのですから、一生、決して道を踏みはずしたりなさいません。 + たとえいのちをつけねらわれても、主の懐にかくまわれているように、いつも安全に守られています。反対に、敵のいのちは、石投げの石のように飛んで消えてしまうでしょう。 + 主がすばらしい約束をことごとく成し遂げて、あなた様がイスラエルの王に任ぜられた時、ご自分の判断で人を殺したりした過去があってはなりません。主がこれらのみわざを成し遂げられたあかつきには、どうか、この私のことを思い出してください。」 + 「今日、あなたを私に会わせるためによこしてくださった、イスラエルの神、主に感謝しよう。 + 全くりっぱな良識を備えた人だ。私を人殺しの罪から守り、自分の手で復讐しようとしていたのを思いとどまらせてくれてありがとう。 + あなたに害を加えるのをとどめてくださったイスラエルの神、主にかけて誓うが、もしあなたが来てくれなかったら、ナバル家の者は一人残らず、明日の朝までに息の根を止められていたことだろう。」 + ダビデはアビガイルの贈り物を受け取り、夫を殺したりしないから、安心して家へ帰るように言いました。 + アビガイルが帰宅すると、ナバルは酒宴の真っ最中でした。彼がひどく酔っていたので、翌朝までアビガイルは、ダビデに会ったことについてはひと言も話しませんでした。 + 朝になって、酔いがさめたナバルに昨日のことを話すと、彼は気を失って十日間というもの寝込み、ついに息絶えました。主が彼のいのちを取り去ったのです。 + ナバルの死を知らされたダビデは、「主がほめたたえられるように。私には手を下させず、ご自分で報復してくださった。ナバルは当然の罰を受けたのだ」と言いました。ダビデはすぐ、アビガイルに使者を遣わし、自分の妻にしたいと申し入れました。 + 使者がカルメルに着いて、その旨を伝えると、 + 彼女はためらうことなくそれに応えました。 + さっそくしたくを整えると、五人の侍女を従えてろばに乗り、使者について行きました。こうして彼女は、ダビデの妻となったのです。 + ダビデは、イズレエル出身のアヒノアムをも妻にしていました。 + 一方サウルは、ダビデの妻であった娘ミカルを、ライシュの息子で、パルティというガリム出身の男とむりやり結婚させていました。 + + + ところで、ジフの人々はギブアにいたサウル王に、ダビデがジフの荒野に舞い戻り、ハキラの丘に隠れていることを知らせました。 + 王は三千の精兵を率いて、ダビデ討伐に向かいました。 + そして、ダビデが潜んでいる荒野のはずれにある道のかたわらに陣を張ったのです。サウル到来を知ったダビデは、偵察を送って、王の動静を探らせました。 + ある夜、ダビデは王の陣営にもぐり込み、様子を見て回りました。サウルとアブネル将軍は、ぐっすり眠りこけている兵士たちに囲まれて寝入っていました。ダビデは、ヘテ人アヒメレクと、ツェルヤの息子で、ヨアブとは兄弟のアビシャイとに、「だれか私といっしょに行くのを志願する者はいないか」と尋ねました。アビシャイが、「お供いたします」と進み出ました。そこでダビデとアビシャイは、サウルの陣営に行き、眠っている王を見つけました。枕もとには槍が突き刺してあります。 + アビシャイはダビデの耳もとでささやきました。「今日こそ、神様は間違いなく敵を討ち取らせてくださいます。どうか、あの槍で王を刺し殺させてください。ひと突きでしとめてごらんにいれます。」 + ダビデはそれを制しました。「殺してはならない。主がお選びになった王に手を下して、罪を犯してはいけない。 + 主が、いつの日か必ず王をお打ちになるだろう。年老いて死ぬか、戦場で倒れるかして。 + しかし、主が王としてお選びになった人を、この手で殺すわけにはいかない。今はあの槍と水差しを取って行くだけにしよう。」 + こうしてダビデは槍と水差しを取り、彼らの陣営を出て行きました。二人を見た者も目を覚ました者もいませんでした。主が彼らをぐっすり眠らせていたからです。 + 二人は安全な距離を隔てた、敵の陣営を見下ろせる山に登りました。 + ダビデは、アブネルやサウル王に大声で呼びかけました。「アブネル、目を覚ませ!」「おまえは、だ、だれだ?」 + 「アブネル、大した男だよ、おまえは。イスラエル中探したって、おまえほどおめでたいやつはいない。主君と仰ぐ王の警護はどうしたのだ。神に選ばれた王を殺そうと、忍び込んだ者がいるというのに、 + 全くけしからんじゃないか。主にかけて言うが、おまえみたいな愚か者は死罪に当たるぞ。王様の枕もとにあった槍と水差しはどうした。よく見てみるがいい!」 + サウルは、それがダビデの声だとわかると、「ああ、ダビデ。その声は、おまえか」と尋ねました。「はい、私です。なぜあなたは私を追い回すのですか。私が何をしましたか。どんな罪があるとおっしゃるのでしょう。 + もし主が、あなたを私に敵対させようと図っておられるのなら、主にあなたの和解のいけにえを受け入れていただきましょう。しかし、これが人間の計略にすぎないのであれば、その人は主にのろわれるでしょう。あなたは私を追い払って、主の民とともにいられないようにし、異教の神々を押しつけようとなさったからです。 + どうして、主の前から遠く離され、異国の地に骨を埋めなければならないのでしょうか。イスラエルの王ともあろうお方が、たかがうずらのような私をねらって、山の中まで追い回られるとは。」 + 「私がばかだった。ああダビデ、帰って来なさい。もう、おまえを殺そうとはしないから。おまえは今日も、私を助けてくれたのだ。あさはかだった。ほんとうに、とんでもない間違いをしてしまった。」 + 「王の槍はここにあります。若者の一人を、取りに来させてください。 + 主は、良いことを行う者に、また真実を貫く者に、正しく報いてくださいます。主はあなたのおいのちを、私の手の届くところに置いてくださいましたが、私は手出しいたしませんでした。 + 今日、私があなたのおいのちをお救いしたように、主は私をお救いくださるでしょう。すべての苦しみから助け出してくださるはずです。」 + 「わが子ダビデよ、おまえに祝福があるように。おまえは必ず英雄の名にふさわしい働きをして、偉大な勝利者となるだろう。」こうしてダビデは去って行き、サウルは家路につきました。 + + + しかし、ダビデは心中、こう考えていました。「いつか、王は私を捕らえようとやって来るに違いない。そうだ、ペリシテ人の中にまぎれ込んで試してみよう。そして王が追跡をあきらめてくれれば、何も心配はなくなる。」 + ダビデは六百人の部下とその家族を引き連れ、ガテの王アキシュを頼って、ガテに移り住みました。ダビデの二人の妻、イズレエル人アヒノアムと、ナバルの未亡人であったカルメル人アビガイルもいっしょでした。 + ダビデがガテに逃げたという知らせを聞くと、サウルはダビデの追跡をやめました。 + ある日のこと、ダビデはアキシュ王に願い出ました。「もしお許しいただけるなら、このような都にではなく、もっと田舎の町に住まわせていただきたいのですが。」 + そこでアキシュは、ツィケラグをダビデに与えました。それでこの町は、今もユダの王のものとなっています。 + ダビデがペリシテ人の中で暮らしたのは、一年四か月でした。 + その間、ダビデとその部下はゲシュル人、ゲゼル人、アマレク人を襲いました。その人々は昔から、エジプトに通じる道沿いの、シュルの近くに住んでいたのです。 + ダビデが襲った村々には、生存者は一人もいませんでした。彼らは、羊、牛、ろば、らくだ、それに着物などを奪って引き揚げました。 + アキシュが、「今日は、どこを襲ったのか」と尋ねると、ダビデは、ユダの南部とか、エラフメエルの人々やケニ人を相手に戦ったなどと答えていました。 + とにかく、生き残ってガテまで来る者は一人もなかったわけですから、実際にどこを襲ったのか、その真相は明らかになりようがなかったのです。ペリシテ人の中にまぎれ込んで暮らしている間、ダビデはこのようなことをくり返していました。 + アキシュはダビデを信用し、今はもうイスラエル人はダビデをひどく憎んでいるに違いない、と思い込んでいました。そして、「ダビデはいつまでもここにいて、私に仕えてくれるだろう」と思ったのです。 + + + そのころ、ペリシテ人はイスラエルと戦争を始めようとして、軍を召集しました。アキシュ王はダビデとその部下に、「いっしょに出陣してほしい」と頼みました。 + ダビデは快く承知しました。「いいですとも。仰せのとおりにしましょう。」「やってくれるか。あなたには今後ずっと、私の護衛を受け持ってもらおう。」 + 同じころ、イスラエルではサムエルが死んで、国中が喪に服していました。サムエルの遺体は故郷の町ラマに葬られました。また、サウル王はイスラエルから霊媒やまじない師を追放していました。 + さて、ペリシテ人はシュネムに、サウルの率いるイスラエル軍はギルボアに、それぞれ陣を構えました。 + サウルはペリシテ人の大軍を見て、恐ろしさのあまりひどく取り乱し、どうすべきか主に伺いを立てましたが、主は、夢によってもウリム〔神意を伺う一種のくじ〕によっても、また預言者によっても答えませんでした。 + サウルはどうしても伺いを立てたかったので、やむなく、家臣に霊媒のできる女を捜し出してくるよう命じました。エン‧ドルに一人の霊媒師がいることがわかりました。サウルは王衣を脱ぎ、ふつうの身なりに着替えて、部下二人を連れ、夜、その女の家に出向きました。「死んだ人間と話したいのだが、その人の霊を呼び出してくれないか。」 + 「私を殺すつもりかい。知ってるだろう、サウル王が霊媒やまじない師を、片っぱしから追放したことをさ。きっと、あなたたちは私を探りに来たんだね。」 + そこでサウルは、裏切るようなことは絶対にしないと、厳粛な誓いを立てました。 + とうとう女も承知しました。「わかったよ、いったいだれを呼び出せばいいんだい。」「サムエルを呼び出してくれ。」 + 霊媒の女はサムエルの姿を見たとたん、大声で叫びました。「よくもだましてくれたね。あんたはサウル王じゃないか。」 + 「恐れる必要はない。さあ、何が見えるんだ。」「神のような方が地から上って来ます。」 + 「どんな様子だ。」「外套をまとった老人です。」サムエルです。サウルはその前にひれ伏しました。 + サムエルは尋ねました。「どうして私を呼び出したりして、煩わすのか。」「私はもう、途方にくれているのです。ペリシテ人が攻めて来るのに、主は私をお見捨てになり、預言者によっても、夢によっても答えてくださいません。思いあぐねて、あなたをお呼びしたのです。」 + 「主があなたから離れ、敵となってしまわれたのに、なぜ私に尋ねるのだ。 + 主は、予告どおりのことをなさったまでだ。あなたから王位を取り去り、対抗するダビデにお与えになった。 + こうなったのもみな、あなたがあの時、アマレクに激しい怒りを向けておられた主のご命令を踏みにじったからだ。 + そればかりではない、明日、イスラエル軍は総くずれとなり、ペリシテ人の手で滅ぼされるだろう。あなたも息子たちも、私といっしょになるだろう。」 + サウルは地面に棒のように倒れてしまいました。サムエルのことばを聞いて、恐怖のあまり卒倒したのです。それに丸一日、食べ物を何も口にしていなかったのです。 + 霊媒の女はサウルが錯乱しているのを見て言いました。「王様。私は、いのちがけでご命令に従ったのです。 + 今度はこちらの言うとおりにしてください。食べる物を差し上げますから、それで元気を取り戻してお帰りください。」 + 王は首を横に振りました。しかし、供の者たちもいっしょになってしきりに勧めたので、ついに折れ、起き上がって床に座りました。 + その家には、太った子牛がいました。女は急いで子牛を料理し、小麦粉をこねてパン種を入れないパンを焼きました。 + 料理が運ばれると、一行は食事をし、夜のうちに立ち去りました。 + + + さて、ペリシテ軍はアフェクに集結し、イスラエル軍はイズレエルにある泉のほとりに陣を張りました。 + ペリシテ軍の隊長たちは大隊や中隊を率いて進軍し、ダビデとその配下の者たちはアキシュ王を守ってしんがりを務めました。 + しかしペリシテ人の指揮官たちは、「このイスラエル人どもは、いったいどうしたのです」と王にただし始めたのです。するとアキシュ王は、「イスラエルの王サウルの家来ダビデだ。私のもとに落ち延びて、一、二年になるが、今日まで一つもやましい点はなかった」と弁護しました。 + しかし、指揮官たちは腹を立てるばかりです。「追い返してください! 彼らがいっしょに戦うはずはありません。せいぜい裏切るのが落ちです。戦場で向こうに寝返れば、彼は主君と手打ちする絶好のチャンスなのですよ。 + イスラエルの女が踊りながら、『サウルは千人を殺し、ダビデは一万人を殺した』と歌ったのは、この人のことですから。」 + とうとうアキシュは、ダビデたちを呼んで、こう言い渡さなければなりませんでした。「主に誓って言うが、あなたたちは、私がこれまで会った中でも、ことにすぐれた面々である。ぜひ行動を共にしてもらいたかったが、あの指揮官どもが承知しないのだ。 + 彼らを刺激してはまずい。ここは穏やかに引き返してくれないか。」 + 「いったい私たちが何をしたのでしょう。引き返せとはあんまりです。どうして、あなたの敵と戦わせていただけないのでしょうか。」 + しかし、アキシュ王は首を振りました。「私が知る限り、あなたは神の使いのように完璧だ。だが、あの指揮官どもは、いっしょに戦場に臨むのを恐れているのだ。 + 明日の朝、早く起きて、夜明けとともに出立してくれ。」 + そこで、ダビデは自分の部隊を率いてペリシテ人の地へ帰りました。一方、ペリシテ軍はイズレエルへと進軍しました。 + + + 三日後、ダビデたちがツィケラグの町に帰り着いてみると、どうでしょう。アマレク人が町を襲って焼き払い、 + 女や子どもをみな連れ去ったあとだったのです。 + ダビデとその部下は町の焼け跡を見て、家族の身に起こったことを知り、 + 声がかれ果てるまで大声で泣きました。 + ダビデの二人の妻、アヒノアムとアビガイルも連れ去られていました。 + ダビデは苦しみました。さらに悪いことに、子どもたちの身を案じて悲しむあまり、部下の中からダビデを殺そうとする動きさえ出始めたのです。しかし、ダビデは主から力づけられました。 + ダビデは、祭司エブヤタルにエポデを持って来させると、 + 主に伺いを立てて言いました。「あの者たちを追うべきでしょうか。追いつけるでしょうか。」主は答えました。「追いかけよ。奪われたもの全部を取り返すのだ。」 + ダビデは「それっ!」とばかり、六百人を率いて、アマレク人を追撃しました。ベソル川まで来た時、二百人の者は疲れきって渡ることができず、四百人だけが前進しました。 + 追撃の途中、野原で一人のエジプト人の若者に出くわしました。さっそくダビデの前に連れて来ると、三日三晩、何も口にしていないというのです。そこで、干しいちじくと、干しぶどう二房、それに水を少し与えると、すぐに元気になりました。 + ダビデは、「何者だ。どこから来たのか」と尋ねました。「エジプト人で、アマレク人の召使でした。ところが病気になったものですから、三日前に、主人が置き去りにして行ったのです。 + 私たちはネゲブのケレテ人を襲って帰る途中、ユダの南部とカレブの地をも襲い、ツィケラグを焼き払いました。」 + 「アマレク人がどこへ行ったか、案内してくれるか。」「いのちを助けてくれますか。主人に渡したりしませんか。もし、神にかけて誓ってくださるなら、案内しましょう。」 + こうしてその若者は、ダビデをアマレク人の野営地に案内しました。彼らはあたり一面に散らばって、食べたり飲んだり踊ったり、お祭り騒ぎの最中でした。ペリシテ人やユダの人々から、戦利品を山ほど手に入れたからです。 + ダビデと部下の者はその中に突入し、その晩から翌日の夕方までかかって、彼らを打ち殺しました。らくだに乗って逃げた四百人の若者のほかは、一人も取り逃がしませんでした。 + アマレク人に奪われたものは残らず取り戻しました。家族全員を救い出し、持ち物を全部取り返したのです。もちろん、ダビデの二人の妻も救い出されました。 + 一隊は羊や牛の群れを駆り集め、群れを先導して行きました。みなはダビデに、「これは全部、あなたのものでございます。あなたのご功績ですから」と言いました。 + さて、二百人が極度の疲労のため前進を断念した、ベソル川まで来ると、ダビデは喜んでその人々の歓迎に応えました。 + ところが、ダビデに同行した者たちの中には意地の悪い者もいて、口々にこう言い始めたのです。「彼らはいっしょに行かなかったのだから、戦利品の分け前をやることはない。妻子だけ返してやって、帰らせよう。」 + しかし、ダビデはさとしました。「それはいけない。主がわれわれを守り助けてくださったおかげで、敵を打ち破れたのではないか。 + そんなことを言って、いったいだれが納得すると思っているのだ。戦いに行く者も、銃後の守りを固めた者も、平等に分け合おうではないか。」 + 以来、ダビデはこのことを全イスラエルの規律とし、今もそのとおり行われています。 + ダビデはツィケラグに帰ると、ユダの長老たちに戦利品の一部を送り、「これは、主の敵から奪い取ったもので、皆さんへの贈り物です」と書き添えました。 + 贈り物が届けられたのは、ダビデたちが立ち寄ったことのある、次の町々の長老たちです。ベテル、ネゲブのラモテ、ヤティル、アロエル、シフモテ、エシュテモア、ラカル、エラフメエル人の町々、ケニ人の町々、ホルマ、ボル‧アシャン、アタク、ヘブロン。 + + + その間に、ペリシテ人はイスラエル人と戦いを始めました。イスラエル軍はあえなく敗走し、ギルボア山で大多数が戦死しました。 + ペリシテ軍はサウルを追い詰め、息子のヨナタン、アビナダブ、マルキ‧シュアを殺しました。 + なお、射手たちはサウルをねらい打ちにし、ついに致命傷を負わせました。王は苦しい息の下から、よろい持ちの護衛兵に言いました。「あの、神を知らぬペリシテ人に捕らえられて恥辱を受けるより、いっそ、おまえの剣で殺してくれ。」しかし、よろい持ちが恐れてためらっていると、王は自分の剣を取り、その切っ先の上にうつ伏せに倒れ、壮烈な最期を遂げました。 + 王の死を見届けると、よろい持ちも、自ら剣の上にうつ伏せに倒れて殉死しました。 + こうして、同じ日のうちに、王と三人の息子、よろい持ち、それに兵士たちが次々に死んだのです。 + 谷の向かい側やヨルダン川の対岸にいたイスラエル人は、味方の兵士たちが逃げ出し、王とその息子たちが死んだことを聞くと、町々を捨てて逃げ去りました。それで、その町々にはペリシテ人が住むようになったのです。 + 翌日、ペリシテ人は死者たちの遺品をはぎ取りに来て、サウルと三人の息子の遺体をギルボア山で発見しました。 + 彼らは王の首を切り、武具をはぎ取りました。そして、国中の偶像の神殿と国民とに、サウル王を討ち取ったという朗報を伝えました。 + サウル王の武具はアシュタロテの神殿に奉納され、しかばねはベテ‧シャンの城壁にさらされました。 + ヤベシュ‧ギルアデの住民は、このペリシテ人の仕打ちを聞くと、 + さっそく勇士たちが夜通しベテ‧シャン目指して歩いて行って、サウル王とその息子たちの死体を城壁から降ろし、ヤベシュに運んで火葬にしたのです。 + その骨はヤベシュにある柳の木の根もとに葬られ、人々は七日の間断食して、喪に服しました。 + +
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+ + サウルが死んだあと、ダビデはアマレク人を討って、ツィケラグに引き揚げて来ました。その三日後、イスラエル軍から一人の男がやって来ました。男は破れた服をまとい、頭に土をかぶっていて、ひと目で喪に服していることがわかりました。彼はダビデの前に出ると、深い敬意を表して地にひれ伏しました。 + 「どこから来たのだ」とダビデが聞くと、「イスラエルの陣営から逃れてまいりました」と彼は答えました。 + 「何かあったのか? 戦いの様子はどうなのだ。」ダビデはせき込んで尋ねました。「イスラエルは散り散りです。何千という兵士が死に、また負傷して野に倒れています。サウル王も、ヨナタン王子も殺されました。」 + 「サウル王とヨナタンが死んだと! どうしてわかったのだ。」 + 「私はギルボア山におりましたが、槍にすがってようやく立っている王様に、敵の戦車が迫るのを見たのです。 + 王様は私を見るなり、こっちへ来いと叫ばれました。急いでおそばに駆け寄りますと、 + 『おまえはだれか』とお尋ねになります。『アマレク人でございます』とお答えしますと、 + 『さあ、私を殺してくれ。この苦しみから救ってくれ。死にきれないのがつらくて耐えられないのだ』とおっしゃるのです。 + そこで私は、もう時間の問題だと察したので、あの方にとどめを刺しました。そして、あの方の王冠と腕輪の一つを持ってまいりました。」 + この知らせを聞いて、ダビデと部下たちは悲しみのあまり、めいめいの衣服を引き裂きました。 + 彼らは、死んだサウル王とその子ヨナタン、それに、主の民といのちを落としたイスラエル人のために喪に服し、泣きながら終日断食しました。 + ダビデは、王の死を告げに来た若者に言いました。「おまえはどこの者だ。」若者は答えました。「アマレク人で、在留異国人でございます。」 + 「どうして、神に選ばれた王を手にかけたのか」と、ダビデは詰め寄りました。 + そして部下の若者の一人に、「この男を打て!」と命じたのです。若者は剣を振りかざして走り寄り、そのアマレク人の首を打ち落としました。 + ダビデは言いました。「自業自得だ。自分の口で、主がお立てになった王を殺したと証言したのだから。」 + ダビデは、サウル王とヨナタンにささげる哀歌を作り、これがイスラエル中でのちのちまで歌い継がれるように命じました。英雄詩にその詩が記されています。 + 「ああ、イスラエル。おまえの誇りと喜びは、しかばねとなって丘に横たわる。大いなる英雄たちは倒れた。 + ペリシテ人には告げるな。喜ばせてなるものか。ガテとアシュケロンの町にも告げるな。神を知らない者たちを勝ち誇らせてなるものか。 + ギルボアの山よ、露も降りるな。雨も降るな。いけにえのささげられた野にも。偉大なサウル王が倒れた地だから。ああ、その盾は油も塗られず打ち捨てられた。 + 最強の敵を打ち殺したサウルとヨナタンは空手で戦場から引き揚げたことはなかった。 + ああ、サウルもヨナタンもどれほど愛され、どれほどすぐれた人物であったことか。生死を共にした彼ら。鷲よりも速く、獅子よりも強かった。 + さあ、イスラエルの女よ、サウル王のために泣け。王は、おまえたちを惜しげなく着飾らせ、金の飾りをまとわせてくれた。 + 偉大な英雄たちは、戦いの最中に倒れた。ヨナタンは山の上で殺された。 + わが兄弟ヨナタン。あなたのために、どれほど涙を流したことか。あなたをどれほど愛していたことか。あなたの私への愛は、女の愛も及ばなかった。 + ああ、勇士たちは倒れ、武具は奪い取られ、彼らは死んだ。」 + + + その後ダビデは、「どこかユダの町に上るべきでしょうか」と主に伺いを立てました。すると、「そうせよ」と主は答えました。「では、どの町へ行けばよろしいでしょうか」とダビデが聞くと、「ヘブロンへ」との答えでした。 + そこで、ダビデと二人の妻、つまりイズレエル出身のアヒノアムと、カルメル出身のナバルの未亡人アビガイル、そして彼に従う者たちとその家族全員は、そろってヘブロンに移りました。 + すると、ユダの指導者たちが集まって来て、ダビデをユダの家の王としました。ダビデは、ヤベシュ‧ギルアデの人々がサウル王を葬ったと聞いて、 + さっそく使者を遣わしました。「主君に忠誠を尽くし、丁重に葬ってくれたあなたがたに、主の豊かな祝福があるように。 + どうか、主が真実をもって報いてくださり、その恵みと愛を表してくださるように。私からも礼を述べ、感謝のしるしにできるだけのことをしよう。 + サウル王亡き今、私のもとで、忠実でりっぱな兵士として励んでもらえないか。私を王に立ててくれたユダの家のように。」 + しかし、サウルの将軍(司令官)であったアブネルは、サウルの子イシュ‧ボシェテを王位につかせようと、マハナイムに移り住んでいました。 + その支配は、ギルアデ、アシュル、イズレエルをはじめ、エフライムやベニヤミンの部族、その他の全イスラエルに及んでいました。 + イシュ‧ボシェテは四十歳で王位につき、二年間、マハナイムでイスラエルを治めました。一方ダビデは、七年半にわたり、ヘブロンでユダの王として支配しました。 + ある日、将軍アブネルはイシュ‧ボシェテの軍を率いて、マハナイムからギブオンに向かっていました。 + 一方、ツェルヤの子、将軍ヨアブも、ダビデの部隊を率いてギブオンに出向きました。両者はギブオンの池のほとりで、池をはさんで向かい合ったのです。 + アブネルはヨアブに提案しました。「若い者同士で、剣の腕を競わせようではないか。」ヨアブも異存はありません。 + 十二人ずつの兵士が選ばれ、死闘を演じることになりました。 + 互いが敵の髪の毛をつかんでは相手のわき腹に剣を突き刺して、結局、全員が死にました。以来、ここはヘルカテ‧ハツリム〔剣が原〕と呼ばれるようになりました。 + これが口火となって両軍は戦闘状態となり、その日のうちに、アブネルとイスラエル軍は、ヨアブの率いるダビデ軍に敗れました。 + ヨアブの兄弟アビシャイとアサエルも、戦いに参加していました。かもしかのように足の速いアサエルが、 + 逃げるアブネルを追いかけました。ほかのものには目もくれず、一人逃げるアブネルをひたすら追い続けました。 + アブネルは、追いかけて来る敵を見て、振り向きざまに「アサエルではないか」と呼びかけました。「そうだ。」 + 「ほかのやつを追え!」と、いくらアブネルが言っても、アサエルは耳を貸さず、なおもアブネルへの追撃の手をゆるめません。 + もう一度、アブネルは言いました。「あっちへ行け! もしおまえを殺すことにでもなれば、おまえの兄ヨアブに顔向けができない。」 + それでも、アサエルは向きを変えようとしません。とうとうアブネルは、槍の石突きをアサエルの下腹に突き刺しました。槍は背を貫通し、アサエルはばったり倒れ、息絶えました。彼が倒れている場所に来た者はみな、そこに立ち尽くしました。 + 今度は、ヨアブとアビシャイがアブネルを追います。ギブオンの荒野の道沿いにあるギアハの近くのアマの丘まで来た時、ちょうど太陽が沈み始めました。 + ベニヤミン族から召集されたアブネルの部隊は、丘の上で隊列を整えていました。 + アブネルは、ふもとのヨアブに向かって叫びました。「いつまでも殺し合いを続けてはいられない。いつになったら、同胞同士で争うのをやめさせるつもりだ。」 + ヨアブは答えました。「神にかけて誓うが、もしおまえがそう言わなかったら、われわれはみな、明日の朝まで追撃を止めなかっただろう。」 + ヨアブがラッパを吹くと、兵士たちはイスラエル軍の追跡をぴたりとやめました。 + その夜、アブネルと兵士たちは、ヨルダン渓谷伝いに退却し、ヨルダン川を渡って翌朝まで歩き続け、ようやくマハナイムに帰り着きました。 + ヨアブの部隊も宿営に戻り、死傷者を数えてみると、欠けたのは兵士十九人とアサエルだけでした。 + 一方、全員がベニヤミン族であったアブネル側では、戦死者は三百六十人に上りました。 + ヨアブの部隊は、アサエルの遺体をベツレヘムへ運び、父親のかたわらに葬りました。それから夜通し歩いて、夜明けごろにヘブロンに帰りました。 + + + これが、サウル家とダビデ家との長い戦いの始まりでした。ダビデがますます権力を増していくのに反して、サウル王家は衰えていきました。 + ダビデには、ヘブロンでの生活の間に何人もの息子が生まれました。長男のアムノンは、妻アヒノアムから生まれました。 + 次男のキルアブは、カルメル人ナバルの未亡人だったアビガイルから生まれました。三男アブシャロムの母親は、ゲシュルの王タルマイの娘マアカでした。 + 四男アドニヤはハギテから、五男シェファテヤはアビタルから、 + 六男のイテレアムはエグラから生まれました。 + 内戦が続く中、アブネルはサウル家で押しも押されもせぬ政治的指導者にのし上がっていきました。 + その地位を利用して、サウル王のそばめの一人だったリツパという娘と関係をもつようになりました。そのことでサウルの子イシュ‧ボシェテから責められると、 + アブネルはひどく腹を立て、言いました。「私は、たかがこれくらいのことで文句を言われなければならないユダの犬なのか。だれのおかげで、ダビデに売り渡されずにすんだのか。あなたのため、お父上サウル王のため、この私がどれほど尽くしてきたか。それなのに、あの女のことで難くせをつけて、恩を仇で返されるとは。 + 覚えておくのだ。主のお告げどおり、ダンからベエル‧シェバに至る全王国をあなたから取り上げて、ダビデに渡す。もしできなかったら、この首を差し出そう。」 + イシュ‧ボシェテはもはやことばを返せませんでした。アブネルを恐れたのです。 + アブネルはダビデに使者を立て、一つの申し入れをしました。全イスラエルを引き渡すのと交換に、自分をイスラエルとユダの連合軍の司令官にしてほしいというのです。 + ダビデは答えました。「よいだろう。ただし、私の妻である、サウルの娘ミカルを連れて来てくれ。それが条件だ。」 + それからダビデは使者を立て、イシュ‧ボシェテに伝えました。「私の妻ミカルを返してほしい。ペリシテ人百人のいのちと引き替えにめとった妻だから。」 + それでイシュ‧ボシェテは、ミカルをその夫、ライシュの子パルティエルから取り上げました。 + パルティエルはバフリムまで泣き泣きあとを追って来たものの、アブネルに「もう帰れ」と言われて、すごすごと引き返して行きました。 + その間、アブネルはイスラエルの指導者たちと協議し、彼らが長年ダビデの支配を望んでいたことを確かめました。 + 「今こそ、時がきたのだ! 主が、『わたしはダビデによって、わたしの民をペリシテ人から、また、すべての敵から救い出そう』とおっしゃったではないか」と、アブネルは言いました。 + アブネルはまた、ベニヤミン族の指導者たちとも話し合いました。それからヘブロンへ行き、イスラエルおよびベニヤミンの人々との交渉の経過を、ダビデに報告したのです。 + 二十人の部下を伴ったアブネルを、ダビデは祝宴を張ってもてなしました。 + アブネルはダビデのもとを辞する時、こう約束しました。「帰りしだい、全イスラエルを召集します。多年のお望みがかないます。全国民はきっと、あなた様を王に選ぶでしょうから。」こうしてダビデはアブネルを送り出し、アブネルは安心して出て行きました。 + ちょうど入れ違いに、ダビデの兵士たちとヨアブが、戦利品をどっさりかかえて奇襲攻撃から戻って来ました。 + ダビデのもとを訪れたアブネルとの話し合いが、極めて友好的だったと聞くと、 + ヨアブは王のもとへ飛んで行きました。「あんまりではございませんか。アブネルをむざむざお帰しになるなど、もってのほかです。あの男の魂胆はご存じでしょう。われわれを攻めるために、動静を探りに来たに違いありません。」 + ヨアブは直ちにアブネルを追わせ、連れ戻すようにと命じました。追っ手はシラの井戸あたりで追いつき、いっしょに引き返しました。しかし、ダビデはこのことを知りませんでした。 + ヘブロンに着いたアブネルを、ヨアブは個人的な話があるように見せかけて、町の門のそばへ呼び出しました。そして、ヨアブはやにわに短剣を抜いてアブネルを刺し殺し、弟アサエルの復讐をしたのです。 + この一件を知らされたダビデは言いました。「私は神にかけて誓う。私も民も、このアブネル殺しの罪には全く関与していない。 + その責任は、ヨアブとその一族に降りかかるのだ。ヨアブの家は子々孫々、汚れた者、不妊の者、飢え死にする者、剣に倒れる者が絶えないだろう。」 + ヨアブとその兄弟アビシャイがアブネルを殺したのは、ギブオンの戦いで殺された弟アサエルのかたきを討つためでした。 + ダビデは、ヨアブおよび彼とともにいた全員に告げて言いました。「アブネルのために嘆き悲しみ、喪に服すのだ。」ダビデは墓地まで棺につき添い、 + アブネルをヘブロンに葬りました。王も民もみな、墓のそばで声を上げて泣きました。 + 「アブネル、どうして愚かな死に方をしたのだ」とダビデは嘆き、歌いました。「おまえの手は縛られず、足もつながれなかったのに、おまえは暗殺された、悪い計略のいけにえとして」民もまた、アブネルを悼んで泣きました。 + 弔いの日、ダビデは食事を少しでも口にするように勧められましたが、日没まで食を断つと誓って聞きませんでした。こればかりでなく、ダビデのすることなすことはすべて、人々を満足させました。 + ダビデの行いをつぶさに見たユダとイスラエルの全国民は、それによってアブネルの死の責任がダビデにないことを認めたのです。 + ダビデは家来たちに言いました。「今日、イスラエルで一人の偉大な指導者、偉大な人物が倒れた。 + 私は神に選ばれた王だが、ツェルヤのこの二人の息子に何もできない。どうか主が、このような悪を行った者に報いられるように。」 + + + サウルの子イシュ‧ボシェテは、アブネルがヘブロンで殺されたと聞くと、恐れのあまり気力を失い、彼の兵士もみな動揺しました。 + これに乗じてイスラエル軍の指揮をとったのは略奪隊を率いていたバアナとレカブの兄弟で、二人はベニヤミンのベエロテ出身のリモンの子でした。ベエロテの人々は、以前ギタイムに逃げて今もそこに住んでいますが、なおベニヤミン人とみなされていたのです。 + さて、亡きサウル王には、メフィボシェテという孫がいました。ヨナタンの息子で、足の不自由な子でした。サウルとヨナタンがイズレエルの戦いで倒れた時、彼は五歳でした。悲報が都にもたらされた際、乳母が彼を抱いて、あわてて逃げるうちにつまずいて倒れ、その子を落としてしまい、そのために彼は足が不自由になったのです。 + レカブとバアナはある昼下がり、イシュ‧ボシェテの家を訪れました。王はちょうど昼寝の最中でした。 + 二人は小麦の袋を取りに行くふりをして台所に近づき、こっそり王の寝室に忍び込んで、そこで王を殺し、首をはねました。彼らはその首をかかえて、一晩中、荒野をひた走りに走って、 + ついにヘブロンにたどり着き、ダビデに差し出したのです。「よくごらんください。あなたのおいのちをねらっていた敵、サウルの子イシュ‧ボシェテの首です。今日、主はわが王のために、サウルとその全家族に復讐してくださったのです。」 + しかし、ダビデは答えました。「私をあらゆる敵から救い出してくださった神に誓って言う。 + 前にも、私が喜ぶに違いないと思って、『サウルが死んだ』と告げに来た者がいたが、私はその者を手討ちにした。それが、その者の言う『吉報』とやらに報いる答えだった。 + まして、あの何の罪もない人を、家の中で、しかも寝床で殺すような不届き者を放ってはおけない。二人とも無事に帰れるとでも思っているのか。」 + ダビデは側近の若者たちに、二人を殺すよう命じました。その死体は手足を切り離され、ヘブロンの池のほとりで木につるされました。しかしイシュ‧ボシェテの首は、ヘブロンにあるアブネルの墓に運ばれ、埋葬されました。 + + + イスラエルの全部族の代表者たちは、ヘブロンにいるダビデのもとに来て言いました。「私たちは、あなたと血を分けた兄弟です。 + サウルが王であった時にも、ほんとうの指導者はあなたでした。主は、あなたこそイスラエルの指導者だとおっしゃっています。」 + ダビデは、ヘブロンに集まったイスラエルの指導者たちと主の前で契約を結び、彼らはダビデをイスラエルの王としました。 + ダビデはすでに三十歳の時から七年間、ユダの王であり、こののちエルサレムで三十三年間、イスラエルとユダの全土を治めることになったのです。ダビデが王位にあったのは、合わせて四十年になります。 + さてダビデは、エルサレムに入り込んでいたエブス人と戦うために、兵を率いてエルサレムへ向かいました。彼らはダビデにこう豪語しました。「おまえなどに攻め入られてたまるか。おまえなど、歩けない者であろうと、目の見えない者であろうと、だれにでも簡単につまみ出せるわ!」彼らは安心しきっていました。 + しかしダビデは、現在ダビデの町と呼ばれているシオンの要害を占領したのです。 + 彼らの暴言を耳にしたダビデは、「地下水路を通って町に攻め上り、歩けない、目の見えない憎きエブス人を滅ぼせ」と命じました。このことから、「目の見えない者や足の不自由な者は宮に入ってはならない」と言われるようになったのです。 + ダビデは、このシオンの要害をダビデの町と呼び、自身の本拠地に定めました。ついで町の旧ミロ地区から北側に、現在のエルサレムの中心部に向かって城壁を築きました。 + ダビデの勢力はますます強大になっていきました。天地を支配される神、主が共にいたからです。 + ツロの王ヒラムからは、ダビデ王の宮殿建設のために、上等の木材、大工、石工が送られて来ました。 + 今やダビデは、主が自分を王位につかせ、豊かな王国としてくださったのは、神がイスラエルの民を選び出し、特別な恵みを注ごうとされたからであると、はっきり知ったのです。 + ヘブロンからエルサレムに移ってからも、ダビデはさらに妻やそばめを迎え入れ、次々と息子や娘をもうけました。 + エルサレムで生まれた子たちは次のとおりです。シャムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、イブハル、エリシュア、ネフェグ、ヤフィア、エリシャマ、エルヤダ、エリフェレテ。 + ペリシテ人は、ダビデがイスラエルの王になったと聞くと、何とか彼を捕らえようとしました。ペリシテ人来襲の報が伝わると、ダビデは直ちに要害に下って行きました。 + ペリシテ人は、レファイムの谷一帯に陣を張りました。 + 「打って出て、戦うべきでしょうか。私は勝てるでしょうか。」ダビデは主に伺いを立てました。すると、「打って出なさい。ペリシテ人をあなたの手に渡そう」と主は答えました。 + そこでダビデは勇んで出陣し、バアル‧ペラツィムで彼らと戦い、みごと打ち破りました。「主のおかげだ。主は押し寄せる洪水のように、敵をひと飲みになさった」とダビデが言ったので、そこはバアル‧ペラツィム〔決壊〕と呼ばれるようになったのです。 + その時、ダビデ軍は、ペリシテ人が置き去りにしていった多くの偶像を運び捨てました。 + しかしペリシテ人はまたも反撃に出て来て、レファイムの谷間に陣を敷いたのです。 + ダビデは、どうすべきか再び主に伺いました。答えはこうでした。「正面から攻めないで、敵の背後に回り、バルサム樹の林から出て行きなさい。 + バルサム樹の林の上から行進の足音が聞こえたら、出陣しなさい。それは、わたしが道を備え、必ず敵を滅ぼすという合図である。」 + ダビデは命令どおりに行いました。そして、ゲバからゲゼルに至るまでペリシテ人を粉砕したのです。 + + + このあと、ダビデはえり抜きの兵三万を率いて、ユダのバアラへ出かけました。ケルビム(天使を象徴する像)の上に座す、天地の主なる神の契約の箱を持ち帰るためです。 + 神の箱は真新しい牛車に載せられ、丘の中腹にあるアビナダブの家から運び出されました。御者はアビナダブの子ウザとアフヨでした。 + アフヨが先導を務め、 + ダビデをはじめイスラエルの指導者たちがあとに続きました。一行は木の枝を振りかざし、主の前で、竪琴、琴、タンバリン、カスタネット、シンバルなど、ありとあらゆる楽器を鳴らして喜び踊りました。 + ところが、ナコンの打ち場まで来た時、牛がつまずいたので、ウザはあわてて手を伸ばし、神の箱を手で押さえようとしました。 + とたんに、主の怒りがウザに向かって燃え上がりました。箱にさわったため、ウザは主に打たれ、箱のそばで息絶えました。 + この出来事にダビデは憤慨し、そこをペレツ‧ウザ〔ウザへの怒り〕と呼びました。今もそう呼ばれています。 + ダビデはすっかり主を恐れ、「とても主の箱を私の所に持って帰ることはできない」と言って、 + それをダビデの町へ移すことを中断し、ガテ出身のオベデ‧エドムの家に預けることにしました。 + こうして主の箱は、三か月間オベデ‧エドムの家に置かれました。主は彼の家を祝福しました。 + そのことを聞いたダビデは、大いに祝って、神の箱をオベデ‧エドムの家からダビデの町へ運ぶことにしました。 + 主の箱をかつぐ者たちが六歩進んだ時、ダビデは太った牛と子羊をいけにえにささげました。 + ダビデは、主の前で力の限り踊りました。彼は祭司の服をまとっていました。 + 全イスラエルは歓声を上げ、ラッパを吹き鳴らして、主の箱をダビデの町に運び込みました。 + しかし、行列が町に入って来るのを窓から眺めていたサウルの娘ミカルは、主の前で跳ねたり踊ったりしているダビデを見て、心の中で彼を軽蔑しました。 + 主の箱は、ダビデが用意しておいた天幕に安置されました。ダビデは主に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。 + それから、天地を支配しておられる主の名によって民を祝福し、 + 男にも女にもすべての民にパン一個、ぶどう酒、干しぶどうの菓子一個をふるまいました。それが終わると、みな家に引き揚げ、 + ダビデも、家族を祝福するために戻って行きました。ところが、ダビデを迎えに出たミカルは、うんざりした様子で言いました。「今日は、なんとまあごりっぱな王様ぶりでしたこと! 道の真ん中、それも女たちの前で裸におなりになるなんて。」 + 「私は、おまえの父やその一族にまさって、神の民イスラエルの指導者として選んでいただいた主の前で踊ったのだ。その主の前で喜びを表すためなら、たとえ気がおかしくなったと言われてもかまわない。 + いや、もっと愚か者のように思われてもよい。その女たちは、きっとわかって敬ってくれるだろう。」 + このミカルは、生涯、子どもが与えられませんでした。 + + + 主がついにこの地に平和をもたらし、もはや周囲の国々と戦わなくてもよい日がきました。 + そうなった時、ダビデは預言者ナタンを呼んで言いました。「見なさい。私はこんなりっぱな家に住んでいるのに、神の箱は天幕に置かれたままだ。」するとナタンは言いました。 + 「どうぞ、お考えのままになさってください。主があなたとともにおられるのですから。」 + その夜のことです。主はナタンに言われました。 + 「わたしのしもべダビデに、わたしのために家を建てる必要はない、と言いなさい。 + わたしは神殿には住まない。イスラエル人をエジプトから連れ出した日以来、わたしの家はずっと幕屋(神のための天幕)だった。 + そのことで、イスラエルの指導者や民を牧する者たちに不平をもらしたことは一度もない。『どうしてりっぱな神殿を建ててくれないのか』と言った覚えもない。 + さあ、わたしのことばをダビデに告げなさい。『わたしは、牧場で羊を飼う、ただの牧童にすぎなかったあなたを、わたしの民イスラエルの指導者としたのだ。 + どこへでも、あなたとともに行き、敵を滅ぼした。また、あなたの名声をいっそう高めた。あなたの名は世界中に知れ渡るだろう。 + ここがイスラエル人の母国だ。もう、二度とこの地を離れることはない。ここはわたしの民の地だ。あの士師たちが治めた時代のように、わたしを知らない外国人に圧迫されることもない。もう、戦いを挑んでくる者もいない。あなたの子孫は、代々この地を治めるだろう。 + あなたが世を去っても、息子の一人を王座につかせ、わたしは王国を強固にしよう。 + 彼が、わたしのために神殿を建てる。王国は永遠に続き、 + わたしが父となり、彼が息子となる。もし彼が罪を犯せば、外国人を用いて罰する。 + しかし、先の王のサウルにしたように、愛と恵みを取り去ったりはしない。 + あなたの家系は、永遠にわたしの王国を治める。』」 + ナタンはダビデのところへ戻り、主のことばをそのまま伝えました。 + するとダビデは、幕屋に入って主の前にひざまずき、祈りました。「主なる神よ。私のように取るに足りない者に、どうしてこれほどまでの祝福を下さったのですか。 + そして今、これまでの祝福に加えて、私の王朝が永遠に続くと約束してくださいました。主の寛大さは、人間の標準をはるかに超えています。 + このうえ、何を申し上げることができましょう。あなたは私がどのような人間か、すべてご存じです。 + そして約束のために、なおお心のままに、これらすべてを行ってくださいます。 + なんと偉大なお方でしょう。あなたのような方は、ほかに知りません。あなたのほかに神はいません。 + 地上のどこを探しても、イスラエルほど祝福を受けた国はありません。あなたは栄光を現すために、ご自分が選んだ民を助け出してくださったのです。エジプトとその神々を滅ぼすために、大いなる奇跡を行われました。 + あなたはイスラエルを、永遠にご自分の民として選び出し、私たちの神となられたのです。 + 主よ、このしもべとその家への約束を果たしてください。 + どうか、イスラエルをあなたの民として確立してくださるとき、また、ダビデ王朝をあなたの前に堅く立ててくださるとき、永遠にあなたのお名前があがめられますように。 + 天地の支配者、イスラエルの神よ! 永遠に続く王朝の初代の王として、このしもべを立てるとはっきり言われました。そのため、私は大胆にも、それをお受けするこの祈りをささげることができるのです。 + あなたこそ神であられ、おことばにうそはありません。私のような者に、これほどすばらしいことを約束してくださった主よ、 + どうぞ、おことばどおりに事を運んでください。このしもべとその家をいつまでも祝福してください。この王朝が、あなたの前にいつまでも続きますように。主なる神よ、それがお約束なのですから。」 + + + そののち、ダビデはペリシテ人の大きな町メテグ‧ハアマを奪い取り、彼らの心をくじきました。 + また、モアブの地を襲った時には、捕虜を列に並ばせたうえ、地面に伏させ、各列の三分の二の者を殺し、残り三分の一を助けました。助かったモアブ人はダビデのしもべとなり、毎年、貢ぎ物を納める者になりました。 + ダビデはまたユーフラテス川での戦いで、レホブの子、ツォバの王ハダデエゼルの軍を打ち破りました。ハダデエゼルが勢力を挽回しようと攻めて来たからです。 + ダビデは騎兵千七百と歩兵二万を捕縛し、さらに、百頭だけ残して、戦車用の馬の足の筋をすべて切りました。 + また、ハダデエゼルの援軍としてダマスコから参戦したシリヤ人二万二千人を打ちました。 + それでダビデはダマスコに守備隊を置き、シリヤ人はダビデに服従し、毎年、貢ぎ物を納めるようになりました。このように主は、ダビデの行く先々どこででも勝利をもたらしたのです。 + ダビデはハダデエゼルの家臣たちが持っていた金の盾を奪い、エルサレムに持ち帰りました。 + また、ハダデエゼルの町ベタフとベロタイから奪った大量の青銅も持ち帰りました。 + ハマテの王トイは、ダビデがハダデエゼルの軍を破り、大勝利を収めたことを聞くと、 + その子ヨラムを使者に立て、祝いのことばを伝えました。ハダデエゼルとトイとは敵対関係にあったのです。ヨラムはダビデに金、銀、青銅の器を贈りました。 + ダビデはそれらを全部、シリヤ、モアブ、アモン、ペリシテ人、アマレク、ハダデエゼル王から奪い取った金銀とともに主にささげました。 + ダビデの名声はいよいよ高まりました。ダビデは帰還すると、塩の谷でエドム人一万八千を打ち滅ぼし、 + エドム中に兵を駐屯させました。エドム人はみな、イスラエルに貢ぎ物をささげるしもべとなったのです。これもまた主が、行く先々で勝利を与えたことの一つです。 + ダビデは公正にイスラエルを治め、だれに対しても公平でした。 + 軍の総司令官はツェルヤの子ヨアブ、主の書記官はアヒルデの子ヨシャパテでした。 + アヒトブの子ツァドクとエブヤタルの子アヒメレクは祭司の長、セラヤは王の秘書官、 + エホヤダの子ベナヤは護衛隊長、ダビデの子たちは側近を務めました。 + + + ある日、ダビデは、サウルの家系にまだ生き残っている者がいないか、気になり始めました。もしいれば、ヨナタンとの約束があったので、情けをかけてやりたいと思ったのです。 + かつてサウル王に仕えたツィバという男のことを耳にすると、さっそく召し出して尋ねました。「ツィバとはおまえか。」「そうでございます。」 + 「サウル王の血筋で、だれか生き残った者はいないか。いれば、その者を手厚くもてなし、立てた誓いを果たしたいのだが。」「ヨナタン様のお子で、足の不自由な方がご存命です。」 + 「その子はどこにいるのだ。」「今、ロ‧デバルのマキルの屋敷においでです。」 + そこでダビデ王は、ヨナタンの息子で、サウルの孫に当たるメフィボシェテを迎えにやりました。メフィボシェテは恐れながらやって来て、ダビデの前にうやうやしくひれ伏しました。 + そんな彼に、ダビデは優しく声をかけました。「心配には及ばない。来てもらったのはほかでもない、父君ヨナタンとの誓いを果たしたいと思ったのだ。力になりたいのだ。あなたの祖父、サウル王の土地は全部返そう。よかったら、この宮殿で暮らしなさい。」 + メフィボシェテは王の前に深々と頭をたれ、「死んだ犬も同然の私に、なんというご親切を」と言いました。 + 王はツィバを呼び出し、こう申し渡しました。「よいか、サウル王とその家の物はみな、主君サウルの孫に返した。 + おまえは自分の息子や召使たちとともに、地を耕し、彼の家族のために仕えなさい。しかし、メフィボシェテはここで、私といっしょに暮らす。」ツィバには、息子が十五人と召使が二十人いました。そこで、「承知しました。ご命令のとおりにします」と答えました。以来、メフィボシェテは、ダビデ王の子ども同様に扱われ、いつも王といっしょに食事をしました。 + メフィボシェテには、ミカという幼い子がいました。ツィバの家の者はみなメフィボシェテのしもべになりましたが、 + メフィボシェテはエルサレムに移って、ダビデの宮殿で暮らしました。彼は両足が不自由でした。 + + + しばらくして、アモン人の王が死に、その子ハヌンが王位につきました。 + ダビデは、「彼の父ナハシュには、常々、誠実を尽くしてもらった。私も新しい王に敬意を表そう」と、父親を亡くしたハヌンに悔やみを述べるため、使者を遣わしました。 + ところがハヌンの家臣たちは、主君にこう取り次ぎました。「この使いの者どもは、亡き父君を敬ってここに来たのではありません。ダビデの魂胆は見えすいております。この町を攻める手始めに、まずスパイを送り込んできたのです。」 + そこでハヌンは、使者を取り押さえ、ひげを半分そり落とし、服を腰のあたりから切り取り、下半身を裸のままで追い返したのです。 + それを知ったダビデは、ひげが伸びそろうまでエリコにとどまるよう彼らに命じました。ひげをそり落とされたことを、彼らが深く恥じていたからです。 + アモンの人々は、このことがダビデを本気で怒らせたことを知ると直ちに、レホブとツォバの地からシリヤ(アラム)の歩兵二万、マアカ王から兵士一千、トブの地から兵士一万二千を、それぞれ雇い入れました。 + ダビデも黙ってはいません。ヨアブをはじめ全イスラエル軍を差し向けて、彼らを攻撃しました。アモン人は町の門の守備に当たり、ツォバとレホブから来たシリヤ人、およびトブとマアカからの傭兵が野に出て戦いました。 + ヨアブはふた手に分かれて戦うために、精兵をよりすぐって自らの配下に置き、野に出てシリヤ人と戦う備えを固めました。 + 残りの手勢は兄弟アビシャイの指揮に任せて、町の攻撃に向かわせました。 + ヨアブはアビシャイに言いました。「もしシリヤ人を向こうに回して、われわれだけで戦えないようなら助けに来てくれ。反対に、アモン人がおまえらの手に負えないようなら、こちらが加勢しよう。 + 勇気を出せ! われわれの肩には同胞のいのちと、神の町々の安全がかかっている。がんばるのだ。必ず主のお心のとおりになるのだから。」 + ヨアブの部隊が攻撃をしかけると、シリヤ軍はくずれ始めました。 + 彼らが敗走するのを見て、アモン人も逃げ出し、町にこもってしまいました。そこでヨアブは攻撃を中止し、エルサレムに引き揚げました。 + シリヤ人は、このままではとてもイスラエル軍にかなわないとわかり、再び兵力の結集を計りました。そしてハダデエゼルは、ユーフラテス川の向こうから呼び集めたシリヤ人を味方に引き入れたのです。彼らの大軍は、ハダデエゼル軍の将軍ショバクに率いられて、ヘラムに着きました。 + ダビデはこの報告を受けると、自らイスラエル軍を率いてヘラムに向かいました。攻撃をしかけてきたシリヤ軍は、 + 再び敗走するはめになってしまいました。この戦いで、シリヤ軍は戦車兵七百と騎兵四万を失い、将軍ショバクも戦死しました。 + ハダデエゼルと同盟を結んだ王たちは連合軍の敗北を見てダビデに降伏し、その臣下となりました。これにこりたシリヤ人は、二度とアモン人を助けようとはしませんでした。 + + + 翌年の春になると、再び戦いが始まり、ダビデはヨアブの率いるイスラエル軍を送り込んで、アモン人壊滅を計りました。イスラエル軍はたちまちラバの町を包囲しましたが、ダビデ自身はエルサレムにとどまっていました。 + ある夕暮れのことです。昼寝から起きたダビデは、宮殿の屋上を散歩していました。見ると、水浴びをしている美しい女性が目に留まりました。 + さっそく人を送り、その女のことを探らせました。そして、エリアムの娘でウリヤの妻バテ‧シェバであることを知ったのです。 + 彼女は、月経後の汚れのきよめをしていたところでした。ダビデは女を召し入れ、忍んで来た彼女と床を共にしたのです。こうして彼女は家に帰りました。 + それから、自分が妊娠したことを知ると、人をやってダビデに知らせました。 + さあ、何とかしなければなりません。ダビデは急いでヨアブに伝令を送り、「ヘテ人ウリヤを帰還させよ」と命じました。 + 戦場から戻って来たウリヤに、ダビデはヨアブや兵士の様子、戦況などを尋ねました。 + それから、「家へ帰ってゆっくり骨休めをしなさい」と勧めたのです。贈り物も持たせました。 + ところが、ウリヤは自宅に戻らず、王の家来たちとともに、宮殿の門のそばで夜を過ごしたのです。 + ダビデはそれを知ると、さっそくウリヤを呼んで尋ねました。「いったい、どうしたのだ。長く家から離れていたというのに、なぜ昨夜は妻のもとへ戻らなかったのだ。」 + 「恐れながら王様。神の箱も、ヨアブ様も、その配下の者たちもみな、戦場で野宿しています。それなのに、どうして私だけが家に帰って飲み食いし、妻と寝たりできるでしょう。誓って申し上げます。そんな罪深いことをする気は毛頭ありません。」 + 「よかろう。では今夜もここにとどまるがよい。明日は軍務に戻ってもらう。」こうして、ウリヤは宮殿から離れませんでした。 + 翌日、ダビデは彼を食事に招き、酒を勧めて酔わせました。しかし、ウリヤは自宅に帰ろうとはせず、その夜もまた、宮殿の門のわきで寝たのです。 + 翌朝、ついにダビデは戦場のヨアブあてに手紙をしたため、それをウリヤに持たせました。 + その書面で、「ウリヤを激戦地の最前線に送り、彼だけ残して引き揚げて戦死させるようにせよ」と指示したのです。 + ヨアブはウリヤを、包囲中の町の最前線に送り込みました。町を守っていたのは、敵の中でもえり抜きの兵だと知っていたのです。 + ウリヤは数人のイスラエル兵士とともに戦死しました。 + ヨアブは戦況報告をダビデに送る際、 + 使いの者にこう言い含めました。「もし王がお怒りになって、『なぜ、そんなに町に近づいたのだ。城壁の上から敵が射かけてくるのを考えに入れなかったのか。アビメレクはテベツで、城壁の上から女が投げ落としたひき臼でいのちを落としたのだ』とおっしゃったなら、『ウリヤも戦死いたしました』と申し上げるがよい。」 + 使者はエルサレムに着くと、ダビデに報告しました。 + 「敵は攻撃をしかけてまいりました。こちらも応戦し、敵を町の門のところまで追い詰めました時、 + 城壁の上から、矢を射かけてまいったのです。そのため、味方の数人が殺され、ヘテ人ウリヤも戦死いたしました。」 + それを聞いてダビデは言いました。「よし、わかった。ヨアブには、落胆するなと伝えてくれ。剣は両刃の剣だ!今度こそ慎重に攻めて町を占領せよ。成功を祈ると伝えてくれ。」 + バテ‧シェバは夫が戦死したことを知り、喪に服しました。 + 喪が明けると、ダビデは彼女を妻として宮殿に迎え、彼女は男の子をもうけました。しかし、ダビデがしたことは主の御心にかないませんでした。 + + + 主は預言者ナタンを遣わし、ダビデにこんな話を聞かせました。「ある町に二人の人がいました。一人は大金持ちで、羊ややぎをたくさん持っていました。 + もう一人はとても貧乏で、財産といえば、苦労してやっと手に入れた雌の子羊一頭だけでした。彼はまるで自分の娘のように、子羊をしっかり腕に抱いて寝ました。また、彼の子どもたちも子羊を大そうかわいがり、食事のときは自分の皿やコップに口をつけさせるほどでした。 + そんなある日、金持ちのほうに一人の客がありました。ところが、彼は客をもてなすのに、自分の群れの子羊を使うのを惜しみ、貧しい男の雌の子羊を取り上げ、それを焼いてふるまったのです。」 + ここまで聞くと、ダビデはかんかんになって怒りだし、「生ける主に誓って言うが、そんなことをする者は死刑だ。 + 償いとして、貧しい男に子羊四頭を返さなければならない。盗んだだけでなく、その男にはあわれみの心というものがないのだから。」 + すると、ナタンはダビデに言いました。「それはあなたです。あなたこそ、その大金持ちの男なのです! イスラエルの神、主はこう仰せられます。『わたしはあなたをイスラエルの王とし、サウルの迫害から救い出した。 + そして、サウルの宮殿や妻たち、イスラエルとユダの王国も与えてやったではないか。なお足りないと言うなら、もっともっと多くのものを与えただろう。 + それなのに、どうしてわたしの律法をないがしろにして、このような恐ろしい罪を犯したのか。あなたはウリヤを殺し、その妻を奪ったのだ。 + これからは殺人の恐怖が常にあなたの家を脅かす。ウリヤの妻を奪って、わたしを侮ったからだ。 + はっきり言おう。あなたのしたことの報いで、あなたは家族の者から背かれる。また、妻たちはほかの者に取られる。彼は白昼公然と、彼女たちと寝るだろう。 + あなたは人目を忍んで事を行ったが、わたしは全イスラエルの目の前で、あなたをそのような目に会わせよう。』」 + 「私は主に対して罪を犯しました」と、ダビデはナタンに告白しました。ナタンは答えました。「そのとおりです。しかし、主はその罪を赦してくださり、それによって死ぬことはありません。 + ただ、主に敵する者たちに主を侮る機会を与えたので、生まれてくるあなたの子どもは必ず死にます。」 + こうして、ナタンは戻って行きました。主は、バテ‧シェバが産んだ子を重い病気にかからせました。 + ダビデはその子が助かるように願い求め、断食して、一晩中、主の前で地にひれ伏していました。 + 長老たちはダビデに、身を起こしていっしょに食事をとるようしきりに勧めましたが、聞こうとしませんでした。 + 七日目に、とうとうその子は息を引き取りました。家臣たちは、そのことをダビデに告げるのをためらいました。「王はお子様が病気になったことで、あんなにお心を乱された。そのうえ亡くなったと聞いたら、いったいどうなさるだろう」と心配したのです。 + しかしダビデは、ひそひそ話し合っている彼らの様子から、何が起こったかを悟りました。「子どもは死んだのか。」「はい、お亡くなりになりました。」 + すると、ダビデは身を起こし、体を洗い、髪をとかし、服を着替え、主の宮に入って礼拝したのです。それから宮殿に帰って食事をしました。 + 家臣たちは尋ねました。「王のなさりようはどうも解せません。お子様が生きておいでの間は、泣いて断食までなさいましたのに、亡くなられたとたん、嘆きもせず、食事までなさるとは……。」 + 「子どもが生きている間は、断食をして泣いた。『もしかしたら、主があわれんで快復させてくださるかもしれない』と思ったからだ。 + しかし死んでしまった今、断食して何になる。もう、あの子を呼び戻せはしない。私があの子のところへ行くことはできても、あの子はここへは戻って来ないのだ。」 + ダビデは妻バテ‧シェバを慰めました。彼女は再びみごもり、やがて男の子を産み、その子はソロモンと名づけられました。その子を愛した主は、 + 預言者ナタンを遣わして祝福を贈りました。ダビデは主の気持ちに応えて、その子をエディデヤ〔「主に愛された者」の意〕という愛称で呼ぶことにしました。 + そうこうするうち、ヨアブの率いるイスラエル軍はアモン人の首都ラバを完全に包囲しました。ヨアブはダビデに伝令を送りました。「ラバとその美しい港は、もうわれわれのものです。 + どうか、残りの部隊を率いて来て、総仕上げをなさってください。この勝利の栄冠を、私ではなく、あなたがお受けになりますように。」 + そこでダビデは、残りの部隊を引き連れてラバへ乗り込み、町を占領しました。目をみはるばかりのおびただしい戦利品が、エルサレムに運び込まれました。ダビデはラバの王の冠を取り、自らの頭上に戴きました。冠は宝玉をちりばめた金製のもので、非常に高価なものでした。 + ダビデはまた、町の住民を奴隷として連れて来て、のこぎり、つるはし、斧などを使う仕事につかせ、れんが造りをさせました。ラバだけでなく、アモン人の町すべてを同様に扱いました。こうして、ダビデとイスラエル軍はエルサレムに帰還しました。 + + + ダビデの息子の一人、王子アブシャロムには、タマルという美しい妹がいました。ところが、タマルの異母兄に当たる王子アムノンが、彼女に深く思いを寄せるようになったのです。 + アムノンはタマルへの恋に苦しみ、煩うまでになってしまいました。未婚の娘と若者とは厳格に隔てられていて、話しかける機会さえなかったのです。 + ところが、アムノンには悪賢い友人が一人いました。ダビデの兄シムアの息子で、いとこに当たるヨナダブです。 + ある日、ヨナダブはアムノンに尋ねました。「何か心配事でもあるのか。どうして、王子ともあろう者が、日に日にそれほどやつれていくのだ。」アムノンは打ち明けました。「ぼくは妹のタマルを愛してしまった。」 + 「なんだ、そうか。では、よい方法を教えてやろう。床に戻って、仮病を使うのだ。父君のダビデ王が見舞いに来られたら、タマルをよこして食事を作らせてくださいと頼むといい。タマルのこしらえたものを食べればきっとよくなる、と申し上げるのだ。」ヨナダブはこう入れ知恵したのです。 + アムノンは言われたとおりにしました。王が見舞いに来ると、「妹タマルをよこして、食事を用意させてください」とだけ願い出ました。 + ダビデはうなずき、タマルに、「アムノンの住まいへ行き、何か手料理をごちそうしてやってくれ」と頼んだのです。 + タマルはアムノンの寝室を訪れました。アムノンは、タマルが粉をこねてパンを作る姿をじっと見つめていました。タマルはアムノンのために、とびきりおいしいパンを焼き上げました。 + ところが、それをお盆に載せてアムノンの前に差し出しても、口に入れようとしません。アムノンは召使たちに、「みんな、下がってくれ」と命じたので、みな部屋から出て行きました。 + すると、彼はタマルに言ったのです。「もう一度、そのパンをこっちに運んで来て、食べさせてくれないか。」タマルは言われるままに、そばへ行きました。 + ところが、目の前に近づいたタマルに、アムノンは、「さあ、タマル。おまえはぼくのものだ」と捕まえたのです。 + 彼女はびっくりして叫びました。「やめてください、お兄様! こんなばかなこと、いけないわ。イスラエルでは、それがどれほど重い罪かご存じでしょう。 + こんな辱しめを受けたら、私、どこにも顔出しできません。お兄様だって、国中の笑い者になります。どうしてもというのなら、今すぐにでも、お父様に申し出てください。きっと二人の結婚を許してくださるわ。」 + しかし、アムノンはそれを聞こうともせず、力ずくでタマルを自分のものにしてしまったのです。 + それから急に、彼はタマルに対して憎悪を抱くようになりました。それは、彼女に先に抱いた愛よりも激しいものでした。「さっさと出て行け!」アムノンはどなりました。 + タマルは必死に言いました。「いけません! 今、私を追い出したりなさったら、たった今なさったことより、もっと大きな罪を犯すことになります。」しかし、アムノンは聞こうとはしませんでした。 + 召使を呼ぶと、「この女を追い出し、戸を閉めてくれ」と命じ、タマルを放り出しました。当時、未婚の王女は、みな袖のある長服を着ていましたが、 + 彼女はその服を裂き、頭に灰をかぶり、手を頭に置いて、泣きながら帰って行きました。 + タマルの実の兄アブシャロムは、妹に問いただしました。「アムノンがおまえを辱しめたというのはほんとうか。落ち着きなさい。身内でのことだから、何も心配することはない。」それでタマルは、兄アブシャロムの住まいでひっそり暮らしていました。 + 王はこの一件を耳にし、烈火のごとく怒りました。アブシャロムは、このことについてはアムノンに何も言いませんでした。しかし心の中では、妹を辱しめたアムノンに、はらわたが煮えくり返るような思いでした。 + それから二年が過ぎ、アブシャロムの羊の毛の刈り取りがエフライムのバアル‧ハツォルで行われた時、彼は父と兄弟全員を、刈り取りの祝いに招くことにしました。 + 王は答えました。「いや、アブシャロム。われわれがみな押しかけたら、おまえに負担がかかりすぎる。」アブシャロムがどんなに勧めても、ダビデは、「気持ちだけをありがたく受け取る」と言って断りました。 + 「父上においでいただけないのでしたら、名代として、アムノンをよこしてくださいませんか。」「なに、アムノンだと? またどうして、あれを。」 + しかし、アブシャロムが熱心に頼むので、ついにダビデも承知し、アムノンも含めて、王子全員が顔をそろえることになりました。 + アブシャロムは従者たちに命じました。「アムノンが酔うまで待つのだ。私が合図したら、あいつを殺せ。恐れるな。私の命令だから、勇気を出して、やり遂げるのだ!」 + こうしてアムノンは、アブシャロムの従者の手で殺されたのです。驚いたのは、ほかの王子たちです。それぞれらばに飛び乗って逃げ帰りました。彼らがまだエルサレムへ帰り着かないうちに、この知らせがダビデのもとに届きました。「アブシャロム様が、王子たちを皆殺しになさいました。生き残った方は一人もありません!」 + 王はびっくりして立ち上がり、服を引き裂き、地にひれ伏すようにその場に倒れ込みました。家臣たちも、恐れと悲しみに包まれて服を裂きました。 + しかしそこへ、王の兄シムアの子ヨナダブが駆けつけて、真相を伝えました。「違います。王子たちがみな殺されたのではありません! 殺されたのはアムノン王子だけです。アブシャロム様は、タマル様のことがあった日から、ずっとこの機会をねらっていたのでしょう。王子たちみなではなく、アムノン王子だけです。」 + 一方、アブシャロムは逃げました。エルサレムの城壁の上で見張っていた兵たちは、山沿いの道から町へ向かって来る一群を見つけました。 + ヨナダブは王に言いました。「ごらんください! 王子たちがこちらに向かっておいでになります。今、私が申し上げたとおりです。」 + 彼らは到着するや、声を上げて泣きました。王も家臣も共に泣きました。 + 一方アブシャロムは、アミフデの子であるゲシュルの王タルマイのもとに逃げ、そこに三年間とどまっていました。ダビデは、アムノンの死についてしばらく嘆き悲しんでいましたが、ようやくあきらめがついたのか、アブシャロムに会いたいと思うようになりました。 + + + 将軍ヨアブは、アブシャロムに会いたがっている王の気持ちを察しました。 + そこで、知恵者として評判の高いテコアの女を呼び寄せ、王に会ってもらいたいと頼みました。そして、どういうふうに話せばいいかを指示したのです。「王の前で喪中の女を装うのだ。喪服をまとい、髪を振り乱し、長いこと深い悲しみに打ちひしがれてきたふりをするのだ。」 + 女は王の前に出ると、床にひれ伏して哀願しました。「王様! どうぞ、お助けください!」 + 「いったい、どうしたのだ。」「私は夫を亡くした女でございます。息子が二人おりましたが、それが野でけんかをしたのです。だれも仲裁に入ってくれませんで、片方が殺されてしまいました。 + すると、親類中の者が寄ってたかって、残った息子を引き渡せと申すのです。兄弟を殺したような者は生かしておけないと言います。でも、そんなことになれば跡継ぎが絶えてしまい、夫の名も、この地上から消え去ってしまいます。」 + 「わかった。任せておきなさい。だれもあなたの息子に手出しできないように取り計らってやろう。」 + 「ありがとうございます、王様。こうしてお助けくださったことで、もし王様が責めをお受けになるようなことがありましたら、みな私の責任です。」 + 「そんな心配はいらない。あれこれ言う者がいれば私のもとへ連れて来なさい。二度とあなたに文句が言えないようにさせよう。」 + 「どうか、神にかけてお誓いください。息子には指一本ふれさせはしない、と。これ以上、血を見るのはたまりません。」「神にかけて誓おう。あなたの息子の髪の毛一本も損なわれはしないと。」 + 「どうぞ、もう一つだけ、お願いを聞いてください。」「かまわぬ。言ってみなさい。」 + 「王様、どうして私にお約束くださったことを、神の民全部に当てはめなさらないのですか。ただ今のようなお裁きによるなら、王様は罪ある者にされるのです。と申し上げるのは、追放されたご子息のお戻りを拒んでおられるからです。 + 私どもはみな、いつかは死ななければなりません。人のいのちは地面にこぼれた水のようなもので、二度と集めることはできません。もし王様が、追放中のご子息をお迎えになる道を講じなさるなら、神様の末長い祝福がありましょう。 + このはしためが、息子のことでお願いに上がったのも、私と息子のいのちが脅かされていたからです。私は、『きっと王様は訴えを聞き入れ、私どもをイスラエルから消し去ろうとしている者の手から助け出してくださるに違いない。 + そして安らかな生活を取り戻させてくださるだろう』と思ったのです。王様は神の使いのようなお方で、善悪を正しくお裁きになれると存じています。どうぞ、あなたの神、主があなたとともにおられますように。」 + 「一つだけ尋ねるが、よいか?」「どうぞ、おっしゃってください。」 + 「おまえを差し向けたのはヨアブではないか。」「王様。こうなれば、隠しようがありません。仰せのとおり、ヨアブ様が私を遣わし、どう申し上げればよいかまで指示してくださいました。 + 何とか事態をよくしようと、あの方の取り計らわれたことです。あなたは神の使いのように賢くあられ、また、この地上のすべてのことをご存じでいらっしゃいます。」 + そこで王はヨアブを呼び寄せ、「わかった。行って、アブシャロムを連れ戻して来なさい」と命じたのです。 + ヨアブは王の前にひれ伏し、祝福のことばを述べました。「今ようやく、あなたが私に情けをかけていてくださるとわかりました。この願いをお聞き入れくださったからです。」 + ヨアブはゲシュルの地に駆けつけ、アブシャロムをエルサレムに連れ戻しました。 + 王は、「アブシャロムを自分の住まいに連れて行きなさい。ここに来させてはならない。私に会うことはならない」と申し渡しました。 + さて、イスラエル中を探しても、アブシャロムほど男らしく顔立ちのよい人物はいませんでした。また彼ほど、そのことでほめそやされた者もいませんでした。 + 彼は年に一回、髪を刈りました。髪の重さが二百シェケル(約二‧五キログラム)以上にもなり、そのままでは歩くのさえ難しかったからです。 + 彼には息子三人と娘一人がいて、娘の名はタマルといい、たいへん美しい少女でした。 + アブシャロムは、二年間エルサレムにいながら、王には一度も会えませんでした。 + そこで、ヨアブに仲立ちを頼もうとしましたが、ヨアブは来ようとしません。二度も呼びにやりましたが、それでも来ません。 + しびれをきらしたアブシャロムは家来に、「私の畑と隣り合わせのヨアブの畑へ行き、大麦に火をつけろ」と命じました。彼らはそのとおりにしました。 + 驚いたのはヨアブです。飛んで来て、「なぜ、あなたの家来たちは、うちの畑を焼いたりするのです」と抗議しました。 + アブシャロムは答えました。「実は頼みたいことがあるのだ。父上に尋ねてくれないか。会う気がないなら、どうして私をゲシュルから呼び戻したのか、と。こんなことなら、向こうにいたほうがましだった。とにかく、父上にお会いしたい。そのうえで、もし父上から罪を問われるなら、殺される覚悟はできている。」 + ヨアブは、アブシャロムのことばを王に伝えました。そのかいあって、ついに王もアブシャロムを呼び寄せました。アブシャロムは王の前に出ると、ひれ伏しました。その彼に、ダビデは口づけをしました。 + + + このあとアブシャロムは、りっぱな戦車とそれを引く馬を買い入れました。さらに、自分を先導する五十人の馬丁を雇いました。 + 彼は、毎朝早く起きて町の門へ出かけました。王のところへ訴えを持ち込む者を見つけると、そのつど呼び止めて、さも関心があるように訴えを聞くのです。 + だれに対しても、こんなふうに気をそそるのでした。「この件では、君のほうが正しいようだな。しかし、気の毒だが、王の側には、こういう訴えに耳を貸してくれる者はいないだろう。 + 私が裁判官だったら、訴えのある人はみな、私のところへ来れるし、もちろん、公平な裁判もできるのだが。」 + アブシャロムはまた、だれか頭を下げてあいさつする者がいると、決してそのままやり過ごさず、素早く手を差し伸べて握りしめました。 + こうして、アブシャロムは巧みにイスラエル中の人たちの心をとらえていったのです。 + それから四年後、アブシャロムは王に願い出ました。「主にいけにえをささげるため、ヘブロンへ行かせてください。ゲシュルにいた時、『もしエルサレムにお帰しくださるなら、いけにえをささげて感謝します』と誓願を立てていたのです。それを果たしたいのです。」 + 王は、「いいだろう。誓願を果たしに行くがいい」と許可しました。アブシャロムはヘブロンへ発ちました。 + ところが、ヘブロン滞在中にイスラエル各地に密使を送り、王への反逆をそそのかしたのです。密書には、こう書かれていました。「ラッパが吹き鳴らされたら、アブシャロムがヘブロンで王になったとご承知ください。」 + アブシャロムはエルサレムを出る時、客として二百人を招待し、同伴して来ていました。もちろん、彼らはアブシャロムのもくろみなど全く知らなかったのです。 + アブシャロムは、いけにえをささげている間に、ダビデの顧問の一人で、ギロに住むアヒトフェルを呼び寄せました。アヒトフェルは、増え広がる他の賛同者と同様に、アブシャロムを支持すると表明しました。それで、この謀反は非常に大きなものになりました。 + エルサレムのダビデ王のもとには、すぐに急使が送られました。「全イスラエルがアブシャロムになびいて、謀反を企てています!」 + ダビデは即座に命じました。「では、すぐに逃げるのだ。早くしないと手遅れになる。アブシャロムが来る前に町から抜け出せば、われわれもエルサレムの町も助かるだろう。」 + 家臣たちは、「あなたにお従いします。お考えどおりになさってください」と答えました。 + 王とその家族は、すぐに宮殿から出ました。宮殿には、留守番として十人の若いそばめを残しただけでした。 + ダビデは町はずれでひと息つき、その間に、あとに従ってガテからついて来た六百人のガテ人と、ケレテ人、ペレテ人の外国人部隊を、先導役として王の前を進ませるようにしました。 + ところが、だしぬけに、王はガテ人六百人の隊長イタイにこう言ったのです。「どうして、われわれと行動を共にするのだ。部下を連れてエルサレムのあの王のもとにいるほうがよいぞ。君らは亡命中の外国人で、イスラエルには寄留しているだけなのだから。しかも、昨日来たばかりだというではないか。なのに、今日、行く先の定まらぬ放浪の旅に誘い出すには忍びない。部下を連れて戻るがよい。神様の恵みがあるよう祈っている。」 + 「主に誓って申し上げます。また、あなたのおいのちにかけても誓います。あなたが行かれる所どこであろうと、どんなことが起ころうと、命がけでついて行きます。」 + 「わかった。そうまで言うなら、ついて来てくれ」こうしてイタイは、六百人とその家族を引き連れて進みました。 + 王と従者たちがキデロン川を渡り、荒野へ進んで行くのを見て、町中が深い悲しみに包まれました。 + レビ人とともに神の契約の箱をかついでいたエブヤタルとツァドクは、全員が通り過ぎるまで、箱を道ばたに下ろしました。 + それから、ダビデの指示に従って、ツァドクは契約の箱を都に戻しました。その時、ダビデはこう言いました。「もし主がよしとされるなら、私をもう一度連れ戻し、神の箱と幕屋を見させてくださるだろう。また、たとえ主から見放されるのであっても、どうか主が最善と思われることをしてくださいますように。」 + さらに、ツァドクに言いました。「よいか、私に考えがある。あなたの息子アヒマアツとエブヤタルの息子ヨナタンを伴って、急いで都に引き返しなさい。 + 私はヨルダン川の浅瀬で、知らせを待っている。荒野に身を隠す前に、エルサレムの様子を知りたいのだ。」 + ツァドクとエブヤタルは、神の箱をエルサレムに持ち帰り、そこにとどまりました。 + ダビデはオリーブ山への道を登りました。頭を覆い、はだしで、泣きながら悲しみを表したのです。ダビデに従う人々も、頭を覆い、泣き声を上げて山を登りました。 + 自分の顧問であったアヒトフェルが、事もあろうにアブシャロムに加担している、という情報を得た時、ダビデは、「主よ。どうか、アヒトフェルがアブシャロムに愚かな助言をするよう導いてください」と祈りました。 + 人々が神を礼拝する場所であるオリーブ山の頂上まで登りきった時、ダビデはアルキ人フシャイに出会いました。彼は服を裂き、頭に土をかぶって、ダビデの到着を心待ちにしていたのです。 + しかし、ダビデはフシャイに言いました。「あなたがいっしょに来てくれても、重荷になるだけなのだ。エルサレムに帰ってアブシャロムに、『私は、これまでお父上の相談役として仕えてまいりました。これからは、あなたにお仕えします』と言ってくれ。そうすれば、アヒトフェルの助言に反対して、それをぶち壊すことができる。 + 祭司のツァドクとエブヤタルもエルサレムにいる。私を捕らえようとする計画があったなら、彼らに知らせてくれ。そうすれば、二人の息子たちアヒマアツとヨナタンが、私のもとに、成り行きを知らせてくれることになっている。」 + それで、ダビデの友フシャイはエルサレムに帰りました。ちょうど同じころ、アブシャロムもエルサレムに着きました。 + + + ダビデが山の頂上から少し下ったころ、メフィボシェテ家の執事ともいうべきツィバが、ようやく追いつきました。二頭のろばに、パン二百個、干しぶどう百房、ぶどう百房、それにぶどう酒一たるを積んでいます。 + 王は、「いったい何のためだ」と尋ねました。「ろばはご家族がお乗りになるため、パンと夏のくだものは若いご家来衆に、ぶどう酒は荒野で弱った方々に召し上がっていただくためです。」 + 「メフィボシェテはどこにいる。」「エルサレムに残っております。あの方は、『今こそ、王になれる。今日こそ、祖父サウルの王国を取り戻す』と申しておりました。」 + 「それがかなったら、メフィボシェテのものを全部、おまえに与えよう。」「ありがとうございます、王様。心からお礼申し上げます。」 + ダビデの一行がバフリムの村を通り過ぎると、一人の男がのろいのことばを浴びせながら出て来ました。男はゲラの息子シムイで、サウル一族の者でした。 + 彼は王と側近、さらに護衛の勇士のだれかれかまわず、石を投げつけました。 + 「出て行けっ! この人殺し! 悪党め!」この時とばかり、ダビデをののしります。「よくもサウル王とその家族を殺してくれたな。ざまあ見ろ。罰があたったのだ。王位を盗んだおまえが、今は息子のアブシャロムに王位を奪われた。これが神のおぼしめしというものだ。今度は、おまえが同じ手口で殺されるのだ。」 + あまりのひどさに、アビシャイが申し出ました。「あの死に犬に、あなたをのろわせておいてよいものでしょうか。あいつの首をはねさせてください。」 + 「ならぬ! 主が彼にのろわせておられるのだ。どうして止められるだろう。 + 実の息子が私を殺そうとしているのだぞ。このベニヤミン人は、のろっているだけではないか。放っておきなさい。主がそうさせておられるのだから。 + おそらく主は、私が不当な扱いを受けていることをご存じで、それに甘んじる私に、あののろいに代えて祝福を下さるだろう。」 + 一行がなおも進んで行くと、シムイも丘の中腹をダビデと並行して歩き、のろったり、石を投げたり、ちりをばらまいたりしました。 + 王も従者も全員、くたくたに疲れていました。それで一行はしばらく休息することにしました。 + その間に、アブシャロムと彼の兵は、エルサレム入城を果たしました。アヒトフェルもいっしょでした。 + ダビデの友、アルキ人フシャイはエルサレムに戻り、直ちにアブシャロムに謁見を求めて来ると、「王様、ばんざい! 王様、ばんざい!」と叫びました。 + アブシャロムは尋ねました。「これが、父ダビデに対する態度か。どうして父といっしょに行かなかったのだ。」 + 「私はただ、主とイスラエルの民によって選ばれたお方に仕えたいのです。 + かつてはお父上でしたが、これからは、あなたにお仕えします。」 + 話が決まると、アブシャロムはアヒトフェルに、「さて、これからどうしたものか」と意見を求めました。 + アヒトフェルは進言しました。「お父上が宮殿の留守番にと残しておかれた、そばめたちがいます。まず、その女たちを訪ねて、いっしょに寝られるのがよろしい。それくらい父君を侮辱すれば、全国民はもう、あなたと父君の仲は致命的で、和解の余地はないと察するでしょう。そうすれば、いっそう民はあなたのもとに一致団結します。」 + そこで、宮殿の屋上に、だれの目にもそれとわかる天幕(テント)が張られました。アブシャロムはそこへ入って、父のそばめたちと寝たのです。 + アブシャロムは、かつてダビデがそうしたように、アヒトフェルのことばには何でも従いました。アヒトフェルが語ることはすべて、神の口から直接授けられた知恵のように思われたからです。 + + + 「さて」と、アヒトフェルはことばを続けました。「私に一万二千の兵を任せてください。今夜にも、ダビデ王の追跡に出かけましょう。 + 疲れて気弱になっているところを襲うのです。彼らは大混乱に陥り、われ先にと逃げ出すことでしょう。その中で王だけを殺します。あとの者たちは生かしておいて、あなたのもとに連れてまいります。」 + アブシャロムとイスラエルの全長老は、その計画に賛成しました。 + ところが、アブシャロムは、「アルキ人フシャイの意見も聞いてみよう」と言いだしたのです。 + フシャイが姿を見せるとアブシャロムは、一応アヒトフェルの考えを伝えたあとで、こう尋ねました。「おまえの意見はどうか。アヒトフェルの言うとおりにすべきだろうか。もし反対なら、はっきり言ってくれ。」 + 「恐れながら申し上げます。このたびのアヒトフェル殿のお考えには、賛成しかねます。 + ご承知のように、お父君とその部下たちはりっぱな勇士です。今は、子熊を奪われた母熊のように気が立っておいででしょう。そればかりか、戦いに慣れておられるお父君は、兵卒とともに夜を過ごしたりはなさいますまい。 + 必ず、どこかのほら穴にでも隠れておいでのはずです。もしそのお父君が襲いかかり、こちらの幾人かが切り倒されでもしたら兵が混乱し、口々に『味方がやられたぞ』と叫びだすでしょう。 + そうなると、どんなに勇敢な者でも、たとえライオンのように強い勇士でも、ひるむでしょう。何しろ、イスラエルの者はみな、お父君が偉大な勇者であり、その兵士たちも武勇にすぐれていることを知っておりますから。 + むしろ、こうしてはいかがかと考えます。まず、北はダンから南はベエル‧シェバに至るまでのイスラエル全国から兵を集め、強力な軍をお作りになることです。その大軍を率いて、自ら出陣なさるのがよろしいかと存じます。 + そして、お父君を見つけしだい、全軍もろとも一気に滅ぼすのです。一人も生かしておいてはなりません。 + もしどこかの町へ逃げ込んだら、全軍をその町に差し向け、城壁に綱をかけて近くの谷まで引いて行くよう、お命じなさい。そこには、一かけらの石も残りますまい。」 + アブシャロムをはじめイスラエル人はみな、「フシャイの意見のほうが、アヒトフェルの考えよりすぐれている」と思いました。実は、これはみな、アブシャロムを痛めつけようという、主の意図によるものでした。実際には、退けられたアヒトフェルの進言のほうが、ずっと上策だったのです。 + フシャイは祭司のツァドクとエブヤタルに、アヒトフェルの思惑と、対案として出した自分の意見を説明しました。 + 「急げ! ご一行を見つけしだい、今夜はヨルダン川の浅瀬にはとどまらず、直ちに向こう岸へ渡って、荒野へ逃げるようにと勧めてくれ。でなければ、王様も供の者も皆殺しにされるだろう。」 + ヨナタンとアヒマアツは、エルサレムにいては人目につくので、エン‧ロゲルの地に潜んでいました。ダビデ王に伝える情報は、召使の女の手によって二人に届けられる手はずになっていました。 + ところが一人の少年が、エン‧ロゲルからダビデのもとに向かう二人を見つけて、アブシャロムに告げてしまったのです。二人はバフリムまで逃げると、ある人に、裏庭の井戸の中にかくまってもらいました。 + その人の妻は井戸に布をかぶせ、いかにも日に干しているふうに、麦をばらまいてくれたのです。だれ一人、その下に人が隠れていようとは思いませんでした。 + アブシャロムの家来たちがその家に来て、「アヒマアツとヨナタンを見なかったか」と尋ねました。女は、「川を渡って行きましたよ」と答えました。追っ手はやっきになって捜し回りましたが、見つけることができないまま、エルサレムに引き揚げました。 + しばらくして井戸からはい出した二人は、ダビデ王のもとへと急ぎました。彼らは、「さあ、お急ぎください。今夜中にヨルダン川を渡るのです」と勧めました。そして、王を捕らえて殺そうという、アヒトフェルの策略を報告しました。 + そこで王と供の者はみな、夜のうちにヨルダン川を渡り、夜明けまでには、全員が向こう岸に着きました。 + 一方アヒトフェルは、アブシャロムに進言を退けられたことで、すっかり面目を失い、ろばに乗って郷里へ帰ってしまいました。そして身辺の整理をすると、首をくくって自殺し、彼の父の墓に葬られました。 + ダビデは、まもなくマハナイムに着きました。その間にアブシャロムはイスラエル全軍を召集し、兵を率いてヨルダン川を渡って来ました。 + ヨアブに代わる司令官には、アマサが任命されました。アマサはヨアブのまたいとこで、父はイシュマエル人イテラで、母のアビガルは、ヨアブの母ツェルヤの妹ナハシュの娘でした。 + アブシャロムとイスラエル軍は、ギルアデに陣を敷きました。 + マハナイムに着いたダビデを温かく迎えたのはアモン人で、ラバ出身のナハシュの息子ショビと、ロ‧デバル出身のアミエルの息子マキル、それに、ログリム出身のギルアデ人バルジライでした。 + 彼らはダビデ一行のために、寝るためのマット、調理用の土鍋や皿、小麦、大麦、炒り麦、そら豆、レンズ豆、はちみつ、バター、チーズなどを持って来てくれました。彼らは、「荒野をずっと旅して来られて、さぞお疲れでしょう。お腹もすいて、のども渇いておられましょう」とねぎらいました。 + + + さて、ダビデは軍を再編成し、連隊長や中隊長を任命しました。 + 全軍を三隊に分け、ヨアブと、その兄弟で同じくツェルヤの息子アビシャイと、ガテ人イタイにそれぞれ指揮させました。王は自ら陣頭に立ちたいと考えていましたが、家来たちの猛反対に会いました。 + 「それは断じてなりません。私たちが逃げ出そうと、半数が死のうと、彼らにはどうでもよいことなのです。目当てはあなたお一人なのですから。あなたは、私たちの一万人にも当たるお方です。ですから今は、この町にとどまって、必要な時に助けてくださればよろしいのです。」 + ついに王も、「わかった。言うとおりにしよう」とうなずきました。王は町の門に立って、全軍が出陣するのを見送りました。 + 王はヨアブ、アビシャイ、イタイに、「私に免じて、あの若いアブシャロムには、手ごころを加えてやってくれ」と命じました。全兵士は、王が指揮官たちにそう命じるのを聞いていました。 + こうして、戦いはエフライムの森で始まったのです。 + イスラエル軍はダビデ軍に撃退され、ばたばたと兵士が倒れて、その日のうちに、なんと二万人がいのちを落としました。 + 戦いはこの地方一帯に広がり、殺された者よりも、森で行方不明になった者のほうが、はるかに多い有様でした。 + 戦いの最中、アブシャロムは幾人かのダビデ軍兵士に出くわしました。らばに乗って逃げていたアブシャロムは、大きな樫の木の枝が覆いかぶさる下を通り抜ける時、髪を枝に引っかけてしまいました。らばはそのまま行ってしまい、アブシャロムだけが宙づりになったのです。 + ダビデの兵士の一人がそれを見て、ヨアブに知らせました。 + ヨアブは、「な、なんだと! やつを見つけて、どうして殺さなかったのだ。たくさんの褒美を取らせ、将校にでも取り立ててやったのに」と言いました。 + 「どれほどご褒美が頂けましょうとも、そんなことはごめんです。私たちはみな、王様が指揮官のお三方に、『私に免じて、若いアブシャロムに手を下すのだけはやめてくれ』とお頼みになったのを聞いたのですから。 + それに、もし私が命令に背いて王子様を殺したとして、そのことが王様に知れた場合、将軍、あなた様が真っ先に私を非難なさるのではありませんか?」 + 「たわごとを言うな!」こう言い捨てると、ヨアブは三本の槍を取り、宙づりになったまま息も絶え絶えになっていたアブシャロムの心臓を突き刺しました。 + ヨアブ直属の若いよろい持ち十人も、アブシャロムを取り囲み、とどめを刺しました。 + ヨアブはラッパを吹き鳴らし、イスラエル軍追撃をやめて、兵を引き揚げました。 + 人々はアブシャロムの死体を森の深い穴に投げ込み、石を山のように積み上げました。イスラエル軍兵士は、てんでに自分たちの天幕に逃げ帰っていました。 + 生前アブシャロムは、「私には跡取りの息子がいないから」と言って、王の谷に自分の記念碑を建てていました。彼が、「アブシャロムの記念碑」と名づけたそれは、今も残っています。 + ツァドクの子アヒマアツが申し出ました。「この吉報を王様にお伝えする役目を、ぜひとも私に仰せつけください。主が敵アブシャロムの手から救い出してくださったのですから。」 + 「いかんいかん。王子が死んだことなど、良い知らせとは言えない。おまえには、また別の機会に働いてもらおう。」 + こう言うと、ヨアブは一人のクシュ人に命じました。「さあ、行ってくれ。見たとおりを王様にお知らせするのだ。」男はヨアブに一礼すると、すぐに走りだしました。 + それでも、アヒマアツはあきらめません。「どうか、私も行かせてください」と、必死にヨアブにすがります。「困ったやつだな。今は、おまえの出る幕ではないのだ。もう何も王にお知らせすることはない。」 + 「わかっております。しかし、とにかく行かせてほしいのです。」あまりの熱心さに、ついにヨアブも、「まあ、よい。そんなに行きたければ行くがいい」と折れました。するとアヒマアツは、平原を通り抜けて近回りをし、先のクシュ人よりも先に着いたのです。 + ダビデは町の門のところに腰かけていました。見張りが城壁のてっぺんのやぐらに上ると、ただ一人で駆けて来る男の姿が目に入りました。 + このことを大声で告げるとダビデは、「一人か。それなら、きっと良い知らせだ」と叫びました。しかし、第一の使者のあとから少し間をおいて、 + もう一人の男が走って来るのを、見張りは確認しました。「もう一人、やってまいります。」彼は大声で叫びました。「うん、それも吉報に違いない。」王はうなずきました。 + 「最初に来るのは、ツァドクの息子アヒマアツのようです。」「あれはいいやつだ。悪い知らせなど持って来るはずがない。」 + アヒマアツは、「万事首尾よくまいりました!」と叫ぶと、王の前にひれ伏し、さらにことばを続けました。「主はすばらしいお方です。王様をお守りくださいました。反逆者どもは一網打尽です。」 + 「それで、アブシャロムはどうした。無事なのか。」「ヨアブ将軍からこの使いをことづかりました際、何か騒ぎがあったようで叫び声を耳にしましたが、くわしいことは知りません。」 + 「よかろう。ここで待っておれ。」アヒマアツは、わきに退きました。 + するとクシュ人が到着し、「王様、吉報でございます! 本日、主は、すべての謀反人どもからあなたをお救いくださいました」と報告しました。 + 「それで無事なのか!? 息子のアブシャロムは。」「あなたに敵する者に、あの方の姿はよい見せしめとなりました。」 + すると王の目から涙があふれ、彼は門の屋上に上り、そこで泣き叫びました。「ああ、アブシャロムよ。わが子、アブシャロム! こんなことなら、私が代わって死ねばよかった。ああ、アブシャロム。ああ、わが子よ!」 + + + 王がアブシャロムのために悲嘆にくれているという知らせが、やがてヨアブのもとにも届きました。 + 王が息子のために嘆き悲しんでいると知って、その日の勝利の喜びはどこかに消え、みな深い悲しみに包まれました。 + 兵士たちは、まるで負け戦のようにすごすごと町へ引き揚げました。 + 王は手で顔を覆い、「ああ、アブシャロム! ああ、アブシャロム、息子よ、息子よ!」と泣き叫んでいます。 + ヨアブは王の部屋を訪ね、こう言いました。「私たちは今日、あなたのおいのちをはじめ、王子様や王女様、奥方様や側室方のおいのちをお救い申し上げました。それなのに、あなたは嘆き悲しんでおられるばかりで、まるで私たちが悪いことでもしたかのようです。兵たちは全く恥をかかされました。 + あなたは、ご自分を憎む者を愛し、ご自分を愛する者を憎んでおられるようです。あなたにとって私たちなど、取るに足りない者なのでしょう。はっきりわかりました。もしアブシャロム様が生き残り、私たちがみな死んでいましたら、さぞかし満足なさったのでしょう。 + さあ、今、外に出て、兵士に勝利を祝ってやってください。主に誓って申し上げます。そうなさいませんなら、今夜、すべての者があなたから離れていくでしょう。それこそ、ご生涯で最悪の事態となるかもしれません。」 + そこで王は出て行き、町の門のところに座りました。このことが町中に知れ渡ると、人々は続々と王のもとに集まって来ました。 + 一方、イスラエルのそこかしこで、議論がふっとうしていました。「どうして、ダビデ王にお帰りいただく話をしないのか。ダビデ王は、われわれを宿敵ペリシテ人から救い出してくださったお方だ。せっかく王として立てたアブシャロム様は、ダビデ王を追って野に出たが、あえなく戦死なさった。さあ、拝み倒してでもダビデ王に帰っていただき、もう一度、王位についていただこうではないか。」どこでも、こんな話でもちきりでした。 + そこでダビデは、祭司のツァドクとエブヤタルを使いに出し、ユダの長老たちに伝えさせました。「どうして、王の復帰をまだためらうのか。民はすっかりその気でいるのだ。ためらっているのはあなたたちだけだ。もともと、あなたたちは私の兄弟、同族、まさに骨肉そのものではないか。」 + また、アマサにも伝えました。「甥のあなたに、決して悪いようにはしない。ヨアブを退けても、あなたを司令官にしよう。もしこれが果たせないなら、私は神に打たれてもよい。」 + そこでアマサは、ユダの指導者たちを説得しました。彼らは説得に応じ、口をそろえて王に、「どうぞ、ご家来衆ともどもお戻りください」と言ってきました。 + こうして、ダビデはエルサレムへの帰途につき、ヨルダン川にさしかかると、ユダ中の人々が王をギルガルまで出迎えたかのような人出となり、川越えを手伝おうとしました。 + ベニヤミン人ゲラの子でバフリム出身のシムイも、王を迎えようと駆けつけました。 + 彼のあとには、ベニヤミン人が千人ほどついて来ていましたが、その中に、かつてサウル王に仕えたツィバとその十五人の息子、二十人の召使もいました。彼らは王の来る前にヨルダン川に着こうと、息せき切って来たのです。 + 彼らは王の一家と兵たちを渡し舟に乗せ、一生懸命その川越えを手伝いました。王が渡り終えた時、シムイは前にひれ伏し、すがるように弁解しました。 + 「王様、何とぞお赦しください。エルサレムから落ち延びられたあなたに、取り返しもつかないほどの悪いことをしてしまいましたが、どうか水に流してください。 + 大それた罪を犯してしまったと、重々反省しております。それで、今日、ヨセフ族の中でも、一番乗りしてあなたをお迎えに上がろうとまいりました。」 + すると、アビシャイがさえぎりました。「おまえは死なずにすまされないだろう。主に選ばれた王をののしったのだから。」 + ダビデは止めました。「そんなことばは控えなさい。今日は処罰の日ではなく、祝宴の日だ。私がもう一度、イスラエルの王に返り咲いたのだから。」 + それからシムイに、「おまえのいのちを取ろうとは思っていない」と誓って言いました。 + さらに、サウルの孫メフィボシェテが、王を迎えようとエルサレムからやって来ました。彼は王がエルサレムを逃れた日以来、足も着物も洗わず、ひげもそらずに過ごしていたのです。王は、「メフィボシェテ、どうしていっしょに来てくれなかったのだ」と尋ねました。 + 「王様、あのツィバが欺いたのでございます。私はツィバに、『王について行きたい。私のろばに鞍を置け』と命じました。ご承知のように、私は足が思うようになりませんもので。 + ところがツィバは、さも同行を拒んでいるかのように、私のことをあなたに中傷したのです。しかし、王様は神の使いのような方です。お心のままにご処置ください。 + 私も親族もみな、死刑の宣告を受けて当然の身でしたのに、あなたはこのしもべに、あなたの食卓で食事する栄誉をお与えくださいました。このうえ、何を申し上げることがありましょう。」 + 「わかった。ではこうするとしよう。おまえとツィバとで、領地を二分するがよい。」 + 「どうぞ、全部ツィバにやってください。私は、あなたに無事お戻りいただけただけで本望でございます。」 + 王とその軍がマハナイムに滞在していた時、一行の面倒をよく見たバルジライが、ヨルダン川を渡る王の案内を務めようと、ログリムからやって来ました。八十歳になろうという老人でしたが、非常に裕福に暮らしていました。 + 王はバルジライに請いました。「いっしょに来て、エルサレムで暮らさないか。ぜひお世話したいと思うのだが。」 + 「とんでもございません。私はもう、あまりにも年をとりすぎております。 + 八十にもなって、余命いくばくもございません。ごちそうやぶどう酒の味もわからなくなっており、余興も楽しくはありません。足手まといになるばかりです。 + ただ、ごいっしょに川を渡らせていただければと思いまして。これほど名誉なことはありません。 + そうしたら戻ります。両親の墓のある故郷で死にたいのです。で、ここに控えておりますのがキムハムと申しますが、これにお供をさせていただけませんか。どうか、私の代わりにあなたの面倒を見させてください。」 + 「それはよい。キムハムとやらを連れて行こう。ご恩返しのつもりであなたの言うとおりにしよう。」 + こうして、全員が王とともにヨルダン川を渡り終えました。ダビデから祝福の口づけを受けると、バルジライは家路につきました。 + 王はキムハムを伴ってギルガルへ向かいました。ユダの大多数とイスラエルの約半数が、ギルガルで王を出迎えました。 + しかし、イスラエルの人々は、ユダの人々だけが王とその家族の川越えに立ち会ったことに腹を立て、王に抗議したのです。 + ユダの人々は言い返しました。「どうして、そんなに怒るのだ。王はわれわれの部族のご出身だ。何も文句を言われる筋合いはない。いったい王がどうされたというのだ。特別、われわれを養ってくださったわけでも、贈り物を下さったわけでもない。」 + しかし、イスラエルの人々は収まりません。「われらイスラエルには十部族もあり、あなたがたの十倍も王に対しては権利を持っているのだ。それなのに、どうして、われらを呼ばなかったのだ。そもそも、今度の王位返り咲きを言いだしたのは、われわれではないか。」こうして言い争いが続き、ユダ側も激しく応酬しました。 + + + その時、ベニヤミン人ビクリの息子でシェバというたちの悪い男が、ラッパを吹き鳴らして大声でわめき始めました。「ダビデなんかくそ食らえだ。さあ、みんな行こう! こんな所でぐずぐずするな。ダビデなんか王ではない。」 + すると、ユダ族以外のイスラエル人はみなダビデから離反し、シェバの扇動にのって彼に従いました。ユダの人々は、ヨルダン川からエルサレムまで王につき従って行きました。 + 宮殿に着くと、さっそく王は留守を守らせていた十人のそばめを別棟に移し、軟禁しました。彼女たちの生活は保証されましたが、王が通うことはありませんでした。女たちは死ぬまで、未亡人同様に暮らしました。 + それから、王はアマサに、三日以内にユダ軍を召集し、その結果を報告するように命じました。 + アマサはユダの兵士を動員するために出て行きましたが、約束の三日間でそれを果たすことができませんでした。 + それで、ダビデはアビシャイに指示しました。「あのシェバを放っておくと、アブシャロムより手に負えなくなる。急いで、警護の兵を連れて追いかけるのだ。われわれの手の届かない、城壁のある町に逃げ込まれたら、どうしようもなくなる。」 + アビシャイはヨアブとともに、ヨアブ配下の精兵とダビデ王直属の護衛兵を率いて、シェバを追いました。 + ところが、ギブオンにある大きな石のところまで来た時、アマサとばったり出くわしたのです。軍服を着ていたヨアブは、短剣をわきに差していました。彼はあいさつするように駆け寄りながら、そっと短剣のさやを払ったのです。「やあ、元気かね」と、ヨアブは口づけせんばかりに右手でアマサのあごひげをつかみ、引き寄せました。アマサは、ヨアブが左手に短剣を隠し持っているとは知りません。そこで、ヨアブはアマサの下腹を突き刺したのです。とたんに、はらわたが地面に流れ出ました。このひと突きで十分で、アマサは死にました。ヨアブと弟アビシャイは、倒れたアマサを置き去りにしてシェバを追跡しました。 + ヨアブの部下の一人が、アマサの従者に叫びました。「ダビデ王に味方するなら、ヨアブ様について来い!」 + 血まみれのアマサが、道の真ん中に転がっていました。やじうまが大ぜい集まって来たので、ヨアブの部下は死体を野へ運び、その上に着物をかけました。 + 死体が片づけられると、みなはシェバを捕らえようと、ヨアブのあとを追いました。 + 一方、シェバはイスラエル全部族の間を駆け巡って、ベテ‧マアカにあるアベルの町へ行き、自分が属するビクリ氏族に、総決起を呼びかけました。 + しかし、追いついたヨアブ軍は町を包囲し、城壁に向かってとりでを築きました。城壁を打ち壊そうというのです。 + その時、町の中から、一人の賢い女が呼びかけました。「もし、ヨアブ様、ちょっとここまでおいでください。お話し申し上げたいことがございます。」 + ヨアブが近づいて行くと、女は、「ヨアブ様ですね」と念を押しました。「いかにも、私がヨアブだ。」 + 「実は、昔から『物事に決着をつけたければ、アベルの人に聞け』と申すのでございます。いつも、私どものお勧めすることが理にかなっているようでしてね。 + 私どもの町は、昔から平和を愛し、イスラエルに忠誠を尽くしてまいりました。今、この町を攻めるおつもりですとか。どうして、この神様の町を滅ぼそうとなさるのですか。」 + 「そんなつもりでは決してない。 + われわれの目当ては、エフライム山地出身のシェバという男だけだ。その男はダビデ王に背いたのだ。彼さえ引き渡してもらえれば、穏やかに引き揚げよう。」「かしこまりました。その男の首を城壁の上から投げ落としましょう。」 + 女はさっそく、賢明にも、この考えどおり住民を動かしました。人々はシェバの首をはね、ヨアブのところに投げ落としたのです。ヨアブはラッパを吹き鳴らして兵を呼び戻し、エルサレムの王のもとへ引き揚げました。 + ところでこの時、ヨアブはイスラエル全軍の長、ベナヤは王の護衛長、 + アドラムは労務長官、ヨシャパテは史書編纂者、 + シェワは書記、ツァドクとエブヤタルは祭司長でした。 + ヤイル人イラは王直属の祭司でした。 + + + ダビデの治世に、大ききんが三年も続きました。そのため、ダビデが特別に時間をかけて祈ったところ、主は答えました。「ききんの原因はサウルとその一族の罪にある。彼らがギブオン人を殺したからだ。」 + そこで、ダビデはギブオン人を呼び寄せました。ギブオン人はエモリ人の末裔で、イスラエルには属していませんでしたが、イスラエル人は彼らを殺さないという誓約を立てていたのです。にもかかわらず、サウルは熱烈な愛国心から、彼らの一掃を図ったのでした。 + ダビデは尋ねました。「あの罪を償いたいのだ。そしてあなたがたには、われわれのために神の祝福をとりなしてもらいたい。それには、いったいどうすればよいだろうか。」 + 「なるほど。ただ、金銀で決着のつく問題ではありません。しかしまた、私たちとしても、復讐のためにイスラエル人を殺すようなこともしたくありません。」「では、どうすればいいのか。遠慮なく言ってくれ。そのとおりにしたいのだ。」 + 「では申し上げます。血まなこになって私たちを滅ぼそうとしたサウルの子、七人をお渡しください。彼らをサウルの町ギブアで、主の前にさらし者にします。」「わかった。そうするとしよう。」 + ダビデは、サウルの孫、ヨナタンの息子メフィボシェテのいのちは助けました。ヨナタンとの間に誓いを立てていたからです。 + 結局、ギブオン人に引き渡したのは、サウルのそばめリツパの息子アルモニとメフィボシェテの二人と、アデリエルの妻となった、サウルの娘メラブが産んだ五人でした。 + ギブオンの人々は七人を山で刺し殺し、主の前にさらし者にしました。処刑が行われたのは、大麦の刈り入れの始まるころでした。 + 処刑された二人の息子の母リツパは、岩の上に荒布を敷き、刈り入れの期間中ずっと〔四月から十月までの六か月間〕、そこに座っていました。昼は昼で、はげたかが二人の死体をついばむことがないように、夜は夜で、死体を食い荒らす野獣から守るため見張っていたのです。 + リツパのこの姿に心を打たれたダビデは、 + その者たちの骨を、サウルの父キシュの墓に葬るよう取り計らいました。同時に、ヤベシュ‧ギルアデから、サウルとヨナタンの骨を持って来ました。ギルボア山の戦いで倒れたサウルとヨナタンを、ペリシテ人がベテ‧シャンの広場でさらし者にした時、あとでその遺体を盗み出したのがヤベシュ‧ギルアデの人々でした。二人の骨はダビデのもとへ運ばれ、葬られました。その時、神は祈りを聞き、ききんを終わらせたのです。 + ある日、ペリシテ人が戦いをしかけて来ました。ダビデは家臣を率いて応戦しましたが、激しい戦闘に、ダビデは弱り果てていました。 + その時、穂先の重さだけでも三百シェケル(約三‧五キログラム)の槍をかつぎ、新しいよろいを着たイシュビ‧ベノブという大男が、ダビデを殺そうと近づいて来ました。 + しかし、ツェルヤの子アビシャイがダビデを助け、そのペリシテ人を打ち殺しました。こんなことがあってから、家臣たちは口々に勧めました。「王様、二度と戦いにはお出になりませんように。イスラエルのともしびを吹き消すような危険は冒せません。」 + そののち、ゴブでのペリシテ人との戦いでは、フシャ人シベカイがもう一人の大男サフを討ち取りました。 + 同じ場所での別の戦いで、エルハナンはガテ人ゴリヤテの兄弟ラフミを倒しました。ラフミの槍の柄は、はた織機の巻き棒のように太いものでした。 + また、ガテでペリシテ人とイスラエル人とが戦った時、両手足が六本指の大男が、イスラエルをあざけったことがありました。するとその男を、ダビデの甥に当たる、ダビデの兄弟シムアの子ヨナタンが倒しました。 + 以上の四人はガテの巨人族の子孫で、ダビデの家臣たちの手にかかって殺されたのです。 + + + 主がサウルや他のあらゆる敵から救い出してくださった時、ダビデは主に歌いました。 + 「主は私の岩、私のとりで、私の救い主。 + 私はそのうちに隠れよう。神こそ私の岩、隠れ家、私の盾、救い、逃れ場となるやぐら。すべての敵から救い出してくださった方に感謝しよう。 + 私はこのお方にすがろう。主には賛美がふさわしい。すべての敵から救い出してくださるお方だから。 + 死の波が私を取り巻き、悪の洪水が私に襲いかかった。 + 私は罠にかかり、死とよみに縛られた。 + 苦しみの中で主を呼び求めると、主は神殿でその叫びを聞かれた。私の叫びがお耳に届いた。 + すると、地が揺れ動いた。天の基もおののき震える。主はお怒りになったのだ。 + 噴煙がその鼻から立ちのぼり、火が口からほとばしり出てあらゆるものをなめ尽くし、全世界を火だるまにした。 + 主は天を押し曲げて、地に降りて来られ、黒雲に乗って進まれた。 + 主は栄光の御使いの背に乗り、風の翼に乗って来られた。 + 暗闇が主を取り囲み、厚い雲がたれ込めても、 + 地は主の輝きで、まばゆいばかりにきらめいた。 + 主は天から雷鳴をとどろかせ、すべての神々にまさる方の雄叫びが響き渡った。 + 主はいなずまの矢を放って敵をかき乱された。 + その息吹によって海は真っ二つに裂け、海の底が現れた。 + 主は御手を差し伸べて大水の中から救い上げてくださった。 + 強敵から、憎む者から、とても太刀打ちできない者たちの手から、主は私を救い出してくださった。 + 災いの日に、彼らは襲いかかって来た。しかし、救い主が私の味方だ。 + 主は私を救い出し、鎖をといてくださった。私を喜びとされたからだ。 + 私が正しかったから、手を汚さなかったから、報いてくださったのだ。 + 私は主から離れなかった。 + 主のおきてを心に刻み、ひたすら守り通した。 + 主への完全な従順と罪との訣別。 + それが豊かな報いにつながった。主は私の正しさときよさを知っておられる。 + あなたは恵み深い者には恵み深く、非の打ちどころのない者には非の打ちどころなく現れてくださる方。 + あなたは、きよい者にはご自身のきよさを示し、汚れた者には滅びをもたらされる方。 + あなたは悩みのうちにある者を救い、高慢な者の鼻をへし折られる。あなたの目は一挙一動を見逃さない。 + ああ主よ。あなたは私のともしび。目の前の暗闇を照らし出される。 + あなたの力を受けて、私は敵を破り、あなたの勢いを借りて城壁を飛び越える。 + 神の道は完全、主のことばは真実。主は、すべて身を寄せる者の盾。 + 主をおいてほかに神はなく、主のほかには救い主はいない。 + 神こそ強固なとりで。そこで私は安全に守られる。 + 神は岩場に立つ鹿のように正しい者の歩みをしっかり支えてくださる。 + 戦いのために私を鍛え、青銅の弓を引く力を養ってくださる。 + あなたの救いの盾は私のものとなり、あなたの慈愛は私を強くする。 + 足を踏みはずしたりしないようあなたは私の歩幅を広げてくださった。 + 私は敵を追って、壊滅するまで手をゆるめなかった。 + 手ひどく打撃を被った彼らは二度と立ち上がれず、私の足もとにうずくまる。 + あなたは戦う力を私に与え、すべての敵を征服させてくださった。 + また、背を見せて逃げまどう敵を私は残らず滅ぼした。 + 呼べども叫べども、彼らを助ける者はない。神に叫び求めても、何の答えもなかった。 + 私は彼らをちりのように払いのけ、道ばたのどろを落とすように粉々に蹴散らした。 + あなたは私を、反逆からも守ってくださった。また、諸国民のかしらとして揺るぎない地位を保たせてくださった。外国人も私に仕えるようになる。 + 私の権勢を耳にした外国人はたちまち従う。 + まるで何かにつかれたように、震えおののきながら隠れ家から出て来る。 + 主は生きておられる。すばらしい岩。私の救いの岩、主をほめたたえよ。 + 敵を滅ぼしてくださる神をほめたたえよ。 + 敵から助け出してくださる神をほめたたえよ。確かに、彼らの手の届かない所で私は守られ、彼らの暴虐からも救われている。 + ああ主よ。国々の中でどうして感謝しないでいられましょう。お名前をほめ歌わずにいられましょう。 + 主はすばらしい救いを王に示し、油注がれたダビデとその子孫とにあわれみをかけてくださる。とこしえまでも。」 + + + これは、ダビデの最後のことばです。「エッサイの子ダビデは告げる。ダビデ、神からすばらしい勝利と祝福を授けられた者。ダビデ、ヤコブの神から油を注がれた(特別に選ばれた)者。ダビデ、イスラエルの麗しい詩人。 + 主の霊は私を通して語られた。主のことばは私の舌にあった。 + イスラエルの岩である方が私に語られた。『正しく治める者、神を恐れて治める者が来る。 + その人は、朝の光のよう、雲一つない朝焼けのようだ。地に萌え出た若草に降り注ぐ雨上がりの陽光のようだ。』 + まことに、神がわが家系をお選びくださった。神は永遠の契約を、私と結んでくださった。その約束は揺るがず、最後まで守られる。神は常に、私の安全と成功を心にかけてくださる。 + しかし、神に背を向ける者は、いばらのように投げ捨てられる。 + 彼らは武装した者に切り捨てられ、火で焼かれる。」 + ダビデ軍の中で最強の英雄三人の名を挙げるなら、筆頭はハクモニの子ヤショブアムで、一度の戦いで八百人を倒した勇士です。 + 次は、ドドの子でアホアハ人のエルアザルです。彼も三勇士の一人で、ほかの者が逃げ出した時も、ダビデとともに踏みとどまってペリシテ人と戦いました。 + 彼は次々にペリシテ人を打ち倒し、ついに手が疲れて、剣を握ることもできないほどでした。主は彼に輝かしい勝利を授けました。残りの兵士が引き返して来た時には、戦利品を集めるばかりになっていたのです。 + 三人目は、ハラル出身のアゲの子シャマです。ペリシテ人が攻めて来た時、部下は彼を放って逃げ出しましたが、ただ一人レンズ豆畑の真ん中に踏みとどまって、敵を打ち倒したのです。こうして、主は大勝利をもたらしました。 + ダビデがアドラムのほら穴に潜み、攻め寄せるペリシテ人がレファイムの谷に陣取っていた時のことです。ちょうど刈り入れのころ、イスラエル軍の精鋭三十人の中から、この三人がダビデのもとを訪ねて来ました。 + 当時、ダビデは要害に立てこもっていました。ペリシテ人の略奪隊がベツレヘム一帯を占領していたからです。 + そんなダビデの口をついて出るのは、いつも、「ああ、のどが渇いた。ベツレヘムの井戸のうまい水が飲みたい」ということばでした。その井戸は町の門のわきにありました。 + そこで三人の勇士は、ペリシテ人の陣営を突き破って井戸へ行き、くんで来た水をダビデに差し出しました。しかしダビデは、とてもその水を飲む気にはなれず、主にささげて注いだのです。 + ダビデは言いました。「主よ。どうしてこの水を飲めましょう。いのちをかけた人々の血ですから。」 + この三人のほかに、ツェルヤの子ヨアブの兄弟アビシャイも、非常に評判の高い人物でした。単身、三百人の敵を相手にして倒したこともありました。その武勲により、三勇士に負けないほどの名声を上げました。彼はイスラエル軍の幹部将校三十人の中では最もすぐれ、彼らのリーダーでした。 + このほか、エホヤダの子でベナヤというカブツェエル出身の勇士もいました。ベナヤは、モアブの豪傑二人を倒しました。ある時は、つるつるに凍った雪道にもかかわらず、ほら穴に下りて行き、中にいたライオンを殺しました。 + またある時は、杖一本で、槍を手にしたエジプト人戦士に立ち向かって倒しました。相手の手から槍をもぎ取って突き殺したのです。 + これらの手柄で、ベナヤは三勇士のように有名になりました。 + 彼は、あの三勇士には及びませんでしたが、三十人の中で非常に評判の高い一人でした。ダビデは彼を護衛長に任じました。 + ヨアブの兄弟アサエルも、三十人の一人でした。そのほかの顔ぶれは次のとおりです。ベツレヘム出身で、ドドの子エルハナン。ハロデ出身のシャマ。ハロデ出身のエリカ。ペレテ出身のヘレツ。テコア出身で、イケシュの子イラ。アナトテ出身のアビエゼル。フシャ出身のメブナイ。アホアハ出身のツァルモン。ネトファ出身のマフライ。ネトファ出身で、バアナの子ヘレブ。ギブア出身で、ベニヤミン部族リバイの子イタイ。ピルアトン出身のベナヤ。ガアシュの谷出身のヒダイ。アラバ出身のアビ‧アルボン。バルフム出身のアズマベテ。シャアルビム出身のエルヤフバ。ヤシェンの子たち。ヨナタン。ハラル出身のシャマ。アラル出身で、シャラルの子アヒアム。マアカ出身で、アハスバイの子エリフェレテ。ギロ出身で、アヒトフェルの子エリアム。カルメル出身のヘツライ。アラブ出身のパアライ。ツォバ出身で、ナタンの子イグアル。ガド出身のバニ。アモン出身のツェレク。ツェルヤの子ヨアブのよろい持ちで、ベエロテ出身のナフライ。エテル出身のイラ。エテル出身のガレブ。ヘテ人ウリヤ。以上合わせて三十七人です。 + + + さて、主が再びイスラエルに怒りを燃やすようなことが持ち上がりました。ダビデはどうしたことか、人口調査をして国民を煩わせる思いに駆られたのです。主はその思いをそのままにしました。 + 王は、側近で軍の司令官であるヨアブに命じました。「わが国の北から南まで、くまなく全住民を登録させなさい。どれほどの国民をかかえているか知りたいからだ。」 + ヨアブは答えました。「どうか、あなたの長らえます間に、主が現在の人口の百倍にも増やしてくださいますように。それにしても、王様がわざわざ国勢を誇示なさるには及ばないと存じますが。」 + しかし、ヨアブの忠告も王のたっての願いには勝てず、ヨアブをはじめとする将校たちは、国の人口調査に出かけることになりました。 + 一行はまずヨルダン川を渡り、ガドの谷の真ん中にある町の南方、ヤウゼルに近いアロエルに野営しました。 + それからタフティム‧ホデシの地とギルアデを巡り、さらにダン‧ヤアンに進んで、シドンの方に回りました。 + その後ツロの要塞に行き、ヒビ人やカナン人の町をすべて行き巡り、ユダの南に広がるネゲブをベエル‧シェバまで下りました。 + こうして、九か月と二十日かかって、全国を行き巡り、この任務を終えたのです。 + ヨアブは登録人数を王に報告しました。その結果、徴兵人口は、イスラエルで八十万、ユダで五十万とわかりました。 + ところが、人口調査を終えたあと、ダビデの良心は痛み始めました。彼は主に祈りました。「私はとんでもない過ちを犯してしまいました。どうか、私の愚かなふるまいをお見逃しください。」 + 翌朝、主のことばが預言者ガドにありました。ガドは、ダビデと主との間を取り次いでいた人物です。主はガドに語りました。 + 「ダビデに告げよ。わたしが示す三つのうち一つを選べと。」 + ガドはダビデのもとへ行き、こう尋ねました。「七年間にわたる全国的なききんがよいか、三か月間、敵の前を逃げ回るのがよいか、三日間、疫病に見舞われるのがよいか、一つを選んでください。よくお考えになって、主にどうお答え申し上げるべきかをご指示ください。」 + ダビデは答えました。「こんな決断を下さなければならないとは、実につらい。だが、人の手に陥るよりは主の手に陥るほうがましだ。主のあわれみは大きいのだから。」 + すると主は、その朝から、イスラエルに疫病をはやらせました。災いは三日間にわたり、国中で七万人もの死者が出ました。 + 死の使いがエルサレムに災いの手を伸ばそうとした時、主は事態をあわれんで、主の使いに中止するよう命じました。ちょうど主の使いは、エブス人アラウナの打ち場のそばに立っていました。 + この時、ダビデは天の使いに目を留め、主にこう言ってすがりました。「お願いです。罪を犯したのは、この私だけなのです。国民に罪はございません。どうか、お怒りを私と私の一家にだけお向けください。」 + その日、ダビデのもとに来たガドは、「エブス人アラウナの打ち場に行き、そこに主の祭壇を築きなさい」と言いました。 + ダビデは命じられたとおり出かけました。 + アラウナは、王と家来の一行が近づいて来るのを見て駆け寄り、顔を地面にこすりつけんばかりにひれ伏しました。 + 「王様、またどうして、こちらにお越しくださったのでしょう。」「あなたの打ち場を買い取り、主の祭壇を築きたいと思ってだ。そうすれば、この災いも終わらせていただけよう。」 + 「王様、どうぞ、何でもお気に召すままにお使いください。焼き尽くすいけにえ用の牛もおりますし、祭壇のたきぎの代わりに、どうぞ打穀機や牛のくびきを燃やしてください。 + 何にでもご用立てください。どうか主が、あなたのささげるいけにえをお受け入れくださいますように。」 + 「いやいや、ただで受け取るわけにはいかない。ぜひ、売ってもらいたい。何の犠牲も払わず、焼き尽くすいけにえをささげたくはないのだ。」こう言って、ダビデは打ち場と牛とを買い取りました。 + そして、主のために祭壇を築き、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげたのです。主はダビデの祈りを聞き、疫病の流行はやみました。 + +
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+ + 晩年のダビデ王は寝たきりになりました。毛布を何枚かけても体が暖まらないのです。 + そこで、側近の者が提案しました。「若い娘を、お世話役のそばめとしてはいかがでしょう。添い寝させて、お体を暖めさせるのです。」 + さっそく、国中くまなく探して、いちばん美しい娘を見つけ出すことになりました。最後にシュネム出身のアビシャグが選ばれ、王のもとへ連れて来られました。王を暖めるため、その腕に抱かれて寝ることになったのです。しかし、王は彼女をそばめにはしませんでした。 + そのころ、ハギテの子であるアドニヤは、自分こそ老いた父に代わって王位につくべきだと考えて、戦車を買い集め、騎兵を雇い、自分の前を走る五十人の近衛兵をそろえました。 + 父のダビデ王は、それまで一度も彼をたしなめたことがありませんでした。彼はアブシャロムのすぐ下の弟で、とてもハンサムでした。 + アドニヤが将軍ヨアブと祭司エブヤタルに思惑を打ち明けると、二人とも賛成しました。 + しかし、祭司ツァドク、ベナヤ、預言者ナタン、シムイ、レイ、ダビデ軍の勇士たちは、あくまでも王に忠誠を尽くし、アドニヤにくみすることはありませんでした。 + アドニヤはエン‧ロゲルへ行き、ゾヘレテの石のそばで、羊、牛、太った子やぎをいけにえとしてささげ、それから、即位式の立会人として、自分の兄弟とユダの政府高官を全員招きました。 + しかし、預言者ナタン、ベナヤ、王の勇士たち、それに、兄弟のうち弟ソロモンだけは招きませんでした。 + 預言者ナタンはソロモンの母バテ‧シェバに会い、こう勧めました。「ハギテの子アドニヤが王になり、しかも、王様が少しもお気づきでないことをご存じですか。 + ご自身と、ご子息ソロモン様の無事を願われるなら、これから申し上げるとおりになさってください。 + すぐに王様のところへ行って、『あなたは私に、ソロモンが次の王になると、お約束になったではありませんか。それなのに、なぜ、アドニヤが王になっているのでしょう』と申し上げるのです。 + お話の最中に私もまいり、あなたの訴えが事実であることを王に申しましょう。」 + バテ‧シェバは、言われたとおり王の寝室へ行きました。王は非常に年老いていて、アビシャグが身の回りの世話をしていました。 + バテ‧シェバがていねいにおじぎをすると、王は、「何の用か」と尋ねました。 + 「王様に申し上げます。あなたは、主に誓って、わが子ソロモンが次の王になるとおっしゃいました。 + それなのに、アドニヤが新しい王になっています。しかも、あなたはそれをご存じありません。 + アドニヤは即位を祝って、牛や太ったやぎや、たくさんの羊をいけにえとしてささげ、王のお子様全部と祭司エブヤタル様、それにヨアブ将軍を招きました。けれども、ソロモンだけは招かれませんでした。 + 今、イスラエル中の者が、アドニヤが後継者として選ばれるかどうか、あなたの決定を待っております。 + 王様がはっきり決着をつけてくださらないと、ソロモンも私も、あなたがお亡くなりになったとたん、謀反人として捕らえられ、処刑されることになるでしょう。」 + 彼女が話しているうちに、側近の者が来て、「預言者ナタン様がお目どおりを願い出ています」と伝えました。ナタンは王の前に出ると、うやうやしく一礼し、 + 話を切り出しました。「王様。あなたはアドニヤ様を後継者にお選びになったのでしょうか。 + 実は今日、あの方は即位の祝いとして、牛や太ったやぎや、たくさんの羊をいけにえとしてささげ、王のお子様方を祝賀会に招かれました。ヨアブ将軍と祭司エブヤタル様も招かれました。一同はあの方の前で飲み食いし、『アドニヤ王、ばんざい!』と叫んだということです。 + しかし、祭司ツァドク様、ベナヤ様、ソロモン王子、それに私は招かれませんでした。 + これは、あなたがご承知の上でなされたことでしょうか。あなたはまだ、お子様のうちどなたを次の王にするか仰せではございませんが。」 + 王は、「バテ‧シェバをここに呼びなさい」と言いました。席をはずしていた彼女は戻って来て、王の前に立ちました。 + 王は誓って言いました。「私をあらゆる危険から助け出してくださった主は生きておられる。 + いつかイスラエルの神、主の前でおまえに誓ったとおり、今日、おまえの子ソロモンを王とし、私の王座につかせる。」 + バテ‧シェバはもう一度うやうやしくおじぎをすると、感きわまって言いました。「ありがとうございます、わが君。どうか、いつまでもおすこやかに。」 + 「祭司ツァドクと預言者ナタン、それにベナヤをここに呼びなさい。」王は続けて言いました。三人が前に出ると、 + 王はこう命じました。「ソロモンと私の家来とをギホンへ連れて行きなさい。ソロモンは私の雌らばに乗せて。 + 祭司ツァドクと預言者ナタンは、そこでソロモンに油を注ぎ、イスラエルの王とするのだ。それからラッパを吹き鳴らし、『ソロモン王、ばんざい!』と叫びなさい。 + ソロモンが戻りしだい、新しい王として王座につけよう。私はソロモンを、イスラエルとユダの王に任じる。」 + ベナヤが答えました。「アーメン! 神様をほめたたえます。 + 主があなたとともにおられたように、ソロモン様ともおられますように。ソロモン王を、あなた以上に偉大な王としてくださいますように!」 + こうして、祭司ツァドク、預言者ナタン、ベナヤ、王の家臣たちは、ソロモンを王の雌らばに乗せてギホンに向かいました。 + ギホンに着くと、ツァドクは天幕から神聖な油を取り出し、ソロモンの頭に注ぎました。ラッパが吹き鳴らされ、人々はみな、「ソロモン王、ばんざい!」と叫びました。 + 彼らはソロモンのあとに従ってエルサレムへ帰って来ましたが、その道中は喜び祝う歌声に満ちあふれました。 + 一方、アドニヤと招待客はちょうど食事を終えたところでした。何やら外が騒がしいので、ヨアブがいぶかしげに言いました。「いったい何事だ。何の騒ぎだ?」 + そのことばが終わらないうちに、祭司エブヤタルの子ヨナタンが駆け込んで来たので、アドニヤは言いました。「入りなさい。おまえは勇敢な者だから、良い知らせを持って来たに違いない。」 + ヨナタンは答えました。「わが君、ダビデ王は、ソロモン様が次の王だと発表しました! + しかも、ソロモン様をご自分の雌らばに乗せ、ギホンへ行かせたのです。祭司ツァドク、預言者ナタン、それにベナヤが同行し、王の護衛隊が警護に当たりました。ツァドクとナタンは、ソロモン様の頭に油を注いで、新しい王にしました。一行が戻って来たので、町中が喜びにわきかえっています。あの騒がしい物音をお聞きください。 + ソロモン様はすでに王座におつきです。国民はこぞってダビデ王に、『どうか神様が、あなたを豊かに祝福してくださった以上に、ソロモン様を祝福してくださるように。ソロモン王を、あなた以上に栄えさせてくださるように』とお祝いを申し上げています。王は床についたまま、人々の祝福のことばを受けておいでです。 + しかも、『私が生きているうちに、息子の一人を選んで、王座につけてくださったイスラエルの神、主を心からほめたたえる』と言っておられるとか。」 + これを聞いて、アドニヤと招待客は飛び上がらんばかりに驚き、狼狽しました。この先、自分たちがどうなるかわかったものではありません。客たちは恐ろしくなって、逃げ帰りました。アドニヤは幕屋に駆け込み、祭壇の角にしがみつきました。 + アドニヤが聖所に入って、命乞いをしていることが報告されると、 + ソロモンは言いました。「もし彼が潔くふるまうなら、危害は加えまい。しかし、そうでなければいのちはない。」 + ソロモン王はアドニヤを呼びにやり、祭壇から下ろさせました。彼が王の前に来て恐れかしこんで礼をすると、王は、「家へ帰るがよい」とあっさり言って去らせました。 + + + 死期が近づいたことを悟ったダビデは、息子のソロモンに次のように言い含めました。 + 「私はもうすぐ、だれもが行くべき所へ行く。あなたは、たくましく、りっぱな後継者になってほしい。あなたを信じている。 + 主の教えを守り、いつも主にお従いするのだ。モーセの律法にあるおきての一つ一つを守りなさい。そうすれば、どんなことをしても、どこへ行っても祝福される。 + また、あなたの子孫たちが正しく歩み、主に忠誠を尽くすなら、イスラエルの王位は一族の間で継承され、ダビデ王朝は絶えないという約束を主は果たしてくださる。 + さあ、よく聞きなさい。あなたは、ヨアブが私の二人の将軍、アブネルとアマサを虐殺したことを知っているだろう。戦いの最中で、しかたなくそうしたと言っているが、実は平和な時に起こっているのだ。 + あなたは利口者だから、どうしたらいいかわかるだろう。彼を安らかに死なせてはならない。 + しかし、ギルアデ人バルジライの子らには親切にし、いつも王の食卓で食事をさせてやりなさい。彼らは、私があなたの兄アブシャロムから逃げた時、親身に世話をしてくれたからだ。 + また、バフリム出身のベニヤミン人、ゲラの子シムイのことを覚えているだろう。私がマハナイムに落ち延びた時、激しく私をのろった男だ。それでも、私を迎えにヨルダン川まで下って来たものだから、いのちだけは助けると約束してやった。 + しかし、そのような約束はあなたにかかわりのないことだ。あなたなら、どうすればあの男にむごたらしい死を遂げさせられるかわかっているだろう。」 + こうしてダビデは死に、エルサレムに葬られました。 + 彼は四十年間イスラエルを治めましたが、そのうち七年はヘブロンで、あとの三十三年はエルサレムで治めました。 + ソロモンが父ダビデに代わって王となり、王国はますます栄えていました。 + ある日、ハギテの子アドニヤが、ソロモン王の母バテ‧シェバにお目どおりを願い出ました。「私を困らせるために、おいでになったのですか」と、バテ‧シェバは尋ねました。「とんでもありません。 + 実は、折り入ってお願いがあるのです。」「いったい何でしょう。」 + 「私にとって、今まではすべてがうまくいっておりました。王国は私のものになるはずでしたし、だれもが、次の王になるのは私だと思っておりました。ところが形勢は逆転し、すべて弟のものとなりました。そうなることを、主が望んでおられたからです。 + そこで今、ほんのちょっとしたことをお願いしたいのです。どうか、お聞き届けください。」「それはまた、どんな願いですか。」 + 「どうか、ソロモン王にお願いしてください。あなた様のお口添えがあれば、王はかなえてくださるはずです。実は、シュネムの女アビシャグを妻に欲しいのです。」 + 「わかりました。お願いしてみましょう。」 + そこでバテ‧シェバは、ソロモン王に頼みに出かけました。王は彼女が入って行くと、王座から立ち上がり、深く一礼しました。それから、自分の右に席を設けるように命じ、彼女をそこに座らせました。 + 「小さなお願いがあります。ぜひ、聞き届けてください。」「母上、どんなことでしょう。何なりと伺いましょう。」 + 「あなたの兄アドニヤとアビシャグの結婚を許してほしいのです。」 + 「何ですって? 気がおかしくなられたのですか。アビシャグをアドニヤに与えるとは、王国を与えたも同然ではありませんか。彼は私の兄です。そんなことをしたら、彼は祭司エブヤタルや将軍ヨアブと組んで、私を出し抜くに違いありません。」 + 王は激しく怒り、「反逆を企てたアドニヤをこの日のうちに始末しなかったら、主が私を打ち殺してくださるように。父上の王座を私に与え、約束どおり王国を確立してくださった神にかけて誓う」と言いました。 + そして、王からアドニヤを処刑する役を言いつかったベナヤは、剣でアドニヤを殺しました。 + それから王は、祭司エブヤタルに命じました。「アナトテの実家に帰りなさい。あなたも殺されて当然だが、今は、そうしたくない。父が王位にあった時、あなたはいつも主の箱をかつぎ、父と苦難を共にしてきたからだ。」 + こうして、エブヤタルは祭司職を罷免されました。シロでエリの子孫に下った主の宣告が、このようにして実現したのです。 + ヨアブは、アブシャロムの反乱には加担しませんでしたが、アドニヤの反乱には手を貸したので、彼はアドニヤが殺されたと聞くと主の幕屋に逃げ込み、祭壇の角にしがみつきました。 + 報告を受けた王は、ベナヤにヨアブの処刑を命じました。 + ベナヤは幕屋に入り、「王が、出て来るようにと仰せだ」と声をかけました。ヨアブは、「いやだ。ここで死なせてくれ」と言って応じません。ベナヤは帰って、王に指示を仰ぎました。 + 「では、彼が言うとおりにせよ。祭壇のそばでヨアブを殺し、葬るがよい。こうして、ヨアブの殺人の罪を、私と父の家から取り除くのだ。 + 彼よりりっぱな二人の人物を殺した責任は、すべて彼にある。父上は、イスラエルの将軍アブネルと、ユダの将軍アマサの死には、全くかかわりがなかった。 + ヨアブとその子孫は、この殺人の罪を永久に負わなければならない。どうか主が、ダビデとその子孫には、この二人の死についていっさい責任がないことを明らかにしてくださるように。」 + ベナヤは幕屋に引き返してヨアブを打ち殺し、荒野にある彼の家の近くに葬りました。 + 王はベナヤを軍の司令官に任命し、また、ツァドクをエブヤタルに代わる祭司としました。 + さらに、シムイを呼び寄せて、こう申し渡しました。「このエルサレムに家を建てて住み、町の外へは一歩も出てはならない。町を出てキデロン川を渡ったら、いのちはないものと思いなさい。それでおまえが死んでも、責任は負わない。」 + 「よくわかりました。おっしゃるとおりにいたします。」シムイは、言われたとおりエルサレムに住みつきました。 + ところが、それから三年後、シムイの奴隷が二人、ガテの王アキシュのもとへ逃亡したのです。そのことを聞くと、 + シムイはすぐろばに鞍をつけ、アキシュ王に会おうとガテへ向かいました。奴隷は見つかり、エルサレムへ連れ戻されました。 + シムイがエルサレムを離れてガテに行き、また戻って来たことは、ソロモン王の耳にも入りました。 + そこで、すぐにシムイを呼び出し、問いただしました。「主にかけて、エルサレムを離れるな、さもないと死ぬことになると言っておいたはずだ。あの時おまえは、『よくわかりました。そのとおりにいたします』と答えた。 + それなのに、なぜ命令に背いたのだ。 + 私の父にどんな悪事を働いたか、間違っても忘れてはいないはずだ。主がおまえに復讐してくださるように。 + そして、この私を祝福し、ダビデの子孫をいつまでもこの王座につけてくださるように。」 + ベナヤは王の命令で、シムイを連れ出して打ち殺しました。こうして、ソロモンの支配は揺るぎないものとなっていったのです。 + + + ソロモン王はエジプトの王(ファラオ)と同盟を結び、ファラオの娘と結婚しました。彼女をエルサレムに連れて来て、宮殿と神殿と町の城壁を建て終わるまで、ダビデの町に住まわせました。 + そのころ、まだ神殿がなかったので、イスラエルの民は高台の祭壇でいけにえをささげていました。 + ソロモンは主を愛し、父ダビデの教えすべてに従っていましたが、一つだけ例外は、高台でいけにえをささげ、香をたいていることでした。 + ギブオンの丘の祭壇が最も有名で、王はそこへ出かけ、一千頭もの焼き尽くすいけにえをささげました。 + するとその夜、神が夢のうちに現れ、「何なりと望むものを求めよ。そうすれば与えよう」と、ソロモンに語りました。 + ソロモンは答えました。「あなたは父に、とてもよくしてくださいました。それと申しますのも、父が正直で、いつも主に忠誠を尽くし、心からご命令にお従いしたからです。あなたはまた、王位を継ぐ子を授けるという祝福を父にお与えになりました。 + わが神、主よ。あなたは父に代わって、この私を王としてくださいました。ところが、私は右も左もわきまえない、小さな子どもと同じです。 + しかも、あなたが自らお選びになった民の指導者として立てられました。この民はあまりにも多くて、とても数えきれません。 + どうか、民を正しく治め、善悪をはっきり見分けるために、すぐれた判断力と聞き分ける心とをお与えください。いったいだれが、自分の力でこれほどの重い責任を果たせるでしょう。」 + ソロモンが知恵を願い求めたので、主はことのほか喜びました。 + そこで、こう答えました。「あなたは民を正しく治める知恵を求め、長生きすることや財産、または敵に勝つことを願わなかった。 + したがって、望んだものを与えよう。しかも、ずば抜けた知恵を。 + また、望まなかった財産と名誉も与えよう。あなたが生きている間、財産と名声であなたにかなう者はだれもいないだろう。 + それだけでなく、あなたの父ダビデのようにわたしのおきてを守り、わたしに従うなら、末長く生かそう。」 + ソロモンは、ここではっと目が覚めました。なんと、それは夢だったのです。ソロモンはエルサレムに帰ると、さっそく幕屋に入って契約の箱の前に立ち、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。そしてすべての家臣たちを招き、盛大な祝宴を開いたのです。 + それからしばらくして、二人の遊女がもめ事を解決してもらおうと、王のところへやって来ました。 + 一人がこう訴えました。「王様、私たちは二人で同じ屋根の下に暮らしています。最近、私は子どもを産みました。三日後に、この女も産みました。 + ところが夜中に、この女の子どもは死んだのです。寝ているうちに、この女が自分の子どもの上になり窒息させたのです。 + するとこの女は、私の子を取って自分のそばに寝かせ、死んだ子を私の腕に抱かせたのです。 + 朝、お乳を飲ませようとすると、子どもが死んでいるではありませんか! しかも、明るくなってからよく見ると、私の子ではないのです。」 + もう一人の女が口をはさみました。「うそよ。死んだのは、間違いなくこの女の子どもで、生きているのが私の子です。」「違うわ。死んだ赤ちゃんがあんたので、生きているのが私の子よ。」先の女も、負けずに言い返します。こうして二人は王の前で言い争いました。 + そこで、王が中に入りました。「おまえたちは二人とも、生きているのが自分の子で、死んだのは相手の子だと言い張っている。 + だれか、刀を持って来なさい。」刀を受け取った王は、こう言いました。「生きている赤ん坊を真っ二つにして、半分ずつ分けてやりなさい。」 + すると、その赤ん坊のほんとうの母親は、その子を愛していたので、大声で叫びました。「王様、おやめください! だったら、いっそその子をあの女にやってください。どうか、殺さないでください!」ところがもう一人は、平気な顔で言い放ちました。「けっこうよ。真っ二つにでも何でもして、私のものでも、この女のものでもないようにしてください。」 + これを聞いた王は言いました。「その子を、殺さないでくれと言った女に渡しなさい。その女こそ、ほんとうの母親だ。」 + 王のこの裁きのことは、たちまち国中に知れ渡るところとなりました。民はみな、神がソロモンにすばらしい知恵を与えたことを知って、王を畏れ敬うようになりました。 + + + 以下は、ソロモン王の閣僚名簿です。ツァドクの子アザルヤは祭司。シシャの子のエリホレフとアヒヤは書記。アヒルデの子ヨシャパテは記録作成と古文書保管の長官。エホヤダの子ベナヤは軍の最高司令官。ツァドクとエブヤタルは祭司。ナタンの子アザルヤは国務長官。ナタンの子ザブデは宮廷付き祭司で、王の相談役。アヒシャルは宮内長官。アブダの子アドニラムは労務長官。 + そのほか、ソロモンの宮廷には、各部族から一人ずつ選ばれた十二人の行政官がいて、各人が一年に一か月ずつ、王家のために交替で食糧の調達に当たりました。 + その十二人の名は次のとおりです。エフライムの山地を受け持つのはベン‧フル。マカツ、シャアルビム、ベテ‧シェメシュ、エロン‧ベテ‧ハナンを受け持つベン‧デケル。ソコとヘフェルの全地とを含むアルボテを受け持つベン‧ヘセデ。ソロモン王の娘タファテの夫で、ドルの高地を受け持つベン‧アビナダブ。タナク、メギド、イズレエルの下手にあるツァレタンに近いベテ‧シェアンの全土、ベテ‧シェアンからアベル‧メホラを越えてヨクモアムまでの全地域を受け持つ、アヒルデの子のバアナ。ギルアデにある、マナセの子ヤイルの村落を含むラモテ‧ギルアデと、青銅の門のある城壁に囲まれた六十の町を含むバシャンのアルゴブ地方を受け持つベン‧ゲベル。マハナイムを受け持つイドの子アヒナダブ。これもソロモン王の娘バセマテの夫で、ナフタリを受け持つアヒマアツ。アシェルとベアロテを受け持つフシャイの子バアナ。イッサカルを受け持つパルアハの子ヨシャパテ。ベニヤミンを受け持つエラの子シムイ。エモリ人のシホン王とバシャンのオグ王との領地を含む、ギルアデを受け持つ、ウリの子ゲベル。この上に長官がいて、彼らとその働きを監督していました。 + そのころ、イスラエルとユダは人口も増え、裕福な国となっていました。 + ソロモン王は、ユーフラテス川からペリシテ人の地、さらにエジプトの国境までの地を支配していました。そこに住む人々は、ソロモン王に貢ぎ物を納め、王が生きている間ずっと服従しました。 + 王宮の一日分の食糧は、小麦粉三十コル(六千九百リットル)、大麦粉六十コル(一万三千八百リットル)、 + 牛舎で太らせた牛十頭、放牧地で太らせた牛二十頭、羊百頭でした。そのほか、時に応じて、雄鹿、かもしか、子鹿、肥えた鳥などが調理されました。 + ソロモン王の支配は、ティフサフからガザに至る、ユーフラテス川の西の国々全部に及びました。しかも、この地方全体が平和でした。 + 王の治世中、ユダとイスラエルの全国民は平和に暮らし、どの家庭も庭つきの家に住みました。 + 王は、戦車を引く馬四万頭と、騎兵一万二千人を手に入れました。 + 毎月、行政官たちは、王や宮廷用の食糧、 + 王室の馬用の大麦とわらを用意しました。 + 神はソロモン王に、豊かな知恵と理解力、さらに、どんなことにも興味を示す心をお与えになりました。 + 事実、王の知恵は、どんな学者よりもまさっていたのです。 + 王は、昔から知られるどんな知者よりも知恵があったので、その名声は周囲のすべての国々に広がりました。 + 王は三千の格言と、一千五首の歌を作りました。 + また、動物、鳥、蛇、魚ばかりか、レバノン杉から石垣の割れ目に生えるヒソプに至るまで植物に通じる博学者でした。 + そのため多くの国々の王が、ソロモン王の助言を聞こうと使者を送って来ました。 + + + ツロの王ヒラムは、かねてから大のダビデ支持者でした。それで、ダビデの子ソロモンがイスラエルの新しい王になったと聞くと、さっそく祝いの使者をソロモンのもとに送りました。 + ソロモン王は答礼の使者を送り、自分が建てたいと願っている神殿についての計画を打ち明けました。ソロモンは、父ダビデが打ち続く戦争のため神殿を建てることができず、主が平和を与えるのをひたすら待ち望んでいた、とヒラム王に説明しました。 + そして、こう頼みました。「ようやく今、私の神、主は、イスラエル全土に平和をお与えになりました。もう国内にも国外にも敵はいません。 + ですから、主のために神殿を建てる計画を進めています。主が父に告げたとおりにしなければならないからです。主は父に、『わたしが王座につかせるあなたの子が、わたしのために神殿を建てる』と告げたのです。 + どうか、この計画に力を貸してください。木こりを送り、レバノンの山から杉を切り出させてください。私からも人を送り、いっしょに働かせましょう。そちらの人たちには、お望みどおりの賃金を払います。ご存じのように、イスラエルには、あなたの国のように腕ききの木こりがいないのです。」 + ヒラム王はその申し出を受けて、非常に喜びました。「あのダビデ王に、おびただしいイスラエル民族を治める、知恵に満ちた息子を授けられた主は、ほんとうにすばらしい!」 + そして、快く承知する旨をソロモンに伝えました。「よくわかりました。材木のことならお任せください。レバノン杉でも糸杉でも、ご用立ていたします。 + 私どもで、レバノンの山から切り出した丸太を地中海まで運び、それをいかだに組み、海岸づたいにご指定の場所まで運ぶようにします。それからいかだを解き、材木をお渡ししましょう。代金は食糧で払ってください。」 + こうしてヒラム王は、ソロモン王のために、レバノン杉と糸杉の木材を必要なだけ用立てました。 + その返礼に、ソロモンはヒラムに宮廷用の食糧として、毎年、小麦二万コル(四百六十万リットル)、上質のオリーブ油二十コル(四千六百リットル)を送りました。 + このように、主は約束どおりソロモンにすぐれた知恵を与え、ヒラムとソロモンの間には平和協定が結ばれました。 + ソロモンはイスラエル中から三万人の労働者を集め、 + 一万人ずつ、一か月交替でレバノンへ行かせたので、彼らは三か月のうち一か月はレバノンに、二か月は家にいることになりました。この仕事の監督に当たったのは労務長官アドニラムでした。 + ソロモンはさらに、荷を運ぶ者七万人と、山で石を切り出す者八万人を集めました。 + 現場監督の数は三千三百人に上りました。 + 石工たちは、ソロモンの命で、神殿の土台用の大きく高価な石を切り出しました。 + ゲバルから来た人々は、ソロモンとヒラムの送った建築技師を助けて、材木から板を作ったり、神殿用の石材を用意したりしました。 + + + ソロモン王が神殿の建設にかかったのは、即位後四年目の春のことでした。イスラエルの民が奴隷となっていたエジプトを出てから四百八十年後のことです。 + 神殿は、長さ六十キュビト(二十六‧四メートル)、幅二十キュビト(八‧八メートル)、高さ三十キュビト(十三‧二メートル)。 + 正面の玄関は、幅二十キュビト、長さ十キュビトで、 + 全体に小さな窓が取りつけてありました。 + 神殿の壁の周囲には脇屋が作られました。 + この脇屋は三階建てで、一階の幅は五キュビト、二階は幅六キュビト、三階は幅七キュビトありました。神殿の壁の外側に段を作り、その上にはりを置いて、脇屋と神殿をつなぎました。こうして、はりを神殿の壁に差し込まないようにしたのです。 + 神殿を建てるのに使った石は、石切り場で仕上げたものばかりでした。そのため、建築現場では、工事中も槌や斧、そのほかの道具を使う音はいっさい聞こえませんでした。 + 脇屋の一階に通じる入口は、神殿の右側にありました。二階に上るらせん階段があり、さらに、二階から三階に上るようになっていました。 + 神殿の完成が近づくと、王は、はりや柱はもちろんのこと、内部を杉材で覆って仕上げました。 + 先ほど説明したように、神殿の両側に脇屋がありましたが、それは杉材で神殿の壁に固定してありました。脇屋の各階の高さは五キュビトでした。 + 主は建築中の神殿について、次のようにソロモンに語りました。「わたしが言うとおりにし、わたしの命令を忠実に守るなら、あなたの父ダビデに約束したことを実行しよう。 + わたしはイスラエルの民とともに住み、決して彼らを捨てない。」 + そしてついに、ソロモンは神殿を完成しました。 + 神殿の内部は床から天井まで、レバノン杉の板を張り巡らし、床には糸杉の厚板を使いました。 + 神殿の一番奥にある長さ二十キュビトの部屋は「至聖所」と呼ばれます。至聖所も、床から天井までレバノン杉の板を張り巡らしました。 + 神殿の前の部分、すなわち前庭の長さは四十キュビト。 + 内部の石壁は全部、ひょうたん柄と花模様が浮き彫りにしてある、レバノン杉の板で覆いました。 + 奥の至聖所には、契約の箱を置きました。 + 至聖所は長さ二十キュビト、幅二十キュビト、高さ二十キュビトで、壁と天井に純金をかぶせました。至聖所の祭壇もレバノン杉で作り、その祭壇も含め、神殿内部の残りの部分もみな純金をかぶせました。また、至聖所の入口を守るために、金の鎖を渡しました。 + 至聖所の中に、オリーブ材で作った二つのケルビムの像(天使を象徴する)を置きました。像の高さは十キュビトで、外側に広げた翼はそれぞれ一方の壁に届き、内側に広げた翼は、至聖所の真ん中で触れ合うようになっていました。それぞれの翼は五キュビト。どちらのケルビムも、一方の翼の先からもう一方の翼の先まで十キュビトありました。像はどちらも同じ寸法、同じ形で、共に純金をかぶせてありました。 + 至聖所もその手前の聖所も、壁にはケルビムの像、なつめやしの木、それに花模様が彫られていました。 + 至聖所も聖所も床は全部金で覆いました。 + 至聖所に通じる入口には、正五角形の柱を使いました。 + 二枚の扉はオリーブ材でできていて、その上にケルビム、なつめやしの木、花模様を浮き彫りにし、金を張りました。 + それから神殿の入口にも、オリーブ材で四角形の柱を作りました。 + 糸杉材の二枚の折り戸がついていて、どちらも蝶つがいがついていて折りたためるようになっていました。 + その表面にはケルビム、なつめやしの木、それに花模様が浮き彫りになっていて、入念に金が張ってありました。 + 内庭を囲む塀は、切り石を三段重ねた上に、レバノン杉の角材が一段重ねてありました。 + 神殿の土台がすえられたのは、ソロモン王の即位後四年目の五月で、 + 建て終わったのは、即位後十一年目の十一月でした。完成まで七年かかったことになります。 + + + それからソロモン王は、十三年かかって宮殿を完成させました。 + 宮殿の一室に「レバノンの森の間」と呼ばれる、長さ百キュビト(四十四メートル)、幅五十キュビト(二十二メートル)、高さ三十キュビト(十三‧二メートル)の大広間がありました。天井には大きなレバノン杉のはりが、四列の杉材の柱の上に渡してありました。 + 三方の壁には、一列に五つずつ三列からなる計四十五の窓がありました。 + どの扉も枠も、四角形の木でできていました。 + ほかに「柱の間」と呼ばれる、長さ五十キュビト、幅三十キュビトの部屋がありました。その部屋には、ひさしのついた玄関がありました。 + それから、王が訴訟を聞くための、「玉座の間」とも「裁きの間」とも呼ばれる部屋がありました。ここは、床から天井まで、部屋全体を杉材で張り巡らしてありました。 + この部屋のうしろにある庭を取り囲むようにして、同じく杉材を張り巡らした、王の住まいがありました。またソロモンは、妻としたエジプト王の娘のために、自分のと同じ大きさの住まいを、宮殿の中に建てました。 + 建物はすべて寸法どおりに切りそろえられた、大きく高価な石で造られました。 + 土台の石は八キュビトから十キュビトもありました。 + 塀に使った大きな石も寸法どおりに切られ、その上にレバノン杉の角材を重ねました。 + 大庭の周囲の塀にも、三段の大きな切り石を使い、神殿の内庭や玄関のように、その上にレバノン杉の角材を重ねました。 + ソロモンは、ヒラムという青銅細工の熟練工をツロから呼び寄せました。 + 彼の父親はツロの鋳造師でしたが、母親がナフタリ族の未亡人だったので、ユダヤ人の血が半分混じっていたのです。このヒラムが、王が求めるあらゆる仕事を行いました。 + 彼は、高さ十八キュビト、周囲十二キュビトで、中が空洞の二本の青銅の柱を鋳造しました。 + 柱の上に、青銅で鋳造した柱頭が載せられました。それはゆりの花の形をしていて、二つとも高さ五キュビトでした。その柱頭は、青銅の鎖で編んだ七組の格子細工の網と、網の上を二段に取り巻く四百個の青銅のざくろで飾られていました。ヒラムはこの二本の柱を、神殿の入口に立てました。右側の柱はヤキン(「設立する」の意)、左側の柱はボアズ(「力とともに」の意)という名をつけました。 + 次にヒラムは、高さ十キュビト、直径五キュビト、円周三十キュビトという青銅の大洗盤を鋳造しました。 + その縁の下には、回りを取り巻くように、一キュビト(四十四センチメートル)おきに二列の飾り模様がありました。洗盤を鋳造した時に鋳込んだものです。 + この大洗盤は、三頭ずつ組になって、それぞれ後部を内側にして東西南北を向いた、十二頭の青銅の牛の上に載せられていました。 + 洗盤の縁は杯の縁のような形をしていて、厚さは一手幅(七‧五センチメートル)あり、容量は二千バテ(約四十六キロリットル)でした。 + 彼はまた、四個の車輪で移動できる、十六平方メートル、高さ三キュビトの台を十個作りました。それぞれには、正方形の板が枠にはめこまれた台があり、その板の上にライオン、牛、ケルビムの飾りが彫ってあります。ライオンと牛の上下にある枠の表面は花模様で飾ってあります。どの台にも四個の青銅の車輪と青銅の軸がついていて、台の四隅には表面を花模様で飾った、四本の支柱が立っています。 + この台の上に、口の丸い洗盤が一キュビト出ています。洗盤の深さは一キュビト半で、花模様細工があしらってあります。枠の鏡板は正方形で、円形ではありません。 + 台には四個の車輪が取りつけてありますが、車輪はどれも高さ一キュビト半で、それぞれ軸にはめてあります。 + 車輪は戦車の車輪と同じ作りで、車軸や台の部品はみな、青銅で鋳造されていました。 + 台の四隅にはそれぞれ支柱があり、四本とも台に固定されていました。 + 台の先端を高さ半キュビトの丸い帯輪が取り巻いていて、帯輪は台の取っ手に固定されていました。このように、全部の部品が台に固定されていました。 + 帯輪の縁には、ケルビム、ライオン、なつめやしの木が花模様に囲まれて彫られていました。 + 全部で十個の台は、どれも同じ鋳型で、同じ大きさ、同じ形に作られました。 + それから、青銅の洗盤を十個作り、台の上に置きました。どの洗盤も直径は四キュビトで、容積は四十バテ(九百二十リットル)ありました。 + 五個の洗盤は神殿の右側に、他の五個は左側に置きました。また大洗盤は、神殿の右手に当たる東南の隅に置きました。 + さらにヒラムは、灰つぼと十能と鉢を作りました。こうして彼は、神殿のためにソロモン王が注文したすべての仕事を完成したのです。 + ヒラムが作ったものを書き出してみましょう。二本の柱――二本の柱の頂に載せる柱頭。柱頭を覆う格子網――格子網に二段に並べられた四百個のざくろ。洗盤と、それを載せて移動できる台、おのおの十個。大洗盤と、それを支える十二頭の牛。灰つぼ。十能。鉢。これらのものはみな青銅製で、スコテとツァレタンとの間のヨルダン川の低地で鋳造されました。 + 総重量は、あまりにも重いため、ついに量らずじまいでした。 + 神殿で使う器具や調度はみな、純金で作りました。その中には、祭壇、供えのパンを載せる机、 + 至聖所に向かい右側に五つ、左側に五つの燭台、花模様、ともしび皿、火ばし、 + 杯、芯切りばさみ、鉢、さじ、火皿、至聖所に通じる扉の蝶つがい、神殿の入口の扉の蝶つがいがありました。以上はみな純金製です。 + 神殿の工事が完成した時、ソロモン王は神殿の宝物倉に、父ダビデが主にささげるために取っておいた金、銀、そのほか各種の器具を納めました。 + + + ソロモン王は、イスラエルの部族や氏族の長をみなエルサレムに集めました。契約の箱を、ダビデの町シオンにある幕屋から、神殿に運び入れるためでした。 + この祝典が挙行されたのは十月の仮庵の祭りの時で、 + 祭りの間に、祭司たちは契約の箱と、それまで幕屋に置いてあった神聖な器具をすべて神殿に運び入れました。 + 王とイスラエル国民は契約の箱の前に集まり、数えきれないほどの羊や牛をいけにえとしてささげました。 + それから祭司たちは、契約の箱を神殿の奥の至聖所に運び、ケルビムの翼の下に安置しました。 + ケルビムの像は、翼が箱の上に来るように設計されていたので、その翼は箱とかつぎ棒を覆いました。 + かつぎ棒は長く、先がケルビムの横から突き出ているので、前方の聖所からも見えましたが、外庭からは見えませんでした。現在もそのままです。 + 箱の中には、二枚の石板しか入っていませんでした。その石板は、主がエジプトを出たイスラエルの民とホレブ山(シナイ山)で契約を結ばれた時、モーセが納めたものです。 + 祭司たちが至聖所から出て来ると、雲が神殿に満ちました。 + 主の栄光が神殿に満ちあふれたので、祭司たちは外に出なければなりませんでした。 + その時、ソロモン王はこう祈りました。「主は、暗闇の中に住むとお語りになりました。そこで主よ。私はあなたの永遠のお住まいとして、地上に美しい家を建てました。」 + それから、振り向いて民を祝福しました。 + 「イスラエルの神、主をほめたたえよう。主は、今日このように、父ダビデに約束なさったことを成し遂げてくださった。 + 主は父にこうお語りになった。『わたしは民をエジプトから連れ出した時からこれまで、神殿を建てる場所を選ぶことはしなかったが、わたしの民の指導者となる一人の者を選んだ。』 + それが、父ダビデだ。父は、イスラエルの神、主のために神殿を建てたかった。 + しかし主はそれをお許しにならず、『あなたの志はうれしい。 + だが、わたしの神殿を建てるのはあなたの息子だ』と言われた。 + 主は今、お約束を果たしてくださった。私はイスラエルの王として父の跡を継ぎ、こうして、主のために神殿を建て上げることができた。 + そして、主がエジプトを出た私たちの先祖と結ばれた契約を納めた箱を、神殿の中に置く場所を用意した。」 + 王は、人々が見守る中で祭壇の前に立ち、両手を天に差し伸べて祈りました。「ああ、イスラエルの神、主。天にも地にも、あなたのようなお方はありません。あなたは、心からお従いしようとする民を愛し、約束を守ってくださるからです。 + 今日このとおり、あなたのしもべである父ダビデへの約束を実現してくださいました。 + イスラエルの神、主よ。どうか、父ダビデとの約束をこれからも果たしてください。父の子孫が、父と同じようにお従いし、主の言われるとおりにするなら、その中の一人がいつもイスラエルの王位につくようにしてください。 + イスラエルの神よ! どうか、この約束もまた果たしてください。 + それにしても、神様ははたしてこの地上にお住みになるでしょうか。大空も天も、あなたをお入れすることはできません。まして、私が建てたこの神殿などなおのことです。 + けれども、どうか、このしもべの願いをお聞き届けください。 + 確かに住むと約束なさったこの場所を、昼も夜も見守ってください。そして、私がこの神殿に向かって祈る時、昼であっても夜であっても、祈りを聞き、それに答えてください。 + イスラエルの民が、この場所に向かって祈る時、いつでも願いを聞き届けてください。あなたがお住まいになる天で、その願いを聞き、彼らの罪を赦してください。 + だれかが何か悪いことをして訴えられた時、この神殿の祭壇の前に立ち、自分はそのようなことはしなかったと誓うなら、 + 天でその訴えを聞き、正しくさばいてください。 + イスラエルの民が罪を犯したため敵に負かされたとき、もし彼らが反省し、もう一度あなたをあがめるなら、天で彼らの願いを聞き、その罪を赦してください。そして、先祖にお与えになった地に、彼らを連れ帰してください。 + 彼らの罪が原因で雨が降らないとき、彼らがこの場所に向かって祈り、あなたをあがめるなら、天でその願いを聞き、彼らを赦してください。また、罰を下したあと、正しい道に彼らを引き戻し、あなたがお与えになった地に雨を降らせてください。 + 農作物の立ち枯れや、いなごや油虫の発生によってききんが起こったり、敵が攻めて来たり、また疫病や災害に襲われたり、そのほか、どんな問題が起こった時でも、 + もし民が罪を悟り、この神殿に向かって祈るなら、 + 天で彼らの祈りを聞き、正直に罪を告白した人々を赦し、願いをかなえてください。あなたは、一人一人の心のうちを知っておられるからです。 + そうすれば、あなたが私たちの先祖にお与えになった地に生きている限り、彼らはいつもあなたを信じ、お従いするようになるでしょう。 + それから、外国人があなたのすばらしさを聞き、遠い地からはるばる礼拝に来て、この神殿に向かって祈るなら、 + 天で彼らの祈りを聞き、願いをかなえてください。そうすれば、世界中の人が、あなたの民イスラエルと同じようにあなたの御名を知り、信じてお従いするようになるでしょう。こうして全世界は、これがあなたの神殿であることを知るでしょう。 + イスラエルの民があなたの命で戦いに遣わされるとき、あなたがお選びになった町エルサレム、私があなたのために建てたこの神殿に向かって祈るなら、 + 天で彼らの祈りを聞き、彼らを助けてください。 + 罪を犯さない人間などいませんから、あなたに罪を犯し、あなたのお怒りをこうむって、外国に捕虜として連れて行かれることもあるでしょう。 + そのようなとき、『私たちが悪かった』と反省して、 + 心からあなたに立ち返り、あなたが先祖にお与えになった地、あなたがお選びになったエルサレムの町、私が御名のために建てたこの神殿に向かって祈るなら、 + お住まいである天で彼らの祈りと願いとを聞き、助けの手を差し伸べてください。 + あなたの民の悪事をみな赦し、彼らを捕らえた者にあわれみの心を起こさせてください。 + 彼らは、あなたがエジプトから連れ出された大切な民だからです。 + どうか、御目を開き、御耳を傾けて、彼らの願いを聞き届けてください。ああ主よ。彼らが祈り求める時、いつも願い事をかなえてください。 + あなたが私たちの先祖をエジプトから連れ出された時、しもべモーセにお告げになったとおり、全世界の民の中からイスラエルを選び出し、特別な民としてくださったからです。」 + ソロモンは両手を天に伸ばしたまま、ひざまずいて祈っていました。祈り終えると、祭壇の前から立ち上がり、全会衆を大声で祝福しました。 + 「イスラエルの主をほめたたえます。主は約束どおり、ご自分の民イスラエルに安息をお与えになりました。しもべモーセによって示された、すばらしい約束のすべてが、一つもたがわず実現したのです。 + どうか、主が先祖たちとともにおられたように、私たちをも見捨てず、共にいてくださいますように。 + 私たちがすべてのことで主をお喜ばせし、先祖たちにお与えになった教えをみな守ろうという願いを起こさせてください。 + この祈りを、いつも覚えていてください。こうして、毎日、何かあるたびに、私とイスラエルの全国民を助けてくださいますように。 + 世界中の国々が、あなたのほかに神はいないことを知るためです。 + 私の民よ。あなたがたは主の前で、正しく、きよい生活を送らなければなりません。今日のように、いつも主の教えを守らなければなりません。」 + それから王と民は、主の前にいけにえをささげました。この時ささげた和解のいけにえは、なんと牛二万二千頭、羊とやぎ十二万頭にものぼりました。 + その日、臨時の計らいとして、王は神殿の前の庭をきよめ、そこで焼き尽くすいけにえと、穀物の供え物、それに和解のいけにえの脂肪をささげました。青銅の祭壇は、おびただしいいけにえを載せるには小さすぎたからです。 + こうして、祝典は十四日間続き、イスラエル中から人々が集まりました。 + 祭りのあと、王は人々を家に帰しました。民はみな、主がしもべダビデとその民イスラエルにお示しになった多くの恵みを喜び、王に祝福のことばを述べて、それぞれの天幕に帰って行きました。 + + + ソロモン王が神殿と宮殿、それに前々から建てたいと望んでいた建物をすべて完成させた時、 + かつてギブオンで現れた主が、再びソロモンに現れて語りました。「わたしはあなたの祈りを聞いた。あなたの建てたこの神殿をいつまでもわたしのものとしよう。いつも喜んでここを見守っていよう。 + 父ダビデのように、あなたもわたしの前で誠実で、いつもわたしの命じることを守るなら、 + 父ダビデに、『あなたの子孫が、いつもイスラエルの王座につくようにする』と約束したとおり、あなたの子孫を永遠にイスラエルの王座につかせよう。 + しかし、もしあなたか、あなたの子孫がわたしに背き、わたしのおきてを捨ててほかの神々を拝むなら、 + イスラエルの民を、彼らに与えた地から追い払う。また、わたしにささげられた神殿を投げ捨てる。イスラエルは、すべての国々の物笑いとなり、見せしめとなるだろう。 + この神殿も廃墟と化し、そばを通る者はみな驚いてささやき、『なぜ主は、この地と神殿とをこのようにされたのだろう』と聞くだろう。 + その時人々は、『イスラエルの民は、エジプトから連れ出していただいた神を捨て、ほかの神々を拝むようになった。だから神はこのような災いを下されたのだ』と言うだろう。」 + 二十年がかりで、神殿と宮殿を建て終えたソロモン王は、 + ツロの王ヒラムに、ガリラヤにある二十の町を与えました。ヒラムが建築用のレバノン杉と糸杉の材木や金を提供してくれたお返しでした。ところが、ヒラムは町々を視察して、それが気に入らなかったので、 + 「いったい何ですか。これでは、まるっきり荒れ地ではないか」と言いました。それで今も、その町々は「カブルの地」(「荒れ果てた地」の意)と呼ばれています。 + ヒラムはソロモンに、実に百二十タラント(四トン)の金を贈っていたからです。 + ソロモン王は労働者を集めて、神殿と宮殿のほかにも、ミロの要塞、エルサレムの城壁、ハツォルとメギドとゲゼルの町々を造りました。 + ゲゼルは、以前エジプトの王が攻め取って焼き払い、そこに住むカナン人を殺した町ですが、のちに、ソロモンの妻となった自分の娘に結婚の贈り物として与えていました。 + そこでソロモンは、下ベテ‧ホロン、バアラテ、荒野の町タデモルとともに、このゲゼルを再建したのです。 + 王はまた、穀物倉庫の町を建て、戦車隊や騎兵隊の駐留する町、それに別荘の町をエルサレム近郊やレバノン山麓、その他の地に造りました。 + ソロモン王は、エモリ人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人など、征服した国々の生き残った者を奴隷として用いました。イスラエル人がこれらの国を征服した時、完全に滅ぼすことができずに生き残った者たちです。 + しかし、イスラエル人を奴隷にはしませんでした。イスラエル人は、兵士、役人、将校、戦車隊と騎兵隊の長にしました。 + また、奴隷を監督するイスラエル人が五百五十人いました。 + ソロモン王は、ファラオの娘をエルサレムの旧市内に当たるダビデの町から、宮殿の中に建てた建物に移した時、ミロの要塞を造りました。 + 神殿が完成してから、王は年に三度、祭壇に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげ、そこで香をたきました。 + またソロモン王は、エドムの地の、紅海に面したエラテに近いエツヨン‧ゲベルに造船所を造り、そこで船団を組みました。 + ヒラム王はこの船団の乗組員を補強するため、熟練した水夫を差し向けました。彼らはオフィルとの間を往復し、四百二十タラント(約十四トン)もの金を、ソロモン王のもとへ運んだのです。 + + + シェバの女王は、ソロモン王が主にすばらしい知恵を授かった人物との名声を聞き、難問をもって彼を試そうと思いました。 + 女王は、大ぜいの供を率い、香料や金や宝石を積んだ長いらくだの列を従えてエルサレムにやって来て、王を次々と質問攻めにしました。 + 王はすべての質問に答え、神が正しい答えを下さっていたので、答えられない問題は一つもありませんでした。 + 女王は、ソロモン王のすぐれた知恵について聞いていたことすべてが事実であると知るのです。また、王が建てた美しい宮殿、 + 食卓に並んだ山海の珍味、そろいの服装で仕えている大ぜいの家臣や従者、酌をする者、さらに、主にささげられた多くのいけにえを見て、息も止まるばかりでした。 + 女王はため息まじりに言いました。「あなたの知恵と、手がけられた事業について聞いていたことは、すべてほんとうでした。 + ここにまいりますまでは、まさかと思っておりましたが、はっきりこの目で確かめることができました。私は、実際の半分も知らされていなかったようです。あなたの知恵と、お国の繁栄ぶりは、聞きしにまさっておりました。 + 国民は幸せで、宮廷のご家来方は、さぞご満足のことでしょう。いつでもおそばで、あなたのすばらしい知恵のおことばが聞けるのですから。 + あなたを選び、イスラエルの王位につけてくださった主がほめたたえられますように! あなたのようなお方を王になさった主は、どれほどイスラエルを愛しておられることでしょう。それであなたは、国民のために善政を敷いておられるのです。」 + 女王は、百二十タラントの金と、非常に多くの香料と宝石を王に贈りました。ソロモン王は、一度でこれほどたくさんの香料を受け取ったことは、今までにありませんでした。 + ヒラム王の船もオフィルから、金だけでなく、おびただしい量のびゃくだんの木材と宝石を運んで来ました。 + ソロモン王はびゃくだん材で神殿と宮殿の柱を作り、また、合唱隊のために竪琴や十弦の琴を作りました。こんなりっぱな木材が大量に手に入ったことはかつてありませんでした。 + シェバの女王からの贈り物と引き替えに、ソロモン王は、あらかじめ用意しておいた贈り物のほかに、女王が求めた物は何でも惜しみなく与えました。すっかり気をよくした女王は、家来を従えて自分の国へ帰って行きました。 + 毎年、ソロモン王は六百六十六の金を手に入れました。 + そのほか、アラビヤおよびその隣接地域からの貿易で得た税収や利益も莫大でした。 + 王は、一個につき六百シェケル(六‧九キログラム)の延べ金を使用した大盾二百を作り、一個につき三ミナ(一‧七キログラム)の金を使用した盾を三百作りました。それらは宮殿の「レバノンの森の間」に置かれました。 + 王は純金をかぶせた大きな象牙の王座を作りました。 + 王座には六つの段があり、丸い背とひじかけがついていました。両わきには、一頭ずつライオンが立ち、 + 六つの段の両側にも二頭ずつ、計十二頭のライオンが立っていました。このような王座は、世界のどこにも見られませんでした。 + 王の杯と、「レバノンの森の間」にあった王の食器類はすべて金製でした。当時、銀はそれほど価値のあるものと思われていなかったので使われなかったのです。 + ソロモン王の船団はヒラム王の船団と提携して、三年に一度、多くの金、銀、象牙、猿、くじゃくをイスラエルに運びました。 + ソロモン王の富と知恵に太刀打ちできる王は、世界に一人もいませんでした。 + また、神がソロモンに授けた知恵を聞こうと、各国から有力者が来訪し謁見を求めました。 + 彼らは毎年、銀や金の器、豪華な衣服、没薬、香料、馬、らばなどを携えて来ました。 + ソロモン王は、たくさんの戦車や騎兵を収容する大兵舎を建てました。戦車は全部で千四百台、騎兵は一万二千人いて、戦車の町々やエルサレムの宮殿内に配備されました。 + 王はエルサレムで、銀をただの石ころのように用い、レバノン杉も、どこにもあるいちじく桑の木のように大量に用いました。 + 王の馬は、エジプトや南トルコから、王の代理人が相当の代金を払って買い入れたものです。 + エジプトからエルサレムに運ばれた戦車の代金は、一台につき銀六百シェケルで、馬は一頭につき銀百五十シェケルでした。これらの輸入品の多くは、ヘテ人やシリヤの王たちに、今度は輸出品として売られたのです。 + + + ソロモン王は、エジプトの王女のほかにも多くの女を妻にしました。その多くは偶像を礼拝していたモアブ、アモン、エドム、シドン、およびヘテ出身の女でした。 + 主はかねてからご自分の民に、これらの国々の者と結婚してはならないと、はっきり教えていました。それをすれば、イスラエルの男と結婚した外国の女は、彼らの心を自分たちの神々に向かわせるようになるからです。それなのに、王は外国の女たちと結婚したのです。 + その数、妻が七百人、そばめが三百人で、はたして、彼女たちは王の心を主から離れさせました。 + 特に王の晩年、彼女たちは、王が父ダビデのように完全に主に信頼することを妨げ、自分たちの神々を拝むように仕向けたのです。 + 王はシドン人の女神アシュタロテと、アモン人のあの残酷野蛮な神ミルコムに従いました。 + 王ははっきり悪いとわかっていることを行い、父ダビデのようには、主に従おうとはしていませんでした。 + 王はまた、モアブ人の邪悪な神ケモシュと、アモン人の嫌悪すべき神モレク(ミルコム)のために、エルサレムの東の谷を越えたオリーブ山の上に礼拝所を建てました。 + また外国人の妻たちにも、彼女たちがそれぞれの神々に香をたき、いけにえをささげられるように、多くの礼拝所を建ててやりました。 + それを見て、主は考えを変え、自分から心が離れたソロモン王に怒りを燃やしました。主は二度も彼に現れて、ほかの神々を拝むような罪を犯してはならないと警告したのに、王はもはや主に心を向けなかったのです。 + そこで主は、彼に宣告しました。「あなたはわたしの契約を破り、わたしの教えを捨てたので、あなたとあなたの一族から王国を奪い取って、ほかの者に与えることにする。 + だが、あなたの父ダビデに免じて、あなたが生きている間はそうはしない。あなたの息子の代から王国を取り上げる。しかしダビデのために、また、わたしが選んだ町エルサレムのために、あなたの息子を一つの部族だけの王にしよう。」 + こうして主は、エドム人ハダデが勢力を増すようにしました。ハダデはエドム王家の子孫だったので、ソロモンも神経を使うようになりました。 + かつて、ダビデがヨアブを連れて、戦死したイスラエル兵を葬りにエドムへ行った時、イスラエル軍がエドムの男子をみな打ち殺しにしたことがありました。 + 六か月にわたる虐殺の結果、エドムの男子はほとんど死滅しました。当時、まだほんの子どもだったハダデと、彼を連れてエジプトへ逃げた数人の家来だけが難を免れたのです。彼らはこっそりミデヤンを出てパランへ行き、そこでほかの者と合流し、そろってエジプトへ逃れました。エジプトの王(ファラオ)は、彼らに家と食糧をあてがいました。 + エジプトで、ハダデは王の親友となりました。それで王はハダテに、タフペネス王妃の妹を妻として与えたのです。 + 彼らは息子のゲヌバテをもうけました。ゲヌバテは、宮殿で王子たちといっしょに育ちました。 + ハダデは、エジプトでダビデもヨアブも死んだと聞き、エドムに帰る許可をファラオに求めました。 + ファラオはびっくりし、「なぜ、そんなことを言いだすのだ。何か不満でもあるのか。気に入らないことでもしたか」と聞きました。「違います。ですが、とにかく故国へ帰りたいのです。」 + 神がソロモンの敵対勢力として起こした人物が、ほかにもいます。レゾンです。彼はツォバの王ハダデエゼルの家来でしたが、持ち場を離れ、遠くへ逃げて身を隠していたのです。 + レゾンは、ダビデがツォバを滅ぼした時、いっしょにダマスコへ逃げた兵士たちで略奪隊をつくり、その隊長になりました。のちにレゾンはダマスコの王になり、 + ソロモンの生きている間、レゾンもハダデもイスラエルに敵対しました。二人とも、イスラエルをひどく憎んでいたからです。 + もう一人の反逆の指導者は、ネバテの子で、エフライムの町ツェレダ出身のヤロブアムです。彼の母ツェルアは未亡人でした。 + 彼が反逆するに至った事情はこうです。ソロモンはミロの要塞を再建し、父ダビデが建てたエルサレムの城壁を修復しました。ヤロブアムは非常に有能だったので王に認められ、ヨセフ族から駆り出された労働者の監督になりました。 + ある日、エルサレムを出たヤロブアムは、真新しい服を着た、シロ出身の預言者アヒヤに出会いました。この時、野には彼ら二人しかいませんでした。アヒヤはヤロブアムを呼び寄せ、 + 自分が着ていた新しい服を十二切れに引き裂いて、 + こう言ったのです。「このうち十切れを取りなさい。イスラエルの神、主からあなたへのおことばです。『わたしはソロモンの王国を引き裂き、そのうちの十部族をあなたに与える。 + ただし、わたしのしもべダビデと、イスラエルの町々の中でも特に大切にしているエルサレムのために、ソロモンに一つの部族(ユダとベニヤミン。この二部族は時々一つの部族とみなされた)だけ残す。 + これもみな、ソロモンがわたしを捨てて、シドン人の女神アシュタロテ、モアブ人の神ケモシュ、アモン人の神ミルコムを拝んでいるからだ。彼はわたしに従わず、わたしが正しいと考えていることを行わなかった。わたしの教えを、父ダビデのようには守らなかった。 + とはいえ、今すぐ王国を取り上げはしない。命令をよく守ったわたしの選んだしもべダビデに免じて、ソロモンが生きている間は支配者にしておこう。 + だが、彼の息子からは王国を取り上げ、十部族をあなたのものとする。 + 彼の息子には一部族を与える。そうすることで、わたしの名を記念するためにわたしが選んだ町エルサレムで、ダビデの子孫が王位につくことになる。 + わたしはあなたをイスラエルの王とし、王にふさわしい力を授けよう。 + もし、あなたがわたしの命令を聞き、わたしの道を歩み、わたしが正しいと考えることを行い、わたしのしもべダビデのように命令を守るなら、あなたを祝福しよう。あなたの子孫は、いつまでもイスラエルを治めることになろう。わたしは以前、これと同じ約束をダビデにした。 + だが、ソロモンが罪を犯したので、ダビデの子孫を苦しめる。しかし、永久にそうするわけではない。』」 + ソロモンはヤロブアムを殺そうとしましたが、彼はエジプトの王シシャクのもとへ逃れ、ソロモンが死ぬまでエジプトにいました。 + そのほかの王の言行は、『ソロモンの業績の書』に記されています。 + ソロモンは四十年間、エルサレムで王位にありました。 + 死後は、父ダビデの町に葬られ、彼の子レハブアムが代わって王となりました。 + + + レハブアムがシェケムで即位すると、すべてのイスラエル人が即位を祝うために集まりました。 + ソロモン王を避けてエジプトに逃げていたヤロブアムは、友人たちから計画を聞かされました。彼らはヤロブアムに、即位式に出席するよう勧めたので、彼はシェケムに集まっていたイスラエル人の集団に加わり、レハブアムに要求をつきつける首謀者となりました。ヤロブアムとイスラエル人たちは、レハブアムに言いました。「あなたの父君は、それはひどい主人でした。父君のころより私たちの重労働を軽くし、もっと良い政治をすると約束してください。そうすれば、あなたにお仕えします。」 + 「わかった。三日間、考えさせてくれ。三日したら、また来るがよい。」レハブアムの返事を聞いて、人々は出て行きました。 + レハブアムは、父ソロモンの相談相手であった長老たちに相談しました。「いったい、どうしたものか。」 + 長老たちは答えました。「国民を喜ばせる答えをなさり、負担を軽くしてやることです。彼らに仕える態度をおとりになれば、あなたはいつまでも彼らの王となられましょう。」 + ところが、レハブアムはその答えが気に入りませんでした。そこで、自分とともに育った若者たちを呼んで相談したのです。 + 「どうすべきだろう。」 + すると、若者たちは言いました。「彼らに言ってやればいいのです。『私の父がひどいことをしただと? それなら、私はもっとひどいことをしよう。 + 父は過酷な取り立てをしたが、私はもっと過酷に取り立てる。父はむちで懲らしめたが、私はさそりを使っておまえたちを痛い目に会わせる』と。」 + 三日後にまたやって来たヤロブアムとイスラエル人たちに、 + 新しい王は若者たちが言ったとおり荒々しく答えました。長老たちの助言を無視して、 + 彼らの要求を蹴ったのです。それは、主がそう仕向けたからです。こうなったのは、いつかシロ出身の預言者アヒヤによってヤロブアムに約束されたことが実現するためでした。 + 人々は、王が自分たちの意見を聞き入れないのを知ると、大声で言いました。「もう、ダビデ王家に用はない。さあ、国へ帰ろう。レハブアムは自分の部族だけの王になればよいのだ。」イスラエルの民は、レハブアムを王と認めたユダ族を除いて、全員が彼を見限りました。 + 王はユダ族以外からも労働者を集めようと、監督のアドラムを彼らのもとに派遣しましたが、イスラエル人たちはアドラムに石を投げつけ、打ち殺してしまったのです。それでレハブアム王は、戦車に乗り込み、やっとの思いでエルサレムへ逃げ帰りました。 + こうしてイスラエルは、今に至るまでダビデ王朝に背くことになりました。 + イスラエルの民は、ヤロブアムがエジプトから戻ったことを知ると、国民集会に彼を呼んで、彼を王にしました。ユダ族(ベニヤミン族も含む)だけは、ダビデ王家に仕えました。 + レハブアム王はエルサレムに帰ると、ユダとベニヤミンの部族の体格の良い男子を残らず召集し、十八万の特別攻撃隊を編成しました。その兵力でイスラエルの残りの十部族と戦い、力ずくで自分が王であることを認めさせようとしたのです。 + すると、預言者シェマヤに、次のような神のことばがありました。 + 「ユダの王、ソロモンの子レハブアムと、ユダとベニヤミンの全住民とにこう伝えなさい。兄弟であるイスラエルと戦ってはならない。今回の出来事は、わたしの意にかなっているのだから、解散してめいめいの家に帰るように。」彼らは命じられたとおり、家に帰って行きました。 + 一方ヤロブアムは、エフライムの山地にシェケムの町を再建し、そこを首都にしました。のちに、ペヌエルも再建しました。 + ヤロブアムは考えました。「気をつけなければいけない。民は、ダビデの子孫を王にしたいと考えるかもしれないから。 + 神殿でいけにえをささげるためにエルサレムへ行けば、どうしても、ユダの王レハブアムに親しみを覚えるだろう。そうなれば、私を殺し、彼を王にしないとも限らない。」 + そこでヤロブアムは、家臣の助言を入れて金の子牛を二つ造り、イスラエルの民に通告しました。「わざわざエルサレムまで礼拝に出かけるのは大変なことだ。これからは、この二つの像を、あなたをエジプトから助け出した神としてあがめなさい。」 + 金の子牛の一つはベテルに、もう一つはダンに置きました。 + これは偶像礼拝であり、大きな罪でした。 + ヤロブアムはベテルとダンに礼拝所を建て、祭司階級のレビ族でない者の中から祭司を任命しました。 + それから自分勝手に、仮庵の祭りを毎年十一月の初めにベテルで行うことにしました。これは、エルサレムでの例祭にならったものです。彼自らベテルの子牛像のために祭壇でいけにえをささげ、香をたきました。ヤロブアムはこのベテルで、礼拝所で仕える祭司を任命しました。 + + + ヤロブアムが香をたこうと祭壇に近づいた時、一人の神の預言者がユダからやって来ました。 + その預言者は主の命令に従って、声を張り上げて叫びました。「祭壇よ、主のことばを聞け。ダビデの家に、やがてヨシヤという子が生まれる。彼は、ここに香をたきに来る祭司たちをおまえの上に載せ、いけにえとしてささげる。人々の骨がおまえの上で焼かれる。」 + 預言者は、それが主のことばだという証拠に、「祭壇は裂け、灰が地にこぼれ落ちる」と言いました。 + 王は真っ赤になって怒り、護衛兵に、「この男を捕まえろ!」と大声で命じ、こぶしを振り上げました。そのとたん、王の手は麻痺して動かなくなり、 + 同時に祭壇に大きな裂け目ができ、灰がこぼれ出ました。確かに主のことばどおりになったのです。 + 王は預言者に、「どうか、おまえの神、主にお願いして、私の手を元どおりにしてくれ」と哀願しました。預言者が祈ると、王の手は元どおりになりました。 + すると、王は預言者に、「宮殿に来て、しばらく休んではどうか。食事を用意しよう。手を治してもらった礼もしたい」と言いました。 + 預言者は答えました。「たとえ宮殿の半分を下さると言われましても、まいりません。また、ここではパンも水も頂きません。 + 主が、『何も食べてはならない。水を飲んでもならない。また、もと来た道を通ってユダに帰ってはならない』と、きびしく言われたからです。」 + それで彼は、ベテルに来た時とは別の道を通って帰って行きました。 + ところで、ベテルに一人の老預言者が住んでいました。彼の息子たちが家に来て、ユダの預言者のしたこと、ヤロブアム王に語ったことを父に話しました。 + 老預言者は、「その方はどの道を通って帰ったのか」と尋ね、道を聞きました。 + それから、「さあ、早くろばに鞍をつけてくれ」と言い、息子たちが言われたとおりにすると、 + 彼はろばに乗って例の預言者のあとを追い、ついに、その人が樫の木の下に座っているのを見つけました。「もしや、あなたはユダからおいでの預言者ではありませんか?」「はい、そうですが。」 + 「どうか、私の家においでください。いっしょに食事でもなさいませんか。」 + 「せっかくですが、お断りします。ベテルで食べたり飲んだりすることは、いっさい禁じられています。主に、そうしてはならない、ときびしく言い渡されているのです。また、もと来た道を通って帰ってはならない、とも命じられています。」 + 「実は、私もあなたと同じ預言者です。御使いが主のお告げを知らせてくれたのです。あなたを家にお連れし、食事と水を差し上げるようにとのことでした。」こうして、彼はその人をだましました。 + 預言者は彼の家に行き、そこで食事をし、水を飲んだのです。 + 二人が食卓についていた時、突然、老預言者に主のことばが臨み、 + 彼はユダの預言者に大声で言いました。「主は言われる! あなたは命令に背いて、ここへ引き返し、パンを食べ、水を飲んだ。あなたの死体は先祖の墓には葬られない。」 + 食事がすむと、老預言者はその預言者のろばに鞍をつけたので、 + 預言者は再び出発しました。しかしその帰途、一頭のライオンに遭遇し、かみ殺されたのです。死体は路上に転がったままで、そばにはろばとライオンが立っていました。そこを通りかかった人々は、そのことをベテルの町に行って話しました。 + 話を聞いた老預言者は、「それは主の命令に背いた預言者だ。ライオンに殺され、主の警告どおりになったのだ」と言いました。 + それから、息子たちに、自分のろばに鞍をつけさせました。 + 行ってみると路上には預言者の死体が転がっており、まだ、そばにライオンが立っていました。不思議なことに、ライオンは死体を食べもせず、ろばを襲ってもいませんでした。 + そこで老預言者は、死体をろばに載せて自分の町に運び、懇ろに葬りました。 + 彼は遺体を自分の墓に納め、みんなでその人のために「ああ、わが兄弟!」と言って悼みました。 + そののち、彼は息子たちに言い残しました。「私が死んだら、あの預言者のそばに埋めてくれ。 + 主があの人に、ベテルの祭壇に向かって叫ばせたのだ。あの人がサマリヤの町の礼拝所に向かってのろったことばは、必ずそのとおりになる。」 + しかし、預言者の警告にもかかわらず、ヤロブアム王は悪の道から離れませんでした。それどころか、礼拝所に祭られた偶像にいけにえをささげるため、これまで以上に大ぜいの祭司を一般市民から募集したのです。そのため、だれでも祭司になることができました。 + これは大きな罪だったので、やがてヤロブアムの王国は滅び、その一族は根絶やしにされることになりました。 + + + ヤロブアム王は息子アビヤが重病になったため、 + 妻に言いました。「王妃だと気づかれないように変装して、シロの預言者アヒヤのところへ行ってくれ。私が王になると言ってくれた人だ。 + みやげに、パン十個といちじく菓子、それにはちみつを持って行き、あの子が治るかどうか、聞いてもらいたいのだ。」 + 王妃は、シロにあるアヒヤの家へ出かけました。アヒヤはもうかなりの年で、目が見えません。 + しかし主は彼に、「変装した王妃が子どものことで聞きに来る。子どもが重態だからだ」と伝えて、どう返事すべきかを教えました。 + そこでアヒヤは、戸口に彼女の足音を聞くと、「王妃、お入りください。なぜ、ほかの人のようなふりをしておいでなのか」と声をかけ、次のように言いました。「実は、悲しいお知らせがあります。 + これはイスラエルの神、主から、王様へのお告げです。『わたしは身分の卑しいあなたを抜擢し、イスラエルの王とした。 + ダビデの家から王国を引き裂き、あなたのものとした。ところがあなたは、ダビデのようには、わたしの命令を聞かなかった。ダビデはいつも心の底からわたしに従い、わたしの意にかなうことをした。 + しかしあなたはこれまでのどの王よりも悪く、わたし以外の神々を造り、金の子牛を造って、わたしをひどく怒らせた。このように、わたしの恵みを無視したので、 + あなたの家に災いを下し、病気の子どもだけでなく、ほかの元気な子どもも全部絶ち滅ぼす。あなたの家族を肥やしのようにすべて葬り去る。 + 町の中で死ぬ者はみな犬に食われ、野で死ぬ者はみな鳥に食われる。』 + さあ、家へお帰りなさい。あなたが町に足を一歩踏み入れる時、病気のお子は死にます。 + イスラエル中の人がその死を悲しみ、手厚く葬ってくれます。けれどもその子は、ご一族で平穏な最期を迎える、ただ一人の者となるでしょう。ヤロブアム家で、その子だけがイスラエルの神、主のお気に召したからです。 + 主は、イスラエルに一人の王をお立てになります。その王がヤロブアム家を滅ぼします。 + 主はイスラエルを川面に揺らぐ葦のようにふるい、先祖にお与えになったこの良い地から根こそぎにして、ユーフラテス川の向こうに散らします。偶像の神々を造って、主を怒らせたからです。 + ヤロブアム王は罪を犯し、しかもイスラエルのすべての民をも巻き添えにしたので、主はイスラエルを捨てられるのです。」 + 王妃がティルツァに帰り、家の敷居をまたいだとたん、その子どもは死にました。 + イスラエルのすべての民は、その死を悲しみました。主が預言者アヒヤによって語ったとおりになりました。 + ヤロブアム王のその他の業績、彼がどう戦い、どう治めたかなどは、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + ヤロブアムは二十二年の間王位にあったのち死に、その子ナダブが跡を継ぎました。 + その間、ユダでは、ソロモンの子レハブアムが王となって治めていました。彼は四十一歳で王位につき、主がイスラエルのすべての町々の中から、ご自分の住まいとして選んだエルサレムで、十七年間、治めました。レハブアムの母はアモン人で、ナアマといいました。 + レハブアムが王位にある時、ユダの国民は、イスラエルの民と同じように罪を犯し、主を怒らせました。その罪は、先祖より悪質なものでした。 + あらゆる高い丘の上や茂った木の下に礼拝所や石柱、偶像を立てたのです。 + またその地には、同性愛が蔓延していました。ユダの民は、主がイスラエルから追い払われた異教徒のように堕落してしまったのです。 + レハブアム王の五年目、エジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上って来て、 + 神殿と宮殿を物色して回り、ソロモンの作った金の盾など、めぼしい財宝をみな奪い取りました。 + そのため、レハブアム王は青銅で代わりの盾を作り、それを宮殿の護衛兵にあてがいました。 + 王が神殿に行くたびに、護衛兵はこの盾を持って王の前を進み、また控え室に戻すのです。 + レハブアム王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + レハブアム王とヤロブアム王との間には、戦争が絶えませんでした。 + レハブアム王は死んで、先祖たちと同じようにエルサレムに葬られました。彼の母ナアマはアモン人でした。そのあと、息子アビヤムが王となりました。 + + + アビヤムがエルサレムでユダ(南王国)の王となり、その三年間の治世が始まったのは、イスラエル(北王国)でのヤロブアム王の治世第十八年のことです。アビヤムの母マアカはアブシャロムの娘です。 + アビヤムは、ダビデのようには主の前に正しくなく、父レハブアムに負けないほど大きな罪を犯しました。 + しかし、その罪にもかかわらず、主はダビデの忠誠心を覚えていて、ダビデ王朝の家系を絶やすようなことはしませんでした。 + それは、ダビデ王が全生涯を通じて(ヘテ人ウリヤのこと以外は)主に従ったからです。 + アビヤムが王の間、イスラエルとユダの間には戦争が絶えませんでした。 + アビヤムのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + アビヤムが死んでエルサレムに葬られると、彼の息子アサが王位につきました。 + アサは、イスラエルのヤロブアム王の第二十年にエルサレムでユダの王となり、 + 四十一年の間、治めました。王の祖母マアカはアブシャロムの娘でした。 + アサ王は先祖ダビデのように、主に喜ばれる生活を送りました。 + 神殿男娼を追放し、先祖たちが造った偶像をみな取り除きました。 + 祖母マアカをも、偶像を造った罪で、王母の地位から退けました。アサ王はこの偶像を切り倒し、キデロン川で焼きました。 + しかし、丘の上の礼拝所だけはそのままになっていました。それが悪いことだと気づかなかったのです。王の心は一生涯、主とともにあり、 + 祖父が献納した青銅の盾を、自分が献納した金や銀の器とともに神殿の中にいつも飾っていました。 + ユダの王アサとイスラエルの王バシャとの間には、絶えず戦争がありました。 + バシャ王は、エルサレムに通じる交易ルートを遮断しようと、ラマに大きな要塞の町を築きました。 + 困ったアサ王は、神殿や宮殿の宝物倉に残っていた金銀を全部持たせて、ダマスコに住むシリヤの王ベン‧ハダデ(一世)のところへ使いを送りました。 + 「父同士がそうしたように、同盟を結びましょう。どうか、この贈り物を納めて、すぐさま、イスラエルのバシャとの同盟を破棄し、彼が私に手出しできなくなるようにしてください。」 + ベン‧ハダデはこの申し入れを受諾し、軍隊をイスラエルの町々に差し向けて、イヨン、ダン、アベル‧ベテ‧マアカ、キネレテ全地方、ナフタリの地のすべての町を滅ぼしました。 + シリヤ軍襲来の報を受け、あわてたバシャ王は、要塞を建てかけのままにしてティルツァに戻りました。 + アサ王はユダ全国に布告を出し、健康な男子に、ラマの要塞を壊し、石材や木材を運び出すよう命じました。アサ王はこの石材や木材を使って、ベニヤミンのゲバの町とミツパの町を建てました。 + アサ王のその他の業績や王の建てた町々の名前については、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。王は年をとってから足の病気にかかりました。 + 死後エルサレムの王室墓地に葬られ、息子ヨシャパテがユダの新しい王になりました。 + その間、イスラエルでは、ヤロブアムの子ナダブが王になっていました。彼はユダの王アサが即位して二年後に王となり、在位期間は二年でした。 + 彼は主の前に悪を行い、父と同じように多くの偶像を拝み、イスラエルを罪に誘い込みました。 + それで、イッサカル族出身のアヒヤの子バシャが謀反を企て、イスラエル軍を率いて、ペリシテ人の町ギベトンを包囲していた王を暗殺したのです。 + こうしてバシャが、ユダの王アサの第三年に、ナダブに代わってティルツァでイスラエルの王となりました。 + バシャは王位につくと、すぐさまヤロブアム王の子孫を根絶やしにしました。主がシロ出身の預言者アヒヤによってお語りになったとおりです。 + こうなったのもみな、ヤロブアムが罪を犯し、イスラエルを罪に誘って、主を怒らせたからにほかなりません。 + バシャのことは、『イスラエル諸王の年代記』にくわしく記録されています。 + ユダの王アサとイスラエルの王バシャとの間には、戦争が絶えませんでした。バシャは二十四年間、イスラエルを治めました。 + しかし、主には従わず、ヤロブアム王の残した悪の道を歩み、イスラエルの民を偶像礼拝の罪に導いたのです。 + + + そのころ、預言者エフーを通して、バシャ王に主のことばがありました。 + 「わたしはあなたをちりの中から引き上げてイスラエルの王とした。ところがあなたはヤロブアムの道を歩み、わたしの民に罪を犯させたので、わたしは怒っている。 + わたしはヤロブアムとその子孫を滅ぼしたように、あなたもあなたの家族も滅ぼす。 + あなたの家族で、この町の中で死ぬ者は犬に食われ、野で死ぬ者は鳥の餌食になる。」このことばがバシャ王とその家族に伝えられたのは、王が悪事を重ねて、主の怒りを引き起こしたためでした。ヤロブアムの子孫は罪を犯したために滅ぼされたというのに、バシャもまた同じように悪に走ったのです。バシャ王は死んで、ティルツァに葬られました。バシャのその他のことについては、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + バシャの子エラは、ユダの王アサの即位後二十六年目に、ティルツァで王位につきました。しかし、その在位期間はわずか二年でした。 + 王の戦車隊の半分を指揮する将軍ジムリが謀反を企てたのです。事の次第はこうです。ある日エラ王が、首都ティルツァにある宮内長官アルツァの家でほろ酔いきげんになっていたところ、 + ジムリが家に入って王に近づいて、いきなり王をなぐり殺したのです。この事件が起こったのは、ユダの王アサの第二十七年のことでした。そのあとジムリは、自分が新しい王だと宣言しました。 + ジムリは王になると、すぐさまバシャ王の一族、子どもはもちろん遠い親戚や友人までも一人残らず殺してしまったのです。 + こうして、主が預言者エフーに予告させたことが実現しました。 + この悲劇が起こったのは、バシャとその子エラがイスラエルを偶像礼拝に走らせ、神の激しい怒りを買ったためです。 + エラ王の治世中のその他の出来事は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + ジムリの天下は、たった一週間続いただけでした。そのころ、ペリシテ人の町ギベトンを攻撃していたイスラエル軍は、ジムリがエラ王を暗殺したと聞くと、将軍オムリを新しい王とすることに決めました。 + そこでオムリは、ギベトンにいたイスラエル軍を率いて、イスラエルの首都ティルツァを包囲しました。 + ジムリは町が攻め取られるのを見ると、宮殿に入って火をつけ、炎に包まれて死にました。 + こうなったのもみな、彼がヤロブアムのように偶像を拝み、イスラエルの民を偶像礼拝の罪に陥らせたからです。 + ジムリのその他のことや謀反については、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + そのころイスラエル王国(北王国)は二派に分裂していて、国民の半分はオムリ将軍に忠誠を誓い、残り半分はギナテの子ティブニに従っていました。 + しかしオムリ将軍が勝ち、ティブニは殺されました。こうして、オムリが反対勢力を除いて君臨することになったのです。 + オムリは、ユダの王アサの第三十一年にイスラエルの王となり、十二年の間、治めました。そのうちの六年間はティルツァで統治しました。 + オムリ王は、現在サマリヤとして知られる丘陵地帯を地主のシェメルから銀二タラントで買い取り、町を建てました。町は、元の地主シェメルにちなんで、サマリヤと呼ばれるようになりました。 + しかし、オムリは前例のないほどの悪王で、 + ヤロブアムのように偶像を拝み、イスラエルを偶像礼拝の罪に陥らせ、主の激しい怒りを買ったのです。 + オムリ王のその他の記録は、『イスラエル諸王の年代記』に出ています。 + 彼は死んでサマリヤに葬られ、息子アハブが王となりました。 + アハブは、ユダの王アサの第三十八年にイスラエルの王となり、二十二年の間、王位にありました。 + ところが、アハブ王はイスラエルのすべての王の中でも群を抜いて主の前に悪を行い、その悪名は父オムリ以上でした。 + しかも、それだけでは足りず、シドン人の王エテバアルの娘イゼベルと結婚し、バアルの偶像を拝みました。 + サマリヤにバアルの神殿を建て、祭壇を築きました。 + それから、別の偶像アシェラ像も造りました。こうしてアハブ王は、彼以前のイスラエルのどの王にもまして、主の激しい怒りを招いたのです。 + アハブ王の時代に、ベテル出身のヒエルはエリコを再建しました。彼は町の基礎工事をしている時に長子アビラムを失い、城門を造って町が完成した時には末子セグブを失いました。これは、ヌンの子ヨシュアによって言われていたように、エリコには主ののろいがあったからです(ヨシュア記6‧26参照)。 + + + ギルアデのティシュベ出身の預言者エリヤは、アハブ王にこう宣告しました。「私がお仕えしているイスラエルの神、主は、確かに生きておられる。私が告げるまで、数年の間、一滴の雨も降らず、露も降りないだろう。」 + このあと、主はエリヤに言いました。 + 「ここを去って東に向かい、ヨルダン川の東に合流する、ケリテ川のほとりに隠れなさい。 + その川の水を飲み、からすが運んで来るものを食べるのだ。食べ物を運ぶよう、からすに命じておいたから。」 + エリヤは主が言ったとおりに行い、ケリテ川のほとりに住みました。 + 毎日、朝と夕方の二回、からすがパンと肉を運んで来るようになり、彼はまた、その川の水を飲みました。 + ところが、この地方のどこにも雨が降らなかったので、しばらくすると川がかれてしまいました。 + その時、主のことばがありました。「シドンの町に近いツァレファテ村へ行き、そこに住みなさい。その村には、あなたを養ってくれる未亡人がいる。彼女にはわたしが指示を与えておいた。」 + エリヤが言われるままにツァレファテに行くと、村の入口でたきぎを拾い集めている未亡人に会ったので、水を一杯求めました。 + 彼女が水をくみに行こうとすると、エリヤは呼び止めて、「それから、パンも少し下さい」と言いました。 + すると彼女は答えました。「あなたの神、主にお誓いして申します。家には一切れのパンもありません。つぼの底に粉がほんの少しと、ほかにわずかばかりの油が残っているだけです。実は、それで最後の食事を作るため、たきぎを集めていたところなのです。それを食べてしまったら、息子と二人、飢えて死ぬのを待つだけです。」 + 「心配することはありません。さあ、行って、最後の食事を作りなさい。ただし、まず、私のために小さなパンを焼いてください。そうしたあとも、あなたと息子さんのために十分なパンが焼けるはずです。 + イスラエルの神、主が、『わたしが雨を降らして、再び作物を実らせる時まで、それらのつぼからは粉も油もなくならない』と約束しておられます。」 + そこで彼女は、言われたとおりにしました。と、どうでしょう。彼女と彼女の息子とエリヤは、いつまでも粉と油で作ったパンを食べることができたのです。 + どんなにたくさん使っても、主の約束どおり、それぞれのつぼにはいつも口まで粉と油が詰まっていました。 + ところがある日、彼女の息子が病気になって死んでしまったのです。 + 彼女は、「ああ、神の人よ、なんということをしてくださったのですか。あなたは息子を殺して、私の罪を罰するために来られたのですか」と叫びました。 + エリヤは、「息子さんを私に渡しなさい」と言うと、子どもをかかえて、彼の居間になっている階上の部屋に上がり、ベッドに横たえました。 + それから、主に祈りました。「ああ、神様。なぜ、私の世話をしてくれた人の子どもを死なせたのですか。」 + そして三度、子どもの上に身を伏せて、「ああ主よ。どうか、この子を生き返らせてください」と大声で祈りました。 + 主はエリヤの祈りをお聞きになったので、子どもは生き返りました。 + エリヤはその子をかかえて階下に降り、母親に渡しました。「ごらんなさい。息子さんは生き返りました」と言うエリヤの顔は、喜びに輝いていました。 + その女は、エリヤにこう告白しました。「今私は、あなたが預言者であり、あなたのおっしゃることはみな主のおことばであることが、ほんとうにわかりました。」 + + + それから三年後、主はエリヤに、「アハブ王に会って、『やがて雨を降らせる』と伝えよ」と言いました。 + そのころ、サマリヤはひどいききんに見舞われていたのです。そこでエリヤは、アハブのもとに向かいました。 + アハブの宮殿の管理を任せられていた、心から神を畏れ敬うオバデヤという人がいました。かつて王妃イゼベルが、預言者を一人残らず殺そうとした時、オバデヤは百人の預言者を助け、五十人ずつほら穴にかくまい、パンと水で養ったことがありました。 + エリヤがアハブ王に会おうと道を急いでいる時、王はオバデヤに命じました。「国中の川を調べてみよう。私の馬やらばの食糧になる草があるかどうか。私はこちらへ行くから、おまえは向こうを捜すのだ。」 + こうして、二人は別々の道を進みました。 + その時オバデヤは、近づいて来るエリヤを見たのです。ひと目でエリヤだとわかったので、彼は地面にひれ伏しました。「エリヤ先生ですね?」 + 「そうだ。王のところへ行って、私がここにいると伝えてくれないか。」 + 「エリヤ先生。私がどんな悪いことをしたというので、この私を殺そうとなさるのですか。 + 王様は、世界中の国をすみずみまで捜し回って、あなたを見つけ出そうとしています。『エリヤは当地にはいない』という報告を受けると、王様は決まってその国の王に、それが真実であると誓わせるのです。 + ところが、今あなたは、『王のところへ行って、エリヤがここにいると伝えよ』とおっしゃいます。 + しかし、私があなたから離れたら、すぐ神の霊がだれも知らないところにあなたを連れ去ってしまうでしょう。王様が来てあなたを見つけることができなかったら、私は間違いなく殺されます。私はこれまでずっと、心からイスラエルの主にお仕えしてきました。 + イゼベル王妃が主の預言者を殺そうとした時、預言者百人を二つのほら穴にかくまい、パンと水を差し上げた私のことはお耳に入りませんでしたか。 + おっしゃるとおりにしたら、私は殺されます。」 + 「私は、いつも私が立っている、天の軍勢の主である神の前に誓う。今日、私は必ずアハブ王の前に出るだろう。」 + そこでオバデヤは、王のところへ行って、エリヤが来たことを知らせました。アハブ王はエリヤに会いに出て来ました。 + 王は、エリヤを見るなり言いました。「おまえだな。イスラエルに災難をもたらした張本人は。」 + エリヤは答えました。「災難の張本人はあなたのほうです。あなたもあなたのご一族も、主を捨ててバアルを拝んでいるではありませんか。 + さあ、イスラエルの民と、イゼベル王妃おかかえのバアルの預言者四百五十人、それにアシェラの預言者四百人をカルメル山に集めてください。」 + そこでアハブは、民と預言者をカルメル山に召集しました。 + エリヤは民に、こう語りかけました。「いつまで迷っているのか。イスラエルの主がほんとうの神なら、主に従いなさい。もしバアルが神であれば、バアルに従いなさい。」 + エリヤは、さらに続けました。「私はただ一人の神の預言者である。ところが、バアルの預言者は四百五十人もいる。 + さあ、二頭の若い雄牛を引っ張って来なさい。バアルの預言者は、どちらでも好きなほうを選び、切り裂いて、自分たちの祭壇のたきぎの上に載せるがいい。ただし、火はつけてはならない。私も残ったほうの雄牛を同じようにして、主の祭壇のたきぎの上に載せ、火をつけないでおく。 + それから、あなたたちは自分たちの神に祈れ。私も私の主に祈ろう。祈りに答えて天から火を降らせ、たきぎを燃やしてくださる神こそ、ほんとうの神様である!」民はみな、この提案に賛成しました。 + エリヤはバアルの預言者に言いました。「あなたたちのほうが大ぜいだから、そっちから始めてほしい。雄牛を一頭いけにえとしてささげ、自分たちの神に祈るのだ。ただし、たきぎに火をつけてはならない。」 + そこで彼らは、いけにえにする若い雄牛を祭壇に載せ、午前中いっぱい、「ああ、バアル様、私たちの祈りに答えてください!」と叫び続けました。しかし、何の答えもありません。ついには祭壇の回りで踊りだしました。 + 正午になろうかというころ、エリヤは彼らをあざけって言いました。「もっと大声で叫べ! そんな声では、おまえたちの神には聞こえない。だれかと話し中かもしれないし、取り込み中か、あるいは旅に出ているかもしれない。それとも、ぐっすり寝こんでいて、起こしてやる必要があるかもしれない。」 + それで彼らはますます大声を張り上げ、いつものように、ナイフや剣で自分の体を傷つけたので、血がたらたらと流れ出ました。 + こうして騒ぎ立てているうちに、夕方のささげ物をする時が近づきました。しかし、依然として何の答えもありません。 + この時とばかり、エリヤは人々に、「ここに集まれ!」と叫びました。人々が彼の回りに集まると、エリヤは壊れていた主の祭壇を築き直し始めました。 + イスラエルの十二部族を示す十二個の石を取り、 + それで祭壇を築いたあと、周囲に幅一メートルほどの溝を掘りました。 + 次に、彼は祭壇にたきぎを並べ、残った一頭の若い雄牛を切り裂いて、たきぎの上に載せました。それから人々に命じました。「四つのかめを水でいっぱいにし、その水をいけにえの雄牛とたきぎにかけなさい。」人々がそうすると、 + 「もう一度かけなさい」と命じ、また言われたようにすると、「さらに、もう一度かけなさい」と命じました。人々は、同じことを三度くり返しました。 + 祭壇から流れ落ちた水は、溝いっぱいにあふれました。 + 夕方のささげ物をささげる時刻に、エリヤは祭壇に歩み寄り、祈りました。「アブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)の主よ。あなたこそイスラエルの神です。私があなたのしもべであることを、今日こそはっきり証明してください。私がこのようにしたのは、あなたのご命令によるということを、人々にわからせてください。 + 主よ、私の祈りに答えてください! ここにいる民が、あなたこそ神であり、あなたが彼らをご自分のもとへ立ち返らせてくださることを知るように、どうか、私の祈りを聞き届けてください!」 + すると、突然、火のかたまりが天から降って来て、いけにえの若い雄牛、たきぎ、石、ちりを焼き尽くし、溝にたまった水をすっかり蒸発させてしまったのです。 + それを見た民は、その場にひれ伏し、「主こそ神だ! 主こそ神だ!」と叫びました。 + そこでエリヤは彼らに、「バアルの預言者を一人残らず捕らえよ」と命じました。エリヤは、捕らえられたバアルの預言者をキション川へ連れて行き、そこで殺しました。 + それがすむと、エリヤはアハブに、「激しい大雨の音が聞こえる。急いで宿舎へ帰り、食事をしなさい」と言いました。 + そこで王は、宴会の用意をしました。一方エリヤは、カルメル山の頂に登ってひざまずき、顔をひざの間にうずめ、 + 従者に、「さあ、海の方を見て来てくれ」と頼みました。従者は戻って来て、「何も見えません」と報告しました。「もう一度、行ってくれ。同じことを七回くり返しなさい。」 + 七度目に、とうとう従者は叫びました。「手のひらほどの小さな雲が、水平線から上って来ます!」「そうか。よし、急いで王のところへ行き、車で山を下るように伝えなさい。うかうかしていると、雨で身動きできなくなると。」 + このことばのとおり、しばらくすると強い風が嵐を運んで来て、空は真っ暗になり、激しい大雨が降ってきました。アハブは大急ぎでイズレエルへ向かいました。 + 主から特別な力を与えられたエリヤは、驚いたことに、王の車を追い越して、町の入口まで走り通しました。 + + + アハブ王は、エリヤがしたすべてのこと、とりわけバアルの預言者たちを皆殺しにしたことを、王妃イゼベルに話しました。 + 王妃は腹立ちまぎれに、使者を送ってエリヤにこう伝えました。「よくも私の預言者たちを殺してくれた。神々にかけて言っておくけど、明日の今ごろまでに、おまえのいのちはないものと覚悟するがいい!」 + エリヤは恐怖に襲われ、逃げ出しました。ユダの町ベエル‧シェバまで来ると、そこに従者を残し、 + 一人で荒野へ入って行きました。彼は一日中歩き続けてくたくたになり、えにしだの木の下に座り込むと、死を願って主に祈りました。「主よ、もうたくさんです。私のいのちを取ってください。いずれ死ぬのですから。」 + そのまま木の下で横になって眠り込むと、御使いが来て彼にさわり、起きて食事をするように言いました。 + 見ると、石で焼いたパンと水の入ったつぼがあります。エリヤはパンを食べ、水を飲んでから、また横になりました。 + すると、再び御使いが現れて彼にさわり、「起きて、もっと食べなさい。先はまだまだ長いのだから」と言いました。 + そこでエリヤは起きて食べ、水を飲みました。この食事で元気を取り戻したエリヤは、四十日四十夜、旅を続けて神の山ホレブ(シナイ山)に着き、 + そこにあるほら穴に入りました。すると、彼に主のことばがありました。「エリヤ、ここで何をしているのか。」 + 「私は、天地の支配者である神、主のために一生懸命に働いてきました。ところが、イスラエルの民はあなたと交わした契約を破って祭壇を壊し、あなたの預言者たちを殺しました。彼らは今、一人生き残った私まで殺そうとしています。」 + すると、「外に出て、山の上でわたしの前に立ちなさい」と主のことばがありました。と、その時、主が通り過ぎ、激しい風が山を直撃し、岩が砕け落ちました。しかし、風の中に主はいませんでした。風のあとに地震が起こりましたが、そこにも主はいませんでした。 + 地震のあとに火が燃えましたが、火の中にも主はいませんでした。火のあとに、ささやくような細い声が聞こえてきました。 + エリヤはそれを聞くと、顔を外套で覆い、ほら穴の入口に立ちました。すると、「エリヤ、なぜ、ここにいるのか」という声がありました。 + 「私は天の軍勢の主である神様のために、骨身を惜しまず働いてきました。それなのに、人々は契約を破って祭壇を壊し、私以外のあなたの預言者を一人残らず殺しました。そして今、私まで殺そうとしています。」 + 「さあ、ダマスコに通じる荒野の道へ引き返すのだ。ダマスコに着いたら、ハザエルに油を注いで、シリヤの王としなさい。 + それから、ニムシの子エフーに油を注いで、イスラエルの王としなさい。また、アベル‧メホラ出身のシャファテの子エリシャに油を注いで、あなたに代わる預言者としなさい。 + ハザエルの手から逃げる者はエフーに殺され、エフーの手から逃げる者はエリシャに殺される。 + それにイスラエルには、バアルにひざをかがめず、口づけしない者が七千人いることを忘れてはならない。」 + エリヤは出かけて行き、十二くびき(牛馬の首にかけて車を引かせる横木。一くびきは二頭)の牛で畑を耕しているエリシャを見つけました。彼は最後の十二番目のくびきのそばにいました。エリヤは彼に近寄り、自分の外套を彼の肩にかけると、また歩き去りました。 + すると、エリシャは牛をそのままにして、エリヤのあとを追いかけ、「まず、父と母に別れのあいさつをさせてください。それから、お伴をします」と言いました。「行って来なさい。なぜ、そんなに興奮しているのです」とエリヤは答えました。 + こう言われてエリシャは引き返し、耕作用の牛をほふり、鋤の柄をたきぎにして肉をあぶりました。その料理を人々にふるまって、祝宴を設けました。それからエリヤについて行って、彼に仕えました。 + + + シリヤ(アラム)の王ベン‧ハダデ二世は全軍を率い、三十二の同盟国の戦車や騎兵の大軍とともに、イスラエルの首都サマリヤを包囲しました。 + 王はサマリヤの町に使者を立て、イスラエルのアハブ王にこう伝えました。「あなたの金銀は私のものだ。あなたの美しい妻たちも、器量よしの子どもたちも。」 + アハブは、「王よ。仰せのとおり、私が持っているものはみなあなたのものです」と答えました。 + やがてベン‧ハダデ王の使者が再び来て、別のことづけを伝えました。「金銀、妻子をもらうだけではすまない。明日の今ごろ、私の家臣を差し向ける。宮殿とあなたの家来の家とを家捜しし、欲しいものを手当たりしだい持ち帰ることにする。」 + そこで、アハブは相談役の長老たちを呼び、窮状を訴えました。「あの男が何をしようとしているか、ぜひとも知ってくれ。私は彼の要求どおり妻子や金銀を与えると言ったのに、図に乗って難題を吹っかけてきた。」 + 「これ以上、要求を聞かないでください」と、彼らは言いました。 + そこでアハブは、ベン‧ハダデがよこした使者に言いました。「王にお伝え願いたい。『初めにあなたが要求なさったものはすべて差し上げます。ですが、このたびのことはできません』と。」使者はベン‧ハダデのもとへ帰って報告しました。 + するとシリヤの王は、またことづけを送ってきました。「もし私が、サマリヤを一つかみのちりに変えてしまわなかったら、どうか神々が、私がおまえにしようとしている以上のことを、私にしてくださるように。」 + イスラエルの王は答えました。「あまり大きなことを言うものではない。」 + このアハブ王の返事がベン‧ハダデをはじめ同盟軍の王たちに届いた時、彼らはテントの中で酒をくみ交わしていました。そこでベン‧ハダデは、「何をこしゃくな。よし、攻撃の準備だ!」と、将校たちに命じました。 + そのころ、一人の預言者がアハブ王に会いに来て、主のことばを伝えました。「主は言われます。『あの敵の大軍を見たか。わたしは今日、敵をあなたの手に渡そう。そうすれば、いかにあなたでも、わたしこそ神であると思い知るだろう。』」 + 王が、「どのようにして、そうなるのか」と尋ねると、預言者は、「『外国人部隊によって』と、主は言っておられます」と答えました。「こちらから攻撃をしかけるのか。」「そうです。」 + そこで王は、二百三十二人の外国人部隊と、七千人のイスラエル軍を召集しました。 + 真昼ごろ、アハブ王の先頭部隊はサマリヤを出陣しました。そのころ、ベン‧ハダデ王と三十二人の同盟軍の王はまだ酒を飲んでいました。 + 外国人部隊を見た彼らの斥候は、「少数の敵が攻めて来ます」と報告しました。 + ベン‧ハダデ王は、「休戦のために来たにしろ、戦うために来たにしろ、生け捕りにしてしまえ」と命じました。 + そのころには、すでにアハブ王の全軍が攻撃に加わり、 + 手当たりしだいにシリヤ兵を殺したので、シリヤ軍はパニック状態に陥り、いっせいに逃げ出しました。イスラエル軍は追撃し、ベン‧ハダデ王と少数の者だけが馬で逃げ延びました。 + こうして、イスラエル軍はシリヤ軍の大半を虐殺し、おびただしい数の馬と戦車を分捕ったのです。 + そののち、あの預言者がアハブ王に近づいて来て、「シリヤ王の二度目の襲来に備えなさい」と忠告しました。 + 実際、大敗北のあと、ベン‧ハダデ王の家臣たちは王にこう進言していたのです。「イスラエルの神は山の神だから、今回は負けたのです。平地なら難なく勝てます。 + 今度だけは、連合軍の王の代わりに、将軍たちを指揮官に任命してください。 + 失った分の兵力を補充し、以前と同じ数の馬と戦車と兵をわれわれにお任せください。彼らと平地で戦い、必ずや勝利を収めてごらんに入れます。」王は、彼らの進言を受け入れました。 + 翌年、ベン‧ハダデはシリヤ軍を動員し、再びイスラエルと戦うためにアフェクに向けて進軍しました。 + イスラエル側も全軍を集め、装備を固めて戦場に向かいました。しかし、アフェクを埋め尽くしているシリヤの大軍に比べて、イスラエル軍は二つの小さなやぎの群れのようにしか見えませんでした。 + その時、一人の神の人(預言者)がイスラエルの王に近づき、主のことばを伝えました。「シリヤ人が、『イスラエルの神は山の神で、平地の神ではない』と言うので、わたしはあなたを助けて、この大軍を負かそう。そうすればあなたも、わたしこそ神だと認めるようになるだろう。」 + 両軍は、陣を敷いたまま向かい合っていましたが、七日目に戦いが始まりました。最初の日に、イスラエル軍はシリヤ軍の歩兵十万を殺しました。 + 生き残った者は、アフェクの城壁の裏に逃げました。ところが、城壁がくずれ落ちて、さらに二万七千人が死にました。ベン‧ハダデは町の中に逃げ込み、ある家の奥に隠れました。 + 家臣が王に申し出ました。「王よ。イスラエルの王はたいそうあわれみ深いと聞いております。それで、私たちが荒布をまとい、首になわをかけて、イスラエルの王のもとに行くのを許してください。あなたの命乞いをしたいのです。」 + こうして、彼らはイスラエルの王のもとに行き、「アハブ王のしもべであるベン‧ハダデが、『どうか、いのちだけはお助けください』と申しております」と懇願しました。イスラエルの王は、「そうか、彼はまだ生きていたのか。彼は私の兄弟だ」と答えました。 + 使者はそのことばに望みを託して、「おことばのとおりでございます。ベン‧ハダデはあなた様の兄弟です」とあいづちを打ちました。イスラエルの王は、「彼を連れて来なさい」と言いました。ベン‧ハダデが到着すると、なんと、アハブは彼を自分の戦車に招き入れたのです。 + ベン‧ハダデはすっかり感激して、「私の父があなたの父上から奪い取った町々をお返しします。父がサマリヤにしたように、あなたもダマスコに市場を開いてください」と言いました。こうして協定が成立しました。 + 一方、主の命令によって、ある預言者が仲間の預言者に、「あなたの剣で私を切ってくれ」と言いました。しかし、その人は拒みました。 + そこで、その預言者は言いました。「あなたは主のことばに従わなかったので、ここを出るとすぐライオンに食い殺される。」はたして、その人が出て行くと、ライオンに襲われて死にました。 + それから、その預言者はまた別の人に、「あなたの剣で私を切ってくれ」と頼みました。すると、その人は彼に切りつけて傷を負わせました。 + それからその預言者は、目に包帯を巻き、だれだかわからないようにしたまま、道ばたでアハブ王を待っていました。 + 王が通りかかると、預言者は王を呼び止めました。「王よ。私が戦場にいると、ある人が捕虜を連れて来て、『こいつを見張っていてくれ。逃がしたら、いのちはないぞ。 + それでも助かりたければ、銀一タラント出せ!』と言ったのです。ところが、私がほかのことに気を奪われている間に、その捕虜がいなくなりました。」すると王は、「それはおまえの責任だ、銀一タラントを支払え」と言いました。 + この時、彼が包帯をはずしたので、王は、彼が預言者だとわかりました。 + 預言者は言いました。「主はこう仰せになります。『わたしが滅ぼそうとした者を助けたので、あなたは彼の代わりに殺される。あなたの民は彼の民の代わりに滅びる。』」 + 王はたちまち不きげんになり、腹を立ててサマリヤに帰って行きました。 + + + イズレエル出身のナボテは、町はずれのアハブ王の宮殿の近くに、ぶどう畑を持っていました。 + ある日、王はナボテに、畑を譲ってほしいと申し出ました。「あそこを庭にしたい。宮殿に近いから、とても便利なのだ。」王は、銀で買い取ってもよいし、もしナボテが望むなら、もっと良い地を代わりに与えてもよいと言いました。 + ところがナボテは、「どんなことがあっても、お譲りするわけにはまいりません。あそこは先祖伝来の土地なのです」と答えました。 + 王は不きげんになり、怒りながら宮殿に戻り、食事もせず、壁の方を向いたままベッドに横になっていました。 + 妻のイゼベルが入って来て、アハブに尋ねました。「いったい、どうなさったのですか。お食事もなさらないとは。そんなにふさぎ込むほど、腹にすえかねることでもあったのですか。」そこで、アハブは答えました。 + 「ナボテに、『ぶどう畑を売ってくれ、何ならほかの土地と交換してもいい』と頼んだのだが、あっさり断られてしまったのだ。」イゼベルは言いました。 + 「まあ、あなたはイスラエルの王ではありませんか。さあ起きて、お食事をなさってください。そんなことで心配なさるには及びません。私がナボテのぶどう畑を手に入れてみせますから。」 + イゼベルは王の名で手紙を書き、王の印を押して、ナボテが住むイズレエルの町の長老に送りました。 + 手紙には、こう書いてありました。「町の者に断食と祈りを命じなさい。それからナボテを呼び、 + 二人のならず者に、『ナボテは神と王とをのろった』と証言させるのです。そのうえで、ナボテを外に引き出して石打ちにしなさい。」 + そこで、町の長老たちは王妃の指図どおりに動きました。 + 町の住民を呼び出し、ナボテを裁判にかけたのです。 + そこへ、良心のかけらもない二人のならず者が来て、ナボテが神と王とをのろったと証言しました。こうして、ナボテは町の外に引き出され、石を投げつけられて殺されてしまったのです。 + ナボテが死んだことは、すぐ王妃に報告されました。 + イゼベルは知らせを聞くと、王に言いました。「ナボテが売るのをしぶっていたぶどう畑のことを、覚えていらっしゃいますね。さあ今、それを手に入れることができますよ。ナボテが死んだのです!」 + 王は、ぶどう畑を自分のものにするために出かけました。 + その時、主はエリヤに言われました。 + 「アハブ王に会いにサマリヤへ行きなさい。今、王はナボテのぶどう畑を自分のものにしようと、近くまで来ている。 + 彼にわたしのことばを伝えなさい。『ナボテを殺しただけではまだ足りず、彼の畑まで奪い取ろうというのか。そんな大それたことをしたので、ナボテのときと同じように、町の外で犬があなたの血をなめるようになる。』」 + アハブに会いに来たエリヤを見て、王は、「また悪い敵に見つかってしまった」と言いました。エリヤは答えました。「王が悪魔に身を売り渡したので、主ののろいを下すために出て来たのだ。 + 主は王に大きな災いを下し、一族を一掃しようとしておられる。王の子孫である男子は、一人も生き残れない。 + ヤロブアム王家やバシャ王家のように滅ぼされるからだ。王が主の激しい怒りを買い、イスラエルに罪を犯させた報いだ。 + 主はまた、イゼベル王妃についても、『イズレエルの犬がイゼベルの死体を引き裂く』と言われた。 + 王の家の者たちのうち、町の中で死ぬ者は犬に食われ、野で死ぬ者ははげたかの餌食になる。」 + アハブのように悪魔の言いなりになった者は、ほかに一人もいませんでした。妻のイゼベルが王をそそのかして、あらゆる悪事に走らせたからです。 + 王が犯した最大の罪は、主がこの地から追い出したエモリ人にならって、多くの偶像を礼拝したことです。 + 王はエリヤのことばを聞くと、上着を引き裂き、ぼろをまとい、断食をし、荒布の上に伏して、打ちひしがれていました。 + その時、エリヤはまた主から別のことばを聞きました。 + 「アハブがわたしの前にへりくだっているのを見たか。あんなにまでしているので、王が生きている間、私の誓ったことは実行しないことにする。息子の代にそれらのことが起こって、彼の子孫はみな滅びる。」 + + + 三年間、シリヤ(アラム)とイスラエルの間には戦争がありませんでした。 + しかし三年目になって、ユダ(南王国)のヨシャパテ王がイスラエル(北王国)のアハブ王を訪れた時、 + アハブ王は自分の家臣に言いました。「シリヤが、われわれの町ラモテ‧ギルアデを今でも占領しているのを知っているか。それなのに、われわれは何もせず、手をこまぬいているだけだ。」 + それから、ヨシャパテ王に向かって、「ラモテ‧ギルアデを取り返すために援軍を送ってくださいませんか」と頼みました。「よろしいですとも。あなたとは兄弟同然の仲です。民も、馬も、ご自由にお使いください。 + まず、主にお伺いを立ててみようではありませんか。」 + そこでアハブ王は、四百人の預言者を召集し、「ラモテ‧ギルアデに攻め入るべきか、それともやめるべきか」と尋ねました。彼らは異口同音に、「攻め上りなさい。主が王を助けて、ラモテ‧ギルアデを占領させてくださいます」と答えました。 + ところが、ヨシャパテは満足せずに、「ここには神の預言者がいないのですか。神の預言者にも聞いてみたいのです」と言いました。 + アハブは答えて言いました。「一人だけいるにはいますが、どうも虫が好かんやつでしてな。何しろ、いつも陰気くさいことばかり言って、私にとって良いことはちっとも預言しないときている。イムラの子でミカヤという者だ。」ヨシャパテは、「まあまあ、そんなふうにおっしゃってはなりません」といさめました。 + そこでアハブも気を取り直し、側近を呼んで、「急いでミカヤを連れて来なさい」と命じました。 + その間にも、預言者たちが二人の王の前で次々と預言していました。二人は王服をまとって、町の門に近い打穀場の、急ごしらえの王座に着いていました。 + ケナアナの子で預言者の一人ゼデキヤは、鉄の角を作って言いました。「この鉄の角でシリヤ軍を押しまくり、ついに全滅させることができると、主は約束しておられます。」 + ほかの預言者たちもみな、それにならうように言いました。「さあ、ラモテ‧ギルアデに攻め上りなさい。主が勝利を与えてくださいます。」 + さて、ミカヤを呼びに行った使者は、ほかの預言者のことばを伝えて、同じように語るよう言い含めました。 + しかしミカヤは、「私が約束できるのは、主がお告げになることだけを語るということだ」と言いました。 + ミカヤが王の前に姿を現すと、王はさっそく尋ねました。「ミカヤよ、われわれはラモテ‧ギルアデに攻め入るべきだろうか、それともやめるべきだろうか。」すると、ミカヤは答えました。「もちろん、攻め上りなさい。大勝利は間違いありません。主が勝利を与えてくださるからです。」 + すると、王は言いました。「神様が言われたことだけを語れと、何度言えばわかるのだ。」 + 「実は私は、イスラエルの民が羊飼いのいない羊のように山々に散らされているのを、幻で見ました。その時、主はこうお語りになりました。『王は死んだ。彼らを家へ帰らせるように』と。」 + アハブ王はヨシャパテ王に向かって、「どうです、お話ししたとおりでしょう。いつも悪いことばかり語って、良いことはこれっぽっちも話さないのです」と言って、不満をぶちまけました。 + すると、ミカヤが先を続けました。「主のおことばをもっと聞きなさい。私は、主が御座に着き、天の軍勢がその回りに立っているのを見ました。 + その時、主は、『アハブをそそのかしてラモテ‧ギルアデに攻め上らせ、そこで倒れさせるように仕向ける者はだれかいないか』と言われました。いろいろな意見が出た末、 + 一人の御使いが進み出て、『私がやりましょう』と申し出ました。 + 『どういうふうにするのか』と主が尋ねると、その御使いは答えました。『私が出て行って、アハブの預言者全員にうそをつかせるようにします。』主はこれを聞いておっしゃいました。『では、そうするがよい。きっと成功する。』 + ごらんのとおり、主はここにいる預言者全員の口に、うそをつく霊をお入れになりました。しかし実際には、主はあなたに臨む災いをお告げになったのです。」 + すると、ケナアナの子ゼデキヤがつかつかと歩み寄り、ミカヤの頬をなぐりつけて言いました。「いつ主の霊が私を離れ、おまえに語ったというのか。」 + ミカヤは答えました。「あなたが奥の間に隠れるようになったとき、はっきりわかるでしょう。」 + アハブ王は、ミカヤを捕らえるように命じました。「彼を、市長アモンと王子ヨアシュのところへ連れて行け。 + そして、『王の命令だ。この男を牢につなぎ、私が無事に帰って来るまで、やっと生きられるだけのパンと水をあてがっておけ』と言うのだ。」 + ミカヤはすかさず言い返しました。「万が一にも、あなたが無事にお戻りになるようなことがあったら、主が私によってお語りにならなかった証拠です。」そして、そばに立っている人々に、「私が言ったことを、よく覚えておきなさい」と言いました。 + こうして、イスラエルのアハブ王とユダのヨシャパテ王は、それぞれの軍隊を率いてラモテ‧ギルアデに向かいました。 + アハブはヨシャパテに、「あなただけ王服を着ていてください」と言いました。そして、自分は普通の兵士に変装して、戦場に赴きました。 + そうしたのは、シリヤ王が配下の戦車隊長三十二人に、「戦う相手はアハブ王一人だ」と命じていたからです。 + 彼らは王服を着たヨシャパテ王を見て、「あれがねらっている相手だ」と思い、いっせいに攻めかかりました。しかし、ヨシャパテが大声で名乗りを上げると、彼らはすぐ引き返しました。 + ところが、一人の兵士が何気なく放った矢が、たまたまアハブ王のよろいの継ぎ目に命中してしまったのです。「戦場から連れ出してくれ。深手を負ってしまった」と、王はうめきながら自分の戦車の御者に語りました。 + その日、時がたつにつれて、戦いはますます激しくなりました。アハブ王は戦車の中で、寄りかかるようにして立っていましたが、傷口から流れ出る血は床板を真っ赤に染め、夕方になって、ついに息絶えました。 + ちょうど日没のころ、兵士たちの間に、「戦いは終わったぞ。王は死んだのだから、全員家へ帰れ!」という叫び声が伝わりました。アハブ王の遺体はサマリヤに運ばれて葬られました。 + 王の戦車とよろいを、売春婦たちが身を洗うサマリヤの池で洗っていると、犬が来て血をなめました。こうして、主のことばどおりになりました。 + そのほか、アハブ王が象牙の宮殿を建て、町々を造ったことなどについては、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + アハブは先祖代々の墓地に葬られ、息子アハズヤがイスラエルの新しい王となりました。 + 一方、イスラエルの王アハブの第四年に、ユダでアサの子ヨシャパテは王となりました。 + ヨシャパテが王位についたのは三十五歳の時で、二十五年間エルサレムで治めました。母親はシルヒの娘のアズバです。 + 彼は父アサにならって、すべての面で主に従いました。ただし、丘の上の礼拝所だけは取り除かなかったので、人々は相変わらず、そこでいけにえをささげ、香をたき続けました。 + ヨシャパテ王はまた、イスラエルのアハブ王と平和協定を結びました。 + 王のその他の行為、輝かしい功績と武勲などは、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + 王は、父アサの時代からあった男娼の家を一つ残らず取り除きました。 + そのころ、エドムには王がなく、役人が置かれているだけでした。 + ヨシャパテは、オフィルにある金を手に入れようと大船団をつくりました。ところが、その船団がエツヨン‧ゲベルで難破したので、目的を果たせませんでした。 + その時、イスラエルの王アハブの王位を継いだ息子のアハズヤは、「私の家来もいっしょにオフィルへ行かせてください」と申し出ました。しかしヨシャパテは、その申し出を断りました。 + ヨシャパテは死んで、先祖とともに父祖ダビデの町エルサレムに葬られ、息子ヨラムが王位につきました。 + アハブの子アハズヤは、ユダの王ヨシャパテの第十七年に、サマリヤでイスラエルの王となりました。アハズヤは二年の間、イスラエルを治めましたが、 + 良い王ではありませんでした。両親と同じく、イスラエルに偶像礼拝の罪を犯させたヤロブアムにならったからです。こうして、彼はイスラエルの神、主の激しい怒りを買いました。 + +
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+ + アハブ王が死ぬと、モアブの国が独立を宣言し、イスラエルには貢ぎ物を納めないと言いだしました。 + さて、イスラエルの新しい王アハズヤ(アハブの子)は、サマリヤにある宮殿の二階のベランダから落ちて、重傷を負いました。そこで、エクロンにあるバアル‧ゼブブの神殿に使者たちを送り、傷が治るかどうか、異教の神に伺いを立てさせようとしました。 + ところが、主の使いが預言者エリヤにこう告げたのです。「さあ、王の使者に会い、次のように言いなさい。『イスラエルには神がいないとでもいうのか。わざわざエクロンの神バアル‧ゼブブに、王が治るかどうか伺いを立てるとは。 + こんな行いをしたので、王は床を離れることができないまま死ぬ。』」エリヤのことばを聞いた使者たちは、すぐ王のもとへ引き返しました。「なぜ、こんなに早く帰って来たのか?」と尋ねる王に、使者は答えました。 + 「ある人が来て、すぐ王のもとへ帰り、こう語るようにと告げたのです。『主は、なぜ王がエクロンの神バアル‧ゼブブに伺いを立てるのか、そのわけを知ろうとしておられる。イスラエルに神がおられないとでもいうのか。こんなことをしたからには、王は床から離れることはできず、必ず死ぬ』と。」 + アハズヤは、「だれがそんなことを。どんななりをしていたのだ、その者は」と尋ねました。 + 使者たちが、「毛衣を着て、太い皮帯を締めていました」と答えると、アハズヤは、「うむ、それで間違いない。あの預言者エリヤだ」と言いました。 + そこで王は、五十人の兵士に隊長をつけて、エリヤの逮捕に向かわせました。彼らは丘の上に座っているエリヤを見つけて声をかけました。「神の人よ、王の命令だ。いっしょに来てもらおう。」 + 「もし私が神の人なら、天から火が下って、あなたとあなたの五十人の部下を焼き尽くすはずだ」とエリヤが言ったとたん、天からの火が彼らを直撃し、彼らを一人残らず焼き殺してしまいました。 + 王はまた、別の五十人の兵士に隊長をつけ、「神の人よ。すぐ来るようにとの王の命令だ」と彼らに言わせました。 + エリヤは再び、彼らに答えました。「もし私が神の人なら、天から火が下って、あなたとあなたの五十人の部下を焼き尽くすはずだ。」今度も、主の火が彼らを焼き殺してしまいました。 + それでも、王はあきらめません。もう一度、五十人の隊を送り出しました。ところが今度の隊長は、エリヤの前にひざまずいて懇願したのです。「神の人よ。どうか、私どものいのちをお助けください。 + お情けを下さり、前の者たちのように殺さないでください。」 + その時、御使いがエリヤに、「恐れずに、いっしょに行きなさい」と命じたので、エリヤは王に会いに行きました。 + エリヤは、王の前でも臆せずに言いました。「なぜあなたは、ご病気のことで、エクロンの神バアル‧ゼブブに伺いを立てようと使者を送ったのですか。イスラエルに神がおられないとでもいうのですか。そんなことをなさったので、あなたは床から離れられないまま死にます。」 + 主がエリヤによって予告したとおり、アハズヤは死に、弟ヨラムが王位につきました。アハズヤには世継ぎがなかったからです。それは、ヨシャパテの子でユダの王ヨラムの第二年のことでした。 + アハズヤのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + + + さて、主がエリヤをたつまきで天に上げる時がきました。エリヤはギルガルを出立する時、エリシャに、「ここに残ってくれ。主が私に、ベテルへ行けと仰せなのだ」と言いましたが、エリシャは、「主にかけて誓いますが、私は決して先生から離れません」と答えました。そこで二人は、そろってベテルへ向かいました。 + すると、ベテルの預言者学校の若い預言者たちが迎えに出て、エリシャに言いました。「今日、主がエリヤ先生をあなたから取り上げようとしておられるのをご存じですか。」「もちろん知っているとも。でも、黙っていてください。」エリシャはきびしい口調で言いました。 + すると、エリヤはエリシャに、「このベテルに残りなさい。主は私を、エリコへ遣わされる」と言いました。しかし、エリシャは、「主にかけて誓いますが、私は決して先生から離れません」と答えました。そこで二人は、そろってエリコへ出かけました。 + エリコでも、預言者学校の生徒たちがエリシャに、「今日、主がエリヤ先生をあなたから取り上げようとしておられるのを、ご存じですか」と言いました。エリシャは答えました。「知っているとも。だが、そのことは黙っていてくれないか。」 + エリヤはまたもエリシャに、「ここに残りなさい。主が私をヨルダン川へ送られる」と言いましたが、この時も、エリシャは前と同じように、「主に誓って、先生から離れません」と答えました。二人はそろって出かけ、ヨルダン川のほとりに立ちました。若い預言者五十人は、遠くから見守っていました。 + エリヤが外套を丸めてヨルダン川の水を打つと、川の水が分かれたので、二人は乾いた土の上を渡って行きました。 + 向こう岸に着くと、エリヤはエリシャに言いました。「わしが天に行く前に、あなたにどんなことをしてあげようか。」すると、エリシャは言いました。「どうぞ、先生の二倍の預言の力をお授けください。」 + 「難しいことを注文するものだ。私が取り去られる様子を見ることができたら、願いはかなえられるだろう。だが、見られないならばだめだ。」 + 二人が話しながら歩いていると、突然、火の馬に引かれた火の戦車が、二人の間に割り込みました。そして、エリヤはたつまきに乗って天に上って行ったのです。 + エリシャはその姿をじっと見つめ、「わが父! わが父! イスラエルの戦車と騎兵よ!」と叫び、エリヤの姿が見えなくなると、自分の着物を二つに引き裂きました。 + それから、エリヤが脱いだ外套を拾い上げ、ヨルダン川のほとりに引き返しました。そして、彼がその外套でヨルダン川の水を打ち、「エリヤの神、主はどこにおられますか」と言うと、水が両側に分かれたので、彼は歩いて川を渡りました。 + エリコの若い預言者たちはこれを見て、口々に「エリヤの霊がエリシャに下った」と叫び、エリシャを迎えに出て、ひれ伏しました。 + 「お許しをいただければ、五十人の屈強な者たちにエリヤ先生を捜しに行かせます。おそらく、主の霊が先生を運んで、どこかの山か谷に置き去りにされたのでしょうから。」するとエリシャは言いました。「どうか、そんなことはしないでくれ。」 + しかし、彼らがあまりにもしつこく言うので、ついにエリシャも根負けして、「そこまで言うなら、そうしなさい」と折れました。そこで五十人の男たちが三日間、手分けして捜しましたが、エリヤの姿はどこにも見あたりませんでした。 + すごすご引き返して来ると、エリシャはまだエリコにいて、「だから、あれほど行くなと言っただろう」と彼らをしかりました。 + さて、エリコの町の人々がエリシャを尋ねて来て、言いました。「実は、困ったことがあるのです。この町は、ごらんのように、美しい自然に囲まれています。ところが水が悪くて、女たちは流産に悩まされています。」 + エリシャは、「それはお困りですな。何とかしましょう。新しい器に塩をいっぱい入れて、持って来なさい」と言いました。彼らは言われたとおりにしました。 + エリシャは町の井戸へ出かけ、塩を振りまいて、「主がこの水をきよめてくださった。これからはもう流産する人もないし、水にあたって死ぬ人もいない」と宣言しました。 + はたして、エリシャの言ったとおり水はきれいになりました。 + エリシャがエリコからベテルへの道を進んで行くと、ベテルの町から少年たちが出て来て、「やーい、はげ頭、はげ頭」と言ってあざけりました。 + エリシャは彼らの方を振り向いて、主の名によってのろいました。すると、森の中から二頭の雌熊が出て来て、少年たちのうち四十二人を裂き殺しました。 + このあと、エリシャはカルメル山へ行き、またサマリヤへ帰りました。 + + + ユダの王ヨシャパテの第十八年に、アハブの子ヨラムがイスラエルの王となり、首都のサマリヤで十二年の間、治めました。 + 彼は主の前に悪を行いましたが、両親ほどではなく、父が造ったバアルにささげる石柱だけは取り除いたのです。 + しかし一方で、イスラエルの民を偶像礼拝に導いたネバテの子ヤロブアムの罪を犯し続けました。 + モアブの王メシャは羊を飼っており、毎年イスラエルに子羊十万頭と雄羊十万頭分の羊毛とを貢ぎ物として納めていました。 + ところがアハブ王が死ぬと、モアブの王はイスラエルに背きました。 + そこで、ヨラム王はイスラエル軍を召集する一方、ユダのヨシャパテ王に使いを送って言いました。「モアブの王が反旗を翻したので、戦いにお力添え願えないか。」「喜んで力になろう。私の民も馬も、あなたの言うとおりにさせる。作戦計画を教えてほしい。」「エドムの荒野の道から攻めることにしている。」 + こうして、エドムからの援軍も加わった、イスラエルとユダの連合軍は、荒野の道を七日間回り道したため、兵士や彼らの荷を運ぶ家畜の飲み水が底をついてしまいました。 + イスラエルの王は悲鳴を上げました。「ああ、どうしよう。主はわれわれを、モアブの王の餌食にしようと、ここに連れ出されたのだ。」 + 「預言者はいないのですか。もしいたら、どうすればいいかわかるのに。」ユダの王ヨシャパテのことばに、イスラエルの王の家臣が答えました。「エリヤの助手をしていたエリシャがいます。」 + ヨシャパテは、「それはいい。その者に聞いてみよう」と言いました。そこで、イスラエルとユダとエドムの王は、そろってエリシャを訪ねました。 + エリシャはイスラエルの王ヨラムに言いました。「あなたとはかかわりになりたくありません。ご両親がひいきにしていた偽預言者のもとに行ったらいいでしょう。」すると、ヨラム王は言いました。「いや、われわれをここに呼び出し、モアブの王の餌食になるように仕向けたのは主なのだ。」 + エリシャは言いました。「主にかけて言っておきます。ユダのヨシャパテ王がいなかったら、こんなことに首をつっ込む気はさらさらなかったのですが、 + しかたがない。竪琴を弾く者を連れて来てください。」竪琴が奏でられると、エリシャに主のことばが下りました。 + 「この乾いた谷に溝を掘りなさい。わたしがそこに水を満たす。 + 風も吹かず雨も降らないのに、谷は水であふれ、あなたがたも家畜も十分に飲むことができる。 + しかし、これはまだ手始めにすぎず、わたしはモアブ軍を破り、あなたがたに勝利を与える。 + あなたがたは城壁に囲まれた最上の町々を占領し、すべての肥沃な耕地を石で荒地にする。」 + 翌日、朝のいけにえがささげられるころ、水がエドムの方から流れて来て、あたり一面を満たしました。 + そのころモアブ人は、連合軍が攻めて来ると聞き、老いも若きも、戦うことのできる男子を総動員して国境の守備を固めました。 + ところが翌朝早く起きてみると、太陽が水面を真っ赤に照らしているではありませんか。 + 彼らは、「血だ! 連合軍が同士討ちをしたに違いない。さあ、出て行って戦利品を集めよう」と言いました。 + こうして、彼らがイスラエル陣に突入すると、イスラエル軍が飛び出して来てモアブ軍を片っぱしから打ち始めました。たちまちモアブ軍は総くずれとなり、ここぞとばかり、イスラエル軍はモアブの地に攻め込み、手あたりしだいに町々を破壊し、 + すべての肥沃な地に石を投げ、井戸をふさぎ、実のなる木を切り倒しました。キル‧ハレセテの要害が最後まで残っていましたが、そこもついにイスラエル軍の手に落ちました。 + モアブの王は勝ち目がないとわかると、七百人の剣客を率いて、エドムの王のところに突入しようとしましたが、それも失敗に終わりました。 + そこで、世継ぎの長男を城壁の上で殺し、いけにえとしてささげました。これを見たイスラエル人は狼狽し、自分の国へ引き揚げて行きました。 + + + ある日、エリシャのもとを預言者仲間の一人の妻が訪ねて来て、夫の死を告げました。「夫は主を愛していました。ところが亡くなる時、いくらかの借金があったので、貸し主が返済を求めてきて、もし返せなければ二人の子どもを奴隷にするというのです。」 + エリシャは彼女に言いました。「はて、どうしてあげたらいいのか。家には、どんな物があるのか?」彼女は答えました。「油のつぼが一つあるだけで、ほかには何もありません。」 + 「では、近所の人々から、空っぽのかめや鉢をたくさん借りて来なさい。 + 帰ったら戸に鍵をかけ、子どもたちと家に閉じこもって、つぼにある油をかめや鉢にどんどんつぎなさい。」 + 女は言われたとおり、子どもたちが借りて来たかめや鉢に油をついでいきました。 + まもなく、どの入れ物も口まであふれるほど、いっぱいになりました。「もっともっと、かめを持っておいで」と女は子どもに言いました。子どもが、「もうないよ」と言うと、そのとたんに油が止まりました。 + 女からそれを聞くと、預言者エリシャは言いました。「さあ、その油を売って、借金を返しなさい。その余りで、子どもたちと十分に暮らしていけるはずです。」 + ある日、エリシャがシュネムの町へ行くと、裕福な婦人が彼を食事に招きました。その後も、そこを通るたびに、彼は立ち寄って食事をするようになりました。 + 女は夫に話しました。「お通りになるたびに立ち寄られるあの方は、きっと神の預言者に違いありません。 + あの方のために、屋上に小さなお部屋を造って差し上げたいと思います。中には、寝台、机、いす、それに燭台を置きましょう。そうすれば、おいでになるたびに、そこでゆっくりお休みになれますから。」 + ある日、エリシャはその部屋で休んでいましたが、しもべのゲハジを呼び、「奥様にちょっとお話ししたいことがあると伝えてくれ」と頼みました。彼女が来ると、 + エリシャはゲハジに言いました。「まず、いつも親切にしてくださることのお礼を言ってくれ。それから、何かして差し上げられることがないか聞いてほしい。王様か将軍にでも、何か伝えてもらいたいことがあるかもしれないから。」ところが、彼女は答えました。「私は今のままで満足しております。」 + それでもエリシャは、「彼女のために何かしてやれることはないだろうか」と、あとでゲハジに尋ねました。ゲハジは言いました。「あの女には子どもがありません。それに、ご主人もかなりの年ですし……。」 + 「ではもう一度、奥さんを呼んでくれ。」彼女が来ると、エリシャは、入口に立っている彼女に言いました。「来年の今ごろ、あなたに男の子が生まれます。」「ご冗談はよしてください。預言者ともあろうお方が、私をからかわれるのですか。」彼女は思わず答えました。 + しかし、それはほんとうのことでした。女はやがてみごもり、エリシャの言ったとおり、翌年の同じころに男の子を産んだのです。 + その子が大きくなったある日、刈り入れ作業をしている人たちとともに働いている父親のところに行った時、 + 子どもはしきりに頭痛を訴え、苦しみ始めました。父親はしもべに、「抱いて母親のところへ連れて行きなさい」と言いました。 + その子は家に連れ戻され、母親のひざに抱かれていましたが、昼ごろに息を引き取りました。 + 彼女は子どもをかかえて屋上の間にある預言者の寝台に運び、戸を閉めました。 + それから、夫に使いをやって、「どうぞ、しもべにろば一頭をつけて寄こしてください。急いで、あの預言者様のところへ行って来ます。」 + 彼は、「どうしてまた、今日、あの人のところに行くんだね? 特別な祝日でもないのに」と言いましたが、彼女は、「でも、どうしても行きたいのです」と答えました。 + 彼女はろばに鞍をつけると、しもべにこう言いつけました。「とにかく急いでおくれ。私の指示のないかぎり、手綱はゆるめてはなりません。」 + エリシャは、カルメル山に近づいて来る彼女を遠くから見つけ、ゲハジに言いました。「見なさい。あのシュネムのご婦人がやって来る。 + さあ、走って行って出迎え、何があったのか聞いてみるのだ。ご主人やお子さんはお元気かどうかと。」彼女はゲハジに、「ありがとうございます。別に変わりはございません」とだけ答えました。 + ところが、山の上にいるエリシャのそばまで来ると、彼女はひれ伏して、彼の足にすがりつきました。ゲハジが引き離そうとすると、預言者は言いました。「そのままにさせておきなさい。何か大きな悩みがあるに違いない。それが何であるか、主はまだお告げになっていないのだ。」 + 女は言いました。「私に子どもが生まれると言われたのは、あなた様です。その時、からかわないでください、と申し上げたはずです。」 + これを聞いたエリシャは、ゲハジに命じました。「大急ぎで、私の杖を持って行って、あの子の顔の上に置くのだ。途中、だれかに会ってもあいさつを交わしてはいけない。急ぎなさい。」 + ところが、その子の母親は言いました。「主にかけて申し上げます。あなた様とごいっしょでなければ、決して家に帰りません。」そこで、エリシャも彼女といっしょにシュネムに向かいました。 + ゲハジは先に行って、杖を子どもの顔の上に置きましたが、何の反応もなかったので引き返して来て、エリシャに、「あの子は死んだままです」と報告しました。 + エリシャが着いてみると、なるほど子どもは死んでいて、寝台に寝かされています。 + 彼は中に入り、戸を閉めて主に祈りました。 + それから小さいなきがらの上に体をかぶせ、自分の口をその子の口に、自分の目をその子の目に、自分の両手をその子の両手に重ねました。すると、子どもの体がだんだん温かくなってきました。 + ここでエリシャは、いったん降り、部屋の中を何回か行ったり来たりしてまた寝台に戻り、再びその子の上に体をかぶせました。すると、その子は七回くしゃみをして、目を開いたのです。 + 預言者はゲハジを呼んで、「奥さんを呼んで来なさい」と命じました。彼女が入って行くと、エリシャは、「ほら、あなたのお子さんですよ」と言いました。 + 彼女はエリシャの足もとにひれ伏しました。それからその子を抱き上げると出て行きました。 + エリシャがギルガルに戻ってみると、その地ではききんが起こっていました。ある日、若い預言者たちを教えている時、彼はゲハジを呼んで、「この人たちのために食事の用意をしなさい」と命じました。 + 若者の一人が野菜を取りに野へ行き、野生のうりを前掛けにいっぱい入れて帰って来ました。それに毒があるとも知らず、彼はそれを輪切りにして、かまに入れたのです。 + ところが、みなが口にするや、「先生、大変です! この煮物には毒が入っています!」と大騒ぎになりました。 + しかし、エリシャは少しもあわてず、「麦粉を少し持って来なさい」とだけ言いました。そして麦粉をかまに投げ入れ、「さあ、これで大丈夫だ。どんどん食べなさい」と言いました。煮物の毒はすっかり消えていたのです。 + ある日、バアル‧シャリシャ出身の人が、エリシャのところに、新穀を一袋と、初穂で焼いた大麦のパン二十個を持って来ました。エリシャはゲハジに、これを若い預言者たちに食べさせるよう指示しました。 + ゲハジは、「これっぽちのものを、百人もの人に食べさせるのですか」とあきれ顔で言いました。しかし、エリシャは言いました。「さあ、黙って食べさせなさい。『みんなに十分なだけある。食べ残す者もあるくらいだ』と、主は言われるのだから。」 + そのとおりにすると、はたして、主が言われたとおりになったのです。 + + + シリヤ(アラム)の王は、軍の最高司令官であるナアマン将軍を非常に重んじていました。ナアマンが軍隊を率いて、何度も輝かしい勝利を収めたからです。彼は押しも押されもしない偉大な英雄でしたが、なんと、ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)にかかっていたのです。 + かつてシリヤ軍がイスラエルに侵略した時、捕虜の中に若い娘がいて、ナアマンの妻の召使になっていました。 + ある日、その少女が女主人に言いました。「だんな様は、サマリヤにいる預言者のところへ行かれたらよろしいのではないでしょうか。きっと、その方がツァラアトを治してくださいます。」 + そこでナアマンは、少女のことばを王に話しました。 + シリヤの王は、「その預言者のところへ行くがよい。イスラエルの王にあてて紹介状を書こう」と言いました。そこでナアマンは、贈り物として、金六千シェケル(六十八‧四キログラム)と銀十タラント(三百四十キログラム)、それに着物十着を持って、イスラエルへ出発しました。 + イスラエルの王への手紙には、こう書いてありました。「この書状をあなたに手渡す者は、私の家臣ナアマンです。ぜひとも、ナアマンのツァラアトを治してください。」 + イスラエルの王は手紙を読むと、服を裂いて言いました。「シリヤの王め、ツァラアトの者をよこして、病気を治してくれと無理難題を吹っかけてきている。私は殺したり、生かしたりできる神だろうか。これは、侵略の口実を見つける罠に違いない。」 + 預言者エリシャは、イスラエルの王が苦境に立たされていることを知り、人を送って、次のように言いました。「なぜ、そんなに取り乱しているのですか。ナアマンをよこしてください。彼は、イスラエルには神の預言者がいることを知るでしょう。」 + ナアマンは馬と戦車を従えて、エリシャの家の玄関に立ちました。 + エリシャは使いの者をやって、言いました。「ヨルダン川へ行って、体を七回洗いなさい。そうすれば、ツァラアトは跡形もなくなり、完全に治ります。」 + これを聞いたナアマンは、ひどく腹を立て、不きげんそうに言いました。「なんということだ。預言者がじきじきに出て来てあいさつし、患部に手をあて、彼の神の名を呼んでツァラアトを治してくれると思ったのに。 + 川で洗えだと? それなら、ダマスコのアマナ川やパルパル川のほうが、イスラエルの川よりよっぽどきれいじゃないか。どうしても川で洗わなければならないというのなら、故郷の川でやったほうがまだましだ。」彼は憤慨しながらそこを去りました。 + その時、部下がこう説き伏せたのです。「もしあの預言者に、何か難しいことをせよと言われたら、そうなさるおつもりだったのでしょう。それなら、体を洗って、きよくなれと言われただけのことですから、そのとおりになさってみたらいかがですか。」 + それももっともです。ナアマンはヨルダン川へ下って行き、言われたとおり、七回、水に身を浸しました。すると、彼の皮膚は幼子のようにつやつやしてきて、すっかり治ったのです。 + そこで、ナアマン一行は預言者のところへ引き返し、うやうやしく彼の前に立ちました。ナアマンは感謝にあふれて言いました。「今こそ、イスラエルのほかに、世界のどこにも神はおられないことがわかりました。どうぞ、この贈り物をお受けください。」 + 「私の主にかけて、そのような物を頂くわけにはまいりません。」ナアマンはしきりに勧めましたが、エリシャはどうしても受け取ろうとしません。 + しかたなく、ナアマンは言いました。「では、これだけはお聞き届け願えないでしょうか。どうぞ、二頭のらばに載せられるだけの土を分けてください。国に持ち帰りたいのです。これからはもう、主のほかには、どの神にもいけにえをささげたくありません。 + しかし、一つだけお許しいただきたいことがあります。私の主君がリモンの神殿に参拝する時、私の腕に寄りかかります。その時、私もいっしょに身をかがめますが、そのことを主がお許しくださいますように。」 + 「よろしい。安心してお帰りなさい」というエリシャの返事を聞いて、ナアマンは帰って行きました。 + ところが、エリシャのしもべゲハジはひそかに考えました。「だんな様のお人好しにも困ったものだ。贈り物を一つも受け取らずに、あの方を帰してしまうんだから。よし、あの方のあとを追いかけ、何か頂いて来よう。」 + ゲハジはナアマンのあとを追いました。ナアマンはゲハジが走って来るのを見ると、戦車から降り、走り寄って迎えました。「何かあったのですか。」 + 「はい。主人がお伝えしたいことがあると、私を使いに出したのでございます。たった今、若い預言者が二人、エフライムの山地から来まして、彼らに何かみやげをと思ったものですから。よろしければ、銀一タラント(三十四キログラム)と着物二着を分けていただけませんか。」 + 「よろしいですとも。なんなら、いっそ銀二タラントをお持ちください。」ナアマンは強く勧め、高価な着物二着と銀二タラントを二人の家来に持たせ、ゲハジといっしょに行かせました。 + エリシャの家のある丘まで来ると、ゲハジは着物と銀の袋を受け取り、二人を帰しました。そして、受け取ったものを家の中に隠したのでした。 + 何くわぬ顔で主人の前に出たゲハジに、エリシャは尋ねました。「ゲハジ、どこへ行っていたのか。」彼は答えました。「別に、どこにもまいりません。」 + エリシャは言いました。「ナアマンが戦車から降りておまえを迎えるのを、私は心の目で見ていたのだ。今は、銀や着物、オリーブ畑やぶどう畑、羊や牛、男女の奴隷を受け取る時だろうか。 + そんなことをしたからには、ナアマンのツァラアトは、いつまでも、おまえとおまえの子孫に降りかかることになる。」ゲハジはたちまちツァラアトに冒され、肌が雪のように白くなって、エリシャの部屋から出て行きました。 + + + ある日、預言者学校の弟子たちが、エリシャのもとに来て言いました。「先生、ごらんのように、私たちの寄宿舎が手狭になりました。ヨルダン川のそばには材木がたくさんありますから、そこに新しい寄宿舎を建ててはいかがでしょう。」エリシャは、「そうしなさい」と言いました。 + 「どうか、先生もいっしょに行ってください」と一人が言ったので、「わかった。私も行こう」とエリシャは答えました。 + こうして彼らはヨルダン川に着き、木を切り出しにかかりました。 + ところが、木を切っていた一人が斧の頭を川に落としてしまったのです。「先生、大変です。あの斧は借り物なのです。」 + 「どこに落としたのか。」彼がその場所を教えると、エリシャは一本の枝を切り、そこに投げ込みました。すると、斧の頭が水面に浮かび上がってきたのです。 + 「さあ、拾い上げなさい」と言われて、彼は手を伸ばしてそれを取り上げました。 + シリヤの王がイスラエルと戦っていた時のことです。王は家臣たちに、「これこれの場所に兵を集めよう」と言いました。 + すると、すぐさまエリシャはイスラエルの王に、「あの場所へは近寄られませんように。シリヤ軍が集結しようとしています」と使者を送って警告しました。 + イスラエルの王は、エリシャの言うことがほんとうかどうか確かめようと偵察を出したところ、やはり、そのとおりでした。こうして、エリシャはイスラエルを救いましたが、このようなことが何度もあったのです。 + シリヤの王は首をかしげ、家臣たちを呼んできびしく追及しました。「この中に裏切り者がいる。こちらの作戦を敵に通報している者がいるはずだ。」 + すると家臣の一人が言いました。「王様、私どもではありません。イスラエルにいる預言者エリシャが、王様が寝室でこっそりおっしゃることまで、イスラエルの王に告げているのです。」 + 「そうか。では、彼の居場所を突き止めて捕まえよう。」やがて、「エリシャがドタンにいる」という知らせが届きました。 + そこで、ある夜、シリヤの王は戦車と馬で武装した大軍を差し向け、ドタンを包囲しました。 + 翌朝早く、預言者のしもべが起きて外に出ると、馬と戦車で固めた大軍がぐるりと町を包囲していました。若いしもべは思わず、「わあっ、ご主人様! ど、どうしたらよいでしょう」と大声で叫びました。 + 「恐れるな。私たちの軍勢は彼らよりも多く、強いのだから。」 + こう言って、エリシャは主に祈りました。「どうか彼の目を開いて、見えるようにしてください。」すると、神が若いしもべの目を開いたので、火の馬と火の戦車がエリシャたちを取り巻くように山に満ちているのが見えました。 + シリヤ軍が攻め寄せて来た時、エリシャは、「どうぞ、彼らを盲目にしてください」と主に祈りました。そのとおり、シリヤ軍の兵士たちは目が見えなくなりました。 + エリシャは出て行って、彼らに言いました。「道を間違えているぞ! 攻撃する町はここではない! 私について来なさい。おまえたちが捜している人のところへ連れて行ってやろう。」こうして、彼らをサマリヤへ連れて行きました。 + サマリヤに着くとエリシャは、「主よ。彼らの目を開いて、見えるようにしてください」と祈りました。目が見えるようになった時の、彼らの驚きようはありませんでした。サマリヤの真ん中に来ていたのです。 + イスラエルの王は敵の兵士たちを見て、エリシャに尋ねました。「彼らを打ってもいいのですか。」 + 「捕虜を殺してはなりません。パンと水を与え、国に帰してやりなさい。」 + そこで王は、彼らのために盛大なもてなしをしてから、シリヤ王のもとに帰しました。その後、シリヤの略奪隊によるイスラエル侵入はぴたりと止みました。 + ところが、のちにシリヤ(アラム)のベン‧ハダデ王は、全軍を召集してサマリヤを包囲しました。 + そのため、サマリヤの町はひどい食糧難に見舞われたのです。包囲が長く続いたので、ろばの頭一つが銀八十シェケル(約一キログラム)、鳩の糞四分の一カブ(〇‧三二リットル)が銀五シェケルで売られるほどになりました。 + ある日、イスラエルの王が町囲みの城壁の上を歩いていると、一人の女が、「王様、お助けください」と叫び求めてきました。王は言いました。「主があなたを助けてくださらないなら、私に何ができよう。食べ物もぶどう酒もやることはできない。それで、いったいどうしたというのか。」彼女は答えました。「実は、この女が私に、『今日はあなたの子どもを食べ、明日は私の子どもを食べましょう』と言ったのです。それで、二人して私の子どもを煮て食べました。次の日、私が、『さあ、今度はあなたの子どもの番よ』と言うと、この女は子どもを隠してしまったのです。」王はあまりに悲惨な話に、王服を引き裂いて悲しみました。それを見ていた人々は、王が下に荒布をまとっているのを知りました。 + 王は誓って言いました。「今日、私がエリシャの首をはねないなら、神が私の首をはねてくださるように。」 + イスラエルの王がエリシャを呼び出す使者を立てた時、エリシャは家の中に座って、イスラエルの長老たちと話し合っていました。ところが、使者が到着する前に、エリシャは長老たちにこう話しました。「あの人殺しが、私を殺そうと使者をよこしました。来ても、戸をしっかり閉め、中に入れてはいけません。本人がすぐあとからやって来るからです。」 + 彼がまだ話し終わらないうちに、使者が到着し、そのあとには王が続いていました。王は言いました。「主はこんなひどいことをなさった。もうこれ以上、主の助けなど期待できない。」 + + + エリシャは答えました。「いや、主はこうおっしゃっている。『明日の今ごろには、サマリヤの市場で、小麦粉一セア(七‧六リットル)と大麦二セアが、それぞれ一シェケルで売られるようになる』と。」 + これを聞いた王の侍従は、「たとえ主が天に窓をお作りになっても、そんなことが起こるはずはない」と言いました。そこでエリシャは言いました。「あなたは自分の目でその有様を見る。しかし、それを食べることはできない。」 + そのころ、町の門の外に四人のツァラアトに冒された人が座って、こう話し合っていました。「死ぬまで、ここにじっと座っていてもしかたない。 + ここにいても飢え死にするだけだし、町に入っても同じことだ。それなら、いっそ出て行って、シリヤの陣営に投降しよう。助かればもうけものだし、殺されても、もともとだ。」 + 話がまとまり、夕方、そろってシリヤの陣営に行きましたが、驚いたことに、そこにはだれもいませんでした。 + 主がシリヤ軍に、戦車の向かって来る音と馬のいななき、大軍勢が攻め寄せる音を聞かせたからです。それで、彼らは口々に、「イスラエルの王がヘテ人やエジプト人を雇って攻めて来たに違いない!」と言い、 + あわてふためいて、その夜のうちに、彼らの天幕も馬もろばも何もかも置き去りにして、いのちからがら逃げ出したのです。 + ツァラアトに冒された人たちは陣営の端まで来ると、天幕を次から次へと回って食べたり飲んだりし、金や銀や衣服を持ち出して、それらを隠しました。 + そうこうしているうち、彼らは互いに言いました。「こんなことをしていてはいけない。この良い知らせを、まだ、だれにも伝えていないではないか。明日の朝まで黙っていようものなら、きっと恐ろしい罰を受けるだろう。さあ、宮殿にいる人々に知らせよう。」 + そこで四人は町に戻り、見張り人に、「シリヤ軍の陣営に行ってみると、人っ子ひとりおらず、馬やろばはつながれたままで、天幕もそっくりそのままだった」と報告しました。 + 見張り人は、大声でこの知らせを宮中の人々に伝えました。 + 王は起き上がると、家臣たちに言いました。「これは罠に違いない。シリヤ軍は、われわれが飢えているのを知って、わざと陣営をからにし、野に隠れているのだ。われわれをおびき出す作戦だ。うっかり出て行ったら、たちまち生け捕りにされ、町も占領されてしまうだろう。」 + 家臣の一人が答えました。「では、偵察を出して、様子を探らせてみてはいかがでしょう。残っている馬の中から、五頭だけ差し向けましょう。そのくらいなら、何が起ころうが、大した損失ではないでしょう。どうせここにいても、私たちとともに死ぬことになるのですから。」 + そこで二台分の戦車用の馬が引き出され、王は敵陣偵察に二人の兵士を送りました。 + 彼らは大急ぎで、逃げたシリヤ軍のあとを追い、ヨルダン川まで行きましたが、道の至るところに衣服や武器がいっぱい捨ててあるではありませんか。彼らは帰って、このことを王に報告しました。 + そうとわかると、サマリヤの人々は、われ先にシリヤ軍の陣営に殺到し、略奪をほしいままにしました。そのため主のことばどおり、その日のうちに、小麦粉一セアと大麦二セアが一シェケルで売られるようになったのです。 + 王は、「そんなことが起こるはずはない」と言ったあの侍従を、門の出入りの監視に当たらせました。ところが彼は、なだれのように殺到する人々に押し倒され、踏みつけられて、死んでしまいました。前の日、王がエリシャを捕らえに行った時、エリシャが語ったとおりでした。 + 預言者が王に、「明日になったら、小麦粉と大麦が安く売られるようになる」と言った時、 + その侍従が、「たとえ主が天に窓をお作りになっても、そんなことが起こるはずはない」と答えたので、預言者は、「あなたは自分の目でそのようになるのを見るが、それを食べることはできない」と言ったのでした。 + そのとおりのことが実現し、人々は門のところで彼を踏みつけ、殺してしまったのです。 + + + エリシャは、かつて子どもを生き返らせてやったあのシュネムの女に言いました。「家族を連れ、どこかほかの地に疎開しなさい。主がイスラエルに、七年間のききんを起こさせるからです。」 + 女は家族を連れてペリシテ人の地に移り、七年間そこに住みました。 + ききんが終わるとイスラエルに戻り、自分の家と畑を返してくれるよう、王に願い出ました。 + 彼女が王のところに来た時、たまたま王は、エリシャのしもべゲハジと話している最中でした。王はゲハジに、「エリシャが行ったすばらしいことを聞かせてくれ」と頼んだのです。 + ゲハジは、エリシャが子どもを生き返らせた時のことを話していました。ちょうどそこへ、その子どもの母親が入って来たのです。ゲハジは思わず叫びました。「王様! 今、その女がここにおります。先生が生き返らせたのは彼女の子です。」 + 王が、「確かに間違いないか」と尋ねると、彼女は、「そのとおりです」と答えました。そこで、王は家臣に命じました。「この女が所有していた物を、ぜんぶ返してやりなさい。留守の間の収穫に見合うだけの作物もだ。」 + そののち、エリシャはシリヤの首都ダマスコへ行きました。時に、シリヤの王ベン‧ハダデ(二世)は病床に伏していましたが、「あのイスラエルの預言者が来た」と告げる者がありました。 + それを聞いた王は、ハザエルに言いました。「その預言者に贈り物を持って行き、私の病気が治るかどうか、主に伺いを立ててもらってくれ。」 + ハザエルは、贈り物として、土地の最上の産物をらくだ四十頭に載せて行き、エリシャに尋ねました。「ベン‧ハダデ王が、病気が治るかどうか、お伺いを立ててほしいと申しております。」 + 「『治ります』と伝えなさい。しかし、主は私に、王はきっと死ぬと告げられた。」 + そう言うとエリシャは、ハザエルが恥じ入るほどじっと彼の顔を見つめ、急に泣きだしました。 + 「先生、いったい、どうなさったのですか?」とハザエルが聞くと、エリシャは答えました。「あなたが、イスラエル人に恐ろしいことをしようとしているのがわかるのだ。あなたは要塞を焼き払い、若い男を殺し、赤ん坊を岩に投げつけ、妊婦の胎を切り裂くだろう。」 + ハザエルは言いました。「ただ仕えるだけの飼い犬のような私が、そんな大それたことなどできるわけがありません。」しかし、エリシャは言いました。「いや、主は私に、あなたがシリヤの王になると示された。」 + ハザエルが帰って来ると、彼の帰りを待ちかねていた王は尋ねました。「エリシャは何と申した。」彼は、「あなたは治ると申されました」と言いました。 + ところが、翌日、ハザエルは水に浸した毛布を王の顔にかぶせて窒息死させ、自分が王に取って代わったのです。 + ユダの王ヨシャパテの子ヨラムが王位についたのは、イスラエルの王アハブの子ヨラムの第五年のことです。 + ユダの王ヨラムは三十二歳で王となり、八年間エルサレムで治めました。 + 王はアハブやほかのイスラエルの王のように、主の前に悪を重ねました。イスラエルの王だったアハブの娘と結婚していたからです。 + それにもかかわらず、主はしもべダビデに子孫を守ると約束していたので、ユダを滅ぼしませんでした。 + ヨラム王の治世に、エドム人がユダに背き、自分たちの王を立てました。 + ヨラムは反乱を鎮めようとしましたが、うまくいきませんでした。ヨルダン川を渡ってツァイルの町を攻撃したものの、あっという間にエドムの軍勢に囲まれました。夜陰に乗じて、どうにか敵の包囲は破りましたが、味方の軍勢は王を見捨てて逃げてしまいました。 + それ以後、エドムは独立国になったのです。時を同じくして、リブナも反乱を企てました。 + ヨラム王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + ヨラム王は死んで、ダビデの町(エルサレム旧市街)にある王室墓地に葬られました。 + ヨラムの子アハズヤがユダの王となったのは、イスラエルの王アハブの子ヨラムの第十二年のことです。 + アハズヤは二十二歳で王になりましたが、エルサレムで王位にあったのはわずか一年でした。彼の母のアタルヤは、イスラエルの王オムリの孫娘でした。 + アハズヤはアハブ家の婿で、アハブ王の子孫と同じように主の前に悪を行いました。 + ユダの王アハズヤは、イスラエル王のヨラムを助けてシリヤのハザエルと戦うために、ラモテ‧ギルアデに出陣しました。ところが、その戦いでヨラムが負傷し、 + イズレエルへ治療に帰ったので、その病床をアハズヤは見舞いに行きました。 + + + そのころ、エリシャは若い弟子を呼んで言いました。「この油のびんを持って、ラモテ‧ギルアデに行くしたくをしなさい。 + 向こうに着いたら、ニムシの子ヨシャパテの子エフーを捜しなさい。捜しあてたら、呼び出して奥の部屋に案内し、 + 彼の頭に油を注ぐのだ。それから、『主はあなたに油を注いでイスラエルの王とされる』と言って、すぐさま逃げて来なさい。」 + 若い預言者は、言われたとおりラモテ‧ギルアデへ行き、 + ほかの将校たちと会議中のエフーを見つけました。「将軍、申し上げることがあります」と、彼は言いました。「だれにだ」と、エフーが言いました。「あなたにです。」 + エフーは席を立ち、家に入りました。若い預言者はエフーの頭に油を注いで、言いました。「イスラエルの主は言われる。『わたしはあなたに油を注いで、主の民イスラエルの王とする。 + あなたはアハブの家を打たなければならない。こうして、イゼベルに殺された預言者や民のために復讐をするのだ。 + これでアハブ家の者は、奴隷に至るまで滅びうせる。 + わたしは、ネバテの子ヤロブアムの家や、アヒアの子バシャの家を滅ぼしたように、アハブの家を滅ぼす。 + イズレエルで、犬がアハブの妻イゼベルを食らうが、だれも彼女を葬らない。』」こう言い終わると、彼は一目散に逃げ帰りました。 + エフーが仲間の将校たちのところに戻ると、一人が尋ねました。「あの気が変な男は、何をしに来たのだ。何か変わったことでもあるのか?」「あなたがたは、あれがだれか、何を言ったか、よくわかっているはずだ」とエフーが言うと、 + 「いや、私たちは知らない。教えてほしい」と彼らは答えました。そこでエフーは、その男が言ったこと、また、主が自分に油を注いでイスラエルの王としてくださったことを話しました。 + すると、彼らはすばやく上着を脱いで階段の上に敷き、ラッパを鳴らして、「エフーが王様になった!」と大声で叫びました。 + こうして、ニムシの子ヨシャパテの子エフーは、イスラエルの王ヨラムに反旗を翻したのです。一方、ヨラムはイスラエルの全軍を率い、シリヤのハザエルの軍勢に対してラモテ‧ギルアデの防衛に当たっていましたが、 + 傷を負ったので、イズレエルに帰って治療していました。エフーは、いっしょにいる者たちに言いました。「私が王になることを願っているなら、このことはイズレエルに知らせに行ってはならない。」 + それから、エフーは戦車に飛び乗り、病床にいるヨラム王を見つけようとイズレエルへ急行しました。その時、ユダのアハズヤ王も、ヨラム王を見舞いに来ていました。 + イズレエルのやぐらの上にいた見張りが、エフーの一隊が近づいて来るのを見て、「だれか来るぞ!」と叫びました。ヨラム王は、「騎兵一人を出して、敵か味方か調べさせよ」と命じました。 + そこで一人がエフーを迎えに行き、言いました。「王が、あなたは敵か味方かと言っておられます。和平のために来られたのですか。」エフーは、「和平が何だ。つべこべ言わず、私について来い!」と答えました。一方、見張りは王に、「使者は行ったまま戻りません」と報告しました。 + そこで王は、第二の使者を出しました。彼は馬に乗ってエフーのところに行き、彼らが友好を意図しているかどうか尋ねました。「友好が何だ。つべこべ言わず、私について来い!」 + 見張りは大声を張り上げました。「第二の使者も帰って来ません。ところで、あれはエフーに違いありません。狂暴に馬を走らせています。」 + ヨラムは、「急いで、戦車の用意をせよ」と命じました。ヨラム王とユダのアハズヤ王は、戦車に乗ってエフーを迎えに出ました。彼らがエフーに出会ったのは、ナボテの所有する畑でした。 + ヨラムは尋ねました。「エフー、友人として来たのか。」エフーは答えました。「あなたの母イゼベルの悪が私たちを取り巻いている限り、どうして友情などありえましょう。」 + ヨラムはきびすを返し、大声でアハズヤに、「裏切りだ! 反逆だ!」と叫んで逃げました。 + エフーは力いっぱい弓を引き絞り、逃げるヨラムの両肩の間にねらいをつけました。放たれた矢はみごと心臓を射抜き、ヨラムは戦車の中にどっと倒れ、そのまま息絶えました。 + エフーは侍従のビデカルに命じました。「王の死体をナボテの畑に投げ捨てろ。いつかおまえと馬に乗って、彼の父アハブ王の供をしていた時、主のお告げがあったからだ。 + 『わたしは、ナボテとその子らを殺した罪に、このナボテの地所で報復する。』だから、そのとおり、ナボテの畑に王の死体を投げ捨てるのだ。」 + その間に、ユダ王のアハズヤはベテ‧ハガンの道へ逃げました。エフーはアハズヤを追いかけ、「やつも討ち取れ」と家来に命じました。エフーの軍勢は、イブレアムに近いグルの坂道で、戦車に乗ったアハズヤに矢を射かけ、重傷を負わせました。王はやっとの思いでメギドまで逃げ延びたものの、そこでついに事切れました。 + 彼の家来たちは遺体を車に載せてエルサレムに運び、王室墓地に葬りました。 + アハズヤがユダの王となったのは、イスラエルの王ヨラムの第十一年のことです。 + イゼベルはエフーがイズレエルに来たと聞くと、目の縁に化粧をし、髪を結い直して、窓ぎわに座りました。 + エフーが宮殿の門を入ると、彼女は大声で呼びかけました。「あーら、人殺しのエフーじゃない! ごきげんいかが。主君殺しのジムリ(イスラエルの王エラに謀反を起こして殺した)の子!」 + エフーがイゼベルを見上げながら、「だれか私に味方する者はいないか」と叫ぶと、二、三人の宦官が顔を出しました。 + 彼が「その女を突き落とせ!」と言ったので、宦官たちはイゼベルを窓から突き落としました。回りの壁や馬はその返り血を浴びて真っ赤に染まり、彼女は馬に踏みつけられました。 + エフーは宮殿に入って食事をしてから、「あの、のろわれた女を葬ってやれ。王の娘なのだから」と言いました。 + しかし、人々が彼女の遺体を葬ろうと出て行くと、すでに頭蓋骨と両手両足しか残っていませんでした。 + 戻った者たちの報告に、エフーはこう言いました。「まさに、主のおことばどおりになった。主は預言者エリヤにお語りになった。『犬がイゼベルの肉を食らい、その死体は肥やしのようにまき散らされ、だれにも見分けがつかなくなる。』」 + + + それから、エフーはサマリヤの町の役人と、そこに住んでいるアハブ王の七十人の子どもの養育係に手紙を書きました。 + 「この手紙を読んだら、最もすぐれた子を王に立て、アハブ王家のために戦う準備をするがいい。戦車も馬も、城壁のある町も武器も十分ある。」 + しかし彼らには、そんなことをする勇気などありませんでした。「二人の王でさえ、この人に立ち向かえなかったのに、私たちにできるはずがない」と、しりごみするばかりです。 + そこで宮内長官と町の最高責任者は、役人や養育係と相談して、エフーに使者を立て、次のように答えました。「エフー様、私どもはあなたのしもべですから、ご命令どおり何でもいたします。アハブのお子ではなく、あなたを私たちの王と仰ぎ、忠誠を尽くします。」 + エフーはさっそく返書を送りました。「もし私の味方となり、私に忠誠を尽くすつもりなら、主君の子どもらの首を、明日の今ごろ、イズレエルの私のもとへ持って来るように。」アハブ王の子ども七十人は、サマリヤの町のおもだった人たちの家に住み、幼いころから、この町で育てられていました。 + 手紙が届くと、子どもたちはみな殺され、首は幾つかのかごに入れられ、イズレエルにいるエフーのもとへ送り届けられました。 + 使者がエフーに、王の子どもの首を届けに来たと伝えると、エフーは、首を二山に分けて門の入口に積み重ね、翌朝まで置いておくように命じました。 + 朝になると、エフーは出て行って、回りに集まっていた人々に言いました。「皆さんに落度はありません。私が主君に陰謀を企て、主君を殺したのです。しかし、この子たちを殺したのは私ではなく、主です。主がお語りになることは、必ずそのとおりになります。アハブ王の子孫はこうなると、主はそのしもべエリヤによって、はっきり告げておられたのです。」 + エフーは、イズレエルに残っていたアハブ王の家族、おもだった家臣、親友、おかかえの祭司も同じように、みな打ち殺しました。王と親しい関係にあった者で生き残った者は一人もいませんでした。 + このあと、エフーはサマリヤに向かいましたが、途中で、羊飼いの宿舎に一泊しました。 + その時、ユダの王アハズヤの身内の者に出会いました。エフーが、「どなたですか」と尋ねると、「アハズヤの身内の者です。王のお子と、王母イゼベル様のお子に会いに、サマリヤへ行くところです」と答えました。 + するとエフーは、「彼らを捕まえろ」と家来に命じました。それで人々は、彼らを水ために連れて行って、四十二人全員を殺してしまいました。 + 宿舎を出たエフーは、彼を迎えに来たレカブの子ヨナダブに会いました。互いにあいさつを交わしたあと、エフーが言いました。「私があなたを裏切らないように、あなたも私を裏切りませんか。」ヨナダブは、「もちろんです」と答えました。「それなら、手を出しなさい。」エフーは彼の手を取って戦車に引き上げ、言いました。 + 「さあ、いっしょに来て、私がどれほど主のために熱心か見てください。」ヨナダブはエフーと並んで戦車に乗りました。 + サマリヤに着くと、エフーはアハブの親族や友人を一人残らず打ち殺しました。主がエリヤによって予告したとおりのことが起こったのです。 + それから、エフーはサマリヤの全住民を集めて、次のように指示しました。「アハブは、私がそうしようとするほど熱心なバアル信奉者ではなかった。 + バアルの預言者と祭司を全員呼び集めよ。バアルの礼拝者も残らず集めよ。全員が集まったかどうか、しっかり見届けるのだ。バアル信奉者がこぞってバアルをほめたたえる盛大な祭りを行うことにする。バアル信奉者でここに来ない者は、生かしてはおかない。」しかし、これは彼らを皆殺しにしようとする計略だったのです。 + エフーはイスラエル中に使者を送り、バアル信奉者を集めました。バアルの神殿は隅から隅まで人でいっぱいになりました。 + エフーは衣装係に、「この者たちに祭服を着せなさい」と命じました。 + エフーとレカブの子ヨナダブは、神殿に入ると、集まった人々に語りました。「ここにいるのはバアル信奉者だけかどうか、よく確かめろ。イスラエルの主を礼拝する者は一人も入れてはならない。」 + こうして、バアルの祭司が焼き尽くすいけにえをささげている時、エフーは八十人の部下に神殿を取り巻かせ、こう言い渡しました。「この中にいる者を一人でも逃がしたら、いのちはないぞ!」 + いけにえをささげ終わるのを待ちかねたように、エフーは外へ出て、「さあ、入って、一人残らず討ち取れ」と命じました。彼らは中にいた者を残らず切り殺し、死体を外に引きずり出しました。それから、神殿の奥に踏み込んで、 + 礼拝用の柱を引き倒し、焼き捨て、 + 神殿も壊し、公衆便所に造り変えました。それは、今もそのままになっています。 + このようにエフーは、イスラエルからバアルの痕跡を完全に取り除きました。 + ただし、ベテルとダンにある金の子牛像だけは取り除きませんでした。その子牛像こそ、全イスラエルを罪に陥れたもとであり、ネバテの子ヤロブアムが犯した、最大の罪の産物だったのです。 + 主はエフーに語りました。「あなたは、アハブ王家を滅ぼせというわたしの命令によく従った。だから、ひ孫の代までイスラエルの王としよう。」 + ところがエフーは、真心からイスラエルの神、主に従おうとはしませんでした。彼は、イスラエルに大きな罪を犯させる原因となった、ヤロブアムの金の子牛像を拝み続けていたのです。 + そのころ、主はイスラエルの領土を少しずつ削り始めていました。シリヤ(アラム)のハザエルが、ヨルダン川の東側、ガド族、ルベン族、マナセ族のギルアデの全土、つまり、アルノン渓谷にあるアロエルからギルアデとバシャンに及ぶ各地を侵略したのです。 + エフーのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + エフーは死んでサマリヤに葬られ、息子エホアハズが新しく王となりました。 + エフーがサマリヤでイスラエルの王位にあったのは二十八年間でした。 + + + ユダの王アハズヤの母アタルヤは、息子が死ぬと、王の子どもをことごとく殺そうとしました。 + しかし、アハズヤの子で一歳のヨアシュだけは、叔母のエホシェバに助け出されて無事でした。エホシェバはアハズヤの父ヨラム王の娘でした。彼女は、殺される運命にある王子たちの中からヨアシュを連れ出して、乳母とともに神殿の物置に隠し、二人はそこで六年間過ごしました。その間、アタルヤが女王としてユダを治めました。 + アタルヤの第七年に、祭司エホヤダは、宮殿の近衛兵の百人隊長と女王の側近を神殿に呼び集め、秘密を守ると誓わせたうえでヨアシュ王子を見せ、 + 次のように指示しました。「安息日には、三分の一の者を宮殿の護衛に当たらせ、 + 残る三分の二は、神殿の警護に当たらせよ。めいめい武器を持って、王の回りを囲むのだ。囲みを破ろうとする者がいたら、殺さなければならない。片時も王のそばを離れてはならない。」 + 百人隊長たちは指示どおり、安息日の勤務をしない者と勤務につく者とを、エホヤダのところに連れて来ました。 + エホヤダは彼らを、神殿にあったダビデ王の槍や盾で武装させました。 + すでに武器を手にしていた宮殿の近衛兵たちは、神殿の正面に向かって立ち、ヨアシュの隠れ場所に近い、祭壇の回りを囲みました。 + それから、エホヤダは幼い王子を連れ出し、頭に王冠をかぶらせ、十戒の写しを渡し、油を注いで王としたのです。彼らは拍手かっさいして、「王様、ばんざい」と叫びました。 + 女王アタルヤはこの騒ぎを聞くと、神殿へ急ぎました。見ると、即位の時の習わしに従って、新しい王が柱のそばに立ち、回りを女王の側近や吹奏隊が取り囲んでいました。民はみな大喜びで、ラッパを吹き鳴らしているのです。それを見た女王は、「謀反だ! 反逆だ!」と絶叫して、衣服を引き裂きました。 + エホヤダは百人隊長たちに命じました。「この女を連れ出せ。神殿の中で殺してはいけない。この女につく者があれば、殺してかまわない。」 + 彼らは女王を引きずり出して宮殿の馬屋へ連れて行き、そこで彼女を殺しました。 + エホヤダは、主と王と民との間で、主の民となるという契約を結び、王と民との間でも契約を結びました。 + 人々はバアルの神殿を取り壊し、祭壇と像を砕き、祭壇の前でバアルの祭司マタンを殺しました。祭司エホヤダは神殿に警護を置き、 + 隊長、近衛兵、人々とともにヨアシュを神殿から連れ出して、衛兵所を通って宮殿に入り、彼を王座につけました。 + それで、人々は喜びにあふれ、アタルヤの死後、ようやくエルサレムの町は平穏を取り戻しました。 + ヨアシュが王となったのは七歳の時でした。 + + + ヨアシュがユダの王となったのは、エフーがイスラエルの王となってから七年後のことで、四十年間エルサレムで治めました。母親は、ベエル‧シェバ出身のツィブヤでした。大祭司エホヤダが正しく教え導いたので、 + ヨアシュ王は一生を通じて主の目に正しいことを行いました。 + それでも、高台にある礼拝所を取り壊さなかった(エルサレム神殿で礼拝することをしないでいた)ため、民はなお、そこでいけにえをささげたり、香をたいたりしていました。 + ある日、ヨアシュはエホヤダに言いました。「神殿を修理しなければならない。割り当てられた献金であっても、自由な献金であっても、主にささげられたものはみな、修理代にあてるようにしなさい。」 + ところが、王の即位から二十三年たっても、神殿の修理は手つかずでした。 + そこで王は、エホヤダはじめ祭司たちを呼んで彼らに言いました。「なぜ、神殿の修理に取りかからないのか。もうこれ以上、献金を祭司の生活費にあててはならない。これからは、神殿の修復のためにだけ使うようにしなさい。」 + 祭司たちは、彼らの生活費とは別途、神殿修理のための基金を積み立てることに同意しました。 + 祭司エホヤダは大きな箱のふたに穴をあけ、神殿入口の祭壇の右側に置きました。門番が、人々の献金を全部その中に納めるのです。 + 箱がいっぱいになると、王の財務官と大祭司がお金を勘定し、袋に詰めました。 + それは工事監督者に渡され、大工、石工、石切り工、材木商、石材商への支払いや、神殿修理に必要な他の資材購入費にあてられました。 + 銀杯、金の芯切りばさみ、鉢、ラッパなどを買う費用ではなく、全額が建物の修理だけにあてられたのです。 + 工事監督者は正直な人たちで、忠実に職務を果たしたので、会計報告を求める必要はありませんでした。 + しかし、罪の赦しのためのいけにえや、罪過を償ういけにえのためにささげられた献金は、祭司たちが自由に使えました。それは箱には入れられませんでした。 + そのころシリヤの王ハザエルはガテを攻めて占領し、その勢いをもってエルサレムへと攻め上りました。 + ヨアシュ王は、ユダの歴代の王ヨシャパテ、ヨラム、アハズヤなどが主のために選んでささげた物すべて、さらに王自身のささげ物を、神殿と宮殿の宝物倉にある金とともにハザエルに送ったので、彼は攻撃を中止しました。 + ヨアシュのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + しかし、王はシラへ下る途中、謀反を起こした家臣たちにミロの王宮で暗殺されました。 + 暗殺者は王に信頼されていた側近で、シムアテの子ヨザバデと、ショメルの子エホザバデです。ヨアシュはエルサレムの王室墓地に葬られ、息子アマツヤが王位につきました。 + + + エフーの子エホアハズが、十七年にわたるイスラエル統治を始めたのは、ユダの王ヨアシュの第二十三年のことです。 + エホアハズは主の前に悪を行い、イスラエルを罪に誘い込んだヤロブアムの悪にならいました。 + 主はそんなイスラエルを激しく怒り、シリヤの王ハザエルとその子ベン‧ハダデが、イスラエルを侵略するがままにまかせておきました。 + しかし、エホアハズ王が助けを祈り求めると、主はその願いを聞き入れました。シリヤの王がイスラエルをひどく苦しめるのを見たからです。 + 主はイスラエルに指導者を起こし、シリヤ軍の圧制から救い出したので、人々は以前のように平和に過ごせるようになりました。 + が、それでもなお、人々は罪を犯し続け、ヤロブアムの悪から離れようとせず、サマリヤにあったアシェラの女神像を礼拝していたのです。 + ついに主は、エホアハズ王の軍隊を、騎兵五十、戦車十台、歩兵一万にまで弱体化させてしまいました。彼の兵力は、シリヤの王によって、足下のちりのように壊滅状態に陥ったのです。 + エホアハズのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + エホアハズ王は死んで、サマリヤに葬られ、息子ヨアシュが、十六年間サマリヤで王位につきました。 + エホアハズの子ヨアシュが王となったのは、ユダの王ヨアシュの第三十七年のことです。 + 彼は主の前に悪を行い、ヤロブアムのようにイスラエルを偶像礼拝に誘い込み、罪を犯させました。 + ヨアシュのその他の業績は、ユダの王アマツヤと戦ったことも含めて、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + ヨアシュは死んで、歴代のイスラエルの王とともにサマリヤに葬られ、ヤロブアム二世が新しく王となりました。 + エリシャが回復不能の病気になった時のこと、イスラエルの王ヨアシュはその病床を訪れ、泣き伏して言いました。「わが父、わが父。あなたはイスラエルの力です!」 + そこでエリシャが、「弓と矢を取り、 + 東の窓を開けなさい」と言いました。さらに、弓に手をかけるように言い、自分の手を王の手に重ねました。「矢を射なさい。」王は、言われるとおりにしました。すると、エリシャは言いました。「これは主の矢、シリヤに対する勝利の矢だ。あなたはアフェクで、シリヤ軍をみごとに破るだろう。 + さあ、別の矢を取り、それを地面に向かって射ちなさい。」王は矢を取って三度、地を射ちました。 + しかし、預言者は怒って言いました。「あなたは三度だけでなく、五度も六度も打つべきだった。そうすれば、シリヤを徹底的に滅ぼせたのに。これでは、三度しか勝つことはできない。」 + こうしてエリシャは死に、葬られました。そのころ、毎年春になると、モアブの略奪隊がこの国に侵入して来ました。ある時、友人を葬ろうとしていた人々が略奪隊を見つけ、あわてて死体をエリシャの墓に投げ込んで立ち去りました。すると、どうでしょう。死体がエリシャの骨に触れたとたん、その人は生き返り、自分の足で立ち上がったのです。 + シリヤの王ハザエルは、エホアハズが治めている間中、イスラエルを圧迫しました。 + それでも、主がイスラエルの民を思いやったので、根絶やしになるようなことはありませんでした。それは主が、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を忘れなかったからです。この契約は今も変わっていません。 + シリヤの王ハザエルが死に、息子ベン‧ハダデ三世が王になりました。 + エホアハズの子でイスラエルの王ヨアシュは、三度の勝利によって、父が失った町々をベン‧ハダデから取り返しました。 + + + イスラエルの王ヨアシュの第二年に、アマツヤがユダの王となりました。 + アマツヤは二十五歳で王位につき、二十九年間エルサレムで治めました。母親はエホアダンといい、エルサレム出身でした。 + 彼は先祖ダビデほどではありませんでしたが、主の目にかなった良い王で、父ヨアシュのようにふるまいました。 + それでも、高台の礼拝所だけは取り除かなかったので、民は相変わらず、そこでいけにえをささげたり、香をたいたりしていました。 + 王国をしっかり掌握すると、アマツヤは父ヨアシュを暗殺した者たちを殺しました。 + しかし、その子どもたちまでは殺しませんでした。モーセの律法で、こう定めていたからです。「父親が子どもの罪で死刑になることはない。子どもも父親の罪で死刑になることはない。だれでも、自分自身の罪を償わなければならない。」 + アマツヤ王は塩の谷で、一万人ものエドム人を殺しました。また、セラを占領して、ヨクテエルと名を変えました。今もそう呼ばれています。 + ある日、アマツヤ王は、エホアハズの子でエフーの孫に当たる、イスラエルの王ヨアシュに使者を送り、「さあ出て来て、戦いを交えよう」と言いました。 + しかし、ヨアシュ王は答えました。「レバノンのあざみがレバノンの大きな杉の木に、『娘さんを息子の嫁にくれないか』と言っていると、通りかかった野獣があざみを踏みつけてしまったそうだ。 + あなたは、エドムを撃破したことで鼻を高くしておられるようだ。悪いことは言わないから、得意になるのはそれくらいにして、家に引っ込んでいなさい。わざわざ事をかまえて、自分とユダとに災いをもたらすこともないだろう。」 + しかし、ユダのアマツヤ王はこれを無視しました。そこで、ヨアシュ王も軍を召集しました。いよいよユダの町ベテ‧シェメシュで戦いの火ぶたが切られると、 + ユダ軍はさんざんな負け戦となり、ほうほうのていで逃げ帰りました。 + アマツヤは捕らえられ、イスラエル軍がエルサレムに進軍して来ました。そして、城壁をエフライムの門から隅の門まで、約二百メートル近くにわたって破壊したのです。 + ヨアシュは、多くの人質をはじめ、神殿や宮殿の宝物倉にある金、銀、金の杯などをごっそりサマリヤへ持ち帰りました。 + ヨアシュのその他の業績や、ユダのアマツヤとの戦いのことは、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + ヨアシュ王は死んで、歴代のイスラエルの王とともにサマリヤに葬られ、息子ヤロブアム二世が王位につきました。 + ユダの王アマツヤはヨアシュ王の死後、なお十五年生き長らえました。 + アマツヤのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + エルサレムで謀反が起こった時、王はラキシュへ逃げました。しかし、王のいのちをつけねらう者たちは、暗殺者を送り込んで王を殺しました。 + 遺体は馬でエルサレムに運ばれ、ダビデの町の王室墓地に葬られました。 + そののちアマツヤの子アザルヤ(ウジヤ)が、十六歳で新しい王となりました。 + 父の死後、アザルヤ王はエラテを再建し、再びユダの領地としました。 + 一方、イスラエルでは、ユダの王アマツヤの第十五年に、ヤロブアム二世が王となりました。ヤロブアムの治世は四十一年間でした。 + 彼は、イスラエルに偶像礼拝の罪を犯させた、ネバテの子ヤロブアム一世と同じくらい主の前に悪を行いました。 + ヤロブアム二世は、レボ‧ハマテと死海の間の領土を取り戻しました。アミタイの子でガテ‧ヘフェル出身の預言者ヨナを通して、神が前もって語っていたとおりでした。 + そうなったのは、主がイスラエルの苦境を見て、しかもイスラエルを助ける者が一人もいなかったからです。 + 主はイスラエルを抹殺するとは言っておらず、ヤロブアム二世に力を貸して、イスラエルを救ったのです。 + ヤロブアム二世の強大な勢力、戦功、ユダに占領されていたダマスコとハマテを取り戻したことなどは、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + ヤロブアム二世は死んで、イスラエルの歴代の王とともに葬られ、息子ゼカリヤが新しい王となりました。 + + + ユダの新しい王アザルヤ(別名ウジヤ)は、イスラエルの王ヤロブアム二世の第二十七年に即位しました。父はアマツヤ王、母はエルサレム出身のエコルヤで、十六歳で即位し、エルサレムでの在位期間は五十二年に及びました。 + アザルヤは父アマツヤのように、主の目にかなう正しいことを行いました。 + ただ、先王にならって高台の礼拝所は取り除かず、民はなおも、そこでいけにえをささげたり、香をたいたりしていました。 + このため主が王を打ったので、王はツァラアトに冒され、死ぬまで隔離された家に住まなければなりませんでした。その間、王の子ヨタムが摂政を務めました。 + アザルヤのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + 彼は死んで、先祖とともにダビデの町に葬られ、息子ヨタムが王となりました。 + イスラエルの新しい王、ヤロブアムの子ゼカリヤは、ユダの王アザルヤの第三十八年に即位し、在位期間は六か月でした。 + ゼカリヤは先祖たちのように、主の前に悪を行い、ネバテの子ヤロブアム一世にならって民に偶像礼拝の罪を犯させました。 + そこで、ヤベシュの子シャルムが謀反を企ててイブレアムで王を暗殺し、代わって王となりました。 + ゼカリヤのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + こうして、主がエフーに予告したとおり、エフーの子と孫とひ孫とが、イスラエルの王となりました。 + イスラエルの新しい王、ヤベシュの子シャルムは、ユダの王ウジヤの第三十九年に即位し、在位期間は一か月でした。 + シャルムが王となって一か月後、ガディの子メナヘムが、ティルツァからサマリヤに上って王を殺害し、王位を奪いました。 + シャルムのその他の業績と、彼が企てた謀反のことは、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + メナヘム王は、タプアハの町と周辺の村々を破壊しました。そこの住民が、彼を王に迎えることを喜ばなかったからです。王は全住民を打ち、妊婦たちを切り裂きました。 + イスラエルの新しい王メナヘムは、ユダの王アザルヤの第三十九年に即位し、サマリヤで十年間治めました。 + メナヘムは主の前に悪を行い、ヤロブアム一世のように偶像を礼拝し、民を恐ろしい罪に誘い込みました。 + 折しも、アッシリヤの王プルがこの地を侵略しました。その時、メナヘムが銀一千タラント(三万四千キログラム)を与えたので、プルは引き返しました。王は資金調達のため、資産家全員から銀五十シェケル(五百七十グラム)ずつ強制的に取り立てました。 + メナヘムのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + 王は死んで、その子ペカフヤが新しく王となりました。 + イスラエルの新しい王ペカフヤは、ユダの王アザルヤの第五十年に即位し、サマリヤで二年間治めました。 + ペカフヤ王は主の前に悪を行い、イスラエルに悪の根を植えつけた、ネバテの子ヤロブアム一世が持ち込んだ偶像礼拝を続けました。 + イスラエル軍の最高司令官だったレマルヤの子ペカが、ギルアデ出身の五十人を誘って謀反を起こし、サマリヤの宮殿で王を暗殺しました。その時の反乱で、王の側近のアルゴブとアルエも殺されました。こうして、ペカフヤに代わってペカが新しく王となりました。 + ペカフヤのその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + イスラエルの新しい王、レマルヤの子ペカは、ユダの王アザルヤの第五十二年に即位し、サマリヤで二十年間治めました。 + ペカも主の前に悪を行い、イスラエルの民を偶像礼拝の罪に陥らせた、ネバテの子ヤロブアム一世にならいました。 + ペカが王位にある時、アッシリヤの王ティグラテ‧ピレセル(プル)が攻めて来て、イヨン、アベル‧ベテ‧マアカ、ヤノアハ、ケデシュ、ハツォル、ギルアデ、ガリラヤ、ナフタリの全土を占領し、住民を捕虜として連れ去りました。 + その時、エラの子ホセアが謀反を企て、王を暗殺して、自分が王座につきました。イスラエルの新しい王ホセアは、ユダの王ウジヤの子ヨタムの第二十年に即位しました。 + ペカ王のその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に記録されています。 + ユダの新しい王ヨタムは、イスラエルの王ペカの第二年に二十五歳で即位しました。父はウジヤ、母はツァドクの娘エルシャ。彼はエルサレムで十六年間治めました。 + ヨタムは父ウジヤのように、主の前に正しいことを行いました。しかし、高台の礼拝所は取り除かなかったので、人々はそこでいけにえをささげたり、香をたいたりしました。彼の在位中に、神殿の上の門が造られました。 + ヨタムのその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + そのころ、主はシリヤの王レツィンとイスラエルの王ペカに、ユダを攻めるよう仕向けました。 + ヨタム王は死んで、ユダの歴代の王とともにエルサレムの旧市街、ダビデの町の王室墓地に葬られ、その子アハズが王となりました。 + + + ユダの新しい王、ヨタムの子アハズは、イスラエルの王ペカの第十七年に、二十歳で即位し、エルサレムで十六年間治めました。 + アハズは、先祖ダビデのようには、主の前に正しくありませんでした。 + それどころか、彼はイスラエルの歴代の王のように偶像礼拝を行い、イスラエルの民がこの地に入った時に主が滅ぼされた国々の異教の風習にならい、焼き尽くすいけにえとしてわが子を神々にささげることまでしました。 + このほかにも、高台の礼拝所や繁った木の下の祭壇でいけにえをささげたり、香をたいたりしました。 + そのころ、シリヤ(アラム)の王レツィンとイスラエルの王ペカの連合軍がユダに宣戦布告し、エルサレムを包囲しましたが、町を占領することはできませんでした。 + それでも、レツィン王はエラテの町を取り戻し、ユダの人々を追い出して、シリヤ人を移住させました。今もそのままです。 + アハズ王はアッシリヤの王ティグラテ‧ピレセルに使者を送り、援軍を要請しました。 + このため、神殿や宮殿の宝物倉にあった金銀を贈り物として差し出したので、 + アッシリヤの王はシリヤの首都ダマスコを攻撃し、住民を捕虜としてキルに連れ去り、レツィン王を殺しました。 + アハズ王は、ティグラテ‧ピレセル王に会うためダマスコへ行き、そこで、異教の神殿にある見慣れない祭壇に目を留めました。さっそくその寸法を書き留めて図面を作り、くわしい説明書きとともに、それを祭司ウリヤに送りました。 + ウリヤは指示されたとおりに祭壇を築き、王のために準備しました。王は、ダマスコから帰るとすぐに、いけにえをささげました。 + 祭壇の上に、焼き尽くすいけにえと穀物の供え物とをささげ、さらに注ぎのささげ物を注いでから、和解のいけにえの血を振りかけました。 + それから、これまで神殿の入口にあった青銅の祭壇を、神殿の正面から新しい祭壇の北側に移し替えました。 + 王は祭司ウリヤに、新しい祭壇の上で、朝ごとにささげる焼き尽くすいけにえと夕べの穀物の供え物、王の焼き尽くすいけにえと穀物の供え物、民のささげ物、および、これらに添える注ぎのささげ物をささげるように命じました。焼き尽くすいけにえや他のいけにえの血も、新しい祭壇に振りかけられました。王が、「古い青銅の祭壇は、私が個人的に伺いを立てるために使おう」と言ったので、古い祭壇はもっぱら占い用に使うことになりました。 + 祭司ウリヤは、王の命令どおりにしました。 + それから王は、神殿にあった車輪つきの台を解体し、横木とその上に載せてあった洗盤を取りはずしました。また、青銅の牛の背に載せてあった大洗盤を下ろして、敷石の上に置きました。 + さらに、アッシリヤ王に敬意を表して、宮殿と神殿との間にしつらえた祝祭用の通路を取りはずしました。 + アハズ王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + 王は死んで、エルサレムの旧市街、ダビデの町の王室墓地に葬られ、その子ヒゼキヤが王となりました。 + + + イスラエルの新しい王、エラの子ホセアは、ユダの王アハズの第十二年に即位し、サマリヤで九年間治めました。悪政でしたが、歴代の王ほどではありませんでした。 + アッシリヤの王シャルマヌエセルはイスラエルを攻め、ついにホセア王を服従させました。イスラエルは、毎年アッシリヤにばく大な貢ぎ物を納めることになったのです。 + しかし、ホセア王は謀反を企て、エジプトのソ王に、アッシリヤの支配から脱することができるように援軍を頼みました。ところが、これが発覚し、アッシリヤ王は貢ぎ物を納めることを拒んだホセア王を反逆のかどで牢に入れ、鎖につなぎました。 + こうして、イスラエルにアッシリヤ軍がなだれ込み、三年の間、首都サマリヤを包囲しました。 + ホセア王の第九年、ついにサマリヤは陥落し、イスラエルの民はアッシリヤに捕らえ移され、ハラフの町、ゴザンのハボル川のほとり、メディヤ人の町々に住まわせられたのです。 + こうした災難が臨んだのは、民がほかの神々を礼拝してエジプトの奴隷生活から彼らを救い出した神、主に対して罪を犯したからです。 + 人々は、主が追い払った異邦人の悪い風習に染まっていたのです。 + ほかにも、ひそかに多くの悪を行い、国中に異教の神々の祭壇を作っていました。 + 彼らはすべての高台や、よく繁った木の下にも、石の柱や神々の像を立て、 + 主がこの地から一掃した異邦人の神々に香をたいていました。こうして、数々の悪を重ねたので、ついに主の激しい怒りを招きました。 + あれほど主がはっきりとくり返し警告していたのにもかかわらず、彼らは偶像礼拝にふけっていたのです。 + 主は再三再四、イスラエルとユダに預言者を送り、悪の道から離れて彼らの先祖たちに与えたおきてを守るよう、警告してきました。 + ところがイスラエルの民は、いっこうに耳を貸そうとしませんでした。彼らは先祖たちと同じように強情で、彼らの神、主を信じようとしませんでした。 + 主の教えに耳をふさぎ、主が先祖と結んだ契約を軽んじ、その警告を無視しました。主のきびしい警告があったにもかかわらず、偶像礼拝の罪に陥ったのは、彼らの愚かさのゆえでした。 + 主の命令などどこ吹く風で、金で鋳込んだ二つの子牛の像を造り、さらに、恥ずべき忌まわしい偶像を造り、バアルを礼拝し、太陽や月や星を拝みました。 + また、息子や娘さえ焼き殺してモレクの祭壇にささげ、占いやまじないに走り、悪の限りを尽くしたのです。こんなことをしていて、主の激しい怒りを買わないわけがありません。 + とうとう主は、ユダ族だけを残してイスラエルの民を一掃してしまったのです。 + 主の命令を守ろうとしなかったのは、ユダの民も同じでした。彼らもまた、イスラエルがたどった悪の道を進みました。 + そこで主は、ヤコブのすべての子孫を見限り、侵略者の手に渡し、ついに投げ捨てたのです。 + イスラエルはダビデ王朝から分離すると、ネバテの子ヤロブアム一世を王に迎えました。このヤロブアムがイスラエルを主から引き離し、いっそう大きな罪を犯させたのです。 + イスラエルの民は、王の持ち込んだ悪から離れようとしませんでした。 + それで、ついに主は彼らを取り除いてしまったのでした。預言者によって警告されたとおり、イスラエルの民はアッシリヤに引いて行かれ、今なおそこにとどまっています。 + アッシリヤの王は、バビロン、クテ、アワ、ハマテ、セファルワイムの住民を連れて来て、サマリヤの町々に住まわせました。こうして、サマリヤをはじめイスラエルの町々は、アッシリヤ人のものとなったのです。 + これらのアッシリヤ人たちは、そこに住み始めたころ、主を恐れなかったので、主はライオンを送り込み、ライオンは彼らの何人かを噛み殺しました。 + 彼らはアッシリヤの王に使者を立て、こう報告しました。「私たちイスラエルに植民した者は、この地の神の教えを知りません。その神がライオンを送り込んで、私たちを滅ぼそうとしました。その神を礼拝しなかったからなのです。」 + そこで王は、サマリヤから捕らえ移した祭司をイスラエルに帰らせ、新しい住民に、神のおきてを教えることにしました。それで、祭司の一人がベテルに帰り、バビロンからの移住者に主を礼拝する方法を教えました。 + それでも移住者たちは、同時にめいめいの神々をも拝んでいました。彼らの偶像を自分たちが住む町の近くにある、高台の礼拝所に安置しました。 + バビロンから来た人々はスコテ‧ベノテ神、クテから来た人々はネレガル神、ハマテから来た人々はアシマ神を拝み、 + アワ人はニブハズ神とタルタク神の像を拝み、セファルワイムから来た人々は、アデラメレク神とアナメレク神の祭壇にわが子を火で焼いてささげました。 + 彼らは、一方でイスラエルの主を礼拝し、他方では同僚の中から祭司を任命して、高台の祭壇でいけにえをささげました。 + このように、出身地の習わしを守り続けていたのです。 + この傾向は今も残っています。彼らは、心から主を恐れることもなく、のちにイスラエルと改名したヤコブの子孫に与えられた、主の教えを守ることもなく、ただ、昔からの故国の習わしに従っていました。 + 主がヤコブの子孫と結んだ契約によれば、イスラエルの民は異教の神々を礼拝したり、これにいけにえをささげたりすべきではなかったのです。彼らは、驚くべき力と奇跡によってエジプトからイスラエルの民を連れ出した主だけを礼拝すべきでした。 + ヤコブの子孫は主のおきてをすべて守り、どんなことがあってもほかの神々を礼拝してはならなかったのです。 + それは、主がこう命じられたからです。「わたしがあなたがたと結んだ契約を忘れて、ほかの神々を礼拝してはならない。 + わたしだけを礼拝しなさい。わたしはあなたがたを、すべての敵から救い出そう。」 + しかしイスラエルは、このことばに耳をふさぎ、ほかの神々を礼拝しました。 + 一方、バビロンからの移住者は、主を礼拝したものの、同時に彼らの偶像も拝みました。今でも、彼らの子孫は同じことをしています。 + + + ユダの新しい王、アハズの子ヒゼキヤは、イスラエルの王ホセアの第三年に、二十五歳で即位し、エルサレムで二十九年間治めました。母はゼカリヤの娘アビ。その治世は先祖ダビデと同じように良いものでした。 + ヒゼキヤ王は高台の礼拝所を取り除き、石の柱を壊し、忌まわしいアシェラ像を切り倒しました。また、人々が香をたいて祈るようになっていた、モーセの作った青銅の蛇を粉々にしました。それは王が指摘したとおり、元をただせば、ただの青銅にすぎなかったのです。 + 王はイスラエルの神、主に心から信頼していました。あとにも先にも、ヒゼキヤのような王はいませんでした。 + すべての点で主に従い、主がモーセに授けられた命令を注意深く守りました。 + 主は彼とともにいて、彼のすることをみな祝福しました。彼はアッシリヤの王に刃向かい、貢ぎ物を納めることをやめました。 + また、ガザとその周辺までペリシテ人の領土を占領し、大小の町々を攻撃しました。 + アッシリヤ王のシャルマヌエセルがイスラエルのサマリヤの町を包囲したのは、イスラエルの王ホセアの第七年、ヒゼキヤ王の第四年のことでした。 + 三年後、サマリヤは陥落しました。 + その時、アッシリヤの王はイスラエル人を捕虜としてアッシリヤに移し、ハラフの町、ゴザンのハボル川のほとり、メディヤの町々に住まわせました。 + そうなったのは、彼らが彼らの神、主に聞き従わず、その命令を守らなかったからです。それどころか、彼らは主との契約を踏みにじり、主のしもべモーセが与えたすべてのおきてに背いたのです。 + そののち、ヒゼキヤ王の第十四年に、アッシリヤの王セナケリブがユダの要塞化された町々を残らず占領しました。 + ヒゼキヤは、ラキシュにいるアッシリヤ王のもとに使者を送って、和平を求めました。「私が間違っておりました。わが国から引き揚げてくださるなら、お望みどおりの賠償金を支払います。」アッシリヤの王の要求は銀三百タラントと金三十タラントでした。 + ヒゼキヤ王は、神殿と宮殿の宝物倉にある銀を全部、この賠償金にあてました。 + 足りない分は神殿の扉と柱の金箔をはぎ取ってまで、アッシリヤの王に渡しました。 + ところがアッシリヤの王は、前線の将軍、主計長、参謀長に大軍をつけてエルサレムに送ったのです。彼らは、布さらしの野(城外にあった、布をさらす職人たちの作業場)に面した大路に沿って、上の池の水道のそばに宿営しました。 + 三人は、ヒゼキヤ王とじきじきに話し合うことを望みましたが、ヒゼキヤは自分の代わりに、宮内長官エルヤキム、書記官シェブナ、補佐官ヨアフを休戦交渉の代表に立てました。 + アッシリヤの将軍ラブ‧シャケは彼らに言いました。「ヒゼキヤ王に伝えよ。アッシリヤの大王の仰せだ。『私の手からおまえを助け出せる者はいない。 + 外国の口先だけの援助を当てにして私に反逆するとは、もってのほかだ。同盟国の中で、どの国が実際にその約束を果たしてくれようか。エジプトか? エジプトなど頼りになるものか。エジプトは葦の杖にすぎず、おまえの重みで折れ曲がり、おまえの手を突き刺すことになるだろう。エジプトのファラオは少しも当てにならない。 + それともおまえたちは、「きっと主が助けてくださる」とでも言うのか。だとしたら忘れるな。それは、おまえが取り除いた高台の祭壇の神々である。主とやらをエルサレムの祭壇で拝めと命じているとは、あきれ果てたものだ。』 + どうしたらよいか教えてやろう。わが主君アッシリヤの王と賭けをするがいい。そちらが馬に乗れる者二千人を用意するなら、こちらで二千頭の馬を出そう。 + おまえたちの小さな軍隊では、わが主君の軍隊の最小部隊を指揮する最下位の将校さえ、脅かすことはできまい。たとえエジプトが馬や戦車を出してくれたとしても、それが何の助けになるのか。 + 思い違いをするな! われわれの野心からここに来たのではない。主がわれわれを送り、『攻め上ってこの民を滅ぼせ』と言われたのだ。」 + エルヤキムとシェブナ、ヨアフは、たまりかねて口をはさみました。「私たちにはアラム語がわかりますから、どうかアラム語で話してください。城壁の上にいる民が聞いているので、ヘブル語は使わないでください。」 + しかし、ラブ‧シャケは平然と答えました。「わが主君がわざわざ私をよこしたのは、おまえたちやおまえたちの主君とだけ話すためではない。城壁の上にいる民にも話しかけるためなのだ。彼らもおまえたちといっしょに、自分の糞を食べ、自分の尿を飲むようになるからだ。」 + こう言い捨てると、彼は城壁の上にいる者たちに大声で呼びかけました。「アッシリヤの大王の仰せを聞け! + 『ヒゼキヤにだまされるな。彼はおまえたちを、私の手から救い出せない。 + 主がわれわれを救い出してくれるとか言っているそうだが、決してだまされてはならない。 + ヒゼキヤの言うことなど聞かずに、降伏せよ! そうすれば、自分の国で平和に暮らせるのだ。そのうち、この国と同じように穀物とぶどう酒がたくさんでき、オリーブの木とみつに恵まれた、新しい地に連れて行ってやろう。それが助かる唯一の道だ。いくらヒゼキヤが、主が救い出してくれると言っても、そんなたわごとに耳を貸すな。 + アッシリヤの王の手から国を救った神々がいたか。 + ハマテ、アルパデ、セファルワイム、ヘナ、イワの神々は、サマリヤを助けたか。 + どこの神が、私の手から国を救えたか。いったい何を根拠に、主はエルサレムを救えるなどと考えているのだ。』」 + 城壁の上の者たちはヒゼキヤ王の命令どおり、黙って、何も答えませんでした。 + ヒルキヤの子で宮内長官のエルヤキム、書記官シェブナ、アサフの子で補佐官のヨアフは、自分たちの衣を裂いてヒゼキヤ王のもとに行き、アッシリヤの将軍ラブ‧シャケが言ったことを報告しました。 + + + それを聞いたヒゼキヤは、衣を裂き、荒布をまとって、祈るため神殿に入りました。 + それから、エルヤキム、シェブナ、および年長の祭司たちにも荒布をまとわせ、アモツの子の預言者イザヤのもとに遣わしました。 + 「王はこう仰せです。『今日は苦難と侮辱と不名誉の日だ。子どもが生まれようとしているのに、母親には産み落とす力がない。 + おそらく、あなたの神、主は、生ける神をそしってはばからないアッシリヤの将軍のことばを聞いて、彼を罰してくださるだろう。われわれ少数の残った者のために祈ってほしい。』」 + イザヤは言いました。「主のおことばである。『あなたがたの主君に、あのアッシリヤ人がわたしを冒瀆したことを気にかけるな、と伝えよ。』 + アッシリヤの王は、本国から悪い知らせを受け、引き揚げることになるだろう。そして、本国へ戻ったら殺される。それもみな、主のお取り計らいなのだ。」 + するとまもなく、アッシリヤの将軍は、リブナにいるアッシリヤの王のもとに帰りました。王がラキシュを離れたという知らせを受けたからです。 + その後、エチオピヤの王ティルハカが攻めて来るという知らせが、アッシリヤの王のもとに届きました。その攻撃を受ける前に、彼はヒゼキヤ王に再び使者を立てました。 + 「おまえが信頼している神にたぶらかされるな。神が、『エルサレムを敵の手に渡さない』と言っても、信じてはならない。 + 今まで、アッシリヤの諸王が行く先々でどんなことをしたか、よく知っているはずだ。私の先祖たちは、諸国を手あたりしだい、片っぱしから打ち破って回ったのだ。なぜ、おまえだけが、そうならないと言えるのか。 + ほかの国々の神は、国を救ったか。ゴザン、カラン、レツェフ、およびテラサルにいるエデンの人々の場合を見よ。彼らは皆殺しにされたではないか。 + ハマテの王とアルパデの王は、どんな目に会ったか。セファルワイム、ヘナ、イワの王たちは、どうなったか。」 + ヒゼキヤ王はこの手紙を受け取って目を通すと、神殿に上り、それを主の前に広げ、こう祈りました。「ケルビム(契約の箱を守る天使の像)の上に座しておられるイスラエルの神、主よ。あなただけが、全世界を支配する神様でいらっしゃいます。あなたは天と地とを創造なさいました。 + 主よ。どうか御顔をこちらに向け、よくごらんください。耳を傾け、生ける神に反抗するこの男のことばを、しっかりとお聞きください。 + 主よ。確かに、アッシリヤの王は、あらゆる国々を滅ぼし、 + その国々の偶像を焼き払いました。それらの偶像はもともと神ではなく、人間が木や石で造ったものにすぎなかったので当然です。 + 私たちの神、主よ。お願いですから、私たちを彼の手から救い出してください。そうすれば、全世界は、あなただけが神であることを知るでしょう。」 + イザヤは人をやって、主に告げられたことばを王に伝えました。「イスラエルの神、主はお語りになります。『わたしはあなたの祈りを聞いた。 + わたしはセナケリブ王にこう答える。処女であるシオンの娘はおまえなど少しも恐れない。エルサレムの娘はおまえをさげすみ、あざ笑う。 + おまえはだれに反抗し、だれをののしったのか。だれに向かって、そんなに高慢な態度をとるのか。相手はイスラエルの聖なる神ではないか。 + おまえは鼻高々に言った。「私の戦車は高い山に登り、レバノンの最高峰まで占領した。高くそびえるレバノン杉と良質の糸杉を切り倒し、辺境の地に至るまで手中に収めた。 + 占領した多くの井戸の水を飲んで元気を取り戻し、近寄っただけでエジプトを震え上がらせた」と。 + 神であるわたしに動かされていたのを、知らなかったのか。わたしがおまえに、すべての城壁のある町々を占領するよう命じたのだ。 + だからこそ、あの征服された国々は、おまえに逆らう力を失ったのだ。まるで、灼熱の太陽のもとでしなびた草、途中で枯れた穂のように。 + わたしはおまえが何を計画し、次にどこへ行こうとしているか、何もかも知っている。また、わたしについて言っている悪口も、みな筒抜けだ。 + おまえがあまりに思い上がっているので、その鼻に鉤を引っかけ、口にはくつわをはめ、もと来た道に引き戻してやる。 + はっきり言っておく。今年、わたしの民は自然に生えた麦を食べ、それを翌年の種もみにする。そして三年目には、豊作にわくだろう。 + わが民ユダよ。敵の包囲を免れた者たちは、再び大きな民となる。地中深く根を張り、神のために実を結ぶようになる。 + わが民の残りの者は、エルサレムで強くなる。わたしが熱い思いでそうするからだ。 + アッシリヤの王はこの町に入らせない。王は盾を持って町に近づくことはできない。とりでを築いて町を攻めることも、矢を射かけることもできない。 + 王は来た道を引き返す。 + わたしが、わたしのために、また、わたしのしもべダビデのために、この町を守り、救うからだ。』」 + その夜、主の使いがアッシリヤの軍勢十八万五千人を打ち殺しました。翌朝になって見ると、死体があたり一面に転がっていました。 + セナケリブはニネベに帰って行きましたが、 + 彼の神ニスロクの神殿で礼拝していた時、王子アデラメレクとサルエツェルに殺されました。二人は東トルコのアララテに逃げ、王子エサル‧ハドンが新しく王となりました。 + + + そのころ、ヒゼキヤは重病をわずらい、明日をも知れぬ身となりました。預言者イザヤは彼を訪ねて来て言いました。「身の回りを整理しておかれますように。病気は治らない、と主のおことばがありました。」 + 王は顔を壁に向け、主に嘆願しました。 + 「ああ主よ。どうか、私がいつもあなたにお従いし、何につけてもあなたをお喜ばせしようとしてきたことを思い出してください。」こう言って、彼は泣き伏しました。 + イザヤがまだ中庭を出ないうちに、再び主のことばがありました。 + 「わたしの民の指導者ヒゼキヤのもとに引き返して、こう告げなさい。先祖ダビデの神、主は、王の祈りを聞き、涙を見た。わたしは彼を癒やそう。三日後には、彼は床から起き上がり、神殿の前に立つ。 + 彼の寿命を十五年延ばそう。そしてアッシリヤの王の手から、王とこの町とを救い出す。そうするのは、わたしの栄光のため、また、わたしのしもべダビデのためである。」 + イザヤは、干しいちじくをゆでて軟膏を作り、それをヒゼキヤ王の腫れものに塗るよう指示しました。すると、王は治ったのです。 + ヒゼキヤはイザヤにこう言いました。「主が私を癒やされ、三日後にまた神殿に行けるという証拠を見せてください。」 + イザヤは言いました。「よろしい。主はあなたにしるしを見せてくださいます。日時計の上の影を十度進ませるか、それとも十度引き戻すか、どちらを選びますか。」 + 「影は進むと決まっているから、あとに戻るようにしてください。」 + イザヤはそのように祈りました。すると、主は日時計の影を十度後戻りさせたのです。 + そのころ、バルアダンの子、バビロンの王メロダク‧バルアダンは、ヒゼキヤ王が病気だというので、見舞いの使者を送り、手紙と贈り物を届けました。 + ヒゼキヤは使者を喜んで迎え、宝物として大事にしまってある金、銀、香料、香油、武器などをすべて見せました。 + そこでイザヤは、ヒゼキヤに会って尋ねました。「あの人たちは何を求めたのですか。どこから来たのですか。」ヒゼキヤは、「はるばるバビロンから来られました」と言いました。 + イザヤが、「彼らは宮殿で何を見たのですか」と聞くと、「私の宝物倉にある物は全部見せました」とヒゼキヤは答えました。 + すると、イザヤはヒゼキヤに言いました。「主のおことばを聞きなさい。 + 『この宮殿にある物が、一つ残らずバビロンに運ばれる時がくる。先祖の宝物はすべて持ち去られ、何も残らない。 + あなたの息子のうちから、捕虜になって、バビロン王の宮殿で宦官として仕える者が出る。』」 + 「よくわかりました。主のお望みなら、それもけっこうです。」実を言うと王は、自分が生きている間は平和と安全が保証されると考えていたのです。 + ヒゼキヤ王のその他の業績、貯水池と水道を造って町に水を引いたことなどは、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + こうして王は死んで、その子マナセが新しく王となりました。 + + + ユダの新しい王マナセは十二歳で即位し、エルサレムで五十五年間治めました。母はヘフツィ‧バハで、彼は、以前この地に住んでいた異教の民の風習にならい、主の前に悪を行いました。 + 彼は、父ヒゼキヤが取り壊した高台の礼拝所を再建し、イスラエルのアハブ王をまねてバアルのために祭壇を築き、忌まわしいアシェラ像を造りました。また太陽神をはじめ、月や星の神のための祭壇を、なんと神殿の中に置いたのです。 + さらに、わが子を偶像の祭壇にいけにえとしてささげ、まじないや占いに凝り、霊媒や口寄せを行いました。このように、マナセ王のすることがあまりにもひどかったので、主の激しい怒りを引き起こしました。 + 恥ずべきことに、アシェラ像を神殿に安置さえしたのでした。神殿は、かつて主がダビデとソロモンに、次のように説明した場所にほかなりません。「わたしはこの神殿に、そして、わたしがイスラエル全部族の町から選んだエルサレムに、いつまでもわたしの名を置く。 + もしイスラエルの民が、わたしがモーセを通して与えておいた命令に従うなら、もう二度と彼らを父祖の地から追い出さない。」 + しかし、人々は主に聞き従わず、マナセは民をそそのかして、すでにイスラエル人の前で主に滅ぼされた周辺の国民がなしたことよりも、さらに悪いことを行わせたのです。 + それで主は、預言者たちによって、次のように言いました。 + 「ユダの王マナセはこのように主の目に悪を行い、その非道ぶりは以前この地にいたエモリ人以上で、王はユダの民に偶像礼拝の罪を犯させた。 + それゆえ、わたしはエルサレムとユダに大きな災いを下す。それを聞く者は、恐怖のあまり激しい耳鳴りに襲われるだろう。 + わたしはエルサレムをサマリヤと同じ目に会わせる。洗った皿を乾かすために引っくり返すように、エルサレムを引っくり返す。 + 生き残ったわずかな民さえ見限り、敵の手に渡す。 + それは、わたしが彼らの先祖をエジプトから連れ出した日から今日まで、彼らが悪に悪を重ね、わたしの怒りを招いたからだ。」 + マナセ王は、主が忌みきらう偶像礼拝を民にさせたばかりでなく、罪のない人々を大ぜい殺しました。エルサレムは、その犠牲者の死体で埋め尽くされるほどでした。 + 罪にまみれたマナセ王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + 王は死んで、ウザにある宮殿の庭に葬られ、その子アモンが新しく王となりました。 + ユダの新しい王アモンは二十二歳で即位し、エルサレムで二年間治めました。母はヨテバ出身のハルツの娘メシュレメテで、彼は主の目に悪を行いました。 + 彼は父の悪をそっくりまね、父の拝んだ偶像を拝み、 + 先祖代々仕えてきた主を捨てて、主の命令に耳をふさぎました。 + アモンの家来たちは彼に謀反を起こし、宮殿の中で王を殺しました。 + ところが、今度は武装した民衆が暗殺者たちをみな打ち殺し、アモンの子ヨシヤを王にしました。 + アモン王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + 王はウザの宮殿の庭にある墓地に葬られ、その子ヨシヤが新しく王となりました。 + + + ユダの新しい王ヨシヤは八歳で即位し、エルサレムで三十一年間治めました。母はボツカテ出身のアダヤの娘エディダで、彼は主の目にかなうことを行い、先祖ダビデにならって完全に主に従いました。 + ヨシヤ王の第十八年に、王はメシュラムの子アツァルヤの子、書記官シャファンを使いに出し、神殿にいる大祭司ヒルキヤに指示しました。「礼拝に来る人々が、神殿の入口にいる祭司に渡す献金を集めなさい。 + その金を工事監督者に渡し、それで神殿を修理する大工や石工を雇い、木材や石材を買わせなさい。 + ただし彼らは正直者ばかりなので、支出報告書の必要はない。」 + ある日、大祭司ヒルキヤが書記官シャファンのところに来て、「神殿で律法の書を発見した」と報告しました。ヒルキヤは、その巻物をシャファンに見せました。 + シャファンは神殿の修理状況を王に報告した時、ヒルキヤが発見した巻物のことにもふれ、王の前でそれを読み上げました。 + 王はその内容を聞くと、恐れて自分の衣を裂きました。 + それから祭司ヒルキヤ、シャファン、王の補佐官アサヤ、シャファンの子アヒカム、ミカヤの子アクボルに命じて、主に尋ねさせたのです。「私たちはどうしたらよろしいでしょう。私たちはこの書の教えを守ってきませんでした。私たちも私たちの先祖も、あなたのご命令に従わなかったので、あなたは激しく怒っておられるに違いありません。」 + そこで祭司ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シャファン、アサヤは、エルサレムのミシュネ地区へ行って、女預言者フルダに会いました。彼女は、ハルハスの子ティクワの子で、宮殿の衣装係をしているシャルムの妻でした。 + 彼女は彼らに、主が語られたことばを伝えました。「あなたがたを使いに出した人に告げなさい。『わたしは、あなたがたが読んだ書にあるとおり、この町と民を滅ぼすつもりだ。 + ユダの民はわたしを捨てて、ほかの神々を拝み、わたしを激しく怒らせた。もう、その怒りはとどめようがない。 + しかし、この地がのろわれて荒れ地となるという警告を読んだ時、あなたは深く心を痛め、謙遜になり、衣を裂いて、わたしの前で涙を流した。それで、あなたの願いを聞き入れよう。 + あなたが死ぬまで、この民に災いは臨まない。わたしがこの場所に下す災いを、あなたは見ないですむ。』」彼らは、このことばを王に伝えました。 + + + そこで王は、使者をユダとエルサレムの長老や指導者たちに送り、自分といっしょに神殿へ上るよう命じました。ユダとエルサレムに住む祭司と預言者全員、それに身分の高い者も低い者もみな、神殿に集まりました。王は、神殿で発見された『契約(律法)の書』を一同に読み聞かせました。 + 王は正面の柱のわきに立っていました。朗読が終わると彼らは、主に従い、契約の書に命じられているすべての戒めを守ることを厳粛に誓いました。 + そのあと、王は大祭司ヒルキヤをはじめ祭司たち、および神殿の警護に当たる者に命じて、バアルやアシェラ、太陽や月や星を礼拝するための備品‧装具をすべて取り壊し、それらをエルサレム郊外のキデロンの野で焼き、灰はベテルへ運ばせました。 + 次に、先のユダの王たちが任命した異教の祭司たちを処刑しました。彼らは、ユダの全地とエルサレム周辺の高台にある礼拝所で香をたき、バアルや太陽、月、星、天体に対しても香をたいていたのです。 + さらに王は、アシェラ像を神殿から取り除き、エルサレム郊外のキデロン川に運んで焼き、粉々に砕いて灰とし、その灰を共同墓地にまきました。 + さらに、神殿の回りにあった男娼の家も取り壊しました。それらの家で、女たちがアシェラ像のために布を織っていたからです。 + 王は、ユダの町々に住む、主に仕える祭司たちをエルサレムに連れ戻しました。そして、北はゲバから南はベエル‧シェバに至るまでの高台の礼拝所を、全部たたき壊しました。次に、エルサレム市長ヨシュアの邸宅の入口にあった礼拝所も取り壊しました。その邸宅は、町の門を入って左側にありました。 + 高台の祭司たちは、ほかの祭司たちと共に食事はしたものの、エルサレムにある主の祭壇で供え物をささげる役には就きませんでした。 + それから王は、だれも二度と、自分の息子や娘をモレクのいけにえとしてささげることがないように、ベン‧ヒノムの谷にあるトフェテの祭壇を取り壊しました。 + また、神殿の入口に近い、宦官ネタン‧メレクの部屋の隣にある馬と戦車の像を壊しました。それは、先のユダの王たちが太陽神に献納したものだったからです。 + さらに、ユダの王たちが宮殿のアハズの部屋の屋上に造った祭壇と、マナセが神殿の二つの庭に造った祭壇も粉々にし、キデロンの谷にまきました。 + それから王は、エルサレムの東、破壊の山の南にある丘の上の礼拝所を取り除きました。それは、ソロモンがシドン人の悪の女神アシュタロテ、モアブの悪神ケモシュ、アモン人の悪神ミルコムのために建てたものです。 + ヨシヤ王は石の柱を粉々に砕き、忌むべきアシェラ像を切り倒し、それらのあった場所に人骨をまき散らして汚れた所にしました。 + さらに、イスラエルに罪を犯させたヤロブアム一世の築いた、ベテルにある祭壇や礼拝所を壊し、石の柱を粉々に砕き、アシェラ像を焼き払いました。 + ヨシヤ王は、山麓に墓があるのを見つけました。そこで家来に命じて、その墓から骨を取り出し、それをベテルの祭壇の上で焼かせて、祭壇を汚れたものとしました。こうして、かつて預言者がヤロブアムの祭壇はこうなる、と言っていたとおりになったのです。 + 王は、「あそこに見える石碑は何か」と尋ねました。すると、町の人々は答えました。「ユダから出て来て、あなたが今ベテルの祭壇に対してなさったことを預言した、預言者の墓(Ⅰ列王記13章参照)です。」 + 王は言いました。「そうか。では、そのままにしておきなさい。だれも彼の骨にさわってはならない。」それで人々は、彼の骨も、サマリヤから来たあの預言者の骨も焼きませんでした。 + ヨシヤ王はサマリヤの高台の礼拝所をすべて取り払い、ベテルでしたように粉々にしました。それらはみな、イスラエルの王たちが建て、主の激しい怒りを買ったものでした。 + 王はまた、異教の神々に仕える祭司たちを彼ら自身の祭壇の上で殺し、その祭壇を汚れたものとするため、その上で人の骨を焼きました。こうして、彼はエルサレムへ帰って行ったのです。 + 王は民に、『契約の書』にあるとおり、過越の儀式を執り行うよう命じました。 + イスラエルを士師が治めていた時以来、過越の祭りが祝われたことはありませんでした。イスラエルとユダの諸王のどの時代にも例がありません。 + この過越の祭りは、ヨシヤ王の第十八年、エルサレムで行われました。 + ヨシヤ王はまた、霊媒や口寄せ、それにエルサレムとユダの全地にある、ありとあらゆる偶像を一掃しました。祭司ヒルキヤが神殿で発見した書物にある律法のことばを、忠実に守ろうとしたからです。 + ヨシヤのように完全に主に立ち返り、モーセのすべての律法を守った王は、彼のほかにはいませんでした。 + それにもかかわらず、マナセ王の悪行がもたらしたユダへの主の激しい怒りは収まりませんでした。 + 主は言われました。「わたしは、イスラエルを退けたようにユダも退ける。わたしが選んだ町エルサレムも、わたしが自分のものだと言った神殿も捨てる。」 + ヨシヤ王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + そのころ、エジプトの王ネコが、アッシリヤの王のもとに行こうとユーフラテス川に向かっていました。ヨシヤはネコを迎え撃つために出陣しましたが、メギドで彼に見つかり、殺されました。 + ヨシヤの家来たちは遺体を戦車でエルサレムに運び、彼の墓地に葬りました。民は、ヨシヤ王の子エホアハズを新しい王に選びました。 + ユダの新しい王エホアハズは二十三歳で即位し、エルサレムで三か月間王位にありました。母はリブナ出身のエレミヤの娘ハムタルで、彼は先王たちにならって主の前に悪を行いました。 + ファラオ‧ネコは、エホアハズが王になることに反対でした。そのため、彼をハマテにあるリブラに幽閉し、ユダに銀百タラント(三千四百キログラム)と金一タラント(三十四キログラム)の科料を課しました。 + そしてヨシヤの子エルヤキムをエルサレムで王位につけ、名をエホヤキムと改めさせました。一方、エホアハズはエジプトへ連れて行かれ、そこで死にました。 + エホヤキム王は、エジプトのファラオが要求する銀を差し出すために、国民に重税を課さなければなりませんでした。 + ユダの新しい王エホヤキムは二十五歳で即位し、エルサレムで十一年治めました。母はルマ出身のペダヤの娘ゼブダで、彼もまた先王たちにならって主の前に悪を行いました。 + + + エホヤキムが王であった時代に、バビロンの王ネブカデネザルがエルサレムを攻めました。エホヤキム王は降伏し、三年間、貢ぎ物を納めたのち背きました。 + そこで主は、かねて預言者たちによって警告したとおり、カルデヤ人、シリヤ人、モアブ人、アモン人の略奪隊を送って、ユダとその民を滅ぼそうとしました。 + こうした災いがユダに臨んだのは、主のじきじきの命令によるものでした。それは、マナセがエルサレムを罪のない人の血で満たしたため、主がそれらの罪を赦さず、ユダを一掃しようと決めていたからです。 + エホヤキム王のその他の業績は、『ユダ諸王の年代記』に記録されています。 + 王は死んで、その子エホヤキンが新しく王となりました。 + 当時、バビロンの王がエジプト川からユーフラテス川に至る、以前のエジプトの全占領地を押さえていたので、エジプトのファラオはその後、再び攻めて来ませんでした。 + ユダの新しい王エホヤキンは十八歳で即位し、エルサレムで三か月間王位にありました。母はエルサレムのエルナタンの娘ネフシュタで、彼も先王たちにならって主の前に悪を行いました。 + エホヤキンが王であった時、バビロンの王ネブカデネザルの軍隊が、エルサレムを包囲しました。 + さらに王自身もやって来て、この作戦に加わりました。 + エホヤキン王とその家臣たち、王母はそろって降伏し、王は捕虜としてバビロンへ引いて行かれました。ネブカデネザル王の第八年のことです。 + バビロン軍は神殿と宮殿の宝物を残らず持ち出し、ソロモンが主の命令で神殿にしまっておいた金の器具を、片っぱしから二つに断ち切ってしまいました。 + ネブカデネザル王は、エルサレムから一万人を捕虜として連れ去りました。多くは、王子、高官、えり抜きの勇士、職人、鍛冶屋でした。貧しい人や、手に職のない人々だけがあとに残されたのです。 + エホヤキン王とその妻たち、家臣、それに王の母をはじめ、 + 七千人の精鋭部隊、戦争に役立つ職人と鍛冶屋千人が捕虜となりました。 + このあとバビロンの王は、エホヤキン王の叔父マタヌヤをゼデキヤと改名し、次の王にしました。 + ユダの新しい王ゼデキヤは二十一歳で即位し、エルサレムで十一年治めました。母はリブナ出身のエレミヤの娘ハムタルで、彼もまたエホヤキムと同じく主の前に悪を行いました。 + 主の怒りによって、ついにエルサレムとユダの民は壊滅に至ったのです。その後ゼデキヤ王は、バビロンの王に反逆を企てました。 + + + そこで、ゼデキヤ王の第九年の第十の月の十日にネブカデネザル王は全軍を率いて攻撃をしかけ、エルサレムを包囲しました。 + それは、ゼデキヤ王の第十一年まで続きました。 + 最後の年の第四の月の九日になると、町に残っていた最後の食糧も底をつきました。 + その夜、王とその手勢は、内側の城壁に穴をあけ、宮殿の庭園の近くにある、二重の城壁の間の門を通り抜けて、アラバへ逃げました。町を包囲していたバビロンの兵士たちはあとを追い、エリコの平原でゼデキヤ王を捕らえたので、王の軍隊は散り散りになりました。 + ゼデキヤはリブラへ連行され、バビロンの王の前で裁判を受けました。 + その結果、目の前で息子たちが次々に殺されるのを見せられたのち、両眼をえぐり出され、足かせにつながれたままバビロンへ連行されました。 + ネブカデネザル王の第十九年の第五の月の七日、王の侍従長ネブザルアダンがバビロンからエルサレムに到着し、 + 神殿や宮殿をはじめ、町中のめぼしい建物を全部焼き払いました。 + また、バビロン軍を指揮して、城壁を取り壊しました。 + 町に残っていた人々と、バビロンの王に忠誠を誓ったユダの逃亡兵全員は、捕虜としてバビロンへ連行されました。 + 貧民街に住む者だけが、土地を耕すために残されたのです。 + バビロン軍は、神殿の青銅の柱と青銅の洗盤を台もろとも壊し、青銅をすべてバビロンへ運びました。 + また、つぼ、十能、火皿、芯切りばさみ、さじ、その他、いけにえをささげるために使う青銅の器具もすべて奪いました。金や銀の鉢はその他の金銀とともに、溶かして金塊や銀塊にされました。 + ソロモンが神殿のために作った二本の柱と台つきの大洗盤は、あまりにも重くて、量ることができませんでした。 + 柱の高さはそれぞれ十八キュビト(約八メートル)あり、その上に回りを青銅の網細工とざくろで飾った三キュビトの柱頭がついていました。 + ネブザルアダンは、祭司長セラヤと次席祭司ゼパニヤ、それに、三人の神殿警備員を、捕虜としてバビロンへ連れて行きました。 + ユダ軍の司令官、徴兵官、王の五人の側近、町に隠れているところを見つかった六十人の農夫は、 + 捕らえられて、リブラにいるバビロンの王のもとへ引き出され、 + 剣で切り殺されました。こうして、ユダの民は祖国を追われて捕囚の身となったのです。 + ネブカデネザル王は、アヒカムの子、シャファンの孫ゲダルヤを、ユダに残った者を治める総督に任命しました。 + バビロンの王がゲダルヤを総督に任命したと聞くと、イスラエルのゲリラ部隊の指導者たちは、部下を引き連れ、ミツパにいるゲダルヤのところへ来ました。ネタヌヤの子イシュマエル、カレアハの子ヨハナン、ネトファ人タヌフメテの子セラヤ、マアカ人の子ヤアザヌヤと、その部下たちです。 + ゲダルヤは、彼らにこう保証しました。「武器を捨ててバビロン軍に下れば捕虜にもならず、この地に住めよう。」 + ところが、それからしばらくして、王族の一人であったイシュマエルは、十人の部下を連れてミツパへ行き、ゲダルヤをはじめ、ユダ人とバビロン人からなる総督府の職員を殺してしまったのです。 + ユダの民はバビロン軍の報復を恐れて、ゲリラ部隊の指導者たちとともに、あわててエジプトへ逃げました。 + エホヤキンは、捕囚となって三十七年目の第十二の月の二十七日に、牢から釈放され、自由の身となりました。それは、バビロンの王エビル‧メロダク即位の年のことでした。 + 彼はエホヤキンに親切にし、バビロンで共に獄につながれていたどの王に対するよりも厚遇しました。 + エホヤキンはそれまでの囚人服から新しい服に着替え、一生の間、いつも王の食卓で食事をしました。 + エホヤキンは生きている間、王から日々の生活費を支給されました。 + +
+
+ + 人類の最初の先祖は、次のとおりです。アダム、セツ、エノシュ、ケナン、マハラルエル、エレデ、エノク、メトシェラ、レメク、ノア、セム、ハム、ヤペテ。 + ヤペテの子孫はゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メシェク、ティラス。ゴメルの子孫はアシュケナズ、ディファテ、トガルマ。ヤワンの子孫はエリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニム。ハムの子孫はクシュ、ミツライム、プテ、カナン。クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカ。ラマの子孫はシェバ、デダン。 + クシュのもう一人の子ニムロデは、偉大な英雄でした。 + ミツライムの子孫の名をとって呼ばれる氏族は、次のとおり。ルデ人、アナミム人、レハビム人、ナフトヒム人、パテロス人、ペリシテ人の先祖カスルヒム人、カフトル人。 + カナンの息子は長男のシドンとヘテ。カナンは、エブス人、エモリ人、ギルガシ人、ヒビ人、アルキ人、シニ人、アルワデ人、ツェマリ人、ハマテ人の先祖となりました。 + セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャデ、ルデ、アラム、ウツ、フル、ゲテル、メシェク。 + アルパクシャデの子はシェラフ、シェラフの子はエベル。 + エベルの息子は、「分割」という意味のペレグ。彼の時代に、地上の人々が異なる言語ごとに分けられたからです。そして、もう一人はヨクタン。 + ヨクタンの子孫はアルモダデ、シェレフ、ハツァルマベテ、エラフ、ハドラム、ウザル、ディクラ、エバル、アビマエル、シェバ、オフィル、ハビラ、ヨバブ。 + こういうわけで、セムの子はアルパクシャデ、その子はシェラフ。以下、エベル、ペレグ、レウ、セルグ、ナホル、テラ、アブラム(のちにアブラハムと改名)と続きます。 + アブラハムの子はイサクとイシュマエル。イシュマエルの子孫は次のとおり。長男ネバヨテ、ケダル、アデベエル、ミブサム、ミシュマ、ドマ、マサ、ハダデ、テマ、エトル、ナフィシュ、ケデマ。 + アブラハムがそばめケトラに産ませた子は、ジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデヤン、イシュバク、シュアハ。ヨクシャンの子はシェバとデダン。 + ミデヤンの子はエファ、エフェル、エノク、アビダ、エルダア。以上は、そばめケトラによるアブラハムの子孫です。 + アブラハムの子イサクには、エサウとイスラエルという二人の子がいました。 + エサウの子はエリファズ、レウエル、エウシュ、ヤラム、コラ。 + エリファズの子はテマン、オマル、ツェフィ、ガタム、ケナズ、ティムナ、アマレク。 + レウエルの子はナハテ、ゼラフ、シャマ、ミザ。 + セイルの子はロタン、ショバル、ツィブオン、アナ、ディション、エツェル、ディシャン、ロタンの妹ティムナ。ロタンの子はホリとホマム。 + ショバルの子はアルヤン、マナハテ、エバル、シェフィ、オナム。ツィブオンの子はアヤとアナ。 + アナの子はディション。ディションの子はハムラン、エシュバン、イテラン、ケラン。 + エツェルの子はビルハン、ザアワン、ヤアカン。ディシャンの子はウツとアラン。 + イスラエル王国が誕生する前に、エドムの地を治めていた王は次のとおりです。ディヌハバの町に住んでいた、ベオルの子ベラ。 + ベラが死んで、ボツラ出身のゼラフの子ヨバブが新しく王となりました。 + ヨバブが死ぬと、テマン人の地出身のフシャムが王になりました。 + フシャムが死ぬと、モアブの野でミデヤン軍を打ち破ったベダデの子ハダデが王となり、アビテの町で治めました。 + ハダデが死んで、マスレカの町出身のサムラが王座につきました。 + サムラが死んで、ユーフラテス河畔の町レホボテ出身のサウルが新しく王となりました。 + サウルが死ぬと、アクボルの子バアル‧ハナンが王になりました。 + バアル‧ハナンが死んで、ハダデが王となり、パイの町で治めました。彼の妻はマテレデの娘で、メ‧ザハブの孫娘に当たるメヘタブエルでした。 + ハダデが死んだ時のエドムの首長たちは、次のとおりです。ティムナ、アルワ、エテテ、オホリバマ、エラ、ピノン、ケナズ、テマン、ミブツァル、マグディエル、イラム。 + + + イスラエルの子はルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン、ダン、ヨセフ、ベニヤミン、ナフタリ、ガド、アシェル。 + ユダには、カナンの女シュアの娘から生まれたエル、オナン、シェラの三人の子がいました。しかし、長男エルは主の前に罪を犯したので、主に殺されました。 + エルの妻であったタマルは、のちに、しゅうとのユダとの間にふたごのペレツとゼラフを産んだので、ユダの子は全部で五人です。 + ペレツの子はヘツロンとハムル。 + ゼラフの子はジムリ(ザブディ)、エタン、ヘマン、カルコル、ダラ。 + カルミ(ジムリの子)の子アカンは神のものを盗んで、イスラエルに災いをもたらしました。 + エタンの子はアザルヤ。 + ヘツロンの子はエラフメエル、ラム、カレブ。 + ラムの子はアミナダブ、その子はイスラエルの指導者ナフション。以下、サルマ、ボアズ、オベデ、エッサイと続きます。 + エッサイの長男はエリアブ、次男はアビナダブ、三男はシムア、 + 四男はネタヌエル、五男はラダイ、 + 六男はオツェム、七男はダビデです。 + 二人の娘の名はツェルヤとアビガイル。ツェルヤの子はアブシャイ、ヨアブ、アサエル。 + イシュマエル人エテルの妻アビガイルの子は、アマサ。 + ヘツロンの子カレブには、アズバとエリオテという二人の妻がありました。アズバによる子は、エシェル、ショバブ、アルドン。 + アズバの死後、カレブはエフラテと結婚しました。エフラテによる子はフル。 + フルの子はウリ、ウリの子はベツァルエル。 + ヘツロンは六十歳で、ギルアデの父でもあったマキルの娘と結婚しました。彼女はひとり息子のセグブを産みました。 + セグブは、ギルアデの地で二十三の町を治めたヤイルの父となりました。 + ところが、やはりマキルの子孫に当たるゲシュルとアラムがこの町々を奪い取り、さらにケナテと周辺の六十の村を取りました。 + カレブは、父ヘツロンが死ぬとすぐ、父の未亡人エフラテと結婚しました。彼女はテコアの父アシュフルを産みました。 + ヘツロンの長男エラフメエルの子は長男ラム、ブナ、オレン、オツェム、アヒヤ。 + エラフメエルのもう一人の妻アタラは、オナムの母となりました。 + ラムの子はマアツ、ヤミン、エケル。 + オナムの子はシャマイとヤダ。シャマイの子はナダブとアビシュル。 + アビシュルと妻アビハイルとの子は、アフバンとモリデ。 + ナダブの子はセレデとアパイム。セレデは子がないまま死にました。 + アパイムの子はイシュイ、その子はシェシャン、その子はアフライ。 + シャマイの兄弟ヤダの子はエテルとヨナタン。エテルは子がないまま死にました。 + ヨナタンの子はペレテとザザ。 + シェシャンには娘だけで、息子はいませんでした。彼は娘の一人を彼の召使のエジプト人ヤルハの妻とし、生まれた息子をアタイと名づけました。 + アタイの子はナタン。以下、ザバデ、エフラル、オベデ、エフー、アザルヤ、ヘレツ、エルアサ、シセマイ、シャルム、エカムヤ、エリシャマと続きます。 + エラフメエルの兄弟カレブの長男は、メシャ。メシャはジフの父、ジフはマレシャの父、マレシャはヘブロンの父。 + ヘブロンの子はコラ、タプアハ、レケム、シェマ。 + シェマはラハムの父、ラハムはヨルコアムの父。レケムはシャマイの父。 + シャマイの子はマオン。マオンはベテ‧ツルの父。 + カレブのそばめエファは、ハラン、モツァ、ガゼズを産みました。ハランの子はガゼズと名づけられました。 + ヤフダイの子はレゲム、ヨタム、ゲシャン、ペレテ、エファ、シャアフ。 + カレブのもう一人のそばめマアカは、シェベル、ティルハナ、マデマナの父シャアフ、マクベナとギブアの父シェワを産みました。カレブにはまた、アクサという娘がいました。 + カレブとエフラテから生まれた長男フルの子は、キルヤテ‧エアリムの父ショバル、 + ベツレヘムの父サルマ、ベテ‧ガデルの父ハレフ。 + ショバルの子にはキルヤテ‧エアリムのほかに、メヌホテ族の半分の先祖ハロエがいました。 + キルヤテ‧エアリムの諸氏族は、エテル人、プテ人、シュマ人、ミシュラ人で、彼らからツォルア人とエシュタオル人が出ました。 + サルマの子孫は、その子ベツレヘム、ネトファ人、アテロテ‧ベテ‧ヨアブ、マナハテ人の半分、ツォルア人。 + ヤベツに住んでいた書記の諸氏族はティルア人、シムア人、スカ人。みな、レカブ家の父祖ハマテから出たケニ人でした。 + + + ダビデ王の長男は、イズレエル出身の妻アヒノアムから生まれたアムノン。次男は、カルメル出身のアビガイルを母とするダニエル。 + 三男は、ゲシュルの王タルマイの娘マアカから生まれたアブシャロム。四男は、ハギテを母とするアドニヤ。 + 五男は、アビタルを母とするシェファテヤ。六男は、妻エグラから生まれたイテレアム。 + 以上六人は、ヘブロンで生まれました。ダビデはこのヘブロンで七年半にわたって王位にありましたが、のちに都をエルサレムへ移し、三十三年間そこで治めました。 + エルサレムにいた時、アミエルの娘で、ダビデの妻のバテ‧シェバは、シムア、ショバブ、ナタン、ソロモンの母となりました。 + ダビデには、ほかにも次の九人の子がいました。イブハル、エリシャマ、エリフェレテ、ノガハ、ネフェグ、ヤフィア、エリシャマ、エルヤダ、エリフェレテ。 + 以上の系図には、そばめの子は含まれず、ダビデにはまた、タマルという娘もいました。 + ソロモン王の子孫は次のとおりで、以下のように続きます。レハブアム、アビヤ、アサ、ヨシャパテ、ヨラム、アハズヤ、ヨアシュ、アマツヤ、アザルヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤ、マナセ、アモン、ヨシヤ。 + ヨシヤの子はヨハナン、エホヤキム、ゼデキヤ、シャルム。 + エホヤキムの子はエコヌヤ(別名エホヤキン)、ゼデキヤ。 + エコヌヤ王が軟禁されていた時に生まれた子は、次のとおり。シェアルティエル、マルキラム、ペダヤ、シェヌアツァル、エカムヤ、ホシャマ、ネダブヤ。 + ペダヤはゼルバベルとシムイの父。ゼルバベルの子は次のとおり。メシュラム、ハナヌヤ、ハシュバ、オヘル、ベレクヤ、ハサデヤ、ユシャブ‧ヘセデ、娘のシェロミテ。 + ハナヌヤの子はペラテヤとエシャヤ。エシャヤの子孫はレファヤ、アルナン、オバデヤ、シェカヌヤ、シェマヤ。シェマヤの子は六人で、ハトシュ、イグアル、バリアハ、ネアルヤ、シャファテ。 + ネアルヤの子は三人で、エルヨエナイ、ヒゼキヤ、アズリカム。 + エルヨエナイの子は七人で、ホダブヤ、エルヤシブ、ペラヤ、アクブ、ヨハナン、デラヤ、アナニ。 + + + ユダの子孫はペレツ、ヘツロン、カルミ、フル、ショバル。 + ショバルの子レアヤはヤハテの父。ヤハテは、ツォルア人の諸氏族となったアフマイとラハデの先祖。 + エタムの子孫は次のとおり。イズレエル、イシュマ、イデバシュ、娘のハツェレルポニ、ゲドルの先祖ペヌエル、フシャの先祖エゼル。以上が、ベツレヘムの父で、エフラテの長男に当たるフルの子です。 + テコアの父アシュフルには、ヘルアとナアラという二人の妻がいました。 + ナアラはアフザム、ヘフェル、テメニ、アハシュタリを産み、 + ヘルアはツェレテ、ツォハル、エテナンを産みました。 + コツはアヌブとツォベバの父で、ハルムの子アハルヘルの名で呼ばれた氏族の先祖です。 + ヤベツは兄弟の中で最も重んじられていました。母が彼をヤベツ(「苦しみ」の意)と名づけたのは、出産の時にたいへんな苦しみを味わったからです。 + ヤベツはイスラエルの神に祈りました。「どうか、私を大いに祝福し、私の働きを助けてください。私が行うすべてのことに御手を添えてください。すべての悪と災いからお守りください。」神はその願いをかなえてくださいました。 + レカの子孫は次のとおり。エシュトンの父メヒルの父となった、シュハの兄弟ケルブ。エシュトンはベテ‧ラファ、パセアハ、テヒナの父。テヒナはイル‧ナハシュの父。 + ケナズの子はオテニエルとセラヤ。オテニエルの子はハタテとメオノタイ。 + メオノタイはオフラの父。セラヤは、多くの職人が住んでいたので「職人の谷」と呼ばれた谷の住人の先祖ヨアブの父。 + エフネの子カレブの子はイル、エラ、ナアム。エラの子の一人はケナズ。 + エハレルエルの子はジフ、ジファ、ティルヤ、アサルエル。 + エズラの子はエテル、メレデ、エフェル、ヤロン。メレデはエジプトのファラオ(王)の娘ビテヤと結婚しました。彼女は、ミリヤム、シャマイ、エシュテモアの先祖イシュバフの母となりました。 + エシュテモアの妻はユダヤ人で、エレデ、ヘベル、エクティエルの母となりました。この三人は、ゲドル人、ソコ人、ザノアハ人の先祖となりました。 + ホディヤの妻はナハムの姉妹で、生まれた子の一人はガルミ人ケイラの父となり、もう一人はマアカ人エシュテモアの父となりました。 + シモンの子はアムノン、リナ、ベン‧ハナン、ティロン。イシュイの子はゾヘテ、ベン‧ゾヘテ。 + ユダの子シェラの子孫は次のとおり。レカの父エル、マレシャの父ラダ、ベテ‧アシュベアで亜麻布業を営む氏族、ヨキム、コゼバの氏族、ヨアシュ。ラヘムに帰るまでモアブの支配者であったサラフ。これらの名は古くから記録にとどめられていました。 + これらの氏族は陶芸、庭園、植林の技術にすぐれ、王のために働きました。 + シメオンの子はネムエル、ヤミン、ヤリブ、ゼラフ、サウル。 + サウルの子はシャルム、孫はミブサム、曾孫はミシュマ。 + ミシュマの子の一人が、ザクルの父で、シムイの祖父に当たるハムエル。 + シムイには十六人の息子と六人の娘がいました。ところが、シムイの兄弟たちには、ユダの普通の家族に比べて子どもが少なかったのです。 + 彼らは、ベエル‧シェバ、モラダ、ハツァル‧シュアル、 + ビルハ、エツェム、トラデ、 + ベトエル、ホルマ、ツィケラグ、 + ベテ‧マルカボテ、ハツァル‧スシム、ベテ‧ビルイ、シャアライムに住んでいました。これらの町は、ダビデの時代になるまで、彼らの支配下にあったのです。 + 彼らの子孫は、エタム、アイン、リモン、トケン、アシャンおよびその周辺に住んでいました。中には、バアルのような遠方に住んでいた者もいます。これらのことは、系図に記録されています。 + 次に挙げるのは、家畜の群れを飼う牧場を捜し求めてゲドルの谷の東側まで旅をした、富める氏族の長です。メショバブ、ヤムレク、ヨシャ、ヨエル、エフー、エルヨエナイ、ヤアコバ、エショハヤ、アサヤ、アディエル、エシミエル、ベナヤ、シフイの子ジザ。シフイから順次さかのぼると、アロン、エダヤ、シムリ、シェマヤに至ります。 + 彼らは、静かで平和そのものの良い牧場を見つけました。しかし、その地はハムの子孫のものでした。ユダ王朝のヒゼキヤ王の時、これらの氏族の長がこの地を襲って、ハムの子孫の天幕(テント)と家を破壊し、住民を殺してそこを奪ったのです。 + 後日、このシメオン族から出た侵略者たちのうち五百人は、イシュイの子のペラテヤ、ネアルヤ、レファヤ、ウジエルたちを指導者として立てセイルの山地に向かいました。 + 彼らはそこで、アマレク人の残党を打ち、そこに住みついたのです。 + + + イスラエルの長男はルベンでしたが、彼は父のそばめの一人と寝て、父の顔に泥を塗るようなことをしたので、長子の権利は腹違いの弟ヨセフのものになりました。それで公式の系図には、ルベンが長男として記されていないのです。 + さて、ヨセフには長子の権利があったものの、イスラエルのうちで最も有力な部族の先祖になったのはユダでした。このユダ部族から君主が出ることになります。 + イスラエルの子ルベンの子はエノク、パル、ヘツロン、カルミ。 + ヨエルの子孫は、その子シェマヤ、孫ゴグ、曾孫シムイ。 + シムイの子はミカ、孫はレアヤ、曾孫はバアル。 + バアルの子はベエラ。ベエラはルベン族の長で、アッシリヤの王ティグラテ‧ピレセルの捕囚として引いて行かれました。 + 彼の親族は氏族の長となり、公式の系図に記されています。エイエル、ゼカリヤ、それにアザズの子、シェマの孫、ヨエルの曾孫のベラ。これらのルベン人はアロエルに住み、ネボ山やバアル‧メオンのような遠くに住む者もいました。 + ヨエルは家畜を飼っていましたが、ギルアデの地で家畜が増えたので、その放牧地は、東の荒野の入口からユーフラテス川に及びました。 + サウル王の時代に、ルベン人はハガル人と戦って勝ったのでギルアデ東部に移り、そこに住むようになりました。 + ガドの子孫は、ルベン人の真向かいのバシャンに住み、サルカにまで居住範囲を広げました。 + ヨエルが長で、その次にシャファム、そして、ヤナイとシャファテがいました。 + その一族の七つの氏族の長は、ミカエル、メシュラム、シェバ、ヨライ、ヤカン、ジア、エベルでした。 + ブズの子孫は、系図をたどると次のとおりになります。ヤフド、エシシャイ、ミカエル、ギルアデ、ヤロアハ、フリ、アビハイル。 + アブディエルの子、グニの孫アヒは、その一族の指導者でした。 + 一族は、バシャンの地のギルアデとその周辺、ならびにシャロンの牧草地全域に住んでいました。 + 彼らはみな、ユダの王ヨタムとイスラエルの王ヤロブアムの時代に、公式の系図に載せられました。 + ルベン、ガド、マナセの半部族の軍隊のうちには四万四、七六〇人の、特に訓練された精鋭部隊がいました。 + 彼らはハガル人、エトル人、ナフィシュ人、ノダブ人と戦いましたが、 + ひたすら神に信頼したので祈りが聞かれ、ハガル人とその連合軍をみごとに打ち破ることができました。 + 戦利品は、らくだ五万頭、羊二十五万頭、ろば二千頭、捕虜十万人にのぼりました。 + 敵軍の大半は神を向こうに回して戦ったため、戦場で倒れました。そこでルベン人は、のちに捕囚としてアッシリヤへ連れ去られるまで、ハガル人の領土に住みました。 + マナセの半部族は、このバシャンの地から、バアル‧ヘルモン、セニル、ヘルモン山に至る各地に広がり、増えていきました。 + その各氏族の長は次のとおり。エフェル、イシュイ、エリエル、アズリエル、エレミヤ、ホダブヤ、ヤフディエル。彼らはみな勇士で、すぐれた指導者としても知られていました。 + ところが、彼らは父祖の神に忠誠を尽くさず、神が滅ぼされた国々の偶像を拝みました。 + そこで神は、ティグラテ‧ピレセル三世として知られるアッシリヤの王プルにこの地を侵略させ、ルベン族とガド族、それにマナセの半部族を捕囚として引いて行かせました。彼らはハラフ、ハボル、ハラ、およびゴザン川に移され、今なお、そこにとどまっています。 + + + レビの子はゲルション、ケハテ、メラリ。 + ケハテの子はアムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエル。 + アムラムの子はアロン、モーセ、ミリヤム。アロンの子はナダブ、アビフ、エルアザル、イタマル。 + アロンの家系の長男をたどると、エルアザル、ピネハス、アビシュア、ブキ、ウジ、ゼラヘヤ、メラヨテ、アマルヤ、アヒトブ、ツァドク、アヒマアツ、アザルヤ、ヨハナン、ソロモンがエルサレムに建てた神殿の大祭司アザルヤ、アマルヤ、アヒトブ、ツァドク、シャルム、ヒルキヤ、アザルヤ、セラヤ、神がネブカデネザルの手でユダとエルサレムの住民を捕虜として移された時、捕虜の一人であったエホツァダクへと続きます。 + 先に挙げたように、レビの子はゲルショム、ケハテ、メラリ。 + ゲルショムの子はリブニ、シムイ。 + ケハテの子はアムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエル。 + メラリの子はマフリ、ムシ。レビ人の諸氏族は次のとおり。ゲルショム氏族ではリブニ、ヤハテ、ジマ、ヨアフ、イド、ゼラフ、エオテライ。 + ケハテ氏族ではアミナダブ、コラ、アシル、エルカナ、エブヤサフ、アシル、タハテ、ウリエル、ウジヤ、サウル。 + エルカナの氏族は、さらに子どもたちの代に家族に分かれました。アマサイ、アヒモテ、エルカナ、ツォファイ、ナハテ、エリアブ、エロハム、エルカナ。 + サムエルの氏族の諸家族は、次のサムエルの子を長としています。長男ヨエル、次男アビヤ。 + メラリの氏族の諸家族は、次のメラリの子孫を長としています。マフリ、リブニ、シムイ、ウザ、シムア、ハギヤ、アサヤ。 + ダビデは契約の箱を神の天幕に納めたのち、そこで神を賛美する合唱隊の指揮者を任命しました。 + ソロモン王がエルサレムに神殿を建てるまで、合唱隊は幕屋で勤務していました。 + 次に挙げるのは、合唱隊の指揮者とその家系です。歌手ヘマンはケハテ氏族の出身で、その系図は順次さかのぼると次のとおり。ヨエル、サムエル、エルカナ三世、エロハム、エリエル、トアハ、ツフ、エルカナ二世、マハテ、アマサイ、エルカナ一世、ヨエル、アザルヤ、ゼパニヤ、タハテ、アシル、エブヤサフ、コラ、イツハル、ケハテ、レビ、イスラエル。 + ヘマンの助手は同僚のアサフで、その系図は順次さかのぼると次のとおり。ベレクヤ、シムア、ミカエル、バアセヤ、マルキヤ、エテニ、ゼラフ、アダヤ、エタン、ジマ、シムイ、ヤハテ、ゲルショム、レビ。 + ヘマンの第二助手はメラリ氏族の代表エタンで、ヘマンの左側に立ちました。メラリの家系は順次さかのぼると次のとおりです。キシ、アブディ、マルク、ハシャブヤ、アマツヤ、ヒルキヤ、アムツィ、バニ、シェメル、マフリ、ムシ、メラリ、レビ。 + そのほかのレビ人は、天幕での各種の奉仕に当たりました。 + ただし、祭司の務めに当たったのはアロンとその子孫だけです。彼らは、焼き尽くすいけにえをささげ、香をたくなど、至聖所(幕屋の奥で、契約の箱が置かれている所)のすべての仕事を一手に引き受け、毎年、イスラエルの民の贖いの日には務めを果たしました。これらすべてのことは、モーセが命じたとおりに、誤りなく行われました。 + アロンの子孫は次のとおり。エルアザル、ピネハス、アビシュア、ブキ、ウジ、ゼラヘヤ、メラヨテ、アマルヤ、アヒトブ、ツァドク、アヒマアツ。 + ケハテ氏族に属するアロンの子孫に、くじで割り当てられた町と土地は次のとおり。 + ユダにある避難用の町ヘブロンとその周辺の牧草地。ただし、畑と町の周辺の村はエフネの子カレブに与えられました。 + 周囲に牧草地のある町は次のとおり。リブナ、ヤティル、エシュテモア、ヒレズ、デビル、アシャン、ベテ‧シェメシュ。 + そのほか、ベニヤミン族からゲバ、アレメテ、アナトテの町と周辺の牧草地が贈られました。全部で十三の町が祭司たちに与えられたことになります。 + ケハテの残りの子孫には、くじ引きで、マナセの半部族の領土にある十の町が与えられました。 + ゲルショムの諸氏族には、イッサカル、アシェル、ナフタリ、バシャンに住むマナセ族から、くじ引きで十三の町が与えられました。 + メラリの諸氏族は、ルベン、ガド、ゼブルンの各部族から、くじ引きで十二の町が与えられました。 + くじ引きで、ユダ、シメオン、ベニヤミンの各部族からレビ人に与えられる町と牧草地の名が読み上げられました。 + エフライム族は、次の町と周辺の牧草地を、ケハテの諸氏族に与えました。エフライムの山地にある避難用の町シェケム、ゲゼル、ヨクメアム、ベテ‧ホロン、アヤロン、ガテ‧リモン。 + マナセの半部族は、アネル、イブレアムの町と周辺の牧草地を、ケハテの諸氏族に与えました。 + マナセの残りの半部族は、次の町と周辺の牧草地を、ゲルショム氏族に与えました。バシャンにある避難用の町ゴラン、アシュタロテ。 + イッサカル族は、ケデシュ、ダベラテ、ラモテ、アネムと周辺の牧草地を、 + アシェル族は、マシャル、アブドン、フコク、レホブと周辺の牧草地を、 + またナフタリ族は、ガリラヤにあるケデシュ、ハモン、キルヤタイムと周辺の牧草地を、それぞれゲルショム氏族に与えました。 + ゼブルン族は、リモノとタボルをメラリ氏族に与えました。 + ルベン族は、エリコの対岸のヨルダン川東岸から、荒野の町ベツェル、ヤハツ、ケデモテ、メファアテと周辺の牧草地を、 + ガド族は、ギルアデにあるラモテ、マハナイム、ヘシュボン、ヤゼルと周辺の牧草地を、それぞれメラリ氏族に与えました。 + + + イッサカルの子はトラ、プア、ヤシュブ、シムロン。 + トラの子は次のとおりで、みな氏族の長となりました。ウジ、レファヤ、エリエル、ヤフマイ、イブサム、シェムエル。ダビデ王の時代には、これらの諸氏族出身の勇士は総計二万二千六百人にのぼりました。 + ウジの子はイゼラヘヤ。イゼラヘヤの息子はミカエル、オバデヤ、ヨエル、イシヤなど五人で、みな氏族の長でした。 + 彼らはみな数人の妻をめとり、多くの子をもうけたので、その子孫は、ダビデの時代には三万六千の兵力になりました。 + イッサカル族の全氏族から兵役についた者は計八万七千人で、みな系図に載っている勇士でした。 + ベニヤミンの子はベラ、ベケル、エディアエル。 + ベラの子はエツボン、ウジ、ウジエル、エリモテ、イリ。この五人の勇士は各氏族の長で、系図に載っている兵士二万二、〇三四人の指導者でした。 + ベケルの子は次のとおり。ゼミラ、ヨアシュ、エリエゼル、エルヨエナイ、オムリ、エレモテ、アビヤ、アナトテ、アレメテ。 + ダビデの時代には、彼らの子孫から出た勇士は各氏族の長二万二百人に及びました。 + エディアエルの子はビルハン。ビルハンの子はエウシュ、ベニヤミン、エフデ、ケナアナ、ゼタン、タルシシュ、アヒシャハル。 + 彼らはみなエディアエルの諸氏族の長となり、その子孫は、ダビデの時代に一万七千二百人の勇士となりました。 + イルの子はシュピムとフピム。フシムはアヘルの子の一人でした。 + ヤコブのそばめビルハの子ナフタリの子は、ヤハツィエル、グニ、エツェル、シャルム。 + マナセがアラム人のそばめに産ませた子は、アスリエルとギルアデの父のマキル。 + マキルは、フピムとシュピムに妻を見つけてやりました。マキルの妹はマアカ。彼のもう一人の末裔のツェロフハデには娘しかいませんでした。 + マキルの妻もマアカといいましたが、ペレシュという男の子を産みました。その弟はシェレシュで、ウラムとレケムという二人の子がいました。 + ウラムの子はベダン。以上はギルアデの子、マキルの孫、マナセのひ孫です。 + マキルの妹モレケテは、イシュホデ、アビエゼル、マフラを産みました。 + シェミダの子はアフヤン、シェケム、リクヒ、アニアム。 + エフライムの子孫は次のとおり。シュテラフ、ベレデ、タハテ、エルアダ、タハテ、ザバデ、シュテラフ、それにエゼルとエルアデ。エルアデとエゼルは、ガテで家畜を盗もうとして土地の農夫に見つかり、殺されました。 + 二人の父エフライムは、長い間喪に服していたので、兄弟たちが彼を慰めました。 + そののち、エフライムの妻は男の子を産みましたが、悲劇のただ中で生まれたその子を、彼はベリア(「災い」の意)と名づけました。 + エフライムの娘シェエラは、下および上のベテ‧ホロン、それにウゼン‧シェエラを建てました。 + エフライムの息子ベリアの家系はレファフ、レシェフ、テラフ、タハン、ラダン、アミフデ、エリシャマ、ヌン、ヨシュアと続きます。 + 彼らは、ベテルとその周辺の村々、東方ではナアラン、西方ではゲゼルと周辺の村々、シェケムと周辺の村々、さらにアヤと近郊の町々に住んでいました。 + イスラエルの子ヨセフの子孫のマナセ族は、次の町々と周辺の地域を支配していました。ベテ‧シェアン、タナク、メギド、ドル。 + アシェルの子はイムナ、イシュワ、イシュビ、ベリア、姉妹セラフ。 + ベリアの子はヘベル、ビルザイテの父のマルキエル。 + ヘベルの子はヤフレテ、ショメル、ホタム、姉妹シュア。 + ヤフレテの子はパサク、ビムハル、アシュワテ。 + 彼の兄弟ショメルの子はアヒ、ロフガ、フバ、アラム。 + 彼の兄弟ヘレムの子はツォファフ、イムナ、シェレシュ、アマル。 + ツォファフの子はスアハ、ハルネフェル、シュアル、ベリ、イムラ、ベツェル、ホデ、シャマ、シルシャ、イテラン、ベエラ。 + エテルの子はエフネ、ピスパ、アラ。 + ウラの子はアラフ、ハニエル、リツヤ。 + これらアシェルの子孫はみな各氏族の長で、えり抜きの勇士でした。アシェルの子孫のうち、軍人で系図に載せられた者は二万六千人でした。 + + + ベニヤミンの子は年齢順にあげると、次のとおり。長男ベラ、次男アシュベル、三男アフラフ、四男ノハ、五男ラファ。 + ベラの子はアダル、ゲラ、アビフデ、アビシュア、ナアマン、アホアハ、ゲラ、シェフファン、フラム。 + 捕虜となってマナハテへ移された、ゲバ在住の氏族の長エフデの子は次のとおり。ナアマン、アヒヤ、それにヘグラムとも呼ばれたウザとアヒフデの父ゲラ。 + シャハライムは、妻のフシムとバアラを離縁したのち、再婚した新しい妻ホデシュによって、モアブの地で次の子をもうけました。ヨバブ、ツィブヤ、メシャ、マルカム、エウツ、サケヤ、ミルマ。これらの子は、みな一族の長となりました。 + シャハライムの先妻フシムは、アビトブとエルパアルを産みました。 + エルパアルの子はエベル、ミシュアム、オノとロデと周辺の村々を建てたシェメデ。 + このほか、同じくエルパアルの子ベリアとシェマはアヤロンに住む氏族の長で、ガテの住民を追い払いました。 + エルパアルには、さらに次の子がいます。アフヨ、シャシャク、エレモテ。 + ベリアの子はゼバデヤ、アラデ、エデル、ミカエル、イシュパ、ヨハ。 + エルパアルには次の子もいます。ゼバデヤ、メシュラム、ヒズキ、ヘベル、イシュメライ、イズリア、ヨバブ。 + シムイの子は次のとおり。ヤキム、ジクリ、ザブディ、エリエナイ、ツィルタイ、エリエル、アダヤ、ベラヤ、シムラテ。 + シャシャクの子はイシュパン、エベル、エリエル、アブドン、ジクリ、ハナン、ハナヌヤ、エラム、アヌトティヤ、イフデヤ、ペヌエル。 + エロハムの子はシャムシェライ、シェハルヤ、アタルヤ、ヤアレシュヤ、エリヤ、ジクリ。 + 彼らはエルサレムに住む諸氏族の長でした。 + ギブオンの父エイエルはギブオンに住み、妻はマアカといいました。 + 彼の長男はアブドンで、以下、次の子たちが続きます。ツル、キシュ、バアル、ナダブ、ゲドル、アフヨ、ゼケル、シムアの父ミクロテ。この家族はみなエルサレムの近くに住んでいました。 + ネルはキシュの父、キシュはサウルの父。サウルの子の一部は次のとおり。ヨナタン、マルキ‧シュア、アビナダブ、エシュバアル。 + ヨナタンの子はメフィボシェテ。メフィボシェテの子はミカ。 + ミカの子はピトン、メレク、タアレア、アハズ。 + アハズはエホアダの父。エホアダは次の子たちの父。アレメテ、アズマベテ、ジムリ。ジムリの子はモツァ。 + モツァはビヌアの父。ビヌアの子孫はラファ、エルアサ、アツェル。 + アツェルの六人の子はアズリカム、ボクル、イシュマエル、シェアルヤ、オバデヤ、ハナン。 + アツェルの兄弟エシェクには次の三人の子がいました。長男ウラム、次男エウシュ、三男エリフェレテ。 + ウラムの子はみなベニヤミン族に属し、弓の名手として評判が高く、百五十人の子と孫がいました。 + + + イスラエルの民の系図は、一人もらさず、『イスラエル諸王の年代記』に載っています。ユダは偶像礼拝の罪のために、バビロンに捕囚として引いて行かれました。 + 以前住んでいた町へ最初に帰還したのは、イスラエルの諸部族の家族、祭司、レビ人、それに神殿奉仕者でした。 + ユダ、ベニヤミン、エフライム、マナセの各部族に属する家族は、エルサレムに帰りました。 + その中に、ユダの子ペレツ氏族のウタイの家族がいました。ウタイはアミフデの子、順次さかのぼってオムリの子、イムリの子、バニの子。 + シェラ人も帰って来た家族の一つで、シェラの長男アサヤと子孫が含まれていました。 + そのほか、エウエルとその同族六百九十人を含む、ゼラフの子孫もいました。 + ベニヤミン族の帰還者の中には次の者がいます。セヌアの子ホダブヤの子メシュラムの子に当たるサル、エロハムの子イブネヤ、ウジの子で、ミクリの孫エラ、シェファテヤの子で、レウレルの孫、イブニヤのひ孫に当たるメシュラ。 + 彼らはみな家族の長でした。総勢九百五十六人のベニヤミン人が帰って来たことになります。 + 帰還した祭司は次のとおり。エダヤ、エホヤリブ、ヤキン、神殿の護衛長のアザルヤ。アザルヤはヒルキヤの子で、順次さかのぼってメシュラムの子、ツァドクの子、メラヨテの子、アヒトブの子。 + 祭司ではほかに、エロハムの子で、パシュフルの孫、マルキヤのひ孫に当たるアダヤ。また、アディエルの子マサイ。さらに順次さかのぼると、アディエルはヤフゼラの子、メシュラムの子、メシレミテの子、イメルの子。 + 総勢千七百六十人の祭司が帰還しました。 + 帰って来たレビ人の中に、シェマヤがいました。このシェマヤは、メラリの子孫ハシャブヤのひ孫、アズリカムの孫、ハシュブの子です。 + レビ人ではほかに、次の者がいます。バクバカル、ヘレシュ、ガラル、アサフの子ジクリの子ミカの子マタヌヤ、エドトンの子ガラルの子シェマヤの子オバデヤ、ネトファ人の村に住んでいたエルカナの子アサの子ベレクヤ。 + 門衛はみなレビ人で、その長のシャルムはじめ、アクブ、タルモン、アヒマンがいました。シャルムは今でも東方にある王の門を守っています。 + シャルムの家系は、順次さかのぼってコレ、エブヤサフ、コラに至ります。彼と親族のコラ人は、いけにえをささげる仕事や、先祖が幕屋の管理と警備に当たっていたように、聖所を守る務めにつきました。 + かつてはエルアザルの子ピネハスが、この務めの長でした。主はピネハスとともにいました。 + 当時、メシェレムヤの子ゼカリヤが、幕屋の入口の警備についていました。 + この時、門衛として選ばれた人々は二百十二人です。この人々は、系図をもとに村々から選び出され、誠実さを買われて、ダビデとサムエルによって任命されたのです。 + 彼らとその子孫は、幕屋の管理と警備のため、東西南北の四方に門衛が立ちました。 + 彼らの村の同族の者たちが、一週間交替でそれぞれの仕事に当たりました。 + 四人の門衛の長はみなレビ人で、神の宮にある特別な部屋や宝物倉を管理するという、特に重要な任務を与えられました。 + そのため、彼らは宮の近くに住み、毎朝、門を開けました。 + 彼らのうちのある者は、いけにえをささげるのに用いる各種の器具の管理に当たり、その出し入れの時、一つ一つ数を調べ、点検しました。 + またある者は、聖所の中にある器具や調度の管理、小麦粉、ぶどう酒、香油、香料などの供給の任に当たりました。 + ほかの祭司たちは、香料と香油を調合しました。 + レビ人で、コラ人シャルムの長男マティテヤは、穀物のささげ物で平たいパンを焼く仕事をしました。 + ケハテ氏族のある者は、安息日ごとに並べ替える特別なパンを用意しました。 + 歌手たちはみな優秀なレビ人で、エルサレムの宮に住み、四六時中その仕事に当たりました。彼らは特に選ばれた者たちで、ほかの責任はいっさい免除されていました。 + キブオンの父エイエルはギブオンに住み、妻はマアカといいました。彼は子だくさんで、その中に次の者がいました。長男アブドン、ツル、キシュ、バアル、ネル、ナダブ、ゲドル、アフヨ、ゼカリヤ、ミクロテ。 + ミクロテは息子のシムアムとともにエルサレムに住み、親族の近くにいました。 + ネルはキシュの父。キシュはサウルの父。サウルはヨナタン、マルキ‧シュア、アビナダブ、エシュバアルの父。 + ヨナタンはメフィボシェテの父。メフィボシェテはミカの父。 + ミカはピトン、メレク、タフレア、アハズの父。 + アハズはヤラの父。ヤラはアレメテ、アズマベテ、ジムリの父。ジムリはモツァの父。 + モツァはビヌア、レファヤ、エルアサ、アツェルの父祖。 + アツェルの六人の子は次のとおり。アズリカム、ボクル、イシュマエル、シェアルヤ、オバデヤ、ハナン。 + + + ペリシテ人はイスラエル軍を攻め破ったので、イスラエル軍は敗走し、ギルボア山のふもとで虐殺されました。 + ペリシテ人は、サウルと三人の息子ヨナタン、アビナダブ、マルキ‧シュアを捕らえ、彼ら全員を討ち取りました。 + サウルは、ペリシテ人の射手たちに囲まれてねらい撃ちされ、深手を負ったため、 + 苦しい息の下から、そばにいたよろい持ちに命じました。「さあ、おまえの剣で私を殺してくれ。あの割礼も受けていない者どもに捕まって、なぶり者にされたくないのだ。」しかし、よろい持ちは恐ろしくて手が出せません。そこでサウルは剣を取り、その上にうつぶせに倒れて自害したのです。 + よろい持ちは王の死を見届けると、自分も同じように自害しました。 + こうして、サウルと三人の息子はみな討ち死にし、彼の全家は一日のうちに滅び去ってしまったのです。 + 谷にいたイスラエル軍は、味方が総くずれとなり、王と王子たちが戦死したと聞くと、町を捨てて逃げ出しました。以来、ペリシテ人がその町々に住むようになりました。 + 翌日、ペリシテ人が兵士の死体からめぼしい物をはぎ取り、あたりに散らばっている戦利品を集めようと引き返して来た時、サウルと息子たちのなきがらを見つけました。 + それで彼らはサウルの武具をはぎ取り、彼の首をはねました。そして、その首を自分たちの国へ持ち帰って見せ物とし、偶像の前で勝利を祝いました。 + 武具は彼らの神々の神殿に奉納し、首はダゴンの宮にさらしたのです。 + ヤベシュ‧ギルアデの人々は、ペリシテ人がサウルの首をさらしたことを聞きました。 + 彼らのうちの勇士は、行って王と三人の王子のなきがらを取り返し、ヤベシュにある樫の木の下に葬り、七日の間、断食して喪に服しました。 + サウルは、主に不従順であったために死んだのです。彼は霊媒に伺いを立て、 + 主の導きを求めようとはしませんでした。それで、主は彼を殺し、王位をエッサイの子ダビデに渡されたのでした。 + + + イスラエルの長老、指導者たちはヘブロンにいるダビデのところへ行き、こう申し出ました。「私たちはあなたの身内です。 + サウルが王であった時でも、私たちを率いて戦場に行き、安全に連れ戻してくださったのは、あなたでした。主はあなたに、『あなたがわたしの民イスラエルの牧者となり、王となる』と仰せになったではありませんか。」 + ダビデは主の前で、彼らと契約を結びました。彼らは、主がサムエルに告げたとおり、ダビデに油を注いでイスラエルの王としたのです。 + ダビデとイスラエルの指導者たちは、エブスとも呼ばれていたエルサレムへ行きました。そこには、その地の住民エブス人が住んでいました。 + エブス人は彼らが町に入ることを断ったので、ダビデは、のちにダビデの町と呼ばれるようになったシオンの要塞を占領しました。その時、ダビデはイスラエルの指導者に、「真っ先にエブス人を殺した者をかしらとしよう」と約束しました。ツェルヤの子ヨアブが真っ先にエブス人を殺し、ダビデの軍隊の将軍になりました。 + 以来、ダビデはこの要塞に住んだので、エルサレムのこの一角が、ダビデの町と呼ばれたのです。 + ダビデは要塞の周辺まで町を広げましたが、町の残りの部分を再建したのはヨアブでした。 + 主が共におられたので、ダビデの名声はいよいよ高まり、勢力を増していきました。 + ダビデの勇士の中で最も勇敢であった人々は次のとおりです。彼らは、主のことばどおり、イスラエルの指導者たちを助けて、ダビデをイスラエルの王とした人たちです。 + まず、ハクモニ人の子ヤショブアムは三勇士の筆頭でした。彼は、一度に槍で三百人を殺したことがありました。 + 三勇士の第二は、アホアハ氏族に属するドドの子エルアザルです。 + 彼はペリシテ人と戦った時、王とともにパス‧ダミムにいました。大麦畑に隠れていたイスラエル軍が逃げ始めた時、 + 彼は最後まで踏みとどまり、味方を立ち直らせてペリシテ人を倒しました。そして主が、イスラエルに大勝利をもたらしてくださったのです。 + ある時、三十人の勇士のうちのこの三人が、アドラムのほら穴に身をひそめていたダビデのもとに来ました。ペリシテ人はレファイムの谷に陣を張っていました。 + その時、ダビデは要塞におり、ペリシテ人の前哨部隊はベツレヘムを支配していました。 + ダビデがベツレヘムの城門のそばにある井戸の水を飲みたいと家来にもらした時、 + この三人はペリシテ人の陣営を突破してその井戸から水をくみ、ダビデのところへ持ち帰ったのです。ところがダビデは、その水を飲もうとしないばかりか、それを神へのささげ物として注ぎかけ、言いました。「これを飲むことは許されない。いのちをかけて運んで来た、三人の勇士の血に等しいものだ。」 + ヨアブの兄弟アブシャイは、三十人の勇士の指揮官でした。彼は一度に槍で三百人を殺し、三十人の仲間に加えられました。 + アブシャイは彼らの中心で名高い人物でしたが、三勇士には及びませんでした。 + カブツェエル出身の偉大な勇士を父に持つベナヤは、名うてのモアブの巨人二人を殺しました。また、ある雪の日に、すべりやすいほら穴に降りて行って、ライオンをしとめました。 + またある時は、機織棒のように太い槍を持った、身長二‧二メートルもあるエジプト人を打ち倒しました。その時、彼はたった一本の杖を手に相手に近づき、エジプト人から槍をもぎ取って、それで刺し殺したのです。 + ベナヤはあの三勇士と同じくらい名が知れ、三十人の勇士の中でも特に高い評判を得ていたので、ダビデは彼を護衛長にしました。 + ダビデの家来で、そのほか名高い勇士は次のとおり。ヨアブの兄弟のアサエル。ベツレヘム出身のドドの子エルハナン。ハロリ出身のシャモテ。ペロニ出身のヘレツ。テコア出身のイケシュの子のイラ。アナトテ出身のアビエゼル。フシャ出身のシベカイ。アホアハ出身のイライ。ネトファ出身のマフライ。ネトファ出身のバアナの子ヘレデ。ギブア出身のベニヤミン族で、リバイの子のイタイ。ピルアトン出身のベナヤ。ガアシュの谷近くの出身のフライ。アラバ出身のアビエル。バハルム出身のアズマベテ。シャアルビム出身のエルヤフバ。ギゾ出身のハシェムの子たち。ハラル出身のシャゲの子ヨナタン。ハラル出身のサカルの子アヒアム。ウルの子エリファル。メケラ出身のヘフェル。ペロニ出身のアヒヤ。カルメル出身のヘツロ。エズバイの子ナアライ。ナタンの兄弟ヨエル。ハグリの子ミブハル。アモン出身のツェレク。ヨアブ将軍のよろい持ちで、ベロテ出身のナフライ。エテル出身のイラ。エテル出身のガレブ。ヘテ人ウリヤ。アフライの子ザバデ。ルベン族の指導者三十一人に加わっていた、シザの子アディナ。マアカの子ハナン。ミテニ出身のヨシャパテ。アシュタロテ出身のウジヤ。ホタムの子で、アロエル出身のシャマとエイエル。シムリの子エディアエル。エディアエルの兄弟でティツ出身のヨハ。マハビム出身のエリエル。エルナアムの子エリバイとヨシャブヤ。モアブ出身のイテマ。エリエル。オベデ。メツォバヤ出身のヤアシエル。 + + + サウルから身を隠し、ツィケラグにいたダビデのもとに馳せ参じた勇士たちは次のとおりです。 + 彼らはみな、右手も左手も同じように使うことができ、弓と石投げの名手で、サウル王と同じくベニヤミン族の出身でした。 + 彼らの長はギブア出身のシェマアの子アヒエゼルで、その他の者は次のとおり。アヒエゼルの兄弟ヨアシュ、アズマベテの子のエジエルとペレテ、ベラカ、アナトテ出身のエフー、三十人の勇士よりも評判の高かったギブオン出身のイシュマヤ、エレミヤ、ヤハジエル、ヨハナン、ゲデラ出身のエホザバデ、エルウザイ、エリモテ、ベアルヤ、シェマルヤ、ハリフ出身のシェファテヤ、エルカナ、イシヤ、アザルエル、ヨエゼル、ヤショブアム。以上はコラ人です。それにゲドル出身のエロハムの子のヨエラとゼバデヤ。 + ガド族で評判の勇士たちも、荒野にいるダビデのもとに集まりました。彼らは盾と槍の名手で、「かもしかのように足が速く、しかもライオンのような顔をした人々」でした。その長はエゼル。第二はオバデヤ。第三はエリアブ。第四はミシュマナ。第五はエレミヤ。第六はアタイ。第七はエリエル。第八はヨハナン。第九はエルザバデ。第十はエレミヤ。第十一はマクバナイ。 + 彼らは軍の将校で、いちばん弱い者でも普通の兵士百人に匹敵し、強い者ともなると千人にも匹敵しました。 + 彼らはヨルダン川の水があふれる時に川を渡って、両岸の低地を占領したことがあります。 + ほかに、ベニヤミンとユダの各部族からも、ダビデのもとへ集まった人々があります。 + ダビデは彼らを迎えに出て言いました。「私を助けに来てくれたのなら、私たちはこれから友人だ。しかし、もし罪のない私を敵に売り渡すために来たのなら、父祖の神が報復してくださるように。」 + その時、聖霊が彼らに臨み、三十人の勇士の一人アマサイが答えました。「ダビデ様。私たちは味方です。エッサイの子よ。私たちは家来になります。あなたと、あなたを助けるすべての者に平安がありますように。神が共におられるからです。」ダビデは彼らを味方に加え、隊長に取り立てました。 + ダビデがペリシテ人とともにサウル王との戦いに出て行った時、マナセ族出身の幾人かも、イスラエル軍を離れてダビデのもとにやって来ました。ところが、いざ戦いという時になって、ペリシテ人の将軍たちは、ダビデの部隊が戦闘に加わることを拒んだのです。激論の末、ペリシテ人はダビデの部隊を送り返しました。ダビデとその部下がサウル王に寝返って、自分たちを窮地に陥れるのではないかと恐れたのでした。 + ダビデがツィケラグへの道を進んでいた時、彼を頼って来たマナセ部族の人々は、次のとおりです。アデナフ、エホザバデ、エディアエル、ミカエル、エホザバデ、エリフ、ツィルタイ。みなマナセ部隊の将校でした。 + 彼らはすぐれた勇士ばかりで、ダビデを助けてツィケラグでアマレクの略奪隊と戦いました。 + ほとんど毎日のように人々が集まって来たので、ダビデの軍隊は神の陣営のように強大になりました。 + ヘブロンでダビデのもとに集まった人々はみな、主のことばどおり、ダビデがサウルに代わって王になることを願っていました。その数は次のとおりです。 + ユダ族から、盾と槍で武装した兵士六千八百人。シメオン族から、すぐれた勇士七千百人。レビ人から四千六百人。アロンの子孫である祭司から、エホヤダと勇気ある若者ツァドクに率いられた三千七百人。ツァドクとその一族の二十二人は、戦う祭司団の将校でした。サウルの属していたベニヤミン族から三千人。この部族の大多数は、サウルについていました。エフライム族から、各氏族での名門の勇士二万八百人。マナセの半部族から、ダビデを王とするために集まった一万八千人。イッサカル族から、部族の指導者が二百人。彼らはみな時代の流れに通じ、イスラエルの進むべき最善の道を知っていました。ゼブルン族から、訓練された勇士五万人。彼らは完全に武装し、心からダビデに仕えました。ナフタリ族から、千人の将校と、盾と槍で武装した兵士三万七千人。ダン族から、戦いの備えをした兵士二万八千六百人。アシェル族から、訓練された兵士四万人。ルベンとガドの各部族、それにマナセの半部族が住んでいたヨルダン川の東側から、あらゆる種類の武器を備えた兵士十二万人。 + これらの戦士たちは、ダビデをイスラエルの王にする目的で、ヘブロンに集結しました。実のところ、イスラエルの民のすべてが、ダビデが新しい王になることを望んでいたのです。 + すでに迎えの準備がされていて、彼らは三日間ダビデとともに宴を張り、飲み食いしました。 + 近くから来た者も、イッサカル、ゼブルン、ナフタリのように遠くから来た者も、ろば、らくだ、らば、牛などで食物を運んで来ました。小麦粉、干しいちじくの菓子、干しぶどう、ぶどう酒、油、牛、羊などが、この祝宴のために山ほど運ばれてきました。国中が喜びにわきかえっていました。 + + + ダビデは将校全員を集めて会議を開き、 + イスラエルの全集団に呼びかけました。「あなたがたが私を王にすることを願い、また主がそれを承認してくださるなら、祭司やレビ人も含めてイスラエル全土にいる同胞に、すぐここへ集まれと伝えよう。 + それから、神の箱を持ち帰ろう。サウルが王となってからは、ずっと放置したままなのだから。」 + 提案は満場一致で採択されました。 + そこでダビデは、キルヤテ‧エアリムから運び出される神の箱を迎えるために、エジプトのシホルからレボ‧ハマテに至るまでの、全イスラエルを召集したのです。 + ダビデと全イスラエルは、ケルビムの上に座している主なる神の箱を持ち帰ろうと、別名バアラともいう、ユダのキルヤテ‧エアリムへ行きました。 + 神の箱はアビナダブの家から運び出され、ウザとアフヨが御する真新しい牛車に載せられました。 + ダビデと全国民は、歌を歌い、琴、竪琴、タンバリン、シンバル、ラッパを鳴らし、主の前で力のかぎり踊りました。 + ところがキドンの打ち場まで来た時、牛がつまずいたので、ウザは思わず手を伸ばし、箱を押さえました。 + すると主の怒りがウザに向かって燃え上がり、ウザはその場に倒れました。 + ダビデはこの出来事に憤慨し、その場所をペレツ‧ウザ(「ウザへの怒り」の意)と名づけました。今でもそう呼ばれています。 + あまりのことに、ダビデは主を恐れ、「どうして神の箱を私のもとに運ぶことなどできようか」と言いました。 + それで、それをダビデの町に持ち帰ることをあきらめ、ガテ人オベデ‧エドムの家に置くことにしました。 + 神の箱は、三か月間オベデ‧エドムの家に置かれていました。その間、主はオベデ‧エドムとその家族を祝福しました。 + + + ツロの王ヒラムはダビデの宮殿の建築を助けようと、石工や大工を送り、たくさんの杉材を提供しました。 + ダビデは、主がなぜ自分を王とし、王国を強大にしてくださったのか、その理由がはっきりわかりました。主の民に喜びを与えるためだったのです。 + ダビデはエルサレムに移ってからさらに妻をめとり、多くの息子や娘をもうけました。 + エルサレムで生まれた子は次のとおりです。シャムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、イブハル、エリシュア、エルペレテ、ノガハ、ネフェグ、ヤフィア、エリシャマ、ベエルヤダ、エリフェレテ。 + ペリシテ人は、ダビデがイスラエルの新しい王になったと聞くと、何とかして彼を捕らえようと兵を集めました。一方ダビデもペリシテ人の来襲を事前に知り、軍隊を召集しました。 + ペリシテ人はレファイムの谷に侵入し、 + それを知ったダビデは主に伺いを立てました。「もし出て行って戦ったら、私は勝てるでしょうか。」すると主は、「そうしなさい。勝利を与えよう」と答えました。 + そこでダビデはバアル‧ペラツィムで攻撃をかけ、彼らを粉砕しました。彼は、「神様は私を用いて、水がどっと破れ出るように敵を打ち破ってくださった!」と言って喜びました。そういうわけで、そこはバアル‧ペラツィム(「破れの場所」の意)と呼ばれるようになりました。 + 戦いのあとイスラエル軍は、ペリシテ人が置き去りにして行った多くの偶像を拾い集めましたが、ダビデはそれを焼き捨てるよう命じました。 + そののち、ペリシテ人は再びレファイムの谷に侵入して来ました。 + この時もダビデは、どのようにすべきか主に伺いを立てると、主はこう答えました。「バルサム樹の林を回って行き、そこから攻めなさい。 + バルサム樹の木々の上から行進の音が聞こえたら、それを合図に攻めるのだ。わたしがあなたの先に立って進み、敵を打つ。」 + ダビデは命じられたとおりにしました。彼はギブオンからゲゼルに至るまでことごとく、ペリシテ軍を打ち破りました。 + こうして主は、ダビデへの恐れを諸国の民に植えつけたので、ダビデの名声はあまねく広まりました。 + + + ダビデはエルサレムに自分の宮殿を建て、神の箱を安置する新しい神の天幕(幕屋)を張りました。 + それから、次のように命じたのです。「神の箱を新しい場所に移すとき、レビ人以外は箱をかついではならない。彼らは永遠に主に仕えるために選ばれたからだ。」 + ダビデはイスラエルのすべての民をエルサレムに召集し、神の箱が新しい幕屋に移されることを祝いました。 + その時集まった祭司とレビ人は、次のとおりです。ケハテ氏族、百二十人、指導者ウリエル。メラリ氏族、二百二十人、指導者アサヤ。ゲルショム氏族、百三十人、指導者ヨエル。エリツァファン氏族、二百人、指導者シェマヤ。ヘブロン氏族、八十人、指導者エリエル。ウジエル氏族、百十二人、指導者アミナダブ。 + ダビデは大祭司ツァドクとエブヤタル、それにレビ人の指導者ウリエル、アサヤ、ヨエル、シェマヤ、エリエル、アミナダブを呼び、 + 言いました。「あなたがたはレビ人の諸氏族の指導者だ。レビ人全員が身をきよめ、イスラエルの神の箱を、私があらかじめ準備した場所に運びなさい。 + 前に主がお怒りになったのは、あなたがたに運ばせず、定められたとおりにしなかったからだ。」 + 祭司とレビ人は、神の箱を運び入れるに先立って、きよめの儀式を受けました。 + それからレビ人は、主がモーセを通して命じられていたとおり、箱をかつぎ棒で肩にかつぎました。 + ダビデ王はレビ人の指導者たちに、楽器の伴奏つきの合唱隊を編成し、彼らが十弦の琴、竪琴、シンバルを打ち鳴らし、喜びの声を上げて歌うよう命じました。 + そこでヨエルの子ヘマン、ベレクヤの子アサフ、メラリ氏族出身のクシャヤの子エタンが、その長に任命されました。 + 以下は、彼らの補佐に選ばれた者たちです。ゼカリヤ、ベン、ヤアジエル、シェミラモテ、エヒエル、ウニ、エリアブ、ベナヤ、マアセヤ、マティテヤ、エリフェレフ、ミクネヤ、門衛オベデ‧エドムとエイエル。 + ヘマン、アサフ、エタンは、青銅のシンバルを鳴らしました。 + ゼカリヤ、アジエル、シェミラモテ、エヒエル、ウニ、エリアブ、マアセヤ、ベナヤは、十弦の琴の八重奏団を編成しました。 + マティテヤ、エリフェレフ、ミクネヤ、オベデ‧エドム、エイエル、アザズヤは、八弦の竪琴を弾きました。 + 歌の指揮者は、その道に通じているレビ人の長ケナヌヤでした。 + ベレクヤとエルカナは、神の箱の警護に当たりました。 + 祭司のシェバヌヤ、ヨシャパテ、ネタヌエル、アマサイ、ゼカリヤ、ベナヤ、エリエゼルは、行進の先頭に立ってラッパを吹き鳴らす役につきました。オベデ‧エドムとエヒヤは、箱の警護に当たりました。 + こうして、王をはじめイスラエルの長老と軍の将校たちは、大きな喜びをもって神の箱をエルサレムに運ぼうとオベデ‧エドムの家へ行きました。 + 今度は、契約の箱をかついだレビ人は何の害も受けなかったので、雄牛と子羊を七頭ずついけにえとしてささげました。 + ダビデと契約の箱をかつぐレビ人、合唱隊員と指揮者ケナヌヤは、みな亜麻布の衣を着ていました。ダビデはさらに、亜麻布のエポデ(祭司が儀式で着る装束)を着ていました。 + そしてイスラエルの指導者たちは、大歓声とともに、角笛とラッパが響き、シンバルが鳴り、十弦の琴と竪琴が高らかにかなでられる中、契約の箱をエルサレムへと運び上ったのです。 + 契約の箱がエルサレムに到着した時、サウル王の娘でダビデの妻ミカルは、窓からその様子を見て、気がふれたように踊るダビデに深い嫌悪を感じていました。 + + + こうして神の箱は、ダビデがあらかじめ用意しておいた幕屋に運び込まれました。イスラエルの指導者たちは、神の前に、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。 + いけにえをささげ終わると、ダビデは主の名によって民を祝福し、 + 集まっていた全員にパンとぶどう酒と干しぶどうの菓子を配りました。 + また、レビ人の中から、契約の箱の前で仕える者を選び、イスラエルの神、主を絶えず覚えて感謝し、ほめたたえ、そして民への祝福を祈り求めるようにさせました。この務めに任じられたのは次の人々です。 + かしらはアサフで、彼はシンバルを鳴らし、彼の同僚には、ゼカリヤ、エイエル、シェミラモテ、エヒエル、マティテヤ、エリアブ、ベナヤ、オベデ‧エドム、エイエルがいて、みな十弦の琴と竪琴を弾きました。 + 祭司のベナヤとヤハジエルは、契約の箱の前で決まった時間にラッパを吹き鳴らしました。 + この時からダビデ王は、幕屋での主への賛美にアサフの指揮する祭司の合唱隊を用い始めたのです。 + 彼らは歌いました。「さあ、主に感謝し、主に祈れ。世界の人々に、偉大なみわざを伝えよ。 + 主をたたえ、そのすばらしいみわざを告げ知らせよ。 + 主の聖なる名を誇れ。主を慕い求める者すべてを喜ばせよ。 + 主とその御力とを尋ね求めよ。絶えず御顔を慕い求めよ。 + 主のしもべアブラハムの子孫よ。主に選ばれたヤコブの子らよ。偉大なみわざと、驚くべき奇跡と御力とを思い起こせ。 + このお方こそ、私たちの神、主!その御力は全世界にわたる。 + 主の契約を、いつまでも忘れるな。そのことばは千代にも及ぶ。 + 主はアブラハムと契約を結び、イサクに誓いを立て、 + ヤコブにも確証して、イスラエルへの永遠の契約とされた。 + 『あなたがたの相続地としてカナンの地を与える。』 + その時、イスラエルの数はごくわずかで、しかも、約束の地では外国人であった。 + 彼らは、国から国へと渡り歩いた。 + 神はだれにも手を出すことを許さず、彼らを害する者は、たとえ王でも殺された。 + 『わたしが選んだ民を害するな。わたしの預言者だから、ふれてはいけない。』 + 全地よ、主に歌え。日ごと、主が救い主であることを宣べ伝えよ。 + 主の栄光を国々に知らせ、すばらしいみわざを、すべての人に語り告げよ。 + 主は偉大で、高らかにほめたたえられるべきお方、すべての神々にまさって恐れられるべきお方。 + 他国で、神々と呼ばれるものはみな悪霊で主こそが天をお造りになった。 + 尊厳と栄誉は御前にあり、力と歓喜はみそばにある。 + 国々の民よ、主の大いなる力と栄光とをたたえよ。 + 御名にふさわしく、ほめたたえよ。ささげ物を携えて、御前に出よ。聖なる衣を着けて、主を礼拝せよ。 + 全地よ、主の御前におののけ。世界はびくとも動じない。 + 天は喜び、地は楽しめ。諸国の民は言え。『主が王である』と。 + 大海は鳴りとどろけ。野とその中にあるものは喜び躍れ。 + 森の木々も、主の御前で喜び歌え。主が地をさばきに来られるからだ。 + 主に感謝せよ。その恵みは深く、愛といつくしみは限りない。 + 主に叫べ。『私たちの救いの神よ、どうかお救いください。私たちを国々から呼び集め、安全に救い出してください。そうすれば、あなたのきよい御名に感謝し、声の限りほめたたえます。』 + イスラエルの神は、永遠にほむべきかな。」この歌にすべての民は「アーメン」と和し、主をほめたたえました。 + ダビデは、レビ人のアサフと同僚たちを幕屋で仕えさせ、毎日の日課として決められたことを規則正しく行わせました。 + この中には、エドトンの子オベデ‧エドム、ホサ、同じ門衛の六十八人がいました。 + 一方、ギブオンの丘にある古い幕屋も、そのままになっていました。ダビデは、そこで祭司ツァドクと同僚の祭司たちを仕えさせました。 + 彼らは、主がイスラエルに命じられたとおり、毎朝毎夕、焼き尽くすいけにえを祭壇の上でささげました。 + 王はまた、絶えず注がれる主の愛と恵みに感謝をささげる務めに、ヘマンとエドトンをはじめ数人の者を指名しました。 + 彼らはラッパを吹き、シンバルを鳴らし、合唱隊に合わせて、高らかに主をほめたたえました。エドトンの子らは門衛に任じられました。 + 祝いが終わり、民がそれぞれ自分の家へ帰って行ったので、ダビデも家族を祝福するために戻って行きました。 + + + 新しい宮殿に住むようになってからしばらくして、ダビデは預言者ナタンに言いました。「私が杉材のりっぱな家に住んでいるというのに、畏れ多くも神の契約の箱は天幕に置かれたままだ。」 + すると、ナタンは答えました。「あなたのお考えどおりなさったらよろしいかと思います。それが主の御心でしょう。」 + ところが、その夜、ナタンに神のことばがありました。 + 「ダビデに言いなさい。『神殿を建ててはならない。 + わたしは、イスラエルをエジプトから連れ出した日から、ずっと天幕を住まいとしてきた。 + その間に一度も、わたしの民を養い育てる牧者としてわたしが立てた指導者の一人にでも、わたしのために神殿を建てよ、と言った覚えはない。』 + わたしのしもべダビデに伝えなさい。『天地の支配者であるわたしは言う。わたしは、羊飼いのあなたを選んで、イスラエルの王とした。 + あなたがどこへ行っても、共にいて、あなたの敵を滅ぼした。あなたに最高の名声を与えよう。 + わたしの民イスラエルに永遠の住まいを与えるので、二度と不安におののくことはない。悪い国々も、以前のように手出しはできない。 + 士師が国を治めていたころは、絶えず外敵におびえていたが、今、すべての敵を制圧する。あなたの子孫を、あなた同様イスラエルの王にすると、明言しよう。 + あなたが地上の生涯を終え、この世を去る時、あなたの子を王座につかせ、王国をいっそう強固にする。 + その子が神殿を建てるのだ。わたしは彼の家系と王座を、永久に不動のものとする。 + わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。サウルのように、恵みと愛を取り去るようなことはしない。 + 彼を永久に、わたしの民とイスラエル王国の上に立てよう。彼の子孫がいつも王となる。』」 + ナタンは、主のことばをそのままダビデに伝えました。 + そこで王は幕屋に入り、主の前に座し、言いました。「ああ、主なる神よ。私がいったい何者で、家柄がどうだというので、こんなにまでしてくださるのですか。 + これまで私にしてくださったどんな大きなことも、これからすると約束してくださったことに比べれば取るに足りません。主なる神よ。今、あなたは、将来にわたって私の子孫が王になる、と約束してくださいました。まるで私が偉大な功労者でもあるかのように語ってくださいました。 + この上、何を申し上げられましょう。私がただの人間にすぎないことをご存じの上で、あなたは私に名誉を与えられました。 + 私を深く思いやり、このようなすばらしい約束をお与えくださったのです。 + 主よ、あなたのようなお方はほかになく、あなたのほかに神はありません。あなたのような神がほかにいることなど、耳にしたこともありません。 + イスラエルのような民がほかにいるでしょうか。あなたは比類のない民にしようと、私たちをエジプトから救い出し、あなたの民となさいました。そして、私たちの前から他の国々を追い払うために数々の奇跡を行って、あなたの御名があがめられました。 + あなたの民イスラエルがいつまでもあなたのものであり、あなたが私たちの神となったことを明らかにしてくださったのです。 + 主よ。私と私の子孫がいつまでもこの民を治めるというお約束を謹んでお受けします。 + どうか、このことによって、御名が永遠にあがめられますように。すべての者が、あなたはいったん約束したことを必ず実行なさる方であることを知ることができますように。そうすれば、『天地を支配なさるお方は、イスラエルの神のほかにない』と告白するようになります。イスラエルは、いつまでも私の子孫が治めるようになります。 + このことをはっきり示してくださったので、大胆に祈ることができました。 + このすばらしい約束を下さったのは、神様ご自身です。 + どうか、この祝福が、いつまでも私の子孫の上にとどまりますように。主よ、あなたの祝福は永遠の祝福だからです。」 + + + その後、ダビデはペリシテ人を制圧し、ガテと周辺の町々を占領しました。 + 次いでモアブを制圧し、モアブは毎年、ダビデに多額の貢ぎ物を納めるようになりました。 + さらに、ツォバの王ハダデエゼルがユーフラテス川流域まで領土を広げようとした時、ダビデは、ハマテまで出て彼の野心を打ち砕きました。 + 戦車千台を奪い、騎兵七千、歩兵二万を捕虜にしたのです。戦車は百台だけをイスラエル軍のために残し、残りは全部、使えないように解体しました。 + ダビデはまた、ダマスコからハダデエゼル王の援軍として参戦したシリヤ軍二万二千人を打ち、 + シリヤ(アラム)の首都ダマスコに守備隊を置きました。シリヤも毎年、多額の貢ぎ物を納めるようになりました。こうして主は、ダビデの行く先々で彼に勝利を与えられたのです。 + ダビデは、ハダデエゼル王の家来たちが持っていた金の盾をエルサレムに持ち帰りました。 + 同時に、ハダデエゼルの町ティブハテとクンから大量の青銅を奪いました。のちにソロモンはこの青銅を溶かして、神殿用の大洗盤や柱、祭壇でいけにえをささげるための種々の道具を作りました。 + ハマテの王トウは、ダビデがハダデエゼルの軍勢を打ち破ったことを知ると、 + 王子ハドラムを使者としてダビデのもとに送り、戦勝を祝いました。同時に、同盟を結ぶしるしに、金、銀、青銅など多くの贈り物をしました。ハダデエゼルとトウとはこれまで仲が悪く、何度も戦っていたからです。 + ダビデはこれらの贈り物を、エドム、モアブ、アモン、ペリシテ、アマレクの国々から奪った金銀とともに主にささげました。 + また、ツェルヤの子アブシャイは、塩の谷でエドム人一万八千人を打ちました。 + そして、エドムに守備隊を置き、毎年、多額の貢ぎ物をダビデに納めさせるようにしました。このように主は、ダビデの行く先々で彼に勝利を与えました。 + ダビデはイスラエル全土を支配し、正しく民を治めました。 + ツェルヤの子ヨアブは軍の総司令官、アヒルデの子ヨシャパテは史官、 + アヒトブの子ツァドクと、エブヤタルの子アヒメレクは祭司の長、シャウシャは王の秘書官、 + エホヤダの子ベナヤはケレテ人とペレテ人からなる王の護衛隊の隊長、ダビデの子たちは王の側近を務めました。 + + + アモンの王ナハシュが死に、その子ハヌンが新しく王となりました。 + その時、ダビデは言いました。「彼の父はずいぶん私に親切にしてくれた。その礼に、ハヌンに友好の気持ちを示そう。」そこで、弔問の使者を立てました。しかし使者が着くと、ハヌン王の側近は彼にこう警告したのです。「ダビデが父君に敬意を表してこの者たちをよこした、などとお考えになってはなりません。この地を征服しようと探りに来たに違いありません。」 + そこでハヌン王は、使者たちのひげをそり落とし、服を半分切り取って腰から下が丸見えになるようにし、さんざん侮辱した上で追い返しました。 + そのいきさつを知ったダビデ王は、ひどい目に会った一行に、ひげが伸びるまでエリコにとどまるように伝えました。 + ハヌン王は自分が判断を誤ったことに気づくと、銀一千タラントをかけて、メソポタミヤ、アラム‧マアカ、ツォバから歩兵、戦車、騎兵を雇いました。 + 雇い入れた戦車三万二千台とマアカ王の全軍はメデバに陣を張り、そこでハヌン王がアモン人の町々から集めた軍勢と合流しました。 + ダビデはこれを知ると、ヨアブの率いるイスラエル最強の軍隊を差し向けました。 + これをアモン軍が迎え撃ち、メデバの町の門で戦闘が開始されました。その間、敵側の外国人部隊は町の外に出ていました。 + ヨアブは敵が前後にいるのを知り、兵力を二分して、一部をシリヤに立ち向かわせました。 + 残りは彼の兄弟アブシャイの指揮下に入って、アモン人に対しました。 + ヨアブはアブシャイに言いました。「もし、シリヤが強くて私の手に余るようだったら助けに来てくれ。もし、アモン人が強くておまえの手に余るようなら助けに行こう。 + 勇気を出せ。私たちの民のため、私たちの神の町々のため、堂々と戦おう。主が最善をなしてくださることを信じて。」 + ヨアブの指揮する隊が攻撃をしかけると、シリヤは退却して逃げ出しました。 + 一方、アブシャイの率いる隊から攻撃されていたアモン人も、シリヤが退くのを見て、あわてて町に逃げ込みました。そこで、ヨアブはエルサレムに帰りました。 + 敗走したシリヤ人は、ユーフラテス川の東から、ハダデエゼル王の将軍ショファクの率いる隊を呼びました。 + この知らせが届くとダビデは、イスラエル中の兵を動員し、ヨルダン川を渡って敵軍と対戦しました。結果は、またもシリヤ軍の大敗北となり、ダビデはシリヤ軍の戦車兵七千と歩兵四万を討ち取り、さらに将軍ショファクも打ちました。 + それを見たハダデエゼル王の軍は降伏し、ダビデ王に隷属する者になりました。これにこりたシリヤは、二度とアモン人を助けようとはしませんでした。 + + + いつも春になると戦いが始まりましたが、翌年の春、ヨアブはイスラエル軍を率いて、アモン人の町や村を襲撃し、片っぱしから占領しました。さらにラバの町を包囲し、ダビデ王がエルサレムにとどまっている間に、これも攻め落としました。 + ダビデは戦場に到着すると、ラバの王から冠を奪い、自分の頭に載せました。冠は宝石がちりばめられており、金一タラント(約三十四キログラム)の重さがありました。このほかにも、おびただしい数の戦利品を持ち帰り、 + また、その町の住民を連れて来て、のこぎり、鉄のつるはし、斧などを使う仕事につかせました。占領したアモン人のすべての町の住民も同じようにしました。それから、ダビデと全軍はエルサレムに帰りました。 + その後、ゲゼルでは、再びペリシテ人との戦いが始まりました。しかし、フシャ出身のシベカイが巨人の子孫シパイを倒したので、ペリシテ人は戦意を失って降伏しました。 + それとは別のペリシテ人との戦いがあった時、ヤイルの子エルハナンは、巨人ゴリヤテの兄弟ラフミを殺しました。ラフミの槍の柄は、まるで機織棒のようでした。 + また、ガテで戦いがあった時、手足の指が六本ずつという巨人の子孫がイスラエルを罵倒しましたが、ダビデの兄シムアの子ヨナタンが彼を打ち殺しました。 + 彼らはみなガテの巨人の子孫で、ダビデとその家来たちによって殺されました。 + + + 時にサタンが、ダビデに人口調査をさせるように仕向けて、イスラエルに災いをもたらしました。 + 王は、ヨアブをはじめ指導者たちに命じました。「国中の人口を完全に調べ上げ、その人数を報告してほしい。」 + すると、ヨアブが反対意見を述べました。「主が民を百倍に増してくださっても、みなあなたの民ではありませんか。それなのになぜ、そんな要求をなさるのですか。なぜ、イスラエルに罪を犯させるようなことをなさるのですか。」 + しかし、王が説き伏せたので、ヨアブは命令どおりイスラエル中を巡り歩き、エルサレムに帰って来ました。 + ヨアブが報告した総人口は、全イスラエルで戦いに出られる者が百十万人、ユダで四十七万人でした。 + ただし、ヨアブは王の命令に心を痛めていたので、数の中にレビとベニヤミンの二部族を入れませんでした。 + この人口調査は神の御心を損なったので、神はイスラエルを罰しました。 + ダビデは神に言いました。「私は罪を犯しました。どうかお赦しください。自分のしたことがどんなに間違っていたか、今わかりました。」 + そこで主は、王の相談役である預言者ガドに語りました。 + 「ダビデに次のように伝えよ。『主は、三つのうち一つを選べと言われる。 + 三年間のききんか、三か月の間敵に苦しめられることか、それとも、御使いが国中を荒らし、三日間恐ろしい疫病に悩まされることかだ。よく考えて、私を遣わされたお方に何と答えるか決めるように。』」ガドはダビデのもとに行き、そのとおり伝えました。 + 王は答えました。「一つを選ぶのはつらいことです。どうか、私を人の手にではなく、主の御手に陥らせてください。主のあわれみは深いからです。」 + すると、神はイスラエルに疫病を下したので、七万人が死にました。 + 病気が猛威をふるっている時、主は一人の御使いを送って、エルサレムを滅ぼそうとしました。しかし、主はあわれに思って考えを変え、御使いに、「もう十分だ。手を引きなさい」と命じたのです。御使いはその時、エブス人オルナンの打穀場に立っていました。 + 王は、御使いが抜き身の剣をエルサレムの方に差し伸べ、天と地の間に立っているのを見ました。そこで、その場に居合わせたイスラエルの長老たちとともに荒布をまとい、地にひれ伏しました。 + ダビデは神に願いました。「人口調査の命令を出して罪を犯したのは、この私です。民が何をしたというのでしょう。主よ、私と私の家族を滅ぼしても、民は滅ぼさないでください。」 + すると、御使いはガドに、「王がエブス人オルナンの打穀場に祭壇を築くように」と指示しました。 + 王はさっそく、小麦の打穀をしていたオルナンに会いに行きました。オルナンが振り向くと、御使いの姿が見えたので、彼の四人の子は走って隠れました。 + オルナンは王が来るのも見て、打穀場から出て来てひれ伏しました。 + ダビデはオルナンに言いました。「それ相応の金を払うから、この打穀場を譲ってくれないか。ここに主のための祭壇を築きたいのだ。そうすれば、伝染病も収まるだろうから。」 + 「王よ、どうぞお気に召すままにお使いください。よろしければ、焼き尽くすいけにえ用の牛も差し上げます。打穀の器具を、たきぎ代わりに使っていただいてけっこうです。穀物のささげ物がお入り用でしたら、小麦がございます。何でもご用立ていたします。」 + 「いや、十分な金額で買い取らせてほしい。おまえのものを取って、それを主にささげるわけにはいかない。ふところを痛めずに、いけにえをささげることはしたくないのだ。」 + そして、ダビデはオルナンに六百シェケル(約七キログラム)の金を与えました。 + こうして手に入れた場所に主のための祭壇を築き、その上で、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえをささげました。ダビデが大声で主を呼ぶと、主は彼に答え、天から下った火がいけにえを焼き尽くしました。 + それから、主は御使いに命じて、剣をさやに納めさせました。 + ダビデは願いが聞かれたのを見て、もう一度いけにえをささげました。 + 当時、モーセが荒野で造った幕屋と祭壇は、ギブオンの高台にありました。 + しかしダビデは、神を求めてそこまで行くことができませんでした。抜き身の剣を持つ御使いを恐れたからです。 + + + そこで、ダビデ王は言いました。「このオルナンの打穀場こそ、主の神殿を建て、イスラエルの焼き尽くすいけにえをささげる祭壇を築くのにふさわしい場所だ。」 + 王はイスラエル在住のすべての外国人を召集し、神殿建築用の石を切り出す仕事に当たらせました。 + 彼らは、門の扉の釘および留め金用の鉄を大量に作りました。また、とても量りきれないほどの青銅を精錬しました。 + ツロとシドンの人々は、おびただしい数の杉の丸太を、いかだに組んで運んで来ました。 + 「ソロモンはまだ若くて未熟だ。主の神殿は、世界中に知れ渡るほどのすぐれた建築にしなければならない。いざというときのために、今から準備をしておく。」ダビデはこう考えて、自分が生きている間に多くの建築材料を集めました。 + そのあとでその子ソロモンに、イスラエルの神のために神殿を建てるよう命じたのです。 + 「私はかねがね神殿を建てたいと思っていたが、そうしてはならないと主が仰せられたのだ。『あなたは大きな戦いで多くの人を殺し、わたしの前に大地を血で染めてきた。だから、わたしの神殿を建てることはできない。 + だがあなたに一人の子を授ける。その子の代には周囲の国と平和を保つようにするので、彼はソロモン(「平和」を意味する)と呼ばれる。わたしは彼の治世の間、イスラエルに平和と平穏をもたらそう。 + 彼こそが神殿を建てるのだ。彼はわたしの子となり、わたしは彼の父となる。わたしは彼の子孫にいつまでもイスラエルを治めさせる』と。 + どうか今、主があなたとともにおられ、主があなたについて語られたとおり、あなたが神殿をりっぱに建て上げることができるように。 + 主があなたに正しい判断力を与えて、イスラエルの王となったとき、主の教えをすべて守れるようにしてくださるように。 + 主がモーセを通してイスラエルにお与えになった教えを、あなたが注意深く守るなら、あなたは栄える。何ものも恐れず、強く、雄々しく、熱心でありなさい。 + 私は苦労して、金十万タラント、銀百万タラント、それに量りきれないほど多くの鉄や青銅を集めた。壁用の木材や石材も集めた。これだけあれば、工事の第一段階は間に合うだろう。 + あなたには、数えきれないほど大ぜいの石工や大工、さまざまな種類の熟練工がついている。 + 彼らはみな金や銀の細工人、鉄や青銅を扱う専門家ばかりだ。さあ、仕事にかかるがよい。主が共におられるように。」 + そして王は、イスラエルの全指導者に、ソロモンを助けて神殿建設に当たるように命じました。 + 「あなたがたには主がついておられ、周囲の国々との間に平和が与えられてきたではないか。私が神の民のために、御名によってこれらの国々を服させたからだ。 + さあ、全身全霊をかけてあなたがたの神、主に従いなさい。そして、主の建てられる神殿に、契約の箱と礼拝に用いる聖なる器具を運び入れなさい。」 + + + すっかり年老いたダビデはソロモンに王位を譲り、 + その即位式にイスラエルのすべての政治的、宗教的指導者を召集しました。 + レビ族で三十歳以上の男の人数を数えたところ、その合計は三万八千でした。 + ダビデはこのように指示しました。「そのうち、二万四千人は神殿の仕事を監督しなさい。六千人は管理者と裁判官、四千人は門衛となり、あとの四千人は私の作った楽器で主を賛美しなさい。」 + ダビデは彼らを、レビの三人の息子の名にちなんで、ゲルションの組、ケハテの組、メラリの組に分けました。 + ゲルションの組は、さらに二人の子の名にちなんで、ラダンの班とシムイの班に分けられました。 + その班がまた、ラダンとシムイの子たちの名にちなんで、六つのグループに分けられました。ラダンの子は、指導者エヒエル、ゼタム、ヨエル。シムイの子はシェロミテ、ハジエル、ハラン。 + シムイの各氏族には、四人の子の名がつけられました。長はヤハテで、次がジザ。エウシュとベリアは子どもが少なかったので、合わせて一つの氏族を構成しました。 + ケハテの組は、その子の名にちなんで、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエルの四つの班に分けられました。 + アムラムはアロンとモーセの父です。アロンとその子たちは、人々のささげ物を主に奉納する奉仕に取り分けられました。アロンはいつも主に仕え、御名によって人々を祝福したからです。 + 神の人モーセについて言えば、その子ゲルショムとエリエゼルはレビ族に入れられました。 + ゲルショムの子たちの長はシェブエルです。 + エリエゼルのひとり息子のレハブヤは子どもが大ぜいいたので、氏族の長となりました。 + イツハルの子たちの長はシェロミテ。 + ヘブロンの子たちの長はエリヤ。第二はアマルヤ、第三はヤハジエル、第四はエカムアム。 + ウジエルの子らの長はミカで、第二はイシヤ。 + メラリの子はマフリとムシ。マフリの子はエルアザルとキシュ。 + エルアザルには息子がなく、娘たちが、いとこに当たるキシュの息子たちと結婚しました。 + ムシの子はマフリ、エデル、エレモテ。 + 人口調査の時、二十歳以上のレビ人はみな、以上の氏族やその一族に組み入れられ、神殿の奉仕を割り当てられました。 + ダビデがこう言ったからです。「イスラエルの神、主は平和を与えてくださった。これからは、主はエルサレムにお住みになる。 + レビ人はもう、幕屋や礼拝の器具をいちいち運ばなくてもよい。」 + このレビ族の人口調査は、ダビデが死ぬ前に行った最後のものでした。 + レビ人の仕事は、神殿でいけにえをささげるアロンの子孫である祭司を補佐することでした。また、神殿の管理に当たり、きよめの儀式を行う手伝いもしました。 + 供えのパン、穀物のささげ物用の小麦粉、それにオリーブ油で揚げたり、オリーブ油を混ぜ合わせたりした、パン種(イースト菌)を入れない薄焼きのパンなどを用意しました。また、すべての物の重さや大きさをはかり、 + 毎日、朝と夕方には、主の前に立って感謝をささげ、賛美しました。 + さらに、焼き尽くすいけにえ、安息日のいけにえ、新月の祝いや各種の例祭用のいけにえも用意しました。そのときに応じて必要な数のレビ人がこれに当たりました。 + 彼らは幕屋や神殿の管理を行い、求められることは何でも行って、祭司たちを助けました。 + + + アロンの子孫の祭司は、アロンの二人の息子エルアザルとイタマルの名にちなんで、二つの組に分けられました。ナダブとアビフもアロンの息子でしたが、二人とも父に先立って死に、しかも、子どもがいませんでした。それで、エルアザルとイタマルだけが祭司の務めを果たしたのです。 + ダビデは、エルアザルの氏族を代表するツァドクと、イタマルの氏族を代表するアヒメレクとに相談して、交替で奉仕できるよう、祭司を多くのグループに分けました。 + エルアザルの子孫は、指導者となる人材に恵まれていたので、十六組に分けられ、イタマルの子孫は八組に分けられました。 + あらゆる務めは特定の組に片寄らないよう、くじで各組に割り当てられました。どの組にも多くのすぐれた人材がいて、神殿の重要な務めにつけたからです。 + レビ人でネタヌエルの子シェマヤが書記となり、王をはじめ祭司ツァドク、エブヤタルの子アヒメレク、ならびに祭司とレビ人の長たちの前で、それぞれの名と役割を書き留めました。エルアザルの組からの二つのグループと、イタマルの組からの一つのグループが、交互に務めにつくようになっていました。 + くじで、次の各グループの順序に従って、仕事が割り当てられました。第一はエホヤリブのグループ。第二はエダヤのグループ。第三はハリムのグループ。第四はセオリムのグループ。第五はマルキヤのグループ。第六はミヤミンのグループ。第七はコツのグループ。第八はアビヤのグループ。第九はヨシュアのグループ。第十はシェカヌヤのグループ。第十一はエルヤシブのグループ。第十二はヤキムのグループ。第十三はフパのグループ。第十四はエシェブアブのグループ。第十五はビルガのグループ。第十六はイメルのグループ。第十七はヘジルのグループ。第十八はピツェツのグループ。第十九はペタフヤのグループ。第二十はエヘズケルのグループ。第二十一はヤキンのグループ。第二十二はガムルのグループ。第二十三はデラヤのグループ。第二十四はマアズヤのグループ。 + 各グループは、先祖アロンによって主から最初に指示されたとおり、神殿での務めにつきました。 + そのほかのレビの子孫は次のとおり。アムラムおよび彼の子孫シュバエル、シュバエルの子孫エフデヤ、 + 長子イシヤを長とするレハブヤのグループ、 + シェロミテと彼の子孫ヤハテからなるイツハルのグループ。 + ヘブロンのグループは次のとおり。ヘブロンの長男エリヤ。次男アマルヤ。三男ヤハジエル。四男エカムアム。 + ウジエルのグループの長は、その子ミカ、孫シャミル、ミカの兄弟イシヤ、イシヤの子ゼカリヤ。 + メラリのグループの長は、その子マフリとムシ。その子孫ヤアジヤのグループは彼の子ベノを長とし、その兄弟ショハム、ザクル、イブリ。 + マフリの子孫はエルアザルとキシュで、エルアザルには息子がなく、キシュには息子があり、その子孫、エラフメエル。 + ムシの子孫はマフリ、エデル、エリモテ。以上が、それぞれの氏族に属するレビの子孫です。 + アロンの子孫と同じように、彼らは年齢や身分に関係なく、くじで決まった順番で奉仕が割り当てられました。その順番は、ダビデ、ツァドク、アヒメレク、そのほかの祭司やレビ人の長たちの前で決められました。 + + + ダビデと神殿の責任者たちは、琴と竪琴とシンバルの伴奏で預言する者を、アサフ、ヘマン、エドトンの各グループから選びました。その名と役割は次のとおり。 + 王の側近の預言者アサフの指揮下に置かれたのは、彼の子ザクル、ヨセフ、ネタヌヤ、アサルエラ。 + 琴の伴奏で主を賛美する責任者エドトンの指揮下に置かれたのは、彼の六人の子ゲダルヤ、ツェリ、エシャヤ、シムイ、ハシャブヤ、マティテヤ。 + 王の側近の祭司ヘマンの指揮下に置かれたのは、彼の子ブキヤ、マタヌヤ、ウジエル、シェブエル、エリモテ、ハナヌヤ、ハナニ、エリヤタ、ギダルティ、ロマムティ‧エゼル、ヨシュベカシャ、マロティ、ホティル、マハジオテ。神はヘマンに、この十四人の息子のほかに三人の娘を与えました。 + 彼らの務めは、シンバルや竪琴や琴の伴奏で歌って主に仕えることでした。彼らの神殿での奉仕は、王と彼らの父の指導のもとでなされました。彼らとその家族はみな、主にささげる賛美の訓練を受け、全部で二百八十八人になる彼らの一人一人が音楽の達人でした。 + これらの合唱隊員は、年齢や評判に関係なく、くじで決めてそれぞれ務めにつきました。 + 第一はアサフ氏族のヨセフ。第二はゲダルヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第三はザクルとその子ら、兄弟合わせて十二人。第四はイツェリとその子ら、兄弟合わせて十二人。第五はネタヌヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第六はブキヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第七はエサルエラとその子ら、兄弟合わせて十二人。第八はエシャヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第九はマタヌヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十はシムイとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十一はアザルエルとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十二はハシャブヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十三はシュバエルとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十四はマティテヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十五はエレモテとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十六はハナヌヤとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十七はヨシュベカシャとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十八はハナニとその子ら、兄弟合わせて十二人。第十九はマロティとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十はエリヤタとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十一はホティルとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十二はギダルティとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十三はマハジオテとその子ら、兄弟合わせて十二人。第二十四はロマムティ‧エゼルとその子ら、兄弟合わせて十二人。 + + + 神殿警備に当たる門衛は、コラ氏族のアサフ組から選ばれました。コレの子メシェレムヤが隊長になり、 + その子たちが彼に仕えました。長男ゼカリヤ、次男エディアエル、三男ゼバデヤ、四男ヤテニエル、五男エラム、六男ヨハナン、七男エルエホエナイ。 + オベデ‧エドムの次の子たちも、門衛に任じられました。長男シェマヤ、次男エホザバデ、三男ヨアフ、四男サカル、五男ネタヌエル、六男アミエル、七男イッサカル、八男ペウルタイ。神はオベデ‧エドムに、このようにすぐれた息子たちを与え、大いに祝福しました。 + シェマヤの子オテニ、レファエル、オベデ、エルザバデはみな傑出した人々で、一族の中で有力な地位を占めました。彼らの兄弟エリフとセマクヤも有能な人物でした。 + オベデ‧エドムの子ならびに孫は総勢六十二人に上り、みな傑出した人々で、それぞれの務めにまさに適任の人たちでした。 + メシェレムヤの子、兄弟合わせて十八人もすぐれた指導者でした。 + メラリのグループの一人ホサは、長男ではないシムリを長にしました。 + ホサのほかの子たちは次のとおり。第二がヒルキヤ、第三がテバルヤ、第四がゼカリヤ。ホサの子と兄弟は、合わせて十三人。 + 神殿警備に当たる各組はそれぞれの指導者の名で呼ばれましたが、ほかのレビ人と同じように神殿での務めにもつきました。 + それぞれの門の割り当ては、氏族の評判には関係なく、くじで決められました。 + 東の門を守るのはシェレムヤのグループ、北の門は、彼の子で知恵者と言われたゼカリヤ、南の門はオベデ‧エドムのグループにくじが当たりました。オベデ‧エドムの一族には、倉を守る任も与えられました。 + 西の門と上り坂の道にあるシャレケテ門を守る務めは、シュピムとホサに当たりました。 + 毎日、東の門に六人、北の門と南の門に四人ずつ、倉に二人の割で、警備隊員が配置されました。 + 西の門には六人、つまり上り坂の道に四人、その近くの場所に二人が警備につきました。 + これに当たる者は、コラとメラリの二氏族から選ばれました。 + アヒヤを指導者とするレビ人は、神殿の宝物倉に納められたささげ物の保管に当たりました。ゲルション氏族から出たラダンの一族に、エヒエルの二人の子ゼタムとヨエルがいました。 + ゲルショムの子で、モーセの孫に当たるシェブエルは宝物倉を管理する責任者でした。彼はまた、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエルの名で呼ばれる各組の指導者でもありました。 + エリエゼルの子孫を順にたどると、レハブヤ、エシャヤ、ヨラム、ジクリ、シェロミテとなります。 + シェロミテとその兄弟たちは、ダビデや将軍など、民の指導者のささげ物を扱う役につきました。 + 彼らは、神殿の維持のために戦利品を奉納していたのです。 + シェロミテとその兄弟たちには、預言者サムエル、キシュの子サウル、ネルの子アブネル、ツェルヤの子ヨアブ、そのほか要人からのささげ物を保管する責任がありました。 + イツハルの一族のケナヌヤとその子たちは、行政と裁判を担当しました。 + ヘブロンの一族から出たハシャブヤとその同族千七百人はみな秀でた人々で、ヨルダン川西方のイスラエル領の宗教行事と行政の責任を受け持ちました。 + エリヤを長とするヘブロン氏族の中で秀でた二千七百人は、ルベンとガドの二部族、そしてマナセの半部族の宗教行事および行政の指導に当たりました。彼らが家柄と能力を買われて責任ある務めに任じられたのは、ギルアデのヤゼルで、ダビデ王の治世第四十年のことでした。 + + + イスラエル軍は、二万四千人からなる十二分団に分けられ、毎年、一か月交替で軍務につきました。各分団には、将校と軍政官が配属されていました。 + 第一分団長、ザブディエルの子でペレツの子孫に当たるヤショブアム。第一の月に軍務につく二万四千の将兵を指揮。 + 第二分団長、アホアハの子孫のドダイ。第二の月に軍務につく者を指揮。副官はミクロテ。 + 第三分団長、ベナヤ。第三の月に軍務につく者を指揮。彼は大祭司エホヤダの子で、ダビデの軍隊で最強と言われた三十人勇士の筆頭。息子アミザバデが次の分団長となる。 + 第四分団長、ヨアブの兄弟のアサエル。第四の月に軍務につく者を指揮。のちに息子ゼバデヤが後を継ぐ。 + 第五分団長、イズラフ出身のシャムフテ。第五の月に軍務につく者を指揮。 + 第六分団長、テコア出身のイケシュの子イラ。第六の月に軍務につく者を指揮。 + 第七分団長、エフライムのペロニ出身のヘレツ。第七の月に軍務につく者を指揮。 + 第八分団長、ゼラフ出身のフシャ族のシベカイ。第八の月に軍務につく者を指揮。 + 第九分団長、ベニヤミンのアナトテ出身のアビエゼル。第九の月に軍務につく者を指揮。 + 第十分団長、ゼラフのネトファ出身のマフライ。第十の月に軍務につく者を指揮。 + 第十一分団長、エフライムのピルアトン出身のベナヤ。第十一の月に軍務につく者を指揮。 + 第十二分団長、オテニエルに属するネトファ出身のヘルダイ。第十二の月に軍務につく者を指揮。 + イスラエルの各部族の長は次のとおり。ルベン族の長、ジクリの子エリエゼル。シメオン族の長、マアカの子シェファテヤ。レビ族の長、ケムエルの子ハシャブヤ。アロンの子孫の長、ツァドク。ユダ族の長、ダビデの兄弟エリフ。イッサカル族の長、ミカエルの子オムリ。ゼブルン族の長、オバデヤの子イシェマヤ。ナフタリ族の長、アズリエルの子エリモテ。エフライム族の長、アザズヤの子ホセア。マナセの半部族の長、ペダヤの子ヨエル。ギルアデ地域のマナセの半部族の長、ゼカリヤの子イド。ベニヤミン族の長、アブネルの子ヤアシエル。ダン族の長、エロハムの子アザルエル。 + ダビデは人口調査の時、二十歳以下は数に入れませんでした。民の人口を爆発的に増やすという主の約束があったからです。 + ヨアブにさせた人口調査は、途中で主の怒りが下ったために完了しませんでした。そのため、調査の最終結果はダビデ王の年代記に載っていません。 + アディエルの子アズマベテは、宮殿の宝物倉を管理する最高責任者でした。ウジヤの子ヨナタンは、イスラエルの町や村、要塞などにある宝物倉の責任者でした。 + ケルブの子エズリは、王室所有地で働く人々の監督でした。 + ラマ出身のシムイは、王室ぶどう園の監督でした。シェファム出身のザブディは、ぶどう酒の製造と貯蔵の責任をもちました。 + ゲデル出身のバアル‧ハナンは、ペリシテ人の領土と隣接する低地にある、王室のオリーブ畑と桑の木を管理する責任を受け持ちました。ヨアシュは、オリーブ油の製造と貯蔵を受け持ちました。 + シャロン出身のシルタイは、シャロン平原で牛の群れの飼育に当たりました。アデライの子のシャファテは、谷にいる牛の群れの飼育に当たりました。 + らくだはイシュマエルの地出身のオビルが、雌ろばはメロノテ出身のエフデヤが世話をしました。 + 羊の群れを世話したのは、ハガル人ヤジズでした。これらの人々はみな、ダビデ王の監督下にありました。 + 王子の教育係は、ダビデ王のおじに当たる見識ある相談役ヨナタンで、王子の後見人はハクモニの子エヒエルでした。 + アヒトフェルは王の相談役、アルキ人フシャイは王の個人的な相談相手でした。 + ベナヤの子エホヤダとエブヤタルが、アヒトフェルを補佐しました。ヨアブはイスラエル軍の将軍(最高司令官)でした。 + + + ダビデ王は、政治的指導者、十二人の分団長、将軍、王の財産や家畜の管理人、その他の有力者たちをエルサレムに召集しました。 + 王は立ち上がって、彼らを前に演説しました。「愛する同胞の人たち。主の契約の箱を安置する神殿を建てることは、私の長年の夢だった。神のお住まいを建てようと、前もって必要な資材を集めておいたほどだ。 + だが、神はこう仰せられた。『あなたが神殿を建ててはならない。あなたは勇敢な戦士として、あまりにも多くの血を流してきたからだ。』 + けれども主は、父の家系から私を選び、永久にイスラエルを治める王朝を起こしてくださった。ユダ族を選び、その中から父の家族をお選びになったのだ。そして、兄弟の中でも、特に私に目をかけ、全イスラエルを治める王としてくださった。 + また、大ぜい授かった息子の中から、特にソロモンを選び、私の世継ぎとしてくださった。 + 主は、『あなたの子ソロモンが、わたしの神殿を建てる。わたしは彼をわたしの子として選び、彼の父となるからだ。 + もし彼が、今までどおりわたしの命令と指示に従うなら、彼の王国をいつまでも栄えさせる。』そう仰せになったのだ。」 + それから、王はソロモンに言いました。「今、イスラエルの指導者と神の民の前で、神が見ておられるこのところで、あなたに、主の命令をことごとく守れと命じる。そうすれば、あなたはこの良い地を支配し、しかも、永久にあなたの子孫のものとすることができる。 + わが子ソロモンよ、あなたの父の神を知り、きよい心と喜びをもって神を礼拝し、仕えなさい。神はすべての人の心をごらんになり、どんな思いも知り尽くしておられるからだ。あなたが神を求めさえすれば、お会いすることができる。だが、もし神から離れたりしたら、神のほうが、あなたを永久に退けてしまわれる。 + だから、くれぐれも注意しなさい。聖なる神殿を建てるために選ばれたのだから、勇気をもって、神の命じられることを行いなさい。」 + こう言うと王はソロモンに、神殿とその付帯施設である宝物倉、屋上の間、内部屋、いけにえの血を注ぐ場所のある聖所の見取り図を授けました。 + また、外庭、脇部屋、神殿付属倉庫、要人からのささげ物を納める宝物倉の見取り図も渡しました。それらの見取り図は、王が御霊の助けを借りて描いたものです。 + 王はまた、祭司やレビ人の種々のグループの職務、神殿での礼拝やいけにえの儀式に用いる器具の明細もソロモンに渡しました。 + ダビデは、これらの器具を作るのに必要な金銀の重さ、 + 燭台とともしび皿を作るのに必要な金の重さを量りました。また、各種の銀の燭台とともしび皿を作るのに必要な銀の重さも量りました。 + さらに、供えのパンを置く机や、そのほかの金の机を作る金の重さ、銀の机を作る銀の重さも量りました。 + いけにえの肉を刺す金の肉刺しを作るのに必要な金、また水盤や杯や鉢を作るのに必要な金銀の重さを量りました。 + 最後に、香の祭壇を作るための純金、契約の箱の上に翼を伸べたケルビムを作るための金の重さを量りました。 + ダビデはソロモンに言いました。「この見取り図はみな、神様から直接頂いたものだ。 + だから、勇気を出してこの仕事をやり遂げよ。仕事の大きさに恐れをなしてはならない。私の神様がついておられるからだ。神様は決しておまえをお見捨てにならない。それどころか、すべてがみごとに完成するよう、しっかり見届けてくださる。 + 出番を待っている祭司とレビ人のグループが、神殿で仕えるようになる。あらゆる方面の熟練工が進んで仕事に当たり、軍人と国民は、こぞっておまえの命令に従う。」 + + + それから、ダビデ王は全会衆に語りました。「神が次のイスラエルの王にお選びになったわが子ソロモンは、まだ若く、経験も乏しいのに、非常に重要な仕事に取りかかろうとしている。ソロモンが建てる神殿は、ただの建物ではない。主のお住まいだ。 + 私は、あらゆる手を打って建築資材を集めた。金、銀、青銅、鉄、木材は十分あり、そのほか、しまめのう、宝石、大理石も大量に用意した。 + それから、神殿が建つのを私がどれほど喜んでいるかというしるしに、私財を全部ささげる。それを、私がすでに集めた建築資材に加えてほしい。 + 私がささげる分は、三千タラント(十‧二トン)のオフィルの金と七千タラント(二十三‧八トン)の純粋な銀で、神殿の壁にかぶせるためのものだ。これらの金銀は、そのほかにも、金製品や銀製品、技巧をこらした装飾用にも使われるだろう。さあ、私にならって、わが身と私財をすべて主にささげる者はいないか。」 + すると、一族の長、各部族の長、軍の司令官、行政官は、五千タラントの金、一万タラントの銀、青銅一万八千タラント、鉄十万タラントをささげると約束しました。 + また、大量の宝石がささげられましたが、宝石類は、ゲルションの子孫エヒエルの管理のもとで、神殿の宝物倉に保管されました。 + だれもが、こうした奉仕の機会を与えられたことを心から喜び、幸福感に満ちていました。ダビデ王も喜びのあまり、じっとしていることができませんでした。 + 王は、そこに集まった全員の前で、はばかることなく主をたたえました。「先祖イスラエル(ヤコブ)の神、主よ。永遠に御名がほめたたえられるように! + 偉大な力と栄光と勝利と威厳とはあなたのものです。天と地にあるすべてはあなたのものです。この国もあなたのものです。私たちは、万物を支配しておられるあなたをあがめます。 + 人に富と誉れをお与えになるのはあなただけです。あなたは全人類の支配者、その御手には驚くべき力があります。思いのままに人を強くし、力をお与えになります。 + 神よ、私たちはあなたに感謝し、栄光に輝く御名をたたえます。 + しかし、私と私の国民とは、いったい何者だというのでしょう。こんな、わずかばかりのものしかおささげできないのです。私たちが持っているものはすべてあなたが下さったもので、私たちはただ、それをお返ししているにすぎません。 + 私たちは先祖同様、この地では寄留者です。また、私たちの地上の生涯は影のようなもので、やがて跡形もなく消え去ります。 + 主よ、私たちが、きよい御名をとどめるために神殿を建てようと集めたものは、すべてあなたから出ているのです。 + 神よ、あなたは正しい人をお喜びになります。そこで、人がはたして正しいかどうか試されるのです。私は、正しい動機で建築の準備を進めてきました。そして今、あなたの民が喜んで自発的に宝をささげるのを見ました。 + 先祖アブラハム、イサク、イスラエルの神よ、私たちを、いつもあなたに従うようにしてください。あなたへの愛が片時も変わることのないようにしてください。 + わが子ソロモンに正しい心を与えて、どんな小さなことでもあなたに従うことを願い、私が用意したすべてのものを用いて、神殿を建て上げることを一心に求めるようにさせてください。」 + こう祈り終えると、王は全会衆に、「主をほめたたえよ!」と言いました。人々は、主と王の前にひざまずいて、主をたたえました。 + 翌日、彼らは雄牛、雄羊、子羊を千頭ずつ、焼き尽くすいけにえとして主にささげました。また、イスラエル全国民に代わって、注ぎのぶどう酒をはじめ多くのいけにえをささげました。 + それから、喜びに胸を躍らさせながら主の前に祝宴を張り、大いに食べたり飲んだりしました。そのあと、改めて主の前でダビデの子ソロモンに油を注ぎ、王としました。同時に、ツァドクにも油を注いで祭司としました。 + こうして、ソロモンは父ダビデの王座につき、大いに栄えたので、イスラエルのすべての民はソロモンに従うようになりました。 + 各界の指導者、軍の将校、ダビデの子の兄弟全員がソロモン王に忠誠を誓いました。 + 主は、全国民の人望が彼に集まるようにしたので、父ダビデ以上の財産と名誉を得るようになりました。 + ダビデは、王として四十年の間イスラエルを治めました。そのうち七年はヘブロンで、あとの三十三年はエルサレムで王座にありました。 + ダビデは年老い、財産と名誉に囲まれて死に、代わってその子ソロモンが治めるようになりました。 + ダビデ王の生涯のくわしいことは、『預言者サムエルの言行録』『預言者ナタンの言行録』『預言者ガドの言行録』などに載っています。 + これらの文書には、ダビデ王の政治や威力だけでなく、王とイスラエル、ならびに近隣諸国の王の身に起こったすべての出来事が記録されています。 + +
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+ + 主なる神が、ダビデの子ソロモンを偉大な王としたので、彼は押しも押されもしないイスラエルの支配者となりました。 + ソロモン王はギブオンの丘に、イスラエルの政界‧宗教界の指導者だけでなく、軍の将校や裁判官たちをも召集しました。その丘の上には、主のしもべモーセが荒野を旅している時に造った幕屋(神の天幕)があったのです。 + エルサレムには、ダビデ王が契約の箱をキルヤテ‧エアリムから移した時に建てた新しい幕屋がありました。 + フルの子ウリの子ベツァルエルが造った青銅の祭壇が、古い幕屋の前に置かれていました。王をはじめ一同は、その祭壇の前に集まりました。王は祭壇に、一千頭の焼き尽くすいけにえをささげました。 + その夜、神が夢の中でソロモンに現れ、「何でも欲しいものを求めてよい。どんな願いでもかなえよう」と語りました。 + 彼は答えました。「神様、あなたは父ダビデに多くの恵みを施されました。そして今、あなたは私に王国を授けてくださいました。 + これ以上、求めるものはありません。あなたが父ダビデへの約束を果たし、この私を、海辺の砂のように多い民の王としてくださったのですから。 + どうか、この民を治めるのに必要な知恵と知識を私にお授けください。あなたのものである、この偉大な民を自分の力で治めることのできる者がどこにおりましょう。」 + 神はソロモンに言いました。「何よりも民の力になりたいと願っていることがよくわかった。あなたは自分のために財産や名誉、敵への復讐、さらには長寿さえ求めず、わたしの民を正しく導くための知恵と知識を求めた。 + 願いどおり、確かにその知恵と知識を与えよう。また、あなたの前にいたどの王も手にしたことのない財産と名誉をも与えよう。全世界で、あなたほど偉大な王は二度と現れないだろう。」 + これを聞いたソロモンは幕屋を離れて丘を下り、エルサレムに帰ってイスラエルを治めました。 + 王は戦車一千四百台の大部隊を編成し、戦車を配備した町々を守る騎兵一万二千人を集めました。もちろん、騎兵の一部はエルサレムの王の身辺に配置されました。 + ソロモン王の時代には、エルサレムで金や銀が路上の石のようにふんだんに使われ、高価な杉材がどこにでもある桑の木のように大量に用いられました。 + 王は馬の仲買人をエジプトへ送り、大量の馬を卸値で購入しました。 + 当時、エジプトでは戦車一台で銀六百シェケル(六‧九キログラム)、馬一頭で銀百五十シェケル(一‧七キログラム)でした。輸入した戦車や馬の多くは、ヘテ人やシリヤの王に売られました。 + + + ソロモンは、今こそ神殿と王宮を建てる時だと考えました。 + この工事には、労働者七万人、山で石を切り出す者八万人、監督三千六百人という大人数が必要でした。 + 王はツロの王フラムに使者を立て、ダビデが宮殿を建てた時のように、杉材を船積みで送ってくれるように頼みました。 + 王はこうフラム王に伝えました。「私は主のために神殿を建てるつもりです。そこで、香り高い香をたき、特別な供えのパンを並べ、毎日朝と夕の二回、また、安息日や新月の祝い、そのほかの例祭のたびに、焼き尽くすいけにえをささげようとしています。神がイスラエルに、このことを望んでおられるからです。 + 私たちの神は、ほかのすべての神々にまさる偉大な神ですから、神殿は壮大なものにしなければなりません。 + しかし、いったいだれが、この神にふさわしい家を建てることができるでしょう。いと高き天でさえ、主をお受け入れするのに十分でないなら、主のために神殿を建てることを許されている私は、いったい何者でしょう。そこは、主を礼拝する場所となるのです。 + そこで、私のもとに金、銀、青銅、鉄などの細工に熟練した技術者を送っていただけないでしょうか。また、紫、紅、青の布を織る織物師や、父ダビデが選んだユダとエルサレムの職人といっしょに働く、熟練した彫り物師もお願いしたいのです。 + それから、レバノンの森に生えている杉、もみ、びゃくだんの木材を送ってください。貴国の人々は、木を切ることでは天下一品です。もちろん、こちらからも応援を出しますから、手伝わせてください。 + 計画中の神殿は途方もなく大きく、壮麗なものですから、大量の木材が必要です。 + 働いてくれる人々のために、私は小麦粉二万コル(四千六百キロリットル)、大麦二万コル、ぶどう酒二万バテ(四百六十キロリットル)、オリーブ油二万バテを支払います。」 + フラム王はソロモンに答えました。「主はご自分の民を愛しておられるからこそ、あなたを王となさったのです。 + 天と地を造り、ダビデ王に知恵と悟りに満ちた賢い子を授けて、神殿と宮殿を建てさせてくださるイスラエルの神がほめたたえられますように。 + さて、ご要望の件ですが、この者の右に出る者はないという熟練工の長、フラム‧アビを差し向けましょう。最高に頭のきれる人物で、 + 母親はイスラエルのダン出身のユダヤ人で、父親はツロの人です。金、銀、青銅、鉄、石の細工に腕をふるうことはもちろん、木工、織物の技術にも秀でています。さらに、紫と青の亜麻布や真紅の布を染める技術者であり、加えて、熟練した彫り物師、すぐれた創案者でもあります。彼は貴国の職人や、私がお仕えした父君ダビデ王が任命した人々といっしょに働いてくれるでしょう。 + どうか、お約束の小麦、大麦、オリーブ油、ぶどう酒を送ってください。 + こちらでは、お入り用なだけレバノンの山から木材を切り出し、いかだに組んで、海路でヨッパまで運びましょう。そこからは、そちらが陸路でエルサレムまで運搬してください。」 + ソロモンは父ダビデと同じように、イスラエルにいる外国人全員の人口調査を行い、十五万三千六百人いることがわかりました。 + そのうち七万人を一般労働者、八万人を山で石を切り出す者、三千六百人を現場監督にしました。 + + + ついに神殿の建設が始まりました。敷地はエルサレムのモリヤ山上で、ここは、かつて主がソロモンの父ダビデに姿を現したエブス人オルナンの打ち場があった所です。ダビデはかねて、そこを神殿の建設予定地にしていました。 + 工事が始まったのは、ソロモン王の治世第四年、第二の月の二日でした。 + まず神殿の土台は、長さ六十キュビト(約二‧六メートル)、幅二十キュビト(八‧八メートル)。 + 屋根つきの玄関は、神殿の幅と同じ二十キュビトの長さで、内側の壁と天井には純金を張りつめました。屋根の高さは百二十キュビト(約五‧三メートル)。 + 神殿の主要部は糸杉で覆い、純金を張りつめ、なつめやしの木と鎖を彫刻しました。 + 壁の内側はより美しさを増すために、宝石で飾りました。ここで用いた金はパルワイム産の最上のものです。 + 神殿内は、壁も、梁も、扉も、敷居も金を張りつめ、壁にはケルビム(天使を象徴する像)を刻みました。 + 神殿の奥に、二十キュビト四方の至聖所(神の箱を安置する部屋)がありました。ここにも、六百タラント(二十‧四トン)の金を張りつめました。 + 五十シェケル(五百七十五グラム)の金の釘を使い、階上の部屋も金を張りました。 + 一番奥の至聖所に、王はケルビムを二つすえ、それにも金をかぶせました。 + この像は床の上に立ち、顔を部屋の外に向け、一方の壁からもう一方の壁まで翼をいっぱいに広げていました。 + 王はまた、至聖所の入口に、ケルビムの縫い取り模様のある青と紅の亜麻布製の幕をかけました。 + 神殿の前には、二本の柱を立てました。それぞれ高さは三十五キュビト(十五‧四メートル)で、さらにその上に、高さ五キュビト(二‧二メートル)の柱頭がありました。 + その頂に百個のざくろがついた鎖を取りつけました。 + それから、この柱を神殿正面の右と左に立て、右側の柱をヤキン、左側の柱をボアズと名づけました。 + + + 王はさらに、長さと幅が二十キュビト、高さ十キュビトの青銅の祭壇を作りました。 + それから、直径が十キュビトもある大洗盤も作りました。その縁は床から五キュビトの高さにあり、縁の周囲は三十キュビトでした。 + その洗盤は二段に並んだ金属製の牛の背に載っていました。 + 牛は全部で十二頭で、互いに尻尾を合わせるようにして立っていました。三頭ずつ、それぞれ顔を北、西、南、東に向けていました。 + 洗盤の厚さは一手幅(七‧四センチ)あり、容量は三千バテ(六十九キロリットル)。縁は杯のようにゆりの花をかたどっていました。 + 次に、いけにえを洗う洗盤を十個作り、五個を右側に、五個を左側に置きました。大洗盤は、祭司たちが体をきよめる時に用いました。 + さらに規定に従って、金の燭台十個を念入りに鋳造し、五個を神殿内の右側に、五個を左側に置きました。 + 机を十個作り、それも五個を神殿内の右側に、五個は左側に置きました。また、金の鉢を百個鋳造しました。 + さらに、祭司たち用の庭と大庭を作り、それぞれの入口の扉に青銅を張りました。 + 大洗盤は神殿の外の南東の隅に置きました。 + フラム‧アビは、いけにえをささげる時に用いる鉢、十能、灰つぼを作りました。こうして彼は、ソロモン王から受けた仕事を完成させたのです。 + それらは、二本の柱、二本の柱の上にある二つの柱頭、柱頭に取りつけられた二組の鎖、二組の柱頭の鎖から垂れ下がる四百個のざくろ、洗盤の台と、洗盤の本体、大洗盤と、それを載せる十二頭の牛、鉢、十能、肉刺し。熟練した職工のフラム‧アビは、ソロモン王のために、これらすべてのものをみがき上げた青銅で作りました。 + スコテとツェレダとの間にあるヨルダン渓谷の粘土層の地で、これらのものを鋳造したのです。用いられた青銅はあまりに大量で、重さを量りきれないほどでした。 + しかし、神殿内のものは金だけを使いました。祭壇、供えのパンを載せる机などの器具類は全部金で作るよう、王が指示したからです。 + 燭台、ともしび皿、花模様の飾り、火ばし、芯切りばさみ、鉢、さじ、火皿なども、すべて純金で作りました。神殿の入口と扉、至聖所に通じる扉も、すべて金で作りました。 + + + こうして、ついに神殿が完成しました。そこでソロモン王は、父ダビデが主にささげたものを神殿の宝物倉に納めました。 + 王はイスラエルの部族と氏族の長を全員エルサレムに召集し、契約の箱を、シオンと呼ばれるダビデの町の幕屋から新しい神殿に移しました。 + 契約の箱の移動は、恒例の十月の仮庵の祭り(収穫を祝う祭り。ユダヤ人の三大祭の一つ)の日に行われました。 + イスラエルの指導者たちが見守る中で、レビ人が箱をかつぎ上げ、そのほかのきよい器具とともに運び出したのです。 + 王をはじめ人々は、箱の前で羊や牛をいけにえにささげましたが、その数はあまりに多く、数えることができませんでした。 + それから祭司たちは、箱を神殿の奥の至聖所に運び入れ、ケルビムの翼の下に置きました。翼は、箱とかつぎ棒を覆うような形で広がっていました。 + そのかつぎ棒は長かったので、先端が前の部屋からは見えましたが、外からは見えませんでした。契約の箱は、この書が書かれている今日も、なおそこにあります。 + 箱の中には、二枚の石板のほかは何もありませんでした。その石板は、主がエジプトを出たイスラエルの民と契約を結ばれた時、モーセがホレブ山(シナイ山)で箱に納めたものです。 + 祭司たちはきよめの儀式をすませ、ふだんの務めとは関係なく、全員が式に参加しました。レビ人たちは、祭司たちが至聖所から出て来ると、すばらしい声で主を賛美しました。歌い手はアサフ、ヘマン、エドトンはじめ、その子らと兄弟たちで、全員が純白の美しい亜麻布をまとい、祭壇の東側に立っていました。合唱隊には、ラッパを吹く百二十人の祭司のほか、シンバルや琴や竪琴の演奏者が加わりました。 + 合唱隊と演奏隊は一つとなって、「主はなんとすばらしい方! そのいつくしみはとこしえまで!」と主を賛美し、感謝をささげました。すると、主の栄光がまぶしく光る雲となって神殿を包んだので、祭司たちはその務めを果たすことができなくなりました。 + + + その時、ソロモンは祈りました。「主は、暗闇の中に住むと仰せになりました。そこで私は、あなたのために神殿を建てました。いつまでもここにお住みいただくためです。」 + それから王は振り向いて、起立した民を祝福しました。 + 王は言いました。「イスラエルの神、主がほめたたえられるように。神様はまず父ダビデに親しく語りかけ、今、約束を果たしてくださった。神様は父にお告げになった。 + 『わたしの民をエジプトから導き出して以来、わたしは、わたしを礼拝するための神殿を建てる場所として、イスラエルのどの町も選ばなかった。また、イスラエルの民の王も選ばなかった。けれども今、わたしはエルサレムを選び、ダビデを王として選んだ』と。 + 父は、神殿を建てることをひたすら願っていた。 + しかし主は、『その志はたいへんよいが、 + あなたは神殿を建てる適任者ではない。その仕事には、あなたの子が当たるべきだ』と仰せになった。 + 今、主はその約束を果たしてくださったのだ。私は父に代わって王となり、主のためにこの神殿を建て、 + 神の箱をここに置いた。この箱には、主とその民イスラエルとの間に結ばれた契約が納められている。」 + 王は祭壇の前の、外庭の中央にすえられた五キュビト(二‧二メートル)四方、高さ三キュビト(約一‧三メートル)の青銅製の台の上に立っていました。王は語り終えると、人々が見守る中でひざまずき、両手を天に差し伸べ、こう祈りました。 + 「ああ、イスラエルの神、主。天と地のどこにも、あなたのような神はおられません。あなたは、あなたに従い、みこころを行おうとするすべての者に約束を守り通してくださいます。 + 今日、はっきりわかりました。父ダビデへの約束を実現してくださったことが。 + ああ、イスラエルの神、主よ。あなたは私の父に、『あなたがわたしの道に歩んだように、あなたの子孫がわたしのおきてを守るなら、代々絶えることなくイスラエルの王としよう』とも約束なさいましたが、どうか、そのとおりにしてください。 + どうか、この約束を完全に果たしてください。 + それにしても、あなたはこの地上で、ほんとうに人間とともに住まわれるのでしょうか。天も、天の天も、あなたをお入れすることができないのでしたら、まして、私が建てたこの神殿などはなおさらのことです。 + 神様、どうか、私の祈りに心を留め、これからささげる祈りに耳を傾けてください。 + あなたが御名を置くと言われたこの神殿に、昼も夜も愛のまなざしを注いでください。私がこの場所に向かってささげる祈りをいつも聞き届けてください。私とあなたの民イスラエルが、この神殿に向かってささげる祈りに耳を傾けてください。どうか、天から私たちの祈りを聞いて、私たちの罪をお赦しください。 + ある人が罪を犯し、この祭壇の前で無罪を訴えるとき、 + あなたが天から聞かれ、もし彼がうそをついているなら罰してください。そうでなければ、無罪をはっきり認めてやってください。 + あなたに罪を犯したため、イスラエルが敵に負けるようなとき、あなたのもとに立ち返り、この神殿で祈るなら、 + 天からその祈りを聞き、あなたの民の罪を赦し、先祖にお与えになったこの地に彼らを連れ戻してください。 + 私たちの罪のために天が閉ざされ、雨が降らないとき、私たちがこの神殿に向かって祈り、あなたを呼び求め、懲らしめにこりて罪から立ち返るなら、 + 天からその祈りを聞いてあなたの民の罪を赦し、正しい道を教えてください。そして、相続地としてお与えになったこの地に雨を降らせてください。 + この地にききん、災害、立ち枯れ、いなごや油虫の害が発生したり、敵が攻め込んで来て町々を包囲したりしたとき、たとえそれがどんな災難であっても、 + 共同でささげる祈りだけでなく、個人の祈りにも耳を傾けてください。 + お住まいの天からその祈りを聞き、赦しを与え、一人一人にふさわしく報いてください。あなたは、すべての人の心を知り尽くしておられるからです。 + そうすれば、民はいつまでもあなたを恐れかしこみ、神様が行けと言われる道を歩み続けることでしょう。 + また、外国人があなたの偉大な力を耳にし、あなたをあがめるために、はるばる遠方から出かけて来て、この神殿に向かって祈るときにも、 + お住まいの天からその祈りを聞き、願いをかなえてやってください。そうすれば、地上のすべての民はあなたの名声を耳にし、イスラエルの民と同じように、あなたを恐れかしこむようになるでしょう。また、私が建てたこの神殿が、ほんとうに神様の住まわれる所であると知るようになるでしょう。 + イスラエルの民があなたのご命令で出陣するとき、あなたがお選びになったこのエルサレムの町、私があなたの御名のために建てたこの神殿に向かって祈るなら、 + 天から彼らの祈りを聞き、勝利を与えてください。 + 罪を一度も犯さないような人間はいませんから、彼らがあなたに罪を犯してお怒りを買い、敵に敗れて異国の地に捕虜として引いて行かれることになっても、 + もし、彼らが行った地であなたに立ち返り、先祖にお与えになったこの地、この町、私が建てたこの神殿に向かって罪の赦しを心から祈り求めるなら、 + お住まいの天からその祈りを聞き、彼らを助け、罪を犯したあなたの民を赦してやってください。 + どうか神様、この所でささげられるすべての祈りに目を留め、耳を傾けてください。 + 神、主よ。どうか今、立ち上がって、休み場にお入りください。この休み場には、あなたの御力を象徴する契約の箱も置かれています。神様、祭司たちに救いの衣をまとわせ、聖徒たちにあなたの恵みをほめたたえさせてください。 + 神様、私をお忘れにならないでください。あなたが油を注がれた者から、御顔をそむけないでください。どうか、父ダビデへの愛といつくしみを忘れないでください。」 + + + ソロモン王が祈り終えると、天から火が下って、いけにえを焼き尽くしました。主の栄光が神殿に満ちあふれたので、祭司たちは中に入れません。 + 民はみな、このすばらしい光景を見て、顔を地面にすりつけるようにして主を拝み、感謝をささげました。人々は、「主はなんとすばらしい方!いつも愛と恵みにあふれておられる」と大声で賛美しました。 + それから、王と民はみな、牛二万二千頭、羊十二万頭のいけにえをささげて、神殿を主に奉献しました。 + 祭司たちはそれぞれの部署につき、レビ人は、ダビデ王の手作りの楽器を手にして、「主のいつくしみはとこしえまで」と賛美しました。祭司たちがラッパを吹いた時、民はみな起立していました。 + 青銅の祭壇ではささげきれないほど、たくさんのいけにえがあったので、王はその日のいけにえをささげる場所として、神殿の内庭をきよめました。 + 続く七日間、イスラエル全土から集まった大群衆とともに仮庵の祭りが祝われました。中には、はるばる北はレボ‧ハマテ、南はエジプト川地域の遠方から来た人々もいました。 + 最後の礼典が八日目にあったのち、 + 第七の月の二十三日に、王は民を家に帰しました。彼らは、主がダビデとソロモン、イスラエルの民に下さった恵みを思い、喜びと感謝にあふれて家路につきました。 + こうしてソロモンは、神殿と王宮とを建て終わりました。すべてが計画どおり実現したのです。 + ある夜、主は夢でソロモンに現れ、語りました。「わたしはあなたの祈りを聞いた。また、あなたがたがいけにえをささげる場所として、わたしはこの神殿を選んだ。 + わたしが天を閉ざしたため雨が降らなくなったり、いなごの大群が穀物を食い尽くしたり、伝染病が大流行したりした場合、 + もし、わたしの民がへりくだって祈り、悪い道から離れてわたしに立ち返るなら、天からその祈りを聞き、彼らの罪を赦し、この地を元どおりにしよう。 + この場所でのすべての祈りに耳を傾け、目を留めよう。 + わたしが、この神殿を永遠のわたしの家として選んで聖別したのだから、わたしの心はいつもここにある。 + あなたが、父ダビデのようにわたしに従うなら、 + 約束どおり、あなたとあなたの子孫を代々イスラエルの王としよう。 + しかし、もしわたしに従わず、わたしの教えに背いて偶像を拝むなら、 + この地からわたしの民を滅ぼしてしまおう。わたしのために確保しておいたこの神殿も滅んで、多くの人の恐れとなり、物笑いの種となるだろう。 + 神殿が有名だっただけに、そのそばを通る者はみな、驚きのあまりつぶやくだろう。『どういうわけで、主はこの地とこの神殿とに、こんなむごいことをなさったのか』と。 + すると、こうした答えが返ってくるだろう。『この地の民は、先祖をエジプトから導き出してくださった神を捨てて、ほかの神々を拝んだので、このようなことになったのだ』と。」 + + + ソロモンが王となってから二十年かかって、神殿と王宮が完成しました。 + そこでソロモンは、ツロの王フラムから譲り受けた町々の再建に力を入れ、イスラエル人の一部をそこに住まわせました。 + そのころ、ソロモンはハマテ‧ツォバの町を攻めて占領し、 + 荒野にタデモルの町を建て、物資の補給所としてハマテに幾つかの町を建てました。 + また、上ベテ‧ホロンと下ベテ‧ホロンの町を要塞化しました。この二つの町は共に物資の補給所で、城壁で囲まれ、門にはかんぬきがかけてありました。 + 同じころ、バアラテその他の、物資の補給所となる町々や、戦車や馬を置く町々を建設しました。こうして王は、エルサレムとレバノンはじめ、すべての領地に建てたいと思っていたものをみな建設したのです。 + ソロモンは、イスラエル人が国内に残しておいた外国人の子孫であるヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を強制労働者として徴用しました。今日でもそうです。 + しかし、イスラエル人は奴隷としてではなく、兵士、将校、戦車隊員、騎兵隊員として用いました。 + また、イスラエル人のうち二百五十人を、行政全般を担当する役人に取り立てました。 + ソロモンはエジプトの王ファラオの娘であった妻を、エルサレムの一角にあるダビデの町から、彼女のために建てた新しい王宮に移しました。かねがね、「私の妻はダビデの家に住んではならない。そこは主の箱のある聖なる場所だからだ」と言っていたからです。 + それからソロモンは、神殿の玄関の前に築いた祭壇に、主のために焼き尽くすいけにえをささげました。 + いけにえの数は、モーセの指示どおり、日によって違いました。安息日、新月の祭り、それに年の三回の例祭である過越の祭り、七週の祭り、仮庵の祭りには、特別のいけにえをささげました。 + 王は父ダビデが用意した当番表に従って、祭司を務めに就かせました。またレビ人を、毎日の日課に従って賛美の奉仕と祭司を補佐する仕事に就かせ、門衛をそれぞれの門に配置しました。 + 王は、これらのことについて、また宝物倉の管理について、ダビデ王の指示からどんな点でもそれませんでした。 + このように、ソロモンは神殿の建設を見事に完成させたのです。 + それから王は、フラム王が寄贈した船団の進水式に臨むため、エドムにある海港の町エツヨン‧ゲベルとエラテへ行きました。この船団は、ソロモン王の乗組員とともにフラム王の熟練した乗組員を乗せてオフィルに行き、四百五十タラント(十五‧三トン)の金を手にし、ソロモン王のもとに持ち帰ったのです。 + + + そのころ、ソロモン王の知恵のすばらしさを伝え聞いたシェバの女王は、難問をしかけて王を試そうとエルサレムにやって来ました。香油や金、宝石をらくだに山と積んで、大ぜいの家来や召使を従えて来ました。 + ソロモンは、彼女のすべての質問に明快に答えました。わからないことは一つもなく、何でも説き明かすことができました。 + 女王はその知恵の深さにたいそう驚き、王宮の美しさにもすっかり圧倒されました。 + そのうえ、食卓の料理の豪勢なこと、王に仕える家来や従者の多いことは目をみはるばかりでした。彼らのそろいの服装、威儀を正した側近たち、王を護衛する人々を見て、息も止まりそうでした。 + そこで彼女は、思ったとおりをソロモン王に言いました。「私の国であなたについてお聞きしたことは、みなほんとうでした。 + 実は、ここに来てこの目で拝見するまでは、とても信じられませんでした。あなたは、私が想像していたより、はるかにすばらしい知恵をお持ちです。 + おそばにいて、あなたのお話を聞けるこの方々はなんと幸せなことでしょう。 + あなたの神がほめたたえられますように。あなたの神はイスラエルをことのほか愛しておられるので、あなたのようなすばらしい王をお立てになったに違いありません。きっと、イスラエルがいつまでも偉大な、強い民であることを望んでおられるのです。」 + 女王はソロモンに、百二十タラントの金と、最高の品質を誇る大量の香油、それに数えきれないほどの宝石を贈りました。 + フラム王とソロモン王の乗組員たちは、オフィルから、金のほかに、びゃくだんの木材と宝石を運んで来ました。 + 王は、そのびゃくだんで神殿と王宮のひな壇を造り、また、合唱隊の竪琴や琴も作りました。このような見事な楽器は、これまでユダのどこにもありませんでした。 + ソロモン王はシェバの女王に、もらった贈り物に見合う品物を贈り、さらに、彼女が望む物は何でも与えました。それから、女王とその家来の一行は自分の国へ帰って行きました。 + ソロモン王は毎年、アラビヤの王たちや、貢ぎ物を納める他の国々から、金にして六百六十六タラントの収入がありました。そのほか、王の貿易商による交易収入がありました。 + 王は、一個に六百シェケル(六‧九キログラム)の金を使った大盾二百と、一個に三百シェケルの金を使った小盾三百を作り、王宮の「レバノンの森の間」に置きました。 + また、大きな象牙の王座を作り、これに純金をかぶせました。 + 金の足台のついたその王座には、六つの金の段がありました。座席の両側には金のひじかけがついていて、そのわきには二頭の金のライオン像が立っていました。 + 六つの段の両わきにも、それぞれ一頭ずつ金のライオン像が立っていました。これと比べられるような王座は、世界のどこにもありませんでした。 + 王の杯はみな純金で作られ、「レバノンの森の間」にある器物もすべて純金製でした。銀は、ソロモンの時代にはそれほど値打ちのないものとみなされていたのです。 + 王は三年に一度、フラム王の提供する船員を使ってタルシシュへ船を送り、金、銀、象牙、さる、くじゃくなどを運ばせました。 + こうしてソロモン王は、世界中のどの王よりも富と知恵にまさっていました。 + あらゆる国の王が、ソロモン王から、神が彼に授けた知恵のことばを聞こうと会いにやって来ました。 + 彼らはおのおの、金や銀の鉢、衣服、武器、香油、馬、らばなどを、年ごとの贈り物として携えて来ました。 + このほか、ソロモン王は四千の馬屋と戦車、それに騎兵一万二千を戦車の町々に配置し、また、エルサレムでの王宮警護に当たらせました。 + ユーフラテス川からペリシテ人の地、さらにエジプトの国境に至る地域のすべてが、王の支配地でした。 + エルサレムでは、銀が路上の石同然に大量に使われ、杉の木が桑の木のようにふんだんに用いられました。 + 馬は、エジプトなどの国々から運ばれて来ました。 + そのほかのソロモン王の業績は、『預言者ナタンの言行録』『シロ人アヒヤの預言書』および、『先見者イドの見たネバテの子ヤロブアムについての幻の記録』に載っています。 + ソロモンはエルサレムで四十年間、イスラエルを治めました。 + 王は死んでエルサレムに葬られ、その子レハブアムが新しく王となりました。 + + + イスラエルの全指導者は、レハブアムの即位を祝おうとシェケムに集まりました。 + 一方、ネバテの子ヤロブアムの支援者たちは、使いを出してソロモン王の死をヤロブアムに伝えました。彼はその時、ソロモン王を避けてエジプトに逃げていたのです。急いで帰国したヤロブアムは、即位式に出席して、人々の要求をレハブアムに突きつけました。 + 「お父上は過酷な労働を強いていました。どうか、お父上が私たちに負わせた重い苦役を軽くしてください。そうすれば、あなたを王として受け入れます。」 + レハブアムは、三日後に返事をするからまた来るようにと伝えました。 + そして彼はさっそく、この申し出について、父ソロモンに仕えていた長老たちに、「彼らにどう答えたものだろうか」と相談しました。 + 長老たちはレハブアムに答えました。「彼らの王になろうと願われるなら、彼らに好意を示し、親切にすることです。」 + しかし、レハブアムは長老たちの助言を退け、彼といっしょに育った若者たちに意見を求めたのです。「君たちは、どうしたらよいと思うか。父がしたよりも、彼らの負担を軽くしてやるべきだろうか。」 + 若者たちは答えて言いました。「いいえ! こう言っておやりなさい。『もし、父が重い苦役をおまえたちに負わせたと考えているなら、私がどのようにするか、楽しみに待っているがよい』と。それから、こう言うのです。『私の小指は、父の腰よりも太い。 + 負担を軽くするどころか、もっと重くしよう。父はおまえたちを懲らしめるのに鞭を使ったが、私はさそりを使おう。』」 + ヤロブアムと民は、三日後、返事を聞きに戻って来ました。 + レハブアムは荒々しい口調で答えました。長老たちの助言を退け、 + 若者たちの言いなりになったからです。「父はおまえたちに重い苦役を負わせたが、私はもっと重くしてやろう。父は鞭でおまえたちを懲らしめたが、私はさそりで懲らしめてやる。」 + こうして王は、人々の願いを聞き入れませんでした。こうなったのは、シロ人アヒヤによってヤロブアムに告げられた預言が実現するよう、神が仕向けていたからです。 + これを聞いたイスラエルの民は、王を見限りました。彼らは腹立ちまぎれに、「ダビデの家もこれまでだ。だれかほかの人を王にしよう。レハブアムはユダの部族だけ治めればいい。さあ、帰ろう」と言いながら、帰って行きました。 + ユダ族はレハブアムに忠誠を誓いました。 + そののちレハブアムは、イスラエルの他の部族から労働者を集めようとしてハドラムを遣わしましたが、人々は石を投げつけて彼を殺しました。この知らせを受けた王は、戦車に飛び乗ってエルサレムに逃げ帰りました。 + このようにイスラエルは、今日も、ダビデの家に治められることを堅く拒んでいるのです。 + + + エルサレムに戻ったレハブアムは、ユダとベニヤミンのえり抜きの勇士十八万人を召集し、王国の再統一を目指して、他のイスラエルの諸部族に戦いを挑もうとしました。 + その時、主は預言者シェマヤに命じました。 + 「行って、ソロモンの子であるユダの王レハブアムと、ユダとベニヤミンの人々に伝えよ。 + 『主はこう言われる。兄弟と戦ってはならない。みな家へ帰れ。彼らの反逆はわたしが仕向けたものだ。』」人々は、この主のことばを聞いて、ヤロブアムと戦うことをやめました。 + レハブアムはエルサレムにとどまり、守りを固めるため、次のユダの町々を城壁と城門で要塞化しました。ベツレヘム、エタム、テコア、ベテ‧ツル、ソコ、アドラム、ガテ、マレシャ、ジフ、アドライム、ラキシュ、アゼカ、ツォルア、アヤロン、ヘブロン。 + 王はまた、多くのとりでを再建して部隊を配置し、そこに食糧、オリーブ油、ぶどう酒などを蓄えました。 + すべての町の武器貯蔵庫には盾と槍を備え、さらに守りを強化しました。王の側についていたのは、ユダとベニヤミンの二部族だけだったからです。 + しかし、他の部族出身の祭司とレビ人は、自分の地を捨て、ユダとエルサレムに移って来ました。ヤロブアムが彼らの祭司職を解き、 + 別に祭司を任命して、人々に偶像礼拝を奨励し、自らが高台に築いた雄やぎや子牛の像にいけにえをささげさせたからです。 + イスラエル全土にいる神を忠実に信じる人々も、自由に父祖の神、主を礼拝し、いけにえをささげることができるエルサレムに移って来ました。 + その結果、ユダ王国は強くなり、三年間、大きな困難もなく保たれました。この間、レハブアム王が、ダビデ王とソロモン王にならい、真剣に主に従おうと努めたからです。 + レハブアムは、親族のマハラテを妻にめとりました。彼女は、ダビデの子エリモテと、ダビデの兄弟エリアブの娘アビハイルとの間にできた娘です。 + この結婚によって、エウシュ、シェマルヤ、ザハムの三人の息子が生まれました。 + 王はその後、アブシャロムの娘マアカを妻にしました。彼女はアビヤ、アタイ、ジザ、シェロミテを産みました。 + 彼は他のすべての妻、そばめにまさってマアカを愛しました。彼には十八人の妻、六十人のそばめがいて、全部で息子が二十八人、娘が六十人生まれました。 + マアカが産んだアビヤは王のお気に入りだったので、アビヤを次の王にしたいと考えました。 + そこでレハブアムは、慎重に、しかも賢く、ほかの息子たちをユダとベニヤミンにある要塞の町々に分散させたうえ、十分な手当を支給し、それぞれに数人の妻をあてがいました。 + + + ところがレハブアムは、彼の人気が高まり、力がついてくると、主を捨ててしまいました。そして民も、王の罪にならいました。 + その結果、エジプトの王シシャクが、レハブアム王の第五年にエルサレムを攻撃して来ました。 + 戦いには、戦車千二百台、騎兵六万、エジプト人、リビヤ人、スキ人、エチオピヤ人からなる、数えきれないほどの大軍が加わりました。 + シシャク王は、たちまちユダの要塞の町々を占領し、ついにエルサレムまで攻め上りました。 + その時、預言者シェマヤは、レハブアム王と、難を避けてエルサレムに逃げて来たユダ各地の指導者たちに会い、こう言いました。「主は言われる。『あなたがたはわたしを捨てた。それで、わたしもあなたがたを捨て、シシャクの手に渡す。』」 + すると、王と指導者たちは罪を告白し、「私たちをこのようになさる主は正しい」と言いました。 + このへりくだった様子を見た主は、シェマヤにこう語らせました。「あなたがたがへりくだったので、すべて滅ぼすようなことはしない。シシャクの手によって、エルサレムに怒りを注ぐことはやめよう。 + ただし、シシャクに貢ぎ物を納めなければならない。シシャクに仕えるよりも、わたしに仕えるほうがどれほど幸いか、よくよくわかるだろう。」 + シシャクはエルサレムを占領し、神殿と王宮の財宝を全部奪い取り、ソロモンの金の盾も奪い取りました。 + そこでレハブアム王は、代わりに青銅の盾を作り、護衛隊長に保管させました。 + 王が神殿に入る時、護衛兵がその盾を持ち、あとで武器貯蔵庫に戻すのです。 + 王がへりくだった時、主の怒りは収まったので、徹底的に懲らしめられるようなことはありませんでした。事実、シシャクの侵略を受けてからも、ユダの経済力は衰えませんでした。 + レハブアム王は、主がイスラエルのすべての町から、ご自分の住まいとして選んだ町エルサレムで、十七年の間治めました。彼が王となったのは四十一歳で、母はナアマといい、アモン人の女でした。 + 彼は、心から主を喜ばせようとしたことがない、悪い王でした。 + レハブアム王の業績については、『預言者シェマヤと先見者イドの書いた言行録』および系図にくわしく記されています。レハブアムとヤロブアムとの間には、絶えず戦いがありました。 + レハブアムは死んでエルサレムに葬られ、その子アビヤが新しく王となりました。 + + + アビヤは、イスラエルの王ヤロブアムの第十八年に、エルサレムで、ユダの新しい王となりました。彼は三年の間王位にあり、母はギブア出身のウリエルの娘ミカヤ(マアカ)でした。彼が王になってまもなく、ユダとイスラエルとの間に戦争がありました。 + アビヤ王の率いる、鍛え抜かれた四十万のユダ軍は、ヤロブアム王の率いる、強力なイスラエル軍八十万と対抗しました。 + ユダ軍がエフライムの山地にあるツェマライム山に到着した時、アビヤ王は、ヤロブアム王とイスラエル軍に向かって叫びました。 + 「よく聞け! ダビデ王の子孫が代々イスラエルの王になるという主の約束を、よもや知らぬはずはあるまい。 + おまえたちの王ヤロブアムは、ダビデの子ソロモンの家来で、主君に反逆した者ではないか。 + そのうえ、ろくでもない不満分子の集団が加わって、ソロモンの子レハブアムに公然と反抗した。レハブアムはまだ若く、臆病だったので、立ち向かうことができなかった。 + ほんとうにおまえたちは、ダビデの子孫の治める主の王国を、打ち負かせるとでも思っているのか。おまえたちの軍勢は、われわれの二倍もあるが、ヤロブアムが神だと言って造った金の子牛のためにのろわれているのだ。 + おまえたちは主の祭司とレビ人を追い出し、代わりに異教の祭司を任命した。ほかの民族のように、若い雄牛一頭と雄羊七頭を持って来る者をだれかれなく受け入れ、おまえたちの神ならぬものの祭司にしている! + だが、われわれはイスラエルの神を信じる。神を捨てるようなことはしなかった。それに、アロンの直系の子孫だけが祭司で、その働きを助けるのはレビ人だけだ。 + 彼らは朝夕、焼き尽くすいけにえを主にささげ、香りの高い香をたき、供えのパンを聖なる机の上に置いている。金の燭台には、毎晩、火がともされている。このように、われわれは主の教えを忠実に守っているが、おまえたちはその主を捨ててしまった。 + これではっきりわかるように、神はわれわれとともにおられ、導いておられる。しかも、主に仕える祭司たちは進軍ラッパを吹き鳴らして、われわれをおまえたちと戦わせようとしている。イスラエルよ、父祖の神、主と戦ってはならない! とうてい勝ち目はないのだから。」 + その間にヤロブアムは、こっそり伏兵を相手の背後に回らせたので、ユダは敵にはさまれたかたちになりました。それを知ったユダの民は主にあわれみを求めて叫び、祭司たちはラッパを吹き鳴らし、 + 一斉にときの声を上げました。すると、戦いの流れがイスラエルからユダに変わりました。 + その日、アビヤ王とユダ軍は、イスラエル軍のえり抜きの兵士五十万を打ちました。 + こうしてユダは、父祖の神、主に信頼してイスラエルを破り、ヤロブアム王の軍勢を追い散らしました。そして、その支配下にあったベテル、エシャナ、エフラインの町、さらに周辺の村々を占領しました。 + イスラエルの王ヤロブアムは、アビヤ王が生きている間勢力を挽回することができず、ついに主に打たれて死にました。 + そうする間にユダの王アビヤは力を増し、十四人の妻をめとり、二十二人の息子と十六人の娘をもうけました。 + アビヤ王の言行のすべては、『預言者イドの注解』に記されています。 + + + アビヤ王はエルサレムに葬られ、その子アサが新しくユダの王となりました。アサが王になった最初の十年間、この地には平和が続きました。 + アサが心から神に従っていたからです。 + 王は高台の偶像の祭壇を取り壊し、柱を砕き、忌まわしいアシェラ像を切り倒しました。 + そして、全国民に、父祖の神、主の教えに従うよう命じ、 + ユダのすべての町から、高台にある太陽神の像と香の祭壇を取り払いました。それで神は、彼の王国に平和を与えたのです。 + こうしてユダに、城壁のある防備の町々を築くことが可能になりました。 + 王は民に語りました。「今こそ、要塞の町を建てる時だ。私たちが主に従ったので、主が平和を与えていてくださるからだ。城壁で囲まれ、やぐら、門、かんぬきを備えた要塞の町を築こう。」そしてユダの民はこの計画を見事に実現しました。 + アサ王の率いるユダ軍には、盾と槍で武装した三十万の屈強な兵士がおり、ベニヤミン軍には大盾と弓で武装した二十八万を数える兵士がいました。両軍とも十分に訓練された勇士ばかりでした。 + ところがその後、ゼラフ将軍に率いられた百万ものエチオピヤの大軍が、三百台の戦車とともに、ツェファテの谷にあるマレシャの町にまで進攻して来ました。アサ王は、マレシャの町で迎え撃とうと軍隊を出動させました。 + 王は主に叫び、祈りました。「ああ、主よ、私たちを救えるのはあなただけです。私たちはこの大軍を前にして、あまりにも無力です。主よ、どうかお助けください! あなただけに頼り、主の御名によって、この大軍に向かいます。ただの人間にあなたを負かすようなことはさせないでください。」 + それで主がエチオピヤ軍を打ち負かしたので、エチオピヤ人は逃げ、アサ王とユダの軍勢は勝利を収めました。 + ユダ軍は敗走する敵をゲラルまで追撃し、それによって敵は全滅し、生き残った者は一人もいませんでした。主とその軍勢が、彼らを滅ぼしたからです。ユダ軍は山のような戦利品を持ち帰りました。 + 勢いをかって、ユダ軍がゲラル周辺のすべての町を攻めると、主からもたらされる恐れが住民を襲いました。そこで彼らは、これらの町からも、さらに大量の戦利品を奪い取りました。 + 町を略奪しただけでなく、家畜の天幕も壊して、多くの羊やらくだを奪い、エルサレムに凱旋しました。 + + + アサ王の第三十六年に、イスラエルの王バシャが戦いをしかけて来て、ユダに通じる道を押さえるためにラマに要塞を築きました。 + これを知ったアサ王は、神殿と王宮から金銀を持ち出し、ダマスコにいるシリヤ(アラム)の王ベン‧ハダデに送り届けて、こう頼みました。 + 「あなたのお父上と私の父との間で結んだ安全保障条約(軍事同盟)を結び直しましょう。わずかばかりの品ですが、どうぞお受け取りください。イスラエルの王バシャとの同盟を破棄し、彼が私に手出しできないようにしていただきたいのです。」 + ベン‧ハダデはアサ王の要請を受け入れ、シリヤの軍を動員してイスラエルを攻めました。シリヤ軍はイヨン、ダン、アベル‧マイムの町々、またナフタリにある物資の補給基地を占領しました。 + そのことを知ったバシャ王は、すぐにラマの工事を中止し、ユダを攻撃する計画をあきらめました。 + アサ王とユダの人々はラマに急行し、建築用の石材や木材を持ち帰ったうえ、それを使ってゲバとミツパを建てました。 + その時、預言者ハナニがアサ王のもとに来て、彼に言いました。「あなたはあなたの神、主に頼まないで、シリヤの王に頼みました。そのため、シリヤの軍勢をむざむざ逃したのです。 + あのエチオピヤ人とリビヤ人の大軍が、戦車と騎兵を率いて攻めて来た時、どんなことが起こったか、お忘れではないでしょう。あなたがひたすら主により頼んだので、主は彼らをことごとくあなたの手に渡してくださったではありませんか。 + 主はその御目で全地を見渡し、心を完全にご自分に向けている人々を探し求めておられます。そのような人々を助けるために、大きな御力を現してくださるのです。あなたはなんと愚かなことをなさったのでしょう。これから、戦いの渦に巻き込まれることでしょう。」 + すると、これを聞いた王は真っ赤になって怒り、預言者を投獄しました。またこの時、王は多くの民を抑圧しました。 + アサ王のその他の業績は、『イスラエルとユダ諸王の年代記』に載っています。 + その第三十九年、王は両足が重い病気にかかりました。しかし、その中で主を求めるどころか、医者を頼みとしたのです。 + 王はその治世の第四十一年に死に、エルサレムに用意してあった墓に葬られました。その遺体は高価な香油や香料をしみ込ませた寝台に横たえられ、人々は彼の埋葬のためにたくさんの香をたきました。 + + + アサの子ヨシャパテが代わってユダの王となり、イスラエルと戦う準備を始めました。 + 彼は、ユダの要塞化されたすべての町々をはじめ、国中のさまざまな他の場所、父アサ王が占領したエフライムの町々に守備隊を置きました。 + ヨシャパテは、彼の父祖のかつての正しい生き方にならって偶像を拝まなかったので、主は彼とともにいました。 + イスラエルの人々とは反対に、その父の神の教えどおりに生活したので、 + 主は、ユダの王としてのヨシャパテの地位を確固たるものにしました。すべてのユダの人々が納税に協力したので、彼は人気が高まったばかりか、財産も増えました。 + 王は高台の異教の祭壇を壊し、アシェラ像を取り除くなど、大胆に主の道を歩みました。 + その治世の第三年に、彼は国中に宗教教育を広める計画を実行に移しました。ベン‧ハイル、オバデヤ、ゼカリヤ、ネタヌエル、ミカヤをはじめ政府の高官たちを、教師としてユダのすべての町々に派遣し、これにレビ人のシェマヤ、ネタヌヤ、ゼバデヤ、アサエル、シェミラモテ、ヨナタン、アドニヤ、トビヤ、トブ‧アドニヤも同行しました。また祭司からは、エリシャマとヨラムも同行しました。彼らは、『主の律法の書』の写しを持ってユダのすべての町々を巡り、人々に聖書を教えました。 + その結果、回りのすべての国々が主を恐れるようになったので、ヨシャパテ王に戦いをしかける国は一つもありませんでした。 + ペリシテ人さえも贈り物と貢ぎ物を納め、アラビヤ人は雄羊七千七百頭、雄やぎ七千七百頭を献上しました。 + こうして、ヨシャパテ王はますます勢力を増し、国中に要塞の町や補給基地の町を建てました。 + 公共事業を拡大し、首都エルサレムには、強力な軍隊を駐屯させました。 + 三十万のユダ軍がアデナ将軍に率いられ、次の指揮官ヨハナンの下には二十八万の兵がいました。 + 第三の指揮官であるジクリの子アマスヤは、とても信仰のあつい人で、二十万の兵を率いていました。 + ベニヤミンの部族からは、偉大な将軍エルヤダの率いる、弓と盾で武装した二十万の兵が加わりました。 + エルヤダに続く指揮官はエホザバデで、その下に十八万の兵がいました。 + 以上は、ユダ全土の要塞化された町々に配置した軍隊とは別に、王がエルサレムに駐屯させていた軍隊です。 + + + 財産が増え、評判のよいヨシャパテ王でしたが、イスラエルの王アハブの娘を息子の嫁に迎え、アハブと縁を結びました。 + 数年して彼がサマリヤにアハブを訪ねると、アハブ王は大宴会を開き、たくさんの羊や牛を料理してふるまいました。そのあとでアハブはヨシャパテに、ラモテ‧ギルアデでの対シリヤ攻撃に加わらないかと持ちかけました。 + ヨシャパテ王は答えました。「よろしいですとも。どこまでも、あなたについて行きますよ。わが軍はあなたの指揮下にあるようなものです。それにしても、まず主に伺いを立ててみようではありませんか。」そこでアハブ王は、おかかえの異教の預言者四百人を集め、「ラモテ‧ギルアデへ攻め上るべきだろうか、それとも、やめるべきだろうか」と尋ねました。「行きなさい。勝利は間違いありません。」と、彼らは口々に答えました。 + しかし、ヨシャパテは満足しませんでした。「ここには、まことの主の預言者はいないのですか。主の預言者にも、同じ質問をしてみたいものです。」アハブは答えました。「一人だけいます。あまり好きになれない男ですが。イムラの子でミカヤといいますが、いつも悪いことばかり預言するのです。」「ま、そんなことは言わず、彼の言うことも聞いてみましょう」とヨシャパテは言いました。 + そこで、イスラエルの王は側近の一人を呼び、「急いで、イムラの子ミカヤを呼んで来るように」と命じました。 + 王服をまとった二人の王が、威儀を正してサマリヤの門の入口にある広場の玉座に着くと、その前で、「預言者」たちが次々に預言しました。 + その一人、ケナアナの子ゼデキヤは、作ってきた鉄の角を取り出し、「主のお告げです。あなたはこれらの角でシリヤを突き、せん滅させます」と預言しました。 + ほかの預言者たちもみな、同じように預言しました。「さあ、ラモテ‧ギルアデに攻め上りなさい。勝利は間違いありません。」 + ミカヤを呼びに行った使いの者は、今起こっていることを告げ、すべての預言者たちが、「この戦争は王の勝利に終わる」と預言したことをミカヤに話しました。使いの者は、思いきって彼に言いました。「あなたも、ほかの預言者たちに合わせて、王様のお気に召すようなことを話してくれませんか。」 + ミカヤはきっぱり答えました。「主にかけて誓います。私は神様がおっしゃることを、そのまま話します。」 + ミカヤが王の前に出ると、王はさっそく尋ねました。「ミカヤ。ラモテ‧ギルアデに攻め上るべきだろうか、それとも、やめるべきだろうか。」「攻め上るがよろしい! 大勝利は間違いありません。」 + すると、王は語気を強めて言いました。「いったい、何度、主がお語りになること以外はしゃべるな、と私に言わせるつもりか。」 + 「私は幻の中で、すべてのイスラエル人が、まるで羊飼いのいない羊のように、山々に散らされているのを見ました。その時、主は、『彼らの主人は殺されたから、彼らを家に連れ帰れ』と仰せになったのです。」 + アハブ王は、ヨシャパテ王に吐き捨てるように言いました。「お話ししたとおりでしょう。いつも、彼は私に悪いことしか預言しないのです。」 + ミカヤはことばを続けました。「主のお告げはまだあります。私は、主が御使いの大軍に囲まれて御座に着いておられるのを見ました。 + その時、主はおっしゃったのです。『だれか、アハブ王をラモテ‧ギルアデでの戦いに誘い出し、戦死させるようにする者はいないのか。』いろいろな提案が出されましたが、ある霊が進み出て、『私にやらせてください』と言いました。主が、『どういうふうにやるのか』とお尋ねになると、 + 彼は答えました。『王のすべての預言者にうその預言をさせます。』主は、『それはよい。そのようにせよ』とおっしゃいました。 + それで、ごらんのとおり、あなたの預言者はうその預言をしたのです。実際は、正反対のことを主は告げておられるのです。」 + すると、ケナアナの子ゼデキヤは、つかつかとミカヤに歩み寄って彼の頬をなぐり、「この大うそつきめ! いつ、主の霊が私を離れて、おまえに乗り移ったというのか」と言いました。 + 「あなたが奥の間に隠れるようになった時、ほんとうのことがわかります。」 + イスラエルの王は、こう言いました。「この男を捕らえて、市長アモンとわが子ヨアシュに渡し、 + 『この男を牢に入れ、戦いから無事に戻って来るまで、わずかなパンと水をあてがっておけ、と王が命じた』と言いなさい。」 + ミカヤは答えました。「もし、あなたが無事お戻りになるようなことがあるなら、主は私を通して語られならなかったことになります。」それから、回りの人々に向かって、「私が今言ったことをよく覚えておきなさい」と言いました。 + こうして、イスラエルの王とユダの王は、それぞれの軍を率いてラモテ‧ギルアデに攻め上りました。 + イスラエルの王はヨシャパテ王に、「私はだれにも気づかれないように変装しますが、あなたはちゃんと王服を着ていてください」と言いました。二人は、そのとおりに出陣しました。 + 一方、シリヤの王は、このような指示を戦車隊に与えていました。「目標はイスラエルの王ただ一人だ! ほかのだれにも手を出すな!」 + シリヤ軍の戦車隊は、王服を着たユダの王ヨシャパテを見つけると、彼こそ目あてのイスラエルの王に違いないと思って襲いかかりました。ヨシャパテは大声で主に助けを求めました。それで主がシリヤ軍の戦車隊に人違いだと気づかせたので、彼らはヨシャパテ王から離れました。 + イスラエルの王でないとわかったので、すぐに追うことをやめたのです。 + ところが、シリヤ軍の兵士の一人が、何気なくイスラエル軍に矢を放つと、それがなんとイスラエルの王の胸当てと草摺りとの間を射抜いたのです。王は戦車の御者に、苦しい息づかいの中で言いました。「ここから抜け出させてくれ。深手を負ってしまった。」 + その日、戦闘はますます激しさを増しました。アハブ王は戦車の背に寄りかかったままシリヤと戦いましたが、日が西の空に沈むころ、息を引き取りました。 + + + ユダの王ヨシャパテが無事自分の家に戻ると、 + ハナニの子で預言者エフーが出向いて来て、言いました。「悪者を助けていいのですか。主を憎む者を愛すべきなのでしょうか。あなたがそのようになさったので、主の怒りが下ります。 + しかし、あなたには幾つかの良い点があります。この地からアシェラ像を一掃して、神に忠誠を尽くそうと努力してきたことがそれです。」 + その後、ヨシャパテは二度とイスラエルを訪問することもなく、エルサレムにおとなしくとどまっていました。のちに、王はもう一度、ベエル‧シェバからエフライムの山地まで巡回し、その地の人々に父祖の神を礼拝するよう指導しました。 + 国中の大きな町には裁判官を置き、 + こう訓示しました。「あなたがたを任命したのは、私ではなく神である。だから、自分の行動に注意しなさい。神が一人一人のそばに立って、あなたがたの前に持ち出されるすべての訴訟に、正しい裁きができるよう手を貸してくださる。 + 神の御旨に反するような判決を下さないよう、注意しなさい。神のもとでの裁きには、不正も不公平も収賄もあってはならないからである。」 + 王はエルサレムにも裁判所を設けて、レビ人、祭司、氏族長から裁判官を任命し、 + 彼らにも訓戒を与えました。「あなたがたは、いつも神を恐れ、誠意を込めて行動しなければならない。 + 各地の裁判官から、殺人事件や神の教えへの違反などについて訴訟が持ち込まれたら、事実を確かめ、彼らが正しく裁けるよう助けてやりなさい。神の怒りが、あなたがたにも、彼らにも下ることがないためだ。このようにすれば、あなたがたの責任を果たしたことになる。」 + それから王は宗教上の問題を扱う裁判の最高責任者として大祭司アマルヤを任命しました。また、民事を扱う裁判の最高責任者として、イシュマエルの子でユダ族の長ゼバデヤを任命し、レビ人を補佐役にあてました。王は、最後にこう言いました。「それぞれの職務に対し、恐れることなく誠心誠意当たりなさい。どうか、神があなたがたを用いて、正しい者の味方としてくださるように。」 + + + そののち、モアブ人とアモン人、それにメウニム人の王の率いる連合軍が、ヨシャパテとユダの民に宣戦布告しました。 + ヨシャパテに届いた情報は、「大軍が、死海の向こうのシリヤから押し寄せて来ます。もうハツァツォン‧タマル、つまりエン‧ゲディまで来ています」というものでした。 + あわてふためいた王は、主の助けを仰ぐよりほかないと判断し、全国民が神の前に悔い改め、断食して祈りに打ち込むよう命じました。 + 人々は各地からエルサレムに集まり、心を一つにして主に助けを求めました。 + ヨシャパテは、神殿の新しい庭に集まった人々の中に立って祈りました。 + 「私たちの父祖の神、主よ。天におられ、地上のすべての王国を支配しておられる神よ。あなたの測り知れない力に、だれも立ち向かうことはできません。 + 私たちの神よ、あなたの民がこの地に入った時、あなたはこの地に住んでいた異教徒を追い出し、この地を永久に、あなたの友アブラハムの子孫のものとされたではありませんか。 + あなたの民はここに根を下ろし、あなたのためにこの神殿を建てました。 + 戦争、疫病、ききんなどの災いに会ったなら、あなたのおられるこの神殿、つまりあなたの御前に立って祈れば、祈りは聞かれ、あなたは私たちを救ってくださると信じています。 + 今、アモンとモアブ、セイル山の人々がやっていることをごらんください。あなたは、先祖がエジプトを出て来た時、彼らの国に侵入するのをお許しになりませんでした。それで私たちは、彼らの国を避けて通り、彼らを滅ぼさないでおいたのです。 + ところが今、彼らは何をしようとしているでしょうか。あなたが私たちに下さった地から、私たちを追い出そうとして攻め寄せて来るのです。 + 神よ、彼らの来襲をとどめてください。私たちには、このような大軍から身を守るすべなどありません。どうしたらよいのか見当もつきません。ただあなたに助けを求めるばかりです。」 + ユダの各地から集まった人々は、妻子や幼児たちといっしょに主の前に立っていました。 + その時、主の霊が、そこに立っていたレビ人ヤハジエルに臨んだのです。彼はアサフの子孫の一人で、マタヌヤの子エイエルの子ベナヤの子ゼカリヤの子でした。 + ヤハジエルは大声で語りだしました。「ユダとエルサレムのすべての人々、またヨシャパテ王よ、よく聞きなさい! 主はこう言われます。『恐れてはならない。この大軍を見ておじけてはならない。この戦いはあなたがたの戦いではなく、わたしの戦いだ。 + 明日、エルエルの荒野に通じる谷の出口で、ツィツの坂を上って来る敵と会うから、こちらから攻撃をしかけよ。 + あなたがたは戦わなくてよい。持ち場を守り、黙って、わたしのすばらしい救いを見よ。ユダとエルサレムの人々よ、恐れたり、意気消沈したりしてはならない。わたしがついている。明日、出陣するのだ。』」 + ヨシャパテは地にひれ伏しました。ユダのすべての民とエルサレムの住民も、同じように主を礼拝しました。 + それから、ケハテ氏族とコラ氏族のレビ人が立ち上がり、力強く高らかに主を賛美しました。 + 翌朝早く、ユダ軍はテコアの荒野へ兵を進めました。途中、ヨシャパテは立ち止まって指示を与えました。「私の言うことを聞き、主を信じなさい。そうすれば、勝利は間違いない! 預言者のことばを信じなさい。そうすれば、すべてはうまくいく。」 + それから民の指導者と相談して、聖歌隊を編成しました。聖歌隊は聖なる衣服をまとい、行軍の先頭を進みながら、「主のいつくしみは、とこしえまで」と歌って主をたたえ、主に感謝をささげました。 + 彼らが賛美をし始めた時、主は、アモン人、モアブ人、セイル山の人々の間で同士討ちを引き起こさせました。それで彼らは、互いに殺し合うことになったのです。 + まずアモン人とモアブ人がセイル山から来た軍を襲い、一人残らず殺しました。それが終わると、今度はアモン人とモアブ人がぶつかり合ったのです。 + それで、ユダ軍が荒野を見下ろす物見の塔に着いた時には、見渡す限り、あたり一面に死体が転がっていました。逃げ延びた敵兵は一人もいませんでした。 + ヨシャパテ王とユダの民は、遺体から金、武具、宝石などをはぎ取りました。その数があまりにも多かったので、全部運ぶのに三日もかかるほどでした。 + 四日目に彼らは、今でもベラカ(祝福)の谷と呼ばれている谷に集まり、心から主をたたえました。 + それから王を先頭に、彼らは意気揚々とエルサレムに凱旋しました。主が信じられないような方法で救い出してくれたので、彼らの心は喜びでいっぱいでした。 + 彼らは琴、竪琴、ラッパの奏楽とともにエルサレムに入城し、神殿に入りました。 + そして以前にもあったように、近隣の国々は、主がイスラエルの敵と戦ったと聞いて、神への恐れに包まれました。 + こうして、神が王に安息を与えたので、ヨシャパテの王国は安泰を保ちました。 + ヨシャパテ王の生涯を略述すると、三十五歳でユダの王となり、二十五年間エルサレムで統治。母はシルヒの娘のアズバ。 + 父アサ王のように主の前に良い王で、いつも主に従おうとしました。 + しかし、高台にある偶像の宮を取り壊すことだけはしなかったので、人々に、父祖の神に従うことを決心させるまでには至りませんでした。 + ヨシャパテ王のその他の業績は、『イスラエル諸王の年代記』に挿入されている、ハナニの子エフーの書いた言行録に記されています。 + しかし王は、晩年になって、悪名高いイスラエルの王アハズヤと同盟を結びました。 + 彼らは、タルシシュ行きの船団をエツヨン‧ゲベルでつくりました。 + その時、マレシャ出身のドダワの子エリエゼルがヨシャパテに対して預言し、「あなたがアハズヤと同盟を結んだので、主はあなたの計画を壊します」と言いました。それで、船は難破し、タルシシュへ行くことはできませんでした。 + + + ヨシャパテ王は死んで、エルサレムの王室の墓に葬られ、その子ヨラムが新しくユダの王となりました。 + ヨラムの兄弟には、アザルヤ、エヒエル、ゼカリヤ、アザルヤ、ミカエル、シェファテヤがいました。 + 彼らの父ヨシャパテは、その一人一人に多くの金品、また、ユダの要塞化された幾つかの町々も与えていました。ヨラムは長男だったので、王国と王権を与えました。王としての地位が確立すると、ヨラムは兄弟全員と多くの指導者を殺しました。 + ヨラムは三十二歳で王となり、八年間エルサレムで治めました。 + 彼はイスラエルを支配した王たち、わけても、アハブ王にさえ引けを取らないほど、主の前に悪を行いました。あの邪悪なアハブ王の娘と結婚していたので、一生の間、とどまることなく悪を働きました。 + それにもかかわらず、主はダビデの家を見限るようなことはしませんでした。ダビデに、彼の子孫はいつまでも王座につくと約束していたからです。 + そのころ、エドムの王が反逆して、ユダからの独立を宣言しました。 + ヨラムは、戦車隊とともに全軍を率いて夜襲をかけ、ほとんど制圧するところでした。 + しかしエドムは、現在までユダの支配を免れることに成功しています。さらに、リブナもまた反逆しました。それもこれも、ヨラム王が父祖の神、主を捨てていたからです。 + そのうえ、ヨラムはユダの山々に偶像の宮を建て、エルサレムの住民を偶像礼拝に誘ったばかりか、人々に偶像礼拝を強要さえしたのです。 + その時、預言者エリヤは王に、次のような手紙を送りました。「あなたの先祖ダビデの神、主は言われます。『あなたは、父ヨシャパテやアサ王の手本にならわず、 + イスラエルのほかの王にならって悪の道を進み、アハブ王と同じように、エルサレムとユダの民に偶像礼拝を行わせた。また、あなたよりも善良だった兄弟を殺したので、 + 今こそわたしは、あなたの国を大災害で滅ぼそう。あなたはもちろん、妻子までも打たれ、全財産は散らされる。 + あなたは腸の病気を患い、はらわたが飛び出る。』」 + 主は、エチオピヤ人の近くに住むペリシテ人とアラビヤ人を奮い立たせ、ヨラム王を攻撃するよう仕向けました。 + 彼らはユダを目指して進撃し、国境を越え、ヨラム王の妻子を含めて、王宮にあるめぼしいものをみな奪い去りました。ようやくのことで、王の末子エホアハズだけが難を逃れました。 + こののち、主はヨラム王を打ったので、王は腸を患う不治の病にかかりました。 + 二年目の終わりになると、腸が外に飛び出し、激しい苦しみに襲われながら彼は死にました。その葬儀はひどく簡素なものでした。 + ヨラムは三十二歳で王となり、八年間エルサレムで治めて死にました。だれもその死を悼みませんでした。彼はエルサレムに葬られましたが、王室の墓地ではありませんでした。 + + + エルサレムの人々は、ヨラムの末子アハズヤ(別名エホアハズ)を新しく王に選びました。アラビヤ(アラブ)人の略奪部隊が、年長の息子たちを殺してしまったからです。 + アハズヤは二十二歳で王となり、一年間エルサレムで治めました。母親はオムリの孫娘のアタルヤでした。 + 彼もまた、母にそそのかされてアハブ王の悪い例にならいました。 + 父ヨラムの死後、アハブ家の者たちが助言者となったので、彼はアハブ王に引けを取らないほど、主の前に悪を行う王になりました。 + アハブ家の悪い助言者に操られて、アハズヤは、イスラエルの王アハブの子ヨラムと同盟を結びました。その時、ヨラム王はシリヤの王ハザエルとラモテ‧ギルアデで戦っていたので、アハズヤは軍を率いて援軍に駆けつけました。イスラエルの王ヨラムは負傷し、 + 治療のため、イズレエルに帰って来ました。ユダの王アハズヤは、彼を見舞いにイズレエルに行きました。 + ところが、このことが彼のいのち取りになりました。神は、ヨラムと同盟を結んだアハズヤに罰を下そうと決めていたのです。ヨラムを見舞ったアハズヤは、彼と手を組んで、ニムシの子エフーとの戦いに出かけました。このエフーこそ、アハブ家を倒すため、神が立てた人物だったのです。 + エフーはアハブ家の者を追いかけ、手あたりしだいに殺していましたが、ユダの高官とアハズヤの甥たちとを見つけたので、彼らも殺しました。 + エフーと家臣たちは、なおアハズヤを捜し回り、ついにサマリヤの町に隠れていた王を見つけ出したのです。王はエフーの前に引き出されて殺されましたが、熱心に主に仕えたあのヨシャパテ王の孫だということで、王にふさわしく葬られました。 + わが子アハズヤの死の知らせを受けた王母アタルヤは、孫たちを殺してしまったので、跡を継いで王となるべき子はヨアシュのほかにいませんでした。 + ヨアシュは、王の妹である叔母エホシェバに助け出され、宮殿の物置小屋に隠されていたのです。彼女はヨラム王の娘で、祭司エホヤダの妻でした。 + ヨアシュは、アタルヤが女王であった六年間、叔母や叔父、乳母たちに守られて、ずっと神殿にかくまわれていました。 + + + 女王アタルヤの第七年に、祭司エホヤダは勇気を奮い起こして、軍の隊長数人と密約を結びました。相手は、エロハムの子アザルヤ、ヨハナンの子イシュマエル、オベデの子アザルヤ、アダヤの子マアセヤ、ジクリの子エリシャファテです。 + 彼らはこっそり国中を回って、レビ人や氏族長たちにエホヤダの計画を打ち明け、彼らをエルサレムに呼び集めました。集まった者たちは、神殿にかくまわれていた若い王に忠誠を誓いました。エホヤダは語りました。「ダビデ王の子孫が私たちの王となるという主のお約束どおり、王の子が王となる時がついにきました。 + 次のように手はずを整えましょう。祭司とレビ人の三分の一は、安息日に勤務する護衛として入口にとどまってください。 + 他の三分の一は王宮に入り、残りの三分の一は礎の門のところにいてください。そのほかの者はみな、神の戒めに従って、神殿の外庭にいなければなりません。務めのある祭司とレビ人だけが、神殿に入ることができます。 + レビ人の皆さんは、武器を手に、しっかり王を護衛してください。神殿に踏み込む無法者がいれば、殺してもかまいません。片時も王のそばを離れてはなりません。」 + 全員が指示されたとおりに配置につきました。リーダーはそれぞれ、安息日の勤務当番日に当たる三分の一の祭司と、週日の務めについていた三分の一の祭司を率いていました。祭司エホヤダが彼らを家に帰さずにおいたのです。 + エホヤダは、隊長たちに、神殿に保管してあったダビデの槍と盾を支給しました。 + 完全武装した彼らは、神殿の正面の端から端までと、外庭にある祭壇の回りを囲みました。 + それから、幼いヨアシュ王子を連れ出して王冠をかぶらせ、その手にモーセの律法の写しを渡し、彼が王であることを宣言したのです。エホヤダとその子たちが王に油を注いだ時、「王様、ばんざーい!」という叫びが、いっせいに起こりました。 + 一連の騒ぎと、王をたたえる声とを聞いた女王アタルヤは、何事が起こったのかと神殿に駆けつけました。見ると、王が入口の柱のところに立っており、そばには隊長たちが並び、吹奏隊が王を取り囲んでいました。各地から集まった人々は喜んでラッパを吹き鳴らし、合唱隊は、賛美を導く奏楽に合わせて歌っています。女王は衣服を引き裂いて、「謀反だ! 謀反だ!」と、気が違ったように叫びました。 + 祭司エホヤダは隊長たちに命じました。「この女を連れ出して、殺せ! 神殿の中ではだめだ。女を助けようとする者は、だれでも容赦なく殺すのだ」 + 群がっていた人々は、さっと道を開きました。結局、彼女は王宮の馬小屋で殺されました。それからエホヤダは、彼と王と民とが主の民となるという厳粛な契約を結びました。民はこぞってバアルの神殿に向かい建物を壊し、祭壇を砕き、像を倒し、バアルの祭司マタンを祭壇の前で殺しました。 + エホヤダはレビ人の祭司に神殿の管理を任せ、モーセの律法どおり、焼き尽くすいけにえをささげるよう命じました。レビ人たちはダビデ王の決めた組分けに従って、喜びと歌とをもって働きました。 + 神殿の門衛は、汚れた者や資格のない者がいっさい入らないように見張っていました。 + それから、軍の隊長、貴族、高官はじめ人々はみな、王を護衛して神殿から出て行き、上の門を通って王宮に入り、ヨアシュを王座に着かせました。 + すべての民が喜びました。アタルヤが死んだので、エルサレムの町は平和一色に塗り替えられました。 + + + ヨアシュは七歳で王となり、四十年間、エルサレムで治めました。母親はツィブヤといい、ベエル‧シェバの出身でした。 + ヨアシュ王は、祭司エホヤダが生きている間は、主を喜ばせようと一生懸命に努めました。 + エホヤダは彼に二人の妻をめとらせ、息子や娘たちが生まれました。 + そののち、王は神殿の修復を思い立ち、 + 祭司やレビ人を召集して命じました。「神殿をりっぱなものに修復するため、ユダのすべての町々へ行って献金を集めなさい。さっそく取りかかるのだ。ぐずぐずしてはならない。」ところが、レビ人はなかなか腰を上げようとしませんでした。 + 王は大祭司エホヤダを呼びました。「なぜ、ユダの町々やエルサレムから神殿税を集めるために、レビ人を送らないのか。神殿の修復用に主のしもべモーセの決めた納税のおきては、ぜひ実施しなければならない。」 + というのは、あの悪女アタルヤの取り巻きたちが神殿を荒らし、神の礼拝のためにささげられたものを、バアルの神殿に用いたからです。そこで、王は一つの箱を作って、それを神殿の門の外側に置くよう指示しました。 + それから、神のしもべモーセが課した税を神殿に持って来るようにとの布告を、ユダのすべての町々とエルサレムに出しました。 + すると、すべての指導者、すべての民がわれ先にと献金を投げ入れたので、箱はすぐいっぱいになりました。 + レビ人が箱を王の会計室に運ぶと、王の書記官と祭司長に仕える管理人とが金額を計算し、からになった箱をまた元の場所に戻しました。同じことが毎日くり返されました。 + 王とエホヤダは、集まった献金を修復工事の監督者に渡しました。彼らはそれで石工や大工、鉄や青銅の器具を作る鋳造師を雇いました。 + こうして工事は進み、ついに神殿は前よりもりっぱになりました。 + 工事が完成すると、余った献金が王とエホヤダに手渡されたので、彼らはそれを、金銀のさじ、香をたく金銀の鉢、いけにえをささげるための器具を作る費用にあてました。祭司エホヤダの生きている間、焼き尽くすいけにえは一日も欠かさずにささげられました。 + エホヤダは非常に長生きしましたが、百三十歳で死に、 + ダビデの町の王室墓地に王たちとともに葬られました。彼はイスラエルのため、神のため、そして神殿のために、多くの良いことを行いました。 + しかし、エホヤダの死後、ユダの指導者たちはヨアシュ王を悪の道に誘い込みました。王に、父祖の神、主の神殿を捨て、恥ずべき偶像を拝むようにしむけたので、神の怒りが再びユダとエルサレムに下りました。 + 神は、彼らが主に立ち返るように預言者を遣わしましたが、だれも耳を貸そうとしませんでした。 + その時、神の霊が祭司エホヤダの子ゼカリヤに臨みました。ゼカリヤは民の前に立って言いました。「あなたがたはなぜ主の戒めに背いているのか、神様はそのわけを知りたいと言っておられる。こんなことでは、何をしても失敗に終わるだけだ。あなたがたが主を捨てたので、今度は主があなたがたをお見捨てになる。」 + ところが、指導者たちはゼカリヤを殺そうと謀り、ヨアシュ王の命令により、神殿の庭でゼカリヤを殺しました。 + こうしてヨアシュ王は、エホヤダの愛と忠誠に対して、彼の子を殺害するという悪をもって報いたのです。ゼカリヤは死に際し、「主よ、彼らがしていることをごらんになり、彼らの悪に報いてください」と言い残しました。 + その二、三か月後、シリヤ(アラム)軍がユダとエルサレムに進攻してきました。彼らはユダの指導者を一人残らず殺し、大量の戦利品をダマスコへ持ち帰りました。 + シリヤ軍は少数でありながら大勝利を収めたのです。ユダの大軍が少数のシリヤ軍に負けたのは、ユダの民が父祖の神、主を捨てたからにほかなりません。こうして、神はヨアシュ王にきびしいさばきを下したのです。 + シリヤ軍が重傷を負ったヨアシュを置き去りにして引き揚げた時、彼の家来たちは、祭司エホヤダの子を殺した責任を問うために王を暗殺し、ダビデの町に葬りました。ただ、そこは王室墓地ではありませんでした。 + この謀反を企てたのは、アモン出身の女シムアテの子ザバデと、モアブ出身の女シムリテの子エホザバデでした。 + ヨアシュ王の子たちのこと、王に臨んだのろいのこと、神殿の修復のことについては、『諸王の年代記』にくわしく記されています。ヨアシュが死んだのち、その子アマツヤが新しく王となりました。 + + + アマツヤは二十五歳で王となり、二十九年間エルサレムで治めました。母親はエホアダンといい、エルサレム出身でした。 + アマツヤ王は正しいことを行いましたが、いつも本心からとは限りませんでした。 + 王としての地位が固まると、彼は父の暗殺者を処刑しました。 + それでもモーセの律法を守り、その子どもたちまでは殺しませんでした。モーセの律法では、父親は子どものせいで殺されてはならず、子どもも父親のせいで殺されてはならないことになっていました。めいめいの罪のために裁かれるべきなのです。 + それから王は、軍を再編成し、ユダとベニヤミンの各氏族に指導者を立てました。人口調査をしてみると、槍と剣の使い手として訓練された二十歳以上の兵士が三十万人いることがわかりました。また王は、銀百タラント(三千四百キログラム)を払って、十万人の訓練された兵士をイスラエルから雇いました。 + しかし、預言者が主のことばを伝えました。「王よ、イスラエルの兵士を雇い入れてはなりません。主はその者たちとは共におられないからです。 + もし、彼らといっしょに戦いに出たら、どんなによく戦っても敗れます。神には助ける力もあれば、くじく力もあるのです。」 + アマツヤは泣き言を言いました。「あの兵士に払った金が惜しい。金のことはどうしたらよいだろう。」「神様は、それ以上のものをあなたに与えることがおできになります。」 + そこでアマツヤは、雇い入れた兵士たちを郷里のエフライムに帰しました。このことで、彼らは侮辱されたと思い、ひどく腹を立てました。 + 王は勇気を出し、軍を率いて塩の谷へ行き、そこでセイルから来た一万人を打ちました。 + ほかにも一万人を生け捕りにし、がけから突き落としたので、みな谷底の岩に砕かれて死にました。 + 一方、強制送還されたイスラエルの兵士は、ベテ‧ホロンからサマリヤまでの地域にあるユダの幾つかの町に侵入し、三千人を殺し、多くの戦利品を奪い去りました。 + エドム人を打ち破ったアマツヤ王は、セイルの人々の偶像を持ち帰っただけでなく、偶像を神々として祭り、その前に頭を下げ、香までたいたのです。 + これを激しく怒った主は、預言者を送って、きびしく王を問いただしました。「あなたの手から自分の民を救い出せなかったような神々を、なぜ拝むのか。」 + 王は、預言者のことばをさえぎりました。「いつ私があなたに助言を求めたか。殺されたくなければ、黙っていることだ。」「これで、はっきりしました。神様はあなたを滅ぼすおつもりです。あなたが偶像を拝み、私の勧めを聞こうとされないからです。」預言者は、警告を残して立ち去りました。 + そののち、ユダの王アマツヤは相談役の意見を取り入れて、エホアハズの子でエフーの孫に当たる、イスラエルの王ヨアシュに戦いをしかけました。 + するとヨアシュ王は、次のようなたとえをもって応じたのです。「レバノン山のあざみがレバノン山の杉に、『娘さんを息子の嫁にくれないか』と頼みました。ところが、レバノン山の野獣が通りかかり、そのあざみを踏みにじりました。 + あなたは、エドムを征服したことで鼻を高くしている。しかし、悪いことは言わないから、おとなしくしていなさい。へたな手出しはおやめなさい。さもないと、ユダの民ともども痛い目に会いますよ。」 + しかし、アマツヤは聞き入れようとしませんでした。神は、エドムの神々を拝んでいた王を滅ぼそうとしていたのです。 + 両軍はユダのベテ‧シェメシュでぶつかりましたが、 + ユダは総くずれになって退却しました。 + イスラエルの王ヨアシュは、負けたユダの王アマツヤを捕らえ、捕虜としてエルサレムに連れて来たうえ、エルサレムの城壁をエフライムの門から隅の門まで二百メートルにわたって取り壊すよう命じました。 + また、神殿にあったすべての財宝と金の鉢、それに王宮の財宝を運び出し、オベデ‧エドムを含む人質を連れてサマリヤに帰りました。 + アマツヤ王は、イスラエルの王ヨアシュの死後、なお十五年も生き延びました。 + アマツヤのくわしい伝記は、『ユダとイスラエル諸王の年代記』に記されています。 + それには、王が神から離れたいきさつ、エルサレムで謀反が起こりラキシュへ逃げたこと、追いつめられてラキシュで殺されたことなどが記録されています。 + 人々は彼の遺体を馬でエルサレムに運び、王室墓地に葬りました。 + + + ユダの民は、十六歳のウジヤを新しい王としました。 + ウジヤは父アマツヤの死後、エラテの町を再建してユダに復帰させました。 + 彼は五十二年間エルサレムで治めました。母はエコルヤで、エルサレム出身でした。 + ウジヤは父アマツヤの足跡にならい、おおむね、主の目に良い王でした。 + 神を畏れ敬うことを教えたゼカリヤが生きている間、ウジヤはいつも熱心に神を求めました。彼が主の道を歩んでいる間は神の祝福を受け、彼の王国は栄えました。 + 王はペリシテ人と戦った時、ガテの町を占領して城壁を壊し、ヤブネとアシュドデの町々も同様にしました。それから、アシュドデとペリシテのほかの場所に新しい町を建てました。 + 神はペリシテ人との戦いだけでなく、グル‧バアルのアラビヤ人との戦い、メウニム人との戦いでもウジヤ王を助けました。 + アモン人はウジヤ王に、貢ぎ物を納めるようになりました。彼の勢力は強大になったので、その名声は遠くエジプトにまで伝わりました。 + ウジヤは、エルサレムの隅の門、谷の門、それに城壁の曲がり角にやぐらを建てて補強しました。 + また、ネゲブにも要塞を築き、水ためを幾つも掘りました。谷にも平地にも、多くの家畜の群れがいたからです。彼は土に親しむ人で、山の中腹やよく肥えた平野に、農園やぶどう畑をたくさん持っていました。 + ウジヤ王は、書記官エイエルと補佐官マアセヤが作った割り当てにしたがって、軍隊を各部隊に編成しました。最高司令官はハナヌヤ将軍でした。 + 二千六百人の勇敢な氏族の長が、各部隊を指揮しました。 + 軍はえり抜きの三十万七千五百人の兵士で成っていました。 + 王は全軍を盾、槍、かぶと、よろい、弓、石投げの石などで武装させました。 + さらに、すぐれた技術者によって考案された、やぐらや城壁の角にある塔から矢や大きな石を打ち出す新兵器を、エルサレムで製造しました。主が彼に大きな力を貸したので、ウジヤ王の名は遠くまでとどろき知られるようになりました。 + ところが、それに気をよくした王は思い上がり、ついに堕落への道を進み始めました。彼の神、主に対する罪を犯し、入ることを禁じられていた神殿の聖所に入って、祭壇の上で香をたこうとしたのです。 + 祭司長アザルヤは勇敢な祭司八十人を従えて入って来て、口々に、王に出て行くように求めました。「王よ、香をたくことは王の仕事ではなく、アロンの子孫である祭司だけの仕事です。すぐ出てください。あなたは不法に侵入したのです。こんなことをするあなたに、主からの栄誉はありません。」 + 真っ赤になって怒った王は、香炉を手放そうとしませんでした。しかしこの時、突然、ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)が彼の額に現れたのです。 + アザルヤはじめ祭司たちは、これを見て、あわてて王を外に連れ出そうとしましたが、主に打たれたと知って、王はさすがに逆らおうとはせず、自分から出て行きました。 + ツァラアトにかかった王は、死ぬまでずっと隔離された家に住み、人々にも神殿にも近づくことができませんでした。そのため、その子ヨタムが摂政となって王の職務を代行し、国を治めました。 + ウジヤ王の治世の一部始終は、アモツの子、預言者イザヤが書き留めています。 + ウジヤ王は、ツァラアトにかかったにもかかわらず、死んで王室墓地に葬られ、その子ヨタムが新しく王となりました。 + + + ヨタムは二十五歳で王となり、十六年間、エルサレムで治めました。母はエルシャといい、ツァドクの娘でした。 + 彼は、おおむね良い模範を残した父ウジヤの信仰にならいましたが、神殿の聖所に入るようなことはしませんでした。にもかかわらず、民はますます堕落していきました。 + ヨタム王は神殿の上の門を建て、また、神殿が建っていた丘の上の城壁を再建し、拡張しました。 + ユダの山地にも町々を建て、森林地帯には要塞とやぐらを築きました。 + アモン人と戦って勝った彼は、それからの三年間、彼らに百タラントの銀、小麦一万コル(二百三十万リットル)、大麦一万コルを貢ぎ物として納めさせました。 + ヨタムは彼の神、主の道を踏みはずさないよう注意したので、勢力を増し加えました。 + ヨタム王のその他の記録、彼の戦いや行いについては、『イスラエルとユダ諸王の年代記』に記されています。 + 彼は二十五歳で王となり、十六年間エルサレムで治めたのち、 + 死んでエルサレムに葬られ、その子アハズが新しく王となりました。 + + + アハズは二十歳で王となり、十六年間エルサレムで治めました。彼は父祖ダビデとは違って、主の目にかなわない悪王でした。 + イスラエルの王たちの悪い例にならって、バアルの偶像を拝んだのです。 + 王はベン‧ヒノムの谷で盛大に偶像礼拝を行いましたが、香をたくだけにとどまらず、その谷で、主がイスラエルのために追放した異教徒のように、自分の子どもたちをいけにえとして火に投げ込んだのです。 + それだけではありません。高台の偶像の宮や、すべての茂った木の下でいけにえをささげたり、香をたいたりもしました。 + そういうわけで、主は、シリヤの王がアハズ王を打ち、国民の多くを捕虜としてダマスコへ引いて行くままにしました。イスラエル軍もユダに攻め入り、大損害を与えました。 + たった一日で、レマルヤの子、イスラエルの王ペカは、ユダの勇士十二万人を殺したほどでした。彼らが父祖の神を捨てたからです。 + エフライムの大勇士ジクリは、ユダの王子マアセヤ、宮内長官アズリカム、王の補佐官エルカナを殺しました。 + イスラエル軍は、ユダの婦人と子ども合わせて二十万人を捕虜とし、たくさんの戦利品を手に入れて、サマリヤに帰りました。 + しかし、サマリヤにいた主の預言者オデデが、帰って来たイスラエル軍を出迎えて、こう言いました。「あなたがたの父祖の神は、ユダを怒ってあなたがたの手にお渡しになった。ところが、あなたがたは、天も驚くほどの残忍さで彼らを手にかけた。 + しかも、ユダとエルサレムから連れて来た人々を奴隷にしようとしている。そうやって、あなたがた自身も主に罪を犯しているのではないか。 + 私の言うことを聞き、同胞であるユダの人々を家へ帰してやりなさい。そうでないと、主の燃えるような怒りがあなたがたにも下ることになる。」 + エフライム族の長である、ヨハナンの子アザルヤ、メシレモテの子ベレクヤ、シャルムの子ヒゼキヤ、ハデライの子アマサも同じ意見でした。 + 「捕虜を連れて来たら、主はお怒りになる。私たちの多くの罪に、さらにこの罪が加わる。もうこれ以上、神を煩わせてはならない。」 + そこで兵士たちは、捕虜と戦利品のことは政治的指導者に任せることにしました。 + 先に名を挙げた四人は、戦利品の中にあった多くの衣服を、捕虜の中で困っている婦人や子どもたちに配り、くつをはかせ、パンを食べさせ、ぶどう酒を飲ませました。また、病人や老人をろばに乗せて、なつめやしの町エリコにいる家族のもとへ送り届けました。それから、護送の任に当たった者たちはサマリヤに帰りました。 + そのころ、エドム人がユダを侵略し、大ぜいの住民を奴隷として連れ去ったので、ユダの王アハズはエドム軍と戦うため、アッシリヤの王に援助を求めました。 + 一方、ペリシテ人は低地の町々や南のネゲブに侵入し、ベテ‧シェメシュ、アヤロン、ゲデロテやソコ、ティムナ、ギムゾとそれぞれ周辺の村々を占領し、そこに住みつきました。 + このようになったのは、ユダの民の信仰心を破壊し、主に不信の罪を犯したアハズ王のためでした。主はそのことを反省させようとしたのです。 + しかし、アッシリヤの王ティグラテ‧ピレセルは、アハズ王を助けるどころか、かえって悩ますことになりました。 + アハズ王は神殿の金や王宮の宝物を彼に贈りましたが、何の効果もありませんでした。 + こうした大きな試練の中で、アハズ王はますます堕落に陥りました。 + 彼は、自分を打ったダマスコの神々にいけにえをささげました。そうすればその神々が、シリヤの王を助けたように、自分たちをも助けてくれると思ったのです。しかし、代わりに、その神々はアハズ王とその民を堕落させただけでした。 + 彼は神殿から金の鉢を取り出して切り刻み、神殿の扉に釘を打ちつけて、だれもそこで礼拝できないようにしたのです。また、エルサレムのあらゆる町かどに、異教の神々のための祭壇を築きました。 + さらに、ユダの町という町でもすべて同じようにして、ついに父祖の神、主の激しい怒りを招きました。 + アハズ王の生涯と行いは、『ユダとイスラエル諸王の年代記』にくわしく記されています。 + 彼は死んでエルサレムに葬られましたが、王室墓地には入れられませんでした。代わってその子ヒゼキヤが新しく王となりました。 + + + ヒゼキヤは二十五歳でユダの王となり、二十九年間エルサレムで治めました。母はゼカリヤの娘アビヤでした。 + 彼の治世は、父祖ダビデがそうであったように、主の目にかなうものでした。 + その第一年の第一の月、ヒゼキヤ王は神殿の扉を開けて、内部を修理しました。 + それから、祭司とレビ人たちを神殿の東側の広場に呼び集めて言いました。「レビ人たち、聞きなさい。まず、あなたがた自身の身をきよめ、それから、あなたがたの父祖の神、主の神殿をきよめなさい。聖所から、ちりあくたをすべて掃き出しなさい。 + というのも、私たちの父たちが主の前に大きな罪を犯し、主と神殿を捨て去り、それらに背を向けたからだ。 + 神殿の扉は閉ざされ、絶やしてはならないともしびの火は消え、香もたかれず、焼き尽くすいけにえもささげられなかった。 + それで、主の怒りがユダとエルサレムに下り、今も見るとおり、主は私たちを、恐れと驚きとあざけりの的となさったのだ。 + 父は戦死し、妻子は捕虜になっている。 + 私は、主の燃える怒りが去るように、イスラエルの神、主と契約を結びたいと思う。 + さあみんな、これ以上、大切な務めを怠ってはならない。主はあなたがたを選んでご自分に仕えさせ、香をたく務めに任じてくださったのだから。」 + そこでレビ人たちは、それぞれの務めに就きました。ケハテ氏族からはアマサイの子マハテとアザルヤの子ヨエル、メラリ氏族からはアブディの子キシュとエハレルエルの子アザルヤ、ゲルション氏族からはジマの子ヨアフとヨアフの子エデン、エリツァファン氏族からはシムリとエイエル、アサフ氏族からはゼカリヤとマタヌヤ、ヘマン氏族からはエヒエルとシムイ、エドトン氏族からはシェマヤとウジエル。 + 彼らは次々に身内のレビ人を集め、まず自分自身の身をきよめてから、主に代わって語った王の命令どおり、宮きよめの仕事に取りかかりました。 + 祭司たちが神殿の中をきよめ、その中にあった汚れたものや壊れたものを全部、神殿の庭に持ち出すと、レビ人がそれをキデロン川へ運びました。 + これが始まったのは第一の月の一日(ユダヤ暦による。太陽暦では三月中旬)で、その月の八日には神殿の庭のきよめをすませ、さらに八日間にわたって神殿自体をきよめて、十六日に終わりました。 + それから彼らは王宮に戻り、ヒゼキヤ王に報告しました。「ただ今、神殿のきよめを完了しました。焼き尽くすいけにえの祭壇と付属の器具、供えのパンの机と付属の器具も、すべてきよめました。 + また、アハズ王が神殿を閉じた時に取り除いたすべての器具を整え、きよめました。みな祭壇のそばにあります。」 + 翌朝早く、王は町の首長を従えて神殿に上りました。 + その時、この国と神殿のためにささげる、罪の赦しのためのいけにえとして、雄の子牛七頭、雄羊七頭、子羊七頭、雄やぎ七頭が用意され、王はアロンの子孫である祭司に命じて、いけにえを主の祭壇にささげさせました。 + 雄の子牛が殺されると、祭司はその血を取って祭壇に注ぎかけました。雄羊や子羊の場合も同じでした。 + 罪の赦しのためのいけにえ用の雄やぎが、王と役人たちの前に引いて来られると、彼らはその雄やぎの上に手を置きました。 + それから、祭司はこの雄やぎを殺し、血を祭壇に注いで罪の赦しのためのいけにえとし、王が命じたとおり、イスラエル全国民のために贖いをしました。焼き尽くすいけにえと罪の赦しのためのいけにえをイスラエル全国民のためにささげるように、王から指示してあったからです。 + 王は、神殿に仕えるレビ人に、シンバル、琴、竪琴を持たせて管弦楽団を編成しました。これは主のことばを受けた、ダビデおよび預言者ガドとナタンの意向に従ったものでした。祭司はラッパによる吹奏隊を引き受けました。 + そこで王は、焼き尽くすいけにえを祭壇にささげるよう命じました。いけにえをささげ始めると、シンバルや琴、竪琴がいっせいに賛美歌を演奏し、それに合わせてラッパが吹き鳴らされました。 + この式が終わるまで、歌とラッパに合わせて、全会衆が主を礼拝しました。 + いけにえをささげ終わると、王と側近たちは主を伏し拝みました。 + それから王は、ダビデと預言者アサフの詩を主の前で歌うように、レビ人に命じました。彼らは喜んで主を賛美し、一同はひれ伏して礼拝しました。 + そののち、ヒゼキヤは言いました。「きよめの儀式はこれで終了した。さあ、今度は、あなたがたの感謝のいけにえを持って来なさい。」そこで各地から集まった人々は、感謝のいけにえを持って来ました。中には進んで、焼き尽くすいけにえを持って来る人もいました。 + 焼き尽くすいけにえは全部で、雄の子牛が七十頭、雄羊が百頭、子羊が二百頭でした。さらに聖なるささげ物として、牛六百頭、羊三千頭が加えられました。 + ただし、焼き尽くすいけにえの用意をする祭司の手が足りなかったので、彼らの兄弟であるレビ人がその仕事をしました。このあとも彼らは、さらに多くの祭司が加えられるまで仕事を手伝いました。レビ人は、祭司よりも早く身をきよめて準備していたのです。 + たくさんの焼き尽くすいけにえ、そのための注ぎのぶどう酒、それに、多くの和解のいけにえがありました。このようにして、神殿での奉仕が再開され、いけにえがささげられるようになりました。 + ヒゼキヤとすべての民は、神がこのようにすばやく事を運んでくださったことを心から喜びました。 + + + ヒゼキヤ王は、全イスラエルとユダ、エフライム、マナセに手紙を送り、エルサレムの神殿に来て、年ごとの過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、ユダヤ人の三大祭の一つ。出エジプトを記念して守られるようになった)を祝うよう呼びかけました。 + 王と王を支える人々、それにエルサレムの全会衆は、今回に限り、ひと月遅れの第二の月に祭りを祝うことを決めました。一月では、身をきよめた祭司がまだ足りず、また、通知する時間も足りなかったからです。 + 王とその助言者たちはそれで完全に意見が一致したので、 + ダンからベエル‧シェバまでイスラエル全土に過越の祭りを祝う布告を出し、だれであろうと招きました。決まりどおりに過越の祭りを祝う者が多くはなかったからです。 + 王の手紙にはこう書かれていました。「アブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)の神、主に立ち返りなさい。そうすれば主は、アッシリヤの王たちの支配から逃れた私たちのところへ帰って来てくださる。 + 父祖の神、主に罪を犯して滅びを招いた、あなたがたの父や兄弟のようになってはいけない。 + 彼らのように強情を張ってはいけない。自分を主にささげ、主が永久にきよめた神殿に来て、あなたがたの神、主を礼拝しなさい。そうすれば、主の燃える怒りも去るに違いない。 + あなたがたが主に立ち返るなら、捕虜となった兄弟や子どもたちも、連れて行かれた先であわれみを受け、再びこの地に戻ることができるだろう。主は思いやりにあふれた方だから、もしあなたがたが立ち返るなら、顔をそむけたままでおられることは決してない。」 + こうして王の布告を伝える使者は、エフライムとマナセ、さらにゼブルンの地に至るまで、町から町へと回りましたが、ほとんどどこでも、冷笑とさげすみで迎えられました。 + しかし、アシェル、マナセ、ゼブルンの部族のある者たちは主に心を向け、エルサレムへ上って来ました。 + ユダでは、王と高官たちに命じられたように、主の示すことに従いたいという強い願いが、全国民のうちに起こりました。主がそのような願いを起こさせたのです。 + 第二の月になると、人々は過越の祭りを祝うために続々とエルサレムに集まり、おびただしい群衆にふくれ上がりました。 + 彼らはエルサレムにある異教の祭壇と香の祭壇を取り壊し、その残骸をキデロン川に捨てました。 + そして、第二の月の十四日に過越の子羊をほふりました。祭司とレビ人は、自分たちが積極的でなかったことを恥じて身をきよめ、焼き尽くすいけにえを神殿に運びました。 + それから、神の人モーセの律法で決められたとおり、そのおのおのの部署に就きました。祭司はレビ人から受け取った血を注ぎました。 + エフライム、マナセ、イッサカル、ゼブルンから来た人々の多くはきよめの儀式を受けていなかったので、汚れたままでした。それでレビ人は、彼らのために過越の子羊をほふり、彼らをきよめました。それからヒゼキヤ王が彼らのために祈ったので、規則に反してはいたものの、彼らは過越のいけにえを食べることが許されたのです。王は祈りました。「恵み深い主よ。たとえ正しい手順できよめられていない者でも、父祖の神、主に従う決心をした者の罪をお赦しください。」 + 主は王の祈りを聞き、彼らを滅ぼすようなことはしませんでした。 + こうしてイスラエルの民は、七日間、エルサレムで過越の祭りを大きな喜びのうちに祝いました。その間、レビ人と祭司は毎日、シンバルなどに合わせて主をほめたたえました。 + ヒゼキヤ王は、すぐれた音楽をもって仕えたレビ人に、感謝のことばを述べました。祝いは七日続き、和解のいけにえがささげられ、民は彼らの父祖の神、主に罪を告白しました。 + 興奮が高まる中で、さらに七日間祝いを続けることが、全会一致で決められました。 + 王は民にいけにえ用の雄の子牛千頭と羊七千頭を贈り、高官たちも雄の子牛千頭と羊一万頭を寄贈しました。多くの祭司たちは進み出て、身をきよめました。 + ユダの民は、祭司やレビ人、寄留の外国人やイスラエルから来た人々と喜びを分かち合いました。 + ダビデの子ソロモン王の時代からこのかた、エルサレムでこのように盛大に祭りが祝われたことはありませんでした。 + 祭司とレビ人は立ち上がって民を祝福しました。彼らの祈りは、天の聖所の主に聞き届けられました。 + + + そののち、偶像礼拝打破の大がかりな運動が始まりました。過越の祭りを祝うためにエルサレムに集まった人々は、ユダ、ベニヤミン、エフライム、マナセの町々へ行き、偶像の祭壇、石の柱、恥ずべき像、その他の異教の施設を壊しました。そのあと、北の諸部族から祭りに来ていた人々は、それぞれの家へ帰って行きました。 + ヒゼキヤは、祭司とレビ人の組分けを決め、それぞれの奉仕に応じ、組ごとに、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげさせ、感謝し、賛美しながら奉仕に当たらせました。 + またヒゼキヤは、律法に定められているとおり、朝ごと夕ごとにささげる焼き尽くすいけにえと、週ごとの安息日、月ごとの新月の祭り、年ごとの例祭にささげる焼き尽くすいけにえのために、自分の分は自身の私財から出しました。 + さらに王は、エルサレムの住民に、祭司とレビ人のところへ十分の一のささげ物を持って来るよう命じました。祭司とレビ人がほかの仕事に就く必要がなく、律法で命じられているように、その務めに専念できるようにするためでした。 + 人々はすぐにその命令に応じ、作物や穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油、金など、すべての収穫や収入の初物をたくさん持って来ました。山のように積まれたそれらは、律法によって神のものと定められた、自分が得たものの十分の一でした。北の諸部族の地方からユダに移って来た人も、エルサレムの近くに住む人も、牛や羊の十分の一と、彼らの神、主にささげられたものの十分の一を持って来て積み上げました。 + これらのささげ物が最初にエルサレムに到着したのは三月で、積み上げが完了したのは七月でした。王と高官たちは、ささげ物の巨大な山を見た時、どれほど主をほめたたえ、民を祝福したことでしょう。 + 「この山のようなささげ物は、どこから与えられたのか。」王は祭司とレビ人に尋ねました。 + ツァドクの家の大祭司アザルヤが答えました。「みな十分の一のささげ物です。私たちはもう何週間も、ここから十分に頂いています。それでも、これだけ残っています。主がご自分の民を祝福してくださったからです。」 + ヒゼキヤ王が神殿に倉庫を用意することにしたので、 + ささげ物はすべて神殿に運び入れられました。運搬の責任者はレビ人カナヌヤで、兄弟シムイと次の人々が補佐しました。エヒエル、アザズヤ、ナハテ、アサエル、エリモテ、エホザバデ、エリエル、イスマクヤ、マハテ、ベナヤ。以上は、王と大祭司アザルヤに任命された人々です。 + 東の門の門衛であったレビ人イムナの子コレは、ささげ物を祭司に分配する責任者になりました。彼を忠実に補佐したのがエデン、ミヌヤミン、ヨシュア、シェマヤ、アマルヤ、シェカヌヤで、彼らは、それぞれの町に住む祭司の家に、年齢の別なく等しく分配しました。 + ただし、神殿の務めに就いている祭司とその家族には、神殿から直接に支給されました。彼らはこの分配の対象ではなかったのです。 + 祭司は氏族ごとに、二十歳以上のレビ人も各自の奉仕の組ごとに、系図に載せられていました。規定に従って割り当てられた食糧が、系図に載せられた祭司の全家族に分配されました。彼らは時間と能力をすべて神殿の奉仕にあてていたので、ほかの収入源が全くなかったのです。 + 祭司が一人ずつ、それぞれの町の祭司全員と、系図に載せられているレビ人全員とに食糧を配る責任者に立てられました。 + このようにしてヒゼキヤ王は、主の前に正しく公平に、ユダ全国にささげ物を分配しました。 + 王は、神殿に仕えることでも、律法を守って正しく生きることでも、心を尽くして励み、それを遂行しました。 + + + ヒゼキヤ王のそのような良い働きがあってのち、アッシリヤの王セナケリブがユダに攻め込んで城壁のある町々を包囲し、貢ぎ物を納めさせようとしました。 + エルサレムを攻撃しようとするセナケリブの意図がはっきりわかった時、 + ヒゼキヤは王子や高官たちを集めて作戦会議を開き、町の外にある泉をふさぐことにしました。 + そこで彼らは、大作業チームをつくり、すべての泉とともに、野を流れる川までもせき止め、「アッシリヤの王に、豊富な水を見つけさせてたまるか」と言いました。 + 王はさらに防衛体制を強化するため、城壁のくずれていた箇所を修復したうえで、外側に第二の城壁を築きました。また、ダビデの町にミロの要塞を築き、大量の武器や盾を作りました。 + そして、兵を補充し、隊長を任命して町の門の広場に召集し、彼らをこう激励したのです。 + 「強く、勇敢でありなさい。アッシリヤの王とその軍勢を恐れてはならない。彼らよりもはるかに偉大な方がわれわれと共におられるのだ! + アッシリヤの王の率いる大軍は、ただの人間の集まりにすぎない。わが軍には、われわれのために戦ってくださる神、主がついておられるのだ!」そのことばによって、兵士たちは奮い立ちました。 + アッシリヤの王セナケリブは、まだラキシュの町を包囲している最中でしたが、ヒゼキヤ王とエルサレムに使者を遣わし、次のように言わせました。 + 「アッシリヤの王セナケリブは、こう言っておられる。『おまえたちは、わが軍のエルサレム包囲を免れると思っているのか。 + ヒゼキヤは、おまえたちを城壁の中で死なせようとしているのだ。彼は、神がアッシリヤ王の手から救い出してくださるとうそぶいているが、おまえたちは飢えと渇きで死ぬに決まっている。 + そもそも、すべての偶像を壊し、ユダとエルサレムの人々に、神殿にある祭壇の上でだけ香をたけと命じた張本人はヒゼキヤである。 + いいか、私をはじめ歴代のアッシリヤの王が、いったん攻撃しようとした国を征服しなかったことは一度もない。征服された国の神々は、その国を救えなかったのだ! + いったい、どの神がどこで、われわれの攻撃を阻むことができたか。そんな例があったら、その神の名を挙げてみよ。それでも、おまえたちの神をあてにする気か。 + ヒゼキヤにだまされるな。やつを信じるな。もう一度、はっきり言おう。どの国の神も、アッシリヤの王の手から国民を救えなかったのだ。おまえたちの神も例外ではない。』」 + こう言うと使者は、主とそのしもべヒゼキヤをあざ笑い、さんざん悪態をつきました。 + セナケリブはまた、次のような手紙を送ってイスラエルの神、主をあざけりました。「今までどの国の神々も、私の攻撃から自分の民を守ることができなかった。ヒゼキヤの神も同じである。」 + 手紙を持って来た使者たちは、町の城壁の上にいたユダの人々に、ユダのことば(ヘブル語)で呼びかけました。彼らをおびえさせ、戦意を喪失させようとしたのです。 + 彼らはエルサレムの神を、人の手で造った偶像にすぎない異教の神々の一つであるかのように語りました。 + そこでヒゼキヤ王と、アモツの子の預言者イザヤは、天の神に祈り叫びました。 + すると、主は一人の御使いを遣わして、すべての将校、将軍とともにアッシリヤ軍を全滅させたのです。セナケリブは面目をつぶされ、すごすごと国に引き揚げていきました。そのうえ、自分の国で神の宮に来たところを、実の息子たちに殺害されてしまったのです。 + こうして主は、ヒゼキヤ王とエルサレムの人々とを救い出し、彼の全領土には平和が訪れました。 + それ以来、ヒゼキヤ王は近隣の国々から大きな尊敬を集めるようになり、王への高価な贈り物とともに、主への多くのささげ物がエルサレムに送り届けられました。 + そのころ、王は重い病気にかかりましたが、彼が主に祈った時、奇跡的に治りました。 + ところが、彼は思い上がって、心からの感謝と賛美を神にささげませんでした。たちまち神の怒りが、王とユダ、エルサレムに下りました。 + そこで、王とエルサレムの住民は高慢の罪を悔い改め謙遜になったので、主の憤りは去り、ヒゼキヤの在世中、二度と主の怒りは臨みませんでした。 + こうして、ヒゼキヤ王は非常に富み、さらに多くの尊敬を受けるようになりました。王は宝物倉を建て、金、銀、宝石、香油、盾、金の鉢などを納め、 + 食糧貯蔵庫も数多く造り、穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油を蓄えました。また、牛や羊、やぎなどの群れのために、小屋を幾つも建てました。神からばく大な富を与えられ、多くの町も手に入れました。 + さらに、ギホンの上の泉をせき止めて水道を敷き、その水を、エルサレムにあるダビデの町の西側にまで引きました。彼のなしたことは、みなうまくいきました。 + ヒゼキヤ王が奇跡的に治ったことを知ろうとバビロンから使節が遣わされて来た時、神は彼のするままにしておきました。彼がどのように振る舞うかを試すためでした。 + ヒゼキヤ王のその他の業績、特に王が行ったすべての良いことは、アモツの子の預言者イザヤが書いた『イザヤの預言』と『ユダとイスラエル諸王の年代記』に記されています。 + ヒゼキヤ王は死んで、丘の中腹にある王室墓地に葬られました。ユダとエルサレムのすべての人々は、王が死んだ時、心から王をたたえました。そして、その子マナセが新しく王となりました。 + + + マナセが王となったのは十二歳の時で、五十五年間エルサレムで治めました。 + ただし、それは主の目に悪とされることでした。イスラエルの民がこの地に入った時、主が滅ぼした異教の国々の偶像を求め、それを民に拝ませるようにしむけたのです。 + 彼は、父ヒゼキヤ王が取り壊した異教の神バアルの祭壇を築き直し、恥ずべき偶像を造り、日や月や星を拝みました。 + 事もあろうに、主を礼拝するはずの神殿の庭にまで異教の祭壇を築き、日や月や星を礼拝したのです。 + また、彼らはベン‧ヒノムの谷で、わが子をいけにえとしてささげました。さらに、霊媒師や占い師、魔術師などに伺いを立て、ありとあらゆる悪を行って、主の激しい怒りを引き起こしました。 + よりによって、神の神殿に偶像を置いたのですから。神はかつて、神殿について、ダビデとその子ソロモンに語りました。「わたしはこの神殿と、イスラエル全土からわたしが選んだエルサレムでほめたたえられる。 + もしあなたがたが、わたしがモーセによって与えたすべての律法と定めに従うなら、あなたがたの先祖に与えたこの地から二度と追い出すようなことはしない。」 + しかし、マナセはユダとエルサレムの人々をそそのかして、イスラエルの民がこの地に入った時に主が滅ぼした民よりももっと悪いことを行わせたのです。 + 王も民も、主の警告をまったく聞こうとしませんでした。 + そこで神はアッシリヤ軍を出動させ、ユダに攻め込ませました。アッシリヤ軍はマナセを鉤で引っかけて捕らえ、青銅の足かせにつないで車に乗せ、バビロンへ引いて行きました。 + その時になって王はようやく本心に立ち返り、へりくだって神に助けを求めました。 + 神はその願いを聞き入れ、彼の求めに答えて、マナセをエルサレムの自分の王国に戻しました。こうしてマナセは、主こそ神であることを知ったのです。 + こののち、マナセ王はダビデの町の西の外側に城壁を築き直しました。その城壁は、キデロンの谷にあるギホンの泉の西側から魚の門にまで達し、ひときわ高く築き上げられた「とりでの丘」を取り巻いていました。また、ユダで城壁のある町にはすべて軍の司令官を配置しました。 + さらに、外国の神々と偶像を神殿から取り除き、神殿が建っている山の上と、エルサレムに築いたすべての祭壇を取り壊し、町の外へ投げ捨てました。 + それから、主の祭壇を築き直し、そのうえで和解のいけにえと感謝のいけにえをささげ、ユダの民に、イスラエルの神、主だけを礼拝するよう命じました。 + それでもなお、民は高台の祭壇にいけにえをささげましたが、それは主に供えられたものでした。 + マナセ王のその他の業績、王が神にささげた祈り、預言者たちを通しての神の答えについては、『イスラエル諸王の年代記』に記されています。 + 王の祈りと、それが神に聞き届けられたこと、および悔い改める前に犯した罪や失敗についての報告は、預言者たちの言行録に包み隠さず記されています。その中には、王が偶像の宮を築いたり、恥ずべき像や刻んだ像を置いたりした場所が挙げてあります。 + マナセ王が死んで宮殿の地下に葬られ、その子アモンが新しく王となりました。アモンは二十二歳で王となり、わずか二年間、エルサレムで治めました。 + その治世は、父マナセ王の初期に劣らず悪いもので、父王が行っていたように、あらゆる偶像にいけにえをささげました。 + しかも、父のようには態度を変えてへりくだることをせず、ますます大きな罪を犯しました。 + そのため、ついに彼の家臣たちが宮殿の中で王を殺しました。 + しかし、愛国心に燃えた民衆は、暗殺者をみな殺して、アモンの子ヨシヤを新しい王としました。 + + + ヨシヤが王となったのはまだ八歳の時で、三十一年間エルサレムで治めました。 + 彼は、先祖ダビデの良い模範にならおうと心がけ、すぐれた政治を行いました。 + 十六歳になった治世の第八年には、ダビデの信じた神を熱心に求めるようになりました。その四年後には、ユダとエルサレムをきよめ始め、高台にある異教の祭壇や恥ずべき像を取り壊しました。 + 王が陣頭指揮をとり、バアルの祭壇が取り壊され、その上にある柱がたたき折られ、偶像が粉々に砕かれて、この偶像にいけにえをささげた者たちの墓にまき散らされました。 + また、異教の祭司たちの骨を彼らの祭壇で焼くことによって、ユダとエルサレムの住民を偶像礼拝の罪からきよめました。 + それからヨシヤは、マナセ、エフライム、シメオン、さらに遠くナフタリにある町々にまで行って同じようにしました。 + 異教の祭壇を取り壊し、偶像を粉々に砕き、石の柱を切り倒したのです。ヨシヤ王はイスラエル全土でこのようにしてから、エルサレムに戻りました。 + 偶像を一掃し、神殿のある場所をきよめてのち、第十八年に、王は神殿を修理するため、アツァルヤの子シャファン、エルサレムの長マアセヤ、エホアハズの子で市の財務官ヨアフを任命しました。 + 三人はさっそく、必要な献金を集めることにしました。献金は、神殿の入口で警備に当たるレビ人が集めました。エルサレムの住民はもちろん、マナセとエフライムから来た人々、および、その他の地方の者たちから寄せられた献金は、大祭司ヒルキヤに渡され、彼のもとで計算されました。 + それからレビ人の手で、大工や石工への支払い、切り石、材木、つなぎ材、梁などの建築材料の購入にあてられました。こうしてヨシヤ王は、先のユダの王たちが荒らした神殿をりっぱに建て直したのです。 + 職人たちは、工事監督、メラリ氏族のレビ人ヤハテとオバデヤ、ケハテ氏族のゼカリヤとメシュラムの指揮のもとでよく働きました。工事が進んでいる間、レビ人は、すぐれた音楽をもって士気を高めました。 + ほかに、資材を職人のもとへ運ぶ労働者を監督するレビ人もいました。また別の者は、会計、管理、運搬の任に当たりました。 + ある日、大祭司ヒルキヤが神殿の入口で集めた献金の額を記入していて、古い巻物を見つけました。なんとそれは、モーセに与えられた主の律法の書だったのです。 + ヒルキヤは、王の書記官シャファンに言いました。「神殿で、こんなものが見つかりました。これは律法の書です。」シャファンは巻物を受け取ると、王のもとに携えて行き、まずは神殿再建の工事が順調に進んでいることを報告しました。 + 「献金箱を開け、全額を計算した上で、必要な金額を監督と職人に渡しております。」 + それから、彼は例の巻物を王に見せ、ヒルキヤがそれを発見したしだいを語り、王の前で朗読したのです。 + その律法のことばが神の民に何を求めているかを知って、王は絶望のあまり衣を裂きました。 + そして、ヒルキヤ、シャファンの子アヒカム、ミカの子アブドン、書記官シャファン、王の相談役アサヤを呼び、言い渡しました。 + 「神殿に行って、私のために主にお願いしてくれないか。イスラエルとユダの残りの者のために、祈ってほしいのだ。この巻物によると、主の激しい怒りが下ったのは、私たちの先祖が、ここに記されている主のことばに従わなかったからだというのだ。」 + そこで彼らは、ハスラの子トクハテの子シャルムの妻である女預言者フルダのもとへ行きました。シャルムは王の衣装係で、エルサレムの第二区に住んでいました。彼らが王の心配事を伝えると、 + 彼女は答えました。「イスラエルの神、主はこう仰せです。『あなたがたを遣わした方にこう言いなさい。 + わたしはこの町と住民を滅ぼす。その巻物に記されているのろいは、すべて実現しよう。 + わたしの民がわたしを捨て、異教の神々を礼拝したので、わたしは怒りに燃えている。それゆえ、この地に注がれる主の憤りは決して消すことができない。』 + このことで私に尋ねるため、あなたがたを遣わしたユダの王に、こう言ってください。『イスラエルの神、主のお告げです。 + あなたが、この町と住民へのわたしのことばを聞いた時、心から悲しみ、神の前にへりくだって、絶望のあまり衣を裂き、わたしの前で泣いたので、あなたの祈りを聞き入れよう。 + この町と住民に下すと言った災いを、あなたが死ぬまでは下さない。』」彼らはこの主のことばを王に報告しました。 + すると王は、ユダとエルサレムの長老たちを残らず召集しました。 + 祭司、レビ人、すべての民が、王とともに神殿へ行きました。王は、神殿で発見された、神の契約が書かれている巻物を読んで聞かせました。 + それから彼らの前で、心を尽くし、精神を尽くして主の命令に従い、巻物に記されていることを行うという誓いを立てました。 + また、エルサレムとベニヤミンにいるすべての者に、この神との契約に同意するよう求め、すべての者がそうしました。 + こうしてヨシヤは、ユダヤ人が住む全地域から偶像を一つ残らず取り除き、すべての者に、彼らの神を礼拝するよう訴えました。それ以後、王が生きている間ずっと、民は父祖の神、主に仕えました。 + + + さて、ヨシヤ王は第一の月の十四日に、エルサレムで過越の祭りを祝うとのおふれを出し、その日の夕方、過越の子羊がほふられました。 + また、祭司の組分けを決めてその務めに就かせ、彼らを力づけて、再び神殿の奉仕に当たらせました。 + それから、イスラエルの教師であるレビ人には、次の命令を出しました。「聖なる箱は、今はソロモンの神殿に置かれ、かついで、あちこちに持ち運ぶ必要はなくなった。だから、あなたがたの時間を、主と主の民に仕えるために用いなさい。 + イスラエルの王ダビデとその子ソロモンの行った組分けに従って、父祖の家ごとに、神殿にささげ物を持って来る人々のために備え、 + 過越の子羊をほふり、身をきよめ、そこに来る人々を助けなさい。すべて、モーセによって示された主の命令に従いなさい。」 + 王は、民がささげる過越のいけにえのために、子羊と子やぎ三万頭、それに子牛三千頭を寄贈しました。 + 高官たちも、祭司やレビ人のために進んで贈り物をしました。神殿の管理者であるヒルキヤ、ゼカリヤ、エヒエルは、祭司がささげる過越のいけにえとして、羊とやぎ二千六百頭、牛三百頭を贈りました。 + レビ人の指導者であるカナヌヤ、その兄弟シェマヤとネタヌエル、それにハシャブヤ、エイエル、エホザバデは、レビ人がささげる過越のいけにえとして、羊とやぎ五千頭、牛五百頭を贈りました。 + すっかり用意ができ上がり、祭司が所定の場所に立ち、レビ人が王の指示どおりの任務に就いた時、 + レビ人の手で過越の子羊がほふられ、その血が祭司に渡されました。祭司が血を祭壇に注ぎかけると、レビ人はほふられた子羊の皮をはぎました。 + 彼らは、モーセの律法に記されているとおり、焼き尽くすいけにえとしてささげる子羊の体を各部族の分に取り分けました。牛についても同じようにしました。 + それから、定められたとおりに、過越の子羊を焼き、聖別されたささげ物を、深なべ、平なべ、かまで調理し、人々に食べさせるために急いで運びました。 + そのあとで、自分たちと祭司の食事を用意しました。祭司は朝から晩まで、焼き尽くすいけにえと脂肪をささげるのに追われていたからです。 + アサフの子孫に当たる歌い手たちは、数百年も前、ダビデ王、アサフ、ヘマン、王の預言者エドトンに指示されたとおり自分の持ち場についていました。門衛たちもそれぞれの門を守っていましたが、食事は同族のレビ人が用意して届けてくれたので、持ち場を離れる必要がありませんでした。 + こうして、ヨシヤ王が指示したとおり、すべての焼き尽くすいけにえが主の祭壇でささげられ、過越の全儀式はその日のうちに終わりました。 + エルサレムに来ていた人々は過越の儀式を守り、それに続く七日間、パン種(イースト菌)を入れないパンを食べる祭りが行われました。 + 預言者サムエルの時代からこのかた、これほど多くの祭司やレビ人、エルサレムとユダの全地、さらに遠くイスラエルの地から集まって来た人々が加わった、盛大な過越の祭りが祝われたことはありませんでした。イスラエルのどの王も、この点ではヨシヤ王に及びませんでした。 + このことがあったのは、ヨシヤ王の第十八年のことでした。 + そののち、エジプトの王ネコが、ユーフラテス川沿いの町カルケミシュでバビロニヤ軍と戦うため、大軍を率いて来ました。そこでヨシヤは、ネコを迎え撃とうとして出陣しました。 + しかし、ネコ王は使者を立て、こう言ってよこしました。「ユダの王よ、あなたとは戦いたくありません。こうして攻めて来たのは、アッシリヤ王を助けるためです。黙って行かせてください。神が私に、早く行けと命じておられるのです。私と共におられる神に逆らうのはおよしなさい。さもないと、神があなたを滅ぼします。」 + それでもヨシヤは引き返そうとせず、王服を脱ぎ、敵に気づかれないように変装をしたうえ、軍を率いて戦場となるメギドの谷へ向かいました。彼は、ネコ王の言ったことが神から出ていることを信じようとしなかったのです。 + すると、敵の射手が放った矢がヨシヤ王に命中し、致命傷を負わせました。王は側近の者に、「早く戦場から連れ出してくれ」と叫びました。 + そこで、彼らは王を戦車から別の車に移し、エルサレムへ連れ帰りました。ヨシヤ王はエルサレムで死に、王室墓地に葬られました。ユダ全国とエルサレムの民は、その死を悼んで喪に服しました。預言者エレミヤは王のために哀歌を作り、神殿の歌い手たちはそれを歌いました。今日まで、彼らはなおヨシヤの死について悲しみの歌を歌っています。それが『哀歌』に記されているからです。 + ヨシヤ王のその他の業績、王が主の律法に忠実に生きたことは、 + 『イスラエルとユダ諸王の年代記』に記されています。 + + + そののち、ヨシヤの子エホアハズが新しい王に選ばれました。 + エホアハズは二十三歳で王となりましたが、在位期間はわずか三か月間でした。 + エジプトの王は彼を王位から退け、ユダに銀百タラント(三千四百キログラム)と金一タラントの年貢を課しました。 + それからエジプトの王は、エホアハズの兄弟エルヤキムをエホヤキムと改名させ、ユダの新しい王にしました。一方、退けられたエホアハズは、捕虜としてエジプトへ連れて行かれました。 + エホヤキムは二十五歳で王となり、十一年間エルサレムで治めましたが、主の目に悪を行いました。 + ついに、エルサレムはバビロンの王ネブカデネザルに占領され、エホヤキムは鎖につながれてバビロンに引いて行かれました。 + ネブカデネザルはまた、神殿から金の鉢やその他の器具を持ち出し、バビロンにある彼の神殿に移しました。 + エホヤキム王のその他の業績、主の前に行った悪のすべては、『ユダ諸王の年代記』に記されています。そして、彼の子エホヤキンが新しく王となりました。 + エホヤキンは十八歳で王となりましたが、在位期間はわずか三か月と十日でした。しかもその政治は、主の目には悪そのものでした。 + 翌年の春、彼はネブカデネザルから呼び出され、神殿の多くの宝物とともにバビロンへ連れて行かれました。ネブカデネザルは、エホヤキンの兄弟ゼデキヤを、ユダとエルサレムの新しい王に任命しました。 + ゼデキヤは二十一歳で王となり、十一年間エルサレムで治めました。 + 彼もまた、主の目に悪を行いました。主のことばを語る預言者エレミヤの勧めを聞こうとしなかったからです。 + ゼデキヤはネブカデネザルに忠誠を誓いながら、一方では反逆を企てました。非常に強情で、イスラエルの神、主に従おうとしませんでした。 + 大祭司をはじめ国の指導者もみな、周辺の国々の異教の偶像を礼拝し、エルサレムにある神殿を汚して、平気な顔をしていました。 + 彼らの父祖の神、主は、再三再四、預言者を遣わして、警告を与えました。ご自分の民と神殿を深く思いやったからです。 + しかし、人々は神から遣わされた使者をばかにし、警告を無視し、預言者たちをさんざん侮辱しました。もはやこれ以上、主の怒りをとどめることができない、回復できない状態に陥りました。 + そこで主は、バビロンの王を彼らのもとに攻め上らせたので、彼は若い男たちを神殿に押し込めて切り殺し、若い女や老人までも、容赦なく殺しました。主はバビロンの王を用いて、彼らを完全に滅ぼそうとしたのです。 + 彼らは神殿で使われていた大小の器具を、神殿と宮殿から持ち出した宝物とともにバビロンに持ち帰りました。また、すべての王子たちも連れ去りました。 + それから、バビロン軍は神殿に火を放ち、城壁を片っぱしから取り壊し、王宮を焼き払い、神殿で使われていためぼしい器具を残らず破壊しました。 + 生き残った者はバビロンへ捕らえ移され、ペルシヤ王国がバビロンを征服する時まで、バビロンの王と王子たちに仕える奴隷となりました。 + こうして、エレミヤの語った主のことばは現実となりました。この地は、民が安息(安息年。七年に一度休耕し、土地を休ませる)を守らなかった年月を埋め合わせるため、七十年間の休息を必要としたのです。 + ペルシヤの王クロスの第一年(前五三八年)に、主はクロス王の心を動かして、帝国中に次のような勅令を出させました。「地のすべての王国を私に賜わった天の神、主は、ユダの地にあるエルサレムにご自分の神殿を建てよと、私にお命じになった。主の民である者はみな、神殿建設のためにイスラエルへ帰るがよい。主が共におられるように。」これもまた、預言者エレミヤの語った預言の成就でした。 + +
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+ + ペルシヤ王クロスの治世の元年に、主はエレミヤの預言を実現するために、クロス王の心を動かし、彼によって帝国中に公文書をもって次のようなおふれを出させました。 + 「ペルシヤ王クロスはここに布告する。広大な領土を私にお与えくださった天の神は、今、私にユダのエルサレムに神殿を建てよとお告げになった。 + わが帝国にいるユダヤ人は直ちにエルサレムへ帰り、イスラエルとエルサレムの神、主の神殿を建てるがよい。あなたがたの上に主の祝福があるように。 + 帰還しない者は帰還する者の費用を負担し、衣服、旅費、旅じたくの費用を援助するようにせよ。そして、神殿建築のためにも、進んでささげ物をささげよ。」 + こうして、ユダ族とベニヤミン族の指導者たち、祭司やレビ人たちは、神に心を駆り立てられ、神殿の再建を目指して、すぐにエルサレムへの帰途につきました。 + ペルシヤに残ることにした人々はみな、帰る者への援助を惜しまず、彼らに神殿へのささげ物を託しました。 + クロス王自身も、ネブカデネザルがエルサレムの神殿から持って来て自国の神殿に納めていた金の鉢や高価な祭具類を寄贈しました。 + 彼は宝物係ミテレダテにそれらを確認させたのち、引き揚げ団の指導者シェシュバツァル(ゼルバベル)の手に渡しました。 + その目録は次のとおりです。金の皿三十枚、銀の皿千枚、香炉二十九点、金の鉢三十個、種々のデザインの銀の鉢四百十個、その他の用具一千点。 + それらを含め全部で五千四百点の金銀の用具が、シェシュバツァルの手でエルサレムに持ち帰られることになりました。 + + + 次に示すのは、ネブカデネザルによって捕らえられ、バビロンに移された人々の子孫の中で、エルサレムや他のユダの町々へ帰還した者の名簿です。 + 指導者――ゼルバベル(シェシュバツァル)、ヨシュア、ネヘミヤ、セラヤ、レエラヤ、モルデカイ、ビルシャン、ミスパル、ビグワイ、レフム、バアナ。氏族別の帰還者数は次のとおり。 + パルオシュ氏族、二、一七二名。シェファテヤ氏族、三七二名。アラフ氏族、七七五名。ヨシュアとヨアブの子孫パハテ‧モアブ氏族、二、八一二名。エラム氏族、一、二五四名。ザト氏族、九四五名。ザカイ氏族、七六〇名。バニ氏族、六四二名。ベバイ氏族、六二三名。アズガデ氏族、一、二二二名。アドニカム氏族、六六六名。ビグワイ氏族、二、〇五六名。アディン氏族、四五四名。ヒゼキヤ氏族、すなわちアテル氏族、九八名。ベツァイ氏族、三二三名。ヨラ氏族、一一二名。ハシュム氏族、二二三名。ギバル氏族、九五名。ベツレヘムの男子、一二三名。ネトファの男子、五六名。アナトテの男子、一二八名。アズマベテの男子、四二名。キルヤテ‧アリム、ケフィラ、ベエロテの男子、七四三名。ラマとゲバの男子、六二一名。ミクマスの男子、一二二名。ベテルとアイの男子、二二三名。ネボの男子、五二名。マグビシュ氏族、一五六名。別のエラム氏族、一、二五四名。ハリム氏族、三二〇名。ロデ、ハディデ、オノの男子、七二五名。エリコの男子、三四五名。セナアの男子、三、六三〇名。 + 帰還した祭司は次のとおり。ヨシュアの家系のエダヤ氏族、九七三名。イメル氏族、一、〇五二名。パシュフル氏族、一、二四七名。ハリム氏族、一、〇一七名。 + 帰還したレビ人は以下のとおり。ホダブヤ氏族の、ヨシュアとカデミエルの二族、七四名。聖歌隊員のアサフ氏族、一二八名。門衛のシャルム氏族、アテル氏族、タルモン氏族、アクブ氏族、ハティタ氏族、ショバイ氏族、合計一三九名。 + 以下は神殿奉仕者。ツィハ氏族、ハスファ氏族、タバオテ氏族、ケロス氏族、シアハ氏族、パドン氏族、レバナ氏族、ハガバ氏族、アクブ氏族、ハガブ氏族、サルマイ氏族、ハナン氏族、ギデル氏族、ガハル氏族、レアヤ氏族、レツィン氏族、ネコダ氏族、ガザム氏族、ウザ氏族、パセアハ氏族、ベサイ氏族、アスナ氏族、メウニム氏族、ネフシム氏族、バクブク氏族、ハクファ氏族、ハルフル氏族、バツルテ氏族、メヒダ氏族、ハルシャ氏族、バルコス氏族、シセラ氏族、テマフ氏族、ネツィアハ氏族、ハティファ氏族。 + ソロモン王臣下の家系の人々は次のとおり。ソタイ氏族、ソフェレテ氏族、ペルダ氏族、ヤラ氏族、ダルコン氏族、ギデル氏族、シェファテヤ氏族、ハティル氏族、ポケレテ‧ハツェバイム氏族、アミ氏族。 + 神殿奉仕者とソロモン王臣下の家系の者は、合計三九二名。 + 時を同じくして、ペルシヤのテル‧メラフ、テル‧ハルシャ、ケルブ、アダン、イメルなどからも、エルサレムに帰った人々がいました。ところが、系図をなくしてしまっていたので、彼らが生粋のイスラエル人かどうかは明らかではありませんでした。 + その数は、デラヤ族、トビヤ族、ネコダ族など、総勢六五二名。 + 祭司の氏族のうち、ホバヤ氏族、コツ氏族、バルジライ氏族〔ギルアデ人バルジライの娘を妻に迎えたことから、この名で呼ばれた〕も帰還しましたが、 + この人々も系図を紛失していたので、祭司職を差し止められました。それで、ウリムとトンミム(神意を伺う一種のくじ)で調べ、実際に祭司の子孫かどうかが判明するまでは、いけにえのうち祭司の食糧となる分も与えられませんでした。 + こうして、総勢四万二、三六〇名がユダへ帰りました。このほか、男女の奴隷七、三三七名と、男女の聖歌隊員二〇〇名もいっしょでした。 + また、馬七三六頭、らば二四五頭、らくだ四三五頭、ろば六、七二〇頭もいました。 + 指導者たちは神殿再建のため、率先してささげ物をささげました。 + それぞれの力に応じてささげられた金品は、金六万一千ダリク(五一八キログラム)、銀五千ミナ(二、八五〇キログラム)、祭司の長服百着でした。 + このようにして、祭司やレビ人をはじめ一部の民はエルサレムおよび周辺の村々に住みつき、歌い手、門衛、神殿奉仕者たちは、ほかの人々とともに故郷の町へと帰って行ったのです。 + + + 第七の月(ユダヤ歴による。太陽暦では九月)になると、帰還者たちはめいめいの故郷から、エルサレムに集まって来ました。エホツァダクの子ヨシュアは、仲間の祭司やシェアルティエルの子ゼルバベル、およびその氏族の者とともに、神の人モーセの律法に記されているとおり焼き尽くすいけにえをささげるために、イスラエルの神の祭壇を築きました。 + 祭壇を元の位置にすえ、さっそく、朝ごと夕ごとに焼き尽くすいけにえをささげました。人々は周囲の国々からの攻撃を恐れていたからです。 + 彼らはモーセの律法どおり仮庵の祭りを守り、祭りの間は毎日、定められた焼き尽くすいけにえをささげました。 + このほか、安息日、新月の祝い、種々の例祭のため、それぞれ定められた品々をささげました。また、人々の自発的なささげ物もささげられました。 + 祭司が主にいけにえをささげ始めたのは、第七の月の一日でした。まだ神殿の土台が築かれる前のことです。 + 次いで彼らは、石工や大工を雇い、ツロやシドンからは杉材を買いつけ、食料品、ぶどう酒、オリーブ油などを代金にあてました。レバノン山から切り出された杉材は、クロス王の許可を得て、地中海沿岸を海路ヨッパまで運ばれました。 + 実際に神殿再建が開始されたのは、エルサレムに帰還した翌年の第二の月のことでした。すべての帰還者たちはゼルバベル、ヨシュア、およびその仲間の祭司やレビ人の指揮のもとで働き続けました。二十歳以上のレビ人は現場監督にあたり、 + この大事業の総責任は、ヨシュア、カデミエル、ヘナダデはじめ、その子や親族が負うことになりました。みな、レビ人でした。 + 神殿の土台が完成した時、ダビデ王の定めた様式にのっとって、祭司は祭服を着てラッパを吹き鳴らし、アサフの子孫はシンバルを打ち鳴らして、主を賛美しました。 + 彼らは神をたたえ、感謝する歌を歌いました。「主はすばらしい。その愛と恵みは、とこしえまでもイスラエルに。」これを受けて、民はみなが大声で賛美し、土台の完成を喜びました。 + しかし、ソロモン時代の壮麗な神殿を知っている祭司、レビ人、指導者など多くの年長者は、声を上げて泣きました。 + 歓喜とも悲嘆ともつかない叫び声が遠くまでとどろき渡りました。 + + + ユダとベニヤミンに敵対する人たちは、この神殿再建のことを聞きつけると、 + ゼルバベルや、ほかの指導者たちを訪ねて来て、こう切り出しました。「あなたがたの神様のことなら、私たちも放ってはおけない。ひとつ、手伝わせてくれないか。私たちも、アッシリヤ王エサル‧ハドンの手で、ここに住むようにされて以来、神様にいけにえをささげてきたのだから。」 + しかし、ゼルバベルやヨシュアをはじめ指導者たちは、口をそろえて断りました。「いや、それには及びません。イスラエルの神様の神殿は、クロス王の命令のとおり、イスラエル人の手で再建すべきです。」 + すると、その地の住民は使いを立ててクロス王に偽りの報告書を送り、イスラエル人の気をくじこうとしたり、脅したりしました。さらに、議官を買収して計画に反対させ、再建中止に追い込もうとまでしました。この種の妨害は、クロス王の時代からダリヨス王の治世まで、やむことがありませんでした。 + のちに、アハシュエロス王が即位すると、彼らはユダとエルサレムの人々を非難する手紙を送りました。 + そして、アルタシャスタ王の時代にも同じことが行われ、ビシュラム、ミテレダテ、タベエルらの一味がアラム語で手紙をしたため、それが翻訳されて王に差し出されたのです。 + この件にかかわった者は、行政官レフム、書記官シムシャイ、数名の裁判官、各地方の役人、ペルシヤ人、バビロニヤ人、エレク人、シュシャンの人々、 + そのほか、大王オスナパルによって、エルサレムやサマリヤ、ユーフラテス川西方の地域に移住させられた諸国の民でした。 + そのアルタシャスタ王へあてた手紙とは、次のようなものでした。「ユーフラテス川の向こう側に住む忠実なしもべたちが、ごあいさつ申し上げます。 + 恐れながら、あなたの国から帰国したユダヤ人たちは、エルサレムの復興を図っております。この町がいかに反抗的で邪悪であったかは、歴史の証明するところです。すでに城壁が築かれ、神殿の土台も補修されました。 + しかし、町の再建はあなたのためにはならないとご承知おきください。ユダヤ人が納税を拒否するのは目に見えております。 + 私どもはあなたのおかげで安らかに暮らせるのです。こんなことでご威信が傷つくのを見て、どうして黙っていられましょう。それで、こうしてお耳に入れようとしたしだいです。 + なにとぞ、古い文書をお調べください。この町が過去にどれほど反抗的であったか、また事実、支配下に収めようとした王や国の手にかみつくような騒ぎばかりを起こし続けたため、ついに滅ぼされてしまったことをおわかりいただけると存じます。 + 万一この町が復興し、城壁が完成したが最後、もはやユーフラテス川の西方の領土はないものと、おあきらめいただかなければならないでしょう。」 + 王からは、行政官レフム、書記官シムシャイ、そのほかサマリヤおよびユーフラテス川西方に住む、主だった人々に返書が送られました。 + 「あなたがたの手紙は読ませてもらった。 + 記録も調べさせた。確かにエルサレムは、歴代の王に対して暴動の温床となり、反抗や騒乱が日常化した町であることがわかった。 + また同時に、かつてエルサレムでは偉大な王たちが君臨し、ユーフラテス川西方の全地域を治め、ばく大な貢ぎ物、関税、税金を手にしていたこともわかった。 + そういうわけで、さらに詳細な調査を終えるまで、町の再建の中止を命じることにする。 + 手遅れになって、事態の収拾も危ぶまれるようにはならないよう、くれぐれも気をつけよ。」 + 王の手紙に目を通したレフムとシムシャイはエルサレムへ急行し、武力で強引に再建作業を中止させました。 + 結局、工事はペルシヤ王ダリヨスの第二年まで中断されたのでした。 + + + 当時、エルサレムとユダには、ハガイと、イドの子ゼカリヤという二人の預言者がいました。二人は神からのことばを携えてゼルバベルとヨシュアを訪ね、工事を再開するよう励ましました。こうした預言者たちの応援があって、再び工事が始まりました。 + すると、ユーフラテス川西方地域の総督タテナイとシェタル‧ボズナイ、その同僚たちが直ちにエルサレムに駆けつけ、とがめだてました。「だれが神殿再建と城壁の補修を許可したのだ。」 + 彼らは、工事に携わっている者全員の名簿を提出するよう要求しました。 + しかし、主が事態を見守っていたので、敵が力ずくで工事を中断させにかかるようなことはなく、ダリヨス王が真相を確かめて決断を下すまで、作業は続けられました。 + 総督タテナイ、シェタル‧ボズナイやほかの高官たちからのダリヨス王にあてた手紙は、次のとおりです。 + 「ダリヨス王に大いなる平安がありますように。 + このたび、ユダの神の神殿の工事現場を見回りましたところ、巨大な石が積まれ、壁には木材が組まれておりました。工事は急ピッチで進み、順調のようです。 + そこで、『だれの許可を得てやっているのか』と指導者たちに問いただし、 + 王にご報告するため、名簿を提出せよと言いました。 + すると、彼らはこう答えるのです。『私たちは天地の神のしもべであり、イスラエルの偉大な王が何百年も昔にここに建てた神殿の復興を図っています。 + のちに、先祖たちは神の怒りを買い、見捨てられました。神はネブカデネザルの手で神殿を破壊させ、人々をバビロンに捕らえ移させたのです。』 + 彼らは、バビロンの王クロスの元年に、王が神殿再建の命令を下された、と主張するのです。 + 何でも、ネブカデネザルがエルサレムの神殿からバビロンの神殿に持って行った金銀の器を、クロス王が返されたそうです。王自らユダの総督に任命したシェシュバツァル(ゼルバベル)が、これらの祭具をエルサレムへ持ち帰り、神殿を復興する命令を受けたと申すのです。 + 帰国したシェシュバツァルは、エルサレムに神殿の土台をすえました。それ以来、工事は続いていますが、まだ完成してはおりません。 + どうか、バビロン王室の書庫を調べ、はたしてクロス王がそのような命令を下していたかどうか、お確かめいただきたいのです。そのうえで、本件に関するご指示をお聞かせください。」 + + + ダリヨス王は、文書が保管してあるバビロンのあらゆる書庫を調べさせました。 + その結果、メディヤ州のアフメタ城内で記録が発見されました。それには、こう記されていたのです。 + 「クロス王の治世の元年に、エルサレムの神殿に関する命令が出された。かつてユダヤ人がいけにえをささげていたその神殿を再建し、基礎をしっかり築き直すようにというものである。神殿の高さは六十キュビト(二十六‧四メートル)、幅も六十キュビトである。 + 土台は巨大な石の層三段、最上層は木材を用いること。経費はすべて王が負担する。 + ネブカデネザルが持って来た金銀の祭具はエルサレムに戻し、元どおり神殿に安置すること。」 + そこでダリヨス王は、総督タテナイ、シェタル‧ボズナイはじめ、ユーフラテス川西方の高官たちに、次のような手紙を送りました。「神殿工事を中止させてはならない。元どおりに再建させなさい。 + ユダヤ人の総督と工事責任者たちの妨害をしてはならない。 + むしろ、あなたがたの領地で徴収される税から、遅滞なく費用を支払うよう命じる。 + エルサレムの祭司たちのためには、焼き尽くすいけにえに使う若い雄牛、雄羊、子羊を調達してやること。また、小麦、ぶどう酒、塩、オリーブ油も毎日怠りなく与えること。 + そうして、彼らが天の神の喜ぶ供え物をささげられるようにして、私やわが子のために祈るようにさせよ。 + この命令を少しでも変えようとする者があれば、その家から梁を引き抜き、その者をかける絞首台とし、その家を取りつぶす。 + エルサレムの町をお選びになった神は、もしこの命令を破り、神殿を破壊しようとする王がいれば、その国を滅ぼさずにはおかない。私は命じる。万全の注意を払って、この命令を守るようにせよ。」 + 総督タテナイ、シェタル‧ボズナイたちは、直ちにダリヨス王の命令に従いました。 + ユダヤ人指導者たちは預言者ハガイやゼカリヤの語ることばに大いに励まされて工事を続けました。神の命令と、ペルシヤ王クロス、ダリヨス、アルタシャスタの布告どおり、ついに神殿が完成しました。 + それは、ダリヨス王の第六年、第十二の月の三日でした。 + 祭司、レビ人をはじめ、すべての者が神殿の奉献を祝いました。 + 雄牛百頭、雄羊二百頭、子羊四百頭がいけにえとしてささげられ、雄やぎ十二頭がイスラエル十二部族の罪の赦しのためのいけにえとしてささげられました。 + そして祭司とレビ人は、モーセの律法にのっとってさまざまな奉仕の班に組み分けされ、神に仕えることになりました。 + 第一の月の十四日には過越の祭りが祝われました。 + すでに、多くの祭司やレビ人が献身を新たにしていたからです。 + また、ユダ在住の外国人の中には、彼らの不道徳な習慣と縁を切り、イスラエル人とともに主を礼拝する者もいました。人々は国をあげて過越のいけにえを食し、七日間にわたって種なしパンの祭りを祝いました。アッシリヤ(直接にはペルシヤ)の王がイスラエルに寛大な態度を示し、神殿の再建に当たって力を貸したので、国中が喜びにあふれていました。 + + + ここに、ペルシヤ王アルタシャスタの時代にバビロンからエルサレムに帰還した、エズラという人の系図があります。エルアザル――ピネハス――アビシュア――ブキ――ウジ――ゼラヘヤ――メラヨテ――アザルヤ――アマルヤ――アヒトブ――ツァドク――シャルム――ヒルキヤ――アザルヤ――セラヤ――エズラ。エルアザルの父は祭司のかしらアロンです。 + エズラはユダヤの宗教的指導者にふさわしく、主がイスラエルの民に与えたモーセの律法に精通していました。彼は神に祝福されていたので、王にエルサレム帰還を願い出て許されました。 + 同行者には、祭司、レビ人、聖歌隊員、門衛、神殿奉仕者などのほか、一般人も大ぜい含まれていました。一行は、アルタシャスタ王の第七年、第一の月にバビロンを発ち、その年の第五の月にはエルサレムに着きました。主が旅の間も彼を守っていたからです。 + エズラは、主の律法を学んで実行し、教師となってイスラエル中に律法を教え広めようと心に決めていました。 + 主のおきてと戒めを学んでいる祭司エズラに、アルタシャスタ王は次のような手紙を送りました。 + 「王の王アルタシャスタから、祭司であり、天の神の律法の教師であるエズラへ。 + わが国内のユダヤ人は、祭司であろうとレビ人であろうと、だれでもあなたとともにエルサレムへ戻ってよい。 + 王および七人の議官は、あなたが主の律法の写しをユダ、つまりエルサレムへ持ち帰り、宗教面での進展ぶりを報告するよう命じる。 + また、われわれがイスラエルの神にささげたいと思っている金銀をエルサレムに届けるようにも命じる。 + そのほか、国中のユダヤ人や祭司が進んでささげる金銀も集めて帰るがよい。 + これらの献金は、まず、いけにえ用の雄牛と雄羊と子羊、また、穀物とぶどう酒のささげ物を買いそろえるために用い、エルサレムに着いたら、それらすべてを神殿の祭壇にささげてほしい。 + 残金の使い道は、あなたやあなたの同胞の考えに任せる。神の御心に添うように用いるがよい。 + また、われわれが神殿に奉納する金の器や、祭具類も持って行きなさい。 + どうしても神殿再建の資金が不足する場合には、王室の宝物倉から調達してもよい。 + 私はユーフラテス川西方のすべての財務担当者に、次のように命じよう。『祭司であり、天の神の律法を説く教師であるエズラの要請があれば、何でも提供しなさい。 + 銀は百タラント(三百四十キログラム)まで、小麦は百コル(二十三キロリットル)まで、ぶどう酒は百バテ(二千三百リットル)まで、塩はいくらでも与えてよろしい。 + 神殿再建に必要なものは何でも提供するのだ。神の御怒りが王や王子たちに下るといけないから。 + 祭司、レビ人、聖歌隊員、門衛、神殿奉仕者、そのほか神殿で働く者には税金を課してはならない。』 + エズラよ、神から授かった知恵を働かして、ユーフラテス川西方の裁判官や行政官を任命しなさい。人々が主の律法を知らない場合は、教えてやりなさい。 + 主の律法や王の法律に従わない者は即刻、死刑、流刑、財産没収、禁固などの刑を科しなさい。」 + ああ、私たちが代々信じてきた神はすばらしい方です。主は王に働きかけ、エルサレムの神殿は美しさを取り戻しました。 + また、王や七人の議官、王室の実力者の居並ぶ前で、私にあのような栄誉をお与えくださいました。私の神、主が共にいてくださったので、私は高い地位を与えられました。それで、いっしょにエルサレムへ帰ろうと指導者たちを説得することができたのです。 + + + アルタシャスタ王の時代に、私とともにバビロンから帰った指導者の名前と家系は次のとおりです。 + ピネハスの一族ではゲルショム。イタマルの一族ではダニエル。ダビデの子孫シェカヌヤの一族ではハトシュ。パルオシュの一族ではゼカリヤと、同行の男子百五十名。パハテ‧モアブの一族ではゼラヘヤの子エルエホエナイと、同行の男子二百名。ザトの一族ではヤハジエルの子シェカヌヤと、同行の男子三百名。アディンの一族ではヨナタンの子エベデと、同行の男子五十名。エラムの一族ではアタルヤの子エシャヤと、同行の男子七十名。シェファテヤの一族ではミカエルの子ゼバデヤと、同行の男子八十名。ヨアブの一族ではエヒエルの子オバデヤと、同行の男子二百十八名。バニの一族では、ヨシフヤの子シェロミテと、同行の男子百六十名。ベバイの一族ではベバイの子ゼカリヤと、同行の男子二十八名。アズガデの一族ではカタンの子ヨハナンと、同行の男子百十名。アドニカムの一族では帰国が遅れたエリフェレテ、エイエル、シェマヤと、同行の男子六十名。ビグワイの一族ではウタイ、ザクルと、同行の男子七十名。 + 私たちはアハワ川に集合し、そこにキャンプを張って三日間過ごしました。その間に、民と祭司の名簿を調べましたが、レビ人は一人も見当たりませんでした。 + そこで、指導者のエリエゼル、アリエル、シェマヤ、エルナタン、ヤリブ、エルナタン、ナタン、ゼカリヤ、メシュラムらを呼び集めました。知恵者として定評のあるエホヤリブとエルナタンにも来てもらいました。 + そして彼らに、カシフヤにいるユダヤ人指導者イドのもとへ出向いてもらい、イドやその兄弟、また神殿奉仕者たちに、エルサレムの神殿で働く祭司を送ってくれるように頼んだのです。 + その結果、神の恵みで、傑出した祭司シェレベヤと、その子や兄弟たち十八名が来ることになりました。シェレベヤは非常に思慮深い人で、レビの子、イスラエル(ヤコブ)の孫に当たるマフリの子孫です。 + 神はこのほか、ハシャブヤと、メラリの子孫エシャヤとその子、兄弟を二十名、 + また神殿奉仕者二百二十名を遣わしてくださいました。神殿奉仕者とは、ダビデ王が制定した神殿で働く者の階級で、レビ人を補佐するように任命された者です。これら二百二十名は、それぞれ名前が記録に残されています。 + さていよいよ、私はアハワ川のほとりで断食を命じ、一人一人が神の前に謙虚になるよう勧めました。そして、これからの道中の無事と家族や持ち物の安全を神に祈りました。 + 道中の敵を恐れて、警護の兵や騎兵をつけるよう王に願い出たりするのは恥だと考えたからです。というのも、かねてから王には、私たちの神を礼拝する者はだれでも守られ、災難は神をないがしろにする者にだけ下ると申し上げていたからです。 + そこで、私たちは断食して、神の守りを願い求めました。すると神は祈りに答えてくださいました。 + 私は、祭司の中から十二人をリーダーに任命しました。シェレベヤ、ハシャブヤ、そのほか十名です。 + この人たちには、銀、金、金の器や他の用具などの管理をしてもらうことにしました。このほか、王、議官、長官たち、それに国民がささげた品々の管理を任せました。 + 彼らに託す際に金品を量ったところ、銀六百五十タラント(約二万二千キログラム)、銀の器類百タラント(三千四百キログラム)、金百タラント、金の器が二十点で一千ダリク(八‧四キログラム)あることがわかりました。このほか、金にも劣らないほど美しい青銅の器が二点ありました。 + 私はまず、神の前で彼らを特別にこの仕事に任じ、次に、備品類や金品など、進んでささげられた宝物の数々を神のものとしてきよめました。 + 「エルサレムに着くまでしっかり守りなさい。向こうに着いたら、一品たりとも欠けることなく、祭司、レビ人、イスラエルの長老たちに渡しなさい。神殿の宝物倉に納めるものだからです。」 + 祭司やレビ人たちは、神殿まで守り通す務めを引き受けました。 + こうして、一行がアハワ河畔のキャンプをたたみ、エルサレム目指して出発したのは第一の月の十二日のことでした。道中、神は敵や盗賊からお守りくださいました。 + こうして、私たちは何事もなく、エルサレムに着くことができたのです。 + 到着して四日目、祭司ウリヤの子メレモテ、ピネハスの子エルアザル、ヨシュアの子エホザバデ、ビヌイの子ノアデヤらは金銀や高価な品々を量って、確認しました。この人たちはレビ人でした。 + 一つ一つについて受領書が作成され、金銀の重さが書き留められました。 + それから、私たち一行は焼き尽くすいけにえをささげました。イスラエルのために雄牛十二頭、雄羊九十六頭、子羊七十七頭を、罪の赦しのためのいけにえに雄やぎ十二頭をささげました。 + また王の手紙は、軍司令官とユーフラテス川西方の総督たちに渡され、彼らも神殿再建のために援助をしました。 + + + ところが、そんなある日、ユダヤ人の指導者たちが訪ねて来て、驚くべき報告をしました。ユダヤ人の中には、この地に移り住んだ異教徒のカナン人、ヘテ人、ペリジ人、エブス人、アモン人、モアブ人、エジプト人、エモリ人などの忌むべき風習に染まっている者が多くいるというのです。 + イスラエル人が異教徒の女と結婚し、息子たちにも異教徒の嫁をとらせていました。聖なる神の民は、こうした結婚によって堕落していたのです。しかも、その張本人が指導者たち自身でした。 + これを聞いて、あまりのことに私は着物を裂き、髪もひげも引き抜き、打ちのめされた思いで座り込んでしまいました。 + すると、イスラエルの神を恐れる多くの者が、人々の罪のことで私のもとにやって来て、夕方のささげ物の時まで、私のそばを離れようとしませんでした。 + とうとう私は、どうしたらよいかわからないまま主の前に出ました。そして、ひざまずき、主に向かって両手を差し伸べ、 + 叫びました。「ああ神様、なんと申し上げたらよいのでしょう。恥ずかしくてとても顔向けできません。私たちの罪は背丈よりも高く積もり、悪行は天空のように際限なく広がっています。 + 私どもの歴史はすべて罪の歴史であり、歴代の王や祭司が異教徒の王の手で葬られたのもこのためです。そのあげく捕囚の身となり、略奪をほしいままにされ、はずかしめを受けました。ごらんのとおりです。 + しかし、あなたは今、しばしの平和を与えてくださいました。私たち少数の者が捕囚からエルサレムに戻ることをお許しになったのです。奴隷の身に、しばしの喜びと新しいいのちを与えてくださいました。 + 確かに、私たちは奴隷でした。しかし、愛と恵みに富むあなたはそのまま見捨ててはおかず、ペルシヤの王たちが私たちに好意を抱くようにしてくださったのです。彼らは神殿の再建事業を助け、エルサレムをユダの要塞の町として認めてくれました。 + それにもかかわらず、神様、こんなことになってしまい、なんと申し上げたらよろしいのでしょう。またしても、あなたを捨て、律法を破ってしまいました。 + 私たちの国は、ここに住んでいた民の忌むべき風習によってすっかり汚れていると、預言者たちが警告していました。この地は端から端まで腐りきっています。 + だからこそ、娘は土着の者と結婚してはならず、息子は土着の娘を妻に迎えてはならない、ささいなことでもこの地の国々とかかわってはならないと、あなたはお命じになっていたのです。そうすれば、国は繁栄し、永久にその富を子孫に伝えることができると約束してくださいました。 + かつて、私たちの犯した罪の重さに比べてずっと軽い罰とはいえ、捕囚という罰を受けたにもかかわらず、 + こうして帰国してみれば、またまたあなたの命令に背き、忌むべきことを行う民と結婚しています。今度こそ、このひと握りの生き残りの者さえも、あなたの怒りによって滅ぼし尽くされることでしょう。 + ああ神様、神様の正しさでさばかれれば、御前に立つこの罪の身に、ひと筋の希望もあろうはずがありません。」 + + + ふと気がつくと、神殿の前にひれ伏して涙ながらに祈り、告白をしている私エズラの回りを、男や女、子どもまでもが幾重にも取り囲み、いっしょに泣いていました。 + エラム族のエヒエルの子シェカヌヤが、まず口火を切って私に言いました。「私たちは神様に背信の罪を犯し、異教徒の女と結婚してしまいました。けれども、まだ希望はあります。 + 私たちは異教徒の妻と離縁し、子どもたちも手放すと、神様の前で約束します。あなたや、神を恐れる人々のご命令に従います。律法を守り行います。 + どうか力を奮い起こし、これからどうすればよいか指示してください。何でも、おっしゃるとおりにいたします。」 + そこで私は立ち上がり、祭司、レビ人および全イスラエルの指導者に、シェカヌヤのことばどおり実行すると誓ってほしいと呼びかけました。だれもがうなずきました。 + そのあと、私は神殿のヨハナンの部屋に入り、飲食をしないで過ごしました。捕囚から帰還した人々の罪を悲しんだからです。 + すぐにユダとエルサレムに布告が出されました。だれでも三日以内にエルサレムに出頭すること、出頭を拒む者は財産を没収され、追放されるという内容のものでした。 + それで、三日以内の第九の月の二十日には、ユダとベニヤミンの男子は全員やって来て、神殿の広場に座りました。彼らは事の重大さと、折りからの大雨のために震えていました。 + 私は立ち上がり、こう宣言しました。「異教徒の女と結婚したあなたがたは、罪を犯したのです。かつてないほど深刻な、神様の責めを受けています。 + 父祖の神、主に罪を告白しなさい。そして、そのご命令どおりにしなさい。回りにいる異教徒や女たちに近寄ってはなりません。」 + すると、人々はいっせいに立ち上がりました。「おっしゃるとおりにします。 + ただ、一日、二日で処理できる事柄でもありません。大ぜいがこの罪深い事件にかかわってしまったからです。雨も激しいので、これ以上ここに立っていられませんが、 + 指導者を通して、お取り調べください。異教徒の妻をめとった者は、所定の時に町の長老や判事を伴って出頭いたします。こうすれば、個々の事例に判決を下し、万事速やかに解決できます。神様の激しい御怒りも、やがて静まるでしょう。」 + 異議を申し立てたのは、アサエルの子ヨナタンとティクワの子ヤフゼヤ、メシュラム、レビ人シャベタイだけでした。 + 結局、この件は次のように処理されました。裁判官には氏族の指導者数名と私エズラが任命され、第十の月の一日から第一の月の一日まで調査を続けました。次に挙げるのは、異教徒の女をめとった祭司の名前です。一同は妻と離縁すると誓い、罪過を認めて、雄羊をいけにえとしてささげました。マアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダルヤ。 + イメルの子ハナニとゼバデヤ。 + ハリムの子マアセヤ、エリヤ、シェマヤ、エヒエル、ウジヤ。 + パシュフルの子エルヨエナイ、マアセヤ、イシュマエル。ネタヌエル、エホザバデ、エルアサ。 + レビ人のうちでは、エホザバデ、シムイ。ケリタとも呼ばれるケラヤ、ペタヘヤ、ユダ、エリエゼル。 + 歌い手ではエルヤシブ。門衛ではシャルム、テレム、ウリ。 + 一般市民では、パルオシュ氏族のラムヤ、イジヤ、マルキヤ、ミヤミン、エルアザル、マルキヤ、ベナヤ。 + エラム氏族では、マタヌヤ、ゼカリヤ、エヒエル、アブディ、エレモテ、エリヤ。 + ザト氏族では、エルヨエナイ、エルヤシブ、マタヌヤ、エレモテ、ザバデ、アジザ。 + ベバイ氏族では、ヨハナン、ハナヌヤ、ザバイ、アテライ。 + バニ氏族では、メシュラム、マルク、アダヤ、ヤシュブ、シェアル、ラモテ。 + パハテ‧モアブ氏族では、アデナ、ケラル、ベナヤ、マアセヤ、マタヌヤ、ベツァルエル、ビヌイ、マナセ。 + ハリム氏族では、エリエゼル、イシヤ、マルキヤ、シェマヤ、シメオン、ベニヤミン、マルク、シェマルヤ。 + ハシュム氏族では、マテナイ、マタタ、ザバデ、エリフェレテ、エレマイ、マナセ、シムイ。 + バニ氏族では、マアダイ、アムラム、ウエル、ベナヤ、ベデヤ、ケルフ、ワヌヤ、メレモテ、エルヤシブ、マタヌヤ、マテナイ、ヤアサイ、バニ、ビヌイ、シムイ、シェレムヤ、ナタン、アダヤ、マクナデバイ、シャシャイ、シャライ、アザルエル、シェレムヤ、シェマルヤ、シャルム、アマルヤ、ヨセフ。 + ネボ氏族では、エイエル、マティテヤ、ザバデ、ゼビナ、ヤダイ、ヨエル、ベナヤ。 + 以上が異教徒の女をめとった者たちです。その多くが妻との間に子どもがありました。 + +
+
+ + ハカルヤの子ネヘミヤの記録――ペルシヤのアルタシャスタ王の時代、第二十年の第三の月のこと、私はシュシャンの宮殿で王に仕えていましたが、 + そこにハナニという名の同胞が、ユダヤから来た人々といっしょに訪ねて来ました。この時とばかり、私はエルサレムの様子を尋ねてみました。「捕囚の地からエルサレムに戻った人々は元気にやっていますか。」 + 「実は、大変な目に会っています。城壁はくずされたまま、門も焼き払われたままです。」 + 私はそれを聞いて、座りこんで泣きました。そしてそれから何日も断食して、天の神にひたすら祈り続けました。 + 「ああ、主なる神様。あなたを愛し、あなたに従う者に対して約束されたことを果たし、愛と思いやりを示してくださる、畏れかしこむべき神様。どうか、この祈りをお聞きください。 + 私の訴えに耳を傾けてください。夜も昼もイスラエル国民のために祈っている私に、目を留めてください。確かに私たちは罪を犯しました。あなたがあなたのしもべモーセによってお与えくださった戒めを破るという恐ろしい罪を犯してしまったのです。 + しかし神様。あなたはモーセに、こうお語りになったではありませんか。『もしあなたがたが罪を犯すなら、わたしはあなたがたを国々に散らす。 + しかし、わたしのもとに立ち返り、わたしのおきてに従うなら、たとえ地の果てからでも、あなたがたをエルサレムへ連れ戻そう。エルサレムこそ、わたしが住む場所として選んだ地だからだ。』 + 私たちはあなたに仕える者です。あなたの偉大な御力によって救われた国民です。 + 主よ、どうか私の祈りを聞き入れてください。神様を敬うことを喜びとする者の祈りに、耳を傾けてください。王のもとに行き、嘆願をしますので、どうかお助けください。王が寛容な処置をしてくれるよう、王の心に働きかけてください。」当時、私は王の献酌官(王に酌をする重要な官吏)をしていました。 + + + それから四か月ほどたった第七の月のある日、私が王にぶどう酒をついでいると、王が私に話しかけました。「浮かない顔をしているが、具合でも悪いのか。何か大きな悩みでもあるのか。」私はその時まで、王の前ではいつも明るく振る舞うようにしていました。私はとても怖くなりましたが、こう答えました。 + 「王様、どうして悲しまずにいられましょう。先祖たちの眠る町が廃墟となり、門も焼け落ちたままなのです。」 + 「そうか。では何をしてやればよいのか。」私は短く天の神に祈ってから答えました。「もし、王様のお心にかなって、お許しいただけますなら、私をユダに遣わし、先祖たちの町を再建させてください。」 + 「どのくらいかかるのだ。いつ戻って来るのか。」王は私に尋ねました。王のかたわらには王妃が座っていました。王が承諾してくれたので、私はさっそく出発の日取りを決めました。 + このほかにも、私は王に願い事を申し出ました。「もしよろしければ、ユーフラテス以西の総督あてに手紙を書いて、ユダに行く途中、それぞれの総督が治める地方を通らせてくれるよう、お命じになってください。 + また、王室の森林管理人アサフに手紙を書いて、材木を提供するようお命じになってください。神殿付近の城門の梁と、城壁と、私の住まいを建てるために必要なのです。」神の深いお恵みのおかげで、願いはかなえられました。 + ユーフラテス川西部の地方に着くと、私は総督たちに王の手紙を渡しました。王が私に警護の将校と騎兵をつけてくれていたことも言っておかなければなりません。 + ところが、私がユーフラテス川の西の地方に来たことを知り、腹を立てた人物がいました。ホロン人サヌバラテと、アモン人の役人トビヤです。この二人は、イスラエルに手を貸そうとする者の存在が許せなかったのです。 + エルサレムに着いて三日後の夜、私はほんの数人だけを連れて、こっそり外に出ました。神が私の心に示してくれたエルサレムに関する計画のことは、誰にも話していなかったからです。私はろばに乗り、ほかの者は徒歩で進みました。 + 谷の門を通り、竜の泉に向かい、糞の門まで行き、崩れた城壁、焼け落ちた門を調べました。 + 次いで、泉の門と王の池へ向かいましたが、瓦礫のせいで、ろばの通れる場所がありませんでした。そこで、町の回りを巡り、流れに沿って進み、城壁を調べて、再び谷の門から中に入りました。 + 町の役人たちは、私が出かけたことはもちろん、私のしようとしていることも知りませんでした。この計画のことは、政府や宗教関係の要人にも、実際の工事に当たる人々にも、まだ話していなかったのです。 + しかし、時が来たので、私は人々に呼びかけました。「この町はごらんのとおりの惨状です。荒れ果てたまま、門も焼け落ちたままです。さあ、エルサレムの城壁を再建しようではありませんか。この恥ずべき事態を解決しましょう。」 + 私は、神が抱かせてくれた願いや、王との話し合い、そして王が許可してくれた計画について話しました。人々はすぐに反応してくれました。「それはよかった。さあ、城壁を建て直しましょう。」こうして、工事が始まったのです。 + ところが、この話を耳にしたサヌバラテやトビヤ、アラブ人ゲシェムたちは、あざ笑って言いました。「やれやれ、いったい何をしようというのだ。王に反逆するつもりか。」 + しかし、私は答えました。「天の神様がお助けくださいます。神様にお従いしている私たちは、必ずこの城壁を再建することができるでしょう。あなたがたには関係のないことです。」 + + + 大祭司エルヤシブはじめ祭司たちは、メアのやぐらとハナヌエルのやぐらまでの城壁を再建し、次に羊の門を再建して扉を取りつけ、それを奉献しました。 + その隣はエリコ出身の者たちが引き受け、続いてその向こうはイムリの子ザクルの組が工事を担当しました。 + 魚の門はセナアの子らが築き、梁、扉、かんぬき、横木の取りつけなど、すべての作業を行いました。 + コツの孫でウリヤの子メレモテは、それに続く城壁を再建し、その隣は、メシェザブエルの孫でベレクヤの子メシュラムが、さらにバアナの子ツァドクが担当しました。 + 次の部分にはテコア出身の者が工事に当たりましたが、身分の高い人々は怠けて手伝いませんでした。 + エシャナの門はパセアハの子エホヤダと、ベソデヤの子メシュラムが修理し、梁、扉、かんぬき、横木を取りつけました。 + その続きは、ギブオン出身のメラテヤと、メロノテ出身のヤドン、それに、ほかの管轄領の住民であるギブオンとミツパの人たちが引き受けました。 + ハルハヤの子で金細工人のウジエルも、城壁の工事を行いました。その続きは、香料作りの職人ハナヌヤが受け継ぎ、広い城壁のところまで修理しました。 + 続いて、フルの子で、エルサレム半区の区長をしていたレファヤが工事に当たりました。 + ハルマフの子エダヤは自宅付近の城壁を修理し、ハシャブネヤの子ハトシュが続きを受け持ちました。 + ハリムの子マルキヤと、パハテ‧モアブの子ハシュブは、城壁の続きと炉のやぐらを修理しました。 + ロヘシュの子シャルムとその娘たちが、続きの部分の修理に当たりました。シャルムはエルサレムの残り半区の区長です。 + ザノアハ出身の人々は、ハヌンの監督のもとで谷の門を再建し、扉、かんぬき、横木を取りつけ、続いて、糞の門までの城壁五百メートルを修理しました。 + 糞の門は、レカブの子マルキヤが修理しました。マルキヤはベテ‧ハケレム地区の区長です。糞の門ができ上がると、扉、かんぬき、横木が取りつけられました。 + ミツパ地区の区長である、コル‧ホゼの子シャルンは、泉の門を修理しました。シャルンは門ができ上がると、屋根をふき、扉、かんぬき、横木を取りつけました。続いて、シロアムの池から王の庭まで、つまりエルサレムのダビデの町から下る石段までの城壁を修理しました。 + 続いて、ベテ‧ツル半区の区長である、アズブクの子ネヘミヤは、ダビデ王の墓地と人工貯水池、勇士たちの家までの城壁を修理しました。 + その続きは、バニの子レフムの指導のもとにレビ人の一団が奉仕しました。続いて、ケイラ半区の区長ハシャブヤが監督して、自分の地区の城壁を再建しました。 + その続きは、ケイラの残り半区の区長で、ヘナダデの子バワイに率いられた一族が、再建しました。 + そのあとの仕事は、ミツパの残り半区の区長である、ヨシュアの子エゼルの監督下に進められ、武器庫のある城壁の曲がり角の部分まで行われました。 + 次に、ザカイの子バルクが、城壁の曲がり角から大祭司エルヤシブの家までの城壁を再建しました。 + コツの孫でウリヤの子メレモテは、エルヤシブの家の門から家の端までの部分の城壁を再建しました。 + そのあとを、町の外の平地に住む祭司たちが受け継ぎ、 + 続いて、ベニヤミン、ハシュブ、アナネヤの孫でマアセヤの子アザルヤらが、それぞれ自宅付近の工事を受け持ちました。 + 次にヘナダデの子ビヌイが、アザルヤの家から次の角までの城壁を築きました。 + ウザイの子パラルは、そこから、監視の庭に面する宮殿の高いやぐらまでの区画を受け持ちました。続いて、パルオシュの子ペダヤが引き受けました。 + オフェルに住む神殿奉仕者の一団は、東の水の門と突き出ているやぐらまでの城壁を修理しました。 + 続いてテコア人が、その城のやぐらに面する部分からオフェルの城壁までを修理しました。 + 馬の門からあとは祭司たちが、それぞれ自宅に面する区画を修理しました。 + イメルの子ツァドクは、自宅付近の城壁を再建しました。そのあとは、東の門の門衛で、シェカヌヤの子シェマヤが引き受けました。 + 続いて、シェレムヤの子ハナヌヤ、ツァラフの六男ハヌン、ベレクヤの子メシュラムらが、それぞれ自宅付近の城壁を築きました。 + 金細工人マルキヤは、召集の門に面する神殿奉仕者や商人たちの集会所、つまり角の二階の部屋までを修理しました。 + そこから羊の門までは、ほかの金細工人や商人たちが完成させました。 + + + サヌバラテは、城壁の再建が進んでいるのを知って、憤慨しました。怒りに燃えて私を大声でののしったり、あざ笑ったりしました。サヌバラテの友人やサマリヤ軍の将校も、そこに加わりました。「この惨めったらしいユダヤ人は、何をしているつもりなのか。いけにえをささげさえすれば、一日で城壁ができ上がると思っているようだ。見るがいい。瓦礫の中から、焼けこげた石を引っぱり出しているあの姿を。」 + サヌバラテのかたわらではトビヤが、「きつねが一匹乗っかっただけでも崩れそうだ」と悪態をつきました。 + 私は祈りました。「主なる神様、お聞きください。私たちは侮辱されています。どうか、あのあざけりを、そっくりそのまま、あの者たちの頭上に返してください。あの者たちにも、外国に囚われの身となる思いを味わわせてください。 + 神様があの者たちの罪に目をつぶったり、罪を消し去ったりすることがありませんように。神様の城壁を再建している私たちを侮辱するのは、神様を侮辱するのと同じなのです。」 + 誰もが一生懸命に工事をしたおかげで、高さは以前の半分でしたが、ついに全市を囲む城壁が完成しました。 + サヌバラテ、トビヤ、アラブ人、アモン人、アシュドデ人たちは、工事が順調に進み、城壁の破損箇所の修理も終わったと聞くと、腹わたが煮えくり返る思いでした。 + 彼らは直ちに軍隊を出動させ、エルサレムに暴動と混乱を引き起こそうと企てました。 + 私たちは神に祈り、自らの身を守るため、昼も夜も警戒に当たりました。 + ところが指導者の内にも、不満をもらす者が現れてきました。彼らは言いました。「働く者が疲れきってしまった。瓦礫が多すぎて、自分たちだけでは処理することなどできない。」 + 敵はその間、力ずくで工事をやめさせようと、奇襲をしかけて私たちを皆殺しにする計画を着々と進めていました。 + 敵はまた、近くの町や村から来た者が自分たちの町や村に戻るたび、エルサレムには戻らないようにそそのかしました。 + 私は、城壁のうしろの空地に、各家族ごとに武装した者を配置しました。 + 私はこのような情況を踏まえ、指導者や国民を集めて、こう言いました。「恐れてはなりません。神様は偉大で、恵み深いお方ではありませんか。さあ戦うのです。友のため、家族のため、家のために。」 + 敵は、陰謀が神によってあばかれて私たちに知らされ、失敗に終わったことを知りました。今や、私たちは一丸となって城壁工事を再開しました。 + しかし、そのようなことがあってから、工事に取りかかる者は半数にし、残り半数は背後で警戒に当たらせることにしました。 + 石工や力仕事の者は、手の届く所に武器を用意しておいたり、 + 剣を腰につけたりして工事を進めました。私のそばには、ラッパで警報を吹き鳴らす者を配置しました。 + 「工事は広範囲にわたり、私たちは互いに離れた場所で仕事をしている。だから、ラッパが鳴ったら急いで私のもとに集合するのだ。神様が味方して戦ってくださることを忘れてはならない。」 + 私たちは、朝は日の出から、夕べは日没まで働きました。半数の者はいつも警戒に当たりました。 + 郊外に住む者には、市内への移転を命じました。そうすれば、その雇い人たちは昼間働くだけでなく、夜間の警戒にも当たることができるからです。 + この期間中、私も、兄弟も、召使たちも、いっしょにいた護衛も洗濯するとき以外は服を脱がず、いつも武器を持ち歩いていました。 + + + このころ、暴利を貪っている金持ちに対して、子どもを持つ親たちから、激しい抗議の声が上がりました。 + 事の起こりは、食べ物を買う金のなくなった家で、金持ちに子どもを売ったり、畑やぶどう園や家を抵当に入れたりする事態が生じてきたことです。税金を払うために限度いっぱいまで借金をして、売るものもなくなってしまった者もいました。 + 人々は、「彼らは私たちの同胞ではないか。彼らの子どもは、私たちの子どもも同然だ。それなのに、生きていくために、子どもを奴隷に売らなくてはならないとは。もはや売った娘を買い戻す金もなく、畑も抵当に取られてしまった」と訴えました。 + この抗議を聞いて、私は非常な憤りを感じました。 + しばらく考えたのち、裕福な官僚たちを厳しく責めることにしました。「いったい、君たちのやってることは何だ。イスラエル人を助ける条件として、抵当を取るなど、そんなことがよくもできたものだ。」そして、彼らの処分をするため、みなの前で裁判を開きました。 + 私はその法廷で、彼らを告発しました。「私たちはみな、遠い国での奴隷生活から引き揚げて来た者たちを援助しようと、できるだけのことをしてきた。それに対して、君たちは無理やり彼らを奴隷に戻そうとしている。私はいったい何度、彼らを買い戻せばよいのか。」彼らは、全く反論することができませんでした。 + 私は続けました。「君たちのしていることは、非常に恐ろしいことだ。いったい、神様を恐れる気持ちがあるのか。回りには、私たちを滅ぼそうとすきをうかがう敵がうごめいているではないか。 + 君たち以外の者はみな、同胞のユダヤ人には、利子を取らずに金や穀物を貸してやっているのだ。こんな高利貸しのようなまねはやめなさい。 + 畑、ぶどう園、オリーブ園、家をみな返し、証文を破りなさい。」 + 彼らはうなずき、土地を抵当に取ったり、子どもを売らせたりしないで同胞を助けると約束しました。そこで私は、祭司たちを召集し、正式に誓わせました。 + 約束を破った者には神からのろいが下るように、とも祈りました。「もしこの誓いを破ったら、神が君たちの家と暮らしを破綻させてしまわれるように。」人々は全員「アーメン」と叫んで、主をほめたたえました。金を持っている者たちは誓いを実行に移しました。 + 私についていえば、アルタシャスタ王の治世の第二十年から三十二年までの十二年間、ユダの総督を務めましたが、その間、副官ともどもイスラエル人からは、一銭も給料や援助を受け取りませんでした。 + 前任の総督は、食糧とぶどう酒、一日銀四十シェケルの手当を要求し、配下の者もやりたい放題で、住民をしいたげました。しかし神を恐れる私は、そのようなことはしませんでした。 + 私はひたすら城壁の工事に励み、土地の投機に手を出すことなど、絶対にしませんでした。部下たちにも、工事に専念するよう命じました。 + そのうえ、百五十人のユダヤ人の役人の食いぶちは私がまかない、ほかに外国からの客のもてなしもしていたのです。 + 一日につき、雄牛一頭、肥えた羊六頭。また、おびただしい鶏が必要で、十日ごとに種々のぶどう酒も用意しました。それでも、新たに課税することはしませんでした。そうでなくても、国民の生活は苦しかったからです。 + 神様、この民に対して私のしたことをお心に留め、私を祝福してください。 + + + 城壁工事は余すところ、門の扉を取りつけるだけとなりました。サヌバラテ、トビヤ、アラブ人ゲシェムをはじめとする敵どもは、工事もほぼ完成したと聞くと、 + 手紙をよこして、オノ平野にある村で会見したいと言ってきました。それは私を殺す陰謀だと感づいたので、 + 私は次のような返事を送り返しました。「まだ、この大事業は終わっていない。中途で放って、そちらへ出向くわけにはいかない。」 + 彼らはしつこく、四度も同じ手紙をよこしたので、そのつど、同じように答えました。 + 五度目に、サヌバラテの使いは、次のような文面の、封のしていない手紙を持って来ました。「ゲシェムによると、行く先々で、こんなうわさが耳に入るそうだ。ユダヤ人は、反逆するために城壁を再建しているのだと。おまえは、王になろうとたくらんでいるそうではないか。 + それに、エルサレムでは預言者を任命し、『ネヘミヤこそ、われわれに必要な人物だ』と言わせているとか。このことは、必ずアルタシャスタ王の耳に入れる。こちらに来るがよい。話し合う余地は十分にある。それしか助かる道はないのだ。」 + 私はこう答えてやりました。「胸によく手を当てて、考えてみることだ。事実に反することを並べ立てているだけではないか。 + 君たちは私たちを脅迫して、ただ工事を中止させたいだけなのだ。」ああ、神様。どうか、私に力をお与えください。 + 数日後、私は、メヘタブエルの孫でデラヤの子シェマヤを訪ねました。神からのお告げがあったと聞いたからです。「神殿に身を隠して、扉を閉めなさい。今晩、彼らはあなたを殺しにやって来ます」と、彼は警告しました。 + 私は言いました。「総督たる者が、危険だからといってどうして逃げ出せましょう。それに、祭司でもない私が神殿に入ったりすれば、いのちを失います。」 + そのとき、私は悟りました。それは神のお告げではなく、トビヤとサヌバラテの陰謀だったのです。彼らはシェマヤを買収して私を脅し、神殿に逃げ込むような罪を犯させて、非難のほこ先を私に向けようとしたのでした。 + 「神様。トビヤ、サヌバラテ、女預言者ノアデヤ、その他の預言者の罪を、一つ残らず覚えていてください。彼らはあの手この手で、私の気持ちをくじこうと謀りました。」 + こうして城壁は、着工から五十二日後の第十二の月の初めに完成しました。 + 敵や回りの国々はこれを知って驚き、恐れました。神の助けがあったからこそ、この工事ができたのだ、と思い知らされたからです。 + この間、トビヤとユダヤ人の腐敗した役人の間では、何通もの手紙がやり取りされました。 + トビヤにとって、アラフの息子シェカヌヤは義父に当たり、息子ヨハナンも、ベレクヤの息子メシュラムの娘と結婚していたので、ユダ国内には、トビヤに忠誠を誓う者も多かったのです。 + 彼らは口々に、トビヤのことを私にほめそやしましたし、私の言うことはそっくり彼の耳に入れていました。一方トビヤは、頻繁に脅迫状を送ってよこしました。 + + + 城壁が完成し、扉が取りつけられ、門衛、歌い手、レビ人が任命されると、 + 私はエルサレムを治める責任を、兄弟ハナニとハナヌヤとにゆだねました。ハナヌヤは要塞の司令官で、誰よりも神を敬う人物だったからです。 + 私は二人に二、三の指示を与えました。太陽が昇りきるまでは開門してはならないこと、閉門は守衛が警備に当たっているうちに行い、かんぬきはしっかりかけることなどです。また、守衛はエルサレムに住んで規則正しく警備に当たり、城壁近くの住民は付近の城壁警備に当たるよう命じました。 + というのも、町は大きいのに人口が少なく、家もまばらだったからです。 + 神は、町の指導者や一般市民を集めて登録させよ、とお命じになりました。私は、以前エルサレムに帰って来た人々の系図を見つけましたが、それには、次のように書かれていました。 + 「バビロンの王ネブカデネザルが連行した捕囚のうち、エルサレムに帰って来た者の名は次のとおりです。 + 指導者ゼルバベル、ヨシュア、ネヘミヤ、アザルヤ、ラアムヤ、ナハマニ、モルデカイ、ビルシャン、ミスペレテ、ビグワイ、ネフム、バアナ。 + その時、共に帰って来た者の数――パルオシュ族二千百七十二名、シェファテヤ族三百七十二名、アラフ族六百五十二名、ヨシュアとヨアブの二族からなるパハテ‧モアブ族二千八百十八名、エラム族千二百五十四名、ザト族八百四十五名、ザカイ族七百六十名、ビヌイ族六百四十八名、ベバイ族六百二十八名、アズガデ族二千三百二十二名、アドニカム族六百六十七名、ビグワイ族二千六十七名、アディン族六百五十五名、ヒゼキヤ族、すなわちアテル族九十八名、ハシュム族三百二十八名、ベツァイ族三百二十四名、ハリフ族百十二名、ギブオン族九十五名、ベツレヘムとネトファの人々百八十八名、アナトテの人々百二十八名、ベテ‧アズマベテの人々四十二名、キルヤテ‧エアリム、ケフィラ、ベエロテの人々七百四十三名、ラマとゲバの人々六百二十一名、ミクマスの人々百二十二名、ベテルとアイの人々百二十三名、ネボの人々五十二名、エラム族千二百五十四名、ハリム族三百二十名、エリコの人々三百四十五名、ロデ、ハディデ、オノの人々七百二十一名、セナアの人々三千九百三十名。 + 帰還した祭司の数――エダヤ族のうちヨシュア家の血筋の者九百七十三名、イメル族千五十二名、パシュフル族千二百四十七名、ハリム族千十七名。 + レビ人の数――ヨシュア族から分かれたホデヤ族のうち、カデミエルの家系の者七十四名、聖歌隊員のアサフ族百四十八名、門衛のシャルム族、アテル族、タルモン族、アクブ族、ハティタ族、ショバイ族百三十八名、 + 神殿奉仕者のツィハ族、ハスファ族、タバオテ族、ケロス族、シア族、パドン族、レバナ族、ハガバ族、サルマイ族、ハナン族、ギデル族、ガハル族、レアヤ族、レツィン族、ネコダ族、ガザム族、ウザ族、パセアハ族、ベサイ族、メウニム族、ネフィシェシム族、バクブク族、ハクファ族、ハルフル族、バツリテ族、メヒダ族、ハルシャ族、バルコス族、シセラ族、テマフ族、ネツィアハ族、ハティファ族。 + ソロモンの家臣の子孫――ソタイ族、ソフェレテ族、ペリダ族、ヤアラ族、ダルコン族、ギデル族、シェファテヤ族、ハティル族、ポケレテ‧ハツェバイム族、アモン族、 + 神殿奉仕者とソロモンの家臣の子孫の合計は、三百九十二名です。」 + ペルシヤの諸都市、テル‧メラフ、テル‧ハルシャ、ケルブ、アドン、イメルなどから引き揚げて来た人々もいましたが、系図をなくしていて、ユダヤ人であることを証明できませんでした。 + それは、デラヤ族、トビヤ族、ネコダ族の六百四十二名の人々です。 + 祭司の中にも、系図を紛失した人々がいました。ホバヤ族、コツ族、バルジライ族などです。このうちバルジライは、ギルアデ人バルジライの娘婿となり、その姓を名乗っていました。この人々は、正真正銘の祭司かどうか、ウリムとトンミム(神意を伺う一種のくじ)によって神の判断を仰ぐまでは祭司の務めに就くこともできず、祭司の食糧として保証されている、供え物の分配にもあずかることができませんでした。 + この時期にユダに帰った人々の総数は四万二千三百六十名に上ります。 + その他、奴隷が七千三百三十七名、男女の聖歌隊員が二百四十五名いました。 + 馬七百三十六頭、らば二百四十五頭、らくだ四百三十五頭、ろば六千七百二十頭もいっしょでした。 + 諸族の指導者の中にも、工事のためにささげ物をする人がいました。総督は、金八‧五キログラム、金の器五十点、祭司の服五百三十着を、ほかの指導者たちは、金百七十キログラム、銀一千二百五十四キログラムを、 + 一般市民は、金百七十キログラム、銀千百四十キログラム、祭司の服六十七着を、それぞれささげました。 + 祭司、レビ人、門衛、聖歌隊員、神殿奉仕者、その他の人々は、ユダの自分たちの故郷の町や村へと帰って行きましたが、第七の月には、みなエルサレムに戻って来ました。 + + + さて、第七の月の中旬になると、民はこぞって水の門の前の広場に集まって来ました。そして指導者エズラに、その昔、神がモーセに与えた律法を読んで聞かせてほしい、と願い出たのです。エズラはモーセの律法の巻物を取り寄せ、朗読する姿が誰からも見えるよう、特製の木の台に立ちました。そして、朝から昼まで朗読して聞かせたのです。巻物を開くと、人々はいっせいに立ち上がり、理解できる者は熱心に耳を傾けました。エズラの右側には、マティテヤ、シェマ、アナヤ、ウリヤ、ヒルキヤ、マアセヤが並び、左には、ペダヤ、ミシャエル、マルキヤ、ハシュム、ハシュバダナ、ゼカリヤ、メシュラムが並びました。 + エズラが、偉大なる神である主をほめたたえると、民はみな手を上げ、「アーメン、アーメン」とこたえてひざまずき、地面にひれ伏して、主を礼拝しました。 + エズラが巻物を読み上げると、レビ人のヨシュア、バニ、シェレベヤ、ヤミン、アクブ、シャベタイ、ホディヤ、マアセヤ、ケリタ、アザルヤ、エホザバデ、ハナン、ペラヤなどが人々の中に入って行き、その箇所の意味を説明しました。 + 律法がどのように命じているかを理解すると、人々はみな泣きだしました。それで、エズラをはじめ、総督の私や補佐役のレビ人たちは、こう言い聞かせました。「このような日に泣いてはならない。きょうは神である主の聖なる日ではないか。 + ごちそうを食べてお祝いし、貧しい人には施しをする日なのだ。神である主を喜ぶことこそ、あなたがたの力なのだ。しょんぼりと悲しそうにしていてはいけない。」 + 「静粛に、静粛に」と、レビ人も声をかけて回り、「そうです。泣くことはないのです。きょうは聖なる日で、悲しみの日ではありません」と言いました。 + 人々は解散すると、それぞれお祝いのごちそうを食べ、施しをしました。神のことばを聞き、理解することができたので、大いに喜び、盛大に祝ったのです。 + 翌日、諸族の指導者とレビ人はエズラに会い、律法をもっとくわしく調べることにしました。 + すると、その月には仮庵の祭りを祝い、イスラエル人はみな仮小屋に住むようにと、主がモーセに命じていたことがわかりました。 + その仮小屋についても、山で取って来たオリーブ、ミルトス、なつめやし、いちじくなどの枝で作るようにとあったので、エルサレムをはじめ全国民にそのおふれが出されました。 + 人々は実際に出かけて枝を切り出し、自宅の屋上、庭内、神殿の庭、水の門、エフライムの門の広場などに小屋を建てました。 + そして祭りの七日間を、その中で暮らしたのです。誰もが喜びにあふれていました。この行事はヨシュアの時代以来、ずっと中断されていたのです。 + エズラはこの七日間、毎日、巻物を読み上げ、八日目には、モーセの律法に従って厳粛な閉会礼拝を執り行いました。 + + + その月の二十四日になると、人々は別の儀式のために集まりました。この日は、断食をし、荒布をまとい、頭に土をかぶることになっていました。そして、イスラエル人はすべての外国人と関係を断ちました。 + 律法が二、三時間朗読され、その後、数時間にわたって、人々は自分の罪と先祖の罪を告白し、彼らの神、主を礼拝しました。 + レビ人の中には、台の上に立ち、喜びの歌を歌って主をたたえる者もいました。ヨシュア、バニ、カデミエル、シェバヌヤ、ブニ、シェレベヤ、バニ、ケナニの面々でした。 + 次いで、レビ人の指導者たちは、大声を張り上げてこう語りかけました。「さあ立って、あなたがたの神、主をほめたたえなさい。主は、永遠から永遠まで生きておられるお方だからです。その輝かしいお名前をたたえなさい。主のお名前は、私たちには考えることもできないほど、ことばでは表せないほど偉大なのです。」こう叫んだのは、ヨシュア、カデミエル、バニ、ハシャブネヤ、シェレベヤ、ホディヤ、シェバヌヤ、ペタヘヤでした。 + エズラは声を出して祈りをささげました。「ただおひとりの神様。神様は天と地と海、そして、その中に存在するすべてのものをお造りになり、すべてのものを支えておられます。天の御使いたちもみな、ひれ伏しています。 + あなたは、アブラムを選んで、カルデヤのウルから連れ出し、アブラハムと命名なさいました。 + さらに、この忠実なアブラハムと契約を結び、子々孫々に至るまで、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、エブス人、ギルガシ人の地を与えるとお約束なさいました。そして、今、そのお約束は現実となっているのです。神様はご自分のことばを裏切るようなことはなさいません。 + あなたは、かつて私たちの先祖がエジプトでなめた苦しみ悲しみを見過ごしにはならず、紅海のほとりで泣き叫ぶ声を聞き届けてくださいました。 + 神様は、エジプトの王とその国民の前で、奇跡を起こされました。エジプト人が彼らをどれほど過酷に扱っていたか、ご存じだったからです。この決して忘れることのできない出来事によって、神様の輝かしい名声はとどろきました。 + 神様はご自分の民のために海を分断し、彼らが乾いた地を渡ることができるようにしてくださいました。そして、敵を海の深みでおぼれさせました。激しい流れに投げ込まれた石のように、彼らは沈みました。 + そしてあなたは、人々が道を迷わないように、昼は雲の柱、夜は火の柱を立ち上らせて導いてくださったのです。 + また、天からシナイ山に下り、良いおきてとまことの律法をお示しくださいました。 + そこには、聖なる安息日についての教えもありました。あなたは、それらを完全に守りなさいと、しもべモーセによってお命じになったのです。 + 人々が飢えたときには、天からパンを降らせ、のどが渇いたときには、岩から水をほとばしらせてくださいました。それから、約束の地に進入し、征服しなさいとお命じになりました。 + しかし私たちの先祖は高慢で、頑固で、神様の戒めに耳を傾けようとはしませんでした。 + 彼らは反抗的で、あなたが起こしてくださった奇跡を何とも思いませんでした。それどころか、神様に刃向かい、指導者を立てて、エジプトの奴隷の身に戻ろうなどと言い始めるしまつでした。しかし、あなたは赦してくださる神です。いつも人々を赦そうとしてくださり、恵みに富み、思いやり深く、すぐにお怒りになることのないお方です。あなたは私たちの先祖をお見捨てにはなりませんでした。 + 彼らが子牛の偶像を造って神にまつり上げ、エジプトから連れ出してくれたのはこの神だと言い出した時もそうでした。罪に罪を重ねた彼らなのに、 + あなたは彼らを深い思いやりで包んで、荒野で見殺しにすることはなさいませんでした。毎日、昼も夜も、雲の柱と火の柱で道を示してくださいました。 + また、恵み深い霊を送って彼らを教え導き、天からはマナ(神が天から降らせたパンのような食物)を、のどが渇いたときには水を、与え続けてくださいました。 + そのおかげで、四十年にわたる間、私たちの先祖は荒野で支えられ、欠乏することがなかったのです。衣服もすり切れず、足も腫れませんでした。 + あなたの助けにより、私たちの先祖は、強大な王国をはじめとする国々を次々と征服し、足を踏み入れました。ヘシュボンの王シホンや、バシャンの王オグの国をも、完全に手中に収めました。 + 神様はイスラエル人の人口を爆発的に増やし、私たちの先祖を約束してくださった国へと導かれました。 + 彼らの前に、すべての国々は勢いを失い、カナンの王や国民でさえ屈服しました。 + 神の民は、城壁に囲まれた町々と肥沃な土地を占領し、すばらしい物であふれる家々を攻め取り、掘り井戸、ぶどう園、オリーブ園、果樹もたくさん手に入れました。彼らは満腹するまで食べ、あなたの恵みを楽しむことができました。 + ところが、これほどまでにしていただきながら、人々は不従順になり、あなたに反逆したのです。律法を放り出し、神に立ち返るよう語った預言者を殺すなど、数々の恐るべきことを行いました。 + それで、あなたは彼らを敵の手にお渡しになったのです。しかし、苦しみの中で叫び求める彼らの声を天から聞いて、かわいそうに思い、助け手を送って救い出してくださいました。 + しかし、事態が好転すると、人々はすぐにまた罪に陥り、あなたは彼らを再び敵の手にお渡しになったのです。彼らがそのたびに反省して助けを叫び求めると、天からそれを聞き、再び手を差し伸べてくださいました。全く驚くべきあわれみです。 + あなたは彼らを罰することによって、律法に従う者となるよう導いておられたのに、彼らは従うべき教えを高慢にも鼻であしらい、罪を犯し続けました。 + あなたは長年にわたり、忍耐の限りを尽くし、預言者を遣わして警告をお与えになりました。しかし、いつまでたっても、彼らは耳を傾けませんでした。そこであなたは、もう一度、彼らを異教の国の手中に落とされたのです。 + けれども、あなたは彼らを滅ぼし尽くすことはせず、永遠に見捨てることもなさいませんでした。ああ、あなたはなんと恵みに富んだ、あわれみ深いお方でしょう。 + 大いなる、恐るべき神様。あなたは愛と思いやりに満ち、約束をお守りになる方です。私たちが経験してきたすべての困難が、全く無駄だったというようなことになりませんように。アッシリヤの王に初めて征服されてから今日まで、私たちや王、諸侯、祭司、預言者など、私たちの先祖の経験してきた困難は大きなものでした。 + いつでも、あなたは私たちを正しく罰しました。犯した罪の深さからすれば当然の罰です。 + 王、諸侯、祭司、私たちの先祖はあなたの律法を無視し、警告に耳を貸そうともしなかったのです。 + 神様はどれほど素晴らしいことをしてくださり、どれほど深い恵みを注いでくださったことでしょう。しかし彼らは、神様を礼拝しようとしませんでした。広大で肥沃な国土を与えられたにもかかわらず、悪の道から離れようとしなかったのです。 + 私たちは今、私たちの先祖に与えられたこの豊かな国で奴隷となっています。こんなに豊かな土地で奴隷となっているのです。 + あり余る産物は、この地の王のものです。罪を重ねた私たちは征服され、王たちの手に落ちたのです。私たちも家畜も彼らの意のままに支配されています。 + これらすべてのことを顧み、もう一度、主にお仕えすることを約束します。諸侯、レビ人、祭司たちとともに、この誓約書に署名いたします。」 + + + 総督ネヘミヤは誓約書に署名しました。続いて署名した者の名は、次のとおりです。ゼデキヤ、セラヤ、アザルヤ、エレミヤ、パシュフル、アマルヤ、マルキヤ、ハトシュ、シェバヌヤ、マルク、ハリム、メレモテ、オバデヤ、ダニエル、ギネトン、バルク、メシュラム、アビヤ、ミヤミン、マアズヤ、ビルガイ、シェマヤ。以上は祭司です。 + レビ人では――アザヌヤの息子ヨシュア、ヘナダデの子のビヌイとカデミエル、シェバヌヤ、ホディヤ、ケリタ、ペラヤ、ハナン、ミカ、レホブ、ハシャブヤ、ザクル、シェレベヤ、シェバヌヤ、ホディヤ、バニ、ベニヌ。 + 政治家では――パルオシュ、パハテ‧モアブ、エラム、ザト、バニ、ブニ、アズガデ、ベバイ、アドニヤ、ビグワイ、アディン、アテル、ヒゼキヤ、アズル、ホディヤ、ハシュム、ベツァイ、ハリフ、アナトテ、ネバイ、マグピアシュ、メシュラム、ヘジル、メシェザブエル、ツァドク、ヤドア、ペラテヤ、ハナン、アナヤ、ホセア、ハナヌヤ、ハシュブ、ロヘシュ、ピルハ、ショベク、レフム、ハシャブナ、マアセヤ、アヒヤ、ハナン、アナン、マルク、ハリム、バアナ。 + 以上の人々は、全国民を代表して署名しました。一般市民も、祭司も、レビ人も、門衛も、聖歌隊員も、神殿奉仕者も、家族も、大人はみな、国内の異教徒と手を切って、神に仕えようと決心していたからです。 + 全員が心からこの誓約に同意し、もしモーセによって示された神の律法を破った場合には、神ののろいを受けてもよいと宣言したのです。 + 私たちはまた、娘や息子をユダヤ人以外の者とは結婚させないと誓いました。 + さらに、国内の異教徒が穀物など農産物を売りに来ても、安息日やほかの聖日には買わないことにしました。また、七年目には休耕し、ユダヤ人同士の借金は帳消しにしようと誓い合いました。 + このほか、神殿の維持管理のために毎年、神殿税を納めることを決めました。 + 毎日供えるパンや、安息日、新月の祭り、例祭などのときの穀物のささげ物、焼き尽くすいけにえなどを用意したり、神殿での奉仕を進め、イスラエルを贖う役割を果たしていくためには、用具も調える必要があったからです。 + 次に、律法に定められた、焼き/尽くすいけにえ用のたきぎを供給する順番を決めるため、祭司、レビ人、指導者たちの家族がくじを引きました。 + さらに、穀物でも果実でもオリーブの実でも、初物は神殿に持って来ることも決めました。 + そして、長男と、牛や羊など家畜の最初に生まれたものは、律法の規定どおりに神様にささげることにしました。つまり、神殿に仕える祭司のもとに連れて来ることにしたのです。 + 人々が持って来た産物を、祭司は神殿にたくわえます。良質の穀物、他の奉納物、初物の果実、いちばん新しいぶどう酒やオリーブ油などです。また、レビ人には国じゅうの産物の十分の一を給付することも取り決めました。各地の農村から十分の一を集める責任はレビ人にあったからです。 + アロンの子孫である祭司は、レビ人がこの十分の一を受け取る際に立ち会わなければなりません。そして、そのまた十分の一は、神殿の倉庫に運び込むのです。 + こうして、定めどおり、人々とレビ人の差し出した穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油は、祭司、門衛、聖歌隊員らをまかなうために、聖所の器具といっしょに倉庫に納めました。このように、私たちは神殿をなおざりにしないことで一致したのです。 + + + そのころ、イスラエルの役人階級は、聖都エルサレムに住んでいました。また、ユダやベニヤミンの地域に住む人々の中から十人ごとに一人がくじで選ばれ、その人々がエルサレムに移り住むことになっていました。 + 志願してエルサレムに住む人もあり、そういう人たちは称賛されました。 + エルサレムに転居した地方の役人の名は、次のとおりです。しかし、大半の指導者、祭司、レビ人、神殿奉仕者、ソロモン臣下の子孫などは、故郷のユダの町々に住んでいました。 + ユダ部族では――アタヤ――彼の家系をさかのぼると、父ウジヤから、ゼカリヤ、アマルヤ、シェファテヤ、マハラルエルと続き、このマハラルエルがペレツの子孫に当たります。マアセヤ――彼の家系をさかのぼると、父バルクから、コル‧ホゼ、ハザヤ、アダヤ、エホヤリブ、ゼカリヤと続きます。ゼカリヤはシェラ人の子孫です。エルサレムに住んだ、ペレツの子孫に当たる屈強の人々は、四百六十八名に上りました。 + ベニヤミン部族では――サル――彼の家系をさかのぼると、父メシュラムから、ヨエデ、ペダヤ、コラヤ、マアセヤ、イティエル、エシャヤとなります。ガバイとサライの子孫に当たる人々は、九百二十八名に上ります。その指導者はジクリの子ヨエルで、セヌアの子ユダが補佐役を務めました。 + 祭司の指導者の中では――エホヤリブの子のエダヤ、ヤキン、セラヤ――彼の家系をさかのぼると、父ヒルキヤから、メシュラム、ツァドク、メラヨテと続きます。メラヨテは祭司の長アヒトブの子です。この人たちのもとで、八百二十二名の祭司が神殿での職務についていました。また、アダヤの指導下には二百四十二名の祭司がいました。アダヤの家系をさかのぼると、父エロハムから、ペラルヤ、アムツィ、ゼカリヤ、パシュフル、マルキヤとなります。また、アマシュサイの指導下に百二十八名の屈強の人々がいました。アマシュサイの家系をさかのぼると、アザルエルからアフザイ、メシレモテ、イメルとなります。ザブディエルがアマシュサイを補佐しました。ザブディエルはハゲドリムの子です。 + レビ人の指導者たちでは――シェマヤ――彼の家系をさかのぼっていくと、父ハシュブから、アズリカム、ハシャブヤ、ブニとなります。シャベタイとエホザバデは、神殿の雑務の監督に当たりました。マタヌヤは祈りによる感謝礼拝を始める役でした。マタヌヤの父はミカで、その父はザブディ、その父はアサフです。バクブクヤとアブダが、マタヌヤの補佐に当たりました。アブダの父はシャムアで、その父はガラル、その父はエドトンです。 + 合計二百八十四名のレビ人がエルサレムに住んだことになります。 + 門衛では、アクブとタルモン、またその同族の者に率いられた百七十二名がエルサレムに住みました。 + その他の祭司やレビ人、一般人は、めいめいの相続地に住んでいました。 + ただし、ツィハとギシュパの監督下にある神殿奉仕者たちは、オフェルに住みました。 + エルサレムに住むレビ人と神殿奉仕者の監督に当たったのはウジです。彼の父はバニで、順次ハシャブヤ、マタヌヤ、ミカとさかのぼります。つまり、代々神殿の聖歌隊員として仕えたアサフ氏族の子孫です。ウジは、王から歌い手に任命されました。その時、王は聖歌隊員の報酬規定も定めたのです。 + 民政上のあらゆる問題では、ペタヘヤが王の補佐役として活躍しました。彼の父はメシェザブエルで、ユダの子ゼラフの子孫に当たります。 + ユダの人々が住んだ町は、次のとおりです。キルヤテ‧アルバ、ディボン、エカブツェエルと周辺の村々、ヨシュア、モラダ、ベテ‧ペレテ、ハツァル‧シュアル、ベエル‧シェバと周辺の村々、ツィケラグ、メコナと周辺の村々、エン‧リモン、ツォルア、ヤルムテ、ザノアハ、アドラムと周辺の村々、ラキシュと周辺の農地、アゼカとその町々。こうして、ユダの人々は、ベエル‧シェバからヒノムの谷に及ぶ一帯に住みつきました。 + ベニヤミン部族の居住地は、次のとおりです。ゲバ、ミクマス、アヤ、ベテルと周辺の村々、アナトテ、ノブ、アナネヤ、ハツォル、ラマ、ギタイム、ハディデ、ツェボイム、ネバラテ、ロデ、オノ、職人の谷。 + ユダにいたレビ人の中には、ベニヤミン部族の居住地に転居させられた者もいました。 + + + シェアルティエルの子ゼルバベルやヨシュアといっしょに帰還した祭司の名前は、次のとおりです。セラヤ、エレミヤ、エズラ、アマルヤ、マルク、ハトシュ、シェカヌヤ、レフム、メレモテ、イド、ギネトイ、アビヤ、ミヤミン、マアデヤ、ビルガ、シェマヤ、エホヤリブ、エダヤ、サル、アモク、ヒルキヤ、エダヤ + レビ人では――ヨシュア、ビヌイ、カデミエル、シェレベヤ、ユダ、マタヌヤ。マタヌヤは礼拝で感謝の歌を歌う責任者でした。 + 同族のバクブクヤとウニは、その向かい側に立って応答歌を歌う役を務めました。 + ヨシュアの家系は、その子エホヤキム以下、エルヤシブ、エホヤダ、ヨナタン、ヤドアと続きます。 + 大祭司エホヤキムのもとで仕えた祭司で、各氏族の長の名は次のとおりです。セラヤ族の長はメラヤ、エレミヤ族の長はハナヌヤ、エズラ族の長はメシュラム、アマルヤ族の長はヨハナン、メリク族の長はヨナタン、シェバヌヤ族の長はヨセフ、ハリム族の長はアデナ、メラヨテ族の長はヘルカイ、イド族の長はゼカリヤ、ギネトン族の長はメシュラム、アビヤ族の長はジクリ、ミヌヤミン族とモアデヤ族の長はピルタイ、ビルガ族の長はシャムア、シェマヤ族の長はヨナタン、エホヤリブ族の長はマテナイ、エダヤ族の長はウジ、サライ族の長はカライ、アモク族の長はエベル、ヒルキヤ族の長はハシャブヤ、エダヤ族の長はネタヌエル。 + 祭司やレビ人の氏族長の系図は、ペルシヤ王ダリヨスの時代に作成され、当時、レビ人のエルヤシブ、エホヤダ、ヨハナン、ヤドアが、一族の指導者の地位にありました。 + 『年代記』には、エルヤシブの子ヨハナンの時代までのレビ人の名が記されています。 + その時代のレビ人の長は、ハシャブヤ、シェレベヤ、カデミエルの息子ヨシュアでした。同族の人々は、神の人ダビデの命令に従って彼らを守り立て、賛美と感謝の礼典を守っていたのでした。 + 門の倉庫の責任をゆだねられた門衛は、マタヌヤ、バクブクヤ、オバデヤ、メシュラム、タルモン、アクブでした。 + この人たちは、エホツァダクの孫でヨシュアの子のエホヤキムの時代と、私ネヘミヤが総督で、エズラが祭司および宗教教師だった時代に活躍したのです。 + エルサレムの新しい城壁の奉献式の時には国中のレビ人がエルサレムに集まり、それぞれ感謝の歌を歌い、シンバルや十弦の琴や竪琴を鳴らして、喜ばしい式典を盛り上げました。 + 聖歌隊員も、周辺の村々やネトファ人の村からエルサレムに集まりました。 + エルサレム郊外に村を建てていた聖歌隊員も、ベテ‧ギルガル、ゲバ、アズマベテなどから集まりました。 + 祭司とレビ人は、まず自分自身をきよめ、次に、人々、門、城壁をきよめました。 + 私はユダの指導者たちを城壁に上らせ、二組に分け、城壁の上をそれぞれ反対方向へと巡らせ、感謝の歌を歌わせました。右側、糞の門の方へ進んだ半数の組には、 + ホシャヤ、アザルヤ、エズラ、メシュラム、 + ユダ、ベニヤミン、シェマヤ、エレミヤがいました。 + ラッパを吹き鳴らしたのは、祭司ゼカリヤでした。ゼカリヤの父はヨナタンで、順次シェマヤ、マタヌヤ、ミカヤ、ザクル、アサフとさかのぼります。このほか、シェマヤ、アザルエル、ミラライ、ギラライ、マアイ、ネタヌエル、ユダ、ハナニも、ラッパを吹きました。使った楽器はダビデ王の楽器のものでした。行進の先頭には、祭司エズラが立ちました。 + 泉の門まで来た一行はまっすぐ進んで、城のかたわらのダビデの町に通じる階段を上りました。そして、東の水の門へと進んだのです。 + 私の加わったもう一組は、逆方向を巡って、相手の組と出会うことになっていました。炉のやぐらから、広い城壁へ、 + 続いて、エフライムの門から古い門に進み、魚の門とハナヌエルのやぐらを通ってメアのやぐらへと巡りました。そして羊の門へ行き、監視の門で止まったのです。 + 二組の聖歌隊は、そこから神殿に向かいました。ここで加わったラッパを吹く祭司の名は次のとおりです。エルヤキム、マアセヤ、ミヌヤミン、ミカヤ、エルヨエナイ、ゼカリヤ、ハナヌヤ、 + また聖歌隊員では、次の人々も加わりました。マアセヤ、シェマヤ、エルアザル、ウジ、ヨハナン、マルキヤ、エラム、エゼル。この人たちは、イゼラフヤの指揮で、高らかに澄んだ歌声を響かせました。 + この喜ばしい日を記念して、多くのいけにえがささげられました。神への感謝の思いでいっぱいだったからです。女性も子どもも大声で喜びを表したので、エルサレムの人々の歓声は、遠くまでとどろきました。 + その日、財宝、奉納物、十分の一税、初物などのささげ物の管理責任者が任命され、モーセの律法に従って集めることになりました。これらのささげ物は、祭司とレビ人に割り当てられました。ユダの人々は祭司やレビ人に対し、また、その職務に対して、感謝の気持ちを抱いていたからです。 + 民はまた、聖歌隊員や門衛の働きにも感謝していました。彼らが、ダビデとその息子ソロモンが定めた礼拝やきよめの儀式の際、祭司やレビ人の補佐役を務めたからです。 + 神をたたえ感謝する歌を、指揮者をつけて聖歌隊に歌わせるという習慣は、ダビデとアサフの時代に始まりました。 + このゼルバベルとネヘミヤの時代にも、人々は聖歌隊員や門衛やレビ人のために、日ごとの食糧を持って来ることになったのです。レビ人は、受けた分の一部を祭司に渡しました。 + + + その日、モーセの律法の書が朗読されましたが、その中に、アモン人やモアブ人は神殿で礼拝してはならないと書いてあることがわかりました。 + というのは、彼らがイスラエルに対して友好的でないばかりか、バラムを雇って、のろいをかけようとさえしたことがあったからです。神は、こののろいを祝福に変えてくださったのでした。 + この規定が読み上げられると直ちに、外国人は一人残らず集会から追放されました。 + このことが起こる前の話ですが、神殿の倉庫の管理者で、トビヤと親しかった祭司エルヤシブが、 + トビヤのために倉庫を豪華な客間に改造するということがありました。この倉庫には以前、穀物のささげ物、香料、器物、穀物や新しいぶどう酒やオリーブ油の十分の一税が保管されていました。モーセは、これらのささげ物はレビ人や聖歌隊員や門衛に支給すると定めていました。このほか、祭司のためのささげ物も保管されていました。 + ちょうどその時、私はエルサレムにいませんでした。アルタシャスタ王の第三十二年に、バビロンへ帰っていたのです。再び許可を得てエルサレムに戻ると、 + 帰着早々、この悪事を知らされたのです。 + 私は激しい憤りを覚え、トビヤの持ち物を全部外へ放り出しました。 + そして、部屋をきよめさせ、神殿の器物、穀物のささげ物、香料を、元どおりそこに戻したのです。 + 私はまた、生活費の支給が打ち切られたため、礼拝の務めをする聖歌隊員ともども、おのおのの農地に引き揚げてしまったレビ人のことも聞かされました。 + そこですぐ、指導者たちとじかに会い、「どうして、神殿をないがしろにするのだ」と談判しました。そのようにして、レビ人をみな呼び戻し、本来の職務に就かせたのです。 + ユダの人々はみな再び、穀物やぶどう酒やオリーブ油の十分の一のささげ物を神殿の宝物倉に持って来るようになりました。 + 私は、祭司シェレムヤ、学者ツァドク、レビ人ペダヤに倉庫の管理を任せ、マタヌヤの孫でザクルの子ハナンを補佐役にしました。みな評判のよい人々です。彼らの仕事は、仲間のレビ人に適正な配給をすることでした。 + 神様、この私の忠実な行いを心にお留めください。私が神殿のためにしたすべてのことを、お忘れにならないでください。 + ある日、私は畑で、安息日だというのに、ぶどうを絞ったり、麦束を運んだりしている者や、ぶどう酒、ぶどう、いちじくなどの産物をろばに積んで、エルサレムに運び込もうとしている者たちを見つけました。私は彼らを、公衆の面前でしかりつけました。 + ツロから来た商人も、魚などの商品を持って来て、安息日にエルサレムで売っていました。 + 私は、ユダの指導者たちに尋ねました。「よくも安息日を汚してくれたものだ。 + 元はといえば、私たちの先祖がこんなことをしたから、私たちもこの都も、災難をこうむったのではなかったか。こんなことを続けていたら、もっと大きな御怒りを招くことになる。」 + それ以来、私は金曜日の日没に都の門を閉め、安息日が終わるまで開かないようにと命じました。そして、従者に門を監視させ、安息日に商品が持ち込まれないようにしたのです。 + 商人や業者が、エルサレムの外にテントを張ったことが一、二回ありましたが、 + 私は彼らをしかって言いました。「いったい、どういうつもりなのか。城壁の回りでうろうろしてはならない。二度とこんなまねをしたら、即刻逮捕する。」それ以後、彼らは安息日に姿を見せなくなりました。 + それから、レビ人に命じて、身をきよめさせ、安息日をきよく保つために門を守らせました。神様、このような、あなたをお喜ばせする行いを心にお留めください。大いなる愛で私を包んでください。 + このころ、ユダヤ人の中には、アシュドデ人やアモン人やモアブ人の女と結婚している者があり、 + ユダヤのことばが全くわからない子どもが大ぜいいることに気づきました。 + そこで、その親たちを非難してのろい、数人をなぐり倒し、髪の毛を引き抜きました。こうして、子どもを外国人とは絶対に結婚させないと、神に誓わせたのです。 + 「そもそも、ソロモン王はこの問題でつまずいたのではないか。彼の右に出るような王はいなかった。神から愛され、イスラエルの王として立てられたあのソロモンが、外国の女にそそのかされ、偶像礼拝に陥ったではなかったか。 + おまえたちのしたことは、それほど罪深いことなのだ。見過ごしになどできるだろうか。」 + また、大祭司エルヤシブを父に持つエホヤダの子の一人が、ホロン人サヌバラテの娘を嫁にしていることがわかったので、彼を神殿から追放しました。 + 神様、どうかこの者たちを忘れないでください。祭司職を汚し、祭司やレビ人の契約と誓約を破ったからです。 + 私は外国人を追放し、祭司とレビ人に務めを割り当て、各自の仕事を徹底させました。 + 彼らは、定められたとおり祭壇にたきぎを運び、いけにえや初物のささげ物の管理に当たりました。神様、どうか私をあわれみ、心にお留めください。 + +
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+ + アハシュエロスは、インドからエチオピヤにまで及ぶ広大なメド‧ペルシヤ帝国の皇帝でしたが、その治世の第三年に、シュシャンの王宮で盛大な祝宴を催しました。皇帝は各地から、総督、随員、将校たちをみな招待しました。 + お祭り騒ぎは六か月も続き、帝国の富と栄光を誇示する、またとない機会となりました。 + この期間が終わると、王は門番から高官に至るまで王宮に仕える者を招いて、庭園で七日間、酒宴を催しました。 + 大理石の柱の銀の輪には、飾り用の緑、白、青の布が紫のリボンで結びつけられ、黒、赤、白、黄色の大理石がはめ込まれたモザイク模様の歩道には、金銀の長いすが並べてありました。 + 飲み物は、多種多様な金の杯に、なみなみとつがれています。すっかり気が大きくなった王は、王室とっておきのワインなども惜しげもなくふるまいました。 + 酒を飲むのは全く自由で、むりやり勧められることも、あえて遠慮させられることもありません。王が役人たちに、皆の好きなようにさせよと言っておいたからです。 + 同じころ、王妃ワシュティも、王宮の婦人たちを集めて宴を開いていました。 + さて、最後の七日目のことです。かなり酒のまわった王はつい調子に乗り、王に仕えるメフマン、ビゼタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタル、カルカスら七人の役人を呼び、 + 王妃ワシュティに王冠をかぶらせて連れて来るようにと命じました。絶世の美女である彼女の美しさを、人々に見せたかったのです。 + 役人たちがその旨を伝えたところ、王命にもかかわらず、王妃は言うことを聞こうとしませんでした。これを知った王は怒りに燃えました。 + しかしまず、王室つきの法律顧問たちに相談することにしました。王がこのようなことに関して、法律顧問に相談することなしに判断することはなかったからです。彼らはペルシヤの法律と裁判に通じているばかりか、臨機応変に事を処理できる知恵者でもあり、王は信頼しきっていたのです。その法律顧問というのはカルシェナ、シェタル、アデマタ、タルシシュ、メレス、マルセナ、メムカンの七人で、いずれもメド‧ペルシヤの高官でした。政府の有力者であるだけでなく、王とも個人的に親しくしていました。王はさっそく意見を求めました。「今回の件だが、どうしたらよいものか。側近を通じ、手続きを踏んで出した命令を王妃ははねつけたのだ。法律では、どのように罰せよと定めているか。」 + メムカンが一同を代表して答えました。「陛下。王妃は、陛下ばかりか、役人や全国民にまで悪い手本を残しました。 + と申しますのも、これをいいことに、国中の女どもは王妃のまねをして、夫に逆らうに違いないからです。 + 今晩にも、国中の役人の妻たちは、夫たちに口答えすることでしょう。そうなれば、陛下、領地内はくまなく軽蔑や怒りであふれます。 + もしよろしければ、勅令を出し、絶対不変のメディヤとペルシヤの国の法令として、ワシュティ王妃を永久追放にし、代わりにもっとふさわしい王妃を選ぶことをご宣言ください。 + この勅令が帝国のすみずみまで及べば、身分にかかわりなく、妻に対する夫の尊厳は守られるでしょう。」 + 王も側近たちも、なるほど、そのとおりだと思い、メムカンの意見に従うことにしました。 + こうして王は各州に通達を出し、それぞれの民族のことばで、男はみな一家を治めるべきことを命じ、また家長としての威厳を保つことを強調したのです。 + + + 憤りがおさまると、アハシュエロス王は、王妃に下した決断を思い出し、今さらながらワシュティに会えないのが寂しくてたまりません。 + 見かねた王の側近がこう勧めました。「お心が晴れますよう、国中から特に美しい娘を探してまいりましょう。 + 各州に、このための役人を任命し、宮殿にふさわしい若くて美しい未婚の娘を選ばせるのです。後宮の監督官ヘガイには、化粧品などを取りそろえる役目を与えてください。 + そうして、最もお気に召しました娘を、ワシュティ様の代わりに王妃にお迎えになってください。」この提案に、王が有頂天になったことは言うまでもありません。さっそく実行に移しました。 + さて、城内に一人のユダヤ人がいました。ベニヤミン部族の出身で、名をモルデカイといい、ヤイルの息子でした。ヤイルの父はシムイ、シムイの父はキシュです。 + キシュは、エルサレムがバビロンのネブカデネザル王の手に落ちた時に捕らえられ、ユダのエコヌヤ王をはじめ多くの人々とともに、バビロンへ送られて来たのでした。 + このモルデカイは、ハダサ、またの名をエステルという若く美しい娘を育てていました。実際はいとこに当たるのですが、年もずいぶん離れていたことでもあり、両親が亡くなったあと、娘として引き取ったのです。 + さて、王の勅令が出ると、エステルもほかの大勢の娘とともに、シュシャンの王宮内の後宮に連れて来られました。 + 後宮を管理していたヘガイは特別にエステルを気に入り、彼女のためには何でもしてくれるようになりました。特別の食事や化粧用の品々など、何かにつけて便宜をはかってくれます。わざわざ王宮から七人の侍女を呼んで身の回りの世話をさせたり、後宮で一番良い部屋をあてがったり、大そうよくしてくれました。 + エステルは、自分がユダヤ人であることを誰にも話しませんでした。モルデカイに固く口止めされていたからです。 + モルデカイは毎日、後宮の庭に来てエステルの安否を尋ね、これからどうなるか、成り行きを見届けようとしていました。 + 選ばれた娘たちについては取り決めがありました。まず、王の寝所に召される前に、没薬の油で六か月、ついで特製の香水と香油で六か月、それぞれ美しさにみがきをかける期間が定められていました。その期間が終わり、いざ王のもとへ召される時がくると、精いっぱい美しく装うため、衣装でも宝石でも願いどおりの物が与えられます。こうして夕刻、王の部屋へ行き、翌朝には、王の妻たちの住む別の後宮へ移るのです。そこで女性たちは、シャアシュガズという宦官の管理のもとで一生を送ることになります。そこにいる女性たちは、王に特別に気に入られ、指名されないかぎり、二度と王のそばへ行くことはできませんでした。 + さて、いよいよエステルが王のもとへ行く番になりました。彼女は、ヘガイに見立ててもらった衣装を身につけました。その姿の美しさは、ほかの娘たちもいっせいに歓声を上げるほどでした。 + こうしてエステルは、王の治世の第七年の第一の月に召し入れられたのです。 + 王はほかの誰よりもエステルを愛しました。すっかり気をよくした王は、彼女に王冠を与え、ワシュティの代わりに王妃にすると宣言したのです。 + このことをお祝いするため、王はもう一度、高官から召使に至るまで全員を集め、大宴会を開きました。諸州に対しては、気前よく贈り物を配ったり、免税を認めたりしました。 + のちに、王がまた美人選びをしようとした時、モルデカイは政府の役人になっていました。 + エステルはいまだに、ユダヤ人であることを隠し通していました。モルデカイの家にいた時と同じように、彼の言いつけをよく守っていたのです。 + そんなある日のこと、宮殿警護の当直に当たっていたモルデカイは、たまたま、城門の警備についている後宮の役人ビグタンとテレシュが、王への復讐として暗殺を企んでいることを知ったのです。 + ぐずぐずしてはいられません。モルデカイは、さっそく王妃エステルに通報しました。エステルはすぐさまこれを王の耳に入れ、これを知らせてきたのがモルデカイであることも忘れずにつけ加えました。 + 取り調べの結果、ゆるがぬ証拠が上がり、二人ははりつけになりました。この件に関しては、アハシュエロス王の年代記にくわしく記されました。 + + + その後まもなくして王は、アガグ人ハメダタの子ハマンを総理大臣に抜擢しました。今やハマンは、国王に次ぐ実力者でした。 + ハマンに会うと、王の家臣はみな、うやうやしく頭を下げました。そうするようにとの王の命令だったのです。ところがモルデカイだけは、絶対に頭を下げようとしませんでした。 + 周囲の者たちは、来る日も来る日も、「どうして王の言いつけに背くのだ」と言いますが、それでも彼は頑として聞こうとしません。そこでついに人々は、モルデカイだけに勝手なまねをさせてはならないと、そのことをハマンに告げたのです。モルデカイは人々に、自分はユダヤ人だから別だと主張していたからです。 + ハマンは怒りに駆られましたが、モルデカイ一人に手を下すだけではなく、この際、帝国中のユダヤ人を根絶やしにしてやろうと考えました。 + その計画を決行する日は、くじで決めることにしました。アハシュエロス王の治世の第十二年の第一の月のことです。その結果、決行の日は第十二の月と決まりました。 + こうしてハマンは、王に伺いを立てました。「この帝国のどの州にもくまなく入り込んでいる、ある民族をご存じでしょうか」と、彼は切り出しました。「彼らの法律は、どの国のものとも違っておりまして、そのために陛下の命令に従おうともいたしません。これ以上彼らを生かしておいては、陛下のためになりません。 + もしよろしければ、彼らを抹殺せよとの勅令を出していただけませんか。必要な費用につきましては、私が銀一万タラントを国庫に納めさせていただきます。」 + 王は同意し、考えの変わらないしるしにと、指輪をはずしてハマンに渡しました。 + 「金の心配はいらない。とにかくおまえの考えどおりにやってよい。」 + 二、三週間後、ハマンは王の書記官を呼び集め、帝国内の総督や役人あてに手紙を書かせました。州ごとに、それぞれの言語や方言で書かれ、一通ごとにアハシュエロス王の署名と、王の指輪の印が押されます。 + 手紙は急使を立てて、全州に送り届けられました。手紙の内容は、ユダヤ人は老若男女を問わず、第十二の月の十三日を期して皆殺しにすべきこと、彼らの財産は手を下した者が取ってよいことなどでした。 + そのあとに、「この勅令の写しをとり、各州の法令として公示し、全国民に通達すべきこと。各人は、決行当日のため準備をしておくこと」と書き添えてありました。 + 勅令は、まずシュシャンの都で発令されたのち、至急便で各地方へ送られました。都が騒然とし始めたころ、王とハマンは酒をくみ交わし、上機嫌になっていました。 + + + 事のいきさつを知ったモルデカイは、あまりのことに着物を裂き、荒布をまとい、灰をかぶって嘆き悲しみました。それから、大声で泣きながら町へ出て行ったのです。 + 彼は城門の外に立ちました。荒布を着たままで城内に入ることは、誰ひとり許されていなかったからです。 + どの州でも、ユダヤ人の間に、すさまじい嘆きの声が起こりました。王の勅令を聞いて生きる望みを失い、断食して泣き、大部分の人が荒布をまとって、灰の上に座り込みました。 + モルデカイの様子は、侍女や後宮の役人の口を通してエステルの耳にも達しました。彼女は心配で居ても立ってもいられず、着物を送って、荒布を脱ぐようにと伝えましたが、彼は受け取ろうとしません。 + そこでエステルは、自分に仕えてくれる役人ハタクを呼び寄せ、モルデカイのもとへ行って、なぜそのようなことをしているのか聞きただしてほしい、と命じたのです。 + ハタクは町の広場に出て、城門のそばにいるモルデカイを見つけました。 + モルデカイの話から、いっさいの事情がはっきりしました。ハマンが、ユダヤ人を殺すためには銀一万タラントを国庫に納めてもよい、とまで言ったというのです。 + モルデカイは、ユダヤ人殺しを命じる勅令の写しを渡し、エステルに見せてほしいと頼みました。そして、エステル自ら王の前に出て、同胞のために命乞いをするようにとことづけたのです。 + ハタクはそのとおりエステルに伝えました。 + エステルは困りました。どうしたらよいのでしょう。そこでもう一度、ハタクをモルデカイのもとへ送って、こう伝えさせました。 + 「この国ではだれでも、呼ばれてもないのに王宮の内庭に入ったりすれば、男でも女でも打ち首です。王がその者に金の笏を伸べてくださればいのちは助かるのですが。もう一か月も、陛下は私を召してくださっていないのです。」 + ハタクはエステルの苦しい心中を告げました。 + しかし、モルデカイの答えはきびしいものでした。「ユダヤ人が全員殺されるというのに、王宮にいるからといって、おまえだけが助かるとでも思うのか。 + もしも、この事態をおまえがそしらぬ顔で見ているなら、神様は別の人を用いてユダヤ人をお救いになるだろう。だが、おまえとおまえの一族は必ず滅びることになるのだ。神様がおまえを王妃となさったのは、もしかすると、この時のためかもしれない。」 + すると折り返し、エステルからの返事が届きました。 + 「シュシャンにいるユダヤ人を全員集め、私のために断食させてください。三日間、昼も夜も、飲み食いしないでください。私も侍女も断食しますから。そのあと、国禁を犯してでも陛下にお目にかかるつもりです。そのために死ななければならないのでしたら、いさぎよく死にましょう。」 + モルデカイはエステルの言うとおりにしました。 + + + 三日後、エステルは王妃の衣装をまとい、王宮の内庭に足を踏み入れました。その向こうには謁見の間が続き、王は王座に着いていました。 + 王がふと見ると、王妃エステルが内庭に立っています。王は、「よく来た」と言わんばかりに、金の笏を差し伸べました。エステルは進み出て、笏の先にさわりました。 + 「どうした、エステル。何か願い事でもあるのか。申してみよ。たとえ帝国の半分でも、おまえになら与えよう。」 + 「もし陛下さえよろしければ、今日陛下のために宴を催したいと存じます。どうかハマン様とごいっしょにお越しください。」エステルは、かしこまって答えました。 + それを聞いて王は側近を振り返り、「ハマンに、急いで来るよう申せ!」と命じました。こうして王とハマンは、エステルの宴会に招かれることになったのです。 + 酒がふるまわれる時になって、王はエステルに尋ねました。「さあ、どうしてほしいのか申すがよい。たとえ国の半分でもおまえに与えよう。」 + 「お願いでございます、陛下。もし陛下が私を愛し、お心にかけてくださいますなら、どうか明日も、ハマン様を連れてお越しください。明日の夜、何もかも申し上げたいと存じます。」 + 宴会のあと、ハマンは天にも昇る思いでした。ところが、門のそばまで来ると、またあの無礼なモルデカイがいます。例によって、ハマンを見ても起立しようとしません。怒りがこみ上げてきましたが、 + ここで腹を立てては元も子もありません。ハマンはそんな気持ちを抑えて家に戻り、友人や妻ゼレシュを呼び集めました。 + 彼らに自慢話をするためでした。ハマンは自分が財産家であること、子宝に恵まれていること、異例の昇進をしたこと、この国で王に次ぐ権力を握っているのは自分であることなどを得々と語り始めました。 + 場が盛り上がってきたところで、ハマンは取っておきの話だとばかりに得意気に語りました。「実は、エステル王妃の宴に招かれたのは、陛下と私の二人だけだった。そればかりか、明日もまた、陛下と二人でご招待を受けているのだ。 + だが、それにしても……」と、彼は急に口ごもりました。「小憎らしいのは、あのユダヤ人のモルデカイだ。城門の前に座り込んだまま、私を見てもそしらぬ顔をしている。全くあの男のおかげで、せっかくの喜びも吹き飛んでしまった。」 + すると、ゼレシュや友人たちは、口をそろえて言いました。「だったら、こうすればいいでしょう。うんと高い絞首台を作るのです。五十キュビト(約二十五メートル)もあるのを。明日の朝にも、陛下に願い出て、モルデカイをつるしてやるのです。すっきりした気分で、陛下と宴会においでになれますよ。」なんとうまい考えだろう。ハマンは大いに乗り気になって、すぐさま絞首台を作らせました。 + + + さてその夜のこと、王はどうしても寝つくことができませんでした。しばらく読書でもしようかと、書庫から王国の記録文書を持って来させました。読み進むうち、ある項目に目が行きました。門の警備に当たっていた役人ビグタンとテレシュが企てた、王の暗殺未遂事件のところです。計画が未然に防げたのはモルデカイの手柄だとありました。 + 王は、そばにいた者に尋ねました。「このモルデカイに何かほうびを取らせたか。」「何も取らせてはおりません。」 + 「誰か外庭で勤務についている者はいないか。」王がこう言った時、例の絞首台にモルデカイをつるす許可を得ようと、ハマンが城の外庭にさしかかりました。 + 家来は答えました。「ハマン様がお見えです。」「ちょうどよい。ここへ呼べ。」 + ハマンが来ると、王はさっそく話を切り出しました。「ほうびを取らせたい者がいるのだが、どんな栄誉を与えたらよいものか。」ハマンは心のうちで思いました。「きっと私のことだ。私以外に、陛下が栄誉を与えたいと思う者などいるはずがないではないか。」 + そこで、わくわくしながら意見を述べました。「陛下ご着用の王衣、それにご愛馬と王冠をお取りそろえください。 + そして、最も身分の高い貴族の一人にその人の世話をさせてください。つまり陛下の服を着せ、ご愛馬に乗せ、くつわを取らせて通りを引いて行かせるのです。その時、その者に『陛下のお心にかなう人は、このような栄誉を受けるのだ!』と皆に聞こえるように言わせてはいかがでしょう。」 + 「名案だ!」 王は思わずひざを打ちました。「大至急、王衣を持って来させ、私の馬を引いて来て、そのとおりにしてくれ。栄誉を受けるのは宮廷務めのユダヤ人モルデカイだ。今言ったことを、そっくりそのまま実行するのだ。」 + ハマンはしぶしぶモルデカイに王衣を着せ、王の愛馬に乗せ、くつわを取って通りを引き歩きながら、「王のお心にかなう人は、このような栄誉を受けるのだ!」と叫びました。 + モルデカイは勤務に戻りましたが、おさまらないのはハマンです。何とも言えないみじめな気持ちで家に逃げ帰りました。 + 妻のゼレシュや取り巻きたちに事の次第を話すと、一同は頭をかかえるばかりでした。「まずいですね。モルデカイがユダヤ人だと陛下に知れた以上、あの男を亡き者にする計画は台無しです。それどころか、いつまでもモルデカイを目の敵にしていたら、かえって命取りになります。」 + 皆があれこれ知恵をしぼり、善後策を講じている最中に、王の使いが来て、エステルの設けた宴へ出向くようモルデカイをせき立てました。 + + + 王とハマンはエステルの宴にやって来ました。 + 酒がふるまわれるころ、王はもう一度尋ねました。「エステルよ、いったい何が欲しいのだ。願い事を申すがよい。帝国の半分でも、何でもかなえてやろう。」 + ついに、王妃エステルの重い口が開きました。「ああ、陛下。もし私を愛し、お心にかけてくださいますなら、何とぞ私と私の同胞のいのちをお助けください。 + このままでは、私も同胞の者たちも助かるすべはありません。皆殺しにされる運命なのです。奴隷に売られるだけなら、口をつぐんでもいられました。もちろんその場合でも、陛下は測り知れない損失をこうむられたでしょう。実際、それはお金では償えないほどのものでございます。」 + 王は唖然として言いました。「何のことを申しておるのか。かわいそうに、いったい、だれがそのようなことをしようとしているのだ。」 + 「恐れながら陛下、ここにおりますハマンこそ、悪の張本人、私どもの敵でございます。」ハマンの顔からは、みるみる血の気が引いていきました。 + 王は怒り、荒々しく立ち上がると、庭に出て行きました。もうだめだ、自分のいのちは風前の灯だと察したハマンは、立って王妃エステルに命乞いを始めました。 + ハマンは絶望のあまり、エステルの腰かけていた長いすに崩れかかりました。ちょうどその時、王が庭から引き返して来たのです。「この宮殿の中で、しかも私の目の前で王妃に手を出すつもりか!」 王の怒りが爆発しました。ハマンの顔には、その場で直ちにベール(死刑囚が死刑執行の前にかけられるもの)がかけられました。 + その時、王の側近ハルボナが申し出ました。「陛下、ハマンはモルデカイをつるそうと、五十キュビトもある絞首台を自宅の庭に作らせています。暗殺者の手から陛下のいのちを救った、あのモルデカイを処刑しようとしていたのです。」 王はすかさず命じました。「ハマンをそれにつるせっ!」 + こうしてハマンは処刑されたのです。それでようやく王の憤りもおさまりました。 + + + その日、アハシュエロス王は、ユダヤ人の敵ハマンの財産を、そっくり王妃エステルに与えました。続いて、モルデカイが王の前に召し出されました。モルデカイがいとこであり養父であることを、エステルが明かしたからです。 + 王はハマンから取り返した指輪をはずしてモルデカイに与え、即座に総理大臣に任命しました。エステルはモルデカイに、ハマンの財産の管理を一任しました。 + ハマンのことが片づくと、エステルはもう一度王の前に出て、足もとにひれ伏し、ユダヤ人に対するハマンの企みを無効にしてくださるようにと、涙ながらに訴えました。 + この時も、王は金の笏を差し伸べたので、彼女は身を起こし、立ち上がって、 + こう願い出ました。「もしこれがお心にかない、私をあわれとおぼし召されますなら、どうぞ勅令を出して、諸州のユダヤ人を殺せというハマンの指令を取り消してください。 + 同胞がむざむざ殺されるのを、とても黙って見てはおられません。」 + 王は王妃エステルとモルデカイに答えました。「おまえたちユダヤ人に手を下そうとしたハマンを、私は絞首台につるし、家も没収してエステルに与えたではないか。 + ユダヤ人の件については、私の名を用いて思いどおりの通達を出すがよい。王の指輪で印を押すのだ。だれにも有無を言わせないためだ。」 + 直ちに王の書記官が召集されました。それは第三の月の二十三日のことでした。彼らはモルデカイが口述するままに、インドからエチオピヤに及ぶ全百二十七州の、ユダヤ人をはじめ役人、総督、領主にあてた文書を作成したのです。この文書は、各民族の言語、方言にも翻訳されました。モルデカイはこの文書を、アハシュエロス王の名を記し、王の指輪で印を押して、王室専用の急使に託しました。彼らはめいめい、らくだ、らば、若いひとこぶらくだなどにまたがって、全国各地に飛んで行ったのです。 + この通達には、各地のユダヤ人に対し、自らと家族のいのちを守るために武装蜂起すべきこと、また敵には全力を上げて対抗し、その財産を奪ってもかまわないことが記されていました。 + しかも、全州いっせいに、その決行日は第十二の月の十三日、その一日のうちと定められていたのです。 + さらに、この勅令の写しをとって各州の法令とすること、勅令は全国民に公示して、ユダヤ人が敵を打ち倒す十分な準備ができるようにすること、と書き添えてありました。 + 王の急使は、特命を受けてふだんよりいっそう速く、駆けに駆けて先を急ぎました。勅令はシュシャンの城内でも発布されました。 + モルデカイは青と白の王服をまとい、大きな金の冠をかぶり、しなやかなリンネルと紫の外套をひるがえして、王の前から、喜びに沸き立つ群衆であふれる大通りへと、姿を現しました。 + 集まった誇らしげなユダヤ人の間からは、どっと歓声が上がりました。 + 王の勅令が届いたどの町、どの州でも、ユダヤ人の顔は喜びに輝きました。彼らはその日を祝日にして、盛大な祝賀会を開いたのでした。国民の中には、ユダヤ人のふりをする者も大ぜいいました。ユダヤ人の仕返しを恐れたからです。 + + + いよいよ第十二の月の十三日がきました。王の二つの勅令が発効する日です。この日、ユダヤ人を征服しようと意気込んでいた敵の立場は、全く一変しました。ユダヤ人は自衛のために、全国各地の町々に結集しました。ユダヤ人にあえて手出しする者は一人もいません。全国民がユダヤ人を恐れたからです。 + 諸州の指導者層である総督、役人、従臣たちはみなモルデカイを恐れていたので、進んでユダヤ人に手を貸しました。 + 今やモルデカイは、宮中で大きな権力を持つようになり、その名声は諸州に鳴り響き、しかも、ますます勢力を伸ばしていたのです。 + ユダヤ人は、決起の日がくるといっせいに行動を起こし、片っぱしから彼らの敵を倒していきました。 + シュシャンでは五百人が殺されました。 + ハメダタの子である宿敵ハマンの子十人も殺されました。その名は次のとおりです。パルシャヌダタ、ダルフォン、アスパタ、ポラタ、アダルヤ、アリダタ、パルマシュタ、アリサイ、アリダイ、それにワユザタ。しかし人々は、ハマンの資産には手を出しませんでした。 + 夜も遅く、シュシャンでの死者の数が報告されると、 + 王は王妃エステルを呼び寄せて言いました。「シュシャンだけでも五百人、ユダヤ人に殺された。もちろんハマンの息子十人もだ。ここでさえこんな具合なら、ほかの州ではどうなっていることか! まだ何かしてほしいことがあるか。あれば、かなえやろう。遠慮なく申すがよい。」 + 「もしよろしければ、もう一日、シュシャンにいるユダヤ人に、今日と同じようにさせてください。それから、ハマンの十人の息子を絞首台につるしてください。」 + 王が承知したので、シュシャンでは勅令が下りて、ハマンの子たちはさらし者にされることになりました。 + シュシャンに住むユダヤ人は翌日も集まり、さらに三百人を殺しましたが、この時も財産には指一本ふれませんでした。 + 一方、全州のユダヤ人も、シュシャンと同様、自衛のために団結して立ち上がり、敵対する七万五千人を剣にかけましたが、やはり相手方の持ち物には手を出しませんでした。 + このことは第十二の月の十三日、全州いっせいに行われたのです。翌日は特別な休日として祝宴を設け、勝利を祝いました。 + ただ、シュシャンにいるユダヤ人だけは二日目も敵を殺し、その翌日を休日として、祝い合ったのでした。 + こんなことから、今もイスラエルの地方の小さな村々では、毎年、この二日目を祝日とし、贈り物を交換し合うのです。 + さてモルデカイは、これらの出来事をすべて記録し、遠い近いには関係なく、全州のユダヤ人に手紙を送りました。 + モルデカイはこの手紙の中で、第十二の月の末の二日間を祝日と定め、 + この歴史的な日を記念して断食と贈り物の交換をしようと提唱しました。この日こそ、ユダヤ人が敵の手から救われ、悲しみが喜びに、嘆きが幸福に変えられた日だからです。 + ユダヤ人はモルデカイの提案どおり、毎年この習慣を守りました。 + ハマンがユダヤ人虐殺の日を、くじを投げて決めたこと、さらに、事の次第が明らかになった時、その陰謀がついえ去り、王命により、ハマンが自ら作った絞首台で処刑されたこと、息子たちもまた、さらし者となったことの記念日としたのです。 + こんなことから、この祝日は「プリム」と呼ばれるようになりました。くじを投げることを、ペルシヤ語で「プル」と言ったからです。 + 国中のユダヤ人は、帰化した者も含め、毎年この二日間を、子々孫々に至るまで、祝日として守り抜こうと決心しました。 + こうしてこの行事は諸州に行き渡り、いつまでもこの出来事が、ユダヤ人の脳裏に鮮やかに刻まれることとなったのです。 + 一方、王妃エステルは、プリムの祭りの制定についてモルデカイを支持するとの手紙を送りました。そのほかにも、百二十七州のユダヤ人を励ます善意に満ちた手紙を、モルデカイと王妃エステルの連名で出しました。ユダヤ人は進んで、この、国を挙げての断食と祈りの日を記念日とすることに決めました。 + こうしてエステルの命令で、祭りの日は正式に法令で定められたのです。 + + + アハシュエロス王は、本土だけでなく島々からも貢ぎ物を納めさせました。 + 王のすぐれた業績とモルデカイの偉大さと王から受けた栄誉については、メディヤとペルシヤの王の年代記にくわしく記されています。 + ユダヤ人モルデカイは総理大臣となり、アハシュエロス王に次ぐ権威の座につきました。彼はユダヤ人の英雄であるばかりか、全国民から尊敬を受けました。それは、彼が同胞のために最善を尽くす一方、だれをも差別なく引き立てたからです。 + +
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+ + ウツの国にヨブという人が住んでいました。ヨブは人格者で、神を敬い、悪から遠ざかって生活していました。 + 彼は子だくさんで、息子が七人、娘が三人もいました。それに、羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭がいる上に、大ぜいの召使をかかえていました。名実ともに、その地方きっての資産家だったのです。 + 毎年、ヨブの息子たちは、お互いの誕生日ごとに、兄弟姉妹を自宅に招いて祝いました。 + その誕生パーティーが一通り終わると、ヨブは決まって子どもたちを呼び寄せ、彼らの身をきよめる儀式を行いました。ヨブは朝早く起き、子どもたち一人一人のために、焼き尽くすいけにえをささげるのです。ヨブは口ぐせのように、「息子たちが、もしかしたら罪を犯し、心の中で神に背いたかもしれない」と言っていたからで、彼はいつもそのようにしていました。 + ある日、御使いたちが主の前に出た時のことです。その中に、告発者のサタンもいました。 + 主はサタンに聞きました。「おまえはどこから来たのか。」「地上を歩き回って、いろいろと見てきたところです。」 + 「わたしのしもべヨブを知っているか。彼は世界で一番の人格者で、神を敬い、一点の非の打ちどころもない人物だ。」 + 「それは当然です。あなたが特別に心にかけているのだから。 + あなたはいつも、ヨブとその家庭、持ち物を守り、ヨブのすることは何でも栄えるように目をかけています。これでは、金がうなるほどあっても不思議はありません。あなたを拝むふりをして当然です。 + 一度ヨブの財産を取り上げてみたら、きっとヨブはあなたをのろうでしょう。」 + 「では、ヨブの財産のことは、おまえの好きなようにしてよい。ただ、ヨブの体に触れてはならない。」こうして、サタンは出て行きました。それからしばらくして、ヨブの息子、娘たちが長兄の家で祝宴を張っている時、悲劇の幕が切って落とされました。 + 使者がヨブの家に飛んで来て、悲報を伝えたのです。「大変です! 牛が畑を耕し、そばでろばが草を食べているところへ、いきなりシェバ人が襲いかかりました。家畜はさらわれ、労働者たちは皆殺しです。どうにか助かったのは私一人です。」 + 彼の話がまだ終わらないうちに、別の使いが、いっそう悪い知らせを伝えました。「恐ろしいことです。神の火が天から下って、羊と牧童を残らず焼き殺しました。難を免れたのは私だけです。」 + この男が報告し終えないうちに、もう一人の使者が息せき切って駆け込んで来ました。「だんな様! 三組のカルデヤ人の野盗がらくだを奪い、召使たちを殺しました。私一人が、何とか逃げて来たのです。」 + 彼がなおも話している間に、さらにもう一人が駆けつけました。「お子さんたちが大変です。皆さん、ご長男の家で宴会を開いておいででした。 + すると突然、砂漠の方から大風が吹きつけて、家を直撃したのです。それで屋根が落ち、その下敷きになって、皆さんお亡くなりに……。私だけが、どうにか命拾いをしました。」 + この時ヨブは立ち上がり、悲しみのあまり上着を引き裂き、地にひれ伏して、 + 神に言いました。「生まれてきた時、私は裸でした。死ぬ時も、何一つ持って行けません。私の持ち物は全部、主が下さったものです。ですから、主はそれを取り上げる権利もお持ちです。いつでも、どんなときでも、主の御名がたたえられますように。」 + このような事態になっても、ヨブは罪を犯したり、神を悪しざまに言ったりしませんでした。 + + + このことがあったあと、御使いたちが再び主の前に出た時、サタンも同席していました。 + 主はサタンに聞きました。「おまえはどこから来たのか。」「地上を歩き回って、いろいろと見てきたところです。」 + 「そうか。おまえは、わたしのしもべヨブの態度を見たか。ヨブは世界で一番の人格者だ。神を敬い、いっさいの悪から遠ざかっている。おまえは、わたしをそそのかして、理由もないのに彼に危害を加えた。ところが、あの信仰深さはどうだろう。」 + 「いのちが助かるためなら、人はどんなことでもするものです。今度は病気にしてみればいい。ヨブはきっと、面と向かってあなたをのろうでしょう。」 + 「気のすむようにするがいい。ただし、ヨブのいのちだけは取ってはならない。」 + こうして主の前から引き下がったサタンは、ヨブを頭のてっぺんから足の裏まで悪性の腫れ物だらけにして攻め立てました。 + ヨブは土器のかけらで体中をかきむしり、灰の上に座り込みました。 + それを見て、妻がそそのかしました。「こんなひどい仕打ちをされても、まだ神を大切にするのですか。いっそ、神をのろって死んでしまったほうがいいのではないかしら。」 + 「まるで、神を知らない外国の女のような口をきくのだな。神から祝福ばかり頂いて、災いはお断わりなどという都合のいい話があるだろうか。」ヨブは、このようになってもなお、神を冒瀆するようなことは、いっさい口にしませんでした。 + さて、ヨブの身に災難が降りかかったことを知った友人たちが三人、互いに打ち合わせをして、彼を慰め励まそうと、はるばる訪ねて来ました。この三人は、テマン人エリファズ、シュアハ人ビルダデ、ナアマ人ツォファルです。 + 彼らはヨブを見て、ただ、びっくりするばかりでした。顔形はすっかり変わり、見分けもつかないほどです。彼らはあまりの痛ましさに声を上げて泣き、めいめい上着を裂き、ちりを空中にまき散らし、頭に土をかぶって悲しみました。 + それから、ヨブとともに七日七夜、地に座っていましたが、だれも黙ったままでした。ヨブの苦しみようがあまりひどいので、話しかけることもできなかったのです。 + + + ついにヨブは口を開き、自分の生まれた日をのろいました。 + 「ああ、なぜ私は生まれたのか。こんなことなら、いっそ生まれないほうがよかった。 + 私が生まれた日など忘れ去られてしまえ。神にさえ忘れられ、永遠の暗闇に包まれてしまえばよいのだ。 + そうだ、暗闇がその日を奪い、黒雲が覆い隠すがよい。その日が暦から消し去られ、その日には何もなかったことになればよい。 + その日の夜は荒れすさんだ、喜びのない夜となれ。 + のろいの名人よ、その日をのろってくれ。 + その夜は星も出るな。その夜がどんなに光を待ちわびても夜は明けることなく、朝がくることがないように。 + それはこの日が、母が私を身ごもらせないようにできなかったから、こんな災難に会うため、わざわざ生まれさせたからだ。 + ああ、なぜ、私は生まれてすぐに死ななかったのか。 + なぜ、産婆は私を生かしておき、乳房をふくませて養い育てたのか。 + 生まれてすぐ死んでいたら、今ごろ安らかに眠っていただろうに。 + 栄華を極めた大臣や王たち、また城の中に財宝を積み上げた領主たちといっしょになっていただろうに。 + 呼吸もせず、陽の光を見ることもない死産の子だったらよかったのだ。 + 死んでしまえば、悪い者ももう人に迷惑をかけず、疲れきった者も休むことができる。 + 囚人も、残忍な看守から解放されて安らぎを得るのだ。 + 死んでしまえば、金持ちも貧しい人もない。奴隷でさえ、自由の身となる。 + なぜ、悲惨な境遇にある者に、光といのちが与えられているのか。彼らは死にたくても死ねない。人が食べ物や金品のことで目の色を変えるように、ひたすら死を求めているのに。 + 思いどおり死ねたら、彼らはどんなに安らかだろう。 + 神の与えるものが無益と失意の人生だけだとしたら、なぜ、神は人を生まれさせるのだろう。 + 私から出るのはため息ばかりで、食事ものどを通らない。うめき声は水のように止めどなくあふれている。 + 恐れていたことがついに起こったのだ。 + ぬくぬくと遊び暮らしていたわけでもないのに、災いが容赦なく降りかかったのだ。」 + + + テマン人エリファズからヨブへの答え。 + 「あえて、ひと言いわせてほしい。もう黙ってはいられない。 + 以前あなたは、悩んでいる人に向かって神を信頼しなさいと口ぐせのように言っていた。弱っている人、倒れそうになっている人、立つ気力もなくして地面に座り込む人、自暴自棄に陥った人を元気づけてきた。 + ところが、いざ自分がその身になってみると、すっかり弱り果て、自暴自棄になっている。 + そんなときこそ、神を信頼するべきではないのか。神は正しい人に目をかけてくださることが、信じられないというのか。 + 考えてもみなさい。心底から正しくて罪のない人が罰せられるなどという話を、一度でも聞いたことがあるか。罪と争いの種をまく者が悩みを刈り取ることは、経験の教えるところだ。 + そのような者は、神の怒りの息吹によって死ぬ。 + 若いライオンのように吠えたけっていても、押しつぶされて滅びるのだ。 + いつかは、年をとって弱り果てたライオンのように飢え、子どもたちも散り散りになる。 + 耳もとのささやきのように、こっそりと、ひとつの真理が私に伝えられた。 + あれは、人が寝静まった夜中だった。私は幻を見たのだ。 + 急に私は恐ろしくなり、身の毛のよだつ思いに全身がわなないた。 + 一つの霊が前を通り過ぎたとき、髪の毛は逆立った。 + といっても、霊の気配を感じただけで、姿を見たわけではないが。気味が悪いほど静まりかえった中で、どこからともなく、こう言う声が聞こえてきた。 + 『人にすぎない者が神より正しいなどということがあろうか。創造者よりきよいなどということがあろうか。』 + 御使いさえ過ちを犯し、神に信頼されていないとしたら、ちりから造られた人間はなおさらのことだ。人は虫のように、簡単につぶされて死ぬ。 + 朝には生きていても、夕方には冷たい死体となり、だれからも気に留められないまま永久に葬られる。 + か細いいのちの火は吹き消され、なすすべもなく死ぬだけだ。 + + + 助けを呼び求めても、だれも答えてくれない。神々によりすがっても、助けてもらえない。 + 怒り狂い、のたうち回って息絶えるだけだ。 + 神に背く者は、しばらくは栄えても、思いもよらない災いにみまわれる。 + 彼らの子どもたちは、だれにもかばってもらえず、簡単にだまされる。 + せっかく上げた収穫も人手に渡り、その富は、ほかの人の渇きをいやす。 + 罪の種をまいた者には、罰として不幸が襲う。 + 火種から勢いよく炎が吹き上げるように、人は罪と不幸に向かってまっしぐらに進むのだ。 + だから、あなたに忠告したい。神に罪を告白しなさい。 + 神は、目をみはるような奇跡を何度でも行うからだ。 + 神は地に雨を降らせて田畑をうるおし、 + 貧しい者と謙遜な者を富ませ、苦しむ者を安全な場所へ連れて行く。 + 神は、悪賢い者の計画をくつがえす。 + 彼らは知恵をこらして計画を練り、そのわなに自分でかかる。 + 彼らは夜だけでなく、日中でも、目の見えない者のように手探りで歩く。 + 神は、このような横暴な連中から、身寄りのない者や貧しい者を救う。 + こうして、貧しい者は希望を見いだし、悪者の牙はへし折られる。 + 神に誤りを正してもらえる人は、なんと幸せなことか。神の懲らしめをないがしろにしてはいけない。自分で罪を犯し、招いた結果なのだから。 + 神は傷つけても包帯を巻き、治してくださる。 + 何度でも救い出してくださる。だから、災いがあなたに寄りつく暇もない。 + あなたはききんの時には死から、戦いの時には剣から守られる。 + 人の中傷も苦にならず、将来の心配もなくなる。 + あなたは戦いもききんも心配する必要がなく、野獣に襲われることもない。 + どう猛な野獣は、あなたと平和協定を結ぶからだ。 + 家を留守にしても、何の心配もない。倉庫には、だれも指一本ふれないからだ。 + あなたの息子たちは、なくてはならぬ人物となり、子孫は草のように増え広がる。 + 麦は、収穫の時まではどんなことがあっても刈り取られない。そのように、あなたも幸せな一生を送り、長寿を全うする。 + このことがうそ偽りでないことを私は経験から知ったのだ。あなたのためを思えばこそ忠告するのだ。私の助言を聞いてくれ。」 + + + ヨブの返答。 + 「ああ、この悲しみと苦しさの重さを量ることができたらよいのに。 + まるで海辺の砂を千倍にもしたような重さなのだ。だから、思わず激しいことばを吐いてしまったのだ。 + 主は弓矢で私を狙いうちにした。その毒矢は心臓深く突き刺さった。神からの恐怖は隊列を組んで私に襲いかかる。そのたびに、身のすくむような思いがする。 + 野ろばが鳴くのは、草がないからだ。飼い葉のあるうちは、牛もおとなしくしているものだ。食べ物に塩気がなければ、人は苦情を言う。生卵の白身ほどまずいものはない。見るだけで食欲がなくなり、食べるところを想像するだけで吐き気がする。 + ああ神よ、もうたくさんです。どうか死なせてください。死ねば、この痛みから解放されます。 + 私は神のことばを一度だって拒まなかった。そのことは、この苦しい拷問の中でのせめてもの慰めだ。 + なぜ、まだ生きる力が残っているのだろう。息を引き取る瞬間まで、このまま我慢できようか。 + 私は石のように感覚がないというのだろうか。私の肉体は、真鍮でできているとでもいうのだろうか。 + もう何の希望もない。天涯孤独の身となり果ててしまった。 + 気落ちした友には、親切にすべきではないか。それなのに、あなたは神を少しも恐れず、私を責め立てるばかりだ。 + あなたが砂漠の川のように頼りにならないことはよくわかった。雪や氷があるうちは水があふれるが、夏の盛りには干上がってしまう。川を目あてに、隊商はわざわざ脇道をして来るが、一滴の水もないのであえない最期を遂げる。 + テマとシェバの隊商は、水を求めてそこに来るが、望みは無残にも砕かれる。あなたへの期待も、同じように裏切られた。あなたは私を見て怖がり、後ずさりした。救いの手を伸ばしてはくれなかった。 + いったいなぜなのだ。これまで私が、一度でも頼み事をしたことがあるか。何かをくれるように言ったこともない。 + 助けを仰いだこともない。 + 私はただ、道理にかなった返事をしてほしいだけだ。それが聞けたら、もう何も言うことはない。だから教えてくれ。いったい私が、どんな悪いことをしたというのか。 + 真実を言われれば、だれでも胸に響くものだ。ところが、あなたの批判にはまるで根拠がない。一時の感情にかられ、絶望的なことばをはいたというだけで、私を責めるのか。 + それでは、身寄りのない孤児を傷つけ、友を売るのと同じではないか。 + 私の目をまともに見てくれ。私があなたの前でうそをつくような人間に見えるか。 + 勝手に私に罪があると考えるのはやめてくれ。私は潔白なのだ。どうか正しい判断をしてほしい。 + 私に善悪の区別ぐらいつけられないとでも言うのか。もし落度があるなら、気づかないはずがないではないか。 + + + 人は、どうして苦しみもだえなければならないのか。人の一生は、奴隷の日々のように長く苛酷だ。 + 一日の終わりが、なんと待ち遠しいことか。人は賃金を受け取る週末まで汗水流して働く。 + 同じように私にも、苦しい日々と、長くて物憂い夜がある。 + 床につくとき、『今が朝ならいいのに』と思い、夜が明けるまで、寝返りを打って悶々とする。 + 私の体にはうじ虫がたかり、皮膚はかさぶたで黒ずんでいる。肉はざくろのように口を開け、膿が流れている。 + 望みもないまま、またたく間に一日一日が過ぎ去る。 + 私のいのちは、はかない息のようで、良いものは何一つ残っていない。 + 私を見ていられるのも長くはない。もうじき、私の死骸を見るようになるだろう。 + 雲が散って消えるように死んだ者は永久に戻らない。 + 家族の前から永久に姿を隠し、再び顔を見せることもない。 + 頼むから、私の苦しみをわかってほしい。悩み苦しんでいる私に、気がすむまで語らせてほしい。 + ああ神よ、どうして私を放っておいてくださらないのですか。私は獣でしょうか。 + 眠って悲惨な境遇を忘れようとすると、あなたは悪夢で私を脅します。 + こんな状態がいつまでも続くくらいなら、ひと思いに締め殺されたほうがましです。 + もう生きていたくなんかありません。お願いです、神よ。残り少ない日々を、私だけにしておいてください。 + 人とは何者なのでしょう。神がわざわざ時間をかけて苦しめるだけの値打ちがあるでしょうか。 + 朝ごとに尋問し、一日中痛めつけなければ気がすまないのですか。 + せめてつばを吐く間だけでもひとりにしておいてください。 + 人間の見張り役である神よ。私の罪がご気分を害したのですか。なぜ私を標的にし、とても生きてはいられないようにさせるのですか。 + なぜ私の罪を赦し、除いてくださらないのですか。私は今にも息絶える身ではありませんか。神が捜しても、私はどこにもいなくなるのです。」 + + + シュアハ人ビルダデのヨブへの返答。 + 「ヨブ、いつまでそんなことを言い続けるのか。そんな激しいことばでまくし立てるのはやめよ。 + 神が正義を曲げるだろうか。 + あなたの子どもたちが罪を犯し、神から罰を受けても、 + あなたが全能の神に嘆願するなら、 + 神は祈りを聞き、元どおりの幸福な家庭としてくださる。もっとも、あなたが潔白で正しければの話だが。 + たとえ一から出直しても、やがて多くの財産を築くだろう。 + 歴史の書物をひもとき、調べてみるがいい。 + 私たちは生まれたばかりの赤ん坊のような者で、ほんのわずかのことしか知らないのだ。われわれの一生は影のようにはかない。 + だが、昔の人の知恵は大したものだ。ほかの人の経験から、あなたは次のことを学ぶことができる。 + 神を忘れる者の望みは断たれる。彼らは根を下ろす土のない葦や水分を断たれた草のように、鎌を入れないうちからしおれる。 + 神を追い出した者は、くもの巣を頼りにするようなもので、頼みの綱はみな断ち切られる。 + 自分の家にいれば安全だと思っていても、家はいつまでもあるわけではない。 + 朝のうちは、青々と茂る木のように力にあふれ、枝は庭いっぱいに張っている。 + 根は石地を伝い広がり、地下水にまで届く。 + ところが、そんな者が急に姿を消しても、だれも悲しんではくれない。 + 彼が期待できることといえば、これくらいだ。そればかりか、彼の代わりにほかの者が地から芽を出す。 + いいか、考えてもみよ。神は正しい人をお見捨てにならないし、悪い者を栄えさせることもないのだ。 + あなたにも、いつか必ず笑顔を取り戻し、喜びの叫びをあげる日がくる。 + あなたを憎む者は、結局は恥をかき、悪者は滅ぶことになるのだ。」 + + + ヨブの答え。 + 「そのようなことぐらい、私も知っている。ちっとも耳新しいものはない。しかし、答えてもらいたいものだ。人はどうしたら神の目から見て、正しい者となれるのか。 + 神と正面から議論しようと思ったら、人は千の質問のうち、一つも答えることはできまい。 + 神の知恵と力は底知れないのだ。今まで、神に反抗して成功した者など、いないのだから。 + 神は突然怒って山を動かし、ひっくり返す。 + 大地さえ土台から揺り動かす。 + 神が命令すると、太陽は昇らず、星も光らない。 + 神はただひとりで天を張り広げ、海の上をゆったりと歩いた。 + 牡牛座、オリオン座、スバル座、それに、南の星座も、みな神が造った。 + ほかにも、目をみはるような奇跡はいっぱいある。あまりに多くて数えきれないほどだ。 + 神がそばを通り過ぎても、私には、そのお姿は見えない。 + 神が人のいのちを奪うとき、だれもその手をとどめることはできない。『何をするのですか』と抗議できる者もいない。 + しかも、神は怒りを静めず、高慢で屈強な人間をも地にひれ伏させる。 + 私には、全能の神を相手どって議論し、説き伏せることなどできない。 + たとい私が正しくても、自分を弁護しない。ただただ、あわれみを求めるだけだ。 + たとえ祈りが答えられても、神が私の叫びを聞いたとは思えない。 + 神は、これほどまで私を打ちのめし、理由もないのに傷口を広げるからだ。 + 次から次へと、息もつかせず、非常な悲しみで私の心を満たしている。 + 強くて正しいのは、この世に神だけではないか。 + しかし、私は正しいだろうか。そうでないことは自分がよく知っている。たとえ一点の非の打ちどころもないとしても、神は私を悪い者とする。 + 自分が完全に潔白な人間であるかどうか私は考えようとも思わない。つくづく自分がいやになった。 + 潔白であるにせよ、悪人であるにせよ、神にとっては同じこと。どちらにしても滅ぼされるのだ。 + 神は、罪のない者が災難に押しつぶされるのを見て笑う。 + 全地は悪者どもの手中にある。神は裁判官の判断力を奪い、不公平な裁判を行わせる。そうするのが神でないとしたら、いったいだれが張本人なのか。 + 私の一生は悲劇をはらんだまま、矢のように飛び去る。 + 私の歳月は船足の速い舟のように遠ざかり、獲物に襲いかかる鷲のように飛び去る。 + 神への不満を忘れ、悲しむのをやめて明るく振る舞おうとしても、 + 神は今まで以上の悲しみを与えるばかりです。ああ神よ、私にはわかっています。あなたは私を罪ある者となさいます。 + 罪人扱いするに違いありません。だから何を言ってもむだなのです。 + たとえ、水晶のような水で体を洗い、灰汁で手の汚れをすっかり落としても、 + 神は私をどぶに突き落とします。そのため泥まみれになった着物でさえ、神の目には、私よりきれいに見えるでしょう。 + 神は人間ではないので、私は自分を弁護することができません。もし神が人間なら、対等な立場で話し合えるでしょう。私たちの間には仲裁人がいません。仲を取り持つ者がいないのです。 + これ以上、神の刑罰の恐ろしさにおびえなくてすむよう、私を打ちたたくのをやめてください。 + そうすれば、遠慮なくお話しし、身の潔白を堂々と主張できるのです。 + + + ああ、もう生きていたくない。頼むから、思いきりうっぷんを晴らさせてくれ。積もる恨みつらみをぶちまけ、 + 神にこう言おう。むやみやたらと責めるだけでなく、なぜそうするのか、わけを聞かせてください。 + 私を造ったのはあなたです。その私をしいたげ、さげすみ、一方では悪人にいい目を見させることは、はたして正しいことでしょうか。 + あなたも、人間と同じように不公平なのですか。神の寿命はあまりにも短いので、私の無罪を十分に知りながらありもしない罪をとがめようと、私を追いかけ回すのですか。だれもあなたの御手から私を救い出せないことを承知のうえで、このようにしているのですか。 + あなたは私を造っておきながら今になって滅ぼそうとなさいます。 + お願いです。私がちりで造られたことを思い出してください。こんなにも早く、私をちりに逆戻りさせるのですか。 + あなたは私を牛乳のように注ぎ出して、チーズのように固めました。 + あなたは私の体を、皮や肉、骨や筋でお造りになり、 + いのちを与え、恵みと愛を注いでくださいました。あなたのいつくしみがあったからこそ、私は今日まで生き長らえたのです。 + ところが、あなたのほんとうのねらいは、もし私が罪を犯したら断じて赦さず、滅ぼすことにあったのです。 + ほんの少しの落度があるだけで、たちまち悪い者とされるのです。たとえ私が正しくても、そんなことは何にもなりません。いったいどうすればいいのですか。 + 立ち上がろうとすると、あなたはライオンのように襲いかかり、とどめを刺します。 + 次々と不利な証言を突きつけ、いよいよ激しく憤り、新たな手勢をくり出し、これでもか、これでもかと攻め立てます。 + こんなことをするくらいなら、なぜ、私を生まれさせたのですか。なぜ、生まれてすぐに殺さなかったのですか。 + そうすれば、私は母の胎から墓へと移され、こんな悲惨な目に会わなくてすんだのです。 + 私の寿命が残りわずかであることがおわかりにならないのですか。二度と帰らぬ旅路につき、暗闇と死の陰の国へ行く前に、しばらく私を苦しませるのをやめ、つかの間の安らぎを味わわせてください。 + 私が行こうとしているのは、真夜中のように暗い国です。渾沌としていて、最も明るい光でさえ、真夜中の闇のように暗い場所なのです。」 + + + ナアマ人ツォファルのヨブへの返答。 + 「そんなにまくし立てられたら、だれだって、ひと言いいたくもなる。ことば数が多ければ潔白だと認められるとでも思っているのか。 + あなたが大きな口をきいている間中、黙って聞いていなければならないのか。とんでもないことだ。あなたが神を欺こうというのなら、恥ずかしい思いをさせなければならない。 + 神の目から見ても、自分は純粋だとあなたは言う。 + 神がご自分の考えをあなたに知らせてくださったらよいのに。 + あなたが自分のほんとうの姿に気づくように。神には、何もかもお見通しだ。それでも神は、あなたが当然受ける罰の量をかなり減らしておられるのだ。 + あなたは神の思いと目的を知っているのか。どんなに時間をかけて調べたところで、わかるまい。全能者をさばく資格なんかないのだから。 + 神は、天が地よりも高いように、想像もできないほどきよい方だ。神の思いは底知れず深い。それに比べ、あなたの知識はどれほどだというのか。 + 神の知識は大地より広く、海より大きい。 + 神がいきなり割り込んでだれかを逮捕し、法廷を開いたとしたら、だれが制止できよう。 + 神は、人間の欠点を一つ残らずご存じで、目を光らせていなくても、すべての罪を見抜くのだ。 + 野ろばの子が人間として生まれないように、人間が賢くなることなどありえない。 + 神の方を向き、手を差し伸べる前に、まず自分の罪を除き去り、いっさいの悪から遠ざかるべきだ。 + そうして初めて、罪のしみもなく、胸を張って神に近づくことができる。 + そうなれば、悲惨な境遇も忘れることができる。みな過去のものとなるからだ。 + そして、あなたの一生は雲一つない快晴のようになる。暗闇は消え、朝のようにまばゆく輝きだす。 + 望みがわき、勇気があふれる。ゆったりとくつろぎ、安らかに休息する。 + 安心しきって横になることもできる。多くの人があなたの助けを求めて集まる。 + しかし、悪人は逃げ場を失い、死を待つだけだ。」 + + + ヨブの返答。 + 「あなたが博学で、何でも知っているらしいことは、よくわかった。だが、そんな知恵などあなたといっしょに滅んでしまうがいい。 + あなたも、私と似たようなものだ。それくらいのことを知らない者はない。 + 私は神に助けを願い、じきじきに答えていただいたこともあるのに、今は人の笑い草になっている。品行方正な私が、物笑いの種となっているのだ。 + その一方では、金持ちどもが、弱っている者をあざけり、困っている者を目ざとく見つけてはさげすむ。 + 盗人は栄えるものだ。さあ、神を怒らせてみたらどうだ。別に何が起こるというわけでもあるまい。それでも神は、必要なものは全部下さるだろう。 + 主がそういうことをする方だということぐらい、だれでも知っている。犬や獣でも、それぐらいのことは知っている。鳥に聞いてみるがいい。そうだと答えてくれる。地と、海の魚に教えてもらうがいい。同じ答えが返ってくるだろう。 + すべての生き物のいのちと、すべての人間の息とは、共に神の御手のうちにあるからだ。 + 舌が、食べ物がうまいかまずいかを区別するように、思考力は、耳に入ることばがほんとうかうそかを聞き分ける。 + あなたが言うとおり、私のような老人には知恵と分別がある。 + だが、本物の知恵と力は神だけのものだ。ただ神だけが、私たちのなすべきことをご存じだ。何といっても、神には思慮がある。 + おまけに、神の力ときたらどうだ。神が壊したものは、二度と建て直せない。神に追い詰められたら観念するしかない。 + 神が雨を引き止めると地は砂漠となり、嵐を送ると、水浸しになる。 + このように、力と知恵は神のものだ。欺く者も欺かれる者も、共に神の奴隷であることに変わりはない。 + 神は助言者と裁判官をさげすむ。 + 王を奴隷の身分に落とし、その召使たちを自由の身にする。 + 祭司は奴隷のように売られていく。神は権力者を落ちぶれさせる。 + 雄弁家からは声を、長老からは見識を奪い取る。 + 君主をさげすみ、勇士の力をくじく。 + 闇を光の洪水とし、死の暗い陰さえ明るくする。 + 国を興したかと思うと滅ぼし、大国にしたかと思うと没落させる。 + 王の分別を取り去り、道案内の明かりもないまま手探りで闇の中をさまよわせる。 + + + あなたが引き合いに出したような例を私は山ほど見てきた。言いたいことはよくわかる。 + 私はあなたと同じくらい道理はわきまえているつもりだ。 + ああ、全能者とじかに話してみたい。この問題を直接、話し合ってみたい。 + あなたたちは、あらゆることを誤解している。藪医者もいいとこだ。 + 頼むから、黙っていてくれ。それが最高の知恵というものだ。 + さあ、聞いてくれ。私の考えの背景にある道理と訴えに耳を貸してくれ。 + 神は一度だってあなたたちの言っているようなことを口になさらないのに、それでもなお、神の代弁者を気取るつもりか。 + 真理を曲げるような、あなたたちの助けを神は求めるだろうか。 + 化けの皮がはがれないように注意することだ。それとも人間同様に、神も手玉にとれるとでも考えているのか。 + とんでもないことだ。神を楯にとってうそ偽りを並べ立てると、ひどい目に会うことになる。 + 神の威厳に、あなたたちは恐れを覚えないのか。そんなことがよくできたものだ。 + せっかくだが、これまでのご託宣は、灰ひと握りの値打ちもない。あなたたちは神を弁護しているつもりだろうが、そんなものは土器のようにもろいのだ。 + 余計な口出しはしないで、ほっておいてくれ。私に話させてくれ。結果がどうなろうと、私が責任をとる。 + こうなったら、いのちをかけてもいい。思っていることを洗いざらいしゃべろう。 + そのため神に殺されるなら、それでもいい。たとえ殺されても、私はやめない。 + 私が不敬虔な者ではないので、神の前から即刻立ち退きを命じられないことが、せめてもの頼みの綱だ。 + これから言うことを、最後までよく聞いてほしい。 + 私は自分が正しいことはわかっている。これが私の言い分だ。 + このことで私と議論できる者がいるか。もし、あなたたちが私の間違いを証明できるなら、私は自分の弁護をやめ、いさぎよく死んでみせる。 + ああ神よ、お願いです。二つのことだけはしないでください。そうすれば、私は神と顔を合わせることができます。 + 私を見捨てないでください。あなたご自身の存在によって、私をおびえさせないでください。 + 来なさい、と声をかけてくだされば、すぐにお答えします。でなければ、私の質問に答えてください。 + 私がどんな悪いことをしたか教えてください。どこがいけないのか、はっきり示してください。 + なぜ御顔をそむけて、私を敵の手に渡すのですか。 + なぜ、風に吹き飛ばされた木の葉のような私を責め、乾いた役立たずのわらのような私を追い回すのですか。 + あなたは、私を痛烈に批判し、若いころの過ちを一つもらさず責め立てます。 + 壁に囲まれた牢獄にぶち込まれ、私は朽ちた木のようになり、虫に食われた着物のようになります。 + + + 人はなんともろいものでしょう。人生はなんと短く、苦しみに満ちているのでしょう。 + 人は花のように咲いても、すぐにしおれ、通り過ぎる雲の影のようにあっという間に消え失せます。 + あなたは、このようにはかない人間をきびしく責め、あくまでさばこうとするのですか。 + 生まれつき汚れている者にどうしてきよさを求めることができましょう。 + あなたは人間に、ほんのわずかな人生の期間を与えました。それは月単位ではかれる程度の日数で、それ以上、一分一秒でも延ばせません。 + だから、つかの間の休息を与えてください。怒りに燃える目をそらして、死ぬ前に、ほんの少しでも安らぎを与えてください。 + 木には望みがある。切り倒されても、やがて新しい芽を出し、やわらかな枝を張る。 + たとえ根が老化し、根株が枯れても、水さえあれば新しい苗木のように芽を吹き、枝を出す。 + しかし、人は違う。死んで葬られると、その霊魂はどこへ行くのか。 + 水が湖から蒸発し、日照りで川が干上がるように、人は地に伏すと、永久に立ち上がらない。目も覚まさず、眠りから起きることもない。 + あなたが私を死者のいる所に隠し、あなたの怒りが過ぎるまで忘れ、ずっとあとになって思い出してくださるとよいのに。 + 人は死んでも生き返るかもしれません。私はそのことに望みをかけているのです。ですから、苦しみながらもひたすら死を待ち望むのです。 + 私を呼んでください。いつでもみもとへまいります。あなたは私のしたことにことごとく報いてくださるでしょう。 + ところが今、代わりに、私にあとわずかしか生きることを許さず、しかも、すべての過ちに目を留め、 + それを束にして証拠として私に突きつけます。 + 山は崩れてなくなり、水は石を打ち砕いて砂にし、大水は土砂を押し流します。そのように、人のすべての望みは絶えます。 + あなたはいつまでも人を打ち負かすので、ついに人は舞台から姿を消します。あなたは人をしわだらけの老人とし、遠くへ追いやります。だから、自分の子どもたちが栄誉を受けても、失敗したり災難に会っても、人にはそのことを知るすべがありません。 + 人にはただ、悲しみと痛みだけしかないのです。」 + + + テマン人エリファズの返答。 + 「あなたはりこう者のはずなのに、愚にもつかないことばかり言い続けている。あなたのことばには、まるで中身がない。 + そんなむなしいことばを並べ立てて何になるのか。 + あなたには、神を恐れ敬う気持ちがないのか。あなたがそんなことを言うのも、あなたの罪のせいだ。どんなうまいことを言っても、偽りは偽りだ。 + 罪人呼ばわりされるのが不満らしいが、それもこれも、みなあなたが悪いからだ。 + それとも、一番の知恵者だとでも思っているのか。あなたは山々が造られる前に生まれ、神の奥義を聞いたのか。神の相談役に選ばれているとでもいうのか。それとも、知恵をひとり占めにしているのか。 + 私たちより物知りだというのか。あなたに理解できて、私たちに理解できないことがあろうか。 + 中には、あなたの父親より年輩の者だっているというのに。 + 神の慰めなどあなたには取るに足りないものなのか。神の優しさは、あなたの気持ちを逆なでするのか。 + あなたは腹立ちのあまり理性を失い、異様な目つきをしている。その態度は、いったい何だ。 + しかも、神に言ってはならないことを言い放っている。 + あなたの言うような純粋で完全な人間が、この地上にいるだろうか。 + 神は、御使いでさえ信頼しないではないか。天でさえ、神と比べたらきよくはない。 + 堕落して罪深く、海綿が水を吸うように罪をのみ込むあなたのような人間は、なおさらだ。 + よく聞け。私は経験から言っている。建国者である先祖からじかに聞いた聡明な人たちが経験によって確かめた知恵を、私は譲り受けたのだ。 + 罪深い者は一生の間、絶え間なく苦しむ。 + おぞましいことに囲まれ、穏やかな日があっても、すぐさま過ぎ去る。 + 殺されるのが怖くて、暗がりに出て行けない。 + 物乞いに落ちぶれ、さまよい歩くが、毎日びくびくしながら、苦しみ悩んで生活する。王が敵を破るように、彼の敵は彼を滅ぼす。 + 彼はブリキの盾をとって、神に向かってこぶしを振り、全能者に挑み、身のほど知らずにも攻撃をしかける。 + 罪深い悪者は脂肪太りで金回りがよく、攻め取った町の住民を殺して、そこに住んでいた。 + だが、金はいつまでもあるわけではない。そんな財産は長持ちしない。 + 暗闇が永久に彼を包み込む。神の息が彼を滅ぼし、炎が彼の持ち物全部を焼き尽くす。 + これ以上、むなしい富をあてにするな。自分を欺いてはいけない。金をあてにすれば、ほかに報いはないからだ。 + そんな者は生きているうちに、不幸に見舞われる。頼りにしていたものはみな姿を消し、 + しなびたぶどうのように地面に落ちる。こうして、彼がもくろんできたことは、計画倒れに終わる。 + 神を信じない者には実りがなく、一つとして良いものが生み出されない。神の火が、持ち物もろとも彼らを焼き滅ぼすからだ。 + 彼らがはらむものは罪だけで、彼らの心は悪を生み落とす。」 + + + ヨブの返答。 + 「そんなことは、さんざん聞かされてきた。あなたがたは慰め役としては失格だ。 + そんな話をいつまで続けるつもりなのか。いったい、私が何を言ったというので、そんなに長々としゃべり続けているのか。 + とはいっても、立場が逆だったら、私も同じようなお説教をしていたかもしれない。あきれ果てて、痛烈な批判を浴びせかけていただろう。 + ただ、私はあなたがたとは違う。私なら、もっと励ましになることを話すはずだ。あなたたちの悲しみを和らげようと、一生懸命になるはずだ。 + しかし、私がどれほど自分を弁護したところで、悲しみは消えるものではない。だからといって、口をつぐんでいても、どうにもならない。 + 神が私を押しつぶし、家族を取り上げたからだ。 + ああ神よ、あなたは私を骨と皮ばかりになさいました。彼らは、私が罪を犯した証拠だと責めます。 + 神は私を憎み、怒りにまかせて私の体を引き裂きます。私に向かって歯ぎしりし、生きている気配さえ消し去ってしまおうと身構えておられるのです。 + ここにいる慰めにもならない慰め役たちは、私を丸のみにしようと口を大きく開けています。敵はいっせいに攻撃をしかけます。 + 神は、私を罪人たちの手に渡し、悪者の餌食にするのです。 + 私は神にずたずたにされるまでは、平穏無事な生活を送っていた。ところが神は、私の首をつかまえ、打ちつけて粉々にし、攻撃の的にした。 + 私を取り巻く射手たちが、容赦なく矢を射たので、傷口から流れ出る血で地は湿った。 + 神はたたみかけるように攻撃し、巨人のように襲いかかる。 + 私はこうして荒布をまとって座り込み、いっさいの望みをちりの中に埋めた。 + 目は泣きはらして赤くなり、まぶたには死の陰がただよっている。 + だが、だれが何と言おうと、私は潔白で、私の祈りは純粋だ。 + 大地よ、私の血を隠さないでくれ。私の血が私のために大声で抗議できるように。 + 今でも天には、私の身の潔白を証明するお方がいる。私の弁護人は高い所にいる。 + 友人たちは私をあざける。だが私は、神の前で涙を流す。 + 人が友のためにとりなすように、その方に、私と神との間に立っていただきたい。 + 私はもうすぐ、帰ることのない旅路につくのだから。 + + + 私の病は重く、死の一歩手前です。墓は口を開いて私を迎えます。 + あざける者が私を取り巻き、右を見ても左を見ても、彼らの姿が目につきます。 + 私の潔白を証明してくれる者は、どこにもいないのでしょうか。ああ神よ、だれも私を理解しないよう仕向けたのは、あなたです。だから、お願いします。彼らが勝ち誇らないようにしてください。 + わいろをもらって友人を告発するような者の子どもたちは、目が衰えて見えなくなる。 + 神は私を物笑いの種にした。人々は私の顔につばを吐く。 + あまりの情けなさに、目は涙にかすむ。今の私は昔の影にすぎない。 + 公正な人がいたら、私を見て驚くだろう。しかし最後には、潔白な人は不信心な者の先頭に立つ。 + 正しい人は躍進を続け、心のきよい人はいっそう力を増し加える。 + みんな、頼むから帰ってくれないか。だれも、理解できていないのだ。 + 私の古き良き時代は終わった。希望は失せ、夢は破れた。 + 夜を昼、昼を夜だと人は言う。とんでもない錯覚だ。 + 死ねば、暗闇の中に入り、墓をわが父と言い、うじ虫をわが母、わが姉妹と呼ぶ。 + そうなったら、私の望みはどうなるのだ。だれが、望みを見つけてくれるのか。 + それは、私とともに墓に下る。ちりの中で共に憩うようになるのだ。」 + + + シュアハ人ビルダデの二度目の返答。 + 「気でもおかしくなったのか。助言してほしいのなら、少しは筋の通ったことを言うことだ。 + それではまるで、私たちが、愚かで物言わぬ獣みたいではないか。 + あなたが怒って着物を裂いただけで、地震が起こったり、岩が動いて移ったりするとでも思っているのか。 + 物事がうまくいかないとしたら、それはあなたが罪深かったからだ。炎が消えて当然だ。 + 悪の居座る家には暗闇がつきものなのだから。 + 罪深い悪者は肩で風を切って歩くが、急に足もとが危うくなり、全身の力が抜けていくのがわかる。 + 彼は落とし穴に落ち、待ち伏せしていた追いはぎの餌食になる。 + どこを通っても、罠がしかけられている。 + 敵が、すぐあとをつけているのだから、彼が怖がるのもむりはない。 + 飢えのために消耗しきった彼を、災難が待ちかまえている。 + 病気が皮膚をむしばみ、死が彼をむさぼり食う。 + 日ごろ頼りにしていた富にもそっぽを向かれ、恐怖の王のもとへ引き立てられる。 + 家も、燃える硫黄の集中攻撃を浴びて姿をかき消す。 + 彼は根元から枯れ、枝は一本残らず切り取られる。 + 彼の記憶は地上から一掃され、彼を覚えている者は一人もいなくなる。 + 彼は光の国から闇の国へと追いやられ、この世から立ち退くよう命じられる。 + 子も孫も親類縁者もいなくなる。 + 老人も若者も、彼の運命を知っておびえる。 + これが、神を信じない罪人の行き着く先だ。」 + + + ヨブの返答。 + 「いつまで、あなたたちは私を悩ませ、いい加減な論法で言いくるめようとするのか。 + もう十回も、私が罪人だと決めつけた。そんなにひどく私を責め立てて、恥ずかしいと思わないのか。 + 私が悪いとしても、あなたがたはまだ、その事実を証明していない。 + 何もかもお見通しだと思っているようだが、それなら、私の落度を証明してみるがよい。 + いま言えることは、神が私を押し倒し、網で生け捕りにしたということだ。 + 必死に助けを求めても、だれも相手にしてくれない。声を限りに叫んでも、人間扱いさえしてもらえない。 + 神は私の道を遮断し、光を闇に変えた。 + 私の栄光をはぎ取り、冠を取り上げた。 + 私はとことんまで打ちのめされ、虫の息となった。もうおしまいだ。 + 神は私を敵視し、私に向かって怒りを燃やす。 + 神の送った軍勢は、私の回りを二重三重に取り囲む。 + 神は兄弟や友人たちまで遠ざけた。 + 親族は私を裏切り、友人も私を見捨てた。 + 家の者は、召使でさえ、私を赤の他人のように扱う。私は神を知らない外国人と同じ扱いを受けている。 + 召使は呼んでも来ない。こちらが手をついてお願いするしまつだ。 + 妻や兄弟からも、嫌われてしまった。 + 年端もゆかぬ子どもまでがさげすむ。起き上がって話しかけようとすると、あざけり笑う。 + 親友は私を毛虫のように嫌い、手塩にかけてきた者たちも背いた。 + 私は骨と皮ばかりになり、かろうじて助かったのだ。 + 友よ、お願いだ。神の怒りの手で打たれた、私の身にもなってくれ。 + 神といっしょになって、私をいじめないでくれ。これだけ私の悩みを見れば満足だろう。 + ああ、この訴えを鉄のペンで岩に書きつけ、いつまでも残せたらよいのに。 + だが、私は知っている。私を救うお方は生きておられ、ついには地上に降り立つのだ。 + この肉体が朽ち果てたのち、私は新しい肉体で神を見る。 + そのとき、神は私の味方になってくださるはずだ!そうだ、その時私の目に映る神は、見も知らぬお方ではなく、親しい友人であるはずだ!ああ、何とすばらしい希望だろう。 + なのにあなたたちは、私の刑が確定したかのように、臆面もなく私を責め立てている。 + 警告しておこう。そんな態度をとっていれば、あなたたちも罰せられることを忘れてはならない。」 + + + ナアマ人ツォファルの演説。 + 「もう我慢できない。どうしてもあなたに言ってやりたいことがある。 + 罪人呼ばわりしたことを取り上げて、私に恥をかかせるつもりか。私は自分の霊にせき立てられて、黙っていることができない。 + あなたにもわかっているはずだ。この地上に人が住むようになって以来、 + 悪者が勝ち誇るのはつかの間で、不信心な者の喜びは一夜の夢だ。 + たとえ彼が思い上がり、肩をいからせて歩いても、 + 糞のように捨てられ、永久に滅びる。彼を知る人たちは、どこへ行ったのかといぶかる。 + 彼は幻のように消え失せ、 + 友人も家族も、二度とその姿を見ることはない。 + 子どもたちは貧しい人に物乞いし、やっとの思いで負債を埋め合わせる。 + 彼がまだ若くても、その骨はちりの上に横たわる。 + 彼は悪の楽しみを覚え、それを口の中で溶かし、 + ゆっくり味わいながら、少しずつ飲み下す。 + ところが、それは突然、腹の中で苦くなる。 + たらふく食べた利得も吐き出さなければならない。彼が食べた物を消化するのを神はお許しにならない。 + それは彼を殺す毒となる。 + 盗品を自分のものにして財産を増やすことはできない。 + 労苦は報いられず、富も喜びを与えない。 + 貧しい者を虐待し、彼らの家を差し押さえたからだ。彼が元どおりになることはありえない。 + 彼の目はいつも貪欲に燃えていたが、今はすっかり貧乏になり、彼の夢みてきたものは、みな飛び去った。 + 彼は機会あるごとに盗みを働いたので、その財産はすぐになくなる。 + 権力を振りかざしている彼を、いきなり災難が襲う。不幸な人たちは、寄ってたかって彼を食い物にする。 + 彼が腹いっぱいになる寸前に、神の怒りが下る。 + 彼は追われ、ついに射止められる。 + 矢を抜くと、光る矢尻が胆のうから出てくる。彼は断末魔の苦しみで顔をゆがめる。 + 彼の宝は暗闇の中に隠される。燃えさかる炎が彼の持ち物をなめ、遺産をすべて焼き尽くす。 + 天は彼の罪をあばき、地は不利な証言を並べ立てる。 + 神の怒りの前には、富も役に立たない。ただ踏みにじられてなくなるばかりだ。 + これが悪者を待ち受ける運命だ。神がそのようにする。」 + + + ヨブの返答。 + 「私の言い分をよく聞け。とにかく、話させてほしい。そのあとで、好きなだけあざければよい。 + 人に対してではない。神に言いたいことがあるのだ。こんな状態なら、悩むのが当然だろう。 + まともに私を見てみるがよい。あまりの恐怖に、あなたがたは手を口に当てるだろう。 + 私さえ、自分の姿を見ると恐ろしくなって身震いする。 + 罪深い悪者が天寿を全うし、名を上げ、羽振りをきかせているのが現実だ。 + 彼らは子どもが成長するまで長生きし、孫の顔まで見ることができる。 + 家庭の心配事など一つもなく、平和そのものだ。しかも、神は彼らを罰しない。 + 家畜もどんどん増えるし、 + 快活な子どもたちにも恵まれる。 + 彼らは毎日、歌と踊りで明け暮れる。資産家となり、倹約などする必要もなく、死ぬまで栄える。 + 神を追い出し、神になどかかわりたくないと思っているのに、このようになるのだ。 + 彼らは大きな口をたたく。『全能の神だって? いったい、だれのことだ。なぜ神などに従わなきゃならないのだ。大したご利益もないのに。』 + 悪者がさわった物は、何もかも金になる。だが私は、そんな人々とはかかわりたくない。 + 悪者はいつでも罰を免れる。災いに会わず、神が悲しんだり、怒ったりするときも、彼らだけが見逃される。 + 風が彼らをわらのように吹き飛ばし、嵐が運び去るというのか。とんでもない。 + 『だが神は、少なくとも彼らの子どもを罰する』と言っても、私は納得できない。罪を犯した当人が罰されるべきで、子どもは罰されるべきではない。当人が身をもって、刑罰の痛みを思い知るべきではないか。 + 自分が悪くて滅びを招いたのだから、全能者の怒りを自分でのみ尽くすべきだ。 + そして死んで、二度と家族と楽しむこともできなくなるのだ。 + とはいえ、だれが、さばき主である神に異議を申し立てることができようか。 + 神は健康な者、富んでいる者、肥えている者、栄えている者を滅ぼす。 + 一方では、生まれて一度も幸せだったことのない貧しい人をも滅ぼす。 + どちらも、同じちりの中に埋められ、同じようにうじ虫の餌食になる。 + あなたたちの言おうとすることはわかっている。 + きっと、罪のために災いを招いた、金持ちの悪者を引き合いに出すことだろう。 + だが、手近な人に尋ねてみるがよい。 + 悪者はたいてい災いの日に命拾いし、逃げのびる、と答えるに決まっているから。だれも面と向かって彼を責めず、報復もしない。そればかりか、兵士が彼の墓を見張ってくれる。 + 盛大な葬儀の行列が続き、やわらかい土が彼を覆う。 + あなたがたは前提から間違っている。なぜ私を慰められると思っているのか。」 + + + エリファズの再度の演説。 + 「人は少しでも神の役に立つことがあるのだろうか。最高の知恵者でさえ、自分の役に立つだけだ。 + あなたが正しいからといって、全能者は喜ぶだろうか。あなたが完全だからといって、神の得になるだろうか。 + 罰を受けているのは、あなたが正しいからだろうか。 + とんでもない。悪いからこそ罰せられるのだ。あなたの罪は底なしなのだ。 + あなたは、相手の着ている物をみな担保に取らなければ、困っている友人に金を貸さなかったのではないか。彼らから身ぐるみはぎ取ったに違いない。 + のどが渇ききっている者にも水を飲ませず、飢えている者にもパンを与えなかったに違いない。 + ところが、権力者には欲しい物は何でもくれてやり、金持ちには好きな所に住まわせた。 + 気の毒な未亡人を手ぶらで追い返し、みなしごの腕をへし折った。 + だから今、突然の恐れに取りつかれ、暗闇と戦慄の波にのまれるのだ。 + 神は、天や星よりも高い所にいる偉大なお方だ。 + ところが、あなたは言う。『だから神には、私のしていることが見えないのだ。暗闇が覆っているのに、正しいさばきなどできるわけがない。 + 黒雲に取り巻かれて、神には何も見えない。神は、はるかかなたの空の上を、のんびり散歩しているだけなのだから。』 + 昔ながらの罪の道を歩いている者は早死にし、その人生の土台は押し流されることがわからないのか。 + 彼らは神に言った。『じゃまだから離れてくれ。全能者と言っているのに、何の役にも立たないではないか。』 + 私だったら、口が裂けてもこんなことは言えない。彼らは、神が良い物をいっぱい下さったことを忘れている。 + そこで今度は、正しい者が悪者の滅びるのを眺める番だ。潔白な者は悪者をあざけり笑う。 + 彼らは口々に言う。『見るがいい。敵の最後の一人が火で滅ぼされた。』 + 神に口答えするのはやめることだ。いさぎよく和解することだ。そうしたら、心に安らぎが訪れる。間違っていたことを素直に認めれば、神のいつくしみがある。 + 神の教えに耳を傾け、それを心にたくわえるのだ。 + 神に立ち返り、いっさいの悪を閉め出せば、あなたは元どおり栄える。 + 金銭欲を断ち切り、取っておきの黄金を捨てれば、 + 全能者があなたの宝となり、神が貴重な銀となるのだ。 + そのとき、あなたは主の恵みを感じて喜び、神を見上げる。 + 祈れば神が答えてくれるので、あなたも神への約束をみな果たすようになる。 + 望むことはすべて実現し、あなたの進む道には天の光がさす。 + たとい攻撃され、打ち倒されても、必ずまた高い地位に戻される。神は謙遜な者を救い、 + あなたのきよい手で、罪人をさえ助けるのだ。」 + + + ヨブの返答。 + 「今日も私は、やり場のない不満に苦しんでいる。間違いを犯したとしても、いくら何でも罰がきびしすぎるのではないか。 + 神とどこで会えるかがわかりさえすれば、さっそく御座へ行って談判できるのだが。 + こちらの言い分を何もかも話したうえで、神の返事を聞き、何がお望みなのかを知りたいのだ。 + 偉大な神が、私を威嚇して寄せつけないことがあろうか。むしろ、私の言うことを聞いて同情するに違いない。 + 正直で公正な者だけが神と論じ合うことが許され、さばき主である神によって無罪放免となる。 + ところが、いくら神を探してもむだなのだ。あちこち尋ねても見つからない。 + 北へ行っても見当たらず、南に向きを変えても、神は姿をくらましてしまう。 + しかし神は、私の身に起こった一部始終をご存じだ。私を調べてもらえば、神は私が完全に潔白であると認めるはずだ。そうだ、純金のように混じり気がない者だと。 + 私は神の道から離れず、神に従ってきた。一歩も脇道にそれたことはない。 + 神の命令は食事をする以上の楽しみだった。 + しかし、神が私について考えていることは変わるはずがない。神の決めたことは、だれにもくつがえせない。神は、望みどおりのことを意のままに行うからだ。 + 私に対しても、全部決めたとおりに行うだろう。これから、もっと多くのことが私に起こる。 + だから、私は怖くてたまらない。先のことを思うと、震えが止まらない。 + 私は、すっかり弱気になってしまった。全能の神は一面の闇で私を脅かす。右を見ても左を見ても、一寸先もわからないほどの闇だ。 + + + なぜ、神は法廷を開いて、私の訴えを聞いてくれないのか。なぜ、神を愛する者が待ちぼうけをくうのか。 + ちまたには犯罪があふれている。地境が移され、羊の群れが盗まれ、 + 貧しい人や孤児のろばまで奪われているではないか。貧しい未亡人たちは、担保に入れたわずかの物さえ取り立てられている。 + 生活に困っている者は押しのけられ、すごすごと引き下がる。 + 貧しい人は、野ろばのように、一日じゅうかけて、やっと何とか生きていけるだけの食料にありつく。子どもの食べる物を探しに、荒野にまで出かける。 + 彼らは野生の植物を口に入れ、悪者のぶどう畑の取り残しにさえ手を出す。 + 寒くても、裸で夜を過ごす。 + 山ではにわか雨に会ってずぶ濡れになり、住む家もないので洞窟の中で生活する。 + 悪者は貧しい人に金や穀物を貸す前に、父のない子を母親の乳房から奪い取り、その赤ん坊をまず担保として取る。 + だから貧しい人は着物もなく、裸で歩き回り、お腹をすかせながら、他人の食糧をかついで働く。 + オリーブ油を絞りながら味見もできず、ぶどうの実を踏みながらも、のどの渇きに苦しむ。 + 町には瀕死の病人のうめきが起こり、傷ついた者は助けを求めて叫ぶ。しかし、神は彼らの嘆きに答えようとしない。 + 悪者は光に反逆し、正義と善になじめない。 + 彼らは人殺しだ。夜明けとともに起き、生活に追われる者を殺す。夜になると盗賊と姦通者に早変わりし、『だれにも気づかれない時がきた』とほくそ笑み、夕暮れを待ち受ける。正体を見破られないように覆面をつけ、 + 夜の闇にまぎれて家々に押し込み、昼間に眠る。彼らは光を知らない。 + 彼らにとっては暗い夜が朝なのだ。彼らは暗黒の恐怖と手を結ぶ。 + だが、彼らはあっという間に地上から姿を消す。その持ち物はのろわれ、子どもに財産を残せない。 + 雪が日照りと暑さで跡形もなく消えるように、罪人は死ぬと影も形もなくなる。 + 生みの親さえ彼らを忘れ、うじ虫が湧いて、彼らを食い尽くす。二度と人の話題に上らない。罪人は、強風を受けた木のようにへし折られる。 + 頼りになる子どものいない者を食い物にし、貧しい未亡人を助けなかったからだ。 + ところが、どうしたことか。神は金持ちを保護し、他の者は死んでも、彼らだけを長生きさせることがある。彼らに自信と力を与え、あれやこれやと面倒を見る。 + だが、今どんなにうまくいっていても、彼らもやはり麦の穂のように刈り取られ、帰らぬ人となる。 + だれが、そうでないと言えよう。だれが、私はうそつきだと証明し、私の言うことは間違いだと言い張ることができるだろうか。」 + + + シュアハ人ビルダデの三度目の返答。 + 「神は力のある、恐るべきお方だ。神は天で平和をつくる。 + だれに、おびただしい御使いの数を数えることができるだろう。神の光は地をすみずみまで照らす。 + 人にすぎない者が、神の前に立ち、自分は正しいと主張できようか。胸を張って、自分は潔白だと言いきれる者は、この世界にただの一人もいない。 + 神の栄光はあまりにもまばゆく、月や星でさえ比べることもできない。 + まして、神の目には虫けらにすぎない人間は、なおさらのことだ。」 + + + ヨブの返答。 + 「そろいもそろって、なんという人たちだ。苦しみの中にいるこの私を、こんなにも励まし、助けてくれるとは。 + 思慮の足りない私を、ご親切にも、いろいろ教え導いてくれたわけだ。 + いったい、そんな才知あふれるこざかしい考えをどうやって思いついたのか。 + 死者は裸のまま神の前で震えている。 + 神はからっぽの空間に天を張り、何もないところに地をつるす。 + 神は雨を厚い雲に包み込むが、雲は裂けない。 + また、雲で御座を覆い、 + 海の境界線を決め、昼と夜の境目を設けた。 + 神がしかると、天の柱は大揺れに揺れる。 + 神の力によって、海は鎮まる。神は海の高ぶりを打ち砕く名人なのだ。 + 天は神の御霊によって美しく晴れ渡る。神はまた、素早くはって逃げる蛇を刺し殺す。 + こんなことは神にすればほんの小さなことで、御力がかすかにささやいただけにすぎない。まして、神が大声を出したとしたら、だれがそれに耐えられるだろう。」 + + + ヨブの最後の弁明。 + 「私の権利を奪い取った神よ、私のたましいを苦しめた全能者を指して誓う。 + 生きている限り、神が下さる息のある間は、 + 私は悪を語らず、うそを言わない。 + あなたたちの言い分が正しいとは絶対に認めない。最期の息を引き取るまで、私は身の潔白を主張し続ける。 + 自分が絶対に罪人でないことを、私は何度でもくり返して言う。私は生涯、良心に責められることがない。 + それを認めない者は私の敵だ。彼らは邪悪な者たちなのだ。 + 神を信じない者には、神にいのちを断たれるとき、何の望みがあるというのか。 + 災難が降りかかって悲鳴を上げても、神は聞いてくださらない。 + 彼が全能者を心の喜びとせず、困ったとき以外は神を心に留めないからだ。 + あなたたちに、神について教えよう。 + いや、ほんとうは、その必要はないのだ。あなたたちも私と同じくらい神のことを知っているのだから。それなのに、あなたたちは意味のないことばかりしゃべっている。 + 悪者が、全能者の手から受ける運命は決まっている。 + たとい子だくさんでも、その子らは戦死するか、あるいは飢え死にする。 + 生き残ったとしても、結局は病気で死んでしまう。しかも、だれも悲しんでくれない。妻でさえ嘆かない。 + うなるほどの財があり、たんすには衣装がぎっしり詰まっていて、 + それが特別あつらえの物ばかりであっても、結局は正しい人がそれを身に着け、彼の銀を山分けするようになる。 + 悪者の建てた家はくもの巣のようにもろく、ほったて小屋のように隙間だらけだ。 + 寝るときは金持ちであっても、朝、目を覚ますと財産がごっそりなくなっている。 + 彼は恐怖に襲われ、夜の間に嵐で吹き飛ばされる。 + 東風が彼を運び去り、彼は消えうせる。 + 神は情け容赦なく彼に襲いかかり、彼は神から逃げようと必死にもがく。 + 彼が死ぬと人々は歓声を上げ、非難の声を浴びせ、彼を永遠の世界へと追いやる。 + + + 人は銀を掘り出し、金を精錬し、 + 地から鉄をとり、石を溶かして銅をとる。 + 暗闇に明かりをともして縦坑を掘り、地底の神秘を探る。体に縄をかけ、死の陰に覆われた暗い穴の中につるされて、揺れ動きながら降りて行く。 + 人は地の表面から食物を得る方法を知っているが、地の下では火が燃えている。 + 人はサファイヤや砂金のありかを知っている。 + これらの宝は、猛禽も見たことがなく、鷲の目に触れたこともない。 + 鉱山のふところ深く眠っているからだ。野獣もそれを踏んだことがなく、ライオンもその上に爪を立てたことがない。 + 人は堅い岩を割り、山々をふもとからくつがえす。 + 岩山にトンネルを掘り、貴金属を露出させ、 + 川をせき止め、砂を洗って金をとる。 + こんなにも巧みに宝石を見つける人間も、どこで知恵と悟りを見つけたらよいか知らない。 + どのようにしてそれを手に入れるかわからない。実際、それは地上には見いだされない。 + 大洋は、『ここにはない』と言い、海は、『ここにもない』と答える。 + それは金や銀で買い取ることはできないし、 + オフィルの金や高価なしまめのう、それにサファイヤを山と積んでも、譲ってはもらえない。 + 知恵は、金や高価なガラス細工よりはるかに価値がある。宝石をちりばめた純金の器も知恵とは交換してもらえない。 + さんごや水晶を差し出しても、知恵を得ることはできない。知恵の値段はルビーよりもけたはずれに高い。 + エチオピヤのトパーズはもちろん、最高品質の純金をもってしても、知恵は手に入らない。 + では、知恵はどこへ行けば手に入るのか。どこで見つけることができるのか。 + それは全人類の目から隠されている。空を飛ぶ、鋭い目をした鳥でさえ、見つけることはできない。 + だが、滅びと死は、『知恵のことなら少しは知っている』と言う。 + 神はもちろん、それがどこにあるかご存じだ。地上をくまなく探し、天の下を余すところなく見つめているからだ。 + 神は風を吹かせ、海の境を決める。 + 雨の法則を作り、いなびかりの通り道を決める。 + 神は知恵のありかを知っていて、耳を傾ける者にそれを聞かせる。吟味に吟味を重ね、知恵を確かなものとする。 + 神は全人類に言う。『主を恐れることがほんとうの知恵、悪を捨てることがほんとうの悟りだ。』」 + + + ヨブの弁明の続き。 + 「神が目をかけてくださった昔がなつかしい。 + 神が私の歩く道を照らしたので、暗がりを歩いても守られた。 + まだ若かったころ、神の温かい思いやりは、家の中でも感じられた。 + 全能者は私とともにおり、子どもたちも回りにいた。 + 手がけることはみなうまくいき、岩も、私のためにオリーブ油を流れ出した。 + あのころ、私は町の門に行くと、長老の席に座った。 + 青年たちは私を見ると道をあけ、年老いた者も、わざわざ起立して敬意を表した。 + 領主たちは話しをやめ、手を口にあてた。 + 首長たちも声をひそめた。 + だれもが私の言うことに聞き惚れ、私をほめそやした。 + 私は曲がったことの嫌いな裁判官として、生活苦にあえぐ貧しい人や、身寄りのない子どもたちを助けてきた。 + 死にかかっている者に救いの手を伸ばすと、彼らは私を祝福した。未亡人には、喜びの歌を歌えるようにしてやった。 + 私のすることはみな正しく、うそ偽りがなかった。正義こそ、私の衣だったのだ。 + 盲人には目となり、足の不自由な人には足となって仕えた。 + 貧しい者には父親のようになり、一面識もない者でも、公平な裁判が受けられるように面倒をみた。 + 神を信じない無法者の牙を折り、彼らの口にくわえられていた犠牲者を助け出した。 + そこで考えたものだ。『きっと私は幸せに満ちた長寿を全うし、居心地の良い部屋で静かな最期を迎えるだろう』と。 + 私のすることはみな栄え、畑は夜露でうるおった。 + 次々と名誉が与えられ、私の能力は日ごとに高くなり、さえわたった。 + だれもが私のことばに耳を傾け、私の意見を尊重した。人々は私が発言するまで静粛そのものだった。 + そして話し終えると、それ以上何も言わなかった。私の助言が彼らを満足させたからだ。 + 彼らは日照りのとき雨を待ちこがれる人のように口を大きく開き、私が語りだすのを真剣な顔で待った。 + 失意に沈んでいるときでも、私が笑っただけで元気づき、明るさを取り戻した。 + 私は彼らに何をどうすべきかを教えた。また、指導者として、軍を指揮する王として、嘆く者を慰める者として、彼らに接した。 + + + ところが、今はどうだ。私より若い者たちが、私をさげすむ。彼らの父親は、私の家の番犬にも劣るというのに。 + 彼らには力がある。だが彼らは役立たずで、愚かな者にすぎない。 + 彼らはききんで骨と皮になり、荒れ果てた不毛の地や砂漠に放り出される。 + 食べる物といえば木の根や葉ばかりしかない、人里離れた所へ追いやられる。どろぼうを追うように、人々は彼らの背後から叫ぶ。 + 足のすくむような谷の斜面、洞窟、岩場が彼らの住みかとなる。 + やぶの中で獣のようにうめき、雨露をしのぐために、いら草の下に群がって体をすり寄せる。 + この愚かで役立たずの者たちは、世間から爪はじきにされた者たちの子だ。 + それなのに私は今、彼らの下品な歌でばかにされ、笑い者になっている。 + 彼らは私をさげすんで近寄らず、私の顔につばを吐きかける。 + 神が私のいのちを危険にさらしたからだ。若い者は、私に恥をかかせるだけでは足りず、今度はしたいほうだいのことを始めた。 + 私の足を引っかけて転ばせ、通り道に罠をしかける。 + 私の進む道をふさぎ、助ける者がだれもいないことを知ったうえで、早く死ねとばかりに攻め立てる。 + 四方八方から襲いかかり、倒れた私を踏みつける。 + 私は今、恐ろしくてしかたがない。こんな者たちにまで軽蔑され、あれほどの繁栄も、強風に吹き払われる雲のように消えたのだ。 + これが嘆かずにおられようか。昼は昼で気分が滅入り、 + 夜になればなったで、何もかもが物憂く、骨がけずり取られるような痛みが絶え間なく襲ってくる。 + 夜通し寝返りをうつと、着物がからまって身動きがとれなくなる。 + 神は私を泥の中に投げ込んだので、私はちりや灰のようになってしまった。 + ああ神よ、私がどんなに叫んでも、あなたはお答えになりません。あなたの前に立っても、あなたは顔をそむけたままです。 + あなたは残酷にも、本気で力まかせに私を責めます。 + 私をつむじ風に乗せ、嵐の中で五体をばらばらにします。 + 私を殺すつもりだということがわかります。 + 倒れた者が手を伸ばし、災難に会った者が助けを呼び求めるように、私は、この責苦から解放してくださいと願いました。 + 私は、困っている人のために涙を流した。貧しい人を見て、心から同情した。 + だから当然、祝福がくるものと思っていた。ところが、やってきたのは災いだった。光を望んだのに、暗闇がきた。 + 私の心は騒ぎ、休みなくいらだつ。 + 悲しみのあまり太陽さえも見えない。私は立ち上がり、人々に助けを呼び求めるが、何を言っても無駄だ。私は山犬の兄弟とみなされ、だちょうの仲間と思われているのだから。 + 病気のために皮膚は黒ずみ、むけ落ちた。高熱のために骨は焼けるように痛む。 + 喜びと楽しみの歌は、もはや嘆きの声となった。 + + + 情欲をもって女性を見ないようにする。私は、そう自分の目と契約を結んだ。 + みだらな者に、全能の神が災いを下すことを知っているからだ。 + 神は私のなすことすべてを見ている。 + 私がうそをつき、人を欺いたことがあるだろうか。 + もちろん、神は私の潔白をご存じだ。 + 私は、神の道を踏みはずしたことも、目に入るものへの欲望に取りつかれたこともない。そのほかの罪についても、全く身に覚えがない。もし少しでもやましいところがあったら、私が種をまいて育てた作物をほかの者が刈り取り、私の植えた木がみな根こそぎにされてもいい。 + 私が人の妻を欲しがったことがあるというなら、 + 殺されてもいい。私の妻が他の人の家に労働者として入り、あるいは他の人が彼女の夫になってもいい。 + 情欲は恥ずべき罪、罰せられるべき罪過、 + 何もかも焼き尽くす地獄の火だ。それは、私の植えたものをみな根こそぎにする。 + 少しでも召使たちを不当にあしらったことがあったなら、 + 神をまともに見ることなどできるわけがない。神にそのことを問いただされたら、何も答えようがない。 + 神は私を造り、また召使たちをも造ったからだ。 + 私が貧しい人を傷つけ、未亡人を泣かせたことがあるだろうか。 + 腹をすかせた孤児に、食べ物を恵まなかったことがあるだろうか。 + いつも、孤児を引き取って親身に世話をし、わが子同様に育てたではないか。 + 寒さにこごえている者に着る物を与えず、その人を暖めるために羊の毛を刈らなかったことがあるだろうか。 + だれにも責められないからといって、孤児の弱みにつけこんだことがあるだろうか。 + こんなことを一つでもしていたら、腕がつけ根からもぎ取られ、肩の骨がはずれてもかまわない。 + その程度の罰なら、どんなものより恐ろしい神にさばかれるよりましだ。威厳ある神を向こうに回したら、一片の望みもなくなってしまうからだ。 + 私が金銭を頼りにしたことがあるだろうか。 + 財産のあるなしを幸福の尺度にしたことがあるだろうか。 + あるいは、空に輝く太陽を見、銀の道に沿って動く月を見て、 + 心ひそかに魅せられ、手を合わせて拝んだことがあるだろうか。 + こんな行為も、裁判にかけて罰せられるべきだ。私がこんなことをしたのなら、天の神を否定したことになるからだ。 + 私は、敵が苦しむのを見て喜んだことがあるだろうか。 + 人をのろったり、復讐したりしたことなど一度もない。 + 召使を飢えさせたこともない。 + 見知らぬ人でも追い返したりせず、だれが来ても気持ちよく迎え入れた。 + 私は、アダムのように罪を隠したことがあるだろうか。 + 群衆におびえ、軽蔑されることを恐れて、罪を認めようとせず、人の力になることをためらったことがあるだろうか。 + 私の言い分を聞き、私の立場を理解してくれる者はいないのか。だれが何と言おうと、私は正しい。もし間違っていたら、全能者がそれを指摘すればよい。敵の起訴状が正当であることを、全能者が認めればよい。 + 私はそれを、冠のように大事にしまっておく。 + それから、自分が何をしたかを、包み隠さず神に打ち明け、堂々と自分の立場を弁護したい。 + もし私の土地が、そこの産物を盗んだとして私を責めるなら、あるいは、私が小作人を殺して、彼らの収穫を奪い取ったことがあるというなら、 + 小麦の代わりにいばらが生え、大麦の代わりに雑草がはびこるように。」ここでヨブのことばは終わりました。 + + + 三人の友人は、それ以上ヨブに答えるのをやめました。ヨブが、自分は潔白だと言い張って一歩も譲らなかったからです。 + このやりとりを聞いていた、ラム族のブズ人、バラクエルの子エリフは腹を立てました。ヨブが、罪を犯したことを認めず、正当な理由があるからこそ神が彼を罰したのだということを認めようとしなかったからです。 + エリフはまた、ヨブの三人の友人にも腹を立てました。ヨブの議論に満足な受け答えもできないくせに、ヨブを罪人呼ばわりしたからです。 + エリフは、自分の話す番がくるのを、ずっと待っていました。一番年下だったので、これまで遠慮していたのです。 + エリフは三人が答えに詰まったのを見ると、このときとばかり、怒りに震えながら、 + 口を開きました。「私はまだ若いし、皆さんは人生の大先輩だ。だから遠慮して、今まで黙っていた。 + 年長者のほうが賢いと言われているからだ。 + しかし、年をとれば自然に賢くなるというものでもないことがわかった。人を聡明にするのは、人のうちにある神の霊だ。 + だから、しばらく私の言うことを聞いてもらいたい。 + 私はこれまで、じっと皆さんの言い分を聞いてきた。ところが皆さんは、ヨブさんに罪を認めさせることも、彼が罪人であることを証明することもできなかった。 + 『人に罪を認めさせるのは神だけだ』などと、言いわけしないでもらいたい。 + ヨブさんが初めから私と議論していたら、私は絶対に、皆さんのような論法では答えなかった。 + だれも答えることばがなくなり、途方に暮れ、口をつぐんで座り込んでしまった。それでも私は待ち続けるべきだっただろうか。 + 私も、言うだけは言わせてもらう。 + さっきから、言いたいことがたくさんあって、うっぷんがたまっていたのだ。 + 密閉したぶどう酒のたるのように、私の腹は、今にも張り裂けそうだ。 + 思いきり語って、気分を晴らさせてほしい。 + 私は、人を侮辱することになるのを恐れて手かげんしたりしないし、だれにもへつらったりしない。遠慮なく言わせてもらう。神の罰を受けて死にたくないのだ。 + + + そこでヨブさん、私の言い分を聞いてもらいたい。 + いったん口を開いたからには、話を続けさせてほしい。 + 私は腹を割ってほんとうのことを言う。 + 神の御霊が私を造り、全能者の息が私にいのちを与えるからだ。 + 反論できるなら、遠慮しないで反論してほしい。 + 私はあなたが求めているような、あなたと神の間に立ち、双方の代弁者になれる人物だ。あなたを脅したり、怖がらせたりする人たちとは違う。私も、あなたと同じ、ただの人間だから。 + 確かに、あなたは私の聞いているところで、何度も言った。 + 『私は潔白だ。罪など犯していない』と。 + 神は重箱の隅をつつくように、一つのあらも見のがすまいと目を光らせ、あなたを敵視しているとあなたは言う。 + また、『神は私に足かせをはめ、ちょっとした動きでも監視する』とこぼしている。 + 私の答えを言おう。このように神を悪しざまに言うことこそが、そもそも罪なのだ。神は人より偉大ではないか。 + 神が自分のすることを、あなたにいちいち説明しないからといって、なぜ神に文句を言うのか。 + 神は何度でもお語りになる。 + それも、人が深い眠りについたあと、夜の夢と幻の中で。 + 神はこのような方法で、人の耳を開き、知恵と訓戒を授け、 + その心を変え、思い上がらないように守り、罪には刑罰のあることを警告し、罠に落ちないように守る。 + 神は、骨は折らないにしても、人に病気と痛みを送る。 + それで人は、生きる楽しみどころか食欲すら失い、いかにもおいしそうなごちそうでさえ見向きもしなくなる。 + 彼はやせ細って骨と皮だけになり、 + 死の一歩手前に近づく。 + しかし、そこに御使いがいて、友人として彼をとりなし、彼がいかに正しいかを告げるなら、神は彼をあわれんでこう言う。『彼を自由の身にせよ。死なせるな。彼の身代わりができたからだ。』 + すると彼は、子どものように元気になり、若さを取り戻して健康になる。 + 彼が祈ると、神はすぐさま答え、喜んで彼を受け入れ、彼を元の働き場に戻す。 + 彼は大声で友人に言う。『私は罪を犯したが、神は釈放してくださった。 + 私が死ぬのをお許しにならなかった。これからは光の中で生活しよう。』 + 神はたびたび、このようにして、 + 人のたましいを深い穴から引き上げ、いのちの光の中で生きるようにしてくださる。 + ヨブさん、そのことをよく考えてもらいたい。話すことはまだある。続けて聞いてもらいたい。 + これまでのところで何か言い分があるなら、遠慮しないで言ってほしい。私はあなたの正しさを認めたいと思っているのだから、喜んで聞く。 + 言うことがなければ、黙って、おとなしく聞いてもらいたい。これから、あなたに知恵を教えよう。」 + + + エリフのことばの続き。 + 「賢者の皆さん、私の言うことを聞いていただきたい。 + われわれは、聞きたい音楽を選び、食べたい料理を選ぶように、 + 正しいことには従うという選択をするべきだ。しかし、まず始めに、正しいとはどういうことか定義する必要がある。 + ヨブさんがこう言ったからだ。『私は潔白なのに、神はそうでないと言い、 + 私をうそつき呼ばわりする。私は罪など犯したこともないのに、恐ろしい罰を受けているのだ。』 + ヨブさんのように尊大な人間が、ほかにいるだろうか。何しろ、『神を喜ばせることなど時間の無駄だ』と言うほどだから、悪者たちとよほど親しくしていたに違いない。 + 理解力のある皆さん、私の言うことを聞いてほしい。神が罪を犯さないことぐらい子どもだって知っている。 + 大切なのはむしろ、神が罪人を罰するということだ。 + 神は絶対に悪を行わず、正義を曲げないということほど確かなことがあるだろうか。 + ただ神だけが、地上を支配する権威を持ち、正義をもって全世界を治める。 + 神がご自分の御霊を取り去ったら、 + いのちあるものはみな姿を消し、人は元のちりに帰る。 + 私のことばに耳を傾け、これから言うことを理解してほしい。 + もし、神が正義を憎むお方だとしたら、この世を治めることなどできるだろうか。あなたは、全能の裁判官をとがめるつもりか。 + 王や高貴な人に向かって、『おまえたちは不正を働く悪人だ』と言うこの神を、とがめるつもりか。 + 神は、どんなに身分の高い者をも特別に重んじることなく、貧しい人より金持ちを多少でもえこひいきしたりしない。どんな人間も、神が造ったからだ。 + 彼らはあっという間に死ぬ。身分の高い者も低い者も、真夜中に突然、人の手によらないで取り去られる。 + 神はすべての人の行動に目を注ぎ、何もかも見通している。 + 悪人が神の視線から身を隠せるような暗闇はない。 + だから、人を神の法廷に引き立てるには、何か大きな罪を犯すのを待つまでもない。 + 神は最高権力者を取り調べることもなく失脚させ、他の人を代わりに立てる。 + 彼らのすることを監視し、一夜のうちにそれをくつがえし、彼らを滅ぼす。 + また、公衆の面前で、彼らを悪者として打ちたたく。 + 彼らが神から離れてわき道にそれ、 + 貧しい者の叫びが神の耳に届いたからだ。神は虐待される者の叫びを聞く。 + 神が沈黙を守っているからといって、だれが神を非難できよう。神は、悪者が支配権をにぎらないようにして、国を滅亡から救う。その一方で、いとも簡単に一つの国を葬る。 + なぜ、人は神に、『私たちは罪を犯しましたが、もういたしません』と言わないのだろう。 + あるいは、『自分がどんな悪いことをしたのかわかりません。教えていただければ、すぐに改めます』と言わないのだろう。 + 神は、あなたの注文どおりに法を曲げるだろうか。あなたの移り気に合わせて、宇宙の秩序を変えるだろうか。答えはわかりきっている。 + ヨブさん、知恵ある人なら、あなたが思慮のない話し方をしているという私の意見に同意するはずだ。 + あんなに神を悪く言ったのだから、厳罰を受けて当然だ。 + あなたは、もろもろの罪に、背き、傲慢、冒瀆の罪を加えたのだ。」 + + + エリフのことばの続き。 + 「『私は罪を犯していない。それなのに、神の前では、罪を犯した者より幸いというわけではない』と、あなたは言う。 + 今、あなたばかりか、ここにいる皆の前で答えよう。 + はるかに高い天を見上げてみよ。 + あなたが罪を犯したところで、天をゆさぶり、神を御座から突き落とすことができようか。罪を山と積んだところで、神にとって、それが何になるのか。 + あるいは、あなたが正しいとしても、それで神に恩を着せることになろうか。 + あなたの罪は他の人を傷つけ、善行は他の人の役に立つこともあるだろうが、それだけなのだ。 + 人々は抑圧されて叫び声を上げ、金持ちの力に屈してうめく。しかし、誰ひとり、神に泣きつき、『私を造った神はどこにいるのか。夜には私に歌を与え、 + 私たちを獣や鳥より多少でも賢くするお方はどこにいるのか』と尋ねようとはしない。 + 神にこう問いかけたところで、神は、抑圧する者にすぐさま報復してくれるわけではない。 + かといって、神がこのような叫びに耳をふさいでいると思うのは間違いだ。 + 神は事の成り行きを見ていないと考えるのは、いっそう大きな間違いだ。神を待ち望みさえすれば、正しいさばきをしてくださる。神が怒ってすぐ罰しないからといって、大声を上げて神にかみついてはいけない。 + ヨブさん、あなたは愚か者のような口のきき方をしている。」 + + + エリフのことばの続き。 + 「もう少し続けさせてほしい。まだ、神について語るべきことがある。 + 私を造った方の正しさを説明するために、例話を引き合いに出そう。 + 私は豊富な知識を持っている。私が話すことは、混じり気のない真実ばかりだ。 + 神は全能だが、だれをもさげすまない。それに、神の理解力は完璧だ。 + 神は悪者を祝福せず、最大限の刑罰を加える。 + 神は正しい者を、陽の当たらない所には置かず、かえって栄誉を与えて永遠の王座につける。 + 彼らが災いに会い、奴隷となって苦しむと、 + 災いが起こった理由を示し、どのような悪いことをしたのか、またどのように思い上がっていたかを指摘してくれる。 + 神は、彼らが神の戒めを聞き、罪から離れるように力を貸す。 + 彼らが神に従うなら、一生の間祝福されて繁栄する。 + しかし、神のことばを聞かないなら、良識を失って戦場で倒れる。 + 一方、神を信じない者は神の怒りを買う。彼らは神に懲らしめられているときでも、神に立ち返ろうとしない。 + 快楽にうつつを抜かして堕落し、若死にする。 + 神は悩んでいる者を救い出す。人は苦しむと、神のことばを聞くようになる。 + 神はどんなにか、あなたを危険から救い出し、心地いい広々とした所へ連れて行き、そこであなたを繁栄させたいと思っていることか。 + しかし、あなたは、他人への不平不満にとらわれすぎている。 + 他人への怒りが昂じて、神を愚弄することがないように注意せよ。苦しいからといって、あなたを助け出せる、ただ一人のお方に憎しみを抱いてはならない。 + 大声で叫べば、神は恥じて悔い改めると本気で考えているのか。そんなことで、あなたへの懲らしめが終わるだろうか。 + 神のさばきによって人々が取り去られる夜を求めるな。 + 悪をきっぱり捨てなさい。そもそも夜は、今の苦しみの原因である悪の生活から、あなたを守るためにあったのだ。 + 神は全能だ。神のようなすばらしい教師はいない。 + 神のすることに対して、ばかげているとか、悪質だと言える者はいない。 + 目をみはるようなみわざを覚えて、神をほめたたえなさい。 + すべての人が、遠くからこのみわざを眺めたのだ。 + 神はあまりにも大きいので、神を知る手がかりさえつかめない。永遠というものを理解できる者はだれもいない。 + 神は水蒸気を吸い上げ、冷やして雨とし、 + 空から地上に降らす。 + だれが雲の広がりと、雲の中の雷とを正確に知っているだろう。 + どのようにして神がいなずまを走らせ、山々の頂上を雲で覆うかを見よ。 + 神は、自然界のとてつもない力によって、人々を罰し、祝福し、食べ物を豊富に与える。 + 神は両手にいなずまの矢をたくさん握っていて、その一本一本を的めがけて投げつける。 + 雷の中には神の気配が感じられる。牛でさえ、いつ嵐が来るかを知っているのだ。 + + + 私の心はおののく。 + 神の声である雷の音を聞け。 + 雷が天を渡って来ると、いなずまの閃光が四方八方に散る。 + そのあとで、耳をつんざくような雷鳴がとどろく。神の威厳を告げ知らせているのだ。 + 雷鳴は神の声に栄光を添える。神の力の偉大さは測り知れない。 + 神が雪や夕立や豪雨を地上に降らせると、 + すべての人は仕事の手を休め、神の力を認める。 + 野獣は岩間やほら穴に避難する。 + 雨は南から、寒さは北から来る。 + 神が川の上に息を吹きかけると、急流でさえ凍りつく。 + 神が雲に水分を含ませると、雲はいなずまをまき散らす。 + いなずまは神の命令どおり、地を行き巡る。 + 神が嵐を起こすのは懲らしめのため、また、いつくしみで人々を元気づけるためだ。 + ヨブさん、あなたには、神のすばらしい奇跡をじっくり考えてもらいたい。 + あなたは、どのようにして神が自然界を支配し、雲間にいなずまをひらめかすのか知っているだろうか。 + 雲は完全な調和をもって見事につり合っているし、南風が吹くと暑くなる。いったいどうしてそうなるのか、知っているだろうか。 + あなたは神のように、途方もなく大きな鏡のような空を張り広げることができるだろうか。 + 自分には豊富な知識があると考える人がいたら、神に近づく方法を教えてもらいたい。私たちはあまりにも鈍く、何もわかっていないからだ。はて、そんな知識で神に近づけるだろうか。生きたままのみ込まれてもよいというのか。 + 風が雲を吹き払うと、まぶしくて太陽をまともに見ることができないように、 + 天の切れ間から差し込む、目のくらむような輝きを放つ神の威厳を見つめることは不可能だ。 + 全能者の力を推し量ることはできない。しかし、神はこの上なく正しく、思いやりにあふれているので、私たちを滅ぼさない。 + 人々が神を恐れるのは不思議ではない。世界最高の賢者も、神を感心させることなどできないのだから。」 + + + その時、神はつむじ風の中からヨブに答えました。 + 「なぜおまえは、わたしの摂理を否定しようとして、無知をさらけ出すのか。 + さあ、遠慮なく向かって来なさい。これから幾つかの質問をするから、答えてみなさい。 + わたしが地の土台をすえた時、おまえはどこにいたか。わかるなら言ってみよ。 + おまえは地の寸法がどのようにして決められ、だれがその調査に当たったかを知っているか。 + その土台を支えるものが何か、だれが隅の親石をすえたかを知っているか。その時、明けの明星は声を合わせて歌い、御使いたちは歓声を上げた。 + 海が地の底から吹き出た時、だれが、その境界線を決めたか。だれが、雲と暗闇を海の着物とし、 + 海岸線で区切って、それをせき止め、 + 『ここまでだ。これ以上、来てはいけない。おまえの高ぶる波はここで止まるのだ』と言ったか。 + おまえはただの一度でも、朝に姿を現せと命じ、暁を東の空から昇らせたことがあるか。 + 夜明けの光に、地上をくまなく照らして、不法な夜の支配にとどめを刺せと命じたことがあるか。 + 暁を赤く彩り、 + 悪者の巣を乱し、振り上げられた腕をとどめたことがあるか。 + おまえは海の源である泉を探り、深海の底を歩いたことがあるか。 + 死の門のありかを突き止めたことがあるか。地の広さを見きわめたことがあるか。知っているなら言ってみるがいい。 + 光はどこから来るか。どうしたらそこへ行き着けるか。暗闇についてはどうか。それはどこから来るか。 + その境を見つけ、その源まで行くことができるか。 + おまえがこれらのものが造られる前に生まれ、じゅうぶんな経験を積んでいるというのなら、そんなことは、すべて知っているはずだ。 + おまえは、雪の倉に行ってみたことがあるか。雹が造られ蓄えられる場所を見たことがあるか。わたしはそれを、戦いの時に使おうと保管している。 + 光の分岐点に通じる道はどこにあるか。東風の故郷はどこか。 + 大雨の水路として谷を掘ったのはだれか。だれがいなずまの道を造り、砂漠に雨を降らせ、乾ききった不毛の大地に水をじゅうぶん吸わせ、やわらかい草を生えさせるのか。 + 雨には父親があるか。露はどこから来るか。 + 氷と霜の母親はだれか。 + 水は姿を変え、石のように固い氷になるではないか。 + おまえは星を取り抑え、オリオン座やスバル座を引き止めることができるか。 + 四季の順序を正しく決め、牡牛座のすべての星を正しい軌道に導くことができるか。 + 宇宙の法則に通じ、天がどのような影響を地に及ぼすかを知っているか。 + おまえの叫び声を雲にまで届かせ、そこから雨を降らすことができるか。 + いなずまを呼び寄せ、意のままに雷を落とすことができるか。 + 人に直観や本能を授けたのはだれか。 + 雲を全部数えられるほど知恵のある者がいるか。土地が乾ききって固まり、ほこりだらけになるとき、だれが天の水がめを傾けることができるか。 + 子どものライオンがほら穴に伏し、またジャングルの中に寝そべって食べ物を待つとき、おまえは母親のライオンのように、獲物に忍び寄ってしとめることができるか。 + からすの子がひもじさを訴えて巣の中で背伸びし、神に鳴き叫ぶとき、親がらすに餌を与えるのはだれか。 + + + おまえは、野やぎがどのようにして子を産むのか知っているか。その光景を見たことがあるか。 + それが身をかがめて子を産み落とし、体内の重荷から解放されるまでに、何か月みごもっているのか知っているか。 + 野やぎの子らが野原で成長すると、親のもとを離れ、二度と帰って来ない。 + だれが野ろばを野生にしたか。 + このわたしが、それを荒れ地に放ち、住みかとして不毛の地を与えたのだ。 + 野ろばはにぎやかな町を嫌い、追い手の叫び声を聞くことをいやがる。 + 山や丘が彼らの牧場だ。彼らはそこで、ありとあらゆる緑の草を探す。 + 野牛はおまえに素直に仕えるだろうか。飼い葉おけのそばに寄って来るだろうか。 + おまえは野牛を使って畑を耕せるか。野牛は馬鍬を引いてくれるだろうか。 + 野牛は力が強いからといって、おまえは頼りにするだろうか。野牛に、どこで働くかを自由に決めさせるだろうか。 + 野牛を使いに出したら、打ち場から穀物を運んで来てくれるだろうか。 + だちょうは誇らし気にはばたくが、母親の愛は持ち合わせていない。 + 地面の上に産んだ卵を、砂に温めさせるだけだ。 + だれかに踏まれたり、野獣につぶされたりするのを忘れている。 + まるで自分の子ではないかのように冷淡にあしらい、死んでもいっこうに気にしない。 + わたしが知恵を奪ったからだ。 + ところが、だちょうはいったん跳びはねて走りだすと、どんなに速い馬をも追い越す。 + おまえが馬に力を与えたのか。風になびくたてがみを、その首につけたのか。 + 馬をいなごのように跳びはねさせることができるか。そのすさまじいいななきは、なかなかのものだ。 + 馬は地面を前足でかき、自分の力を誇る。いったん戦場に出ると何ものをも恐れず、矢が雨あられと降って来ようと、光る槍と投げ槍が飛んで来ようと逃げ出さない。 + 戦闘ラッパが鳴り渡ると、前足で激しく地面をかき、疾風のように敵陣へと駆けて行く。 + ラッパの鳴るたびにヒヒーンといななき、遠くから戦いの匂いを嗅ぎつける。ときの声と、命令を伝える指揮官の怒号を聞くと喜ぶ。 + おまえは、鷹がどのようにして高く舞い上がり、南方をさして翼を広げるかを知っているか。 + 鷲が崖の上に高くのぼって巣を作るのは、おまえの指図によるのか。 + 鷲は崖の上に住み、自然の要害を住みかとする。 + そこから、はるか遠くにいる獲物をうかがう。 + 鷲は死んだ動物を見つけて運び、ひなはその血を吸う。」 + + + 主はさらに続けました。 + 「おまえはまだ全能者と口論したいか。それとも降参するか。神を批判する者よ、答えてみよ。」 + ヨブは主に答えました。 + 「私は何の値打ちもない者です。どうして答えることができましょう。口に手をあてて黙り込むだけです。 + 私は語りすぎました。」 + 主は再びつむじ風の中から、ヨブに語りかけました。 + 「さあ、男らしく立ち上がり、戦いに備えて身を引き締めなさい。そして、わたしの質問に答えるのだ。 + おまえは自分の正しさを主張しようとして、わたしのさばきを信用せず、わたしを罪人呼ばわりするのか。 + おまえは神のように強く、神のような大声で雷鳴をとどろかせることができるか。 + そうだとしたら、おまえの尊厳と威光を身にまとえばよい。 + おまえの怒りを吐き出し、思い上がった者の上にまき散らすのだ。 + 横柄な者をひと目でへりくだらせ、悪者をその場で踏みにじれ。 + 彼らをちりの中に沈め、死者の牢獄につなげ。 + それができたら、自分の力で自分を救えるとおまえが言っていることを正しいと認めよう。 + 河馬を見よ。わたしはおまえを造ったように、河馬も造った。河馬は牛のように草を食べる。 + がっしりした腰と腹の筋肉を見よ。 + 尾は杉のようにたれ、ももの筋はしっかり編み合わせてある。 + 背骨は真鍮の管のようにまっすぐ伸び、肋骨は鉄の棒のようだ。 + 河馬は、わたしが造ったものの中でも飛びきり凶暴だ。河馬を手なずけたいと思ったら、鋭い剣が必要だ。 + 山々は最高の食べ物をそれに差し出す。河馬は山々の野獣を餌として食べる。 + 河馬は葦の茂みに隠れた蓮の下に横たわる。 + 蓮がこれを覆い、川のほとりの柳がこれを囲む。 + 河馬は川が荒れ狂っても騒がず、水嵩の増したヨルダン川が押しかぶさっても動じない。 + だれも、不意に襲って捕まえることができない。鼻に輪をつけ、引きずることもできない。 + + + おまえは糸とつり針で巨獣をつり上げたり、舌に輪縄をかけたりすることができるか。 + 鼻に綱を通して、つなぎ止めたり、あごを大釘で刺し通したりできるか。 + 巨獣は、やめてくれと哀願したり、おまえの機嫌をとろうとしたりするだろうか。 + いつまでもおまえの奴隷になることを承知するだろうか。 + 小鳥のように飼いならしたり、幼い娘の遊び相手として与えたりできようか。 + 漁師仲間はそれを魚屋に売るだろうか。 + その皮を投げ槍で傷つけたり、頭にもりを打ち込んだりできようか。 + 頭に手を乗せようものなら、そのあとに起きる恐ろしい格闘のことがいつまでも頭にこびりつき、もう二度と手出ししなくなる。 + 生け捕りにすることなど、もってのほかで、考えただけでぞっとする。 + それを怒らせるほど勇気のある者はいない。まして、それを征服するなど大それた話だ。誰ひとりその前に立ちはだかることができない。だとしたら、だれがわたしの前に立てようか。 + わたしはだれにも借りがない。天の下にあるものはみな、わたしのものだからだ。 + また巨獣には、手足や巨大な体全体にみなぎる、途方もない力がある。 + だれがその厚い皮をはいだり、上顎と下顎の間に入ったりできるだろうか。 + その鋭い歯は見るからに恐ろしい。 + 巨獣が誇りとする、びっしり重なり合ったうろこは、空気も通さず、どんな物でも刺し通すことができない。 + それがくしゃみをすると、陽の光は霧の中で、いなずまのように光り、その目は火花のように輝く。 + 口は火を吐き、 + 鼻の穴からは煙が出る。乾いた藺草を燃やして煮えたぎらせた釜から立ち上る水蒸気のように。 + その息は炭火を起こし、口からは炎がほとばしる。 + 首には途方もない力があり、行く先々で混乱を巻き起こす。 + 肉はやわらかな脂肪ではなく、肉は固くしまっている。 + 心臓は岩のように堅く、まるでひき臼のようだ。 + それが体を起こすと、勇者もおじけづき、恐怖に取りつかれる。 + 剣も、槍や投げ槍も、先のとがったもりも、その行く手をさえぎることができない。 + 巨獣にとっては、鉄もわらと変わらず、真鍮も腐った木のようなものだ。矢もそれを追い払えず、投石器もわら同様に効き目がない。 + 棍棒も歯が立たない。巨獣は飛んで来る投げ槍をもあざ笑う。 + 腹は瀬戸物のかけらのように鋭いうろこで覆われ、体を引きずって歩けば、地面は削り取られる。 + それが興奮すると水を沸き立たせ、深い淵をかき混ぜる。それが通ったあとには光るあわの筋が残るので、人は海は霜からできていると思うだろう。 + これほど恐れを知らぬものは地上にいない。 + それは、獣の帝王で、獣の中で最も威厳がある。」 + + + ヨブは主に答えました。 + 「あなたはどんなことでもできるお方で、だれもあなたの働きを止めることができないことがわかりました。 + 愚かにもあなたの摂理を否定する者はだれかとお尋ねですが、それはこの私です。私は何もわかっていないことを口走り、及びもつかない不思議を論じていました。 + 『わたしの言うことをよく聞け!おまえに質問するから、答えられるなら答えてみよ』と、あなたはおっしゃいました。 + 私には、こう申し上げるほかありません。『あなたのことはずっと前から聞いていましたが、今私は、あなたをこの目ではっきり見たのです。 + 私は、つくづく自分がいやになり、ちりと灰の中で悔い改めます。』」 + 主はヨブに語り終えたのち、テマン人エリファズにこう言いました。「おまえと二人の友人に、私は怒りを燃やしている。おまえたちがわたしについて語ったことは、わたしのしもべヨブのようには正しくなかったからだ。 + 今、若い雄牛七頭と雄羊七頭をヨブのところへ引いて行き、自分たちのために焼き尽くすいけにえとしてささげてもらいなさい。ヨブはおまえたちのために祈るだろう。わたしは彼の祈りを聞き入れる。おまえたちはヨブについて間違ったことを言ったが、わたしはその罪のために、おまえたちを滅ぼすことはしない。」 + テマン人エリファズ、シュアハ人ビルダデ、それにナアマ人ツォファルは、命じられたとおりにしました。主はヨブの祈りを聞きました。 + ヨブが友人のために祈ると、主はヨブを、元どおりの裕福で幸せな生活に戻しました。それどころか、前の二倍の物を与えたのです。 + 兄弟姉妹をはじめ、以前の友人たちが一人残らずやって来て、ヨブの家で彼を囲んで食事をしました。悲しみ抜いたヨブをいたわり、主から受けたすべての試練のことでヨブを慰め、めいめい銀や金の指輪を贈りました。 + ヨブの晩年は、初めよりずっと祝福されました。羊を一万四千頭、らくだを六千頭、千くびきの牛、雌ろば千頭を持つ身となったのです。 + そればかりか、息子を七人、娘を三人も授かりました。娘の名は、エミマ、ケツィア、ケレン‧ハプクです。 + ヨブの娘たちほど美しい女性は、どこにもいませんでした。ヨブは、息子たちだけでなく娘たちにも、遺産を分け与えました。 + そののち、ヨブは百四十年生き長らえ、孫も曾孫も見ることができました。 + こうしてヨブは十分に年老いるまで生き、幸いな人生を終えたのでした。 + +
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+ + なんと幸いでしょう。悪者のたくらみに耳を貸したり、罪人といっしょになって神のことをさげすんだりしない人は。 + その人は、主がお望みになることを何でも喜んで行い、いつも、主の教えを思い巡らしては、もっと主のみそばを歩もうと考えます。 + その人は、川のほとりに植えられた、季節が来ると甘い実をつける木のようです。その葉は決して枯れず、その人のすることは、みな栄えます。 + しかし罪人には、逆の運命が待っています。彼らは風に吹き飛ばされるもみがらのようで、 + 神のさばきにたえず、神に従う人とともに立つことはできません。 + 主はご自分に従う人の行く道を、守ってくださいますが、神に背く者の行き着く先は滅びです。 + + + 主に向かって怒り狂うとは、なんと愚かな国々でしょう。神を出し抜こうとするとは、なんと身のほど知らずな人々でしょう。 + 地上の王たちが相集い、主と、主に油注がれた者への反逆をもくろんでいます。 + 彼らは言います。「さあ、神の鎖を断ち切ろう。神から解放されようではないか。」 + 天におられる神は、彼らのむなしい計画を聞いて笑います。 + それから、激しい怒りを燃やしてしかりつけ、彼らを恐れおののかせます。 + 主は言われます。「これがわたしの選んだ王だ。わたしは彼を、わたしの聖なる都エルサレムで即位させた。」 + 選ばれた方が答えます。「主の永遠の目的を知らせましょう。主は私に、『わが子よ、今日はあなたの戴冠式だ。今、わたしはあなたに、子にふさわしい栄光を与える』と告げられました。」 + 「わたしに願い求めよ。そうすれば、世界のすべての国を授けよう。 + 国々を鉄の杖で治め、粘土のつぼのように砕くがよい。」 + ああ、この世の王、支配者たちよ。手遅れにならないうちに聞きなさい。 + 敬虔な恐れを抱いて主に仕え、おののきをもって喜びなさい。 + 神のひとり子の前にひれ伏し、その足に口づけしなさい。主の怒りにふれて、滅ぼされてしまう前に。私はあなたに警告しておきます。主の怒りがまもなく燃え上がろうとしています。主に信頼する人は、なんと幸いでしょう。 + + + [ダビデが王子アブシャロムに追われて逃げた時の賛歌。]ああ主よ。どうして、こんなに多くの者が私に逆らうのでしょう。どうして、こんなに多くの者からいのちを狙われるのですか。右も左も敵ばかりです。 + 神が私をお助けになるはずはないと、だれもが口をそろえて言います。 + しかし、主は私の盾、私の栄光、ただ一つの望みです。主だけが、恥辱にまみれてうなだれている私の頭を、高く持ち上げてくださいます。 + 私が大声で叫ぶと、主はエルサレムの神殿から答えてくださいました。 + 私は安心して横になり、ぐっすりと眠りました。主が守ってくださったからです。 + たとえ何万の敵に包囲されても、私は恐れません。 + 私は主を呼び求めます。「主よ、立ち上がってください。神よ、お救いください。」すると、主は敵の顔を平手打ちして侮辱し、彼らの歯を打ち砕きます。 + 救いは神から来ます。神はご自分の民に、なんと大きな喜びをお与えになることでしょう。` + + + ああ神よ。あなたは私を、御目にかなった完全な者だと言ってくださいました。私が苦しんでいるとき、いつも気にかけてくださいました。今また、私はあなたを呼び求めます。どうか答えてください。私をあわれみ、私の祈りを聞いてください。 + 主は問われます。「人の子らよ、こんな空しい偶像を拝んで、いつまでわたしの栄光をはずかしめるのか。偶像が神であるはずなどないのに。」 + 人の子らよ、よく心に留めておきなさい。主は救われた人々を、ご自分のためにえり分けました。だから、私の声に耳を傾けて、答えてくださるのです。 + 恐れかしこんで、主の前に立ちなさい。主に対して罪を犯してはいけません。寝床で、静かに思い巡らしなさい。 + 主に信頼し、主に喜ばれる供え物をささげなさい。 + 神が助けるはずはないと、だれもが言っています。ああ主よ、御顔の光で私たちを照らし出し、彼らが誤っていることを実証してください。 + あなたから頂いた喜びは、刈り入れ時に人々が穀物の山を眺めて喜ぶよりも、はるかにまさっています。 + 私は安心して横になり、眠りにつきます。たとえひとりぼっちでも、ああ主よ、あなたはすべての危険から守ってくださるのです。 + + + ああ主よ、この祈りを聞いてください。王なる神よ、私の嘆きに耳を傾けてください。私はあなた以外のだれにも、決して祈ったりしません。 + 朝ごとに、天におられるあなたを見上げ、御前に願い事を申し上げ、ひたすら祈ります。 + あなたは、どんな小さな悪も喜んだりなさらず、ささいな罪でも大目に見たりはなさいません。 + ですから、おごり高ぶる罪人たちは、あなたの鋭い視線を逃れて罪を知られないままでいることはできません。あなたは悪事を徹底的に憎まれるからです。 + うそはあばかれ、彼らは滅ぼされます。主は、殺人と欺きをどんなにお嫌いになることでしょう。 + しかしこの私は、あわれみと愛に守られて、神殿へまいります。心の底から恐れかしこんで神を礼拝します。 + 主よ、お約束のとおり、私を導いてください。そうでなければ、敵に踏みにじられてしまいます。何をすればよいのか、どちらへ進むべきか、はっきりとお教えください。 + 彼らはうそばかりつき、心は悪い思いで満ちています。彼らの誘いには罪と死の悪臭がただよいます。彼らは甘いことばで人々を欺き、邪悪な目的をはたそうとしています。 + ああ神よ、彼らに責任をとらせてください。自分でしかけた罠にかからせてください。自らの罪の重みに耐えかねて、その下敷きになりますように。彼らは神に背いたのですから。 + しかし、すべて神を信頼する者には、喜びを与えてください。神がかばってくださることを知って、彼らがいつまでも喜びの声を上げますように。神を愛する人たちを、幸福にひたらせてください。 + 神は心から信じる者を祝福されます。主よ、あなたは愛の盾で彼らを囲まれます。 + + + 主よ、お願いです。御怒りのままに私を罰しないでください。 + ああ主よ、あわれんでください。私は弱い者です。どうかいやしてください。私は病んでいるのです。 + 狼狽し、心がかき乱されています。不安に駆られ、気分がすっかりめいっています。ああ、私を早く元どおりにしてください。 + ああ主よ、帰って来て、私を健康にしてください。あわれんで、お救いください。 + 死んでしまっては、友の前であなたをほめたたえることもできません。 + 痛みのため、私はやせ細りました。夜ごと涙で枕をぬらします。 + 敵のために嘆き、そのために目も衰え、かすんできました。 + 不法を行う者ども、私から離れて行け。私の泣き声は天に届き、 + 訴えも聞き届けられた。主は私の祈りにすべて答えてくださる。 + 敵はみな、恥を見、恐れにわななき、恥辱を受ける。神は彼らに恥をかかせて追い返します。 + + + 私の神、主よ。頼れるのは、ただあなただけです。どうか、迫害する者からお救いください。 + だれも助ける者がいないために、彼らがライオンのように襲いかかり、私をさらって行くことがありませんように。 + 主よ。もし、私が悪事を働いているのなら、 + 悪をもって善に報い、えり好みして人を不当に攻撃しているというのなら、 + もしそうであれば、敵が私を滅ぼし、押しつぶし、ちりの中でこのいのちを踏みにじることを神がお許しになったとしても、私は何も言えません。 + しかし、主よ。怒り狂う敵に対しては、どうぞ怒りをもって立ち上がってください。目を覚ましてください。どうか、正しいさばきを行ってください、主よ。 + 異邦の民を召集し、高い座から彼らの罪をさばいてください。そして、私の潔白を明らかにしてください。全員の前で、私の名誉を回復し、誠実を証明してください。 + ああ主よ、すべての悪を根絶やしにし、心の底から主を礼拝する者を祝福してください。正しい神である主は、人の心の奥底まで見抜き、いっさいの動機と思いとをお調べになります。 + 神は私の盾。私を守ってくださるお方です。神は、真実で正しい人を救われます。 + 神は公平な裁判官。日々、悪者には怒りを燃やします。 + 悔い改めない者を研ぎすました剣で殺します。神は弓を引きしぼり、 + 恐ろしい火の矢をつがえています。 + 悪者は良くないことを考え、陰謀を企てては、偽りと背信に走ります。 + そのような者たちは、自らしかけた罠に落ち込みます。 + 他人にふるった暴力がわが身に跳ね返り、いのちを奪われるといいのに。 + ああ、どれほど主に感謝していることでしょう。その恵みは測り知れません。王の王なる主の御名を、力の限りほめ歌います。 + + + ああ私たちの主よ。御名の威厳と栄光は全地に満ち、天にみなぎっています。 + あなたは幼子たちに、あなたを真心からほめたたえよと教えられました。その子どもたちの姿に、敵が恥じ入って、口をつぐみますように。 + 夜空を仰いで、あなたが造られた月や星を眺めると、 + なぜ、取るに足りないちっぽけな人間を心に留め、目をかけてくださるのか不思議です。 + ところがあなたは、御使いにほんの少し及ばないだけの者として人を造り、栄光と誉れの冠を与えられました。 + あなたは、お造りになった万物を、人の手にゆだねられ、いっさいのものは人の支配下にあります。 + 牛も羊も、また野獣も、 + 鳥、魚、すべての海の生物も。 + 私たちの主よ。御名の威厳と栄光は全地に満ちています。 + + + ああ主よ。心を尽くしてあなたをたたえます。目をみはるばかりの働きを、すべての人に伝えます。 + 私はうれしくてなりません。あなたのおかげで喜びがあふれてきます。あらゆる神々にまさる神、主よ。私はあなたをほめ歌います。 + 敵は御前でたじろぎ、滅び去ります。 + あなたは私を弁護してくださいました。御座から私の行いを支持し、私の潔白を保証してくださいました。 + あなたは諸国の民をしかり、悪者を滅ぼし、その名を永久に消し去られました。 + 敵対する者たちよ。おまえたちの行き着く先は、永遠の滅びだ。主はおまえたちの町々を廃墟となさるので、その町があったことさえ、人々の記憶から消えうせるだろう。 + しかし、主は永遠に生きておられます。主は御座につき、世界中の国々を正しくおさばきになります。 + 虐待された人々はみな、主のもとに来ます。主は苦しむ人々の隠れ家です。 + 主よ。主のあわれみを知る者はみな、助けていただけることを期待しています。主はいまだかつて、ご自身に頼る者をお見捨てになったことがないからです。 + エルサレムに住まわれる神に、賛美の歌をささげよう。世界中の人に、永久に忘れ去られることのない神のみわざを伝えよう。 + 人を殺す者に報復なさるお方は、正しいさばきを求める者の叫びに耳を貸します。苦しんで助けを求める者の祈りを退けたりなさいません。 + ああ主よ、私をあわれんでください。私を憎む者の手にかかって私がどんなに苦しんでいるか、目を留めてください。主よ、死の口から私を引き出してください。 + どうかお救いください。そうなれば、エルサレムの門に集まるすべての人の前であなたをたたえ、救い出された喜びを語ることができます。 + 異邦の民は、人を落とそうと掘った穴に落ち込みます。自分のしかけた罠にかかります。 + 悪者は地獄へ送り込まれます。これが、主を忘れた民の定めです。 + 困っている者の窮状は、いつまでも放っておかれるわけではありません。貧しい者の願いは、いつも踏みにじられるとは限らないのです。 + ああ主よ、立ち上がってください。異邦の民をさばき、罰してください。彼らがあなたに勝ち誇ったりしませんように。 + 彼らを恐れおののかせてください。異邦の民に分をわきまえさせ、自分たちが取るに足りない人間にすぎないことを、思い知らせてください。 + + + 主よ、なぜ、遠く離れて立ち、主を一番必要としているときに、お隠れになるのですか。 + 今来て、貧しい者を邪険に扱う高慢な者どもに立ち向かってください。彼らの悪だくみを、その頭上に返してください。 + 彼らは、汚れた欲望を自慢し、主をののしり、主に忌みきらわれる者どもと意気投合しています。彼らにとっては、金銭だけが人生の目的なのです。 + この悪者どもは高慢で横柄で、神は死んだとみなしているようです。神を求める気持ちなど、毛頭ありません。 + ところが、手がけることは何でも成功し、敵をなぎ倒していきます。神の刑罰が待っていることを考えもしないのです。 + 「神も人も大した相手ではない」と彼らはうそぶきます。そしてどういうわけか、道を切り開いていくのです。 + 彼らの口には、冒瀆と偽りと欺きとが満ちています。常に悪だくみを自慢の種にしています。 + 薄暗い裏通りで待ち伏せ、道行く人を殺しています。 + ライオンのように息をひそめてうずくまり、貧しい者に襲いかかろうとしています。猟師のように罠をしかけ、えじきにします。 + 不運な人は彼らの並はずれた力に圧倒され、一撃のもとに倒されるのです。 + 彼らは自分に言い聞かせます。「神はこのことを知らない。見てもいない」と。 + ああ主よ、立ち上がってください。ああ神よ、彼らを御手で倒してください。どうか、貧しい者を忘れないでください。 + なぜあなたは、悪者が神を侮るのを放っておかれるのですか。「神に追及されることはない」と彼らは高をくくっているのです。 + 主よ。あなたは彼らの仕打ちをご存じです。悪行の数々をじっとごらんになったはずです。彼らが人々にどれだけ悩みや悲しみを引き起こしたかご存じです。ああ主よ。さあ、罰してください。貧しい者はあなただけが頼りなのです。あなたは無力な者を助ける方です。 + 悪者どもの腕を折り、最後の一人まで、追いつめて滅ぼしてください。 + 主は永遠から永遠まで王です。他の神々に従う者は、主の地から一掃されます。 + 主よ。あなたは謙遜な人の望みが何であるかご存じです。必ずその叫びを聞いて救いの手を差し伸べ、心に安らぎを与えてくださいます。 + 主は、みなしごや虐待されている人たちのそば近くにいてくださるお方です。それで彼らは、地上の者たちから、二度と脅かされることはありません。 + + + 私は主に信頼しています。なぜ、あなたたちは臆面もなく、「身の安全のため山へ逃げろ」と言うのですか。 + 悪者どもは弓を張り、弦に矢をつがえ、神の民を射ようと待ち伏せています。 + 「法も秩序もなくなった。正しい者は逃げるしかない」と人々は言います。 + しかし、主は依然として聖なる宮に住み、天からすべてを支配しておられます。地上での出来事をことごとく監視しておられます。 + 主は正しい者と悪者とをふるいにかけ、暴虐を好む者を憎みます。 + 悪者の上に火と硫黄の雨を降らせ、燃える風で彼らをあぶります。 + 主は正しく、正義を愛します。信仰の直ぐな者は、その御顔を拝することができるでしょう。 + + + 主よ、助けてください。神を敬う者がみるみる減っていきます。世界中を探しても、信頼できる人などいません。 + だれもかれもがだまし合い、お世辞を並べ立て、うそをつきます。もはや、一かけらの誠実も残っていません。 + しかし、このようにふるまう者に、主がおだやかに接するはずはありません。「好きなだけうそをついてやろう。この舌は自分の舌だ。だれも止めることはできない。」こんな高慢なうそつきどもを、主は滅ぼすのです。 + 主はこう言われます。「立ち上がって、虐待された者、貧しい者、困っている者を守ろう。わたしの救いを待ちこがれてきた人々を助け出そう。」 + 主の約束は確実です。不用意なことばが主の口からもれることはなく、七度も精錬された銀のように、純粋そのものの真理だけをお語りになります。 + ああ主よ。あなたはご自分の民を、悪者の手の届かないところに永久にかくまってくださいます。 + たとえ、悪者が周囲をうろつき、国中に不道徳が横行しようとも。 + + + 主よ、いつまで私をお忘れなのですか。まさか永久にではないでしょう。こんなに困っているというのに、いつまで顔をそむけておられるのですか。 + いつまで日々つきまとう苦悩に耐えなければならないのでしょう。いつまで敵が私に勝ち続けるのでしょう。 + 教えてください。ああ主よ、私の神よ。私が死なないように、暗がりに光を投じてください。 + 敵に、「あの者を倒した」と言わせないでください。私が倒れたと言って、彼らがほくそ笑んだりしませんように。 + 私はいつも、主とその恵みによりすがり、主の救いを喜びます。 + 豊かな祝福を頂き、心から主に歌います。 + + + 心の中で「神などいない」と言う者は愚かです。彼の心は腐っており、正しい人であるはずがありません。 + 主は天からすべての人々を見下ろし、神を喜ばせたいと願う賢い者をお探しになります。 + しかし、だれもいないのです。すべての人が道を踏みはずし、罪のために腐りきっています。正しい人はいません。ただの一人もいません。 + 彼らはわたしの民をパンのように食べ、主に祈ろうなどとは考えもしない。彼らに良心のかけらもないのか。 + 彼らは恐怖に取りつかれることになります。神はご自分を愛する者とともにおられるからです。 + 貧しい者や謙遜な者が悪者に虐待されるとき、神は避け所となってくださいます。 + ああ、今すぐ救いの時がきますように。ご自分の民を救うため、主がすぐに、シオン(エルサレム)から駆けつけてくださいますように。ああ、イスラエルが救い出されるときは、どれほどの喜びがもたらされることでしょう。 + + + 主よ。聖なる山にある主の天幕に行き、自分の避け所を見いだす人はだれでしょう。 + それは、責められるところのない生活を送る、誠実そのものの人です。 + 人を中傷せず、うわさ話に耳を貸さず、隣人を傷つけたりしない人です。 + 罪に対してはっきりと声を上げ、罪を犯した者にはそれを指摘し、主に忠実に従う者を尊ぶ人です。自分に害が及ぼうとも、約束を破らない人です。 + 高い利息で負債者を窮地に追い込むことも、わいろを受け取って、無実の人に不利な証言をすることもない人です。このような人は、いつまでもしっかりと立ち続けることができます。 + + + ああ神よ、どうかお救いください。私は隠れ場を求めてまいりました。 + 「あなたは私の主です。あなたのもと以外に助かる場所はありません。」私は主に、そう申し上げました。 + 私は神を敬うこの国の人々の仲間に加わりたいのです。彼らこそ、真に高貴な人々です。 + ほかの神々を選んだ者は、悲しみに打ち沈むことでしょう。私は彼らのように供え物をささげたり、神々の名を口にしたりすることもありません。 + 主こそ、私の相続財産、また宝です。主は私の食べ物や飲み物でもあり、また最高の喜びです。主は私の持っているものをすべて守ってくださいます。 + 主は、美しい谷川と青々とした牧場を、分け前として頂けるようにしてくださいました。なんとすばらしい相続財産でしょう。 + 私の助言者である主をほめたたえます。夜になると、主は知恵を授けてくださいます。どうすればよいかを教えてくださいます。 + 私は、いつも主のことを思っています。主がすぐそばにいてくださるので、つまずいたり、倒れたりする心配もありません。 + 心も体もたましいまでも、喜びにあふれています。 + 神は私を死人の中に置き去りにせず、墓の中で朽ち果てるのをお許しにならないからです。 + 神は生きる喜びを教え、永遠に共にいてくださるという無上の喜びを経験させてくださいます。 + + + ああ主よ、お願いです。どうかお助けください。私はまっすぐに生き、正しいことをしてきました。ですから、どうしても、この切なる叫びを聞いていただきたいのです。 + 主よ、人々の前で私の嫌疑を晴らしてください。神はいつも公平なお方です。 + 神は私を調べて、正しいことを確認してくださいました。神は夜中に来られましたが、不正は何一つ見いださず、私が真実を語ってきたことを認められました。 + 私はご指示に従い、残忍な悪者とは行動を共にしませんでした。 + 私の足は、神の道から一歩もすべり落ちることがありませんでした。 + なぜ、私はこのように祈っているのでしょう。お答えが頂けると信じているからです。ああ神よ、どうかこの祈りを聞いてください。 + ああ、敵から助け出されたいと願う者すべてにとって救い主である方よ。その大いなる愛を、目をみはるほどに見せてください。 + 私をご自身のひとみを守るように守り、御翼の陰にかくまってください。 + 敵は殺意を抱いて私を取り囲んでいます。 + 情け知らずで、横柄な者たちです。自慢げに語る彼らの声を聞いてください。 + 彼らは私を追いつめ、今にも地面に投げつけようとしています。 + ライオンのように私を引き裂こうと目を光らせ、若いライオンのようにチャンスをうかがって待ち伏せしています。 + 主よ、立ち上がり、戦ってください。彼らを追い返してください。早く来てくださり、地上の利得しか考えていないこの世の人々から私を救ってください。神は彼らの家をご自身の宝で満たされたので、彼らの子も孫も裕福になりました。 + しかし、私の関心は富にはなく、私が神を見ているかどうか、また、神と正しい関係にあるかどうかにあります。私は天で目覚めるとき、この上ない満足感にひたるでしょう。神の御顔をじかに見るからです。 + + + [ダビデは、主がサウルをはじめ多くの敵から彼を救い出した時、この歌を歌いました。]主よ。私はどれほど主をお慕いしていることでしょう。こんなにもすばらしいことをしてくださった主を。 + 主は、安心して身を寄せることのできるとりでです。誰ひとり、このとりでに入って来て、私を殺すことはできません。主は、身を隠すことができる険しい山であり、私の救い主です。だれも近づくことのできない岩、安全を守る塔、また私の盾です。 + 私はただ、主に叫び求めさえすればよいのです。そうすれば主は、あらゆる敵から助けてくださいます。ああ、主をほめたたえます。 + 死の鎖が私に巻きつき、洪水のように滅びが押し寄せてきました。 + 私は罠に落ち、助けてくれる人もなく、死へと引きずり込む綱の力に抵抗してもがきました。 + 苦しみの中で、私は主の助けを叫び求めました。その声を、主は天から聞いてくださいました。叫びは届いたのです。 + その時、大地は揺れ動き、山々は震えわななきました。主の御怒りのためです。 + 主の御口からすさまじい炎が吹き出して地を焼き尽くし、鼻からは煙が立ち上りました。 + 主は天を切り裂いて降りて来て、私を救ってくださいました。御足の下には暗闇がありました。 + 主は力ある天使にまたがり、風を翼とし、矢のように速く、助けに来てくださいました。 + 暗闇を身にまとい、一寸先もわからない濃い黒雲に覆われて、近づいてくださいました。 + 突然、いなずまと雹の嵐を伴った御姿が、雲間から輝きました。 + 雷のような声が天空にとどろき、神々の上に君臨する神がお語りになったのです。なんという雹、なんという火でしょう。 + 主はいなずまを恐怖の矢として放ち、私の敵をかき乱しました。あの逃げ惑うさまを見てください。 + 主よ、ご命令のままに海の水は引き、あなたのすさまじい鼻息で、海の底はむき出しになりました。 + 主は天から下って来て、大きな試練から私を助け出してくださいました。深い海の底から引き上げてくださったのです。 + 敵の手にかかって、手も足も出なかった私。その私を頑強な敵、私を憎む者から救い出してくださいました。 + 彼らは、弱りきっている私に襲いかかりました。しかし、主は私をしっかりと支え、 + 安全な場所へと連れ出してくださいました。私を喜びとされたからです。 + 正しいことを行い、潔白であったことに報いてくださったのです。 + 私はご命令に従い、主に背を向けて罪を犯すようなことはしませんでした。 + いつも主のおきてを目の前に掲げ、一つたりとも捨てたりしなかったのです。 + おきてを守ることに全力を尽くし、悪行への誘惑を振り払い続けました。 + それに答えて、主は祝福を下さったのです。私が正しいことを行い、純粋な思いを抱いていたことをご存じなのです。主は私のすべての歩みに目を留めておられるのですから。 + 主よ。あなたは、恵み深い者に対しては、なんと恵み深くあられることでしょう。また、悪の道から引き返す者には、罰をお加えになりません。 + 心のきよい者には祝福を、主の道からそれる者には苦痛をお与えになります。 + 謙遜な者をお救いになりますが、高慢で横柄な者は有罪に定められます。 + 主は、私に明かりをともしてくださいました。私の神、主は、私を包む闇を光に変えてくださいました。 + 今や私には、どんなに高い城壁でもよじ登り、どんなに強力な軍隊に対しても攻撃する力が与えられています。 + なんとすばらしい神でしょう。神はあらゆる点で全く完全です。そのお約束がすべて真実であることは明らかです。その背後に隠れる者には盾となってくださいます。 + 私たちの主のほかに、だれが神でありえましょう。だれが不動の岩でありえましょう。 + 神は私に力をみなぎらせ、行く先々でお守りくださいます。 + 私の足を、岩山ででもしっかり立つ野やぎのようにし、絶壁の上をも安全に導いてくださいます。 + 戦いに備えて私を鍛え、鉄の弓さえ引く力を与えてくださいます。 + 主の救いは私の盾です。ああ主よ。右の御手が私を支えています。主のご温情のおかげで、私は名の知れた者となりました。 + 主は、私を大またで歩かせ、しかも足がすべらないようにしてくださいました。 + 私は敵を追撃し、一人残らず倒すまでは引き返しませんでした。 + そして、彼らを地面に突き刺しました。敵は力を失い、私はその首を踏みつけたのです。 + 戦いに臨んで、頑丈なよろいを着せていただいたおかげです。敵は私を見ておじけづき、足もとに倒れ伏します。 + 彼らが背を向けて逃げるように仕向けたので、私は私を憎む者を滅ぼすことができました。 + 大声で助けを求めても、誰ひとり彼らを助ける者はいませんでした。そこで、彼らは主に向かって叫びましたが、返事がありません。 + 私は、ここぞとばかり彼らをちりのように粉々に砕き、空中高くまき散らしました。彼らを、床を掃くように掃き捨てました。 + 神は、次々と戦いに勝利をもたらしてくださいました。諸国の民は私のもとに来て、仕えるようになりました。私がそれまで知らなかった国民までが、やって来てひれ伏すのです。私に会ったこともない外国人が、いとも簡単に服従します。彼らは震えながら、とりでから出て来るのです。 + 主は生きておられます。大いなる救いの岩である神をほめたたえよ。 + 神は私に害を加える者に報復し、目の前の国々を制圧してくださいます。 + 敵に囲まれた私を助け出して、手の届かない安全な場所に移し、猛威をふるう相手から救ってくださいます。 + ですから、私は主を国々の間でほめたたえます。 + 主から王に定められた私は、幾度となく、奇跡的に救い出されました。いつも愛と恵みを注いでいただきました。主は、私の子孫をも同様に、お恵みくださることでしょう。 + + + 天は、神の栄光を物語る、神の手による傑作です。 + 天は、昼となく夜となく、神について語り続けます。 + 大空は、音もことばもなく静まり返っているのに、大空が語っていることは全世界に知られます。太陽は天の神の定めた場所に住んでいます。 + 太陽はその場所から出て、結婚式の花婿のように晴れ晴れと、また、競技を前にした選手のように、意気揚々と大空を闊歩します。 + 天の端から端まで行き巡り、その熱を免れるものは何一つありません。 + 主のおきては完全で、私たちを守り、賢くし、喜びと光を与えます。 + 主のおきては純粋で正しく、変わることがありません。 + また、金よりも慕わしく、みつばちの巣からしたたるみつよりも甘いのです。 + 主のおきては、危険に近づかないように警告し、従う者には祝福を約束します。 + しかし人は、心にひそむ罪をどうして知ることができましょう。どうか、隠れた罪からきよめてください。 + 故意に悪に走ることからも引き止め、守ってください。そうすれば、私は過ちを犯さず、大きな罪からも逃れることができます。 + 私の口のことばと、秘めた思いが、神に喜ばれますように。ああ、私の岩、私の救い主、主よ。 + + + 苦難の日に、主があなたとともにおられますように。ヤコブの神が、いっさいの危険から守ってくださいますように。 + 主がシオンの聖所から、助けの手を伸べてくださいますように。 + あなたのささげ物、焼き尽くすいけにえを、喜んで心に留めてくださいますように。 + あなたの願いをかなえ、計画をことごとく実現させてくださいますように。 + あなたの勝利の知らせが伝わると、喜びの声がわき上がり、神があなたのためになさったすべてを記念して、神をたたえる旗が高く掲げられますように。あなたの祈りが、すべて答えられますように。 + 主が王をお救いになることを、今こそ知りました。主は高い天から答えて、大勝利をもたらしてくださいます。 + 国々は軍隊や武器を誇りますが、私たちは私たちの神、主を誇ります。 + 国々はやがて衰え、滅びます。しかし、私たちは立ち上がり、大地に根を下ろして、しっかりと立ち続けます。 + ああ主よ、王に勝利をお与えください。どうか、この祈りをお聞きください。 + + + ああ主よ。王はどんなにあなたの御力を喜ぶことでしょう。救われたことを、どれほど喜ぶことでしょう。 + 主が願いをかなえ、望むものをことごとくお与えになったからです。 + 主は、名誉と繁栄が保証された王座に彼を迎え、純金の王冠をかぶせてくださいました。 + 満ち足りた長寿を求める王の願いを聞き届けられました。彼のいのちは永遠に限りなく続くのです。 + 主は彼に名誉と名声を与え、威光と尊厳とをまとわせました。 + また、永遠の幸福を授け、主の前に立つことの喜びが、いつまでも薄れないようにしてくださいました。 + 王は主により頼んでいるので、つまずいたり倒れたりすることは絶対にありません。あらゆる神々にまさる神の変わらない愛に、頼りきっているからです。 + ああ主よ。あなたの手は敵を見つけ出します。主を憎む者を一人残らず探し出します。 + 主が姿を現されると、御前から出る激しい火が、彼らをたちどころに滅ぼします。その子らも共に倒されます。 + 彼らは、主であるあなたに陰謀を企んだからです。しかし、そんな計画が成功するはずはありません。 + 彼らは、主の矢にねらわれているのを知り、あわてて向きを変え、一目散に逃げるでしょう。 + ああ主よ、この賛美をお受けください。御力を賛美しているのですから。私たちは主の力強いみわざをたたえて、賛美の歌を歌いましょう。 + + + 神よ、私の神よ。どうして、私をお見捨てになったのですか。どうして、助けるどころか、うめきさえ聞いてくださらないのですか。 + 私は昼となく夜となく泣いては、助けを叫び求めていますのに、あなたは答えてくださいません。 + しかし、あなたはきよいお方です。私たちの先祖の賛美が、御座を取り囲んでいました。あなたに信頼していた彼らを、あなたは助け出してくださいました。 + 彼らの叫びを聞いて、救い出してくださいました。助けを求める人々を、ただの一度も失望に終わらせなかったのです。 + しかし、私は虫けら同然で人間ではありません。同国人ばかりか、すべての人々からさげすまれています。 + 私を見ると、だれもがあざけり、冷笑し、肩をすくめます。 + 彼らは、こう言って笑います。「これが、主に重荷を肩代わりしてもらったという男なのか。主のお気に入りだとうぬぼれていたやつか。主に助け出されるところを見せてもらおうではないか。そうしたら信じてやってもいい。」 + 主よ、以前はいつも助けてくださったではありませんか。母の胎から安全に取り上げ、幼い日々も、無事に過ごさせてくださったではありませんか。私は生まれてこのかた、ずっと主を頼りとして生きてきたのです。主はいつも私の神でした。今になって、置き去りにしないでください。苦難が近づいており、主のほかだれも、私を助けることはできないのです。 + バシャンの巨大な雄牛のように獰猛な敵が、私を囲んでいます。 + まるで獲物をねらってほえたけるライオンのように、口を開けて近づいて来ます。 + 私は水のように流れ出し、骨はみなはずれ、心臓はろうのように溶けてしまいました。 + 天日で乾かした粘土のようにひからび、舌は上あごにくっつきました。主が私を、死のちりの中に置かれたからです。 + 徒党を組んだ悪人どもが、群がる野犬のように私を取り巻きます。私の手足は引き裂かれています。 + 自分の骨を、一本残らず数えることができるほどです。私を見てはほくそ笑む、この悪人どもをごらんください。 + 彼らはくじ引きで、私の着物を分け合うのです。 + ああ主よ、そばにいてください。ああ、私の力である神よ、大急ぎで助けに来てください。 + 死から救い出してください。私の尊いいのちを、こんな悪人の手に渡さないでください。 + ライオンの口や、野牛の角からお救いください。そうです、神は答えて、私を助け出してくださいます。 + 私はすべての兄弟の前であなたをたたえ、会衆に向かって、あなたのすばらしいみわざを語ります。 + 私は語ります。「主を恐れる人たちよ、主をほめたたえよ。主の名を恐れ、敬え。イスラエルのすべての人よ、主に向かって賛美の歌を歌え。 + 主は、私の絶望の底からの叫びをさげすまれなかった。背を向けて立ち去ることはなさらなかった。叫び声が届くと、主は助けに来てくださった。」 + 私は全会衆を前にして、主をほめたたえます。御名を心から敬う人々の前で誓いを果たします。 + 貧しい者は十分に食べて満足し、主を求める者は主を見いだして、御名をほめたたえるでしょう。その心は永遠の喜びに酔いしれるはずです。 + それを目の当たりにした全世界の人々は、主のもとに立ち返るでしょう。あらゆる国民が主を礼拝するでしょう。 + 主は王であって、国々を支配します。 + 高慢な者も謙遜な者も、死ぬべき運命にある人はみな、主を拝みます。 + 私たちの子どもも主に仕えます。私たちが、主のすばらしさを語り伝えるからです。 + のちの世代もまた、主が私たちのためになさったすべての奇跡のことを聞くでしょう。 + + + 主は私の羊飼いですから、必要なものはみな与えてくださいます。 + 主は私を豊かな牧草地にいこわせ、ゆるやかな流れのほとりに導いて行かれます。主は傷ついたこの身を生き返らせ、主の栄光を現すことができるよう、私を助けてくださいます。 + たとえ、死の暗い谷間を通ることがあっても、恐れません。主がすぐそばにいて、私の行く道をいつもお守りくださるからです。 + 主は私の敵の前で、私のためにすばらしい食卓を備え、大切な客としてもてなしてくださいます。それは、あふれるほどの祝福です。 + 生きている限り、主の恵みといつくしみが、私を追ってきます。やがて、私は主の家に帰り、いつまでもあなたとともに暮らすことでしょう。 + + + 全地は主のものです。世界中のものはすべて神のものです。 + 主は海を押しやり、乾いた地をあらわにされました。 + 主の山に登り、主の住まいに入ることのできる者はだれか。主の前に立つことのできる者はだれか。 + それは、心と手のきよい人、偽りのない人だけです。 + そのような人は、主の祝福と恵みを頂けます。しかも、救い主である神は、その恵みが日々の生活に行き渡るようにしてくださいます。 + こうした日々が与えられる人、それは、神の前に立ち、ヤコブの神を拝むことを許された人だけです。 + 古くからある門よ、開け。栄光の王をお通しせよ。 + 栄光の王とはだれか。強くたくましく、戦いで負けることのない王です。 + 門を開け放ち、栄光の王をお迎えせよ。 + 栄光の王とはだれか。それは、天の軍勢の主なのです。 + + + ああ主よ、あなたに祈ります。 + 主よ。あなたに信頼している私に、恥をかかせないでください。敵が有利に立ち回り、勝ち誇ったりしませんように。 + 神を信じる者は誰ひとり、信仰のために恥をかくことはありません。しかし、罪のない者を傷つける者はみな、身をもって手痛い敗北を経験します。 + ああ主よ、進むべき道を教えてください。正しい小道を示してください。 + 私を導き、教えてください。主は救いをお与えになる神だからです。主以外に望みはありません。 + 若いころの罪は忘れてください。ああ主よ。あわれみと赦しの目で、永遠の愛と恵みの目で、私を見てください。 + 主は正しい方で、迷い出た人に、喜んで正しい道を教えてくださいます。 + 謙遜になって主のもとに帰る人に、主は最良の道を教えてくださいます。 + 主に従って歩むとき、その道は、どこでも、主のいつくしみと真実の香りが漂っています。 + しかし、主よ。私はなんと数多くの罪を犯していることでしょう。ああどうか、御名のために私をお赦しください。 + 主を恐れる人はどこにいますか。主はその人に、最善のものを選ぶ秘訣を教えてくださいます。 + その人は神の祝福の中に住み、子孫は地を受け継ぎます。 + 神との親密な関係は、主を敬う者にしか持つことはできません。神はそのような人とだけ、秘密の約束をかわされます。 + 私の目はいつも助けを求めて、主に向いています。私を救い出せるのは、主おひとりだからです。 + 主よ、早くおいでになって、あわれみを示してください。私はすっかり打ちひしがれ、手も足も出せずに悩んでいます。 + かかえている問題は、だんだん手に負えなくなるのです。ああ、すべての苦しみから引き離してください。 + この悲しみに目を留め、この痛みを感じ取り、この罪をお赦しください。 + 私にはなんと敵が多く、どれほど彼らに憎まれているかをごらんください。 + お救いください。このいのちを敵の手中から奪い返してください。ああ、主に信頼したことがむだだったなどと、決して言われないようにしてください。 + 神を敬う心と誠実さで、私が守られますように。あなたが私を守り、 + また、イスラエルを、あらゆる苦しみから解放してくださることを信じます。 + + + 私に対する告発をすべて却下してください、主よ。私はいつもおきてを守ろうと心がけ、迷うことなく主に信頼してきましたから。 + きびしく調べて、お確かめください。ああ主よ、動機も愛情も探ってください。 + 私は、主の恵み深さと真実を理想として歩んできました。 + 私は、裏表のあるずるい人間とはつき合いません。彼らは不誠実で、偽善的です。 + 私は、罪人のたまり場を嫌悪します。そこに出入りしません。 + 私は手を洗って身の潔白を証明し、それから祭壇に行き、 + 感謝の歌を歌い、主の奇跡を人々に語り聞かせます。 + 主よ。私はあなたの家を愛しています。光り輝くその宮を。主ご自身から照り渡る、目もくらむばかりの輝きに満ちた宮を。 + どうか、私を低俗な罪人たちといっしょにしないでください。また、罪もない者を罠にかけ、わいろを取る連中といっしょにしないでください。 + 私はそんな人間ではありません。ああ主よ。正しいことだけを行うために、狭くてまっすぐな道を歩もうとしてきたのです。どうか、私をあわれんでお救いください。 + 主は、私がつまずいたり、倒れたりしないよう守ってくださるので、私は人々の前で、主をほめたたえます。 + + + 主は私の光、また救いです。だれを恐れる必要がありましょう。 + 私を亡き者にしようと襲いかかる悪者は、つまずき倒れます。 + たとえ大軍が押し寄せようとも、恐れません。必ず神が救ってくださると信じているからです。 + 私が神にお願いすることは、ただ一つです。私の求めてやまないものとは、主の宮で黙想にふけり、いのちある限り主の前で暮らすこと、比べようもない、主の麗しさと完全と栄光とを喜ぶ特権です。 + 悩みの日に、私は宮へ出かけます。主は私をかくまってくださり、高い岩の上に座らせて、 + 敵が手出しできないようにしてくださいます。そのとき、私は主に供え物をささげ、大喜びで賛美の歌を歌います。 + 私の訴えに耳を傾けてください。主よ。あわれんで、お助けください。 + 「ここに来なさい。話をしよう。」この御声を、私の心は聞きました。そして、こう答えます。「主よ、参ります。」 + どうか、お隠れにならないでください。私は、あなたを見つけ出そうとしているのです。怒って、召使の私を退けないでください。かつてあなたは、私が試練に会うたびに助けてくださったではありませんか。私を見放さないでください。ああ救いの神よ、見捨てないでください。 + たとえ、父や母が私を勘当しても、主は迎え入れて、慰めてくださるはずです。 + ああ主よ。どうすべきか、はっきりと教えてください。敵が手ぐすねひいて待ちかまえているのです。 + どうか、敵に捕まったりしませんように。私が彼らの手中に陥ることがありませんように。身に覚えのないことを、彼らは告発するのです。そして、いつも残忍な仕打ちを企んでいます。 + 主は、今度もきっと救い出してくださいます。人々が生きているこの地上で、再び主のあわれみを見ることができますように。 + いらだってはいけません。主を待ち望みなさい。主は必ず来てくださり、あなたを救ってくださいます。勇気を出しなさい。主を待ち望みなさい。主はきっとあなたを救ってくださいます。 + + + ああ主よ、どうかお助けください。あなたは安全を守る私の岩です。あなたに顔をそむけられたら、いっさいをあきらめ、死ぬしかありません。 + 主よ。私は両手を差し伸べ、主が助けてくださることをひたすら願っているのです。どうか、私の叫びを聞いてください。 + 隣人に愛想をふりまきながら、心の中ではひそかに相手を殺そうと企む悪者どもといっしょに、私を罰しないでください。 + 彼らに見合う罰が下りますように。その悪事の大きさにしたがって罰を重くし、すべてのしわざに報いてください。 + 彼らは神のことになど無関心で、神が何をなさろうとおかまいなしです。ですから、古い建物のように神の手で取りこわされ、二度と建て直されません。 + 訴えを取り上げてくださった主をほめたたえます。 + 主は私の力、あらゆる危険から身を守る盾です。私の信頼に答えて、神は助けてくださいました。心にわき上がる喜びは、賛美の歌となってあふれます。 + 神はご自分の民を守り、油を注がれた王に勝利をもたらしてくださいます。 + 主よ、あなたの民を守ってください。主に選ばれた者を守り、祝福してください。羊飼いとなって、いつまでも彼らを抱きかかえて運んでください。 + + + 御使いたちは主をほめたたえなさい。主の栄光と力をほめたたえなさい。 + まぶしいばかりの御名の栄光を覚えて、主をほめたたえなさい。きよい衣を着て主の前に出なさい。 + 主の御声は雲間から響きます。栄光の神は大空に雷鳴をとどろかせます。 + 主の声は力強く、威厳に満ちています。 + 主の声は杉の木をなぎ倒し、レバノンの巨木を引き裂きます。また、レバノン山とシルヨン山を揺り動かし、子牛のように跳びはねさせます。 + 主の声は、いなずまを光らせ、とどろき渡ります。 + 砂漠にこだまし、カデシュの荒野を揺るがします。 + そして巨大な樫の木を倒します。また、大風を巻き起こして森を激しくゆさぶり、丸裸にします。しかし神の宮では、「栄光あれ。神に栄光あれ」と、すべてのものがほめたたえる声がするのです。 + 大洪水をもたらして、全宇宙の支配者であることを示された主は、引き続きその力を顕示しておられます。 + 主はご自分の民に力を与え、平安をもたらし、祝福を与えてくださいます。 + + + 私は主をほめたたえます。神は私を敵の手から助け出し、敵が勝ち誇るのをお許しにならなかったからです。 + ああ主よ。主は私の願いを聞き入れて、元の健康な体に戻してくださいました。 + 墓の入口から、連れ戻してくださいました。おかげで、こうして生きることができます。 + 主を信じる人よ。主を賛美し、主のきよい御名に感謝しなさい。 + 主の怒りはつかの間ですが、その恵みは生きる限り続きます。たとえ、夜通し泣き明かすことがあっても、朝には喜びが訪れます。 + 順境の日に、私は言いました。「いつまでも今のままだ。だれも私のじゃまはできない。主が恵んでくださって、私をびくともしない山のようにしてくださった。」ところが、神は顔をそむけて、祝福の川をからしたのです。たちまち私は意気消沈し、恐怖におびえました。 + ああ主よ。私は大声でお願いしました。 + 「主よ、私を殺したって、一文の得にもなりません。生きていてこそ、友人の前であなたをたたえることができるのです。墓に埋められたら、どうしてあなたの真実を世間に知らせることができましょう。 + ああ主よ、どうか私をあわれみ、助けてください。」 + すると、神は嘆きを喜びに変え、喪服を脱がせて、きらびやかな晴れ着を着せてくださいました。 + 墓に埋められることなく、神に喜ばしい賛美の歌声を上げるためです。ああ神、主よ。私はいつまでもこの感謝の気持ちを忘れません。 + + + 主よ。あなただけが頼りです。どうか敵の横暴から私を守ってください。いつも正しいことをなさる神よ、どうか助け出してください。 + 私が泣き叫ぶとき、すぐに答えてください。祈りをささやくとき、耳を傾けてください。大きな岩となって、私を敵から守ってください。 + あなたこそ私の岩、私のとりでです。どうかこの窮地から救い出して、あなたの御名を広く知れ渡らせてください。 + 敵がしかけた罠から、抜け出させてください。あなただけが、そうする力をお持ちなのです。 + 私はたましいを御手にゆだねます。ああ、約束を守られる神、主よ。私を助け出してくださったあなただけを礼拝します。神はどれほど、偽りの神である偶像を拝む者どもをおきらいになることでしょう。 + あなたの恵み深さを知って、私の顔は喜びに輝きます。あなたは私の苦悩を知り、たましいの苦しみを察してくださいました。 + 私を敵の手に渡さず、見通しのきく有利な場所へと移してくださいました。 + ああ主よ、苦しみもだえるこの身をあわれんでください。泣き疲れて、目も真っ赤です。嘆き疲れた体は、悲しみのためにやつれ果てています。私の歳月は縮まり、力尽きてしまいました。罪のために、体も弱り果て、嘆きと恥とでうずくまっています。 + 敵だけでなく、隣人や友人からも悪しざまにののしられます。彼らは私に会うのもいやだと言わんばかりに、すれ違いざま、あきらかに顔をそむけます。 + 私はまるで死人のように、壊れたつぼのように、忘れられています。 + 絶え間なく、私についてのうそのうわさや中傷が耳に入り、どちらを向いても、恐怖ばかりです。敵は私のいのちをつけねらっているのです。 + しかし主よ。私はあなたに信頼し、こう申し上げました。「あなただけが私の神です。私の時はあなたの手の中にあります。情け容赦なく追い立てる者の手からお助けください。 + 恵みの光で、もう一度このしもべを照らしてください。限りなく恵み深いお方よ、どうかお救いください。 + 主よ、助けを叫び求める私を放りっぱなしにして、恥をかかせないでください。悪者どもこそ、頼みとするものに裏切られて、恥をかくようにしてください。その口を封じ、墓に葬ってください。 + そのとき、正しい者を非難する、横柄きわまりない者どものくちびるは、何も言わなくなるのです。」 + あなたの助けを信じて公言する者を、あなたはなんと大きな恵みで包んでくださることでしょう。信頼と敬愛を失わない者のために、あなたはすばらしい祝福をたくわえておられます。 + 愛する者たちをあなたの隠れ家にかくまい、悪だくみをする者の手から守ってください。 + ああ、恵み深い主よ。あなたは変わらない愛を示して、堅固なとりでの壁のように守ってくださいました。 + 私は「主に見捨てられた」と口走りました。しかしそれは早合点でした。確かにあなたは、私の願いを聞き入れてくださったのですから。 + 主の民よ、こぞって主を愛しなさい。主は忠誠を尽くす人を守り、ご自身を退ける者には厳しい罰をお下しになるからです。 + さあ、元気を出しなさい。もし、主に信頼しているなら、雄々しく立ち上がりなさい。 + + + 罪を赦された人は、どれほど幸せなことでしょう。罪がすっかり消された喜びは、どれほど大きいことでしょう。罪を告白し、その記録を消し去ってもらった人は、どれほど解放感を味わうことでしょう。 + 私には、罪を認めたくない時がありました。しかし、私はかえってみじめになり、くる日もくる日も挫折感にとらわれて過ごしました。 + 神の御手が、いつも重くのしかかっていました。私の力は、強烈な日ざしの照りつける水たまりのように干上がりました。 + とうとう私は、自分の罪を神の前にさらけ出さざるをえませんでした。「何もかも主にお話ししよう」と決心したのです。すると、あなたは赦してくださいました。私の罪は跡形もなく消えたのです。 + 私は神を信じる人々に、自分の罪に気づいたら、まだ赦される間に神に告白しなさいと、大声で忠告します。そうすれば、その人はさばきを免れるのです。 + この人生に、どんな嵐が吹き寄せようと、私は神のもとに避難します。そこでは勝利の歌が響き、苦しみに巻き込まれることがないからです。 + 主はこう言われます。わたしはあなたを教え、最善の人生へと導こう。助言を与えて、一歩一歩を見守ろう。 + くつわをはめなければ言うことを聞かない、馬やらばのようになってはいけない。 + 悪者どもは次々と悲しみに見舞われますが、主に信頼する人は無限の愛に包まれます。 + ですから、神のものとなっている人々は喜びなさい。神に従おうとする人々は、喜びの声を上げなさい。 + + + 神を敬う人々の喜びが、賛美の声となってわき上がりますように。主をほめたたえるのは良いことです。 + 竪琴と十弦の琴で、喜びにあふれる賛美の調べをかなでなさい。 + 新しい賛美歌を作り、巧みにハープをかき鳴らして、喜びの歌を歌いなさい。 + 主のことばには偽りがなく、その行為にも裏切りは決してありません。 + 主はすべて正しいこと、良いことを愛しておられ、地上はその優しい愛で潤っています。 + あの星をちりばめた天空も、主のおことばひとつで造られました。 + 神様は海を造り、水を注がれました。 + 全世界の人は、老いも若きも、男も女も、恐れかしこみながら主の前に立ちなさい。 + 主のおことばで、この世界は始まったからです。 + 主はひと息で、反抗的な国々の策略を吹き消されます。 + 主の計画はいつまでも不滅で、主のお考えはいつの時代にも揺るぎません。 + 主を信じる民は幸せです。主から選ばれた民だからです。 + 人の心を造られた主は、天の住まいから全人類を見下ろし、一人一人の行動をつぶさに眺めておられます。 + 最強の軍備を誇る軍隊でも、王を救えるわけではありません。力だけでは、誰ひとり救うことはできません。勇ましい軍馬も、勝利を保証してはくれません。力が救いとはならないのです。 + しかし主の目線は、主を信じて従い、その変わらない愛に頼る者に注がれます。ききんのときにも、餓死することはありません。 + 頼ることができるのは主おひとりです。主が盾となって守ってくださいます。 + 主に信頼する私たちに、喜びがあふれます。 + 主よ、尽きることのない愛で包んでください。あなただけが望みなのです。 + + + 何が起ころうと、私は主をほめたたえます。どんなときにも、主の栄光と恵みを人々に伝えます。 + 主の温かいご配慮のすべてを誇ります。失意の中にある人々は気を取り直しなさい。 + さあ、共に主をほめたたえ、その御名をとどろかせましょう。 + 声の限りに私が呼び求めた時、主はそれに答えて、いっさいの恐怖を取り払ってくださいました。 + 主のなさることを見て、私以外の人も顔を輝かせました。もう、その表情は沈んでいません。 + 大声で叫び求める哀れな者を、主は苦しみから助け出してくださいました。 + 主の使いは敬虔な人を守り、救い出してくれるのです。 + さあ、主に信頼しましょう。そうすれば、どんなに神が恵み深いお方か知ることができます。神に信頼する人には恵みが雨のように降り注ぐことを、自分で確かめてごらんなさい。 + あなたが主のものとなっているのなら、恐れ敬いなさい。恐れ敬う者には、必要なものがいっさい与えられます。 + 若く雄々しいライオンも、時にはひもじさに襲われます。しかし、主を敬う私たちに、祝福が足りなくなることなどありません。 + 息子よ、娘よ、私のことばを聞きなさい。主だけに頼り、信じて従うことの大切さを教えよう。 + あなたたちは、幸せな長い人生を送りたいと願っているのか。 + それなら、自分のことばに注意をはらいなさい。どんなことがあっても、うそをつかないことです。 + 罪だと思うものからは、いっさい手を引き、善を行うことに身を入れなさい。だれとでも仲良く暮らし、そのために全力を尽くしなさい。 + 主は正しい生活を送る者をじっと見守り、その人の願うことを聞き届けてくださいます。 + しかし主は、悪者どもを地上から抹殺し、彼らがいたという記憶さえぬぐい去られます。 + 主は正しい人の叫びを聞き、すべての苦しみから救い出してくださいます。 + 主は心の砕かれた人のそばにおられ、謙虚に罪を悔いる人を助け出されます。 + 正しいからといって、すべての苦難を免れるわけではありません。しかし、主は正しい人をあらゆる苦しみから救い出し、 + 正しい人の骨は一本も折られることがありません。 + 悪者には、災難が降りかかり、善人を憎む者には、重い刑罰が待っています。 + しかし、主はご自分のしもべを救い出されるのです。主のもとに逃げ込む人は、無条件で赦されます。 + + + ああ主よ、私に立ち向かう者に立ち向かい、私を攻撃する者と戦ってください。 + よろいをまとい、盾を取り、私の前に立ちはだかって守ってください。 + 槍を高く振りかざしてください。追っ手がすぐそこまで迫っていますから。決して敵の手に渡しはしないとおっしゃってください。 + 私のいのちをつけねらう連中をなぎ倒し、恥を見せてやってください。 + 主の使いの起こす風で、彼らをもみがらのように吹き飛ばしてください。 + 主の使いに追い立てられた者たちの逃げ道をすべりやすくし、暗闇で閉ざしてください。 + 彼らは無実の私にぬれぎぬを着せようと、罠をしかけ、落とし穴を掘ったのですから。 + どうか、自らしかけた網にかかり、たちまち滅んでしまいますように。 + しかし、私は、主が助けてくださると信じて喜んでいます。 + 心の底から、神への賛美が込み上げてきます。天にも地にも、主のようなお方はありません。いったいだれが、身寄りのない弱い者を強い者から守り、貧しい者を強盗から救い出してくれるでしょうか。 + これらの悪者どもは、宣誓したその舌でうその証言をします。身に覚えのないことで私を告訴します。 + 良いことをしてやっても、悪でそれに報いるのです。私はもう力尽きてくずおれそうです。 + 彼らが病気の時、私は彼らを治してやってくださいと神に泣いてすがりました。そのために食を断ち、ひたすら祈り続けました。しかし、神はお聞き入れになりませんでした。 + 私はまるで、親兄弟や友人が危篤ででもあるかのように、悲しみに暮れました。 + ところが、いざ私が困難にぶつかると、彼らは手を打って喜び、ひとつになって押しかけて来ては、絶えず中傷するのです。中には、私の知らない顔もありました。 + 私をのろわせるのに、町のならず者まで駆り集めていたからです。 + 主よ、いつまで何もせずに、立ちつくしていらっしゃるのですか。どうか助け出してください。若いライオンが牙をむいて、私のただ一つのいのちをねらっています。 + お救いください。そうすれば、私は強い人々の群れをもものともせず、感謝の祈りをささげます。 + 理由もなく私を憎む者どもに、勝ち誇らせないでください。私が倒れるのを見て、彼らが手をたたくなど、あってよいものでしょうか。彼らにこそ、死がふさわしいのです。 + 平和や良い行いについては口をつぐむ彼らも、善良な市民を陥れる悪だくみとなると、とたんに能弁になります。 + 彼らは、この私が悪事を働く現場を目撃したと叫びます。「確かにこの目で、あいつが悪いことをするのを見た」とはやし立てます。 + 主よ、あなたはすべてをご存じです。貝のように口をつぐんで、私を見捨てることがないようにしてください。 + ああ主よ、今こそこの身の疑いを晴らしてください。 + 正義の神よ、どうか私の無実を宣告してください。悩む私の姿を見て、彼らが喜ぶことのないようにしてください。 + 「全く思いどおりに事が運んだ。ついに、あいつもおしまいだ」と言って、喜ぶことがないようにしてください。 + 彼らこそ恥を見ますように。人の苦しみを喜ぶ者こそ、不幸に見舞われ、すべてを失いますように。あらゆるものを取り去って、恥をかかせてください。 + しかし、私の幸せを願ってくれる者には、大きな喜びをお与えください。そして、こう叫ばせてください。「信じる者を喜んで助けてくださる主はすばらしい。」 + 神がどれほど偉大で正しいお方か、私は会う人ごとに語りましょう。一日中、神をほめたたえて過ごしましょう。 + + + 罪は悪者どもの心に巣くい、いつも悪事へとけしかけます。彼らには、神を恐れて悪事から遠ざかろうとする気持ちなどありません。 + それどころか、知らないふりをして押し通せば、どんな不正行為も隠し続けることができ、捕まることはないと、自分に言い聞かせています。 + 彼らのことばにはみな裏があり、一かけらの真実もありません。知恵や善行とは無縁の連中です。 + 夜通し悪事を企む彼らには、悪事から遠ざかろうという気持ちなど、みじんもないのです。 + ああ主よ。あなたの揺るがぬ愛は天のように高く、あなたの真実は雲にまで達します。 + あなたの正義は神の山のように不動で、その判断は、満ち潮の海のように知恵であふれています。神は人にも獣にも心をお配りになります。 + ああ神よ。尽きることのない愛を、心から感謝します。あらゆる人が御翼の陰に身を隠します。 + その人々はあなたの祝福を豊かに受けて養われ、喜びの川の水を心ゆくまで飲ませていただけるのです。 + あなたはいのちの泉です。私たちはあなたの光を反映しているにすぎません。 + あなたを信じる人々に、変わらない愛を注いでください。どうか、お心にかなった生き方をしようとする人々をお救いください。 + あの高慢な連中が私を踏みにじるのを、許さないでください。私が不正を行う者たちの手で、もてあそばれることがないようにしてください。 + ごらんください。彼らは投げ倒され、二度と立ち上がれません。 + + + 悪者をうらやんではいけません。 + しょせん、草のようにあっという間に枯れ、消え失せる存在なのですから。 + 主に信頼して人を思いやり、親切にしなさい。そうすれば、この地に安住し、成功を収めることもできます。 + 主を喜びとしなさい。主は心の願いをみな、かなえてくださいます。 + 自分のしようとすることをみな、主にゆだねなさい。信頼する者を、主は助けてくださいます。 + あなたの潔白は、だれの目にも明らかになります。神は、真昼の太陽のようにまぶしい正義の光をあてて、弁護してくださいます。 + すべてを主にゆだねて、安心しなさい。神が立ち上がるまで、忍耐して待つのです。悪者どもの繁栄ぶりをねたんではいけません。 + 怒るのをやめ、憤りを捨てなさい。くよくよと思い悩んではいけません。自分に害をもたらすだけです。 + 悪者は滅ぼされますが、神に信頼する者には祝福が降り注ぎます。 + もうしばらくすれば、見ようとしても、悪者の姿は見つけられなくなります。 + 一方、神の前に謙遜な人は、ありとあらゆる祝福を受け、心地よい平安に身をゆだねるのです。 + 神は、ご自分を信じる人を陥れようと企む者を笑われます。彼らのさばかれる日が近いのをご存じだからです。 + 悪者どもは貧しい者のいのちをつけねらい、正義の人を殺そうと身構えています。 + しかし、彼らの剣は自分の心臓を突き刺し、その武器はみな砕かれます。 + 不正な手段で金持ちになるより、わずかな持ち物に甘んじて、神を敬って過ごすほうがまさっています。 + 悪者の腕はへし折られますが、罪を赦された人は主に守られて暮らせるからです。 + 主は毎日、神を敬う人の善行をごらんになり、永遠のほうびをお与えになるのです。 + 彼らは逆境のときにも、神に守られています。ききんの年にも飽き足りることができるのです。 + しかし、悪者は滅びます。主に敵対する者は草のようにしおれ、煙のようにはかないのです。 + 悪者は借りても、返済できません。しかし、正しい人は施しができるまでになります。 + 主に祝福された人はこの地上を相続しますが、のろわれた者は滅びます。 + 正しい人は、主の導きに従って歩みます。主はその一歩一歩をお喜びになるのです。 + たとえ倒れても、それで終わりではありません。主がしっかり支えておられるからです。 + 以前は若かった私も、今では年をとりました。しかしこの間、神がご自身を愛する者をお見捨てになったり、神を敬う人の子どもを空腹のまま放っておかれたりする光景を、一度も目にしたことはありません。 + むしろ、神を敬う人は惜しげもなく人々にふるまい、金を貸しており、その祝福が子どもにまで及ぶのを見ました。 + 永遠の住まいに行きたいと願うなら、卑劣な悪の道を捨て、正しい生活を送りなさい。 + 主は正義と公平を愛されるからです。神はご自分の民を決してお見捨てになりません。その人々は永遠に安全を保証されているのです。反対に、悪の道を慕う者は滅びます。 + 神を敬う人はこの地に植えられて根を張り、永遠に住むのです。 + 神を敬う人は正しく公平で、善悪をわきまえているため、すぐれた相談役を務めます。 + 悪者どもは神を敬う人をつけねらい、何とか訴える口実を見つけ、死罪に追い込もうと目を光らせます。 + しかし、悪者どもの思いどおりになるのを、主が見過ごされるはずがありません。神を敬う人は、法廷に引き出されるようなことがあっても、有罪の判決を受けることはありません。 + 主が立ち上がってくださる時を、じっと忍耐して待ちなさい。そして、神の道をしっかり歩んで行くのです。やがて、神が祝福をあふれるばかりに注ぎ、あなたの名声を高めてくださる時がきます。しかも、あなたは悪者が滅ぼされるのを目の当たりにするのです。 + この光景は私自身も目にしました。そびえ立つレバノン杉のように、おごり高ぶった悪者が、次の瞬間には影も形もなくなっていたのです。ひとみをこらして捜しましたが、その姿は消え失せていました。 + それに引き替え、正しい人はどうでしょう。非の打ちどころもなく高潔で、平和を愛するその人の未来は美しく輝いています。すばらしい晩年が待っているのです。 + しかし、悪者は滅ぼされ、子孫は根絶やしにされます。 + 神を敬う人は救われます。苦しみのとき、主は救いとなり、とりでとなってくださるのです。 + 主は、ご自分に頼る者を助け、悪者の策略から守ってくださいます。 + + + ああ主よ、お怒りのままに私を罰しないでください。 + あなたの矢は深く突き刺さり、私は容赦なく打たれて、圧倒されました。 + 御怒りにふれて病気となり、罪のために健康を害したのです。罪は洪水のように頭上を越えました。もう、自分では負いきれない重荷です。 + 傷口はただれ、うみがあふれています。罪の重さに、身をかがめて苦しみもだえています。昼も夜も苦痛に満ち、 + 腰は焼けつくように痛く、全身が病み疲れているのです。 + 私は精根尽き果て、絶望してうめくのみです。 + 主よ。私がどれほど健康な体に戻りたいと思っているか、あなたはご存じです。私のため息は一つ残らずお耳に達したはずです。 + 動悸は激しく、体力は消耗し、目も見えなくなりつつあります。 + 愛する者や友人たちは、私の病気を怖がって近寄ってくれず、家族の者さえ遠巻きにしています。 + 敵は、このいのちをつけねらい、目覚めている間中、策略を練っているのです。 + しかし私は、彼らが脅す声を聞かないようにしています。口がきけない人のように、黙りこんでいます。 + 主に望みを託しているからです。ああ主よ、早く来て、私を守ってください。 + それ見ろと言わんばかりに、失意の私を眺めるあの高慢な者どもにとどめを刺してください。 + いつまで私は危険な崖っぷちに立っていなければならないのでしょう。悲しみの原因である罪が、四六時中、私を見すえています。 + 私は罪を告白します。どうか、今までの行いを赦してください。 + しかし、敵は私を憎み、激しく苦しめます。私には少しも身に覚えがありませんのに。 + あの者どもは悪をもって善に報い、正義を掲げる私を憎むのです。 + ああ主よ、私を置き去りにしないでください。 + 私を救ってくださる主よ、急いで来てお助けください。 + + + 私は自分に言い聞かせました。「不平を言うのはやめよう。特に、神を信じない者たちがそばにいる間は。」 + ところが、おし黙っている私の心の中では、すさまじい暴風が吹き荒れているのです。思いにふければふけるほど、体の中で火が燃え上がります。私はたまりかねて口を開き、神にとりすがりました。 + 主よ、地上で生きる年月などわずかであることを私にわからせてください。ここにいるのもあとほんの少しだと、思い知らせてください。 + 残りの生涯は手の幅ほどもありません。私の一生など、神から見ればただの一瞬にすぎません。人は、なんとおごり高ぶることでしょう。人のいのちは息のようにはかないものです。しかも、どんなにあくせくしようと、何一つ残せるわけではありません。他人に渡すために、富を築くようなものです。 + 神よ。私はあなたにだけ望みをかけているのです。 + 私が罪に負けないように助けてください。そうでないと、愚かな者どもまでが、私をさげすみますから。 + 主よ。もう私は何も申し上げません。不平がましいことなどひと言も口にしません。罰をお下しになるのはあなたですから。 + 主よ、これ以上、私を打たないでください。おかげで私は、息も絶え絶えです。 + ひとたびあなたから罪を罰せられれば、だれでも倒れてしまいます。人は、虫に食われた衣類のようにもろく、霧のようにはかないものですから。 + ああ主よ、私の祈りを聞いてください。この涙ながらの訴えに耳を貸してください。私の涙などそ知らぬ顔で傍観しないでください。私はあなたに招かれた客ではありませんか。先祖同様、この地上を仮の宿とする旅人なのです。 + どうかこのいのちをお助けください。死ぬ前にもう一度、元気になりたいのです。喜びに満たされたいのです。 + + + 私は、ただひたすら主の助けを待ち望みました。すると、その願いは聞かれたのです。 + あなたは絶望の穴から、どろどろのぬかるみから引き上げて、踏み固めた道に下ろし、しっかり歩けるようにしてくださいました。 + 主は私の口に、新しい賛美の歌を授けてくださいました。私があなたに、どれほどすばらしいことをしていただいたかを知って、大ぜいの人が敬虔な心で神を敬い、信頼するようになるでしょう。 + おごり高ぶり、偶像を拝む者には頼らず、主だけを頼りとする人には、豊かに祝福が注がれます。 + ああ、神である主よ。あなたは何度も大きな奇跡を見せてくださり、いつも私たちのことを心に留めてくださっています。ほかのだれに、こんなすばらしいことができるでしょう。だれも比べものにはなりません。あなたのすばらしいみわざは、どんなに時間をかけても語り尽くせないのです。 + あなたが真に望んでおられるものは、いけにえや供え物ではありません。完全に焼き尽くすいけにえが、あなたを特別喜ばせるわけではありません。しかし、生涯を通じてあなたにお仕えしたいという私の心は、受け入れてくださいました。 + そこで、私はこう言いました。「神よ。いま私は、預言者が言っていたとおりに参りました。 + あなたのおきてを心に刻んでいる私は、喜んでご意志に従います。」 + 私は会う人ごとに、あなたが人の罪を赦してくださるといううれしい知らせを伝えます。私が恐れることなくそうしてきたことを、あなたはよくご存じです。 + 私はこの良い知らせを胸の中にしまい込んだりはせず、かえって、あなたのいつくしみと真実を多くの人に伝えて回りました。 + ああ主よ。あなたの愛と真実だけが頼りなのですから、あわれみを出し惜しまないでください。 + それがなければ、私は滅んでしまいます。とても手に負えない問題が、山積みなのですから。そのうえ、数えきれない罪に責め立てられ、恥じ入るばかりで顔を上げることもできません。身も心も縮み上がる思いです。 + お願いです。どうか、早く助けてください。 + いのちをつけねらう者どもをかき乱し、追い払ってください。あざける者たちをいやと言うほど痛めつけ、恥を見させてやってください。 + しかし、あなたとその救いを慕う人は、喜びにあふれますように。そして、常にその口からは、「主はなんとすばらしいお方でしょう」と賛美があふれますように。 + 私は貧しくて、困っています。しかし主は、こんな時こそ私を心にかけてくださっているのです。ああ、救い主であられる神よ、直ちに駆けつけて、救ってください。 + + + 貧しい者に親切な人は、神から祝福を受けます。その人が困難に会うとき、主は助けの手を差し伸べてくださいます。 + その人を無事に守って生かし、人前で面目を施させ、敵を散らしてくださいます。 + 病気のときは、主ご自身が看護に当たり、痛みをやわらげ、心配事を取り去ってくださるのです。 + 私はこう祈りました。「ああ主よ、私をあわれんで、病気を治してください。私は罪を洗いざらい告白したのですから。」 + ところが敵は、「さっさと死んで、忘れ去られてしまえばよい」と言っています。 + 彼らは、いかにも親しげに病床の私を見舞いますが、心の中では憎悪をたぎらせ、私が苦しみの床に伏している姿を見てほくそ笑むのです。一歩外に出ると、大笑いし、あざけり、 + 私が死んだら何をしようかと、ひそひそ耳打ちし合っています。 + 彼らはこう言います。「どんな病気か知らないが、もうすぐおしまいだ。二度と起き上がれるものか。」 + 食事を共にした親友さえ、私を裏切りました。 + 主よ、どうか私を見殺しにしないでください。あわれんでください。どうか健康な体に戻し、彼らを見返すことができるようにしてください。 + あなたは、敵が私に勝ち誇ることをお許しになりませんでした。私は自分が神の御目にかなっていることを知りました。 + 私が正直に生きてきたからこそ、あなたはこれまで守ってくださったのです。これから先、いつまでも目をかけてくださいます。 + イスラエルの神である主をあがめよう。この方は永遠に生きておられます。アーメン。アーメン。 + + + ああ神よ。鹿が水をあえぎ求めるように、私はあなたを慕い求めます。 + 焼けつくような渇きを覚えながら、私は、生きておられる神を求めています。どこへ行けば、お目にかかれるのでしょうか。 + 昼も夜も涙にむせびながら、神の助けを祈っています。かたわらでは敵が、「おまえの神はどこへ行った」とあざけるのです。 + さあ、私のたましいよ、元気を出せ。あの日のことを思い出すのだ。まさか忘れてはいないだろう。あの祭りの日、多くの人の先頭に立って神の宮に上り、喜びに満たされて賛美の歌を歌ったことを。どうしてそのように沈み込む必要があるのか。どうして悲しげにふさぎ込んでいるのか。神に望みを託すがよい。そうだ、助けを信じて、もう一度神をほめたたえよう。 + それでもなお、私は気落ちし、ふさぎ込んでいます。しかし、やがて私は、ヨルダン川が流れ、ヘルモン山やミツァル山のそびえる美しいこの地に注がれている、神の恵みを思い巡らします。 + 神のさかまく大波が私の頭上を越え、悲しみの洪水が、とどろく大滝のように降りかかってきます。 + しかし主は日ごとに変わらない愛を注いでくださいます。私は夜通し賛美の歌を歌い、このいのちを授けてくださった神に祈りをささげます。 + 「ああ、岩なる神よ」と、私は叫びます。「なぜ、私をお見捨てになったのですか。なぜ、私は敵の攻撃にさらされて、こんなにも苦しまなければならないのですか。」 + 人のあざけりがこの身を突き刺し、深い傷を負わせます。彼らは、「おまえの神はいったいどこへ行った」とあざ笑います。 + しかし、私のたましいよ、気落ちするな。動転するな。神に期待せよ。神がすばらしいことをしてくださり、私はきっと賛嘆の声を上げるのだから。このお方こそ、私の命綱、私の神。 + + + ああ神よ、情け容赦なくだまし取ろうとする者どもの言いがかりから、守ってください。 + あなたは、かけがえのない隠れ家なのです。どうして、私のことなど知らないかのように突き放されるのですか。どうして、私が敵に痛めつけられて嘆かなければならないのですか。 + どうか、あなたの光と真実を送って、きよいシオンの山にある神の宮へと私を導くようにしてください。 + この上ない喜びにあふれて祭壇の前に立ち、竪琴をかきならしながら賛美したいのです。ああ神よ。 + 私のたましいよ、どうしてそんなに気落ちしてふさぎ込むのか。神に何もかも任せなさい。きっとすばらしい助けの手が差し伸べられ、感謝の思いに満たされる。神は再び、私をほほえませてくださる。このお方こそ、私の神。 + + + ああ神よ。ずっと昔、あなたはすばらしい奇跡を行われたと聞いています。私たちの先祖は話してくれました。あなたがこの地から異教の民を追い出し、すみずみまでイスラエルの支配を行き渡らせてくださったいきさつを。 + 人々は自分の力や腕でこの地を手に入れたのではありません。全能の神が心にかけ、力を添えくださったおかげなのです。 + 私の王、私の神よ。あなたの民に勝利をもたらしてください。 + その力と御名のご威光によらなければ、敵を踏みにじることはできません。 + 武器などあてにはなりません。そんなものが救ってくれると考えるのは、大きな間違いです。 + あなただけが、憎しみのかたまりとなっている敵に打ち勝つことができるのです。 + 私はいつも神を誇りました。神にはどんなに感謝しても、感謝しきれません。 + しかし神よ。あなたは私たちを拒んでおられます。そのため、私たちは大いに面目を失いました。これほど悪戦苦闘しておりますのに、あなたは助けの手を差し伸べてくださいません。 + それどころか、私たちに対抗しようとさえなさり、敵の前で痛い目に会わせられました。敵はこの国を襲い、あちこち略奪して回りました。 + まるでほふられる羊のように、あなたは私たちを扱い、国中に散らされました。 + そして、ほんのわずかの値で売り飛ばされました。何の値打ちも認めてくださらなかったのです。 + このひどい仕打ちのおかげで、私たちは国々の間で笑いものとなり、さんざんさげすまれました。 + あなたは「ユダヤ人」ということばを、国々の間で侮蔑と恥の代名詞となさいました。 + 復讐心に燃えた敵は、私たちを常にさげすみ、あざけり、なじり、のろっています。 + あれほど主に忠誠を尽くし、あなたの契約を守ってきたのに、こんなひどい目に会わされています。 + 私たちの心は、かた時もあなたから離れたことはありません。ただの一度も、あなたの道からそれたことなどないのです。 + もしそんな過失があったのなら、荒野で罰せられても、暗闇と死の中に放り出されても納得がいきます。 + もし、私たちが神に背いて偶像を拝んだなら、あなたの目にも留まるでしょう。 + 神は人の心の中さえお見通しではありませんか。 + ところが私たちは、あなたにお従いしているばかりに、常に死の恐怖にとらわれています。まるでほふり場に引かれて行く羊のようになっています。 + ああ神よ、目を覚まし、起き上がってください。まどろまないでください。いつまでも見捨てておかないでください。 + どうして顔をそむけ、この悲しみと苦悩を見て見ぬふりをなさるのですか。 + 私たちは泥の中に転がっています。 + ああ神よ、早く来て、変わらない愛で助けてください。 + + + 私の心は美しい思いであふれています。さあ、うるわしい詩を王にささげましょう。またたくまに物語をつづる詩人のように、ことばがわき上がってくるのです。 + あなたはだれより美しい。あなたのことばは優しさにあふれている。あなたは永遠に神の祝福に包まれる人。 + 力強い方よ、威風堂々として、腰に剣を着けよ。 + 威厳をまとい、勝ち進め。真理と謙遜と正義のために、恐るべきわざがなされるよう、粛清を推し進めよ。 + あなたの矢は鋭く、敵の胸に突き刺さる。敵はあなたの目の前に倒れる。 + 神の王座は永遠、神の笏は正義。 + 真実を愛し、悪を憎むあなたに、神は格別大きな喜びをお授けになった。 + あなたの服には没薬、アロエ、シナモンの芳香がただよいます。象牙をちりばめた宮殿では、ここちよい音楽がかなでられています。 + 諸王の娘があなたに仕える女たちに加わり、王妃は、オフィル産の最高級の金の飾りを着け、あなたのかたわらに立っています。 + 「娘よ、私の忠告を聞きなさい。遠い故国の父や母を思って悲しんではいけません。あなたには王という夫があり、王はあなたの美しさを喜んでおられます。主人である王に、うやうやしく仕えなさい。 + 当世で最も金回りのよいツロの人々が、あなたの歓心を買おうと、贈り物を山と積んで来るでしょう。」 + 花嫁姿の王女は、金の糸で織った美しい晴れ着をまとい、自室で控えています。 + 侍女にかしずかれ、しずしずと王の前に出る、その姿の美しいこと! + 王宮の門をくぐる行列は、なんと楽しげで、うれしそうなのでしょう。 + 「あなたから生まれる子どもは、いつか父の跡を継いで王となり、世界を支配します。 + わたしはあなたの名を、のちの世までも輝かせます。諸国民はいつまでも称賛してやまないでしょう。」 + + + 神は私たちの隠れ家、また力、苦難にあえぐときの確かな助けです。 + ですから、たとえ全世界が破裂し、山々が崩れ落ちて海に沈むようなことがあっても、怖がることはありません。 + 海よ、鳴りとどろき、白くあわ立つがよい。山よ、激しく揺れ動くがよい。 + 喜びの川が、あらゆる神々にまさる神であられるお方の聖なる住まいのある都を流れます。 + 神がそこにおられるので、どんなことが起ころうと、都はびくともしません。神はすばやく助けの手を差し伸べてくださるのです。 + 国々は怒り狂い、わめき散らします。しかし、神のひと言で大地は溶けて服従し、王国はよろめき倒れます。 + 天の軍勢の主である神が、そばにいてくださいます。このお方はヤコブの神で、私たちを助けるために駆けつけてくださいました。 + さあ、主がどんなにすばらしいことをなさるか、よく見なさい。主は全世界を灰とし、 + 世界のすみずみまで戦争をやめさせ、武器という武器を残らず破壊し、焼き捨てられます。 + 「よく聞きなさい。わたしこそ神であることを、よくよく知りなさい。わたしは全世界でほめたたえられる。」 + 天の軍勢の主は、確かに私たちの味方です。ヤコブの神であるこのお方が、駆けつけて助けてくださいました。 + + + さあ、皆さん、喜んで手をたたきましょう。大声を上げて主をほめたたえましょう。 + このあらゆる神々にまさる主は、ことばには尽くせないほど畏れかしこむべき方であり、全地を治める偉大な王です。 + 神は、私たちの下に国々を置いて治め、 + ご自分の愛する者たちに、ご自身で最高の祝福を選んで与えてくださいます。 + 鳴りわたるラッパの音と勇ましい雄叫びの中を、神は昇って行かれました。 + 私たちの主である神に向かって、賛美の歌を高らかに歌いなさい。全世界の王である神をほめ歌いなさい。心からほめ歌いなさい。 + 神は国々を治め、聖なる御座につかれます。 + 全世界の支配者たちも、声を合わせて、アブラハムの神をほめたたえました。 + 諸国の勇者が手に取る盾は、神の勝利のしるしです。神は世界のどこででも大きな栄誉をお受けになります。 + + + 主はなんと偉大なお方でしょう。どれほどことばを連ねても、たたえ尽くせません。神はエルサレムのシオン山に住んでおられます。 + なんと栄光に満ちた光景でしょう。都の北に、ひときわ高くそびえ立つシオンの山をごらんなさい。そこは偉大な王の住まいで、世界中の喜びの源泉です。 + 神ご自身が、エルサレムの守りにつかれます。 + 諸国の王は、都を探ろうと集まって来ました。 + しかし、ひと目見るなり驚嘆し、あわてふためいて逃げ帰りました。 + 彼らは目に映ったものにおびえ、産けづいた女のようにうろたえます。 + 神は、いとも簡単に強力な船隊を砕かれます。 + 私たちは聞いていました。天の軍勢の主、神の都のすばらしさを。ついに今、それをこの目で確かめました。神はエルサレムを永遠の都となさいました。 + 神よ。私たちは神殿の中で、あなたの恵みと愛に思いをはせています。 + ああ神よ。あなたの御名は全世界に知れ渡っています。世界中の人を救われる神に、至る所で賛美がわき上がっています。 + エルサレムとユダヤの人々は喜びなさい。最後には、あなたがたも正当な扱いを受けるようになると、神が保証しておられます。 + さあ、都中を調べなさい。都の外側を巡って、塔を数えなさい。 + 城壁に注意をはらい、宮殿を見て歩きなさい。子孫に語り伝えることができるように。 + この偉大なお方は、いつまでも私たちの神でいてくださり、私たちが死ぬ時までずっと導いてくださいます。 + + + 身分の高い者も低い者も、金持ちも貧しい人も、世界中の人々に、私のことばに耳を傾けてほしい。 + この口から出ることばは、人の心の奥まで見通すことができ、知恵に満ちているのです。 + 竪琴の伴奏に合わせ、奥深い人生の問いに答えて歌いましょう。 + 悩みが訪れ、敵に囲まれようと、少しも恐れることはありません。 + 彼らは金に信頼し、財産を誇っています。 + しかし、王に負けないくらい裕福な彼らも、兄弟の罪を帳消しにすることはできません。罪の赦しは金では買えないのです。 + たましいはあまりにも高価なので、この世の富をいくら積んでも買い戻せません。世界中の金をかき集めても、ただ一人分の永遠のいのちも買い与えられません。地獄から救い出すことはできないのです。 + あなたがた金持ちも、傲慢な者も、賢い者も、結局、同じように死ぬ運命にあります。愚かで、無知な者たちより長生きできるわけではありません。しかも、わずかな金すら持って死ねはしないのです。 + あなたがたは、まるで永久にその土地に住めるかのように、自分の名をつけています。 + しかし、どんなに栄華をきわめた人間でも、死ぬ時は動物とそう変わりません。 + 全く、取るに足りない存在なのです。それなのに、そういう人々は死後も、非常に賢い人物として引き合いに出されたりもします。 + 死が全人類を飼い慣らしています。異なる世界に目覚めたその朝、邪悪な者たちは正しい人々の奴隷となるのです。死んでしまえば、金の力により頼むことはできなくなります。金を持って死ぬことはできないのですから。 + しかし、神は私のたましいを死の力から買い戻してくださいます。私を迎え入れてくださるのです。 + ですから、悪者が金持ちになっても、りっぱな邸宅を構えていても、気を落とすことはありません。 + 死ぬ時には、名誉はおろか、何一つ持って行けないのですから。 + 生きている間中、幸せ者だと自負し、世間からも称賛されるような人でも、 + やがてはみなと同じように死に絶え、永遠の闇に沈んでいくのです。 + どんなに華やかな生涯を送ろうと、人は動物と変わりなく死を迎えるのです。 + + + 全能の神である主は、東の果てから西の果てまで、人々を呼び集めました。 + シオンの山のうるわしい宮から、神の栄光が輝きわたります。 + 神は焼き尽くす火をまとい、雷とともに姿を現されます。そのまわりには嵐が猛り狂っています。 + ご自分の民をさばくためにおいでになった神は、天と地にこうお叫びになります。 + 「祭壇にいけにえをささげた人々を捜し出せ。わたしに忠誠を誓った民を集めよ。」 + 神は完全に公正な裁判官となって、判決を下されます。天も、神の正しさを証言します。 + 「民よ、耳を傾けなさい。わたしはあなたがたの神である。あなたがたには告発すべきことがある。 + わたしは、祭壇にささげられたいけにえに不満があるわけではない。それは欠かさず供えられている。 + しかし、真にわたしの求めているものは、いけにえの雄牛や雄やぎではない。 + 野原や林の獣は、もともとわたしのものなのだから。千の丘で草をはむ家畜も、山の鳥もみな、わたしのものである。 + たとえ飢えても、あなたがたに頼ったりはしない。全世界とその中のものはみな、わたしのものなのだから。 + あなたがたに、いけにえの肉と血を、どうしてもささげてもらわなければならないわけではない。 + わたしが求めているのは、真心からの感謝、わたしへの誓いを果たすことである。苦難のとき、わたしを頼みとしてほしい。そうすれば、わたしは助けの手を差し伸べ、あなたがたはわたしをほめたたえるだろう。」 + しかし、悪者に向かっては、神はこう宣言なさいます。「二度とわたしのおきてを口にしてはならない。わたしがおまえに約束したかのように思ってはいけない。 + おまえはわたしの懲らしめを拒み、おきてをないがしろにしたのだから。 + おまえは、どろぼうを見ると手を貸し、腹黒い者や不道徳な人間とつき合っている。 + のろいのことばを吐き、うそをつき、聞くに耐えないことばを口にする、おまえのような人間は、血を分けた兄弟の悪口さえ平気で言う。 + 今まではわたしも、じっと黙って見てきた。おまえは、神は気にかけていないと思っていた。しかしついに、罰の下る時がきた。これらのことが、おまえの罪状だ。 + 神を忘れ去った者へ、最後のチャンスを与えよう。わたしはおまえを引き裂こうとしている。だれもおまえを助けることはできない。 + 心からの賛美は尊いささげ物。それこそ、わたしの栄誉である。わたしの道を進む人は救われる。」 + + + [ダビデがバテ‧シェバと姦通し、その夫ウリヤを殺したことに対し、預言者ナタンが神からの審判を告げた。その時のダビデの作。]ああ、愛と恵みにあふれる神よ、私をあわれんで、恐ろしい罪の汚れをぬぐい去ってください。 + どうか私を洗い、この罪からきよめて、もう一度、潔白な身としてください。 + 私は、自分がどんなに恥ずべきことをしたか、よく存じております。そのことで夜も昼も責めさいなまれているのです。 + 私はあなたに、ただあなたに罪を犯し、この恐ろしいことをしてしまいました。すべてをご存じのあなたが下す判決に、誤りはありません。 + 私は生まれながらの罪人です。母が私をみごもった時から、罪人でした。 + あなたがお喜びになるのは、徹底した正直さです。ああ、そのことを私に心底わからせてください。 + 汚れをきよめる血を振り注いでください。再び身も心もきれいになれるように、私を洗ってください。そうすれば、雪よりも白くなるでしょう。 + 罰は受けます。でもそののち、喜びを取り戻させてください。 + どうか、いつまでもこの罪を見続けず、御目から消し去ってください。 + ああ神よ。どうか、きよい思いと正しい願いで満たされた、新しいきれいな心にしてください。 + 私を見捨てて、永久に御前から追放してしまわれることがありませんように。聖霊を私から取り上げないでください。 + 救いの喜びを再び鮮やかにして、心からあなたに従おうとする思いに満たしてください。 + 私のように罪深い人々に、私はあなたの道を教えます。きっと悔い改めて、あなたに立ち返ることでしょう。 + ああ神よ。私の頼むところはあなただけですから、どうか死刑の宣告を下さないでください。助けてくださるなら、私の舌はゆるみ、あなたの赦しを高らかに歌いだすでしょう。ああ、私はどれほどあなたをほめたたえることでしょう。 + あなたは罪滅ぼしに何かをせよとはおっしゃいません。もしそう言われるなら、喜んで仰せに従うことでしょう。あなたは、祭壇で焼かれる供え物を求めておられるわけではありません。 + あなたがお望みなのは、悔い改めて、くずおれたたましいです。ああ神よ。罪を深く後悔して砕かれた心にこそ、あなたは目を留めてくださるのです。 + どうか主よ、私の罪のためにイスラエルの国を罰しないでください。あなたの民を助け、エルサレムをお守りください。 + 私が潔白の身となってはじめて、あなたは私の善行と、祭壇に供えるいけにえの雄牛とを、喜んで受け入れてくださることでしょう。 + + + [ダビデが、その敵ドエグ(Ⅰサムエル22章参照)に抗議して書いたもの。ドエグは、のちに八十五人の祭司とその家族を虐殺した。]おまえは英雄のつもりでいるのか。神の民に加えたこの暴虐を誇っているのか。 + おまえは策略を謀ることにかけては天才だ。 + どうしてそれほど、善より悪が、真実よりうそが好きなのか。 + 相手を中傷するのに目がなく、でたらめを並べ立てては、平気で人を傷つける者よ。 + 神はおまえを激しく打ち倒し、死人の国へ引きずって行かれる。 + それを見て、神に従う人々は恐れを感じるが、まもなく笑ってこう言うだろう。 + 「あれが、神をあなどり、富に望みを置き、ますます大胆に悪事を働いた者の末路だ。」 + 一方、この私は、主に守られている囲いの中のオリーブのようで、いつまでも主のあわれみにすがる。 + ああ主よ。あなたの懲らしめがどんなものかを知った私は、永久にあなたをほめたたえて、そのあわれみを待ち望みます。あなたがどんなにいつくしみ深い神であるか、知らない者などいないのですから。 + + + 「神などいない」と言うのは愚か者です。心がひねくれていて、うしろ暗い生活を送っている証拠です。その人のいのちは罪にむしばまれています。 + 神は天から全人類を見下ろして、だれか一人でも、正しいことを行い、心から神を求める者がいないかと、探しておられます。 + しかし、神に背いていない人間などいません。人々は罪にまみれ、芯まで腐りきっています。正しい者は一人もいません。 + どうしてこんなことになったのでしょう。彼らはわからないのでしょうか。彼らはパンのように、わたしの民を食いちぎり、神に立ち返ろうとしないからです。 + しかし、そのうち、かつてないほどの恐怖に取りつかれます。神は、このような敵どもを見捨て、その骨をばらまかれます。 + ああ、今、神がシオンからおいでになって、イスラエルを救ってくださいますように。主ご自身が人々を元どおりにされるとき、人々は再び幸せになれるのです。 + + + [ジフの人々によって、あわやサウル王に売り渡されそうになった時のダビデの詩。]ああ神よ。大いなる力をふるって私をお救いください。力強い腕で守ってください。 + どうか、この祈りを聞き届けてくださいますように。 + 暴虐を働く者どもが、いどみかかってきます。神のことなど気にもかけない冷酷な者たちが、このいのちをつけねらっています。 + しかし、神は助けてくださいます。私の友なのですから。 + 敵の悪らつな仕打ちは、その頭上に戻って来ます。ああ神よ。お約束どおりに事を運び、悪人どもの息の根を止めてください。 + 主よ。私はあなたに心からのいけにえをささげ、御名をほめたたえます。それこそ道理にかなったことです。 + 神はすべての苦しみから私を救い出し、敵を蹴散らしてくださいます。 + + + ああ神よ、この祈りをお聞きください。この切なる願いに、姿を隠さないでください。 + 主よ、私に目を留めてください。私は重荷につぶされそうで、私の内からは、うめきと涙しか出て来ません。 + 敵はわめき散らし、殺してやると脅してきます。遠巻きにして、私を殺す策略を練っています。その激しい怒りと憎しみが私をのみ込もうとしています。 + 私は身もだえして苦しみ、恐怖の戦慄が全身を貫きます。 + 私は身ぶるいし、おののいています。 + ああ、鳩のように翼があれば、遠くへ飛び去り、身を横たえることもできますのに。 + はるかかなたの砂漠へ飛んで行き、そこに潜んでいたいのです。 + この嵐を逃れて、隠れ場へ逃げ出したいのです。 + 主よ、敵を仲間割れさせ、自らの暴力によって自滅させてください。 + 彼らは昼も夜も城壁の上を巡り、侵入者を見張っていますが、実際には問題は内部に巣くっているのです。邪悪と不正が町にはびこっていますから。 + そこには殺人や盗みがあふれ、市場ばかりか至る所で詐欺がまかり通っています。 + 私をののしるのは敵ではありません。それなら我慢もできたでしょう。身を避け、逃げることもできたでしょう。 + しかし、相手というのは、ほかならぬおまえ、仲間であり友人であるおまえだった。 + われわれは兄弟同様の仲だったではないか。祭りの日には連れ立って神の宮へ行き、道々楽しく語り合った。 + 彼らの人生の全盛期に死が取りついて、彼らを倒しますように。その家は罪に冒され、心は底の底まで汚れきっていますから。 + しかし私は、主に願えば、救っていただけるのです。 + 朝、昼、晩と、私は神に祈り、大声で嘆願します。すると、主はその願いを聞き入れてくださいます。 + 多数を敵に回した不利な戦いであろうと、主の救いは確実です。 + 神を敬わず、その戒めを踏みにじった彼らには、永遠の神が報復なさるのです。 + かつてあれほど親しかった友人が、私を裏切りました。約束を破ったのです。 + 口当たりのいいことばの裏には殺意が、甘いことばの中には剣が隠されているのです。 + 重荷を主にゆだねなさい。主が背負ってくださいます。信じて従う者が足をすべらせたり、倒れたりするのを、主が黙って見ておられるはずがありません。 + 神は敵を滅びの穴に投げ込まれます。人殺しとうそつきの寿命は、半分に縮まることでしょう。しかし、私は神の救いを信じ続けます。 + + + 神よ、私をあわれんでください。敵の軍勢が、夜も昼も押し寄せて来ます。尊大にも私に襲いかかって、私を制圧しようとしています。 + 恐れるとき、私はあなたに信頼します。あなたの約束だけが頼りなのです。神に信頼している私に、ただの人間が手出しなどできるわけがありません。 + 彼らはいつでも私のことばをねじ曲げ、どうしたら私を傷つけることができるかと考えているのです。 + 彼らは計画を練り上げるために集まり、道ばたに潜んでは、私をねらって待ち伏せています。 + 彼らは思いどおりに事を運ぶつもりでいるでしょう。主よ。彼らの思いのままにはさせないでください。どうか、怒りを燃やし、彼らを地面に打ちつけてください。 + あなたは、私が夜通し寝返りを打っているのをご存じです。あなたは、私の涙を一滴残さず、びんにすくい集めてくださいました。その一滴一滴は、余すところなく、あなたの文書に記録されています。 + 私が助けを呼び求めると、その日のうちに戦況は変わり、敵は逃げ惑います。私にわかっているのは、ただこの一事、神が味方だということだけです。 + 私は神への信頼を失いません。ああ、神のすばらしいお約束!人間ごときが何をしかけてこようと、私は恐れません。そうです、神は約束を守ってくださるのです。 + 神よ。あなたへの約束は、きっと果たします。助けていただいたことを心から感謝しています。 + なぜなら、あなたは、私が地上で御前を歩めるように、死から救い出し、転ばないように支えてくださったからです。 + + + ああ神よ、あなただけを頼りにしているこの私を、あわれんでください。嵐が過ぎ去るまで、御翼の陰に潜ませてください。 + 私は、天におられる神、奇跡を行ってくださる神に叫びます。 + すると、愛と真実の神は、天から手を差し伸べて救ってくださいます。私を亡き者にしようと、必死になっているうそつきどもから、救ってくださるでしょう。 + 私は、獰猛なライオンに囲まれているかのようです。彼らは、まるで槍や矢のように鋭い歯をして、気炎を上げています。その舌は、まさしく剣です。 + 主が、天より高くあがめられますように。ご栄光を地上高く現してください。 + 敵が罠をしかけたので、私は言いようのない恐怖にとらわれています。彼らはまた、私の通る道に落とし穴を掘りました。しかし、そこに落ちたのは彼らのほうだったのです。 + ああ神よ。私の心は平安で、確信に満ちています。あなたをたたえる歌が、自然に口をついて出ます。 + 私のたましいよ、目を覚ませ。十弦の琴と竪琴よ、身を起こせ。さあ、歌って夜明けを待とう。 + 私は国中を巡り、人々の前で神に感謝をささげます。諸国を行き巡り、あなたをたたえる歌を歌います。 + あなたの恵みと愛は、天そのもののように広大無辺です。あなたの真実は、空よりも高くそびえています。 + ああ神よ。あなたの名が天よりも高くあがめられますように。ご栄光が全世界を照らしますように。 + + + 権力をふるう高慢なおまえたち政治家に、正義ということばの意味がわかるのか。おまえたちのうち、公平のかけらでも持ち合わせている者がいるのか。おまえたちの取り引きは不正だらけで、わいろと引き替えに「正義」を売り渡している。 + こんな者たちは生まれながらの罪人で、最初に覚えたのがうそをつくことなのです。 + 彼らは毒蛇のように口に毒を含み、熟練した蛇使いの声にさえ耳をふさぐ蛇のようです。 + ああ神よ、彼らの牙を折り、若いライオンの歯のようなその歯を引き抜いてください。 + 乾ききった地に吸い込まれる水のように、影も形もなくしてください。彼らの手の武器を、へし折ってください。 + 塩をかけられて溶けるなめくじのように、日の光を知らない死産の子のようにしてください。 + 神は、老いも若きもいっしょに掃き捨て、あっという間に滅ぼされます。 + 神を敬う人は、ついには正義が勝つのを見て喜び、殺された悪者どもの血のしたたる野原を歩きます。 + こうして、地上には公平にさばく神がおられ、善人に必ず報いてくださることが、だれの目にも明らかになるのです。 + + + [ダビデ殺害を謀るサウル王の配下たちに包囲されたとき、ダビデが書いた詩(Ⅰサムエル19‧11参照)。]ああ神よ、私を敵の手から救い出してください。いのちをねらって押し寄せる者どもから私を守ってください。 + 人殺しどもの手から守ってください。 + 腕っぷしの強い者が、手ぐすねひいて待ち伏せています。主よ。私は彼らに何も悪いことをしていません。 + それなのに、彼らは私の息の根を止めようと、意気込んでいるのです。主よ、目を覚まして、よくごらんください。そして助けの手を差し伸べてください。 + 天の軍勢の主であるイスラエルの神よ、どうか周囲の異教の国々を罰してください。こんな恥知らずの悪党どもを、生かしておかないでください。 + 彼らは夕暮れになると様子をうかがい、町の通りを犬のように嗅ぎ回ります。 + 「だれも聞いてなどいない」と高をくくり、大声で悪態をついては、神をのろいます。 + 主よ、こんな連中を笑いものにしてください。 + 私の力の源である、神を賛美します。神は、私の安全な隠れ家ですから。 + 神は、常に変わらない愛を注ぎ、私を助けに来てくださいます。また、敵を私の思いどおりにしてくださいます。 + 彼らに、まだとどめを刺さないでください。私の国民の心に、貴重な教訓を刻みたいからです。私たちの盾である主よ、お力で敵をよろめかせ、ひざまずかせ、泥の中にはいつくばらせてください。 + 彼らはおごり高ぶり、うそをつき、口汚なくののしります。どうか、激しい怒りで彼らを滅ぼし、一掃してください。そして、神がイスラエルを支配し、やがて全世界を治めるようになることを、諸国民にも知らせてください。 + こういう邪悪な者たちは、夕方になると舞い戻って来て、夜通し町をうろつき、犬のようにほえ、食べ物をあさるがよい。 + しかしこの私は、朝ごとに神の力と恵みを歌います。悩みの日、神は危険を避ける高い塔、安全な隠れ家となってくださったからです。 + ああ、私の力そのものの神よ。あなたをたたえて歌います。あなたは、安全な高い塔、恵みにあふれた神だからです。 + + + [ダビデがシリヤ(アラム)と戦い、戦況がまだはっきりしていなかったとき、司令官ヨアブが塩の谷でエドム人一万二千人を打ち殺した。その時のダビデの作。]ああ神よ。あなたは私たちを拒み、その守りをもくずされました。御怒りにふれて、私たちは見捨てられたのです。主よ、もう一度、情けをかけてください。 + あなたはこの国を恐怖で震撼させ、引き裂かれました。主よ、深みまで揺るがされたこの地を今、回復してください。 + さんざんに打ちのめされて、私たちの足はよろめいています。 + しかし、あなたはこんな私たちを奮起させるための旗を下さいました。真理を愛する人々が、この旗のもとに集うためです。そうしてこそ、あなたは愛する国民に解放をもたらしてくださるのです。どうか、力に満ちた右の手をふるって、私たちを救い出してください。 + 神は、ご自分の名誉にかけて救援を約束してくださいました。私は大いに喜びました。神はこう宣言なさいます。「シェケム、スコテ、ギルアデ、マナセは、依然としてわたしのものだ。ユダからは継続して王が出、エフライムからは勇士が誕生する。 + モアブはわたしの召使となり、エドムは奴隷となる。わたしはまた、ペリシテを攻め取って、勝利の声を上げよう。」 + あの強固なエドムの町に、この私を入城させてくださるのはどなたでしょう。それは神です。私たちを捨てて敵の手に渡された、その神です。 + 主よ、どうか敵の攻撃から守ってください。人の助けなど、あてになりません。 + 神の助けがあれば、私たちは強力な働きを進めることができます。神が敵を踏みつけてくださるからです。 + + + ああ神よ、この声を聞き、この祈りに答えてください。 + どこからでも、たとえ地の果てからでも、私は大声で、「助けてください」と叫びます。落胆して心がくずおれるとき、堅固な大岩に避難させてください。 + あなたは私の隠れ家、敵を寄せつけない高い塔です。 + 私はいつまでもあなたの天幕で暮らします。あなたの御翼の陰に身を潜めていれば、何も心配はありません。 + ああ神よ。いつも神をほめたたえて過ごすという私の誓いを、あなたはお聞きになりました。それで私は、神を信じて従う者のために用意された祝福を頂いたのです。 + 神は私のいのちを延ばし、何世代もの人々の人生を凝縮したような、充実した年月を送らせてくださるでしょう。 + しかも、いつまでも主のそばで暮らせるのです。どうかあなたの慈愛と真実で、私をしっかり支えてください。 + そうすれば、私はいつも神をほめたたえるという誓いを果たすことができるのです。 + + + 私は黙って、神からの救いを待ちます。救うことができるのは神だけですから。 + 神こそ私の岩、私を救うお方、そして私のとりでです。ですから私は、困難にぶつかるときでも、おじけづくことはありません。 + ところが、いったいどうしたことでしょう。私の王座が揺らぐと、人々はいっせいに非難をあびせかけてくるのです。王位から追い落とそうと、策略を練り、必死になって根も葉もないうわさを流します。面と向かっては、いかにもにこやかにふるまうのに、心の中ではのろっているのです。 + しかし、私はじっと黙って、神の救いを待ちます。救うことができるのは神だけだからです。 + 確かに、神だけが私の岩、私を救うお方、そして私のとりでなのです。ですから、困難に出会っても、顔をこわばらせなくてよいのです。 + 私が守られるのも、名声を獲得するのも、神のお心ひとつです。神は私の隠れ家、敵の手の届かない岩です。 + 同胞よ。いつでも神への信頼を失わず、心にある願いを洗いざらい申し上げなさい。神はきっと助けてくださいます。 + 身分の高い者も低い者も、神の目から見ればみな無に等しく、天秤で計れば、空気より軽いことがわかります。 + 搾取と強奪によって財産を増やしてはいけません。金持ちだからといって、尊大になってはいけません。 + 愛と恵みに満ちた主は、一人一人のしわざに報われるのです。 + + + [ダビデの賛歌。ユダの荒野に潜伏している時の作。]ああ神よ。いったいどこにおられるのですか。一滴の水もない、からからの荒れ地で、私は必死になって神を慕い求めています。 + 神の聖所へ行ってお力とご栄光を拝したいと、どれほど願っていることでしょう。 + 私にとって、あなたの愛と恵みは、いのちよりも大切なのです。ああ、あなたはなんとすばらしいお方でしょう。 + 生きている限り、私はあなたをほめたたえ、両手を上げて祈ります。 + こうして、ついには身も心も満ち足りるのです。私は喜びにあふれて賛美します。 + 私は夜、横になったまま、 + 今までどれほどあなたに助けていただいたかを思い巡らします。そうして、御翼の下にいこいながら、夜通し喜びにひたるのです。 + あなたのふところに飛び込めば、右の手でしっかり抱きしめていただけます。 + 一方、私のいのちをつけねらう者どもは、地獄の底に突き落とされるのです。 + 彼らは剣に倒れ、野獣のえじきとなるでしょう。 + しかしこの私は、神に抱かれて喜びにあふれます。神に信頼する者は歓声を上げ、うそつきどもは、黙り込むのです。 + + + 神よ、この訴えに耳を傾け、残忍な悪者どもの企みから守ってください。 + 彼らの舌は、剣のように研ぎすまされていて、私をひどく傷つけます。情け容赦ないことばを矢のように、この胸に射かけてくるのです。 + 彼らは待ち伏せては、罪のない者を不意打ちにしますが、何かを恐れるということもありません。 + 彼らは互いに励まし、悪事を行うのです。ひそかに示し合わせては罠をしかけ、「まさか、気づかれるはずがない」と言っています。 + 目を光らせて悪事を重ねる機会をねらっているのです。いくらでも時間をかけて、際限のない悪知恵を働かせ、策略を巡らします。 + しかし、神から不意に矢が飛んで来て、彼らを突き刺します。 + 彼らはよろめいてのけぞり、敵対していた相手の手によって、息の根を止められるのです。それを見ていた人々はみな、あざ笑います。 + 同時に、すべての人は恐れに取りつかれ、神の奇跡の偉大さを口にするのです。こうして、神は驚くべきことをなさるお方だと思い知ります。 + 正しい人は主を信頼して喜び、賛美のことばを惜しみません。 + + + ああ、シオンに住まわれる神。私たちは賛美を内に秘めながら、あなたを待っています。そして、私たちの誓いを果たします。神は祈りに答えてくださるお方なので、あらゆる人が願い事を携えて集まります。 + たとえ私の心が罪に占領されていようと、あなたはすべての罪を赦してくださいます。 + 聖い天幕の内庭で神とともに住むようにと選ばれた人は、なんと幸いなことでしょう。そこには、すべての良いものに加えて、大いなる喜びが待ちかまえているのです。 + 神は、恐怖におののかせるような行為や、恐ろしい力を用いて、私たちを敵から救い出してくださいます。神は、世界中の人々にとって、唯一の望みです。 + 神は底知れない力で山々をお造りになりました。 + また、怒濤さかまく海原を静め、世界中の騒動を鎮圧なさいます。 + 地の果てに住む人々は、神のまばゆいばかりの行いに驚き恐れます。夜明けと日没は喜びの声を張り上げます。 + 神は水をまいて、肥沃な土地に変えられます。神の川からは水がなくなることがありません。また神は、ご自分の民のために大地を整え、大豊作をもたらされます。 + 水路は十分な雨で潤います。夕立が大地をやわらげ、土のかたまりをほぐして、田畑はいっせいに芽吹くのです。 + こうして、大地は緑の絨毯で覆われ、荒れ地にはみずみずしい牧草が生い茂り、小高い山の木々は嬉々として花を咲かせます。 + 牧草地には羊が群がり、谷間には麦の穂が波打ちます。全世界が喜びの声を張り上げて歌っています。 + + + 全地よ。主に向かって歌声を上げ、栄光に輝く神を賛美しなさい。世界中の人に、神のすばらしさを伝えなさい。 + ああ神よ。あなたのなさることの荘厳さに心打たれます。そのお力の壮大さに圧倒されます。敵が降伏するのも、もっともです。 + 全地はひれ伏し、ご栄光をほめ歌います。 + さあ、神がどんなにすばらしいことをなさったかをごらんなさい。神の民は、驚くべき奇跡を体験するのです。 + 神は、海の中に乾いた道を与えてくださいました。人々はそこを踏みしめて渡りました。その日、人々はどれほど興奮し、喜びにあふれたことでしょう。 + 神は、偉大な力で永久に支配し、国々の動静を監視なさるお方です。謀反を謀る国々は、高慢の鼻をくじかれます。 + すべての人よ、神をほめたたえ、賛美の歌を歌いなさい。 + 私たちのいのちを手中におさめておられるのは、神なのです。神はまた、道を踏みはずさないように、私たちを支えてくださいます。 + ああ神よ。あなたは私たちを、銀のように炎で精錬なさいました。 + あなたは私たちを網で生け捕りにし、背中に大きな荷をくくりつけられました。 + 軍隊を送って、息も絶え絶えの私たちを踏みつけにされました。こうして私たちは、火の中を通り、水の中をくぐり抜け、豊かな地へと導かれました。 + 私は今、誓いを果たすため、火で焼き尽くすいけにえの動物を引いて、宮へやって来ました。 + 苦しみの渦中で私は、たくさんの供え物をささげますと約束しました。 + それゆえ私は、雄やぎや雄羊、雄牛を持って来たのです。このいけにえから立ちのぼる煙は、きっとあなたのもとに届くでしょう。 + さあ、神を敬う人よ、こちらに来て聞きなさい。神のなさったさまざまなことをお話ししましょう。 + 私は、この口で助けてくださいと叫び、この舌で神をほめたたえてきました。 + もし私が罪を告白していなかったら、主は祈りに答えてくださらなかったでしょう。 + しかし、神は身を乗り出すようにして、私の祈りを聞き届けてくださいました。 + 祈りの声を退けず、恵みと愛を豊かに注いでくださった神をほめたたえます。 + + + ああ神よ。私たちをあわれんで祝福してください。私たちをごらんになるとき、あなたの御顔が喜びにほころびますように。 + 私たちを世界に送り出し、神の救いの力と全人類への永遠のご計画とを知らせて回らせてください。 + どの国の人々も、心から主をほめたたえるでしょう。 + 国々は、あなたが彼らの王となり、公平にさばいてくださると知れば、喜び、歌いだすでしょう。 + 全世界が神をほめたたえ、地上のすべての国が、感謝をささげますように。 + 刈り入れた作物が、山のように積み上げられたからです。神が私たちを祝福してくださいますように。そうすれば、地の果てに住む人も、私たちの神をあがめるようになるでしょう。 + + + ああ神よ、私をお救いください。洪水で水が氾濫し、私は泥の中にじわじわと沈み込んでいきます。 + 泣き疲れて、のどは渇き、声はかれ果てました。神の助けを待ちわびて、目も赤くなりはれ上がりました。 + 理由なく私を憎む者があとを絶ちません。何も悪いことをしていない私を殺そうと謀る者たちはみな、有力者ばかりです。私は身に覚えがないのに、彼らは報復しようといきり立っています。 + ああ神よ。あなたは、私の愚かさをよくご存じです。私の罪も一つ残らず覚えておられます。 + ああ主よ。この私の存在が、あなたを信頼しようとする人々にとって、つまずきとなりませんように。混乱を引き起こす原因となりませんように。 + 私はあなたのためにのろわれ、辱められているからです。 + 血を分けた実の兄弟でさえ、赤の他人のようにしかふるまってくれません。 + 神のことを熱心に思うあまり、心は焼け尽きそうです。私があなたを弁護したため、敵は、あなたに対してするように、私に侮辱のことばを投げつけてきます。 + 私が主の前で嘆き悲しみ、断食すると、彼らは私をあざ笑い、さげすみます。 + 私が罪を恥じて謙遜になり、悲しんで荒布をまとうと、彼らは私を笑いものにします。 + 町の人は私のうわさを立て、私の名は酔っぱらいの歌になりました。 + しかし、私は祈りの手を下ろしません。神が聞いてくださる時がきたからです。あなたは、愛と恵みを十分に用意して、待っていてくださいます。どうか祈りに答え、約束どおり救ってください。 + この泥沼から引き上げてください。このまま沈ませないでください。憎しみを抱く者どもから救い出し、深い水から引き上げてください。 + 洪水が私の背丈を越え、海にのみ込まれたりしませんように。私を脅かす穴から救ってください。 + ああ主よ、私の祈りに答えてください。あなたの恵みはすばらしく、あわれみにあふれています。 + どうかお姿を隠さないでください。早く来て、苦しみのどん底から救ってください。 + 主よ、駆けつけて来て、救い出してください。敵の手から守ってください。 + 彼らが私のうわさをし、名誉を傷つけているのを、ご存じのはずです。彼ら一人一人がどんなことばを口にしたか、覚えておられるはずです。 + 彼らにさげすまれて、私の心は傷つきました。心はふさぎ込んでしまいました。一人でも、同情して慰めのことばをかけてくれる人がいてくれたらと思います。 + 彼らは、私の食べ物に毒を盛り、のどの渇きを訴えると私に酢をつぎました。 + 彼らの喜びはなえて、不安にとらわれますように。 + 暗闇に閉じ込められて目が見えなくなり、骨と皮ばかりに衰えますように。 + 御怒りの火で、彼らを焼き尽くしてください。 + その住まいは廃屋とし、荒れるにまかせてください。 + 彼らは、神が懲らしめた者を迫害し、神が切りつけた者の傷を見てあざけったからです。 + 彼らの罪は高く積もっています。どうか、見のがさないでください。 + この者どもの名を、いのちの書から抹殺してください。正しい人と同じように生きる権利を、はく奪してください。 + しかし、ああ神よ。この私は、貧困と苦痛から救い上げてくださいますように。 + そうすれば、感謝を込めてあなたをほめたたえることができます。 + それは、いけにえの雄牛や若い雄牛以上に、主に喜ばれるでしょう。 + 謙遜な人々は神の助けを体験します。彼らはとても喜びます。神を探し求める人は、喜びに満たされるからです。 + 主は困っている人々の叫びを聞き届けてくださり、拒んだりはなさいません。 + 天と地よ、主をほめたたえなさい。海も、その中に生きるものも、神をほめたたえなさい。 + 神はエルサレムを救い、ユダの町々を再建してくださるからです。神の国民はそこに住み、決して追い出されることはありません。 + 彼らの子孫はその地を受け継ぎ、神を愛する人々は平穏無事に暮らします。 + + + ああ神よ、お救いください。急いで手を差し伸べてください。 + 私のいのちをねらう者どもが、傷を負わせて楽しんでいるのです。彼らが、おじ惑いますように。恥をかかせてやってください。私がいつまでも、さげすまれることがないようにしてください。 + しかし、神にお従いする者には喜びを下さい。あなたの救いを喜ぶ者には、「なんとすばらしい神でしょう」と叫ばせてください。 + 私は今、困り果てています。急いでください。あなたしか助けてくださる方はいないのです。主よ、さあ早く来てください。 + + + 主よ。あなたは私の隠れ場です。私がくずおれないよう、お守りください。 + 不正を憎まれる方よ、この訴えに耳を傾け、救いの手を差し伸べてください。 + 私を守る大きな岩となり、いつでも私をかくまい、あらゆる攻撃から守ってください。 + ああ神よ、不正をする残忍な者どもの手から、逃れさせてください。 + ああ主よ、あなただけが頼りです。私は幼いころからあなたに信頼してきました。 + そうです、産声を上げた瞬間から、あなたは私のそばにいて、いつも助けてくださいました。ですから、私はいつもあなたをほめたたえるのです。 + あなたの強力な守りのおかげで、私は人々が目をみはるほどの成功を収めたのです。 + ああ神よ。私は一日中、あなたがしてくださった数々のことを思い起こしては、あなたを賛美し、栄誉をたたえています。 + 私は年老いて体力も衰えています。どうか、お見捨てにならないでください。 + 敵はひそひそと話しています。 + 「神もあいつを見限ったのだ。もうじゃまは入らない。今度こそ、打ち倒すことができる。」 + ああ神よ、そんなに離れた所にいないでください。急いで来て助けてください。 + 敵を痛めつけ、恥をかかせてください。 + あなたが助けてくださると信じて待ちます。ますますあなたをほめたたえます。 + 何度、あなたが、危ない目から助けてくださったか、数えきれないくらいです。会う人ごとに、あなたの恵み深さと、日々とぎれることのない思いやりとを告げましょう。 + 主なる神の力をおびて歩き回り、正しくて恵み深いお方はあなただけだと伝えましょう。 + ああ、子どもの時から私を助けてくださった神よ。私は機会あるごとに、あなたのすばらしいわざを、人々に伝えてきました。 + 私は年をとり、髪は白くなりましたが、どうか見捨てないでください。神のすばらしい奇跡を次の世代に伝えさせてください。 + 神よ。あなたの力と恵みは天の天にまで届きます。あなたほどすばらしいことをなさった神が、ほかにあるでしょうか。 + あなたは私に難題を与え、苦しみもがくようになさいました。しかし、あなたは地中深くから私を引き上げ、再び生き返らせてくださいます。 + そして、以前にもまさる名誉を与え、再び御顔を見せて慰めてくださるのです。 + ああ、イスラエルのきよい神よ。私は楽器をかなでてほめ歌を歌い、あなたがどれほど約束に忠実なお方であるかを、告げ知らせます。 + あなたに救い出していただいた私は、歓声を上げて、感謝の賛歌を歌います。 + 一日中、あなたの公正なさばきと温情とを、人々に伝えます。私に害を加えようとした者はみな、恥じ入り、すっかり面目を失ったからです。 + + + ああ神よ。王が、あなたが行うように政治を行い、王子が神を恐れて暮らすように、助けてください。 + 王が、神の民にはもちろんのこと、貧しい人にも公平であるように、助けてください。 + 王のすぐれた治世を反映して、山や丘には草木が生い茂りますように。 + 王の手で貧しい者や困っている者が手厚く保護され、虐待する者たちは容赦なく懲らしめられるようにしてください。 + 貧しい者や困っている者が、太陽や月が空にかかっている限り永久に、いつも神に対して敬虔でありますように。 + 約束された王子は、牧草地に降る春の雨のようにおだやかに、世を治めますように。地を潤す夕立のように、人々を豊かにしますように。 + 彼の治世においては、正しい者が栄え、永遠に平和を楽しみますように。 + その支配は東の海から西の海に至るまで、ユーフラテス川から地の果てにまで及びますように。 + 砂漠の遊牧民は彼の前にひれ伏し、敵はひざまずくでしょう。 + タルシシュや地中海に浮かぶ島々の首長、シェバやセバの王侯はみな、貢ぎ物を納めるでしょう。 + それどころか、全地の王が頭を下げ、すべての人が彼に仕えるでしょう。 + 彼は、身寄りのない者や貧しい者を援護します。 + 弱っている者や困っている者を見ると、いても立ってもいられず、助け上げるのです。 + 彼は、虐待されたり痛めつけられたりしている人を、黙って見過ごしにはできません。彼にとって、このような者たちのいのちはとても大切なものなのです。 + 彼は長生きし、シェバから黄金を贈られます。絶えず称賛を受け、民も一日中祝福を祈ってくれます。 + どうか、平野ばかりか高原にも、豊作の恵みをもたらしてください。レバノンのような実り多い地にしてください。青々とした野原のように、町を人々であふれさせてください。 + この方の名は太陽のように永遠にあがめられます。すべての人はこの方によって祝福され、世界中の国々がこの方をほめたたえます。 + イスラエルの神に栄光がありますように。この方こそすばらしいことをしてくださるのです。 + 栄光に輝くこの方の御名を、永遠にほめたたえなさい。主の栄光が全世界を照らしますように。アーメン。アーメン。 + (エッサイの子ダビデの賛歌は、ここで終わります。) + + + 神はイスラエルに対して、なんと恵み深いことでしょう。心のきよい人に対して、その恵みは行き渡ります。 + しかし私は、崖っぷちに限りなく近づき、危うく足をすべらせて落ちてしまいそうになりました。 + 傲慢な者や悪党が栄えるのを、ねたましく思ったからです。 + 彼らの人生には苦しみもなく、何でもうまくいくのです。顔はつややかで、体は肥えています。 + 彼らは、他の人のように悩むこともなく、深刻な問題で頭をかかえ込んだりすることもありません。 + そのため、きらきら光る首飾りのダイヤのように高慢をちらつかせ、残忍の糸で織ったかのような服を着ています。 + この金持ちたちは、欲しいものが何でも手に入るのです。 + 神をあざけり、神を信じる人々を脅す、その口のきき方は、なんと横柄なことでしょう。 + 彼らは天を向こうに回していばり、大手を振って地上を闊歩します。 + その影響は神を信じる人々にもまともに及び、多くの混乱ととまどいをもたらしました。 + 彼らは言います。「いったい神は、地上でどんなことが起こっているか、ご存じなのだろうか。 + 見るがいい。あのいばりくさった連中を。努力もせず、楽な人生を送っている。しかも、財産は増えていくのだ。」 + 私が今までしてきたことは、むだだったのでしょうか。きよくあろうと苦しんだ日々は、何だったのでしょう。 + 神に従う生活から得たものは、苦しみと災いだけです。しかも、それは、くる日もくる日も、朝から晩まで私につきまとうのです。 + もし、本気でこう口にしたら、私は神の民を裏切ることになったでしょう。 + 主を憎む者どもがこんなに栄えている現実をどう説明したらいいのでしょう。 + ところが、ある日、神の聖所で瞑想していた時、これらの悪者どもの行き着く先を悟ったのです。 + あの者たちは、なんとすべりやすい道を歩いていることでしょう。突然、神から崖っぷちに追いやられて、足をすべらせ、滅びの底に落ちて行くのです。 + こうして、その幸福も、あっけなく幕切れとなり、永遠の恐怖にのみ込まれるのです。 + 彼らの今の暮らしぶりも、つかの間の夢にすぎません。夢から現実の世界に引き戻される人のように、いつかは真実を突きつけられるのです。 + こう悟った時、私は動揺しました。 + 自分がどれほど愚かで無知であったかを思い知らされたのです。ああ神よ。私は獣のように見えたことでしょう。 + しかし、それでもあなたは私を愛し、私の右手をしっかりつかんでくださっています。 + 一生涯、神は知恵と助言を与えて私を導いてくださることでしょう。そしてついに、私は栄光の天へ入れられるのです。 + 天でも、あなた以外に私の神はなく、地上でも、慕わしいお方はあなたひとりです。 + やがて私の体は衰え、気力も弱ります。しかし神は、いつまでも変わらず、心の支えとなってくださいます。永久に私の神でいてくださいます。 + 神をあがめない者は滅びます。神は、ほかの神々に仕える者を滅ぼされるからです。 + しかしこの私は、できる限り神のお近くにいましょう。神にお従いするのです。会う人ごとに、神のすばらしい救いのわざを告げましょう。 + + + ああ神よ、なぜいつまでも私たちをお見捨てになるのですか。なぜ、あなたを信じて従う私たちに、こんなにも激しい怒りを向けられるのですか。 + その昔、奴隷の身であった私たちを救い出し、かけがえのない宝のように大切になさったことを、思い出してください。自ら地上の住まいとお定めになったエルサレムを、思い起こしてください。 + どうか、敵の手で、見るも無残な廃墟と化した都を、あなたの聖所を、ごらんください。 + そこで、敵は勝ちどきをあげ、勝利の碑を建てたのです。 + あらゆるものが荒廃し、木を切り倒したあとの森のようです。彼らはハンマーや斧で、聖所の彫り物を打ち砕き、切り刻み、 + こともあろうに、あなたの聖所に火を放ちました。彼らは、「さあ、神の名残をとどめるものを一掃しろ」と叫びながら、国中を駆け巡り、礼拝するための集会場を焼き払いました。 + 私たちが神の民であることを証明するものは、もう何もなくなりました。預言者もいないのです。こんな状態がいつまで続くのか、だれも知りません。ああ神よ、いつまで敵があなたのお名前を踏みつけるのを、お許しになるのですか。彼らをそのままにしておかれるのですか。 + なぜ、みわざを行うことを差し控えておられるのですか。こぶしを振り上げて、彼らの息の根を止めてください。 + 神は、はるか昔から私の王であられました。私がどこにいても、いつもあなたのほうから、救いの手を差し伸べてくださいました。 + あなたは紅海を二つに分け、海神の頭を打ち砕き、荒野に住む人々のえじきとされました。 + あなたが命じると泉がわき出て、イスラエル人はその水を飲みました。常に水の流れるヨルダン川をせき止め、そこを乾いた道となさいました。 + 昼も夜も、すべてはあなたの支配下にあります。あなたは星と太陽をお造りになったお方です。 + 自然界を治め、夏と冬の区別を設けられました。 + 主よ、敵があなたをあざけっていることに目を留めてください。ああ神よ。思い上がった民が、主の名を冒瀆しているのです。 + 主よ、お救いください。あなたの山鳩を、獰猛な鷹からお守りください。あなたが愛しておられる民を、獣からお救いください。 + 約束を思い出してください。この地は暗闇に閉ざされ、残忍な者たちが幅をきかせています。 + 主よ、あなたの民が踏みにじられ、いつまでもさげすまれることがないようにしてください。貧しい者たちが、あなたの御名をほめたたえることができるようにしてください。 + ああ神よ、立ち上がって、敵に申し渡してください。反逆者が一日中あびせかけてくる侮辱のことばを聞いてください。 + 敵ののろいのことばを、聞き逃さないでください。彼らの声は、ますます大きくなっているのです。 + + + 神よ。心から感謝します。このすばらしい奇跡の数々は、私たちをお心にかけてくださっていた証拠です。 + すると、主の御声がしました。「そうだ、その時がくれば、悪者には罰を下そう。 + 地が揺れ動き、人々が大混乱に巻き込まれても、地の柱は揺るがない。それは、わたしが据えつけたものだからだ。 + わたしは思い上がった者に、謙遜になるよう警告した。悪者には、横柄な態度を捨て、 + 強情で高慢な生き方もやめよと言った。」 + 神のお力添えがあってこそ、誉れも権力も手にすることができるのです。神は、思いのままに人を栄えさせたり、低くさせたりなさいます。 + 主の手には、熟成した白ぶどう酒のグラスがあり、このさばきの杯を、悪者たちは最後の一滴まで飲みほさなければなりません。 + 一方、私は、神を永久にほめたたえます。 + 神は、「悪者の力は打ち砕こう。しかし、正しい者の力は増し加えよう」と言われます。 + + + 神の名声はユダとイスラエルに行き渡っています。 + 神はエルサレムのシオン山に住まいを定めて、 + 敵の武器を粉砕なさいます。 + 大昔からそびえ立つ山々も、栄光をまとったあなたの足もとには及びません。 + 最強の敵でさえ征服されて死体を横たえ、一人として手向かって来る者はありません。 + あなたの叱責のひと声で、敵の軍馬は騎手もろとも倒れました。 + 人々はあなたを非常に恐れ、誰ひとり御怒りに耐えることはできません。 + あなたが天から宣告を下されると、地はおののき、口をつぐみます。 + あなたは立ち上がって、悪事を働く者を罰し、謙遜な人を弁護なさいます。 + 人間の無益な憤りは、あなたの飾りとなるだけで、かえってご栄光を輝かせるのです。 + 神である主に立てた誓いは、すべて果たしなさい。すべての人に、贈り物をささげさせなさい。神を敬い、恐れるべきです。 + 主はこの世の君主のいのちを絶ち、諸王に恐ろしいことを用意なさるのです。 + + + 私は声がかれ果てるまで主を呼び続けます。どうか耳を傾けてください。 + 苦悶に沈みながら、あえぐように助けを求めています。夜通し祈り、天に手を差し伸べて嘆願しています。祈りが聞かれるまでは、喜びなど私には関係がありません。 + 神のことを思い巡らしてはうめき、気が遠くなるほど、あなたの助けを待ちわびています。 + 神からの答えがあるまでは、眠ることもできません。それどころか、悲しみのあまり、もう祈りのことばさえ出てこないのです。 + 私は、とうに終わった古き良き時代のことを思い起こします。 + あのころは、夜になると喜びの歌が自然に口から出てきました。この、たましいのあまりにも大きな変わりようは、どうしたことでしょう。 + 主は永久に私を吐き捨てて、二度と好意を向けてくださらないのでしょうか。 + 主の恵みは永遠に過ぎ去り、約束も果たされないのでしょうか。 + 受けるに値しない者に注いでくださった恵みを忘れてしまわれたのでしょうか。怒って戸を閉め、愛を隠してしまわれたのでしょうか。 + 「これが運命なのだ。神の祝福はのろいに変わった」と、私は自分に言い聞かせました。 + ずっと昔、主のなさった多くの奇跡を思い起こします。 + あのころのすばらしい恵みが、いつまでも頭から離れないのです。どうして、忘れることができましょうか。 + ああ神よ。あなたの道はきよい道です。あなたのように力に満ちたお方は、ほかにありません。 + あなたは奇跡を行う神で、今でも恐るべき力を発揮なさいます。 + かつて、あなたはその力強さで、ヤコブとヨセフの子孫である私たちを救い出してくださいました。 + 紅海は、あなたを見るなり縮み上がり、海の底まで揺さぶられました。 + 雨が降り、いなずまが走り、雷がとどろき渡りました。 + 雷鳴とともにつむじ風が巻き起こり、いなずまが世界を照らし出すと、大地はわななき、揺れ動きました。 + あなたの道は海の底に敷かれていました。そんな所に道があろうとは、誰ひとり知らなかったのです。 + あなたはモーセとアロンを指導者とし、あなたの民をその道づたいに、羊の群れを牧するように導いたのでした。 + + + 民よ、私の教えをよく聞きなさい。私のことばに耳を傾けなさい。 + 先祖代々語り伝えられてきた教訓を、たとえを使って教えよう。 + この真実の解き明かしを聞いたなら、あなたがたもまた、栄光に輝く主のわざを子どもたちに説明し、そのめざましい奇跡を語り伝えてほしい。 + 主はおきてをまずイスラエルに授け、私たちの先祖に、それを子孫にまでも伝えよとお命じになりました。 + こうして、神のおきては順々に、子から孫へと伝えられていくのです。 + こうすれば、すべての世代の人々が神のおきてを守り、神に希望を見いだし、その栄光に輝く奇跡を忘れることはありません。 + そればかりか、先祖のように、反抗的でかたくなな者や、神に心を明け渡そうとしない者も出ないでしょう。 + エフライムの人々は、十分に武装していたにもかかわらず、いざ戦いとなると敵に背を向けて逃げ出しました。 + 神のおきてを守らず、神の命令に従うのを拒んだからです。 + 先祖たちが、エジプトであれほど助けていただき、すばらしい奇跡を見せていただいたのに、神を忘れてしまったのです。 + 神が目の前で海を二つに分け、その間を通らせてくださったというのに。しかも、水は両側にせき止められたまま、そそり立っていたというのです。 + 神は、昼は雲で、夜は火の柱で人々をお導きになりました。 + 荒野では、岩から水を吹き出させ、十分に飲ませてくださいました。 + 岩からほとばしり出た水は、川のように流れました。 + それでもなお、人々は神に背き続け、罪を犯し続けました。 + 不平ばかりで、神の下さる食べ物では満足できず、 + 神ご自身に文句を言ったのです。「神よ、水を出されたくらいですから、もう少しましな食べ物を頂けないものでしょうか」と。 + このことばに、主はどれほどお怒りになったことでしょう。怒りの炎がイスラエルに向かって燃え上がりました。 + 親身になって心を砕いてくださる神に、信頼しなかったからです。 + 神は、天の窓を開き、 + 天上のパンとも言うべきマナを降らせてくださったというのに。 + 御使いの食べ物を、十分に食べさせていただいたというのに。 + 神は東風を起こし、激しい力で南風を引き寄せられました。 + そのため、空から鳥の大群が落ちて来て、ちりのように厚く、海辺の砂のようにびっしりと敷き詰められました。 + こうして、テントのそばに落ちた小鳥は、 + 十分に人々の食欲を満たしたのです。人々の欲しがるものを、神はお与えになったのです。 + しかし、肉がまだ口にある間に、 + 神の怒りは燃え上がり、イスラエルの屈強の若者たちがなぎ倒されました。 + それでもなお、人々は罪を犯し続け、神の奇跡を信じようとはしませんでした。 + そこで神は人々の寿命を短くし、悲惨な生涯を用意されたのです。 + 神が彼らを滅ぼされると、ついに、人々は熱心に神に立ち返りました。 + 神こそ自分たちの岩であり、どんな神々にもまさるお方であることを思い出したのです。 + しかし、その従順も口先だけで、心からのものではありませんでした。 + 本心は遠く離れていたので、約束もすぐに破ってしまいました。 + それでもなお、あわれみ深い神は、そんな彼らの罪を赦し、絶滅にまでは追い込まれませんでした。幾度も、怒りを押しとどめられたのです。 + 人々が朽ちていく存在にすぎず、風のように、あわただしく去っていく身であることを、思いやられたからです。 + 荒野をさまよっていたころ、人々は何度反抗して、神を悲しませたことでしょう。 + 彼らは何度も背いては、神に滅ぼされそうになりました。こうして、自らの手で、神の祝福をとどめてしまったのです。 + 神の力も愛も忘れ、どのようにして敵の手から救い出していただいたかも忘れました。 + また、ツォアンの野でエジプト人が神罰を受け、恐ろしい病気に冒されたことも、 + 川の水が血に変わって飲めなくなったことも、 + エジプト全土にあぶの群れが押し寄せ、かえるが国中にあふれたことも忘れました。 + 神はエジプト人の作物を油虫に食べさせ、その収穫をいなごの餌にされました。 + また、彼らのぶどうといちじくを雹で全滅させました。 + 天からの雹で家畜を、雷によって羊の群れを打ちました。 + 神は彼らに激しい怒りを燃やし、災難をもたらす御使いの一軍を送り込まれました。 + 神の怒りは荒馬のように駆け巡ったので、エジプト人は次々と疫病にかかって倒れました。 + 続いて神は、エジプトの全家族から、一家の柱となるべき長男を殺しました。 + しかし、ご自分の民を羊の群れのように導き出し、荒野の道を無事に進ませてくださいました。 + 神が彼らを守られたので、彼らは恐れを感じることもありませんでした。結局、敵は海にのみ込まれて滅びました。 + こうして彼らは、神が特別に備えてくださった、なだらかな丘陵の続く、祝福の地の入口まで連れて来られたのです。 + 神はこの地に住みついている民族を追い払い、イスラエルの各部族に、領地を分配してくださいました。 + しかし、これほどの恵みを受けながらも、彼らは神に逆らい、神の教えを守ろうとしませんでした。 + 入ろうとしている約束の地からあとずさりして、先祖同様に神を裏切り、先の曲がった矢のように、神が意図なさった的からそれてしまったのです。 + また、他の神々の像を作り、異教の祭壇を築いては、神の怒りを買いました。 + 彼らのしわざをごらんになった神の怒りは激しく、ご自分の民をさえ、退けるまでになりました。 + そこで、地上の住まいであったシロの宮を見限り、 + 契約の箱が奪われるのも見過ごされました。ご自分の栄光を敵の手にお渡しになったのです。 + 神の怒りの火は燃えさかり、イスラエルの民は虫けらのように殺されました。 + 若い男は焼き殺され、若い女は、婚姻の歌を歌う年齢に達しないうちに死に絶えました。 + 祭司は虐殺され、その未亡人は、夫の死を嘆く間もなく亡くなりました。 + その時、神は眠りから覚めた人のように、また、ぶどう酒を飲んで景気づいた勇士のように立ち上がられました。 + 敵はあわてふためいて逃げ、ぬぐいがたい恥をかかされたのです。 + 神はヨセフの家系のエフライム族を見放し、 + ユダ族を選んで、シオン山をいとおしまれました。 + そこに、山のようにそびえ立つ不動の神殿をお建てになりました。 + そして、ダビデをしもべとして選び、彼を羊飼いの仕事場から、 + 子羊を連れた雌羊の番をしていた場所から召し出されました。イスラエルの羊飼いとなったダビデは、すぐれた手腕と真心をもって、人々を導きました。 + + + ああ神よ。あなたの地は、外国の軍隊の占領下にあります。神殿は汚され、エルサレムは瓦礫の山となりました。 + あなたの民の死体は野ざらしで、鳥や獣のえじきとなっています。 + 敵がエルサレムの全住民を殺害したので、その血は川となって流れました。一人の生き残りもいないのですから、いったいだれが死体を埋葬できるでしょう。 + 周囲の国々が私たちをあざけり、侮辱の限りを尽くします。 + ああ主よ、いつまでお怒りになるのですか。あなたのねたみの炎は、私たちの望みをすべて焼き尽くすまで燃えるのでしょうか。 + その激しい怒りを、私たちにではなく、神を信じない国々に注いでください。祈りもせず、あなたの御名を呼び求めもしない国々に注いでください。 + その国々は、神の民イスラエルを滅ぼし、一軒残らず荒らし回ったからです。 + 私たちの昔の罪を持ち出して、有罪の宣告を下さないでください。神のこの上ないあわれみによって、ちりの中ではいつくばっている私たちを立ち上がらせてください。 + 救いの神よ、あなたの御名があがめられるために、私たちを助け、この罪を赦してください。 + どうして、外国人が、「おまえたちの神はどこにいるのだ」とあざけるのを、放っておかれるのですか。神の民を虐殺したことについて、公の場で彼らに報復してください。 + 牢獄につながれている者と、死刑を待つ者のうめきを聞いてください。彼らを救い出し、神の力の偉大さを証明してください。 + ああ主よ、あなたをののしった国々に、七倍の報復を加えてください。 + そうすれば、神の民である私たちは、いつまでも感謝し、のちのちまであなたの偉大さをほめたたえるでしょう。 + + + ああ、イスラエルを導く偉大な羊飼いよ。ケルビムの上の王座におられる神よ。どうか、私の訴えを聞き入れて、お力を見せてください。光り輝くご栄光を現してください。 + さあ、立ち上がり、どれほど強い力で私たちを救い出してくださるのか、エフライムやベニヤミンやマナセにお見せになってください。 + ああ神よ、おそばに戻らせていただきたいのです。喜びと愛のまなざしを注いでください。そうでなければ、私たちは救われることがありません。 + 天の軍勢の神である主よ、いつまで怒り、この祈り耳にをふさがれるのですか。 + 悲しみと涙が私たちの食べ物なのですか。 + いつまで私たちを、諸国の笑いものとされるのですか。 + 天の軍勢の神よ、おそばに戻らせてください。喜びと愛のまなざしを注いでください。そうでなければ、私たちは救われることがありません。 + 神は私たちをエジプトから、弱々しいぶどうの木を運ぶようにして連れ出し、約束の地から異教の民を追い出して、そこに植えてくださいました。 + 土をやわらかく耕してくださったので、私たちは根を張り、国中に生い茂りました。 + 山々も私たちの影でおおわれました。私たちは杉の大木のように枝を伸ばし、 + 地中海からユーフラテス川に至る全土を埋め尽くしました。 + ところが今になって、あなたは私たちの石垣を切りくずし、番人を追い払って、荒らされるままに任せられます。 + 森のいのししには周囲を鼻で掘られ、野獣どもには格好のえじきとしてねらわれています。 + 天の軍勢の神よ、お願いですから、お戻りになって私たちを祝福してください。天からこの惨状をごらんになり、あなたのぶどうの木を手入れしてください。 + ご自身で植え、ご自身で育て上げた子どもを守ってください。 + 私たちは敵に切り落とされて焼かれているのです。その敵があなたのきびしい御顔の前で滅びますように。 + あなたが愛した、お気に入りの息子を強めてください。 + もう二度と、私たちはあなたを捨てたりしません。私たちを再び生かし、あなたへの信頼を回復させてください。 + 天の軍勢の神である主よ、おそばに連れ戻してください。私たちに向けられる御顔が、喜びと愛で明るく輝きますように。そうでなければ、私たちは救われることがありません。 + + + 神こそ私たちの力です。さあ、賛美の歌を歌いましょう。 + タンバリンの伴奏で歌いましょう。うるわしい音色の竪琴と十弦の琴をかなで、 + ラッパを吹き鳴らしましょう。満月と新月の祭りに、さまざまな祭りに集まり、楽しく祝いましょう。 + 神は祭りを喜びの時として、おきてに定めておられます。 + 祭りは、私たちを奴隷としたエジプトに対する戦いの記念として、神が定めてくださったのです。私は、このような、聞いたことのない声を聞きました。 + 「わたしはおまえの肩の重荷を下ろす。おまえを重労働から解放する。 + おまえが『苦しい』と叫んだ時、わたしはおまえを助けた。雷の隠れ家であるシナイ山から、わたしは答えた。『水がない』と、おまえがメリバで不平を言った時、わたしはおまえの信仰を試していた。 + わたしの厳しい警告を聞きなさい。おまえが耳を傾けてくれればと、わたしは願っている。 + どんなことがあっても、ほかの神を拝んではならない。家の中に偶像を置いてもいけない。 + エジプトから連れ出したのは、おまえの神である、このわたしではないか。疑うのなら、口を大きく開けてみるがよい。そして、わたしがその口いっぱいに恵みを満たすかどうか試しなさい。ありとあらゆる祝福はおまえのものになるだろう。 + しかし、わたしの民はいっこうに聞こうとしない。イスラエルは、わたしに従おうとしない。 + そこで、わたしは彼らを放っておき、闇の中を手探りしながら欲望のままに暮らすようにした。 + ああ、わたしの民が、従順になってくれたらよいのに。イスラエルが、わたしの道を歩んでくれたらよいのに。 + そうすれば、わたしは直ちに敵と戦って征服しただろう。」 + 今、主を憎んでいる者も、やがては頭を下げるようになるのです。そして、そんなみじめな状態から、決して抜けられなくなります。 + しかし、神はあなたに最上の食べ物を下さり、上質のみつで堪能させてくださるのです。 + + + 神は、天の法廷を開いて、裁判官たちに判決をお授けになります。 + いつまでおまえたち裁判官は、真実の証言に耳をふさぐのか。いつまで悪党どもに便宜をはかっているのか。 + 貧しい者、悩む者、身寄りのない者、日々の暮らしに事欠く者を公平にさばけ。 + 悪い者たちから、貧乏で苦しんでいる人々を救い出せ。 + ところが、おまえたちは、何も知らない愚か者なのだ。おまえたちが暗闇に閉じ込められているため、社会の土台は根本から揺らいでいる。 + わたしはおまえたちを「神々」とか「いと高き神の子たち」と呼んだが、 + いずれは死んでしまう、ただの人間なのだ。王族も同じだ。人間はみな死ぬ運命にある。 + ああ神よ、立ち上がって、この世をさばいてください。地にあるものはみな神のもので、諸国はあなたの手の中にあります。 + + + ああ神よ、私たちが祈っているのに、じっと黙って、何もしないでいることがありませんように。祈りに答え、救い出してください。 + あの、敵の興奮して騒ぎ立てる声が、御耳に入らないのですか。主を憎む者どもの目に余る行為が、御目に留まらないのですか。 + 彼らは悪知恵を働かせて策略を練り、あなたにとってかけがえのない人たちを殺そうとしています。 + 「さあ、イスラエルを抹殺しよう。そんな国があったという痕跡さえ残らないようにするのだ。」 + これが、彼らの首領たちの一致した意見でした。全能の神を敵に回して、彼らは同盟を結んだのです。 + こうして、イシュマエル人、エドム人、モアブ人、ハガル人、 + ゲバル、アモン、アマレク、ペリシテ、ツロの住民たち、 + それにアッシリヤも加わって、このロトの子孫たちとの連合軍ができました。 + どうか彼らを、あのミデヤンと同じような目に会わせてください。もしくは、キション川でのシセラやヤビンと同じ敗北を、なめさせてください。 + また、朽ちた死体が土地の肥やしとなったエン‧ドルでの敵のようにしてください。 + 権力者の貴族たちには、オレブとゼエブのような死に方をさせてください(士師7‧25参照)。また高官たちも、ゼバフとツァルムナのように葬り去ってください(士師8‧21参照)。 + この二人は、「神の牧場をそっくり頂いて、われわれのものにしよう」と企んだ連中です。 + ああ神よ、砂ぼこりやもみがらのように、彼らを吹き飛ばしてください。 + 森林をなめ尽くす山火事のように襲ってください。 + 猛烈な嵐や竜巻で、追い払ってください。 + ああ主よ、彼らがあなたの力と御名を認めるようになるまで、徹底的に恥をかかせてください。 + 彼らがしようとすることを、すべて失敗に終わらせてください。そうして深く恥じ入り、おじけづき、 + ついには、全地を支配する神があなたおひとりであることを、思い知るようにしてください。 + + + 天の軍勢の主よ。あなたの神殿は、なんと美しいことでしょう。 + この神殿の内庭に入り、生ける神のおそば近くに出ることを、私は夢にまで見ているのです。 + 雀やつばめでさえ、祭壇のまわりに巣を作らせてもらい、ひなを育てています。天の軍勢の主、私の王、私の神よ。 + 神殿に住み、いつもあなたを賛美できる人は、なんと幸せなことでしょう。 + 主の力を頂き、あなたに従って歩むことをほかの何より願う人は幸いです。 + そのような人にとっては、涙の谷も、祝福のわき出る泉となるでしょう。 + 彼らはいよいよ溌剌としてシオンに向かい、一人一人呼ばれて、神にお会いすることを許されるのです。 + ああ天の軍勢の神である主よ、私の祈りを聞いてください。 + 私たちを守る盾であられる神よ、あなたが油を注いでお立てになった王をあわれんでください。 + あなたの神殿で過ごす一日は、ほかで過ごす千日よりもすばらしいのです。悪の宮殿に住むよりは、神の家の門番になりたいと思います。 + 神である主は、私たちの光であり、守り手であるからです。主は恵みと栄光を下さる方であり、ご自分の道を歩む者に、良いものを下さらないことがありません。 + 天の軍勢の神に信頼する人は幸いです。 + + + 主よ、あなたは驚くべき恵みをこの国に注がれました。イスラエルの繁栄を回復し、 + 民の罪を赦し、そのいっさいを水に流されたのです。 + こうして、神の激しい怒りは、きれいに消え去りました。 + ああ神よ、あなたを愛していた昔に私たちを戻してください。そうすれば、二度とお怒りを買うこともないでしょう。 + それとも、子々孫々に至るまで、いつまでもお怒りがやまないのでしょうか。 + 私たちを生き返らせてください。そうなれば、神の民は、再びあなたを喜ぶようになります。 + 主よ、私たちに愛と恵みを注いで、救ってください。 + 私は、神である主の口から出ることばをひと言も聞きもらすまいと、耳をそばだてています。神の民である聖徒たちが罪を離れさえすれば、平和を告げられるからです。 + 救いは、主を敬う人たちのすぐそばにあるのです。私たちの国は、やがて主の栄光で満ちあふれるようになるでしょう。 + 恵みと真実は出会いました。厳正な正義と平和は口づけしました。 + 真実は地に生い茂り、神の公正は天からほほ笑みます。 + 主から祝福されて、この国には豊作が続きます。 + 正義は主の前を進んで、道を踏み固めます。 + + + ああ主よ、こちらを向いて、私の祈りをお聞きください。私は悩み果てています。 + 私はあなたのおきてをすべて守ろうとしています。どうか、このいのちをお守りください。私はあなたに信頼して仕えています。どうかお救いください。 + ああ主よ、最後まで望みを失わず、あなたを見上げている私をあわれんでください。 + 私はあなた以外のだれをも拝んだりはしません。どうぞ、幸いを与えてください。 + 主は恵み深いお方で、赦すのをためらったりなさいません。助けを求めて来る人にはだれにでも、あふれるほどにあわれみをかけてくださいます。 + ああ主よ。私は追い詰められて祈っています。この叫びを聞いてください。 + 苦しいことに出会うたび、私はあなたを呼び求めます。すると、あなたは助けてくださるのです。 + 異教の神々の中に、あなたのような方はいません。あのような奇跡を行うことのできる神々はいません。 + あなたがお立てになった国々は、目の前でひれ伏し、聖なる御名をたたえるでしょう。 + あなたは偉大ですばらしい奇跡を行われます。あなただけが神です。 + 主よ、私がどちらへ行けば、あなたのお心にかなうのかを教えてください。私は喜んで、そちらへ行きます。全身であなたの御名を恐れる者としてください。 + 心の底からあなたを賛美し、永遠にあなたの御名をたたえます。 + あなたが私をこんなにも愛し、いつも情けをかけてくださるからです。あなたは、地獄の底から私を救い出してくださったお方なのですから。 + ああ神よ。思い上がった者たちが、公然と向かって来ます。神を退ける横暴な者が、私のいのちをねらっています。 + しかし主よ。あなたはあわれみ深くて優しく、短気を起こさず、恵みと真実にあふれておられます。 + ですから、あなたのしもべである私にあわれみをかけ、力を与えて救い出してください。 + 私をお心にかけてくださっているというしるしを、見せてください。私が神から助けられ慰められていることを知ったら、私を憎む者たちは恥をかくことでしょう。 + + + エルサレムは神のきよい山の上にあります。この神の都を、主はどの場所よりも深く愛しておられます。 + 神の都については、なんとすばらしい語り伝えがあることでしょう。 + 友人たちと話していると、エジプトやバビロン、ペリシテやツロ、さらに、はるかエチオピヤの名前が話題にのぼりました。それらの国の生まれだと誇らしげに語る者がいました。 + しかし、いつの日か、エルサレムの生まれであることが最高の栄誉となる日が訪れます。あらゆる神々にまさる神が、格別この都に目をかけ、祝福してくださるからです。 + エルサレム出身者は国籍を登録する時、主から特別なしるしを付けていただくでしょう。 + 祭りの日には、人々は、「ああ、わが心のエルサレム」と歌うでしょう。 + + + ああ、私を救ってくださる神よ。私は昼も夜も、あなたの前で嘆いています。 + この叫びに耳を傾け、祈りを聞き届けてください。 + 苦しみにがんじがらめにされた私に、死の足音が忍び寄って来たのです。 + 人々は、私のいのちは尽きかけていて、手の施しようもないと言います。 + 戦場で倒れ、神からのあわれみも絶たれた兵士のように、見殺しにされるのです。 + あなたは私を、深い真っ暗闇の穴に投げ込まれました。 + あなたの激しい怒りは、息つく暇もなく押し寄せる波のように、私をのみ込みます。 + あなたは、友人たちが私を嫌って、私のもとを去るようにされました。私は捕らえられ、逃れることができません。 + 目は泣き疲れてかすんでいます。ああ主よ。くる日もくる日も、助けてくださいと、取りすがっているのです。あわれんでくださいと、両手を差し伸べているのです。 + もうすぐ、手遅れになってしまいます。死んでしまえば、どんな奇跡を行ってくださろうと、何の役にも立ちません。死んだら、あなたをたたえることもできません。 + 墓の中にいる者が、どうしてあなたの恵みや真実を言い広めることができるでしょう。 + 暗闇に、あなたの奇跡を証言することができるでしょうか。忘却の地にいる人間に、あなたの助けを語り伝えることができるでしょうか。 + ああ主よ。くる日もくる日も、私は命乞いをしています。 + なぜ、私の寿命を縮められるのですか。なぜ、御顔をそむけられるのですか。 + 私は若いころから病気がちで、いつも死にさらされていました。死におびえて、なすすべもなく立ち尽くしていました。 + あなたの激しい怒りに私は震え上がりました。 + 私は一日中、恐怖に襲われています。 + 愛する人も、友人も、知人も、みな去って行きました。どちらを向いても、暗闇ばかりです。 + + + 私は主の優しいお心づかいを、いつまでも歌います。 + あなたの愛と恵みと真実は、永遠に絶えることがありません。 + 主なる神はこう言われます。「わたしは、よりすぐったしもべダビデと厳粛な契約を結んだ。彼の子孫を永久に王座につけると誓ったのだ。」 + ああ主よ。天はあなたの奇跡をたたえ、御使いたちは、あなたの真実をたたえます。 + 天に、主と並ぶ存在などありえませんから。最も偉大な御使いでさえ、主の足もとにも及びません。 + 天使の中で最高位の者さえ、御前では恐れおののきます。ほかのだれが、主のようにあがめられているでしょうか。 + 天の軍勢の神である主よ。あなたのように権威ある方は一人もいません。主は真実そのものです。 + 海にすさまじい嵐が起こって波が荒れ狂っても、あなたのひと言で凪いでしまいます。 + 傲慢な態度を捨てなかったエジプトは、あなたの手で切り刻まれました。あなたの恐るべき腕を見て、敵は逃げて行きました。 + 天も地も、万物はあなたの手の中にあります。いっさいのものを造られたのはあなたなのですから。 + 北も南も神がお造りになりました。タボル山とヘルモン山は、創造主であるあなたに感謝しています。 + あなたの腕の力は天下に並ぶものがなく、あなたの栄光ある右の手は、高くあげられています。 + あなたの王座を支えているのは、公平と正義の太い二本の柱です。あわれみと真実は、いつもおそばに控えています。喜びに震えるラッパの音を聞く人々は幸せです。あなたの光の中を歩くことができるからです。 + 彼らは、あなたのすばらしい名声と、完全な正義を知って、一日中喜びに満たされます。 + あなたは彼らの力です。あなたの恵みが私たちの力の源であるとは、なんという光栄でしょう。 + 私たちを守るのは、ほかならぬ主ご自身です。この、イスラエルのきよいお方が、私たちに王をお立てくださいました。 + 神は幻の中で、預言者にこう告げました。「わたしは国民の中から、一人のすぐれた若者を選んで王とした。 + それは、わたしのしもべダビデだ。わたしは彼に、きよい油を注いだ。 + わたしは彼をしっかり支えて、強めよう。 + だから彼は、決して敵に優位に立たれたり、悪者にひけをとったりすることはない。 + わたしは敵を打ち倒し、彼を憎む者の息の根を止めよう。 + 常に彼を守り、祝福し、愛で包もう。彼はわたしのゆえに、偉大な者となる。 + 彼はユーフラテス川から地中海に至るまでを支配する。 + 彼はわたしを『あなたはわたしの父、わたしの神、わたしの救いの岩』と呼ぶだろう。 + わたしは彼を長男として迎え、地上で最強の王としよう。 + いつまでも愛を注ぎ、常に恵みを与えよう。彼との間に立てた契約は、決して破棄されはしない。 + 彼の跡継ぎは絶えることがなく、王座は永遠に受け継がれる。 + しかし、もし彼の子孫がわたしのおきてを無視して守らなくなれば、罰が下ることになる。 + とはいえ、恵みを根こそぎ奪ったり、約束を破ったりはしない。 + わたしは契約を破りはしない。前言を翻すようなこともしない。 + わたしはダビデに、その王朝はいつまでも続き、王座も、この世界が続く限り途切れることはない、と誓ったからだ。きよい神は決してうそをつかない。 + 大空にかかる忠実な証人である月のように、彼の王座はいつまでも続く。」 + このようにおっしゃった神が、どうして彼を拒絶し、お捨てになるのですか。なぜ、王として選んでおきながら、こんなにもお怒りになるのですか。 + あなたは、ダビデとの契約を解消なさったのでしょうか。その王冠をはく奪しておられるではありませんか。 + あなたは城壁をくずし、要塞を一つ残らず破壊なさいました。 + 行きずりの者たちがその廃墟を物色してあさり、近隣の者もあざけって見ています。 + あなたは、むしろ敵を勇気づけ、喜ばせておられるのです。 + 戦場では、王の手から剣をたたき落とし、見殺しになさいました。 + その勢いにとどめを刺し、その王座をくつがえされました。 + 彼を実際の年齢以上に老いさせ、公衆の面前で恥をかかせられました。 + ああ主よ、いつまでこんな状態が続くのですか。いつまで顔をそむけて、燃えさかる怒りを注がれるのですか。 + あなたが人間の一生を、どんなに短く、むなしいものにお定めになったか思い起こしてください。 + 人はいつまでも生きることはできません。みな死に果てるのです。だれが、墓から自分のいのちを救い出せましょう。 + 主よ、以前は、あんなに愛してくださったではありませんか。かつてダビデに約束された確かな恵みは、どこへ行ったのでしょう。 + 主よ、ごらんください。人々がこのように私をさげすんでいるのです。 + 敵も、神が王として油を注がれたこの私を、あざけっています。 + しかし、それでもなお、主は永遠にほめたたえられるべきお方です。アーメン。アーメン。 + + + [神の人モーセの祈り。]主よ。あなたはいつまでも私たちの住まいです。 + 大地が造られ、山が生まれる前から、あなたは神であられました。あなたには初めも終わりもないのです。 + あなたのひと言で、人は土に帰ります。 + 千年の昔も、あなたにとっては昨日のことにすぎず、ほんのひと時のようです。 + 私たちは、流れの速い潮に乗って見る間に過ぎ去り、一夜の夢のように、あわただしく消えていきます。朝のうちは青々と生い茂っていても、夕暮れには刈られてしおれる草のようです。 + 私たちはあなたの怒りのうちに死に、あなたの憤りに打ち滅ぼされます。 + あなたは隠された罪をあばき、私たちのすべての罪をごらんになります。 + あなたの御怒りの日々は、私たちにとって重く長く、ため息ばかりで過ぎていくのです。 + 人生は七十年、中には八十まで生きる人もいるでしょう。しかし、一番良い時期でも、人生はむなしく、苦しみに満ちています。しかも、月日は矢のように過ぎて、私たちは、たちまち帰らぬ身となるのです。 + だれが、あなたの怒りの真の恐ろしさを知っているでしょう。だれが、ほんとうに恐れることを知っているでしょう。 + どうか、私たちに与えられた日の数え方を教え、それがどんなに短いものか気づかせてください。どうか、正しい日の過ごし方を教えてください。 + ああ主よ、祝福してください。いつまでこの状態が続くのですか。御怒りを、はるか向こうに遠ざけてください。 + あなたの恵みで若い日々を満ち足らせ、この生涯を閉じる日まで、喜びを絶えさせないでください。 + 悲惨な日々のことなど、思い返さないほどの喜びを、頂きたいのです。災いの年月を、祝福の日々と取り替えてください。 + もう一度、奇跡を見せてください。子どもたちに、以前のように栄光を見させてやってください。 + どうか、私たちに目をかけ、なすことすべてを成功させてください。 + + + 私たちは、どんなものにもまさる神によってかくまわれ、この全能のお方のふところに住んでいます。 + 私は宣言します。「神こそ私の避難所、また安全地帯です。この神への信頼を失うことはありません。」 + 主はどのような罠からもあなたを救い出し、いのちを損なう病からも守ってくださいます。 + 主の翼の下に、あなたはかくまわれるのです。また、主の変わることのない約束が、あなたのよろいとなるのです。 + ですから、もう暗闇を恐れることはありません。真昼の襲撃にもおののくことはありません。 + 暗闇に乗じてはびこる疫病も、明け方を襲う災害も恐れるに足りません。 + たとえ千人がそばに倒れ、一万人の死体があたりを埋め尽くそうと、悪い者が私に触れることはありません。 + 私はただ、悪者が罰せられるのを眺めていればよいのです。 + 私には、主という避難所があります。私はこのお方を、すべての神々にまさる神として選びました。 + ですから、災難に見舞われたり、病にかかったりするはずがありません。 + 神が御使いたちに言いつけて、行く先々で守ってくださるからです。 + 山道でも、石につまずかないように、手で支えてくださいます。 + ライオンに出くわそうと、毒蛇を踏もうと、恐れずに踏みにじることができるのです。 + 主はこう言っておられます。「わたしを愛する者を、救い出そう。わたしを信頼する者を偉大な人物にしよう。 + その者が呼べば答えてやり、苦しんでいる時にはそばにいる。その者を救い出し、誉れを与えよう。 + わたしは彼を救って、充実した人生を送らせよう。」 + + + [安息日に歌う歌。]主に「感謝します」と言うこと、神々にまさる神に賛美の歌をささげることは、なんとすばらしいことでしょう。 + 朝ごとに、「恵みを感謝します」と言い、夜ごとに、神の真実を喜びなさい。 + 十弦の琴やリュート、竪琴をかなでながら、賛美の歌を歌いなさい。 + こんなにも多くのことをしてくださった主に、感謝せずにはいられません。喜びの歌を歌わずにはいられません。 + 主よ、あなたはなんとすばらしい奇跡をなさることでしょう。あなたの御思いの深さには測りがたいものがあります。 + 浅はかな者には、とても理解できず、愚かな者の想像も越えています。 + たとえ、今は雑草のようにはびこっていようと、悪人を待ち受けているのは永遠の滅びだけです。 + 主は永遠に天であがめられるお方ですが、 + 神に対して悪事を働く者は、滅びに至るのです。 + しかし、あなたは私を、野牛のように強くしてくださいました。あなたに祝福されて、力がみなぎりました。 + 敵が刑罰を宣告されて滅ぶ様子を、私はこの目で見ました。 + しかし、神を信じて従う人は、なつめやしの木のように青々と茂り、レバノン杉のようにそびえ立ちます。 + 主の農園に移植され、神ご自身が世話をしてくださるからです。 + その木々は、老木となっても実を結び、青々と茂ることができるのです。 + このことは主の栄誉となり、その真実を人々に知らせます。主は私の隠れ家です。主は恵みそのもののお方です。 + + + 世界の王、主は、威光と権能をまとっておられます。ああ神よ。永遠の昔から、あなたは世界を支配しておられます。 + 大洋も鳴りとどろいて、あなたを賛美しています。 + 岸に打ち寄せ、白く砕け散る大波よりもあなたは力強いお方です。 + そのおきては不変で、その支配の原理は、きよさです。 + + + 復讐の神である主よ。あなたのご栄光を輝かせてください。地上の人々をさばき、おごり高ぶる者どもを罰してください。 + 主よ、いつまで悪者は勝ち誇り、有頂天でいるのですか。 + あの横柄なことば、尊大な態度、自慢げな様子をごらんください。 + ああ主よ。彼らは、あなたが愛しておられる人々をあれほどまで悩ませています。 + 「主に知れるわけがない。神は気にかけることもない」と、未亡人や移民、みなしごなどを殺します。 + 愚か者どもよ。 + 耳と目をお造りになった神が、耳が聞こえず、目が見えないということがあろうか。 + 世界をおさばきになる方が、どうしておまえたちの罪を見過ごしになさるだろうか。いっさいのことをお見通しの神に、おまえたちの悪事がばれないはずはないのだ。 + 主は、人の考えや判断にはどれほど限りがあり、無益であるかを、よくご存じです。 + ですから、痛い目に会わせることによって、私たちを神の道へと導かれるのです。一方、神は敵に罠をしかけて滅ぼし、私たちに、ひと時の休息を与えてくださいます。 + 主は決して、ご自分の民を見捨てたりなさいません。宝のように思っておられるのですから。 + 裁判は再び公平さを取り戻し、正直な人が喜ぶようになります。 + だれが、盾となって私を悪者から守ってくれるのでしょう。 + もし主の助けの手が差し伸べられなかったら、今ごろ私は死んでいたことでしょう。 + 「神よ、私はよろめいています」と叫んだ時、主は救い上げてくださいました。 + 神よ、何もかもが信じられず動揺してしまうとき、私の心を静め、新しい希望を与え、快活さを取り戻させてください。 + どうか、悪が正義を打ち負かす腐敗した政治を、あなたが支持し、存続させることがありませんように。 + 罪もない人を死刑にする者を、見過ごされることがありませんように。主は私のとりで、難を避けるための、揺るぎない岩です。 + 主は悪者どもの罪が、自らの頭上に返るようにしてくださいました。そして悪者の計略を逆用し、彼らを滅ぼしてくださいます。 + + + さあ、主をたたえましょう。救いの岩である神に向かって、喜びの声を上げましょう。 + 感謝の思いを込めて御前に近づき、賛美の歌をささげましょう。 + 主は、どんな神にもまさる偉大な王であられます。 + 主は地中深いところも、そびえ立つ高い山々も、支配しておられます。すべてのものは主のものです。 + 主は海と陸をお造りになりました。それらは主のものです。 + さあ、創造主である主の前に出て、ひざまずきましょう。 + 私たちは神の羊であり、神は羊飼いなのです。今日、呼びかけられる声を聞いたなら、神のもとへ行きましょう。 + 荒野のメリバやマサでのイスラエル国民のように、強情になってはいけません(参照)。 + あの時、あなたがたの先祖は、わたしの奇跡を何度も目にしながら、信じようとしなかった。わたしがどこまで忍耐するかを試そうとするように、彼らは不平やぐちを言い続けた。 + 「この四十年間、わたしは苦々しい思いで民を見すえてきた。心も思いも遠く離れているこの民は、わたしのおきてに見向きもしなかった。 + だから、わたしは激しい怒りを込めて誓った。彼らに約束した安息の地へ、彼らが入ることは決してない。」 + + + 世界中どこででも、主に新しい歌をささげましょう。 + 賛美の声を上げましょう。日ごと、だれかに、神の救いを人々に知らせましょう。 + 栄光に輝く主を世界中に伝え、神のお働きを話して聞かせましょう。 + 主は、ことばで言い表せないほど偉大で、大いにほめたたえられるべきお方です。他の神々には目もくれず、このお方だけを礼拝しなさい。 + 他国の神々は、人が作った偶像にすぎません。しかし私たちの主は、天を造られたお方です。 + 栄誉と威光が神を包み、力と美が宮に立ちこめています。 + 世界の国々よ、主だけに栄光と力があることを認めなさい。 + 主にふさわしい栄誉をささげ、供え物を携えて来て礼拝しなさい。 + きよい生活を守ることによって主を礼拝しなさい。全地は神の前で震えおののきなさい。 + 諸国民に、主の支配が行き渡ると告げなさい。神の権威はいつまでも落ちることなく、主はすべての国を公平にさばかれるのです。 + 天は喜び、地は小躍りしなさい。見渡す限りの海は、鳴りとどろいて神の栄光を伝えなさい。 + 青々とした野原を見て、ほめたたえなさい。草の一本一本が、主の偉大さを物語っているのです。森の木々も、こずえを鳴らして賛美しなさい。 + 主は世界をさばくために来てくださり、公平で真実なさばきを下されます。 + + + 主は全世界の王です。大地よ、喜んで跳びはねなさい。最果ての島々も喜びなさい。 + 雲と暗闇が主を取り囲み、正義がその王座の土台です。 + 火が神の前を先だって進み、敵をみな焼き滅ぼします。 + 大地は、主のいなずまがあちこちで光るのを見て、おののきます。 + 山々は、主の前でろうのように溶けました。 + 天は主の正義を宣言し、世界中の人々が主の栄光を仰ぎます。 + 拝む価値もない神々を誇る者どもは、恥をかきますように。その神々はみな、主の前にひれ伏すべき存在です。 + 主よ。エルサレムとユダの町々は、あなたの公正な判決を耳にし、喜びにわいています。主の威厳に満ちた支配が全地に行き渡り、他の神々ははるか足もとにも及ばないのですから。 + 主は、悪を憎む人をいとおしまれます。主の民はいのちを守られ、悪者の手から救い出されます。 + 光は神を敬う者のために種のように蒔かれ、喜びは正しい者のために蒔かれます。 + 神を敬う者がみな幸せになり、きよい神に冠をささげますように。 + + + 主のめざましい働きをたたえる、新しい歌をささげましょう。その御力ときよさが、すばらしい勝利を主にもたらしたからです。 + 神はこの勝利を全世界に知らしめました。イスラエルを恵むという約束の実現によって。全世界は、神がご自分の民を救われる様子を目の当たりにしました。 + だからこそ、大地は大声を上げてほめたたえ、感きわまって歌うのです。 + 竪琴の音色に合わせて、賛美の歌を歌いましょう。 + 角笛とラッパの音を高らかに響かせなさい。主である王の前で、喜びに満ちたシンフォニーをかなでなさい。 + 広大な海と、その中のすべてのものは、鳴りとどろいて賛美しなさい。地と、そこに住むものはみな、「神様に栄光があるように」と叫びなさい。 + 海の波は楽しげに手を打ち鳴らし、山々は、喜びの歌を合唱しなさい。正義を貫いて世界をさばくために、主はおいでになるのです。 + + + 全世界の王、主は、ケルビムの上の王座についておられます。諸国民は震え上がり、大地は揺らぎますように。 + シオンに立たれる主のご威光は、この世の支配者たちには、はるかに及ばないものです。 + どうか彼らが、きよく偉大な主の御名を、恐れかしこみますように。 + 公正なさばきを行うこと、それこそが、この絶大な王の統治の基です。イスラエル中に正しい判決が下ります。 + 聖なる神である主をあがめ、その足もとにひれ伏しなさい。 + 預言者モーセとアロン、それにサムエルが助けを呼び求めた時、主はお答えになりました。 + 雲の柱の中から響いてくる声に、彼らは従順に従いました。 + 神である主よ。あなたは、人々の祈りに答えて罪をお赦しになりましたが、その誤った行為に対しては、厳然として罰を下されました。 + 私たちの神である主をあがめ、エルサレムの聖なる山で礼拝しなさい。神である主はきよいお方なのです。 + + + 大地よ。主に向かって喜びの声を上げなさい。 + 喜びをもって主に仕え、喜びの歌を歌いつつ、神の御前に進み出なさい。 + 主が神であるとはどんなことか、悟ることができるように努めなさい。主は私たちをお造りになりました。私たちは神の民、その牧場の羊です。 + 感謝の思いも新たに神殿の門をくぐり、賛美の歌声とともに宮の内庭に入りなさい。さあ、感謝してほめたたえなさい。 + 主はいつも正しく、愛と思いやりに満ち、いつまでも変わることのない真実を示されるからです。 + + + 主よ。あなたがどんなに恵み深く公正なお方であるかを、ほめ歌います。 + 私は潔白な道を歩もうと心がけていますが、神の助けなしには何もできません。特に、御心にそった歩みをしたいとせつに願う家庭の中でこそ、助けていただきたいのです。 + 卑しいものを退け、あらゆる不正を憎んで、それにかかわることがないように助けください。 + いっさいの自己中心を捨て、すべての悪から遠ざかります。 + 陰で隣人を中傷するような人間には容赦をしません。また、人々のうぬぼれや思い上がりも黙って見てはいられません。 + 神を敬う人こそ真の英雄と考えて、私の家へ招きます。身も心も潔白な人だけが、わが家の召使となれるのです。 + うそを言ったり裏切ったりする人を泊めることなどいたしません。 + 悪人を追い出して神の都を守ることが、私の日々の務めなのです。 + + + [悩みに打ちひしがれている人の祈り]主よ。私の祈りを聞き、私の訴えに耳を傾けてください。 + この悩みの時にこそ、私を放っておかず、すみやかに答えてください。 + 私の日々は、煙のように消えていくからです。私は肉体ばかりか心も病み、草のように踏みにじられ、しおれてしまいました。食欲もなく、何を食べても味けないのです。 + 絶望して嘆き、うめき続けたこの身は、骨と皮だけになりました。 + まるで、はるか遠い荒野に住むはげたかや、仲間からはずれて荒野をさまようふくろうのようです。 + 屋根にとまった一羽の雀のように孤独をかみしめ、一睡もできずに身を横たえているのです。 + 敵は、くる日もくる日も私をののしり、のろいます。 + 神の激しい御怒りにふれて、私はパンの代わりに灰を食べ、涙まじりの飲み物を飲むのです。私は神から放り出されました。 + 私の一生は、夕方の影のように素早く過ぎ去り、草のようにしおれます。 + それに引き替え、永遠の王である主のご名声は、いつまでも語り継がれます。 + 私は、あなたがエルサレムをあわれんでくださることを知っています。今こそ、その時です。 + あなたの国は、城壁の一つ一つの石にも愛着を覚え、通りの土さえ大切に思っているのです。 + 諸国の民や支配者たちは、主の前で震え上がりますように。 + 主が栄光の姿で現れ、必ずエルサレムを再建してくださるからです。 + 神は、苦闘している人の祈りを聞かれます。主には、忙しくて彼らの願いが耳に入らないなどということはありません。 + このことを記録にとどめるのは、子孫たちにも神のなさったことをたたえさせ、次の時代の者に主を賛美させるためです。 + さあ、こう伝えなさい。主は天から見下ろし、 + 奴隷として死ぬ運命にある民のうめきを聞いて、解放してくださったと。 + すると人々はエルサレムの神殿になだれ込み、主を賛美し、その歌声は都中に広がるでしょう。世界の国々の王も、主を拝もうと詰めかけて来ることでしょう。 + 主は、寿命を短くして、人生半ばで私を倒れさせました。 + そこで、こう申し上げました。「ああ、永遠に生きておられる神よ、どうか私を、人生半ばで死なせないでください。 + はるか昔、あなたは地の基礎をすえ、天をお造りになりました。 + それらはやがて消え去りますが、あなたは永遠に生き続けられます。着古した着物のようにすり切れたものは、新しいものと取り替えられますが、 + あなたご自身は永遠に不変です。 + そして私たちの家系も、あなたの守りのもとに世代から世代へ継承されていくのです。」 + + + 私は心から、主のきよい御名をたたえます。 + 私は主をほめたたえます。あなたがなしてくださった数々のすばらしいことを私は決して忘れません。 + 主は私の罪をみな赦し、病気を治してくださいます。 + 地獄に行くはずのこの身を贖い、恵みとあわれみで包んでくださいます。 + 私の一生は祝福で覆われ、鷲のように若返ります。 + 主は、不当に扱われている者を公平にさばかれます。 + 主はご自分の意思とご性質を、モーセおよびイスラエルの民に知らされました。 + 主は、虫けら同然の者をあわれみ、優しくいたわってくださいます。すぐにお怒りにならず、恵みと愛に満ち、 + いつまでも怒りの心を持ち続けたりはしません。 + 罪の深さに応じて私たちが当然受けるべき罰をそのまま下すこともありません。 + 神を恐れ、あがめる者には、無尽蔵のあわれみをかけてくださいます。 + 神は私たちの罪を取り除き、はるか地平線のかなたに投げ捨ててくださいました。 + 主は、恐れかしこむ者に対しては、父親のように優しい思いやりを示してくださいます。 + 私たちが土くれにすぎず、 + また草花のようにはかなく、 + 風に吹き飛ばされて消えるようなちっぽけなものであることを知っておられるからです。 + しかし主は、ご自分を信じる者をいつまでも恵み、神との契約を忠実に守り従う人を、子々孫々に至るまでお救いになります。 + 主は天に御座をすえ、すべてのものを支配なさいます。 + 神の命令を一つとして聞きもらさず、すぐ実行に移す御使いたちよ、主をほめたたえなさい。 + 神に仕える天使の軍団よ、絶え間なく主をほめたたえなさい。 + 万物が声を合わせて、賛美しますように。私も力いっぱいにほめ歌います。 + + + 主はすばらしいお方です。栄誉と尊厳をまとわれたそのお姿は、なんと威光に満ちていることでしょう。あなたは、天には星をちりばめ、 + 地表のくぼみには海原を創造されました。雲の馬車に乗り、風の翼でかけ抜けられます。 + その前ぶれを務める天使は、風のように速い、炎の使者です。 + 大地はくずれ落ちることのないように、しっかりと据えつけられました。 + また、山々をのみ尽くすほどの大洪水で、大地は覆われました。 + あなたのひと声で、水はたちまち広大な海の底に吸い込まれ、山々は姿を現し、谷はあなたが定めた高さまで沈みました。 + あなたはまた、海水が二度と地表を覆うことのないよう、境界線をお定めになりました。 + 谷には泉を、山には渓流を、神は配置なさいます。 + あらゆる獣はそこでのどを潤し、野ろばは渇きをいやします。 + 鳥は渓流のほとりに巣を作り、木々のこずえでさえずります。 + 神は山々に雨を降り注ぎ、地を果物の宝庫となさいます。 + そのひと言で、家畜の食べる柔らかい草が生え、人の糧となる果樹や野菜、それに穀物も育ちます。 + また、喜びをもたらすぶどう酒、皮膚をつややかにするオリーブ油、力の源となるパンも作ることができます。 + 主がお植えになったレバノン杉は、すくすくと伸び、みごとな大木に成長しました。 + そこには鳥が巣を作り、こうのとりは、もみの木に宿ります。 + 高原には野やぎの牧草地があり、岩だぬきは、岩の間を隠れ場にしています。 + 主は、月を造ってひと月の長さを定め、一日を区切る目じるしとして太陽を置かれました。 + 神が夜をもたらし、闇を送ると、森の獣たちはいっせいに出て来ます。 + 若いライオンは、獲物を求めてほえたけります。しかし、神の助けなしに、食物にありつくことはありません。 + 明け方近く、獣たちはほら穴に引き返して横になり、 + 入れ替わりに、人間が一日の仕事を始め、夕暮れまで働きます。 + 主よ。あなたの知恵で、さまざまな営みができ上がり、地は豊かに満ちあふれています。 + 目の前に開ける広大な海には、大小さまざま、ありとあらゆる生き物が生息しています。 + 海を見れば船が行き交い、沖合にはくじらが戯れています。 + 生き物はみな、あなたが下さる食物を待っています。 + そして、配られた食物を満腹するまで食べるのです。 + もし、あなたのそのような配慮がなければ、彼らは途方にくれ、飢え死にするしかありません。 + あなたが御霊を送られると、新しいいのちが誕生します。 + 主をいつまでもほめたたえなさい。主は、ご自分の手のわざを喜んでおられるのです。 + 主に見つめられると、大地はすくみ上がり、神の手が少しでも触れれば、山は噴火するのです。 + 私は息を引き取るその時まで、主をたたえ続けます。 + どうか、この思いが神に喜ばれますように。私にとって、主は喜びの泉なのです。 + 神などどうでもいいと思っている罪人たちはみな、地上から消え去りますように。しかしこの私は、主をほめたたえます。ハレルヤ。 + + + 主のなさるすばらしいことの一つ一つに感謝し、諸国の民に伝えなさい。 + 賛美の歌を歌い、会う人ごとにその奇跡を告げ知らせなさい。 + 主を拝む人々は、その名を誇り、喜びなさい。 + 常に主を求め、御力を慕い続けなさい。 + 主がどれほど大きいことをしてくださったか、考えてみなさい。それは、私たちが主のしもべアブラハムとヤコブの子孫であり、選ばれた民だからです。さあ、どのようにして敵を滅ぼしていただいたか、思い起こしなさい。 + 私たちの神の恵みは、国中の至る所で明らかです。 + たとえ、何千年を経たのちでも、主は約束を忘れず、アブラハムやイサクと結んだ契約を守られます。 + そして、この契約をヤコブに再確認されました。「カナンの地を相続させよう」という、イスラエルへの約束です。 + このころはまだ、イスラエルはほんの一にぎりの民族で、カナンの寄留民にすぎませんでした。 + 彼らは国々に散らされ、国から国へと放浪したこともありました。 + しかし、そんな時でも、主の許しなしには、だれも彼らを攻撃することはできなかったのです。彼らを攻撃しようとする多くの王が滅ぼされました。 + 神の警告が響き渡りました。「わたしの選んだ者にさわるな。わたしの預言者に害を加えるな。」 + 主がカナンの地にききんを呼び寄せられると、食糧が底をつきました。 + 一方、ご自分の民を飢えから救うため、ヨセフを奴隷としてエジプトに送られました。 + ところがヨセフは牢獄につながれ、足かせや鉄の首輪をかけられたのです。 + 神の時がくるまで、ヨセフは忍耐を試されました。 + 彼はついに、王によって自由の身とされ、 + 王室の全財産の管理を任されました。 + ヨセフは、思いどおりに王の補佐官を投獄したり、側近を教育したりできる身分となったのです。 + そののち、ヤコブもエジプトを訪れて、息子たちとともに住みつくことになりました。 + それ以後、イスラエルの民は増え、支配者たちを脅かす大民族とまでなったのです。 + このころ神は、エジプト人をイスラエルの敵と変え、イスラエルは奴隷にされました。 + しかし、主はご自分の代理として、モーセをアロンとともに派遣なさいました。 + エジプトに、恐ろしいみわざを行うためです。 + 主からの指図を受けて、この二人は国中を暗闇で覆い、 + あの大河を血に変え、魚を死滅させました。 + また、おびただしいかえるが現れ、王の部屋に侵入しました。 + モーセのひと言で、あぶやぶよが、雲が立ちこめるように、エジプト全土を覆いました。 + 主は、雨の代わりに、人の頭を打ち砕く雹をお降らせになりました。また、いなずまの先に、エジプトの民は震え上がりました。 + ぶどうといちじくの木は全滅し、木という木の幹は、ことごとく裂けたのです。 + また、主のひと声で、いなごの大群が襲来し、 + 青いものを跡形なく食い尽くし、穀物をすべて食い荒らしました。 + 続いて、主はエジプト人の全家庭の長男を、その家の誇りである長男を打たれました。 + 一方、ご自分の民には、銀と金をふんだんに持たせて、エジプトを脱出させてくださいました。その時、一行の中からは、体の弱い者や病人は一人も出ませんでした。 + エジプトは彼らを非常に恐れるようになっていたので、彼らが出て行くことを喜びました。 + 主は雲の幕を広げて、彼らを焼けつく日ざしから守り、夜には火の柱を立てて、明かりとされました。 + 人々が肉を欲しがると、空からうずらを降らせ、天からパンであるマナをお与えになりました。 + 主が岩を裂かれると、水がほとばしり出て、乾いた地を潤す川となりました。 + 主は、しもべアブラハムへの約束を覚えておられたのです。 + こうして、選ばれた民イスラエルは、意気揚々と約束の地に入りました。 + 主が、麦の穂の波打つ他民族の地を与えてくださったので、彼らは他人が育てた穀物を食べました。 + これは、かれらが主のおきてを忠実に守るようになるためでした。ハレルヤ。 + + + ハレルヤ。主の恵み深さを感謝します。その愛は、いつまでも変わることがありません。 + 栄光に輝く主の奇跡を、一つ残らず書き留めることのできる人がいるでしょうか。だれが、あなたを十分に賛美し尽くせましょう。 + 公平と正義と思いやりとを身につけている人々には、幸福が訪れます。 + ああ主よ。あなたの民に祝福と救いを注がれるとき、私にも目を留めてください。 + この身をも、選ばれた民の繁栄にあずからせ、彼らと同じ喜びに浸り、ご栄光を共に味わわせてください。 + 私たちも先祖と同じように、はなはだしく悪の道にそれました。 + 私たちの先祖はエジプトで、あれほどの奇跡を目撃しながら、感動することもなく、たちまち数々の恵みを忘れてしまいました。それどころか、紅海のほとりで、神に逆らったのです。 + しかし、そんな人々をも、主はお救いになりました。それは、ご自身の名誉を守り、お力を全世界に知らせるためでした。 + 神が紅海に命じると、海は二つに裂け、まるで荒野のように乾ききった、一本の道ができたのです。 + こうして、主は人々を敵の手から救い出し、 + そののちすぐに水を元に戻して、敵を一人残らずおぼれさせました。 + ここまで来て、ようやく先祖たちは神を信じ、堅く閉じていた口を開いて、賛美の歌を歌いました。 + しかし、たちまち元に戻ってしまったのです。彼らは神を無視して行動し、 + もっとおいしいものを食べたいと注文をつけました。こうして、もはや赦しを頂くことができない時点まで、神の忍耐を試したのです。 + 主は欲しがるものをお与えになりましたが、彼らの心を空虚になさいました。 + 人々は、モーセと、主が祭司に任命したアロンをねたんだのです。 + そのため、大地は口をあけてダタンとアビラムと、アビラムの友人たちをのみ込みました。 + しかも、天から降って来た火は、悪者どもを焼き尽くしたのです。 + それは、彼らが栄光に輝く神より、草を食べる牛の像を選んだことへの罰でした。 + エジプトと紅海のほとりで大きな奇跡をなさった神の顔に、彼らは泥を塗ったのです。 + 神は、人々を滅ぼそうとなさいましたが、選ばれた人モーセが間に入ってとりなしました。怒りを静め、人々を滅ぼさないでほしいと神に嘆願したのです。 + 彼らは、神の祝福の約束を信じず、約束の地に入ることを拒みました。 + おのおのの天幕で口をとがらせ、嘆き悲しみ、主の命令を全く無視したのです。 + そこで主は、彼らを荒野で殺し、 + その子孫を遠い国へ追い散らすことになさったのです。 + そのあと私たちの先祖は、ペオルでのバアル礼拝に加わり、死人にまでいけにえをささげました。 + こうして、神の怒りは極限に達し、恐ろしい災いが下りました。 + ピネハスが、災いを引き起こした張本人たちを処刑すると、神の罰は収まりました。 + このピネハスの適切な処置は歴史に残ることでしょう。 + イスラエルはメリバでも主を怒らせ、モーセを窮地に追い込みました。 + そのため怒りに燃えたモーセは、思わず軽率なことを口にしてしまったのです。 + イスラエルの民は、主の命令に逆らい、カナンに住む外国人を滅ぼさなかったばかりか、 + いっしょになって悪の道に励みました。 + その地の偶像にいけにえをささげ、神には目もくれませんでした。 + 彼らは、わが子をカナンの偶像の悪霊にささげることまで行い、罪のない者の血を流し、国土を汚したのです。 + 偶像を愛することは、神の目から見れば姦淫の罪であり、自分自身を汚すことになりました。 + 主の怒りは激しく燃え上がり、神は彼らを嫌悪なさいました。 + そのためイスラエルは、外国人に踏みにじられるようになったのです。彼らは敵に支配され、抑圧されました。 + 主はそのような奴隷状態から、彼らを何度お救いくださったことでしょう。しかし人々は、反抗的な態度を続け、自らの罪ゆえに自滅していったのです。 + それでもなお、主はその叫びを聞き、その苦境を思いやってくださいました。 + 愛の主は、以前の約束を思い出してあわれみ、 + 敵でさえ、捕虜となったイスラエル人をあわれむように配慮してくださいました。 + ああ神である主よ、お救いください。各地に散らされた人々を再び集めてください。私たちは、躍り上がって喜び、感謝と賛美をささげたいのです。 + イスラエルの神である主は、永遠から永遠まで賛美を受けるにふさわしいお方です。人々が口々に、「アーメン」と言いますように。ハレルヤ。 + + + 主に感謝しなさい。主は恵み深く、愛と思いやりにあふれたお方なのです。 + 主のおかげで自由の身となれた人は、大声でそう人に伝えなさい。主に敵の手から救い出してもらったことを、ほかの人に知らせなさい。 + 主は、最果ての地で囚われの身となった人々を連れ戻されました。 + 住む家もない人々は、荒野をあてどなくさまよい、 + 空腹をかかえ、のどはからからに渇き、体力も衰え果てました。 + しかし彼らが「主よ、助けてください」と叫ぶと、その切なる願いは聞かれました。 + 神はすぐさま、安全で住むのに適した地へと移してくださったのです。 + 主が優しい心づかいを示し、すばらしいことをしてくださったかを知って、彼らが主を賛美しますように。 + 主は渇いたたましいを潤し、飢えたたましいを良いもので満たされるからです。 + みじめな奴隷になり下がり、暗闇に座り込んでいる人はだれですか。 + 神に逆らい、神々にまさる神をさげすんだ人々です。 + それゆえ、彼らは主から重労働を強いられ、倒れても、だれにも起こしてもらえないのです。 + 八方ふさがりの中で、彼らが主に助けを求めた時、その願いは聞かれました。 + 暗闇から引き上げられ、奴隷の鎖を断ち切っていただきました。 + すばらしい思いやりと恵みをかけていただいたことについて、彼らが主を賛美しますように。 + 牢獄の青銅のとびらを押し倒し、鉄格子を切断してくださったのは主なのですから。 + 愚かな人々は、罪深い行いのために、病気にかかりました。 + 食欲もなく、死の一歩手前にいましたが、 + その苦境の中から主を呼ぶと、力を与えられ救い出されたのです。 + 主のひと声で病気はたちどころに治り、死の入口から引き上げられました。 + これほどすばらしい恵みを頂いたことについて、彼らが主を賛美しますように。 + 彼らが主へのいけにえとして感謝をささげ、主がしてくださったすばらしいことを歌にして、語り継ぎますように。 + 七つの海をまたにかけて商売をする船乗りたちがいました。 + この人たちも、主の力を目の当たりに見るのです。 + 主がお命じになると、波は山のように高くうねり、 + 船を天まで持ち上げます。しかし次の瞬間、船は深みに落とされ、船乗りたちは恐怖に震えます。 + 彼らは酔っぱらいのようによろめいて、途方にくれます。 + こうして、あえぎながら神を呼び求めるとき、彼らは救われるのです。 + 主は嵐を静め、波を穏やかにされます。 + 海が凪ぐと、目ざす港に無事に導かれるのです。なんという祝福でしょう。 + このすばらしい恵みを頂いたことについて、彼らが主をほめたたえますように。 + どうか、人々の前でも神をほめたたえ、権力者の前でも、ものおじしませんように。 + 主は川の水を干上がらせ、 + 悪者どもの手に入れた肥沃な地を、塩分の多い荒れ地に変えられます。 + また、荒野を豊かな水で潤された肥沃な平野に変えられます。 + そこに飢えた人々を住まわせると、彼らは町を作り、 + 畑に種を蒔き、ぶどう畑には苗木を植え、やがて豊作を祝うようになります。 + 主の祝福を受けて、大家族をかかえるようになり、家畜も大いに増えます。 + しかし、虐待され、苦しみや悲しみを経験することで、惨めな状態に陥る人々もいます。 + 主は、おごり高ぶった人々をさげすみ、権力者に廃墟をさまよわせます。 + しかし、神を信じて従う貧しい人には救いを与え、多くの子どもを与え、繁栄をもたらされます。 + 正しい人々はそれを見て喝采を送り、悪者どもは貝のように堅く口を閉ざさざるをえません。 + あなたに知恵があるというのなら、私の言っていることをよく聞いて、主の恵みを深く思い巡らしなさい。 + + + ああ神よ。賛美が私の口からあふれてきます。心から喜んで、あなたへの歌をささげましょう。 + 十弦の琴と竪琴よ、目覚めなさい。共々に歌って、夜明けを迎えようではないか。 + 私は世界のどこでも、主をたたえます。 + あなたの恵みは測り知れず、その真実は天にまで達します。 + ご栄光は、大空を突き抜くようにそびえています。 + あなたが愛しておられる子、私の叫びを聞いてください。あなたの偉大な力で、私を救ってください。 + 神が聖なる約束を交わしてくださったので私はほめたたえます。神は、シェケムの全土とスコテの谷を下さると約束してくださいました。 + 「ギルアデとマナセは、おまえたちに与える、わたしの領地だ。エフライムは、わたしのかぶと、ユダはわたしの笏。 + しかし、モアブとエドムはさげすまされる。わたしはペリシテ人に向かって、勝ちどきを上げよう。」 + 神以外のだれが、こんな要塞で固められた町々を征服する力を、私に授けてくれるでしょう。また、エドムまで導いてくれるでしょう。 + 神よ、あなたは私たちを見捨て、その軍勢を置き去りになさったのでしょうか。 + どうか、敵に立ち向かう力を与えてください。同盟軍の助けなどあてにできません。 + 神の助けさえあれば、勇敢に戦うことができます。神が敵を踏みにじってくださるからです。 + + + ああ、すばらしい神よ、そんなに遠くで黙っていないでください。 + 悪者どもは私を中傷し、偽りばかり並べ立てています。 + 理由もないのに私を憎み、攻めかかって来るのです。 + 私は彼らを愛し祈っているのに、私のいのちをつけねらうのです。 + 善の代わりに悪を、愛の代わりに憎しみを返してよこします。 + 私がどんな気持ちでいるか、敵に知らせてください。彼に、ありもしないうわさが立てられますように。彼が不公平な裁判官のいる法廷に引き出されますように。 + そして、有罪宣告が下されますように。彼の祈りさえも、罪とみなされますように。 + 彼の寿命は縮まり、彼の仕事はほかの者に奪われますように。 + 彼の子どもは父なし子に、妻は未亡人になり、荒れ果てた家から立ち退きを命じられますように。 + 債権者に全財産を没収され、見も知らぬ者に、たくわえをみな巻き上げられますように。 + 誰ひとり同情せず、残された彼の子どもにもあわれみをかけてやりませんように。一家の者が死に絶え、その家系が一代でとだえますように。 + 両親の罪まで見のがさず、徹底して罰してください。 + 彼のした悪事をかた時も忘れず、その名を人々の記憶から消し去ってください。 + 彼は人を思いやる気持ちなどみじんも持たず、困っている人を虐待し、傷心の者を死に追いやったからです。 + 人をのろうことばかりしていた彼を、今度は、あなたがのろってください。一度も人を祝福したことがない彼に、祝福をお与えにならないでください。 + 彼にとってのろうことは、水を飲んだり、好きな物を口にしたりするのと同様に、体にしみついているのです。 + 今度は、そののろいが舞い戻って来て、彼にからみつきますように。 + それこそ、私のことでうその証言をし、殺してやると言って脅した敵への、主からの刑罰なのです。 + しかし神である主よ、私のことは、あなたの子として扱ってください。どうか、優しいお心をかけてください。ああ、限りなく恵み深いお方よ、どうか救い出してください。 + 私は、まっさかさまに谷へ落ちて行くような心境です。人の腕から払いのけられるいなごのようです。 + 断食のため、ひざが弱くなり始め、体は骨と皮になりました。 + まるで失敗の見本でも見るように、人々は私をあざけります。 + 愛と真実に満ちた神である主よ、どうかお救いください。 + 人々の目の前で私に救いの手を差し伸べてくださるなら、きっとだれもが、あなたこそ力ある神であることを知るでしょう。 + 彼らは、のろいたいだけのろえばよいのです。あなたの祝福さえあれば、私は何も気にしません。私を亡き者にしようとする彼らの努力は水の泡となり、私は喜びながら出歩けるようになります。 + 彼らは何をしても失敗し、恥じ入りますように。 + しかし、私は絶えず主に感謝をささげ、あらゆる人々の前で賛美します。 + 主は、飢えている貧しい者の味方となって、敵の手から救ってくださるからです。 + + + 主は、私の救い主にお告げになりました。「わたしに代わって、天地を治めなさい。わたしは敵を服従させ、あなたの前にひれ伏させよう。」 + 主は、あなたが敵を支配するために、エルサレムに強固な王座をお据えになりました。 + あなたのご威光が輝き渡ると、民はきよい祭服をまとって、喜んでやって来るでしょう。あなたは朝露のように、日々新しい力を帯びられます。 + 主は、こう誓われました。「あなたが永遠にメルキゼデクのような祭司であるという契約は決して無効にはならない。」 + 主はあなたのそばにいて、あなたを守られます。神はご自身の御怒りの日に、多くの国々の王を打ち倒されます。 + 主は国々を罰し、指導者を全滅させ、死体でいっぱいにされます。 + しかし、主は道のほとりの泉から水を飲み、勢いを増されます。 + + + ハレルヤ。私がどれほど主に感謝しているか、人々に知ってほしいと思います。感謝を忘れない人たちよ、さあいっしょに、主のなさった数々の奇跡を思い巡らしましょう。 + この奇跡こそ、神の栄誉と威厳、そして永遠の恵みを物語るものです。 + だれが、主のあわれみと恵みを簡単に忘れるでしょう。 + 主はご自分に信頼を寄せる人に食物を与え、決して約束を破棄なさいません。 + 神はご自分の民を大きな力で支え、多くの民族が住んでいた、イスラエルの地をお与えになりました。 + 神のなさることはみな正しく、そのおきてはどれ一つ取っても誤りがありません。 + 神のおきては真理と恵みで成り立っていて、永遠に続きます。 + 主に身の代金を払っていただいた民は、今や自由に神の前に出入りできるのです。 + 人はどうすれば知恵をみがけるでしょうか。それには、主を信じて従うことです。神のおきてを守ってこそ、賢くなれるのです。神を永遠にほめたたえましょう。 + + + ハレルヤ。主を信じて従う人は、言い表せないほどの祝福を受けます。心から、神のことばのとおりにする人は幸せです。 + 正しい人は、子どもたちにまで祝福が受け継がれます。その子らは至る所で尊敬を集めます。 + 正しい人は資産にも恵まれ、善行をたたえられるでしょう。 + たとえ、暗闇の力に巻き込まれたとしても、すぐに輝くばかりの光に照らされるでしょう。主はあわれみ深く、親切です。 + 公平な取り引きをする人には、万事がうまく運びます。 + このような人は、事態が思わしくなくなっても、動じたりしません。周囲の人々は、神が彼をいつも目にかけておられるのを見て、深い感銘を受けるのです。 + 彼は悪い知らせを受けても恐れず、今度は何が起こるかと、不安になることもありません。主に見放されるわけがないと、信じきっているからです。 + それゆえ、何事も恐れず、冷静に敵の顔を見つめることができるのです。 + 彼は物惜しみしたりせず、貧しい人に気前よく与えます。その善行は、いつまでも忘れられず、人々の尊敬を集めます。 + これを見たひねくれ者は、怒りに震えますが、歯ぎしりしながら、逃げ出すしかありません。望みが消え去ったからです。 + + + ハレルヤ。主に仕える人々は、主の御名をほめたたえなさい。 + 永遠から永遠まで、主の御名がたたえられますように。 + 夜明けから日没まで賛美し続けなさい。 + 主は国々を高い所から見下ろし、ご栄光は世界中に満ちています。 + これほど高い御座についておられる神である主を、ほかのだれと比べることができましょう。 + 主は、はるか下の天と地を、身をかがめて眺めては、 + 弱い者や、飢えた者を拾い上げ、 + 人々の指導者とされるのです。 + 不妊の女は子宝に恵まれ、幸せな母親となるのです。ハレルヤ。神をほめたたえなさい。 + + + 昔、イスラエルの民は、ことばの通じない異国の地、エジプトから逃げ出して来ました。 + その時、ユダとイスラエルの地は、神の新しい住まいとなり、王国となったのです。 + 紅海は、神の民の近づく足音にあわてて二つに分かれ、ヨルダン川は、歩いて渡れる道を作りました。 + 山は雄羊のように、丘は子羊のように跳びはねました。 + なぜ、紅海は二つに分かれたのですか。どうして、ヨルダン川の水が逆流したのですか。 + なぜ、山は雄羊のように跳びはね、丘は子羊のように躍ったのですか。 + 大地よ、主の前におののきなさい。 + 神は、堅い岩から、ほとばしる泉のように水を出された方だからです。 + + + ああ主よ。私たちではなく、あなたがあがめられますように。すべての人が、神の恵みと真実をたたえますように。 + 諸国の民に、「彼らの神は死んだのではないか」などと言わせておいて、よいものでしょうか。 + 天におられる私たちの神は、意のままに事を運ばれます。 + ところが彼らの神々は、銀や金でこしらえた手製のものなのです。 + 目や口があっても、見ることも話すこともできません。 + 聞くことや、嗅ぐことはおろか、 + 手足を動かすことも、声をたてることもできないのです。 + そのようなものを作ったり、拝んだりする者たちは、偶像と同じくらい愚かです。 + イスラエルよ、主にすがりなさい。主はあなたがたを助け、盾となって守ってくださいます。 + アロンの家の祭司よ、主に信頼しなさい。主はあなたがたを助け、盾となって守ってくださいます。 + 主の民となった人々も、主に信頼しなさい。主はあなたがたを助け、また盾となって守られます。 + 主はいつも私たちを心にかけて、祝福してくださいます。イスラエルの民とアロンの家の祭司、 + それに、主を信じてお従いする人は、だれでも祝福されるのです。 + 主が、あなたがたとその子孫を十分に祝福してくださいますように。 + 天と地をお造りになった主は、進んであなたがたを祝福してくださいます。 + 天は主のものですが、地は人間にゆだねられています。 + 死人は、主を賛美することもできません。 + しかし、私たちには、それができます。主をいつまでもほめたたえましょう。ハレルヤ。 + + + 私は主を愛しています。主が私の祈りを聞いてくださるからです。 + 身を乗り出して聞いてくださる主に、私は生きている限り祈り続けます。 + 私は死に直面し、恐怖にかられ、悲しみのどん底に突き落とされました。 + 私が「主よ、どうかお救いください」と叫ぶと、 + 主は実にあわれみ深く、恵みを注いでくださいました。 + 主は子どものように素直な者を、お見捨てにはなりません。私も、死の一歩手前で救われました。 + 今、私は安らいでいます。主がすばらしい奇跡を行ってくださったからです。 + 死の手から私を救い出して、つまずくことも、泣くこともないようにしてくださいました。 + 私は生きることができるのです。主の前で、この地上で生きていくのです。 + 私は失意に沈んでいたころ、「人々は私に良くなると言ってくれるが、それはうそだ」と思い悩んでいました。 + しかし今では、これほどよくしてくださった主に、どのようにお返しをすればよいのか迷っています。 + 感謝のしるしに、ぶどう酒を供え、主の御名をほめたたえましょう。 + また、かねてからの約束どおり、人々の目の前でいけにえをささげます。 + 主に愛されている人は、主にとって大切な存在です。主はそのように人々を簡単に死なせたりなさいません。 + ああ主よ。自由の身としていただいた私は、いつまでもあなたにお仕えします。 + あなたを拝み、感謝のしるしのいけにえをささげます。 + ここエルサレムの神殿の庭で、すべての人々の前で、誓いどおりのことをみないたします。主をほめたたえましょう。 + + + 世界の国々よ。主をほめたたえなさい。地に住む人はみな、賛美しなさい。 + 主は私たちを、この上もなくいとおしく思ってくださり、永遠に真実であられます。主をほめたたえなさい。 + + + さあ、主に感謝しましょう。主はあわれみ深く、その恵みはいつまでも尽きません。 + イスラエルの人々よ、口々に、「主の恵みは尽きることがありません」とほめたたえなさい。 + アロンの家の祭司よ、「主の恵みはいつまでも尽きません」と歌いなさい。 + 主を信じるようになった外国人も、「主の恵みはいつまでも尽きません」と歌いなさい。 + 苦しみの中から祈り求めると、主は答えて、救い出してくださいました。 + 主は私の味方です。私には、怖いものなどありません。ただの人間に何の手出しができましょう。 + 主がそばにいて助けてくださるので、私を憎む者どもが勝ち誇ることはありません。 + 人をあてにするより、主を信頼したほうがよいのです。 + 力ある王にかくまわれるより、主の保護を受けるほうがよいのです。 + たとえ、世界中の国が攻めて来ても、私は主のあとについて進軍し、敵を全滅させます。 + 敵に包囲され、攻撃をしかけられても、私は高々と翻る主の旗のもとで、勇気を得て、彼らをすべて打ち倒します。 + 敵ははちのように群がり、燃え上がる炎のように襲いかかります。しかし、私は主の旗のもとで彼らを滅ぼします。 + 敵は私を亡き者にしようと図り、あらゆる手を打って攻めてきましたが、主はいつも助けてくださいました。 + 激戦のさなかに、主は私の力となり、私は主のことを歌いました。こうして、私は勝利を手にしました。 + 私たちの勝利の知らせを聞いて、主を信じ、従う人々の家には、喜びの歌がわき起こります。主はめざましい働きをしてくださいました。 + 私はいのちを落とすことなく、生き長らえて、主のなさったことを人々に語り伝えましょう。 + 主は私を懲らしめましたが、死には渡されませんでした。 + 神殿の門よ、開きなさい。私は中に入って、主に感謝します。 + 主を信じて従う人が、この門から入って主の前に出るのです。 + ああ主よ。祈りに答えて私を救ってくださったことを、心の底から感謝します。 + 大工の捨てた石が、今では一番大切な土台石になりました。 + これこそ主のなさることで、人の思いをはるかに越えています。 + 今日こそ、主がお造りになった日です。さあ、この日をぞんぶんに楽しみましょう。 + ああ主よ、どうかお助けください。お救いください。私たちがすることを、すべて成功させてください。 + 主がまもなく遣わしてくださる方に、祝福がありますように。私たちは神殿であなたがたを祝福します。 + 主は私たちの光です。私はいけにえを祭壇にささげます。私は主に感謝し、賛美の声を上げます。 + 感謝の祈りをささげましょう。主はあわれみ深く、その恵みはいつまでも尽きないからです。 + + + 主のおきてを完全に守る人は幸いです。 + 主を探し求め、常にそのご意志に従う人は幸いです。 + そのような人は、悪と妥協することなく、主の道をひたすら歩みます。 + あなたは、守るべき戒めを与えてくださいました。 + 私はそのおきてから少しでもそれないでいたいと、心から願っています。 + それができれば、いつも良心はすみきって、恥じることもないでしょう。 + あなたに懲らしめられたら、私はあなたに喜ばれる生活をして、感謝の気持ちを表します。 + 私はあなたに従います。どうか私を見捨てず、私が二度と罪の中に落ち込まないように導いてください。 + どうすれば、若い人は身も心もきよく保つことができるのでしょうか。あなたのおことばを読み、その規範に従うことです。 + 私は、あなたを見いだそうと、あらゆる努力をしてきました。どうか、御教えからはみ出さないよう守ってください。 + 私はおことばを深く味わい、心にたくわえました。それによって罪から遠ざかるためです。 + 主よ、あなたの規範をお教えください。 + 私はあなたのおことばを暗唱し、 + 宝よりも大切にしました。 + あなたの戒めをかみしめて味わい、心からの敬意をはらいます。 + あなたのおきては私の喜びであり、常に忘れることがありません。 + 私を長く生かして、いつまでもお従いできるようにしてください。 + 私の目を開いて、おことばの中に隠されている、すばらしい祝福を見させてください。 + 私はこの地上では旅人です。あなたの命令が私の地図であり、道案内なのです。 + 私はあなたの教えを、どれほど切望していることでしょう。 + あなたは、言いつけを守らず、思い上がった者たちをおしかりになります。 + 彼らが、あなたにお従いする私をさげすんだりしませんように。 + たとえ、町の名士らがそろって非難してきても、私は、あなたのお定めになった道から一歩もそれません。 + あなたのおきては私の光であり、相談相手です。 + 私は失望のあまり、ちりの中にはいつくばっています。おことばによって、生き返らせてください。 + 私の考えを申し上げると、あなたは答えてくださいました。どうか、指示をお与えください。 + 何をお望みなのか、私に教えてください。そうすれば、私はあなたの奇跡を見ることができます。 + 私は悲しみのあまり涙を流し、すっかり滅入ってしまいました。どうか、あなたのおことばによって私を勇気づけ、奮い立たせてください。 + どうか、いっさいの過ちから守り、そのような資格もない者ですが、私があなたのおきてを守れるよう助けてください。私はすでに、正しい道を歩もうと決心したからです。 + 私はあなたの戒めを堅く守り、力を尽くして忠実に従います。主よ、どうか、さまざまな失敗からお守りください。 + あなたのお心に従いたいと思うように助けてください。そうすれば私は、あなたのおきてにさらに情熱を傾けることができるでしょう。 + 主よ、どのように歩めばいいか教えてください。あなたの教えのとおりにします。いのちある限り、心を尽くしてお従いします。 + 私に正しい道を歩ませてください。私は、それがどれほど喜ばしいことか、よく知っているのです。 + 不正な利益を求めることなく、従順の道を選び取らせてください。 + あなたのご計画以外のものに目を奪われることがないようにしてください。私の心を奮い立たせ、ひたすらあなたを慕わせてください。 + お約束をもう一度保証してください。私はあなたを信頼し、あがめていますから。 + なぜ私は、あなたに従うゆえのあざけりを恐れるのでしょう。あなたのおきてはみな正しく、良いものばかりです。 + 私はあなたのおきてを守りたいと、ひたすら願っています。どうぞ私を生かしてください。 + 救いの手を差し伸べてくださることが、あなたからの約束でした。どうか私を、あなたの恵みと愛でお救いください。そうすれば、私をさげすむ者たちに言い返すことばを持つことができます。私はあなたの約束を信じているからです。 + どんなことがあっても、あなたのおことばを忘れさせないでください。それこそ、ただ一つの望みなのです。 + 私はいつまでも、心から神にお従いします。あなたのおきての中でこそ、ほんとうの自由があるからです。神のおきてを国王に告げれば、彼らは関心と敬意を持って聞き入るでしょう。 + 私はどれほどあなたのおきてを愛し、ご命令に従うを喜んでいるでしょう。 + 「さあ、早く来てください」と、私はおきてを手招きします。それを愛し、身も心もささげたいと願っているからです。 + 神に仕えている私への約束を、お忘れにならないでください。それこそ頼みの綱なのですから。困難なとき、どれほど力づけられたかしれません。全く息を吹き返す思いでした。 + おごり高ぶる者どもは、神に従う私をさげすみますが、私は動揺しません。 + 幼いころからずっと、私はあなたに従おうと心がけてきました。あなたのおことばによって、いつも慰められてきました。 + あなたの命令を無視する者たちに、私は怒りを覚えます。 + あなたのおきては、地上の人生の旅路にある私にとって、喜びと歌の原動力なのですから。 + ああ主よ。私は夜でもおきてを守り、あなたに思いをはせます。 + 常にあなたに従うことが、どれほど祝福であったことでしょう。 + 主は私の大切なお方ですから、喜んでお従いします。 + 私はひたすら祝福を求めています。どうか、お約束どおり、私をあわれんでください。 + 私は、知らないうちに誤った方向に進んでいる自分に気づき、あわてて引き返し、神のもとに駆け戻りました。 + 悪者どもは、私の首に綱を巻き、罪に引きずり込もうとしました。しかし、私はあなたのおきてに守られています。 + 真夜中に私は起きて、こんなにすばらしいおきてを授けてくださったお方に感謝します。 + 主を信じて従う人は、だれでも私の兄弟です。 + ああ主よ。大地は恵みであふれています。正しい道をお教えください。 + 主よ。お約束のとおり、私は十分に祝福を頂いています。 + どうか、知識だけでなく、正しい判断力をも与えてください。あなたの戒めは、案内の杖です。 + あなたに懲らしめられる前には、私はよく迷い出ました。これからは、おことばにはすべて従います。 + あなたは情け深く、いつも恵みを注いでくださいます。どうか、従順にならせてください。 + 思い上がった者どもは、私について根も葉もないことを言いふらします。しかし、私はただひたすら、神のおきてを守ります。 + 彼らの良心は麻痺しています。私は冷静に、あなたにお従いしています。 + あなたから懲らしめを受けたことは、この上ない幸いでした。私はそのおかげで、おきてに目を向けることを学びました。このおきてこそ、金や銀より価値あるものです。 + 主よ。あなたは私をお造りになった方です。ですから、おきてを第一にして歩むための知恵をお授けください。 + あなたを信じて従っている人々は、私を心から迎え入れてくれるでしょう。私があなたのおことばを信頼しているからです。 + ああ主よ。私はあなたが正しい決定と罰を下すお方であることを知っています。どうか、お約束のとおり、優しく慰めてください。あなたのあわれみで包んで、生かしてください。あなたの教えこそ、私の喜びなのですから。 + 思い上がっている者たちの高慢さを、打ち砕いてください。彼らは全くの偽りを並べ立てて人を傷つける者たちです。しかし私の関心は、あなたの戒めにあります。 + あなたに信頼し、従っている人々を、もっと仲間に加えてください。みなであなたの教えについて語り明かします。 + あなたの御心に添いたいと、熱心に思わせてください。そうすれば、わが身を恥じることもなくなりましょう。 + 私はあなたの救いを待ち続けて、疲れてしまいました。それでもなお、助けてくださるというお約束に期待しています。 + 約束どおりになる瞬間を見のがすまいと、私の目は緊張し続けています。いったいいつ、私を助け、慰めてくださるのですか。 + 私は疲れ果て、煙の中の革袋のようにしぼんでしまいました。しかしなお、あなたのおきてを慕い求めます。 + いつになれば、迫害してくる者どもに報復してくださるのですか。 + あなたの真実とおきてを目の敵にする、この思い上がった連中は、私を蹴落とそうと深い穴を掘ったのです。彼らの偽りのおかげで、ひどい目に会わされました。あなたは真実を愛されるお方なのですから、どうか助けの手を伸べてください。 + 私は、彼らに殺されそうになりました。しかし、私は降伏せず、あなたの教えを捨てたりもしませんでした。 + お願いですから、このいのちをお救いください。そうすれば、こののちずっと、あなたにお従いできるのです。 + ああ主よ。あなたのおことばは、天にある、びくともしない岩のようです。 + あなたの真実は、あなたの手でできた大地のように、いつまでも存続します。万物はご計画の完成を目ざして、ご命令どおりに動くのです。 + あなたのおきてが、心の底からわき上がる喜びになっていなかったら、私は失望の果てに滅んでいたことでしょう。 + どんなことがあろうと、戒めだけは手放しません。その教えによって、喜びと健康を回復していただいたからです。 + あなたのものとなった私を、どうか救ってください。私は、あなたのお望みにかなう生活をしようと心がけてまいりました。 + 悪者どもはいのちをねらって待ち伏せしますが、私は静かに、あなたのお約束を思い巡らします。 + あなたのおことば以外に、完全なものはありません。 + どれほど私が、そのおことばを愛していることか。一日中、そのことばかり思い巡らしているのです。 + それは、かた時も離れず道案内を務めてくれ、敵にまさる知恵を授けてくれます。 + それどころか、私は、教師と呼ばれる人たちよりも賢くなります。それは私が一日中、あなたのおことばを思って暮らしているからです。 + さらにまた、私は、長年の経験を積んだ人々より賢い知恵を頂くのです。 + 私はあなたのおことばに従順でありたいと思い、決して悪の道に足を踏み入れませんでした。 + あなたのおことばはみつより甘いので、私はその教えから離れませんでした。 + あなたの戒めから受ける真の知恵と理解力のおかげで、私はまちがったすべての教えを退けることができました。 + あなたのおことばは、つまずかないように道を照らしてくれる明かりです。 + 私はあなたのすばらしい教えに従います。何度でもそう宣言します。 + 私は敵の手に落ちて、死と背中合わせになっています。どうか、お約束どおり私を生かしてください。 + この、心からの感謝を受け入れ、あなたの望みを私に悟らせてください。 + 私は危うい状況で生きていますが、あなたのおきてを手放したりはしません。 + 悪者どもは、あなたに従う道に罠をしかけましたが、私は、その道からそれようとは思いません。 + あなたのおきては、いつまでも私の宝です。 + 死ぬまであなたに従うと、堅く決心しています。 + 神に従おうかどうしようかと迷う優柔不断な人々を、私は軽蔑します。私は、あなたの教えを愛する心を貫きます。 + あなたは私の隠れ家、また盾です。あなたのお約束だけが、私の望みです。 + 悪事を企む者よ、私の前から消え去れ。私が神の命令を守ることを妨げてはならない。 + 神よ。私を生かすと言われたお約束が果たされなかったなどと言われることがないようにしてください。 + 私を敵の手の届かない高い所で、しっかり支えてください。そうすれば、こののち、おきてを守ることができます。 + あなたのおきてを捨てる人はみな、あなたに捨てられました。彼らは結局、自分をあざむいただけでした。 + 悪者どもは、神に捨てられる金かすにすぎません。だからこそ、私は喜んであなたのおきてに従います。 + 私はあなたの罰を恐れるあまり、震えています。 + どうか、私を敵のなぶりものにしないでください。私は正しいことを行い、いつも公平であったからです。 + 私を豊かに祝福してください。思い上がった者どもの攻撃から、この身を守ってください。 + いつあなたがお約束を果たして、救い出してくださるのかと、一心に見つめてきた私の目は、すっかりかすんでしまいました。 + 主よ、優しく私を取り扱い、このしもべに従順を学ばせてください。 + どうか、あなたにお仕えする身である私に、すべての点であなたの規範に照らして考える知恵を、お授けください。 + 主よ、どうか今、行動を起こしてください。悪者どもが、あなたのおきてを破りましたから。 + 一方、私は、あなたの戒めを純金より慕っています。 + あなたのおきては、どれを取っても正しいのです。この道以外に慕うべき道はありません。 + あなたのおきてはすばらしく、私は何のためらいもなくそれを守ります。 + あなたのご計画が明らかにされると、それは心の鈍い者にさえ理解できるのです。 + 私は、あなたがどんな戒めを下さるか、とても期待して待っています。 + あなたを愛する者にいつもかけてくださるあわれみを、そばに来て、私にもかけてください。 + 悪に打ち負かされることのないように、どうか、そのおことばで導いてください。 + 悪者どもの虐待から、救い出してください。そうすれば、私はあなたにお従いすることができます。 + 愛情のこもったまなざしを注ぎ、すべてのおきてを教えてください。 + あなたのおきてが平気で破られる現状に、私は涙をこぼしています。 + ああ主よ。あなたは公明正大で、人を正しくさばいて罰を下されます。 + あなたの要求はみな正しく、理にかなっているのです。 + 私は、敵があなたのおきてを軽んじていることに耐えられません。 + 私はあなたのおことばをくまなく調べ、吟味しました。そのうえで、私はそれを愛しているのです。 + 私は取るに足りない存在で、人からさげすまれていますが、戒めだけは大事に守っています。 + あなたの教えは完全なので、あなたの正義は永遠に朽ちません。 + あなたの戒めは、苦しみ悩んでいる私を慰めてくれます。 + 公平そのもののおきてを、真に理解させてください。そうすれば、私は生きることができます。 + ああ主よ、ひたすら祈り続ける私にお答えください。私はあなたのおきてに従います。 + 「どうか、お救いください。あなたにお従いしていますから」と、私は叫びます。 + 朝早く、日がのぼる前に私は祈り、どんなにあなたを信頼しているかを示してきました。 + 私は夜通し起きていて、お約束をかみしめます。 + 愛と思いやりに満ちた主よ、私の声を聞き、以前のように生かしてください。 + 攻撃をしかける無法者が迫って来ました。 + しかし、主がそばにいてくださいます。主の戒めはみな、真理なのです。 + あなたは決して変わることのないお方だと、私は小さいころから知っています。 + 悲しみの涙にくれる私を救い出してください。私は、あなたの命令を忠実に守っているからです。 + 私を救い出して、かねてからのお約束どおり、再び胸を張って歩けるようにしてください。 + あなたのおきてを気にも留めない悪者どもは、救いから遠ざかります。 + 主よ、限りないあわれみを注いで、どうか、再び私を生かしてください。 + おびただしい数の敵が、何とかして私をあなたに背かせようとしています。しかし、私はあなたの御心から、一歩たりとも迷い出たりしませんでした。 + あなたのおことばに見向きもしない、こんな裏切り者どもを、私は憎んでいます。 + 主よ、私があなたの戒めをどんなに愛しているか、わかってください。どうか、あふれる恵みで、私を生かしてください。 + あなたのおことばは真理そのものであり、永遠にすたれません。 + この世の権力者は、いわれもない迫害を加えますが、私の恐れるものはただ一つ、あなたのおことばだけです。 + 私は、金鉱を見つけた人のように、あなたのおことばを喜んでいます。 + 私はどんなうそでも徹底して憎み、あなたのおきてを心から愛します。 + このすばらしい教えを思い巡らし、一日に七回、あなたをたたえます。 + この教えを愛する人は、平安な心を与えられ、過ちを犯すこともありません。 + 主よ。私は救いを待ち望み、あなたの命令を守ってきました。 + あなたの戒めを何よりも愛し、慕い求めてきました。 + 私がそれを追い求めたことを、あなたはご存じです。私のすることはみな、知っていらっしゃるからです。 + ああ主よ、この祈りを聞き届け、お約束の知恵をお授けください。 + どうか、お約束のとおり、救い出してください。 + おきてを学ばせてくださるあなたを、ほめたたえます。 + あなたの口から出る完全なことばを、ほめ歌わずにはいられません。 + あなたの御心に従う道を選び取った私に、いつでも助けの手を差し伸べてください。 + ああ主よ。私はあなたの救いを慕い求めてきたのです。あなたの教えはこの上ない喜びです。 + 生かし続けていただける限り、私はあなたをほめたたえましょう。どうか、おきてによって支えてください。 + 羊のようにあてどもなくさまよう私を捜し出してください。私は、ご命令に背いたりしませんでしたから。 + + + 苦しみの底から助けを呼び求めると、主は救いの手を差し伸べてくださいました。 + ああ主よ、偽りでこり固まった者どもから救い出してください。 + 平気でうそをつく者には、どれほど恐ろしい運命が待っていることでしょう。 + 彼らは鋭い矢で射抜かれ、真っ赤な炭火で焼かれるのです。 + 私は、神を憎むメシェクとケダルの住人の間に住んでいるようなもので、気苦労がますます重なります。平和をきらうこの者どもと暮らすのには疲れました。 + 私は平和を愛しますが、彼らは戦いを好みます。彼らのどなり声に、私の声もかき消されてしまいます。 + + + 私は山の神々に助けを仰ぐべきなのでしょうか。 + いいえ、真の助けは、山々を造られた主から来るのです。主は、天をもお造りになりました。 + このお方は、私が決してつまずいたり、足をすべらせたり、倒れたりしないように守ってくださいます。また、眠り込んだりもなさいません。いつも大きく目を見開いて、見守っていてくださいます。 + 主は自ら、あなたのために配慮してくださるのです。危険からも守ってくださいます。 + 昼も夜も注意深く、 + あらゆる害悪を寄せつけず、あなたいのちを守られます。 + 主はあなたが出て行くのも帰って来るのも見守り、いつもあなたを守ってくださいます。 + + + エルサレムの主の宮に行こうと誘われた時のうれしさは忘れられません。 + 私たちは今、都の雑踏の中に立っています。 + 神のおきてに従って、イスラエル中の主の民がここに集まり、主を礼拝し、感謝と賛美をささげるのです。 + 都の門のそばでは、裁判官が人々の論争を裁いています。 + エルサレムの平和のために祈ってください。この都を愛する人々に繁栄がもたらされますように。 + エルサレムの城壁のうちに平和がみなぎり、宮殿は富み栄えますように。 + この都に住む友、兄弟のために願います。 + 主の宮にふさわしい平和で満たされますようにと。 + + + 私は天の王座におられる神を見上げます。 + いつ主があわれんでくださるかと見つめています。ちょうど、召使が主人の様子をうかがい、何げない表情にさえ気を配るのと同じように。 + 主よ、お願いですから、あわれんでください。私たちはさんざん、金持ちや高慢な者たちにさげすまれ、あざけられてきたのです。 + + + イスラエル中の人々は、次のことを知りなさい。もし主が味方でなかったなら、 + 私たちは敵にいけにえとされ、皆殺しの目に会っていたことでしょう。 + その激しい怒りと思い上がりの洪水にのまれて、おぼれていたことでしょう。 + 主のおかげで、敵のえじきにならずにすんだのです。心から感謝しなさい。 + 猟師のしかけた網から逃げる鳥のように、助かったのです。網が裂けて、たちまち自由に舞い上がることができたのです。 + 助けの手は、天地をお造りになった主から伸べられます。 + + + 主を信頼する人は、シオンの山のように、どのような状況でも動じません。 + エルサレムがその周囲の山々に守られているように、主もご自分の民を取り囲んで、守ってくださいます。 + 神を信じて従っている人々を悪者どもが支配し、悪事を押しつけるようなことがあってはならないからです。 + ああ主よ、心のまっすぐな正しい人々を恵んでください。 + そして、悪者どもは、処刑場へ連れ去ってください。イスラエルに平和がありますように。 + + + 主が、捕虜となっていた人々をエルサレムへ連れ戻された時、私たちは、まるで夢でも見ているようでした。 + 笑いが込み上げ、ひとりでに歌ったものです。他国の人々も言いました。「主は彼らのために、驚くべきことをなさった。」 + 確かにすばらしいことでした。信じられないことでした。どれほどうれしかったことか。 + 旅人が砂漠でオアシスを見つけたときのように、私たちが元気を取り戻すことができますように。 + 涙を蒔く人は、やがて喜びを刈り取ります。 + 種を手にし、泣きながら出て行った人々が、やがて収穫の束をかかえ、歌いながら帰って来るのです。 + + + 主が建てたものでなければ、家を建ててもむだです。主に町を守っていただかないのなら、見張りが立つ意味もありません。 + 暮らしを支えるために朝早くから夜遅くまで身を粉にして働いたとしても、それが何になるでしょう。主は、愛する者には必要な休息を与えようとなさるお方です。 + 子どもたちは主からの贈り物であり、報いです。 + 若いうちに生まれた子どもは、身を守る鋭い矢のようです。 + 矢筒が矢で満ちている人は幸せです。敵と論争するときにも、助けを得ることができるからです。 + + + 主を恐れかしこみ、信じて従う人に、祝福がありますように。 + その人へのほうびは、繁栄と幸福です。 + あなたの妻は、家庭の中で、満足して暮らしています。食卓に集まる子どもたちも、オリーブの若木のように生き生きとしています。 + これこそ、主を信頼する人たちの姿です。 + 主が天から祝福と喜びを注いでくださいますように。 + あなたが長生きし、孫の誕生を喜ぶことができますように。神がイスラエルを祝福してくださいますように。 + + + イスラエルは言う。「私は若いころから迫害され、 + 長い間差別に甘んじてきましたが、滅ぼされることはありませんでした。敵には、私の息の根を止めることはできなかったのです。 + 彼らは私の背中をむちで引き裂きましたが、主はあわれみ深く、悪者どもが巻きつけた鎖を断ち切ってくださいました。 + ユダヤ人を憎む者どもに、屈辱的な敗北を味わわせてください。 + 彼らが、土の浅い地に生えた草のようになりますように。しおれて黄色くなり、刈り取る者からも束ねる者からも、見向きもされない草のような者になりますように。 + 道行く人々も、「主の祝福がありますように。神の名によって祈ります」などと言って彼らを祝福することがありませんように。 + + + ああ主よ。私は失意のどん底から、あなたの助けを叫び求めます。 + 「お願いですから、私の訴えを聞いて、助けてください。」 + 主がいつまでも私たちの罪を心に留められるとしたら、この祈りも聞いてはいただけないでしょう。しかし、恐れ多いことですが、あなたは赦してくださるお方です。 + だからこそ私は、助けを信じ、期待をこめて待っているのです。 + 見張りの者が夜明けを待つよりも切実に、主を待ち望んでいます。 + イスラエルよ、主を信じて希望を持ちなさい。主は恵み深く親切で、両手いっぱいの祝福をかかえて来てくださるからです。 + 主は、罪の奴隷となったイスラエルを買い戻してくださいます。 + + + 主よ。私は思い上がったり、横柄な態度をとったりしません。何でも知っているふりをしたり、他の者より自分がまさっていると考えたりすることもしません。 + 今こうして、乳離れした幼児のように、主の前で静かにしています。もう、あれこれと願い事を並べ立てるのはやめました。 + イスラエルよ、おまえもまた、今だけでなく、いつまでも静まって主に信頼していなさい。 + + + 主よ。あなたは、私の心が騒ぎ立っていたころのことを覚えておられますか。 + 契約の箱を納める、イスラエルの全能の主の神殿をどのように建てればよいかと思い巡らし、休むことも、眠ることもできない日々でした。あの時、私は、どんなことがあっても神の宮を建てようと誓ったのです。 + 契約の箱は、最初エフラテにあり、次に遠く離れたヤアルの田舎に移されました。 + しかし今こそ、神の地上のお住まいである神殿にお迎えいたします。私どもはそこで、神を礼拝するのです。 + ああ主よ、どうぞ立ち上がって、御力の象徴である箱とともに、神殿にお入りください。 + 祭司には、純潔のしるしの白い服をまとわせます。わが国の人々を、歓声でわき立たせてください。 + あなたの民の王として選ばれたしもべダビデを退けないでください。 + 主は私の息子が後継者となって王座につくと約束してくださいました。あなたが約束を破られるはずはありません。 + あなたはまた、もし子孫が、あなたと私との間の契約を守るなら、ダビデ王朝はいつまでも終わることがないと約束してくださいました。 + ああ主よ。あなたはエルサレムを住まいとしてお選びになり、 + こう言われました。「エルサレムこそわたしの永遠の住まい。わたしの望みの地。 + わたしはこの都を繁栄させ、貧しい住民を満腹にしよう。 + 祭司には救いの服を着せよう。わたしを信じる都の住民は、喜びの声を張り上げるだろう。 + わたしはダビデの子孫を全世界の王とし、その権力をますます増大させよう。 + 敵対する者には恥を見させ、ダビデ王家は栄光に輝かせよう。」 + + + 兄弟たちがいっしょに仲良く暮らすことは、なんと楽しく、なんとすばらしいことでしょう。 + 仲良く暮らすことは、頭に注がれた香り高い油のように尊いことです。アロンに注がれた香油はひげに流れ落ち、服のえりにまでしたたりました。 + 仲良く暮らすことは、ヘルモン山やイスラエルの山々に降りる露にも似ていて、新たな息吹を呼びさますのです。こうして、主はイスラエルに、永遠のいのちの祝福を与えると約束なさったのです。 + + + 夜ごと神殿の警備に立ち、主に仕える人々よ。さあ、ほめたたえなさい。 + きよい手をあげて、ほめたたえなさい。 + 天地をお造りになった主が、シオンからあなたを祝福してくださいますように。 + + + ハレルヤ。主の民は、神殿の内庭に立って、ほめたたえなさい。 + 恵み深い主のすばらしい御名をたたえて歌いなさい。 + 主はイスラエルを、ご自分のものとして選んでくださったのです。 + 主の偉大さは、とてもほかの神々とは比べものになりません。 + 天も地も、深い海も、主は思いどおりに治められます。 + 地上にもやを立ちこめさせ、雨をもたらすいなずまを光らせ、その宝物倉から風を送り出されます。 + 主はエジプト人に生まれた長男をみな、家畜の初子もろとも滅ぼされました。 + エジプトの王や国民の目の前で、大きな奇跡を見せられたのです。 + 強い国々を滅ぼし、負けを知らない王侯を殺されました。 + エモリ人の王シホン、バシャンの王オグ、それにカナンの王たちを。 + 主は彼らの土地を、ご自分の民イスラエルに、永遠の贈り物としてお与えくださいました。 + ああ主よ。あなたの御名はいつまでもすたれず、あらゆる時代の人々に知れ渡ります。 + 主はご自分の民を弁護し、仕える人々をあわれまれるからです。 + 外国人は、人の手で作った金や銀の偶像を拝みます。 + 口があってもしゃべれず、目があっても見えず、 + 耳があっても聞こえす、呼吸もしていない偶像を拝んでいるのです。 + 偶像を作る者や、信仰する者も、同じく愚かです。 + イスラエルよ、主をほめたたえなさい。アロンの家系の大祭司よ、ほめたたえなさい。 + レビの家系の祭司も、主を信じて従う人々も、主をほめたたえなさい。 + エルサレムの住民よ、ほめたたえなさい。エルサレムは主の御住まいではありませんか。 + + + 絶え間なく恵みを注いでくださる主に感謝しなさい。 + 神の神であられるお方に感謝しなさい。その恵みはいつまでも絶えることがありません。 + 主の主に感謝しなさい。その恵みはいつまでも絶えません。 + すばらしい奇跡をなさる、ただひとりのお方をほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。 + 天を造られたお方をほめたたえなさい。その恵みは永遠のものです。 + 地中に水脈を巡らされたお方をほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。 + 天に明かりをともされたお方をほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。 + 昼のために太陽を、夜のために月と星とを造られたお方の恵みは、絶えることなく続きます。 + エジプト人の長男を打ち滅ぼした神をほめたたえなさい。イスラエルへの恵みは絶えることがありません。 + 神は、大いなる力によってイスラエルの人々をエジプトから連れ出し、敵に対しては、こぶしを振り上げました。イスラエルへの恵みは絶えることがありません。 + 紅海を二つに分け、道を開いてくださった主を、ほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。 + 主は人々に、その道を無事に通らせてくださいました。その恵みは絶えることがありません。 + 敵であるエジプト王の軍隊はおぼれてしまいました。イスラエルへの神の恵みは、絶えることがありません。 + 荒野を旅する間も導いてくださったお方を、ほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。 + 強大な諸国の王の手から救い出してくださったお方を、ほめたたえなさい。その恵みは絶えることがありません。 + 勇名をとどろかせた敵の王たちも、主の手で打たれました。イスラエルへの神の恵みは、絶えることがありません。 + エモリ人の王シホンも、バシャンの王オグも、神の手にかかって殺されました。イスラエルへの恵みは絶えることがありません。 + これらの王の領地は、イスラエルのものになりました。神の恵みは絶えることがありません。 + そうです、主に仕えるイスラエルへの、変わることのない贈り物としてです。神の恵みは絶えることがありません。 + 主は、私たちがどれほど弱い存在か、知っていてくださいます。その恵みは絶えることがありません。 + 敵の手から救い出してくださる主の恵みは、絶えることがありません。 + 主はいのちあるすべてのものを養われるお方です。主の恵みは絶えることがありません。 + ああ、天の神に感謝しなさい。その恵みは絶えることがないのです。 + + + バビロンの川のほとりに座り、私たちはエルサレムのことを思って泣きました。 + 手にしていた竪琴も、柳の枝にかけてしまいました。 + それなのに、冷酷な征服者たちは、余興にシオンの歌を歌えと言うのです。歌う気になどなれません。 + ああエルサレムよ。もし私がおまえを忘れるようなことがあれば、私の右手が琴の弾き方を忘れるように。私がおまえへの愛を失うようなことがあれば、もう二度と歌えなくなるように。 + 主よ、バビロン軍によるエルサレム陥落の日の、エドム人たちの仕打ちを忘れないでください。彼らは「エルサレムを破壊してしまえ」と叫んだのです。 + どう猛な野獣バビロンよ。おまえは滅ぼされる。おまえを滅ぼす人に、祝福があるように。おまえは私たちを滅ぼしたからだ。 + おまえの赤ん坊を、岩に投げつける人に、祝福があるように。 + + + 主よ。私は心の底から感謝し、御使いたちの前でほめたたえます。 + 礼拝するたびにあなたの宮に向かい、そのすべての恵みと真実を思い起こして感謝をささげます。あなたは、ご自身の名にかけて、約束を守るお方ですから。 + あなたは必ず私の祈りに答えて、力を与え、励ましてくださいます。 + 主よ。この世の王はみな御声を聞き、感謝をささげます。 + 彼らは、栄光に輝く主の道をたたえて歌います。ご栄光の偉大さに圧倒されるからです。 + この上なく偉大な主は、謙遜な人を重んじ、高慢な人を寄せつけません。 + たとえ、四方八方を苦しみに取り巻かれても、私は無事に救い出していただけます。怒り狂った敵には、あなたのこぶしが振り下ろされるのです。 + 私のためのご計画は、次々に実現していきます。主の恵みは絶えることがないからです。どうか、私を置き去りにしないでください。私はあなたの手で造られた者ですから。 + + + 主よ。あなたは私の心の奥底まで探り、どんなささいなことも見のがされません。 + 私の立つのも座るのも、すべてご存じです。遠くからでも、私の心をすべて読み取られます。 + あなたは、私の進む道もご存じで、どこで休息をとるべきかも教えてくださいます。どんなときも、私の居場所もご存じです。 + そして、口を開く前から、私が何を言いたいかも見抜いておられます。 + あなたは私の前を行き、後ろからも来られます。あなたは私に、祝福の御手を置いてくださいます。 + このようなことはあまりにも栄光にあふれ、すばらしい話なので、ほんとうだとは信じがたいほどです。 + あなたの視界から逃れることは決してできません。身を隠すことも不可能です。 + 天まで昇ろうと、あなたはそこにおられ、死者の世界まで降りて行っても、あなたはそこで待っておられるのです。 + 朝風に乗って、地の果てまで飛んで行っても、 + あなたの力強い腕は、私を導き、支えてくださいます。 + 私が暗闇にまぎれ込もうとしても、夜は私を照らし出す光となるのです。 + 暗闇も、神から隠れることはできません。神から見れば、暗闇も光も同じようなものなのです。 + 神は、精巧に私の体のすべての器官を造り、母の胎内で組み立ててくださいました。 + こんなにも複雑かつ緻密に仕上げてくださったことを感謝します。想像することもできないくらい、すばらしいことです。あなたのわざは驚くべきもので、私にはとうてい、理解することはできません。 + だれも立ち入ることのできない場所で私が組み立てられた時、あなたはそこにおられました。 + 生まれる前から、まだ呼吸を始める前から、あなたの目は私に注がれ、私の生涯にわたるご計画も、練り上げられていたのです。 + 主よ。あなたが私をかた時も忘れずにいてくださることは、ほんとうにたいせつな事実です。あなたは一日に、数えきれないほど何度も、私のことを思い起こしてくださいます。眠っているときも、朝までずっと、私のことを考えていてくださるのです。 + 悪者どもは必ず、主の御手にかかって滅びます。血に飢えた者どもよ、すみやかに消え失せるがよい。 + 彼らはあなたの御名を汚し、横柄な態度をとっています。なんと愚かなことでしょう。 + 主よ。あなたを憎む者どもを、この私が憎まずにいられましょうか。心を痛めずにいられましょうか。 + 私は彼らを憎みます。あなたの敵は私の敵だからです。 + ああ神よ。私の心を探り、内面を調べ上げてください。 + あなたを悲しませるようなものがあるなら、教えてください。私が永遠のいのちへの道からそれないようにお導きください。 + + + ああ主よ、私を悪者から救い出し、乱暴者から守ってください。 + 彼らは一日中、悪事を企み、騒ぎを引き起こしています。 + 彼らのことばは、毒蛇の牙のように人を刺すのです。 + 彼らの手の届かない所に私を置き、その暴力から守ってください。彼らは危害を加えようと策略を練っています。 + 彼らは傲慢で、私を生け捕りにしようと罠をしかけました。足をすくい、宙吊りにする輪なわを仕掛けます。身動きがとれないように網をかけようと待ち伏せています。 + ああ、私の救い主であり盾であられる主よ、この祈りに耳を傾けてください。悪者どもの思いどおりにはさせないでください。彼らのすることがうまくいき、彼らが傲慢になることがありませんように。 + その企みが、そのまま彼らの頭上に返りますように。彼らが自分たちのしかけた罠で、身を滅ぼしますように。 + 赤々と燃える炭火を、その上に降らせてください。また、火の中に、二度と上って来ることのできない深い穴に、彼らを投げ込んでください。 + うそつきどもが、この国で繁栄することがありませんように。彼らをすみやかに罰してください。 + しかし主は、踏みにじられている人々を助け、貧しい者の権利を守ってくださいます。 + 神を信じて従う人は、きっと感謝の声を上げるようになるでしょう。神のおそばで暮らせる時が、必ずくるからです。 + + + 主よ、どうか早く、私の祈りに答えてください。助けを呼び求める声を聞いてください。 + 私の祈りが、夕方の供え物となり、あなたの前に立ち上る香となりますように。 + 主よ、どうか、この口を堅く閉じ、くちびるに封をさせてください。 + 悪に走る汚れた心を取り除いてください。罪人の仲間入りをして、彼らのごちそうにありつこうなどと思うことのないようにしてください。 + 神を敬う人からのきびしい忠告は、私を思う心から出たものです。非難されたように感じても、私にとって薬となるのです。私が彼らの非難を拒絶することがありませんように。私は、悪者どもには警戒を怠らず、彼らの悪行に対抗して絶えず祈ります。 + 悪者どもの指導者たちが罰を受け、その骨が地にばらまかれるなら、彼らは初めて私のことばに注意をはらい、今まで、私が彼らを助けようとしていたことに気づくでしょう。 + 私の主よ。私はあなたを見つめ、いつ助けてくださるかと待っています。あなたは私の隠れ家ですから、彼らに手出しをさせないでください。 + 彼らの罠に近づけないでください。 + その罠には彼ら自身がかかり、私は難を免れることができますように。 + + + 私は主の前に悩み事をさらけ出して、あわれんでくださいと祈ります。 + 私は打ちひしがれ、絶望しています。どの道を進めば敵のしかけた罠にかからずにすむのか、あなただけがご存じです。 + 右側の少し先に、罠が一つあります。誰ひとり、声をかけて助けてくれる人はいないのです。私がどうなろうと、だれも気にも留めないのです。 + そこで、私は主に祈りました。「主よ。あなたは唯一の隠れ家です。あなただけが、無事に守ってくださるお方なのです。 + 私の叫びを聞いてください。迫害する者どもの手から救い出してください。相手は強すぎて、とても手に負えません。 + どうか、私を牢獄から連れ出し、あなたへの感謝にあふれさせてください。私が助けられたことを知れば、神を敬う人々は、あなたの力を喜ぶでしょう。」 + + + 主よ、私の祈りを聞き、願いに答えてください。あなたは、約束を決して破らないお方です。 + 私を裁判にかけないでください。あなたほど完全なお方はいないのですから。 + 私は敵に追いつめられ、地面にたたきつけられました。そして、墓のように暗い所に住まわせられたのです。 + いっさいの希望を失った私は、恐怖に取りつかれ、身震いしています。 + 私はあなたがかつてなさったすばらしい奇跡の数々を思い出しています。 + 乾ききった地が雨を慕うように、私はあなたに両手を差し伸べています。 + 主よ、すぐにもこの祈りに答えてください。悩みはますます深刻になります。どうか見放さないでください。そうでなければ、私は死んでしまいます。 + 朝になったら、あなたの恵みを見せてください。あなたを支えとして生きている私に、どの道を選ぶべきか教えてください。私は心の底から祈っているのですから。 + 主よ、敵からお救いください。私はあなたのふところに飛び込んで危険を避けます。 + あなたは私の神ですから、ご意志にそった行動をとらせてください。恵み深い御霊によって、私を祝福の道へと導いてください。 + 主よ。私をお救いくだされば、ご威光はひときわ明るく輝くでしょう。あなたは約束を守ってくださるお方ですから、どうか、私をいっさいの苦しみから引き上げてください。 + 私を愛してくださる恵み深い神よ。すべての敵を根絶やしにし、危害を加えようとする者どもを滅ぼしてください。私はあなたに仕えるしもべなのですから。 + + + 揺るぎない岩である主をほめたたえます。戦いが起こると、主は、弓をひく私の腕を強めてくださいます。 + いつも恵み深く、愛を注いでくださる主は、私の要塞であり、びくともしないやぐらです。私を救ってくださる神は、盾となって立ちはだかってくださいます。こうして、神は民を私に服従させてくださるのです。 + 主よ。あなたが気に留めてくださるのは、人間が何者だからなのでしょう。どうしてあなたは、こんな人間にかかわってくださるのでしょう。 + 人の一生は、ただのひと呼吸のよう、また影のようで、はかなく消えるではありませんか。 + 主よ、どうか、天を押し曲げて降りて来てください。あなたの手が山に触れると、煙が吹き出します。 + 主よ、いなずまの矢を敵に放ち、彼らを散らすように蹴散らしてください。 + 天から御手を差し伸べ、私を引き上げてください。深い水の中から、強い敵の腕から、助け出してください。 + 彼らの口はうそで満ち、間違っていることをほんとうだと言い張ります。 + ああ神よ。私は十弦の琴をかなで、あなたに新しい歌をささげます。 + あなたは王に勝利をもたらされるお方です。あなたのしもべダビデを、悪の剣から救い出されるお方です。 + どうか、悪賢い敵から、私を救い出してください。 + 神を信じる国の祝福された様子を語りましょう。男の子は、すくすくと成長する木のように、元気いっぱいに育ちます。女の子は、宮殿にふさわしく飾られた柱のように、しとやかで優雅です。倉には穀物がこれ以上入らないほど豊かにあります。羊の群れは、何千頭、何万頭と増え、牛は次々と子どもを産みます。敵は一人も攻めて来ず、平和が満ちあふれています。町には一つの犯罪も起こりません。このように、主を神とする民は幸いです。 + + + 私の王である神よ。私は毎日、そしていつまでも、あなたをほめたたえます。 + 声の限り、偉大な主をたたえましょう。神の偉大さは、一生かけても窮めることができません。 + それぞれの時代に生きる人々が、その子どもたちに、神のすばらしさを伝えていきますように。 + そのまぶしいばかりの栄光、威光、それに奇跡を、私は深く思い巡らします。 + だれもが、神のなさる恐ろしいみわざについて語ります。私はその偉大さを伝えます。 + 人々は、神の恵み深さと、正しさについて歌います。 + 主は優しく、あわれみ深く、すぐには怒らず、愛にあふれておられます。 + だれにでも恵み深い主の思いやりは、造られたすべてのものに注がれます。 + 主よ。いのちあるものはみな、あなたに感謝をささげます。あなたの民は賛美し、 + 栄光に輝くあなたの王国について語り、その力について語り合うでしょう。 + また、主の行われた奇跡と、栄光に包まれたご支配についても語るでしょう。 + あなたの王国に終わりはなく、その統治は、代々限りなく続くからです。 + 主は倒れた人を起こし、あまりの重荷に身をかがめている人の背筋を伸ばされます。 + すべての人が、あなたに助けを求め、必要な食べ物を頂くのです。 + あなたはいつも、生きているすべての者の願いに答えてくださいます。 + 主はいつでも公平で、恵みにあふれています。 + そして、真心から願い出る人のそば近くにいてくださるのです。 + 主は、敬虔な心で信頼を寄せる人々の願いを、かなえてくださいます。助けを呼び求める声を聞いてくださいます。 + 主を慕う人はみな守られ、悪者どもは滅ぼされます。 + 私は主をほめたたえ、世界中の人に、神のきよい御名をいつまでもあがめるようにと呼びかけます。 + + + 真心から、主をほめたたえましょう。 + 私は一生涯、主を賛美し、生きているかぎり、私の神に賛美の歌を歌います。 + 人の助けをあてにしてはいけません。どんなに偉大な指導者も、頼りにはならないのです。 + 人はみな死ぬ運命にあるからです。呼吸が止まり、いのちの火が消えた瞬間に、その人の人生の計画は、すべて無になるのです。 + しかし、神の助けをあてにし、主に望みを置く人は幸せです。 + 主は、天と地と海と、その中のいっさいのものをお造りになりました。どんな約束でも守り抜き、 + 貧しい人や虐待されている人に公平なさばきを保証し、飢えた人には食べ物をお与えになるお方です。主は囚人を解放し、 + 盲人の目を開き、身をかがめている人の重荷を取り除かれます。主は正しい人を愛しておられます。 + 主は外国人の権利を守り、孤児や未亡人を支えますが、その一方、悪者の計画をくつがえされます。 + エルサレムよ。あなたの主は、永遠に支配なさる王です。ハレルヤ。主をほめたたえましょう。 + + + ハレルヤ。主をほめたたえましょう。神を賛美するのは、なんと麗しく、喜ばしいことなのでしょう。 + 主はエルサレムの町を建て直し、捕虜として連れ去られた人々を返してくださいます。 + 心の傷ついた人々を優しくいたわり、傷口を覆ってくださいます。 + 主は星を数え、その一つ一つの名を呼ばれます。 + 偉大な主の御力は限りなく、主の知恵は無限です。 + 主は謙遜な人を支えますが、悪者どもは地面に倒されます。 + 主に感謝の歌を歌いなさい。竪琴の伴奏で、賛美の歌を歌いなさい。 + 神は雲で天を覆い隠し、夕立を送り、牧草を青々と生えさせてくださいます。 + また野の獣を養われます。からすの子は、神に食べ物をねだって鳴くのです。 + どんなに足の早い馬でも、神から見れば、歩みの遅いかたつむりと同じです。どんなに腕力を誇る人でも、神からすれば、赤ん坊の手をねじ伏せるより簡単なのです。 + しかし、主を敬い、その愛と恵みを待ち望む人々を、主はことのほかお喜びになります。 + エルサレムは主をほめたたえなさい。シオンも賛美の声を上げなさい。 + 主は敵に備えてあなたの城の守りを固め、あなたの子どもたちを祝福されるからです。 + 主は平和を与え、最上の小麦で倉を満たしてくださいます。 + 主のご命令は全世界に行き渡ります。そのおことばは、飛ぶように駆け巡るのです。 + 主は真っ白な雪を降らせ、地面に霜をまき、 + 雹を地上に投げつけられます。その凍りつくような寒さに、だれが耐えられましょう。 + しかし、主が春をお呼びになると、暖かい風が吹いてきて、川面の氷を溶かすのです。 + 主はイスラエルに、ご自分のおきてと礼拝の仕方を教えてくださいました。 + こんなことは、ほかの国にはなかったことです。他の国民は、神の戒めを聞かされていません。ハレルヤ。主をほめたたえましょう。 + + + ハレルヤ。天から主をほめたたえなさい。 + 御使いたちよ、天の軍勢よ、賛美の声を上げなさい。 + 太陽と月、輝く星たちもみな、主をほめたたえなさい。 + 大空も、空の上にある水も、神をほめたたえなさい。 + 造られたものがみな、主を賛美しますように。みな、主のおことば一つででき上がったからです。 + これらは、いつまでも残るものとして造られました。主の命令は、どんなことがあろうと、取り消されはしません。 + 海の底にいる生き物よ、主をほめたたえなさい。 + いなずま、雹、雪、雲、ご命令に従う嵐、 + 山や丘、実のなる木や杉、 + 野獣や家畜、小さな動物や鳥、 + 諸国の王たちとその国民、それに支配者や裁判官、 + 若い男や女、老人や子どもなど、 + みな声を合わせて、主をほめたたえなさい。賛美を受けるのにふさわしいお方は、主だけなのですから。主の栄光は、天地の一切のものより、はるかに尊いのです。 + 主はご自分の民を強くし、かけがえのないものとされた民イスラエルの名声を大いに高めてくださいました。ハレルヤ。主をほめたたえましょう。 + + + ハレルヤ。主をほめたたえ、新しい歌を歌いましょう。神の民よ。賛美の歌声を上げなさい。 + イスラエルよ、あなたを造られた主を喜びなさい。エルサレムの人々よ、王であるお方の前で喜びなさい。 + タンバリンと竪琴の伴奏で、踊りながら神の御名をほめたたえなさい。 + 主はご自分の民を喜んで受け入れ、謙虚な者を救ってくださるのです。この光栄を思い浮かべて、神の民が感謝しますように。寝床でも、喜びのあまり歌いだしますように。 + 神の民よ、主をあがめなさい。神に代わって両刃の剣を取り、国々を罰しなさい。 + 王や指導者を鉄の鎖で縛り上げ、 + 宣告されたとおりに処罰しなさい。神の民の栄光は神ご自身です。ハレルヤ。主をほめたたえましょう。 + + + ハレルヤ。神の家でほめたたえましょう。神のお力を示す天で、神をほめたたえましょう。 + 偉大な奇跡を思い起こして、ほめたたえましょう。 + ラッパと十弦の琴と竪琴をかなでながら、賛美の歌を歌いましょう。 + タンバリンを打ち、神をほめたたえましょう。弦楽器と笛で神をほめたたえましょう。 + 大音響を出すシンバルを打ち鳴らして、神をほめたたえましょう。 + 生きているものはみな、主に賛美の声を上げなさい。さあ、あなたも神をほめたたえなさい。ハレルヤ。 + +
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+ + ダビデ王の子、イスラエルの王ソロモンの教え。 + ソロモン王がこの教訓を書いたのは、人々がどんな時にも物事を正しく判断し、公正であってほしいと考えたからです。 + 「未熟な人たちが賢くなってほしい。」「若い人が正しい生活を送るように注意したい。」 + 「賢い人には、これらの知恵のことばの深い真理をもっと探究し、より賢くなり、人々を指導できるようになってほしい。」それが彼の願いでした。 + では、どうしたら賢くなれるのでしょう。まず主を信じ、主を大切にすることです。愚かな人は主の教えをさげすみます。両親の忠告に従いなさい。そうすれば、あとになって人々にほめられるようになります。 + もし悪い仲間が、「われわれの仲間に入れ」と言っても、きっぱり断りなさい。 + 「待ち伏せして人を襲い、身ぐるみ巻き上げ、殺そう、 + 正しい者も悪い者も見境なく。 + 盗んだ物はわれわれのものだ。あらゆる物が! + さあ、仲間に入れ。山分けしよう」と誘われても、 + 決してその誘いにのってはいけません。そんな者たちには近寄らないようにしなさい。 + 彼らは悪いことをするだけが生きがいで、人殺しは彼らの専売特許なのです。 + 鳥は罠が仕掛けられているところを見れば、近寄りません。 + ところが、彼らは自分で自分を罠にかけているのです。愚かなことに、罠をかけて自分のいのちをつけねらっているのです。 + 暴力をふるったり人殺しをしたりする者たちは、みなこうなるのです。彼らには悲惨な死が待っています。 + 知恵は町の中で叫んでいます。 + 大通りの群衆や法廷の裁判官、そして国中の人に呼びかけます。 + 「愚か者よ、いつまで聞き分けがないのか。いつまで知恵をさげすみ、素直に真実を認めないのか。 + さあ、わたしの言うことを聞きなさい。あなたに知恵の霊を注ぎ、賢くしよう。 + わたしは何度も呼んだのに、あなたがたはそばに来ようともしなかった。嘆願までしたのに、知らん顔をしていた。 + わたしの忠告にも叱責にも、耳を貸そうとしない。 + あなたがたには、いつか災いが起こる。そのとき、わたしはあなたがたを笑う。 + 災いが嵐のように襲いかかり、恐れや苦しみに打ちのめされそうになるとき、 + そのときになって助けてくれと言っても、わたしはあなたがたを助けない。わたしを懸命に捜しても、もう遅い。 + それはあなたがたが真実から目をそむけ、主を信頼せず、 + わたしの忠告を聞かずに、やりたいことをやっていたからだ。 + あなたがたは、その報いを受けなければならない。自分で選んだ道なのだから、十分苦しみ、恐ろしい思いをするがいい。 + わたしをきらうとは、全く愚かな人たちだ。一歩一歩死に近づいているのも知らずに、いい気になっている。 + しかし、わたしに聞き従う人は、何の心配もなく、毎日を平和に暮らす。」 + + + 若者よ。私のことばを聞き、私の教えに従う者はみな、英知を与えられます。 + もっと深い洞察や識別力がほしいなら、なくした銀貨や秘密の宝を捜すように、熱心に求めなさい。そうすれば、主ご自身を知り、すばらしい主の知恵が与えられます。主を信じ敬うことがどんなに大切かわかります。 + 主が知恵をお授けになるからです。主のことばはどれも知恵の宝庫です。 + 主は正しい人に英知を授け、彼らの盾となって、安全に守ってくれます。 + 主は、どんなときにも何が正しく何が間違っているか、正しく判断する方法を教えてくれます。 + それは知恵と真理があなたの心に入り、喜びにあふれるからです。 + こうしてあなたは、仲間に引き込もうとする悪い者たちから離れられます。彼らは神の道からそれ、暗い悪の道に歩み、悪事を働くのが何より楽しいのです。 + 彼らは、ひねくれたこと、間違ったことばかりします。 + 悪い女の甘い誘いに惑わされないために、神の知恵を身につけなさい。彼女は結婚の誓いをさげすみ、平気で夫を裏切りました。 + 彼女の家は死と地獄への通り道です。 + その家に入る者は身をもちくずし、二度と立ち直れません。 + 身も心もきよく生きなさい。何があろうと、正しい道からそれてはいけません。 + 人生を思う存分楽しめるのは正しい人だけです。 + 悪人はせっかく幸運を手にしても失い、やがて破滅に至るのです。 + + + わが子よ。私の教えたことを忘れてはいけません。充実した生涯を送りたければ、私の命令を忠実に守りなさい。 + いつも正しい生活をし、人には親切にしなさい。この二つが心から行えるように、しっかり身につけなさい。 + 神にも人にも喜ばれ、正しい判断力と英知を得たいなら、とことん主に信頼しなさい。決して自分に頼ってはいけません。 + 何をするにも、主を第一にしなさい。主がどうすればよいか教えてくださり、それを成功させてくださいます。 + 自分の知恵を過信してはいけません。むしろ主に信頼して、悪の道から離れなさい。心も体もみずみずしく元気がみなぎります。 + 収入があったなら、まずその一部をささげて、主をあがめなさい。そうすれば、倉には食べ物があふれ、酒蔵は極上の酒で満たされます。 + 主に懲らしめられても、腹を立ててはいけません。あなたを愛していればこそ、そうするのです。父親がかわいい子どもの将来を思って罰するのと同じです。 + 善悪の区別がつき、正しい判断力と英知を持った人は、大金持ちよりも幸せです。高価な宝石も、このような知恵に比べたら取るに足りません。 + 知恵が与えるものは、長く良き人生、財産、名誉、楽しみ、平安です。 + 知恵はいのちの木、いつもその実を食べる人は幸せです。 + 主の知恵によって地球は造られ、宇宙全体ができました。 + 神の知恵によって、泉は地中深くからわき上がり、空は雨を降らせるのです。 + 二つのものを求めなさい。善悪を見分ける知恵と良識です。この二つを見失ってはいけません。 + それらはあなたを生きる力で満たし、あなたの誉れです。 + 挫折や失敗からあなたを守ります。 + それらがあなたを見張ってくれるので、安心して眠れます。また、主があなたとともにいて守ってくださるので、みじめな思いをすることも、悪者の悪だくみを恐れることもありません。 + 人に何か頼まれたら、すぐにしてあげなさい。「いつかそのうち」などと、先に延ばしてはいけません。 + あなたを信じきっている隣人を陥れてはいけません。 + 意味のないことで争うのはやめなさい。 + 暴力をふるう者たちをうらやんで、彼らの手口をまねてはいけません。 + 主はそのような者たちをきらいます。しかし、神の前に正しく生きる人には親しくしてくださいます。 + 悪者は主にのろわれ、正しい人は祝福されます。 + あざける者はあざけられ、謙遜な人は助けられ、 + 知恵ある人はたたえられ、愚か者は恥を見るのです。 + + + さあ、父親の話を聞くように、私の言うことを聞きなさい。知恵のある人になるために、私が教える真理を勉強しなさい。顔をそむけてはいけません。 + 私も若いころは、母にはひとり息子としてかわいがられ、父とはよく、いろいろなことを話し合ったものです。 + そんな時、父は口ぐせのように、こう言い聞かせてくれました。「よく聞きなさい。私のことばと教えを大切にすれば、一生幸せに暮らせる。 + 何よりも、知恵と悟りのある人間になりなさい。このことを決して忘れてはならない。」 + 知恵があなたを守ってくれます。しっかり心に留め、大切にしなさい。 + 知恵のある人になるには、まず賢くなろうと決心することです。それが、物事を正しく判断する力と知恵を養うのです。 + 知恵を高めれば、あなたも高められます。知恵を抱きしめると、それはあなたに大きな誉れを与えます。 + わが子よ。私の言うようにしなさい。そうすれば長生きし、生涯幸せに過ごせます。 + 正しい生活をするのが、いちばん賢い生き方です。この大切な真理を学びなさい。 + そのように生きれば、もたつかないで歩み、走ってもつまずきません。 + 私の訓戒を実行し、忘れないようにしなさい。それはあなたにいのちとなるからです。 + 悪者のまねをしてはいけません。 + 彼らの集まる場所に近寄らず、そこを避けて通りなさい。 + 彼らは一日分の悪事を働かないと、その夜はおちおち眠ることもできず、人をつまずかせないうちはゆっくり休むこともできません。 + 悪いことをし、暴力をふるわないと生きていられないのです。 + 神は正しい人の道を優しく見守り、真昼のように明るく照らしてくださいます。 + 一方悪者は、暗がりでうろうろ手探りし、あちこちでつまずくのです。 + わが子よ。私のことばをよく聞きなさい。 + それを肝に銘じ、忘れないようにしなさい。 + そうすることがあなたのいのちとなり、健やかにするのです。 + 何よりも、あなたの心を守りなさい。心は生活全体に影響を与えるからです。 + 悪い女の慎みのない口づけをはねのけなさい。悪い女に近づいてはいけません。 + ただまっすぐ前を見つめ、うしろを振り返らないことです。 + 足もとに気をつけ、確実に進みなさい。 + 横道にそれてはいけません。危険だとわかったら、一目散に引き返しなさい。 + + + わが子よ。私の言うことばを聞きなさい。私に与えられている知恵を教えよう。 + 大切なことをうっかり聞きもらさないようにしなさい。 + 悪い女は甘いことばと調子のいいお世辞が得意です。 + それにのせられると、あとで苦しまなければなりません。鋭い剣で突き刺されたように、良心がずきずき痛むのです。 + 苦しみもがけばもがくほど、ずるずると地獄の底へ引きずり込まれます。 + 彼女は自分でも正しく生きる道を知りません。不確かな道を、行き先も知らずによろよろ歩いているだけです。 + 子どもたちよ。私の言うことを聞きなさい。しっかり心に刻み込むのです。 + 悪い女を遠ざけなさい。彼女の家に近寄ってもいけません。 + 女の誘惑に負けて自分を台なしにし、あなたの人生を残忍で薄情な者に与えることにならないためです。 + せっかく築いた財産を、見ず知らずの者に横取りされないためです。 + 体をむしばむ病に冒され、恥をかかないためです。 + あとで悔やんでも、どうにもなりません。「ああ、言われたとおりにしていたらよかった。一時の欲望に負けなければ、こんなことにならなかっただろうに。 + ああ、どうして忠告も聞かず、あんな愚かな行為をしたのだろう。 + もう、だれにも会わせる顔がない。」 + だから、自分自身の井戸から水を飲みなさい。妻を裏切ってはいけません。 + 通りすがりの女に子どもを産ませてもいいのですか。 + 妻でもない女との間に、子どもがあってもいいのですか。 + あなたの源を祝福されたものとし、若い時からの妻と喜び楽しみなさい。 + 優しく抱きしめてくれる妻に満足し、愛されている幸せをかみしめなさい。 + どうして悪い女にうつつを抜かし、妻以外の女を抱くのですか。 + 神は何もかもご存じです。あなたのなすことすべてに目と心を配っているのですから。 + 悪者は、自分自身の罪で自分の足をすくっているのです。罪はその人を捕らえ、逃れることができないようにする縄です。 + その人が死ぬのは真理に背いたからです。自分から愚かなことをした罰なのです。 + + + わが子よ。見ず知らずの人の保証人になり、借金の肩代わりをすることになったら、それは深刻な問題です。 + あなたは自分が承諾したことによって、罠に陥ったのです。 + もしそうなったら、すぐに手を打ちなさい。プライドを捨て、恥をかくことを覚悟して相手のところへ飛んで行き、証書から名前を消してもらいなさい。 + 先に延ばさず、今すぐしなさい。眠るのはそのあとにしなさい。 + 鹿が猟をする者の手を逃れ、鳥が網から逃れるように、うまく逃れるのです。 + 怠け者よ、蟻を見ならいなさい。蟻のやり方を見て学びなさい。 + 蟻には、働けと命じる支配者がいません。 + それでも夏の間懸命に働き、冬の食糧を集めます。 + ところが、あなたがたは眠ってばかりいます。いったいいつ目を覚ますのですか。 + 「まだしばらく寝かせてほしい」と言っていますが、その「ほんの少し」が問題なのです。 + のんびり眠っている間に泥棒のように貧しさが近づいてきて、気がついたときには手遅れです。 + 悪者は、どうしようもない人間です。彼らは平気でうそをつき、仲間には目くばせや合図で企みを伝えます。 + 反抗心が人一倍強く、悪いことばかり考え、いさかいを巻き起こすのです。 + しかし、あっという間に身を滅ぼし、倒れたら二度と立ち直れません。 + 神のきらいなものが六つ、いいえ七つあります。高慢な態度、うそをつくこと、人殺し、悪だくみ、悪事に熱中すること、偽証、仲たがいの種をまくことです。 + 若者よ。親の言いつけを守りなさい。 + 一瞬たりとも忘れないように、親の教えをしっかり心に刻み込みなさい。 + 昼も夜も彼らの助言に従えば、いつも安全です。朝、目を覚ましたら、教えどおりに一日を始めなさい。 + 危険だとわかっていればこそ、前もって忠告してくれるのです。だから忠告を聞き、良き人生を送りなさい。 + そうすれば、悪い女の甘いお世辞に惑わされることもありません。 + 彼女の美しさに心を奪われてはなりません。誘惑するような目つきにだまされてはいけません。 + 彼女におぼれると金を巻き上げられ、人妻にうつつを抜かすと身を滅ぼすからです。 + 火をかかえ込めばやけどをし、 + 熱く燃える炭火の上を歩けば、やけどを負います。 + 同じように、人妻と汚らわしい関係を結ぶ者も罰を免れません。 + 空腹のあまり盗みをしてしまったとしたら、言い訳の余地があるかもしれません。 + しかし、盗みは盗みです。償いにたくさんの罰金を払わなければなりません。持ち物を全部売り払ってでも、支払わなければならないのです。 + 人妻と関係する者は愚かな者で、自分で自分を滅ぼします。 + 身も心も傷つき、取り返しのつかない恥をかくのです。 + 嫉妬に狂った彼女の夫はあなたに復讐し + どんな償いをしても赦しません。 + + + わが子よ。私の忠告を聞きなさい。この忠告をいつも心に留めて、忘れないようにしなさい。 + それが生きる秘訣です。私のことばを宝物のように大事にしなさい。 + 肝に銘じ、心に刻みつけなさい。 + 知恵を恋人のように愛し、家族のように親しくしなさい。 + そうすれば、悪い女の家に通うことも、甘いことばに耳を貸すこともなくなります。 + ある日、窓の外を眺めると、 + 意志の弱そうな者の中に、思慮に欠けた一人の若者が通りを歩いていました。 + もうまもなく日も暮れようという時です。若者は悪い女を訪ねました。 + 女はなまめかしい身なりで、媚を売りながら若者に近づきます。 + よく通りや市場で見かける、下品でがさつな女です。そうやって、あちこちの町角で男を誘惑するのです。 + 女はその若者を抱きしめて口づけし、何食わぬ顔で言いました。 + 「私の家にいらっしゃい。おいしいごちそうを作りましょう。 + 寝床には最高のエジプト麻のすてきなシーツを敷いて、没薬やアロエやシナモンの香りがしみ込ませてあるの。 + さあ、朝までうんと楽しみましょう。 + 夫は長い旅に出ています。 + お金をたくさん持って行ったので、数日は帰らないでしょう。」 + 女が巧みにくどくので、若者はとうとう甘いことばに負けてしまいました。 + 彼は屠り場に引かれて行く牛のように、罠にかかった鹿のように女のあとについて行き、 + 心臓を射抜かれるのを待つだけです。まるで罠に飛び込む鳥のように、どんな運命が待ち受けているか知らないのです。 + 子どもたちよ。私の言うことを聞き、そのとおりにしなさい。 + どうにもならなくなる前に欲望を抑えなさい。女のことなど考えないようにして、言い寄るすきを与えないように、彼女のいそうな所は避けて通りなさい。 + 大ぜいの者が彼女のために一生を棒にふりました。犠牲者は数えきれないほどです。 + それでも、あえて地獄への道を知りたい人は、彼女の家を探しなさい。 + + + 知恵が呼んでいるのが聞こえませんか。丘の頂や道ばた、町の門、四つ角、家々の玄関で、知恵は叫んでいます。 + 「皆さん、あなたがたは何もわかっていない。愚かなことばかりしている。だから、わからせてあげよう。 + これは大切なことだ。わたしはごまかしは大きらいだから、絶対にうそはつかない。 + 皆さんのためになること、正しいことしか言わない。 + 聞く気があれば、だれにでもすぐわかること、 + それでいて、銀や金よりも値打があることを教えよう。」 + 知恵は宝石よりずっと価値があります。どんな物も比べものになりません。 + 知恵のある人は正しい判断ができます。知恵がその人に、いろいろなことを教えるからです。 + 主をないがしろにしないで尊ぶ人は、悪いことがきらいです。知恵のある人はみな、傲慢や腐敗やごまかしをきらいます。 + 「わたし、知恵がためになることを教えてあげよう。王が国を治めるのも、裁判官が善悪を見分けるのも、わたしによる。 + 国の指導者は、知恵であるわたしがいなければ正しく治めることはできない。 + わたしは、わたしを愛する人を愛するから、熱心に探せば必ずわたしを見いだす。 + いつまでも続く富と名誉、正しいことを行う力はわたしにある。 + それがわたしの贈り物。純金やよりすぐりの銀よりもすばらしい。 + わたしはだれをも正しく扱い、えこひいきしない。 + だから、わたしを愛し、わたしのことばを守る人は、あらゆる面で裕福になる。 + 主は創造のみわざを始める前に、わたしを造られた。 + 永遠の昔から、まだ地球もない大昔から、わたしはいた。 + 海もなく、泉もなく、 + 山や丘がそびえる以前から、わたしはいた。 + 主が大地や草原を造る以前に、わたしはすでにいた。 + 主が大地の上に天を広げ、海の底から大きな泉をわき上がらせたとき、わたしはそこにいた。海と陸の境界線を決め、水があふれないようにされたときも、わたしはいた。そうだ。主が大地と海の青写真を作ったとき、わたしもいたのだ。 + わたしはいつもいっしょに働き、子どものように毎日そばにいて、主を喜ばせた。 + そして主が造られたこの世界で、人々と楽しく過ごした。 + だから、わたしのことばに聞き従いなさい。わたしの命令を守ることが幸福のかぎなのだから。 + わたしの言うことを聞いて、知恵ある人になりなさい。耳をふさいではいけない。 + 何としてもいっしょにいたいと、毎日門の前で、わたしが出て来るのを待ちかまえている人は幸せだ。 + わたしを見いだす人はいのちを見いだし、主に受け入れていただくことができる。 + しかしわたしを見失う人は、自分をだめにする。わたしの忠告を退ける人は死を愛しているのだ。」 + + + 知恵はりっぱな宮殿を建て、 + 大宴会を開こうと、ぶどう酒を用意し、 + 娘たちに客を呼びに行かせました。娘たちは人通りの多い場所で呼びかけました。 + 「謙遜な人々は、どうぞおいでください。 + 知恵が開く宴会で、私が作ったぶどう酒をお召し上がりください。 + どうしたら賢くなれるか、賢明に生きられるか、よくわかるでしょう。」 + 人をさげすむような者に忠告を与えても、辛辣なことばで言い返されるだけです。その人のことを思ってしてあげても、恨まれるだけなので、もうかかわらないほうがよいのです。知恵のある人は違います。忠告すると、前以上にあなたを愛してくれます。 + 知恵のある人を教えなさい。その人は、ますます賢くなります。正しい人を教えなさい。その人は、さらに多くのことがわかるようになります。 + 知恵の基本は、主を恐れ、大切にすることです。物事がよくわかるようにしたければ、まず神を知りなさい。 + 「生きがいのある実り多い人生を送らせてあげよう」と、知恵は勧めます。 + 知恵は知恵ある人を助けます。知恵をあざけるなら、自分が傷つくだけです。 + 悪い女はがさつで、みだらで、恥知らずです。 + 自分の家の前や町角で、 + 通りがかりの人や仕事に出かける人をつかまえては誘惑し、 + だましやすそうな人を見つけると、しつこくささやきかけます。「私の家にいらっしゃい。 + 盗んだ水は甘く、盗んだ食べ物はおいしいのです。」 + 彼らは、この女の客になった者が今は地獄にいることを知らないのです。 + + + ソロモンの教訓。知恵のある子を持つ人は幸せですが、愚かな子は母親にとって悲しみでしかありません。 + 悪いことをしてもうけた金はすぐになくなります。どこまでも正しく生きることが幸福のかぎです。 + 正しく生きている人を、主は飢えさせません。悪人は、せっかくもうけた金を主に取り上げられます。 + 怠ければたちまち貧しくなり、一生懸命働けば財産ができます。 + 利口な若者は陽の高いうちに干し草を作り、恥知らずの若者は、いざというとき平気で居眠りしています。 + 正しい人は、頭のてっぺんから足のつま先まで祝福され、悪人は心の中で不運をのろいます。 + 正しい人のことを思い出すのは楽しいものです。しかし悪人の名前は、思い出すだけでも不愉快です。 + 知恵のある人は喜んで人から教わり、愚か者は知ったかぶりをして失敗します。 + 正しい人はしっかりした足どりで歩き、ひねくれ者はすべって転びます。 + 罪を見て見ぬふりをすると、悲しみをもたらします。しかし思いきって注意すれば、平和がもたらされます。 + 正しい人は相手の役に立つことばかりを語り、悪人は人をのろうことしか知りません。 + 憎しみはいつも争いを起こし、愛は裏切られても相手を赦します。 + わきまえのある人は適切な助言をして人に称賛され、わきまえのない人はひどい扱いを受けます。 + 知恵のある人はことば数が少なく、愚か者は知っていることを洗いざらいしゃべり続けます。そのため、不幸と災難ををかかえ込むのです。 + 金持ちは自分の財産に頼り、貧しい人はひたすら自分の貧困をのろいます。 + 正しい人はもうけたお金を生かして使い、悪人はお金を手に入れると、ますます悪いことをします。 + 進んで誤りを指摘してもらう人はいのちの道を歩み、忠告を聞かない者は、またとないチャンスを逃がします。 + ひそかに人を憎むのはうそつき、あからさまに中傷するのは愚か者です。 + ことば数が多いと失敗します。配慮をもって話す人が、ほんとうに知恵ある人です。 + 正しい人の言うことは聞く値打があります。愚か者の言うことは聞くだけむだです。 + 神を信じる正しい人は、有益なことを語り、かたくなに信じない者は、何もわからないまま死んでいきます。 + 主に祝福されることほどすばらしい富はありません。人間は、どんなにがんばっても、この富に少しでも加えることはできません。 + 愚か者の楽しみは悪事を働くこと、知恵ある人の楽しみは知恵を増すことです。 + 悪人が恐れることはすべてそのとおり起こり、正しい人が望むことはみな、そのとおりかなえられます。 + 災いは竜巻のように襲いかかり、あっという間に悪人を巻き上げます。しかし、正しい人には重い錨があるので安心です。 + 煙が目にしみ、酢で歯が不快になるように、怠け者は雇い主の悩みの種です。 + 主を敬う人の毎日は充実していますが、悪者の一生は全くむなしいものです。 + 正しい人の望みは永遠の幸せにつながり、悪者の期待はむなしく消えます。 + 主は正しく生きる人を守り、悪者は滅ぼしてしまいます。 + 正しい人は必ず神に祝福され、悪者は何もかも失います。 + 正しい人は、よく考えてから忠告します。だれも、うそつきの言うことなど聞きません。 + 正しく生きる人は役に立つことを話し、悪者は何にでも反対します。 + + + 主は人をだます者を憎み、正直な人を愛します。 + 高慢な人は恥をかきますが、謙遜な人は知恵を身につけます。 + 正しい人は誠実に歩み、悪人は不正直なために破滅します。 + 財産さえあれば大丈夫と高をくくってはいけません。さばきの日には、正しく生きる人だけが救われるのです。 + 正しい人は正直に生き、悪人は犯した罪の重さに耐えられず、ついには押しつぶされてしまいます。 + 正しく生きる人の身は安全ですが、裏切り者はいつかは破滅します。 + 悪人はこの世のことしか考えないので、死んでしまえば希望もなくなります。 + 神は正しい人を危険な場所から助け出し、代わりに悪者をその場所へ投げ込まれます。 + 悪人のことばは破壊し、正しい人の知識は建て直します。 + 正しい人が成功すると町中が祝い、罪深い人が死ぬとみな大喜びします。 + 神を信じる市民が良い影響を与えているうちは町は栄え、悪者たちによって道徳が腐敗すると、町はたちまち衰えます。 + 隣近所とけんかをするほど愚かなことはありません。賢い人は不必要なことは話しません。 + おしゃべりな人は根も葉もないことを言いふらし、信頼できる人はうわさ話を口にしません。 + 良い指導者がいなければ国民は苦しみ、良い助言をする人がいれば国は安泰です。 + 保証人になる時は相手をよく見なさい。あとで苦しむより、初めから断るほうが賢明です。 + 親切で優しい女は良い評判を得、横暴な男は富を得ようとします。 + 人に親切にすると心が豊かになり、思いやりのないことをすると気持ちがすさみます。 + 悪いことをしてもうけた金はすぐになくなり、正しいことをして得た報酬はいつまでも残ります。 + 正しい人は生きる意味を見つけ、悪人はただむなしく死んでいきます。 + 心の曲がった者を主はきらいます。主が喜ぶのは正しい人です。 + 悪人はいつか必ず罰せられます。しかし、神は正しい人の子孫をいつか必ず救います。 + 美人でも浅はかで慎みがない女性は、まるで豚の鼻にかかった金の輪のようなものです。 + 正しい人は幸せを望み見、悪者の望みは怒りを招きます。 + 惜しげなく人に施しても、ますます金持ちになる人もあれば、財布のひもを固く締めても、一文無しになる人もいます。物惜しみしない人が裕福になります。人を潤すことで、自分も潤うのです。 + 値上がりするまで穀物を売り惜しみする者は恨まれ、みなが困っているときにそれを売りに出す人は喜ばれます。 + 良いことをしようとひたすら努力する人は神に愛され、悪いことばかりに熱中する者はきらわれます。 + お金に頼ると失敗します。神に頼れば、若木がすくすく成長するように、すべてのことがうまくいきます。 + 家族を怒らせるような愚か者は、やがて大事なものまでもなくし、ついには知恵ある人の使用人になりさがります。 + 神を信じる人はいのちの実のなる木を育て、知恵ある人は人のたましいを破滅から救います。 + 神を信じる人がこの世で報われるとすれば、神に逆らう者が相応の報いを受けるのは当然です。 + + + 人の言うことを聞く気がある人は、知識を得ることができます。叱責に耳をふさぐ者は愚か者です。 + 主は正しい人を祝福し、悪人を罰します。 + 悪いことをして成功する者はいません。成功するのは正しい人だけです。 + 良い妻は夫の誇り。悪い妻は夫に肩身のせまい思いをさせ、事ごとに足を引っ張ります。 + 正しい人の考えは正直一筋ですが、悪人はうそと偽りでこり固まっています。 + 悪人は人を責め、神を恐れる人は人をかばいます。 + 悪人の家は必ず滅び、正しい人の家は最後まで存続します。 + 見識のある人は、だれからも称賛され、ひねくれ者はみんなに軽蔑されます。 + 高慢で働きもせず、食べるにも事欠くより、目立たない仕事でもまじめに働き、食にありつくほうがまさっています。 + 正しい人は自分の家畜にまで細かく気を配ります。しかし神を恐れない人は、うわべは親切そうでも思いやりがありません。 + こつこつ働けば生活は楽になります。怠けて遊んでいるのは愚か者だけです。 + 曲がった者は仲間の分け前まで欲しがり、正しい人は自分の物をなげうってでも人を助けます。 + うそをつくとあとで苦しみますが、正直者にはそんな心配はありません。 + ほんとうのことを言う人も、こつこつ働く人も必ず報われます。 + 愚か者は忠告を無視し、知恵ある人は人のことばに耳を傾けます。 + 愚か者はすぐ怒り、知恵ある人は侮辱されても冷静です。 + 正しい人かどうかは正直さでわかり、不誠実な人はうそと欺きでわかります。 + 批評好きは人を傷つけますが、知恵ある人のことばは慰め、いやします。 + 真実はいつまでも変わらず、うそで塗り固めたものはすぐにはがれ落ちます。 + 悪いことを企む者は、人をだますことで頭がいっぱいです。しかし、良いことをする人は、いつも喜びに満たされています。 + 正しい人はどんな災いにも会わず、悪者には苦しみがつきまといます。 + 主は約束を守る人を愛しますが、約束を破る人はきらいです。 + 知恵ある人は知っていても黙っていますが、愚か者は言いふらして、愚かさをさらけ出します。 + 勤勉な人は指導者になり、怠け者はいつまでたっても成功しません。 + どんなに沈んでいる人も、励ましのひと言で心が軽くなります。 + 正しい人は友の助言を求めますが、悪者は軽率に突き進んで失敗します。 + 無精者は、捕らえた獲物を料理するのも面倒がります。しかし勤勉な人は、見つけた物は少しもむだにせず、うまく利用します。 + 神を信じる人はいのちの道を歩いているので、死を恐れることがありません。 + + + 知恵のある若者は父親の忠告を聞き、親をさげすむ子はそれを鼻であしらいます。 + 正しい人は注意深く語って訴訟に勝ちますが、邪悪な者は争いを欲するだけです。 + 自分を制するとは、ことばに気をつけることです。とっさに言い返すと、何もかもぶち壊しになることがあります。 + 怠け者は、いくら欲しがっても、何も得ることができません。しかしこつこつ働く人は、裕福になります。 + 正しい人はうそを憎み、悪者はうそばかりついて恥をかきます。 + 何よりもまず正しく生きることです。悪いことをすれば必ず身を滅ぼします。 + 自分で金持ちだと思っていても貧しい人がおり、貧乏だと思っていても富んでいる人がいます。 + 富がなければ、身の代金目当てに子どもを誘拐される心配もありません。 + 正しい人は明るく生き生きした毎日を送り、悪者は陰気な日陰の道を歩きます。 + 自分に自信がありすぎる人は、なかなか主張を曲げません。素直に忠告を聞く人は賢くなります。 + 賭け事で得た財は羽が生えて飛んでいき、こつこつためた財は確実に増えていきます。 + 長い間期待が延ばされると心を病みますが、待ち望んだ夢が実現すると、生きているのが楽しくなります。 + みことばをおろそかにすると苦しい目に会い、みことばに従えば成功します。 + 知恵のある人の助言を聞くのは、泉の水を飲むようなものです。たちまち元気が出て、前方の落とし穴がよく見えるようになります。 + 物事のよくわかる人は高く評価され、裏切り者は苦い思いをします。 + 見識のある人は先を見て動き、愚か者はそれとは違い、愚かさを自慢します。 + あてにならない人に伝言を頼むとめんどうが起き、信頼できる人に頼めば目的は果たされます。 + 正しい批判に耳を貸さないと貧乏になり、恥をかきます。聞くべき批判を聞けば、名をなす人になります。 + 計画どおりにいくのは快いものです。しかし愚か者は、間違った計画でもあきらめがつきません。 + 知恵ある人のそばにいれば知恵ある人になり、悪人のそばにいれば悪に染まります。 + 悪いことをすれば人にのろわれ、正しいことをすれば祝福されます。 + 正しい人は孫にまで遺産を残しますが、罪人の財産は、最後には神を恐れる人のものになります。 + 貧しい人の畑でも土は肥えています。しかし不正があれば、その収穫は奪われます。 + 子どもを懲らしめない親は、その子を心から愛していないのと同じです。愛している子なら罰するはずです。 + 正しい人は生きるために食べ、悪人は食べるために生きます。 + + + 知恵のある女は自分の家を建て、愚かな女は自分の家を自分で壊します。 + 正しいこととは主をたたえること、罪を犯すことは主をさげすむことです。 + 高慢な者はむだ口をたたいて自分の尊厳を傷つけ、知恵のある人は役に立つことを語って人から尊敬されます。 + 働かなければ、手を汚さない代わりに収入もありません。 + 真実な証人はうそをつかず、偽りの証人はうそを語ります。 + 人をさげすむ者に知恵は寄りつかず、思慮のある人には、知恵のほうからやって来ます。 + 正しい忠告をもらいたいなら、愚か者を相手にしてはなりません。 + 知恵のある人は先を見越し、愚か者は自分をごまかして事実を直視しません。 + 神の教えに背く者たちは過ちを犯し、神を恐れる者たちは人を思いやります。 + 悲しみも喜びも、真にわかるのはその人自身で、他の人が完全に共有することはできません。 + 悪者の働きは失敗し、神を恐れる人だけが成功します。 + だれでも、広く歩きやすい道が正しい道と考えますが、それは死に通じる道です。 + 笑っても苦しみは隠せません。笑ったあと、悲しみがそのまま残っています。 + 信仰をなくした人は自分に嫌気がさしますが、神を恐れる人の生活には活気があります。 + わきまえのない人は言われたことを鵜呑みにし、慎重な人は将来をよく考えて行動します。 + 賢い人は用心深く危険を避け、愚か者は自信満々につき進みます。 + 短気な人は愚かなことをし、忍耐強い人をきらいます。 + 愚か者は愚かさを報いとして得ますが、賢い人は知識を得ます。 + 悪人は、いつかは神を恐れる人に頭を下げることになります。 + 貧しい人は隣近所にさえ相手にされず、金持ちは友に不自由しません。 + 貧しい人を軽蔑してはいけません。貧しい人に親切にすれば、自分も幸せになります。 + 悪いことを企む者は道に迷い、良いことを計画する人は神に愛されて安全です。 + まじめに働けば収入は増え、むだ話ばかりしていると貧しくなります。 + 知恵のある人は知恵をほめられ、愚か者は愚かさを軽蔑されます。 + 真実を言う証人は無実の罪をはらしてくれますが、偽りの証人は平気で人を裏切ります。 + 神を恐れる人は頑健で、子どもたちは安心して、その人に頼ります。 + 主を恐れることはいのちの泉です。その水を飲めば生きる力がわいてきます。 + 民が増えるのは王にとって栄光であり、民が減るのは王座の揺らぐしるしです。 + 利口な人は腹を立てるのは愚かだと知っているので、自分の感情を抑えます。 + 心がおおらかだと長生きし、激しやすい人は寿命を縮めます。 + 貧しい人をいじめるのは、その人たちを造った神をさげすむこと、貧しい人を助けるのは神をほめたたえることです。 + 神を信じる人には、死ぬ時にも心の拠り所がありますが、悪者は罪に押しつぶされます。 + 知恵は聡明な人の心に住み、愚か者がそれを聞くには大声で叫ばなければなりません。 + 神を敬うことは国を高め、罪は民をおとしめます。 + やるべきことを心得ている召使は王に好かれ、やっかいな召使は王の怒りを買います。 + + + 穏やかに答えれば相手の心を静め、激しいことばでやり返すとけんかになります。 + 良い教師がいれば学習が楽しくなり、無力な教師は益にならないことをまくし立てます。 + 主はあらゆる所で、悪人も正しい人も一人残らず見張っています。 + 優しいことばは人を元気づけ、不平は人の気をくじきます。 + 愚かな子ほど父親の忠告を見くびり、利口な子ほど、ひと言ひと言を熱心に聞きます。 + 正しい人は裕福になり、悪者は収穫を得ても、めんどうなことに巻き込まれます。 + 人を教えられるのは知恵のある人だけで、神に背く者にはとてもできません。 + 主は悪者の供え物を憎み、正しい人の祈りを喜びます。 + 主は悪者の行いをきらい、正しく生きようとする人を愛します。しかし途中で心変わりしたら、きびしい罰が待っています。その罰を受け入れなければ死ぬだけです。 + 地獄の深遠まで知っている主には、人の心など手に取るようにわかります。 + 人をさげすむ者は、しかられるのをきらって、知恵のある人を避けようとします。 + 楽しければ顔が輝き、悲しければ顔が曇ります。 + 知恵のある人は熱心に真理を求め、人をさげすむ者はつまらないことに熱中します。 + 気が重いと何もかも悪く見え、気分がいいと、いつも喜んでいられます。 + 財産があるばかりにあれこれ気を遣うより、貧しくとも主を信じて生きるほうが幸せです。 + 憎む者といっしょにごちそうを食べるより、愛する人と質素な食事をするほうが幸せです。 + 気の短い者はすぐにけんかを始め、冷静な人はその場をうまく収めます。 + 怠け者は年中問題をかかえ込み、誠実な人は平和な一生を送ります。 + 分別がある息子は父親を喜ばせ、反抗的な息子は母親を悲しませます。 + 愚かなことをして喜ぶのは、何かが間違っている証拠です。分別の備わった人は正しい道を踏みはずしません。 + 良い助言をくれる人が少ないと計画は失敗し、多いと成功します。 + 良い助言は喜びをもたらし、時宜にかなったことばは、いかにすばらしいものか。 + 神を恐れる人の道は天国へ上る道。地獄からはどんどん遠ざかります。 + 主は高慢な者を破産させ、未亡人を心に留めます。 + 主は悪者の計画を憎み、親切なことばを喜びます。 + 不正を働いて得た金は家族みんなを不幸にし、わいろを憎むことは幸福をもたらします。 + 正しい人はよく考えてから話し、悪者は見境なく悪いことばを吐き出します。 + 主は悪者とは距離を置き、正しい人の祈りを聞きます。 + 生き生きした目の輝きと良い知らせは、人を喜ばせ、力づけます。 + 有益な批判を取り入れるのは賢い人です。批判を拒絶すれば自分をだめにします。 + 主を恐れ、謙遜に生きる人は知恵を身につけ、人の称賛を得ます。 + + + 人は計画を立てますが、その結果は主の手の中にあります。 + 人はいつも自分が正しいと思います。しかし、主もそう思っているでしょうか。 + 自分でしようとしていることを主にゆだねなさい。そうすればうまくいきます。 + 主はすべてのものを目的をもって造りました。悪者でさえ、罰するために造られたのです。 + 主は高慢な人をきらいます。そういう人は必ず罰せられます。 + 思いやりと真心があれば罪は除かれ、主を恐れる気持ちがあれば悪に手を染めません。 + 主を喜ばせようとすれば、その人の最大の敵も、主が味方に変えてくれます。 + 人をだまして大もうけするより、わずかずつでも正直にかせぐほうがましです。 + 人は心に計画を立てます。しかし、それを確かなものにするのは神です。 + 神は、王が正しく裁けるように助けるので、王は間違ったことを言ってはいけません。 + 正直に商売すること、それが主の決めた鉄則です。 + 王が悪を行うのは恐ろしいことです。正しく治めてこそ、その地位は長続きするのです。 + 国民が正しく生きることは王の喜びです。 + 王を怒らせるのは死刑を宣告されたようなもので、知恵のある人は王の怒りをうまくなだめます。 + 王を喜ばせる者は目をかけられます。 + 知恵は金にまさり、すぐれた理解力は銀にまさります。 + 神を恐れる人は悪を行いません。その道を歩む者は安全です。 + プライドが高すぎると身を滅ぼし、高慢は失敗を招きます。 + 金持ちで高慢な人より、貧しくても謙遜な人のほうが幸せです。 + 神のみことばを聞く人は祝福されます。主に信頼する人は幸せです。 + 知恵のある人は聡明な人と呼ばれ、人に好かれる最高の教師です。 + 知恵のある人は生きる喜びにあふれ、愚か者は愚かさのために苦しみます。 + 知恵のある人のことばは的確で説得力があります。 + 親切なことばははちみつのように甘く、人々を元気づけます。 + 広くて歩きやすい道は正しい道に見えます。しかし、その終点は死です。 + 食べるために働く気を起こさせるなら、ひもじさも役に立ちます。 + 怠け者の手は悪魔の手、その口は悪魔の口です。 + 悪人は争いを起こし、陰口を言う者は親友が離れていきます。 + 悪者は仲間を作るのが大好きで、人を罪に誘い込みます。 + 悪者は心の中で悪いことを企み、口をすぼめてうかがっています。 + 白髪は光栄の冠、神に従う人の中に多く見いだされます。 + 英雄よりも温和な者のほうがすぐれ、軍隊を動かす指揮官よりも自分を制する者のほうに力があります。 + 人はくじを引きますが、その結果を決めるのは主です。 + + + ごちそうがありながら毎日争いごとがある家より、たった一切れのパンを仲良く食べる家のほうが幸せです。 + 賢い使用人は、主人の恥知らずの息子を監督し、財産の分け前をもらいます。 + 銀や金は火で精錬しますが、人の心をきよめるのは主です。 + 悪人は悪人同士でつき合い、うそつきはうそつき同士でつき合います。 + 貧しい人をさげすむのは、その人を造った神をさげすむのと同じです。神は人の不幸を喜ぶ者を罰します。 + 孫は老人の無上の栄誉、子どもの栄誉は彼らの父です。 + 神に背く者が真実を言ったり、王がうそをついたりすることはめったにありません。 + わいろには魔力があり、だれが使っても効果があります。 + 愛のある人は人の誤りを水に流し、いつまでもこだわる者は親友までも失います。 + 理解力ある人は一度しかれば十分です。それは、聞き分けのない者の背を百ぺんむち打つよりも効き目があります。 + 悪者は何でも逆らって生きるので、きびしい罰を受けます。 + 愚かなことにふける愚か者に会うより、子を奪われた雌熊に会うほうがよほど安全です。 + よくしてもらいながら、その好意を裏切る者はのろわれます。 + いったん火のついた争いごとは、なかなか収まりません。だから、初めから争いはしないことです。 + 間違いを正しいと言い、正しいことを間違いだと言う者は、主に憎まれます。 + 真理を学ぶ気がなければ、いくら授業料を払っても意味がありません。 + 真の友は決して裏切りません。兄弟は苦しみに会ったときに助け合うためにいるのです。 + 思慮の足りない者は気安く保証人になり、その人の借金の責任を負います。 + 罪人は争いが大好きで、高ぶる者は問題を探し求めます。 + 悪人はだれにでも疑いの目を向け、いつも災いに陥ります。 + 反抗する者の父親には、生きる楽しみがありません。 + 心が陽気になれば体も健康になり、気がふさげば病気になります。 + 買収されて正義を曲げるのはよくありません。 + 分別のある人は知恵から目を離さず、愚か者は遠くをぼんやり眺めています。 + 反抗的な子は親泣かせです。 + 正しい人を正しさゆえに罰金を科し、高潔な人を正直さゆえに罰するのは、なんと愚かなことでしょう。 + 賢い人は無口で、すぐに怒ったりしません。だから、愚かな人も黙っていれば賢く見え、くちびるを閉じていれば得をします。 + + + 自分のことしか考えない者は、あらゆる規則に盾をつき、自分のやり方を押し通します。 + 神に背く者はただ大声で叫びたいだけで、事実はどうでもよいのです。 + 悪いことをすれば必ず恥をかきます。 + 知恵のある人は、深い流れのように味わいのあることを言います。 + 裁判官が悪者をかばい、無実の者を罰するのはよくありません。 + 愚か者はすぐにけんかをします。愚か者の口は破滅のもとで、いつも危ない橋を渡ります。 + 陰口はよだれの出そうなごちそうのように、大いに食欲をそそります。 + 怠け者は破壊する者の兄弟です。 + 主は絶対安全なとりで、正しい人はその中に逃げ込みます。 + 金持ちは浅はかにも、「富がすべて。富さえあれば絶対安全だ」と思っています。 + 高慢になると身を滅ぼし、謙遜になると人から称賛されます。 + よく聞かないで早合点すると、恥をかきます。 + 心がしっかりしていれば病気にも負けません。しかし、心が失せたら望みはありません。 + 知識のある人はいつも、新しいことを知ろうと努力します。 + 贈り物には不思議な力があります。地位ある人の前に彼を導きます。 + だれの話でも、他の人が裏を明かして、全貌がわかるまではもっともらしく思えます。 + いくら言い争っても解決しないときは、くじで決めなさい。そうすれば丸く収まります。 + 堅固な城を攻め落とすより、けんかした友人と仲直りするほうが大変です。怒った相手は、頑としてあなたを受けつけません。 + 忠告するのが上手な人は、ごちそうをたらふく食べたときのような満足感をいつも味わいます。 + おしゃべり好きは、おしゃべりの後始末をさせられます。うっかり間違ったことを言って死ぬ場合もあるのです。 + 良い妻を見つける人は幸せ者です。良い妻は神からのすばらしい贈り物です。 + 貧しい人は拝むようにして頼み、金持ちは相手を軽蔑しきって答えます。 + 友人のふりをする「友人」もいれば、実の兄弟より親しい友人もいます。 + + + 人をだまして金持ちになるより、貧しくても正直に生きるほうが幸せです。 + よく調べもせずに突っ走るのは、失敗のもとです。 + 人は自分の不注意でチャンスを逃しては、それを主のせいにします。 + 金持ちには友がたくさんできますが、貧しい人にはだれも寄りつきません。 + 偽証すれば罰せられ、うそをつけば罰を免れません。 + 気前のいい人は大ぜいの人に好かれ、だれとでも友になります。 + 貧しいと、友ばかりか兄弟にもそっぽを向かれます。どんなに呼んでも、去った人は戻りません。 + 知恵のある人は、自分の一番大事な仕事を愛して成功します。 + 偽証すれば罰せられ、うそをつけば捕まります。 + 愚か者が成功し、使用人が主人を支配するのはふさわしくありません。 + 利口な人は侮辱されても、忍耐を働かせて信用を得ます。 + 王の怒りはライオンのうなり声のように恐ろしく、優しいことばは草に降りる露のように快いものです。 + 不従順な子は、父にとってわずらわしい存在です。文句ばかり言う妻は、したたり続ける雨もりのようにやっかいです。 + 家や財産なら父親でも息子に残すことができます。賢い妻は、主に与えていただくしかありません。 + 怠けて眠りこけてばかりいると、そのうち飢えることになります。 + いのちが惜しければ命令を守りなさい。命令を無視する者は死にます。 + 貧しい人に手を差し伸べるのは、主に貸すのと同じです。あとで主が報いてくれます。 + まだ望みのあるうちに子どもを懲らしめなさい。放っておいて、その一生を台なしにしてはいけません。 + 短気な者が失敗したら、自分で後始末をさせなさい。一度でも助けてやると、くり返すようになります。 + 忠告はできるだけ聞いて、賢く生きなさい。 + 人はたくさんの計画を立てますが、主の計画だけが成るのです。 + 親切な人はだれにも好かれます。貧しくても、うそつきよりは良いのです。 + 主を恐れることは、幸せで安全な生活のかぎです。 + 目の前に食べ物があるのに、口に入れようともしない怠け者がいます。 + 人をさげすむ者を罰すれば見せしめになり、知恵のある人をしかると、ますます賢くなります。 + 親に乱暴する者は辱めを受けます。 + 間違っていると思う教えを聞くのはやめなさい。 + 偽りの証人は正しい裁判を侮り、こりずにまた罪を犯します。 + さばきをさげすんで守らない者は、きびしく罰せられます。 + + + 酒を飲むと気が大きくなり、酔っぱらってけんかになります。酒に飲まれて失敗する者は愚か者です。 + 王が怒るのは、ライオンがほえるようなものです。王の怒りを買うといのちが危うくなります。 + 争いを避けるのは名誉なことです。けんか好きなのは愚か者だけです。 + 冬のうちに耕しておかないと、刈り入れ時になっても収穫は望めません。 + 人が心の中で考えていることを、知恵のある人はうまく引き出して役立てます。 + 人はだれでも、自分を頼りになる友だと言いますが、それがほんとうかどうかはわかりません。 + 子どもにとって一番の遺産は、正直に生きることを教わることです。 + 裁判の席につく王は、あらゆる証拠を注意深く調べ、ほんとうのこととうそとを見分けます。 + 「心を入れ替えたから、もう潔白だ」と、だれが言えるでしょう。 + 神はごまかしやうそをきらいます。 + 小さな子どもでも、行いが正しいかどうかを見れば性格がわかります。 + 目が見え、耳が聞こえるなら、目と耳を与えてくれた神に感謝しなさい。 + 眠ってばかりいると貧しくなります。目を覚まし、力いっぱい働けば、食べるに事欠きません。 + 買手は、「こんな物どこがいいんだ」と言って値切りますが、買ってしまうと、良いものを買ったと自慢します。 + 金や宝石を持っていることより、思慮のあるほうが、ずっとすばらしいことです。 + 見ず知らずの人に金を貸すと、それきりになるおそれがあります。 + 人をだまして喜んでいる人がいます。しかし、だまし取った金で買ったパンは、口の中でじゃりに変わるのです。 + 計画を立てるときは人の意見をよく聞き、戦いを始めるのはみなが賛成してからにしなさい。 + おしゃべり好きにうっかり秘密をもらすと、世界中に喧伝されます。 + 親をのろう者は死ななければなりません。 + 思わぬ大金が転がり込むと、かえって不幸になることがあります。 + 悪いことをされても仕返ししてはいけません。主があなたを救うのを待ち望みなさい。 + 主はごまかしやうそをきらいます。 + 主が私たちの歩みを導いてくださいます。人は自分に起こることすべてを理解することなどできるでしょうか。 + よく考えもしないで神に約束すると、あとで大変なことになります。 + 知恵のある王は犯罪をなくすために、犯人をきびしく罰します。 + 良心は心の中をはっきり照らして、隠れた思いを明るみに出す、主の光です。 + 正しく思いやりのある王が治める国は、何があっても揺らぎません。 + 若い人の良いところはその若さ、老人のすばらしいところは豊富な経験です。 + こらしめのむちは、二度と悪いことをしないように教えるためです。 + + + 灌漑の水が流れ込むように、主は王の心を思いのままに動かされます。 + どんな行いでも、もっともらしい理由をつければ正しく見えますが、神はどんなつもりでそうしたかを見ます。 + 供え物をするより、正しい人であるほうが主に喜ばれます。 + 高慢も、情欲も、悪い行いも、みな罪です。 + 地道に努力すれば利益がもたらされ、一儲けしようと急ぐと貧困がもたらされます。 + 不正で得た富はすぐなくなります。それなのになぜ、危険を冒そうとするのでしょう。 + 悪者は不正を行ってばかりいますが、いずれその悪事が戻ってきて、自分を滅ぼすことになります。 + 行いを見ればその人がわかります。悪人は悪いことをし、正しい人は神の教えを守るのです。 + 怒りっぽい女とりっぱな家に住むより、屋根裏部屋の隅で暮らすほうがましです。 + 悪人は人を傷つけるのが大好きで、人に親切にしようなどとは考えもしません。 + 知恵のある人は聞くだけで学ぶことができます。愚か者は、人をばかにする者が罰を受けるのを見るまでは、学ぶことができません。 + 正しい方である神は、悪者が家の中で何をしているのか知っていて、その者にさばきを下します。 + 貧しい人を助けない者は、自分が困ったときにも助けてもらえません。 + 贈り物をすれば、怒っている人も機嫌を直します。 + 正しい人は喜んで正しいことをし、悪人を恐れさせます。 + わきまえのない怠け者は、のたれ死にするしかありません。 + 毎日遊び暮らしていると貧しくなります。酒やぜいたく品は富をもたらしません。 + 最後に勝つのは、悪人ではなく正しい人です。 + 口うるさく不平ばかりこぼす女といるより、荒野に住むほうがましです。 + 知恵のある人は将来に備えて貯金をし、愚か者は考えもなしに金を使います。 + 正しく思いやりのある者になろうとする人は、充実した生活を送り、人からもたたえられます。 + 知恵のある人は強い相手と戦っても負けません。とりでに立てこもる敵も見事に打ち負かします。 + 口を開かないでいれば、苦難に陥ることもありません。 + 人をばかにする者は傲慢で、自分が一番だと思い上がっています。 + 怠け者は働きもしないで、やたらに欲しがり、人をうらやむことしか知りません。しかし神を恐れる人は、喜んで人に与えます。 + 神は悪人からの贈り物がきらいです。何か下心があるときはなおさらです。 + 偽証すれば罰せられ、正直に証言すれば安全です。 + 悪人は強情ですが、神を恐れる人は、悪いとわかれば素直に考え直します。 + どんなに賢明な人でも、どんなに良い教育を受けた人でも、主と対等にやり合うことなどできません。 + さあ、戦う準備をしなさい。しかし、勝利は主によってもたらされます。 + + + 富よりも名誉を大事にしなさい。金や銀で名声は買えません。 + 金持ちも貧しい人も、神の前では同じです。すべての人を主が造ったからです。 + 注意深い人は先まで見通しを立て、失敗しないように準備します。考えの足りない者はむやみやたらに進み、あとで苦しみます。 + 謙遜で主を敬う人は、富も名誉も長寿も与えられます。 + 神の教えに背く者の道には、危険な罠が待ち受けています。自分を大切にする人は、決してそこに近寄りません。 + 子どもの時に正しい生き方を教えておけば、年をとってからも変わりません。 + 貧しい人が金持ちに押さえつけられるように、金を借りる者は貸してくれた人の奴隷になります。 + 悪い支配者は必ず災いに会い、権力を失います。 + 親切な人は貧しい人に食べ物を分けて喜ばれます。 + 人をさげすむ者を追い出せば、みんなうちとけて、争いも口げんかもなくなります。 + きよい心を愛し、良いことを語る人は、王のほうから友になってくれます。 + 主は正しい人を守り、悪者の計画を葬り去ります。 + 怠け者は「仕事になんかとても行けない。外に出たらライオンに食い殺されるかもしれない」と言いわけをします。 + 売春婦は危険な罠、主にのろわれた者は、その罠に簡単に引っかかります。 + 若者は反抗心でいっぱいですが、正しく罰すれば素直になります。 + 貧しい人からせしめたり、金持ちにわいろを贈ったりして財産を作っても、結局は貧しくなります。 + 主を信じて任せなさい。知恵のことばを聞いて忘れずに守りなさい。そうすれば、自分の益になるばかりでなく、人にも教えることができるようになります。 + 私は間違ったことを言ったことはないから、私の言うことを信じて、そのとおり人にも教えなさい。 + 貧しい人や病人のものを横取りしてはいけません。神が見ています。そんなことをする者は必ず罰せられます。 + すぐに腹を立てる愚か者には近づかないようにしなさい。安易に近寄ると罠に陥ります。 + 手もとに余分な金もないのに、人の保証人になってはいけません。他人の借金のかたに、寝具まで取り上げられてしまいます。 + 昔からある境界線を勝手に変えるのは、どろぼうと同じことです。 + まじめに良い仕事をする人は、必ず成功します。 + + + 金持ちといっしょに食事するときは、どんなにごちそうが並んでいても、満腹するまで食べてはいけません。彼らはあなたを買収しようとしているからです。そんな所に招待されても、良いことは何もありません。 + 金持ちになろうとあくせくするのは時間のむだです。そうやってもうけても、札束にはすぐに羽が生えて飛んで行くからです。 + 悪者とつき合ってはいけません。気に入られたいとか、贈り物をもらいたいとか思ってはいけません。いかにも親切そうに見せかけて、ほんとうはあなたを利用しているのです。彼らのごちそうは、食べると気分が悪くなり、吐き出してしまいます。礼を言ったことさえばからしくなります。 + 忠告に逆らう者に言い聞かせてもむだです。どんなにためになることを言っても、顔をそむけるだけです。 + 先祖代々の地境を勝手に変えて、みなしごの土地を横取りしてはいけません。彼らには神がついているからです。 + 耳の痛いことばも喜んで聞き、ためになることはどんどん取り入れなさい。 + 子どもはきびしく育てなさい。むちで打っても死にはしませんが、甘やかすと、やがて地獄に落ちることになります。 + わが子よ。あなたが知恵のある人間になってくれたら、どんなにうれしいでしょう。私の胸は、あなたの思慮深いひと言ひと言におどります。 + 将来は希望にあふれているのだから、悪人をうらやまず、いつも主を恐れて生活しなさい。 + わが子よ。知恵を身につけ、神を信じる道をまっすぐに進みなさい。大酒飲みや大食いとつき合ってはいけません。そんなことをしていると貧しくなるばかりです。怠けぐせがつくと、ぼろをまとうようになります。 + 父親の忠告を聞き、経験を積んだ母親を敬いなさい。 + どんな犠牲をはらっても、ほんとうのことを知るよう努めなさい。物事を正しく判断できる力をしっかりと身につけるのです。 + 神を恐れる人の父親は幸せ者、知恵のある子は父親の誇りです。これ以上の親孝行はありません。 + わが子よ。悪い女に近寄ってはいけません。彼女は狭くて深い墓穴のようにぽっかり口を開けて、あわれな犠牲者が落ちるのを待っています。まるで強盗のように待ち伏せて、男たちに妻を裏切らせるのです。 + 悩みと悲しみに争いばかりしているのはだれでしょう。血走った目をし、生傷の絶えないのはだれでしょう。それは、飲み屋に入り浸って酒ばかり飲んでいる者です。 + ぶどう酒の輝きと、魅力的な味にだまされてはいけません。 + ぶどう酒はあとで、毒蛇やまむしのようにかみつくからです。 + 酔っ払うと、ものがまともに見えず、何を言っているかわからなくなり、普通のときなら恥ずかしくて言えないことを、はてしなくしゃべります。 + まっすぐに歩くこともできず、しけに会って揺れるマストにしがみつく船乗りのように、ふらふらとよろめくのです。 + そして、「なぐられたなんて、ちっとも気がつかなかった。もっと飲みたいものだ」と言います。 + + + 神を信じない人々をうらやんではいけません。仲間になろうと思ってもいけません。 + 彼らは毎日毎日、人に乱暴し、だますことに明け暮れているのです。 + 事業を始めるときは、よく考えてきちんと計画を立て、しっかり基礎を固めなさい。こうして実際をしっかり見ながら進めば、成功は間違いなしです。 + 知恵のある人は力のある人より強く、知恵は力より優れています。 + 戦いに出かけるときは、知恵のある人の意見を聞いてからにしなさい。助言する人が大ぜいいれば安心です。 + 神に背く者には、知恵は高すぎて買えません。だから、人前で意見を言わせてもらえません。 + 悪いことを企むのも、それを実行するのも、同じように悪いことです。 + 神に背く者は悪い計画ばかり立て、人をさげすむ者は世界中の人にきらわれます。 + 逆境のとき、苦しみに耐えられない者は弱い者です。 + 無実の罪で死刑を宣告された人を助けなさい。その人が殺されるのを、黙って眺めていてはいけません。「全く知らなかった」ととぼけても、神の目はごまかせません。神はそれぞれの行いにふさわしく報いられるのです。 + わが子よ。はちみつが食欲をそそるように、知恵はあなたの心に賢くなりたいという意欲を起こさせます。それがあれば、希望にあふれた将来が約束されます。 + 悪者よ。正しい人に手出しをしてはいけません。正しい人は七度倒れても、そのたびに起き上がることを知らないのですか。しかし悪者は、一度つまずくと滅びるのです。 + 敵が苦しむのを喜んではいけません。敵が失敗したからといって、うれしがってはいけません。 + そんなことをしたら主が心を痛め、彼らを罰するのをやめるかもしれません。 + 悪人をうらやみ、その財産を欲しがってはいけません。悪人の最後は目に見えているからです。 + わが子よ。主と王の前では注意深く行動しなさい。過激な者たちとつき合ってはいけません。彼らのいのちは短く、思いもよらない災いに会うからです。 + 貧しい人を有罪とし、金持ちを赦すのはよくありません。 + 悪者に向かって「無罪だ」と言う者は、大ぜいの人にのろわれます。 + 逆に、悪者の罪をはっきりと指摘する人は、だれからも感謝されます。 + 率直に答えてもらえることは、ありがたいことだと思いなさい。 + 家を建てるのは、仕事がうまくいってからにしなさい。 + 無実の人について、わざと不利な証言やうその証言をしてはいけません。「いい機会だから、これまでの仕返しをしてやろう」と考えてはいけません。 + 怠け者の畑のそばを通ったら、いばらと雑草だらけで柵も壊れています。 + これを見て学びました。「もうちょっと眠り、もうちょっと昼寝し、もうちょっと休もう。」 + こんな生活をしていると、どんどん貧しくなり、どうにもならなくなります。 + + + 次にあげるソロモン王の教訓は、ユダのヒゼキヤ王(ソロモンより二百年のちの王)に仕えた人々が見つけ、書き写したものです。 + 物事を秘密にするのは神の特権、それを探り出すのは王の特権です。だから、天の高さや地の深さ、それに王の考えを知ることはできません。 + 銀からかすを除けば良い入れ物ができ、宮廷から心の腐った役人を追い出せば正しい政治ができます。 + 自分が有力な貴族でもあるかのように、ずうずうしく王の前に出てはいけません。列の最後に回されて、みんなの前で恥をかくより、呼ばれるまでじっと待つほうが利口です。 + かっとなって、よく考えもせずに人を訴えてはいけません。引っ込みがつかなくなり、おまけに裁判にも負けたらどうするのでしょうか。そんな恥をかかないためにも、まず二人だけでよく話し合いなさい。第三者に告げ口して、陰口をたたいたといって責められないためです。口に出してしまったことばを取り消すことはできません。 + ほんとうに必要なときに的確なことばで忠告するのは、銀の器に金のりんごを盛るようなものです。 + 正しい批判を聞くのは、勲章を受けるようにありがたいものです。 + 使用人がよく言いつけを聞いてくれるのは、真夏の涼しい日のように気持ちのよいものです。 + 贈り物をすると約束しながらそれを破る者は、雨を一滴も降らせずに荒野を横切る雲のようです。 + 小さな水のしずくでも、長い間には堅い岩をけずります。同じように、じっと忍耐していれば、やわらかい舌が堅い骨を砕くことになるのです。 + いくら好きな物でも、食べすぎると気持ちが悪くなります。 + 近所だからといって、人の家にあまり通いすぎるときらわれます。 + うそを言いふらすのは、斧を振り回したり、刃物で切りかかったり、鋭い矢を射かけたりするのと同じです。 + あてにならない人に頼るのは、痛む歯でかみ、折れた足で走るようなものです。 + 気が沈んでいる人のそばで騒ぐのは、寒さに震えている人の上着を盗み、傷口に塩をすり込むようなものです。 + 敵がお腹をすかせていたら食べさせ、のどが渇いていたら飲ませなさい。そうすれば、相手は恥じ入り、あなたは主からほうびをもらえます。 + 北風が吹くと寒くなるように、陰口をたたかれると腹が立ちます。 + 怒りっぽい女と大邸宅に住むより、屋根裏部屋の片隅で暮らすほうがましです。 + 遠くの人からうれしい知らせをもらうのは、のどが渇いた時に冷たい水を飲むようなものです。 + 神を恐れる人が悪者の言い分を認めるのは、井戸にごみを投げ込むようなものです。 + どんなに良い食物でも、食べすぎは体に毒です。同じように、人にほめられるのはすばらしいことですが、それを意識しすぎるのはよくありません。 + 自分の心をコントロールできない人は、堀を埋めた城のように戦う力がありません。 + + + 愚か者がほめられるとしたら、真夏に雪が降り、太陽が西から昇っても不思議はありません。 + 雀やつばめが、すいすい飛び回っている限りだれにも害を与えないように、理由もなく人にのろわれることはありません。 + ろばはくつわをかけることによって、馬や、反対ばかりする者は、むちで打つことによって言うことを聞かせます。 + 反対する者と議論するときは、相手のペースに乗せられないように気をつけなさい。そうでないと、同じような愚か者になります。愚かなことを言う相手には、わざととぼけた返事をして、うぬぼれさせないようにしなさい。 + 反対する者を信用してことづけを頼むのは、自分で足を切り、毒を飲むように愚かなことです。 + どんなにもっともらしく語っても、愚か者の言うことは、しびれた足のように役立ちません。 + 反対する者に高い地位を与えるのは、銃に弾をこめるように危険です。 + 酔っぱらいがいばらを握っても痛さを感じないように、反対する者が教訓を語っても、少しも心に訴えません。 + 腕は良くても言うことを聞かない工員より、新人の工員のほうが良い仕事をすることがあります。 + 犬が自分の吐いた物をまた食べるように、愚か者は何度でも愚かなことをします。 + 愚か者より始末の悪いのはうぬぼれが強い者です。 + 怠け者は仕事にも出かけず、「外にライオンがいるかもしれない」と言いわけします。 + 彼はちょうどドアがちょうつがいで回るように、寝床でごろごろしています。 + 皿から口に食べ物を運ぶことさえ面倒くさがります。 + それでいて自分は、知恵ある人を七人束にしたより利口だとうぬぼれるのです。 + 関係もないことに口出しするのは、犬の耳を引っ張るのと同じくらいばかげています。 + 人をだましておきながら、「ちょっとからかっただけだ」としらばくれる者は、手当たりしだい物を投げつける気がおかしくなった人のように危険です。 + たきぎがなければ火は消え、うわさがやめば争いもなくなります。 + マッチ一本で簡単に火がつくように、争い好きな人はすぐにけんかを始めます。 + うわさ話は、おいしいごちそうのように食欲をそそります。 + 素焼きの土器でも、きれいな上薬をかければ上等に見えるように、お世辞がうまいと悪意を隠せます。 + 憎しみを抱く者も、表面は愉快そうにしています。でも信じてはいけません。うまいことを言われても油断しないようにしなさい。心の中では、あなたをのろっているからです。どんなに親切そうにしても憎しみは隠せません。 + 罠をしかければ自分がかかり、人に向かって石をころがすと、石が戻ってきて、その下敷きになります。 + お世辞は憎しみが形を変えただけで、人をひどく傷つけます。 + + + 今日一日、何が起こるかわからないのに、明日の予定を得意になって話してはいけません。 + 自分で自分をほめるより、人からほめられるようにしなさい。 + 神に背く者は、思いどおりにならないと腹を立て、手のつけようがありません。 + 怒られるよりも、嫉妬されるほうが怖いものです。 + 愛するあまり、悪いことをしても何も注意しないより、しかるときははっきりしかるほうがよいのです。 + 敵にうわべだけ親切にされるより、友に傷つけられるほうがましです。 + 腹がいっぱいだと、どんなごちそうもまずく感じますが、腹がすいていると何でもおいしく食べられます。 + 家を離れてあちこち渡り歩く人は、巣を離れてさまよう鳥のようです。 + 友に励まされるのは、香水をつけたように気持ちのよいものです。 + 自分の友でも父の友人でも、彼らを大事にしなさい。いざというとき、遠くの親類よりあてになります。 + わが子よ。知恵のある人間になりなさい。そうすれば、私もどんなに鼻が高いことでしょう。 + 何かを始めるとき、思慮深い人はきちんと見通しを立てますが、考えの足りない人は向こう見ずに手をつけて失敗します。 + 見ず知らずの人の借金を立て替える以上に危ない賭けはありません。 + 朝まだ暗いうちに大声であいさつすると、いやがられます。 + 気むずかしい女は、いつまでもしたたり続ける雨もりのようです。 + 風を止めることも、油でぬるぬるした手で物をつかむこともできないように、彼女のぐちを止めることはできません。 + 鉄が鉄によって研がれるように、友との熱のこもった議論は、互いを研ぎ合います。 + 果樹園の番人がそこの果物を頂けるように、主人のために働く者が報酬を受けるのは当然です。 + 顔を映すのは鏡ですが、人のほんとうの心は、その人がどんな友を選ぶかでわかります。 + 野心と死には終わりがありません。 + 銀と金の純度はるつぼで試され、人は、称賛を浴びるときに試されます。 + 神の教えに背く愚か者につける薬はありません。 + 財産はすぐになくなり、王位はいつまでも続きません。だから自分の収入や、家畜の状態を知っておきなさい。 + 牧草を刈り取り、二番草も刈り取ったあと、山の草を集めなさい。そうすれば、子羊の毛もやぎの乳も十分に取れ、家族の生活に困りません。 + + + 悪者は追われもしないのに逃げ回りますが、神を恐れる人に怖いものはありません。 + 国民が平気で悪いことをするようになると、政府は簡単に倒れますが、良識と分別のある指導者がいれば、国は安全です。 + 貧しい人が自分より貧しい人をいじめるのは、激しい流れが、あっという間に最後の頼みの綱を押し流すようなものです。 + 教えに文句を言うのは、悪者をほめることです。教えを守ることは、悪者と戦うことです。 + 悪人は、正しいことをするのがどんなに大切なことかわかりませんが、主の教えを守ろうとする人は、それがよくわかっています。 + うそつきの金持ちになるより、貧しくても正直に生きるほうがずっと幸せです。 + 賢い若者はきちんと教えを守り、非行に走る息子は父親に恥をかかせます。 + 貧しい人からしぼり取った金は、巡り巡って、彼らに親切にする人のものになります。 + 教えをおろそかにする者の祈りはかなえられません。 + 神を恐れる人を悪い仲間に誘う者はのろわれ、正しく生きる人を励ます人はだれにも好かれ、尊敬されます。 + 貧しくても知恵のある人は、金持ちだとうぬぼれている人のほうがほんとうは貧しいことを見抜きます。 + 神を恐れる人が成功するとだれもが喜び、悪者が成功するとがっかりします。 + 自分の誤りを認めない者は成功しませんが、素直に認め、直そうとする人には、別のチャンスが転がり込みます。 + 神を大切にする人は幸せになり、神のことなど気にもかけない者はめんどうに巻き込まれます。 + 貧しい人にとって、悪い支配者は襲いかかるライオンや熊のように恐ろしいものです。 + 力にものを言わせるのは、愚かな支配者です。金に動かされない正直な王が、長く国を治めるのです。 + 殺人者は良心に責められ、地獄へ落ちます。その人を止めてはいけません。 + 正しい人は災いに会っても助け出されますが、人をだますような者は滅ぼされます。 + こつこつ働けば生活は楽になり、遊んでばかりいると貧しくなります。 + 正しいことをしようとする人は必ず報われ、金をもうけようとあせる者はすぐ失敗します。 + 金持ちをえこひいきするのは、一切れのパン欲しさにたましいを売り渡すことです。 + 金持ちになろうとあせる者は、かえって貧乏になります。 + 最後に感謝されるのは、お世辞ではなく率直な忠告です。 + 親のものを横取りして、「何が悪いのか」ととぼけるのは、人殺しと同じです。 + 欲張りはけんかばかりしますが、主に頼る人は幸せになります。 + 自分に頼るのは愚かですが、神の知恵に頼れば安全です。 + 貧しい人を助けておけば、いざというときに困りませんが、見て見ぬふりをすると恨まれます。 + 正しい人は、悪人が幅をきかせると隠れ、彼らが滅びると戻って来ます。 + + + 何度しかられても言うことを聞かない者は、突然倒れて二度と立ち直れません。 + 正しい人が治めると国民は喜び、悪者が権力を握ると嘆きます。 + 知恵のある子は父親を幸せにしますが、悪い女とつき合う者は財産を使い果たして、親に恥をかかせます。 + 正しいことをする王は国をしっかり治め、わいろを要求する王は国を滅ぼします。 + 調子のいいお世辞は罠です。悪人はそれに足をとられて転びますが、正しい人は近寄ろうともしないので安全です。 + 正しい人は貧しい人の権利も認めますが、神を信じない者は気にもかけません。 + 愚か者はけんかの種をまき散らし、知恵のある人は事を丸く収めます。 + 愚か者と言い争っても無駄です。相手はかっとなり、感情をむき出しにして、こちらをさげすむだけです。 + 神を恐れる人は、いのちをつけねらう者のためにも祈ります。 + 神に逆らう者は頭にくるとすぐにどなり、知恵のある人はじっと我慢します。 + 悪い指導者の回りには、悪い部下が集まるものです。 + 金持ちも貧しい人も、主の前では全く同じように太陽の恵みを受けます。 + 貧しい人を差別せずに正しく裁く王は、長く国を治めます。 + 子どもは、しかられ懲らしめられることで、何が悪いことなのかを知ります。わがままいっぱいに育てると、あとで母親が恥をかきます。 + 支配者が悪いと国民も悪くなりますが、正しい人は必ず彼らの滅びを見届けます。 + 子どもをきびしくしつければ、老後は幸せに過ごせます。 + 神を知らない民は好き勝手に振る舞い、手がつけられませんが、国中の人が神の教えを守ろうとする国は幸いです。 + 右から左に聞き流す者は、しかるだけでなく、懲らしめなければ言うことを聞きません。 + 短気な者に比べたら、愚か者のほうがまだましです。 + 使用人を子どものころから甘やかすと、息子のように大きな顔をするようになります。 + 短気な者は争いの種をまき散らし、いつもめんどうに巻き込まれます。 + 自分を鼻にかけすぎるとたたかれ、謙遜にしているとほめられます。 + 悪いとわかっていながら、どろぼうに手を貸す者は、いつかは自分にいや気がさします。 + 人を恐れることは危険な罠ですが、主に頼れば安心です。 + 正しい裁判をしてほしかったら、裁判官に取り入ろうとせず、主に任せなさい。 + 正しい人は悪者のすることが、悪者は正しい人のすることが大きらいです。 + + + 次に挙げるのは、マサの人(アラビヤ半島の中央部以東に住む、イシュマエルの子孫)でヤケの子アグルが、イティエルとウカルに教えたことです。 + 私は疲れ果て、今にも死にそうです。そのうえ、人間の資格さえないような愚か者です。 + 神はもとより、人間というものがわかりません。それがわかるのは神だけです。 + 神のほかにだれが、天と地の間を上り下りしたでしょう。だれが風や海を思いのまま造り、治めているでしょう。神のほかにだれが、世界を造ったというのでしょう。いるとしたら、どこのだれで、子どもは何という名前ですか。 + 神のことばはすべて真実で、神は頼ってくる者をみな守ってくださいます。 + だから、神の言うことに何かを付け加えて、うそをついたと言われないようにしなさい。 + ああ、神よ。最後の二つの願いを聞いてください。 + 私が決してうそをつきませんように。それから、私を特に貧乏にも金持ちにもせず、ただ生きるのにどうしても必要なものだけを与えてください。 + ぜいたくに慣れすぎて主を忘れたり、貧しさのあまり盗みを働いて神の名を汚したりしたくないのです。 + 主人にしもべの悪口を言ってはいけません。そんなことをすれば恨まれるだけです。 + 親をのろい、悪いことばかりしているくせに、自分は少しも欠点がないとすましている者がいます。 + 彼らは自分のことを鼻にかけ、人を人とも思いません。貧しい人を陥れようと、いつも歯を研ぎすましているのです。 + 蛭のようにしつこく、いつまでも満足しないものが二つ、三つ、いいえ四つあります。地獄、不妊の胎、乾ききった荒野、それに火です。 + 父親をあざけり、母親を軽蔑するような者は、からすに目をほじくられ、はげたかの餌になるのです。 + どんなに考えてもわからないことが三つ、いいえ四つあります。どのようにしてわしは大空を飛び、どのようにして蛇は岩の上をはい、どのようにして船は海を横切る道を見つけ、どのようにして若い二人の間に愛情が芽生えるのでしょう。 + わからないことがもう一つあります。どうして悪い女は、悪いことをしながら厚かましく、「いったい、どこがいけないの」と言えるのでしょう。 + 地も震えるほどいやなことが三つ、いいえ四つあります。奴隷が王になり、反逆者が成功し、きらわれた女が結婚し、女中が女主人に取って代わることです。 + 体は小さくても、頭の良さでは何にも負けないものが四つあります。力はなくても、冬の食糧を集める蟻、弱くても、岩の間に住んで身を守る岩だぬき、指導者がなくても、いっしょに行動するいなご、簡単に捕まるけれど、王宮にでも住みつくやもりです。 + 地上に堂々としたものが三つ、いいえ四つあります。怖いもののない百獣の王ライオン、くじゃく、雄やぎ、軍隊を指揮する王です。 + 得意になって悪いことをするのは愚か者です。少しは恥ずかしいと思うべきです。 + クリームをかきまぜるとバターができ、鼻をなぐられると血が出るように、人を怒らせると争いが起きます。 + + + これは、マサの王レムエルが母親から教わったことです。 + レムエルよ、おまえは神から授かった子です。 + だから、女に夢中になって自分をだめにしてはいけません。 + レムエルよ、強い酒は王が飲むものではありません。 + 酔ってばかりいたら、王の仕事は務まりません。苦しめられている人のために、正しい裁判をしてあげることもできません。 + 酒は、治る見込みのない病人や悲しみに沈んでいる人に飲ませるものです。酒で苦しさをまぎらわせるためです。 + だれからも見放された人を守ってあげなさい。 + 正しい裁判をして、貧しい人や困っている人を助けてあげなさい。 + ほんとうに良い妻を見つけたら、宝石よりもすばらしいものを手に入れたことになるのです。 + 彼女は夫に信頼され、夫に決して不自由な思いはさせません。 + いつも陰にあって夫を助け、足を引っ張るようなことはしません。 + また羊毛や亜麻を見つけては、喜びながらつむぎ、 + 外国から船で運ばれて来た輸入食品を買います。 + まだ暗いうちに起きて朝食のしたくをすませ、使用人の仕事の計画を立てるのが、彼女の務めです。 + 畑を買うときは自分の目でよく調べて買い、ぶどう畑をつくります。 + こまねずみのように働き、 + 無駄な買い物はしません。夜は夜で、遅くまでせっせと働くのです。 + 貧しい人には服を縫って与え、困っている人を喜んで助けます。 + 家族みんなの冬服をちゃんと用意してあるので、冬がきてもあわてません。 + 部屋には最高級のじゅうたんを敷き、紫色の上等のガウンを着ます。 + 夫は人々に信頼される町の指導者の一人です。 + 彼女はまた、リンネルでベルトつきの服を作り、商人に売ります。 + 上品で何事にもしっかりしている彼女には、老後の心配など少しもありません。 + 決して愚かなことは言わず、いつも人を思いやります。 + 家のことに何から何まで気を配り、かた時も怠けません。 + 子どもたちは彼女をほめ、夫も負けずにほめます。 + 「君はほんとうにすばらしい。世界中を探しても、君ほどの女性はいない。」 + 人は見かけの美しさにすぐだまされますが、そんな美しさは長続きしません。しかし主を恐れる女はほめたたえられます。 + 「りっぱな女だ」と評判になり、ついには国の指導者にまで称賛されるようになります。 + +
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+ + ダビデ王の子で、エルサレムの王であり、「伝道者」と呼ばれたソロモンの教え。 + 思うに、この世に価値のあるものなどない。すべてがむなしい。 + 人はあくせく働いた報酬として、何を手に入れるというのか。 + 一つの時代が去り、新しい時代が来るが、少しも変わらない。太陽は昇っては沈み、また昇ろうと、急ぎ元の所に帰って行く。風は南に吹き、北に吹き、あちこち向きを変えるが、結局行き着く所はない。川は海に注ぐが、海は決してあふれることはない。水は再び川に戻り、また海に流れて行く。 + 何もかも、くり返すばかりで、あきあきする。どれだけ見ていても満足できない。どれだけ聞いても、もうこれで良いということはない。歴史はくり返すだけ。ほんとうに新しいものなど何もない。新しいように見えても、必ず前例があるか、すでに言い古されたものです。何か、「これは新しいものだ」と指摘できるものがあるでしょうか。それがずっと昔になかったと、どうしてわかるのですか。私たちは、先の時代にどんなことが起こったのか忘れてしまいます。そればかりか、のちの時代になれば、私たちが今していることを、だれも覚えていないのです。 + 伝道者である私はイスラエルの王で、エルサレムに住んでいました。私はこの世のあらゆることを理解しようと、全力を注ぎました。その結果、神が人間への分け前としてお与えになったものは、決して楽しいものでないことがわかりました。それはみな愚かに見え、風を追うようにむなしいものです。 + 間違ってしまったことは、もう正せない。あったかもしれないものを考えてみたところで、何の役に立とうか。 + 私は自分に言い聞かせました。「私はこれまでのエルサレムのどの王より、いろんな勉強もした。どの王より知恵や知識を得た。」私は賢くなろうと、一生懸命に努力しました。しかし、今ではそんな努力さえ、風をつかまえるようにむなしいことだとわかったのです。 + 賢くなればなるほど、悲しみも増える。知識を増すことは、悩みを増す。 + + + それで私は、「愉快に生きよう。思う存分楽しむのだ」と思いました。ところが、こうした生き方も実にむなしいことがわかりました。一日中笑っているのは愚かなことです。それが何の得になるのでしょう。 + いろいろ試してみてから、私は知恵を探求し続ける一方で、酒を飲んで元気になろうと思いました。次に、もう一度考えを変えて、愚かな者になりきることにしました。多くの人が経験する幸福を味わってみようと思ったのです。 + 今度は、大規模な事業に乗り出して、仕事からくる充実感を得ようとしました。邸宅を建て、ぶどう園、庭園、公園、それに果樹園まで造り、良い作物を実らせるために貯水池まで造ってみたのです。 + 次に、男女の奴隷を買いました。私の家で生まれた奴隷たちもいます。ほかに家畜の群れも飼ってみましたが、その数は以前のどの王よりも多かったのです。さらに、多くの州や国から、税金として金銀をかき集めました。また文化的な活動として、混声コーラス‧グループやオーケストラを組織しました。そのうえ私には、大ぜいの美しいそばめがいたのです。 + こうして、歴代のエルサレムの王もしなかったような、あらゆることをやってみました。両眼をしっかり見開いて、これらのものの価値を見極めようとしたのです。 + 欲しいものは何でも手に入れ、したい放題の楽しみをしてみました。つらい仕事にも大きな喜びがあることを知りました。この喜びこそ、実に、あらゆる労働に共通した報酬なのです。 + しかし、してきたことを振り返ってみると、どれもこれも役に立たないことばかりで、風を追うようなものでした。これこそ価値があると言えるものなど、どこにもありませんでした。 + そこで、知恵と無知の価値を比較してみることにしました。おそらくだれでも、同じ結論に達するでしょう。 + それは、こういうことです。光が闇にまさっているように、知恵は無知よりはるかに価値があります。賢い人は先々を正しく判断しますが、愚かな人は先のことがわかりません。ところが私は、知恵のある人にも知恵の足りない人にも共通点があることに気づきました。 + 知恵の足りない人が死ぬように、いずれこの私も死ぬということです。それなら、知恵をつけたところで、いったい何の益があるというのでしょう。私は、知恵をつけることでさえむなしいものだと悟ったのです。 + 賢い人も愚かな人も死ぬのです。時がたてば、両者とも、すっかり忘れられてしまいます。 + 私はここまでわかると、生きているのがいやになりました。人生は不条理きわまりないからです。何もかもむなしく、風を追うようなものです。 + 一生懸命に築き上げたものが他者のものになると思うと、いやになってきます。 + そればかりか、跡取り息子が愚か者か賢い者か、だれにわかるでしょう。それでも、私の財産はすべて、息子のものになるのです。なんと気分がめいることではありませんか。 + こうして、満足感を与えてくれると考えていた労苦も愚かしく思われ、見切りをつけました。生涯をかけて知恵や知識や技術を追求しても、せっかく手に入れたものを全部、何もしなかった者に譲るはめになるのです。そんな者が、私が努力して得たものを受け継ぐのです。むなしいだけでなく、不公平です。どれほど必死に働いても何の役にも立ちません。あるものといえば、悲しみと悩みに押しつぶされそうな、心の休まらない日々と眠れない夜です。全くむなしい話ではありませんか。 + そこで私は、食べたり飲んだりすることと、労働を楽しむこと以外に生きがいはない、と判断しました。しかも、このような楽しみさえ神の御手から来るとわかったのです。というのも、神の世話にならなければ、だれも食べたり楽しんだりすることはできないからです。神は、お心にかなった者に知恵、知識、喜びを与えます。ところが神は、罪人が金持ちになると、その財産を取り上げ、お心にかなった者に分け与えるのです。ここにも、風を追うようなむなしさの一例があります。 + + + 何事にも定まった時があります。 + 生まれる時、死ぬ時、植える時、収穫の時、 + 殺す時、病気が治る時、壊す時、やり直す時、 + 泣く時、笑う時、悲しむ時、踊る時、 + 石をばらまく時、石をかき集める時、抱きしめる時、抱きしめない時、 + 何かを見つける時、物を失う時、大切にしまっておく時、遠くに投げ捨てる時、 + 引き裂く時、修理する時、黙っている時、口を開く時、 + 愛する時、憎む時、戦う時、和解する時。 + 一生懸命働いたところで、何の益になるでしょう。 + 私はこのことを、神が人間に与えたさまざまの仕事と関連して考えてみました。 + あらゆることには、ふさわしい時というものがあります。また神は、人間の心に永遠を思う思いを与えました。しかし、人は神の働きの全体を見ることができないのです。 + 私の結論はこうです。第一に、できるだけ幸福に過ごし、人生を楽しむ以上にすばらしいことはないということです。 + 第二に、人は食べたり飲んだりして自分の労苦の実を楽しみ、味わうべきだということです。それは神からの贈り物だからです。 + 続いて、次のことも知りました。神のすることは一点の非の打ちどころもなく、何一つ付け加えたり、取り除いたりすることはできません。神はこのことを通して、人が全能の神を恐れるようにと願っているのです。 + 今あるものは、ずっと昔にもあったことです。これから起こることも、以前に起こったことです。神は、はるか昔にあって今は跡形もなくなっているものを再び生じさせているのです。 + 私はそれだけでなく、世界中で正義がすたれて犯罪が増し、法廷さえ金次第になっていることを知りました。 + 私は心の中で言いました。「やがて、神が人間のしたことを、良いことも悪いことも全部さばく時がくる。」 + 私はまた、神が罪深い今の世界をそのままにしておくのは、人間を試すためであり、人間が獣と変わらないことを悟らせるためであることに気づきました。 + 人間も動物も、同じ空気を吸い、同じように死んでいきます。人間が獣より優れている点などないのです。なんとむなしいことでしょう。 + どちらも同じ所へ行くのです。土から出て土に帰るのです。 + こんなことを言うのも、人の霊は天に上り、動物の霊は地中深く降りて行くことを、誰ひとり証明できないからです。 + だからこそ、自分の仕事に生きがいを見いだす以上に幸福なことはないと判断したのです。これが人間が地上にいる理由です。未来に起こることを楽しむことはできないのですから、今のうちに人生を十分に楽しむことです。 + + + 次に私は、世界中で行われているしいたげと悲しみを見ました。しいたげられている人が涙を流しても、だれも手を貸そうとしません。一方で、しいたげる者たちはしっかりと手を組んでいます。 + 私は、死んだ人のほうが生きている人よりましだと思いました。 + 一番幸福なのは、生まれて来なかった人で、地上の悪を見たことのない人です。 + 次に私は、物事を成功させる原動力がねたみであることを知りました。これもまたむなしいことで、風を追いかけるようなものです。 + 愚か者は、いっこうに働こうとせず、餓死寸前のところをさまよう。しかし結局は、むなしいの一語に尽きるような労働を続けるより、のんびりその日暮らしをするほうがましだ。 + 愚かしく思えることが、もう一つあります。 + 息子も兄弟もいない一人暮らしの人が、さらに金持ちになろうと目の色を変えている場合です。この人は、だれに全財産を残そうというのでしょう。全く割の合わない、憂うつな話です。 + 二人が手を組めば、一人の人の倍以上のことができます。結果から見れば、二人のほうがずっといいのです。 + 二人なら片方が倒れても、もう一方が起こせます。ところが、一人のときに倒れてしまうと、だれにも起こしてもらえず、何とも惨めです。 + また、寒い夜、二人が一枚の毛布でもかぶって寝れば、お互いの体温で暖かくなります。しかし一人では、どうにも暖まることができません。 + 一人では、攻撃を受けると負けてしまいます。しかし二人なら、背中合わせになって戦うことができ、相手に勝つことができます。三人なら、なおいいのです。三つ撚りの糸は、めったなことでは切れないからです。 + 貧しくても賢い若者は、どんな忠告も受けつけない、年取った愚かな王よりましです。 + そのような若者は、牢獄から出て立身出世することでしょう。それどころか、生まれが卑しくても、王にさえなれるかもしれません。 + こんな若者なら、たとい王位を奪うことになっても、人々は喜んで協力するに違いありません。 + こうして彼は、幾百万もの人の指導者となり、非常に有名になるかもしれません。ところが次の世代の人は、彼を追放してしまいます。これもまたむなしいことで、風を追いかけるようなものです。 + + + 神殿に入るときは、耳をすまして、口は堅くつぐみなさい。神に軽はずみな約束をするのは罪です。それがわからないほど愚かになってはいけません。神は天におられ、私たちは地にいるのですから、ことば数はできるだけ少なくすべきです。仕事が多いと悪夢にうなされ、口数が多いと愚かになる。 + 神に、何かをすると誓いを立てたときは、すぐに実行しなさい。神は、愚かな人間を喜ぶことがないからです。神との約束は、どんなことがあっても果たしなさい。 + 何かをすると言いながらしないより、初めから口にしないほうがずっと良いのです。 + 約束を果たさないなら、口で罪を犯すことになります。神の使者に、「誓いを立てたのは間違いでした」などと弁解してはいけません。それを聞いて神は腹を立て、あなたの繁栄を奪い去るかもしれないからです。夢ばかり見ていて実行しないのは愚かで、むなしいことばが多いと、滅びを招きます。そんなことをしないで、神を恐れなさい。 + 貧しい人が金持ちにいじめられ、国中で正義が踏みにじられているのを見ても、別に驚くにあたりません。どの役人にも上役がいて、その上にさらに高官がいるからです。それが国の政治の仕組みなのです。 + その全体の上に王が立てられています。その王が国のために献身する王なら、どんなにすばらしいことでしょう。そうした人物だけが国を混乱から救えるのです。 + 金銭を愛する者は、決してこれで満足だということがありません。金さえあれば幸せだという考えは、なんと愚かなことでしょう。 + 収入が多くなれば、それに応じて支出も多くなります。金銭にどんな利益があるというのでしょう。彼らは金銭が指の間からこぼれ落ちていくのを眺めていることしかできないのです。 + 汗水流して働く人は、満腹していようが腹をすかしていようが、ぐっすり眠ることができます。しかし、金満家は不安につきまとわれ、不眠に悩まされます。 + 私はまた、ここかしこに深刻な問題があるのに気づきました。せっかくの貯金が危険な投資に使われ、子どもに残す財産もなくなってしまうという現実です。 + 投機に手を出す者は、すぐさま無一文の振り出しに戻ります。 + これは言ったように、とても深刻な問題です。どんなに働いても、ざるで水をくむようなものであり、風を追うようなものです。せっかく手に入れたものが、全部なくなってしまうのです。 + 残る生涯を暗い気持ちで、失意と挫折感、怒りを持ちながら生きることになります。 + でも、良いことが少なくとも一つあります。生きている限りは、おいしい物を食べ、上等のワインを飲み、置かれた立場を受け入れ、与えられた仕事がどのようなものであれ、それを楽しむことです。 + 主のおかげで財産家になり、健康にも恵まれているとしたら、それこそ申し分のないことです。仕事を楽しみ、与えられた人生に満足することこそ、神からの贈り物です。こういう人は、神から喜びを与えられているのですから、悲しい思いで過去を振り返る必要などありません。 + + + 至るところに、悲しい不幸が見られます。ある人は神から巨万の富と名誉を与えられ、欲しいものは何でも手に入る身分でありながら、人生を楽しむだけの健康に恵まれていません。そのため早死にして、全財産を他人の手に渡すことになってしまいます。これは実に悲しむべきことで、やりきれない思いがします。 + 一方でもし、百人の息子と娘に恵まれ、長寿を得ながら、わずかばかりの遺産もなく、満足な葬式さえ出せなかったとしたら、この人は生まれて来なかったほうがよかったかもしれません。 + たとえその誕生が喜ばれず、闇から闇に葬られ、名前さえつけてもらえず、 + その存在さえ知られないとしても、死産の子のほうがみじめな老人になるよりずっとましです。 + 何千年生きたとしても、満足することがなければ、生きていることに何の価値があるのでしょう。 + 知恵ある者も愚か者も、食べ物を得るために人生を費やすが、もうこれで十分だということはない。そういう意味では、どちらも同じです。しかし、貧しくても知恵ある人は、ずっと良い生活をしています。 + 手の中の一羽の鳥は、やぶの中の二羽より価値があります。あこがれているものを夢見ているだけであればむなしいことで、風を追いかけるようなものです。 + あらゆるものには定めがあります。それぞれの将来は、ずっと以前からわかっているのです。だから、自分の運命について神と議論しても無駄です。 + しゃべればしゃべるだけ、口にすることばの意味が薄れてきます。だから、全然しゃべらないほうがましなのです。 + 短くむなしい人生を、どのように過ごすのが最善なのかはだれにもわかりません。死んだ先のことまで考えると、何が最善かを知ることはできません。将来のことがわかる人は一人もいないのです。 + + + 良い評判を得ることは、最高級の香水より値打ちがあり、死ぬ日は生まれた日より大切である。 + 宴会に顔を出すより、葬式に列席するほうがよい。やがて死ぬわけだから、生きているうちに死について考えるのは良いことだ。 + 悲しみは笑いにまさっている。悲しみは、私たちの心から不純物を取り除く効果があるからだ。 + 知恵ある者は死についてじっくり考えるが、愚か者はどうしたら今愉快に過ごせるかだけを考える。 + 愚か者からちやほやされるより、知恵ある者に痛烈な批評を受けるほうが良い。 + 愚か者のお世辞は、火にくべた紙切れのように、何の役にも立たない。そんなものに心を動かすのは、なんとむなしいことか。 + 知恵ある者も、わいろによって愚かな者になる。わいろは人の判断力を麻痺させるからだ。 + 終わりは初めにまさっている。忍耐は高慢にまさっている。 + 短気を起こしてはならない。短気は愚か者の特徴だからだ。 + 過ぎ去った昔の栄光に未練を残してはいけない。ほんとうに昔が今より良かったか、わからないからだ。 + 知恵ある者になることは、金持ちになるのと同じくらいいや、それ以上の価値がある。 + 知恵からでも金銭からでも、利益を上げることができる。しかし賢くなることのほうが、多くの利点がある。 + 神のすることに目を留め、それに従いなさい。神が決めたことを変えることなどできません。 + 順境のときには、できるだけ楽しみなさい。逆境が訪れたら、神は与えると同時に取り上げる方だと知りなさい。こうしてすべての人が、この世ではあらゆるものがむなしいと悟るのです。 + 私は、このむなしい人生のすべてを見てきました。正しい人が若死にし、悪人がたいそう長生きすることもあるのです。だから、正しすぎたり、知恵がありすぎたりして、自滅してはいけません。かといって、悪人になりすぎるのも、愚か者になるのも考えものです。自分の時が来る前に死んではいけません。 + 任せられた仕事は、どんなことがあっても手放してはいけません。神を敬っているなら、必ず神からの祝福を期待できるのです。 + 知恵ある者は、町の十人の有力者の力を合わせたより力があります。 + この世界には、いつも品行方正で一度も罪を犯さない人など一人もいません。 + 人の言うことをすべて気にしてはいけません。時として使用人からのろわれるかもしれません。あなたも、何度も人をのろったはずです。 + 私は知恵ある者になろうと、できるだけのことをしてみました。「知恵ある者になりたい」と人前で言ってみましたが、知恵ある者になることはできませんでした。 + 知恵は遠いかなたにあって、探し出すのはきわめて困難です。 + 私は知恵と道理を見つけようと、あらゆる所を探しました。また、悪行が愚かで、愚かさがどれほどばかげたことであるか悟ろうとしました。 + 悪い女は死よりも大きな苦痛を与えます。神に喜ばれる者は恵みによって彼女から逃れますが、罪を犯す者は彼女のしかけた罠にかかってしまいます。 + そこで、「私の結論はこうだ」と伝道者は言います。私はあらゆる方面から調べてみて、次のことを確信するようになりました。私が話を聞いた男の千人に一人は、確かに知恵がある人物です。しかし女には、知恵のある者は一人もいませんでした。 + さらに、次のことも知りました。神は人を正しい者に造ったのに、人々は堕落の道に向かって行ったということです。 + + + 知恵を身につけて、物事を正しく判断し、さらに分析し説明できる能力があったなら、どんなにすばらしいことか。知恵は人の顔を輝かし、その顔を和らげる。 + 誓ったとおりに王に従いなさい。どんないやなことであっても、誓いを果たすことから逃げようとしてはなりません。王は不従順な者に罰を加えるからです。 + 王のことばには権威があるので、それに逆らったり疑問を差しはさんだりできる者はいません。 + 従順な者は罰せられることがない。知恵ある者は、自分のことばを実行する時と方法とを知っている。 + そうです。困難が重くのしかかっていても、すべてのことに時と方法があります。人は予期できないことが身に降りかかるのを、避けることはできません。 + だれも、たましいが体から離れるのをとどめることはできません。自分の死ぬ日をかってに決めることもできません。この暗黒の戦いを免れることは絶対にできないのです。その場に臨んだら、どんなにじたばたしても始まりません。 + 私は、人々が支配したりされたりして互いに傷つけ合っていることを考えてみました。悪者でも葬式をすませ、墓地から帰って来るときには、友人たちは故人のした悪事をすっかり忘れています。それどころか、その男は生前に多くの犯罪を重ねた当の町で、ほめそやされるのです。なんとおかしな話でしょう。 + 神はすぐに罪人を罰しないので、人々は悪いことをしても別に怖くないと思っているのです。 + 百度も罪を犯して、なお生き長らえている人があるとしても、神を敬っている人のほうが幸せです。 + 悪者どもは幸福な長い人生を送ることもできません。彼らは神を敬わないので、その一生は影のように早く過ぎ去ります。 + この地上では、奇妙なことが起こっています。正しい人が悪人のような待遇を受け、逆に、悪人が正しい人のような待遇を受けているのです。これもまた、割り切れない思いにさせられます。 + そこで私は、おもしろおかしく一生を送ろうと決心しました。この世では、食べて、飲んで、愉快にやること以外に良いことはないと考えたのです。この幸福は、神が世界中の人に与えているつらい仕事に添えられてくるものです。 + 私は知恵を尋ね求めている間に、地上での、休むことのない人の活動を観察してみましたが、すべてのことを見抜くのは神だけでした。自分は何でも知っているとうそぶく、知恵のかたまりのような人でも、実はわずかのことさえ知らないのです。 + + + 私は注意深く、次のことも探求してみました。神を敬う人も知恵のある人も神の計画の中にありますが、神がその人のことを喜んでいるかどうかは、だれにもわかりません。確かなことは何も言えないのです。 + 善人でも悪人でも、信仰がある人もない人も、神をののしる者も神を敬う者も、どんな人も、同じ摂理で動かされています。すべての人に同じ結末が来るとは、なんと不公平でしょう。だからこそ、人は正しく生きようとはせず、常軌を逸した道を選ぶのです。待ちかまえているのは死だけですから、希望などありません。 + 生きている人にだけ、希望があります。「死んだライオンより、生きている犬のほうがましだ」と言われるとおりです。 + 生きている者には、少なくとも自分は死ぬという自覚があります。ところが、死んだ者は何一つわからないのです。記憶さえありません。 + 愛したことも、ねたみ憎んだことも、とうの昔に消えてなくなり、もはやこの地上には一つも分け前がないのです。 + さあ、食べて、飲んで、愉快に生きればよい。神はそんなことで動じることはない。 + かぐわしい香水をかけ、上等の服を着なさい。 + 短い一生の間、愛する女性と幸福に過ごしなさい。神が下さった妻は、地上での労苦に対する最大の報酬だからです。 + 何をするにしても、りっぱに仕上げなさい。あなたが行くことになる死後の世界では、仕事も計画も知識も知恵もないからです。 + 私は再び今の世を見て、足の速い人が必ずしも競走で勝つとは限らず、強い人が必ずしも戦いに勝つわけでもなく、知恵ある人が貧しい暮らしをし、実力があるのに認められない人がいることを知りました。あらゆることが偶然の組み合わせであり、すべては時と機会とによって決まるのです。 + いつ運の悪さに見舞われるかを知っている人はいません。人はみな、網にかかった魚、罠にかかった鳥のようです。 + 人の世の出来事を見てきた私に、もう一つ深く印象に残っていることがあります。 + 人口の少ない町があり、そこに強い王が大軍を率いて攻めて来て、包囲した時のことです。 + この町に、知恵はありながら非常に貧しい人がいました。この人は町を救う方法を知っており、力を尽くして町を攻撃から守りました。ところが、あとになると、誰ひとり彼のことを思い出さないのです。 + このことで、知恵は力以上のものだが、その人が貧しければさげすまれ、彼が何を言っても聞かないことがよくわかりました。 + しかし、そうは言うものの、知恵ある人の穏やかなことばは、愚かな王のどなり散らすことばより、人々に聞かれる。 + 知恵は武器にまさるが、たった一度のミスが物事全部をだめにする。 + + + 死んだハエは香水さえ臭くし、ほんの少しの失敗は多くの知恵と名誉をだいなしにする。 + 知恵ある者は正しい道に足を向け、愚か者は悪の道に向かう。 + どこを歩くかで、その人が賢いのか愚かなのかがわかる。 + 上司にしかられても、職場を放棄してはいけません。冷静な態度は、相手の不きげんをなだめます。 + 世の中の移り変わりを見ていると、もう一つの悪が目についた。王や支配者たちの嘆かわしい有様だ。 + 愚か者に大きな権威が与えられているのに、富む者に当然と思える社会的地位さえ与えられていないことがある。 + また、召使が馬にまたがり、君主が召使のように歩いている姿を見た。 + 井戸を掘ると中に落ち、古い石垣を壊すと蛇にかまれる。採石場で働いていると落石に会い、伐採場では斧を振り上げるたびに危険にさらされる。 + 斧の切れ味が悪くなると、余計な力がいる。そんなときには刃を研ぐことだ。 + 馬が盗まれてから馬小屋に鍵をかけても、もう遅い。 + 知恵あることばは心地よいが、愚か者のおしゃべりは身を滅ぼします。愚か者の話は前置きがばかげ、結論も常軌を逸している。 + 愚か者は将来について知っているふりをして、事細かに話して聞かせる。しかし、これから起こることは、だれにもわからない。 + 愚か者は大した仕事でもないのにうろたえ、ささいなことにも力を出せない。 + 王が幼く、指導者たちが朝から酔っている国は、とんでもない目に会う。王が名門の出で、指導者たちが勤勉を第一と心がけていて、これからの仕事のための英気を養うときにだけ宴会を開いている国は幸せです。 + 怠けていると、天井から雨がもり、梁が落ちる。 + 祝宴は笑いを、ぶどう酒は幸福感を、金銭はすべてのものをあたえる。 + たとえ心の中でも、王をのろってはいけない。金持ちをのろってもいけない。小鳥が彼らに、あなたがどんなことを言ったかを告げるからだ。 + + + 惜しみなく与えなさい。あなたが与えた者は、あとになって戻って来るからだ。 + 持っているものを、人々に分け与えなさい。あとになってあなたも、人から助けてもらうことになるからだ。 + 雲が垂れこめると雨が降り出し、木が北風か南風で倒されると、そのままそこで朽ち果てる。 + しかし、風の状態が良くなるまで待っていたら、何一つなすことはできません。 + 神のすることは風の通り道と同様に神秘的です。それはまた、母親の胎内の赤ん坊にたましいが吹き込まれるのと同じように不思議なものです。 + 手を休めずに種をまきなさい。どの種が芽を出すか、わからないからです。もしかしたら、全部芽を出すかもしれません。 + 生きていることは実にすばらしいことです。 + 長生きしている人は、一日一日を存分に楽しみなさい。ただし永遠と比べたら、地上のことはみなむなしいことを覚えておきなさい。 + 若い人よ。若いことは実にすばらしいことです。若い日を存分に楽しみなさい。したいことは何でもしなさい。欲しいものは何でも手に入れなさい。しかし、自分のしたことはみな、神の前で申し開きをしなければならないことを覚えておきなさい。 + だから、悲しみと痛みを取り除きなさい。しかし、これから長い人生が待ち受けている若い日にも、過ちを犯してしまうことを忘れてはいけません。 + + + 若い日を夢中で楽しむあまり、あなたの造り主を忘れてはいけません。生きていることを楽しむ余裕などない逆境の時が来る前に、神を信じなさい。 + 年を取り、日の光や月、星がかすんでよく見えず、夢も希望もなくなってから、神を思い出そうとしても手遅れです。 + やがて、手足が老齢のため震えるようになり、しっかりしていた足も弱くなり、歯がなくなって食べ物もかめず、目も見えなくなる時がきます。 + 歯がなくなったら、物を食べるときは口を開かないようにしなさい。鳥がさえずり始める朝早く目が覚めても、耳が遠くて聞こえず、声もしわがれてきます。 + あなたは白髪でしわだらけの老人となり、高い所を怖がり、転ぶことを心配しながら足を引きずって歩きます。性欲もなく、死の門のそばに立ち、死んだ人を嘆く者のように永遠の家へと近づいて行きます。 + もう一度言います。あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えなさい。銀色のいのちのひもが切れ、金の器が壊れ、水がめが泉のそばで壊れ、滑車が井戸のそばで壊れてしまう前に。 + やがて、ちりは元の地に帰り、たましいは、これを授けた神のもとに帰ります。 + 伝道者は言います。すべて何もかもむなしい、と。 + しかし、伝道者は知恵があったので、自分の知っていることを全部人に教えました。また、さまざまの人生訓を集め、それを分類しました。 + 知恵があっただけでなく、優れた教師でもあったからです。伝道者は人々に、自分の知っていることを興味深く教えました。 + 知恵ある人のことばは、家畜を追い立てる突き棒のようなものです。大切な真理を逃しません。教師の語ることを身につける学生は賢い学生です。 + 若い人よ、注意しなさい。人の意見には際限がありません。それを全部学ぼうと思うなら、いつになっても終わりがなく、疲れ果ててしまいます。 + これが私の最終的な結論です。神を恐れ、その命令に従いなさい。これこそ人間の本分です。 + 神は私たちのすることをすべて、隠れたこともすべて、善も悪も、みなさばくのです。 + +
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+ + ソロモン王が作ったこの歌は、ほかのどんな歌よりすばらしいものです。 + [おとめ]「もっともっと口づけしてください。あなたの愛はぶどう酒より甘く、 + あなたの香油は、なんとすてきな香りでしょう。名前もとても魅力的です。若い娘たちが夢中になるのもむりはありません。 + 私を連れて行ってください。さあ、走って行きましょう。」[おとめ]「王は私を、宮殿に連れて行ってくれました。私たちは幸せでいっぱいです。あなたの愛はぶどう酒にもまさります。若い娘たちが夢中になるのも当然です。」 + [おとめ]「エルサレムの娘さん、私はケダルの天幕(荒野のアラビヤ人が住む黒いテント)のように、日焼けして黒いのです。でも、きれいでしょう。」[ソロモン王]「いや、あなたは私の絹の天幕のように愛らしい。」 + [おとめ]「町の娘さん、そんなに見つめないでください。私の肌はとても黒いのです。兄にしかられ、強い日照りのぶどう園の番をさせられたので、すっかり日焼けしてしまったのです。」 + [おとめ]「私の愛する方、どうか教えてください。今日は、羊の群れをどこへ連れて行くのですか。お昼には、どこにいらっしゃるのですか。私は、あなたの仲間に混じって流れ者のようにうろつきたくありません。いつもおそばにいたいのです。」 + [ソロモン王]「世界で一番美しい女よ、それなら、群れのあとについて行って羊飼いのテントを探しあて、そこで、あなたの羊と子羊の世話をしなさい。 + 愛する人よ。あなたはかわいい子馬のようだ。 + 頬にかかる髪の毛が、とてもすてきだ。宝石をちりばめた首飾りをつけた首には気品が漂っている。 + あなたのために、金のイヤリングと銀の首飾りを作ってあげよう。」 + [おとめ]「ベッドに横になった王は、私のつけている香水の香りにうっとりしています。 + 私の愛するお方は、私の乳房の間にある、没薬の匂い袋のようです。」 + [ソロモン王]「私の愛する人は、エン‧ゲディ(死海西岸のオアシス)の植物園にある花束のようだ。 + 愛する人よ。あなたはなんと美しいのだろう。どう言ったらいいかわからないほどだ。目は鳩のように優しく、 + 草の上に身を横たえる姿は、なんと美しく、麗しいのだろう。 + その上に、杉や糸杉が影を落としている。」 + + + [おとめ]「私はシャロンのサフラン、谷間のゆりです。」 + [ソロモン王]「そう、ゆりのようだ。私の愛する人とほかの娘たちを比べたら、いばらと、その中に咲くゆりの花ほども違う。」 + [おとめ]「私の恋人は、ほかの男の方と比べたら、果樹園の中で最上のりんごの木のようです。私は慕わしい方の陰に座りましたが、その実は口の中でとろけそうです。 + あの方は私を宴会の広間に連れて行きますが、そこでだれもが、あの方がどんなに私を愛しているかを見るのです。 + 干しぶどうの菓子で、りんごで力づけてください。そうです、あなたの愛で私を元気づけてください。私は恋わずらいをしているのです。 + あの方は、左手を私の頭の下にあて、右手でしっかり抱いてくださいます。 + エルサレムの娘さん、あなたがたに、かもしかや野の鹿を指して誓ってほしいのです。どうか、私の恋人を起こさないでください。十分に寝かせてあげてください。」 + [おとめ]「ああ、愛する方の声が聞こえます。あの方は、山々を跳び越え、丘々を跳ねるようにしておいでになります。 + まるでかもしかか若い雄鹿のように。ごらんになってください。あの方は壁のうしろにいます。今度は、窓からのぞいています。 + あの方はおっしゃいました。『愛する人、いとしい人よ。さあ起きて、出ておいで。 + 冬は過ぎ、雨もすっかり上がった。 + 花が咲き、小鳥の歌う季節になった。そう、もう春なのだ。 + 若葉がもえいで、ぶどうの木は花ざかりだ。たまらないほどいい香りを放っている。愛する人、いとしい人よ、さあ、起きて、出ておいで。』 + 崖の岩のうしろに隠れている私の鳩よ、私を呼んで、美しい声を聞かせてください。りりしいお顔を見せてください。 + 小ぎつねがぶどう園を荒らし回っています。捕まえてください。ぶどうの木は花ざかりなのですから。 + 私の愛する方は私のもの、私はあの方のもの。あの方は、ゆりの花の間で羊の群れを飼っています。 + ああ、お慕いしてやまない方、夜が明け、影が消える前に、私のところへ来てください。帰って来て、険しい山の上のかもしかや、若い雄鹿のようになってください。」 + + + [おとめ]「ある夜のこと、恋人は私のベッドから姿を消してしまいました。私は起きて捜しましたが、見当たりません。 + 通りへ出て夢中で捜しましたが、どこにもいないのです。 + 途中、警備の人に呼び止められたので、『どこかで、私が心から愛している方を見かけませんでしたか』と尋ねてみました。 + それからほんの少しして、あの方は見つかりました。私はうれしくて、あの方をしっかりつかまえ、実家へお連れして、母の古い寝室へ案内しました。 + エルサレムの娘さん、あなたがたに、かもしかや野の鹿を指して誓ってもらいたいのです。私の恋人を起こさないでください。十分に寝かせてあげてください。」 + [エルサレムの若い娘たち]「没薬や香料、そのほか手に入る限りの香りのあるものを漂わせながら、煙のように荒野から上って来る人はだれでしょう。 + ごらんなさい。あれは六十人のえりぬきの勇士に守られた、ソロモン王のみこしです。 + みな腕の立つ兵士で、経験を積んだ護衛の者たちです。めいめい、夜襲に備えて王を守るため、腰に剣を下げています。 + みこしは、王がレバノンの木で特別にあつらえたものです。 + その支柱は銀、天蓋は金、座席は紫のカバーがかかっています。背当てには、『エルサレムの娘たちから愛を込めて』という文字がちりばめてあります。」 + [おとめ]「シオン(エルサレム)の娘さん、さあ、ソロモン王を見に出かけなさい。王の喜びの結婚式の日に、母上がじきじきにかぶせたという冠を見てごらんなさい。」 + + + [ソロモン王]「愛する人よ。あなたはなんと美しいのだろう。私は全く心を奪われてしまっている。その鳩のような目がきれいだ。あなたの顔にかかる髪は、ギルアデの山腹を跳ね回るやぎの群れのようだ。 + あなたの歯は、毛を刈って体を洗ってもらったばかりの羊の群れのように真っ白で、きれいな歯ならびだ。 + くちびるは赤い糸のようで、かわいらしい口もとが魅力的だ。巻き毛のかかる頬は愛らしく、ふくよかだ。 + 首は、千人の英雄の盾で飾られたダビデのやぐらのようにしっかりしている。 + 二つの乳房は、ゆりの間で草を食べているふたごの子鹿のようだ。 + 夜が明け、影が消えるまでに、私は没薬の山、香料の丘に行っていよう。 + 愛する人よ。あなたのすべてが美しい。あなたには何の汚れもない。 + 花嫁よ、私といっしょにレバノンから来なさい。山の頂上から、ヘルモン山の頂から見下ろしてみよう。そこにはライオンのほら穴があり、ひょうがうろついている。 + 美しい花嫁よ。あなたは私をとりこにしてしまった。あなたのただ一度のまなざしと、首飾りのただ一つの宝石で、私はすっかり心を奪われてしまった。 + いとしい花嫁よ。あなたの愛はなんと甘いことか。ぶどう酒も比べものにならない。あなたの愛の香水は、最高の香料よりかぐわしい香りを放っている。 + いとしい人よ。あなたのくちびるは、はちみつでできている。舌の裏にはみつとクリームがある。あなたの服は山やレバノン杉の香りがする。 + 私のいとしい花嫁は、ほかの人の入れない庭園、私だけの泉だ。 + あなたはまるで最高の実の取れる、すばらしい果樹園のようだ。そこでは、ナルド、サフラン、しょうぶ、シナモン、没薬、アロエをはじめ、さまざまな最上の香料が取れる。 + あなたは庭園の泉、湧き水の井戸で、レバノンの山々から流れ落ちる冷たい水のように、私をさわやかな気分にしてくれる。」 + [おとめ]「北風よ、さあ吹いておくれ。南風よ、私の庭に吹いて、愛する方のもとに香りを届けておくれ。あの方がご自分の庭に来て、最上の実を召し上がるように。」 + + + [ソロモン王]「いとしい花嫁よ。さあ私は、自分の庭園にやって来た。私は没薬と香料を集め、はちの巣からみつを取って食べ、ぶどう酒とミルクを飲んでいる。」[エルサレムの娘たち]「愛する方たちよ、食べて飲んでください。十分に飲んでください。」 + [おとめ]「ある夜のことです。眠っているとき、夢の中で愛する方の声が聞こえました。あの方は、私の寝室のドアをたたいていました。『いとしい人、私の恋人、私のかわいい鳩よ、開けておくれ。夜通し外にいたので、すっかり露にぬれてしまった。』 + 私は答えました。『もう寝間着を着てしまったのに、また着替えるのですか。足も洗ったので汚したくありません。』 + それでも、愛する方が鍵を開けようとするのを見て気の毒になり、 + 私は跳び起きて、ドアを開けました。かんぬきの取っ手を引いたとき、私の手から香水が、指からかぐわしい没薬の液がしたたり落ちました。 + ところが、せっかくお開けしたのに、もうあの方の姿は見えません。私は心臓の止まる思いでした。どんなにあちこち捜しても、あの方は見当たらないのです。必死にお呼びしても返事はありません。 + 私は警備の人に見つかり、たたかれました。城壁の見張りにはベールをはぎ取られました。 + エルサレムの娘さん、どうか誓ってください。私の愛する方を見かけたら、私が恋の病をわずらっていると伝えてほしいのです。」 + [エルサレムの娘たち]「女性の中で一番美しい人よ。私たちにそれほどまでに頼み込むだれよりもすてきな人とはどんなお方ですか。」 + [おとめ]「私の愛する方は日焼けして魅力的で、ほかのどの男の方よりすてきです。 + 頭は純金、黒い髪はウェーブがかかっています。 + 目は流れのほとりにいる鳩のようで、穏やかに輝き、深く澄んでいます。 + 頬はかぐわしい香料の花壇、くちびるはゆりの花、息は没薬のようです。 + 腕はトパーズをはめ込んだ丸い金の棒。体は宝石をちりばめた光沢のある象牙。 + 足は純金の台座にすえられた大理石のようで、レバノン杉のようにたくましいのです。あの方にまさる人はいません。 + あの方のことばは、うっとりするほどです。あの方のすべてがすてきなのです。エルサレムの娘さん。これが私の愛する方、私の恋人です。」 + + + [エルサレムの娘たち]「だれよりも美しい人よ。あなたの愛する人はどこへ行ったのですか。その方を捜してあげましょう。」 + [おとめ]「あの方は、ご自分の庭園、香料の花壇へ行きました。羊の群れを飼い、ゆりの花を集めるためです。 + 私は愛する方のもの、愛する方は私のもの。あの方は、ゆりの花の間で羊の群れを飼っています。」 + [ソロモン王]「愛する人よ。あなたは眺めのよいティルツァ(サマリヤの東にある町)のように美しく、エルサレムのように愛らしい。あなたは私をとりこにした。 + そんなに見つめないでくれ。あなたの目に、吸い込まれてしまいそうだ。あなたの顔にゆれる髪は、ギルアデの山腹を跳びはねて降りて来るやぎの群れのようだ。 + 歯は、体を洗い流したばかりの雌羊のように、真っ白で、きれいな歯ならびだ。 + 髪の毛のかかる頬はなんともかわいらしい。 + 私には、王妃が六十人、そばめは八十人、おとめたちは数知れずいる。 + だが、あなたのような完全な女性は、ただの一人もいない。エルサレムの女たちは、あなたを見て歓声を上げた。王妃やそばめたちでさえ、あなたをほめそやした。 + 『夜明けのように上ってきて、月のようにおしとやかな、太陽のように明るい、私たちを魅了してしまうこの方は、いったいだれですか』と。」 + [おとめ]「私はくるみ林と谷へ行ってみました。春の訪れを知りたかったからです。ぶどうの木が芽を吹いたか、もう、ざくろの花が咲いたかを見に。 + でも、いつしか生まれ故郷がたまらなく恋しくなり、帰りたくなりました。」 + [エルサレムの娘たち]「シュラムの娘さん、帰って来てください。私たちのところへ戻って来てください。もう一度、あなたの顔を見たいのです。」[おとめ]「どうして、ただのシュラムの女を、そんなに見たいのですか。」[ソロモン王]「それは、あなたが見事な舞を見せるからだ。」 + + + [ソロモン王]女王のような高貴な人よ。軽やかに歩くあなたの足はなんと美しいことか。丸くてふっくらしたももは、名人が磨き上げた宝石のようだ。 + あなたのほぞは、ぶどう酒をなみなみとつぐ器のように愛らしい。腰は、ゆりの花をあしらった小麦の山のようだ。 + 乳房は、ふたごの子鹿のようにかわいらしい。 + 首は、象牙の塔のように形がよく、なめらかで、目はバテ‧ラビムの門のほとりにあるヘシュボンの池のように澄んでいる。鼻は、ダマスコを見下ろすレバノンのやぐらのように、形がよく、筋が通っている。 + カルメル山が山々の冠となってそびえているように、あなたの髪はあなたの冠だ。私は、その豊かな髪のとりこになってしまった。 + ああ、あなたはなんとすてきな人なのだろう。そばへ行くだけで、すっかり夢中になる。 + あなたはやしの木のように背が高く、ほっそりしている。乳房はなつめやしの房のようだ。 + 私は言った。やしの木によじ登って、枝をつかもう。あなたの乳房はぶどうの房のよう、あなたの口の匂いはりんごの香りのようであればいい。 + あなたの口づけは、最上のぶどう酒のようにすばらしく、なめらかで甘く、眠っている者のくちびるを開かせる。」 + [おとめ]「私は愛する方のもの、あの方の望みどおりの者。 + 私の愛する方、さあ、野原へ出かけ、村にしばらく滞在しましょう。 + 早起きしてぶどう園へ行き、ぶどうの木が芽を出したか、花が咲いたか、ざくろの木が花をつけたかを見てみましょう。そのぶどう園で、私の愛をあなたにささげます。 + そこでは恋なすびが香りを放ち、私たちの門のそばには、古いのも新しいのも取り混ぜた最高の果物があります。それは私の愛する方のために、わざわざたくわえておいたものです。」 + + + [おとめ]「ああ、あなたが私のお兄さんだったらいいのに。そうしたら、あなたに口づけしているのをだれに見られても笑われませんから。 + あなたを実家にお連れして、そこでいろいろ教わりたいことがあるのです。また、香料を混ぜたぶどう酒、甘いざくろの果実酒を差し上げたいのです。 + あの方の左手が私の頭の下にあり、私を右手でしっかりと抱いてくださるとよいのに。 + エルサレムの娘さん、どうか、あの方が十分に眠るまで起こさない、と誓ってください。」 + [エルサレムの娘たち]「愛する人に寄りかかって、荒野から上って来るのはだれでしょう。」[ソロモン王]「あなたの母が産みの苦しみをして、あなたを産んだりんごの木の下で、私はあなたの愛を呼び起こした。」 + [おとめ]「私をあなたの心に刻みつけて、どんなことがあっても見捨てないでください。愛は死のように強く、ねたみは地獄のようにきびしいからです。それは炎となって輝く、主の炎です。 + どんなに水をかけても、愛の炎を消すことはできません。洪水も、それを押し流すことはできません。たとえ全財産をはたいてその愛を買おうとしても、買うことができません。」 + [おとめの兄弟たち]「私たちには、まだ乳房がふくらんでいない妹がいます。だれかが彼女に結婚を申し込んだらどうしよう。」 + 「彼女が純潔なら、励ましてあげよう。しかしだらしないなら、男たちから切り離そう。」 + [おとめ]「私は純潔です。もう乳房は成熟しています。そのため、愛する方の目にとまり、かわいがってもらいました。 + 王様はバアル‧ハモンにぶどう園を持っています。それを土地の使用人に、めいめい銀貨千枚で貸しています。 + でも、王様。私のぶどう園の場合は、王様には銀貨千枚を差し上げ、管理人には銀貨二百枚ずつを払います。 + 庭園に住んでいる私の愛する方。お仲間は、あなたの声に聞きほれています。私にもぜひ聞かせてださい。 + 愛する方、早く来て、険しい山の上のかもしかや、若い雄鹿のようになってください。」 + +
+
+ + ユダの王のウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に、アモツの子イザヤに幻の中で神から与えられたことば。その中で、神はイザヤに、ユダ王国と首都エルサレムがどうなるかを示しました。 + 天も地も、耳をすまして主の告げることばを聞きなさい。「長い間かけて育て、世話をしてきた子どもたちがわたしに逆らった。 + 犬や猫でさえ飼い主の顔を覚えていて、その恩に感謝するというのに、わたしの民イスラエルは違う。どんなに尽くしても、知らん顔なのだ。 + なんと罪深い民だろう。罪の重さに耐えかね、前かがみで歩いている。彼らの先祖も悪い者だった。彼らは生まれながらの悪人で、わたしに背き、わたしをさげすんだ。自分から、わたしの助けを断わったのだ。 + ああ、わたしの民よ。おまえたちはもう十分に罰を受けたではないか。それなのになぜ、なおもわたしにむちで打たれようとするのか。いつまでも反逆するつもりか。からだ全部が病気にかかり、弱り果て、今にも倒れそうではないか。全身切り傷と打ち身だらけで、傷口はひどく化膿している。しかも、薬はおろか包帯も巻いてもらえない。 + 国は荒れ放題、町々は焼け落ちた。外国人がおまえたちの見ている前で、目につく物を手当たりしだい破壊し、略奪している。 + しかし、おまえたちは取り残され、ただ呆然と眺めるだけだ。収穫期の終わったあとの番小屋、荒れた畑の掘っ立て小屋のように、だれからも捨て置かれている。」 + もし天の軍勢の主が介入して、わずかに生き残った私たちを救ってくれなかったら、私たちはソドムやゴモラ(悪行のために神に滅ぼされた町)の住民のように全滅していただろう。 + さあ、聞きなさい。ソドムとゴモラのようなイスラエルの指導者と住民ども。主が語ることを聞きなさい。 + 「おまえたちのいけにえなど、もううんざりだ。これ以上わたしのところへ持って来るな。丸々太った子羊もいらない。おまえたちの供え物からしたたる血など見たくもない。 + 罪を悔いていない者のいけにえなど欲しくもない。おまえたちのたく香は、匂いをかぐだけで胸がむかつく。新月や安息日の儀式、それに、おまえたちが最もおごそかな行事だという特別の断食も、すべてまやかしだ。これ以上、そんなものにわずらわされたくない。 + わたしは嫌気がさしている。見ただけでも気分が悪くなるのだ。 + これからは、手を天に差し伸べて祈っても無駄だ。目を閉じ、耳をふさぐ。どんなに祈っても、わたしは聞かない。おまえたちの手は人殺しの手で、罪のない犠牲者の血がこびりついているからだ。 + 身を洗いきよめなさい。もうこれ以上、悪い行いをわたしに見せるな。悪の道ときっぱり縁を切るのだ。 + 正しいことに打ち込み、貧しい人やみなしご、気の毒な未亡人を助け、人並みに扱いなさい。」 + 主はこうも告げます。「さあ、語り合おう。おまえたちの罪のしみがどんなに頑固でも、わたしはそれをきれいにし、降ったばかりの雪のように真っ白にする。たとい紅のような真っ赤なしみでも、羊毛のように白くする。 + 喜んでわたしの助けを求め、わたしに従いさえすれば、おまえたちを富む者にしよう。 + だが、わたしに背き、言うことを聞かないままでいるなら、おまえたちは敵の手にかかって殺される。主であるわたしがこう言うのだ。 + エルサレムよ。一度はわたしの貞淑な妻であったおまえが、今では娼婦になり下がり、ほかの神々に夢中になっている。一度は『紳士の都』と呼ばれたのに、今では人殺しのならず者だ。 + 以前は、混じり物のない銀のようだったのに、今では安っぽい金属が混ざっている。以前は純粋そのものだったのに、今では混ざりもののぶどう酒のようになってしまった。 + 指導者たちは謀反人、どろぼうの仲間で、だれもかれもわいろを取り、未亡人やみなしごの肩をもたない。」 + だからイスラエルの全能の神よ、天の軍勢の主は告げます。「わたしは、敵となったおまえに怒りをぶちまける。 + この手でおまえを溶鉱炉にぶち込み、溶かし、金かすを取り除く。 + こうしていつか、以前いたようなりっぱな裁判官や助言者たちを与えよう。そうすれば、エルサレムはまた『正義の都』『忠実な町』と呼ばれるようになる。 + 神のもとに帰る正しい者は罪を免れる。 + だが罪人は、最後の一人まで滅び去る。わたしのところへ来ようとしないからだ。 + おまえたちは恥ずかしくてたまらなくなる。おまえたちにとって神聖だった樫の木立で、偶像にいけにえをささげた時を思って赤面する。 + まるで枯れ木か水のなくなった庭園のように、見る影もなくなる。 + 勇士も燃えるわらのように姿を消す。悪の火花がわらに燃えつき、いったん燃え上がったらだれも消せない。」 + + + ユダ王国とエルサレムについて、主からイザヤに別のことばがありました。 + 終わりの時代には、だれもが、一度はエルサレムと神の神殿に行ってみたいと思うようになります。世界各地から多くの民が、主を礼拝しに詰めかけます。 + そして彼らは言います。「さあ、主の山へ登ろう。イスラエルの神の神殿に行くのだ。そこで主の教えを習おう。私たちはそれに喜んでお従いしたい。」その時代になると、世界の支配権はエルサレムへ移ります。 + 主が国家間の紛争を解決するのです。世界中で、武器を平和の道具に作り直します。その時になって初めて、いっさいの戦争は終わりを告げ、いっさいの軍事訓練が不要になるのです。 + イスラエルよ、さあ主の光の中を共に歩み、主の教えに従うのです。 + 主はあなたがたを捨てました。あなたがたがペリシテ人の習慣にならい、魔術や悪魔礼拝をする東方の外国人を迎えたからです。 + イスラエルは金や銀に満ち、馬や戦車も数知れません。 + そのうえ国中に偶像があふれています。人間が造った像を拝んでいるのです。 + 地位のある人もない人も、だれもが偶像を拝んでいます。こんな罪を、神は決してお赦しになりません。 + 洞穴にもぐり込み、主のまばゆいばかりの威光から身を隠しなさい。 + 身のほど知らずの思い上がりが、打ち砕かれる日がきたからです。たたえられるのはただ主だけです。 + その日には、天の軍勢の主はおごり高ぶる者にいどみかかり、ちりの中でひれ伏させます。 + レバノンの高くそびえる杉とバシャンの樫の大木は、難なくへし折られ、 + すべての高い山と丘も、 + 高い塔と城壁も、 + 誇らしげに波を砕く外航船も美しく装った内航船も、その日にはみな、主の前で無残に壊されます。 + 全人類の栄光は輝きを失い、その誇りも地に落ち、ただ主だけがたたえられるのです。 + すべての偶像は壊され、影も形もなくなります。 + 主が御座から立ち上がって地を揺るがすとき、敵どもはおじ気づき、威光を恐れて洞穴や洞窟に逃げ込みます。 + その時彼らは、金や銀で造った偶像をもぐらやこうもりに投げ与えます。 + こうして崖の上の岩の裂け目に隠れ、身震いするような主の御姿と、地を恐怖に陥れる威光から、少しでも遠ざかろうとするのです。 + 息のようにはかなく、あわれな人間よ。そんな人間を絶対に信頼してはいけません。 + + + 天の軍勢の主は、エルサレムとユダ王国の食糧と水の補給路を断ち、 + 指導者たち、軍隊、裁判官、預言者、長老、将校、 + 実業家、法律家、魔術師、政治家を取り去ります。 + 若者がイスラエルの王になり、稚拙な政治をします。 + そのため手のつけられない無政府状態となり、だれもが人を踏みつけ、隣人同士で牙をむき合い、権威に反抗し、身分の低い者が高貴な人をあざ笑うようになります。 + そのとき人は、兄弟にすがって哀願します。「おまえには余分の着物があるではないか。王になって、この混乱した社会を何とかしてくれないか。」 + ところが、相手は口をとがらせるばかりです。「私は何の助けにもならない。着物も食べ物も余分にはない。巻き添えにしないでくれ。」 + イスラエルが落ちぶれたのは、ユダヤ人が主に背を向け、主を礼拝しようとしなかったからです。彼らは主の栄光に逆らいました。 + 彼らの顔つきが心の内をさらけ出し、罪があることを物語っています。おまけに、自分たちの罪はソドムの住民の罪に匹敵することを誇り、恥ずかしいなどと少しも思っていません。なんという絶望的な状況でしょう。自分で自分の滅亡を決めてしまったのです。 + しかし神を敬う人は、何もかもうまくいきます。そういう人には、「すばらしい報いがある」と励ましなさい。 + 悪者には、「あなたにもふさわしい報いがある。あなたは今に恐ろしい刑罰を受けるだろう」と言いなさい。 + かわいそうな民よ。支配者がどんなにあなたがたを惑わしているか、わからないのですか。女のように弱く、子どものように愚かな者が、王のまねごとをしているのです。それで指導者といえるのでしょうか。彼らはあなたがたを滅びへと真っさかさまに突き落とす者たちです。 + 主は立ち上がります。検察官として、自分の民の起訴状を読み上げます。 + 真っ先に主の怒りに触れるのは、長老や重臣です。彼らは貧しい人から力ずくで巻き上げ、力のない小作人から取り上げた穀物で、倉をいっぱいにしました。 + 天の軍勢の主は、「どうしてわたしの民をこんなに踏みにじったのか」と、彼らを責めます。 + 次に主は、高慢なユダヤの女たちをさばきます。彼女たちは気取って歩き、鼻をつんと高くし、くるぶしの飾り輪を鳴らし、男の気をひこうと人ごみの中で流し目を使います。 + 主はその頭をかさぶただらけにし、裸にして人々のさらし者にします。 + 彼女たちはもう二度と、これ見よがしに外を歩けません。美しい化粧や装飾品、 + ネックレス、腕輪、それにストールはみな、はぎ取られるからです。 + スカーフ、くるぶしの飾り輪、ヘア‧バンド、イヤリング、香水、 + 指輪、宝石、 + 夜会服、チュニック‧コート、ケープ、彫り物のついたくし、さいふ、 + 鏡、美しい肌着、高価なドレス、ベールなどもなくなります。 + 彼女たちから香水の香りは消え、吐き気をもよおす匂いがただよいます。きれいにセットした髪は抜け落ち、帯の代わりに荒なわをしめ、夜会服の代わりに麻袋を着ます。美貌は失われ、あるのは恥と屈辱だけです。 + 夫たちは戦いに倒れ、何もかも失って、座り込んで泣くのです。 + + + その時、生き残りの男は数えるほどしかいません。そこで、七人の女が一人の男を奪い合います。「食べる物や着る物は何とかしますから、どうか私たち全員と結婚してください。あなたの名で呼ばれるようになればよいのです。あざけりの目で見られるのはいやです。」 + 滅びゆくエルサレムと運命を共にしないように、名前を書き記された人の汚れは洗いきよめられ、不道徳のしみも火で焼かれます。その人たちは、神のきよい国民となるのです。それだけでなく、地は黄金色の穂波と、みずみずしい果物を実らせます。 + その時、主はイスラエル中の家と会合の場所に、昼は煙と雲の覆いをかけ、夜は火の雲の覆いをかけて、栄光の国を、 + 日中の暑さや風雨から守ります。 + + + さあ、私の愛する方のために、ぶどう園の歌を歌いましょう。私の愛する方のぶどう園は、よく肥えた丘の上にありました。 + その方は畑を十分に耕し、石ころを全部取り除き、最上のぶどうの木を植えました。見張り台を建て、岩を掘って酒ぶねを造り、収穫期を楽しみに待ったのです。ところが、実ったぶどうは野生ですっぱく、全くの期待はずれでした。 + 「エルサレムとユダ王国の者たちよ。このような訴えがなされた。あなたが裁判官だ。 + わたしはこのうえ、いったい何ができよう。ここまでしたのに、なぜわたしのぶどう園は甘いぶどうではなく、野生のぶどうを実らせたのか。 + さくを壊し、ぶどう園を牧場にして、家畜や羊の踏みにじるままにするほかない。 + 枝を下ろしたり雑草を除いたりせず、いばらのはびこるままにしておこう。もう二度と雨を降らせないよう、雲に命じよう。」 + このぶどう園というのは神の民のことです。イスラエルとユダは、神のお気に入りの土地でした。神はそこが正義の国となるのを期待していたのに、実際に目にしたのは流血でした。正しいことが行われるようにと願っていたのに、実際に耳にしたのは、しいたげられた人たちの叫びでした。 + 土地はどんどん買い占められ、住む所さえない人が大ぜいいました。それなのにあなたがたは、広々とした土地の真ん中に大邸宅をかまえ、まるでこの地は全部自分のものだと言わんばかりの顔をしています。 + しかし、それも今のうちです。天の軍勢の主は、あなたがたがきっと恐ろしい目に会うと予告しています。「多くの美しい邸宅が荒れ果て、そこに住む者は殺されるか、行方不明になる」と告げるのを、この耳ではっきり聞きました。 + 十ツェメド(十組の牛が一日で耕す面積)のぶどう園から、たった一バテ(二十三リットル)のぶどう汁も取れず、一ホメル(二百三十リットル)の種をまいても、たった一エパ(二十三リットル)の収穫しかありません。 + 朝早くから夜ふけまで酒をあびる者は、必ず災難に会います。飲んだくれはひどい目に会います。 + あなたがたの豪勢な宴会には心地よい音楽が流れ、雇った音楽隊も一流のものです。ところが主のことは頭にありません。 + 「だから、おまえたちを捕虜として遠い国へ連れて行く。おまえたちは、わたしにどんなによくされたか知りもせず、心にも留めていない。大いに尊敬される者さえ飢え、庶民は飲む水もなく、渇きで死ぬ。」 + 地獄は、エルサレムという、おいしそうなごちそうを前にして舌なめずりし、その市民を飲んだくれた群衆もろとものみ込みます。 + その日には、傲慢な者もちりの中にひれ伏し、尊大な者も腰を低くします。 + 天の軍勢の主だけが、ひときわたたえられるのです。きよく正しい方は主だけだからです。 + その時、廃墟の中では家畜の群れが草を食べ、子羊と子牛、子やぎがたわむれます。 + 雄牛に綱をつけて引くように自分の罪を引きずり歩く者はひどい目に会います。 + イスラエルのきよい神さえさげすみ、罰を受けることなど平気だという顔で言うのです。「主よ、罰するなら早く罰してください。あなたの力のほどを拝見したいものです。」 + 彼らは白を黒、黒を白と言い、苦いものを甘い、甘いものを苦いと言い張ります。 + 自分には知恵があると思い、利口ぶる者は、ひどい目に会います。 + 酒ならだれにも負けないと豪語する者も同じです。 + 彼らはわいろをもらって正義を曲げ、悪者を保釈して罪のない者を牢にたたき込みます。 + それゆえ神は彼らをきつく罰し、火で焼くのです。彼らはわらのように、あっという間に燃え尽きます。その根はたちまち腐り、花はしぼみます。主の教えを捨て、イスラエルのきよい神のことばを軽んじたからです。 + だからこそ、主はイスラエルに向かって怒りを燃え上がらせ、御手を下して彼らを打ったのです。丘々は震え、人々のしかばねがごみのように町の中に捨てられます。それでもまだ神の怒りが収まったわけではありません。御手はなおも重くのしかかります。 + 神が遠く離れた国々に合図を送り、地の果ての人たちを笛で呼ぶと、彼らはエルサレムへなだれ込みます。 + 彼らは全く疲れを知らず、つまずいたり立ち止まったりしません。腰のベルトはきつく締まり、くつひもも丈夫で切れません。休むことも眠ることもなく走り続けます。 + その矢じりは研ぎすまされ、弓はいっぱいに張られ、馬のひづめは火花を散らし、戦車の車輪は風車のように回ります。 + 彼らはライオンのようにほえ、獲物に襲いかかってわたしの民をつかまえ、捕虜として連れ去りますが、誰ひとり彼らを救い出す者はいません。 + 海鳴りのようなうなり声とともに、犠牲者を、ひと呑みにします。イスラエル中が絶望のやみと悲しみに沈み、空は暗黒になります。 + + + ウジヤ王の死んだ年に、私は主を見ました。主は高い御座に座っていましたが、神殿は栄光で満ちあふれていました。 + 神の回りを、三対の翼のあるセラフィム(人間の罪をきよめる天使)が舞っていました。セラフィムは一対の翼で顔を覆い、一対で両足を覆い、残りの一対で飛んでいます。 + セラフィムは互いに歌いました。「聖なる、聖なる、聖なるお方。それは天の軍勢の主。全地は主の栄光で満ちている。」 + このすばらしい合唱のために神殿は土台から揺らぎ、聖所はたちまち煙でいっぱいになりました。 + 私は恐ろしくなって、思わず叫びました。「もうおしまいだ。口の汚れた罪深い民に属する口の汚れた私が、天の軍勢の主である王を見てしまったのだから。」 + すると、セラフィムの一人が祭壇へ飛んで行き、燃える炭を火ばさみでつまみ、 + その炭を私のくちびるにつけて言いました。「さあ、これであなたは罪がないと宣言された。この炭がくちびるに触れたからだ。あなたの罪はすべて赦された。」 + 続いて主の声がしました。「だれをわたしの民への使いとしよう。だれが行ってくれるだろうか。」「主よ、私が行きます。私を使いに出してください。」 + 「では行って、こう言うのだ。『おまえたちは、わたしのことばを何度も聞くが、悟ることがない。わたしが奇跡を行うのを何度見ても、それが何を意味するのか理解することができない。』 + 彼らの理解力をにぶらせ、耳を閉じ、目を見えないようにしなさい。彼らには、見たり聞いたり悟ったり、また病気を治してもらったりするために、わたしのもとに戻ってほしくないのだ。」 + 「主よ、人々があなたに聞きたいと思うようになるまで、どのくらいの年月が必要でしょうか」と私が言うと、主は答えました。「町々が破壊され、住む者もいなくなり、国中が荒れ果て、 + すべての者が遠い外国へ奴隷となって連れ去られ、イスラエル全土が荒野となる時までだ。 + それでもなお民の十分の一は残る。イスラエルは何度も侵略され、戦火に見舞われる。しかし、切り倒されてもなお新芽を出す切り株のように、必ず立ち直る。」 + + + ヨタムの子で、ウジヤ王の孫に当たるアハズ王が治めている時、エルサレムはシリヤの王レツィンと、レマルヤの子であるイスラエルの王ペカの攻撃を受けました。幸いエルサレムは占領されず、無事でした。 + ところが、「シリヤとイスラエルが連合して攻めて来る」という情報が伝わると、王も民も震え上がり、暴風に揺さぶられる木々のようにおびえました。 + その時、主はイザヤに命じました。「息子のシェアル‧ヤシュブを連れて、アハズ王に面会を求めなさい。王は今、ギホンの泉から布さらしの野に通じる道の近くにある、上の貯水池へと向かう上水道の端にいる。 + 会って、『心配するな』と伝えるのだ。『すでに勢いを失っているレツィンとペカが怒りを燃やしているからといって、怖がることはない』と言って聞かせるのだ。 + 確かに、シリヤとイスラエルの王は攻めて来る。彼らはこう言うだろう。 + 『さあ、ユダに攻め上ってかき乱そう。それから一気にエルサレムへ進撃し、タベアルの子を新しい王にしよう。』 + だがわたしは断言する。この計画は成功しない。 + ダマスコはシリヤの首都で終わり、レツィン王の領土はこれ以上増えないからだ。またイスラエルも、六十五年以内に跡形もなくなる。 + サマリヤはイスラエルだけの首都で終わる。ペカ王の勢力が拡大することはない。わたしのことばを信じることができるか。わたしに守ってほしければ、わたしの言うことを素直に信じるのだ。」 + それからまもなく、主はアハズ王に告げました。 + 「アハズよ、わたしはおまえの敵を粉砕すると言った。この約束の確かなしるしを求めよ。天でも地でも、望みどおりのものを。」 + 「とんでもないことです。そんなことで主を煩わすことなどできません。」王は首を振りました。 + その返事を聞き、イザヤは言いました。「ダビデの家よ。あなたがたは私の忍耐を切らせるだけで満足せず、神の忍耐まで切らせようとするのですか。 + それならそれでいいでしょう。しるしは主が決めます。見ていなさい。処女が男の子を産みます。彼女は生まれた子にインマヌエル(「神が私たちとともにいる」の意)という名前をつけます。 + その子が乳離れして、正しいことと悪いことの区別を知るまでには、あなたがたが怖がっているイスラエルとシリヤの王は二人とも死にます。 + しかし安心はできません。やがて、あなたとあなたの民とあなたの父の家に、恐ろしいのろいが下ります。ソロモンの王国がイスラエルとユダに分かれて以来、一度もなかった恐怖が襲います。アッシリヤの大王が大軍を率いて押し寄せるのです。 + その時になると、神はエジプトとアッシリヤの軍隊に合図します。彼らははえのように群がり、はちのように襲いかかって、あなたがたを刺し殺します。 + 国中至るところに攻め入り、よく肥えた地だけでなく、人家のない谷や洞穴、いばらだらけの地までも侵略します。 + その日には、あなたが援軍として雇ったアッシリヤ人は、神の手に握られたかみそりとなり、土地も作物も人も、あなたがたのものを全部そり落とします。 + 略奪を終えた時には、国土は牧草地に変わり果てているでしょう。家畜の群れは手当たりしだいに殺されるので、一頭の牛と二匹の羊が残っているだけでも、幸運な人と呼ばれます。それでも牧草はあり余るほどあるので、乳をたっぷり生み出し、生き残った者は凝乳と野生のはちみつを常食にします。 + 豊かなぶどう園は、いばらの生い茂る雑草地となり、 + 全土が巨大ないばらの野、野獣の跳びはねる狩猟地となります。 + 以前はよく耕されていた土壤の肥えた山腹もいばらに覆われ、だれも寄りつかなくなります。ただ牛や羊が草を食べに来るだけです。」 + + + 神はまた、私に命じました。「大きな看板を作り、やがて授かる子どもの名を、だれもが読めるように書きなさい。名前はマヘル·シャラル·ハシュ·バズ。『敵はまもなく滅びる』という意味だ。」 + 私は祭司ウリヤとエベレクヤの子ゼカリヤに頼んで、証人になってもらいました。まだ子どもの生まれないうちに、確かに私がこのことを書いた、と証言してもらうためです。 + やがて妻はみごもり、男の子を産みました。その時、主の声が響いてきました。「この子をマヘル‧シャラル‧ハシュ‧バズと呼べ。 + この名は、この子が『お父さん』『お母さん』と言うようになるまでの数年のうちに、アッシリヤ王がダマスコ(シリヤ)とサマリヤ(イスラエル)を侵略し、金銀財宝を奪い去ることを予告している。」 + 主はさらに続けました。 + 「エルサレムの住民は、わたしが親身に世話をしたのに見向きもせず、レツィン王とペカ王が、助けに来てくれないかと、やっきになっている。 + だからわたしは彼らの上に、ユーフラテス川の大洪水をもたらそう。アッシリヤ王が大軍を率いて彼らに襲いかかる。ああ、インマヌエル。この洪水は、おまえたちユダ王国に堰を切ったように流れ込み、端から端まで水浸しにする。」 + シリヤもイスラエルもほかの国々も、悪の限りを尽くしてみるがよい。だが、そんな計画が成功するはずはない。必ず計画倒れになる。さあ敵どもよ、私の言うことを聞け。私たちに戦争をしかけてみよ。そして滅ぶがいい。参謀を呼び集め、緻密な作戦を立て、抜かりなく攻撃準備を整えよ。そして滅ぶがいい。私たちには神がついている。 + 主はきびしく命じました。「どんなことがあっても、シリヤとイスラエルに降伏しようという計画に乗るな。 + 神に忠実であることで同胞から裏切り者呼ばわりされるのを恐れるな。人々はシリヤとイスラエルが攻めて来るというので恐れているが、あなたはあわてふためいてはならない。 + 天の軍勢の主のほかは、だれをも恐れてはならない。わたしだけを恐れていれば、誰ひとりとして怖くないはずだ。 + おまえの安全は、わたしが保証する。ところがイスラエルとユダは、わたしの守りを拒んだために、救いの岩につまずき、倒れて下敷きになった。わたしが彼らとともにいたことがかえって彼らに危害を及ぼすことになった。 + これからわたしのしようとしていることを残らず書き留め、将来のために封をしておけ。神を敬う者に託して、のちの時代の神を敬う者らに渡してもらうのだ。」 + 主は今姿を隠していますが、私は主の助けを信じて、ひたすら待ち望みます。主だけが私の希望です。 + 私の名も、神が授けてくれた子どもたちの名も、みな天の軍勢の主の計画を暗示しています。イザヤというのは「神はご自分の民を救う」、シェアル‧ヤシュブは「残りの民が帰って来る」、マヘル‧シャラル‧ハシュ‧バズは「敵はまもなく滅びる」という意味です。 + だというのに、なぜあなたがたは魔術師や霊媒師などに相談し、将来どんなことが起こるかを知ろうとするのですか。彼らのささやきや呪文を聞いてはなりません。そもそも生きている者が、死んだ人間から将来のことを聞き出せるものでしょうか。知りたかったら、どうして神に直接尋ねないのですか。 + 神はこのように語ります。「魔術師どものことばを、神のことばと比較してみよ。彼らの言うことは、わたしの言うことと違うが、それは彼らがわたしの使者ではないからだ。彼らには真理の光などない。 + わたしの民は捕虜となり、飢えて弱り果て、つまずきよろけながら連れ去られる。空腹のあまりうわ言をいい、天に向かってこぶしを振り、王と神をのろう。 + どこを見ても、目につくものは苦しみと悩みと暗たんとした絶望だけだ。こうして彼らは暗闇の中に追いやられる。」 + + + しかしながら、暗闇と絶望の時代は、いつまでも続くわけではありません。もうすぐ、ゼブルンの地とナフタリの地は神からの辱しめとさばきを受けますが、将来は、海沿いの道、外国人の住むガリラヤ、ヨルダン川の東の地は、神の栄光でまぶしいほどになります。 + 暗がりを歩いていた人たちは大きな光を見ます。それは、死の陰の地に住んでいた者を照らす光です。 + イスラエルはもう一度、偉大な民族となり、収穫期を迎えた農夫のような喜びにあふれ、分捕り物を山分けする者のように喜びに満たされます。 + 神は、ギデオンのわずかな部下でミデヤン人の大軍を破った時のように、ご自分の民をつないでいる鎖を壊し、懲らしめの鞭をへし折るのです。 + すばらしい平和の時代が訪れ、軍靴や血にまみれた軍服はみな焼き捨てられます。 + 一人の男の子が私たちのために生まれます。その肩にすべての主権が与えられ、その子は、「すばらしい助言者」「全能の神」「永遠の父」「平和の君」と呼ばれます。 + その主権は増し、平和は絶えることがありません。彼はダビデの王座につき、世界のすべての国々に真の正義と平和をもたらします。天の軍勢の主の熱意で、このことは必ず実現します。 + われわれの国は廃墟となったが、やがて、前よりりっぱに再建してみせると言う、大ぼら吹きのイスラエルを主はたしなめます。いちじく桑の木は切り倒されたが、代わりに杉の木を植えようと、イスラエルは考えているのです。 + このうぬぼれに対して、神は東からシリヤ人を西からペリシテ人を送り、あなたがたに敵対させます。彼らは牙をむき出して、イスラエルに襲いかかります。それでも主の怒りはやまず、振り上げたこぶしを下ろされません。 + こんなにひどい罰を受けてもまだ、悔い改めて、天の軍勢の主に立ち返ろうとしないからです。 + それゆえ主は、たった一日のうちに、イスラエルの指導者と、偽りを教える預言者を消し去ります。 + それは、彼らが民を滅びの道へと引きずり込んだからです。 + 主はイスラエルの若い男たちを喜ばず、未亡人やみなしごにさえ、あわれみをかけません。だれもが下品なことばを吐き、たちの悪いうそをつくからです。主の怒りはなおも去らず、一人残らず打ち殺そうと、こぶしを振り上げたままなのです。 + 彼らの悪を焼き尽くす火は森林までなめ尽くし、煙は立ち上って天を覆います。 + 地は、その火と天の軍勢の主の怒りによって黒ずみ、地の住民は火をあおる燃料となります。人々は兄弟と戦って食べ物を奪い合いますが、まだ飢えて空腹はつのり、ついには、わが子まで食べるようになります。 + マナセとエフライムは争いが絶えませんでしたが、その時ばかりはいっしょになってユダを襲います。それでも、神の怒りは去らず、その手はまだ振り上げられています。 + + + 「不正な裁判官と不公平な法律を作る者は災いである」と主は言います。 + 彼らは、貧しい人やみなしごを見殺しにし、未亡人や父のない子の権利を奪っています。 + 「わたしが遠い国から滅亡を招き寄せる。さあ、どうするつもりか。そのとき、だれに助けを求めるのか。どこに財宝を隠すつもりか。 + わたしは助けない。道は二つ。囚人となって、よろめきながら引かれて行くか、虐殺されて横たわるかだ。それでもわたしの怒りは収まらない。なお打ちのめそうと、こぶしを振り上げる。 + アッシリヤはわたしの怒りのむちだ。わたしはその軍事力を使って、滅びの運命にある、不敬虔なこの国を攻め立てる。アッシリヤはこの民を捕虜にし、略奪をほしいままにし、泥のように踏みにじる。 + ところが当のアッシリヤ王は、わたしにあやつられているとは夢にも思わない。世界征服の一部として、神の民を攻めているだけだと考える。 + 占領した国々の王に高官たちを据え、得意げに言う。 + 『さあ、カルケミシュのようにカルノもやっつけてしまおう。ハマテなど一飲みだ。アルパデのように必ず降伏するだろう。サマリヤもダマスコのように足腰が立たないようにしてやろう。 + エルサレムやサマリヤの神より偉大な神々の国を、われわれは片っ端から打ち倒してきた。 + サマリヤとその神を打ち砕いたように、エルサレムとその神もそうしよう。』」 + 主はアッシリヤ王を用いて目的を果たしたのち、今度は、高ぶるアッシリヤに襲いかかって罰を加えます。 + 彼らは豪語したのです。「われわれは自分の力と知恵で戦いに勝ってきた。われわれは高度の文明を誇る偉大な民だ。われわれの手で国々の城壁をぶち壊し、住民を滅ぼし、財宝を運び出した。 + 諸国の富を略奪し、農夫が卵を集めるように、王国を奪い取ってきた。彼らはわれわれを阻止するどころか、抗議することさえできなかった。」 + しかし主は、きびしく問い返します。「斧は主人に、自分のほうに力があると自慢できるだろうか。のこぎりは、それを使う人よりほめられるだろうか。棒は、それを動かす手がなかったら、人を打つことができるだろうか。杖は一人で歩くことができるだろうか。」 + あなたのおごりのゆえにアッシリヤの王よ、天の軍勢の主は負け知らずのあなたの軍隊に疫病をはやらせ、兵を打ちます。 + 光であるイスラエルの聖なる神は、燃えさかる炎となって全軍を焼き尽くします。イスラエルの国土を荒らした、いばらのようなアッシリヤ人を、一夜のうちに焼き払うでしょう。 + 今は壮麗な森のような大軍も無残な姿をさらし、病人がやせ細っていくように、身もたましいも滅び去ります。 + おびただしい兵力を誇った大軍のうち生き残る者はわずかで、子どもにも数えられるほどの数です。 + そうなってようやく、イスラエルとユダに残っていた者は、二度とアッシリヤ人を恐れなくなり、イスラエルの聖なる神である主だけを頼みとするようになります。 + 全能の神に立ち返るのです。 + しかし今、イスラエルの民は海辺の砂のように多くいようとも、その時まで生き残り、神に立ち返る者は、ごくわずかしかいません。神はご自分の民を滅ぼそうと、堅く覚悟を決めているからです。 + 彼らを根こそぎにすることは、主なる神によってすでに決められたことです。 + それゆえ主なる神は命じます。「エルサレムに住むわたしの民よ、かつてのエジプト人のようにアッシリヤ人が圧力をかけても、怖がってはならない。 + もうしばらくの辛抱だ。わたしの怒りはおまえたちから離れ、アッシリヤ人に向けられる。彼らは滅びるのだ。」 + 全能の主は、ギデオンがオレブの岩でミデヤン軍を打ち破った時のように、またエジプト軍が海でおぼれた時のように、アッシリヤ軍に立ち向かいます。 + その日、神はご自分の民を解放し、奴隷のくびきをはずして粉々に壊します。 + 見なさい。アッシリヤの大軍が押し寄せて来ます。さっきまでアヤテにいたのに、もうミグロンに着きました。彼らはミクマスに軍用物資を置き、渡し場を過ぎ、ゲバで野営します。ラマの町は震え上がり、サウルの町ギブアの住民は命からがら逃げ去ります。 + ガリムの人たちよ、恐怖につかれて声の限り叫びなさい。大軍がやって来るのだから、ラユシャに大声で危険を知らせなさい。哀れなアナトテよ、あなたの運命は何とも哀れです。 + あそこに行くのは、落ち伸びて行くマデメナの人たちではありませんか。ゲビムの住民は逃げる準備をしています。 + その日、敵軍はノブで止まり、シオンの山の上にあるエルサレムに向けて進軍の手を振ります。 + しかし、あれを見なさい。天の軍勢の主が屈強な木々を切り倒しています。大木と小木、将校と兵卒の区別なく、あの大軍を滅ぼし尽くしています。 + 全能の主が、きこりが斧でレバノンの森の木々を切り倒すように、敵をなで切りにするのです。 + + + ダビデ王の家系は切り倒されますが、その切り株から新芽が生え、そこから一本の若枝が出て、 + その上に主の霊が宿ります。それは知恵の霊、悟りの霊、助言と力の霊、知識の霊、そして主を恐れる霊です。 + この方は主に従うことを喜びとし、外見や捏造された証拠、うわさによってさばかず、 + 貧しい人やさげすまれている人の味方になります。反対に、このような人にひどい仕打ちをする悪者どもには容赦しません。 + 公平と真実を身にまとっているからです。 + その日には、狼と子羊がいっしょに休み、ひょうと子やぎは大の仲良しになります。子牛や丸々と太った家畜がライオンの間にいても心配はなく、小さい子どもがその群れを追って行きます。 + 牛は熊の間に入り込んで草を食べ、その子らはじゃれ合い、ライオンは牛のように草を食べます。 + 幼子が毒蛇の間をはい回ってもかまれず、子どもは平気でまむしの巣に手を入れます。 + 主の聖なる山のどこででも、傷つけたり危害を加えたりするものは一つもありません。水が海を満たすように、主を知る知識が地にあふれるからです。 + その日、エッサイの家から出てダビデ王朝を開いたお方は、全世界の人々の救いの旗となって翻ります。この方のいる地は栄光のとどまる所となるので、国々の民がこの方のもとへ集まります。 + その時になって、主は、生き残ったご自分の民を呼び戻します。これは二度目の帰郷で、彼らはアッシリヤ、エジプト、エチオピヤ、エラム、バビロン、ハマテ、および遠く離れた島国からイスラエルへ帰って来るのです。 + 神は国々の中に合図の旗を上げ、散り散りになったイスラエル人を、地の果てから呼び集めます。 + ついにその時、イスラエルとユダの互いのねたみはなくなり、二度と戦いを交えません。 + 彼らは力を合わせて国々に飛びかかり、東西に領土を延ばし、エドム、モアブ、アモンを占領します。 + 主はエジプトの海の入江を干上がらせて道をつくり、大河に向かって手を振り、強い風を送って七つの流れに分けるので、容易に渡れるようになります。 + 生き残った民のために、アッシリヤからの広い道が備えられます。かつて、イスラエル人がエジプトから帰って来た時に備えられたように。 + + + その日、あなたは言うでしょう。「主はなんとすばらしいお方だろう。私のことを怒っておられたのに、今は慰めてくださる。 + そればかりか、神は私を救うために来てくださった。私は主に信頼し、少しも怖くない。主は私の力、歌、そして救い。 + 救いの泉から十分に飲める喜びを、何にたとえたらいいのだろう。」 + この記念すべき日に、あなたは言うでしょう。「主に感謝し、御名をたたえよう。世界中の人に、主の驚くべき愛を伝えよう。主はなんと偉大なお方なのだろう。」 + 主がすばらしいことをなさったのだから、主に歌いましょう。その賛美を世界中に響かせましょう。 + エルサレムの全住民が、喜びにあふれて高らかに賛美しますように。あなたの内に住んでおられるイスラエルの聖なる神は、この上なく偉大で力あるお方だからです。 + + + 以下は、神がアモツの子イザヤに示したバビロン滅亡の幻です。 + 「バビロンに攻め上る敵軍の旗を見よ。資産家どもと権力者どもの屋敷を壊そうと進撃して来る彼らに、歓声を上げて手を振れ。 + 主であるわたしは、この時のために彼らを取っておいた。わたしは、わたしの怒りを晴らすために喜んで協力する者を呼び集めた。 + 山の上の騒動と、軍隊が行進して来る音を聞け。あれは、多くの国の兵士がどよめき叫ぶ声だ。天の軍勢の主が彼らを連れて来た。 + それも、ずっと遠い国々からだ。バビロンよ、彼らはおまえを攻め立てる神の武器だ。神の怒りを運んで来て、おまえの国を見るも無残に踏みにじる。 + いよいよ主の時が来たのだから、恐怖におびえて泣き叫べ。全能の神がおまえたちを打ち砕く時がついにきた。 + あまりの恐ろしさに腕は麻痺し、勇気はくじけ、 + 震え上がる。産みの苦しみにあえぐ女のように、激しい苦痛を伴う恐れに取りつかれる。おまえたちは絶望して互いに見つめ合うが、青ざめたその顔に映るのは、町を焼く炎ばかりだ。 + さあ、神の日が来る。それは、神の憤りと激しい怒りに包まれた、身の毛もよだつような日だ。地は、そこに住む罪人もろとも滅びうせる。 + 星も太陽も月も一筋の光さえ放たず、天は真っ暗になる。 + わたしは世界をその悪のために、悪者どもをその罪のために罰する。傲慢な者とおごる金持ちとを踏みつぶす。 + わたしがそれを終えた時、生き残っている者はほんの一握りだ。その時、人を見いだすことは金鉱を掘り当てることより難しく、オフィルの金より価値あるものとなる。 + わたしが憤りと激しい怒りで天を震わすので、大地は元の場所から移動する。 + バビロンの兵士は逃げ回り、ついに精根尽きて倒れる。まるで犬に追われる鹿のように故国めざして一目散に走り、羊飼いに捨てられた羊のようにさまよう。 + 走る気力を失った者は無残に殺される。 + 幼子たちは彼らの目の前で、舗道の石に投げつけられて殺される。家は略奪され、妻は攻め入った敵兵に犯される。 + わたしはメディヤ人をバビロンに敵対させる。どれほど金銀を積んでも、彼らを買収することはできない。 + 侵入した軍隊は、若者にも子どもにも幼子にも、いっさい手ごころを加えない。 + こうして、王国の誉れでありカルデヤ文明の華であったバビロンは、天からの火に焼かれたソドムとゴモラのように滅びる。 + バビロンは二度と立ち上がれず、永久に人が住みつかない。遊牧の民でさえ、そこにテントを張らず、羊飼いも、そこでは羊の群れを休ませない。 + バビロンは荒野の野獣やだちょうの住みかとなり果てる。家々はみみずくの巣となり、悪鬼が来ては踊り回る。 + ハイエナや山犬は宮殿を巣窟とする。バビロンの寿命はあとわずか、運命の時はそこまで来ている。」 + + + しかし主は、イスラエル人にはあわれみをかけます。彼らが特別の民であることに変わりはないからです。主は彼らを連れ戻し、再びイスラエルに住まわせます。多くの国が彼らと手を結び、忠実な同盟軍となります。 + 世界中の国々が彼らの帰国を助け、イスラエルに移住した外国人は彼らに仕えます。イスラエル人を奴隷にした者は、逆に奴隷となります。こうしてイスラエルは、かつての敵を支配するようになるのです。 + 主がご自分の民から悲しみや恐れを取り除き、奴隷の鎖から解放して休息を与えるとき、 + あなたがたはバビロンの王をあざけって、こう言います。「弱い者をしいたげる者よ、とうとう、おまえに起こるはずのことが起こった。 + 主がおまえの力と支配を打ち砕いたのだ。」 + あなたはイスラエルを怒りにまかせて迫害し、国々を牛耳り、圧制をほしいままにしてきました。 + やっと今、全地は安らかに憩い、静けさを取り戻しました。世界中の人々の口に喜びの歌が上りました。 + 糸杉やレバノン杉のような森の木さえ、うれしそうに声を張り上げて歌います。「バビロンは力を失った。もうだれにも煩わされない。平和が来たのだ。」 + あなたが地獄の門に着くと、そこの住民はこぞって迎えに出ます。以前に死んだ世界の指導者や大王たちも会いに来て、 + 声をそろえて叫びます。「とうとう、おまえも私たちと同じように弱くなってしまったのか。」 + あなたの権力は失われ、あなたとともに葬られます。あなたの宮殿で聞かれた華やかな音楽もとだえ、うじがあなたの敷布のように下に敷かれ、虫けらが毛布になってしまいました。 + 暁の子、ルシファー(天使)よ、どうしてあなたは天から落ちたのか。世界に並ぶ者のない権力者だったのに、どうして切り倒されたのか。 + それは、心の中でこう言ったからです。「天に上り、最高の王座について、御使いたちを支配しよう。 + 最も高い天に上って、全能の神のようになろう。」 + だがあなたは地獄の深い穴に落とされ、しかもどん底まで突き落とされます。 + そこにいる者はみな、あなたをまじまじと見つめて言うでしょう。「ほんとうにこの人が、世界中の王国を縮み上がらせた人なのか。 + 全世界を足の踏み場もないまでに破壊し尽くし、大都市を瓦礫の山とし、捕虜に少しもあわれみをかけなかった人か。」 + 国々の王は、りっぱな墓に手厚く葬られています。 + しかしあなたの体は、折られた枝のように放り出されるだけです。戦場で殺された兵士の死体といっしょに、口を開いたままの墓に投げ込まれ、道ばたに転がる死体のように、馬のひづめにかかり、無残に引き裂かれます。 + 自分の国を滅ぼし、自分の民を殺したのだから、記念碑は建てられず、あなたの子は王位を継ぐことができません。 + この罪人の子どもたちは刀にかけて殺しなさい。もう二度と立ち直れず、世界を征服せず、町を建てることがないようにするのです。 + 「わたしは立ち上がって彼に刃向かい、彼の子どもと孫を切り殺し、誰ひとり王座につかせない。 + わたしはバビロンを湿地と沼に囲まれた、針ねずみの住む荒れ地にする。この地を滅亡というほうきで一掃する」と、天の軍勢の主は断言します。 + 主は誓って言いました。そうすることが神の目的であり計画だからです。 + 「わたしは、イスラエルに攻め込んだアッシリヤ軍を打ち破り、わたしの山で踏みつけることに決めた。わたしの民は二度と彼らの奴隷にならない。 + これが全地に対するわたしの計画だ。わたしは、世界のすみずみにまで及ぶ全能の力によってこの計画を実現する。」 + 主が取り決めた計画をだれが変更できるでしょう。いったん動きだした神の御手は、だれも止められません。 + これは、アハズ王が死んだ年に私に臨んだ、神のことばです。 + 「ペリシテ人よ、おまえを打った王が死んだからといって、喜んではならない。なるほど、あの杖は折れた。だが、息子は父以上の災難をもたらす。蛇からまむしが生まれ、おまえをかみ殺すのだ。 + わたしの民のうちの貧しい者は、わたし自身が羊飼いになって養う。わたしの牧場で草を食べさせ、生活に困っている者にも心配はさせない。だが、おまえたちは別だ。わたしはおまえたちを飢えと剣で一掃する。 + ペリシテの町々よ、大声で泣き叫べ。おまえたちの運命は決まっている。国は滅ぶのだ。北から鍛え抜かれた軍隊が攻めて来る。」 + 外国には、どう知らせたらよいでしょうか。「神はすでにエルサレムの土台を築き、貧しい民を城壁内にかくまうことに決定した、と伝えておけばよい。」 + + + これは、モアブへの神のことばです。「たった一夜で、アルとキルの町は灰になる。 + ディボンの住民は、災難に会ったネボとメデバを悼もうと、泣きながら神殿へ行く。彼らは頭をそり、ひげを切り落として悲しみ嘆く。 + 荒布を着て町を歩けば、どの家からも泣き声が聞こえる。 + ヘシュボンとエルアレの住民の叫びは、ずっと離れたヤハツまで聞こえる。モアブで一番勇敢な勇士でさえ、すっかりおじ気づいて泣き声を上げる。 + わたしはモアブのために涙を流す。人々はツォアルとエグラテ‧シェリシヤまで落ち延び、泣きながらルヒテに通じる坂道を登る。その泣き声は、ホロナイムの道でひっきりなしに聞こえる。 + ニムリム川でさえ干上がり、青々としていた土手は茶褐色に変わり、柔らかい芽をふく木々はなくなり、見る影もない。 + 避難民は両手に持てるだけの物を持ち、命からがらアラビム川を渡って逃げる。 + モアブの全土は端から端まで泣き声で満ちる。 + ディモンの流れは血で真っ赤に染まるが、それでもまだ、わたしはさばきの手を緩めない。やっとの思いで逃げ延びた生き残りの者に、ライオンを襲いかからせる。 + + + セラにいるモアブの避難民は、ユダの王と同盟を結んだしるしとして子羊を送りなさい。 + モアブの女たちは、アルノン川の渡し場で、帰る巣のなくなった鳥のように置き去りにされる。 + エルサレムに貢ぎ物を運ぶ使節たちは、助言と助けを求める。『私たちをかくまってください。お願いですから、敵の手に渡さないでください。 + 見捨てられた私たちの同胞が、この国に住めるよう計らってください。その親切に、神はきっと報いてくださるでしょう。モアブの亡命者を受け入れてくださるなら、災いが過ぎ去ったのち、神はダビデの王座を永久に不動のものにするでしょう。そしてその王座に正義を座らせます。』 + これが、うわさに聞いていた、あの高慢なモアブだろうか。人を人とも思わない態度はどこへ行ったのか。 + それゆえ、モアブ中の者は泣く。打ちのめされたキル‧ハレセテのために嘆き、 + 荒れ果てたヘシュボンの畑とシブマのぶどう園のために悲しむ。敵将たちが、品質を誇るぶどうの木を切り倒したからだ。彼らは荒野のヤゼルにまで兵を進め、さらに海岸地帯までも攻撃する。 + だからわたしは、ヤゼルのため、またシブマのぶどう園のために大声で泣く。ヘシュボンとエルアレのため、滝のように涙を流す。そこでは夏のくだものと穀物が台なしになったからだ。 + 楽しみも刈り入れの喜びも、むなしく消え去った。ぶどう園で聞いた陽気な歌声は二度と聞けない。酒ぶねでぶどうの実を踏む光景も、もう見ることができない。このわたしが、刈り入れの喜びを終わらせたのだ。 + わたしはモアブのために、胸が張り裂けるほどに泣く。キル‧ヘレスへの悲しみは、とてもことばで表すことができない。 + モアブ人が丘の上で身もだえしながら偶像に祈っても、気休めにすらならない。偶像を祭り、神々に叫んでも、救いは来ない。」 + モアブについて、主は以前からこのように語っていました。しかし今度は、三年以内に間違いなくモアブの栄光は去り、ごく少数の者しか生き残らないと断言するのです。 + + + これは、シリヤ(アラム)の首都ダマスコへの神のことばです。「見よ。ダマスコは影も形もなくなる。もはや町ではなく、巨大な瓦礫の山となる。 + アロエルの町々には人が住まず、羊は追い払われる心配もなくゆったりと伏して、草を食べる。 + エフライム(北イスラエルの町)とダマスコの権勢は失われ、残ったシリヤ人も滅びる。イスラエルの栄光が去ったように、彼らの栄光も消えてなくなる。 + 貧困が全土に広がり、イスラエルの栄光は風前のともしびになる。 + イスラエルは、刈り入れを終えたレファイムの谷の畑のように見捨てられる。 + 残っている者は数えるほどしかいない。収穫を終えた木に、ごくわずかのオリーブの実が残っているようなものだ。こずえに二つ三つ、枝先に四つ五つの実が残るように。ダマスコとイスラエルはこのようになり、ごく少数の貧しい人だけが残される。」 + その時ようやく、彼らは創造者である神を心に留め、イスラエルの聖なる方を敬うようになります。 + もはや、偶像に助けを求めるようなことはせず、自分の手で造ったものを拝まなくなります。二度と、アシェラ像や香の祭壇に心を寄せません。 + 彼らの自慢の大都市は、遠く離れた丘や山の頂のように捨てられ、昔イスラエル軍によって破壊されたエモリ人の町々のように荒れ果てます。 + それは、あなたを守ってくれる神に背いたからです。それゆえ、貴重で高価な実を結ぶ苗を植え、 + それがすくすく伸びて、植えた日の朝にはもう花を咲かせたとしても、あなたは刈り入れることができません。刈り入れるのは、山のような大きな悲しみと、いつまでも除かれない痛みだけです。 + 神に守られている国をめがけて、怒濤のように押し寄せる軍勢を見なさい。 + しかし心配はいりません。たとえ彼らが海鳴りのような大声を上げても、神はたちまち沈黙させます。彼らは一目散に逃げ、風に吹き飛ばされるもみがらや、嵐にもてあそばれるちりのようになります。 + 夕べには、恐怖に包まれていても、夜明けになれば、敵は山のような死体を残して姿を消します。これが、神の民を滅ぼし略奪する者たちへの正当な報いです。 + + + これは、エジプトについての神のことばです。「見よ。わたしは速い雲に乗ってエジプトへ向かう。エジプトの偶像は身震いし、エジプト人は恐ろしさのあまり意気消沈する。 + わたしが同士討ちをさせるので、兄弟は兄弟と、隣人は隣人と、町は町と、州は州と争う。 + 知恵ある助言者も、どうしたらよいかわからず途方にくれ、あげくの果てに、偶像に助けを求め、霊媒や魔術師や魔女に伺いを立てる。 + 「わたしはエジプトを、過酷な支配者に引き渡す」と全能の主は告げます。 + ナイル川の水は、いつものようにあふれて土地をうるおすこともなく、水路は干上がり、 + 運河は水草が腐って悪臭を放ちます。 + 川沿いの緑の草々は枯れ、風に吹き飛ばされます。あらゆる作物が立ち枯れ、死に絶えるのです。 + 漁師は仕事がなくて嘆き、釣り師や網を打つ者は一人残らず解雇されます。 + 機を織る者は、亜麻や綿が手に入りません。 + 織工も労働者も大きな打撃に心を痛めます。 + ツォアン(エジプト北東部の有力都市)の助言者は、なんという愚か者でしょう。エジプトの王に進言する策さえ、全く愚かなものです。それでも、知識をひけらかすことができるのでしょうか。王の前で、学者の家柄を誇らしげに言えるでしょうか。 + エジプト王よ、あなたの知恵袋と呼ばれた賢者は、どうしたのですか。あの知恵はどこへ行ったのですか。彼らに知恵があるというなら、主がエジプトに何をしようとしているかを、彼らから聞けばよいのです。 + ツォアンの博学者たちは頼りにならず、メンピス(エジプト古王国時代の首都)の知識人たちも、すっかり惑わされています。なるほど、彼らはあなたにとって最高の策略家でしょう。しかし、その浅はかな進言によって、エジプトは滅んだのです。 + 主が正しく判断できないようにさせたので、彼らは見当はずれのことばかり言います。それを聞くエジプトは、飲んだくれのようにふらつきながら歩きます。 + どんなものも、エジプトを救えません。エジプトに正しい道を示すことのできる者は、誰ひとりいません。 + その日、エジプト人は女のように弱くなり、振り上げられた神のこぶしを見て、恐れおののきます。 + イスラエルの名を耳にしただけでおびえます。それというのも、全能の主の計画が知らされたからです。 + その時、エジプトの五つの都市が全能の主に忠誠を誓い、ヘブル語を話すようになります。その一つはヘリオポリス(「太陽の都」の意)と呼ばれます。 + その時代には、主の祭壇がエジプトの中心地に設けられ、国境には主の記念碑が立てられて、 + 主への忠誠のしるしとなります。彼らが迫害の中で助けを呼び求めると、主は救い主を送ります。この方が彼らを救い出すのです。 + その日、主はエジプト人にご自分を示します。彼らは主を知り、誓願のためのいけにえと供え物をささげ、神との約束を守るようになります。 + 主はエジプトを打ちのめしたあとで、もう一度建て直すのです。エジプト人が素直に主を信じるので、願いを聞き入れ、すべてを元どおりにします。 + その日、エジプトとアッシリヤは街道で結ばれて自由に行き来し、共に同じ神を拝むようになります。 + イスラエルはこの両国と同盟を結び、三つの国が団結します。そしてイスラエルは、両国にとって祝福となるのです。 + イスラエルとの親交によって、エジプトとアッシリヤも祝福します。主は彼らに言います。「わたしの民エジプトに祝福あれ。わたしの造った国アッシリヤに祝福あれ。わたしのものであるイスラエルに祝福あれ。」 + + + アッシリヤのサルゴン王が、司令官にペリシテの町アシュドデを襲わせ、占領させた年のことです。 + 主はアモツの子イザヤに、腰の荒布を取り、はだしで歩くように命じました。イザヤが言われたとおりにすると、 + 主は言いました。「わたしのしもべイザヤが、三年間、裸のままはだしで歩いたことは、わたしがエジプトとエチオピヤに下す恐ろしい災害のしるしだ。 + アッシリヤの王はエジプト人とエチオピヤ人を捕虜にし、老人も若者もみな裸のままはだしで歩かせ、エジプトの恥をさらす。 + これを見て、エチオピヤの力をあてにし、同盟国のエジプトを頼りにしていたペリシテ人はあわてふためき、口々に言うだろう。『なんということだ。エジプトでさえこのありさまなら、とうていわれわれに勝ち目はない。』」 + + + これは、バビロンについての神のことばです。ネゲブから吹きつける竜巻のように、荒野から恐ろしい災難が、うなり声を上げてあなたを襲う。 + 主は幻の中で、将来起こる恐ろしい出来事を私に示しました。見ると、エラム人とメディヤ人(どちらも、バビロンの東、ティグリス川の東側に住む民)が包囲網に加わり、あなたがたは略奪され、破壊されています。バビロンは陥落し、今までバビロンの仕打ちに泣いていた国々のうめきは、二度と聞かれなくなります。 + 私の胃袋はしめつけられ、苦痛で焼けつくようです。子どもを産もうとする女に苦しみが臨むように、激しい苦痛が私を襲います。神の計画を聞いているうちに、恐怖に取りつかれ、私は失神しそうになりました。 + 恐ろしさのあまり、体はすくみ、頭はくらくらし、心臓は早鐘を打つようです。夜は心地よい憩いの時だったのに、今は一睡もできず、恐怖に震えています。 + 見なさい。彼らは宴の準備をしています。テーブルにごちそうを山盛りにし、いすを並べて、まさに食べようとするところです。もうすぐ敵が攻めて来ます。さあ、急いで盾を取り、戦いの支度をしなさい。 + 主は幻の中で私に命じました。「城壁には見張りを立て、変わったことがあったら大声で報告させなさい。見張りの者が、ろばやらくだに乗った二列の騎兵が見えると言ったら、『それだ』と声をかけてやるのだ。」 + 私は言われたとおり、城壁に見張りを立てました。やがて、声を振り絞るようにして、見張りの者が報告してきました。「来る日も来る日も、片時も休まず見張ったかいがありました。ほら、二列に並んだ騎兵がやって来ます。」その時、彼らの大きな声が響き渡りました。「バビロンは倒れた。倒れた。バビロンの偶像は一つ残らず無残に壊され、投げ捨てられた。」 + 脱穀され、ふるいにかけられたユダの人々よ、天の軍勢の主であるイスラエルの神のことばは、すべて話しました。 + これは、ドマ(エドムのこと。パレスチナ南部の山地。住民はエサウの子孫で、イスラエルとは深い関係にある)への神のことばです。「だれかがひっきりなしに私に問いかける。『見張りの人よ、今は夜の何時ですか。見張りの人よ、今は夜の何時ですか。夜明けまで、まだかなり間がありますか。』 + その見張りの者は言う。『あなたがたのさばかれる日が、もうそこまで来ています。神に立ち返りなさい。そうしたら、もっと良い知らせを聞かせましょう。神を求めなさい。そのあとでもう一度、聞きに来なさい。』」 + これは、アラビヤについての神のことばです。「デダンから来た隊商よ、アラビヤ砂漠に身を隠しなさい。 + テマの人たちよ、疲れきった亡命者に水と食べ物を持って行ってやりなさい。 + 彼らは抜き身の剣と飛び交う矢、それに戦争の恐怖から、やっとの思いで逃げて来たのです。 + しかし、主は言います。「もう一年したら、彼らの敵であり、今は絶大な力を持つケダル人の栄光は地に落ちる。 + ごくわずかの勇敢な射手しか残らない。」イスラエルの神である主が、そう語ったのです。 + + + これは、エルサレムについてのことばです。「いったい、どうしたというのでしょう。だれもかれも、どこへ行こうとしているのでしょう。屋上に駆け上り、何を見つめているのでしょう。 + 町中が上を下への大騒ぎになっています。あれほど繁栄していた優雅な都に、足の踏み場もないほど死体が転がっています。勇敢に戦い、戦死したのではなく、疫病で倒れた人たちの死体なのです。 + 指導者はわれ先に逃げ、あっさりと降伏します。住民も脱出を図りますが、途中で捕虜になります。 + 私を一人にして泣かせてください。慰めないでください。同胞が目の前で滅ぼされるのを見て、どうして泣かずにおられましょう。 + ああ、胸の張り裂けそうな悲しみの日。天の軍勢の主が与える混乱と恐怖の日。エルサレムの城壁はくずれ落ち、山々に断末魔の叫びがこだまします。 + エラム人は弓の名手、シリヤ人は戦車をあやつる名人です。さらに、キル人は盾を並べて逃げ場を絶ちます。彼らは、最も美しい谷に押し寄せ、城門の前にあふれます。 + 神が防御の手を引いてしまったので、あなたがたは武器を取りに兵器庫へ走ります。 + 大急ぎで城壁を調べて、修理が必要な箇所を探し、家々を見て回り、ある家を壊して城壁を修理する材料にします。また、二重になっている城壁の間に貯水池を造り、下の池から水を引きます。しかし、このような必死の努力も無駄になります。ずっと前からこのような計画を立てていた神の助けを、求めなかったからです。」 + 天の軍勢の主である神はあなたがたに、悔い改め、罪を犯したことを悲しんで頭をそり、荒布で作った着物をまとうように呼びかけました。 + ところがあなたがたは、歌と踊りと遊びに興じ、飲み食いに明け暮れて、言います。「さあ、大いに飲み、たらふく食べよう。せいぜい愉快にやろうではないか。何をやっても同じだ。どうせ明日は死ぬのだから」と。 + 全能の主は、『この罪は死ぬまで赦されない』と言います。 + 天の軍勢の主である神は、次のようにも語りました。「さあ、宮殿を管理しているシェブナに言いなさい。『おまえは岩を掘ってりっぱな墓を造ったが、いったい自分を何者だと考えているのか。 + ああ、勇士よ。おまえにこんなぜいたくな暮らしを許した主は、おまえを放り投げ、捕虜として遠くへ連れて行く。 + 神はおまえを手の中で丸めてまりのようにし、草木も生えない遠くの不毛の地に投げ捨てる。ああ、名声をほしいままにした者、国の恥さらしよ。おまえはそこで死ぬのだ。 + わたしはおまえを追放し、高い地位から引きずり下ろす。 + そのあとで、ヒルキヤの子である、わたしのしもべエルヤキムを召し、おまえの代わりとする。 + 彼はおまえの長服を身に着け、おまえの肩書きと権力を譲り受け、エルサレムの住民とユダ国民の父となる。 + 彼に、わたしの民を支配する権威を与える。彼の言うことは何でもそのとおりになる。誰ひとりその前に立ちはだかることはできない。 + わたしは彼を、わたしの民を支えるための、しっかり打ち込まれた太い釘とする。人々は彼に全権をゆだね、彼は家門の誉れとなる。』」 + しかし主はやがて、壁にしっかり打ち込まれたこの太い釘を抜きます。それはすっぽり抜け落ち、支えていた物もいっせいにくずれ落ちます。神がそう語ったからです。 + + + これは、ツロへの神のことばです。「遠い国から来るタルシシュの船よ、なくなった母港のために泣きなさい。キプロスで聞いたうわさは全部ほんとうだったのです。 + どこも死の静寂が覆っています。海の向こうから、また、エジプトとナイル川沿いの地から品々を運んで来たシドンの船でいっぱいになり、にぎわっていたかつての貿易中心地は、今ではひっそり静まり返っています。 + 海の要塞であるシドンよ、今はもう子(ツロ。シドンの植民地)がいないのだから恥じなさい。 + エジプトがこのことを聞いたら、悲しみにくれるでしょう。 + ツロの人たちよ、泣きながらタルシシュへ逃げなさい。 + もの言わぬ廃墟が、かつては喜びにあふれていた地の、ただ一つの名残りです。輝かしい歴史を振り返り、遠くにあった植民地の一つ一つを思い出しなさい。 + だれが、大帝国を築き上げて世界貿易の王者にのし上がったツロを、こんな悲惨な目に会わせたのでしょう。 + 天の軍勢に命令を下す主が、その思い上がりをたたきのめし、人間の偉大さなど取るに足りないことを示そうと、このようにしたのです。 + タルシシュの船よ、母港がなくなってしまったのだから、あてもなく航海を続けなさい。 + 主は海の上に御手を伸ばし、地上の国々を縮み上がらせます。この偉大な商都を滅ぼせと命じた神は、こう語りします。『ああ、名誉を傷つけられたシドンの娘よ、二度と小躍りして喜ぶな。おまえはたといキプロスに逃げ伸びても、休むことはできない。』 + 見なさい。バビロンもアッシリヤ人に滅ぼされ、野獣の住みかになっています。彼らはしつこく攻撃して宮殿を壊し、瓦礫の山にしました。 + 大洋をわがもの顔で走る船よ、母港は無残に壊されたのだから泣き叫びなさい。 + ツロは七十年の間忘れられます。そのあと別の王が治めるようになって、町は息を吹き返し、娼婦が久しく会わない恋人を捜して、甘い歌を歌いながら通りを歩くように恋の歌を歌います。 + 七十年たって、主がツロを生き返らせても、ツロは昔のままです。世界中で同じ悪事を重ねるのです。 + ところが、ずっとのちになって、その利益は主のために使われるようになり、祭司の食卓を潤し、上等の服で着飾らせるようになります。 + + + 主は地をくつがえし、広大な荒れ地にしようとしています。全国民を地上のあちこちに追い散らします。 + 祭司も一般の民も、召使も主人も、女奴隷も女主人も、売り手も買い手も、貸す者も借りる者も、銀行家も債務者も、一人として免れることはできません。 + 地は完全にすたれ、いっさいのものが略奪されます。主がそれを語りました。 + 国は民の罪のために苦しみ、地はやせ衰え、作物はしおれ、空は雨を降らせません。国は犯罪によって汚れました。住民が神のおきてに背き、神の永遠の命令を破ったからです。 + そのため神ののろいが下り、人々は心がすさみ、日照りで死に絶えます。生き残る者は数えるほどしかいません。 + 人生の喜びは去り、ぶどうは収穫期になっても実らず、ぶどう酒は底をつきます。陽気だった人も顔をくもらせ、うなだれます。 + 竪琴やタンバリンの陽気な音は二度と聞かれません。楽しかった時代は終わりました。 + ぶどう酒を飲みながら歌う喜びはなくなり、強い酒を飲んでも、口の中が苦くなるばかりです。 + 町は無法地帯も同然で、どの家も店も戸締まりを厳重にし、略奪されないようにと神経をとがらせます。 + 暴徒は群れをなし、「酒をくれ」とわめきます。喜びは失われ、楽しみは忘れ去られました。 + 町は荒れ放題、城門は無残な姿をさらすばかりです。 + 国中どこでも、わずかな生存者しかいません。 + しかし、残った者は大喜びで歌います。西に住む者が神の偉大さをたたえれば、 + 東に住む者も、喜んで声を合わせます。地の果てから主をほめ歌い、正義の神の誉れをたたえる声に耳をすましなさい。ああ、それなのに、私の心は憂いのために重く沈んでいます。悪は依然としてはびこり、裏切り行為が至るところで見られます。 + 全世界の人々よ。あなたがたが恐怖の地獄へ引かれて行く運命に変わりはありません。 + 恐ろしくなって逃げようとすると、穴に落ち込みます。やっとの思いで穴からはい出せば、今度は罠にかかります。天から滅びが降ってくるので、足の下で大地は揺れ動きます。 + 地はずたずたに裂け、何もかも原形をとどめないほどになり、足の踏み場もなくなります。 + 世界中が酔った者のようにふらつき、嵐に会ったテントのように揺れ動きます。あまりの罪の大きさに耐えきれず、世界は倒れて、二度と起き上がれません。 + その日、主は天上の堕落した天使を罰し、地上の国々の高慢な支配者に罰を加えます。 + 彼らは囚人のように駆り集められ、刑の執行の時まで地下牢に閉じ込められます。 + ついに天の軍勢の主はシオンの御座に上り、イスラエルの長老たちの見ている前で、エルサレムを中心に世を治めます。その栄光は、太陽の輝きも月のうるわしさも、色あせてしまうほどです。 + + + 主よ、私はあなたをあがめ、御名をたたえます。あなたは私の神であり、すばらしいことをする方だからです。あなたはずっと昔から計画しておられたことを、そのとおり実現しました。 + 大都市を廃墟とし、難攻不落を誇っていた要塞を瓦礫の山にしました。外国人の建てた美しい宮殿は影も形もなくなり、再建のあてさえありません。 + どんなに強い国でも、神の前に出たら、怖くてひざが震えます。どんなに血も涙もない冷酷な国でも、神に服従し、御名をあがめます。 + しかし主は、貧しい者にとっては、嵐を避ける隠れ家、暑さをしのぐ木陰、土塀をくずす激しい雨のように非情な人間からかくまう避け所です。 + 乾燥し熱しきった地が、上空を覆う雲でほてりを静めるように、神は血も涙もない国々の思い上がりを冷まします。 + 天の軍勢の主は、エルサレムにあるシオンの山で、全世界の人々のために豪華な宴会を催します。おいしいごちそうと、熟成したぶどう酒、それに脂肪ののった肉が出ます。 + その時、神は、地表を覆っている死の雲を取り除き、 + 永久にのみ尽くします。神である主は、すべての涙をぬぐい、ご自分の国と国民に対するいっさいの侮辱とさげすみとを、永久に取り除きます。主がそう語ったのですから、必ずそのとおりになります。 + その日、人々は、「このお方こそ、私たちが信頼し、長い間待ち続けた神だ。とうとう、おいでになったのだ」と大声で叫びます。なんと喜びにあふれた日でしょう。 + 主の恵みの御手はエルサレムにとどまり、一方、モアブは御足の下でわらのように踏みにじられ、腐ってしまうのです。 + 泳ぐ人が水をかくように、モアブも必死に手を伸ばしますが、神は彼らを押さえつけます。彼らの思い上がりと、いっさいの悪を終わらせるのです。 + モアブの高い城壁はくずれ落ち、ただの土くれになります。 + + + ユダの民の歌う声を聞きなさい。その日、国中にこのような歌が流れます。「私たちの町はびくともしない。神の救いの城壁で囲まれているからだ。」 + 門を開けて、自由に入らせなさい。神を愛する人なら、だれでも中に入れます。 + 神を信頼し、いつも主のことに思いをはせる者を、神は何の心配もないように守ってくださいます。 + どんなときでも、神である主に信頼しなさい。あなたの永遠の力は主のうちにあるからです。 + 主は思い上がった者を辱め、横柄な町をひざまずかせ、城壁をくずします。 + 神はそれを、貧しい人や困っている人に与えます。 + 正しい人の道は、息の切れる坂や、歩きにくいでこぼこ道ではありません。神が道をならし、平らにするのです。 + 主よ、私たちは、神がお喜びになることを行いたいと思っています。私たちの心からの願いは、御名を高らかにたたえることです。 + 私は夜通し神を探し求めます。真剣に尋ねます。あなたがさばきの神として地上に下り、罰を加えなければ、人々は悪を離れ、正しいことを行わないからです。 + あなたがどんなに親切にしても、悪者は善人になりません。彼らは悪事を働くだけで、あなたの偉大さやすばらしさを心に留めないのです。 + 神の警告を聞いても、いっこうに気にかけず、振り上げられたこぶしを見ようともしません。どうか、イスラエルをどんなに愛しているかを、はっきり示してください。そうすれば彼らも恥じ入るでしょう。神の敵のために取っておいた火で、彼らを焼き尽くしてください。 + 主よ、私たちに平和を与えてください。私たちが今持っているもの、私たちの今の境遇は、みなあなたから頂いたものばかりです。 + 私たちの神、主よ。私たちは以前、ほかの神々を拝んでいましたが、今はあなただけを礼拝しています。 + 私たちが仕えた神々は死んで姿を消し、もう息を吹き返しません。あなたが彼らに立ち向かい、滅ぼしたからです。彼らはすっかり忘れ去られました。 + 主はなんとすばらしい方でしょう。私たちの国境を広げ、私たちを偉大な民にしました。 + 神よ、彼らは苦しいときに神を求めました。神の罰が下った時、絶え入るような声で祈りました。 + 神よ、私たちはなぜ、あなたのもとから遠ざかったのでしょう。そのため、苦しみもだえる産婦のように苦しみました。 + 身もだえしてうめきました。どんなに努力しても、自由の身になれませんでした。 + しかし私たちは、神に従う者は必ず生き返ると確信しています。そのような人の体はよみがえります。ちりの中に住んでいる者は、やがて目を覚まし、喜びの歌声を上げるはずです。神のいのちの光が、露のように降ってくるからです。 + 私の民よ、家へ帰って、戸に鍵をかけなさい。敵に対する主の憤りが過ぎ去るまで、ほんのしばらく隠れていなさい。 + 主は、地に住む者の罪を罰するために、天から下りて来ます。地は、もはや人殺しをかくまいません。一人一人の罪状が明らかになるのです。 + + + その日、主は恐ろしく鋭い剣で、素早く動く蛇、とぐろを巻いている蛇、海の竜であるレビヤタンを殺します。 + イスラエルの解放の日、民にこの賛歌を歌わせなさい。 + 「イスラエルはわたしのぶどう園。神であるこのわたしが、実を結ぶぶどうの手入れをする。毎日水をかけ、昼も夜も、敵が近づかないように見張る。 + イスラエルへの怒りは、もう収まった。いばらが彼らを煩わせているなら、ひざまずいて赦しを求めない限り、この私の敵を焼き払う。 + やがてイスラエルが根を張り、つぼみをつけ、花を咲かせ、世界をその実で満たす時が来る。」 + 神はイスラエルの敵を罰したように、イスラエルを罰したのでしょうか。そんなことはありません。敵は息の根を止められました。しかしイスラエルは、ほんの少し罰を受けただけです。東からの嵐に吹き飛ばされるように、遠く離れた地へ追いやられたにすぎません。 + では、なぜ神はそのようにしたのでしょう。イスラエルの罪をきよめ、偶像とその祭壇とを取り除くためです。これらのものは二度と礼拝の対象にはなりません。 + 城壁で囲まれた町々はひっそり静まり返り、家は荒れ、通りには草が茂り、牛は町をのし歩いて草を食べ、木の枝を食べるようになります。 + 私の国民は枯れ枝のように折られ、猟師用のたきぎになります。彼らは鈍い民で頭の回転が遅く、思考力に欠けています。それは神に背いているからです。だから、彼らをお造りになった方は、少しもあわれみをかけません。 + しかし、穀物の穂を一粒一粒拾い上げるように、主が彼らを集め、ユーフラテス川からエジプト国境に及ぶ、広大な打穀場から選び分ける時がきます。 + その日、大きなラッパが鳴りわたり、アッシリヤやエジプトで、息も絶え絶えになっている多くのイスラエル人が救い出され、聖なる山で主を拝むためにエルサレムへ連れ戻されます。 + + + よく肥えた谷に囲まれたサマリヤの町は、恐ろしい目に会います。酔いどれイスラエルの誇りであり、喜びでもあるサマリヤよ。その色あせていく美しさと、路上で酔いつぶれている者にとっての最大の栄誉は、見る影もなくなります。 + 主があなたに、アッシリヤの強大な軍隊を差し向けるからです。荒れ狂う雹の嵐のように、大軍が襲いかかり、あなたを地にたたきつけます。 + 酔いどれイスラエルの喜びだった高慢なサマリヤの町は、地面に投げつけられ、踏みにじられます。 + よく肥えた谷に囲まれた、まぶしいまでの美しさは、またたく間に消え、初なりのいちじくの実が摘み取られて口に放り込まれるように、貪欲な手で、もぎ取られます。 + その時になって、全能の主が彼らの最大の栄誉となり、残った民の美しい冠となります。 + 主は、裁判官には正義心を、城門の外で最後まで踏みとどまって戦う兵士には、大きな勇気を与えます。 + しかし今のところ、エルサレムは酔いどれの手に握られています。祭司も預言者も足もとがふらつき、考えられない過ちを犯します。 + 彼らの食卓は吐いた物だらけで、どこもかしこも汚物でいっぱいです。 + 民は口々に不平を言います。「イザヤは自分をだれだと思っているのか。このようなことを私たちに言うとは。ろくにしゃべれない子どもとでもいうのか。 + もうたくさんだ。同じことをくどくどと、何度にも分けて少しずつ話す。それでは、子どもでもわかるだろう。」 + こう言って、いっこうに耳を貸そうとしません。彼らに思い当たるのは、罰を受けるということばだけです。だから神は罰として、よくわからない話し方をする外国人を送って彼らに語らせます。そうなって初めて、彼らは神のことばを聞くようになるのです。 + 最初から神の命令を守り、正しい生活を送っていたなら、自分の国で安らぎをもって暮らせたはずです。せっかくの神の約束に、彼らは耳をふさぎました。 + そこで主は、機会あるごとに、わかりやすいことばで同じことを語りました。ところがこの簡単明瞭なことばに、彼らはつまずいて倒れ、足を折り、罠にかかって捕らえられるのです。 + それゆえ、あざけるエルサレムの指導者たちよ、主のことばを聞きなさい。 + あなたがたは死と契約を結んだとうそぶいている。しかも、アッシリヤ人の攻撃から守ってもらうという交換条件で、悪魔に身を売り渡したのだ。「彼らは、われわれに指一本ふれることもできない。われわれには、彼らをあざむいてくれる強い味方がついているのだ」と、おまえたちは高をくくっている。 + しかし、神である主のことばは違います。「わたしはシオンに土台石を置く。それは試験ずみの、かけがえのない隅の親石で、どんな重さにも耐える。信じる者は二度と逃げなくてもよい。 + わたしは測りなわと正義の重りで、おまえたちの城壁の基礎工事を調べる。それは、見た目にはりっぱだが、実際はもろく、雹の嵐で簡単にくずれる。敵は洪水のように押し寄せて城壁をのみ込み、おまえたちはおぼれる。 + わたしは、おまえたちが死や悪魔と結んだ協定を破棄するので、恐ろしい敵がなだれ込み、おまえたちを踏みにじる。 + 洪水はくり返し襲いかかり、おまえたちを一人残らず押し流す。だから、わたしが前もって警告しておいたことが実際どれほど恐ろしいことか、身にしみてわかる。」 + あなたがたの作ったベッドは短くて足が出るし、毛布は小さすぎて体をくるむことができません。 + 主は、ペラツィム山での時(ダビデがペリシテ人を打ち破った出来事。)のように、ギブオンの谷での時(ヨシュアがエモリ人の王を打ち殺した出来事。)のように、思わぬ時に突然来て、神の民を滅ぼすという、ありえないことをします。 + だから、刑罰がいっそう重くならないためにも、これ以上あざけってはいけません。主である神は私にはっきりと、あなたがたを押しつぶすことにした、と語っているからです。 + 私の言うことをよく聞き、私の嘆願に耳を傾けなさい。農夫は、畑を耕すばかりで、いつまでも種をまかないでいるでしょうか。 + 耕し終えたら、さまざまの穀物の種を、それぞれの場所にまかないでしょうか。 + 農夫は作物をどのように扱えばよいかを知っています。神が、物事を見て正しく判断する力を与えたからです。 + どの穀物も同じように脱穀したりはしません。いのんどの実は、大槌ではなく棒で打ちます。クミンの場合は、脱穀車の車輪を回して押しつぶすのではなく、からざおで静かにたたきます。 + パンの材料になる麦はすぐにつぶれるので、いつまでもたたいたりはしません。 + 全能の主はすぐれた教師であり、農夫に知恵を授けるのです。 + + + 「ああ、ダビデの町エルサレムよ、おまえは大きな災難に会う。年ごとに、おまえは多くの供え物をささげる。 + しかし、わたしが重い罰を加えるので、泣き声と悲しみがあふれる。「アリエル」というあだ名のとおり、エルサレムは血だらけの祭壇になるからだ。 + わたしはおまえの敵となる。エルサレムを包囲し、攻めたて、周囲に要塞を築いて滅ぼす。 + おまえの声は、埋められた地中から、幽霊のようにかすかに聞こえるばかりだ。 + だが残酷な敵も、あっという間にもみがらのように吹き飛ばされる。 + 天の軍勢の主であるわたしは、雷と地震とつむじ風、火をもって不意に彼らに襲いかかる。 + エルサレムに戦いをいどむ国はすべて、一夜の夢のように消え去る。 + 空腹の人が食事の夢を見ても変わらず空腹であるように、また、のどの渇いた人が水を飲む夢を見ても変わらず渇きで苦しむように、敵は勝利の夢を見るが、現実とはならない。」 + あなたがたは信じられないのですか。信じたくないのなら、かってに行動し、見えない目で進んで行きなさい。あなたがたは頭の働きが鈍くなりますが、ぶどう酒に酔ったせいではありません。足がふらつきますが、強い酒のせいではありません。 + 主が深い眠りの霊を注いだからです。主が預言者や先見者の目をふさいだので、 + 将来の出来事のいっさいは、彼らにとって封をされた書物同然になりました。ですから、いくら読解力のある人に渡しても、「読めません。封がしてありますから」と答えます。 + 別の人に回すと、「残念ながら、私は文字を読むことができません」という返事です。 + そこで主は語ります。「この民は、口先ではわたしの民だと言いながら、実際にはわたしに従っていない。彼らの礼拝は、機械的に覚えた文句の反復にすぎない。 + もう黙ってはいられない。偽善者どもに思い知らせよう。最高の知恵さえ、愚か者同然にしてしまおう。」 + ああ、自分の計画を神に隠そうとする者、陰で悪を行う者。彼らは言います。「神はこんなところまで目が届かない。ここで何が起こっているかなど、知っているわけがない。」 + なんと愚かなことを言うのでしょう。陶器師である神は、陶器にすぎないあなたがたより偉くないのでしょうか。あなたは神に向かって、「あなたは私を造らなかった」と反抗するのですか。機械がその考案者に、「あなたを解雇する」と言うでしょうか。 + もうしばらくすると、レバノンの荒野は再び実り豊かな平野となり、樹木が茂るよく肥えた森となります。 + その日、耳の聞こえない人が書物のことばを聞き、盲人は暗闇ごしに神の計画したことを見ます。 + 柔和な人は主からくる新しい喜びにあふれ、貧しい人はイスラエルのきよい神によって喜び踊ります。 + 弱い者をしいたげる者はいなくなり、あざける者は断たれ、悪事を企む者は一人残らず殺されます。 + そういう者たちは、ほんの少しのことにも言いがかりをつけてはけんかを売り、裁判になれば、有罪の判決を下した裁判官を待ちぶせて袋だたきにします。あらゆる口実をもうけて不正を行うのです。 + それゆえ、アブラハムを贖い出した主は、こう語ります。「わたしの民は恐れのあまり青ざめたり、恥じ入ったりしない。 + 人口が急増し、経済が発展するのを見て、わたしの名を恐れ、わたしをたたえるようになる。 + 間違いを犯していた者は真理を信じ、不平ばかり言っていた者は、進んで教えを受けるようになる。」 + + + 主は語ります。「ああ、逆らってばかりいるわたしの子どもたち。おまえたちは、わたし以外の者なら、だれの忠告でも聞く。しかも、これだけはしてもらいたくないことを、平気でする。不信者と手を結び、罪を重ねる。 + わたしとは相談せず、助けを求めてエジプトへ下り、ファラオの保護をあてにした。 + しかし、ファラオをあてにすれば失望し、屈辱を受け、恥がもたらされることは間違いない。彼にはおまえたちを救う力などないからだ。 + たとえ王の勢力がツォアンにまで及び、おまえたちを歓迎する使者をハネスにまで遣わしても、 + わずかな助けもできない。おまえたちは恥をかくだけだ。 + エジプトめざして、恐ろしい荒野を進んで行く様子を思い浮かべよ。エジプトの援助を買いつけるための宝物を積んだ、ろばやらくだの列が進む。ライオンやすばしこいまむしの住む地を越えて行く。ところがエジプトは、何一つお返しをしてくれない。 + エジプトは助ける力もない。わたしはこの国を、『無気力なわに』と呼ぶ。 + さあ、行って、エジプトについてわたしが言ったことを書き記せ。のちのちまで、イスラエルの不信仰に対する起訴状として残しておくためだ。 + そうでもしなければ、彼らは口をとがらせて、『何ですって。神はただの一度だって、そんな警告はしませんでした』と文句を言うに違いない。彼らは意地っぱりで、強情な反逆者だ。 + 神の預言者たちに向かって、彼らは言う。『黙れ。おまえの言うことなど、もう聞きたくもない』とか、『ほんとうのことなど、どうでもいい。耳ざわりのいいことだけを話してくれ。うそでもかまわない。陰気くさいことはまっぴらだ。「イスラエルのきよい神がこう言った」という決まり文句はうんざりだ』と言う。」 + イスラエルの聖なる神の返事はこうです。「おまえたちはわたしの言うことを無視し、根も葉もないことを信じて悔い改めようとしなかった。 + それゆえ、災難が突然おまえたちを襲う。ちょうど城壁にひびが入り、がらがら音を立ててくずれ落ちるように、あっという間の出来事だ。 + わたしは皿を割るようにおまえたちを砕き、少しも手かげんしない。いろりから炭火を移したり、井戸の水を少しでも運べるほどの破片も残らない。」 + イスラエルのきよい神、主は、こう語ります。「わたしに立ち返り、わたしの助けを待ち望みさえすれば、おまえたちは救われる。心を落ち着けて信頼することが、おまえたちの力となるのだ。ところがおまえたちは、そうしなかった。」 + あなたがたは言います。「とんでもないことだ。さっそくエジプトの力を借りよう。足の速い軍馬を提供してくれるはずだ。」しかし実際に見るのは、あなたがたを追いかける敵の速さだけです。 + たった一人の敵に千人が追い回され、わずか五人の敵で散り散りばらばらにされます。こうしてあなたがたは、遠くの山頂のまばらに生えた木のようになるのです。 + しかし主は、あなたがたを愛し、いつの日か、みもとに帰って来るのを待っています。約束どおり、あなたがたをむりやりつかまえてでも祝福しようと待ちかまえています。主は約束は必ず守るお方なので、主の助けを待ち望む人は幸いです。 + エルサレムに住む私の民よ、もう泣くことはありません。神はあなたの叫びにこたえ、必ず恵みを与えるからです。 + 獄中でわずかなパンと水しか与えられないときでさえ、主はあなたのそばにいて教え導いてくれます。あなたは自分の目でその主を見ることができるのです。 + あなたが神の道を離れて迷っても、うしろから、「そちらではない。こっちの道を歩きなさい」という声が聞こえます。 + あなたは金や銀で造った偶像を打ち砕き、それらを手にするのも汚らわしい物のように、「消えうせろ」と言って投げ捨てるでしょう。 + そののち、神は種まく時期には雨を、収穫時には黄金の穂波を、また乳牛には牧草をたっぷりと与えます。 + 畑を耕す雄牛や若いろばは、もみがらを除いたおいしい穀物を食べます。 + 神が乗り出して敵を滅ぼすとき、どの山や丘からも水が豊かに流れます。 + 主がご自分の民の傷をいやすときには、月は太陽のように明るくなり、太陽の光は七倍も明るく輝くのです。 + 主が怒りを燃え上がらせ、立ち上る濃い煙に包まれて遠くから来る様子を見なさい。口は激しい怒りの火を吐き、ことばは炎のように何もかも焼き尽くします。 + 憤りは洪水のようにあふれ、人も物も洗いざらい流し去ります。神は思い上がった国々をふるいにかけ、くつわをかけ、ほふり場へ連れて行きます。 + しかし神の民は、聖なる祭りの晩のように、心をこめて喜びの歌を歌います。巡礼の一団が笛の音に合わせて、イスラエルの岩である主の山へ登って行くときのように、心をはずませます。 + 主が威厳ある声を響かせ、怒りをこめて敵の頭上に力強い腕を振り下ろすとき、燃える炎とつむじ風、恐ろしい嵐と大きな雹の音となります。 + 主は恐ろしい声で、以前は懲らしめの杖の役目をしたアッシリヤ人を罰するのです。 + 彼らが打たれるたびに、主の民は音楽を奏で、歌を歌って喜びます。 + アッシリヤのためには、ずっと前から火葬のたきぎが高く積み上げてあります。主の息が吹き上げる火山の火のように、たきぎの山を一瞬のうちに燃やしてしまいます。 + + + ああ、エジプトに助けを求めて走り、イスラエルの聖なる神の指示を仰がず、エジプトの強い騎兵と戦車をあてにする者。 + 神はご自分の知恵によって、その民に大きな災難を下します。しかも、お心を変えることがありません。彼らの悪を決して見逃さず、彼らの味方につく者も打ち倒します。 + エジプト人はただの人間であって神ではありません。その馬は取るに足らぬ動物で、どんなものでも蹴散らす霊ではありません。主がこぶしを振り上げると彼らはつまずき、助けるはずだった人たちの間で倒れ、どちらも滅んでしまいます。 + しかし主は、こう語りました。「ライオンが羊をかみ殺すときに、羊飼いの叫び声や騒ぎなど気にもかけない。さっと襲いかかって一気に食べる。同じように、シオンの山の上で戦うわたしは、おびえて逃げたりはしない。わたしは天の軍勢の主だ。鳥が巣の上を飛び回るように、エルサレムの上空を舞う。こうして都を守り、救い出す。」 + それゆえ、私の民よ。反抗する者よ。神のもとへ帰りなさい。 + やがて、あなたがたがみな、罪深い手で造った金や銀の偶像を捨てる、すばらしい日が来ます。 + アッシリヤ人は滅びますが、人の剣によってではありません。「神の剣」が彼らを打ち倒すのです。彼らはあわてふためいて逃げます。屈強な若者は奴隷として引かれて行きます。 + 「イスラエルの軍旗を見ると、将軍たちさえ恐れて身震いし、一目散に逃げる」と主は言います。神の炎が、赤々とエルサレムに燃え上がるからです。 + + + 見よ。正義の衣をまとった王が、忠実な部下を引き連れて来ます。 + 王はイスラエルを嵐と風から守ります。イスラエルを砂漠を流れる川のようにし、日照りで乾ききった地にある、大きな岩の涼しい陰のようにします。 + その時になって、イスラエルの目は神に向かって大きく開かれ、民は御声に耳を傾けます。 + 性急な者も沈着冷静になり、口ごもる者もはっきり話せるようになります。 + その時には、神を敬わない無神論者は賞賛されません。たとえ金持ちでも、人をだます者は、りっぱな人とは呼ばれません。 + だれもが見たとたん、これは悪人だとわかります。偽善者は、もう誰もだませません。神についてのうそも、飢えた人へのあざむきも、一目瞭然だからです。 + 悪者の巧妙な手口も難なくあばかれます。法廷で貧しい人を脅すための偽証も、例外ではありません。 + しかし、正しい人は他の人に寛大で、何をしても神に祝福されます。 + 何もせずに怠けている女は、私の言うことを聞きなさい。その報いがどんなものか話してあげよう。 + あと一年少しで、大変なことが起こります。収穫期になっても作物がとれなくなるのです。その時になってあわてても手遅れです。 + 女たちよ、のんきにかまえていないで、無頓着な態度を改めなさい。美しい服を脱ぎ、悲しみの日に備えて荒布をまといなさい。 + 涙を絞って嘆きなさい。よく肥えた畑は見る影もなくなり、かつては実をいっぱいつけたぶどうの木は、見る影もなくなるからです。 + 土地にはいばらや野ばらが生い茂り、笑い声の絶えなかった家や、活気に満ちていた町は、あとかたもなくなります。 + 宮殿や邸宅は荒れ果て、にぎわっていた町も廃墟となります。見張り塔のあった山の上では、野生のろばややぎが草を食べるようになります。 + しかしついには、天から御霊が注がれ、再び見渡す限りの黄金の穂波が見られるようになります。 + その時、正義が全地を支配し、 + 正義が平和をつくり、平穏と信頼がいつまでも続きます。 + 私の民はいっさいの危害から守られ、静かに落ち着いて暮らします。 + しかしアッシリヤは滅び、その町々は破壊されます。 + 神はご自分の民に豊かな祝福を注ぎます。どこに種をまいても作物は豊富に実り、牛やろばは緑の牧場で草を食べるのです。 + + + ああ、回りのものを手当たりしだいに破壊したが、自分は痛い目に会ったことのないアッシリヤ人たち。あなたがたは、人々には約束を守ることを期待しながら、自分は彼らを裏切ります。今度はあなたが裏切られ、滅ぼされる番です。 + しかし主よ、私たちはあなたを待ち望んできましたから、お心にかけてください。毎日私たちの力となり、苦難のときには救いとなってください。 + 主が大声を上げると、敵は逃げ、神が立ち上がると、国々の民は散って行きます。 + いなごが畑やぶどうの木を丸裸にするように、エルサレムは、アッシリヤの敗残兵から奪い取ります。 + 主は偉大な方で、天に住み、エルサレムを正義と恵みの住まいにします。 + ユダのためには、あふれんばかりの救いが、知恵と知識、それに神への尊敬とともに、安全な場所に用意されています。 + しかし今は、あなたがたの使者は大いに失望して泣いています。アッシリヤが和平の申し入れを退けたからです。 + 街道は荒れ果て、旅人は裏道を遠回りしなければなりません。アッシリヤ人は平和協定を破ります。証人の前で取り決めた約束など何も気にかけていないのです。相手がだれであれ、手かげんしません。 + イスラエル全土が苦難に巻き込まれます。レバノンは滅ぼされ、シャロンは荒れ地となり、バシャンとカルメルは略奪されます。 + しかし主は宣言します。「わたしは立ち上がり、大きな力を天下に示す。 + おまえたちアッシリヤ人は、どれほどがんばっても、何一つ手に入れることはできない。かえって自分の息の炎で焼き殺されるだけだ。 + 自慢の軍隊は、いばらが切り払われ、火に投げ込まれるように、焼かれて石灰になる。 + 遠い国々は、わたしのしたことを聞け。近隣の国々は、わたしの力の偉大さを知れ。 + わたしの民のうちの罪人は、恐れに取りつかれて身震いし、口々に叫ぶ。『すべてのものを焼き尽くす永遠の火の前に、だれが立ちはだかれよう。』 + それができるのは、正直で公正な者、詐欺でもうけない者、わいろが差し出されたとき、すぐに手を引っこめる者、殺人の計画に耳をふさぐ者、いっさいの誘惑に目をつむる者だ。 + このような者は高い所に住む。山の岩が、彼らを守る頑丈なとりでとなる。食べ物は十分にあてがわれ、欲しいだけの水が補給される。」 + あなたの目は美しく着飾った王を見、はるかかなたの御国を見ます。 + また、アッシリヤの将校たちが城壁の外で塔の数を数え、この都を占領したらどれだけの分捕り物があるだろうかと考えていた、あの恐ろしい時を思い浮かべます。 + しかし彼らを見るのも、あとわずかです。訳のわからないことばを話す荒くれ男たちは、どこかへ行ってしまいます。 + 代わりにあなたがたは、平和なたたずまいのエルサレムを見ます。それは神を礼拝する場所で、どんなことがあっても揺るがない都です。 + 栄光の主が大河となって私たちを守るので、敵は一歩も近づけません。 + 主はさばく方、立法者、また王となって、私たちを救います。 + 敵の船の帆は折れたマストに垂れ下がり、船具は役に立ちません。戦利品は神の民が分配し、足の弱っている人も割り当てにあずかります。 + イスラエルの民は二度と、「病が重く、頼るものもない」とは言いません。主が彼らの罪を赦し、彼らを祝福するからです。 + + + 国々と、世界のすべてのものは、私のことばを聞きなさい。 + 主の激しい怒りの炎が、国々の軍隊に向けられたからです。主は彼らを徹底的に打ち、虐殺する者の手に渡します。 + 死体は放り出されたまま腐って、悪臭が満ち、山々は血の海となります。 + その時、天は溶けて巻物のように巻かれ、星は木の葉や熟しきった実のように落ちて来ます。 + 「わたしの剣が天で一暴れしたあとどうなるか、よく見ているのだ。それは、わたしが滅亡の宣言をしておいたエドム人の上に落ちる。 + 剣には血がしたたっている。いけにえの子羊ややぎを裂いたときのように、血をたっぷり吸っている。わたしがエドムで大がかりないけにえをほふり、大虐殺するからだ。 + 最強の勇士も倒れ、若者も経験を積んだ者も共に滅びる。地はたっぷり血を吸い、脂肪でよく肥える。 + さあ、復讐の日だ。エドムのイスラエルへの仕打ちに報復する時だ。 + エドムの川には燃えるピッチがあふれ、地は一面の火に包まれる。」 + エドムのさばきは終わりがありません。煙はいつまでも立ち上り、地は何世代にもわたって荒廃します。誰ひとり住みつく者もありません。 + 人間の代わりにペリカンや針ねずみが住み、ふくろうやからすが巣を作ります。神がこの地を見て、滅ぼす以外にないと考えたからです。そこの貴族たちのありさまを見て、生きている資格はないと判断したのです。その地は「虚無の地」と呼ばれ、 + 王子たちはみな姿を消します。 + 宮殿にはいばらが生い茂り、要塞にはいらくさが一面に生えます。こうして、山犬のねぐら、だちょうの住みかとなるのです。 + 荒野の野獣が山犬といっしょになり、その遠吠えが夜通し聞こえます。夜の怪物はぶきみな叫び声を上げ、悪鬼がそこを休み場にします。 + 蛇も巣を作って、卵を産み、それをかえして、大事に育てます。鳶のつがいもそこに来ます。 + 主の書を調べて、主がこれからどうするかに目を留めなさい。ただの一つも欠きません。その地には、つがいでないものはいません。主がそう命じ、主の御霊が、そのとおりになるようにしたからです。 + 主はこの地を調べて区分し、これらの生き物の住みかと定めました。彼らは、代々にわたって、この地を所有します。 + + + その日には、荒野や砂漠さえ喜びます。荒野には花が咲き乱れます。 + いっせいに花が咲き競い、歌声と喜びの声がわき上がります。荒野はレバノン山のように緑に囲まれ、カルメル山の牧場やシャロンの牧草地のように、美しい景色になります。そこは神の栄光の舞台となるからです。 + この良い知らせで、絶望した人を元気づけ、 + 怖がっている人を励ましなさい。「さあ、元気を出しなさい。怖がることはありません。神が敵を滅ぼしに来ます。あなたがたを救いに来ます」と伝えなさい。 + 神が来れば、盲人の目は見えるようになり、耳の聞こえない者の耳は聞こえるようになります。 + 足の不自由な者は鹿のように跳びはね、口のきけなかった者は大声で叫び、歌います。荒野には泉がわき、砂漠には川が流れます。 + 乾いた地は池となり、日照りのために地割れした所から水がわき上がります。荒野の山犬の住みかは、葦やいぐさの茂みになります。 + かつては荒野だった所に主要道が通ります。それは「聖なる道」と呼ばれ、心の汚れた者は通れません。神が共に歩むので、どんなに愚かと言われる人でも道に迷いません。 + 道にライオンが潜んでいることもなく、危険な目に会うこともありません。罪を赦された者だけが、そこを通ります。 + 彼らは喜び歌いながら、この道を通ってシオンへ帰るのです。悲しみもため息もみな過去のものとなります。あるのは、喜びと楽しみだけです。 + + + ヒゼキヤ王の治世の第十四年に、アッシリヤの王セナケリブがユダの要塞化された町々を残らず占領しました。 + それからだいぶたってからのことです。王はラキシュから大軍をつけて使者を送り、エルサレムのヒゼキヤ王と交渉させました。使者の一行は、布さらしの野を通る道のほとりの、上の貯水池の出口近くに陣を張りました。 + ヒルキヤの子でイスラエルの首相のエルヤキム、王の書記官シェブナ、それにアサフの子で王の秘書官のヨアフが休戦交渉の委員となり、彼らに会いに出かけました。 + 使者は、次のようなヒゼキヤ王への伝言を突きつけました。「アッシリヤの大王は、エジプトのファラオの助けをあてにするのは愚か者だと仰せになっている。 + ファラオの約束など、ぼろきれ同然だ。口先だけでは勝てない。それなのに、おまえは彼の助けをあてにし、私に手向かった。 + エジプトは危険な同盟軍だ。何をしでかすかわかったものじゃない。寄りかかってきたら手を刺してやろうと、杖の先をとがらせて待っている。忘れるな、今までこの国に助けを求めた者は、例外なくひどい目に会ったのだぞ。 + ひょっとしたらおまえは、『われわれは神にお頼りしている』と殊勝なことを言うかもしれない。だが、よく考えてみろ。その神にしてからが、ヒゼキヤ王が丘の上の神殿や祭壇を片っ端から壊したあげく、ユダの民に、エルサレムの祭壇の前でだけ拝めと命じた、あの神ではないか。 + わが主君、アッシリヤの大王は、ちょっとした賭けをしたいと言っておられる。どうかな、そちらの兵は二千とは残っていまい。もし残っていたら、大王は二千頭の馬をくれてやろうとおっしゃる。それで編成した、吹けば飛ぶような軍隊では、わが軍の一番弱い部隊ですら撃退できまい。エジプトの助けなどあてにならないからだ。 + それだけではない。そもそも、ここまでわざわざ出かけて来たのも、主がこの国を占領せよと言ったからだ。『さあ、行って、ユダを滅ぼせ。』そう、神は言ったのだ。」 + これを聞いたエルヤキムとシェブナ、それにヨアフは、使者に頼みました。「私どもはアラム語(当時の国際共通語)がよくわかります。どうか、ヘブル語でなくアラム語で話してください。城壁の上にいる者たちに聞かれたくありませんので……。」 + ところが、相手はますます居丈高に答えました。「大王は、おまえたちだけでなくエルサレム中の者に知らせたいと思っておられるのだ。おまえたちが降伏しなければ、この都はすっかり包囲され、だれもが飢えと渇きに我慢できなくなって、自分の糞を食べ、自分の尿を飲むようになることを知らせたいと。」 + こう言うと、城壁の上で聞き耳を立てているユダヤ人たちに、大声でどなりました。「アッシリヤの大王のおことばを、よおく聞け。大王はこう仰せだ。 + 『ヒゼキヤにだまされるな。彼がどんなにもがいても、おまえたちを救えない。 + 神を信じろ、神がついていれば、アッシリヤ王に征服されることはないと言われても、耳を貸すな。 + ヒゼキヤの言うことを聞くな。大王はすばらしい条件を出しておられる。さあ、降伏のしるしに貢ぎ物を出せ。門を開けて出て来い。そうすれば、もれなく畑と庭と飲み水を与え、 + いずれ、こことよく似た国へ連れて行ってやろう。穀物もぶどうもよく取れる、豊かな国だ。 + 気休めにすぎないヒゼキヤのことばにつられて、こんなすばらしい特権をふいにするな。これまでに、大王の無敵の軍隊を負かした神々がいたか。 + ハマテやアルパデがどんな目に会ったか覚えているだろう。彼らの神々は彼らを救ったか。セファルワイムとサマリヤの場合はどうだ。今、彼らの神々はどこにいる。 + これらの国々の神が、私の手から人々を救い出したか。そんな例があったら、その神の名を挙げてみろ。なのに、おまえたちの神に限ってエルサレムを救えるとでも考えているのか。頭を冷やして、よく考えてみることだ。』」 + 人々は押し黙ってひと言も答えません。ヒゼキヤがそう命じておいたからです。 + 首相のエルヤキム、王の書記官シェブナ、それに王の秘書官ヨアフは、絶望のしるしに、着ている服をずたずたに裂き、ヒゼキヤのところへ帰って一部始終を報告しました。 + + + 王は会談の結果を聞いて王服を裂き、屈辱と嘆きを示して、目のあらい布を身にまといました。それから、祈るために神殿に行きました。 + 一方、首相のエルヤキム、王の書記官シェブナ、それに年長の祭司たちにも同じような格好をさせ、アモツの子である預言者イザヤのところへ行かせたのです。 + 彼らは王のことづけを伝えました。「今日は苦しみと懲らしめと侮辱の日です。女が子を産もうとしてひどく苦しんでいるのに、なかなか産み落とせないような日です。 + おそらくあなたの神である主は、アッシリヤの王の使者の、あの聞くに耐えないののしりをお聞きになったと思います。神がこのままで済ますはずはありません。あんな暴言を吐いたやつを責めるでしょう。お願いですから、ここに残っているわれわれのために祈ってください。」 + 「わかりました。王様に神のおことばを取り次ぎなさい。アッシリヤの王の家来の脅しと暴言で取り乱してはいけない。 + アッシリヤから王のもとへ、帰国しなければならない急な知らせが届く。王は国へ帰り、そこで殺される。すべてわたしが手はずを整えたのだ。」 + アッシリヤの使者はエルサレムを離れ、ラキシュに続いてリブナを攻撃中の王と相談するため道を急ぎました。ところが、アッシリヤの王はちょうどこの時、エチオピヤの皇太子ティルハカが軍隊を率いて向かって来るとの知らせを受けたのです。これを聞くと、もう一度エルサレムへ使いをやり、ヒゼキヤに手紙を渡しました。 + 「おまえは、エルサレムは私の手に渡さないとか、偉そうな口をたたいておるが、おまえの信じている神にごまかされるな。 + 私の行く先々でどんなことが起こったかを思い出せ。刃向かう者は手当たりしだいに押しつぶしてきた。自分だけは例外だと思うのか。 + ゴザン、カラン、レツェフの町々、それにテラサルにいるエデンの住民が神々に救い出されたか。とんでもない! 彼らは皆殺しにされた。 + ハマテの王、アルパデの王、セファルワイム、ヘナ、イワの町々の王の最期がどうであったか、忘れないことだ。」 + ヒゼキヤ王はこの手紙を読み終えると、すぐさま神殿に駆けつけ、主の前に手紙を広げ、 + こう祈りました。 + 「天の軍勢の主、ケルビム(契約の箱を守る天使の像)の上におられるイスラエルの神よ。あなただけが世界でただひとりの神です。あなただけが天と地をお造りになりました。どうか今、私の願いをお聞きください。祈っている私に目を留めてください。ごらんください。これがセナケリブ王の手紙です。王は生きておられる神をあざけりました。 + 手紙にもあるように、王が国々を滅ぼしたのは事実です。 + そして国々の神を火に投げ入れました。みな神とは名ばかりで、人間が木や石で造った偶像にすぎませんが。だからアッシリヤ人は、難なくこれらの神々の息の根を止めることができたのです。 + ああ神よ、世界中の国が、あなただけが神であることを知るためにも、どうか私たちをお救いください。」 + その時、アモツの子イザヤは使いをやり、ヒゼキヤ王にことづけを伝えました。「イスラエルの神、主のお告げがありました。主は、あなたがアッシリヤの王セナケリブのことで祈るのを、お聞きになりました。 + 彼についてのお告げはこうです。よるべのないシオンの処女の娘であるわたしの民は、おまえを軽蔑し、笑い者にし、さげすんで頭を振る。 + おまえがののしり、あざけった相手はだれか。おまえはだれに毒づいたのか。だれに高ぶり、言ってはならぬことを口にしたのか。イスラエルの聖なる神、わたしにではないか。 + おまえは使いをよこして、わたしをあざけった。そして得意になって語った。『私は強力な軍勢を引き連れ、西の国々を攻めた。そびえるレバノン杉と良質の糸杉を切り倒した。高い山々を征服し、密林を踏みにじった』と。 + おまえは、征服した地に多くの井戸を掘ったことを自慢している。エジプトが全軍をあげてかかっても、おまえには歯が立たない。 + だが、こうなるように昔から決めていたのは、このわたしだ。まだそのことに気づかないのか。大昔からこのような力を与えておいたのは、わたしだったのだ。おまえが城壁に囲まれた町々を瓦礫の山にしたのは、わたしの計画で実現させたのだ。 + だからこそ、おまえが攻めた国々の住民は弱く、やすやすと餌食になったのだ。彼らは草のように無力で、容易に踏みにじられる新芽のようにもろく、屋根の草のように、太陽に当たると黄色くしなびた。 + わたしはおまえをよく知っている。あらゆる行動が手に取るようにわかる。わたしに向かっていきりたったのも知っている。 + 神にいどみかかるとは何事だ。わたしは暴言を全部聞いた。もう黙ってはいない。おまえの鼻に鉤をかけ、口にはくつわをはめて、もと来た道を引き返させる。」 + 続いて神は、ヒゼキヤに言いました。「この都をアッシリヤの王から救い出すのはわたしであるという証拠を見せよう。今年、彼は包囲を解く。種をまくには遅すぎるので、今年の秋は落ち穂から生えたもので我慢しなければならない。だが来年は、まずまずのところまで持ち直し、二年先には、以前のように豊かな暮らしができる。 + ユダにいるあなたがたはまた自分の土地に住み、繁栄し、増え広がる。 + 生き残った者がエルサレムを出て再び定住するからだ。わたしが、これらのことをみな実現する。 + アッシリヤ軍はエルサレムに侵入しない。矢を放ち、城門の外に迫り、城壁沿いにとりでを築くこともしない。 + もと来た道を引き返す。この都に入ることは絶対にない。 + わたしの名誉にかけて、また、わたしの忠実なしもべダビデのためにも必ずここを守る。」 + その夜、主の使いがアッシリヤ軍の陣営に出て行って、十八万五千人の兵士を打ちました。翌朝、何も知らずに目を覚ました者たちの前には死体が累々と横たわっていました。 + アッシリヤの王セナケリブは、自分の国のニネベへ逃げ帰りました。 + そののち、彼が守護神ニスロクの神殿で拝んでいた時、息子のアデラメレクとサルエツェルが、いきなり剣を抜いて切りかかって彼を殺しました。二人はアララテの地へ逃げました。こうして、別の息子エサル‧ハドンが王になったのです。 + + + この出来事の少し前、ヒゼキヤは死の病に取りつかれました。そこへアモツの子である預言者イザヤが来て、主のことばを伝えました。「あなたはもう長くない。身の回りを整理しておきなさい。治る見込みはない。」 + ヒゼキヤはこれを聞いて顔を壁に向け、必死に祈りました。 + 「ああ神よ、お忘れになったのですか。あんなに真実を尽くし、いつも言いつけに従おうと努力してきましたのに。」王は肩を震わせ、大声で泣きました。 + それを見て、主はイザヤに告げました。 + 「さあ行って、ヒゼキヤに言ってやりなさい。『あなたの父祖ダビデの神である主は、確かにあなたの祈りを聞いた。あなたの涙を見て、あと十五年いのちを延ばすことにした。 + あなたとこの都をアッシリヤ王の手から救い出し、あなたを守る、と主は言われる。 + その保証として、アハズの日時計の目盛りを十度あとに戻す。』」すると、日時計に落ちる日の影は十度あと戻りしました。 + ヒゼキヤは元気になると、この経験を詩にまとめました。 + 「まだ働き盛りだというのに、いっさいをあきらめなければならないのか。これからの歳月は奪い取られ、よみの門に入ろうとしている。 + もう二度と、生きている人の国で主を見ることはないだろう。この世で友人の顔を見ることもない。 + 私のいのちは、羊飼いの天幕のように風で吹き飛ばされ、機を織る人が中途で手を止めるように中断された。私のいのちは、たった一日で消えていく。 + 私は夜通しうめいた。まるでライオンに引き裂かれるような苦しみだ。 + 私は錯乱状態になり、雀のようにさえずり、鳩のようにうめいた。助けを求めて上を見続けていたので、目はすっかりかすんでしまった。私は叫んだ。『ああ神様、助けてください。苦しくてたまりません。』 + しかし、私に何を言うことができよう。私を病気にしたのは主なのだから。苦しさのあまり眠ることもできない。 + 『主よ、あなたの懲らしめは益となり、いのちと健康に導きます。どうか病気を治し、私を生かしてください。 + 今やっとわかりました。この苦しい経験は、みな私のためだったのです。神が愛をもって私を死から救い出し、いっさいの罪を赦してくださったからです。 + 死人はあなたを賛美できません。そこには希望も喜びもありません。 + 生きていてこそ、今日の私のように、あなたを賛美できるのです。あなたの真実は父から子へ代々語り継がれます。』 + ああ、主は病気を治してくださった。これからは毎日、いのちある限り、神殿で主への賛美を奏でよう。」 + イザヤは王の召使に、「いちじくで塗り薬をつくり、はれものに塗りなさい。そうすれば、王様は元どおり元気になられます」と言いました。 + するとヒゼキヤは、「病気が必ず治る保証として、主はどんなしるしを与えてくださいますか」と尋ねてきました。 + + + それからまもなくのことです。バルアダンの子、バビロンの王メロダク‧バルアダンは、ヒゼキヤ王に好意を示し、贈り物を届けました。重病であったヒゼキヤが元気になったと聞いたからです。 + ヒゼキヤはこれを喜び、バビロンからの使者を宮殿のあちこちに案内して回り、銀、金、香料、香水で満ちた宝物倉まで見せました。さらに宝石のしまってある部屋へ連れて行き、そこにある物を一つ残らず見せたのです。 + それを聞いた預言者イザヤは、さっそく王のところに来て質しました。「いったい何をお見せになったのですか。使者というのは、どこから来たのですか。」「遠いバビロンからだ。」 + 「それであなたは、どの程度までお見せになったのですか。」「全財産だ。貴重な宝物も残らず見せた。」 + 「そのことで、全能の主のことばがありました。 + あなたの全財産、先祖がたくわえた宝物全部が、バビロンに運び去られる時がくる。何一つ残らない。 + またあなたの子どもの中にも、バビロンの王の宮殿で宦官として仕える者が出る。」 + 「それはけっこうだな。神のおことばはみな、ためになることばかりだ。しかし、少なくとも私が生きている間は、平和が続くのであろう?」 + + + 「わたしの民を慰めよ」と主は命じます。 + 「エルサレムに優しく語りかけ、悲しみの日は過ぎ去ったと言ってやりなさい。その罪は赦された。すべての罪に倍する報いを受けた、と。」 + 耳を傾けなさい。荒野で叫ぶ声が聞こえます。「主が通られる道を準備せよ。荒野に、平らでまっすぐな道を、主のために準備せよ。 + 谷を埋め、丘をけずり、曲がりくねった道をまっすぐにし、荒れた道を広げて平らにせよ。 + 主のすばらしさをすべての人々に示せ。」主が命じた以上、そのとおりになります。 + 「大声で叫べ」という声が聞こえます。「何と叫んだらよいのですか」と私は尋ねました。「こう叫びなさい。人は、しおれてしまう草のようなものだ。人の美しさは、しぼんでいく花のように色あせる。 + 神の息がかかると、草はしおれ、花はしぼむ。弱くもろい人間もそれと同じだ。 + 草はしおれ、花はしぼむ。しかし神のおことばは、いつまでもすたれることがない。」 + 良い知らせを伝える者よ。山の頂上からエルサレムに向かって叫びなさい。恐れずに大声で言いなさい。ユダの町々に「神が来られる」と知らせなさい。 + 神である主は、全能の力を持って来ます。恐ろしいまでの力で支配し、一人一人の行いに応じて報います。 + また、羊飼いのように群れの世話をし、子羊を抱いて運び、雌羊を優しく導きます。 + 主のほかにだれが、手で海を支え、手の幅で天の大きさを測ったでしょう。だれが、地球の重さと、山や丘の重さを知っているでしょう。 + だれが主の御霊の助言者となり、主の教師になったでしょう。 + 主は人間の助言を必要としたでしょうか。何が正しく、何が最善であるかを知るために、だれかの指示を仰いだでしょうか。 + そんなことは絶対にありません。すべての人間は、主と比べたら無に等しく、桶の中の一滴の水、はかり皿の上のちりにすぎないのです。神は島々を、少しも重さがないもののように、いとも軽々と持ち上げます。 + レバノンの森林の木を全部集めても、神にささげるいけにえを焼くたきぎにも足りません。そこにいる獣を一匹残らず集めても、いけにえとするには、とうてい足りません。 + すべての国々は、神の目から見れば無に等しいのです。 + 神をどう説明したらいいでしょう。神を何と比べることができるでしょう。 + 泥をこね、金をかぶせ、首に銀の鎖をかけた偶像とでしょうか。 + 高価な神々を買えない貧しい人は、腐らない木を見つけ、それに顔を彫ってくれる人を雇います。こうしてできた動くことさえできないものが、神となるのです。 + あなたがたは、何も知らないのですか。世界が造られる前からあった神のおことばが全く聞こえないというのですか。一度もおことばを聞き、理解したことがないのですか。 + 神はこの地のはるか上にいます。下界の人間など、いなごのように見えるでしょう。神は、天を天幕のように広げて、ご自分の住まいとします。 + 世界の偉大な者たちをすべて無き者のようにします。 + 彼らがようやく仕事に取りかかり、芽が出始めると、神は痛い目に会わせ、彼らの働きは頓挫します。そのうえ風が吹いて、彼らをわらのように巻き上げるのです。 + 「おまえたちは、わたしをだれと比べるというのか。わたしと肩を並べられる者がいるか」と、聖なる方は問いかけます。 + 天を仰いでみなさい。だれが星を造ったのですか。羊飼いは群れを導き、羊たちを愛称で呼び、一匹でもいなくなってはいないかと数えます。同じように神も、星々を数えます。 + ああ、ヤコブよ。イスラエルよ。主は苦しみを見て見ぬふりをしているから不公平だと、どうして言えるのですか。 + まだわからないのですか。全世界を造った永遠の神は、決して疲れたり、衰弱したりしません。神の知恵の深さを推し測ることができる者は、一人もいません。 + 神は疲れた者に力を、弱い者に活力を与えます。 + 若者も疲れ果て、若い男も限界に達します。 + しかし、主を待ち望む者は新しい力がみなぎり、わしのように翼を張って舞い上がることができます。どれだけ走っても疲れず、どんなに歩いても息切れしません。 + + + 海の向こうの島々よ。わたしの前では口をつぐんで聞きなさい。どんな難問でももってきなさい。おまえたちのために法廷が開かれるから、そこで話すがよい。 + だれが、東の国に一人の人物(クロス王を指す)を起こし、行く先々で勝利を得させたのか。わたし以外の者であるはずはない。わたしが彼に、多くの国々を征服し、王たちを踏みにじり、敵の軍隊を剣の餌食にする力を与えたのだ。 + 彼は敵を追いかけるが、一度も通ったことのない道を安全に進んで行く。 + その進撃によって歴史は大きく塗り変えられる。こんな途方もなく大きなことを演出したのはだれか。それはわたし、初めであり終わりである、このわたしだ。わたしこそが主である。 + 海の向こうの国々はおびえ、今度の遠征計画について彼のことばを待っている。遠く離れた国々も戦々恐々で、戦争に備える。 + 職人は互いに励まして、「心配するな。彼が勝つはずないから」と気休めを言って、 + 新しい偶像造りを急ぐ。彫刻師は鍛冶屋をせかせ、鋳物師は、かなとこをたたく手伝いをして、「もう十分火が通った。さあ、腕の部分をはんだづけしよう」と言う。注意深く各部をつけて、堅くしめつけ、ばらばらにならないようにする。 + しかし、わたしのしもべイスラエルよ。あなたはわたしの友アブラハムの家族だ。だから、わたしはあなたを選び、わたしのものとした。 + あなたを地の果てから呼び出し、わたしだけに仕えよと言った。わたしはあなたを選び、どんなことがあっても見捨てない。 + 恐れるな。わたしがついている。取り乱すな。わたしはあなたの神だ。わたしはあなたを力づけ、あなたを助け、勝利の右の手でしっかり支える。 + いきりたつ敵はみな、無残に踏みにじられる。あなたに刃向かう者はみな死に絶える。 + 彼らの姿を捜し回っても無駄だ。一人もいなくなるからだ。 + わたしがおまえの右手をつかみ、「恐れるな。あなたを助けに来た」と励ます。 + イスラエルよ、たとえ軽蔑されても恐れるな。わたしは必ずあなたを助ける。わたしは主、あなたを贖う者だ。わたしはイスラエルの聖なる神だ。 + あなたは新しい鋭い刃のついた打穀機となり、敵という敵を粉々にし、もみがらの山をつくる。 + それを空中に放り上げると、風が吹き飛ばし、つむじ風がまき散らす。こうして主の喜びがあなたの心を満たし、あなたはイスラエルの神を誇りに思うようになる。 + 貧しい者や困っている者が水を求めても得られず、のどは渇き、舌が上あごにつく。そのようなとき、わたしを呼べば、わたしは答える。イスラエルの神であるわたしは、いつまでも彼らを見捨てない。 + わたしは台地に川を開き、谷間には泉を湧かせて、彼らに与える。砂漠には池ができ、からからに乾いた地には、多くの泉から川が流れだす。 + わたしは不毛の地に、杉、アカシヤ、ミルトス、オリーブ、糸杉、プラタナス、松の木を植える。 + だれもがこの奇跡を見て、これをしたのはイスラエルの聖なる神だと認める。 + おまえたちの偶像に、こんなことができるのか、わたしに見せてみなさい。イスラエルの王である神は言います。 + 昔どんなことが起こったか、将来どんなことが起こるかを、偶像に話させてみなさい。 + 偶像が神であるなら、これから何が起こるかを説明させてみなさい。あるいは、わたしたちを驚かせるような、すばらしい奇跡を行わせてみなさい。 + もちろん、そんなことができるはずはない。神といっても名ばかりで、何一つできないのだから。あなたがたを選んだ者は、自分の頭が正常かどうか、調べてもらえばよい。 + わたしは北と東から人(クロス王)を起こす。彼は国々を相手に戦いをいどみ、わたしの名を呼ぶ。わたしはそれにこたえ、国々の王や領主を征服する力を与えるので、彼は陶器師が土くれを踏むように、彼らを踏みにじる。 + こんなことを、わたし以外にだれが告げたか。いったいだれが、説得力をもって、こうなると予告したか。誰ひとりいなかったではないか。ほかの神々は、ただのひと言も口をはさまなかった。 + 「さあ、目を上げて見るのだ。助けはすぐそこまで来ている」と、真っ先にエルサレムに伝えたのは、わたしだった。 + おまえたちの偶像のどれ一つとして、こうは言わなかった。わたしが問いかけても返事さえしなかった。 + みな愚かで、役に立たない者ばかりだ。まるで風のように頼りにならない。 + + + わたしの支えるしもべ、わたしの喜びとする選ばれた者に目を留めよ。わたしは彼に、わたしの霊を与えた。彼は世界の国々に正義を示す。 + 彼は穏やかで、大声を上げたり路上で言い争ったりしない。 + いたんだ葦を折らず、今にも消えそうな火でも消さない。気落ちしている人を元気づけ、もうだめだとあきらめる者を励ます。こうして、痛めつけられた者たちに完全な正義が与えられるのを見届ける。 + 真実と正義が全地に行き渡り、海の向こうの遠い国々の民が彼を信頼するようになるまで手を休めない。 + 天を造ってそれを引き伸ばし、地と地上のすべてのものを造り、すべての人間にいのちと霊とを授けた、神である主が、ご自分のしもべであるメシヤ(救い主)に、こう語ります。 + 「主であるわたしが、わたしの正義をはっきり示すために、あなたを呼んだ。わたしはあなたを守り、あなたを支える。わたしの民と結んだ契約を確かなものとするために、わたしはあなたを彼らのもとへ送った。あなたはまた、国々の民をわたしのもとへ導く光となる。 + 盲人の目をあけ、暗い牢獄で希望もなく座り込んでいる人々を解き放す。 + わたしは主である。これがわたしの名だ。わたしは、ほかの者に栄光を譲るようなことはしない。わたしの栄誉を、彫刻した偶像たちに与えるようなことは絶対にしない。 + わたしが今まで預言したことはすべてそのとおりになった。再び預言しよう。未来のことを、それが起こる前に知らせよう。」 + 主に向かって新しい歌を歌いなさい。地の果てに住む人たちは、こぞって神をたたえる歌を歌いなさい。海も、海の向こうの遠い国々に住む人たちも、こぞって歌いなさい。 + ケダルとセラの荒野の町々、山の上に住む人たちも、コーラスに加わりなさい。 + 西の海沿いの国々や島々は、主をあがめ、その全能の力をほめ歌いなさい。 + 主は、だれも立ち向かえない勇敢な戦士となり、激しい怒りを敵に見せつけます。ときの声を上げ、敵を蹴散らします。 + 主は長い間沈黙を守り、じっとこらえてきましたが、今は怒りをぶちまけ、子を産もうとしている女のようにあえぎます。 + 主は山や丘を平らにし、青草を枯らし、川や池を干上がらせます。 + 目の見えないイスラエルの手を引いて、初めての道を通らせ、行く手の暗闇を明るくし、前方の道をまっすぐ平らにします。主は決してイスラエルを見捨てません。 + しかし偶像を頼りにし、それを神と呼ぶ者には失望落胆します。そのような者たちは退けられます。 + 「あなたがたは神のこととなると、何も見えず、何も聞こえなくなる。なぜ聞こうとしないのか。なぜ見ようとしないのか。 + 真理の使者となるべきわたしの民ほど目の見えない者がこの世にいるだろうか。わたしのためにささげられた『主のしもべ』ほど、耳の聞こえない者がいるだろうか。 + あなたがたは真理を見て、頭ではわかっていても、それを心に留めようとも行おうともしない。」 + 主はご自分の教えを広め、それを栄光に輝くものとしました。それによって、ご自分が正しい方であることをこの世の人々に示そうとしたのです。 + ところが、主の教えがどんなにすばらしいかを伝えるはずの民は、なんという有様でしょう。略奪され、奴隷になり、捕えられ、罠にはまり、格好のえじきになっても、だれも守ってくれる者がありません。 + 過去の教訓に学んで、目の前に滅びが待っていると予測できる者が、ただの一人もいないのでしょうか。 + だれが、イスラエルを奪い取り、傷つけるのを許したのでしょう。それは主ではないですか。彼らは主に罪を犯し続けてきました。彼らは、主が行くように命じた所へ行こうとせず、主の教えに耳をふさぎました。 + だからこそ、神はこれほどまでに激しく怒り、ご自分の民を戦いで滅ぼしたのです。しかし、火がついて燃え上がっても、彼らはなぜそうなったかに気づきませんでした。神は、彼らが悔い改めることを望んでいるというのに。 + + + しかし、イスラエルよ。あなたを造った主は、今こう言って慰めてくれます。「恐れるな。わたしはあなたを買い戻したのだ。わたしはあなたの名を呼んだ。あなたはわたしのものだ。 + たとえ水の中をくぐり、大きな困難にぶつかっても、わたしは共にいる。悩みの川を渡るときも、おぼれはしない。迫害の火の手が上がり、そこを通り抜けていくときも心配はない。炎はあなたを焼き殺さないからだ。 + わたしは主、あなたの神、あなたの救い主、イスラエルの聖なる神だ。わたしはあなたを自由の身とする代わりに、エジプトとエチオピヤとセバを与えた。 + あなたを生かすために他の者が犠牲になった。あなたのいのちを買い戻すため、他の者のいのちと交換した。わたしにとって、あなたは高価で尊いからだ。わたしはあなたを愛している。 + 恐れるな。わたしがついている。わたしはあなたを東と西、南と北から集める。地の果てから、私の子孫をイスラエルに連れ戻す。 + わたしを神として礼拝する者はみな集まってくる。わたしはそのような人たちを、わたしの栄光のために造った。 + わたしに呼ばれても、目が見えず、耳が聞こえない者たちを、わたしのもとに連れ戻せ。 + すべての国々の民を集めよ。どの偶像が、このようなことを前もって知らせたか。どの偶像が、一日先のことでも予告できるか。どこに、彼らのことばを少しでも聞いた証人がいるか。そんな者は一人もいない。だとしたら、預言できるのは神だけだと認めないわけにはいかないだろう。 + わたしには証人がいる。イスラエルよ、あなたがたがわたしの証人、わたしのしもべだ。わたしを信じ、わたしだけが神であることを知るために選ばれたのだ。わたしのほかに神はいない。今までも、またこれからも。 + わたしが主であって、ほかに救い主はいない。 + あなたがたが偶像を捨てるとき、わたしは力を示した。ただひと言で、あなたがたを救った。あなたがたはわたしの救いをその目で見たのだから、わたしの証人だ。 + 永遠から永遠まで、わたしは神である。わたしが何かをしようと身を起こすとき、その前に立ちはだかる者はだれもいない。」 + あなたがたの救い主、イスラエルの聖なる神は、こう告げます。「わたしはあなたがたのために、バビロンに軍隊を侵入させる。それもほとんど無傷のままに。おごり高ぶっていたバビロニヤ人は、恐怖の叫びを上げる。 + わたしは主、あなたがたの聖なる神、イスラエルを造った、あなたがたの王である。 + 海の中に道を開き、海の底を進む道を造った主である。 + わたしはエジプトの強力な軍隊を、戦車や馬とともに海のもくずとした。彼らのいのちは燈心のように吹き消された。 + しかしこんなことは、これからすることに比べれば物の数ではない。 + わたしは新しいことをしようとしている。いや、すでに手をつけた。あなたがたの目には見えないか。わたしの民が故国へ戻るために、荒野に道を造り、彼らの飲み水として荒野に川を開く。 + 野の獣、山犬、だちょうも、わたしに感謝する。わたしに選ばれた民は、この荒野の泉でのどをうるおし、元気づく。 + わたしはイスラエルを自分のために造った。この民は、いつかきっと、人々の前でわたしをたたえるようになる。 + だがイスラエルよ、あなたはわたしに助けを求めなかった。わたしにいや気がさしたのか。 + いけにえの子羊を持って来なかったし、供え物をささげて、わたしをあがめもしなかった。わたしが自分からささげ物を要求したことは、ほとんどない。あなたがたを奴隷扱いしたこともない。 + それなのに、わたしのために香りのよい香料を持って来ず、いけにえの脂肪でわたしを喜ばせようともしなかった。それどころか、贈り物といえば罪だけで、ありとあらゆる欠点を見せつけ、わたしを煩わせた。 + わたしは自分のために、あなたがたの罪をぬぐい去り、それを二度と思い出さない。 + ああ、この罪の赦しの約束を、わたしに思い出させよ。あなたがたの罪について論じよ。赦してほしければ、あなたがたのほうから申し出なさい。 + あなたがたの先祖は、最初からわたしに罪を犯し、わたしの教えに背いた。 + それで、わたしは祭司たちを免職し、イスラエルを滅ぼし、彼らを辱しめられるままにしておいたのだ。」 + + + 「わたしのしもべイスラエル、わたしの選んだ者たちよ。わたしのことばを聞け。」 + あなたを造り、あなたを助ける主は、こう告げします。「わたしのしもべよ、恐れるな。わたしの選んだエルサレムよ、恐れるな。 + 渇いたのどと干上がった地をうるおす水を、ふんだんに与えよう。あなたの子どもたちには、わたしの霊と祝福とを注ごう。 + 彼らは、水分を十分に吸った青草や岸辺の柳のように繁栄する。 + 誇らしげに、『私は主のものだ』とか『私はユダヤ人だ』と言い、手にわたしの名かイスラエルの名を記す。」 + イスラエルの王である主、イスラエルを救う全能の主は、こう言います。「わたしは初めであり、終わりである。わたしのほかに神はいない。 + わたし以外にだれが、これから先何が起こるかを言いあてることができるか。もしそのような者がいたら、遠慮なく名乗りを上げ、大きな力があるところを見せてみよ。わたしが昔からしてきたのと同じことをしてみよ。 + 恐れるな。決して恐れるな。わたしは古くから、あなたを救うと言っていたではないか。あなたがたはわたしの証人だ。わたしのほかに神があろうか。断じていない。わたしのほかに岩はない。」 + 偶像を造り、それを神にするとは、なんと浅はかな者でしょう。そんな者たちの希望はむなしい夢にすぎません。見ることも知ることもできない偶像を頼みにしているのですから。そんな偶像を拝む者が恥を見るのは当然です。 + 何のも頼りにもならない偶像を作る者は、愚か者と言われてもしかたありません。 + 偶像を拝む者はみな、顔を真っ赤にして主の前に立つことでしょう。自分は神を造ったと誇っていた大工も同じです。彼らは共に震えおののきながら主の前に立ちます。 + 金属細工師は斧を作るために炉のそばに立ち、焼けた鉄をかなとこの上で力いっぱいたたきます。そのうちのどが渇き、腹がへり、ふらふらになります。 + それから、大工がその斧で偶像を造るのです。木切れの寸法を測り、しるしをつけ、人の形に彫ります。こうして、一歩も歩けないのに見かけは美しい偶像ができ上がります。 + 彼は杉を切り、糸杉や樫を選びます。森に月桂樹を植えれば、雨が育ててくれます。 + こうして大きくなった木の一部をたきぎにして暖をとり、またパンを焼きます。その残りはどうするのでしょう。なんと、それで人々が拝む偶像を造るのです。人々は偶像にひれ伏して祈ります。 + その木の一部で体を暖め、肉をあぶって満腹感を味わってから、 + その残り物で神を造るのです。彫って造った偶像を拝み、「私をお救いください。あなたは私の神です」と願うのです。 + こんな愚かなことがあっていいのでしょうか。神は、見えないようにと彼らの目をふさぎ、理解できないようにと心を鈍くしました。 + 彼らはよく考えようともしません。「これはただの木片ではないか。同じ木で体を暖め、パンを焼き、肉をあぶった。その残りが神ということがありえるだろうか。木片にひれ伏すなど、ばかげている」と自問自答することもありません。 + 人にだまされている哀れな者は灰を食べます。何の助けにもならないものを頼りにしているからです。彼はまともな考え方ができません。「この手に握っている偶像は偽の神ではないか」と自分に問うことができないのです。 + 「わたしのしもべイスラエルよ、注意して聞くのだ。わたしがあなたを造った。だから、どんなことがあってもあなたを助ける。 + わたしは、あなたの罪をすっかり消した。それは、昼になると朝もやが消えてなくなるように、影も形もなくなった。さあ、わたしのもとに帰って来なさい。あなたを自由にする代価は支払いずみだ。」 + 天よ、喜び歌え。主がこんなにもすばらしいことをなさったのだから。地よ、喜び叫べ。山々も森も木々も歌声を響かせよ。主がイスラエルを買い戻し、あがめられているからです。 + あなたを造り、あなたを買い戻した主は、次のように言います。「わたしはこの手ですべてのものを造った。わたしひとりで、天を引き伸ばし、地とその中にあるすべてのものを造った。 + わたしは、偽預言者の予想をくつがえし、彼らが大うそつきであることを証明する。知恵ある者に見当違いの助言をさせ、愚か者にする。 + しかしわたしは、わたしの預言者が語ることは必ず実現させる。彼らが、エルサレムは敵の手から救い出され、ユダの町々に再び人が住むようになると言うと、そのとおりになる。 + わたしが川に、『干上がれ』と言うと、水はかれる。 + クロスに向かって、『わたしの羊飼いだ』と言うと、彼はわたしが言ったとおりのことをする。こうしてエルサレムは再建され、神殿は元どおりになる。わたしがそう言ったからだ。」 + + + これは、多くの国々を征服させるために神が選び、油を注いで任命したクロスへの主のことばです。神が力を与えると、彼は強大な王たちの力を砕きます。神が彼の前でバビロンの城門を開くと、門は二度と閉まりません。 + 「クロスよ、わたしはあなたの前を進む。山々を平らにし、青銅の城門を破壊し、鉄のかんぬきを飴のようにねじ曲げる。 + こうして、暗闇に隠された財宝や、だれも知らない富を与える。その時あなたは、あなたを名ざしで呼ぶ、このわたし、イスラエルの神がこれをしていることに気づく。 + この仕事のためにあなたを名ざしで呼んだのはなぜか。それは、わたしのしもべヤコブ、わたしの選んだイスラエルのためだ。あなたがまだわたしを知らない時、わたしはおまえの名を呼んだ。 + わたしは主である。わたしのほかに神はいない。たとえあなたがわたしを知らなくても、わたしはあなたを強くし、どの戦いにも勝利を得させる。 + すべての人々に、わたしのほかに神はいないことを知らせる。わたしが主、ほかにはいない。 + わたしは光を呼び、闇を招き、時代を良くも悪くもする。わたしは、これらのことをするものである。 + 天は窓を開き、空は正義を降らせよ。救いと正義が地から共に芽を出すようにせよ。わたしが、それらのものを造ったのだ。」 + 創造主に敵対して戦う者は、災難に会います。つぼは、それを作る者と言い争うでしょうか。粘土が細工する者に、「待ってくれ。作る物が違っているのではないか」と言ったり、つぼが、「なんと不器用なんだ」と文句を言ったりするでしょうか。 + ああ、自分の両親に、「なぜ私を産んだのか。産んだのは間違いではないか」とわめきたてる者よ。 + イスラエルの聖なる方、イスラエルの創造者である主は語ります。「どんな権限があって、わたしのすることに口をはさむのか。わたしの仕事にあれこれと注文をつけるあなたは、いったい何者なのだ。 + わたしは世界を造り、その上に住む人間を造った。自分の手で天を引き伸ばし、無数の星に命令した。 + わたしの目的を果たすためにクロスを起こし、彼の進む道を整える。彼はわたしの都を再建し、捕虜になったわたしの民を解放する。わたしは、そのための代価を求めない。」 + 神は、こうも語ります。「エジプト人、エチオピヤ人、セバ人はあなたの言いなりになる。彼らは国の産物を山と積んでやって来る。それが全部あなたのものになる。彼らは鎖でつながれた囚人のようにあなたについて回り、ひれ伏して「あなたの神だけが本物の神です」と言う。 + イスラエルの神、救い主よ。まことに、あなたは不思議なことを行います。 + 偶像を拝む者たちはみな失望し、恥を見ます。 + しかしイスラエルは、主の永遠の救いを手に入れます。彼らはいつまでも神を信じ、一度も期待を裏切られません。 + 主は天と地を造り、すべてのものをあるべき所に置きました。世界を何もない空間ではなく、人の住む所として造ったのです。主は語ります。「わたしは主で、ほかに神はいない。 + わたしは人々の見ている前で大胆な約束を伝えた。暗がりでひそひそと、何を言ったかわからないような言い方はしない。イスラエルに、むなしい約束はしない。わたしは、真実で正しいことだけを口にする。 + クロスの手から逃げて来た人々よ、さあ、手をつないで集まれ。木の偶像をかつぎ回り、救うことのできない神々に祈りをささげる者は、なんという愚か者だろう。 + 額を寄せて相談し、偶像礼拝にどんなご利益があるか、証拠を出してみるがいい。ほんとうの神以外にだれが、クロスはこんなことをすると言ったか。どこの偶像が、そんなことを知らせたか。わたしのほかに、ほんとうの神はいない。 + すべての人々よ、わたしだけが神なのだから、わたしを仰ぎ見て救われなさい。 + 世界中の人がわたしの前にひれ伏し、すべての口がわたしの名に忠誠を誓うようになることを、わたしは自分にかけて誓う。わたしの言ったことは真実で、必ずそのようになる。」 + 人々は、「主にこそ私の正義と力がある」と胸をたたいて言います。それまで敵対していた者もみな主のもとに来て、深く恥じ入ります。 + イスラエルの子孫は主にあって正しい者と認められ、勝ち誇ります。 + + + バビロンの偶像ベルとネボは、牛の引く荷車に載せられ、遠くへ運ばれます。ところが、牛はよろめき、荷車はひっくり返り、造られた神々は地面に放り出されます。自分が転げ落ちることさえ防げないのに、彼らを拝んでいる者をクロスの手から、救い出すことなどできるわけがありません。 + 「残ったすべてのイスラエル人よ、わたしの言うことを聞け。わたしはあなたがたを造り、生まれる前から心にかけてきた。 + あなたがたが生きている間、年をとり、頭が白くなっても、わたしはあなたがたの神となる。わたしがあなたがたを造ったのだから、あなたがたを背負い、救い出そう。 + 天と地にあるものの何を引き合いに出して、わたしと比べようというのか。わたしと等しい者を、だれか探すことができるか。 + わたしを、金と銀を惜しげもなく使った偶像と比べるつもりか。あなたがたの金を奪って金細工人を雇う者は、偶像を造り、ひれ伏して拝む。 + 彼らは偶像をかついで運び、下に置くが、それはじっと立ったままで動けない。どんなに祈っても答えがない。拝む者を苦しみから救えない。 + やましいところのある者よ、このことを忘れるな。 + わたしがはっきり何度も、将来何が起こるか告げてきたことを忘れてはならない。わたしだけが神であり、わたしのような者はいない。 + 何が起こるかを教えることができるのは、このわたしだけだ。わたしの言ったことは、みなそのとおりになる。心に決めたことはどんなことでも実行する。 + 東から猛禽を、遠い地からクロスを呼ぶ。彼は来て、わたしが言っておいたことを行う。わたしは、すると言ったことは必ず実行する。 + 強情でよこしまな者たち、わたしの言うことを聞け。 + わたしはあなたがたを救う。遠い将来ではなく、今すぐに。すでにあなたがたを救う準備は整った。わたしは、わたしの栄光であるエルサレムとイスラエルを再建する。 + + + 負け知らずのバビロンよ、下って来て、ちりの中に座れ。栄光の日々は終わり、おまえたちの栄華と栄誉は色あせたからだ。カルデヤの娘よ、おまえは二度と、優雅で美しい王妃とは呼ばれない。 + 重いひき臼で粉をひけ。娼婦のようにベールを取り、王妃の衣を脱ぎ捨てて、人々の目に身をさらせ。 + おまえは裸になり、恥をかく。わたしはおまえに報復し、少しも後悔しない。」 + バビロンの強大な力からイスラエルを救う、私たちの救い主、その名は全能の主で、イスラエルの聖なる神がこう告げます。 + 「バビロンよ、黙って暗がりに座れ。おまえは二度と、諸国の女王と呼ばれない。 + バビロンよ、わたしはイスラエルを怒っておまえの手に渡し、少しばかり罰しようとした。ところがおまえは、少しも手かげんしなかった。それどころか、老人にまでも重い荷を負わせた。 + おまえは、自分がいつまでも世界の女王として君臨するものと思った。わたしの民を少しもあわれまず、また彼らに危害を加えたらどうなるかも考えなかった。 + ああ、自らを大国だと自慢し、安逸をむさぼり、快楽を追い求める国よ。おまえの罪に対する、わたしの法廷での判決を聞け。おまえは、『私だけが神だ。天地が引っくり返っても、私が未亡人になるわけがない。子どもを失うこともない』とうそぶく。 + それも今のうちだ。次の二つのことが、一日のうちに、しかも、あっという間に実現する。どんなにまじないや魔術に頼ってみても、おまえは未亡人となり、子どもを失う。 + おまえは、どんなに悪いことをしても大丈夫だと考えていた。『だれも見ていない』と言った。その知恵と知識が災いして、わたしに背き、自分こそ神だと言うまでになった。 + だから、大きな災難が突然おまえに襲いかかる。あまりに突然なので、それがどこから来たのかわからない。そのとき、おまえの罪をきよめる神への供え物はない。 + 長い間拝んできた悪鬼の群れを、呼び出してみよ。彼らの助けを借りて、もう一度多くの人を恐れさせることができるかどうか、試してみよ。 + 助言をする者は掃いて捨てるほどいる。星占い、天文学者など、未来の出来事を言いあてる者はたくさんいる。 + しかし彼らは、火がつくとぱっと燃え上がる枯れ草のように、役に立つどころか手がつけられなくなる。自分さえ救えないのだから、とても頼りにはならない。その火は、そばに座って体を暖める火ではない。 + さらに、古くからの友人まで、みなこそこそと逃げ出し、姿を隠して、力になってくれない。 + + + わたしの民よ、わたしの言うことを聞け。あなたは、聖なる都に住んでいることを誇り、イスラエルの神に頼っていることを自慢しているが、それは口先だけのことだ。あなたの主への忠誠心は見せかけだ。 + わたしは何度も、これから何が起こるかを知らせてきた。そして語り終えるか終えないうちに、言ったとおり実行した。 + わたしは、あなたがどんなに強情で頑固かを知っている。首はまるで鉄の棒のように曲がらず、頭は石のように硬い。 + だから、これからしようとすることを、あらかじめ知らせておいたのだ。あなたに、『私の偶像がしたのだ。私の彫像が、そうなるようにと命令したのだ』と言わせないためである。 + あなたはわたしの預言を聞き、しかも実現するのを見た。しかし、わたしがそのようにしたことを認めない。今度は、今まで話したこともない、一度も耳にしたことのない、新しいことを知らせよう。 + あなたは、『そのことなら、ずっと前から知っていた』と言うことはできない。 + わたしは全く新しいことを告げる。あなたがどんなにひどい裏切り者で、ものごころついたころから背き続け、芯まで腐りきっているかをよく知っているからだ。 + しかしわたしは、自分のため、自分の栄誉のために怒りを抑え、あなたを滅ぼさなかった。 + わたしはあなたを苦しみの炉で精錬したが、銀は見つからず、少しも良いところがなかった。 + それでもわたしは、自分のためにあなたを怒りから救い、滅ぼさない。異邦人が、自分たちの神々がわたしを征服したと言わないように。わたしは彼らにわたしの栄光を譲り渡すようなまねは、絶対にしない。 + わたしの民、わたしの選んだ者たちよ、わたしの言うことを聞け。わたしだけが神だ。わたしは初めであり、終わりである。 + この手で地の基礎を据え、この右の手で天を引き伸ばした。わたしが命じると、たちまちそのとおりの物ができた。 + みな集まって、よく聞け。偶像のうち、このように知らせてくれたものが一つでもあったか。『主はクロスを愛し、彼にバビロン帝国の息の根を止めさせる。彼はカルデヤ人の軍隊を根こそぎにする。』 + こんなことが言えるのは、このわたしだけだ。わたしがクロスを呼び、使いに出した。わたしは彼のすることを成功させる。」 + 近寄って聞きなさい。私はこれまでいつも、どんなことが起こるかをはっきり知らせてきました。あなたが十分に理解するためでした。今度も、神である主とその御霊が告げたことばを伝えます。 + あなたを救うイスラエルの聖なる神は、こう言います。「わたしはあなたの神、主である。わたしは、あなたのためを思って罰し、進むべき道に導く。 + ああ、あなたが、わたしの教えに従ってくれさえしたら、平安は川のように流れ、正義は大波のように打ち寄せるであろうに。 + あなたは浜辺の砂のように、数えられないほど多くなり、滅亡することもないであろうに。」 + 今からでも遅くはありません。あなたを奴隷としていた者の手から逃げなさい。バビロンをあとにし、歌いながら出て来なさい。主がご自分のしもべユダヤ人を救い出したことを、地の果てまで大声で知らせなさい。 + 彼らが荒野を越えて来た時も、少しも渇きませんでした。主が岩を裂くと、水があふれ出たからです。 + しかし、「神に逆らう者に平安はない」と主は言います。 + + + 遠い国々よ、私の言うことを聞きなさい。主は生まれる前から私を心に留め、母の胎内にいた時から私の名を呼びました。 + 主は私のさばきのことばを、剣のように鋭くし、私を御手の中に隠しました。私は神の矢筒の中にある、研ぎすました矢のようです。 + 主は私に告げました。「あなたはわたしのしもべ、神の力を授かった王子として、わたしの栄光を現す。」 + 私は答えました。「しかし、私のこれまでの仕事はみな失敗に終わりました。力を使い果たしましたが、何の手ごたえもありません。どうぞ、お心のままに報いてください。」 + ところが、神の民イスラエルを回復させる使者として、私を母の胎内で形づくり、この仕事を成し遂げる力を与えた主は、なお語ります。 + 「あなたはイスラエルをわたしに立ち返らせるにとどまらず、国々の光となって、諸国にまでわたしの救いをもたらす。」 + イスラエルを救う聖なる方は、さげすまれている者、のけ者にされている者、支配者たちに踏みつけられている者に向かって、こう言います。「あなたが通ると、王は立ち上がって敬意を表す。わたしがあなたを選んだので、首長たちも深々と頭を下げる。イスラエルの聖なる神であるわたしが、あなたを選んだのだ。」 + 主はまた語ります。「あなたは、ちょうどよい時に願った。わたしはまだ危害が及ばないうちからあなたを守り、イスラエルへの約束のしるしを与える。わたしが国を再建し、そこに人を住まわせるという証拠だ。わたしはあなたの口を通して、暗闇の中に閉じ込められた囚人に、『さあ、出て来い。おまえたちはもう自由だ』と語りかける。彼らはわたしの羊となり、緑の牧草地と青々とした丘で草を食べる。 + ひもじくなることも、のどが渇くこともない。こげつくような太陽も、焼けるような荒野の風も、二度と害を与えない。わたしが彼らを思いやり、冷たい水のわく所へ連れて行くからだ。 + わたしは彼らのために、山々を平らな道とし、谷の上に大路を走らせる。 + わたしの民は遠くから、あらゆる地から帰って来る。」 + 天は喜んで歌いなさい。地は歓声を上げなさい。山々は歌声を響かせなさい。主が、悲しみに沈んでいたイスラエルを優しく慰めるからです。 + ところが、「主は私たちを見捨て、私たちを忘れた」とあなたは言います。 + 「いや、母親がわが子を忘れ、愛さなくなることがあるだろうか。たとえそんなことがあっても、わたしはあなたを忘れない。 + 見よ。わたしはあなたの名を手のひらに刻んだ。わたしの目の前にはいつも、くずれたエルサレムの城壁が見えている。 + まもなく、イスラエルを再建する者が来て、あなたを滅ぼした者どもを追い払う。 + さあ来て、よく見よ。敵は一人残らずあなたの奴隷になると誓おう。彼らはあなたにとって、飾り棚の宝石か花嫁の装飾品のようになる。 + だれもが見捨てた荒れた土地でさえ、人々でにぎわうようになる。あなたを奴隷にした敵どもは、はるかかなたに去る。 + 異国に捕らわれていた時に生まれた者は帰って来て、『もっと部屋が欲しい。ここは狭すぎる』と言う。 + そのとき、あなたは心の中でつぶやくだろう。『こんなにたくさんの子どもを下さったのは、いったいだれだろう。大半の子は殺され、残りは捕虜として連れて行かれ、私だけここに残されたというのに。だれがこの子たちを産み、育ててくれたのだろう。』」 + 主はこうも語ります。「わたしが異邦人に合図すると、彼らはあなたの幼い息子たちをあなたのふところに連れ戻し、娘たちを肩に載せてやって来る。 + 王たちはあなたに仕え、行き届いた世話をしてくれる。彼らはひれ伏し、あなたの足についたちりをなめる。その時、あなたはわたしが主であることを知る。わたしを待ち望む者は決して恥を見ない。」 + 力ある者の手から、だれが、奪い取られたものを取り戻せるでしょうか。だれが暴君に、捕虜を自由の身にしてやれと要求できるでしょうか。 + しかし、主は言います。「暴虐無道な王の捕虜になった者も、解放される。あなたと戦う者とわたしは戦い、あなたの子どもたちを救い出すからだ。 + あなたの敵には彼ら自身の肉を食べさせる。彼らはしたたり落ちる自分の血を飲む。こうしてすべての者が、主であるわたしがあなたの救い主であり、イスラエルの全能の神であることを知る。」 + + + 主はこう尋ねます。「わたしはあなたがたを債権者に売り飛ばしただろうか。そのため、あなたがたはここにいないのか。わたしがあなたがたの母親と離婚し、追い出したから、彼女の姿が見当たらないのか。いや、あなたがたは自分の罪のために捕虜となって行ったのだ。母親も借金のかたに連れて行かれた。 + わたしに力がないから、あなたがたを救えないのか。そのために、わたしが帰ってみると、家はからっぽで静まり返っているのか。わたしにはもう、救い出す力がないとでも言うのか。いや、そのつもりなら、海をしかりつけ、干上がらせることもすぐできる。多くの川が流れる平野を荒野とし、死んだ魚で満たすこともできる。 + 空一面を闇で覆うことさえできる。」 + 神である主は私に、知恵のことばを授けました。疲れきった人に何を言ったらいいかを教えるためです。朝ごとに、主は私を目ざめさせ、御心への理解を深めさせてくれます。 + 主のことばを、私は耳をすまして聞きます。逆らったり、顔を背けたりしません。 + むち打つ者に背中をさらし、ひげを抜こうとする者に頬を差し出しました。彼らは私の顔につばをはきました。しかし私は辱められても、身を隠しません。 + 主の助けがあるので、うろたえたり、気を落としたりしません。固く心に勝利を収めると確信しています。 + 私を正しいと認めてくれる方がそばにいるのです。さあ、だれが相手になるのか。私の敵はどこか。いるなら、出て来なさい。 + 見なさい。神が味方である以上、だれも、私を罪に定めることはできません。敵はみな、虫に食われた古着のように、ぼろぼろになります。 + あなたがたのうち、主を恐れ、主のしもべに聞き従う者はいるでしょうか。そのような人が今、闇の中を歩み、一筋の光もないというなら、主を信じ、自分の神により頼みなさい。 + しかし、自分の光の中を歩き、神ではなく、自分の火に暖まっている者よ。あなたがたは悲しみの中を生きるようになります。 + + + 自由の身となることを願い、主を尋ね求める者よ。わたしの言うことを聞け。あなたがたが掘り出された採石場、切り出された岩を見よ。先祖アブラハムとサラのことを考えてみよ。あなたがたは、力がなく数も少ないと思い悩んでいる。だが、わたしがアブラハムを呼び出したとき、彼はたった一人ではなかったか。それが祝福を受けて、大きな国になった。 + わたしは再びイスラエルを祝福し、荒野を花畑とする。何も生えなかった荒野はエデンの園のように美しくなる。そこは喜びと楽しみにあふれ、感謝と美しい歌声が絶えない。 + わたしの民イスラエルよ、よく聞け。わたしは必ず正義が勝つようにする。 + わたしの恵みと正義はすぐに来る。救いは門口まで来ている。わたしは国々を支配する。彼らはわたしを待ち望み、わたしが来るのを待ちこがれている。 + 高い空と足もとの地を見よ。大空は煙のように消えてなくなり、大地は着物のように古びる。そこに住む者は、はえのように死ぬ。だが、わたしの救いはいつまでもすたれることがない。わたしの公正な支配は、とだえることも行きづまることもない。 + わたしの言うことを聞け。正しいことと間違ったことを知り、わたしの教えを大切に胸にしまっている人よ。人々のそしりや中傷を恐れてはならない。 + 彼らは、虫が衣を食い荒らすように食い尽くす。だが、わたしの正義と恵みはいつまでも続き、わたしの救いは代々限りなく続く。 + 主よ、目を覚ましてください。立ち上がって、力を奮い起こしてください。エジプトを打った昔のように、ナイルの竜を刺し殺した時のように、どうぞ立ち上がってください。 + あなたは今も、海を干上がらせ、自ら救い出した民の通り道を造った時と同じように、全能の神ではありませんか。 + 神に救い出された人たちの帰って来る時がきます。彼らは喜びと永遠の歓喜にあふれ、歌いながらエルサレムに帰って来ます。悲しみと嘆きは消え去っています。 + 「あなたを慰め、喜びを与えるのはわたしだ。だから、草のようにしおれて枯れるただの人間を恐れてはいけない。 + あなたは、あなたを造った神を恐れず、星を大空にちりばめ、地を造ったわたしを忘れてしまった。人からの圧力に絶えずおびえ、その怒りを買いはしないかと一日中心配しているのか。 + 奴隷の生活も長くはない。もうすぐ自由の身になるのだ。地下牢や飢えや死とは縁がなくなる。 + わたしはあなたの神、主であって、海を真っ二つにし、とどろく波を壁にして通り道を造った。 + わたしのことばをあなたの口に入れ、わたしの手の中にあなたを隠し、守った。星をそれぞれ決められた場所に置き、この世界を造った。わたしこそイスラエルに向かって、『あなたはわたしのものだ』と言いきれる神だ。」 + エルサレムよ、目を覚ましなさい。あなたはもう十分に、神の憤りの杯を飲み干しました。恐怖の杯を最後の一滴まで飲みました。 + 力を貸し、相談相手になってくれる息子は、一人も残っていません。 + 荒廃と滅亡、それだけがあなたの分け前です。ほかには、ききんと剣しかありません。だれが同情し、慰めてくれるでしょう。 + 息子たちは網にかかった大かもしかのように気を失い、道に転がっています。主が怒りを燃やしたからです。 + 困りはて、酒も飲まないのに頭がもうろうとしている人たちよ、安心しなさい。 + ご自分の民をかばうあなたの神、主は告げます。「さあ、あなたの手から恐ろしい杯を取り上げよう。もう二度とわたしの怒りを飲まなくてよい。それは過ぎ去った。 + 今度はこの恐ろしい杯を、あなたを苦しめ、あなたのたましいを踏みにじり、あなたの背中を踏み越えた者の手に渡す。」 + + + エルサレムよ、さあ、目を覚まして神の力を着なさい。聖なる都、シオン(エルサレム)よ、美しい衣をまといなさい。神に背く罪人は、もはやあなたの門をくぐりません。 + エルサレムよ、ちりを払って立ち上がりなさい。捕囚のシオンの娘よ、首から奴隷のかせをはずしなさい。 + 主はこう語ります。「捕虜としてあなたがたを圧制者どもに売った時、わたしは彼らに何の代価も求めなかった。だから今度は、あなたがたを無償で取り戻す。 + 理由もなくエジプトとアッシリヤに痛めつけられた時も、わたしはそのようにあなたがたを救い出した。」 + ところが今、「これはどうしたことか」と主は尋ねます。「なぜわたしの民はまた奴隷となり、理由もなく痛めつけられているのか。彼らの支配者は歓声を上げ、わたしの名は一日中さげすまれている。 + だから、わたしの民にわたしの名をはっきりと知らせる。彼らはこの名を聞いて励まされ、語りかけているのがわたしだと認めるようになる。」 + イスラエルの神が王座についたという、平和と救いの良い知らせを伝える者の足は、山の上を巡り、なんと美しいことでしょう。 + 見張り人たちが声を張り上げ、喜びいっぱい歌っています。主が再びエルサレムに帰るのを目の当たりに見るからです。 + エルサレムの廃墟よ、大声で喜びの歌を歌いなさい。主がご自分の民を慰め、エルサレムを敵の手から買い戻したからです。 + すべての国々の目の前に、主は聖なる御腕を現しました。地の果ての人たちも私たちの神の救いを見ます。 + さあ今、奴隷のかせをはずし、自由になりなさい。バビロンと、それにかかわりのある、いっさいのものから遠ざかりなさい。それはみな、あなたがたにとって汚れています。あなたがたは主の聖なる民です。主の祭具を故国に持って帰る者は身をきよめなさい。 + あわてて逃げることはありません。主があなたがたの先頭を進み、またうしろからも、あなたがたを守ります。 + 「見よ。わたしのしもべ(メシアである主イエス)は繁栄し、高く上げられる。 + ところが、彼を見て多くの人が驚く。遠い外国から来た者や王は、その前に出ると、ことばもなく黙り込む。今まで一度も見たことのないものを見、一度も聞いたことのないことを聞くからだ。彼らは、打ちたたかれて血まみれになり、人とは思えないほどくずれた顔だちの、わたしのしもべを見る。だが彼は、多くの人の罪をきよめるのだ。」 + + + しかし、それを信じる人はなんと少ないことでしょう。だれが、耳をすまして聞くでしょう。神はだれに、救いの力を示すのでしょう。 + 主の目には、彼は不毛の地に芽を吹いた柔らかな新芽のようで、私たちの目には、心引かれるものは何一つなく、慕うようなものもありません。 + 私たちは彼をさげすみ、受け入れませんでした。彼は悲しみの人で、苦しみをなめ尽くした人でした。私たちは彼に背を向け、そばを通っても顔をそらしました。彼が侮られても、そ知らぬふりをしていました。 + しかし、彼は私たちの悲しみを負い、私たちの嘆きをにないました。私たちは、彼がそんなに苦しむのは、罪を犯して神に罰せられているからだと思いました。 + しかし、私たちの罪のために傷つき、血を流したのです。彼は私たちに平安を与えようとして、進んで懲らしめを受けました。彼がむち打たれたので、私たちはいやされました。 + 私たちは神の道を離れ、羊のようにさまよい出て、自分勝手な道を歩いてきました。しかし神は、私たち一人一人の罪を彼に負わせたのです。 + 彼は痛めつけられ、苦しみ悩みました。それでも、ひと言も語りませんでした。子羊のようにおとなしくほふり場へ引いて行かれ、毛を刈り取られる羊のように、非難を浴びせる者たちの前に黙って立ちました。 + 人々は彼を裁判にかけ、刑場へ引き立てました。はたして、彼が死ぬのは自分たちの罪のためであり、身代わりに罰を受けて苦しんでいることを知っていた者が、その時代にいたでしょうか。 + 彼は罪人扱いを受け、富む者の墓に葬られました。悪いことをしたわけでもなく、悪いことばを口にしたわけでもありません。 + 彼を傷つけ、悲しみで満たすのは、主の計画だったのです。罪の赦しのためのささげ物として、そのたましいをささげるとき、彼は多くの子孫を見ることができます。彼は復活し、神の計画は彼の手によって成し遂げられます。 + 彼は、自分のたましいが苦しみもだえた末、神のみわざが実現するのを見て、満足します。「わたしの正しいしもべは、このような苦しみを経験して、多くの人を神の前に義とする。彼が人々の罪をすべてになうからだ。 + それゆえ、わたしは彼に、偉大な勝利者としての栄誉を与える。彼は進んでいのちをささげたのだ。彼は罪人の一人に数えられ、多くの人の罪を負い、罪人のために神にとりなしをした。」 + + + 「子どものない女よ、歌え。エルサレムよ、大声を張り上げ、喜びの歌を歌え。今や、捨てられた女のほうが、夫のある女より、祝福されているからだ。 + 住まいを広げ、部屋を造れ。 + 以前の着物は小さくなり、今にもはち切れそうだ。あなたの子孫は、外国の捕虜になっていた間荒れはてていた町々を取り戻し、祖国を占領していた国々を支配するようになる。 + 恐れてはいけない。あなたは二度と辱めを受けない。若いころの恥も、やもめの時代の悲哀も、永久に思い出さない。 + あなたを造った者が夫になるからだ。その名は全能の主。あなたを救い出す者、イスラエルの聖なる神、全地の神である。 + わたしは、夫に捨てられて悲しむ若妻のようなあなたを呼んだ。 + ほんの少しの間あなたを見捨てたが、今はあわれんで、あなたを取り戻す。 + しばらくの間、怒って顔をそむけたが、今は永遠の愛をもって愛する」と、あなたを救い出す主は約束します。 + 「わたしはノアの時代に、いのちあるものを再び洪水で滅ぼさないと誓った。同じように今は、あなたを外国の捕虜にした時のようにもう怒りをぶつけないと誓う。 + 山々が動いて場所を変え、丘が消えてなくなっても、わたしの愛はあなたから離れない。平安を与えるという約束を、どんなことがあっても破らない。」あなたをあわれむ主は告げます。 + 「嵐にもてあそばれ、苦しみ悩んできたわたしの民よ。わたしはあなたをサファイヤの土台の上に建て替え、回りの壁を宝石で造る。 + 光るルビーで塔を建て、まぶしく輝く宝石で門と城壁を造る。 + あなたの町に住む者はみな、わたしの教えを受け、めざましい繁栄を遂げる。 + 正しく公正な政治が行われ、敵に侵略される心配もなく、平和な生活を楽しむようになる。恐ろしいことは起こらない。 + たとえ戦いをしかける国があっても、あなたを罰するために、わたしがそうさせるのではない。わたしはあなたの味方だから、相手はあなたによって倒される。 + 炉の火を吹き起こして武器を作る者は、わたしが造った。破壊する軍隊も、わたしが造った。 + しかし、やがて来る日には、あなたに向けられるどんな武器も役に立たなくなり、法廷でどんなに偽証がなされようと、あなたは正しいと認められるようになる。これが、主のしもべの特権であり、わたしからの祝福だ。」こう主は語ります。 + + + 「渇いている人がいるなら、金を持っていなくても、自由に飲みに来なさい。最上のぶどう酒とミルクと穀物を無料で持って行きなさい。 + どうして、少しも力のつかないもののために金を無駄遣いするのか。少しも腹の足しにならない食べ物のために金を払うのか。わたしの言うことを聞きなさい。そうすれば、たましいを元気にする栄養価の高い食べ物をどこで手に入れるか、教えよう。 + わたしのところへ来て、耳を傾けてよく聞くのだ。あなたがたは立つか倒れるかの瀬戸際なのだ。わたしはあなたがたと永遠の契約を結び、ダビデ王を愛したように、今も変わらず、あなたがたを愛したい。 + 彼は回りの国々を倒し、わたしの力を証明した。 + あなたもまた国々に命令するだけで、彼らは走って来て仕える。それは、あなたの力や功績によるのではない。あなたの神であるこのわたしが、あなたを輝かせた結果である。 + 見いだすことのできる間に主を探し求めなさい。近くにいる間に主を呼び求めなさい。 + 悪事を捨て、悪いことをしようとする思いを、きっぱりと捨てなさい。主に立ち返るなら、主はあなたをあわれんでくださいます。私たちの神に帰りなさい。神は赦してくださいます。 + 「わたしの計画はあなたがたの考える計画とは違い、わたしの思いはあなたがたの思いと同じではない。 + 天が地より高いように、わたしの道はあなたがたの道より高く、わたしの思いはあなたがたの思いより高い。 + 雨や雪は天から降って来て地をうるおし、穀物を成長させ、農夫には種を、空腹な人にはパンを与える。 + わたしのことばも同じだ。送り出せば必ず実を結ぶ。わたしの望みどおりのことをし、送られた先々で大きな影響を及ぼす。 + あなたは喜びと平安に包まれて生活し、山も丘も野の木々も、周囲のものはみな喜ぶ。 + いばらの生えていた所には、糸杉が茂り、いらくさが生えていた所には、ミルトスの木が芽を出す。この奇跡はわたしの名を偉大にし、わたしの力と愛を示す永遠のしるしとなる。」 + + + 神である主はこう命じます。「正義を守り、すべての人に公正であれ。正しいことを行いなさい。もうすぐ、あなたを救い出しに行くからだ。 + わたしの安息日には仕事をせず、この日を守る人は幸いだ。きびしく自戒して、悪いことをしない人は幸いだ。 + わたしの祝福は、主を信じる外国人にも及ぶ。彼らに、『主は私たちを劣った者とする』と考えさせてはならない。宦官(宮廷につかえる去勢男子)の場合も同じだ。ほかの人同様、彼らも完全にわたしのものとなれる。 + 安息日をきよい心で守り、わたしの喜ぶことを進んで行い、わたしの教えを守る宦官に、こう約束する。 + わたしの家とわたしの城壁のうちで、息子や娘を持つことにまさる名を彼らに与える。わたしが与える名はいつまでも価値のあるもので、決してすたれることはない。 + また、神の民の仲間入りをしてわたしに仕え、わたしの名を愛し、わたしのしもべとなって安息日をきよく守り、わたしの契約を受け入れた外国人には、次のように約束する。 + わたしは彼らをエルサレムにあるわたしの聖なる山へ連れて行き、わたしの祈りの家で喜ばせる。わたしは彼らのいけにえや供え物を受け入れる。わたしの神殿は『すべての民の祈りの家』と呼ばれるからだ。」 + 追放されたイスラエルの民を呼び戻す主は、その民イスラエル以外の者たちも集めると告げます。 + 「野の獣よ、来て羊を裂き殺せ。森の獣よ、来て、わたしの民の骨まで食らえ。 + わたしの立てた見張りであり羊飼いであるイスラエルの指導者は、みな目が見えないので、危険に気づかない。みな愚かで、危険が近づいても警告しない。寝ころんで夢を見るのが大好きだ。 + 彼らは貪欲な犬で、満足することを知らない。自分の利益だけを追い求める愚かな羊飼いで、めぼしいところから、できるだけ多くもうけてやろうと目を光らせている。 + 彼らはこう言った。『さあ、酒を手に入れ、宴会を開こう。みんなで酔っ払うのだ。これこそ生きがいというものだ。さあ、浴びるほど飲もう。明日は今日よりもっとすばらしいことがあるかもしれない。』」 + + + 正しい人が滅び、神を敬う人が道半ばで死んでも、誰ひとり深刻に考えず、不思議にも思いません。神がそのような人を、災いが来る前に取り去ったことに気づく者は一人もいません。 + 神を敬う人は、死んで、平和そのものの安息に入ります。 + 「だがおまえたち、女占い師の子、姦夫と娼婦の子孫よ、ここに来るがよい。 + おまえたちは、だれをからかい、大きな顔をして舌を出すのか。罪人とうそつきの子よ。 + おまえたちは木の陰で熱心に偶像を拝み、谷や岩の間で子どもをいけにえにする。 + おまえたちの神々は、谷川に転がっているなめらかな石ではないか。おまえたちはそれを拝み、わたしとは似ても似つかぬその神々を、相続財産としている。そんなことをして、わたしが喜ぶと思うのか。 + おまえたちは山の上で偶像を拝み、わたしを捨てて姦淫の罪を犯した。とびらを閉めて偶像を据え、それらを拝んだ。わたしの代わりに偶像を愛することは姦淫である。 + おまえたちは、かぐわしい香と香水をモレクへの供え物にした。遠い道をいとわず、地獄にまでも行って、愛を注ぐ新しい神々を見つけようと必死になった。 + 長い旅に疲れても決してあきらめず、気持ちを強く持ちながら旅を続けた。 + どうして、わたしよりも他の神々を恐れるのか。わたしのことなど心になかったのは、どういうわけか。わたしがあまりにも優しすぎたので、恐れることはないと考えるようになったのか。 + さらに、おまえたちの正しさと良い行い、そんなものは、おまえたちを救えない。 + 集めた偶像が、はたして、いざというときに救ってくれるかどうか試してみるがいい。それらの偶像は、吹けば飛ぶように頼りにならない代物だ。一息で吹き飛んで行く。しかし、わたしに信頼する者はこの地を得、わたしの聖なる山を受け継ぐ。 + さあ、道を造れ。石や岩を取り除け。捕らわれていたわたしの民の帰国に備えて、すばらしい道を整えるのだ。」 + 永遠を住まいとする高く上げられた聖なるお方が語ります。「わたしは高くて聖なる所に住んでいるが、そこには、心のへりくだった謙遜な人が住む。わたしは謙遜な人を生き返らせ、悔い改めた人に新たな勇気を起こさせる。 + いつまでもあなたと戦い、怒りをぶつけるわけではない。そんなことをしていたら、わたしが造った全人類は死に絶えてしまう。 + わたしは怒って、貪欲な者たちを打った。ところが、彼らは性懲りもなく罪を犯し続け、思いのままに悪の限りを尽くした。 + 彼らのしわざはこの目で見た。しかし今は、ともかく彼らをいやそう。彼らを導き、慰め、罪を嘆いて告白するように導こう。 + 近くにいる者にも遠くにいる者にも、平安があるように。わたしは彼らをいやす。 + それでもなお逆らう者は、少しも静まることのない海のようだ。片時も休まず泥を吐き出している。 + そのような者に平安はない。」こう神は語ります。 + + + 「ラッパのような大声で叫べ。わたしの民に、彼らの罪が何であるかを知らせよ。 + 彼らはいかにも神を敬うかのように振る舞っている。毎日神殿へ来て、律法の朗読を聞いて喜ぶ。彼らはそれに従うことを望み、神の戒めを軽んじることなど考えられない、といったふうに見える。見た目には、正しく礼拝することを心から願い、神殿での奉仕をことのほか愛しているようだ。 + 彼らは不満げに言う。『あなたの前で断食したのに、なぜ心に留めてくださらないのですか。なぜ、私たちのいけにえをごらんにならないのですか。どうして、私たちの祈りを聞いてくださらないのですか。たくさんの罪滅ぼしをしたのに、目も向けてくださいませんでした。』その理由を説明しよう。おまえたちは断食の最中にも悪い楽しみにふけり、雇った労働者を虐げている。 + 考えてもみなさい。仲間割れしながら断食して、いったいどんな益があるというのか。そんな断食をしても、わたしとの関係は少しも良くなるはずがない。 + そんな罪滅ぼしが何だ。風に揺られる葦のように頭を下げたり、荒布をまとって灰をかぶったりすることを、はたしてわたしが望んでいるだろうか。 + わたしの喜ぶ断食とは、労働者を虐げるのをやめ、公平な扱いをし、彼らに正当な支払いをすることではないか。 + 空腹の者には食べ物を分け与え、身寄りのない者、暮らしに困っている者を家に迎えること、それがおまえに望むことだ。寒さに震えている者には着物を着せ、親族が助けを求めるなら助けを惜しまないことだ。」 + このようにすれば、神はあなたに輝かしい光を注ぎ、あなたはいやされ、神への思いが、あなたを導きます。あなたの善良さがあなたの前を守る盾となり、主の栄光があなたをうしろから支えます。 + あなたが呼べば、「わたしはここにいる」と、主はすぐに答えます。あなたのすべきことは、弱い者を虐げることをやめ、偽りの告発をしたり悪質なうわさを流したりするのをやめることです。 + 飢えた者に食べさせ、困っている者を助けなさい。そうすれば、あなたの光は暗闇の中から輝き渡り、あなたを取り囲む暗闇は真昼のように明るくなります。 + 主は片時も休むことなくあなたを導き、ありとあらゆるすばらしいもので満足させ、いつも元気で満たしてくださいます。あなたは、よくうるおった庭園のようになり、豊かに水がわく泉のようになります。 + 息子たちは、長い間人の住んでいなかった町々の廃墟を建て直し、「城壁と町を造り直す恩人」と呼ばれます。 + 「安息日をきよい心で守り、その日には仕事や趣味に熱中したりせず、喜んで一日を過ごし、主の聖なる日だと喜びをこめて言い、自分のしたいことをせずに無駄口を慎み、わたしをあがめるなら、 + わたしはあなたの喜びとなる。わたしは、あなたに高い所を駆け巡らせ、あなたの父ヤコブに約束しておいた祝福をあますところなく受け継がせる。」主は、このように語りました。 + + + さあ、耳をすまして聞きなさい。主があなたがたを救わないのは、力がないからではありません。耳が聞こえなくなったのでもありません。あなたがたの声は間違いなく主の耳に届きます。 + 問題はあなたがたの罪です。罪があなたがたと神との断絶のもとなのです。罪のために、神は顔をそむけ、いっこうに聞こうとされません。 + あなたがたの手は血に染まり、あなたがたの指は罪に汚れています。あなたがたはうそをつき、不平を言い、正しいことに盾を突きます。 + 公正で、人に偏見をもつまいと心がける者は、一人もいません。訴えはうそで固められています。あなたがたは悪事を企んで、それを行うことに力を入れます。 + 恐ろしい結果を招く計画を練ることに時間をかけます。 + 手当たりしだい人をだまし、不当に扱います。やることなすこと罪にまみれ、暴虐があなたがたのしるしです。 + 足は悪を求めて走り、人殺しとなると全速力で走ります。頭には罪を犯すことしかなく、どこへ行っても悲惨と死の足跡を残します。 + 平和がどんなものか、正義や善意がどんなものか知りません。いつでも、どんな所でも悪いことをするので、あなたがたに従う者たちも、平和の味を知りません。 + こんな悪に染まっているからこそ、あなたがたは神の祝福を見いだせないのです。だからこそ、あなたがたに危害を加える者を、神は罰しないのです。光を望みながら暗闇に閉ざされているのも、むりはありません。暗がりの中を歩いて当然です。 + 盲人のように手探りで歩き、真昼なのに真夜中のようにつまずいても、不思議ではありません。元気な若者と比べたら、死人同然に見えるのも、もっともです。 + あなたがたは飢えた熊のようにほえ、鳩のように、いかにも悲しそうなうめき声を上げます。神を見上げますが、神は守ってくれません。横を向いてしまったのです。 + 正しい神の前に、あなたがたの罪が積み上げられ、それが、あなたがたに不利な証言をするからです。私たちは、自分がどんなにひどい罪人であるかを知っています。 + 自分の不従順さを知っています。私たちは、神である主を否みました。自分がひどい反逆者であり、どんなに誠実さに欠けているかを知っています。それというのも、私たちはどううそをつこうかと、入念に考えているからです。 + 法廷では正しい人を不利にし、公正な精神など、かけらもありません。真実は路上で行き倒れになり、正義は追放されています。 + 真実は行方不明になり、まじめな生活をしようと心がける者は、すぐさま攻撃の的になります。主はこのような悪を見、何の手も打たれていないのを不快に思いました。 + また、誰ひとりあなたがたを助ける者がなく、誰ひとりも介入しないのを不思議に思いました。そこで、ご自分の大能の力と正義をもってあなたがたを救い出そうと、介入してきたのです。 + 神は正義のよろいをまとい、救いのかぶとをかぶり、復讐と激しい怒りの衣を身に覆いました。 + 敵国の悪事に報い、遠くの国々に対しても怒りに燃えて報復するのです。 + そしてついに、人々は西から東に至るまで、神の御名を敬い、あがめるようになります。御口の息に押し流されるように、神はやって来ます。 + 罪に背を向けたシオン(エルサレム)の住民のもとに、救い主としてやって来るのです。 + 主はこう告げます。「これが彼らへの約束だ。わたしの霊は決して彼らから離れない。彼らは正しいことを望み、悪を憎むようになる。彼らだけでなく、子々孫々、永遠にそのようになる。」 + + + 「わたしの民よ、起き上がれ。神の栄光があなたから輝き始めた。すべての民に見えるように、その光を輝かせるのだ。 + 夜のような暗闇が地上に住む者全部を覆うが、主の栄光があなたから輝き出る。 + 国々の民は、あなたの光を慕って来る。力ある王たちは、その上に輝く主の栄光を見るために来る。 + 目を上げて回りを見よ。息子や娘が遠い国から帰って来るからだ。 + 世界中の商人が多くの国々の財宝を運んで来るので、あなたの目は喜びに輝き、心は躍る。 + らくだの大群が押し寄せる。ミデヤンとシェバとエファからも、ひとこぶらくだが黄金と乳香を携えて来て、共に神をほめたたえる。 + ケダルの羊の群れはあなたのものとなり、ネバヨテの雄羊はわたしの祭壇にささげられる。こうして、わたしはその日、栄光に輝くわたしの神殿をひときわすばらしいものとする。 + 雲のようにイスラエルへ飛び帰り、鳩のように巣へ舞い戻るのはだれか。 + わたしは多くの国々の船を取っておいた。それも最良の船を。イスラエルの子らを遠い所から連れ帰り、いっしょに財産も運んで来るためだ。それは、世界中に知れ渡ったイスラエルの聖なる神が、すべての人の見ている前で、あなたを光り輝く者としたからだ。 + 外国人も来て、あなたの町々を建てる。その王たちも、こぞってあなたに仕える。わたしは怒ってあなたを打ったが、恵みをもってあなたにあわれみをかける。 + あなたの城門は常に開かれていて、多くの国々からの富を受け入れる。世界中の王があなたに仕える。 + 同盟を結ぼうとしない国々は滅び、二度と立てなくなるからだ。 + レバノンの栄光である糸杉、プラタナス、松などの森はあなたのものとなり、わたしの聖所を美しくするのに役立つ。こうして、わたしの神殿は神々しい光を放つようになる。 + セム族(ノアの長男セムを祖とする種族。ユダヤ人の別称)を敵視する者たちの子孫が来て、あなたに深々と頭を下げ、その足に口づけする。彼らはエルサレムを、『主の都』、『イスラエルの聖なる神の栄光に輝く山』と呼ぶ。 + あなたはすべての人に軽蔑され、憎まれ、のけ者にされていたが、これからは永遠の誉れ、代々にわたるすべての人の喜びとなる。わたしが、そうするからだ。 + 力ある王や強国が、競ってあなたの必要にこたえようと、最上の物資を持って来る。あなたはその時、主であるこのわたしがあなたの救い主であり、イスラエルの全能の神であることがわかる。 + わたしは、青銅を金と、鉄を銀と、材木を青銅と、石を鉄と交換する。平和と正義があなたの監督者となる。 + 暴虐は姿を消し、あらゆる戦争は終わりを告げる。あなたの城壁は救いとなり、あなたの門は賛美となる。 + もはや太陽や月の光はいらない。あなたの神であるわたしが、あなたの永遠の光、あなたの栄光となるからだ。 + あなたの太陽は永久に沈まず、その月は欠けない。わたしが永遠の光となり、悲しみの日は終わるからだ。 + 民は一人の例外もなく正しい人となり、いつまでもその他を継ぐ。わたしが自分の手で彼らをそこに植えるからだ。これは、わたしの栄光を現す。 + 最小の家族が大氏族となり、弱小の群れが強大な国家となる。時がきたら、主であるわたしは、これらのことをみな実現する。 + + + 神である主の霊が私の上にあります。苦しんでいる人や悩んでいる人にすばらしい知らせを伝えるために、主は私に油を注ぎました。心の傷ついた人を慰め、捕虜になった人に自由を、捕らわれていた人に釈放を告げるために、神は私を送りました。 + 嘆き悲しんでいる人に、神の恵みの時と敵が滅びる日のきたことを知らせるために、神は私を送りました。 + 嘆き悲しむすべてのイスラエル人に、神は与えます。灰の代わりに美しさを。悲しみの代わりに喜びを。重い心の代わりに賛美を。神はご自分の栄光のために、優雅で強い樫の木のように彼らを植えたのです。 + 彼らは廃墟を建て直し、はるか昔に壊された町々に手を加え、長い間荒れはてていた所を、にぎやかな町に戻します。 + 外国人は使用人となって家畜の群れを飼い、畑を耕し、ぶどう園の番人となります。 + あなたがたは、主の祭司、神に仕える者と呼ばれるようになります。あなたがたは国々の富で肥え太り、その財宝を誇りにします。 + 恥と不名誉に代わって、二倍の繁栄にあずかり、永遠の喜びにひたるのです。 + 「主であるわたしは、正義を愛し、不正と盗みを憎む。わたしは、苦しんだわたしの民に報い、彼らと永遠の契約を結ぶ。 + 彼らの子孫は国々の間に知れ渡り、尊敬される。すべての者が、彼らは神に祝福された民だと認める。」 + 神が私をどんなに幸福にしてくださったか、お話ししましょう。神は私に救いの衣を着せ、正義の外套をかけてくださいました。私はまるで、婚礼の服をまとった花婿、宝石で身を飾った花嫁のようです。 + 主は諸国に、ご自分の正義を示します。こうして、すべての人が神をたたえるのです。神の正義は芽を吹いた木々、ここかしこに青い芽が出た早春の庭園のようです。 + + + 私はシオンを愛し、エルサレムを心から慕っています。だからこそ、エルサレムが正義をまとってまぶしく輝き、救いによって栄光を放つまでは、この都のために祈るのをやめたり、神に叫ぶのをやめたりしません。 + やがて国々はあなたの正義に気がつき、王たちはあなたの栄光に目がくらむようになります。あなたは神から、新しい名を頂きます。 + 神はあなたを御手の中に抱きしめ、すべての者に見えるように高く上げます。あなたは、王の王である方の、光り輝く冠となるのです。 + もう二度と、「神に見捨てられた地」とか「神が忘れてしまった地」とか呼ばれません。新しい名は「神が喜ぶ地」また「花嫁」です。主があなたを喜び、ご自分のものにするからです。 + エルサレムよ、あなたの子らは、おとめをめとる若者のような喜びをもって、あなたを世話します。神は、花婿が花嫁を喜ぶように、あなたを喜びます。 + エルサレムよ、私は城壁の上に見張りを置きました。その人が昼となく夜となく、約束の成就を神に祈り求めるためです。祈る人たちよ、少しでも手を抜いてはいけません。神がエルサレムをしっかり建て上げ、全地の人の尊敬と称賛の的とされるまでは、神の手を休ませてはいけません。 + 主はエルサレムに、心をこめて誓いました。「再びあなたを敵の手に渡さない。再び外国の兵士に穀物とぶどう酒を横取りさせない。 + 自分で栽培したものは自分の口に入れ、わたしをたたえるようになる。神殿の内庭で、手づくりのぶどう酒を飲む。 + さあ、行って、わたしの民が帰って来るための道を整えよ。土を盛り、石を除き、イスラエルの旗を高く掲げよ。」 + 見なさい。主はあらゆる国に使者を送って、こう言わせました。「わたしの民に、神である主が、たくさんの贈り物を持ってあなたを救いに行く。」 + 彼らは「聖なる国民」「主に買い取られた者」と呼ばれ、エルサレムは「慕わしい地」「神が祝福した都」と呼ばれるようになります。 + + + エドムから来る、あの人はだれですか。目にも鮮やかな深紅の衣を着て、ボツラの町から来る、あの人はだれですか。王の衣をまとい、威風堂々とやって来る、あの人はだれですか。「それは、あなたに救いを告げ知らせる主だ。大きな力をもって救う主だ。」 + 「どうしてお着物が、ぶどうを踏みしぼったときのように真っ赤なのですか。」 + 「わたしは、ひとりで酒ぶねを踏んだ。手伝ってくれる者は一人もいなかった。わたしは激しく怒り、敵をぶどうのように踏みつぶした。真っ赤になって怒り、敵を踏みにじった。着物に染みついているのは、彼らの血だ。 + わたしの民のかたきを討ち、虐げる者の手から救い出す時がついに来たのだ。 + わたしは辺りを見回したが、彼らに手を貸す者は一人もいなかった。わたしはあきれ返り、身のすくむ思いをした。だから、だれの手も借りず、ひとりで復讐したのだ。 + わたしが怒って国々を踏みつけたので、彼らはよろめき、倒れた。」 + 私は神の恵みを人々に知らせます。そのなさったすべてのことのゆえに神をたたえます。私はまた、イスラエルに示された神の深いあわれみを喜びます。神は愛によって、あわれみを示したのです。 + 「彼らはわたしのものだ。彼らはもう二度と道を誤らない」と、神は言いました。こうして神は、彼らの救い主となったのです。 + 彼らが苦しむとき、神はいつもいっしょに苦しみ、彼らを救い出しました。神は、ご自分の愛によって彼らを買い戻し、彼らを高く掲げ、これまでずっと彼らを導きました。 + ところが、彼らは神に反抗し、神の御霊を悲しませたのです。それで神は、彼らの敵となり、彼らと戦ったのです。 + その時、彼らは神のしもべモーセがイスラエルをエジプトから連れ出した時のことを思い出し、叫びました。「モーセを羊飼いに立てて、イスラエルの民を導き、海を通らせた方は、どこにいますか。ご自分の国の中に御霊を送られた神は、どこにいますか。 + モーセが手をあげた時、人々の見ている前で海を二つに分け、ご自分の評判を永遠のものとした方は、どこにいますか。 + 人々に海の底を通らせたのは、どなたですか。彼らは荒野を駆け巡る優秀な馬のように、少しもつまずきませんでした。 + 谷間で草を食べる家畜のように、主の御霊は彼らに休息を与えました。」こうして神は自ら、ご自分の名声を不動のものとしたのです。 + ああ主よ、どうか天から見下ろして、栄光に輝く聖なるお住まいから、私たちに目を留めてください。いつも示してくださった愛は、どこへ行ったのですか。神の力、あわれみ、同情は、いったいどこにあるのですか。 + 神が今でも私たちの父であることに、変わりはありません。たとえ、アブラハムとヤコブが私たちを見捨てても、神は私たちの父であり、大昔からの救い主です。 + 主よ、なぜ私たちを頑固にし、罪を犯して神に背くようにされたのですか。どうか、戻って来て、私たちを助けてください。私たちは神のもの、どうしても神が必要です。 + エルサレムが私たちのものであった期間は、なんと短かったことでしょう。敵はこの都を破壊しました。 + ああ神よ、どうして私たちを、主の名で呼ばれたことのない外国人のように取り扱われるのですか。 + + + ああ、神が天を引き裂いて地上に降りてきますように。山々は御前で、どれほど揺れ動くことでしょう。 + すべてのものを焼き尽くす栄光の火は、森林を灰にし、海を干上がらせるでしょう。国々は御前で震えるでしょう。その時になって、敵どもは、神の御名が響き渡っている理由を知ります。 + 神は私たちが夢にも考えていなかったような恐ろしいことをするので、神が来る時、山々は打ち震えるでしょう。 + 世界が始まって以来、私たちの神のように、待ち望む者にすばらしいことをしてくれる方は、ほかにありません。 + 神は、喜んで正しいことを行う者、神につき従う者を喜んで迎えてくれます。ところが、私たちは神を敬わず、一生罪を犯し続けています。そのため、神の怒りが重くのしかかっているのです。このような者が、どうして救われるでしょう。 + 私たちはみな罪の毒に冒され、汚れきっています。これこそ正義だという最上の着物をまとっても、悪臭を放つぼろきれにすぎません。私たちは秋の木の葉のように色あせ、しおれて落ちます。あえなく罪の風に吹き飛ばされるばかりです。 + それでもなお、誰ひとり神の名を呼び、あわれみにすがろうとしません。そこで神も、私たちから顔をそむけ、罪に引き渡したのです。 + しかし主よ、それでもなお、神は私たちの父です。私たちは粘土で、神は陶器師です。私たちはみな御手によって造られました。 + 主よ、どうか、そのように怒らないでください。私たちの罪を早く忘れてください。どうか、私たちを見て、神の民であることを心に留めてください。 + あなたの聖なる町々は破壊されたままです。エルサレムは住む者もいない荒れ地になっています。 + 先祖が神を礼拝した、あの聖なる美しい神殿は焼け落ちました。美しい物は何もかも壊されました。 + 主よ、これでもなお、私たちを助けることを拒むのですか。黙って眺めるだけで、なおも私たちを罰するのですか。 + + + 主はこう告げます。「わたしのことを聞きもしなかった民が、今ではわたしを捜し出す。かつてわたしを捜しもしなかった民が、わたしを見いだす。 + ところが、イスラエルはどうだろう。わたしが一日中手を広げて招いているのに、今も逆らっている。自分の思いどおりに悪の道を歩き続けている。 + 多くの園で偶像を拝み、家の屋上で香をたき、いつもわたしを怒らせている。 + 夜は夜で、墓地や洞窟へ出かけて悪霊を拝み、豚や、その他の禁じられているものを食べる。 + それでいて、人には平然と、『そばに来るな。汚らわしい。おれはおまえよりきよいのだ』と言う。彼らを見ると、わたしは息苦しくなる。昼も夜も、わたしを怒らせるからだ。 + さあ、これが、わたしの書いた声明文だ。『わたしは黙っていない。きっと報復する。そうだ、間違いなく報復する。』 + 彼らの罪だけではない。先祖の罪にも報復する。先祖たちも、山々の上で香をたき、丘の上でわたしを侮辱したからだ。今こそ、いやと言うほど悪に報いよう。 + だが、全部を滅ぼすわけではない。悪いぶどうの房に良いぶどうも混ざっていることだから、イスラエル人全部を滅ぼしはしない。中には、心のきよい、わたしのしもべもいるのだ。 + その残りの者を取っておき、イスラエルの地を与える。わたしの選ぶ者がその地を受け継ぎ、そこでわたしに仕えるようになる。 + わたしを尋ね求めた者のために、シャロンの平野は再び羊の群れで埋まり、アコルの谷は家畜の群れを飼う所となる。 + しかし、それ以外の者たちには容赦しない。彼らはわたしと神殿とを捨て、『幸運』と『運命』の神々を拝んできた。 + それゆえ、剣に渡す『運命』に定めよう。また、彼らの『幸運』は暗いものとなろう。わたしが呼んだ時にこたえず、わたしが語った時に聞こうとしなかったからだ。そればかりか、わたしの目の前でわざと罪を犯し、よりによってわたしの憎むことをしてきた。」 + それで、神である主は告げます。「おまえたちは飢えるが、わたしのしもべたちは十分に食べる。おまえたちはのどが渇くが、彼らは存分に飲む。おまえたちは悲しみに沈み、恥を見るが、彼らは喜ぶ。 + おまえたちは、悲しみと苦しみと絶望の中で泣き叫ぶが、彼らは喜びのあまり歌いだす。 + おまえたちの名は、わたしの民の間で、のろいの代名詞となる。」それは、主があなたがたを殺し、真の主のしもべをほかの名で呼ぶからです。 + 「しかし、祝福を祈り求め、誓う者がみな、まことの神の御名を使うようになる日が来る。わたしが怒りを静め、おまえたちのした悪事を忘れるからだ。 + わたしは新しい天と地とを造る。それは目をみはるほどすばらしいので、もうだれも、古い天と地とを思い出さなくなる。 + わたしの造るものをいつまでも喜びなさい。わたしはエルサレムを、幸福の都として建て直す。そこに住む者はいつも喜びにあふれる。 + エルサレムとわたしの民は、わたしの喜びだ。そこにはもう、泣き声や叫び声は聞かれない。 + 生まれてすぐに死ぬ赤ん坊はいなくなる。百歳まで長生きしても、まだ老人とは呼ばれない。その若さで死ぬのは罪人だけだ。 + その時には、家を建てればいつまでも住むことができる。昔のように、外国の軍隊が侵入し、家を壊されることはない。わたしの民はぶどう園を作り、取れた実を自分で食べる。敵が横取りすることはない。だれもが木の寿命ほども長生きし、丹精して作った穀物を、長い間楽しみながら食べる。 + せっかく刈り入れた物が敵の食糧になったり、生まれた子どもが戦場で死んだりすることはない。彼らは主に祝福され、その子らも祝福されるからだ。 + 彼らが呼ぶ前から、わたしは答える。彼らが困って相談を持ちかけるとき、わたしは先回りして、彼らの祈りに答える。 + 狼と子羊はいっしょに草を食べ、ライオンは牛のようにわらを食べ、蛇はちりを食べて、人にはかみつかない。その時、わたしの聖なる山で、傷つくものは一人もなく、壊れるものは一つもない。」主はそう語ります。 + + + 「天はわたしの王座、地はわたしの足台だ。あなたがたにこれ以上の神殿を建てることができようか。 + わたしはこの手で天と地を造った。全部がわたしのものだ。それでもわたしは、謙遜になって深く罪を悔い、わたしのことばにおののく者に目をかける。 + しかし、自分勝手な道を選び、罪にふける者はのろわれる。彼らのささげ物を、わたしは絶対に受け入れない。たとえ牛を祭壇にささげても、見向きもしない。子羊や穀物をささげても、犬や豚の血を供えたときのように、顔をしかめる。わたしに香をたいているつもりでも、偶像を拝んでいるのだとみなす。 + わたしは彼らに、彼らが恐れているものを送る。わたしが呼んだのに答えようとせず、話しかけたのに聞こうともしなかったからだ。それどころか、わたしの見ている前で悪いことをし、わたしが憎むことを、そうと知りながら行った。 + 神を恐れる者は、神のことばを聞いておののけ。あなたがたの同胞は、わたしに忠実だというだけで、あなたがたを憎み、退ける。『神に栄光があるように。主を信じて、せいぜい幸せになるがいい』と彼らはあざける。だが、そう言う彼らが恥を見るようになる。」 + 町が騒ぎ立っています。いったいどうしたというのでしょう。神殿から聞こえてくる、あのすさまじい物音は何でしょう。あれは、主が敵に報復している音です。 + こんなに不思議なことを見聞きした者がいるでしょうか。まだ産みの苦しみの前に、一日のうちに、突然、イスラエルの国が産み落とされるのです。陣痛が始まると同時に、赤ん坊が生まれ、国が出現するのです。 + 「わたしは胎を開かせておきながら、産ませないことがあろうか」と、あなたの神である主は言います。そんなことは、天地がひっくり返っても、あるはずがありません。 + エルサレムを愛し、そのために嘆いてきた者よ、エルサレムといっしょに喜び、楽しめ。 + エルサレムをこの上もない喜びとせよ。赤ん坊が母親の豊かな乳房を吸うように、エルサレムの栄光を堪能するまで飲め。 + 主は告げます。「繁栄が川のようにエルサレムにみなぎりあふれる。わたしがそのようにするからだ。外国の富はこの都に流れ込む。子どもたちはエルサレムの乳房を吸い、わきに抱かれ、ひざの上であやされる。 + わたしはその都で、幼児が母親に慰められるように、あなたがたを慰める。 + あなたがたはエルサレムを見て心を躍らせる。あなたがたのからだは力が満ちる。すべての人が、神の民に加えられた主の恵み深い御手と、敵に向けられた主の憤りとを見る。」 + 見よ。神は怒りをぶちまけ、激しく責めたてるために、火に包まれ、すべてのものを破壊する速い戦車に乗って来ます。 + 火と剣で、世界をさばくのです。主に殺される者が、いかに多いことでしょう。 + 主は告げます。「庭の木のうしろに隠してある偶像をこっそり拝み、そこで豚の肉やねずみ、その他の禁じられている物をおいしそうに食べる者はみな、悲惨な最期を迎える。 + わたしには、彼らが何をしようとしているか、すべてわかっている。何を考えているかも知っている。そこで、すべての国の人々をエルサレムの前に集め、わたしの栄光を見せる。 + 彼らの目の前で驚くような奇跡をして見せ、逃れた者を宣教師として諸国に送る。行く先は、タルシシュ、プル、ルデ、メシェク、ロシュ、トバル、ヤワン(ギリシヤ)、それに、わたしの評判を耳にしたこともなく、わたしの栄光を見たこともない、海の向こうの国々だ。こうして、わたしの栄光を外国人に告げ知らせる。 + 彼らは、すべての国々から、あなたがたの同胞を神への贈り物として、馬、車、かご、らば、らくだに乗せ、わたしの聖なる山エルサレムへ大切に運んで来る。ちょうど刈り入れの時期に、主のものとしてきよめた器に供え物を載せ、続々と神殿へ運び込むのと同じように。 + こうして帰って来た者の中から、わたしは祭司とレビ人を選び出す。」主はそう告げます。 + 「わたしの造る新しい天と地がいつまでも残るように。あなたがたはいつまでもわたしの民となり、あなたがたに与えられる名は永久にすたれない。 + すべての者が、週ごとに、また月ごとに、わたしを礼拝するために来る。 + 彼らは出て行って、わたしに背いた者たちのしかばねを見る。それにわいたうじはいつまでも死なず、しかばねを焼く火も消えず、すべての人が目をそむける。」 + +
+
+ + ここに書いてあるのは、ユダのベニヤミンの地のアナトテという町にいた祭司、ヒルキヤの子エレミヤに与えられた神のことばです。 + ユダ王国のアモンの子、ヨシヤ王の治世第十三年に最初のことばがありました。 + そののち、ヨシヤの子、エホヤキム王の時代、ヨシヤの子、ゼデキヤ王の治世第十一年の七月にエルサレムが陥落し、住民が捕囚として連れ去られるまで、数回にわたって神のことばがありました。 + 主は私に、こう語りました。 + 「わたしは、母の胎内に宿る前からおまえを知っていた。生まれる前から、わたしの聖なる者として取っておき、国々にわたしのことばを伝える者に任命していた。」 + 「神よ、とんでもないことです。私にできるはずがありません。若すぎて、何を語ればよいのかわかりません。 + 「そんなことを言ってはならない。わたしが送り出す所どこへでも行き、命じることはすべて語るのだ。 + 人を恐れてはいけない。主であるわたしがついていて、どんな時にも助けるのだから。」 + こう言ってから、神は私の口に触れました。「わたしのことばをおまえの口に授けた。 + 今日から、世界の国々に警告する仕事が始まる。おまえの口から語られるわたしのことばどおりに、ある国を引き倒し、滅ぼし、ある国は起こし、育て、大国にする。」 + それから、主はこう尋ねられました。「エレミヤよ、何が見えるか。」「アーモンドの枝でできたむちです。」 + 「そのとおりだ。それは、わたしが必ず恐ろしい罰を下すしるしだ。 + 今度は何が見えるか。」「煮立っているなべが南の方に傾き、煮え湯がユダの上にこぼれていくのが見えます。」 + 「そのとおりだ。北からの恐怖が、全住民に降りかかる。 + わたしは北方の国々の軍隊に、エルサレムを攻めさせる。彼らは都の門と城壁沿いに、またユダのほかの町々に、それぞれの王座を作る。 + こうして、わたしの民に罰を加える。わたしを捨て、自分の手で作った神々を拝んだからだ。 + さあ、身じたくを整えて出かけなさい。わたしが伝えることをすべて語るのだ。彼らを怖がるな。恐れるなら、彼らの目の前でおまえをもの笑いの種にする。 + わたしは今日、おまえを彼らにはたち打ちできない者とした。彼らはどうしても、おまえに危害を加えることができない。おまえは、難攻不落の町のようにがんじょうそのもので、鉄の柱、青銅の重い門のように強い。王たち、将校たち、祭司たちをはじめ、この国の民は、おまえと戦っても、とうてい勝ち目がない。 + 攻撃をしかけても、途中であきらめる。わたしがおまえと共にいて、必ず救い出すからだ。」 + + + 主は再び、私に語りました。 + 「さあ、エルサレムの町の通りへ行き、大声で次のように語りなさい。ずっと昔、おまえがまだ若い花嫁だったころ、わたしを喜ばせようとしてどんなに尽くしてくれたかを覚えている。また、わたしを愛し、草木の生えていない荒野にいる時でさえ、わたしについて来てくれたことも覚えている。 + そのころ、イスラエルはきよい民、わたしの初子だった。これに害を加える者はだれでも犯罪人とみなされ、これに触れる者には大きな災いが降りかかった。 + ああ、イスラエルよ。おまえの先祖は、どうしてわたしを置き去りにしたのか。わたしに何か罪でもあったというのか。わたしに背き、偶像を拝むなど、全く愚かなことだ。 + 彼らは、自分たちをエジプトから無事に連れ出し、だれも足を踏み入れたことのない、乾ききった死の地である荒野を導き通したのが、主であるわたしであったことに、目をふさいでいる。 + わたしは彼らを、実り豊かな地に連れて入り、大いに祝福した。ところが、彼らはそこを罪と腐敗の地に変え、わたしが与えた相続地を汚した。 + 祭司でさえ、主を軽んじ、裁判官もわたしを無視した。指導者たちはわたしに盾つき、預言者はバアルを拝み、意味のないことで時間をつぶした。 + だがわたしは、まだおまえたちのことをあきらめていない。わたしに立ち返るようにと、根気強く、何度でも説得する。のちのちの子孫にも、同じようにする。 + あなたがたの周囲に、それがどんなものであれ、昔からいた神々を新しい神々と取り替えた国があったかどうか、調べてみよ。西にあるキプロスに使いを出し、東にあるケダルの荒野に人を遣わし、今までにこんなことを聞いたことがあるかどうか、調べさせてみよ。ところがわたしの民は、栄光に輝く神を捨て、代わりに何の役にも立たない偶像を取り入れた。 + 天はこれを知って衝撃を受け、恐怖に身をすくめる。 + わたしの民は悪事に悪事を重ねた。いのちの水の泉であるわたしを捨て、水をためることもできない、壊れた水ためを作った。 + イスラエルは、どうして奴隷の国になり下がったのか。どうして捕虜となり、遠い国へ連れて行かれたのか。 + わたしには、エルサレムに向かって進んで来る大軍が見える。彼らは天まで届く大声を上げてエルサレムを破壊し、焼き払い、人の住めない荒れ地とする。 + エルサレムへ攻め上ろうとするエジプトの軍隊も見える。メンピスとタフパヌヘスの町々から行軍し、イスラエルの栄光と力を踏みにじろうとしている。 + 神であるわたしが、行くべき道を示したのに、おまえが反抗したからだ。 + おまえはエジプトやアッシリヤと手を組んで、どんな得をしたのか。 + おまえ自身の悪が、おまえを罰する。神である主に刃向かい、神を捨てることがどんなに悪いことであり、恐ろしいことであるかを、身をもって知るようになる。」こう天の軍勢の主は宣告します。 + 「おまえはとうの昔に、わたしのくびきを払いのけ、わたしのきずなを断ち切った。わたしの言うことを頑として聞こうとしない。すべての丘の上、またすべての木の下で、偶像に深々と頭を下げた。 + こんなことが、ありえるだろうか。どうして、こんなことになったのか。おまえを植えた時、あれほど注意して、最上の苗木を選んだのに、どうしてこれほど堕落した悪い作物がなったのか。 + 石けんと灰汁をどんなにたくさん使っても、おまえはきれいにならない。どうしても洗い流せない罪の汚れが、こびりついている。それがいつも、わたしの目の前に見え隠れしている。」こう神は言います。 + 「それでもなお、そんなはずはない、偶像を拝んだ覚えなどない、と言いはるのか。なぜ、そんなことが言えるのか。試しに、この国のどの谷へでも行ってみよ。必死に雄を探し求める雌のらくだよ、おまえの犯した恐ろしい罪を直視せよ。 + おまえは、くんくんと鼻を鳴らす、さかりのついた野ろばそのものではないか。だれが、おまえの欲情を抑えることができようか。雄は、おまえを探す必要がない。おまえのほうから飛んで来るのだから。 + ほかの神々を追い回すのは、いいかげんにやめたらどうだ。けれどもおまえは言う。『言ってもむだですよ。私はこの他国人に恋をしてしまいました。あとについて行きたいのです。』 + イスラエルは、捕まることだけを恥と考えているどろぼうのようだ。王、指導者、祭司、それに預言者も、みな同じだ。彼らは木彫りの像を父と呼び、石細工の偶像を母と呼ぶ。ところが、いざ困ったことが起こると、助けてくださいと、わたしに泣きつく。 + 自分たちが作った神々に呼ばわったらどうだ。危険が近づいたら、彼らに助けてもらえばいい。ユダの町の数ほど神々をかかえているのだから。 + おまえたちはみな反逆者だ。なぜわたしを主と呼ぶのか。 + おまえたちの子らを懲らしめたが、むだだった。彼らは、いっこうに従おうとしない。おまえたち自身も、ライオンが獲物を殺すように、わたしの預言者たちを殺した。 + ああ、わたしの民よ、神のことばに耳を傾けよ。わたしはイスラエルに、何か不正をしただろうか。わたしは彼らにとって、暗闇に覆われた地のようだったか。それなのにどうして、わたしの民は『やっと神から自由になれた。もう二度とかかわり合いになりたくない』と言うのか。 + どうして、いとも簡単に神を捨てることができるのか。おとめは、自分の大切な宝石を忘れはしない。どんな花嫁も、結婚衣装を隠すような愚かなまねはしない。ところがどうだ。わたしの民は、最も貴重な宝であるわたしを、長い間忘れたままでいる。 + おまえたちは恋人を手に入れるためには、なんと念入りで巧みな計画を立てることか。そのやり方は、ベテランの売春婦でさえ、学ぶところが多いくらいだ。 + 着ている物には、罪のない貧しい人の血がついている。おまえたちは理由もなく、平然と人殺しをやってのける。 + しかも、そのあとは口をぬぐい、『神を怒らせることなど、何もしていない。神が腹を立てるわけがない』としらを切る。『罪を犯していない』と、あくまでもしらを切るので、わたしはおまえたちをきびしく罰する。 + おまえたちは、ここかしこと飛び回り、次々と同盟国を乗り換え、助けを求めて歩き回る。だが、そんなことをしてもむだだ。おまえたちの新しい友人、エジプトは、かつてのアッシリヤのように、おまえたちを見捨てる。 + わたしがおまえたちの頼りにしている者を退けるので、おまえたちは両手で顔を覆い、失望のあまりしゃがみ込んでしまう。たとえ彼らの助けがあったにしても、うまくいくはずはない。 + + + ある人が妻を離縁し、彼女が再婚した場合、彼女が再び戻って来ても妻にすることはできないという法律がある。彼女は汚れた者となっているからだ。だが、おまえたちは、わたしを置き去りにして幾人もの恋人と結婚しておきながら、あつかましくも、またわたしのもとへ帰ると言っている。 + ほかの神々を拝む姦淫の罪で汚れていない所は、国中どこにもない。おまえたちは売春婦のように道ばたに座り込み、相手が来るのを待っている。荒野のベドウィン族のように、たった一人で座っている。おまえたちは、赦しがたい淫行の罪で地を汚してしまった。 + 今は春の雨も降らなくなった。おまえたちが恥知らずの売春婦だからだ。 + それでもなお、おまえたちは臆面もなく言う。『神よ。あなたは、これまでずっと私の夫でした。だから、こんな小さなことでお怒りになるはずはありません。私の罪など、きれいさっぱり忘れてくださるはずです。』こう言って、相も変わらず、ありとあらゆる悪事を積み重ねている。」 + ヨシヤ王の時代に、私に次のような主のことばがありました。「おまえは、イスラエルのしていることを見たか。ほかの男に体を許すみだらな妻のように、イスラエルはすべての丘の、すべての木の下で、ほかの神々を拝んできた。 + いつかはわたしのもとへ帰り、わたしのものになってくれると思っていたのに、とうとう帰って来なかった。不真実な妹であるユダも、イスラエルがいつも神に逆らっているのを見た。 + ユダは、わたしが背信のイスラエルを離縁したのを見ていながら、少しも気にかけなかった。それどころか、自分もわたしを置き去りにして、淫行に身をゆだねた。彼女も、ほかの神々を拝んだ。 + しかも、木や石で作った偶像を拝むなど、彼女にとっては、いとも簡単なことだった。そのため、国中がひどく汚れた。 + あとになってこの背信の女は、涼しい顔をしてわたしのところへ帰って来た。彼女は悲しんだふりをしただけだ。 + 事実、背信のイスラエルのほうが、裏切り者のユダよりはいくらかましだ。 + だから、出かけて行って、イスラエルにこう言いなさい。ああ、罪深いわたしの民イスラエルよ、もう一度、わたしのもとへ帰って来るがよい。わたしはあわれみ深い。いつまでも怒っているわけではない。 + ただ、罪を認めよ。神であるわたしに逆らい、すべての木の下で偶像を拝み、わたしに姦淫の罪を犯したことを認めよ。わたしに従おうとしなかったことを告白せよ。 + ああ、罪深い子らよ、帰って来なさい。おまえたちの主人であるわたしは、ここから一人、あそこから二人とおまえたちを集め、再びイスラエルの地に連れ戻す。 + また、わたしの心にかなった指導者を与える。彼は知恵と知識をもって、おまえたちを導く。 + こうして、イスラエルが再び人で満ちあふれる時、おまえたちは、神の契約の箱があったころの『古き良き時代』がなつかしいなどと言わなくなる。当時のことは思い出されず、契約の箱を作り直すこともない。 + わたしがおまえたちの内にいるので、エルサレム全市は主の御座となり、世界中の人がそこでわたしに会い、二度と以前のようにひどく悪い思いのままに生活しなくなるからだ。 + その時、ユダとイスラエルの民は肩を組み、捕虜として連れて行かれた北の国から、わたしが彼らの先祖に与えた永遠の相続地へ戻って来る。 + わたしは、おまえたちがわたしの子らといっしょにこの地にいるのは、どんなにすばらしいことかと考えていた。おまえたちに、世界で一番美しいこの国の一部を与えようと思っていた。また、おまえたちがわたしを「父」と呼ぶ日を待ちわび、おまえたちが二度とわたしから離れないと考えていた。 + ところが、おまえたちはわたしを裏切った。おまえたちはさまよい出て、夫のもとを去る不貞の妻のように多くの外国の神々に身をゆだねた。 + 吹きさらしの高い山の上から、泣き叫ぶ声が聞こえる。神に背き、遠くへさまよい出たイスラエルの子らの泣き声だ。 + わたしの背信の子らよ、もう一度わたしのところへ戻って来なさい。そうすれば、おまえたちの罪という病を治そう。」この神の呼びかけに、彼らはこう答えます。「帰ります、神よ。神は私たちの主だからです。 + 丘の上で偶像を拝んだり、山の上でお祭り騒ぎをするのはもううんざりです。私たちは悪い夢を見ていました。神だけに、イスラエルの助けと救いがあるのです。 + 私たちは子どものころから、先祖のものであった羊や牛の群れ、それに息子、娘が、偶像や異教の祭司の食い物になるのを見てきました。 + 私たちは恥と不名誉の中に伏しています。私たちも先祖も、子どものころから神に罪を犯し、従わなかったからです。」 + + + 「イスラエルよ、本気でわたしのもとへ帰りたければ、偶像を完全に捨てよ。 + もしおまえが、生ける神であるわたしによってだけ誓い、誠実できよく正しい生活を始めるなら、おまえは世界の国々へのあかしとなる。こうして、諸国の民はわたしのもとへ来て、わたしの名をあがめるようになる。」 + 主はユダとエルサレムの人たちに、こう告げます。「固くなったおまえたちの心を耕せ。そうでなければ、良い種がいばらにふさがれてだめになる。 + 体だけでなく、心と思いもきよめよ。そうでなければ、おまえたちの罪のためにわたしの憤りが爆発し、おまえたちを黒こげにしてしまう。誰ひとり、その火を消すことはできない。 + エルサレムとユダに向かって叫べ。国中に響くように警報を鳴らせと言いなさい。『いのちが危ないから、走って逃げるのだ。要塞で固めた町へ逃げ込め。』 + エルサレムから合図を送りなさい。『すぐ、逃げ出せ。ぐずぐずするな。』主であるわたしが、北から、とてつもなく大きな破滅をもたらすからだ。 + ライオンのように国々を滅ぼす者が住みかから出て来て、おまえたちの国へ向かっている。町々は住む者もなく、廃墟となる。」 + 喪服を着て、胸も張り裂けんばかりに泣きなさい。主の激しい怒りが、まだ私たちから去らないからです。 + 「その日には、王や指導者は恐ろしさで震え、祭司と預言者は恐怖に顔をこわばらせる」と、主は言います。 + そこで、私は申し上げました。「ですが神よ。民は、あなたのおことばにだまされました。確か、エルサレムに大きな祝福がくるとのお約束だったのに、今になっても剣が住民に突きつけられています。」 + その時、神は荒野から、すさまじい勢いで吹きまくる熱風を送ります。こうして、滅亡の時がきたことを宣告するのです。 + 敵は嵐のように襲いかかります。その戦車は竜巻のようで、その馬はわしよりも速く走ります。ついに滅亡の時がきたのです。ああ、なんという大きな災いでしょう。 + エルサレムよ、手遅れにならないうちに心をきよめなさい。今ならまだ、悪い思いを捨てれば、救われます。 + ダンから、エフライムの山から、あなたの滅びが言い渡されました。 + ほかの国々に知らせなさい。遠い国から敵が来て、エルサレムとユダの町々に叫びながら向かって来ます。 + 彼らは、野獣に立ち向かう羊飼いたちのように、エルサレムを包囲します。「それは、わたしの民がわたしに背いたからだ」と、主は言います。 + あなたの行いが、この災いを招いたのです。それはあなたにとって苦い薬で、腹の底までしみわたります。 + 私は苦痛のため身もだえします。心臓は激しく波打っています。とても黙ってはいられません。敵のラッパの音と雄たけびを聞いたからです。 + 破壊に次ぐ破壊の波が押し寄せ、国土はすっかり荒れ果ててしまいます。一瞬のうちに、家は一軒残らず押しつぶされます。 + いつまで、このような状態が続くのでしょう。いつまで、戦いと死を見続けなければならないのでしょう。 + 「わたしの民が愚かなことをやめるまでだ。彼らは、わたしの言うことを聞こうとしない。理解力のない子で、判断力がない。悪いことをするとなると素早いが、正しいことをする才能など、まるで持ち合わせていない。」 + 彼らの地を見下ろすと、見渡す限りの廃墟で、空は真っ黒です。 + 山々は震え、揺れ動いていました。 + なおもよく見ると、人々はいなくなり、鳥は飛び去っていました。 + よく肥えた谷間は荒野となり、町という町はことごとく、破壊され、神の激しい憤りによって押しつぶされていました。 + 滅ぼせという主の命令が、全地に行き渡っているのです。しかし、神は宣言します。「それでも、わたしの民はほんの少しだけ残る。 + 地は嘆き悲しみ、天は真っ暗になる。わたしが、滅ぼせとの勅令を出したからだ。わたしはいったん決心したことは、絶対に変更しない。」 + 町中の者は近づいて来る軍隊の行進の音におびえ、逃げ出します。草むらに隠れ、山へ逃げます。住民は恐ろしさのあまり、われ先にと逃げるので、町にはだれもいなくなります。 + どうして晴れ着をまとい、宝石を身につけ、飾り立てるのですか。そんなことは、何の役にも立ちません。同盟軍はあなたがたをさげすみ、殺してしまいます。 + 「わたしは、初産の女の陣痛のような、大きなうめき声を聞いた。それは、殺そうとする者の前にひれ伏し、あえぎながら助けを請う、わたしの民の叫びだ。 + + + エルサレム中の通りを駆け巡れ。高い所も低い所も探して、正直で公平を愛している者が一人でもいるかどうか、調べてみなさい。あらゆる広場を探して、そのような者がただの一人でもいたら、わたしはこの都を滅ぼさない。 + 彼らは、誓いを立てる時でもうそをつく。」 + 主よ。あなたは真実以外のものを受け入れません。神は罰を加えて、正直になることを期待したのに、彼らは少しも変わりませんでした。彼らを打ったのに、彼らは罪から離れようともしませんでした。彼らは、顔を岩のように堅くし、どんなことがあっても悔い改めないと決心しています。 + 私は思いました。「無知で哀れな者に、いったい何を期待できよう。神の道を知らないのだから、神に従うことなどどうしてできるだろう」と。 + 「今度は、身分の高い人のところへ行って話してみよう。指導者なら、主の道に通じ、罪を犯せばさばきが来ることを知っているだろうから。」ところが彼らも、神を完全に拒絶したのです。 + 「だからこそ、わたしは怒って、彼らに『森のライオン』を送る。『荒野の狼』は彼らに襲いかかり、『ひょう』が町々の周りをうろつくので、一歩でも町から出ようものなら引き裂かれる。彼らの罪は数えられないほど多く、わたしへの背信は、はなはだしいからだ。 + これでは、どうして赦すことができようか。おまえたちの子どもでさえ、わたしに背き、神とは似ても似つかぬものを拝んでいる。わたしは彼らが満腹になるまで食べさせたのに、彼らは、これ見よがしに姦淫の罪を犯し、町の売春宿に押しかけた。 + 彼らは丸々と太った、さかりのついた馬で、隣の妻を慕っていななく。 + このようなことを、わたしが罰しないでおくだろうか。このような国に、報復しないでおくだろうか。 + ぶどう園へ行き、手当たり次第ぶどうの木を引き抜け。だが、ごくわずかの木は残しておくのだ。枝を切り落とせ。主のものではないからだ。」 + イスラエルとユダの民はわたしを踏みつけたと、主は言います。 + 彼らは平気でうそをつきました。「神がわれわれに手を出すはずはない。災いが降りかかるはずはない。ききんも戦争もあるものか。 + 預言者は、神の権威のないことばをしゃべりまくるだけだ。彼らの言う滅びの宣言は、われわれにではなく、彼ら自身に下るのだ。」 + 彼らがこのように言ったので、天の軍勢の主は、預言者たちにこう告げます。「わたしは、おまえたちのことばを燃える火とし、彼らを火のついたたきぎのように焼き尽くす。 + ああ、イスラエルよ。わたしは遠い国の民を連れて来て、おまえを攻めさせる。それは大昔から強大な国(古バビロニヤ帝国)で、おまえには彼らの話すことばが通じない。 + 彼らの武器には恐ろしい威力があり、一人一人は大勇士だ。 + 彼らは、おまえの刈り入れた穀物と子らのパンを略奪し、おまえの羊の群れ、家畜の群れ、ぶどう、いちじくを食べ、安全だと思っていた城壁のある町々に侵入し、略奪する。 + しかし、わたしはおまえたちを根絶やしにはしない。 + おまえの同胞が『どうして主はこんなことをするのか』と尋ねたら、こう答えなさい。『あなたがたは神を捨て、自分の国でほかの神々に身も心もささげました。だから今度は、その神々の国々で、外国人の奴隷になるのです。』 + ユダとイスラエルに告げなさい。 + 目があっても見えず、耳があっても聞こえない、愚かで思慮のない者たちよ。 + よく聞くがいい。おまえたちには、わたしを尊敬する気持ちが少しもないのか。わたしの前に出ても恐れおののかないとは、いったいどうしたことか。わたしは永遠の命令を出して、世界中の海岸線を決めた。だから、たとえ海の波がとどろき、逆巻いても、最後の一線を越えることはない。このような神を、恐れもせず、あがめもしないことが許されるだろうか。 + ところが、わたしの民はわたしに背き、偶像礼拝に走った。わたしは、春と秋には雨を降らせ、刈り入れの時を与える神なのに、彼らはわたしを敬いもせず、恐れもしない。 + そこでわたしは、このような四季の恵みをいっさい彼らから遠ざけた。何もかも彼らの罪のためだ。 + わたしの民のうちに、人を待ち伏せして血祭りにあげる悪人がいる。彼らは暗がりに隠れている猟師のようで、罠をしかけておく。 + 彼らの家は、鶏がいっぱいいる鳥小屋のように、悪だくみであふれ返る。その結果はどうなっただろうか。今彼らは名を上げて、金持ちになり、 + ごちそうをたらふく食べ、周りの人にもてはやされている。彼らの悪事は際限がなく、みなしごを正しく扱わず、貧しい者の権利をないがしろにしている。 + わたしは腕組みしたまま見ているだけで、手を下さないだろうか。このような国を罰しないでおくだろうか。 + 実に恐ろしいことが、この国に起こっている。 + 祭司はまやかしの預言者の意のままになり、民は、そうなることを喜んでいる。おまえたちは必ず滅びる。その時はどうするつもりなのだ。」 + + + ベニヤミン族よ、走って逃げなさい。エルサレムから逃げ出しなさい。それしか助かる道はありません。テコアで警報を鳴らし、ベテ‧ハケレムでのろしを上げなさい。この国を滅ぼそうと、強力な軍隊が北方から攻めて来たことを、すべての人に知らせなさい。 + あなたがたはおとめのように美しく繊細だが、滅びる運命にあります。 + 悪い羊飼いたちが、あなたがたを取り囲みます。彼らは都の周りにテントを張り、自分たちの羊のために牧場を没収します。 + 彼らが戦いの準備をしている様子を見なさい。それは正午から夕方まで続きます。 + 彼らは言います。「さあ、夜襲をしかけて、宮殿を壊そう。」 + 天の軍勢の主が、彼らにこう命じたのです。「木を切って、城壁を突きくずす槌を作り、それでエルサレムの城壁をくずすのだ。この都は悪に悪を重ねたので、もはや罰を免れることはできない。 + 泉のように悪を吹き出し、通りには暴虐の声が響く。この町の病気と打ち傷は、いつもわたしの前にある。 + エルサレムよ、これが最後の警告だ。わたしの言うことを聞かないと、この町にだれも住まないようにする。 + 災難に次ぐ災難が襲い、イスラエルに残っているわずかな者さえ、再び刈り取られてしまう。」こう天の軍勢の主が告げます。「ぶどうの実を摘む者が、摘み残しはないかと一本一本調べて回るように、わたしの民の残りの者は、もう一度滅ぼされる運命にある。 + ところが、だれもわたしの警告に耳を傾けない。彼らの耳はふさがれていて、聞こうともしない。わたしのことばに彼らは腹を立て、二度と聞きたくないと思った。 + 彼らへの憤りがわたしのうちにあふれた。それを抑えるのに疲れ果てた。わたしは憤りをエルサレムに注ぐ。路上で遊んでいる子どもにも、若い人の集まりにも、夫や妻や祖父母にも憤りを注ぐ。 + 敵が彼らの家に住み、畑や妻を横取りする。わたしがこの民を罰するからだ。 + 彼らは、最も身分の低い者から最も高い者まで、詐欺師で大うそつきだ。預言者や祭司も同様だ。 + 傷などないと言ったとしても、それで傷が治るわけではない。祭司と預言者は、戦争が起きているのに、平和だと言いはっている。 + わたしの民は、偶像を拝んで、恥ずかしいと思ったことがあるだろうか。いや、顔を赤らめさえしなかった。それで、彼らは死人の間に転がり、わたしの憤りによって死ぬ。」 + ところが、それでもなお主はあなたがたに訴えます。「ずっと昔おまえたちが歩いていた、神を恐れる幸いな道を探し出し、その道を歩きなさい。そうすれば、たましいに安らぎがくる。だがおまえたちは、『いや、その道は通りたくない』と答える。 + わたしは見張りを立て、『ラッパの音に注意しなさい。危険が近づいた合図だ』と警告した。だがおまえたちは、『そんなものに注意する必要などない』と言い返した。 + だから、今こそ宣言する。全地よ聞け、遠い国々もエルサレムのわたしの民も聞け。わたしはこの民に災いをもたらす。というより彼ら自身が災いを招いたのだ。わたしの言うことを聞こうとしなかった罰だ。彼らはわたしの戒めをはねつけた。 + 今になって、シェバの香り高い香をわたしの前でたいても、何の役にも立たない。高価な香はしまっておきなさい。おまえたちの供え物を受け入れるわけにはいかない。それらのものは、もはやわたしにとって良い香りとはならない。 + わたしは彼らの道につまずきの石を置く。父や子はつまずき、隣人や友人も共に倒れる。 + 北から攻めて来る軍隊を見なさい。それは、おまえたちに襲いかかる強国だ。 + 彼らは血も涙もない残忍な民で、完全武装し、馬にまたがっている。この軍隊のざわめきは、海のとどろきに似ている。」 + 私たちはこの軍隊のうわさを聞いて、恐怖に取りつかれ、意気消沈しました。産みの苦しみをする女のような恐怖と苦痛が、私たちを捕らえました。 + 畑に出てはいけません。道を歩いてもいけません。どこもかしこも敵だらけで、人を見たら殺そうと待ちかまえているからです。私たちは、曲がり角に来るたびに、びくびくします。 + ユダの誇りであるエルサレムよ。喪服を身にまとい、灰の中に座り、ひとり子を亡くしたときのように激しく泣きなさい。何もかも滅ぼす軍隊が、あっという間に攻めかかるからです。 + 「エレミヤよ。わたしはおまえを金属を試す器具にした。おまえがわたしの民を試して、彼らの価値を調べるためだ。彼らの言うことに耳を傾け、彼らがすることに目を留めよ。 + 彼らは最悪の反逆者で、口から出るのは神に逆らうことばだけだ。真鍮のようにあつかましく、鉄のように堅くて残忍だ。 + ふいごで勢いよく吹き、火の温度を上げても、彼らを精錬することはできない。彼らの内にはもともと、純粋なものなど少しもない。だから、どんなに時間をかけて精錬してもむだだ。彼らには、かすしかない。どんなに火を熱くしても、彼らを悪の道から引き離すことはできない。 + わたしは彼らに、『不純で使いものにならない銀』というレッテルを張り、捨ててしまった。」 + + + 主はエレミヤに、次のように語りました。 + 「神殿の入口へ行き、そこで人々にこう言いなさい。神のことばを聞け。ここで礼拝している者はみな、耳を傾けよ。 + 天の軍勢の主であるイスラエルの神は、こう言う。今からでも遅くはない。悪の道を離れさえすれば、おまえたちをこの地に住まわせよう。 + 神殿のあるエルサレムが破壊されるのを、神が黙って見ているはずはないと言う者たちのことばにだまされてはならない。 + 次の条件を満たさなければ、ここにいることはできない。悪い思いと行いを捨て、人には公平に接し、 + みなしご、やもめ、外国人をだましたりしないこと。人殺しをやめること。偶像を拝んで自分を傷つけるような愚かなまねはしないこと。 + 以上の条件にかなったとき、先祖に永遠の相続地として与えたこの地に住むことができる。 + 神殿があるから災いに会うはずはない、と考えて、自分をあざむいてはならない。 + おまえたちは平気で盗み、人を殺し、姦淫の罪を犯し、うそをつき、バアルや今まで知らなかった神々を拝んでいる。 + しかも、わたしの宮に入ってわたしの前に立ち、『われわれは救われています』と言いながら悪事をくり返すことができると、本気で考えているのか。 + わたしの宮は強盗の巣なのか。ありとあらゆる悪がはびこっていて、目も当てられない。 + わたしが初めにわたしの名にふさわしい町としたシロへ行きなさい。そこで、イスラエル人の悪のために、わたしがどんなことをしたかをよく見て来なさい。 + おまえたちの行ったもろもろの悪事のために、ここでも同じことをする。わたしは何度も語りかけ、しきりに呼び続けたのに、おまえたちは聞こうともせず、答えようともしなかった。だからシロでしたように、この神殿を壊す。おまえたちの心の拠り所である、わたしの名で呼ばれるこの神殿、おまえたちと先祖に与えたこの場所をだ。 + しかもおまえたちを、おまえたちの兄弟エフライム人(北のイスラエル王国)のように、捕虜として外国に追い払う。 + エレミヤよ、二度とこの国の民のために祈ってはならない。彼らのために泣くことも、彼らを助けるようにと、わたしに祈ったり哀願したりしてはならない。わたしは耳をふさぐからだ。 + 彼らがユダの町々、エルサレムの通りで何をしているか、知らないとでも思うのか。 + わたしがこんなに怒っているのは、もっともなことではないか。子どもはたきぎを集め、父親は火をたき、女は粉をこね、愛の女神『天の女王』をはじめ、偶像の神々に供えるパン菓子を作っている。 + 彼らが傷つけているのは、はたしてこのわたしだろうか。自分を傷つけ、自分の恥をさらしているだけではないのか。」 + だから、神である主はこう宣言します。「わたしは激しい怒りをこの地に注ぐ。人も家畜も木も穀物も、どんなことをしても消えないわたしの怒りの火によって焼き尽くされる。」 + イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう命じます。「おまえたちの供え物といけにえを捨てなさい。 + わたしがおまえたちの先祖をエジプトから連れ出した時、彼らに求めたのは供え物やいけにえではなかった。わたしの戒めの真意は、そんなものではなかった。 + わたしの真意はこうだ。わたしに従いさえすれば、わたしはおまえたちの神となり、おまえたちはわたしの民となる。わたしの命令どおりにしさえすれば、何もかもうまくいく。 + ところが、彼らはわたしの言いつけを聞こうとせず、頑固で悪い思いをもって、したいほうだいのことをした。前進するどころか後退した。 + おまえたちの先祖がエジプトを出た日から今日に至るまで、わたしは毎日、預言者を彼らのもとに送り出した。 + ところがどうだ。彼らは耳を傾けるどころか、聞こうとするそぶりさえ見せなかった。先祖よりもさらに手のつけようもないくらいかたくなで反抗心が強く悪質だ。 + わたしがこれからすることを、一から十まで知らせても、彼らが聞くと思ってはならない。大声で警告しても、反応を示すと甘く考えてはならない。 + 彼らに言ってやるのだ。おまえたちは、神である主に従うことを拒み、教えられることを拒む民だ。ひどい偽りの生活を続けている。 + エルサレムよ、深く恥じて頭をそり、ひとり山の上で泣け。わたしは憤って、この民を退け、捨てたからだ。 + それは、ユダの民がわたしの目の前で罪を犯したからだ。彼らはわたしの神殿に偶像を持ち込み、神殿を汚した。 + ベン‧ヒノムの谷にトフェテという名の祭壇を築き、そこで、幼い息子や娘を神々へのいけにえとして焼き殺している。これは、わたしが思いもよらず、まして命じた覚えなど全くない恐ろしい行為だ。 + だから、この谷が『トフェテ』でも『ベン‧ヒノムの谷』でもなく、『虐殺の谷』と呼ばれる時がくる。あまりにも多くの者が殺され、墓を作る場所がなくなり、遺体をこの谷に投げ捨てるようになるからだ。 + 遺体は鳥や獣のえじきになるが、これを追い払う者は一人もいない。 + わたしはエルサレムとユダの町々から、楽しそうな歌声や笑い声を消し、花婿や花嫁のはずんだ声を絶やす。この国は廃墟となる。」 + + + 主はこう語ります。「その時、敵は歴代のユダの王の墓、指導者、祭司、預言者、住民の墓をあばき、 + 骨を掘り出して、わたしの民が愛して拝んだ太陽や月や星の前にさらす。骨は再び集められて葬られることもなく、肥やしのように地面にばらまかれる。 + それでもまだ生き残る者は、わたしが追いやる国で生き延びるより、むしろ死ぬことをひたすら願うようになる。」天の軍勢の主はこのように宣告します。 + 「もう一度、わたしの言うことを伝えよ。人は倒れたら起き上がり、間違った道を歩いていると気づいたら、来た道を引き返す。ところがこの民は、わたしからの警告があるにもかかわらず、悪い道をどんどん進んで行く。 + わたしは彼らの会話をじっと聞いていたが、いったいどんなことが耳に入ったと思うか。自分の罪を悔いる者は一人もいない。『なんと恐ろしいことをしたのだろう』と言う者は、一人もいない。みな、戦場に突進して行く馬のように、全速力で罪の道を走って行く。 + こうのとりは、生まれ故郷に帰る時を知っている。山鳩、鶴、つばめも、毎年、神の定めた季節がくると、帰って行く。しかし、わたしの民はそうではない。彼らは神のおきてを受け入れようとしない。 + どうしておまえたちは、『われわれは神のおきてを知っている』と言えよう。教師たちが、おきてを、わたしが言ったことのないようなものにねじ曲げているのだから。 + この賢い教師たちは、神のことばを変えた罪のために遠い国へ流され、恥をさらす。その時になっても、変わることなく賢い者だと言えるだろうか。 + わたしは、彼らの妻と畑をほかの者に与える。彼らはみな、身分の高い者も低い者も、預言者も祭司も、人の物を自分のふところに入れることだけを目的に生きてきたからだ。 + 彼らは、実際には平安などないのに、すべてがうまくいくと保証する。こうして、わたしの民のひどい傷に、効き目のない薬を塗っている。 + 偶像を拝むことを恥じるどころか、顔を赤らめることさえしない。その報いで彼らは死に、倒れた者の間に転がる。 + いちじくとぶどうは姿を消し、果物の木は枯れ、わたしが与えたすべての良い物は、すぐになくなる。 + その時、人々はこう言うだろう。『私たちはなぜ、ここでじっと死を待っているのだろう。城壁のある町へ行って、そこで死のう。主は、われわれを滅ぼすことに決め、われわれの罪と引き替えに、毒薬を盛った杯を下さったのだから。 + 平和を期待したが、平和はこなかった。健康の回復を待ち望んだが、あるのは恐怖だけだ。』 + 戦争の音が北の国境から鳴り響く。全地は、恐ろしい軍隊が近づく音に震えおののく。敵が来て、国中の町や住民を滅ぼし尽くすからだ。 + わたしはおまえたちに、蛇使いでも操ることのできない毒蛇のような敵軍を送り届ける。どんなに抵抗しても、彼らはおまえたちにかみついて殺す。」 + あまりの悲しみに、どうしたらよいかわかりません。私の心はすっかり弱り果てました。 + 国中に響き渡る彼らの泣き声を聞いてください。「主は、どこにおられるのだろう。神は私たちを置き去りにされたのだろうか」と、彼らは叫びます。ところが主は、「どうして彼らは、自分たちで作った偶像や、外国の悪い習慣をまねることによって、わたしを怒らせてしまったのか」と答えるのです。 + 「刈り入れは過ぎ、夏も終わったのに、私たちはまだ救われない。」 + 傷ついた同胞のことを思うと、涙があふれます。あまりの驚きと悲しみのために、口もきけません。 + ギルアデには薬がないのですか。医者はいないのですか。どうして神は、何か手を打たないのでしょう。どうして助けてくださらないのでしょう。 + + + ああ、私の目が涙の泉であったら、殺された同胞のために、昼となく夜となく、永久にすすり泣くことだろう。 + ああ、どこか遠くへ行って何もかも忘れ、荒野の小屋に住めたら、どんなに気が楽だろう。彼らはみな姦淫の罪を犯し、裏切り者になり下がってしまった。 + 「彼らは舌を弓のように曲げ、不真実という矢を射る。正しいことには縁もゆかりもない者で、悪から悪へと進み、わたしのことなどいっこう心に留めない」と、主は言います。 + 隣人や兄弟に気をつけなさい。だれもかれも人を利用しようと、中傷し合うからです。 + 彼らは、よく訓練された舌で互いにだまし合い、罪を犯し続けて、弱り果てます。 + 「彼らは悪に悪を、偽りに偽りを積み重ね、絶対にわたしのところへ来ようとしない」と、主は言います。 + そのため、天の軍勢の主は、さらにこうつけ加えます。「わたしは彼らを悩みの炉に入れてとかす。彼らを精錬し、金属のように試す。これ以外にどんなことができよう。 + 彼らの舌は毒矢のようなうそを射る。口先では穏やかに語るが、心の中では相手を殺そうと企む。 + この事実に目をつぶり、罰せずに放っておけるだろうか。このような国に復讐しないでいられようか。」 + 私は泣きながら、山や牧場を指さします。そこには住む者もなく、すっかり荒れ果てているのです。家畜の鳴き声は絶え、鳥や獣も姿を消しました。 + 「わたしはエルサレムを、瓦礫の山にする。そこを住みかとするのは山犬だけだ。ユダの町々は、誰ひとり住む者のない廃墟になる。」 + このことを悟る知恵者は、どこにいるでしょう。このことを説明してくれる主の使者は、どこにいるのでしょうか。どうしてこの国は荒れ地となり、通行人さえいなくなったのでしょうか。 + 「それは、わたしの民がわたしの戒めを捨て、おきてに従わなかったからだ。 + それどころか、好き勝手なことばかりして、先祖が伝えたバアルを拝んだ。 + そこで、イスラエルの神であるわたしは言う。彼らに苦い物を食べさせ、毒を飲ませる。 + 彼らを世界中に散らし、遠くの国々に追い払う。どこへ行っても、剣に追い回され、ついに根絶やしにされる。 + わたしは言う。大急ぎで泣き女を呼んで来て、泣かせなさい。涙を滝のように流させるのだ。 + エルサレムが絶望しきって泣いているのを聞け。『町はすっかり荒れ果てた。悲劇が私たちを襲った。こうなったら、国も家も見捨てるよりほかない。』」 + 大声を上げて泣く女たちよ、神のことばに耳を傾けなさい。娘と隣人に、泣き方を教えなさい。 + 死が窓から家に忍び込み、若いいのちをもぎ取ったからです。道ばたで遊ぶ子どもの姿はなく、広場にも若者の姿はありません。 + 次のことを話すようにと、主は言います。死体は肥やしのように、刈り入れのあとの束のように、あちこちに散らされたままで、だれも埋めてくれない。 + 主は命じます。「知恵のある者は、知恵をひけらかしてはいけない。力のある者は力を、金持ちは富を誇ってはいけない。 + 誇る者は、わたしをほんとうに知っていることと、わたしが正義の主であって、その愛は変わらないと知っていることを誇りなさい。 + わたしが、体に割礼(男子が生まれて八日目にその生殖器の包皮を切り取る儀式)を受けていても、心に割礼を受けていないエジプト人、エドム人、アモン人、モアブ人、アラブ人、そしておまえたちユダの民を罰する時が近づいている。異教の国々の民でも体の割礼は受ける。わたしを愛するしるしに心の割礼を受けなければ、おまえたちの割礼は、異教徒の儀式と少しも変わらない。」 + + + イスラエルよ、主のことばを聞きなさい。 + 「星占いで、自分の運命や将来を知ろうとする者のまねをしてはいけない。彼らの予言を聞いておびえてはいけない。うそで固めたものだからだ。彼らの生き方はむなしく、愚かだ。彼らは木を切り倒して偶像を刻み、 + それを金と銀で飾り、金槌と釘で動かないように打ちつける。 + かかしのように立っているだけの神は、ものも言えない。歩けないから、だれかが運んでやらなければならない。そんな神は、人に災いを下すことも助けることもできず、わずかな利益も与えられないのだから、少しも怖がることはない。」 + 主よ。あなたのような神はほかにいません。神は偉大な方で、御名には力があふれています。 + 神だけが、国々の王と呼ばれるのにふさわしい方です。神を恐れない者がいるでしょうか。地上の知恵者の中にも、世界の王国の中にも、神と並ぶ者は一人もいません。 + どんなに知恵があっても、偶像を拝む者はみな、愚か者です。 + 彼らはタルシシュから銀の延べ板を、ウファズから金を運んで来て、偶像を作る熟練した細工人に渡します。でき上がった神々に、名人が仕立てた、王の着る紫の衣を着せます。 + しかし、主はただ一人の生けるまことの神、永遠の王です。ひとたび主が怒れば、全地は震えます。このお方の不興を買えば、世界は御前から隠れます。 + ほかの神々を拝む者に言ってやりなさい。天と地を造らなかった神々は、地上から姿を消す運命にある、と。 + しかし私たちの神は、ご自分の力と知恵によって世界を造り、すぐれた知性によって星を空間にちりばめ、天を張り広げました。 + 嵐を運ぶ雲から聞こえる雷鳴は、御声の響きです。神は地から霧を立ちのぼらせ、いなずまを送り、雨を降らせ、倉から風を呼び出します。 + 神を知らない愚か者は、偶像に頭を下げます。彼らは恥ずかしいことをしています。いのちも力もない、偽りの神々を作っているからです。 + そんなものはみな、全く値打ちのない、むなしいもので、刑罰が下る時には粉々に壊されます。 + しかしイスラエルの神は、くだらない偶像とは違います。神はあらゆるものを造ったお方で、しかもイスラエルは神に選ばれた国です。「天の軍勢の主」というのが、その方の名前です。 + 神は命じます。「さあ、荷物をまとめよ。もうまもなく攻撃が始まるから、逃げるしたくをせよ。 + 今度こそ、わたしは大きな悩みをもたらし、おまえたちをこの地から放り出す。これでやっと、おまえたちはわたしの憤りを実感するようになる。」 + 私の傷は重く、悲しみは深い。私は不治の病にかかっていますが、耐えていかなければなりません。 + 家はなくなり、連れ去られた子どもたちとは、二度と会えないでしょう。家を建て直す手伝いをしてくれる者は、一人も残っていません。 + 指導者たちは分別を失いました。彼らはもはや神に従おうとせず、御心を尋ねようともしません。そのため、彼らは滅び、群れは散り散りになります。 + 北から来る大軍の巻き起こす、すさまじい物音を聞きなさい。ユダの町々は山犬の住みかになってしまいます。 + 主よ。人は自分の力で人生の設計図を作り、進路を決められないことを、私は知っています。 + どうか私を、正しい道に導いてください。怒りにまかせて、つらく当たらないでください。そうでないと、私は死んでしまいます。 + 主に従わない民に、激しい怒りを注いでください。彼らはイスラエルを破壊し、国を見渡す限りの荒れ地にしたからです。 + + + 主はまた、エレミヤに語りました。「ユダの民と、エルサレムの全住民に、わたしが彼らの先祖と契約を結んだことを思い出させなさい。その契約を守らない者はのろわれる。 + わたしは、エジプトの奴隷だった彼らを助け出した時、わたしの言いつけを守りさえすれば、彼らも子孫もわたしの民となり、わたしは彼らの神となると言った。 + だからわたしに従いなさい。そうすれば、誓いどおり、すばらしいことをしよう。今日あるとおりの『乳とみつの流れる地』を与えたい。」これを聞いて、私は「主よ、ぜひ、そうしてください」と答えました。 + すると、主は命じました。「以上のことをエルサレムの町中で、大声で伝えよ。国中の町々を巡って、『私たちの先祖が神と結んだ契約を思い出し、約束どおりに行え』と言うのだ。 + わたしは、おまえたちの先祖をエジプトから助け出した時から今日まで、繰り返し、『わたしのすべての命令に従え』と言い続けてきた。 + だがおまえたちの先祖は、従うどころか聞こうとさえせず、頑として、好き勝手にふるまった。彼らが従うことを拒否したので、わたしは契約の中にある災いをみな下した。」 + 神はまた、私に語りました。「わたしは、ユダとエルサレムの住民の間に、わたしに対する陰謀があることを知った。 + 彼らは先祖の道にあと戻りし、わたしの命令を破り、偶像を拝んだ。わたしが彼らの先祖と結んだ契約を破棄したのだ。 + だから、彼らに災いを下す。それから逃げることはできない。あわれみを叫び求めても、わたしは耳を貸さない。 + 彼らは、偶像の前で香をたいて祈る。だが、そんなことをしても、悩みと絶望からは救われない。 + ああ、わたしの民よ。おまえたちの神々は町の数ほど多く、バアルに香をたくための恥ずべき祭壇は、エルサレムのどの通りにもある。 + だからエレミヤよ、もう、この民のために祈ってはならない。彼らのために、泣いたり嘆願したりしてはならない。わたしは、彼らが追い詰められ、助けを求めてきても、耳をふさぐことに決めた。 + わたしの民は、何の権利があって、わたしの宮に来るのか。おまえたちは裏切り者で、ほかの神々を拝んできた。おまえたちのいろいろな約束やいけにえが、今になって、滅びの運命をいのちと喜びに変えることなどできようか。 + わたしはかつて、おまえたちを『おいしい実をたくさんつける、美しい緑のオリーブの木』と呼んだ。だが今度は、おまえたちを焼き焦がし、丸坊主にするため、敵という火を送り込んだ。 + イスラエルとユダがバアルに香をたく悪事を働いたので、木を植えたわたしが滅ぼせと命じたのだ。」 + 神は私に、彼らの計画を全部知らせ、その悪だくみを教えてくださいました。 + 私は、ほふり場に引かれて行く子羊や牛のように、先にある危険に少しも気づいていませんでした。彼らが私を殺そうとしているとは、夢にも思わなかったのです。彼らは、「あの男を殺し、口を封じてしまおう。殺して、彼の名を永久に葬り去ろう」と相談していました。 + ああ、天の軍勢の主よ。あなたは正しいお方です。彼らの心と動機とを探り、彼らの企てた悪事に報いてください。私は、神が正義を行うのを見守っています。 + すると、主は私にこう答えました。「アナトテの町の住民は、おまえを殺そうとしたので罰を受ける。彼らはおまえに、『神の名によって預言したら殺してやる』と言うだろう。だから、彼らの若い男たちは戦場で死に、息子、娘は飢えに苦しむ。 + こうして、陰謀に加わった者は一人もいなくなる。わたしが大きな災いを下すからだ。彼らの刑罰の時はすでにきた。」 + + + 神よ。これまでどんな問題にも、あなたはいつも正義をもって答えてくださいました。しかし今度は論じ合いたいのです。どうして、悪人がこんなに栄えているのですか。どうして、心の曲がった者がこんなにも幸福なのですか。 + 神が彼らを植えると、彼らは根を張り、その事業は発展します。大きな利益をあげ、大金持ちになります。彼らは、口では「神様、ありがとうございます」と言いますが、心の中では舌を出しているのです。 + 私の心をご存じである主よ。あなたは私がどんなにあなたを慕っているか、ご存じです。神よ、どうか彼らを、哀れな羊のように、ほふり場に引いて行ってください。ああ神よ、彼らをさばいてください。 + あなたのものであるこの地を、いつまで彼らのなすままにされるのですか。野の草でさえ、彼らの悪事のためにうめき、泣いています。野獣や鳥は姿を消し、地は荒れ果てました。それでもなお人々は、「神がわれわれをさばくはずがない。われわれは全く安全だ」と言います。 + 主は私に、こう答えました。「もしおまえが、このアナトテの住民のような、ただの人間と競走して息を切らせるとしたら、どうして、馬や王、その家来、悪い祭司を相手に競争できるだろうか。平地でつまずき、倒れるとしたら、ヨルダンの密林ではどうなるのか。 + 兄弟や家族でさえ、おまえに背いたのだ。彼らは暴徒を呼んで、おまえに乱暴しようとした。だから、彼らがどんなに愛想よく話しかけてきても、信じてはならない。」 + 主は、続けて言いました。「わたしは、わたしの相続財産である民を見限った。一番愛している者たちを、敵の手に渡した。 + わたしの民は、密林のライオンのように、わたしに向かってうなり声を上げた。そのため、わたしは彼らを、憎んでいる者のように扱った。 + わたしの民は倒れた。わたしは、はげたかと野獣の群れに、その死体の肉を食べさせる。」 + 多くの外国の支配者が来て、私のぶどう園を荒らし、木を踏みにじり、美しい地所を草木の生えない荒野にしました。 + 彼らはそこを人の住まない地としました。泣いている悲しげな声が聞こえます。全地は荒れ果てているのに、誰ひとり心に留めようとしません。 + あらゆるものを破壊する軍隊が、全地を荒らします。主の剣が国の端から端まで暴れ回るので、だれも逃げることができません。 + 小麦をまいても、刈り取るのはいばらです。どんなに汗水流して働いても、何の足しにもなりません。ただ恥を刈り取るだけです。主の激しい怒りが注がれるからです。 + 今度は、ご自分の民イスラエルに与えた地を包囲する悪い国々への宣告です。「わたしはおまえたちを、ユダにしたと同じように、おまえたちの国から引き抜く。 + だが、あとになって同情を寄せ、おまえたちの相続地である国へ連れ戻す。 + もし、これらの異教の国々が素早くわたしの民の生き方を身につけ、イスラエルに輸出したバアルではなく、わたしを神とするなら、わたしの民のうちでも強いものとなる。 + だがわたしに従わない国は、もう一度追放され、根絶やしにされる。」 + + + 主は私に、こう命じました。行って、リンネルの帯を買い、それを締めなさい。ただし、水で洗ってはいけない。」 + 私はさっそく帯を買って、それを締めました。 + すると、またことばがありました。 + 「その帯を取り、ユーフラテス川に持って行き、岩の割れ目に隠せ。」 + 私は言われたとおりにしました。 + かなりしてから、また命令がありました。「もう一度出かけ、あの帯を取り出しなさい。」 + 私はすぐさま出かけ、隠しておいた岩の割れ目から帯を取り出しました。ところが帯は、かびが生えてぼろぼろになり、とても使いものになりません。 + すると、主が言いました。「わたしはこのように、ユダとエルサレムの誇りを腐らせる。 + この悪い民は、わたしのことばを聞こうともせず、欲望のままに生活して偶像を拝んでいる。だから、この帯のように全く役に立たなくなる。 + 帯を腰に巻きつけるように、わたしはユダとイスラエルをわたしに結びつけた。彼らはわたしの名の栄光を現すための、わたしの民である。ところが、彼らはわたしから離れて行った。 + 彼らに告げなさい。おまえたちのつぼには、ぶどう酒が満ちている。彼らはこう答えるだろう。『そんなことぐらい、わかっている。われわれがどんなに富んでいるかを、教えてもらう必要はない。』 + そこで、こう言いなさい。おまえたちの性根は腐っている。わたしは、ダビデの王座につく王、祭司、預言者、それにすべての民が途方にくれるようにする。 + 父と息子をいがみ合わせる。少しもあわれむことなく、徹底的に滅ぼす。」 + 主が語ったのだから、素直に聞きなさい。そのように思い上がり、強情を張ってはいけません。 + 何も見えない暗闇を送り込まれる前に、手遅れにならないうちに、神に栄光をお返ししなさい。闇が覆えば、あなたがたは山につまずき、倒れます。その時に、光を探し求めても、身の毛もよだつ暗闇があるだけです。 + それでもなお、耳をふさぐのですか。もしそうなら、私は心を痛め、思い上がったあなたがたのために、一人で嘆き悲しみましょう。主の民が奴隷になって連れ去られるのです。とても泣かずにはいられません。 + 「王と王母に、王座から降りて、ちりの中に座れと告げなさい。頭上に輝く冠は奪い取られ、ほかの人に与えられるからだ。 + エルサレムの南にあるネゲブの町々は、敵の来襲に備えて門を閉めた。エルサレムは助けにならないので、自分で自分を守らなければならない。それに、ユダのすべての民は、奴隷として連れ去られる。 + 北から攻めて来る軍隊を見よ。エルサレムよ、おまえの羊の群れはどこにいるのか。わたしが預けておいた美しい羊の群れはどこか。 + わたしがおまえの同盟軍をおまえの支配者とするとき、おまえはどう思うだろう。おまえは、子どもを産もうとしている女のように、身もだえて苦しむだろう。 + どうしてこんなことが起こったのかと聞くだろう。何もかも、おまえの犯した多くの罪のためだ。だからこそ、おまえは侵入して来た軍隊に辱められ、破壊される。 + エチオピヤ人は自分で皮膚の色を変えることができるだろうか。ひょうが斑点を消すことができるだろうか。同じように、悪いことをし慣れたおまえも、善人になることなどできない。 + おまえはわたしを忘れ、偽りの神々に頼っているので、荒野の強い風に吹き飛ばされるもみがらのように散らす。これが、おまえのために考えておいた運命だ。 + おまえの恥を洗いざらいさらけ出す。 + おまえの背信、わたしへの裏切り、野原や丘の上でのいまわしい偶像礼拝を、いやと言うほど見せられてきた。エルサレムよ。おまえはひどい目に会うだろう。いったい、いつになったらきよくなるのか。」 + + + 主は日照りについて、次のようにエレミヤに説明なさいました。 + 「ユダは嘆き悲しむ。いっさいの仕事の手を止め、だれもかれも地にひれ伏す。エルサレムから大きな叫び声が上がる。 + 貴族たちは召使に井戸の水をくませようとするが、井戸は干上がっている。召使は水の入っていない桶を持って帰り、悲しみながら頭をかかえこむ。 + 水不足で地面はからからに乾き、あちこちに地割れができ、農夫はおびえきる。 + 草はどこにもなく、鹿は子どもを置き去りにする。 + 野ろばは裸の丘に立ち、のどの渇いた山犬のように肩で息をする。目を大きく開けて草を探し求めるが、一本の草も見つからない。」 + ああ主よ。私たちはひどい罪を犯しました。けれども、ご自身の御名のために、私たちを助けてください。 + イスラエルの望みであるお方、困った時に助けてくださる主よ。どうして、一夜の宿を求める旅人のように、この国をあわただしく通り過ぎて行くのですか。 + まるで、とまどっているかのようです。力がないので、救うことができないのですか。主は私たちの真ん中におられます。だれもが知るとおり、私たちは神の名を頂いた民です。どうぞ私たちを見捨てないでください。 + ところが主は、こうお答えになりました。「おまえたちはわたしを離れてさすらってばかりいて、わたしの道を歩こうとしなかった。今さら、わたしの民として受け入れることなどできない。わたしは今、おまえたちの犯したいっさいの悪を思い出し、おまえたちの罪を罰する。」 + 主はまた、私に命じました。「これ以上、この民を祝福してほしいと願ってはならない。二度と彼らのために祈ってはならない。 + 彼らが断食しても、わたしは答えない。供え物やいけにえをささげても、受けつけない。わたしは戦争とききんと病気を返す。」 + そこで私は言いました。「神よ。彼らの預言者たちは、戦争もききんもなく、平穏無事だと告げています。神は間違いなく平和をもたらし、祝福してくださると伝えています。」 + 主はこう答えました。「預言者たちは、わたしの名によってうそをついている。わたしは彼らを送り出したことも、何か話すようにと命じたこともない。彼らは、見たことも聞いたこともない幻と啓示について預言している。口から出まかせに、まやかしごとを話す。 + わたしはこの預言者たちを罰する。彼らは戦争もききんも起こらないと言うが、そう言う彼らが、戦争とききんで死ぬ。 + 彼らの預言を聞く者も、ききんと戦争の犠牲となり、遺体はエルサレムの通りに捨てられる。葬る者は一人もいない。夫も妻も息子も娘も、みな姿を消す。罪の罰として、わたしが恐ろしい刑罰を下すからだ。 + だから、彼らにこう言いなさい。『私の目からは、夜となく昼となく涙があふれる。同胞が剣で刺され、重傷を負って地面に転がっているからだ。 + 野に出ると、切り殺された者の死体が転がっている。通りを歩くと、飢えや病気で死んだ者の遺体がごろごろしている。ところが預言者や祭司は、おろおろさまよい歩くばかりだ。』」 + 主よ、ユダを完全にお見捨てになったのですか。エルサレムを憎んでいるのですか。これほどの罰を受けても、まだ平和は訪れないのですか。ようやく傷を治していただけると思っていました。ところがどうでしょう。平和になるどころか、どこもかしこも悩みと恐れでいっぱいです。 + 主よ、お赦しください。私たちが間違っていました。 + 御名のために、私たちを憎まないでください。私たちを祝福するという約束を破棄して、ご自身と栄光の御座を辱めないでください。 + どこの国の神が、私たちのために雨を降らせるでしょう。私たちの神以外に、そんなことのできる神はいません。ですから私たちは、あなたが助けてくださるのを待っています。 + + + すると主は、こう私に語りました。「たとえモーセとサムエルがわたしの前に立ち、この国の民のために嘆願しても、わたしは彼らを助けない。彼らのことなど放っておきなさい。わたしの目の届かない所へ追い払うのだ。 + もし彼らがおまえに、どこへ行ったらいいのかと尋ねたら、わたしがこう言ったと告げなさい。死に定められた者は死に、剣で殺される運命にある者は剣に、ききんに定められた者はききんに、捕虜になる者は捕虜に。 + わたしは彼らのために、四種類の罰し方を決めておく。切り殺す剣、食いちぎる犬、残った物をきれいに平らげるはげたかと野獣だ。 + ユダの王、ヒゼキヤの子マナセがエルサレムで行った悪事のために、おまえたちを厳しく罰する。おまえたちの身に起こることは、世界中の人々に、鳥肌が立つほどの恐怖を与える。 + エルサレムよ。だれが、おまえのために心を痛めて泣くだろうか。だれが、おまえの安否を尋ねるだろうか。 + おまえはわたしを捨て、わたしに背いた。だからわたしは、おまえを打ちすえようと、こぶしを振り上げる。おまえに立ち直る機会を与えるのがいやになったのだ。 + おまえを町の門でふるいにかけ、おまえが大切にしている物をみな奪い取る。わたしの民は悪の道を振り切ってわたしに立ち返ろうとしないので、彼らを滅ぼす。 + 未亡人の数は数えきれなくなる。わたしは真昼に若い男を死に渡し、母親を嘆かせる。彼らに突然、苦痛と恐怖を与える。 + 七人の子をもつ母親は、息子がみな死ぬので半狂乱になる。昼なのに、目の前は真っ暗だ。子どもがみな殺されるので、子どもがない女になり果てて恥をかく。」 + その時、エレミヤはこう言いました。「お母さん、何ということでしょう。こんな悲しい思いをするくらいなら、生まれてすぐ死んでしまえばよかったのに。どこへ行っても、私は憎まれ者です。きびしく返済を迫ったことも、借りた物を返さなかったこともないのに、だれもかれも私をのろいます。 + 彼らがのろうままにしておこう。主よ。あなたは、敵対する彼らのために私がどんなにとりなし、どんなに助命を嘆願したかをご存じです。」 + 「北の国の鉄や青銅のかんぬきは、どうしても壊れない。同じように、この国の民の強情な心も、砕くことはできない。わたしへの罪のために、おまえたちの富と財宝を戦利品として敵に与える。 + 敵がおまえたちを捕虜とし、知らない国へ連れて行くにまかせる。わたしの怒りは火のように燃え上がり、おまえたちを焼き尽くす。」 + これに答えて、エレミヤが言いました。「主よ。私がこんなに苦しんでいるのは、神のためであることを、あなたはご存じです。あなたのおことばを伝えたので、人々は私を迫害します。どうか、私が彼らの手にかかって殺されることがありませんように。私を彼らの強い力から救い出し、彼らにふさわしい罰を与えてください。 + 神のおことばは、私をしっかり支えます。それは、飢え渇いた私のたましいにとっての食物です。私の重い心に喜びをもたらし、楽しみで満たしてくれます。主よ。私は、神の預言者にされたことを誇りに思います。 + 私は、笑いさざめく彼らの宴会に列席しませんでした。神の御手のもとに一人で座っています。彼らの罪ために、心は憤りで張り裂けんばかりです。ところが神は、いざという時に私を助けてくれませんでした。迫害をやめさせてくれなかったのです。彼らは、私に害を加える手を、ただのひと時も止めないのでしょうか。神の助けは、ある時は水があふれ、ある時は干上がってしまう谷川のように、あてにならないものです。」 + 神はこう答えました。「そのような愚かなことを言ってはならない。分別のあることばを語りなさい。おまえが、前のようにわたしに頼るようになれば、わたしの代弁者にしておく。おまえが彼らに影響を与えるべきであって、彼らの影響を受けてはならない。 + 彼らは、高い城壁に向かって攻撃をしかける軍隊のようにおまえと戦うが、どうしても勝てない。わたしが味方について、おまえを守り、救い出すからだ。 + わたしは必ず、悪人どもからおまえを助け出し、彼らの無慈悲な手からおまえを救う。」 + + + 別の機会に、神はこうも語りました。 + 「おまえは妻をめとり、この地で子どもをもうけてはならない。 + この町で生まれる子どもも、その両親も、 + 恐ろしい病気にかかって死ぬからだ。彼らのために嘆いたり、埋葬したりしてくれる者は、一人もいない。死体は地面に放り出されたまま腐り、地の肥やしになる。彼らは戦争やききんで死に、死体は、はげたかや野獣につつかれ、引き裂かれる。 + 彼らのために嘆いたり、泣いたりしてはならない。わたしは彼らを保護するのをやめ、平安を取り上げたばかりか、恵みとあわれみを与えることさえやめたからだ。 + 身分の高い者も低い者も、死んでも埋葬してもらえず、悲しんでもらえない。友人でさえ、髪を刈ったり頭をそったりして悲しみの気持ちを表そうとしない。 + 誰ひとり、悲しむ者に食事を出して慰めず、死んだ人の両親を慰めるために一杯のぶどう酒を与えようとさえしない。 + こんな悲惨なことが待っているのだから、それを示すために、宴会に二度と顔を出してはならない。彼らと食事を共にすることも許されない。 + イスラエルの神、天の軍勢の主であるわたしが、こう言うのだ。おまえの生きている間に、しかもおまえの見ている前で、わたしはこの国から笑い声を絶やす。楽しい歌声、結婚披露宴、花婿と花嫁の歌声はとだえる。 + これらを包み隠さずに話すと、彼らはこう聞き返すだろう。『どうして神は、こんなに恐ろしいことをするのか。こんなひどい目に会わせられる覚えはない。私たちが神に、いったいどんな罪を犯したというのか。』 + 彼らに主の返事を知らせなさい。おまえたちの先祖がわたしを捨てたから、こんなことになったのだと。彼らはほかの神々を拝み、それに仕えた。わたしのおきてを守らなかった。 + そればかりか、おまえたちも、先祖より悪いことをしてきたではないか。思いのままに悪の道へ走り、わたしの言うことを聞こうとさえしなかった。 + だから、おまえたちをこの国の外に放り出し、だれも知らない異国に追い払う。そこで、好きなだけ偶像を拝むがいい。わたしは少しも恵みを与えない。」 + しかし、栄光に輝く日がくると、主は宣言します。その時の話題の中心は、神がご自分の民を、みせしめのために奴隷として追いやった北の国々から連れ戻すということです。「その時、おまえたちはもはや、わたしがおまえたちをエジプトから連れ戻した時のことを、なつかしそうに振り返らなくなる。あの時の大きな奇跡でさえ、ほとんど話の種にならなくなる。わたしがおまえたちを、先祖に与えたこの地に連れ帰るからだ。」そう主は断言します。 + 「わたしは大ぜいの漁師を遣わして、わたしの憤りから逃れて深い所に隠れているおまえたちを、網で引き上げる。狩人を遣わして、森の中の鹿や、断崖の上に立つ野やぎを狩り出すように、おまえたちを低地へ追い立てる。さばきを逃れようと逃げ出しても、必ず見つけ出して罰する。 + わたしはおまえたちに目を光らせ、一部始終を見ている。すべての罪を心に留めている。わたしから逃げ出すことなどできない。 + わたしはおまえたちのすべての罪に対して、二倍の罰を加える。おまえたちがわたしの地をいまいましい偶像で汚し、あらん限りの悪事で満たしたからだ。」 + 主よ。私の力、私の要塞、悩みの日の私の隠れ家よ。世界中の民がみもとに来て、こう言うでしょう。「私たちの先祖はほんとうに愚かでした。少しも価値のない偶像を拝んでいたのです。 + 神を作ることが人間にできるでしょうか。人間の作る神々は本物の神ではありません。」 + 「彼らがこのような気持ちでわたしのところへ来るとき、わたしは彼らに力を示し、わたしだけが神であることを悟らせる。 + + + 鉄のペンかダイヤモンドの先端で、石の心と祭壇の端に、悪いおきてが刻み込まれているかのように、わたしの民は罪を犯す。 + 若者でさえ罪を犯すことだけは忘れず、木々の下で偶像を拝み、高い山でも平地でも偶像に仕えている。だから、おまえたちの全財産を、罪に見合う代価として、敵に渡す。 + こうして、わたしがおまえたちのために取っておいたすばらしい相続財産は、おまえたちの手からこぼれ落ちる。わたしはまた、おまえたちを奴隷として、遠い敵国へ売り渡す。それは、おまえたちが、いったん燃えたら永久に消えないわたしの憤りに、火をつけたからだ。」 + 主はこう告げます。「いつかは死ぬ人間を頼りとし、心が神から離れている者は、のろわれる。 + そのような者には、荒野の乾いた灌木のように、将来の希望など少しもない。古き良き時代から永久に見放された彼は、草木も生えない、塩分の多い荒野に住む。 + だがわたしを頼りとし、わたしを望みとする者は、祝福される。 + 彼は川の土手に沿って植えられた木のように、深く張った根で川から直接水分を吸収するので、暑さにもしおれず、長いかんばつでも弱らない。葉はいつも青々と茂り、みずみずしくおいしい実をつける。 + 人の心は何より欺きやすく、芯まで腐っている。それがどんなに悪質であるか、だれにもわからない。 + ただわたしだけが人の心を知っていて、隅々まで探り、一番奥に隠された動機までわかる。そして、一人一人にそれぞれの生き方に応じた報いを与える。 + 自分でかえさなかったひな鳥を抱く鳥は、やがて、そのひなに逃げられる。不正な手段で富を手に入れる者も同じだ。遅かれ早かれ富を失い、結局は哀れなばか者になる。」 + 私たちの逃げ場は、永遠の栄光に輝く、高くあげられた神の御座です。 + イスラエルの望みである主よ。神に背く者はみな、面目を失い、恥をかきます。そのような者の名は、地上の名簿には載っていますが、天の名簿には載っていません。いのちの泉である主を見捨てたからです。 + 主よ。私を健康にし、救ってくださるのは、神だけです。ですから、ただ神だけをほめたたえます。 + 人々は私をあざけります。「おまえがしきりに口にしていた主のことばは、いったいどうなったのか。おまえの言っていた脅しが、ほんとうに神から出たのなら、どうしてそのとおりにならないのだ。」 + 神よ。私は人々が恐ろしい災難の下敷きになるのを見たくありません。そのような計画は神が立てたもので、私が立てたのではありません。私が彼らに伝えたのは、神のおことばであって、私のことばではありません。私は、彼らが滅びるのを見たくありません。 + 主よ、今になって、私を置き去りにしないでください。神だけが私の望みです。 + 私を迫害する者に混乱と悩みをもって報いてください。私には平安を与え、彼らには滅びを倍にして与えてください。 + 主は私に語りました。「さあ、エルサレムの門に立て。まず、王の通用門へ行き、次にほかのすべての門へ行って、 + すべての者にこう言いなさい。ユダの王とその民、それにエルサレムの全住民よ、よく聞きなさい。 + 主はこう言う。生き方に気をつけなさい。安息日は身も心もきよく過ごし、必要のない仕事をしてはならない。わたしはこの命令をおまえたちの先祖に伝えた。 + ところが彼らは聞かず、従おうともしなかった。強情を張り、注意深く教えを聞こうとしなかった。 + だが、おまえたちがわたしに従い、安息日に働くのをやめ、きよい特別な日とするなら、 + この国はいつまでも繁栄する。エルサレムの王座には、いつもダビデの子孫が座るようになる。いつの時代にも、はなやかに着飾った王や君主が車に揺られて大路を通る。 + 人々は、エルサレムの周囲、ユダとベニヤミンの町々、南のネゲブとユダ西部の低地から、完全に焼き尽くすいけにえや穀物の供え物、香料などを携えて来る。さらに、神殿で主をほめたたえるために、いけにえを引いて来る。 + しかし、わたしの言うことを聞かず、安息日を汚し、ほかの日と同じように、エルサレムの門の中に商品の荷を運び込むなら、わたしはこれらの門に火をつける。火は宮殿にまで燃え広がり、それを灰にする。しかも、燃えさかる炎はだれにも消すことができない。」 + + + 主からエレミヤに、次のようなことばがありました。 + 「さあ、陶器を作っている者の家に行きなさい。そこで、おまえに話そう。」 + 言われたとおりにすると、陶器師はろくろを回している最中でした。 + ところが、彼は手がけていたつぼが気に入らなかったので、それをつぶして粘土のかたまりに戻し、初めからやり直しました。 + その時、主が語りました。 + 「イスラエルよ。この陶器師と同じことを、わたしがおまえたちにできないというのか。陶器師の手の中に粘土があるように、おまえたちもわたしの手の中にある。 + わたしが、一つの国が引き抜かれて滅ぼされると言ったとき、 + その国が悪の道を捨てるなら、わたしは予定を変更して、その国を滅ぼすのをやめる。 + また、わたしが、ある国を強くすると言ったとしても、 + その国が途中で考えを変えて悪の道に走り、わたしに従わなくなれば、わたしも考えを変えて、祝福の約束を撤回する。 + だから出かけて行って、ユダとエルサレムの全住民に、こう警告しなさい。さあ、神のことばを聞きなさい。わたしは今おまえたちのために、良いことではなく悪いことを計画している。だから悪の道を捨て、正しいことを行うのだ。」 + ところが彼らは、こう答えました。「おせっかいはやめてくれ。神の言われたことを行う気など全くない。私たちはだれからも束縛されない。強情を張りとおし、悪を身につけたまま、いつまでも好き勝手な生活をしたい。」 + そのとき、主はこう言いました。「たとえ異教の民の間でも、こんなことを聞いた者はいない。考えただけでもおぞましいことをわたしの民がしたのだ。 + レバノン山頂の雪は決してとけず、ヘルモン山から流れ下る冷たい水は決してかれない。 + これらのものは、いつもあてにできる。ところがわたしの民は、全くあてにならない。彼らはわたしを置き去りにし、むなしい偶像のもとに走った。昔からの正しい道をはずれ、罪の泥沼に迷い込んだ。 + そのため、国は荒れ果て、そこを通る人は思わず息をのみ、あまりにもすさまじい光景に驚いて頭を振る。 + わたしはわたしの民を、東風がちりを巻き上げるように、敵の前でまき散らす。彼らがどんなに悩んでも、知らないふりをし、彼らの苦しみを心に留めない。」 + すると、人々はこう相談しました。「エレミヤを殺してしまおう。われわれには、祭司や学者、それに預言者がついている。彼の忠告などいらない。二度とわれわれに不利なことを語り、われわれを苦しめないように、彼の口を封じよう。」 + ああ主よ、私を助けてください。彼らが私にどんなことをしようとしているか、見てください。 + 彼らは、悪をもって善に報いようとするのですか。彼らは私を殺そうと、罠をしかけました。それでも私は神に、彼らのことを良く伝え、何とかして、神の怒りが彼らに向かないように努力しました。 + 神よ、彼らの子どもを飢え死にさせてください。彼らを剣にかけてください。彼らの妻を未亡人とし、子どもを一人残らず奪ってください。男は疫病で死なせ、若者は戦場で倒れさせてください。 + 兵士の一隊が不意に襲うとき、彼らの家から泣き叫ぶ声が聞こえますように。彼らは落とし穴を掘り、私の歩く道に、こっそり罠をしかけたからです。 + 主よ。あなたは、私を殺そうとする彼らの計画をご存じです。彼らを赦さないでください。彼らの罪を赦さず、御前で滅ぼしてください。彼らに御怒りをもって罰してください。 + + + 主はこう語りました。「粘土で作ったつぼを買い、都の南東にある瀬戸のかけらの門に近いベン‧ヒノムの谷へ持って行きなさい。長老と年長の祭司を数人連れて行き、わたしがあなたに伝えることは何でも語るのだ。」 + 主は彼らにこう語りかけました。「ユダの王とエルサレムの市民よ、わたしのことばを聞け。わたしはイスラエルの神、天の軍勢の主だ。わたしはこの地に恐ろしい災害をもたらす。それは想像を絶するほど恐ろしく、それを聞く者の耳は刺されたように痛む。 + イスラエルがわたしを捨て、この谷を恥と悪でいっぱいにしたからだ。この民は、今の世代の者も先祖も、またユダの諸王も拝んだことのない偶像に香をたき、この地を罪のない子どもたちの血で満たした。 + バアルのために高い祭壇を築き、自分の子をいけにえとして焼いたのだ。こんなことは、命じもしなければ考えもしなかったことだ。 + だから、この谷が『トフェテ』でも『ベン‧ヒノム』でもなく、『虐殺の谷』と呼ばれる日がくる。 + わたしはユダとエルサレムの作戦の裏をかき、侵入して来る軍隊におまえたちを殺させ、死体をはげたかと野獣のえじきとするからだ。 + また、わたしがエルサレムを地上から一掃するので、通り過ぎる人はみな、わたしがこの町にしたことを見て、驚きのあまり息をのむだろう。 + 敵が町を包囲するので食糧はなくなり、閉じ込められた者が自分の子や友人の肉を食べるようになる。 + エレミヤよ。連れの者たちの前で、持って来たつぼを砕き、 + 天の軍勢の主のことばだと言って、こう伝えなさい。このつぼが粉々になったように、わたしはエルサレムの市民を粉々にする。つぼが元どおりにならないように、彼らも元どおりにならない。殺される人があまりにも多いので、埋葬する場所もなくなり、ついには、死体がこの谷に山積みになる。 + それと同じことをエルサレムでもするので、そこも死体であふれる。 + わたしはエルサレムのすべての家を汚す。その中には、ユダ王国の王宮や屋上で星の神々に香をたき、ぶどう酒を注いだ家々もある。」 + エレミヤは、以上のことをトフェテで伝えたのち、市内に戻り、神殿の前で、全市民に言いました。 + イスラエルの神である天の軍勢の主のことばだ。「わたしはこの町と周囲の町々に、約束どおり災いを下す。おまえたちが強情を張り、わたしのことばを聞こうとしなかったからだ。」 + + + 神殿を管理する祭司であるイメルの子パシュフルは、エレミヤの語ることを聞くと、 + 彼を逮捕してむちで打たせ、神殿に近いベニヤミンの門にある足かせにつなぎました。 + エレミヤは、一晩中そこにさらされたのです。翌日、パシュフルがエレミヤを釈放すると、エレミヤは言いました。「パシュフル、主はあなたの名を変えました。あなたはこれからは『おびえながら生きる者』と呼ばれるようになる、と主は言われます。 + 主があなたとあなたの友人に、恐怖を与えるからです。あなたは、友人が敵の剣で殺されるのを見るでしょう。主はこう断言します。『わたしはユダをバビロンの王に引き渡す。王はこの民を奴隷としてバビロンへ連れて行き、そこで殺す。 + またわたしは、敵にエルサレムを略奪させる。この町の財宝は、王の宝石や金銀もろとも、遠くバビロンへと運ばれる。 + パシュフルよ。おまえと家族、一族の者どもはみなバビロンで奴隷となり、そこで死ぬ。おまえをはじめ、万事うまくいくという、うその預言を聞いた者もみな、同じ運命に会う。』」 + その時、私はこう言いました。ああ主よ。あなたは、助けようと約束しておきながら、私を欺きました。神は私より強い方なので、おことばを伝えないわけにはいきません。ところが今、私は町中の笑いものになり、だれからもさげすまれています。 + 神は、私が彼らに優しいことばをかけることを、ただの一度も許しませんでした。私が話すのは、いつも災害や恐怖、それに滅亡のことだけでした。彼らが私をあざけり、さげすみ、もの笑いの種にするのは当然です。 + ところが、私は神の使者になることをやめるわけにはいきません。二度と主のことを口にしないでおこう、これ以上、神の名によって語るのはやめようと言うと、私の心のうちにある神のことばは、まるで火のように骨の中で燃えています。そのため、苦しくてたまりません。 + そのうえ、四方八方から脅す声が聞こえるので、私はおじけづきます。「彼を訴えてやろう」と、彼らは言います。かつての友人でさえ、私がつまずき倒れるのを待っています。「きっと彼は、自分でしかけた罠に落ちる。そうしたら、うんと仕返ししてやろう」とてぐすね引いて待っているのです。 + しかし主は、偉大な勇士のように私のそばに立っています。この力ある恐ろしいお方の前で、彼らは縮み上がります。彼らは私に歯が立ちません。かえって恥をかき、徹底的に屈辱感を味わい、一生、汚名を着せられるようになります。 + ああ、天の軍勢の主よ。正しい者を見分け、人の心の奥底にある思いを調べるお方よ。いっさいをお任せしますから、あなたが彼らに復讐してください。 + 神よ、ありがとうございます。私は神をたたえ、ほめ歌います。困りきって哀れなこの私を、迫害する者の手から救い出してくださったからです。 + けれども、やはり、私は自分が誕生した日をのろいたくなります。 + 父に、男の子が生まれたと報告した人は、のろわれるがいい。 + 神が少しも手かげんせずに打ち倒した昔の町々のように、滅ぼされてしまえ。一日中、戦いの叫び声を聞いておじけづけばいいのだ。 + 私が生まれた時に、私を殺してくれなかったからだ。母の胎内にいる時に死に、そこが私の墓となっていたら、どんなによかったか。 + どうして、私は生まれて来たのだろう。悩みと悲しみと恥ばかりの一生だったのに。 + + + 次もまた、神からエレミヤにあったことばです。ゼデキヤ王は、マルキヤの子パシュフルと、マアセヤの子で祭司のゼパニヤをエレミヤのもとへ遣わし、こう言わせました。「主がお助けくださるように祈ってほしい。バビロンのネブカデネザル王が、宣戦布告をしてきたからだ。もしかしたら主は私たちへの恵みを忘れず、昔のようにすばらしい奇跡を行って、王が軍隊を撤退させるようにしてくださるかもしれない。」 + エレミヤは答えました。「ゼデキヤ王のところへ戻り、イスラエルの主が、こう語ったと伝えなさい。『わたしは、バビロンの王と、おまえたちを包囲しているカルデヤ人との前で、おまえたちの武器を役に立たないようにする。それどころか、敵を町の真ん中に引き入れ、 + 自らおまえたちと戦う。わたしは激しく怒っているからだ。 + そのうえ、恐ろしい疫病をはやらせるので、人も家畜も共に死ぬ。 + ゼデキヤ王も町に残っている者も、バビロンのネブカデネザル王の手に渡す。彼らは少しもあわれみをかけられることがなく、家畜のように殺される。 + この民にそう知らせてやるのだ。』そう主は告げます。『生きるか死ぬかの、どちらかを選べ。 + エルサレムに残り、敵の手にかかって殺されたり、飢えや病気で死んだりするほうを取るか。それとも、町を出てカルデヤ軍に降伏し、生きるほうを取るか。 + わたしはこの町をこらしめようとしているのだ。この町の敵となり、友とはならない。この町はバビロン王の手に渡され、灰となる。』」 + ユダの王に、神はこう告げます。 + 「おまえのしているいっさいの悪のため、おまえをさばくことにした。さあ、急いで公平な裁判をするのだ。わたしの燃える憤りが、だれにも消せない火となっておまえに燃え移る前に、正しいことを始めなさい。 + 『われわれは安全だ。ここにいる以上、だれも指一本ふれることはできない』と、うそぶいているエルサレムを相手に、わたしは戦う。 + 自ら手を下し、罪を犯した罰としておまえたちを滅ぼす。わたしが森に火を放つので、周りのものは何もかも灰になる。」 + + + 神は私に語りました。「出かけて行って、直接ユダの王に伝えよ。 + ダビデの王座についているユダ王国の王と家来たち、それに民よ、わたしのことばを聞きなさい。 + これがわたしの命令だ。公平で正しいことを行え。正義を求める人を助け、悪いことは即刻やめよ。外国人や移民、それに孤児と未亡人の権利を守り、罪のない者を殺してはならない。 + もしおまえが、今している恐ろしいことに終止符を打つなら、わたしはこの国を解放し、再びダビデの王座に次々と王をつかせる。しかも、すべての民が栄えるようになる。 + だが、もしおまえがこの警告を聞かないなら、わたしは自分の名にかけて誓うが、この宮殿は必ず廃墟となる。 + この宮殿については、こう宣告する。おまえは、わたしにとっては豊作の地ギルアデであり、青々としたレバノンの森林だ。だが、わたしはおまえを滅ぼし、人の住まない、荒れ果てた場所にする。 + おまえを解体する道具を持った者たちを集める。彼らは、木目の美しい杉の木を引き抜き、火に投げ込む。 + 多くの国々の民が、この町の廃墟のそばを通り、口々に言う。『イスラエルの主はなぜ、このようなことをしたのだろう。なぜ、こんなに大きな都をつぶしたのだろう。』 + この疑問に、次のような答えが返ってくる。『この住民が、神を忘れ、神との契約を破ったからだ。彼らは偶像を拝んだのだ。』 + 死人のために泣いてはならない。連れて行かれた捕虜のために泣きなさい。彼らは二度と祖国の土を踏めないからだ。 + また、父ヨシヤの跡を継いで王位につき、捕虜として連れ去られたエホアハズについては、こう宣告する。 + 彼は遠い異国で死に、二度と故国を見ることができない。 + エホヤキム王よ。おまえはひどい目に会う。強制労働によって宮殿を建てているからだ。おまえは、賃金を支払わないという不正を宮殿の壁に塗り込み、戸のわくと天井に虐待をはめ込んでいる。 + そして、こう言っている。『広々した部屋が幾つもあり、窓のたくさんついた、壮大な宮殿を建てよう。香りの高い杉材をふんだんに使い、鮮やかな朱に塗り上げよう。』 + だが、美しい宮殿ができたからといって、りっぱな王になれるわけではない。おまえの父ヨシヤは、なぜ長い間王位についていたのか。彼が正しく、公平を第一としたからだ。だからこそ、彼には神の祝福があった。 + 彼は、貧しい人や困っている人に正義と援助の手が差し伸べられるようにした。それで、何もかもうまくいったのだ。このような人こそ、神のそば近くにいることができる。 + だが、おまえはどうだ。自己中心で、貪欲であり、不誠実この上もない。罪のない者を虫けらのように殺し、貧しい者を苦しめ、血も涙もない暴君になり下がっている。 + だから、父ヨシヤの跡を継いだエホヤキム王に、次の刑罰を下す。彼が死んでも、家族の者はだれも泣かない。家来は、彼が死んだことなど気にもかけない。 + 彼はエルサレムの外に引きずり出され、門の向こうのごみ捨て場に投げ込まれて、死んだろばのように埋められる。 + 頼みの連合軍は姿を消したのだから、大声を上げて泣くがいい。レバノンに行って彼らを捜し、バシャンで叫べ。アバリムで彼らを尋ねよ。彼らは一人残らず死んでいて、助けてくれる者は一人も残っていない。 + おまえに勢いがあった時、わたしは警告したが、おまえは『干渉しないでください』と言った。おまえは子どものころから、わたしのことばを聞いたためしがない。 + おまえの連合軍は、ひと吹きの風で姿を消した。友人はみな、奴隷となって連れて行かれる。こうして、いやでも自分の悪を認めざるをえなくなり、おまえは恥をかく。 + レバノンの杉の木立の中の美しい宮殿で優雅な生活を送ることは、快適この上ない。だが、まもなくおまえは大声を上げ、陣痛に襲われた産婦のようにうめき苦しむ。 + それから、ユダ王国のエホヤキム王の子エコヌヤよ。たとえ、おまえがわたしの右手にはめた印鑑つきの指輪だったとしても、わたしはおまえを抜き取り、おまえが最も恐れているバビロンのネブカデネザル王と、その強力な軍隊に渡す。 + おまえとおまえの母親をこの国から放り出す。おまえは外国で死ぬ。 + 慕っている祖国へは決して帰れない。 + エコヌヤは、壊れて捨てられた皿のようだ。彼も彼の子どもも、遠い国に流される。」 + 地よ、主のことばを聞きなさい。 + 主はこう語ります。「エコヌヤを、子どものない者として記録しておけ。彼の子どものうち一人も、ダビデの王座につき、ユダを支配することはないからだ。こうして、彼の一生はあわのように消える。」 + + + 神は宣告します。「わたしは、民の羊飼いである指導者に災いを下す。彼らは、世話をしなければならない者を滅ぼし、散らしたからだ。 + おまえたちは、群れを安全に導くどころか、置き去りにし、滅びへと追いやった。わたしは、おまえたちが彼らに行った悪のために刑罰を下す。 + 一方、群れの残りを、わたしが追いやった所から集め、元の牧場に連れ戻す。彼らは再び子を生んで増える。 + また彼らの上に、責任感の強い羊飼いを立てる。彼らは二度と怖がる必要はなく、四六時中、守られるようになる。 + やがて、わたしがダビデの王座に、正義の若枝を置く時がくる。彼は知恵と正義をもって治める王となり、地上に正しさが行き渡るようにする。『主は私たちの正義』が、彼の呼び名だ。その時、ユダは救われ、イスラエルは平和のうちに過ごす。 + その日、誓いを立てる時、人々は『イスラエルの民をエジプトから救い出した神は生きておられる』ではなく、 + 『ユダヤ人を、追いやられた国々からイスラエルへ連れ戻した神は生きておられる』と言うようになる。」 + うそで固めた偽預言者たちのことを考えると、心が痛みます。私は恐ろしくなって目を覚まし、酔っぱらいのようにふらつきます。彼らには、恐ろしい運命が待ちかまえているからです。神は刑罰を下すと宣告なさいました。 + この国は姦淫する者で満ちているため、神ののろいがかかっています。地そのものが嘆き悲しみ、牧草地は枯れています。預言者たちは悪に走り、不正を行うことに力を注いでいます。 + 祭司も預言者同様、神を敬わない悪党ばかりです。主は言います。「わたしは神殿の中でさえ卑劣なことが行われるのを見た。 + そのため、彼らの道は暗く、すべりやすくなる。彼らは、暗い危険な小道に追い込まれて倒れる。わたしは彼らに災いを下し、時がきたら、罰金を必ず全額支払わせる。 + わたしは、サマリヤの預言者が考えられないほど悪いことを知った。彼らはバアルによって預言し、わたしの民イスラエルを罪に引きずり込んだからだ。 + エルサレムの預言者はもっと悪い。彼らのしていることは、目をそむけたくなるほどで、姦淫を犯し、不正を愛している。悪いことをしている者を罪から引き戻すどころか、反対にほめ、励ましている。この預言者たちは、ソドムやゴモラの住民のように、徹底して堕落している。」 + そのため、天の軍勢の主は宣告します。「わたしは彼らに苦い物を食べさせ、毒を飲ませる。彼らがいたばかりに、この国に悪がはびこるようになったからだ。」 + これがわたしの民への警告だと、天の軍勢の主は告げます。「むなしい希望を与える偽預言者の言うことを聞いてはならない。彼らは口から出まかせを言い、わたしのために語ろうとしない。 + わたしを侮る反逆者たちに、『何も心配することはない。何もかもうまくいく』としきりに言う。自分勝手な生活をしている者たちには、『平安があるとの、神のことばがありました』と言っている。 + だが、神のことばを聞けるほど近くにいる預言者を、ただの一人でも挙げることができようか。彼らのうちの一人でも、神のことばを聞こうと努力しただろうか。 + このような悪者どもを吹き飛ばすために、わたしは激しいつむじ風を送る。 + わたしの恐ろしい憤りは、刑罰を余すところなく下すまでは終わらない。後に、エルサレムが敵の手に落ちたとき、おまえたちはわたしの言ったことを認めるようになる。 + わたしが遣わした覚えのない預言者が、わたしのために語っていると言っている。わたしは彼らに何も言わなかったのに、自分たちの預言がわたしのものだと言いはる。 + もし彼らがわたしの預言者なら、わたしの民を悪の道から立ち返らせようと努力しただろうに。 + わたしはどこか一つの場所にだけいて、彼のしていることが見えないような神だろうか。 + 人はわたしから姿を隠せるだろうか。わたしは、天にも地にも、どこにでもいるではないか。 + 『ゆうべ、神からの夢を見た。その話を聞いてほしい』と、彼らは言う。こうして、わたしの名によってうそを並べるのだ。 + こんなことが、いつまで続くのか。もし彼らが『預言者』だと言うなら、彼らは偽預言者で、自分で考え出したことを語っているのだ。 + わたしが見せなかった夢を得々と説明して、バアルの偶像礼拝に転向していった先祖のように、わたしの民にわたしを忘れさせようとしている。 + こんな偽りの預言者は、夢物語にうつつを抜かしていればいい。だがわたしの本物の使者は、わたしのことばを余すところなく忠実に語る。両者には、麦ともみがらほどの差がある。 + わたしのことばは、火のように燃えないだろうか。それは、岩でさえ粉々に砕く巨大なハンマーではないか。 + わたしは、語ることを互いに教え合っている『預言者』どもに立ち向かう。舌先三寸の預言者どもは、『このことばは神からのものだ』と言う。 + 彼らが知恵をしぼって考え出した夢は、わたしの民を罪へ誘い込む、まことしやかなうそで固まっている。わたしは彼らを遣わさなかったし、彼らには、わたしの民に告げることなど何もない。 + 民の一人、または『預言者』か祭司の一人が、『エレミヤよ。今日は神からどんな悲しいニュースを聞いたのか』と尋ねたら、こう答えなさい。『どんなニュースを聞きたいのか。おまえたち自身が悲しいニュースそのものではないか。神がおまえたちを捨てたのだから。』 + 『今日の神からの悲しいニュース』などと悪ふざけをする偽預言者、祭司、民がいたら、わたしは彼らとその家族を罰する。 + 『神はどんなことを語りましたか』と真剣に尋ね合うのはよい。 + だが、『神からの悲しいニュース』と言って悪ふざけをしてはならない。悲しいのは、おまえたち自身のこと、おまえたちが平気でうそをつくことにほかならないからだ。おまえたちはわたしのことばを曲げ、わたしが言いもしない『神のことば』を作り上げている。 + 『神からどんなことばがありましたか。神は何と言われましたか』と、敬意を込めてエレミヤに尋ねるべきだ。 + だが、わたしの警告を無視して、『今日の神からの悲しいニュース』について聞こうとすれば、神であるわたしは、重荷となっているおまえたちを捨てる。おまえたちと、おまえたちの先祖に与えたこの町を、共にわたしの前から放り投げる。 + わたしはおまえたちの恥をさらすので、おまえたちの名はいつまでも不名誉なものとなる。」 + + + バビロンのネブカデネザル王が、エホヤキムの子でユダ王国のエコヌヤ王を捕虜とし、ユダの高官、大工や鍛冶屋などの熟練工と共にバビロンへ連れ去ったのち、主は次の幻を私に示しました。 + エルサレムの神殿の前に、いちじくを盛った二つのかごが見えました。一つのかごには、よく熟した採り立てのいちじくがありました。しかし、もう一方のかごのいちじくは、ひどく腐っていて、とても食べられない状態でした。 + その時、主が尋ねました。「エレミヤよ、何が見えるか。」「いちじくです。とてもおいしそうなものもありますし、ひどい状態のものもあります。」 + 「良いいちじくとは、バビロンに移された人のことだ。わたしは彼らのためを思って、彼らを外国に送った。 + わたしは、彼らが行った先で丁重に扱われるようにし、またこの地に連れ戻す。彼らを助けこそすれ、傷つけることはしない。彼らを植えて、二度と引き抜かない。 + わたしに対して正しく応答する心を彼らに与える。彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。彼らは大喜びで、わたしのもとに帰って来るからだ。 + 一方、腐ったいちじくとは、ユダのゼデキヤ王をはじめ役人たち、それにこの地に残っているエルサレムの住民のことだ。エジプトに住んでいる者も、この中に含まれる。わたしは彼らを腐ったいちじくのように処分する。 + 彼らは、地上のあらゆる国々から毛虫のようにきらわれる。彼らは、わたしが強制的に追いやる地で、あざけられ、ののしられ、のろわれる。 + わたしが大虐殺とききんと疫病を送るので、彼らはついに、わたしが彼らと先祖に与えたイスラエルの地から絶たれる。」 + + + ユダのすべての民にあてられた次のことばは、ヨシヤの子でユダ王国のエホヤキム王の治世の第四年に、主がエレミヤに語ったものです。この年に、バビロンのネブカデネザル王が即位しました。 + アモンの子でユダ王国のヨシヤ王の第十三年から今まで、二十三年間にわたって、私に神のことばがありました。私はそのことばを忠実に伝えたのに、あなたがたは聞こうとしませんでした。 + 神は何度も、ご自分の預言者を遣わしたのに、あなたがたは耳をふさぎました。 + 神のことばは、いつも次のようなものでした。「悪の道から離れ、悪事から足を洗いなさい。そうすれば、わたしがおまえたちと先祖に与えたこの地に、いつまでも住むことができる。 + 偶像礼拝という大それたことをして、わたしを怒らせてはならない。わたしに真実を尽くすなら、害は加えない。 + だがおまえたちは、わたしのことばを聞こうとしなかった。かえって、まっしぐらに悪の道に進み、偶像のことでわたしを怒らせた。ありとあらゆる災いを受ける結果を、自ら招いた。」 + そして今、天の軍勢の主である神は、こう宣告します。「おまえたちはわたしのことばを聞かなかったので、わたしの代理人に立てたバビロンのネブカデネザル王の率いる北方軍団を呼び、この国と住民、それに周囲の国々を攻めさせる。こうして、おまえたちを徹底的に滅ぼし、永久にさげすみの代名詞とする。 + 喜びと楽しみ、結婚式の喜びを取り除く。事業は失敗し、家庭は暗闇に閉ざされる。 + 国の全土は見渡す限りの荒れ地となるので、全世界の人は、おまえたちに降りかかった災害を知ってショックを受ける。イスラエルと近隣諸国は、七十年間バビロン王に仕える。 + この奴隷の期間が終わったら、わたしはバビロン王とその国の民を、彼らの罪のために罰する。カルデヤの地を永久に荒れ果てた所とする。 + この書の中で約束した恐ろしい災害、エレミヤが国々に宣告した刑罰を全部、この地にもたらす。 + 多くの国々と強い王たちは、カルデヤ人がわたしの民を奴隷にしたように、今度はカルデヤ人を奴隷にする。わたしは彼らを、彼らがわたしの民を扱った基準に従って罰する。」 + 主は私に、こう語りました。「わたしの手から、わたしの憤りがなみなみとつがれているぶどう酒の杯を取り、わたしがあなたを遣わす、すべての国々の人に飲ませなさい。 + 彼らは飲んでふらつき、わたしが下す致命的打撃によって錯乱状態になる。」 + そこで、私は主の手から憤りの杯を取り、遣わされたすべての国々の人に飲ませました。 + 私はエルサレムとユダの町々へ行きました。すると、王と長官はその杯から飲んだので、その日以来、彼らはみじめな状態になり、憎まれ、のろわれるようになりました。 + 私はまた、エジプトの王とその家来、指導者とすべての国の民のところへ行きました。彼らもまた、その地に住む外国人ともども、この恐怖の杯から飲みました。ウツの地のすべての王、ペリシテの町々の王、すなわちアシュケロン、ガザ、エクロン、アシュドデの残りの者にも、同じようにしました。 + 私はさらにエドム、モアブ、アモンの国々へ行きました。 + またツロとシドンのすべての王、海の向こうにある地方の王、 + デダン、テマ、ブズ、およびそこにいる異教の民、 + アラビヤのすべての王、荒野の遊牧民のすべての王、 + ジムリ、エラム、メディヤのすべての王、 + 北方のすべての王を、一人一人訪ね、地上のすべての王国を巡りました。最後に、バビロンの王自身が、神の憤りを盛ったこの杯から飲みました。 + 「あなたは彼らにこう言いなさい。『イスラエルの神である天の軍勢の主は言う。酔っ払って、嘔吐し、二度と立てなくなるまで、わたしの憤りを盛ったこの杯から飲め。おまえたちに恐ろしい戦争を送るからだ。』 + もし杯を受け取らないなら、こう言いなさい。『天の軍勢の主は、どうしてもこれを飲めと命じている。避けるわけにはいかない。 + すでに、自分の民さえ罰し始めているからだ。おまえたちだけ無罪放免になるわけがない。どんなにもがいても、刑罰を免れることはできない。わたしは地上の全住民に戦争を呼び寄せる。』 + だから、彼らに預言して言え。主は天の聖所から自分の民に呼びかけ、全世界の民に呼びかける。『主は、酒ぶねの中でぶどうの実を踏みつぶす者のように、大声を張り上げる。 + このさばきの叫び声は、地の果てまで届く。神が全世界の人をさばき、すべての悪者を殺すからだ。』 + 天の軍勢の主はこう言う。『刑罰が国から国へと渡り歩き、神の憤りの暴風は地の果てまで吹きつける。 + その日、主に殺される者は地の果てから果てまで及ぶ。だれも彼らのために嘆き悲しんだり、死体を埋葬したりしないので、彼らは地の肥やしとなる。 + 悪い羊飼いよ、泣きわめけ。民の指導者よ、石に頭を打ちつけよ。おまえたちが虐殺され、散らされる時がきたからだ。おまえたちは弱々しい女性のように倒れる。 + 逃げ隠れする場所を探しても、どこにも見つからない。 + 羊飼いの半狂乱の叫び声、指導者の絶望まじりの叫び声を聞くがいい。わたしは彼らの牧場を荒らしたのだ。 + 今まで平穏無事な生活を送ってきた者も、主の激しい怒りによって切り倒される。 + 神は、獲物を探すライオンのように、忍び足で出て行った。主の激しい怒りのために、彼らの国は侵入してくる軍隊によって荒れ果てた。』」 + + + ヨシヤの子でユダ王国のエホヤキム王の治世の第一年に、主からエレミヤに、次のことばがありました。 + 「神殿の前に立って、ユダの各地から礼拝しに来たすべての人に語りなさい。わたしの言ったことを全部知らせるのだ。わたしが彼らに聞かせたいと思っていることを、ひと言も省略してはいけない。 + 彼らはわたしのことばを聞いて、悪の道から離れるかもしれないからだ。そうすればわたしは、彼らの悪事のために下そうとしている刑罰を思いとどまる。 + 彼らに、わたしがこう言っていると告げよ。もし、わたしのことばを聞かず、わたしが与えたおきてに従わず、 + また、わたしのしもべの預言者の言うことを聞かないなら――もっとも、何度も預言者を遣わして警告させたのに、おまえたちは聞こうとしなかったが―― + この神殿をシロの神殿のように壊し、エルサレムを全世界ののろいの代名詞とする。」 + エレミヤが主から告げられたことをみな語り終えた時、祭司と偽預言者、神殿の中にいたすべての者がエレミヤに襲いかかり、「殺せ、殺せ!」と絶叫しました。 + 「どんな権威があって、主がこの神殿をシロの神殿のように壊すなどと言うのか。エルサレムが破壊され、一人も生き残る者がいないとは、いったいどういうことか。」こうして騒ぎは大きくなり、だれもがエレミヤを攻撃しに、神殿へ押しかけました。 + 役人は事の成り行きを聞くと、宮殿から駆けつけ、神殿の入口に座って裁判を開きました。 + すると、祭司と偽預言者たちは、役人と集まった全員に、「この男は死刑にすべきだ。こいつがどんなにひどい裏切り者かは、お聞きのとおりだ。今まで、この都に不利な預言ばかりしてきた」と告訴しました。 + エレミヤは次のように自分を弁護しました。「主が、この神殿とこの町に不利な預言をせよと、私にお命じになったのです。私の話したことはみな、神のおことばです。 + もし、あなたがたが罪を犯すのをやめて主に従うなら、神はすでに宣告されたいっさいの刑罰を思いとどまるでしょう。 + 私は無力で、しかもあなたがたの手中にあるのですから、好きなようにしてください。 + ただし、ひと言だけ言っておきます。私を殺したら、罪のない者のいのちを奪ったことになります。その責任はあなたがたと、この町の全住民がとらなければなりません。主は確かに、あなたがたの聞いたことを残らず話すようにと、私にお命じになったからです。」 + これを聞いて、役人をはじめとする人々は、祭司と偽預言者に言いました。「この男は死刑に当たらない。神の名によって語ったのだから。」 + その時、知恵のある何人かの老人が立って、全員に話しかけました。 + 「この決定は正しいと思います。以前、モレシェテ人ミカが、ユダ王国のヒゼキヤ王の時代に預言しました。『神は言う。この丘は平地の畑のように耕され、エルサレムの都は石の山となり、今大きな神殿の建っている山頂は森になる』 + そのミカを、ヒゼキヤ王と民は殺したでしょうか。いいえ、そんなことはありません。彼らは悪から離れ、主を礼拝し、主のあわれみをひたすら求めたのです。それで主は、予告しておいた恐ろしい刑罰を下すことを思いとどまったのです。もし私たちが、神のことばを伝えたという理由でエレミヤを殺すなら、神がどんな仕返しをするかわかりません。」 + エレミヤのほかにも、シェマヤの子でキルヤテ‧エアリム出身のウリヤという主の預言者がいて、同じ時期に、エルサレムとその住民とをきびしく非難しました。 + エホヤキム王をはじめ将校、役人もみな、彼のことばを聞きました。ところが王は、人を遣わして彼を殺そうとしたのです。そのことを知ったウリヤは、エジプトへ逃げました。 + すると王はウリヤを捕まえるために、アクボルの子エルナタンに数人の者をつけて、エジプトまで行かせました。 + 彼が逮捕され、王のもとへ連れ戻されると、王は彼を八つ裂きにし、死体を共同墓地に捨てさせました。 + しかし、シャファンの子で王室の秘書官アヒカムは、エレミヤの味方になり、彼のいのちをねらう暴徒たちの手に渡さないようにしました。 + + + ヨシヤの子でユダ王国のエホヤキム王の治世の初めに、主からエレミヤに別のことばがありました。 + 「くびきを作り、それを農耕用の牛につけるように、おまえの首に革ひもで結びつけなさい。 + それから、エドムの王、モアブの王、アモンの王、ツロの王、シドンの王に、エルサレム在住の大使を通じてメッセージを送れ。 + それぞれの王に、イスラエルの神である天の軍勢の主からのことばだと言わせなさい。 + 『わたしは大きな力をもって、地と、全人類と、あらゆる動物を造った。これらを、わたしの目にかなった者に与える。 + わたしはすでにおまえたちの国々を、わたしの代理人、バビロンのネブカデネザル王に与えた。また、おまえたちの家畜を全部彼のものとした。 + 彼の時がくるまで、すべての国は彼とその子孫に仕える。そのあとで、多くの国の民と強い王たちがバビロンを征服し、住民を奴隷とする。 + 今は彼に従い、彼に仕えよ。おまえたちの首をバビロンのくびきに入れるのだ。わたしは、彼の奴隷になろうとしない国の民を罰する。戦争とききんと疫病を送るので、その国は彼に征服される。 + バビロンの王はおまえたちを奴隷にしないと言う偽預言者、占い師、夢見る者、霊媒、魔術師のことばに耳を傾けてはならない。 + 彼らはみなうそつきだ。もし彼らの助言に従い、バビロンの王に降伏しないなら、おまえたちを国外へ追放し、遠い地で滅ぼす。 + だが、バビロン王の意のままになる国の民は、今までのように自国に住み、土地を耕す。』」 + エレミヤはこの預言をユダのゼデキヤ王にも伝え、こうつけ加えました。「生きていたい者は、バビロン王に降伏しなさい。 + あなたも民も、なぜ、そんなに死に急ぐのですか。なぜ、主がバビロン王に従わない国々に、与えると言った戦争とききんと疫病を選ぶのですか。 + バビロン王がこの国を征服するはずはないと、しきりに言っている偽預言者のことばを聞いてはなりません。彼らは、とんでもないうそつきです。 + 『わたしは送り出した覚えもないのに、彼らはわたしの名によって、おまえたちにうそをついている。どうしても彼らの言うことを聞くというなら、おまえを、偽預言者ともどもこの国から追放して、殺すよりほかはない』と、神は言っています。」 + 私はくり返し、祭司とすべての民に告げました。「主は命じます。神殿から運び出された金の皿はまもなくバビロンから戻ってくる、と言っている預言者に、耳を貸すな。そんなことがあるはずはない。 + 彼らの言うことを聞いてはならない。バビロン王に降伏して生き延びよ。そうでないと、この町は全部破壊される。 + もし、彼らがほんとうに神の預言者なら、まだ神殿に残っている金の皿や、王宮とエルサレムの宮殿にある金の皿が、おまえたちといっしょにバビロンへ持ち去られないよう、祈るべきではないか。 + 天の軍勢の主は、こう言います。『バビロンのネブカデネザル王が、ユダとエルサレムの重立った人々を、エホヤキムの子でユダ王国のエコヌヤ王と共に連れ去った時残しておいた、神殿の前にある青銅の柱、神殿の庭の大きな青銅の水盤、そのほか金属製の台や儀式用具などは、 + みなバビロンに運び去られ、わたしが取り返すまでそこにある。後に、わたしはそれらの物をみな、エルサレムへ持ち帰る。』」 + + + 同じ年、ユダ王国のゼデキヤ王の治世の第四年の七月のある日、アズルの子でギブオン出身の偽預言者ハナヌヤが、神殿の中で私に挑みました。祭司全員と人々が聞いている前で、きっぱり断言したのです。 + 「イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言っています。『わたしは、おまえたちの首からバビロン王のくびきをはずした。 + 二年以内に、ネブカデネザルがバビロンへ運び去った神殿の宝物を、全部持ち帰る。 + また、エホヤキムの子でユダ王国のエコヌヤ王と、バビロンに移された捕虜全員を連れ戻す。わたしは必ず、バビロン王がおまえたちの首にかけたくびきをはずす。』」 + これを聞いたエレミヤは、祭司と人々の前で、ハナヌヤに言いました。 + 「アーメン。あなたの預言どおりになるように。主があなたの言ったことを全部実現して、神殿の宝物を、愛する同胞といっしょにバビロンから取り戻してくださればよいと、私も思っている。 + しかし今は、ここにいる人たちの前ではっきりさせておこう。 + 昔の預言者たちは、多くの国々に不利なことを話し、いつも決まって、戦争とききんと疫病の警告をしたものだ。 + だから、平和を予告する預言者は、ほんとうに神から遣わされたのかどうか、証明しなければならない。預言がそのとおり実現してはじめて、それが明らかになるからだ。」 + ハナヌヤはエレミヤの首から例のくびきをはずし、それを壊しました。 + そして、集まっていた人々に、「見るがいい、このとおりだ。主は二年以内に、今バビロンのネブカデネザル王の奴隷になっている国々の民を解放する、と約束なさった」と宣言しました。ここまで聞いてから、エレミヤは出て行きました。 + するとまもなく、神からエレミヤに次のことばがありました。 + 「ハナヌヤのところへ行き、主がこう言うと伝えよ。おまえは木のくびきを壊したが、これらの国の民は首に鉄のくびきをつけている。 + イスラエルの神、天の軍勢の主であるわたしが言う。わたしは、これらの国の民に鉄のくびきをはめ、むりやりバビロンのネブカデネザル王の奴隷とした。この運命は、どんなことがあっても変わらない。おまえたちの家畜まで、彼のものになる。」 + そこで、エレミヤは偽預言者ハナヌヤに言いました。「よく聞け、ハナヌヤ。主はあなたをお遣わしにならなかった。ところが人々は、あなたのうそを信じ込んでいる。 + だから、あなたはどうしても死ななければならない。これは主のことばだ。今年中に、あなたの寿命は尽きる。主に逆らったからだ。」 + このことばのとおり、二か月後にハナヌヤは死にました。 + + + エコヌヤ王と王母、宮廷の役人、地方長官、それに技術者たちが、ネブカデネザルによってバビロンへ移されてのち、エレミヤはユダヤ人の長老、祭司、預言者、すべての民にあてて手紙を書きました。 + この手紙を、ゼデキヤ王の使節としてバビロンのネブカデネザル王を訪問した、シャファンの子エルアサとヒルキヤの子ゲマルヤに託しました。内容は次のとおりです。 + 「イスラエルの神である天の軍勢の主は、エルサレムからバビロンへ移された捕虜全員に、こう告げます。 + 『家を建て、長期の滞在計画を立てなさい。長年にわたってそこにいることになるから、ぶどう園を造れ。 + 結婚して、子どもをもうけよ。子どもにも相手を見つけてやり、多くの孫が生まれるようにしなさい。人口を減らしてはならない。 + バビロンの平和と繁栄のために努力し、そのために祈るのだ。バビロンが平和であれば、おまえたちも平和に過ごせるからだ。』 + イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう告げます。『おまえたちのうちにいる偽預言者や霊媒にだまされてはならない。彼らの考え出した夢物語を聞いてはならない。 + 彼らは、わたしの名によってうその預言をするからだ。わたしは彼らを遣わさなかった。 + 実際、おまえたちは七十年間バビロンにいることになる。そののち私は、おまえたちに約束しておいたすべての祝福を与え、故国に連れ戻す。 + わたしは、おまえたちのために立てた計画をよく知っている。それは災いではなく祝福を与える計画で、将来と希望を約束する。 + その時になったら、わたしはおまえたちの祈りに耳を傾ける。 + 真剣に探し求めるなら、おまえたちはわたしを見つけることができる。 + そうだ。わたしはおまえたちに見つけられる。わたしはおまえたちを奴隷の身分から解放し、財産を回復し、追いやられた国々から集め、再び故国の土を踏ませる。 + だが今は、偽預言者の言うことを信じ、主が彼らを遣わしたと言っているので、 + わたしは、エルサレムに残っているおまえたちの親族とダビデの王座についている王に、戦争とききんと疫病を送る。彼らは、腐ったいちじくのようになる。 + しかもわたしは、彼らを世界中に散らす。彼らは行った先々の国で、のろわれ、ののしられ、あざけられる。 + わたしが、わたしの預言者を通して何度も語ったのに、いっこうに聞こうとしなかったからだ。』」 + だから、バビロンにいるすべてのユダヤ人捕虜よ、神のことばを聞きなさい。 + イスラエルの神である天の軍勢の主は、神の名によってうそをついている、コラヤの子の偽預言者アハブとマアセヤの子ゼデキヤについて、こう告げます。「わたしは二人をネブカデネザルの手に渡し、人々の前で処刑させる。 + 彼らの運命は悪いことを表すことわざとなり、のろいのことばとして、『神がおまえを、バビロンの王に焼き殺されたゼデキヤやアハブと同じ目に会わせるように』と言われるようになる。 + 彼らはわたしの民の間で恐ろしいことをした。隣人の妻と姦通し、わたしの名によってうそをついた。わたしは彼らのすることを全部見てきたので、その行動の一部始終を知っている。 + 夢見る者シェマヤには、次のように言いなさい。」 + イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう告げます。「おまえはマアセヤの子の祭司ゼパニヤに手紙を書き、その写しをほかの祭司とエルサレムの全住民に送った。 + おまえは手紙にこう書いた。『主はエホヤダの代わりに、あなたをエルサレムの祭司に任命しました。ですから、預言者だと自称する気が変になった男を捕まえ、足かせと首かせをはめる責任があります。 + それなのにどうして、アナトテ出身の偽預言者エレミヤを放っておくのですか。 + 彼はバビロンにいる私たちに、捕虜になる期間は長いので、しっかりした家を建て、長期の滞在計画を立て、果物の木を植えるようにと指図しました。私たちがこれから先もずっとここにいて、その木の実を食べることになると言うのです。』」 + ゼパニヤは、この手紙をエレミヤのところへ持って行き、読んで聞かせました。 + すると、主からエレミヤに次のことばがありました。 + 「バビロンに流された者全員に封をしていない手紙を出し、こう伝えなさい。わたしは任命した覚えがないのに、ネヘラム人シェマヤは勝手に『預言』し、うそを信じ込ませようとした。 + わたしは彼とその家族を罰する。彼の子孫は誰ひとり、わたしが民のために用意している祝福を見ない。彼がおまえたちに、わたしに背くように教えたからだ。」 + + + これは、主からエレミヤにあった別のことばです。 + イスラエルの神はこう命じます。「わたしがおまえに語ったことをみな、記録に残しなさい。 + わたしの民イスラエルとユダを、元どおり、先祖に与えたこの地へ連れ戻す時がくるからだ。彼らはこの地を所有し、再び住みつく。 + また、わたしがイスラエルとユダについて語った次のことばも、書き留めておくのだ。 + 『平和はどこにあるのだ。あるのは恐怖とおののきだけだ。 + 男が子どもを産むだろうか。そんなことはありえないのに、どうして彼らは、真っ青な顔をして、産婦のように腰に手を当てて立っているのか。』」 + ああ、今までの歴史の中で、やがてくる日のような恐怖の時があったでしょうか。それは、同胞イスラエルの苦しみの時で、今までに一度も経験したことのないものです。しかし、神は彼らを救い出してくださいます。 + 天の軍勢の主は、こう約束します。「その日になると、わたしは彼らの首のくびきを壊し、体に巻きついている鎖を断ち切る。外国人は二度と彼らの主人にならない。 + 彼らは、わたしと、わたしが彼らのために立てるダビデ王に仕えるようになる。 + わたしのしもべヤコブよ、怖がることはない。イスラエルよ、うろたえなくてもいい。わたしがおまえを遠い国から連れ戻し、おまえの子孫を、流されて行った先から連れ戻すからだ。彼らは自分の国でゆったりくつろぎ、だれも彼らを脅かさなくなる。 + わたしがそばについていて救うからだ。わたしはおまえの寄留先の国々を全滅させることがあっても、おまえを根絶やしにすることはしない。もちろん、おまえが完全に罰を免れるというわけではないが。 + おまえの罪は、どうしても治らない打ち傷のようで、ひどく痛んでいる。 + 助ける者はなく、傷口に包帯を巻く者もいない。どんな薬も効き目がない。 + 恋人はみな、おまえを置き去りにし、二度と世話をしない。わたしが、まるで敵ででもあるかのように、おまえをひどく傷つけたからだ。血も涙もない敵のように、容赦なく痛めつけた。おまえの罪があまりにも多く、とががあまりにも大きかったからだ。 + なぜ抗議するのか。当然の刑罰ではないか。おまえの罪は目も当てられないほど醜いので、悲しみはいつまでも終わらない。こんなにも懲らしめるのは、おまえのとがが途方もなく大きいからだ。 + だがいつか必ず、おまえを滅ぼす者はみな滅ぼされ、おまえの敵はみな奴隷となる。おまえから略奪する者は略奪され、おまえを攻撃する者は、逆襲される。 + わたしはおまえの傷を治し、元の健康な体にする。今は、おまえは『捨てられた者』『だれも欲しがらないエルサレム』と呼ばれている。」 + しかし、神は約束します。「わたしがおまえたちを捕虜になっていた地から連れ帰り、元の状態に戻す時、エルサレムは廃墟の上に再建される。宮殿は以前のように建て直され、 + 町には喜びと感謝の声があふれる。わたしの民は増え、名誉ある偉大な民となる。 + 彼らの子孫は、ダビデが王位についていたころのように栄える。民はわたしの前に堅く立てられ、わたしは彼らに危害を加える者を罰する。 + 彼らには、再び指導者が立てられる。しかも、外国人ではない指導者が。わたしが彼を、わたしの祭壇に仕える祭司にするために招くと、彼はわたしに近づく。招かれないのに近づく者はいない。 + おまえたちはわたしの民となり、わたしはおまえたちの神となる。 + すべてを吹き飛ばす主のつむじ風が突然起こり、悪者どもを直撃する。 + わたしは、計画しておいた恐ろしい破壊を完了するまでは、激しい憤りをおさめない。のちになって、おまえたちはわたしの言ったことを理解する。 + + + その時、イスラエルの全家族はわたしを主と認める。彼らは、わたしの民としてふるまうようになる。 + 昔わたしが、エジプトから逃げて来たイスラエル人を、荒野であわれみ、休息を与えた時のように、彼らをいたわり、愛を注ぐ。 + それは、かつてイスラエルにこう言ったからだ。わたしの民よ。わたしは永遠の愛をもっておまえを愛してきた。あわれみの綱でおまえを引き寄せてきた。 + イスラエルのおとめよ。わたしは、おまえの国を再建する。おまえは以前のように幸せになり、タンバリンをたたいて陽気に踊る。 + もう一度サマリヤの山の上にぶどう園を造り、その実を食べるようになる。 + エフライムの丘に立つ見張りが声を張り上げ、『さあ、シオン(エルサレム)に上って、神のもとへ行こう』と言う日がくる。」 + 神はこう語ります。「地上で最も偉大な国イスラエルに、わたしがどんなことをするかを知って、喜び歌え。『主は、イスラエルの残りの民であるご自分の民を救った』と、賛美と喜びをもって大声で語り伝えなさい。 + わたしが彼らを、北から、また地の果てから連れ戻すからだ。盲人や足の不自由な人、赤ん坊を連れた若い母親、お産の近い女には、特別に心を留める。彼らは大きな集団となって帰る。 + だれの頬にもうれし涙がこぼれる。わたしは彼らを、壊れ物を運ぶように注意して連れ帰る。彼らは静かに流れる川のほとりを歩き、つまずくことはない。イスラエルにとってわたしは父であり、エフライムはわたしの長男だからだ。」 + 世界の国々よ、主からの次のことばを聞き、言い広めなさい。主はご自分の民を散らしたが、再び集め、羊飼いがその群れを飼うときのように見守ります。 + イスラエルを、とても歯が立たない敵の手から救い出すのです。 + 彼らは帰国して、シオンの丘で喜びの歌を歌います。豊作の穀物、麦とぶどう酒と油、健康そのものの羊と家畜の群れという主の恵みに浴して、彼らの顔は喜びに輝きます。彼らのたましいは潤った園のようになり、悲しみは一つ残らず逃げ去ります。 + 娘たちは喜びのあまり踊り出し、男たちは、年老いた者も若者も陽気にはしゃぎます。「わたしは彼らの嘆きを喜びに変え、彼らを慰め、楽しませる。苦しいことばかりの捕虜の時代は、もう過去のこととなった。 + わたしは祭司たちを、神殿に運ばれる山のような供え物で再びもてなす。わたしの民がすっかり満足するまで、十分に食べさせる」と、主は約束します。 + 主は私に、再び語りました。「ラマ(バビロンの捕虜となったユダヤ人が集合させられた場所)で激しい泣き声が聞こえる。ラケル(ヤコブの妻。イスラエル王国の母として象徴的に言われている)は子どものために泣いているが、どうしても慰めることはできない。それは、子どもがいなくなったからだ。」 + しかし、神は約束します。「おまえはもう、泣かなくていい。わたしは確かにおまえの祈りを聞いた。おまえはまた子どもに会える。彼らは遠い敵の国から、おまえのふところへ帰って来る。 + おまえの将来には希望がある。おまえの子どもは生まれ故郷へ帰って来る。 + 私はエフライムのうめき声を聞きました。」「神は私をひどく罰しました。子牛がくびきを負う訓練をさせられるように、私にも懲らしめが必要だったのです。私を神のもとに立ち返らせ、元どおりにしてください。神よ。ただあなただけが主だからです。 + 私は神いたことを後悔しました。なんと愚かな人間だったのかと反省し、ももの肉を打ちました。若かったころにしたことを考えると、恥ずかしくなります。」 + 神のお答えはこうです。「エフライムは今でもわたしの子だ。かけがえのない子であることに変わりはない。罰を加えないわけにはいかないが、それでもなお、彼を愛している。いとおしくてたまらないので、必ずあわれみをかける。 + 捕虜として遠い国へ引かれて行く時、イスラエルに帰る目じるしとなる道しるべを、あちこちに立てておきなさい。通った道をしっかり頭に入れておくのだ。おとめイスラエルよ。やがて、おまえは自分の町に帰って来ることになる。 + 気まぐれな娘よ。いつまで、どっちつかずでいるのか。わたしは、今までだれも聞いたこともないような新しいことをする。その時イスラエルは、わたしを尋ね求めるようになる。」 + イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「わたしが彼らを連れ戻す時、彼らはユダとその町々で、次のように言うだろう。『義の中心であるきよい山よ。神があなたを祝福されるように。』 + 町の住民も、農夫も、羊飼いも、平和で幸福な暮らしをするようになる。 + わたしは疲れた者には休息を、悲しむ者には喜びを与えるからだ。」 + ここでエレミヤは目を覚まし、「この眠りは、とてもここちよかった」と言いました。 + 主はこう言います。「わたしが、このイスラエルで人口をおびただしく増やし、家畜を増し加える時がくる。 + 以前この国をくり返し痛めつけたが、今度は気を配って築き上げる。 + 人々は二度と、『父親の罪のあとしまつを子どもがさせられる』ということわざを口にしなくなる。 + だれもが自分の罪のために死ぬようになるからだ。すっぱいぶどうを食べた本人の歯が浮くのだ。」 + 主は言います。「わたしがイスラエルおよびユダの民と、新しい契約を結ぶ日がくる。 + それは、わたしが彼らの先祖の手をとってエジプトから導き出した時、結んだようなものではない。彼らがそれを破ったので、やむなく、わたしは彼らを見捨てた。 + 新しい契約とはこうだ。わたしは、わたしのおきてを彼らの心に刻みつける。そのため彼らは、わたしをあがめたいという気持ちになる。こうして、彼らは文字どおりわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。 + その時はもう、主を知るようにと互いに忠告する必要はなくなる。身分の高い者も低い者も、だれもがわたしを心底から知るようになるからだ。わたしは彼らの罪を赦し、忘れる。」 + 日中は太陽の光を与え、夜を明るくするために月と星を与え、海をかき立てて大波を起こす天の軍勢の主は、こう言います。 + 「もし、これらの自然界の法則がなくなるものなら、わたしはわたしの民イスラエルを見限るだろう。 + 天が正確に測られ、地中深くの基礎が現れない限り、罪を犯したからといって、わたしが彼らを捨てることなどありえない。」 + 主は言います。「エルサレムの町全体が、わたしのために再建される時がくる。北東の端にあるハナヌエルの塔から、北西にある隅の門まで、また南西にあるガレブの丘から、南東にあるゴアに至るまで、すべて建て直される。 + 墓地と谷にある灰捨て場を含め、全市が、わたしにとってきよいものとなる。キデロン川に至るまでの畑全部、そこから町の東側にある馬の門に至るまでの地区も、きよいものとなる。これからは、二度と敵に踏みにじられたり、占領されたりはしない。」 + + + ネブカデネザル王の第十八年に当たる、ユダ王国のゼデキヤ王の第十年に、主からエレミヤに次のことばがありました。 + そのころ、エレミヤは王宮の地下牢に閉じ込められており、バビロンの軍隊はエルサレムを包囲していました。 + ゼデキヤ王が彼をそこに閉じ込めたのは、彼があくまで、エルサレムはバビロンの王に占領され、 + ゼデキヤ王も捕まり、捕虜としてバビロンの王の前に連れ出され、さばかれると預言し続けたからです。 + 「彼は王をバビロンへ連れて行き、死ぬまで牢に入れておきます。どうして、この事実を素直に認めないのですか。勝てるはずがありません。今、降伏しなさい。」エレミヤは何度も言いました。 + その時、主からエレミヤに次のことばがありました。「まもなく、シャルムの子ハナムエルが来て、アナトテにある畑を買ってほしいと頼む。おまえはいとこなので、法律によって、それを買う優先権があるからだ。」 + ハナムエルは、そのとおり、牢にいるエレミヤを訪ね、こう頼みました。「ベニヤミンの地のアナトテにある、私の畑を買ってくれないか。法律によって、君にそれを買う優先権があるのだ。」私は、彼の言うことが間違いなく主から出たことを知りました。 + 私は畑を買い、ハナムエルに銀貨十七枚を払いました。 + 証人の前で契約書に署名したうえで封印し、支払いをすませたのです。 + それから、さまざまの規約を記した封印された証書と、封印されていない写しを受け取り、 + いとこのハナムエルと証書に署名した証人との前で、看守に見守られながら、その証書をマフセヤの子ネリヤの子であるバルクに渡しました。 + それから、全員の聞いている前でこう指示しました。 + 「イスラエルの神である天の軍勢の主の命令です。『封印してある証書と封印のない写しを、つぼに入れて長く保管しておきなさい。 + やがてこの証書に価値の出る時がくる。そのうちに必ず、人々は再びこの国に土地を持ち、家やぶどう園や畑を売り買いするようになる。』」 + 証書をバルクに渡すと、私は祈りました。 + 「ああ神よ。あなたは大きな力をもって天と地をお造りました。あなたにとって、難しいことは何一つありません。 + あなたは愛と恵みに満ちたお方です。しかし、父親が罪を犯したら、その子どもを苦しめるお方でもあります。偉大な全能の神、天の軍勢の主です。 + あらゆる知恵をたくわえ、目をみはる大きな奇跡を行います。神の視線は人のすべての道に注がれており、それぞれの生き方と行為に従って、一人一人に報いるのです。 + あなたはエジプトでは、信じられないようなことを行いました。それらはみな、今日も私たちの記憶に残っています。しかもあなたは、イスラエルばかりか全世界で、今も大きな奇跡を行い続けています。こうして、ご自分の名を今日のように偉大なものとしました。 + 神は、目をみはる奇跡と、大きな力、大きな恐れをもって、イスラエル人をエジプトから連れ出しました。 + ずっと以前に先祖に約束したこの国をお与えになりました。まことにそれは、乳とみつの流れる地です。 + 私たちの先祖はこの地を占領し、ここに住みつくようになりました。ところが、彼らは神に従わず、神のおきてを守りませんでした。神に命じられたことを、一つも行おうとしませんでした。だからこそ、この恐ろしい災いが下ったのです。 + ごらんください。町の城壁沿いに、とりでが築き上げられました。バビロニヤ人がこの町を、剣とききんと疫病によって攻め取ろうとしています。何もかも、おことばのとおりになりました。 + まもなくこの町が敵の手に渡るというのに、神は私に、畑を買い、証人たちの前で大金を払うようにお命じになるのです。」 + すると、エレミヤにこのようなことばがありました。 + 「わたしは、全人類の神、主だ。わたしにとって、不可能なことは一つもない。 + わたしは必ず、この町をバビロニヤ人とバビロンのネブカデネザル王の手に渡す。彼がここを占領する。 + また、今城壁の外にいるバビロニヤ人は、市内に侵入して町に火をつける。屋上で香をたき、ほかの神々にぶどう酒を注いで、わたしの激しい怒りを買う原因となった家々を焼き払う。 + イスラエルとユダは、若いころから悪いことばかりしてきた。彼らは、ありとあらゆる悪でわたしを激怒させた。 + この町は、建てられた時から今日まで、わたしを怒らせることばかりしてきた。だから、わたしはこの町を滅ぼす。 + イスラエルとユダの罪が、わたしを怒らせる。 + 彼らはわたしに背いたまま、いっこうに立ち返ろうとしない。わたしは毎年、くる日もくる日も正しいことと悪いことの区別を教えたのに、彼らは聞こうとも、言いつけを守ろうともしない。 + 神殿の中でさえ憎むべき偶像を拝み、そこを汚した。 + それでも足りず、ヒノムの谷にバアルの高い祭壇を築いた。そして自分の子どもを焼き、モレクへのいけにえとした。こんなことは、命じた覚えもなければ、考えもしなかったことだ。ユダに大きな罪を犯させる原因となったこの罪は、けたはずれに大きなものだ。 + だから今、イスラエルの神であるわたしは、この町が戦争とききんと疫病によってバビロン王の手に落ちると断言する。 + しかしわたしは、わたしの民を、憤って散らした国々から連れ戻す。この町に連れ帰って、安らかに住まわせる。 + こうして彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。 + また、わたしは彼らと彼らの子孫のためを考えて、彼らに、わたしを永久にあがめる心と思いを与える。 + わたしは、二度と彼らを見限ることはなく、恵みだけを与える約束として、彼らと永遠の契約を結ぶ。彼らの心に、わたしを礼拝しようという願いを入れるので、どんなことがあってもわたしから離れなくなる。 + わたしは心から喜んで彼らを幸福にし、再びこの地に植える。 + これらの恐怖と災いを送ったように、その時は、約束したすべての祝福を注ぐ。 + 今はバビロニヤ人に荒らされ、人も家畜も姿を消したこの国で、再び畑が売買されるようになる。 + ベニヤミンの地でも、エルサレムでも、ユダの町々でも、山地でも、平野でも、ネゲブでも、もう一度、証書に署名し、封印し、証人を立てて畑を売買するようになる。わたしは必ず、土地を彼らに返すからだ。」 + + + まだエレミヤが牢につながれていた時、神は再び彼にことばを与えました。 + 「主という名の、天と地の造り主である神は、こう言います。 + 『わたしに尋ねなさい。そうすれば、この地に起ころうとしている、信じられないほど不思議なことを教える。 + たとえ敵のとりでに対抗するために、この町の家々と王宮を壊して城壁を補強する材料にしたとしても、 + バビロニヤ人は侵入して来る。この町の男たちは、すでに死んだも同然だ。わたしが、激しい怒りをもって殺そうと決めているからだ。彼らのひどい悪のために、わたしは彼らを見捨てた。たとえ助けを呼び求めても、あわれまない。 + しかし、わたしがエルサレムの損害を補償し、繁栄と平和を与える時がくる。 + ユダとイスラエルの町々を再建し、彼らの財産を元どおりにして返す。 + 彼らのすべての罪をきよめ、赦す。 + その時、この町はわたしにとって名誉となる。また、わたしの喜びとなり、地上のすべての国々の間で、わたしをあがめ、わたしの栄光を現す中心地となる。世界中の人は、わたしがわたしの民にどんな祝福を与えたかを知って、恐れに取りつかれ、身震いする。 + 花婿と花嫁の喜びに満ちた声、わたしに感謝の供え物を運んで来る人の喜びの歌が、再び、この破滅を宣告された地で聞かれるようになる。人々は、『神をほめたたえよう。神は恵み深く、そのあわれみは永遠に続く』と歌うようになる。わたしはこの地を、前よりも幸福にし、栄えさせる。 + 今は全住民と家畜の滅亡が決まっているが、もう一度、羊や子羊を導く羊飼いの姿を見るようになる。 + 山地の村々、平野部の東にある町々、ネゲブのすべての町々、ベニヤミンの地、エルサレム近郊、それにユダのすべての町々でも、再び羊の群れが増える。 + イスラエルとユダに、わたしが約束しておいたすべての祝福の実現する日がくる。 + その時、わたしはダビデの真実の子を王にする。彼は正義をもって支配する。 + その日、ユダとエルサレムの人たちは安心して住み、『主は私たちの正義』という標語を掲げる。 + それからは、ダビデの世継ぎが永久にイスラエルの王座につく。 + さらに、いつもレビ人が、完全に焼き尽くすいけにえをはじめ、その他のいけにえや供え物を、神にささげるようになる。」 + その時、主からエレミヤに次のことばがありました。 + 「わたしが昼および夜と結んだ契約を破り、きちんと決まった時間に、昼や夜がこないようにできるか。もしできたら、わたしがわたしのしもべダビデと結んだ契約も破られ、彼の王座につく子孫はいなくなる。このように、神に仕えるレビ人の祭司たちと結んだわたしの契約も、決して破棄されない。 + 星が数えきれず、海辺の砂が量りきれないように、わたしのしもべダビデの子孫と、わたしに仕えるレビ人の子孫は増える。」 + 神は再び、エレミヤにこう語りかけました。 + 「おまえは人々が何と言っているか聞かなかったのか。彼らは、神はユダとイスラエルを選んでおきながら見捨ててしまった、と言っている。イスラエルはもはや国家としての価値がなくなったと、あざ笑っている。 + だが、わたしはこう答えよう。わたしが昼と夜、天と地の法則を変えないように、わたしの民を捨てるはずはない。わたしは決して、ユダヤ人とわたしのしもべダビデとを見限らない。また、ダビデの子がやがてアブラハム、イサク、ヤコブの子孫を支配するという計画を変えない。それどころか、彼らにあわれみをかけ、その財産を元どおりにする。」 + + + バビロンのネブカデネザル王とその支配下の国々の軍隊が一つになって、エルサレムとユダの町々を攻めている時、主からエレミヤに次のことばがありました。 + 「ユダのゼデキヤ王に、主がこう言うと伝えなさい。わたしはこの町をバビロン王に渡すので、彼は町を焼く。 + おまえは逃げられない。捕虜になってバビロン王の前に引き出され、有罪を宣告される。そしてバビロンへ連れて行かれる。 + だがユダのゼデキヤ王よ、次のことをよく聞くのだ。おまえは戦争や虐殺に巻き込まれて死ぬことはなく、 + 人々に囲まれて安らかに死ぬ。みな、おまえの先祖にしたように、おまえを記念して香をたく。人々はおまえのために、『ああ、王様が死んでしまった』と泣く。このことを確かに言っておく。」 + そこでエレミヤは、そのとおりゼデキヤ王に知らせました。 + ちょうどその時、バビロン軍はエルサレムとラキシュ、アゼカを包囲していました。ユダでまだ残っている城壁のある町は、ここだけだったのです。 + ゼデキヤ王が、エルサレムにいる奴隷を全員解放したのちに、主からエレミヤに次のことばがありました。 + 王は全住民に、ヘブル人(イスラエル人)の奴隷は男女を問わずすべて自由の身にするようにと命じたのです。ユダヤ人は兄弟同士だから、奴隷にしてはいけないというのです。 + 高官や住民はみな王の命令に従い、奴隷を自由の身にしましたが、それは一時的なことでした。 + あとで心変わりして、使用人を再び奴隷にしました。 + それで、次のことばがエルサレムにあったのです。 + イスラエルの神は、こう言います。「わたしは、奴隷だったおまえたちの先祖をエジプトから連れ出した時、彼らと契約を結んだ。 + わたしは彼らに、ヘブル人の奴隷は例外なしに、六年の年季が明けたら自由の身にしなければならない、と念を押した。だが、このことは実行されなかった。 + しかし最近になって、おまえたちは、わたしが命じたとおりの正しいことをして、奴隷を自由の身とした。『きっと命じられたとおりにします』と、神殿で、おごそかに約束した。 + ところが今になって急に態度を変え、誓いを破ってわたしの名を汚し、いったん自由にした者たちを再び奴隷にした。 + 結局おまえたちはわたしの言うことを聞こうとせず、奴隷を解放しなかったので、戦争とききんと疫病でおまえたちを殺す。流浪の民として世界中に散らす。 + おまえたちは契約を守らなかったので、誓いを確かなものとするために牛を二つに断ち切ってその間を通る儀式にならい、おまえたちを真っ二つにする。高官であろうが、宮廷の役人であろうが、祭司であろうが、一般市民であろうが、誓いを破った以上は、家畜のように殺す。 + わたしがおまえたちを敵の手に渡すので、敵はおまえたちを殺す。おまえたちの死体は、はげたかや野獣のえじきとなる。 + わたしはまた、ユダのゼデキヤ王と部下である役人たちを、いったんこの町から遠のいたバビロン王の軍勢に引き渡す。 + わたしが呼び戻すので、バビロン軍は再びこの町を攻撃して占領し、火をつける。ユダの町々を、必ず見る影もなく壊し、猫の子一匹いない廃墟にする。」 + + + ヨシヤの子のエホヤキムがユダ王国の王であった時、主はエレミヤに、こう語りました。 + 「レカブの家系の人たちが住んでいる所へ行き、神殿へ連れて来なさい。奥の一室に案内し、ぶどう酒をすすめるのだ。」 + そこで私は、ハバツィヌヤの子エレミヤの子ヤアザヌヤのところへ行き、レカブ家を代表する彼と、その兄弟、息子たちを連れて、 + 神殿へ行き、イグダルヤの子で預言者のハナンの息子たちに与えられている部屋に入りました。その部屋は宮殿の役人が使う部屋の隣で、神殿の入口を守るシャルムの子マアセヤの部屋の真上にありました。 + 私は彼らの前にぶどう酒の入ったつぼとコップを置き、「さあ飲みなさい」とすすめました。 + ところが、彼らはことわったのです。「私たちはぶどう酒を飲みません。先祖レカブの子ヨナダブが、子々孫々、永久にぶどう酒を飲んではならないと命じたからです。 + また、家を建てたり、作物を植えたり、ぶどう園を造ったり、畑を所有したりせず、いつもテントに住むようにと言いつけました。言われたとおりにして、自分の地で、満ち足りた長寿を全うするためです。 + 私たちは、あらゆる点でヨナダブの言いつけを守りました。ぶどう酒は一滴も口にしませんでしたし、家族の者も、同じようにしてきました。 + 家を建てたり、畑を所有したり、作物を植えたりもしませんでした。 + テントに住み、先祖ヨナダブが命じたことをみな忠実に守ってきました。 + ところが、バビロンのネブカデネザル王がこの国に攻め上った時、怖くなってエルサレムへ引っ越すことに決めました。それで今、ここにいるのです。」 + その時、主はエレミヤに語りました。 + イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「ユダとエルサレムへ行って、レカブ家の人たちから教訓を学びなさい。 + 彼らは先祖の命令を守り、ぶどう酒を飲まない。ところがおまえたちは、わたしがくり返し語ったのに、聞こうとも従おうともしない。 + わたしは次々に預言者を送り、悪の道から離れ、ほかの神々を拝むのをやめるようにと言わせた。わたしのことばに従うなら、おまえたちと先祖に与えたこの地で、平和に暮らせるようにすると言わせた。だがおまえたちは、聞こうとも従おうともしなかった。 + レカブ家の人たちは先祖の言いつけを守ったというのに、おまえたちはわたしの言うことを聞こうとしなかった。 + だから、イスラエルの神であるわたしは言う。おまえたちはわたしのことばに耳を傾けず、呼んでも顔をそむけているので、ユダとエルサレムに、前々から言っておいたすべての災いを下す。」 + エレミヤはレカブ家の人たちのほうを向いて、こう言いました。「イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。『おまえたちはあらゆる点で先祖の命令に従ったので、おまえたちの家系には、わたしを礼拝する者が絶えない。』」 + + + ヨシヤの子でユダ王国のエホヤキム王の第四年に、主からエレミヤに次のことばがありました。 + 「巻物を取り、わたしがイスラエル、ユダ、その他の国々について語ったことをみな書き記しなさい。ヨシヤの時代に語ったことから始め、わたしのことばを残らず書き留めるのだ。 + ユダの民は、わたしがこれからしようとしている恐ろしいことが文字になっているのを見て、悔い改めるかもしれない。そうすれば、わたしは彼らを赦す。」 + そこでエレミヤは、ネリヤの子バルクを呼びました。バルクはエレミヤの口述どおり、全部の預言を筆記しました。 + 書き終わったあと、エレミヤはバルクに言いました。「私は囚人の身だから、 + 次の断食の日、私の代わりに神殿でこれを読み上げなさい。その日は、人々がユダ全国から上って来る。 + もしかしたら、彼らは悪の道を離れ、手遅れにならないうちに主に赦しを求めるかもしれない。もっとも、ここに書かれている神ののろいは、すでに宣告ずみなのだが。」 + バルクは言われたとおり、神殿で、神のことばをひと言ももらさず人々の前で読みました。 + このことは、ヨシヤの子エホヤキム王の第五年に当たる十二月の断食日に起こりました。その日、ユダ全国から、神殿の儀式に参列するために人々が上って来ました。 + バルクは巻物を読むため、シャファンの子の書記ゲマルヤの事務所へ行きました。この事務所は新しい門の入口に近く、境内の奥の集会所のそばにありました。 + シャファンの子ゲマルヤの子ミカヤは、神のことばを聞くと、 + 宮殿の会議室へ報告に行きました。ちょうど、役人たちが待っています。そこは、書記官エリシャマをはじめ、シェマヤの子デラヤ、アクボルの子エルナタン、シャファンの子ゲマルヤ、ハナヌヤの子ゼデキヤのほかに、同じ職務につく人たちがいました。 + ミカヤが事情を伝えると、 + 役人たちはクシの子シェレムヤの子ネタヌヤの子エフディを使いに出し、バルクに、彼自身の口から神のことばを語るため、出向くようにと言わせました。バルクは同意しました。 + バルクが読み終えると、一同はおびえきって言いました。「ぜひ王のお耳に入れなければ。 + 何はともあれ、このことばはどこから手に入れたのだ。エレミヤが口述したのか。」 + バルクは、エレミヤの口述どおり書き写したと説明しました。 + 役人たちはバルクに忠告しました。「さあ、二人とも身を隠しなさい。居場所をだれにも知らせてはいけない。」 + それから、巻物を書記官エリシャマの部屋に隠し、王に報告するために出かけました。 + 報告を聞いた王は、さっそくエフディに、その巻物を取って来させました。エフディはそれを書記官エリシャマのところから持って来て、王と側近の者たちの前で読みました。 + ちょうど十二月で寒かったため、王は宮殿の暖房設備のある部屋にいて、暖炉の前に座っていました。 + エフディが三、四段読むたびに、王はナイフでその部分を切り裂き、火に投げ入れたので、とうとう巻物は全部灰になってしまいました。 + ところが、エルナタンとデラヤとゲマルヤのほかは、だれも抗議もしません。この三人は、巻物を焼かないようにと訴えましたが、王は耳を貸しませんでした。そのほかの家来は、王のひどい仕打ちを見ても、感情を外に出しませんでした。 + 王は王子エラフメエルとアズリエルの子セラヤとアブデエルの子シェレムヤに命じて、バルクとエレミヤを逮捕させようとしました。しかし、主は二人を隠したのです。 + 王が巻物を焼いたのち、主はエレミヤに命じました。 + 「別の巻物を手に入れ、前のように、わたしの言ったことをすべて書き、 + そのうえで王に言うのだ。『主は、こう宣告する。前の巻物には、バビロン王がこの国を荒らし、何もかも壊すと書いてあったので、おまえは怒って焼いた。 + そこで、ユダ王国のエホヤキム王について、次の一項目をつけ加える。彼には、ダビデの王座につく者がいなくなる。彼の死体は捨てられ、太陽の炎熱と夜の霜にさらされる。 + わたしは彼とその家族、家来たちを、それぞれの罪のゆえに罰する。彼らに、またユダとエルサレムの全住民に、予告しておいたすべての災いを下す。わたしの警告を聞こうとしなかったからだ。』」 + エレミヤは、もう一つの巻物を取り、先に言ったことをみなバルクに口述しました。ただし、今度は、前にはなかったこともつけ加えてありました。 + + + バビロンのネブカデネザル王は、エホヤキムの子エコヌヤの代わりにヨシヤの子ゼデキヤを、ユダの新しい王に選びました。 + ところが、ゼデキヤ王も、家来も、国に残っている民も、主がエレミヤを通して語ったことばを聞きませんでした。 + それにもかかわらず王は、シェレムヤの子エフカルとマアセヤの子の祭司ゼパニヤをエレミヤのもとに送り、自分たちのために祈ってほしいと言わせたのです。 + そのころ、エレミヤはまだ牢に入れられていなかったので、自由に出入りできました。 + エジプト王の軍隊が、包囲されたエルサレムを救援するためユダの南の国境に現れたので、バビロン軍は一戦を交えるため、エルサレムから退却していました。 + その時、主からエレミヤに次のことばがありました。 + 「イスラエルの神が、こう言う。これから先どうなるかを聞くため、使いをよこした王に言いなさい。エジプト王の軍隊はおまえたちを助けに来たが、やがてエジプトへ逃げ帰る。バビロニヤ人が彼らを破って、もと来た所に押し返す。 + 一方、バビロニヤ人はこの町を占領し、すっかり灰にする。 + バビロニヤ人がもう来ないと考えて、自分を欺くな。そんなはずはないからだ。 + 万一バビロン軍を負かし、生き残りのわずかな兵が重傷を負ってテントに横たわっていたとしても、彼らははい出して来ておまえたちを破り、この町に火をつける。」 + バビロン軍がエジプトと戦うためにエルサレムの囲いを解いた時、 + エレミヤは町を出てベニヤミンの地へ行き、自分の買った土地がどうなっているかを見ようとしました。 + ところが、ベニヤミンの門を出ようとした時、歩哨に見つかり、バビロニヤ人に通じる裏切り者として捕らえられたのです。その歩哨は、ハナヌヤの孫でシェレムヤの子のイルイヤでした。 + 「とんでもない誤解だ。味方を裏切るつもりは少しもない」と、エレミヤは抗議しました。しかし、イルイヤは聞こうとせず、役人たちの詰め所に連れて行きました。 + 彼らが怒ったのは言うまでもありません。彼らはエレミヤをむちでさんざんたたいたあげく、書記官ヨナタンの家を改造した地下牢に閉じ込めました。エレミヤは長い間そこにいました。 + ゼデキヤ王は彼のところへ使いを送り、こっそり宮殿に呼び寄せました。主からのことばが最近あったかどうか尋ねたかったのです。エレミヤは、「はい、ありました。あなたはバビロン王に負けます」と答えました。 + 続いてエレミヤは、牢に入れられたことに話題を変えました。「私は牢に入れられるようなことは何もしていません。いったいどんな罪を犯したというのですか。もし私が、あなたや家来や一般の民衆に対して何か悪いことをしたのなら、それを教えてください。 + あなたの前で、バビロン王は来ないと断言した預言者たちは、今どこにいるのですか。 + お願いです。どうか私を、あの地下牢に戻さないでください。あそこにいたら、死んでしまいます。」 + そこでゼデキヤ王は、エレミヤを地下牢に戻さないよう手配し、代わりに宮殿付属の牢に入れて、町にパンがある限りは、毎日、焼き立てのパンを一個ずつ与えるようにと命じました。こうして、エレミヤは宮殿付属の牢にとどまることになりました。 + + + しかし、マタンの子シェファテヤ、パシュフルの子ゲダルヤ、シェレムヤの子ユカル、マルキヤの子パシュフルは、エレミヤが人々に次のように言うのを聞いていました。 + 「エルサレムに残っている者はみな、剣かききんか疫病で死ぬ。しかし、バビロニヤ人に降伏する者は助かる。 + エルサレムの町は、間違いなくバビロニヤ人に占領される。」 + これを聞いた四人は王のところへ行き、こう進言しました。「あの男を生かしておいてはいけません。あんなことを言われたら、わずかしか残っていない兵士と民衆の士気は、くじかれてしまいます。あの男は裏切り者なのです。」 + 王は同意しました。「よろしい。おまえたちの好きなようにせよ。私には、おまえたちを止めることはできない。」 + そこで彼らはエレミヤを牢から連れ出し、綱を使って、構内にある空の井戸につり降ろしました。この井戸は王子マルキヤのものでした。中に水はありませんでしたが、泥がたっぷりたまっていたので、エレミヤはその中に沈みました。 + 王の信任の厚い役人でエチオピヤ人のエベデ‧メレクは、エレミヤが井戸に閉じ込められたと聞くと、 + 王がさばきの座についているベニヤミンの門に駆けつけました。 + 「王よ。あの四人は、エレミヤを井戸につり降ろすという、悪を行いました。町にはもう、パンはほとんどありません。このままだと、彼は飢え死にします。」 + すると王は、エベデ‧メレクに、三十人を連れて行き、エレミヤが死なないうちに引き上げるようにと命じました。 + エベデ‧メレクはさっそく三十人の男たちを連れて、使い古した衣料が保管してある宮殿の倉庫へ行きました。そこで見つけたぼろきれや着物をかかえてエレミヤのいる井戸へ行き、綱に結びつけてつり降ろしました。 + エベデ‧メレクは、大声でエレミヤに言いました。「ぼろきれをわきの下にはさみ、その上に綱を巻きつけなさい。」エレミヤがそのとおりにすると、 + 彼らはエレミヤを引き上げ、元いた宮殿の牢に帰しました。 + ある日、ゼデキヤ王は使いを出し、エレミヤを神殿の通用門に呼んで言いました。「ぜひとも聞きたいことがある。何事も隠し立てはならない。」 + 「ほんとうのことを申し上げたら、王は私を殺すに決まっています。あなたが私のことばに耳を貸すはずがありませんから。」 + 王は、自分の造り主である全能の神を指して、絶対にエレミヤに手をかけたり、いのちをねらう者に引き渡したりしないと誓いました。 + そこでエレミヤは、王に言いました。「イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう告げます。『もしおまえがバビロン軍に降伏するなら、おまえもおまえの家族も生き延び、しかも町は焼かれずにすむ。 + だが、降伏することを拒むなら、町はバビロンの兵士によって焼き払われ、おまえは恐ろしい運命をたどる。』 + 王は言いました。「だが、私は降伏するのが怖い。バビロニヤ人は、先に投降したユダヤ人に私を引き渡すだろう。そうなったら、どうなることかわかったものではない。」 + ためらう王に、エレミヤは答えました。「主に従いさえすれば、彼らの手に落ちることはありません。王のいのちは助かり、万事がうまく運びます。 + しかし、あくまで降伏を拒むなら、王宮にいる女性はみな引き出され、バビロン軍の将校たちのものになります。女性たちは、王を恨み、こう言うでしょう。『王はエジプト人という、すてきな友人をお持ちです。ごらんなさい、彼らはみごと裏切り、王を悲惨な運命に渡しました。』 + ご家族はみな、バビロニヤ人の前に引き出されます。王ご自身も同じ目に会います。あなたはバビロン王に捕らえられ、町は焼け野原になります。」 + これを聞いた王は、エレミヤに言いました。「今私に言ったことをだれにも話してはならない。 + 家来どもが、会見のことを知って、話の内容を教えなければ殺すと脅したら、こう言うのだ。 + 『ヨナタンの地下牢にいたら死ぬに決まっているので、そこへ送り返されないよう、王に嘆願しただけです』と。」 + 王の推測どおり、まもなく町の役人たちが押しかけ、エレミヤに、なぜ王はおまえを呼び出したのかと尋ねました。エレミヤは、王に言われたとおり答えたので、だれもほんとうのことを知ることがありませんでした。王との会見を立ち聞きした者はいなかったからです。 + エレミヤは、エルサレムがバビロニヤ人の手に落ちるまで、牢に閉じ込められたままでした。 + + + ユダ王国のゼデキヤ王の第九年の十二月末、ネブカデネザルの率いる軍隊は再びエルサレムを攻撃し、町を包囲しました。 + それから二年後の六月末、ついに彼らは城壁を破り、町を占領しました。 + バビロン軍の将校はみな入城して中央の門に座り、戦勝祝賀会を開きました。そこにいたのは、ネルガル‧サル‧エツェル、サムガル‧ネブ、サル‧セキム、指揮官のネルガル‧サル‧エツェル、そのほか大ぜいでした。 + ゼデキヤ王とその護衛兵たちは、町が落ちたのを見て、夜の間に抜け出し、王宮の庭のうしろにある二重の城壁の間にある門を通り、ヨルダンの渓谷に向かって野原を横切ろうとしました。 + ところがバビロニヤ人は王を追いかけてエリコの草原で捕まえ、ハマテの地リブラにいたネブカデネザルのところへ引き立てました。バビロン王はゼデキヤに宣告を下しました。 + バビロン王はゼデキヤの目の前で、彼の子どもと、ユダの貴族全員を殺しました。 + そのあとでゼデキヤの両眼をえぐり出し、鎖につないで、奴隷としてバビロンへ引いて行ったのです。 + 一方、エルサレムの町は王宮もろとも焼き払われ、城壁は無残な姿をさらすばかりでした。 + 親衛隊長ネブザルアダンとその部下は、町に残っている住民と、投降した者をバビロンへ連れて行きました。 + しかし、すごく貧しいわずかの人たちはそのままユダの各地に残しておき、畑とぶどう園を与えました。 + 一方、ネブカデネザル王はネブザルアダンに、エレミヤを捜し出すよう命じました。「あの男が無事かどうか見て来い。十分面倒を見てやり、欲しい物は何でも与えるのだ。」 + そこで、親衛隊長ネブザルアダン、宦官の長ネブシャズ‧バン、指揮官ネルガル‧サル‧エツェル、そのほかの将校たちは、王の命令を実行に移す相談をしました。 + まず兵士たちを送ってエレミヤを牢から連れ出し、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤに預け、無事に家へ帰らせることにしました。こうしてエレミヤは、国に残っている人々と共に、故国で暮らすことになったのです。 + バビロン軍が来る前、エレミヤがまだ牢に閉じ込められていた時、主から次のことばがありました。 + 「エチオピヤ人エベデ‧メレクに、こう伝えよ。イスラエルの神である天の軍勢の主は言う。わたしはこの民に、予告した災いをすべて下す。この町をおまえの見ている前で滅ぼすが、 + おまえは救い出す。おまえがひどく恐れている者の手にかかって殺されるようなことはないから、安心するがいい。 + わたしに信頼した報いとして、おまえのいのちを助け、危害を受けないように守るから。」 + + + 親衛隊長ネブザルアダンは、バビロンへ引いて行かれるエルサレムとユダの捕虜といっしょに、エレミヤをラマまで連れて行き、そこで彼を釈放しました。 + 隊長はエレミヤを呼んで言いました。「あなたの主は、かねてからの預言どおり、この国に災いを下しました。ユダの民が主に罪を犯したので、こうなったのです。 + さあ、鎖をはずして、あなたを自由の身としましょう。私といっしょにバビロンへ来るなら、それもけっこうです。あなたの生活が十分に保証されるように、責任をもって取り計らいましょう。もちろん、帰ってもかまいません。あなたの自由です。好きな所へ行きなさい。 + もし、自分の国にいたければ、バビロン王がユダの総督に任命したゲダルヤのもとへ帰り、残っている人たちといっしょに生活しなさい。いずれにしても、あなたの気持ちしだいです。好きなようにしなさい。」ネブザルアダンは、食糧と贈り物を与えたうえでエレミヤを去らせました。 + エレミヤはゲダルヤのもとへ帰り、国に残っている人たちといっしょに暮らしました。 + 田舎にいたユダヤのゲリラ隊の隊長たちは、バビロン王が民全員をバビロンへ連れて行ったわけでなく、ゲダルヤを総督に任命して、あとに残った貧しい民を治めさせていることを聞きました。 + そこで彼らは、総督府のあるミツパに来て、ゲダルヤに面会しました。隊長たちの名は次のとおりです。ネタヌヤの子イシュマエル、カレアハの子ヨハナンとヨナタン、タヌフメテの子セラヤ、ネトファ人エファイの子ら、マアカ人の子エザヌヤ。ほかに部下もいっしょでした。 + ゲダルヤは、バビロン軍に降伏するのが一番安全だと説得しました。「ここにいて、バビロン王に仕えなさい。そうすれば、何もかもうまくいきます。 + 私はミツパにいて、行政指導に来るバビロニヤ人たちに、あなたがたのことを口添えしましょう。好きな町に落ち着いて、この国で生活しなさい。ぶどうと夏の果物、それにオリーブの実を取って、たくわえておきなさい。」 + モアブや、アモン人のところ、エドム、その他の近くの国々にいたユダヤ人たちは、ユダにはわずかながらもまだ人々が住んでいること、バビロン王は全員を連れて行かなかったこと、ゲダルヤが総督になったことなどを聞きました。 + 彼らはみな、亡命先の国々からユダに帰って来ました。まず、ミツパに足を止め、ゲダルヤと善後策を講じてから、放置されていた畑へ行き、ぶどう酒用のぶどうをはじめ、多くの作物を集めました。 + このことがあってからまもなく、カレアハの子ヨハナンとほかのゲリラ隊長らがミツパに来て、アモン人の王バアリスがネタヌヤの子イシュマエルに、ゲダルヤを暗殺させようとしていると知らせました。ところが、ゲダルヤは信じようとしません。 + しかたなく、ヨハナンはゲダルヤとひそかに相談することにしました。だれにもわからないようにイシュマエルを殺す役を、買って出ようというのです。ヨハナンは言いました。「彼があなたを殺すのを、黙って見ていることはできません。そんなことになったら、国へ帰って来たユダヤ人は、どうなるのですか。残っている人たちが散り散りになって滅んでも、いいのでしょうか。」 + しかし、ゲダルヤは答えました。「そんなことは、絶対してはならない。あなたはイシュマエルについて、うそをついているのだ。」 + + + 十月に入って、王族の一人、エリシャマの子ネタヌヤの子イシュマエルは、十人の部下を連れてミツパに来ました。ゲダルヤは一行を食事に招きました。 + ところが食事の最中に、イシュマエルと、仲間の者は、突然立ち上がって剣を抜き、ゲダルヤを殺したのです。 + さらにそこから出て、ミツパでゲダルヤのそばにいたユダヤ人の役人、バビロンの兵士をも虐殺しました。 + 次の日、外部の人がこの出来事をまだ知らないうちに、 + シェケム、シロ、サマリヤから、神殿で礼拝するために、八十人の者がミツパに来ました。めいめいひげをそり、着ている物を裂き、体に傷をつけて、供え物や香を運んでいました。 + イシュマエルは、わざと泣きながら町の外へ出て、彼らを見ると言いました。「さあ、いっしょに来て、ゲダルヤがどうなったか見てください。」 + こうして全員が町に入ると、イシュマエルと部下たちは、そのうちの十人を残して全員を殺し、死体を穴に放り込みました。 + 助かった十人は、「隠しておいた小麦、大麦、油、それにみつを必ず持って来るから、いのちだけは助けてくれ」と、イシュマエルに頼んだのです。 + 死体を投げ込んだ穴は大きなもので、アサ王がイスラエル王国のバシャ王を恐れて、ミツパの防備を固めた時に掘ったものでした。 + イシュマエルは、王女たちと、親衛隊長ネブザルアダンがゲダルヤに任せた人たちを捕虜にし、すぐさまアモン人の国へ旅立ちました。 + カレアハの子ヨハナンをはじめとするゲリラ隊長たちは、イシュマエルのしたことを聞くと、 + 部下を引き連れてあとを追い、ギブオンの近くの池のそばで一行を見つけました。 + 捕虜になっていた人たちは、ヨハナンとその部下たちの姿を見ると、歓声を上げて走って来ました。 + 一方、イシュマエルは八人の部下と共に、アモン人の地へ逃げ延びました。 + さて、ヨハナンとその部下は、救い出した兵士、女性、子ども、宦官などを引き連れて、ベツレヘム近郊のゲルテ‧キムハムという村へ行き、そこでエジプトに脱出する準備を始めました。 + イシュマエルが、バビロン王の立てた総督ゲダルヤを殺したというニュースが伝わったら、バビロニヤ人はどんな報復に出てくるかわからない、と恐れたのです。 + + + ヨハナン、ホシャヤの子イザヌヤ、将校たちをはじめ、身分の高い者も低い者も、そろってエレミヤのところへ行き、 + こう頼みました。「どうか、あなたの神である主に祈ってください。よくご存じのように、私たちはあとに残った、ほんのひと握りの仲間です。 + あなたの神である主が私たちに、どうしたらいいか、またどこへ行ったらいいかを教えてくださるよう、頼んでください。」 + 「いいでしょう。神に尋ねてみましょう。神の語ることは、包み隠さずお知らせします。」 + 「もし、私たちが神の語ったことに背くなら、のろわれてもかまいません。 + 私たちは、おことばが気に入っても気に入らなくても神に従います。従いさえすれば、何もかもうまくいくからです。」 + それから十日して、主の返事がエレミヤにありました。 + 彼はヨハナンと、その下にいる隊長たち、それに身分の高い者も低い者もみな呼んで、 + こう言いました。「あなたがたは私を代わりに立て、イスラエルの神に尋ねさせました。これが神からの返事です。 + 『この地にとどまりなさい。そうすれば、おまえたちを祝福する。誰ひとり危害を加える者はいない。わたしは、おまえたちに刑罰を下したことを後悔している。 + これ以上バビロン王を怖がらなくてよい。わたしがついているからだ。必ず彼の手からおまえたちを助け出す。 + おまえたちのために、王に同情心を起こさせるので、彼はおまえたちを殺したり、奴隷にしたりせず、かえって、これまでどおり国にいられるように取り計らってくれる。』 + しかし、主に逆らって、『ここにいるのはいやだ』と言い、戦争や飢えや危険のない別世界だと考えているエジプトへ、どうしても行こうとするなら、 + イスラエルの神は、きっぱり断言します。『ユダの残りの者よ。どうしてもエジプトへ行くと言ってきかないなら、 + おまえたちの恐れている戦争とききんが、すぐうしろからついて行き、おまえたちを滅ぼす。 + これが、エジプトに住もうと言いはる者の運命だ。おまえたちは間違いなく剣と、ききん、疫病で死ぬ。エジプトでわたしが下す災いを免れる者は、一人もいない。』 + イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう断言します。『わたしの怒りと憤りは、エルサレムの住民に注がれたように、エジプトへ行った者にも注がれる。おまえたちは侮られ、憎まれ、のろわれ、ののしられる。しかも、二度と祖国を見ることはできない。 + なぜなら、わたしは「ユダの残りの者よ、エジプトへ行ってはならない」と、はっきり命じたからだ。』」こう言うと、エレミヤは話をしめくくりました。「私が今日警告したことを、決して忘れてはなりません。 + もし、それでも行くなら、いのちはありません。あなたがたが私を代わりに立てて神に祈らせ、『神の語るとおりを知らせてください。私たちは従いますから』と言ったことは偽りだったということになるからです。 + 私は今日、神のご命令を、そのとおり伝えました。ところがあなたがたは、いつものように、やはり従おうとしません。 + だから、このことを心に刻みなさい。あなたがたは、どうしても行くのだと言ってきかないエジプトの地で、剣とききんと疫病によって死にます。」 + + + エレミヤが、神のことばをすべての人に語り終えた時、 + ホシャヤの子アザルヤと、カレアハの子ヨハナン、その他の思い上がった者が、エレミヤに言いました。「うそをつけ。神が、エジプトへ行ってはならないなどと言うはずがない。ネリヤの子バルクが陰謀を企て、そう言わせたに違いない。われわれをこの地に残して、バビロニヤ人に殺されるようにしたり、奴隷としてバビロンに連れて行かれるようにしたりするために。」 + このように、ヨハナンをはじめゲリラ隊長たちと残っていた者はみな、主の命令に従ってユダにとどまることを拒みました。 + こうして、亡命先の近くの国々から帰って来た人も含めて、すべての者が、ヨハナンや他の隊長と共に、エジプトをめざして出発しました。 + その中には、男、女、子ども、王女たち、それに親衛隊長ネブザルアダンがゲダルヤに託したすべての人がいました。彼らは、エレミヤとバルクも力ずくで連れて行き、 + エジプトのタフパヌヘスに着きました。彼らは主のことばに従わなかったのです。 + タフパヌヘスで、主は再びエレミヤに語りました。 + 「ユダの人たちを呼び集めなさい。彼らの見ている前で、このタフパヌヘスにあるエジプト王の宮殿の入口にある敷石の間に、大きな石を埋めなさい。 + それから、皆にこう言うのだ。イスラエルの神である天の軍勢の主は言う。わたしは間違いなく、わたしの意のままに動くバビロンの王ネブカデネザルを、エジプトに連れて来る。そして彼の王座を、今隠した石の上にすえる。彼は、その石の上に王の天蓋を張る。 + 彼はエジプトに来て町を破壊し、わたしが殺そうと思っている者をみな殺し、わたしが捕虜にしようと思っている者を捕虜にする。また、多くの者が疫病にかかって死ぬ。 + 彼はエジプトの神々の神殿に火をつけ、偶像を焼き、人々を奴隷にして連れ去る。彼はまた、羊飼いが着物についたしらみをつぶすように、エジプトを踏みつぶし、しかも無傷で去る。 + ヘリオポリスにある偶像の記念塔は壊され、エジプトの神々の神殿も焼き払われる。」 + + + エジプト北部のミグドル、タフパヌヘス、メンピスの町々、それにエジプト南部に住む全ユダヤ人について、次のことばがエレミヤにありました。 + 「イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。『おまえたちは、わたしがエルサレムとユダのすべての町にしたことを見た。それらの町々は、はなはだしい悪のために灰になり、廃墟となって、今は住む者がだれもいない。自分も先祖も知らなかった神々を拝んで、わたしの怒りを買ったからだ。 + わたしはわたしのしもべである預言者を送って、わたしの憎んでいるこのような恐ろしいことをしないようにと、何度も警告し、説得してきた。 + それなのに彼らは少しも言うことを聞かず、悪の道を捨てなかった。そして、神々にいけにえをささげ続けた。 + そのため、わたしの憤りは爆発し、火のようにユダの町々とエルサレム市内に燃え移り、現在のような廃墟としたのだ。』 + イスラエルの神であり、天の軍勢の神である主は、あなたがたに尋ねます。『なぜおまえたちは、自らいのちを絶とうとしているのか。ユダから逃げてこの地に来た者は、男、女、子どもはもちろん、抱かれている乳飲み子さえ、一人として死を免れることはできない。 + おまえたちは、エジプトへ来てまで偶像を拝み、香をたいて、わたしの怒りをかき立てている。だから、おまえたちを徹底的に滅ぼし、全世界の国々ののろいとし、きらわれ者とする。 + おまえたちは、ユダとエルサレムでの先祖の罪、ユダの王と王妃たちの罪、おまえたち自身の罪、それにおまえたちの妻の罪を忘れたのか。 + 今この時まで、わびた者は、だれもいない。一人として、わたしに立ち返ろうとせず、わたしがおまえたちの先祖に与えたおきてに従おうともしない。』 + そのため、イスラエルの神である天の軍勢の主は言います。『わたしは怒りで全身が熱くなった。おまえたちを一人残らず滅ぼす。 + エジプトに来ることを強く主張した、生き残りのユダヤ人を皆殺しにする。彼らはこのエジプトの地で倒れ、ききんと剣でいのちを失い、身分の高い者も低い者も、一人残らず死ぬ。彼らはさげすまれ、忌みきらわれ、のろわれる。 + わたしは、エルサレムの住民を剣とききんと疫病で罰したように、エジプトにいる彼らを罰する。 + ここに来たことを悔い、ほかの者と別行動をとって故国に帰る者のほかは、ただの一人も、わたしの憤りから逃げることはできない。』」 + そこに居合わせた女たちと、妻が偶像に香をたいていることを知っている男たちは、声を一つにして言い返しました。エジプト南部には、おびただしい数のユダヤ人がいたのです。 + 「そんな偽のおことばには、同意できません。 + 好きなようにさせてください。先祖や王たち、重立った人たちが、ユダの町々やエルサレムでいつもしていたように、『天の女王』に思うぞんぶん香をたきたいのです。あのころは、食べ物がどっさりあり、幸せいっぱいでした。 + ところが、『天の女王』に香をたいて拝むのをやめてからは、災い続きで、剣とききんに倒れてきたのです。」 + 女たちも、負けずに口をはさみました。「私たちは夫と相談して『天の女王』を拝み、それにぶどう酒を注ぎ、女王にかたどったケーキを作ったのです。黙って内緒でしたわけではありません。」 + エレミヤは答えました。 + 「あなたがたや、あなたがたの先祖、王、重立った人たち、それにすべての民が、ユダの町々とエルサレムで偶像に香をたいていたことを、主がご存じないとでも思うのですか。 + 神があなたがたの悪に我慢できなくなったので、祖国は今のように荒れ果て、徹底的に破壊され、のろわれ、だれも住まない地になったのです。 + こんな恐ろしい運命に見舞われたそもそもの原因は、あなたがたが香をたき、主に罪を犯し、主に従うことをやめたことにあります。」 + さらにエレミヤは、女たちも含め、全員に言いました。「エジプトに住むすべてのユダヤ人は、主のおことばを聞きなさい。 + イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう語ります。『おまえたちも妻も、「天の女王」にいけにえをささげることは絶対にやめないと言った。しかも、そのことを態度で証明してきた。それなら、「天の女王」に誓ったことを果たすがいい。 + だが、エジプトに住むすべてのユダヤ人よ。わたしの言うことをよく聞きなさい。これからは、「神よ、どうか助けてください」と言って、わたしの助けと祝福を求めても無駄だ。 + わたしはおまえたちに目を留めるが、祝福のためではない。災いが直接襲うようにするためだ。だから、おまえたちは戦争とききんで倒れ、ついには死に絶える。 + ユダに帰るほんのひと握りの者だけは、わたしの憤りに会わない。だが帰国を拒んで、エジプトに居すわる者はみな、ほんとうのことを言っているのがわたしであるか、それとも彼らであるかを、いやというほど思い知る。 + わたしが前々から警告していたことはみな実現し、わたしはこの地でおまえたちを罰する。これが、わたしのことばが正しいという証拠だ。 + わたしは、ユダ王国のゼデキヤ王をバビロンのネブカデネザル王に渡したように、エジプトのホフラ王を、彼のいのちをねらう者の手に渡す。』」 + + + ヨシヤの子エホヤキム王が即位して四年目に、バルクはエレミヤが語る神のことばをそのまま書きつけました。そののち、エレミヤは彼に言いました。 + 「バルクよ。イスラエルの神が、あなたにこう言います。 + 『おまえはこう言った。「私は実にみじめな人間だ。もう十分に苦しんできたのに、神は、なおも苦しみを加えた。出るのはため息ばかりで、ゆっくり休むことさえできない。」 + こう言うバルクに、次のように答えてやりなさい。わたしは、わたしの建てたこの国を壊し、わたしの築いたものを引き抜く。 + おまえは、自分のために特別なことを求めてはならない。わたしはこの民に大きな災いを下すが、おまえのことは、報いとして、どこへ行っても守ることにしている。』」 + + + ほかの国々についてエレミヤが聞いた神のことばを、次に書き留めておきます。エジプト人について―― + ユダ王国のヨシヤの子エホヤキム王が即位して四年目に、エジプトのネコ王の率いる軍隊が、ユーフラテス川沿岸のカルケミシュで、バビロンのネブカデネザル王に敗れた時、エジプトについて次のことばがありました。 + 「エジプト人はよろいに身を固め、戦いに出て行け。 + 馬に鞍をつけ、いつでも乗れるようにしておくのだ。かぶとをかぶり、槍の穂先をみがき、よろいを着よ。 + だがどうしたわけか、エジプトの軍勢は恐れに取りつかれて逃げて行く。人一倍の武勇を誇る兵士さえ、うしろを振り向きもせず、一目散に逃げる。恐れが四方八方から彼らを取り囲む。 + どんなに足の速い者も、どんな勇士も、逃げることはできない。北のユーフラテス川のほとりで、彼らはつまずき倒れる。 + 洪水の時期のナイル川のようにわき上がり、各地にあふれていくこの強大な軍隊は、どこの国のものか。 + それは、すべての国々を洪水のように覆い、すべての敵を破るとうそぶく、エジプトの軍隊だ。 + 馬と戦車、それに無敵を誇るエジプト兵たちよ、さあ、来なさい。盾を取り、弓を引きしぼるエチオピヤ、プテ、ルデの人たちも来るがいい。 + 今日こそ、天の軍勢の主の日、わたしが敵に復讐する日だ。剣は、おまえたちの血に飽き、酔うまで働く。今日、天の軍勢の主であるわたしに、北の地ユーフラテス川のほとりで、いけにえがささげられるからだ。 + エジプトの娘よ、薬を探しにギルアデに上れ。だが、それでも、おまえの傷は治らない。どんなに薬を使っても、元の健康は取り戻せない。 + 国々はおまえの恥を聞いた。地はおまえの絶望と敗北の叫び声で満ちる。おまえの勇士たちは鉢合わせして、共に倒れる。」 + 次に神は、バビロンのネブカデネザル王がエジプトを攻撃することについて、こう語りました。 + 「エジプトで、バビロン軍の来襲を大声で伝えよ。ミグドル、メンピス、タフパヌヘスの町の人々に言い広めよ。滅びの剣が周囲を食い尽くすから、兵士を集めて戦いの準備をせよ。 + なぜ、おまえたちの雄牛の神アピスは、真っ青になって逃げたのか。主が敵の前で、彼を打ちのめしたからだ。 + 数えきれないほどの人が倒れ、死人の山ができる。その時、ユダヤ人の残った者は言う。『さあ、生まれ故郷のユダへ帰ろう。こんな恐ろしい虐殺の現場から遠ざかろう。』 + エジプトの王ホフラの名を、『力はないが、実に騒がしい男』と変える。」 + 天の軍勢の主である王は、こう言います。「タボル山か海に突き出たカルメル山のように背の高い者が、エジプトに襲いかかる。 + エジプトの住民は、荷物をまとめ、捕虜となって連れて行かれるしたくをせよ。メンピスの町は根こそぎにされ、一人も生き残らないからだ。 + エジプトは若い雌牛のように肌がつややかだ。だが、北からあぶが飛んで来て彼女を追い回す。名高い傭兵たちも、おびえきった子牛のようになり、向きを変えて逃げる。徹底的な罰がエジプトに下り、大災害の見舞う時がきたからだ。 + エジプトは、蛇が身をくねらせて姿を消すように、音もなく逃げる。代わりに侵略軍が入って来て、数えきれないほどの兵士が、森の木立を切り払うきこりのように、人々をなで切りにする。 + この北から来た民の前では、エジプトは少女のように無力だ。」 + イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「わたしはテーベの神アモン、その他のエジプトの神々を罰する。また、エジプト王と、王を頼りとするすべての者を罰する。 + 彼らを、彼らを殺すことを生きがいとするバビロンのネブカデネザル王と、その軍隊の手に渡す。しかし後に、エジプトは戦争の荒廃から立ち直る。 + 祖国に帰るわたしの民よ、怖がったり、うろたえたりしてはならない。わたしは遠くにいるおまえたちを救い、おまえたちの子孫を遠くの国から連れ戻すからだ。イスラエルは帰って来て平穏無事に住み、何ものにもおびえない。 + わたしのしもべヤコブよ、恐れるな。わたしがついている。わたしは、おまえの寄留していたすべての国々を滅ぼすが、おまえには手をかけない。懲らしめはするが、それはおまえを正しい者とするためだ。 + + + ペリシテ人について――ガザがエジプト軍に占領される前に、この町のペリシテ人について神がエレミヤに語ったことばは、次のとおりです。 + 主はこう言います。「北から洪水が押し寄せて、ペリシテ人の地にあふれようとしている。それは、町々とその中にあるものを何もかも破壊する。強い男たちでも恐れて悲鳴を上げ、国中の民が泣きわめく。 + 遠くから聞こえるひづめの音と、地響きを立てる戦車の車輪の音を聞きなさい。父親は、泣き叫ぶわが子には目もくれず、一目散に逃げる。 + すべてのペリシテ人と、ツロおよびシドンの同盟軍の滅ぼされる時が、ついにきたのだ。主が、カフトル(クレテ島周辺)からの開拓者であるペリシテ人を滅ぼすのだ。 + ガザとアシュケロンの町は、跡をとどめないまでに破壊され、廃墟となる。アナク人の子孫は、どれほど嘆き悲しまなければならないことか。」 + 主の剣は、いつになったら休むつもりでしょう。さやに収まって、静かに休みなさい。 + しかし、いったん主が使命を与えたからには、じっとしていることはできません。アシュケロンの町と、海岸沿いの住民は、どうしても滅ぼされなければならないのです。 + + + モアブ人について――モアブについて、イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「ネボの町はひどい目に会い、跡形もなく壊される。キルヤタイムの町は占領され、それを守る要塞はつぶされる。 + もう、だれもモアブのことを誇りにする者はいない。そのいのちがつけねらわれているからだ。すでにヘシュボンでは、モアブを破壊する手はずが整った。『さあ、あの国を滅ぼして、地上から抹殺しよう』と、彼らは言う。マデメンはひっそり静まり返っている。一方、ホロナイムには戦いの物音が近づく。こうしてモアブは全滅し、その叫び声はツォアルにまで響く。 + 泣きながらルヒテの坂を上る避難民の耳には、下に見える町からの恐怖の叫びが聞こえる。 + いのちが助かるために逃げ、荒野に身をひそめよ。 + おまえたちは自分の腕を頼みとし、富を誇ったので、滅びる。おまえたちの神ケモシュは、祭司や重立った人たちと共に、遠い国へ連れ去られる。 + 村や町は、高台にあっても谷間にあっても、すべて滅びる。わたしがそう言ったからだ。 + モアブに羽が生えてどこかへ飛んで行けたら、どんなにいいだろう。この国の町々には、いのちある者は一人もいなくなるからだ。 + モアブの血を流すのをいとい、剣を抜くのをひかえる者は、のろわれよ。わたしが与えた仕事に手をつけない者は、のろわれよ。 + モアブは建国以来、外敵から守られ平穏無事に過ごしてきた。この国は、器から器に移し変えられないぶどう酒のようで、香りがよく、口当たりがなめらかだ。だが今度は、捕虜として外に注ぎ出される番だ。 + 乱暴者が来て、つぼからつぼへ荒々しく移し変え、しかも、そのつぼを粉々に砕く時がすぐにくる。 + その時になってはじめて、イスラエルがベテルで子牛の偶像を恥じたように、モアブは自分の偶像ケモシュを恥ずかしく思うようになる。」 + あなたがたは、「われわれは英雄だ。歴戦の勇士だ」とうぬぼれていたころのことを覚えていますか。 + しかし今、「モアブは滅ぼされようとしている。滅ぼす者が近づいている。えり抜きの若者も殺害される」と、天の軍勢の主である王が言います。 + 大きな災害が足早にモアブに近づいています。 + モアブの友人たちよ、モアブのために大声で泣きなさい。力と美しさを誇ったこの国は、粉々に砕かれました。 + ディボンの人たちよ、栄光の座を降り、ちりの中に座りなさい。モアブを滅ぼす者はディボンをも荒らし、すべての塔を倒すからです。 + アロエルの住民よ、道のそばに立って、モアブから逃げて来る人たちに、「いったい何が起こったのですか」と聞いてみなさい。 + 彼らは答えるでしょう。「モアブは焼け野原になりました。大声で泣きなさい。アルノン川の土手で、モアブは滅びたと伝えなさい。」 + 平地にあるすべての町は廃墟になりました。神の刑罰は、これらの町全部に下されたのです。ホロンも、ヤハツ、メファアテも、 + ディボン、ネボ、ベテ‧ディブラタイムも、 + キルヤタイム、ベテ‧ガムル、ベテ‧メオンも、 + ケリヨテ、ボツラも、モアブの国の遠くや近くにあるすべての町々も、同じ運命に会いました。 + モアブは角を切り取られ、両腕を折られ、非常に弱くなりました。 + 酔った者のようにふらつき、倒れるままにしておきなさい。主に背いた罰です。モアブは自分の吐いた物の中で転げ回り、すべての人にさげすまれます。 + それは、イスラエルをさげすんで強奪し、それが倒れた時、手をたたいて喜んだからです。 + モアブの人たちよ、町を捨てて逃げ、岩の裂け目に巣を作る鳩のように、ほら穴に住みなさい。 + モアブの思い上がりは並はずれたものだったので、私たちの耳にまで達しました。その、他人を見下す横柄な態度、思い上がった心を、私たちは知っています。 + 「わたしはモアブの思い上がりを知っている」と、主は言います。しかし、そのうぬぼれは根拠のないもので、から威張りにすぎません。 + 私はモアブのために泣き、私の心は、キル‧ヘレスの人々のことを思って痛みます。 + ぶどうのお陰で富んでいるシブマ(良質のぶどうの産地)の人よ。私はヤゼルの人以上に、あなたがたのために泣きます。滅ぼす者が来て、よく伸びたあなたがたのつるを切り、ぶどうと夏の果物を横取りしたからです。そのため、あなたがたは丸裸になりました。 + 実り豊かなモアブから、喜びと楽しみの声が消え、酒ぶねに入れるぶどうもなく、喜びの声を上げてぶどうを踏む者もいません。叫び声は聞こえますが、歓声ではありません。 + 恐怖と苦痛の、身の毛もよだつ叫び声が、ヘシュボンからエルアレとヤハツ、ツォアルからホロナイムとエグラテ‧シェリシヤにわたる国中に響きます。ニムリム川沿いの牧草地は、今ではすっかり荒れ地になりました。 + 「わたしは、モアブが偽の神々を拝み、偶像に香をたくのをやめさせた」と、主は言います。 + 私は、モアブとキル‧ヘレスのために嘆き悲しみます。彼らの富が消えうせたからです。 + 彼らは苦しみもだえて頭の毛とひげをそり、手に傷をつけ、袋を作る材料の荒布を身にまといます。 + どのモアブ人の家からも、路上からも、泣き悲しむ声が聞こえます。「わたしがモアブを、だれも見向きもしない古い器のように割ったからだ」と、主は言います。 + なぜ壊されたのでしょう。泣き叫ぶ声を聞き、モアブの恥に目を留めなさい。モアブは今、周囲の人たちにとって、恐怖とさげすみのしるしとなっています。 + 「モアブの上空を、不吉の使者のわしが輪を描いて飛んでいる」と、主は言います。 + 町々は攻め取られ、要塞はつぶされます。偉大な勇士も、産みの苦しみをする女のように、恐れに取りつかれて弱くなります。 + モアブは、もはや国ではありません。主に大きな口をきいたからです。 + 「モアブよ、恐れと罠と裏切りが、おまえの分け前になる。 + 逃げる者は落とし穴に落ち、そこからようやくはい上がったかと思うと、今度は罠に足をはさまれる。わたしは、おまえがどんなにもがいても脱出できないように、目を光らせている。おまえの刑罰の時がきたのだ」と、主は言います。 + 彼らは、やっとの思いでヘシュボンまで逃げのびますが、それ以上は行けません。シホンの先祖の土地であるヘシュボンから火が出て、国の端から端までなめ尽くし、反逆者たちをみな焼き殺します。 + ああ、モアブよ。恐ろしい運命があなたを待ち受けています。ケモシュの神を拝む人々は滅びました。あなたの息子と娘は、奴隷として連れ去られます。 + 「だが、後に、わたしはモアブの国を再建する」と、主は言います。モアブについての預言は、これで終わりです。 + + + アモン人について――「おまえたちは、ここで何をしているのか。なぜユダヤ人の町に住んでいるのか。そこはユダヤ人だけの住みかであり、彼らがわたしから受け継いだ所ではないか。それなのに、ミルコムの神を拝むおまえたちが、なぜガドとその町々を占領したのか。 + このため、わたしはおまえたちを罰し、おまえたちの町ラバを破壊する。そこは人の住まないごみの山となり、近くの町々も焼き払われる。そのあとイスラエルが来て、おまえたちの手から国を取り戻し、失った物を奪い返す。」主はこう言います。 + 「ヘシュボンよ、アイが滅びたのだから、泣きわめくがいい。ラバの娘よ、喪服を着て垣根に身を隠し、ぞんぶんに泣け。おまえの神ミルコムが、重立った人や祭司と共に、遠い国へ連れて行かれるからだ。 + おまえは、よく肥えた谷間の地を自慢にしているが、それはまもなく荒れ地になる。根性の曲がった娘よ。おまえは自分の財産を心の拠り所とし、手出しする者はだれもいないと考えていた。 + だが、見ているがいい。わたしはおまえに恐怖を送る。」天の軍勢の主である神が、こう言います。「隣人たちはおまえをおまえの国から追い出し、おまえが捕虜になって連れ去られるのを横目で見ながら逃げて行く。 + だが、後に、わたしはアモン人の国を元どおりに繁栄させる。エドムについてのメッセージエドム人について―― + 天の軍勢の主はこう言います。「昔いた賢い者たちはどこへ行ったのか。テマンには、もう知恵のある者は一人もいないのか。 + デダン(隊商で栄えた、アラビヤ北部の町)の人よ、荒野の一番奥まで逃げて行け。わたしはエドムを罰する時に、おまえたちをも罰するからだ。 + ぶどうを収穫する者は、貧しい者のことを考えて少しは残しておく。どろぼうでさえ、すべてを盗んで行くようなことはしない。だが、わたしがエドムを丸裸にするので、隠れる所はどこにもない。子どもも、兄弟も、隣人も、一人残らず殺され、おまえ自身も滅びる。 + だがわたしは、生き残ったみなしごたちを守り、未亡人たちがわたしを頼りとするようにする。」 + 主はエドムに言います。「罪のない者さえ苦しむとしたら、おまえは、どれほど苦しまなければならないことか。罰を受けずにすむはずはない。どうしても、このさばきの杯を飲まなければならない。 + ボツラは荒れ果て、のろいとあざけりを受けるようになると、わたしは自分の名にかけて誓ったのだ。その町々は永遠に廃墟となる。」 + 私は主から、次の知らせを聞きました。神はエドムを滅ぼす同盟軍を起こすため、国々に呼びかける使者を送り出しました。 + 神は言います。「わたしはこの国を弱くし、周囲の国々にさげすまれるようにする。 + おまえはペトラの山々や岩の裂け目に住み、自分の名声と思い上がりによって自分を欺いてきた。だが、わしのように高い峰に住んでいても、わたしはおまえを引きずり降ろす。 + エドムは非常に恐ろしい目に会う。そこに近づく者はみな、あまりにも悲惨な光景に背筋が凍り、息の止まる思いがする。 + おまえの町々は、ソドムとゴモラやその近くの町々のように静まり返る。二度とそこに住む者はいない。 + わたしが彼らのもとに、ヨルダンの密林から出て囲いの中の羊に忍び寄るライオンのような侵略者を送るので、エドムは一瞬のうちに滅びる。そのあとで、わたしの選んだ者をエドム人の上に立てよう。わたしのような者がいるだろうか。だれがわたしを呼びつけて、報告を求めることができるだろう。どの羊飼いが、わたしに反抗できるだろうか。」 + 次のことを心に留めておきなさい。主は間違いなくエドムとテマンの住民に、小さな子どもさえ奴隷になって引きずられて行く光景を見せます。それは、見るに耐えない悲惨なことです。 + エドムが倒れる音で地は揺れ動きます。人々の叫び声は紅海にまで聞こえます。 + 襲いかかる者は、わしのように速く飛んで来て、ボツラに向かって翼を広げます。それを見て、大勇士の勇気もくじけ、産みの苦しみをする女のようになります。 + ダマスコについて――「ハマテとアルパデの町々は、恐れに取りつかれた。彼らの運命がどうなるかを聞いたからだ。彼らの心は、嵐の荒れ狂う海のように、ざわめき立っている。 + ダマスコはすっかりおじけづき、住民はみな逃げた。恐れと苦しみと悲しみが、産婦に取りつくように、ダマスコに取りついた。 + ああ、名の知れた町、喜びの町よ。どうしておまえは、今になって見捨てられたのか。 + 若者たちは、路上に死体となって横たわっている。おまえの軍隊は、ただの一日で蹴散らされてしまう。」そう天の軍勢の主は言います。 + 「わたしはダマスコの城壁に火をつける。その火で、ベン‧ハダデの宮殿は焼け落ちる。」 + 次の預言は、ケダルとハツォル(どちらも、パレスチナ東方の荒野に住むアラブ遊牧民)の王国についてです。これらの王国は、主の命令を受けたバビロンのネブカデネザル王によって、まもなく滅ぼされようとしています。 + 神は言います。「彼らの羊の群れもテントも、家庭用品ともども奪い取られる。らくだも連れ去られ、『われわれは包囲された。いよいよ最期だ』という恐怖にひきつった叫び声が、あちこちから聞こえる。 + いのちが助かるために逃げなさい。ハツォルの人たちは荒野の奥に隠れるのだ。バビロンのネブカデネザル王が陰謀を巡らし、おまえたちを根絶やしにしようと手はずを整えているからだ。」 + 主はネブカデネザル王に、こう言いました。「さあ、のん気に荒野で孤立して住んでいる金持ちのベドウィン族に襲いかかるのだ。彼らは、だれの力も借りずにやっていけるとうぬぼれ、城壁も門もいらないと大口をたたいている。 + 彼らのらくだと家畜は、みなおまえのものになる。わたしはこのアラブ人を風で吹き散らし、四方八方から災難を呼び寄せる。」 + ハツォルは荒野の野獣の住みかになります。人の住まない、永遠の荒れ地となるのです。 + ユダのゼデキヤ王の治世の初めに、エラムについてのことばが、エレミヤにありました。 + 「天の軍勢の主はこう言います。『わたしはエラムの軍隊を破る。 + また、四方からの風でエラムの住民を吹き散らす。そのため、彼らは世界中の国々に流れ着く。 + わたしは激しく怒ってエラムに大きな災いを下し、敵がこの地の住民を一掃するように仕向ける。 + わたしはわたしの王座をエラムに置き、王と重立った者たちを滅ぼす。 + だが後に、わたしはエラム人を呼び戻す。 + + + 次は、主が預言者エレミヤを通して、カルデヤ人の国バビロンについて語ったことばです。 + 「全世界の人に、バビロンは滅びると告げなさい。その国の神であるメロダクは恥をかく。 + 北から一つの国が攻め上り、この地を二度と人が住めないほど徹底的に荒らすからだ。人も家畜も逃げる。 + その時、イスラエルとユダの民は泣きながら、彼らの神であるわたしを尋ね求める。 + シオン(エルサレム)に通じる道を尋ね、故国をめざして帰る。『二度と破られない永遠の誓いを立て、主にしっかり結びつこう』と、彼らは言う。 + わたしの民は迷った羊だ。羊飼いたちはとんでもない方向に彼らを連れて行き、山の中に置き去りにした。彼らは道に迷い、どうすれば元の場所へ帰れるかと途方にくれた。 + 彼らを見つけた者は彼らをさんざん食い物にし、『彼らを好きなように料理しよう。彼らは、正義の神であり、彼らの先祖の望みであった主に罪を犯したのだから』と言った。 + しかし今度は、カルデヤ人の国バビロンから逃げ出すのだ。わたしの民を故国に連れ帰りなさい。 + わたしは北方の強い国々の軍隊を奮い立たせ、バビロンに敵対させるからだ。バビロンは滅びる。敵の矢は的をめがけて飛んで来て、一本もはずれない。 + バビロンは丸裸になる。 + わたしの民から身ぐるみはぎ取ったカルデヤ人よ。おまえたちは喜び、みずみずしい草の茂る放牧地の牛のように肥え太り、種馬のようにいなないても、 + おまえたちの母は恥をかいて顔を伏せる。おまえたちは一番弱い国となり、荒野となり、乾ききった砂漠となるからだ。 + わたしの怒りによって、バビロンはさびれた荒れ地となる。そこを通り過ぎる者は血の気を失い、そのすべての傷を見てあざける。 + 周りを囲むすべての国々よ、バビロンと戦う準備をしなさい。弓を引く者は、バビロンをめがけて矢を放て。彼は神に逆らって罪を犯したのだから、矢を惜しまず、容赦なく射かけるのだ。 + 四方から、いっせいにときの声を上げなさい。城壁はくずれ、バビロンは降伏する。わたしはとうとう復讐した。バビロンがしたとおりのことを、やり返しなさい。 + 畑で働く外国人は、みな逃げなさい。敵の軍勢が攻めて来るから、自分の国に走って帰りなさい。 + イスラエル人はライオンに追われる羊のようだ。初めはアッシリヤの王がその肉を食い、次にはバビロンのネブカデネザル王が、骨まで食いつくした。」 + そこで、イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「わたしは今度は、アッシリヤを罰したように、バビロンの王とその国に罰を加える。 + わたしはイスラエル人を故国に連れ戻す。彼らはカルメルとバシャンで草を食べ、もう一度、エフライムとギルアデの山々で幸せに暮らすようになる。 + その日には、イスラエルにもユダにも、罪は一つも見当たらなくなる。わたしは残った者たちを赦すからだ。 + わたしの勇士たちよ。メラタイム(南部バビロニヤ)とペコデ(東部バビロニヤ)に攻め上りなさい。わたしがさばこうとしている反逆の国バビロンに、威勢よく進撃しなさい。命令しておいたとおり、彼らを根絶やしするのだ。 + 国中に戦いの雄たけび、大きな破滅の叫びが上がるように。 + 地上のすべての国々を打った強力な金槌は、粉々になった。バビロンは国々の中で、荒れ果てた地となった。 + バビロンよ。わたしがおまえに罠をしかけ、おまえを捕まえた。おまえがわたしに戦いをいどんだからだ。 + わたしは兵器庫を開き、敵に怒りを表そうと武器を取り出した。バビロンに降りかかった恐怖は、天の軍勢の主であるわたしが指図したものだ。 + 遠くから来てバビロンに攻めかかりなさい。穀物倉に押し入り、城壁と家々を壊して高く積み上げ、とことん荒らすのだ。めぼしいものは何一つ残してはならない。 + 家畜にまで、のろいが下るように。それを一頭残らず殺すのだ。バビロンの荒廃の時がきたのだから。 + だが、わたしの民は逃げ出す。彼らは故国に逃れ、彼らの神であるわたしが怒りに燃え、神殿を壊した者たちに仕返ししたと報告する。 + 弓を引く者をバビロンに呼び集めなさい。この都を包囲し、蟻一匹はい出るすきもないようにするのだ。バビロンがほかの国々にしたとおりに報いなさい。彼らはイスラエルのきよい神であるわたしに大言壮語し、公然と反抗したからだ。 + 若者は路上に倒れて死に、勇士は皆殺しになる。 + 思い上がっている者たちよ。わたしはおまえたちの敵になる。おまえたちのさばきの日が、ついにきたのだ。 + 高ぶる国よ。おまえはつまずいて倒れるが、だれも起こしてくれない。わたしが町々に火をつけ、何もかも灰にするからだ。」 + 天の軍勢の主はこう言います。「捕虜になったイスラエルとユダの民は虐待されている。主人たちは彼らを釈放しようとしない。 + だが、彼らを救い出す者は強く、その名は天の軍勢の主だ。わたしは彼らの訴えを聞き、彼らが自由の身となり、再びイスラエルの地で平穏に暮らせるように取り計らう。だが、バビロンの住民に安息はない。 + 破滅の剣がカルデヤ人に切りかかる。その剣はバビロンの住民を、重立った者も知恵のある者も区別なしに切りまくる。 + 賢い助言者も愚かになり、何ものをも恐れない勇士もあわてふためく。 + 戦いが起こって、馬も戦車ものみ尽くす。同盟を結んだほかの国々の者たちは、女のように弱くなり、財宝はみな略奪される。 + そればかりか、水の補給さえなくなる。どうして、このようになるのだろうか。国中に神々の像が立ち、民が熱心に偶像を慕っているからだ。 + バビロンの都は、だちょうや山犬、荒野の野獣の住みかとなり、人は二度と住みつかない。永久に荒れ果てた地となる。 + わたしは、ソドムとゴモラとその近くの町々を滅ぼしたように、バビロンを滅ぼす。これらの町々に人が住まなくなったように、バビロンにも人が寄りつかなくなる。」 + 北から大軍が押し寄せて来ます。神が多くの国から呼び集めた王たちが、この軍隊を指揮しています。 + 彼らは完全武装していて、残忍で容赦しません。その雄たけびは、海辺に打ち寄せる波のように響き渡ります。バビロンよ。彼らは戦いのしたくを整え、馬に乗って攻めかかります。 + バビロンの王は、敵が来たという報告を受けると、肩を落としました。産みの苦しみをしている女のように、恐怖の苦痛に取りつかれたからです。 + 「ヨルダンの密林から出て、草を食べている羊に飛びかかるライオンのような侵略者が、彼らに突然襲いかかるようにする。彼らを守る者たちを追い払い、わたしの気に入った指導者を立てる。わたしのような者がいるだろうか。わたしの決めたことに反抗する支配者が、どこにいるだろうか。だれがわたしを呼びつけて、説明を求めることができようか。 + カルデヤ人の国バビロンへの、わたしの計画を聞きなさい。小さな子どもたちでさえ、奴隷になって引かれて行く。身の毛もよだつほど恐ろしいことではないか。 + バビロンの倒れる地響きで、全地は揺れ動く。その断末魔の叫びは、世界の隅々に届く。」 + + + 神はこう言います。「わたしは、カルデヤ人の住むバビロンを隅々まで滅ぼす者たちを、勇気づける。 + ふるい分ける者たちが来て、バビロンをふるいにかけ、風を起こして吹き飛ばす。彼らは、災いの日に四方八方から来て、攻め立てる。 + 敵の矢はバビロンの射手を倒し、勇士のよろいを貫く。生き延びる者は一人もいない。若者も老人もみな、いのちを落とす。 + カルデヤ人の地に倒れ、めった切りにされて路上で息絶える。 + わたしは、イスラエルとユダを見捨てたわけではなく、依然として彼らの神である。だがカルデヤ人の地は、イスラエルのきよい神に対する罪で満ちている。」 + バビロンから逃げ出し、自分のいのちを救いなさい。罠にかかってはいけません。そのまま残ったら、神がバビロンのすべての罪に報復する時、巻き添えを食います。 + バビロンは、主の御手にある金の杯のようでした。すべての国々はこれから飲んで、酔いつぶれました。 + ところが今度は、突然、そのバビロンが倒れたのです。この国のために泣きなさい。薬を与えなさい。もしかしたら、元どおりになるかもしれません。 + できることなら助けたいのです。しかし今となっては、どんな手を打っても救えません。この国を見捨てて、故国へ帰りなさい。主がこの国に天罰を下したからです。 + 主は私たちの顔を立ててくださいました。さあ、エルサレムで、神のなさったすべてのことを言い広めましょう。 + 矢じりを研ぎ、盾を高く掲げなさい。主はメディヤ人の王たちを勇気づけてバビロンに乗り込ませ、これを滅ぼすことに決めたからです。これが、神の民を虐待し、神殿を汚した者たちへの報復です。 + バビロンよ、守備を固め、城壁に見張りを大ぜい立て、伏兵を隠しておきなさい。神は宣言したことをみな実行するからです。 + 商業の中心地である繁栄した港よ。いのちの糸が切られる最期の時がきました。 + 天の軍勢の主はご自分の名にかけて、こう誓いました。おまえの町々は、無数のばったが群がる畑のように、敵兵であふれ返る。彼らは、天にも届けとばかり、勝ちどきを上げる。 + 神は力と知恵をもって地をお造りになりました。すぐれた知性をもって天を張り広げました。 + 神が口を開くと大空に雷がとどろき渡ります。神は大地から水蒸気を上らせ、ご自分の倉から、雨と風を伴ういなずまを取り出します。 + 神に比べたら、人間は愚かな獣で、一かけらの知恵もありません。金細工人は偶像を作るたびに、ますます良心が鈍くなります。偶像には、いのちのしるしである息がないのに、それを作るたびに神ができたと言って、うそをつくからです。 + 偶像は、むなしいものです。神が来てそれをみな滅ぼす時が近づいています。 + イスラエルの神は偶像ではありません。この神があらゆるものを造り、イスラエルをご自分の民としました。その名は天の軍勢の主です。 + バビロンは神のための戦いの斧であり、また剣です。主は言います。「わたしは国々を木端微塵に砕き、多くの王国を滅ぼすためにおまえを用いる。 + おまえを使って軍勢を蹴散らし、馬と乗り手を倒し、戦車とそれに乗っている者を打ち砕く。 + おまえを使って、年老いた者も若者も、若い男も若い女も、 + 羊飼いも羊の群れも、農夫も牛も、指揮官も総督も倒す。 + わたしはイスラエルの目の前で、バビロンとカルデヤ人に報いる。彼らがわたしの民に加えたすべての悪に仕返しするのだ。 + 全世界を破壊する大きな山、バビロンよ。わたしはおまえを攻める。おまえにこぶしを振り上げ、高い所から突き落とし、おまえを焼けただれた山にする。 + おまえは永久に荒れ地となり、おまえの石さえも、建築用として再生されることはない。おまえは地上から完全に一掃されるのだ。」 + 多くの国々に合図して、バビロンを攻める兵士を集めなさい。雄たけびをあたりに響かせなさい。アララテ、ミニ、アシュケナズの軍隊を呼びなさい。指揮官を決め、長蛇の列をなして馬を進めなさい。 + バビロンめざして、メディヤ人の王たちと将軍たち、その支配下の国々の軍隊を攻め上らせなさい。 + バビロンは震え、苦痛で身もだえします。主がこの国について計画したことはみな、少しも変更されないからです。バビロンは、だれも住まない荒れ地となります。 + 大勇士でも、戦う気力を失い、仮小屋に引きこもります。力が尽きて、女のようになるのです。侵略者たちは家々を焼き、町の門を壊しました。 + 伝令が四方八方から王のもとへ駆けつけ、何もかも失われたと報告します。 + 退路はすべて断たれ、とりでは焼き払われ、兵士たちは大混乱に陥っています。 + イスラエルの神である天の軍勢の主が、こう言ったからです。「バビロンは打ち場に積まれた麦のようだ。もうすぐ、からざおで打たれる。」 + バビロンのユダヤ人たちは訴えます。「バビロンのネブカデネザル王は、私たちを食い物にし、踏みつけ、骨なしにしました。怪物のように私たちをのみ込み、私たちの財宝で腹を満たし、私たちをイスラエルから追放しました。バビロンに、このすべての悪事の報いを刈り取らせ、その手で流した私たちの血を完全に償わせてください。」 + それに対して、主はこうお答えになります。「わたしはおまえたちを弁護する者となり、おまえたちのために報復する。バビロンの川を干上がらせ、水の補給を断つ。 + こうしてバビロンは、石くれの山となり、山犬が住みつき、だれもいない見るも恐ろしい地となる。 + バビロニヤ人は宴会を開いて、ライオンのようにほえる。 + 彼らがありったけのぶどう酒を飲んで気持ちが大きくなっている時、わたしは彼らのために別の宴会を設け、彼らが意識を失って倒れ、永遠の眠りにつくまで飲ませる。 + 彼らを子羊のように、また雄羊や雄やぎのように、ほふり場に引いて行く。 + 全世界の人のあこがれの的だった、あの偉大なバビロンは、なぜ倒れたのか。世界は、バビロンが倒れるのを見て、目を疑う。 + 海がせり上がってバビロンを包むと、それは波に覆われた。 + 町々は廃墟となった。バビロンは、誰ひとり住まず、旅人さえ寄りつかない、乾ききった荒れ地となる。 + わたしはバビロンの神であるベルを罰し、その口から、彼がのみ込んだ物を取り出す。諸国の民は二度と彼を拝まない。バビロンの城壁は倒れてしまった。 + わたしの民よ、バビロンを脱出し、わたしの激しい怒りから自分を救いなさい。 + 外国の軍隊が近づいて来るといううわさを聞いても、うろたえてはならない。うわさは、いつになっても絶えないものだ。だが、この国に内戦が起こり、各州の総督が互いに戦う時がくる。 + わたしがこの大都市とこの国のすべての偶像を罰する時が、きっとくる。そうなれば、町中に死人が転がるようになる。 + バビロンを攻める強力な軍勢が北から来るので、天も地も喜ぶ。」そう主は言います。 + かつてイスラエルの民を殺したように、今度はバビロンが殺される番です。 + 剣から逃れた者は、立ち止まって、あたりの様子を見ていてはいけません。力の限り逃げなさい。主を思い出して、はるかかなたのエルサレムへ帰って行きなさい。 + 「バビロンから来た外国人たちの手で神殿が汚されたので、私たちはとても恥ずかしい思いをしました。」 + 「そのとおりだ」と、主は言います。しかし、バビロンの偶像が壊される時が近づいています。国中に、傷ついた人のうめき声が聞こえます。 + 「たとえ、バビロンが天のように高くなり、その力が信じられないほど増し加わったとしても、必ず死ぬ」と、主は言います。 + カルデヤ人の支配する地、バビロンに上がる大きな破壊の叫びを聞きなさい。 + 主はバビロンの息の根を止めます。その大きな声も、やがては大波にのまれて消えます。 + すべてのものを破壊する軍勢が攻めて来て、勇士たちを滅ぼします。武器という武器はどれも、まるで役に立ちません。神がバビロンに与えるものは、当然の刑罰だけです。 + 「わたしは、この国の重立った者、知恵のある者、支配者、指揮官、それに勇士たちを酔いつぶす。彼らは深い眠りに落ち、二度と目を覚まさない。」こう天の軍勢の主である王が言います。 + バビロンの厚い城壁はくずれて平らになり、高い城門も無残に焼け落ちます。多くの国から呼び集められた建築士は、造った物が火で焼かれるため、むだ骨を折ったことに気づきます。 + ゼデキヤ王の治世の第四年に、エレミヤを通して、次のことばがマフセヤの子のネリヤの子セラヤにありました。それは、宿営長セラヤがユダのゼデキヤ王と共に捕まり、バビロンへ流される、というものでした。 + エレミヤは、先に書いたような、神がバビロンに下そうとしているすべての災害を巻物に書き留め、 + その巻物をセラヤに渡して言いました。「バビロンに着いたら、私の書いたことを読み、次のように言いなさい。『主よ。あなたはバビロンを滅ぼし、そこを猫の子一匹いない、永遠に見捨てられた所にする、と語りました。』 + 読み終えたら、石を結びつけてユーフラテス川に投げ込み、こう言いなさい。『このように、バビロンは沈み、二度と浮かび上がらない。わたしがこの国に災いを招くからだ。』」これで、エレミヤのことばは終わります。 + + + (以下は、三十九章の記事の補足です。)ゼデキヤは二十一歳で王となり、十一年間エルサレムで王座につきました。彼の母はリブナ出身のエレミヤの娘で、名をハムタルといいました。 + ところが彼は、先代のエホヤキムのように悪名の高い王でした。 + 悪事の限りを尽くす王に、神はとうとう怒りを燃やし、バビロン王に反逆するよう仕向けたのです。こうして王とイスラエルの民は、神の前から追放され、エルサレムとユダをあとにして、遠くバビロンへ捕虜として連れ去られました。 + ゼデキヤが即位して九年目の、十二月二十五日(ユダヤ暦では十月十日)に、バビロンのネブカデネザル王は全軍を率いてエルサレムを攻め、周囲にとりでを築き、 + 二年間この町を包囲しました。 + 六月二十四日(ユダヤ暦では四月九日)になって、町ではききんがひどくなり、ついに最後の食糧も底をついたので、 + 住民は城壁に穴をあけ、また兵士たちもみな夜の闇にまぎれ、王の庭園の近くにある二重の城壁の間にある門を通って、町の外へ逃げました。町はカルデヤ人にすっかり囲まれていたからです。人々は野原を横切り、アラバめざして急ぎました。 + しかし、カルデヤ兵はあとを追い、エリコに近い野原で、護衛兵に逃げられて孤立しているゼデキヤ王を捕まえました。 + 兵士たちは、ハマテのリブラという町にいるバビロン王のところへ彼を引き立てて行き、そこで軍事裁判にかけました。 + ゼデキヤは、目の前で、息子をはじめユダの重立った人たちが虐殺されるのを見せつけられたあと、 + 両眼をえぐり出され、鎖につながれてバビロンへ引いて行かれ、死ぬまで牢に閉じ込められていました。 + バビロンのネブカデネザル王が即位して十九年目の七月二十五日(ユダヤ暦では五月十日)に、親衛隊長ネブザルアダンがエルサレムに乗り込んで、 + 神殿と王宮、それにすべての邸宅を焼き、 + 兵士たちに、町の城壁をいっせいに取り壊すように命じました。 + それから、貧しい人々の一部、町が壊された時に生き残っていた者、ゼデキヤを見限ってバビロン軍に投降した者、それにまだ残っていた交易商人を、捕虜としてバビロンへ連れて行きました。 + しかし貧しい人々の一部は残して、ぶどう園の手入れをさせたり、畑を耕させたりしました。 + バビロニヤ人は、神殿の入口に立つ二本の大きな青銅の柱と、牛の形をした青銅の台と、その上にすえてある青銅の洗盤を取りはずして、バビロンへ運びました。 + また、すべての青銅のつぼと湯わかし、祭壇で使う十能、芯切りばさみ、そのほか神殿で使ういっさいの器具を差し押さえました。 + さらに、火皿、純金と純銀の燭台、茶わん、鉢も奪いました。 + 途方もなく大きな二本の柱、洗盤、それに十二の青銅の牛の重さは、大変なものでした。とても量りようがありません。みな、ソロモン王の時代に作られたものです。 + 柱はそれぞれ高さ九メートル、周囲六メートル、厚さ八センチで、中は空洞でした。 + 柱の頭の部分二‧五メートルは、青銅のざくろを彫刻した網目模様になっていました。 + 回りには九十六のざくろがあり、周囲の網細工には、さらに百のざくろがありました。 + 親衛隊長はまた、祭司長セラヤと次席祭司ゼパニヤ、三人の神殿警備隊長、軍の参謀、町の中で見つかった王の特別補佐官七人を捕まえました。さらに、ユダヤ軍の徴兵指揮官と、隠れていた六十人の高官も捕まえました。 + そのあと、彼らを、リブラにいるバビロン王のところへ連れて行ったのです。 + 彼らは王の命令によって、一人残らず死刑になりました。こうしてユダの民は、捕虜となって故国をあとにすることになったのです。 + ネブカデネザルが即位して七年目に、捕虜としてバビロンへ連れ去られた人々の数は、三千二十三人でした。 + それから十一年後には、八百三十二人が加わりました。 + さらに五年後、王の命令を受けた親衛隊長ネブザルアダンは、七百四十五人を連れて来ました。結局、合計で四千六百人です。 + ユダ王国のエホヤキン王が、バビロンの牢に入って三十七年目の三月十日(ユダヤ暦では十二月二十五日)に、その年バビロン王となったエビル‧メロダクは、エホヤキンに親切にし、彼を牢から出しました。 + しかも、親しみを込めて彼に話しかけ、バビロンのどの総督よりも高い位を与え、 + 新しい衣服をあてがい、生涯、いつも王の料理係の作る物を食べさせました。 + エホヤキンは死ぬ日まで、生活費を王から支給されました。 + +
+
+ + かつて人々でにぎわっていたエルサレムの通りが、今はひっそり静まり返っています。諸国の女王だった町は今では奴隷のようで、悲しみに沈む未亡人のように座り込んで嘆いています。 + 夜通し泣いて、涙が彼女の頬を伝います。恋人たち(エジプトや他の同盟国)は、誰ひとり声をかけてもくれません。今ではみな、敵となっているからです。 + ユダは労役で苦しんだ果てに、捕囚となって遠い国へ引いて行かれたのです。今は征服者の手に落ち、外国で不安な毎日を過ごしています。 + シオン(エルサレム)への道は、神殿で例祭を祝うにぎやかな参拝客の列も途絶え、すっかりさびれて、憂いに沈んでいます。都の城門はさびつき、祭司たちはうめき、おとめたちは悲しみに打ちひしがれています。シオンは泣き伏しています。 + 敵がわがもの顔に振る舞っています。エルサレムの多くの罪のために、主が罰を加えたからです。幼い子どもたちは捕らえられ、奴隷として遠くへ連れ去られました。 + シオンの美しさも威厳も、すっかりなくなりました。指導者たちは、あてもなく牧草地をさまよう飢えた鹿のようで、敵に出会っても逃げる力さえありません。 + エルサレムは悲しみのどん底で、過ぎ去った楽しい日々を思い浮かべます。今はもう、援助の手を伸ばしてくれる者もなく、屈した敵の前で、あざけりの的となっています。 + エルサレムは罪に罪を重ねたので、汚いぼろきれのように捨てられました。丸裸にされ、人前にさらされ、かつては尊敬の眼で見た人たちも、今では軽蔑のまなざしを向けるだけです。彼女はあまりの恥ずかしさにうめき、顔を隠します。 + この都は不品行の罪にうつつを抜かし、確実に罰が下るという事実に顔を背けていました。落ちぶれてしまった今、だれも助けてくれないので、彼女は叫びます。「ああ主よ、私の不幸に目を留めてください。敵はあんなに勝ち誇っています。」 + 敵は貴重品をすべて取り上げ、彼女を無一物にしました。そればかりか、神聖な神殿を荒らし回りました。そこに入ることさえ神が禁じた外国人によって。 + 民はうめき、必死にパンを探し求めます。持ち物を全部売り払い、少しでも体力を回復しようと、食べ物をあさります。「主よ、ごらんください。私がどんなにさげすまれているかを知ってください」とエルサレムは祈ります。 + 道行く人よ、何とも思わないのですか。主が燃える怒りの日に、こんなにも私を悩ませたのです。これ以上の悲しみを見たことがあるでしょうか。 + 主が天から送った火は、私の骨の中で燃え続けています。主は行く道に落とし穴を置き、私を追い返しました。私を病気にしたまま置き去りにし、つらい思いをさせました。 + 主は私の罪を編んで綱とし、それで私を引いて、奴隷のくびきに結びつけました。私を骨抜きにして、敵の手に渡しました。私は敵のなすがままになっています。 + 主は味方の勇士をみな踏みつけました。主の命令によって強力な軍隊が押し寄せて来て、すぐれた若者たちを倒しました。主は愛する都を、酒ぶねのぶどうのように踏みつぶしました。 + このことで、私は泣いています。私を助けられるのは主だけだというのに、主は私を慰めもせず、遠く離れて立っています。子どもたちに未来はありません。私たちは征服された民です。 + エルサレムは助けを求めて哀願しますが、だれも慰めてくれません。主がこう語ったからです。「隣人が敵となれ。この都は悪臭を放つぼろきれのように、投げ捨てられてしまうがいい。」 + 主がこう言うのも、もっともなことです。私たちは神に反逆したからです。しかし、すべての国々の民よ、私の苦悩と絶望に目を留めてください。息子も、娘も、奴隷として遠い国へ引いて行かれました。 + 私は同盟国の助けを求めましたが、彼らは少しも役に立たず、がっかりするばかりでした。祭司も、長老も、同じことでした。彼らは、残飯をあさってうろつきながら、道ばたで飢え死にしたのです。 + 主よ、私の苦しみに目を留めてください。私の心は傷つき、たましいは絶望にあえいでいます。私がひどく背いたからです。外に出ると、剣が待ち伏せし、家にいても、病気と死が私を捕らえて放しません。 + 私のうめきを聞いてください。助けてくれる者はどこにもいません。敵は私が苦しんでいるのを聞きました。彼らは、主が私に罰を加えたと知って、喜んでいます。しかし主よ。お約束どおり、彼らも私と同じ目に会う時が来るはずです。 + 主よ、彼らの罪にも目を留め、あなたが私に下したのと同じ罰を彼らにも下してください。私はため息をくり返し、私の心はしおれきっているのです。 + + + 主の怒りの雲がエルサレムを覆いました。イスラエルで最も美しい町は、ちりの中に伏し、主の命令によって天から投げ落とされました。御怒りの燃え上がる日になると、神はご自分の宮にさえ、一かけらのあわれみもかけませんでした。 + 主は容赦なく、イスラエル中の家を倒し、怒りにまかせて、すべての要塞と城壁を壊しました。この国を、支配者もろとも地にたたきつけたのです。 + イスラエルの力は、主の憤りの前に、あえなく消滅します。主は敵が攻めて来た時、擁護から手を引きました。神は猛り狂う火のように、イスラエルを焼き尽くします。 + 神はご自分の民に向けて、まるで敵でもあるかのように弓を引きます。主の御力は彼らに向かい、えり抜きの若者たちを虐殺し、憤りの火を注ぎます。 + 主は、敵のようになって、イスラエルを地上から抹殺し、その要塞と宮殿を破壊しました。こうして、悲しみと涙がエルサレムの受ける分となったのです。 + 主は、庭先の木の枝と葉で作ったあばら屋のように、ご自分の神殿を手荒く壊しました。もう例祭と安息日を守ることができません。王も、祭司も、主の激しい怒りの前に倒れます。 + 主はご自分の祭壇から顔を背けました。形ばかりの礼拝に失望したからです。主は宮殿を敵の手に渡しました。彼らは、例祭の日にイスラエル人がしたように、神殿で飲み騒ぎました。 + 主はエルサレムを滅ぼそうと決め、「破壊」という物差しでこの都を測ったのです。それで、とりでも城壁も音を立ててくずれました。 + エルサレムの門はもう役に立ちません。主の手にかかって、錠もかんぬきも壊されたからです。王も首長も奴隷となり、引かれて行きました。そこには神殿もなく、生活の指針となる律法もなく、預言者の幻もありません。 + エルサレムの長老たちは、荒布をまとって地に座り、黙り込んでいます。彼らは悲しみ、失望して、頭にちりをかぶります。おとめたちも、恥ずかしがって頭を垂れます。 + 私は涙のかれるまで泣きました。同胞の身に起こったことを見て、悲しみのあまり胸が張り裂け、身を切られる思いでした。幼い子どもや、生まれたばかりの赤ん坊が、道ばたで衰弱し、息絶えていくのです。 + 子どもたちは「何か食べたい」と訴えるように、乳の出ない母の胸に顔を埋めます。小さないのちは、戦場で傷ついた兵士のように消えていきます。 + 今までこんな悲惨なことがあったでしょうか。エルサレムよ。あなたの苦悩を何にたとえたらよいでしょう。どのようにして慰めたらよいのでしょう。その傷は海よりも深く、だれにもいやせません。 + 預言者たちは、多くのまやかしを預言しました。あなたの罪を指摘して、何とかしてあなたが奴隷にならないようにしようと、努力することもありませんでした。うそを並べ立て、万事うまくいくと言ったのです。 + 道行く人たちはみな、あざけって頭を振り、「これが『世界で最も美しい都』とも、『全地の喜び』とも呼ばれていた町なのか」とさげすみます。 + 敵はあなたをあざ笑い、ののしって言います。「とうとう、この都を滅ぼしたぞ。待ちに待った時がついにきた。この目で、都が倒れるのを見た。」 + しかし、このようにしたのは主です。主は、警告どおりのことをしたのです。ずっと前から決めていたエルサレムを破壊するという約束を実現させたのです。容赦なくエルサレムを滅ぼし、敵がこの町のことで喜び、自分たちの力を自慢するように仕向けたのです。 + その時、人々は主の前で泣きました。エルサレムの城壁よ、昼も夜も、存分に泣きなさい。涙が川となって落ちるまでに。 + 夜を徹して、神に叫びなさい。主に向かって両手を上げ、心を水のように注ぎ出しなさい。飢えて道にしゃがみ込んでいる子どもたちのために、ひたすら祈りなさい。 + 主よ、思い直してください。このような仕打ちをしている相手は、神の民ではありませんか。母親が、ひざの上であやしたわが子を食べていいのでしょうか。祭司や預言者が、神殿で殺されてよいのでしょうか。 + 老人も幼い者も、男も女も、敵の剣にかかって路上に倒れています。主よ。あなたが怒って無慈悲に殺したのです。 + あなたが、この恐ろしい破壊を招き寄せたのです。あなたの怒りの日、逃げ延びた者や生き残った者は、一人もいません。幼い子どもたちはみな敵の手に落ち、冷たくなって路上に横たわっています。 + + + 私は、神の激しい怒りのむちが振り下ろされるのを、この目で見ました。 + 主は暗闇の底に私を連れて行き、いっさいの明かりを吹き消しました。 + 私に襲いかかる主の御手は、昼も夜も重くのしかかっています。 + 私は憔悴しきって、すっかり老け込んでしまいました。 + 主は私の前にとりでを築き、苦しみと悩みで私を取り囲みました。 + 私を、ずっと前に死んだ者のように、暗がりに埋めました。 + 主が私を閉じ込めたので、どんなにもがいても逃げられません。主は私を重い鎖でつなぎました。 + 私がどんなに声を張り上げても、主は祈りを聞こうとされません。 + 私は、高い崖が周囲にそそり立つ所に閉じ込められ、どんなに急いでも、道を先へ進めません。 + 主は熊やライオンのように、私に襲いかかろうと待ち伏せています。 + 主は私をやぶに引きずり込み、前足でずたずたに引き裂いて、置き去りにしました。 + 主は弓を引きしぼり、私にねらいをつけました。 + その矢は、私の心臓に突き刺さりました。 + 同胞は私を笑い者にし、一日中、下品な歌であざけります。 + 主は私に悲しみの杯を飲ませたので、口の中が苦くなりました。 + 小石を食べさせられ、歯が折れました。主は、私が灰とちりの中を転げ回るようにしました。 + 主よ、平和も繁栄も、ずっと前に姿を消しました。あなたが取り去ったからです。私は、楽しみとはどんなことか、すっかり忘れ、 + 夢も希望もなくなりました。もう気力さえ残っていません。主が私を置き去りにしたからです。 + どうか、私に突きつけた苦い杯と苦しみとを思い出してください。 + 私は身のすくむような恐ろしい年月を、忘れようにも忘れられません。私のたましいは屈辱に沈んだままなのです。 + それでもなお、一つの望みが残っています。 + 主の恵みは決してなくなることがない、ということです。私たちが滅亡しなかったのは、主の恵みによります。 + 神の真実は限りなく、その恵みは朝ごとに新しくなります。 + 主こそ私の受ける分で、私は主に望みを置きます。 + 主は、ご自分を待ち望む者、ご自分を求める者をいつくしみます。 + 主の救いだけに望みを置いて、静かに待つのは良いことです。 + 若い時にきびしく訓練されるのは良いことです。 + その人は主から命令があったとき、黙ってそれを受け止め、 + 下を向きますが、ついには希望を見いだすようになります。 + 自分を打つ者にもう一方の頬を向け、ひどい侮辱を受けなさい。 + 主がいつまでも見捨てておくはずがないからです。 + たとえ、彼に悩みを与える場合でも、主は恵み深いお方ですから、忘れずにあわれみをかけてくれます。 + 主は意味もなく人を苦しませ、悲しませたりはしません。 + しかし、あなたは身分の低い者を踏みつけ、神に与えられた彼らの権利を奪い、公平に扱いませんでした。だから今、主がつらく当たるのは当然のことです。 + 主の許しがなければ、だれもあなたに、あれほどひどい仕打ちをするはずがありません。 + ある人を助け、ほかの人に災いを下すのは主です。 + どうしてただの人間にすぎない私たちは、自分の罪のために罰を受けたからといって、つぶやいたり、不平を言ったりするのでしょう。 + むしろ、自分自身を振り返り、悔い改めて、主に立ち返るべきです。 + 手だけでなく、心もいっしょに、天におられる神に向けようではありませんか。 + 私たちは罪を犯したのです。主に反抗し、主は、そのことを忘れませんでした。 + 主よ。あなたは怒って私たちを追いつめ、容赦なく打ちました。 + あなたは雲で姿を隠しているので、私たちの祈りは届きませんでした。 + あなたは私たちを、国々の間で、ごみのように捨てられるものとしました。 + 敵はみな、私たちに大きな口をたたきました。 + 私たちは罠にかかり、見殺しにされたので、恐れに取りつかれました。 + 同胞が滅んでいくのを見て、昼となく夜となく、涙があふれ出ます。 + ああ、主が天から見下ろして、私の叫びに答えてくださるとよいのに。 + 私の胸は、エルサレムの娘たちの災いを知って、張り裂けんばかりです。 + 今までに一度もこちらから害を加えたことのない敵が、まるで鳥をねらうように、私を追いかけました。 + 彼らは私を井戸に放り込み、大きな石でふたをしたのです。 + 水が頭の上まで来たので、これで終わりだと思いました。 + しかし主よ。私は井戸の底から、主の名を呼びました。 + すると、あなたはその叫びを聞いてくださいました。私の訴えに耳を傾け、私の泣き声を聞かれたのです。 + 私の絶望の声を聞いて近づき、「恐れてはいけない」と語りました。 + 私を弁護してくれる主よ、私をお守りください。あなたは私のいのちを買い戻してくださったのです。 + あなたは、敵が私にどんなことをしたかを見ました。裁判官となって、私の身の潔白を証明してください。 + あなたは、敵が企んださまざまの陰謀を見て、 + 聞くに耐えない名で私を呼んだのをご存じです。 + また、彼らが私について言っていること、ひそひそ声で相談している計画をご存じです。 + 私の失脚を謀って、あざ笑い、はしゃいで歌っている様子を見てください。 + 主よ、彼らのしたすべての悪に、報いてください。 + 主よ、彼らを強情にし、のろってください。 + とことんまで追いつめ、天の下から根絶やしにしてください。 + + + どうして、純金は光沢を失ったのでしょうか。それを埋め込んだ神殿の壁がくずれ落ち、道ばたに散らばったからです。 + 純金とも言うべき、えりすぐりの若者が、土の器のように扱われています。 + 山犬でさえ、自分の子を育てるというのに、イスラエルは荒野のだちょうのように、赤ん坊の泣き声を聞いても知らぬふりをしています。一滴の水も残っていないので、子どもたちは渇きのため、のどがかれています。幼子はパンが欲しくて泣きますが、誰ひとり、一かけらも与えることができません。 + 味にうるさい美食家たちも、口に入る物なら何でも恵んでくれと、道ばたで物乞いしています。宮殿育ちの貴族までが、ごみ捨て場をあさります。 + それというのも、イスラエルの罪は、またたく間に、人の手によらず滅んだソドムの罪より大きいからです。 + 上流階級の人たちは、ほっそりして日に焼け、見るからに健康そうで、最高の人々でした。 + それが今では、顔はすすけたように真っ黒です。町の中にいても見分けがつきません。皮膚はかさかさに乾いてしなび、骨にへばりついています。 + 剣でひと思いに殺される者は、飢えのためにじわじわと死に追いつめられる者よりはるかにましです。 + 心の優しい女でさえ、生き延びるために、自分の腹を痛めた子どもを食べました。 + こうして主の怒りは晴らされ、激しい憤りが出し尽くされました。主がエルサレムに放った火は、その土台まで焼き尽くしました。 + 世界中のだれもが、まさか敵軍がエルサレムの門を破るとは、夢にも思いませんでした。 + 神がそれを許したのは、罪のない者の血を流して都を汚した預言者や祭司たちの罪のためです。 + 今や、彼らは血にまみれ、触れるものは何でも汚しながら、あてもなく町の中をさまよい歩いています。 + 彼らを見て、人々は「あっちへ行け。汚らわしい」と叫びます。彼らは遠い国へ逃げて行き、外国人の居留地をなおさまよい歩きます。しかし、どこへ行っても仲間はずれで、誰ひとり居住権を与えてくれません。 + 主は彼らにつらく当たり、援助の手を伸べるのを差し控えました。神に最後まで忠実だった祭司や長老たちを、彼らが迫害したからです。 + 私たちは、同盟国の助けを待っていましたが、来ませんでした。最もあてにしていた国さえ、少しも動こうとしませんでした。 + 一歩外に出れば、身の危険にさらされどおしです。私たちの最期は間近です。私たちの余命は、もう数えるほどしかありません。私たちは滅亡の宣告を受けています。 + 敵はわしより速く飛ぶので、たとえ山へ逃げても、すぐに見つかります。荒野に隠れても、先回りして待っています。 + 頼みの綱であった、主に油注がれた私たちの王は、敵の罠にかかって捕まりました。この偉大な王さえいれば、どんな国が来ても大丈夫だったのに。 + ウツの地に住むエドムの人たちよ。喜んでいるのですか。しかしあなたがたも今に、主の恐ろしい怒りを感じるようになります。 + イスラエルは罪を犯して遠い国へ移されましたが、刑期はやがて終わります。しかしエドムの刑期は、いつまでも終わりません。 + + + 主よ、私たちの身に起こったことをみな思い出してください。私たちが、どんなに大きな悲しみを忍ばなければならないかに、目を留めてください。 + 私たちの家にも、国にも、見知らぬ外国人が住みついています。 + 父親は死に、母親は未亡人となり、私たちは孤児となりました。 + 飲み水にさえ、金を払わなければならなくなりました。たきぎを買おうとすると、とほうもない値段をつけられます。 + 私たちは支配者の足もとにひれ伏し、いつ終わるとも知れない労働にせき立てられます。 + パンを得るために、エジプトやアッシリヤに頭を下げます。 + 私たちの先祖は罪を犯しましたが、さばきが下る前に死にました。私たちは、彼らの受けるはずの刑罰を背負い込んだのです。 + 以前は私たちに仕えていた召使が、今では主人に取って代わりました。私たちを救ってくれる者は一人もいません。 + 私たちは、敵に襲われていのちを落とすのを覚悟して、食べ物を探しに荒野へ行きました。 + 皮膚は、飢えのため黒ずんできました。 + 敵はエルサレムの女や、ユダの町々の娘を辱めました。 + 指導者たちは彼らの手でつるされ、長老たちもさげすまれました。 + 彼らは、ひき臼をひかせるために若い人たちを、重い荷をかつがせるために幼い子どもたちを、労働力として連れ去りました。 + もう町の門に、老人たちは座っていません。若者が踊ったり歌ったりする姿も、もう見ません。 + 喜びを忘れ、踊りは死の踊りとなりました。 + 私たちの栄光は去り、頭から冠が転げ落ちました。私たちが罪を犯したために、災いが降りかかったのです。 + 私たちの心は弱って疲れはて、目はかすんでいます。 + エルサレムと神殿は荒れはてて、住む人もなく、いるのは廃墟を歩き回る野獣だけです。 + 主よ。あなたはいつまでも変わらないお方で、御座は永久に続きます。 + それなのになぜ、私たちを忘れてしまったのですか。なぜ、こんなに長い間、見捨てておくのですか。 + 私たちに御顔を向け、もう一度、みもとに戻してください。それだけが私たちの望みです。以前の喜びを返してください。 + それとも、神は私たちをすっかり見放してしまったのですか。まだ私たちを怒っているのでしょうか。 + +
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+ + ブジの息子である私エゼキエルは祭司でしたが、バビロンに連れて来られた捕囚のユダヤ人の一人として、ケバル川のほとりに住んでいました。第四の月の五日、突然、天が開いて、私は神からの幻を見たのです。その時、私は三十歳になっていました。 + その幻の中で、私は見たのです。北の方から、燃える火のような巨大な雲を前面に押し出しながら、激しい嵐が私を目がけて突進して来ます。雲に包まれた火は絶え間なく閃光を放ちながら、火の中には、みがき上げた真鍮のように輝くものがありました。 + すると、その雲の真ん中から、人間のように見える奇妙な姿をした四つのものが現れました。 + その四つのものは、それぞれ四つの顔と二対の翼を持っていました。 + 足は人間の足のようですが、先が子牛のひづめのように分かれていて、みがいた真鍮のように輝いているのです。 + また、それぞれ翼の下から人間の手が出ているのが見えました。 + この四つの生きものは翼を連ねて、曲がらずにまっすぐ飛んで来ました。 + それぞれの顔は、正面は人の顔、右側はライオンの顔、左側は牛の顔、背面はわしの顔でした。 + それぞれの二対の翼は、背中の中央から広げられ、一対は両側の生きものの翼に触れ合い、他の一対は体を覆っていました。 + そして、彼らの霊が行く所はどこへでも、曲がることなく、まっすぐに進んで行きました。 + これらの生きものの間を、赤く燃える炭火や明るいたいまつのように輝く別の生きものがうごめいていました。それらの生きものからは、いなずまが出ていました。 + その生きものたちは、いなずまの光のように速く、あちこち動き回っていました。 + 私がこの光景に見入っていると、四つの生きものの下には、地上でそれらを支えるように四つの輪があるのが見えました。それぞれの生きものに一つの輪がついているのです。 + 輪はみがき上げた琥珀でできているように見え、輪の中にもう一つの輪が内側にあるようにはめ込まれていました。 + これらの輪は、向きを変えずに四つの方向に向かうことができました。 + 四つの輪には縁と輻があり、縁の外側には目がいっぱいついていました。 + 四つの生きものが前方に飛ぶときは輪も前方に動き、上に飛ぶと輪も上に動きました。生きものが止まると輪も止まりました。生きものの霊が輪の中にあったからです。それで、霊が行く所はどこへでも、輪と生きものも行きました。 + 生きものの上に広がった大空は、まるで水晶のように輝き、ことばでは表現できないほどの美しさでした。 + それぞれの生きものの翼は、互いにまっすぐに伸びて触れ合い、もう一対の翼が体を覆っていました。 + 生きものが飛ぶと、翼は打ち寄せる波や神の声のように、あるいは大軍勢の雄たけびのようなとどろきを立てました。生きものは止まると、翼を下に垂れました。 + 生きものが止まるたびに、頭上の水晶のような大空から声が聞こえました。 + 生きものの頭上の空高く、壮麗な青いサファイヤで作った王座のようなものがあり、人間の姿に似た方が座っていたのです。 + その方は、腰から上は、火のように照り輝く、燃える青銅のように見えました。腰から下は炎に包まれ、その方の回りには虹のような輝きがありました。このように、主の栄光が示されたのです。これを見て、私は地にひれ伏しました。そして、私に語りかける方の声を聞いたのです。 + + + その方は私に、「人の子よ、立て。わたしはあなたに語ろう」と言いました。 + その方が語ると、御霊が私の中に入り、私を立たせました。 + 「人の子よ、あなたをイスラエルの国、すなわち、わたしに反逆している国に遣わす。彼らも、彼らの先祖も、この時までわたしに罪を犯し続けてきた。 + 彼らは恐ろしく強情で頑固者だ。それでもわたしは、神である主のことばを伝えるために、あなたを遣わす。 + 彼らは反逆者なのだ。だが忘れてはならない。彼らが聞いても聞かなくても、少なくとも、彼らの間に預言者がいたことだけは知るだろう。 + 人の子よ、彼らを恐れるな。どんなに彼らの脅しが激しく、とげとげしくて、さそりのように突き刺してきても、ひるんではならない。険悪な様相であってもたじろぐな。彼らは反逆者なのだから。 + 彼らが聞こうが聞くまいが、あなたはわたしの言うことを語れ。もっとも彼らは、骨の髄まで反逆者だから聞かないだろうが……。 + 人の子よ、わたしが語ることを聞け。あなたが反逆者になってはならない。口を大きく開けて、わたしが与えるものを食べるがいい。」 + そこで私が見ていると、裏表両面に字が書いてある巻物を持つ手が、目の前に差し出されたのです。その方は巻物を広げましたが、そこには警告や悲嘆や、審判の宣告などがびっしり書かれていました。 + + + その方は命じました。「人の子よ、わたしが与えるものを食べなさい。さあ、この巻物を食べるのだ。それから出て行って、そのことばをイスラエルの民に告げるのだ。」 + 私は巻物を手に取りました。 + 「それを残らず食べなさい」と、その方は言います。食べてみると、なんとみつのように甘い味がしました。 + 命令はさらに続きます。「人の子よ、あなたをイスラエルの民に遣わす。わたしのことばを携えて行け。 + ことばが通じない遠い外国へ遣わすのではない。 + 難しい外国語を話す国に遣わすわけではない。もっとも、そのような国であれば、人々は耳を傾けるだろう。 + わたしがあなたを遣わすのは、イスラエル人のところだ。彼らはわたしの言うことを聞こうとしない。あなたの言うことも聞こうとしないだろう。彼らは強情で、ずうずうしく、頑固なのだ。 + だから、わたしもあなたを彼らと同じように、あつかましい頑固者にした。 + あなたの額を岩よりも堅くした。しかし、彼らがどんなにしぶとい反逆者でも、恐れてはならない。どんなにいやな顔や怒った顔をされても、たじろいではならない。」 + その方は続けて言いました。「人の子よ、まず、わたしのことばをすべて心の奥底に収め、注意深くそれに聞き従いなさい。 + それから、捕囚とされた同胞のところへ行き、彼らが聞いても聞かなくても、『神である主はこう言う』と告げるがいい。」 + すると、御霊が私を持ち上げました。大きな地震のとどろきを伴って、主の栄光が上り始めました。 + それは、生きものたちの翼が互いに触れ合う音と、輪の音でした。 + 御霊は私を持ち上げると、ケバル川のほとりにある、別のユダヤ人居留地テル‧アビブに連れて行きました。私は憤り、苦々しい思いでしたが、神の御手が強く私の上に置かれていました。七日間というもの、私はただ呆然と彼らの中に座っていました。 + 七日目の終わりに、主はこう語りました。 + 「人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの見張り役とした。わたしの民に与える警告をただちに伝えなさい。 + わたしが悪者に、『おまえに死の罰を加える。悔い改めて、自分のいのちを救え』と伝えてほしいとき、そのように警告しないなら、彼らは自分の罪のために死ぬが、わたしはあなたを罰する。彼らの血の責任をあなたに問う。 + だが、あなたがいくら警告しても彼らが罪を犯し続け、いっこうに悔い改めないなら、彼らは自分の罪のために死ぬ。そして、あなたには責任がない。あなたはできるかぎりのことをしたのだから。 + もし善良な人が悪を行っているのに、あなたが警告しないなら、わたしは彼を滅ぼす。以前の善行は何の助けにもならない。彼は自分の罪のために死ぬ。だが、わたしは彼の死の責任をあなたに問い、あなたを罰する。 + もしあなたが警告し、彼が悔い改めるなら、二人とも自分のいのちを救うことになる。」 + 私はどうすることもできないで、主の御手の中にありました。主が「さあ、谷間に出て行きなさい。そこであなたと語ろう」と言ったので、 + 私はすぐに立って谷間へ出て行きました。すると、ケバル川のほとりで最初に見たのと同じ主の栄光を、そこでも見たのです。私は思わず地面にひれ伏しました。 + それから、御霊が私の中に入り、私を立たせました。主は私に命じました。「行って、家に閉じこもりなさい。 + 家から出られないように、あなたの体を動けなくさせる。 + また、あなたの舌を上あごにつかせるので、彼らを責めることができなくなる。彼らは反逆者だからだ。 + だが、わたしがあなたに語るときは、その舌を自由にし、話せるようにする。彼らに『神である主はこう言う』と言いなさい。聞きたい者には聞かせ、聞きたくない者には聞かせてはならない。彼らは反逆者だからだ。 + + + 人の子よ、大きな一枚の粘土板を置いて、その上にエルサレムの町の地図を描きなさい。 + 町を攻撃するために築かれるとりで、町を包囲する敵軍の陣営、さらに城壁の回りに破城槌(城門を突破する兵器)を描きなさい。 + また、あなたと町との間に、鉄の壁のように一枚の鉄板を立てなさい。こうして、敵軍がどのようにエルサレムを攻略するかを表現して見せるのだ。わたしが命じた一つ一つのことには、それぞれ特別の意味がある。というのは、それはイスラエルの民に対する警告だからだ。 + 三百九十日間、左わきを下にして横になりなさい。それは、捕囚と破滅によって三百九十年間、イスラエルが罰せられることを示すためだ。その一日は、イスラエルにやがて訪れる一年間の罰を表している。 + 次に、ユダに対する罰の期間を示すために四十日間、今度は右わきを下にして横になりなさい。やはり一日は一年に相当する。 + その間も、エルサレムの包囲の様子を実演して見せるのだ。その包囲と攻撃がどんなに強烈なものかを教えるために、腕をまくって横になりなさい。これはエルサレム滅亡の預言だ。 + わたしがあなたの体を動けなくさせるので、あなたは包囲の全期間が終わるまで寝返りさえ打てない。 + 初めの三百九十日間は、小麦、大麦、そら豆、レンズ豆、あわ、裸麦の粉をつぼに入れて混ぜ合わせ、その粉でパンを作って食べなさい。 + 一日に一食、一回二十シェケル(二百三十グラム)ずつに分けて食べるのだ。 + 水は一日に六分の一ヒン(一ヒンは三‧八リットル)だけ飲んでよいが、それ以上飲んではならない。 + 毎日、たるから粉を取り出し、大麦のパン菓子を作りなさい。みんなの見ている前で、乾いた人糞の火の上で焼いて、そのパンを食べなさい。 + わたしの命令だ。イスラエルは捕囚となる異国の地で、汚れたパンを食べるのだ。」 + 「おお神よ。私は人糞で身を汚さなければならないのでしょうか。今まで、一度も身を汚したことがありません。子どもの時から今まで、病気で死んだ動物や、野獣に殺された動物を食べたことはありません。また、律法が禁じている獣を食べたこともありません。」 + すると、主は答えました。「それなら、人糞の代わりに牛の糞でもよい。」 + 主はこう言って、さらにことばを続けました。「人の子よ。エルサレムではパンの配給が乏しくなる。注意深く量り、こわごわ食べることになるだろう。水も少量しか分け与えられず、人々は不安のうちにそれを飲むようになる。 + わたしは人々を乏しくさせる。また、異常な恐怖心を抱いて互いを見るようにし、罰によって疲れはてさせる。 + + + 人の子よ。鋭い刃の剣を取り、床屋のかみそりのようにそれを使って頭とひげをそりなさい。また、その毛をはかりにかけて、三等分にしなさい。 + その三分の一をエルサレムの地図の真ん中に置き、包囲の期間が終わったらそこで燃やしなさい。次の三分の一を、地図に描いた町の回りに広げ、ナイフで切りきざみなさい。残りの三分の一は、風で吹き散らしなさい。わたしは剣をもってわたしの民を追いかけるからだ。 + その毛を少し取っておき、衣のすそで包みなさい。 + また、そこから数本の毛を取り出し、火に投げ込みなさい。この残りの毛から出る火が、全イスラエルを焼き滅ぼす。」 + 主は言います。「これはエルサレムに起こることである。エルサレムはわたしのおきてから離れ、周囲の国々よりも悪くなってしまったからだ。」 + それで、神である主は言います。「今、わたしもあなたを攻め、すべての国々が見守る中で罰する。 + あなたが犯した恐ろしい罪のゆえに、今までにも下したことがなく、これからも下さないような重い罰を下す。 + 親がわが子を食べ、子も親を食べるようになる。幸いにして生き残った者も、世界中に散らされる。 + あなたに約束する。偶像や忌まわしいいけにえによってわたしの聖所を汚したからには、あなたを惜しんだり、あわれんだりしない。 + あなたの三分の一はききんと疫病で倒れ、他の三分の一は敵に殺される。残りの三分の一は四散するが、そのあとから敵の剣が追いかける。 + こうして、わたしの怒りがようやく収まる。全イスラエルは、わたしが警告どおりに実行することを悟るだろう。 + わたしは、周囲のすべての国々に、また、廃墟となったこの地を通り過ぎるすべての旅人に対して、あなたを見せしめとする。 + あなたは全世界の笑いものとなり、すべての人への恐ろしい見せしめとなる。主が一つの国を激しく叱責し、その国全体に立ち向かうとき、どのようなことが起こるかを見るからだ。主であるわたしが、これを語っている。 + わたしは恐ろしいききんの矢を雨と降らせて、あなたを滅ぼす。ききんはますますひどくなり、一切れのパンも残らなくなる。 + ききんばかりでなく、野獣があなたとあなたの家族を襲って、かみ殺す。疫病と戦争が国中に起こり、敵の剣があなたを虐殺する。主であるわたしが、これを語っている。」 + + + 再び、主からのことばがありました。 + 「人の子よ、イスラエルの山々に預言せよ。 + ああ、イスラエルの山々よ。あなたに、また、川や谷に語られる神、主のことばを聞け。わたしが、主であるこのわたしが、あなたがたの偶像を滅ぼすために戦争を起こす。 + 町々はすべて打ち砕かれ、焼かれる。偶像の祭壇は捨て去られる。神々の像は粉々に砕かれ、偶像の礼拝者たちの骨も祭壇の回りにまき散らされる。その時、ようやくあなたがたは、わたしこそ主であることを知る。 + しかし、わたしは、わたしの民のうち少数の者を逃れさせ、国々の間に散らそう。 + そうすれば、国々に捕囚として連れて行かれるとき、彼らはわたしを思い起こすだろう。わたしが彼らの姦淫の心、偶像を愛する心を取り去り、ほかの神々を慕うみだらな目を見えなくするからだ。その時になってやっと、彼らは自分が犯した悪のゆえに自分自身を嫌悪するようになる。 + 彼らは、わたしだけが神であり、わたしがこれらすべてのことが起こると語ったとき、決して理由もなく言ったのでないと気づくだろう。」 + 神である主はこう語ります。「恐れおののきつつ両手を上げ、激しい自責の念にかられて叫べ。『ああ、何という悪事をしでかしたことか』と叫ぶがいい。戦争とききんと疫病で滅びようとしているからだ。 + 捕囚の地にある者は疫病で死に、イスラエルの国にいる者は戦争で倒れ、生き残った者もききんと籠城で死ぬ。こうして、わたしの憤りもようやく収まる。 + 殺された者が、丘や山の上にある偶像や祭壇の回りに、また、神々に香をたいた青い木や茂った樫の木の下に散り散りに横たえられるとき、わたしだけが神であることに気づく。 + わたしはあなたがたを押しつぶし、南は荒野から北はリブラまで、町々を荒廃させる。その時、わたしが主であることを知るだろう。」 + + + 続いて、神からのことばが私にありました。 + 「イスラエルに告げよ。あなたの見るところはみな、東も西も、南も北も、もう終わりだ。この国はもう終わりが来た。 + わたしは、偶像を拝んだあなたに怒りをぶつける。もう絶体絶命だ。 + わたしはあなたから目を背け、あわれんだりはしない。とことんまで罰する。そうすれば、わたしが主であることを、あなたがたは知るようになるだろう。」 + 神である主は言います。「次から次へと災いを送って、あなたにとどめを刺そう。終わりはすでにきている。終局の破滅が待っているだけだ。 + ああ、イスラエルよ。滅亡の日のきざしは現れ、時はきた。苦難の日は近い。それは喜びの声を上げる日ではなく、苦しみもだえて叫ぶ日だ。 + やがて、わたしは憤りを注ぎ、おまえたちの悪のすべてを徹底的に罰しよう。もはや、あなたを惜しまず、あわれまない。これをしているのが、主であるわたしであることを、あなたがたは知るようになるだろう。 + ついに、さばきの日がきた。朝日が昇ってくる。あなたの悪と高ぶりは頂点に達し、行き着くところまで行ったからだ。富におごり、高ぶる悪者は、一人も生き長らえない。高慢の鼻は完全にへし折られ、あなたがたの運命を嘆く者もいなくなる。 + さあ、その時がきた。その日が近づいた。神の怒りがその地に臨むので、買う物もなく、売る物もなくなる。 + 主がイスラエルの民全体にさばきを宣言したので、たとえ商人が生き長らえても、商売はできなくなる。すべての人が滅ぼされる。罪に満ちた生活をしている者はだれも立ち直れない。 + イスラエル軍に、『進め』と角笛を吹き鳴らしても、だれも聞こうとしない。わたしの怒りがすべての者に臨むからだ。 + 城壁の外に出れば、敵が彼らを殺そうと待ちかまえている。城壁の内側にとどまれば、ききんと疫病で滅ぼし尽くされる。 + 運よく逃れた者も、山々にひそむ鳩のように、その寂しさを嘆き悲しみ、自分の罪のために泣き悲しむ。 + 手も弱くなり、ひざもがくがく震えるようになる。 + 彼らは荒布をまとい、恐怖と恥で包まれ、悲しみと自責の念にかられて頭をそる。 + 金銀を投げ捨てよ。怒りの日には何の価値もなくなるのだから、がらくたのように放り出せ。彼らの罪の根本は金銀を愛することにある。それが、腹を満たすことも満足させることもできなくなるのだ。 + わたしの神殿を美しく飾るために与えた金で、彼らは偶像を造ってしまった。それゆえ、わたしはそれを全部取り上げる。 + 戦利品として外国人や悪者どもに与える。彼らはわたしの神殿を汚すだろう。 + その時、わたしは見て見ぬふりをする。止めはしない。彼らは強盗のように宝物をあさり、神殿を廃墟のようにする。 + わたしの民のために鎖を用意せよ。この国は流血の罪で満ちているからだ。エルサレムは暴虐に満ちているので、わたしはその住民を奴隷とする。 + 諸国の中でも最悪の国を、エルサレムに来させよう。彼らの家々を占領させ、彼らが誇っている要塞を破壊させ、神殿を汚させ、高慢の鼻をへし折らせる。 + イスラエルを切り捨てる時が、いよいよきた。平和を求めても得られない。 + 災いの上に災いが、悲しみの上に悲しみが、惨事の上に惨事が襲う。彼らは預言者の指導を求める。それなのに、祭司も長老も、王も君主も、ただ手をこまねいているだけで、絶望のうちに泣き悲しんでいる。わたしは彼らが行った悪に対し、それに十分見合った報いをするので、彼らは恐怖のあまり震えおののく。そして、わたしが主であることを知るようになる。」 + + + それから、エホヤキン王の捕囚六年目の第六の月の五日のこと、私が家でユダの長老たちと話していると、神である主の力が私に臨みました。 + 私は人の姿のようなものを見ました。腰から下は火で、上は琥珀色(黄褐色)に輝いています。 + その方が手の形をしたものを伸ばして私の髪の毛をつかむと、御霊が私を宙に持ち上げ、エルサレムの北の門の入口に連れて行ったのです。そこに、主の激しい怒りを引き起こした偶像がありました。 + すると突然、前に谷間で見たのと同じようなイスラエルの神の栄光が現れました。 + その方は私に、「人の子よ、北の方を見なさい」と言ったので、そちらを見ると、祭壇の門の北にある入口に偶像が立っているではありませんか。 + その方はさらに言いました。「人の子よ、彼らのしていることが見えるか。わたしを神殿から追い出すために、イスラエルの民がそこで犯している大きな罪が見えるか。さあ、もっと大きな罪を見せよう。」 + こう言うと、その方は私を神殿の庭の入口に連れて行きました。そこの壁に穴がありました。 + するとその方が、「さあ、壁を掘り抜くのだ」と命じたので、そのとおりにすると、隠れた部屋に通じる入口があるではありませんか。 + 「入って行って、そこで行われている邪悪なことを見なさい。」 + 入ってみて驚きました。あらゆる種類の蛇やとかげ、おぞましい獣の絵が、イスラエルの民が礼拝する各種の偶像とともに壁一面に描かれているのです。 + そこに、イスラエルの七十人の長老が、シャファンの子ヤアザヌヤとともに立ち、それらの絵を拝んでいます。長老たちはそれぞれ香をたく香炉を持っており、一同の頭上には、香の濃い煙が雲のように立ちこめていました。 + 「人の子よ、イスラエルの長老たちが自分から進んでしていることを、よく見たか。彼らは、『主は見ていない。主は去って行った』とうそぶいている。 + さあ、もっと大きな罪を見せよう。」 + その方は私を、神殿の北の門に連れて行きました。そこには女たちが座って、異教の神タンムズのために泣いていました。 + 「これを見たか。しかし、もっと大きな悪を見せよう。」 + こう言うと、その方は私を神殿の内庭に連れて行きました。そこでは、神殿の玄関と青銅の祭壇との間に、二十五人ばかりの人が神殿に背を向けて立ち、東を向いて太陽を拝んでいたのです。 + 「これを見たか。こんな恐るべき罪を犯して民全体を偶像礼拝に導き、わたしを軽んじて、ますますわたしを怒らせるようなことは、ユダの人々にとって取るに足りないことなのだろうか。 + それで、わたしも激しい憤りをもって彼らをあしらう。少しもあわれまず、惜しみもしない。彼らがあわれみを求めて叫んでも、耳をふさいでいよう。」 + + + それから、その方は大声で叫びました。「わたしがこの町を与えた者たちを呼びなさい。武器を持って攻めて来るようにと言うのだ。」 + 六人の男がこの呼び声に答えて、おのおの剣を持って北側の上の門から現れました。そのうちの一人は亜麻布の衣を着て、腰に筆入れをつけていました。彼らはみな神殿に入り、青銅の祭壇のそばに立ちました。 + その時、イスラエルの神の栄光がケルビム(神の契約の箱を守る天使)から立ち上り、神殿の入口の上にとどまりました。主は筆入れを持った男を呼び寄せ、 + 「エルサレム中を巡り、この町で行われているあらゆる罪のために、泣き悲しんでいる者の額にしるしをつけなさい」と命じました。 + また、主がほかの男たちにこう言うのが聞こえました。「彼について行って、町中を巡り、額にしるしがついていない者を打て。惜しんだり、あわれんだりしてはならない。 + 老若男女を問わず、小さい子どもも、残らず打つのだ。しかし、あのしるしのついている者には触れてはならない。まず、この神殿から始めよ。」そこで彼らは、七十人の長老たちから始めました。 + ついで主は命じました。「神殿を汚し、打ち殺す者たちの死体で庭を満たすのだ。さあ、行け。」彼らは出て行って、命令どおりにしました。 + その間、私はひとり残されました。私は地にひれ伏し、こう叫びました。「ああ神、主よ。あなたはエルサレムに対する憤りで、イスラエルに残された者たちを皆殺しにするのでしょうか。」 + しかし、主は私に言いました。「イスラエルとユダの罪は非常に大きく、民全体に虐殺と不正行為が満ちている。彼らは、『主は見ていない。主は去って行った』と言っている。 + だから、わたしは彼らを惜しまず、あわれみもしない。彼らがしたことに対して、十分な報いを行う。」 + ちょうどその時、亜麻布の衣を着て、筆入れを持った男が戻って来て、「ご命令のとおりにしました」と報告しました。 + + + 突然、ケルビムの頭上の大空に、青く輝くサファイヤの王座のようなものが現れました。 + 主は亜麻布の衣を着た者に命じました。「ケルビムの下で回っている輪の間に入り、真っ赤に燃える炭火を両手いっぱいに持ち、エルサレムの町の上にまき散らせ。」私の見ている前で、彼はそのとおりにしました。 + その男が入って行った時、ケルビムは神殿の南端に立っていて、栄光の雲が内庭いっぱいに広がっていました。 + すると、主の栄光がケルビムから立ち上り、神殿の入口に向かいました。神殿は栄光の雲に包まれ、庭は主の栄光で輝いています。 + ケルビムの翼の音も、全能の神の声のように、外庭にまではっきり聞こえます。 + 主が亜麻布の衣を着た男に、「ケルビムの間に入り、輪の間から燃える炭火を取りなさい」と命じると、その人は入って行って、一つの輪のそばに立ちました。 + ケルビムの一つが翼の下から手を伸ばして、燃えさかる火の中から炭火を取り出し、亜麻布の衣を着た男の両手に盛りました。彼はそれを受け取ると出て行きました。 + 四つのケルビムのそばにそれぞれ一つの輪があり、それが「車輪」と呼ばれているのを、私は聞きました。第二の輪が交差して第一の輪の中にはめ込まれており、その輪は黄緑の輝きを放ち、緑柱石のように光って見えました。このような輪の構造から、ケルビムは四方にまっすぐに進むことができました。向きを変えなくても、ケルビムの顔の向く方向に進めるのです。四つの輪はどれも、縁や輻まで全部、目で覆われていました。 + 四つのケルビムはそれぞれ四つの顔があり、第一の顔は牛の顔、第二の顔は人間の顔、第三の顔はライオンの顔、第四の顔はわしの顔でした。 + これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで見たのと同じものでした。ケルビムが飛び立つと、輪も同じように飛び立ちます。ケルビムが飛んでいる間、輪もそばについています。 + ケルビムが立ち止まると、輪も立ち止まります。ケルビムの霊が輪の中にあったからです。 + その時、主の栄光が神殿の入口から移動して、ケルビムの上にとどまりました。 + そのまま見ていると、ケルビムが輪とともに神殿の東の門に飛んで行き、イスラエルの神の栄光がその上を覆ったのです。 + これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで、イスラエルの神の下にいるのを見たのと同じものでした。同じケルビムであることはすぐにわかります。 + それぞれ四つの顔と四つの翼を持ち、その翼の下には人間の手のようなものがあったからです。 + その容貌も、かつてケバル川のほとりで見たものと同じでした。ケルビムはみな、まっすぐ前へ進んで行きました。 + + + その時、御霊が私を持ち上げて、神殿の東の門に連れて行きました。そこには、町の名士二十五人がいて、その中に、アズルの子ヤアザヌヤとベナヤの息子ペラテヤという名の二人の高官がいました。御霊は私に言いました。「人の子よ。この者たちは、この町で立てられた邪悪な計画のすべてに責任を負っている。 + 彼らは人々に、『さあ、エルサレムを再建する時がきた。われわれの町は鉄の盾だ。どんな危害からも守ってくれる』と言っている。 + だから、人の子よ。大声で、はっきりと預言しなさい。」 + それから、主の御霊が私に下り、次のように警告せよと命じました。「主はイスラエルの民に、こう語ります。あなたがたが言おうとすることを、わたしが知らないとでも思うのか。あなたがたの考えていることは、何もかも知っている。 + あなたがたは繰り返し人を殺し、町の通りを死人の山とした。」 + 神である主は語ります。「あなたがたは本気で、この町が鉄の盾だと思っているのか。いや、この町はあなたがたを守ることはできない。町の中には、あなたがたに殺された者の死体が散乱し、あなたがたも引きずり出されて虐殺される。 + また、恐れていた戦争に巻き込まれる。」神である主がこう言うのです。 + 「わたしは、あなたがたをエルサレムから連れ出し、わたしに代わってさばきを下す外国人の手に渡そう。 + あなたがたは、イスラエルの国境に至るすべての道で殺される。その時、わたしが主であることを知る。 + この町は鉄の盾とはならず、その中は少しも安全ではない。わたしは、イスラエルの国境まであなたがたを追いかける。 + そうされてようやく、あなたがたはわたしが主であることを知るのだ。わたしに服従せず、回りのすべての国々の習慣に従っていたからだ。」 + 私がこう預言している最中に、ベナヤの子ペラテヤが突然、倒れて息絶えました。そこで、私は地にひれ伏して叫びました。「ああ、神、主よ。イスラエルにいる者を残らず殺そうというのですか。」 + その時、主からのことばがありました。 + 「人の子よ。エルサレムに残された者たちは、捕囚の同胞についてこう言っている。『あんなにも悪いことをしたから、主は彼らを追放し、その土地をわれわれに下さったのだ』と。 + だが、わたしはそうは言わない。わたしは世界の国々にあなたがたを散らしたが、そこにいる間、わたし自身があなたがたの聖所となる。 + そして、散らされた国々から連れ戻し、再びイスラエルの地を与える。 + 再び戻ると、あなたがたは、すべての偶像礼拝を跡形もなく取り除くようになる。 + わたしはあなたがたに、一つの心と一つの新しい霊を与える。石の心を取り除き、代わりに神を愛する柔らかい心を与える。 + あなたがたがわたしのおきてを守れるようになるためである。こうしてあなたがたはわたしの民となり、わたしもまた、あなたがたの神となる。 + しかし、今エルサレムに住んで偶像を慕っている者たちには、その罪に対する十分な報いを与えよう。」 + その時、ケルビムは翼を広げ、輪とともに空中に舞い上がり、イスラエルの神の栄光がその上に輝きました。 + それから、主の栄光は町の上に上り、東方の山の上にとどまりました。 + そののち、神の霊は私を再び、バビロンにいる捕囚のユダヤ人のところへ連れ戻しました。私のエルサレム訪問の幻は、ここで終わったのです。 + 主が私に示したすべてのことを、私は捕囚の民に語って聞かせました。 + + + ついで、主から私に、このようなことばがありました。 + 「人の子よ、あなたは反逆者たちの中に住んでいる。彼らは真理を知ろうとするなら知ることができるのに、知ろうともしない。また、聞こうとするなら聞けるのに、聞こうともしない。 + 彼らは反逆者なのだ。だから、捕囚になることがどんなものか教えるために、実演して見せるがいい。背中にかつげるだけの荷物をかついで、家を出なさい。昼のうちに、みんなが見ている前でそうするのだ。どんな反逆者も、それを見て、その意味することを考えるかもしれない。 + 昼のうちに、みんなが見守る中で、荷物を家の外へ運び出しなさい。それから、遠くの地へ長い旅をする捕囚の民のように、夕方、家をあとにして出かけなさい。 + 町の人々が見ている前で壁に穴をあけ、そこから荷物を運び出すのだ。 + また、みんなが見守る中で、荷物をかついで夜の暗闇の中を出て行け。顔を覆い、回りを見てはならない。これはみな、イスラエルの民に与える、エルサレムに降りかかる災いのしるしだ。」 + 私は命じられたとおりにしました。昼のうちに、捕囚に持って行けるだけの荷物を外へ運び出しました。夕方になると、手で壁に穴をあけ、みんなが見ている前で、荷物をかついで暗闇の中を出て行ったのです。 + 翌朝、主からことばがありました。 + 「人の子よ。反逆者であるイスラエルの民は、『いったい、これは何の意味なのか』と尋ねている。 + だから説明してやりなさい。『これは、エルサレムのゼデキヤ王とイスラエルの民全体への、神である主の宣告だ』と。 + これまで実演して見せたことは、これから起こることなのだ、と教えてやるのだ。彼らは家から連れ出され、捕囚の地へ送られる。 + ゼデキヤ王さえ、自分で持てる物だけ持って、何も見えないように顔を覆い、壁にあけた穴から、闇にまぎれて出て行くのだ。 + わたしは網で王を捕らえ、カルデヤ人の地、バビロンへ連れて行く。だが王は、その地を自分の目で見ることなく、そこで死ぬ。 + わたしは、王に仕える者や、兵士たちを四方に風のように追い散らし、剣をそのあとから送る。 + このように諸国に散らされて初めて、彼らはわたしが主であることを知る。 + わたしはまた、わずかな者たちを戦争とききんと疫病から免れさせよう。免れた者たちは、自分がどんなに悪いことをしてきたかを、国々の前で告白するだろう。こうして彼らも、わたしが主であることを知る。」 + さらにまた、主からのことばがありました。 + 「人の子よ、震えながら食事をしなさい。水も、これで最後であるかのように制限して飲みなさい。 + そして、こう警告するのだ。『神、主は言います。イスラエルとエルサレムの住民は、そのあらゆる罪のゆえに、食糧を最大限に節約し、水も絶望感にさいなまれながら少量ずつ飲むようになる。 + 町々は滅ぼされ、耕作地は荒れはてる。その時、あなたがたは、わたしが主であることを知る。』」 + 続いて、主は語りました。 + 「人の子よ。『時がたてば預言は意味を失う』という、イスラエル人たちが口にすることわざは何か。 + 神である主は、このことわざをやめさせる。人々はもう、それを口にしなくなる。代わりに、このことわざを言わせなさい。『すべての預言の成就する時がきた。』 + その時、エルサレムの安全は保証されているという偽りの予告が暴露される。 + わたしは主である。わたしが起こると警告することは、必ず起こる。ああ、イスラエルの反逆者たち。もう決して遅れることはない。おまえたちが生きているうちに、わたしはそのようにする。」こう神である主が言うのです。 + また、このようなことばがありました。 + 「人の子よ。イスラエルの民は、『彼が見ている幻は、まだ当分の間実現しそうにない』と言っている。 + だから、『神である主はこう言います。もう、これ以上遅れることはない。わたしは今、それを行う』と言ってやりなさい。」 + + + それから、次のようなことばがありました。 + 「人の子よ、イスラエルの偽預言者どもに預言しなさい。彼らは自分勝手に幻を考え出し、わたしが何も語らないのに、わたしからのお告げだと主張している。そのような者はのろわれるべきだ。 + ああ、イスラエルよ。あなたの預言者どもは、まるで廃墟にいるきつねのように城壁再建の役には立たない。 + ああ、悪い預言者ども。敵の攻撃に備えて城壁を補強し、主によってイスラエルを強化するために、おまえたちは何をしたのか。 + かえって、『これは神からのお告げです』と言って、偽りを語っている。わたしはおまえたちなど遣わさなかった。それなのに、自分たちの預言が実現することを期待している。 + 見たこともないのに幻を見たと言ったり、わたしが何も語らないのに、『このお告げは神からのものです』と言ったりしたことを否定できるのか。」 + それゆえ、神である主は語ります。「わたしはこれらの幻と偽りのゆえに、おまえたちを滅ぼそう。 + わたしはおまえたちに向かい、イスラエルの指導者の中から切り捨てる。おまえたちの名を消し去る。おまえたちは二度と祖国を見ることがない。その時、おまえたちは、わたしが主であることを知る。 + まことに、この悪者どもは、『神は平安を下さる』と言って、わたしの民を惑わしている。彼らに平安を与えることなど、わたしの計画には全く入っていない。わたしの民はもろい壁を建てているのに、偽預言者どもはそれをほめそやし、しっくいで上塗りをしている。 + その者たちに、『その壁は倒れるぞ』と警告せよ。大雨が土台を浸食し、大粒の雹と激しい風が壁を打ち倒す。 + 壁が倒れると、人々は、『なぜ初めから、それではだめだと注意してくれなかったのだ。なぜ、上塗りをして欠陥を覆うようなことをしたのだ』と叫ぶ。 + 壁は必ず倒れるのだ。」そう主は言います。「わたしは怒りの嵐と洪水と雹とによって、壁をなぎ倒す。 + しっくいで上塗りした壁を打ち壊す。壁はおまえたちの上に倒れて、おまえたちを押しつぶす。その時、おまえたちは、わたしが主であることを知る。 + こうして、わたしの怒りは消える。それで、壁をほめそやした者どもについてわたしは、『壁も、それを建てた者たちも消え去った』と言おう。 + 彼らはまさしく偽預言者だった。ほんとうは平安がないのに、エルサレムには平安がある、と言っていたのだ。」神である主がこう語るのです。 + 「人の子よ。主からお告げを与えられているかのように装っている女預言者どもに、神である主はこう言うと語れ。『人々の手首に魔術のお札を結び、魔術のベールをかぶらせ、わたしの民のたましいを破滅させている女たちはのろわれよ。この女たちは、自分に利益がないと知ると、すぐに援助の手を引っ込める。 + ほんの一つかみの大麦のために、あるいは、ほんの一切れのパンのために、わたしの民をわたしから去らせようとするのか。おまえたちは、死んではならない者を死に追いやったのだ。わたしの民を欺き、生きていてはならない者にいのちを約束している。そうするのが、彼女たちの好む手口だ。』」 + 主は語ります。「おまえたちがわたしの国民のたましいを魔術にかけているので、おまえたちを押し倒す。わたしは魔術のひもを引きちぎり、かごの鳥を放つように、わたしの民を解放する。 + 魔術のベールも引き裂き、おまえたちの手からわたしの民を救い出す。もう彼らは、おまえたちの餌食ではない。その時、おまえたちも、わたしが主であることを知る。 + おまえたちの偽りは、わたしの意に反して、正しい人を落胆させた。それどころか、罪の生活を続ける者たちにいのちの約束をして、その悪者どもを力づけるようなことまでしたのだ。 + だが、もうそんなことは許されない。見たこともない幻を見たと言ったり、魔術をしたりすることもできなくなる。わたしがおまえたちを滅ぼして、わたしの民をおまえたちの手から救い出すからだ。こうしておまえたちも、わたしが主であることを知る。」 + + + それから、イスラエルの長老たち数人が来て、主の御告げをうかがってほしいと願い出ました。 + 彼らのために私に示されたことばは、次のとおりです。 + 「人の子よ、この者たちは心の中で偶像礼拝をしている。どうして、彼らの願いなど聞いてやれるだろうか。 + むしろ、わたしはこう言っていると告げなさい。イスラエルの中で偶像を礼拝しながら、平気でわたしに助けを求めて来るような者に、わたしは、それぞれに応じた処置をする。 + わたしから離れて偶像礼拝に走る者たちの思いと心を、わたしは罰する。」 + それゆえ、神である主は次のように警告します。「悔い改めよ。偶像を打ち壊し、心の中で偶像礼拝をすることをやめよ。主であるわたしは、イスラエル人でも、イスラエルに住む外国人であっても、わたしを拒んで偶像を礼拝していながら、わたしの助けや助言を求めて預言者のところへ来る者を必ず罰しよう。 + そういう不届き者の敵となり、彼を完全に滅ぼして、恐るべきさばきの見本としよう。その時、あなたがたは、わたしが神であることを知る。 + 偽預言者の一人がお告げを語ったとしても、それは偽りだ。その預言は実現しない。わたしはその預言者を、わたしの民イスラエルから絶ち滅ぼす。 + 偽預言者と偽善者たち。わたしのことばが欲しいなどと、ぬけぬけと言う悪者たちはみな、その罪のために罰を受ける。 + その時、イスラエルの民は、わたしを捨ててこれ以上罪に汚れた生活を続けるべきではなく、わたしの民となり、わたしも彼らの神となるべきだと身をもって知る。」主は、そう語ります。 + また、次のようなことばがありました。 + 「人の子よ。この国の人々がわたしに罪を犯すとき、わたしは、こぶしで彼らを打ちのめし、食糧の供給を絶ち、ききんで人間も動物も絶ち滅ぼす。 + たとえノアやダニエルやヨブが、今ここにいたとしても、本人だけがその思いや行いの正しさによって救われるだけだ。だれも、ほかの者を助けることはできない。わたしはイスラエルの残りの者を滅ぼす。」このように主は言います。 + 「わたしがこの地に危険な野獣を放ち、荒らすにまかせれば、 + たとえこの三人がいたとしても何の役にも立たない。彼らは、待ちかまえている滅びから人々を救えない。」こう主は言います。「この三人だけは救われても、地は荒れはてる。 + あるいは、わたしがこの地に戦争を起こし、敵軍にすべての物を破壊するようにと命じるとき、 + たとえ彼らがここにいても、わたしが言うとおり、救われるのは彼らだけだ。 + あるいは、わたしがこの地に憤りを注いで疫病をはやらせ、その災害で人間も動物も死ぬとき、たとえノアやダニエルやヨブが生きていたとしても、わたしが言うとおり、その思いや行いの正しさのゆえに救われるのは彼らだけだ。」 + 主は語ります。「戦争とききん、どう猛な野獣と疫病、この四つの厳罰がエルサレムに下り、すべての生きものを滅ぼそうとしている。 + もし生き残る者がいて、バビロンに捕囚の身とされているあなたがたのところへ来たなら、あなたがたは自分の目で、彼らがどんなに悪い者であるかを見て、わたしがエルサレムを滅ぼしたのは当然だと認めるだろう。 + 彼らに会えば、起こるべきことがイスラエルに起こったのだとうなずくことだろう。」 + + + それから、このようなことばが主から与えられました。 + 「人の子よ。森の中のぶどうの木に、どれだけの価値があるか。ほかの木のように役に立つだろうか。その枝の一本ほどの価値があるだろうか。 + いや、ぶどうの木は、食器を掛ける木くぎにさえできない。 + 役に立つことといえば、たきぎにするぐらいだが、それも、燃えがよくない。 + だから、たきぎにして燃やす前も、燃やしたあとも、大して役に立たない。」これは次のようなことを意味していると、主は語ります。「エルサレムの住民は森のぶどうの木のようなものだ。火に投げ入れられる前も、投げ入れられたあとも、まるきり役に立たない。 + わたしは敵のように、彼らの前に立ちはだかり、彼らが一度は火から逃れても、次には必ず火に追い込む。その時、あなたがたは、わたしが主であることを知る。 + 彼らが偶像礼拝をやめないので、わたしはこの地を荒れはてさせる。」神である主は、そう語るのです。 + + + 再び、主からのことばがありました。 + 「人の子よ、忌まわしい罪についてエルサレムに言いなさい。 + 神である主は、エルサレムについてこう語ると。あなたはカナン人の地で興ったが、カナン人にまさるところは何もない。父はエモリ人、母はヘテ人だったのだ。 + あなたが生まれた時、だれも面倒を見てくれなかった。へその緒を切ってもらえず、裸のまま、産湯にも入れてもらえず、産声も上げられずに放置されていた。 + 目をかける人も、かわいそうに思って世話をしてくれる人もいなかった。生まれたその日に野に捨てられ、死ぬばかりだった。望まれない子だったのだ。 + ところが、わたしが通りかかって、血まみれのあなたを見つけたのだ。『死んではいけない。野の草のようにたくましく、大きくなるのだ』と、わたしは言った。そして、そのとおりになった。あなたは背も高く、ほっそりとしなやかになり、玉のように美しい、うら若いおとめに育ち、乳房もふくらみ、髪も伸びた。だが裸のままだった。 + しばらくして、あなたのそばを通りかかると、結婚できる年ごろになっていた。そこで、わたしは自分の衣であなたを覆い、結婚の誓いをした。誓約を交わして、あなたはわたしのものとなった。 + 結婚式の時、わたしは刺繍をほどこした豪華な服や、じゅごんの皮のサンダルをあなたに贈った。 + また、美しい装身具、腕輪や首飾り、鼻輪、イヤリング、宝石のついた冠も整えた。 + こうして、あなたは金や銀で美しく身を飾り、刺繍した絹や亜麻布をまとった。そのうえ最高のごちそうを食べて、いちだんと美しくなり、まるで女王のように、いや、女王そのものになった。 + その美しさは回りの国々の評判になった。あなたはわたしの贈り物で美しさを極めた。 + しかしあなたは、自分の美しさを鼻にかけ、それさえあれば、わたしなしでもやっていけると考えた。そして、やって来る男には、だれかれかまわず、娼婦のように身を任せた。その美しさは、それを求める男のものになり下がった。 + わたしが贈った物を偶像の宮のために使い、また売春の床を飾るために使ってしまった。信じられない、それまで見たこともないようなことだった。 + あなたはわたしが与えた宝石や金銀の装身具で男の像を造り、それを拝んだ。それこそ、わたしを裏切る姦淫だ。 + また、わたしが与えた刺繍入りの美しい服を偶像に着せ、わたしの油と香とをその前に供えた。 + あなたは、わたしが与えた上等の小麦粉や油やみつまでも偶像にささげたのだ。 + そして、わたしのために産んだ自分の息子や娘を、偶像の神々にいけにえとしてささげ、殺してしまった。自分が娼婦になるだけでは満足できなかったのか。 + ほんとうの神でもない偶像の祭壇で、わたしの子どもまで、いけにえとして焼き殺さなければならなかったのか。 + あなたは長い間姦淫と罪の生活にふけり、裸で血まみれだった昔のことを一度も思い出さなかった。 + あなたのすべての悪行、ああ、それはなんと忌まわしいことか。そのために災いが降りかかる。そのほかにも、 + あなたは愛人たちのために売春宿を設け、道々に偶像の祭壇を建てた。 + そこで、飽きもせず、通りかかる男という男に身を任せた。 + さらに、好色なエジプト人たちに身を売り、同盟を結んだ。わたしの怒りは頂点に達した。 + そのため、わたしはこの手であなたを打ち倒した。あなたの領土を小さくし、あなたを憎むペリシテ人の手中に陥らせた。ところが、その彼らでさえ、あなたの行状を見て顔を赤くしている。 + あなたは、アッシリヤ人とも密通した。次から次へと新しい神々を見つけても、まだ満足できないようだ。アッシリヤ人と密通してもまだ飽き足りず、 + あの大商都バビロンの神々をも拝んだ。だが、それでもまだ満足しなかった。」 + 神である主は語ります。「こんなことをするあなたの心は、なんと汚れているのだ。道々に売春宿である偶像の祭壇を築き、ずうずうしく淫行を重ねている。あなたは娼婦よりも悪い。金を得るためでもなく、ただ悪にふけるためにそうしているからだ。 + あなたは夫以外の男と同棲する不貞の妻だ。 + 娼婦は報酬を得るために働き、男たちは多くの贈り物をする。ところがあなたは自分のほうから贈り物をして、自分のところへ来てくれるように男たちを買収している。娼婦とは全く反対のことをしているのだ。だれからも求められないから、自分から報酬を払わなければならないのだ。 + ああ、ふしだらな女よ、神のことばを聞け。」 + 主は語ります。「わたしはあなたの汚れた罪や、偶像礼拝という姦淫の罪、わが子をいけにえとして神々にささげたことなどを見てきた。 + その報いとして、このようにする。あなたが愛した者であろうと、憎んだ者であろうと、あなたと同罪の愛人、つまりあなたの同盟国すべてを集め、彼らの見ている前であなたを裸にする。 + あなたを人殺しをした女、また不貞を働いた女として罰する。 + あなたの愛人である多くの国々の手で、あなたを滅ぼす。彼らはあなたが建てた売春宿や偶像の祭壇を打ち壊し、着ている物をはぎ取り、美しい宝石を奪い取って裸にし、さんざん辱める。 + 彼らはあなたの家を焼き払い、大ぜいの女の見ている前であなたを罰する。わたしは、あなたが他の神々と通じることをやめさせる。あなたが同盟国にこびて報酬を支払うようなこともやめさせる。 + その時ようやく、わたしは激しい怒りを静め、ねたむことをやめ、心穏やかになる。もう怒ることをしない。 + だがまず、あなたが犯したすべての罪を徹底的に罰する。あなたは若いころに受けた恵みを忘れ、これらの悪を働いて、わたしを怒らせたからだ。」主は言います。「あなたは悪を重ねるばかりか、感謝することも忘れている。 + 『あの母にして、この娘あり。』みながあなたのことを、そう言っている。 + あなたの母親は夫と子どもをきらったが、同じことをあなたもしている。姉妹も同じで、夫や子どもをないがしろにした。あなたの母はヘテ人、父はエモリ人だったのだ。 + あなたの姉サマリヤは娘といっしょに北に住み、妹ソドムは娘といっしょに南に住んでいる。 + あなたは二人のようには罪を犯さなかった。いや、無関係と言ってよいくらいだった。それが、あっという間に、二人をはるかにしのぐほど堕落してしまった。」 + 主は語ります。「ソドムとその娘たちは、あなたやあなたの娘たちほど邪悪ではなかった。 + 妹ソドムとその娘たちの罪とは、貧しい人が飢えて苦しんでいるのを見ながらも思い上がり、安逸をむさぼって腹いっぱい食べていたことだ。 + 彼女たちはわたしの見ている前で、無礼にも多くの偶像を拝んでいた。だから、わたしは彼女たちを滅ぼしたのだ。 + サマリヤでさえ、あなたの半分も罪を犯していない。あなたは姉妹たちがした以上に偶像を礼拝した。それに比べたら、姉妹たちはずっとまともに見える。 + だから、彼女たちの罰があなたより軽いと言って驚いてはならない。あなたがやったことはひどいことだ。あなたに比べたら、姉妹たちは潔白にさえ見える。 + いつの日にか、わたしはソドムやサマリヤ、そしてユダをも、以前のように栄えさせる。 + あなたが受ける恐ろしい罰を見てソドムやサマリヤは、自分たちの罰はまだ軽かったと慰められるだろう。 + やがて、あなたの姉妹ソドムとサマリヤ、また、その全住民は元の所へ帰る。その日には、ユダにも繁栄が戻ってくる。 + あなたは、自分だけは特別だと得意になっていた時には、ソドムなど気にも留めなかった。 + だが今、あなたの悪は全世界にあばかれ、エドムやその近隣の国々、すべてのペリシテ人の笑いものになっている。 + これは、あなたが犯したすべての罪に対する罰の一部だ。」 + 神である主はこう語ります。「わたしは、あなたが約束を破ったので報復する。あなたは、わたしと結んだ神聖な契約を、いとも簡単に破ってしまった。だが、わたしは、あなたの若いころに結んだ契約を、これからも守る。わたしはあなたと永遠の契約を結んだのだ。 + それであなたもようやく、自分のしてきた悪を残らず思い返して、恥じるようになるだろう。わたしがあなたの姉妹であるサマリヤとソドムとを選び取り、彼女たちをあなたの娘とし、あなたに統治させるとき、あなたは恥じ入る。わたしとの契約を破ったからには、こんな優しい取り扱いを受ける資格などないことが、よくわかっているからだ。 + わたしがあなたとの約束をし直すとき、あなたはわたしが神であることを知るようになる。 + あなたの今までの行いにもかかわらず、わたしは思いやりを示す。わたしがあなたの行った悪のすべてを赦すとき、あなたは恥じ入って口をつぐむだろう。」神である主が、このように語るのです。 + + + それからまた私は、このようなことばを主から与えられました。 + 「人の子よ、このなぞをイスラエルの民に示せ。 + 色とりどりの羽を持つ大わしがレバノンに飛んで来て、いちばん高い杉の木のこずえの若枝を摘み取り、商人の町へ運んで行った。 + そして、その地の種を取って、柳のように早く育つようにと、大きな川のほとりの肥えた地に植えた。 + やがて、そのぶどうの木は根を張って成長し、たけは低いが、わしに向かってつるを張り、強い枝とよく茂った葉をつけた。 + さて、大きな翼と豊かな羽をもった別の大わしが来ると、木はそのわしに向かって、根と枝を伸ばした。 + もっとも、この木はすでに、葉を茂らせ、実を結ぶ良いぶどうの木となるように、水に恵まれた良い地に植えられていたのだ。」 + 主はこう言います。「わたしがこの木を成長させ、繁茂させるだろうか。いや、断じてさせない。根こそぎ引き抜いてしまおう。枝は切り落とし、葉は枯らす。それはたやすいことだ。大ぜいの人手も、いろいろな道具もいらない。 + 最初は順調に育っていても、ぶどうの木はそれでよく茂るだろうか。いや、そんなことはない。東風が吹きつけると、もののみごとに枯れてしまう。順調に育ってきた最適の地でも枯れてしまうのだ。」 + また、次のようなことばがありました。 + 「イスラエルの反逆者どもに問いなさい。この二羽のわしのなぞが何を意味するか、わからないなら、わたしが教えよう。最初の大わしはバビロンの王ネブカデネザルだ。彼はエルサレムに攻めて来て、木のこずえの若枝である王と王子たちを捕らえ、バビロンへ連れて行った。ネブカデネザルは王家の一人ゼデキヤと契約を結び、忠誠を誓わせた。その若枝を摘み取って、大きな川のそばの肥えた地に植えた。これは、イスラエルの政治的指導者たちを捕囚として連れ去ったことを指す。 + イスラエルが再び力をつけ、反逆することがないようにしたのだ。こうして、イスラエルはその契約を守ることにより、かろうじて国としての体面を保ち、その立場を認められた。 + それにもかかわらず、ゼデキヤはバビロンに反逆を企て、ネブカデネザルと戦うため、別のわしであるエジプトに使者を立て、軍勢と馬の救援を求めた。このように約束を破って、イスラエルは繁栄し、存続できるだろうか。 + そんなことがあるはずはない。」主はこう語ります。「わたしは生きている。イスラエルの王は必ず死ぬ。ゼデキヤは、自分を王位につけてくれた王の住むバビロンで死ぬ。ネブカデネザルとの契約をないがしろにし、それを破ったからだ。 + バビロンの王が再びエルサレムを包囲し、そこに住む多くの者を虐殺しても、エジプトの王とその軍勢はイスラエルを助けない。 + イスラエルの王は忠誠を誓いながら、あとでその約束を破ったからだ。彼は罰を免れない。」 + 主はこう語ります。「わたしは生きている。だから、わたしの名にかけて誓った神聖な誓約をないがしろにした者を、必ず罰する。 + その者の上にわたしの網を広げ、罠にかけて捕らえ、バビロンへ引いて行く。こうして、わたしに反逆した罪を罰するのだ。 + イスラエルの精鋭もみな剣で殺され、エルサレムに残った者も四散させらされる。その時あなたは、主であるわたしがこのことを語ったのだとわかる。」 + 神である主はこう語ります。「わたし自身が、一番高いレバノン杉の木のこずえから、一番柔らかい若枝を摘み取り、イスラエルの一番高い山の頂に植える。木はやがて枝を伸ばし、実を結んで、りっぱな杉の木となる。その下にはあらゆる種類の動物が集まり、枝にはあらゆる種類の鳥が巣を作る。 + こうして、高い木を切り倒し、低い木を高くし、緑の木を枯らし、枯れた木を生き返らせるのが主であるわたしであることを、すべての人が知る。主であるわたしがすると言ったことは、必ずそのとおりになる。」 + + + さらに、主からのことばがありました。 + 「人々がイスラエルについて、『父親の罪で子が罰せられる』といわれるのはなぜか。」 + 主はこう語ります。「わたしは生きている。もう二度と、こんなことわざをイスラエルで口に上らせない。 + わたしは、父であろうと子であろうと、すべての人を同じようにさばく。それも、自分の犯した罪のために罰せられて死ぬのだ。 + もしある人が、法に従って正しく生き、 + 山に行ってイスラエルの偶像の前で食事することをせず、偶像を拝まず、姦淫をせず、生理中の女性に近づかず、 + 貧しい者に親切にし、金を貸しても質物は返してやり、飢えている者には食物を与え、裸の者には着物を着せ、 + 利息を取らずに貸し、悪の道から離れ、公平にさばきをし、 + わたしのおきてを守るなら、わたしのことばどおり、その人はまさに正しい人だ。その人は必ず生きる。 + だが、もし彼の息子が盗みや人殺しをし、自分の責任もはたさず、 + わたしのおきてに逆らって、丘の上で偶像を拝み、姦淫を行い、 + 貧しい者を苦しめ、質物を取り上げ、偶像を愛してやまず、 + 高利で金を貸しつけるなら、その人は生きることができるだろうか。そんなことがあるはずはない。彼は自分の罪のために必ず死ぬ。 + 反対に、この罪深い男の息子が、父親のしている悪を見て神を恐れ、そんな生活は絶対しないと決意し、 + 丘に行って偶像の前で食事することをせず、偶像を拝まず、姦淫をせず、 + 借りる者を公平に扱い、不当な取り立てをせず、飢えている者に食べさせ、裸の者には着せ、 + 貧しい者を助け、利息を取らずに貸し、わたしのおきてを守るなら、彼は父親の罪のために死ぬことはない。必ず生きる。 + しかし父親は、自分の罪のために死ぬ。 + あなたがたは驚いて、『どうしてですか。子が親の罪を負わなくていいのですか』と聞き返すだろう。そうだ。負わなくていいのだ。その子が正しく生き、わたしのおきてを守るなら、必ず生きる。 + 罪を犯した本人が死ぬのだ。子は親の罪のために罰せられてはならず、親も子のために罰せられてはならない。正しい者は自分の善行に対する報いを受け、悪者は自分の悪行に対する報いを受ける。 + だが悪者でも、すべての罪から離れ、わたしのおきてを守って正しく誠実に生きるなら、必ず生きて、死ぬことはない。 + 過去の罪はすべて忘れられ、彼は善行のために生きる者となる。」 + 主はこう尋ねます。「わたしが、悪者の死ぬのを見たがっているとでも思うのか。わたしは、彼が悪の道から離れ、正しく生きるようになることしか願っていない。 + だが、正しい人が罪を犯し、ほかの悪者と同じことをするなら、そのような者を生かしておけるだろうか。もちろん、生かしておくわけにはいかない。これまでの正しい行いはすべて忘れられ、その罪のために死ななければならない。 + しかしあなたがたは、『神は不公平だ』と文句を言う。さあ、イスラエルの民よ、聞きなさい。不公平なのはわたしだろうか。それとも、あなたがただろうか。 + 正しい人が正しく生きることをやめて悪を行い、そのまま死ぬなら、それは彼が行った悪のせいだ。 + また、もし悪者であっても、悪から離れ、わたしのおきてに従って正しいことを行うなら、彼は自分のいのちを救うことになる。 + 深く反省して、罪の道からきっぱり離れ、正しい人生を送ろうと決心したからだ。彼は必ず生きる。決して死ぬことはない。 + それでもイスラエルの民は、『神は不公平だ』と言い張る。ああ、イスラエルよ。公平でないのは、わたしでなくあなたがただ。 + ああ、イスラエルよ。わたしは一人一人を、その行いに応じてさばき、報いを与える。さあ、今のうちに悪から離れるのだ。 + 悪の道をあとにして、新しい心と新しい霊を受けよ。ああ、イスラエルよ。なぜ死に急ぐのか。 + わたしは、あなたがたが死ぬことを喜ばない。悔い改めなさい。悔い改めて、生きるのだ。」神である主がこう語るのです。 + + + イスラエルの指導者たちのために哀歌を歌いなさい。 + あなたの母はなんという女だろう。まるで雌のライオンのようで、子どももライオンの子のようだ。 + そのうちの一頭(エホアハズ王)は強いライオンに育ち、獲物を捕らえることを習い、ついに人を食べるようになった。 + そこで、諸国から狩人が集められ、そのライオンを落とし穴で捕らえると、鎖につないでエジプトへ連れて行った。 + 母ライオンであるイスラエルは、その子への望みが絶たれたので、残る子の中から別の一頭(エホヤキン王)を取り、百獣の王となるように訓練した。 + それで、このライオンは仲間の指導者となり、獲物を捕らえることを習い、やがて人を食べるようになった。 + 近隣の国々の宮殿を破壊し、町々を廃墟とし、農地を荒らし回り、作物をだめにした。この地の人はみな、そのうなり声を聞くと、恐ろしさのあまり震え上がった。 + それで、諸国の軍が四方から攻め上り、彼を落とし穴に追い込んで捕らえた。 + そして彼を檻に入れ、バビロン王の前に連れて行った。彼は捕囚となり、その声は二度とイスラエルの山々で聞かれなくなった。 + あなたの母はまた、水のほとりに植えられたぶどうの木のようだった。豊かな水のおかげで葉も青々と茂っていた。 + その一番強い枝が王の杖となった。それは他のものから抜きんでて高く、遠くからもすぐ目についた。 + だが、そのぶどうの木も憤りで根こそぎ引き抜かれ、地に投げ捨てられた。枝は強い東風に折られて枯れ、実も焼かれてしまった。 + 今ぶどうの木は、水のない乾ききった荒野に植えられている。 + すでに内側から枯れ始め、強そうな枝ぶりも見られない。この悲しい預言は、すでに現実となっている。もう、その実現をとどめることはできない。」 + + + エホヤキン王が捕らえ移されてから六年後の第五の月、イスラエルの長老たち数人が、主に伺いを立ててほしいと尋ねて来て、私の前に座っていました。 + その時、主はこのようなことばを私に与えました。 + 「人の子よ、イスラエルの長老たちに、神である主はこう語ると言いなさい。よくも助けを求めに来られたものだ。わたしは決して語らない。 + さあ、人の子よ、彼らをさばき、責めなさい。先祖の時代から今日まで、この国の人々が行ってきた、すべての罪を教えてやりなさい。 + 神はこう語ると告げるのだ。わたしがイスラエルを選び、エジプトでわたしが神であることを示した時、彼らとその子孫とにこう誓った。彼らをエジプトから連れ出し、彼らのために探しておいた、乳とみつが流れる最良の地に導くと。 + それから、こう命じた。『すべての偶像を捨てよ。わたしこそ、おまえたちの神、主だ。エジプトの神々を拝んで身を汚すようなことをしてはならない。』 + だが彼らは、わたしに背いて、いっこうに聞こうとしなかった。偶像を除くことも、エジプトの神々を捨てることもしなかった。それで、彼らがまだエジプトにいる時、わたしは彼らに怒りを注ごうと思った。 + しかし結局、そうはしなかった。イスラエルの神は自分の民を守ることもできなかった、とエジプト人にあざ笑われることがないように、わたしの名誉を守ろうとしたからだ。それで、エジプト人の目の前で、わたしの民をエジプトから連れ出し、荒野へ導き入れたのだ。 + そして、その荒野で、彼らにおきてを与えた。そのおきてを守ることによって、彼らが生きるためだった。わたしのおきてを守るなら、だれでも生きる。 + わたしは彼らに安息日(毎週七日目の休息日)を与えた。それは彼らとわたしとの間で、彼らを選び分けて、ほんとうに神の民とするのは、このわたしであることを思い起こさせるしるしだった。 + それなのに、イスラエルはわたしに逆らった。あの荒野で、わたしのおきてに従うことを拒んだのだ。わたしの定めを守るなら真のいのちが与えられるのに、それを守ろうとはしなかった。安息日も悪用した。それで、わたしは怒りを爆発させ、荒野で彼らを滅ぼしてしまおうと考えた。 + しかし、わたしの名誉を守るために、またも思いとどまった。エジプトから彼らを連れ出すのを見ていた国々の民に、主は民を守ることができず滅ぼすことになってしまったと言わせないためだ。 + そこでわたしは彼らに、一度は与えようと思った選ばれた地、乳とみつの流れる地に、彼らを導き入れないことにすると告げた。 + わたしのおきてを鼻であしらい、わたしの願いを無視し、安息日を守らなかった報いだ。彼らの心は偶像に引き寄せられていたのだ。 + それでも、わたしは彼らを惜しんで、荒野で滅ぼすことはしなかった。 + わたしは彼らの子どもたちに警告した。『親と同じ罪を犯してはならない。偶像礼拝で身を汚すな。 + わたしこそ、あなたがたの神である。わたしのおきてを守り、わたしの命令に従え。 + 安息日を特別な日として、身も心もきよく過ごすのだ。安息日は、わたしがあなたがたの神、主であることを思い起こさせるために、わたしたちの間に立てた契約のしるしなのだから。』 + しかし、子どもたちもまた、わたしに逆らった。わたしのおきてを守るなら、正しく生きることができるのに、それを拒んだ。安息日も汚した。そこでわたしは言った。『もう限界だ。今すぐ、この荒野で、あなたがたに怒りを注ぎ出す。』 + それでもなお、わたしは彼らを罰せずにおいた。エジプトから彼らを連れ出したわたしの力を見た国々の中で、わたしの名が傷つけられないためだ。 + だが、彼らが荒野にいた時、はっきり言い渡した。わたしのおきてを守らず、それをあざ笑うかのように安息日を破り、父たちが拝んだ偶像を慕ったので、地の果てにまで彼らを散らす、と。 + わたしは、彼らが愚かな習慣や教えを取り入れるのを見ても、好きなようにさせておいた。そんなものを守っても、いのちを得ることなどできない。 + わたしは彼らに、自分のやっていることがどんなに恐ろしいことかを知らせ、また、わたしだけが神であることに気づいてほしいと思い、わたしが与えた非常に良いもので、彼らが自分の身を汚すのをそのままにさせた。彼らは、最初に生まれた子どもを偶像にささげて、焼き殺したのだ。 + 人の子よ、神である主がこう語ると、彼らに告げよ。あなたがたの先祖は、約束の地に導き入れられてからも、高い丘や木の下で、所かまわずいけにえをささげ、香をたいて、いつもわたしを裏切り、冒瀆してはばからなかった。彼らが神々にいけにえをささげた時、わたしの怒りは燃え上がった。事もあろうに、偶像に香をたき、ぶどう酒を注いだからだ。 + そこで、『おまえたちがいけにえをささげに行く場所は何なのだ』と問いただした。それで、そこは今も、『いけにえの高台』と呼ばれている。 + 神、主は、知りたがっている。あなたがたも先祖のように身を汚し、偶像を拝み続けるつもりなのか。 + 現に今、偶像へのささげ物として幼児を焼き殺し、灰にしているのに、イスラエルよ、どうしてあなたがたの願いを聞いて、助けることができるだろうか。」神である主は語ります。「わたしは生きている。いくら願っても、わたしは何も答えない。 + いくら、回りの国々を見ならって木や石の偶像を拝もうとしても、それはできない。 + わたしが鉄のこぶしを振り上げ、大きな怒りをこめて、おまえたちを治めるからだ。 + 憤りをこめた強い力で、散らされていた国々からあなたがたを連れ出し、 + 荒野にあるわたしの法廷に集め、そこであなたがたをさばく。あなたがたをエジプトから連れ出したあと、荒野でした時のように、反逆者を取り除く。 + あなたがたを念入りに数え上げ、ほんの一握りの者だけをイスラエルに戻す。 + 残る大部分の者は、わたしに反逆して罪を犯しているので、みなの間から取り除く。彼らは捕らえられている国から連れ出されるが、イスラエルには入れない。このとおりのことが起こる時、あなたがたは、わたしが神であることを知るようになる。」 + ああ、イスラエルよ。神である主はこう語ります。「そんなにも偶像を拝みたければ拝むがいい。だが、そうするなら、わたしにささげ物を持って来るようなことはしてはならない。そのようなことをして、わたしの聖なる名を汚すようなことはやめよ。」 + 主はこう語ります。「わたしの聖なる山エルサレムで、全イスラエルはわたしを礼拝する。その所で、わたしはあなたがたを喜んで迎え、いけにえと最上のささげ物を求めよう。 + わたしがあなたがたを捕囚から連れ戻す時、あなたがた自身がわたしにささげられた良い香りとなる。諸国の民はあなたがたの心に大きな変化が起こったことを知る。 + さらに、わたしが約束した地に連れ戻す時、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + その時、自分が犯した罪をことごとく思い起こし、その悪のゆえに自分自身を忌みきらうようになる。 + その悪にもかかわらず、あなたがたを祝福することによって、わたしの名誉を守る時、イスラエルよ、あなたがたはわたしが主であることを知るようになるのだ。」 + さらに、このようなことばが主からありました。 + 「人の子よ、エルサレムの方へ顔を向け、エルサレムとネゲブの森に、 + こう預言せよ。神のことばを聞け。ああ、森よ。わたしはおまえに火をつける。生木も枯れ木も、木という木をすべて焼き尽くそう。その燃えさかる炎は消されず、国中を焼け野原とする。 + そしてすべての国々は、主であるわたしが火をつけたことを知るだろう。その火が消されることはない。」 + そこで、私は叫びました。「おお主よ。彼らは私のことを、『なぞをかけるようにしか語らない者』と言っています。」 + + + それから、このようなことばが主からありました。 + 「人の子よ、エルサレムに顔を向け、イスラエルとわたしの神殿とに預言しなさい。 + 主はこう語る。イスラエルよ。わたしはあなたを攻める。剣を抜き、善人も悪人も区別なく、みな滅ぼす。 + 正しい者も生かしてはおかない。南のネゲブから北の国境まで、国中の者をきれいに一掃する。 + すべての国々は、こうしたのが主であるわたしであることを知る。わたしは剣を手にし、このことをやり遂げるまで剣をさやに納めない。 + 人の子よ、激しい苦悶のあまり、人々の前で嘆き、うめき声を上げよ。 + どうしたのかと聞かれたら、こう答えよ。『神が恐ろしいことを語ったからだ。そのとおりになったら、どんな勇敢な者も恐怖におののき、意気消沈し、だれのひざも震える。神である主がそう語ったのだ。』あなたは滅びに向かっている。わたしのさばきは成就する。」 + 続いて、主のことばがありました。 + 「人の子よ、このように人々に告げよ。大虐殺のために、もう一振りの剣が研ぎすまされている。それでも、笑い飛ばそうというのか。あなたよりずっと強い者も滅んでいった。その剣が今、刑を執行する者の手に渡されている。 + 人の子よ、さあ、人目もはばからず泣きわめけ。その剣で、わたしの民と指導者がみな殺されるからだ。みな同じように死ぬ。 + こうして、すべての者が試される。逃れることはできない。」神である主がこう語るのです。 + 「このように預言せよ。力いっぱい手を打ち鳴らせ。それから剣を取って、二回、三回と振り回せ。それこそ彼らが虐殺されるしるしだ。 + 彼らを震え上がらせよ。抜き放たれた剣が、どの家の門口でも光っている。その鋭い刃先が、人を切り殺そうと、いなずまのように光っている。 + さあ剣よ、右に左に、思うままに切りまくれ。 + あなたが手を打ち鳴らして預言したように、主であるわたしがエルサレムを打ちのめして、わたしの憤りを静めよう。」 + それから、このようなことばが示されました。主はこう語りました。 + 「人の子よ、地図を作りなさい。その上に、バビロンの王が攻めて来る二つの道を書きつけるのだ。一つはエルサレムに通じる道、もう一つはヨルダン川東岸のラバに向かう道だ。バビロンからの道が二つに別れる地点にしるしをつけておきなさい。 + バビロンの王はその地点で、エルサレムを攻撃しようか、ラバを攻撃しようか、と思案するからだ。彼は占い師を呼んで占わせる。占い師は矢筒から矢を振り出したり、偶像にささげたいけにえの肝を調べたりする(神々から情報を得る、古代の占い法)。 + その結果、エルサレムに向かえ、と言うだろう。彼らは城壁を破壊する兵器を持って、城門めがけて攻めかかり、『皆殺しにしろ』と口々に叫ぶ。また、包囲攻撃用に塔を建て、城壁を乗り越えるためにとりでを築く。 + エルサレムはバビロンの裏切りを理解できない。どうして占い師は、こんな恐ろしい間違いをしでかしたのか。バビロンはユダの同盟国ではないか。エルサレムを守ると約束してくれたではないか。だがバビロンの王には、ユダの民が反逆した時のことしか念頭にないのだ。王はユダを攻め、民を滅ぼす。」 + さらに主は語ります。「あなたがたの罪は何度もあばかれている。人前もはばからず、ぬけぬけと悪を行っているからだ。あなたがたはどこへ行っても、何をしても、悪いことばかりしている。今こそ罰を受ける時だ。 + ああ、悪にまみれたイスラエルの王ゼデキヤよ。あなたの最後の刑罰の日がきた。」 + 神である主が語ります。「宝石をちりばめた冠を取り去れ。世の中がひっくり返る。今や、貧しい人が高い地位につき、金持ちが低くされる。 + わたしはユダの王国を根底からくつがえす。たとえ新しい体制が生まれても、それに権威を授ける者が現れるまで、決して国は確立しない。わたしが、その者にあらゆる権威を与えるのだ。 + 人の子よ、アモン人にも預言せよ。彼らはわたしの民が苦しんでいた時、それをあざ笑っていた。彼らにこう言え。おまえたちを切るために、わたしの剣がさやから抜き放たれた。その剣は鋭く研ぎすまされ、いなずまのように光っている。 + おまえたちの占い師や偽預言者どもは、おまえたちの神々がバビロンの王の手から救ってくれるから、『安全だ。心配はない』と偽りを言った。こうして、おまえたちを他の悪者とともに死に追いやったのだ。最後の罰の下る日がくるとき、おまえたちは傷ついて死ぬ。 + おまえたちを罰せずに、わたしの剣が元のさやに納められることはない。おまえたちの祖国で滅ぼそう。 + わたしの憤りをぶちまけ、怒りの炎を吹きつけよう。そして、破壊することの上手な、残忍な者どもの手に引き渡そう。 + おまえたちは火に注がれる油で、その血が自分の国で流される。おまえたちは一掃されて、歴史から完全に忘れ去られる。主であるわたしが、こう語ったからだ。」 + + + また、別のことばがありました。主はこう語ったのです。 + 「人の子よ、エルサレムを殺人のかどで告発しなさい。その恐るべき残虐行為を、公然と非難しなさい。 + のろわれ、滅ぼされようとしている流血の町、汚れと悪臭にまみれた偶像の町。 + あなたは殺人と偶像礼拝の罪を犯している。今、滅びの日が近づいている。あなたに与えられた年月は終わりに達した。あなたをすべての国々の笑いものとし、非難の的としよう。 + 近くの者も遠くの者も、悪名高き反逆の町として、あなたのことをあざ笑うだろう。 + 城壁の中に住むイスラエルの指導者たちは、人殺しに夢中だ。 + 両親は全く顧みられず、寄留者や旅行者は保護という名目で不当な金を払わされ、孤児や未亡人は不正な扱いを受け、さんざんな目に会っている。 + 神に関することは、どうでもよいことのように思われ、安息日も軽んじられている。 + 囚人はぬれ衣を着せられ、死刑にまでされている。どの山の上も偶像で満ち、みだらなことが至るところで行われている。 + 父の妻と姦淫したり、生理中の女と寝たりする男がいる。 + 人妻や息子の嫁、あるいは腹違いの姉妹との姦淫も普通のことになっている。 + 雇われて人殺しをする者、暴利をむさぼる高利貸し、不当に搾取する者がそこらじゅうにいる。わたしのことも、わたしの戒めのことも、念頭にない。」主はこう語ります。 + 「さあ今、わたしは手を鳴らして、あなたの不正な利得と流血をやめさせる。 + わたしが罰する日に、あなたは強く、勇敢でいられるだろうか。主であるわたしが語るのだ。みなそのとおり行われる。 + わたしはあなたを世界中に散らし、あなたのうちにある悪を焼き滅ぼそう。 + あなたは国々の間で辱められる。その時、あなたはわたしが主であることを知る。」 + それから、主は語りました。 + 「人の子よ。イスラエルの民は、銀を精錬するときに出る、何の役にも立たないかすのようなものだ。真鍮、すず、鉄、鉛を混合するとき出る浮きかすだ。」主はこう語ります。「あなたがたは役に立たない浮きかすだから、わたしの炉であるエルサレムに集め、わたしの怒りの火で溶かそう。 + 憤りの炎を吹きつけ、 + その激しい熱で、銀のように溶かしてしまおう。その時、あなたがたは主であるわたしが怒りをぶちまけたことを知る。」 + さらに、このような主のことばがありました。 + 「人の子よ、イスラエルの民に言いなさい。わたしの憤りが爆発する日、あなたは汚い荒れ地、雨の降らない荒野のようになる。 + あなたの預言者たちは、獲物に忍び寄るライオンのように陰謀を巡らす。彼らはむさぼり食うように多くのいのちを奪い、財産や宝を強奪し、国中に未亡人を増やす。 + また、祭司は祭司で、わたしの律法を破り、神殿を汚し、わたしを汚した。彼らにとって、祭司の務めは日々の仕事以上に重要なものではない。わたしの民に善悪の区別を教えず、安息日も無視した。こうして、わたしは彼らの間でひどくさげすまれている。 + 指導者も、獲物に飛びかかる狼のように、自分の利得のために人のいのちを奪っている。 + 預言者は偽りの幻を語り、わたしがひと言も語らないのに、神がこう語ったと偽りを語っている。こうして、しっくいで壁の上塗りをするようにごまかしている。 + それで民も、貧しい者たちを虐げ、物をかすめ、在留外国人からも強奪している。 + わたしは、この国を守る正義の城壁を建て上げ、破れ口に立ちふさがって、わたしのさばきからあなたを守ってくれる者を探し求めたが、一人も見つからなかった。 + そこで、怒りの炎で、あなたを焼き尽くそう。あなたのすべての罪に見合う報いをする。」 + + + 再び、主からのことばが私にありました。 + 「人の子よ、二人の姉妹のことを話そう。二人はうら若いおとめであったころ、エジプトで淫行を繰り返していた。 + 姉はオホラ、妹はオホリバと言った。この二人とは、サマリヤとエルサレムのことだ。二人はわたしの妻となり、それぞれ息子や娘を産んだ。ところが、オホラはわたしのもとを離れて他の神々に走り、隣のアッシリヤ人を愛した。 + みな魅力的な若者で、鮮やかな青い衣を着て、さっそうと馬にまたがった司令官や隊長だったからだ。 + こうして彼女はアッシリヤのえり抜きの男たちと姦通の罪を犯し、彼らの偶像を拝んで身を汚した。 + オホラはエジプトを出てからも、みだらな心が消えていなかった。エジプト人が彼女に欲情を募らせて、その純潔を奪った、あの若いころと少しも変わっていなかったのだ。 + それでわたしは、アッシリヤの神々に夢中になっている彼女を、アッシリヤ人の邪悪な手に渡した。 + 彼らは彼女を裸にして殺したうえ、その子どもたちを連れ去って奴隷にした。彼女の名は、当然の報いを受けた悪女として、女たちの語り草となった。 + 妹のオホリバ(エルサレム)も、姉の身に起こったことを見ていながら、同じことをしたばかりか、さらにひどい罪を犯した。 + 彼女も、堂々と軍馬にまたがった若者、りっぱな制服を着た士官であるアッシリヤ人に、手当たりしだい、だれでもよいとばかりに媚びへつらった。 + こうして妹も、姉の歩んだ道をまっしぐらに進んだ。 + 事実、オホリバの堕落ぶりはサマリヤをはるかに上回っていた。彼女は壁にかかっている絵を見て、そのとりこになってしまったのだ。そこに描かれていたのは、バビロンの士官たちで、目の覚めるような赤い制服を着け、りっぱなベルトを締め、頭には垂れるほどのターバンを巻きつけていた。 + その絵を見ただけで、彼女は男たちにすっかり魅せられ、使者をカルデヤに遣わした。もちろん、彼らを自分のもとに招くためだ。 + 彼らは来て彼女と姦淫し、恋の寝床で彼女を汚した。しかしその後、彼女は彼らをいやがるようになり、彼らのもとを離れて行った。 + わたしは、姉と同様、妹にも愛想が尽きた。この妹は、これ見よがしに裸体を彼らの前にさらけだし、彼らの情欲に身をまかせたからだ。 + それでもいっこうに懲りもせず、さらに淫行を重ね、エジプトで淫行をした若いころの愛人たちを思い出し、よりを戻してみだらな行為を重ねたのだ。 + こうして、エジプト人に純潔をささげた、あの若かった昔の日々をたたえているしまつだ。」 + それで今、神である主は語ります。「ああ、オホリバ。わたしは、あなたが愛想を尽かして別れたその国々を奮い立たせて、あなたに立ち向かわせる。 + 見よ、バビロニヤ人が攻めて来る。ペコデやショアやコアから、すべてのカルデヤ人がやって来る。それに、馬にまたがった、アッシリヤの美しい若者、高官たちが加わっている。 + 彼らは戦車や車に乗り、戦闘準備を整えた大軍を率いて、北から攻めて来る。この大軍団は四方からあなたを囲み、やりたい放題のことをする。 + わたしはあなたを断じて赦さず、恐ろしい目に会わせる。耳も鼻も切り落とされ、生き残った者も殺される。子どもたちは奴隷として連れ去られ、残った者は焼き払われる。 + 美しい服や宝石もはぎ取られる。 + こうしてわたしは、エジプトから持ち込んできた、みだらな行為をやめさせる。あなたはもう二度とエジプトにあこがれたり、その神々を慕うことがない。」 + 神である主は語ります。「わたしは、あなたが忌みきらう敵どもの手にあなたを必ず渡す。 + 彼らは憎しみをこめてあなたを罰し、何もかも奪い取って、裸にして放り出す。こうして、淫乱の恥がすべての国々にさらされるのだ。 + それも自分で招いたことだ。外国の神々を拝み、偶像礼拝によって自分自身を汚したからだ。 + あなたは姉と同じ道をたどったので、わたしは姉を滅ぼしたのと同じ恐ろしい罰を、あなたにも下す。 + そう、姉に臨んだ恐るべきことが、あなたにも降りかかる。姉が飲んだ杯は、あふれていた。おまえが苦しむのを見て、国々があざ笑うだろう。 + あなたも、姉サマリヤのように悲嘆にくれ、酔っぱらいのようによろめき歩くようになる。 + 苦しみもだえながら、なおも恐怖の杯を最後の一滴まで飲み干すのだ。これを語ったのはわたしだ。 + わたしを忘れ、わたしに背を向けた責任はみな、あなたが自分で負わなければならない。 + 人の子よ、恐ろしい悪を重ねているエルサレムとサマリヤを非難せよ。 + 彼らは姦淫と殺人の罪を犯した。偶像を拝み、わたしのために産んだ子どもたちを、偶像の祭壇にいけにえとしてささげ、焼き殺してしまったのだ。 + その同じ日にわたしの神殿を汚し、安息日を無視した。 + 子どもを殺して偶像にささげておきながら、同じ日にその足で、神殿へ礼拝に来るのだから。彼らのわたしに対する態度は、こんなものでしかないのだ。 + そればかりか、遠くの国にまで使いを送り、偶像の神々に仕える祭司を招いて歓迎している。彼らの気を引こうと、おまえは体を洗い、アイシャドーを塗り、最上の宝石で身を飾った。 + 豪華な寝床にいっしょに腰をかけ、その前に置いたテーブルの上に香と油とを並べた。 + あなたの部屋からは、荒くれ者や飲んだくれのばか騒ぎが聞こえてきた。彼らはあなたの腕に腕輪をはめ、頭にきらきら輝く冠をのせた。 + だれが、年老いて疲れきった娼婦を抱くだろうか。 + ところが、この男たちはそうしたのだ。恥じらいを忘れた娼婦サマリヤとエルサレムのもとへ、情欲にかられて彼らは行った。 + だが、正しい人々は、どこででも、彼女たちの正体が姦淫の女や人殺しであることを見抜き、律法に従って彼女たちを裁く。」 + 神である主はこう語ります。「大軍を攻め上らせて、彼女たちを辱め、打ち砕く。 + 敵兵は彼女たちを石で打ち、剣で殺し、息子や娘を虐殺し、家は火で焼き払う。 + こうして、わたしはこの地から、みだらな行為や偶像礼拝をなくす。わたしのさばきは、それを見るすべての人々に、偶像礼拝の非を悟らせるだろう。 + あなたがたは、売春や偶像礼拝の罪の報いを余すところなく受ける。その全部の罰を負わなければならない。その時、あなたがたはわたしだけが神であることを知る。」 + + + エホヤキン王が捕囚となって九年目の第十の月の十日、私に次のような主のことばがありました。 + 「人の子よ、今日の日付を書き留めよ。今日、バビロンの王がエルサレムに攻撃をしかけたからだ。 + さあ、反逆者であるイスラエルに、このたとえを語りなさい。神である主がこう命じる。なべに水を入れ、火にかけて沸騰させなさい。 + そこに最上の羊の肉、ももや肩などの柔らかい肉をたくさん入れなさい。 + 群れの最良の羊だけを使うのだ。火にはどんどん薪をくべ、肉が骨から離れるまでよく煮なさい。」 + 神である主はこう語ります。「ああ、流血の町、エルサレムはのろわれよ。おまえは、さびと傷とで穴だらけになったなべのようだ。その中から一切れ一切れ、肉を取り出せ。どれが良いということはなく、みな同じだからだ。 + エルサレムの醜悪さは周知のことだ。平気で人を殺し、その血が岩にたれて、人目にさらされても、隠そうともしない。 + だから、わたしもそのままにして、その血がエルサレムの犯行を訴えるにまかせた。わたしの怒りと憤りはいやがうえにも募った。 + 流血の町、エルサレムはのろわれよ。わたしはその下に薪を積み上げる。 + さあ、薪をくべ、どんどん火を燃やせ。なべを煮えたぎらせるのだ。肉をよく煮てから、なべを空にし、骨を燃やすのだ。 + 空のなべを炭火にかけ、そのさびや汚れを焼き落とせ。 + だが、すべては骨折り損だ。火をどんなに強くしても、さびや汚れは落ちずに残るからだ。 + そのさびと汚れとは、偶像を礼拝してやまない、みだらな行為のことだ。わたしはあなたをきよめようとしたが、あなたが拒んだので憤りを燃え上がらせ、恐ろしい目に会わせる。それまで汚れたままでいるがいい。 + 主であるわたしが、これを語ったのだ。このことは必ず起こる。わたしがそうするからだ。」 + また、私に次のような主のことばがありました。 + 「人の子よ。わたしはあなたの愛する妻を取り去る。彼女は急死する。しかし、悲しんではならない。決して泣いてはならない。涙を流してはならない。 + ため息はついても、声を立ててはいけない。彼女の墓で、声を上げて泣いてはいけない。頭にターバンを巻き、足に靴をはきなさい。慰めにと、友人が持って来る食べ物を受け取ってはいけない。」 + その朝、私はこのことを人々に語りました。その晩、妻が死にました。翌朝、私は主が語ったとおりにしました。 + すると人々は、「なぜ、そんなふうにするのですか。わけを教えてください」と尋ねてきました。 + そこで私は答えました。「主が私に、イスラエルの民にこう言え、と語ったのです。『わたしは、あなたがたが国の力と頼み、わたしが愛してやまない美しい神殿を破壊しよう。そして、ユダヤにいるあなたがたの息子や娘を剣で殺そう。』 + その時あなたがたは、私がしたのと同じことをするようになります。つまり、人前で嘆き悲しむことも、同情して友人が持って来てくれた食べ物を食べることもできなくなるのです。 + 喪中だというのに、頭にはターバンを巻き、足に靴をはき、嘆くことも泣くこともしません。互いの罪を嘆き合い、自分たちが犯した多くの悪を悲しむのです。 + 主が言われるとおり、私は手本を示したのです。『エゼキエルがしたとおりに、あなたがたもするようになる。その時がきたら、あなたがたはわたしが神であることを知るようになる。 + 人の子よ。わたしがエルサレムの住民から、心の喜びであり誇りでもある妻や、息子や、娘を取り去る日に、 + エルサレムから命からがら逃れた者が、バビロンにいるあなたに、その出来事を知らせるために向かう。 + その者が到着したら、さっそく話をするがいい。あなたはこの人々のためのしるしとなるのだ。その時、彼らはわたしが神であることを知る。』」 + + + それから、このような主のことばがありました。 + 「人の子よ。アモン人の地に顔を向け、その住民に預言せよ。 + 彼らにこう告げるのだ。神、主が語ることを聞け。おまえは、わたしの神殿が破壊された時、あざ笑った。イスラエルが苦しんでいる時、これをさげすんだ。ユダが捕囚として連れて行かれた時、それ見たことかと笑った。 + それゆえ、わたしは東の荒野からベドウィン族をおまえの地に侵入させる。彼らはおまえのうちに陣取り、住みつき、おまえが育てた作物を全部刈り取り、乳牛を盗んでいく。 + わたしはラバの町をらくだの牧場とし、アモン人の住む全地を羊の放牧地として荒れるにまかせよう。その時、おまえはわたしが神であることを知る。」 + 神である主はこう語ります。「おまえはわたしの民の滅亡を見て手をたたき、足を踏み鳴らして喜んだ。 + それゆえ、重い罰を加え、多くの国を侵入させて、おまえを廃させる。国として立ち行かなくなるまで滅ぼそう。その時、おまえはわたしが主であることを知る。」 + 神である主はこう語ります。「モアブ人は、『ユダの国も他の国と変わらないではないか』と言った。 + それゆえ、わたしはモアブの東の国境を開け放ち、モアブ人が誇りとしているベテ‧ハエシモテ、バアル‧メオン、キルヤタイムの町々を掃討する。東の荒野から来るベドウィン族が、アモン人に対するようにモアブにもなだれ込む。モアブは国々の間から抹消される運命にある。 + こうして、わたしのさばきが下る時、彼らはわたしが主であることを知る。」 + 神である主はこう語ります。「エドムの住民は、自分の手でユダの民に復讐するという大きな罪を犯した。 + それゆえ、こぶしでエドムを打ちたたき、人も家畜も羊の群れも一掃する。テマンからデダンまで、すべてのものを剣で切り倒す。 + わたしの民イスラエルの手によって、このことを行う。彼らがわたしの激しい復讐を遂げる。」 + 神である主はこう語ります。「ペリシテ人は昔からユダに恨みを抱き、復讐の念に燃えて攻めて来た。 + それゆえ、ペリシテ人の地にこぶしを振り上げ、ケレテ人を一掃し、海岸に住む者を完全に滅ぼす。 + 彼らのしてきたことに対して恐ろしい復讐をする。それが現実となる時、彼らはわたしが主であることを知る。」 + + + エホヤキン王が捕囚となって十一年目のその月の第一日、主から新しいことばが示されました。 + 「人の子よ。ツロはエルサレムの滅亡を喜んで、『それ見たことか。エルサレムは地中海沿岸と、ヨルダン川沿いの南北に通じる通商路を支配し、利益を得ていたが、ついに打ち破られた。あとは私のものだ。エルサレムが廃墟になったので、私は金持ちになれる』と言った。」 + それゆえ、神である主はこう語ります。「ツロよ。わたしはおまえを攻める。波が打ち寄せるように、たくさんの国が次から次へと攻め寄せる。 + 彼らはツロの城壁を破壊し、やぐらを倒す。わたしは、その土を削り取って、そこを裸の岩にしよう。 + 島には、住む人もなく、ただ漁師が網をしかける場所となる。」これを語ったのはわたしであると、神である主が言います。「ツロは多くの国のえじきとなる。 + 本土にあるツロの町も剣によって滅びる。その時、彼らはわたしが主であることを知る。」 + 神である主はこう語ります。「北から、王の王であるバビロンの王ネブカデネザルを連れて来よう。彼は騎兵と戦車の大軍を率いて、ツロに攻め寄せる。 + まず、周辺の村々を攻略し、それから本土の町を包囲してとりでを築き、盾を屋根のように掲げて攻撃する。 + 破城槌で城壁を突きくずし、大づちをふるってとりでを粉砕する。 + 騎兵隊の巻き上げる土煙で、町は息もつけないありさまとなるだろう。打ち破られた城内から、戦車を引いて疾駆する馬の地響きに、城壁は震え上がるだろう。 + 騎兵たちが町にひしめき、住民を片っぱしから殺して回る。あの名高い、大きな柱も倒される。 + 財宝も商品も残らず略奪され、城壁も打ち壊される。快適な家は取り壊され、石も木も、そしてちりまでも、海に投げ捨てられる。 + わたしは、おまえが歌うのをやめさせる。もう竪琴の音も聞こえなくなる。 + おまえを裸岩とし、漁師たちが網をしかける所とする。おまえは二度と建て直されることはない。主であるわたしが言うのだ。 + おまえがくずれ落ちる響きで国中が震え、虐殺が続けられる中で、傷ついた者たちが悲鳴を上げる。 + その時、海辺の諸国の指導者たちは、王座から降り、王衣も美しい衣服も脱ぎ捨て、あまりに恐ろしい光景に、身を震わせながら地に座り込む。 + 彼らはおまえのために嘆き悲しみ、こんな哀歌を口にする。『ああ、難攻不落を誇った港の町。その強大な海軍力が本土を恐れさせたのに、どうして海に消えてしまったのか。 + 島々はおまえの滅亡に恐怖に駆られ、おびえたまなざしで見つめている。』」 + 神である主は語ります。「わたしはツロを完全に滅ぼす。ツロは大洪水のような敵の猛攻撃で、その下に沈められる。大海がおまえをのみ込んでしまうのだ。 + わたしはおまえを地獄の穴に送り込み、昔の民といっしょに横たえさせる。町は荒れはて、死の町となる。再び人が住むことはなく、その美しさを取り戻すこともない。 + わたしはおまえに恐ろしい最期を遂げさせる。いくら捜しても、おまえを見つけることはできない。」このように主が語るのです。 + + + 次のような主からのことばがありました。 + 「人の子よ、ツロのために、この悲しみの歌を歌え。 + ああ、貿易の中心地、強大な港町よ。主のことばを聞きなさい。おまえは『私は世界で一番美しい町だ』と自慢している。 + 領土を海の中にまで広げ、建築家たちはおまえを豪華に仕上げた。 + おまえはセニル産の最上のもみの木で造った船のようだ。マストにはレバノン杉を使った。 + 櫂にはバシャン産の樫の木、船室の壁にはキプロス南岸産の糸杉材を使った。 + その帆はエジプト亜麻の最上の帆布で、おまえを覆う日よけは東部キプロス産の紫と紅の染料で明るく彩られている。 + 船員はシドンとアルワデ出身の者、舵手はツロの腕ききだ。 + ゲバル出身の経験豊富な船大工が船板の継ぎ目を修理する。世界の各地から商品を満載した船がやって来て、おまえと商いをする。 + 軍隊には遠くペルシヤ、ルデ、プテの出身者がいて、おまえに仕えた。城壁にかけた彼らの盾は、自慢の種だった。 + アルワデとヘレク出身の者が城壁の歩哨に立ち、やぐらはガマデ出身の者が守りを固めていた。彼らの盾も城壁にずらりと並び、おまえの栄誉はまさに完全そのものだった。 + タルシシュから、銀、鉄、すず、鉛など、あらゆる種類の財宝が手に入った。 + ヤワン、トバル、メシェクの商人は奴隷や青銅の器を持参し、 + ベテ‧トガルマからは軍馬、戦車用の馬、らばが運ばれて来た。 + デダンからも商人が来た。おまえは地中海沿岸の市場を支配し、黒檀や象牙で支払わせた。 + エドムの貿易商人はおまえの製品をたくさん買い、エメラルド、紫の染料、刺繍品、上質の亜麻布、さんごやめのうなどの宝石と交換した。 + ユダと、かつてイスラエル王国にあった町々も、ミニテの小麦といちじく、はちみつ、香油、香料などを持参して、商いをした。 + ダマスコもやって来て、ヘルボンのぶどう酒とシリヤの羊毛を、おまえの豊富な製品と交換した。 + ベダンとヤワンも、アラビヤ糸、銑鉄、桂枝、菖蒲を持参して商いをした。 + デダンは鞍に敷く高級な布地を持参した。 + アラビヤ人もケダルの裕福な君主たちも、子羊、雄羊、やぎを持参した。 + シェバとラマの商人は、いろいろな種類の香料、宝石、金を持って来た。 + カランとカネ、エデン、アッシリヤ、キルマデも、それぞれの製品を持って来た。 + 青の布地、刺繍品、固く撚った太ひもでしっかり織り上げた多彩な敷物など、最上質の織物類だった。 + タルシシュの船団は、おまえが雇った海のキャラバンだ。おまえの島の倉庫はあふれるばかりだ。 + だが今、ツロの政治家たちはおまえの船を嵐の真っただ中にこぎ出した。激しい東風に、さすがの巨船もぐらつき、海の真ん中で難破する。 + すべてのものが海のもくずと消える。財宝も商品も、船員も水先案内人も、船大工も商人も兵隊も、すべての人が、ツロの壊滅の日に、海の底に沈む。 + 恐怖におののく水先案内人の叫び声に、近隣の町々は震え上がる。 + 海に出ていた船員が上陸し、本土の岸に立って見回しながら大声で泣き、頭にちりを振りかけ、灰の中をころげ回る。 + 彼らは悲しみのあまり頭をそって丸坊主となり、荒布をまとい、ツロのために心を痛めて、泣きくずれる。 + そして悲しみの歌を歌う。『海の真ん中で滅ぼされたツロのように不思議な町が、世界のどこにあっただろうか。 + おまえの商品は多くの国の人々の欲望を満足させた。地の果てに住む王たちも、おまえが送った財宝を喜んだ。 + だが今、おまえは海の底に横たわっている。すべての商品も、それを運ぶ船員もみな、おまえとともに沈んでしまった。 + 沿岸に住む者はみな、わが目を疑い、立ちすくんでいる。王たちも、おびえた表情でじっと見つめている。 + 他国の商人も、おまえがたどった運命の恐ろしさに、頭を振って考え込んでいる。おまえは永久に滅び去ったのだ。』」 + + + また、次のような主のことばが示されました。 + 「人の子よ、ツロの君主に言いなさい。」神である主はこう語ります。「おまえは身のほどをわきまえず、自分を神にしてしまうほど思い上がり、大海に浮かぶ島で神の座についている。だが、いくら神のようにふるまっても、おまえは人であって神ではない。確かに、おまえはダニエルよりも賢く、どんな秘密もおまえには筒抜けだ。 + その知恵と知識を駆使して、おまえは金、銀、財宝を手に入れ、大きな富を築いた。 + そう、おまえの知恵がおまえを大金持ちにし、高慢にしたのだ。」 + それゆえ、神である主はこう語ります。「おまえは、自分が神のように賢いと言っている。 + それで、諸国に恐れられている敵の大軍が、知恵を自慢しているおまえに向かって剣を抜き、その栄華を汚す。 + 海の真ん中の島で、おまえを地獄の穴へ突き落とし、剣で八つ裂きにする。 + それでも、自分は神だと言うのか。侵略者たちにとっては、おまえは神ではなく、ただの人間だ。 + おまえは外国人の手で、まるでごみ屑のように、無造作に殺される。」わたしがこう言うと、神である主は語ります。 + また、次のような主のことばがありました。 + 「人の子よ、ツロの王のために泣け。神、主はこう語る、と告げよ。おまえは知恵に満ち、美を極めていた。 + おまえは神の園、エデンのような所にいて、その服には、最高級の金の台に、ルビー、トパーズ、ダイヤモンド、かんらん石、しまめのう、碧玉、サファイヤ、紅玉、エメラルドなどあらゆる種類の宝石をはめ込んだ飾りをつけていた。みな、おまえが王となった日に贈られた物だ。 + わたしはおまえを、油注がれた守護者ケルブに任命した。おまえは神の聖なる山に近づき、火の石の間を歩いていた。 + 王となってから、不正が見つかる時まで、おまえがやったことはみな完璧だった。 + しかし、莫大な富に目がくらんで、おまえは罪を犯したのだ。そこでわたしは、普通の罪人と同じように、おまえを神の山から追い出した。ああ、すぐれたケルブよ。わたしはおまえを火の石の間から消滅させた。 + おまえは自分の美しさを鼻にかけ、思い上がっていた。栄華のために、自分の知恵を台なしにしてしまった。それゆえ、おまえを地面にたたき伏せ、何事が起こったのかと好奇の目をみはる王たちの前に、おまえの無力さを見せつけたのだ。 + おまえは不正な商いをして自分を汚した。それゆえ、おまえ自身の所業から火を引き出し、みんなが見ている前でおまえを焼き、地上の灰としたのだ。 + おまえを知っていた者はみな、その恐ろしい運命に背筋を凍らせる。おまえは見せしめとして、永久に滅ぼされるのだ。」 + 次のようなことばもありました。 + 「人の子よ、シドンの町にこう預言せよ。」 + 神である主がこう語ります。「シドンよ。わたしはおまえの敵となり、わたしの力を現そう。おまえを滅ぼして、わたしのきよさが示されるとき、それを見る者はみな、わたしが主であることを知る。 + 疫病をはやらせ、兵を送って滅ぼす。傷ついた者たちは町の通りで、四方から攻め寄せる敵兵に殺される。その時、おまえはわたしが主であることを知る。 + おまえも、他のイスラエルの近隣の国々も、かつてはイスラエルをさげすみ、邪険にしてきたのだが、これからはもう、いばらやとげのようにイスラエルを突き刺したり、引き裂いたりしなくなる。 + イスラエルの民は、わたしがその先祖ヤコブに与えた地に再び住むようになる。散らしておいた遠くの国々から、わたしがもう一度、彼らを集めるからだ。こうしてわたしは、国々にわたしのきよさを示す。 + 彼らはイスラエルに安らかに住み、家を建て、ぶどう畑を作る。こうしてイスラエルをさげすんだ回りの国々がみな罰せられるとき、彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知る。」 + + + エホヤキン王が投獄されて十年目の第十の月の十二日に、主から次のようなことばがありました。 + 「人の子よ、エジプトの王と民に預言しなさい。 + 神である主がこう語る、と告げよ。川の真ん中にいる巨竜のようなエジプトの王よ。わたしはおまえの敵となる。おまえが、『ナイル川は私のものだ。私が自分のためにつくったのだ』と言っているからだ。 + わたしは、おまえのあごに鉤をかけ、うろこについた魚ごと岸に引き上げる。 + おまえを魚もろとも、死ぬまで荒野に放っておく。遺体を葬る者はいない。わたしがおまえを野獣や鳥のえじきとしたからだ。 + イスラエルがわたしに頼る代わりにおまえに助けを求めた時、おまえにはそれだけの力がなかった。そのことから、おまえたちはみな、わたしが主であることを知るようになる。 + イスラエルはおまえに寄りかかった。だがおまえは、ひびの入った杖のように折れた。イスラエルは肩を砕き、痛みのあまりよろめいた。」 + それで、神である主は語ります。「ああ、エジプトよ。わたしは軍隊を送っておまえを攻め、人も家畜もみな滅ぼす。 + エジプトは荒れはてる。その時、エジプト人は、このようにしたのは主であるわたしだと知る。おまえは、『ナイル川は私のもの。私がつくったのだ』と言っている。 + それゆえわたしは、おまえとその川に向かって立ち上がり、ミグドルからセベネ、さらに南のエチオピヤとの国境に至るまで、エジプト全地を完全に滅ぼす。 + 四十年間、誰ひとり、獣一匹さえエジプトを通らないだろう。もちろん、住む者もいなくなる。 + エジプトばかりか周囲の国々も荒廃させ、町々も四十年間、荒れ放題にする。わたしはエジプト人を他の国々に追い散らす。」 + 主は語ります。「四十年が過ぎたら、エジプト人を散らされていた国々から連れ戻そう。 + エジプトの富を回復し、彼らが生まれ育った地、南エジプトのパテロスに帰らせる。だが、もうエジプトは、何の影響力もない小国となる。 + すべての国々の中でも最小の国となり、二度と他の国の上に立つこともない。今までのような大国には決してなれない。 + イスラエルも、二度とエジプトに助けを求めたりはしない。助けを求めようとするたびに、以前の苦い失敗を思い出すからだ。こうしてイスラエルは、わたしだけが神であることを認めるようになる。」 + エホヤキン王の捕囚から二十七年目の第一の月の一日、次のような主のことばがありました。 + 「人の子よ。バビロンの王ネブカデネザルの軍隊がツロを激しく攻撃した。兵士たちは、土をいっぱい入れた重いバケツを載せて運んだために頭がはげ、肩は包囲攻撃に使う石の重さですりむけ、手にはまめができた。そうまでしても、ネブカデネザル王は何の戦利品も得られず、兵士たちに何も報いることができなかった。」 + そこで、神である主は語ります。「わたしは、バビロンの王ネブカデネザルにエジプトの地を与えよう。彼はエジプトの財宝を取り上げ、すべての物を奪って部下への報いとする。 + そう、わたしは、エジプトの地を報酬として彼に与える。彼はツロで十三年間、わたしのために働いたからだ。」このように主が語ります。 + 「やがて、わたしがイスラエルに、昔の栄えを回復する日がくる。その日には、イスラエルの発言が重視される。こうしてエジプトは、わたしが主であることを知る。」 + + + また、主から私に別のことばが示されました。 + 「人の子よ、預言せよ。」神である主は語ります。「大声で泣け。恐ろしい日が間近に迫っている。それは神の日、暗雲の垂れ込めた日、諸国の民の絶望の日だ。 + 剣がエジプトに振り下ろされ、殺された者で地が覆われる。その富は奪い去られ、土台はくつがえされる。エチオピヤも強奪される。 + エチオピヤ、プテ、ルデ、アラビヤ、リビヤ、そのほかエジプトと同盟を結んだ国々はみな、その戦争で滅ぼされる。」 + 主がこう語るからです。「エジプトの同盟国はみな滅び、自慢していたエジプトの勢力も消え失せる。エジプトの町はミグドルからセベネに至るまで、残らず剣でなぎ倒される。 + エジプトは荒廃し、周囲の国々も荒れはてる。町々も廃墟となり、さらに廃墟と化した回りの町々が、これを取り囲む。 + わたしがエジプトに火をつけ、その同盟国をも滅ぼす時、彼らは、わたしが主であることを知る。 + その時、わたしは早馬の使者を立ててエチオピヤ人をあわてさせる。エジプトの運命が定まる時、彼らは大きな恐怖に包まれる。このことは、すべて必ず起こる。」 + 神である主がこう語るからです。「バビロンの王ネブカデネザルは、大ぜいのエジプト人を殺す。 + 国々に恐れられる王とその軍隊は、エジプトを破壊するために遣わされる。彼らはエジプトを攻め、地を死体で覆う。 + わたしはナイル川を干上がらせ、国全体を悪人どもの手に渡す。外国人の手を借りて、エジプトとその中にあるすべてのものを滅ぼす。神であるわたしが、こう語ったのだ。 + わたしは、エジプトの偶像やメンピスの神々の像を打ち壊す。エジプトには王がいなくなり、無政府状態になる。 + ナイル川上流のパテロスの町々、ツォアンやテーベは、わたしの手で廃墟と化す。 + またわたしは、エジプト最強のとりでペルシウムに怒りを注ぎ、テーベの人々を絶ち滅ぼす。 + わたしは必ずエジプトに火をつけ、ペルシウムを痛みで苦しませ、テーベを引き裂き、メンピスを連日、恐怖におののかせる。 + ヘリオポリスとブバスティスの若い男たちは剣で殺され、女たちは奴隷として連れ去られる。 + わたしがエジプトの力を砕く時、タフパヌヘスも暗黒の日となる。暗雲が地を覆い、娘たちはとりことして連れ去られる。 + このようにして、エジプトをきびしく罰する時、彼らはわたしが主であることを知る。」 + それから一年後、すなわちエホヤキン王が捕囚となって十一年目(エルサレム陥落の年)の第一の月の七日、次のようなことばがありました。 + 「人の子よ。わたしはエジプト王の腕を打ち砕いた。その腕は手当てもされず、添え木も当てられなかったので、二度と剣を持つことができない。」 + 神である主が言います。「わたしはエジプト王を攻め、骨折した腕とともに、もう一方の丈夫な腕も砕き、その手から剣をたたき落とす。 + そして、エジプト人を多くの国に追い散らす。 + わたしはバビロンの王の腕を強くし、その手にわたしの剣を握らせて、エジプトの王の腕を砕く。彼はバビロンの王の前で、瀕死の重傷を負った者のようにうめく。 + わたしはバビロンの王の手を強くするが、エジプトの王の腕はわきに垂れ下がるだけで、使えないものとする。だから、バビロンの王がわたしの剣を握り、それをエジプトに振りかざす時、エジプトはわたしが主であることを知る。 + わたしはエジプト人を外国に散らす。その時、彼らはわたしが主であることを知る。」 + + + エホヤキン王が捕囚となって十一年目の第三の月の一日、次のような主のことばがありました。 + 「人の子よ、エジプトの王とその全国民に告げよ。おまえはかつての大国アッシリヤと同じく、まるでレバノン杉のようだ。枝を大きく張って涼しい木陰を作り、その先端は高く雲にまで達している。 + 根は地下深く伸びて、枝はよく生い茂り、水を回りの木々にも供給していた。 + どの木よりも高くそびえ立ち、根から十分に水分を吸収して枝も大きく伸び、こんもりと茂っていた。 + 枝には鳥が巣を作り、木陰で家畜が子を産んだ。このように世界の大国がみな、その木陰に住んだのだ。 + 木はたくましく、美しかった。深く根を張り、十分に水分を吸収していたからだ。 + 神の園の中にも、この木より高くそびえるものはなかった。糸杉もこの木の枝とは比べようがなく、その美しさにはかなわなかった。 + わたしが与えたその雄姿を、エデンのすべての木がうらやましがった。」 + しかし、主はこう語ります。「エジプトは思い上がって、尊大になった。雲にまで達するほど自分を高くして、他を見下した。 + その罰として、わたしはエジプトを大国の手に渡して滅ぼす。わたしがエジプトを切り倒すのだ。 + 国々から恐れられているバビロンからの軍隊を侵入させ、その木を切り倒して、地に投げ捨てさせる。枝はエジプトの山や谷や川に散らされる。その木陰に身を寄せていた者はみな、倒れたエジプトを見捨てて出て行く。 + いろいろの鳥が、倒れた木の小枝をむしり取り、野獣が枝の間に住みつくようになる。 + どんな国も、雲より高くそびえても、その繁栄を鼻にかけて思い上がってはならない。すべてのものは滅びるからだ。それらはみな、世界中のおごり高ぶる者とともに、地獄に落とされる。」 + 主は語ります。「エジプトが滅んだ日に、わたしは大海原を喪に服させ、その潮の満ち干を止めてしまった。レバノンに喪服をまとわせ、その木々を嘆き悲しませた。 + エジプトがくずれ落ちる大音響で、多くの国を恐れさせた。エジプトと同罪の国々をも、いっしょに地獄に投げ込んだからだ。エデンでおごり高ぶっている他のすべての木々、レバノンのえり抜きの大木、根を深く下ろして水分を吸い上げた木々は、エジプトが共に地獄にいるのを見て慰められる。 + エジプトの同盟国も、いっしょに滅ぼされる。その木陰に宿っていた国々も、共に下界に下って行った。 + ああ、エジプトよ。おまえはエデンの木々、すなわち世界の国々の中で、その偉大さと栄光を誇っている。だが、他のすべての国々とともに地獄の穴に投げ込まれてしまう。おまえが見下していた国々のように、剣で切り殺されるのだ。」これがエジプト王とその大軍の運命だと、主は語ります。 + + + エホヤキン王の捕囚から十二年目の第十二の月の一日、このような主のことばがありました。 + 「人の子よ、エジプトの王のために嘆け。そして、王に告げよ。おまえは自分を、国々の中で強くて若いライオンのようだと思っている。だがおまえは、ナイル川の岸で水をかき混ぜて濁らせている、わにのような存在でしかない。 + 神、主はこう語る。わたしは大軍を差し向け、わたしの網でおまえを捕らえる。それから引き上げ、 + 死ぬまで地に放り出しておく。空のあらゆる鳥がその上に群がり、全地の野獣がむさぼり食って、飽きるほどになるだろう。 + わたしは山々をおまえの肉で覆い、谷をその骨でうずめる。 + 谷川から山の頂上に至るまで、地をおまえのほとばしる血で染めよう。 + わたしはおまえを抹殺し、空を覆い、星を暗くする。太陽は雲に隠れ、月も光を放たない。 + ほんとうに、暗黒が全地を支配し、明るく輝く星さえ、おまえの上では暗くなる。 + わたしがおまえを滅ぼす時、見たこともない遠い国々の人が嘆き悲しむ。 + 確かに、わたしがおまえにすることを見て、多くの国々が恐怖に襲われ、王たちはおびえる。わたしが彼らの前で剣を振り回すと、わなわなと震える。おまえが倒される日、彼らは死の恐怖に取りつかれる。」 + 神である主はこう語ります。「バビロンの王の剣がおまえの上に振り下ろされる。 + わたしは、国々に恐れられているバビロンの大軍を差し向けて、おまえを滅ぼす。エジプトの誇りも民もみな、粉々にする。何もかも滅ぼされてしまうのだ。 + 流れのほとりに放牧されている家畜の群れも滅ぼす。その水を濁らせる人も動物もいなくなる。 + それで、エジプトの川はオリーブ油のように澄んで、穏やかに流れるようになる。」主は語ります。 + 「わたしがエジプトを破滅させ、その財産を全部取り上げる時、エジプトは、主であるわたしがそうしたことを知る。 + さあ、エジプトのために泣き叫べ。すべての国々よ、エジプトとその民のために悲しめ。」主がそう語るのです。 + 二週間後、主から次のようなことばがありました。 + 「人の子よ、エジプトの民のために、また他の強大な国々のために泣け。彼らを死者の住みかに送り込め。 + ああ、エジプトよ。おまえのように美しい国があるだろうか。だが、その終わりは地獄であり、おまえが見下していた者たちといっしょに横たわるのだ。 + 彼らは剣によって殺された者たちとともに死ぬ。エジプトの地に下される、剣が抜かれたからだ。エジプトはさばきの座に引きずり下ろされる。 + よみの勇士たちは、エジプトの到着を仲間たちといっしょに待ちかねている。エジプトは、自分が見下していた国々、また剣の犠牲となったすべての人々といっしょに、そこに横たわるのだ。 + アッシリヤの君主たちは、剣で殺されたアッシリヤの全民衆の墓に囲まれている。 + それらの墓は地獄の奥深くにあり、回りには同盟国の墓がある。かつて人々に恐れられた勇士たちも、みな敵の手にかかって死んでしまった。 + エラムの大王たちも、その民とともにそこに横たわっている。生前、彼らは国々をさんざん荒らし回った。しかし今では、落ちぶれて地獄に横たわっている。その終わりは、普通の人間と少しも変わらない。 + 殺された全民衆の墓の間に眠るだけだ。生きている時は国々に恐れられていたのに、今は剣に倒れ、その恥を地獄にさらしている。 + メシェクとトバルの君主たちも、兵士たちの墓に囲まれてそこにいる。みな偶像礼拝者で、かつては人々を恐れさせた者だったのに、今は死んで横たわっている。 + 昔の君主たちは、その武具をわきに置き、剣を枕とし、盾で体を覆うようにして、大きな栄誉を受けて埋葬された。だが彼らは、共同墓地に埋められただけだ。生前は人々に恐れられていたのに、 + 今は打ち砕かれて、偶像礼拝者や剣で殺された者とともに横たわっている。 + そこには、エドムとその王たち、そのすべての族長たちがいる。かつては勇者だった彼らも、剣で殺された者や地獄に落ちた偶像礼拝者とともに横たわっている。 + そこには、殺された北の国々の君主たちやシドン人もいる。かつて恐れられていた彼らも、今は恥をさらして横たわっている。殺されて地獄の穴に落ちた者とともに、同じ屈辱を味わっているのだ。」 + 神である主はこう語ります。「エジプトの王はそこに来ると、殺された配下の兵士たちもいるのを見て、胸をなでおろす。 + わたしは生きている者すべてを、恐怖のどん底に突き落とす。エジプトの王とその軍勢は、剣で殺された偶像礼拝者とともに横たわる。」 + + + 再び主からのことばがありました。 + 「人の子よ、あなたの同胞に告げよ。わたしがある国に軍隊を差し向けると、その国では見張りを立て、 + 敵軍の来襲を見て警報を鳴らす。 + その時、警報を聞き流して死ぬ者がいても自業自得だ。 + 警告を聞いてもそれに従わなかったのだから、非は彼にある。警告に従っていたら、助かっただろう。 + だが、見張り役が敵の来襲を見ながら警報を鳴らさず、警告もしなかったなら、人々の死の責任は見張り役にある。人々は自分の罪のために死ぬが、その死の責任は見張り役にある。わたしはその責任を問う。 + 人の子よ、あなたにも言う。わたしはあなたをイスラエルの見張り役とした。だから、わたしの語ることに耳を傾け、わたしに代わって彼らに警告せよ。 + わたしが悪者に向かって、『悪者よ。おまえは必ず死ぬ』と言うとき、あなたがそれを伝えなければ、彼は悔い改めることをせず、その罪のために死んでいく。ただし、わたしはその死の責任をあなたに問う。 + あなたが悪者に悔い改めるように警告しても、それを聞かないなら、彼は自分の罪のために死ぬ。しかし、あなたには何の責任もない。 + イスラエルは、『自分たちの犯した罪が重くのしかかって、私たちはすっかりやせ衰えた。どうして生きていられよう』と嘆いている。 + 彼らに告げなさい。神である主がこう語る、と。わたしは生きている。わたしは悪者どもの死を喜ばない。それどころか、悪者が悪の道から悔い改めて生きるようになることを願っている。さあ帰って来なさい。悪の道から離れ、立ち返るのだ。ああ、イスラエルよ。なぜ、そんなにも死にたがるのか。 + たとえ正しい行いをしていた人でも、罪を犯すなら、その人は救われない。どんな悪者も、その人が悔い改めて罪から身を引くなら、滅ぼされることはない。 + わたしは『正しい人は生きる』と言った。しかし、今まで良いことをしてきたから大目に見てもらえるだろうと罪を犯す人には、以前の正しい行いは何の役にも立たない。わたしは、その罪のゆえに彼を滅ぼす。 + また、わたしから『必ず死ぬ』と言われた悪者が、罪から身を引いて立ち返り、きよく正しいことを行うなら、 + すなわち、質草を返し、盗んだ物を償い、正しい道を歩んで悪を行わないなら、彼は必ず生きる。決して死ぬことはない。 + もう二度と、過去の罪によって責められることはない。正しい道に立ち返ったから、彼は必ず生きるのだ。 + それでもイスラエルの民は、『主は公正ではない』と不平を鳴らす。問題は、そう言っている彼ら自身が正しくないことだ。 + もう一度言う。正しい人でも、悪の道に入るなら、必ず死ぬ。 + 悪者でも、悪から身を引いて、きよく正しいことを行うなら、必ず生きる。 + おまえたちは今も、『主は公正ではない』と非難している。わたしは、おまえたち一人一人を、その行いに従ってさばく。」 + 私たちが捕囚となってから十一年目の第十の月の五日に、エルサレムから逃げて来た者たちの一人が、「エルサレムが陥落した」と私に告げました。 + その前夜、主の御手が私の上に置かれ、私を元気に立ち上がらせてくれました。それで、彼が到着した時には、再び語ることができるようにされていました。 + そののち、次のような主のことばがありました。 + 「人の子よ。廃墟と化したユダの町々に残って散り散りに住んでいる者たちは、『アブラハムはたった一人で、この地を所有していた。これだけの者がいれば、この地を取り返せないはずはない』と息まいている。」 + しかし、神である主はこう語ります。「おまえたちは悪いことをしているのだから、何の力もない。血がついたままの肉を食べ、偶像を礼拝し、人を殺している。それでも、わたしがその地を与えると思っているのか。 + 人を殺す者、偶像礼拝者、姦淫を行う者であるおまえたちが、この地を所有できるだろうか。」 + 彼らに告げよ、と主は語ります。「わたしは生きている。あの廃墟に住んでいる者は必ず剣に倒れる。原野に住んでいる者は野獣のえじきとなり、要害やほら穴にいる者は疫病にかかって死ぬ。 + わたしはその地を荒廃させ、彼らの高慢の鼻をへし折り、その力にとどめを刺す。イスラエルの山地にある村々は荒れはて、通る人もいなくなる。 + わたしが彼らの罪のゆえにその地を滅ぼす時、彼らはわたしが主であることを知る。 + 人の子よ。あなたの同胞は、あなたの陰口を言っている。家や戸口で、ひそひそ話している。『主がどんなことを言っているか、彼に聞いて楽しもう』と。 + 彼らはもっともらしい顔をしてやって来る。そして、あなたの前に座って聞くだろう。だが、わたしの言うとおりにする気はさらさらない。口では、いかにも調子よく、わたしを愛しているようなことを言うが、心は金銭欲でいっぱいだ。 + 彼らにとってあなたは、すてきな声で恋の歌を歌い、上手に楽器を奏でる人のようなものだ。ただ聞くのを楽しむだけで、言われたことを心に留めようとはしない。 + しかし、先に語った恐ろしいことが全部起こると、それは必ず起こるが、その時になって初めて、彼らは自分たちの間に預言者がいたことを知る。」 + + + また、次のような主からのことばがありました。 + 「人の子よ、羊飼いであるイスラエルの指導者に預言せよ。彼らに言え。」神である主は語ります。「羊の世話はそっちのけで、私腹を肥やすことしか考えていない羊飼いは災いだ。羊飼いなら羊を養うべきではないか。 + 自分たちは最上の物を食べ、最高の衣をまといながら、群れの羊を飢えさせている。 + 弱い羊の面倒を見ず、病気の羊を介抱せず、骨を折った羊の手当てをせず、迷って行方不明になった羊を捜すこともない。それどころか、力ずくで残酷な支配をしてきた。 + だから、羊は羊飼いがいないために散らされ、野獣のえじきとなってしまった。 + わたしの羊は山々や丘など至るところをさまよったが、捜し出してくれる者も、世話してくれる者もいなかった。 + それゆえ、羊飼いたち、主のことばを聞け。」 + 神である主はこう語ります。「わたしは生きている。おまえたちはわたしの羊を放り出し、野獣に襲われても助けようとしなかった。おまえたちはほんとうの羊飼いではなかった。だから、いなくなった羊を捜し出そうともしなかったのだ。自分はたらふく食べて、羊を平気で餓死させていた。 + わたしは羊飼いたちに、わたしの羊の身に降りかかった災いの責任を問う。彼らにはもう羊を飼わせない。また、彼ら自身が食べることも許さない。わたしの羊を救い出す。彼らのえじきにはさせない。」 + 主は語ります。「わたしは自分の羊を必ず捜し出す。 + 羊飼いのように、わたしの群れを捜し回る。あの暗雲に包まれた日に散らされて行った所から、わたしの羊を捜し出し、救い出す。 + いろいろな国や民族の中に散らされた彼らを、母国イスラエルへ連れ戻し、山や、よく肥えた川のほとりで養う。 + そうだ、イスラエルの高原の良い牧場を与えよう。そこでは安心して身を横たえ、おいしい牧草を十分に食べることができる。 + わたしが自ら羊飼いとなって、安心して休めるように世話をする。」主はこう語ります。「わたしは、道に迷っていなくなった者たちを捜し出し、無事に家へ連れ帰る。また、折れた骨には添え木を当て、傷には包帯を巻き、病気を治す。だが、権力をふるって肥えた羊飼いは滅ぼす。罰を下すことによって、彼らを養おう。」 + わたしの群れ、わたしの民よ、と神である主は語ります。「わたしは子羊と子やぎとを、雄羊と雄やぎとを分ける。 + ああ、悪い羊飼いども。牧場の最上の場所を自分のために取っておきながら、残りの場所を踏みにじるとはもってのほかだ。自分が澄んだ水をたっぷり飲むと、足でその水を濁らせているが、とんでもないことだ。 + わたしの群れに残されたものは、踏みにじられた牧草と濁った水だけだ。」 + それゆえ、神である主はこう語ります。「わたしは、この肥えた羊飼いとやせこけた羊との間をさばいて、黒白をはっきりさせる。 + この羊飼いどもは、飢えて病気にかかったわたしの羊を圧迫し、突き倒し、むりやり遠くにまで散らしてしまったのだ。 + それで、わたしは自分の手でわたしの群れを救い出す。もう二度と、いじめたり殺したりはさせない。わたしには、どれが肥えているか、どれがやせているか、その訳がはっきりわかっている。 + わたしは、民全体を牧する一人の羊飼いを立てよう。それはわたしの忠実なしもべ、ダビデである。彼は羊飼いとなって、わたしの民を養う。 + こうして、主であるわたしが彼らの神となり、わたしのしもべダビデは君主となる。主であるわたしがこう語ったのだ。 + わたしは彼らと平和の契約を結び、危険な獣をこの国から追い払う。それで、民はどんな荒れ地でも安心して住み、森の中でも安らかに眠ることができる。 + わたしの民と、わたしの丘の回りにある彼らの家々とを祝福しよう。そこに恵みの雨を降らせよう。季節ごとに雨を降らせる。 + 果樹は実をたわわにつけ、畑も豊作で、みな安心して日を送る。こうして、わたしが奴隷の鎖を断ち切り、金もうけのために酷使した者の手から彼らを解放する時、彼らはわたしが主であることを知る。 + もう二度と、他国に征服されたり、野獣に襲われたりしない。だれからも脅かされず、安心して過ごすことができる。 + わたしはイスラエルに、りっぱなぶどうの木(メシヤ)を生やす。わたしの国民は、二度とひもじい思いをしたり、異教徒に征服されて恥をかいたりはしない。 + こうして、彼らは、神、主であるこのわたしが共におり、自分たちが神の民であることを知る。」主はこう語ります。 + 「おまえたちはわたしの羊、わたしの牧場の羊だ。おまえたちはわたしのもの、わたしはおまえたちの神だ。」 + + + 再び、次のような主からのことばがありました。 + 「人の子よ、セイル山の方を向き、そこに住む人々に預言せよ。」 + 神である主がこう語ります。「わたしはおまえの敵となる。こぶしでおまえを打ち砕き、完全に滅ぼそう。 + おまえがわたしの民イスラエルを憎んでいるので、町々を破壊し、荒れはてさせる。その時、おまえはわたしが神であることを知る。わたしがイスラエルの罪をきびしく罰し、彼らが窮地に立たされていた時、おまえは彼らを虐殺した。」 + 主は語ります。「わたしは生きている。そんなに血を流したいのなら、わたしがおまえを血に染めてやろう。今度はおまえが殺される番だ。 + わたしはセイル山の住民を一掃する。逃げ出そうとする者も、引き返して来る者も一人残らず殺す。 + 山々を死体でいっぱいにする。丘も谷も川もみな、剣で殺された者で埋め尽くされる。 + おまえが活気を取り戻すことは決してない。永久に見捨てられ、町々も再建されることがない。その時、おまえたちはわたしが主であることを知る。 + おまえは、『イスラエルもユダも、われわれのものだ。占領してしまおう。神がいようがかまうものか』と言った。」 + それゆえ、神である主はこう言います。「わたしは生きている。おまえが怒りにまかせてわたしの民にした数々の行為に仕返しする。ねたみと憎しみに駆られた、おまえの行為のすべてを必ず罰する。わたしがおまえにすることを見て、イスラエルはわたしをほめたたえるようになる。 + その時、『神の民と言っても、力も何もあったものではない。われわれの格好のえじきだ』と悪口を言ったのを、わたしが聞いていたことをおまえは知る。 + おまえは主に対して不遜なことばを吐いた。それをみな、わたしは聞いたのだ。 + わたしがおまえの地を荒廃させる時、すべての国々は喜ぶだろう。 + おまえはイスラエルの恐ろしい破滅を見て喜んだ。今わたしは、おまえの破滅を喜ぼう。ああ、セイル山の住民よ、エドムに住むすべての者よ。おまえたちは一掃されるのだ。その時、おまえたちはわたしが主であることを知る。 + + + 人の子よ、イスラエルの山々に預言せよ。この主のことばを聞け、と告げるのだ。 + あなたがたの敵はさんざんあざ笑い、昔からあなたがたのものであった高地を、自分たちのものだと主張している。 + そして、四方八方から攻撃してあなたがたを滅ぼし、多くの国々に奴隷として連れて行った。あなたがたはあざけられ、なぶりものにされている。」 + それゆえ、イスラエルの山々よ、神である主のことばを聞きなさい。主は、山や丘、谷や川、周囲の異教の国々にかすめ取られ、あざけられたまま荒れはてた農地、長い間見捨てられた町々に、こう語ります。 + 「わたしの怒りは、これらの国々、特にエドムに対して燃えている。彼らはわたしを完全に無視し、楽しみながらわたしの国を横領し、自分たちのものにしたからだ。」 + それゆえ、イスラエルの山や丘、谷や川に預言せよ、と主は語ります。「あなたがたが周囲の国々に恥をかかされているので、わたしは大いに憤慨している。 + だから、手を高く上げて誓う。これらの国々が恥をさらす時が必ずくる。 + そしてイスラエルには、良い時代が戻ってくる。わたしの民が帰って来るためにくだものを豊かに実らせよう。わたしの民はもうすぐ祖国に帰って来る。 + さあ、わたしはあなたがたの味方としてあなたがたのところに行き、土地を耕させ、種をまかせる。 + わたしはイスラエルの人口を大いに増し加え、荒れはてた町々も再建して、人々で満たす。 + 人だけではない。家畜も大いに増やそう。ああ、イスラエルの山々よ。そこにまた、家々がたくさん建ち並ぶ。以前にも勝って、あなたがたを栄えさせる。その時、あなたがたはわたしが主であることを知る。 + わたしの民はまた山々を歩き、そこを領土とする。もう二度と山々が、焼き尽くすいけにえとして子どもを偶像の祭壇にささげる場所となることはない。」 + 神である主は語ります。「他の国々はあなたをあざ笑い、『イスラエルの山々は、その住民を食い尽くす地だ』と言っている。 + だが、もうそんなことは言わなくなる。」主がこう語るからです。「イスラエルの出生は増え、幼児の死亡は目に見えて少なくなる。 + 二度と異教の国々に見くびられることはない。あなたはもう罪人の国ではないからだ。」 + さらに私に、次のような主のことばが示されました。 + 「人の子よ。イスラエルの民は、自分の国に住んでいた時、悪い行いで国を汚した。彼らの礼拝は、わたしから見ると、まるで汚いぼろ切れのように不潔だった。 + 彼らは人殺しや偶像礼拝で国を堕落させた。それで私は怒って、 + 彼らを厳しく罰した。彼らを多くの国々に追放し、その悪い生き方を厳しく罰したのだ。 + しかし国々の間に散らされた時、彼らはまたも私の聖なる名に泥を塗った。行った先の国々で『彼らは神の民だと言うが、その神がどうして彼らを災いから守ることができないのだ』とあざけられているからだ。 + 彼らによってわたしの名がおとしめられていることに、わたしは心を痛めている。 + それゆえ、イスラエルの民に言え。」神である主はこう語ります。「わたしはあなたがたを祖国に連れ戻す。それだけの取り柄があなたがたにあるからではない。そうするのは、あなたがたが国々の間で傷つけた、わたしの評判を回復するためだ。 + あなたがたが汚したわたしの名を、もう一度あがめられるようにする。その時、国々はわたしが神であることを知る。あなたがたを捕囚の地から救い出す時、わたしは彼らの目の前であがめられる。 + わたしがあなたがたをイスラエルの地に連れ戻すからだ。 + その時、あなたがたは、きれいな水を浴びたようになり、汚れがすっかりきよめられ、偶像礼拝も行われなくなる。 + わたしはあなたがたに新しい心を与える。それで、あなたがたは正しい願いを抱くようになる。また、あなたがたに新しい霊を授ける。それで、石のように堅い罪の心が取り除かれて、愛に満ちた新しい心が生じる。 + わたしの御霊を授けるので、あなたがたはわたしのおきてを守り、わたしの命令に何でも従うようになる。 + そして、あなたがたは、わたしが先祖に与えたイスラエルの地に住み、あなたがたはわたしの民となり、わたしもあなたがたの神となる。 + わたしはあなたがたの罪を洗いきよめる。作物の不作やききんもなくなる。 + 果樹園からも畑からもたくさんの収穫があるので、周囲の国々も、もう二度とイスラエルをききんのためにそしることはできない。 + その時、あなたがたは過去に犯した罪を思い出し、そんなことをした自分自身を嫌悪するようになる。 + しかし、このことだけはいつも心に刻んでおきなさい。こうするのは、あなたがたのためではなく、わたし自身のためなのだ。ああ、わたしの民イスラエルよ、あなたがたがしたすべてのことを、心の底から恥じよ。」 + 神である主は語ります。「わたしは、あなたがたを罪からきよめる日に、祖国イスラエルに連れ戻し、廃墟と化した国を再建する。 + 捕囚の間不毛の荒れ地のように放っておかれた農地は、再び耕される。その地の荒れはてた姿に、そこを通る者は大きな衝撃を受けた。 + だが、わたしがあなたがたを連れ帰る時、彼らは言うだろう。『神に見捨てられていた地がエデンの園のようになった。廃墟となった町々が再建され、城壁が築かれ、人があふれている。』 + その時、まだ残っていた周囲の国々は、廃墟を建て直し、荒れはてていた土地に豊かな作物を実らせたのは、主であるわたしだということを知る。神であるわたしが約束したからには、必ずそのとおりになるのだ。」 + 神である主はこう語ります。「わたしは今、祝福を求めるイスラエルの祈りを聞き、その願いをかなえよう。彼らに祈らせなさい。わたしは、祭りの時エルサレムの通りを埋め尽くす羊の群れのように、彼らを増やそう。廃墟であった町々に再び人が満ちあふれる。その時、すべての者はわたしが主であることを知る。」 + + + 主の力が私に臨み、私は御霊によって、干からびた骨が至る所に散らばっている谷間に連れて行かれました。主は私を引っ張って行き、あちらこちらを行き巡らせてから、 + こう語りました。「人の子よ。これらの骨は、また元のように生きた人間になれるだろうか。」私は、「主よ。その答えは、あなただけがご存じです」と答えました。 + すると主は、これらの骨に向かって語るように私に言いました。「ああ、干からびた骨よ、神のことばを聞け。 + 神である主がこう語るからだ。見よ。わたしはおまえたちを生かし、息を吹き返させる。 + 元のように肉をつけ、筋を与え、皮膚で覆う。わたしが息を吹き入れると、おまえたちは生き返る。その時、おまえたちはわたしが主であることを知る。」 + 私は、言われたとおり神のことばを告げました。すると突然、谷間のあちらこちらから、がさがさという音がして骨が集まり、それぞれが元のようにつながり始めたではありませんか。 + さらに見ていると、骨の上に筋肉がつき、その上を皮膚が覆ったのです。しかし、その体にはまだ息が入っていませんでした。 + そこで、主は私に、息に呼びかけて次のように語れ、と命じました。「神である主が言う。さあ、息よ、四方から風のように吹いて来い。この殺された者たちの体に吹きつけて、彼らを生き返らせよ。」 + 私はそのとおりに命じました。すると、それらの体は息を吹き返し、起き上がったのです。それは、ものすごい大集団となりました。 + その時主は私に、この幻が告げようとしている意味を教えてくれました。「これらの骨は、イスラエルの民全体を表している。彼らは、『われわれは干からびた骨の山になってしまった。もう何の望みもない』と嘆いている。」 + 神である主はこう語ります。「そんな彼らに告げよ。わたしの民よ。わたしは捕囚という墓を開いて、あなたがたを生き返らせ、イスラエルの地に連れ戻す。 + その時、わたしの民よ。あなたがたはやっと、わたしが主であることを知るのだ。 + わたしの霊を注ぎ入れると、あなたがたは生き返り、懐かしい祖国に帰ることができる。その時、あなたがたはわたしが約束を果たしたことを知る。」 + ついで、次のような主のことばがありました。 + 「一本の杖を取り、それに『この杖はユダとその味方の諸部族を表す』と刻みなさい。それから、もう一本の杖を取り、『この杖はイスラエルの残りの全部族を表す』と刻みなさい。 + さあ、その二本の杖を片手でつかんで一本の杖とするのだ。 + それを高く掲げて、みなに見せながら言いなさい。神である主はこう語る、と。わたしはイスラエルの諸部族をユダといっしょにし、わたしの手の中で一本の杖とする。」 + 主はこう語ります。「わたしはイスラエルの民を国々から集め、世界中から連れ出して祖国に帰らせる。 + そして、彼らを一つの国民にする。一人の王が立てられ、二度と二つの国に分かれることはない。 + 人々はもう偶像礼拝やそのほかの罪で身を汚さない。わたしが、この罪の忌まわしさすべてから、彼らを救い出すからだ。こうして、彼らは真実にわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。 + わたしのしもべダビデ(メシヤ)が彼らの王となり、ただ一人の羊飼いとなる。彼らはわたしのおきてを守り、わたしが望むとおりの生活をする。 + 彼らは、わたしがわたしのしもべヤコブに与えた地、彼らの先祖が住んでいたイスラエルの地に住むようになる。彼らだけでなく、子々孫々に至るまで、そこに住むようになる。そして、わたしのしもべダビデが永遠に彼らの王となる。 + わたしは彼らと、平和の契約を結ぶ。それは永遠に変わらない契約だ。わたしは彼らを祝福し、その数を増やし、わたしの神殿を彼らのうちにいつまでも置こう。 + 彼らのうちにわたしの住まいを設ける。そう、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。 + わたしの神殿が変わることなく彼らのうちにとどまっているのを見て、国々は、主であるわたしがイスラエルを選んで、これを祝福していることを知る。」 + + + さらに、主から別のことばがありました。 + 「人の子よ。北の方、マゴグの地に顔を向け、メシェクとトバルの王ゴグ(神に敵対する勢力を総結集した軍隊を表す、象徴的な存在)に預言して言え。神である主はこう語る、と。ゴグよ、わたしはおまえの敵となる。 + わたしはおまえのあごに鉤針をかけ、破局へと引きずり込もう。おまえの軍隊や武装した騎兵隊を総動員し、完全武装の強力な大軍に仕立てよう。 + ペルシヤ、エチオピヤ、プテも、それぞれの武器を持っておまえに合流する。 + また、ゴメルとその全軍、北の果てのベテ‧トガルマの軍隊、その他多くの軍勢も、おまえの味方につく。 + いつでも出動できるように、備えておくのだ。ゴグよ、おまえが全軍の総指揮官なのだから。 + おまえが出動命令を下すのは、ずっと先のことだ。幾多の年月を経てから、おまえはイスラエルに襲いかかる。そこには、多くの国々から帰って来た民が平穏に暮らしている。 + おまえとその同盟国は、恐ろしい大軍となって、嵐のように攻め寄せ、雲のように地を覆う。 + その時、おまえは悪いことを考えるようになる。 + おまえはこう言うだろう。『イスラエルは、城壁のない、無防備な村の集まりのようなものだ。よし、この地に攻め入り、そんな大胆不敵な態度で暮らしている彼らを、一気にひねりつぶしてやろう。 + 一度は廃墟となり、今は国々から戻った者らで栄えている町々を攻め、山のような分捕り物と大ぜいの奴隷を手に入れよう。彼らは、今はたくさんの家畜や財産を持ち、世界の中心のようにふるまっているのだから。』 + だが、シェバやデダン、それにイスラエルと交易しているタルシシュの豪商たちは、こう問い返すだろう。『イスラエルの金銀を奪い、家畜や財産を略奪して彼らを貧乏にしようとするおまえは、いったい何者か。』」 + 主はゴグにこう語ります。「わたしの民が自分の国で平和に暮らしている時、おまえは動きだす。 + 騎兵の大軍を率いて北から攻め入り、雲のようにこの地を覆う。このことが起こるのは終わりの日、末の遠い将来だ。わたしはおまえに、わたしの地を攻めさせる。みなが見ている前で、おまえは徹底的に打ちのめされる。それによってわたしのきよさが示され、すべての国々は、わたしが神であることを知る。」 + 神である主はこう語ります。「わたしが昔、イスラエルの預言者たちを通して語った人物とは、おまえのことだ。彼らは、ずっとのちに、わたしがおまえにイスラエルを攻めさせる、と長年にわたり預言していたのだ。 + だが、おまえがイスラエルを滅ぼそうと攻めて来る時、わたしの怒りは燃え上がる。 + その日には、わたしはねたみと激しく燃える怒りとで、イスラエルに大地震を起こそう。 + すべての生き物は、あまりの恐ろしさに、わたしの前で震え上がる。山々は倒れ、崖はくずれ落ち、城壁は粉々に壊れる。 + わたしはおまえをあらゆる恐怖に直面させる。」神である主はこう語ります。「おまえたちは同士打ちで倒れる。 + わたしは、剣、疫病、大洪水、大きな雹、火と硫黄で、おまえと戦おう。 + こうして、わたしの大きさを示し、わたしの誉れを表そう。国々は、わたしが行ったことを聞き、わたしが神であることを知る。」 + + + 「人の子よ、このこともゴグに預言し、彼にこう告げよ。メシェクとトバルの王であるゴグよ、わたしはおまえを攻める。 + おまえを遠い北の果てから引き回すように連れて来て、イスラエルの山地まで攻め入らせる。そして、おまえの軍隊の大半を山の中で滅ぼす。 + おまえの手から武器をたたき落とし、手も足も出ないようにする。 + おまえもその大軍も山の中で死に、はげたかや野獣のえじきとなる。 + おまえが町まで達することは絶対にない。野で倒れてしまうからだ。わたしがこれを語ったのだ。」神である主は言います。 + 「わたしは、マゴグや沿岸地域に安住しているおまえの同盟国すべてに、火の雨を降らせる。その時、彼らもわたしが主であることを知る。 + こうして、わたしの民イスラエルの間に、わたしの聖なる名を知らせよう。わたしの名があざけられるようなことは、二度とさせない。諸国の民も、わたしがイスラエルの聖なる神、主であることを知る。 + 審判の日は必ずくる。わたしが予告したとおりに、すべてのことが起こる。 + イスラエルの町々の住民は出て来て、おまえの盾と大盾、弓と矢、投げ槍と槍を拾い集めて薪とする。それは七年分もある。 + 七年間は、ほかに薪はいらない。野や森の木を切らなくても、それだけで十分間に合う。イスラエルの民は、略奪した者たちの持ち物を使うようになる。 + 死海の東にある旅人の谷に、わたしはゴグとその軍隊の広大な墓地を設ける。そのため旅人の道がふさがれてしまうほどだ。そこにゴグとその軍隊が埋葬され、『ハモン‧ゴグ(ゴグ軍)の谷』と呼ばれるようになる。 + 死体の埋葬に七か月かかり、 + イスラエルのすべての民がこれを手伝う。わたしの栄光が現されるこの日こそ、イスラエルにとって輝かしい勝利の日となるからだ。」主がこう語るのです。 + 「さて、七か月目の終わりに、国をきよめるために、国中をくまなく調査し、残っている骨を埋葬する人々が選び出される。 + 骨を見つけた者は、埋葬する者にわかるように、そばに標識を立てる。それを見て、埋葬する者がその骨を『ハモン‧ゴグの谷』に運び、埋葬する。そのために、そこの町はハモナと呼ばれるようになる。こうして、国全体が完全にきよめられる。 + さあ、人の子よ、鳥にも獣にも呼びかけて、こう言いなさい。みな集まれ。いけにえの大饗宴だ。近くからも遠くからも、イスラエルの山々に来なさい。さあ、肉を食べ、血を飲むのだ。 + 勇士たちの肉を食べ、君主たちの血を飲むのだ。彼らこそ、わたしの祭りのための雄羊、子羊、雄やぎ、バシャンの肥えた若い雄牛だ。 + 飽きるほどたらふく肉を食べ、とことん酔っ払うまで血を飲み干せ。これが、おまえたちのために準備したいけにえのごちそうだ。 + わたしの宴のテーブルで、心ゆくまで食べるのだ。さあ、馬も、騎手も、勇敢な戦士も。」主がこう語るのです。 + 「こうして、わたしは国々の中にわたしの栄光を現す。諸国の民はゴグが受けた刑罰を見て、わたしがそれをしたことを知る。 + その時から、イスラエルの民は、わたしが彼らの神、主であることを知る。 + 諸国の民は、イスラエルが捕囚として異国に送られたのは、彼らの罪に対するさばきであったことを知る。事実、彼らは神を裏切る行為をしたからだ。それで、わたしは彼らから顔をそむけ、敵の手で滅ぼされるようにしたのだ。 + 顔をそむけて、その大きな罪にふさわしく、彼らを厳罰に処したのだ。」 + しかし今、神である主はこう語ります。「わたしは、わたしの民の捕囚を終わらせ、彼らをいつくしんで、また元のように栄えさせる。こうするのは、わたしの栄誉のためだ。 + 彼らの反逆と恥辱の時代は過ぎ去る。彼らは祖国に帰り、平和で安らかな生活を送る。もう、だれにも脅かされず、悩まされることもない。 + わたしは彼らを、敵の国々から祖国へ帰らせる。そうする時、わたしの栄光がすべての国々に示される。イスラエルの民を通して、わたしのきよさが、国々の前で示されるのだ。 + その時、わたしの民は彼らを捕囚に追いやったのも、また祖国に連れ戻したのも、彼らの神である主であることを知る。わたしは一人も残さず国々から連れ戻す。 + 再び、彼らから顔をそむけることはしない。わたしの霊を彼らに注ぐからだ。」神である主がこう語るのです。 + + + 捕囚となって二十五年目、エルサレムが占領されてから十四年目の第一の月の十日、主の御手が私の上に置かれました。 + 幻の中で、主は私をイスラエルへ連れて行き、高い山の上に降ろしました。そこから見下ろすと、町のようなものが見えました。 + 近づいてみると、青銅のように輝く顔をした人が、神殿の門のそばに立っており、手には巻き尺と測りざおを持っています。 + その人は私に言いました。「人の子よ。目でよく見、耳で聞き、わたしが見せるものをすべて心に留めよ。ここに連れて来たのは、多くのものを見せたいからだ。それで、イスラエルの民のもとへ帰ったら、見たことを細大もらさず語り告げよ。」 + その人は六キュビト(ここでの一キュビトは五十一‧九センチメートル)の測りざおで、神殿の外側に張り巡らされている塀を測り始めました。そして私に、「この塀の高さは一さお(六キュビト)、厚さも一さお」と教えました。 + それから、私は東向きの門に連れて行かれました。そこの階段を七段昇ったところで、その人は門の入口の部分を測りました。その幅は一さおでした。 + その門を通り抜けると、両側に三つずつ控え室が並んでいるのが見えました。どれも一さお平方の部屋で、部屋と部屋との間には、厚さ五キュビトの壁がありました。各部屋の前には高さ一キュビト、幅一キュビトの低い仕切りがありました。控え室を過ぎると、一さおの入口があって、八キュビトの玄関に通じていました。その玄関の壁柱は二キュビトでした。玄関を過ぎると、通路の奥に幅十三キュビト、奥行き十キュビトの控えの間がありました。 + それから、この通路の外側から見た全体の幅を測るために、控え室の外側の戸口から屋根越しに測ると、二十五キュビトありました。 + 次に、入口の両側の柱の高さを測ると、六十キュビトでした。 + 入口の通路の全長は、端から端まで五十キュビトでした。 + 通路の両側の壁と控え室の壁とに、格子窓が取りつけてありました。また、出入りをする部屋にも窓があり、柱にはなつめやしの木が彫刻してありました。 + それから私たちは、通路から庭に出ました。塀の内側には石畳が敷かれ、その上に塀に面するように三十の部屋が建っていました。 + これは『下の石畳』と呼ばれ、入口の通路の長さと同じ幅でした。 + それから、この神殿の『外庭』と呼ばれていた庭から内側の塀までの距離を測ると、百キュビトありました。 + その人は私を連れて、東の門から北に向いた門へ行き、そこを測りました。 + ここにも、両側に控え室が三つずつあり、大きさは東の門と同じでした。全長は五十キュビトで、控え室の屋根越しに端から端まで測ると、幅は二十五キュビトありました。 + 窓も、玄関も、なつめやしの木の彫刻も、東の門のものと全く同じでした。七段の階段があり、それをのぼると入口があって、玄関に通じていました。 + この北の門も東の門と同じで、通路を通って庭に出て、そこをまっすぐ横切ると内側の塀に通じ、そこを抜けて内庭に出ます。この間の距離は、やはり百キュビトありました。 + それから、その人は私を南の門に連れて行き、その通路の各部を測りましたが、前の二つの門と同じ寸法でした。 + 壁に沿った窓も同じで、玄関もありました。他の通路と同じように、その通路も長さ五十キュビト、幅二十五キュビトでした。 + 玄関に通じる階段も七段で、壁にはなつめやしの木が彫刻してありました。 + ここでも、通路を通って庭を横切り、内側の塀の通路から内庭に抜けることができました。この間の距離も百キュビトありました。 + それから、その人は私を南の門の内側の塀に連れて行きました。その人がその通路を測ったところ、外側の塀の通路と同じ寸法でした。 + 控え室も、柱も、玄関も前のものと全く同じです。壁や玄関の窓もそっくり同じです。通路も同じく、長さ五十キュビト、幅二十五キュビトです。 + ただ一つ違っていたのは、玄関に通じる階段が七段ではなく八段になっていることでした。柱のなつめやしの木の彫刻も前のものと同じでした。 + それから、その人は私を庭から内側の塀の東の門へ連れて行きました。その人はその通路も測りましたが、寸法は他の通路のものと同じでした。 + 控え室も、柱も、玄関も、他の通路のものと同じ大きさです。壁や玄関の窓も、他の通路のものと変わりません。その通路も長さ五十キュビト、幅二十五キュビトです。 + その玄関は外庭に面しており、柱にはなつめやしの木が彫刻してありました。階段は七段ではなく八段ありました。 + それから、その人は私を北にある内側の門へ連れて行きました。そこの寸法も他のものと同じでした。 + 通路の控え室も、柱も、玄関も、他と変わりなく、通路も長さ五十キュビト、幅二十五キュビトです。 + その玄関も外庭に面しており、通路の両側の壁にはなつめやしの木が彫刻してあり、階段は八段ありました。 + 玄関の一つの戸から脇間に通じていましたが、そこは、いけにえの肉を祭壇にささげる前に洗う所でした。 + 通路の玄関の両側には、それぞれ二つずつ台が置いてありました。その上で、神殿でささげる焼き尽くすいけにえ、罪が赦されるためのいけにえ、罪を償ういけにえが殺されるのです。 + 玄関の外側には二つずつ台が置かれていました。 + それで内側と外側とで合計八つの台があることになります。その上でいけにえが切り裂かれ、整えられるのです。 + また、四つの石の台があって、その上に肉切り包丁など、いけにえを処理するための道具が置かれていました。この台は一キュビト半平方で、高さが一キュビトありました。 + 玄関の壁には、一手幅(約七‧四センチメートル)の留め金が幾つも取りつけてあり、台の上には、いけにえの肉を置けるようになっていました。 + 内庭には一間の建物が二つあり、一つは北の門のわきにあって南を向き、もう一つは南の門のわきにあって北を向いていました。 + その人は私に教えてくれました。「この北の門のわきの建物は、神殿を管理する祭司のためのものだ。 + 南の門のわきの建物は、ツァドクの子孫に当たる、祭壇の責任をもつ祭司のためのものだ。レビの子孫の中で神に近づいて仕えることができるのは、彼らだけだからだ。」 + それから、その人が神殿の前の内庭を測ったところ、百キュビト平方ありました。その内庭の神殿の前に祭壇がありました。 + その人は私を神殿の玄関に連れて行きました。内庭からはそこに昇る十段の階段がありました。玄関の壁は両側に広がって壁柱となり、どちらも五キュビトありました。入口は幅十四キュビトセンチあり、その両わきの壁は三キュビトありました。玄関の間口は二十キュビト、奥行きは十二キュビトでした。 + + + その後、その人は私を、神殿の中央の大広間である本堂へ連れて行きました。その入口の壁柱を測りましたが、幅は縦横とも六キュビトでした。 + 玄関の間口は十キュビト、奥行きは五キュビトでした。本堂は長さ四十キュビト、幅二十キュビトでした。 + その人は本堂の奥の部屋に入り、入口の柱を測ると、二十キュビトの厚さがありました。入口の幅は六十キュビト、それに続く廊下の長さは七キュビトでした。 + 奥の間は二十キュビト平方あり、「これが至聖所だ」と私に教えてくれました。 + その人が神殿の壁を測ると、六キュビトあり、その外側に小部屋が並んでいました。各部屋の間口は四キュビトでした。 + これらの部屋は階段式に三段に重なっており、各階に三十の小部屋がありました。部屋はみな、神殿の壁に固定してあり、大梁で支えられていませんでした。 + 階段式の小部屋は上に行くほど広くなり、神殿の壁が上に行くほど狭くなっているのと対応していました。神殿のわきには階段があり、上の階に上がれるようになっていました。 + 私は、神殿が高台の上に建てられていて、一番下の小部屋の土台も、その高台にあるのを見ました。その高さは六キュビトでした。 + これらの小部屋の外壁の厚さは五キュビトあり、高台の端まで五キュビトの空地が両側に残っていました。 + その高台から二十キュビト離れた内庭には、神殿をはさんで両側に部屋が並んでいました。 + 階段式の小部屋には戸が二つあり、五キュビトの空地に向かって開くようになっていました。一つの戸は北に向き、もう一つの戸は南に向いていました。 + 西側には、神殿の庭に面して大きな建物が建っていました。その間口は七十キュビト、奥行きは九十キュビトありました。壁の厚さは五キュビトでした。 + それから、その人が神殿とその回りとを測ると百キュビト平方でした。 + 神殿の東側の内庭も幅が百キュビトあり、 + 神殿の西側の建物も、二つの壁を含めると同じ百キュビトの幅になりました。神殿の本堂にも、至聖所にも、玄関にも羽目板が張り巡らされ、それぞれ格子窓が取りつけてありました。神殿の内側の壁にも、窓の上と下の部分に羽目板が張られていました。 + 至聖所に通じる戸の上も羽目板が張られていました。壁には、それぞれ二つの顔を持つケルビムとなつめやしの木とが交互に彫刻してありました。 + その顔の一つ、人間の顔は一方のなつめやしの木の方を向き、もう一つの顔、若いライオンの顔は反対側のなつめやしの木の方を向いていました。このような彫刻が、神殿の内壁全体を覆っていました。 + 本堂の入口の柱は四角で、至聖所の前には祭壇のようなものがありました。しかも、それは木製でした。 + この祭壇は二キュビト四方で、高さが三キュビトありました。その四隅も、台も、側面も、全部木でできていました。その人は私に、「これは神の壇だ」と説明してくれました。 + 本堂と至聖所には二重の扉がついていて、 + それぞれの扉は折りたたみ式の二枚戸になっていました。 + 本堂に通じる扉には、神殿の内側の壁と同じように、ケルビムとなつめやしの木が彫刻してありました。玄関の上には木製のひさしがついていました。 + そのひさしの上と、玄関の両側と、神殿のわきの小部屋にも、それぞれなつめやしの木の彫刻がしてあり、格子窓がついていました。 + + + それから、その人は私を神殿から連れ出し、内庭にある神殿の北側の部屋と、もう一つの建物に連れて行きました。 + これらの建物のある場所は、長さが百キュビト、幅が五十キュビトありました。 + この建物の裏に階段式の小部屋があり、庭の内側の壁になっていました。この階段式の小部屋は三階までありました。その片側から外庭が見渡せ、もう一方の側は長さ二十キュビトの内庭に面していました。 + その建物と階段式の小部屋との間に、幅十キュビト、全長百キュビトの通路があり、その建物の入口は北に向いていました。 + 二階、三階と上に行くほど通路が広くなり、その分だけ部屋が狭くなりました。 + この建物は、外庭の建物と違って大梁を用いていないため、上の階へ行くにしたがって狭くなっていたのです。 + 北側に並んだ階段式の小部屋は外庭に続いており、その全長は五十キュビトでした。神殿の内庭に面した側は百キュビトあったので、その半分の長さです。外側の塀が、短い側の端から長い側へと平行して伸びていました。 + 外庭からこれらの小部屋へ入る入口は東側にありました。神殿をはさんで反対側にも、神殿と外庭との間にある内庭の南側に、同じように二組の建物がありました。構造は北側のものと全く同じでした。 + 庭の向こう側の建物と同じように、この二組の建物の間にも通路があり、建物の長さも幅も、出入口も戸も全く同じでした。 + また、外庭からの入口は東側にありました。 + その人は私にこう言いました。「この、神殿に面している北と南の階段式の部屋は、聖なる部屋だ。そこで、神にいけにえをささげる祭司たちが、最も聖なるいけにえである、穀物のささげ物、罪の赦しのためのいけにえ、罪過を償ういけにえを食べたり、たくわえたりするのだ。 + 祭司は聖所(神殿の本堂)を出るときには、外庭へ出る前に服を着替えなければならない。聖所で仕えるときに着る服は聖なるものだから、まずそれを脱がなければならない。だれもが入れる場所へ行くときには、他の服に着替えなければならない。」 + その人は神殿を測り終えると、私を東の門から連れ出して、神殿の周囲を測りました。 + それは五百キュビト平方で、ほかの公共の場所と区別するために塀で囲まれていました。 + + + そのあと、その人は外塀を回って、私を東の門に連れ戻しました。 + すると突然、イスラエルの神の栄光が東の方に現れました。その近づく音は激流のとどろきのようで、その全光景が栄光に輝いていました。 + その光景は、私が最初にケバル川のほとりで、次にエルサレムで、神がその町を滅ぼすために来られた時に見た幻と同じでした。私は顔を地にすりつけるようにして、ひれ伏しました。 + 主の栄光は、東の門を通って神殿に入って行きました。 + それから、私は御霊によって引き上げられ、内庭に連れて行かれました。神殿は主の栄光に包まれていました。 + すると、神殿の中から主が私に語りかける声を聞いたのです。神殿を測っていたあの人は、まだ私のそばに立っていました。 + 主はこう語りました。「人の子よ。ここはわたしの王座、わたしの足台、わたしが永遠にイスラエルの民の間に住む場所である。民も王たちも、無節操にほかの神々を礼拝したり、王たちの墓を拝んだりして、わたしの聖なる名を汚すことはもうしなくなる。 + 彼らはわたしの神殿のすぐわきに、塀一つ隔てただけで偶像の宮を建て、偶像を礼拝していた。このような悪行によって、わたしの聖なる名を傷つけたので、わたしは怒って彼らを滅ぼした。 + さあ今、その偶像や王たちの墓を取り除け。そうすれば、わたしは永遠に彼らの間に住もう。 + 人の子よ。おまえに見せた神殿の光景を、イスラエル国民に描きなさい。神殿の構造や造りを教えるのだ。そうすれば、彼らも罪を恥じるようになるだろう。 + もし彼らがほんとうに自分たちのしたことを恥じるなら、そのときには、戸や入口などの構造を細大もらさず説明しなさい。守らなければならない命令や規則を、みな書き記すのだ。 + きよさこそ神殿の生命である。神殿が建っている山の頂全域がきよいのだ。これこそ、神殿についてのおきてである。 + 祭壇の寸法は次のようにしなさい。土台の高さは一キュビト、その回りのみぞの幅は一あたり(約二十二‧二センチメートル)。また、土台は祭壇の回りより一キュビトずつ広くする。 + 祭壇の第一段は石の台座で、その高さは二キュビト。この台座は土台よりも一キュビトずつ狭くする。この台座の上にはさらに一キュビト狭くなった台座があり、その高さは四キュビト。 + その上にさらに狭い台座があり、これが祭壇の最上部で、その高さは四キュビト。その四隅に一キュビトの角が上方に突き出ている。 + この最上部の台座は、十二キュビトの正方形である。 + その下の台座は十四キュビトの正方形で、その回りのみぞは半キュビトである。この台座は四方とも上の台座より一キュビトずつ広くなっていて、東側に祭壇に上る階段がある。」 + さらに主は、次のように語りました。「人の子よ、神である主がこう言う。以上が、焼き尽くすいけにえをささげて血を注ぐために、将来建てる祭壇の寸法である。 + 祭壇が建てられた時には、わたしに仕えるレビ部族のツァドク家の者たちに、罪の赦しのためのいけにえとする若い雄牛一頭を与えなさい。 + あなたはその血を取って、祭壇の四本の角と、最上部の台座の四隅と、その回りのみぞとに塗りつけなさい。その血によって祭壇はきよめられ、神のものとされるのだ。 + それから、罪の赦しのためのいけにえの雄牛を取り、聖所の外にある所定の場所で焼きなさい。 + 二日目に、病気がなく、欠陥も傷も傷跡もない若い雄やぎを、罪の赦しのためのいけにえとしてささげなさい。こうして、雄牛できよめたのと同じように祭壇をきよめる。 + このきよめの儀式が終わったら、群れのうちから、傷や欠陥のない完全な雄牛と雄羊を、さらに一頭ずつささげなさい。 + わたしの前にこの二頭を差し出すのだ。祭司がその上に塩をまき、焼き尽くすいけにえとしてささげる。 + 七日間、毎日、罪の赦しのためのいけにえとして、群れの中から雄やぎ、雄牛、雄羊を取ってささげなさい。いけにえには、どんな欠陥も病気もあってはならない。 + 七日間、毎日このようにして祭壇をきよめ、神のものとしてささげるのだ。 + 八日目以後は毎日、祭司は祭壇の上で、民のために焼き尽くすいけにえと、和解のいけにえとをささげなければならない。そうすれば、わたしはあなたがたを受け入れる。」神である主がこう語るのです。 + + + 彼が私を東の門に連れ戻ると、門は閉ざされていました。 + 主はこう語りました。「この門は閉ざされたままにしておく。開けてはならない。だれもここから入ってはならない。イスラエルの神である主がここから入ったからだ。だから、この門は閉じておかなければならない。 + ただ王だけが君主として、門の内側に座って、神の前でパンを食べることができる。だが、その王も、門の玄関を通って出入りしなければならない。」 + それから彼は、私を北の門から神殿の正面に連れて行きました。目を上げると、神殿が主の栄光にすっかり包まれているではありませんか。私はただ地に顔をすりつけるように、ひれ伏すばかりでした。 + すると、主はこう語りました。「人の子よ。細心の注意をはらって、わたしの言うことを心に留め、しっかりと目を開き、耳を傾けなさい。主の神殿の規定と律法を教えるから、聞きもらさないようにするのだ。神殿に入ることが許される者と、許されない者とをはっきり区別しなさい。 + 反逆のイスラエルの民に、神である主はこう語る、と言いなさい。ああ、イスラエルよ。おまえたちは、なんとひどい罪を犯してきたことか。 + わたしにパンと脂肪と血をささげるとき、わたしの聖所に、割礼も受けず、神に従う心を全く持たない者たちを入れるとは、どういうことか。ほかのもろもろの罪に加えて、あなたがたはこうしてわたしとの契約を破ったのだ。 + またあなたがたは、わたしが与えた聖所での聖なる務めについての規定を守らなかった。その大切な務めをさせるために、わざわざ外国人を雇っていたのだ。」 + 神である主はこう語ります。「あなたがたの中に大ぜいいる外国人で、割礼を受けておらず、主を愛していない者は一人もわたしの聖所に入らせてはならない。 + また、レビ部族の者でも、イスラエルが神から離れて偶像に走った時、わたしを捨てた者たちは、その不誠実をきびしく罰せられなければならない。 + 彼らは神殿警備と門衛の務めに当たり、焼き尽くすいけにえの動物を殺し、民に仕えるべきだった。 + それなのに、ほかの神々を礼拝するように民をそそのかし、恐ろしい罪に引きずり込んだ。」それゆえ、神である主はこう語ります。「わたしは手を上げて誓う。彼らは罰を受けなければならない。 + 彼らは祭司として仕えるために、わたしに近づいてはならない。神聖な物にさわってもいけない。自分たちが犯したすべての罪の責任をとらなければならないからだ。 + 今後、彼らは神殿の管理人として、神殿で行われる各種の行事を管理し、人々を助ける務めに当たるのだ。 + しかし、レビ部族でもツァドクの子孫だけは、イスラエルがわたしを捨てて偶像に走った時も、祭司として神殿における務めをはたしていた。これからは、この者たちがわたしに仕える者となり、わたしの前に脂肪といけにえの血とをささげることになる。」神である主がこう語るのです。 + 「彼らがわたしの聖所に入り、わたしに近づいて、わたしに仕え、わたしの命令を守るのだ。 + 彼らは門から内庭に入るとき、亜麻布の服を着なければならない。内庭や神殿で務めをするときは、毛織物を着てはならない。 + 亜麻布のターバンをかぶり、亜麻布のズボンをはかなければならない。汗をかかないようにするためだ。 + 外庭に出るときには、わたしに仕えるために着ていた服を脱ぎ、それを聖所の部屋にしまって、ほかの服を着なければならない。祭司以外の者が聖所で着る服にうっかり触れて、聖なる者とされることがないためである。 + 祭司は髪を長く伸ばしすぎても、そり落としてもいけない。適度に刈らなければならない。 + 祭司はだれでも、内庭に入る前には、ぶどう酒を飲んではならない。 + 結婚するなら、ユダヤ人の処女か祭司の未亡人とすべきである。離縁された女と結婚してはいけない。 + 祭司はわたしの民に、聖と俗、善と悪との区別を教えなければならない。 + 祭司は、人々の争いを収拾する裁判官ともなる。その裁定は、わたしの律法に基づいていなければならない。祭司自身が、すべての聖なる祭りにおいて、わたしの律法と規定に従い、また、安息日を聖なる日として守らなければならない。 + 祭司は、死体に近づいて身を汚してはならない。ただし、両親、子ども、兄弟、未婚の姉妹の場合は例外で、そのときは近づいてもよい。 + その場合、身をきよめる期間として、普通よりさらに七日間待ち、それから神殿での務めに就くことができる。 + 再び務めに就くために内庭や聖所に入る最初の日に、その祭司は、まず自分のために罪の赦しのためのいけにえをささげなければならない。」神である主がこう語るのです。 + 「祭司は私有財産を持ってはならない。わたし自身が彼らの相続財産だからだ。それで十分である。 + 彼らの食物は、穀物のささげ物や罪の赦しのためのいけにえ、罪過を償ういけにえなど、人々が神殿に持って来たささげ物やいけにえである。主にささげられる物は何でも、祭司のものとなる。 + あらゆる果実の初物や主にささげられたすべての物は、祭司のものとなる。穀物の初物も祭司に贈られる。そうするなら、わたしはあなたがたの家を祝福しよう。 + 祭司は、自然に死んだ鳥や動物、あるいは他の動物に殺された鳥や動物の肉は、絶対に食べてはならない。 + + + イスラエルの各部族に土地を分割するときは、その一部を、まず聖なる土地として、主にささげなければならない。その土地は、長さ二万五千キュビト(約十二‧五キロメートル)、幅一万キュビトで、その全体が聖なる地である。 + そのうち、縦横五百キュビト四方の土地を聖所にあて、その回りを五十キュビト幅の空地にしなければならない。 + 神殿は、長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトの土地の中に建てるようにしなさい。 + この区域はすべて聖なる地で、聖所の務めに当たる祭司たちが、彼らの住む家とわたしの神殿のために用いる。 + それに隣接する長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトの区域は、神殿で奉仕するレビ人の居住地としなさい。 + これらの聖なる区域に沿った、長さ二万五千キュビト、幅五千キュビトの土地は、町の区域としてイスラエルの人々に利用させるのだ。 + 聖なる区域と町の区域との両側に、君主のための特別区域を設けなさい。その幅は、隣接している聖なる区域と町の区域を合わせたもので、東と西の境界線は各部族の分割地と同じにする。 + これが君主の分け前だ。君主たちは、もう二度とわたしの民を抑圧したり、搾取したりすることはない。残りの土地は全部、イスラエルの民に与え、各部族に分割しなさい。 + 主は支配者たちにこう語ります。「わたしの民の土地を奪ったり、だまし取ったりして、彼らを家から追い出すようなことをやめよ。いつも公平に、正直にふるまうのだ。 + あなたは、正確な量りを使いなさい。 + ホメル(約二百三十リットル)を計量単位の基準としなさい。さらに小さな単位として、液体でないものにはエパ(ホメルの十分の一)、液体にはバテ(ホメルの十分の一)を用いなさい。 + 重さの単位は銀のシェケル(約十一‧四グラム)を使いなさい。一シェケルはいつも二十ゲラと両替される。それ以下であってはならない。五シェケルは五シェケル、十シェケルは十シェケルでなければならない。それをごまかしてはならない。五十シェケルはいつも一ミナに相当する。 + 君主に納める税は、次のようにしなさい。小麦や大麦は収穫量一ホメルにつき六分の一エパ、つまり六十分の一の割合、 + オリーブ油は百分の一の割合、 + イスラエルで飼う羊の群れから二百頭ごとに一頭を差し出すのだ。これらは穀物のささげ物、焼き尽くすいけにえ、和解のいけにえであって、ささげる者たちの罪の償いとなる。」神である主がこう語ります。 + 「イスラエルのすべての民は、そのささげ物を君主に納めなければならない。 + 君主は、イスラエルの民を神と和解させるために公の礼拝で用いる、罪の赦しのためのいけにえ、焼き尽くすいけにえ、穀物やぶどう酒のささげ物、和解のいけにえを用意しなければならない。新月祭、安息日、その他の祭りの時に、そのようにする義務がある。」 + 主はこう語ります。「毎年第一の月の一日(ユダヤ暦による。太陽暦では三月中旬)に、傷のない若い雄牛をいけにえとしてささげ、神殿をきよめなさい。 + 祭司は、この罪の赦しのためのいけにえの血を取り、それを神殿の入口の柱や、祭壇の台座の四隅や、内庭の入口の壁に塗らなければならない。 + 同じ月の七日にも、誤って、あるいは知らずに罪を犯した者のために同じようにしなければならない。こうして神殿はきよめられる。 + 同じ月の十四日には、過越の祭りを守りなさい。この祭りは七日間にわたり、その間は常にパン種を入れないパンを食べなければならない。 + 過越の祭りの日に、君主は、自分自身とイスラエルのすべての民のために、罪の赦しのためのいけにえとして、若い雄牛をささげなければならない。 + その祭りの七日間、君主は毎日、焼き尽くすいけにえを主にささげなければならない。このように毎日ささげられるいけにえは、傷のない若い雄牛七頭と雄羊七頭である。また雄やぎ一頭も、毎日、罪の赦しのためのいけにえとしてささげなさい。 + 君主は、穀物のささげ物として、雄牛一頭に一エパ、雄羊一頭に一エパの穀類をささげなければならない。また、穀類一エパにつき一ヒン(六分の一エパ)のオリーブ油を添える。 + 毎年、第七の月の十五日に行われる祭りにも、七日間、過越の祭りと同じように君主は、罪の赦しのためのいけにえ、焼き尽くすいけにえ、穀物とオリーブ油のささげ物とをささげなければならない。」 + + + 神である主はこう語ります。「東の内側の門は、労働をする週日の六日間は閉ざし、安息日と新月祭のときだけ開けるようにしなさい。 + 君主は外側の門の玄関から入り、内側の壁のすぐ手前まで進まなければならない。そのとき、祭司は焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげるのだ。君主は門の内側で礼拝したら、その入口まで戻らなければならない。入口は、日が暮れるまで閉じてはならない。 + 一般の民は、安息日と新月祭に、この入口の手前で礼拝しなさい。 + 君主が安息日に神にささげる焼き尽くすいけにえは、傷のない子羊六頭と傷のない雄羊一頭である。 + 雄羊一頭につき小麦粉一エパ、子羊については各自が喜んでささげられる量だけをささげるようにすること。オリーブ油は小麦粉一エパごとに一ヒンの割合でささげる。 + 新月祭には、完全な状態の若い雄牛一頭、傷のない子羊六頭、傷のない雄羊一頭をささげる。 + 若い雄牛とともに小麦粉一エパを穀物のささげ物とし、雄羊にも小麦粉一エパをささげる。子羊のために、各自が喜んでささげられる量だけをささげる。また、小麦粉一エパごとにオリーブ油一ヒンをささげる。 + 君主は門の玄関から入り、同じ所から出て行かなければならない。 + しかし、一般の民は祭りの期間中、北の門から入り、ささげ物をしたら、南の門を通って出て行かなければならない。南の門から入って来た者は、北の門から出て行かなければならない。要するに、入って来た門から出てはならないのであって、必ず反対側の門から出る。 + 君主も、こうした祭りの期間には、一般の民といっしょに入り、また出るようにすべきである。 + 特別の祭りや神聖な祝いのときには、穀物のささげ物は、若い雄牛一頭につき一エパ、雄羊一頭につき一エパ、子羊については、君主が喜んでささげられる量だけをささげるようにしなさい。また、小麦粉一エパごとにオリーブ油一ヒンをささげる。 + 君主が神に、特別の焼き尽くすいけにえや和解のいけにえをささげるときには、東の内側の門を開け、彼はそこから入って、安息日にするのと同じように、そのいけにえをささげる。そして、同じ門から出て行く。彼が出たら、門は閉じる。 + 毎朝、一歳の子羊を一頭、焼き尽くすいけにえとして神にささげなければならない。 + それと同時に、毎朝、穀物のささげ物として、小麦粉六分の一エパと、それに混ぜる油三分の一ヒンをささげなければならない。これは永久に変わらない定めである。毎朝、日ごとのささげ物として、子羊と穀物のささげ物とオリーブ油を整えなければならない。」 + 主がこう語ります。「君主がその子に土地を贈与するなら、その土地は永遠にその子のものとなる。 + しかし、奴隷の一人に贈与した場合には、彼が自由の身とされる七年目ごとの解放の年まで、彼のものとなるだけである。その後、その土地は君主に返される。永続するのは息子に贈与されたものだけだ。 + また、君主は力ずくで人の土地を取り上げてはならない。その子には自分の土地を与えなければならない。わたしの民が土地を失って、追い出されるような事態になることをわたしは望まないからだ。」 + そのあと、私は正面の門のわきの出入口を通って、北側の、祭司たちの部屋が並んでいる所に連れて行かれました。部屋の並びの西の端に、料理場がありました。私を案内した人の説明によると、そこは、祭司たちが罪過を償ういけにえや、罪の赦しのためのいけにえを煮たり、穀物のささげ物の小麦粉を焼いてパンにしたりする所でした。そうしたのは、いけにえを外庭に持ち出して、一般の民を聖なる者とされた仲間に加えるようなことを避けるためでした。 + それから、私は再び外庭に連れ出され、その四隅に連れて行かれました。四隅には、それぞれ縦四十キュビト、横三十キュビトの、壁に囲まれた庭がありました。 + 壁の内側にれんが製のかまどが並んでいて、調理ができるようになっています。 + その人は、「この庭は神殿で祭司を助けるレビ人のもので、人々が持って来たいけにえを料理する場所だ」と話してくれました。 + + + それから、その人は私を神殿の入口に連れ戻しました。見ると、神殿の下から東に向かって、水が流れ出ているのです。水は祭壇の右側、すなわち南側を通って流れていました。 + 私は北の門を通って塀の外へ連れて行かれ、東の門へと回らされました。見ると、水は東の門の南端を流れていました。 + その人は流れに沿って測りながら東に進み、一千キュビト行ったとき、その流れを渡るように私に命じました。水はくるぶしまでありました。 + さらに一千キュビト行くと、また、渡るように命じられました。今度は、水はひざまでありました。 + それから一千キュビト行くと、水の深さは腰までになりました。さらに一千キュビト先へ行くと、もう泳がなければ渡れないほどの川となっていました。深くて、とても歩いて渡ることはできなかったのです。 + その人は、今見たことをよく脳裏に刻み込んでおくようにと言って、私をその川の岸に沿って連れ帰りました。 + すると驚いたことに、川の両岸にたくさんの木が茂っているではありませんか。 + その人はこう言いました。「この川は東に流れて、砂漠地帯とヨルダン渓谷を通って死海に注いでいる。こうして死海の塩分の多い水を浄化し、新鮮な水に変えるのだ。 + この川の水に触れるものはすべて生き生きとする。魚が住める水に変えられるので、死海にも魚がいっぱいになる。この水が流れ込む所はどこでも、すべてのものが生かされる。 + 南はエン‧ゲディから北はエン‧エグライムに至るまで、死海の沿岸で漁師が漁をするようになる。岸には一面に網が干されるようになる。魚の種類も、地中海の魚と同じくらい豊富になる。 + だが、沼地や湿地は相変わらず塩水のまま残される。 + 川岸にはあらゆる種類の果樹が茂り、その葉は枯れず、落ちることもなく、いつも実がなっている。毎月、必ず新しい実がなる。神殿から流れ出る水で潤されているからだ。その実は食物に、葉は薬になる。」 + 神である主はこう語ります。「イスラエルの十二の部族に土地を分割するときは、次のようにしなさい。ヨセフ(エフライムとマナセ)の部族には二区分を与えよ。 + 他の部族には、それぞれ平等に一区分が与えられる。わたしはあなたがたの先祖に、土地を与えると約束した。今、その土地を受け継ぐのだ。 + 北の境界線は、地中海からヘテロンに、さらにレボ‧ハマテからツェダデに、 + ダマスコとハマテの境にあるベロタとシブライムを経て、ハウランの境にあるハツェル‧ハティコンに至る。 + つまり地中海から、北はハマテと、南はダマスコと接しているハツァル‧エナンまでである。 + 東の境界線は、ハツァル‧エナンからハウラン山へと南下し、そこで西に曲がってガリラヤ湖の南岸から、イスラエルとギルアデとを分けるヨルダン川に沿って死海に下り、さらにタマルに至る。 + 南の境界線は、タマルから西に向かってメリバテ‧カデシュの泉を通り、エジプト川(ワディ‧エル‧アリシュ)に沿って地中海に至る。 + 西側は地中海が境界線で、南の境界線から北の境界線が始まる所までである。 + これらの境界線の内側を、イスラエルの部族に分割しなければならない。 + その土地をあなたがたと、あなたがたの中に住んでいる外国人の相続地として割り当てるのだ。イスラエルの地で生まれた子どもはみな、たとえ親が外国人でも、イスラエルの市民権が与えられ、あなたがたの子どもと同じ権利を与えられる。 + このような移住者全員に、現在住んでいる部族の間で土地を与えなければならない。 + + + 以下は、各部族と、その土地のリストである。ダンの所有地は、地中海に面する北西の境界線からヘテロン、レボ‧ハマテを経て、さらに南はダマスコと、北はハマテと接する境界線上のハツァル‧エナンまでである。ダンの地の東と西はそれぞれ境界線が境となっている。 + アシェルの土地は、ダンの南で、東と西はそれぞれの境界線が境となっている。 + ナフタリの土地は、アシェルの南で、東と西はそれぞれの境界線が境となっている。 + マナセの土地は、ナフタリの南で、同じように、東と西はそれぞれ境界線が境となっている。 + さらに南へと、エフライム、ルベン、ユダの土地が続き、その東と西は同じように境界線が境となっている。 + ユダの南は神殿のために取っておかれた土地で、その中央に神殿がある。その東と西の境は、各部族の土地の境と同じである。 + この神殿のための土地は、長さ二万五千キュビト、幅二万キュビトである。 + 神殿は、東西二万五千キュビト、南北一万キュビトの土地の中央にある。 + この区域は祭司たちのものである。この祭司たちは、イスラエルの民やレビ部族の残りの者たちが罪を犯したとき、わたしに従って罪を犯さなかったツァドクの子孫である。 + この土地は、分割される土地の中の特別の区域で、最も神聖な土地である。それに隣接して、他のレビ部族の住む区域がある。 + その広さは祭司のための区域と同じで、二つ合わせると、長さ二万五千キュビト、幅二万キュビトになる。 + この特別区の買売や交換は厳禁され、ほかの者に使わせてもいけない。それは主のために聖別された地だからである。 + 神殿のための特別区域の南にある、長さ二万五千キュビト、幅五千キュビトの細長い地は、一般用のもので、町を中心にして、家や牧場や農園を造るようにしなさい。 + 町は四千五百キュビト平方の正方形とする。 + 牧場は約二百五十キュビトの幅で、町の回りを囲むようにする。 + 聖なる区域に接したこの地域で、町の外にある残りの地は、東西にそれぞれ一万キュビトで、町の住民のための農園である。 + 町で働くイスラエル人なら、どの部族の者でもこの農園で働くことができる。 + 聖なる区域と町の所有地とを合わせた、この土地全体は二万五千キュビト平方である。 + この区域の両側の、イスラエルの東と西の境までの地は君主のものである。ユダとベニヤミンとの土地にはさまれたこの土地は、聖なる区域と町の所有地との両側にあって、幅はそれぞれ二万五千キュビトである。 + 残りの部族に分割される土地は、次のとおり。ベニヤミンの土地は、東の境界線から西の境界線まで、イスラエルの全地を横切っている。 + ベニヤミンの土地の南にはシメオンの土地があり、同じように東と西の境界線の間に広がっている。 + イッサカルの土地が、その南に同じようにある。 + さらに、その南にゼブルンの土地が同じようにある。 + それから、ガドの土地がその南にあるが、東と西の境界線は同じでも、南の境界線は、タマルからメリバテ‧カデシュの泉、さらにエジプト川に沿って地中海に至っている。 + 以上が各部族に割り当てられた土地である。」このように、主が語るのです。 + 「町の門には、それぞれイスラエルの各部族の名がつけられている。北側の四千五百キュビトの城壁には三つの門があり、ルベンの門、ユダの門、レビの門と名づけられている。 + 東側の四千五百キュビトの城壁にも、ヨセフの門、ベニヤミンの門、ダンの門と名づけられた門がある。 + 南側の城壁も同じ長さで、シメオンの門、イッサカルの門、ゼブルンの門と呼ばれる三つの門がある。 + 西側の四千五百キュビトの城壁にも、ガドの門、アシェルの門、ナフタリの門と呼ばれる三つの門がある。 + 町の周囲は一万八千キュビトあり、町の名は『神の都』と呼ばれる。」 + +
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+ + エホヤキム王がユダを治めるようになって三年後、バビロンの王ネブカデネザルが大軍を率いてエルサレムに攻めて来ました。主は、ネブカデネザル王に勝利を与えました。バビロンへ帰る時、王は、神殿から聖なる器具を持ち出し、シヌアルにある自分の神の宝物倉に納めました。 + その後、ネブカデネザル王は、宮殿の人事担当者アシュペナズにこう命じました。「捕囚として連れて来たユダヤ人の中から、ユダの王族か貴族出身の若者を数人選び、われわれカルデヤ人のことばと文学を教えよ。いろいろの分野の知識に通じ、知恵にすぐれ、鋭敏なうえに良識を備え、宮廷に仕えるにふさわしく、身体剛健で容姿端麗な若者を選ぶのだ。」 + 王はこの若者たちに、三年間の訓練期間中、王が食べるのと同じ最上の食物とぶどう酒を与えました。訓練ののちにこの若者たちを、王の参議官に取り立てる計画だったのです。 + こうして選ばれた若者の中に、ダニエル、ハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤの四人がいました。四人ともユダ部族の出身でした。 + ところで、彼らの監督官は、それぞれにバビロニヤ名をつけました。それで、ダニエルはベルテシャツァル、ハナヌヤはシャデラク、ミシャエルはメシャク、アザルヤはアベデ‧ネゴと呼ばれました。 + しかしダニエルは、王の支給する食物(ユダヤの法律で食べることが禁止されていた豚肉などが含まれていたと思われる)もぶどう酒も断じて口にしないと決心し、ほかの食事をとることができるよう、監督官に許可を願い出ました。 + 実は神は、この監督官に、ダニエルを特別に思いやる心を与えていました。 + それでも監督官は、ダニエルの申し出に不安を覚え、こう言いました。「ほかの同じ年頃の若者と比べて、あなたがたの顔が青白く、やせ細ってしまったら、職務怠慢のかどで、私は王に首をはねられるだろう。」 + そこでダニエルは、監督官が彼ら四人につけてくれた世話役と、このことについて話し合い、 + ともかく十日間、野菜と水だけの食事で試してほしいと頼みました。 + その期間が終わった段階で、王のごちそうを食べた者たちと比較し、野菜と水だけの食事を続けるかどうかを決めてはどうかと提案したのです。 + 世話役は、ついにこれを試してみることに同意しました。 + そして、十日が過ぎました。ダニエルとその三人の友人は、王のごちそうを食べた若者たちよりも健康そうで、栄養がいきわたっているように見えます。 + そこで世話役はそれからも、ごちそうやぶどう酒抜きの、野菜と水だけの食事をダニエルたちに与えました。 + 神はこの四人の若者に、すぐれた学習能力を与えました。それで四人はすぐに、当時の文学や科学を修得したのです。また、神はダニエルに、夢や幻の意味を知る特別の能力を与えました。 + 三年にわたる訓練期間が終わると監督官は、前もって命じられていたように、口頭試問を受けさせるため、若者たちを王の前に連れて来ました。王は一人一人と時間をかけて話しました。その時、ダニエル、ハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤの四人は群を抜いて、王に感銘を与えたのです。そこで、この四人が王に仕える常任補佐官に取り立てられました。 + 知識やバランスのとれた判断を必要とする全分野で、この若者たちの意見は、国中のどの熟練した呪法師や知恵のある占星学者の意見よりも、十倍もまさっていることに王は気づきました。 + ダニエルは、クロス王の治世の第一年まで、王の参議官の地位にありました。 + + + ネブカデネザル王の治世第二年のある夜、王は恐ろしい夢を見、震えおののきながら目を覚ましました。 + 王は直ちに呪法師、呪文師、呪術師、占星学者を呼び寄せて、その夢を解き明かすよう要求したのです。 + 一同が召し出されると、王は言いました。「よく思い出せないのだが、恐ろしい夢を見た。不吉な予感がしてならない。私の見た夢を説明してくれ。」 + そこで占星学者たちは、アラム語で王に言いました。「まず、どんな夢かをお教えください。そうすれば、その意味を解き明かしてごらんに入れます。」 + 「今言ったではないか。どんな夢か思い出せないのだ。どんな夢で、それがどんな意味か説明しないのなら、おまえたちの手足をばらばらにし、おまえたちの家をごみの山としてくれよう。 + しかし、夢とその意味を説明したなら、たくさんの褒美を取らせ、栄誉も与えよう。さあ、教えてくれ。」 + 「まずその夢をお教えくださらないことには、どうして意味を解き明かすことができましょう。」 + 「おまえたちの魂胆はわかったぞ。夢の示す災いが私に降りかかるまで、時間をかせごうというのだろう。どんな夢かもわからないくらいなら、おまえたちの解き明かしなど信じられるか!」 + 「人の見た夢をあてる者など、地上にはおりません! また、そんなむりなことをお尋ねになる王も、世界にはおられません! + 王は、できないことをしろとおっしゃるのです。神々ではない人間に、ごらんになった夢はわかりません。それができる神々は、ここにはいないのです。」 + これを聞いた王は、かんかんに怒り、「バビロンの知者を一人残らず死刑にせよ」と命じました。 + ダニエルと三人の友人も、他の知者たちといっしょに殺されることになりました。 + しかし、死刑執行の責任者アルヨクが姿を現した時、ダニエルは非常な知恵をもって事態に対処し、こう尋ねました。 + 「なぜ王はそんなにご立腹なのですか。いったい何があったのですか。」そこでアルヨクは、事の次第を説明しました。 + すると、ダニエルは王にお目どおりを願い出て、「しばらくのご猶予を下さい。ごらんになった夢と、その意味をお教えいたします」と言いました。 + ダニエルは家に帰り、さっそく、仲間のハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤに事の成り行きを話しました。 + 彼らは天の神に、ほかの者といっしょに殺されなくてもすむように、この夢の秘密を明らかにし、そのことによってあわれみを示してくださるよう願いました。 + その晩、幻の中で、神はダニエルに、王が見た夢を示したのです。ダニエルは天の神をほめたたえました。 + 「神の御名が、永遠にほめたたえられますように。神だけがすべての知恵と力をお持ちです。 + 世界の出来事は、すべて神の支配下にあります。王を退け、ほかの者を王位につけるのは、神にほかなりません。知者に知恵を与え、学者に知性を与えるのも、神です。 + 神は、人の理解を越えた深い奥義を明らかにしてくださいます。人の目に隠されているどんなこともご存じです。神は光ですから、どんな暗闇も見通してしまわれるのです。 + 私の先祖の神よ。心から感謝し、賛美します。私に知恵と健やかな体を与えてくださったばかりか、今、王の夢とその意味をお教えくださいました。」 + それからダニエルは、バビロンの知者を死刑にするよう命令されていたアルヨクに会い、こう言いました。「彼らを殺してはなりません。私を王のもとへ案内してください。王の知りたがっておられることをお教えします。」 + アルヨクは急いでダニエルを王のもとへ案内して、こう言いました。「ユダヤ人の捕虜の中に、王の夢を解き明かせる者を見つけました。」 + 王はダニエルに言いました。「なに、ほんとうか。私の見た夢と、その意味を解き明かせるのだな。」 + ダニエルは答えました。「どんな知者も、占星学者も、呪法師も、魔術師も、そのようなことはできないでしょう。 + しかし、隠されていることを明らかにする神が、天におられます。この神が、夢の中で、将来どのようなことが起こるかを王に示したのです。これから申し上げることが、王のごらんになった夢です。 + 王様。あなたは、これから起こる出来事を夢でごらんになりました。それは隠されていることを明らかにする神が、王に語ったのです。 + ところで、おことわりしておかなければなりませんが、私が王の夢の秘密を知っておりますのは、ほかの人よりも知恵があるからではありません。神が王のために、私に示してくださったからです。 + 王様。あなたがごらんになったのは、人の形をした、巨大な力ある像で、まぶしく光り輝き、ぞっとするほど恐ろしい姿をしていました。 + この像の頭は純金、胸と両腕は銀、腹とももは青銅、 + すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土でできていました。 + けれども王が見ておられるうちに、一つの岩が、超自然的な方法で山腹から切り出されました。その岩は像に向かって突進し、鉄と粘土の足を粉々に砕きました。 + すると像全体が倒れ、鉄、粘土、青銅、銀、金も砕けて破片の山と化したのです。その破片はもみがらのように小さく、すべて風に吹き飛ばされてしまいました。ところが、その巨像を打ち砕いた岩は、大きな山となって全地を覆いました。 + 以上が、王のごらんになった夢です。さて、その意味はこうです。 + 王様。恐れながら、あなたは諸国の王の上に君臨する王であられます。天の神が、あなたに王国と権威と力と光栄とを与えたからです。 + 神は、あなたが辺境の地まで治め、動物や鳥をも支配するよう定めました。あなたは、あの金の頭です。 + しかし、王国の命運が尽きると、別の強国(メド‧ペルシヤ)が代わって起こります。その国は、王の王国に比べると劣ります。この第二の国が倒れると、巨像の青銅の腹が表す第三の強国(ギリシヤ)が起こり、世界を支配するようになります。 + 続いて、鉄のように強い第四の国(ローマ)が起こり、その国は、鉄が打ち砕くように他の国々を粉砕し、征服していくのです。 + 一部が鉄で、一部が粘土でできている足は、のちに第四の国が分裂することを示しています。分裂した国の一部は鉄のように強く、一部は粘土のようにもろいのです。 + この鉄と粘土の混合は、分裂した王国同士が支配者相互の政略結婚によって同盟を結び、勢力を強化しようとすることも示しています。しかし、それは成功しません。鉄と粘土とは混じり合わないからです。 + この王たちの時代に、天の神は、決して滅ぼされることのない一つの国を起こします。だれもこの国を征服できません。その国は、すべての国々を打ち砕いて滅ぼします。まさに永遠不滅の国なのです。 + これが、人手によらずに山腹から切り出された岩、鉄も青銅も粘土も銀も金もすべて粉々にしてしまったあの岩の意味するものです。偉大な神が、このように将来起こることを示したのです。王の夢についてのこの解き明かしは、私が夢の内容を描写したのと同様、確かなものです。」 + すると、ネブカデネザル王はダニエルの前にひれ伏し、ダニエルを拝みました。それからダニエルにささげ物をし、その前で良い香りのする香をたかせました。 + 王はこう言いました。「ダニエルよ。まことに、おまえの神は、この秘密をおまえにお示しになったのだから、神々の神、王の王、奥義の啓示者だ。」 + 王はダニエルを高い位につけ、たくさんの高価な贈り物を与えました。ダニエルはバビロン全州の知事となり、王に仕える知者たちの長官に任じられたのです。 + また王は、ダニエルの求めで、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴをダニエルの補佐官とし、バビロン州の政務全般をつかさどらせました。ダニエルは総務長官として王の宮廷で仕えました。 + + + ネブカデネザル王は、高さ三十メートル、幅三メートルある金の像を造って、バビロン州のドラの平野に立てました。 + それから、命令を発して、すべての君主、長官、総督、参議官、財務官、司法官、保安官および各州の知事たちを召集し、その像の除幕式に出席させることにしました。 + これらの指導者たちが全員そろい、像の前に立つと、伝令官が大声で叫びました。「諸国、諸国語の皆様。王の命令です。 + 楽隊の奏楽と同時に、地にひれ伏して、王が立てた金の像を拝みなさい。 + 命令に従わない者は、直ちに火の燃える炉に投げ込まれます。」 + それで、楽隊の奏楽が始まると、諸国、諸国語、諸宗教の者たちがいっせいにひれ伏し、金の像を拝みました。 + ところが、ある役人たちが王のもとへ来て、像を拝まなかったユダヤ人のことを訴えました。 + 「王様。あなたは、『楽隊の演奏と同時に、全員がひれ伏して金の像を拝め。命令に従わない者はだれでも、火の燃える炉に投げ込まれる』という法令を出されました。 + ところが、王がバビロン州の政務を任せたシャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴは、王を無視し王の神々に仕えず、王がお立てになった金の像を拝まなかったのです。」 + これを聞いた王は激しく怒り、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴを連れて来るよう命じました。 + 王は三人に問いただしました。「シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴ。おまえたちが私の神々に仕えず、私の立てた金の像を拝まなかったというのは、ほんとうか。 + もう一度チャンスを与えよう。奏楽が始まったら、ひれ伏して像を拝めばよし、さもなければ、直ちに火の燃える炉に投げ込むぞ。どのような神が、私の手からおまえたちを救い出せるというのか。」 + シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴは答えました。「王よ。私たちの身にどんなことが起ころうと、ご心配には及びません。 + たとえ燃えさかる炉に投げ込まれても、私たちの神は、私たちを王の手から救い出すことがおできになります。 + たとえそうでなくても、ご承知ください。私たちはどんな状況に置かれても、決して王の神々に仕えたり、王の立てた金の像を拝んだりはいたしません。」 + すると王はかんかんに怒り、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴへの憤りで顔が真っ赤になりました。そして、炉をいつもの七倍も熱くするよう命じました。 + また、王の軍隊の中で最も強い者たちに、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴを縛って火に投げ込むよう命じたのです。 + 三人は衣服を着たまま縛られ、炉に投げ込まれました。 + 王が怒って炉を熱くするよう命じたので、炉は灼熱の状態でした。三人を投げ込んだ兵士たちが、吹き上げる炎で焼け死んだほどです。 + シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴは縛られたまま、音を立てて燃えさかる炎の中に落ちていきました。 + 突然、じっと見つめていた王が驚いて立ち上がり、側近の者たちに叫びました。「炉に投げ込んだのは三人ではなかったのか。」「さようでございます、王様。」 + 「だが、よく見ろ。四人いるではないか。縛られずに火の中を歩いているぞ。しかも、焼かれた様子は全くない。第四の人は、まるで神のようだ。」 + それから、王は燃える炉の入口にできるだけ近づいて、こう叫びました。「シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴ、いと高き神のしもべたちよ、出て来い。ここに来い!」すると、三人が出て来たではありませんか。 + 君主、長官、総督、参議官たちが駆け寄って三人を調べると、焼かれたあとは少しもありません。頭の毛も焦げず、上着も焼けず、煙の臭いさえしません。 + 王は言いました。「シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴの神はすばらしい! 王の命令を拒み、自分たちの神以外の神を拝むくらいなら死もいとわないほど信仰に徹したしもべたちを、御使いを送って救い出してくださるとは。 + よいか、私の命令だ。シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴの神に逆らうことばを口にする者は、どの国、どの国語、どの宗教の者であっても、手足を引き裂き、その家をごみの山とする。この三人の神のようなことができる神は、ほかにいないからだ。」 + 王は、シャデラク、メシャク、アベデ‧ネゴを昇進させました。それで三人は、バビロン州で大いに栄えたのです。 + + + ネブカデネザル王は、次のような声明文を、世界の諸国、諸国語の民に送りました。諸国の民に告ぐ。 + いと高き神が、私に行われた不思議なことについて、あなたがたすべてに知らせたい。 + それは信じ難いほどの奇跡であった。今こそ、この神の王国が永遠のものであることを、私ははっきり知った。その神の支配は永遠に変わらない。 + 私、ネブカデネザルは、平安と繁栄の中で生きていた。 + ところがある夜、非常に恐ろしい夢を見た。 + そこで、バビロン中の知者を集めて、夢の解き明かしをさせることにした。 + 呪法師、占星学者、占い師、魔術師が、みな集まった。その席で私の夢のことを話したが、だれも解き明かせなかった。 + 最後にダニエルが来た。私は自分の神の名にちなんで、彼にベルテシャツァルと名をつけたが、この者には聖なる神の霊が宿っていた。そこでダニエルに夢のことを話した。 + 「呪法師の長ベルテシャツァルよ。おまえのうちに聖なる神の霊が宿っており、どんな秘密も見事に解き明かせることを知っている。私の夢の意味を教えてほしい。 + 私は野原に立っている大木を見た。その木は天へ向かってどんどん伸び、ついに世界中の人々から見えるほどになった。 + 葉は青々と茂り、枝にはすべての人が食べても足りるほど、実がたわわになっていた。野の動物はその木陰にいこい、鳥はその枝を住みかとし、全世界がその木によって養われた。 + 以上のようなことを夢で見ていると、神の使いの一人が天から降りて来るのが見えた。 + その使いはこう叫んだ。『その木を切り倒し、枝を切り払え。葉を振り落とし、実をまき散らせ。動物を木陰から、鳥を枝から追い払え。 + だが、切り株と根は地に残し、鉄と青銅の鎖をかけて、野の若草の中に置け。天の露にぬれさせ、野の動物といっしょに草を食べさせるのだ。 + 七年間、人の心ではなく動物の心を持たせよ。 + これは見張り人たちの宣告であり、聖なる者たちの命令である。このように宣言するのは、いと高き方が世界の国々を支配し、御心のままに、人間の中で最もへりくだった者にさえその国々をお与えになるということを、全世界が知るためである。』 + ベルテシャツァルよ。以上が私の見た夢だ。さあ、その意味を教えてくれ。ほかに助けてくれる者はいない。この王国で最も知恵のある者でもだめだった。だが、おまえならできる。聖なる神の霊が宿っているのだから。」 + その時ダニエルは、しばらくの間、その夢の意味にがくぜんとして、おびえてひと言も口をきけなかった。ついに、私が口を開いた。「ベルテシャツァル、恐れることはない。夢の意味を話してくれ。」ダニエルは答えた。「この夢の示していることが、王にではなく、王の敵に当てはまるのならよろしいのですが……。 + 夢でごらんになりました木、青々とした葉を茂らせ、みなが食べても足りるほど実をたわわにつけ、その陰には野獣が住まい、枝には鳥がいっぱいに宿り、世界中の人々に見えるように天にまで達した高い木は、王ご自身でございます。あなたは強く、大きくなり、その偉大さは天にまで達し、ご支配は地の果てにまで及びます。 + しかし王は、神の使いが天から降りて来て、こう言うのをお聞きになりました。『この木を切り倒して滅ぼせ。ただし、切り株と根は若草に囲まれたまま地に残し、鉄と青銅の鎖をかけておけ。天の露にぬれさせ、七年間、野の動物たちといっしょに草を食べさせよ。』 + 王様。これはいと高き神がお定めになったことですから、必ず起こります。 + 国民があなたを宮殿から追い出します。あなたは動物のように野に住んで、牛のように草を食べ、背中は天の露でぬれるでしょう。いと高き神が人間の国々を支配し、お選びになった者に支配権を与えるということを、王が悟るまでの七年間、このような生活が続きます。 + ただし、切り株と根とは地に残されました。その意味は、天の神が支配しておられることを王が悟った時、国は戻って来るということです。 + ネブカデネザル王よ、お願いです。どうぞ、罪を犯されませんように。正しいことを行い、貧しい者をあわれんでください。そうすれば、あるいは神の赦しがあるかもしれません。」 + ところが、これらのことがみな私の身に起こった。 + この夢を見てから十二か月後、私はバビロンの王宮の屋上を歩きながら、 + こう言った。「私は自分の力で、この美しい都を、王宮のある町、帝国の首都に建て上げたのだ。」 + このことばを語り終えないうちに、天から声があった。「ネブカデネザル王よ。あなたに宣告する。あなたはもう、この国の王ではない。 + 宮殿から追い出され、七年間、野の動物たちと共に住み、牛のように草を食べるのだ。それでやっと、神が人間に国々を分け与え、お選びになった者に国を与えることを悟るだろう。」 + そのことは、すぐ実現した。私は宮殿から追われ、牛のように草を食べ、体は露でぬれ、髪の毛はわしの羽のように長くなり、爪は鳥の爪のようになった。 + 七年目の終わりに、私は天を見上げた。すると正気に戻ったので、いと高き神を賛美し、礼拝した。そして、永遠に生きておられる方、その御国の支配が代々限りなく続くお方をほめたたえた。 + 神に比べれば、地上の人間はみな無に等しい。神は、天の御使いたちの中にあっても、地上に住む人々の中にあっても、最善とお考えのことを行われる。それに対して、「どうして、こんなことをするのですか」と言って、神に挑戦したり、神を止めたりはできない。 + 正気に戻った時、私の名誉も光栄も、王国も戻って来た。参議官も役人も戻って来てくれたので、私は以前にもまさる栄誉に包まれ、王位を確立することができた。 + ここに今、私、ネブカデネザルは、その行うことがすべて正しく善である方、すべての者をさばく方、天の王を賛美し、ほめたたえる。このお方は、思い上がって歩む者を取り、ちりの中に押し込むことができる。 + + + ベルシャツァル王は、千人の高位高官を招いて大宴会を催し、ふんだんにぶどう酒をふるまいました。 + 王はぶどう酒を飲みながら、ずっと以前、ネブカデネザル王の治世にエルサレムの神殿からバビロンに持って来た、金と銀の杯のことを思い出しました。そこで、この聖なる杯を宴席に持って来るよう命じました。杯が運ばれて来ると、王と王子たち、妻とそばめたちは、金や銀、青銅や鉄、木や石で作られた偶像のために、その杯で乾杯したのです。 + すると突然、居並ぶ者たちの目の前に人の手の指が現れ、燭台の向こうの塗り壁に何かを書いたのです。王も確かにその指を見ました。 + 恐ろしさのあまり、王の顔は蒼白となりひざはがくがくと震えだし、その場に座り込んでしまいました。 + 王は叫びました。「呪文師、占星学者を呼べ。カルデヤ人を呼べ。だれでも、壁に書かれた文字を読み、その意味を解き明かすなら、王室の栄誉を帯びた紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけ、この国の第三の支配者としよう!」 + しかし、呼び集められた者のうち、一人としてその文字を読み、意味を解き明かせる者はいません。 + 王はますます興奮し、恐怖におびえています。居並ぶ高官たちも、うろたえるばかりです。 + このことを聞いた王母は、すぐ宴会場に駆けつけ、王に言いました。「王よ、落ち着いてください。そんな顔をしたり、おびえたりするのはおやめください。 + あなたの王国には、聖なる神の霊が宿っている人がいるではありませんか。あなたの父上、ネブカデネザル王の時代に、その人は、まるで神のように知恵と理解力に満ちていました。それで父上の治世に、バビロン全土の呪文師、占星学者、カルデヤ人、占い師の長とされたのです。 + その人はダニエルという者です。父上はベルテシャツァルと呼んでおられました。その人を召してください。その頭脳は神の知恵と理解力に満ちています。それで、夢を解き明かし、なぞを解き、どんな難問も解決できるのです。あの壁に書かれた文字の意味も教えてくれましょう。」 + ダニエルは、すぐさま王のもとに召されました。王はダニエルに尋ねました。「ネブカデネザル王がイスラエルから捕虜として連れて来たダニエルというのは、おまえか。 + おまえのうちには神の霊が宿り、知恵と理解力にすぐれていると聞いている。 + 私の知者や占星学者たちは、あの壁に書かれた文字を読み、その意味を解き明かそうとしたが、できなかった。 + おまえは、どんななぞも解くことができるそうだな。この文字を解き明かしてくれるなら、紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけ、おまえをこの国で第三の支配者としよう。」 + 「ありがたい仰せですが、その褒美は、ご自分のために取っておかれるか、ほかの者に与えてください。とにかく、壁の文字の意味はお教えします。 + 王よ。いと高き神は、先王ネブカデネザルに、偉大な王国と、それにふさわしい威厳と光栄とを与えました。 + その威厳はたいへんなもので、世界の国々はみな、王の前に震えおののいたものです。先王は気に入らない者は殺し、気に入る者は生かすというふうに、気の向くままに人を用いたり、捨てたりなさいました。 + こうして、先王の心がおごり高ぶった時、神は先王を位から退け、栄光を奪ったのです。 + 先王は宮殿から野に追われ、心も感情も動物と同じようになり、野ろばと共に住み、牛のように草を食べ、体は天の露にぬれました。そして先王もついに、いと高き方が人間の国々を支配し、御心にかなう者に国々を支配させることを悟ったのです。 + その後継者であるあなたは、そのことをみな知っていながら、へりくだることをなさいませんでした。 + それどころか、天の主に逆らい、主の神殿の杯をここに持って来させました。王も、高官たちも、王妃やそばめたちも、その杯でぶどう酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石でできた、見ることも聞くことも、悟ることもできない神々をほめたたえました。こうして、王にいのちの息を与え、王の人生を手中に握っている神をほめたたえなかったのです。 + それで神は手の指を送り、この文字を書かせたのです。その文字は、『メネ』『メネ』『テケル』『パルシン』と読みます。 + 意味はこうです。『メネ』は、数えられたという意味で、神が王の治世の日数を数えて、その日がもう尽きたということです。 + 『テケル』は、はかりで量られたという意味で、王が神のはかりで量られ、審査に落ちたということです。 + 『パルシン』は、分割されたという意味で、王の国が分割されて、メディヤとペルシヤに与えられるということです。」 + それから、ベルシャツァル王の命令で、ダニエルは紫の衣を着せられ、首に金の鎖をかけられ、王国で第三の支配者であると宣言されたのです。 + その夜のうちに、カルデヤ人の王ベルシャツァルは殺され、 + メディヤ人ダリヨスが都に入り、その国を支配するようになりました。時に、ダリヨスは六十二歳でした。 + + + ダリヨス王は国を百二十の州に分け、それぞれに知事を置きました。 + 州知事の上に三人の大臣を置き、ダニエルはその一人でした。この三人への報告を義務づけることで、王は効果的に王国を治めることができました。 + ダニエルにはすぐれた能力があり、他の大臣や州知事よりも有能であることが、だれの目にも明らかになりました。そこで王は、彼を行政長官にして全国を治めさせようと考えました。 + そのため、他の大臣や州知事は激しく嫉妬し、ダニエルの行政に落度はないかと探り、王に訴える口実を見つけようとしました。しかし、何一つ批判できる点を見つけることができません。ダニエルは誠実で、正直にふるまい、間違いを犯すことがありませんでした。 + そこで、「残された道はただ一つ、ダニエルの宗教に関することだ」ということになったのです。 + 彼らは王のもとへ行き、次のように進言しました。「ダリヨス王よ。いつまでもご健勝であられますように。 + 私ども大臣、州知事、参議官ならびに総督は、どんな事情があっても取り消すことのできない法令を制定していただくよう、全会一致で決議いたしました。その法令とは、向こう三十日間、王以外のどんな神にも人にも祈りをささげる者があれば、ライオンの餌食にされる、というものでございます。 + この法令に署名をお願いいたします。そうすれば、これは無効にすることも変更することもできない『メディヤとペルシヤの法律』となるのでございます。」 + そこで王は、この法律に署名しました。 + ところが、ダニエルはそのことを知りましたが、家に帰るといつものように、二階の寝室でひざまずきました。エルサレムの方角の窓を開けて、彼は一日に三度、神に祈り、感謝をささげていたのです。 + 陰謀を企てた者たちがダニエルの家に押しかけてみると、神に哀願し、祈っているダニエルの姿を見つけました。 + 彼らは王のもとに急ぎ、あの法律について念を押しました。「王は、向こう三十日間、王以外のどんな神にも人にも祈りをささげてはならないという法律に署名なさいました。その法律に背く者は、ライオンの餌食にされるのでしたね。」「そのとおりだ。変更も取り消しもできない『メディヤとペルシヤの法律』だ。」 + そこで彼らは王に訴えました。「あのユダヤ人捕虜の一人、ダニエルは、王も王の法律も無視して、日に三度、彼の神に祈りをささげているのです。」 + これを聞いて、王は法律に署名したことを悔やみ、何とかしてダニエルを助けようとしました。そして日が暮れるまで、ダニエルを救い出す手だてはないものかと思い巡らしていました。 + 夕方になると、陰謀を企てた者たちがまた来て、こう言います。「王様。もう、どうしようもありません。王が署名された法律ですから、変更の余地はございません。」 + とうとう王は、ダニエルを逮捕するよう命じました。ダニエルは捕らえられ、ライオンの穴に投げ込まれたのです。王はダニエルに呼びかけました。「おまえがいつも礼拝している神が、どうか、おまえを救ってくださるように。」 + それから一つの石が運んで来られ、穴の口に置かれました。だれもダニエルをライオンの穴から救い出せないようにと、王と政府の公印をもって封じたのです。 + 王は宮殿に帰ると、食事もせずに寝室に入りました。いつもの余興も受けつけず、一睡もしないで夜を明かしました。 + 翌日、まだ夜の明けないうちに、王はライオンの穴に駆けつけ、悲痛な声で叫びました。「ダニエル! 生ける神のしもべよ! おまえがいつも礼拝している神は、おまえをライオンから救ってくださったか。」 + すると、ダニエルの声がするではありませんか。「王様。永遠に生き長らえられますように。 + 私の神が御使いを送り、ライオンの口をふさいでくださったので、ライオンは何もできませんでした。それは、神の前で、私に罪のないことが認められたからです。また、王に対しても、何も悪いことをしていないからです。」 + 王は我を忘れて喜び、ダニエルを穴から引き上げるよう命じました。ダニエルは神に信頼していたので、体にはかすり傷一つ負いませんでした。 + 王は、ダニエルを訴えた者たちを妻子ともども捕らえ、ライオンの穴に投げ込みました。すると、彼らが穴の底に落ちないうちにライオンが飛びかかり、引き裂いてしまいました。 + そののち、ダリヨス王は国中の全国民に、次のような声明文を書き送りました。「すべての民に告ぐ。私の国のどこでも、ダニエルの神の前に、震えおののくようにせよ。 + 彼の神こそ、変わることのない生ける神であり、その国は滅びることがなく、その力は尽きることがない。 + この神はご自分の民を救い出し、危険から守られる。天と地において、驚くべき奇跡を行われる。ライオンからダニエルを救い出してくださったのは、実に、この神だ。」 + こうしてダニエルは、ダリヨス王の治世とペルシヤ人クロス王の治世に栄えました。 + + + バビロンの王ベルシャツァルの治世第一年のある晩、ダニエルは夢を見、それを書き留めました。夢は次のようなものです。 + 「大海に激しい嵐が起こり、強風が四方から吹きまくっていました。 + すると、四頭の巨大な獣が海から上がって来たのです。四頭とも、みな別の生き物でした。 + 第一の獣はライオンのようで、わしの翼をつけています。見ていると、その翼はもぎ取られ、もはや飛べなくなり、人間のように地上に二本足で立ち、人間の心が与えられました。 + 第二の獣は熊のようで、横ざまに寝ていました。牙の間に肋骨を三本くわえています。すると、それに向かって、『起き上がれ! 大ぜいの人を食らえ!』と言う声がしました。 + 第三の奇妙な獣は、ひょうのようでした。背中には鳥のような翼があり、さらに四つの頭があります。しかも、この動物には全人類を治める偉大な権力が与えられました。 + さらに、夢の中で見ていると、第四の獣が海から姿を現しました。その形相の恐ろしさは、ことばに表せません。また、その強さは信じられないほどです。巨大な鉄の牙で餌食を食い裂き、ほかの餌食を足で踏みつぶしてしまいました。この第四の獣は、前に現れた獣よりはるかに荒々しく残忍で、十本の角を持っていました。 + その角を見ていると、突然、角の間から別の小さな角が出て来ました。そのために、最初の十本の角のうち三本が根こそぎ引き抜かれてしまいました。この小さな角には、人間の目と、大言壮語する口がついていました。 + 見ていると、幾つかの王座が備えられ、全能の神が審判のため、その座におつきになりました。その衣は雪のように白く、髪の毛は純白の羊毛のようでした。燃える車輪で運ばれて来た火の王座に、神は座りました。 + 神の前からは火の川が流れ出ていました。何百万の御使いが神に仕えており、何億という人が神の前に立って、さばきを待っていました。それから法廷が開かれ、幾つかの書物が開かれたのです。 + 見ていると、あの残忍な第四の獣が殺され、体を焼かれてしまいました。全能の神に対して尊大にふるまい、その小さな角を誇っていたからです。 + 残りの三頭は、王国を取り上げられたものの、しばらくは生き延びることを許されました。 + 次に、人のように見えるお方が、天からの雲に乗って来るのが見えました。その方は、神の前に導かれました。 + 人のように見えるこの方は、世界の国々を治める権力と栄光とを与えられていました。それで、どの国の民もみな、この方に従わなければなりません。この方の権力は永遠で、決して終わることがありません。その国は滅びることがないのです。 + 私は夢で見たことによって、すっかり混乱し、動揺しました。 + そこで、王座のそばに立っている者の一人に近づき、見たことすべてについて、その意味を尋ねました。すると、次のように説明してくれたのです。 + 『四頭の巨大な獣は、のちに地上を治める四人の王を表している。 + だが最後には、いと高き神の民が、代々限りなく世界を治めるようになる。』 + 次に、第四の獣について尋ねました。それはぞっとするほど恐ろしく、残忍で、鉄の牙と青銅の爪で人々を引き裂き、足で他の人々を踏み殺しました。 + また、十本の角と、あとから出て来て、前の十本のうち三本を滅ぼした小さい角のことも尋ねました。その小さい角には目があり、大声で自慢する口があって、他の角よりも強いようでした。 + 見ていると、その角は神の民と戦って、勝ったのです。 + しかしその勝利も、永遠の神が来て法廷を開き、神の民の正しさを立証して、彼らに全世界を治める権威をお与えになるまでのことでした。 + 王座のそばに立っている人は、このように説明してくれました。『この第四の獣は、世界を治める第四の国(一般にはローマ帝国であると言われる)のことだ。それは他の国々をしのぐ残忍さで、全世界を食い尽くし、自分の前にあるすべてのものを打ち壊す。 + 十本の角は、この国から立つ十人の王のことだ。それから、もう一人の王が立つが、他の十人の王より残忍で、その中の三人の王を打ち倒してしまう。 + この王は、いと高き神に反抗し、聖徒たちを迫害して滅ぼし、すべての法律、道徳、慣習を変えようとする。神の民も、三年半の間、この王の手中にあって、どうすることもできない。 + だが、永遠の神が来て正義の法廷を開き、この残忍な王からすべての権力を取り去り、完全に滅ぼし尽くす。 + それから、天の下にあるすべての国と権力が、神の民に与えられる。彼らは永遠にすべてのものを治め、すべての支配者が彼らに仕え、従うようになる。』 + 夢はそこで終わりました。目を覚ますと、私はひどく動揺し、顔色も恐怖で青ざめていました。夢で見たことは、だれにも話しませんでした。」 + + + ベルシャツァル王の治世の第三年に、私は最初の夢と同じような、もう一つの夢を見ました。 + その夢では、私はエラム州の首都シュシャンにいました。夢の中の私をよく見ると、私はウライ川のほとりに立っていました。 + あたりを見回すと、川岸に、二本の長い角を持った雄羊が立っています。そのうちに、雄羊の一本の角が伸び始め、もう一本の角より長くなりました。 + この雄羊は、道をふさぐものを片っぱしから突きのけて進みました。だれも立ち向かえず、被害にあった者を助けることもできません。雄羊は思いのままにふるまい、ますます尊大になっていきました。 + これは何を意味するのかと思っていると、突然、一頭の雄やぎが地の上を飛ぶようにして、西方から素早く姿を現しました。この雄やぎには、目と目の間に一本の大きな角がありました。 + そして、二本の角がある雄羊に向かって猛烈な勢いで突進して行きました。 + 雄やぎは雄羊に近づくとますます怒り狂い、激しくぶつかって、二本の角をへし折ってしまいました。雄羊はどうすることもできず、雄やぎに打ち倒され、踏みつけられるままでした。雄羊を救い出そうとするものは、どこにもいなかったからです。 + 勝利した雄やぎは高慢になり、強大な力を誇るようになりましたが、突然、その権力の絶頂で、大きな角が折られました。すると、その折れた所に、四方に向かって四本のかなり大きい角が生えてきたのです。 + そのうちの一本は、初めは伸びるのが遅かったのですが、そこから小さな角が生え、やがて非常に強くなり、南と東とを攻撃し、イスラエルに戦いを挑みました。 + 彼は神の民と戦って、その指導者の幾人かを打ち倒しました。 + そればかりか、天の軍勢の将にさえ挑戦して、その方に毎日ささげられるいけにえを取り消し、その神殿を汚したのです。 + それでも天の軍勢は、悪事を行うこの者にとどめを刺すことを禁じられていました。その結果、真理と正義は姿を消し、悪がわがもの顔にふるまっていたのです。 + それから私は、聖なる御使い二人が話し合っているのを耳にしました。一人が次のように尋ねました。「以前のように、毎日いけにえをささげることができるようになるのは、いつのことだろうか。神殿が破壊されたことの復讐をし、神の民が勝利を得るのは、いつだろうか。」 + もう一人が答えました。「二千三百日が過ぎてからだ。」 + この幻の意味を知ろうと思い巡らしていると、突然、目の前に、人のように見える方が立ったのです。 + すると川の向こうから、「ガブリエル、見た夢の意味をダニエルに教えてやりなさい」と言う、人の声が聞こえました。 + ガブリエルが近づいて来ると、私は恐ろしさのあまり立っていることができず、地面にひれ伏しました。ガブリエルは言いました。「あなたが幻の中で見た出来事は、終わりの時に起こることだ。」 + 私は意識を失って、地面にうつぶせに倒れてしまいました。御使いは手を貸して起こし、立ち上がらせてくれました。 + そして、こう言いました。「私がここに遣わされたのは、恐ろしい終わりの日に起ころうとしていることを知らせるためだ。あなたが見たことは、歴史の終わりに起こる出来事にかかわるからだ。 + あなたが見た雄羊の二本の角は、メディヤとペルシヤの王のことだ。 + 毛むくじゃらの雄やぎはギリシヤで、その大きな角は、ギリシヤの第一の王を表している。 + その大きな角が折れて、それより小さな四本の角が生えてきたのは、ギリシヤが四人の王に四分されることを意味している。四人の王には、第一の王のような力はない。 + これらの王国の末期に、道徳的腐敗が極みに達すると、非常に狡猾で抜け目のない一人の王が、怒りを込めて権力の座につく。 + その強大な権力は悪魔から出たもので、彼自身のものではない。彼は何をやっても成功し、どんなに強力な軍隊でも、敵対する者はみな打ち滅ぼし、神の民をも荒らし回る。 + 彼は人を欺く天才で、偽りの安全に浸っている大ぜいの人を、不意に襲って打ち負かす。それで、自分こそ偉大な王だとうぬぼれ、君主の中の君主に戦いを挑む。だが、そうすることによって、自分の破滅の運命を決定的なものにするのだ。人間の力では打ち負かすことができなくても、神の御手によって、彼は打ち砕かれるからだ。 + それから、あなたは先の幻で、礼拝をする権利が回復されるまで二千三百日かかるということを聞いた。この数字は、そのとおりのことを意味している。だが、これらのことが起こるのはまだ遠い将来のことなので、だれにも話してはならない。」 + こののち数日間、私は病気になって床についてしまいました。その後、ようやく起き上がり、王に仕えることができるようになりましたが、夢のことで思案にくれるばかりでした。その意味が理解できなかったからです。 + + + 時が過ぎて、今やアハシュエロスの子ダリヨス王の治世の第一年となりました。ダリヨスはメディヤ人でしたが、カルデヤの王となったのです。 + このダリヨス王の治世の第一年に、私、ダニエルは、預言者エレミヤの書から、エルサレムが七十年の間荒廃した状態に置かれるということを知りました。 + そこで神に、捕囚を終わらせ、祖国に帰してくださいと熱心に願いました。断食をし、荒布を着、灰をかぶり、自分の罪や同胞の罪を告白して祈り求めました。「ああ主よ。あなたは大いなる恐るべき神です。あなたを愛し、そのおきてを守る者には、あわれみによる約束を必ず果たされます。 + 私たちは多くの罪を犯しました。あなたに反逆し、命令を無視しました。 + また、あなたのしもべである預言者の言うことを聞きませんでした。長年にわたり、何度も何度も預言者を遣わして、王や指導者、またすべての民に語ってくださったのに、私たちは耳を傾けませんでした。 + ああ主よ。あなたは正しいお方です。それなのに、私たちは相も変わらず罪を犯し、恥ずかしい生き方をしています。ユダの民も、エルサレムの住民も、あなたに対する不真実のために散らされました。近くに、あるいは遠くにいるイスラエル人も、みなそうなのです。 + ああ主よ。私たちも、私たちの王、指導者、先祖も、そのあらゆる罪のために、いやと言うほど恥ずかしい思いをしています。 + しかし、私たちの神、主はあわれみに満ちたお方で、反逆した者をもお赦しになります。 + 私たちの神、主よ。私たちは不従順で、主のしもべである預言者を通して与えてくださったすべてのおきてを、鼻であしらいました。 + イスラエル人はみな、不従順の罪を犯しました。あなたから離れ、御声を聞きませんでした。それで、神のしもべモーセの律法に書かれている恐ろしいのろいが、私たちを押しつぶしてしまったのです。 + 神は警告どおりのことを行われました。エルサレムで私たちや指導者たちに降りかかったこのような惨事は、歴史上、一度も見たことがありません。 + 私たちへののろいは、モーセの律法にあるとおり、みなそのとおりになりました。モーセが予告した災いが、みな現実となったのです。それでもなお、私たちは罪を捨てて正しいことをして、私たちの神、主の期待にこたえようとはしなかったのです。 + そこで主は、用意しておられた災いを下して、私たちを押しつぶしてしまわれました。主が行われたことはすべて正しいのに、私たちは従おうとしませんでした。 + 私たちの神、主よ。あなたは偉大な力を現して、エジプトからご自分の民を導き出し、御名の限りない栄誉を示されました。主よ、もう一度、同じことをしてください。私たちは多くの罪を犯し、悪を行っています。 + それでも主よ、真実なあわれみのゆえに、激しい憤りを、ご自身の町、聖なる山エルサレムから取り除いてください。神の町が私たちの罪のゆえに廃墟と化しているのを見て、異邦人があなたをあざけっているからです。 + ああ、私たちの神よ。しもべの祈りを聞き入れ、その願いに耳を傾けてください。主よ。ご栄光のために、荒廃した神殿の上に御顔を輝かせ、平和と喜びとを満たしてください。 + 神よ、どうか私の願いを聞いてください。御目を開いて、私たちの惨状をごらんください。神の町がどんなに荒れ果ててしまっているか、よくごらんください。この町はあなたのものであることを、だれもが知っているのです。助けていただくに値する者だからお願いしているのではありません。私たちのどうしようもない罪にもかかわらず、あなたはあわれみに満ちたお方なので、お願いしているのです。 + 主よ、お聞きください。どうか赦してください。私の願いをかなえてください。神よ、ご自身のために、それを遅らせないでください。あなたの民とあなたの町とには、御名がつけられているからです。」 + 私がまだ祈り、自分と同胞との罪を告白し、神の聖なる山エルサレムのために、私の神、主に一心に願っていた時、初めに見た幻の中に現れたガブリエルが、夕方のいけにえがささげられるころ、私のところへさっと飛んで来ました。 + そして、こう言いました。「ダニエル。私は神の計画を悟らせるためにやって来た。 + あなたが祈り始めた時、一つの命令が出たので、それを伝えに来たのだ。それというのも、神があなたを非常に愛しておられるからだ。よく耳を傾けて、あなたが見た幻の意味を悟るようにせよ。 + 主は、エルサレムとあなたの同胞とに、さらに四百九十年に及ぶさばきを言い渡した。そののち、ようやく彼らは罪から離れるようになり、その罪のとがめから解き放たれる。それから、永遠の義の支配が始まり、預言者たちが告げたように、神殿の至聖所が再建される。 + さあ、よく聞け。エルサレム再建の命令が出てから油を注がれた方が来るまで、四十九年に加えて四百三十四年かかる。それは苦しい時代だが、その間にエルサレムの城壁も町も再建される。 + この四百三十四年が過ぎると、油を注がれた方は、その王国が実現する前に殺されてしまう。すると、一人の王が起こり、その軍隊がエルサレムの町と神殿とを破壊する。神の民は、まるで洪水に会ったように、一気に押し流されてしまう。その時から終わりの時まで、戦争と荒廃が続く。 + この王は、神の民と七年の条約を結ぶが、その期限の半ばで約束を破り、ユダヤ人がいけにえとささげ物をささげるのをすべてやめさせる。それから、その恐ろしい行為の絶頂として、この敵である王は神の聖所を徹底的に汚す。だが、神の時と計画に従って、この悪者に断固たるさばきが下される。」 + + + ペルシヤの王クロスの治世の第三年に、ベルテシャツァルとも呼ばれたダニエルは、もう一つの幻を見ました。それは、いつか必ず起こる出来事について、すなわち、打ち続く戦争や悲惨による激しい苦難の時代のことでした。この時ダニエルは、その幻の意味を悟ることができました。 + (ダニエルはのちに、次のように言ったのです。)この幻を見た時、私はまる三週間、喪に服していました。 + その間ずっと、ぶどう酒も肉も、甘いものさえも口にすることはありませんでした。体を洗ったり、ひげを剃ったり、髪を梳いたりもしませんでした。 + 第一の月の二十四日、私はティグリス川のほとりに立っていました。 + 突然、目の前に、亜麻布の衣服をまとい、腰に純金の帯を締め、光り輝く肌をした人が立っているのが見えたのです。その顔からは、いなずまのような、目もくらむばかりの閃光がきらめいています。目は燃える火の池のようであり、腕と足は磨き上げた真鍮のように輝き、その声は大群衆の叫びのようです。 + この圧倒されるような幻を見たのは、私だけでした。いっしょにいた者たちは何も見なかったのに、突然、異常な恐怖に取りつかれ、逃げて身を隠してしまい、 + 私だけが残ったのです。この恐ろしい幻を見て、私はすっかり力が抜け、恐怖のあまり顔色も青ざめてしまいました。 + それからその人が語りかけましたが、私は意識を失い、うつぶせに地面に倒れてしまいました。 + すると、一つの手が、手もひざも震えている私を起こしてくれました。 + その時、その人の声が聞こえました。「さあ、神に大いに愛されているダニエルよ、立ちなさい。これから語ることを、よく聞くがいい。神が私をあなたのところへお遣わしになったのだ。」そこで私は、まだ恐怖で震えながらも立ち上がりました。 + その人は続けました。「ダニエル、恐れることはない。あなたが神の前で断食し、幻の意味を悟ることができるように祈り求めた最初の日に、あなたの願いは天において聞かれ、すでに答えられているからだ。その日に、私はあなたに会うため、ここに遣わされていた。 + ところが二十一日間、ペルシヤを支配する強力な悪の霊が行く手に立ちふさがっていた。その時、天の軍勢の最高指揮官の一人ミカエルが助けに来てくれたので、私はペルシヤのこの悪の霊たちを突破することができたのだ。 + 今、私は、終わりの時にあなたの同胞であるユダヤ人に起こることを知らせるために、ここに来ている。この預言の実現はまだ何年も先のことだ。」 + このことばを聞いている間、私はずっとうつむいて、ひと言も話すことができませんでした。 + その時、人のように見える者がくちびるに触れてくれました。すると再び話せるようになり、私は天からの使者に言いました。「あなたの出現に恐れおののき、力も抜けてしまいました。 + 私のような者が、どうしてあなたとお話しできましょう。力が抜けて、息をするのがやっとです。」 + その時、もう一度その人が私に触れてくれました。すると、元気を取り戻したような気がしたのです。 + その方は言いました。「神はあなたを非常に愛しておられる。だから、恐れるな。気を落ちつけて、しっかりするのだ。」このことばを聞くと、急に力がわいてきました。「どうぞ、先を続けてください。あなたが力づけてくださったので、もう大丈夫です。」 + 「なぜ私が来たか知っているか。『未来の書』に書かれていることを知らせるために、ここにいるのだ。それから私はここを去り、再びペルシヤの君主と戦うために帰って行く。そのあとで、ギリシヤの君主とも戦う。あなたの同胞イスラエルを守る天使ミカエルしか、私を助けてくれる者はいない。 + + + メディヤ人ダリヨスをその治世の第一年に力づけ、助けるために遣わされたのは、この私だった。 + 今、その私が、将来起こることをあなたに示そうとしている。さらに三人のペルシヤ人の王が治め、そのあと、この三人よりはるかに富んだ第四の者が王位を継ぐ。この王は、その富を政治的に利用し、ギリシヤに全面戦争をしかける。 + その時、ギリシヤに強力な王が起こる。この王は、広大な国を治め、計画したことをすべて実現する。 + だが、その権力の絶頂で王国は崩壊し、分割されてこれよりも弱い四つの国になる。しかも、それらの国も王の息子たちのものとはならず、ほかの者たちに与えられる。 + そのうちの一人、エジプトの王は権力を増すが、高官の一人が反逆して王国を乗っ取り、さらに強大な国にする。 + 数年後、シリヤの王とエジプトの王とは同盟を結ぶ。エジプト王の娘が、和睦のしるしとしてシリヤの王に嫁がされる。だが、彼女はやがてシリヤの王に対する影響力を失い、彼女自身の期待だけでなく、父親であるエジプト王をはじめ、大使や、彼女が産んだ子どもの期待をも踏みにじる結果となる。 + だが、彼女の兄弟がエジプトの王になると、軍隊を率いてシリヤの王と戦い、ついに打ち負かす。 + エジプトに凱旋する時、彼はシリヤの偶像や高価な金銀の食器類を、戦利品として持ち帰る。そののち何年間か、彼はシリヤの王にかまわない。 + そうこうするうち、シリヤの王は短期間エジプトを侵略するが、すぐに自分の国へ帰ってしまう。 + ところが、このシリヤ王の息子たちは大軍を集めて、イスラエルからエジプトへ洪水のように押し寄せ、攻め入ろうとする。それを見てエジプトの王は非常に怒り、シリヤの大軍を迎え撃って敗走させる。 + この大勝利に気をよくした王は、さらに幾千もの敵を打ち殺すが、その勝利は長続きしない。 + 二、三年してシリヤの王は、かつて敗北した時よりもはるかに装備された大軍を率いて、攻め返す。 + その時は、他の国々もエジプト攻撃に加わる。さらに、あなたの同胞であるユダヤ人の暴徒もそれに加わり、こうして預言を実現させようとするが、失敗に終わる。 + それから、シリヤの王と同盟国軍が攻め寄せ、エジプトの要塞化された町を包囲し、占領する。エジプトが誇る精兵も打ち負かされる。 + シリヤの王は抵抗を受けずに攻め進み、だれもそれを食い止めることができない。彼はまた、『栄光の国』イスラエルに踏み込み、そこを略奪する。 + 全エジプトを征服しようとするシリヤの王の策略は、自分もエジプトの王と同盟を結び、娘を政略結婚させ、その国を内部からくつがえそうというものである。だが計画は失敗する。 + そののち、シリヤの王は沿岸の町々に目を向け、その多くを征服する。だが、一人の将軍がその攻撃を阻み、不面目な退却を余儀なくさせる。 + 王は再び国へ引き返すが、途中で災難に会い、姿を消す。 + 彼の後継者は、イスラエルに収税官を派遣した王として知られるが、ごく短期間、王座にあるだけで、戦争にも暴動にもよらず、不可解な死に方をする。 + その跡を継ぐ王は、王家の血筋に関係のない悪者で、国の危機に乗じて、巧言と陰謀で王国を奪い取る。 + 彼の前から、祭司の指導者を含むすべての反対者が一掃される。 + この王の約束は無意味で、そのやり口は最初から欺きによる。ほんの一にぎりの側近を伴って、彼は強大な権力者となる。 + 彼は不意に、その国の最も肥沃な地域に侵入し、だれもしたことがないことをする。富む者たちの富と財産を取り上げて、民に気前よく与えるのだ。領土内の強力な要塞をうまく包囲し攻略するが、これも短期間のことだ。 + それから、彼は勇気を奮い起こし、大軍を率いてエジプトを攻める。エジプトも強力な軍隊をもって応戦するが、どうすることもできない。エジプトに対する陰謀が功を奏するからだ。 + エジプト王の身内の者たちが彼に反逆し、軍隊も持ち場を捨てて、多くの人が殺される。 + この二人の王は、会談の席でも互いにだまし合い、陰謀を巡らし合う。だが、それで事情が変わるわけではない。神の定めた時がくるまで、どちらも成功することはない。 + シリヤの王はばく大な富を携えて国へ帰って行くが、真っ先にイスラエルに進撃して、これを滅ぼそうとする。 + それから、定められた時に、すでに脅しをかけておいたとおり、再び南へ軍隊を進めるが、今度は以前のようにはいかない。 + というのも、ローマの軍艦におびえて退却し、国へ逃げ帰るはめになるからだ。退却を余儀なくされた王は腹を立て、再びエルサレムを襲って聖所を汚し、毎日のささげ物をやめさせ、神殿の中で偶像を礼拝する。エルサレムを去る時、父祖の信仰を捨ててしまった不信仰なユダヤ人を、権力の座につかせる。 + 王は、神を憎む者たちにこびて、自分の側につかせようとする。だが、神を知る人々は勢力を増し、大きなことを行うようになる。 + その時霊的理解力を備えた人々は、多くの人を教える幅広い働きをする。だが、いつも危険にさらされ、そのうちの多くの者は火や剣で殺され、あるいは獄につながれ、略奪される。 + やがて、こうした迫害も収まるだろう。だが、不信仰な者たちの中から、援助の手を差し伸べるように見せかけ、実は自分たちに有利に事を運ぼうとする者たちが現れる。 + その時には、神のことをよく悟っている人々の中からも、つまずき倒れる者が出る。これは、神の定めた試練が終わる時まで、彼らを精錬し純化するためである。 + この王は、何でも自分の好きなようにふるまい、どんな神よりも自分は偉いと主張して、まことの神さえも冒瀆し、なお栄えている。それも彼の時が終わるまでだ。神の計画は揺らぐことがないから。 + 彼は先祖の神々も、女たちの慕う神も、その他のどんな神も心にかけない。どの神々よりも自分は偉いと思い上がっている。 + その代わりに、先祖たちの知らなかった、とりでの神を礼拝し、高価なささげ物を惜しげもなくささげる。 + この神の助けによると主張して、彼は最強を誇るとりでの攻略に成功する。また、自分によく従う者たちを重用し、彼らに権力を与え、報奨として領土を与える。 + それから、終わりの時がくると、南の王は北の王に再び攻めかかる。北の王はつむじ風のような力と狂暴さをもって反撃し、その巨大な陸軍と海軍の総力をあげて、南の王を葬り去ろうと攻め寄せる。 + 進撃の途上、麗しい国イスラエルを含む多くの国々を侵略し、その政府を打ち倒す。モアブとエドム、およびアモンの大部分は侵略を免れる。 + だが、エジプトと他の多くの国々は占領される。 + 彼はエジプトの宝物を戦利品とし、リビヤ人やエチオピヤ人を従わせる。 + ところが、東と北からの知らせが王を脅かし、激しい怒りに燃えて引き返す時、その行く先々を荒らし回る。 + 彼はエルサレムと海との間に立ち止まり、そこに本営を置く。ところが、そこに滞在する間に、突然、彼の時が終わり、助ける者は一人もいなくなる。 + + + その時、あなたの国を守る強力な御使いの君主、ミカエルが立ち上がり、あなたのために天で悪魔の軍勢と戦う。こうして、これまでのユダヤの歴史で経験したどの苦難よりも深刻な、苦しみの時がくる。だが、あなたの同胞のうち、いのちの書に名が記されている者は、みな耐え忍ぶことができる。 + 死んで葬られた者のうち、多くの者が生き返る。ある者は永遠のいのちへ、ある者は永遠の辱めへと。 + 賢い神の民は、太陽のように明るく輝く。多くの人を正しい道に導く者は、いつまでも星のようにきらめく。 + ところで、ダニエルよ、この預言を人に知らせてはならない。終わりの時がくるまで、だれにも悟られないように、この預言のことばを封じておけ。人々は知識を増そうとあちこち行き巡るだろう。」 + それから、私が見ていると、川の両岸に一人ずつ、人が立っていました。 + その一人が、今は川の水の上に立っている、あの亜麻布の衣を着た人に尋ねました。「いつになったら、この恐ろしいことがすべて終わるのですか。」 + その人は両手を天にあげ、永遠に生きておられる方を指して誓ってこう答えました。「神の民の勢力が打ち砕かれてから三年半が過ぎるまでは、終わりません。」 + 私はその人が言うことを聞いても、その意味を理解できませんでした。そこで、こう尋ねました。「恐れ入りますが、これはどんな結末になるのでしょうか。」 + その人は言いました。「ダニエルよ、さあ行け。私が言ったことは、終わりの時がくるまで理解されない。 + 多くの者は、激しい試練や迫害によってきよめられる。しかし悪者は悪の中に生き続け、一人として悟る者がない。進んで学ぼうとする者だけが、その意味を知るようになる。 + 毎日のささげ物が取り除かれて、『恐るべきもの』が礼拝されるために据えられてから、千二百九十日ある。 + なお忍耐して千三百三十五日に至る者は、なんと幸いなことか。 + あなたは自分の人生を全うし、休息に入るがよい。あなたは生き返り、終わりの時に受けるべき分を完全に受けるようになる。」 + +
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+ + ユダ(南王国)の四人の王、ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの治世、そしてイスラエル(北王国)の王の一人、ヨアシュの子ヤロブアムの治世に、ベエリの子ホセアに主からのお告げがありました。 + 最初に告げられたのはこうです。「遊女と結婚せよ。その女から生まれる子どものうちには、ほかの男が父親である子もいる。そのことは、わたしの民がわたしに対して不誠実であることを表している。彼らは他の神々を礼拝し、わたしを無視して、堂々と姦淫をしている。」 + こうしてホセアは、ディブライムの娘ゴメルと結婚しました。彼女はみごもり、男の子を産みました。 + すると、主は言いました。「その子をイズレエルと名づけよ。わたしはイズレエルの谷で、エフーが犯した殺人(Ⅱ列王10‧11参照)に報復するため、エフー王家を罰しようとしている。そうだ、わたしはイズレエルの谷で、イスラエルの独立を失わせ、その国の力を打ち破ろう。」 + まもなくゴメルは、もう一人の子を産みました。今度は女の子です。そして神はホセアに言いました。「その子をロ‧ルハマ(『もうあわれみをかけない』の意)と名づけよ。わたしは二度とイスラエルにあわれみをかけず、イスラエルを赦そうとは思わないからだ。 + だが、ユダ部族にはあわれみをかける。ユダ王国の軍隊や武器の力によらず、わたし自身の力で、ユダを敵の手から救い出して自由にする。」 + ロ‧ルハマが乳離れすると、ゴメルはまたもみごもり、今度は男の子を産みました。 + そして神は言いました。「その子をロ‧アミ(『わたしのものではない』の意)と名づけよ。イスラエルはわたしのものではなく、わたしも彼らの神ではないからだ。 + それでも、イスラエルが栄え、大きな民となる時がくる。その日には、彼らは海辺の砂のように数えきれないほどの数となる。その時わたしは彼らに、『あなたたちはわたしの民ではない』と言わずに、『あなたたちはわたしの息子、生ける神の子どもだ』と言おう。 + それから、ユダとイスラエルの民は統一され、一人の指導者が立てられる。人々は捕囚の地からいっしょに帰って来る。それが実現する日は、なんとすばらしいことか。その日、わたしはわたしの民を、彼らの土地である肥沃な土壌に、再び植えつける。」 + + + 「イズレエルよ、あなたの弟と妹の名を改めよ。弟をアミ(『今、あなたはわたしのもの』の意)、妹をルハマ(『あわれみを受けた』の意)と呼ぶのだ。神があわれみをかけようとしておられるからだ。 + あなたたちの母親を責めよ。彼女はほかの男の妻になったからだ。わたしはもう彼女の夫ではない。姦淫をやめ、ほかの男たちに身を任せないよう、彼女に懇願するがいい。 + もしやめなければ、わたしは彼女の着物をはいで生まれた日のように裸にし、ききんや日照りで地割れした土地にいるように、渇きでやせ衰えて死ぬようにさせる。 + わたしは彼女の子どもたちを、わが子を愛するようには愛さない。わたしの子ではなく、ほかの男の子どもだからだ。 + それというのも、その母親が姦淫したからだ。彼女は『ほかの男たちを追いかけよう。食べ物、飲み物、着物のために身を売ろう』と言って、恥ずかしいことをした。 + わたしは、いばらの茂みで彼女を囲み、道をふさいで迷わせる。 + そのため、彼女が愛人たちを追いかけても、追いつくことができない。捜し回っても見つけることができない。そこで、『夫のもとに戻ろうか。今よりも、あの人といっしょの時のほうがよかった』と考えるようになる。 + 彼女は、持っているものはすべて、わたしが与えたものであることに気づかない。彼女の神バアルを拝むために使った金や銀も、全部わたしが与えたものだ。 + だからわたしは、今からは、わたしが欠かさず与えたぶどう酒と穀物を取り戻そう。彼女の裸を覆うために与えた着物も取り戻そう。もう、季節ごとの豊かな収穫を約束せず、ぶどうの収穫の時にもぶどう酒を与えない。 + さあ、彼女の裸を人前にさらして、愛人たちに見せつけよう。だれもわたしの手から彼女を救い出すことはできない。 + 彼女のすべての喜び、宴、休日、祭りをやめさせる。 + 彼女が愛人たちに報酬として要求したぶどう畑と果樹園を荒らし、雑木林のようにする。野獣がその実を食う。 + 彼女が自分の偶像バアルのために香をたき、耳輪や宝石を身につけ、わたしを捨てて、恋人たちを探し求めて行ったこと、こうしたすべてのことのために、わたしは彼女に仕返しをする。」主がこう言うのです。 + 「だが、わたしは再び彼女をくどいて荒野に連れて行き、やさしく語りかけよう。 + そこで彼女のぶどう畑を返し、アコル(『苦しみ』の意)の谷を、望みの門に変えよう。彼女はそこでわたしに答え、喜びにあふれて歌うようになる。まだ彼女が若かったころ、わたしが彼女をエジプトの奴隷から解放した時のように。 + 主はこう言います。「来ようとしているその日には、彼女はわたしを『私の主人(バアル)』とは呼ばず、『私の夫』と呼ぶようになる。 + ああ、イスラエルよ。わたしはあなたの偶像を忘れさせよう。その名さえ口にすることがなくなるように。 + その時わたしは、もうこれ以上、互いに恐れることがないように、あなたと野獣や鳥や蛇との間に契約を結ぼう。すべての武器を滅ぼすので、戦争はすべて終わる。あなたたちは、何の心配もなく休むことができる。 + 正義と公平、愛とあわれみの鎖で、永遠にあなたをわたしにつなぎとめる。 + 真実と愛をもって、あなたと婚約する。その時、以前とは全く違って、ほんとうにわたしがわかるようになる。 + その日、雨を降らせてほしいという天の叫びに答えて、わたしは雨雲を呼ぼう。すると地は、穀物やぶどうやオリーブの木の求めに応じて、水分と露を供給する。全地から、『神が種をまいてくださる』(イズレエル)という大合唱が起こる。神がすべてを与えるのだ。 + その時わたしはイスラエル人という種をまき、自分自身のためにそれを育てる。『あわれみをかけられなかった』者たちをあわれみ、『わたしの民ではない』者たちに、『今、おまえたちはわたしの民だ』と言おう。すると彼らは、『あなたこそ私たちの神です』と答える。」 + + + それから、主は私にこう言いました。「さあ、もう一度、妻を連れ戻せ。たとえ姦通を愛する女であっても、彼女を愛せ。イスラエルが他の神々に心を向けて、高価な贈り物をささげても、主はなおもイスラエルを愛しているからだ。」 + そこで私は、銀十五シェケル(百七十一グラム)と大麦一ホメル半(三百三十リットル)で、奴隷であった妻を買い戻し、 + こう言い渡しました。「当分、ひとりで暮らすのだ。ほかの男たちと出かけたり、遊女になることはやめろ。私は待っているから。」 + これは、イスラエルが今後ずっと、王も君主もなく、祭壇も神殿も祭司も、また偶像もなく過ごすことを示しています。 + のちに彼らは、彼らの神、主と、彼らの王であるメシヤのもとに帰って来るでしょう。終わりの日に、彼らは震えおののきながら、うやうやしく主とその祝福に近づいて来るのです。 + + + イスラエルの民よ、主のことばを聞きなさい。主は次のようにあなたがたを訴えています。「あなたたちの地には、誠実もなく、親切もなく、神を知ることもない。 + ののしり、うそをつき、殺し、盗み、姦淫にふけっている。至る所に暴力があり、殺人は後を断たない。 + それで、この地には産物がなく、悲しみだけが満ちる。すべての生き物は病んで倒れ、動物も鳥も、そして魚までもが姿を消す。 + だれかを指さして、責めるようなことをするな。そら、祭司よ。わたしの指はあなたをさしている。 + その罪のため、おまえたち祭司は真昼でも夜と同じようにつまずく。あなたたちの偽預言者も同じだ。わたしは、あなたたちの母であるイスラエルを滅ぼす。 + わたしの民は、わたしを知らないために滅ぼされる。それもみな、あなたたち祭司のせいだ。あなたたちがわたしを知ろうとしなかったからだ。だからわたしも、あなたたちをわたしの祭司とは認めない。あなたたちがわたしのおきてを忘れてしまったので、わたしもあなたの子どもたちを祝福することを忘れよう。 + わたしの民は数を増せば増すほど、わたしに罪を犯した。神の栄光を偶像の恥に変えたのだ。 + 祭司は民の罪を喜び、それをむさぼり食い、もっと欲しいと舌なめずりする。 + だから『祭司も民も変わらない』と言われる。祭司が悪いから、民も悪くなるのだ。だから、祭司も民も、その邪悪な行いに応じて罰する。 + 彼らはいくら食べても腹がへる。いくら姦淫しても、望む子どもは生まれない。わたしを見捨てて、他の神々へ心を向けたからだ。 + 酒と女と歌は、わたしの民から判断力を奪ってしまった。 + 驚いたことに、彼らは木片に向かって、自分はどうしたらよいかと尋ねている。神の真理を占いによって知るというのだ。偶像を恋い慕ううちに、彼らは愚か者になってしまった。遊女のようにふるまって他の神々に仕え、わたしを捨ててしまった。 + 山の頂で偶像にいけにえをささげ、丘に登って、樫やポプラやテレビンの木の心地よい木陰で香をたく。あなたたちの娘はそこでみだらな行為に走り、あなたたちの嫁はそこで姦淫をする。 + だが、どうしてわたしが彼女らを罰するだろうか。男のあなたたちも同じことをし、遊女や神殿娼婦と共に罪を犯しているのだから。愚か者め。いっこうに理解しようとしないので、あなたたちの運命は定まっている。 + イスラエルが売春婦のようであっても、どうかユダはそのような生活から遠ざかっていてくれるように。ユダよ、彼らの仲間になるな。彼らはギルガルやベテルで、心にもなくわたしを礼拝している。その礼拝は見せかけにすぎない。 + イスラエルは若い雌牛のように扱いにくく、主が草の生い茂る牧場へ連れて行こうとしても、少しも言うことを聞かない。ユダよ、そのようになるな。 + イスラエルは偶像崇拝から離れない。そのような者から遠ざかれ。 + イスラエルの男たちは酒を飲みあかし、それが終わると売春婦をあさる。名誉よりも恥を愛している。 + だから、強い風が彼らを吹き飛ばす。偶像にいけにえをささげたので、恥さらしな死に方をするのだ。 + + + 祭司とイスラエルの指導者よ、よく聞け。王家の者たちよ、聞け。あなたたちはもう終わりだ。あなたたちはミツパとタボルで、民をたぶらかして偶像に走らせた。 + 心の曲がった者は、深い穴を掘って彼らをその中に落とし込んだ。しかし、決して忘れるな。わたしは必ずあなたたちを懲らしめる。 + あなたたちの邪悪な行いはすべて見た。イスラエルよ。売春婦が夫を置き去りにするように、あなたたちはわたしを捨てた。全身汚れきっている。 + その行いにとどまる彼らは神のもとへ帰ろうとは考えない。姦淫の霊が心の奥深くにあって、主を知ることができないからだ。 + イスラエルの鼻持ちならない思い上がりは、わたしの法廷で不利な証言となる。イスラエルは罪の重荷によろめき、ユダも倒れる。 + それからやっと、羊や牛の群れを引いて、神にいけにえをささげにやって来る。だが、もう遅い。もう神を見つけることはできない。神は彼らから離れて行き、彼らだけが取り残される。 + 彼らは主の子でない子どもを産んで、主の顔に泥を塗ったからだ。あっという間に、彼らも彼らの富も消えうせる。 + 警告を発せよ。ギブアとラマで、ベテ‧アベンまでもラッパを吹き鳴らして警告せよ。ベニヤミンの地も震えおののけ。 + イスラエルよ、この知らせを聞け。刑罰の日がくれば、おまえたちは瓦礫の山となるのだ。 + ユダの指導者たちは、最もたちの悪い盗人となる。だから、私の怒りを彼らの上に、滝のように注ぎかける。 + エフライム(イスラエル)は偶像に従う決心をしたので、わたしの宣告によって押しつぶされる。 + しみ(小さな虫)が羊毛を食い尽くすように、わたしはエフライムを滅ぼす。木材が腐るように、ユダの力を取り去る。 + エフライムとユダが自分たちの病状を知ると、エフライムはアッシリヤの大王に頼ろうとする。だが、大王は助けることも、治すこともできない。 + ライオンが獲物を引き裂くように、わたしはエフライムとユダとを引き裂き、連れ去る。彼らを助けようとする者たちを追い散らす。 + 非を認めて、再びわたしに助けを求めるまで、彼らを放置し、家に戻っていよう。苦しい目に会うと、たちまち彼らはわたしを捜し求め、次のように言うからだ。 + + + 『さあ、主に帰ろう。私たちを引き裂いたのは主だ。その方が治してくださる。主は傷つけたが、手当てしてくださる。 + ほんの二日で、いや、せいぜい三日で、私たちを立ち上がらせて再び愛のうちに生かしてくださる。 + ああ、主を知りたい。さらに主を求めよう。そうすれば、必ず夜明けが訪れ、早春の雨期がくるように、必ず答えてくださる。』 + エフライムとユダよ。あなたたちをどうしたらいいのか。あなたたちの愛は、朝もやのように消えうせ、露のように消え去る。 + わたしは預言者たちを遣わして、あなたたちに迫る滅びを警告した。『あなたがたを滅ぼす』と脅すことばによって、あなたたちを切り殺した。前ぶれもなく突然に、ちょうど昼のあとに夜がくるように、わたしのさばきがあなたたちを打ち倒す。 + いけにえはいらない。わたしを愛してほしいのだ。ささげ物もいらない。わたしを知ってほしいのだ。 + ところが、あなたたちはアダムのように契約を破り、わたしの愛をはねつけた。 + ギルアデは罪人たちの町で、血の足跡がついている。 + 強盗が犠牲者を待ち伏せるように、祭司は徒党を組み、シェケムへ通じる道で人を殺し、ありとあらゆる犯罪を重ねている。 + まさに、わたしはイスラエルの中に恐ろしいことを見た。エフライムは他の神々を追い求め、イスラエルはとことんまで身を汚している。 + ユダよ。あなたたちにも、重い刑罰を刈り入れる時がやってくるる。わたしはあなたたちを、どれほど祝福したかったことか。 + + + わたしはイスラエルを赦したかったが、イスラエルの罪はあまりにもひどかった。うそつきやどろぼうや追いはぎにならなければ、だれもサマリヤに住めないほどだ。 + イスラエルの民は、わたしが見ていることなど気にもかけない。その罪深い行いが、あらゆる面から彼らの正体をあばいている。わたしはそれをすべて見ている。 + 王は彼らの悪事を喜び、君主たちは彼らのうそに笑い転げる。 + 彼らはみな姦通者だ。パンを焼く者が小麦粉をこね、それがふくらむのを待つ間を除いて、パン焼きがまがいつも燃えているように、この民はいつも欲望を燃やしている。 + 王の誕生日に、君主たちは王を酔わせる。王は自分を笑い者にし、自分をあざける者たちと酒を飲む。 + 彼らの心は陰謀で炉のように燃えさかる。その計略は夜通しくすぶり、朝になると、めらめらと燃え上がる。 + 彼らは次から次へと王を殺す。だが、誰ひとり、わたしに助けを呼び求めようとしない。 + わたしの民は異教徒とつき合い、その悪に染まっている。こうして生焼けの菓子のように、何の役にも立たなくなる。 + 外国の神々を礼拝することで、彼らの力は奪われてしまった。だが、それに気づいていない。エフライムは白髪になっているのに、自分が老い衰えたことを知らない。 + ほかの神々を自慢することで、公然と自分を罪に定めている。それでも自分の神のもとには帰らず、神を見つけようともしないのだ。 + エフライムは愚かで、思慮の欠けた鳩だ。エジプトに呼びかけ、アッシリヤに飛んで行く。 + だが、わたしは飛んでいるイスラエルに網を投げ、空から落ちる鳥のように引き落とす。わたしは、そのすべての悪行に報いる。 + わたしを捨てたわたしの民は災いだ。わたしに罪を犯したのだから滅びうせよ。わたしは救い出したかったが、彼らは強情で、真理を受け入れようとしなかった。 + 彼らは心配のあまり眠れない。それでも、わたしに助けを求めない。それどころか異教の神々を拝み、それらに収穫と繁栄を願い求めている。 + わたしは彼らを助け、また強くした。それなのに今、彼らはわたしに背を向けている。 + 彼らはあたり一帯を見回すが、いと高き神がいる天には目を向けない。まるで、いつも的をはずす、曲がった弓のようだ。指導者たちは、わたしへの傲慢な態度のために敵の剣に倒れる。こうして全エジプトが彼らをあざ笑うようになる。 + + + 警告を発せよ。敵が来る。はげたかのように、神の民を襲って来る。彼らがわたしとの契約を破り、わたしのおきてに背いたからだ。 + 今になってイスラエルは、『神よ、助けてください』と泣きつく。 + だが、もう遅い。イスラエルはまたとない機会を軽蔑して投げ捨てた。だから今、敵に追いかけられることになる。 + イスラエルはわたしの同意なしに、王や君主を立てた。金や銀で偶像を作り、それを拝んで、わたしの助けをはねのけた。 + サマリヤよ。わたしはあの子牛など認めない。あれはあなたたちが作った偶像だ。あなたたちには全く腹が立つ。いつになったら、あなたたちの中に正直者をたった一人でも見つけることができるのだろう。 + いつになったら、自分たちが拝んでいる子牛を、人間の手で作られたものだと認めるのだろう。そんなものは神ではない。だから粉々に砕いてしまわなければならない。 + 彼らは風を蒔いて、つむじ風を刈り取る。麦には穂が出ず、茎だけが立っている。そのうち枯れて病気になり、実を結ばない。たとえ実を結んでも、外国人に食べられてしまう。 + イスラエルは滅ぼされ、壊れた壺のようになって、国々の間に横たわる。 + ひとりぼっちでさまよう野生のろばのようだ。友と言えば、自分が雇った者たちだけで、アッシリヤもその一人だ。 + たとえ多くの国から『友』を雇っても、わたしはイスラエルをさばき、国から追い出す。そうすればしばらくの間は、イスラエルは自分たちのすばらしい王の重荷から解放されることになる。 + エフライムは多くの祭壇を築いたが、わたしを礼拝するためのものではない。それは罪のための祭壇だ。 + たとえわたしが一万のおきてを授けても、彼らはそれを自分のものではないと言い、遠くにいるだれかのものにするだろう。 + この民は、いけにえの儀式を好むが、わたしにとっては無意味なものだ。わたしは彼らの罪の清算を要求し、罪を罰する。彼らはエジプトに戻る。 + イスラエルは大きな宮殿を多く建て、ユダは町々の防備を固めた。しかし、自分たちを造った方を忘れてしまった。だから、わたしはそれらの宮殿に火を送り、それらの要塞を燃やしてしまう。 + + + イスラエルよ、ほかの国々のように喜ぶな。あなたは自分の神を捨て去り、すべての麦打ち場で、ほかの神々にいけにえをささげたからだ。 + それゆえ、収穫は乏しく、ぶどうの木も枯れてしまう。 + あなたはこの神の地にこれ以上とどまることができず、エジプトやアッシリヤに連れ去られる。そこで残飯を食べて暮らすようになる。 + 祖国を遠く離れたその地では、神へのささげ物としてぶどう酒を注ぐことは許されない。その地でささげられるいけにえは、どれも神を喜ばせることができないからだ。それは、葬式の食物のように汚れている。そのようないけにえを食べる者は汚れる。自分のためにそれを食べるのはかまわないが、神にささげることは許されない。 + それでは、アッシリヤに奴隷として連れて行かれる時、聖なる日や主の祭りの日に、何をしようとするのか。あとに残された財産は、だれが相続するのか。エジプトだ。エジプトはあなたたちの死体を集め、メンピスが埋葬する。その廃墟には、いばらとあざみが生える。 + イスラエルの刑罰の日がきた。報復の日がほぼきており、まもなくイスラエルは、そのことをいやというほど思い知らされる。『預言者たちは頭がおかしい。』『霊感を受けた人たちは狂っている。』こう言って人々はあざ笑う。それは、この国が罪の重りをつけられ、神を愛する者たちに憎しみしか示さないからだ。 + わたしは自分の民を守ろうと預言者を任命した。だが、民はことあるごとに預言者たちを妨害し、公の場で憎しみを露骨に示し、主の神殿でも同じようにふるまった。 + 今わたしの民がしていることは、昔、彼らがギブアでしたこと(士師19‧14以下参照)と同じように堕落している。主はそれを忘れず、必ず罰を下す。 + ああ、イスラエルよ。荒野であなたたちを導いた、あのころ、わたしはあなたたちを荒野で見つけたぶどうのように、夏の初物のいちじくのように、大切にした。ところがあなたたちは、バアル‧ペオル(イスラエル人が偶像礼拝をした山)でわたしを捨て、ほかの神々に身をゆだね、やがて、それらの神々と同じように汚れてしまった。 + イスラエルの栄光は鳥のように飛び去る。あなたたちの子どもは出産と同時に死に、あるいは胎内で消えうせ、あるいははらまれることもなくなる。 + たとえ子どもが育っても、わたしは彼らを取り去る。すべてが滅びに定められている。わたしがあなたたちから離れ、あなたたちを放り出す時は、悲しみの日となる。」 + わたしはイスラエルの息子たちを滅びに定めた。父親は、虐殺が行われる場所まで息子たちを連れて行かなければならない。 + 主よ、あなたの民のために、何を願ったらよいのでしょう。子を産まない胎を、乳を出して養うことをできない乳房を、私は求めます。 + 「彼らのすべての悪事はギルガルで始まった。わたしも、その地で彼らを憎み始めた。その偶像礼拝のゆえに、わたしは彼らをわたしの地から追い出す。もう彼らを愛さない。彼らの指導者はみな反逆者だからだ。 + エフライムは滅びに定められている。イスラエルの根は干からび、もう実を結ばなくなる。たとえ子を産んでも、わたしはそのいとし子を殺す。」 + 私の神は、イスラエルの民が聞くことも従うこともしないので、彼らを滅ぼします。彼らは諸国の民の間で、祖国のない、さすらいの民となるのです。 + + + 「イスラエルの繁栄ぶりの、なんとすばらしいことか。まるで実を豊かに結んだぶどうの木のようだ。ところが、わたしが富を増やせば増やすほど、異教の神々の祭壇に多くの物が供えられる。収穫を豊かにすればするほど、それだけ多くの美しい彫像や偶像が立てられる。 + イスラエルの民の心は神への偽りで満ちている。彼らには罪があり、刑罰を受けなければならない。神は彼らの作った異教の偶像を砕き、その祭壇を打ち壊す。」 + その時、彼らは言います。「私たちが主を捨てたので、主は王を取り去ってしまった。でも、だからどうだというのだ。王などいらない。」 + 彼らは守る気もないのに約束をします。そのため、畑のうねの間に生える毒草のように、さばきが彼らの間に生え出るのです。 + サマリヤの住民は、ベテ‧アベンの子牛像が傷つけられないだろうかと震えおののきます。祭司と民も、打ち砕かれた神々の失われた名誉のために嘆きます。 + この子牛の神の像は、彼らがアッシリヤに奴隷となって行く時、そこの大王への贈り物としていっしょに運ばれます。こんな偶像に信頼していたのかとエフライムはあざけられ、イスラエルは恥をかきます。 + サマリヤの王は、大海の波間にただよう木切れのように消えうせます。 + イスラエルが罪を犯した、ベテルにあるアベンの祭壇はくずれ落ち、いばらやあざみがその回りに生い茂ります。人々は山や丘に、「私たちの上に落ちかかり、押しつぶせ」と叫ぶのです。 + 「ああ、イスラエルよ。ギブアでのあの恐怖の夜以来、ただ罪、罪、罪の連続だ。あなたたちには全く進歩が見られない。ギブアの者たちに戦いが襲いかかったのは当然のことだと思わないのか。 + わたしはあなたたちの不従順に立ち向かう。山のように積み上げられた罪を罰するために、諸国の軍隊を集めてあなたたちを攻めさせる。 + エフライムは麦打ち場で麦を踏むことに親しみ、その楽な仕事を好む。わたしはこれまで、エフライムに重いくびきをかけたことはなかった。そのか弱い首をいたわったのだ。だが今、くびきをかけて馬鍬を引かせ、畑を耕させる。気楽に過ごす時代は終わった。 + 正義という種をまけ。そうすれば、わたしの愛という実を刈り取る。堅くなった心を耕せ。今は主を求める時だ。主は来て、救いを雨のように注いでくださる。 + ところが、あなたたちは悪を耕し、はびこる罪という実を育ててきた。巨大な軍事力があれば国は安全だと信じたので、そのような偽りに信頼した報いを、十分に受けたのだ。 + それで、戦争の恐怖が民の中に起こり、シャレマンがベテ‧アレベルを破壊したように、あなたたちの要塞はみなくずされる。母親も子どもも、その場で一気に殺される。 + イスラエルの民よ。それもみな、あなたたちの罪悪があまりにもひどいからだ。ある朝、イスラエルの王は滅ぼされる。 + + + イスラエルが子どものころ、わたしは彼を息子のように愛し、エジプトから連れ出した。 + それなのに、呼べば呼ぶほど彼はますます反逆し、バアルにいけにえをささげ、偶像に香をたいた。 + わたしは、彼が赤ん坊の時から面倒を見、歩くことを教え、腕に抱いた。だが彼は、彼を育てたのはこのわたしであることを、知りもしなければ心にかけようともしない。 + 人が大切な牛を引いて歩くように、わたしはイスラエルを愛の綱で導いた。食べる時には、くつわをゆるめ、わたし自身が身をかがめて食べさせてやった。 + しかし、わたしの民はエジプトやアッシリヤに帰る。わたしのところへ帰りたくないからだ。 + イスラエルの町々は戦争のうずに巻き込まれ、敵は門を突き破り、彼らを要塞に閉じ込める。 + わたしの民が、わたしを離れると決心したからだ。わたしは彼らが奴隷となると宣告した。解放してくれる者はだれもいない。 + ああ、わたしのエフライム。どうして、あなたを捨て去ることができよう。どうして見放せよう。どうして、アデマやツェボイム(ソドム、ゴモラと共に滅びた町)のように見捨てることができよう。わたしの心は叫んでいる。何としても、あなたたちを助けたい。 + 燃えるような怒りがあなたたちを罰するよう命じるが、わたしは罰しない。エフライムを滅ぼすのは、これが最後だ。わたしは神であって、人ではないからだ。わたしはあなたたちのうちに住む聖なる者であって、滅ぼすために来たのではない。 + 人々は、主のあとについて歩くようになる。わたしはイスラエルの敵に向かってライオンのようにほえ、わたしの民は西方から震えおののきながら帰って来る。 + 鳥の群れのようにエジプトから、鳩のようにアッシリヤからやって来る。こうしてわたしは、彼らを再び家に住まわせる。これは主からの約束である。」 + イスラエルは偽りと欺きで私を取り囲みますが、ユダはまだ主に信頼し、聖なる方に忠実です。 + + + イスラエルは風を追い、つむじ風の番をしています。全く危険な遊びです。エジプトやアッシリヤに贈り物をし、援助を求めますが、そのお返しは価値のない約束です。 + けれども、主はユダを告訴しようとしています。ヤコブはその行いのゆえに、公正に罰せられます。 + ヤコブは生まれる時に兄弟と争い、大人になってからは神とさえ戦ったのです。 + まさに、御使いと格闘して勝ちました。彼は御使いに、祝福してくれるようにと泣いて頼みました。ベテルでは、神と顔と顔を合わせるようにして出会い、神は彼に語りかけました。 + まことに、主は天の軍勢の神であり、主と呼ばれるにふさわしい方です。 + さあ、神に立ち返り、愛と公正の原理に立ちなさい。いつも、あなたの神に期待しなさい。 + ところが私の同胞は、不正なはかりで物を売る、ずる賢い商人のようです。だますことが好きなのです。 + エフライムは自慢しています。「私はこんなに金持ちになった。すべて自分でもうけたのだ。」しかし、富に罪を償うことはできません。 + 「わたしは、あなたをエジプトの奴隷生活から救い出した主、同じ神だ。わたしは、毎年の仮庵の祭りの時のように、あなたを再び天幕(テント)に住まわせる。 + わたしは預言者を遣わし、多くの幻やたとえや夢で警告した。」 + それなのに、ギルガルの罪は相も変わらず、公然と行われています。畑のうねのように何列も祭壇が築かれ、偶像へのいけにえのために使われています。ギルアデも、偶像を拝む愚か者であふれています。 + ヤコブはアラム(シリヤ)へ逃げ、羊の番をして妻をめとりました。 + それから主はその民をエジプトから連れ出すために一人の預言者を立て、彼らを導き、守るようにさせました。 + それなのに、エフライムは主をひどく怒らせました。その罪の支払いとして、主は死の宣告を下すのです。 + + + かつてはイスラエルが何か言うと、国々は恐れのあまり震え上がったものです。イスラエルが強力な君主だったからです。ところが、イスラエルはバアルを拝んで、滅びを決定的なものにしました。 + 今や民はますます不従順になっています。銀を溶かして鋳型に入れ、人の手で巧みに偶像を作っています。「これにいけにえをささげろ」と言い、子牛の像に口づけしているのです。 + 彼らは朝もやのように、すぐ乾いてしまう露のように、風で吹き散らされるもみがらのように、煙のように、消え去ります。 + 「わたしだけが神であり、あなたの主だ。そのことは、エジプトからあなたを連れ出した時から、ずっと変わらない。わたしのほかに神はいない。わたしのほかに救い主はいない。 + あの乾いて一滴の水もない荒野で、わたしはあなたの面倒を見た。 + だが、あなたは食べて満足すると、高慢になり、わたしを忘れてしまった。 + だから、わたしはライオンのように、道で待ち伏せるひょうのように襲いかかる。 + 子を奪われた熊のようにあなたを引き裂き、ライオンのように食い尽くす。 + ああ、イスラエルよ。わたしが滅ぼしたなら、だれがあなたを救えよう。 + あなたの王はどこにいる。なぜ、その王に助けてもらわないのか。この地の指導者はどこにいるのか。あなたは王や指導者を頼みにした。それなら、彼らに救ってもらうがいい。 + わたしは怒って王を与え、憤って王を取り上げた。 + エフライムの罪は刈り取られ、罰せられるために積み上げられている。 + イスラエルは、新生の機会が与えられているのに、母親の胎から出ようとしない子どものようだ。なんと頑固で、愚かなことか。 + わたしは身代金を払ってイスラエルを地獄から救い出そうか。死から買い戻そうか。死よ、その恐ろしさをイスラエルに存分に味わわせよ。墓よ、その災いをはっきりと示せ。わたしはもうあわれまない。 + イスラエルは、兄弟たちの中で一番実り豊かな者と呼ばれた。だが、東風、荒野からの主の風が吹きまくり、イスラエルを干上がらせてしまう。そのあふれる湧き水も泉も枯れて、イスラエルは渇きで死ぬ。 + サマリヤは自分の神に反逆したので、刑罰を受けなければならない。住民は侵略軍に殺され、赤子は地面にたたきつけられ、妊婦は剣で切り裂かれる。」 + + + イスラエルよ、あなたの神、主のところに帰りなさい。あなたは自分の罪によってたたきのめされたのだから。 + 願い事を携えて来なさい。主のもとへ来て、こう言うのです。「主よ、私たちの罪を取り去り、恵みによって私たちを受け入れてください。私たちは賛美のいけにえをささげます。 + アッシリヤは私たちを救えません。私たちの戦力も救えません。もう二度と、自分たちの作った偶像を『私たちの神』と呼びません。主よ、みなしごは、あなたの中にしか、あわれみを見つけることができないのです。」 + 「その時、おまえたちの偶像礼拝と不信の罪をいやそう。わたしの愛は尽きることがない。わたしの怒りは永久に消え去った。 + わたしは天からの露のようにイスラエルを潤すので、イスラエルはゆりのように花を咲かせ、レバノン杉のように土の中に深く根を張る。 + 枝はオリーブの木のように美しく伸びて広がり、レバノンの森のように良い香りがする。 + イスラエルの民は遠い地での捕囚から帰り、わたしの陰にいこうようになる。彼らは水をまいた庭園のようになり、ぶどうの木のように花を咲かせ、レバノンのぶどう酒のように良い香りを放つ。 + エフライムよ、偶像から離れよ。わたしは生きていて、力強い。わたしがあなたの世話をし、面倒を見る。わたしは常磐木のように、一年中、あなたのために実をむすぶ。わたしのあわれみは決して絶えることがない。」 + 賢い者はみな、これらのことを悟りなさい。知恵のある者はみな、聞きなさい。主の道は真実で正しく、良い人はその道を歩みます。しかし罪人は、その道を歩こうとして失敗します。 + +
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+ + ペトエルの息子ヨエルに、主から次のようなことばがありました。 + イスラエルの長老たちよ、聞きなさい。すべての者よ、聞きなさい。一生のうちに、いや、イスラエルの全歴史で、これから話すようなことを、聞いたことがあるだろうか。 + やがて時がきたら、このことを子どもたちに話してやりなさい。この恐ろしい話を代々語り伝えるのだ。 + 歯のするどいいなごが作物を食いちぎると、いなごの大群が残りを食いあさる。そのあとをばったが襲い、その残したものを、食い荒らすいなごがあさる。 + 酔いどれどもよ、起きて泣け。ぶどうがすべて荒らされ、ぶどう酒がなくなったからだ。 + いなごの大群が地を覆う。数えきれないほどの大群で、ライオンのような鋭い歯を持った恐ろしい軍団だ。 + わたしのぶどうの木を荒らし、いちじくの樹皮をはぎ取り、幹も枝も白く、丸裸にしてしまう。 + 婚約者の死を悲しむおとめのように、泣き悲しめ。 + 主の神殿にささげる穀物とぶどう酒はなくなり、祭司たちは喪に服す。神に仕えるこの者たちの叫ぶ声を聞け。 + 畑には作物がなく、どこもかしこも嘆きと悲しみでいっぱいだ。穀物も、ぶどうも、オリーブ油もなくなった。 + あなたがた農夫は衝撃を受けて打ちのめされる。あなたがたぶどう栽培者は嘆く。小麦も大麦もなくなったので、嘆き悲しめ。 + ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれ、ざくろは枯れ、りんごの木はしなびた実をつける。すべての喜びが消えうせてしまった。 + 祭司たちよ、荒布をまとえ。神に仕える者たちよ、祭壇の前で夜どおし泣き明かせ。あなたがたに必要な穀物やぶどう酒のささげ物が、もうないからだ。 + 断食を布告し、聖なる集会に集まるよう呼びかけなさい。主の神殿に、長老たちと全国民を集め、神の前で泣き悲しめ。 + ああ、恐ろしい刑罰の日がこようとしている。全能のお方からの破壊がすぐそこまできている。 + 食べ物が私たちの目の前から消え、神の神殿では、喜びも楽しみも終わってしまう。 + 種は土の中で腐り、納屋や穀物倉もからっぽだ。穀物は畑で枯れてしまった。 + 家畜は腹をすかしてうめき、牧草がないので途方に暮れている。羊は悲しい鳴き声を上げる。 + 主よ、助けてください。暑さで牧草は枯れ、木々はすべて焼き尽くされました。 + 野の獣も、水がないのであなたに助けを求めています。小川は干上がり、牧場は乾ききっています。 + + + さあ、エルサレムに警報を鳴らせ。わたしの聖なる山に警告の角笛を響かせよ。すべての者よ、恐れおののけ。主のさばきの日が近づいているからだ。 + それは陰うつな暗闇の日、暗雲の重く垂れ込めた日。なんという大軍か。山々を夜のように覆い尽くしている。なんと大きく、何と強力な「民」であることか。このような民は、世界が始まって以来見たこともないし、これから見ることもないだろう。 + その行く先々に火の手が上がり、回りにも広がる。前には、エデンの園のように美しい地が広がっているが、彼らはそれを根こそぎ破壊する。 + まるで小馬のように、すばやく駆け回る。 + 山々の頂を跳びはねる様子を見よ。そのざわめきに耳を傾けよ。まるで戦車の押し寄せる響きか、野原をなめ尽くす炎の音のよう、また、戦場に突入する強大な軍隊のようである。 + 迎える民は、恐怖のあまり青ざめる。 + その「兵士」は歩兵のように突撃し、えり抜きの精兵のように城壁をよじ登る。列を乱すことなく、まっすぐに進む。 + 互いに群がることもなく、整然と行進する。どんな武器も、彼らを止めることができない。 + たちまち町に殺到し、城壁をよじ登る。窓から押し入る強盗のように、家々の壁をもよじ登る。 + 彼らの前で、地は揺れ動き、天も震え上がる。太陽と月は光を失い、星も姿を消す。 + 主はひと声で、彼らを指揮する。これは主の大軍で、主の命令に従う。主のさばきの日は実に恐ろしい。だれが、それに耐えることができるだろうか。 + だから、主はこう言うのです。「まだ間に合ううちに、今、わたしのところに戻れ。心をすべてわたしに向けよ。断食し、嘆き悲しみながら来なさい。 + 悪かったと心底から認め、衣を引き裂くのではなく、心を引き裂け。」あなたがたの神、主のもとに戻りなさい。主は恵み深く、あわれみに富んでいるからだ。親切で、すぐに怒ることはなく、あなたがたを何とか罰しないでおこうとしている。 + だれが知るだろう。もしかすると、主はあなたがたをそのままにして、恐ろしいのろいをやめて祝福を下さるかもしれない。以前と変わらず、主に穀物とぶどう酒をささげることができるように、たくさん与えてくださるかもしれない。 + シオンで角笛を吹き鳴らせ。断食を呼びかけ、民を聖なる集会のために集めなさい。 + 老人も子どもも赤ん坊も、みな連れて来なさい。花婿を寝室から、花嫁をその部屋から呼び出しなさい。 + 神に仕える祭司たちは、民と祭壇の間に立って、泣きながら祈るがいい。「神様、あなたの民をお救いください。あなたに属する者たちなのですから、異教徒の支配下に置かないでください。『彼らの神はどこにいるのか。きっと弱くて、何もできないのだろう』と、異教徒にあざけられないようにしてください。」 + すると主は民をかわいそうに思い、ご自分の地の名誉が傷つけられることに憤慨します。 + 主はこのように答えます。「さあ、おまえたちが不自由しないように、たくさんの穀物とぶどう酒と油を送ろう。もう決しておまえたちを、諸国の物笑いの種にはさせない。 + 北からのこの軍隊を立ち退かせ、遠くへ追いやる。からからに乾いた荒れ地に退かせ、彼らはそこで死ぬ。半分は死海に追いやられ、残りは地中海に押しやられる。それからその死体の悪臭がこの地に満ちる。主はあなたがたのために、すばらしい奇跡を行われたのだ。」 + 私の民よ、恐れるな。さあ、楽しみ喜べ。主が驚くべきことをしてくださったのだから。 + 羊や牛の群れに、飢えを忘れさせよ。牧場は再び緑に覆われる。木々は実をつけ、いちじくやぶどうも再び豊かな実りをもたらす。 + 喜べ、エルサレムの民よ。あなたがたの神、主を喜べ。神が送る雨は、赦しの確かなしるしだ。春に雨が降るように、秋にもまた雨が降る。 + 脱穀場の床には再び小麦がうず高く積まれ、圧搾機からはオリーブ油とぶどう酒があふれ出る。 + 「わたしは、いなご――あなたがたを滅ぼすために送り込んだ軍勢――が食い尽くした作物を返そう。 + 再び、欲しいだけ食物を手に入れることができる。このような奇跡を行った主を、ほめたたえよ。わたしの民は、再びこのような災いに会わない。 + そしてあなたがたは、わたしの民イスラエルの中にわたしが確かにいることを、また、わたしだけがあなたがたの神、主であることを知る。わたしの民は、再びこのような打撃をこうむることはない。 + わたしは再び雨を注いだあと、わたしはあなたがたすべてにわたしの霊を注ぐ。その時、あなたがたの息子、娘は預言し、老人は夢を見、若者は幻を見る。 + 奴隷にさえも、男にも女にも同じように、わたしの霊を注ぐ。 + 地上にも大空にも、不思議なしるし、血と火と煙の柱を置く。 + 主の大いなる恐るべき日がくる前に、太陽は暗くなり、月は血に変わる。 + 主の名を呼び求める者はみな、救われる。主が約束したように、エルサレムにも幾人か難を逃れる者がいる。主が幾人かを選んで、生き残るようにしたからだ。」 + + + 主はこう告げます。「ユダとエルサレムの繁栄を回復させるその時、 + わたしは世界の軍隊を『主がさばきを行う谷』に集めて罰する。彼らはわたしの民を傷つけ、わたしの相続財産を諸国の中に散らし、わたしの地を分割したからだ。 + 彼らはわたしの民を分け合って、奴隷にした。少年を娼婦と交換し、幼女を酒代の足しにした。 + ツロとシドンよ、じゃまをしてはならない。ペリシテの町々よ、わたしに復讐しようとするのか。気をつけるがいい。わたしはすばやく打ち返し、おまえたちの頭に傷を返してやろう。 + おまえたちはわたしの金銀と高価な宝を取り、異教の神殿に運び去った。 + ユダとエルサレムの民をギリシヤ人に売り、ギリシヤ人は遠い祖国に彼らを連れて行った。 + だがわたしは、おまえたちが売り飛ばしたすべての場所から、彼らを連れ戻す。そして、おまえたちがしたこと全部に報いる。 + おまえたちの息子や娘をユダの民に売り渡そう。するとユダの民は、遠くのシェバ人に彼らを売る。これは主からの約束だ。」 + このことを、できるだけ遠くまで告げ知らせなさい。戦いの準備をせよ。精兵を集め、全軍を召集せよ。 + 鋤を溶かして剣に作り変え、鎌を打ち直して槍にせよ。弱い者を強くせよ。 + あらゆる地の諸国の民よ。束になってかかって来るがよい。――主よ、あなたの勇士たちを遣わしてください。 + 「諸国の民を集めてヨシャパテの谷に連れて来たら、そこで、わたしは全員に判決を下す。 + さあ、鎌を入れよ。時がきて、刈り入れを待っている。酒ぶねを踏め。この者たちの悪が満ちあふれているからだ。」 + 谷は、人、また人で埋まっている。運命の判決が下るのを待っているのだ。さばきの谷で主の日が近づいているからだ。 + 太陽と月は暗くなり、星も光を失う。 + 主がエルサレムの神殿から叫ぶと、地と空は震えだす。しかし、ご自分の民イスラエルにはとても優しい。主は彼らの避難所、また力なのだ。 + 「その時あなたがたは、わたしが聖なる山シオンに住み、あなたがたの神、主であることをついに知る。エルサレムは永遠にわたしのものとなる。もう外国の軍隊がそこを通ることはない時がくる。 + 山々から甘いぶどう酒がしたたり、丘には乳が流れる。水はユダの乾いた川床を満たし、泉は主の神殿から噴き出て、シティムの谷をうるおす。 + エジプトは滅ぼされ、エドムも同じ運命をたどる。彼らがユダヤ人を虐げ、彼らの国で罪のない人々を殺したからだ。 + しかし、ユダは永遠に栄え、エルサレムは代々にわたって繁栄する。 + わたしが、わたしの民を殺した者たちに復讐するからである。わたしの民を虐待した者たちを、そのままにはしておかない。わたしの家は、わたしの民とともにエルサレムにあるからだ。」 + +
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+ + アモスはテコアの村に住む羊飼いでした。一日中、丘の中腹にいて、羊が迷い出ないように見張っていたのです。 + ある日、神はアモスに、イスラエルに起ころうとしていることを幻の中で語りました。この幻をアモスが見たのは、ウジヤがユダの王、ヨアシュの子ヤロブアムがイスラエルの王であった時で、地震が起こる二年前のことでした。アモスは見聞きしたことを、次のように報告しています。主は、ねぐらからほえるどう猛なライオンのように、シオンの山にある神殿から、大声で叫びました。すると突然、カルメル山のみずみずしい牧草地がしおれて枯れ、羊飼いはみな、声を上げて泣きました。 + 主はこう言います。「ダマスコの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らは穀物を鉄の打穀棒で打つように、ギルアデでわたしの民を打った。 + だから、ハザエル王の宮殿に火を放ち、ベン‧ハダデの堅固なとりでを破壊する。 + ダマスコの町の門のかんぬきを折り、アベンの平野に住む者や、ベテ‧エデンで王位についている者を殺す。シリヤの民は奴隷としてキルに戻る。」 + 主はこう言います。「ガザは何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。ガザはわたしの民を追い出し、エドムで奴隷として売った。 + だから、ガザの城壁に火を放ち、とりではすべて破壊される。 + アシュドデの民を殺し、エクロンと、アシュケロンの王を滅ぼそう。残ったペリシテ人は滅びる。」 + 主はこう言います。「ツロの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らは兄弟であるイスラエルとの協定を破り、攻撃をしかけて征服し、奴隷としてエドムに渡した。 + だから、ツロの城壁に火を放ち、とりでも宮殿も灰にする。」 + 主はこう言います。「エドムは何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らは兄弟であるイスラエルを剣で追いかけ、怒りにまかせて冷酷にふるまった。 + だから、テマンに火をかけ、ボツラのとりでをすべて灰にする。」 + 主はこう言います。「アモンの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らはギルアデの戦いで、領土を広げるために残虐なことを行い、剣で妊婦を切り裂いた。 + だから、ラバの城壁に火を放ち、とりでと宮殿は灰となる。嵐の時のつむじ風のように、戦いのものすごい叫び声が上がる。 + 王も君主たちも捕囚として連れ去られる。」 + + + 主はこう言います。「モアブの住民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らはエドムの王たちの墓を汚し、死者を丁重に取り扱わなかったからだ。 + 今、その報いとしてモアブに火を放ち、その火はケリヨテの宮殿をすべて破壊する。勇士が叫び、角笛が鳴り響くうちに、モアブは混乱の中で倒れる。 + わたしは彼らの王を滅ぼし、その臣下をみな殺す。」 + 主はこう言います。「ユダの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らは神の教えを受け入れず、従うことを拒んだからだ。先祖がそうであったように、心をかたくなにして罪を犯した。 + だから、ユダを火で滅ぼし、エルサレムの宮殿もとりでもすべて灰にする。」 + 主はこう言います。「イスラエルの民は何度もくり返して罪を犯し、わたしはそのことを忘れない。もうこれ以上、処罰を猶予しない。彼らはわいろを取って公正な裁判を曲げ、借金を返せない貧しい者を奴隷に売ったからだ。それも、たったのくつ一足分の代金のために。 + 彼らは貧しい者を踏みつけ、おとなしい者を足蹴にする。父と息子とが同じ巫女を犯し、わたしの聖なる名を傷つけている。 + 祭りの日には、借金のかたに取った着物の上で横になり、わたしの神殿に、取り立てた金で買ったぶどう酒を携えて来る。 + わたしが彼らにしてやったことを、よく考えてみよ。目の前のエモリ人をこの地から追い払ったのは、このわたしだ。彼らは杉のように背が高く、樫の木のように強かった。だが、わたしはその実を切り落とし、根を切った。 + あなたがたをエジプトから連れ出し、荒野の中を四十年間導き、エモリ人の地を所有させたのだ。 + また、あなたがたの息子の中からナジル人や預言者を選んだ。イスラエルよ、そうではなかったか」と主は尋ねます。 + 「ところがあなたがたは、ナジル人にむりやりぶどう酒を飲ませて罪を犯させ、『うるさい、黙れ!』と言って預言者を沈黙させた。 + だから、穀物を満載した荷車がきしむように、あなたがたをうめかせよう。 + あなたがたの中で一番すばやい戦士が逃げてつまずき、強い者はみな弱くなり、勇士ももはや自分のいのちを救えない。 + 射かける矢は、みなはずれ、足の速い者も逃げのびれず、熟達した騎手も危険地帯を逃げ切ることができない。 + その日には、どんなに勇敢で力のある者も、武器を捨てて、いのちからがら逃げる。」神、主がこのように語ったのです。 + + + 聞きなさい。これがあなたがたの運命です。エジプトから連れ出したイスラエルとユダの全家族に、主はこう言います。 + 「地上のすべての民の中から、あなたがただけを選んだ。それだけに、その罪を罰しないわけにはいかない。 + 罪がわたしたちの間にあるのに、どうして肩を並べて歩けるだろうか。 + わたしは理由もなく、ライオンのようにほえているのではない。実は、あなたがたを滅ぼす準備をしている。幼いライオンでも、うなり声を上げるのは、えさに飛びかかる前だ。 + 罠は、踏みつけなければパチンと閉じたりしない。あなたがたは当然の刑罰を受ける。 + 警告の角笛が鳴っている。聞け。そして恐れよ。主であるわたしがあなたがたの地に災いを下そうとしているからだ。 + わたしはいつも、事が起こる前に預言者をとおして警告する。今もそうしている。」 + ライオンがうなり声を上げました。恐れ、わななきなさい。神である主の宣告が聞こえます。それを宣言することをことわろうとは思いません。 + 「アシュドデとエジプトの指導者たちを共に呼び寄せて、こう言え。『さあ、サマリヤの山々に陣取って、イスラエルの恥ずべき罪悪の現状を見届けよ。』 + わたしの民は、正しいことを行うとはどういうことか忘れてしまった」と主は言います。「彼らの宮殿は、盗んだり奪い取ったりした物でいっぱいだ。 + それゆえ、敵が来て、彼らは取り囲まれ、とりでを破壊され、宮殿も略奪される。」 + 主は言います。「羊飼いは羊をライオンから救い出そうとしたが、間に合わなかった。ライオンの口から、二本の足と耳の一部をもぎ取っただけだった。サマリヤのイスラエル人が最後に助け出されるときもそうなる。彼らに残っているのは、壊れかかった椅子とぼろぼろの枕だけだ。」 + 全能の神である主は言います。「これから言うことをよく聞き、イスラエルにくまなく告げよ。 + 罪を犯したイスラエルを罰するその同じ日に、ベテルの偶像の祭壇も取り壊す。祭壇の角は切り取られ、地に落ちる。 + 金持ちの美しい家、冬の家と夏の家を破壊し、象牙の宮殿も破壊する。」 + + + 私の言うことを聞きなさい、サマリヤに住むバシャンの太った雌牛たち。夫をけしかけて貧しい人から取り上げ、困っている者からしぼり取っている女たち。いくら飲んでも十分でない者たちよ。 + あなたがたの鼻に鼻輪をつけて、牛のように引いて行く時がくると神である主は、ご自分のきよさにかけて誓いました。最後の一人まで、釣り鉤にかけられて引かれて行きます。 + 美しい家から引きずり出され、城壁の破れ口から放り出されます。主がそう言ったのです。 + ベテルとギルガルの偶像にもっといけにえをささげなさい。いつまでも逆らい続けなさい。あなたがたの罪は山のように積まれていきます。いけにえは毎朝、十分の一のささげ物は週に二回持ってきなさい。 + すべて適切な方法で行い、特別のささげ物もしなさい。あなたがたは、そうすることを得意がり、どこでもそれを自慢しています。 + 主はこう言います。「あなたがたを飢えさせたが、何にもならなかった。それでも、わたしのもとに帰ろうとはしなかった。 + 収穫の前に三か月間雨を降らせないで作物をだめにした。ある町には雨を降らせたが、他の町には降らせなかった。ある畑には雨が降っているのに、他の畑は乾ききっていた。 + 二、三の町の住民が飲み水を求めて、雨の降った町へ疲れきった体で出かけて行った。それでも満ち足りることはなかった。そんなことがあっても、あなたがたはわたしのもとへ帰ろうとしなかった」と主は言います。 + 主はこう告げます。「立ち枯れ病と黒穂病を、農場やぶどう畑ではやらせた。いなごがいちじくとオリーブの木を食った。それでもあなたがたは、わたしのもとへ帰ろうとしなかった。 + 昔のエジプトのように、わたしは疫病を送った。戦争で若者を殺し、馬を追い払った。死体からの悪臭が鼻をついた。それでもあなたがたは、帰ることを拒んだ。 + わたしはソドムとゴモラにしたように、あなたがたの町の幾つかを破壊した。生き残った者たちは、火の中から取り出された燃えさしのようだ。それでも、わたしのもとへ帰ろうとしない。 + それゆえ、話しておいたとおり、あなたがたをもっとひどい災いに会わせる。イスラエルよ、さばきの中で神に会う備えをせよ。」 + 山々を造り、風を造り、あなたがたの思いを全部知っている方と向かい合うことになるからだ。その方は、朝を暗闇に変え、山を踏み砕く。その名は、全能の神、主である。 + + + イスラエルよ。私は悲痛な思いで、あなたがたのためにこの悲しみの歌を歌います。 + 「美しいおとめイスラエルは砕かれて倒れ、地に押しつぶされて、起き上がることができない。助けてくれる者もなく、孤独のうちに死んでいく。」 + 神である主がこう言うからです。「戦場に千人を送り出した町には百人が帰り、百人を送り出した町には十人だけ帰って来る。」 + 主はイスラエルの民に告げます。「わたしを求めよ。そして生きよ。 + ベテルやギルガルやベエル‧シェバの偶像を求めるな。ギルガルの民は連れ去られ、ベテルの民には必ず悲しみが襲いかかる。」 + 主を求めて、生きなさい。さもないと、主は炎のようにイスラエルを通り過ぎて焼き尽くします。ベテルの偶像はどれも、その火を消すことができません。 + 邪悪な者たち。あなたがたは正義の名のもとに貧しい人を虐げています。正義も公正も、あなたがたには無意味な絵空事です。 + すばる座やオリオン座を造った方を求めなさい。その方は、闇を朝に、昼を夜に変え、海から水を呼んで地上に雨として降らせます。その名は主。 + 目にもとまらぬ速さと力で、強い者を打ちのめし、すべての要塞をつぶします。 + あなたがたは公平な裁判官を憎んでいます。真実を告げる者をさげすんでいます。 + 貧しい者たちを踏みつけ、税や罰金や利子と言っては、わずかしかない持ち物を取り上げています。それゆえ、今建てている石造りの美しい家に、あなたがたは決して住めません。今植えている見事なぶどう園から作るぶどう酒も飲めません。 + あなたがたの罪が極悪で、いかに数多いかを知っています。あなたがたは、良いことすべてに反対しています。わいろを取り、貧しい人の益になることは何もしません。 + それゆえ賢い者たちは、あなたがたが罰せられる恐ろしい日には、主に口出しをしようとはしません。 + 正しいことをし、悪から逃げなさい。そのように生きなさい。そうすれば、願いどおり、全能の主が助けてくれます。 + 悪を憎み、善を愛して、正しい裁判を行いなさい。あるいは、天の軍勢の神である主が、残っているご自身の民をあわれんでくださるかもしれない。 + それゆえ、神である主は言います。「あちらの通りでもこちらの道でも、叫ぶ声が起こる。農夫を呼んで、いっしょに泣いてくれるように頼め。泣き男や泣き女を呼んで、大いに嘆かせよ。 + わたしが通り過ぎて破壊するので、どのぶどう畑にも悲しみと叫びがある。 + あなたがたは、『早く主の日がきてくれたら、神が敵の手から救い出してくださるのに』と言う。だが自分たちが何を願っているのか、わかっていない。その日は、光でも希望でもない。暗闇と絶滅の日だ。それはなんと恐ろしい闇であろう。喜びや希望の光などかけらもない。 + その日あなたがたは、ライオンに追いかけられていて熊に出会った者のようだ。あるいは、真っ暗な部屋で壁に寄りかかると、手が蛇に触れた者のよだ。 + まさに、あなたがたにとって暗闇と絶望の日だ。 + あなたがたが祭りと聖なる集会を開いて、わたしをあがめているふりをするのは、もうごめんだ。 + 焼き尽くすいけにえも穀物のささげ物も受けたくない。和解のいけにえも見たくない。 + 賛美歌も歌うな。わたしの耳には騒音にしか聞こえない。どんなに甘い響きを奏でても、あなたがたの音楽は聞きたくない。 + わたしは、正義が貫かれ、正しい行いが堂々と通じるのを見たい。 + イスラエルよ。あなたがたは四十年、荒野にいる間わたしにいけにえをささげた。だが、ほんとうの関心はいつも異教の神々にあった。あなたがたの王サクテや星の神キウン、自分たちが造った神々の像に。それゆえ、あなたがたといっしょに、それらの神々も、ダマスコのはるか東へ捕らえ移そう。」全能の主が、こう言うのです。 + + + イスラエルの民の間で有名なエルサレムとサマリヤで、ぜいたくにのんびり暮らしている者たちは、災いだ。 + カルネへ行って、そこで起こったことを見なさい。それから大ハマテへ行き、ペリシテ人の地にあるガテへも下って行きなさい。かつてそこは、あなたがたより栄えていました。しかし、今はどうなっているかを見なさい。 + あなたがたは、迫っている罰のことを考えようとしません。しかし、その行いによって、さばきの日は近くなっているのです。 + あなたがたはぜいを尽くした象牙のベッドに横になって、柔らかい子羊の肉や最上の子牛の肉を食べています。 + 堅琴に合わせて、むなしい歌を歌い、ダビデ王のような偉大な音楽家のつもりになっています。 + 浴びるほどぶどう酒を飲み、香油を体に塗っても、助けを求める兄弟たちのことは全く気にしません。 + そのため、あなたがたが真っ先に奴隷となって引いて行かれます。酒盛りは突然終わるのです。 + 全能の主は、ご自分の名にかけて誓います。「わたしはイスラエルの思い上がりと偽りの栄光をきらい、彼らの美しい宮殿を憎む。この町とそこにあるすべての物を敵の手に渡す。」 + 一つの氏族で十人が残ったとしても、彼らもまた死にます。 + 親戚の者が葬ることになり、死体を家から運び出す時、家の中に一人だけ生き残っている者に「ほかに残っている者がいるか」と聞くと、「いない」という答えが返ってきます。すると、「しーっ、声を出すな。主の名を口にするな。おまえの言うことを聞いているかもしれないから」と言うのです。 + 主がこのように命じたからです。大きな氏族も小さな氏族も、木っ端みじんになれと。 + 馬は岩の上を走れるでしょうか。牛は海を耕せるでしょうか。これは聞くだけ愚かなことだが、あなたがたのやっていることより愚かなことはありません。正義をあざけり、良いこと、正しいことを腐敗させ、堕落させているではありませんか。 + また、無に等しい者なのに、愚かにも、偉い者であるかのように喜びます。ちっぽけな力を、たいそう自慢しています。 + 全能の主は言います。「イスラエルよ。わたしは一つの民を起こして、あなたがたを攻めさせる。北の国境から南の端まで、レボ‧ハマテからアラバの川筋までの全域で、彼らはあなたがたを虐げる。」 + + + これは、神である主が私に示した幻です。主は、最初の刈り取りのあとに生えた、王に納める主要な穀物をすべて滅ぼすいなごの大群を用意していました。 + いなごが目の前にあるすべてを食い尽くそうとした時、私は言いました。「神、主よ。どうか、あなたの民をお赦しください。このような災いに会わせないでください。神がイスラエルに立ち向かわれたら、ひとたまりもありません。イスラエルはこんなに小さいのです。」 + そこで主は思い直して、その幻を実行に移さず、「やめよう」と言いました。 + それからは、人々を罰するために用意された、勢いよく燃え上がる火を示しました。その火は水の流れを蒸発させ、全地を焼き尽くそうとしていました。 + それで私は言いました。「神、主よ。どうかやめてください。神が立ち向かわれたら、ひとたまりもありません。イスラエルはこんなに小さいのです。」 + それで主は、この計画も思い直し、「これもやめよう」と言いました。 + それから、次のことを示しました。主は築き上げた城壁のそばに立って、重りをつけた糸で、それがまっすぐかどうか調べていました。 + そして主は、「アモス、何を見ているのか」と私に言いました。「重りをつけた糸です。」そう答えると、主は続けて語りました。「重りをつけた糸で、わたしの民がまっすぐかどうか調べてみよう。もう罰することを控えたりしない。 + イスラエルにある偶像の祭壇と神殿は破壊される。また、剣でヤロブアム王家を滅ぼそう。」 + ところが、ベテルの祭司アマツヤは、アモスが語ったことを聞くと、すぐにヤロブアム王に伝えました。「アモスは反逆者で、あなたの死をたくらんでいます。これは許しがたいことです。放っておいたら、国に反乱が起こります。 + あの男は、あなたが殺され、イスラエルは奴隷として遠い地に連れて行かれると言っております。」 + そして、アモスにこう命じました。「ここから出て行け、預言者め。ユダの地へ逃げて行って、好きなだけ預言するがいい。 + この首都でわれわれを幻で煩わすのは、いいかげんにしてくれ。ここは王の礼拝堂がある所なのだ。」 + しかしアモスは答えました。「私は預言者などではありません。預言者の家の者でもありません。ただの羊飼いで、果樹を栽培しています。 + ところが主は、羊の群れの世話をしている私に、『さあ、わたしの民イスラエルに預言せよ』とお命じになったのです。 + ですから今、主からのお告げを聞きなさい。『イスラエルに反対する預言はするな』とのことですが、 + 主のお答えはこうです。『わたしにじゃまだてしたので、あなたの妻はこの町で娼婦となり、息子と娘は殺され、あなたの土地は分割されてしまう。あなた自身も異教の地で死に、イスラエルの民も、祖国から遠く離れた地へ引いて行かれ、そこで奴隷となる。』」。 + + + それから神である主は、熟した果物がいっぱい入ったかごを、幻のうちに私に示しました。 + 「アモス、何を見ているのか。」「熟した果物がいっぱい入ったかごです。」すると主は言いました。「この果物は、わたしの民イスラエルを表している。彼らが罰を受ける時は熟したのだ。もう二度と見過ごしにしない。 + その時、神殿から聞こえる騒々しい歌声は、すすり泣きに変わる。そこら中に死体が散らばる。無言のうちに、それは町の外へ運び出される。」主がこう言ったのです。 + 貧しい人から取り上げ、困っている人を踏みつける商人たち。聞きなさい。 + あなたがたは、安息日や新月の祭りが早く終わることをひたすら願っています。そうすれば、重くした量りと短くした物差しで、ごまかして儲けることができるから。 + わずかな借金、たった一足のくつの代償に貧しい人を奴隷とし、かびた小麦を売りつけています。 + イスラエルの誇りである主は誓います。「おまえたちの行いは忘れない。 + この地は、滅びを目前にして震えおののき、だれもが嘆き悲しむ。この地は、増水したナイル川のように盛り上がり、激しく揺れ動き、再び沈む。 + その時、わたしは真昼に太陽を沈ませ、日中に地上を暗闇にする。 + 宴会を嘆きの時に変え、喜びの歌を絶望の叫びに変える。おまえたちは喪服を着、頭をそり、まるでひとり息子が死んだように悲しむ。その日には、悲惨、ただ悲惨があるのみだ。」 + 主はこう言います。「時は近づいている。その時には、この地にききんを送る。パンや水のききんではない。主のことばを聞くことのききんだ。 + 人々は海から海へと至る所を歩き回り、主のことばを探し求める。だが、あちこち探し回っても見つからない。 + 美しい娘も、りっぱな若者も、神のことばを渇き求めて弱り、疲れはてる。 + サマリヤ、ダン、ベエル‧シェバの偶像を拝む者は倒れて、二度と起き上がらない。」 + + + 私は、主が祭壇のそばに立っているのを見ました。主はこう言いました。「柱の頭を打って神殿を揺り動かし、柱が崩れて屋根が下にいる人々の上に落ちかかるようにせよ。彼らは逃げようにも逃げられず、一人残らず死ぬ。 + 彼らが地獄まで下っていってもわたしは引っ張り上げ、天に上っても、引き降ろす。 + たとえカルメル山の頂の岩間に隠れても、見つけ出して捕まえる。深海に身を潜めても、海蛇を送ってかみ殺させる。 + 自ら進んで国外へ捕らえ移されても、剣に命じて、そこで殺させる。彼らが善ではなく悪を受け取るのを、しっかりと見届ける。」 + 全能の主が地に触れると、地は溶け、そこに住む人々はみな嘆き悲しみます。地はエジプトのナイル川のように盛り上がり、また沈みます。 + その住まいの階上は天にあり、一階は地の上にあります。その方は海から蒸気を呼んで、地に雨として降らせます。その名は主です。 + 「イスラエルの民よ。わたしにとって、あなたがたはエチオピヤ人より大切であろうか。確かにあなたがたをエジプトから連れ出したが、ほかの民も同じようにしたのだ。ペリシテ人をカフトルから、シリヤ人をキルから連れ出した。 + わたしの目は、罪深い国イスラエルに向けられている。わたしはイスラエルを根元から抜いて、世界にまき散らす。しかし、永久に根こそぎにはしないと約束した。 + わたしが命じたとおり、穀物をふるいにかけるように、本物の穀粒はなくさないように、イスラエルを他の国々にふるわせる。 + しかし、『神は私たちに手を下さない』と言っている罪人は、みな剣によって死ぬ。 + その時には、今は荒れ果てたままになっているダビデの町を再建し、以前のように栄えた町にする。 + イスラエルは、エドムの残りの者と、私に属するすべての国の残りの者とを所有する。」このすべてを計画した主が、このように言うのです。 + 「大豊作で、やっと収穫が終わると思ったら、息つく暇もなく別の種をまく有様で、イスラエルの丘のぶどう畑は甘いぶどう酒をしたたらせる時がくる。 + わたしは、わたしの民イスラエルの繁栄を回復する。彼らは荒れた町々を建て直し、再びそこに住んで、ぶどうや果樹を栽培する。自分たちの収穫した物を食べ、ぶどう酒を飲む。 + わたしは彼らを、わたしが与えた地にしっかり植えつける。彼らは、再び引き抜かれることがない。」あなたの神、主がこう言うのです。 + +
+
+ + 神である主は幻によって、これからエドムの地に起こることをオバデヤに示しました。オバデヤは言いました。「主から知らせがあった。神は国々に使者を遣わして、次のようにお命じになったと。『よく聞け。軍を動員し、エドムを滅ぼすのだ。』 + エドムよ。わたしはおまえを国々の中で小さい者とし、さげすまれる者としよう。 + おまえは人が寄りつけないような高い断崖に住んで、高慢になっている。『だれも、ここまで登って来られまい』と誇っている。思い違いをしてはならない。 + おまえが鷲のように高く舞い上がり、星の間に巣を設けても、わたしはおまえを引きずり降ろす」と主は言います。 + 「夜中にどろぼうが来るほうが、はるかにましだ。根こそぎ持って行きはしないから。あるいは、ぶどう畑の実を全部盗まれるほうがましだ。少なくとも落ちた実は残るだろうから。 + だがおまえは、隅から隅まで家捜しされ、奪われる。宝はすべて見つけ出され、持ち去られる。 + 同盟国はみな敵に回り、この地からおまえを追い出そうとする。平和を約束しながら、滅ぼすことを企んでいる。信頼する友が罠をしかけ、反撃はことごとく失敗する。 + その日、エドム中を捜しても、賢い者など残っていない」と主は言う。「わたしがエドムの賢者たちを愚かにするからだ。 + テマンの最も強力な兵士もあわてふためき、虐殺者を防げなくなる。 + どうして、そんな目に会うのだろうか。それは兄弟イスラエルにしたことへの報いだ。今、おまえの罪は白日のもとにさらされる。何の抵抗もできず、さんざん辱しめられ、永遠に切り捨てられる。 + イスラエルが困っていた時、見捨てたからだ。イスラエルに侵入した者が財宝を持ち去り、くじでエルサレムを分け合っていても、知らん顔をして、指一本動かそうとしなかった。まるで敵のようだった。 + おまえは、そうすべきではなかった。侵入者がイスラエルを遠い異国へ連れ去るのを見て、ほくそ笑むべきではなかった。彼らの不幸を喜ぶべきではなかった。彼らが困っている時にあざけるべきでなかった。 + そればかりか、災いにつけ込んで、イスラエルの地に入り、略奪した。彼らを犠牲にして豊かになったのだ。 + おまえは十字路に立って、逃げようとする者を殺した。彼らが恐ろしい窮地に立たされた日に、生き延びた者を捕らえ、敵の手に渡した。 + 主はすぐにすべての国に復讐する。イスラエルにしたとおりのことが、おまえの身に起こる。人にしたとおりのことが自分に返ってくる。 + わたしの聖なる山で、おまえたちはわたしの罰の杯を飲んだ。回りの国々も飲むことになる。そうだ、飲んで、よろめきながらあとずさりし、歴史から姿を消す。そのような国々は、もう存在しなくなる。 + しかし、エルサレムは避難所となり、逃げ道となる。イスラエルは再びその地を占領する。 + イスラエルは、エドムの乾燥した平野に放たれた火となる。そこには、だれも生き残らない。」主が、そう語ったのです。 + そして、ネゲブに住む私の民はエドムの丘陵地を占有し、ユダの低地に住む者はペリシテの平野を所有し、エフライムやサマリヤの平野を取り戻します。ベニヤミンの部族はギルアデを所有します。 + 捕囚のイスラエル人は帰って来て、フェニキヤの海岸地帯を遠く北のツァレファテまで占領します。小アジヤに連れて行かれた者も故国に帰り、ネゲブの辺境の村々を征服します。 + 救う者たちがエルサレムに来て、エドムすべてを支配するからです。そして、主が王となられるのです。 + +
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+ + アミタイの子ヨナに、主から次のようなことばがありました。 + 「あの大きな町ニネベへ行って、主からの知らせを告げよ。『わたしはおまえたちを滅ぼす。おまえたちの悪行がわたしの前に上り、その悪臭が天にまで達したからだ』と。」 + しかし、ヨナは行くことを恐れ、主の前から逃げました。ニネベとは反対方向の海岸の方へ向かい、ヨッパの港に着くと、タルシシュ行きの船が出るところでした。船賃を払って船に乗り込んだヨナは、主から身を隠そうと暗い船底に下りて行きました。 + ところが航海が始まると、主が嵐を起こしたので、突然船は突風に見舞われ、今にも沈みそうになりました。 + 身の危険を感じた水夫たちは、必死の思いで、自分の信じている神々に助けを叫び求め、船を軽くしようと、積み荷を海に捨てました。その間、ヨナは船底でぐっすり眠っていたのです。 + それで船長は船底に下りて行って、大声でどなりました。「おい! どういうつもりだ、こんな時に眠っているのは。さっさと起きて、あなたの神に祈ったらどうだ。そうすれば、お恵みで助けてもらえるかもしれないぞ。」 + 水夫たちはくじを引くことにしました。神々を怒らせて、こんな恐ろしい嵐を引き起こしたのはだれか、知ろうというのです。くじはヨナに当たりました。 + 「いったい何をしたのか、こんなに恐ろしい嵐を起こすとは。あなたは何者なのだ。仕事は何をしている? どこの国から来た?」 + ヨナは答えました。「私はユダヤ人です。この地と海とをお造りになった天の神様である主を拝んでいる者です。」それから、主から逃げているところであることを話しました。人々は話を聞くと、とても恐ろしくなり、「何でそんなことをしたのか。 + 嵐を静めるために、あなたをどうすればいいのだろう」と叫びました。海がいっそう荒れてきたからです。 + ヨナは言いました。「私を海に投げ込んでください。そうすれば静まるでしょう。このひどい嵐は私のせいだとわかっていますから。」 + 彼らは陸に近づこうと必死に船をこぎましたが、どうにもなりません。暴風が猛烈に向かって来るのです。 + そこで人々は、ヨナの神である主に大声で祈りました。「ああ主よ。この男の罪のために、私たちを死なせないでください。この男が死んでも、どうか責任を負わせないでください。私たちのせいではありません。特別な理由があって、あなたがこの男のところに嵐を送られたのですから。」 + そして彼らは、ヨナを荒れ狂う海に投げ込みました。すると、嵐はおさまりました。 + 人々は主の前に恐れ、いけにえをささげて、主に仕えることを誓いました。 + さて、主は大きな魚を用意して、ヨナをのみ込ませました。ヨナは三日三晩、魚の腹の中にいました。 + + + ヨナは魚の腹の中から、自分の神、主に祈りました。 + 「苦しくてどうしようもない時、私が主に向かって叫ぶと、主は答えてくださいました。死の淵から叫ぶと、主よ、あなたは聞いてくださいました。 + あなたは私を大海の深みに投げ込まれました。私は大水の流れの中に沈み、激しくさかまく波をかぶりました。 + その時、私は言いました。『ああ主よ。主は私を退け、投げ捨てました。もう二度と、あなたの聖なる神殿を見ることはできません』と申しました。 + 波にのまれ、もう少しで死ぬところでした。大水が私をふさぎ、海草が頭にからみつきました。 + 私は海底にそびえる山々の底まで沈んだのです。いのちから締め出され、死の国の囚人になってしまいました。しかし、私の神、主よ、あなたは大きく開いた死の口から、私を引き上げてくださいました。 + 全く望みが断たれようとした時、もう一度、私は主に思いを向けました。そして聖なる神殿におられるあなたに、真剣な祈りをささげました。 + (偽りの神々を拝む者は、主が与えようとしておられるあわれみに背を向けています。) + 私は、あなた以外の何ものも拝みません。あなたがしてくださったことを、どう感謝したらよいでしょう。私は必ず約束をはたします。私の救いは主のみです。」 + そして主が命じると、魚はヨナを海岸に吐き出しました。 + + + 主は再び、ヨナに語りました。「あの大きな町ニネベへ行き、前に命じたように、滅びが迫っていることを警告せよ。」 + そこでヨナは、言われたとおりニネベへ行きました。ニネベは非常に大きな町で、その周囲にもたくさんの村々がありました。町を一回りするだけでも、歩いて三日かかるほどでした。 + しかし、ヨナが町に入って説教を始めたその日から、人々は悔い改め始めたのです。ヨナは回りを取り囲んだ群衆に、「今から四十日後に、ニネベは滅びることになる」と叫びました。すると、彼らはヨナのことばを信じて断食を呼びかけ、身分の高い者から低い者まで、すべての者が荒布をまとって、悲しみを表したのです。 + ニネベの王は、ヨナが語っていることを聞くと、王座から下り、王服をわきに置いて荒布をまとい、灰の中に座りました。 + そして王と大臣たちは、町中に次のようなおふれを出したのです。「何人も、動物さえも、食べ物を口にしてはならない。水も飲んではならない。 + 荒布を身にまとい、ひたすら神様に向かって叫べ。暴力や強奪をやめ、悪の道から足を洗うようにせよ。 + もしかすると、神様は私たちを生かそうと決め、怒りを静めて、滅ぼさないでくださるかもしれないからだ。」 + こうして神は、彼らが悪の道から離れたのを見ました。それで、彼らを滅ぼす計画を思い直し、それを実行しませんでした。 + + + ところが、この主の計画変更にヨナはひどく腹を立て、 + 主に文句を言いました。「主よ、私が国にいて、ニネベへ行けと最初に言われた時、こうなさることはわかっていたのです。ですから私はタルシシュへ逃げたのです。あなたが恵み深く、あわれみに富み、なかなかお怒りにならず、思いやりのある神であることを知っておりましたから。ニネベの人々を滅ぼす計画も、簡単に取りやめることになるだろうと、わかっていました。 + 主よ、どうか私を殺してください。私が人々に語ったことが偽りになったのですから、生きているより死んだほうがましです。」 + すると、主は言いました。「このことで、あなたは当然のように怒るのか。」 + ヨナは町の外に出て、不機嫌な顔で、町の東側に腰を下ろしました。そこに木の葉の茂った日よけ小屋を作り、町がどうなるかを見るつもりだったのです。 + 小屋を覆っていた葉っぱが暑さでしおれてしまうと、主はとうごまを用意してすぐに成長させ、大きな葉がヨナの頭の上で日をさえぎるようにしました。それで彼は快適になり、とても喜びました。 + ところが、神は一匹の虫を備え、翌朝、その虫が茎を食い荒らしたので、とうごまは枯れてしまいました。 + 太陽が昇って暑くなると、神は焼けつくような東風を吹かせました。太陽が頭にじりじり照りつけたので、ヨナはすっかりまいって死にたいと願い、「こんな思いをするくらいなら、もう死んだほうがましです」と言いました。 + 神はヨナに言いました。「この草が枯れたことで怒るのは当然のことだろうか。」ヨナは言いました。「もちろんです。死ぬほど怒って当然です。」 + すると主は言いました。「あなたは、日よけが壊れただけでそんなにも嘆いているが、あれは自分が働いて作ったものではないし、もともと、はかないいのちでしかないものだ。 + だとしたなら、このニネベのように大きな町をわたしが惜しまないはずがあるだろうか。そこには、霊的な闇の中にいる十二万の人々と、たくさんの家畜がいるのだ。」 + +
+
+ + 次に述べるのは、ヨタム王、アハズ王、ヒゼキヤ王がユダ王国を治めていた時代に、モレシェテの町に住むミカに伝えられた主からのことばです。それはサマリヤとユダの両国へのことばで、幻によってミカに示されたものです。 + よく聞け。世界のすべての国々の民よ、耳をすませよ。主が聖なる神殿の中から、あなたがたを告発したのだ。 + 見よ、主が来ようとしている。天の王座を離れ、山々の頂の上を歩きながら、地上に来る。 + 山々は、火の中の蝋のように主の足の下で溶け、丘を流れ落ちる水のように谷へ流れ込む。 + どうしてこんなことが起こっているのか。イスラエルとユダの罪のせいだ。どんな罪か。首都サマリヤとエルサレムを中心に行われている偶像崇拝と虐待である。 + それゆえ、サマリヤの町は瓦礫の山となり、開けた野となって、その通りはぶどうを植えるために掘り返される。主はその城壁と要塞を壊し、土台をあばき、その石を下の谷へ流し入れる。 + 刻んだ像は一つ残らず粉々に砕かれ、礼拝者たちの寄進で建てたきらびやかな偶像の神殿は焼き払われる。 + わたしは声をあげて嘆こう。山犬のようにほえ、夜、泣きながら砂漠を横切るだちょうのように悲しげに。はだし、裸で歩こう。 + わたしの民の傷が治せないほど深いからだ。主はエルサレムを罰しようと、すでにその門に立っている。 + ガテの町は災いだ。嘆き悲しむな。ベテ‧レアフラでは、悩み、恥じてちりの中を転げ回れ。 + シャフィルの民は身ぐるみはがされて、裸になって恥じたまま、奴隷として引かれて行く。ツァアナンの民は城壁の外に姿を現そうとしない。ベテ‧エツェルは町の土台ごと一掃される。 + マロテの民は、これから良い時代になるだろうと望みをかけている。だが、待ちかまえているのは苦痛だけだ。主が、今にもエルサレムを打とうとしているからだ。 + 急げ、ラキシュの民よ、一番速い戦車で逃げるのだ。ユダの町で最初にイスラエルの偶像礼拝の罪にならったのは、あなたなのだから。そして南のすべての町が、あなたの例にならうようになった。 + ガテのモレシェテに書き送れ。もう救われる望みはない。アクジブの町は、できもしない援助を約束して、イスラエルの王を欺いた。 + マレシャの民よ、あなたは敵の賞品になる。敵は、「イスラエルの誉れ」であるアドラムにまで侵入する。 + 泣け。子どもたちのために泣き悲しめ。子どもたちは奪い去られ、二度と会えなくなる。奴隷として遠くの地へ連れて行かれてしまった。頭をそって嘆き悲しむがいい。 + + + 夜中に寝床で悪事を企む者は災いだ。あなたがたは計略を実行するために夜明けに起き出し、実行する力があるのでやってのける。 + その人の財産すべてなのに、人の土地や家を欲しがり、詐欺と脅しと暴力でそれを取り上げる。 + しかし、神である主は言います。「あなたがたの悪には悪をもって報いる。何ものもわたしを止めることはできない。わたしが見放したあとはもう二度と、いばって人を見下すことはできなくなる。」 + その時、敵はあなたがたをあざけり、「私たちはおしまいだ。だめになった。神は土地を没収し、私たちを遠くへ追い払い、私たちのものを他人にやってしまう」という、あなたがたの嘆きの歌をまねて、からかう。 + その時には、他人があなたがたの領土の境界線を決める。「主の民」は連れ去られた所に住むようになる。 + 「そんなことを言うな」と人々は言う。「そのようなことをくどくど言うのはやめろ。そんな話はみっともない。そんな悪いことが私たちに起こるはずがない。」 + ヤコブの家よ。それは正しい答え方だろうか。主の御霊が、好きでそんな荒々しい話し方をすると思っているのか。そうではない。その脅しは、あなたがたのため、正しい道に立ち返らせるためのものだ。 + それなのに、今この時まで、わたしの民はわたしに反抗している。あなたがたを信頼し、安心して歩いている者の背後から上着をはぎ取っている。 + 未亡人を家から追い出し、その子どもたちから神が与えた権利をもぎ取っている。 + さあ、立て! 出て行け!もうここは、あなたがたの土地でも家でもない。罪でこの地をいっぱいにしたので、吐き出されるのだ。 + 「酒の喜びについて説教しよう」と言うのが、あなたがたの好きな飲んだくれの偽預言者だ。 + イスラエルよ。わたしが残りの者を集め、囲いの中の羊のように、牧場の群れのように、もう一度集める時がくる。それは騒々しく、幸せな集団だ。 + メシヤがあなたがたを連れ去られた地から導き出し、捕らわれていた町の門を通って、自分たちの地に連れ戻す。イスラエルの王はあなたがたの前を進み、主が先頭に立って進んで行く。 + + + イスラエルの指導者たちよ、聞け。あなたがたは善悪の区別を知るべきだ。 + それなのに、善を憎み、悪を愛している。わたしの民の皮をはぎ、骨までしゃぶっている。 + 民を食い尽くし、こき使い、その骨を砕いて、まるでなべに入れる肉のように切り刻んでいる。 + それでいて、困ったことになると、主に助けてくれと願う。願いを聞いてもらえると本気で思っているのか。顔をそむけられるだろう。 + 偽預言者たち、神の民を迷わせる者たちよ。あなたがたは、食べ物をくれる者には「平安があるように」と言い、何もしてくれない者は脅すのだ。そんなあなたがたに、神はこう告げている。 + 「夜があなたがたを取り囲み、あなたがたの幻を断ち切る。闇があなたがたを覆い、神から何のことばもない。太陽は沈み、あなたがたの日は終わる。 + そのようになってついに、恥じ入って顔を隠し、自分たちの語ったことが神から出たものでなかったことを認める。」 + 私は力に満たされ、主の御霊に満たされて、神が罪を犯したイスラエルを罰すると、恐れず告げよう。 + イスラエルの指導者たち、私の言うことを聞け。あなたがたは正義を憎み、不正を愛している。 + エルサレムに、殺人とあらゆる罪をはびこらせている。 + 指導者はわいろを取り、祭司と預言者は、金をもらわなければ教えることも預言することもしない。それでいて、主にこびへつらって、「すべて大丈夫。主は私たちとともにおられる。どんな災いもくるはずがない」と言う。 + そんなあなたがたのせいで、エルサレムは畑のように耕され、廃墟となる。神殿が立っている山の頂も藪で覆われる。 + + + しかし、終わりの日に、シオンは世界中の山々で最も名を知られるようになり、世界のすべての国々から称賛され、世界中から巡礼が訪れる。 + 彼らは互いに言う。「さあ、主の山へ行き、イスラエルの神の神殿を見よう。神は、私たちがどうしたらよいか教えてくださる。そうしたら、そのとおりにしよう。」その日には、主がエルサレムから全世界を支配する。エルサレムから主の教えが発せられ、主のことばが告げられる。 + 主は諸国の間を仲裁し、遠く離れた強国に指令を下す。彼らは剣を鋤に、槍を鎌に打ち直し、国々はもう争うことがない。すべての戦争が終わるからだ。平和が実現し、軍の士官学校や訓練場は閉鎖される。 + 彼らはみな自分の家で、豊かで落ち着いた生活を営む。恐れるものが何もないからだ。主ご自身がそう約束している。 + それゆえ、たとえ回りの国々が偶像を拝んでも、私たちの神、主に従おう。 + やがてくるその日に、主は次のようにすると言います。罰せられたご自分の民、すなわち、病弱な者、足の悪い者、貧しい者を連れ戻し、 + 彼らの地で再び強くし、強力な国とし、主ご自身が永久に王となり、シオンの山から支配すると。 + エルサレム、神の民の見張り塔よ。あなたの王権と力は、以前のように回復される。 + だが、今は違う。あなたはおびえて金切り声を上げる。あなたを導く王はどこにいるか。彼は死んだ。賢い者たちはどこにいるか。みないなくなった。産みの苦しみをしている女のように、苦痛があなたを捕らえて放さない。 + シオンの娘よ、激しい苦痛に、身もだえしてうめけ。あなたはこの町を出て、野宿しなければならない。遠くバビロンへ追放されるのだ。だが、そこでわたしはあなたを救い出し、敵の手から解放しよう。 + 今、多くの国があなたに敵対して集まり、あなたの血を求め、滅ぼそうとやっきになっている。 + だが、彼らは主の考えを知らず、主の計画を理解してもいない。主がご自分の民の敵を、脱穀される麦束のように寄せ集める時がくる。イスラエルに対して、彼らは全く無力となる。 + シオンの娘よ、立って麦を打て。わたしが鉄の角と青銅のひづめを与える。多くの国々を踏みつけ、粉々にせよ。そして彼らの富を、全地の主の主に、ささげ物としてささげるのだ。 + + + 軍を結集せよ。敵がエルサレムを包囲している。彼らは、イスラエルを治める者の頬を杖で打つ。 + 「ベツレヘム‧エフラテよ。あなたはユダの小さな村にすぎないが、永遠の昔から生きている、イスラエルの支配者が生まれる地となる。」 + 神は、子を産む女が男の子を産むまで、ご自分の民を敵に渡す。そののち、彼の同胞、捕囚の地で生き残ったイスラエル人が、ついに故国の兄弟たちのもとに帰る。 + その王は立ち上がり、主の力によって、彼の神、主の御名の威光によって群れを養う。民は、そこで平安な生活を営む。この方が全世界からほめたたえられるからだ。 + この方は私たちの平和となる。アッシリヤが攻め入り、私たちの領土を踏みにじる時、この方は、七人の牧者と八人の指導者を立てる。 + 彼らは抜き身の剣でアッシリヤを支配し、ニムロデの地(バビロニヤ)の門に入る。アッシリヤ人が私たちの国に侵入する時、この方が私たちを救い出す。 + その時、イスラエルの国民は、そっと下りる露や待ちに待った雨のように、世界を潤してさわやかにする。彼らはもはや人に望みを置かない。 + イスラエルはライオンのように強くなり、その前で、世界の国々は羊のようにおとなしくなる。 + イスラエルが敵の前に立ちはだかると、敵はひとたまりもない。 + 主はこう告げます。「その日、あなたが頼みにしている武器を一つ残らず破壊し、 + 城壁を破壊し、要塞を取り壊そう。 + わたしはいっさいの魔術の息の根を止める。運勢を占う易者はどこにもいなくなる。 + また、すべての偶像を壊す。あなたはもう二度と、自分たちで造った物を拝まない。 + わたしがあなたの間から異教の宮を取り除き、偶像の宮がある町々を破壊するからだ。 + わたしは、わたしに従うことを拒む国々に復讐し、思い知らせよう。」 + + + さあ、主がご自分の民に話そうとしていることを聞きなさい。「立ち上がって、わたしに対する反対を述べてみるがいい。山や丘を呼び寄せて、あなたの訴えについて証人になってもらえ。 + 山々よ、主の訴えに耳を傾けよ。主はご自分の民イスラエルに、言いたいことがある。主は彼らを容赦なく告訴する。 + わたしの民よ、なぜ、わたしに背くのか。わたしがどんな悪いことをしたというのだ。なぜ我慢できなくなったのか。はっきり答えよ。 + わたしはあなたをエジプトから連れ出し、奴隷の鎖を断ち切った。あなたを助けるために、モーセ、アロン、ミリヤムを送ったのだ。 + わたしの民よ、忘れたのか。モアブの王バラクが、ベオルの子バラムにのろわせて、あなたを滅ぼそうとした時のことを。わたしはバラムに、あなたをのろうどころか、かえって祝福させたのだ。このように幾度も、あなたに好意を示した。シティムやギルガルで起こったことも、そこであなたを祝福したことも、みんな忘れてしまったのか。」 + あなたは尋ねます。「私たちがやったことを、どうしたら償えるでしょうか。一歳の子牛をささげて、主の前にひれ伏したらよいのですか。」そうではありません。 + 主は、幾千の雄羊と、幾万の川となるくらいのオリーブ油をささげたら、喜ぶでしょうか。満足するでしょうか。長子をいけにえとしてささげたら、主を喜ばせることになるでしょうか。そして、罪を赦してもらえるでしょうか。もちろん違います。 + 神は望んでいることをあなたに告げたました。すなわち、えこひいきせず、公平で、あわれみ深くあること、また、謙遜にあなたの神と共に歩むことです。 + 主の声はエルサレム中に響き渡ります。賢い人は主に耳を傾けなさい。「侵入軍がやって来る。主がそれを送っているのだ。 + あなたの罪があまりにもひどいからだ。人をだまして金を巻き上げることを、いつやめるのか。悪者の家は、汚らわしい財宝といんちきな量りでいっぱいだ。 + 人を欺く偽りの重りを使う商人に、わたしは『それでよい』などと言うだろうか。公正である神が、どうしてそんなことを言えようか。 + 金持ちは、脅しと暴力で富を得ている。市民は、偽りを言うことに慣れているので、その舌は真実を語れない。 + それゆえ、あなたを痛い目に会わせよう。罪を犯した罰に、みじめな思いをさせる。 + あなたは食べても満腹せず、いつも飢えで苦しみ、空腹感に悩まされる。いくら金をためようとしても、何も残らない。ほんのわずかな蓄えも、わたしはあなたを征服する者に渡す。 + 種をまいても収穫することはなく、オリーブを絞っても自分の体に塗るほどの油も出ない。ぶどうを踏んでも、ぶどう酒を作るだけのぶどう液は得られない。 + あなたがたはオムリの命令しか守らず、アハブの例にならうだけだ。それゆえ、見せしめのためにあなたがたを滅ぼす。あなたがたは世界中の物笑いになる。あなたがたを見る者はみな、さんざんあざけるだろう。」 + + + ああ、悲しいことだ。正直者を見つけるのがこんなにも困難だとは。まるで、収穫期を過ぎてから、ぶどうやいちじくの実を見つけるようなものだ。どんなに欲しくても、ぶどう一ふさ、初なりのいちじく一個もない。正しい人は地上から消えてしまった。誠実な人は一人も残っていない。みな人殺しで、自分の兄弟まで手にかけようとしている。 + 彼らは、あらゆる手段を用いて悪を働いている。しかも、その手口のうまいこと。政治家も裁判官も、わいろを求める。金持ちは彼らを買収し、じゃま者を消す相談をする。正義はゆがめられてしまった。 + 一番ましな者でも、いばらのようにとげとげしい。最もまっすぐな者でも、いばらの垣根よりねじれている。そんなあなたをさばく日が、すばやくやってくる。処罰の時がそこまできている。混乱と破滅と恐怖があなたに起こる。 + だれも信用するな。親友も、妻でさえも。 + 息子は父親をばかにし、娘は母親に逆らい、嫁はしゅうとめをのろう。まさに、敵は自分の家の中にいる。 + それでも、私は主に助けを求め、神が私を救い出すのを待ち望む。神は私の言うことを聞いてくださる。 + 敵よ、私のことで喜ぶな。私は倒れても、また起き上がるからだ。たとえ暗闇の中に座っていても、主が私の光となる。 + 主から罰を受けている間、私はじっと耐えていよう。私が主に罪を犯したからだ。そののち、私を敵の手から守り、彼らが私にしたすべての悪を罰する。神は私を暗闇から光の中へ連れ出し、私は神のいつくしみを見る。 + その時敵は、神が私の味方であることを認め、「おまえの神はどこにいるのか」とあざけったことを恥ずかしく思う。今すでに、彼らが道の土のように踏みつけられるさまが見えている。 + 神の民よ。あなたの町々は建て直され、前よりも大きくなり、繁栄する。 + アッシリヤからエジプトまで、エジプトからユーフラテス川まで、海から海まで、遠い山と丘から、多くの国の人々が来て、あなたをほめる。 + しかしまず、恐ろしい滅亡がイスラエルに臨む。それはイスラエルの民のはなはだしい悪のためだ。 + 主よ、来て、あなたの民を治めてください。あなたの群れを養い、平和で豊かな生活を送らせてください。昔のように、バシャンとギルアデの肥沃な牧草地を楽しませてください。 + 主はこう答えます。「そうしよう。エジプトで奴隷となっていたおまえを連れ出した時のように、おまえのために力強い奇跡を行おう。 + 全世界はわたしのすることに驚き、自分たちの力が取るに足りないものであることを知って困惑する。恐れのあまり口もきけず、周囲のことは何も耳に入らない。」 + 彼らは、蛇や穴からはい出す虫けらのように、みじめな自分に気づく。そして、私たちの神、主に会うため、自分たちのとりでから震えながら出て来る。彼らは主を恐れかしこんで、立ち尽くす。 + あなたのような神が、ほかにいるでしょうか。あなたはご自分の民の中で生き残った者の罪を赦してくださいます。あわれみを好み、ご自分のためをいつまでも怒ってはおられません。 + 再び、私たちにあわれみをかけてくださいます。私たちの罪を踏みつけ、海の底に投げ込まれます。 + 昔ヤコブに約束したように、私たちを祝福してくださいます。先祖アブラハムに約束したように、私たちを愛してくださいます。 + +
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+ + 神は、エルコシュに住むナホムに、ニネベに差し迫っている運命について次のような幻を示しました。 + 神は、ねたむほどにご自分の民を愛している。だから、その民を痛めつける者たちに復讐する。その民の敵をすさまじい勢いで滅ぼす。 + 神は怒るのに遅いが、いったん怒ると、その力は信じられないほどで、簡単には赦さない。その力を恐ろしい台風や暴風雨の中に示し、渦まく雲も、神の足の下でかき立てられる砂ぼこりのようなものだ。 + 命じると、海も川も乾いた砂地となる。バシャンとカルメルの青々とした草はしおれ、レバノンの緑の森も枯れはてる。 + 神の前に出ると、山々は震え、丘は溶ける。大地は崩れ、その住民は滅ぼされる。 + だれが、怒りに燃える神の前に立てるだろう。神の怒りは火のようで、山々はその怒りの前に崩れ落ちる。 + 主はいつくしみ深い方、苦難に会うとき、身を寄せるべき場所だ。主は、ご自分に信頼する者をすべて知っている。 + しかし、敵はあふれみなぎる洪水で一掃し、一晩中追いかける。 + ニネベよ、主に反抗するとは、何をもくろんでいるのか。神はおまえを一撃で仕留め、二度打つ必要もない。 + ご自分の敵を、からみついたいばらの塊のように火に投げ込む。彼らはわらのように、あっという間に燃え尽きる。 + 主に刃向かおうとするとは、おまえの王は、いったい何者か。 + 主は、少しも恐れていない。主はこう宣言する。「何百万もの強力な軍隊を組織しても、消えうせる。わたしの民よ。あなたはもう十分に罰を受けた。 + 今、あなたの鎖を砕き、このアッシリヤの王の奴隷のくびきから解放しよう。」 + それから、アッシリヤの王にこう宣告する。「おまえの王朝はもう終わりだ。息子たちが王位につくことはない。わたしはおまえの神々や神殿を破壊し、おまえを葬り去ろう。罪の悪臭がひどいからだ。」 + 見なさい。うれしい知らせを伝える使者たちが、山を駆け下りて来る。「侵入者は一掃され、もう心配はない。」ユダよ、感謝祭をするとふれ回り、誓ったとおり、主だけを礼拝せよ。二度と、ニネベから敵が攻めて来ることはない。彼らは永久に滅ぼされ、再びその姿を見ることはない。 + + + ニネベよ。おまえはもうおしまいだ。すでに敵の軍隊に囲まれている。警鐘を鳴らせ。城壁に人を配置し、守りを固め、全力を尽くして敵の侵入を見張れ。 + 神の民の地は、おまえの攻撃で人はいなくなり、破壊された。だが主は、彼らの誉れと力とを回復する。 + 兵士の盾は太陽の光を受け、真っ赤に輝く。攻撃開始だ。深紅の軍服を見よ。飛び跳ねる馬に引かれて、ぴかぴかの戦車が並んで進んで来るのを見よ。 + あなたの戦車は、たいまつのような光を放ちながら、向こう見ずに通りを突っ走り、広場を走り抜ける。 + 王は役人たちを呼んで叫ぶ。彼らはあわてふためいてつまずきながら、守備を固めようと、城壁に向かって走る。 + だが、もう遅い。水門は開かれた。敵が入って来る。宮殿は大騒ぎだ。 + ニネベの王妃は裸で通りに引き出され、奴隷として引いて行かれる。泣き悲しむ侍女たちもいっしょだ。彼女たちが鳩のように泣く声と、悲しんで胸を打つ音を聞け。 + ニネベは水のもれる水槽のようだ。兵士たちは町を見捨てて、こっそり逃げ出す。呼び戻すことはできない。「止まれ、止まれ」とニネベが叫んでも、彼らは走り続ける。 + 銀を奪え。金を奪え。財宝はいくらでもある。山のような富もはぎ取られてしまう。 + まもなく、この町は人っ子一人いない散乱状態となる。心は恐怖におののき、ひざは震え、彼らはぼう然として青ざめる。 + 諸国の間でライオンのようにふるまい、闘志と大胆さをみなぎらせていた町、年老いて弱くなった者も、いたいけな子どもも恐れることなく暮らしていた町、あの偉大なニネベは今、どこにあるのか。 + ニネベよ、かつての勇猛なライオンよ。おまえは妻子に食べさせるために多くの敵を押しつぶし、町と家を分捕り物と奴隷でいっぱいにした。 + しかし今、全能の主がおまえに立ち向かう。武器は破壊され、戦車は使われないままひっそりと放置される。すぐれた若者も死んで横たわる。もう、他国を征服して奴隷を連れて来ることもない。再びこの地を支配できないのだ。 + + + ああ、流血の町、偽りと略奪に満ちたニネベは災いだ。 + 聞け、むちの音を。戦車がニネベに向かって進んで来る。車輪とひづめの音を響かせて、荒々しく通りを走り抜けて行く。その音のすさまじいことよ。 + 騎兵が振りかざす剣と槍が、きらめいているのを見よ。死人が通りに横たわっている。どこもかしこも死体の山だ。人々はそれにつまずいて転び、ようやく置き上がり、再び倒れる。 + こうなったのもみな、ニネベが神の敵に自分を売ったからだ。美しいが不誠実な町、死に至らせる魅力をもつ女王は、その美しさで国々の気を引き、彼らすべてに偽りの神々を拝むことを教えて、あらゆる場所で人々を魅了した。 + 全能の主は言う。「わたしがおまえに反対するのは当然のことだ。今、全地がおまえの裸と恥を見ることになる。 + おまえを汚物で覆い、実際どんなに汚い者であるかを世界に見せよう。」 + おまえを見る者はみな、恐れてしりごみする。「ニネベは完全に廃墟と化した」と。それでも、おまえの運命を悲しむ者は一人もいない。 + おまえは、ナイル川の両岸にまたがり、四方を川で守られていたテーベよりもすぐれているだろうか。 + エチオピヤとエジプト全土はテーベの力強い同盟者で、テーベはプテとリビヤからと同様、彼らからどんな援助でも求めることができた。 + それでもテーベは陥落し、住民は奴隷となって連れて行かれたのだ。赤ん坊は道路の石にたたきつけられて死んだ。高官たちは、くじ引きで兵士たちの召使にされた。指導者はみな鎖につながれた。 + ニネベも、酔っぱらいのようにふらつき、おびえて身を隠すようになる。 + 要塞はすべて陥落する。木を揺さぶる人の口の中に落ちる、初なりのいちじくのように食べられる。 + おまえの軍隊は女のように弱く、頼る相手がいない。国のすべての門は敵に対して広く開けられ、火で焼かれる。 + 籠城に備えよ。水をたくわえよ。要塞を強固にせよ。城壁を修理するために、れんがをたくさん用意せよ。洞窟に入って粘土を足でこね、型に詰めるのだ。 + しかし、準備の最中に、火がおまえを焼き尽くす。剣がおまえを切り倒す。若いいなごが目の前にある物を平らげるように、敵がおまえを食い尽くす。おまえはばったのように増え広がるが、逃れることはできない。 + 商人は星のように多く、巨万の富でこの町を満たしたが、敵はいなごのように群がり、それを持ち去る。 + 君主や役人たちは、いなごが寒い季節に生け垣に群がるように、群がっている。ところが、日が昇って地が暖まりだすといなごも姿を消すように、全員が逃げていなくなる。 + アッシリヤの王よ。おまえの君主たちは、死んでちりの中に横たわる。おまえの民は山の向こうに散らされる。今、彼らを集める牧者はいない。 + おまえの傷は治らない。あまりにも傷が深いからだ。おまえの最期を聞く者はみな、手をたたいて喜ぶ。みな、おまえの残虐なふるまいに苦しんだからだ。 + +
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+ + これは、幻のうちに、神から預言者ハバククに示されたことばです。 + 主よ、助けを求める私の祈りに、いつになったら耳を傾けてくださるのですか。何の答えもないので、むなしく叫ぶばかりです。「助けてくれ、人殺しだ」と叫んでも、だれも助けに来てくれません。 + 私を取り囲んでいる罪と悲惨を、いつまでも見ていなければならないのですか。どこを見ても圧制とわいろがはびこり、人は議論や争いにふけっています。 + 律法は無視され、法廷では正しい裁きが行われません。悪者の数は正しい人よりはるかに多く、わいろと詐欺が公然と行われているからです。 + 主は答えました。「見よ、そして驚け。わたしがしようとしていることを知ったら、驚愕するだろう。それはあなたが生きているうちに起こる。目で見なければとても信じられないようなことだ。 + 地上の新しい勢力として、カルデヤ人を起こす。残忍で横暴なこの民は、世界を行き巡り、征服する。 + その残酷さは世に鳴り響く。やりたい放題のことをするが、だれにもそれをじゃまされない。 + その馬は豹よりすばやく、民の狂暴さは日暮れの狼もかなわないほどだ。騎兵は遠い地から誇らしげに前進して来る。鷲のように急降下して獲物に飛びかかる。 + 反対する者はみな、その姿を見ると、おびえていなくなる。まるで砂を集めるように、彼らは捕虜を集める。 + 彼らは王や君主をあざけり、要塞を鼻であしらう。城壁に向かって土を積み上げただけで、それを占領してしまう。 + 風のように吹き抜け、去って行くが、彼らの罪は重い。その力は自分たちの神々から与えられたと言い張るからだ。」 + ああ、私の神である主、聖なる永遠のお方よ。このことはみな、私たちを抹殺するためなのですか。そんなはずはありません。私たちの岩である神よ、あなたは、恐ろしい罪を犯した私たちを懲らしめ、正しい者にしようとして、カルデヤ人を起こされたのです。 + 私たちは悪い者ですが、彼らはもっと悪いのです。どんな罪をも見のがさないあなたは、私たちが彼らにのみ込まれるのをただ立って見ておられるのですか。悪者たちが彼らよりましな者を滅ぼすのを、黙って見過ごすべきでしょうか。 + 私たちは、捕らえられて殺される魚にすぎないのですか。敵から守ってくれる指導者のいない、はい回る虫けらにすぎないのですか。 + 彼らは楽しみながら、私たちを釣り針で釣り上げ、網で引きずるのでしょうか。 + そうならば、彼らはその網を拝み、その前で香をたいて、「これが、われわれを豊かにしてくれる神々だ」と言うでしょう。 + いつまでも、こんなことをさせておくのですか。彼らは情け容赦なく戦い、いつまで勝ち続けるのでしょうか。 + + + 今、私は見張り台に立ち、神が私の訴えにどう答えるか待っていましょう。 + すると主はこう言いました。「板に、わたしの答えを書き記せ。だれでもひと目で読んでほかの者にすぐ伝えることができるように、大きな字で、はっきり書きなさい。 + だが、わたしが計画しているこのことは、今すぐには起こらない。ゆっくりと、着実に、確かに、幻が実現する時が近づいている。遅いように思えても、失望してはならない。これらのことは必ず起こる。忍耐していなさい。ただの一日も遅れることはない。 + 今から言うことをよく聞いておけ。このカルデヤ人たちがそうするように、悪者は自分だけを信頼して失敗する。だが正しい人は、わたしを信頼して生きる。 + そのうえ、このおごり高ぶったカルデヤ人は、自分たちのぶどう酒によって裏切られる。ぶどう酒は人を欺くものだからだ。彼らは貪欲で、多くの国をかき集めてきたが、まるで死や地獄のように、決して満足しない。 + 捕らえられた者たちが彼らをあざける時がこようとしている。『強盗ども。とうとう年貢の納め時だ。人を虐げ、ゆすり取った当然の報いを受けろ』と。」 + 「突然、おまえに借りのある者たちが怒って刃向かい、おまえの持ち物を奪い取る。その時、おまえはなすすべもなく立ち尽くし、震える。 + おまえは多くの国を破滅させた。今度はおまえが破滅する番だ。人殺しめ。おまえは田舎とすべての町を無法状態にした。 + 邪悪な手段で富を得ながら、危険を逃れて生きようとしているおまえは災いだ。 + 殺人を犯すことで自分の名を辱め、いのちさえ失っている。 + まさに、自分の家の壁の石がおまえを訴え、天井の梁がそれに同調している。 + 殺人と強奪で得た金で町を築くおまえは災いだ。 + 主に逆らう国々の利益は彼らの手の中で灰になると、主は定めていなかったか。彼らがどんなに精を出しても、すべてが水の泡だ。 + (海が水で満たされているように、全地が主の栄光を知ることで満たされる時がくる。) + 酔っぱらいをこづくように、近隣の国々をよろめかせ、その裸と恥を眺めて楽しんでいるおまえは災いだ。 + やがておまえの全盛期は終わり、辱められる。神のさばきの杯を飲み干すがいい。よろめいて倒れよ。 + おまえはレバノンの森を切り倒した。今度はおまえが切り倒される。おまえは罠で捕らえた野獣を恐ろしい目に会わせた。今度はおまえが恐ろしい目に会う。至るところの町々で、殺人と暴虐を行ったからだ。 + 人間が造った偶像を拝んで、何の得があったのか。そんな物が助けになるなど、全く愚かなうそだ。自分で造った物を信頼していたとは、なんと愚かな者か。 + いのちのない木の偶像に、起きて自分たちを救えと命じる者、物言わぬ石に、何をすべきか教えてほしいと呼びかける者は災いだ。偶像は、神の代わりに語ることができるのか。金銀で覆われているが、その中にいのちは全くない。 + しかし主は、ご自分の聖なる神殿にいる。全地はその御前に静まれ。」 + + + これは、ハバククが主の前で歌った勝利の祈りです。 + 主よ。今、私は、あなたのうわさを聞きました。あなたがしようとしておられるみわざを知り、恐れをもって礼拝しています。この非常時に直面している私たちを、再び、昔のあなたのようにお助けください。あなたの力を示してください。御怒りの中にも、あわれみを忘れないでください。 + 神がシナイ山から砂漠を越えて来られるのが見えます。その輝きが天地に満ちています。その栄光は天に満ち、地は神への賛美でいっぱいです。神は、なんとすばらしい方でしょう。 + 両手からは、まばゆいばかりの光が放たれます。神は恐るべき力を秘め、 + 疫病を従えて進みます。 + 神はしばらくの間じっと立ち止まり、地上を見渡します。それから国々を揺り動かし、今までびくともしなかった山々を打ち砕き、丘を平らにするのです。あなたの力は変わることがありません。 + クシャンとミデヤンの人々が恐れおののいているのが見えます。 + 主よ、川を打ち、海の水を左右に分けたのは、怒ってそうしたのですか。川や海に不満を抱いたからですか。いいえ、あなたの救いの戦車を遣わそうとされたのです。すべての人がその力を見ました。それから、あなたが命じると、泉が地の上にわき出ました。 + 山々はそれを見て、震えました。激流が走り、深い淵が叫んで、主への降伏を告げました。 + 見上げる太陽と月は光を失い始め、あなたの矢から発する輝きと槍のひらめきとで、ぼやけています。 + あなたは憤りに燃えて地を行き巡り、御怒りで国々を踏みつけました。 + ご自分が選んだ民を救うために出て行き、悪者たちの頭を砕き、頭のてっぺんから足のつま先まで、その骨をさらしものにしました。 + イスラエルなど物の数ではないと、つむじ風のようにやって来た者たちを、彼らの武器で滅ぼしました。 + あなたの騎手たちは海を渡って前進し、大水は高くもり上がりました。 + このすべてを聞いて、私は震え、歯ががくがくしています。足もとがふらつき、ぶるぶる震えています。私は、侵略した民に苦しみが襲いかかる日を、静かに待ち望みましょう。 + いちじくの木が全滅して花も実もつけず、オリーブの木も実りがなく、畑が荒れたままであっても、羊の群れが野で死に、牛小屋がからっぽでも、 + 私は主を喜びます。私を救ってくださる神のおかげで幸せです。 + 神、主は私の力です。私を鹿のように速く走れるようにし、山の向こうに安全に連れて行ってくださるのです。(聖歌隊の指揮者のために。この頌歌を歌うときは弦楽器の伴奏で歌うこと。) + +
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+ + 表題――主からのことば。あて先――ゼパニヤ。彼はクシの子、ゲダルヤの孫、アマルヤの曾孫、ヒゼキヤの曾々孫。時代――ユダの王、アモンの子ヨシヤの治世。 + 主はこう言う。「わたしは、おまえの国にあるものを一掃し、徹底的に滅ぼす。 + 人も動物もだ。人間と人間が拝む偶像、すべては消え去る。空の鳥も海の魚も死に絶える。 + わたしはこぶしでユダとエルサレムを打ち砕き、残っているバアルの礼拝者を断ち滅ぼす。偶像に仕える祭司を抹殺し、そのため、彼らの記憶さえ消え去る。 + 彼らは屋上に上って、太陽や月や星を拝んでいる。『主に従っている』と言いながら、モレクをも礼拝している。わたしは、そんな彼らを滅ぼす。 + そして、以前は主を礼拝していたのに今は礼拝していない者や、主を愛したことも愛そうと思ったこともない者を滅ぼす。」 + 静まって、主の前に立て。主のさばきの恐ろしい日がくるからだ。神はご自分の民を虐殺する手はずを整え、死刑執行人を選んでいる。 + 「さばきの日に、わたしはユダの指導者と君主たち、それに異教の服を着ている者すべてを罰する。 + そうだ、異教の習慣に従う者や、盗みや人殺しをほしいままにして、主人の家を暴力と詐欺による邪悪な利得で満たす者を罰する。 + 警告を発する叫び声が、エルサレムの中心から遠く離れた門から上がり、だんだん近づいてきて、ついに前進する軍勢の音が、町が立っている丘の頂に達する。 + エルサレムの民よ、泣き悲しめ。町の貪欲な商売人、高利貸しは一人残らず死ぬのだ。 + わたしは、ともしびをかざして、エルサレムの暗い隅々まで捜し回る。罪にどっぷりつかり、神に関心を示さず、神はそっとしておいてくれると考えている者たちを見つけ出して罰するのだ。 + 彼らの財産は敵に奪われ、家は荒らされる。自分たちが建てた新しい家に住む機会は決してない。自分たちが植えたぶどう畑のぶどう酒を飲むことも決してない。 + その恐るべき日は近い。急ぎ足でやってくる。その日には、勇士たちも泣きくずれる。 + それは神の怒りが注ぎ出される日、恐ろしい苦悩と苦痛の日、崩壊と荒廃の日、暗闇と陰鬱、暗雲と暗黒の日。 + 角笛が吹き鳴らされ、ときの声が上がる。城壁で囲まれた町と、最も強固な胸壁が崩れ落ちる。 + わたしは彼らを、目が見えずに手探りで道を捜し回る人のように無力にする。主に罪を犯したからだ。それで、彼らの血はちりの中に注ぎ出され、死体は地面に置かれたまま朽ちはてる。」 + あなたがたの金銀も、主の怒りの日には役に立たない。そんなもので自分の身代金を払うことはできない。神のねたみの炎が、全地をなめ尽くすからだ。神はユダの民すべてをたちまちのうちに取り除く。 + + + 集まって祈れ、恥知らずの民よ。 + まだ時間があるうちに。さばきが始まり、残された機会がもみがらのように吹き飛ばされる前に。主の激しい怒りが襲いかかり、御怒りの恐るべき日が始まる前に。 + 謙遜な者たちよ、従おうと努力してきた者たちよ、神に助けを請え。謙遜に歩み、正しいことを行え。そうすれば、その運命の日に主に守ってもらえるかもしれない。 + ガザ、アシュケロン、アシュドデ、エクロン、これらのペリシテ人の町も、根こそぎにされ、荒れはてたままにされる。 + 海岸とカナンの地に住むペリシテ人は災いだ。さばきはおまえたちにも向けられているからだ。主はおまえたちを一人残らず滅ぼしてしまう。 + 海岸地帯は牧草地となり、羊飼いがテントを張り、羊がたわむれるようになる。 + そこでは、わずかに生き残ったユダ部族が家畜を放牧する。彼らは、使われなくなったアシュケロンの家に身を横たえて休む。神である主が、ご自分の民を親しく訪れ、元どおり繁栄させてくださるからだ。 + イスラエルの神、全能の主は言う。「わたしは、モアブとアモンの民がわたしの民をあざけり、この地を侵略した時のののしりを聞いた。だから確実に、モアブとアモンは、ソドムとゴモラのように滅ぼされ、いら草が茂る所、塩の穴、永久に荒廃した地となる。生き残ったわたしの民が、そこを奪って自分のものにする。」 + 彼らは高慢の報いを受ける。全世界を支配する主の民をあざけったからだ。 + 主は彼らをひどい目に会わせる。外国の勢力の神々をことごとく餓死させ、全世界ですべての人々が自分の住む地で主を礼拝するようになる。 + エチオピヤ人よ。おまえたちも主の剣で殺される。 + 北の地も同様だ。神はアッシリヤを滅ぼし、その壮大な首都ニネベを荒野のような不毛の地にする。 + あの隆盛を誇っていた町は羊の牧草地となる。あらゆる野の獣がそこに住みつく。針ねずみは巣穴を掘り、はげたかやふくろうは宮殿の廃墟に住み、破れた窓で鳴く。からすは扉のところで鳴く。高価な杉の羽目板も、風雨にさらされたままになる。 + これが、「世界中で自分ほどすばらしい町はない」と言って、安らかに暮らしていた、あの広大で繁栄した都の運命だ。しかし今、見るがいい。荒れはて、動物の住みかとなってしまった。そこを通る者はみなあざけるか、とても信じられないといった顔で首を振る。 + + + 罪と汚れに満ちたエルサレム、暴力と犯罪の町は災いだ。 + おごり高ぶって、神の声にさえ耳を貸そうとしない。だれもこの町と話ができない。あらゆる懲らしめを拒んでいるからだ。主に信頼せず、神を求めようとしない。 + エルサレムの指導者たちは、獲物を求めてほえるライオンのようだ。手に入れることができるなら、どんなものでもねらっている。裁判官たちは日暮れの飢えた狼のようだ。明け方には、獲物の痕跡を残さない。 + エルサレムの預言者たちは自分の利得を求める偽り者だ。祭司たちは律法に背いて、神殿を汚している。 + しかし、主はそんな町の中にいても不正を行わない。日に日に神の正義が明らかになる。ところが、だれも注意を払わない。悪者たちは恥知らずだ。 + 「わたしは多くの国を切り捨て、その全領域を荒廃させた。通りは荒れはてて静まり返り、町々は、何が起こったかを思い出す者は一人も残らないまま見捨てられた。 + わたしは思った。『今こそ、彼らはわたしの言うことを聞くだろう。確かにわたしの警告に耳を傾けるから、二度と打つ必要はない』と。ところが、そうではなかった。どんなに罰しても、夜明けから夕暮れまで、夕暮れから夜明けまで、悪を行っている。」 + それでも、主はこうお語りになる。「もう少しの我慢だ。悪に染まったこの国々を告発するためにわたしが立ち上がる時が、すぐにくる。地上の国々を一つに集め、最も激しい怒りと憤りを下すと決めている。全地は、わたしのねたみの炎で焼き尽くされる。 + その時、戻って来るわたしの民の語ることばを純粋なヘブル語に変え、全員が共に主を礼拝できるようにする。 + 散らされたわたしの民でエチオピヤの川の向こうのスーダンに住んでいる者も、ささげ物を携えて来て、もう一度彼らの神になってくれるよう、わたしに願う。 + その時あなたは、もうわたしに反逆しないので、恥じ入る必要はない。あなたの中から、高ぶっている横柄な人々を取り除く。わたしの聖なる山に、おごり高ぶる者は一人もいなくなる。 + 残された者は貧しく謙遜な人々で、主の名に信頼する。 + 罪を犯さず、偽りを言わず、欺くこともない。静かで平和な生活を送り、安らかに眠りにつく。だれにも脅やかされることがない。」 + シオンの娘よ、歌え。イスラエルよ、叫べ。エルサレムの娘よ、心から喜び楽しめ。 + 神はさばきの手を引っ込め、あなたの敵の軍を追い散らすからだ。イスラエルの王である主ご自身が、あなたのうちに住む。ついにあなたの苦しみは終わる。もう恐れる必要はない。 + その日、エルサレムに告げ知らされる。「元気を出せ。恐れるな。 + あなたの神、主が、あなたのうちに住むために到着したからだ。この方は力ある救い主で、勝利をお与えになる。あなたのことをことのほか喜ぶ。あなたを愛し、責めることはなさらない。」聞こえてくるのは、喜びにあふれた聖歌隊の歌声だろうか。いや、神が、あなたがたのことを喜び、歌っているのだ。「わたしは傷ついた者を集め、あなたの恥を取り去ろう。 + また、あなたを虐げた者をきびしく扱おう。頼る相手のいない弱い者を救い、追い払われた者を集めよう。捕囚としてあざけられ、辱めを受けたわたしの民に誉れを与えよう。 + その時、わたしはあなたがたを呼び集め、連れ戻そう。そして、全地のあらゆる国民の間で抜きん出た、りっぱな名を授けよう。あなたがたの目の前で、あなたがたを元どおり繁栄させる時、彼らはあなたがたを称賛する。」このように主が言う。 + +
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+ + 表題――主からのメッセージ。あて先――預言者ハガイ。それを、シェアルティエルの子、ユダの総督ゼルバベルと、エホツァダクの子、大祭司ヨシュアに伝えた。時代――ダリヨス一世の治世の第二年の第六の月の一日。 + 「なぜ、今はわたしの神殿を再建するのにふさわしい時ではないと、だれもが言うのか」と主は尋ねます。 + 彼らに対する主の答えはこうです。「では、神殿が荒れはてたままなのに、あなたがたはぜいたくな家に住むのにふさわしい時なのだろうか。 + その結果を見よ。 + たくさん種をまいても、ほとんど収穫がない。飲み食いにも事欠き、寒さを防ぐ衣服も十分にない。収入は、穴の開いた財布に入れるようにすぐなくなる。」 + 全能の主はこう言います。「自分たちがどのようなことをしてきたか、その結果どうなったかをよく考えなさい。 + そして、山に登り、材木を切り出して、わたしの神殿を再建するのだ。わたしは喜んで受け入れ、わたしの栄光をそこに現そう。 + あなたがたは多くを望んでも、少ししか得られない。それを家に持ち帰っても、わたしが吹き飛ばす。結局続かないのだ。なぜか。わたしの神殿が廃墟のままなのに、気にかけないからだ。自分たちのりっぱな家にばかり気を配っている。 + それゆえ、わたしは天から雨を降らせず、わずかな収穫しか与えない。 + 事実、平地にも高地にも、日照りを呼び寄せた。麦もぶどうもオリーブも他の穀物も、みな干からび、人も家畜も飢えに苦しむ。いくら仕事に精を出しても、すべては水の泡だ。」 + そこで、シェアルティエルの子でユダの総督ゼルバベルと、エホツァダクの子で大祭司ヨシュアと、その地に残ったわずかな民は、ハガイが語った、彼らの神、主からのことばに従いました。真剣に主を礼拝するようになったのです。 + その時主は、主の使者であるハガイを通して再びメッセージを送り、彼らに語りました。「あなたがたと共にいて祝福する」と。 + そして、主は神殿再建の願いを彼らに起こさせたので、彼らはダリヨス王の治世第二年の第六の月の二十四日にみな集まり、進んで仕事に取りかかりました。 + + + 同じ年の第七の月の二十一日に、主は次のようなことばをハガイを通して彼らに送りました。 + 「総督と大祭司、およびこの地に残っているすべての者に、こう尋ねよ。 + 『あなたがたの中に、前にあった神殿を思い出せる者がいるか。それは栄光に輝く神殿であった。それに比べると、今は無に等しいのではないか。 + しかし勇気を出せ、ゼルバベル、ヨシュア、すべての民よ。元気を出して働け。わたしが共にいるのだからと、全能の主が言われる。 + エジプトを出た時、わたしの霊がおまえたちにとどまる、と約束した。だから恐れるな。』 + 全能の主は語ります。『しばらくして、わたしは天と地を、また海も、そして乾いた地を揺り動かし始める。 + すべての国を揺り動かす。すべての国の望みである者がこの神殿に来て、わたしはここをわたしの栄光で満たす。 + この神殿の未来の輝きは、最初の神殿の輝きより大きくなる。それに必要な金銀を、わたしがたくさん持っているからだ。そしてわたしは、ここに平和をもたらす』と主は言われる。」 + ダリヨス王の治世第二年の第九の月の二十四日に、次のようなことばが、主から預言者ハガイを通して示されました。「 + 祭司たちに、律法について次のように尋ねよ。 + 『あなたたちのうちだれかが、聖なるいけにえを衣のすそに入れて運んでいて、そのすそがパンかぶどう酒か肉に触れたなら、触れたものも聖なるものとなるか。』」祭司は答えました。「いや、そんなことできよさは他のものに移らない。」 + ハガイは続けて尋ねました。「しかし、だれかが死人に触れるなら汚れる。では、その人が何かに触れると、それも汚れるか。」「そのとおり」と祭司たちは答えました。 + ハガイは質問の真意をはっきりさせて、こう言いました。「あなたがた民は、身勝手な態度と良くない思いをもって過ごすことで、自分がささげるいけにえを汚していた。いけにえだけではなく、わたしに対する奉仕として行うことも汚していた。 + それで、なすことすべてうまくいかなかったのだ。だが、今からは違う。神殿を建て始めたからだ。 + 前には二十束の収穫を期待しても、十束しかなかった。五十桶分のオリーブ油を絞ろうとしても、二十桶分しか絞れなかった。立ち枯れ病と黒穂病と雹で、あなたがたの労働に報いたからだ。それでもあなたがたは、わたしのもとに帰ろうとしなかった、と主は言われる。 + さあ今、このことを心に留めよ。この月の二十四日、すなわち、主の神殿の土台が据えられたこの日から、そしてこの日から先、わたしはあなたがたを祝福しよう。心に留めよ。あなたがたが神殿の再建を始める前、穀物を刈り入れる前に、ぶどう、いちじく、ざくろ、オリーブが実を結ぶ前に約束しておこう。今日からのち、わたしはあなたがたを祝福する。」 + 同じ日に、主からもう一つのことばがハガイに示されました。 + 「ユダの総督ゼルバベルに告げよ。『わたしは天と地を揺り動かそうとしている。 + 王座をくつがえし、諸国民の王国の力を滅ぼそうとしている。わたしはその兵力を砕き、兄弟や仲間は互いに殺し合う。 + しかし、そのことが起こったら、わたしのしもべゼルバベルよ、あなたを選んで、わたしの指にはめた印章のように誉れを授ける。わたしがあなたを選んだからだ。』このように、全能の主は言われる。」 + +
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+ + 表題――主からのことば。これはダリヨス王の第二年の第八の月に、ベレクヤの子、預言者イドの孫、ゼカリヤに主から示されました。 + 全能の主は、あなたがたの先祖に激しい怒りを燃やした。 + だが、あなたがたが主のもとに帰りさえすれば主もあなたがたのもとに帰る。 + 先祖たちのようであってはならない。先の預言者たちは、先祖たちに悪の道から離れるように訴えたが、むだだった。「さあ、わたしのもとに帰れ」と神、主は語った。だが彼らは聞こうとせず、全く心を向けなかった。 + 先祖も預言者も、とうの昔に死んでしまったが、彼らが学んだ、「神のことばは永遠にとどまる」という教訓を忘れてはならない。神のことばは彼らに迫り、彼らを罰した。それで、ようやく悔い改めたのだ。彼らは言った。「神から当然の報いを受けた。神は警告どおりのことをなさったのだ。」 + 続く第十一の月、主からのことばが、夜の幻のうちに、ベレクヤの子で預言者イドの孫、ゼカリヤに示されました。 + 私は、川のそばのミルトスの木の間に、一人の人が赤い馬にまたがっているのを見ました。そのうしろに赤、栗毛、白の別の馬が続き、それぞれ人が乗っています。 + 一人の御使いが私のそばに立っていたので、「あの馬は何のためですか」と尋ねました。「話してあげよう」と彼は返事をしました。 + そして、赤い馬に乗っていた人が答えました。その人は主の使いだったのです。「主が彼らを遣わして地上を巡回させたのだ。」 + ほかの乗り手が主の使いに報告しました。「世界中を巡回したところ、どこも繁栄し平和です。」 + これを聞いて、主の使いは祈りました。「全能の主よ。七十年間、あなたの怒りはエルサレムとユダの町々を襲いました。いつになったら、もう一度あわれみを示してくださるのでしょうか。」 + 主は、私のそばに立っている御使いに答えて、慰めと確信に満ちたことばを語りました。 + その御使いは言いました。「全能の主からのこのことばを、大声で告げなさい。『ユダとエルサレムに起こったことに、わたしが無関心でいると思うか。夫が捕虜となった妻を思うように、わたしは彼らのことを思っている。 + 安逸をむさぼっている異教の国々に、激しい怒りを燃やしている。わたしは自分の民にほんの少し腹を立てただけなのに、その国々は彼らを、わたしが考えていたよりもずっとひどい目に会わせたからだ。』 + そえゆえ、主は宣言します。『わたしはエルサレムに帰って、そこをあわれみで満たす。わたしの神殿は再建され、エルサレム全体も建て直される』と、全能の主が言われます。 + もう一度言いなさい。『全能の主は、イスラエルの町々が再び栄え、主が再びエルサレムを慰め、祝福し、そこに住む、と宣言しておられる』と。」 + それから私は、動物の四本の角を見ました。 + 私はその御使いに、「これは何ですか」と尋ねました。「ユダとイスラエルとエルサレムを散らした四つの世界勢力を表している」と御使いは答えました。 + それから主は私に、四人の鍛冶職人を見せました。 + 私は、「この人たちは何をしに来たのですか」と尋ねました。御使いが答えました。「ユダを散り散りにさせた四本の角をつかんで、金床の上でたたいて砕き、投げ捨てるために来たのだ。」 + + + もう一度あたりを見回すと、一人の人が手に測り縄(物差しとして用いる縄)を持っているのが見えました。 + 「どこへ行くのですか。」「エルサレムを測りに行く。民全員を入れる大きさがあるかどうか、調べたいのだ」とその人は答えました。 + 私と話していた御使いが出て行くと、もう一人の御使いが彼に近づき、 + こう言いました。「あの若者に、『いつの日かエルサレムは人であふれ、狭すぎるようになる』と告げなさい。町の城壁の外に多くの人がたくさんの家畜といっしょに住むようになる。それでも危険はない。 + 主が、彼らとエルサレム全体を守る火の城壁となるからだ。主はこの町の栄光となる。』 + 『さあ、北の国から、バビロンから逃げよ』と、主はバビロンに連れて行かれた者に言われる。「わたしはあなたがたを空中に散らしたが、もう一度連れ帰る。さあ、逃れよ、シオンに逃れよ。」 + あなたがたを虐待した国々に私をお遣わしになった主は言う。『あなたがたを害するのは、わたしの目に指を突き刺すのと同じだからだ。 + わたしは、こぶしで彼らを打ちのめし、彼らの奴隷が彼らの支配者となる。』その時あなたがたは、私を遣わした方が全能の主であることを知る。 + エルサレムよ、喜び歌え。わたしが来て、共に住むからだと主は言われる。 + その時、多くの国が主に心を向け、彼らもわたしの民となる。わたしは彼らすべてと共に住む。その時あなたがたは、私をあなたがたに遣わした方が全能の主であることを知る。ユダは、聖なる地で神の相続財産となる。神がもう一度エルサレムを選んで祝福するからだ。 + すべての人よ、主の前で静まれ。主が天から、その聖なる住まいから地に来られるからだ。」 + + + それから、その御使いは私に幻の中で、主の使いの前に立っている大祭司ヨシュアを見せてくれました。サタンも主の使いの右手にいて、ヨシュアを多くのことで訴えていました。 + 主はサタンに言いました。「サタンよ、おまえの訴えは退ける。私、主が、エルサレムに情け深くすると決めたので、おまえを非難する。ヨシュアとその民を助けると決めた。彼らは火の中から取り出した燃えさしのようなものだ。」 + 主の使いの前に立った時、ヨシュアの服は汚れていました。 + するとその御使いはそこに立っているほかの者たちに、「汚れた服を脱がせなさい」と言いました。それからヨシュアの方を向いて、「さあ、あなたの罪を取り去った。今、このりっぱな新しい服を着せよう」と言いました。 + 私が「どうぞ、きれいなターバンも」と言うと、彼らはそのとおりにしてくれました。それから、主の使いはおごそかな調子でヨシュアに語りかけました。 + 「全能の主は、こう宣言される。『わたしが用意した道に従い、わたしが命じることをすべて行うなら、わたしの神殿を管理させ、そこをきよく保たせよう。そして、この御使いたちと共に、わたしの前を出入りさせる。 + 聞け、大祭司ヨシュアとほかの祭司たちよ。あなたがたは、やがて起こる良いことのしるしとなる人たちだ。わからないか。ヨシュアは、わたしが遣わす若枝(メシヤ)、わたしのしもべを表している。 + 彼は、ヨシュアがそのかたわらに立っている神殿の礎石となり、わたしはその上に七回、「わたしは一日で、この地の罪を取り去る」と彫りつける。』 + 全能の主はこう宣言される。『そののち、あなたがたは平和で豊かな生活をし、それぞれ自分の家を持ち、隣人を招くようになる。』」 + + + それから、話していた御使いが、私が眠っていたかのように私を呼び起こしました。 + 「今、何が見えるか。」「七つのともしび皿がついた金の燭台です。てっぺんにオリーブ油をためる所があり、七本の管を通ってそれぞれの皿に油が流れ込みます。 + また、燭台の油タンクの両側に、オリーブの木が一本ずつ彫りつけてあるのが見えます。 + 何でしょう。意味がわかりません。」 + 「ほんとうに知らないのか。」「はい。知りません。」 + 「これは、ゼルバベルへの神のことばだ。『権力によるのでも、能力によるのでもなく、わたしの霊によって』と全能の主が言われる。あなたがたは少数で、弱いが、わたしの霊のゆえにやり遂げることができる。 + だから、どんなに高い山が立ちはだかってもゼルバベルには何でもない。そして彼は、神のあわれみに大声で感謝しながらこの神殿を建て上げ、すべてが恵みによってのみ行われたと言うようになる。」 + 私は主から次のような別のことばを示されました。 + 「ゼルバベルは神殿の土台を据え、それを完成させる。その時あなたは、これらのことばが全能の主である神からのものであったことを知る。 + これを小さなことと考えてはならない。主はその仕事が始まり、ゼルバベルの手に重りをつけた糸があるの見て喜んでいる。七つのともしびは、世界中を見渡す主の目を表すからだ。」 + それから私は、燭台の両側にある二本のオリーブの木と、 + 二本の管を通して油を金の鉢に注ぐ二本の枝のことを御使いに尋ねました。 + 「あなたはこれが何か知らないのか。」「はい。」 + 「それは、全地の主を助ける、二人の油を注がれた者を表す。」 + + + また目を上げると、空中を飛んでいる巻物が見えました。 + 「何が見えるか。」「飛んでいる巻物です。長さが二十キュビト(約九メートル)、幅が十キュビトくらいあるようです。」 + 「巻物は、全地に及ぶ神ののろいのことばを示している。盗みをしたり、うそをついたりする者はみなさばかれ、死刑の宣告を受けたと書いてある。」 + 全能の主は言います。「こののろいを、すべての盗人の家と、わたしの名によって偽りの誓いをするすべての者の家に送る。わたしののろいはその家にとどまり、徹底的に滅ぼす。」 + それから御使いは、しばらく私を置き去りにしていましたが、戻って来てこう言いました。「上を見よ。何かが空を通って行く。」 + 「何ですか、あれは。」「全地にはびこる罪でいっぱいの大きなかごだ。」 + 突然、かごの重い鉛のふたが開きました。かごの中に一人の女が座っているではありませんか。 + 御使いは「この女は罪悪を表している」と言い、女をかごに押し込め、重いふたをしっかりかぶせました。 + 続けて見ていると、こうのとりのような翼を持った二人の女が、こちらに飛んで来ました。二人は大きなかごを持つと、空高く舞い上がりました。 + 「かごの中の女を、どこへ連れて行くのですか」と私は尋ねました。 + 「バビロンだ。そこにかごのために神殿を建て、それを拝むことになる。」 + + + それから、また見上げると、青銅でできた二つの山のように見えるものの間から、四台の戦車が出て来ました。 + 初めの戦車は赤毛の馬たちが、次のは黒い馬たちが、 + 三番目のは白い馬たちが、四番目のあし毛の馬たちが引いています。 + 「これは何ですか」と私が尋ねると、 + 御使いは答えました。「全地の主の前に立つ、天の四つの霊だ。自分の仕事を行うために出て行くところだ。 + 黒い馬が引く戦車は北へ行き、白い馬のがあとに従う。あし毛の馬が引く戦車は南へ行く。」 + 赤い馬たちは、出て行って地を駆け巡るのを待ちきれないでいました。そこで主が、「行け。巡回を始めよ」と言うと、すぐ出て行きました。 + その時、主は私を呼んで、こう言いました。「北へ行った者たちはわたしのさばきを執行し、その地でわたしの怒りを静める。」 + 主から別のことばがありました。 + 「ヘルダイとトビヤとエダヤは、バビロンで捕囚の身となっているユダヤ人からの贈り物として、金や銀を持って来る。一行が着いたその日に、ゼパニヤの子ヨシヤの家で出迎えよ。そこに彼らは滞在することになる。贈り物を受け取り、そこから、金と銀で冠を作れ。そして冠をエホツァダクの子大祭司ヨシュアにかぶせる。 + 全能の主がこう言われると彼に告げよ。『あなたは、やがて来る人を表している。その名は「若枝」で、自分自身から成長し、主の神殿を建てる。 + さらに王の称号を受ける。彼は王としても、祭司としても世を治め、二つの間には完全な一致がある。』 + それから、ささげ物をしたヘルダイ、トビヤ、エダヤと、ヨシヤの栄誉のために、主の神殿にその冠を安置せよ。 + 遠い地から来たこの三人は、主の神殿を再建するために、いつか遠い地から来る人々を表している。そのことが起こる時、あなたがたは、私のことばが全能の主である神からのものであったことを知る。だが、神である主の命令に注意して従わないなら、このようなことは一つも起こらない。」 + + + ダリヨス王の第四年の第九の月に、主から私にことばがありました。 + ベテルの町のユダヤ人は、王の行政長官サル‧エツェルとレゲム‧メレクの率いる人々を、エルサレムにある主の神殿に遣わしました。それは、神の祝福を求めるためと、 + 毎年第五の月に断食をして嘆くという伝統的習慣を続けるべきかどうか、祭司や預言者に尋ねるためでした。 + 主の答えは次のとおりでした。 + 「ベテルに帰ったら、全住民と祭司たちに言いなさい。『捕囚の七十年間、あなたがたは第五の月と第七の月に断食して嘆いたが、本気で罪から離れてわたしに帰ろうとしたか。全く、そんなことはなかった。 + そして今、神への聖なる祝宴の時も、わたしのことなど考えず、自分たちのことばかり考えている。 + 昔、エルサレムが栄え、その南方にも平地に沿って人が大ぜい住んでいたころ、預言者が警告していたのは、このような状態のままでは滅びを免れないということだったが、そのとおりになった。』」 + それから、主からゼカリヤに、次のようなことばがありました。「彼らにこう言いなさい。正直に公平にふるまえ。わいろを取ることなくだれに対しても情け深く、親切にせよ。 + 未亡人や孤児、外国人や貧しい人を虐げることをやめ、互いに悪をたくらむな、と彼らに告げなさい。 + あなたがたの先祖は、それに耳を貸そうとしなかった。強情に顔をそむけ、耳をふさいでわたしのことばを聞くまいとした。 + 心を火打ち石のように堅くして、全能の主である神が命じたことば、主の霊によって先の預言者たちを通して示された教えを聞くことを怖がった。だから、あれほど激しい神の怒りが下ったのだ。 + わたしが呼んでも、彼らは聞こうとしなかった。それでわたしは、彼らがわたしに向かって叫んだ時、顔をそむけた。 + 彼らをはるかかなたの国々に、つむじ風で吹き飛ばすようにまき散らした。彼らの地はさびれ、行き交う者もいなくなった。麗しい地は荒れすたれ、不毛の地となった。」 + + + 再び主のことばが私にありました。 + 全能の主はこう言います。「エルサレムの敵がエルサレムに行ったすべてのことで、わたしは心穏やかでないどころか、激しく怒っている。 + 今、自分の地に帰り、自分から進んでエルサレムの中に住もう。エルサレムは『忠実な町』『聖なる山』『全能の主の山』と呼ばれるようになる。」 + 「エルサレムには平和と繁栄が長く続くので、再び、通りは老人たちが杖をついてゆっくり歩き、 + 子どもの遊ぶ声でいっぱいになる」と。 + 主は言います。「こんなことは、わずかな生き残りで落胆しているあなたがたにはとても信じられないだろう。だが、このわたしには取るに足りないことだ。 + たとえどこに散らされていても、わたしの民を西からも東からも救い出す。そのことを確信してよい。 + 彼らを故郷に連れ帰り、安全にエルサレムに住まわせる。彼らはわたしの民となり、わたしは公正と真実をもって彼らの神となる。」 + 全能の主は言います。「仕事を進めて完成させよ。もう長く聞いてきたことだ。神殿の基礎工事が始まって以来、預言者たちは、完成のあかつきには祝福が待っていると言い続けてきたのだから。 + 工事が始まる前は、仕事も収入も安全もなかった。町を出たら、戻れる保証はなかった。犯罪がはびこっていたからだ。」 + 全能の主は言います。「しかし今、すべてが変わった。 + あなたがたの間にわたしが平和と繁栄の種をまいているからだ。穀物の収穫は豊かで、ぶどうの枝は実の重みでたれさがる。雨に恵まれて土地は肥沃になる。この地に残された民に、これらの祝福がすべて与えられる。 + 『ユダのように貧しくなるがいい。』人をのろうとき、異教徒はそう言った。それもこれまでだ。今からは『ユダ』はのろいのことばではなく、祝福のことばとなる。人々は、『ユダのように栄え、幸せであるように』と言うだろう。だから、恐れたり、気落ちしたりするな。神殿の再建を進めるのだ。 + そうすれば、必ずあなたがたを祝福する。わたしが心変わりするかもしれないなどと思うな。あなたがたの先祖がわたしを怒らせた時、わたしは必ず罰すると約束し、言ったことを実行した。あなたがたを祝福するという決意も変えることはしない。 + これがあなたがたの果たすべき役割だ。真実を語り、公平であれ。すべての人と平和に暮らしなさい。 + 人を傷つけることをたくらんではならない。ほんとうではないのに、ほんとうだと誓ってはいけない。わたしはそのようなことを憎むからだ。」 + さらに次のようなことばが、主から私に示されました。 + 「第四の月、第五の月、第七の月、第十の月に守ってきた断食はもう終わりだ。あなたがたが真実と平和を愛するなら、それは喜びの祝祭に変わる。 + 世界中から人々が巡礼に訪れ、この例祭に参加しようと、外国の多くの町から人々がエルサレムへ押しかける。人々は、他の町にいる親しい者に手紙を書いて、『主の祝福とあわれみを求めて、エルサレムへ行きましょう。私も行きます。いっしょに行きましょう。さあ、今!』と言う。 + 多くの人が、強い国々からも、祝福と助けを求めてエルサレムにいる全能の主のもとに来る。 + その時には、いろいろな国から来た十人の者が、一人のユダヤ人の上着のそでをつかんで、『どうか友だちになってください。神があなたがたと共におられるのはわかっていますから』と言うようになる。」 + + + このことばは、ハデラクとダマスコの地に対する神ののろいに関するものです。主がイスラエルだけでなく、全人類をくまなく見ているからです。 + 「ダマスコに近いハマテにも、抜け目のないツロやシドンにも審判が下される。 + ツロは完全武装し、大金持ちになったので、ツロにとって銀は泥のようなもの、純金は道のほこりのようなものだ。 + だが、わたしはツロの所有物を取り上げ、とりでを海に投げ込む。ツロは火をつけられて焼け落ちる。 + アシュケロンは、これを見て恐れに満ち、ガザは絶望でうずくまり、エクロンは恐怖で震える。ツロが敵の前進を防いでくれると思っていたのに、望みは断たれてしまうからだ。ガザは征服されて王が殺され、アシュケロンは完全に破壊される。 + 外国人が、繁栄を誇るペリシテ人の町アシュドデを占領する。 + わたしは、その口から偶像崇拝を引っぱり出し、歯の間から血といっしょに食べたいけにえを引き出す。残された者はみな、神を礼拝し、イスラエル人の新しい一族となる。エクロンのペリシテ人は、昔のエブス人のように、ユダヤ人と結婚する。 + わたしはイスラエルに侵入する敵を防ぐ見張りのように、わたしの神殿を囲む。敵の動きを見張り、近づかせない。外国の迫害者がわたしの民の地を襲うことは二度とない。 + わたしの民よ、大いに喜べ。歓声を上げよ。見よ。おまえたちの王が来る。その王は正しい方、勝利者だ。柔和で、ろばの子に乗っている。 + わたしは、イスラエルにいるわたしの民も含めて、地上のすべての民の武装を解除する。この王は諸国に平和をもたらす。その領土は海から海へ、川から地の果てに及ぶ。 + わたしはおまえを、水のない穴で死なないように助け出した。血でサインした、あなたとの契約を守るためだ。 + 囚人たちよ、安全な場所に来なさい。まだ希望がある。味わった苦悩の二倍の祝福を返すと今約束しよう。 + ユダよ、おまえはわたしの弓だ。エフライムよ、おまえはわたしの矢だ。二人とも、わたしの剣、ギリシヤ人に向かって勇士が振りかざす剣のようだ。」 + 主は戦っているご自分の民の先頭に立ちます。その矢は、いなずまのように飛びます。神である主は召集ラッパを吹き鳴らし、南から砂漠を通って吹いて来るつむじ風のように、敵に突進するのです。 + 神の守りがあるので、神の民は敵を制圧し、踏みにじるでしょう。彼らは勝利を味わい、勝ちどきを上げます。敵は殺され、至る所で恐ろしい大虐殺が行われます。 + その日、彼らの神である主は、羊飼いが羊の世話をするようにご自分の民を救います。彼らは、王冠にきらめく宝石のように、神の地で光り輝くのです。すべてはなんとすばらしく、美しいことでしょう。あり余る穀物とぶどう酒が、青年たちをはつらつとさせます。彼らは健康と幸福に満ちあふれるのです。 + + + 春の雨を主に願いなさい。そうすれば、いなずまと夕立で答えてくれます。どこの野も青々とした牧場となるでしょう。 + そのようなことを偶像に願い求めるのは、なんと愚かなことでしょう。占い師の予言することは、ばかばかしい偽りだけです。実現しない約束に、どんな慰めがあるでしょうか。ユダとイスラエルは、迷子の羊のように迷い出てさまよっています。守ってくれる羊飼いがいないので、攻撃の的にされているのです。 + 「わたしの怒りは、あなたがたの『羊飼い』である指導者たちに向かって燃え上がる。わたしは、この雄やぎを罰する。全能の主が、自分の羊の群れであるユダを助けに来たからだ。わたしは彼らを強くし、戦場を誇らしげに駆ける軍馬のようにする。 + 彼らの中から礎石が、すべての望みがその上にかかる杭が、戦いを勝利に導く弓が、全地の支配者が出て来る。 + 彼らは神のために戦う力強い戦士となり、敵の顔を泥に押しつけ、踏みつける。戦いには、主が共にいるので、敵は全滅する。 + わたしはユダを、そしてイスラエルをも強くする。彼らを愛しているので、立て直すのだ。彼らは、わたしが捨てたことがない者のようになる。彼らの神、主であるこのわたしが、その叫びを聞くからだ。 + 彼らは力強い戦士のようになる。ぶどう酒に酔った時のような喜びを味わい、子どもたちも主のあわれみを見て喜ぶ。彼らの心は主にあって喜びにあふれる。 + わたしが口笛を吹くと、みな駆け寄って来る。わたしが連れ戻したからだ。残されている者は少ないが、以前と同じくらいに数が増える。 + わたしは彼らを種のように諸国にまき散らしたが、それでも彼らはわたしを思い出し、神のもとへ帰って来る。子どもたちをみな連れて、イスラエルのわが家へ帰って来る。 + わたしは彼らをエジプトとアッシリヤから連れ戻し、イスラエルに、ギルアデとレバノンに再び住みつかせる。そこは、すべての者が住むには狭すぎるようになる。 + 波が退くので、彼らは困難の海を安全に通り過ぎる。ナイル川は干上がる。わたしの民に対するアッシリヤとエジプトの支配は、終わりを告げる。」 + 主は言います。「わたしから出る力によって、わたしの民を強くする。彼らはどこへでも行きたい所へ行き、どこへ行っても、わたしの保護のもとにある。」 + + + レバノンよ、さばきへの扉を開け。おまえの森が火で焼き尽くされるように、おまえは滅ぼされる。 + 糸杉よ、泣け。すべての杉が損なわれるからだ。高くそびえ立つ見事な杉がすべて倒れる。バシャンの樫の木よ、恐ろしさのあまり叫べ。一番深い森まで切り倒されるのを見るからだ。 + 悪質な羊飼いであるイスラエルの指導者たちの泣き叫ぶ声を聞け。彼らの富が失われたからだ。若いライオンのほえる声を聞け。君主たちが泣いている。栄光に満ちたヨルダン渓谷が荒れはてているからだ。 + それから、私の神、主は私にこう言いました。「さあ、ほふられるための羊の群れを養う羊飼いになりなさい。 + これは、わたしの民の姿を表している。彼らは悪い指導者たちに買われて殺されているが、指導者は罰せられない。民を裏切った者たちは、『神よ、ありがとうございます。おかげで裕福になりました』と言う。羊飼いが惜しみなく民を売り飛ばしたからだ。 + わたしも民を惜しまない。彼らを邪悪な指導者たちの手に陥らせる。指導者たちは民を殺し、この地を荒れ地にする。わたしは、地を彼らから守らない。」 + そこで、私は羊飼いの杖を二本取り、一本を「恵み」と名づけ、もう一本を「結合」と名づけました。そして命じられたとおり、羊の群れを飼いました。 + そして一月のうちに、三人の悪質な羊飼いを追い出しました。ところが私は、この羊である民にも我慢できなくなったのです。彼らもまた私を憎みました。 + 私は彼らに言ってやりました。「もう、おまえたちの羊飼いはまっぴらだ。死ぬならば死ぬがいい。殺されても知るものか。行って自滅するがいい。」 + 私は「恵み」と名づけた杖を取り、二つに折りました。彼らを守り導くという契約を破棄したことを示したのです。 + こうして、それは無効になりました。すると羊を売買した者たちは、これを見ていて、神が何かを語っていることを悟りました。 + 私は彼らの指導者たちに言いました。「よかったら、私に見合う賃金を払いなさい。ただし、ほんとうにそうしたければです。」それで彼らが払った賃金は、わずか銀貨三十枚でした。 + すると主はこう言いました。「それを陶器師たちから畑を買うために使いなさい。おまえを評価したこのすばらしい金額で。」そこで私は銀貨三十枚を取って、神殿で陶器師たちに投げ与えました。 + それから、「結合」というもう一本の杖を折って、ユダとイスラエルとの結合が破られたことを示しました。 + それから主は私に、もう一度、羊飼いの務めにつくようにと命じました。今度は、役立たずの悪い羊飼いを演じることになったのです。 + 神は私にこう言いました。「これは、わたしがこの国に与える羊飼いの姿を説明している。その羊飼いは、死にそうな羊の世話をせず、子羊の面倒も見ず、骨を折った羊の手あてもせず、元気な羊にえさを与えず、歩けない羊を運んでやることもしない。その代わりに、肥えた羊を食べ、その足を引き裂きさえする。 + 羊の群れの世話をしない、役立たずの羊飼いは災いだ。神の剣が彼の腕を切り、右目を刺し通す。腕は使えなくなり、右目は見えなくなる。」 + + + 天を張り、地の基を据え、人間の中に霊を造った主は、イスラエルの運命を次のように語ります。 + 「わたしは、エルサレムを包囲する近隣の国々にとってエルサレムとユダを、毒を盛った杯のようにする。 + エルサレムは、世界を苦しめる重い石となる。地のすべての国々が力を合わせて動かそうとするが、みな押しつぶされてしまう。 + その日、わたしはエルサレムに迫る敵軍をうろたえさせ、笑いものにする。わたしがユダの民を守り、すべての敵の目を見えなくするからだ。 + そしてユダ部族の者は、『エルサレムの民は、彼らの力が、彼らの神、全能の主のうちにあることを知った』と心の中で言う。 + その日、わたしはユダ部族を、森を燃え立たせる小さな炎のように、わらの束の間にあるマッチのようにする。彼らは、右も左も近隣の国々を焼き尽くすが、エルサレムは動かされずにいる。 + 主はエルサレムより先に、まずユダに残されていた者に勝利を与える。それは、エルサレムの民とダビデの家が、その成功を自慢することがないためだ。 + 主はエルサレムの民を守る。その中で一番弱い者も、ダビデのように強くなる。ダビデの家は彼らにとって神のようになり、彼らの前を行く主の使いのようになる。 + わたしが、エルサレムに敵対する国をことごとく滅ぼすことにしたからだ。 + その日、わたしはエルサレムのすべての民に、恵みと祈りの霊を注ぐ。彼らは、自分たちが突き刺した者を見て、まるでひとり息子のためのように嘆き、長男が死んだときのように深く悲しむ。 + その時のエルサレムでの悲しみと嘆きは、神を敬うヨシヤ王がメギドの谷で殺された時の嘆きよりも深い。 + 全イスラエルは、深い悲しみの涙を流す。国中の者が残らず、王も預言者も祭司も民も、苦悩のあまり身をかがめる。それぞれの家族が嘆き、夫と妻も別れて、だれもがひとりで嘆き悲しむ。 + + + その時、一つの泉がイスラエルとエルサレムの民に対して開かれる。彼らをすべての罪と汚れからきよめる泉が。」 + 全能の主は宣告します。「その日、わたしはこの地にはびこる偶像礼拝を、跡形も残さず取り除く。偶像の神々の名さえ忘れ去られる。偽預言者や占い師は一掃され、 + 再び偽りの預言をする者は両親に殺される。両親は、『主の名を使って偽りの預言をするような者は死ね』と言うだろう。 + それで、預言する力を自慢する者はいなくなる。その時は、民をだまそうとして預言者の衣装を着る者もいない。 + 彼は、『私は預言者ではありません。農夫です。若い時から土地を耕して暮らしを立ててきたのです』と言う。 + 『それなら、胸と背中にある傷(偽預言者が自分でつける傷)は何ですか?』と聞かれると、彼は、『友人の家でけんかをしたのです』と答えるだろう。」 + 全能の主は言います。「剣よ、目を覚まして、わたしの仲間、わたしの同僚である牧者に切りかかれ。その牧者を打ち倒せ。そうすれば、羊は散り散りになる。しかし、わたしは戻って来て、子羊を慰め、世話をする。 + イスラエルの民の三分の二が切り落とされて死ぬが、三分の一がその地に残される。 + わたしは、その残った三分の一を、金や銀を精錬するように、火の中を通らせて純化する。彼らはわたしの名を呼び、わたしはその声を聞く。わたしは『これはわたしの民』と言い、彼らは『主はわたしたちの神です』と言う。」 + + + 気をつけなさい。主の日がすぐにきます。その日、主は国々を集めて、エルサレムを攻めさせます。町は取られ、家々は略奪され、戦利品は分配され、女は暴行されます。住民の半分は奴隷として連れ去られ、半分が廃墟の町に残されます。 + その時、主は完全武装して、それらの国々と戦うために出て来ます。 + その日、主はエルサレムの東、オリーブ山の頂に立ちます。すると、オリーブ山は真っ二つに裂け、東西に走る非常に広い谷ができます。山の半分が北へ、別の半分が南へ動くからです。 + 谷は町の門に通じているので、あなたがたはそこを通って逃げます。何世紀も昔、ユダのウジヤ王の時代に、民が地震を避けて逃げたように逃げることになるでしょう。そして、すべての聖徒と御使いと共に、私の神、主が来ます。 + 太陽と月と星は、もう輝きません。 + それでも昼が続きます。どうしてなのか、主だけが知っています。これまでのような昼と夜ではなくなり、夕暮れ時にも、なお光があります。 + いのちを与える水がエルサレムから流れ出て、半分は死海に、半分は地中海に注ぎ、夏も冬も、絶え間なく流れ続けます。 + そして、主は全地を支配する王となります。その日には、ひとりの主だけがいて、その御名だけがあがめられます。 + ユダの北端にあるゲバから、南端のリモンまで、全地が一つの広大な平地となります。しかしエルサレムは高台にあり、その区域はベニヤミンの門から古い門の跡、それから隅の門、さらにハナヌエルの塔から王のぶどう酒を絞る所までです。 + エルサレムは安心して住める場所になります。もう二度と、のろわれて滅ぼされることはありません。 + 主は、エルサレムを攻撃したすべての民に疫病を送るので、彼らは歩く屍のようになり、肉は腐りはてます。目はまぶたの中でしぼみ、舌は口の中で腐ります。 + 主は彼らを狼狽させ、恐怖でおののかせます。彼らは互いに争い、格闘します。 + 全ユダがエルサレムで戦います。回りのすべての国々の財宝、多量の金銀と上等の衣類は押収されます。 + 同じ疫病が、馬、らば、らくだ、ろば、および敵陣にいるすべての動物を打ちます。 + 最後に、この災いの中で生き残った者たちが、毎年エルサレムへ上り、全能の主である王を礼拝し、神への感謝を祝うようになります。 + 世界中どこでも、全能の主である王を礼拝しにエルサレムへ来ない民には、雨が降らなくなります。 + もしエジプトが来ないなら、神はほかの災いによっても罰します。 + エジプトであっても、ほかの国であっても、もし来ないなら、みな罰せられるのです。 + その日、馬の鈴には「これは聖なるもの」と書かれ、主の神殿のごみ箱までも祭壇の前の鉢のように神聖なものとなります。 + 実際、エルサレムとユダにあるすべての器は主への聖なるものとなります。礼拝に来る者は、いけにえを煮るために、どれでも自由に使ってかまいません。全能の主の神殿には、もう強欲な商人はいなくなります。 + +
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+ + これは、神が預言者マラキを通してイスラエルに与えたことばです。 + 「わたしはあなたがたをとても愛してきた」と主は言います。ところが、あなたがたは問い返します。「ほんとうですか。いつ、そうしてくださいましたか。」主は答えます。「わたしは、あなたがたの先祖ヤコブを愛することによって、あなたがたに対する愛を示した。そうする理由などなかったのに。わたしは、ヤコブの兄エサウを退け、エサウの住む山々と相続地を荒廃させ、荒野のジャッカルに与えた。 + エサウの子孫が、『廃墟を建て直そう』と言うなら、全能の主はこう言う。『建て直したいのなら、建て直すがいい。わたしは再びそれを打ち壊す。』彼らの国は『悪の地』と呼ばれ、彼ら住民も『神に赦されない者たち』と呼ばれるからだ。」 + さあ、イスラエルよ、目を上げて、神が世界中でしていることを見なさい。その時、あなたがたはこう言うようになります。「ほんとうに神の大いなる御力は、私たちの国境をはるかに越えている。」 + 「子は父を敬い、召使は主人を敬うものだ。わたしはあなたがたの父であり、また主人なのに、あなたがたはわたしを少しも敬わない。ああ、祭司たちよ、あなたがたはわたしの名をさげすんでいる。」「私たちがあなたを?いつあなたの名をさげすんだというのですか。」 + 「わたしの祭壇に、汚れたいけにえをささげるときだ。」「汚れたいけにえですって?私たちがいつ、そんなことをしましたか。」「いつも、あなたがたは言っている。『わざわざ高価なものを主にささげる必要はない。』 + あなたがたは人々に教えている。『主の祭壇に足の悪い動物をささげてもよい。病気の動物や目の見えない動物でもよい。』これを悪いことではないと言い張るのか。あなたがたの総督に、同じことをしてみるがよい。同じような贈り物を贈ってみるがよい。総督がそれを喜んで受け取るだろうか。 + あなたがたは唱える。『神よ、あわれんでください。恵みをお与えください。』しかし、そのようなささげ物を持って来る者に、どうして好意を示せるというのか。 + ああ、あなたがたの中に、神殿の扉を閉ざして、このようないけにえを拒絶する祭司が、一人でもいればいいのだが。わたしはあなたがたに喜びを感じない。あなたがたのささげ物は受け取らない。」主は言います。 + 「わたしの名は、外国人の間で朝から晩まであがめられるようになる。世界中で人々がわたしの名をあがめ、かぐわしい香りと、きよいささげ物をささげるようになる。国々の間で、わたしの名が大いに高められるからだ。」主は言います。 + 「しかし、あなたがたはわたしをあがめず、祭壇など大切ではないと言って、病気にかかった弱々しい動物を神にささげるよう、人々に教えている。」主は言います。 + 「『ああ、神に仕え、神の言うとおりにしなければならないとは、なんとやっかいなことだろう』とあなたがたは言う。そして神が与え、守るように言われた規則を気にもかけない。どういうことなのか。盗んだ動物や、足の悪い動物や病気の動物を神へのささげ物とするとは。わたしはそのようなささげ物を受け入れなければならないというのか。」主は問います。 + 「神へのいけにえとして、自分の群れの中から上等の雄羊をささげると約束しながら、病気の雄羊を神にささげる者はのろわれよ。わたしは大いなる王だから。」全能の主は語ります。「わたしの名は異邦人の間で、大いに尊ばれるようになるからだ。」 + + + 祭司たちよ、全能の主の警告を聞きなさい。「あなたがたが生き方を変えず、わたしの名をあがめないなら、恐ろしい罰を下す。わたしが与えたいと思っている祝福を与えず、のろいを与える。もうすでにのろっている。わたしにとって何よりも大切なことを、あなたがたが真剣に受け止めなかったからだ。 + よく聞くがよい。わたしはあなたがたの子どもを責める。わたしにささげた動物の糞をあなたがたの顔にぶちまけ、あなたがたを糞のように投げ捨てる。 + そのとき、やっとあなたがたは、あなたがたの先祖レビに与えた律法に立ち返れと警告したのが、このわたしだったことを知る。」全能の主は語ります。 + 「その律法の目的は、これを守る人にいのちと平安を与えること、それを守る人が、それによってわたしへの尊敬と恐れを示すことだ。 + レビは、わたしから学んだすべての真理を人々に伝えた。偽ったり、欺いたりしなかった。わたしと共に歩み、誠実な正しい生活をして、多くの人を罪から立ち返らせた。 + 祭司のくちびるは、人々が律法を学べるように、神の知識であふれているべきだ。祭司は全能の主の使者であり、人々は導きを求めて祭司のもとへ来るからだ。 + だがあなたがたは違う。神の道から離れてしまった。その「導き」によって、多くの人が罪を犯すようになった。あなたがたはレビとの契約をゆがめ、似て非なる醜悪なものにしてしまった。」全能の主は語ります。 + 「それゆえ、わたしはあなたがたを、すべての人の軽蔑の的にする。わたしに従わず、お気に入りの者たちが律法を破るままにし、叱責することもしなかったからだ。」 + 私たちはアブラハムという共通の先祖を持ち、同じ神によって創造された者です。それなのに先祖の結んだ契約を破り、互いに不信実なことをしています。 + ユダの中で、イスラエルの中で、エルサレムの中で、裏切りが行われています。ユダの人々が偶像を拝む外国の女と結婚して、神が愛する聖所を汚したからです。 + 主がこのようなことをする者を、祭司であっても祭司以外の者であっても、一人残らず契約から断ち切りますように。 + それでも、あなたがたは涙で祭壇をぬらしています。もう主があなたがたのささげ物に目を向けず、主の祝福が受けられなくなったからです。 + 「なぜ神は私たちを見捨ててしまったのか」と、あなたがたは泣き叫んでいます。そのわけは、主があなたの裏切り行為を見たからです。あなたは、長い間あなたに信実を尽くした妻を裏切り、大切に養うことを約束した伴侶を離縁したのです。 + あなたは主によって妻と一体にされました。結婚した二人は、神から見れば一人なのです。それが神の深いご計画です。神は何を望んでいるのでしょうか。それは、あなたがたから生まれる、主に従順な子どもたちです。ですから情欲に気をつけなさい。若い時の妻に誠実でありなさい。 + イスラエルの神、主は離婚を憎み、心ない男をきらうと言っているからです。それゆえ、情欲を抑えなさい。妻を離縁してはなりません。 + あなたがたは、自分のことばで主を煩わしたのです。「主を煩わしたですって? どのようにして?」あなたがたはそう言って、わざと驚いてみせます。あなたがたはこう言ったのです。「悪を行うのはいいことだ。主は喜んでいる。」また、こうも言いました。「神は私たちを罰しない。気にも留めていない。」 + + + 「聞きなさい。わたしはわたしが行く前に使者を遣わして、道を備えさせる。そののち、あなたがたが探し求めている主が、突如として神殿にやって来る。神が約束したその使者は、あなたがたに大きな喜びをもたらす。必ず彼は来る。」全能の主は語ります。 + 「だが彼が現れる時、だれが生きていられるだろう。彼が来ることに、だれが耐ええよう。彼は燃えさかる火のようであり、真っ黒に汚れた上着を、真っ白にすることができるからだ。 + 彼は銀を精錬する人のように、腰を据えて、不純物が燃え尽きていくのを、目を凝らして見守る。神に仕えるレビ人をきよめ、金や銀のように精錬して、きよい心で神の働きができるようにする。 + その時、主はまた以前のように、ユダとエルサレムの人々が携えて来るささげ物を喜んで受ける。 + その時、わたしのさばきは速やかに、確実に行われる。罪のない人を欺く悪者に、不品行な者と偽り者に、雇い人を不当な賃金で虐げる者に、未亡人や孤児を苦しめる者に、外国人をだます者に、わたしを恐れない者に、わたしはただちに向かう。」と主は語ります。 + 「わたしは主であり、決して変わることがない。あなたがたは滅ぼし尽くされてはいない。わたしのあわれみは永遠に変わらないからだ。 + あなたがたは最初からわたしの律法を軽んじてきたが、まだわたしのもとに帰ることができる。」主は語ります。「さあ、帰って来なさい。そうすれば、あなたがたを赦そう。しかし、あなたがたは言う。『私たちは背いたことなどありません』と。 + 人は神のものを盗めるだろうか。できるわけがない。ところがあなたがたは、わたしのものを盗んでいる。『何のことですか。いつ神のものを盗みましたか。』あなたがたは、わたしに納めるべき収入の十分の一とささげ物を盗んだ。 + それであなたがたは、神の恐ろしいのろいによって、のろわれているのだ。あなたがたの民全体が、わたしのものを盗んでいるからだ。 + 収入の十分の一をすべて倉に携えて来なさい。そうすれば、わたしの神殿には食べ物が十分あるようになる。あなたがたが十分の一をささげれば、わたしはあなたがたのために天の窓を開いて、受け止めることができないほどの祝福をあふれるばかりに注ごう。試してみなさい。わたしは、そのことを証明しよう。 + わたしが穀物を害虫や病害から守るから、あなたがたの収穫は多くなる。ぶどうが熟す前にしぼんでしまうこともない。」主は語ります。 + 「すべての国々の民は、あなたがたを祝福された者と言う。あなたがたが幸福に輝く国となるからだ。」これが全能の主の約束です。 + あなたがたのわたしに対する態度は、なんと高慢で横柄なことか。」と主は言います。「ところが、あなたがたは言う。『何のことでしょう。言ってはならないことを言ったでしょうか。』 + 聞きなさい。あなたがたはこう言った。『神を礼拝したり、神に従ったりするのは愚かなことだ。律法を守っても、罪を悲しんでも、何の良いことがあるだろう。これからは、「高ぶる者は幸いだ」と言おう。悪を働く者が栄え、神に罰せられるようなことをしても、罰を免れて平気でいるからだ』と。」 + その時、神を恐れる者たちが、互いに主のことを語り合っていました。主は記憶の書を作成して、主を恐れ、主について考えることを喜ぶ者たちの名前を記しました。 + 全能の主はこう語ります。「わたしが自分の宝石を仕上げるその日、彼らはわたしのものとなる。人が忠実に務めをはたす子を扱うように、わたしも彼らを扱おう。 + その時あなたがたは、正しい人と神に逆らう人、また神に仕える者と仕えない者との違いを見ることになる。」 + + + 全能の主はこう宣言します。「さあ、見よ。審判の日がくる。かまどのように燃えながら。高ぶる者、悪を行う者は、わらのように燃えつき、木のように根も枝もすべて焼き払われる。 + だが、わたしの名を恐れるあなたがたには、正義の太陽が昇る。その翼によって癒やされる。あなたがたは自由にされ、牧場に放された子牛のように喜んで跳びはねる。 + その時あなたがたは、灰を踏みつけるように、悪者どもを踏みつける。」全能の主は語ります。 + 「わたしがホレブ山(シナイ山)で、わたしのしもべモーセを通して全イスラエルに与えた律法を守ることを忘れてはならない。 + 見よ。わたしは、神の大いなる恐るべき審判の日がくる前に、エリヤのような預言者を遣わす。 + 彼の宣教によって、再び父と子が結び合わされ、一つ心、一つ思いとされる。彼らは、もし悔い改めないならわたしが来て、この地を完全に打ち滅ぼすことを知るからだ。」 + +
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+ + これは、イエス‧キリストの系図です。イエス‧キリストはダビデ王の子孫、さらにさかのぼってアブラハムの子孫です。 + アブラハムはイサクの父、イサクはヤコブの父、ヤコブはユダとその兄弟たちの父です。 + ユダはパレスとザラの父〔彼らの母はタマル〕、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父です。 + アラムはアミナダブの父、アミナダブはナアソンの父、ナアソンはサルモンの父です。 + サルモンはボアズの父〔母はラハブ〕、ボアズはオベデの父〔母はルツ〕、オベデはエッサイの父です。 + エッサイはダビデ王の父、ダビデはソロモンの父〔母はウリヤの妻でした〕です。 + ソロモンはレハブアムの父、レハブアムはアビヤの父、アビヤはアサの父です。 + アサはヨサパテの父、ヨサパテはヨラムの父、ヨラムはウジヤの父です。 + ウジヤはヨタムの父、ヨタムはアハズの父、アハズはヒゼキヤの父です。 + ヒゼキヤはマナセの父、マナセはアモンの父、アモンはヨシヤの父です。 + ヨシヤはエコニヤとその兄弟たちの父です〔彼らは、イスラエルの人たちがバビロンに移住していた時に生まれました〕。 + バビロンに移住してからは、エコニヤはサラテルの父、サラテルはゾロバベルの父です。 + ゾロバベルはアビウデの父、アビウデはエリヤキムの父、エリヤキムはアゾルの父です。 + アゾルはサドクの父、サドクはアキムの父、アキムはエリウデの父です。 + エリウデはエレアザルの父、エレアザルはマタンの父、マタンはヤコブの父です。 + そして、ヤコブはヨセフの父です〔このヨセフが、キリストと呼ばれるイエスの母マリヤの夫となった人です〕。 + こういう次第で、アブラハムからダビデ王までが十四代、ダビデ王からバビロン移住までが十四代、バビロン移住からキリストまでが十四代となります。 + イエス‧キリストの誕生は次のとおりです。母マリヤはヨセフと婚約していました。ところが結婚する前に、聖霊によってみごもったのです。 + 婚約者のヨセフは、神の教えを堅く守る人でしたから、婚約を破棄しようと決心しました。しかし、人前にマリヤの恥をさらしたくなかったので、ひそかに縁を切ることにしました。 + ヨセフがこのことで悩んでいた時、天使が夢に現れて言いました。「ダビデの子孫ヨセフよ。ためらわないで、マリヤと結婚しなさい。マリヤは聖霊によってみごもったのです。 + 彼女は男の子を産みます。その子をイエス(「主は救い」の意)と名づけなさい。この方こそ、ご自分を信じる人々を罪から救ってくださるからです。 + このことはみな、神が預言者(神に託されたことばを語る人)を通して語られた、次のことばが実現するためです。 + 『見よ。処女がみごもって、男の子を産む。その子はインマヌエル〔神が私たちと共におられる〕と呼ばれる。』」 + 目が覚めるとヨセフは、天使の命じたとおり、マリヤと結婚しました。 + しかし、その子が生まれるまでは、マリヤに触れませんでした。そして、生まれた子をイエスと名づけました。 + + + イエスはヘロデ大王の時代に、ユダヤのベツレヘムの町でお生まれになりました。そのころ、天文学者たちが、東の国からはるばるエルサレムへやって来て、こう尋ねました。 + 「このたびお生まれになったユダヤ人の王様は、どこにおられますか。私たちは、その方の星をはるか東の国で見たので、その方を拝むために参ったのです。」 + それを聞いたヘロデ大王は、ひどくうろたえ、エルサレム中がそのうわさで騒然となりました。 + ヘロデはさっそくユダヤ人の宗教的指導者たちを召集し、「預言者たちは、メシヤ(ヘブル語で、救い主)がどこで生まれると告げているのか」と尋ねました。 + 彼らは答えました。「ユダヤのベツレヘムです。預言者ミカがこう書いております。 + 『ベツレヘムよ。あなたはユダヤの中で、決して小さな町ではない。あなたから偉大な支配者が出て、わたしの国民イスラエルを治めるようになるからだ。』」 + それでヘロデは、ひそかに天文学者たちを呼びにやり、その星が初めて現れた正確な時刻を聞き出しました。 + そして彼らに、「さあ、ベツレヘムへ行って、その子を捜すがいい。見つかったら、必ず知らせてくれ。私も、ぜひその方を拝みに行きたいから」と命じました。 + 彼らがさっそく出発すると、なんと、あの星がまた現れて、彼らをベツレヘムに導き、とある家の上にとどまりました。 + それを見た彼らは、躍り上がって喜びました。 + その家に入ると、幼子と母マリヤがいました。彼らはひれ伏して、その幼子を拝みました。そして宝の箱を開け、黄金と乳香(香料の一種)と没薬(天然ゴムの樹脂で、古代の貴重な防腐剤)を贈り物としてささげました。 + それから、ヘロデ大王に報告をしにエルサレムへは戻らず、そのまま自分たちの国へ帰って行きました。神から夢の中で、ほかの道を通って帰るように警告を受けたからです。 + 彼らが帰ったあと、天使が夢でヨセフに現れて言いました。「起きなさい。子どもとその母を連れて、エジプトに逃げるのです。そして、私が帰れと言うまで、ずっとそこにいなさい。ヘロデがこの子を殺そうとしています。」 + ヨセフは、マリヤと幼子を連れて、その夜のうちにエジプトへ旅立ちました。 + そして、ヘロデ大王が死ぬまでそこに住みました。こうして、「わたしは、わたしの子をエジプトから呼び出した」という預言者のことばが実現することになったのです。 + ヘロデは天文学者たちにだまされたとわかると、怒り狂い、すぐさまベツレヘムに軍兵をやって、町とその近辺に住む二歳以下の男の子を一人残らず殺せ、と命じました。というのは、学者たちが、その星は二年前に現れたと言っていたからです。 + ヘロデのこの残忍な行為によって、エレミヤの次の預言が実現しました。 + 「ラマから声が聞こえる。苦しみの叫びと、大きな泣き声が。ラケルが子どもたちのために泣いている。だれも彼女を慰めることができない。子どもたちは死んでしまったのだから。」 + ヘロデ大王が死ぬと、エジプトに住むヨセフの夢に天使が現れ、 + 「さあ、子どもとその母を連れてイスラエルに帰りなさい。子どもを殺そうとしていた者たちは死んだから」と言いました。 + そこでヨセフは、イエスとマリヤを連れて、すぐイスラエルに帰りました。 + ところが途中で、ユダヤの新しい王がヘロデ大王の息子アケラオだと聞いて、危険を覚えました。すると、夢でユダヤに行ってはならないと警告を受けたので、ガリラヤ地方に行き、 + ナザレという町に住みました。こうして、預言者がメシヤのことを、「彼はナザレ人と呼ばれる」と語ったとおりになったのです。 + + + ヨセフの一家がナザレに住んでいたころ、バプテスマのヨハネがユダヤの荒野で教えを宣べ始めて、言いました。 + 「悔い改めて、神に立ち返れ。神の国が近づいたからだ。」 + このバプテスマのヨハネの働きについては、その数百年前、すでに預言者イザヤが語っています。「荒野から叫ぶ声が聞こえる。『主のための道を準備せよ。主が通られる道をまっすぐにせよ。』」(イザヤ40‧3) + ヨハネはらくだの毛で織った服に皮の帯をしめ、いなごとはちみつを常食にしていました。 + このヨハネの教えを聞こうと、エルサレムやヨルダン川流域だけでなく、ユダヤの全土から、人々が荒野に押しかけました。 + 神にそむく生活を送っていたことを全面的に認め、それを言い表した人たちに、ヨハネはヨルダン川でバプテスマ(洗礼)を授けました。 + ところが、パリサイ派(特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)やサドカイ派(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)の人々が大ぜい、バプテスマを受けに来たのを見て、ヨハネは彼らをきびしく責めました。「まむしの子たち! だれがおまえたちに、もうすぐ来る神のさばきから逃れられると言ったのか。 + バプテスマを受ける前に、悔い改めにふさわしいことをしなさい。 + 『私はユダヤ人だから、アブラハムの子孫だから大丈夫』などと思ってはいけない。そんなことは何の役にも立たない。神はこんな石ころからでも、今すぐアブラハムの子孫をお造りになれるのだ。 + 今にでも、神はさばきの斧をふり上げ、実のならない木を切り倒そうと待ちかまえておられる。そんな木はすぐにも切り倒され、燃やされるのだ。 + 私は今、罪を悔い改める者たちに水でバプテスマを授けている。しかし、まもなく私など比べものにもならない、はるかに偉大な方がおいでになる。その方のしもべとなる価値さえ、私にはない。その方は、聖霊と火でバプテスマをお授けになり、 + 刈り入れの時が来たら、麦ともみがらをふるい分け、麦は倉に納め、もみがらは永久に消えない火で焼き捨ててしまわれる。」 + そのころイエスは、ガリラヤからヨルダン川へ来て、ヨハネからバプテスマ(洗礼)を受けようとされました。 + ところが、ヨハネはそうさせまいとして言いました。「とんでもないことです。私こそ、あなたからバプテスマを受けなければなりませんのに。」 + しかしイエスは、「今はそうさせてもらいたい。なすべきことは、すべてしなければならないのです」とお答えになり、ヨハネからバプテスマを受けました。 + イエスが、バプテスマを受けて水から上がって来ると、突然天が開け、イエスは、神の御霊が鳩のようにご自分の上に下るのをごらんになりました。 + その時、天から声が聞こえました。「これこそ、わたしの愛する子。わたしは彼を心から喜んでいる。」 + + + それからイエスは、聖霊に導かれて荒野に出て行かれました。悪魔に試されるためでした。 + イエスはそこで、まる四十日間、何一つ口にされなかったので、空腹を覚えられました。 + 悪魔が誘いかけてきたのは、その時です。「ここに転がっている石をパンに変えてみたらどうだ。そうすれば、あなたが神の子だということがわかる。」 + しかしイエスは、お答えになりました。「いいえ。聖書には、『人はただパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』と書いてある。わたしたちは、神のすべてのことばに従うべきなのです。」 + すると悪魔は、イエスをエルサレムに連れて行き、神殿の一番高い所に立たせて言いました。 + 「さあ、ここから飛び降りてみろ。そうすれば、あなたが神の子だということがわかるだろう。聖書に、『神は、天使を送って、あなたを支えさせ、あなたが岩の上に落ちて砕かれることのないように守られる』と、はっきり書いてあるのだから。」 + イエスは言い返されました。「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてあるではないか。」 + 次に悪魔は、非常に高い山の頂上にイエスを連れて行きました。そして、世界の国々とその繁栄ぶりとを見せ、 + 「さあ、ひざまずいて、この私を拝みさえすれば、これを全部あなたにやろう」とそそのかしました。 + 「立ち去れ、サタン! 『神である主だけを礼拝し、主にだけ従え』と聖書に書いてあるではないか。」イエスは悪魔を一喝しました。 + すると悪魔は退散し、天使たちが来て、イエスに仕えました。 + イエスはヨハネが捕らえられたと聞くと、ユダヤを去って、ガリラヤのナザレにお帰りになり、 + まもなくゼブルンとナフタリに近い、ガリラヤ湖畔のカペナウムに移られました。 + これは、イザヤの預言が実現するためでした。 + 「ゼブルンとナフタリの地、海沿いの道、ヨルダン川の向こう岸、多くの外国人が住んでいる北ガリラヤ。そこで暗闇の中にうずくまっていた人たちは、大きな光を見た。死の陰の地に座っていた彼らの上に、光が差した。」 + その時から、イエスは宣教を始められました。「悔い改めて神に立ち返りなさい。神の国が近づいているから。」 + ある日、イエスがガリラヤ湖の岸辺を歩いておられると、シモン〔別名ペテロ〕とアンデレの二人の兄弟が舟に乗り、網で漁をしているのに出会いました。彼らは漁師でした。 + イエスが、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしてあげよう」と声をおかけになると、 + 二人はすぐに網を捨て、イエスについて行きました。 + しばらく行ったところで、今度は別の二人の兄弟ヤコブとヨハネが、父のゼベダイといっしょに舟の中で網を直しているのを見つけ、そこでも、ついて来るようにと声をおかけになりました。 + 彼らはすぐ仕事をやめ、父をあとに残して、イエスについて行きました。 + イエスはガリラヤ中を旅して、ユダヤ人の会堂で教え、あらゆる場所で福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を宣べ伝え、さらに、あらゆる病気や苦しみをいやされました。 + このイエスの奇跡の評判は、ガリラヤの外にまで広がったので、シリヤのような遠方からも、人々は病人を連れてやって来ました。悪霊につかれた人、てんかんの人、中風(脳の出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の人など、その病気や苦しみがどのようなものであろうと、一人残らず治るのです。 + こうして、イエスがどこに行かれても、たいへんな数の群衆があとをついて行きました。それは、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤのあらゆる所から来た人々で、中にはヨルダン川の向こうから来た人もいました。 + + + ある日、大ぜいの人が集まって来たので、イエスは弟子たちを連れて山に登り、そこに腰をおろして、彼らにお教えになりました。 + 「心の貧しさを知る謙遜な人は幸いです。神の国はそういう人に与えられるからです。 + 悲しみ嘆いている人は幸いです。そういう人は慰められるからです。 + 柔和で高ぶらない人は幸いです。全世界はそういう人のものだからです。 + 神の前に、正しく良い者になりたいと心から願っている人は幸いです。そういう人の願いは完全にかなえられるからです。 + 親切であわれみ深い人は幸いです。そういう人はあわれみを受けるからです。 + 心のきよい人は幸いです。そういう人は親しく神とお会いできるからです。 + 平和をつくり出す人は幸いです。そういう人は神の子どもと呼ばれるからです。 + 神の御心に従ったために迫害されている人は幸いです。神の国はそういう人のものだからです。 + わたしの弟子だというので、悪口を言われたり、迫害されたり、ありもしないことを言いふらされたりしたら、それはすばらしいことなのです。 + 喜びなさい。躍り上がって喜びなさい。天の国では、大きな報いが待っているからです。昔の預言者たちも、そのようにして迫害されたことを思い出しなさい。 + あなたがたは地の塩です。もしあなたがたが塩けをなくしてしまったら、この世はどうなるでしょう。あなたがたも無用のものとして外に捨てられ、人々に踏みつけられてしまうのです。 + あなたがたは世の光です。丘の上にある町は夜になると灯がともり、だれにもよく見えるようになります。 + あなたがたの光を隠してはいけません。すべての人のために輝かせなさい。だれにも見えるように、あなたがたの良い行いを輝かせなさい。そうすれば、人々がそれを見て、天におられるあなたがたの父を、ほめたたえるようになるのです。 + 誤解してはいけません。わたしは、モーセの律法や預言者の教え(旧約聖書)を無効にするために来たのではありません。かえって、それを完成させ、ことごとく実現させるために来たのです。 + よく言っておきますが、聖書にあるどんなおきても、その目的が完全に果たされるまで、無効になることはありません。 + ですから、どんな小さいおきてでも、破ったり、また人に破るように教えたりする人は、天の国で最も小さい者となります。しかし、神のおきてを教え、また自分でもそれを実行する人は、天の国で偉大な者となります。 + よく聞きなさい。パリサイ人や、ユダヤ人の指導者たちは、神のおきてを守っているのは自分たちだと言いはります。だが、彼ら以上に正しくなければ天国には入れません。 + あなたがたの教えでは、『人を殺した者は、死刑に処す』とあります。 + しかし、わたしはさらにこうつけ加えましょう。人に腹を立てるなら、たとえ相手が自分の家族であっても、裁判にかけられます。人をばか呼ばわりするなら、裁判所に引っぱり出されます。人をのろったりするなら、地獄の火に投げ込まれます。 + ですから、神殿の祭壇に供え物をささげようとしている時、人に恨まれていることを思い出したら、 + 供え物はそのままにして、相手に会ってあやまり、仲直りをしなさい。神に供え物をささげるのはそのあとにしなさい。 + あなたを告訴する人と、一刻も早く和解しなさい。裁判所に引っぱって行かれてからでは間に合いません。そうなったら、あなたは留置場に放り込まれ、 + すべてを払い終えるまで、出て来られないでしょう。 + あなたがたの教えでは、『姦淫してはならない』とあります。 + しかし、だれでもみだらな思いで女性を見るなら、それだけでもう、心の中では姦淫したことになるのです。 + ですから、もしあなたの目が情欲を引き起こすなら、その目をえぐり出して捨てなさい。体の一部を失っても、体全体が地獄に投げ込まれるより、よっぽどましです。 + また、もしあなたの手が罪を犯させるなら、そんな手は切り捨てなさい。地獄に落ちるより、そのほうがどんなによいでしょう。 + また、あなたがたの教えでは、『離縁状を手渡すだけで、妻を離縁できる』とあります。 + しかし、わたしは言いましょう。だれでも、不倫以外の理由で妻を離縁するなら、その女性が再婚した場合、彼女にも、彼女と結婚する相手にも姦淫の罪を犯させることになるのです。 + さらにあなたがたの教えでは、『いったん神に立てた誓いは、破ってはならない。どんなことがあっても、みな実行しなければならない』とあります。 + しかし、わたしは言いましょう。どんな誓いも立ててはいけません。たとえ『天にかけて』と言っても、神に誓うのと同じです。天は神の王座だからです。 + 『地にかけて』と言ってもいけません。地は神の足台だからです。また『エルサレムにかけて』と言って誓ってもいけません。エルサレムは偉大な王である神の都だからです。 + 『私の頭にかけて』と言って誓ってもいけません。あなたがたは髪の毛一本さえ白くも黒くもできないからです。 + だから、『はい、そうします』か、『いいえ、そうしません』とだけ言いなさい。それで十分です。誓いを立てることで約束を信じてもらおうとするのは、悪いことです。 + あなたがたの教えでは、『人の目をえぐり出した者は、自分の目もえぐり出される。人の歯を折った者は、自分の歯も折られる』とあります。 + しかし、わたしはあえて言いましょう。暴力に暴力で手向かってはいけません。もし右の頰をなぐられたら、左の頰も向けてやりなさい。 + 借金のかたに下着を取り上げようとする人には、上着もやりなさい。 + 荷物を一キロ先まで運べと命令されたら、二キロ先まで運んであげなさい。 + 『何か下さい』と頼む人には与え、借りに来た人を手ぶらで追い返さないようにしなさい。 + 『隣人を愛し、敵を憎め』とは、よく言われることです。 + しかし、わたしは言います。敵を愛し、迫害する人のために祈りなさい。 + それこそ、天の父の子どもであるあなたがたに、ふさわしいことです。天の父は、悪人にも善人にも太陽の光を注ぎ、正しい人にも正しくない人にも分け隔てなく雨を降らせてくださいます。 + 自分を愛してくれる人だけを愛したからといって、取り立てて自慢できるでしょうか。悪人でも、そのくらいのことはしています。 + 気の合う友達とだけ親しくしたところで、ほかの人とどこが違うと言えるでしょう。神を信じなくても、そのくらいのことはだれでもします。 + ですから、あなたがたは、天の父が完全であるように完全でありなさい。 + + + 人にほめられようと、人前で善行を見せびらかさないようにしなさい。そんなことをすれば、天の父から報いをいただけません。 + 貧しい人にお金や物を恵む時には、偽善者たちのように、そのことを大声で宣伝してはいけません。彼らは人目につくように、会堂や街頭で大げさに慈善行為をします。いいですか、よく言っておきますが、そういう人たちは、もうそれで、報いは受けているのです。 + ですから、人に親切にする時は、右手が何をしているのか左手でさえ気づかないくらいに、こっそりとしなさい。 + そうすれば、隠れたことはどんな小さなことでもご存じの天の父から、必ず報いがいただけます。 + ここで、祈りについて注意しておきましょう。人の見ている大通りや会堂で、さも信心深そうに祈って見せる偽善者のように祈ってはいけません。よく言っておきますが、そういう人たちは、もうそれで、報いを受けてしまったのです。 + 祈る時には、一人で部屋に閉じこもり、父なる神に祈りなさい。隠れたことはどんな小さなことでもご存じのあなたの父から、必ず報いがいただけます。 + ほんとうの神を知らない人たちのように、同じ文句を何度も唱えてはいけません。彼らは、同じ文句をくり返しさえすれば、祈りが聞かれると思っているのです。 + 父なる神は、あなたがたに何が必要かを、あなたがたが祈る前からすでに、ご存じなのです。 + ですから、こう祈りなさい。『天におられるお父様。あなたのきよい御名があがめられますように。 + あなたの御国が来ますように。天の御国でと同じように、この地上でも、あなたの御心が行われますように。 + 私たちに必要な日々の食物を、今日もお与えください。 + 私たちの罪をお赦しください。私たちも、私たちに罪を犯す者を赦しました。 + 私たちを誘惑に会わせないように守り、悪から救い出してください。アーメン。』 + もしあなたがたが、自分に対して罪を犯した人を赦すなら、天の父も、あなたがたを赦してくださいます。 + しかし、あなたがたが赦さないなら、天の父も、あなたがたを赦してくださいません。 + 次に断食についてですが、偽善者たちのような、人目につくやり方は避けなさい。彼らは、やつれた顔をわざと見せつけ、同情を買おうとします。よく言っておきますが、そういう人たちは、もうそれで、報いを受け取ってしまったのです。 + 断食をする時は、むしろ晴着をまといなさい。 + そうすれば、だれもあなたが断食をしているとは気づかないでしょう。しかし、あなたの父は、どんなことでもご存じです。そして、報いてくださるのです。 + 財産を、この地上にたくわえてはいけません。地上では、損なわれたり、盗まれたりするからです。 + 財産は天にたくわえなさい。そこでは価値を失うこともないし、盗まれる心配もありません。 + あなたの財産が天にあるなら、あなたの心もまた天にあるのです。 + 目が澄みきっているなら、あなたのたましいも輝いているはずです。 + しかし、目が悪い考えや欲望でくもっているなら、あなたのたましいは暗闇の中にいるのです。その暗闇のなんと深いことでしょうか。 + だれも、神とお金の両方に仕えることはできません。必ずどちらか一方を憎んで、他方を愛するからです。 + ですから、食べ物や飲み物、着る物のことで心配してはいけません。いのちのほうが、何を食べ、何を着るかということより、ずっと大事です。 + 空の鳥を見なさい。食べ物の心配をしていますか。種をまいたり、刈り取ったり、倉庫にため込んだりしていますか。そんなことをしなくても、天の父は鳥を養っておられるでしょう。まして、あなたがたは天の父にとって鳥よりはるかに価値があるのです。 + だいたい、どんなに心配したところで、自分のいのちを一瞬でも延ばすことができますか。 + また、なぜ着る物の心配をするのですか。野に咲いているゆりの花を見なさい。着る物の心配などしていないでしょう。 + それなのに、栄華をきわめたソロモンでさえ、この花ほど美しくは着飾っていませんでした。 + 今日は咲いていても、明日は枯れてしまう草花でさえ、神はこれほど心にかけてくださるのです。だとしたら、あなたがたのことは、なおさらよくしてくださらないでしょうか。ああ、信仰の薄い人たち。 + ですから、食べ物や着物のことは、何も心配しなくていいのです。 + ほんとうの神を信じない人たちのまねをしてはいけません。彼らは、それらがたくさんあることを鼻にかけ、そうした物に心を奪われています。しかし天の父は、それらがあなたがたに必要なことをよくご存じです。 + 神を第一とし、神が望まれるとおりの生活をしなさい。そうすれば、必要なものは、神が与えてくださいます。 + 明日のことを心配するのはやめなさい。神は明日のことも心にかけてくださるのですから、一日一日を力いっぱい生きなさい。 + + + 人のあら探しをしてはいけません。自分もそうされないためです。 + なぜなら、あなたがたが接するのと同じ態度で、相手も接してくるからです。 + 自分の目に大きなごみを入れたままで、どうして人の目にある、小さなちりを気にするのですか。 + 大きなごみが目をふさいで、自分がよく見えないというのに、どうして、『目にごみが入っている。取ってあげよう』などと言うのですか。 + 偽善者よ。まず自分の目から大きなごみを取り除きなさい。そうすれば、はっきり見えるようになって、人を助けることができます。 + 聖なるものを犬に与えてはいけません。真珠を豚にやってはいけません。豚は真珠を踏みつけ、向き直って、あなたがたに突っかかって来るでしょう。 + 求めなさい。そうすれば与えられます。捜しなさい。そうすれば見つかります。戸をたたきなさい。そうすれば開けてもらえます。 + 求める人はだれでも与えられ、捜す人はだれでも見つけ出します。戸をたたきさえすれば開けてもらえるのです。 + パンをねだる子どもに、石ころを与える父親がいるでしょうか。 + 『魚が食べたい』と言う子どもに、蛇を与える父親がいるでしょうか。いるわけがありません。 + 罪深いあなたがたであっても、自分の子どもには良いものを与えたいと思うのです。それならなおのこと、あなたがたの天の父が、求める者に良いものを下さらないはずがあるでしょうか。 + 人からしてほしいと思うことを、そのとおり、人にもしてあげなさい。これがモーセの律法の要約です。 + 狭い門を通らなければ、天の国に入ることはできません。人を滅びに導く道は広く、多くの人がその楽な道を進み、広い門から入って行きます。 + しかし、いのちに至る門は小さく、その道は狭いので、ほんのわずかな人しか見つけることができません。 + 偽教師たちに気をつけなさい。彼らは羊の毛皮をかぶった狼だから、あなたがたを引き裂いてしまうでしょう。 + 彼らの行いを見て、正体を見抜きなさい。ちょうど木を見分けるように。実を見れば、何の木かはっきりわかります。ぶどうといばら、いちじくとあざみとを見まちがえることなどありえません。 + 実を食べてみれば、どんな木かすぐにわかります。 + おいしい実をつける木が、まずい実をつけるはずはないし、まずい実をつける木が、おいしい実をつけるはずもありません。 + まずい実しかつけない木は、結局は切り倒され、焼き捨てられてしまいます。 + 木でも人でも、それを見分けるには、どんな実を結ぶかを見ればよいのです。 + わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う人がみな、神の国に入れるわけではありません。天におられるわたしの父の御心に従う人だけが入れるのです。 + 最後の審判の時、多くの人が弁解するでしょう。『主よ、主よ。私たちは熱心に伝道しました。あなたのお名前を使って悪霊を追い出し、すばらしい奇跡を何度も行ったではありませんか。』 + しかし、わたしはこう宣告します。『あなたがたのことは知らない。ここから出て行きなさい。あなたがたがしたのは悪いことばかりではありませんか。』 + わたしの教えを聞いて、そのとおり忠実に実行する人はみな、堅い岩の上に家を建てる賢い人に似ています。 + 大雨が降り、大水が押し寄せ、大風が吹きつけても、その家はびくともしません。土台がしっかりしているからです。 + 反対に、わたしの教えを聞いても、それを無視する人は、砂の上に家を建てる愚かな人に似ています。 + 大雨、大水、大風が襲いかかると、その家はあとかたもなく、こわれてしまうからです。」 + 群衆は、イエスの教えに目をみはりました。 + イエスの話し方が、どんなユダヤ人の指導者たちとも違っていたからです。 + + + イエスが山を降りると、大ぜいの群衆がついて来ました。 + その時です。ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)の人が一人、イエスに駆け寄り、足もとにひれ伏しました。「先生。お願いですから、私を治してください。お気持ちひとつで、治すことがおできになるのですから。」 + イエスはその男にさわり、「そうしてあげましょう。さあ、よくなりなさい」と言われました。するとたちまち、ツァラアトはあとかたもなくきれいに治ってしまいました。 + 「さあ、まっすぐ祭司のところに行き、体を調べてもらいなさい。モーセの律法にあるとおり、ツァラアトが治った時のささげ物をしなさい。完全に治ったことを人々の前で証明するのです。」 + イエスがカペナウムの町に入られると、ローマ軍の隊長がやって来て、「先生。うちの若い召使が中風で苦しんでおります。とてもひどく、起き上がることもできません。どうか治してやってください。お願いします」としきりに頼みました。 + 「わかりました。では、行って治してあげましょう」とイエスは承知されました。 + ところが、隊長の返事はこうでした。「先生。私には、あなたを家にお迎えするだけの資格はありません。わざわざ来ていただかなくても、ただこの場で、『治れ』と言ってくださるだけでけっこうです。そうすれば、召使は必ず治ります。 + と申しますのは、私も上官に仕える身ですが、私の下にも部下が大ぜいおります。その一人に私が『行け』と言えば行きますし、『来い』と言えば来ます。また奴隷に『あれをやれ。これをやれ』と命じると、そのとおりにします。私にさえそんな権威があるのですから、先生の権威で、病気に『出て行け』とお命じになれば、必ず治るはずです。」 + イエスはたいへん驚き、群衆のほうをふり向いて言われました。「これほど信仰深い人は、イスラエル中でも見たことがありません。 + いいですか、皆さん。やがて、この人のような外国人がたくさん世界中からやって来て、神の国で、アブラハム、イサク、ヤコブといっしょに席に着くでしょう。 + ところが、神の国はもともとイスラエル人のために準備されたのに、多くのイスラエル人が入りそこねて、外の暗闇に放り出され、泣いてくやしがることになるのです。」 + それから、ローマ軍の隊長に、「さあ、家に帰りなさい。あなたの信じたとおりのことが起こっています」と言われました。そして、ちょうどその時刻、召使の病気はいやされていたのです。 + イエスがペテロの家に行かれると、ペテロのしゅうとめが、高熱でうなされていました。 + ところが、イエスがその手におさわりになると、たちまち熱がひき、彼女は起き出して、みんなの食事のしたくを始めました。 + その夕方のことです。悪霊につかれた人たちが、イエスのところに連れて来られました。イエスがただひとことお命じになると、たちまち悪霊どもは逃げ出し、病人はみな治りました。 + こうして、イエスについてイザヤが、「彼は、私たちの痛みを身に引き受け、私たちの病を負った」と預言したとおりになったのです。 + イエスは、自分を取り巻く群衆の数がだんだんふくれ上がっていくのに気づき、湖を渡る舟の手配を弟子たちにお命じになりました。 + ちょうどその時、ユダヤ教の教師の一人が、「先生。あなたがどこへ行かれようと、ついてまいります」と申し出ました。 + しかし、イエスは言われました。「きつねにも穴があり、鳥にも巣があります。しかし、メシヤ(救い主)のわたしには、自分の家はおろか、横になる所もありません。」 + また、ある弟子は、「先生。ごいっしょするのは、父の葬式を終えてからにしたいのですが」と言いました。 + けれどもイエスは、「いや、今いっしょに来なさい。死んだ人のことは、あとに残った者たちに任せておけばいいのです」とお答えになりました。 + それから、イエスと弟子たちの一行は舟に乗り込み、湖を渡り始めました。 + すると突然、激しい嵐になりました。舟は今にも、山のような大波にのまれそうです。ところが、イエスはぐっすり眠っておられました。 + 弟子たちはあわてて、イエスを揺り起こし、「主よ。お助けください。舟が沈みそうです」と叫びました。 + するとイエスは、「そんなにこわがるとは、それでも神を信じているのですか」と答えると、ゆっくり立ち上がり、風と波をおしかりになりました。するとどうでしょう。嵐はぴたりとやみ、大なぎになったではありませんか。 + 弟子たちは恐ろしさのあまり、その場に座り込み、「なんというお方だろう。風や湖までが従うとは」と、ささやき合いました。 + やがて、舟は湖の向こう岸に着きました。ガダラ人の住む地方です。と、そこに二人の男がやって来ました。実はこの二人は悪霊に取りつかれ、墓場をねぐらにしている人たちでした。何をされるかわかったものではないので、だれもそのあたりには近寄りませんでした。 + 二人は、イエスに向かって大声でわめき立てました。「おれたちをどうしようというんだ。確かに、おまえは神の子だ。だが、今はまだ、おれたちを苦しめる権利はないはずだ。」 + ところで、ずっと向こうのほうでは、豚の群れが放し飼いになっていました。 + そこで悪霊たちは、「もし、おれたちを追い出すのなら、あの豚の群れの中に入れてくれ」と頼みました。 + イエスが、「よし、出て行け」とお命じになると、悪霊たちは男たちから出て、豚の中に入りました。そのとたん、豚の群れはまっしぐらに走りだし、湖めがけていっせいにがけを駆け降り、おぼれ死んでしまいました。 + びっくりした豚飼いたちが近くの町に逃げ込み、事の一部始終を知らせると、 + 町中の者が押しかけ、「これ以上迷惑をかけてもらいたくないから、この地を立ち去ってくれ」とイエスに頼みました。 + + + それで、イエスは舟に乗り込み、ご自分の町カペナウムに帰られました。 + そうこうするうち、数人の人が、中風の男を寝床に寝かせたまま運んで来ました。必ず治していただけると信じていたからです。イエスはこの人たちの信仰を見て、病人に、「さあ、元気を出しなさい。わたしがあなたの罪を赦したのですから」と言われました。 + 「なんと罰あたりなことばだ! まるで、自分が神だと言っているようなものではないか。」ユダヤ教の指導者のある者は、腹の中が煮えくり返る思いでした。 + イエスは、彼らの心中を見抜いて、「なぜそんな悪いことを考えているのですか。 + この人に『あなたの罪が赦されました』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのと、どちらがやさしいですか。さあ、わたしに地上で罪を赦す権威があることを証明してみせましょう」と言い、向き直って、中風の男に命令なさいました。「さあ、起きて寝床をたたみ、家に帰りなさい。もう治ったのですから。」 + すると男は飛び起き、家に帰って行きました。 + この有様を目のあたりにした群衆は、恐ろしさのあまり震え上がり、このような権威を人にお与えになった神をあがめました。 + イエスはそこを去り、道を進んで行かれました。途中、マタイという取税人が取税所に座っていたので、「来なさい。わたしの弟子になりなさい」と声をおかけになると、マタイはすぐ立ち上がり、あとについて行きました。 + そのあと、イエスと弟子たちは、マタイの家で夕食をとることになり、取税人仲間や律法の規定を守らない人も大ぜい招かれました。 + これを見たパリサイ人たちはかんかんになり、弟子たちに、「おまえたちの先生は、どうしてあのような者たちとつき合うのだ」と食ってかかりました。 + イエスはこれを聞いて、「健康な人には医者はいりません。医者が必要なのは病人です」とお答えになり、 + さらにこう続けました。「聖書に、『わたしが喜ぶのは、いけにえやささげ物ではなく、あなたがたがあわれみ深くなることである』とあります。このほんとうの意味を、もう一度学んできなさい。わたしは、自分を正しいと思っている人たちのためにではなく、罪人を神に立ち返らせるために来たのです。」 + ある日、バプテスマのヨハネの弟子たちがイエスのところに来て、尋ねました。「なぜ、先生の弟子たちは、私たちやパリサイ人のように断食しないのですか。」 + するとイエスは、こうお話しになりました。「花婿の友達は、花婿がいっしょにいる間は、嘆き悲しんだり食事をしなかったりするでしょうか。しかし、やがて花婿のわたしが、彼らから引き離される日が来ます。その時こそ彼らは断食することになるでしょう。 + 水洗いしていない新しい布で、古い着物に継ぎ当てをする人がいるでしょうか。そんなことをしたら、当て布は縮んで着物を破り、穴はもっと大きくなるでしょう。 + また、新しいぶどう酒を貯蔵するのに、古い皮袋を使う人がいるでしょうか。そんなことをしたら、古い皮袋は新しいぶどう酒の圧力で張り裂け、ぶどう酒はこぼれ、どちらもだいなしになってしまいます。新しいぶどう酒を貯蔵するには、新しい皮袋を使います。そうすれば両方とも長持ちするのです。」 + このように話していると、町の会堂管理人が駆け込んで来ました。そしてイエスの前にひれ伏し、「先生。私の幼い娘がたったいま息を引き取りました。どうかおいでくださって、手を置いて、あの子を生き返らせてください」と訴えました。 + そこでイエスと弟子たちは、彼の家へ向かいました。 + その途中、十二年間も出血の止まらない病気で苦しんでいた一人の女が、人ごみにまぎれて、うしろからイエスの着物のふさにさわりました。 + 「このお方にさわるだけでも、きっと治る」と思ったからです。 + イエスはふり向き、女に声をかけました。「さあ、勇気を出しなさい。あなたの信仰があなたを治したのです。」この瞬間から、女はすっかりよくなりました。 + さて、イエスが会堂管理人の家に着くと、人々であふれ返り、弔いの音楽が聞こえてきます。 + そこでイエスは、「さあ、この人たちを外に出しなさい。娘さんは死んではいません。ただ眠っているだけです」と言われました。それを聞くと、みんなはイエスをあざ笑いました。 + 人々がみな出て行くと、イエスは少女の寝ている部屋に入り、その手を取りました。するとどうでしょう。少女はすぐに起き上がり、もとどおり元気になったのです。 + このうわさはたちまち、その地方一帯に広まりました。 + イエスが少女の家をあとにされると、二人の盲人が、「ダビデ王の子よ! あわれな私たちをお助けください」と叫びながらついて来ました。 + そしてついに、イエスが泊まっておられる家にまで入り込んで来ました。イエスが、「わたしに目を開けることができると思いますか」とお尋ねになると、彼らは、「はい、もちろんです」と答えました。 + そこでイエスは、二人の目にさわり、「あなたがたの信じるとおりになりなさい」と言われました。 + すると、彼らの目が見えるようになったのです。「このことをだれにも話してはいけません」と、イエスはきびしくお命じになりましたが、 + それでも彼らは、イエスのことを町中に言いふらしました。 + この人たちと入れ替わりに、悪霊につかれてものが言えなくなった男が連れて来られました。 + イエスが悪霊を追い出されると、その人はすぐに口をきき始めたので、みんなは驚きあきれ、「こんなことは、今まで見たことがない」と大声で言い合いました。 + しかし、パリサイ人たちは、「あいつは、悪霊の王ベルゼブル(サタン)を使っているのだ。それで悪霊どもを簡単に追い出せるのだ」と言いました。 + イエスはその地方の町や村をくまなく巡回し、ユダヤ人の会堂で教え、神の国についての福音を伝えられました。また、行く先々で、あらゆる病人を治されました。 + このように、ご自分のところにやって来る群衆をごらんになって、イエスの心は深く痛みました。彼らは、かかえている問題が非常に大きいのに、どうしたらよいか、どこへ助けを求めたらよいかわからないのです。ちょうど、羊飼いのいない羊のようでした。 + イエスは弟子たちに言われました。「収穫はたくさんあるのに、働く人があまりにも少ないのです。 + ですから、収穫の主である神に祈りなさい。刈り入れの場にもっと多くの働き手を送ってくださるように願うのです。」 + + + イエスは、十二人の弟子たちをそばに呼び寄せ、彼らに、汚れた霊を追い出し、あらゆる病気を治す権威をお与えになりました。 + その十二人の名前は次のとおりです。シモン〔別名ペテロ〕、アンデレ〔ペテロの兄弟〕、ヤコブ〔ゼベダイの息子〕、ヨハネ〔ヤコブの兄弟〕、ピリポ、バルトロマイ、トマス、マタイ〔取税人〕、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、タダイ、シモン〔「熱心党」という急進派グループのメンバー〕、イスカリオテのユダ〔後にイエスを裏切った男〕です。 + イエスは、次のような指示を与え、弟子たちを派遣されました。「外国人やサマリヤ人のところに行ってはいけません。 + イスラエル人のところにだけ行きなさい。この人たちは神の囲いから迷い出た羊です。 + 彼らのところに行って、『神の国は近づいた』と伝えなさい。 + 病人を治し、死人を生き返らせ、ツァラアトの人を治し、悪霊を追い出しなさい。ただで受けたのだから、ただで与えなさい。 + お金は、たとえわずかでも持って行ってはいけません。 + 旅行袋や着替え、くつ、それに杖も持って行ってはいけません。そういうものは、あなたがたが助けてあげる人たちから世話してもらいなさい。それが当然のことです。 + どんな町や村に入っても、神を敬う人を見つけ、次の町へ行くまで、その家に泊まりなさい。 + 泊めてもらう時は、その家の祝福を祈りなさい。 + もし神を敬う家庭なら、その家は必ず祝福されるし、そうでなければ、祝福されないでしょう。 + あなたがたを受け入れない町や家があったら、そこを立ち去る時、足のちりを払い落としなさい。 + よく言っておきますが、さばきの日には、あの邪悪なソドムとゴモラの町(悪行のため、神に滅ぼされた町)のほうが、その町よりまだ罰が軽いのです。 + いいですか。あなたがたを派遣するのは、羊を狼の群れの中へ送るようなものです。ですから、蛇のように用心深く、鳩のように純真でありなさい。 + 気をつけなさい。あなたがたは捕らえられて裁判にかけられ、会堂でむち打たれるからです。 + わたしのために、総督や王たちの前で取り調べられるでしょう。その時、わたしのことを彼らと世の人々にあかしすることになります。 + 逮捕されたら、どう釈明しようかなどと心配することはありません。その時その時に適切なことばが与えられます。 + 釈明するのは、あなたがたではありません。あなたがたの天の父の御霊が、あなたがたの口を通して語ってくださるのです。 + 身内からさえ迫害が起こります。 + わたしの弟子だというので、あなたがたはすべての人に憎まれます。けれども、最後まで耐え忍ぶ者は救われるのです。 + 一つの町で迫害されたら、次の町に逃げなさい。あなたがたがイスラエルの町を全部めぐり終えないうちに、わたしは戻って来るからです。 + 生徒は先生にまさることはなく、使用人は主人より上ではありません。 + 生徒は先生のようになれたら十分だし、使用人は主人のようになれたら十分です。主人のわたしがベルゼブル(サタン)と呼ばれるくらいなのだから、ましてあなたがたは、どんなひどいことを言われるでしょうか。 + しかし、脅迫する者たちを恐れてはいけません。やがてほんとうのことが明らかになり、彼らがひそかに巡らした陰謀は、すべての人に知れ渡るからです。 + わたしが今、暗闇で語ることを、明るいところで大声でふれ回りなさい。わたしがあなたがたの耳にささやいたことを、屋上から言い広めなさい。 + 体だけは殺せても、たましいには指一本ふれることもできないような人々を、恐れてはいけません。たましいも体も地獄に落とすことのできる神だけを恐れなさい。 + たった一羽の雀でさえ、あなたがたの天の父の許しなしに地に落ちることはありません。 + あなたがたの髪の毛さえ一本残らず数えられています。 + ですから、心配しなくてもいいのです。あなたがたは神にとって、雀より、ずっと大切なものではありませんか。 + もしあなたがたが、だれの前でも、『私はイエスの友だ』と認めるなら、わたしも、天の父の前で、あなたがたをわたしの友だとはっきり認めましょう。 + しかし、もし人々の前で、『イエスなど知らない』と言うなら、わたしもまた天の父の前で、あなたがたを知らないと、はっきり言うでしょう。 + わたしが来たのは、地上を平和にするためだ、などと誤解してはいけません。平和ではなく、むしろ争いを引き起こすために来たのです。 + そうです。息子を父親に、娘を母親に、嫁をしゅうとめに逆らわせるためです。 + 家族の者さえ敵となる場合があるのです。 + わたし以上に父や母を愛する者は、わたしを信じる者にふさわしくありません。また、わたしよりも息子や娘を愛する者は、わたしを信じる者にふさわしくありません。 + さらに、自分の十字架を負ってわたしに従って来ない者は、わたしを信じる者にふさわしくありません。 + 自分のいのちを一生懸命守ろうとする者は、それを失いますが、わたしのためにいのちを捨てる者は、それを自分のものとします。 + あなたがたを受け入れる人は、わたしを受け入れるのです。わたしを受け入れる人は、わたしをお遣わしになった神を受け入れているのです。 + もし預言者を、神から遣わされた預言者だというので受け入れるなら、預言者と同じ報いを受けるでしょう。また、神を敬う正しい人たちを、彼らが神を敬うというので受け入れるなら、彼らと同じ報いを受けます。 + また、この小さい者のひとりに、わたしに代わって冷たい水一杯でも与えるなら、よく言っておきますが、その人は必ず報いを受けるのです。」 + + + イエスは、十二人の弟子たちにこのような指示を与えると、ご自分も教え、宣べ伝えるために、彼らが行くことになっていた町々へお出かけになりました。 + さて、そのころ牢獄にいたバプテスマのヨハネは、キリストがさまざまな奇跡を行っておられることを聞きました。そこで、弟子たちをイエスのもとに送り、 + 「あなたはほんとうに、私たちの待ち続けてきたお方ですか。それとも、まだ別の方を待たなければならないのでしょうか」と尋ねさせました。 + イエスは答えて言われました。「ヨハネのところに帰り、わたしの行っている奇跡について、見たままを話しなさい。 + 盲人は見えるようになり、足の立たなかった者が今は自分で歩けるようになり、ツァラアトの人が治り、耳の聞こえなかった人も聞こえ、死人が生き返り、そして、貧しい人々が福音を聞いていることなどを。 + それから、こう伝えるのです。『わたしを疑わない人は幸いです。』」 + ヨハネの弟子たちが帰ってしまうと、イエスは群衆に、ヨハネのことを話し始められました。「あなたがたはヨハネに会おうと荒野へ出かけて行った時、彼をどんな人物だと考えていましたか。風にそよぐ葦のような人だとでも思っていたのですか。 + それとも宮殿に住む王子のように、きらびやかに着飾った人に会えるとでも思ったのですか。 + あるいは、神の預言者に会えると期待していたのですか。そのとおり彼は預言者です。いや、それ以上の者です。 + 彼こそ、聖書の中で、『見よ。わたしはあなたより先に使者を送る。その使者は、人々にあなたを迎え入れる準備をさせる』と言われている、その人です。 + よく言っておきます。今までに生まれた人の中で、バプテスマのヨハネほどすぐれた働きをした人はいません。しかし、神の国で一番小さい者でも、ヨハネよりずっと偉大なのです。 + ヨハネが教えを宣べ伝え、バプテスマ(洗礼)を授け始めてから現在まで、多くの熱心な人々が天国を目指して押し寄せました。 + すべての律法と預言者(旧約聖書を指す)とは、メシヤ(救い主)を待ち望んできたからです。そして、ヨハネが現れました。 + ですから、わたしの言うことを喜んで理解しようとする人なら、ヨハネこそ、天国が来る前に現れると言われていた、あの預言者エリヤだとわかるでしょう。 + さあ、聞く耳のある人は聞きなさい。 + あなたがたイスラエル人のことを、何と言えばいいでしょう。まるで小さな子どものようです。あなたがたは友達同士で遊びながら、こう責めているのです。 + 『結婚式ごっこをして遊ぼうと言ったのに、ちっともうれしがってくれなかった。だから葬式ごっこにしたのに、今度は悲しがってくれなかった。』 + つまり、バプテスマのヨハネが酒も飲まず、また何度も断食していると、『あいつは気が変になっている』とけなし、 + メシヤのわたしがごちそうを食べていると、『大食いの大酒飲み、最もたちの悪い罪人の仲間だ』とののしります。もっとも、賢いあなたがたのことですから、うまくつじつまを合わせるでしょうが、知恵が正しいかどうかは、行いによって証明されるのです。」 + それからイエスは、多くの奇跡を目のあたりに見ながら、それでも、神に立ち返ろうとしなかった町々を責められました。 + 「ああ、コラジンよ。ああ、ベツサイダよ。わたしがあなたがたの街頭で行ったような奇跡を、あの邪悪な町ツロやシドン(悪行のため、神に滅ぼされた町)で見せたなら、そこの人々は、とうの昔に恥じ入り、へりくだって悔い改めていたでしょうに。 + いいですか、さばきの日にはツロとシドンのほうが、あなたがたよりまだましなものとされるのです。 + ああ、カペナウムよ。大きな名誉を受けたあなたも、地獄にまで突き落とされるのです。あなたのところでしたすばらしい奇跡を、もしあのソドムで見せたなら、ソドムは滅ぼされずにすんだでしょうに。 + いいですか、さばきの日には、ソドムのほうがあなたより、まだましなものとされるのです。」 + そして、こう祈られました。「ああ、天地の主である父よ。自分を賢いとうぬぼれる者たちには、あなたの真理を隠し、それを小さな子どもたちに示してくださって、ありがとうございます。 + 父よ。これが、お心にかなったことでした。 + あなたは、すべてのことを、わたしに任せてくださいました。わたしを知っておられるのは、父であるあなただけですし、あなたを知っているのは、子であるわたしと、わたしが教える人たちだけです。 + 重い束縛を受けて、疲れはてている人たちよ。さあ、わたしのところに来なさい。あなたがたを休ませてあげましょう。 + わたしはやさしく、謙遜な者ですから、負いやすいわたしのくびきを、わたしといっしょに負って、わたしの教えを受けなさい。そうすれば、あなたがたのたましいは安らかになります。 + わたしが与えるのは軽い荷だけだからです。」 + + + そのころのことです。イエスは弟子たちといっしょに、麦畑の中を歩いておられました。ちょうど、ユダヤの礼拝日にあたる安息日(神の定めた休息日)でしたが、お腹がすいた弟子たちは、麦の穂を摘み取って食べ始めました。 + ところが、それを見た、あるパリサイ人たちが言いました。「あなたの弟子たちがおきてを破っている。安息日に刈り入れをするなど、もってのほかだ。」 + しかし、イエスは言われました。「ダビデ王とその家来たちが空腹になった時、どんなことをしたか、聖書で読んだことがないのですか。 + ダビデ王は神殿に入り、祭司しか食べられない供え物のパンを、みんなで食べたではないですか。ダビデ王でさえ、おきてを破ったわけです。 + また、神殿で奉仕をする祭司は安息日に働いてもよい、と聖書に書いてあるのを読んだことがないのですか。 + ことわっておきますが、このわたしは、神殿よりもずっと偉大なのです。 + もしあなたがたが、『わたしは供え物を受けるより、あなたがたにあわれみ深くなってほしい』という聖書のことばをよく理解していたら、罪もない人たちをとがめたりはしなかったはずです。 + 安息日といえども、天から来たわたしの支配下にあるのですから。」 + このあと、イエスは会堂にお入りになりました。 + ふとごらんになると、そこに、片手の不自由な男がいました。ここぞとばかり、パリサイ人たちは、「安息日に病気を治してやっても、おきてに違反しないでしょうか」と尋ねました。それは、イエスがきっと「さしつかえない」と答えるだろうから、そうしたら逮捕しようという計略でした。 + ところが、イエスの答えは違いました。「あなたがたが、羊を一匹飼っていたとします。ところが、その羊が安息日に井戸に落ちてしまった。さあ、どうしますか。もちろん、すぐに助けてあげるでしょう。 + 人間の価値は、羊とは比べものになりません。だから安息日に良いことをするのは、正しいことなのです。」 + それからイエスは、片手の不自由な男に、「手を伸ばしなさい」と言われ、彼がそのとおりにすると、手はすっかりよくなりました。 + そこでパリサイ人たちは、どうにかしてイエスを逮捕し死刑にしようと、集まって陰謀を巡らしました。 + しかし、それに気づいたイエスは、いち早く会堂を抜け出しました。すると、大ぜいの人がついて来たので、その中の病人をみないやし、 + そして彼らに、この奇跡のうわさを言い広めないように注意しました。 + こうして、イザヤの預言のとおりになったのです。 + 「わたしのしもべを見よ。彼こそわたしの選んだ者。わたしが喜ぶ、わたしの愛する者。わたしは彼の上にわたしの霊を置き、彼は国々をさばく。 + 彼は争わず、叫ぶことも大声をあげることもない。 + 弱い者を踏み倒さず、どんな小さな望みの火も消さない。ついには、正義に勝利をもたらす。 + 彼の名こそ、全世界の希望となる。」 + その時、悪霊につかれて、目も見えず、口もきけない人が連れて来られたので、イエスは彼の目を開け、口もきけるようになさいました。 + これを見た人々は驚いて、「やはり、この人がメシヤ(救い主)ではないだろうか」と言い合いました。 + しかし、このことを耳にしたパリサイ人たちは、「イエスが悪霊を追い出せるのは、自分が悪霊の王ベルゼブル(サタン)だからだ」とうそぶきました。 + イエスは彼らの考えを見抜き、こう言われました。「内紛の絶えない国は、結局滅びます。町でも家庭でも、分裂していては長続きしません。 + もしサタンがサタンを追い出すなら、自分で自分と戦い、自分の国を破壊することになるのです。 + わたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出していると言うが、あなたがたの仲間も、悪霊を追い出しているではありませんか。彼らは、いったい何の力で追い出しているのですか。あなたがたの非難があたっているかどうか、彼らに答えてもらいましょう。 + ところで、もしわたしが神の霊によって悪霊を追い出しているとしたら、どうでしょう。神の国はもう、あなたがたのところに来ているのです。 + 強い者の家に押し入って、物を盗み出すにはまず、その強い者を縛り上げなければなりません。悪霊も同じことです。まずサタンを縛り上げなければ、悪霊を追い出せるわけがありません。 + わたしに味方しない者はみな、わたしの敵なのです。 + だから、あなたがたに言っておきます。どんなにわたしを悪く言おうと、またどんな罪を犯そうと、神は赦してくださいます。ただ一つ、聖霊を汚すことだけは例外です。この罪ばかりは、いつの世でも絶対に赦されることはありません。 + 木の良し悪しは、実で見分けます。良い品種は良い実をつけ、劣った品種は悪い実をつけるものです。 + ああ、まむしの子らよ。あなたがたのような悪者の口から、どうして正しい、良いことばが出てくるでしょう。人の心の思いが、そのまま口から出てくるのですから。 + 良い人のことばを聞けば、その人の心の中にすばらしい宝がたくわえられていることがわかります。しかし、悪い人の心の中は悪意でいっぱいです。 + 言っておきますが、やがてさばきの日には、あなたがたは今まで口にしたむだ口を、一つ一つ釈明しなければならないのです。 + あなたがたのことばしだいで、あなたがたの将来は決まります。自分のことばによって、正しい者とされるか、あるいは罪に定められるか、どちらかになるのです。」 + ある日、ユダヤ人の指導者とパリサイ人のうちの何人かがやって来て、「あなたがほんとうにメシヤなら、その証拠を見せてほしい」と頼みました。 + しかしイエスは、お答えになりました。「邪悪な不信の時代の人々は、証拠を要求するのです。けれども、預言者ヨナに起こったこと以外は、何の証拠も与えられません。 + つまり、ヨナが三日三晩大きな魚の腹の中で過ごしたように、メシヤのわたしも、三日三晩、地の中で過ごすからです。 + さばきの日には、あのニネベの人々が、あなたがたをきびしく罰する側に立つでしょう。ニネベの人々はヨナの教えを聞いて、それまでの堕落した生活を悔い改め、神に立ち返ったからです。ところが、今ここに、ヨナよりもはるかにまさる者が立っているのに、あなたがたはその人を信じようとしません。 + シェバの女王でさえ、あなたがたをきびしく罰する側に回るでしょう。彼女は、ソロモンから知恵のことばを聞こうと、あんなに遠い国から旅して来ることもいとわなかったのです。ここに、そのソロモンよりまさる偉大な者がいるのに、あなたがたは信じようとしません。 + この邪悪な時代に生きる人たちは、ちょうど悪霊につかれた人のようです。せっかくその人から悪霊が出て行っても、しばらくの間、悪霊は別の住みかを求めて荒野をあちこち歩き回るだけです。結局、適当な場所が見つからないので、 + 『もとの家に帰ろう』と帰ってみると、その人の心はきれいに片づけてあり、しかも空っぽです。 + そこで、しめたとばかり、もっとたちの悪い七つの霊を連れ込んで、住みついてしまうというわけです。こうなると、その人の状態は以前より、はるかに悲惨なものとなります。」 + イエスが人々のひしめき合う家の中で話しておられた時、母と弟たちがやって来ました。イエスに話したいことがあったからです。 + だれかが、「先生。お母様と弟さんたちがお見えです」と知らせると、 + イエスはみんなを見回して、「わたしの母や兄弟とは、いったいだれのことですか」と言われました。 + そして弟子たちを指さし、「ごらんなさい。この人たちこそわたしの母であり兄弟です。 + 天におられるわたしの父に従う人はだれでも、わたしの母であり、兄弟であり、姉妹なのです」と言われました。 + + + その日のうちに、イエスは家を出て、湖の岸辺に降りて行かれました。 + ところがそこも、またたく間に群衆でいっぱいになったので、小舟に乗り込み、舟の上から、岸辺に座っている群衆に、多くのたとえを使って教えを語られました。「農夫が畑で種まきをしていました。 + まいているうちに、ある種が道ばたに落ちました。すると、鳥が来て食べてしまいました。 + また、土の浅い石地に落ちた種もありました。それはすぐに芽を出したのですが、 + 土が浅すぎて十分根を張ることができません。やがて日が照りつけると枯れてしまいました。 + ほかに、いばらの中に落ちた種もありましたが、いばらが茂って、結局、成長できませんでした。 + しかし中には、耕された良い地に落ちた種もありました。そして、まいた種の三十倍、六十倍、いや百倍もの実を結びました。 + 聞く耳のある人はよく聞きなさい。」 + その時、弟子たちが近寄って来て尋ねました。「どうして、人々にはいつも、このようなたとえでお話しになるのですか。」 + 「あなたがたには神の国を理解することが許されていますが、ほかの人たちはそうではないからです。」イエスはこう答え、 + さらに続けて説明なさいました。「つまり、持っている者はますます多くの物を持つようになり、持たない者はわずかな持ち物さえも取り上げられてしまいます。 + だから、たとえを使って話すのです。彼らは、いくら見てもいくら聞いても、少しも理解しようとしません。 + こうして、イザヤの預言のとおりになりました。『彼らは、聞くには聞くが理解しない。見るには見るが認めない。 + その心は肥えて鈍くなり、その耳は遠く、その目は閉じられている。彼らは見もせず、聞きもせず、理解もせず、神に立ち返って、わたしにいやされることがない。』 + しかし、あなたがたの目は見ているから幸いです。また、あなたがたの耳は聞いているから幸いです。 + よく言っておきますが、多くの預言者や神を敬う人たちが、今あなたがたの見聞きしていることを見たい、聞きたいと、どんなに願ったことでしょう。しかし、残念ながらできなかったのです。 + さて、さっきの種まきのたとえ話を説明しましょう。 + 最初の道ばたというのは、踏み固められた土のことで、御国についてのすばらしい知らせを耳にしながら、それを理解しようとしない人の心を表しています。こういう人だと、悪魔がさっそくやって来て、その心から、まかれた種を奪い取っていくのです。 + 次に、土が浅く、石ころの多い地というのは、教えを聞いたその時は大喜びで受け入れる人の心を表しています。 + ところが、その人の心は深みがないので、このすばらしい教えも深く根をおろすことができません。ですから、しばらくして信仰上の問題が起こったり、迫害が始まったりすると、熱がさめ、いとも簡単に離れて行ってしまうのです。 + また、いばらの生い茂った地というのは、神のことばを聞いても、生活の苦労や金銭欲などがそれをふさいでしまい、しだいに神から離れていく人のことです。 + 最後に、良い地というのは、神のことばに耳を傾け、それを理解する人の心のことです。このような人こそ、三十倍、六十倍、百倍もの実を結ぶことができるのです。」 + イエスは、別のたとえ話もなさいました。「神の国は、自分の畑に良い種をまく農夫のようなものです。 + ある晩、農夫が眠っているうちに敵が来て、麦の中に毒麦の種をまいていきました。 + 麦が育つと、毒麦もいっしょに伸びてきました。 + 使用人は主人のところに駆けつけ、このことを報告しました。『ご主人様、大変です! 最良の種をまいた畑に、なんと毒麦も生えてきました。』 + 『敵のしわざだな。』主人はすぐに真相を見抜きました。使用人たちが、『毒麦を引き抜きましょうか』と尋ねると、 + 主人は、『いや、だめだ。そんなことをしたら、麦まで引き抜いてしまうだろう。 + 収穫の時まで、放っておきなさい。その時がきたら、まず毒麦だけを束ねて燃やし、あとで麦はきちんと倉庫に納めればよいのだ』と答えました。」 + またイエスは、こんなたとえも話されました。「天国は、畑にまいたからし種のようなものです。 + それはどんな種よりも小粒ですが、成長すると大きな木になり、鳥が巣を作れるほどになります。」 + さらに、こんなたとえも話されました。「神の国は、女の人がパンを焼くのにも似ています。小麦粉に、ほんの少しのパン種(パンの製造に使用する酵母)を入れるだけで、パン生地全体がふくらんできます。」 + 群衆に話をする時、イエスはいつも、このようにたとえで語られました。それは、預言者によって言われたことが実現するためでした。「わたしはたとえを使って語り、世の初めから隠されている秘密を説き明かそう。」 + こうしてイエスが群衆と別れ、家に入られると、弟子たちは、さきほどの毒麦のたとえの意味を説明してほしいと願いました。 + イエスは、お答えになりました。「いいでしょう。良い麦の種をまく農夫とは、わたしです。 + 畑とはこの世界、良い麦の種というのは天国に属する人々、毒麦とは悪魔に属する人々のことです。 + 畑に毒麦の種をまいた者とは悪魔であり、収穫の時とはこの世の終わり、刈り入れをする人とは天使たちのことです。 + この話では、毒麦がより分けられ、焼かれますが、この世の終わりにも同じようなことが起こります。 + わたしは天使を送って、人をそそのかす者や悪人たちをより分け、 + 炉に投げ込んで燃やしてしまいます。悪人たちは、そこで泣いて歯ぎしりするのです。 + その時、正しい人たちは、父の国で太陽のように輝きます。聞く耳のある人はよく聞きなさい。 + 神の国は、ある人が畑の中で見つけた宝のようなものです。見つけた人はもう大喜びで、だれにも知らせず、全財産をはたいてその畑を買い、宝を手に入れるに違いありません。 + また神の国は、良質の真珠を探している宝石商のようなものです。 + 彼はすばらしい価値のある真珠を見つけると、持ち物全部を売り払ってでも、それを手に入れようとするのです。 + また神の国は、漁師にたとえることもできます。漁師は、いろいろな魚でいっぱいになった網を引き上げると、岸辺に座り込んで網の中の魚をより分けます。食べられるものはかごに入れて、食べられないものは捨てるというふうに。 + この世の終わりにも、同じようなことが起こります。天使がやって来て、正しい者と悪い者とを区別し、 + 悪い者を火に投げ込むのです。彼らはそこで泣きわめいて、くやしがります。 + これでわかりましたか。」弟子たちは、「はい」と答えました。 + そこでイエスは、さらにこう言われました。「ユダヤ人のおきてに通じ、しかも、わたしの弟子でもある人たちは、古くからある聖書の宝と、私が与える新しい宝と、二つの宝を持つことになるのです。」 + これらのたとえを語り終えると、イエスはガリラヤのナザレに帰り、町の会堂で教えられました。すると、人々はみなイエスの知恵とその不思議な力に驚きました。「なんということだ。 + あの人は、たかが大工の息子ではないか。母親はマリヤで、弟のヤコブも、ヨセフも、シモンも、ユダも、 + 妹たちも、おれたちはよく知っている。みんなここに住んでいるのだから。あのイエスがどれほどの人だというのか。」 + こうして人々は、かえってイエスに反感を持つようになりました。「預言者はどこででも尊敬されますが、ただ自分の故郷、身内の者の間ではそうではないのです」と、イエスは言われました。 + このような人々の不信仰のために、そこでは、ほんのわずかの奇跡を行われただけでした。 + + + そのころ、イエスのうわさを聞いたヘロデ王(ヘロデ‧アンテパス)は、回りの者に言いました。 + 「あれはバプテスマのヨハネだ。ヨハネが生き返ったに違いない。そうでなければ、あんな奇跡ができるわけがない。」 + 実はこのヘロデは以前、兄のピリポの妻であったヘロデヤのことが原因でヨハネを捕らえ、牢獄につないだ張本人でした。 + それは、ヨハネが、兄嫁を奪い取るのはよくないとヘロデを責めたからです。 + その時ヘロデは、ヨハネを殺そうとも考えましたが、それでは暴動が起きる恐れがあったので思いとどまりました。人々がヨハネを預言者だと認めていたからです。 + ところが、ヘロデの誕生祝いが開かれた席で、ヘロデヤの娘がみごとな舞を披露し、ヘロデをたいそう喜ばせました。 + それで王は娘に、「ほしいものを何でも言うがよい。必ず与えよう」と誓いました。 + ところがヘロデヤに入れ知恵された娘は、なんと、バプテスマのヨハネの首を盆に載せていただきたいと願い出たのです。 + 王は後悔しましたが、自分が誓ったことでもあり、また並み居る客の手前もあって、引っ込みがつきません。しかたなく、それを彼女に与えるように命令しました。 + こうしてヨハネは、獄中で首を切られ、 + その首は盆に載せられ、約束どおり娘に与えられました。娘はそれを母親のところに持って行きました。 + ヨハネの弟子たちは死体を引き取って埋葬し、この出来事をイエスに知らせました。 + この知らせを聞くと、イエスは舟をこぎ出し、ご自分だけで人里離れた所へ行こうとなさいました。ところが、大ぜいの群衆がそれと気づき、町々村々から、岸づたいにイエスのあとを追って行きました。 + 舟から上がったイエスは群衆をごらんになり、あわれに思って、彼らの病気を治されました。 + 夕方になったので、弟子たちはイエスのところに来て、「先生。もうとっくに夕食の時間も過ぎています。こんな寂しい所では食べ物もないですし、みんなを解散させてはどうでしょう。村へ行けば、めいめいで食べる物を買えますから」と勧めました。 + しかし、イエスはお答えになりました。「それにはおよびません。あなたがたで、みんなに食べる物をあげなさい。」 + 弟子たちはイエスに言いました。「先生、今手もとには、小さなパンが五つと、魚が二匹あるだけです。」 + ところがイエスは、「そのパンと魚とを持って来なさい」と言われました。 + それから群衆を草の上に座らせると、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて神の祝福を祈り求め、パンをちぎって、弟子たちに配らせました。 + こうしてみんなが食べ、満腹したのです。あとで余ったパン切れを拾い集めると、なんと十二のかごにいっぱいになりました。 + そこには、女性や子どもを除いて、男だけでも五千人ぐらいの人がいました。 + このあとすぐ、イエスは弟子たちを舟に乗り込ませて向こう岸に向かわせ、また、群衆を解散させられました。 + みんなを帰したあと、ただお一人になったイエスは、祈るために丘に登って行かれました。 + 一方、湖上は夕闇に包まれ、弟子たちは強い向かい風と大波に悩まされていました。 + 朝の四時ごろ、イエスが水の上を歩いて弟子たちのところに行かれると、 + 弟子たちは悲鳴をあげました。てっきり幽霊だと思ったのです。 + しかし、すぐにイエスが、「わたしです。こわがらなくてよいのです」と声をおかけになったので、彼らはほっと胸をなでおろしました。 + その時、ペテロが叫びました。「先生。もしほんとうにあなただったら、私に、水の上を歩いてここまで来いとおっしゃってください。」 + 「いいでしょう。来なさい。」言われるままに、ペテロは舟べりをまたいで、水の上を歩き始めました。 + ところが高波を見てこわくなり、沈みかけたので、大声で、「主よ。助けてください」と叫びました。 + イエスはすぐに手を差し出してペテロを助け、「ああ、信仰の薄い人よ。なぜわたしを疑うのです」と言われました。 + 二人が舟に乗り込むと、すぐに風はやみました。 + 舟の中にいた者たちはみな、「あなたはほんとうに神の子です」と告白しました。 + やがて、舟はゲネサレに着きました。 + イエスが来られたという知らせはたちまち町中に広まり、人々がどっと押しかけました。互いに誘い合い、病人という病人をみな連れて来て、 + イエスに頼みました。「せめてお着物のすそにでもさわらせてやってください。」そして、さわった人たちはみな治りました。 + + + パリサイ人やユダヤ人の指導者たちが、イエスに会いに、エルサレムからやって来ました。 + 彼らはイエスに、「どうしてあなたの弟子たちは、先祖の言い伝えを守らないのか。食事の前に手を洗わないのはどうしてか」と迫りました。 + そこで、イエスは言われました。「それならお聞きします。あなたがたも自分たちの言い伝えのために、神の戒めを破っています。それはどういうわけですか。 + たとえば、律法には、『あなたの父と母とを敬え。だれでも父や母をののしる者は死刑に処せられる』とあります。 + ところが、どうでしょう。あなたがたは、両親が困っていようと何だろうと、『このお金は神にささげました』と言いさえすれば、もう両親のためにそのお金を使わなくてもよいと教えています。つまり、人間の作った規則を盾にとって、両親を敬い、そのめんどうをみなさいという神の戒めを破っているのです。 + まさに偽善者です。イザヤが預言したとおりです。 + 『彼らは口先ではわたしを敬うが、心はわたしから遠く離れている。 + 彼らがわたしを拝んでも、むだなことだ。神のおきての代わりに、人間の規則を教えているのだから。』」 + それからイエスは、群衆を呼び寄せて言われました。「いいですか、よく聞きなさい。 + 禁じられている物を食べたからといって、それで汚れるわけではありません。人を汚すのは、口から出ることばであり、心の思いなのです。」 + その時、弟子たちが来て言いました。「先生があんなことをおっしゃったので、パリサイ人たちはかんかんに怒っています。」 + しかし、イエスは言われました。「わたしの父がお植えにならなかった木は、みな根こそぎ抜かれてしまいます。 + だから、あの人たちのことは放っておきなさい。彼らは盲目なのです。おまけに、ほかの盲人の手引きまでして、結局、二人とも溝に落ちてしまうでしょう。」 + すると、ペテロが尋ねました。「きよくないとされている物を食べても汚れない、と先生がおっしゃるのは、どうしてですか。」 + イエスは言われました。「そんなことがわからないのですか。 + 口から入る物は何でも腹に入って、外へ出てしまいます。 + ところが、悪いことばは悪い心から出てくるので、人を汚すのです。 + つまり、悪い考え、殺人、姦淫、不品行、盗み、うそ、また悪口などは、心から出て、 + 人を汚すのです。しかし、食事の前に手を洗うという規則を破ったからといって汚れるわけではありません。」 + イエスはその地方を去り、ツロとシドンに向かわれました。 + この地方に住んでいるカナン人の女がイエスのところに来て、必死に願いました。「主よ。ダビデ王の子よ!お願いです。どうか、私をあわれと思ってお助けください。娘が悪霊に取りつかれて、ひどく苦しんでいるのです。」 + しかし、イエスは堅く口を閉ざして、ひとこともお答えになりません。とうとう弟子たちが、「あの女に早く帰るように言ってください。うるさくてしかたがありません」と頼みました。 + それでイエスは、「わたしが遣わされたのは、外国人を助けるためではありません。ユダヤ人を助けるためです」と説明なさいました。 + それでも女は、イエスの前にひれ伏し、「主よ。どうかお助けください」と願い続けました。 + イエスは、「子どもたちのパンを取り上げて、犬に投げてやるのはよくないことです」と言われました。 + しかし、女はあきらめませんでした。「おっしゃるとおりです。でも、食卓の下にいる小犬でも、落ちたパンくずぐらいは食べさせてもらえます。」 + そのことばにイエスは感心し、「あなたの信仰は見上げたものです。いいでしょう。願いをかなえてあげましょう」と言われました。その時から、彼女の娘は治りました。 + さて、再びガリラヤ湖に移ります。イエスは丘に登り、腰をおろしておられました。 + そこへ、大ぜいの人が、足の不自由な者、盲人、体の不自由な者、口のきけない者をはじめ、たくさんの病人を連れて来たので、イエスはその人たちをいやされました。 + なんという驚くべき光景でしょう。口のきけなかった者が興奮して話しだし、歩けなかった者が歩きだし、盲人が見えるようになったのです。人々は驚き、心からイスラエルの神をほめたたえました。 + イエスは、弟子たちを呼び寄せて言われました。「この人たちがかわいそうです。もう三日もわたしといっしょにいて、食べ物はとっくになくなっています。このまま帰らせたら、きっと途中で倒れてしまうでしょう。」 + 「でも、こんな寂しい所で、これほどたくさんの人です……。それだけの食べ物を、いったいどこで手に入れるのですか。」 + 「今、手もとにどれぐらい食べ物がありますか」「パンが七つと、小さい魚がほんの少しだけです。」 + それを聞くと、イエスはみんなを地べたに座らせました。 + そして、七つのパンと魚を取り、神に感謝をささげてからそれを裂き、弟子たちに渡して、一人一人に配らせました。 + 女性や子どもを除いても、四千人もの群衆でしたが、だれもが満腹するほど食べました。あとでパンくずを拾い集めると、なんと七つのかごがいっぱいになりました。 + そこで、イエスは人々を家に帰し、舟に乗ってマガダン地方へ向かわれました。 + + + ある日、パリサイ人やサドカイ人たちがイエスのところに来て、天からのすばらしい奇跡を見せてほしいと頼みました。メシヤだと自称するイエスの主張がほんとうかどうかを、試してやろうと思ったのです。 + イエスの返事はこうでした。「あなたがたは、天気を予測するのが得意です。夕焼けになると、『明日は晴れだ』と言うし、朝焼けを見ると、『今日は荒れ模様だ』と言います。そんなに上手に空模様を見分けるのに、これほどはっきりした時代の兆候が読み取れないのですか。 + 今の邪悪な不信の時代は、不思議なしるしが天に現れることばかり求めています。しかし、ヨナの身に起こった奇跡以外に神からの証拠は与えられません。」そしてイエスは、彼らを残したまま去って行かれました。 + 一行は湖の向こう岸へ渡りましたが、食べ物を持って来るのを忘れていました。 + イエスは、「パリサイ人とサドカイ人のパン種に気をつけなさい」と忠告しましたが、 + 弟子たちはパンを忘れてきたので、自分たちをしかっておられるのだろうと勘違いしました。 + それに気づいたイエスは言われました。「ああ、信仰の薄い人たちよ。なぜそんなに、食べ物を持って来なかったことを気に病むのですか。 + まだわからないのですか。五つのパンを五千人に食べさせた時、幾かごものパンが余ったではありませんか。 + また四千人に食べさせた時も、たくさんのパンが余りました。 + パンのことなど問題ではないことが、どうしてわからないのですか。もう一度、はっきり言いましょう。わたしは、『パリサイ人とサドカイ人のパン種に気をつけなさい』と言ったのです。」 + それでやっと弟子たちにも、パン種とは、パリサイ人やサドカイ人のまちがった教えのことだとわかったのです。 + ピリポ‧カイザリヤに行った時、イエスは弟子たちに、「みんなは、わたしのことをだれだと言っていますか」とお尋ねになりました。 + 弟子たちは答えました。「バプテスマのヨハネだと言う人もいますし、エリヤだと言う人もいます。また、エレミヤだとか、ほかの預言者の一人だとか言う人もいます。」 + 「では、あなたがたは、どうなのですか。」 + シモン‧ペテロが答えました。「あなたこそキリスト(ギリシャ語で、救い主)です。生ける神の子です。」 + 「ヨナの息子シモンよ。神があなたを祝福してくださったのです。それを明らかにしたのは、人ではなく、天におられるわたしの父です。 + あなたはペテロ(岩)です。わたしはこの大きな岩の上にわたしの教会を建てます。地獄のどんな恐ろしい力も、わたしの教会に打ち勝つことはできません。 + あなたに天国のかぎをあげましょう。あなたが地上でかぎをかけるなら、天でも閉じられ、あなたが地上でかぎを開けるなら、天でも開かれるのです。」 + このあとイエスは、ご自分がキリストであることをほかの人に話してはいけない、と弟子たちに注意なさいました。 + その時からイエスは、ご自分がエルサレムに行くことと、そこでご自分の身に起こること、すなわち、ユダヤ人の指導者たちの手でひどく苦しめられ、殺され、そして三日目に復活することを、はっきり弟子たちに話し始められました。 + ところが、ペテロはイエスをわきへ呼んでいさめました。「先生。とんでもないことです。あなたのようなお方に、そんなことが起こってなるものですか!」 + しかし、イエスはふり向いて、「サタンよ。下がれ。そのようなことを言って、わたしをわなにかける気ですか。あなたは人間的な見方をして、神の見方を忘れている」とおしかりになりました。 + それから、弟子たちに言われました。「だれでもわたしの弟子になりたければ、自分を捨て、自分の十字架を負って、わたしについて来なさい。 + いのちを大事にする者は、いのちを失うことになります。しかし、わたしのためにいのちを投げ出す者は、それをもう一度自分のものにできるのです。 + たとえ、全世界を自分のものにしても、永遠のいのちを失ってしまったら、何の得になるでしょう。いったい、永遠のいのちほど価値のあるものが、ほかにあるでしょうか。 + メシヤのわたしは、やがて、父の栄光を帯びて、天使たちと共にやって来ます。そして、一人一人を、その行いによってさばくのです。 + 今ここにいる者の中には、生きているうちに、わたしが御国の力を帯びて来るのを、その目で見る者がいます。」 + + + 六日後、イエスは、ペテロとヤコブと、彼の兄弟ヨハネを連れて、人里離れた高い山の頂上に登られました。 + すると、三人の目の前で、たちまちイエスの姿が変わりました。顔は太陽のように輝き、着物はまばゆいほど白くなりました。 + そこへ突然、モーセとエリヤが現れて、イエスと親しく話し始めたではありませんか。 + これを見て、ペテロは思わず口走りました。「ああ、先生。なんとありがたいことでしょう。こんなすばらしいところに居合わせるなんて! もし、よろしければ、幕屋(神がイスラエルの民と会う聖所)を三つお建てしましょう。あなたと、モーセとエリヤのために。」 + ところが、そう言っているうちにも、光り輝く雲が現れて、三人をすっぽり包んでしまいました。そして雲の中から、「これこそ、わたしの愛する子。わたしはこれを心から喜んでいる。彼の言うことを聞きなさい」という声がしました。 + この声を聞いた弟子たちは、恐ろしさのあまりわなわなと震え、ひれ伏しました。 + イエスは近寄り、彼らにさわって言われました。「さあ、起きなさい。こわがることはありません。」 + それで、彼らがようやく顔を上げると、そこにはもう、イエスのほかにはだれもいませんでした。 + 山を降りながら、イエスは、いま見たことを、ご自分が復活するまではだれにも話してはいけないとお命じになりました。 + そこで、弟子たちが尋ねました。「どうしてユダヤ人の指導者たちは、メシヤが来る前に、エリヤが必ず戻って来ると主張しているのでしょうか。」 + 「彼らの言うとおりです。まずエリヤが来て、すべての準備をするのです。 + 実際、エリヤはもう来たのです。しかし人々は彼を認めず、ひどい目に会わせました。そればかりか、メシヤのわたしもまた、彼らの手で苦しめられるのです。」 + その時、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言っておられるのだと気づきました。 + 彼らがふもとに着くと、大ぜいの群衆が待ちかまえていました。その時、一人の男が駆け寄り、イエスの前にひざまずいて叫びました。 + 「先生。息子をあわれと思ってお助けください。ひどいてんかん持ちで、火の中でも水の中でも、おかまいなしに倒れるのです。 + それで、お弟子さんたちのところに連れて来てお願いしたのですが、だめでした。」 + 「ああ、なんと不信仰な人たちでしょう。いったいいつまで、あなたがたのことを我慢しなければならないのですか。さあ、その子をここに連れて来なさい。」 + イエスがこう言って、その子に取りついている悪霊をおしかりになると、悪霊は出て行き、子どもはその場ですっかり治ってしまいました。 + あとで弟子たちは、そっとイエスに尋ねました。「どうして、私たちには悪霊が追い出せなかったのでしょう。」 + イエスはお答えになりました。「信仰が足りないからです。もしあなたがたに小さなからし種ほどの信仰があったら、この山に向かって『動け』と言えば、そのとおり山は動くのです。何でもできないことはありません。 + ただし、こういった悪霊は、祈りと断食によらなければ、とても追い出せないのです。」 + まだガリラヤにいたある日のこと、イエスはこんなことをお話しになりました。「わたしは裏切られ、人々の手に引き渡され、殺されますが、三日目には必ず復活します。」これを聞いて、弟子たちの心は悲しみと恐れとで、いっぱいになりました。 + カペナウムに着いた時、神殿に納める税金を取り立てる役人がペテロのところへ来て、「あなたがたの先生は税金を納めないのか」と尋ねました。 + 「もちろん、納めますとも。」こう答えると、ペテロは急いで家に入り、このことを話そうとしました。ところがまだ話を切り出さないうちに、イエスのほうからお尋ねになりました。「ペテロ。あなたはどう思いますか。世の王たちは、だれから税を取り立てるでしょうか。自分の子どもたちからですか、それとも、ほかの人たちからですか。」 + 「ほかの人たちからです」とペテロは答えました。「では、王の子どもたちは税金を納める必要はないのです。 + しかし、役人たちを怒らせたくはありません。今から湖へ行って、つり糸をたらしてみなさい。最初につれた魚の口から、わたしたち二人分の税金を払うだけのお金が見つかるはずです。それで払いなさい。」 + + + そこへ弟子たちがやって来て、「私たちのうち、だれが天国で一番偉いのでしょうか」と尋ねました。 + するとイエスは、近くにいた小さい子どもを呼び寄せ、みんなの真ん中に立たせてから、話しだされました。 + 「よく聞きなさい。悔い改めて神に立ち返り、この小さい子どもたちのようにならなければ、決して天国には入れません。 + ですから、小さい子どものように自分を低くする者が、天国では一番偉いのです。 + また、だれでもこの小さい者たちを、わたしのために受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。 + 反対に、わたしに頼りきっているこの子どもたちの信仰を失わせるような者は、首に大きな石をくくりつけられて海に投げ込まれたほうが、よっぽどましです。 + 悪がはびこるこの世はいまわしいものです。誘惑されるのは避けられないとしても、誘惑のもとになる人はいまわしいものです。 + 罪を犯させるものは、手だろうが足だろうが、切り取ってしまいなさい。五体満足で地獄へ行くより、片手片足になっても天国に入るほうが、よっぽどましです。 + また、目が罪を犯させるなら、そんなものはえぐり出しなさい。両眼そろって地獄へ行くより、片目でも天国に入るほうが、よっぽどましだからです。 + この小さい子どもたちの一人でも、見下げたりしないように気をつけなさい。言っておきますが、天国では、子どもたちを守る天使が、いつでもわたしの父のそば近くにいるのです。 + メシヤのわたしは、神から離れ、迷っている者を救うために来たのです。 + ある人が百匹の羊を持っていたとします。そのうちの一匹が迷い出ていなくなったら、その人はどうするでしょう。ほかの九十九匹はその場に残したまま、いなくなった一匹を捜しに、山へ出かけるでしょう。 + そして、もし見つけようものなら、何ともなかったほかの九十九匹以上に、この一匹のために大喜びします。 + 同じように、わたしの父も、この小さい者たちの一人でも滅びないようにと願っておられるのです。 + 信仰の仲間があなたがたに罪を犯した時は、一人で行って、その誤りを指摘してあげなさい。もし、相手が忠告を聞いて罪を認めれば、あなたはその人を取り戻したことになるのです。 + しかし、もしあなたの言うことに耳を貸そうとしないなら、一人か二人の証人を立てて、もう一度相手のところへ行きなさい。あなたの言い分をすべて証明してもらうためです。 + それでも忠告を聞き入れないなら、その問題を教会に持ち出しなさい。そして、教会があなたを支持してもなお、相手がそれを受け入れないなら、教会はその人と交わるのをやめなさい。 + 言っておきますが、あなたがたが地上で赦したり、禁じたりすることは、天でも同じようになされるのです。 + このことも言っておきましょう。もし、あなたがたのうち二人の者が、何であれ、この地上で心を一つにして祈り求めるなら、天におられるわたしの父は、その願い事をかなえてくださいます。 + たとえ二人でも三人でも、わたしを信じる者が集まるなら、わたしはその人たちの真ん中にいるからです。」 + その時、ペテロがイエスのそばに来て尋ねました。「先生。人が私に罪を犯した場合、何回まで赦してやればいいでしょうか。七回でしょうか。」 + イエスはお答えになりました。「いや、七回を七十倍するまでです。 + 神の国は、帳じりをきちんと合わせようとした王にたとえることができます。 + 清算が始まってまもなく、王から一万タラント(一タラントは六千デナリに相当。一デナリは当時の一日分の賃金)というばく大な借金をしていた男が引き立てられて来ました。 + その男は借金を返すことができなかったので、王は、自分や家族、持ち物全部を売り払ってでも返済するように命じました。 + ところが、男は王の前にひれ伏し、顔を地面にすりつけて、『ああ、王様。お願いです。もう少しだけお待ちください。きっと全額お返しいたしますから』と、必死に願いました。 + これを見て王はかわいそうになり、借金を全額免除し、釈放してやりました。 + ところが、赦してもらった男は王のところから帰ると、百デナリ貸してある人の家に出かけました。そして、彼の首根っこをつかまえ、『たった今、借金を返せ』と迫ったのです。 + 相手は、男の前にひれ伏して、『今はかんべんしてください。もう少ししたら、きっとお返ししますから』と、拝まんばかりに頼みました。 + しかし、男は少しも待ってやろうとはせず、その人を捕らえると、借金を全額返すまで牢にたたき込んでしまいました。 + このことを知った友人たちが王のところへ行き、事の成り行きを話しました。 + 怒った王は、借金を免除してやった男を呼びつけて、言いました。『この人でなしめ! おまえがあんなに頼んだからこそ、あれほど多額の借金も全部免除してやったのだ。 + 自分があわれんでもらったように、ほかの人をあわれんでやるべきではなかったのか!』 + そして、借金を全額返済し終えるまで、男を牢に放り込んでおきました。 + あなたがたも、心から人を赦さないなら、天の父も、あなたがたに同じようになさるのです。」 + + + これらのことを話し終えると、イエスはガリラヤを去り、ヨルダン川を渡って、ユダヤ地方に向かわれました。 + すると、大ぜいの人があとを追って来たので、そこで病人を治されました。 + イエスを試み、陥れようと、何人かのパリサイ人がやって来ました。そして、「あなたは離婚をお認めになりますか」と尋ねました。 + 「聖書を読んだことがないのですか。聖書には、神が初めに男と女を造られたので、人は両親から離れて永遠に妻と結ばれ、二人の者は一体となる、と書いてあるではないですか。彼らはもう二人ではなく、一人なのです。ですから、神が結び合わせたものを、だれも離すことはできません。」 + 「でも、モーセは、離縁状を渡しさえすれば、妻と別れてもよいと言いました。」なおも食い下がる彼らに、 + イエスは答えて言われました。「モーセがそう言ったのは、あなたがたの心が強情なのを知っていたからです。しかしそれは、神がもともと望んでおられたことではありません。 + 言っておきますが、不倫以外の理由で妻を離縁し、ほかの女性と結婚する者は、姦淫の罪を犯すのです。」 + 「それなら、結婚しないほうがましです。」弟子たちがイエスに言いました。 + 「そうは言っても、それは、だれにでもできることではありません。ただ、それを許された者だけができるのです。 + 結婚しないように生まれついた人もいますし、人の手で結婚できないようにされた人もいます。またある人は、天国のために、自分から進んで独身を通します。わたしの言ったことを受け入れることのできる人は、受け入れなさい。」 + その時、イエスに手を置いて祈っていただこうと、人々が小さい子どもたちを連れて来ました。ところが弟子たちは、「先生のおじゃまだ」としかりました。 + しかし、イエスはそれをとどめて、「子どもたちを自由に来させなさい。止めてはいけません。天国は、この子たちのような者の国なのですから」と言われました。 + そして、子どもたちの頭に手を置いて祝福し、そこを去って行かれました。 + 一人の青年がイエスのところに来て、こう質問しました。「先生。永遠のいのちがほしいのですが、どんな良いことをしたら、もらえるでしょうか。」 + 「良いことについて、なぜわたしに尋ねるのですか。ほんとうに良い方は、ただ神おひとりなのです。しかし、質問に答えてあげましょう。天国に入るには、神の戒め(おきて)を守ればいいのです。」 + 「どの戒めでしょうか。」「殺してはならない、姦淫してはならない、盗んではならない、うそをついてはならない、 + あなたの父や母を敬いなさい、隣人を自分と同じように愛しなさい、という戒めです。」 + 「それなら、全部守っています。ほかに何が欠けているでしょうか?」 + 「完全な者になりたければ、家に帰って、財産を全部売り払い、そのお金を貧しい人たちに分けてあげなさい。天に宝をたくわえるのです。それから、わたしについて来なさい。」 + 青年はこれを聞くと、悲しそうに帰って行きました。たいへんな金持ちだったからです。 + イエスは、弟子たちに言われました。「金持ちが天国に入るのは、なんとむずかしいことでしょう。 + 金持ちが天国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうがずっとやさしいのです。」 + このことばに、弟子たちはすっかり面食らってしまいました。「それなら、この世の中で、救われる人などいるでしょうか。」 + イエスは、弟子たちをじっと見つめて言われました。「人間にはできません。だが、神には何でもできます。」 + その時、ペテロが質問しました。「私たちは何もかも捨てて、お従いしてきました。それで、いったい何がいただけるのでしょうか。」 + イエスはお答えになりました。「メシヤ(救い主)のわたしが、やがて、御国の栄光の王座につく時、あなたがたも十二の王座について、イスラエルの十二の部族をさばくことになるのです。 + わたしに従うために、家、兄弟、姉妹、父、母、妻、子、あるいは財産を捨てた者はだれでも、代わりにその百倍もの報いを受け、また永遠のいのちをもいただくのです。 + ただ、今は先頭を行くように見える者が、その時には最後になり、今は最後にいるように見えても、その時には先頭になる者が多くいるのです。 + + + 天国を、こんなふうにたとえることもできます。農園の経営者が、果樹園で働く日雇い労働者を雇おうと、朝早く出かけて行きました。 + そして、一日一デナリの約束で、彼らを果樹園へ行かせました。 + 二、三時間後、また職を求める人々の集まる場所へ行ってみると、仕事にあぶれた者たちがたむろしています。 + それで、その人たちにも、夕方には適当な賃金を払うという約束で、果樹園へ行かせました。 + 昼ごろと午後の三時ごろにも、同じようにしました。 + 夕方も五時近くに、もう一度出かけてみると、まだぶらぶらしている者たちがいます。『どうして一日中、何もしないでここにいるのか』と尋ねると、 + 『仕事がないのです』と答えたので、農園主は言いました。『それなら今すぐ行って、私の農園でみんなといっしょに働きなさい。』 + 終業の時刻になり、農園主は監督に言いつけて、労働者たちを呼び集めました。そして、最後に雇った男たちから順に日当を支払いました。 + 五時に雇われた男たちの日当はなんと一人一デナリです。 + それで、早くから仕事にかかっていた男たちは、もっとたくさんもらえるだろうと思いました。ところが、彼らの日当もやはり一デナリだったのです。 + 当てがはずれた者たちはみな、農園主に文句を言いました。『あの人たちは、たった一時間働いただけなのです。なのに、この炎天下、一日中働いた自分たちと同じに払ってやるんですか。』 + ところが、農園主はその一人に答えました。『いいかね。私はあなたに何も悪いことはしていない。あなたは一日一デナリで働くことを承知したはずだ。 + 文句を言わずに、それを持って帰りなさい。私はだれにでも分け隔てなく払ってやりたいのだ。 + 自分の金をどう使おうと自由だろう。私がほかの者たちに親切なので、あなたは腹を立てているのか。』 + このように、最後の者が最初になり、最初の者が最後になるのです。」 + さて、エルサレムへ行く途中のことです。道々イエスは十二人の弟子だけを呼び寄せ、 + やがて自分がエルサレムでどんな目に会うかをお話しになりました。「わたしは、祭司長やユダヤ人の指導者たちに引き渡され、彼らから死刑を宣告されます。 + そしてローマの役人の手に渡され、あざけられ、十字架につけられます。しかし、わたしは三日目に復活するのです。」 + その時、ゼベダイの息子ヤコブとヨハネとの母親が、息子たちを連れて来ました。母親はイエスの前にひざまずき、「お願いがございます」と言いました。 + 「どんなことですか。」「どうぞ、あなたの御国で、この二人の息子を、あなたの次に高い位につかせてやってください。」 + ところがイエスは、「あなたには、何もわかっていません」と答え、今度は、ヤコブとヨハネのほうをごらんになりました。「あなたがたは、わたしが飲もうとしている杯を飲むことができますか。」「はい。できます。」イエスの質問に、二人はきっぱり答えました。 + しかしイエスは、「確かに飲むことにはなるでしょう。しかし、だれをわたしの次の位につかせるかは、わたしの決めることではありません。わたしの父がお決めになることです」と言われました。 + ほかの十人の弟子たちは、ヤコブとヨハネがイエスにどんな願い事をしたかを聞いて、ひどく腹を立てました。 + そこでイエスは、彼らを呼び集め、言われました。「この世の普通の人たちの間では、王は暴君であり、役人は部下にいばり散らすものです。 + だが、あなたがたの間では違います。リーダーになりたい者は、仕える者になりなさい。 + 上に立ちたいと思う者は、身を低くして仕えなければなりません。 + メシヤのわたしでさえ、人々に仕えられるためではなく、みなに仕えるためにこの世に来たのです。そればかりか、多くの人の罪の代償として自分のいのちを与えるために来たのです。だからあなたがたも、わたしを見ならいなさい。」 + イエスの一行がエリコの町を出ると、大ぜいの人があとについて行きました。 + 途中の道ばたに二人の盲人が座っていました。イエスが通られると聞いた二人は、大声で訴えました。「主よ。ダビデ王の子よ! 私どもをあわれんでください。」 + 人々が黙らせようとすると、ますます激しく叫び立てます。 + イエスは二人の前で足を止め、「どうしてほしいのですか」とお尋ねになりました。「先生。見えるようになりたいのです。」彼らは答えました。 + イエスは心からかわいそうに思い、彼らの目にさわられました。すると、たちまち目が見えるようになり、二人はイエスについて行きました。 + + + 一行がエルサレムに近づき、オリーブ山のふもとのベテパゲ近くまで来た時、イエスは弟子を二人、こう言って使いに出しました。 + 「村に入るとすぐ、一頭のろばといっしょに、子ろばがつないであるのに気づくでしょう。子ろばをほどいて、連れて来なさい。 + もしだれかに、何をしているのかと聞かれたら、『主が必要なのです』とだけ答えなさい。そうすれば、何もめんどうは起こらないはずです。」 + それは、次のような預言が実現するためでした。 + 「エルサレムに告げよ。『王がおいでになる。ろばの子に乗って。柔和な王がおいでになる。』」 + 二人の弟子は、イエスの言いつけどおりに、 + ろばの親子を連れて戻って来ました。そして、子ろばの背に自分たちの上着をかけ、イエスをお乗せしました。 + すると、群衆の中の多くの者が、イエスの進んで行かれる道に自分たちの上着を敷いたり、木の枝を切ってきて敷き並べたりしました。 + 押し寄せた群衆は、イエスを取り囲み、口々に叫びました。「ダビデ王の子、ばんざーい!」「主をほめたたえよ!」「このお方こそ神の人だ!」「主よ。このお方に祝福を!」 + イエスがエルサレムに入られると、町中が上を下への大騒ぎです。だれもが興奮して、「いったい、その方はどなたなんだ」と尋ねます。 + イエスについて来た群衆は、「ガリラヤのナザレ出身の預言者イエス様だ」と答えました。 + それから、イエスは宮にお入りになり、境内で商売していた者たちを追い出し、両替人の机や、鳩を売っていた者たちの台をひっくり返しました。 + そして、彼らにはっきりと言われました。「聖書には、『わたしの神殿は祈りの場所と呼ばれる』と書いてあります。ところがあなたがたは、それを強盗の巣にしてしまったのです。」 + この宮の中へも、盲人や足の不自由な人たちがやって来たので、イエスは彼らを治されました。 + ところが、祭司長やユダヤ人の指導者たちは、イエスが不思議な奇跡を行うのを見、また宮の中で、小さい子どもまでが「ダビデ王の子、ばんざーい!」と叫ぶのを聞いて、すっかり腹を立てました。 + そしてイエスに、「子どもまでがあんなことを言っているのに、あなたには聞こえないのですか」と言いました。イエスはお答えになりました。「もちろん聞こえています。いったい、あなたがたは聖書を読んだことがないのですか。『小さい子どもでさえ神をたたえる』と書いてあるのを。」 + それからイエスはエルサレムを出て、ベタニヤ村にお戻りになり、そこで一泊なさいました。 + 翌朝、エルサレムに向かう途中、イエスは空腹を覚えられました。 + ふと見ると、道ばたにいちじくの木があります。さっそくそばへ行き、実がなっているかどうかをごらんになりましたが、葉ばかりです。それで、イエスはその木に、「二度と実をならせるな」と言われました。すると、いちじくの木はみるみる枯れていきました。 + 「先生。どうしたことでしょう。こんなにもすぐに枯れるとは……。」すっかり驚いた弟子たちに、 + イエスはお答えになりました。「よく聞きなさい。あなたがたも、信仰を持ち、疑いさえしなければ、もっと大きなことができるのです。たとえば、このオリーブ山に、『動いて、海に入れ』と言っても、そのとおりになります。 + ほんとうに信じて祈り求めるなら、何でも与えられるのです。」 + イエスが宮に戻って教えておられると、祭司長とユダヤ人の指導者たちが来ました。「昨日、あなたは商人たちを、ここから追い出しましたね。いったい何の権威があって、そんなことをしたのです。さあ答えてください。」彼らはイエスに詰め寄りました。 + イエスはお答えになりました。「いいでしょう。だが、まずわたしの質問に答えなさい。そのあとで答えましょう。 + バプテスマのヨハネは、神から遣わされたのですか。そうではないのですか。」彼らは集まって、ひそひそ相談しました。「もし、『神から遣わされた』と答えれば、『それを知っていて、どうしてヨハネのことばを信じなかったのか』と聞かれるだろう。 + だからといって、『神から遣わされたのではない』と言えば、今度は、ここにいる大ぜいの群衆が騒ぎだすだろう。なにしろ彼らはみな、ヨハネを預言者だと信じきっているのだから。」 + 結局、「わかりません」と答えるほかありませんでした。するとイエスは言われました。「それなら、わたしもあなたがたの質問には答えません。 + ところで、次のような話をどう思いますか。ある人に息子が二人いました。兄のほうに『今日、農場で働いてくれ』と言うと、 + 『はい、行きます』と答えたのに、実際には行きませんでした。 + 次に、弟のほうに、『おまえも行きなさい』と言いました。弟は『いやです』と答えましたが、あとで悪かったと思い直し、農場へ出かけました。 + 二人のうち、どちらが父親の言うことを聞いたのでしょう。」「もちろん、弟です。」彼らは答えました。イエスは言われました。「確かに、悪人や売春婦たちのほうが、あなたがたより先に神の国に入ります。 + なぜなら、バプテスマのヨハネが来て、悔い改めて神に立ち返れと言った時、あなたがたはその忠告を無視しました。しかし、悪人や売春婦たちは言われたとおりにしました。あなたがたは、それを目のあたりにしながら、なお罪を捨てようとしませんでした。ですから、信じることができなかったのです。 + もう一つのたとえを話しましょう。ある農園主がぶどう園を造り、垣根を巡らし、見張りの塔を建てました。そして、収穫の何割かを取り分にするという約束で、農夫たちにぶどう園を貸し、自分は外国へ行って、そこに住んでいました。 + さて、収穫の時期になったので、彼は自分の分を受け取ろうと、幾人かの代理人を送りました。 + ところが農夫たちは、代理人たちに襲いかかり、袋だたきにするやら、石を投げつけるやらしたあげく、一人を殺してしまいました。 + 農園主はさらに多くの人を送りましたが、結果は同じことでした。 + 最後には、ついに息子を送ることにしました。息子なら、きっと敬ってくれるだろうと思ったからです。 + ところが農夫たちは、その息子が来るのを見ると、『あれは、ぶどう園の跡取りだ。よし、あいつを片づけよう。そうすれば、ここは自分たちのものだ』と言って、 + 彼をぶどう園の外に引きずり出し、殺してしまいました。 + さあ、農園主が帰って来た時、この農夫たちはどんな目に会うでしょうか。」 + 「もちろん農園主は、その悪者どもを情け容赦なく殺して、きちんと小作料を納めるほかの農夫たちに貸すに違いありません。」 + 「聖書にこう書いてあるのを、読んだことがないのですか。『家を建てる者たちの捨てた石が、なくてはならない土台石となった。なんとすばらしいことか。主は、なんと驚くべきことをなさる方か。』 + わたしが言いたいのは、こういうことです。神の国はあなたがたから取り上げられ、収穫の中から神に納める分をきちんと納める、ほかの人たちに与えられるのです。 + また、この真理の石につまずく者は打ち砕かれ、この石が落ちてくると、粉みじんにされます。」 + 祭司長やパリサイ人たちは、このたとえ話を聞いて、その悪い農夫とは、実は自分たちのことなのだと気づきました。 + それで、イエスを捕らえようと思いましたが、群衆がこわくて手出しができませんでした。群衆は、イエスを預言者だと認めていたからです。 + + + 天の御国(神が支配される国、生き方)がどのようなものかを教えようと、イエスはまた幾つかのたとえ話をなさいました。 + 「たとえば天の御国は、王子のために盛大な結婚披露宴を準備した王のようなものです。 + 大ぜいの客が招待されました。宴会の準備がすっかり整ったので、王は使いを送り、招待客を呼びに行かせました。ところが、みな出席を断ってきたのです。 + それで王は、もう一度別の使いをやり、こう言わせました。『何もかも用意ができました。肉も焼き始めています。おいでを待つばかりです。』 + ところが、招待客はそれを気にかけず、ある者は農場へ、ある者は自分の店へと出かけて行きました。 + そればかりか、中には王の使者に恥をかかせたり、なぐったり、殺してしまう者さえいました。 + これを聞いて怒った王は、すぐさま軍兵を出動させ、人殺しどもを滅ぼし、彼らの町を焼き払ってしまいました。 + そして王は、『披露宴の準備はできたというのに、招いておいた者たちはそれにふさわしくなかった。 + さあ、町へ行って、出会う者は片っぱしから、みな招くのだ』と命じました。 + 王の使者たちは、命令どおり、善人悪人の区別なく、だれでも招待しました。宴会場は客でいっぱいです。 + ところが、王が客に会おうと出て来ると、用意しておいた婚礼の礼服を着ていない客が一人います。 + 『礼服もつけずに、どうしてここへ入って来たのか』と尋ねましたが、その男は何とも返事をしません。 + それで王は、側近の者たちに命じました。『この男の手足を縛って、外の暗闇に放り出しなさい。そこで泣いてくやしがるのだ。』 + 招待される人は多くても、選ばれる人は少ないのです。」 + そのころパリサイ人たちは、イエスをわなにかけて逮捕のきっかけになることを言わせようと、知恵をしぼっていました。 + そして、数人の仲間をヘロデ党(ヘロデを支持する政治的な一派)の者たちといっしょにイエスのところへやり、こう質問させました。「先生。あなたがたいへん正直なお方で、だれをも恐れず、また人をえこひいきもなさらず、いつも堂々と真理を教えておられることは、よく存じ上げております。 + それで、ぜひともお教え願いたいのですが、ローマ政府に税金を納めることは正しいことでしょうか。それともよくないことでしょうか。」 + イエスは、彼らの策略を見抜いて言われました。「偽善者たち。わたしをわなにかけようというのですか。 + さあ、銀貨を出して見せなさい。」 + 銀貨を受け取ったイエスは、彼らに問いました。「ここに刻まれているのは、だれの肖像ですか。その下にある名前はだれのものですか。」 + 「カイザル(ローマ皇帝)のです。」「そのとおりです。ローマ皇帝のものなら、それはローマ皇帝に返しなさい。しかし神のものは全部、神に返さなければなりません。」 + 彼らはこの答えに驚き、返すことばもなく、すごすごとイエスの前から立ち去りました。 + ちょうど同じ日に、死後の復活などはないと主張するサドカイ人たちも来て、イエスに尋ねました。 + 「先生。モーセの律法では、ある男が結婚して子どものないまま死んだ場合、弟が兄の未亡人と結婚して、生まれた子どもに兄のあとを継がせることになっています。 + ところで、こういう場合はどうなるのでしょう。七人兄弟の家族があって、長男は結婚しましたが、子どもがないまま死んだので、残された未亡人は次男の妻になりました。 + ところが、次男も子どもがないまま死に、その妻は三男のものになりました。しかし、三男も四男も同じようになり、ついにこの女は、七人兄弟全部の妻になりましたが、結局、子どもはできずじまいでした。 + そして、彼女も死にました。 + そうすると、復活の時には、彼女はいったいだれの妻になるのでしょう。生前、七人とも彼女を妻にしたのですが。」 + しかし、イエスは言われました。「あなたがたは聖書も神の力もわかっていません。思い違いをしています。 + いいですか。復活の時には、結婚などというものはありません。みんなが天使のようになるのです。 + ところで、死人が復活するかどうかについて、聖書を読んだことがないのですか。神が、『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』と言われた時〔すでに死んでしまったアブラハム、イサク、ヤコブがいま神の御前で生きていなければ、神は『アブラハム、イサク、ヤコブの神であった』と言われるはずです〕、あなたがたにも直接そう語りかけておられたのだということが、わからないのですか。神は死んだ人の神ではなく、生きている人の神なのです。」 + 群衆はこのイエスの答えに、すっかり感心しました。 + しかし、パリサイ人たちはそうはいきません。サドカイ人たちが言い負かされたと知ると、彼らは彼らで新しい質問を考え出し、さっそくイエスのところにやって来ました。その中の律法の専門家が、 + 「先生。モーセの律法の中で一番重要な戒めは何でしょうか」と尋ねました。 + イエスはお答えになりました。「『心を尽くし、たましいを尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』 + これが第一で、最も重要な戒めです。 + 第二も同じように重要で、『自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい』という戒めです。 + ほかのすべての戒めと預言者たちの命令も、この二つから出ています。ですから、この二つを守れば、ほかの戒めを全部守ったことになるのです。これを守りなさい。」 + それから、イエスは、回りを取り囲んでいるパリサイ人たちに質問されました。 + 「キリストをどう思いますか。彼はいったいだれの子ですか。」「ダビデ王の子です。」 + 「それでは、なぜダビデは聖霊に動かされて語った時、このように、キリストを『主』と呼んだのでしょうか。 + 『神が私の主に言われた。「わたしがあなたの敵をあなたの足の下に置くまで、わたしの右に座っていなさい。」』 + ダビデがキリストを『主』と呼んでいるのなら、キリストが、ただのダビデの子であるわけはありません。」 + これには、返すことばもありませんでした。その日以来、だれも、あえてイエスに質問しようとする者はいませんでした。 + + + イエスは、群衆と弟子たちにお語りになりました。 + 「ユダヤ人の指導者やパリサイ人たちが、あまりにたくさんの戒めを作り上げているので、あなたがたは、彼らをまるでモーセのようだと思っているでしょう。 + もちろん、彼らの言うことは、みな実行すべきです。言っていることは良いことなのですから。だが、やっていることだけは絶対にまねてはいけません。彼らは言うとおりに実行していないからです。 + とうてい実行できないような命令を与えておいて、自分では、それを守ろうとしないのです。 + 彼らのやることと言ったら、人に見せびらかすことばかりです。幅広の経札(聖書のことばを納めた小箱で、祈りの時に身につける)を腕や額につけたり、着物のふさ(神のおきてを思い出すために着物のすそにつけるように命じられていた)を長くしたりして、あたかも聖者であるかのようにふるまいます。 + また、宴会で上座に着いたり、会堂の特別席に座ったりするのが何より好きです。 + 街頭でていねいなあいさつを受けたり、『ラビ』(へブル語で、教師)とか『先生』とか呼ばれることも大好きです。 + だがあなたがたは、だれからもそう呼ばれないようにしなさい。なぜなら、神だけがあなたがたのラビであって、あなたがたはみな同じ兄弟だからです。 + またこの地上で、だれをも『父』と呼ばないようにしなさい。天におられる神だけが『父』と呼ばれるにふさわしい方だからです。 + それに、『先生』と呼ばれてもいけません。あなたがたの先生は、ただキリストひとりです。 + 人に仕える人が最も偉大な者です。ですから、まず仕える者になりなさい。 + われこそはと思っている人たちは、必ず失望し、高慢の鼻をへし折られてしまいます。一方、自分から身を低くする者は、かえって高く上げられるのです。 + ああ、いまわしいパリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは偽善者です。神の国に入ろうとしている人たちのじゃまをし、自分でも入ろうとはしないのです。 + 町の大通りで、見栄のための長い祈りをし、聖者のようなふりをしながら、未亡人の家を食いものにしています。偽善者たち。 + そうです。あなたがたのような偽善者こそいまわしいものです。たった一人の改宗者(ユダヤ教に転向する人)をつくるために、どんな遠くへでもせっせと出かけて行くが、結局その人を、自分より倍も悪い地獄の子にしてしまうのです。 + 自分の目が見えないのに人の手引きをしようとする者たち。あなたがたの規則では、『神殿にかけて』と誓った誓いは何でもないが、『神殿の黄金にかけて』と誓った誓いは果たさなければならないと言います。 + 愚かな人たち。黄金と、黄金を神聖なものにする神殿と、いったいどちらが大切なのですか。 + また、『祭壇にかけて』と誓った誓いは破ってもいいが、『祭壇の上の供え物にかけて』と誓った誓いは果たさなければならないと言います。 + 愚かな人たち。祭壇の上の供え物と、その供え物を神聖なものにする祭壇自体と、いったいどちらが大切なのですか。 + 『祭壇にかけて』と誓うことは、祭壇の上のすべてのものにかけて誓うことにもなり、 + 『神殿にかけて』と誓うなら、神殿と、そこにおられる神にかけて誓うことになるのです。 + また、『天にかけて』と誓うなら、神の御座と神ご自身にかけて誓うことになるのです。 + パリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは偽善者です。自分の畑でとれる、はっかの葉の最後の一枚に至るまで、実にきちょうめんに十分の一をささげているのに、律法の中ではるかに大切な正義と思いやり、信仰はおろそかにしています。もちろん十分の一はささげるべきですが、もっと大切なことをなおざりにしては何にもなりません。 + 自分の目が見えないのに、他人の手引きをしようとする者たち。あなたがたは、小さなぶよは気にして取り出しながら、大きならくだは丸ごとのみ込んでいるのです。 + いまわしい人たちよ。パリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは偽善者です。杯の外側はきれいにみがき上げるが、内側はゆすりと貪欲で汚れきっています。 + 目の見えないパリサイ人たち。まず杯の内側をきれいにしなさい。そうすれば、杯全体がきれいになるのです。 + ああ、いまわしいパリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは美しく塗り立てた墓のようです。外側がどんなにきれいでも、中は死人の骨や汚らわしいもの、腐ったものでいっぱいです。 + 自分を聖人らしく見せようとしているが、その外見とは裏腹に、心の中はあらゆる偽善と罪で汚れているのです。 + いまわしいパリサイ人、ユダヤ教の指導者たち。あなたがたは偽善者です。先祖が殺した預言者の記念碑を建てたり、先祖の手にかかった、神を敬う者たちの墓前に花を飾ったりして、 + 『私たちには、先祖がしたような、こんな恐ろしいまねはとてもできません』と言っています。 + そんなことを言うこと自体、自分があの悪人たちの子孫だということを、自分で証言するようなものです。 + あなたがたは先祖の悪業を継いで、それを完成させているのです。 + 蛇よ。まむしの子らよ。あなたがたは、地獄の刑罰を逃れることはできません。 + わたしがあなたがたのところに、預言者や、聖霊に満たされた人、神のことばを書き記す力を与えられた人たちを遣わすと、あなたがたは彼らを十字架につけて殺したり、会堂でむち打ったり、町から町へと追い回して迫害したりします。 + こうして、義人アベルから、神殿と祭壇との間で殺されたバラキヤの子ザカリヤに至るまで、正しい人たちが流したすべての血について、あなたがたは有罪とされます。そうです。何世紀にもわたって積み重ねられてきたこれらの報いは、今この時代の者たちの上に一度に降りかかってくるのです。 + ああ、エルサレム、エルサレム。預言者たちを殺し、神がこの都のために遣わされたすべての人を石で打ち殺す町よ。わたしは、めんどりがひなを翼の下に集めるように、何度、あなたの子らを集めようとしたことでしょう。それなのに、あなたがたはそれを拒んでしまったのです。 + ですから、あなたがたの家は荒れ果てたまま見捨てられます。 + はっきり言っておきます。神から遣わされた方を喜んで迎えるようになるまで、あなたがたは二度とわたしを見ることはありません。」 + + + イエスが神殿の庭から出ようとしておられると、弟子たちが近寄って来て、「この神殿は、たいそうりっぱですね」と言いました。 + ところが、イエスは言われました。「今、あなたがたが目を見張っているこれらの建物は、一つの石もほかの石の上に残らないほど、あとかたもなく壊されてしまいます。」 + そのあと、イエスがオリーブ山の中腹に座っておられると、弟子たちが来てこっそり尋ねました。「そんな恐ろしいことがいつ起こるのですか。あなたがもう一度おいでになる時や、この世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。」 + そこでイエスは、彼らに説明されました。「だれにもだまされないようにしなさい。 + そのうち、自分こそキリストだと名乗る者が大ぜい現れて、多くの人を惑わすでしょう。 + また、あちらこちらで戦争が始まったといううわさが流れるでしょう。だがそれは、わたしがもう一度来る時の前兆ではありません。こういう現象は必ず起こりますが、それでもまだ、終わりが来たのではありません。 + 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、至る所でききんと地震が起こります。 + しかし、これらはみな、やがて起こる恐ろしい出来事のほんの始まりにすぎないのです。 + その時、あなたがたは苦しめられ、殺されることもあるでしょう。また、わたしの弟子だというだけで、世界中の人から憎まれるでしょう。 + ですから、その時には多くの者が罪の生活に逆戻りし、互いに裏切り、憎み合います。 + また多くの偽預言者が現れ、大ぜいの人を惑わします。 + 罪があらゆる所にはびこり、人々の愛は冷えきってしまいます。 + けれども、最後まで耐え忍ぶ者は救われるのです。 + そして、御国についてのすばらしい知らせが全世界に宣べ伝えられ、すべての国民がそれを耳にします。それから、ほんとうの終わりが来るのです。 + ですから、預言者ダニエルが語った、あの恐るべきものが聖所に立つのを見たなら〔読者よ、この意味をよく考えなさい〕、 + その時は、ユダヤにいる人たちは山に逃げなさい。 + 屋上にいる人たちは、家の中の物を持ち出そうと下に降りてはいけません。 + 畑で仕事をしている人たちは、着物を取りに戻ってはいけません。 + このような日には、妊娠している女と乳飲み子をかかえている母親はたいへん不幸です。 + あなたがたの逃げる日が、冬や安息日にならないように祈りなさい。 + その時には、歴史上、類を見ないような大迫害が起こるからです。 + もし、このような迫害の期間が短くされないなら、一人として救われないでしょう。だが、神に選ばれた人たちのために、この期間は短くされるのです。 + その時、『キリストがここにおられるぞ』とか、『あそこだ』『いや、ここだ』などとうわさが乱れ飛んでも、そんなデマを信じてはいけません。 + それは、偽キリストや偽預言者たちです。彼らは不思議な奇跡を行って、できることなら、神に選ばれた者たちさえ惑わそうとするのです。 + いいですね。よく警告しておきます。 + ですから、だれかが、『メシヤがまたおいでになった。荒野におられる』と知らせても、わざわざ見に出かけることはありません。また、『メシヤはこれこれの所に隠れておられる』と言っても、信じてはいけません。 + なぜなら、メシヤのわたしは、いなずまが東から西へひらめき渡るように戻って来るからです。 + 死体がある所には、はげたかが集まるものです。 + これらの迫害が続いたすぐあとで、太陽は暗くなり、月は光を失い、星は天から落ち、天体に異変が起こります。 + その時、わたしが来るという前兆が天に現れるのです。地上のあらゆる国の人々は深い悲しみに包まれ、わたしが力と輝く栄光を帯びて、雲に乗って来るのを見ます。 + ラッパが高らかに鳴り響く中で、わたしは天使たちを遣わします。天使たちは、天と地の果てから果てまで行き巡り、選ばれた者たちを集めるのです。 + さあ、いちじくの木から教訓を学びなさい。いちじくの葉が出てくれば、夏は間近です。 + 同じように、このようなことが起こり始めたら、わたしはもう戸口まで来ているのです。 + それらのことが全部起こってから、この時代は終わりになるのです。 + 天地は消え去りますが、わたしのことばは永遠に残ります。 + しかし、その日、その時がいつであるかは、だれも知りません。天使ばかりか、神の子さえも知らないのです。ただ父だけがご存じです。 + ちょうど、ノアの時代のように。当時の人々は洪水が襲う直前まで、宴会だ、結婚式だと陽気に楽しんでいました。 + 何もかも押し流されてしまうまで、洪水のことなど信じようとしなかったのです。わたしが来る時も、それと同じです。 + その時、二人の人が畑で仕事をしていると、一人は天に上げられ、一人はあとに残されます。 + 家事をしている二人の女のうち、一人は天に上げられ、一人はその場に残されます。 + 主はいつ来られるかわからないのだから、いつ来られてもいいように準備をしていなさい。 + 寝ずの番をしていれば、どろぼうに入られることもありません。 + 同じように、日ごろの備えが万全であれば、わたしが何の前ぶれもなくやって来ても、少しも困ることはないはずです。 + 主人の賢い忠実な管理人とはだれでしょう。召使たちの食事の世話をし、家の中を管理する仕事をする人です。主人が帰って来た時、その仕事を忠実にやっているところを見られる人は幸いです。 + 主人はそのような忠実な人たちに、全財産を管理させます。 + しかしもし、あなたがたが悪い召使で、『主人はまだ当分、帰って来ないだろう』と高をくくり、 + 仲間をいじめたり、宴会を開いて酒を飲んだりし始めたらどうでしょう。 + 主は何の前ぶれもなく、思いがけない時に帰って来て、この有様を見、 + あなたがたを激しくむち打ち、偽善者たちと同じ目に会わせるでしょう。あなたがたは泣いて歯ぎしりするのです。 + + + 神の国は、ランプを持って花婿を迎えに出た、十人の娘(花嫁の付き添い)のようです。 + そのうちの五人は賢く、ランプの油を十分用意していましたが、残りの五人は愚かで、うっかり忘れていました。 + 花婿の到着が遅れたので、みな横になり寝入ってしまいました。 + 真夜中ごろ、ようやく、『花婿のお着きー。迎えに出なさーい』と叫ぶ声がします。 + 娘たちは飛び起きると、めいめい自分のランプを整えました。その時、油を用意していなかった五人の娘は、ランプが今にも消えそうなので、ほかの五人に油を分けてほしいと頼みました。 + 『ごめんなさい。分けてあげるほどはありません。それよりもお店に行って、買ってきたほうがいいのではないかしら。』 + こう言われて、あわてて買いに行っているうちに、花婿が到着しました。用意のできていた娘たちは、花婿といっしょに披露宴に行き、戸は閉じられました。 + そのあとで、例の五人が帰って来て、『ご主人様、戸を開けてください!』と叫びました。 + ところが主人は、『私はあなたがたを知りません』と答えました。 + こんなことにならないために、目を覚まして、いつでもわたしを迎える準備をしていなさい。わたしが来るその日、その時が、いつかわからないのですから。 + 天の御国はまた、他国へ出かけたある人のようです。彼は出発前に、使用人たちを呼び、『さあ、元手をやるから、これで留守中に商売をしなさい』と、それぞれにお金を預けました。 + めいめいの能力に応じて、一人には五タラント(一タラントは六千日分の賃金)、ほかの一人には二タラント、もう一人には一タラントというふうに。こうして、彼は旅に出ました。 + 五タラント受け取った男は、それを元手にさっそく商売を始め、じきに五タラントもうけました。 + 二タラント受け取った男もすぐ仕事を始め、二タラントもうけました。 + ところが、一タラント受け取った男は、地面に穴を掘ると、その中にお金を隠してしまいました。 + だいぶ時がたち、主人が帰って来ました。すぐに使用人たちが呼ばれ、清算が始まりました。 + 五タラント預かった男は十タラントを差し出しました。『ご主人様。ごらんください。あの五タラントを倍にしました。』 + 主人は彼の働きをほめました。『よくやった。おまえはわずかなお金を忠実に使ったから、今度はもっとたくさんの仕事を任せよう。私といっしょに喜んでくれ。』 + 次に、二タラント受け取った男が来て、『ご主人様。ごらんください。あの二タラントを倍にしました』と言いました。 + 『よくやった。おまえはわずかなお金を忠実に使ったから、今度はもっとたくさんの仕事を任せよう。私といっしょに喜んでくれ。』主人はこの男もほめてやりました。 + 最後に、一タラント受け取った男が進み出て言いました。『ご主人様。あなたはたいそうひどい方でございます。私は前々からそれを知っておりましたから、せっかくお金をもうけても、あなたが取り上げてしまうのではないかと、こわくてしかたがなかったのです。それで、あなたのお金を土の中に隠しておきました。はい、これがそのお金でございます。』 + これを聞いて、主人は答えて言いました。『なんという悪いやつだ! なまけ者めが! 私がおまえのもうけを取り上げるのがわかっていたというのか。 + だったらせめて、そのお金を銀行にでも預金しておけばよかったのだ。そうすれば、利息がついたではないか。 + さあ、この男のお金を取り上げて、五タラント持っている者にやりなさい。 + 与えられたものを上手に使う者はもっと多くのものが与えられ、ますます豊かになる。だが不忠実な者は、与えられたわずかなものさえ取り上げられてしまうのだ。 + 役立たずは、外の暗闇へ追い出してしまいなさい。そこで、泣きわめくなり、くやしがったりするがいい。』 + メシヤのわたしが、その栄光の輝きのうちに、すべての天使と共にやって来る時、わたしは栄光の王座につきます。 + そして、すべての国民がわたしの前に集められます。その時わたしは、羊飼いが羊とやぎとを選別するように、人々を二組に分け、 + 羊はわたしの右側に、やぎを左側に置きます。 + 王として、わたしはまず、右側の人たちに言います。『わたしの父に祝福された人たちよ。さあ、この世の初めから、あなたがたのために用意されていた御国に入りなさい。 + あなたがたは、わたしが空腹だった時に食べ物を与え、のどが渇いていた時に水を飲ませ、旅人だった時に家に招いてくれたからです。 + それにまた、わたしが裸の時に服を与え、病気の時や、牢獄にいた時には見舞ってもくれました。』 + すると、これらの正しい人たちは答えるでしょう。『王様。私たちがいったいいつ、あなたに食べ物を差し上げたり、水を飲ませたりしたでしょうか。 + また、いったいいつ、あなたをお泊めしたり、服を差し上げたり、 + 見舞いに行ったりしたでしょうか。』 + 『あなたがたが、これらの困っている一番小さい人たちに親切にしたのは、わたしにしたのと同じなのです。』 + 次に、左側にいる人たちに言います。『のろわれた者たちよ。さあ、悪魔とその手下の悪霊どものために用意されている、永遠に燃え続ける火の中に入りなさい。 + あなたがたは、わたしが空腹だった時にも食べ物をくれず、のどが渇いていた時にも水一滴恵もうとはせず、 + 旅人だった時にも、もてなそうとはしませんでした。また、わたしが裸の時にも着物一枚くれるわけでなく、病気の時にも、牢獄にいた時にも知らん顔をしていたではありませんか。』 + すると彼らは、こんなふうに抗議するでしょう。『王様。私たちがいったいいつ、あなたが空腹だったり、のどが渇いていたり、旅人だったり、裸だったり、病気だったり、牢獄におられたりするのを見て、お世話しなかったとおっしゃるのですか。』 + そこで、わたしはこう言います。『あなたがたが、これらの一番小さい者たちを助けようとしなかったのは、わたしを助けなかったのと同じです。』 + こうして、この人たちは永遠の刑罰を受け、一方、正しい人たちには永遠のいのちが与えられるのです。」 + + + イエスはこれらのことを話し終えると、弟子たちに言われました。 + 「あなたがたも知っているように、あと二日で過越の祭りが始まります。いよいよ、わたしが裏切られ、十字架につけられる時が近づいたのです。」 + ちょうどそのころ、大祭司カヤパの家では、祭司長やユダヤ人の指導者たちが集まり、 + イエスをひそかに捕らえて殺そうという相談のまっ最中でした。 + しかし、「祭りの間は見合わせたほうがよいだろう。群衆の暴動でも起こると大変だから」というのが、彼らの一致した意見でした。 + さて、イエスはベタニヤへ行き、ツァラアトの人シモンの家にお入りになりました。 + そこで食事をしておられると、非常に高価な香油のつぼを持った女が入って来て、その香油をイエスの頭に注ぎかけました。 + それを見た弟子たちは、腹を立てました。「なんてもったいないことを! + 売ればひと財産にもなって、貧しい人たちに恵むこともできたのに。」 + イエスはこれを聞いて言われました。「なぜ、そうとやかく言うのですか。この女はわたしのために、とてもよいことをしてくれたのです。 + いいですか。貧しい人たちならいつも回りにいますが、わたしはそうではありません。 + 今、この女が香油を注いでくれたのは、わたしの葬りの準備なのです。 + ですから、この女のことは、いつまでも忘れられないでしょう。そして御国のすばらしい知らせが伝えられる所ならどこででも、この女のしたことも語り継がれるでしょう。」 + このことがあってから、十二弟子の一人、イスカリオテのユダが祭司長たちのところへ来て、「あのイエスをあなたがたに売り渡したら、いったい、いくらいただけますか」と聞きました。こうして、とうとう彼らから銀貨三十枚を受け取ったのです。 + この時から、ユダはイエスを売り渡そうと機会をねらい始めました。 + 過越の祭りの日、すなわち種なしパン(イースト菌を入れないで焼くパン)の祭りの最初の日に、弟子たちが来て、イエスに尋ねました。「先生。過越の食事は、どこですればよろしいでしょうか。」 + 「町に入って行くと、これこれの人に会います。その人に言いなさい。『私どもの先生が、「わたしの時が近づいた。お宅で弟子たちといっしょに過越の食事をしたい」と言っております。』」 + 弟子たちはイエスの言われたとおりにして、夕食の用意をしました。 + その夕方、十二弟子といっしょに食事をしている時、 + イエスは、「あなたがたのうちの一人が、わたしを裏切ろうとしています」と言われました。 + これを聞いた弟子たちはひどく悲しみ、口々に、「まさか私のことではないでしょうね」と尋ねました。 + 「わたしといっしょに鉢に手を浸している者が裏切るのです。 + わたしは預言のとおりに死ななければなりません。だが、わたしを裏切るような者はのろわれます。その人は、むしろ生まれなかったほうがよかったのです。」 + ユダも、何げないふりをして尋ねました。「先生。まさか私ではないでしょう。」「いや、あなたです。」イエスはお答えになりました。 + 食事の最中に、イエスは一かたまりのパンを取り、祝福してから、それをちぎって弟子たちに分け与えました。「これを取って食べなさい。わたしの体です。」 + またぶどう酒の杯を取り、感謝の祈りをささげてから、弟子たちに与えて言われました。「みな、この杯から飲みなさい。 + これは新しい契約を保証するわたしの血、多くの人の罪を赦すために流される血です。 + よく言っておきますが、やがて父の御国で、あなたがたといっしょに新しく飲む日まで、わたしは二度とぶどう酒を飲みません。」 + このあと、一同は賛美歌を歌うと、そこを出て、オリーブ山に向かいました。 + その時、イエスは弟子たちに言われました。「今夜あなたがたはみな、わたしを見捨てて逃げるでしょう。聖書に、『わたしが羊飼いを打つ。すると羊の群れは散り散りになる』と書いてあるからです。 + しかし、わたしは復活して、もう一度ガリラヤに行きます。そこであなたがたに会います。」 + 「たとえ、みんながあなたを見捨てようと、この私だけは絶対に見捨てたりしません」と訴えるペテロに、 + イエスは言われました。「はっきり言いましょう。あなたは今夜鶏が鳴く前に、三度、わたしを知らないと言います。」 + しかしペテロは、「死んでも、あなたを知らないなどとは申しません」と言い、ほかの弟子たちも、口々に同じことを言いました。 + それからイエスは、弟子たちを連れて、木の茂ったゲツセマネの園に行かれました。そして弟子たちに、「わたしが向こうで祈っている間、ここに座って待っていなさい」と言い残し、 + ペテロと、ゼベダイの子ヤコブとヨハネだけを連れて、さらに奥のほうへ行かれました。その時です。激しい苦悩と絶望がイエスを襲い、苦しみもだえ始められました。 + 「ああ、恐れと悲しみのあまり、今にも死にそうです。ここを離れずに、わたしといっしょに目を覚ましていなさい。」 + 三人にこう頼むと、イエスは少し離れた所に行き、地面にひれ伏して必死に祈られました。「父よ。もしできることなら、この杯を取り除いてください。しかし、わたしの思いどおりにではなく、あなたのお心のままになさってください!」 + それから、弟子たちのところへ戻って来られると、なんと、三人ともぐっすり眠り込んでいるではありませんか。そこで、ペテロを呼び起こされました。「起きなさい、ペテロ。たったの一時間も、わたしといっしょに目を覚ましていられなかったのですか。 + 油断しないで、いつも祈っていなさい。さもないと誘惑に負けてしまいます。あなたがたの心は燃えていても、肉体はとても弱いのですから。」 + こうしてまたイエスは、彼らから離れて、祈られました。「父よ。もし、この杯を飲みほさなければならないのでしたら、どうぞ、あなたのお心のままになさってください。」 + イエスがもう一度戻って来られると、三人はまたもや眠り込んでいました。まぶたが重くなって、どうしても起きていられなかったのです。 + イエスは、三度目の祈りをするために戻り、前と同じ祈りをなさいました。 + それからまた、弟子たちのところに来て、「まだ眠っているのですか。目を覚ましなさい。時が来ました。いよいよ、わたしは悪い者どもに売り渡されるのです。 + 立ちなさい。さあ、行くのです。ごらんなさい、裏切り者が近づいて来ます」と言われました。 + イエスがまだ言い終わらないうちに、十二弟子の一人ユダがやって来ました。彼といっしょに、ユダヤ人の指導者たちが差し向けた大ぜいの群衆も、手に手に剣やこん棒を持っていました。 + 彼らの間では、ユダがあいさつする相手こそイエスだから、その人物を捕まえるように、前もって打ち合わせがしてありました。 + それで、ユダはまっすぐイエスのほうへ歩み寄り、「先生。こんばんは」と声をかけ、さも親しげにイエスを抱きしめました。 + イエスが、「ユダよ。さあ、おまえのしようとしていることをしなさい」と言われた瞬間、人々は飛びかかり、イエスを捕らえました。 + その時、イエスといっしょにいた一人が、さっと剣を抜き放つと、大祭司の部下の耳を切り落としました。 + ところが、イエスは彼を制して言われました。「剣をさやに納めなさい。剣を使う者は、自分もまた剣で殺されるのです。 + わからないのですか。わたしが願いさえすれば、父が何万という天使を送って、わたしを守ってくださるのです。 + しかし、もし今そんなことをしたら、こうなると書いてある聖書のことばが実現しないではありませんか。」 + そして今度は、群衆に向かって言われました。「剣やこん棒で、これほどものものしく武装しなければならないほど、わたしは凶悪犯なのでしょうか。わたしが毎日神殿で教えていた時には、何の手出しもしなかったではありませんか。 + いいですか、こうなったのはすべて、預言者たちのことばが実現するためです。」この時、弟子たちはみな、イエスを見捨てて逃げ去りました。 + 暴徒たちは、イエスを大祭司カヤパの家に引っ立てました。ちょうど、ユダヤ人の指導者たちが一堂に集まり、今や遅しと待ちかまえているところでした。 + 一方、ペテロは遠くからあとをつけて行き、大祭司の家の中庭にもぐり込みました。そして兵士たちにまじって、イエスがどんなことになるのか見届けようとしました。 + そこには、祭司長たちやユダヤの最高議会の全議員が集まり、なんとかイエスを死刑にしようと、偽証する者を捜していました。 + ところが、偽証する者は多かったのですが、その証言がみな食い違っているのです。そうこうするうちに、ようやく、格好の証人が現れました。二人の男が進み出て、 + 「この男は、『神殿を打ちこわして、三日の間に建て直すことができる』と言っていました」と証言したのです。 + 大祭司はここぞとばかりに立ち上がり、イエスに問いただしました。「さあ、黙っていないで答えたらどうだ。ほんとうにそんなことを言ったのか。それとも言わなかったのか。」 + それでもなお、イエスは黙っていました。大祭司は続けました。「生ける神の御名によって命じる。あなたは神の子キリストなのかどうか。さあ、はっきり答えてみなさい。」 + イエスはお答えになりました。「あなたの言ったとおりです。あなたがたは、やがてメシヤ(救い主)のわたしが、神の右の座につき、雲に乗って来るのを見るでしょう。」 + これを聞いた大祭司は、即座に着物を引き裂き、大声で叫びました。「冒瀆だ! 神を汚すことばだ! これだけ聞けば十分だ。さあ、みんなも聞いたとおりだ。 + この男をどうしよう。」一同はいっせいに叫びました。「死刑だ、死刑にしろ!」 + そうして、イエスの顔につばをかけたり、なぐったりしました。またある者は、イエスを平手で打ち、 + 「おい、キリストなんだろ。当ててみろ。今おまえを打ったのはだれだ」とからかいました。 + 一方、ペテロは中庭に座っていましたが、一人の女中がやって来て、「あら、あなたイエスといっしょにいた人じゃないの。二人ともガリラヤの人でしょう」と話しかけました。 + ところがペテロは、「人違いだ。変な言いがかりはよしてくれ」と大声で否定しました。 + まずいことになったと、ペテロが急いで出口のほうへ行きかけると、また別の女中に見つかりました。女中は回りの人たちに、「この人もナザレから来たイエスという人といっしょだったわ」と言いました。 + ペテロはあわててそれを打ち消し、その上、「断じて、そんな男は知らない」と誓いました。 + ところが、しばらくすると、近くにいた人たちが彼のところへ来て、口々に言い始めました。「いや、おまえは確かにあの男の弟子の一人だ。隠してもむだだ。そのガリラヤなまりが何よりの証拠だ。」 + たじたじとなったペテロは、「そんな男のことなど、絶対に知らない。これがうそなら、どんな罰が下ってもかまわない」と言いだしました。するとすぐに、鶏の鳴く声が聞こえました。 + その瞬間、ペテロは、はっとわれに返りました。「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うでしょう」と言われたイエスのことばを思い出したからです。ペテロは外へ駆け出して行くと、胸も張り裂けんばかりに激しく泣きました。 + + + さて、朝になりました。祭司長とユダヤ人の指導者たちはまた集まり、どうやってローマ政府にイエスの死刑を承認させようかと、あれこれ策を練りました。 + それから、縛ったまま、イエスをローマ総督ピラトに引き渡しました。 + ところで、裏切り者のユダはどうなったでしょう。イエスに死刑の判決が下されると聞いてはじめて、彼は自分のしたことがどんなに大それたことだったか気づき、深く後悔しました。それで祭司長やユダヤ人の指導者たちのところに銀貨三十枚を返しに行き、 + 「私はとんでもない罪を犯してしまった。罪のない人の血を売ったりして」と言いました。しかし祭司長たちは、「今さらわれわれの知ったことか。かってにしろ」と言って、取り合おうとしませんでした。 + それでユダは、銀貨を神殿に投げ込み、出て行って首をくくって死んでしまいました。 + 祭司長たちはその銀貨を拾い上げてつぶやきました。「まさか、これを神殿の金庫に入れるわけにもいくまい。人を殺すために使った金だから。」 + 彼らは相談し、その金で、陶器師が粘土を取っていた畑を買い上げ、そこをエルサレムで死んだ外国人の墓地とすることにしました。 + そこでこの墓地は、今でも「血の畑」と呼ばれています。 + こうして、「彼らは銀貨三十枚を取った。それは、イスラエルの人々がその人を見積もった値段だ。彼らは、主が私に命じられたように、それで陶器師の畑を買った」 + というエレミヤの預言のとおりになったのです。 + さてイエスは、ローマ総督ピラトの前に立ちました。総督はイエスを尋問しました。「おまえはユダヤ人の王なのか。」イエスは「そのとおりです」と答えました。 + しかし、祭司長とユダヤ人の指導者たちからいろいろな訴えが出されている時は、口をつぐんで、何もお答えになりませんでした。 + それでピラトはイエスに、「おまえにあれほど不利な証言をしているのが、聞こえないのか」と尋ねました。 + それでもイエスは何もお答えになりません。これには総督も、驚きあきれてしまいました。 + ところで、毎年、過越の祭りの間に、ユダヤ人たちが希望する囚人の一人に、総督が恩赦を与える慣習がありました。 + 当時、獄中にはバラバという名の知れた男が捕らえられていました。 + それでその朝、群衆が官邸に詰めかけた時、ピラトは尋ねました。「さあ、いったいどちらを釈放してほしいのか。バラバか、それともキリストと呼ばれるイエスか。」 + ピラトがこう言ったのは、イエスが捕らえられたのは、イエスの人気をねたむユダヤ人指導者たちの陰謀だと気づいたからです。 + 裁判の最中に、ピラトのもとへ彼の妻が、「どうぞ、その正しい方に手をお出しになりませんように。ゆうべ、その人のことで恐ろしい夢を見ましたから」と言ってよこしました。 + ところが、祭司長とユダヤの役人たちは、バラバを釈放し、イエスの死刑を要求するように、群衆をたきつけました。 + それで、ピラトがもう一度、「二人のうち、どちらを釈放してほしいのか」と尋ねると、群衆は即座に、「バラバを!」と大声で叫んだのでした。 + 「では、キリストと呼ばれるあのイエスは、どうするのだ。」「十字架につけろ!」 + 「どうしてだ。あの男がいったいどんな悪事を働いたというのか。」ピラトがむきになって尋ねても、人々は、「十字架だ! 十字架につけろ!」と叫び続けるばかりでした。 + どうにも手のつけようがありません。暴動になるおそれさえ出てきました。あきらめたピラトは、水を入れた鉢を持って来させ、群衆の面前で手を洗い、「この正しい人の血について、私には何の責任もない。責任は全部おまえたちが負いなさい」と言いました。 + すると群衆は大声で、「かまわない。責任はおれたちや子どもたちの上にふりかかってもいい!」と叫びました。 + ピラトはやむなくバラバを釈放し、イエスをむち打ってから、十字架につけるためにローマ兵に引き渡しました。 + 兵士たちはまず、イエスを兵営に連れて行き、全部隊を召集すると、 + イエスの着物をはぎとって赤いガウンを着せ、 + 長いとげのいばらで作った冠を頭に載せ、右手には、王の笏に見立てた葦の棒を持たせました。それから、拝むまねをして、「これはこれは、ユダヤ人の王様。ばんざーい!」とはやし立てました。 + また、つばをかけたり、葦の棒をひったくって頭をたたいたりしました。 + こうしてさんざんからかったあげく、赤いガウンを脱がせ、もとの服を着せると、いよいよ十字架につけるために引いて行きました。 + 刑場に行く途中、通りすがりの男にむりやりイエスの十字架を背負わせました。クレネから来合わせたシモンという男でした。 + ついに、ゴルゴタ、すなわち「どくろの丘」という名で知られる場所に着きました。 + 兵士たちはそこで、薬用のぶどう酒を飲ませようとしましたが、イエスはちょっと口をつけただけで、飲もうとはされませんでした。 + イエスを十字架につけ終わると、兵士たちはさいころを投げてイエスの着物を分け合いました。 + それがすむと、今度はその場に座って見張りをしました。 + またイエスの頭上には、「この者はユダヤ人の王イエスである」と書いた罪状書きを打ちつけました。 + その朝、強盗が二人、それぞれイエスの右と左で十字架につけられました。 + 刑場のそばを通りかかった人々は、大げさな身ぶりをしながら、口ぎたなくイエスをののしりました。 + 「やい。神殿を打ちこわして、三日のうちに建て直せるんだってな! おまえが神の子だって? それなら、十字架から降りてみろ。」 + 祭司長やユダヤ人の指導者たちも、イエスをあざけりました。 + 「他人は救えるが自分は救えないというわけか。イスラエルの王が聞いてあきれる。さあ、十字架から降りて来い! そうしたら信じてやろうじゃないか。 + おまえは神に頼っているのだろう。神のお気に入りなら、せいぜい助けていただくがいい。自分を神の子だと言っていたのだから。」 + 強盗までがいっしょになって、悪口をあびせました。 + さて時間がたち、正午にもなったころ、急にあたりが暗くなり、一面の闇におおわれました。それが三時間も続きました。 + 三時ごろ、イエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれました。それは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味です。 + 近くでその声を聞いた人の中には、「あれはエリヤを呼んでいるのだ」と思う者もいました。 + 一人の男がさっと駆け寄り、海綿に酸っぱいぶどう酒を含ませると、それを葦の棒につけて差し出しました。 + ところが、ほかの者たちは、「放っておけよ。エリヤが救いに来るかどうか、見ようじゃないか」と言いました。 + その時、イエスはもう一度大声で叫んで、息を引き取りました。 + すると、神殿の至聖所を仕切っていた幕が、上から下まで真っ二つに裂けたのです。大地は揺れ動き、岩はくずれました。 + さらに墓が開いて、生前神に従っていた多くの人たちが生き返りました。 + 彼らはイエスが復活されたあと、墓を出てエルサレムに入り、多くの人の前に姿を現したのです。 + 十字架のそばにいた隊長や兵士たちは、このすさまじい地震やいろいろの出来事を見て震え上がり、「この人はほんとうに神の子だった!」と叫びました。 + イエスの世話をするためにガリラヤからついて来たたくさんの女たちも、遠くからこの様子を見ていました。 + マグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフの母マリヤ、ゼベダイの息子ヤコブとヨハネの母などです。 + 夕方になりました。イエスの弟子で、アリマタヤ出身のヨセフという金持ちが来て、 + ピラトに、イエスの遺体を引き取りたいと願い出ました。ピラトは願いを聞き入れ、遺体を渡すように命じました。 + ヨセフは遺体を取り降ろすと、きれいな亜麻布でくるみ、 + 岩をくり抜いた、自分の新しい墓に納めました。そして、大きな石を転がして入口をふさぎ、帰って行きました。 + この有様を、マグダラのマリヤともう一人のマリヤが、近くに座って見ていました。 + 翌日の安息日に、祭司長やパリサイ人たちがピラトに願い出ました。「総督閣下。あの大うそつきは、確か、『わたしは三日後に復活する』と言っていました。 + それをいいことに、弟子たちが死体を盗み出し、イエスは復活したと言いふらしては、まずいことになりかねません。それこそ、このところの騒ぎではすまず、大混乱になるかもしれません。ですからどうぞ、墓を三日目まで見張るように命令を出してください。」 + ピラトは答えました。「よろしい。では厳重に見張らせるがよい。」 + そこで彼らは、石に封印をし、警備の者をおいて、だれも忍び込めないようにしました。 + + + 安息日も終わり、日曜日になりました。マグダラのマリヤともう一人のマリヤは、明け方早く、墓へ出かけました。 + 突然、大きな地震が起きました。天使が天から下って来て、墓の入口から石を転がし、その上に座ったのです。 + 天使の顔はいなずまのように輝き、衣は雪のような白さでした。 + 警備の者たちはその姿を見て、恐怖で震え上がり、死んだようになってしまいました。 + すると、天使がマリヤたちに声をかけました。「こわがらなくてもいいのです。十字架につけられたイエスを捜していることはわかっています。 + だがもう、イエスはここにはおられません。前から話していたように復活されたのです。中に入って、遺体の置いてあった所を見てごらんなさい。 + さあ早く行って、弟子たちに、イエスが死人の中から復活されたこと、ガリラヤへ行けば、そこでお会いできることを知らせてあげなさい。」 + 二人は、恐ろしさに震えながらも、一方ではあふれる喜びを抑えることができませんでした。一刻も早くこのことを弟子たちに伝えようと、一目散に駆けだしました。 + すると、そこへ突然イエスが姿を現され、目の前に立ち、「おはよう」とあいさつなさいました。二人はイエスの前にひれ伏し、御足を抱いて礼拝しました。 + イエスは言われました。「こわがらなくてもいいのです。行って、わたしの兄弟たちに、すぐガリラヤへ行くように言いなさい。そこでわたしに会えるのです。」 + 二人が町へ急いでいるころ、墓の番をしていた警備の者たちは祭司長たちのところに駆け込み、一部始終を報告しました。 + ユダヤ人の指導者が全員召集され、どうしたらよいか相談しました。その結果、警備の者たちに多額の賄賂を渡し、「夜、眠っている間に、イエスの弟子たちが死体を盗んでいった」と言わせることにしました。 + 「もしこのことが総督の耳に入ったとしても、うまく説得してやるから心配することはない。あなたたちには決して迷惑はかけない。」彼らはこう約束しました。 + 賄賂を受け取った彼らは、言われたとおりに話しました。そのため、この話は広くユダヤ人の間に行き渡り、今でもそう信じられています。 + 一方、十一人の弟子はガリラヤに出かけ、イエスから指示された山に登りました。 + そこでイエスにお会いして礼拝しましたが、中にはイエスだと信じない者もいました。 + イエスは弟子たちに言われました。「わたしには天と地のすべての権威が与えられています。 + だから、出て行って、すべての人々をわたしの弟子とし、彼らに、父と子と聖霊との名によってバプテスマ(洗礼)を授けなさい。 + また、弟子となった者たちには、あなたがたに命じておいたすべての戒めを守るように教えなさい。わたしは世界の終わりまで、いつもあなたがたと共にいます。」 + +
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+ + 神の子イエス‧キリストのすばらしい福音(救いの知らせ)の始まりは、こうです。 + 神が地上にご自分のひとり子を遣わされることと、彼を迎える準備のために特別な使者を送られることとは、預言者イザヤがずっと以前に告げていました。 + 「この使者は、不毛の荒野に住み、すべての人に呼びかける。『生活を正せ。主をお迎えする準備をせよ』」と。 + この使者とは、バプテスマのヨハネのことです。彼は荒野に住み、人々にこう教えました。「罪を赦していただくために、悔い改めて神に立ち返りなさい。そして、そのしるしにバプテスマ(洗礼)を受けるのです。」 + このヨハネのことばを聞こうと、エルサレムばかりか、ユダヤ全国からおびただしい数の人たちが詰めかけ、次々と今までの自分の悪い思いや行いを神に告白しました。ヨハネはそういう人たちに、ヨルダン川でバプテスマを授けていたのです。 + らくだの毛で織った着物に、皮の帯、いなごとはちみつが常食という生活を送りながら、 + 彼は次のように宣べ伝えました。「私よりもはるかにすばらしい方が、もうすぐおいでになります。私など、その方のしもべとなる価値もありません。 + 私はあなたがたに水でバプテスマを授けていますが、その方は聖霊によってバプテスマをお授けになります。」 + そのころ、イエスもガリラヤのナザレから来て、人々といっしょに、ヨルダン川でヨハネからバプテスマをお受けになりました。 + ところが、イエスが水から上がられたちょうどその時、天がさっと開け、聖霊が鳩のようにご自分の上に下って来るのが見えました。 + そして天から、「あなたはわたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ」という声が聞こえました。 + このあとすぐ、聖霊はイエスを荒野へ追いやられました。 + イエスは、そこで四十日間、野の獣たちと共に過ごし、罪を犯させようとするサタンの誘惑をお受けになりました。しかし後には、天使たちがやって来て、イエスに仕えていました。 + ヨハネがヘロデ王(ヘロデ‧アンテパス)の命令で逮捕されると、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べ伝えました。 + 「いよいよ来るべき時が来ました。神の国が近づいたのです。みな、悔い改めて、福音を信じなさい。」 + ある日、イエスがガリラヤ湖の岸辺を歩いておられると、シモンとアンデレの兄弟が網を打っている姿が目に入りました。二人は漁師でした。 + イエスは声をおかけになりました。「さあ、ついて来なさい。人間をとる漁師にしてあげましょう。」 + すると二人はすぐ網を置き、イエスについて行きました。 + また少し先に行くと、ゼベダイの息子で、同じく漁師のヤコブとヨハネとが舟の中で網を修繕していました。 + そこで、イエスはこの二人もお呼びになりました。二人とも、父と雇い人たちとを舟に残したまま、イエスについて行きました。 + さて、一行はカペナウムの町にやって来ました。土曜日の朝、イエスはユダヤ人の礼拝所である会堂へ出かけて、教えられました。 + それを聞いた会衆は驚きました。イエスの話し方が、これまで聞いてきたものとは全く違っていたからです。イエスは、律法学者たちのようにむやみに他人のことばを用いず、権威をもって話されたからです。 + ところが、その会堂に悪霊につかれた人がいて、大声で叫びだしました。 + 「おい、ナザレのイエス! おれたちをどうしようというんだ。おれたちを滅ぼすために来たんだろう。あんたのことはよく知ってるぜ。そうとも、神の聖なる御子よ!」 + イエスは悪霊にそれ以上は言わせず、「その人から出て行きなさい!」とお命じになりました。 + すると悪霊は大声をあげ、その人を激しく引きつけさせて、出て行きました。 + この有様に会衆は肝をつぶし、興奮して口々に論じ合いました。「いったい、どうなっているんだ!」「悪霊どもでさえ、命令を聞くなんて……。」「これは新しい教えなのかね。」 + イエスの評判は、たちまちガリラヤの全地方に広まりました。 + このあと会堂を出た一行は、シモンとアンデレの家に行きました。 + ところがこの時、シモンのしゅうとめは高熱にうなされて、床についていました。イエスはそれを知ると、 + さっそく彼女のそばに行き、手を取って起こされました。するとどうでしょう。たちまち熱が下がり、すっかり元気になったしゅうとめは、みんなをもてなすために、食事の用意を始めたのです。 + 日の沈むころになると、シモンの家の庭は、イエスに治していただこうと連れて来られた病人や悪霊につかれた者たちで、いっぱいになりました。 + また戸口には、カペナウム中の人たちが詰めかけ、がやがや騒ぎながら中の様子をながめていました。 + イエスはこの時も多くの病人を治し、悪霊を追い出されました。しかも、悪霊にひとことも口をきかせませんでした。悪霊は、イエスがどういう方か知っていたからです。 + 翌朝、イエスは夜明け前に起き、ただひとり、人気のない所へ行って祈られました。 + そのうちに、あちらこちらとイエスを捜し回っていたシモンたちが来て、 + 「みんなが先生を捜しています」と言いました。 + イエスは、「さあ、ほかの町へ出かけましょう。そこでも教えなければなりません。わたしはそのために来たのですから」とお答えになりました。 + こうしてイエスは、ガリラヤ中をくまなく回り、会堂で教え、悪霊につかれた人を大ぜいお助けになりました。 + ある時、一人のツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)に冒された人がやって来て、イエスの前にひざまずき、熱心に頼みました。「お願いでございます。どうか私の体をもとどおりに治してください。先生のお気持ちひとつで治るのですから。」 + イエスは心からかわいそうに思い、彼にさわって、「そうしてあげましょう。さあ、よくなりなさい」と言われました。 + するとたちまち、ツァラアトはあとかたもなくなり、完全に治ってしまいました。 + 「これからすぐに祭司のところへ行き、体を調べてもらいなさい。途中で寄り道や立ち話をしてはいけません。健康な体に戻ったことを明らかにするために、モーセの命じたとおりの供え物をしなさい。」 + イエスにきびしく止められたにもかかわらず、男はうれしさを抑えきれず、この出来事を大声でふれ回って歩きました。そのため、イエスの回りにはみるみる人垣ができ、公然と町へ入れなくなりました。しかたなく町はずれにとどまっておられましたが、そこにも、人々が押しかけて来ました。 + + + 数日後、イエスはカペナウムに戻られました。すると、イエス来訪のニュースはたちまち町中に伝わり、 + 人々が大ぜい集まって来ました。家は足の踏み場もないほどで、外まで人があふれています。その人たちに、イエスは神の教えを語られました。 + その時、四人の人が、中風(脳出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の男をかついで運んで来ました。 + しかしあまりの人に、群衆をかき分けて中へ入ることもできません。そこで、屋根にのぼり、穴をあけると、そこから病人を寝床のまま、イエスの前へつり降ろしました。 + 必ず治してもらえると、堅く信じて疑わない彼らの信仰をごらんになって、イエスは中風の男に、「あなたの罪は赦されました」と言われました。 + ところが、その場にいた何人かのユダヤ人の宗教的指導者たちの心中は、おだやかではありませんでした。 + 「なんだと! 今のは神を汚すことばだ。いったい自分をだれだと思っているのか。罪を赦すなんて、神にしかできないことなのに。」 + イエスはすぐに、彼らが心の中で理屈をこねているのを見抜かれました。「どうして、そう思うのですか。 + この人に、『あなたの罪が赦されました』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのと、どちらがやさしいですか。さあ、メシヤ(ヘブル語で、救い主)のわたしが罪を赦したという証拠を見せてあげましょう。」イエスは中風の男のほうに向き直り、「あなたはもうよくなりました。床をたたんで、家に帰りなさい」と言われました。 + すると男は飛び起き、寝床をかかえ、あっけにとられている見物人を押し分けて、出て行ってしまいました。「こんなことは、見たこともない!」人々は口々に叫び、心から神を賛美しました。 + イエスはまた湖畔に行き、集まって来た群衆にお教えになりました。 + 岸辺を歩いておられると、税金取立て所にアルパヨの子レビ(マタイ)が座っていました。「ついて来て、わたしの弟子になりなさい。」イエスの呼びかけに、レビはさっと立ち上がり、あとに従いました。 + その夜、レビはイエスを夕食に招待しました。その席には、取税人仲間や、評判の悪い人たちも多く招かれていました。イエスに従う者には、こういう人々も多かったのです。 + これを見たパリサイ派(特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)の律法学者は、弟子たちに詰め寄りました。「おまえたちの先生は、どうして、こんなどうしようもない連中といっしょに食事をするのか。」 + 彼らの非難に、イエスはこうお答えになりました。「丈夫な者に医者はいりません。病人こそ医者が必要なのです。わたしは、自分を正しいと思っている人たちのためにではなく、罪人を神に立ち返らせるために来たのです。」 + バプテスマのヨハネの弟子やパリサイ人たちは、断食のおきてを守っていました。ある時、彼らが来て、「どうして先生のお弟子さんたちは断食しないのですか」と問いただしました。 + イエスは、こうお答えになりました。「花婿の友人は、披露宴の席で、ごちそうに手をつけなかったり、嘆き悲しんだりはしません。 + しかし、やがて花婿が彼らから引き離される日が来ます。その時には断食するのです。 + こう言えばわかるでしょう。水洗いしていない新しい布で、古い着物の継ぎ当てをしてごらんなさい。どうなりますか。当て布は縮んで着物を破り、穴はますます大きくなってしまうでしょう。 + 新しいぶどう酒を古い皮袋に入れることもしません。そんなことをしたら、皮袋は張り裂け、ぶどう酒はこぼれ、どちらもだいなしでしょう。新しいぶどう酒には、新しい皮袋が必要なのです。」 + ある安息日(神の定めた休息日)のこと、イエスと弟子たちは麦畑の中を歩いていました。すると、弟子たちが麦の穂を摘んで、食べ始めました。 + これを見たパリサイ人たちは、「お弟子さんたちがあんなことをするなんて! 安息日に刈り入れをするのは違反なのをご存じのはずでしょう」と、イエスに抗議しました。 + しかし、イエスはお答えになりました。「アビヤタルが大祭司のころ、ダビデ王とその家来たちが空腹でがまんできなかった時、神殿に入って、祭司以外が食べてはいけない特別のパンを食べたというのを、読んだことがないのですか。それもおきてに反することでしょうか。 + いいですか。安息日は人間のためにつくられたのであって、人間が安息日のためにつくられたのではありません。 + メシヤ(救い主)のわたしには、安息日に何をしてよいかを決める権威もあるのです。」 + + + カペナウムで、イエスがまた会堂に入られると、そこに片手の不自由な男がいました。 + その日は安息日だったので、イエスに敵対する者たちは、イエスの行動に目を光らせていました。この男の手を治しでもしたら、訴えてやろうと待ちかまえていたのです。 + イエスはその男を呼び、会衆の前に立たせられました。 + それから、敵対する者たちのほうを向いて言われました。「さあ、答えてください。安息日に良いことをするのと悪いことをするのと、どちらが正しいですか。安息日はいのちを救う日ですか、それとも殺す日ですか。」彼らは押し黙っていました。 + イエスは、彼らの冷淡さ、頑固さを深く嘆き、怒りを込めて見回すと、その男に、「さあ、手を伸ばしてごらんなさい」と言われました。男がそのとおりにすると、男の手はたちどころに治ってしまいました。 + おさまらないのはパリサイ人です。すぐ会堂を飛び出し、ヘロデ党(ヘロデ王を支持する政治的な一派)の者たちと、イエスを殺す計画を相談し始めました。 + 一方、イエスと弟子たちは湖のほとりへ立ちのきましたが、それでも、ガリラヤ全地、ユダヤ、エルサレム、イドマヤばかりか、ヨルダン川の向こう岸、さらにツロやシドンといった遠方からも、たくさんの群衆がやって来て、あとについて行きました。イエスの奇跡の評判が広まるにつれ、「ひと目でいいからイエス様を見たい」と、人々が押しかけたのです。 + イエスは、群衆が岸辺に押し寄せても大丈夫なように、弟子たちに小舟を一そう用意させました。 + その日、多くの病人が治されたと聞いて、病気の人たちがみな、何とかしてイエスにさわろうと詰めかけたからです。 + また、悪霊につかれた人たちは、イエスの姿が目に入りさえすればその前にひれ伏して、「あなたは神の子です!」と叫ぶのでした。 + イエスは彼らに、ご自分のことをだれにも口外してはいけないと、きびしく警告なさいました。 + その後イエスは丘に登り、これまでに選んだ者たちを召集されました。みなが集まったところで、 + 十二人の者を特別に選び出されました。いつもそば近くに置き、彼らに福音(キリストによる救いの知らせ)を宣べ伝えさせたり、 + 悪霊を追い出させたりするためでした。 + 十二人の名前は次のとおりです。シモン〔イエスによって「ペテロ」と名づけられた〕、ヤコブとヨハネ〔ゼベダイの息子で、イエスから「雷の子」と呼ばれた〕、アンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、タダイ、シモン〔「熱心党」という急進派のメンバー〕、イスカリオテのユダ〔後にイエスを裏切った男〕。 + イエスが泊まっていた家に戻られると、群衆がまた集まって来ました。まもなく家の中は人でいっぱいになり、みなは食事をする暇もないほどでした。 + イエスのことを身内の者たちが聞き、家に連れ戻そうとしました。「あの男は気がおかしくなっている」と言う人たちがいたからです。 + また、エルサレムから来ていたユダヤ教の教師たちは、こんなふうにうわさしました。「やつは、悪霊の王ベルゼブル(サタン)に取りつかれているのだ。だから、手下の悪霊どもがやつの言うことを聞いて、おとなしく引き下がるのだ。」 + イエスは、そんなことを言う人々をそばに呼び、だれもがわかるように、たとえを使って話されました。「どうして、サタンがサタンを追い出せるでしょうか。 + 内部で分かれ争っている国は、結局自滅してしまいます。 + 争い事や不和が絶えない家庭は、崩壊するだけです。 + サタンの場合も全く同じことです。内部で争っていたら、何もできないばかりか、生き残ることさえできません。 + 強い人の家に押し入って、その財産を盗み出すには、まずその強い人を縛り上げなければならないでしょう。悪霊を追い出すには、まずサタンを縛り上げなければならないのです。 + これは大切なことですから、はっきり言います。人が犯す罪は、どんな罪でも赦してもらえます。たとえ、わたしの父を汚すことばでも。 + しかし、聖霊を汚す罪だけは、決して赦されません。それは永遠の罪なのです。」 + こう言われたのは、彼らが、イエスの奇跡を聖霊の力によるものだとは認めず、サタンの力によるのだと言っていたからです。 + さて、イエスの母と弟たちが、教えを聞く人々でごった返す家に来て、イエスに話があるから出て来るようにと、ことづけました。 + 「お母様と弟さんたちが、お会いしたいと外でお待ちです」と言われて、 + イエスはこうお答えになりました。「わたしの母や兄弟とは、いったいだれのことですか。」 + それから、ぐるりと回りを見渡し、「この人たちこそわたしの母であり兄弟です。 + だれでも、神のお心のままに歩む人が、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです」と言われました。 + + + イエスが湖のほとりで教えておられると、またもや多くの群衆が集まって来ました。それでイエスは小舟に乗り、そこに腰をおろして、お話しになりました。 + イエスが人々に教えられる時には、たとえ話を使うのが普通でしたが、この日の話は次のようなものでした。 + 「よく聞きなさい。農夫が種まきをしました。畑に種をまいていると、 + ある種はあぜ道に落ちました。すると鳥が来て、その種を食べてしまいました。 + 別の種は土の浅い石地に落ちました。初めは勢いよく成長した種も、 + 土が浅いため、根から十分養分を取ることができず、強い日差しの中で、すぐに枯れてしまいました。 + また、いばらの中に落ちた種もありましたが、いばらが茂って成長をはばみ、結局、実を結べませんでした。 + けれども中には、良い地に落ちた種もありました。その種は、三十倍、六十倍、いや百倍もの収穫をあげることができたのです。 + 聞く耳のある人はよく聞きなさい。」 + その後、イエスが一人になられると、十二人の弟子とほかの弟子たちが、そろってイエスに尋ねました。「先生。さっきのお話はどういう意味でしょう。」 + イエスはお答えになりました。「あなたがたには、神の国の真理を知ることが許されていますが、ほかの人には隠されているのです。 + 預言者イザヤが言ったように、『彼らは見もし、聞きもするが、悔い改めて神に立ち返り、その罪を赦していただくことはない』のです。 + それにしても、こんな簡単なたとえがわからないのですか。そんなことで、これから話すほかのすべてのたとえは、どうなることでしょう。 + いいですか。農夫とは、人々に神のことばを伝える人のことです。このような人たちは、聞く人の心に良い種をまこうとします。 + 初めの種が落ちた踏み固められたあぜ道とは、神のことばを聞いても心を堅く閉ざした人のことです。すぐにサタンがやって来て、そのことばを忘れさせてしまうのです。 + 土が浅く石ころの多い地とは、最初は喜んで神のことばを聞く人の心を表しています。ところが、そんな地に落ちた種は、根を深くおろすことができません。だから、初めのうちこそうまくいっても、迫害が始まると、たちまちぐらついてしまうのです。 + いばらの地とは、神のすばらしい知らせに耳を傾け、それを受け入れる人の心を表しています。けれども、すぐにこの世の魅力、金もうけの楽しさ、欲望のとりこになり、神のことばなどは心からはじき出されて、実を結ぶまでには至らない人です。 + 良い地とは、神のことばをまちがいなく受け入れて成長し、神のために、三十倍、六十倍、百倍もの収穫をあげる人の心を表しています。」 + イエスは、続けてお話しになりました。「せっかくあかりをともしたランプに箱をかぶせ、光をさえぎる人がいるでしょうか。もちろんいません。それでは意味がありませんから。ランプは台の上に置き、あたりを照らしてこそ、存在価値があるのです。 + いま隠されているものはみな、いつかは明るみに出されます。 + 聞く耳のある人はよく聞きなさい。 + また、聞いたことは必ず実行しなさい。そうすればするほど、わたしの言ったことがわかるようになります。 + 持っている人はさらに与えられ、持っていない人は、持っているわずかな物さえ取り上げられてしまうのです。 + 神の国のたとえを、もう一つ話しましょう。ある農夫が畑に種をまいて、 + 家に帰りました。日がたつにつれて、別に何もしなくても、種はどんどん成長しました。 + 土が種を成長させるからです。まず芽が出て、次に穂、そして最後に穂の中に実が入ります。 + すると、さっそく農夫が刈り取るのです。」 + また、こうも言われました。「神の国をどう説明し、何にたとえたらいいでしょう。 + それは、小さなからし種のようです。からし種は種の中でも最も小さいものですが、 + 成長すると、とても大きくなり、鳥が巣を作れるほどになります。」 + このように、イエスは多くのたとえを使って、人々の理解力に応じて教えられました。 + たとえを使わずに話をなさることはありませんでした。ただ弟子たちにだけは、その意味を解き明かされました。 + 夕闇の迫るころ、イエスは弟子たちに、「さあ、湖の向こう岸に渡ろう」と言われました。 + 弟子たちは群衆をあとに残し、イエスの乗られた小舟をこぎ出しました。あとからついて来る舟も、何そうかありました。 + ところが、まもなく恐ろしい嵐が襲って来たのです。小舟は大波にほんろうされ、舟は水浸しです。 + イエスを見ると、船尾のほうで眠っておられます。弟子たちは気が気ではありません。すっかり動転して、イエスを呼び起こしました。「先生! 舟が沈みかけているのに、よく平気でいられますね!」 + イエスはゆっくり起き上がると、風をしかり、湖に「静まれ」と言われました。するとどうでしょう。たちまち風はやみ、湖は何事もなかったかのような大なぎになりました。 + イエスは弟子たちに言われました。「どうしてそんなにこわがるのですか。まだわたしが信じられないのですか。」 + 弟子たちは、ただもう恐怖に打ちのめされて、「ああ、なんというお方だ。風や湖までが従うとは」と、ささやき合いました。 + + + やがて一行は湖を渡り、向こう岸のゲラサ人の地に着きました。 + イエスが小舟をおりる間もなく、悪霊に取りつかれた男が墓場から走って来て、イエスを迎えました。 + この男は墓場に寝起きしていましたが、たいへんな強力で、手かせ足かせをはめられても、たちまち引きちぎって逃げてしまうのでした。そんなわけで、だれもこの男を取り押さえることができません。 + 昼も夜も大声でわめき、とがった石で体をかきむしりながら、墓場や山の中をさまよい歩いていました。 + この男は、イエスがまだ遠く湖上におられる時からその姿を認め、走り寄って来てイエスの前まで来ると、いきなり地にひれ伏しました。 + その時です。イエスは男に取りついている悪霊に、「悪霊よ、出て行きなさい」とお命じになりました。すると悪霊は、ぞっとするような声で、「おれを、どうしようというんだ。頼むから、苦しめないでくれ! いと高き神の子、イエスよ」とわめきたてました。 + イエスが「おまえの名前は?」と聞くと、「レギオン(ローマの軍隊の一軍団)だ。おれたちは大ぜいでこの男に取りついているのだ」と、悪霊は答えました。 + それから、自分たちを遠方へ追い払わないでほしいと、しきりに頼み続けました。 + その時、湖畔に沿った丘の上で、豚の大群がえさをあさっていました。 + 悪霊どもは、「おれたちをあの豚の中へやってくれ」と願いました。 + イエスがお許しになると、悪霊はすぐさまその男から出て、豚の中に入りました。とたんに、二千匹もの群れがいっせいにがけを駆け降り、湖に飛び込んでおぼれ死んでしまいました。 + 豚飼いたちは近くの町や村に逃げて行き、この出来事をふれ回りました。人々は自分の目で確かめようと、ぞろぞろと出かけて来ました。 + たちまちイエスの回りは黒山の人だかりとなり、しかも、うわさの男は、服を着て、すっかり正気に戻って座っているではありませんか。人々は恐ろしくなりました。 + 初めからこの出来事を目撃していた人たちが、みんなに一部始終を説明しました。 + それを聞くと、人々はイエスに、かかわりあいになりたくないから、どこかへ行ってほしいと願い始めたのです。 + イエスはまた舟に乗り込みました。悪霊につかれていた男が、「ぜひお伴を」と願いましたが、 + お許しにならず、「家族や、友人のところへお帰りなさい。神がどんなにすばらしいことをしてくださったか、また、どんなにあわれんでくださったかを話してあげなさい」と言われました。 + 男はさっそくデカポリス地方を回り、イエスがどんなにすばらしいことをしてくださったかを知らせました。その話を聞いた人々はみな驚きました。 + イエスがもう一度、舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆が詰めかけました。 + そこへ、その地方の会堂管理人で、ヤイロという名の人が来て、イエスの前にひれ伏しました。 + 娘を助けてほしいというのです。「先生。私の娘が死にかけています。まだ、ほんの子どもなのに……。どうぞ、娘の上に手を置き、治してやってください。」 + そこで、イエスはヤイロといっしょに出かけました。群衆は押し合いへし合い、イエスについて行きます。 + その中に、出血の止まらない病気で十二年間も苦しみ続けてきた女がいました。 + 多くの医者にかかり、さんざん苦しい目に会い、治療代で財産をすっかり使い果たしてしまいましたが、病気はよくなるどころか、悪化する一方でした。 + イエスがこれまでに行ったすばらしい奇跡を耳にした彼女は、人ごみにまぎれて近づき、背後からイエスの着物にさわりました。 + 「せめて、この方の着物にでも手を触れさせていただけば、きっと治る」と考えたのです。 + さわったとたん、出血が止まり、彼女は病気が治ったと感じました。 + イエスはすぐ、自分から病気を治す力が出て行ったのに気づき、群衆のほうをふり向いて、「今、わたしにさわったのはだれですか」とお尋ねになりました。 + 「こんなに大ぜいの人がひしめき合っているのです。それなのに、だれがさわったのかと聞かれるのですか。」弟子たちはけげんな顔で答えました。 + それでもなおイエスは、あたりを見回しておられます。 + 恐ろしくなった女は、自分の身に起こったことを知り、震えながら進み出てイエスの足もとにひれ伏し、ありのままを正直に話しました。 + イエスは言われました。「娘さん。あなたの信仰があなたを治したのです。もう大丈夫です。いつまでも元気でいるのですよ。」 + こう話しておられる時、ヤイロの家から使いの者が来て、娘は死んでしまったので、来ていただいても手遅れだと伝えました。 + しかしイエスは、ヤイロに言われました。「恐れてはいけません。ただわたしを信じなさい。」 + イエスは群衆をその場にとどまらせ、ペテロとヤコブとヨハネのほかは、だれもついて来ることをお許しになりませんでした。 + ヤイロの家に着くと、だれもかれも取り乱し、大声で泣いたり、わめいたり、たいへんな騒ぎになっています。これを見たイエスは、 + 中に入り、「なぜ、そんなに取り乱しているのですか。子どもは死んだのではありません。ただ眠っているだけです」と言われました。 + それを聞いた人々は、イエスをあざ笑いました。しかし、イエスはみなを家の外に出すと、娘の両親と三人の弟子だけを連れて、娘のいる部屋に入られました。 + そして娘の手を取り、「さあ、起きなさい」と声をかけました。 + するとどうでしょう。少女はすぐに起き上がり、歩き始めたではありませんか〔娘はこの時、十二歳でした〕。両親は、ただあっけにとられています。 + イエスは、このことを決して口外しないようにときびしくお命じになってから、少女に何か食べさせるように言われました。 + + + まもなくイエスはその地方を去り、弟子たちを連れて故郷の町ナザレに帰られました。 + 次の安息日に、イエスが会堂に出かけて話をされると、聴衆はその教えに驚きました。イエスのことを、自分たちと同じ、ただの田舎者だと思っていたからです。「あれのどこがおれたちと違うというんだ。ただの大工のせがれじゃないか。母親はマリヤだし、ヤコブやヨセやユダやシモンは兄弟だ。妹たちだって、われわれとこの町に住んでいるじゃないか。」こうして、町の人たちはイエスに背を向けました。 + そこで、イエスは言われました。「預言者(神に託されたことばを語る人)はどこででも尊敬されます。ただ、自分の故郷、親族、家族の中ではそうではありません。」 + そのため、わずかの病人に手を置いて治されただけで、そこでは何一つ力あるわざを行うことができませんでした。 + イエスは、ナザレの人たちの不信仰に驚かれました。このことがあってから後、イエスは近辺の村々を巡り歩いて、教えられました。 + また、十二人の弟子を呼び、悪霊を追い出す力を与えると、二人ずつ組にして送り出されました。 + そして、携帯品は杖だけにし、食料も旅行袋も、お金も、はき替えのくつも、着替えの下着も持って行ってはいけないと注意されました。 + また、言われました。「どこの村ででも、一軒の家に泊まるようにしなさい。あっちこっち家々を渡り歩いてはいけません。 + もしその村が、あなたがたを門前払いにし、あなたがたのことばに耳を貸そうともしないなら、そこから出る時、足のちりを払い落としなさい。それは、その村を滅びるに任せたというしるしです。」 + こうして弟子たちは出て行き、出会ったすべての人に、悔い改めて神に立ち返るようにと教え、 + 多くの悪霊を追い出し、オリーブ油を塗って大ぜいの病人を治しました。 + イエスの奇跡は至る所で話題になったので、まもなくヘロデ王の耳にも入りました。王は、バプテスマのヨハネが生き返ったのだと考えました。そして人々も、「だからこそ、イエスにはあんな奇跡ができるのだ」とうわさしました。 + 中には、預言者エリヤが生き返ったのだと言う者もあり、昔の偉大な預言者たちのような新しい預言者だ、と主張する者もありました。 + しかしヘロデは、「いや、あれはわしが処刑したヨハネに違いない。ヨハネが死人の中から生き返ったのだ」と言いました。 + 実は、このヘロデが兵士たちに命じて、ヨハネを捕らえ、投獄したのです。ヨハネがヘロデに、兄嫁のヘロデヤを自分の妻にするのはよくないと批判したからです。 + ヘロデヤは、その腹いせにヨハネを殺してやろうと思いましたが、ヘロデの許可なしには手出しができません。 + ヘロデがヨハネを正しくきよい人物だと知って尊敬し、保護していたからです。ヘロデはヨハネと話をすると、決まって不安にかられましたが、それでも好んで聞いていました。 + ところが、とうとうヘロデヤに絶好のチャンスが訪れました。それはヘロデの誕生日のことでした。王は、宮中の高官、高級将校、ガリラヤ地方の名士などを招待して、宴会を開きました。 + その時、ヘロデヤの娘が居並ぶ客の前で舞をまい、一同をたいそう楽しませました。喜んだ王は、「ほしいものはないか。何なりと申せ」と言い、 + その上、「国の半分をやってもよいぞ」と誓ったのです。 + 娘は出て行って、母親と相談しました。すると母親は、しめたとばかり、「バプテスマのヨハネの首をいただきたいと申し上げなさい」と入れ知恵しました。 + 娘は王の前に進み出ると、「今すぐ、バプテスマのヨハネの首を、盆に載せていただきとうございます」と言いました。 + 王は、困ったことになったと心を痛めましたが、誓ったことでもあり、また一同の手前もあって引っ込みがつきません。 + やむなく護衛兵に、獄中のヨハネの首を切り、その首を持って来るように命じました。兵士は言われたとおり、 + ヨハネの首を盆に載せて来て、ヘロデヤの娘に渡しました。すると、娘はさっそく、それを母親のところへ持って行きました。 + ヨハネの弟子たちはそのことを聞くと、遺体を引き取り、墓に葬りました。 + さて、十二人の弟子は旅を終えてイエスのもとに帰り、自分たちのしてきたこと、また、行った先々で人々に教えたことなどを、くわしく報告しました。 + イエスは弟子たちに言われました。「さあ、しばらく人ごみを避けて休みましょう。」イエスのもとには人の出入りが多く、食事をする暇もなかったからです。 + 彼らは舟に乗り、静かな場所へ出かけました。 + ところが多くの群衆がそれと気づき、岸づたいに走って行って、一行が上陸するのを待ちかまえていました。 + 舟から上がられたイエスの前には、おびただしい数の人々が集まっていました。まるで、羊飼いのいない羊のような群衆を見て、イエスは深くあわれみ、いろいろなことを教え始められました。 + 午後も遅くなって、弟子たちがイエスのところに来ました。「先生。この人たちに、近くの村や農場へ行って、めいめいで食べ物を買うように言っていただけませんか。こんな寂しい所では、何もありません。それに時刻も遅いことですし……。」 + しかし、イエスは言われました。「あなたがたが、この人たちに食べ物をあげるのです。」「ええっ! いったい何を食べさせたらいいんですか、こんな大ぜいの人たちに。そんなことをしたら破産してしまいます。」 + 「手持ちの食べ物がどのくらいあるか、見て来なさい。」こう言われて、弟子たちは調べに行きました。その結果、パンが五つと魚が二匹あるだけでした。 + イエスは、群衆に分かれて座るようにお命じになりました。まもなく人々は、五十人から百人ずつの組に分かれ、それぞれ緑の草の上に座りました。 + イエスは五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて感謝の祈りをささげると、パンをちぎって、人々に配るよう弟子たちに手渡されました。魚も同様になさいました。 + 群衆は、もうこれ以上は食べられないというほど十分に食べました。 + その場で食事をしたのは、男だけでも五千人はいました。あとで残ったパン切れを拾い集めると、なんと十二のかごにいっぱいでした。 + それからすぐ、イエスは弟子たちに、舟に戻り、先にベツサイダまで行くようにお命じになりました。あとで弟子たちと落ち合うつもりで、イエスだけその場に残り、群衆を解散させられたのです。 + そのあと、イエスは山へ登られました。祈るためです。 + 夜になり、舟に乗った弟子たちは湖の真ん中までこぎ出していましたが、イエスはただ一人、陸地におられました。 + ふと、ごらんになると、弟子たちは向かい風と波のためにこぎあぐね、危険にさらされています。夜明けの三時ごろ、イエスは水の上を歩いて彼らに近づき、そのままそばを通り過ぎようとされました。 + ところが弟子たちは、湖上を歩くイエスを幽霊と見まちがい、恐怖のあまり大声をあげました。 + みな、おびえきっています。イエスはすぐに、「安心しなさい。ほら、わたしです。こわがることはありません」と、声をおかけになりました。 + イエスが舟に乗り込まれると、風はぴたりとやみました。弟子たちは訳がわからず、ただぼんやりと座っているだけでした。 + 前日の夕方、あれほどのパンの奇跡を目のあたりにしながら、弟子たちには、イエスがどんな方か、まだわかっていなかったのです。その心が堅く閉じていたからです。 + 一行は、湖の向こう岸のゲネサレに着き、舟をつなぎました。 + 彼らが舟から上がると、人々はすぐにイエスだと気づき、 + その地方全体に、イエスがおいでになったことを告げ知らせたので、寝たままの病人が次々に、イエスのもとに運ばれて来ました。 + そして、村でも町でも農場でも、人々は病人を広場に寝かせ、せめて着物のすそにでもさわらせてほしいと願うのです。さわった者はみな治りました。 + + + ある日、ユダヤ人の宗教的指導者たちが数人、イエスを調べてやろうと、わざわざエルサレムから出向いて来ました。 + そして、イエスの弟子の中に、ユダヤの食前のしきたりを守らない者がいるのを見つけました。 + そのしきたりというのは、ユダヤ人の中でも、特にパリサイ人たちがやかましく守っているものでした。古くからの言い伝えで、食事の前には必ず、腕からひじにかけて水を注ぐ決まりだったのです。 + また市場から帰って来た時には、食べ物に触れる前に必ず体に水を注ぎかける決まりもありました。そのほかにも、水差し、なべ、皿を洗うことなど、何世紀ものあいだ守り続けてきた、こまごまとしたおきてやしきたりがあったのです。 + そこで、彼らはイエスに、「どうしてあなたの弟子は、昔からの言い伝えを守らないのか。手も洗わないで食事をするとはけしからん」と言って、詰め寄りました。 + イエスはお答えになりました。「そう言うあなたがたこそ偽善者です。預言者イザヤが言ったのは、あなたがたのことだったのです。『彼らは口先ではわたしを敬うが、心はわたしから遠く離れている。 + 彼らがわたしを拝んでも、むだなことだ。神の命令の代わりに、人間の規則を教えているのだから。』なんと的を射たことばでしょう。 + あなたがたは神のほんとうの戒めをないがしろにして、自分たちの言い伝えとすり替えているのです。 + それを守るために、よくも神の戒めを捨て、踏みにじったものです。 + モーセは、『あなたの父と母とを敬え』という戒めを神から託され、あなたがたに伝えました。また、『父や母をののしる者は死刑に処せられる』とも言いました。 + ところがどうです。あなたがたときたら、父や母に、『すみませんが、助けることはできません。差し上げるはずのものは神にささげてしまいました』と言いさえすれば、助けを求める両親をおろそかにしてもかまわない、と教えているのです。 + あなたがたは自分たちのつくった言い伝えを守るために、神のことばを空文化しているのです。そして、ほかにも同じようなことをたくさんしているのです。」 + イエスは、もう一度群衆を呼び寄せて、「さあ、よく聞いて、その意味を考えなさい。 + 人は決して外から入る食べ物によって汚されるのではありません。むしろ、内から出て来ることばや思いによって汚されるのです」と言われました。 + それから群衆と別れ、家に入られました。すると弟子たちが、「さっきのおことばは、どういう意味でしょうか」と尋ねました。 + イエスはお答えになりました。「あなたがたまでわからないのですか。食べ物は人を汚さないということが、そんなに不思議なのですか。 + いいですか。食べ物は人の心に入るわけではないでしょう。腹に入って、外へ出るだけではありませんか。」イエスは、あらゆる食べ物がきよいものであることを示し、 + さらに続けて言われました。「人の内側から出るもの、それが問題です。 + 肉欲、盗み、殺人、姦淫、 + 貪欲、邪悪、あざむき、好色、ねたみ、悪口、高慢、あらゆる愚かさ、それらのものはみな、人の心の中からあふれ出ます。 + この内側から出て来るものが人を汚し、神にふさわしくない者とするのです。」 + イエスはガリラヤを去り、ツロとシドンの地方に行かれました。人目を避けて旅していましたが、いつものように、イエス来訪のニュースは、あっという間に広がってしまいました。 + 自分の小さな娘が悪霊につかれて困っていた母親が、うわさを聞いて駆けつけました。彼女はイエスの前にひれ伏すと、 + 娘から悪霊を追い出してくださいと懇願しました。実は、この女はスロ‧フェニキヤ人で、ユダヤ人から見れば、軽蔑すべき「外国人」でした。 + イエスは女に言われました。「わたしはまず、同胞のユダヤ人を助けなければなりません。子どもたちのパンを取り上げて、小犬に与えるのはよくないことです。」 + 「おっしゃるとおりでございます。でも先生、食卓の下の小犬だって、子どもたちのパンくずは食べるではありませんか。」 + この答えにイエスは感心しました。「実に見上げたものです。さあ、安心して家にお帰りなさい。悪霊はもう、娘さんから出て行きました。」 + 女が家に戻ってみると、娘は静かに床に横たわっており、すでに悪霊は出たあとでした。 + イエスはツロをあとにし、シドンからデカポリス地方を通って、ガリラヤ湖畔にお帰りになりました。 + その時、人々が、耳も聞こえず、口もきけない男をイエスのところに連れて来て、「どうぞ、手を置いて治してやってください」と頼みました。 + イエスはその男を群衆の中から連れ出し、自分の指を彼の両耳に差し入れ、それからつばをして、彼の舌にさわられました。 + そして、天を見上げてふっと息をつき、「開け」とお命じになりました。 + するとどうでしょう。男の耳は聞こえるようになり、舌のもつれもとけて、はっきり話せるようになったではありませんか。 + イエスは群衆に、うわさを広めないようにと堅く口止めされましたが、そう言われれば言われるほど、人々はかえって言い広めました。 + イエスのなさったことにあきれ驚いたからです。人々は、「ああ、なんてすばらしいことをなさるお方だろう。耳が聞こえず、口もきけない人さえお治しになった!」と言い合いました。 + + + そのころ、またおびただしい群衆が集まって来ましたが、みんなの食べる物がなくなったので、 + イエスは弟子たちを呼んで言われました。「この人たちはかわいそうに、もう三日もわたしといっしょにいるのだから、食べ物はとっくにないはずです。 + このまま帰らせたら、きっと途中で倒れてしまいます。それに遠くから来た人もいるでしょうから。」 + 「でも、先生。こんな寂しい所で、これほど大ぜいの人たちのために、いったいどこで食べ物を手に入れるのですか。」 + 「パンは幾つありますか。」「七つです。」 + イエスは、群衆に地べたに座るようにお命じになりました。そして七つのパンを取り、神に感謝の祈りをささげてから、ちぎって弟子たちに手渡され、弟子たちはみなに配りました。 + また、小さい魚が少しばかりあったので、これも同様に祝福してから、人々に配るよう弟子たちに手渡されました。 + こうして、全員が満腹するほど食べました。それからイエスは、人々を家にお帰しになりました。その日集まった人の数はおよそ四千人でしたが、あとでパン切れを拾い集めると、なんと七つのかごいっぱいになりました。 + このあとすぐ、イエスは弟子たちと舟でダルマヌタ地方へ向かわれました。 + その地方のパリサイ人たちはイエスが来たと知り、議論をふっかけてやろうと、勇んでやって来ました。「奇跡を見せたらどうだ。天から不思議なしるしが現れでもしたら、あなたを信じようじゃないか。」 + このことばに、イエスは思わず、ため息をおつきになりました。「いったいどれだけ奇跡を見れば気がすむのですか。」 + イエスは彼らを残してまた舟に乗り、湖の向こう岸に渡られました。 + ところが、弟子たちが出発前に食べ物を用意するのをうっかり忘れたので、舟の中にある食べ物といえば、一かたまりのパンだけでした。 + 舟の中で、イエスは弟子たちに、厳粛な表情で、「ヘロデ王とパリサイ人たちのパン種(彼らの誤った教えと偽善)に気をつけなさい」と言われました。 + 弟子たちは、「先生は、なぜあんなことをおっしゃったんだろう」と首をかしげ、結局、パンを持って来なかったからだろうということに話が落ち着きました。 + 弟子たちがそのことで互いに議論し合っているのを聞いて、イエスは言われました。「いや、そんなことではありません。まだわからないのですか。なんとものわかりの悪い人たちなのでしょう。 + 目も耳も持っているのに、見えも聞こえもしなかったのですか。何も覚えていないのですか。 + 五つのパンを五千人に食べさせた時、余ったパン切れは幾かごになりましたか。」「十二かごです。」 + 「では、七つのパンで四千人に食べさせた時は?」「七かごです。」 + 「それなのに、まだあなたがたは、パンがないのをわたしが苦にしていると思うのですか。」 + 一行がベツサイダに到着すると、人々が盲人の手を引いて来ました。「どうか、さわって治してやってください」と頼むので、 + イエスはその盲人の手を取り、村の外へ連れ出されました。そして彼の両眼につばをつけ、手をあてて、「どうですか、何か見えますか」とお尋ねになりました。 + 男はあたりをきょろきょろ見回しながら、「は、はい、見えます。人が見えます。ぼんやりしていますが……。まるで、木が歩いてるみたいです」と答えました。 + イエスはもう一度、両眼におさわりになりました。男はじっと見つめていました。するとだんだん視力が回復し、すべてのものがはっきり見えるようになりました。 + イエスは男を家族のもとへ帰し、「村へは行かないように」と注意されました。 + イエスの一行はガリラヤを去り、ピリポ‧カイザリヤの村々へ行きました。その道々、イエスは弟子たちに、「人々は、わたしのことをだれだと言っていますか」とお尋ねになりました。 + 「バプテスマのヨハネだと言う者もいれば、エリヤだと言う者もいます。また昔の預言者が生き返ったと言う者もいます」と、弟子たちは答えました。 + するとイエスは、「では、あなたがたは、わたしをだれだと思っているのですか」とお尋ねになりました。即座にペテロが、「あなたこそキリスト(ギリシャ語で救い主)です」と答えました。 + ところがイエスは、このことをだれにも話してはいけないと、きびしく言われました。 + それから、やがてご自分が経験する恐ろしい出来事――長老、祭司長、ユダヤ人の指導者たちに捨てられ、殺され、三日目に復活すること――を弟子たちに話し始められました。 + それも、実にはっきりとお話しになったので、ペテロはイエスをわきに呼び、「そんなことをおっしゃるものではありません」といさめました。 + イエスはふり返って弟子たちを見ながら、非常にきびしい口調でペテロに言われました。「下がれ、サタン! あなたはただ人間的な見方をして、神のことを考えてみようともしていません。」 + それから、弟子たちと群衆とを呼び寄せ、こう言われました。「だれでもわたしについて来たければ、自分中心の生活をやめ、自分の十字架を負って、わたしについて来なさい。 + 自分のいのちを守ることばかりにとらわれている者は、それを失います。わたしと福音とのためにいのちを捨てる者が、いのちを得るのです。 + たとえ全世界を自分のものにしても、いのちを失ったら、何の得があるでしょう。 + いのちを買い戻すどんな手だてがあるというのでしょう。 + この不信仰と罪の時代にあって、わたしとわたしのことばとを恥じるなら、メシヤであるわたしも、やがて父の栄光を帯びて聖なる天使と共に帰って来る時、そのような者を恥じるのです。」 + + + イエスはさらに、ことばをお続けになりました。「ここに立っている人たちの中には、神の国が大きな力を持って来るのを見るまで、生きている人がいます。」 + それから六日後、イエスはペテロとヤコブとヨハネだけを連れて、山に登られました。すると突然、イエスの顔が栄光に輝き、 + 着物はまばゆいばかりの白さになりました。世のどんな布さらし屋も、こんなに白くはできないと思われるほどの白さでした。 + そこへ、なんとエリヤとモーセが現れ、イエスと親しく話し始めたではありませんか。 + これを見たペテロは、思わず叫びました。「先生。なんとすばらしいことでしょう! ここに、お一人に一つずつ、三つの幕屋(神がイスラエルの民と会う聖所)を建てましょう。」 + こう言う以外に、何と言ってよいかわからなかったのです。弟子たちはおびえ切っていました。 + ペテロがまだ言い終わらないうちに、雲がすっぽり彼らを包んで、太陽をさえぎったかと思うと、雲の中から、「これはわたしの愛する子。彼の言うことを聞きなさい」という声がしました。 + あっけにとられた弟子たちがあたりを見回すと、すでにモーセとエリヤの姿はありませんでした。ただイエスがおられるだけでした。 + 山を降りながら、イエスは弟子たちに、いま見たことを、自分が死者の中から復活する時まで、だれにも口外しないようにとお命じになりました。 + 三人はそのことを深く心に秘めておきましたが、「死者の中から復活する」とはどういう意味かわからず、あれこれ話し合いました。 + そこで彼らはイエスに、「どうしてユダヤ人の宗教的指導者たちは、メシヤ(救い主)が来る前に必ずエリヤが来るはずだ、と言っているのでしょうか」と尋ねました〔もしイエスがメシヤなら、先に来ているはずのエリヤはどうなっているのかと思ったからです〕。 + イエスは、「まずエリヤが来て道を整えるというのはほんとうです。実際、エリヤはもう来たのです」とお答えになりました。そして、エリヤが預言どおり、人々からひどい仕打ちを受けたことを説明してから、「では、メシヤが多くの苦しみを受け、さげすまれると預言されていることは、どう考えますか」とお尋ねになりました。 + 四人が弟子たちのところに帰って来てみると、大ぜいの群衆に囲まれて、弟子たちと数人のユダヤ人の指導者たちが論争のまっ最中でした。 + 人々は、イエスの姿を見て驚き、すぐに駆け寄り、あいさつしました。 + イエスは、「何を議論しているのですか」とお尋ねになりました。 + すると一人の男が、こう答えました。「先生。あなたに息子を治していただこうと連れてまいりました。息子は悪霊につかれていて、ものを言うことができません。 + この悪霊が取りつくと、どこであろうと、あたりかまわず押し倒すので、息子は口からあわを吹き、歯ぎしりして、体を硬直させてしまいます。お弟子さんたちに、悪霊を追い出してくださるよう願ったのですが、できませんでした。」 + 「ああ、なんと信仰の薄い人たちでしょう。いつまで、あなたがたといっしょにいなければならないのでしょうか。さあ、その子を連れて来なさい。」 + さっそく少年が連れて来られました。ところが、イエスを見るなり悪霊が彼をひどくひきつけさせたので、彼はばったり倒れ、あわを吹いて転げ回りました。 + イエスは父親にお尋ねになりました。「いつからこのようになったのですか。」「それが、小さい時分からなのです。 + 悪霊はこの子を殺そうと、何度も火の中、水の中に倒したのです。先生、お願いです。もしおできになるなら、何とかして助けてください。」 + 「もしできるなら、と言うのですか。あなたが信じるなら、どんなことでもできるのです。」 + 「信じます、信じますとも! ああ、どうか不信仰な私をお助けください。」 + 人だかりがだんだん大きくなるのを見て、イエスは悪霊をしかりつけました。「聞くことも言うこともできなくさせる霊よ。さあ、この子から出て行きなさい。二度と戻って来てはいけない。」 + すると悪霊は大声をあげ、もう一度、少年を激しくひきつけさせて出て行きました。少年はぐったりとなり、まるで死んだように動きません。人々はざわつき始めました。「おい、死んでしまったぞ」というささやきも聞こえます。 + ところが、イエスが少年の手を取って起こされると、彼はぱっと立ち上がり、すっかり元気になりました。 + あとで家に入り、ほかにはだれもいなくなった時、弟子たちはイエスに尋ねました。「どうして私たちには、あの悪霊を追い出せなかったのでしょう。」 + イエスは、「こういうことには、特に祈りが必要なのです」とお答えになりました。 + 一行はそこを去り、ガリラヤを通って行きました。イエスは、できるだけ人目につかないように心を配っておられました。 + なるべく多くの時間をさいて、弟子たちと語り合い、教育するつもりだったからです。「メシヤ(救い主)であるわたしは裏切られ、殺され、そして三日目に復活します」と、イエスは教えられました。 + しかし、弟子たちには何のことかわかりませんでした。かといって、イエスに直接その意味を尋ねるのもこわかったのです。 + カペナウムに着き、泊まることになっていた家に入ってしばらくすると、イエスは弟子たちに、「ここへ来る途中、何を言い合っていたのですか」とお尋ねになりました。 + 弟子たちは顔を真っ赤にして、うつむいてしまいました。実は、自分たちの中でだれが一番偉いかと言い合っていたからです。 + イエスは腰をおろし、弟子たちを回りに呼び寄せると、「だれでも一番偉くなりたい人は、一番小さい者となり、だれにでも仕える者となりなさい」と教えられました。 + それから、小さな子どもを真ん中に立たせ、腕に抱いて言われました。 + 「見なさい。だれでもわたしの名のゆえに、このような小さい者をも受け入れる人は、わたしを受け入れているのです。そして、わたしを受け入れるなら、わたしを遣わされたわたしの父をも受け入れているのです。」 + ある時、弟子のヨハネがイエスに言いました。「先生。あなたのお名前を使って悪霊を追い出している人を見かけました。でも、私たちの仲間ではなかったので、すぐにやめさせました。」 + するとイエスは言われました。「やめさせることはありません。わたしの名によって奇跡を行いながら、そのすぐあとで、わたしに逆らう者はいないのですから。 + わたしたちに反対しない者は、味方なのです。 + よく言っておきますが、あなたがたがキリストの弟子だと知って、水一杯でも飲ませてくれる人は、必ず報いを受けます。 + だが反対に、私を信じるこのような小さい者の一人にでも信仰を失わせる者は、大きな石を首にくくりつけられて、海に投げ込まれたほうがましです。 + もしあなたの手が悪いことをするなら、切り取ってしまいなさい。片手になっても永遠に生きるほうが、両手そろって、いつまでも燃え続ける地獄の火に投げ込まれるよりは、ずっとよいのです。 + もし足があなたを悪事に引きずり込むなら、切り取ってしまいなさい。片足になっても永遠に生きるほうが、両足そろって地獄に落ちるよりは、ずっとよいのです。 + もし目が罪を犯すなら、えぐり出してしまいなさい。片目になっても神の国に入るほうが、両目そろって地獄の火を見るより、はるかによいのです。 + 地獄では、彼らを食ううじはいつまでも死なず、燃えさかる火は消えることがありません。 + すべてのものは、火のような試練によって塩けをつけられるのです。 + 良い塩も、塩けをなくしたら、だいなしです。味つけの役に立たなくなってしまいます。だからあなたがたも、塩けをなくさないように、よく注意しなさい。そして、互いに仲良く暮らしなさい。」 + + + イエスはカペナウムをあとにし、ユダヤ地方とヨルダン川東岸へ行かれました。すると、再び群衆が集まって来たので、イエスは彼らに教えておられました。 + そこへ何人かのパリサイ人たちが来て、イエスに、「あなたは離婚をお認めになりますか」と尋ねました。もちろん、これはわなでした。 + 「モーセは、離婚について何と言いましたか。」反対に、イエスがお尋ねになりました。 + 「離婚してもさしつかえないと言いました。ただその時は、男が女に離縁状を書くのが決まりですが。」 + 「なぜモーセはそう言ったのか、考えてみなさい。あなたがたの心が邪悪で強情だったから、しかたなく認めたのです。 + 離婚は神の意思に反します。神は創造の初めから、人を男と女とに造られたのです。ですから、人は両親から離れて、 + 妻と一体となるのです。もはや二人ではなく一人なのです。 + 神が一つにしてくださったものを、だれも引き離してはなりません。」 + イエスが家に戻られると、弟子たちはまた、この問題を持ち出しました。 + イエスは言われました。「ほかの女と結婚したいばかりに妻を離縁するなら、妻に対して姦淫を犯すのです。 + また夫と離婚して別の男と再婚する女も同様です。」 + さて、イエスに祝福していただこうと、人々が子どもたちを連れてやって来ました。ところが弟子たちは、彼らをじゃま者扱いし、追い返そうとしました。 + それをごらんになったイエスは、憤って弟子たちをおしかりになりました。「子どもたちを自由に来させなさい。神の国は、この子どもたちのような者の国なのです。追い払うなど、とんでもないことです。 + いいですか。よく言っておきますが、小さな子どものように神の国を受け入れる者でなければ、決してそこに入ることはできません。」 + それから、子どもたちを抱き上げ、頭に手を置いて、祝福されました。 + イエスが道に出て行くと、一人の人が走り寄ってひざまずき、「先生。あなたは尊いお方です。お教えください。天国に入るにはどうしたらよいでしょうか」と尋ねました。 + 「どうしてわたしを尊いと言うのですか。尊いお方は神おひとりです。 + それはさておき、今の質問に答えましょう。守るべき戒めは知っていますね。殺してはならない、姦淫してはならない、盗んではならない、うそをついてはならない、だまし取ってはならない、あなたの父と母とを敬いなさい、という戒めです。」 + 「はい、先生。私は今まで、それらを一つも破ったことはありません。」 + イエスは心から彼に同情して言われました。「あなたには、たった一つだけ欠けたところがあるのです。さあ、家に帰って財産を全部売り払い、そのお金を貧しい人たちに分けてあげなさい。そうすれば、天に宝をたくわえることになるのです。それから、わたしについて来なさい。」 + このイエスのことばに、その人は顔をくもらせ、悲しそうに帰って行きました。たいへんな金持ちだったからです。 + そのうしろ姿をじっと見ていたイエスは、弟子たちのほうをふり返り、「金持ちが神の国に入るのは、実にむずかしいことです」と言われました。 + このことばに、弟子たちはびっくりしました。イエスは、もう一度言われました。「愛する子どもたちよ。財産を頼みとする人が神の国に入るのは、なんとむずかしいことでしょう。 + 金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうが、よほどやさしいのです。」 + 弟子たちはますます驚いて言いました。「そうだとしたら、この世の中で、いったいだれが救われるのでしょう。」(金持ちこそ神から祝福された人だと考えられていたからです。) + イエスは弟子たちをじっと見つめ、「それは、神でなければできません。神には、どんなことでもできるのです」と言われました。 + するとペテロが、自分や他の弟子たちが捨ててきたものを数え上げ始めました。「私たちは何もかも捨てて、あなたに従ってまいりました。」 + これを聞いて、イエスは言われました。「はっきり言っておきます。わたしを愛するゆえに、また福音を人々に告げ知らせるために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、財産をすべて投げ捨てた者は、必ずその百倍の報いを受けます。この地上では迫害されますが、それでも家、兄弟、姉妹、母、子、土地はちゃんと戻ってきます。そればかりか、次の世では永遠のいのちを受けるのです。 + 今は一番偉く見える者が、その時には一番軽んじられ、今は小さい者と見下げられていても、その時には一番大きい者となる者が多いのです。」 + さて一行は、エルサレムを目指して進んで行きました。イエスが先頭で、弟子たちはあとから続きます。彼らは、恐れと不安な気持ちにかられていました。そこでイエスは、弟子たちをわきへ呼び、エルサレムに到着してからご自分の身に起こることを、もう一度、話して聞かせました。 + 「エルサレムに着くと、メシヤのわたしは捕らえられ、祭司長やユダヤ人の指導者たちに引き渡され、死刑を宣告されます。そして死刑執行のためにローマの役人の手に渡され、 + あざけられ、つばをかけられ、むちで打たれ、殺されます。しかし、わたしは三日目に復活するのです。」 + さて、ゼベダイの息子のヤコブとヨハネが来て、イエスにこっそりと頼みました。「先生。折り入ってお願いしたいことがあるのですが。」 + 「どんなことですか。」 + 「実は、あなたの御国で、私たちをあなたの次に高い位につかせていただきたいのです。一人はあなたの右に、一人は左にというように。」 + しかし、イエスは言われました。「あなたがたは、何もわかっていませんね。わたしが飲もうとしている恐るべき杯を飲み、わたしが受けようとしている苦しみのバプテスマ(洗礼)を受けることができるとでも言うのですか。」 + 「できますとも!」と、自信をもって答える二人に、イエスは、「確かにあなたがたはわたしの杯を飲み、バプテスマを受けるでしょう。 + だが、だれをわたしの次の位につかせるかは、わたしが決めることではありません。もうすでに決まっているのです」とおっしゃいました。 + この、ヤコブとヨハネの願い事を知ったほかの弟子たちは、非常に腹を立てました。 + それでイエスはみなを呼び集め、こう言われました。「あなたがたも知っているとおり、この世の王や高官は、支配者として権力をほしいままにしています。 + しかし、あなたがたの間では違います。偉くなりたければ、みなに仕える者となりなさい。 + 人を支配したければ、奴隷のように仕える者となりなさい。 + メシヤのわたしでさえ、人に仕えられるためではなく、仕えるために来たのであり、多くの人の罪の代償として、自分のいのちを与えるために来たのです。」 + 一行はエリコに着きました。やがてその町を出ようとすると、大ぜいの群衆がついて来ます。その時、テマイの子でバルテマイという名の盲目の物ごいが、道ばたに座っていました。 + ナザレのイエスのお通りだと聞いて、バルテマイは大声を張り上げました。「イエス様、ダビデ王の子よ!どうぞお助けを!」 + 「うるさい。黙れ!」と、だれかがどなりました。それでも、バルテマイはますます声を張り上げ、「ああ、ダビデ王の子よ。お助けください」と、くり返し叫びました。 + その声を聞きつけて、イエスは立ち止まり、「あの男を連れて来なさい」と言われました。そこで、人々はその盲人に、「運のいいやつだ。おい、イエス様がお呼びだぞ」と告げました。 + バルテマイは、はおっていた上着をぱっと脱ぎ捨てると、喜び勇んでイエスのそばに飛んで来ました。 + 「わたしに、どうしてほしいのですか」と、イエスがお尋ねになると、彼はもどかしげに、「先生。見えるように、見えるようになりたいんです」と答えました。 + 「わかりました。さあ、もうあなたの目は治りました。あなたの信仰があなたを治したのです。」イエスがこう言われた瞬間、彼の目は見えるようになり、イエスについて行きました。 + + + エルサレム郊外のオリーブ山のふもとに、ベテパゲとベタニヤという二つの村がありました。その近くまで来られた時、イエスはこう言って、弟子を二人、村に使いに出されました。「あそこの村に行きなさい。するとすぐに、だれも乗ったことのないろばの子がつないであるのに気づくでしょう。それをほどいて、連れて来なさい。 + もし、だれかに何をしているのかと聞かれたら、『主がお入用なのです。すぐお返しします』とだけ答えなさい。」 + 二人が出かけてみると、なるほど、表通りに面した家の外に、ろばの子がつないであります。さっそく綱をほどきにかかると、そばにいた人たちが見とがめ、「そのろばの子を、いったいどうしようというんだ」と尋ねました。 + 二人がイエスに教えられたとおりに答えると、その人たちは納得しました。 + ろばの子をイエスのところに連れて来た弟子たちは、上着を脱ぎ、ろばの背中にかけました。イエスがその上に乗られると、 + 群衆の中の多くの者たちも次々と上着を脱ぎ、イエスの進んで行かれる道に敷いたり、野原から葉のついた枝を切ってきて、敷き並べたりしました。 + イエスを行列の真ん中にし、ぐるりと取り囲んだ群衆が、口々に叫びました。「王様、ばんざーい!」「主の御名によって来られる方に祝福を!」「この方が興される御国に、われらの父祖ダビデの国に祝福を!」「全世界の王、ばんざーい!」 + こうしてイエスはエルサレムに着き、宮に入られました。そして中の様子をよくごらんになってから、もう時間も遅かったので、十二人の弟子たちといっしょに、ベタニヤまで引き返されました。 + 翌朝、ベタニヤを出たイエスは、途中で空腹になられました。 + ふと見ると、少し離れた所に、葉の茂ったいちじくの木があります。近づいて、実がなっているかどうかごらんになりました。ところが、その木は葉ばかりでした。まだ実のなる季節ではなかったからです。 + それでイエスは、その木に向かって、「二度と実をつけることがないように」と言われました。弟子たちはこのことばを心にとめていました。 + エルサレムに着くと、イエスは宮に入り、境内で商売をしていた者たちを追い出しにかかって、両替人の机や、鳩を売っていた者たちの台をひっくり返されました。 + また、いろいろな荷物を持って境内を通り抜けることも、お許しになりませんでした。 + そういう人たちに、イエスは、このように言われました。「聖書には、『わたしの家は、世界中の人たちの祈りの場所と呼ばれる』と書いてあるではありませんか。それなのに、あなたがたはここを強盗の巣にしてしまったのです。」 + こうしたイエスの言動を耳にした祭司長やユダヤ人の指導者たちは、どうすれば首尾よくイエスを始末できるかと、相談を始めました。人々がみなイエスの教えに夢中になっていたので、へたに動いて暴動でも起きたら、それこそ一大事と考えたからです。 + その夕方、いつものようにイエスと弟子たちはエルサレムを出ました。 + 翌朝、例のいちじくの木のそばを通りかかると、なんと、根もとまですっかり枯れているではありませんか。 + ペテロはすぐ、前の日にイエスがこの木に向かって言われたことばを思い出し、大声をあげました。「先生。ごらんください。昨日あなたがのろわれた木が枯れています!」 + イエスは、弟子たちにお答えになりました。「よく言っておくが、あなたがたでも神を信じさえすれば、この山に『動いて、海に入れ』と言っても、そのとおりになります。大切なのは、信じて疑わないことです。 + いいですか。よく聞きなさい。あなたがたはどんなことでも祈り求めることができます。そして信じて疑わないなら、それらのものはみな与えられるのです。すでにあなたがたのものなのです。 + しかし、祈っている時、だれかに恨みをいだいていたら、まずその人を赦してやりなさい。そうすれば、天におられるあなたがたの父も、あなたがたの罪を赦してくださいます。」 + 一行は、またエルサレムにやって来ました。イエスが宮の中を歩いておられると、祭司長やユダヤ人の指導者たちが近づいて、「ここで何をしているのか。いったいだれがあなたに、商人たちを追い出す権利を与えたのか」と責めました。 + イエスはお答えになりました。「では、まずわたしの質問に答えなさい。そのあとで答えましょう。 + バプテスマのヨハネは、神から遣わされたのですか。それとも、違うというのですか。さあ、答えてもらいましょう。」 + 彼らは集まってひそひそ相談しました。「もし、『神から遣わされた』と答えれば、『それを知っていながら、なぜ、ヨハネを信じなかったのか』と聞かれるだろう。 + かといって、もし、『神から遣わされたのではない』と答えれば、ここにいる群衆が騒ぎだすだろう。」〔人々はみな、ヨハネは預言者だと堅く信じていたのです。〕 + 彼らはしかたなく、「わかりません」と答えました。するとイエスは、「それなら、わたしもあなたがたの質問には答えないことにします」と言われました。 + + + それからイエスは、たとえを使って人々に話し始められました。「ある農園主がぶどう園を造り、垣根を巡らし、ぶどうの汁をしぼる穴を掘り、見張りのやぐらを建てました。そして、このぶどう園を農夫たちに貸し、外国へ出かけました。 + ぶどうの収穫の季節になったので、農園主は代理の者をやり、分け前を受け取ろうとしました。 + けれども農夫たちは、代理の者を袋だたきにしたあげく、手ぶらで送り返したのです。 + そこで、もう一人の代理人を送りましたが、彼も同じような仕打ちを受け、しかも頭にひどいけがを負いました。 + 農園主はまた別の人を送りました。事もあろうに、農夫たちはその人を殺してしまいました。そのあとも次々に人が送られましたが、みな袋だたきにされたり、殺されたりして、 + 残るは、農園主の息子だけになりました。愛するたった一人の息子でした。農園主は、『息子だったら、農夫たちも敬意を持ってくれるだろう』と思い、ついにその息子を送り出しました。 + ところが、農夫たちは息子を見ると、『絶好のチャンスだ。ぶどう園の跡取りを殺してしまえば、ここは自分たちのものになる』とばかり、 + 息子を捕らえて殺し、死体をぶどう園の外に放り出しました。 + 農園主がこのことを知ったら、どうすると思いますか。すぐさま帰って来て、農夫たちを皆殺しにし、ぶどう園はほかの人たちに貸すでしょう。 + あなたがたは、聖書にこう書いてあるのを読んだことがないのですか。『建築士たちの捨てた石が、最も重要な土台石となった。 + なんとすばらしいことか。主はなんと驚くべきことをなさる方か。』」 + このたとえ話を聞いた祭司長やユダヤ人の指導者たちは、その悪い農夫が自分たちを指していることに気づき、イエスを捕らえようと思いましたが、群衆の暴動がこわくて手出しができません。しかたなく、イエスをそのままにして、そそくさと立ち去りました。 + それでも、何とかして逮捕の口実をつかもうと、パリサイ派やヘロデ党(ヘロデ王を支持する政治的な一派)の者たちを送りました。 + 彼らはイエスに尋ねました。「先生。あなたのおっしゃることは、いちいちごもっともです。あなたは私利私欲にとらわれず、まじめに神の道を教えておられます。つきましては、ちょっとお尋ねしたいのですが、ローマ政府に税金を納めるのは正しいことでしょうか。それとも、正しくないことでしょうか。」 + 彼らのわなを見破ったイエスは、「なぜ、わたしを試すのですか。銀貨を見せなさい」と言われました。 + そして銀貨を受け取ると、彼らにこうお尋ねになりました。「この銀貨に刻んである肖像と名前はだれのものですか。」「ローマ皇帝のものです。」 + 「そのとおりです。皇帝のものなら、皇帝に返しなさい。しかし、神のものはすべて、神に返さなければなりません。」これを聞いて、彼らは頭をかかえ込んでしまいました。 + 次に、復活などありえないと主張していたサドカイ派(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)の人たちがやって来ました。 + 「先生。モーセの律法によると、ある男が結婚して子どもがないまま死んだ場合、弟が兄の未亡人と結婚して、生まれた子どもに兄のあとを継がせることになっています。 + ところで、ここに七人兄弟がいたとしましょう。長男は結婚しましたが、子どもがないまま死に、残された未亡人は次男の妻になりました。ところが次男も子どもができずに死んだので、その妻は三男のものになりました。三男も四男も同じことで、ついにこの女は、七人兄弟全部の妻になりましたが、結局、子どもはできずじまいでした。最後に、この未亡人も死にました。 + そこでお尋ねしたいのですが、復活の時、この女はいったいだれの妻になるのでしょう。七人とも彼女を妻にしたのですが。」 + イエスはお答えになりました。「聖書も神の力もわかっていないようですね。全く思い違いをしています。 + 復活の時には、結婚などはないのです。みんなが天の使いのようになるのですから。 + それに、復活のあるなしについては、聖書の、モーセと燃える柴の箇所を読んだことがないのですか。神はモーセに、『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』と言われました。 + 実際には、これらの人たちは数百年も前に死んでいたのに、神はモーセに、彼らはなお生きていると教えられたのです。そうでなければ、すでに存在していない人の『神である』などと、おっしゃるはずがありません。あなたがたは、この点で決定的にまちがっています。」 + イエスのそばで、この見事な返答ぶりを聞いていた一人のユダヤ教の教師が、「先生。すべての戒めの中で、どれが一番重要な戒めでしょうか」と尋ねました。 + 「『イスラエルよ、聞け。主なる神こそ、ただひとりの神です。 + 心を尽くし、たましいを尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの主を愛しなさい。』これが最も重要な戒めです。 + 第二は、『自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい』という戒めです。これ以上に重要な戒めはありません。」 + 「先生。あなたは今、神様はおひとりで、ほかに神はいないとおっしゃいましたが、まさにそのとおりです。 + そして、神殿の祭壇にどんな供え物をささげるよりも、『心を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして主を愛し、また隣人を自分と同じように愛する』ことのほうが、ずっと大切です。」 + この賢明な答えに感心したイエスは、「あなたは神の国から遠くない」と言われました。そのあとはもう、だれも、あえてイエスに質問しようとはしませんでした。 + その後、神殿の境内で教えておられた時、イエスはこうお尋ねになりました。「ユダヤ教の教師たちは、どうしてキリストがダビデ王の子だと言いはるのですか。 + ダビデ自身が、といっても、ほんとうは聖霊がダビデを通して語られたのですが、こう言っているではありませんか。『神が私の主に言われた。「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまで、わたしの右に座っていなさい。」』 + ダビデがキリストを主と呼んでいるのなら、どうしてキリストがダビデの子でありうるでしょうか。」こういう議論に群衆は好奇心を募らせ、イエスの話に聞き入っていました。 + イエスは、ほかにも次のような話をなさいました。「ユダヤ教の教師たちを警戒しなさい。彼らは見るからに学者らしいぜいたくなガウンをはおったり、広場で人からあいさつされたりするのが、何よりうれしいのです。 + また、会堂で特別席に座ったり、宴会で上座に着いたりするのも大好きです。 + 裏では、恥知らずにも、未亡人の家を食いものにしながら、人前では長々と祈り、これ見よがしに神を敬うふりをしています。こういう人たちは、人一倍きびしい罰を受けるのです。」 + それから、神殿の献金箱のそばに座り、人々がお金を投げ入れる様子をじっと見ておられました。多くの金持ちが気前よく大金をささげているところへ、 + みすぼらしい身なりの未亡人がやって来て、そっと小額の硬貨二枚を投げ入れました。 + それをごらんになったイエスは、弟子たちを呼び寄せて、こう言われました。「あの貧しい未亡人は、どの金持ちよりも、はるかに多く投げ入れたのです。金持ちはあり余る中からほんの少しばかりささげたのに、この女は、乏しい中から持っている全部をささげたのですから。」 + + + イエスが宮から出ようとしておられた時、弟子の一人が言いました。「先生。これはまあ、なんと美しい建物でしょう。なんと見事な石でしょう。」 + すると、イエスはお答えになりました。「なるほどすばらしいものです。しかし、この建物も、たった一つの石さえほかの石の上に残らないほど、あとかたもなくくずれ落ちてしまうのです。」 + イエスがオリーブ山で、宮のほうを向いて座っておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレがこっそりイエスに尋ねました。「いったいいつ、神殿にそんなことが起こるのですか。そうなる前に、何か前兆でもあるのでしょうか。」 + そこで、イエスはゆっくり話し始められました。「だれにもだまされてはいけません。 + 自分こそキリストだと名乗る者が大ぜい現れて、多くの人を惑わすからです。 + また、あちこちで戦争が始まるでしょう。けれども、まだ終わりが来たわけではありません。 + 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、至る所で地震やききんが起こります。しかしこれらはみな、やがて襲って来る苦しみの、ほんの始まりにすぎないのです。 + しかし、これらのことが起こり始めたら、よく警戒しなさい。非常な危険が迫っているからです。あなたがたは法廷に引き出され、会堂でむち打ちの刑を受け、また、わたしに従う者だというだけで、総督や王たちの前で訴えられるでしょう。しかしその時こそ、神をあかしするチャンスです。 + 終わりの時が来る前に、福音が世界中の人々に伝えられなければなりません。 + 逮捕されても、取り調べの時、どう釈明しようかと心配することはありません。ただその時、神があなたがたに語ってくださることだけを話せばいいのです。話をするのはあなたがたではなく、聖霊です。 + 兄弟同士が殺し合うかと思えば、親までが子を裏切り、子もまた親に反逆し、殺します。 + そしてあなたがたは、わたしの弟子であるというだけで、すべての人に憎まれます。しかし終わりまで、わたしへの信仰を捨てずに耐え忍ぶ者はみな救われます。 + 恐るべきものが神殿に立つのを見たら〔読者よ、よく考えなさい〕、ユダヤにいる人たちは、山へ逃げなさい。 + 急ぐのです。もしその時、屋上にいたら、家の中に戻ってはいけません。畑にいたら、お金や着物を取りに帰ってはいけません。 + このような日に妊娠している女と乳飲み子をかかえている母親は、ほんとうに不幸です。 + また、あなたがたの逃げるのが、冬にならないように祈りなさい。 + それは、神が天地を創造された初めから今に至るまで、いまだかつてなかったような恐るべき日だからです。 + 主が、このわざわいの期間を短くしてくださらないかぎり、地上には、一人も生き残れないでしょう。しかし、神に選ばれた人たちのために、その期間は短くされるのです。 + その時だれかが、『この方がキリストだ』とか『いや、あの方がそうだ』とか言っても、気をとられてはいけません。 + 偽キリストや偽預言者が次々に現れて、不思議な奇跡を行い、神に選ばれた者たちをさえ惑わそうとするからです。 + 気をつけていなさい。警告しておきます。 + この苦難の時に続いて、太陽は暗くなり、月は光を失い、 + 星は落ち、宇宙に異変が起こります。 + その時すべての人が、メシヤのわたしが大きな力と栄光とを帯びて、雲に乗って来るのを見るでしょう。 + わたしは天使たちを遣わし、世界中から、まさに天と地の果てから、選ばれた者たちを呼び集めるのです。 + さて、いちじくの木から教訓を学びなさい。いちじくの葉が出てくれば、夏は間近です。 + 同じように、いま言ったようなことが起これば、わたしはもう戸口まで来ているのです。 + そうです。これが、この時代の終わりの前兆なのです。 + 天地は消え去りますが、わたしのことばは永遠に残ります。 + しかしだれも、天の使いも、わたし自身でさえも、その日、その時がいつかは知りません。ただ、父なる神だけが知っておられます。 + だから、いつ終わりが来ても困らないように、わたしの帰りを目を覚まして待っていなさい。 + こう言えば、もっとはっきりわかるでしょう。ちょうど、外国旅行に出かける人が、使用人たちに留守中の仕事の手配をし、門番には、主人の帰りを見張っているようにと命じて出かけるのと同じです。 + だから、しっかり目を覚ましていなさい。いつわたしが帰って来るか、夕方か、夜中か、明け方か、それともすっかり明るくなってからか、わからないのですから。 + 不意をつかれて、居眠りしているところを見られないようにしなさい。 + あなたがただけでなく、すべての人にも念を押しておきます。わたしの帰りを、抜かりなく見張っていなさい。」 + + + 過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、年に一度のユダヤ人の祭り)が二日後に迫りました。いぜんとして、祭司長やユダヤ人の指導者たちは、イエスを捕らえて死刑にしようと、その機会をうかがっていました。 + しかし、「祭りの間はまずいだろう。民衆が暴動でも起こすと取り返しがつかないから」と用心していました。 + さてイエスは、ベタニヤの、ツァラアトに冒されたシモンという人の家におられました。ちょうど食卓に着いておられる時、女が一人、入って来ました。高価な香油の入った美しいつぼを持っています。女はイエスに近づくと、いきなりつぼの封を切り、香油をイエスの頭に注ぎかけました。 + 同席していた何人かの者たちは腹を立て、「なんてもったいないことをする女だ。この香油なら高く売れて、貧しい人たちに施しをすることもできたのに」と、女をとがめました。 + しかしイエスは、彼らに言われました。「彼女のするままにさせておきなさい。良いことをしてくれたのに、なぜ非難するのですか。 + 貧しい人たちは、いつも身近にいるのだから、その気があれば、いつでも助けることができます。しかし、わたしはもう、そんなに長くこの地上にいないのです。 + この女は、精一杯のことをしてくれました。わたしの葬りの準備に香油を塗ってくれたのですから。 + よく言っておきます。世界中どこででも、福音が伝えられる所では、この女のしたことも必ず賞賛されるでしょう。」 + ところで、弟子の一人イスカリオテのユダは、イエスを売り渡そうと祭司長たちのところに出かけました。 + ユダが来意を告げると、祭司長たちは喜び、謝礼を払うことを約束しました。それ以来ユダは、イエスを引き渡すチャンスをねらうようになりました。 + 過越の祭りの最初の日、すなわち、小羊をいけにえとしてささげる日に、弟子たちはイエスに、「どこで過越の食事をなさるおつもりですか」と尋ねました。 + そこでイエスは、弟子を二人エルサレムへやり、その準備をさせることにしました。「町を歩いて行くと、水がめを持って来る男に出会うから、その男について行きなさい。 + 彼が入った家の主人に、『私どもの先生が、過越の食事をする部屋を見て来るようにと申しました』と言いなさい。 + 主人はすっかり用意の整った二階の広間を見せてくれるはずです。そこで食事のしたくをしなさい。」 + 二人が町に入って行くと、何もかもイエスの言われたとおりでした。こうして、過越の準備は整いました。 + 夕方、イエスと弟子たちは連れ立って、そこにやって来ました。 + みなが食卓を囲んで食事をしていると、イエスは言われました。「いいですか。よく言っておきます。今わたしといっしょに食事をしている者の一人が、わたしを裏切ります。」 + これを聞いた弟子たちは、ひどく心を痛め、口々に、「まさか、私ではありませんよね」と尋ねました。 + 「あなたがた十二人の中の一人で、今、わたしといっしょに同じ鉢にパンを浸している者です。 + 預言者が、ずっと昔からはっきり預言してきたように、わたしは死ななければなりません。けれども、わたしを裏切る者はのろわれます。その人はむしろ生まれてこなかったほうがよかったのです。」 + 食事の最中にイエスはパンを取り、神の祝福を祈ってからそれをちぎり、弟子たちに分け与えられました。「食べなさい。これはわたしの体です。」 + それからぶどう酒の杯を取り、神に感謝の祈りをささげた後、弟子たちに与えられました。弟子たちはみな、その杯から飲みました。 + イエスは言われました。「これは多くの人のために流す、わたしの血です。神と人間との新しい契約を保証する血です。 + よく言っておきますが、やがて神の国で新しく飲むその日まで、わたしはもう決してぶどう酒を飲みません。」 + 一同は賛美歌を歌ってから、オリーブ山に向かいました。 + イエスは、弟子たちに言われました。「あなたがたはみな、わたしを見捨てるでしょう。神が預言者を通して、『わたしが羊飼いを打つ。すると羊は散り散りになる』と言われたとおりに。 + だが、わたしは復活してガリラヤに行きます。そこであなたがたに会うでしょう。」 + すると、ペテロが言いました。「だれがどうあろうと、私だけは、この私だけは絶対にあなたを捨てません。」 + イエスは、「ペテロよ。あなたは明日の朝、鶏が二度鳴く前に、三度わたしを知らないと言うでしょう」と言われました。 + 「とんでもない! たとえ死んでも、絶対にあなたを知らないなどとは言いません。」ペテロは大声で言いはりました。ほかの弟子たちも、口々に誓い始めました。 + さて一同は、オリーブの木の茂っている、ゲツセマネと呼ばれる園にやって来ました。「わたしが向こうで祈っている間、ここに座っていなさい。」 + イエスはこうお命じになると、ペテロとヤコブとヨハネだけを連れて、奥のほうに行かれました。そして、恐れと絶望に襲われて、イエスはもだえ苦しみ始められました。 + 「わたしは悲しみのあまり、今にも死にそうです。ここを離れず、わたしといっしょに目を覚ましていなさい。」 + イエスはそう言うと、三人から少し離れた所へ行き、地面にひれ伏して、もしできることなら、自分を待っているその時が来ないように、と祈られました。 + 「父よ、わたしの父よ。あなたはどんなことでもおできになります。どうぞ、この杯を取り除いてください。しかし、わたしの思いどおりにではなく、あなたのお心のままになさってください。」 + イエスが弟子たちのところへ戻って来られると、三人とも、ぐっすり眠り込んでいるではありませんか。そこで、ペテロに声をかけました。「シモンよ。眠っているのですか。たったの一時間でも、わたしといっしょに目を覚ましていられなかったのですか。 + しっかり目を覚まして祈っていなさい。さもないと誘惑に負けてしまいます。心は燃えていても、肉体は弱いのですから。」 + こうしてまた彼らから離れ、先ほどと同じことを祈られました。 + そのあと、もう一度弟子たちのところへ戻って来ると、またもや三人とも眠り込んでいます。ひどく眠気がさして我慢できなかったからです。彼らは何と言いわけしたらよいか、わかりませんでした。 + イエスは三度目に戻って来て言われました。「まだ眠っているのですか。それだけ眠れば十分でしょう。さあ、時が来ました。いよいよ、わたしは悪い者たちの手に売り渡されるのです。 + さあ、立ちなさい。行くのです。見なさい。裏切り者がやって来ました。」 + イエスがまだ言い終わらないうちに、祭司長やユダヤ人の指導者たちの差し向けた暴徒たちが、手に手に剣やこん棒を持って、弟子の一人であるユダを先頭に近づいて来ました。 + ユダは前もって彼らと、自分が口づけのあいさつをする相手がイエスだから、その男を捕まえて、引き立てて行くように、と打ち合わせておきました。 + それで、やって来るとすぐイエスに近づき、「先生」と声をかけて、さも親しそうに抱きしめ、あいさつの口づけをしました。 + そのとたん、暴徒たちがいっせいにイエスを取り押さえました。 + その時、イエスのそばにいた一人がさっと剣を抜き放つと、大祭司の部下に切りかかり、相手の耳を切り落としました。 + イエスは暴徒たちに向かって言われました。「剣やこん棒で、これほどものものしい武装をして来なければならないほど、わたしは凶悪な犯罪者なのですか。 + なぜ、神殿で捕らえようとしなかったのですか。わたしはあそこで毎日教えていたのに。けれども、これもみな、わたしについての預言が実現するためなのです。」 + この時にはもう弟子たちはみな、イエスを見捨てて逃げ去っていました。 + ただ一人、亜麻布を一枚だけまとって、イエスのうしろからついて行く青年がいました。ところが、途中で暴徒たちに見つかり、危うく捕まりそうになったので、引きちぎられた亜麻布を脱ぎ捨て、裸のまま逃げて行きました。 + イエスは、大祭司の家に引き立てられて行きました。祭司長やユダヤ人の指導者たちも急いで駆けつけ、まもなく全員がそろいました。 + さて、ペテロは遠くからあとをつけて行き、うまく門からもぐり込んで、兵士たちにまぎれて火のそばでうずくまっていました。 + 中では、イエスに死刑の宣告を下すための証拠集めに、祭司長やユダヤの最高議会の全議員がやっきになっていましたが、何も見つけることができません。 + 偽の証人は大ぜい名乗り出たのですが、証言がみな食い違っていたのです。 + そのうち何人かが、「確か、この男が、『人間の手で造られた神殿をこわして、人間の手によらない神殿を三日で建ててみせる』と言っているのを聞きました」と偽証しました。 + しかしこの点でも、証言は一致しませんでした。 + その時、大祭司が進み出て、イエスに問いただしました。「おまえはこれらの訴えに答えないつもりか。どうなんだ。何も釈明する気はないのか。」 + イエスは、ひとこともお答えになりません。大祭司は続けて、「おまえは神の子、キリストなのか」と尋ねました。 + 「そのとおりです。あなたがたは、やがてわたしが神の右の座につき、雲に乗ってもう一度この地上に来るのを見るでしょう。」 + この答えに、大祭司は即座に自分の着物を引き裂き、叫びました。「これだけ聞けば十分だ! さあ、お聞きのとおりだ。神を汚したこの男をどうしてくれよう。」こうして彼らは、イエスの死刑を全員一致で決めました。 + このあと、ある者たちは、イエスにつばを吐きかけたり、目隠ししてこぶしで顔をなぐり、「今なぐったのはだれか当ててみろ」とあざけったりしました。役人たちもイエスの身柄を受け取って、平手で打ちました。 + 一方ペテロは、下の中庭にいました。大祭司の女中の一人が、 + 火にあたっているペテロに気づき、じっと見つめて言いました。「あら、あんた。あのナザレ人イエスといっしょにいた人じゃないの?」 + ペテロはそのことばを打ち消し、「変な言いがかりはよしてくれ」と言って、出口のほうへ行きかけました。その時、鶏が鳴きました。 + すると女中は、またもペテロをしげしげと見て、そばに立っている人たちに、「ほら、あの人。あの人はイエスの弟子よ」と言いふらしました。 + ペテロはあわててそれを打ち消しました。しばらくすると、火のそばに立っていたほかの男たちも、「おまえは確かにイエスの仲間だ。ガリラヤ人だからな」と騒ぎだしました。 + ペテロは、「そんな男のことなど知らない。これがうそだったら、どんな罰があたってもかまわない」と叫びました。 + するとすぐ、鶏が二度目に鳴くのが聞こえました。その瞬間ペテロは、「鶏が二度鳴く前に三度わたしを知らないと言います」という、イエスのことばを思い出したのです。ペテロは激しく泣きくずれました。 + + + 朝早く、祭司長と長老、それにユダヤ教の教師たちからなる最高議会の全議員が、次の手はずをあれこれ協議した結果、イエスを縛ったまま、ローマ総督ピラトに引き渡すことに決まりました。 + 「おまえはユダヤ人の王なのか」というピラトの尋問に、イエスは、「そのとおりです」とだけお答えになりました。 + そこで祭司長たちは、あることないことをあげつらい、イエスを訴えました。 + これを聞いたピラトは、「どうして何も言わないのか。あんなにまで訴えているのに平気なのか」と尋ねました。 + しかしイエスは、ひとこともお答えになりません。これにはピラトも驚き、あきれてしまいました。 + さてピラトは、毎年、過越の祭りには、人々の願うままにユダヤ人の囚人を一人、釈放してやることにしていました。 + たまたまこの時、暴動で人殺しをし、投獄されていた暴徒たちの中に、バラバという男がいました。 + 群衆はピラトの前に押し寄せ、例年どおり囚人を釈放するよう迫りました。 + そこで、ピラトは尋ねました。「『ユダヤ人の王』を釈放してほしいのか。おまえたちが赦してほしいのはこの男か。」 + ピラトがこう言ったのは、イエスが捕らえられたのは、彼の人気をねたむ祭司長たちのでっち上げによるとにらんだからです。 + ところが、祭司長たちも抜かりはありません。たくみに群衆をけしかけ、イエスではなくバラバの釈放を要求させたのです。 + 「バラバは釈放するとして、おまえたちが王と呼んでいるあの男はいったいどうするつもりか。」 + 「十字架につけろ!」 + 「なぜだ。あの男が、いったいどんな悪事を働いたというのだ。」それでも群衆はおさまりません。なおも大声で、「十字架につけろ!」と叫び続けます。 + ピラトは群衆のきげんをそこねたくなかったので、結局、バラバを釈放することにしました。イエスのほうは、先端に鉛のついたむちで打たせてから、十字架につけるために引き渡しました。 + ローマ兵たちはイエスを総督官邸内の兵営に引き立てて行き、全部隊を召集しました。 + その目の前で、イエスに紫色のガウンを着せ、長く鋭いとげのあるいばらで冠を作り、頭にかぶせると、 + 「おい、ユダヤ人の王よ」とはやしたて、皮肉たっぷりに敬礼しました。 + それから、頭を葦の棒でたたいたり、つばをかけたり、ひれ伏して拝むまねをしたりして、からかいました。 + こうしてさんざん笑いものにしたあげく、紫色のガウンをはぎとってもとの着物を着せ、いよいよ十字架につけるために引き出しました。 + 途中、ちょうど田舎から来合わせていたクレネ人のシモンという男に、むりやりイエスの十字架を背負わせました〔シモンは、アレキサンデルとルポスの父〕。 + 兵士たちは、イエスをゴルゴタ〔どくろ〕と呼ばれる場所に連れて行きました。 + そこで、没薬を混ぜたぶどう酒(痛みを和らげる飲み物)を飲ませようとしましたが、イエスはお断りになりました。 + 兵士たちは、イエスを十字架につけてしまうと、さっそくくじを引き、その着物を分け合いました。 + イエスが十字架につけられたのは、朝の九時ごろでした。 + イエスの頭上には罪状書きが掲げられ、それには「ユダヤ人の王」と書いてありました。 + その日、二人の強盗も、イエスといっしょに十字架につけられました。二人の十字架はイエスの両側に立てられました。 + こうして、「彼は罪人の一人に数えられた」という聖書のことばどおりになったのです。 + 刑場のそばを通りかかった人たちは、大げさな身ぶりで、「神殿を打ちこわして三日で建て直すんだってなあ。そんなに偉いなら、たった今、十字架から降りて来いよ。自分を救ったらどうなんだ!」と、口ぎたなくイエスをののしりました。 + 祭司長やユダヤ人の指導者たちも、同じようにあざけりました。「人を救っても、自分は救えないというわけか。」 + 「キリスト様。イスラエルの王様。十字架から降りてみろ。そうしたら信じてやろうじゃないか。」イエスの両側で十字架につけられていた強盗までが、悪口をあびせました。 + さて正午になったころ、あたりが急に暗くなり、一面の闇におおわれました。それが三時間も続きました。 + 三時ごろイエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれました。それは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味です。 + 近くでその声を聞いた人の中には、預言者エリヤを呼んでいるのだと思った者もいました。 + その時、一人の男がさっと駆け寄り、海綿に酸いぶどう酒を含ませると、それを葦の棒につけて差し出しました。そして、「さあ、エリヤがこの男を降ろしに来るかどうか、とくと見ようじゃないか」と言いました。 + イエスはもう一度大声で叫ぶと、息を引き取られました。 + するとどうでしょう。神殿の幕が、上から下まで真っ二つに裂けたのです。 + 十字架のそばに立っていたローマ軍の士官は、イエスの死の有様を見て、「この方はほんとうに神の子だった」と言いました。 + 数人の婦人が、遠くから恐る恐るこの様子をながめていました。それは、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセの母マリヤ、サロメをはじめ、何人かの婦人たちで、 + イエスがガリラヤにおられた時、いつも仕えていた人たちでした。ほかにもたくさんの婦人が、イエスといっしょにエルサレムまで来ていました。 + 以上の出来事はすべて、安息日の前日に起こったことです。その日の夕方、一人の人がピラトのところへ行き、勇気を奮い起こして、イエスの遺体を引き取りたいと申し出ました。その人はアリマタヤ出身のヨセフといい、ユダヤの最高議会の有力な議員で、神の国が来ることを熱心に待ち望んでいました。 + ピラトは、イエスがもう死んでしまったとは信じられず、ローマ軍の士官を呼びつけ、問いただしました。 + 士官が死を確認したので、それならよいと遺体の引き取りを許可しました。 + ヨセフは亜麻布を買って来ると、イエスの遺体を十字架から取り降ろし、布でくるんで、岩をくり抜いた墓の中に納め、入口は石を転がしてふさぎました。 + マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが葬られるのをじっと見守っていました。 + + + 翌日の夕方、安息日が終わると、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤ、それにサロメの三人は、さっそくイエスの遺体に塗る香料を買い求めました。 + その翌朝早く、日が昇るとすぐ、女たちは香料を持って墓へ急ぎました。 + 女たちには気にかかることが一つあり、道々、そのことばかり話し合っていました。どうしたら、あの大きな石を入口から取りのけることができるかということでした。 + それがどうでしょう。墓に着いてみると、あの重い石は動かしてあり、入口が開いているではありませんか。 + 中に入ると、右のほうに白い服を着た青年(天使)が座っています。女たちはびっくりして、息も止まるほどでした。 + その青年がおもむろに口を開きました。「そんなに驚くことはありません。十字架につけられたナザレのイエスを捜しているのでしょう。あの方はもうここにはおられません。復活されたのです。ごらんなさい。ここが、あの方の納められていた場所です。 + さあ、行って、ペテロやほかの弟子たちに、『イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれます。前もって言われたとおり、そこでお会いできるのです』と知らせてあげなさい。」 + 婦人たちは震え上がり、転がるようにして墓から逃げ帰りました。そして、あまりの恐ろしさに、この出来事をだれにも話すことができませんでした。 + 〔さて、イエスが復活されたのは日曜日の早朝のことで、最初にイエスにお会いしたのはマグダラのマリヤでした。彼女はかつて、イエスに七つの悪霊を追い出していただいたことがありました。 + マリヤはすぐさま、悲しみに打ちひしがれて泣いている弟子たちのところへ行き、「大変です! イエス様は生きていらっしゃいます。私、実際にお目にかかったのです」と話しました。しかし弟子たちは、マリヤの言うことを信じようとしませんでした。 + その日の夕方、二人の弟子がエルサレムから田舎へ向かう道を歩いていました。そこへイエスが現れましたが、とっさには、だれだか見分けがつきませんでした。以前とは違った姿をしておられたからです。 + やっとイエスだとわかると、二人はエルサレムに飛んで帰り、ほかの弟子たちにこの出来事を知らせました。しかし、だれも彼らの言うことを信じませんでした。 + その後、十一人の弟子たちが食事をしているところにイエスが現れ、彼らの不信仰をとがめられました。「どうして、わたしが復活したと言う者たちの証言を信じなかったのですか。」 + それから、こう宣言されました。「全世界に出て行きなさい。すべての人々にこの福音を宣べ伝えるのです。 + 信じてバプテスマ(洗礼)を受ける者は救われます。しかし、信じない者は罪に定められます。 + 信じる人々はわたしの権威によって悪霊を追い出し、新しいことばを語ります。 + 蛇をつかんでも、毒を飲んでも害を受けません。病人に手を置けば病気は治ります。」 + こう語り終えると、イエスは天に上げられ、神の右の座につかれました。 + 弟子たちは命じられたとおりに出て行き、あらゆる所でこの福音を宣べ伝えました。主が共に働いてくださったので、数々の奇跡が起こり、弟子たちの教えの確かさが証明されました。〕 + +
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+ + イエス‧キリストの伝記は、最初からの目撃者であり弟子であった人たちの証言をもとに、すでに幾つかでき上がっています。 + しかし私は、すべての記録をもう一度初めから検証し、徹底的に調査した上で、あなたのために順序正しく書いて差し上げたいと思うようになりました。 + それによって、あなたが教えを受けられたことはみな、正確な事実であることがよくおわかりいただけると思います。 + 私の話は、ヘロデがユダヤの王であった時代に、ユダヤの祭司(神殿で神に仕える人)をしていたザカリヤという人のことから始まります。ザカリヤは神殿で奉仕するアビヤの組の一員で、妻エリサベツも祭司の家系でアロンの子孫でした。 + この夫婦は神を愛し、神のおきてを忠実に守り、心から従っていました。 + しかし、エリサベツは子どものできない体だったので、夫婦には子どもがなく、二人ともすっかり年をとっていました。 + さて、ザカリヤの組が週の当番となり、彼は神殿で祭司の務めをしていましたが、 + 祭司職の習慣に従ってくじを引いたところ、聖所に入って主の前に香をたくという光栄ある務めが当たりました。 + 香がたかれている間、民衆は神殿の庭で祈るのです。大ぜいの人が集まっていました。 + ザカリヤが聖所で香をたいていると、突然、天使が現れ、香をたく壇の右側に立ったではありませんか。 + ザカリヤはびっくりし、言い知れぬ恐怖に襲われました。 + しかし、天使は言いました。「ザカリヤよ。こわがることはありません。うれしい知らせなのだから。神が、あなたの祈りをかなえてくださったのです。エリサベツは男の子を産みます。その子にヨハネという名前をつけなさい。 + その子はあなたがたの喜びとなり、楽しみとなります。また多くの人もあなたがたと共に喜びます。 + その子が、主の前に偉大な者となるからです。彼はぶどう酒や強い酒は絶対に飲みません。生まれる前から聖霊に満たされており、 + やがて多くのユダヤ人を神に立ち返らせるのです。 + 昔の預言者(神に託されたことばを伝える人)エリヤのように、たくましい霊と力にあふれて、メシヤ(ヘブル語で、救い主)の来られる前ぶれをし、人々にメシヤを迎える準備をさせます。大人には子どものような素直な心を呼び覚まし、逆らう者には信仰心を起こさせるのです。」 + ザカリヤは答えました。「そんなことは信じられません。私はもう老いぼれですし、妻も年をとっているのです。」 + 「私はガブリエル、神の前に立つ者です。神がこの喜びの知らせを伝えるために、私を遣わされたのです。 + その私のことばをあなたは信じなかったので、あなたは神に打たれて口がきけなくなります。子どもが生まれるまで話すことはできません。その時が来れば、必ず私の言ったとおりになるのです。」 + 外の人たちは、ザカリヤが出て来るのを、今や遅しと待ちかまえていましたが、なぜそんなに手間どっているのか不思議でなりません。 + そして、ようやく彼が出てきたのですが、口がきけません。しかし人々は、ザカリヤの身ぶりから、きっと神殿の中で幻を見たのだろうと考えました。 + ザカリヤは残りの期間の奉仕をすませ、家に帰りました。 + まもなくエリサベツは妊娠し、五か月間、家に引きこもっていました。 + エリサベツは、「主は私に子どもを与えて、恥を取り除いてくださった。なんとあわれみ深いお方でしょう」と言いました。 + その翌月、神は天使ガブリエルを、ガリラヤのナザレという町に住むマリヤという処女のところへお遣わしになりました。 + この娘は、ダビデ王の子孫にあたるヨセフという人の婚約者でした。 + ガブリエルはマリヤに声をかけました。「おめでとう、恵まれた女よ。主が共におられます。」 + これを聞いたマリヤは、すっかり戸惑い、このあいさつは、いったいどういう意味なのかと考え込んでしまいました。 + すると、天使が言いました。「こわがらなくてもいいのです、マリヤ。神様があなたにすばらしいことをしてくださるのです。 + あなたはみごもって、男の子を産みます。その子を『イエス』と名づけなさい。 + 彼は非常に偉大な人になり、神の子と呼ばれます。神である主は、その子に先祖ダビデの王座をお与えになります。 + 彼は永遠にイスラエルを治め、その国はいつまでも続くのです。」 + マリヤは尋ねました。「どうして私に子どもができましょう。まだ結婚もしておりませんのに。」 + 「聖霊があなたに下り、神の力があなたをおおうのです。ですから、生まれてくる子どもは聖なる者、神の子と呼ばれます。 + ちょうど半年前、あなたのいとこのエリサベツも、『不妊の女』と言われていたのに、あの年になってみごもりました。 + 神の約束は、必ずそのとおりになるのです。」 + 「私は主のはしためにすぎません。何もかも主のお言いつけどおりにいたします。どうぞ、いま言われたとおりになりますように。」マリヤがこう言うと、天使は見えなくなりました。 + 数日後、マリヤはユダヤの山地へ急ぎました。そして、ザカリヤの住む町へ行き、エリサベツを訪ねました。 + マリヤのあいさつを聞くと、エリサベツの子が、お腹の中で跳びはね、エリサベツは聖霊に満たされました。 + 彼女は喜びを抑えきれず、大声でマリヤに言いました。「あなたほどすばらしい恵みを受けた女性はいないでしょう。あなたの子が、神様の大きな誉れを表すようになるのですから。 + 主のお母様がおいでくださるとは光栄です。 + あなたが入って来てあいさつされた時、私の子どもがお腹の中で喜び躍りました。 + 神様が語られたことは必ずそのとおりになると信じたので、神様はあなたに、このような祝福をくださったのです。」 + マリヤは言いました。「ああ、心から主を賛美します。 + 救い主である神様を心から喜びます。 + 神様は取るに足りない私のような者さえ、お心にとめてくださいました。これから永遠に、どの時代の人々も、私を神に祝福された者と呼ぶでしょう。 + 力ある聖なる方が、私に大きなことをしてくださったからです。 + そのあわれみは、いつまでも、神を恐れ敬う者の上にとどまります。 + その御手はどんなに力強いことでしょう。主は心の高ぶった者を追い散らし、 + 権力をふるう者を王座から引きずり降ろし、身分の低い者を高く引き上げ、 + 飢え渇いた者を満ち足らせ、金持ちを何も持たせずに追い返されました。 + 主は約束を忘れず、しもべイスラエルをお助けになりました。 + 先祖アブラハムとその子孫を、永遠にあわれむと約束してくださったとおりに。」 + マリヤは、エリサベツの家に三か月ほどいてから、家に帰りました。 + さて、エリサベツの待ちに待った日が来て、男の子が生まれました。 + このニュースはたちまち近所の人たちや親類の間に伝わり、人々は、神がエリサベツを心にかけてくださったことを心から喜び合いました。 + 子どもが生まれて八日目に、友人や親類が集まりました。その子に割礼(男子の性器の包皮を切り取る儀式)を行うためです。だれもが、子どもの名前は父親の名を継いで、「ザカリヤ」になるものとばかり思っていました。 + ところがエリサベツは、「いいえ、この子にはヨハネという名をつけます」と言うのです。 + 「親族にそのような名前の者は一人もいないのに。」 + 人々は、父親のザカリヤに身ぶりで尋ねました。 + ザカリヤは、書くものがほしいと合図し、それに「この子の名はヨハネ」と書いたので、みんなはびっくりしました。 + すると、とたんにザカリヤの口が開き、話せるようになったのです。彼は神を賛美し始めました。 + これには近所の人たちも驚き、このニュースはユダヤの山地一帯に広まりました。 + 人々はその出来事を心にとめ、「この子はいったい、将来どんな人物になるのだろう。確かにこの子には、主の守りと助けがある」とうわさしました。 + さて、父親のザカリヤは聖霊に満たされ、こう預言しました。 + 「イスラエルの神、主をほめたたえよう。主は来て、ご自分の民を解放し、 + そのしもべダビデ王の血筋から、力ある救い主を遣わされた。 + ずっと昔から、聖なる預言者を通して約束されたとおりに。 + 救い主は、私たちを憎むすべての敵から救い出してくださる。 + 主は私たちの先祖をあわれみ、特にアブラハムをあわれみ、彼と結んだ聖なる契約を果たされた。 + 私たちを敵の手から解放し、恐れず主に仕える者としてくださった。 + 私たちはきよい者、神の前に立つにふさわしい者とされた。 + 幼い息子よ。おまえは栄光ある神の預言者と呼ばれよう。おまえがメシヤのために道を備え、 + 主の民に、罪を赦され、救われる道を教えるからだ。 + これはみな、ただ神の深いあわれみによることだ。天の夜明けがいま訪れようとしている。 + その光は、暗黒と死の陰にうずくまる者たちを照らし、私たちを平和の道へと導くのだ。」 + ヨハネは成長し、心から神を愛する者となり、イスラエルの人々の前で公に語り始めるまで、たった一人、荒野に住んでいました。 + + + そのころ、皇帝アウグストが全ローマ帝国の住民登録をせよと命じました。 + これは、クレニオがシリヤの総督だった時に行われた最初の住民登録でした。 + 登録のため、国中の者がそれぞれ先祖の故郷へ帰りました。 + ヨセフは王家の血筋だったので、ガリラヤ地方のナザレから、ダビデ王の出身地ユダヤのベツレヘムまで行かなければなりません。 + 婚約者のマリヤも連れて行きましたが、この時にはもう、マリヤのお腹は目立つほどになっていました。 + そして、ベツレヘムにいる間に、 + マリヤは初めての子を産みました。男の子です。彼女はその子を布でくるみ、飼葉おけに寝かせました。宿屋が満員で、泊めてもらえなかったからです。 + その夜、町はずれの野原では、羊飼いが数人、羊の番をしていました。 + そこへ突然、天使が現れ、主の栄光があたり一面をさっと照らしたのです。これを見た羊飼いたちは恐ろしさのあまり震え上がりました。 + 天使は言いました。「こわがることはありません。これまで聞いたこともない、すばらしい出来事を知らせてあげましょう。すべての人への喜びの知らせです。 + 今夜、ダビデの町(ベツレヘム)で救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。 + 布にくるまれ、飼葉おけに寝かされている幼子、それが目じるしです。」 + するとたちまち、さらに大ぜいの天使たちが現れ、神をほめたたえました。 + 「天では、神に栄光があるように。地上では、平和が、神に喜ばれる人々にあるように。」 + 天使の大軍が天に帰ると、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださった、すばらしい出来事を見てこようではないか」と、互いに言い合いました。 + 羊飼いたちは息せき切って町まで駆けて行き、ようやくヨセフとマリヤとを捜しあてました。飼葉おけには幼子が寝ていました。 + 何もかも天使の言ったとおりです。羊飼いたちはこのことをほかの人に話して聞かせました。 + それを聞いた人たちはみなひどく驚きましたが、 + マリヤはこれらのことをすべて心に納めて思い巡らしていました。 + 羊飼いたちは、天使が語ったとおり幼子に会えたので、神を賛美しながら帰って行きました。 + 八日たち、割礼を行う日になり、その子は、母の胎内に宿る前から天使に示されたとおり、「イエス」と名づけられました。 + モーセの律法によるきよめ(母親のきよめと幼子の献児)の時が来ると、両親はイエスを主にささげるため、エルサレムに連れて来ました。 + モーセの律法には、「女から最初に生まれる子が男であれば、その子を主にささげなければならない」とあったのです。 + 両親は、決まりどおり、「山鳩一つがい、または家鳩のひな二羽」をきよめの供え物としてささげました。 + その日、神殿には、エルサレムに住むシメオンという人がいました。信仰のあつい正しい人で、聖霊に満たされ、イスラエルにメシヤ(救い主)の来るのを待ち望んでいました。 + 神が遣わされるその方を見るまでは絶対に死なない、と聖霊のお告げを受けていたのです。 + その日彼は、聖霊に導かれて神殿に来て、マリヤとヨセフがイエスを主にささげるためにやって来るのに出会ったのです。 + シメオンはイエスを抱き上げ、神を賛美しました。 + 「主よ。今こそ私は安心して死ねます。 + お約束どおり、この目でメシヤを見、 + あなたが遣わされた救い主にお会いしたのですから。 + この方はすべての国を照らす光、あなたの民イスラエルの光栄です。」 + ヨセフとマリヤはそこに立ったまま、驚いてシメオンの言うことを聞いていました。 + シメオンは両親を祝福してから、マリヤに言いました。「剣があなたの胸を刺し通すでしょう。イスラエルの多くの人がこの子を信じようとしないで、滅びるからです。しかし、この子によって大きな喜びを受ける人も多くいます。こうして、多くの人の思いが現されるのです。」 + その日、女預言者アンナも神殿にいました。彼女はアセル族のパヌエルの娘で、非常に年をとっていました。七年の結婚生活の後、未亡人で通し、もう八十四歳にもなっていたのです。彼女は神殿を一歩も離れず、祈りと断食に明け暮れ、神に仕える毎日を送っていました。 + この時、そこにいたアンナも神に感謝をささげ、救い主の来るのを待ちわびていたエルサレムのすべての人に、メシヤがおいでになったことを語りました。 + モーセの律法どおりにすべてのことをすませると、ヨセフとマリヤはガリラヤのナザレに帰りました。 + イエスは成長してたくましくなり、たいへん賢い子だと評判になるほどでした。神も絶えずイエスを祝福してくださいました。 + さて、両親は過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、年に一度のユダヤ人の祭り)には、毎年かかさずエルサレムに行きました。 + 十二歳の時、イエスは祭りの慣習に従って、両親についてエルサレムに行きました。 + 祭りが終わると、両親は帰途につきましたが、イエスはそのままエルサレムに残っていました。そうとは知らない両親は、 + てっきりほかの人たちといっしょに帰っているものと考え、気にもとめず、その日一日、旅を続けました。ところが、夕方になってもイエスの姿が見あたりません。あわてて、親族や友人たちの間を捜し始めました。 + それでも見つからず、とうとう、捜しながらエルサレムまで引き返しました。 + 三日後、ようやくイエスの居場所がわかりました。なんと、神殿で律法の教師たちを相手にむずかしい議論をしていたのです。 + 取り巻く見物人はみな、イエスの知恵と答えに舌を巻いていました。 + 両親は、わが子が落ち着きはらって座っているのを見て、驚きました。「どうしてこんなことをしたのです。お父さんもお母さんも、どんなに心配して捜し回ったか知れないんですよ」とマリヤが言いました。 + ところがイエスは、「なぜ捜したのですか。ぼくが父の家(神殿)にいるとわからなかったのですか」と答えました。 + こう言われても、どういうことか、両親にはさっぱりわかりませんでした。 + それからイエスは、両親といっしょにナザレに帰り、彼らによく仕えました。マリヤは、このことをみな心にとめておきました。 + イエスは身長も伸び、ますます知恵も加わって、神にも人にも愛されました。 + + + ローマ皇帝テベリオの治世の十五年目に、神は、荒野に住むザカリヤの子ヨハネにお語りになりました。〔当時、ポンテオ‧ピラトがローマから遣わされた全ユダヤの総督で、ヘロデはガリラヤ、その兄弟ピリポがイツリヤとテラコニテ、ルサニヤがアビレネを治めていました。大祭司はアンナスとカヤパでした。〕 + ヨハネはヨルダン川周辺をくまなく歩き、罪が赦されるために、今までの生活を悔い改めて、神に立ち返ったことを表明するバプテスマ(洗礼)を受けるようにと、教えを説き始めました。 + 預言者イザヤの書にあるとおりです。「荒野から叫ぶ声が聞こえる。『主の道を準備せよ。主が通られる道をまっすぐにせよ。 + 山はけずられ、谷は埋められ、曲がった所はまっすぐにされ、でこぼこ道は平らにされる。 + こうして、すべての人が神から遣わされた救い主を見るのだ。』」 + バプテスマを受けに来る人たちに、ヨハネはきびしい口調で話しました。「まむしの子ら! あなたがたは神に立ち返ろうともせず、ただ地獄から逃れたい一心でバプテスマを受けようとしている。 + その前に、悔い改めたことを行いで示しなさい。アブラハムの子孫だから大丈夫などと思ってはいけない。そんなものは何の役にも立たない。神はこの石ころからでも、今すぐアブラハムの子孫をお造りになれるのだ。 + 今の今でも、神のさばきの斧はふりかぶられ、あなたがたを根もとから切り倒そうと待ちかまえている。だから、良い実を結ばない木はすぐにも切り倒され、火に投げ込まれるのだ。」 + 「では、いったいどうすればいいのですか。」 + こう尋ねる群衆に、ヨハネは答えました。「下着を二枚持っていたら、一枚は貧しい人に与えなさい。余分な食べ物があるなら、お腹をすかせている人に与えなさい。」 + 取税人たち(ローマに納める税金をあくどいやり方で取り立て、人々からきらわれていた)までもが、バプテスマを受けようとやって来ました。そして、恐る恐る、「私たちはどうしたらよいのでしょう」と尋ねました。 + 「正直になりなさい。ローマ政府が決めた以上の税金を取り立ててはいけない。」 + 兵士たちも尋ねました。「私たちはどうすればいいのですか。」「脅しや暴力で金をゆすったり、何も悪いことをしない人を訴えたりしてはいけない。与えられる給料で満足しなさい。」 + 民衆は、救い主を待望していました。そして、もしかしたらヨハネがキリストではないかと考えたのです。 + この疑問を、ヨハネはきっぱり否定しました。「私は水でバプテスマを授けているだけだ。しかし、もうすぐ私よりはるかに権威ある方が来られる。その方のしもべとなる価値さえ、私にはない。その方は、聖霊と火でバプテスマをお授けになる。 + また、麦ともみがらとをふるい分け、麦は倉に納め、もみがらを永久に消えない火で焼き尽くされる。」 + ヨハネはほかにも多くのことを教え、民衆に福音を伝えました。 + 〔当時、ガリラヤの領主ヘロデ‧アンテパスが、兄嫁のヘロデヤを奪い取るなど悪事を行っていたので、ヨハネは彼を非難しました。そのためヨハネは捕らえられ、投獄されました。こうしてヘロデは、多くの悪に悪を重ねました。〕 + さて、そうしたある日のこと、イエスは、ヨハネからバプテスマを受ける人々に加わりました。バプテスマを受け、祈っておられると、天が開き、 + 聖霊が鳩のようにイエスに下りました。そして天から、「あなたはわたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ」という声が聞こえました。 + イエスが公に教え始められたのは、およそ三十歳のころでした。人々はイエスを、ヨセフの息子と思っていました。このヨセフの父はヘリ、ヘリの父はマタテ、マタテの父はレビ、レビの父はメルキ、メルキの父はヤンナイ、ヤンナイの父はヨセフ、ヨセフの父はマタテヤ、マタテヤの父はアモス、アモスの父はナホム、ナホムの父はエスリ、エスリの父はナンガイ、ナンガイの父はマハテ、マハテの父はマタテヤ、マタテヤの父はシメイ、シメイの父はヨセク、ヨセクの父はヨダ、ヨダの父はヨハナン、ヨハナンの父はレサ、レサの父はゾロバベル、ゾロバベルの父はサラテル、サラテルの父はネリ、ネリの父はメルキ、メルキの父はアデイ、アデイの父はコサム、コサムの父はエルマダム、エルマダムの父はエル、エルの父はヨシュア、ヨシュアの父はエリエゼル、エリエゼルの父はヨリム、ヨリムの父はマタテ、マタテの父はレビ、レビの父はシメオン、シメオンの父はユダ、ユダの父はヨセフ、ヨセフの父はヨナム、ヨナムの父はエリヤキム、エリヤキムの父はメレヤ、メレヤの父はメナ、メナの父はマタタ、マタタの父はナタン、ナタンの父はダビデ、ダビデの父はエッサイ、エッサイの父はオベデ、オベデの父はボアズ、ボアズの父はサラ、サラの父はナアソン、ナアソンの父はアミナダブ、アミナダブの父はアデミン、アデミンの父はアルニ、アルニの父はエスロン、エスロンの父はパレス、パレスの父はユダ、ユダの父はヤコブ、ヤコブの父はイサク、イサクの父はアブラハム、アブラハムの父はテラ、テラの父はナホル、ナホルの父はセルグ、セルグの父はレウ、レウの父はペレグ、ペレグの父はエベル、エベルの父はサラ、サラの父はカイナン、カイナンの父はアルパクサデ、アルパクサデの父はセム、セムの父はノア、ノアの父はラメク、ラメクの父はメトセラ、メトセラの父はエノク、エノクの父はヤレデ、ヤレデの父はマハラレル、マハラレルの父はカイナン、カイナンの父はエノス、エノスの父はセツ、セツの父はアダム、アダムの父は神です。 + + + さて、イエスは聖霊に満たされ、ヨルダン川をあとにすると、聖霊に導かれるまま、ユダヤの荒野に向かわれました。 + そこで、悪魔が四十日間、イエスを誘惑したのです。その間イエスは、何も口にしなかったので、空腹を覚えられました。 + その時、悪魔がたくみに誘いかけました。「もしあなたが神の子なら、ここに転がっている石をパンに変えてみたらどうだ。」 + しかしイエスは、お答えになりました。「『人はただパンだけで生きるのではない』と聖書に書いてあるではないか。」 + 次に悪魔は、イエスを高い所へ連れて行き、一瞬のうちに、世界の国々とその繁栄ぶりとを見せて言いました。 + 「さあ、ここにひれ伏して、この私を拝みなさい。そうすれば、これらの国々とその栄光とを、全部あなたにやろう。」 + イエスはお答えになりました。「『神である主だけを礼拝し、主にだけ従え』と聖書に書いてあるではないか」 + さらに悪魔は、イエスをエルサレムへ連れて行き、神殿の頂に立たせて言いました。「さあ、ほんとうに神の子だと言うなら、ここから飛び降りてみなさい。 + 聖書には『神は天使を送って、 + あなたを支えさせ、あなたが岩の上に落ちて砕かれることのないように守られる』と、はっきり書いてあるのだから。」 + しかしイエスは、お答えになりました。「『あなたの神である主を、試みてはならない』とも書いてある。」 + あの手この手の誘惑のかぎりを尽くすと、悪魔は一時、イエスから離れて行きました。 + イエスが聖霊の力に満たされてガリラヤに戻られると、まもなくその地方一帯にイエスの評判が広まりました。 + あちこちの会堂で教えを語るイエスは、人々の賞賛の的でした。 + それからイエスは、少年時代を過ごしたナザレに帰り、いつものように土曜日(安息日)に会堂へ行かれました。聖書を朗読しようと席を立つと、 + 預言者イザヤの書が手渡されたので、次の箇所をお開きになりました。 + 「わたしの上に主の御霊がとどまっておられる。主は、貧しい人たちにこの福音(神の救いの知らせ)を伝えるために、わたしを任命された。主はわたしを遣わして、捕虜には解放を、盲人には視力の回復をお告げになる。踏みにじられている人を自由にし、主の恵みの年をお告げになる。」 + イエスは朗読を終えると、聖書を閉じ、係の者に返して、腰をおろされました。みんなの目はいっせいにイエスに注がれました。 + それにこたえるように、イエスはこう言われました。「この聖書のことばは、今日、実現したのです。」 + 人々はみなイエスをほめ、そのことばのすばらしさに驚きました。しかし一方では、「いったいどうなっているのだ。ただのヨセフのせがれではないか」とささやき合いました。 + そこで、イエスは言われました。「きっとあなたがたは、『医者よ、自分を治せ』ということわざを引いて、『カペナウムで行った奇跡を、自分の郷里でもしてくれ』と言うのでしょう。 + はっきり言いましょう。どんな預言者でも、故郷では歓迎されないものです。 + エリヤはどうだったでしょうか。三年半のあいだ雨がなく、国中が大ききんに見舞われた時、イスラエルには助けを求める未亡人が多くいました。しかしエリヤは、そういう人たちのところへではなく、シドンのツァレファテに住む外国人の未亡人のところへ遣わされ、奇跡によって彼女を助けました。 + また、預言者エリシャの場合はどうだったでしょうか。ユダヤにもツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)の人がたくさんいたというのに、そのだれもがいやされず、ただシリヤ人ナアマンだけがいやされたではありませんか。」 + こう言われて、会堂にいた人たちはひどく腹を立て、 + どっとイエスに襲いかかり、その町の丘のがけっぷちまで連れて行きました。そこから突き落とすつもりだったのです。 + ところがイエスは、群衆の間をすり抜け、去って行かれました。 + それからイエスは、ガリラヤの町カペナウムに帰り、毎土曜日、会堂で教えられました。 + ここでもまた、人々はイエスの教えに驚きました。イエスが、権威あることばで真理を語られたからです。 + ある時、会堂で教えておられると、悪霊につかれた男が、イエスに向かって大声でわめき立てました。 + 「ナザレのイエス。お願いだから出て行ってくれ! おれたちをどうしようというのだ。おれたちを滅ぼしに来たのだろう。あなたがだれなのか、よくわかっている。神のきよい御子だ。」 + イエスは悪霊をさえぎり、「黙りなさい。その人から出て行きなさい」とお命じになりました。すると突然、悪霊は、人々の目の前で男を投げ倒しましたが、それ以上は何の危害も加えずに出て行きました。 + あっけにとられた人々は、口々に言いました。「悪霊までが言うことを聞くとは、この方のことばにはなんと力があるのだろう。」 + こうしてイエスのうわさは、この地方一帯に非常な勢いで広まりました。 + その日イエスは、会堂からシモン(ペテロ)の家へ行かれました。すると、シモンのしゅうとめが高熱にうなされているところでした。「お願いです。治してやってください」と人々に頼まれて、 + イエスは彼女の枕もとに立ち、熱病をおしかりになりました。するとどうでしょう。たちまち熱が引き、平熱に戻ったしゅうとめはすぐに起き上がり、食事の用意を始めたではありませんか。 + 夕方になると、病人を連れた村の人たちが、ぞくぞくとイエスのもとに詰めかけました。イエスは、どんな病気であろうと、連れて来られた病人の一人一人にさわり、治されました。 + 中には悪霊につかれた人もいましたが、イエスが命令すると、悪霊は大声で、「あなたは神の子だ!」と叫びながら出て行きました。しかし、イエスは悪霊がものを言うことを許されませんでした。悪霊は、イエスがキリスト(ギリシャ語で、救い主)であることを知っていたからです。 + 翌朝早く、イエスはただ一人、人気のない寂しい所へ行かれました。人々はあちこち捜し回り、やっとのことでイエスを見つけ出すと、もうどこへも行かないように頼みました。 + しかし、イエスはお答えになりました。「ほかの町々にも、神の福音(救いの知らせ)を伝えなければならないのです。そのために、わたしは来たのですから。」 + こうしてイエスは、ユダヤ中を旅し、各地の会堂で教えられました。 + + + ある日、イエスがゲネサレ湖(ガリラヤ湖)のほとりで教えておられると、群衆が神のことばを聞こうと押し寄せました。 + 見ると、水ぎわの二そうの小舟のそばで、漁師たちが網を洗っています。イエスはそのうちの一そうに乗り込んで、持ち主のシモンに少しこぎ出してもらい、舟の中に座ったまま群衆に教えられました。 + 話が終わると、イエスはシモンに言われました。「さあ、もっと沖へこぎ出して、網をおろしてごらんなさい。」 + 「でも先生。私たちは夜通し一生懸命働きましたが、雑魚一匹とれなかったのです。でも、せっかくのおことばですから、もう一度やってみましょう。」 + するとどうでしょう。今度は網が破れるほどたくさんの魚がとれたのです。 + あまりに多くて、手がつけられません。大声で助けを求めました。仲間の舟が来ましたが、二そうとも魚でいっぱいになり、今にも沈みそうになりました。 + シモン‧ペテロは、あわててイエスの前にひれ伏し、「先生。どうぞ私みたいな者から離れてください。私は罪深い人間で、とてもおそばには寄れません」と叫びました。 + あまりの大漁に、ペテロも仲間たちも恐ろしくなったからです。 + 仲間には、ゼベダイの息子のヤコブとヨハネもいました。イエスはシモンに、「こわがることはありません。あなたは今からは人間をとる漁師になるのです」と言われました。 + 岸へ上がると、彼らはすべてを捨てて、イエスに従いました。 + イエスがある村におられた時のことです。そこに、ツァラアトに全身を冒された男がいました。彼はイエスを見るや、その前にひれ伏し、額を地面にこすりつけて頼みました。「主よ。お願いでございます。どうぞ私の体をもとどおりにしてください。お気持ちひとつで治るのですから。」 + イエスは手を伸ばして男にさわり、「治してあげましょう。さあ、もう大丈夫です」と言われました。すると驚いたことに、ツァラアトはたちまち消え去り、あとかたもなくなったのです。 + 「このことをだれにも話してはいけません。すぐに祭司のところへ行って、体を調べてもらい、モーセの律法どおりのささげ物をしなさい。そうすれば、治ったことがみんなの前で証明されるのです。」しかし、 + イエスのうわさはあっという間に広まり、多くの人が、教えを聞こう、病気を治してもらおうと集まって来ました。 + しかしイエスは、何度も荒野に身を避け、祈っておられました。 + ある日、イエスが教えておられると、パリサイ人(特におきてを守ることに熱心なユダヤ教の一派)と律法の専門家たちもそばに座っていました〔ガリラヤやユダヤの村々、またエルサレムから来た人たちです〕。イエスには、病気を治す神の力がありました。 + その時、数人の人がやって来ました。見ると、中風(脳出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の男を、それも床のままかついでいます。彼らは何とか群衆をかき分けてイエスのところへ行こうとしましたが、人が多くて、とても近づけたものではありません。しかたなく彼らは屋根にのぼり、天井に穴をあけ、病人をふとんごと、人々の真ん中に立っておられるイエスの目の前につり降ろしました。 + イエスはこれほどまでの信仰を見て、病人に、「あなたの罪は赦されました」と宣言なさいました。 + すると、「なんと罰あたりなことばだ! いったい自分をだれだと思ってるのか。明らかに神への冒瀆だ! 罪を赦すことなど、神にしかできないことなのに」と、パリサイ人や律法の専門家たちは、心の中で強く反発しました。 + それを見抜いたイエスは、「なぜ、わたしのことばが神を汚すことになるのですか。 + この人に、『あなたの罪は赦されました』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのと、どちらがむずかしいですか。わたしは病気を治す力も、罪を赦す権威も持っているのです。それを証明してみせましょう」と言い、中風の男に、「さあ、起きなさい。床をたたんで、家に帰りなさい」とお命じになりました。 + 男はすぐにはね起き、床をたたむと、並み居る人をしり目に、神を賛美しながら帰って行きました。 + 居合わせた人たちは、みな恐れに満たされて、「不思議だ。まるで考えられないことだ」と幾度もくり返しては、神をほめたたえました。 + このあと、イエスが町を出ようとされた時、一人の取税人が税金取立所に座っているのが見えました。その男の名はレビ(マタイ)と言いました。「さあ、ついて来て、わたしの弟子になりなさい。」 + イエスの誘いに、レビは何もかも捨てて立ち上がり、あとに従いました。 + まもなくレビは、家で、イエスのために盛大な歓迎会を催しました。取税人仲間をはじめ、大ぜいの人が招かれました。 + ところが、パリサイ人や律法の専門家たちはこの光景を見て、弟子たちに激しい非難をあびせました。「あなたたちは、どうしてこんなくずのような連中といっしょに食事をするのか。」 + イエスは、お答えになりました。「医者が必要なのは病人で、健康な人ではありません。 + わたしは、自分を正しいと思う人を招くためではなく、罪人を招いて、罪を悔い改めさせるために来たのです。」 + 彼らも負けてはいません。今度は違った面から、詰め寄りました。「バプテスマのヨハネの弟子たちは、いつも断食して祈っている。パリサイ人の弟子たちも同様だ。なのに、あなたの弟子たちときたら、平気で飲み食いしている。そのわけを聞かせてもらいたい。」 + イエスは言われました。「幸せな人が断食しますか。結婚披露宴で、花婿の招待客がお腹をすかせたままでいることがあるでしょうか。もちろん、ありえません。 + しかし、花婿が彼らから引き離される日が来ます。その時こそ断食するのです。」 + 続いて、もう一つのたとえを話されました。「古い着物に継ぎを当てるのに、新しい着物から布切れを切り取る人がいるでしょうか。そんなことをしたら、新しい着物もだめになるし、古い着物も継ぎ目が破れて、結局どちらもだいなしです。 + また、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れる人がいるでしょうか。そんなことをしたら、古い皮袋は新しいぶどう酒の圧力で張り裂け、ぶどう酒もこぼれてしまいます。 + 新しいぶどう酒は、新しい皮袋に入れるものです。 + こうも言えます。だれでも古いぶどう酒を飲んだあとで、新しいぶどう酒を口にしたいとは思わないでしょう。『古い物は良い』と言われるとおりです。」 + + + ある安息日(神の定めた休息日)のことです。イエスと弟子たちは麦畑の中を歩いていました。弟子たちは歩きながら、麦の穂を摘んでは、手でもみ、殻を取って食べました。 + パリサイ人たちが目ざとくそれを見つけ、非難しました。「どう見ても律法違反だ! 弟子たちのやっていることは、明らかに刈り入れではないか。安息日の労働はユダヤのおきてで禁じられているというのに。」 + イエスは、お答えになりました。「聖書を読んだことがないのですか。ダビデ王とその家来たちが空腹になった時、どうしたでしょうか。 + ダビデ王は神殿に入り、主に供えられた特別なパンを取って食べたではありませんか。これはおきてに反することでしたが、自分ばかりか、家来たちにも分けてやりました。」 + また、こうも言われました。「わたしは安息日の主です。」 + 今度は別の安息日のことです。イエスは会堂で教えておられました。ちょうどそこに、右手の不自由な男が居合わせました。 + 安息日だというので、律法の専門家やパリサイ人たちは、イエスがこの男を治すかどうか、様子をうかがっていました。何とかしてイエスを訴える口実を見つけようと必死だったのです。 + 彼らの魂胆を見抜いたイエスは、その男に、「さあ、みんなの真ん中に立ちなさい」とお命じになりました。男が言われたとおりにすると、 + イエスはパリサイ人たちに、「ひとつ聞きたいのですが、安息日に良いことをするのと悪いことをするのと、どちらが正しいでしょうか。人のいのちを救うのと、いのちを奪うのと、どちらが正しいでしょうか」とお尋ねになりました。 + それから、会衆をぐるりと見回し、男に、「さあ、手を伸ばしなさい」と言われました。男がそのとおりにすると、なんと彼の右手はすっかり治っていました。 + これを見たパリサイ人たちはすっかり逆上し、イエスを殺そうとたくらみ始めました。 + それからまもなく、イエスは山へ行き、夜通し祈られました。 + 夜明けごろ、弟子たちを呼び寄せると、その中から十二人を選び、「使徒」という名をおつけになりました。 + 十二人の名前は次のとおりです。シモン〔イエスはペテロともお呼びになった〕、アンデレ〔シモンの兄弟〕、ヤコブ、ヨハネ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、シモン〔「熱心党」というユダヤ教の急進派グループのメンバー〕、ユダ〔タダイとも呼ばれた〕、イスカリオテのユダ〔後にイエスを裏切った男〕。 + イエスは弟子たちといっしょに山を降り、広々とした所にお立ちになりました。すると、ほかの大ぜいの弟子と群衆が集まって来て、たちまちイエスの回りは人の波で埋めつくされました。ユダヤ全地、エルサレム、はるか北のツロやシドンの海岸地方などから、イエスの話を聞き、また病気を治してもらおうと、はるばるやって来た人ばかりです。ここでは、悪霊に苦しめられている人もいやされました。 + だれもがみな、イエスにさわろうと押し合いへし合いの大騒ぎです。さわれば、病気を治す力がイエスから出て、どんな病気もいやされたからです。 + それからイエスは、弟子たちのほうをふり向き、話し始められました。「あなたがた貧しい人は幸福です。神の国はあなたがたのものだからです。 + いま空腹な人は幸福です。やがて十分満足するようになるからです。泣いている人は幸福です。もうすぐ笑うようになるからです。 + わたしの弟子だというので、憎まれたり、追い出されたり、悪口を言われたりするなら、なんと幸いなことでしょう。 + そんなことになったら、心から喜びなさい。躍り上がって喜びなさい。やがて天国で、目をみはるばかりの報いがいただけるからです。そして、同じような扱いを受けた、昔の預言者たちの仲間入りができるのです。 + これとは反対に、金持ちたちを待ち受けているのは悲しみだけです。彼らの幸福はこの地上限りのものだからです。 + 肥え太り、今は栄えていても、やがて飢え渇く日が来れば、彼らの笑いは一瞬にして悲しみに変わるでしょう。 + ほめそやされる者はあわれです。偽預言者はいつの時代でも、そのような扱いを受けたからです。 + いいですか、よく聞きなさい。あなたの敵を愛しなさい。あなたを憎む者によくしてあげなさい。 + あなたをのろう者を祝福しなさい。あなたを侮辱する者に神の祝福を祈り求めなさい。 + もしだれかが頬をなぐったら、もう一方の頬もなぐらせなさい。また、もしだれかが上着を取ろうとしたら、下着もつけてやりなさい。 + 持ち物は何でも、ほしがる人にあげなさい。盗難にあっても、取り返そうと気をもんではいけません。 + また、人からしてほしいと思うことを、そのとおり人にもしてあげなさい。 + 自分を愛してくれる人だけを愛したところで、ほめられたことでも何でもありません。神を知らない人でさえ、それぐらいのことはします。 + よくしてくれる人にだけよくしたところで、何の意味があるのでしょう。罪人でさえ、それぐらいのことはします。 + 返してもらえる人にだけお金を貸したところで、善行と言えるでしょうか。全額戻るとわかっていれば、どんな悪党でも仲間にお金を貸してやります。 + 自分の敵を愛しなさい。彼らによくしてやり、返してもらうことなど当てにせずに貸してあげなさい。そうすれば、天からすばらしい報いがあり、あなたがたは神の子どもになれるのです。神は、恩知らずの者や極悪人にも、あわれみ深い方だからです。 + あなたがたも、天の父のように、あわれみ深い者になりなさい。 + 人のあら捜しをしたり、悪口を言ったりしてはいけません。自分もそうされないためです。人には広い心で接しなさい。そうすれば、彼らも同じようにしてくれるでしょう。 + 与えなさい。そうすれば与えられます。彼らは、量りのますに、押し込んだり、揺すり入れたりしてたっぷり量り、あふれるばかりにして返してくれます。自分が量るそのはかりで、自分も量り返されるのです。」 + イエスはさらに、もう一つのたとえを話されました。「盲人が盲人の道案内をしたら、どうなるでしょう。一人が穴に落ち込めば、もう一人も巻き添えになるでしょう。 + 弟子が師より偉くなれますか。しかし、一生懸命努力すれば、自分の師と同じぐらいにはなれます。 + また、自分の目に大きなごみが入っているのに、どうしてほかの人の目の中にある、小さなちりを気にするのでしょう。 + 自分の目の大きなごみで、よく見えもしないのに、どうして、『あなたの目にごみが入ってるから、取ってあげよう』などと言うのでしょう。偽善者よ。まず自分の目のごみを取り除きなさい。そうすれば、はっきり見えるようになって、ほかの人の小さなごみを取ってあげることもできるのです。 + おいしい実をつける木が、まずい実をつけるはずはないし、まずい実をつける木が、おいしい実をつけるはずもありません。 + つまり、木は実によって見分けることができるのです。いばらにいちじくの実はならないし、野ばらにぶどうの実はなりません。 + 良い人は、良い心から良い行いを生み出します。悪い人は、隠された悪い心から悪い行いを生み出します。心に秘めたことが、ことばになってあふれ出るからです。 + なぜ、『主よ、主よ』と呼びながら、わたしに従おうとはしないのですか。 + そばに来て、わたしの教えを聞き、そのとおり実行する人はみな、 + 地面を深く掘って、岩の上に土台をすえ、その上に家を建てる人のようです。洪水になり、激流に洗われても、家はびくともしません。土台がしっかりしているからです。 + しかし、わたしのことばを聞いても実行しない人は、ちょうど、土台なしで家を建てる人のようです。水が押し寄せると、家はあとかたもなく流されてしまいます。」 + + + これらの話を終えると、イエスはカペナウムの町に帰って行かれました。 + ちょうどそのころ、あるローマ軍の隊長が目をかけていた召使が、病気で死にかかっていました。 + イエスの評判を聞いた隊長は、日頃みんなに尊敬されているユダヤ人の長老たちをイエスのところにやり、召使のいのちを助けに来てくださいと願いました。 + 長老たちは、この隊長がどんなにすばらしい人物かを説明し、熱心にイエスに頼みました。「あなたに助けていただく価値のある人がいるとしたら、この方こそふさわしい人です。 + ユダヤ人を愛し、会堂も建ててくれました。」 + そこで、イエスは長老たちといっしょに出かけました。家まであとわずかという時、隊長の友人たちが来て、彼のことづけを伝えました。「先生。わざわざおいでくださいませんように。とてもそんな名誉を受ける資格はございません。自分でお迎えに上がることさえ失礼と存じます。どうぞ今おられる所で、おことばをください。それで十分でございます。そうすれば、召使は必ず治ります。 + 私は上官の権威の下にある者ですが、その私でさえ、部下には権威があります。私が『行け』と命じれば行きますし、『来い』と言えば来ます。また奴隷にも、『あれをやれ』『これをやれ』と言えば、そのとおりにするのです。」 + これを聞くと、イエスはたいへん驚き、群衆のほうをふり向いて言われました。「皆さん。これほどの信仰を持った人は、イスラエル中でも見たことがありません。」 + 使いの者たちが戻ってみると、召使はすっかり治っていました。 + それからまもなく、イエスは弟子たちといっしょにナインの町へ行かれました。いつものように、あとから大ぜいの人の群れがついて行きます。 + 町の門の近くで、葬式の列にばったり出会いました。死んだのは、夫に先立たれた女の一人息子でした。町の人が大ぜい母親に付き添っています。 + 痛々しい母親の姿を見てかわいそうに思ったイエスは、「泣かなくてもいいのですよ」と、やさしく声をおかけになりました。 + そして歩み寄り、棺に手をかけると、かついでいた人たちが立ち止まったので、「少年よ、起きなさい」と言われました。 + すると少年はすぐに起き上がり、回りの人たちに話しかけるではありませんか。イエスは少年を母親に返しました。 + 人々はびっくりし、ことばも出ませんでしたが、次の瞬間、あちこちから神を賛美する声がわき上がりました。「大預言者だ!」「神様のお働きだ!この目で見たぞ!」 + この日の出来事は、あっという間にユダヤ全土と回りの地方一帯に広まりました。 + イエスのこうしたわざの数々は、バプテスマのヨハネの弟子たちの耳にも入り、細大もらさずヨハネに報告されました。 + ヨハネは、弟子を二人イエスのもとへやり、こう尋ねさせました。「あなたは、ほんとうに私たちの待ち続けてきたお方ですか。それとも、まだ別の方をお待ちしなければならないのでしょうか。」 + ちょうどその時、イエスはさまざまな病気にかかった大ぜいの病人を治し、盲人を見えるようにし、悪霊を追い出しておられるところでした。 + イエスの答えはこうでした。「帰って、ヨハネに、今ここで見聞きしたことを話しなさい。盲人が見えるようになり、立てなかった人が今は自分で歩けるようになり、ツァラアトの人が治り、耳の聞こえなかった人が聞こえるようになり、死人が生き返り、貧しい人々が福音(神の救いの知らせ)を聞いていることなどを。 + それから、わたしを疑わない人は幸いです、と伝えなさい。」 + ヨハネの弟子たちが帰ってから、イエスは人々に、ヨハネのことを話し始められました。「あなたがたは、ヨハネに会いに荒野へ出かけた時、どんな人物だと考えていましたか。風にそよぐ葦のような人だとでも思ったのですか。 + それとも、きらびやかに着飾った人に会えるとでも……。ぜいたくな暮らしをしている人なら宮殿にいます。荒野にはいません。 + あるいは、預言者に会えると期待したのですか。そのとおり、ヨハネは預言者以上の者です。 + 彼こそ聖書の中で、『見よ。わたしはあなたより先に使者を送る。その使者は人々に、あなたを迎える準備をさせる』と言われている、その人です。 + 今まで生まれた人の中で、ヨハネほどすぐれた働きをした人はいません。けれども、神の国で一番小さい者でも、ヨハネよりはずっと偉大なのです。 + ヨハネの教えを聞いた人はみな、取税人たちでさえ、神の正しさを認め、バプテスマ(洗礼)を受けました。 + ただ、パリサイ人と律法の専門家だけが受け入れなかったのです。彼らはあつかましくも、神のご計画を退け、ヨハネのバプテスマを拒否したのです。 + このような人々のことを、どう言ったらいいでしょう。 + まるで遊び友達に文句を言っている子どものようです。『結婚式ごっこをしようって言ったのに、ちっともうれしがってくれないし、それで葬式ごっこにしたら、今度はぜんぜん悲しがってくれない』と嘆くのです。 + つまり、バプテスマのヨハネが何度も断食し、生涯、酒も飲まずにいると、『彼は気が変になっている』と言い、 + わたしが食事をしたり、ぶどう酒を飲んだりすると、『あいつは大食いで大酒飲み、一番たちの悪い罪人どもの仲間だ』とののしります。 + けれども、神の知恵の正しさは、神を信じる者たちが証明するのです。」 + あるパリサイ人から食事に招待されたので、イエスはその家に入りました。一同が食卓に着いていると、 + 町の女が一人、高価な香油の入った美しいつぼを持ってやって来ました。この女は不道徳な生活をしていました。 + 女は部屋に入るなり、イエスのうしろにひざまずき、さめざめと泣きました。あまり泣いたので、イエスの足が涙でぬれるほどでした。女はていねいに自分の髪でイエスの足の涙をぬぐい、心を込めて足に口づけしてから、その上に香油を注ぎかけました。 + イエスを招待したパリサイ人はこの出来事を見て、「これで、やつが預言者でないことがはっきりした。もしほんとうに神から遣わされた者なら、この女の正体がわかるはずだから」とひそかに思いました。 + ところが、イエスはすべてを見通しておられました。「シモンよ。あなたに言っておきたいことがあります。」「はい、先生。何でしょう。」 + 「ある男が二人の人に金を貸しました。一人は五百デナリ(一デナリは一日の賃金)、もう一人は五十デナリ借りました。 + ところが二人とも、どうしても借金を返せません。金を貸した男はたいへん思いやりのある人だったので、二人の借金を帳消しにしてやりました。この二人のうちどちらの人がよけいに貸し主に感謝し、彼を愛したでしょうか。」 + 「たくさん借りていたほうでしょう。」シモンの答えに、イエスも、「そのとおりです」とうなずかれました。 + それから、ひざまずいている女のほうをふり向き、シモンに言われました。「ほら、この女を見なさい。わたしがこの家に来た時、あなたは足を洗う水さえ出してくれませんでした。ところがこの女は、涙でわたしの足を洗い、髪でふいてくれました。 + あなたはあいさつの口づけをしてくれませんでしたが、この女はわたしが入って来た時から、何度も足に口づけしてくれました。 + あなたはわたしの頭にオリーブ油を注いでくれましたか。この女は、わたしの足にこんなに高価な香油を注いでくれたのです。 + この女の多くの罪が赦されたからです。そして、わたしを多く愛してくれたからです。少ししか赦されていない者は、少ししか愛さないのです。」 + そして女に言われました。「あなたの罪は赦されています。」 + その場に同席していた人たちは、心の中でつぶやき始めました。「罪を赦すなんて、いったい自分をだれだと思っているのだろう。」 + しかし、イエスは女に、「あなたの信仰があなたを救ったのです。安心してお帰りなさい」と言われました。 + + + その後しばらくして、イエスはガリラヤの町や村を回り、神の福音を伝え始められました。十二人の弟子も同行しました。 + イエスに悪霊を追い出してもらったり、病気を治してもらったりした女たちもいっしょでした。この中には、七つの悪霊を追い出してもらったマグダラのマリヤや、 + ヘロデ王の執事クーザの妻ヨハンナ、スザンナをはじめ、自分の財をもって、イエスや弟子たちの世話をする大ぜいの女性がいました。 + ある日、話を聞こうと、大ぜいの群衆が町々村々から押しかけたので、イエスはこんなたとえ話をなさいました。 + 「農夫が、種まきをしようと畑に出かけました。種をまいているうちに、ある種は道ばたに落ちて、踏みつけられ、そのうち鳥が来て食べてしまいました。 + 土の浅い石地に落ちた種もありました。それは芽を出したのですが、水分が足りないので、すぐ枯れてしまいました。 + いばらの中に落ちた種もありましたが、いばらがいっしょに生え出て、結局、成長できませんでした。 + しかし、中には良い土壌に落ちた種もありました。それはぐんぐん育ち、百倍もの実を結びました。」イエスは話しながら、「聞く耳のある人はよく聞きなさい」と、みんなの注意をうながされました。 + 「そのたとえはどういう意味ですか。」弟子たちに質問されて、 + イエスはお答えになりました。「あなたがたには神の国の奥深い真理を理解することが許されていますが、群衆はそうではありません。だから、たとえで話すのです。彼らは見たり聞いたりしても、少しも理解しようとしません。 + さて、このたとえの意味を説明しましょう。種とは神の教えのことです。 + ある種が落ちた道ばたとは、神のことばを聞いても、受け入れない頑固な心を表します。やがて悪魔が来て、それを持ち去り、信じて救われるのをじゃまするのです。 + 次に、土の浅い石地とは、喜んで教えは聞くものの、ほんとうの意味で心に根を張らない状態のことです。教えられたことはいちいちもっともだと納得し、しばらくの間は信じているのですが、迫害の嵐がやってくると、すぐにぐらついてしまうのです。 + いばらの中の種とは、聞いて信じても、その後、いろいろな心配事や金銭欲、また人生のさまざまな重荷や快楽などに、信仰を妨げられてしまう人のことです。これでは、せっかく教えを聞いても、実を結びません。 + 良い土壌とは、素直で正直な心の人を表します。こういう人は、神のことばを聞くと、それをしっかり守り、実を結びます。」 + また、次のようなたとえも話されました。「ランプをつけてから、すっぽりおおいをかけ、光をさえぎる人がいるでしょうか。ランプはあたりを照らすように台の上に置くものです。 + これは、いつの日か、すべてのことが明るみに出されることを示しています。 + だから、神のことばをどのように聞いたらよいか、よく注意しなさい。持っている者はさらにたくさん与えられ、持っていない者は、持っているつもりの物までも取り上げられてしまうからです。」 + ある時、イエスの母と弟たちがイエスに会いに来ました。ところが、イエスが教えておられた家は黒山の人だかりで、とても中へは入れません。 + だれかが、「先生。お母様と弟さんがたがお見えですよ」と知らせると、 + イエスはみんなを見回し、「わたしの母、わたしの兄弟たちとは、神のことばを聞いて、それを守る人たちのことです」とお答えになりました。 + そのころのことです。ある日、イエスは弟子たちと舟に乗り込み、「さあ、湖の向こう岸に渡ろう」と言われました。 + 途中、イエスが横になり、眠っておられると、風が出てきました。風はだんだん強くなります。恐ろしい嵐になり、舟は水をかぶって、今にも沈みそうになりました。もう一刻の猶予もありません。 + 弟子たちはあわててイエスを揺り起こし、「先生、先生。舟が沈みそうです!」と叫びました。そこで、イエスはゆっくり起き上がると、「静まれ!」と嵐に命じました。すると、たちまち風も波もおさまり、何事もなかったかのように静かになりました。 + イエスはおっしゃいました。「ああ、あなたがたの信仰はどこにあるのですか。」弟子たちは驚くやら恐ろしいやらで、「なんてすごいお方だろう。風や波までが言うことを聞くとは」とささやき合いました。 + こうして一行は、無事、ガリラヤの対岸にあるゲラサ人の地方に着きました。 + 彼らが舟から上がると、この町に住む男が一人、イエスに会いに来ました。長年、悪霊につかれ、家もなく、裸のまま墓場をねぐらにしている男でした。 + 男はイエスを見るやいなや、恐ろしい叫び声をあげて、その場に倒れました。「おれをどうしようというんだ! いと高き神の子イエスよ。お願いだから苦しめないでくれ!」 + こう叫んだのは、イエスが悪霊に、出て行けとお命じになったからです。今までは、悪霊が何度も男に取りつくので、鎖でしっかり縛りつけておいたのですが、どんなに太い鎖でも、男はいつもそれを引きちぎり、荒野へ逃げてしまうのでした。 + 「あなたの名前は?」とイエスが尋ねると、悪霊は、「レギオン(ローマ軍の一軍団で多数を意味する)だ」と答えました。男には何千という悪霊が入り込んでいたからです。 + 悪霊どもは、底なしの穴に行かせることだけはしないでほしいと、必死に願いました。 + ちょうど近くの山の中腹で、豚の群れがえさをあさっていました。そこで悪霊どもは、その豚の中に入らせてくれと頼みました。イエスがお許しになると、 + 悪霊どもはすぐさまその男から出て、豚の中に入りました。すると、豚の群れはいっせいにがけを駆け降り、湖に飛び込んで、おぼれ死んでしまいました。 + びっくりした豚飼いたちは近くの町や村に逃げ込み、この出来事を言いふらしました。 + まもなく、大ぜいの者が、自分の目で確かめようと集まって来ました。と、どうでしょう。今まで悪霊につかれていた男が、きちんと服を着て、すっかり正気に戻って、イエスの前に座っているではありませんか。みんなは、あっけにとられてしまいました。 + 初めから一部始終を目撃していた人たちが、事細かにその時の状況を説明しました。 + それを聞くと、人々はますます恐ろしくなり、イエスに、ここから立ちのいて、もうこれ以上かかわり合わないでほしいと頼み始めました。それで、イエスは舟に戻り、また向こう岸へ帰って行かれました。 + 悪霊の去った男がお伴を願い出ましたが、イエスはお許しになりませんでした。 + 「家族のところへ帰りなさい。神がどんなにすばらしいことをしてくださったかを、話してあげるのです。」こう言われて、男は町中の人に、イエスのすばらしい奇跡を話して回りました。 + ガリラヤに帰ると、イエスは心からの歓迎を受けました。人々はイエスを待ちわびていたのです。 + その時、ユダヤの会堂管理人で、ヤイロという名の人が来て、イエスの足もとにひれ伏し、家に来ていただきたいと願いました。 + 十二歳になる一人娘が、危篤状態だったからです。熱心な頼みに、イエスは人垣をかき分けるようにして、ヤイロの家に向かわれました。 + けれども途中で、一人の女が、いやされたい一心で、うしろからイエスにさわりました。十二年もの間、出血の止まらない病気に悩まされ、どんなことをしても治らなかったのです。ところが、イエスの着物のふさにさわったとたん、出血が止まりました。 + イエスは、「わたしにさわったのはだれですか」とお尋ねになりました。みなが自分ではないと答えたので、ペテロは言いました。「先生。わかるわけがありません。回りにはこんなにたくさんの人がひしめき合っているんですよ。」 + 「いや、だれかがさわりました。力が出て行くのを感じたのですから。」 + 女は、イエスがすべてをご存じなので、わなわなと震えだしました。とても隠しきれないと知って、イエスの前にひれ伏し、さわった訳とすっかりよくなったこととを、包み隠さず打ち明けました。 + イエスは女に、「あなたの信仰があなたを治したのです。さあ、安心してお帰りなさい」と言われました。 + まだイエスが話し終えないうちに、ヤイロの家から使いの者が駆けつけ、主人にこう言いました。「だんな様! お嬢様は、たった今お亡くなりになりました。先生にわざわざおいでいただいても、手遅れでございます。」 + これを聞いて、イエスはヤイロに言われました。「恐れないで、わたしを信じていなさい。娘さんは必ずよくなりますから。」 + 家に着くと、イエスはペテロ、ヨハネ、ヤコブの三人の弟子と、両親のほかはだれも、中へ入らないように言われました。 + 家の中では、みな泣き悲しんでいました。「もう泣くのはやめなさい。娘さんは死んだのではありません。ただ眠っているだけです。」 + 娘が死んだことをよく知っていた人々は、このイエスのことばをあざ笑いました。 + しかしイエスが手を取り、「さあ、起きなさい」と呼びかけると、 + その瞬間、娘は生き返り、すぐに起き上がったのです。イエスは何か食べさせるようにと言いつけられました。 + あまりのことに、両親が驚いていると、イエスはこのことをだれにも話さないように堅く口止めなさいました。 + + + ある日、イエスは十二人の弟子を呼び集め、悪霊を追い出し、病気を治す力と権威をお授けになりました。 + こうして、すべての人に神の国が来ることを告げ知らせ、病人をいやすために、彼らを派遣したのです。 + イエスの指示はこうでした。「杖も、旅行袋も、食べ物も、お金も持って行ってはいけません。また下着も二枚はいりません。 + どの町でも、ずっと同じ家に泊まりなさい。 + もし、町の人たちがあなたがたのことばに耳を貸さないなら、急いでその町から出なさい。その時は、彼らが神を拒んだという証拠に、足のちりを払い落としなさい。」 + 弟子たちは村々を巡り、福音を伝え、病人をいやして歩きました。 + イエスの奇跡のうわさを耳にした領主ヘロデは、ひどくとまどいました。「きっとバプテスマのヨハネが生き返ったのだ」と言う人もあれば、 + 「いや、エリヤか昔の預言者の一人だろう」と主張する人もいるというぐあいに、それぞれ、かってなことを言い合っていたからです。うわさはうわさを呼び、いろいろな憶測が国中に乱れ飛びました。 + 「ヨハネなら、確かに私が首をはねた。だとしたら、この不思議なうわさの主はいったい何者だろう。」そこでヘロデは、自分でイエスに会ってみようと思いました。 + さて、旅から帰った弟子たちは、経過を残らず報告しました。イエスは彼らを連れ、ひそかにベツサイダの町に行かれましたが、 + 人々の目を逃れることはできませんでした。大ぜいの群衆が、あとを追って来たのです。そのような彼らをイエスは心から喜んで迎え、神の国について教えたり、病人をいやしたりなさいました。 + そのうち、日も暮れ始めたので、十二人の弟子たちはイエスのところへ来て頼みました。「先生。この人たちを解散させてください。近くの村や農場に行って、食べ物と今夜の宿を見つけることができるようにしてやらなければ……。こんな寂しい所では、何もありませんから。」 + 「いいえ。あなたがたで、みんなに食べ物をあげるのです。」イエスの答えに、弟子たちはあきれ顔で言いました。「手もとには、パンが五つと魚が二匹あるだけです。これだけ大ぜいの人が食べる物を買い出しに行けとおっしゃるのですか。」 + こう言うのも、むりはありません。男だけでも五千人はいたのですから。しかし、イエスは、「さあ、みんなを五十人ぐらいずつに分けて座らせなさい」と言われます。 + 弟子たちは訳がわからないながらも、そのとおりにしました。 + そこでイエスは、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げ、感謝の祈りをささげました。それからパンをちぎり、人々に配るため、弟子たちに手渡されました。 + みんなが食べて満腹したあと、パン切れを集めると、なんと十二かごにもなりました。 + ある日のこと、イエスは一人で祈っておられました。弟子たちは少し離れた所で待っていましたが、しばらくして、イエスは彼らに、「人々は、わたしのことをだれだと言っていますか」とお尋ねになりました。 + 「バプテスマのヨハネだと言う者もいますし、エリヤだと言う者もいます。それに、昔の預言者が生き返ったのだと言っている者も……。」 + 「では、あなたがたはどう思っているのですか。」即座にペテロが答えました。「あなたこそ神のキリスト(ギリシャ語で、救い主)です。」 + するとイエスは、このことをだれにも言ってはいけないときびしく戒められ、 + 「わたしは多くの苦しみを受け、ユダヤ人の指導者たち、長老、祭司長、律法の専門家たちに捨てられ、殺され、そして三日目に復活するのです」と話しました。 + それから、一同に言われました。「いいですか。わたしについて来たい人はだれでも、自分のつごうや利益を考えてはいけません。日々自分の十字架を背負い、わたしのあとについて来なさい。 + 自分のいのちを救おうとする者は、かえってそれを失います。ですが、わたしのために自分のいのちを捨てる者は、それを救うのです。 + 人はたとえ全世界を手に入れても、自分自身を失ってしまったら何にもなりません。 + わたしが自分と父と聖なる天使との栄光を帯びてやって来る時、わたしとわたしのことばとを恥じるような者たちのことを、わたしも恥じるでしょう。 + よく言っておきますが、あなたがたの中には、神の国を見ないうちは決して死なない者たちがいます。」 + それから八日ほどたって、イエスはペテロ、ヨハネ、ヤコブを連れ、祈るために山に登られました。 + 祈っているうちにイエスの顔は輝きだし、着物はまばゆいばかりに白くなりました。 + その時、二人の人が現れ、親しげにイエスと話し始めました。なんとモーセとエリヤで、 + 彼らの姿も輝いていました。三人は、イエスがエルサレムで最期を遂げることについて話し合っていたのです。 + ペテロとほかの二人は、眠くてまぶたが重くなっていましたが、はっと気がつくと、イエスは栄光に包まれ、モーセとエリヤといっしょに立っておられました。 + その二人が立ち去ろうとするのを見て、すっかり動転していたペテロは、何を言ってよいのかもわからないまま、思わず口走りました。「先生。なんとすばらしいのでしょう! そうだ。幕屋(神がイスラエルの民と会う聖所)を三つ建てましょう。一つは先生のために。それから、モーセとエリヤのためにも一つずつ。」 + ペテロがまだ言い終わらないうちに、光り輝く雲が立ち込め、一同をすっぽりおおったので、弟子たちは恐ろしさのあまり、がたがた震えだしました。 + すると雲の中から、「これはわたしの子、わたしの選んだ者。彼の言うことを聞きなさい」という声がしました。 + その声がやむと、イエスの姿しか見あたりません。三人の弟子たちは、この時のことを、ずっとあとになるまで、だれにも話しませんでした。 + 次の日、一行が山から降りて来ると、大ぜいの群衆が待ちかまえていました。 + この時、群衆の中から一人の男が叫びました。「先生、どうかお助けを! 息子を見てやってください。たった一人の息子なんです。 + ひとたび悪霊が取りつくと、大声で叫びだし、ひきつけを起こして口からあわを吹かせ、なかなか離れようとしません。 + そこで、ここにいらっしゃるお弟子たちに、悪霊を追い出してくださいとお願いしたのですが、だめでした。」 + イエスは弟子たちに言われました。「ああ、全く手に負えない、不信仰な人たちよ。いつまで我慢しなければならないのでしょう。さあ、その子を連れて来なさい。」 + 少年が近寄ると、悪霊はその子を押し倒し、激しくひきつけさせました。イエスは悪霊に出て行けと命じ、すっかり元気になった少年を、父親の手に返してやりました。 + 人々は、こんなことは神にしかできないと考え、恐ろしくなりました。人々がイエスのなさるさまざまの不思議なわざについて驚いていると、イエスは弟子たちにおっしゃいました。 + 「いいですか、よく聞いて、しっかり覚えておきなさい。メシヤ(救い主)であるわたしは、やがて裏切られます。」 + ところが弟子たちには、何のことを言っているのかさっぱりわかりませんでした。このことばの真意が隠されていたからです。それに、聞き返すのもこわかったのです。 + さて、弟子たちの間で、やがて来る神の国ではだれが一番偉いかという議論が持ち上がりました。 + 彼らの考えを見抜いたイエスは、小さな子どもを一人そばに立たせて、 + お話しになりました。「だれでも、このような小さな子どもを受け入れる者は、わたしを受け入れているのです。またわたしを受け入れる者は、わたしを遣わされた神を受け入れているのです。あなたがたの中で最も謙遜な者が、最も偉い者なのです。」 + 弟子のヨハネが、そばに来て報告しました。「先生。無断であなたのお名前を使い、悪霊を追い出している人を見かけました。仲間ではなかったので、すぐやめさせました。」 + ところが、イエスは言われました。「そんなことをしてはいけません。あなたがたに敵対しない者は、あなたがたの味方なのです。」 + 天に上げられる日がだんだん近づいてきたイエスは、固い決意を持って、エルサレムを目指してひたすら進んで行かれました。 + そんなある日、イエスはあらかじめ使いを出して、サマリヤ人の村で泊まろうとなさいましたが、 + 使いの者は追い返されてしまいました。彼らがエルサレムに向かう一行だとわかり、サマリヤ人が村に迎え入れるのをいやがったからです。 + これを聞いたヤコブとヨハネはかっとなって、「先生。天から火を呼び下し、彼らを焼き滅ぼしましょうか」と言いました。 + しかし、イエスはふり返り、二人をおしかりになりました。 + そして、一行は別の村に向かいました。 + 道を歩いている時、ある人がイエスに言いました。「あなたがおいでになる所なら、どんな所へでもまいります。」 + イエスはお答えになりました。「これだけは、よく覚えておきなさい。わたしには寝る所さえないのです。きつねにも穴があり、鳥にも巣があるというのに、天から来たメシヤのわたしには、この地上では住む家もないのです。」 + またある時、イエスは別の人に、弟子になるようにと声をおかけになりました。彼は、父親の葬式を出すまで待ってくださいと頼みました。 + イエスはお答えになりました。「死人のことは、あとに残った者たちに任せておきなさい。あなたの務めは、出て行って、世界中の人たちに神の国が来ると伝えることです。」 + 別の人はこうも言いました。「先生。喜んでお従いします。でもその前に、家族に別れを告げてきたいのですが。」 + しかし、イエスは言われました。「ほんの片時でも、自分のために計画された仕事から目をそらす者は、神の国にふさわしくありません。」 + + + さてイエスは、ほかに七十人の弟子を選び、これから訪問する予定の町や村に、二人一組で、先に派遣しました。 + その時、イエスは彼らに、次のような注意をお与えになりました。「収穫はたくさんあるのに、働く人があまりにも少ないのです。ですから、収穫の責任者である主に、もっと大ぜいの働き手を送ってくださるように願いなさい。 + さあ、出かけなさい。だが、これだけは忘れないように。あなたがたを派遣するのは、まるで羊を狼の群れの中に送るようなものです。 + お金も旅行袋も、はき替えのくつも持たないで行きなさい。途中、道草を食ってはいけません。 + どんな家に入っても、神の祝福があるようにと祈りなさい。 + その家が祝福を受けるに値するようなら、祝福はとどまるし、そうでなければ、あなたがたのところに返って来ます。 + 一つの村に入ったら、あっちこっち家々を渡り歩いてはいけません。同じ家に泊まり、出される物をいただきなさい。ていねいなもてなしを遠慮することはありません。働く者が報酬を受けるのは当然です。 + 喜んで迎えてくれる町では、次のことを守りなさい。出された物は何でも食べることと、病人をいやし、『神の国が、すぐそこまで来ている』と宣言すること、この二つです。 + しかし、歓迎してくれないような町では、大通りに出て、こう言いなさい。 + 『あなたがたは必ず滅びます。これがそのしるしです。この町のちりは、私の足から払い落として行きます。ただ、神の国がすぐそこまで来ていることは知っておきなさい。』 + よく言っておきますが、さばきの日には、あの邪悪な町ソドム(悪行のため、神に滅ぼされた町)のほうが、その町より罰が軽いのです。 + ああコラジンよ。ああベツサイダの町よ。どんな恐ろしいことが待ち受けていることか。わたしがあなたがたにしたような奇跡を、ツロとシドン(悪行のため、神に滅ぼされた町)でしていたら、そこの人々はとうの昔に荒布をまとい、頭に灰をかぶって嘆き悲しみ、罪を悔い改めたことでしょう。 + さばきの日には、ツロとシドンのほうが、あなたがたより罰が軽いのです。 + ああカペナウムの町よ。あなたがたはどうでしょう。天に上げられるとうぬぼれている者たち。あなたがたは地獄に突き落とされるのです。」 + イエスは、さらに続けて言われました。「あなたがたを受け入れる人は、わたしを受け入れるのです。あなたがたを受け入れない人は、わたしを受け入れないばかりか、わたしを遣わされた神をも受け入れないのです。」 + その後、七十人の弟子たちは喜び勇んで旅から帰って来て、イエスに報告しました。「あなたのお名前を使うと、悪霊どもでさえ言うことを聞きました。」 + 「そうです。まるでいなずまのように、サタンが天から落ちるのをわたしは見ました。 + あなたがたには、敵のあらゆる力に打ち勝ち、蛇やさそりを踏みつぶす権威を与えてあります。だから、あなたがたに危害を加えるものなど、一つもないのです。 + しかし、悪霊どもが言うことを聞くからといって、喜んではいけません。ただ、あなたがたの名前が天国の市民として記されていることを喜びなさい。」 + この時、イエスの心は、聖霊が与えてくださる喜びであふれました。「父よ。天地の主であるあなたをほめたたえます。これらのことを賢い者や知恵ある者たちには隠して、小さい子どものように、神を信じきっている者に示してくださいました。ほんとうにありがとうございます。これが、あなたのお心にかなったことでした。 + すべてのことで、わたしはあなたに任せられた役割を務めます。あなただけが子であるわたしの、ほんとうの姿をご存じですし、あなたのことをほんとうに知っているのは、子のわたしと、あなたを知らせようとわたしが選んだ者たちだけなのです。」 + それから弟子たちのほうを向いて、そっと言われました。「あなたがたの目はなんと幸せなことでしょうか。この上なくすばらしいものを見ているのですから。 + 多くの預言者や王たちが、あなたがたの見聞きしたことを、見たい、聞きたいと、どれほど願ったか知れませんが、その願いはかなえられなかったのです。」 + ある日、律法の専門家がやって来て、イエスを試そうとしました。「先生。お聞きしたいのですが、永遠のいのちを受けるには、何をしたらよろしいでしょうか。」 + 「モーセの律法には、何と書いてありますか。」 + 「『心を尽くし、たましいを尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい』、それに、『自分自身を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい』とありますが。」 + 「そう、そのとおりにすればいいのです。そうすれば、永遠のいのちを得られます。」 + しかし律法の専門家は、自分がある人々を愛していないことを正当化しようと、「隣人とはだれのことですか?」と聞き返しました。 + イエスは直接答える代わりに、たとえを話されました。「エルサレムからエリコへ旅をしていたユダヤ人が、強盗に襲われました。強盗どもは、身ぐるみはぎ取り、あり金全部を奪うと、その人を殴ったり、蹴ったりして半殺しにし、道ばたに放り出して逃げて行きました。 + ちょうどそこへ、ユダヤの祭司が通りかかりました。ふと見ると、旅人が倒れています。でも、めんどうに巻き込まれたくなかったので、道の反対側へ回り、何くわぬ顔で通り過ぎてしまいました。 + しばらくすると、今度はレビ人(神殿で奉仕する人)が通りかかりましたが、彼も、倒れている旅人を横目でちらりとながめただけで行ってしまいました。 + ところが、常日頃ユダヤ人に軽蔑されていたサマリヤ人がたまたま通りかかり、旅人を見つけました。その人をかわいそうに思ったサマリヤ人は、 + 急いでそばに近づいて、傷口に薬をぬり、包帯を巻いて応急手当をしました。それから自分のろばに乗せ、宿屋まで運んで、一晩中、看病してあげました。 + 翌日、宿屋の主人にデナリ銀貨二枚を渡し、『あの人を介抱してあげてください。足りない分は、私が帰りに寄って払いますから』と頼みました。 + この三人のうちだれが、強盗に襲われた人の隣人になったと思いますか。」 + 律法の専門家は答えました。「もちろん、親切にしてやった人です。」この答えを聞くと、イエスは言われました。「そのとおりです。あなたも同じようにしなさい。」 + エルサレムへの旅の途中で、イエスはある村に立ち寄られました。マルタという女が、喜んで一行を家に迎えました。 + マルタにはマリヤという妹がいました。マリヤはイエスのそばに座り込んで、その話にじっと聞き入っていました。 + 一方マルタはというと、てんてこ舞いの忙しさで、「どんなおもてなしをしようかしら。あれがいいかしら、それとも……」と、気が落ち着きません。とうとう彼女は、イエスのところへ来て、文句を言いました。「先生。私が目が回るほど忙しい思いをしているのに、妹ときたら、何もしないで座っているだけなんです。少しは手伝いをするように、おっしゃってください。」 + しかし主は、マルタに言われました。「マルタ。あなたは、あまりにも多くのことに気を遣いすぎているようです。 + でも、どうしても必要なことはただ一つだけです。マリヤはそれを見つけたのです。彼女からそれを取り上げてはいけません。」 + + + ある時、イエスは外で祈っておられました。ちょうど祈り終えたところへ一人の弟子が来て、「主よ。バプテスマのヨハネが弟子たちに教えたように、私たちにも祈りを教えてください」と願いました。 + そこでイエスは、「このように祈りなさい」とお教えになりました。「天のお父様。あなたのきよい御名があがめられますように。あなたの御国がすぐに来ますように。 + 私たちに日々必要な食物をお与えください。 + 私たちの罪をお赦しください。私たちも、私たちに罪を犯した者を赦します。私たちを誘惑に会わせないでください。」 + 祈りについての教えはまだ続きました。それが、このたとえです。「真夜中に、どうしてもパンを三つ借りなければならなくなって、友達の家に駆けつけたとします。戸をドンドンたたき、声を張り上げて、『迷惑をかけてすまない。突然のお客があったのだけど、あいにく、家には一切れのパンもないんだ。お願いだから貸してくれないか』と頼みます。 + 友達は何と答えるでしょう。中から、『かんべんしてくれ。いま何時だと思っているんだ。戸じまりもしてしまったし、もうみんな寝ている。何も出してやれないよ』と返って来るだけかもしれません。 + しかし、友達だからというのでは何もしてくれなくても、しつこく戸をたたき続けるなら、その根気に負けて、必要な物を出してくれるでしょう。 + 祈りも同じです。あきらめずに求め続けなさい。そうすれば与えられます。捜し続けなさい。そうすれば見つかります。戸をたたきなさい。そうすれば開けてもらえます。 + 求める人は与えられ、捜す人は見つけ出し、戸をたたく人は開けてもらえるのです。 + パンをねだる子どもに、石ころを与える父親がいるでしょうか。魚が食べたいと言う子どもに、毒蛇を与える親がいるでしょうか。 + 卵がほしいと言うのに、さそりを渡したりするでしょうか。もちろん、そんなはずはありません。 + 罪深い人間でさえ、子どもには良い物を与えたいと思うのが人情です。そうだとしたら天の父が、求める者に聖霊を下さらないわけはありません。」 + ある時、イエスは、悪霊につかれて口がきけない男から悪霊を追い出されました。すると、男がしゃべりだしたのです。その場に居合わせた人々はすっかり驚いてしまいました。 + しかし中には、意地悪く中傷する者もいました。「別に驚くほどのことじゃない。悪霊を追い出すことなんか朝飯前だろう。なにしろイエスは、悪霊の王ベルゼブル(サタン)の力をもらっているのだから。」 + またほかの者は、ほんとうにイエスがメシヤ(救い主)なら、その証拠に、何か天からのしるしを見せてほしいと求めました。 + そういう一人一人の心を見抜いて、イエスは言われました。「内乱の絶えない国は滅びます。争ったり、けんかばかりしている家庭も同じことです。 + あなたがたの言うように、ベルゼブルがわたしに悪霊を追い出す力を与えて、自分自身と戦っているとしたら、どうしてサタンの国はやっていけるでしょう。 + あなたがたの仲間にも、悪霊を追い出す人がいるではありませんか。もしわたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出しているというのなら、彼らだってそうでしょう。あなたがたの考えが正しいかどうか、その人たちに聞いてみたらどうです。 + しかし、わたしが神の力で悪霊を追い出しているのなら、もう神の国があなたがたのところに来ている証拠です。 + 強く、完全武装したサタンが宮殿を守っているうちは、彼の国は安泰です。 + しかし、もっと強く、もっと強力な武器を持った者が襲いかかったら、難なく倒され、武器も持ち物も、一つ残らず取り上げられてしまうでしょう。 + わたしに味方しない者はみな敵です。助けてくれない者はじゃまをする者です。 + 悪霊が人から追い出されると、別の住みかはないかと荒野をあちこちうろつき回ります。ところが適当な場所が見つからないので、やっぱりもとの所へ戻って行きます。 + 帰って見ると、もとの家はすみずみまで掃除が行き届き、きれいになっています。 + すると、自分よりたちの悪い七つの悪霊を連れて来て住みつくのです。そうなったら、その人の状態は以前よりもっと悪くなります。」 + こう話しておられると、群衆の中から、一人の女が感きわまって叫びました。「あなたのお母様はなんと幸せな方でしょう! あなたを宿したお腹、あなたの吸った乳房はなんと祝福されているでしょう!」 + しかしイエスは、「そのとおりです。でも、神のことばを聞いて、そのとおり実行する人のほうが、もっと祝福されているのです」と言われました。 + 群衆の数はどんどんふくれ上がる一方でした。そこで、イエスは教え始められました。「今の時代は、悪のはびこる悪い時代です。人々は寄ってたかって、メシヤなら何か不思議なしるしを起こして見せろと、しつこく求めます。けれども、見せられる証拠はただ一つ、ヨナの奇跡だけです。 + ヨナの経験は、ニネベの人たちの目に、神がヨナを派遣されたことの明らかな証拠と映りました。わたしも、このヨナと同じような経験をします。それが、わたしをこの世の人たちのところへ遣わしたのは神だという、動かぬ証拠となるのです。 + さばきの日には、シェバの女王が立ち上がり、この時代の人々を名指しで断罪します。彼女は、ソロモンから知恵のことばを聞くために、あれほど遠い国から旅して来ることをいとわなかったからです。けれども、そのソロモンよりはるかに偉大な者が、ここにいるのです。それなのに、だれ一人見向きもしません。 + ニネベの人たちも立ち上がり、この時代の人々を罪に定めます。彼らはヨナの教えを聞いて、それまでの堕落しきった生活を悔い改めたからです。けれども、そのヨナよりもっと偉大な者が、ここにいるのです。ところが、耳を傾ける人は一人もいません。 + ランプをつけて、わざわざそれを隠す人がいますか? ランプは部屋を明るく照らすものだから、燭台の上に置かなければ何にもなりません。 + 目は、心の中まで明るくします。澄みきった目は、たましいの中まで光を通します。肉欲に汚れた目は、光をさえぎり、あなたを暗闇に閉じ込めてしまいます。 + ですから、光がおおい隠されないように、よく気をつけなさい。 + 心の内面が光で満ちあふれている人は、顔も、光をあてられたように明るく輝きます。」 + 話が一段落したところで、あるパリサイ人がイエスを食事に招待しました。イエスは誘われるまま彼の家に行き、食卓に着かれました。ところが、その時、イエスはきよめの手洗いをなさいませんでした。この儀式はユダヤでは必ず行う習慣だったので、それを見た家の主人は驚きました。 + イエスはおっしゃいました。「あなたがたパリサイ人は、確かに外側はきれいに洗います。しかし、内側はどうですか。汚れたままで、貪欲や邪悪でいっぱいではありませんか。 + 愚かな人たち。神は外側だけを造られたのですか。神は内側も造られたのです。 + 内面のきよさは行いに表れます。貧しい人たちにどれだけ愛を実践するかによって、はっきりと表れるのです。 + あなたがたパリサイ人は、実にいまわしい者です。どんなわずかな収入でも、実にきちょうめんに十分の一をささげていながら、正義を行うことと神を愛することは、きれいさっぱり忘れているのですから。もちろん、十分の一献金は大いにけっこうです。しかし、もっと大切なことをなおざりにしては意味がありません。 + あなたがたパリサイ人は、実にいまわしい者です。会堂で上座に座ったり、市場で、みんなからていねいなあいさつを受けたりするのが、何より好きなのです。 + そんなあなたがたを待っているのは何でしょう。恐ろしいさばきです。あなたがたはまるで、野原にある、人目につかない墓のようです。人々は、汚れたものが近くにあるとは気づかず、平気でそばを通り過ぎるのです。」 + そばに立って話を聞いていた律法の専門家が、我慢がならないといったふうに、食ってかかりました。「ことばがすぎませんか。私たちを侮辱することを言うとは。」 + イエスは言われました。「そんなことはありません。律法の専門家たち。あなたがたにも恐ろしいさばきが待ち受けているのです。とうてい実行できない命令を与えて、人々を押しつぶしておきながら、自分は守ろうともしないのですから。 + あなたがたは、いまわしい者です。昔、預言者たちを殺した先祖とそっくりです。 + 人殺しと少しも変わりません。先祖が殺した預言者たちの記念碑を建て、『先祖は正しかった』と認めているのですから。だから、あなたがたも、きっと同じことをしたでしょう。 + 神はこう言っておられます。『わたしは預言者や使徒たちを派遣します。しかしあなたがたは、彼らを殺したり、迫害したりするのです。』 + 今の時代に生きるあなたがたは、世界の初めからずっと、すなわち、アベルが殺された時 + から、ザカリヤが聖所と祭壇との間で殺された時まで、神の預言者たちを殺し続けてきた責任を問われます。そうです。確かにあなたがたには責任があるのです。 + 律法の専門家たちよ、あなたがたはわざわいです。人々の目から真理を隠しているのですから。あなたがたは自分が真理を信じないばかりか、ほかの人たちが信じるチャンスまでも奪っているのです。」 + それは、パリサイ人や律法の専門家たちに激しい敵対心を生じさせました。この時からです。彼らがむずかしい質問を矢のようにあびせて、何とかイエスをわなにかけ、逮捕する口実を得ようとし始めたのは。 + + + そのうちに、群衆の数はますますふくれ上がり、足の踏み場もない有様です。イエスはまず、弟子たちに警告なさいました。「何よりも、パリサイ人の偽善ぶりに注意しなさい。ほんとうは悪いことをたくらんでいるのに善人ぶる者たちのやり方に、ごまかされてはいけません。 + しかし、そういう偽善は、いつまでも隠しおおせるものではありません。やがてパン種(パンの製造に使用する酵母)のようにふくれ始め、だれの目にもはっきりします。 + 暗闇にまぎれて言ったことがみな、明るみで聞かれ、奥の部屋でささやいたことが屋上から大声で宣伝されるのです。 + 親しい友よ。体を殺しても、たましいには指一本ふれることができない者たちを恐れてはいけません。 + ほんとうに恐れなければならない方を教えましょう。殺した後に、地獄に投げ込む力を持っておられる神を恐れなさい。神こそ、ほんとうに恐れなければならない方です。 + 雀五羽はいったい、いくらで売られていますか。たったの二アサリオン(一日分の賃金一デナリの八分の一)ではありませんか。こんな雀の一羽でさえ、神はお見捨てにならないのです。 + それどころか、あなたがたの髪の毛の数さえご存じです。だから、恐れることはありません。あなたがたは、たくさんの雀よりはるかに価値があるのですから。 + 次のことをはっきりさせておきましょう。この地上で、わたしを友とはっきり認める人を、メシヤであるわたしも、天使の前で、確かにわたしの友だと認めます。 + だが、もし人前でわたしを知らないと言うなら、わたしも天使の前で、こんな人は見覚えもないと言います。 + たとえ、わたしに逆らっても赦されます。しかし、聖霊を汚す者は絶対に赦されないのです。 + 裁判を受けるために役人や会堂の権力者たちの前に引き出されても、どう釈明しようかなどと心配してはいけません。 + 聖霊が、時にかなったことばを教えてくださるからです。」 + その時、群衆の中から一人の男が叫びました。「先生! どうぞ兄に、父の遺産を分けてくれるよう言ってください。」 + 「だれがわたしを、そんなことの裁判官にしたのですか。」 + 続けてイエスは群衆に言われました。「貪欲にはくれぐれも注意しなさい。どんな金持ちでも、人のいのちは財産とは無関係なのですから。」 + それからイエスは、たとえ話を一つなさいました。「ある金持ちが、良い作物のとれる肥えた畑を持っていました。 + 倉はいっぱいで、収穫物を全部納めきれないほどです。あれこれ考えたあげく、うまい考えを思いつきました。 + 『こうすればいい。あの倉を取りこわして、もっと大きいのを建てる。そうすれば、作物を全部納められる。』 + ひとり満足した金持ちは、われとわが身に言い聞かせたのです。『もう何も心配はいらないぞ。これから先何年分もの食料がたっぷりある。さあ、食べて、飲んで、楽しくやろう。』 + しかし神は、こう言われました。『愚か者よ! あなたのいのちは、今夜にもなくなる。そうしたら、ここにある物は、いったいだれのものになるのか。』 + いいですか。この地上でいくらため込んでも、天国に財産を持っていない者は、愚か者なのです。」 + それからまた、弟子たちのほうを向き、先を続けられました。「ですから、言っておきましょう。食べ物は十分か、着る物はあるか、といったことでいちいち心配するのはやめなさい。 + 人のいのちは、食べ物や着る物よりどれだけ価値があるか知れないのです。 + からすを見なさい。種もまかず、刈り入れもせず、倉を持っているわけでもありません。それでもゆうゆうと構えていられるのは、神が養ってくださるからです。神の目には、からすなどより、あなたがたのほうが大切なのです。 + それに、くよくよしたところで、どうにもなりません。心配すれば、寿命が一日でも延びるのですか。 + こんな小さなことさえできない者が、もっと大きなことを心配したところで何になるでしょう。 + ゆりの花を見なさい。どうして育つのでしょう。紡いだり、織ったりするわけではありません。栄華をきわめたソロモンでさえ、この花ほど着飾ってはいませんでした。 + 今日は咲き誇っていても、明日はしぼんでしまう花でさえ、神はこのように装ってくださるのです。そうだとしたら、疑い深い人たちよ、神がどんなに良くしてくださるかとは考えないのですか。 + 何を食べようか、何を飲もうかと心配をするのはやめなさい。神が用意してくださるのに、思いわずらってはいけません。 + 人は毎日のパンのためにあくせく働きますが、天の父は、あなたがたが必要なものをすべてご存じなのです。 + 神の国を第一に考えるなら、神は私たちに必要なものを毎日与えてくださるのです。 + また、たとえ少数派でも恐れることはありません。神は喜んで、あなたがたを神の国に導いてくださるのです。 + 持ち物を売り払って、貧しい人たちに分けてあげなさい。そうすれば、天にある財布はふくらんで、はち切れそうになること間違いありません。ところが、この財布は破れもしなければ、穴があくこともないから、財産がなくなることは絶対にありません。どろぼうに盗まれることも、虫に食われる心配もありません。 + 宝のある所に、自分の心と思いもあるのです。 + きちんと身じたくを整え、あかりをともしていなさい。 + 主人が婚礼から戻るのを待っている人のように。こうしていれば、主人がノックすると同時に、戸を開けて迎えることができます。 + そのように忠実な姿を見られる人は幸いです。主人は感心して、食卓で、反対に自分のほうから給仕してくれるでしょう。 + 主人の帰りは夜の九時になるか、真夜中になるかわかりません。しかし、いつ帰って来てもいいように準備のできている人は幸いです。 + どろぼうがいつ入るかわかっていれば、家人は、てぐすね引いて待ちかまえているでしょう。同様に、主人の帰りが何時ごろかはっきりわかっていれば、準備をして待つのはあたりまえです。 + だから、いつでも用意していなさい。メシヤのわたしは、思いがけない時に来るのです。」 + ペテロが、いぶかしげに尋ねました。「主よ。今のお話は、私たちにだけ話されたのですか。それとも、ここにいるみんなのためなのですか。」 + イエスは、お答えになりました。「では、こう言えばわかるでしょうか。主人の留守中、ほかの召使たちの面倒を見る責任を負わされた、忠実で賢い人たちに話しているのです。主人が戻った時、かいがいしく働いているところを見られるなら、ほんとうに幸いです。主人から全財産を任されることになるでしょう。 + ところが、『主人はまだまだお帰りになるまい』とたかをくくり、召使たちを打ちたたき、食べたり飲んだりしていたらどうでしょう。 + 主人は出し抜けに帰って来て、この有様を見ます。不届き者は、責任ある地位からはずされ、不忠実な者と同じ仕事につけられるのでしょう。 + 自分の義務を心得ながら、果たそうとしなかった罰です。 + しかし、自分でも気がつかないうちに悪いことをした人の罰は、軽くてすみます。だれでも多く与えられた者は多く求められ、多く任された者は多く要求されるのです。 + わたしは、この地上に火を投げ込むために来ました。ああ、この仕事がもうすでに終わっていたらよかったのですが。 + しかし、わたしには受けるべきバプテスマ(洗礼)が待っています。それが成し遂げられるまで、どんなに苦しむことでしょう。 + このわたしが、地上に平和を与えるために来たと思っているとしたら、そうではありません。それどころか、争いと分裂を引き起こすために来たのです。 + 今から後、家庭内に分裂が生じるでしょう。五人家族であれば、三人対二人というように、わたしに賛成するか反対するかで分かれて争うことになります。 + わたしのことで、息子は父に逆らうでしょう。母と娘は一致しなくなり、しゅうとめも嫁に退けられるでしょう。」 + 群衆にもこう語られました。「あなたがたは天気を予測するのがとても上手です。西の空に雲がわき上がれば、『にわか雨が来る』と言い、まさにそのとおりになります。 + また南風が吹けば、『ひどく暑い日になるぞ』と言い、それもまた予測どおりになるのです。 + 偽善者たちよ! これほど上手に空模様を見分けられるのに、目前に迫る危機については少しの注意もはらおうとしないのですか。 + どうして、何が正しいかを見分けようとしないのですか。 + 裁判所へ行く途中、あなたを訴える人と出会ったら、裁判官の前に出るまでに、問題を解決するよう努力しなさい。さもないと、牢獄に入れられてしまいます。 + そうなったら、最後の一レプタ(最小単位の銅貨)まで罰金を払いきらなければ、出してもらえないのです。」 + + + そのころ、ガリラヤ出身のユダヤ人が数名、エルサレムの神殿で供え物をしていた時、ピラトに殺害されたというニュースが、イエスに伝えられました。 + これを聞いたイエスは言われました。「この人たちが、ほかのどのガリラヤ出身の人よりも罪が深かったから、こんな災難に会ったと思いますか。 + それは違います。あなたがたも、悔い改めて神に立ち返らなければ、同じように滅びるのです。 + また、シロアムの塔の下敷きになって、十八人が死にました。彼らのことはどう思いますか。エルサレムで一番罪深い人たちだったのでしょうか。 + そんなことはありません。あなたがたも罪を悔い改めないなら、同じように滅びるのです。」 + そして、次のようなたとえを話されました。「ある人が、ぶどう園にいちじくの木を植えました。そして、実がなっているかどうか、何度も見に行きました。ところが、期待はいつも裏切られてばかりです。 + とうとう主人は怒って、『こんなろくでもない木は切り倒してしまいなさい』と番人に命じました。『三年も待ったのに、一つも実がなったためしがない。もうこれ以上、手をかけることはない。何のために土地をふさいでいるのか。』 + すると番人は、何とか思いとどまらせようと、なだめにかかりました。『ご主人様。もう一年だけお待ちください。念入りに肥料をやってみましょう。 + それで来年実がなれば、もうけものです。だめなら、それから切り倒しても遅くはありません。』」 + ある安息日のこと、イエスは会堂で教えておられました。 + そこに、十八年もの間、病で腰が曲がったきりで伸ばすことのできない女がいました。 + イエスが女をそばへ呼び、「さあ、あなたの病気は治りました」とおっしゃって、 + 手をふれると、女の腰は伸びました。女は喜びを抑えきれず、神をあがめ、賛美しました。 + ところが、会堂の責任を持っていた、この地方のユダヤ人指導者は、それが安息日だというので腹を立て、群衆に怒りをぶちまけました。「よりによって安息日に病気を治してもらうなど、もってのほかだ! 仕事のできる日は、一週間に六日もあるのだから、その間に治してもらえばいいのだ。」 + しかし、イエスは言われました。「いいえ、あなたがたこそ偽善者です。安息日に働いていないと言いきれるのですか。安息日でも、家畜を小屋から出して、水を飲ませに連れて行くではありませんか。 + わたしは今、十八年もの間サタンに束縛されていた、ユダヤ人の女を解放してあげたのです。たまたまそれが安息日だったからといって、どこがいけないのですか。」 + このイエスのことばに、敵対する者たちは恥じ入り、群衆はみな、イエスの行ったすばらしいみわざを喜びました。 + そこでイエスは、神の国について教え始められました。「神の国は何に似ているでしょう。どういうふうに説明したらいいでしょう。 + 神の国は、畑にまいた小さなからし種のようです。やがて大きな木に成長し、鳥が枝に巣をかけるほどになるのです。 + また神の国は、パン種のようだとも言えます。目には見えないけれども、少しずつ確実に作用して、パン全体を大きくふくらませるのです。」 + イエスは町々村々を通り、人々に教えながら、ひたすらエルサレムへと進んで行かれました。 + ある人がイエスに、「救われる人は少ないのでしょうか」と尋ねました。イエスはお答えになりました。 + 「天国への門は狭いのです。できるかぎりの努力をして、そこから入りなさい。よく言っておきますが、入ろうとしても、入れない人がたくさんいるのです。 + 家の主人が戸を閉めてからでは遅すぎます。外に立ち、どんどんたたきながら、『ご主人様! 開けてください、お願いでございます』と、なりふりかまわず頼んでも、中からは、『おまえたちなど全然知らない』と、冷たい返事が返ってくるだけです。 + あなたがたはそれでもあきらめず、『何かのまちがいでは? 私たちは、あなたと食事をごいっしょしたこともありますし、大通りで教えをいただきました』と食い下がるでしょう。 + けれども主人は、けんもほろろに答えるのです。『おまえたちなど知らないと言うのが、聞こえないのか。おまえたちのような者は、ここには入れないのだ。とっとと行ってしまいなさい。』 + アブラハム、イサク、ヤコブ、それに預言者たちもみな神の国に入っているのに、あなたがたはいつまでも外に立ち尽くして、泣きわめき、歯ぎしりするのです。 + 人々は、あちらからもこちらからも来て、神の国に迎え入れられ、席に着きます。 + いいですか。このことを肝に銘じておきなさい。今は軽んじられている者が、その時には大いにほめたたえられ、今は重んじられている者が、その時には最も軽んじられるのです。」 + ちょうどその時、数人のパリサイ人が近寄って来て、イエスに忠告しました。「いのちが惜しかったら、ここから出て行きなさい。ヘロデ王があなたを殺そうとねらっています。」 + イエスはお答えになりました。「あのきつねにこう言ってやりなさい。今日も、明日も、わたしは悪霊を追い出し、病人をいやし、そして三日目に目的を果たします。 + 今日も、明日も、その次の日も、わたしは進んで行くのです。神から遣わされた預言者が、エルサレム以外の場所で殺されることはありえないからです。 + ああ、エルサレムよ。なんという町でしょう。預言者たちを殺し、町を救うために遣わされた人たちを石で打ち殺すとは。めんどりがひなを翼の下にかばうように、わたしは何度あなたの子どもたちを集めようとしたことでしょう。しかし、あなたがたはそれを拒んだのです。 + だから今、あなたがたの家は荒れ果てたまま見捨てられます。はっきり言いましょう。あなたがたが、『主の名によって来られる方、祝福あれ』と言うその日まで、わたしの姿を二度と見ることはないのです。」 + + + ある安息日のこと、イエスはパリサイ派の指導者の家に入られました。パリサイ人たちは、イエスがその場にいた水腫を患っている男をどうするかを、息をこらし、目をさらのようにして見ていました。 + するとイエスは、回りに立っているパリサイ人や律法の専門家たちに、「ところで、安息日に病気を治すことは、おきてにかないますか。それとも違反でしょうか」とお尋ねになりました。 + だれも、押し黙って答えません。イエスは男の手を取り、病気を治すと、すぐに家にお帰しになりました。 + それから、パリサイ人たちに面と向かってお尋ねになりました。「あなたがたのうちで、安息日に絶対働かない者がいますか。自分の息子や牛が穴に落ちたら、安息日だろうが何だろうが、すぐに引き上げてやるのではありませんか。」 + 今度も、あえて答える者はいませんでした。 + イエスは、招かれた人たちが、少しでも上席に座ろうとしているのに気づいて、こう忠告されました。 + 「婚礼に招かれた時、いつでも上席に座ろうとしてはいけません。あなたよりもっと名誉ある人が招かれていた場合のことを考えてごらんなさい。その人が姿を見せたら、 + 主人は、『すみませんが、こちらの方と替わっていただけませんか』と申し出るでしょう。そうなると、あなたは赤恥をかいた上に、末席に着かなければならないのです。 + 招かれた時には、まず末席に座りなさい。そうすれば、主人が来て、『どうぞご遠慮なさらないで、もっと上席にお進みください』と勧めるでしょう。あなたは居並ぶ客の前で面目を施すことになるのです。 + 自分から名誉を受けようとする人は低くされ、自分を低くする人は名誉を受けるのです。」 + それからイエスは、ご自分を招いてくれた人にも話されました。「食事をふるまう時には、友人や兄弟、親類、それにお金持ちの知人などを招かないようにしなさい。彼らはお返しに、あなたを招くからです。 + むしろ、貧しい人や体の不自由な人、足の不自由な人、盲人たちを招待しなさい。 + 幸い、そういう人たちはお返しができないので、やがて神を敬う者たちの復活の日に、神があなたにその分を報いてくださるでしょう。」 + この忠告を聞いて、同席していた客の一人が、「神の国で食事をする、それ以上の幸せ者はいないでしょう」と言いました。 + イエスは、遠回しにたとえでお答えになりました。「ある人が盛大な宴会を催そうと、大ぜいの人に招待状を送りました。 + 準備がすっかり整ったので、召使に、『宴会が始まる時間です』とふれ回らせました。 + ところがなんと、招待客はみな、そろいもそろって口実をつくり、出席を断り始めたのです。一人は、ちょうど畑を買ったところなので、これから見に行かなければならないと断り、 + ほかの人は、五くびき(十頭)の牛を買ったので試してみたいと言いわけをしました。 + またある人は、結婚したばかりで行くことができないと断りました。 + 召使は戻り、そのとおり主人に報告しました。主人はかんかんになって怒り、『よし、それなら、今度は大通りや裏通りに行って、貧しい人や体の不自由な人、足の不自由な人、盲人たちを残らず招待して来なさい』と命じました。 + そうやって客を集めても、会場にはまだ空席が目立ちます。 + それで、主人は言いました。『もうこうなったら、家がいっぱいになるように、街道や垣根の外へ行って、出会った者はだれでも、むりにでも連れて来なさい。 + 初めに招待した者たちの中には、宴会の食事を味わうことのできる者は一人もいないのだ。』」 + さて、イエスのあとには大ぜいの群衆がついて行きました。イエスはふり返り、彼らに言われました。 + 「だれでも、わたしに従いたければ、父、母、妻、子、兄弟、姉妹以上に、いや、自分のいのち以上にわたしを愛しなさい。 + また、自分の十字架を負い、わたしに従って来なければ、わたしの弟子になることはできせん。 + 仕事に手をつけるのは、必要な経費を見積もってからにしなさい。家を建てるのに、資金の見通しが立たないうちに建て始める人がいますか。 + そんなことをすれば、土台を据えただけで、資金切れとなるかもしれません。それこそいい物笑いです。 + 人々は、『あれをごらん。建てかけで金がなくなったんだとさ』と、あざ笑うでしょう。 + また、一万人の兵を持つ王が、二万人の敵軍と交戦しようとする時は、必ず参謀会議を開き、はたして勝ち目があるかどうか、あらゆる角度から検討するでしょう。 + どうしても勝ち目がないとわかれば、敵軍がまだ遠くにいるうちに使者を送り、何としても講和を求めるでしょう。 + そういうわけで、だれでも、自分の財産を数え上げ、それを全部わたしのために捨てるのでなければ、わたしの弟子になることはできません。 + 塩が塩けをなくしたら、何の役に立ちますか。 + 塩の価値のない塩など、肥やしにもなりません。捨てるほかないのです。聞く耳のある人は、よく聞きなさい。」 + + + イエスの教えを聞きに来る人たちの中には、あくどい取り立てをする取税人や罪人といわれる者たちがかなりいました。 + ユダヤ教の指導者や律法の専門家は、イエスがそういう問題の多い人々とつきあい、時には食事までいっしょにするのを見て、批判しました。 + そこでイエスは、次のようなたとえ話をなさいました。 + 「羊を百匹持っているとします。そのうちの一匹が迷い出て、荒野で行方がわからなくなったらどうしますか。ほかの九十九匹は放っておいて、いなくなった一匹が見つかるまで捜し歩くでしょう。 + そして、見つかったら、大喜びで羊を肩にかつぎ上げ、 + 家に帰ると、さっそく友達や近所の人たちを呼び集めて、いっしょに喜んでもらうでしょう。 + それと同じことです。迷い出た一人の罪人が神のもとに帰った時は、迷ったことのない九十九人を合わせたよりも大きな喜びが、天にあふれるのです。 + 別のたとえで話してみましょう。女が銀貨を十枚持っていて、もし一枚なくしてしまったら、女はランプをつけ、家の中をすみからすみまで掃除して、その一枚を見つけるまで、必死で捜し回るでしょう。 + そして見つけ出したら、友達や近所の人を呼び、いっしょに喜んでもらうでしょう。 + 同じように、一人の罪人が罪を悔いて神のもとに帰った時、天使たちはたいへんな喜びにわくのです。」 + イエスはもっとよく説明しようと、また別のたとえも話されました。「ある人に息子が二人いました。 + ある日、弟のほうが出し抜けに、『お父さん。あなたが亡くなってからでなく、今すぐ財産の分け前がほしいんです』と言いだしたのです。それで父親は、二人にそれぞれ財産を分けてやりました。 + もらう物をもらうと、何日もたたないうちに、弟は荷物をまとめ、遠い国に旅立ちました。そこで放蕩に明け暮れ、財産を使い果たしてしまいました。 + 一文なしになった時、その国に大ききんが起こり、食べる物にも事欠くようになりました。 + それで彼は、その国のある人のもとで、畑で豚を飼う仕事をもらいました。 + あまりのひもじさに、豚のえさのいなご豆さえ食べたいほどでしたが、だれも食べる物をくれません。 + こんな毎日を送るうち、彼もやっと目が覚めました。『お父さんの家なら雇い人にだって、あり余るほど食べ物があるだろうに。なのに自分は、なんてみじめなんだ。こんな所で飢え死にしかけている。 + そうだ、家に帰ろう。帰って、お父さんに頼もう。「お父さん。すみませんでした。神様にもお父さんにも、罪を犯してしまいました。 + もう息子と呼ばれる資格はありません。どうか、雇い人として使ってください。」』 + 決心がつくと、彼は父親のもとに帰って行きました。ところが、家まではまだ遠く離れていたというのに、父親は息子の姿をいち早く見つけたのです。『あれが帰って来た。かわいそうに、あんなみすぼらしいなりで。』こう思うと、じっと待ってなどいられません。走り寄って抱きしめ、口づけしました。 + 『お父さん。すみませんでした。ぼくは、神様にもお父さんにも、罪を犯してしまいました。もう息子と呼ばれる資格はありません。』 + ところが父親は、使用人たちにこう言いつけたのです。『さあ、何をぼやぼやしている。一番良い服を出して、この子に着せてやりなさい。宝石のついた指輪も、くつもだ。 + それから肥えた子牛を料理して、盛大な祝宴の用意をしなさい。 + 死んだものとあきらめていた息子が生き返り、行方の知れなかった息子が帰って来たのだから。』こうして祝宴が始まりました。 + ところで、兄のほうはどうだったでしょう。彼は、その日も畑で働いていました。家に戻ってみると、何やら楽しげな踊りの音楽が聞こえます。 + いったい何事かと、使用人の一人に尋ねると、 + 『弟さんが帰って来られたのです。だんな様は、たいへんなお喜びで、肥えた子牛を料理し、ご無事を祝う宴会を開いておられるのです』というのです。 + 事情を聞いて、兄は無性に腹が立ってきました。家に入ろうともしません。父親が出て来てなだめましたが、 + 兄は父に食ってかかりました。『私はこれまで、お父さんのために汗水流して働いてきました。お父さんの言いつけに、ただの一度もそむいたことはありません。なのに、友達と宴会を開けと言って、子やぎ一匹くれたことがありますか。 + ところが、遊女におぼれてあなたのお金を使い果たした弟のためには、最上の子牛を料理して、お祭り騒ぎをするのですか。』 + すると、父親は言いました。『いいか、よく聞きなさい。おまえはいつだって、私のそばにいたではないか。私のものは全部おまえのものだ。 + 考えてもみなさい。あれはおまえの弟なのだよ。死んだと思ってあきらめていたのが、無事に帰って来たのだ。いなくなっていたのが見つかったのだから、お祝いするのはあたりまえではないか。』」 + + + さてイエスは、弟子たちにも話をされました。「ある金持ちが会計の管理者を雇いました。ところが、この管理者はずる賢い男で数字をごまかしている、といううわさを聞きました。 + さっそく金持ちは彼を呼びつけて、言いました。『帳簿をごまかしているという、もっぱらのうわさだ。なんということをしたのか。もう任せておけないから、やめてもらおう。報告書を出しなさい。』 + 男は考え込みました。『さて、どうしたものか。首になるのは時間の問題だ。力仕事はできないし、かといって、物ごいをするのも恥だ。 + 待てよ。そうだ、こうしよう。これなら、いつ首になっても、みんなが面倒を見てくれるに違いない。』 + どうしたかというと、彼は雇い主からお金を借りている人を一人一人呼び出して、話し合ったのです。まず、最初の人とはこんなぐあいに。『主人にいくら借りがありますか。』 + 『オリーブ油百バテ(三千五百リットル)です。』『そうですか。これが証文ですね。さあ、これを破って。代わりに、その半分を借りたという証文を書くのです。』 + 次の人にも同じように、『あなたの借りはどのくらいですか。』『小麦百コル(三十トン)です。』『いいでしょう。では、新しく八十コルの証文を書いてください。これと取り替えてあげるから。』 + この抜け目のなさには、さすがの金持ちも舌を巻き、うまいやり方だ、とほめないわけにはいきませんでした。確かに、この世の人々のほうが、神を信じる者たちよりずっと抜け目がないのです。 + 不正の富を利用してでも、親しい友をつくりなさい。そうしておけば、富がなくなった時、親切にしてやった人たちが、永遠の天の住まいに迎え入れてくれるでしょう。 + 小さなことに忠実な人は、大きなことにも忠実です。小さなことに不忠実な人は、大きな責任を与えられても、忠実に果たすことはできません。 + この世の富も任せられない人に、どうして、天にあるほんとうの富を任せることができるでしょう。 + 他人の富に忠実でなかったら、自分の富さえ任せてもらえないのです。 + だれも、二人の主人に仕えることはできません。一方を憎んで他方に忠実であるか、あるいは、一方を重んじて他方は軽んじるようになるからです。神と富の両方に仕えることはできないのです。」 + 何よりもお金に目のないパリサイ人たちは、この話を聞いて、イエスをあざけりました。 + そんな彼らに、イエスはおっしゃいました。「あなたがたは、人前ではいかにも上品でうやうやしい態度をとっています。しかし神は、あなたがたの悪い心をお見通しです。いくら人の目をごまかし、賞賛を受けても、神には憎まれるのです。 + バプテスマのヨハネが現れて教えを説き始めるまで、モーセの律法と預言者たちのことば(旧約聖書)が、あなたがたの指針でした。しかしヨハネ以後は、神の国の福音が宣べ伝えられ、大ぜいの人がむりにでも入ろうと、押し合いへし合いしています。 + しかし、律法の一つでも効力を失ったわけではありません。たとえ天地が滅びようと、律法はびくともしないのです。 + だれでも、妻を離縁してほかの女と結婚する者は、姦通罪を犯すことになり、夫に離縁された女と結婚する者も同罪なのです。」 + イエスは話を続けられました。「ある金持ちがいました。きらびやかな服を着、ぜいたく三昧の暮らしでした。 + ある日のこと、その家の門前に、ひどい病気にかかったラザロという物ごいが横になっていました。 + 金持ちの家の食べ残しでもいい、とにかく食べ物にありつきたいと思っていたのです。かわいそうに、犬までがおできだらけのラザロの体をなめ回しています。 + やがて彼は死にました。天使たちに連れられて行った先は、生前神を信じ、正しい生活を送った人たちのところでした。そこで、アブラハムのそばにいることになったのです。そのうち、あの金持ちも死んで葬られましたが、 + 彼のたましいは地獄に落ちました。苦しみあえぎながら、ふと目を上げると、はるかかなたにアブラハムといっしょにいるラザロの姿が見えます。 + 金持ちはあらんかぎりの声を張り上げました。『アブラハム様! どうぞお助けを。お願いでございます。ラザロをよこし、水に浸した指先で、ほんのちょっとでも舌を冷やさせてください。この炎の中で、苦しくてたまりません。』 + しかし、アブラハムは答えました。『思い出してみなさい。おまえは生きている間、ほしい物は何でも手に入れ、思うままの生活をした。だがラザロは、全くの無一物だった。それで今は反対に、ラザロは慰められ、おまえは苦しんでいる。 + それに、そちらとの間には大きな淵があって、とても行き来はできないのだ。』 + 金持ちは言いました。『ああ、アブラハム様。それならせめて、ラザロを私の父の家にやってください。 + まだ五人の兄弟が残っているのです。彼らだけは、こんな目に会わせたくありません。どうぞ、この恐ろしい苦しみの場所があることを教えてやってください。』 + 『それは聖書が教えていることではないか。その言うことを聞くべきです。』 + 金持ちはあきらめません。『でも、アブラハム様。彼らは聖書を読みたがらないのです。ですが、もしだれかが死人の中から遣わされたら、彼らも罪深い生活を悔い改めるに違いありません。』 + アブラハムはきっぱり言いました。『モーセと預言者たちのことばに耳を貸さないのなら、だれかが生き返って話したところで、彼らは聞き入れないだろう。』」 + + + ある日のこと、イエスは弟子たちにお話しになりました。「罪を犯させようとする誘惑は、いつもあなたがたにつきまとっています。誘惑する者はいまわしいものです。 + これら小さい者の心につまずきを与える者は、首に大きな石をくくりつけられて、海に投げ込まれるほうがましです。 + いいですか。友達が罪を犯したら、注意してあげなさい。そして悔い改めたら、赦してあげなさい。 + あなたに対して日に七度罪を犯しても、そのたびに『悪かった。赦してくれ』とあやまるなら、赦してあげなさい。」 + ある日、使徒たちが主に、「もっと信仰が強くなりたいのですが、どうしたらいいでしょう」と尋ねました。 + イエスの答えはこうでした。「ほら、あそこに桑の木があるでしょう。ほんの小さな、からし種ほどの信仰でもあれば、あの木を根こそぎ海の中へ投げ込むことぐらい簡単なことです。そう命令しさえすれば、たちまちそのとおりになります。 + ところで、畑を耕すか、羊の番をするかして一日中働いた奴隷が、帰って来るなりどっかと腰をおろし、食事を始めるなどということがあるでしょうか。まず主人の食事のしたくをし、給仕をすませ、それから自分の食事をするのが普通です。しかも、そうしたからといって取り立てて感謝されるわけでもありません。当然のことをしただけです。 + あなたがたがわたしに従って来るのも同じことです。『私たちはただ、するべきことを果たしているにすぎないのです』と言いなさい。」 + 一行はエルサレムを目指して進み、途中サマリヤとガリラヤの境を通りました。 + ある村に入ると、十人のツァラアトの人がずっと向こうのほうから、 + 「イエス様! どうぞお助けを!」と大声で叫んでいました。 + イエスはそちらに目をやり、「さあ、祭司のところへ行き、ツァラアトが治ったことを見せてきなさい」と言われました。彼らがそのとおり出かけて行くと、途中でツァラアトはきれいに治りました。 + その中の一人が、イエスのところに引き返し、足もとにひれ伏して、「ありがとうございます。おっしゃるとおり、すっかりよくなりました。神様に栄光がありますように」と言いました。実はこの人は、ユダヤ人から軽蔑されていたサマリヤ人でした。 + 「はて、十人全部がいやされたはずだが、ほかの九人はどうしたのですか。 + 神を賛美するために帰って来たのは、この外国人のほかにはいないのですか。」 + こう言ってから、イエスはその男に、「さあ、立って帰りなさい。あなたの信仰があなたを治したのです」と言われました。 + ある日、パリサイ人たちがイエスに尋ねました。「神の国はいったい、いつ来るのですか。」イエスは答えて言われました。「神の国は、目に見える形では来ません。 + 『ここに来た』とか、『あそこに来た』とか言えるものではないのです。はっきり言いましょう。神の国は、あなたがたの中にあるのです。」 + そのあとで、イエスは神の国についてもう一度、弟子たちにお話しになりました。「まもなく、一日でいいから、わたしといっしょにいたいと願っても、もういっしょにいられない日が来ます。 + その時にはまた、『主が帰って来られた。ここにおられるぞ』とか、『いや、あそこだ』というふうに、情報が乱れ飛ぶでしょう。そんなうわさを信じたり、彼らの扇動に乗ってあとを追いかけたりしてはいけません。 + わたしが帰って来る時には、はっきりわかるからです。ちょうど、いなずまが空の端から端までひらめき渡るように、一目瞭然なのです。 + しかしその前に、わたしはひどい苦しみを受け、この国の人々全部から、つまはじきにされなければなりません。 + わたしが帰って来る時、人々は、かつてのノアの時代のように、神のことなどにはまるで無関心でしょう。 + ノアが箱舟に入り、洪水が押し寄せ、何もかも滅ぼし尽くすまで、人々は飲んだり、食べたり、結婚したり、いつもと変わらない生活をしていました。 + また、ロトの時代の人々とも比べることができるでしょう。当時も、人々はいつもと同じように、食べたり飲んだり、売ったり買ったり、植えたり建てたりの生活をしていましたが、 + ロトがソドムの町を抜け出した日に、火と硫黄が天から降り注ぎ、一人残らず滅ぼされてしまったのです。 + わたしが再び来る時も同じです。その瞬間まで、すべてがいつものとおりなのです。 + その日、外出中の者は、荷物を取りに家へ戻ってはいけません。畑で働いている者も、家に帰ってはいけません。 + ロトの妻がどんな目に会ったか、思い出しなさい。 + だれでも、いのちにしがみつく者はそれを失い、いのちを捨てる者がかえってそれを自分のものにできるのです。 + よく言っておきます。その夜二人の男が一つの部屋に寝ていると、一人は天に上げられ、一人は残されます。 + 家事をしている二人の女のうち、一人は天に上げられ、一人は残されます。また、畑でいっしょに働いている二人の男も同様です。」 + 「主よ。どこでそんなことが起こるのですか。」「死体のあるところに、はげたかも集まるのです。」 + + + ある日、イエスは弟子たちに、いつでも祈り、また答えられるまで祈り続けることを教えようと、一つのたとえを話されました。 + 「ある町に、少しも神を恐れず、人を人とも思わない裁判官がいました。 + 同じ町に住む一人の未亡人が、たびたびこの裁判官のところへ押しかけ、『訴えられて困っています。どうか私を守ってください』と願い出ました。 + 裁判官はしばらくの間、相手にしませんでしたが、あまりのしつこさに我慢できなくなり、心の中でこう考えました。『私は神だろうが人間だろうがこわくないが、あの女ときたらうるさくてかなわない。しかたがない。裁判をしてやることにしよう。そうすれば、もうわずらわしい思いをしなくてすむだろう。』」 + 主は続けて言われました。「このように、悪徳裁判官でさえ音を上げてしまうのなら、 + まして神は、昼も夜もひたすら訴え続ける信者たちを、必ず正しく取り扱ってくださるはずです。そうは思いませんか。 + 神はすぐにも答えてくださるのです。ただ問題は、メシヤのわたしが帰って来る時、いったいどれだけの人が信仰を持って祈り続けているかです。」 + それから、自分を正しい者とし、他人を軽蔑する人たちに、こんな話をなさいました。 + 「二人の男が祈るために神殿へ行きました。一人は自尊心が強く、あくまで自分を正しいと主張するパリサイ人、もう一人は、人のお金をだまし取る取税人でした。 + パリサイ人は心の中で祈りました。『神様。ありがとうございます。私はほかの人々、特に、ここにいる取税人のような罪人ではありません。人をだましたこともなければ、姦淫したこともありません。 + 一週間に二回は必ず断食し、全収入の十分の一もきちんと献金しています。』 + 一方、取税人は遠く離れて立ち、目を伏せ、悲しみのあまり胸をたたきながら、『神様。罪人の私をあわれんでください』と叫びました。 + よく言っておきますが、罪を赦されて帰ったのは、パリサイ人ではなく、この罪人のほうです。高慢な者は卑しい者とされ、謙遜な者には大きな名誉が与えられるのです。」 + ある日のことです。イエスにさわって祝福していただこうと、人々が子どもたちを連れて来ました。ところが弟子たちはそれを見て、じゃまだとしかりました。 + するとイエスは、子どもたちを呼び寄せ、弟子たちに言われました。「いいから、子どもたちを自由に来させなさい。追い返してはいけません。 + 神の国は、この子どもたちのように、素直に信じる心を持っている人たちのものなのです。」 + ある時、一人のユダヤ教の指導者がイエスに尋ねました。「先生。あなたは尊いお方です。そこでお聞きしたいのですが、永遠のいのちを受けるにはどうすればよいのでしょう。」 + 「わたしのことを『尊い』と言うのですか。それがどういうことか、わかっていますか。尊い方は、ただ神お一人だけです。 + それはそれとして、質問に答えましょう。モーセの戒めはよく知っていますね。『姦淫してはいけない。殺してはいけない。盗んではいけない。うそをついてはいけない。父と母を敬え』とあります。」 + すると、彼は言いました。「子どものころから、戒めはきちんと守ってきました。」 + 「でも、あなたには一つだけ欠けたところがあります。財産を全部売り払って、貧しい人たちに分けてあげなさい。天に宝をたくわえるのです。それから、わたしについて来なさい。」 + このイエスのことばに、その人は肩を落として立ち去りました。たいへんな金持ちだったからです。 + そのうしろ姿を見つめていたイエスは、弟子たちに言われました。「金持ちが神の国に入るのは、なんとむずかしいことでしょう。 + それよりは、らくだが針の穴を通るほうが、よほどやさしいのです。」 + これには弟子たちも驚き、思わずことばを返しました。「そんなにむずかしいのですか。だとしたら、救われる人などいるでしょうか。」 + 「人にはできません。だが、神にはできるのです。」 + すかさずペテロが口をはさみました。「私たちは家も捨てて、お従いしました。」 + 「そうです。あなたがたのように、神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子どもを捨てた者はだれでも、 + この世ではその何倍もの報いを受け、やがて来る世では、永遠のいのちまでいただけるのです。」 + ここでイエスは、十二人の弟子たちをそばに呼び寄せ、特に言って聞かせました。「あなたがたも知っているように、わたしたちはエルサレムへ行くところです。そこで、昔の預言者たちのことばどおりのことが、わたしの身に起こります。 + わたしは外国人の手に渡され、あざけられ、侮辱され、つばをかけられ、 + むち打たれ、ついには殺されますが、三日目に復活するのです。」 + ところが弟子たちには、イエスの言われることが全く理解できず、「先生はきっと、なぞをかけておられるのだろう」としか考えられませんでした。 + ほどなくエリコという町に近づくと、盲人が一人、道ばたに座り込み、通りがかりの人に物ごいをしていました。 + 大ぜいの人があわただしく通り過ぎ、あたりの様子がざわついてきたので、いったいどうしたのかと思った盲人は、そばにいた人をつかまえて尋ねました。 + すると、ナザレのイエスがお通りになると言います。 + 盲人は、この時とばかり大声で訴えました。「イエス様! ダビデ王の子よ! どうぞ、私にあわれみを!」 + イエスの前を進んで来た人たちが黙らせようとしましたが、そうすればするほど、ますます大声で叫び立てます。「ダビデ王の子よ! あわれみを!」 + その時、イエスは足を止め、「あの人を連れて来なさい」と言われました。 + それから、彼にお尋ねになりました。「わたしにどうしてほしいのですか。」「主よ。見えるようになりたいのです!」 + 「さあ、見えるようになりなさい。あなたの信仰があなたを治したのです。」 + その瞬間、彼の目は見えるようになりました。そして、心から神をほめたたえながら、イエスについて行きました。この出来事を見ていた人たちもみな、神を賛美しました。 + + + それからイエスはエリコに入り、町をお通りになりました。この町には、ローマに収める税金を取り立てる仕事をしているザアカイという男がいました。取税人の中でもとりわけ権力をふるっていた大金持ちでした。 + このザアカイも、ひと目イエスを見ようと思いましたが、背が低かったので、いくら背伸びをしても、人垣のうしろからは何も見えません。 + そこで、ずっと先のほうに走って行き、道ばたにあったいちじく桑の木によじ登って、見下ろしていました。 + やがて、そこへ差しかかったイエスは足を止め、ザアカイを見上げると、「ザアカイ。早く降りてきなさい。今晩はあなたの家に泊めてもらうつもりでいますから」と言われました。 + ザアカイはびっくりして、急いで降りると、大喜びでイエスを家に迎えました。 + これを見ていた人々の心中は、おだやかではありません。「なにも、あの札つきの悪党の家の客にならなくても……」と言って、つぶやきました。 + しかし、ザアカイは主の前でこう告白しました。「先生。今からは、財産の半分を貧しい人たちに分けてあげます。税金を取り過ぎた人たちには、四倍にして払い戻します。」 + イエスは言われました。「その告白こそ、今日この家に救いが来たことのあかしです。この人も迷い出たアブラハムの子どもの一人なのだから。メシヤ(救い主)のわたしは、このような人を捜し出して救うために来たのです。」 + イエスがいよいよエルサレムに近づくのを見て、今すぐにでも神の国が実現するのではないか、と早合点した人々がいました。その誤解を正そうと、イエスは一つのたとえ話をなさいました。 + 「ある所に身分の高い人が住んでいました。やがてその地方の王に任命されるため、遠くの都に出かけることになりました。 + そこで、出発前に十人の家来を呼び寄せ、留守中に事業を始めるように、めいめいに一ミナ(一ミナは当時の約百日分の賃金に当たる)ずつ渡しました。 + ところがそこの住民の中には、その人が王になるのを快く思わない人々があり、反対の声を送りつけました。 + さて、その人は王位を受けて帰ると、さっそく資金を預けた家来たちを呼び集め、報告をさせました。 + 最初の家来は、元金の十倍というすばらしい利益をあげたことを報告しました。 + 王は非常に喜び、『よくやった! 感心なやつだ。少しばかりのものにも忠実に励んでくれた。ほうびに、十の町を治めさせよう』と言いました。 + 次の家来が進み出て、元金の五倍の利益をあげたことを報告しました。 + 『よくやった! おまえには五つの町を治めてもらおう。』王は上きげんで言いました。 + ところが、三番目の家来は、預かった資金をそっくりそのまま差し出すではありませんか。『私はお金を大切に保管しておきました。 + せっかくもうけても、横取りされてしまうのではつまりません。あなたはほんとうにひどい方で、ご自分のものでないものまで取り立て、他人の作った穀物さえ取り上げる方ですから。』 + 王は激しく怒って言いました。『なんて悪いやつだ! わしが、そんなにひどい人間だと言うのか。それほどよくわかっていたのなら、 + なぜ銀行に預けておかなかったのか。そうすれば、利息ぐらいついたのに。』 + 王は側近の者たちに、『さあ、彼から金を取り上げ、一番多くもうけた者に与えなさい』と命じました。 + 『ですが王様。あの者はもうすでに、たくさん持っていますが。』 + 王は言いました。『そのとおり。しかし、持っている者はさらに多く与えられ、持っていない者は、そのわずかな物さえ失ってしまうのだ。 + それから、謀反を起こした者たちはすぐここに連れて来て、わしの目の前で殺してしまえ。』」 + 話を終えると、イエスは先頭に立ち、エルサレムに向かわれました。 + 一行がオリーブ山のふもとのベテパゲとベタニヤの村に近づいた時、イエスは、先に二人の弟子を使いに出して、こう指示されました。 + 「さあ、あの村へ行って、道ばたにつないであるろばの子を捜しなさい。まだだれも乗ったことのないろばの子です。見つけたら、綱をほどいて連れて来るのです。 + もしだれかにとがめられたら、『主がお入用なのです』とだけ答えなさい。」 + 二人は、言われたとおりろばの子を見つけました。 + 綱をほどいていると、持ち主が来て、「何をしているのだ。おれたちのろばの子をどうしようというのだ」と聞きただしました。 + 弟子たちは、「主がお入用なのです」と答え、 + ろばの子を連れて来ました。そして、その背中に自分たちの上着を敷き、イエスをお乗せしました。 + イエスがろばの子に乗って進んで行かれると、大ぜいの人が次々と上着を脱ぎ、道に敷いて並べました。この一団がオリーブ山のふもとに差しかかった時、群衆の中から大きな声が上がりました。イエスが行われたすばらしい奇跡のことで、神を賛美し始めたのです。 + 「神がお立てくださったわれらの王に祝福があるように。天よ、喜べ。いと高き天で、神に栄光があるように。」 + 群衆の中にいたパリサイ人たちは、これが気に入りません。「先生。あんなことを言ってます。しかってください。」 + ところが、イエスはお答えになりました。「その人たちが黙っても、道ばたの石が叫びだします。」 + さらにエルサレムに近づいた時、イエスは都をごらんになり、都のために涙をこぼされました。 + 「永遠の平和がすぐ手の届くところにあったのに、この町はそれをはねつけてしまいました。もう遅すぎます。 + 敵が城壁に土塁を築き、町を包囲し、攻め寄せ、 + 子どもたちもろとも地面にたたきつけるでしょう。一つの石もほかの石の上に残らないほど、完全に破壊されます。この町は神の訪れの時を知らなかったからです。」 + このあと、イエスは宮(神殿)に入り、境内で商売していた者たちを追い出しにかかりました。そして、強い調子で言われました。 + 「聖書に、『わたしの家(神殿)は祈りの家と呼ばれる』と、はっきり書いてあるではありませんか。それなのに、あなたがたは強盗の巣にしてしまったのです。」 + その日からイエスは、毎日、宮で教え始められました。一方、祭司長や他の宗教的指導者、それに町の実力者たちは、イエスを殺すうまい方法はないかと、機会をねらっていましたが、 + 手出しができませんでした。民衆がみな、イエスを英雄視し、イエスの話に熱心に耳を傾けていたからです。 + + + ある日、イエスが宮の中で人々を教え、福音を宣べ伝えておられると、祭司長や他の宗教的指導者たちが、イエスと対決しようとやって来ました。 + 彼らは、何の権威で商人たちを宮から追い出したのか、とイエスに詰め寄りました。 + イエスはお答えになりました。「答える前に、まず、わたしから質問します。 + バプテスマのヨハネは神に遣わされて来たのですか。それとも、ただ自分の考えを主張しただけですか。」 + 彼らは集まって、ひそひそ相談しました。「ヨハネの語ったことが神からの教えだと答えたら、なぜ信じなかったのかと言われるだろう。 + かといって、神からでないと答えるわけにもいくまい。そんなことをしたら、今度は群衆が襲いかかって来るだろう。みな、ヨハネを預言者だと信じ込んでいるから。」 + そこで彼らは、「わかりません」と答えました。 + イエスは、「そうですか。では、わたしも答えません」とおっしゃいました。 + それから、イエスはまた人々のほうを向き、次のようなたとえを話されました。「ある人がぶどう園を造り、それを数人の農夫に貸して外国へ行き、長いことそこに住んでいました。 + やがて、収穫の季節になりました。主人は代理の者をやり、自分の分を受け取ろうとしました。ところが、農夫たちはどうしたでしょう。代理人を袋だたきにし、手ぶらで追い返したのです。 + また別の代理人を送りましたが、彼もまた袋だたきにされ、さんざん侮辱されたあげく、手ぶらで追い返されました。 + 三人目の代理人も同じで、傷を負わされ、やっとの思いで逃げ帰りました。 + 考えあぐねた主人は、一人つぶやきました。『いったい、どうしたものか。そうだ、かわいい息子をやろう。息子なら、きっと農夫たちも一目おくに違いない。』 + ところが、当の農夫たちは、主人の息子が来るのを見て、『おい、絶好のチャンスだぞ。あれは跡取り息子だ。さあ、あいつを殺そう。そうすれば、ぶどう園はおれたちのものだ』とささやき合いました。 + そのことばどおり、農夫たちは息子をぶどう園の外に引きずり出し、殺してしまいました。さて、主人はどうするでしょう。 + 今度は自分で乗り込み、悪い農夫たちを皆殺しにし、ぶどう園はほかの人たちに貸すに決まっています。」この話を聞いていた人たちは、「そんな恐ろしいことがあるなんて、とても考えられません」と答えました。 + しかしイエスは、人々の顔を見回しながら、おっしゃいました。「では、聖書に、『建築士たちの捨てた石が、最も重要な土台石となった』と書いてあるのは、どういう意味ですか。」 + さらにことばを続け、「この石につまずく者はみな、打ち砕かれます。反対に、この石が落ちてくれば、だれもかれも粉みじんになります」と言われました。 + 祭司長や宗教的指導者たちは、この話を聞いて、その悪い農夫が自分たちを指していることに気づき、すぐにもイエスを捕らえたいと思いました。しかし群衆の暴動がこわくて、どうにもできません。 + そこで、ローマ総督に逮捕の理由として報告できるようなことを、何とかしてイエスに言わせようとしました。こうして機会をねらっていた彼らは、良い人物を装った回し者をイエスのもとに送り、 + こう質問させました。「先生。私どもは、あなたがどんなに正しい教師かよく承知しております。あなたはいつも真理を語り、分け隔てなく、神の道を教えておられます。 + それで、ぜひお教えいただきたいのですが、ローマ政府に税金を納めるのは正しいことでしょうか。それとも正しくないことでしょうか。」 + 彼らの計略は見えすいていました。イエスは言われました。 + 「銀貨を見せなさい。ここに刻まれているのは、だれの肖像、だれの名前ですか。」「カイザル(ローマ皇帝)のです。」 + 「それなら、皇帝のものは、皇帝に返せばいいでしょう。しかし、神のものはみな、神に返さなければなりません。」 + 公衆の面前でイエスのことばじりをとらえようとするたくらみは、みごと失敗に終わりました。彼らはイエスの答えに恐れ入り、返すことばもありませんでした。 + 次にやって来たのは、人は死んでしまえばそれまでで、復活などありえないと主張していたサドカイ人(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)たちでした。 + 「モーセの律法には、もしある人が子どものないまま死んだら、その弟は残された未亡人と結婚しなければならず、二人の間にできた子どもは、法律的には死んだ者の子として家を継ぐ、と書いてあります。 + ところで、七人兄弟がいたとします。長男は結婚しましたが、子どもがないまま死んだので、 + 次男がその未亡人と結婚しました。ところが、彼も子どもができずに死にました。 + こうして、兄弟が次々にこの未亡人と結婚したのですが、七人とも子どもがないまま死にました。 + 最後に、未亡人も死にました。 + そこでお尋ねしたいのですが、この女は復活の時、いったいだれの妻になるのでしょう。兄弟みなが彼女と結婚したのですが。」 + イエスは言われました。「結婚とは、この地上に住む人たちのものです。死から復活したのちに、天国へ行く資格があると認められた人たちは、結婚などしません。 + 二度と死ぬこともありません。この点では、天使と変わりなく、また、死人の中から新しいいのちへと復活したのですから、神の子どもなのです。 + しかし、あなたがたがほんとうに聞きたいのは、復活があるかないかということでしょう。モーセ自身は何と書き残していますか。燃えさかる柴の中に現れた神とお会いした時、モーセは神を、『アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』 + と呼びました。主を彼らの神と呼んでいる以上、彼らは生きているはずです。神は死んだ者の神ではありません。神に対して、みなが生きているのです。」 + その場にいた律法の専門家たちは、「先生。非の打ちどころのないお答えです」と言い、 + それ以上、尋ねようとはしませんでした。 + すると今度は、イエスが質問なさいました。「あなたがたはどうして、キリストをダビデの子だと言うのですか。 + ダビデ自身が、聖書の詩篇の中でこう歌っています。『神が私の主に言われた。「わたしがあなたの敵をあなたの足の下に置くまで、わたしの右に座っていなさい。」』 + キリストはダビデの子であると同時に、ダビデの主なのです。」 + 人々がイエスのことばに耳を傾けていると、イエスは弟子たちに言われました。 + 「ユダヤ教の学者たちを警戒しなさい。彼らはぜいたくな着物を着て歩き回り、通りで人々からていねいなあいさつを受けるのが何より好きです。また会堂や宴会で、上座に着くのも大好きです。 + うわべは、さも信心深そうに、長々と祈りますが、実際は、未亡人をだまして財産をかすめ奪おうとしています。こういう人々には、神から最もきびしい罰が下るのです。」 + + + さて、宮の中でのことです。イエスは、金持ちたちが次々と献金箱に献金を投げ込む様子を見ておられました。 + そこへ貧しい身なりの末亡人がやって来て、レプタ銅貨(最小単位の銅貨)を二個そっと投げ入れました。 + それを見たイエスは、「この女は、だれよりも多くささげたのです。 + ほかの人たちはあり余る中からほんのわずかだけささげたのに、この女は、乏しい中から持っている全部をささげたからです」と言われました。 + 弟子たちの何人かが、宮のすばらしい石細工や壁の装飾に目を奪われ、感心していました。 + するとイエスは、彼らに言われました。「今は賞賛の的になっているこれらのものが、一つも崩れずにほかの石の上に残らないほど完全に破壊され、瓦礫の山となる日がもうすぐ来ます。」 + 驚いた弟子たちが質問しました。「いつのことですか! その前に、何か前兆があるのでしょうか。」 + イエスはお答えになりました。「だれにもだまされないようにしなさい。『私がキリストだ。今こそ時が来た』と言う者が大ぜい現れるからです。そういう人々を信じてはいけません。 + また、戦争や暴動が始まったということを聞いても、あわてふためかないようにしなさい。戦争は必ず起こりますが、すぐに終わりが来るわけではありません。 + 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、 + すさまじい地震が起こり、多くの国がききんに見舞われ、伝染病が流行し、恐ろしい異変が天に現れます。 + しかし、これらのことが起こる前に、まず大きな迫害の時代が来ます。あなたがたは、わたしを信じているばかりに、会堂や牢獄、王や総督の前に引き立てて行かれます。 + その結果、かえってメシヤ(救い主)のことが広く知られ、あがめられるようになるのです。 + だから、人々の訴えにどう釈明しようかと心配してはいけません。 + 答えることは、わたしが教えてあげます。どんな反対者も反論できないことばと知恵です。 + 最も身近な両親、兄弟、親類、友人までもがあなたがたを裏切るようになるでしょう。中には殺される者もあります。 + わたしの弟子だというので、みながあなたがたを憎むようになるでしょう。 + しかし、あなたがたの髪の毛一本さえ失われることはありません。 + 忍耐して忍び通せば、いのちを得るのです。 + しかし、エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たら、滅びの時が来たと思いなさい。 + ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。エルサレムにいる人たちは市外へ逃げなさい。地方の人たちは都に逃げ込んではいけません。 + 神のさばきの日だからです。預言者が書いた聖書のことばどおりのことが起こるのです。 + その日、妊娠している女と乳飲み子をかかえた母親はかわいそうです。この国に大きな苦難がふりかかり、神の怒りが下るからです。 + 人々は敵の手にかかって、むごい殺され方をするでしょう。また、捕虜となって多くの国々に連れ去られたり、追放されたりする人もいます。エルサレムは占領され、神の恵みの時が来て、外国人の勝利の期間が終わるまで、彼らに踏みにじられるのです。 + それから、天に不思議な現象が起こります。太陽と月と星には不吉な前兆が現れ、地上では荒れ狂う海と高潮のために、諸国民はおじ惑います。 + 人々は、何かとてつもなく恐ろしいことが起こるのではないかという不安にかられ、意気阻喪します。不動と信じられていた天が揺れ動くのですから、むりもありません。 + その時、地上にいる人々は、メシヤのわたしが雲に乗り、力と輝かしい栄光を帯びてやって来るのを見るでしょう。 + いま言ったようなことが起こり始めたら、しっかりと立ち、天を見上げなさい。救いの時が近づいているのです。」 + このあとイエスは、人々にたとえで話されました。「いちじくの木やほかの木を注意して見ていなさい。 + 葉が出てくれば、ああ、もうすぐ夏だなと思うでしょう。 + 同じように、こうした現象が起こるのを見たら、神の国はもうそこまで来ていると考えなさい。 + はっきり言いましょう。これらのことが全部起こってから、世の終わりが来るのです。 + 天と地とは消えてなくなります。けれどもわたしのことばは、永遠に真実なものとして残るのです。 + 気をつけなさい。わたしは不意に来ます。その時になって、あわてふためかないようにしなさい。遊び騒いだり、酒におぼれたり、この世の心配事のために駆けずり回ったりしている姿を見られないようにしなさい。 + 少しも油断してはいけません。こんな恐ろしい目に会わずにわたしの前に出られるように、熱心に祈っていなさい。」 + イエスは毎日、宮で教えておられました。人々は朝早くから、話を聞こうと集まって来ました。そして夜になると、イエスはオリーブ山に戻って行かれました。 + + + パン種を入れないパンを食べる、ユダヤ人の過越の祭りが近づいていました。 + 祭司長や他の宗教的指導者たちは、何とかしてイエスを殺そうと、あれこれ陰謀を巡らしていました。群衆の暴動を引き起こさずにイエスを葬り去る方法がないものかと、やっきになっていたのです。 + さて、十二人の弟子の一人イスカリオテのユダの心に、サタンが忍び込みました。 + ユダは祭司長や神殿の警備隊長たちのところへ出かけ、イエスを彼らに売り渡すのに、一番よい方法を相談しました。 + 彼らは大喜びし、ユダに報酬を与える約束をしました。 + それでユダは、群衆が回りにいない時に、ひそかにイエスを逮捕させようと、チャンスをうかがい始めました。 + さて、過越の小羊を種を入れないパンといっしょに食べる、その日になりました。 + イエスはペテロとヨハネを先に遣わして、過越の食事をする場所を探させました。 + 「どこへ行けば、よろしいでしょう。」 + 「エルサレムに入るとすぐ、水がめを運んでいる男に出会うから、そのあとについて行きなさい。 + 彼が入った家の主人に、『私どもの先生が、弟子たちといっしょに過越の食事のできる客間を見せていただきたい、と申しておりますが』と言いなさい。 + 主人は、用意万端ととのった二階の広間を見せてくれるでしょう。そこで食事の用意をしなさい。さあ、急いで。」 + 二人が町に行ってみると、何もかも言われたとおりです。こうして、食事の準備はできあがりました。 + やがて時間になり、一同は、その広間でそろって食卓に着きました。 + まず口火を切ったのはイエスです。「苦しみの始まる前に、ぜひ、いっしょに過越の食事をしたいと思っていました。 + あなたがたに言いますが、神の国で過越が実現するまで、わたしは二度と過越の食事をとることはありません。」 + それから、ぶどう酒の杯を取り、感謝の祈りをささげてから、こう言われました。「これを分け合いなさい。 + わたしは神の国が来るまで、もうぶどう酒を飲むことはありません。」 + 次にパンを取り、神に感謝してから、それをちぎり、弟子たち一人一人に分け与えながら言われました。「これはあなたがたに与えるわたしの体です。わたしの記念として、これを食べなさい。」 + 食事のあと、杯を弟子たちに渡して言われました。「この杯は、神があなたがたを救ってくださるという新しい契約を保証するものです。つまり、あなたがたのたましいを買い戻すために、わたしが流す血を表します。 + しかし、この食事の席にいっしょに座っている一人が、わたしを裏切ります。 + わたしは死ななければなりません。それが神のご計画なのです。しかし裏切り者には、どんな恐ろしいのろいが待ち受けていることでしょうか。」 + 弟子たちは、そんなことをする者はいったいだれだろう、といぶかりました。 + また彼らの間で、やがて実現する御国でだれが一番偉いかということで議論が起こりました。 + イエスは、それを見て言われました。「この世では、王や高官たちが支配者として権力をほしいままにしています。 + だが、あなたがたの間では違います。一番よく人に仕える人こそ、よく人を治める人になるのです。 + この世では、主人が食卓に着き、召使に給仕をさせます。しかし、あなたがたの間では、このわたしが給仕をするのです。 + それにしてもあなたがたは、わたしにふりかかったさまざまの試練の時に、よくいっしょに耐え抜いてくれました。 + だから、父がわたしに御国をお任せくださったように、わたしも、あなたがたにすばらしい特権をあげましょう。 + 御国でわたしの食卓に着き、共に食事をする特権、また王座に座って、イスラエルの十二の部族をさばく特権です。 + シモン、シモン。いいですか。サタンがあなたがたを麦のように、ふるいにかけることを願い出ました。 + しかし、安心しなさい。あなたの信仰がなくならないように、祈ってあげました。だから、悔い改めて立ち直った時には、仲間の者たちもしっかり立てるように、力づけてやりなさい。」 + するとシモンは言いました。「主よ、何をおっしゃるのです。牢獄までもついてまいります。ごいっしょに死ぬ覚悟もできております。」 + 「ペテロよ。残念ですが、はっきり言います。明日の朝、鶏が鳴くまでに、あなたは三度、わたしを知らないと言うでしょう。」 + それから、弟子たちにお尋ねになりました。「救いの福音を伝えようと、わたしがあなたがたを派遣した時、わずかのお金も、旅行袋も、着替えも持たせませんでした。その時、旅先で何か不自由しましたか。」「いいえ、何もありませんでした。」 + 「しかし今は、手持ちの物があれば、旅行袋も財布も持って行きなさい。剣がなかったら、着物を売り払ってでも手に入れなさい。 + 『彼は罪人の一人に数えられた』という預言どおりのことが、わたしに起こるのです。わたしについて言われたことは、必ずそのとおりになるのです。」 + 「先生。剣なら二振りありますが。」「それで十分です。」 + それから、イエスは弟子たちと連れ立って部屋を出て、いつものようにオリーブ山に行かれました。 + 「誘惑に負けないように、神に祈りなさい。」 + こう言い残すと、イエスは、石を投げれば届くあたりまで歩いて行き、ひざまずいて祈り始められました。「父よ。許していただけるなら、どうぞこの恐ろしい杯を取り除いてください。ですが、わたしの思いどおりにではなく、あなたのお心のままになさってください。」 + この時、天から天使が現れ、イエスを力づけました。 + イエスは苦しみもだえながら、いよいよ力を込めて祈られました。大粒の汗が、まるで血のしずくのようにしたたり落ちました。 + ようやく立ち上がり、弟子たちのところに帰って来ると、弟子たちは悲しみのあまり、疲れ果てて眠り込んでいました。 + 「どうして眠っているのですか。さあ、起きなさい。誘惑に負けないように、祈っていなさい。」 + こう言い終わらないうちに、十二弟子の一人ユダに先導されて、大ぜいの群衆がやって来ました。ユダはイエスに駆け寄り、さも親しげに頰に口づけのあいさつをしました。 + しかしイエスは、あわれむように、「ユダよ。口づけでメシヤを裏切るのですか」と言われました。 + 事態の急変に取り乱した弟子たちは、「戦いましょう、先生。やつらをたたき切ってやりましょう!」と騒ぎだしました。 + そして一人が、大祭司のしもべに襲いかかり、右の耳を切り落としました。 + 「やめなさい。それ以上手向かってはいけません。」イエスはこう命じてから、そのしもべの傷口にさわって、いやされました。 + 次に、群衆の先頭にいた祭司長、宮の警備隊長、ユダヤ人の指導者たちに向かって言われました。「剣やこん棒で武装をして来なければならないほど、わたしは凶悪犯なのですか。 + わたしは毎日宮にいたのに、なぜそこで捕らえなかったのですか。しかし、今はあなたがたの時、サタンが勝ち誇る時なのです。」 + 人々はイエスを捕らえ、大祭司の家に引っ立てました。遠くから、ペテロが恐る恐るあとをつけて行きました。 + 家の中庭では、兵士たちがたき火を囲んで暖まっています。ペテロもその中にまぎれて座り込みました。 + そのうち、一人の女中が火のあかりでペテロに気づき、「この人、イエスといっしょだったわ!」と叫びました。 + 「と、とんでもない! そんな人は知らんよ。」ペテロはあわてて打ち消しました。 + しばらくすると、ほかの男が、「いいや、おまえはやつらの仲間に違いない」と言い寄りました。「違う、違う。絶対そんなことはない。」ペテロは否定しました。 + それから一時間ほどたって、また別の男が、「おまえは確かにイエスの弟子だ。その証拠に、二人ともガリラヤ人じゃないか」と言いました。 + ペテロは夢中で否定しました。「何のことだ! さっぱりわからない。」ペテロがこう言い終わらないうちに、鶏の鳴き声が聞こえました。 + その瞬間、イエスはふり向き、ペテロを見つめました。ペテロは、はっと我に返りました。「明日の朝、鶏が鳴くまでに、あなたは三度、わたしを知らないと言うでしょう」と言われたイエスのことばを思い出したのです。 + ペテロは外へ走り出て、泣きくずれました。 + さて、見張りの警備員たちは、イエスをからかい始めました。目隠しをしては、こぶしでなぐり、「おい、今なぐったのはだれだ。当ててみろよ、預言者様」とはやし立てるなど、 + ありとあらゆる侮辱を加えました。 + 夜が明けそめるころ、ユダヤの最高議会が開かれました。祭司長をはじめ、国中の指導者が勢ぞろいしています。そこへイエスは引き出され、 + 尋問が始まりました。「ほんとうに、おまえはメシヤ(救い主)なのか。はっきり言いなさい。」イエスは言われました。「そうだと言ったところで、信じる気はないでしょう。釈明させるつもりも。 + しかし、栄光のメシヤであるわたしが、全能の神の右の座につく時はもうすぐ来ます。」 + 議会は騒然となり、尋問の声も荒立ってきました。「なに!あくまで神の子だと言いはるつもりか!」「そのとおりです。」イエスはお答えになりました。 + 「これだけ聞けば十分だ! 彼の口から確かに聞いたのだから。」議員たちは叫びました。 + + + 衆議一決し、全議員がそろって、イエスを総督ピラトのもとに連れて行きました。 + そして口々に訴えました。「この男は、ローマ政府に税金を納めるなとか、自分こそメシヤだの、王だのと言って、国民を惑わした不届き者です。」 + ピラトはイエスに問いただしました。「ほんとうに、おまえはユダヤ人のメシヤで、王なのか。」「そのとおりです。」 + ピラトは祭司長や群衆のほうを向き、「この男には何の罪もないではないか」と言いました。 + これを聞いて人々は、必死になって叫びました。「この男はガリラヤからエルサレムまで、ユダヤ全国で民衆をたきつけ、暴動を起こそうとしたんですよ!」 + そこでピラトは、「では、この男はガリラヤ人なのか」と尋ね、 + 人々がそうだと答えると、イエスをヘロデ王(ヘロデ‧アンテパス)のもとへ連行するように命じました。ガリラヤはヘロデの支配下にあり、その時ヘロデは、ちょうどエルサレムに滞在中だったからです。 + イエスに会えて、ヘロデは大喜びでした。前々からイエスのうわさを耳にし、一度、イエスが行う奇跡を見てみたいと思っていたのです。 + ヘロデはイエスを前にして、次から次へと質問をあびせました。ところがイエスは口をつぐみ、何一つ答えません。 + 祭司長や他の宗教的指導者たちは、そばに立ち、激しい口調でイエスを訴えました。 + ヘロデと部下の兵士たちは、さんざんイエスをばかにし、あざけったあげく、王が着るようなガウンを着せて、ピラトのもとに送り返しました。 + それまで敵対していたヘロデとピラトがたいそう親しくなったのは、この日からです。 + ピラトは、祭司長とユダヤ人の指導者たち、それに民衆もみないっしょに呼び出し、 + 判決を言い渡しました。「おまえたちは、この男を、ローマ政府への反乱を指導したかどで訴えた。それでくわしく調べてみたが、そのような容疑事実はない。この男は無罪だ。 + ヘロデも同じ結論に達し、私のもとに送り返してきた。この男は死刑にあたるようなことは何もしていない。 + だから、むちで打ってから釈放しようと思う。」 + しかし、人々はいっせいに叫び立てました。「そいつを殺せ! バラバを釈放しろ!」 + バラバとは、エルサレムで政府転覆を図った罪と殺人罪とで投獄されていた男でした。 + ピラトは、なんとかしてイエスを釈放しようと、なおも群衆を説得しましたが、 + 彼らは聞き入れません。「十字架だ! 十字架につけろ!」と叫び続けるばかりです。 + ピラトは、三度も念を押しました。「どうしてだ。この男がどんな悪事を働いたというのか。死刑を宣告する理由など見つからん。だから、むち打ってから釈放してやるつもりだ。」 + それでも騒ぎはおさまりません。ますます大声で、イエスを十字架につけろと要求する群衆の声に、ついにピラトも負けてしまいました。 + しかたなく彼らの要求どおりに、イエスに死刑を宣告し、 + 反逆罪と殺人罪で投獄されていたバラバを釈放しました。一方、イエスのほうは、すぐに人々の手に渡し、彼らの好きなようにさせました。 + 人々は、イエスを刑場に引いて行く途中、田舎からエルサレムに着いたばかりの、シモンというクレネ人にむりやり十字架を背負わせ、イエスのうしろから運ばせました。 + 大ぜいの民衆や、イエスのことを悲しむ女たちがあとからついて行きます。 + イエスは女たちのほうをふり向き、とぎれとぎれに言われました。「エルサレムの娘たちよ。わたしのために泣いてはならない。自分と、自分の子どもたちのために泣きなさい。 + なぜなら、子どもを持たない女のほうが幸いと思う日が、すぐにでも来るのです。 + その時、人々は山に向かって、『私たちの上に倒れて、押しつぶしてくれ!』と叫び、丘に向かって、『私たちを埋めてくれ!』と頼むでしょう。 + 生木のわたしさえ、こんな目に会うとしたら、枯れ木同然の人たちには、いったい、どんなことが起こるでしょう。」 + イエスだけでなく、ほかに二人の犯罪人が、「どくろ」と呼ばれる場所で処刑されるために、引いて行かれました。刑場に着くと、三人は十字架につけられました。イエスが真ん中に、二人はその両側に。 + その時、イエスはこう言われました。「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、自分たちが何をしているのかわかっていないのです。」兵士たちがさいころを投げて、イエスの着物を分け合うのを、 + 民衆はそばに立ってながめていました。一方、ユダヤ人の指導者たちもイエスをあざけり、「他人ばかり助けて、このざまは何だ。ほんとうに神に選ばれたメシヤなら、自分を救ってみろ!」と言いました。 + 兵士たちは、酸っぱいぶどう酒を差し出しながら、 + 「ユダヤ人の王様なら、自分を救ったらどうだ!」とからかいました。 + 十字架のイエスの頭上には、「これはユダヤ人の王」と書いた罪状書きが掲げてありました。 + イエスの横で十字架につけられていた犯罪人の一人が、「あんたはメシヤなんだってなあ。だったら、自分とおれたちを救ってもよさそうなもんだ。どうなんだ」とののしりました。 + しかし、もう一人の犯罪人は、それをたしなめました。「この期に及んで、まだ神を恐れないのか! おれたちは悪事を働いたんだから、報いを受けるのはあたりまえだ。だが、このお方は悪いことは何もしなかったのだ。」 + そして、イエスにこう頼みました。「イエス様。御国に入る時、どうぞ私を思い出してください。」 + イエスはお答えになりました。「あなたは今日、わたしといっしょにパラダイス(天国)に入ります。」 + その時です。正午だというのに、突然、あたりが暗くなり、午後三時までそんな状態が続きました。 + 太陽は光を失い、神殿の幕が、なんと真っ二つに裂けたのです。 + その時イエスは、大声で、「父よ。わたしの霊を御手におゆだねします!」と叫んで、息を引き取られました。 + 刑を執行していたローマ軍の隊長は、不思議な出来事を見て、神への恐れに打たれ、「確かに、この人は正しい方だった」と言いました。 + また、十字架刑を見に来ていた群衆も、このイエスの最期を見て、みな深い悲しみに沈んで、家へ帰って行きました。 + 一方、ガリラヤからイエスに従って来た女たちやイエスの知人たちは、遠くからじっと様子を見守っていました。 + そのころ、ユダヤの最高議会の議員で、アリマタヤ出身のヨセフという人が、ピラトのもとに行き、イエスの遺体を引き取りたいと願い出ました。彼はメシヤが来るのをひたすら待ち望んでいた神を敬う人物で、他の議員たちの決議や行動には同意していませんでした。 + ヨセフはイエスの遺体を十字架から降ろし、長い亜麻布に包んで、まだだれも葬ったことのない、岩をくり抜いた新しい墓に納めました。 + それは、安息日の準備の日にあたる金曜日の、午後遅いころのことでした。 + 遺体が十字架から降ろされた時、ガリラヤから従って来た女たちは、ヨセフのあとについて行き、イエスが墓に納められるのを見届けました。 + それから家に戻り、遺体に塗る香料と香油とを用意しましたが、すぐに安息日になったので、ユダヤのおきてに従って休みました。 + + + 日曜日の明け方早く、待ちかねた女たちは香油を持って墓に急ぎました。 + 着いてみると、どうしたことでしょう。墓の入口をふさいであった大きな石が、わきへ転がしてありました。 + 中へ入って見ると、主イエスの体は影も形もありません。 + 「いったい、どうなってるのかしら。」女たちは途方にくれました。すると突然、まばゆいばかりに輝く衣をまとった人が二人、目の前に現れました。 + 女たちはもう恐ろしくて、地に伏したまま顔も上げられず、わなわな震えていました。その人たちは言いました。「なぜ生きておられる方を、墓の中で捜しているのです。 + あの方はここにはおられません。復活なさったのです。まだガリラヤにおられたころ、何と言われましたか。メシヤは悪者たちの手に売り渡され、十字架につけられ、それから三日目に復活する、と言われたではありませんか。」 + そう言われて女たちは、はっと思いあたりました。 + そして、すぐさまエルサレムに取って返し、十一人の弟子やほかの人たちに一部始終を話しました。 + そのとき墓へ行った女たちは、マグダラのマリヤとヨハンナ、ヤコブの母マリヤ、そのほか数人でした。 + ところが、男たちには、この話がまるで物語のようで、とても現実のこととは思えません。だれも、まともに信じようとしませんでした。 + しかしペテロは、それでも一応は確認しなければと墓へ行き、身をかがめて中をのぞき込みました。すると、どうでしょう。亜麻布のほかに何も見あたりません。それで、この出来事に驚いて家に戻りました。 + この同じ日曜日のことです。二人の弟子が、エルサレムから十一キロほど離れたエマオという村へ急いでいました。 + 二人が道々話し合っていたのは、イエスの死のことでした。 + そこへ突然、当のイエスが近づき、彼らと連れ立って歩き始めました。 + しかし二人には、イエスだとはわかりません。神がそうなさったのです。 + イエスが尋ねました。「何やら熱心にお話しのようですね。いったい何がそんなに問題なのですか。」すると二人は、急に顔をくもらせ、思わず足を止めました。 + クレオパというほうの弟子があきれたように、「エルサレムにいながら、先週起こった、あの恐ろしい出来事を知らないとは。そんな人は、あなたぐらいのものでしょう」と言いました。 + 「どんなことでしょうか?」「ナザレ出身のイエス様のことをご存じないのですか。この方は、信じられないような奇跡を幾つもなさった預言者で、すばらしい教師でもあったのです。神からも人からも重んじられていたのですが、 + 祭司長やほかの宗教的指導者たちは、理不尽にもこの方をつかまえて、ローマ政府に引き渡し、十字架につけてしまったのです。 + 私たちは、この方こそ栄光に輝くメシヤで、イスラエルを救うために来られたに違いないと考えていたのですが。ところが、話はそれで終わらないのです。弟子仲間の女たちが、なんとも奇妙なことを言いだしたのです。処刑があった日から、今日で三日目になりますが、今朝がた早く、その女たちが墓へ行ったところ、イエス様のお体は影も形もなかったというではありませんか。しかもその場に天使が現れて、イエス様は生きておられると語ったとか……。 + その話を聞いて、仲間のある者たちが墓へ駆けつけて確認したのですが、彼らも口をそろえて、墓は空っぽだったと証言しているのです。」 + 「ああ、どうしてそんなに、心が鈍いのですか。預言者たちが聖書に書いていることを信じられないのですか。 + キリストは栄光の時を迎える前に、必ずこのような苦しみを受けるはずだと、預言者たちははっきり語ったではありませんか。」 + それからイエスは、創世記から始めて、聖書(旧約)全体にわたって次々と預言者のことばを引用しては、救い主についての教えを説き明かされました。 + そうこうするうち、エマオに近づきましたが、イエスはまだ旅を続ける様子です。 + 二人は、じきに暗くなるから、今晩はここでいっしょに泊まってくださいと熱心に頼みました。それでイエスもいっしょに家に入りました。 + 食卓に着くと、イエスはパンを取り、神に祝福を祈り求め、ちぎって二人に渡しました。 + その瞬間、二人の目が開かれ、その人がイエスだとわかりました。と同時に、イエスの姿はかき消すように見えなくなりました。 + 二人はあっけにとられながらも、「そう言えば、あの方が歩きながら語りかけてくださった時も、聖書のことばを説明してくださった時も、不思議なほど私たちの心が燃えていたではないか」と語り合いました。 + そして、すぐエルサレムへ取って返しました。戻ってみると、十一人の弟子たちやほかの弟子たちが迎え、「主は、ほんとうに復活された。ペテロがお会いしたのだからまちがいない」と話していました。 + そこで二人も、エマオへ行く途中イエスと出会ったことや、パンをちぎられた時にはっきりイエスだとわかったことなどを話しました。 + これらの話をしている時、突然イエスが現れ、みんなの真ん中に立たれたのです。 + 彼らは幽霊を見ているのだと勘違いし、ぶるぶる震えました。 + 「なぜそんなに驚くのですか。どうしてそんなに疑うのですか。 + さあ、この手を、この足を、よくごらんなさい。わたしにまちがいないでしょう。さあ、さわってみなさい。これでも幽霊でしょうか。幽霊だったら、体などないはずです。」 + イエスはそう言いながら、手を差し出して釘の跡を見せ、また、足の傷もお示しになりました。 + 弟子たちは、うれしいけれども、まだ半信半疑です。心を決めかねて、ぼう然としていました。それでイエスは、「何か食べ物がありますか」とお尋ねになりました。 + 焼き魚を一切れ差し上げると、 + イエスはみんなの見ている前で召し上がりました。 + イエスは言われました。「以前、いっしょにいた時、モーセや預言者の書いたこと、それに聖書の詩篇にあることは、必ずそのとおりになると話して聞かせたはずです。忘れてしまったのですか。」 + イエスが弟子たちの心の目を開いてくださったので、彼らはやっと理解しました。 + イエスは、さらに続けられました。「キリストは苦しめられ、殺され、そして三日目に復活することが、ずっと昔から記されていたのです。 + 悔い改めてわたしのもとに立ち返る人は、だれでも罪が赦されます。この救いの知らせは、エルサレムから始まり、世界中に伝えられるのです。 + あなたがたはこのことの証人です。初めから何もかも見てきたのですから。 + わたしは、父が約束してくださった聖霊をあなたがたに送ります。しかし、聖霊が来て、天からの力で満たしてくださるまでは、都にとどまっていなさい。」 + それからイエスは、彼らをベタニヤまで連れて行き、手を上げて祝福してから、 + 彼らから離れて行かれました。 + 彼らは喜びに胸を躍らせて、エルサレムに戻り、 + いつも宮にいて神を賛美していました。 + +
+
+ + まだこの世界に何もない時から、キリストは神と共におられました。キリストは、いつの時代にも生きておられます。キリストは神だからです。 + このキリストが、すべてのものをお造りになりました。そうでないものは一つもありません。 + キリストには永遠のいのちがあります。全人類に光を与えるいのちです。 + そのいのちは暗闇の中でさんぜんと輝いていて、どんな暗闇もこの光を消すことはできません。 + イエス‧キリストこそほんとうの光です。このことを証言させるために、神はバプテスマのヨハネをお遣わしになりました。 + ヨハネ自身は光ではなく、ただその光を指し示す証人にすぎません。 + 後に、ほんとうの光である方が来て、全世界の人々を照らしてくださったのです。 + ところが、世界を造った方が来られたというのに、だれもこの方に気づきませんでした。 + ご自分の国に来ながら、ご自分の民に受け入れられなかったのです。この方を心から喜び迎えたのは、ほんのわずかな人たちだけでしたが、受け入れた人はみな、この方から神の子どもとなる特権をいただきました。それにはただ、この方が救ってくださると信じればよかったのです。 + 信じる人はだれでも、新しく生まれ変わります。それは、人間の熱意や計画によるものではありません。神がそう望まれたからです。 + キリストは人間となり、この地上で私たちと共に生活なさいました。彼は恵みと真実のお方でした。私たちは、この方の栄光を目のあたりにしました。それは天の父である神の、ひとり子としての栄光でした。 + バプテスマのヨハネは、人々にキリストを紹介しました。「私が今まで、『まもなく来られる方は、私よりはるかに偉大な方だ。私が生まれるずっと前からおられたからだ』と言ってきたのは、まさにこの方のことです。」 + この方の恵みは尽きることがありません。私たちはみな、次から次へと、あふれるばかりに恵みをいただきました。 + モーセはきびしい命令と戒めとを与えましたが、イエス‧キリストはその上に、愛に満ちた赦しの道を備えてくださったのです。 + いまだかつて、実際に神を見た人はいません。しかし、神のひとり子だけは別です。御子は父なる神といつもいっしょですから、神について知っていることを教えてくださいました。 + ユダヤ人の指導者たちは、エルサレムから、祭司とその助手たちとをバプテスマのヨハネのもとへ派遣し、「あなたはキリスト(ギリシャ語で、救い主)なのか」と問いたださせました。 + ヨハネは、「私はキリストではない」と、きっぱり否定しました。 + 「では、いったいだれか。エリヤか。」「いや、違う。」「すると、あの預言者か。」「いや。」 + 「では、いったい何者か。はっきりしてくれ。私たちは帰って報告しなければならないのだ。あなたはだれなのか。」 + 「私は、イザヤが預言した、あの荒野から聞こえる叫び声です。『主を迎える準備をせよ』と叫ぶ声、それが私です。」 + パリサイ人(特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)から派遣された人たちは、なおもヨハネに問いました。「キリストでも、エリヤでも、あの預言者でもないのなら、いったいどんな資格でバプテスマ(洗礼)を授けているのか。」 + ヨハネは答えました。「私はただ、水でバプテスマを授けているだけです。しかし、ここにいる人々の中には、あなたがたのまだ知らない方がおられます。 + まもなく、あなたがたの間で働きを始められるでしょう。私にはその方のしもべとなる資格もないのです。」 + このことがあったのは、ヨハネがバプテスマを授けていたヨルダン川の東岸にある、ベタニヤ村でのことです。 + その翌日、ヨハネはイエスが来られるのを見て、言いました。「ごらんなさい。この方こそ、世の人々の罪を取り除く神の小羊です。 + 私が、『まもなく、私よりはるかに偉大な方がおいでになる。私よりずっと前からおられる方だ』と話していたのは、この方のことだったのです。 + 最初、私もこの方がキリストであるとはわかりませんでした。しかし、私がここで水のバプテスマを授けているのは、まさにこの方を、イスラエルの人々に紹介するためだったのです。」 + ヨハネはさらに続けました。「確かに、聖霊が鳩のように天から下り、この方の上にとどまられるのを見ました。 + それまでは私も、この方がキリストだとはわかりませんでした。しかし、バプテスマを授けさせるために私を遣わす時、神がこう言われたのです。『もし、聖霊がだれかに下り、その上にとどまるのを見たら、その方こそ、あなたの捜し求めている方、聖霊のバプテスマをお授けになる方である。』 + そのとおりのことが、この方に起こりました。しっかりこの目で見たのです。この方は神の子にまちがいありません。」 + その翌日、ヨハネは二人の弟子といっしょに立っていました。 + 目を上げると、イエスが歩いておられるではありませんか。その姿をじっと見つめながら、ヨハネは、「ごらんなさい。神の小羊です」と言いました。 + これを聞いた弟子は二人とも、急いでイエスのあとを追いかけました。 + その足音にイエスはふり向き、二人を見てお尋ねになりました。「何かご用ですか。」「先生。今、どちらにお泊まりですか。」 + 「いっしょに来なさい。すぐにわかります。」こう言われて二人は、イエスの泊まっておられる所までついて行きました。午後四時ごろのことでした。その日二人は、それからずっとイエスといっしょにいました。 + 二人のうち一人は、シモン‧ペテロの兄弟アンデレでした。 + それからアンデレはシモンを捜し出し、「とうとうメシヤ(ヘブル語で、救い主)にお会いしたよ」と言いました。 + そして、彼をイエスのところへ連れて行きました。イエスはシモンをじっと見つめ、「あなたはヨハネの子シモンですね。これからは、ペテロ(岩)と呼びましょう」と言われました。 + その翌日、イエスはガリラヤへ出発されました。途中、ピリポを見つけ、「さあ、ついて来なさい」と言われました。 + ピリポはアンデレやペテロと同郷で、ベツサイダの出身でした。 + ピリポはナタナエルを捜しに行き、会うなり言いました。「私たちはメシヤにお会いした。モーセや預言者たちが言った、あのお方のことだよ。ナザレ出身のイエスという方で、ヨセフという人の息子さんだそうだ。」 + 「ナザレだって!」ナタナエルはびっくりしました。「あんな所から、すぐれた人物など出るはずがない。」しかしピリポは、「とにかく来て、自分の目で確かめたらいいだろう」と言いました。 + ナタナエルも行ってみる気になりました。イエスは歩いて来るナタナエルの姿に目をとめておっしゃいました。「この人こそ生粋のイスラエル人です。正直で、うそがありません。」 + 「どうして、おわかりなのですか。」ナタナエルは聞き返しました。「わたしは、ピリポがあなたに会う前に、あなたがいちじくの木の下にいるのを見ましたよ。」 + 「先生。あなたは神の子、イスラエルの王です。」 + 「そう信じるのは、あなたがいちじくの木の下にいるのを見たと、わたしが言ったからですか。それよりもはるかにすばらしい証拠があります。 + 天が開けて、天使たちがメシヤのわたしの上を行き来するのを、やがて、あなたがたは見るのです。」 + + + それから三日目に、ガリラヤのカナという村で結婚式があり、イエスの母マリヤが客として出席していました。 + イエスと弟子たちも招待されていました。 + ところが、祝宴の最中だというのに、ぶどう酒が切れてしまったのです。マリヤは、そのことをイエスに知らせました。 + イエスは、「今はかかわりがないことです、お母さん。まだ、その時ではありません」と、お答えになりました。 + マリヤは手伝いの者たちに、「この人の言うとおりにしてください」と言いました。 + さて、そこには石の水がめが六つありました。ユダヤ教の儀式に使う水がめで、それぞれ八十リットルから百二十リットルぐらい入るものです。 + イエスは手伝いの者たちに、「さあ、縁までいっぱい水を入れなさい」と指示なさいました。彼らがそのとおりにすると、 + 「では、それを汲んで、婚宴の世話役のところへ持って行きなさい」と言われます。彼らは言われるままに持って行きました。 + 宴会の世話役が試しに一口味わってみると、おいしいぶどう酒です。「こんな上等の酒を、いったいどこから出してきたんだろう」と首をかしげました。もちろん手伝いの者たちは何もかも知っていました。そこで、世話役は花婿を呼び出して、 + 言いました。「これは極上のぶどう酒じゃないですか。あなたはすばらしい方だ。たいていどこの家でも初めに良いぶどう酒を出し、酔いがまわって味がわからなくなると、安物でごまかすものです。ところがあなたは、一番上等なものを、最後まで取っておかれたのですから。」 + このガリラヤのカナでの奇跡は、イエスが神の力を公に示された最初のものでした。これを見て弟子たちは、イエスを正真正銘のメシヤと信じたのです。 + その結婚式のあと、イエスは、母や兄弟、弟子たちといっしょにカペナウムへ行き、数日間、滞在されました。 + ユダヤ人の過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、年に一度のユダヤ人の祭り)が近づき、イエスはエルサレムへ行かれました。 + 宮の境内には、供え物用の牛や羊、鳩を売る商人たちと、座って両替をしている人たちがいました。 + それを見て、イエスはなわでむちを作り、商売人たちをみな追い出し、鳩や羊や牛を追い散らし始めました。次々に両替人の台をひっくり返したので、お金があたり一面に散らばりました。 + イエスは鳩を売る者たちに、「それを持って出て行きなさい。父の家を金もうけの場所にしてはいけません」と言われました。 + そのとき弟子たちは、「神の家を思う熱心が、わたしを焼き尽くす」という、聖書の預言を思い出したのです。 + おさまらないユダヤ人の指導者たちは、かんかんになって言いました。「いったい何の権利があってこの人たちを追い出すのか。そんな権威を神から与えられているのだったら、その証拠に奇跡を見せてもらおう。」 + イエスはお答えになりました。「わかりました。この神殿をこわしなさい。三日で建て直してみせましょう。」 + 「なんということを! この神殿は建てるのに四十六年もかかったのだ。それを三日で建てると言うのか。」ユダヤ人たちはあきれ返りました。 + しかし、イエスが「この神殿」と言われたのは、ご自分の体のことだったのです。 + イエスが復活されたあとで、弟子たちはこの時のことを思い出しました。そして、イエスがご自分のことを聖書のことばを引用して話されたのであり、そのとおりになったことを知ったのです。 + 過越の祭りの時、イエスがエルサレムで奇跡を行われたので、多くの人が、「この方は確かにメシヤだ」と信じるようになりました。 + しかしイエスは、そういう人々を信用されたわけではありません。人間がどれほど変わりやすいものかを知り尽くしておられたからです。 + + + とっぷり日も暮れたある夜のこと、パリサイ人で、ニコデモという名のユダヤ人の指導者がイエスに会いに来ました。「先生。だれも、あなたが神から遣わされた教師であることを知っております。あなたのなさる奇跡を見ればわかることです。」 + 「そうですか。でもよく言っておきますが、あなたはもう一度生まれ直さなければ、絶対に神の国に入れません。」 + ニコデモは、思わず言いました。「ええっ、もう一度生まれるのですか。いったい、どういうことですか。年をとった人間が母親の胎内に戻って、もう一度生まれることなどできるわけがありません。」 + 「よく言っておきますが、だれでも水と御霊によって生まれなければ、神の国には入れません。 + 人間からは人間のいのちが生まれるだけです。けれども御霊は、天からの、全く新しいいのちを下さるのです。 + もう一度生まれなければならないといって、驚くことはありません。 + 風は音が聞こえるだけで、どこから吹いて来て、どこへ行くのかわかりません。御霊も同じことです。次はだれにこの天からのいのちが与えられるか、わからないのです。」 + 「それはいったい、どういうことですか?」 + 「あなたはみなに尊敬されているユダヤ人の教師ではありませんか。このようなこともわからないのですか。 + わたしは知っていること、見たことだけを話しているのです。それなのに、あなたがたは信じてくれません。 + わたしが話しているのは、人間の世界で現に起こっていることなのです。それも信じられないくらいなら、天で起こることなど話したところで、とても信じられないでしょう。 + メシヤのわたしだけが、この地上に下って来て、また天に帰るのです。 + モーセが荒野で、青銅で作った蛇をさおの先に掲げたように、わたしも木の上に上げられなければなりません。 + わたしを信じる人がみな、永遠のいのちを持つためです。」 + 実に神は、ひとり子をさえ惜しまず与えるほどに、この世界を愛してくださいました。それは、神の御子を信じる者が、だれ一人滅びず、永遠のいのちを得るためです。 + 神がご自分の御子を世にお遣わしになったのは、世をさばくためではなく、世を救うためです。 + この神の子を信じる者は、永遠の滅びを免れます。しかし信じない者は、神のひとり子を信じなかったので、すでにさばかれているのです。 + そのさばきに会ったのは、天からの光が世に来ているのに、行いが悪く、光よりも闇を愛したからです。 + 彼らは天からの光をきらい、罪が暴露されるのを恐れて、光のほうに来ようとしません。 + しかし正しいことを行っている人は、喜んで光のほうに来ます。神の望まれることを行っていることが、はっきりわかるためです。 + その後、イエスと弟子たちはエルサレムを去り、しばらくユダヤに滞在し、バプテスマ(洗礼)を授けていました。 + そのころまだ、バプテスマのヨハネは投獄されておらず、サリムに近いアイノンでバプテスマを授けていました。そこは水が豊富にあったからです。 + ある日、ヨハネの弟子たちと一人のユダヤ人の間で、ヨハネのバプテスマとイエスのバプテスマのどちらがすぐれているかで議論になりました。 + 弟子たちは、ヨハネのところに来てぐちをこぼしました。「先生。ヨルダン川の向こう岸でお会いした、あなたがメシヤだとおっしゃったあの方も、バプテスマを授けておられるそうです。みんなこちらには来ないで、どんどんあの方のほうへ行ってしまいます。」 + ヨハネは答えました。「天の神様が、一人一人にそれぞれの役割を決めてくださいます。 + 私の役目は、だれもがあの方のところへ行けるように道を備えることです。私はキリストではないと、はっきり言ったはずです。あの方のために道を備えるために、私はここにいるのです。 + 一番魅力を感じるものに人々が集まるのは当然で、花嫁は花婿のもとへ行き、花婿の友達は花婿といっしょに喜びます。私は花婿の友達だから、花婿の喜ぶ声を聞くと、うれしくてたまらないのです。 + あの方はますます偉大になり、私はますます力を失います。 + あの方は天から来られた方で、ほかのだれよりも偉大なお方です。地から出た者は、地上のことしかわかりません。 + あの方は、見たこと聞いたことをあかしされますが、それを信じる人はなんと少ないことでしょう。 + そのあかしを信じれば、神が真理の源であることがわかります。 + 神から遣わされたあの方は、神のことばをお話しになります。神の御霊が無限に注がれているからです。 + 父なる神はこの方を愛し、万物をこの方にお与えになりました。 + この方は神の御子なのです。この方に救っていただけると信じる者はだれでも、永遠のいのちを得ます。しかし、この方に従わない者は、天国を見ることができないばかりか、神の怒りがその人の上にとどまるのです。」 + + + さて、イエスのもとにはぞくぞくと人々が詰めかけました。バプテスマ(洗礼)を受けて弟子になった者の数はヨハネよりも多いといううわさが、パリサイ人たちの耳に入りました。イエスはこのことを知ると、 + ――もっとも、実際にバプテスマを授けていたのはイエス自身ではなく、弟子たちでしたが―― + ユダヤを去り、またガリラヤ地方へ行かれました。 + その途中で、どうしてもサマリヤを通らなければなりませんでした。 + サマリヤのスカルという村にさしかかったのは、ちょうど正午ごろでした。そこに、昔ヤコブが息子ヨセフに与えた土地があり、ヤコブの井戸がありました。日がかんかんに照りつける長い道のりを歩いて来られたイエスは疲れて、井戸のそばに腰をおろしました。 + まもなくサマリヤ人の女が一人、水を汲みに来ました。イエスは、「すみませんが、水を一杯下さい」と声をおかけになりました。 + そのとき弟子たちは、村に食べ物を買いに行っており、ほかにはだれもいませんでした。 + 女はびっくりして言いました。「まあ、あなたはユダヤ人ではありませんか。サマリヤ人の私に、どうして水をくれなどと頼むのですか。」当時、ユダヤ人はサマリヤ人を見下し、口をきこうとさえしなかったのです。 + 「もし、神があなたにどんなにすばらしい贈り物を用意しておられるか、また、わたしがだれなのかを知っていれば、あなたのほうから、いのちの水を下さいと願ったでしょう。」 + 「そんなこと言っても、あなたは水を汲むおけも綱も持っていないのですよ。この井戸はとても深いのです。そのいのちの水を、いったいどこから汲むのですか。 + あなたは、私たちの先祖ヤコブ様よりも偉いと言うのですか。ヤコブ様はこの井戸を私たちにくれました。ヤコブ様も、その子孫も家畜もみんな、この井戸の水を喜んで飲んだのです。これより良い水をくれると言うのですか。」 + イエスは言われました。「この水を飲んでも、すぐにまた、のどが渇きます。 + けれども、わたしがあげる水を飲めば、絶対に渇くことはありません。わたしがあげる水は、それを飲む人のうちで永久にかれない泉となり、いつまでもその人を永遠のいのちで潤すのです。」 + 「先生。そのような水があるなら、私に下さい。そうすればのども渇かないし、毎日こんな遠くまで歩いて、水汲みに来なくてすむもの。」 + 「帰って、夫を連れて来なさい。」 + 「……。私、結婚なんかしていません。」「そうですね。あなたは五回も結婚したけれど、今いっしょに暮らしている男は、確かに夫ではありません。」 + 「先生。あなたは預言者でしょう。 + だったら教えてください。ユダヤ人は、礼拝の場所はエルサレムだけだと言いはるし、サマリヤ人は、私たちの先祖が礼拝したこのゲリジム山だと言っています。どうしてなのですか?」 + 「いいですか。父なる神を礼拝する場所は、この山か、それともエルサレムかなどと、こだわる必要のない時が来ます。大切なのは、どこで礼拝するかではありません。どのように礼拝するかです。霊的な、真心からの礼拝をしているかどうかが問題なのです。神は霊なるお方ですから、正しい礼拝をするには、聖霊の助けが必要です。神はそのような礼拝をしてほしいのです。あなたがたサマリヤ人は、神のことはほとんど何も知らないで礼拝していますが、私たちユダヤ人はよく知っています。救いはユダヤ人を通してこの世に来るのですから。」 + 「私は、キリストと呼ばれるメシヤがおいでになることだけは知っています。その方がおいでになれば、いっさいのことを説明してくださるのでしょう。」 + 「わたしがそのメシヤです。」 + ちょうどその時、弟子たちが戻って来ました。驚いたことに、イエスが女と話しておられるではありませんか。しかし、どうしてなのか、何を話しているのか尋ねた者はいませんでした。 + 女は水がめを井戸のそばに置いたまま村に帰り、会う人ごとに話しかけました。 + 「ねえ、来て、会ってごらんよ。私のしてきたことを、何もかも言い当てた方がいらっしゃるの。あの方こそキリスト(救い主)に違いないよ。」 + この誘いに村人たちは、イエスに会おうと、ぞくぞくと押しかけました。 + そのころ、弟子たちはイエスに、「先生。どうぞお食事を」と勧めましたが、 + イエスは、「いや、けっこうです。わたしには、あなたがたの知らない食べ物があるのです」と言われました。 + 弟子たちはけげんそうに、「だれかが食べ物を持って来たんだろうか」と口々に言いました。 + そこでイエスは説明なさいました。「いいですか、わたしの言う食べ物とは、わたしを遣わされた神のお心にかなうことをし、神の仕事をやり遂げることなのです。 + あなたがたは、『刈り入れはまだ四か月も先のこと、夏も終わりにならなければ始まらない』と思っているようですね。だが、回りをよく見なさい。人のたましいの畑は広々と一面に実り、刈り入れを待つばかりです。 + やがて、刈り入れをする人たちはたくさんの報酬をもらい、永遠のいのちに入るたましいを天の倉に納めます。その時、種をまいた者も、刈り入れをした者も共々に、大いに喜ぶのです。 + 『一人が種をまき、ほかの人が刈り入れる』ということわざのとおりにです。 + あなたがたが自分で種まきをしなかった畑に、わたしはあなたがたを遣わしました。ほかの人々が苦労して育てたものを、あなたがたが刈り入れるのです。」 + スカルの村から押しかけたサマリヤ人の多くは、例の女が、「あの方は、私のしてきたことを何もかも言い当てた」と言うのを聞いて、イエスをメシヤと信じました。 + 彼らは井戸のところに来てイエスにお会いすると、村に滞在してくださいと頼みました。そこでイエスは、二日間滞在しました。 + その間に、さらに多くの人がイエスのことばを聞いて信じました。 + 人々は女に、「もう私たちは、あなたが話してくれたことを聞いたから信じているのではない。この方が言われることを、じかに聞いたからだ。この方こそ、ほんとうに世の救い主だ」と言いました。 + さて、その二日後、イエスはスカルの村を去り、ガリラヤへ行かれました。 + イエスは常々、「預言者は、故郷では尊敬されないものです」と言っておられました。 + ところが、どうでしょう。ガリラヤの人たちは、大喜びでイエスを迎えたのです。それもそのはず、この人たちは過越の祭りの時にエルサレムにいて、イエスのなさったことを全部見ていたからです。 + ガリラヤ旅行の途中、イエスはカナの村に行かれました。以前、水をぶどう酒に変えた所です。さて、カペナウムの町に、重病の息子をかかえた政府の役人がいました。 + イエスがユダヤを出てガリラヤを旅行中だということをうわさで聞き、役人はカナまでやって来ました。そしてイエスにお会いすると、「息子が今にも死にそうです。どうぞカペナウムへおいでになって、治してやってください」と熱心に頼みました。 + イエスは言われました。「わたしがもっと多くの奇跡を行わなければ、信じようとしないのですか。」 + 「先生。お願いです。子どもが死なないうちにおいでください。」 + 「さあ、家にお帰りなさい。お子さんは治りました。」役人は、イエスのことばを信じ、家へ急ぎました。 + 途中、召使たちが迎えに来て、「ご子息は、すっかりよくなりました」と知らせました。 + 「えっ、いつからだ。」「昨日の午後一時ごろでしょうか、急に熱が下がりました。」 + それはイエスが、「お子さんは治りました」と言われた時刻とぴったり一致していました。このことがあって、役人と彼の家の者全員が、イエスをメシヤと信じました。 + これは、イエスがユダヤから来てガリラヤで行われた、第二の奇跡です。 + + + その後、ユダヤ人の祭りがあったので、イエスはエルサレムに戻られました。 + エルサレム市内には、羊の門の近くにベテスダという池がありました。池の回りには、屋根つきの五つの廊下があります。 + そこに、足の不自由な人、盲人、手足のまひした人など、大ぜいの病人が横たわっていました。この人たちは、水面が揺れ動くのを待っていたのです。 + というのは、時たま天使が降りて来て水をかき回すことがあり、そのとき最初に池に入った人は、病気が治ったからです。 + その中に、三十八年間も病気で苦しんでいる男がいました。 + イエスはこの男をごらんになり、彼が長い間どんなに苦しんできたかを知って、「よくなりたいですか」とお尋ねになりました。 + 「もう、あきらめているんです。せっかく水が動いても、だれも池に入れてはくれないんだから。何とかして行こうとしている間に、いつでもほかの人が先に入ってしまうのです。」 + 「さあ、立って、床をたたんで家に帰りなさい。」 + イエスがこう言われると、たちまち男は治って、すぐに床をたたんで歩きだしたのです。ところがこの奇跡が行われたのが安息日(神の定めた休息日)だったので、 + ユダヤ人の指導者たちはひどく腹を立て、その男を責めました。「安息日に労働するとはけしからん。床を上げて運んだりするのは違反だ!」 + 「でも、私を治してくださった方が、そうしろとおっしゃったんです。」 + 「そんなことを言ったのはだれだ!」彼らは問い詰めましたが、 + 男にも、だれだかわかりません。イエスはすでに、人ごみに姿を消しておられたからです。 + しばらくして、イエスは宮でその男を見つけ、声をおかけになりました。「どうですか、すっかりよくなったでしょう。もう前のように罪を犯してはいけませんよ。そうでないと、もっとひどい目に会うかもしれませんから。」 + 男はユダヤ人の指導者たちを捜し出し、治してくれたのはイエスだと告げました。 + ユダヤ人の指導者たちは、イエスを安息日の違反者だとして、しつこく攻撃を始めました。 + ところが、イエスはお答えになりました。「わたしの父は、絶えず良い働きをしておられます。わたしはその模範にならっているのです。」 + これを聞いたユダヤ人の指導者たちは、ますます、イエスを殺そうと思うようになりました。イエスが安息日のおきてを破ったばかりか、事もあろうに神を「父」と呼んで、自分を神と等しい者としたからです。 + イエスはお答えになりました。「よく言っておきます。子は自分からは何もできません。ただ父がしておられることを見て、同じようにするだけです。 + 父は子を愛して、自分のすることは何でも子に教えてくださるのです。神の子は、病気を治すということなどとは比べものにならない驚くべき奇跡を行います。 + 父が死人を生き返らせるように、子も、思うままに人を死人の中から生き返らせもするのです。 + 父は、罪のさばきをいっさい子に任せておられます。 + すべての者が父を敬うように、子をも敬うためです。だから、父なる神がお遣わしになった神の子を敬わないのは、父を敬わないのに等しいのです。 + よく言っておきます。わたしの言うことを聞き、わたしを遣わされた神を信じる人にはだれでも、永遠のいのちがあります。罪のために罰せられることは絶対にありません。すでに死からいのちに移っているのです。 + はっきり告げましょう。死人が神の子であるわたしの声を聞く時が、もうすぐ来ます。いや、もう来ているのです。そして、聞いた者は生きます。 + 父がご自分のいのちを、子にも与えてくださったからです。 + また、全人類の罪をさばく権威も下さいました。それもみな、子がメシヤだからです。 + 驚いてはいけません。墓の中の死人がみな、神の子の声を聞く時が来ます。 + その時、彼らは復活します。良いことをしてきた者は永遠のいのちをいただくために、悪いことをし続けてきた者はさばきを受けるためにです。 + しかしわたしは、父と相談もせずにさばいたりはしません。ただ言われるとおりにさばくだけです。ですから、わたしのさばきは絶対に公平で正しいのです。自分の考えだけによらず、わたしを遣わされた神の意思に従ってさばくからです。 + わたしが自分について証言しても、だれも信じないでしょう。 + しかし、わたしのことを証言してくださる方がほかにおられます。その方の証言はまちがいなく真実です。 + あなたがたは、バプテスマのヨハネの教えを聞こうとわざわざ出かけて行きました。確かに、ヨハネがわたしについて証言したことはほんとうのことです。 + しかし、わたしについての最高の証言は、人間による証言ではありません。ただ、ヨハネが証言していたことを思い出せば、あなたがたもわたしを信じて救われるかもしれないと願って、ヨハネのことを話しているのです。 + ヨハネはしばらくの間、ひときわ明るく輝き、あなたがたもそれを喜びました。 + しかしわたしには、ヨハネの証言よりも、もっとすぐれた証言があります。それは、わたしの行う奇跡です。これらの奇跡は、父がわたしに託されたもので、父がわたしをお遣わしになったという動かぬ証拠なのです。 + また、父ご自身は直接あなたがたに姿を現したり、語りかけたりはなさいませんが、わたしのことを証言しておられます。 + ところが、あなたがたは父のことばを聞こうともしません。神のことづけを伝えるために遣わされたわたしを信じないのですから。 + あなたがたは、永遠のいのちを見つけようと熱心に聖書を調べています。その聖書がわたしを指し示しているのです。 + それなのにあなたがたは、わたしのところに来ようとはしません。だから永遠のいのちを受けることができないのです。 + あなたがたがわたしを認めなくてもかまいません。あなたがたのうちには神の愛がないのですから。 + わたしは父の代理として来たのに、あなたがたは喜んで迎えてはくれません。それどころか、自分の権威で来るほかの者は、手をたたいて迎えるのです。 + もっとも、あなたがたが信じられないのもむりはありません。互いにほめ合ったり、ほめられたりすることは喜んでも、ただ一人の神からほめていただくことには関心がないのですから。 + しかし、このことであなたがたを父に訴えるのはわたしではありません。それはモーセです。あなたがたはモーセの律法にひたすら天国への望みをかけていますが、律法を与えた当のモーセがあなたがたを訴えるのです。 + それもみな、あなたがたがほんとうはモーセを信じていないからです。なぜなら、モーセはわたしのことを書いたのです。そのモーセを信じないなら、わたしをも信じないのです。 + モーセの書を信じないくらいだから、わたしのことばを信じないのも不思議はありません。」 + + + その後、イエスはテベリヤ湖とも呼ばれるガリラヤ湖の向こう岸に行かれました。 + 大ぜいの群衆が、どこまでもあとについて行きました。イエスが病人を治されるのを見たからです。人々の多くは、過越の祭りのため、エルサレムへ行く途中でした。イエスが丘に登り、弟子たちといっしょに腰をおろされると、大ぜいの群衆も追いかけるように、あとからあとから丘に登って来ます。その様子をながめながら、イエスはピリポにお尋ねになりました。「ピリポ。この人たち全員に食べさせるには、どこからパンを買って来たらいいでしょうか。」 + もっとも、これはピリポを試しただけで、どうするかはもう決めておられたのです。 + ピリポは、「こんなにたくさんの人では、とても費用が足りません」と答えました。 + シモン‧ペテロの兄弟アンデレが口をはさみました。 + 「ここにいる子が、大麦のパンを五つと魚を二匹持っています。でも、こんなに大ぜいでは、何の足しになるでしょう。」 + イエスは、「さあ、みんなを座らせなさい」とお命じになりました。男だけでも五千人はいたでしょうか。それが全員、草の生えた斜面にどやどやと腰をおろしました。 + そこでイエスはパンを取り、神に感謝の祈りをささげてから人々にお配りになりました。また魚も、同様になさいました。みんなほしいだけ食べて、満腹しました。 + イエスは弟子たちに言われました。「さあ、少しもむだにしないよう、パン切れを集めなさい。」 + 残りを集めると、なんと十二のかごにいっぱいになりました。 + それを見た人々は、どんなにすばらしい奇跡が起こったのか初めて気づき、口々に、「この方こそ待ちに待ったあの預言者だ!」と叫びました。 + 人々は熱狂して、むりやりにでもイエスを王にまつり上げかねない勢いです。イエスはそっと抜け出し、ただ一人、山に登って行かれました。 + その日の夕方、弟子たちは湖の岸辺に降りて行きました。 + もう暗くなったのに、イエスはまだ戻られません。そこで舟に乗り込み、カペナウムに向けて湖を渡り始めました。 + ところが、しばらくこいで行くうちに風が出てきました。風はびゅうびゅう吹きまくり、湖も荒れ始めました。それもひどくなる一方です。四、五キロほどもこぎ出したでしょうか。ふと見ると、イエスがむこうから、湖の上を歩いて舟のほうに来られます。弟子たちはあまりの恐ろしさに、ただ震え上がるばかりです。 + イエスが、「こわがることはありません」と声をおかけになると、 + やっと気を取り直し、うれしそうにイエスを舟にお乗せしました。舟はほどなく目ざす地に着きました。 + 朝になりました。湖の反対側では、大ぜいの人がイエスに会おうと集まって来ました。昨日、イエスをあとに残し、弟子たちだけが舟で出かけたことを知っていたからです。 + イエスが感謝の祈りをささげ、みんなでパンを食べた場所の近くに、テベリヤから数隻の小舟が来ていました。 + しかし、イエスも弟子たちもそこにはいないとわかると、人々はその舟に乗り込み、イエスを捜してカペナウムまで行きました。 + そしてイエスを見つけると、さっそく、「先生。いったいどうやってここまでおいでになったのですか」と尋ねました。 + 「いいですか。あなたがたがわたしのそばにいたがるのは、わたしを信じているからではありません。パンを食べさせてあげたからです。 + 食べ物のようになくなってしまうものに心を奪われてはいけません。それよりも、永遠のいのちを手に入れる努力をしなさい。それこそ、メシヤ(救い主)のわたしが与えるものです。そのために、父なる神はわたしをお遣わしになったのです。」 + 「神様に満足していただくには、どうしたらいいのでしょうか。」 + 「神が遣わされた者を信じることです。それが、神の望んでおられることです。」 + 「あなたがメシヤなら、その証拠に、もっといろいろな奇跡を見せてください。毎日ただでパンを下さるとか……。ちょうど先祖たちが荒野を旅した時、毎日パンを与えられたように。『モーセは天からのパンを彼らに与えた』と聖書には書いてあります。」 + 「そのパンを与えたのは、モーセではありません。わたしの父です。そして今、父はあなたがたに、天からのほんとうのパンを下さるおつもりです。 + ほんとうのパンとは、神から遣わされて天から来た一人の人のことです。その人が、世の人々にいのちを与えるのです。」 + 「先生。ぜひそのパンを、私たちにも一生の間、いつも下さい。」 + 「わたしが、そのいのちのパンなのです。わたしのところに来る人は、二度と飢えることがありません。わたしを信じる人は、決して渇くことがありません。 + ところがあなたがたときたら、どうでしょう。前にも言ったように、わたしを見ながら信じないのです。全く困った人たちです。 + けれども、父がわたしに与えてくださった人は、わたしのところに来ます。わたしは、そういう人を拒むようなことは絶対にしません。 + わたしが天から下って来たのは、自分の思いのままをするためではなく、神の意思を行うためだからです。 + 神が与えてくださったすべての人を一人も失わないように守り、終わりの日に永遠のいのちを与えて復活させるのです。 + 事実、父は、子を信じる者がみな、永遠のいのちを得、終わりの日に復活することを願っておられるのです。」 + ユダヤ人たちはイエスが、「わたしは天から下って来たパンです」とはっきり言われたので、ぶつぶつ文句を言い始めました。 + 「たかがヨセフの息子イエスではないか。父親も母親もよく知っている。なのに『わたしは天から下って来た』などと、とんでもないことを言って」と、彼らはつぶやきました。 + そこで、イエスはお答えになりました。「わたしの言ったことで文句を言い合うのはやめなさい。 + わたしをお遣わしになった父が引き寄せてくださらない限り、だれもわたしのところへは来られません。わたしのところに来る者を一人残らず、わたしは終わりの日に復活させるのです。 + 聖書には、『彼らはみな神によって教えられる』と書いてあります。父の語ることばを聞き、父から真理を学んだ人たちは、わたしのところへ来ます。 + 実際に父を見た者は一人もいません。ただわたしだけが、この目で父を見たのです。 + よく言っておきます。わたしを信じている人はだれでも、すでに永遠のいのちを得ているのです。 + わたしがいのちのパンなのです。 + あなたがたの先祖は、荒野で、空から降って来たパンを食べましたが、結局はみな死んでしまいました。 + けれども、天から下って来たパンは違います。それを食べる人は永遠のいのちをいただくのです。 + わたしが、その天から下って来たいのちのパンなのです。このパンを食べる人はだれでも永遠に生きます。このパンは、人類の救いのためにささげるわたしの体なのです。」 + ユダヤ人たちは、イエスがいったい何を言っているのかと、あれこれ議論し始めました。「なんてことを言うんだ。自分の体を食べさせるなんて、そんなことができるはずないじゃないか。」 + そこでイエスは、続けてお話しになりました。「よく言っておきます。メシヤの肉を食べ、その血を飲まなければ、永遠のいのちを得ることはできません。 + わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む人はみな、永遠のいのちを持ちます。わたしは終わりの日にその人を復活させます。 + わたしの肉はほんとうの食べ物、わたしの血はほんとうの飲み物です。 + わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む人はみな、わたしのうちにとどまり、わたしもその人のうちにとどまります。 + わたしは、わたしをお遣わしになった、いのちなる神の力によって生きています。同じように、わたしを食べる人は、わたしによって生きるのです。 + わたしは天から下って来たほんとうのパンです。このパンを食べる人はみな、永遠に生きます。空から降って来たパンを食べたのに、やがて死んでしまった先祖たちのように、死ぬことはありません。」 + 〔以上は、イエスがカペナウムの会堂でなさった話です。〕 + これには、弟子たちでさえ思わず、「なんとむずかしい話だ。さっぱりわからない」ともらすほどでした。 + それに気づいたイエスは、彼らに言われました。「こんなことでつまずくのですか。 + そんなことでは、メシヤ(救い主)のわたしが天に帰るのを見たら、いったいどう思うことでしょう。 + いいですか。ただ聖霊だけが永遠のいのちを与えてくださいます。肉体的にこの世に生まれただけでは、永遠のいのちはいただけません。今わたしがあなたがたに話したのは、まさにこのことで、どうしたら、ほんとうの霊のいのちをいただけるかということなのです。 + だが残念なことに、あなたがたの中には、わたしを信じない者がいます。」イエスは初めから、信じない者はだれか、裏切る者はだれかを知っておられたのです。 + イエスは先をお続けになりました。「『父が引き寄せてくださらない限り、だれもわたしのところへは来られません』と言ったのは、そういう意味なのです。」 + この時から、多くの弟子たちがイエスから離れ、もはや行動を共にしなくなりました。 + そこでイエスは、十二人の弟子たちに、「まさか、あなたがたは行ってしまわないでしょうね」とお尋ねになりました。 + シモン‧ペテロが即座に答えました。「何をおっしゃるんです、先生。あなたをさしおいて、ほかの人のところへ行くわけがないじゃありませんか。永遠のいのちを与えることばを握っているのは、あなただけなんですから。 + 私たちはそのことばを信じていますし、あなたが神のきよい御子だということも知っています。」 + 「あなたがた十二人を選んだのはわたしです。しかし、なんということでしょう。悪魔が一人まぎれ込んでいます。」 + イエスが言われたのは、イスカリオテのシモンの子ユダのことでした。ユダは十二人の弟子の一人でありながら、イエスを裏切ろうとしていたのです。 + + + このあと、イエスはガリラヤに行き、村から村を巡回されました。ユダヤ人の指導者たちが命をつけねらっていたので、ユダヤ以外の地に身を避けようと思われたからです。 + そうこうするうち、ユダヤの年ごとの祭りである仮庵の祭り(収穫祭とも呼ばれる祭り)が近づきました。 + イエスの弟たちは、祭りのためにユダヤへ行くよう、しきりにイエスに勧めました。「もっとたくさんの人が奇跡を見てくれる所へ行ったらどうですか。 + こんな所でくすぶっていても有名にはなれないよ。兄さんがそんなに偉い人だったら、世間の人に証明してみせなくては」と、半ばあざけるように言いました。 + 弟たちでさえ、イエスを信じていなかったのです。 + 「今はまだ、その時ではありません。しかし、あなたたちはいつ行ってもいいのです。 + 世間の人に憎まれるはずもありませんから。しかし、わたしは憎まれています。彼らの痛いところを突くからです。 + あなたたちだけで行きなさい。わたしは行く時が来たら行きますから。」 + こう言って、イエスはガリラヤに残られました。 + しかしイエスは、弟たちが出かけたあと、人目を避けてお出かけになったのです。 + ユダヤ人の指導者たちは、祭りの間にイエスを見つけ出してやろうと思い、「だれかイエスを見かけた者はいないか」と、やっきになって尋ね回りました。 + 確かに、イエスのことはいろいろと話題になりました。「あの方はすばらしい方だ」とほめる者もいれば、「いや違う。とんだ詐欺師だ」と非難する者もいました。 + しかし、指導者たちの目を恐れて、表立って語る者はだれもいませんでした。 + 祭りも半ばになったころ、イエスは宮へ行き、公然と教え始められました。 + それを聞いたユダヤ人の指導者たちは驚いて、「この男は一度も学校で学んだことがないのに、どうしてこんなに深い知識を持っているのだろう」と言い合いました。 + そこでイエスは言われました。「わたしの教えは、自分で考え出したことではありません。わたしをお遣わしになった神の教えなのです。 + ほんとうに神の望まれるとおりのことをしようと思う人なら、わたしの教えが神から出たものか、あるいはわたしから出たものか、はっきりわかるはずです。 + 自分の意見だけをまくし立てる人は、実はわが身がほめられたい一心なのです。しかし自分をお遣わしになった方の栄誉を求める人は、正直者です。 + あなたがたは、自分ではモーセの律法を守らないのに、どうして律法を破ったと、わたしを非難するのですか。どうして命までつけねらうのですか。」 + 群衆が答えました。「おい、気でも変になったんじゃないか。だれがあんたを殺そうとしているんだ。」 + 「あなたがたは、わたしが安息日に病気の人を治したら、労働をしたと驚いています。だが、あなたがたはどうでしょうか。モーセの律法どおりに割礼(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取るユダヤ教の儀式)を施すためには〔実際は、割礼の習慣はモーセの律法より古くからあったのですが〕、安息日でも平気で労働するではありませんか。割礼の日がちょうど安息日にあたっても、割礼を施しているではありませんか。それなら、安息日に病人を元気にしてやって、どこが悪いのでしょう。何を根拠にわたしを非難するのですか。 + よく考えてみなさい。わたしの言うことはまちがっているでしょうか。」 + エルサレムの人々の間では、互いにこんなことが言い交わされていました。「この人は、彼らが殺そうとねらっている人じゃないか。 + ところが、今ここで、おおっぴらに話をしてるっていうのに、だれも何も言わないのだ。指導者たちも、結局は正真正銘のキリスト(救い主)だと認めているのかね。 + だけど、この人がキリストのわけはないよ。どこの生まれか、身元が知れているんだから。キリストは、どこからともなく突然現れるはずだからね。」 + イエスは宮で、大声をあげて教えられました。「皆さん。確かに、わたしの生まれも育ちもはっきりしています。しかしわたしは、あなたがたの全く知らない方の代理なのです。その方は真実です。 + わたしはその方を知っています。その方といっしょにいたのですから。その方がわたしをお遣わしになったのです。」 + ユダヤ人の指導者たちは、何とかしてイエスを逮捕しようと思いました。しかし、実際に手を出す者は一人もいません。まだその時ではなかったからです。 + 宮にいた人々の多くはイエスを信じ、「これだけの奇跡をなさるからには、やっぱりキリストではないだろうか」と言い合いました。 + 群衆がそう考えていると知ったパリサイ人たちは、祭司長たちと手を組んで、イエスを逮捕するために役人を差し向けました。 + ところがイエスは、その人たちに言われました。「まだその時ではありません。もうしばらく、わたしはここにいます。そのあとでわたしは、わたしをお遣わしになった方のところに帰るのです。 + その時には、わたしを捜しても見つけることはできません。また、わたしのいる所に来ることもできません。」 + このことばに、ユダヤ人の指導者たちはすっかり戸惑いました。「いったいどこへ行くつもりだろう。もしかしたら、ユダヤを出て、外国のユダヤ人や、あるいは外国人に教えを伝えようとでも考えているのかもしれない。 + だが、捜しても見つけ出せないとは、どういうことだろう。『わたしのいる所に来ることができない』というのも、何のことやらまるで見当もつかない。」 + 祭りの最後の一番大切な日に、イエスは大声で群衆に語りかけました。「だれでも、渇いているなら、わたしのところへ来て飲みなさい。 + わたしを信じれば、心の奥底からいのちの水の川が流れ出ると、聖書に語られているとおりです。」 + 〔イエスは聖霊のことを言われたのです。聖霊は、イエスを信じる人すべてに与えられることになっていましたが、この時はまだ与えられていませんでした。イエスが天にある栄光の座に戻っておられなかったからです。〕 + イエスがこう言うのを聞いて、群衆のうちのある者は、「この人は確かに、キリストのすぐ前に来るという、あの預言者だ」と言いました。 + 「この方こそキリストだ」と言いきる者もいました。しかし他方では、「いや、そんなはずはない。まさかガリラヤみたいな所からキリストは出ないだろう。キリストは、れっきとしたダビデ王の血筋で、ダビデ王の生地ベツレヘムの村に生まれると、聖書にはっきり書いてあるんだから」と主張する者もいました。 + このように、イエスについての意見はまちまちでした。 + 中には、捕らえる機会をねらう者もいましたが、手を出すまでには至りませんでした。 + イエスの逮捕に向かった宮の役人たちは、すごすごと祭司長やパリサイ人たちのところに戻ってきました。「どうして、やつをつかまえて来なかったのか!」指導者たちは、彼らをきびしく責めました。 + 役人たちは、口ごもりながら答えました。「は、はい。でも、あの人の話すことはとてもすばらしくて、これまで聞いたこともないような話なので……。」 + これを聞くと、パリサイ人たちは吐き捨てるように言いました。「さては、おまえたちも惑わされたな。 + われわれユダヤ人の議員やパリサイ人の中で、あの男をメシヤだなどと信じている者は一人もいない。 + 無知な連中は頭から信じきっているかもしれないが、やつらに何がわかるか。罰あたり者めが。」 + その時、ニコデモが口を開きました。〔夜ひそかにイエスを訪ねた、あのユダヤ人の指導者です。〕 + 「おことばですが、取り調べもしないうちに有罪だと決めるのは、合法的ではありません。」 + 「おや、あなたも卑しいガリラヤ人なんですか。まあ、聖書を調べることですな。ガリラヤから預言者など出るはずがないことを、ご自分の目で確かめたらどうです。」 + こうして、一同は散会し、めいめい家に帰って行きました。 + + + さて、イエスはオリーブ山に戻りましたが、 + 翌朝早く、また宮にお出かけになりました。たちまち人々が集まって来て、黒山の人だかりです。イエスは腰をおろし、話し始められました。 + その最中に、ユダヤ人の指導者やパリサイ人が、寄ってたかって一人の女を引っぱって来ました。彼らは、あっけにとられて見ている人々の前に女を突き出しました。 + 「先生。この女を見てください。不倫の現場でつかまったのです。 + モーセの律法では、こういう不届き者は石で打ち殺すことになっていますが、どうしたものでしょう。」 + こう言ったのは、何かイエスのことばじりをとらえて、訴えてやろうという魂胆があったからです。ところがイエスは、体をかがめ、指で地面に何か書いておられるだけでした。 + けれども、彼らは引き下がりません。あくまで質問を続けてやめなかったので、イエスはゆっくり体を起こし、「わかりました。この女を石で打ち殺しなさい。ただし、最初に石を投げるのは、今まで一度も罪を犯したことのない者ですよ」と言われました。 + そして、すぐにまた体をかがめ、地面に何か書いておられました。 + すると、ユダヤ人の指導者もパリサイ人も、ばつが悪そうに、年長者から順に一人去り二人去りして、とうとうイエスと女だけが、群衆の前に取り残されました。 + イエスは体を起こし、女に言われました。「あなたを訴えた人たちはどこにいますか。罰する者は一人もいなかったのですか。」 + 「はい、先生。」「そうですか。わたしもあなたを罰しません。さあ、行きなさい。もう二度と罪を犯してはいけませんよ。」 + そのあとで、イエスは人々にお話しになりました。「わたしは世の光です。わたしに従って来れば、暗闇でつまずくことはありません。いのちの光が、あなたがたの進む道を明るく照らすからです。」 + すると、パリサイ人たちが言いました。「うそばかり並べ立てて、自慢話もほどほどにしたらどうだ。」 + 「わたしはありのままを言っているのです。うそでも、でたらめでもありません。自分がどこから来てどこへ行くか、よくわかっています。ところが、あなたがたは全然わかっていません。 + 人間の基準でわたしをさばいているからです。わたしはだれのこともさばきません。 + しかし、もしわたしがあなたがたをさばいたとしても、そのさばきは、どこから見ても正しいのです。わたしをお遣わしになった父がいっしょにさばいてくださるからです。 + あなたがたの律法では、ある出来事について二人の証言が一致すれば、事実と認められることになっています。 + だとしたら、わたしとわたしをお遣わしになった父とで、りっぱに二人の証人がそろいます。」 + パリサイ人たちは言いました。「では、そのお父上とやらはどこにいるのか。」「わたしのことを知らないから、父のこともわからないのです。わたしを知っていたら、父をも知っていたでしょうに。」 + こうした話がなされたのは、宮の中の献金箱が置いてある所ででした。しかし、だれ一人イエスを逮捕する者はいません。まだその時ではなかったのです。 + イエスはまた、こんな話もなさいました。「わたしはもうすぐいなくなります。あなたがたは必死でわたしを捜すでしょうが、結局は、罪が赦されないまま死ぬのです。わたしが行く所へは来られません。」 + ユダヤ人たちには、さっぱりわけがわかりません。「この人は自殺でもするつもりなのか。彼が行く所へ私たちは行けないとは、いったいどういうことだろう」と、首をかしげるばかりでした。 + そこでイエスは言われました。「いいですか。あなたがたは地上に生まれた者ですが、わたしは天から来た者です。あなたがたはこの世の者ですが、わたしは違います。 + だから、『あなたがたは罪が赦されないまま死ぬ』と言ったのです。わたしが神の子、メシヤであることを信じなければ、罪ののろいの下で死ぬしかないからです。」 + 「あなたはいったい、どういう方なのですか。」「そのことは、いつもはっきり言っていたはずです。 + あなたがたには非難したいことや、教えたいことが山ほどあります。しかし、わたしをお遣わしになった方から聞いたことだけを話しましょう。その方は真実な方だからです。」 + それでも彼らにはまだ、イエスが神のことを話しておられるのがわかりませんでした。 + 「あなたがたは、わたしを殺してはじめて、わたしがメシヤだったと気づくでしょう。そして、わたしが自分の考えではなく、父から教わったことを話していたとわかるでしょう。 + わたしをお遣わしになった方が、わたしといつもいっしょにおられます。わたしをお見捨てになることはありません。わたしがいつも、その方のお心にかなうことをするからです。」 + この話を聞いたユダヤ人の多くが、イエスをメシヤと信じるようになりました。その人たちにイエスは、「わたしが教えたとおりに生活すれば、ほんとうの弟子と言えます。 + あなたがたは真理を知り、その真理があなたがたを自由にするのです」と言いました。 + 「おことばですが、私たちはれっきとしたアブラハムの子孫です。これまで、だれの奴隷になったこともありません。『自由にする』とはどういうことでしょう。」 + 「教えてあげましょう。あなたがたは一人残らず罪の奴隷なのです。 + 奴隷には何の権利もありません。しかし、主人の息子は別です。息子はありとあらゆる権利を持っています。 + だから、神の子が自由にしてあげたなら、それでほんとうに自由の身になるのです。 + 確かに、あなたがたはアブラハムの子孫です。けれども、あなたがたの中には、わたしを殺そうとねらっている者がいます。わたしのことばが心にしっかり根を下ろしていないからです。 + せっかくわたしが父といっしょにいた時に見たことを話してあげているのに、あなたがたは自分の父の言いつけに従っているだけです。」 + 「私たちの父はアブラハムです。」彼らは言いました。「いや、あなたがたの父がアブラハムだったら、彼の良い模範にならったはずです。 + ところが、どうです。反対にわたしを殺そうとしているではありませんか。しかもその理由は、わたしが神から聞いた真理を語ったからというのです。アブラハムなら、そんなことは絶対にしなかったでしょう。 + そんなことをするのは、あなたがたが、あなたがた自身の父に従っているからです。」「私たちの真の父は、神ご自身です。私たちは私生児ではありません。」 + 「ほんとうにそのとおりなら、わたしを愛したはずです。わたしは神のもとから来たのですから。自分の考えで、今ここにいるのではありません。父がここにお遣わしになったのです。 + わたしの言うことがわからないのも、むりはありません。理解できないようにされているのですから……。 + あなたがたの父は悪魔です。悪魔の子が悪魔の悪い行いを喜んでまねても、不思議ではありません。悪魔は初めから人殺しで、真理をきらっています。悪魔のうちには真理の一かけらもありません。悪魔がうそをつくのは当然です。うそつきの大もとなのですから。 + だから、わたしが真理を語ってもあなたがたが信じないのはあたりまえです。 + あなたがたのうち、だれが、たった一つでもわたしの罪を指摘できますか。できないでしょう。真理を話しているのに、なぜわたしを信じないのですか。 + 神の子どもならだれでも、神のおっしゃることを喜んで聞くはずです。あなたがたが聞き従わないのは、神の子どもではないからです。」 + 「おまえはサマリヤ人だ! よそ者だ! やっぱり悪霊に取りつかれているのだ。」ユダヤ人たちはわめき立てました。 + イエスは、「いや、断じてそんなことはありません。わたしは父を尊敬しています。が、そんなわたしを、あなたがたは軽蔑しているのです。 + しかし、わたしは栄誉を求めているのではありません。ただ、わたしに栄誉を与えたいと願っておられる神が、わたしを受け入れない人々をおさばきになるのです。 + よく言っておきましょう。わたしに従う者は、決して死なないのです」と言われました。 + 「おまえが悪霊に取りつかれていることが、はっきりした。アブラハムも、偉大な預言者たちも死んだのに、『わたしに従う者は死なない』などと、よく言ったものだ。 + おまえは、先祖のアブラハムよりも偉いのか? アブラハムは死んだろう。それとも、あの預言者たちよりも偉いとでも言うのか。その預言者たちも死んだではないか。いったい自分をだれだと思っているのだ。」 + イエスは言われました。「わたしがただ自慢しているだけなら、全くむなしいものです。しかし、わたしに栄光を与えてくださるのは父なのです。この方を、あなたがたは『私たちの神様』と呼んでいます。 + そう呼びながら、実はこの方を知りもしません。わたしはよく知っています。知らないなどと言ったら、それこそ、あなたがたと同じように大うそつきになります。わたしがこの方を知り、この方に全く従っているというのはほんとうです。 + あなたがたの先祖アブラハムは、わたしの日を思い見て喜びにあふれました。わたしが来るとわかったからです。」 + 「まだ五十歳にもなっていないあんたが、よくアブラハム様を見ることができましたね。」 + 「アブラハムが生まれるずっと前から、わたしはいるのです。これは、まぎれもない事実です。」 + 話がここまで来ると、ユダヤ人たちは怒りを抑えることができず、手に手に石をつかみ、今にもイエスを打ち殺さんばかりになりました。しかし、イエスはすばやく身を避け、急いで宮を抜け出しました。 + + + さて、道を歩いていた時のこと、イエスは生まれつきの盲人をごらんになりました。 + そこで、弟子たちが尋ねました。「先生。どうしてこの人は、生まれつき目が見えないのですか。本人が罪を犯したからですか。それとも両親ですか。」 + 「いや、そのどちらでもありません。ただ神の力が現されるためです。 + わたしたちは、わたしをお遣わしになった方に命じられた仕事を、急いでやり遂げなければなりません。もうすぐ夜が来ます。そうしたら、もう仕事はできないのですから。 + しかし、まだこの世にわたしがいる間は、わたしが光となります。」 + こう言われると、イエスは地面につばをして泥を作り、それを盲人の目に塗って、 + 言われました。「さあ、シロアムの池に行って洗い落としなさい」〔「シロアム」とは、「遣わされた者」の意味〕。イエスが言われたとおりにすると、どうでしょう。彼は見えるようになって戻って来たではありませんか。 + 近所の人や、彼が盲目の物ごいだったことを知っている人は仰天し、「これが、あの人かい」と口をそろえて言いました。 + ほかの人は、「そうだ」と言う人もいれば、「いや、あいつのはずはない。だが実によく似ている」と言う人もいました。すると当の本人が、「何を言っているんだ。おれだよ」と言いました。 + 人々はあっけにとられながらも、「いったいどうしたのだ。どうやって見えるようになったのか」と矢つぎばやに尋ねました。 + その男は答えました。「イエスという方が泥をこねて目に塗り、『シロアムの池に行って、泥を洗い落としなさい』と言われたのさ。それでそのとおりにすると、見えるようになったんだよ。」 + 「その人は今どこにいるんだ。」「さあ、知らないな。」 + 人々は、男をパリサイ人たちのところへ連れて行きました。 + ところで、この日は安息日でした。 + パリサイ人たちにどうして目が見えるようになったのかを尋ねられて、男はそのいきさつを、くわしく話しました。 + パリサイ人のある者は、「そのイエスという者は、神から遣わされた者ではない。安息日に仕事なんかしたんだから」と断言しました。しかし、「罪人にすぎない普通の人間に、こんな奇跡が行えるだろうか……」と疑問を投げかける者もいます。意見は真っ二つに分かれました。 + しかたなく、その盲目だった男に、「おまえの目を開けてくれた人のことをどう思うか」と聞きました。「きっと神様が遣わした預言者です」と男は答えました。 + しかし、ユダヤ人の指導者たちは、盲目だった男が見えるようになったことを、どうしても信じようとはしません。とうとう両親まで呼び出し、 + 確かめることにしました。「この男は息子だな。ほんとうに生まれつき目が見えなかったのか。だったら、どうして見えるようになったのだ。」 + 両親は答えました。「はい、確かに息子でございます。この子は生まれつき目が見えませんでした。 + けれども、どうして見えるようになったのか、どなたがこれの目を開けてくださったのかは、少しも存じません。どうぞ本人からじかに聞いてみてください。もう一人前の大人ですから、自分で説明できるでしょう。」 + こう言ったのは、ユダヤ人の指導者たちがこわかったからです。指導者たちはすでに、イエスをキリストと告白する者は、だれかれの区別なく会堂から追放すると公表していたのです。 + 指導者たちは、男をもう一度呼び寄せ、きつく言い渡しました。「イエスなどではなく、神をあがめなさい。あいつは悪党だ。」 + 「さあ、あの方が善人か悪人かは、私にはわかりません。ただ、これだけははっきりしています。私は今まで目が見えなかったのに、今は見えることです。」 + 「だが、あいつは何をした? どうやっておまえの目を開けた?」 + 男はまたかと腹を立て、大声で言いました。「そのことは、もう話したではありませんか。お聞きにならなかったのですか。もう一度言えとは、どういうことでしょう。あの方の弟子にでもなりたいのですか。」 + こう言われて、指導者たちは男をののしりました。「おまえこそあいつの弟子のくせに。われわれはモーセの弟子だ。 + 神はまちがいなくモーセにお語りになった。しかし、あいつはどこの馬の骨だかわからない。」 + 「これは驚きました。あの方は盲人の目を開けることができるんですよ。なのに、あの方のことは何も知らないとおっしゃる。 + 神様は悪人の言うことはお聞きになりません。しかし、神様を礼拝し、お心にかなうことを行う者には、耳を傾けてくださるんじゃありませんか。 + 世の初めからこのかた、生まれつきの盲人の目を開けた人など、いたためしがありません。 + 神様から遣わされた方でなければ、こんなことはできないはずです。」 + こうまで言われて、彼らは怒りを爆発させました。「このろくでなしめ! われわれを教えようというのか!」とどなりつけたあげく、男を外に追い出してしまいました。 + そのいきさつを伝え聞いたイエスは、男を捜し、見つけ出されると、「あなたはメシヤを信じますか」とお聞きになりました。 + 「先生。どなたがメシヤ様なのでしょうか。教えてください。ぜひ信じたいのです。」 + 「もうその人に会っているのですよ。あなたと話しているわたしがメシヤなのです。」 + 「主よ。信じます。」男はそう言って、イエスを礼拝しました。 + するとイエスは言われました。「わたしがこの世に来たのは、心の目の見えない人を見えるようにするため、また、見えると思い込んでいる人に、実は盲目だということをわからせるためなのです。」 + ちょうどその場に居合わせたパリサイ人たちが、けげんな顔で尋ねました。「じゃあ、私たちも盲目だと言うのか。」 + 「もしあなたがたが盲目だったら、罪に問われないですんだでしょう。しかし、何もかもわかっているとあくまで言いはるので、あなたがたの罪はそのまま残るのです。」 + + + 「よく言っておきます。羊の囲いの中に門から入らないで、柵を乗り越えて忍び込む者は強盗です。 + 羊飼いなら堂々と門から入って来るはずです。 + 門番も羊飼いには門を開けてくれます。彼の声を聞くと、羊は回りに駆け寄って来ます。羊飼いは一匹一匹自分の羊の名を呼んで連れ出すのです。 + 先頭に立つのは羊飼い、羊はそのあとについて行きます。その声を知っているからです。 + 知らない人にはついて行かず、反対に逃げ出します。聞き覚えのない声だからです。」 + イエスがこのたとえ話をなさっても、聞いている人々には、どういう意味かさっぱりわかりませんでした。 + そこでイエスは説明なさいました。「いいですか。わたしが羊の出入りする門なのです。 + わたしより前に来た人々はみな、どろぼうか強盗です。羊は、彼らの言うことは聞きませんでした。 + わたしは門なのです。この門から入る者は救われます。また、安心して出入りができ、緑の牧草を見つけるのです。 + 強盗は、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするために来ます。しかしわたしが来たのは、いのちをあふれるほど豊かに与えるためです。 + わたしはまた、良い羊飼いです。良い羊飼いは羊のためにはいのちも捨てます。 + 雇い人は、狼が来れば羊を捨てて、すぐに逃げ出します。彼らは羊の持ち主でも、羊飼いでもないからです。こうして狼は羊にとびかかり、群れを追い散らしてしまいます。 + 雇い人はお金で雇われているだけで、羊のことをほんとうに心にかけているわけではないので、平気で逃げてしまうのです。 + わたしは良い羊飼いであり、自分の羊を知っています。また、羊もわたしを知っています。 + わたしの父がわたしを知っておられ、わたしも父を知っているのと同じです。わたしは羊のためにいのちを捨てるのです。 + このほかに、別の囲いにも羊がいます。その羊をも導かなければなりません。やがてその羊も、わたしの声に注意深く聞き従い、一人の羊飼いのもとに一つの群れとなるのです。 + わたしが再びいのちを得るためにいのちを投げ出すからこそ、父はわたしを愛してくださいます。 + だれもわたしの意に反して、わたしを殺すことはできません。わたしが、自分から進んでいのちを捨てるのです。わたしには、いのちを自由に捨て、もう一度それを得る権威と力があるからです。父がこの権威を下さったのです。」 + この話のことで、ユダヤ人の指導者たちの意見は、また真っ二つに分かれました。 + 「あいつは悪霊につかれているか、それとも気が変になっているかだ。あんなやつの言うことに耳を貸す必要なんかない」と息まく者があるかと思えば、 + 「いいや、とても悪霊につかれた者のことばとは思えない。だいいち、悪霊に盲人の目を開けることなんかできるはずもないだろう」と言い出す者もいました。 + 時は冬でした。宮きよめの祭りがあり、イエスもエルサレムにおられました。ちょうど、宮の中のソロモンの廊と呼ばれる所を歩いておられると、 + ユダヤ人の指導者たちが来て、回りを取り囲みました。「いつまで気をもませるつもりですか。キリスト(救い主)なら、はっきりそう言ったらいいでしょう。」 + 彼らの質問に、イエスはお答えになりました。「そのことならもう話しました。あなたがたは信じませんでしたが。わたしは、父の御名によって何度も奇跡を行ったでしょう。証拠はそれで十分なはずです。 + それでも、あなたがたはわたしを信じないのです。あなたがたはわたしの羊の群れに属さないのですから、しかたがありません。 + わたしの羊はわたしの声を聞き分けます。わたしは彼らを知っているし、彼らもわたしにはついて来ます。 + わたしは彼らに永遠のいのちを与えるのです。彼らは絶対に滅びることがなく、また、だれもわたしの手から彼らを奪い取ることはできません。 + 父がわたしに下さった群れなのですから。父はだれよりも力があります。わたしの羊をさらうことなど、だれにもできません。 + わたしと父とは一つです。」 + これを聞いたユダヤ人の指導者たちは、やにわに石をつかみました。イエスを打ち殺そうというのです。 + 「わたしは神のお心どおり、たくさんの良いわざを行って人々を助けただけです。それのどこが悪くて殺されなければならないのでしょうか。」 + 「なにも良い行いを責めているわけではない。神を汚したからだ。ただの人間のくせに、神だなどとぬかしおって!」 + 「あなたがたの律法には、『わたしは言った。「あなたがたは神々だ」』と書いてあるではありませんか。 + 無効になることのありえない聖書が、神のことばを受けた人々のことを神々と呼んでいるのです。 + とすれば、父がきよめ分かち、この世にお遣わしになった者が『わたしは神の子だ』と言ったからといって、どうして神を汚すことになるのですか。 + わたしが神のみわざを行っていないのなら、わたしを信じなくてかまいません。 + しかし、もし神のみわざを行っているのなら、わたしを信じないにしても、みわざそのものを信用しなさい。父がわたしのうちにおられ、わたしが父のうちにいることがはっきりわかるでしょう。」 + 彼らが、またもイエスを捕らえようとしたので、イエスはうまくその場を切り抜け、エルサレムをあとになさいました。 + そしてヨルダン川を渡り、ヨハネが最初にバプテスマ(洗礼)を授けていたあたりに滞在されましたが、 + ここでも、多くの人が、あとからあとから詰めかけて来ます。彼らは口々に言いました。「ヨハネは一つも奇跡を行わなかったけれど、この方について話したことは、何もかもそのとおりになった。」 + こうして多くの人が、イエスこそメシヤ(救い主)だと信じるようになったのです。 + + + さて、ラザロという名前の人が病気にかかっていました。彼はマリヤとその姉マルタの兄弟で、ベタニヤという村に住んでいました。このマリヤは、イエスの足に高価な香油を注ぎ、それを髪でぬぐったことで知られる女性です。そのマリヤの兄弟ラザロが床に伏していました。 + マルタとマリヤが、イエスのもとに使いをよこしました。「先生。あなたが心にかけてくださっているラザロが重い病気にかかり、明日をも知れない状態です。」 + この知らせを聞いたイエスは言われました。「この病気は、ラザロの死で終わるものではありません。神の栄光が現されるためです。それによって神の子が、栄光を受けるのです。」 + イエスは、マルタたち三人を心から愛しておられました。 + けれども、なぜか、なお二日間そこにとどまって、なかなか腰を上げようとはなさいません。 + 二日たって、ようやく、「さあ、ユダヤに行きましょう」と弟子たちに言われました。 + ところが、もうれつな反対が返ってきたのです。「なんてことを、先生! つい先日、ユダヤ人の指導者たちが先生を殺そうとしたのをお忘れですか。それなのに、またのこのこと出かけて行くおつもりですか。」 + 「昼間は十二時間あります。その間に歩けば安全で、つまずくこともありません。 + ところが、夜歩いたらとても危険です。暗くて足を踏みはずすかもしれませんから。」イエスはこう言って、 + さらに続けられました。「友のラザロが眠っています。彼を起こしに行かなくては。」 + これを、ラザロがぐっすり眠ったものと勘違いした弟子たちは、「じゃあ、病状はよくなっているんですね」と言いました。しかしイエスは、ラザロが死んだと言われたのです。 + そこで、今度ははっきりと言われました。「ラザロは死んだのです。 + わたしがその場に居合わせなくてよかったのです。これでまた、あなたがたがわたしを信じる機会が増えるのですから。さあ、彼のところへ出かけましょう。」 + そこで、「ふたご」とあだ名が付けられているトマスが、「みんなで行って、危ないことがあるなら、先生とごいっしょに死のうじゃないか」と、仲間の弟子たちに言いました。 + 一行がベタニヤに着いてみると、ラザロはすでに墓に葬られ、四日もたっていました。 + ベタニヤは、エルサレムからわずか三キロほどの所だったので、 + エルサレムからも大ぜいのユダヤ人たちが弔問に詰めかけていました。マルタとマリヤが慰めのことばを受けているところへ、 + イエスの到着が知らされました。マルタはそれを聞くと、取る物も取りあえず、迎えに行きました。ところが、マリヤは家の中にじっと座ったままでした。 + マルタはイエスに向かって訴えました。「先生。あなたがいてくださったら、ラザロは死なずにすんだでしょうに。 + 今でも、あなたが神様にお求めになるなら、神様はそのとおりにしてくださるでしょう。」 + イエスは言われました。「そのとおりです。ラザロは生き返るのです。」 + マルタは言いました。「はい。いつかすべての人が復活する日には、もちろん……。」 + しかし、イエスは言われました。「このわたしが、死人を生き返らせ、もう一度いのちを与えるのです。わたしを信じる者は、たとえほかの人と同じように死んでも、また生きるのです。 + わたしを信じて永遠のいのちを持っている者は、決して滅びることがありません。このことを信じますか、マルタ。」 + 「はい、先生。あなたこそ、長いあいだ待ち続けてきた神の子キリストだと信じております。」 + マルタは家に戻り、マリヤをわきへ呼んでそっと耳うちしました。「先生がすぐそこにいらしていて、あなたを呼んでおられるわよ。」 + そこでマリヤは、すぐにイエスのところへ出て行きました。 + さて、イエスはまだ村に入らず、マルタが出迎えた場所におられました。 + マリヤを慰めていたユダヤ人たちは、彼女がそそくさと出て行くのを見て、きっと墓へ泣きに行くのだろうと思って、あとについて行きました。 + マリヤはイエスのところまで来ると、くずおれるように足もとにひれ伏し、涙ながらに言いました。「ああ、先生。あなたさえいてくださったら、ラザロは、ラザロはまだ生きていたでしょうに。」 + イエスは、目の前でマリヤが泣き伏し、ユダヤ人たちもいっしょに嘆き悲しんでいるのに強く心を動かされ、 + 「ラザロはどこですか」とお聞きになりました。「来て、ごらんください。」 + イエスの目に涙があふれました。 + そこで、ユダヤ人たちはこう言い合いました。「お気の毒に。どんなにラザロを愛しておられたことだろう。」 + しかし、「盲人の目を開けたこの人が、ラザロを生かしておくことはできなかったのかね」と、非難めいて言う人もいました。 + これを聞いたイエスは、またも心に深い憤りを感じながら、墓に着きました。それはほら穴で、入り口には重い石が立てかけてありました。 + 「さあ、石をわきにどけなさい。」イエスは人々をうながされました。マルタがあわてて止めました。「でも、もうひどいにおいがしています。なにしろ、死んでから今日で四日ですもの。」 + イエスはマルタにおっしゃいました。「もし信じるなら神のすばらしい奇跡を見る、と言ったはずです。」 + 人々は言われるままに石を取りのけました。イエスは天を見上げ、「父よ。願いを聞いてくださってありがとうございます。 + あなたがいつもわたしの願いを聞いてくださることはわかっています。ただ、あなたがわたしをお遣わしになったことを、ここに立っているみんなが信じるように、こう申し上げたのです」と祈られました。 + それから、大声で、「ラザロよ。出て来なさい!」とお命じになりました。 + すると、どうでしょう。ラザロが、手足を布で巻かれた姿のまま出て来たではありませんか! 顔も布で包まれたままです。イエスはあっけにとられている人々に言われました。「さあ、早く布をほどいてやって、帰らせなさい。」 + マリヤについて来てこの出来事を見た多くのユダヤ人が、イエスを信じるようになりました。 + しかし、パリサイ人たちのところへ行き、事細かにこのことを報告する者も何人かいました。 + そこで祭司長やパリサイ人たちは、この問題を協議するため、さっそく議会を召集し議論しました。「あの男が奇跡を行っているというのに、いったい何をぐずぐずしているのか。 + このまま放っておいたら、国民一人残らずあの男を信じるようになってしまうぞ。そんなことにでもなったら、ローマ軍が踏み込んで来てわれわれを殺し、われわれの土地も国民も乗っ取るだろう。」 + すると、その年の大祭司カヤパが、業をにやして言いました。「ばかを言うな。こんなこともわからないのか。 + 全国民の代わりに、彼一人に死んでもらえば事はすむのだ。国民全体が滅びるなんて、冗談じゃない。」 + イエスが全国民の代わりに死ぬことを、大祭司が預言したのです。カヤパは別の動機から、無意識のうちに、そのように言ったのです。 + これはイエスが、イスラエル人ばかりか、世界中に散らされているすべての神の子どもたちのためにも死んでくださるという預言でした。 + この時から、ユダヤ人の指導者たちは、イエスを殺す計画をあれこれ練り始めました。 + そんなこともあって、イエスはユダヤ人の間でおおっぴらに活動することをやめ、エルサレムをあとにされました。そして荒野に近いエフライムの村で、しばらく弟子たちと共に身を潜めておられました。 + ユダヤ人の過越の祭りが近づきました。この時は、多くの人々が各地からエルサレムに集まります。みな祭りの始まる前にきよめの儀式をすませようと、数日前には着くように出かけて来るのです。 + 人々は、イエスに会いたいと思いました。宮のあちこちで、「どうだろうね。あの方は祭りにいらっしゃるかな」と、しきりにうわさし合う声が聞こえます。 + 一方、祭司長やパリサイ人たちはイエスを逮捕することしか頭になく、「イエスを見かけた者は直ちに届け出よ」という命令を出していました。 + + + 過越の祭りの始まる六日前に、イエスはベタニヤにお着きになりました。イエスが死から生き返らせた、あのラザロがいる村です。 + さっそく晩餐が用意されました。マルタは給仕にいとまがありません。ラザロはイエスといっしょに食卓に着いています。 + そこへマリヤが、香油のつぼを手に入って来ました。それはナルドから作った純粋な香油で、とても高価なものでした。マリヤはイエスのそばに歩み寄ると、驚いたことに、その香油をイエスの足に注いだのです。それから、ていねいに自分の髪でぬぐいました。たちまち家中に香油の香りがたちこめました。 + ところが、弟子の一人でイエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが、非難がましく言いました。 + 「やれやれ、この香油はひと財産ものだよ。売って、その代金を貧しい人たちに恵んでやればよさそうなものを。全くもったいない話だ。」 + こう言ったのは、彼が貧しい人たちのことを心にかけていたからではなく、会計を任されているのをいいことに使い込みを重ねていたからです。 + イエスはお答えになりました。「そのままにさせておきなさい。マリヤはわたしの葬りの準備をしてくれたのです。 + 貧しい人たちはいつでも助けてあげられますが、わたしはもう、それほど長くいっしょにはいられないからです。」 + エルサレムの市民は、イエスがおられると聞いて、どっとラザロの家に押しかけました。イエスに会うためばかりではありません。一度死んで生き返ったラザロを一目見たいと思ったのです。 + これには祭司長たちも頭をかかえ込み、いっそのことラザロも殺してしまおうと相談しました。 + ラザロのことで、大ぜいのユダヤ人がユダヤ教から離れ、イエスをメシヤと信じるようになったからです。 + 翌日、イエスがエルサレムに向かわれるというニュースが町中をかけ巡りました。過越の祭りで上京した人々は、 + イエスを迎えようと、手に手にしゅろの枝を振りかざして駆けつけました。沿道はたちまち人の波、波、波……。あちこちで大歓声が上がりました。「救い主! イスラエルの王様ばんざーい! 神の大使ばんざーい!」 + イエスはろばの子に乗っておられました。こうして預言どおりのことが起こったのです。 + 「イスラエルの民よ。あなたがたの王を恐れるな。王は柔和で、ろばの子に乗って、来られるのだから。」 + 〔この時、弟子たちには、この出来事が預言どおりに起こったこととは思えませんでした。しかし、イエスが天にある栄光の座に帰られたあと、「そういえば、あのことも聖書にあるとおりだった。このことも預言どおりだった」と思い出したのです。〕 + 群衆の中には、イエスがラザロを生き返らせた現場を目撃した人たちもかなりいて、彼らはその出来事を一部始終、人々に伝えていました。 + こんなに大ぜいの人がイエスを出迎えたのも、実を言えば、そのすばらしい奇跡のことを聞いたからでした。 + この有様にパリサイ人たちは動転し、言いました。「なんてことだ! 見ろ。みんな、あいつについて行ったじゃないか!」 + さて、過越の祭りに加わろうとエルサレムに来ていた数人のギリシヤ人が、 + ベツサイダ出身のピリポのところへ来て、「先生。ぜひともイエス様にお会いしたいのですが」と頼み込みました。 + ピリポはアンデレにそのことを話し、二人でお願いしようということになりました。 + イエスはお答えになりました。「いよいよ、わたしが天の栄光の座に帰る時が来ました。 + よく言っておきます。畑にまかれる一粒の麦のように、わたしも地に落ちて死ななければなりません。そうしなければ、いつまでたっても一人のまま、一粒の種のままです。しかし、死ねば多くの新しい実が生じ、新しいいのちが豊かに実を結ぶことになります。 + この地上のいのちを愛するなら、結局はそれを失うだけです。しかし、地上のいのちに執着しなければ、代わりに永遠の栄光を受けるのです。 + わたしの弟子になりたい者は、わたしについて来なさい。わたしに仕える者は、わたしのいる所にいなければならないのですから。わたしに従う者に、父は報いてくださるのです。 + しかし、わたしの心は騒いでいる。いったい、わたしはどうしたらいいのだろうか。『父よ。これから起きることからお救いください』と祈るべきだろうか。ああ、いや、このために、この時のために、わたしは来たのでした。 + 父よ。どうぞあなたの栄光を現し、あなたの御名があがめられるようにしてください。」その時、天から声が聞こえました。「わたしはすでに栄光を現したし、また、もう一度そうしよう。」 + この声を聞いた群衆はかってに想像をめぐらし、「雷が鳴ったのだ」と思う者もあれば、「天使が語りかけたのだ」と言う者もいました。 + そこで、イエスは群衆に言われました。「この声が聞こえたのは、わたしのためではありません。あなたがたのためです。 + さばきの時が来ています。この世の支配者サタンは追い出されるのです。 + わたしが十字架の上に上げられる時、わたしはすべての人を自分のもとに引き寄せましょう。」 + こう言われたのは、自分がどのような死に方をするかを示されるためでした。 + 群衆はイエスに答えました。「あなたが死ぬですって? メシヤは永遠に生きていて、絶対に死んだりなさらないものと思っておりましたのに。どうしてそんなことをおっしゃるのですか? いったいどんなメシヤのことを言っておられるのですか。」 + イエスは彼らに言われました。「もうほんのしばらくの間、わたしの光はあなたがたのために輝いています。光のある間に光の中を歩きなさい。暗闇が襲って来る前に、行こうと思う所に行きなさい。襲って来てからでは遅すぎます。道を見つけることもできません。 + まだ時間のある間に、光を十分に用いなさい。そうすれば、光の子になれるのです。」イエスはこう話し終えるとそこを立ち去り、身を隠されました。 + ところが、イエスがあれほど多くの奇跡をなさったにもかかわらず、大部分の人はイエスをメシヤとは信じませんでした。 + まさに、イザヤが預言したとおりです。「主よ。だれが私たちのことばを信じるのか。だれが神の力強い奇跡を証拠と認めるのか。」 + イザヤは次のようにも言っているからです。 + 「神は彼らの目を盲目に、心をかたくなにされた。彼らが見ることも、理解することも、わたしのもとに立ち返っていやされることもないためだ。」 + この預言は、イエスのことを指しています。イザヤは、メシヤの栄光の幻を見て預言したのです。 + しかし、だれも信じなかったというわけではありません。ユダヤ人の指導者の中にも、イエスをメシヤと信じる者がかなりいました。ただ、パリサイ人たちに会堂から除名されるのがこわくて、公に告白できなかったのです。 + 彼らは、神にほめていただくことよりも、人の間での名誉を重んじたからです。 + イエスは大声で群衆に語りかけました。「わたしを信じる人は、わたしを遣わした方を信じるのです。 + わたしを見る人は、わたしを遣わした方を見るのです。 + わたしは、この暗い世に輝く光として来ました。わたしを信じる人がだれも、もはや暗闇の中をさまようことのないためです。 + わたしのことばを聞きながら従おうとしない人がいても、わたしはさばきません。わたしが来たのは世を救うためで、さばくためではないからです。 + しかし、わたしを退け、わたしの言うことを受け入れないすべての人をさばくものがあります。わたしの語った真理のことばが、終わりのさばきの日にその人をさばくのです。 + その真理はわたしが考え出したことではなく、父が語れとお命じになったことです。 + 神の命令は、人を永遠のいのちに導きます。だから、神が語れと言われたことを、何でもそのとおり語っているのです。」 + + + 過越の祭りの前に、イエスは、いよいよこの世を去って父のもとに帰る最後の時が来たことを知り、弟子たちに対する愛を余すところなく示されました。 + 夕食の間のことです。悪魔はすでに、シモンの子イスカリオテのユダに、「今夜こそ、かねてからの計画を実行に移す絶好の時だ」という思いを吹き込んでいました。 + イエスは、父がすべてのものを与えてくださったことと、自分が神のもとから来て、また神のもとに帰ろうとしていることを知り、 + 夕食の席からゆっくり立ち上がり、上着を脱ぎ、手ぬぐいを取って腰に巻かれました。 + そしてたらいに水を入れ、弟子たち一人一人の足を洗い、腰の手ぬぐいでふき始められたのです。 + シモン‧ペテロの番になりました。ペテロは言いました。「主よ。足を洗っていただくなど、もったいなくてとてもできません。」 + イエスは言われました。「なぜこんなことをするのか、今はわからないでしょう。だが、あとでわかるようになります。」 + 「いいえ。どうかもう、おやめください」とペテロは言いはります。「もしわたしが足を洗わなければ、あなたはわたしの仲間にはなれません」とイエスは答えられました。 + するとペテロはあわてて、「そ、それなら、足だけとおっしゃらず、手も、それに頭も洗ってください」と言いました。 + 「水浴した者は、足だけ洗えば全身がきよくなります。今あなたがたはきよいのですが、みながみな、きよいというわけではありません。」 + イエスはだれが裏切り者かわかっていたので、「みながみな、きよいわけではない」と言われたのです。 + イエスは弟子たちの足を洗い終えると、また上着を着て席に戻り、改めてお尋ねになりました。「わたしのしたことがわかりますか。 + あなたがたはわたしを『先生』とも『主』とも呼んでいます。それはかまいません。そのとおりなのですから。 + その、主でも先生でもあるわたしが足を洗ってあげたのですから、あなたがたも互いに足を洗い合いなさい。 + わたしは模範を示したのです。わたしがしたとおりに、あなたがたもしなさい。 + 使用人はその主人にまさらず、遣わした人より使者のほうがまさるということもありません。 + このことがわかったら、すぐ実行しなさい。そうすれば祝福されるのです。 + あなたがた全員にこう言っているのではありません。あなたがたを選んだのは、このわたしです。ですから、一人一人がどんな人間かよく知っています。聖書には、『わたしと食事を共にしている者が、わたしを裏切る』とはっきり書いてあるでしょう。いいですか。まもなく、そのとおりのことが起こるのです。 + 今そのことを話しておきましょう。その時になって、あなたがたがわたしを信じられるように。 + よく言っておきます。わたしが遣わす者を心から受け入れる人はだれでも、わたしを受け入れるのです。そして、わたしを心から受け入れることは、わたしをお遣わしになった父を受け入れることなのです。」 + ここでイエスは、込み上げる霊の悲しみを抑え、言われました。「あなたがたに言います。あなたがたのうちの一人が、わたしを裏切ります。」 + 弟子たちは、だれのことを言われたのか見当もつきません。困惑して顔を見合わせるばかりです。 + イエスに愛された弟子の私(筆者の使徒ヨハネ)は、食卓では先生の隣に座っていました。 + シモン‧ペテロが私に、「そんな恐ろしいことをしでかすのは、いったいだれか聞いてくれ」と合図を送ってきました。 + そこで私は先生に、「主よ。だれがそんなことを?」と尋ねました。 + 「わたしの手でスープに浸したパンを与える者がそうです。」こう言うと、イエスはパンを浸し、イスカリオテのシモンの子ユダに与えられたのです。 + ユダがそのパンを口に入れたその時、サタンがユダの心に入り込みました。そこでイエスはユダに、「さあ、急いで、することをしなさい」と言われました。 + 食卓に着いているほかの者はみな、それが何のことやらわかりません。 + ユダが一行の会計係だったので、祭りに必要なものを買い求めるように言われたか、貧しい人々に施しをするように言われたのだろう、と思った者もいました。 + ユダはぱっと席を立つと、夜の闇に飛び出して行きました。 + ユダが姿を消すとすぐ、イエスが言われました。「時が来ました。神の栄光がわたしの回りに輝き渡るのも、時間の問題です。同時にまた、わたしの身に起こるすべてのことのゆえに、神も大いにほめたたえられるでしょう。 + 神はわたしに、ご自分の栄光を与えてくださるのです。それも、すぐにです。 + 心から愛してやまない子どもたちよ。ああ、もう時間がありません。あなたがたを残して行かなければならないのです……。その時には、いくらわたしを捜しても、わたしのところへ来ることはできません。ユダヤ人の指導者たちにも言っておいたとおりです。 + そこで今、新しい戒めを与えましょう。わたしがあなたがたを愛するように、互いに愛し合いなさい。 + 互いに心から愛し合うなら、わたしの弟子であることをすべての人が認めるのです。」 + さっそく、シモン‧ペテロが尋ねました。「主よ。いったいどこへいらっしゃるのですか?」「あなたは、今はついて来ることはできません。しかし、ずっとあとになってついて来ます。」 + ペテロは言いました。「でも、どうしてですか。どうして今はだめなのですか。あなたのためなら死ぬ覚悟もできています。」 + 「わたしのために死ぬ、と言うのですか。いや違います。あなたは、明日の朝、鶏が鳴く前に、三度わたしを知らないと言います。」 + + + 「あなたがたは、どんなことがあっても、心配したりあわてたりしてはいけません。神を信じ、またわたしを信じなさい。 + 父の住んでおられる所には、家がたくさんあります。もしなかったら、はっきり言っておいたでしょう。わたしは、あなたがたを迎える家を準備しに行くのです。 + すっかり準備ができたら迎えに来ます。わたしがいる所に、あなたがたもいられるようにするためです。 + これだけ言えば、わたしがどこへ行くか、どうしたらそこへ行けるか、もうわかったでしょう。」 + するとトマスが言いました。「いいえ、ちっともわかりません。先生がどこへおいでになるのか、まるで見当もつきません。ましてそこへ行く道など、どうしてわかりましょう。」 + イエスはトマスに言われました。「いいですか。わたしが道です。そして真理でもあり、いのちでもあります。わたしを通らなければ、だれ一人、父のところへは行けません。 + わたしがどういう者か知っているなら、わたしの父のこともわかったはずです。あなたがたは、今からはもう父を知っているし、すでに父を見ているのです。」 + 今度はピリポが口をはさみました。「先生。あなたのお父様を見せてください。それだけで十分ですから。」 + 「ピリポ。こんなに長くいっしょにいるのに、わたしがどういう者かまだわからないのですか。わたしを見た者は、父を見たのです。それなのにどうして父を見せてくださいなどと言うのですか。 + わたしが父のうちにおり、父がわたしのうちにおられることを信じないのですか。わたしは自分の考えを話しているのではありません。わたしのうちに住んでおられる父の命じられるままに話しているのです。父は、わたしを通して働きをなさいます。 + わたしが父のうちにおり、父がわたしのうちにおられる、ただこのことを信じなさい。もし信じられないなら、わたしが行った力ある奇跡を思い出してごらんなさい。そうしたら信じられるでしょう。 + よく言っておきます。わたしを信じる者は、わたしと同じわざを行うばかりか、それよりもさらに大きなわざを行うのです。わたしが父のもとに行くからです。 + わたしの名によって、父に願い求めなさい。どんなことでもかなえてあげましょう。父が子によってほめたたえられるためです。 + わたしの名によって願い求めることは、必ずかなえられるのです。 + わたしを愛するなら、わたしの戒めを守りなさい。 + わたしは父に、もう一人の助け手を送っていただくようお願いします。その助け手は、いつもあなたがたと共におられます。 + その方とは聖霊、すなわち、すべてを真理へと導いてくださる霊のことです。世は、この方を受け入れることができません。この方を求めもしなければ、認めようともしないからです。しかし、あなたがたはこの方を知っています。あなたがたと共に住み、あなたがたのうちにおられるからです。 + わたしはあなたがたを見捨てたり、孤児のように置き去りにしたりすることなどありません。必ずあなたがたのところに帰って来ます。 + もうすぐわたしはこの世を去りますが、それでもなおいっしょにいるのです。わたしはよみがえり、あなたがたもいのちを受けるからです。 + わたしが復活する時、あなたがたは、わたしが父のうちにおり、あなたがたがわたしのうちにおり、また、わたしがあなたがたのうちにいることがわかります。 + わたしに従い、わたしの戒めを守る人は、わたしを愛する人です。わたしを愛する人を、父は愛してくださいます。わたしもまたその人を愛し、わたし自身を現します。」 + ユダ(イスカリオテ‧ユダではなく、同名の他の弟子)がイエスに、不思議そうに尋ねました。「先生。私たち弟子にだけご自分を現そうとなさって、世の人に現そうとなさらないのはどうしてですか。」 + イエスはお答えになりました。「わたしを愛し、わたしのことばを守る人にだけ、わたしは自分を現すのです。父もまた、そういう人を愛してくださいます。わたしたちはその人のところに来て、その人といっしょに住みます。 + わたしのことばを守らない人は、わたしを愛していないのです。わたしは、自分で考え出したことを話しているのではありません。わたしをお遣わしになった父が教えてくださったことを話しているのです。 + 今、まだあなたがたといっしょにいる間に、このことをみな話しておきます。 + しかし、父がわたしの代わりに助け手(聖霊)を送ってくださる時には、その方があなたがたにすべてのことを教え、わたしが話しておいたことを、みな思い出させてくださるのです。 + あなたがたに贈り物をあげましょう。あなたがたの思いと心を安らかにすること、それがわたしの贈り物です。わたしが与える平安は、この世のはかない平安とは比べものになりません。だから、どんな時にもおろおろしたり、恐れたりしてはいけません。 + 『わたしは去って行くが、また戻って来る』と言ったことを思い出しなさい。ほんとうにわたしを愛しているなら、今わたしが父のもとに行けるのを、心から喜んでくれるはずです。父はわたしよりも偉大だからです。 + わたしは、まだ起こっていないことを前もって話しました。それが起こった時に、あなたがたがわたしを信じるためです。 + もう、あまり多くのことを話す時間がありません。この世の悪い支配者が、そこまで近づいているからです。彼はわたしに何もできません。 + わたしは、父がしなさいとおっしゃることを進んで実行します。わたしが父を愛していることを、世の人が知るためです。さあ、出かけましょう。 + + + わたしはまことのぶどうの木、わたしの父はぶどう園の農夫です。 + 父は、実のならない枝をみな切り落とし、実のなる枝はもっとたくさんなるように、余分な枝を整理なさるのです。 + 父は、すでにあなたがたの枝を整理し、きれいに手入れをすまされたのです。 + ですから、わたしのうちに生きるよう心がけなさい。またわたしが、あなたがたのうちに生きられるようにしなさい。枝は幹につながっていなければ、実を結べないでしょう。同じようにあなたがたも、わたしから離れたら、実を結ぶことはできません。 + わたしはぶどうの木で、あなたがたはその枝です。人がわたしのうちに生き、わたしもその人のうちに生きているなら、その人は多くの実を結びます。わたしを離れては何もできません。 + わたしから離れる者はだれでも、役に立たない枝のように投げ捨てられ、枯れてしまいます。最後には、ほかの枝といっしょに積み上げられ、焼かれてしまうのです。 + しかし、もしわたしのうちにとどまり、わたしの命令に従うなら、何でもほしいものを求めなさい。きっとかなえられます。 + わたしのほんとうの弟子となり、多くの実を結ぶことによって、父が大いにほめたたえられるのです。 + 父がわたしを愛してくださったように、わたしもあなたがたを愛しました。わたしの愛のうちに生きなさい。 + わたしの戒めを守るなら、わたしの愛のうちに生き続けます。わたしが父の戒めを守り、父の愛のうちに生きているのと同じです。 + このことを話したのは、わたしのうちにあふれる喜びを共に味わいたいからです。 + わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。これがわたしの教えです。 + 愛は何によって測ることができるでしょう。友のためにいのちを投げ出すこと、これより大きな愛はありません。 + わたしの命令に従う人は、わたしの友です。 + あなたがたはもう使用人ではありません。今からは、わたしの友です。主人は使用人に秘密を打ち明けたりはしません。しかし、わたしは父から聞いたことをみな、あなたがたに話しました。 + あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選んだのです。そして任命しました。だから、あなたがたは行って、いつまでも残るすばらしい実を結びます。また、わたしの名前によって父に求めるものは、何でもいただけるのです。 + もう一度言います。互いに愛し合いなさい。 + あなたがたは、世の人にひどく憎まれます。だが忘れてはいけません。あなたがたより先に、わたしが憎まれたのです。 + あなたがたが世の人と同じであったら、世もあなたがたを愛したでしょう。だが、そうではありません。わたしがあなたがたを選び、世から連れ出したのです。だから、世はあなたがたを憎むのです。 + 『使用人は主人より偉くはない』と言ったのを覚えているでしょう。わたしを迫害した人々があなたがたを迫害しても、何の不思議があるでしょう。ごく当然のことです。わたしの言うことを聞く人なら、あなたがたの言うことも聞くはずです。 + しかし世の人は、わたしの弟子だというだけであなたがたを迫害します。わたしをお遣わしになった神を全く知らないからです。 + わたしが来なくて、何も話さなかったのであれば、彼らは罪を問われなかったでしょう。しかし今はもう、罪の言いわけは許されません。 + だれでもわたしを憎む者は、わたしの父をも憎むのです。 + わたしがあれほどのわざを行わなかったのなら、彼らは罪に定められることもなかったでしょう。けれども、わたしのわざをはっきり見たにもかかわらず、わたしとわたしの父を憎んだのです。 + こうして、『彼らは理由もなしにわたしを憎んだ』というメシヤについての預言は、そのとおり実現しました。 + わたしはあなたがたに、助け手、すなわち、すべての真理の根源である聖霊を遣わしましょう。その方は、父のもとから来て、わたしのことを語ってくださいます。 + あなたがたもまた、わたしのことをすべての人に語らなければなりません。初めからわたしといっしょにいたからです。 + + + これらのことを話したのは、これからどんなことが起こっても、あなたがたがくじけないためです。 + 会堂から追放され、いのちまでつけねらわれる身になることを覚悟しなさい。事実、あなたがたを殺すことで神への奉仕を果たすのだと、人々がとんでもない思い違いをする時が来ます。 + 父をも、わたしをも知らない人々のやりそうなことです。 + いいですか。この警告をしっかり心にとめておきなさい。迫害が現実に起きた時、あわてふためかないですむようにしなさい。今までこんなことを言わなかったのは、しばらくの間でも、いっしょにいてあげられたからです。 + しかし今、わたしは、わたしをお遣わしになった方のもとに行かなければなりません。それでもあなたがたは、わたしが何のためにそこへ行くのか、知りたくないようです。だれ一人、どこに行くのか尋ねもしません。 + かえって、わたしの話を聞いて、悲しみに心が満ちています。 + しかし、わたしが行くことは、あなたがたにとって一番よいことなのです。わたしが行かなければ、助け手である聖霊はおいでになりません。行けば必ずおいでになります。それというのも、わたしがその方を遣わすからです。 + その方が来られると、世の人に誤りを認めさせます。罪、心の正しさ、神との正しい関係、さばきからの救いについて、人々は考え違いをしているのです。 + まず、罪とはわたしを信じないことです。 + 正しい心を持ち、神と正しい関係を結べるのは、わたしが父のもとに行き、もはやわたしを見なくなるからです。 + さばきから救われるのは、この世の支配者がすでにさばかれたからです。 + ああ、話しておきたいことはまだまだたくさんあります。それなのに、今のあなたがたには理解できないことばかりです。 + しかし、真理である聖霊が来られます。その方の指導を受けて、あなたがたもいつか、すべての真理を知るのです。聖霊は、自分の考えを述べたりしません。ただ、聞くままを伝え、やがて起こることについても話します。 + また、わたしの栄光を示すことによって、わたしに大きな栄誉を与えます。 + 父の栄光はみなわたしの栄光です。だから聖霊がわたしの栄光を示すと言ったのです。 + まもなく、わたしは去って行きます。もはやわたしを見ることはできません。しかし、またすぐにわたしを見るようになります。」 + この話を聞いて、弟子たちの何人かがひそひそとささやき始めました。「いったい何のことだろう。『まもなくわたしを見なくなり、またすぐにわたしを見る』とか、『父のもとに行く』とかおっしゃったけど、どういうことだろう。」 + 弟子たちが質問したくてうずうずしていると、イエスはそれに答えるように、また話し始められました。「何を言い合っているのですか。そんなにわたしの言うことがわからないのですか。 + いいですか。わたしの身に起こることで、この世は大喜びし、あなたがたは悲しみます。しかし、やがてわたしに再会できるのです。その時、悲しみは大きな喜びに変わるでしょう。 + 苦しんで子を産む母親の喜びと全く同じです。子どもが生まれると、それまでの激しい苦しみを忘れるほどの大きな喜びに変わるのです。 + 今は悲しみでいっぱいですが、わたしはもう一度あなたがたに会います。その時あなたがたは、だれも奪うことのできない喜びにあふれるのです。 + その時には、何一つわたしに求める必要はありません。直接父に求めることができるからです。父は、わたしの名によって求めるものは何でも与えてくださいます。 + あなたがたは、今までこのような求め方をしたことはありませんでした。わたしの名によって求めなさい。そうすれば与えられ、あなたがたは喜びに満ちあふれるのです。 + わたしはたとえを使って話しましたが、そんな必要はなくなる時が来ます。その時には、父についてはっきりと話しましょう。 + その時、あなたがたはわたしの名によって願い事をするのです。わたしがあなたがたに代わって、どうぞ願いを聞いてくださいと父に頼む必要はなくなります。 + わたしを愛し、わたしが父から来たことを信じるあなたがたを、父も心から愛してくださるからです。 + そう、わたしは父のもとからこの世に来ました。そしてまた世を去り、父のもとに帰るのです。」 + 弟子たちは言いました。「先生。今、はっきりとわかりました。 + あなたは何もかもご存じです。もう何も申し上げません。あなたは、確かに神様から遣わされた方です。」 + 「やっと信じてくれるのですね。 + ああ、でも時が来れば、あなたがたはばらばらに散らされます。わたし一人を残して、見向きもせず、一目散に家に逃げ帰るのです。いや、その時はもう来ています。しかし、わたしは一人ではありません。父がついておられます。 + あなたがたも心配しないで、安心していなさい。こんなにも念には念を入れて話したのは、そのためなのですから。確かに、この世では苦難と悲しみが山ほどあります。しかし、元気を出しなさい。わたしはすでに世に勝ったのです。」 + + + ひとしきり語り終えられると、イエスは天を見上げて言われました。「父よ。いよいよ時が来ました。わたしがあなたに栄光をお返しできるように、わたしの栄光を現してください。 + 地上のすべての人を支配する権威をわたしに下さったので、こうして、あなたから任せられた一人一人に、永遠のいのちを与えられるのです。 + ただ一人のまことの神であるあなたと、あなたがこの地上にお遣わしになったわたしを知ること、それが永遠のいのちを得る道です。 + わたしはあなたに言われたとおりを成し遂げ、地上であなたの栄光を現しました。 + 父よ。今こそあなたの前で、わたしの栄光を現してください。世界が造られる前から、ごいっしょに持っていたあの栄光で、わたしを輝かせてください。 + あなたのことはすべて、この人たちに話しました。彼らはこの世にいましたが、あなたが世から選び出し、わたしに下さったのです。いつもあなたのものである彼らを、わたしに下さったのです。彼らはあなたのおことばを守りました。 + いま彼らは、わたしの持っているものはみな、あなたからの贈り物であることを知っています。 + わたしがあなたのおことばを伝えたからです。彼らはそれを受け入れ、確かにわたしがあなたのもとからこの地上に遣わされて来たのだと信じています。 + 父よ。お願いがあります。もちろん、世のためではなく、あなたがわたしに下さった者たちのためです。彼らはあなたのものなのですから。 + 彼らはみな、わたしのもの、また、あなたのものです。あなたは彼らを、他のすべてのものといっしょにわたしに下さいました。ですから、彼らはわたしの栄光なのです。 + わたしは世を去り、あなたのもとに帰ります。彼らをあとに残して……。ああ、父よ。この人たちが一人も脱落しないように守ってください。わたしと父が一つであるように、彼らも一つとならせてください。 + 彼らがわたしといっしょにいた間は、あなたの家族として、一人一人を安全に守りました。滅びないように、いつも見守りました。ただ地獄の子だけが滅びました。聖書に言われていたことが実現するためです。 + 今わたしは、みもとにまいります。彼らの心がわたしと同じ喜びでいっぱいになるように、いっしょにいる間は、できるだけのことを話しました。 + あなたの命令も伝えました。するとどうでしょう。世の人は彼らを憎んだのです。わたしと同じように、彼らもこの世と調子を合わせようとしないからです。 + 彼らをこの世から取り去ってくださいとはお願いしません。ただ、サタンから守ってください。 + わたしと同じように、彼らもこの世のものではありません。 + あなたの真理のことばによって、彼らを純粋な、きよい者としてください。 + あなたがわたしを世にお遣わしになったように、わたしも彼らを世に遣わします。 + また、彼らが真理を知る、きよい者として成長できるように、この身をささげます。 + この人たちのことだけでなく、この人たちの証言を聞いて、わたしを信じるすべての人のためにも祈ります。 + 父よ。お願いです。あなたとわたしが一つであるように、彼らも一つの心、一つの思いとなりますように。あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるのと同じように、彼らもわたしたちのうちにいさせてください。それを見て、あなたがわたしをお遣わしになったことを、世の人々が信じますように。 + あなたが下さった栄光を、わたしは彼らに与えました。わたしと父が一つであるように、彼らにも完全な一致を保ってほしかったからです。 + わたしが彼らのうちにおり、あなたがわたしのうちにおられて初めて、みな完全に一つになるのです。その時、世の人々は、あなたがわたしをお遣わしになったことを知り、わたしだけでなく彼らも、あなたが愛しておられることを認めざるをえなくなるのです。 + 父よ。彼らがわたしといっしょにいることができるようにしてください。彼らにわたしの栄光を見させてください。世界の造られる前からわたしを愛しておられた、あなたが下さった栄光を。 + ああ、父よ。すべての事において正しい父よ。世はあなたを知りません。けれども、わたしはあなたを知っています。この弟子たちも、あなたがわたしをお遣わしになったことを知っています。 + わたしが教えたのです。これからも教えます。あなたの大きな愛が彼らをつつみ、わたしも彼らのうちにいられるように。」 + + + 話し終えると、イエスは弟子たちといっしょに出かけ、ケデロンの谷を横切り、とあるオリーブ園に入って行かれました。 + イエスは弟子たちといっしょによくここに来ておられ、イエスを裏切ろうとしていたユダにとってもなじみのある場所でした。イエスと弟子たちはそこでたびたび会合したからです。 + 祭司長とパリサイ人たちは、ユダに、一隊の兵士と神殿警備の役人たちをつけて園に差し向けました。手に手にあかあかと燃えるたいまつやランプをかざし、武器を持った一隊が、オリーブ園に押しかけました。 + イエスはご自分の身に起こることをすべてご存じだったので、前に進み出て人々を迎えました。裏切り者のユダもいっしょでした。「だれを捜しているのですか。」「ナザレのイエス!」「わたしがイエスです。」 + このイエスのことばに、人々はみな息をのんであとずさりし、ばたばたと倒れました。 + イエスはもう一度お尋ねになりました。「だれを捜しているのですか。」「ナザレのイエスを。」 + 「わたしがそうだと言ったではありませんか。目当てがこのわたしなら、ほかの者は関係ありません。このまま帰らせてあげなさい。」 + それは、「わたしに下さった人たちを、ただの一人も失いませんでした」とイエスが言われたとおりになるためでした。 + その時、シモン‧ペテロは剣を抜き放ち、大祭司の部下、マルコスの右の耳を切り落としました。 + しかし、イエスはペテロをたしなめて、「剣をさやに納めなさい。父が下さった杯は飲まなければならないのです」と言われました。 + これを聞くと、ユダヤ人の役人たちは、大隊長や兵士たちといっしょにイエスに襲いかかり、縛り上げました。 + 彼らがまずイエスを引いて行ったのは、その年の大祭司カヤパのしゅうとアンナスのところでした。 + カヤパは以前、ユダヤ人の指導者たちに、「一人の人が全国民の代わりに死ぬほうが得策だ」と助言した人物です。 + シモン‧ペテロは、もう一人の弟子(筆者の使徒ヨハネ)といっしょに、恐る恐るイエスについて行きました。その弟子は大祭司の知り合いだったので、イエスといっしょに中庭に入ることができました。 + ペテロはじりじりしながら門の外に立っていましたが、あの弟子が来て、門番の女に頼み込んだので、入れてもらえることになりました。 + ところが、女はまじまじとペテロを見やり、「ねえ、ちょっと、あなた、イエスの弟子じゃない?」と聞くのです。「とんでもない、何を言うんだ。」そう言って、その場はなんとか切り抜けました。 + 寒い日だったので、役人や召使たちは炭火をかこんで暖まっています。ペテロは何くわぬ顔で、いっしょに立って暖まっていました。 + 中ではいよいよ、大祭司がイエスに、弟子たちのことや教えの内容などについて尋問を始めたところです。 + イエスはお答えになりました。「わたしの教えはわかっているでしょう。いつも会堂や宮で語っていたので、ユダヤ人の指導者の皆さんも聞いておられたはずです。それ以外に、隠れて別のことを教えたことはありません。 + どうしてそんな質問をするのですか。そのようなことは、わたしの話を聞いた人たちに尋ねればすむのに。ここにも何人かいるでしょう。わたしが何を言ったか、その人たちが一番よく知っています。」 + 「無礼者!それが大祭司様に対する口のきき方か。」そばに立っていた役人の一人がどなりつけ、平手でイエスをたたきました。 + イエスはお答えになりました。「何かまちがったことでも言いましたか。だったら証拠を見せてください。なぜ、正しいことを言う者を打つのですか。」 + こうしたやりとりのあと、アンナスは、イエスを縛ったまま、大祭司カヤパのところに回しました。 + 一方、シモン‧ペテロはどうしたでしょう。火のそばで暖まっていると、またしても人々が、「あんた、あの人の弟子じゃないのか?」と問い詰めました。「弟子だって? 冗談じゃない。」 + こう答えたものの、まずいことに、ペテロが耳を切り落とした、あの大祭司の部下の親類にあたる者が居合わせたのです。「しらばっくれてもだめだ。あのオリーブ園で、確かにイエスといっしょだったぞ。」 + こうまで言われても、ペテロはあくまでしらを切りました。とその時、鶏の鳴く声が聞こえました。 + カヤパの取り調べはその朝早く終わり、今度はローマ総督(ユダヤを統治する行政長官)の番です。訴える人々は、イエスを総督官邸まで連れて行きましたが、中に入ろうとしません。ユダヤ教のおきてでは、異教徒の家に入ることはたいへん汚らわしいことだったのです。そんなことをしたら身が汚れて、過越の食事が食べられなくなるからです。 + それで、総督ピラトがわざわざ外に出て来て問いただしました。「何を告発しに来たのか。いったいこの男はどんな悪事を働いたのだ。」 + 「やつが犯罪人でないなら、逮捕したりはいたしません!」彼らも負けずにやり返します。 + 「そうか。だったらおまえたちの法律に従って、おまえたちが裁判したらよかろう。」「お忘れですか。私どもにはこの男を死刑にする権利はないのです。だから、ぜひとも閣下のご承認をいただきたいのです。」 + こうして、ご自分がどのような方法で処刑されるか、イエスが前もって話しておられたことが現実となったのです。 + ピラトは官邸内に戻ると、イエスを呼び寄せて尋ねました。「おまえはユダヤ人の王か。どうなのだ。」 + 「あなたの言う王とは、普通の意味での王ですか。それとも、ユダヤ人の言う王でしょうか。」 + ピラトはかんに触ったのか、強い口調で言いました。「私がユダヤ人だとでも言うつもりか。おまえをここに引っ立てて来たのは、ユダヤ人と祭司長たちだろう。いったい何をしでかしたのか。」 + 「わたしは地上の王ではありません。もし地上の王であったら、逮捕された時、弟子たちは戦いをいどんだでしょう。わたしの国はこの世のものではないのです。」 + 「なんだと、それじゃあ、やっぱりおまえは王なんだな!」「いかにもそのとおりです。わたしは、この世に真理を伝えるために生まれたのです。真理を愛する者はみな、わたしに従うのです。」 + 「真理だと? 真理とは何だ。」ピラトは吐き捨てるように言うと、またユダヤ人たちのところへ行き、こう提案しました。「あの男は無罪だ。 + ところで毎年、過越の祭りの時には、囚人を一人釈放してやることになっている。おまえたちさえよければ、あの『ユダヤ人の王』を釈放してやるが、どうだ。」 + 「違う! あいつじゃない! バラバだ!」彼らはまた大声でわめき立てました。このバラバという男は強盗だったのです。 + + + しかたなくピラトは、イエスの背中を鉛のついたむちで打たせました。 + そして兵士たちは、いばらで冠を編み、イエスの頭にかぶらせ、王の着る紫色のガウンを着せました。 + それから、「ユダヤ人の王様、ばんざーい!」とさんざんからかい、平手でたたいたりしました。 + ピラトはもう一度外に出て、ユダヤ人たちに念を押しました。「今、あの男を連れ出す。だがいいか。私の見たところでは、あの男は無罪だ。」 + イエスは、いばらの冠に紫色のガウンという姿のまま出て来られました。「よく見ろ。この男だ」と、ピラトが言いました。 + 「十字架につけろ! 十字架だ!」イエスを見るやいなや、祭司長やユダヤ人の役人たちは、大声で訴えました。ピラトは言いました。「そこまで言うならおまえたちがやれ! 私の調べでは無罪だ。」 + 「こいつは自分を神の子とぬかしました。私どもの法律では死刑です。」 + そのことばを聞くと、ピラトはますますこわくなりました。 + もう一度イエスを官邸へ連れ戻し、尋ねました。「おまえはいったい、どこから来たのだ。」しかし、イエスはひとこともお答えになりません。 + ピラトはさらに問い詰めます。「何も言わないのか。わからんやつだな。私の命令ひとつで、おまえを釈放することも、十字架につけることもできるのだぞ。」 + イエスは言われました。「神から与えられた権威でなければ、あなたは何も手出しはできません。わたしをあなたに引き渡した者の罪は、もっと大きいのです。」 + 何とかしてイエスを釈放しようと手を尽くすピラトに、ユダヤ人の指導者たちは激しく抵抗しました。「こいつを釈放なさるおつもりですか。そんなことをしたら、あなた様はカイザル(ローマ皇帝)の味方ではありません。だれであろうと、自分を王とする者は謀反人です。」 + こう言われて、ピラトはまたもやイエスを外に連れ出し、「敷石」〔ヘブル語で、ガバタ〕と呼ばれる場所で裁判の席に着きました。 + それはちょうど、過越の祭りの前日、正午ごろのことでした。「さあ、おまえたちの王だ。」 + 「殺せ、殺せ。十字架につけろ!」「なに? おまえたちの王をか?」「カイザルのほかに王はない!」祭司長たちは、むきになって叫び返します。 + これでは、しかたがありません。ついにピラトもあきらめ、十字架につけるため、イエスをユダヤ人に引き渡しました。 + ついにイエスはユダヤ人たちの手に渡されました。イエスは十字架を背負わされ、エルサレム市外の、「どくろ」〔ヘブル語で、ゴルゴタ〕という場所へ引かれて行きました。 + 人々はそこで、ほかの二人といっしょにイエスを十字架につけました。イエスは真ん中、二人はそれぞれその両側に。 + ピラトはイエスの頭上に、「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」と書いた罪状書きを掲げました。 + 処刑の場所は都に近く、しかも罪状書きはヘブル語、ラテン語、ギリシヤ語で書いてあったので、大ぜいの人が読みました。 + これを見た祭司長たちは、ピラトに抗議しました。「『ユダヤ人の王』とあるのは納得がいきません。『ユダヤ人の王と自称した』と書き直してください。」 + 「私が書いたことに口出しする気か。そのままにしておけ。」ピラトは聞き入れませんでした。 + さて、イエスを十字架につけてしまうと、兵士たちははぎ取った着物を四つに分け、一つずつ取りました。下着もそうしようとしましたが、見ると縫い目がありません。 + 「こいつは裂くわけにいかないな。よし、だれが取るか、くじで決めよう」と話がまとまりました。「彼らはわたしの着物を分け合い、下着をくじ引きにした」という聖書のことばどおりになったのです。 + 兵士たちがこんなやり方をしたのも、聖書のことばが実現するためでした。十字架のそばには、イエスの母マリヤ、おば、クロパの妻マリヤ、マグダラのマリヤが立っていました。 + イエスに愛された弟子の私(ヨハネ)もいっしょでした。イエスは、私と、私のそばに立ち尽くしているご自分の母親とを見つめ、「お母さん。ほら、そこにあなたの息子がいますよ」と声をかけられました。 + それから、弟子の私に、「さあ、あなたの母ですよ」とおっしゃいました。その時以来、私は先生のお母さんを家に引き取ったのです。 + こうして、何もかもすっかり終わったことを知ったイエスは、「わたしは渇く」と言われました。これも聖書のことばどおりの出来事です。 + そこには、ちょうど酸っぱいぶどう酒のつぼが置いてありました。人々は海綿を浸し、ヒソプの枝の先につけて、イエスの口もとに差し出しました。 + それをお受けになると、最後に、「すべて成し遂げた」とひとこと叫び、頭を垂れて息を引きとられたのです。 + 翌日は安息日でした。しかも、特別に重要な日でした。ユダヤ人の指導者たちは、どうしても死体を翌日まで十字架にかけたままにしておきたくありませんでした。ピラトに、受刑者たちの足のすねを折って早く死なせるよう取り計らってほしい、と願い出ました。そうすれば十字架から取り降ろせるからです。 + さっそく兵士たちが来て、イエスといっしょに十字架につけられた二人の男のすねを折りました。 + 最後にイエスのところに来て見上げると、すでに亡くなっていたので、すねを折るのはやめました。 + ところが、兵士の一人が何を思ったのか、いきなり槍でわき腹を突きました。すると、そこから血と水が流れ出たのです。 + この一部始終を、私は確かにこの目で見ました。それをありのままに、正確に報告しています。皆さんにも信じていただきたいからです。 + 兵士たちがこうしたのは、聖書に、「彼の骨は一つも砕かれない」 + 、また「彼らは自分たちが突き刺した方を見る」とあることが、そのとおり起こるためでした。 + このあと、弟子でありながら、ユダヤ人の指導者たちを恐れてそれを隠していたアリマタヤのヨセフが、勇気を奮い起こし、ピラトにイエスの死体の引き取りを願い出ました。ピラトの許可を得ると、すぐ刑場に駆けつけ、死体を取り降ろしました。 + 以前に、夜、イエスのところに来たことのあるニコデモも、没薬(天然ゴムの樹脂で、古代の貴重な防腐剤)とアロエでつくった埋葬用の香油を三十キロほど用意して来ました。 + 二人はユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料をしみ込ませた長い亜麻布でイエスの体を包みました。 + 刑場の近くに園があり、そこにはさいわい新しい墓がありました。 + 安息日の前日ですから、急がなければなりません。すぐ近くだったこともあり、イエスをその墓に納めました。 + + + 週の初めの日(日曜日)、朝早く、まだ暗いうちに、マグダラのマリヤは墓に行きました。見ると、入り口の石がわきにのけてあります。 + 驚いたマリヤは、息せき切ってシモン‧ペテロと私のところに駆けつけ、「たいへんよ。だれかが主のお体を取って行ったわ! いったいどこに置いたのかしら」と叫びました。 + 私たちはそれを確かめようと、二人して墓に急ぎました。私はペテロより足が速かったので、先に着きました。 + すぐさま身をかがめてのぞき込むと、亜麻布が見えます。しかし中には入りませんでした。 + 続いてシモン‧ペテロが駆けつけ、ためらわず中に入りました。彼もやはり亜麻布と、 + そこからやや離れた所に、イエスの頭に巻かれていた布が、そのままの形で置いてあるのを見ました。 + 私もあとから入り、この有様を見て、イエスが復活なさったことを信じました。 + この時まで、イエスは必ず復活すると書いてある聖書のことばを、私たちはまだ理解していなかったのです。 + 二人は家に帰りました。 + けれども、マリヤは墓に戻り、外に立って泣いていました。泣きながら身をかがめて墓の中をのぞき込むと、 + イエスのお体があった場所の、頭と足にあたる所に、白い衣を着た天使が二人、座っているではありませんか。 + 「なぜ泣いているのですか。」天使たちがマリヤに尋ねました。「だれかが私の主を取って行ったのです。どこに持って行ったのか、わからないのです。」 + こう答えてふり向くと、だれかが立っています。なんとイエスでした。しかし、マリヤはまだ気がつかないようです。 + イエスはマリヤにお尋ねになりました。「どうかしましたか。泣いたりして……。だれを捜しているのですか。」マリヤは、イエスを園の管理人と勘違いしていたので、「あの方を運んだのはあなた? もしそうだったら、どこに置いたのか教えてください。私が引き取ります」と言いました。 + 「マリヤ。」イエスが呼びかけられました。その声にマリヤは、イエスのほうを向いて叫びました。「先生!」 + 「待ちなさい。すがりつくのはやめなさい。わたしはまだ父のもとに上っていないのですから。それよりも、してほしいことがあります。行ってわたしの兄弟たちに、『わたしは、わたしの父、またあなたがたの父であり、わたしの神、またあなたがたの神である方のもとに上って行く』と伝えてほしいのです。」 + マグダラのマリヤはすぐに弟子たちのところへ帰って行き、主にお会いしたことを告げ、イエスが言われたとおりを話しました。 + 同じ日曜日の夕方のことです。弟子たちは、ユダヤ人を恐れて戸にしっかりかぎをかけ、肩を寄せ合うようにして集まっていました。その時、突然イエスが一同の中にお立ちになったのです。「平安があるように。」イエスはまず、こうあいさつされてから、 + 手とわき腹をお見せになりました。主を見た弟子たちの喜びは、どれほどだったでしょう。 + イエスはもう一度言われました。「平安があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わします。」 + そして一同に息を吹きかけ、また言われました。「聖霊を受けなさい。 + あなたがたが赦すなら、だれの罪も赦されます。あなたがたが赦さない罪は赦されません。」 + 十二弟子の一人のトマスは、その時、その場に居合わせませんでした。 + それでみんなが、「ほんとうだ。主にお会いしたんだ」と口をすっぱくして話しましたが、本気にしません。頑としてこう言いはるばかりです。「主の御手に釘あとを見、この指をそこに差し入れ、この手を主のわき腹に差し入れてみなければ、信じない。」 + 八日たちました。その日も、弟子たちは集まっていました。今度はトマスもいっしょです。戸にはかぎがかかっていましたが、突然、前の時と同じようにイエスが一同の中に立ち、「平安があるように」とあいさつなさいました。 + それからイエスは、トマスにおっしゃいました。「さあ、あなたの指をこの手に当ててみなさい。あなたの手をこのわき腹に差し入れてみなさい。いつまでも疑っていないで信じなさい。」 + 「ああ、わが主、わが神よ!」感きわまって、トマスは叫びました。 + 「わたしを見たから信じたのですか。しかし、見なくても信じる者は幸いです。」 + 私がこの書に記した奇跡のほかにも、もっと多くの奇跡をイエスが行われるのを、弟子たちは見ました。 + しかし、これらのことを特に書いたのは、あなたがたがイエスは神の子キリストであると信じるため、またそう信じていのちを得るためです。 + + + このことがあってから、ガリラヤ湖のほとりで、イエスはもう一度、弟子たちの前に現れました。その時のいきさつはこうです。 + シモン‧ペテロ、トマス、ガリラヤのカナ出身のナタナエル、私の兄弟のヤコブ、それに私と、ほかに二人の弟子がいっしょにいました。 + 「漁に行くぞ」とシモン‧ペテロが言いだしました。するとみんな、「それじゃあ、おれたちも」というわけで、そろって出かけました。小舟に乗り込み、漁が始まりました。ところが一晩中かかっても、小さな魚一匹とれません。 + もう夜明けというころ、だれかが岸辺に立っているのが見えました。ぼんやりかすんでいるので、だれなのかはわかりません。 + 「魚はとれましたかー。」その人が声をかけてきました。「いやー、全然だめだよー。」 + 「では、舟の右側に網を下ろしてごらんなさい。きっと、たくさんとれますよ。」さっそくそのとおりにすると、どうでしょう。重くて引き上げられないほど、たくさんの魚がかかったのです。 + その時、私ははっと気がつき、「おい、あの方は主だよ!」とペテロに言いました。それを聞くと、ペテロは裸だったので、あわてて上着をはおり、水に飛び込みました。 + 舟に残った私たちは、百メートルほど離れた岸辺まで、魚ではち切れんばかりの網を引いて、そろそろ進みました。 + 着いてみると、炭火がおこしてあります。その上では魚がいいぐあいに焼けており、パンもあります。 + 「今とった魚を少し持って来なさい。」 + イエスにこう言われて、シモン‧ペテロがまっ先に飛んで行き、網を陸に引き上げました。数えてみると、なんと大きな魚が百五十三匹もとれていて、しかも網はどこも破れていません。 + 「さあ、ここへ来て、朝ごはんにしなさい」とイエスはうながされます。「ほんとうに主ですか」とあえて尋ねる者は一人もいません。それほどはっきりわかったのです。 + イエスはそばに来られ、パンと魚をめいめいに配ってくださいました。 + 死から復活されたあと、私たちに現れてくださったのは、これで三度目です。 + 食事がすむと、イエスはシモン‧ペテロを見つめておっしゃいました。「ヨハネの子シモン。ほかのだれよりもわたしを愛しますか。」「はい、主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」「それでは、わたしの小羊を養いなさい。」 + イエスは、くり返しお尋ねになりました。「ヨハネの子シモン。ほんとうにわたしを愛していますか。」「はい、主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」「それでは、わたしの羊の世話をしなさい。」 + イエスはもう一度言われました。「ヨハネの子シモン。ほんとうにわたしを愛していますか。」三度こんな尋ね方をされたので、ペテロは心に痛みを感じながら答えました。「主よ。いっさいをご存じなのはあなたです。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」「それでは、わたしの羊を養いなさい。 + あなたは若い時にはしたいことをし、行きたい所に行きました。だが、年をとると、そうはいかなくなります。あなたは自分の手を伸ばして差し出し、だれかほかの人が、行きたくもない所へあなたを引っぱって行くのです。」 + こう言われたのには訳がありました。ペテロがどんな死に方をして、神の栄光を現すかを知らせようとなさったのです。それから、「わたしについて来なさい」と言われました。 + ペテロがふり向くと、イエスに愛された弟子(使徒ヨハネ)がついて来るのを見ました。最後の夕食の席で、イエスに寄りかかって、「主よ。裏切る者はだれですか」と尋ねたあの弟子です。 + すると、ペテロの好奇心が頭をもたげました。「主よ。彼はどうなんです? どういう死に方をするのですか。」 + 「もう一度戻って来るまで、彼に生きていてほしいとわたしが思ったとしても、あなたとは何の関係もないでしょう。人のことは気にしないで、ただわたしについて来ればいいのです。」 + このことから、その弟子は死なないといううわさがクリスチャンたちの間に広まりました。しかし、イエスはそう断言なさったわけではありません。ただ、「もう一度戻って来るまで彼に生きていてほしいとわたしが思ったとしても、あなたとは何の関係もないでしょう」と言われただけなのです。 + その弟子とは、実は私(筆者)のことです。私はこれらの出来事を、見たとおり、ここに記録しました。この記録が正確なことは、私たちみんなが知っています。 + イエスのなさったことは、ほかにもたくさんあります。それをいちいち書き記すとしたら、きりがないでしょう。世界中が本であふれるほど書いても、それでもまだ足りないと思います。 + +
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+ + 親愛なる、神を愛する友へ。この前の書(ルカの福音書)では、イエスの生涯とその教えについて書き、イエスが、ご自分のお選びになった使徒たちに聖霊によって指示を与え、天に帰られたところまでお伝えしました。 + 十字架刑のあと、四十日にわたって、イエスは何度も使徒たちに姿を現されました。自分がまぎれもなく、生きているイエスそのものであることを、さまざまな方法で示されたのです。またそのつど、神の国のこともお話しになりました。 + そんなある時のことです。イエスは使徒たちに、こうお命じになりました。「エルサレムから離れてはいけません。前にも言ったように、父が約束を果たしてくださるまで、待っていなさい。 + バプテスマのヨハネは水でバプテスマ(洗礼)を授けましたが、もうすぐ、あなたがたは聖霊によるバプテスマを受けるからです。」 + そこで、またイエスが姿を現された時、使徒たちは心躍らせながら、「主よ。今こそイスラエルを解放し、独立国として再興なさるのですか」と尋ねました。 + 「それがいつかは、父がお決めになります。あなたがたが、あれこれ言うことはできません。 + しかし、聖霊があなたがたに下る時、あなたがたは大きな力を受け、エルサレムからユダヤ全土、そしてサマリヤから地の果てまで、わたしの死と復活を伝える証人となります。」 + こうお答えになると、イエスは、見守る使徒たちの目の前で天に上げられ、たちまち雲の中に姿を消されました。 + 彼らがなおも目をこらして見上げていると、突然、白い衣を着た人が二人、そばに立って言いました。 + 「ガリラヤの人たちよ。なぜ空ばかり見上げているのですか。イエスは天にのぼりましたが、いつかまた、今と同じようにして地上へ帰って来られるのです。」 + このことが起こったのはオリーブ山でした。そこから一キロほど歩いてエルサレムに戻るとすぐ、 + 使徒たちは、泊まっていた家の二階で祈り会を始めました。そこにいたのは次の人たちです。ペテロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、ピリポ、トマス、バルトロマイ、マタイ、ヤコブ〔アルパヨの息子〕、シモン〔「熱心党」という反体制グループのメンバー〕、ユダ〔ヤコブの息子〕、イエスの母、イエスの兄弟たち、何人かの婦人たち。 + この祈り会は数日間続きました。ある日、百二十人ほどが集まっていた時、ペテロが立ち上がり、次のように提案しました。 + 「皆さん。イエスを捕らえた暴徒どもの手引きをしたユダには、聖書のことばどおりのことが起こりました。そうならなければならなかったのです。ずっと昔、聖霊によって、ダビデ王が預言したことだからです。 + ユダは、使徒にも選ばれた、私たちの仲間でした。 + ところが彼は、裏切りで得た金で畑を手に入れたものの、まっさかさまに落ちて体が裂け、はらわたがみな飛び出すという無残な死に方をしたのです。 + この出来事は、あっという間にエルサレム中に広まり、人々はその場所を『血の畑』と呼ぶようになりました。 + 実は、ダビデ王が聖書の詩篇の中で、『彼の家は荒れ果て、だれも住まなくなれ』『彼の仕事を、ほかの人に与えよ』と預言しているのです。 + だから今、ユダの代わりにほかの人を、イエスの復活の証人に選ばなければなりません。選ばれる者の資格ですが、何と言っても、初めから私たちと行動を共にしてきた人でなければいけません。そう、イエス様がヨハネからバプテスマを受けて以来、別れを告げて天にのぼられるまでの間、ずっと私たちといっしょにいた人です。」 + 一同は二名の候補者を立てました。ユストというヨセフ〔別名バルサバ〕と、マッテヤです。 + それから、ふさわしい人が選ばれるように、みな一心に祈りました。「ああ、主よ。あなたはすべての人の心をご存じです。どうぞ、ユダの代わりに、二人のうちどちらを使徒にお選びになるかお示しください。ユダは当然行くべき所に行ってしまいましたから。」 + くじを引き、当たったのはマッテヤでした。こうして、ほかの十一人に、彼が使徒として加わることになりました。 + + + さて、イエスの死と復活から、七週間が過ぎました。五旬節(ユダヤ教の祭りの一つ)の日のことです。信者たちが一堂に集まっていると、 + 突然、天からものすごい音がしました。まるで、激しい風が吹きつけるような音です。それが、家全体にごうごうと響き渡ったのです。 + そして、めらめら燃える炎の舌のようなものが現れ、みなの頭上にとどまりました。 + するとどうでしょう。その場にいた人たちは、みな聖霊に満たされ、知りもしない外国語で話し始めたではありませんか。聖霊が、それだけの力を与えてくださったのです。 + その日エルサレムには、たくさんの敬虔なユダヤ人が、祭りのために、世界のあちこちから集まっていました。 + この大音響に、人々はいったい何事かと駆けつけましたが、弟子たちの話していることばを聞いて、すっかり面食らってしまいました。まぎれもなく自分たちの国のことばだったからです。 + 人々には、さっぱり訳がわかりません。ただ口々に、こう言い合うばかりでした。「こんなことってあるだろうか。みんなガリラヤ出身の人だというのに、 + 私たちの国のことばですらすら話している。 + ここには、パルテヤ人、メジヤ人、エラム人、またメソポタミヤ、ユダヤ、カパドキヤ、ポント、アジヤ、 + フルギヤ、パンフリヤ、エジプト、それにリビヤのクレネ語が使われている地方などから来た人たちがいるし、ほかにも、ローマからの旅行者で、もともとのユダヤ人もいれば、ユダヤ教への改宗者もいる。 + それに、クレテ人やアラビヤ人もいる。それがどうだ。それぞれの出身地のことばで、神のすばらしい奇跡の話を聞くとは……。」 + 人々はただ呆然として、「いったい、どうなっているのだ」と顔を見合わせました。 + しかし中には、「何、彼らは酔っぱらっているだけさ」と、あざける者たちもいました。 + するとペテロが、十一人の使徒と共につかつかと進み出て、声を張り上げ、人々に語りかけました。「よそから来られた方も、エルサレムに住んでおられる皆さんも、どうぞお聞きください。 + 皆さんの中には、私たちが酒に酔っているのだとおっしゃる方もいますが、そんなことはありません。酒に酔うには時間が早すぎます。朝の九時から酒を飲む人はいないでしょう。 + いま見ていることは、何世紀も前に、まさに預言者ヨエルが預言したことなのです。 + 『神は言われる。終わりの日に、わたしはすべての人にわたしの霊を注ぐ。その時、あなたがたの息子、娘は預言し、青年は幻を見、老人は夢を見る。 + 聖霊は、男女を問わず、わたしに仕える者たちに注がれる。すると、彼らは預言をする。 + また、わたしは天と地に不思議なしるしを現す。血と火と煙の雲だ。 + 主の恐るべき日が来る前に、太陽は暗くなり、月は血のように赤くなる。 + しかし、主にあわれみを求める者はみな、あわれみを受けて救われる。』 + ああ、皆さん。これから申し上げることを聞いてください。よくご存じのように、ナザレのイエスは、あなたがたの前で、力ある奇跡を行われました。神様はそれによって、だれにもはっきりわかるように、イエス様の身元を保証なさったのです。 + 神様はあらかじめ計画したとおり、この方を、あなたがたの手でローマ政府に引き渡し、十字架で処刑することをお許しになりました。 + そうした上で、この方を死の苦しみから解放し、復活させたのです。この方が、ずっと死んだままでいることなど、ありえないことだからです。 + ダビデ王は、イエス様のことをこう言っています。『主はいつも私と共におられる。主が私を助け、神の大きな力が私を支える。 + だから、心は喜びにあふれ、私の舌は主をほめたたえる。たとい死んでも、私には望みがある。 + あなたは、私のたましいを地獄に放置せず、あなたの聖なる息子の体を、朽ち果てさせることもない。 + 私を生き返らせ、あなたの前で、すばらしい喜びにあふれさせる。』 + 愛する皆さん。考えてください。ダビデはここで、自分のことを語っているわけではありません。そうでしょう。ダビデは死んで葬られ、その墓は今でも、ちゃんと残っているではありませんか。 + しかし、彼は預言者でしたから、自分の子孫の一人がメシヤ(ヘブル語で、救い主)となり、ダビデの王座につくと神が誓われたことを知っていたのです。 + それで、遠い将来を望み見ながら、メシヤの復活を預言しました。メシヤのたましいは地獄に放置されず、その体が朽ち果てることもない、と語ったのです。 + そのとおり、神様はイエスを復活させました。私たちはみな、そのことの証人です。 + いまイエス様は、天で最も栄誉ある神の右の座についておられます。そして、約束どおり、父なる神は聖霊を送ってくださいました。その結果、たった今、あなたがたが見聞きしたことが起こったのです。 + ダビデは、決して自分のことを言ったのではありません。ダビデは天にのぼったことはないからです。それに、当のダビデがこうも言っています。『神は私の主に言われた。「わたしがあなたの敵を完全に征服するまで、わたしの右に座っていなさい。」』 + ですから、イスラエルのすべての人に、はっきり言っておきます。神様が主とし、キリスト(ギリシャ語で、救い主)とされたイエスを、あなたがたは十字架につけたのです。」 + ペテロのことばは、人々の心を強く打ちました。「それでは、私たちはどうすればいいのでしょう。」あちらからもこちらからも、使徒たちへの質問の声があがりました。 + ペテロは答えました。「一人一人、罪の生活から悔い改めて神に立ち返りなさい。そして、罪を赦していただくために、イエス‧キリストの名によってバプテスマ(洗礼)を受けなさい。そうすれば、聖霊という賜物をいただけます。 + それはキリストが約束してくださったことです。あなたがたは言うまでもなく、あなたがたの子孫、また遠くにいても、私たちの神である主がお招きになったすべての人に与えられるのです。」 + このあとも、ペテロの説教はえんえんと続きました。イエスのことや、悪に満ちたこの時代から救われなければならないことを、ことばを尽くして訴えたのです。 + この日、ペテロの言うことを信じた人はバプテスマを受けましたが、その数は全部で三千人ほどでした。 + 彼らは、使徒たちの教えをよく守り、聖餐式(パンと杯によりキリストの体と血の祝福にあずかる、キリスト教の礼典の一つ)や祈り会に加わっていました。 + だれもが心から神を恐れ敬うようになり、また、使徒たちは次々と奇跡を行いました。 + 信者たちはみないっしょにいて、それぞれの持ち物を分け合い、 + 必要がある人には、財産を売り払って与えました。 + 毎日、神殿で礼拝をし、聖餐の時は、少人数に分かれてめいめいの家に集まり、心から喜びと感謝にあふれて食事を共にし、 + 心から神を賛美しました。彼らは町中の人に好感をもたれ、神も、救われる人を毎日、仲間に加えてくださいました。 + + + ある日の午後、ペテロとヨハネは宮へ出かけました。日課である午後三時の祈りをするためです。 + もうすぐ宮だという所で、生まれつき足の不自由な男が運ばれて来るのに出会いました。この男はいつも、宮の「美しの門」のそばに置いてもらい、宮に入る人たちから施しを受けていたのです。 + 二人が前を通り過ぎようとすると男は、「だんな様。どうぞお恵みを」と施しを求めました。 + 二人は立ち止まり、男をじっと見つめました。やがて、ペテロが口を開きました。「私たちをごらん。」 + 彼は何かもらえるのだろうと思って、二人を見上げました。 + ところが、ペテロは全く意外なことを言ったのです。「あげようにも、お金は持っていないんだ。しかし、ほかのものをあげよう。ナザレのイエス‧キリストの名によって命じる。さあ、立って歩きなさい。」 + そう言うなり、ペテロは手を貸して彼を立たせようとしました。すると男は、驚いたことに、足もくるぶしもたちまち強くなり、しっかりと立ち上がったのです。そして、すたすた歩き始めました。ペテロとヨハネが宮に入ると、彼は跳んだりはねたりして、神を賛美しながらついて来ました。 + 中にいた人たちは、神を賛美しながら歩いている男を、じろじろながめました。どうしたことでしょう。 + いつも「美しの門」で見かける、足の悪い物ごいではありませんか。だれもかれもびっくりするばかりです。 + そうこうするうち、人々がいっせいに、三人のいる「ソロモンの廊」と呼ばれる回廊に押し寄せました。男はうれしくてたまらないのでしょう。ペテロとヨハネにまとわりついて離れません。この有様を目のあたりにした人々は、あまりのことに恐ろしくなりました。 + 絶好の機会です。ペテロはすかさず話し始めました。「皆さん。どうして、そんなに驚くのですか? なぜ、私たちが自分の力や信仰深さによって、この人を歩かせたかのように、私たちを見つめるのですか。 + この奇跡は、アブラハム、イサク、ヤコブの神様、つまり私たちの先祖の神様が、そのしもべイエスに栄光を与えるためになさったことです。その方を、あなたがたはピラトの面前で、はっきりと拒否しました。ピラトがあれほど釈放しようとしたにもかかわらず。 + このきよく正しい方を自由にしようと考えるどころか、反対に人殺しの男を釈放しろと要求したのです。 + こうして、とうとう、いのちの源である方を殺してしまいました。しかし神様は、この方を復活させてくださいました。ヨハネも私もこのことの証人です。あなたがたが処刑したあと、私たちは確かに、復活したこの方にお会いしたのです。 + この方、すなわちイエスのお名前の力で、この人は治ったのです。彼の足が以前どんな状態だったかは、ご存じのとおりです。神から与えられた、イエスの名を信じる信仰によって、彼は完全に治ったのです。 + 愛する皆さん。あなたがたは何も知らなかったのでしょう。知らなかったからこそ、イエスをあんな目に会わせたのでしょう。それは、指導者たちにも言えることです。 + しかし神様は、実にこのことによって、メシヤは苦しめられるという預言を実現してくださったのです。 + ですから、すっかり心を入れ替えて、神に立ち返りなさい。そうすれば、神様は罪をきよめてくださいます。 + そして、すべてを新しくする恵みの時に、メシヤであるイエスを、もう一度遣わしてくださるのです。 + この方は昔からの預言どおり、すべての者が罪ののろいから救われる時まで、天にとどまっていなければなりません。ずっと昔、モーセは言いました。『神である主は、やがて、私と同じような預言者を起こされる。この方の語ることはすべて注意深く聞きなさい。 + この方に耳を傾けない者はだれでも、必ず滅ぼされる。』 + サムエルをはじめ、それ以後の預言者たちも、現在起こっていることを預言しました。 + あなたがたは預言者たちの子孫でしょう。それなら、神様がアブラハムに与えた、『全世界はユダヤ民族によって祝福される』という先祖への約束に、あなたがたも含まれているのです。 + 神様はご自分の子であるイエスを復活させると、真っ先にあなたがたイスラエル人のもとに遣わされました。あなたがたを罪の生活から立ち返らせ、祝福なさるためです。」 + + + 二人が話しているところへ、祭司たちや神殿の警備隊長、それにサドカイ人(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)たちが来ました。 + 聞いてみると、二人は堂々と、イエスが死者の中から復活したと話しています。これはまずいと思った彼らは、 + 二人を逮捕しましたが、もう夕方だったので、一晩、留置場に入れておくことにしました。 + しかし、二人の話を聞いた人たちが大ぜい信じ、信者の数は、男だけで五千人に上りました。 + 翌日、ユダヤ人の指導者たちの会議が、エルサレムで開かれました。 + 大祭司アンナス、カヤパ、ヨハネ、アレキサンデル、そのほか大祭司の一族もみな顔をそろえています。 + ペテロとヨハネは一同の前に引き出され、尋問が行われました。「おまえたちは、何の力で、また、だれの権威でこんなことをしたのか。」 + その時、ペテロは聖霊に満たされ、落ち着きはらって答えました。「わが国の名誉ある指導者、ならびに長老の方々。 + お尋ねの件は、あの足の悪い男のことで、どのようにして彼が治ったかということでしょうか。 + そのことなら、あなたがた、いやイスラエルのすべての人たちに、はっきりお話ししたいのです。この出来事は、あなたがたが十字架につけ、神様が復活させてくださった、あのメシヤ(救い主)、ナザレのイエスの名と力とによるのです。 + メシヤのイエスは、まさに『建築士たちの捨てた石が、最も重要な土台石になった』と聖書にある、その石なのです。 + この方以外には、だれによっても救われません。天下に、人がその名を呼んで救われる名は、ほかにないのです。」 + あまりにも大胆なペテロとヨハネのことばに、議員たちは驚き、たじたじとなりました。二人は明らかに、教育も受けていなければ、宗教の専門家でもないのです。とうとう、イエスといっしょにいたからそうなったのだ、と認めないわけにはいかなくなりました。 + その上、実際に足の治った当の男が二人のそばに立っていたのでは、その事実を否定することもできません。 + しかたなく彼らは、二人を退場させ、自分たちだけで協議しました。 + 「さて、彼らをどうしよう。たいへんな奇跡を行ったという事実は、どうにも否定のしようがない。なにしろ、エルサレム中の者たちが知っているのだから……。 + だが、これ以上の宣伝活動はやめさせなければならない。今後イエスのことを人前で語ったら、ただではすまないぞと脅してやろう。」 + 話が決まったところでもう一度二人を呼び入れ、今後いっさいイエスのことを話してはならないと、きつく言い渡しました。 + しかし、ペテロとヨハネは、きっぱり答えました。「神にではなく、あなたがたに従うことを、神様が望んでおられるとでもお考えなのですか。 + 私たちは、イエスの行われたことやお話しになったことを、知らせないわけにはいきません。」 + 議員たちはなおもしつこく脅しましたが、効き目はありません。かといって二人を罰しようものなら、暴動が起きかねないと考え、ついにあきらめて釈放しました。人々がみな、すばらしい奇跡を見て、神をほめたたえていたからです。 + なにしろ、四十年も立てなかった人が完全に治ったのですから、むりもありません。 + 晴れて自由の身になると、ペテロとヨハネはすぐほかの弟子たちのところへ帰り、議員たちの言ったことを残らず伝えました。 + これを聞いた信者たちはみな、心を一つにして祈りました。「ああ、天と地と海と、その中にあるすべてのものを造られた主よ。 + あなたは、はるか昔、あなたのしもべである先祖ダビデの口を通し、聖霊によって、こう語られました。『なぜ異教徒どもは主に怒りを燃やし、愚かな国々は全能の神に、むだな抵抗をするのか。地上の王たちは一つとなり、神とキリストに戦いをしかける。』 + まさに、この預言どおりのことが、今エルサレムで起こっています。ヘロデ王と総督ピラト、それにローマ人たちが、イスラエルの民と手を組み、あなたが油を注いだ聖なるしもべイエスに反逆しました。 + 何もかも、あなたのお考えのとおりです。彼らのやっていることは一つ残らず、知恵ある力によって、あなたが行わせているのです。 + ああ主よ、どうか今、彼らの脅しを聞かれ、私たちが忠実に、しかも大胆に、あなたの教えを語れるように、私たちをお守りください。 + 私たちに病気をいやす力を与え、あなたの聖なるしもべイエスの名によって、奇跡を行わせてください。」 + こう祈った時、集まっていた家が激しく揺れ動き、一同はたちまち聖霊に満たされて、大胆に神の教えを語り始めました。 + さて、イエスを信じた人たちは、心と思いを一つにし、だれ一人財産を惜しむ者がなく、すべてのものを平等に分け合っていました。 + 使徒たちは主イエスの復活を力強く語り、すべての者の上に恵みがありました。 + 土地や家を持っている者はそれを売り払い、代金を使徒たちのところに持って来ました。そのお金は必要に応じてみんなに分配されたので、貧しい者は一人もいませんでした。 + キプロス島出身で、レビ人のヨセフもその一人です。彼はバルナバ〔慰めの子〕と呼ばれていましたが、 + 畑を売った代金を、「困っている人たちに」と言って、使徒たちのところへ持って来ました。 + + + ところが一方で、こんな事件も起こりました。アナニヤという人が、妻サッピラといっしょに自分たちの土地を売ったのですが、 + アナニヤは、代金の一部を手もとに残しておきながら、すまして、「これで全額です」と言って使徒たちに差し出したのです。妻サッピラと示し合わせた上でのことでした。 + しかし、ペテロはそれを見抜いて、彼を責めました。「アナニヤよ。悪魔に心を奪われたのか。これで全額ですと言った時、あなたは、ほかのだれでもなく、聖霊ご自身を欺いたのだ。 + あなたの財産は、売ろうと売るまいと、あなたのものであることに変わりはなかったのに。たとえ売ったとしても、その代金をどれぐらい人に施すかも全く自由だった。なのに、どうしてこんなことをしたのか。あなたは私たちにではなく、神を欺いたのだ。」 + このことばを聞くと、アナニヤはばたりと床に倒れ、あっという間に死んでしまったのです。これを見た人々は、恐ろしさのあまり、心がすくみ上がりました。 + やがて青年たちが、死体を布でおおい、外に運び出して彼を葬りました。 + それから三時間ほどたったころでしょうか。アナニヤの妻が、何事も知らずにやって来ました。 + ペテロは尋ねました。「あなたがたが売った土地の代金は、これで全額ですか。」「はい、そうです。」 + 「どうしてあなたがたは、夫婦心を合わせて聖霊を試みたのか。見なさい。あなたの夫を葬った人たちが、すぐそこまで来ている。あなたも運び出してもらうがいい。」 + ペテロが言い終わるか終わらないかのうちに、サッピラは床に倒れ、息が絶えました。ちょうどそこへ青年たちが入って来て、確かに死んでいるのを見届けると、その足で運び出し、夫のそばに葬りました。 + 教会全体と、この出来事を聞いたすべての人が、非常な恐れにとらわれたことは言うまでもありません。 + 一方、使徒たちは、神殿のソロモンの廊で定期的に集会を開いていました。目をみはるような奇跡も、数多く行われました。 + ほかの人々は、その仲間入りはしないまでも、使徒たちを心から尊敬していました。 + こうして、男女を問わず、主を信じる者がますます増えていきました。 + 人々はついに、病人を床に寝かせたまま通りへかつぎ出し、「せめて、ペテロ様の影だけでもかかれば……」と願うほどになりました。 + また、エルサレム付近の町々からも大ぜいの人が、病人や、悪霊につかれた人たちを連れて来ました。その人たちは一人残らずいやされました。 + これを知った大祭司と、その一族であるサドカイ派の人たちはみな、激しいねたみにかられ、 + うむを言わせず使徒たちを逮捕し、留置場に放り込みました。 + しかし、夜、主の使いが来て、留置場の戸を開け、使徒たちを外に連れ出して言いました。 + 「さあ宮へ行き、このいのちの教えを大胆に語りなさい。」 + 言われたとおり、使徒たちは夜明けごろ宮へ行き、すぐに教え始めました。一方、大祭司とその取り巻きたちは集まって、ユダヤの最高議会と長老全員を召集しました。そして、いよいよ尋問を始めようと、人をやり、使徒たちを引き出して来させることにしました。 + ところが、使いの役人が留置場をのぞいてみると、どうしたことでしょう。使徒たちの影も形もありません。びっくりして議会に取って返し、 + 「もぬけのからです。かぎもしまっていたし、外には見張りもおりましたのに」と報告しました。 + これを聞いた警備隊長や祭司長たちは当惑しました。いったいこれからどうなるのだろうかと、あわてふためくばかりです。 + その時、一人の人が駆けつけて、留置場にいたはずの人たちが、宮で教えていると知らせました。 + 警備隊長は役人たちを伴って出かけ、使徒たちを連行して来ましたが、何一つ手荒なことはしませんでした。下手に手出しでもしようものなら、かえって自分たちの身が危ういと思ったからです。こうして、ようやく使徒たちが議会に引き出されました。 + まず、大祭司が問いただしました。「二度とイエスの教えを語ってはならないと、あれほどきつく言い渡したではないか。それなのに、どういうことだ。エルサレム中に教えを広めているではないか。おまえたちの魂胆はわかっている。イエスを殺した責任を、私たちにかぶせようというのだ。」 + しかし、ペテロと使徒たちは答えました。「人間よりも、神に従うべきです。 + 私たちの先祖たちの神は、あなたがたが十字架で処刑したイエス様を復活させてくださいました。 + 神様は大きな力でこの方を引き上げ、神の御子、また救い主となさったのです。それもみな、罪を悔い改め、赦していただく機会を、イスラエルの人々に与えるためでした。 + 私たちは、まさにこのことの証人です。神に従うすべての人に与えられる聖霊もまた、このことの証人なのです。」 + これを聞いた議員たちは烈火のごとく怒り、使徒たちを殺そうと決めました。 + ところがこの時、一人の議員が立ち上がりました。パリサイ派(信徒で、特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)のガマリエルで、律法の専門家として名が通っている人物です。彼は意見を述べる間、使徒たちを議会の外に出すことを要求しました。 + それから、一同に言いました。「イスラエルの皆さん。あの人たちの扱い方には、よくよく注意してください。 + しばらく前のことになりますが、チゥダという男の事件を覚えておいででしょうか。その男がいかにも偉大な人物のように見せかけたため、四百人ほどの者が仲間になりましたね。ところが結局、当の本人は殺され、一味も散り散りばらばらになりました。 + それから人口調査の時にも、ガリラヤ人のユダという男が民衆をそそのかして反乱を起こしました。しかし、やはりこの男も死に、仲間も散らされました。 + それで、提案ですが、あの人たちを放っておいてはどうでしょう。もし彼らの教えや行動がただのでっち上げなら、遅からずくつがえされてしまうでしょう。 + しかし、もし神の力によるものだったら、いかなる人といえども阻止はできません。いや、そればかりか、神に敵対することにもなりかねません。」 + 説得は功を奏しました。一同は、ガマリエルの忠告に従うことにしたのです。そこで、使徒たちをもう一度呼び入れ、むち打ちにし、二度とイエスの名を口にしてはならないと命じてから釈放しました。 + 使徒たちは、神の名のためにはずかしめを受けたことを、むしろ喜びながら、議会をあとにしました。 + そして毎日、宮や家家で教え、イエスこそキリストだと宣べ伝えました。 + + + 信者の数がどんどん増えるにつれて、内部から不満の声が出るようになりました。信者の中のギリシヤ語を話すユダヤ人たちが、ヘブル語を話すユダヤ人たちに苦情をぶつけたのです。原因は、彼らのうちの未亡人たちが、毎日の食料の配給で差別されていることでした。 + そこで十二人の使徒は、信者全員を召集し、こう提案しました。「私たち使徒が食料の配給の問題に時間をさくのは、よくありません。何よりも、神のことばを伝えることに専念すべきです。 + そこで、愛する皆さん。この仕事にふさわしい人、賢明で、聖霊に満たされた人に、いっさいを任せることにしましょう。さあ回りをよく見回して、この人と思う人を七人選んでください。 + そうすれば私たちは、祈りと説教と教育に打ち込むことができます。」 + 全員がこの提案に賛成し、次の人たちを選びました。ステパノ〔聖霊に満たされた信仰深い人物〕、ピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、アンテオケのニコラオ〔ユダヤ教に改宗していた外国人で、クリスチャンになった人物〕。 + 以上の七名が前に立ったので、使徒たちは彼らのために祈り、彼らに手を置いて祝福しました。 + こうして、神のことばはますます広まり、エルサレムでは、弟子の数が驚くほど増えていきました。ユダヤ教の祭司たちの中からも、信仰に入る者が数多く出ました。 + さて、ステパノは聖霊の力に満たされた人で、すばらしい奇跡を行っていました。 + ところがある日、「自由民」〔リベルテン〕といわれるユダヤ人たちが、ステパノに議論をふっかけました。するとたちまち、クレネやエジプトのアレキサンドリヤ、少アジヤのキリキヤ地方やアジヤ地方から来たユダヤ人たちも仲間に加わり、ステパノと論戦しました。 + しかしステパノは、聖霊に助けられ、知恵のかぎりを尽くして語ったので、だれもそれに対抗することができませんでした。 + それで彼らは何人かの者をそそのかして、「彼はモーセや神を汚すことばを語っている」と言わせたのです。 + こうして彼らは、ステパノに対する民衆の怒りをあおり立て、ユダヤ人の指導者たちまで扇動して、とうとうステパノを捕らえ、議会に引いて行きました。 + 偽証する者たちは、でたらめの証言を並べ立てました。「ステパノはいつも、神殿やモーセの律法に逆らうことばかり言っています。 + 確かに彼が、ナザレのイエスはこの神殿を破壊し、モーセの律法をみな無効にしてしまう、と言うのを聞きました。」 + この時、議会にいた者は、いっせいにステパノに目をやりました。すると、彼の顔は、天使のように輝いていました。 + + + 大祭司はステパノに、「この訴えのとおりか」と問いただしました。 + ステパノは、答弁を始めました。「お聞きください、皆さん。先祖アブラハムがまだメソポタミヤに住んでいたころ、栄光に輝く神様が彼に現れました。 + そして、故郷を離れ、親族とも別れて、神様の命じる国へ行くように、とおっしゃいました。 + そこでアブラハムはカルデヤ人の地を離れ、シリヤのハランに移り、父親が死ぬまでそこに住みました。そのあと神様は、彼をこの地に連れて来られたのです。 + ところがそこには、彼の土地はたったの一坪もなく、その上、子どももいませんでした。にもかかわらず、神様は、やがてこの地が全部、アブラハムとその子孫のものになると約束されたのです。 + 同時に、子孫たちがこの地を去って外国に住み、四百年のあいだ奴隷になるとも言われました。 + ただ、『わたしは、彼らを奴隷とした国民を必ず罰する。その後、あなたの子孫はこの地に戻り、ここでわたしを礼拝するようになる』との約束を添えて……。 + 神様はまた、その時、割礼の儀式(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取る儀式)を定め、それを神とアブラハムの子孫との契約の証拠となさいました。それで、アブラハムの息子イサクは、生後八日目に割礼を受けたのです。このイサクの息子がヤコブで、ヤコブからユダヤ民族の十二部族の長が生まれました。 + その一人ヨセフは、ほかの兄弟たちのねたみを買い、エジプトに奴隷として売られました。しかし神様は、ヨセフと共にいて、 + あらゆる苦境から彼を救い出し、エジプトの王パロの前で彼に恵みを与えられたのです。神様がヨセフにすばらしい知恵を与えたので、パロはヨセフを、エジプト全土を治める大臣に取り立て、宮中の管理もいっさい任せました。 + やがてエジプトとカナンの全土に大ききんが起こり、先祖たちは、たいへんな苦境に陥りました。食料がなくなったのです。 + 話に聞くと、エジプトにはまだ穀物があるそうです。ヤコブはさっそく息子たちを差し向けて、食料を買わせました。 + 彼らが二度目に買いに来た時、ヨセフは自分のことを兄弟たちに打ち明け、パロもヨセフの家族のことを知りました。それで、 + ヨセフは人を遣わして、父ヤコブと兄弟たちの一族、総勢七十五人をエジプトに招きました。 + こうして、ヤコブと息子たちはエジプトに住み、そこで死にました。 + 遺体はみなシケムに持ち帰られ、アブラハムがシケムのハモルの子から買った墓地に葬られました。 + 神様がアブラハムに立てた、彼の子孫を奴隷から解放するという約束の時が近づくにつれ、ユダヤ人の人口は、エジプトでどんどんふくれ上がっていきました。 + そのうち、ヨセフのことを知らない王が即位し、 + ユダヤ人に悪巧みをはかり、親たちに子どもを捨てさせたのです。 + モーセが生まれたのは、ちょうどこのような時でした。彼は神の目にかなった、かわいらしい子どもでした。両親は、三か月の間、家の中に隠しておきましたが、 + とうとう隠しきれなくなり、しかたなく捨てることにしました。ところが、エジプト王パロの娘がその子を見つけ、養子として育てることになったのです。 + こうして、モーセはエジプトの最高の教育を受け、たくましく、雄弁な王子に成長しました。 + 四十歳の誕生日が近づいたある日、モーセは、同胞のイスラエル人のところへ行ってみよう、と思い立ちました。 + ところが、行ってみると、どうでしょう。一人のエジプト人が、イスラエル人を虐待しているではありませんか。モーセはイスラエル人をかばおうとの一心から、相手のエジプト人を殺してしまいました。 + モーセは、イスラエル人を助けるために神が自分を遣わされていることを、みなが認めてくれるものと思い込んでいましたが、現実はそうではありませんでした。 + 翌日、もう一度出かけて行くと、今度はイスラエル人同士で争っているのにぶつかりました。モーセは間に割って入り、『兄弟同士じゃないか。けんかなんかやめなさい』と押しとどめました。 + すると、相手を痛めつけていたほうの男がモーセを押しのけて言いました。『だれがあんたを、おれたちの支配者や裁判官にしたんだ。 + 昨日、あのエジプト人を殺したみたいに、おれまでも殺そうとするのか。』 + これを聞いて、モーセはまずいことになったと、エジプトを逃げ出し、ミデアンの地に身を寄せました。そこで、二人の子どもをもうけたのです。 + それから四十年の歳月が流れました。ある日のことです。シナイ山に近い荒野で、モーセの前に天使が柴の燃える炎の中に現れました。 + 彼はその光景に驚き、何事かと近寄ってみると、主の声が聞こえてきました。 + 『わたしはあなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。』モーセはすっかり震え上がり、顔を上げる勇気もありませんでした。 + 主は続けて語られました。『くつを脱ぎなさい。あなたの立っている所は聖なる地だから。 + わたしは、エジプトで苦しめられているわたしの民の姿を見、またその叫びを聞いた。わたしは彼らを救い出そうと下って来たのだ。行け。わたしが、あなたをエジプトに遣わす。』 + こうして神様は、『だれがあなたを、おれたちの支配者や裁判官にしたのか』とユダヤ人たちに退けられたモーセを、もう一度、エジプトに帰らせたのです。モーセは初めて、イスラエル人の支配者、また解放者となったのです。 + モーセは、数々の驚くべき奇跡によって、人々をエジプトから連れ出し、紅海を横断して、四十年にわたる荒野での生活を導きました。 + このモーセが、『神様はあなたがたの中から、私のような預言者をお立てになる』と、イスラエルの人々に宣言したのです。 + モーセは荒野では、神と人との仲介者でした。すなわち、シナイ山で、神のいのちのことばを天使から受け、それをイスラエルの人々に与える役を果たしたのです。 + しかし私の先祖たちは、モーセの言うことに従おうとせず、しきりにエジプトに帰りたがりました。 + そしてアロンに、『私たちをエジプトに連れ帰ってくれる神々の像を造ってください。私たちをエジプトから連れ出したモーセは、どうなったかわからないから』と迫りました。 + 彼らは子牛の像を造って、供え物をささげ、自分たちが造った物で楽しんでいました。 + このため、神様は彼らに背を向け、彼らが日や月や星を神と思って仕えるのを放っておかれました。神である主は、預言者アモスの書の中で、こう語っておられます。『イスラエルよ。あなたがたは四十年の荒野の生活で、わたしに、いけにえをささげたことがあるか。いや、あなたがたのほんとうの関心は、異教徒の偶像にあったのだ。モロクの神や星の神ロンパ、そのほか自分たちで造った偶像に。だから、わたしはあなたがたを、バビロンのかなたへ捕らわれの身とする。』 + 荒野の旅で、先祖たちは、神殿の代わりに持ち運びのできる幕屋を携えていました。その中には、神様が下さった十戒を彫った、石の板が二枚ありました。この幕屋は、神様がモーセに指示なさったとおり、寸分の狂いもなく造ってありました。 + 先祖たちは代々、この幕屋を受け継ぎ、ヨシュアの指揮のもとに外国と戦って得た新しい領土に運び込み、ダビデ王の時代までありました。 + さて、神様はダビデ王をたいへん祝福なさいました。ダビデ王は、ヤコブの神のために永久に残る神殿を建てさせてくださいと熱心に願いましたが、 + 実際に建てたのは、息子のソロモン王でした。 + しかし神様は、人間が造った神殿にはお住みにならないのです。主は預言者の口を通して、次のように語っておられます。『主は言われる。天はわたしの王座、地はわたしの足台。いったいどのような家をわたしのために建てようというのか。わたしが、そのような所にとどまるだろうか。わたしが、天と地とを造ったのではないか。』 + あなたがたはほんとうに強情な異教徒です。いつまで聖霊にそむき続けるのですか、かつての先祖たちのように。 + あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者の名をあげることができたら、一人でもいいから言ってごらんなさい。もっとも、先祖たちは、正しい方がおいでになると預言した人たちを殺したのですが、あなたがたは、当のメシヤ(救い主)を裏切り、殺したのです。 + あなたがたは、天使たちを通して受けた律法を破ったのです。」 + この告発に、ユダヤ人の指導者たちの怒りは爆発しました。彼らは歯ぎしりしてくやしがりました。 + しかし、ステパノは聖霊に満たされ、ぐっと頭をもたげて天を見上げました。その目には、神の栄光と神の右に立っておられるイエスの姿が見えました。 + 「ごらんなさい。天が開けて、メシヤであるイエス様が、神の右に立っておられます。」 + しかし、そのとき人々は耳をおおい、割れんばかりの大声をあげ、ステパノ目がけて殺到したので、彼の声はほとんど聞き取れないほどでした。 + 人々はステパノを石で打ち殺そうと、町の外に引きずり出しました。証人たち〔死刑執行人たち〕は上着を脱ぎ、パウロという青年の足もとに置きました。 + 石が雨あられと飛んで来る中で、ステパノは祈りました。「主イエスよ。私の霊を迎え入れてください。」 + そして、ひざまずき、「主よ。どうぞこの罪の責任を、この人たちに負わせないでください!」と大声で叫んだかと思うと、ついに息絶えました。 + + + パウロは、ステパノを殺すことに大賛成でした。その日から、激しい迫害の嵐がエルサレムの教会を襲い、使徒たち以外の者はみな、ユダヤやサマリヤへ散らされました。 + ステパノの遺体は、敬虔なユダヤ人たちの手で、悲しみのうちに埋葬されました。 + 一方、パウロは教会を荒らし回り、家々に押し入っては男女を問わず引きずり出し、留置場にぶち込みました。 + しかし、エルサレムから逃げ出したクリスチャンたちは、どこへ行っても、神のことばを伝えて歩きました。 + ピリポはサマリヤの町へ行き、人々にキリストのことを話しました。 + ピリポが奇跡を行ったので、みな彼の話に熱心に耳を傾けたのです。 + 悪霊どもは大声でわめきながら人々から出て行き、中風(脳出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の人や足の不自由な人たちも、次々に治りました。 + 今や、町中が喜びにわき返り、大騒ぎです。 + さてこの町には、長年、魔術を行ってきた人がいました。シモンと言い、持ち前の不思議な力で人々を驚かせていたので、サマリヤ地方でたいへんな影響力を持っていました。メシヤではないかと言われたこともしばしばでした。 + しかし今は、だいぶ様子が違ってきました。ピリポが来て、イエスこそメシヤだと教えたからです。彼が神の国について話すのを聞き、大ぜいの人が信じ、男も女もみなバプテスマ(洗礼)を受けました。 + そのうちにシモンも信じ、バプテスマを受けることになりました。彼はピリポの行くところはどこへでもついて行き、その奇跡に驚いていました。 + エルサレムにとどまっていた使徒たちは、サマリヤ人が神の教えを信じたと伝え聞き、ペテロとヨハネを派遣しました。 + 二人はサマリヤに来ると、さっそく、新しいクリスチャンたちが聖霊を受けるようにと祈りました。 + 主イエスの名によってバプテスマを受けただけで、まだ聖霊が下っていなかったからです。 + 二人が信者たちに手を置いて祈ると、みな聖霊を受けました。 + 使徒たちが手を置くと聖霊が与えられるのを見たシモンは、この力を買い取ろうと、お金を持ってやって来ました。 + 「お願いです。手を置けば、だれでも聖霊が受けられるように、私にもその力を下さい。」彼はしきりに頼みました。 + しかし、ペテロは答えました。「その金もろとも滅んでしまいなさい! 金で神の賜物が買えるとでも思っているのか。とんでもない見当違いだ。 + 心が神の前に正しくないのに、この特権がいただけるはずがない。 + こんなことは二度としてはいけない。悔い改めて祈りなさい。あなたのような不心得者でも、まだ赦していただけるかもしれない。 + 私にはちゃんとわかっている。あなたの心の中は、ねたみと罪でいっぱいだ。」 + シモンは驚いて叫びました。「ああ、そんな恐ろしいことが起こらないように祈ってください!」 + ペテロとヨハネは、このサマリヤの町で、イエスのことを証言したり語ったりしてから、サマリヤ人のあちこちの村へ行って福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を伝えながら、エルサレムへ戻りました。 + ところで、ピリポはどうしたでしょう。主の使いが現れて、「さあ、エルサレムからガザの荒野へ通じる道に出なさい」と言うではありませんか。 + 言われたとおりにすると、エチオピヤの女王カンダケのもとで、大きな権力を持ち、女王の財政を管理していたエチオピヤ人の宦官(宮殿や支配者の後宮に仕える、去勢された男性の役人)が向こうから来ます。この人は、神殿で礼拝するためにエルサレムへ行き、 + いま馬車で帰るところで、ちょうど預言者イザヤの書を声に出して読んでいました。 + 聖霊がピリポをうながしました。「さあ、あの馬車に近づいて、いっしょに行きなさい。」 + ピリポが走り寄ると、イザヤの書を読んでいるのが聞こえます。そこで、「失礼ですが、その意味がおわかりですか」と尋ねました。 + 「残念ながら、だれかが教えてくれないとわかりません。」こう答えると、その人はピリポに、馬車に乗ってそばに座ってほしいと頼みました。 + 読んでいたのは、こういうところでした。「その方は、殺されるために引かれて行く羊のように、また、毛を刈る者たちの前で黙っている小羊のように、口を開かなかった。その方は卑しい者と見なされ、正しいさばきも受けなかった。だれが、この時代の人々の邪悪さを語れよう。その方のいのちが地上から取り去られたからには。」 + 宦官はピリポに尋ねました。「その方とは、いったいだれのことですか。イザヤは自分のことを言っているのでしょうか。それとも、だれかほかの人のことを言っているのでしょうか。」 + ピリポはこのイザヤのことばから始めて、旧約聖書のあちこちを引用し、イエスのことをくわしく説明しました。 + さて、道を進んで行くうちに、水のある所に来ました。すると宦官は、「見てください。水があります。ここでバプテスマを受けることはできないでしょうか」と言いました。 + 「心から信じておられるなら、もちろんかまいませんよ。」「私はイエス‧キリストを神の子と信じます。」 + 宦官がはっきり告白したので、馬車を止めさせ、二人して水の中に入り、ピリポはバプテスマを授けました。 + 二人が水から上がった時、主の霊が、あっという間にピリポを連れ去りました。宦官はもう二度とピリポの姿を見ることはできませんでしたが、喜びに胸をはずませ、旅を続けました。 + 一方、ピリポはアゾトの町に姿を現し、そこから町々で福音を伝えながら、カイザリヤに向かいました。 + + + さてパウロは、キリストの弟子たちをせん滅しようと、エルサレムの大祭司のところへやって来ました。 + そして、ダマスコの諸会堂あての手紙を書いてくれと頼み込みました。それはダマスコのクリスチャンを、男だろうが女だろうが、見つけしだい縛り上げ、エルサレムに連行するためでした。 + パウロがダマスコの近くまで来た時、突然、天からまばゆい光が、さっと彼を照らしました。 + そして、地に倒れた彼の耳に、こう語りかける声が響いてきました。「パウロ、パウロ。なぜわたしを迫害するのか。」 + パウロが、「あなたはどなたですか」と尋ねると、「わたしは、あなたが迫害しているイエスだ。 + さあ立って、町に入り、わたしの命令を待ちなさい」という答えが返ってきました。 + 同行していた人々は驚き、口もきけずに立ちすくんでいました。彼らには、声は聞こえても、イエスの姿は見えなかったからです。 + ようやくパウロは起き上がりましたが、どうしたことでしょう、目が見えません。手を引いてもらって、やっとダマスコに入り、三日間、目が見えないまま、何も飲み食いせずに過ごしました。 + さて、ダマスコにはアナニヤというクリスチャンが住んでいました。主は幻の中で、彼に語りかけました。「アナニヤよ。」「はい。」 + 「『まっすぐ』という名の通りに行き、ユダという人の家を探しなさい。そこにタルソ出身のパウロという人がいて、いま祈っています。 + わたしは幻の中で、アナニヤという人が来て、彼に手を置くと、もとどおり見えるようになると知らせておいたから。」 + アナニヤは驚いて叫びました。「主よ、パウロですって! あの男がエルサレムのクリスチャンをどんな目に会わせているか、聞いております。 + それに、祭司長たちから逮捕状をもらい、このダマスコのクリスチャンを一人残らず捕らえる権限を持っているという、もっぱらのうわさです。」 + しかし、主は言われました。「さあ、行きなさい。このパウロこそ、わたしの教えをイスラエル人だけでなく、世界中の人々や王たちに伝えるために、わたしが選んだ人です。 + 彼には、わたしのために、どんなに苦しむことになるかを告げるつもりです。」 + アナニヤは出かけ、パウロを捜し当てました。そして彼に手を置き、「兄弟パウロ。あなたはここへ来る途中、主にお会いしましたね。その主イエス様が私を遣わしました。あなたが聖霊に満たされ、また見えるようになるためです」と言いました。 + するとたちまち、パウロの目から、うろこのようなものが落ち、目が見えるようになりました。彼は直ちにバプテスマ(洗礼)を受け、 + 食事をとると、すっかり元気を取り戻しました。パウロはそれから数日の間、ダマスコのクリスチャンといっしょに過ごすと、 + すぐにも会堂へ行き、「イエスは神の子である」と語り始めました。 + そのことばを聞いて、人々は耳を疑いました。「この人は、エルサレムでイエスの弟子たちを迫害した張本人じゃないか。ここへ来たのも、クリスチャンたちをみな縛り上げ、祭司長のもとへ引いて行くためだと聞いていたが……。」 + しかしパウロは、ますます熱心に、イエスこそほんとうのキリスト(救い主)であることを証明したので、ダマスコのユダヤ人たちは動転するばかりでした。 + しばらくして、ユダヤ人の指導者たちは、パウロ殺害を決議しました。 + そして、昼も夜も町の門を見張りましたが、いつしか、この陰謀はパウロの耳にも入ってしまいました。 + そこで、パウロの話を聞いて信者になった人たちが、夜の間に彼をかごに乗せ、町囲いの城壁からつり降ろしました。 + エルサレムに着いたパウロは、弟子たちの仲間に加わろうとしましたが、だれもパウロを仲間だとは信じられず、恐れるばかりでした。 + しかし、バルナバは違いました。パウロを使徒たちのところへ連れて行き、一部始終を彼らに説明しました。パウロがダマスコに向かう途中で主にお会いしたこと、また、主がパウロに語られたことばや、ダマスコでパウロが、イエスの名によって力強い説教をしたことなどを。 + それで使徒たちも、ようやくパウロを受け入れました。それからは、パウロはいつもクリスチャンと行動を共にし、主の名によって大胆に語りました。 + また、ギリシヤ語を話すユダヤ人と意見を戦わせることもありました。ところが、彼らの中には、パウロのいのちをねらう者たちがいました。 + それと知った信者たちは、パウロを故郷のタルソへ帰そうということになり、カイザリヤまで同行して見送りました。 + こうして教会は、ユダヤ、ガリラヤ、サマリヤのすべてで守られ、どんどん増え広がっていきました。そして、心から主を恐れつつ、聖霊に励まされて前進し続けました。 + さて、ペテロは、各地にいる信者を訪問する旅の途中、ルダの町にもやって来ました。 + そこでアイネヤという人に出会いました。話を聞くと、八年間も中風で寝たきりだといいます。 + ペテロは、「アイネヤよ。イエス‧キリストがいやしてくださるのだ。さあ起きて、自分で床を片づけなさい」と言いました。すると、アイネヤの病気は、たちどころに治ってしまいました。 + ルダとサロン一帯に住む人々はみな、アイネヤが元気に歩き回っている姿を見て、主イエスを信じるようになりました。 + そのころ、ヨッパの町にタビタ〔ギリシャ語で、ドルカス〕という名の婦人が住んでいました。クリスチャンで、いつも貧しい人たちのことに心を配り、親切にしていました。 + ところが、このドルカスが病気で死んでしまったのです。友人たちは葬式の準備をし、遺体を二階に安置しました。 + ちょうどペテロが近くのルダにいるというので、使いを出し、ぜひヨッパまで足を伸ばしてほしいと頼みました。 + ペテロは快く承諾しました。彼がヨッパに着くやいなや、人々は待ちかねたように、遺体が置かれている二階の部屋まで連れて行きました。そこは、生前ドルカスにめんどうを見てもらった婦人たちでいっぱいでした。みな目に涙を浮かべながら、ドルカスに作ってもらった服などを彼に見せるのです。 + ペテロは、みんなを部屋から出し、ひざまずいて祈り始めました。それから遺体のほうを向き、「タビタ、起きなさい」と声をかけました。すると、なんということでしょう。彼女が目を開いたのです! ペテロをじっと見、体を起こしたのです! + ペテロは、いたわるように手を取って立たせ、一同を呼び入れました。あっけにとられている人々の前に、ドルカスが立っていたのです。 + この話はまたたく間に町中に広まり、多くの人が主を信じました。 + ペテロはしばらくヨッパにとどまり、その間、皮なめしのシモンの家に泊まっていました。 + + + カイザリヤに、コルネリオというローマ軍の士官がいました。イタリヤ連隊に所属する隊長の一人でした。 + この人はたいそう信仰があつく、一家そろって神を信じていました。また、困っている人には惜しみなく施し、実によく祈る人でもありました。 + ある日の午後、彼は幻を見ました。午後三時ごろのことで、意識ははっきりしていました。幻の中で天使が現れ、彼のところへ来て、「コルネリオよ」と呼びかけるではありませんか。 + 彼はじっと天使を見つめていましたが、恐ろしくなって、「どんなご用でしょうか」と言いました。「あなたの祈りも、良い行いも、神はすべてご存じです。 + さあ、ヨッパに使いをやって、シモン‧ペテロという人を捜させなさい。海岸沿いの皮なめし職人シモンの家にいます。彼に、ここへ来てくれるように頼みなさい。」 + 天使が姿を消すとすぐ、コルネリオは使用人二人と、神を敬う側近の兵士一人とを呼び寄せました。 + そして、このいきさつを話し、ヨッパへ遣わしました。 + 翌日、三人がヨッパの町に近づいたころ、ペテロは祈るために屋上に上っていました。正午ごろのことで、お腹がすき、食事をしたくなりました。ところが、昼食の用意がなされている間に、とろとろと夢ごこちになったのです。ふと見ると、天が開け、四すみをつった大きな布のようなものが降りて来ます。 + 中には、ユダヤ人には食べることが禁じられていた爬虫類や鳥など、あらゆる種類の動物が入っていました。 + そして、「さあ、どれでも好きなものを料理して食べなさい」という声が聞こえました。 + 「主よ、それはできません。生まれてこのかた、口にしたことがないものです。ユダヤのおきてで禁じられているのですから。」 + 「ペテロよ、神に反対するのか。神がきよいと言うものはきよいのだ。」 + 同じことが三度あってから、布はすうっと天に引き上げられました。 + ペテロは、この幻はどういう意味なのだろうと、考え込んでしまいました。ちょうどその時です。コルネリオから遣わされた人たちがシモンの家を探し当て、門口に立ち、 + 「こちらにシモン‧ペテロという方が泊まっておいででしょうか」と尋ねました。 + 一方、ペテロが先ほどの不思議な幻のことを思い巡らしていると、聖霊がこう語りました。「三人の人が、あなたに会いに来ました。 + さあ降りて行って、その人たちに会い、いっしょに出かけなさい。心配はいりません。わたしが、その人たちを遣わしたのだから。」 + そこでペテロは下へ降り、「捜しておいでのペテロは、私です。どんなご用でしょうか」と聞きました。 + すると三人は、ローマ軍の士官コルネリオがたいそう信心深い人で、ユダヤ人みんなから好意を持たれていることや、そのコルネリオのもとに現れた天使が、ペテロを招いて神のことばを聞くように指示したいきさつなどを話しました。 + ペテロは三人を家に招き入れて一晩泊め、翌日いっしょに出かけました。ヨッパの信者も数人、同行しました。 + 一行がカイザリヤに到着したのは、次の日でした。コルネリオは親類の者や親しい友人たちを呼び集め、今か今かと一行を待ちわびていました。 + そして、ペテロが家に入ると、その前にひれ伏して拝みました。 + ペテロはそれを押しとどめました。「お立ちなさい。私は神様ではありません。」 + コルネリオは立ち上がり、しばらくペテロと二人で話し合ってから、人々の待つ部屋へ入りました。 + ペテロは一同に言いました。「このようにして外国人の家に入ることが、ユダヤのおきてで禁じられていることは、よくご存じでしょう。ところが神様は私に、どんな人をも差別してはならないと、幻で示してくださいました。 + ですから、お招きを受けた時、何のためらいもなくやって来たのです。」 + コルネリオが言いました。「実は、四日前の午後のことです。ちょうど今ごろですが、いつものように祈っておりましたところ、突然、輝くばかりの衣をまとった人が目の前に現れたのです。 + その人は、『コルネリオよ。あなたの祈りも良い行いも、神はすべてご存じです。 + さあ、ヨッパに使いをやって、シモン‧ペテロという人を招きなさい。海岸沿いの皮なめし職人シモンの家にいます』と言いました。 + それで、すぐあなたを迎えにやったのですが、早々においでくださって、何とお礼を申し上げてよいやら……。私たちは今、主があなたにお命じになったすべてのことをうかがおうと、こうして神の前に出ているのです。」 + ペテロは話し始めました。「神様はただユダヤ人だけを愛しておられるのではないことが、はっきりわかりました。 + 神を礼拝し、また良い行いをして神に喜ばれる人は、どこの国にもいるのです。 + イスラエル人に伝えられた神のみことばについては、すでにお聞きでしょう。全人類の主である救い主イエスによって、私たちが神と和解できるということです。この教えは、バプテスマのヨハネが語り始め、ガリラヤからユダヤ全土に広まりました。 + ナザレのイエスは神の聖霊と力とに満たされて、すばらしいみわざを行い、また悪霊につかれている人たちをみないやしながら、各地を巡回されました。それは、神様がこの方と共におられたからだということも、きっとご存じでしょう。 + 私たち使徒は、イエスがイスラエル全土、またエルサレムでなさったすべてのことの証人です。このエルサレムで、イエスは十字架につけられたのです。 + しかし神様は、三日後にイエスを復活させてくださいました。そしてそのことを、すべての人々にではなく、神様があらかじめ選んでおられた証人に示してくださったのです。私たちは復活したイエスとお会いして、いっしょに食事もしました。 + 主は、これらのことをすべての人に伝えるように、私たちを派遣なさいました。それで私たちは、このイエスが、生きている人でも死んだ人でもすべての人を審判する方として、神に任命されたのだと証言しているのです。 + イエスについては、どの預言者も、この方を信じる者はだれでも、その名によって罪が赦されると証言しています。」 + ペテロがまだ話しているうちに、聖霊が一人一人に下りました。 + ペテロに同行して来たユダヤ人のクリスチャンたちは、外国人にも聖霊の賜物が与えられたので驚きました。 + しかし、これは疑う余地のない事実でした。人々は自由にそれぞれ異なった国のことばで話し、神を賛美していたからです。「私たちと同じように聖霊を受けたのですから、この人たちにバプテスマ(洗礼)を授けることに、だれも反対できません。」こうきっぱり言いきると、 + ペテロは、キリスト‧イエスの名によって、バプテスマを授けました。コルネリオはペテロに、数日間、泊まってほしいと頼みました。 + + + まもなく、外国人もキリストを信じたというニュースが、使徒やユダヤにいる兄弟たち(信仰を同じくする者たち)に届きました。 + そこでユダヤ人の兄弟たちは、エルサレムに帰ったペテロに、面と向かって非難をあびせました。 + 「外国人と親しくし、おまけに食事までいっしょにしたそうじゃないですか。」 + そこでペテロは、その時のいきさつを包み隠さず話して聞かせました。 + 「ある日、ヨッパで祈っていた時、幻を見たのです。四すみをつった大きな布が天から降りて来ました。 + 中には、ユダヤ人が食べてはならない、あらゆる種類の獣、爬虫類、鳥が入っていました。 + そして、『どれでも好きなものを料理して食べなさい』という声がしました。 + 私は必死で、『主よ。そんなことはできません。ユダヤのおきてで禁じられているものは、口にしたこともありません』と申し上げました。 + しかしその天からの声は、『神様がきよいと宣言されたものを、きよくないと言ってはいけない』と言うのです。 + 同じことが三度あってから、布は天に引き上げられました。 + ちょうどその時、カイザリヤから三人の人が、私のいた家まで迎えに来たのです。 + 聖霊は、相手が外国人であることなど気にかけず、いっしょに行けとおっしゃいました。ここにいる六人の兄弟たちも同行しました。こうして、使いを送った人の家に着きました。 + その人が説明するには、天使が現れ、ヨッパにいるシモン‧ペテロを招くように言われたというのです。 + そして天使は、『ペテロが、あなたとあなたの家の者たちが救われるにはどうしたらよいか、教えてくれます』と告げたそうです。 + そこで、私が彼らに話し始めるとすぐ、彼らにも聖霊が下ったのです。まさに、あの最初の時、私たちが受けたのと同じ光景でした。 + その時、私は、『ヨハネは水でバプテスマ(洗礼)を授けたが、あなたがたは聖霊によってバプテスマを授けられる』と言われた主のことばを思い出したのです。 + 私たちが主イエス‧キリストを信じた時に与えられたのと同じ賜物を、神が外国人にも与えられたのなら、だれがそれをとどめられるでしょう。」 + ペテロの説明に、ユダヤ人たちの疑問は氷解しました。一同は、「神様は外国人にも、神に立ち返って永遠のいのちをいただく特権をお与えになったのだ」と、口々に神を賛美しました。 + 一方、ステパノの死をきっかけとして起こった迫害のためにエルサレムから散らされた人々は、フェニキヤ、キプロス、アンテオケにまでも足を伸ばし、みことばを語りましたが、相手はユダヤ人に限られました。 + しかし、何人かのキプロス出身とクレネ出身のクリスチャンは、アンテオケで、主イエスについての教えをユダヤ人だけでなく、ギリシヤ人にも伝えました。 + 主がいっしょに働かれたので、多くの外国人が主を信じるようになったのです。 + このニュースを耳にすると、エルサレムの教会は、新しく信者になった人たちを助けようと、さっそくバルナバを派遣しました。 + アンテオケに到着したバルナバは、神のなさるすばらしいことを見て深く感動し、喜びにあふれました。そして一人一人に、どんな犠牲をはらってでも、絶対に主から離れないようにと忠告し、励ましました。 + バルナバは聖霊に満たされた、信仰のあつい人でした。こうして、たくさんの人が主イエスを信じるようになったのです。 + このあと、バルナバはパウロを捜しにタルソへ行きました。 + 捜し出すと、アンテオケに連れて来て、二人でまる一年とどまり、新しくクリスチャンとなった多くの人々を教えました。このアンテオケで、キリストを信じる者たちが初めて、「クリスチャン」と呼ばれるようになったのです。 + ちょうどそのころ、何人かの預言者がエルサレムからアンテオケにやって来ましたが、 + その中の一人アガボが、ある集会の席上で、大ききんがローマ帝国全土に起こる、と聖霊によって預言しました。はたしてこの預言は、クラウデオの治世に現実となりました。 + そこでアンテオケのクリスチャンは、協議の結果、ユダヤのクリスチャンのために、できる限りの援助をすることにしました。 + そう決まると、さっそく実行に移し、救援物資をバルナバとパウロに託して、エルサレム教会の長老たちのもとへ届けました。 + + + そのころ、ヘロデ王(ヘロデ‧アグリッパ一世)は一部のクリスチャンに迫害の手を伸ばし、 + ヨハネの兄弟で使徒のヤコブを惨殺しました。 + このことでユダヤ人の指導者たちが上きげんになったことを知ると、今度はペテロを逮捕しました。ちょうど過越の祭りの最中だったので、祭りが終わりしだい処刑のためにユダヤ人に引き渡すつもりで牢に入れ、十六人の兵士に監視させました。 + 教会では、そのあいだ中、「ペテロをお守りください」と熱心な祈りを神にささげていました。 + 処刑前夜、ペテロは二人の兵士にはさまれ、二重の鎖につながれて眠っていました。牢獄の門の前には、ほかの番兵が立っています。 + そのとき突然、牢獄の中がぱっと光り輝き、主の使いが現れました。天使はペテロのわき腹をつついて起こし、「さあ立って、急ぎなさい」と言いました。そのとたん、鎖が手首からはずれました。 + 「身じたくを整えて、くつをはきなさい。」ペテロがそのとおりにすると、今度は、「さあ上着を着て、ついて来なさい」と命じます。 + ペテロは牢獄を出て天使について行きましたが、その間ずっと、夢か幻でも見ているような気分で、どうしても現実のこととは思えません。 + 第一、第二の見張り所を通り抜け、とうとう町に通じる鉄の門の前までやって来ました。するとその門も、ひとりでに開くではありませんか。二人は難なく外に出て、次の通りまで歩いて行きました。そこで天使の姿は、かき消すように見えなくなりました。 + その時、ペテロは我に返り、何が起こったのかやっと気づきました。「夢じゃない、夢じゃないんだ。確かに主が天使を遣わし、ヘロデの手から、またユダヤ人たちのたくらみから救い出してくださったのだ。」 + そうはっきりわかると、彼は、マルコと呼ばれるヨハネの母マリヤの家へ急ぎました。そこには大ぜいの人が集まり、祈っていました。 + ペテロは玄関の戸を、どんどんとたたきました。その音を聞きつけて、ロダという女中が取り次ぎに出て来ました。 + ところが、声の主がペテロだとわかると、喜びのあまり戸を開けることも忘れて、そのまま家の中に駆け込み、みんなにペテロが帰って来たことを知らせました。 + しかし人々は、「気がおかしくなったのか」と言って、取り合おうともしません。しかし彼女があくまで言いはるので、「それなら、きっとペテロについている天使だ。とすると、ペテロは殺されたに違いない」と言い合いました。 + 一方ペテロは、そのあいだ中、戸をたたき続けていました。それで、ようやく人々が出て来ました。戸を開けた時の、彼らの驚きようといったらありません。 + ペテロは手ぶりでその場を静め、何が起こったのか、主がどのようにして牢獄から出してくださったのかを話しました。そして、「ヤコブやほかの信者たちにもこのことを知らせてほしい」と言って、安全な場所へ立ち去りました。 + 朝になると、牢獄では、ペテロはいったいどこに行ったのかと、上を下への大騒ぎになりました。 + ペテロを引き出そうとしていたヘロデは、ペテロがいなくなったと知るや、十六人の番兵を片っぱしから取り調べ、軍法会議にかけ、全員を処刑にするよう命じました。ヘロデはその後、カイザリヤに行き、しばらくそこにとどまりました。 + ヘロデはツロとシドンの住民に激しい敵意をいだいていましたが、カイザリヤ滞在中に、この二つの町の代表者たちが王の侍従ブラストに取り入って、和解を申し出ました。というのも、二つの町は経済的にヘロデの国との交易に頼っていたからです。 + 会見の約束ができ、いよいよその当日です。ヘロデは王服を着て王座に座り、彼らに向かって演説を始めました。 + 演説が終わると、彼らは大喝采を送り、大声で、「神の声だ! とても人間の声とは思えない」と賞賛しました。 + するとたちまち、主の使いがヘロデを打ったので、彼は病気になり、やがて体中にうじがわいて死んでしまいました。神だけにふさわしい賞賛をわがものとし、神に栄光を帰さなかったからです。 + 神のことばはますます広まり、力強く語られていきました。 + エルサレムを訪問したバルナバとパウロは、務めを果たしたあと、ヨハネと呼ばれるマルコを連れて、アンテオケに帰りました。 + + + アンテオケの教会の預言者や教師たちの中には、次の人たちがいました。バルナバ、シメオン〔別名「黒い人」〕、ルキオ〔クレネ出身〕、マナエン〔ヘロデ王とは乳兄弟〕、それにパウロなどです。 + ある日、彼らが礼拝をささげ、断食していると、聖霊が、「バルナバとパウロに、わたしの特別な仕事をさせなさい」と言われました。 + それで彼らは、さらに断食して祈ったあと、二人に手を置いて任命し、送り出しました。 + 二人は聖霊に導かれてセルキヤに行き、そこから、船でキプロス島に向かいました。 + その島のサラミスという町に着くと、さっそくユダヤ人の会堂で神のことばを語り始めました。マルコも、助手として同行しました。 + そのあと、町から町へと島中を巡り歩いて教えを語り、最後にパポスという町に来ました。そこで、偽預言者でバルイエスと名乗る魔術師に出会いました。彼は総督のセルギオ‧パウロの取り巻きの一人でした。総督自身は物事に明るい、たいへん理解のある人で、かねがね神の教えを聞きたいと思っていたので、バルナバとパウロとを招きました。 + ところが、バルイエスは二人に強く反対しました。パウロやバルナバのことばに耳を傾けないようにそそのかし、何としても、総督に主を信じさせまいとしました。 + しかし、パウロは聖霊に満たされ、魔術師をきっとにらみつけ、 + 「悪魔の子、ぺてん師め! おまえのように悪事にたけた者は、正義の敵だ。どこまで主に反抗するつもりか。 + さあ、神のさばきを受けるがいい。おまえはしばらくのあいだ目が見えなくなり、日の光が見えなくなる」と言いました。するとたちまち、かすみと闇が彼をおおったので、彼は、「だれか手を引いてくれ」と叫びながら、手さぐりで歩き回りました。 + この出来事を目のあたりにした総督は、神を信じ、改めて神の教えに驚嘆しました。 + さて、パウロの一行は小アジヤに向かうため、船でパポスを発ち、ペルガの港に上陸しました。ここまで来たところで、マルコは一行から離れ、一人でエルサレムに帰ってしまいました。 + しかしバルナバとパウロは、ピシデヤ地方の町、アンテオケに向かいました。安息日(神の定めた休息日)になり、二人は礼拝をするために会堂へ出かけました。 + いつものとおり、モーセの書と預言者の書からの朗読がすむと、会堂の管理者たちが彼らに言いました。「二人の方。よろしければ、何かお話ししていただけますか。」 + そこでパウロが立ち上がり、会衆にあいさつしてから話し始めました。「イスラエルの人たち、ならびにここにおられる、神を敬う皆さん、お聞きください。まず、私たちの国の歴史からお話ししましょう。 + イスラエルの神様は、私たちの先祖をお選びになりました。そして、エジプトで奴隷にされた彼らを、目をみはるような方法で救い出し、名誉を回復してくださったのです。 + 彼らが荒野をさまよい歩いた四十年の間も、ずっと養い続けてくださいました。 + また、カナンの七つの民族を滅ぼし、その土地を相続財産として分配なさいました。こうなるまでに約四百五十年もかかりました。そのあとは、預言者サムエルが現れるまで、さばき人が国の秩序を保っていたのです。 + やがて人々は、王がほしいと言いだしました。そこで神様は、ベニヤミン族のキスの息子サウロを王とし、四十年間、国を治めさせました。 + しかし、そのサウロも神に退けられ、代わりにダビデが王になりました。このダビデのことを神様は、『エッサイの息子ダビデこそ、わたしの心にかなう者、わたしの意思に完全に従う者だ』と言われました。 + このダビデ王の子孫から、約束どおり、イスラエルの救い主イエスを起こしてくださったのです。 + この方がおいでになる前にバプテスマのヨハネが、イスラエルの全国民が罪を捨て、神に立ち返らなければならないと教えました。 + そのヨハネが、働きを終える時、こう言ったのです。『あなたがたは、私をだれだと思っているのか。私はメシヤ(救い主)ではない。ほんとうのメシヤはまもなくおいでになる。この方に比べれば、私など全く取るに足りない者だ。』 + アブラハムの子孫の方々、ならびに、神を敬う外国人の皆さん。この救いは、私たちみんなのものです。 + エルサレムにいるユダヤ人とその指導者たちは、イエスを処刑することで、皮肉にも、預言を実現させたのです。彼らは安息日ごとに預言者のことばが読まれるのを聞きながら、イエスこそ、その預言されたお方であることを認めようとしませんでした。 + そして、罰せられる正当な理由は何一つなかったのに、どうしても死刑にするようピラトに要求したのです。 + こうして、預言どおりにイエスは死なれたのです。そのあと、イエスの遺体は十字架から降ろされ、墓に葬られました。 + しかし神様は、このイエスを復活させてくださったのです。 + イエスは幾日もの間、ガリラヤからエルサレムまでずっと行動を共にした人たちに、たびたび姿を現されました。復活のイエスにお会いした人たちは、人々にこのことを証言し続けてきたのです。 + バルナバと私もまた、この喜びの知らせを伝えようと、こうしてやって来ました。その知らせとは、神様がイエスを復活させたことによって、私たちの先祖への約束が今の時代に実現したということです。聖書の詩篇に、『今日、わたしはあなたに、子としての名誉を与えた』とあるとおりです。 + 神様はイエスを復活させ、二度と死なない方となさいました。聖書に、『わたしはダビデに約束したすばらしい祝福を、あなたがたに与える』とあるとおりです。 + またほかの箇所では、もっとはっきり言われています。『神は、ご自分の聖なる方が朽ち果てるのをお許しにならない。』 + これは、ダビデのことではありません。ダビデは神の意思に忠実に仕える人生を送り、死んで葬られ、その体は朽ち果てたのです。 + しかし神が復活させた方は、墓の中で朽ちませんでした。 + 聞いてください、皆さん! このイエスこそ、皆さんの罪を赦してくださるのです。 + イエスを信じる人はみな、すべての罪から解放され、正しい者と宣言されるのです。これは、モーセの律法ではどうしてもできないことでした。 + くれぐれも注意してください。預言者たちの次のことばが、皆さんに的中しないように。 + 『見よ。真理を見下す者どもよ、滅べ。おまえたちの時代に、一つのことをなそう。どんなに説明しても、とうてい信じられないことを。』」 + その日、二人が会堂から出る時、人々は、次の週もまた話してほしいと頼みました。 + 礼拝が終わってからも多くのユダヤ人や熱心な外国人改宗者が、パウロとバルナバについて来ました。二人はその人たちに、神の恵みを受けるようにと教えました。 + 次の週の礼拝には、町中の人がこぞって詰めかけ、二人が神のことばを話すのを聞こうとしました。 + しかしユダヤ人の指導者たちは、この群衆を見てねたみに駆られ、口ぎたなくののしり、ことごとくパウロに反対しました。 + そこでパウロとバルナバは、はっきり言いました。「この神のことばは、まずあなたがたユダヤ人に伝えられるはずだった。だが、あなたがたはそれを突っぱね、永遠のいのちを受けるにふさわしくない者であることを、自分から証明したのだ。これからは、このすばらしい知らせは、外国人に伝えよう。 + 主が、『わたしはあなたを外国人の光とした。地の果てからも、人々を救いに導くためである』と命じておられるから。」 + これを聞いた外国人たちは歓喜し、パウロの話に耳を傾けました。そして永遠のいのちを求める人はみな、信仰に入りました。 + こうして神のことばは、この地方全体に広まったのです。 + しかし、ユダヤ人の指導者たちも、おとなしく引き下がってはいません。熱心な婦人たちや町の有力者たちをそそのかし、パウロとバルナバを迫害したあげく、とうとう町から追い出してしまいました。 + 二人は、その町と縁を切るしるしに、足のちりを払い落とし、イコニオムへ向かいました。 + 一方、主を信じた人たちは聖霊に満たされ、喜びにあふれていました。 + + + イコニオムの町でも、パウロとバルナバは連れ立って会堂に行き、力強く語ったので、ユダヤ人も外国人も、大ぜい神を信じました。 + しかし、神のことばを軽んじるユダヤ人たちは、根も葉もないことで二人を中傷し、人々の不信をかき立てました。 + それにもかかわらず、二人は長い間そこに滞在し、大胆に宣教を続けたのです。主は、すばらしい奇跡を行わせ、二人のことばが真実であることを証明なさいました。 + ところが、町の人たちの意見は真っ二つに分かれました。ユダヤ人の指導者側の意見に賛成する者がいる一方、使徒たちの味方につく者もいました。 + 外国人とユダヤ人たちが彼らの指導者たちと結託し、使徒たちを襲い、石で打ち殺そうとたくらんでいるという情報が、二人の耳に入りました。二人は急いで町を出ると、ルカオニヤ地方の町のルステラとデルベ、またその周辺に難をのがれ、 + そこで福音を伝えました。 + ルステラにいた時のことです。一人の足の不自由な人に出会いました。生まれてこのかた、一歩も歩いたことがない人でした。 + その人が、パウロの説教に一心に耳を傾けていたのです。パウロは彼に目をとめ、彼に信仰があるのを見て、 + 大声で、「立ちなさい」と言いました。その瞬間、彼は跳び上がり、勢いよく歩きだしたのです。 + これを見た人々は、その地方のことばで、「神々だ。人間の姿をした神々だ」と叫びました。 + そして、大騒ぎしながら、二人をギリシヤの神々にまつり上げたのです。バルナバはゼウス、パウロはおもに話をしたので、ヘルメスだということになりました。 + 町の門のすぐ外にあるゼウス神殿の祭司までが、花飾りを持って駆けつけ、門のところで群衆といっしょに雄牛を数頭いけにえとし、二人にささげようとしました。 + バルナバとパウロは、この、神を汚すふるまいに仰天し、着物を引き裂いて群衆の中に駆け込み、大声で叫びました。 + 「皆さん。なんということをするのです。私たちは、皆さんと同じ、ただの人間ではありませんか。こんな愚かなことはおやめなさい! 天と地と海、それにその中のすべてのものをお造りになった神を礼拝しなさい。私たちは、そのために、福音を伝えに来たのです。 + 過去の時代には、神様は、あらゆる国民がそれぞれ自分勝手な道に進むことを許しておられました。 + といっても、神のことが全然わからなかったわけではありません。神を思い起こさせるものは、いつでも私たちの周囲にあったのです。たとえば、雨を降らせてくださったのも神ですし、食べ物が不足しないようにと、収穫を与えて、喜びに満たしてくださったのも神なのです。」 + こうしてパウロとバルナバは、やっとのことで、彼らがいけにえをささげるのをやめさせました。 + しかし、その数日後、また別の事件が起こりました。アンテオケとイコニオムから数人のユダヤ人が来て、町の人たちを味方に引き入れ、パウロを襲って石を投げつけたのです。ぐったりとしたパウロを見て、てっきり死んだものと思った彼らは、パウロを町の外へ引きずり出しました。 + クリスチャンたちはパウロの回りを取り巻き、心配そうにながめていました。するとどうでしょう。彼はむくりと起き上がり、何事もなかったように町へ帰って行ったのです。翌日、パウロはバルナバといっしょに、デルベに向けて出発しました。 + そこで福音を語り、多くの人をクリスチャンにしてから、ルステラ、イコニオム、アンテオケへと引き返しました。 + それぞれの町でクリスチャンたちに会い、ますます神を愛し、また互いに愛し合うように教え、どんな迫害にもくじけず、信仰にとどまり続けるようにと励ましました。そして、「神の国に入るには、いろいろ苦しい目に会わなければならない」と語りました。 + 二人は、どこの教会でも長老を任命し、彼らのために断食して祈り、だれよりも信頼する主にゆだねました。 + それから、二人はピシデヤを通ってパンフリヤに帰り、 + また、ペルガでみことばを語ってから、アタリヤに行きました。 + そして、船でアンテオケに帰って来たのです。この町は、今まさに終えてきたばかりの務めを、神からゆだねられて出発した所でした。 + 二人はさっそく信者たちを集めて伝道旅行の報告をし、神が外国人にも信仰の門を開いてくださったことを話しました。 + それから、かなり長い間、アンテオケで信者たちといっしょに過ごしました。 + + + パウロとバルナバがアンテオケにいた時のこと、ユダヤから来た人たちが、「古いユダヤの慣習どおり割礼を受けなければ救われない」と教え始めました。 + パウロとバルナバは、このことで彼らと激しく対立し、大論争が持ち上がりました。それでとうとう、何人かの信者と共にパウロとバルナバをエルサレムに送り、この問題について使徒や長老たちと協議することになりました。 + 一行は、町の外で、教会員全員の見送りを受けて出発しました。途中フェニキヤとサマリヤの町に立ち寄り、外国人も次々に主イエスを信じるようになったということを話して、クリスチャンを大いに喜ばせました。 + エルサレムに着くと、教会と指導者たち――使徒全員と長老たち――に迎えられました。そこで、パウロとバルナバは、今回の伝道旅行で神がどんなことをしてくださったかを報告しました。 + しかし、主イエスを信じる以前はパリサイ派だった人たちのうちの何人かが立ち上がり、外国人といえども、クリスチャンになった以上は割礼を受け、ユダヤの慣習や儀式を残らず守るべきだと主張しました。 + そこで使徒と長老たちは、この問題に決着をつけるため、会議を開きました。 + 激しい論争が続いたあと、ペテロが立ち上がり、意見を述べました。「皆さん、お忘れですか。ずっと以前、外国人も福音のことばを聞いて信じるために、神様が私をお選びになったことを。 + 人の心の中をご存じの神様は、ご自分が外国人をも受け入れておられることをわからせようと、私たちと同じように、彼らにも聖霊を与えてくださったのではありませんか。 + 神様は、外国人とユダヤ人を少しも差別なさいません。だからこそ、私たちと同じように、信仰によって彼らの心もきよめてくださったのです。 + それなのにどうして、私たちも、私たちの先祖も負いきれなかった重荷を、彼らに負わせようとするのですか。そんなことをしたら、それこそ、神様がなさったことを訂正するようなものです。 + 私たちは、すべての人が同じ方法で、すなわち、主イエスが一方的に与えてくださった恵みによって救われる、と信じているのではありませんか。」 + これを聞くと、あえてそれ以上議論する者はいなくなりました。そして一同は、神が外国人の間で行われた奇跡について語るバルナバとパウロの話に、耳を傾けました。 + 話が終わると、ヤコブが発言するために立ち上がりました。「皆さん、お聞きください。 + 今しがたペテロが、神様が初めて外国人に目をとめ、その中から神の御名をあがめる者たちを起こされた時のことを話してくれました。 + この事実は、次のように書いてあるとおり、預言者たちの預言とも一致します。 + 『この後、わたしは帰って来て、とぎれていたダビデとの契約を更新する。 + わたしを信じる人たちがみな、外国人も含めて、主を見いだすためである。 + 初めから、ご計画を示してこられた神が、こう言われる。』 + ですから、これはあくまで私の判断ですが、神に立ち返る外国人に、ユダヤ人のおきてを押しつけるべきではありません。 + ただ、偶像に供えた肉を食べること、あらゆる不品行、しめ殺した動物の肉を血を抜かないまま食べること、また、血を食べることはやめるように言うべきだと思います。 + どこの町でも、ユダヤ人の会堂では安息日ごとに、何代にもわたって、このことに反対する教えが語られてきたからです。」 + 使徒や長老たちをはじめ全エルサレムの教会は、パウロとバルナバと共に、アンテオケまで代表を派遣し、この決定事項を報告することを決議しました。そこで選ばれたのが、教会の指導者、ユダ〔別名バルサバ〕とシラスでした。 + 二人が持って行った手紙には、こう書いてありました。「使徒および長老たち、ならびにエルサレムのクリスチャンから、アンテオケ、シリヤ、キリキヤの外国人クリスチャンの皆様へ。 + こちらから行った何人かのクリスチャンが、いろいろなことを言って皆様をまどわせ、救いにまで疑問をいだかせたことを、確かに聞きました。しかし、誤解なさらないでください。私たちがそのような指示を与えたわけではありません。 + それでこの際、愛するバルナバとパウロと共に、二人の正式な代表を派遣するのが最もよい方法だと、全会一致で決議しました。 + 代表のユダとシラスは、主イエス‧キリストのために、いのちを危険にさらしてきた人たちです。この人たちが、今回の問題についての決定を口頭でお伝えするはずです。 + すなわち、偶像に供えた物を食べないこと、しめ殺した動物の肉は、血を抜かないままで食べないこと、血を食べないこと、それから、もちろん不品行を避けることです。これ以外のユダヤ人のおきてを押しつけるようなことは、好ましくありません。それは聖霊もお示しになったことですし、私たちも、そう判断するのです。皆様には、これだけを守っていただけば十分です。」 + 四人はすぐにアンテオケに向かい、教会の人々を召集して、この手紙を手渡しました。 + 人々が、この手紙でたいへん慰められ、喜びにあふれたことは言うまでもありません。 + ユダとシラスは二人ともすぐれた説教者だったので、多くの説教をして、人々の信仰を力づけました。 + こうして数日が過ぎました。ユダとシラスは、エルサレム教会への感謝とあいさつを託されて帰って行き、 + パウロとバルナバは、そのままアンテオケにとどまりました。そこで説教したり教えたりしている人たちに協力したのです。 + しばらくたつと、パウロはバルナバに、「以前に宣教した各地の町で、クリスチャンたちがその後どうしているか、ぜひこの目で確かめようじゃないか」と誘いました。 + バルナバも、これに賛成でした。ところが、問題はだれを連れて行くかでした。バルナバはマルコを考えていました。 + しかし、パウロは反対でした。というのも、彼はこの前、パンフリヤで、さっさと一人だけ先に帰ってしまったからです。 + この件でのパウロとバルナバの対立は激しく、ついに別行動をとることになりました。バルナバはマルコを連れて、船でキプロスに渡りました。 + 一方、パウロはシラスに白羽の矢を立てました。二人は人々の祝福を受けて、陸路シリヤとキリキヤに向かい、諸教会を力づけました。 + + + パウロとシラスがまず行ったのは、デルベでした。それからルステラに行き、そこでテモテという信者に会いました。母親はクリスチャンのユダヤ人、父親はギリシヤ人でした。 + テモテはルステラとイコニオムのクリスチャンたちから好感を持たれていたので、 + パウロは、ぜひ自分たちの伝道旅行に加わるように勧めました。テモテの父親がギリシヤ人であることはだれもが知っていたので、この地方のユダヤ人の手前、出発前に彼に割礼を受けさせました。 + 一行は町から町を訪問して回り、エルサレムの使徒や長老たちが外国人向けに決めた事柄を伝えました。 + それで教会は、日を追って信仰もしっかりし、信者の数も増え、めざましい発展を遂げていったのです。 + 一行は聖霊によってアジヤ州(小アジヤの西部沿岸地方)へ行くことを止められたので、一行はフルギヤとガラテヤ地方を通ることにしました。 + それからムシヤとの境に沿って進み、北のビテニヤ地方に行こうとすると、またも聖霊に禁じられたのです。 + そこで、ムシヤ地方を通ってトロアスに行きました。 + その夜、パウロは幻を見ました。幻の中で、海の向こうに住むマケドニヤ人が、「こちらに来て、私たちを助けてください」としきりに頼むのです。 + 事は決まりました。直ちにマケドニヤに向かうことになったのです。神様がそこへパウロと私たちを遣わし、福音を伝えようとしておられるのはまちがいありません。 + 私たちは、トロアスから船でサモトラケに直航し、翌日ネアポリスに着きました。 + そしてついに、マケドニヤの国境から少し入った、ローマの植民地ピリピに到着し、数日の間そこにいました。 + 安息日に、私たちは郊外に出て、人々が祈りに来ると思われる川岸に行きました。やがて数人の婦人が集まってきたので、聖書のことばを教えました。 + その中に、テアテラ市から来た紫布の商人ルデヤがいました。以前から神をあがめていた婦人です。このルデヤがパウロたちの話に耳を傾けていた時、神様は彼女の心を開き、パウロの語ることをみな信じさせたのです。 + 彼女は一家をあげてバプテスマ(洗礼)を受けると、「私を主に忠実な者とお思いくださるなら、どうぞ家にお泊まりください」としきりに言うので、私たちはその招待を受けることにしました。 + ある日、川岸の祈り場に行く途中、私たちは悪霊につかれた、若い女奴隷の占い師に出会いました。彼女の占いのおかげで、主人たちは甘い汁をいっぱい吸っていたのです。 + この女がついて来て、「この人たちは神のお使いだよ! あんたたちに、どうしたら罪が赦されるか教えてくれるんだよ」と大声で叫び続けました。 + こんなことが毎日続いたので困り果てたパウロは、ある日、彼女に取りついた悪霊に、「イエス‧キリストの名によって命じる。この女から出て行け!」としかりつけました。するとたちまち、悪霊は出て行きました。 + 面白くないのは、この女の主人たちです。もうふところに金がころがり込むあてがなくなったので、その腹いせにパウロとシラスをつかまえ、広場にいる長官(ローマの植民地執政官)たちの前へ引きずって行き、口々に訴えました。 + 「このユダヤ人たちときたら、町をすっかりだめにしようって魂胆なんです。ローマの法律に反することばかり教えているのです。」 + たちまち広場は、二人に反感をいだく人たちでいっぱいになりました。そこで長官たちは、二人を裸にし、むちで打つように命じました。 + ビュッビュッと何度もむちが振り下ろされ、二人の背中から血がしたたり落ちました。そして二人は、牢に放り込まれました。「こいつらを逃がしでもしたら命はないものと思え」と脅された看守は、 + 二人を奥の牢に入れ、厳重に足かせをかけました。 + 真夜中ごろ、パウロとシラスは、主に祈ったり、賛美歌をうたったりしていました。ほかの囚人たちもじっと聞き入っています。その時です。 + 突然、大地震が起こりました。牢獄は土台からぐらぐら揺れ動き、戸という戸は開き、囚人たちの鎖もはずれてしまいました。 + 看守が目を覚ますと、戸が全部開いています。看守は、てっきり囚人がみな脱走したものと思い、もうだめだとばかり、剣を抜いて自殺しようとしました。 + その瞬間、パウロが叫びました。「早まるな! 全員ここにいる!」 + 看守はあかりを取って中に駆け込み、恐ろしさのあまりわなわな震えながら、パウロとシラスの前にひれ伏しました。 + そして二人を外に連れ出し、「先生方。救われるには、どうすればよろしいのでしょう」と尋ねました。 + 二人は答えました。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの全家族も救われます。」 + こうして二人は、看守とその家の者たち全員に、主のことばを伝えたのです。 + 看守は二人を引き取り、彼らの打ち傷をていねいに洗って手当てをしたあと、家族そろってバプテスマ(洗礼)を受けました。 + それから、二人を自宅に案内し、食事を出してもてなし、全家族がクリスチャンになったことを心から喜び合いました。 + 翌朝、長官たちは警吏たちをよこして、「あの者たちを釈放せよ」と通告してきました。 + そこで看守は、パウロに、「お二人とも自由の身です」と伝えました。 + ところがパウロは、警吏たちにこう答えたのです。「とんでもないことです。あの人たちは、裁判もしないで、いきなり私たちを公衆の面前でむち打ち、そのあげく投獄したのですよ。私たちは、れっきとしたローマ市民だというのに。それを今さら、こっそり釈放してすまそうとするとは……。長官自身がやって来て、釈放するべきではありませんか。」 + 警吏たちは、パウロのことばを長官たちに伝えました。パウロとシラスがローマ市民だと聞いた時の、彼らの驚きようといったらありません。命が危うくなるかもしれないのです。 + すぐに牢獄に駆けつけ、「どうか、ここから出てください」と平身低頭でわび、二人を外に出して、町から立ち去ってほしいと頼みました。 + パウロとシラスはルデヤの家に戻り、信者たちに会ってもう一度話をし、町をあとにしました。 + + + さて、一行はアムピポリスとアポロニヤの町を通り、テサロニケに出ました。その町にはユダヤ人の会堂がありました。 + パウロはいつものように会堂へ行き、三回の安息日とも、聖書から語りました。 + そして、キリストの苦しみと復活の預言を説明し、イエスこそキリストだと論証しました。 + 聞いた人の何人かは、よく理解して信じました。神をあがめるギリシヤ人や、町の有力な婦人たちで信じた人も少なくありません。 + ところが、ユダヤ人の指導者たちはねたみに駆られ、町のならず者をけしかけて暴動を起こしました。ヤソンの家を襲い、処罰するために、パウロとシラスとを町の議会に引き出そうとしました。 + しかし、当の二人が見つかりません。しかたなく、代わりにヤソンと数人の信者を役人のところに引っぱって行き、いかにも大げさに訴えました。「ご存じでしょうか。世界中をひっかき回してきたパウロとシラスが、今この町でも騒ぎを起こしているのを。 + そんなぶっそうな連中を、ヤソンは家にかくまったのです。やつらは反逆罪を犯しています。カイザル(ローマ皇帝)でなく、イエスという別の王がいる、とふれ回っているのです。」 + これを聞くと、町民と役人たちはひどく不安になり、保釈金を取った上で、ヤソンたちを釈放しました。 + その夜、クリスチャンたちはパウロとシラスを、急いでベレヤへ逃がしました。ベレヤに着くと、二人はいつものように、会堂で語りました。 + ベレヤの人たちは、テサロニケの人たちに比べてずっと心が広く、喜んで話を聞いてくれます。そればかりか、二人の言うことがそのとおりかどうか、毎日、聖書を調べるほど熱心でした。 + その結果、多くの者が神を信じました。中には名の知れたギリシヤ人の婦人も数人いましたし、男性で信じた人も、かなりの数に上りました。 + ところが、テサロニケのユダヤ人たちは、パウロがベレヤで伝道していると聞くと、ベレヤにまで押しかけ、騒ぎ立てたのです。 + クリスチャンたちは、すぐにパウロを海岸へ逃がしましたが、シラスとテモテはベレヤに残りました。 + パウロに同行した人たちは、彼をアテネまで送り、一刻も早くアテネに来るようにという、パウロからシラスとテモテへのことづけを持って、ベレヤに戻りました。 + アテネで二人を待つ間、パウロは市内を見物することにしました。ところがどうでしょう。町は偶像でいっぱいでした。パウロの胸には、ふつふつと憤りが込み上げてきました。 + 黙ってはいられず、会堂へ行き、ユダヤ人や敬虔な外国人たちと議論する一方、毎日広場で、そこに居合わせた人たちと論じ合いました。 + パウロはまた、エピクロス派やストア派(二つとも当時の代表的ギリシャ哲学)の哲学者たちとも議論を戦わせました。ところが、イエスのことやその復活のことに話がおよぶと、「彼は夢を見ているのだろう」とあざ笑う者もいれば、「おおかた外国の宗教でも押しつけるつもりだろう」と言う者もいました。 + 彼らは、アレオパゴス(アレスの丘の広場)にパウロを連れて行き、言いました。「その新しい宗教のことをもっとくわしくお聞かせ願えないでしょうか。 + 何やら珍しいことをおっしゃっているようで、とても興味があるのです。」 + アテネに住む人たちは、生粋のアテネ人も、寄留している外国人もみな、新しもの好きで、いつでも何か目新しいことを論じ合っては、日を過ごしていたのです。 + アレオパゴスに立ったパウロは、大ぜいの人を前にして、演説を始めました。「アテネの皆さん。あなたがたは宗教にたいへん関心をお持ちのようです。 + 町を歩けば、必ず多くの祭壇が目にとまります。ところで、その中に、『知られない神に』と刻まれたものがありました。あなたがたは、この神様がどういうお方かも知らずに拝んでいるわけですが、私は今、この方のことをお話ししたいと思います。 + この方は、世界と、その中のすべてのものをお造りになった天地の主です。ですから、人の造った神殿にはお住みになりません。 + また人は、この方の必要を満たすこともできません。第一、この方には、必要なものなど何もありません。かえって、すべての人にいのちを与え、必要なものは何でも、十分に与えてくださるのです。 + 神様は全人類を、一人の人間アダムから造り、すべての国民を全世界に散らされました。あらかじめ、どの国が興り、どの国が滅びるか、いつそうなるか、何もかも決め、国々の境界をもお定めになったのです。 + これもみな、人々が神を求め、神を探し出すためでした。事実、神様は私たちから遠く離れておられるのではありません。 + 私たちは神の中に生き、動き、存在しているのです。あなたがたの詩人の一人が、『私たちは、神の子孫だ』と言ったとおりです。 + もしこのとおりなら、神を、金や銀、あるいは石のかけらなどで人間が造った偶像のようなものと考えるべきではありません。 + 今まで、神様はこうした無知を見過ごしてこられました。しかし今は、すべての人に、偶像を捨てて神に立ち返るようにと命じておられるのです。 + 神の任命なさった方が正しいさばきを行う日が、決まっているからです。神様はその方を復活させ、そのことの動かぬ証拠とされたのです。」 + 死者の復活にまで話がおよぶと、ある者たちは笑って相手にしなくなり、ある者たちは、「くわしいことはまたいつか聞くことにしよう」と言いました。 + こうして議論は終わりましたが、 + 数名の者がパウロの側につき、クリスチャンになりました。アレオパゴスの裁判官デオヌシオや、ダマリスという婦人なども、その中に含まれていました。 + + + パウロは、アテネを去り、コリントへ行きました。 + そこで、ポント生まれのアクラというユダヤ人と知り合いになりました。この人は妻プリスキラと連れ立って、最近イタリヤから来たばかりでした。彼らは、クラウデオ帝がローマ在住の全ユダヤ人の追放令を出したため、イタリヤから追い出されたのです。アクラもパウロと同じ天幕作りの職人だったので、パウロはその家に同居して、いっしょに仕事を始めました。 + パウロは安息日ごとに会堂に出かけ、ユダヤ人だけでなく、外国人をも説得しようと努めました。 + シラスとテモテがマケドニヤから来てからは、みことばを教えることにすべての時間を割き、ユダヤ人に対して、イエスこそキリストだと語りました。 + ところが、ユダヤ人たちは反抗し、侮辱を加えるばかりか、イエスのことまでひどくののしるのです。そこでパウロは、彼らときっぱり縁を切るしるしに上着のちりを払い、こう言い放ちました。「あなたたちの血の責任は、あなたたちに降りかかれ! 私の責任ではない。これからは、外国人を教えよう。」 + その後パウロは、テテオ‧ユストという外国人の家に泊めてもらうことにしました。この人は、外国人ながらも神を敬う人で、ちょうどよいことに、彼の家の隣が会堂でした。 + 会堂管理人クリスポの一家は、ほかの多くのコリント人と共に主を信じ、バプテスマ(洗礼)を受けました。 + ある夜、主は幻の中で、パウロに言われました。「恐れるな。語り続けなさい。やめてはいけない。 + わたしがついている。だれもあなたに危害を加えることはできない。この町には、わたしにつく者がたくさんいる。」 + パウロは一年六か月の間、コリントにとどまり、神の真理を教えました。 + しかし、ガリオがアカヤ地方の総督(ローマから属州に派遣された行政長官)に就任すると、ユダヤ人は徒党を組んでパウロに反抗し、力ずくで総督のところへ引っぱって行き、 + 「ローマの法律に反するやり方で、神を礼拝しろと教える不届き者です」と訴えました。 + パウロが釈明するより早く、ガリオが口を開きました。「いいか、ユダヤ人諸君。犯罪事件なら、諸君の訴えを聞きもしよう。 + しかし、これは何だ。ことばの解釈とか、人物批判とか、諸君のばかげたおきてに関する事ばかりではないか。そんなことは、自分たちで始末をつけるがよかろう。私にはどうでもいいことだし、かかわりになりたくもない。」 + これだけ言うと、ガリオは人々を法廷から追い出しました。 + 暴徒たちは、腹立ちまぎれに会堂の新しい管理人ソステネを捕らえ、法廷の外で打ちたたきました。しかしガリオは、そんなことにはまるで無関心でした。 + このあとも、パウロはコリントにとどまりましたが、しばらくすると、コリントのクリスチャンたちに別れを告げ、プリスキラとアクラを連れて、船でシリヤに向かいました。パウロはこの時、一つの誓いを立てていたので、ケンクレヤで頭をそりました。そうするのが、ユダヤ人の慣習だったのです。 + 一行がエペソに着くと、パウロは二人を船に残したまま会堂へ出かけ、ユダヤ人たちと議論を戦わせました。 + 「もう少し、いてくださいませんか」と人々に頼まれましたが、「どうしても祭りまでにエルサレムへ行かなければならないのです」と、断るほかありませんでした。機会さえあれば、また必ず来ると約束して、一行は船旅を続けました。 + やがて、船はカイザリヤに着き、上陸したパウロはまずエルサレムの教会を訪問し、みなにあいさつしてから、アンテオケに向かいました。 + パウロはアンテオケにしばらくいたあと、また小アジヤへ行き、ガラテヤとフルギヤ地方の教会を訪問して、力づけて回りました。 + そのころ、すばらしい聖書教師で、説教者としても有能なアポロというユダヤ人が、エジプトのアレキサンドリヤからエペソに来ました。 + アポロはエジプトにいたころ、バプテスマのヨハネのことと、ヨハネがイエスについて語ったことを聞いた以外、何も知りませんでした。それでも大胆に、また熱心に、「メシヤ(救い主)がもうすぐ来られます。お迎えの準備をしなさい」と会堂で説教しました。プリスキラとアクラも、その力強い説教を聞きました。二人はあとでアポロに面会を求め、ヨハネの預言以後、イエスの身に起こったことと、その意味を正確に説明しました。 + アポロの希望はギリシヤへ行くことでした。エペソのクリスチャンたちは賛成して、彼を大いに励まし、コリントの教会に手紙で、アポロのことをよろしくと伝えました。アポロはそこで、神のためにいかんなく力を発揮し、教会を励ましました。 + また公の場では、ユダヤ人たちを論破し、聖書によって、イエスこそキリストであることを力強く示しました。 + + + アポロがコリントにいる間に、パウロはトルコを通ってエペソに来ました。そこで会った何人かの弟子たちに、パウロは尋ねました。 + 「ところで、信じた時、聖霊を受けましたか。」「いったい何のことでしょう。聖霊のことなど聞いたこともありません。」 + 「では、バプテスマ(洗礼)を受けた時、どんな信仰告白をしたのですか?」「バプテスマのヨハネの教えた……。」 + これを聞いたパウロは、ヨハネのバプテスマは、罪を離れて神に立ち返る決意を表すものだから、それを受けた者が、ヨハネの証言どおり、あとから来られたイエスを信じるのは当然のことだと説明しました。 + 彼らはすぐ、主イエスの名によってバプテスマを受けました。 + そして、パウロが彼らの頭に手を置くと、聖霊が下りました。すると彼らは、外国語で話したり、預言したりし始めたのです。 + みなで十二名ほどでした。 + このあと、パウロは三か月のあいだ会堂で、安息日ごとに大胆に説教し、神の国のことを教えました。 + しかしある者たちがパウロの話を非難し、人々の面前でキリストに逆らうことばを口にしたので、もう二度と相手にしないことに決め、会堂での説教はそれきりになりました。代わりに、クリスチャンたちを誘って、ツラノの講堂で別の集会を開き、毎日そこで語りました。 + これが二年間も続いたので、アジヤ州に住む人たちは、ユダヤ人だろうが外国人だろうが、主の教えを聞かない人はほとんどいないほどでした。 + しかもパウロは、神によって驚くべきすばらしい奇跡を行う力に恵まれたので、 + 彼の手ぬぐいや前かけを病人にかけるだけで、病気は治り、悪霊は出て行きました。 + そこへ、町から町へと渡り歩く、ユダヤ人の魔よけ祈祷師の一行がエペソにやって来ました。彼らも自分たちで、試しに主イエスの名を使ってみようと、「パウロが伝えている、イエスによって命令する。出て行け!」と、まじないを唱えることにしました。 + こんなことをしたのは、実は、ユダヤの祭司長スケワの七人の息子たちでした。 + しかし、悪霊につかれた人に実際に試してみると、結果はさんざんでした。悪霊は平然と、「イエスなら知っている。パウロだって知っている。だが、おまえらは何者だ」と言い返してきたのです。 + そればかりか、悪霊につかれた男が、一行のうちの二人に飛びかかり、なぐったり押さえつけたりしたので、彼らは裸にされ、重傷を負って、命からがらその家から逃げ出しました。 + この出来事は、あっという間にエペソ中のユダヤ人やギリシヤ人に伝わり、町中が大きな恐れに包まれると同時に、主イエスの御名がほめたたえられました。 + それまで魔術を行っていた信者たちも、そのことを告白し、呪文の本やお札を持って来て積み上げ、みんなの見ている前で焼き捨てました。ざっと見積もっても、銀貨五万枚にはなりそうな量でした。 + このこと一つ取ってみても、この地方一帯が、どれだけ神のことばによって揺り動かされたかが、よくわかります。 + 事件が一段落すると、パウロは聖霊の導きで、ギリシヤを回ってからエルサレムに帰ることにしました。あとでローマへも行くつもりでした。それをはっきりさせると、 + まず助手のテモテとエラストとをギリシヤへやり、自分は、なおしばらくアジヤ州にとどまりました。 + ちょうどそのころ、エペソで、キリスト教の伝道を巡って大騒動が持ち上がりました。 + 事件を起こしたのは、デメテリオという銀細工人です。この男は職人を大ぜい雇い、ギリシヤの女神アルテミスの神殿の模型作りを手広くやっていました。 + この男が、自分のところの職人や同業者を集めて、こう演説をぶったのです。「皆さん。私たちは神殿の模型作りで食べています。 + ところが、ご存じのように、あのパウロとかいう男が、手で造ったものは神じゃないなどと不届きなことを言って、大ぜいの人にふれ回っているのです。おかげで、こちらの売り上げはがた落ちです。エペソばかりか、この地方全体がそうなのです。 + もちろん、商売が圧迫されるとか、もうけが減るとかいったことだけを言うつもりはありません。私が声を大にして言いたいことは、このままでは、偉大な女神アルテミス様の神殿のご威光が薄れ、この地方は言うにおよばず、世界中の人たちが礼拝してきた、すばらしい女神アルテミス様が忘れられてしまうということです。」 + この演説で人々は興奮し、大声で、「偉大なのはエペソ人の女神アルテミス様だ!」と叫び始めました。 + たちまち町中は大混乱に陥りました。人々は、パウロに同行したガイオとアリスタルコの二人をむりやり引っ立て、円形劇場へなだれ込みました。 + これを見て自分も中に入ろうとするパウロを、弟子たちが必死に押しとどめました。 + パウロの友人であるこの地方のローマの役人たちも使いの者をよこし、危険だから中に入らないようにと言ってきました。 + 一方、劇場の中では、それぞれが自分勝手なことをわめき立てるので、ほとんどの人は、なぜ集まっているのかさえわからない有様でした。 + そうこうするうちに、ユダヤ人たちが、群衆の中からアレキサンデルという男を前に押しやりました。演説させようというのです。アレキサンデルは、進み出て、静かにするよう身ぶりで合図しました。 + しかし、彼がユダヤ人だとわかると、群衆は前よりも激しく騒ぎだし、手のつけようがありません。「エペソ人の偉大な女神アルテミス様、ばんざーい! ばんざーい!」と二時間も叫び続けました。 + とうとう市長が乗り出し、やっとのことで、なんとか話ができるまでに騒ぎを鎮めました。「市民の皆さん。エペソが偉大なアルテミス様の宗教の本山であることは、だれもが知っています。アルテミス様のご神体は、天からわれわれのもとに下って来たのです。 + それははっきりしているのだから、何を言われても、あわてることはありません。くれぐれも、軽はずみなことだけはしないようにしてください。 + さて、ここへ連れて来た二人のことですが、女神の神殿から何かを盗み出したり、女神を冒瀆したりしたわけではありません。 + もしデメテリオや職人たちが二人を訴えたいのなら、法廷があるのだから、裁判官の前に持ち出せばいいのです。何事も法律にのっとって進めてもらいたいものです。 + また、それ以外のことで不平があれば、定例の市議会に提出すればすむことです。 + とにかく、今日のこの騒動は、ローマ政府から暴動を起こした罪に問われるかもしれません。なにしろ訴える正当な理由が一つもないのだから、どうなっても責任は負えませんよ。」 + こうして、市長は人々を解散させました。 + + + 騒ぎが収まると、パウロは使いをやって弟子たちを集め、別れを告げてからギリシヤへ出発しました。 + その旅の途中でも、立ち寄るすべての町で説教し、クリスチャンを力づけながら、ギリシヤに着きました。 + そこに三か月の間とどまったあと、船でシリヤへ向かおうと準備を進めていたところ、ユダヤ人たちがパウロの命をねらっているという情報が入ったのです。急いで予定を変え、北のマケドニヤを通って帰ることにしました。 + 数人の人が、小アジヤまで同行することになっていました。プロの息子でベレヤ出身のソパテロ、テサロニケから来たアリスタルコとセクンド、デルベのガイオ、それにテモテです。またテキコとトロピモは、故郷の町に帰るところでした。 + 彼らはひと足先に出かけ、トロアスで私たちを待っていました。 + 過越の祭りが終わるとすぐ、私たちはマケドニヤのピリピから船出し、五日後にはトロアスに着いて、一週間そこで過ごしました。 + 日曜日になって、私たちは聖餐式(パンと杯によりキリストの体と血の祝福にあずかる、キリスト教の礼典の一つ)のために集まり、パウロが説教しました。翌日には出発することになっていましたが、話は夜中まで続きました。 + 会場の三階の部屋には、たくさんのランプが、あかあかとともされていました。 + ところが、話がえんえんと続くので、窓ぎわに腰かけていたユテコという青年がぐっすり眠り込み、三階からまっさかさまに落ちてしまいました。人々が抱き起こした時は、もう死んでいました。 + パウロは下に降りて来て、彼を抱きかかえ、「心配するな。大丈夫だ」と言いました。すると驚いたことに、そのことばどおり、青年は生き返ったのです。人々の喜びはたいへんなものでした。一同はもう一度三階に上がり、聖餐式をしました。パウロはそのあとも長い時間説教し、夜明けごろ、ようやく出発しました。 + パウロは陸路でアソスに向かうつもりだったので、私たちは船で先に出発しました。 + そしてアソスで落ち合い、いっしょに船でミテレネまで行き、 + 翌日にはキヨスの沖を過ぎ、次の日サモスに寄港しました。その翌日にはミレトに着きました。 + パウロは、できれば五旬節の祭りまでにはエルサレムへ行こうと先を急いでいたので、エペソには立ち寄らないつもりでした。 + それで、ミレトに上陸すると、さっそくエペソ教会の長老たちに、船まで会いに来るようにとことづけました。 + 集まった長老たちに、パウロは語りました。「私が小アジヤに足を踏み入れて以来、どんなふうに生きてきたかは、よくご存じですね。 + 私は謙遜の限りを尽くし、涙を流しながら、神のために働いてきました。ユダヤ人には命をつけねらわれ、危険な目に会ったのも、一度や二度ではありません。 + それでも、ためらわず真理を語りました。個人的にばかりでなく、堂々と多くの人々の前でも。 + また、ユダヤ人にもギリシヤ人にも、罪から離れ、主イエス‧キリストを信じて神に立ち返るように勧めました。 + 今、聖霊が、どうにも逆らえない強い力で、私をエルサレムへ行かせるのです。そこで何が待ち受けているか見当もつきません。 + ただわかっているのは、行く先々の町で投獄と苦難が待っていると、聖霊が告げてくださったことだけです。 + しかし、主イエスがしなさいと言われた務めをやり遂げるためなら、こんな取るに足らぬ命でも、喜んで投げ出す覚悟はできています。その務めとは、神の恵みの福音を伝えることです。 + 皆さん。これまで何回か、あなたがたのところを訪問し、神の国のことを教えた私ですが、もう二度とお目にかかることもないでしょう。 + ですから、今ここで、はっきり宣言します。あなたがたがどんなさばきを受けることになろうと、私の責任ではありません。 + 私は、神のご計画全体を何もかも話しておいたからです。 + 注意しなさい。あなたがたは、神の羊たち〔神がキリストのいのちと引き替えに買い取った教会〕を養い育てる立場にあるのです。このことをしっかり肝に銘じておきなさい。いいですか、聖霊があなたがたに、監督者としての責任をお与えになったのです。 + 私が去ったあと、狂暴な狼のような偽教師たちが忍び込み、群れを荒らし回るでしょう。 + それだけではありません。あなたがたの中からも、弟子を自分の側に引き込みたいばかりに真理を曲げる者が出るでしょう。 + だから、よく見張っていなさい。私といっしょに過ごした三年間を忘れてはいけません。昼も夜も目を離さず、あなたがたのために流してきた私の涙を思い出してください。 + 私は今、あなたがたを、神とそのすばらしいみことばとにゆだねます。このみことばが、あなたがたの信仰を強くし、神のためにきよい者とされた人々が相続する恵みの財産を、あなたがたにも与えるのです。 + 私はお金やぜいたくな衣服をほしいと思ったことなど、ただの一度もありません。 + この両手が、どれだけ私自身の生活や、いっしょにいた人たちの必要のために働いてきたかは、よくご存じでしょう。 + また、貧しい人たちを助けることでも、常に良い手本となったつもりです。それは、『与えることは受けることよりも幸いである』という、主イエスのことばが、いつも頭にあったからです。」 + 語り終えると、パウロはひざまずき、エペソの長老たちのために祈りました。 + 人々は別れを惜しんで、一人一人パウロを抱きしめ、おいおい声をあげて泣きました。 + もう二度と会えないだろうと言ったパウロのことばに、胸も張り裂ける思いだったのです。それから一同は、パウロを船まで見送りました。 + + + エペソの長老たちと別れたあと、パウロと私たちはコスに直航し、翌日はロドス、それからパタラへと船旅を続けました。 + そこで、シリヤのフェニキヤ方面に行く船に乗り替え、 + キプロス島の南を通ってシリヤに向かい、いったんツロに上陸しました。ここで船の積み荷を陸上げすることになっていたからです。 + 上陸すると、クリスチャンを捜し出し、一週間ほどいっしょに過ごしました。この町のクリスチャンは聖霊に示されたので、どうにかしてパウロにエルサレム行きを思いとどまらせようとしました。 + しかし、停泊期間も終わり、私たちは予定どおり船に戻ることになったので、人々は家族総出で、浜辺まで見送りに来ました。互いに祈り合い、別れのあいさつがすむと、 + 私たちは船に乗り込み、人々は家へ帰りました。 + ツロの次はトレマイです。この町のクリスチャンにもあいさつをしましたが、滞在は一日だけでした。 + 翌日には、もうカイザリヤに着き、そこでは、最初の七人の執事の一人であった、伝道者ピリポの家に泊まりました。 + ピリポには、預言する力のある未婚の娘が四人いました。 + 数日そこに世話になっているあいだに、やはり預言する力のあるアガボという人の訪問を受けました。この人は、わざわざユダヤから来たのです。アガボはパウロの帯を取り、それで自分の手足を縛ってから言いました。「聖霊が告げられました。『この帯の持ち主は、エルサレムでユダヤ人からこのように縛り上げられ、ローマ人に引き渡される。』」 + これを聞いた者はみな、この町のクリスチャンも、同行していた私たちも、声をそろえてパウロに、エルサレムへは行かないでほしいと涙ながらに訴えました。 + しかし、パウロは言いました。「なぜ泣いたり、私の心をくじいたりするのですか。私は主イエスのためなら、エルサレムで投獄されてもかまわないと、いや、殺されてもいいとさえ覚悟しています。」 + もうこれ以上何を言ってもむだで、私たちは、「主のお心のままに」と言って、黙るほかありませんでした。 + しばらくして私たちは、荷物をまとめてエルサレムへ出発しました。 + カイザリヤのクリスチャンも幾人か同行し、エルサレムに着くとすぐ、古くからの仲間の一人、キプロス島出身のマナソンの家へ案内してくれました。そこに泊めてもらうことになっていたからです。 + エルサレムのクリスチャンたちは、私たちを心から歓迎してくれました。 + 翌日、パウロは私たちを連れ、ヤコブをはじめエルサレム教会の長老たちに会いに出かけました。 + ひと通りあいさつがすむと、パウロは、この伝道旅行で、神がどれだけ多くのことを成し遂げてくださったかを、くわしく報告しました。 + それを聞いた人々は神をほめたたえ、パウロに言いました。「愛する兄弟(信仰を同じくする者)よ。ご存じと思いますが、何万というユダヤ人も、主イエスを信じるようになったのです。彼らはクリスチャンになっても、ユダヤ人はユダヤの伝統と慣習を守り続けるべきだと強く主張しています。 + そこで困ったことがあるのです。あなたが外国人の中にいるユダヤ人に対して、モーセの律法やユダヤ人の慣習に反し、子どもに割礼を施すことを禁じているといううわさが、エルサレムに流れているのです。 + どうしたものでしょうか。あなたが来たことは、必ず彼らの耳に入るでしょうし……。 + そこで、こうしたらどうでしょう。私たちの中に、誓願を立てて頭をそる人が四人います。 + この人たちを神殿に連れて行き、あなたもいっしょに頭をそり、彼らの費用を払ってやるのです。そうすれば、うわさが事実無根であり、あなたがユダヤ人として律法を守り、私たちと同じ考えであることがわかってもらえるでしょう。 + もちろん、外国人のクリスチャンには、このようなユダヤの慣習を押しつけるつもりは毛頭ありません。ただ、前に手紙で知らせたように、偶像にささげた物を食べないこと、血を食べないこと、しめ殺された動物の肉は血を抜かないままで食べないこと、不品行を避けること、これだけを守ればいいのです。」 + パウロはこの提案を受け入れ、翌日、四人の人といっしょに儀式を受けるために宮へ行き、ほかの人たちと共に、七日後に供え物をささげる誓いを立てたことを公表しました。 + その七日間が終わろうとしていた時、小アジヤから来た数人のユダヤ人が、宮の中でパウロを見つけたのです。彼らは群衆をそそのかして襲いかかり、 + パウロを押さえつけると大声で叫びました。「みんな、手を貸してくれ! こいつは、とんでもないやつなんだ。ユダヤ人に逆らえだの、おきてを守るなだのとふれ回っているんだ。そればかりじゃない。神殿の規則に反することも教えている。現に、外国人をこの神聖な場所に連れ込むようなまねを平気でやっているのだ。」 + 彼らはその日の早朝、パウロが、エペソから来た外国人のトロピモといっしょにいるのを見かけたので、パウロが彼を神殿に連れ込んだものと勘違いしたのです。 + この訴えに、町中が騒ぎだしました。人々はパウロ目がけて殺到し、むりやり宮の外へ引きずり出すと、門をぴったりしめてしまいました。 + 彼らがパウロを殺そうとしていた時、ローマの守備隊司令官のもとに、エルサレムが混乱状態に陥ったという知らせが届きました。 + 司令官は、直ちに兵士と士官を率いて現場に駆けつけました。軍隊が近づいて来たので、人々はパウロをなぐるのをやめました。 + 司令官はパウロをとらえると、まず二重の鎖で縛らせ、次に、「この男は何者で、いったい何をしでかしたのか」と人々に尋ねました。 + ところが、人々がめいめい勝手なことを叫び続けたので、さっぱり事情がつかめません。ひとまず、パウロを兵営へ連行するように命じました。 + しかし、階段にさしかかった時には、群衆の暴行を避けるため、兵士たちはパウロをかつぎ上げなければならなくなりました。 + 群衆は、「そいつを殺せ! 殺しちまえ!」とわめきながら、押し寄せて来ました。 + 兵営に連れ込まれようとした時、パウロは司令官に、「お話ししたいことがあるのですが」と言いました。そのことばに司令官は驚いて、聞き返しました。「あなたはギリシヤ語が話せるのか。ではあなたは、数年前、反乱を起こし、四千人の殺し屋を引き連れて荒野へ逃亡した、あのエジプト人ではないのか。」 + パウロは答えました。「私はキリキヤのタルソ出身のユダヤ人です。お願いです。この人たちに話をさせてください。」 + 司令官が許可したので、パウロは階段の上に立ち、身ぶりで人々を静めました。まもなくすっかり静かになったところで、パウロはヘブル語で話し始めました。 + + + 「私の兄弟とも父とも言うべき皆さん。どうか、私の申し上げることを聞いてください。」 + パウロがヘブル語で話すのを聞いて、人々はしーんと静まり返りました。 + 「私はキリキヤの町タルソで生まれたユダヤ人ですが、エルサレムのガマリエル先生のもとで教育を受けました。先生の門下生として、ユダヤの律法には、特にきびしく従うように教えられました。つまり、今の皆さん同様、こと神に関する限り、人並み以上に熱心だったのです。 + クリスチャンを迫害し、逃げる者たちを、どこまでも執念深く追い回し、男でも女でも手当たりしだいに縛り上げて投獄したり、殺したり……。 + そのことは、大祭司様も、議会の議員の方々も証言してくださるでしょう。この人たちに頼んで、ダマスコに住むユダヤ人の指導者あてに、クリスチャンを見つけしだい縛り上げ、処罰するためにエルサレムへ連行することを認めさせる手紙を、書いてもらったくらいですから。 + ところが、旅をして、もうすぐダマスコという時、あれはちょうど正午ごろでしたが、突然まばゆい光が、天からさっと私を照らしたのです。 + 思わず倒れ伏した私の耳に、『パウロ、パウロ。なぜわたしを迫害するのか』と呼びかける声が聞こえました。 + 『そう言われるあなたは?』と尋ねると、その声は、『あなたが迫害しているナザレのイエスだ』と言われるではありませんか。 + いっしょにいた人たちには、光は見えましたが、ことばはわかりませんでした。 + 『主よ。私はいったい、どうしたらよいのでしょう。』私がこう尋ねると、『立って、ダマスコの町に入りなさい。将来どんなことがあなたの身に起こるかは、そこで教えられるだろう』というお答えです。 + ところが、あまりのまぶしさに目が見えなくなり、連れの者にダマスコまで手を引いて行ってもらわなければなりませんでした。 + ダマスコには、律法を忠実に守る、信心深いアナニヤという人がいました。ダマスコのすべてのユダヤ人に、たいそう評判のよい人でした。 + この人が来て、『兄弟パウロ。見えるようになれ』と言うと、たちまち彼の姿が見えるようになりました。 + するとアナニヤはこう言ったのです。『先祖たちの神があなたをお選びになったのです。神がそのことをあなたに知らせ、イエス‧キリストに会わせ、その御声を聞かせてくださったのです。 + あなたがこの方の教えを携えて行き、自分で見聞きしたことを、あらゆる所のあらゆる人たちに伝えるためです。 + さあ、何をためらっているのです。お立ちなさい。主の名を呼んでバプテスマ(洗礼)を受け、罪をすっかり洗いきよめていただくのです。』 + こうしてエルサレムに帰り、ある日、神殿で祈っていると、うつらうつら夢ごこちになり、神の幻を見たのです。神様は、『さあ、急いでエルサレムを離れなさい。ここの人たちは、あなたがわたしの教えを伝えても信じないから』とおっしゃいました。 + 私は答えました。『主よ。人々はかつて私がどこの会堂ででも、あなたを信じる人たちを投獄し、むち打ったことを、いやと言うほど知っているのです。 + しかも私は、あのステパノが殺された時には、それに賛成して現場に立ち合ったばかりか、石を投げつける者たちの上着の番をしたのです。』 + しかし神様は、『さあ出発しなさい。あなたを遠く、外国人のところへ派遣します』と言われました。」 + パウロがここまで話した時、人々はいっせいに叫びだしました。「こんなやつは消しちまえ! 生かしておくな。殺せ、殺せ!」 + 大声でわめく声、声、声……。あたりは興奮のるつぼとなりました。上着は宙に舞い、あちこちで、ちりをつかんでまき散らす者も出るしまつです。 + どうしてこれほどの怒りを買うのか、その事情を知りたいと思った司令官は、パウロを兵営に引き入れ、むち打って取り調べようと思いました。 + 兵士たちが縛り上げた時、パウロはそばに立っている士官に、「ローマ市民の私を、裁判にもかけずにむち打ってもよいのですか」と言いました。 + これを聞いて、士官はあわてて司令官のところへ駆けつけ、「いかがいたしましょう。あの男はローマ市民だと言っております」と耳打ちしました。 + そこで司令官がじきじきに問いただしました。「はっきり言いなさい。あなたはローマ市民なのか。」「言われるとおり、ローマ市民です。」 + 「私もローマの市民権を持っているが、ずいぶん金を積んだものだ。」「私は生まれながらの市民です。」 + パウロを打とうとそこに立っていた兵士たちは、ローマ市民だとわかったとたん、びっくりして身を引きました。司令官も、知らなかったとはいえ、ローマ市民を縛ってむち打つように命令したので、ひどく不安になりました。 + 翌日、司令官はパウロの鎖を解き、祭司長たちに、最高議会の召集を命じました。その場にパウロを連れ出し、なぜ彼がユダヤ人に告訴されたのか確かめようと思ったのです。 + + + パウロは議会の面々をじっと見つめ、口を開きました。「皆さん。私はいつでも神の前で、少しも良心に恥じない生活を送ってまいりました。」 + これを聞いただけで、大祭司のアナニヤは、パウロのそばに立っている者たちに、「やつの口を打て」と命じました。 + パウロは、しっかりアナニヤを見すえて言いました。「神に罰せられるのは、あなたのほうだ。うわべだけは取りつくろっても、自分で律法を破っている。私を打てとは、なんという裁判官か。」 + 「それが大祭司様に対することばか!」そばにいた者たちが叫びました。 + 「あの人が大祭司ですって? それは知りませんでした。聖書には確かに、『指導者の悪口を言ってはならない』と書いてありますが。」 + そう言ってパウロは、議会にはサドカイ人もいれば、パリサイ人もいることに気づき、こう叫びました。「皆さん。私は先祖代々のパリサイ人です。私が今ここでさばかれているのは、死者の復活を信じているからなのです。」 + このことばで、議会はパリサイ派とサドカイ派に真っ二つに分かれてしまいました。 + サドカイ派が復活も天使も信じず、永遠に生きる霊もないと主張する一方、パリサイ派は、それらを全部信じていたからです。 + 議会は大混乱に陥りました。ユダヤ人の指導者の中にも、パウロは正しいと論じる人が現れて、彼らは大声で言いました。「この人は別に悪いことなんかしていない。たぶんダマスコへ行く途中で、何かの霊か天使が語りかけたのだろう。」 + 叫び声はますます大きくなり、人々はパウロを両方から奪い合おうとします。パウロが引き裂かれるのではないかと心配になった司令官は、兵士たちに、力ずくでパウロを人々から引き離させ、兵営に連れ帰りました。 + その夜、主がパウロのそばに立って、こう言われました。「パウロよ。心配はいらない。あなたは、このエルサレムでと同じように、ローマでもわたしのことを人々に証言するのだ。」 + 翌朝、四十名以上のユダヤ人が集まり、パウロを殺すまでは飲み食いをしないと誓い合いました。 + 彼らは、祭司長と長老たちのところへ行ってその決意を告げ、 + 「もう少しパウロを尋問したいと言って、彼をもう一度議会に立たせるよう、司令官に頼んでいただけないでしょうか。あとは私たちが途中で待ち伏せて、うまく始末します」と願い出ました。 + ところが、この陰謀を、パウロの甥が知ったのです。彼は急いで兵営に駆け込み、このことをパウロに知らせました。 + パウロは士官の一人を呼び、「この青年を、司令官に会わせてやってください。重大な報告があるそうですから」と頼みました。 + 士官はすぐに、青年を連れて司令官のところへ行き、「囚人のパウロが、この青年をお引き合わせするようにと申しております。何か報告があるそうで……」と伝えました。 + 司令官は青年の手を取り、だれもいないところへ連れて行って、「いったいどんな用件か」と尋ねました。 + 「ユダヤ人たちが、もう少し取り調べたいことがあるようなふりをして、明日パウロをもう一度議会に呼び出すことを願い出ます。 + しかし、どうか許可なさいませんように。四十名以上の者が、パウロを襲い、殺そうと待ち伏せているからです。彼らは、パウロを殺すまでは飲み食いしないと誓い合っています。今、彼らは外で、あなたの許可が下りるのを待っているのです。」 + 司令官は、「このことはだれにも口外するな」と言い含めて、青年を帰しました。 + それからすぐ彼は、士官を二人呼び、「今夜九時、カイザリヤに向けて出発できるよう準備せよ。兵士は二百名だ。それと槍兵二百名、騎兵七十名も同行させよ。パウロを馬に乗せ、総督ペリクス閣下のもとへ無事に送り届けるのだ」と命じました。 + このとき司令官が総督に送った手紙は、次のようなものでした。 + 「クラウデオ‧ルシヤから、総督ペリクス閣下に、ごあいさつを申し上げます。 + この者は、ユダヤ人に捕らえられ、危うく殺害されるところを、本官が兵を率いて駆けつけ、救出した者でございます。それというのも、れっきとしたローマ市民であったからです。 + その後、議会で真相を調べましたところ、 + 問題はユダヤ人の信仰上のことであり、この者を投獄したり、死刑にしたりするような事件ではないことが判明いたしました。 + しかし、この者のいのちをねらう陰謀が巡らされているとの情報をつかみましたので、彼の身柄を閣下のもとに送ることにいたします。また、この者を訴えたければ、以後は閣下の前で訴えるようにと、その旨指示しておきました。」 + その夜のうちに、兵士たちは命令どおりパウロをアンテパトリスまで護送し、 + 翌朝、そこからカイザリヤまでは騎兵隊に任せて、兵営に引き返しました。 + カイザリヤに着くと、騎兵隊は、司令官からの手紙といっしょにパウロを総督に引き渡しました。 + 手紙を読み終えた総督が出身地を尋ねたので、パウロはキリキヤだと答えました。 + 総督は、「おまえを訴える者たちが来てから、くわしく取り調べよう」と申し渡し、ヘロデの官邸内の牢獄に、パウロを入れておくよう命じました。 + + + 五日後、大祭司アナニヤが、ユダヤ人の指導者数人と弁護士テルトロとを連れて来て、パウロの件で訴えを起こしました。 + 総督の前に呼び出されたテルトロは、でたらめの告訴理由を並べ立てました。「閣下。われわれユダヤ人がおだやかで平和な生活を送れますのも、みな、あなたのおかげでございます。また、われわれに対する差別待遇の問題も驚くほど改善され、 + 一同、心から感謝いたしております。 + さて、あまりくどくならぬよう、手短に、この男に対する訴えの筋を申し上げますので、何とぞ、お聞き届けください。 + このパウロは全く人騒がせな男で、ナザレ人という一派の首領におさまり、世界中を駆け巡ってユダヤ人をたきつけ、ローマ政府に反乱を起こそうとしているのでございます。 + その上、神殿までも汚そうとしたので、引っ捕らえたしだいでございます。われわれとしては、当然の罰を加えようとしただけですのに、 + 守備隊司令官のルシヤ様が、この男を力ずくで奪い、 + ローマの法律で裁判しろとお命じになったのです。閣下がお調べくだされば、われわれの正しいことがおわかりいただけると存じます。」 + ほかのユダヤ人たちも、口をそろえて、テルトロの言うとおりだ、とくり返しました。 + 次に総督は、身ぶりでパウロをうながしました。パウロは立ち上がり、釈明を始めました。「閣下が長年にわたりユダヤ人の問題を裁いてこられたことは、よく存じ上げております。ですから、安心して釈明させていただきます。 + お調べくださればすぐにわかることですが、私が神殿で礼拝するためにエルサレムに着いてから、十二日しかたっておりません。 + 私はどこの会堂でも町でも、騒ぎを起こせと人々をそそのかしたことなど、一度もございません。 + この人たちは、何一つ証拠をあげられないはずです。 + しかし、この人たちが異端と決めつけている救いの道を信じていることだけは、確かでございます。私はこの道を伝えることで、私たちの先祖の神に仕えているのです。また、ユダヤ人の律法と、預言者の書にあることもみな堅く信じております。 + この人たち同様、正しい者も不信心な者も共に復活すると信じております。 + 神の前でも人の前でも、いつも良心に恥じない生活を精一杯心がけております。 + 私は何年ぶりかで、ユダヤ人への支援金を携え、神に供え物をささげようと、エルサレムに帰ってまいりました。 + 私を訴える人たちは、私が神殿で感謝のささげ物をしているのを見たのです。私は規則どおり頭を丸めておりましたし、別に、回りに人だかりがあったわけでも、騒ぎがあったわけでもありません。ただ、アジヤ州から来たユダヤ人が数人いただけです。 + 私を訴えるのなら、まず、それを見た人たちがここに来るべきです。 + また、この人たちには、議会で、私に不正な点を見いだせたかどうか尋ねてみてください。 + 私は議会では、ただひとこと、『死者が復活するという信仰のことで釈明するため、議会に呼び出されたのです』と申し上げただけでございます。」 + ペリクスは、クリスチャンが暴動を引き起こしたりはしないことを知っていたので、ユダヤ人には、守備隊の司令官ルシヤが来てから片をつけると言って、裁判を延期しました。 + 一方、パウロのことは、また監禁するよう命じましたが、看守には、丁重に取り扱い、友人たちの面会や差し入れも自由にさせるように言いました。 + 数日後、ペリクスはユダヤ人の妻ドルシラを伴って来て、パウロを呼び出し、二人でキリスト‧イエスに対する信仰について話を聞きました。 + しかし、話が正義と節制、それに、やがて来る審判のことだったのでこわくなり、「もう帰ってよい。また折りを見て話を聞こう」と言いました。 + それからも時々、ペリクスはパウロを呼び出しては話し合いましたが、それというのも、パウロから金をもらいたい下心があったからです。 + こんなふうにして二年が過ぎ、ペリクスに替わってポルキオ‧フェストが総督となりました。しかし、ペリクスはユダヤ人のきげんを損ねたくなかったので、パウロを捕らえたままにしておきました。 + + + 新総督としてカイザリヤに着いて三日後に、フェストはエルサレムへ来ました。 + 祭司長やユダヤ人の指導者たちはさっそく面会を求め、パウロの一件を持ち出しました。 + 願うことはただ一つ、パウロを直ちにエルサレムに送り返してほしいということでした。彼らは、途中で待ち伏せて殺そうと思っていたのです。 + そんなこととは知らないフェストは、パウロはカイザリヤに拘留中だし、自分もすぐ戻るので、 + パウロを告発したければ、それ相応の人が自分と同行し、向こうで裁判にかけてはどうかと提案しました。 + 八日か十日の後、フェストはカイザリヤに帰り、翌日パウロの裁判が開かれました。 + パウロが出廷したとたん、エルサレムから来たユダヤ人たちが取り囲み、次々に重い罪名をあげて訴えたものの、それを証拠立てることはできませんでした。 + この訴えに対して、パウロは、「私は潔白です。別にユダヤ人の律法に反対したわけでもなく、神殿を汚したことも、ローマ政府にそむいたこともありません」ときっぱり否定しました。 + そこでフェストは、ユダヤ人の歓心を買おうとして、パウロに尋ねました。「どうだ、エルサレムで裁判を受ける気はないか。もちろん、私の前でだが。」 + 「それよりも、ローマ皇帝に上訴する権利を要求いたします。私が無実であることは、あなた様もご存じのはずです。もし、何か死刑にあたるようなことをしているのなら、逃げも隠れもいたしません。しかし、私は潔白でございます。だれにも、私をこの人たちの手に渡して殺させる権利はありません。私はカイザルに上訴いたします。」 + フェストは事態をどう始末したものかと、顧問たちに相談してから、「いいだろう、おまえはカイザルに上訴したのだから、カイザルのところへ行きなさい」と言いました。 + 数日後、新総督を表敬するため、ヘロデ‧アグリッパ(二世)王がベルニケと共にフェストを訪問しました。 + 二人が何日間か滞在している間に、フェストはパウロの一件を王に持ち出しました。「実は、ペリクスから引き継いだ囚人が一人いるのですが、 + どうも祭司長やユダヤ人の指導者たちは、彼を死刑にしたいらしいのです。私がエルサレムへ行った時、そう申していました。 + もちろん私は、ローマの法律では、裁判もせずに人を有罪にはできないと答えました。それでこの男に、訴える者たちの前で釈明する機会を与えることにしたのです。 + 告発者たちがこちらに来た翌日、私は裁判を開き、パウロを出廷させました。 + ところが、訴えというのが全く予想外で、 + ユダヤの宗教上の問題なのです。なんでも、死んでしまったイエスとかいう人物のことで、パウロはその人が生きていると主張しているのです。 + こんな事件は、とても手に負えそうもありません。そこで、エルサレムで裁判を受ける気はないかと尋ねてみたら、 + なんとこの男は、カイザルに上訴すると言いだしまして。しかたありません。皇帝陛下のもとへ送る手はずが整うまで、牢に入れてあるのです。」 + アグリッパはこの話に興味を示し、「直接、その男の話を聞いてみたいものだ」と言ったので、フェストは、「では、明日お聞きいただきましょう」と答えました。 + 翌日、盛装した王とベルニケが、司令官たちや町の有力者たちと連れ立って法廷に入ると、フェストはパウロを連れて来るように命じました。 + まずフェストが立ち上がり、言いました。「アグリッパ王、ならびにご列席の皆さん。この地方のユダヤ人もエルサレムのユダヤ人も、この男の死刑を要求しております。 + しかし、私の見る限り、彼は何も死刑にあたるようなことはしていないのであります。ところが、この男が自分でカイザルに上訴しましたので、私は、彼をカイザルのもとに送ることに決めたしだいです。 + しかし、皇帝に何と書き送ったらよいでしょう。告訴できるだけの理由が何もないのです。それで皆さんの前に、特にアグリッパ王の前に連れてまいりました。皆さんに調べていただき、何と書いたらいいか教えていただきたいのです。 + 何の理由もなく囚人を皇帝陛下のもとに送るのは、はなはだ理屈に合わないことだからです。」 + + + アグリッパはパウロに、「さあ、おまえの言い分を話しなさい」とうながしました。アグリッパに敬意を表してから、パウロは話し始めました。 + 「アグリッパ王。あなた様の前で釈明できますことを、たいへん光栄に存じます。 + あなた様がユダヤ人の問題と慣習に精通しておられるからです。どうぞ忍耐してお聞きくださいますように。 + このことはユダヤ人もよく知っているのですが、私はタルソで生まれ、エルサレムでユダヤ教徒としての徹底した訓練を受け、それにふさわしく生きてまいりました。 + また、ユダヤのおきてと慣習を守ることでは、最も厳格なパリサイ派の一人でした。その気さえあれば、ユダヤ人も私のことをすぐに証言できることです。 + しかし彼らが訴えたいのは、そんなことではありません。私が、先祖に与えられた約束の実現を待ち望んでいることが、彼らの気に入らないのです。 + イスラエルの十二の部族は、私と同じ希望をいだいて昼も夜も神に仕えてきました。王よ。それなのに、私だけ罪に問われるとは理にかないません。 + 死者の復活を信じることが犯罪でしょうか。神が人間を復活させることは、そんなに信じがたいことでしょうか。 + かつて私は、ナザレのイエスの弟子は撲滅すべきだと堅く信じていました。 + ですから、祭司長たちの手先になり、エルサレムでクリスチャンを片っぱしから投獄し、裁判の時には、死刑に賛成の票を投じました。 + また、クリスチャンにキリストを冒瀆することばを吐かせるためには手段を選ばず、拷問を加えることもしばしばでした。それほど激しく反対していた私ですから、遠く外国まで迫害の手を伸ばそうとしたのも不思議はありません。 + ところが、祭司長たちに任され、ダマスコに向かう途中、 + あれは、ちょうど正午ごろでしたが、太陽よりもまばゆい光が、天から私と連れの者とを照らしたのです。 + 私たちはみな、その場に倒れました。その時です。私は、ヘブル語でこう語りかける声を聞いたのです。『パウロ、パウロ。なぜわたしを迫害するのか。そんなことをしたら、自分が傷つくばかりだ。』 + 『あなたは、いったいどなたですか』と私は尋ねました。すると主は言われたのです。『わたしは、あなたが迫害しているイエスだ。 + さあ、立ちなさい。あなたに姿を現したのは、あなたを、わたしに仕える者、またわたしの証人として任命するためだ。あなたは、このことをはじめとして、これから後もわたしがあなたに現れて示す多くのことを、世界中に語り伝えなければならない。 + 心配はいらない。あなたを、ユダヤ人からも外国人からも守ろう。あなたを外国人のところに派遣するのだから。 + 人々の目を開き、自分のほんとうの姿に気づかせ、罪を悔い改め、悪魔の暗闇から出て、神の光の中に生きるようにするために。わたしを信じる信仰によって、彼らは罪の赦しを受け、きよくされたすべての人たちと共に、神の相続財産を受けるようになる。』 + それでアグリッパ王よ。私はこの天からの幻に従ったのでございます。 + ダマスコを手はじめに、エルサレム、ユダヤ全国、さらに外国人にも、すべての人が罪を捨てて神に立ち返り、それを良い行いで示さなければならない、と宣べ伝えてきました。 + このために、ユダヤ人は私を神殿でつかまえ、殺そうとしたのです。 + しかし神のお守りがあったので、私は今日まで生きながらえ、身分の高い人にも低い人にも、あらゆる人にこのことを伝えているのです。私は、預言者とモーセが語ったこと以外、何も話してはおりません。 + 私が話しているのは、キリストは苦しみを受け、死者の中から最初に復活して、ユダヤ人にも外国人にも光をもたらすということだけです。」 + ここで突然、フェストが大声をあげました。「パウロ、気がおかしくなったか! あまりに学問に身を入れすぎて、おかしくなったのだ。」 + 「何をおっしゃいます、フェスト閣下。気など狂ってはおりません。まじめに真理を語っているだけでございます。 + アグリッパ王はよくご存じのはずです。そう確信しておりますから、率直に申し上げているのです。これらはみな、どこかの片すみで起こったことではないのですから。 + アグリッパ王、あなた様は預言者を信じておられますか。もちろん、信じておられるものと確信しておりますが。」 + アグリッパは、パウロのことばをさえぎりました。「おまえは少しばかり話しただけで、私をクリスチャンにしようというのか。」 + 「お話ししたことが短かろうと長かろうと、そんなことはかまいません。私がひたすら神にお願いするのは、あなた様をはじめ、ここにおられる皆さん全部が、私と同じようになってくださることです。もちろん、この鎖につながれることは別ですが……。」 + ここで王と総督とベルニケ、またほかの人たちもみな席を立ち、出て行きました。 + あとで話し合った結果、一致した意見は、「あの男は、死刑や投獄にあたることは何もしていない」ということでした。 + アグリッパはフェストに、「カイザルに上訴さえしていなければ、自由の身になれたものを……」ともらしました。 + + + ようやく船でローマに向かう手はずが整い、数人の囚人といっしょに、パウロはユリアスという親衛隊の士官に引き渡されました。 + 私たちが乗り込んだ船は、トルコ沿岸の幾つかの港に寄港して、ギリシヤに向かうことになっていました。テサロニケ出身のギリシヤ人アリスタルコも同行したことを、書き添えておきましょう。 + 翌日、船はシドンに入港しました。ユリアスはパウロにとても親切で、上陸して友人を訪問したり、もてなしを受けたりすることを許可してくれました。 + やがてそこを出帆しましたが、まずいことに向かい風が吹いてきたので、予定の進路をあきらめ、キプロスの北側の島と本土との間を通ることになりました。 + あとは、そのままキリキヤとパンフリヤの沿岸を航行して、ルキヤ地方のミラに入港しました。 + ここで親衛隊の士官は、アレキサンドリヤから来たイタリヤ行きのエジプト船を見つけ、私たちを乗り込ませました。 + 数日の間たいへんな航海を続け、ようやくクニドはもう目と鼻の先という所まで来ましたが、風があまりに強くなったので、サルモネ港の沖を通り、クレテの島陰を進みました。ひどい風に苦労しながら、島の南岸をゆっくり進んで、やっとのことでラサヤ近くの「良い港」と呼ばれる所にたどり着きました。 + そこに数日とどまりましたが、長期の航海には天候が危険な時期になっていたので、パウロは航海士たちに忠告しました。 + 「皆さん。このまま進んだら、きっとひどい目に会います。難破して積荷を失うだけならまだしも、けが人や死者が出るかもしれません。」 + しかし囚人を護送している士官は、パウロのことばよりも、船長や船主のことばに耳を傾けたのです。 + その上、この「良い港」は吹きさらしの場所で、冬を越すには適していないこともあって、大部分の船員も、海岸に沿ってピニクスまで行き、そこで冬を過ごしたほうがいいと主張しました。ピニクスは北西と南西だけが入り口になっている良港でした。 + 折からおだやかな南風が吹き始め、絶好の航海日和と思われたので、船は錨を上げ、沿岸を進み始めました。 + ところが、それもつかの間、突然天候が変わり、ひどい暴風〔ユーラクロン〕が襲ってきて、あっという間に船は沖へ沖へと押し流されました。最初のうちは、なんとか岸へ引き返そうと必死で船を操作した人々も、どうにも手のつけようがないとわかると、すっかりあきらめ、船は吹き流されるままでした。 + しかし、ようやくクラウダという小島の陰に入りました。引いていたボートを甲板に引き上げ、 + 船をロープで縛って、船体を補強しました。また、アフリカ海岸の浅瀬に乗り上げないように、船具をはずし、風に流されるままにしました。 + 翌日、波はさらに高くなり、船員たちは積荷を捨て始めました。 + その翌日には、もう手当たりしだいに、船具までも捨てざるをえなくなりました。 + 来る日も来る日も恐ろしい嵐は荒れ狂い、最後の望みも絶たれてしまいました。 + 長い間、だれも食事をしていません。パウロは船員たちを呼び集め、こう言いました。「皆さん。最初から私の忠告を聞いて、『良い港』を出なければよかったのです。そうすれば、こんな目に会わなくてすんだのです。 + でも、元気を出しなさい。船は沈みますが、だれも死にはしません。 + ゆうべ、天使がそばに立ち、こう知らせてくれたのです。 + 『恐れることはない。パウロ。あなたはまちがいなく、カイザルの前で裁判を受けるのです。そればかりか、神はあなたの願いを聞き届け、同船の人たち全員のいのちも救ってくださいます。』 + さあ、元気を出して。私は神を信じています。神様がおっしゃることにうそはありません。 + やがて、私たちはある島に打ち上げられるでしょう。」 + 嵐になって十四日目のことです。船はアドリヤ海を漂流していました。真夜中ごろ、水夫たちは陸地が近いと感じました。 + それで水深を測りました。四十メートルほどです。またしばらくして測ってみました。今度は三十メートルになっています。 + この調子では、もうまちがいありません。岸は近いのです。そこで海岸付近の岩場に乗り上げないようにと、船尾から錨を四つ降ろし、祈りながら夜明けを待ちました。 + 数人の水夫が、船を捨てて逃げようと、船首から錨を降ろすふりをしながら、救命ボートを降ろそうとしました。 + それを見たパウロは、いち早く兵士たちや士官に、「あの人たちがいなければ、助かる見込みはありません」と言ったので、 + 兵士たちは綱を切り、ボートを海に落としてしまいました。 + ついに夜明けの光がさし始めたころ、パウロは全員に、食事をするように勧めました。「皆さんは、今日で二週間も食べ物を口にしていないではありませんか。 + さあ、食事をしましょう。皆さんの髪の毛一本も失われないのですから。」 + こう言うと、パウロはパンを取り、みなの前で感謝の祈りをしてから、裂いて食べ始めたのです。 + それでだれもが元気づけられ、いっしょに食べ始めました。 + 上船していた人は、全部で二百七十六人でした。 + 食事のあと、積んでいた麦を全部投げ捨て、船を軽くしました。 + 夜が明けると、どこの海岸線かはわかりませんが、砂浜のある入江が見えます。それで、岩の間をぬって砂浜まで行けるかどうか相談しました。 + そして、ついに決行と決まりました。まず錨を切り捨て、かじ綱を解き、前の帆を上げ、浜に向かって進みました。 + ところが、浅瀬に乗り上げてしまい、船首は深くめり込み、船尾は激しい波でこわれ始めました。 + 兵士たちは、囚人が泳いで逃げると困るので、いっそ殺してはどうかと士官に勧めました。 + しかし、ユリアスはパウロを助けたかったので、聞き入れませんでした。そして全員に、泳げる者は海に飛び込んで陸に上がり、 + 泳げない者は、板切れや、こわれた船の破片につかまって行くように命じました。こうして、全員が無事に上陸できたのです。 + + + そこがマルタと呼ばれる島であることは、すぐにわかりました。島民はとても親切で、雨と寒さでぶるぶる震えていた私たちを暖めようと、浜辺でたき火をしてくれました。 + パウロが一かかえの木切れをたばねて火にくべると、熱気でまむしがはい出し、手に巻きつきました。 + 島の人たちは、まむしがぶらさがっているのを見て、「きっと人殺しなんだよ。海からは助かっても、正義の女神がお見のがしにはならないんだ」と、ひそひそささやき合いました。 + ところがパウロは、平気な顔でまむしを火の中に払い落とし、ぴんぴんしています。 + 人々は、今にもはれ上がるか、突然倒れて死ぬのではないかと、息をひそめていました。しかし、いくらたっても、いっこうに何も起こりません。今度は、人々はパウロを神だと考えるようになりました。 + この浜辺の近くに、島の首長ポプリオの領地がありました。首長は私たちを招き、三日間も親切にもてなしてくれました。 + ところが、ポプリオの父が高熱と赤痢で苦しんでいるというので、パウロが行って、彼のために祈り、手を置いて治してやりました。 + これを聞くと、島中の病人がぞくぞくと詰めかけ、みんな治してもらいました。 + それで彼らは、私たちを非常に尊敬し、また出帆の時には、旅に必要なあらゆる品物を、船に積み込んでくれました。 + 難破してから三か月後、今度は、この島で越冬していた、アレキサンドリヤの「ふたごの兄弟号」という船に乗り込むことになりました。 + 最初の寄港地はシラクサで、三日間停泊し、 + そこからずっと遠回りしてレギオンに行きました。一日すると南風が吹き始めたので、翌日には、順調にポテオリまで進むことができました。 + そこで数名のクリスチャンに出会い、勧められるままに七日間世話になってから、ローマに向かいました。 + 私たちのことを聞いて、ローマのクリスチャンたちは、わざわざ、アピア街道のポロまで迎えに来てくれました。トレス‧タベルネという所で落ち合う人たちもいました。パウロがこの人たちに会えたことを神に感謝し、勇気づけられたことは言うまでもありません。 + ローマに着くと、パウロは、兵士の監視のもとではありましたが、好きな所に住んでもよいことになりました。 + 到着して三日後には、パウロは地元のユダヤ人の指導者たちを呼び集め、話をしました。「皆さん。私はだれに危害を加えたわけでもなく、先祖の慣習を破った覚えもないのに、エルサレムでユダヤ人につかまり、訴えられて、ローマ政府の手に渡されました。 + 取り調べの結果、いったんは釈放と決まりました。ユダヤ人の指導者たちが主張するような、死刑にあたる罪は認められなかったからです。 + ところが、ユダヤ人がこの決定に異議を申し立てたのです。同胞を訴えるつもりは少しもありませんが、やむをえずカイザルに上訴しました。 + 今日、皆さん方をお招きしたのは、お近づきになりたかったからです。また、私が捕らわれの身であるのは、メシヤ(救い主)が来られたと信じているためだと、わかっていただきたかったからです。」 + ユダヤ人たちは答えました。「私たちは、あなたのことは何も聞いていません。ユダヤから手紙も来ていませんし、エルサレムから来た人たちからも、そのような報告は受けていません。 + 私たちは、あなたの信じていることを、あなたの口からお聞きしたいのです。クリスチャンについて知っていることと言えば、彼らが至る所で非難の的だということだけなのです。」 + 彼らはこうして日を決め、さらに大ぜいでパウロの家に来ました。パウロは彼らに神の国のことを語り、またモーセの律法から預言者の書に至るまで、聖書のありとあらゆる箇所を使って、イエスのことを教えました。彼の話は、朝から夕方まで続きました。 + 信じる人もいれば、信じない人もいました。 + しかし、さまざまなことを言い合いながら去る彼らの耳には、いつまでも、パウロの最後のことばが響いていました。「聖霊が預言者イザヤを通してお語りになったことは正しかったのです。 + 『ユダヤ人に告げよ。「あなたがたは聞くには聞くが理解しない。見るには見るが認めない。 + 心は肥えて鈍くなり、耳も遠く、目も閉じられている。見もせず、聞きもせず、理解もしない。わたしに立ち返って、いやされようともしない。」』 + だから、よく覚えておきなさい。神のこの救いは、外国人に与えられました。彼らはこの救いを受け入れるでしょう。」 + パウロはそれからまる二年の間、借家に住み、訪れる人たちを歓迎し、 + 大胆に神の国と主イエス‧キリストのことを語りました。それを妨げる者はだれもいませんでした。 + +
+
+ + キリスト‧イエスに仕える者であり、伝道者として選ばれ、神の福音(キリストによる救いの知らせ)を伝えるために遣わされたパウロが、この手紙を送ります。 + この福音は、神が預言者(神に託されたことばを語る人)を通して旧約聖書の中で約束しておられたもので、 + 神のひとり子、主イエス‧キリストに関するものです。この方は、人の子として、ダビデ王の家系にお生まれになりました。 + しかも、死んでのち復活することにより、神のきよい性質を備えた、力ある神のひとり子であることが証明されたのです。 + このキリストを通して、今や、神のすべての恵みが、それを受ける資格のない罪人の私たちに、あふれるばかり注がれています。そして今、私たちは、神がなしてくださったことを全世界の人々に知らせるために、キリストから遣わされているのです。それは、すべての人がキリストを信じ、従うようになるためです。 + ローマの愛する皆さん。あなたがたも、キリストに深く愛されているのです。また、イエス‧キリストに招かれて、神ご自身のもの、つまり神の聖なる民とされているのです。どうか、私たちの父なる神と主イエス‧キリストから、豊かな恵みと平安が、あなたがたに与えられますように。 + まず言っておきたいのは、どこへ行っても、あなたがたの評判を耳にするということです。神を信じるあなたがたの信仰は、世界中に知れ渡っているからです。私はこの評判を聞くたびに、イエス‧キリストによって、どんなに神に感謝していることでしょう。 + あなたがたのために私がどれほど祈っているかは、神がご存じです。私は神のひとり子についての福音を人々に伝えながら、全力でお仕えしている神に、あなたがたに必要なものが与えられるよう昼も夜も祈っています。 + また、神が許してくださるなら、いつかあなたがたを訪ねたいといつも祈っています。 + どうしても行きたいと望むのは、信仰をいくらかでも分かち、あなたがたの教会が、主にあって強められるために役立ちたいからです。それだけでなく、私も皆さんの助けが必要です。あなたがたの信仰によって、私も力づけてもらいたいのです。こうして、私たちは互いに励まし合えるでしょう。 + 愛する皆さん。私がこれまでに何度も、あなたがたのところへ行こうとしたことをぜひ知っていただきたいのです。ほかの国の諸教会と同じように、あなたがたのところでも成果を得たいと思ったのです。しかし、その計画は妨げられてきました。 + 私はあなたがたにも、また、ほかのすべての人にも、ギリシヤのような文明の進んだ国の人にもそうでない国の人にも、教育のある人にもない人にも、大きな借りがあります。 + ですから、何とかして、ローマにいるあなたがたのところにも福音を伝えたいと、心の底から願っているのです。 + 私は、この福音を少しも恥じてはいません。福音は、それを信じる人をだれでも天国に導く、神の力ある手段です。福音は最初、ユダヤ人だけに伝えられていました。しかし今では、すべての国の人が同じ方法で神のもとに招かれているのです。 + この福音は、私たちがキリストを信じる時、神が私たちを天国に入るにふさわしい者、すなわち、神の目から見て正しい者としてくださることを教えています。それは、初めから終わりまで、信仰によって達成されるのです。「正しい人は信仰によって生きる」と、聖書に書いてあるとおりです。 + しかし、真理を押しのける、罪深い邪悪な人々には、神の怒りが天から下ります。 + なぜなら、彼らは神の真理について本能的に知っているからです。神が、この知識を彼らの心にお与えになったのです。 + 世界が創造されてからこのかた、人々は、天地や、神がお造りになったすべてのものを見て、神の存在とその偉大な永遠の力をはっきり知っていました。ですから、彼らには弁解の余地がありません。 + 彼らは、確かに神を知っているのです。けれども、そのことを認めず、神を礼拝せず、日々神に守られていることを感謝しようともしません。やがて彼らは、神がどのようなお方か、また自分たちに何を求めておられるかについて、愚かなことを考えるようになりました。その結果、彼らの心はくもり、訳がわからなくなったのです。 + 「神なんか信じなくてもいい、自分は賢いのだ」と主張しながら、実際には、全くの愚か者になってしまいました。 + そして、栄光に輝き、永遠に生きておられる神を礼拝する代わりに、木や石で、鳥や獣や蛇あるいは滅ぶべき人間の偶像を造り、それを神としたのです。 + そこで神は、彼らがその欲望によって性的な罪に深入りするに任せました。彼らは互いの肉体で、汚らわしく罪深い行為にふけったのです。 + 彼らは、神の真理を知っていながら信じようとせず、あえて偽りを信じる道を選びました。そして、神によって造られた物を拝みながら、それらをお造りになった神には従いませんでした。すべてのものの創造主である神こそ、永遠にほめたたえられる方です。アーメン。 + こういうわけで、神は彼らを放任し、したいままにさせられました。そのため、女は定められた自然の姿に逆らって同性愛にふけるようになり、 + 男も、女との正常な関係を捨てて、同性どうしで情欲を燃やし、恥ずべきことを行いました。その結果、当然の報いを受けているのです。 + このように彼らが神を認めようともしなかったので、神は、してはならないことを彼らが行うのをそのままにしておかれました。 + それで彼らの生活は、あらゆる悪と罪に染まり、むさぼりや憎しみ、ねたみ、殺意、争い、偽り、非情、陰口に満ちた者となりました。 + 彼らは人の悪口を言い、神を憎み、横柄で、高慢で、大ぼらを吹き、次々と悪事をたくらみ、親に反抗し続けました。 + また、わきまえがなく、平気で約束を破り、情け知らずで不親切な者となりました。 + そのような罪を犯せば、神から死の刑罰を受けなければならないことをよく知った上で、自分でそれを行うだけでなく、他の人まで引きずり込んでいるのです。 + + + こう書くと、あなたは、「なんてひどい連中だろう」と言うかもしれません。しかし、悪いことにかけてはあなたも、五十歩百歩ではありませんか。「そんな悪い連中が罰を受けるのは当然だ」ときめつける時、ほかでもない自分自身にそう言っているのです。自分も同じことをしているのですから。 + そういうことをする人には一人残らず、神が正義をもって罰をお下しになることを、私たちは知っています。 + それなのに、あなたは、「ほかの人の場合はいざしらず、私の場合は別だ。神は見逃してくれる」と、たかをくくっているのですか。 + 神がどれだけ忍耐しておられるか、わからないのですか。それとも、そんなことは気にもかけていないのですか。神があなたを罰しもせず、長いあいだ待っていてくださったのは、罪から離れるのに必要な時間を与えるためでした。神の愛は、あなたを悔い改めに導くためのものです。 + ところが、どうでしょう。あなたは耳を貸そうともしません。強情をはり、罪から離れようとしません。こうして、神の御怒りをどんどん積み上げているのです。神が裁判官として立ち、すべての人を正しくさばかれる、御怒りの日が近づいているのです。 + 神は一人一人に、その行いにふさわしい報いをお与えになります。 + 神の喜ばれることを忍耐強く行い、目には見えなくても、神が与えようとしておられる栄光と栄誉と永遠のいのちとを求める人には、それが与えられるのです。 + けれども、神の真理に逆らい、不正な道を歩む人には、恐ろしい罰が下ります。神の怒りは、そのような人々に注がれるのです。 + 罪を犯し続ける人には、ユダヤ人にも外国人にも、同じように悲しみと苦しみが降りかかります。 + 反対に、神に従う人にはだれであっても、神からの栄光と栄誉と平安とがあります。 + 神はすべての人を公平に扱われるからです。 + 外国人が罪を犯した場合、たとえ彼らが文字に書かれた律法を知らなくてもさばかれます。彼らは心の奥底では、正しいことと悪いこととを区別できるからです。その心の中には、律法が書かれているのです。つまり、彼らの良心が、彼らを責めたり、また時には弁護したりするわけです。ユダヤ人が罪を犯した場合は、神が彼らを罰せられます。律法が与えられているのに従わないからです。彼らは何が正しいかを知りながら、実行しません。結局のところ、なすべきことを知りながら実行しない人はさばかれるのです。 + 神の命令によって、キリスト‧イエスが、すべての人の心の奥底に潜む思いや動機をさばかれる日が、必ず来ます。このことは、私が伝えている神の偉大なご計画の一部です。 + あなたは、自分はユダヤ人だと称し、「ユダヤ人には律法が与えられているのだから、私と神との間は万事うまくいっている」と考え、「私たちは神と特別親しい関係だ」と自慢しています。 + 確かにあなたは、神が何を求めておられるかを知っています。また、小さい時からずっと律法を教えられてきたので、善悪の区別を知り、正しいほうに賛成しています。 + 自分は神のもとへ行く道をよく知っているから、それを目の見えない人に示すことができる、と思っています。まるで、暗闇で道に迷った人々を、神のもとに導く灯台の光であるかのように考えています。 + すべての知識と真理に満ちた神のおきてを知っている自分には、愚かな人々を導き、子どもたちにも神のことを教える資格があると思い込んでいます。 + しかし、人を教えながら、なぜ自分を教えないのですか。人には「盗むな」と説きながら、なぜ盗むのですか。 + 「姦淫は悪いことだ」と言いながら、なぜ姦淫するのですか。あなたは、「偶像に祈ってはいけない」と言いながら、なぜ自分は異教の神殿からかすめ取るのですか。 + あなたは、律法を知っていると自慢しながら、律法を破って、神の名誉を汚しているのです。 + 「あなたがたのゆえに、世の人々は神を汚す」と聖書に書かれているとおりです。 + もしあなたが律法に従っているなら、ユダヤ人であることにいくらかの価値はあるでしょう。しかし、もし従っていないなら、外国人よりすぐれたところはありません。 + たとえ外国人でも、律法に従うなら、神はユダヤ人に与えようと計画しておられたすべての特権と栄誉をお与えになるのではないでしょうか。 + 事実、そのような外国人は、ユダヤ人のあなたより、はるかにすぐれています。あなたは神について多くのことを知っており、神の約束をいただいていながら、その律法に従わないからです。 + ユダヤ人の両親から生まれたとか、ユダヤ人と認められるための割礼(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取る儀式)を受けたというだけでは、真のユダヤ人とは言えません。 + 真のユダヤ人とは、心が神と正しい関係にある人のことです。神は、体の割礼を受けた人ではなく、心と思いが全く変えられた人を捜し求めておられるからです。そのような人こそ、人にはほめられなくても、神にほめていただけるのです。 + + + では、ユダヤ人であることに、どういう利点があるのでしょう。彼らには何か特典があるのでしょうか。ユダヤ人の割礼にどんな益があるのでしょうか。 + もちろん、ユダヤ人であることには多くの利点があります。まず第一に、神はユダヤ人にご自分のことばをおゆだねになりました。それは、彼らに神の御心を知らせ、それを実行させるためでした。 + 確かに、ユダヤ人の中には不忠実な者がいました。しかし、一部の不忠実な者が神との約束を破ったからといって、神も約束を破られるでしょうか。 + 絶対にそんなことはありません。たとえ世界中の人がうそつきでも、神は真実な方です。このことについて詩篇には、「神のことばに誤りはない。だれが疑いを差しはさもうと、いつも真実で正しい」と書いてあります。 + ところが、こんなふうに主張する人がいます。「でも、私たちの神に対する不忠実は、むしろよかったのではないか。人々は、私たちがどんなに悪い人間であるかを見て、神がどんなに正しい方であるかに気づくだろうから。」すると、彼らの罪が神の役に立っているのに、罰せられるのは不公平だということになるのでしょうか。 + それは全く違います。罪を見過ごすような神があるでしょうか。そんなことで、神はどうして人をさばくことがおできになるでしょう。 + もし、私がうそをついたとします。それによって神の真実がはっきりと際立ち、私の不真実が、かえって神の栄光を輝かしたとしたら、神は私を罪人としてさばくことなどできなくなってしまいます。 + このような論理を突きつめていくと、最後には、「私たちが悪ければ悪いほど、神には好都合だ」ということになるのです。もちろん、こんなことを言う人がきびしく罰せられるのは当然です。ところが、事もあろうに、私がそのように説教していると言う人々がいるのです。 + それでは、私たちユダヤ人は、ほかの人々よりすぐれているのでしょうか。決してそんなことはありません。すでに指摘したように、ユダヤ人であろうと外国人であろうと、みな同様に罪人です。 + 聖書に、次のように書いてあるとおりです。「正しい人は一人もいない。罪のない人は世界中に一人もいない。 + 真実に神の道に従って歩んだ人はかつて一人もいない。そうしたいと心から願った人さえいない。 + すべての人が道を踏みはずし、みな、まちがった方向に進んで行った。正しいことをずっと行ってきた人はどこにもいない。一人もいない。」 + 「彼らの会話は、不潔で腐っており、まるで開いた墓穴からもれる悪臭のようだ。彼らの舌はうそで固められている。」「彼らのことばには、恐ろしい毒蛇のような毒がある。」 + 「彼らの口は、のろいと苦々しいことばで満ちている。」 + 「彼らは自分と意見の合わない人を憎み、すぐに殺す。 + 彼らの行く所ではどこででも、悲惨な結果とめんどうな問題があとを絶たない。 + 彼らは一度も心の安らぎを感じたことがなく、神の祝福を味わったこともない。」 + 「彼らには、神を恐れて悪事から遠ざかろうとする気持ちなど、少しもない。」 + そういうわけで、律法がユダヤ人に重くのしかかっています。なぜなら、彼らは律法を守る責任があるのに守らず、こうした悪にふけっているからです。彼らのうち一人として、申し開きのできる者はいません。事実、全世界が全能の神の前に沈黙して立ち、罪の宣告を受けているのです。 + おわかりでしょうか。律法の命じることを行って、神に正しい者と認められようとしてもむだです。私たちは律法を深く知れば知るほど、自分が従っていないことが明らかになるのです。律法は私たちに、自分が罪人であることを自覚させるのです。 + しかし今、神は、別の救いの道を示してくださいました。その新しい道は、「善人になる」とか、律法を守ろうと努力するような道ではありません。神は今、「もしあなたがたがイエス‧キリストを信じるなら、あなたがたを受け入れ、罪のない者と宣言する」と言われます。どんな人間であろうと、私たちはみな、キリストを信じるという、この方法によって救われるのです。 + すべての人は罪を犯したので、神の標準にはほど遠い存在です。 + けれども、もし私たちがキリスト‧イエスを信じるなら、このキリスト‧イエスが、恵みにより、無償で私たちの罪を帳消しにしてくださるのです。 + 神はキリスト‧イエスを遣わして、私たちの罪に対する償いをさせ、私たちへの怒りをとどめてくださいました。神は、私たちをご自分の怒りから救い出すための手段として、キリストの血と私たちの信仰とを用いられました。たとえ、それまでの時代に罪を犯した者たちを罰せられなかったとしても、神は完全に公正であられるのです。キリストが来て人々の罪を取り除く時を、神は待ち望んでおられました。 + そして今日も、神はこの同じ方法で罪人を受け入れてくださいます。イエスが彼らを、義と認めてくださるためです。しかし、このように罪を犯した者を赦し、無罪を宣告するのは、神の公正なやり方に反するのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。なぜなら彼らが、自分の罪を帳消しにしてくださったイエスを信じたという事実に基づいて、神はそうなさるからです。 + それでは、救われるために、私たちは何か誇れるようなことをしたでしょうか。何もしていません。なぜでしょう。私たちは自分の善行によって無罪とされるのではないからです。それは、キリストが成し遂げてくださったことと、キリストに対する私たちの信仰に基づいているのです。 + つまり、私たちが救われるのは、キリストを信じる信仰だけによるのであって、善行によるのではないのですから。 + 神はこの方法で、ユダヤ人だけをお救いになるのでしょうか。いいえ、それ以外の外国人も、同じようにして神のもとに行くことができます。 + 神はすべての人を全く平等に扱われます。ユダヤ人であろうと外国人であろうと、人はみな、信仰によって救われて正しい者とされるのです。 + それでは、信仰によって救われるのなら、もはや律法に従う必要はないことになるのでしょうか。いや、全く違います。私たちはイエスを信じてこそ、ほんとうに神の命令に従うことができるのです。 + + + この問題について、アブラハムの場合を考えてみましょう。アブラハムは人間的に見れば、私たちユダヤ民族の先祖にあたります。信仰によって救われる問題について、彼はどんな経験をしたでしょうか。彼が神に受け入れられたのは、行いによるものでしょうか。もしそうなら、彼は誇ることができました。しかし、神の目から見ると、アブラハムには誇る理由など少しもありませんでした。 + というのは聖書に、「アブラハムは神を信じた。それがアブラハムの義と認められた」と書いてあるからです。 + では、アブラハムが天国に行く資格を得たのは、良いことをしたからでしょうか。違います。救いは贈り物として与えられるものです。もし善行によって救われるとすれば、もはや贈り物ではなくなってしまいます。しかし、救いは無償なのです。救いは、自分の力で手に入れようとしない人にこそ与えられます。なぜなら罪人が、「キリストは自分を神の怒りから救い出してくださる」と信じる時に、神は彼らを正しい者と宣言してくださるからです。 + ダビデは、救われる価値のない罪人が、神から「罪のない者」と宣言される幸いについて、こう言っています。 + 「罪を赦された者、罪をすっかり消された者は、なんと幸いだろう。 + もはや主に罪を数え上げられずにすむ人の喜びは、どんなだろう。」 + すると、次のような質問が出て来ます。この祝福は、キリストを信じた上に、さらに割礼をはじめユダヤ教の規則を守っている人にだけ与えられるのでしょうか。それとも、ユダヤ教の規則は守らなくても、ただキリストを信じてさえいれば与えられるのでしょうか。アブラハムの場合はどうだったのでしょう。「アブラハムは信仰によってこれらの祝福を受けた」と言われています。それは、ただ信仰だけによったのでしょうか。それとも、ユダヤ教の規則も守ったからなのでしょうか。 + この質問に答えるためには、まず、次の質問に答えなければなりません。神はいつ、アブラハムにこの祝福をお与えになったかということです。それは、彼がユダヤ人として認められるための儀式である割礼を受ける前のことでした。 + アブラハムが割礼を受けたのは、神が彼をその信仰のゆえに祝福すると約束された時より、もっとあとのことです。割礼を受ける前に、アブラハムはすでに信仰を持っており、神はすでに彼を受け入れ、ご自分の目から見て正しい者、義なる者と認めておられました。割礼はそのしるしだったのです。こうしてアブラハムは、ユダヤ教の規則に従わなくても、信じて救われるすべての人の父とされています。ですから、これらの規則を守っていない人々も、信仰によって神から正しい者と認めていただけることがわかります。 + アブラハムは同時に、割礼を受けているユダヤ人の信仰の父でもあります。ユダヤ人には、アブラハムの例から、自分たちがこの割礼の儀式によって救われるのではないとわかるはずです。アブラハムは、割礼を受ける前に、ただ信仰によって神の恵みを受けたからです。 + そういうわけで、全地をアブラハムとその子孫に与えるという神の約束は、アブラハムが律法に従ったからではなく、神は必ず約束を果たしてくださる、と彼が信じたからこそ与えられたことは明らかです。 + にもかかわらず、神の祝福は律法を完全に守った人に与えられると主張するなら、「信仰を持つ者に対する神の約束など無効であり、信仰は無意味だ」と言っているのと同じです。 + しかし実際、律法を守ることによって神の祝福と救いとを得ようとしても、結局は、神の怒りを招く結果に終わるだけです。律法を破らないためには、破るような律法を持たないようにするしかありません。 + そういうわけで、神の祝福は、無償の贈り物として、信仰によって与えられるのです。ユダヤ人の慣習に従うか否かに関係なく、アブラハムと同じ信仰を持っているなら、神の祝福を確実にいただけるのです。信仰の面から言えば、アブラハムは、私たちすべての者の父です。 + 聖書に、「神はアブラハムを多くの国民の父とされた」とあるのは、この意味にほかなりません。神はどこの国の人でも、アブラハムと同じように、神に信頼する者をみな受け入れてくださるのです。神ご自身が、すなわち死者を生き返らせ、未来の出来事をすでに実現したかのような確実さでお語りになる神ご自身が、そう約束しておられるのです。 + 神はアブラハムに、「あなたに一人の男の子を授けよう。その子から多くの子孫が生まれ、偉大な民族となる」と言われました。この時アブラハムは、そんな約束はとうてい実現するとは思えなかったにもかかわらず、神を信じました。 + 彼はその信仰によって、百歳の自分がもう父親になれる年ではないとも、また九十歳の妻サラが子どもを産めないとも思いませんでした。 + アブラハムは少しも疑うことなく信じ、そのことがまだ実現しないうちから、その祝福のゆえに神を賛美しました。 + 彼は、神の約束はどんなことでも実現すると堅く信じました。 + この信仰のゆえに、神は彼を義と認められたのです。 + しかし、「彼は信仰によって神に義と認められた」と書かれたのは、ただアブラハムのためだけでなく、 + 私たちのためでもあったのです。それは、主イエスを死者の中から復活させた神の救いの約束を信じるなら、アブラハムと同様に、神は私たちも受け入れてくださることを保証しています。 + 主イエスは、私たちの罪のために死なれました。そして、私たちを神との正しい関係に入れ、神の恵みで満たすために復活なさったのです。 + + + ですから、信仰によって神の目に正しい者とされた私たちは、主イエス‧キリストによって、神との間に平和を得ています。 + 信仰のゆえに、キリストは私たちを、いま立っている、この最高の特権ある立場に導いてくださいました。そして私たちは、私たちに対する神の計画がすべて実現するのを、喜びをもって待ち望んでいるのです。 + ですから私たちは、さまざまの苦しみや困難に直面した時も喜ぶことができます。それによって忍耐を学ぶからです。 + 忍耐によって私たちの品性が磨かれ、さらに、それによって希望が与えられるのです。こうして、私たちの希望と信仰は強められ、どんなことにも動じなくなるのです。 + この希望は失望に終わることはありません。それは、神が聖霊を与えてくださり、その聖霊が私たちの心に神の愛を満たしてくださっているからです。 + 私たちが逃れる道もなく、行き詰まっていた時、キリストはおいでになり、何のとりえもない、私たち罪人のために死んでくださいました。 + たとえ私たちが良い人間であったとしても、だれかが自分のために死んでくれるなどとは考えてもみなかったでしょう。 + しかし、私たちがまだ罪人であった時、神はキリストを遣わしてくださいました。そのキリストが私たちのために死なれたことにより、神は私たちに大きな愛を示してくださったのです。 + キリストは、罪人のために血まで流してくださったのですから、私たちが無罪とされた今は、もっとすばらしいことをしてくださるに違いありません。今やキリストは、神の怒りから、私たちを完全に救い出してくださるのです。 + 私たちが神の敵であった時でさえ、ひとり子の死によって、神のもとに連れ戻されたくらいですから、私たちが神の友となり、神が私たちのうちに生きておられる今は、どんなにかすばらしい祝福が備えられていることでしょう。 + 私たちは、神との驚くべき新しい関係を心から喜んでいます。それはただ、主イエス‧キリストが私たちの罪のために死んで成し遂げてくださったこと、すなわち、私たちを神の友としてくださったことのおかげなのです。 + アダムが罪を犯した時、罪が世界に入り込みました。アダムの罪によって死が全人類に広まり、すべての人は死ぬように定められました。それというのも、すべての人が罪を犯したからです。 + これらの原因がアダムの罪にあることを、私たちは知っています。アダムからモーセまでの時代にも人々は罪を犯しましたが、神はそのころ、罪を犯したからといって、彼らに死刑を宣告したりはなさいませんでした。神はまだ、彼らに律法を与えておらず、また、彼らにどんなことを望んでおられるか告げてもいなかったからです。 + そういうわけで、彼らの肉体の死はアダムの罪によるもので、彼らの罪のせいではありませんでした。アダムは人類を代表するという意味で、やがて来られるキリストの原型ですが、両者はなんと対照的でしょう。 + 人間の罪と神の赦しとの間には、なんと大きな違いがあることでしょう。アダム一人の罪によって多くの人に死がもたらされました。しかし、イエス‧キリスト一人によって、多くの人に赦しがもたらされたのです。 + つまりアダムの一つの罪が、多くの人に死の罰をもたらしました。一方、キリストは、無償で多くの罪を取り除き、その代わりにすばらしいいのちを下さるのです。 + アダム一人の罪により、死はすべての人を支配するようになりましたが、神から、罪の赦しと無罪放免という無償の贈り物をいただく人はみな、イエス‧キリスト一人によって、いのちに支配されるようになります。 + アダムの罪はすべての人に刑罰をもたらしましたが、キリストの義は、人々を神の前に正しい者とするのです。それで、人々は生きることができるのです。 + 神に従わなかったアダムは多くの人を罪人にしましたが、神に従ったキリストは、多くの人を神に受け入れられる者としてくださいました。 + 律法が与えられてから、すべての人は、自分がいかに神のおきてに従えない存在か、よくわかるようになりました。しかし、私たちは、自分の罪深さを知れば知るほど、赦してくださる神の満ちあふれる恵みが、いっそうわかるようになるのです。 + 以前は、罪がすべての人を支配し、死に導きました。しかし今では、恵みが私たちを支配するようになり、主イエス‧キリストによって、私たちに神の前での正しい身分を与え、永遠のいのちへと導くのです。 + + + では、神がますます私たちを恵み、赦し続けることができるように、私たちは罪を犯し続けるほうがよいのでしょうか。 + もちろん、絶対にそんなことはありません。罪に対して死んだのに、どうしてなお罪の中に生きていられるでしょうか。私たちがバプテスマ(洗礼)を受けてキリスト‧イエスに結び合わされた時、罪の支配力は打ち破られてしまったのです。 + すなわち、罪を愛する古い性質は、キリストの死によって、キリストと共に葬り去られました。そして、父なる神が、栄光の力でキリストを復活させてくださった時、私たちはキリストの新しいいのちを与えられ、そのいのちに生きる者となりました。 + 私たちがキリストに結び合わされて、キリストといっしょに死んだのなら、やがてキリストと同じように復活するのです。 + 私たちの中にある古い性質の自分が、キリストと共に十字架につけられたのは、罪を愛する体が砕かれ、もはや罪の支配を受けず、二度と罪の奴隷にならないためです。 + 罪に対して死んだ者は、どんな罪の誘惑や力からも自由にされるのです。 + 罪を愛する古い性質がキリストと共に死んだのですから、確かに私たちは、キリストの新しいいのちを共有しているのです。 + キリストは死者の中から復活されたので、もう二度と死ぬことはありません。死には、もはやキリストを支配する力がないのです。 + キリストは、罪の力にとどめを刺すために、ただ一度死なれました。しかし今では、神との絶えることのない交わりの中に生きておられます。 + ですから、あなたがたの古い罪の性質も、罪に対して死んだもの、反応しなくなったものとみなしなさい。そして、その代わりに、私たちの主イエス‧キリストに結ばれ、神に対して生きる者、神の御声に敏感に応答する者となりなさい。 + これからはもう、あなたがたの死ぬべき体を罪の支配にゆだねて、その欲望に従ってはいけません。 + 体のどんな部分をも、罪を犯す道具にしてはいけません。むしろ、自分自身を神にささげなさい。あなたがたは、死者の中から生かされた者であり、神に使っていただく良い道具として役立つ者となりなさい。 + 罪は、二度とあなたがたを支配しません。なぜなら、あなたがたはもう律法に束縛されてはおらず、恵みの中にあって、自由の身となっているからです。 + それでは、どうなのでしょう。律法を守ることによってではなく、恵みを受けることによって救われるのであれば、「罪を犯してもかまわないのだ」ということになるのでしょうか。絶対にそんなことはありません。 + 知らないのですか。自分の主人は自分で選べるのです。死に至る罪を選ぶこともできれば、義(正しさ)に至る従順を選ぶこともできます。だれかに自分をささげれば、その相手があなたがたの主人となり、あなたがたは奴隷となるのです。 + 神に感謝すべきことに、あなたがたは、以前は罪の奴隷になる生き方を選んでいましたが、 + 今は、罪という古い主人から解放されて、義という新しい主人の奴隷になっているのです。 + このように奴隷と主人にたとえてわかりやすく言うのですが、あなたがたはかつて、あらゆる罪の奴隷でしたが、今は、あらゆる正しいこと、きよいことに仕える奴隷とならなければなりません。 + あなたがたは、罪の奴隷であった時には、良いことについては無関心でした。 + その結果はどうだったでしょうか。自分がしていたことを考えるだけでも、恥ずかしくなるはずです。その行き着くところは、永遠の滅びでした。 + しかし今は、罪の力から解放されて、神に仕える者になりました。そして、神があなたがたに下さる恵みによってきよくされ、永遠のいのちが与えられているのです。 + 罪の支払う報酬は死です。しかし、神が下さる賜物は、私たちの主キリスト‧イエスによる永遠のいのちです。 + + + キリストを信じるユダヤ人の皆さん。皆さんの知っている律法は死んだ人まで拘束しないことを知らないのですか。 + 一例をあげれば、女性は結婚すると、夫が生きている限り、律法によって夫に束縛されています。しかし夫の死後は、もはや束縛されません。結婚の規定はもう適用されないのです。 + ほかの男性と結婚したいなら、結婚してかまいません。そのようなことは、夫が生きているうちは罪ですが、夫の死後なら、やましいことは少しもないのです。 + 同様に、かつて律法は、あなたがたの「夫」すなわち主人でした。しかし、あなたがたはキリストと共に十字架上で死んだのですから、律法との婚姻関係は解消されました。もう律法に支配されることはありません。そして、キリストの復活と同時に、あなたがたも復活し、新しい人になりました。今は、死者の中から復活された方と結ばれているのです。それは、神のために良い実を結ぶためです。 + 私たちの古い性質がまだ生きていた時には、欲望が私たちの中で思うままにふるまい、神の命令に逆らって、罪深い行いという死に至る腐った実を結びました。 + しかし、それらに捕らえられていた私たちは死んだのですから、今は文字による律法にわずらわされる必要はなく、新しい御霊によって神に仕えているのです。 + 私が、律法は悪いものだと言っていると思いますか。絶対にそんなことはありません。それどころか、律法が私の罪を明らかにしてくれたのです。もし、「むさぼってはならない」という律法がなければ、私は自分の心にあるむさぼりを知らなかったでしょう。 + ところが罪は、この律法を逆用して、このような欲望が悪いことをわからせながら、かえって、あらゆるむさぼりを、私のうちにかき立てました。律法さえなかったなら、罪を犯すこともなかったでしょう。 + 私は、律法が何を要求しているかを知らなかった時には罪の自覚がありませんでした。しかし真実がわかった時、自分が律法を破っており、死を宣告された罪人であることがはっきりわかりました。 + それで、私にとって、本来いのちの道を示してくれるはずの戒めが、かえって死の罰を科すものになってしまいました。 + 罪は私をだましたのです。神の戒めを盾に取り、私を死罪に定めたのですから。 + しかし、律法は聖なるものであり、戒めも聖であり、正しく、良いものです。 + けれども、はたして納得できますか。私に死をもたらしたのは、ほかならぬ律法なのです。だとしたら、どうして律法が良いものでありえましょう。律法を利用して死罪をもたらしたのは、悪魔的なこの罪なのです。罪がどんなにずる賢く、恐ろしく、いまわしいものかわかるでしょう。自分の悪い目的のために、ぬけぬけと律法を利用するのですから。 + 本来、律法は霊的なものであり、問題はむしろ罪ある私にあります。私は、罪という主人に、奴隷として売り渡されているのです。 + 私は自分のしていることがわかりません。ほんとうは正しいことをしたいのに、できないのです。反対に、したくないこと、憎んでいることをしてしまいます。 + 自分の行いが誤っていること、律法は良いものであることが、私にはわかっています。 + ですから、したくないことをしているのは、もはや私ではなく、私のうちに巣くっている罪なのです。 + 古い罪の性質のために、私は自分が腐敗しきっているのを知っています。正しいことを行いたいのに、どんなにもがいても、できないのです。 + 良いことをしたいと思ってもできず、悪いことをしないように努めても、どうしてもやめられません。 + 自分ではしたくないことをしているとすれば、問題点は明らかです。すなわち、罪がなおも私をしっかり捕らえているのです。 + 正しいことをしたいと思っているのに、どうしても悪いことをしてしまう、そういう法則があるように思います。 + 新しい性質をいただいた私としては、神のご意思どおり行いたいのですが、 + 心の中に潜む悪い性質には別の力があって、それが私の心に戦いをいどみます。そして、ついに私を打ち負かし、いまだに私のうちにある罪の奴隷にしてしまうのです。私は、心では喜んで神に従いたいと願いながら、実際には、相変わらず罪の奴隷となっています。これが私の実情なのです。ああ、私はなんとみじめで哀れな人間でしょう。いったいだれが、この悪い性質の奴隷状態から解放してくれるのでしょうか。しかし、主イエス‧キリストのゆえに、ただ神に感謝します。キリストによって、私は解放されました。この方が自由の身にしてくださったのです。 + + + こういうわけで、今は、キリスト‧イエスに属する人が罪の宣告を受けることはありません。 + なぜなら、いのちを与える御霊の力が、罪と死の悪循環から解放してくれたからです。 + 律法を知っているだけでは、罪の支配からは救い出されません。私たちはそれを守ることもできないし、実際守ってもいないからです。ところが、神は私たちを救うために、別の計画を実行に移されました。すなわち、神のひとり子を、私たちと同じ体を持つ者として〔ただ、私たちのような罪の性質を持たない点では異なりますが〕世にお遣わしになったのです。そして彼を、私たちの罪のためのいけにえとして、私たちをがんじがらめにする罪の支配を打ち破られたのです。 + ですから今、私たちは聖霊に従って歩むなら、律法に従うことができるのです。そしてもはや、古い罪の性質の言いなりになることはありません。 + 罪の性質に従っている人は自分を喜ばせようとしますが、聖霊に従って歩む人は、神に喜んでいただこうとします。 + 聖霊に従って歩むならいのちと平安があり、古い罪の性質に従って歩むなら死が待っています。 + 古い性質は神に敵対するからです。古い性質が律法に従ったことは一度もなかったし、これからも決してありません。 + ですから、なおも古い自我に支配されて欲望に従い続ける者は、決して神をお喜ばせすることができないのです。 + しかし、あなたがたはそうではありません。もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、新しい性質に支配されているのです。もしその人のうちにキリストの御霊が住んでおられないなら、その人はクリスチャンではありません。 + もしキリストがうちに住んでおられるなら、古い自分は罪のために死んでも、キリストにあって新しい自分が生きるのです。 + そして、もしイエスを復活させた神の御霊が、あなたがたのうちに住んでおられるなら、神はこの同じ御霊によって、あなたがたの滅ぶべき体をも生かしてくださるのです。 + ですから、愛する皆さん。あなたがたの古い罪の性質がどんなことを要求しても、それに応じる必要は全くありません。 + もし古い性質に従い続けるなら、道に迷い、やがて滅びるしかありません。しかし、もし御霊の力によってそれを打ち砕くなら、あなたがたは生きるのです。 + 神の御霊によって導かれる者はだれでも、神の子どもだからです。 + ですから私たちは、奴隷のようにいつもびくびくする必要はありません。神の家族の中に子どもとしてあたたかく迎え入れられたのですから、実の子どもらしくふるまい、神を「お父さん」と呼べるのです。 + というのは、御霊が私たちに、あなたがたはほんとうに神の子どもであると語ってくださるからです。 + 私たちは神の子どもですから、神の相続財産を受けるのです。神がひとり子イエスにお与えになったものは、今では私たちのものでもあるのです。私たちが神の子の栄光を共に受けるのなら、当然、その苦難をも共に受けなければなりません。 + けれども、私たちがいま味わっている苦しみは、後に私たちが受ける栄光に比べたら、取るに足りないものです。 + そして、神がお造りになったすべてのものが、神の子どもたちの復活を忍耐と希望をもって待ち望んでいます。 + その日には、罪、死、腐敗など〔この世界は今、神の命令により、不本意ながらこれらのものに支配されていますが〕は跡形もなく消え去り、この世界は、神の子どもたちが喜びをもって味わうことができる、罪からの輝かしい解放にあずかるからです。 + 私たちは、自然界もこのすばらしい日を待ち望みながら、苦しみうめいていることを知っています。 + そればかりか、私たちクリスチャンでさえ、御霊を自分のうちにいただいて、将来の栄光を先取りしているにもかかわらず、罪からの完全な解放を待ち望んでうめいています。その日には、神が約束してくださった新しい体、すなわち、もはや苦しみも死もない体をいただくのです。 + 私たちは、このように信じて待ち望むことで救われています。信じて待ち望むとは、今は持っていなくても、やがて与えられると確信して待つことです。すでに持っていると思う人は、神が与えてくださると期待したり、信じて待ち望んだりはしません。 + しかし、まだ起こっていないことを待たなければならないのなら、忍耐をもって、確信して待ち望むのです。 + 御霊も同じようにして、弱い私たちを助けてくださいます。私たちは、何をどのように祈ったらよいかさえわからないのですが、御霊は、ことばに表せないほどの深い同情と理解をもって、とりなしてくださるのです。 + すべての人の心を知っておられる父なる神は、御霊が私たちのために、神ご自身のお心にかなう願いをささげてくださる時、その願いの意図をもちろん知っておられます。 + 私たちは、神を愛し神のご計画のうちを歩んでいる人のためには、その身に起こることはすべて、神が益としてくださることを知っているのです。 + というのは、神はあらかじめ、ご自分のもとに来る人を知っていて、そのような人々がご自分の御子と同じになるように、最初から定めておられたからです。それは、御子イエスを多くの主を信じる者たちの長子とするためでした。 + 神はあらかじめ選んだ人々を招き、そして彼らの罪を赦し、義(正しい者)と認められた人々には、さらに栄光を与えると約束してくださいました。 + こんなにすばらしい恵みに対して、いったい何と言ったらよいでしょう。神が味方なら、だれが私たちに敵対できるでしょうか。 + 神は私たちすべてのために、たった一人の御子さえ惜しまずに、死に渡されたほどのお方ですから、ほかのすべてのものをも下さらないわけがあるでしょうか。 + 神がご自分のものとして選ばれた私たちを訴えるのはだれですか。神ですか。とんでもない。神は私たちを赦し、義としてくださった方ではありませんか。 + では、私たちを罪に定めるのはだれですか。キリストですか。とんでもない。キリストは私たちのために死に、復活し、今は神の右の座で、私たちのために祈っていてくださるお方ではありませんか。 + では、いったいだれが、私たちをキリストの愛から引き離すことができるのでしょうか。災難や苦しみ、迫害ですか。飢えや貧乏、あるいは危険や剣ですか。 + 聖書にこう書いてあるとおりです。「神のためには、いつでも死ねる心がまえでいなければならない。私たちは殺されるのを待つ羊のようだ。」 + しかし、こうした中にあっても私たちは、いのちを投げ出してまで私たちを愛してくださったキリストによって、圧倒的な罪からの勝利を得るのです。 + 神の愛から私たちを引き離すことができるものは何一つない、と確信しています。死もいのちも、そんなことはできません。天使にもできません。地獄の全勢力が結集しても、神の愛から私たちを遠ざけることはできません。恐れも、不安も同様です。 + あるいは、私たちが空高くのぼっても、海の底深くもぐっても、どこにいようと、神の愛から私たちを引き離すことはできません。 + + + 私の同胞であるイスラエルの人々、同国人であるユダヤ人の人たちがキリストのもとに来ることを、私はどんなに望んでいるでしょう。昼も夜も、彼らのことで心は重く、悲しみのあまり、胸も張り裂けんばかりです。彼らがキリストによって救われるためなら、私は永遠にのろわれてもかまいません。むしろ、のろわれたいくらいです。口先だけでこう言っているのでないことは、キリストも聖霊もご存じです。 + 神は実に多くのものを与えてくださいました。それなのに彼らは、いっこうに神に聞き従おうとしません。神はユダヤ人たちをご自分の特別な民として選び出し、栄光に輝く雲によって導き、また、どんなに祝福したいと思っているかをお示しになりました。さらに、生きる上でのさまざまな規則も与えてくださったので、彼らは、神が自分たちに何を望んでおられるかを知ることができました。神はまた、彼らに神を礼拝することを教え、数々のすばらしい約束を与えてくださいました。 + 彼らの先祖には、神を信じる偉大な人物がいます。キリストも、人間としての出生についてだけ言えばユダヤ人であり、彼らの同胞だったのです。このキリストこそ、すべてのものを支配しておられる方で、永遠にほめたたえられる神です。 + それでは、ユダヤ人に対する神の約束は無効になったのでしょうか。そんなことはありません。ユダヤ人に生まれついた者がみな、真の意味でのユダヤ人だとは限りません。 + 血筋の上でアブラハムの子孫だからと言って、真の意味でのアブラハムの子孫とは限りません。なぜなら、アブラハムにはイサクのほかにも子どもがいたが、神の約束が適用されるのは、イサクとその子孫だけであると聖書にあるからです。 + つまり、アブラハムの子どもが全部神の子なのではなく、神がアブラハムにお与えになった救いの約束を信じる人々だけが神の子どもなのです。 + 神はアブラハムに、「来年の今ごろ、わたしはあなたとサラに男の子を授けよう」と約束されました。 + それだけでなく、彼の息子イサクの場合にも同じことが言えます。その妻リベカがみごもって、ふたごを産もうとしている時、神はリベカに、「兄が弟に仕える」 + とお告げになりました。「わたしはエサウではなく、ヤコブを祝福する」とあるとおりです。神がこう宣言されたのは、彼らがまだ生まれてもおらず、まだ良いことも悪いこともしていなかった時のことです。このことからもはっきりわかるように、神は最初から決めておいたことを実行されたのです。彼らの行いによってではなく、神の意思と選びによって、すべてが決定されたのです。 + では、神は不公平なのでしょうか。絶対にそんなことはありません。 + 神はモーセにこう言われました。「わたしは、恵もうと思う者を恵み、あわれもうと思う者をあわれむ。」 + したがって、神の祝福は、だれかがそれを得ようと決心したからとか、そのために努力したからといって与えられるものではありません。それは、神のあわれみによって与えられるものなのです。 + エジプトの王パロの場合は、その良い例です。神はパロにこう言われました。「あなたにエジプトの国を与えたのは、わたしの恐るべき力をあなたに示すため、それによって、世界中の人々が、わたしの栄光ある名を耳にするためである。」 + これでわかるように、神はみこころのままに、ある人々をあわれみ、ある人々を不従順な者とされるのです。 + 「では、なぜ神は人々の不従順をお責めになるのでしょう」と、あなたがたは言いますか。「神のお考えどおりにしたのではありませんか」と。 + そんなことを言ってはなりません。神を非難するあなたは、いったい何者なのですか。造られた者が造った者に、「なぜ私をこのように造ったのですか」などと言ってよいでしょうか。 + ある人が粘土でつぼを作る時、その人は同じ粘土のかたまりを、一つは美しい花びんに、もう一つはふだん使いの容器に作り上げる権利を持っていないでしょうか。 + そのように、どう考えても滅びるしかないような人々に対して、怒りと力を示す権利が神にないとでも言うのですか。しかも神は、これまでずっと忍耐してこられたのです。 + 同時に神は、ユダヤ人であっても外国人であっても、ご自分の栄光のために呼び出し、あわれみを与えることで、神がどんなに偉大な方かをすべての人に示す権利を持っておられます。 + 聖書のホセア書に何と書いてあるか、思い出してください。神は、こう言っておられます。「わたしは自分のために、ほかの子ら(ユダヤ人以外の家系の者)を見つけ出し、だれからも愛されたことのない、その子らを愛する。 + そして、かつては『わたしの民ではない』と宣告された異教徒たちが、『生ける神の子ら』と呼ばれるようになる。」 + またユダヤ人については、預言者イザヤがこう語りました。「たとえイスラエルの子どもの数が海辺の砂のように多くても、一握りの者しか救われない。 + 主はおことばを完全に、しかもすみやかに、地上に成し遂げられる。」 + イザヤはまた、ほかの箇所でこう語っています。「神のあわれみがなかったら、ユダヤ人はみな、ちょうどソドムやゴモラに住む人々が全滅したように、一人残らず滅ぼされたに違いない。」 + では、どういうことになるでしょう。信仰によって与えられる神の救いを求めなかった外国人は、救いの機会を得ました。まさに、信仰による救いです。神は、信仰によって無罪とされる機会をお与えになりました。 + 一方、ユダヤ人は律法を守ることによって、神の救いを追い求めようと努力したのに、それを得ることができませんでした。 + なぜでしょう。信仰によってではなく、行いによって救われようとしたからです。彼らは、キリストというつまずきの石につまずいたのです。 + このことについて、神は次のように警告しておられます。「わたしはユダヤ人の通り道に、一つの岩を置く。多くの者が、それ(イエス)につまずくであろう。しかし、この方を信じる者は、決して失望させられることがない。」 + + + 愛する皆さん。私が心から願い、祈り求めているのは、同胞であるユダヤ人が救われることです。 + 私は、彼らが神の誉れをどんなに熱心に求めているか、よく知っています。しかし、それは見当違いの熱心なのです。 + というのも、彼らには、キリストが自分たちを神の前に正しい者とするために死んでくださったことが、わかっていないからです。そして、自分たちの正しさを認めさせようとして、神の救いの道に従わなかったのです。 + 彼らが律法(旧約のおきてや戒律)を守ることによって手に入れようとしているすべてのものを、キリストはご自分を信じる人々に与えてくださいます。キリストは、律法を終結なさったのです。 + モーセは、「神のおきてと定めを行う人は、それによって救われる」と書いています。 + しかし、信仰を通して与えられる救いは、こう教えてくれます。「あなたは、キリストを見つけようと天を捜し回る必要も、助けていただこうと引き降ろす必要もない。」 + また、「キリストをもう一度復活させようと、死者の中を歩き回る必要もない。」 + というのは、キリストを信じることによって与えられる救いは、自分の心の中や口、まさに私たちのすぐ手の届くところにあるからです。 + なぜなら、もし自分の口で、「イエス‧キリストは私の主です」と告白し、自分の心で、「神はイエス‧キリストを死者の中から復活させてくださった」と信じるなら、あなたは救われるのです。 + 人は、心で信じることによって、神の前に正しい者とされ、その信仰を口で告白することによって救われるのです。 + 聖書は私たちに、「主キリストを信じる者は、決して失望させられることがない」と教えています。 + ユダヤ人と外国人との区別はありません。同じ主がユダヤ人にとっても外国人にとっても主であり、求める者にはだれにでも、恵みを惜しみなく与えてくださるからです。 + 主の御名を呼び求める者は、だれでも救われるのです。 + しかし、主を信じていなければ、どうして主に、「救ってください」と求めることができるでしょうか。また、主イエスのことを一度も聞いたことがなければ、どうしてそのお方を信じることができるでしょうか。だれかが教えてくれなければ、どうしてそのお方のことを聞けるでしょうか。 + また、神に遣わされなければ、どうして人々のところへ出かけて教えることができるでしょうか。聖書に、「神との平和を宣べ伝え、良い知らせをもたらす人の足は、なんとうるわしいことか」とあるのは、まさにこのことです。 + しかし、福音(キリストによる救いの知らせ)を耳にした人がみな、喜んで受け入れたわけではありません。預言者イザヤが、「主よ。彼らに語った時、だれが私のことばを信じましたか」と言っているとおりです。 + 信仰は、キリストについてのことばに耳を傾けることから始まるのです。 + しかし、ユダヤ人はどうなのでしょうか。彼らは神のことばを聞いたのでしょうか。もちろんです。神のことばは、彼らをどこまでも追いかけ、地の果てまでも告げ知らされたのですから。 + さらにユダヤ人は、もし自分たちが神の救いを拒むなら、その救いはほかの人々に与えられることを知っていたのでしょうか。もちろん知っていました。というのは、その昔モーセの時代に、すでに神はこう告げておられたからです。「わたしは、無知な異教の諸国民に救いを与えることで、わたしの民にねたみを起こさせ、その目を覚まさせよう。」 + 後に、イザヤも大胆にこう言っています。「捜し求めもしなかった人々によって神は見いだされる。」 + その一方、神はユダヤ人に、なお手を差し伸べ続けておられるのですが、彼らは反抗して、神のもとに行こうとしないのです。 + + + では、神はご自分の民であるユダヤ人を退け、見捨ててしまわれたのでしょうか。決してそんなことはありません。この私もユダヤ人であり、アブラハムの子孫、ベニヤミン族の一人であることを忘れないでください。 + 神はもちろん、最初から選んだご自分の民を見捨てたわけではありません。聖書には何と書いてあるでしょうか。預言者エリヤはユダヤ人を告発し、彼らが他の預言者たちを殺し、神の祭壇をこわしたことを神に訴えています + 。「今なおあなたを愛する者は、この国中で私一人です。その私も、殺されそうなのです」と。 + それに対して神が何とお答えになったか、覚えていますか。「いや、あなただけではない。わたしには、なおもわたしを愛し、偶像を拝んだことのない人がほかに七千人いる。」 + それと同じように、神の恵みによって選ばれ、救われている人々が少数ながらいるのです。 + しかし、それは神の恵みによるのであり、彼らの行いによるのではありません。そうでなければ、恵みが恵みでなくなってしまいます。 + 大部分のユダヤ人は、追い求めていた神の恵みを得ることができませんでした。恵みを得たのは、神に選ばれた少数の者だけでした。ほかの人々は心を閉ざされてしまったのです。 + ダビデも同じことを言っています。「食卓のごちそうや、さまざまの祝福は彼らのわなとなれ。彼らを、『神とは万事うまくいっている』という思いにさせよ。これらの良いものがはね返って来て、彼らの頭上に落ち、当然の報いとして彼らを押しつぶすがいい。 + これは、神がご自分の民であるユダヤ人を退けてしまわれたことを意味するのでしょうか。絶対にそんなことはありません。神の目的は、このことによって神の救いが外国人にも及び、その結果、ユダヤ人がねたんで、自分でも救いを求めるようになることにあったのです。 + 考えてごらんなさい。彼らが神の救いにつまずき、それを拒んだことによって、全世界が豊かに恵まれたのです。とすれば、後にユダヤ人がキリストに立ち返る時には、どんなにすばらしい祝福がもたらされることでしょう。 + 外国人の方々に言いますが、神は私を、あなたがた外国人への使徒に任命してくださったので、私はそれを大切な使命としています。 + しかし何とかして、ユダヤ人にも、あなたがた外国人が持っているものを求めさせ、幾人かでも救いたいのです。 + 彼らがクリスチャンになったら、どんなにすばらしいでしょう。神がユダヤ人から御顔をそむけられたために、神の救いが、世界のユダヤ人以外の人々に差し出されたのです。とすれば、ユダヤ人がキリストに立ち返るなら、もっとすばらしいことが起こります。それはちょうど、死者が生き返るようなものです。 + アブラハムや預言者は神の民なのですから、その子孫もまた神の民となるはずです。木の根がきよければ、その枝もきよくなるはずだからです。 + ところが、アブラハムの子孫という、オリーブの木の幾枝かが折り取られ、そして、いわば野生のオリーブの木の枝であった外国人のあなたがたが、それにつぎ木されました。それで今、あなたがたも、神がオリーブの木に注がれる、特別に豊かな滋養分にあずかって、アブラハムとその子孫とに約束された祝福をいただいているのです。 + ですから、折り取られた枝の代わりにつぎ木されたことを、誇ってはいけません。あなたがたは枝であって、根があなたがたを支えているからです。 + あなたは、「前の枝が折られたのは、私に場所を譲るためだった。とすれば、私はかなりいい人間に違いない」と考えるかもしれません。 + 気をつけなさい。ユダヤ人のその枝が折り取られたのは神を信じなかったからであり、あなたがたがつぎ木されたのは、ただ神を信じたからです。このことを忘れないようにしなさい。高ぶってはいけません。むしろ、謙虚になって神を恐れなさい。 + もし神が台木の枝を惜しまなかったとすれば、ましてや、神をもはや信じないあなたがたを惜しむことはなさらないでしょう。 + 神がどんなに恵み深く、また、どんなにきびしい方かを考えてみなさい。神は不従順な者にはきびしく、神を愛し、信じる者には恵み深いお方です。もし神を愛さず、信じないなら、あなたがたもまた切り取られてしまうのです。 + 一方、ユダヤ人が不信仰な生き方をやめて神に立ち返るなら、神はまた、もとの木についでくださいます。神には、そうする力があるのです。 + あなたがたは野生のオリーブの木の一部として、神から遠く離れた存在でしたが、神は受け入れ、ご自分の良い木についでくださったのです。とすれば、もともとその木の枝であったユダヤ人は、もっとたやすく神の台木につぎ木されるのではないでしょうか。 + 愛する皆さん。この神の真理を知っていただきたいのです。そうすれば、高ぶったり、自慢したりすることもないでしょう。確かに今、ユダヤ人のある者はこの救いの真理に反対していますが、そのような状態が続くのは、あなたがた外国人のうち、救いを願う者がすべてキリストのもとに来るまでの間にすぎません。 + その時が来れば、イスラエルはみな救われます。このことについて、預言者は何と言っているでしょう。「一人の救い手がシオンから出て、ユダヤ人をあらゆる不敬虔から立ち返らせる。 + 今のところ、ユダヤ人の多くは福音に敵対し、それを憎んでいます。しかし、そのことはかえって、あなたがたには益となりました。というのは、神がその救いの賜物をあなたがた外国人に与えてくださることになったからです。しかし彼らユダヤ人は、神がアブラハム、イサク、ヤコブにお与えになった約束のゆえに、今でも愛されているのです。 + 神の賜物と招きは決して取り消されないからです。 + あなたがたは以前は神に逆らっていましたが、ユダヤ人が神の賜物を拒んだので、代わりに神のあわれみを受けることになりました。 + そして今、ユダヤ人は神に逆らっていますが、いつの日か彼らもまた、あなたがたの受けている慈しみとあわれみを共に受けるようになるのです。 + なぜなら、神はすべての人を同じようにあわれもうとして、すべての人が不従順の罪に落ちるままにされたからです。 + ああ、なんとすばらしい神を、私たちは信じていることでしょう。その知恵と知識と富は、なんと豊かなことでしょう。神のなされる方法を理解することなど、とうていできません。 + いったいだれが、主のお心を知ることができますか。だれが、主のご計画の相談に加わるほどの知識を持っていますか。 + また、いったいだれが、主から報いがいただけるほど十分に主にささげましたか。 + というのは、すべてのものは神から出て、神に生かされ、神の栄光のために存在しているからです。どうか、この神に栄光がとこしえにありますように。 + + + 愛する皆さん。そういうわけですから、あなたがたにお願いします。あなたがたの体を、神に喜んでいただける、生きた、きよい供え物としてささげてください。それが神への礼拝となるのです。 + この世の人々の生活や考え方をまねてはいけません。むしろ、神に喜ばれることは何かを思いながら、なすこと考えることすべての面で生き生きとした、全く新しい人となりなさい。 + 私は使徒として、あなたがた一人一人に警告します。自分を過大に評価してはいけません。神から与えられている信仰に応じて、慎み深くありなさい。 + 人の体には多くの器官があるのと同じように、キリストの体である教会にも、多くの器官があります。私たちはみな、キリストの体の各器官です。その体が形造られるには、私たちが必要です。というのは、それぞれが異なった役割を果たすからです。ですから、私たちは互いに依存し合っており、だれもがほかのすべての人を必要としているのです。 + 神は一人一人に、何かすぐれた賜物を授けてくださっています。ですから、預言する(神に託されたことばを語る)賜物を授かっているなら、預言しなさい。 + 他の人々に仕える賜物を授かっているなら、快く仕えなさい。教える立場にあるなら、よく教えなさい。 + 説教をする人であれば、人の助けとなるように説教しなさい。多くのものを与えられているなら、惜しみなく分け与えなさい。管理者としての賜物を与えられ、人々を監督する立場にあるなら、その責任を誠実に果たしなさい。悲しんでいる者を慰める賜物のある人は、喜んでそうしなさい。 + 見せかけだけで人を愛してはいけません。真心から愛しなさい。悪いことを憎み、良いことには賛成しなさい。 + 兄弟のような愛情で互いに愛し合い、また、心から尊敬し合いなさい。 + 決して仕事を怠けず、熱心に主に仕えなさい。 + あなたがたのために神が計画しておられることすべてを喜びなさい。困難に耐え、常に祈りなさい。 + 仲間が困っている時には、助けてあげなさい。客を家に招いてもてなし、宿が必要なら泊めてあげるようにしなさい。 + 迫害されても、のろってはいけません。むしろ、神がその人を祝福してくださるように祈ってあげなさい。 + だれかが幸せで喜んでいる時には、いっしょに喜んであげなさい。悲しんでいる人がいたら、いっしょに悲しんであげなさい。 + 互いに心を一つにし、楽しく働きなさい。高ぶってはいけません。偉い人に取り入ろうとせず、かえって、身分の低い人々と喜んで交際しなさい。何でも知っているなどと思い上がってはいけません。 + 悪いことをされても、決して仕返しをしてはいけません。だれが見ても、あなたがたの正直さを認めるように行動しなさい。 + だれとも争ってはいけません。できる限り、あらゆる人と仲よくしなさい。 + 愛する皆さん。決して自分で復讐してはいけません。復讐は神に任せなさい。なぜなら、神が、「当然報復を受けなければならない人には、わたしが報復する」と言っておられるからです。 + むしろ、あなたの敵が飢えていたら、食べさせてやりなさい。のどが渇いていたら、飲ませてやりなさい。そうすることによって、あなたは、「敵の頭上に燃えさかる炭火を積む」ことになります。つまり彼は、あなたにしてきたことを思って、恥じ入るようになるのです。 + 悪に負けてはいけません。かえって、善を行うことによって悪に打ち勝ちなさい。 + + + 上に立つ権威に従いなさい。神がお立てになった権威だからです。神によらない権威はどこにもありません。 + ですから、国の法律に従わない者は、神に従うことを拒んでいるのです。その人は必ず罰せられます。 + 正しいことをしている人は支配者を恐れません。しかし、悪いことをしている人は、いつも支配者を恐れるのです。ですから、びくびくしたくなければ正しいことを行いなさい。そうすれば安心して過ごせます。 + 支配者は、あなたを助けるために、神から遣わされているのです。しかし、何か悪いことをしていれば、支配者はあなたを罰するでしょうから、当然、恐れなければなりません。そのためにこそ、彼は神から遣わされているのです。 + 法に従う理由は二つあります。第一に、罰を受けないためであり、第二に、良心がそれを守るべきだとわかっているからです。 + 同じ理由で、税金も納めなさい。公務につく人々が国民のために、神から与えられた仕事を続けるには、給料が必要だからです。 + 支払うべきものは、だれにでも支払いなさい。納税の義務をすすんで果たし、上に立つ人々に従い、敬うべき人を敬い、重んじるべき人を重んじなさい。 + 借りがあれば、全部返しなさい。ただし、互いに愛し合うことだけは別です。というのは、人を愛することは、神のすべての律法、すべての要求にかなうことだからです。 + 自分を愛するように隣人を愛していれば、その人を傷つけたり、だましたり、殺したり、その人のものを盗んだりしたいとは思わないでしょう。またその人の妻と罪を犯すとか、その人のものを欲しがるといった、「十戒」で禁じられていることは何一つしないでしょう。このように、「姦淫するな、殺すな、盗むな、むさぼるな」という戒めは、「自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」という一つの戒めに含まれるのです。 + 愛はだれにも悪を行いません。だからこそ、愛は神の要求をすべて完全に満たすのです。愛こそ、あなたがたに必要なただ一つのおきてです。 + 正しい生活をしなければならない、もう一つの理由があります。それは、今や終末に近づいており、時はどんどん過ぎているからです。目を覚ましなさい。初めに信じたころより、今はいっそう主の来られる時が近いのです。 + 夜はふけ、昼がすぐそこまで近づいています。ですから、暗闇に属する悪い行いを捨てて、昼間にふさわしく生きるため、正しい生活という武具で身を固めなさい。あなたがたの行為は正しいとだれからも認められるよう、何をするにも、りっぱに、誠実にふるまいなさい。遊び騒いだり、酔っぱらったり、性的な欲望のとりこになったり、争ったり、ねたんだりして時間を浪費してはなりません。 + 当然なすべき正しい生活ができるように、主イエス‧キリストに助けを求めなさい。悪を楽しむような計画を立ててはいけません。 + + + あなたがたの仲間に加わりたいという人がいたら、たとえ信仰の弱い人であっても、心を開いて迎え入れなさい。考えが違うからといって批判してはいけません。 + 偶像に供えられた肉を食べてもよいかどうかで議論してはいけません。あなたがたは、偶像に供えられた肉を食べても別に悪くはないと信じているかもしれません。しかし、ほかの人たちの信仰はもっと弱いのです。彼らは、偶像に供えられた肉を食べるのは悪いとして肉を食べず、むしろ野菜を食べるほうがよいと思っています。 + 肉を食べてもよいと思っている人は、食べない人を見下してはいけません。また、食べない人も食べる人を非難してはいけません。神はそのどちらをも受け入れて、ご自分の子どもとしてくださったからです。 + どちらも神に仕えているのであって、人に仕えているわけではありません。神に対して責任を負うのであって、人に対して責任を負うのではありません。正しいか、まちがっているかは、神がその人に教えてくださるはずです。 + ある人は、神を礼拝する特別な日として、クリスチャンもユダヤ教の祝祭日を守るべきだと考えています。しかし、他の人は、どの日もみな同様に神の日なのだから、いちいちそんな面倒なことをするのはまちがっている、と言います。こうした問題については、一人一人が自分で判断しなければなりません。 + もし、主を礼拝するために特別な日を守っているなら、主をあがめようとしてすることなので、良いことなのです。偶像に供えた肉を食べる人についても、同じことが言えます。彼はその肉のことで主に感謝しているのですから、正しいのです。そんな肉には触れようともしない人もまた、主に喜んでいただこうと願うからそうするのであって、感謝しているのです。 + 私たちは、自分のために存在しているのではなく、主のために存在しているのです。 + 私たちは主のものであり、生きるにしても死ぬにしても主に従うのです。 + キリストが死んで復活したのは、私たちが生きている時も死んでいる時も、キリストが私たちの主となられることでした。 + あなたがたには、自分の兄弟(信仰を同じくする人)を批判したり、見下したりする資格はありません。だれもが神のさばきの座の前に立つことを、忘れてはなりません。 + 次のように書いてあるとおりです。「主は言われる。わたしは生きている。すべてのひざは、わたしの前にかがめられ、すべての舌は、神に告白する。」 + このように、一人一人が、神の前に申し開きをすることになります。 + ですから、これからはもう批判し合うことのないようにしましょう。むしろ、人をつまずかせないようにすることを心がけましょう。兄弟が「悪いことだ」と信じていることを目の前で行って、彼をつまずかせてはいけません。 + 私が主イエスの権威に基づいて確信しているのは、それ自体汚れているものは何一つないということです。ですから、偶像に供えた肉を食べることは悪くありません。しかし、それを悪いと信じている人がいるなら、悪いことは避けるべきですから、その人は食べてはいけません。 + 兄弟があなたの食べる物のことで心を痛めているのに、平気でいるとしたら、愛によって行動しているとは言えません。あなたの食べる物のことで人を滅ぼしてはなりません。その人のためにも、キリストは死なれたのです。 + たとえ自分の行為は正しいとわかっていても、人の批判の的になるようなことをしてはなりません。 + 私たちクリスチャンにとって大切なのは、何を食べるか、何を飲むかではなく、義と平安と聖霊から来る喜びとに満ちあふれているかどうかだからです。 + このようにキリストに仕えてこそ、神に喜ばれ、また、人々にも喜ばれるのです。 + こうして、教会においては平和をはかり、互いに助け合って成長するように努めましょう。 + 食べ物の問題で、神の働きを台なしにしてはなりません。肉そのものは悪くなくても、それが他人のつまずきとなるなら、肉を食べるのはよくないということを忘れないでください。 + 肉だけに限りません。飲酒でも、そのほか何でも、兄弟のつまずきになるようなことをしないのは正しい行いです。 + 自分のしていることが神の目から見て潔白だと思っていても、その確信は心にしまっておきなさい。正しいと思うことをして、それが罪を犯すことにならない人こそ幸せです。 + しかし、「自分がしようとしていることは悪いことだ」と思いつつしている人は、してはなりません。悪いと思うことをするのは、すべて罪です。 + + + 何かをする場合、ただ自分の喜びのためにするのはよくありません。それは悪いことではないかと疑問や不安を持つ人を思いやり、そういう弱さを持つ人々の「重荷」を軽くしてあげなさい。そして、人の益になることをし、その人が主にあって成長できるよう支えましょう。 + キリストも、ご自分を喜ばせようとはなさいませんでした。「彼が来られたのは、実に、敵対する者たちの侮辱を受けて苦しむためであった」と、詩篇の作者が言っているとおりです。 + ずっと昔に書かれたこのことばは、私たちに忍耐を教え、励ますためのものです。また、神が死と罪の力とを打ち破ってくださる時を、私たちが待ち望むためのものです。 + どうか、強い忍耐力と励ましを与える神が、あなたがたが一つ思いとなって暮らしていけるよう、助けてくださいますように。一人一人がキリストの模範にならって互いに接することができますように。 + そうして初めて、私たちはみな、主イエス‧キリストの父なる神をほめたたえ、声を合わせて賛美できるのです。 + そういうわけですから、キリストがあなたがたを受け入れてくださったように、あなたがたも互いにあたたかく受け入れ合いなさい。そうすれば、神がほめたたえられるのです。 + イエス‧キリストが来られたのは、神がご自分の約束に対して誠実な方であることを示すため、また、ユダヤ人を助けるためであったことを思い出してください。 + それはまた、外国人も救われて、自分たちに対する神のあわれみのゆえに神をほめたたえるためでもあったことを、思い出してください。次のように書かれているとおりです。「私は外国人の中で、あなたを賛美し、あなたの御名をほめ歌おう。」 + また、ほかの箇所にはこうあります。「外国人よ。主の民であるユダヤ人と共に喜べ。」 + 「外国人よ。主をほめたたえよ。すべての人よ。主をほめたたえよ。」 + また、預言者イザヤはこう言っています。「エッサイの家系に一人の世継ぎが生まれる。その方は外国人を治める王となる。彼らは、ただこの方だけに望みをかける。」 + そこで、私はあなたがた外国人のために祈ります。どうか、希望を与えてくださる神があなたがたを幸せにし、平安で満たしてくださいますように。どうかあなたがたを、聖霊の力によって希望にあふれさせてくださいますように。 + 私の兄弟たちよ。あなたがたが知恵に満ち、善意にあふれていること、そして、これらを他の人々に教えることができるほどよくわきまえていることを、私は知っています。 + それにもかかわらず、私が所々かなり大胆に強調して書いたのは、あなたがたにそのことを思い起こしてもらいたかったからです。私は神の恵みにより、あなたがた外国人のためにキリスト‧イエスに仕える者であって、福音を伝え、かおり高い供え物として、あなたがたを神にささげる務めを果たしているのです。あなたがたは聖霊によって、きよい者、神に喜ばれる者とされています。 + それで、キリスト‧イエスが私を用いてなしてくださったことを、誇りに思っています。 + 私は、ただ外国人を神に導くために、キリストが私を役立ててくださったということだけを話します。他のことについて、何も言うつもりはありません。私は、ことばと活動、 + および、私を通してなされた奇跡と御霊の力によって、外国人を神に導いてきました。このようにして私は、エルサレムからイルリコに至るまで、キリストの福音をくまなく伝えてきました。 + すでに、だれかほかの人によって伝道がなされている所ではなく、むしろ、キリストの名をまだ一度も聞いたことがない人々の所で、福音を宣べ伝えたいと切に望みました。 + イザヤが、「彼(キリスト)の名を一度も聞いたことのない人々が見て理解するようになる」と言っているとおりに働いてきたのです。 + このような事情のもとで、私はこれまで、あなたがたの所に行けませんでした。 + しかし、もうこちらでの働きも終わり、長いあいだ待ったかいがあって、とうとうそちらに行けそうです。 + 実は今、スペインでの伝道を計画しています。その途中、ローマに立ち寄るつもりです。そして、わずかな間でも、共に心の満たされた時を過ごしてから、あなたがたに送られて、旅を続けたいと願っています。 + しかし、その前に、エルサレムに行かなければなりません。そこにいるユダヤ人のクリスチャンに、献金を届けるためです。 + ご存じのように、マケドニヤとアカヤのクリスチャンが、いま困難に会っているエルサレムのクリスチャンのために、募金することにしたからです。 + 彼らは、それを喜んでしてくれました。エルサレムのクリスチャンには大きな借りがあると思っているのです。どうしてかわかりますか。福音がエルサレムの教会から伝えられたからです。彼らはエルサレム教会から、福音というすばらしい霊の贈り物を受けました。そこで、いくらかでも物質的な援助をして恩返しができればと願っているのです。 + それで私は、この献金を渡し終えてから、スペインに行く途中で、あなたがたを訪ねたいと思っています。 + その時にはきっと、主からの大きな祝福を分かち合えるでしょう。 + どうか、私の祈りの友になってください。主イエス‧キリストのゆえに、また、聖霊によってあなたがたが私を愛する愛のゆえに、私の働きのため、共に精一杯祈ってください。 + エルサレムにいる、クリスチャンでないユダヤ人から、私が守られるよう祈ってください。また、私の持って行くお金を、エルサレムの教会が喜んで受け取ってくれるようにも祈ってください。 + そうすれば私は、神の御心により、喜びにあふれてあなたがたの所に行き、互いに励まし合うことができます。 + どうか、平安を与えてくださる神が、あなたがた一同と共にいてくださいますように。アーメン。 + + + ケンクレヤの町出身の、愛する姉妹(信仰を同じくする女性)フィベが、そのうちあなたがたを訪れるでしょう。彼女は教会の執事として熱心に働いてきた人です。 + どうか、主にある姉妹として、あたたかく歓迎してあげてください。できることは何でもして、助けてあげてください。この人はこれまで、私も含めて、多くの困っている人を助けてきてくれたのです。 + 私の同労者としてキリスト‧イエスのために働いてきたプリスカとアクラによろしく伝えてください。 + この夫婦は、いのちをかけて私を守ってくれました。感謝しているのは、私だけではありません。どの外国人教会でも、この二人には感謝しています。 + また、礼拝のために二人の家の教会に集まっている人々にも、よろしく伝えてください。私の親しい友であるエパネトによろしく。この人は、アジヤで真っ先にクリスチャンになった人です。 + 骨身を惜しまず働き、助けてくれたマリヤにもよろしく。 + それから、私の親類で、私と共に投獄されたこともあるアンドロニコとユニアスがそちらにいます。彼らは使徒たちにも尊敬されており、私よりも先にクリスチャンになった人たちです。どうぞ、この二人にもよろしく伝えてください。 + 神の子どもの一人として私が愛しているアムプリアトによろしく。 + また、私の同労者ウルバノと、愛するスタキスとによろしく。 + それに、アペレがいます。主によって認められているりっぱな人です。よろしく伝えてください。またアリストブロの家で働いている人たちによろしく。 + 私の同郷のヘロデオンによろしく。ナルキソの家で働いている人たちによろしく。 + 主のために働いているツルパナとツルポサによろしく。また、主のために大変な苦労をした愛するペルシスによろしく。 + 主がご自分のものとしてお選びになったルポスによろしく。また愛する彼の母上にもよろしく。彼女は、私にとっても母でした。 + どうか、アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマス、いっしょにいる他の兄弟たちによろしく伝えてください。 + フィロロゴ、ユリヤ、ネレオとその姉妹、オルンパ、および、いっしょにいるすべてのクリスチャンに、私の愛を伝えてください。 + 互いに親しみをこめてあいさつを交わしてください。こちらのすべての教会が、皆さんによろしくと言っています。 + この手紙を終える前に、もう一つ言っておきたいことがあります。キリストについて今まで学んできたことに反することを教えて、分裂を引き起こし、人々の信仰をくつがえすような人たちから離れなさい。 + そのような教師たちは、主イエスのために働いているのではなく、自分の利益を求めているのです。彼らは口が達者なので、純朴な人たちはしばしばだまされるのです。 + しかし、あなたがたが忠実であり、また真実であることは、だれもが知っています。ほんとうにうれしいことです。私は、あなたがたがいつも、何が正しいかについては鋭敏で、一方、いかなる悪にもうとい者であってほしいと願っています。 + 平和の神はすぐにも、サタンをあなたがたの足の下に踏み砕いてくださいます。どうか、私たちの主イエス‧キリストからの祝福が、あなたがたと共にありますように。 + 私の同労者テモテと、私の親類のルキオ、ヤソン、ソシパテロが、皆さんによろしくと言っています。 + ここで、この手紙の代筆を務めた私テルテオも、主にあって皆さんにごあいさつ申し上げます。 + ガイオも皆さんによろしくと言っています。私は今、彼の家で世話になっています。教会はそこで集会を開いているのです。市の収入役であるエラストと、クリスチャンの兄弟クワルトも、皆さんによろしくと言っています。 + では、これで。私たちの主イエス‧キリストの恵みが、あなたがた一同と共にありますように。アーメン。 + 私が語った福音にあるとおり、神はあなたがたを強め、不動のものとしてくださるお方です。この福音は、世の初めから秘密にされてきたものですが、今、預言者たちのことばどおり、また神の命じられたとおり、世界中の人がキリストに従うようになるために、至る所に伝えられています。ただ一人の知恵に満ちた神に、私たちの主イエス‧キリストによって、栄光がとこしえまでありますように。アーメン。パウロ + +
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+ + 神に選ばれて、キリスト‧イエスを宣べ伝える使徒となったパウロと、信仰の友ソステネから、 + 神の民として招かれ、キリスト‧イエスによって神に受け入れられる者とされたコリント教会の皆さん、および主イエス‧キリストの御名を至る所で呼び求めているクリスチャンの方々へ。この主は、私たちの主であると共に、すべての人の主です。 + どうか、父なる神と主イエス‧キリストが、あなたがたをあふれるほど祝福し、すばらしい平安を与えてくださいますように。 + 神様があなたがたにお与えになったすばらしい恵みを思う時、感謝せずにはいられません。あなたがたは、キリストのものとなったのです。 + キリストは、あなたがたの生活とすべてのことを充実させ、キリストについて大胆に語る力や、真理を十分に理解する力を与えてくださいました。 + 以前、私が、キリストはきっとそうしてくださると話しておいたとおりでしょう。 + 今、あなたがたは、あらゆる恵みと祝福とを手にしたのです。主イエス‧キリストが来られるのを待ち望んでいるこの時、主のお心にかなったことをするのに必要な、あらゆる霊の賜物と力とが、あなたがたには備わっています。 + そして、主が再び来られるその日に、あなたがたが罪も欠点もない者と認められるように、主は最後まで責任をもって守ってくださいます。 + この神の約束は確かです。神様はいつでも、語られたことをそのとおり実行されるからです。この神様があなたがたを、神の子、すなわち主イエス‧キリストとのすばらしい交わりに招き入れてくださったのです。 + しかし、愛する皆さん、私は主イエス‧キリストの御名によってお願いします。仲間同士の争いはやめなさい。教会の中で仲間割れなどしないよう、真の一致を保ってください。同じ考え、同じ目的で結ばれて、一つ心になってほしいのです。 + 実は、クロエの家の者が知らせてくれたのですが、あなたがたの間には、対立や反目があるそうではありませんか。 + ある人は「私はパウロの弟子だ」と言い、また、ある人は「私はアポロの弟子だ」とか「私はペテロの弟子だ」と言い、また、ある人は「自分たちだけがキリストの真の弟子だ」と言っているそうですね。 + そのように言い争って、キリストを分割するつもりですか。このパウロが、あなたがたの罪のために死にましたか。あなたがたのだれが、私の名によってバプテスマ(洗礼)を受けたでしょうか。 + いま私は、あなたがたのところで、クリスポとガイオのほかには、だれにもバプテスマを授けなかったことを心から感謝しています。 + 私が新しく、パウロの教会を起こそうとしていたなどと考えられてはたまらないからです。 + ステパナの家族にもバプテスマを授けましたが、そのほかは、だれにも授けた覚えはありません。 + キリストが私をお遣わしになった目的は、バプテスマを授けさせることではなく、福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を宣べ伝えさせるためです。私の説教は貧弱に聞こえるかもしれません。難しいことばを使ったり、高尚な考えを述べたりしないからです。それは、キリストの十字架の教えの単純さに込められているすばらしい力を、そんなもので薄めてはならないと考えているからです。 + 「イエス様は私たちを救うために死んでくださった」ということばが、滅びゆく人々にはどんなに愚かに響くか、私にはよくわかっています。しかし、救われた私たちは、これが神の力そのものであると認めるのです。 + なぜなら、神様はこう言われるからです。「わたしは、たとえ人の目にはどんなにりっぱに見える計画でも、人間の側の救いの計画をことごとく打ちこわし、最も才気あふれる人の、最もすぐれた考えをも無視する。」 + こうした知者、学者、この世の論客たちについては、何と言われているでしょう。神様は、彼らを愚か者とし、彼らの知恵など無用の長物としました。 + この世がいかに人間のすぐれた知恵を結集しても神を見いだせないのは、神のお考えによることです。そして神様は、愚かで話にならないような神のことばを信じる人を、救うことにされたのです。 + これは、ユダヤ人にはつまずきに思われるでしょう。彼らは、正しさを証拠立てるような、天からのしるしを求めているからです。また、ギリシヤ人には愚かと思われるでしょう。彼らは、理性で納得できるか、賢明と思われることしか信じないからです。 + それで、人々を救うために死なれたキリストについて話すと、ユダヤ人は腹を立て、外国人は「まるで無意味だ」と言うのです。 + しかし神は、ユダヤ人でも外国人でも、救いへと招かれた人々の目を開いて、キリストこそ彼らを救う偉大な神の力であることを悟らせてくださいました。実に、キリストご自身こそ、人々を救うための、神の知恵に満ちたご計画の中心なのです。 + この「愚かしい」神の計画は、最高の知者の最も賢明な計画より、はるかにすぐれたものです。また、キリストの十字架上の死という神の弱さは、どんな人間の強さよりも強いのです。 + 愛する皆さん。自分たちの仲間を見回してごらんなさい。キリストに従うあなたがたの中には、知者や権力者や地位の高い人はほとんどいません。 + それどころか、神様は、この世では愚かな者、弱い者と思われている人々をあえてお選びになりました。それは、この世で知恵ある者、りっぱな人とされている人々を辱しめるためです。 + 神様は、この世で見下されている者、取るに足りない者を選び、そういう人々を役立てることによって、力を持っている人を無きに等しい者とされたのです。 + ですから、どこのだれであっても、神の前で誇ることはできません。 + というのは、神によってあなたがたはキリスト‧イエスのいのちを得たからです。キリストは、神の救いの計画を明らかにしてくださいました。私たちを神に受け入れられる者としてくださったのは、このキリストでした。この方は、私たちを聖なる者とし、また、私たちを買い取るために、ご自身を投げ出されたのです。 + 聖書の、「だれでも誇ろうとする者は、主のなさったことだけを誇れ」ということばどおりになるためです。 + + + 愛する皆さん。私が初めて皆さんのところへ行った時、神のことばを伝えるのに、難しいことば遣いをしたり、高度な理論をふりまわしたりはしませんでした。 + イエス‧キリストと、その十字架上の死以外は語るまいと決心したからです。 + 私は弱々しく、おずおずと震えおののきながら、あなたがたのところへ行きました。 + また私の説教も、説得力ある雄弁なことばや人間的な知恵にはほど遠く、単純そのものでした。しかし、そのことばには神の力があって、聞く人々は、それが神からのことばだとわかったのです。 + 私がそうしたのは、あなたがたの信仰が、人間のすぐれた思想にではなく、神に根ざしてほしかったからです。 + とはいえ、成長したクリスチャンの間では、私はすぐれた知恵のことばを語ります。しかしそれは、この地上の知恵ではなく、また滅ぶべき運命にある、この世の支配者の気に入る知恵でもありません。 + 私たちのことばに知恵があるのは、それが神から出た教えで、天の栄光に導く、神の知恵に満ちた計画を告げるものだからです。私たちの語ることは、以前は隠されていましたが、世界の始まる前から私たちのために備えられていたものです。 + しかし、この世の支配者たちは、このことを理解しませんでした。もし理解していたら、まさか栄光の主を十字架につけるようなことはしなかったでしょう。 + まさに、聖書の次のことばどおりです。「人が、これまで見聞きしたことも、想像したこともないほどすばらしいことを、神は、ご自分を愛する人々のために用意してくださった。」 + 私たちには、このすばらしいことが何かわかっています。神様がご自分の聖霊を通して知らせてくださったからです。神の霊は、神の最も奥深いお考えを探り出して、それを教えてくださるのです。 + 人が何を考えているか、その人が実際にどんな人間であるか、本人以外にはわかりません。同様に、神の考えを知りうるのは、神の霊以外にありません。 + 事実、神様は私たちに、この世の霊ではなく、ご自分の聖霊を与えてくださいました。それは、神からのすばらしい恵みと祝福という賜物を、私たちが知るためです。 + この賜物について話す時、私たちは、自分が人間として選んだことばではなく、聖霊によって教えられたことばを使ってきました。つまり、聖霊のことを説明するには、聖霊のことばを用いるのです。 + しかし、クリスチャンでない人は、聖霊が教えてくださる神の思いを理解することも、受け入れることもできません。彼らには愚かしく思えるのです。というのは、自分のうちに聖霊をいただいている人だけが、聖霊のお考えを理解できるからです。 + 聖霊をいただいている人は、すべてを見抜きます。ところが、聖霊をいただいていない人は全く理解できないので、まごつき、とまどうのです。 + いったい、どうすれば彼らに聖霊がわかるというのでしょう。彼らは、主の思いを知ったこともなく、それを主と論じ合ったこともなく、また、祈りによって神の御手を動かしたこともないのです。しかし驚くべきことに、私たちクリスチャンは、まさにキリストの思いと心を共有しているのです。 + + + 愛する皆さん。私は皆さんに、クリスチャンの生活面について、まるで子どもに語るように書いてきました。実際あなたがたは、主に従わないで、好きかってにふるまっています。そんなあなたがたに、聖霊に満たされた人を相手にしているようには書けないからです。 + つまり、堅い食物を避けてミルクを飲ませました。堅い食物の消化はむりだったからです。実は今でも、あなたがたはミルクしか飲めない状態です。 + 相変わらず、よちよち歩きもおぼつかないクリスチャンで、それは、あなたがたがねたみ合い、仲間割れをしていることからも明らかです。実際、あなたがたの態度ときたら、まるで主を信じていない人のようです。 + 「パウロとアポロとどちらが偉いか」などと口論して、教会を分裂させている現状では、主にあって少しも成長していないことをさらけ出しているようなものではありませんか。 + 私たちが争いの原因になるとは、いったい、私が何者だと言うのですか。アポロが何者ですか。ただ神に仕える者にすぎず、それぞれに特別の能力が与えられて、あなたがたが信じるための手助けをしたにすぎません。 + 私の仕事は、あなたがたの心に種をまくことでした。アポロの仕事は、それに水をやることでした。しかし、あなたがたの心の中でそれを成長させたのは神であって、私たちではありません。 + まく者も、水をやる者も、さほど大切ではありません。大切なのは、成長させてくださる神なのです。 + アポロも私も、同じ目標を目指して働いていますが、それぞれ、その労苦に従って報酬を受けるでしょう。 + 私たちは神の協力者にすぎません。あなたがたは私たちの畑ではなく、神の畑です。私たちの建物ではなく、神の建物です。 + 神様は恵みによって、私に、どうしたら腕のよい建築家になれるかを教えてくださいました。私が土台をすえ、アポロがその上に建物を建てました。しかし、その土台の上に建物を建てるには、細心の注意が必要です。 + 私たちがすでに持っている本物の土台、イエス‧キリスト以外に、土台をすえることなどだれにもできないのです。 + しかし、この土台の上には、いろいろの材料で建てることができます。金や銀や宝石を使う人もいれば、また木や草、わらなどを用いる人もあります。 + やがて、すべてがテストされる、キリストのさばきの日が来ます。その時には、建築家が各自どんな材料で建てたかが明白になります。それぞれの仕事は火でテストされ、なお価値が変わらないかどうか、ほんとうに完璧な建物かどうかが、だれの目にも明らかになります。 + そして、その土台の上に適切な材料を使って建てた人は、建物がちゃんと残るので報いがあります。 + しかし、家が焼けてしまった人は、大損害をこうむります。その人自身は、炎の中をくぐり抜けるように、命からがら逃げて救われるでしょうが。 + あなたがたは自分たちが神の家であり、神の聖霊が自分の内に住んでおられることがわからないのですか。 + もし神の家を汚したり、こわしたりする人がいれば、神様はその人を滅ぼされます。なぜなら、神の家は聖なるものだからです。あなたがたは、その神の家なのです。 + 自分をだますのはやめなさい。だれか、「自分は世の知者だ」と、もし考えているのなら、そんな考えは捨てて、愚か者になるほうが身のためです。天からの真の知恵を受ける妨げにならないためです。 + この世の知恵は、神から見れば愚かだからです。聖書のヨブ記に、「神は人の知恵を、その人を捕らえるわなとして用いられる」(5‧13)と書いてあるとおりです。つまり、人は自分の「知恵」につまずいて倒れるのです。 + また、詩篇には、「主は、人間の考えや判断がどんな程度か、また、それがどんなに愚かしく無益か、よく知っておられる」(94‧11)とあります。 + ですから、この世の知者の弟子であることを誇ってはなりません。神様はすでに、あなたがたに必要なものは全部与えてくださっているのです。 + パウロも、アポロも、ペテロも、あなたがたを助けるために神がお遣わしになったのです。神様は全世界を、あなたがたの益になるようにと与えてくださいました。生も死も、あなたがたのものなのです。現在のことも、将来のことも、すべては、あなたがたの手にあります。 + そして、あなたがたはキリストのもの、キリストは神のものです。 + + + こういうわけでアポロや私を、神の深い御心を説明し、その祝福を配って回る、キリストの福音を預かる管理者と考えてください。 + 家臣にとって一番大切なのは、主人の命令に従うことです。 + では私の場合はどうでしょう。良い管理者だったでしょうか。この点に関してあなたがたがどう考えようと、また、ほかの人がどう思おうと、私は少しも気にしません。この件については、私は自分の判断さえ信用していないのです。 + 良心にやましいところはさらさらありませんが、だからといって、安心しきっているわけでもありません。調べた上で判定をお下しになるのは、主ご自身だからです。 + ですから、主がまだここにお帰りにならないうちから、何についても性急に結論を下すことがないように注意しなさい。主が来られる時、すべては明るみに出されます。一人一人の心の奥底までが見通され、ありのままの姿がはっきり見えるようになります。その時、一人一人が、ふさわしい賞賛を神から受けるのです。 + これまで私は、アポロと自分を例にあげて説明してきました。ある人だけを特別扱いしてはならないことを教えたかったのです。神様がお立てになった教師の一人を、他の教師以上に誇ってはなりません。 + いったい何について、そんなに得意になるのですか。あなたの持ちもので、神からいただかなかったものがありますか。その全部が神からいただいたものなら、どうして、さも偉そうにふるまうのですか。また、どうして自力で何かを成し遂げたような態度をとるのですか。 + あなたがたは、自分に必要な霊の食べ物はみな、すでに手にしたと思っているようです。十分に満ち足り、霊的に満足しています。私たちを差し置いて、裕福な王様のようになり、王座にふんぞり返っています。ああ、あなたがたはほんとうに王様になっていたらよかったのです。そうすれば、いつか私たちも、あなたがたと共に君臨できたでしょうに。 + こんなイメージが浮かびます。神様は私たち使徒を、死罪の判決が下された捕虜のように凱旋行列の最後に引き出し、人々や天使の前で見せ物にされたのだ、と。 + 信仰のために私たちが愚か者になったと、あなたがたは言います。そういうあなたがたは、もちろん、たいそう賢いクリスチャンなのでしょう。私たちは弱くて、あなたがたは強いのです。人受けのよいあなたがたと違って、私たちは笑いものにされています。 + 今の今まで、私たちは飢えと渇きに悩まされ、寒さをしのぐ着物さえありませんでした。自分の家もなく、どこへ行っても冷たくあしらわれるばかりでした。 + また、生活のために、自ら汗水流して働きました。私たちをのろう人たちを、かえって祝福し、危害を加えられても耐え忍び、 + ののしられても、おだやかに答えるのが常でした。それなのに、今でも私たちは、足もとのちりやごみのように扱われています。 + このように書いたのは、あなたがたに恥をかかせるためではありません。愛する子どもとして戒め、さとすためです。 + たとえ、キリストについて教えてくれる人が一万人いたとしても、あなたがたの父はこの私だけであることを忘れないでください。福音を伝えてキリストの救いに導いたのは、この私一人なのですから。 + ですから、お願いがあります。どうか私の模範にならい、同じ行いをしてください。 + その点であなたがたの助けになればと思い、テモテを遣わします。彼は、私がキリストに導いた一人で、主にあって愛し、信頼できる息子だからです。彼は、私自身が実践している信仰者の生き方を、私が行く先々の教会で教えているとおりに、あなたがたに思い出させてくれるでしょう。 + 「パウロはこちらへ来て話をつけるのがこわいのだ」と、思い上がっている人たちがいるそうですね。 + しかし、もし主のお許しがあれば、私はすぐにでも行くつもりです。そうすれば、その高慢な人たちが、ただ大きなことを言っているだけか、それとも、ほんとうに神の力を持っているのかがわかるでしょう。 + 神の国は、ことばだけのものではありません。神の力によって生きることなのです。 + さあ、あなたがたはどちらを選びますか。私が罰と叱責を持って行くほうですか。それとも、愛とやさしい心とを持って行くほうですか。 + + + あなたがたの間に起こった不品行について、みながうわさをしています。それは、異教徒でもしないほどの不品行で、父の妻(おそらく継母のこと)と関係を持っている人が、教会にいるそうではありませんか。 + それでもなお、自分たちは信仰深いとしらを切るつもりですか。どうしてそのことで嘆き悲しみ、恥じないのですか。なぜその人を教会から除名しないのですか。 + 私はそこにはいっしょにいませんが、私もこの問題をよく考えてみました。そして、実際その場に居合わせたように、主イエス‧キリストの御名によって、すでに対策を決めました。さっそく教会で集会を開きなさい。――その時、主イエスの力があなたがたと共にあり、私も霊において出席します。―― + そして、その人を罰するために、教会から追放してサタンの手に引き渡しなさい。そうするのは、主イエス‧キリストが帰って来られる時に、その人のたましいが救われるようにと願うからです。 + あなたがたが、このようなことに目をつぶっているかと思うと、ぞっとします。たとえ一人でも、罪を犯すままに放任しておけば、やがてその影響が全員に及ぶことがわからないのですか。 + その人を、あなたがたの間から除きなさい。そうすれば、きよさを保てます。神の小羊であるキリストは、私たちのためにすでに殺されたのです。 + ですから、悪意や不正でいっぱいの生活から、完全に離れなさい。しっかりキリストにつながり、クリスチャン生活において、力強く成長しようではありませんか。悪意や不正のまじったパンではなく、誠実と真実という純粋なパンを食べようではありませんか。 + 私は以前、あなたがたに手紙で、不品行な者たちと交際しないように書き送りました。 + しかしそれは、信者でない人で性的な罪を犯している者、強欲な者、どろぼう、偶像を拝む者とは口もきくな、という意味ではありません。そのような人たちから離れていようとすれば、この世から出て行かなければならないからです。 + 私がほんとうに意図したところは、自分はクリスチャンだと公言している者で、しかも性的な罪にふける者、貪欲な者、人をだます者、偶像を拝む者、酒に酔う者、人をそしる者とはつき合うな、ということです。そのような者とは、いっしょに食事をすることもいけません。 + 教会外の人たちをさばくことは、私たちの務めではありません。神おひとりのなさることです。しかし、教会員でありながら、このような罪を犯す者がいたら、教会として処置をとることは当然です。その悪い人を教会から除かなければなりません。 + + + クリスチャン同士の争いが生じた時、どちらが正しいかを、他のクリスチャンに判断してもらうのではなく、異教徒の法廷に訴え出るとはいったいどういうつもりですか。 + いつか、私たちクリスチャンがこの世をさばき、支配する日が来ることを知らないのですか。この世こそあなたがたにさばかれる運命にあるのに、どうしてあなたがたは、内輪のそんなささいな事件さえ解決できないのですか。 + クリスチャンは、天使さえもさばくようになることを知らないのですか。この地上での自分たちの問題をさばくくらい、容易にできるはずです。 + それなのになぜ、教会外の、クリスチャンでもない裁判官のもとへ出向くのですか。 + あえてあなたがたに恥をかかせようと、私はこう言うのです。いったい教会には、こうした争いを解決できる賢明な人が一人もいないのですか。 + だから、クリスチャンがクリスチャンを訴え、しかも、それを不信者の前に持ち出すようなまねをするのですか。 + そもそも、訴え合うこと自体がクリスチャンにとって、すでに敗北です。なぜ、不正な仕打ちに甘んじようとしないのですか。だますよりはだまされるほうが、もっと主に喜ばれるでしょう。 + ところが、あなたがたは不正を行い、だまし取り、しかも兄弟(信仰を同じくする者)に対して、そのようなことをしているのです。 + こんな者が神の国を相続できないのは、当然ではありませんか。思い違いをしてはいけません。不道徳な生活をしている者、偶像を拝む者、姦淫する者や同性愛にふける者は、神の国を相続できません。どろぼう、貪欲な者、酒に酔う者、人をけなす者、強盗も同様です。 + あなたがたの中にも、そんな過去を持つ人がいます。しかし、主イエス‧キリストと神の聖霊のおかげで、今はもう罪を洗い流され、あなたがたは神のために聖なる者とされ、神に受け入れられているのです。 + キリストが禁じておられること以外、私には、何でもする自由があります。しかしその中には、自分のためにならないこともあります。たとえ、してよいことであっても、それに捕らえられたら最後、やめようとしても簡単にやめられないことには手を出しません。 + 食べることについて考えてみましょう。神様は、物を食べるために食欲を与え、消化するために胃を備えてくださいました。だからといって、必要以上に食べてよいということにはなりません。食べることが第一だなどと考えてはいけません。なぜなら、いつの日か神様は、胃も食べ物も取り上げられるからです。また、性的な罪は絶対にいけません。私たちの体は、そんなことのためにではなく、主のために造られたのです。そして、主ご自身が、私たちの体に住もうと願っておられるのです。 + 神様は、主イエス‧キリストを復活させたのと同じ力で、私たちの体をも、死人の中から復活させようとしておられます。 + あなたがたの体は、キリストの体の一部であることがわからないのですか。キリストの体の一部と売春婦とを結びつけるようなことをしてよいでしょうか。とんでもないことです。 + もし人が売春婦と結びつくなら、その人と彼女は一心同体になることがわからないのですか。というのは、聖書の中で言われるとおり、神の目に、二人の者は一人とみなされるからです。 + しかし自分を主にささげるなら、その人とキリストは、一人の人として結び合わされるのです。 + 性的な罪とは無縁になりなさいと私が言うのは、そのためです。この罪を犯すことは、自分の体に対して罪を犯すのです。 + 体は、神様があなたがたに与えてくださった聖霊の家であって、聖霊がそこに住んでおられるのです。あなたがたの体は、自分のものではありません。 + 神様が多額の代価を払って、あなたがたを買い取ってくださったのです。ですから、あなたがたの体のどの部分も、神の栄光を現すために用いなさい。その所有者は神だからです。 + + + さて、この前の手紙にあった質問に答えましょう。もし結婚しないなら、それは良いことです。 + しかし、普通の場合、結婚するのが一番良いでしょう。男はそれぞれ妻を、女も夫を持ちなさい。そうでないと、不品行の罪に陥る危険があるからです。 + 夫は妻に、妻が当然受けるものを、すべて与えなければなりません。妻もまた、夫に同様の義務を負っています。 + 結婚した女性は、もはや自分の体を自分の思いのままにする権利はありません。妻の体に対する権利は、夫にもあるからです。同様に夫も、もはや自分の体を自分だけでどうこうすることはできません。妻も、夫の体に対する権利を持っているからです。 + ですから、互いにこの権利を拒んではなりません。ただ一つの例外があります。ひたすら祈りに専心するため、二人が合意の上で、一定の期間、夫婦生活から離れる場合です。そのあと、二人はまたいっしょになるべきです。それは、自制力の弱さにつけ込むサタンの誘惑を避けるためです。 + 私は、結婚しなければならないと言っているのではありません。ただ、結婚したければ、してもかまわないと言っているのです。 + 私の願いは、だれもが私のように、結婚しないでもやっていけることです。しかし、それは人それぞれです。神様は、ある人には、夫となり妻となる恵みを与え、ほかの人には、独身のまま幸福に過ごす恵みを与えておられます。 + さて、独身者と未亡人にひとこと言いますが、もし私のようにしていられるなら、独身のままでいるほうが良いのです。 + しかし、もし自制できないなら、ためらわずに結婚しなさい。情欲を燃やすよりは、結婚するほうが良いからです。 + 次に、結婚した人たちには、単なる忠告ではなく、はっきりと命令しておきます。この命令は、私が考え出したものではありません。主ご自身からの命令です。妻は、夫と別れてはいけません。 + しかし、もしすでに別れているなら、そのまま一人でいるか、夫のもとに帰るかしなさい。また、夫も、妻を離縁してはいけません。 + ここで、少し私の考えを付け加えておきましょう。これは主からの直接の命令ではありませんが、私が正しいと思っていることです。夫がクリスチャンで妻はそうでない場合、いっしょにいることを妻が望むなら、追い出したり離婚したりしてはいけません。 + また、妻がクリスチャンで夫はそうでない場合も、夫がいっしょにいることを望むなら、離婚してはいけません。 + なぜなら、クリスチャンでない夫は、クリスチャンの妻の助けによって、神の恵みの中にあるからです。また、同様のことが、クリスチャンでない妻の場合にも言えるからです。そうでなかったら、あなたがたの子どもは神と無関係ということになってしまいますが、実際は神の恵みの中にいるのです。 + しかし、もしクリスチャンでない夫や妻がどうしても別れたいと言うなら、そうさせなさい。こんな時、別れようとする相手を、むりに引き留めるべきではありません。神様は、自分の子どもたちが仲良く平和に暮らすことを望んでおられるからです。 + なぜなら、結局のところ、妻にとって、いっしょにいれば夫がクリスチャンになるという保証はなく、夫にとっても、妻がクリスチャンになる保証はないからです。 + しかし、これらを決めるにあたっては、神の導きと助けに従い、どんな立場に置かれようとも、それを受け入れ、神の御心にかなった生活をしていると確信しなさい。私はどこの教会でも、このように指導しています。 + たとえば、クリスチャンになる前にユダヤ教の割礼(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取る儀式)を受けた人は、そのことを気にしてはいけません。また割礼を受けていない人は、今さら割礼を受けるべきではありません。 + クリスチャンは、割礼を受けているかどうかで、違いはないからです。真に神を喜ばせ、神の戒めを守っているかどうかが重要なのです。 + また人は、神の救いを受けた時にしていた仕事を続けるべきです。 + あなたが奴隷でも、そのことを気にしてはいけません。もし自由の身になる機会があれば、もちろん自由になりなさい。 + もし奴隷であって主に招かれたのなら、キリストは恐ろしい罪の力からあなたを解放して、自由の身にしてくださったことを忘れてはなりません。また、もしあなたが自由人であって主に招かれたのなら、今はキリストの奴隷であることを忘れてはなりません。 + あなたがたは、キリストが代価を払って買い取ってくださった身であり、キリストのものなのです。ですから、こうしたこの世の誇りや恐れのすべてから自由になりなさい。 + 愛する皆さん、それぞれがクリスチャンになった時の状態にとどまっていなさい。主が今、助けてくださるからです。 + さて、別の質問に答えましょう。未婚の女性は結婚してもよいかということですが、私は主からとりたてて命令を受けたわけではありません。しかし、主は恵みによって私に、人々から信頼されるに足る知恵を授けてくださいました。それで、喜んで私の見解を申し上げましょう。 + クリスチャンは現在、大きな危機に直面しています。このような時には、結婚しないでいるのが一番良いと考えます。 + もちろん、すでに結婚している人は別れてはなりません。しかし、もし結婚していないなら、このような時に結婚を急いではなりません。 + もし男性が、どうしても結婚しようと決心し、今そうしたとしても、それは正しいことです。また、このような時に女性が結婚したとしても、罪を犯すわけではありません。ただし、結婚すれば、余計な問題をかかえ込むことになるでしょう。今は、そんな目に会ってほしくないのです。 + 私たちに残された時間はきわめて短く、主の働きをする機会もきわめて少ないのです。そういうわけで、妻のある者も、主のためにできるだけ身軽にしていなければなりません。 + 喜びや悲しみ、財産などが、神の仕事をする妨げになってはなりません。 + この世の魅力的なものに接することの多い者たちは、その機会を正しく利用し、おぼれることがないようにしなさい。現在の世界は、やがて過ぎ去るからです。 + 何をするにしても、あなたがたがあれこれ思いわずらわないようにと願います。独身の男性の場合、時間を主の働きのためにささげることも、どうしたら主に喜んでいただけるかを常に考えることもできます。 + しかし、結婚した男性はそうはいきません。どうしても、この世での責任や、妻を喜ばせることに気を取られがちになります。 + こうして、彼の関心は分散するのです。結婚した女性についても、同様のことが言えます。独身の女性は、何とかして主に喜ばれる者になりたい、主に喜ばれることをしたいと心を配ります。しかし、結婚した女性は、家事や夫の好みまで、いろいろ考えないわけにはいきません。 + 私がこう言うのも、あなたがたのためを思うからであって、結婚させまいとしているのではありません。私が願うのは、あなたがたが、主から思いをそらすようなことをできるだけ避けて、主のために役立つことをすることなのです。 + しかし、もし高まる感情を抑えるのがむずかしいので結婚すべきだと考える人がいれば、それも結構です。罪ではありません。そういう人は結婚しなさい。 + しかし、もし独身でいるだけの意志力をもち、自分は結婚する必要もないし、むしろしないほうが良いと考えるなら、その決心はりっぱです。 + つまり、結婚する人は良いことをしているのであり、結婚しない人は、もっと良いことをしているのです。 + 妻は、夫が生きている間は夫の一部です。夫が死ねば、再婚してもかまいません。ただし、その場合、相手はキリストにしっかりつながっている者に限ります。 + けれども私の考えでは、もし再婚しないでいられるなら、そのほうがはるかに幸せでしょう。神の聖霊からの助言をいただいて、私はこう言うのです。 + + + 次に、偶像に供えられた物を食べることはどうか、という質問に答えましょう。この件については、だれもが自分の判断は正しいと思っています。しかし、自分の知識がどんなに重要に思えても、教会を建て上げるためにほんとうに必要なのは愛です。 + もし、自分はどんな問題にも答えられると思い上がっている人がいたなら、それは、自らの無知をさらけ出しているにすぎません。 + しかし、ほんとうに神を愛している人は、神に知られているのです。 + では、この問題はどうなるでしょう。偶像に供えた肉を食べてもよいのでしょうか。私たちはみな、偶像など実際には神ではなく、神様はおひとりだけで、ほかにはいないことを知っています。 + ある人は、偉大な神々は天にも地にも数多くいると考えています。 + しかし私たちは、父なる神ただおひとりであることを知っているのです。この神様が万物を創造し、人間をご自分のものとして造られたのです。また私たちは、ただ一人の主、イエス‧キリストがおられることを知っています。この方がすべてのものを造り、私たちにいのちを与えてくださるのです。 + けれども、クリスチャンの中には、このことがわかっていない人もいます。そういう人はこれまでずっと、偶像を生きているもののように考えてきたので、ただの偶像に供えられたにすぎない物を、あたかも実在する神々に供えたかのように思ってしまうのです。そのため、それを食べることがひどく気になり、傷つきやすい良心が痛むのです。 + ただ、このことを覚えておいてください。神様は、私たちがそれを食べるか食べないかなど気にかけておられません。食べなくても損にはならないし、食べても得をするわけではありません。 + ただし、いくら自由といっても、あなたがたがそれを食べたために、あなたがたよりも良心の傷つきやすいクリスチャンがつまずかないよう、くれぐれも注意してください。 + あなたが、偶像への供え物を食べても別に害にはならないことを知っていて、偶像の神殿の中で食事をしたとします。しかしそれを、食べてはいけないと思っている人が見たら、どう思うでしょうか。その人は、偶像崇拝してもよいのだと勘違いして、自分もそれを食べてしまうかもしれません。 + すると、それを食べても差しつかえないことを知っていたあなたは、傷つきやすい良心を持った兄弟に、信仰上の大きな損害を与えてしまうことになります。キリストは、その兄弟のためにも死んでくださったのです。 + ある行為を悪いと信じている兄弟が、あなたがたのふるまいに刺激されてその行為をしてしまうなら、あなたがたはその兄弟に罪を犯し、同時にキリストに対しても罪を犯すことになるのです。 + ですから、もし偶像に供えた肉を食べることで兄弟をつまずかせるなら、私は一生それを食べません。 + + + 私は使徒ですから、他のだれからも自由なのです。私は実際、この目で主イエスを見た者です。あなたがたの人生が一変したのは、私が主のために一生懸命働いた結果なのです。 + たとえほかの人が私を使徒と認めなくても、あなたがたにとって、私は確かに使徒なのです。あなたがたは、私を通してキリストに導かれたのですから。 + 私の使徒としての権利を問題にする人たちに対して、次のように答えることにしています。 + いったい私には、どんな権利もないのでしょうか。ほかの使徒たちのように、あなたがたの家で、客としてもてなしてもらう権利はないのでしょうか。 + また、もし私にクリスチャンの妻があればの話ですが、ほかの弟子や主の兄弟やペテロ同様、妻を連れて旅行もできないのでしょうか。 + ほかの使徒はあなたがたから生活費をもらっているのに、バルナバと私だけは、生活のために働き続けなければならないのでしょうか。 + いったい、自費で軍務につかなければならない兵士がいるでしょうか。丹精した作物を食べる権利のない農夫の話など、聞いたこともありません。世話をしている羊や、やぎの乳も飲めない羊飼いがいるでしょうか。 + 私は、人間的な考えで言っているのではありません。律法でも同じことを言っているのです。 + 神様は、モーセにお与えになった律法の中で、「穀物を踏んで脱穀している牛に口輪をかけて、その穀物を食べる自由を奪ってはならない」と言っておられます。神様は牛のことだけを心にかけて、こう言われたのだと思いますか。 + 私たちのことも、心にかけておられたのではないでしょうか。働く人が、その人のおかげで益を受ける人々から報酬をもらうのは当然であることを、神様は教えたかったのです。耕す者も脱穀する者も、当然、収穫の分け前にあずかることを期待してよいのです。 + 私たちはあなたがたの心に、良い霊の種をまきました。とすれば、そのお返しとして食べ物や着る物を求めるのは行き過ぎでしょうか。 + あなたがたは、神のことばを伝えてくれたほかの人たちには、そうした必需品を提供しています。それは当然のことです。すると、なおさら私たちは、それらを求める権利があるはずではありませんか。けれども私たちは、一度もこの権利を持ち出したことはありません。かえって、働いて自活し、援助を受けませんでした。どんな報酬も求めなかった理由は、キリストの福音を妨げるのではないかと心配したからです。 + あなたがたは、神殿の奉仕者が神にささげられる食べ物の一部を自分のために受け取ってよいことを知らないのですか。また祭壇に仕える奉仕者は、主へのささげ物の一部をいただくのです。 + 同じように主は、福音を宣べ伝える者が、それを信じるようになった人々から生活を支えてもらうように定めておられます。 + けれども、私はあなたがたにわずかなお金も要求したことはありません。今からでもそうしてほしいと、ほのめかしているのでもありません。実際、無報酬で主のために働くという誇りを失うくらいなら、私は飢え死にしたほうがましです。 + それというのも、福音を宣べ伝えても、別に私の名誉にはならないからです。たとえやめたいと思っても、やめるわけにはいきません。当然、果たすべきこの任務をもしやめたら、全くみじめなことになります。福音を宣べ伝えなかったら、私は災いに会います。 + もし、自分から進んでこの務めを引き受けたのであれば、主は私に特別な報酬を下さるでしょう。しかし、そうではなかったのです。神様が私を選び出して、この聖なる任務につかせてくださったのであって、選ぶ自由などなかったのです。 + このような状況で、私の受ける報酬とはどんなものでしょう。だれにも負担をかけず、自分の権利を少しも主張せずに、福音を宣べ伝えることから来る特別の喜び、これこそ私の報酬なのです。 + これにはまた、すばらしい利点があります。だれからも給料をもらわないということは、だれからも自由だということです。けれども私は、一人でも多くの人をキリストに導くために、自ら進んで、また喜んで、すべての人の奴隷となりました。 + 私はユダヤ人といっしょにいる時は、ユダヤ人のようにふるまいます。それによって、彼らが福音に耳を傾け、キリストに導かれるためです。また、ユダヤ教の習慣や儀式を守っている外国人といっしょにいる時は、私自身はそのことに同意していなくても、議論したりはしません。何とかして、彼らを助けたいからです。 + 異教徒といっしょにいる時は、できるだけ、彼らに合わせるようにしています。もちろん、クリスチャンとしての正しさだけは失わないように気をつけますが。こうして、彼らに合わせることによって、その信頼を得、彼らをも助けることができるのです。 + 良心を悩ませやすい人たちのそばでは、自分の知識をひけらかすような行動をしたり、「それは考えが足りない」などと指摘したりはしません。すると、彼らのほうでも心を開いてくれます。その人が救われるためには、私はどんな人に対しても同じ立場に立とうと心がけています。 + これは福音を伝えるためであり、また、キリストの救いに導かれる彼らを見て、私自身も祝福を受けるためなのです。 + 競走をするとき、優勝者は一人だけです。ですからあなたがたも、優勝するために走りなさい。 + 競走の選手はベストを尽くせるよう、何事にも節制しなければなりません。彼らは、やがては朽ちてしまう栄冠を得ようと、あらゆる困難と戦い、ひたすらトレーニングに励むのですが、私たちは、決して朽ちない栄光を受けるためにそうするのです。 + ですから私は、ゴールを目指して、わき目もふらず全力で走ります。勝つために戦うのです。空を打つようなボクシングをしたり、おもしろ半分に走ったりはしません。 + 自分の体をむち打ってきびしく鍛練し、なすべきことができるよう訓練しています。そうでないと、ほかの人たちを競技に参加させておきながら、自分は失格者として退場を命じられるかもしれないからです。 + + + 愛する皆さん。昔、私たちの先祖が荒野でどんな経験をしたか、決して忘れてはなりません。神様は、雲を先導者として立てて、彼らを導きました。また、全員が安全に紅海を渡りきれるように導きました。 + これは、彼らの「バプテスマ」であったとみなしてよいでしょう。彼らは、モーセに従う者として――すなわち、指導者であるモーセにすべてを任せて――海と雲によってバプテスマを受けたのです。 + さらに神様は奇跡によって、荒野で彼らに食べ物と飲み水をお与えになりました。彼らはキリストから水をいただいたのです。キリストは、信仰に新しい力を与える力強い岩として、いっしょにおられたのでした。 + それにもかかわらず、大部分の者が神に従わなかったので、神様は、彼らを荒野で滅ぼされました。 + この事実から、大切な教訓を学べます。悪事を追い求めてはならないこと、 + また、偶像を拝んではならないことです。〔聖書には、金の子牛を拝むために、「人々は座っては飲み食いし、立っては踊った」と書いてあります。〕 + ほかにも教訓があります。彼らのうちのある人たちが外国人の女と不道徳な罪を犯した時は、一日のうちに二万三千人もが死にました。 + 彼らのように、主がどれだけ忍耐してくださるかを試すようなまねをしてはなりません。主を試そうとした人たちは、蛇にかまれて死にました。 + また、彼らのように、神に向かって文句を言ったり、「神のなさり方は不当だ」などと不平を言ってはなりません。そのために、神様は天使を遣わして、彼らを滅ぼされたのです。 + 先祖たちの身に起こったこれらのことは、同じことをくり返してはならないという私たちへの警告です。それが記録されたのは、世の終わりが近づいている今、私たちがそれを読んで教訓を学ぶためです。 + ですから、よく注意しなさい。「私は、そんなことは絶対にしないから大丈夫」などと思っている人がいれば、そういう人こそ注意しなければなりません。同じ罪を犯すかもしれないからです。 + このことを覚えていてください。あなたがたの生活の中に入り込む誘惑は、別に新しいものでも、特別なものでもないということです。ほかにも多くの人たちが、あなたがたよりも先に、同じ問題にぶつかってきたのです。どんな誘惑にも抵抗するすべはあります。神様は決して、とてもたち打ちできないような誘惑や試練に会わせたりはなさいません。神様がそう約束されたのであり、その約束は必ず実行されるからです。神様は、あなたがたが誘惑や試練に忍耐強く立ち向かえるように、それから逃れる方法を教えてくださいます。 + ですから、愛する皆さん。偶像礼拝を避けなさい。 + あなたがたは賢いのですから、私の言うことが正しいかどうか、自分で考え、判断してください。 + 私たちが聖餐式で主の食卓に着き、ぶどう酒を飲んで、主の祝福を求める時、それは、そのぶどう酒を飲む者がみな、キリストの血の祝福を共に受けることを意味していないでしょうか。また、一つのパンをちぎって共に食べる時、それは、私たちがキリストの体の恩恵を共に受けることを示すのではないでしょうか。 + 私たちの数がどんなに多かろうと、みな同じパンを食べて、同じキリストの体の部分であることを示すのです。 + ユダヤ人のことを考えてごらんなさい。供え物を食べる者は、それによって一つとされているのです。 + 私は何を言おうとしているのでしょうか。異教徒たちが供え物をささげている偶像はほんとうに存在するとか、あるいは、偶像への供え物に何か意味があるとか言おうとしているのでしょうか。いや、違います。 + 私が言いたいのは、彼らのささげる物は、神にではなく、悪霊にささげられたものであるということです。あなたがたの中から、偶像への供え物を異教徒たちと共に食べたりして、悪霊と一つになる人など一人も出てほしくありません。 + 主の食卓の杯と悪霊の食卓の杯の両方を飲むことはできません。同じように、主の食卓のパンと悪霊の食卓のパンを、両方とも食べることなどできません。 + いったい、あなたがたは主を怒らせようとしているのですか。自分が主よりも強いとでも言うのですか。 + もし食べたければ、偶像への供え物を食べても一向にかまいません。それを食べても、神の律法には反しません。しかし、律法に反しないことでも最善とは限らず、また有益とも限りません。 + 自分のことばかり考えてはいけません。他の人を思いやり、何がその人にとって最善か、よく考えなさい。 + こうすればよいのです。市場で売られている肉は、どれでも自由に食べなさい。それが偶像に供えられた物かどうか、いちいち尋ねなくてよいのです。そうすれば良心を傷つけることもないでしょう。 + 地上にある良いものはみな、主のものであり、あなたがたを楽しませるためにあるのです。 + クリスチャンでない人から食事に招待された場合、出される物は何でも食べなさい。それについて、いちいち尋ねてはいけません。尋ねなければ、偶像に供えられた物かどうかわからないし、食べて良心が傷つく心配もありません。 + しかし、もし、「この肉は偶像に供えられたものです」と注意してくれる人がいたら、その人のために、また他の人の良心のために、出された肉を食べるのはやめなさい。 + この場合、肉についての自分の判断よりも、相手の考えが大切なのです。「なぜ他人の考えに支配されたり、束縛されたりしなければならないのですか。 + 神に感謝してそれを食べることができれば、他人からとやかく言われることはないではありませんか」と言うかもしれません。 + しかし、食べるにも、飲むにも、何をするにも、ただ神の栄光を現すためにしなさい。 + 相手がユダヤ人であれ、外国人であれ、教会であれ、だれもつまずかせてはいけません。 + これは私の生活の原則でもあり、何をするにも、私はすべての人に喜んでもらおうと努めています。だから、自分のしたいことや、つごうの良いことをするのでなく、人々が救われるのに最善のことをするのです。 + + + 私がキリストの模範にならっているように、あなたがたも、私の模範にならってください。 + 愛する皆さん。あなたがたが私の教えを忘れず、すべてそのとおり実行していることを、とてもうれしく思います。 + しかし、知っておいてほしいことが一つあります。それは、妻は夫に責任があり、夫はキリストに責任があり、キリストは神に責任がある、ということです。 + ですから、男が祈ったり説教をしたりする時、帽子を取らないなら、キリストを侮辱することになります。 + また、女が頭にベールを着けずに、人前で祈ったり預言したりすれば、夫を侮辱することになります。ベールは、夫に対する服従のしるしだからです。 + 何も着けたくないなら、いっそ髪もそってしまいなさい。もし頭をそるのが女として恥ずかしいことなら、ベールを着けなさい。 + しかし、男は何もかぶるべきではありません。男は神に似せて造られたのであり、神の栄光の現れです。女は男の栄光の現れです。 + 最初の男は女から造られたのではなく、最初の女が男から造られたのです。 + 最初の男アダムは、エバのために造られたのではなく、エバがアダムのために造られたのです。 + そういうわけで女は、男の権威の下にあるしるしとして、頭にベールを着けなければなりません。すべての天使たちがそれを認めて、喜ぶためです。 + しかし、神の計画では、男と女は、お互いを必要とし合う存在であることを忘れてはなりません。 + なぜなら、最初の女は男から造られたとは言っても、それ以後、男はすべて女から生まれたからです。そして、男も女も神から出ているのです。 + あなたがたは、この問題についてどう考えますか。女がベールも着けずに人前で祈ることは正しいでしょうか。 + 女が頭をおおうことは、きわめて自然ではありませんか。長い髪は女の誇りだからです。しかし、男の長い髪は恥なのです。 + たとえ、この点について別の意見の人がいても、私はこのようにしか教えません。すなわち、女が教会で公に預言したり祈ったりする時は、必ずベールを着けなさい。このことは、どこの教会でも同じように考えています。 + さて、もう一つ、私が残念に思っていることを書きます。それは、あなたがたの聖餐式の集まりが益になるどころか、かえって害になっているように思えることです。 + その席で議論し合い、分裂がますます深刻化していると、私の耳にも伝わってきます。それを信じないわけにはいきません。 + たぶん、あなたがたは、だれが正しいかをはっきりさせるには、分裂もやむをえないと思っているのでしょう。 + あなたがたの集まりは、主の晩餐のためではなく、 + 自分たちの食事をするためのものになっています。ほかの人と分け合おうと待っている人など一人もいず、われ先に食べているそうではありませんか。そのため、十分食べられずにお腹をすかしている者もいれば、浴びるほど飲んで酔っぱらっている者もいるということです。 + なんということでしょう。ほんとうに、そうなのですか。食べたり飲んだりなら、自分の家でできるではありませんか。そうすれば、教会の名誉を傷つけたり、食べ物を持って来られない貧しい人たちに、恥をかかせたりしないですみます。このことについて、何と言ったらよいでしょう。ほめてでも、もらいたいのですか。そうはいきません。 + なぜなら、以前あなたがたに伝えたとおり、聖餐式について、主ご自身がこう言われたからです。すなわち、ユダが主イエスを裏切った日の夜、主イエスはパンを取り、 + 神に感謝の祈りをささげてから、ちぎって弟子たちに与え、こう言われました。「取って食べなさい。これは、あなたがたのために裂かれる、わたしの体です。わたしを思い出すために、このようにして食べなさい。」 + 夕食の後、同じように杯を取って言われました。「この杯は、神とあなたがたとの間の新しい契約です。この契約は、わたしの血によって立てられ、効力を発します。これを飲むたびに、わたしを思い出すため、このようにしなさい。」 + ですから、あなたがたは、このパンを食べ、杯を飲むたびに、「主は私たちのために死んでくださった」という主の死の意味を、くり返し告白するわけです。主が再び来られる時まで続けなさい。 + ですから、もしふさわしくないままでこのパンを食べ、主の杯を飲む人がいれば、彼は、主の体と血とに対して罪を犯すことになります。 + したがって、聖餐に臨む前に、めいめいが注意深く、自分を省みなければなりません。 + もしキリストの体を気にもかけず、その意味を考えもせずに、ふさわしくないままでパンを食べ、杯を飲むなら、神のさばきを招くことになります。キリストの死をもてあそんだわけですから。 + あなたがたの中に弱い者や病人が多く、また死者も出たのはそのためです。 + しかし、食べる前に注意深く自分を省みるなら、さばきや懲らしめを受けることはありません。 + けれども、私たちが主にさばかれ、懲らしめられるのは、この世の人々といっしょにさばかれないためです。 + こういうわけですから、愛する皆さん、主の晩餐に集まる時は、皆がそろうまで待ちなさい。 + ほんとうに空腹な人は、家で食べなさい。それは、いっしょに集まりながら、自分の身に罰を受けないためです。そのほかのことは、そちらに行ってから話しましょう。 + + + さて、皆さん。聖霊があなたがたに授けてくださった特別な賜物(贈り物)について書きたいと思います。この点で、少しの誤解もないようにと願うからです。 + 覚えがあると思いますが、あなたがたは異教徒であった時、ひとことも口がきけない偶像のもとへあちこち出かけたものでした。 + ところが、いま接している人たちは、自分は神の御霊から託されたことばを語っている、と主張する人たちです。その人たちがほんとうに神に導かれているのか、それとも、ただそんなふりをしているだけか、どのようにして見分ければよいでしょう。それは、神の御霊の力を受けている者はだれも、イエスをのろうことはできないし、また、聖霊の助けがなければ、だれも、「イエスは主です」と告白できないということです。 + ところで、神様は私たちに、いろいろな種類の賜物を与えてくださっていますが、みな聖霊から出たものです。 + 神への奉仕はいろいろですが、私たちは同一の主に仕えているのです。 + 神様は私たちの生活の中で、いろいろな方法で働きかけてくださいます。しかし、神のものとされた私たちの中で、また私たちを通してお働きになるのは、ただひとりの神です。 + 聖霊は、教会全体の利益のために、私たちを通して神の力を現してくださるのです。 + 聖霊はある人に、賢明な助言者としての賜物を与えておられます。またある人には、研究し、人に教える点ですぐれた賜物を与えておられます。 + また、ある人には特別な信仰を与え、ある人には病気をいやす力を与えておられます。 + そのほか、奇跡を行う力が与えられている人もあれば、預言や説教をする力をいただいている人もいます。また聖霊は、ある人には、「自分は神のことばを与えられている」と主張する人がほんとうに神の霊によって語っているかどうか、見分ける力を与えておられます。さらに、ある人には異言(今まで知らなかった特別なことば)で語る能力を与え、別の人にその異言を解き明かす能力を授けておられるのです。 + こうしたすべての賜物と力は、同一の聖霊が思いのままに、私たちにも与えてくださるものです。 + 人体には多くの部分がありますが、その各部分が結び合わされて、一つの体が成り立っています。キリストの体についても同じことが言えます。 + 私たちはそれぞれ、キリストの体の一部です。ある者はユダヤ人、ある者は外国人、ある者は奴隷、ある者は自由人です。しかし聖霊は、私たちをみな結び合わせて、一体としてくださいました。私たちは、ただひとりの聖霊によって、キリストの体に結び合わされるバプテスマ(洗礼)を受け、みな同じ神の霊を与えられているのです。 + 確かに、体はただ一つの部分からではなく、多くの部分から成り立っています。 + たとえ足が、「私は手ではないから、体の一部ではない」と言いはったところで、体の一部でなくなるわけではありません。 + また、もし耳が、「私は耳で、目ではないから、体の一部ではない」などと言っても、耳が体から離れることができますか。 + 考えてもごらんなさい。もし体全体が目であれば、聞くことができるでしょうか。もし体全体が巨大な一つの耳なら、においをかげるでしょうか。 + 神様は、私たちの体をそのように造られたのではありません。体を形成するために多くの部分を造り、配置されました。 + もし単一の器官でできていたら、体はどんなものになっていたでしょう。 + ですから、神様は多くの器官を造られましたが、体は一つなのです。 + 目が手に、「私には、あなたなんか必要じゃない」などとは決して言えません。また、頭が足に、「あなたなんかいらない」とも言えません。 + それどころか、弱く、不要と思われている部分が、実は最も必要なものです。 + また私たちは、重要でないと思える部分を特に喜ぶのです。そして、人目にさらすべきでない部分は、人に見られないよう注意深く守ります。 + 一方、見られてもよい部分は、特別な注意を要しません。そのように神様は、あまり重要視されない部分が特別に重んじられ、注意深く扱われるように、体を組み立ててくださったのです。 + それは各部分が生かされ、互いにいたわり合うためです。 + もし一つの部分が苦しむなら、すべての部分が共に苦しみます。そして、一つの部分が重んじられれば、すべての部分が喜ぶのです。 + 私は次のことを言いたいのです。すなわち、あなたがたは共に、キリストという一つの体であり、一人一人がなくてはならない部分であるということです。 + キリストは、ご自分の体である教会を形成する個々の部分として、人々を次のように任命されました。使徒、預言者、教師、奇跡を行う者、病気をいやす力のある者、人々を援助する者、人々の働きを管理する者、異言で話す者。 + みなが使徒でしょうか。みなが説教者でしょうか。みなが教師でしょうか。もちろん違います。みなが奇跡を行うでしょうか。 + みなが病気をいやせるでしょうか。神様は全員に、異言で話す能力を与えておられるでしょうか。またそれを、みなが理解し、解き明かすことができるでしょうか。もちろん、そんなことはできません。 + あなたがたは、これらの賜物よりもっと大切なものを、熱心に求めなさい。私は、これらの賜物よりもすぐれたものについて教えましょう。 + + + たとえ私に、異言で話す賜物があり、また、天と地のあらゆることばを話すことができても、愛がないならただの騒音にすぎません。 + 同様に、預言(託された神のことばを語る)の賜物があり、あらゆることに通じていても、また山を動かすほどの強い信仰を持っていても、愛がないなら、何の価値もないのです。 + そして、自分の財産を全部、貧しい人たちに分け与えても、また福音を宣べ伝えるために火あぶりの刑を受けても、愛がなければ、何の価値もありません。 + 愛は寛容であり、親切です。愛は決してねたみません。また、決して自慢せず、高慢になりません。 + 決して思い上がらず、自分の利益を求めず、無礼なふるまいをしません。愛は自分のやり方を押し通そうとはしません。また、いら立たず、腹を立てません。人に恨みをいだかず、人から悪いことをされても気にとめません。 + 決して不正を喜ばず、いつも真理を喜びます。 + 愛は、どんな犠牲をはらっても誠実を尽くし、すべてを信じ、最善を期待し、すべてを耐え忍びます。 + 神からいただいた賜物や能力は、いつかは尽きます。しかし、愛は永遠に続きます。預言すること、異言で語ること、知識などの賜物は、やがて消え去ります。 + たとえ特別な賜物が与えられていても、いま私たちの知っていること、預言することは、ほんの一部にすぎません。 + しかし、私たちが完全な存在とされる時、これら不完全な賜物は不要になり、消え去ってしまうのです。 + それは、こんなことから説明できるでしょう。子どもの時の私は子どものように話し、子どものように考え、子どものように判断していました。しかし、大人になると考え方も成長し、今では子どもっぽいこととは縁を切りました。 + 同様に、今の私たちの神に対する知識や理解は、そまつな鏡にぼんやり映る姿のようなものです。しかし、やがていつかは、面と向かって神の完全な姿を見るのです。いま私が知っていることは、おぼろげで、ぼんやりしています。しかしその時には、いま神様が私の心を見通しておられるのと同じように、すべてがはっきりわかるでしょう。 + いつまでも残るものが三つあります。信仰と希望と愛です。その中で最もすぐれているものは愛です。 + + + 愛を、最高の目標にしなさい。それと共に、聖霊が与えてくださる賜物、特に、神のことばを伝える預言の賜物を求めなさい。 + もしあなたが、聞いたことのない特別なことばである異言を語る場合、それは神への語りかけであって、人々へのことばではありません。人々には、そのことばが理解できないからです。あなたは聖霊の力によって語るのですが、それはみな隠された奥義なのです。 + しかし、神から託されたことばを語る者は、人々を励まし、慰め、人々の主にある成長を助けます。 + ですから、異言を語る者は、自分の信仰を成長させますが、神のことばを語って預言する者は、教会全体が成長することと、きよくなることとを助けるのです。 + 私はあなたがたがみな異言を語ることを望んでいますが、それにもまして、神のことばを語って預言することを望みます。なぜなら、聞いたこともないことばで話すよりも、預言することのほうが、はるかにまさっており、有益だからです。もっとも、異言のあとで、その内容をわかるように説明できるなら、それも少しは役立つでしょう。 + 愛する皆さん。私があなたがたのところで異言を語ったとしても、どうして益になるでしょう。しかし、もし神から与えられた啓示を明かし、神を理解する知識や預言、聖書の解き明かしを語るなら、それは、あなたがたにとって必要かつ有意義なことです。 + 異言で語るより、はっきりした、わかりやすいことばで語るほうがよいことは、笛やハープのような楽器のことを考えてみてもわかります。はっきりした音色が出なければ、どんな曲を演奏しているのか、だれにもわからないでしょう。 + もしラッパがはっきりした音を出さなければ、それが戦闘の合図であっても、兵士にはわかりません。 + 相手に理解できないことばで話しかける場合も同じことです。まるで、だれもいない空間に話しかけるようなものです。 + 世界には非常に多くのことばがありますが、どのことばも、それがわかる人にはすばらしいものです。 + ところが私がそのことばを知らなかったら、話しかけてくる人と私とは、お互いに外国人同士ということになります。 + あなたがたは、聖霊が下さる賜物を熱心に求めているのですから、教会全体の益となるような、最善のものを求めなさい。 + 異言を語る人は、そのことばを自分で理解する力も与えられるように祈りなさい。そうすれば、あとで人々にわかりやすく説明できます。 + もし私が、自分でも理解できないことばで祈るなら、霊では祈っていても、自分では何を祈っているのかわかりません。 + では、どうすればよいのでしょう。異言で祈り、また、だれにでもわかる普通のことばでも祈るのです。異言で賛美し、また、自分にもわかるように、普通のことばでも賛美するのです。 + もしあなたが異言を用いて、霊だけで神を賛美し、感謝をささげても、それを理解できない人たちは、どうしていっしょに賛美できるでしょう。また、どうしていっしょに感謝できるでしょう。 + 確かに、あなたは心からの感謝をささげているのでしょうが、そこにいる人たちには何の益にもならないのです。 + 私は、個人的には、あなたがたのだれよりも多く異言を語ることを、神に感謝しています。 + しかし公の礼拝の場では、異言で一万語話すよりも、人々に役立つ五つのことばを話すほうが、ずっと良いのです。 + 愛する皆さん。こんな道理がわからないような子どもであってはなりません。悪事をたくらむことにかけては、無邪気な赤ん坊でありなさい。しかし、こうしたことを理解する点では、知恵のある大人になりなさい。 + 聖書に言われています。「主は、もつれた舌と外国のことばで自分の民に語るが、それでもなお、民は耳を傾けない」と。 + 異言は信者のためではなく、信じない人々のさばきのしるしとして語られるのです。預言はクリスチャンにとって必要なものですが、クリスチャンでない者は、まだ、それを聞く準備ができていません。 + それにしても、初心の人とか信者でない人が教会に来て、聞いたこともない国のことばで語っている場面に出くわしたら、きっと気が変になっていると思うでしょう。 + しかし、もしあなたがたが、神のことばを語って預言しているなら、まだ救われていない者やクリスチャンになったばかりの者も、自分が罪人であるとはっきり自覚するでしょう。そして、耳にする一つ一つのことばによって良心を刺されるでしょう。 + そのうちに、心の中の隠れた思いがあばかれ、ついには、「神はほんとうにあなたがたの中にいる」と言ってひれ伏し、神を礼拝するでしょう。 + さて、皆さん、私の言おうとすることをまとめてみましょう。あなたがたが集まる時には、ある人は賛美し、ある人は教え、ある人は神から教えられた特別の知識を語ります。ある人は異言を話し、またある人は、その異言の内容を人々に説明します。ただし、これらはすべて全体の益となり、一同が主にあって成長できるよう役立つものでなければなりません。 + 異言で話すのは、せいぜい二人か、多くても三人どまりにしなさい。一人ずつが順番に話し、その内容を解き明かせる人がそばにいなければなりません。 + もし解き明かしのできる人がいなければ、教会では語ってはいけません。自分一人で、神に向かって語りなさい。 + 預言する人も、二人か三人が一人ずつ預言しなさい。そして、ほかの人はみな、それを聞くのです。 + しかし、だれかの預言中に、別の人に主から特別の啓示が与えられたら、先に話していた人は口をつぐみなさい。 + このようにして、預言の賜物に恵まれている人は代わる代わる話しなさい。そして、だれもが学び、励まされ、助けを受けるのです。 + 神からことばを与えられている人は、自分の番が来るまで自制して待つ力も与えられていることを忘れてはなりません。 + 神様は無秩序や混乱の神ではなく、秩序と平和の神だからです。 + 女性は教会の集会では黙っていなさい。口をはさんではいけません。なぜなら、聖書にもはっきり記されているように、女は男に服従すべきだからです。 + もし何か質問があれば、家で夫に尋ねなさい。教会の集会で意見を述べることは、女性としてふさわしくないからです。 + この考えに異存がありますか。神の御心を知るのは自分たちコリントの信者だけの特権だ、とでも思っているのですか。それはまちがっています。 + 預言の賜物や、そのほか聖霊が与えてくださる賜物に恵まれていると自認する人はまず、私の主張が主からの命令であると認めなければなりません。 + もしそれを認めないなら、その人も認められないでしょう。 + ですから、信仰の友である皆さん、神からのことばをはっきりと語れる預言者になれるよう、熱心に願いなさい。また、異言を語るのはよくないなどと言ってはなりません。 + ただし、何事も適切に秩序正しく行うようにしなさい。 + + + さて、皆さん。福音とは何なのかを思い出してほしいのです。それは、以前あなたがたに宣べ伝えたもので、あなたがたが喜んで受け入れたものです。そして、あなたがたの信仰は、そこに根ざしているのです。 + もし初めにいい加減な気持ちで信じたのでなく、今もなお堅く信じているのなら、この福音は、あなたがたを救ってくれるのです。 + まず私は最も大切なこととして、かつて自分も知らされた、次のことを伝えました。すなわち、キリストは、聖書に記されているとおり、私たちの罪のために死なれ、 + 葬られたこと、そして預言者たちの語ったとおりに、三日目に復活されたことです。 + また、キリストはペテロに姿を現し、そのあと十二弟子の残りの者にも現れました。 + さらには、五百人以上のクリスチャンにも姿をお見せになったのです。その中の何人かはもう死にましたが、大部分は今も健在です。 + それから、キリストはヤコブ(主イエスの兄弟)に、そして使徒たち全員に現れました。 + そして最後に、信仰の未熟児のような私の前にも現れてくださったのです。 + 私は、使徒の中では一番小さな者であり、使徒と呼ばれる資格さえない者です。神の教会の迫害者だったのですから。 + 今の私があるのは、あふれるほどに注がれた神の恵みとあわれみによるのです。この恵みとあわれみは、むだではありませんでした。なぜなら、私はほかのどの使徒たちよりも働いてきたからです。けれども、実際に働いたのは私ではなく、私のうちにある神の恵みです。 + よく働いたのが、私であろうとだれであろうと、そんなことは問題ではありません。大切なのは、私たちが福音を宣べ伝え、あなたがたがそれを信じたという事実です。 + しかし、これだけは言わせてください。私たちが伝えたとおり、あなたがたが、キリストの死からの復活を信じているのなら、なぜ、「死んだ者は二度と生き返らない」と言ったりする人が出るのですか。 + もし死者の復活がないなら、キリストは今も死んだままのはずです。 + もしそれが事実なら、私たちが宣べ伝えていることは無意味であり、あなたがたの信仰も価値のないものとなるのです。 + そして、私たちは、大うそつきということになります。なぜなら、もし死者の復活がないのなら、神はキリストを復活させることはなかったはずですが、私たちは、「神がキリストを墓からよみがえらせた」と主張しているからです。 + もし死者が復活しないのなら、キリストも復活しなかったでしょう。 + そして、もしキリストが復活しなかったのなら、信仰はむなしく、あなたがたは今も罪の中にいるのです。 + また、すでに死んだクリスチャンは、みな滅んでしまったことになります。 + もしクリスチャンであることが、この世の生活でしか価値がないのなら、私たちほどみじめな者はありません。 + しかし、事実、キリストは死者の中から復活しました。そして、復活が約束されているすべての人の初穂(その年の収穫の最初の束)となられたのです。 + 一人の人(アダム)の行為によって、死がこの世に入って来ました。そして、このもう一人の人(キリスト)の行為によって、死者の復活が入って来たのです。 + 罪深いアダムにあってすべての人が死んでいるように、キリストによってすべての人が生かされるのです。 + ただし、その順番があります。最初にキリストが復活なさいました。次に、キリストが帰って来られる時に、キリストに属する全員が復活します。 + そのあとで、終わりが来ます。その時、キリストはあらゆる敵を滅ぼし、この世界を父なる神にお渡しになります。 + 王としてキリストが支配なさるのは、敵を全滅させる時までだからです。 + その敵の中には、究極の敵である死も入っています。死もまた滅ぼされなければならないのです。 + というのは、キリストには、すべてのものを支配する権威が、父なる神から授けられているからです。ただ、すべてのものと言っても、この支配権をお授けになった父なる神だけは、もちろんキリストの支配下に含まれません。 + キリストはあらゆる敵との戦いに勝利を収めると、神の子として、ご自分を父なる神の支配におゆだねになります。それは、子にすべてを征服する力をお授けになった神様が、最高の存在となられるためです。 + もし死者の復活がないのなら、死んだ人のためにバプテスマ(洗礼)を受けることには何の意味があるのですか。将来の死者の復活を信じてもいないのに、どうしてそんなことをするのでしょう。 + また、なぜ私たちは、いつも死に直面し、いのちの危険にさらされるのに甘んじているのでしょうか。 + 事実、私は毎日、死に直面しています。このことは、あなたがたの主にある成長を私が誇るのと同じように、確かなことです。 + もし私が、この地上の生涯のためにエペソでの苦難と戦ったのだとしたら、どれだけの価値があったでしょう。死後の復活などありえないのなら、「どうせ明日は死ぬ身だ。大いに飲み食いして、愉快に過ごそう」ということになります。 + そういう人たちにだまされてはいけません。それに耳を傾けていると、同じ状態に陥ってしまいます。 + 目を覚まして、罪を犯すのをやめなさい。あなたがたが恥じ入るためにあえて言いますが、あなたがたの中には、神について実際には何も知らない人がいます。 + しかし、こう聞く人もいるでしょう。「死んだ人は、どのように復活するのですか。どんな体になるのですか。」 + なんと愚かな質問でしょう。畑を見ればわかるではありませんか。まいた種は、まず死ななければ芽を出しません。 + そして、その種から出る緑の芽は、初めの種とは全く別物です。土にまくのは、麦でも何でも、干からびた小さな種粒です。 + ところが神様は、その種に、それぞれにふさわしい、美しく新しい体を与えてくださいます。それで、いろいろな種類の種から、それぞれ植物が成長してくるのです。 + いろいろな種類の種や植物があるように、肉にもいろいろな種類があります。人間、獣、鳥、魚の肉は、それぞれみな異なっています。 + 天使は、私たちとは全く異なった体を持っています。その美しさや栄光は、人間の体の美しさや栄光とは異なっています。 + 太陽には太陽の栄光があり、月や星には別の栄光があります。一つ一つの星にも、美しさや輝きに違いがあります。 + 同じように、死んだら朽ち果てる、私たちの地上の体は、復活の時に与えられる体とは異なったものです。復活の体は決して死にません。 + いま持っている体は、病気や死で私たちを悩ませます。しかし復活の時には、それは栄光に満ちたものとなるのです。確かに、今は死ぬべき弱い体ですが、復活の時には力にあふれた体となるのです。 + そして、今は死ぬべき人間の肉体にすぎませんが、復活の時には、神から与えられる霊の体になります。自然のままの肉体があるように、神からの霊の体も存在するのです。 + 聖書には、「最初の人アダムは、生きたものとなった」と書いてありますが、キリストは、いのちを与える方となられたのです。 + 初めはこのような体をまとっている私たちも、後には、霊の体を与えられます。 + アダムは地上の土から造られた者ですが、キリストは天から来られた方です。 + 人間はだれでも、アダムと同じ土の体を持っています。しかし、キリストのものとなった人はみな、キリストと同じ、天から与えられる体を持つようになるのです。 + 今アダムと同じ体を持っている私たちは、そのように、いつの日かキリストと同じ体を持つのです。 + 愛する皆さん。念を押して言います。地上の、血と肉の体は、神の国から閉め出されます。今の私たちの体は死ぬべきもので、永遠に生きることはできません。 + ここであなたがたに、驚くべき神の奥義を告げましょう。私たちはみな、新しい栄光の体をいただくのです。 + 終わりのラッパが鳴り渡る時、一瞬のうちにそうなるのです。天からラッパの音が響くと、死んでいたすべてのクリスチャンは、たちまち朽ちない新しい体に復活します。次に、まだ生き残っている者もまた、一瞬にして新しい体に変わるのです。 + なぜなら、地上の死ぬべき今の体は、天上の決して死ぬことのない、永遠に生きる体に変えられなければならないからです。 + この時、「死は勝利にのみ込まれた」という聖書のことばが現実となるのです。 + 「死よ。おまえの勝利はどこにあるのか。死よ。おまえのとげはどこにあるのか。」 + 罪、すなわち死をもたらすとげは、ことごとく切り取られます。そして、罪をあばく律法も、もはや私たちをさばきません。 + これらのことを、どう神に感謝したらよいでしょう。神様は、主イエス‧キリストによって、私たちに勝利を与えてくださるのです。 + 愛する皆さん。このように将来の勝利は確実なのですから、しっかり立って、動揺することなく、いつも、主の働きに熱心に励みなさい。なぜなら、復活は確かであり、主のための働きが決してむだに終わらないことを、あなたがたは知っているからです。 + + + さて、エルサレムのクリスチャンあての献金については、次のようにお願いしたいのです。〔この件に関しては、ガラテヤの諸教会にも同様に通知しておきました。〕 + 日曜日ごとに、めいめいが、前の週の収入の一部を別にしておいて、この献金にあてなさい。その額は、主の助けによって得た収入に応じて決めなさい。私がそちらに行ってから、一度に全部集めることなどないようにしてください。 + 私が着いたら、使者として信頼できる人たちを、あなたがたに選んでもらい、手紙を持たせてエルサレムに派遣し、その愛の贈り物を届けさせましょう。 + 私も同行するほうがよければ、そうしましょう。 + 私は、まずマケドニヤに行ってから、あなたがたを訪問する予定です。マケドニヤには、ちょっと立ち寄るだけです。 + しかし、あなたがたのところには長く滞在するつもりです。もしかしたら、ひと冬を過ごすかもしれません。そうなれば、あなたがたに送られて、次の目的地へ向かえます。 + 旅の途中で会って、すぐに別れを告げるようなことはしたくないのです。主のお許しがあれば、しばらく滞在したいと思っています。 + ただ、五旬節(ユダヤ教の祭りの一つ)まではエペソを離れません。 + エペソでは、福音を宣べ伝えるための門戸が、広く開放されているからです。しかし、それだけにまた、敵対する者も多いのですが。 + テモテが着いたら、あたたかく迎えてやってください。彼も私と同じように、主の仕事に励んでいる人です。 + 彼が若いからといって、見下したり、無視したりしないでください。彼がそちらでのすばらしい体験を胸に、喜び勇んで帰って来られるようにしてください。私は、彼ら一行の帰りを、首を長くして待っています。 + 私はアポロにも、ほかの人たちと共にコリントへ行くようにとしきりに勧めたのですが、彼には、今、それが神の望んでおられることだとは、どうしても思えないようです。あとで機会があれば行くでしょう。 + 目を覚まして、霊的な危険に身構えていなさい。いつも主に忠実でありなさい。男らしく行動し、強くありなさい。 + すべての点で、親切と愛から出た行動をとりなさい。 + ステパナとその一家を覚えているでしょう。ギリシヤで最初にクリスチャンになった人たちです。今、あちこちのクリスチャンのために、熱心に援助や奉仕の活動をしています。 + どうか、彼らの指示には従ってください。また、彼ら同様、あなたがたのために真心から献身的に働いている人たちを、できる限り助けてください。 + ステパナとポルトナトとアカイコの来訪を、心から喜んでいます。この人たちは、離れていて手助けできないあなたがたに代わって、助けてくれたのです。 + 彼らから私が受けた励ましは大きく、たいへん勇気づけられました。あなたがたもきっと励まされたことでしょう。このような人たちに、心から感謝してください。 + アジヤの諸教会から、くれぐれもよろしくとのことです。アクラとプリスカ、また礼拝のためにその家に集まっている人々が、心からよろしくと言っています。 + こちらの友人たち全員が、よろしくとのことです。あなたがたも、会った時には、互いに愛のこもったあいさつを交わしなさい。 + この手紙の最後のことばは、私が自分で書きます。 + もし主を愛さない人があれば、その人はのろわれます。主イエスよ、来てください。 + 主イエス‧キリストの愛と恵みが、あなたがたと共にありますように。 + 私の愛が、キリスト‧イエスにあって、あなたがた一同と共にありますように。パウロ + +
+
+ + 神からキリスト‧イエスの使徒に任命されたパウロと、信仰の友テモテから、コリントおよびギリシヤ全土に住むすべてのクリスチャンへ。 + どうか、私たちの父なる神と主イエス‧キリストが、あなたがた一人一人に、あふれるほどの祝福と平安とを注いでくださいますように。 + 私たちの神様は、なんとすばらしいお方でしょう。神様は主イエス‧キリストの父であり、あらゆる慈愛の源です。そして、私たちが苦しみや困難にあえいでいる時、慰めと励ましを与えてくださるお方です。それは、苦しみの中にあって慰めと励ましを必要としている人々に、私たちも、神から受ける助けと慰めを与えることができるためです。 + 私たちがキリストのために苦しめば苦しむほど、より豊かにキリストから慰めと励ましが与えられることは確かです。 + 私たちが大きな苦しみに会うのも、あなたがたが神の慰めと救いを受けるためです。現に神様は、苦しんでいる私たちを慰めてくださいました。それは、あなたがたのためでもあるのです。つまり、あなたがたが私たちと同じような苦しい境遇に立たされた時、神の慰めがどれほどやさしさに満ちたものであるかを知ることができるのです。神様は必ず、苦しみに耐え抜く力を与えてくださいます。 + 愛する皆さん。私たちがアジヤで味わった苦しみについて、ぜひ知っていただきたいと思います。私たちは非常に激しい迫害を受け、打ちのめされて、もうこれ以上生き延びるのはむりかと思いました。 + 死を覚悟し、自分の無力さを痛いほど思い知らされました。しかし、それがよかったのです。というのは、そんな状態の中で、何もかも神にお任せしたからです。死者を復活させることさえできるお方なのですから。 + やはり、神様は私たちを助け、恐ろしい死の危険から救い出してくださいました。これからも、何度でも、救い出してくださるに違いありません。 + あなたがたも、祈りによって私たちを助けてください。それは、私たちの安全を願うその祈りに、神がはっきりと答えてくださるのを見て、あなたがたがもっと感謝と賛美をささげるようになるためです。 + 私たちは、どんな場合でも、自分の知恵に頼らず、助けてくださる主に信頼し、きよさと誠実さをもって行動してきました。特にあなたがたに対しては、そのようにふるまってきました。胸を張ってそう言うことができます。 + 私の手紙は、単刀直入に、しかも真心をこめて書いたものです。どちらにも取れるあいまいなことは、決して書いていません。それで、たとえ今は、私についてあまりよく知らないあなたがたでも、私を受け入れ、私を誇りとしてくださるよう望みます。もちろん今も、ある程度そうしてくれていますが、今以上に、主イエスがもう一度帰って来られる日に、私があなたがたを誇りにするくらいにです。 + あなたがたの私に対する理解と信頼を確信したので、次のような計画を立てました。マケドニヤへ向かう途中、まずコリントであなたがたに会い、また帰りにも立ち寄るという計画です。そうすれば、あなたがたは二倍の祝福を受けることができ、私もあなたがたに送られてユダヤへ行けるからです。 + では、なぜその計画を変更したのか、と尋ねられるかもしれません。その決心が、まだ固まっていなかったからでしょうか。それとも、私も世間の人のように、ほんとうは「いいえ」と言いたいのに、「はい」と言ったりしたのでしょうか。 + 絶対にそんなことはしません。私の「はい」は、ほんとうに「はい」なのです。 + テモテとシルワノと私は、神の子キリスト‧イエスについて語ってきました。この方は、本心は「いいえ」なのに「はい」と言われる方ではありません。いつも、ことばどおり実行なさいます。 + また神の約束は、ことごとく実行され、完成されました。それで私たちは、この方がどんなに真実な方か、すべての人に知らせ、その御名をほめたたえるのです。 + あなたがたや私を忠実なクリスチャンとし、また私たちを、キリストの福音を宣べ伝える使徒に任命してくださったのは、この神様です。 + また、神のものとなった証拠の印を私たちに押し、私たちの心に御霊を遣わしてくださったのも神様です。御霊は、私たちが神のものであることの保証であり、また、神が下さる最初の贈り物です。 + この神に証人となっていただいて、少しの偽りもない真実を述べましょう。私がまだあなたがたを訪問しないでいるのは、信仰に関してきびしくしかりつけて、悲しい思いをさせたくないからです。 + コリントへ行く時には〔もっとも、すでにしっかりした信仰を持っているあなたがたのために、私はそう役に立てるわけではありませんが〕、あなたがたに喜んでもらえるようにと願っています。悲しみではなく、喜びをもたらしたいのです。 + + + 私は、「コリント教会の人々を苦しめるような訪問は二度とすまい」と、自分に言い聞かせました。 + もし、私があなたがたを悲しませているとしたら、どうして喜べるでしょう。私を喜ばせることができるのは、あなたがただけです。それなのに、私があなたがたを苦しませているとしたら、どうして喜ばせてもらえるでしょう。 + 前の手紙であのように書いたのは、私が行く前に、あなたがたの手で事を処理してもらいたかったからです。そうすれば、会って、一番喜ばせてくれるはずの人たちから、悲しい思いをさせられなくてすむでしょう。あなたがたの喜びと私の喜びとは、切っても切れない関係なのですから。私が喜び勇んで行くのでなければ、あなたがたも幸福な気持ちにはなれません。 + どんなにつらい思いであの手紙をしたためたことでしょう。胸も張り裂けんばかりの思いで、涙ながらに書いたのです。傷つけるつもりなどさらさらなく、あなたがたをどれほど愛しているか、また、あなたがたの間で起こった問題をどんなに心にかけているか、ぜひ知ってもらいたかったのです。 + 覚えておいてください。あの手紙に書いた、今度の事件の張本人は、私を悲しませたというより、あなたがた全体を悲しませたのです。――もっとも、私もずいぶん悲しい思いをしましたが。私はその人に対して、必要以上にきびしい態度をとりたくありません。彼は多くの人から責められて、もう十分罰を受けています。 + 今はむしろ、赦し、慰めてあげなさい。そうしないと、あまりの悲しみと絶望に打ちひしがれて、立ち直れなくなるかもしれません。 + ですから、あなたがたが今もどんなに深くその人を愛しているか、どうぞ示してあげてください。 + 私の手紙は、あなたがたがどのくらい私の指示に従ってくれるかを確かめるためのものでした。 + あなたがたがだれかを赦すなら、私もその人を赦します。何であれ、私が赦したのは、キリストの権威によって、あなたがたのために赦したのです。 + 赦さなければならない理由はほかにもあります。それは、サタンにだまされないためです。私たちはサタンのたくらみを知っているのです。 + 私がトロアスの町まで行った時、主は、福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を伝える絶好の機会を与えてくださいました。 + ところがそこでは、信仰の友である、愛するテトスに会えなかったので、彼がどこにいるのか、その身に何か起こったのではないかと気がかりでなりませんでした。そんなわけで、何とかしてテトスに会おうと、人々に別れを告げ、まっすぐマケドニヤに向かったのです。 + しかし、神に感謝します。神様は、キリストの働きのゆえに、私たちを勝利の行進に加えてくださいました。今、神様は私たちを通して、キリストの福音の香りを放ってくださいます。 + 私たちの生活には、かぐわしい香りが漂っています。それは、私たちのうちにあるキリストの香りであって、救われる人々にも、滅びる人々にも、一つの香りなのです。 + 滅びる人々にとっては、私たちは死と滅びの恐れに満ちた香りですが、キリストを知る人々にとっては、いのちを与える香りなのです。このような任務にふさわしい者とは、いったいどんな人でしょう。 + それは、私たちのように神から遣わされて、真心から語る者、キリストの力によって神の前で語る者だけです。私たちは、多くの人がするように神のことばをつごうよく曲げて、売り歩くようなことはしません。 + + + 私は今、偽教師のまねをして自分の推薦を始めているのでしょうか。あなたがたの身近にいる偽教師たちは、自分で自分を推薦したり、あなたがたあての長い推薦状を持って行ったりしなければならないような人たちです。しかし私たちは、だれからも推薦状を書いてもらう必要などないと思っています。また、あなたがたからの推薦状も必要ではありません。 + 私たちの推薦状は、あなたがた自身です。あなたがたの心の、そのすばらしい変わりようを見れば、だれにも、私たちの良い働きは一目瞭然です。 + あなたがたそのものが、私たちが書いた「キリストからの手紙」であり、それはペンとインクではなく、生ける神の御霊によって書かれ、石の板にではなく、人の心に刻み込まれた手紙です。 + 大胆にこのような自慢をするのは、キリストを通して、心から神に信頼しているからにほかなりません。すなわち、神様は必ず、私たちのことばが真実となるよう助けてくださると信じているからです。 + それは私たちが不変の価値がある何かを、自分の力でできると考えているからではありません。私たちの力も成功も、ただ神から来るのです。 + 神様は私たちが、人々を救う新しい契約について、人々に知らせることができるように助けてくださいました。それは、「神の律法(おきてや戒律)を全部守れ。さもないと滅びるぞ」と教えているのではありません。「御霊が新しいいのちを下さる」と教えているのです。「モーセの十戒」を守って救われようとする、古い方法の行き着く先は死です。しかし新しい方法によれば、御霊からいのちをいただけるのです。 + けれども、死に通じる、石板に刻まれた文字による方法も、初めは輝かしい栄光をおびていたのです。その栄光のまばゆさに、イスラエルの人々は、モーセの顔をまともに見られないほどでした。従うべき神の律法を示した時のモーセの顔は、神の栄光そのもので光り輝いていたからです。――もっとも、その輝きは、やがて消え去る運命にあったのですが。 + とすれば、御霊がいのちを与えてくださる、この今の時には、はるかにすばらしい栄光を期待できるのではないでしょうか。 + 死に通じる計画にも栄光があったのなら、人々を神との正しい関係に導く計画には、なおさら栄光が満ちあふれるのです。 + 事実、モーセの顔の最初の栄光は、新しい契約の圧倒的な栄光に比べれば、取るに足りないものです。 + もし消え去ってゆく古い方法にも天の栄光が満ちていたとすれば、私たちの救いのために立てられた、永遠に続く神の新しい契約には、はるかにまさった栄光があるはずです。 + この新しい栄光は決して消え去らないと確信しているので、私たちはきわめて大胆に語れるのです。 + そしてモーセのように、栄光の消えていく様子をイスラエルの人々から隠すため、顔に覆いをかけたりはしません。 + 覆いがかけられたのは、モーセの顔だけではありません。イスラエルの人々の霊的理解力も覆われたのです。今でも、聖書が朗読される時、ユダヤ人の思いには、厚い覆いがかかっているように思えます。というのは、聖書のほんとうの意味を知ることも、理解することもできないからです。この覆いは、キリストを信じて初めて取り除かれるのです。 + 確かに今日でも、彼らがモーセの書を朗読する時、その心には覆いがかかったままです。 + しかし、だれでも罪に背を向け、主のほうに向く時、その覆いは取り除かれます。 + 主は、いのちを与えてくださる御霊です。御霊のおられるところには自由があります。 + 私たちには顔の覆いがありません。鏡のように、主の栄光をはっきり映すことができます。そして、主の御霊が私たちのうちで働いてくださるにつれ、私たちはますます主に似た者にされていくのです。 + + + 福音を伝えるという、このすばらしい務めに私たちを任命してくださったのは、神ご自身です。それはあわれみによるのです。ですから、私たちは決して落胆しません。 + 信じさせるために、あれこれたくらむようなまねはしません。だましたりしたくないのです。書かれてもいないことを、聖書の教えであるかのように思わせることもしません。そのような恥ずかしい方法は用いません。語る時には、神の前に立って真実を語ります。私たちを知っている人はみな、このことを認めてくれるはずです。 + もし私たちの宣べ伝える福音が、だれかの目に隠されているとしたら、永遠の滅びに向かっている人に対してです。 + それは、この邪悪な世の神であるサタンのしわざです。目隠しをさせて、その人の上に輝いている福音の栄光が見えないようにしているのです。また、まことの神、キリストの栄光に関する私たちの証言を理解できないようにしているのです。 + 私たちは、自分のことを宣伝しているのではありません。主であるキリスト‧イエスを宣べ伝えているのです。私たちはただ、イエスが私たちのために成し遂げてくださったことを知ったので、あなたがたに仕える者となっただけです。 + 「闇の中に光が輝け」と言われた神様が、私たちに、イエス‧キリストの御顔に輝いている、神の栄光の輝きを理解させてくださったからです。 + このすばらしい宝〔私たちのうちに輝いている光と力〕は、こわれやすい器〔私たちの弱い肉体〕の中に入っています。私たちのうちにある栄光に満ちた力は、神に与えられたものであって、私たち自身から出たものでないことは明らかです。 + 私たちは四方八方から苦しめられ、圧迫されますが、押しつぶされ、打ちのめされることはありません。「どうしてこんなことが」と途方にくれることがあっても、行きづまることはありません。 + 迫害されますが、神に見捨てられることはありません。打ち倒されても、また立ち上がって、前進を続けます。 + この体は、かつてのイエス様がそうであったように、いつも死に直面しています。ですから、私たちを安全に守ってくださる方は、私たちのうちに生きておられるイエスだけであることが明らかになるのです。 + まことに私たちは、主に仕えているために、絶えず死の危険にさらされています。しかし、そのことでかえって、死ぬべき私たちの体によって、イエス‧キリストのいのちを明らかに示す機会が与えられているのです。 + 私たちはキリストの福音を宣べ伝えているために、死に直面しています。しかしその結果、あなたがたに永遠のいのちが与えられるのです。 + 詩篇の作者は、「私は信じている。それゆえに語る」(116‧10)と言いました。同じように私たちも、自分が神の守りの中にあることを確信して、信じていることを大胆に語ります。 + 主イエスを死から復活させてくださった神様が、私たちをもイエスと共に復活させ、あなたがたといっしょに御前に立たせてくださることを信じています。 + こんな苦しみに甘んじているのも、あなたがたのためを思うからです。キリストに導かれる人が増えれば増えるほど、その大きな恵みがますます多くの人におよんで、感謝に満ちあふれ、主の栄光が明らかになるのです。 + ですから、私たちは決して落胆しません。肉体はしだいに衰えますが、うちにある力は日ごとに強くなっていきます。 + 今の私たちの苦しみや悩みは、結局のところ、取るに足りないものであり、それほど長くは続きません。そして、このつかの間の苦しみは、永遠に尽きない、あふれるばかりの神の祝福をもたらすのです。 + ですから私たちは、いま見えるもの、すなわち身の回りの苦しみには目をとめません。むしろ、今は見えない天にある喜びを望み見ているのです。苦しみは、やがて消え去ります。しかし、その喜びは永遠に続くのです。 + + + 私たちがいま住んでいる地上の家が取りこわされても〔すなわち、私たちが死んでこの肉体を離れても〕、天には新しい体、永遠に保証された家があります。それは、人の手ではなく、神の手でつくられた家です。 + 今のこの体は傷み衰えていますが、天で与えられる体を新しい着物のようにまとえる日を、首を長くして待っているのです。 + それを着れば、体のない霊だけの状態でいることはないからです。 + この地上の体のために嘆きやうめきがありますが、だからといって、死んで、体のない状態になりたいとは思いません。その新しい体を着たいと願うばかりです。そうすれば、この死ぬべき体が、永遠のいのちにのみ込まれてしまうからです。 + これこそ、神様が私たちのために用意してくださったことであり、その保証として、御霊を遣わしてくださったのです。 + いま私たちは、確信をもって天で与えられる体を待ちこがれています。また、このように地上の体で過ごしている間は、イエスと共に過ごす、天国の永遠の家から離れていることもよく知っています。 + 実際に見ることによってではなく、信じることによって、これを事実と認めているのです。 + ですから、少しも恐れません。むしろ、死ぬことは願わしいのです。それは、天の家に主と共に住むことを意味するからです。 + そういうわけで、地上でこの肉体のままでいようと、肉体を離れて主と共に天にいようと、私たちの目的は、いつも主に喜ばれることです。 + なぜなら、やがて私たちはみな、キリストの前でさばきを受けなければならず、全生活がさらけ出されることになるからです。善であれ悪であれ、地上の体でいる時の行いに応じて、私たちはそれぞれ、ふさわしい報いを受けるのです。 + ですから、私たちの心にいつも主を恐れる思いがあるのです。それで、ほかの人々を説得しようと必死になっているのです。それが純粋な気持ちから出ていることを、神様はご存じです。だから、あなたがたにもこのことをはっきり知っていただきたいと、心から願っています。 + またしても、私たちが自己推薦を始めたと思いますか。そうではありません。ただ、あなたがたを、外見上のりっぱさを誇りながら、実際には、心の中は偽りと不誠実で満ちている人たちに対抗できるようにさせたいのです。あなたがたは、私たちの動機が正しく、しかも誠実である点を誇ることができます。 + 自分のことをこのように言うとは、気がおかしくなったのでしょうか。もしおかしくなったとすれば、それは神の栄光のためです。もし正気であるとすれば、あなたがたのためです。私たちは何をするにしても、自分の利益を求めるのではなく、キリストの愛に動かされて行っているのです。キリストが私たちのために死んでくださったことを信じる以上、自分が、今までの古い生活に対して死んだことも信じなければなりません。 + キリストは全人類のために死んでくださいました。それは、キリストから永遠のいのちをいただいて生きる人がみな、もはや自分を喜ばせるためではなく、自分のために死んで復活されたキリストに喜ばれるように生きるためです。 + ですから、世間の評判や、外見の良し悪しで、人を評価するのはやめなさい。以前、私は、その誤った考え方で、キリストのことを自分と同じ人間とみなしていました。しかし今では、その考えは一変しました。 + だれでもクリスチャンになると、内側が全く新しくされます。もはや今までと同じ人間ではありません。新しい人生が始まったのです。 + この新しい出来事はすべて神から出ています。神様は、キリスト‧イエスの働きによって、私たちをご自分のもとに連れ戻してくださいました。そして、この恵みによる神との和解を、すべての人に勧める特権をも、私たちに与えてくださったのです。 + つまり、キリストによって、この世をご自分と和解させ、その罪を数え立てずに、かえって帳消しにしてくださったのです。これが、人々に伝えるようにと私たちにゆだねられた、すばらしい知らせです。 + こういうわけで、私たちはキリストの大使です。神様が、私たちの口を通して語りかけてくださるのです。キリストが懇願しておられるかのように、キリストに代わって、あなたがたにお願いします。どうか、差し出された愛を拒まず、神様と和解してください。 + それは神様が、罪のないキリストに私たちの罪を負わせ、それと引き換えに、私たちに恵みを注いでくださったのですから。 + + + 神と共に働く者としてお願いします。神の恵みをむだに受けないように気をつけてください。 + 神様はこう言われるからです。「恵みの時に、あなたの叫びはわたしに届いた。救いが差し出されている日に、わたしはあなたを助けた。」まさしく今、神様はあなたを喜び迎えようとしておられます。今日、あなたを救おうとしておられます。 + 私たちは、自分たちの行動がだれかをつまずかせたり、主との出会いを妨げたりすることがないように、また、主を非難する口実に用いられないように気をつけています。 + あらゆる点で、自分がほんとうに神に仕える者であることを示そうと努めているのです。次から次へと襲って来る悩み、苦しみ、困難にも、しんぼう強く耐えています。 + むちで打たれたことも、投獄されたことも、怒り狂う暴徒に取り囲まれたこともありました。ある時は力尽きるまで働き、ある時は一睡もせずに夜を明かし、また食べる物のない日もありました。 + 健全な生活と福音に対する理解と忍耐とによって、自分の口に偽りがないことを証明してきました。いつも親切にし、愛に富み、聖霊に満たされてきました。 + 何をするにも、神の力に助けられて、真実を貫いてきました。神を敬う人に備わる義の武器を、いつも手にしていました。 + 人に尊敬されようと軽蔑されようと、あるいは非難されようと賞賛されようと、主への忠誠に変わりはありません。人からはうそつきと呼ばれようと、私たちは正直です。 + この世から無視されても、私たちは神に認められています。死に直面しながらも、このとおり生きています。傷つけられたこともありますが、死を免れてきました。 + 心に痛みがありますが、同時に主の喜びも持っています。貧しいように見えても、霊的に多くの人を富ませています。何も持っていなくても、あらゆるものに満たされています。 + 愛するコリント教会の皆さん。私は心にあることをみな、お話ししました。私は心の底から、あなたがたを愛しているのです。 + 今なお私たちの間に冷たい空気があるとしても、私に愛が欠けているせいではありません。あなたがたの愛があまりにも少なくて、私まで届かないのです。 + 今、実の子どもに対するように、あなたがたに話しています。どうか心を開いてください。私たちの愛にこたえてください。 + 神を愛していない者の仲間入りをしてはいけません。神の民と罪の民との間に、いったいどんな共通点があるでしょう。光と暗闇とが、どうして共存できるでしょう。 + キリストと悪魔との間に、何の調和があるでしょう。クリスチャンが、信じていない人とどうして手をつなぐことができましょう。 + 神の宮と偶像との間に、何の一致があるでしょう。あなたがたは神の宮であり、生ける神の住まいなのです。神様はあなたがたについてこう言われました。「わたしは彼ら(神の民)のうちに住み、その間を歩む。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。」 + それゆえ、主はこう言っておられます。「彼ら(神の民)から立ち去り、縁を切れ。その汚れたものに触れてはならない。そうすれば、わたしはあなたがたを迎え入れ、 + あなたがたの父となり、あなたがたはわたしの息子、娘となる。」 + + + 愛する皆さん。私たちは、このようにすばらしい約束を与えられているのですから、肉体と霊を汚すすべてのものときっぱり縁を切って、自分をきよめようではありませんか。そして心から恐れかしこんで、神だけに自分をささげようではありませんか。 + どうか、もう一度心を開いてください。だれ一人、私たちから害を受けた人はいないはずです。また、惑わされた人もいません。私たちは、だましたことも、人をうまく利用したこともありません。 + あなたがたをしかったり、責めたりするためにこう言うのではありません。前にも言ったように、私はいつも心の中であなたがたのことを思い、生も死も共にしているのです。 + 私はあなたがたに信頼を寄せ、あなたがたをたいへん誇りに思っています。私はあなたがたのことで大いに勇気づけられ、どんな苦しみの中でも喜びに満ちました。 + マケドニヤに着いた時、私たちには少しの安らぎもありませんでした。外には四方八方に困難が立ちふさがり、心は恐れと不安でいっぱいでした。 + その時、神様は意気消沈している者を励まし、テトスの帰還によって元気づけてくださいました。 + また、テトスの帰還もさることながら、彼があなたがたのところですばらしい時を過ごしたと聞いて、とてもうれしく思いました。あなたがたがどんなに私の訪問を待ちこがれているか、この前の事件でどんなに嘆き悲しんでいるか、また、どんなに私に忠実であり、心から愛してくれているか、彼が報告してくれました。それを聞いて、私はほんとうに喜びました。 + あの手紙を書き送ったことを、もう後悔していません。実は、あれがあなたがたをどんなに苦しめたかを知って、一時はとても後悔したのです。けれども、あなたがたを苦しめたのは、つかの間にすぎませんでした。 + 今では、あの手紙を送ってよかったと思っています。苦しませたからではなく、その苦しみのおかげで、あなたがたが神様に立ち返ったからです。それは、神様がご自分の民に経験させたいと望んでおられる、良い意味での悲しみだったのです。もうこれで、そちらに行ってきびしくしからないですみます。 + 神様は時々、罪を断ち切り、永遠のいのちを求めさせるために、私たちに悲しみを与えます。そのような悲しみを嘆いてはなりません。しかし、この世の人の悲しみは、真の悔い改めに導く悲しみではないので、永遠の死を食い止める力がありません。 + 考えてもごらんなさい。主が与えられたこの悲しみは、どんなに益となったことでしょう。あなたがたはそこで絶望せず、かえって、私が手紙で指摘した罪を取り除こうと、誠意をもって努力しました。あんな出来事が起こったことに恐れをいだき、私の来訪と助けとを心から願うようになりました。正面からこの問題に取り組み、罪を犯した者を処罰して、問題を解決しました。実際、事態を正しく処理するために、あなたがたはできる限りのことをしたのです。 + あの手紙は、あなたがたがどんなに私たちのことを心にかけていてくれるか、主の前で明らかにするために書きました。実は、これこそ、罪を犯した本人や被害者を助けること以上に、私が願ったことなのです。 + こういうわけで、あなたがたの愛を知って、私たちは大いに勇気づけられました。その上、テトスの喜びが加わって、喜びも倍増しました。あなたがたがテトスをあたたかく迎え入れ、くつろがせてくれたおかげです。 + テトスが出発する前、私は彼に、あなたがたのことを誇りに思っていると話しておきましたが、よくぞ信頼にこたえてくれました。私はいつも真実を語ってきましたが、テトスに誇ったこともうそではなかったと証明されたのです。 + テトスは、あなたがたが彼のことばに喜んで耳を傾け、非常な心づかいと深い関心をもって受け入れてくれたことを思い出しては、今まで以上にあなたがたへの愛を深めています。 + いま私たちの間には、何のわだかまりもなくなり、ほんとうにうれしくてたまりません。再び、あなたがたに全幅の信頼を寄せることができるのですから。 + + + ところで、神様がマケドニヤの諸教会にどんな恵みを施されたか、お知らせしたいと思います。 + 多くの試練や困難のただ中にあったマケドニヤの諸教会が、ひどく貧しいにもかかわらず喜びに満ち、その結果、あふれるほど惜しみなく、他の人々に施すようになりました。 + 自分たちの力に応じてささげたばかりでなく、力以上にささげました。私がやかましく催促したからではなく、自発的にそうしたのです。 + 「エルサレムのクリスチャンを援助できるのは光栄です。ぜひその仲間に入れてください」と、熱心に願ったのです。 + 何よりもすばらしいのは、彼らが期待をはるかに超えることをしてくれた点です。まず、自分自身を主にささげ、また私たちにもゆだねてくれました。それは、神様が私たちを通してどんなことをお命じになっても、それに従うためです。 + このような献金に対する彼らの熱意を見て、私たちはテトスに、あなたがたのところへ行くよう強く勧めたのです。初めに献金を勧めたテトスが、この際、あなたがたを励まして、献金の奉仕を完了させるのがよいと思ったからです。 + あなたがたは、多方面にわたって指導的立場にある人々です。あつい信仰も持っています。神のことばを語るのにすぐれた人々も大ぜいいます。広い知識、燃えるような熱心、私たちに対するあふれるほどの愛も持っています。そこで今、喜んでささげるという精神においても、指導者になっていただきたいのです。 + これは命令ではありません。献金しなければならない、と言っているのではありません。ただ、ほかの人々の献金に対する熱心さを話しているのです。しかし、この献金の奉仕は、あなたがたの愛が単に口先にとどまらず、真実のものだと証明する一つの手段にはなるでしょう。 + あなたがたは、主イエス‧キリストが、どんなに愛と恵みに満ちておられたかを知っています。あれほど富んでおられた主が、あなたがたを助けるために、あれほど貧しくなられました。その貧しさによって、あなたがたを富む者とするためでした。 + 一年前に始めたことを、この際、やり遂げてみたらどうでしょう。この献金を最初に申し出たのも、最初に実行に移したのも、あなたがたなのですから。 + あんなに熱意を持って始めたのですから、自分の持っているものの中から、ささげられるものはみなささげ、喜んでこの計画を完成すべきです。最初の熱意が、現在の行動にも現れてほしいものです。 + ささげる熱意がほんとうにあるなら、いくらささげるべきかは問題ではありません。神様は、持っていないものまでささげるようにとはおっしゃいません。 + 私は、献金を受ける人たちが、あなたがたの犠牲によって楽をするのは当然だと言っているのではなく、 + 両者が分け合うべきだと言っているのです。現在あなたがたは豊かなので、彼らを援助できます。そして、今度いつか、あなたがたに助けが必要な時は、彼らが助けてくれるでしょう。こうして、互いに必要なものを受け取るのです。 + このことについて、聖書に何と書いてあるか覚えていますか。「多く集めた者も余ることがなく、少ししか集めなかった者も足りないことがなかった」とあります。ですから、困っている人たちと分かち合いなさい。 + テトスも私と同じように、心からあなたがたのことを思っています。テトスをこのような気持ちにさせてくださった神に感謝します。 + 彼は私の勧めに喜んで従い、もう一度あなたがたのところへ行こうとしています。――もっとも、私が勧めなくても、彼は行くことにしたでしょう。心から、あなたがたに会いたがっているのですから。 + もう一人の、よく知られている友人を同行させます。この人は、キリストの福音を宣べ伝える者として、どこの教会でも大いに賞賛されている人です。 + その上、私と共にエルサレムに献金を届ける役目に、諸教会から選出された人です。この働きは、主の栄光を現し、また、互いに助け合おうとする、私たちの熱意を示すものです。 + このように同行者を連れて行くのは、だれにも疑いをさしはさむ余地を与えないためです。この多額の献金の取り扱いについては、一点の非難も受けてはならないと、気を配っているのです。 + 私たちの公明正大さを神はご存じですが、それが他のすべての人にも明らかになってほしいので、このように取り計らいました。 + また、もう一人の友人にも行ってもらいます。実に多くの点で、この人が熱心なクリスチャンだとわかります。あなたがたが献金に熱心であることを話したところ、彼は特別関心を持った様子で、今度の旅行を心待ちにしています。 + もしだれかにテトスのことを聞かれたら、あなたがたのために働く私の協力者だ、と答えてください。また、ほかの二人の友人については、こちらの教会の代表で、クリスチャンのすばらしい模範だと言ってください。 + どうか、私に対するのと同様、この人たちにも愛を示してください。そうして、私が公の場で、「コリント教会の人たちなら、きっとこうします」と、彼らに誇ってきたことを裏づけてください。 + + + 神の民である人々を援助することについては、今さら言う必要はありません。 + その件についての、あなたがたの熱心さを知っているからです。一年も前から献金を送る準備を進めてくれていることを、私はマケドニヤの友人たちに誇ってきました。実際、その影響を受けて、多くの人が他者への援助を始めたい気持ちに駆り立てられたのです。 + ところで、今度、この友人たちに行ってもらうことにしたのは、私の誇りにたがわず、あなたがたが、ほんとうに献金をそのとおり集めて準備しているか確かめるためです。私の自慢が当てはずれだったなどということのないよう願っているのです。 + もしマケドニヤの人たちが私といっしょに行って、あなたがたがまだ準備していないのを見たら、どうでしょう。あれだけ信じきっていた私は、非常に恥をかくことになるでしょう。そしてもちろん、あなたがたも恥ずかしい思いをするでしょう。 + そこで、あなたがたが前に約束した贈り物の準備が整っているかどうか見るために、この友人たちにお願いして、先発隊として行ってもらうことにしました。それが真心からの贈り物であって、強制されたものでないようにと願っています。 + しかし、次のことは心にとめておいてください。すなわち、少ししか与えない者は、少ししか受け取れないということです。少ししか種をまかない農夫は、わずかの収穫しか得られません。たくさんまけば、たくさん刈り取ります。 + ただし、いくらささげたらよいかは、各自が決めるべきです。自分はこれだけささげようと思っている人に、もっとたくさんささげるように強制してはいけません。神様にとっては、喜んで与えるかどうかが大事なのです。 + 神様は、必要なものは何でもあり余るほど与えて、不足がないようにしてくださいます。それで、必要が満たされたあと、なお十分な余裕があるので、他の人々に喜んで分けることができるのです。 + 聖書にこう書いてあるとおりです。「神を敬う人は、貧しい人々に惜しみなく与える。その良い行いは、永遠に名誉となる。」 + 農夫にまく種を与え、そのあと収穫物を与えてくださる神様は、あなたがたにもまく種を備え、それをふやして、あなたがたに義の収穫の実をもっと与えることができるのです。 + そうです。神様から十分いただいたあなたがたは、人にもたくさん贈ることができるのです。そして、私たちがそれを必要としている人々に届ける時、そこには感謝が満ちあふれ、神への賛美がわき上がるのです。 + そういうわけで、その贈り物は、二つのすばらしい結果を生み出します。すなわち、困っている人々が助けられること、そして、神に対する感謝の念が彼らに満ちあふれることです。 + 援助を受けた人々は贈り物に大喜びするだけでなく、あなたがたがキリストの教えに忠実に行動している証拠を見て、神をあがめることでしょう。 + また、あなたがたを通して神のすばらしい恵みを知り、真心から、あなたがたのために祈るようになるでしょう。 + 神のひとり子という、言い表せないほどすばらしい神様の贈り物を感謝します。 + + + お願いがあります。このパウロが、キリストにならって、おだやかにお願いします。あなたがたの中には、今も、「パウロは遠く離れていると、ずいぶん強気じゃないか。ところが面と向かうと、大きな声も出せないほど弱気になる」と言っている人がいます。 + 私がそちらに行って、わざわざきびしくふるまって見せなくてもすむように、と願っています。もっとも、私の言動が普通の人間と少しも変わらないと見くびっている人々に対しては、きびしくふるまうつもりですが。 + 私がごくあたりまえの弱い人間であることは事実です。しかし私は、戦いに勝つために人間的な計画や方策を用いません。 + 悪魔の要塞を打ち破るために、人間の手によらない神の強力な武器を使います。 + この武器は、神に逆らうあらゆる高慢な議論と、人々の目から神を隠している、あらゆる壁を打ち砕きます。この武器を用いて私は、反抗する者を捕虜として神に連れ戻し、回心させて、キリストに従わせます。 + まず、あなたがたにこの武器を向け、キリストに従わせたあとで、残りのすべての反抗する者に挑戦するのです。 + あなたがたはうわべしか見ずに、私を弱く無力な人間だと思っています。けれども、もし必要があれば、私だってキリストの力と権威を見せることができるのです。 + 手紙では、あなたがたに対する権威――それは人を助けるためのものであり、傷つけるためではありません――を、必要以上に誇っているように見えるかもしれません。しかし、それについては多少誇りすぎても、恥とはならないでしょう。 + こう言うのも、手紙での叱責が、ただの脅しと受け取られたくないからです。 + こう言う人もいます。「パウロの手紙なんか気にするな。偉そうなことを言っても口先だけで、実際に会ってみればよくわかる。いかにも頼りなげで、話もへただ。」 + こんな人たちに対しては、今度そちらに行ったら、手紙の文面どおり、きびしくふるまうつもりです。 + 自分はすぐれた人物だと自己宣伝をする人がいますが、私はそのまねをするつもりはありません。彼らはただ、お互いに比較し合ったり、つまらない尺度で自分を評価したりするのです。なんと愚かなことでしょう。 + しかし私たちは、持ってもいない権威を誇るようなことはしません。私たちの目標は、神様が立ててくださった計画を実行することです。それには、そちらであなたがたのために働くことも含まれています。 + 私たちは、自分の分もわきまえずに権威をふり回しているわけではありません。キリストの福音を最初にあなたがたに伝えたのは、私たちなのですから。 + ほかの人の業績を、自分のものだと主張しているのでもありません。ただ、あなたがたの信仰が成長し、私たちに許された範囲であっても、あなたがたの間で私たちの働きがもっと広がることを望んでいるのです。 + そして私たちは、さらに遠くの町々、まだだれも働いていない町々にまで、福音を宣べ伝えたいのです。そうすれば、だれかの領域を荒らしたというような問題は起きないでしょう。 + 「誇りたい者は、主のなさったことだけを誇れ」と聖書にあるとおりです。 + 自分を誇り、自分を推薦する人ではなく、主に推薦される人こそ、真に価値ある人です。 + + + 私が愚か者のように話し続けるのを我慢してください。私の心のうちを、忍耐をもって聞いてください。 + 私は、神の深い思いやりをもって、あなたがたのことを心にかけています。ちょうど清純なおとめが、やがて夫となる人に愛をささげるように、あなたがたが、ただキリストだけをひたむきに愛するよう願っているのです。 + しかし、エバがエデンの園でサタンに惑わされたように、キリストに対する、きよい純真な思いが消えてしまうのではないかと心配でなりません。 + あなたがたときたら、だまされやすく、だれかが私たちの伝えたのとは違う教えを伝えたり、あなたがたが受けた聖霊とは違う霊を伝えたり、あなたがたが救われたのとは違う救いの道を教えたりすると、簡単にそれを信じてしまうのですから。 + けれども、そんな自称「神の大使徒たち」が私よりすぐれているとは思いません。 + たとえ口べたであっても、少なくとも、自分が話している内容はよく知っています。それは何度も証明してきたことです。 + 私が何の報酬も受けずに、神の福音をあなたがたに宣べ伝えたことは、まちがいだったのでしょうか。そのために自分を安っぽく見せて、見下げられてしまったのでしょうか。 + あなたがたのところにいる間、何の負担もかけないで奉仕したいと、むりを言って諸教会から送ってもらっていたのです。それが底をついて、食べる物に事欠いた時も、あなたがたにはいっさい要求しませんでした。マケドニヤのクリスチャンたちが、別の贈り物を持って来てくれたからです。あなたがたには、これまで少しも求めてこなかったように、今後もそうするつもりです。 + このことは、あらん限りの真実にかけて、ギリシヤに住むすべての人に約束します。 + なぜそうするのでしょう。あなたがたを愛していないからだとでも? とんでもない。どれほど愛しているか、神様がご存じです。 + しかし、今のやり方を、これからも続けるつもりです。それは、私たちと同じように神のために働いていると誇る人たちにつけこむ機会を与えないためです。 + 彼らは、決して神から遣わされた者ではありません。「詐欺師」です。キリストの使徒だと思い込ませるのです。 + しかし、そんなことには今さら驚きもしません。サタンでさえ、光の天使に変装するのです。 + ですから、サタンの手下どもがまねをし、敬虔な牧師になりすましたとしても、特別驚くことはありません。最後は、その悪事にふさわしいものとなるのです。 + もう一度くり返しますが、こんなことを言う私が、理性を失ったなどとは思わないでください。しかしまた、それならそれで、「理性を失った愚か者」のことばに、とにかく耳を傾けてください。あの人たちみたいに、私も少しばかり誇ってみせます。 + こんな自慢話は、主に命じられてするのではありませんが。私は、知恵のない愚か者のつもりになって、 + 自分の偉さをしきりに言いふらす人たちのまねをしてみましょう。 + 賢いあなたがたなのに、よくもうれしそうに、あの愚か者たちの言うことを聞いていますね。 + 奴隷にされ、持ち物を奪われ、利用され、いばられ、顔をたたかれているのに、よく平気でいられますね。 + 口にするのも恥ずかしいことですが、言わなければなりません。私たちの態度が弱すぎたのです。しかし、彼らが誇るくらいのことは何でも――またしても愚か者のつもりで言いますが――私だって誇れるのです。 + 彼らは、ヘブル人だと自慢しているのですか。私もヘブル人です。自分たちは神の選びの民、イスラエル人だと言うのですか。私もそうです。アブラハムの子孫ですか。私もそうです。 + 彼らはキリストに仕えていると言うのですか。しかし、私はもっと仕えてきました。こんなに自慢をする私は、気でもおかしいのでしょうか。私の労苦は彼らの比ではありません。投獄されたこともかなりの回数に及び、むち打たれたことは数えきれず、何度も死に直面しました。 + ユダヤ人から、恐ろしい三十九回のむち打ちの刑を受けたことが五度あります。 + それから、むちで打たれたことが三度、石で打たれたことが一度、難船したことが三度、一昼夜、海上を漂ったことが一度あります。 + 幾度も長い苦しい旅をし、川がはんらんしたり、強盗に襲われたり、同国人からも外国人からも迫害されたりして、何度も危険な目に会いました。町々では暴徒に取り囲まれ、荒野や嵐の海でやっと命びろいしたこともあります。クリスチャンだと自称しながら、実はそうでない人たちに苦しめられたこともあります。 + 疲れ果て、苦しみ、たびたび眠れない夜を過ごしました。飢え渇き、食べ物もなく過ごしたこともしょっちゅうです。また服もなく、寒さに震えていたこともありました。 + こんなことのほかに、諸教会がどうなるかという心配を絶えずかかえています。 + 誤った道を進んでいる人を見て、悲しまないでいられるでしょうか。倒れている人を見て、知らん顔ができるでしょうか。精神的に痛手を受けている人を見て、傷つけた相手に激しく怒らずにいられるでしょうか。 + しかし、もしどうしても誇る必要があるなら、私はむしろ、自分の弱さを誇ります。 + 主イエス‧キリストの父なる神、永遠にほめたたえられる方は、私が真実を語っているのをご存じです。 + こんなこともありました。ダマスコで、アレタ王の代官が私をつかまえようと町の門を厳重に見張っていましたが、 + 私は、町の城壁の穴から綱のついたかごでつり降ろされ、逃げることができたのです。よく知られている出来事です。 + + + こんな自慢話は全くむだなことですが、もう少し我慢してください。私の見た幻と、主から示されたことについてお話ししたいのです。 + 十四年前、私は天に引き上げられました。肉体のままか、それとも霊だけなのかとは聞かないでください。私にはわからないのです。答えられるのは、神おひとりです。しかしいずれにしても、私はパラダイスに引き上げられたのです。 + そこで、人間にはとうてい表現できない、驚くべきことを耳にしました。 + こんな経験こそ、自慢するに値します。しかし、自慢しようとは思いません。私が誇ろうとしているのは、自分の弱さと、そして、こんなに弱い私を、ご自分の栄光のために使ってくださる神の偉大さだけです。 + 私には誇るべきことがたくさんあるのですから、たとい誇っても、愚か者にはならないでしょう。しかし私は、だれにも、私の生活やことばから実際に見聞きする以上に、私を買いかぶってほしくないのです。 + その経験があまりにすばらしかったので、神様は、私が高ぶってはいけないと心を配られました。それで、肉体に一つのとげを与えられたのです。それは、高慢にならないように苦痛を与え、悩ませるためのサタンの使いです。 + 私は、もとどおりに回復させてくださいと、三度も神にお願いしました。 + そのつど返ってくる答えは、こうでした。「いや、治すまい。しかし、わたしはあなたと共にいる。それで十分ではないか。わたしの力は弱い人にこそ、最もよく現れるのだから。」だから今では、私は自分の弱さを喜んで誇ります。自分の力や才能を見せびらかすためではなく、喜んでキリストの証人になりたいからです。 + すべてはキリストのためであることを知っているので、その「とげ」も、侮辱も、苦しみも、迫害も、困難も、大いに喜んでいます。なぜなら、弱い時にこそ、私は強いからです。――無力であればあるほど、それだけ、キリストによりすがるようになるからです。 + あなたがたは結局、私を、自慢ばかりする愚か者にしてしまいました。ほんとうは、こんなに私に書かせるべきではなく、あなたがたが私のことを書くべきなのです。たとえ私が全く価値のない者であるとしても、あの「大使徒たち」と比べて劣る点はありません。 + 私はあなたがたのところで、自分がほんとうに神から遣わされた使徒である証拠を、すべて明示したではありませんか。多くの驚くべきこと、しるし、力ある働きを忍耐強く行ったのです。 + 私がほかのどの教会の場合とも違って、あなたがたにはしなかったことが一つだけあります。それは、負担をかけなかったことです。食べ物や住む場所のことで、何一つ世話をかけませんでした。この不公平については、どうか赦してください。 + 今、私はあなたがたのところに行こうと、三度目の計画を立てています。今度も、あなたがたには負担をかけないつもりです。私がほしいのはお金ではなく、あなたがた自身だからです。いずれにしても、あなたがたは私の子どもです。小さな子どもは親を食べさせる必要はありません。その逆です。親が子どもを食べさせるのです。 + 私はあなたがたの魂を養うためなら、喜んで自分自身でも持ち物でも、すべて差し出します。たとえ、私が愛すれば愛するほど、もっとうとまれるようになってもそうします。 + あなたがたの中には、こう言っている人がいます。「確かに、パウロは来ても何の負担もかけなかったように見えるが、あいつは卑劣だから、きっと陰で金をまきあげていたに違いない。」 + どうして、そんなことができたでしょう。私が行かせた人たちのうち、だれか、あなたがたを利用しましたか。 + 私はテトスにコリント行きを勧め、また、ほかの友人を同行させましたが、彼らがあなたがたをだまして、何かもうけ仕事をしたでしょうか。もちろん、そんなことはしませんでした。私たちは、同じ聖霊をいただき、同じ方法で行動しているのですから。 + よく思われたいばかりに、こう書くのだと思いますか。でもそれは、全く見当違いです。神様の前で宣言しておきます。愛する皆さん。私がこう書いてきたのは、あなたがたを助けるため、その信仰を成長させるためであって、自分のためではありません。 + 心配なことがあります。私がそちらに着いてみると、期待はずれの状態で、そのため、あなたがたの望まないような行動をとらざるをえない事態が生じないかということです。もしかしたら、そちらでは、争い、ねたみ、怒り、横暴、悪口、陰口、高慢がいっぱいで、秩序がすっかり乱れているのではないでしょうか。 + 実際、あなたがたの面前で、神様が私を、恥ずかしい思いにされるのではないでしょうか。そして、前から罪を犯していながら、その邪悪で汚れた行い――好色、不道徳、不品行など――を全く気にかけていない多くの者を見て、悲嘆にくれるのではないでしょうか。このことが、ほんとうに心配なのです。 + + + あなたがたのところへ行こうとするのは、これで三度目です。聖書には、「二人か三人に目撃された犯罪は罰せられなければならない」とあります。 + 私は、前回の滞在中、前から罪を犯していた人たちにすでに警告しておいたはずですが、今また、彼らだけでなく、あなたがた全員に警告します。次に会ったら、きびしく罰するつもりです。手かげんはしません。 + あなたがたは、キリストがほんとうに私を通して語っておられるかどうか知りたいのでしょうから、その証拠を示します。キリストは、あなたがたに弱い態度をとられるのではなく、あなたがたの内部で強大な力を発揮なさいます。 + キリストの、人間としての弱い体は十字架上で死にました。しかし今、キリストは、神の偉大な力を受けて生きておられます。私たちもキリスト同様、肉体的には弱い者でしたが、今は、キリストに似て、強くされた者となっています。そして、あなたがたに対処するに十分な神の力をいただいているのです。 + よくよく自分を吟味しなさい。ほんとうにクリスチャンだと言えますか。クリスチャンとしてのテストに合格していますか。自分の内に住まれるキリストと、そのあふれる力とを、いよいよ強く実感していますか。 + 私たちはこのテストに合格し、確実に主のものとなっています。このことを、あなたがたに認めてほしいのです。 + あなたがたが正しい生活をするように祈っています。それは、私たちの教えの正しさが証明され、面目を施したいからではありません。たとえ私たちは軽蔑されようとも、あなたがたには正しい行いをしてもらいたいからです。 + 私たちの務めは、いついかなる時にも、正しいことを勧めることであって、悪を望むことではありません。 + 自分たちは弱く軽蔑されても、あなたがたがほんとうに強くなってくれればうれしいのです。最大の願いと祈りは、あなたがたが霊的に整えられた者になってくれることです。 + そちらに行って、しかったり罰したりしないですむようにと願いつつ、今この手紙を書いています。私に託されている主の権威を、あなたがたを罰するためにではなく、強くするために使いたいからです。 + 最後に、次のように書いて、筆を置きます。喜びなさい。健全に成長しなさい。互いに励まし合いなさい。互いに仲よくし、平和を保ちなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいてくださいます。 + 主にあって、互いに親しみをこめて、あいさつを交わしなさい。こちらのクリスチャン全員が、心からよろしくと言っています。 + どうか、主イエス‧キリストの恵みが、あなたがた一同にありますように。神の愛と聖霊との交わりが、あなたがたと共にありますように。パウロ + +
+
+ + 使徒パウロと、私と共にいるクリスチャン全員から、ガラテヤの諸教会の皆さんへ。私は、どこかの団体から任命されたのではありません。イエス‧キリストと、キリストを死から復活させた父なる神に直接任命されたのです。 + どうか、父なる神と主イエス‧キリストが、平安と祝福をあなたがたに与えてくださいますように。 + キリストは、父なる神のご計画どおり、私たちの罪のために死に、この悪の世界から私たちを救い出してくださいました。 + この神に、すべての栄光が世々かぎりなくありますように。アーメン。 + 私は、こんなにも早く、あなたがたが神から離れて行くことに驚いています。神様はあなたがたに、キリストを通して永遠のいのちを与えようと、愛と恵みをもって招いてくださったのではありませんか。それなのにもう、あなたがたは別の「天国への道」に踏み込んでいます。そんなものは、天国への道から全くかけ離れています。 + 私が教えた道が、唯一の天国への道なのですから。あなたがたは、キリストに関する真理をゆがめて変質させる者たちにだまされているのです。 + 私たちが伝えた救いの道以外の道を説くような者は、だれでも――この私であろうと――神にのろわれるべきです。天の使いであっても、永遠にのろわれるべきです。 + もう一度言います。だれであっても、あなたがたが受けた福音(キリストによる救いの知らせ)とは違うものを伝えるなら、神にのろわれるべきです。 + おわかりでしょうが、私は、甘いことばやおせじで人の歓心を買おうとは思いません。ただ、神に喜ばれようとしているのです。もし私が、今なお人の歓心を買いたがっているとしたら、キリストに仕える者とは言えません。 + 愛する皆さん。これは厳粛なことなのですが、私が伝えた天国への道は、単なる人間の思いつきや夢に基づくものではありません。 + それはイエス‧キリストから示された教えです。私の語るべきことは、イエス‧キリストが教えてくださったのです。この方以外のだれからも、指示されたわけではありません。 + 以前、ユダヤ教徒であったころの私については、よくご存じのことでしょう。情け容赦なくクリスチャンを追い回して迫害し、その壊滅に全力を尽くしました。 + 国中探しても、同年輩のユダヤ人で、私ほど熱心なユダヤ教徒はいなかったでしょう。私は先祖伝来のユダヤ教を守り伝えようと必死になっていました。 + ところが、あることが起こったのです。生まれる前から、私をご自分のものとして選んでおられた神様が、驚くべき愛と恵みをもって、私に声をかけてくださったのです。 + そして私に、神の子イエスを示してくださいました。それは私に、ユダヤ人以外の外国人に、イエス‧キリストを伝えさせるためでした。この体験の後、私はすぐだれかに相談するようなことはしませんでした。 + また、以前から使徒に任命されていた人々の意見を聞くために、エルサレムに上ろうともしませんでした。アラビヤの荒野に行き、それからダマスコの町に戻ったのです。 + ペテロに会うためにエルサレムを訪問したのは三年後のことで、その時は、十五日間ペテロのもとに滞在しました。 + その間、ペテロのほかに会った使徒と言えば、主の兄弟ヤコブだけです。 + 私のことばをよく聞いてください。これは、実際に起こったことなのです。 + エルサレム訪問のあと、私はシリヤとキリキヤに出かけました。 + ですから、ユダヤのクリスチャンは、私の顔さえ知らなかったのです。 + ただ、彼らの間に、「以前われわれの信仰をつぶそうとした者が、今はそれを宣べ伝えている」といううわさだけは広まっていました。 + そのため、私のことで神をほめたたえていたのです。 + + + それから十四年たって、私はもう一度、エルサレムに上りました。その時はバルナバもいっしょで、テトスも同行させました。 + このエルサレム行きは、神からの明確な指示に基づいたもので、私が外国人に伝えているキリストの福音について、エルサレムのクリスチャンと話し合うのが目的でした。私は、教会の指導者たちと個人的に話し合いました。それは、私の教えてきた内容を正しく理解してもらい、また、その正当性を認めてもらうためでした。 + 彼らは、それを承認してくれました。そればかりでなく、ギリシヤ人であった、私の仲間のテトスにも割礼(男子の性器の包皮を切り取る儀式)を強要しませんでした。 + だいたいこの問題は、偽クリスチャンさえもぐり込んで来なければ、生じなかったのです。実は、彼らはスパイのように偵察し、私たちがキリスト‧イエスを信じて得た自由がどんなものか、また、はたしてユダヤ教のおきてに従っているかどうかを探ろうとしていたのです。奴隷を鎖でつなぐように、彼らの規則で私たちをがんじがらめにしようとたくらんだのです。 + しかし私たちは、ほんの一時も、彼らに耳を貸しませんでした。「割礼を受け、ユダヤ教のおきてを守ることによって救われる」などという考えで、あなたがたを混乱させたくなかったからです。 + エルサレム教会のおもだった指導者たちも、私の宣べ伝えている内容に、何もつけ加えたりしませんでした。 + 事実、教会の柱として知られているヤコブとペテロとヨハネは、ちょうどユダヤ人伝道のためにペテロが大いに用いられたように、外国人を救いに導くために、神がどんなに私を用いてくださったかを認めてくれました。というのも、同じ神様が、私たちにそれぞれ特別の賜物を与えてくださっているからです。彼らは、バルナバと私に握手を求めました。そして、「われわれは、ユダヤ人を対象として伝道します。あなたがたは、外国人への伝道をそのまま続けてください」と、励ましてくれました。 + ただ一つ、貧しい人たちを援助することをいつも忘れないように、と言われましたが、そのことなら、私も熱心に努めてきたところです。 + ところが、そのペテロがアンテオケに来た時、非常に誤った行動をとったので、私は面と向かって激しく非難しました。 + ペテロは初めのうち、割礼にもユダヤ教のさまざまなしきたりにもとらわれない、外国人のクリスチャンと共に食事をしていました。ところが、あとからヤコブの友人であるユダヤ人が何人かやって来ると、彼らの目を恐れて、外国人と食事をするのをやめてしまいました。そのユダヤ人たちは、形式を重んじるユダヤ主義者で、「救われるためには割礼を受けなければならない」と主張していたのです。 + すると、ほかのユダヤ人クリスチャンも矛盾を感じながら、ペテロのまねをして本心を偽った行動をし、バルナバまでが、その偽りの行動を共にしてしまいました。 + 私はそれを見て、彼らが自分の信じていることに対して不誠実であり、救いの教えの真理に従っていないことを知りました。そこで、みなの面前で、ペテロに言ったのです。「あなたは生まれながらのユダヤ人であっても、もうずっと前から、ユダヤ教のしきたりに束縛されないで生きてきたではありませんか。それなのに、どうして急に、ここの外国人にそれを守らせようとするのですか。 + あなたも私も、生まれながらのユダヤ人で、外国人のような罪人ではありません。 + しかし、私たちユダヤ人クリスチャンにしても、律法の行いを守ることによって神の前で正しい者と認められたのではありません。ただ、罪を取り除いてくださるキリスト‧イエスを信じる信仰によって認められたのではありませんか。だからこそ、私たちもキリスト‧イエスを信じたのです。それは律法によってではなく、信仰によって神に認められるためです。律法の行いを守って救われる人など、一人もいないのですから。」 + しかしもし、キリストの救いを信じた私たちが、あとになって、それはまちがいだった、やはり割礼を受け、律法もみな守らなければ救われないとわかったとしたら、どういうことになるでしょうか。キリストを信じたために、さんざんな目に会ったことになるわけです。しかし、そんなことは絶対にありえません。 + 前に打ちこわした方法――律法を守ることで救われようとする方法――でもう一度建て直そうとするなら、それこそが罪なのです。 + というのは、いくら律法に従おうと努力しても――それは失敗以外にないのです――神の恵みは決して受けられないことがわかったからです。キリストを信じて初めて、神に受け入れられることがはっきりわかったのです。 + 私はキリストと共に十字架につけられました。もはや、私自身が生きているのではありません。キリストが、私のうちに生きておられるのです。私のためにご自身をささげてくださった神の御子を信じた結果、今、私のうちにはほんとうのいのちが与えられています。 + 私は、キリストの死を無にはしません。もし私たちが、律法を守ることによって救われるなら、キリストが死ぬ必要などなかったはずですから。 + + + ああ、ガラテヤの皆さん。なんと物わかりが悪いのでしょう。いったいどんな魔術師にだまされて、魔法にかけられたのですか。私は、十字架上で死なれたキリストの姿を、絵のようにありありと目の前に示して、その死の意味をはっきりと教えたではありませんか。 + 一つだけ聞いておきます。あなたがたは、なぜ聖霊をいただくことができたのですか。律法を守ろうと努力したからですか。キリストのことを聞き、その救いを信じて初めて、聖霊はあなたがたのところに来てくださったのです。 + とすると、信仰生活が聖霊によって始まったのに、どうして、律法を救いの条件とするのですか。 + あれほどの経験をしたあなたがたが、福音をあっさりと投げ捨ててしまうのですか。とても信じられないことです。 + もう一度聞きます。なぜ神様は、あなたがたに聖霊の力を与え、奇跡を見せてくださったのですか。律法を守ろうと努力したからですか。そうではないでしょう。キリストを信じ、全くお任せしたからです。 + アブラハムも同じ経験をしました。彼は神の約束を信じたというだけで、天国へ入る資格を与えられたのです。 + このことから、心から神に信頼する人はだれでも、アブラハムの真の子孫となることができるのです。 + 聖書は、信仰を持った外国人が救われる時のことを予告してきました。神様がずっと昔、アブラハムに、「どこの国の人であろうと、あなたのようにわたしを信頼する人を祝福しよう」と宣言されたのは、このことを意味していたのです。 + そういうわけで、キリストに信頼する人はみな、アブラハムと共に祝福をいただくのです。 + 律法の行いに頼って救われようとする者は、神にのろわれます。なぜなら、聖書には、「神の律法の書にあることばを一つでも破る者は、のろわれる」とはっきり書いてあるからです。 + したがって、律法によってはだれ一人、神の恵みを受けることはできないわけです。神の前で正しい者と認められる道は信仰による以外にない、と神様は言っておられます。預言者ハバククが、「正しい人は信仰によって生きる」と語ったとおりです。 + この信仰による道は、律法の行いによる道とはなんと違うことでしょう。律法による道は、律法を一つ残らず完全に守ることによって救われる、と教えているのですから。 + しかし自分の悪い行いのために、私たちが受けなければならないはずののろいを、キリストはご自分の身に引き受け、私たちを律法ののろいから救い出してくださいました。聖書に、「木にかけられる者はだれでも、のろわれた者である」と書いてあるからです。 + 神様は、アブラハムへの約束と同じ祝福を外国人にも与えておられます。そして、私たちは信仰によって約束の聖霊を受けるのです。 + 愛する皆さん。日常生活で人間同士が約束をかわす場合でも、文書にして署名したら、もう変更はできません。あとになって、約束を破ることはできないのです。 + ところで、神様は一つの約束を、アブラハムとその「子」にお与えになりました。ここで「子ら」にではなく、「子」に与えられたと言われている点に注意してください。「子ら」と言えば、アブラハムの子孫であるユダヤ人全部を指すことになります。しかし、「子」と言えば、キリストを意味するのです。 + 私の言おうとすることはこうです。つまり、信仰によって救うという神の約束――神様はそれを文書にし、署名されました――は、その後四百三十年たって、神が「十戒」という律法をお与えになった時にも、無効とされたり、変更されたりはしなかったということです。 + もし律法による救いが可能であれば、それは明らかに、アブラハムが恵みを受けた方法とは別ものになります。アブラハムは、ただ神の約束を信じただけなのですから。 + では、そもそも律法は何のために与えられたのでしょうか。それは、神の約束につけ加えられたものであり、それに違反することがどんなに罪深いことかを人々に示すためです。ただし、この律法の有効期間は、その約束の指し示す「子」、すなわち、キリストが来られる時まででした。さらに次のような点も指摘できます。神様は律法を、天使たちを通してモーセにお与えになり、モーセがそれを民に告げ知らせたのです。 + しかしアブラハムは、天使やモーセのような仲介者を通してではなく、神から直接約束を与えられたのです。 + だとすると、神の律法と約束とは、互いに対立するのでしょうか。そんなことはありません。もし私たちが律法によって救われることができたのであれば、それで事はすんだはずです。罪の力から逃れるための、別の道が開かれる必要などなかったのです。 + 聖書は、私たちはみな、その罪の力に閉じ込められていると宣告しています。そこから解放されるには、イエス‧キリストを信じる信仰による以外にないのです。この罪からの脱出の道は、キリストを信じるすべての人に開かれています。 + キリストが来られるまでは、私たち人間は律法の監督の下にありました。やがて来られる救い主を信じることができるようになるまで、いわば、律法の保護と監視を受けていたのです。 + 言い換えると律法は、キリストが来られ、私たちが信仰によって神の前での正しい身分を与えられるまでの間の、私たちの教育係だったのです。 + しかし、キリストが来られたので、もう、私たちを監督し、キリストに導く教育係は不要です。 + 私たちはみな、すでに、イエス‧キリストを信じる信仰によって神の子どもとなったからです。 + バプテスマ(洗礼)を受けてキリストと一体とされた今は、キリストをその身にまとっているのです。 + もはや、ユダヤ人とギリシヤ人、奴隷と自由人、男と女という区別はありません。みな、キリスト‧イエスにあって一つなのです。 + そして、キリストのものとなった今、私たちはほんとうの意味でアブラハムの子孫であり、アブラハムに与えられた神の約束を相続したのです。 + + + しかし、次の点に心をとめてください。ある父親が、小さな子どもに莫大な財産を残して死んだとします。その場合、相続人である子どもは父の全財産の持ち主ではあっても、大きくなるまで、奴隷とほとんど変わらない立場にあります。 + つまり、父の定めた年齢に達するまでは、後見人や管理者に従う義務があるのです。 + キリストが来られるまでは、私たちもそれとよく似た立場にありました。ユダヤ教の戒律や規則によって救われると考えて、その奴隷となっていたのです。 + しかし、定めの時が来ると、神様は自分のひとり子を、一人の女から生まれさせ、ユダヤ人として律法の下にお遣わしになりました。 + それは、律法の奴隷になっていた私たちを買い戻して自由の身とするためであり、神の子どもとして迎えてくださるためなのです。 + このように神様は、私たちの心に、神の子の御霊を送ってくださいました。それで今、私たちは神の子どもとして、神を「お父さん」とお呼びできるのです。 + あなたがたも私たちも、もはや奴隷ではありません。神の子どもなのです。子どもであるからには、神の持っておられるものはすべて私たちのものです。それが神のご計画だからです。 + ガラテヤの人たち。あなたがた外国人は、神を知らなかった時、実際には存在しない「神々」と呼ばれているものの奴隷でした。 + ところが今は、神を知っているのに〔というより、むしろ神に知られているのに〕、どうして、もとの状態に逆戻りしたがるのですか。あの貧弱で、無力で、役立たずの教えの奴隷に逆戻りしようとするのですか。 + あなたがたは、ある特定の日や月や季節や年についての定めを守り、それで神を喜ばせようとしています。 + そんなあなたがたが、気がかりでなりません。私があれほど、あなたがたのために一生懸命尽くしてきたのは、全部むだだったのでしょうか。 + 愛する皆さん。この点について、どうか私と同じ考えでいてください。私が初めて福音を伝えた時、あなたがたは私を軽蔑したりはしませんでした。 + 福音を伝えるきっかけとなったのは、私が病気になったためで、 + その病気は人に不快感を与えるものであったにもかかわらず、あなたがたは、私を拒んだり、追い返したりしませんでした。それどころか、まるで天使かキリスト‧イエスであるかのように迎え入れ、気づかってくれました。 + あの時、お互いに味わった幸福感はどこに行ってしまったのでしょう。あなたがたは、私を助けるためなら、自分の目をえぐり出してもかまわないとさえ思ってくれたではありませんか。 + それが今、真理を告げたために、私はあなたがたを敵に回したのでしょうか。 + 一生懸命あなたがたに取り入っている偽教師たちは、ほんとうに、あなたがたのためを思っているのではありません。ただ、もっと自分たちの取り巻きをふやすために、私たちから人々を引き離そうとしているだけです。 + 正しい動機と真実な心から親切にするなら、何も文句はありません。私がその場にいる時だけでなく、いない時にも、そんな態度を示してくれるなら、なおさらすばらしいことですから。 + ああ、私の子どもたち。私はどんなに心配していることか。あなたがたがキリストに完全に支配される時をひたすら待ちながら、生まれて来る子どもを待つ母親のような苦しみを、もう一度味わっているのです。 + 今あなたがたのそばにいられたら、そして、こんな言い方をしなくてすんだらと、どんなにか願っています。これほど離れていては、正直言って、なすすべがないといった感じです。 + 律法を守らなければ救われない、と考えている皆さん。私のことばに耳を傾けてください。どうして律法のほんとうの意義を理解しないのですか。 + アブラハムには二人の子どもがあって、一人は奴隷である妻から生まれ、もう一人は自由人である妻から生まれたと書いてあります。 + 奴隷である妻の子どもの誕生については、取り立てて変わった点はありませんでした。しかし自由人である妻の子どもの場合は、まずその誕生に関して、特別な神の約束が先行し、それから生まれたのです。 + このことは、神様が人間を助けるために開かれた二つの道を示しています。一つは、律法を示して、それを守るようにとお命じになった道です。神様は、シナイ山でこの道をお示しになりました。その時、モーセに「十戒」をお与えになったのです。アラビヤ人はこのシナイ山を、「ハガル山」と呼んでいます。ここでアブラハムの奴隷である妻ハガルは、戒めに従うことによって神に喜ばれようとする生き方の象徴、ユダヤ人の母なる都エルサレムを表しています。そして、この生き方に従うユダヤ人は、すべてハガルが産んだ奴隷の子どもなのです。 + しかし、私たちの母なる都は天にあるエルサレムで、それは律法に属していません。 + イザヤの次の預言は、このことを言おうとしたのです。「喜べ、子のいない女よ。喜びの声をあげよ、子を産んだことのない女よ。あなたに多くの子を、女奴隷の子より多くを授けよう。」 + 愛する皆さん。あなたがたも私も、イサクと同じ、神の約束に基づく子どもです。 + 約束の子イサクは、奴隷である妻の子イシュマエルにいじめられました。とすれば、聖霊によって生まれた私たちが、律法を守るように強要する人々から迫害されるのもうなずけます。 + しかし聖書には、神様がアブラハムにこう言われたと記されています。「奴隷である妻と子どもを追い出せ。その女の子どもは、自由人である妻の子どもといっしょに、アブラハムの跡継ぎにはなれない。」 + 愛する皆さん。私たちは、律法に縛られた奴隷の子どもではありません。信仰によって神に受け入れられる、自由の女の子どもです。 + + + このように、キリストは私たちを自由の身にしてくださいました。ですから、この自由をしっかりと握っていなさい。もう二度と、律法にがんじがらめになった奴隷とならないよう、細心の注意をはらいなさい。 + よく聞いてください。これは大切なことなのですから。もしあなたがたが、神の前で正しい者と認められるには、割礼を受け、ユダヤ教のおきてを守りさえすればいいと考えているなら、キリストに救っていただくことはあきらめなさい。 + もう一度言います。割礼を受けることで神の恵みを手に入れるつもりなら、それ以外の律法も完璧に守るべきです。そうしなければ、死あるのみです。 + もしあなたがたが、律法によって神への負債を帳消しにするつもりなら、キリストはあなたがたにとって全く無意味な存在です。あなたがたは、神の恵みからすべり落ちてしまったのです。 + しかし私たちは、キリストの死によってこそ、罪が取り除かれ、神の前で正しい者と認められることを、聖霊の助けによって確信しています。 + キリストから永遠のいのちをいただいた私たちは、割礼を受けたかどうか、ユダヤ教の儀式を守っているかどうか、心配する必要はありません。私たちに必要なのは、愛によって働く信仰だけです。 + 皆さんは、信仰の道を順調に走っていました。それを妨害したのはだれですか。真理に逆らわせたのはだれですか。 + もちろん、神のはずはありません。あなたがたをキリストに基づく自由へと招いてくださったのは神なのですから。 + しかし、あなたがたの中に悪い人が一人でもいるなら、その悪影響は全体に及ぶのです。 + 主はこの点について、あなたがたを私と同じ信仰に立ち返らせてくださるものと確信しています。人を惑わし、かき乱す者には、だれであろうと、神のさばきが下るのです。 + よりによってこの私が、割礼やユダヤ教のしきたりが、救われるための必要条件だと教えていると言う者がいます。しかし、もしそうなら、私は迫害されることなどないはずではありませんか。そういった教えには、だれも腹を立てませんから。私が今なお迫害されているという事実こそ、私が今も、キリストの十字架を信じる信仰によってのみ救われると教えている証拠なのです。 + 割礼を受けさせて、あなたがたの肉体の一部を切り取りたいと思っている教師たちには、いっそのこと、自分自身をあなたがたから切り離してもらいたいものです。とにかく、手を引いてくれればよいと、私はそればかり願っています。 + 愛する皆さん。あなたがたは自由を手にしているのです。それは、悪を行うための自由ではなく、互いに愛し合い、仕え合うための自由です。 + 律法の全体は、「自分を愛するように他の人を愛しなさい」という一つの命令に要約されるからです。 + もし互いに愛し合わず、いがみ合ったり、非難し合ったりしているなら、結局、共倒れになってしまいます。気をつけなさい。 + あなたがたに勧めます。聖霊の導きに従いなさい。聖霊は、どこへ行くべきか、何をなすべきか教えてくださいます。そうすれば、自分の肉の欲望のおもむくままに走ることはありません。 + 私たちの生まれながらの性質は、聖霊がお命じになることとは正反対の悪を好みます。一方、聖霊の導きに従って歩んでいる時に行いたくなる善は、生まれながらの肉の願望とは正反対のものです。内面のこの二つの力は、どちらも私たちを思いどおりに動かそうと、いつも格闘しています。そして私たちは、この二つの力の板ばさみになって、したいと思うことが自由にできない状態なのです。 + しかし、本来聖霊に導かれているあなたがたは、もう自分を律法に従わせる必要はありません。 + 生まれながらの悪い性質、つまり肉に従った結果がもたらすものは明らかです。すなわち、汚れた思い、好色、 + 偶像礼拝、心霊術、憎しみ、争い、怒り、利己心、不平、あら捜し、排他主義とそこから出て来るまちがった教え、 + ねたみ、人殺し、泥酔、遊興、そのような種類のものです。前にも言いましたが、もう一度言いましょう。そのような生活を続ける者は、一人として神の国を相続できません。 + しかし、聖霊が生活を支配してくださる時、私たちのうちに、次のような実を結びます。愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実、 + 柔和、自制です。そこには、律法に反するものは何もありません。 + キリストに属する者は、生まれながらの自分が持つ肉の欲望を十字架につけてしまったのです。 + もし私たちが聖霊の力を受けて生きているなら、すべてにわたって、その導きに従おうではありませんか。 + そうすれば、互いにねたみ合ったり、いがみ合ったりすることはないでしょう。 + + + 愛する皆さん。もしだれかがあやまちを犯したら、聖霊によって歩むあなたがたは、やさしく謙遜な気持ちでその人を助け、正しい道に立ち返らせてあげなさい。また、自分自身も悪の道に落ち込まないように気をつけなさい。 + 互いの悩み、苦しみを共に負い、キリストの命令に従いなさい。 + りっぱな人間である自分が、なにもそこまで身を低くする必要はないと思う人は、自分を偽っているのです。 + ほんとうに最善を尽くしているかどうか、もう一度、自分を点検しなさい。そうすれば、ほかの人と比較することもなくなるでしょう。 + 人はみな、それぞれ自分の分をわきまえ、自分の分を果たすべきです。 + 神のことばを教えてくれる人には、報酬を払い、援助しなさい。 + 思い違いをしてはいけません。神を無視することなどできません。人は種をまけば必ずその刈り取りもすることになるのです。 + 自分の欲望を満足させるために種をまく者は、その結果、霊的な滅びと死とを刈り取るはめになります。しかし、聖霊の良い種をまく者は、聖霊が与えてくださる永遠のいのちを刈り取ります。 + 正しい行いをすることに疲れ果ててしまわないようにしましょう。失望せず、あきらめずにいれば、やがて祝福を刈り取る日が来るからです。 + ですから、機会あるたびに、だれに対しても、特に信仰を持つ人たちには親切にしましょう。 + この最後のことばは、自筆で書いています。見てください、この大きな字を。 + 何のために、例の教師たちが、あなたがたに割礼を受けさせようと図るのかわかりますか。その理由はただ一つです。すなわち、そのようにして評判や人気を得て、迫害を免れたいからです。その迫害とは、キリストの十字架が唯一の救いの道であると認めるなら、必ず受けるものです。 + そうした、割礼を主張する教師たちは、割礼以外の律法は守ろうとしません。それなのに、あなたがたに割礼を強要するのは、弟子をふやして誇るためなのです。 + しかし私は、主イエス‧キリストの十字架のほかに、誇るものなど何もありません。十字架によって、私は、この世のものすべてに対して興味を失ってしまいました。この世も、私に対する興味をすっかり失ってしまったのです。 + 割礼を受けているかいないかは、今は、全く問題ではありません。大切なのは、私たちがほんとうに別の新しい人に造り変えられているかどうか、ということです。 + どうか、この原則に従って生きる人々、そして真に神のものとなった人々に、神のあわれみと平安がありますように。 + もう二度と、こんな問題で論じ合わなくていいようにしたいものです。私の体には、イエスに敵対する者からむち打たれ、傷つけられた跡が残っていますが、それこそ、キリストの奴隷であることのしるしなのですから。 + どうか、私たちの主イエス‧キリストの恵みが、あなたがた一同と共にありますように。アーメン。パウロ + +
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+ + エペソの町に住む、主に忠実な、愛する信徒たちへ。神に選ばれてキリスト‧イエスの使徒となったパウロが、この手紙を送ります。 + どうか、父なる神と主イエス‧キリストから与えられる恵みと平安が、あなたがたのものとなりますように。 + 主イエス‧キリストの父なる神がほめたたえられますように。神は、天上のあらゆる祝福をもって、私たちを祝福してくださいました。それは、私たちがキリストのものとなっているからです。 + 神はこの世界をお造りになる前から、私たちを、ご自分のものとして選んでくださいました。そして、神は私たちを、ご自分の目から見て、何一つ欠点のない、きよい者にしようとお定めになりました。 + 神の御心は、イエス‧キリストを遣わし、その死によって、私たちを神の家族の一員として迎えることでした。 + 神こそ、いっさいの賞賛を受けるべきお方です。神は、驚くばかりの恵みと愛とを豊かに注いでくださいました。それは、私たちが、神の最愛のひとり子につながる者となったからです。 + 神の愛は、そのひとり子の血を流し、私たちの罪を帳消しにしてくださるほど大きいのです。この愛によって私たちは救われました。 + 神は私たちに豊かな恵みをあふれるほど注ぎ、私たちをよく理解し、何が最善であるかを考えた上、 + キリストを遣わすというご計画を知らせてくださいました。その計画は、はるか昔から神の愛のうちに決定されていたことでした。 + それは、時が来れば、天でも地でもあらゆるものが、キリストのもとに一つにまとめられるということです。 + そればかりでなく、神のご計画のままに、神のものとなるように最初から選ばれていた私たちは、神が喜んでくださる存在となっています。 + なぜ神は、このようになさったのでしょう。それは、最初からキリストを信じ、望みをおいていた私たちが、こんなにもすばらしい恵みを見て、神をほめたたえるためなのです。 + このキリストによって、あなたがたも救いを約束する福音を聞き、キリストを信じるようになりました。そして、キリストに属する者であるという証印を、聖霊によって押していただきました。 + 私たちのうちに住まわれる聖霊は、神が約束のものをほんとうに与えてくださるという保証です。私たちに押された聖霊の証印は、神がすでに私たちを買い取り、ご自分のもとに引き取ってくださっていることを保証するのです。これが、栄光の神をほめたたえる、もう一つの理由です。 + こういうわけで、私は、主イエスに対するあなたがたの信仰と、ほかの人たちに対する愛とを耳にして以来、 + 絶えず神に感謝してきました。そしていつも、あなたがたのために、こう祈り求めています。 + どうか、主イエス‧キリストの神、すなわち栄光の父が、あなたがたに知恵を与えて、キリストがどのようなお方か、何をしてくださったかを、正しく、はっきりと理解させてくださいますように。 + また、心にあふれるほどの光が与えられて、神があなたがたを召して与えようとされる将来を、はっきり見きわめることができますように。 + また、信じる者を助ける神の力が、どれほど偉大であるかを知ることができますように。 + この同じ偉大な力が、キリストを死者の中から復活させ、ほかのどんな王、支配者、権力者、指導者よりもはるかに高い、天の神の右の座につかせたのです。このキリストの栄誉は、この世だけでなく、次に来る世でも、他のすべてにはるかにまさって輝かしいものです。 + そして神は、すべてをキリストの足の下に従わせ、キリストを教会の最高のかしらとされました。 + ですから教会は、キリストの体であって、すべてを造り、すべてを満たすキリストの霊が満ちあふれるところです。 + + + 以前のあなたがたは、罪のために永遠に滅びる定めにありました。 + この世の人と同じ生き方をし、罪にまみれ、主に反抗する人の心に今も働いている、力ある支配者サタンの言うままになっていたのです。 + 私たちもみな、以前はほかの人たちと同じで、その生活は、心にある悪を反映したものでした。欲望や心のおもむくままに生き、行動していたのです。私たちは、生まれながらに神の怒りを受けて当然の者でした。 + しかし神は、なんとあわれみに満ちたお方でしょう。こんな私たちを深く愛してくださって、 + 罪のために霊的に死に果て、滅びる定めにあった私たちを、キリストの復活と共に生かしてくださいました。救われる価値などない私たちに、ただ一方的な恵みが注がれたのです。 + そして、キリストと共に、私たちを墓の中から栄光へと引き上げ、キリストと共に席に着かせてくださいました。 + 神がキリスト‧イエスを通してなしてくださった、すべてのことからも、神の恵みのすばらしさがわかります。私たちは今、その恵みがどんなに豊かであるかを示す見本とされているのです。 + あなたがたは、恵みにより、キリストを信じることによって救われたのです。しかも、そのキリストを信じることすらも、あなたがたから自発的に出たことではありません。それもまた、神からの賜物(贈り物)です。 + 救いは、私たちの良い行いに対する報酬ではありません。ですから、だれ一人、それを誇ることはできません。 + 私たちをこのように造り変え、キリスト‧イエスによる新しい生活に入れてくださったのは神です。この新しい生活は、神がずっと以前から計画してくださったものであり、私たちが互いに助け合って過ごすためでした。 + あなたがたも以前は異教徒として、ユダヤ人から、神を信じない「汚れた者」と呼ばれていたことを思い出してください。もっとも、そういうユダヤ人も、神を敬うしるしとしての割礼(男子が生まれて八日目に、その性器の包皮を切り取る儀式)を受けて、信心深そうに儀式や礼拝を守っていたとはいえ、心は汚れたままだったのですが。 + そのころのあなたがたは、キリストとは全くの無縁で、神の民に敵対し、神から何の助けも約束されていませんでした。神もなく、望みもない、滅びる以外にない存在でした。 + しかし、以前は神から遠く離れていたあなたがたも、キリスト‧イエスがその血をもってなしてくださったことによって、今では、神のそば近くにいるのです。 + キリストこそ、私たちの平和の道です。この方は、私たちユダヤ人とあなたがた外国人とを一つの家族とし、両者を隔てていた壁を打ちこわして、平和をつくり出してくださいました。 + ご自分の死によって、互いの激しい敵意を除いてくださったのです。その敵意の原因は、ユダヤ人を特別扱いし、外国人をのけ者にするユダヤ教のさまざまな戒律でした。その律法制度自体を無効にするために、キリストは死んでくださったのです。そして、互いに対立していた二つのものを融合させ、新しい一つの体をつくり上げて、平和を実現されました。 + 両者が神と和解し、同じ体のそれぞれの器官になったので、互いの怒りは消え去りました。こうして互いの反目は、十字架によって終わりを告げたのです。 + そして、キリストは、遠く離れていたあなたがた外国人にも、近くにいた私たちユダヤ人にも、平和をもたらしてくださいました。 + このキリストによって、ユダヤ人も外国人も、一つの御霊に助けられつつ父である神のもとに行くことができるのです。 + あなたがたはもはや、神にとって見知らぬ他国人でも、天国に縁のないよそ者でもありません。神の家族の一員であり、神の国の市民なのです。すべてのクリスチャンと共に、神の一家を構成しているのです。 + あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、この建物の最も重要な礎石はキリスト‧イエスです。 + 私たち信じる者は、聖なる神殿を目指す建物として、共にキリストにあって組み合わされて成長していくのです。 + あなたがたもまた、キリストにあって共に建てられ、聖霊によって神の住まれる所となるのです。 + + + 私パウロは、今、キリスト‧イエスの囚人となって投獄されています。それは、あなたがた外国人も、ユダヤ人と同じように神の家族の一員だと語ったからです。 + 私は、外国人に神の恵みを示すという任務を神から受けています。このことについては、前の手紙でも簡単にふれましたから、もうすでにご存じと思います。外国人もまた神の恵みの対象とされているという、この特別の計画を、神が私に明かしてくださったのです。 + このように申し上げるのは、これらについて私がどう理解しているかをわかっていただくためです。 + 以前、神はこの計画をご自分の民に隠しておられました。しかし今は、聖霊を通して、使徒や預言者たちにはっきりと示しておられます。 + その特別の計画とは、神の子どもとされた者たちが、外国人もユダヤ人と共に、すべての救いの恩恵を受け継ぐということです。ユダヤ人も外国人も、共に神の教会の一員として招かれています。そして、キリストについての福音と、この方がなされたこととを受け入れる時、キリストによって大いに祝福するという神の約束に、両者ともあずかるのです。 + 神は、そのことをすべての人に伝える光栄ある特権を私に与えてくださいました。また、その務めを果たすに十分な、神の力と賜物をも与えてくださったのです。 + 私はそのような資格の全くない者で、クリスチャンの中で最も役立たずの人間です。それにもかかわらず、キリストのうちにある無限の富が外国人にも与えられるという計画を伝える者として、こんな私が選ばれたのです。 + それは、万物を造られた神が、世の初めからの計画どおりに、ご自分が外国人の救い主でもあることを、すべての人に説き明かすためでした。 + またそれは、天のもろもろの支配者たちに対して、神の全家族――ユダヤ人も外国人も――が教会の中で一つとなっている姿を見せ、神の完全な知恵を示すためです。 + これこそ、神が主キリスト‧イエスを通して、かねてから計画しておられたことなのです。 + 私たちはこのキリストと共にあり、キリストを信じる信仰によって、確信をもって大胆に神の前に出ることができます。 + ですから、どうか、私がいま体験している苦しみを知って落胆しないでください。この苦しみはあなたがたのためであり、それは、あなたがたにとって名誉となり、励ましとなるはずです。 + 神のご計画の深さと広さを思う時、私はひざをかがめて、天上と地上の家族の父である方に祈ります。 + どうか、父なる神が、その栄光に満ちた無限の富の中から、御霊を通して人を内面から強くする力を、あなたがたに与えてくださいますように。 + こうしてキリストが、信じるあなたがたの心に住んでくださいますように。 + そして、神の愛がどれほど広く、どれほど高く、どれほど深いかを理解することができますように。さらに、あなたがたがキリストの無限の愛を知って、キリストの愛といのちに満たされますように。 + どうか、私たちの祈り、願い、考え、望みをはるかに超えたすばらしいことを、その偉大な力でなされる神に、栄光がありますように。 + どうか、キリスト‧イエスによって、教会に救いの計画をもたらしてくださった神に、栄光が永遠にありますように。アーメン。 + + + 主に仕えたために、今こうして牢獄につながれている私からお願いします。このようにすばらしい神の祝福を受けるために選ばれたあなたがたは、それにふさわしく生活し、行動してください。 + 謙遜で柔和な人になってください。愛をもって互いの欠点を思いやり、互いに忍耐してください。 + 御霊によって心を一つにされるよう常に努力し、互いに仲良く暮らしなさい。 + 私たちはみな、一つの体の各器官です。だれもが同じ御霊を与えられ、同じ輝かしい未来へと招かれています。 + また、私たちの主はただ一人であり、信仰も一つであり、バプテスマ(洗礼)も一つです。 + そして、私たちすべての上に立ち、すべての中に宿り、各器官である私たちを貫いて生きておられる、神であり父である方は一つです。 + けれども、キリストは私たち一人一人に、それぞれ賜物を与えてくださいました。ご自分の豊かな賜物の宝庫から、お心のままに与えてくださったのです。 + 聖書の詩篇の作者は、こう言っています。「(キリストは)復活してサタンに打ち勝ち、勝利を得て天に帰られた時、人々に惜しみなく賜物をお与えになった。」 + ここで、キリストが「天に帰られた」という点に注意してください。つまり、最初は天の一番高い所におられたのに、地の一番低い所に下られたことを意味します。 + この下って来られた方が、天に帰られたのです。それは、キリストが、底辺から頂点に至るまで、あらゆる点であらゆるものを満たすためなのです。 + さてこうして、ある者には使徒としての賜物が与えられ、ある者にはすぐれた説教者としての賜物が与えられました。また、キリストを救い主として信じるように人々を指導する賜物を受けた者もいれば、羊を見守る羊飼いのように、神の民となった人たちの世話をし、教え導く力を受けた者もいます。 + なぜこのように、それぞれに賜物が与えられたのでしょうか。それは、神の民となった人々が、神のためによりよく働けるよう整え、キリストの体である教会を、力にあふれた、完成した状態へと建て上げるためです。 + そしてついに、私たちは、救いについて、また救い主である神の子について同じ信仰を持つに至り、主にあって完全に成長した者となるのです。 + そこで、もはや、だれかから間違ったことを教えられたり、うそを真実のようにたくみに見せかけられたりしても、そのたびに、子どものようにふらふらと信じるものを変えてはいけません。 + むしろ、誠実に語り、誠実にふるまい、誠実に生きて、常に真理に従うことを喜び、あらゆる点で、教会のかしらであるキリストにますます似た者となるのです。 + このキリストのもとで、各器官が結び合わされ、体全体がしっかりと組み合わされて成長し、愛にあふれるようになるのです。 + そこで私は、主にあって、このことを言わせていただきます。もうこれから先、救われていない人のようにむなしい生き方をしてはなりません。 + 彼らの閉ざされた心の中は真っ暗です。神に対して心を閉ざしているので、神のいのちから遠く離れています。 + 彼らは、善悪の区別など気にもせず、思いのままに、ふしだらな行いにふけっています。 + しかし、キリストが教えてくださった生き方は、全く違います。 + もしあなたがたが、ほんとうにキリストの声を聞き、キリストについて真理を学んでいるなら、 + 古い邪悪な性質を捨て去りなさい。古い性質とは、以前のあなたがたのように肉欲に惑わされ、滅んでいくような生き方です。 + あなたがたの態度や考えを一新しなければなりません。 + あなたがたは、神にかたどって造られた新しい人になるように、新しい性質を身にまといなさい。 + 私たちは互いに体の一部分なのですから、ごまかし合いをやめ、真実を語りなさい。 + 腹を立てることがあっても、恨みをいだいて罪を犯してはなりません。いつまでも怒ったままでいないで、すぐに怒りを収めなさい。 + 悪魔につけ込むすきを与えないためです。 + 盗みを働いていた人はやめ、かえって困っている人に施しができるように、まともに働きなさい。 + 悪意のこもったことばを口にしてはいけません。相手の益となり、助けとなること、また祝福を与えることだけを話しなさい。 + 聖霊を悲しませるような生き方をしてはいけません。この聖霊は、罪からの救いが完成する日のために、救いの確かな証印を押してくださる方であることを忘れてはなりません。 + 無慈悲、憤り、怒りなどを捨てなさい。とげのあることばやえこひいきをなくしなさい。 + むしろ、互いに親切にし、心のやさしい人になりなさい。そして、神がキリストにあってあなたがたを赦してくださったように、互いに赦し合いなさい。 + + + 子どもが、かわいがってくれる父親を見ならうように、何をするにも神を模範としなさい。 + 思いやりに満ちあふれた者となりなさい。キリストの愛は、あなたがたの罪を取り除くために、ご自身をいけにえとして神にささげるほど深かったのです。このキリストの愛の香ばしいかおりを、神はお喜びになったのです。 + あなたがたの間に、性的な罪やふしだらな行い、貪欲があってはなりません。そんなことで、だれからも非難されないようにしなさい。 + みだらな会話や下品な冗談は、あなたがたにふさわしくありません。むしろ、互いに神の恵みを心にとめて、感謝しなさい。 + もうよくご存じと思いますが、キリストと神との国に、汚れた人や貪欲な人は入ることができません。貪欲な人は偶像礼拝者であって、神よりもこの世のものを愛して拝んでいるのです。 + これらの罪の言いわけをする者たちに、だまされてはなりません。神の恐ろしい怒りは、こういう行いをする者に容赦なく下るのです。 + ですから、彼らとのつき合いすら禁じます。 + あなたがたの心は以前は暗闇におおわれていましたが、今は主にあって光にあふれています。そのことを態度で示しなさい。 + 内面がこの光で輝いているのですから、良いこと、正しいこと、真実なことだけを行うべきです。 + 日々、主に喜ばれることは何かを、わきまえ知りなさい。 + 邪悪で無益な快楽に身を任せてはいけません。むしろそれを非難し、明るみに出しなさい。 + 神を敬わない者たちが暗闇でふけっている快楽は、口にするのも恥ずかしいことです。 + しかし、あなたがたがそれを明るみに出す時、光がその罪を照らし出して正体をあばきます。その醜さに気づいて、そのうちの何人かは光の子どもとなるでしょう。 + だから、聖書にこう言われているのです。「眠っている者よ。目を覚ませ。死者の中から起き上がれ。そうすれば、キリストがあなたを照らされる。」 + ですから、自分の行動によくよく注意しなさい。今は困難な時代です。愚か者にならないで、賢くなりなさい。あらゆる機会を十分に生かして、正しい行いをしなさい。 + 軽率に行動せず、主が望んでおられることを実行しなさい。 + 酒を飲みすぎてはいけません。そこには多くの悪が潜んでいるからです。むしろ、御霊に満たされ、支配していただきなさい。 + 聖なる歌をうたい、心の中で主に向かって賛美しながら、互いに主について語り合いなさい。 + いつも、あらゆることを、主イエス‧キリストの名によって、父なる神に感謝しなさい。 + 互いに従順になって、キリストをたたえなさい。 + 妻は、主に従うように夫に従いなさい。 + なぜなら、キリストの体である教会がキリストにゆだねられているように、妻は夫にゆだねられているからです。 + そういうわけですから、妻は、教会がキリストに従うように、どんなことでも喜んで夫に従わなければなりません。 + また夫は、教会のためにいのちを捨てるほどの愛を示されたキリストにならって、妻を愛しなさい。 + キリストがそうなさったのは、バプテスマ(洗礼)と神のことばで教会を洗いきよめ、きよく、汚れのないものとするためでした。 + こうして、一点のしみも、しわも、何の傷もない、きよく完全な栄光の教会として迎え入れようとされたのです。 + これこそ、夫が妻に対してとるべき態度です。つまり、夫は妻を、自分の体の一部のように愛さなければなりません。二人は一体なのですから、夫が妻を愛する時、自分自身を愛しているのです。 + 自分の体を憎む者はいません。愛し、いたわります。それは、キリストが自分の体である教会をそうされたのと同じです。私たちは、その体の各部分なのです。 + 夫と妻が一体であることは、聖書もはっきり証言しています。「人は結婚する時、父母のもとを離れなければならない。それは、完全に結びついて、二人が一心同体となるためである。」 + これには深い理解が必要ですが、私たちがキリストの体の各部分であることを説明するには適切な例です。 + そこで、もう一度言います。夫は妻を、自分の体の一部のように愛しなさい。そして妻は、夫を心から尊敬し、従いなさい。 + + + 子どもは両親に従いなさい。神は、親が子どもを監督する権威を認めておられるのです。従うのは正しいことです。 + 「あなたの父と母とを敬え。」これは、「十戒」の中で対人関係について言われた第一の戒めで、その後に約束があります。 + つまり、「父母を敬うなら、あなたは幸せになり、長生きする」という約束です。 + 両親にもひとこと言っておきます。子どもを、いつもうるさくしかりつけて反抗心を起こさせたり、恨みをいだかせたりしてはいけません。かえって、主がお認めになる教育と、愛のこもった助言や忠告によって育てなさい。 + 奴隷は主人に従い、最善を尽くしなさい。キリストに仕えるのと同じようにしなさい。 + 主人の目の前でだけ一生懸命に働き、陰では怠けるようではいけません。神が望まれることを、心を尽くして行い、キリストのために働くように、いつも熱心に喜んで働きなさい。 + あなたがたが奴隷であろうと自由人であろうと、良い行いには、一つ一つ主が報いてくださることを忘れないように。 + 主人も、いま私が奴隷たちに勧めたのと同じ態度で、奴隷を正しく扱いなさい。脅すばかりではいけません。自分もキリストの奴隷であることを忘れないように。あなたがたの主も、奴隷の主も同じお方なのです。主は人を差別したりはなさいません。 + 最後に、覚えておいてほしいことがあります。あなたがたは、自分のうちにある主の全能の力によって強められるようにしてください。 + 悪魔のどんな策略にも立ち向かえるように、神のすべての武具で身をかためなさい。 + 戦う相手は、血肉を持った人間ではなく、肉体のない者たちです。すなわち、目に見えない世界の支配者たち、この世を支配する暗闇の大王たち、それに、天にいる無数の悪霊です。 + ですから、いつどんな攻撃にも対抗できるように、神のすべての武具を用いなさい。そうすれば、すべてが終わった時も、なおしっかり立てるでしょう。 + しかし、そのためには、腰に真理の帯をしめ、神の承認という胸当てをつけなければなりません。 + 次に、平和の福音を伝えるために直ちに出発できる、丈夫なくつをはきなさい。 + どんな戦いにも、守りの盾として必要なのは信仰です。これがあれば、サタンが射かけてくる火矢を消し止めることができます。 + また、救いのかぶとをかぶり、御霊の下さる剣である神のことばを手にしなさい。 + どんな時にも祈りなさい。どんなことでも、聖霊の考えにそって神にひたすら願い求めなさい。各地に散っているすべてのクリスチャンのために、熱心に祈り続けなさい。 + また、私のためにも祈ってください。主のことを大胆に告げる時に、また、主の救いは外国人にも及ぶと説明する時に、適切なことばが与えられるよう祈ってください。 + 私は今、神に託されたこの福音を伝えたために鎖につながれています。しかし、この牢獄の中でも、語るべきことを、主のために大胆に絶えず語れるよう祈ってください。 + 心から愛する信仰の友、主の仕事のための忠実な協力者テキコが、あなたがたに私の近況を残らず知らせてくれるでしょう。 + テキコをそちらへ送るのは、私たちの様子を知ってもらい、それを励みにしてほしいからです。 + どうか、クリスチャンの皆さんに、父なる神と主イエス‧キリストからくる、信仰による平安と愛とが注がれますように。 + どうか、神の恵みと祝福が、主イエス‧キリストを心から愛する、すべての人にありますように。パウロ + +
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+ + キリスト‧イエスの奴隷であるパウロとテモテから、ピリピの町にいる牧師と執事たち、および信徒の皆さんへ。 + どうか、神の祝福があなたがた一同にありますように。父なる神と主イエス‧キリストが、一人一人を豊かに祝福し、心にも生活にも平安を満たしてくださいますように。 + あなたがたを思う私の祈りは、いつも神への賛美にあふれています。 + そして、私の心は喜びに満たされるのです。 + それは、あなたがたが福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を初めて聞いた日から今日まで、全力をあげて、その知らせを宣べ伝える働きに協力してくれたからです。 + あなたがたのうちに良い働きを始められた神は、必ずそれを恵みのうちに成長させ、やがてキリスト‧イエスが帰って来られる日までに、それを完成してくださると、私は堅く信じています。 + こう考えるのは、きわめて当然です。あなたがたは、私にとって特別な存在なのですから。私が獄中にある時も、自由の身でキリストの福音を語っている時も、あなたがたは、私と共に神の祝福をいただいたからです。 + 私がキリスト‧イエスの愛の心をもって、あなたがたをどんなに深く愛し、慕っているかをご存じなのは神だけです。 + 私は祈っています。どうか、あなたがたの愛が、もっともっと満ちあふれますように。同時に、霊的な知識と洞察力も、さらに深められますように。 + それは、あなたがたに、善悪をはっきり見分ける力が備わり、主が来られる日まで、だれからも非難されることなく、心がきよく保たれるよう願うからです。 + どうか、神の子どもにふさわしく、親切な良い行いができますように。それは、大いに主をほめたたえ、主の栄光を現すことになるのです。 + 愛する皆さん。このことを、わきまえていてほしいのです。ここで私の身に起こったことはすべて、キリストについての福音を広めるのに、たいへん役立っているという事実をです。 + 周囲の人たちはみな、兵営の兵士に至るまで、私が、ただクリスチャンであるというだけの理由で投獄されていることを知っています。 + また私を見て、ここにいる多くのクリスチャンは、投獄など恐れなくなりました。彼らは耐え忍んでいる私の姿に勇気づけられ、ますます大胆に、キリストのことを人々に語るようになったのです。 + もっとも中には、神が私をこのように用いてくださるのをねたんで、福音を宣べ伝えている人もいます。彼らは、勇敢な伝道者という名声がほしいのです。しかし、もっと純粋な動機から伝道している人もいます。 + 私を愛する気持ちから、そうしているのです。私をこのような状況下に置かれた主の目的が、福音を弁証させる点にあることを知っているからです。 + ところが別の人たちは、自分たちの成功によって、獄中にある私の苦痛がもっと増すだろうと考えて、つまり、私にねたみ心を起こさせようとして伝道しているのです。 + しかし、どのような動機からであれ、キリストが宣べ伝えられているのは事実であり、私は喜んでいます。 + これからも、この喜びは続くでしょう。なぜなら、あなたがたの祈りと御霊の助けによって、このことがすべて私に益となることがわかっているからです。 + というのも、私はこのような期待と希望とをいだいて生きているのです。すなわち、一つも自分で恥じるようなことはせず、かえって、この試練の時も、いつものように大胆に語り、また、生きるにしても死ぬにしても、いつもキリストのすばらしさを身をもって現したいと願っているのです。 + 私にとって生きることは、キリストのために良い機会を得たことを意味し、死ぬことは、さらにすばらしいことを意味するからです。 + しかし、生きているからこそ、人々をキリストに導く機会に恵まれているとすれば、生と死のどちらがよいのか、私にはわかりません。 + ある時は生きていたいと思い、また、ある時は反対の気持ちになります。というのも、私にとって、この世を去ってキリストのそばにいることほど願わしいことはないからです。そのほうが、地上にとどまっているより、どれだけ幸せかわかりません。 + しかし、地上では、もっとあなたがたの役に立てることも事実です。 + 私にはまだ、この世で生きる使命があるのです。あなたがたの信仰の成長を助け、あなたがたがもっと喜びにあふれるために、もうしばらくの間、地上で長らえることになるでしょう。 + 私が生き延びて、もう一度そちらに行った時、あなたがたのうちに喜びがわき上がり、私を無事に守ってくださったイエス‧キリストを心から賛美するようになることでしょう。 + しかし、たとえ私の身にどんなことが降りかかろうと、あなたがたは、いつもキリストの福音にふさわしく生活するよう心がけてください。そうすれば、もう一度会えるにしても、会えないにしても、あなたがたについて、いつでもうれしい報告を聞けるでしょうから。つまり、あなたがたが、キリストの福音を宣べ伝えるという一つの目標に向かって、しっかり一つとなり、 + 敵対する者たちのどんなしわざにもたじろぐことがないと。そのことは彼らの滅びを暗示するのですが、あなたがたにとっては、神が共にいて永遠のいのちを与えてくださることの確かな証拠となります。 + あなたがたは、ただキリストを信じるだけでなく、キリストのために苦しむという特権をも与えられているのです。 + 私たちは、共に戦っているのです。あなたがたは先に、キリストのために苦しんでいる私の姿を見ました。そして、今なお、激しく大きな戦いの真っただ中にいる私のことを、よく知っているはずです。 + + + あなたがたには、クリスチャンとして互いに励まし合う気持ちがありますか。私を助けたいと思うほどの愛がありますか。あなたがたは同じ御霊を共にいただいており、主にあって互いが兄弟であるということの、ほんとうの意味がわかっているでしょうか。やさしい心と思いやりが、少しでもあるでしょうか。 + もしそうなら、互いに愛し合い、心から打ち解け合い、思いと目的とを一つにして共に働き、私を心から喜ばせてください。 + 自己中心であったり、見栄を張ったりしてはいけません。謙遜になって、他の人を自分よりもすぐれた者と考えなさい。 + 自分のことばかりにとらわれるのではなく、他の人のことにも目を向けなさい。 + 私たちに対するキリスト‧イエスの態度を見ならいなさい。 + キリストは神であられるのに、神としての権利を要求したり、それに執着したりはなさいませんでした。 + かえって、その偉大な力と栄光を捨てて奴隷の姿をとり、人間と同じになられました。 + そればかりか、さらに自分を低くし、犯罪人と同じようになって十字架上で死なれたのです。 + しかし、それゆえに、神はキリストを高く天に引き上げ、最高の名をお与えになりました。 + それは、その御名のもとに、すべてのものが天でも地でもひざまずき、 + すべての口が「イエス‧キリストは主です」と告白して、父なる神がほめたたえられるためです。 + 愛する皆さん。私がそちらにいた時、あなたがたはいつも、私の教えに従順に従ってくれました。離れている今はなおさら、しっかりしてください。深い尊敬の思いをこめて神に従い、神に喜ばれないことからは手を引きなさい。 + 神は人の心に働きかけて、従おうとする思いを起こさせ、神が望まれる行いができるように助けてくださるのです。 + 何事においても、不平を言ったり、疑ったりしてはいけません。 + だれからも非難されないためです。心の曲がった邪悪な世の中にあって、あなたがたは神の子どもとして、汚れのない、きよらかな生活を送りなさい。世の人々の間で、いのちのことばを高く掲げ、世の光として輝きなさい。そうすれば、キリストが帰って来られた時、私はあなたがたに対する労苦がむだでなかったことを知り、どんなに喜ぶことでしょう。 + あなたがたの信仰を供え物として神にささげる時、その上に、たとえ私の血を注がなければならないとしても――あなたがたのために、いのちを捨てなければならないとしても――私はうれしいのです。そして、あなたがた一人一人にも、この喜びを分けてあげたいのです。 + このことは、当然、あなたがたにとっても喜びなのですから。私があなたがたのためにいのちを捨てる特権を持っていることを、共に喜んでください。 + 主のお許しがありしだい、テモテをそちらへ送りたいと思っています。そうなれば、彼から、あなたがたのことやそちらの様子を報告してもらい、私も元気づけられると期待しています。 + テモテほど親身になって、あなたがたのことを心配している人はいません。 + ほかの人はみな、自分の計画に心を奪われ、キリスト‧イエスのことなど気にかけていないようです。 + しかし、テモテは違います。よくご存じのとおり、まるで私の息子のように、福音の働きを助けてくれました。 + それで、ここでの私の扱いがどうなるかわかりしだい、テモテを行かせるつもりです。 + 私も、近いうちに主がそちらを訪ねさせてくださると確信しています。 + それはさておき、エパフロデトを、あなたがたのもとに帰さなければ、と考えています。よくぞ、困っていた私を助けるために、エパフロデトをよこしてくれました。彼と私は、血を分けた兄弟のように手を取り合って働き、戦ってきました。 + いま彼に、そちらへ帰ってもらいます。彼は、あなたがた一同のことを思ってホームシックにかかっており、その上、自分の病気のことがそちらに知れたのをひどく気にしているからです。 + 病気のことはほんとうです。実際、危うくいのちを落とすところでした。しかし神は、エパフロデトをあわれんでくださったのです。もうこれ以上、悲しみが重ならないようにとの、私へのあわれみでもありました。 + それで、エパフロデトを帰してやりたいと、心から願っています。あなたがたが彼に会って、感謝にあふれる姿が目に浮かぶからです。それは私にもうれしいことですし、心配も軽くなります。 + どうか喜びにあふれ、主にあって迎えてやってください。また、その労をねぎらい、感謝の気持ちを表してください。 + なぜなら、彼はいのちがけでキリストのために働き、今にも死にそうな目に会ったからです。彼は離れているあなたがたに代わって、私に尽くしてくれたのです。 + + + 愛する皆さん。どんなことが起ころうと、主にあって喜びなさい。このように何度も言いますが、それを私はめんどうとは思いませんし、あなたがたも聞かされたほうがいいのです。 + 救われるためには形だけでも割礼を受ける必要があると教える、あの悪い連中を警戒してください。彼らは危険な犬ですから。 + 肉体の一部を切り取りさえすれば、神の子どもになれるのではありません。霊をもって神を礼拝する者こそ、神の子どもなのです。その礼拝こそが、ただ一つの真の「割礼」です。クリスチャンが誇れることと言ったら、キリスト‧イエスがなしてくださったみわざだけです。自分で自分を救うことなどとてもできないと、よく知っているはずです。 + しかし万一、人間的なもので救われる人がいるとしたら、私には、確かにその可能性があります。 + 生粋のユダヤ人として、由緒あるベニヤミンの家系に生まれた私は、八日目に、ユダヤ人のしるしとしての儀式である割礼を受けました。つまり、だれにも引けを取らない、正真正銘のユダヤ人です。その上、律法のすべてを守る点にかけては、最もきびしいパリサイ派に属していました。 + 熱心さの点ではどうだったかと言うと、熱心のあまり教会を激しく迫害したほどで、ユダヤ教の基準からいえば、非難されるところのない者でした。 + しかし私は、以前、非常に価値があると思っていたこれらのものを、今ではことごとく捨ててしまいました。それは、ただキリストだけを信頼し、キリストだけに望みをかけるためです。 + 主であるキリスト‧イエスを知っているという、途方もない特権と比べれば、ほかのものはみな色あせて見えるのです。私は、キリスト以外のものは、がらくた同然と思っています。それは、キリストを自分のものとするためであり、 + もはや、良い人間になろうとか、律法に従って救われようとか考えるのはやめて、ただキリストを信じることによって救われ、キリストと結ばれるためです。神が私たちを正しい者と認めてくださるのは、信仰――ただキリストだけを信じ頼ること――を持っているかどうかで決まるからです。 + 私は今、ほかのことはいっさい考えず、ただこのことだけを求めています。つまり、真にキリストを知ること、キリストを復活させた力を、この身をもって体験すること、そして、キリストと共に苦しみ、また死ぬとはどういうことかを知ることです。 + 死者の中から復活した、生き生きとした新しいいのちに生きる者となるためには、どんな犠牲もいといません。 + なにも、自分が完全な人間だと主張するつもりはありません。学ぶべきことも、まだたくさん残っています。ただ、キリストが何のために私を救ってくださったかを知り、自分に与えられている目標に到達する日を目指して、努力しているのです。 + 愛する皆さん。私は、まだその目標に達してはいません。ただこの一事に全力を注いでいます。すなわち、過去に執着せず、前にあるものを望み見、 + ゴールに到達して神の栄冠を得るために、一生懸命努力しているのです。この栄冠を与えようと、神は私たちを天へと召しておられます。それは、キリスト‧イエスが成し遂げてくださった救いによるのです。 + ですから、成熟したクリスチャンであるあなたがたはみな、この点について、私と同じ考え方をするようにと願います。もし何かの点でこの考え方からはずれているなら、神はきっと指摘してくださるでしょう。 + もちろん、あなたがたが、与えられた真理に完全に従っているならば、の話です。 + 愛する皆さん。どうか私の生き方を見ならってください。また、私を手本として生きている人たちに目をとめてください。 + というのは、今までも、しばしば語ってきたことですし、今また、涙ながらに訴えたいのですが、クリスチャンとして歩みながら、実はキリストの十字架に敵対している者が多くいるからです。 + 彼らの行き着く先は永遠の滅びです。自分の欲望を神とし、ほんとうは恥じるべきことを誇っているからです。彼らの思いは、この地上の生活のことでいっぱいです。 + しかし、私たちのほんとうのふるさとは天にあるのです。そこには救い主である主イエス‧キリストがおられます。私たちは、キリストがそこから迎えに帰って来られるのを、ひたすら待ち望んでいるのです。 + その時、キリストは、あらゆるものを従わせることのできる超自然的な力で、私たちの死ぬべき体を、ご自身と同じ栄光の体に変えてくださるのです。 + + + 愛する兄弟(信仰を同じくする者)たち。私はあなたがたに、ぜひ会いたいと願っています。あなたがたは私の喜びであり、私の働きが結んだ実なのですから。愛する皆さん。どうかいつまでも、主に対して真実であってください。 + ここで、愛する二人の女性ユウオデヤとスントケにお願いします。どうか、主の助けによってけんかをやめ、もとどおり仲よくなってください。 + 私の真実の協力者である皆さん。あなたがたにもお願いします。彼女たちを助けてやってください。福音を宣べ伝えるために、私と手を組んで働いてくれた人たちだからです。それに彼女たちは、いのちの書に名前が記されているクレメンスやほかの協力者たちとともに、力を合わせて働いてくれたのです。 + いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい。 + 自己中心にならず、あなたがたが思いやりにあふれていることを、だれもが知る者になりなさい。主がもうすぐ来られると、いつも意識していなさい。 + 何事も心配しないで、どんな時でも神に祈りなさい。そして、祈りに答えてくださる神に感謝しましょう。 + そうすれば、人間の理解をはるかに超えた、すばらしい神の平安を経験します。キリスト‧イエスにあって、その平安はあなたがたの心と思いを静め、安らかにしてくれるのです。 + さて皆さん。筆を置く前に、もう一つ申し上げたいことがあります。真実なこと、良いこと、正しいことに注目しなさい。きよいこと、愛すべきことについて思いめぐらし、他の人の長所に目をとめなさい。神を喜び、賛美することばかりを考えなさい。 + 私から学んだこと、その行動から教えられたことがあれば、実行しなさい。そうすれば、平和の神が共にいてくださいます。 + あなたがたがまた助けてくれるようになって、どんなに感謝し、主を賛美しているか知れません。あなたがたはいつもできるかぎりのものを私に送ろうと心がけていたのに、機会に恵まれなかったのです。 + 生活に困っていたから、こう言うのではありません。私は、物が豊富にあろうとなかろうと、楽しく生きていくすべを学びました。 + 無一文の時にも、何でもそろっている時にも、どのように生活すべきか知っています。満腹の時にも空腹の時にも、豊かな時にも貧しい時にも、どんな境遇でも満足する秘訣を身につけました。 + 力を与え、強めてくださる方によって、私は、神に求められるどんなことでもできるからです。 + しかし、それにしても、よくぞ困難な状況下にある私を助けてくれました。 + 知ってのとおり、福音を携え、初めてあなたがたを訪問した私が、その後マケドニヤを離れて他の地方に向かった時、物をやり取りして協力してくれたのは、あなたがたピリピの教会だけでした。ほかに、そんな教会はありませんでした。 + テサロニケ滞在中でさえ、二度までも、物資を援助してくれました。 + 贈り物を感謝するのはもちろんのこと、何よりもうれしいのは、その親切な行いのゆえにあなたがたが受ける、豊かな報いのことです。 + 今のところ、必要な物は何でもそろっています。それどころか、必要以上に満たされています。エパフロデトにことづけてくれた贈り物をいただいて、十分すぎるほどです。その贈り物は、神が喜んで受け入れてくださる、香ばしいかおりの供え物です。 + 神は、キリスト‧イエスが成し遂げてくださったことによるご自身の栄光の富の中から、あなたがたに必要なものをすべて満たしてくださる方です。 + 父なる神に、栄光が、とこしえに限りなくありますように。アーメン。パウロ + そちらの信徒一人一人によろしくお伝えください。こちらにいる兄弟たちがよろしくとのことです。 + また、他の信徒もみな、特にカイザル(ローマ皇帝)の宮廷に仕えている人々が、よろしくと言っています。 + どうか、主イエス‧キリストの祝福が、あなたがたの霊と共にありますように。 + +
+
+ + 神に選ばれてキリスト‧イエスの使徒となったパウロと、信仰の友テモテから、 + コロサイの町に住む、神の民とされた忠実な兄弟たち(信仰を同じくする人々)へ。どうか、父なる神が、あなたがたに祝福を豊かに注ぎ、すばらしい平安をあふれるほどに与えてくださいますように。 + 私たちはあなたがたのために祈る時、いつも、まず主イエス‧キリストの父なる神に感謝します。 + それは、あなたがたの主に対する深い信頼と、神の民となった人々に対する深い愛とを耳にしているからです。 + また、あなたがたは福音(キリストによる救いの知らせ)を初めて聞いた時からずっと、天国にある喜びを早く味わいたいと待ちこがれてきました。 + 今ではこの同じ福音が世界中に広まり、至る所で人々の人生が変えられています。ちょうど、あなたがたが初めて福音を聞いた日に、罪人に対する神の豊かな恵みを真に理解して、人生が全く変えられたように。 + それをあなたがたに伝えたのは、私たちと共に働いている、愛するエパフラスでした。彼はイエス‧キリストに忠実に仕えており、今ここで、あなたがたに代わって私たちを助けてくれています。 + 彼はまた、あなたがたがどんなに他の人々を愛しているかを知らせてくれました。そのような愛は、聖霊が与えてくださったものです。 + そういうわけで、私たちはそのことを聞いた時から、絶えずこう祈り求めています。どうか、神が何を望んでおられるか、はっきりとあなたがたにわかりますように。また、霊的なことに対する理解力が与えられますように。 + いつも主に喜ばれる生き方をして、主の評判を高めることができますように。他の人々に善意と親切とを示し、神をますます深く知るに至りますように。 + また、こうも祈っています。あなたがたが神の栄光ある力に満たされて、どんなことが起ころうとも前進し、いつも、主の喜びにあふれていることができますように。 + また、光の国にすばらしい場所を備え、私たちをそこに住むにふさわしい者としてくださった父なる神に、いつも感謝できますように。 + 神は私たちを、サタンの支配する暗黒から救い出して、愛するひとり子キリストのご支配のもとに移してくださいました。 + この神の子は、ご自分の血という代価を払って、私たちを買い取ってくださり、すべての罪を赦してくださったのです。 + キリストは、目には見えない神のかたちであり、神がすべてのものをお造りになる前からおられました。 + 事実、キリストはすべてのものの創造者なのです。天にあるものも地にあるものも、目に見えるものも見えないものも、霊の世界の王座も主権も支配も権威もすべて、この方がご自身の目的と栄光のために造られたのです。 + キリストは他のすべてのものに先立って存在し、すべてのものは、キリストによって成り立っています。 + ですからキリストは、ご自分に属する人々からなる体〔すなわち教会〕のかしらです。キリストは、だれよりも先に死者の中から復活された方です。こうしてキリストが、あらゆる点で第一の地位を占めておられるのです。 + 神は、ご自分のすべてが御子の中に宿ることを望み、 + キリストの十字架の血によって、天と地のすべてのものが神のもとに行く道を開いてくださいました。神の子キリストが十字架の上で死なれたことにより、すべてのものが、神との平和な関係を持つに至ったのです。 + そのすべてのものの中には、かつて神から遠く離れていたあなたがたも含まれています。あなたがたは以前は神の敵であり、神を憎み、悪い考えや行いによって神から離れていました。 + しかし今、神は、キリストが人間の体をもって十字架上で死なれたことにより、あなたがたをご自分と和解させてくださったのです。それはあなたがたを、少しも非難されるところのない、きよい者として神の前に立たせてくださるためでした。 + ただしあなたがたは真理に堅く立って、ゆるがされることなく信仰に踏みとどまらなければなりません。そして、イエスがあなたがたのために死んでくださったという福音を、決して失ってはなりません。この福音は今や世界中に広がっており、私パウロは、その福音を伝える働きに仕えているのです。 + いま私は、あなたがたのために苦しむことも、私の務めとして喜んでいます。キリストの体である教会のために、キリストの苦しみの残された部分を担っているからです。 + 神が私を遣わされたのは、教会を助け、あなたがたユダヤ人以外の外国人に、その救いの計画を知らせるためです。 + 神はこれまで何世代にもわたって、この救いの計画を秘密にしてこられましたが、今ついに、神を愛し、神のために生きる人々にそれを明かされました。この計画があなたがた外国人にとって、どんなに栄光に満ちたものであるかを知らせたいと思われたのです。その計画とは、「あなたがたの心の中に住むキリストこそ、栄光にあずかる唯一の希望である」ということです。 + ですから、私たちはどこへ行っても、耳を傾けるすべての人にキリストを伝え、できるかぎりの手を尽くして、あらゆる人をさとし、教えています。そして、彼ら一人一人を、完全な者として神の前に立たせることができるようにと願っています。 + これが私の務めです。キリストが私のうちに力強く働いてくださるからこそ、この務めを果たせるのです。 + + + あなたがたとラオデキヤの教会と、またほかにも、直接には会ったことのない多くの友人のためにも、私がどんなに苦闘しているか知ってほしいのです。 + 私はこう祈り求めています。あなたがたが心に励ましを受け、強い愛のきずなで互いに結ばれるように。また、ゆるぎない確信と豊かな理解力をもって、ますます深く、神の奥義であるキリストを知ることができるように、と。 + このキリストのうちには、まだ私たちの知らない知恵と知識の宝がすべて隠されているのです。 + 私がこう言うのは、あなたがたが、だれかの巧みなことばでだまされはしないかと心配なのです。 + 離れていても、私の心はあなたがたと共にあり、その秩序ある生活と、キリストに対するしっかりした信仰とを見て喜んでいます。 + すでにキリストの救いを信じたあなたがたは、日常の問題についてもキリストに信頼し、キリストと共に生きなさい。 + キリストに根を深く下ろし、そこから養分を吸収しなさい。主にあって成長し続け、真理に立って、強くたくましくありなさい。すべてに感謝し、喜びにあふれて生活しなさい。 + あのむなしい、だましごとのような哲学によって、だれからも信仰と喜びが奪われないように注意しなさい。あのような哲学はキリストのことばによるものではなく、人間の考えや思いつきから出た、幼稚な考えでしかありません。 + キリストのうちにこそ、神の性質のすべてが肉体をとって宿っているのです。 + ですから、キリストを自分のものとしているなら、すべてを手に入れたことになります。あなたがたはキリストと結びつくことによって神に満たされているのです。キリストは、すべての力を従えた、権威ある、最高の支配者です。 + あなたがたがクリスチャンになった時、キリストはあなたがたを、罪に支配された古い性質から解放してくださいました。それは、割礼という肉体の手術によってではなく、心のバプテスマ(洗礼)という霊的な手術によってなされたことです。 + ですから、古い性質はキリストと共に死に、共に葬られたのです。そして、キリストを死者の中から復活させた、力ある神のことばを信じたあなたがたは、キリストと共に、新しいいのちへと復活させていただいたのです。 + あなたがたは、以前は罪の中で死んでいましたが、神は、そんなあなたがたをキリストと共に生かしてくださいました。それは、すべての罪を赦し、 + 神の定めに違反したことが記されているあなたがたに不利な証書を、塗りつぶしてしまわれたからです。この罪の証書は、キリストの十字架と共に釘づけにされて無効となったのです。 + こうして神は、罪を犯したあなたがたを責め立てるサタンの力をくじかれました。そして、十字架上でのキリストの勝利を、公然と示されたのです。この十字架によって、罪はすべて取り除かれました。 + そういうわけですから、食べ物や飲み物のことで、あるいはユダヤ教の祭り、新月の儀式、安息日の決まりを守らないなどという問題で、だれにも批評させてはいけません。 + それらは、キリストが来られる前にだけ有効であった、一時的な存在にすぎないからです。つまり、キリストという本体の影でしかなかったのです。 + 天使への礼拝を拒否する時、「今に罰があたるぞ」などと相手に言わせてはなりません。彼らは、幻を見たと言って、正当性を主張します。この、謙遜だと自任しているが高慢な人々は、実に想像をたくましくしますが、 + 彼らはキリストにつながっていません。しかし、キリストの体を構成する私たちは、キリストをかしらとして結びついています。私たちは、関節と筋肉によって互いにしっかり結び合わされ、神から養分と力とをいただいて成長するのです。 + キリストと共に死んだあなたがたは、この世の教えから解放されたのです。それならなぜ、「あれは食べるな、なめるな、さわってもいけない」などという規則に縛られ、この世の考えに従う生活を続けているのですか。 + それらはすべて消えてなくなるもので、人間の作った規則にすぎません。食物は食べるためにあり、食べればなくなります。 + このような規則は、自分を規制するきびしい礼拝とか、謙遜とか、肉体の苦行などを伴うので、いかにもすぐれたもののように思われがちですが、それによって、人の心に忍び込む、悪い思いや欲望に打ち勝つことはできないのです。それは、その人を高慢にするだけです。 + + + キリストが死からよみがえられた時、あなたがたも共によみがえったのですから、天にある無尽蔵の富と喜びに目を向けなさい。そこでは、キリストが栄誉と力とを帯びて、神の右の座についておられます。 + 地上のことをあれこれ気に病まず、天上のことで心を満たされていなさい。 + 一度死んだわけですから、あなたがたの真のいのちは、キリストと共に天の神のもとにあるのです。 + 真のいのちであるキリストが再び戻って来られる時、あなたがたも彼と共に輝き、そのすべての栄光にあずかるのです。 + ですから、罪深い肉欲を捨てなさい。性的な罪、汚れ、情欲、恥ずべき欲望などと縁を切りなさい。この世の富や快楽を慕い求めてはいけません。それは、神でないものを神とする、偶像礼拝だからです。 + そんなことをする人に、神の恐ろしい怒りは下るのです。 + あなたがたも、この世の人間として生きていた時には、そんなことをしていました。 + けれども今は、怒り、憎しみ、ののしり、口ぎたない悪口などの、汚れた服をみな脱ぎ捨てる時なのです。 + だまし合いはやめなさい。うそは、あらゆる悪にまみれた古いいのちの特徴でした。しかしすでに、その古いいのちは死んだのです。 + あなたがたは新しいいのちに生きています。正しいことへの探究心を強め、ますます、この新しいいのちを与えてくださったキリストに似る者となるよう努めましょう。 + そこでは、国籍、人種、教育、社会的地位の違いなどは全く問題ではありません。大切なのは、キリストをしっかりつかんでいるかどうかです。そして、キリストを自分のものにする機会は、だれにも平等に与えられているのです。 + 神に選ばれて愛され、聖なる新しいいのちを与えられたあなたがたは、他の人々に対して情け深く、やさしく親切でなければなりません。謙遜で、どんな時にも、おだやかに忍耐強く行動してほしいものです。 + 互いに耐え、赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったのですから、あなたがたも、人を赦すべきではありませんか。 + 何よりも大切なのは、愛をもって仕え合うことです。そうすれば、教会全体が深く結びつき、麗しい調和が与えられます。 + キリストにある平和が、いつもあなたがたの心と生活を満たすようにしなさい。そうすることが、キリストの体の一部とされたあなたがたの責任であり、特権でもあるからです。また、いつも感謝していなさい。 + キリストの教えを心にとめ、そのことばによって、人生が豊かに潤されるようにしなさい。知恵を尽くして、そのことばを互いに教え合い、忠告し合い、感謝にあふれて心から神に向かって賛美しなさい。 + 何をするにも、何を語るにも、主イエスの代理人として行動し、主イエスと共に、父なる神の前に出て、心から感謝しなさい。 + 妻は夫に従いなさい。それは、主が人々のためにお定めになったことだからです。 + 夫は妻を愛し、いたわりなさい。つらく当たったり、邪険な態度をとったりしてはいけません。 + 子どもはどんな時でも両親に従いなさい。それは、主に喜ばれることだからです。 + 父親は、子どもがいらだつほどしかってはなりません。 + 奴隷はいつも地上での主人に従いなさい。気に入られようとして、主人が見ている時だけ一生懸命に働くのではなく、陰日向なく仕えなさい。主を愛しているのですから、主に喜んでいただけるよう、真心から主人に従いなさい。 + 人に対してではなく、主に対してするように、何事においても心からしなさい。 + 報酬を下さるのは主キリストであることを忘れてはなりません。キリストは、所有しておられるものの中から、有り余るほどの相続財産を与えてくださいます。あなたがたは、この主キリストに仕えているのです。 + 主のために最善を尽くさない者は、その報いを受けます。主は不誠実な者を、大目に見たりはなさらないからです。 + + + 奴隷の主人は、全員を正しく公平に扱いなさい。あなたがたにも天に主人がいて、その行動は全部見られているのです。 + 祈りをやめてはいけません。感謝をもって、熱心に祈り続けなさい。 + また、私たちのことも忘れないでください。キリストの奥義である福音を伝える機会が多く与えられるように、祈ってほしいのです。この福音のために、いま私は投獄されているのです。 + どうか、私がこの福音を、勇気をもって、自由に、完全に、しかもわかりやすく語れるように祈ってください。 + 与えられた機会を最大限に生かして、あなたがたも人々に伝えなさい。教会の外部の人々とは、いつも賢く慎重に接しなさい。 + あなたがたの会話が、良識に富み、善意にあふれるよう心がけなさい。そうすれば、一人一人に適切な答え方ができます。 + 愛する信仰の友テキコが、私の様子を知らせてくれるでしょう。テキコは共に主に仕えている、熱心な働き人です。 + 彼に行ってもらうのは、そちらの様子も知りたいし、また、あなたがたを慰め、力づけもしたいからです。 + 彼に、あなたがたの仲間の一人、忠実な愛する信仰の友オネシモを同行させます。オネシモとテキコが、こちらの現状をみな知らせることでしょう。 + 私といっしょに牢につながれているアリスタルコと、バルナバの親類のマルコが、よろしくとのことです。前にもお願いしたように、もしマルコがそちらへ行ったら、心から歓迎してやってください。 + イエス‧ユストもまた、よろしくと言っています。以上が、こちらで共に神の国のために働く者たちです。彼らには、どんなに励まされてきたことでしょう。 + あなたがたの町から来た、キリスト‧イエスのしもべエパフラスも、よろしくと言っています。彼はいつも、あなたがたが強く完全な者となり、何事においても、神が望まれるとおりに行動できるようにと、熱心に祈り求めています。 + あなたがたのために、またラオデキヤやヒエラポリスのクリスチャンのために祈る彼の熱意は、私がよく知っています。 + 愛する医者ルカ、それにデマスが、よろしくとのことです。 + どうか、ラオデキヤに住む兄弟たちに、また、ヌンパと、礼拝のためにヌンパの家に集まっている人たちに、よろしく伝えてください。 + それから、この手紙を読み終えたら、ラオデキヤの教会にも回してください。また、ラオデキヤの教会あての私の手紙も、そちらに回覧されたら読んでください。 + アルキポに、「主から命じられたことを、すべて忠実に果たすように」と伝えてください。 + このあいさつは、私の自筆です。私が獄中にいることを覚えていてください。どうか神の祝福が、あなたがたに満ちあふれますように。パウロ + +
+
+ + パウロとシルワノとテモテから、父なる神と主イエス‧キリストによって一つとされているテサロニケ教会の皆さんへ。どうか、祝福と平安があなたがたにありますように。 + 私たちはあなたがたのために欠かさず祈り、神に感謝しています。 + そしていつも忘れずに、あなたがたの愛の労苦と信仰、それに主イエス‧キリストを熱心に待ち望む姿を、父なる神の御前に思い起こしています。 + 愛する皆さん。あなたがたが神に選ばれ、愛されていることを、私たちはよく知っています。 + それは、私たちが伝えた福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を聞き流さず、非常な関心をもって迎え入れた態度から明らかです。私たちが語った教えは、あなたがたの人生に重大な影響を与えました。聖霊によって、これこそ真理だという確信があなたがたに与えられたからです。また、私たちの生活そのものも、私たちが語ったことばの正しさを実証したと言えるでしょう。 + こうしてあなたがたも、私たちや主ご自身のあとに続く者となりました。多くの試練や悲しみにもくじけず、聖霊からいただいた喜びにあふれて、私たちの教えを受け入れたからです。 + こうしてあなたがたは、マケドニヤとアカヤ中のクリスチャンの模範となりました。 + その働きのおかげで、今、主のことばはマケドニヤ、アカヤばかりか、あらゆる地域の人々に伝わっています。どこへ行っても、神に対するあなたがたの信仰を賞賛する声を耳にします。ですから、そのことについてこれ以上、何も語る必要はないでしょう。 + 彼らのほうから、私たちに対するあなたがたの歓迎ぶりや、偶像を捨てて神に立ち返り、真の生ける神にのみ仕える者となったいきさつ、 + また、神の子の到来を待ち望む熱心さについて話してくれるからです。この神の子こそ、神が死者の中から復活させたイエスであり、罪に対する神の恐るべき怒りから救い出してくださる、唯一の救い主なのです。 + + + 愛する皆さん。私たちの訪問があなたがたに及ぼした大きな意義については、認めてくれることでしょう。 + 皆さんは、私たちがそちらに行く前に、ピリピでどんな目に会い、どれほど苦しんだか、よく知っているはずです。しかし、神から勇気を与えられた私たちは、四方八方、敵に囲まれながらも、大胆に神の福音を伝えることができました。 + ですから、私たちが不純な動機や目的からではなく、神への信仰に動かされて伝道したことを確認してほしいのです。 + 私たちは、神から任命された伝道者として真理だけを語るのであって、聞く者の好みに合わせて内容を変えることなど絶対にしません。 + よくご存じのとおり、私たちはこれまで、何かをもらいたくて人にへつらったことなど一度もありません。それは神が証人になってくださいます。 + また、私たちはキリストの使徒として、当然賞賛されてもいい権利を持っています。しかし、あなたがたからはもちろん、ほかのだれからも、そのような名誉を求めたことはありませんでした。 + それどころか、子どもを養い、世話をする母親のように、やさしくふるまってきました。 + 心からあなたがたを愛していた私たちは、ただ神の教えを伝えるだけでなく、いのちさえ喜んで与えたいと思うほどでした。それほどまでに愛したのです。 + 愛する皆さん。私たちが、生活費のために、どれほど苦労して働いたか覚えているでしょう。そちらにいた時も、夜昼休みなく、汗水流して働きました。それは、神の福音を伝えるにあたって、だれにも経済的な負担をかけたくないと思ったからでした。 + 一人一人に対して、私たちが純粋な気持ちで、だれからも非難されないように行動したことは、神だけでなく、あなたがたも証人となってくれるはずです。 + 父親が子どもをさとすように一人一人に勧め、また、励ましてきました。それを忘れてはいないでしょう。 + また、あなたがたの日々の生活が、あなたがたを御国と栄光とに招いてくださった神の御心にかない、喜ばれるものとなるようにと教えてきました。 + 私たちは、神に感謝せずにはいられません。私たちが伝道した時、あなたがたはそのことばを人間の口から出たものと見ず、神のことばとして聞いてくれたからです。事実、この神のことばは、信じる者の生活を一変させるものです。 + 皆さん。あなたがたはユダヤの諸教会と同じ苦しみを味わっています。つまり、彼らが同胞のユダヤ人に苦しめられたように、あなたがたも同国人に迫害されているからです。 + ユダヤ人たちは、自分たちの預言者を殺したばかりか、主イエスさえも手にかけてしまいました。そして今は、私たちにも激しい迫害の手を伸ばし、追い出してしまったのです。その上、神にも人間にも敵対して、 + 外国人への伝道を妨害しています。彼らは、外国人はだれも救われてほしくないのです。このようにして罪に罪を重ねた彼らに対して、神の怒りがついに爆発しました。 + 兄弟たち。あなたがたのもとを離れてかなりたつので〔もっとも、心はいつもそばにいるのですが〕、もう一度、ぜひ会いたいと願っていました。 + それで私たちは、何とかしてそちらへ行こうと努力したのです。特にこのパウロは何度も試みたのですが、そのつど、悪魔にじゃまされて果たせませんでした。 + 私たちに希望と喜びを与え、誇りの冠となってくれるものは、いったい何でしょうか。それはまさに、あなたがたなのです。そうです。主イエス‧キリストが再び来られる時、御前で大きな喜びをもたらしてくれるのは、あなたがたなのです。 + あなたがたこそ、私たちの勝利のしるしであり、また喜びなのです。 + + + そこで、私たちはあなたがたのことが気がかりで、もうこれ以上、我慢できなくなったので、私だけがアテネにとどまることにして、 + 兄弟であり、協力者であり、また神の伝道者でもあるテモテをそちらへ行かせました。それは、あなたがたの信仰を強め、励まし、どんな困難の中でも、失望せずにしっかり立ってくれることを願ったからです。しかしご存じのとおり、クリスチャンにとって困難とは、神の計画の範囲内の出来事なのです。 + 私がそちらにいた時、やがてきっと苦難が訪れると警告しておきましたが、それが、いま現実となったのです。 + そういうわけで、私は不安な気持ちに耐えきれず、あなたがたの信仰が以前のようにしっかりしているかどうか確かめたくて、テモテに行ってもらいました。悪魔に誘惑されて信仰を奪い取られ、これまでの苦労が水のあわになったのではないかと心配だったからです。 + ところが、今こちらに帰って来たテモテから、あなたがたの信仰と愛が変わらずにしっかりしているとの報告を受け、どんなに喜んだことでしょう。またあなたがたは、私たちの訪問を昨日のことのように覚えていて、私たちと同じように会いたがってくれているそうですね。 + 愛する皆さん。身も心も押しつぶされそうな困難と苦しみの中にありながらも、あなたがたの主へのまごころが変わらないことを知って、私たちはほんとうに慰められました。 + 主にあって堅く立っていてくれるなら、それだけで、私たちはどんな困難にも耐えていけます。 + あなたがたが与えてくれた喜びを、どれほど神に感謝したらよいでしょう。 + ぜひ、もう一度会って、あなたがたの信仰のなお足りないところを補いたいと、昼も夜も神に求めています。 + どうか、父なる神と主イエスが、再会の機会を与えてくださいますように。 + また、どうか主が、私たちがあなたがたを愛するように、あなたがたの互いの愛と、他の人々への愛を深め、満ちあふれさせてくださいますように。 + そして、どうか父なる神が、あなたがたの心を強くし、きよめて、主イエスがご自分に属する人々と再び来られる時、御前で、あなたがたを責めるところのない聖なる者としてくださいますように。 + + + 愛する皆さん。さらに付け加えます。あなたがたは日々の生活で、どうしたら神をお喜ばせできるかを、すでに知っているはずです。そのために、主イエスの教えを学んだのですから。そこでお願いします。というより、これは主イエスの命令と思ってほしいのですが、どうか、その目標に向かってさらに熱心に励んでください。 + 神が望んでおられることは、あなたがたがきよくなることです。ですから、あらゆる不品行の罪を避け、きよらかな品位ある結婚生活を送ってほしいのです。 + 神を知らない異教徒のように、情欲におぼれてはいけません。 + また、他人の妻を奪って、その人を裏切るようなことをしてはいけません。前もってきびしく警告しておいたように、主はこれらについて厳罰を下されるからです。 + 私たちが神に召されたのは、汚れた思いや情欲のとりこになったりするためではなく、きよく清潔な生活を送るためです。 + もし、これらの戒めに従うことを拒むなら、人にではなく、聖霊を与えてくださった神にそむくことになるのです。 + また、クリスチャン同士の純粋な兄弟愛については、何も言う必要がないと確信しています。なぜなら、神ご自身があなたがたに、互いに愛し合うことを教えてくださったからです。 + あなたがたの愛は、国中のすべてのクリスチャンをおおうほど強いものだと聞いています。そうであればこそ、心からお願いしたいのです。ますます兄弟愛を深めなさい。 + そして、以前にも教えたように、静かな生活を送り、仕事に身を入れ、喜んで働きなさい。 + そうすれば、クリスチャンでない人たちからも信用され、尊敬されることでしょう。また、他の人に負担をかけなくてすむでしょう。 + それから、皆さん。クリスチャンが死んだらどうなるか、よく知っておいてほしいのです。悲しみのあまり取り乱して、何の希望もない人たちと同じようにならないためです。 + 私たちは、イエスが死んで復活されたことを確かなことと信じています。ですから、イエスが帰って来られる時、すでに死んで世を去ったすべてのクリスチャンを、神が共に連れて来てくださると信じてよいのです。 + 私は主から直接聞いたとおりを伝えるのですが、主が再び来られる時、私たちがまだ生きていたとしても、すでに墓の中にいる人たちをさしおいて主にお会いすることは、断じてありません。 + 主は、大号令と、天使の長の声と、神の召集ラッパの響きと共に天から下って来られます。その時、まず最初に復活して主にお会いできるのは、すでにこの世を去っているクリスチャンです。 + それから、なお生きて地上に残っている私たちが、いっしょに雲に包まれて引き上げられ、空中で主とお会いするのです。そして、いつまでも主と共に過ごすことになります。 + ですから、このことをわきまえて、互いに慰め合い、励まし合いなさい。 + + + 愛する皆さん。それらがいつ起こるかについては、私は何も答える必要がありません。 + その時を言い当てることができる人などいないことは、よくご存じのはずです。主の日は、夜中にこっそり忍び込む盗人のように、思いがけない時に来ます。 + 人々が、「万事順調で、平穏無事だ」と言っているような時、突然、災いが襲いかかるようにやって来ます。それはちょうど、出産の時、母親に陣痛が襲うのと似ています。その災いから逃れることができる人はいません。身を隠す場所など、どこにもないからです。 + しかし、皆さん。あなたがたはこのことについて、皆目わからない暗闇の中にいるわけではないのですから、主の日が来ても、強盗に襲われたようにあわてふためくことはありません。 + あなたがたはみな、光の子ども、真昼の子どもであって、暗闇や夜に属する者ではないからです。 + ですから、ほかの人たちのように眠りこけないで、目を覚ましていなさい。主が再び来られる日に備えて、節度をもって生活しなさい。 + 夜、人々は眠り、また酔いつぶれます。 + しかし、私たちは、昼の世界に生きる者らしく、信仰と愛のよろいで身を守り、救いの望みというかぶとをかぶり、慎しみ深く過ごしましょう。 + 神は、怒りを向けるために私たちをお選びになったのではなく、主イエス‧キリストによって救うために選んでくださったのです。 + 主イエス‧キリストの死は、〔主が再び来られた時、私たちの生死の状態にかかわりなく〕私たちを永遠に主と共に生かすためでした。 + そういうわけですから、すでに実行しているように、互いに励まし合い、助け合いなさい。 + 皆さん。あなたがたの間で一生懸命働き、何かまちがいがあれば親身になって忠告してくれる人たちを尊敬しなさい。 + その人たちは、何とかしてあなたがたの手助けをしようとしているのですから、彼らを認め、心から愛しなさい。くれぐれも言っておきますが、争いなど起こさないようにしてください。 + 愛する皆さん。なまけ者や手に負えない乱暴者には、きびしく注意しなさい。臆病な人を励まし、弱い人を思いやりなさい。そして、だれに対しても忍耐の心を持ちなさい。 + 悪をもって悪に仕返ししないように、気をつけなさい。かえっていつも、お互いの間で、またどんな人にも、善意を示すよう心がけなさい。 + いつも喜びにあふれていなさい。 + いつも祈りに励みなさい。 + どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト‧イエスにあって、神があなたがたに望んでおられることです。 + 聖霊の恵みを無にしてはいけません。 + 預言する者を軽蔑してはいけません。 + すべてのことをよく調べ、それがほんとうに良いものであれば、受け入れなさい。 + あらゆる種類の悪から遠ざかりなさい。 + どうか、平和の神が、あなたがたを完全にきよめてくださいますように。あなたがたの霊とたましいと体とが、いつも健全で、主イエス‧キリストが再び来られる時、少しも非難されない者としてくださいますように。 + あなたがたを招いてご自分の子どもとしてくださった神は、約束どおり、それらのことをなしてくださいます。 + 愛する皆さん。私たちのために祈ってください。 + 全員に、心からのあいさつを送ります。 + この手紙を、すべてのクリスチャンが読むようにしてください。これは主の命令です。 + どうか、主イエス‧キリストから、あふれるほどの祝福があなたがたに注がれますように。パウロ + +
+
+ + パウロとシルワノとテモテから、私たちの父なる神と主イエス‧キリストに守られている、テサロニケの教会の皆さんへ。 + どうか、父なる神と主イエス‧キリストが、祝福と平安をあなたがたに与えてくださいますように。 + 愛する皆さん。私は、神にたいへん感謝しています。それは、あなたがたの信仰がめざましく成長し、互いがますます深い愛で結ばれているからです。それを思うと、神に対する感謝の思いが自然にわき上がってきます。もちろん、感謝して当然なのです。 + 激しい迫害と苦難の真っただ中にあるにもかかわらず、あなたがたが忍耐しつつ、神への完全な信仰を守っていることを、私たちは諸教会の間で大いに誇っています。 + それは、あなたがたを神の国にふさわしい者と認める、神の裁定が正しいという証拠です。あなたがたは、この神の国のために苦しみを受けているのです。 + あなたがたを迫害する者たちには、その報いとして、さばきが下されます。 + そういうわけで、苦難のただ中にある、あなたがたに言っておきます。主イエス‧キリストが力ある天使たちを従えて、燃え立つ炎の中に天から姿を現される時、神はあなたがたにも私たちにも、休息を与えてくださるのです。 + その時、神に目もくれなかった者や、主イエス‧キリストによる神の救いの計画を拒んだ者には、恐るべきさばきが下ります。 + 彼らは永遠の地獄で刑罰を受け、主の前から追放されて、二度と栄光に輝く主を見ることはありません。 + 再び来られた主は、その日、ご自分のものであるクリスチャンたちによって、誉れと賞賛とをお受けになります。そして、私たちが伝えた神のことばを信じ抜いたあなたがたは、主と共に生きる者となるのです。 + そのためにも、いつも、あなたがたのことを思って祈っています。どうか神が、神の選びにふさわしい者として、あなたがたの信仰を評価してくださいますように。 + そうすれば、神によって変えられたあなたがたを見て、すべての人が主イエス‧キリストの名を賛美するようになるでしょう。そして、あなたがたも、主のものになるという栄光を受けます。神と主イエス‧キリストの恵みによって、そうしていただけるのです。 + + + さて、主イエス‧キリストがもう一度来られることと、その時、一堂に集められた私たちが主にお会いすることについて、どう考えていますか。愛する皆さん。主の日はもう来たなどといううわさを耳にして、興奮したり、あわてたりしないでください。たとえ、このことについて幻を見たとか、神から特別のお告げを受けたとか言う人が現れても、また、私たちから送られたもののように偽造した手紙を見せられても、信用してはいけません。 + どんなことを言われても、惑わされたり、だまされたりしないように気をつけなさい。なぜなら、主の日は、次の二つの現象が起こるまでは実現しないからです。まず、世をあげて神に逆らう時代が来ます。それから、反逆者である反キリスト、すなわち滅びの子が現れます。 + 彼は、神と名のつくものにはことごとく反抗し、また、礼拝の対象をすべて打ちこわします。そして神殿に入って神の座につき、自分こそ神だと宣言します。 + このことについては、そちらに滞在中、何度も話しておいたのを覚えていますか。 + あなたがたは、定められた時が来ると姿を現そうとする彼を、引き止めている者がだれかを知っているはずです。 + この、反逆と滅びの子が現れるきざしは、すでにあちこちに見られます。しかし、引き止めている者が身を引くまでは、姿を現せません。 + 時が来れば、いよいよこの反キリストが現れることになりますが、主イエスが来られ、御口の息と輝きによって、彼を滅ぼしてしまわれます。 + この反キリストは悪魔の手先であり、悪魔のあらゆる力を与えられてやって来ます。不思議なわざを見せては人々をだまし、力ある奇跡を行う者であるかのように見せかけるのです。 + こうして、真理を拒んで滅びへの道を走る者たちを、すっかりとりこにします。その人たちは、真理を信じることも愛することもせず、救われようなどとは考えもしませんでした。 + そこで神は、彼らがだまされるままに放っておかれるのです。 + 真理を信じないで、罪を犯すことを楽しんでいた彼らに、さばきが下るのは当然です。 + しかし、主に愛されている皆さん。あなたがたのことを考えると、神に感謝せずにはいられません。なぜなら、神は初めから、あなたがたを救おうとしてお選びになり、聖霊の働きと、真理に対するあなたがたの信仰によって、きよめてくださったからです。 + 神は、私たちの語った福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)によってあなたがたを選び分かち、主イエス‧キリストの栄光に招いてくださったのです。 + 皆さん。これらのことを深く心にとめて、しっかり立ちなさい。そして、私たちが説教や手紙で伝えた教えを守りなさい。 + 私たちを愛し、値しない者に永遠の慰めと希望とを与えてくださった主イエス‧キリストと父なる神が、 + どうか、あらゆる励ましをもってあなたがたを勇気づけ、ことばと行いによって、善を追い求めさせてくださいますように。 + + + 愛する皆さん。この手紙を書き終えるにあたって、お願いしたいことがあります。どうか、私たちのために祈ってください。主のことばが至る所で急速に広まり、あなたがたのところで起きたと同じように、各地で救われる人が起きるように祈ってください。 + また、私たちが悪い者たちの手から救い出されるように祈ってください。すべての人が、主を愛しているわけではありませんから。 + しかし、主は真実な方ですから、あなたがたに力を与え、悪魔のどんな攻撃からも守ってくださいます。 + 私たちは主に信頼しているので、あなたがたが私たちから教えられたことを現に実行しており、これからもその態度は変わらないと確信しています。 + どうか、主の導きによって、神の愛とキリストの忍耐とを、あなたがたがますます深く理解しますように。 + 最後に、皆さん。ここで私たちは、主イエス‧キリストの名により、その権威を受けて命じます。私たちが身をもって示した教えに従わず、何もせずにだらだらと日を過ごしている人たちとは絶交しなさい。 + どういう生活をすればよいかは、もうよくわかっているはずです。私たちは、そちらで、だらしのない生活をしたことはありません。それを手本にしてください。 + 私たちは、だれからも、ただでパンをもらいませんでした。だれにも負担をかけたくなかったので、必要な物は、昼夜働いて得た収入で手に入れました。 + 私たちにそれを要求する権利がなかったからではなく、自分の生活は自分で支えるという模範を、身をもって示したかったのです。 + そちらにいた時にも、「働かない者は食べる資格がない」と教えたはずです。 + ところが聞くところによると、あなたがたの中には働くのをいやがり、一日中ぶらぶらして、うわさ話ばかりしている人がいるということです。 + そういう人たちに、主イエス‧キリストの名によって忠告し、また命じます。腰を落ち着けて、まじめに仕事に精を出し、自活できるようになりなさい。 + それから、あなたがたには、いつでも正しい行いをしてほしいものです。 + もし、この手紙に書いた指示に聞き従わない者がいれば、そのような人には特に注意し、交際しないようにしなさい。自らそのことに気づいて恥じ入らせるためです。 + しかし、その人を敵視するのではなく、兄弟に対するように忠告しなさい。 + どうか、どんな場合にも、平和の主があなたがたに平安を与え、あなたがたと共にいてくださいますように。 + この最後のあいさつは、私の自筆です。どの手紙にもそうしています。 + どうか、主イエス‧キリストの祝福が、あなたがた一同の上にありますように。パウロ + +
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+ + 私たちの救い主である神と、唯一の希望である主イエス‧キリストによって遣わされた使徒パウロから、 + テモテへ。あなたは信仰の面から言えば、私の息子のようなものです。どうか、父なる神と主イエス‧キリストの恵みとあわれみによって、あなたの心と思いが豊かな平安で満たされますように。 + 私がマケドニヤ(ギリシヤ北部の州)に出発する際、指示しておいたように、あなたは引き続きエペソの教会にとどまり、まちがった教えを言い広めている者の口を封じてください。彼らの作り話や伝説、また、むなしい系図論争を終わらせなさい。このような教えは、信仰によって救われるという神のご計画を妨げるばかりか、かえって、さまざまの疑問と議論を巻き起こすもとになります。 + 私がひたすら願い求めるのは、すべてのクリスチャンが純粋な愛の心を持ち、その思いがきよめられ、信仰が強められることです。 + しかし、まちがった教えを広める教師たちは、それを見失い、議論やくだらない話で時間をつぶしています。 + 彼らは、律法の教師としての名声を得たがるのですが、律法の本質を少しもわかっていないのです。 + 律法は、神の御心にかなって用いられるなら良いものです。 + しかし、神に救われた私たちのためのものではありません。それは律法を無視し、神を憎み、神を汚すことばを吐き、父母に逆らい、人殺しをする罪人のためにあるのです。 + 律法は、不道徳で不潔な者たち、すなわち、同性愛にふける者、子どもを誘拐する者、うそをつく者、そのほか健全な教えにそむく者の罪を指摘するためにあるのです。そのことは、祝福に満ちた栄光の福音と合致しており、私はその福音を伝える務めをゆだねられました。 + 私は、主キリスト‧イエスに、どれほど感謝したらよいかわかりません。主は私をこの務めにつかせ、忠実に奉仕する者と認めてくださいました。 + 以前の私は、キリストの名をあざけり、主を信じる者たちを追い回し、あらゆる方法で迫害しました。しかし主は、そんな私さえ、心にかけてくださったのです。その時はまだ、キリストを知らず、自分のしていることの恐ろしさもわからなかったからです。 + 主は、なんと恵み深いお方でしょう。どのように主に信頼すべきか、どうしたらキリスト‧イエスの愛に満たされるかを教えてくださったのです。 + 「キリスト‧イエスは、罪人を救うためにこの世に来てくださった」ということばは真実で、そのとおり受け入れるべきものです。私は、その罪人の中でも筆頭格の人間です。 + それにもかかわらず、神は私をあわれんでくださいました。キリスト‧イエスは、どうにも手がつけられない罪人に対してさえ寛容を示して、私のような者を選ばれたのです。それによって、だれでも永遠のいのちを持つ希望が与えられるのです。 + どうか、永遠の王であり、決して死ぬことのない、目には見えない、ただひとりの神に、栄光と誉れがいつまでもありますように。アーメン。 + 私の子テモテよ。あなたに命じます。主が預言者(神のことばを託されて語る人)たちを通して言われたように、主のための戦いをりっぱに戦い抜きなさい。 + キリストを信じる信仰を、しっかり守りなさい。また、正しいと思うことは進んで行い、いつも良心に恥じない歩みをしなさい。悪いことと知りながら、良心に逆らって、あえてそれを行う人がいますが、神をないがしろにするような人がたちまちキリストへの信仰を失ったとしても、少しも不思議はありません。 + ヒメナオとアレキサンデルの二人は、その悪い見本です。私は彼らを罰するために、悪魔の手に引き渡さざるをえませんでした。それは、キリストの名を辱しめてはならないことを、身をもって学ばせるためです。 + + + さて、次のことを勧めます。すべての人のために、神のあわれみが注がれるよう熱心に祈り、とりなしなさい。そして、やがて彼らにも恵みが与えられると信じて、感謝しなさい。 + また、すべての重い責任を負っている人たちのために祈りなさい。それは、私たちが主を深く思いながら、平安のうちに落ち着いた一生を過ごすためです。 + そうするのはたいへん良いことで、救い主である神に喜んでいただけることです。 + 神はすべての人が救われて、真理を理解するに至ることを切に望んでおられます。 + その真理とはこうです。神と人間とは、それぞれ別の岸に立っています。そして、人となられたキリスト‧イエスがその間に立ち、ご自分のいのちを全人類のために差し出すことによって、両者の橋渡しをされたのです。これこそ、時が至って、神が私たちに示された教えにほかなりません。 + この真理、つまり、救いは信仰によって与えられるという神の計画を外国人に伝えるために、私は伝道者また使徒として選ばれました。これは、うそ偽りのない事実です。 + そこで勧めます。男は、怒ったり恨みをいだいたりせずに、どこででも、きよい手を上げて祈りなさい。 + 同じように女も、控え目な服装と態度で、品位を保つように心がけなさい。神を敬う女は、はでな髪形や宝石、高価な衣装によってではなく、良い行いとやさしいふるまいによって自分を飾りなさい。 + 女は、静かに、謙遜な心で教えを聞き、また学ぶべきです。 + 女が男にものを教えたり、権力をふるったりするようなことがあってはなりません。女は、教会の集会では黙っていなさい。 + なぜなら、神は最初にアダムを、そのあとでエバをお造りになったからです。 + アダムは悪魔にだまされませんでしたが、エバはだまされ、罪を犯してしまいました。 + そこで神は、女に子を産む時の苦しみをお与えになったのです。しかし、もし女が慎み深く、信仰と愛ときよさを持って生活するなら、そのたましいは救われます。 + + + 「人がもし牧師になりたいと願うなら、それはすばらしいことである」ということばは真実です。 + 牧師になる人は、非難されるところがなく、一人の妻の夫で、勤勉で思慮深く、折り目正しい生活をしている人であるべきです。また、客をよくもてなし、聖書を教える力がなければなりません。 + 酒飲みでも、乱暴者でもなく、やさしく親切で、金銭に執着がなく、 + 子どもたちをしつけ、よく家庭を治める人でなければなりません。 + 自分の小さな家庭すら治めきれない人が、どうして神の教会を指導できるでしょう。 + また、牧師となる者は、クリスチャンになってまだ日の浅い人ではいけません。高慢になる危険性があるからです。高慢は堕落の前ぶれです。 + また、教会外の人からも、評判の良い人でなければなりません。非難を受けて、悪魔のわなにはまらないためです。 + 教会の執事も、牧師と同じように、善良でまじめな人でなければなりません。大酒飲みや、不正な利益をむさぼる人でなく、 + キリストに真心から仕える人でなければなりません。 + ですからまず、その人柄や能力を見定めるため、教会で何かほかの仕事をさせてみなさい。それで、非難される点がないなら、執事として任命しなさい。 + 執事の妻〔または婦人執事〕も、思慮深く、陰口をきかず、自分を制し、すべてに忠実な人でなければなりません。 + 執事は、一人の妻の夫で、家族のだれからも慕われる円満な家庭の主人であるべきです。 + 執事の務めをりっぱに果たす人は、人々から尊敬され、また主への信仰の確信を強められて、二重の報いを受けることになります。 + 私は、近いうちに、そちらを訪問したいと思いながらこの手紙を書いています。 + もしその訪問がしばらく実現しなくても、神が生き生きと働かれる教会のために、どのような行動をすべきかを、あなたに知ってもらいたいのです。教会は真理を明らかにし、また真理を守り支えるところだからです。 + 敬虔を保つことは、決してなまやさしいものではありませんが、その秘訣はキリストのうちにあるのです。「キリストは人として地上に来られ、その霊は汚れなく、きよらかであることが証明され、天使たちに仕えられ、諸国民の間に宣べ伝えられ、至る所で信じられ、再び栄光のうちに天に引き上げられたのです。」 + + + しかし、聖霊がはっきりと予告されたように、終末の時代には悪霊の教えを広める教師が現れ、教会の中からも、キリストから離れてその熱心な弟子になる者が出ます。 + そのような教師は平気でうそをつき、しかもそれを何度もくり返すので、良心が完全にまひしています。 + 彼らは結婚を禁じたり、肉を食べることを禁じたりします。しかし食物は、神が私たちに喜び楽しむようにと備えてくださったものです。 + 神がお造りになったものはみな良い物で、感謝して受ければ、何一つ捨てる必要はありません。 + 神のことばと感謝の祈りによって、きよめられるからです。 + このことを、ほかの人たちにはっきり教えなさい。そうすれば、あなたは牧師の義務をりっぱに果たしたことになるのです。牧師は、自らの信仰と、従ってきた真理の教えとによって成長するのです。 + 愚かな理論や作り話の議論で、むだな時間を費やしてはなりません。むしろ、時間と労力とを有効に使って、いつも霊的に高められるよう自分を訓練しなさい。 + 体の訓練も大いにけっこうですが、霊の訓練はさらに大切であり、あらゆる行動の原動力になるのです。ですから、あなたは霊の訓練に励み、もっとすぐれたクリスチャンを目指しなさい。そうすることは、今の地上の生活のためだけでなく、未来の生活にも役立つからです。 + これは、万人に共通の真理です。 + この真理を人々が信じるように、私たちは多くの苦しみに会いながらも一心に励んできました。それは私たちが、生ける神に希望を託しているからです。神はすべての人のために、特にその救いを受け入れた人たちのために、死んで復活されたお方なのです。 + これらのことを、どんな人にも十分理解できるように教えなさい。 + 年が若いからといって、軽く見られてはいけません。かえって人々の模範になりなさい。あなたが、ことばと態度によって教えていることを、人々にも実行させなさい。愛、信仰、純潔の良い模範を示しなさい。 + 私がそちらに行くまで、教会で聖書を朗読し、その内容を教え、神のことばを伝えなさい。 + あなたが任職に当たって教会の長老たちの按手(頭に手を置いて祈る)を受けた時、神が預言を通して与えてくださった聖霊の賜物(神の恵みによって一人一人に与えられたもの)を大切にしなさい。 + それを十分に活用して、今の仕事に全身全霊、打ち込みなさい。そうすれば、あなたの進歩と向上がすべての人に明らかになるでしょう。 + 自分自身と教えることに、いつも気をつけなさい。正しいことには、あくまでも忠実でありなさい。そうすれば、神はあなたを祝福し、他の人たちを助けるのに役立つ者としてくださいます。 + + + 年上の人に、きついことば遣いをしてはいけません。むしろ父親に対するように、尊敬の念をこめて話しかけなさい。年下の人には、弟に対するように話しなさい。 + 年上の女性には母親のように、若い女性には、少しも不純な気持ちをいだかないで、妹のように接しなさい。 + 夫に先立たれて、だれにも面倒をみてもらえない女性がいたら、教会は親身になって世話をすべきです。 + しかし、もしその人に子どもか孫がいる場合は、その責任は彼らにあります。なぜなら、親切はまず自分の家庭から、つまり困っている親の面倒をみることから始まるのです。神はそのことをたいへん喜ばれます。 + 教会が世話をすべき人は、身寄りのない貧しい未亡人たちです。中でも、ひたすら神に信頼し、多くの時間を祈りに費やす人たちです。 + ふしだらな生活をしている未亡人は、世話をする必要がありません。彼女たちのたましいは死んでいるのです。 + しかし、ほんとうに身寄りのない未亡人が非難されないように、これらのことを明確にしておきなさい。 + 自分の親族、ことに家族を顧みないような人は、クリスチャンと呼ぶわけにはいきません。神を知らない人よりも悪いのです。 + 教会が認める奉仕者となる未亡人には、一定の条件をつけるべきです。すなわち、少なくとも六十歳以上で、結婚歴は一度に限らなければなりません。 + また、これまで良い行いで認められ、評判の良かった人でなければなりません。次のことを調べる必要があります。子どもをりっぱに育て上げたかどうか。クリスチャンに限らず、見知らぬ旅人をも親切にもてなしたかどうか。病人や困っている人に助けの手を差し伸べたかどうか。だれにでも、やさしくふるまってきたかどうか。 + 若い未亡人を、そのような女性たちと同列に扱ってはいけません。それというのも、若い人はキリストへの誓いを捨てて再婚したがるからです。 + その結果、初めの約束を破ったというので、きびしい非難にさらされることになります。 + その上、彼女たちは怠けがちで、あちこちの家を遊び歩いては、うわさ話ばかりし、おせっかいをやきたがるのです。 + それで私は、そういう若い未亡人には再婚を勧め、子どもを産み、家庭を大切にするように指導するのが一番だと思います。そうなれば、だれにも非難されずにすむでしょう。 + 実際、すでに教会に背を向け、悪魔の誘いに乗って道を踏みはずした未亡人がいるからです。 + もう一度言いますが、身内に未亡人がいる人は、その人が面倒をみるべきです。教会に余計な負担をかけてはいけません。そうでないと、ほんとうに身寄りのない未亡人を援助することができなくなってしまいます。 + 与えられた仕事を忠実に果たしている牧師〔または長老〕は、それに見合う十分な報酬を受け、尊敬されるべきです。説教と教育の両方にあたっている場合は、特にそうでなければなりません。 + なぜなら聖書に、「穀物を踏んで脱穀している牛に口輪をかけ、その穀物を食べるのを禁じてはいけない」、また、「働く者が報酬を受けるのは当然である」と書いてあるからです。 + 牧師に対する訴えは、二人か三人の証人がいなければ、取り上げてはいけません。 + 牧師が罪を犯しているなら、教会員全員の前で責めなさい。その悪い例にならう人を出さないためです。 + 私は、神と主イエス‧キリストと選ばれた天使たちの前で、厳粛な思いで命じます。あなたがその人と親しい間柄であろうとなかろうと、公平に対処しなければなりません。 + 牧師を選ぶ時は慎重にしなさい。そうでないと、その人の罪を見のがす結果になり、あなたもその罪を黙認したことになるからです。あなたも、いっさいの罪から離れ、きよい生活をしなさい。 + だからといって、ぶどう酒を全く断つ必要はありません。病気がちの人には、むしろ胃の薬として、時々は少量を飲むように勧めます。 + ある人たちの罪は明白ですぐにもさばかれますが、中にはあとになって、その罪があばかれる場合もあります。 + また同じように、だれの目にも明らかな良い行いもあれば、そうでない場合もあります。しかし、いつまでも隠されたままでいることはありません。 + + + クリスチャンである奴隷は、主人を心から尊敬して、一生懸命働きなさい。キリストに従う者となりながら、怠け者だと非難されてはなりません。神の御名と教えとが笑いものにされてはなりませんから。 + 主人がクリスチャンであっても、それをいいことに気をゆるめたりせず、むしろ、いっそう熱心に働きなさい。その結果、益を受けるのは、信仰を同じくする自分の兄弟なのですから。テモテよ。すべての人にこれらの真理をよく教え、心から従うように勧めなさい。 + 中には、それを無視する人がいるかもしれません。しかしこれは、主イエス‧キリストの健全な教えであり、神を敬う生活の基礎となるものです。 + 違った教えを広める人がいれば、それは高慢のなせるわざであり、自分の無知をさらけ出す行為だとみなしなさい。つまり、キリストのことばをいい加減に解釈し、ねたみや怒りにかられて議論を果てしなく続け、その結果、非難や争い、不信のとりこになるのです。 + こうして議論に明け暮れ、心が罪にゆがんでいる人々は、真理をどう表現すればよいかを知りません。彼らにとって、真理とは、金もうけの手段にすぎないのです。そんな人たちから遠ざかりなさい。 + ほんとうに富む者になりたいと思いますか。もし今、幸福で、心が満ち足りているなら、あなたはすでに富む者なのです。 + 私たちは、この世に生まれた時、何も身につけていませんでしたし、この世を去る時にも、何も持って行けません。 + ですから、食べる物と着る物があれば満足すべきです。 + しかし、金持ちになりたがる人はもうけ話に見境がなく、すぐ悪に走ってしまいます。その結果、ひどい目に会い、心を汚し、ついには地獄へ送り込まれることになります。 + 金銭を愛することが、あらゆる悪の根です。ある人たちはお金を愛するあまり、信仰から迷い出て、ひどい苦痛をもって破滅に陥りました。 + テモテよ。あなたは神に仕える者です。ですから、これらすべての悪から逃れて、正しく良いことに熱心に励みなさい。神を信頼し、人を愛し、忍耐強く、ものやわらかな態度を身につけ、 + 信仰のために戦い続けなさい。神から与えられた永遠のいのちを、しっかり握っていなさい。あなたは、この永遠のいのちについて、多くの証人の前で堂々と告白したのです。 + 私は、すべてのいのちの創造者である神と、ポンテオ‧ピラトの前で大胆に証言されたキリスト‧イエスとの御前で、あなたに命じます。 + 主イエス‧キリストが再び来られる時まで、主が命じられたことを行い、だれからも非難されるところのない者になりなさい。 + その時が来ると、キリストは、祝福に満ちた唯一の主権者である神に遣わされて、天から現れます。この力ある神は、王の王、主の主として、 + 死ぬことのない、ただひとりの方であり、だれも近づくことのできない、まばゆい光の中に住んでおられます。人はだれも神を見たことはありませんし、これからも決して見ることはできません。どうか、このまことの神に、誉れと永遠の権威と支配とが、いつまでもありますように。アーメン。 + テモテよ。富んでいる人には、高慢にならないように、そして、すぐになくなるお金に望みをかけないように教えなさい。また、必要なものをいっさい備えて、私たちの人生を楽しませてくださる生ける神を誇りとし、この方だけを信頼するように忠告しなさい。 + また、自分の持ち物はすべて神からいただいた物だとわきまえ、困っている人には喜んで分け与えるように教えなさい。そうすれば、神の前でたくさんの善をほどこす者となり、 + 自分のために、ほんとうの宝を天に積むことになります。これこそ、未来に備えて永遠のいのちの基礎を築く生活です。 + テモテよ。神から託された任務を完全に果たしなさい。知識を鼻にかけ、無知をさらけ出しているような人と、無益な議論にふけることがないよう気をつけなさい。 + 彼らの中には、人生で最も大切なものを見失った者、すなわち、もう神のことなど知らないと言う者がいるのです。神の恵みが、あなたがたと共にありますように。パウロ + +
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+ + キリスト‧イエスを信じる者に約束された永遠のいのちを伝えるために、キリストの使徒となったパウロから、愛する子テモテへ。どうか、父なる神と主キリスト‧イエスが、恵みとあわれみと平安とを、あなたに注いでくださいますように。 + テモテよ。私はあなたのことを、どんなに神に感謝しているか知れません。毎日、あなたのために祈り、長い夜も、何度となく思い出しては、どうかあなたに祝福があるようにと願い求めています。先祖たちが真心をもって仕えてきた神は、私の神です。そして、この神に喜んでいただくことだけが、私の生きがいなのです。 + ぜひもう一度あなたに会いたいと願っています。この願いがかなえられたら、どんなにうれしいでしょう。今でも、あの別れの時の涙にくれたあなたの姿が、まぶたに焼きついています。 + あなたの主に対する熱心な信仰は、お母さんのユニケやおばあさんのロイスに少しも劣らないことを、私はよく知っています。そして、今でもその信仰は変わらないと信じています。 + ですから、お願いしたいのです。私があなたの頭に手を置いて祈った時、あなたのうちに注ぎ込まれた力と勇気を、もう一度、奮い起こしなさい。 + なぜなら、神が私たちに与えてくださった聖霊は、人を恐れず、知恵と力とをみなぎらせ、人を愛し、喜んで人と共に歩むようにさせてくださる霊だからです。 + もしあなたが、この力を奮い起こすなら、主について人前で語るのをためらったり、キリストのゆえに牢獄につながれている私のことを恥じたりしなくなるでしょう。それどころか、私と共に苦しむ覚悟ができるはずです。神は苦しみのただ中にあっても、力を与えてくださるのですから。 + 神は私たちを救い、そのきよい仕事に任命するために選んでくださいました。それは、私たちにその仕事をする資格があったからではなく、神の計画と恵みによるのです。この恵みは、キリスト‧イエスにおいて、この世の始まる前から私たちに与えられたものでした。 + そして、救い主キリスト‧イエスが地上に来られた今、神は、その計画の全貌を明らかにしてくださいました。キリストは死の力を打ち破り、ご自分を信頼する者に、永遠のいのちに至る道を開いてくださったのです。 + このキリストの福音を外国人に宣べ伝えるようにと、神は私を任命されました。 + そのために、私はいま獄中で苦しんでいます。しかし、それを恥とは思いません。なぜなら、私は自分が信頼している方をよく知っており、またその方は、私がお任せしたものをみな、再び来られるその日まで安全に守ってくださると確信しているからです。 + 私が教えた真理、特にキリスト‧イエスが与えてくださった信仰と愛とをしっかり握っていなさい。 + あなたにゆだねられている良いものを、私たちのうちに住んでおられる聖霊によって守りなさい。 + あなたも知っているとおり、アジヤから来たクリスチャンは、みな私を捨てて行きました。フゲロとヘルモゲネさえ離れて行ったのです。 + どうか主が、オネシポロとその家族とを祝福してくださいますように。彼はたびたび私を訪ね、励ましてくれました。彼が来るたびに、私はたいへん元気づけられたのです。しかも彼は、私が獄中にいることを、少しも恥ずかしいこととは思いませんでした。 + その証拠に、彼はローマに着くとすぐあちこち捜し歩いて、ついに私を訪ねあててくれたのです。 + どうか、再びキリストのおいでになる日に、主が、彼を特別に祝福してくださいますように。エペソでの彼の献身ぶりは、あなたのほうがよく知っています。 + + + 私の子テモテよ。キリスト‧イエスから力をいただいて、強くなりなさい。 + なぜなら、あなたには、多くの証人の前で私から聞いたことを、ほかの人に伝える使命があるからです。この偉大な真理を、信頼のおける人、すなわち自分が信じるだけでなく、人にも伝えることのできる人に教えなさい。 + キリスト‧イエスのりっぱな兵士(働き手)として、私と苦しみを共にしてください。 + キリストの兵士となった以上、この世のさまざまな事に心を奪われていてはなりません。そんなことでは、キリストの兵の一員にしてくださった方を悲しませるだけです。 + ルールに違反した競技者が失格し、賞を得ることができないのと同様に、主の仕事に携わる人も、主の規則に従わなければなりません。 + 身を粉にして働いた農夫が、多くの収穫をあげるのは当然です。ですから、あなたも一生懸命働きなさい。 + いま挙げた例をよく考えなさい。主は、私が言っていることを理解する力を、必ずあなたに与えてくださいます。 + イエス‧キリストが、人間としてダビデ王の家系から生まれ、同時にまた神であること〔それは、死者の中からの復活という事実によって証明されました〕を、いつも覚えていなさい。 + 私が今こんな目に会い、犯罪者のように牢獄に放り込まれているのは、ほかでもなく、このすばらしい真理を人々に伝えたからです。しかし、私は鎖でつながれていても、神のことばはつながれてはいません。 + 私は喜んで、どんな苦しみも耐え忍びます。それは、神に選ばれた人に、キリスト‧イエスの救いと永遠の栄光とをもたらすためです。 + 私は次の真理を知っているので、慰められます。すなわち、キリストのために苦しみを受けて死ぬ時が、天で、キリストと共に生きる時の始まりを意味するということです。 + もしも、主に仕える現状をつらいと思うことがあれば、いつの日か必ず主と共に王座につき、共に治めるようになることを思い起こして励みなさい。もし、私たちが苦しみに耐えかねて、キリストを拒むようなことがあれば、キリストも、私たちを拒まれるに違いありません。 + しかしたとえ、信仰をなくしたかと思えるほど私たちが弱くなっても、キリストは真実を貫き、私たちを助けてくださいます。私たちは主の一部分になっているので、切り捨てられることはないのです。そして、主はいつも約束を果たしてくださいます。 + このすばらしい事実を、人々の心にしっかり植えつけなさい。そして、つまらない問題で論争するのを、主の名によって禁じなさい。そのような論争は混乱を招くだけで、百害あって一利なしだからです。 + あなたは、神から、「よくやった」とおほめのことばがいただけるように、熱心に励みなさい。神があなたの仕事ぶりを評価される時、胸を張っていられるような働き手になりなさい。そのために、聖書が教えていること、意味することを学びなさい。 + 人々を憎しみの渦に巻き込むような、俗悪で無益な議論を避けなさい。 + それは火のようにどんどん燃え広がって、人々を傷つけるばかりです。ヒメナオとピレトは、まさしくこの種の人間です。 + 彼らは真理の道を踏みはずし、死者の復活など、もう起きたことだとして偽りの教えを言い広め、ある人々の信仰をだいなしにしています。 + しかし神の真理は、巨大な岩のようにしっかり立っていて、だれも揺るがすことはできません。この土台となる石には、次のようなことばが刻まれています。「主は、真に自分に属する者を知っておられる。」また、「主を告白するすべての人は、悪から遠ざかりなさい。」 + 裕福な家では、金銀の高価な器だけでなく、木や土の粗末な器も備えてあります。高価な器は客をもてなすために使い、粗末な器は台所用か残飯入れに使います。 + 罪を離れて自分をきよく保っているなら、キリストの最高の目的のために用いていただける器になれるでしょう。 + 若い時の情欲を避け、それから遠ざかりなさい。反対に、いつも正しいことをしたいという気持ちをいだいていなさい。信仰と愛とを保ち、純粋な心で主を愛している人々とのつき合いを、大切にしなさい。 + くり返しますが、人々の心を乱し、怒らせるだけの論争をしないように注意しなさい。 + クリスチャンは争ってはなりません。過ちを犯している人を、やさしく忍耐をもって正すことができるようになりなさい。 + 真理に逆らう人たちを、謙遜な心で教えさとしなさい。おだやかに、思いやりをもって話せば、神の助けによって、その人はまちがった考え方を改め、真理を悟るかもしれません。 + そうして目ざめた人たちは、罪の奴隷として思うままにあやつる悪魔のわなから逃れ、神のみこころに従うようになるでしょう。 + + + テモテよ。これから書くことを、よく心にとめておきなさい。終末の時代には、クリスチャンになることが非常にむずかしくなります。 + 自分だけを愛し、また、お金がすべてだと考える風潮がはびこります。その時人々は、高慢な者、大言壮語する者、神をあざける者、両親に従わない者、感謝することを知らない者、神を恐れない者になり、 + また、他人を理解しようとしない者、人をだます者、節度のない者になります。彼らは乱暴で残忍な行動をし、善良な人をあざ笑います。 + 人を裏切り、すぐに思い上がり、神を礼拝するよりも自分の快楽に心を奪われます。 + 教会に出席していたとしても、聞いたことを何一つ信じようとしないのです。目をしっかり開けて、そんな人たちには近寄らないようにしなさい。 + そういう人たちの中には、うまく他人の家に入り込み、愚かな女たちにつけ入って、新しい教えを吹き込む者がいます。 + 彼女たちは、新しい教師にはすぐ飛びつきますが、いつまでたっても真理がわかりません。 + また、そうした教師も、モーセに逆らったヤンネとヤンブレ(ユダヤの伝承に登場する)のように、真理に逆らっているのです。彼らは心の腐った、信仰の失格者です。 + しかし、いつまでもそんなことが続くわけではありません。ヤンネとヤンブレの罪がだれの目にも明らかになったように、いつかは、彼らの愚かさも明白になるのです。 + しかしあなたは、私が何を信じ、何を望み、どのように生活しているか、よく知っています。キリストに対する私の信仰も、苦しみも、そして、あなたへの愛と忍耐も知っています。 + 福音を伝えたために、私がどれだけ痛めつけられたかも知っています。アンテオケ、イコニオム、ルステラで受けた迫害の一部始終も知っているはずです。しかし主は、私を守ってくださいました。 + 確かに、キリスト‧イエスの教えにそって、神を敬う生活を送ろうとする人はみな、敵対する者から苦しめられ、迫害されます。 + しかし、人をだます悪人や偽教師は、自分も悪魔にだまされて、ますます悪の深みにはまり込むのです。 + あなたは、真理を教えた私たちを信頼していなさい。 + また、小さいころから、自分がどのように聖書を教えられてきたか覚えているでしょう。この聖書こそ、キリスト‧イエスを信じることによって救われるための知恵を与えてくれるのです。 + 神の霊感によって書かれた聖書は、何が真理であり、何が悪であるかをよく教えてくれます。また、私たちの生活をまっすぐにし、正しいことを行う力を与えてくれます。 + こうして神は、私たちをあらゆる点で整え、どんな良い働きをも行う力を、十分に与えてくださるのです。 + + + それで私は、神とキリスト‧イエスとの御前で、厳粛な思いで忠告します。〔キリストは、いつの日か神の国を完成させるために現れて、生きている者と死んだ者とをさばかれるお方です。〕 + どんな時にも、神のことばを熱心に伝えなさい。機会があろうとなかろうと、つごうが良かろうと悪かろうと、しっかりやりなさい。過ちを犯している人には忠告して、正しい道に引き戻しなさい。そして善を行うよう励まし、神のことばを教え続けなさい。 + なぜなら、人々が真理のことばを耳ざわりだと敬遠し、自分につごうの良い話をする教師を求めて歩き回る時代が来るからです。 + 彼らは聖書の教えに耳を傾けようとせず、まちがった教えにしっぽを振ってついて行くのです。 + ですから、危機感をもって目を覚まし、警戒していなさい。主のために受ける苦しみを、恐れてはいけません。なすべきことを十分になして、他の人たちをキリストへ導きなさい。 + こう言うのも、私の最期が迫っているからです。いつまでもあなたを助け続けるわけにはいきません。もうすぐ天国へ旅立ちます。 + 主のために、長いあいだ困難な戦いを続けてきた私は、主への真実を守り通しました。しかし今、ついに、休む時が来たのです。 + 天では栄冠が待っています。正しい裁判官である主が再び来られる日にいただく冠です。もちろん私だけにではなく、主を熱心に待ち望む人々全員に授けられるのです。 + テモテよ。できるだけ早く、こちらへ来てください。 + デマスはこの世の楽しみに心を奪われ、私を捨て、テサロニケに行ってしまいました。クレスケンスはガラテヤへ、テトスはダルマテヤへ出かけ、私のもとに残ったのはルカだけです。こちらへは、マルコも連れて来てください。彼に頼みたいことがあるのです。 + 〔テキコも、今はここにいません。エペソへ使いにやりました。〕 + ついでに、私がトロアスのカルポの家に置いてきた上着を持って来てください。それから羊皮紙の書物も、お願いします。 + 銅細工人アレキサンデルが、私にひどい仕打ちをしました。主が罰してくださるでしょうが、 + 彼には気をつけなさい。私たちのことばに、ことごとく逆らったからです。 + 私が初めて、裁判官の前に連れ出された時、弁護してくれる人は一人もいませんでした。だれもが見捨てて、逃げてしまったのです。どうかそのことで、彼らが神から責められませんように。 + しかし主は共にいて、私を助けてくださいました。神のことばがあらゆる国の人に伝えられるため、大胆に福音を語る機会を与えてくださいました。また、あわやライオンのえじきとなるところを、助け出してくださいました。 + 主は、いつもあらゆる悪から救い出し、ついには、天国に導き入れてくださるのです。神に、栄光がいつまでも限りなくありますように。アーメン。 + プリスカとアクラに、またオネシポロの家族に、よろしく伝えてください。 + エラストはコリントにとどまり、トロピモは病気のため、ミレトに残して来ました。 + 冬になる前に、何とかこちらへ来てください。ユブロがよろしくとのことです。プデス、リノス、クラウデヤ、そのほかのクリスチャンもみんな、よろしくと言っています。 + 主イエス‧キリストがあなたがたと共におられますように。パウロ + +
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+ + 神のしもべであり、イエス‧キリストの使徒であるパウロから、同じ信仰によって、私の真実の子となった愛するテトスへ。どうか、父なる神と救い主キリスト‧イエスが、あなたに祝福と平安とを注いでくださいますように。私は、神に選ばれた人たちを信仰に導き、真理を教えるために遣わされた者です。神のことばの真理には、信じる人の生活を全く変える力と、永遠のいのちを与える力があります。これは、世界が造られる前からの神の約束です。神は、偽りを言うことがないお方です。それで今、約束どおり最善の時を選んで、この良い知らせを公表し、すべての人に告げ知らせる特権を私にゆだねられたのです。 + ところで、あなたをクレテ島に残して来たのは、島の教会を強めるために、思う存分働いてもらいたかったからです。前もってお願いしておいたように、私の指示どおり、町ごとに牧師〔長老〕を任命してください。 + 牧師として選ぶ人は、正しい生活を送っていて、評判の良い人でなければなりません。すなわち、一人の妻の夫であり、子どもも、主を愛するクリスチャンでなければなりません。子どもが親に反抗的だとか、乱暴者だとか、悪いうわさのある人は避けなさい。 + 牧師は神に仕える者ですから、だれからも非難されない人であるべきです。高慢な人、短気な人、大酒飲み、けんか好き、金銭欲の強い人に、その資格はありません。 + 心から客をもてなし、善意にあふれ、慎み深く、だれにでも公平で、良識ある、きよらかな心の持ち主でなければならないのです。 + また、教えられたみことばの真理をしっかり守っている人であることも大切な条件です。なぜなら、彼らの使命は人々に真理を教え、反対する者に、その誤りをはっきり指摘することにあるからです。 + こう言うのは、真理に従わない人が大ぜいいるからです。特に、「クリスチャンはみな、割礼を受けるべきだ」と主張する者たちは、その代表的な例だと言えます。これはまた、なんとばかげた議論でしょう。彼らは人の目をくらませて、真理を見いだすのを阻むのです。 + そんな議論は直ちにやめさせなさい。それで、すでに何家族かが神の恵みから離れてしまいました。そんなことを教える者たちの目当ては、一にも二にも金もうけです。 + 彼らのことを、同じクレテ出身の預言者はこう言いました。「クレテ人はみな、うそつきで悪いけだもの。なまけ者で食いしんぼう。」 + まさにそのとおりです。ですから、人々を甘やかさず、その信仰を強めるように、きびしく教育しなさい。 + そして、ユダヤ人の作り話や、真理に逆らう者の言い分に耳を傾けることなど、きっぱりやめさせなさい。 + きよい心の持ち主には、すべてのものがきよく、良いものに見えます。しかし、心の曲がった不真実な者には、すべてが曲がって見えるのです。それは、その汚れた思いと反抗的な心が、見るもの聞くものすべてをゆがめるからです。 + そういう者たちは、口先では神を知っていると言うのですが、行いを見れば、そのうそは一目瞭然です。心は腐れきって不従順で、良い行いにふさわしくない者です。 + + + しかし、あなたは、教えられた真理にふさわしい生き方を人々に教えなさい。 + 老人には、まじめで落ち着いた生活をするように、慎み深く、すべての点で信仰と愛と忍耐とをもって行動するように勧めなさい。 + また年をとった女性には、何事にも敬虔であることを忘れないように、陰口をたたいたり、大酒を飲んだりせず、人生経験を積んだ人にふさわしく良い手本となるように勧めなさい。 + そうすれば、彼女たちは若い女性たちに、夫と子どもとを愛し、慎み深く、家事に精を出し、やさしく、夫に従順であるようにと、さとすことができるのです。そうなれば、クリスチャンの信仰が、身近な人たちからさげすまれることもないでしょう。 + 同じように青年にも、思慮深く、まじめに生活するように勧めなさい。 + まずあなたが、正しい模範を示すことです。真理を愛し、何事にも真剣に取り組んでいることが、だれの目にもはっきりわかるようにしなさい。 + 良識をもって、筋道を立てて話しなさい。そうすれば、私たちに反対する者たちは何も言えなくなって、かえって恥じ入るでしょう。 + 奴隷には、主人に喜ばれるよう言いつけを守り、口答えせず、 + こそこそ物を盗んだりするのはやめて、信頼に値する人間であることを示すように勧めなさい。彼らの誠実な態度を見て、ほかの人々も、救い主である神を信じる気持ちを起こすことでしょう。 + というのも、永遠の救いという神からの一方的な恵みは、だれにでも提供されているからです。 + しかも、この恵みをいただくと同時に、神が私たちに望んでおられることも実現するのです。それは、神を認めない生き方と罪にまみれた快楽とを捨て去って、日々神を敬う正しい生活を送ることであり、 + 偉大な神と救い主イエス‧キリストとの栄光が現れる日を待ち望むようになることです。 + キリストは、私たちの罪のためにご自分をささげ、神のさばきを受けて死んでくださいました。それは、罪のどろ沼にはまり込んでいた私たちを助け出してご自分の民とし、心のきよい、熱心な、善意の人と変えてくださるためでした。 + 以上のことを彼らに話し、実行するように励ましなさい。必要とあれば、きびしく戒め、誤りを正しなさい。あなたには、当然その権威があるのですから。あなたの教えがだれからも軽んじられないように、気をつけなさい。 + + + 神に立てられた指導者の権威に服従し、いつも従順で、良いことは何でも進んで行うよう、教会の人たちに教えなさい。 + また、人の悪口を言ったり、けんかをしたりせず、やさしい態度で、すべての人に礼儀正しく接するように教えなさい。 + 以前の私たちも、分別の足りない不従順な者であり、人に迷わされ、さまざまな快楽や欲望のとりこになっていました。心は悪意とねたみの固まりで、憎んだり憎まれたりしながら生活していました。 + しかし、救い主である神が、恵みと愛を示してくださる時がついに来たのです。 + 神は、私たちの罪のよごれを洗い落とし、心に聖霊を遣わして、新しい喜びで満たし、以前の悲惨な生活から救い出してくださいました。それは、私たちに救われる資格があったからではなく、ただ、神のあわれみによるのです。 + 神は、私たちの心にこの聖霊を豊かに注いでくださいました。これは、救い主イエス‧キリストが成し遂げてくださった救いがあるからこそ実現したのです。 + こうして神は、私たちを、ご自分の目にかなった正しい者と宣言してくださったのです。これは、神の恵み以外の何ものでもありません。私たちは今、永遠のいのちを受け継ぐことを認められ、実際にそれをいただく日を、心から待ち望んでいるのです。 + これまで話してきたことは、すべて真実です。ですから、確信をもって、クリスチャンはいつも良い行いに励むべきだ、と教えなさい。そういう生き方は正しいだけでなく、すばらしい結果を生むことにもなるからです。 + しかし、堂々巡りの議論にふけったり、あやしげな神学論争に巻き込まれたりしてはいけません。律法を守ることについての議論や論争も避けなさい。そんなものは何の益にもならず、むしろ害をまき散らします。 + 教会を分裂させる人がいたら、一度か二度きびしく警告し、それでも聞き入れなければ、かかわりを断ちなさい。 + そのような人は心が曲がっていて、悪いとわかっていながら、罪を犯しているのです。 + ところで、アルテマスかテキコを、そちらへ派遣しようと思っています。二人のどちらかが着きしだい、あなたは、ニコポリにいる私のもとに来てください。私は、そこで冬を過ごすことにしましたから。 + アポロと律法学者ゼナスとが旅立てるように、あなたもできるだけ骨折って、必要な物が全部そろうよう、気を配ってやってください。 + 私たちはみな、助けが必要な人々を進んで援助する習慣をもっと身につけなければなりません。そうすれば、実を結ぶ生活を送れるでしょう。 + こちらの人がみな、あなたによろしくと言っています。そちらのクリスチャンの友人たちに、よろしく伝えてください。神の祝福が、あなたがたと共にありますように。パウロ + +
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+ + イエス‧キリストを伝えたことで投獄されたパウロと、信仰の友テモテから、愛する同労者ピレモンへ。また、あなたの家に集まっている皆さんと私たちの姉妹アピヤ、それに私と同じくキリストの福音の兵士となったアルキポに、この手紙を送ります。 + 父なる神と主イエス‧キリストが、あなたがたに祝福と平安とを与えてくださいますように。 + 愛するピレモンよ。あなたのことを、私はいつも神に感謝しています。 + それは、主イエス‧キリストに対するあなたの信仰と、すべてのクリスチャンに対するあなたの愛をいつも耳にしているからです。 + 人々との交際において、クリスチャンとしてのあなたのりっぱな態度が相手の心をとらえ、その生活までも変えることができるように、と祈っています。 + 愛する友よ。こう言う私も、あなたの愛によってどれだけ慰められ、励まされたか知れません。ほんとうに、あなたの親切は多くの信徒たちを元気づけました。 + そんなあなたを見込んで、ぜひ、お願いしたいことがあります。キリストの名によって命じてもよいのですが、私とあなたの間には愛がありますから、あえて命令はしません。年老いた今、キリスト‧イエスのために投獄されている、この私からのお願いです。 + どうか、私が獄中で神に導いたオネシモを、愛の心でやさしく迎えてやってください。私はオネシモを、わが子のように思っているのです。 + オネシモ(「役に立つ」という意)は、以前あなたのもとにいたころは、役立たずの奴隷であったかもしれません。しかし、クリスチャンとなった今、あなたにとっても私にとっても、その名のとおり役立つ者となりました。 + そのオネシモを、私の心といっしょにそちらへ帰します。 + 内心私は、福音のために捕らわれの身となっている間、彼をそばにおいて、あなたの代わりに世話をしてもらいたいと思っていました。 + しかし、あなたの同意なしに、そんなことはしたくなかったのです。あなたがしてくれる親切はむりじいされてではなく、心から喜んでするものでなければなりませんから。 + オネシモが、しばらくのあいだ逃亡していたのは、彼が永久にあなたのそばにいる者となるためだったのでしょう。 + それも奴隷としてではなく、はるかにまさった者、つまり、愛する兄弟(信仰を同じくする者)としてです。そのことでは、あなたの感慨もひとしおでしょう。単なる奴隷と主人の関係を超えて、キリストを信じる兄弟同士になったのですから。 + ですから、もしほんとうに私を友と思ってくれるなら、私を迎えるように、オネシモを、心から迎えてやってください。 + もし彼が、何か損害をかけたり、物を盗み出していたりしたら、その請求は私にしてください。 + 私が支払います。その保証として、自筆でこの箇所をしたためています。私の助けがあって今のようなあなたになれたという、あなたの私に対する借りについては何も言いません。 + 愛する友よ。どうか、愛にあふれたすばらしい態度で私の弱っている心を喜ばせ、主を賛美させてください。 + この手紙は、あなたが私の期待以上のことをしてくれると確信して書きました。 + それから、私の泊まる部屋を用意しておいてくれませんか。神があなたがたの祈りに答えてくださり、まもなく私もそちらへ行けるようになると思っています。 + キリスト‧イエスのことを語ったために、共に囚人となっているエパフラスが、よろしくと言っています。 + それから、私といっしょに働いているマルコ、アリスタルコ、デマス、ルカも、よろしくとのことです。 + 主イエス‧キリストの祝福が、あなたがたと共にありますように。パウロ + +
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+ + 神は昔、幻や夢や、時には直接の啓示などいろいろな方法で、預言者を通してご自分の計画を少しずつ明らかになさいました。 + しかし今の時代には、ご自分の御子(イエス‧キリスト)を通して語っておられます。神は、彼によって世界とその中のすべてのものをお造りになり、その御子にすべてを受け継がせたのです。 + 御子は神の栄光を受けて、まばゆいばかりに輝いています。また、その人格と行動すべてにおいて神であることを示し、力あることばによって万物を治めておられます。そればかりか、私たちのすべての罪の記録を消し去ってきよめるために死んでくださいました。そして今は、最高の栄誉を受けて、天におられる偉大な神のそばにいらっしゃるのです。 + こうして、父なる神がお与えになった「神の御子」という名が、天使たちの名よりさらにすぐれていたように、この方は天使よりもはるかにまさった存在となりました。 + 神はどの天使に対しても、「あなたはわたしの子。今日、わたしがあなたを生んだ」などと言われたことはありません。しかし、イエスに対しては、そう言われたのです。さらに、「わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる」と宣言されました。 + それから、長子であるイエスを地上に送る時、「天使はみな、彼を拝め」と言われました。 + 天使たちについて神は、「風のように速い使者、燃える炎のような力を持つしもべ」と紹介しましたが、 + 御子についてはこう言われました。「神(神の子)よ。あなたの国は永遠に続く。その支配は、いつも公平で正しい。 + あなたは正義を愛し、悪を憎む。それであなたの神(父なる神)は、ほかのだれよりも多く、あなたに喜びを注がれた。」 + また、御子を「主」と呼んで、こう言われました。「主よ。あなたは世の初めに地を造った。天も、あなたの手による作品である。 + これらは、やがて無に返る。しかしあなたは、いつまでも変わらない。すべてのものは、古着のようにすり切れる。 + いつかあなたは、それらを捨て、別のものと取り替える。しかしあなたは、決して変わらず、あなたの年には終わりがない。」 + 神が天使に、次のようなことばをおかけになったことがありますか。「わたしがあなたの敵を完全に征服するまで、わたしの右に座っていなさい。」 + 天使は、救われる人々を助けるために遣わされた、霊の使者なのです。 + + + ですから私たちは、すでに聞いたことを、ますますしっかり心にとめなければなりません。そうでないと、真理から離れて漂流することになります。 + 天使のことばでさえいつも真理と認められ、そのことばに従わない人は罰せられました。 + そうであれば、主イエスご自身の口から語られ、それを聞いた人たちが伝えたこのすばらしい救いの教えを無視したなら、どうして罰を逃れることができるでしょう。 + 神は、この救いのことばの真実を、多くのしるしと不思議と奇跡によって示し、聖霊が信じる者に与えてくださる賜物によって、はっきり証明されました。神は、この賜物を私たち一人一人に下さったのです。 + 私たちがいま話している未来の世界は、天使が支配する世界ではありません。 + なぜなら、ダビデは神にこう語りかけているからです。「あなたが、こんなにも大きな関心をお寄せになる人間とは、いったい何者でしょう。こんなにも高い栄誉をお与えになった人の子とは、いったいどなたでしょう。 + あなたはその方を、しばらくの間、天使よりも低いものとしましたが、今は、栄光と誉れの冠をお授けになり、 + この世に存在するものすべてを支配する権威をお与えになったのです。」その支配を逃れるものは何一つありません。私たちはまだ、このことばの完全な実現を見てはいません。 + しかし、しばらくの間、天使よりも低くされ、私たちのために死の苦しみを味わうことによって、栄光と誉れの冠を受けられたイエスを見ています。イエスは、神の大いなる恵みのゆえに全人類のために死なれたのです。 + すべてのものをお造りになった神が、ご自分を信じる者たちを栄光ある天まで引き上げるためにイエスを苦しみに会わせられたのは、まことに正しいことでした。イエスはこの苦しみをくぐり抜けて、人々を救いに導くにふさわしい方となられたのです。 + イエスによってきよめられた私たちは、今では、イエスと同じ父(神)を持っています。だからこそイエスは、私たちを兄弟と呼ぶことを恥とはなさらないのです。 + イエスは、こう言っておられます。「わたしは、父なる神のことを兄弟たちに語ろう。そして、声を合わせて神を賛美しよう。」 + また、「兄弟たちと共に、神を信じよう」とも、「さあ、わたしはここにいる。神が与えてくださった子どもたちといっしょに」とも述べています。 + 神の子どもである私たちは、血も肉もある人間です。そこでイエスも、血肉を持った人間の姿でお生まれになりました。それは人間として死ぬことにより、死の権力をふるう悪魔の力を打ち砕くためです。 + これだけが、一生涯死の恐怖の奴隷となっている人間を救い出す方法だったのです。 + 私たちは、イエスが天使としてではなく、一人の人間、一人のユダヤ人として来られたことを知っています。 + イエスは、あらゆる点で、兄弟である私たちと同じになることが必要だったのです。そうして初めて、イエスは、私たちにとってはあわれみ深く、神にとっては忠実な大祭司として、私たちの罪を取り除くことができたのです。 + 自ら試練と非常な苦しみを体験された主イエスだからこそ、試練にあえいでいる私たちを助けることがおできになるのです。 + + + そういうわけですから、神によって天国の市民として選び出された、愛する皆さん。お願いです。どうか、私たちが告白する信仰の使徒であり、大祭司であるイエスに目をとめてください。 + 「神の家」で忠実に奉仕したモーセと同じように、イエスも、大祭司としてご自分を任命された神に忠実な方です。 + しかしイエスは、モーセよりはるかにまさった栄光をお受けになりました。豪華な家よりも、その家を建てる人のほうが賞賛されるのです。 + 家を建てる人はたくさんいますが、世界のすべてのものを造られたのは神です。 + 確かにモーセは、神の家のために賞賛に値する仕事をしましたが、モーセの果たした役割は後に起こることを指し示すことでした。 + しかし、キリストは神の忠実な御子として、神の家のいっさいを治められるのです。もし、最後まで揺るがない確信を持ち続け、喜びと主への信頼を失わなければ、私たちも神の家となるのです。そして、神がそこに住んでくださるのです。 + ですから、聖霊はこう警告します。キリストの声に注意深く耳を傾けなさい。今日その声を聞いたら、昔のイスラエル人のように心を閉ざしてはいけません。彼らは荒野で試練を与えられた時、神の愛にそむき、心を鋼鉄のように固くして、文句を言い続けたのです。 + 彼らは何度も反抗しましたが、四十年の間、神は忍耐され、彼らの目の前で驚くべき奇跡を行い続けてくださいました。 + しかし、とうとう神がこう宣言される時が来たのです。「わたしの怒りは極に達した。彼らはわたしに心を向けたことがなく、いつもほかを見ていた。そんな彼らに、わたしの用意した道が見いだせるはずがない。」 + 神は怒りをもって、決して彼らを安息(神による休息)の地に導かないと誓われました。 + 皆さん。心が悪に染まって信仰をなくし、生ける神から離れることがないように、自分の心を見張りなさい。 + まだ時間があるうちに、日々、互いにこのことを確かめ合いなさい。そうすれば、罪に惑わされて神に心を閉ざす人は一人も出ないでしょう。 + もし私たちが、初めてキリストを信じた時と同じ気持ちで神に信頼し、最後まで忠実であれば、キリストにある祝福を受けることができるのです。 + ですから、今この時がかんじんなのです。次の警告を、片時も忘れてはなりません。「今日、語られる神の声を聞いたなら、神の怒りを招いた時のように、心をかたくなにしてはいけない。」(詩篇) + 神の声を聞きながら反抗した人たちとは、いったいだれでしょう。指導者モーセに率いられてエジプトを出たイスラエル人すべてです。 + 四十年もの間、神の怒りを買ったのは、いったいだれでしたか。罪のために荒野で死に果てた、あのイスラエル人ではありませんか。 + 神が誓って約束の地に入らせないと断言されたのは、だれに対してでしたか。従うことを拒んだ、あの人たち全員です。 + 彼らが約束の地に入れなかったのは、神を信頼しなかったからです。 + + + とはいえ、神の安息に入れるという約束は今も有効なのですから、あなたがたの中で万が一にも入りそこなう者が出ないように、心しようではありませんか。 + モーセの時代の人たちと同様、私たちにも、救いをもたらす福音が伝えられているからです。ところが、モーセの時代の人たちには、そのことばは何の役にも立ちませんでした。彼らは聞いても信じなかったからです。 + 安息に入れるのは、神を信じる私たちだけです。神は、「わたしは怒りをもって誓う。わたしを信じない者を決して入らせない」とも言われました。 + 私たちは、神が準備万端ととのえて、待っておられたのを知っています。「神は創造の七日目に、計画どおりにすべてをなし終えて休まれた」とあります。 + にもかかわらず、彼らは閉め出されてしまいました。ここでは、「彼らを決してわたしの安息に入れない」と言われているのです。 + しかし、安息の地への約束はまだ有効であり、そこに入ることが許されている人がいます。それは、不従順のため、最初に与えられた機会を失った人たちではありません。 + 神は、新しい機会を与えてくださいました。それが今なのです。最初の人たちの失敗の後、長い年月が過ぎたころ、神はダビデ王を通してこのことを知らせてくださいました。「今日、語りかけられる神の声を聞いたなら、心をかたくなにしてはいけない」と。 + ここでの新しい安息の地とは、ヨシュアに率いられて入ったカナンの地(現在のパレスチナ)ではありません。もしそうなら、ずっとあとになって、今日がそこに入る時だなどと言われるはずがないからです。 + そういうわけで、完全な安息が今なお、神を信じる人たちに備えられているのです。 + キリストは、もうすでにそこにお入りになりました。神が創造の働きを終えて休まれたように、キリストも任務を果たして、安息の中におられるのです。 + ですから私たちも、この安息の地に入れるように最善を尽くしましょう。イスラエルの人たちが神に不従順であったために入りそこねたことを、肝に銘じようではありませんか。 + 神のことばは生きていて、力があります。それは鋭い刃のように切れ味がよく、心の奥深くに潜んでいる思いや欲望にまでメスを入れ、私たちの赤裸々な姿をさらけ出します。 + 神は、人がどこにいようと、すべての人の心を見抜かれるお方です。神に造られたもので、神の目から隠れおおせるものは一つもありません。今も生きて、すべてを見抜かれる神の前に、私たちは裸のままさらけ出されているのです。私たちはこの方に対して、自分のなしたすべてのことを弁明しなければなりません。 + しかし、私たちを助けるために天にのぼられた偉大な大祭司、神の子イエスが味方になってくださるのですから、私たちの告白する信仰を決して失うことがないようにしましょう。 + この大祭司は私たちと同じ試練に会われたので、人間の弱さをよく知っておられ、ただの一度も、誘惑に負けて罪を犯したことはありません。 + ですから躊躇せず、神の御座に近づいてあわれみを受け、時にかなって与えられる恵みをいただこうではありませんか。 + + + ユダヤの大祭司は、人々の代表として供え物をささげ、神に仕えます。しかし、大祭司であっても同じ人間なので、人々のためだけでなく、自分の罪が取り除かれるためにもいけにえの動物の血をささげるのです。また、彼自身も弱さを身にまとっているので、無知な人や迷っている人を思いやることができるのです。 + もう一つ、大祭司について言えるのは、自分の意志では大祭司になれないということです。アロンが選ばれた時のように、大祭司となる者は、神から直接、その務めに任命される必要があります。 + キリストも名誉ある大祭司の地位につかれましたが、自分のご意志でそうなさったのではありません。神がお選びになったのです。神はこの方に、「わが子よ。今日、わたしはあなたを生んだ」と言われました。 + またさらに、「あなたは、メルキゼデク(アブラハムの時代、サレムの王であり祭司であった人物。永遠の大祭司の型)と同じ位にある、永遠の祭司に選ばれた」と告げました。 + キリストはこの地上におられた時、死から救うことのできるただひとりの方に、うめきと涙とをもって祈られました。この祈りは、どんな場合にも神に従おうとする、キリストの謙遜で切なる願いのゆえに聞き入れられたのです。 + イエスは神の子であるのに、神に従うことには多くの苦しみが伴うことを身をもって学ばれました。 + この経験を通してご自分の完全さを実証し、その上で、ご自分に従うすべての人に永遠の救いを与える者となられたのです。 + 神がキリストを、メルキゼデクと同じ位に立つ大祭司としてお選びになったことを思い起こしてください。 + このことについて、まだまだ話し足りませんが、聞く意思がないあなたがたに理解してもらうのは困難です。 + あなたがたは、もう長い間、クリスチャンとして生きてきました。ほかの人を教えても当然なのに、もう一度、神のことばのイロハから手ほどきしてもらわなければならないほどになっています。固形物を食べるまでには成長せずに、いつもミルクばかり飲んでいる赤ん坊のようです。クリスチャン生活のごく初歩の段階を行ったり来たりして、善悪の区別さえおぼつかない状態なのです。 + あなたがたがもっと成長し、正しい行いが伴って、善悪の区別がつくようになるまでは、堅い霊の食べ物をとることも、神のことばの深い意味を悟ることもむりでしょう。 + + + ですから、キリストについての初歩の教えをいつまでも卒業できずに、堂々巡りをするのはやめましょう。もっと理解力を高め、成熟を目指して進みましょう。行いによって救われようとするまちがいや、神を信じる信仰の必要性などを、これ以上聞くには及びません。 + バプテスマ(洗礼)、聖霊を受けること、死者の復活、永遠のさばきについても、これ以上教えられる必要はないでしょう。 + 主のお許しがあるなら、次の段階に進もうではありませんか。 + あなたがたが、いったん福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)の光に浴し、天からの恵みを味わい、聖霊をいただく特権を与えられ、また、神のすばらしいことばと来るべき世界の力を知った上で、なお神に背を向けるとしたら、もう主に立ち返ることはできません。それは、神のひとり子をもう一度十字架につけ、人前でさらしものにすることだからです。そんな人は、もはや悔い改めようがありません。 + 十分に雨を吸い込んでよく潤った畑が、農夫に大豊作をもたらしたとしたら、その畑は神の祝福をむだにしなかったことになります。 + しかし、いばらやあざみばかりを生えさせるなら、その畑は役立たずとして焼き払われてしまいます。 + 愛する皆さん。私の言ったことすべてが、あなたがたに当てはまるわけではないでしょう。私は、あなたがたがキリストの救いにふさわしい実を結んでいるものと確信しています。 + 神は、決して不公平な方ではありません。あなたがたが神のために熱心に働いてきたことや、同胞にずっと援助の手を差し伸べてきた愛をお忘れにはなっていません。 + 私たちは、あなたがたがこの世にあるかぎり人を愛し続けて、十分な報いを受けることができるようにと願っています。 + 最後まで希望を持ち続けるなら、信仰生活が怠惰に流れたり、無関心に陥ったりすることはありません。信仰と忍耐によって、神の約束なさったものを受け継ぐ人たちにならう者となってください。 + アブラハムに与えられた約束を覚えていますか。神は、自分以上にすぐれた存在はありえないので、ご自分の名を指して誓われました。 + 幾度もアブラハムを祝福し、多くの子孫を与え、偉大な国民の父とすると言われたのです。 + そこでアブラハムは、その約束を忍耐して待ち望み、ついに約束のものを手にしました。 + 人は何かを約束する時、それを必ず実行する意志と、万一破った時にはどんな罰をも受ける覚悟を示すために、自分よりもすぐれた者の名にかけて誓います。いったん誓ってしまえば、もうだれも、何も言うことはできません。 + そういうわけで、神からの助けを約束された人たちがその約束の絶対的な確かさを知り、神の計画が変わらないことを確信するために、神も誓いによって約束の確かさを保証されたのです。 + 神は、約束と誓いの両方を与えてくださいました。神は偽りを言われることがありません。そのため、救いを求めて神のもとに逃れて来る人たちは、確かな保証をいただいて、新たな勇気を奮い起こすことができます。そして、神の救いの約束を、少しの疑いもなく確信できるのです。 + 自分は必ず救われるという確かな望みは、私たちのたましいにとって、信頼できる不動の錨です。この望みこそ、神聖な幕の内側(天にある神の住まい)におられる神と私たちを結び合わせるものです。 + キリストは、私たちに先立ってそこに入られました。そこで、メルキゼデクの位を持つ大祭司として、私たちのためにとりなしていてくださるのです。 + + + メルキゼデクは、サレムの町の王で、非常に高貴な神の祭司でした。アブラハムが多くの王たちとの戦いに勝って凱旋した時、メルキゼデクは出迎えて祝福しました。 + その時アブラハムは、戦利品の十分の一をメルキゼデクに差し出しました。メルキゼデクという名前の意味は「正義」であり、サレムという町の名は「平和」を意味していました。ですから、彼は正義の王であり、平和の王です。 + メルキゼデクには父も母もなく、先祖の記録もありません。また誕生も死もなく、そのいのちは神の子のいのちに似ています。それゆえ、彼は永遠に祭司なのです。 + メルキゼデクがどんなに偉大な人物であるか、考えてみましょう。神がお選びになった人の中で最も尊敬されていたアブラハムでさえ、メルキゼデクには、王たちからの戦利品の十分の一をささげました。 + メルキゼデクがユダヤ人の祭司であったなら、アブラハムのこの行為もうなずけます。後に神の民は、血のつながった部族(レビ族)である祭司のために献金することを、律法によって義務づけられたからです。 + ところが、メルキゼデクはアブラハムの一族ではないのに、アブラハムからささげ物を受け、アブラハムを祝福しました。 + 言うまでもなく、祝福を与える人は、祝福を受ける人よりも偉大なはずです。 + またユダヤ人の祭司たちは、やがては死ぬべき人間であるにもかかわらず十分の一のささげ物を受けましたが、メルキゼデクは、永遠に生きていると言われています。 + さらに、十分の一を受けるユダヤ人の祭司の先祖であるレビ自身も、アブラハムを通してメルキゼデクに十分の一をささげたと言えるでしょう。 + なぜなら、レビはまだ生まれてはいませんでしたが、メルキゼデクに十分の一をささげた、アブラハムの直系の子孫だからです。 + もし、ユダヤ人の祭司と律法に私たちを救う力があるとしたら、なぜ神は、あえてアロンの位に等しい祭司〔ユダヤ人の祭司はすべてアロンの位を受け継いでいる〕ではなく、メルキゼデクの位に等しい祭司であるキリストをお立てになったのでしょうか。 + 新しい家系の祭司が立てられる時、それを受け入れるために、律法も改められなければなりません。キリストがレビ族とは別の部族であり、モーセが祭司として任命したこともないユダ族の出身であったことは、周知の事実です。 + そういうわけで、私たちは、これまでの神の秩序に大きな変更があったことを認めざるをえません。キリストが、メルキゼデクの位に等しい、新しい大祭司として立てられたからです。 + この新しい大祭司は、古い律法に属するレビ族からではなく、尽きることのない、いのちからほとばしる力を基として立てられたのです。 + 詩篇の作者は、はっきりキリストのことを指して、「あなたは、永遠にメルキゼデクの位に等しい祭司です」と証言しています。 + 家系を重んじる古い祭司職の制度は廃止されました。それは人々を救う力のない無益な制度でした。 + だれも、祭司によっては神との正しい関係を結べなかったのです。しかし、今は違います。私たちは、もっとすぐれた希望を与えられています。キリストによって神に受け入れられた私たちは、神に近づくことができるのです。 + 神は誓いをもって、キリストを永遠の大祭司としてお立てになりました。 + かつて祭司たちを立てるのに、神が誓われたことはありません。しかしキリストに対してだけは、「主は、立てた誓いを変えることは決してない。あなたは、永遠にメルキゼデクの位に等しい祭司である」と誓われたのです。 + この誓いのゆえに、キリストは、新しく、かつすぐれた約束が確かであることをいつまでも保証してくださるのです。 + 古い契約のもとでは、大ぜいの祭司が必要でした。祭司が年老いて死ぬと、跡継ぎを立てて祭司を絶やさないようにしました。 + しかし、キリストは永遠に存在されるので、いつまでも祭司です。 + また、ご自分を通して神のもとに来る人々を、完全に救うことがおできになります。永遠に生きておられるキリストは、いつも神のそばで、ご自分の血によって彼らの罪が帳消しになるようにとりなしていてくださるのです。 + このような大祭司こそ、私たちが必要としていた方です。この方はきよく、少しの欠点も罪のしみもなく、罪人によって汚されることもありません。 + 古い大祭司は、神の前に出る時、まず自分の罪をきよめるために、そして人々の罪のために毎日、動物のいけにえの血をささげる必要がありました。しかしキリストには、その必要が全くありません。なぜなら、主ご自身が十字架にかかってご自分をいけにえとしてささげ、ただその一度の行為で、すべてを成し遂げてしまわれたからです。 + 古い祭司制度のもとでは、彼らは大祭司であっても、自らを悪から守ることのできない罪ある弱い人間でした。しかし後に、神は誓いをもって、ご自分の御子という完全なお方を、永遠の大祭司に任命されたのです。 + + + 以上述べてきたことを要約すると、次のようになります。私たちの大祭司はキリストであり、現在、天において神の右の座についておられます。 + このお方は、人間の手によらず、主によって建てられた天の神殿で祭司の仕事をしておられます。 + 大祭司の務めは、供え物といけにえとをささげることです。ですからキリストも、その務めをなさいます。 + この方のいけにえは、地上の祭司たちがささげるいけにえよりはるかにまさっています。〔しかし、もしキリストが今なお地上におられるとしたら、決して祭司にはなられなかったでしょう。この地上には、ユダヤ人の古いいけにえの制度を守る祭司がいるからです。〕 + 地上の祭司が奉仕をする神殿は、天にある本物の神殿をまねて造ったものにすぎません。幕屋(イスラエルの民が荒野で神を礼拝した聖所)を建てようとしたモーセは、シナイ山で神から指示を受け、天にある幕屋の型に寸分たがわないものを造るようにと命じられたのです。 + しかし今、キリストは天における祭司として、古い契約に従っている祭司たちより、はるかに重要な任務をゆだねられています。キリストが私たちに伝えてくださる神の新しい契約には、さらにすばらしい約束が含まれているのです。 + 古い契約はもはや無効になりました。もし効力があれば、別の新しい契約を立てる必要はなかったでしょう。 + しかし神は、古い契約の欠陥を指摘して、次のように言われました。「わたしが、イスラエルやユダの民と新しい契約を結ぶ日が来る。 + この契約は、彼らの先祖の手を引いて、エジプトの地から導き出した日に与えた古い契約とは異なるものである。彼らはそれを守らなかったので、わたしは無効にしなければならなかった。 + ここにわたしは、イスラエルの民と新しい契約を結ぶ。わたしはこの律法を彼らの心に刻む。そうすれば、何も言わなくても、彼らに、わたしの思いがはっきりわかるようになる。心の中に律法があるので、彼らは喜んで従うようになるだろう。こうして、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。 + その日にはだれも、友人や隣人、兄弟に向かって、『あなたも、主を知りなさい』と言う必要がなくなる。なぜなら、どんな人でも、わたしを知るようになるからだ。 + わたしは彼らの悪い行いに対してあわれみを示し、その罪を二度と思い出さない。」 + 神は、古い契約に代わる新しい契約について語っておられるのです。古いものは過去のものとなり、消え去っていきます。 + + + ところで、神と人間との間に交わされた最初の契約にも、礼拝についての規定があり、そのために建てられた神聖な幕屋がありました。この幕屋には二つの部屋があり、第一の部屋は聖所と呼ばれ、金の燭台と、特別なきよいパンとそれを載せる机が置いてありました。 + 聖所の奥に、幕で仕切られた第二の部屋があって、至聖所と呼ばれていました。 + 至聖所には、金の香壇と、全面を純金でおおわれた契約の箱がありました。その箱には、「十戒」を記した二枚の石の板、マナを入れた金のつぼ、芽を出したアロンの杖が納めてあったのです。 + 箱の上にはケルビム〔神の栄光の守護者たち〕と呼ばれる天使の像があって、黄金のふたをおおうように、大きな翼を広げていました。このふたは「恵みの座」と呼ばれます。しかし、これ以上くわしく述べる必要はないでしょう。 + さて、これらが全部ととのえられた上で、祭司は第一の部屋に出入りして、務めを果たしました。 + ただし、奥の第二の部屋には、大祭司だけが年に一度だけ、一人で入って行きました。そのとき彼は、血を携えて行かなければなりません。その血は、彼と民全体があやまって犯した罪をきよめるための供え物として、「恵みの座」にふりかけられました。 + 聖霊はこのことを通して、次のことを教えています。古い制度のもとで、第一の部屋と、それに代表される儀式があるかぎり、第二の部屋である至聖所に入る道はまだ閉ざされているということです。 + 幕屋は一つのたとえなのです。つまり、古い制度のもとでは、供え物といけにえが幾度ささげられても、それを携えて来る人たちの心まできよめることはできないのです。 + 古い制度は、もっとすぐれた新しい制度が用意されるまで課せられた、飲み食いや体の洗いきよめなどの体に関する規定にすぎません。 + キリストは、すでに私たちのものとなった、すぐれた制度の大祭司として来られました。そして、人間やこの世の手を借りる必要のない、さらに偉大で完全な、天の幕屋に入られました。 + しかも、ただ一度、血を携えて至聖所に入り、それを「恵みの座」にふりかけました。それはやぎや子牛の血ではなく、ご自分の血でした。キリストは自らそうすることによって、私たちの永遠の救いとなる贖い(身代わりによって罪を赦し、救い出すこと)を成し遂げられたのです。 + 古い制度のもとで、雄牛ややぎの血、あるいは若い雌牛の灰が、人々の体を罪からきよめることができるとすれば、 + ましてキリストの血は、どれほど確実に私たちの心と生活を変えることでしょう。キリストご自身のささげられた血は、古い規則に縛られる悩みから私たちを解放し、生ける神にお仕えしたい気持ちに駆り立てるのです。それは、一つの罪も欠点もない完全なお方が、聖霊の助けによってご自分を喜んで神にささげ、私たちの罪のために死んでくださったからです。 + キリストは、この新しい契約を携えて来られました。それで、神に招かれる人はみな、約束されたすばらしい祝福にいつまでもあずかることができるのです。なぜなら、古い制度のもとで犯した罪の刑罰から救い出すために、キリストは死んでくださったからです。 + たとえば、ある人が財産の相続人を指定し、遺言状を残して死んだとします。しかし、その被相続人の死が証明されなければ、だれもその財産に手をつけられません。 + 遺言は、被相続人の死後、初めて有効になるのです。その人が生きている間は、いくらそれが自分に関するものでも、どうすることもできません。 + そういうわけで最初の契約も、効力を発揮するために、死の証拠として血がふりかけられなければなりませんでした。 + モーセは、民にすべての律法を語ってから、水と共に子牛とやぎの血を取り、ヒソプの枝と紅色の羊毛とにつけて、律法の書と民全体にふりかけました。 + そして、厳かに宣言しました。「この血は、神とあなたがたとの契約が効力を発したしるしだ。この契約は、神が私に命じて、あなたがたとの間に立てられたものだ。」 + またモーセは、幕屋にも、礼拝用のすべての器具にも、同じように血をふりかけました。 + 古い契約のもとで、すべてのものは、血をふりかけることによってきよめられたと言えます。血を流すことなしに、罪の赦しはないのです。 + それで、天上のものにかたどって造られた地上の幕屋とその中のすべてのものは、このように動物の血をふりかけることによって、きよめられる必要がありました。しかし、天にある本物の幕屋は、はるかにすぐれたいけにえによってきよめられなければなりませんでした。 + キリストは、天にあるものの模型にすぎない、地上の神殿に入られたのではありません。天そのものに入られ、今は、私たちの友として神の前に出られたのです。 + しかも、地上の大祭司が毎年きまって動物の血を至聖所にささげたように、ご自分を何度もささげるようなことはなさいませんでした。 + もしそうであれば、世の初めから、何度も死ななければならなかったでしょう。キリストは、この時代の終わりに、死によって罪の力を永遠に無効とするために、ただ一度おいでになったのです。 + 人間には、一度だけ死んで、その後さばきを受けることが定められているように、 + キリストも、多くの人の罪のためにご自身をささげて、一度だけ死なれました。そして、もう一度おいでになりますが、今度は罪を取り除くためではありません。その時は、彼を待ち望んでいるすべての人の救いを完成させるために来られるのです。 + + + 律法による古い制度は、やがてキリストが与えてくださるもののすばらしさを、かすかに味わわせてくれるにすぎません。いけにえは年ごとに何度もくり返されましたが、それをささげた人たちを救えませんでした。 + もし救う力があるのなら、一度だけのいけにえで礼拝する人々はみなきよめられ、その罪意識も消えてしまったことでしょう。 + ところが、年ごとのいけにえは、かえって不従順と罪とを思い起こさせました。 + 雄牛とやぎの血では、罪を取り除くことはできないのです。 + そのためキリストは、この世に来られて、こう言われるのです。「神よ。雄牛ややぎの血は、あなたの心にかないません。それで、わたしに肉の体を与え、祭壇の上のいけにえとなさいました。 + 罪のためのささげ物として、あなたの前で殺されて焼かれる動物のいけにえでは、あなたは満足されませんでした。 + そこでわたしは、『まさに聖書に記されてあるとおり、わたしはあなたの御心を行い、いのちを捨てるために来ました』と申し上げたのです。」 + すなわちキリストは、「古い制度が要求するさまざまのいけにえやささげ物では、神は満足されない」と語ったあとで、 + 「わたしはいのちを捨てるために来ました」と言われたのです。キリストは、はるかにすぐれた制度を打ち立てるために、最初の制度を廃止されました。 + この新しい計画にそって、キリストはただ一度死なれ、それによって私たちは罪を赦され、きよくされているのです。 + 古い契約のもとでは、祭司たちは毎日、祭壇にいけにえをささげますが、それらは決して罪を取り除くことができません。 + しかしキリストは、いつまでも有効な、ただ一つのいけにえとして、私たちの罪のためにご自分を神にささげ、そのあと神の右の座について、 + 敵が足の下に踏みつけられるその日を待っておられます。 + キリストは、この一度かぎりの行為によって、ご自分がきよめる人々をみな、永遠に完全なものとしてくださったのです。 + 聖霊も同じ証言をされます。 + 「イスラエル人たちは最初の契約を破ったが、わたしが新たに彼らと結ぼうとしている契約はこれである。わたしは、常にわたしの意思を知らせるために、律法を彼らの心に書き記す。そして、律法を彼らの思いの中に据えるので、彼らは喜んでこれに従うようになる。」 + さらに聖霊は、こうも言われます。「わたしは、二度と彼らの罪と不法を思い出さない。」 + このように罪が永久に赦され、また忘れ去られてしまうなら、罪を取り除くためのいけにえを、これ以上ささげる必要はありません。 + ですから、愛する皆さん。いま私たちは、イエスが血を流されたことによって、神のおられる至聖所に堂々と入って行けるのです。 + この新しいいのちに至る道は、キリストがご自分の体という幕を引き裂くことによって開いてくださいました。私たちはこの道を通って、きよい神の前に進み出ることができるのです。 + また、このキリストという偉大な大祭司が神の家を支配しておられるのですから、 + 私たちは、まちがいなく受け入れられるという確信と真実な心をもって、神の御前にまっすぐ進み出ようではありませんか。すでに、私たちの心はキリストの血を注がれてきよめられ、体はきよい水で洗われているのです。 + いま私たちは、神が約束してくださった救いを、希望をもって待ち望むことができ、救いが確実であることを疑いなく語ることができます。神のことばは必ず実現します。 + 神が成し遂げてくださったすべてのことにこたえて、私たちも互いに愛し合い、善行に励もうではありませんか。 + 集会から離れたりする人たちにならってはいけません。主が再びおいでになる日は、もう間近なのですから、互いに励まし合っていきましょう。 + もし罪の赦しの真理を知ってから、救い主を拒否して、罪を犯し続ける人がいるとしたら、その人はキリストの死によっても赦されません。もはや、その罪を消す方法はどこにもないのです。 + その人には、敵対する者を一人残らず焼き尽くす、神の激しい怒りと恐ろしい刑罰が待っているだけです。 + モーセの律法に従わなかった者たちは、その罪に対する二、三人の証言が得られれば、死刑に処せられました。 + それならなおさら、神の御子を踏みつけ、罪をきよめるキリストの血を汚れたものとし、神のあわれみを人々にもたらす聖霊を拒絶する者に、どんなに恐ろしい刑罰が下るか、よく考えてみなさい。 + 私たちは、「正義はわたしのものである。復讐はわたしがする」、また、「主がその民をさばかれる」と言われた方をよく知っています。 + 生ける神の手の中に陥ることは、なんと恐ろしいことでしょう。 + あなたがたは、初めてキリストを知った時の祝福された日々を、いつまでも忘れないようにしなさい。また、死ぬほどの苦しみに会いながらも、主と共に戦い抜いてきたことを、いつも心にとめていなさい。 + 時には、あなたがた自身があざけられたり、打ちのめされたりし、また、同じ苦しみを味わっている人たちの友となったりしました。 + 牢獄に捕らわれの身となった人たちと共に苦しみ、また全財産を奪われても、喜んでそれに耐え抜きました。それはあなたがたが、もっとすぐれた、永遠に残るものを持っていることを知っていたからです。 + このようなすばらしい祝福が待っているのですから、どんなことがあっても、主を信じ続けなさい。やがて主から受ける報いを思いなさい。 + 神の約束されたものをいただきたいと願うなら、忍耐しなければなりません。 + キリストが再び来られる日が、これ以上遅れることはありません。 + 神の前に義と認められる人たちは、信仰によって生きるのです。しりごみするような人を、神は喜ばれません。 + 私たちは、神に背を向けて滅びる者ではなく、信じていのちを得る者なのです。 + + + 信仰とはいったい何でしょう。それは、望んでいることが必ずかなえられるという確信です。また、何が起こるかわからない先にも、その望んでいることが必ず待っていると信じて疑わないことです。 + 神を信じた昔の人たちは、この信仰によって賞賛されました。 + 信仰によって私たちは、この世界が神のことばによって造られ、しかも、それらが無から創造されたことを知るのです。 + アベルが神の命令に従い、カインよりはるかに神に喜ばれる供え物をささげたのは、信仰があったからです。アベルの供え物が喜ばれたのは、神が彼の義(正しさ)を受け入れてくださったことの証明です。アベルははるか昔に死にましたが、今なお彼の信仰は大切なことを語っています。 + エノクも神に信頼したので、神は彼に死を経験させず、天に引き上げてくださいました。神が連れ去られたので、彼は突然、姿を消したのです。神は、ご自分がどんなにエノクのことを喜んでいるか、前々から告げておられました。 + 信仰がなければ、神に喜ばれることはできません。神のもとに来ようとする人はだれでも、神の存在と、熱心に神を求めれば神は必ず報いてくださることを、信じなければなりません。 + ノアも、神を信じた人です。神から警告を受けた時、洪水のきざしなど何一つなかったにもかかわらず、彼はそのことばを信じました。そして、すぐに箱舟の建造に取りかかり、家族を洪水から救いました。神を信じたノアの態度は、当時の人たちの罪や不信仰と比べて、ひときわ輝いています。この信仰のゆえに、ノアは神に受け入れられたのです。 + アブラハムも、神を信じました。神に、生まれ故郷を離れて新しく与える地に向かうようにと指示された時、彼はそのことばに従い、行く先も知らずに出て行ったのです。 + そして、約束の地カナンに入ったあとも、外国からの旅行者のように天幕(テント)生活を送りました。神から同じ約束を受けた息子のイサクと孫のヤコブも、その地で同様に天幕生活を送りました。 + アブラハムがこうした生活に耐えられたのは、揺るがない土台に建つ天の都に、神が必ず連れて行ってくださると確信し、待ち望んでいたからです。その天の都を設計し、建設されたのは神ご自身です。 + アブラハムの妻サラも、信仰によって、すでに子を産む年齢を過ぎていたにもかかわらず、母親になることができました。神の約束は必ず実現すると信じたからです。 + このようにして、年を取って全く希望がないと思われていたアブラハムから、天の星や海辺の砂のように、数えきれないほどの子孫が生まれたのです。 + 信仰に生きたこの人たちは、神に約束されたものを手にしてから死んだのではありません。しかし彼らは、約束のものが待っているのを望み見て、心から喜びました。この地上がほんとうの故郷ではなく、自分がほんのつかの間、滞在する旅人にすぎないことを自覚していたのです。 + そう認めた時、彼らは心から、天にある故郷を慕い求めました。 + もし彼らに、この世の魅力ある生活に戻る気があったなら、いつでも戻れました。 + しかし彼らは、それには目もくれず、神が用意された天の都を一心に見つめていました。それで神は、彼らの神と呼ばれることを誇りとなさったのです。 + 神がアブラハムの信仰を試された時にも、アブラハムは最後まで神とその約束とを信じました。彼はひとり息子のイサクを神にささげ、祭壇の上で殺そうとまでしました。 + 「イサクを通して一つの国民となる子孫を与える」という神の約束があったにもかかわらず、彼は少しもためらいませんでした。 + たとえわが子が死んでも、神はもう一度生き返らせてくださると信じていたのです。まさに、そのとおりのことが起こりました。イサクは確かに死ぬ運命にあったのに、生きたまま、再びアブラハムの手に戻されたのです。 + イサクが二人の息子ヤコブとエサウに、神が将来、必ず祝福を与えてくださると確信したのも、信仰によるものでした。 + 年老いて、死を目前にしたヤコブは、信仰によって、杖にすがりながら、神に祈りをささげました。そして息子ヨセフの二人の子を、一人一人祝福しました。 + また、死期が迫ったヨセフは、信仰によって、神がイスラエルの子孫をエジプトから脱出させてくださることを語り、自分の骨を携えて行くよう約束させました。 + モーセの両親の行為も信仰によるものでした。すぐれた子どもが授けられたことを知った彼らは、神がエジプト王の手から、その子を救い出してくださると信じました。それで、子どもを殺せという王の命令にもひるまず、その子を三か月のあいだ隠しておいたのです。 + 信仰によって、モーセは成人した時、王子として扱われることを拒みました。むなしい罪の快楽にふけるよりは、神の民と共に苦しむ道を選んだのです。 + 彼はエジプト全土の宝をわがものにすることよりも、やがて来ると約束されていたキリスト(ギリシャ語で、救い主)のために苦しむほうが、はるかにすぐれていると考えました。その目は、神からの大きな報いに注がれていたのです。 + 神を信じていた彼は、王の怒りを恐れず、エジプトの地をあとにしました。わき目もふらず、まるで、いっしょに歩まれる神の姿を見ているかのように前進しました。 + 信仰によって、モーセは神の指示どおり、小羊の血を家々の門柱に注ぎかけました。こうして、イスラエルの家々の長子(長男)は、神から遣わされた恐ろしい死の使いから守られました。しかしエジプト人の長子は、この死の使いによって全滅したのです。 + イスラエル人は神を信じて、まるでかわいた陸地を歩むように、まっすぐ紅海を渡りました。しかし追跡して来たエジプト人は、同じように渡ろうとして、一人残らずおぼれ死んだのです。 + 信仰によって、イスラエルの民が、神の命令どおり七日間エリコの町の城壁を回ると、城壁はくずれ落ちました。 + 売春婦ラハブは、神とその力とを信じていたので、イスラエルの偵察隊を自分の家にかくまいました。その信仰によって、彼女は、神への服従を拒んだエリコの住民が滅ぼされた時に救い出されたのです。 + これ以上、何をつけ加える必要があるでしょう。ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル、そのほか多くの預言者の信仰について話し始めたら、いくら時間があっても足りません。 + 彼らは信仰によって、戦いに勝ち、国々を征服し、正義を行い、神が約束されたものを受け取ることができました。ライオンの穴に投げ込まれても危害を受けず、 + 燃えさかる炉に投げ込まれても、やけど一つしませんでした。ある者は、危うく切り殺されるところを救われました。ある者は病弱の身であったのに、健康な体に変えられました。ある者は戦いでめざましい力を与えられ、攻め寄せる敵の軍隊をことごとく退け、大勝利を収めました。 + 信仰によって、愛する者を死者の中から生き返らせていただいた女たちもいました。また、さらにすばらしいいのちに復活するために、釈放など願わず、むち打ちや死刑に甘んじた者たちもいました。彼らは神を捨てて自由の身となるより、むしろ死を望んだのです。 + またある者たちは、あざけられ、むち打たれ、さらに鎖につながれ、投獄されました。 + 石を投げつけられ、のこぎりで引かれて死んだ者もいました。また、羊ややぎの皮を着て荒野や山をさまよい、ほら穴に隠れた者もいます。彼らは飢えと病気に悩まされ、苦しめられ、ひどい仕打ちを受けました。それは彼らが正しい生き方を追求したからです。 + 彼らの信仰は神から賞賛されるほどでしたが、だれ一人、神が約束されたものを全部、手に入れたわけではありません。 + 彼らが待ち望んでいたのは、もっとすぐれた報いであり、神もやがてそれをお与えになるつもりでした。それは、私たちのために用意されている報いと同じです。 + + + このように、数えきれないほどの多くの証人たちが、競技場の観覧席で私たちを見つめているのです。だから、うしろへ引き戻そうとする力や、まとわりつく罪をふり捨てて、神の用意された競走を忍耐をもって走り抜こうではありませんか。 + あなたがたの信仰の指導者であり教師であるイエスから、目を離さないようにしなさい。イエスは後にある喜びを知って、恥辱をものともせず十字架にかかられました。そして今は、神の王座の右に座しておられるのです。 + 罪人たちの恐ろしい反抗を忍ばれたイエスのことを、いつも思っていなさい。あなたがたが気力を失い、弱り果てることがないためです。 + あなたがたは罪や誘惑と戦っています。けれどもまだ、血を流すほどのきびしい戦いを経験したことはありません。 + あなたがたは神の勧めを忘れていないでしょうか。神は、このように声をかけてくださっているのです。「わが子よ。主の懲らしめを、軽く考えてはならない。主の叱責に、気落ちしてはならない。 + 主が懲らしめるのは、あなたが憎いからではなく、あなたを愛しているからである。主がむち打つのは、あなたが真に神の子どもだからである。」 + 進んで神の訓練を受けなさい。神は、父親として当然のことを、子どものあなたがたにしておられるのです。父親から一度も懲らしめを受けたことのない子どもが、どこにいるでしょうか。 + 神は、ほんとうの子どもだからこそ懲らしめるのです。もしそうでなければ、あなたがたは神の家族でないことになります。 + この世では父親が子どもを罰しても、子どもから尊敬されなくなるようなことはありません。だとしたら、私たちは真に生きることを学ぶために、喜んで神の訓練を受けるべきではないでしょうか。 + 肉親の父親は、ほんの短い間だけ、それも、限られた知識に基づいて私たちを訓練します。ところが神は、私たちの最善を願って、神のきよさを共有させようと訓練をしてくださるのです。 + 罰を受けた当初はだれも気持ちがよいはずはなく、むしろ傷つけられたと感じるものです。しかしあとになれば、それが自分の益となり、すべての面で良かったことがわかります。 + ですから、しっかり立ち上がりなさい。 + そして、まっすぐな道を切り開きなさい。そうすれば、たとえ弱くて足が不自由でも、倒れたり、けがをしたりせず、かえって丈夫になるでしょう。 + 争いを避け、きよい生活を追い求めなさい。きよくない人は主を見ることができないからです。 + あなたがたのうちのだれも、神の祝福を失わないよう互いに注意し合いなさい。あなたがたの間に、憎しみや悪意がはびこらないよう十分に警戒しなさい。それは、多くの人の信仰生活に害を及ぼすからです。 + また、不品行に走ったり、エサウのように神に無関心にならないよう注意しなさい。エサウは、ただ一度の食事のために、神の祝福のしるしである長子の権利を売りました。 + あとになって後悔し、涙ながらにその権利を取り戻したいと願いましたが、遅すぎたのです。 + あなたがたは、イスラエルの民たちがシナイ山で神から律法(十戒)を授けられた時のように、恐怖、燃えさかる火、黒雲、暗闇、たけり狂う嵐に直面しているわけではありません。 + そこでは、すさまじいラッパの音が響き、また神の声がとどろきました。それを聞いた人たちは、あまりの恐ろしさに、それ以上何もお語りにならないでくださいと、必死に願いました。 + 彼らは、「たとえ動物でも、山に触れるものは殺されなければならない」という神の命令におびえ、あとずさりしました。 + モーセさえ、この光景を目のあたりにして、恐怖に震えおののいたのです。 + しかしあなたがたは、シオンの山に近づいているのです。そこは生ける神の都、天にあるエルサレムであり、無数の天使たちが楽しげに集う所です。 + またあなたがたは、天に登録されている人たちの教会、すべてをさばく神、すでに完全なものとされて天にいる、救われた者たちの霊に近づいているのです。 + またさらにあなたがたは、新しい契約をもたらしたイエスご自身と、復讐を叫ぶアベルの血ではなく、恵みに満ちた罪の赦しを与える血に近づいているのです。 + あなたがたに語りかけてくださる方に聞き従いなさい。イスラエルの民が指導者モーセに従うことを拒んだ時、彼らへのさばきは決定的なものとなりました。まして、天からの神の声を拒むなら、どんなに恐ろしい罰が下ることでしょう。 + シナイ山から語られた神の声は、大地を揺り動かしました。しかし、「わたしはもう一度、地だけではなく、天も揺り動かす」と、神は宣言しておられます。 + 神は次に、土台の弱いものをすべてふるいにかけ、決して動じないものだけを残そうとしておられるのです。 + 私たちは何ものにも滅ぼされない御国を与えられているのですから、感謝の思いときよい恐れとをいだいて仕え、神に喜んでいただこうではありませんか。 + 神はすべてを焼きつくす火です。 + + + 真実の兄弟愛をもって愛し合いなさい。 + よそから来た人を、親切にもてなしなさい。そうして、気づかないうちに天使をもてなした人もいます。 + 獄中にある人たちのことを忘れてはいけません。その境遇を思って、苦しみを共に分け合いなさい。また、しいたげられている人たちの悲しみを思いやりなさい。あなたがたは、その苦しみがどんなものか経験ずみなのですから。 + 結婚とその誓約を尊びなさい。純潔を保ちなさい。神は不品行な者、姦淫する者をさばかれるからです。 + お金を愛する心を捨て、いま与えられているもので満足しなさい。神は、こう約束しておられます。「わたしはどんな場合にもあなたの期待にそむかず、あなたを見捨てない。」 + ですから、私たちは確信をもって、こう答えることができます。「主は私を助けてくださいます。だから何もこわくありません。人間が、私にどんな手出しができましょう。」 + 神のことばを教えてくれた指導者たちのことを思い出しなさい。その生活からにじみ出た、すべての良いものに心をとめなさい。そして、彼らに見ならって、主を信じなさい。 + イエス‧キリストは、昨日も今日も、いつまでも変わることがありません。 + まちがった教えに心を奪われてはなりません。あなたがたの霊的な力は神からのものであって、ある特定の物を食べる規定によって得られるものではありません。そのような規定を厳守しても、何の益にもなりません。 + 私たちには、キリストがいけにえとなられた十字架という祭壇があります。律法に救いを見いだそうとする人は、この祭壇から助けを受けることはできません。 + 律法によると、大祭司は罪のためのいけにえとして、殺された動物の血を携えて聖所に入りますが、動物の体は町の外で焼かれることになっています。 + イエスも、町の外で苦しみを受けて死なれました。町の外で流されたこの血によって、私たちの罪は洗いきよめられたのです。 + だから私たちは、町の外に出て〔この世の人たちの関心事から離れ、人々からさげすまれることも覚悟して〕、キリストのはずかしめを身に受け、共に苦しむために、この方のもとに行こうではありませんか。 + この世は私たちが永遠に住む所ではありません。私たちは、天にある永遠の住まいを待ち望んでいるのです。 + イエスに助けられながら、神のすばらしい御名を宣べ伝えることによって、いつも、賛美の供え物をささげましょう。 + 良い行いをすることと、困っている人たちに持ち物を分けることを心がけなさい。神はこのような供え物を、とても喜んでくださるのです。 + 教会の指導者たちの言うことを聞き、服従しなさい。彼らの務めは、あなたがたのたましいを見守ることだからです。彼らには、その役目をどれだけ忠実に果たしたか、神に報告する義務があるのです。彼らが、悲しみながらではなく、喜んで報告できるようにしてあげなさい。そうすることは、あなたがたのためでもあるのです。 + 私たちのために祈ってください。私たちの良心は純粋であり、いつもそうありたいと願っています。 + そして今は、できるだけ早くあなたがたのところへ帰れるように、特に祈ってほしいのです。 + 偉大な羊飼いである主イエスを死者の中から復活させてくださった平和の神が、どうか、あなたがたに、神の御心にかなった行いをするのに必要なすべてのものを満たしてくださいますように。神とあなたがたとの間に立てられた永遠の契約の血によって、それが可能となりますように。どうか、キリストに栄光がいつまでもありますように。アーメン。 + 皆さん。私がこの手紙で語ってきたことを、どうか忍耐して聞いてください。これらは要点だけを手短に書いたものです。 + なお、同志テモテが釈放されました。もし彼が早く来れば、いっしょにあなたがたを訪問できるでしょう。 + あなたがたの指導者たち、また、信徒たちによろしく伝えてください。私といっしょにいるイタリヤから来た人たちも、よろしくと言っています。 + 恵みが、あなたがたと共にありますように。 + +
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+ + 神と主イエス‧キリストに仕えているヤコブから、国外にいるユダヤ人クリスチャンの皆さんにごあいさつ申し上げます。 + 愛する皆さん。あなたがたの人生は、多くの困難と誘惑に満ちていますか。そうであれば喜びなさい。 + 行く道が険しければ、それは忍耐を養う良いチャンスとなるからです。 + 忍耐力を十分に養いなさい。さまざまな問題が持ち上がった時、そこから逃げ出そうともがいてはいけません。忍耐力が十分身につけば、完全に成長した、どんなことにもびくともしない、強い人になれるでしょう。 + 神が何を望んでおられるか知りたいなら、遠慮なく、直接尋ねなさい。神は喜んで教えてくださいます。願い求める人には、神はいつでも惜しみなく、あふれるばかりの知恵を授けてくださるからです。そのことで、決してとがめたりはなさいません。 + ただ、その場合、神は必ず答えてくださると確信して願い求めなさい。疑う人の心は、風に波立つ水面のように不安定なものです。そんな疑いの心では、主に何を期待してもむだです。 + あなたがたの中で、貧しいために見下されている人は、そのことを喜びなさい。主が高く評価してくださるからです。 + また裕福な人は、主にとっては富が無に等しいことを知って、喜びなさい。裕福な人の一生は、美しく咲いては枯れる花のように、はかなく過ぎ去ってしまうからです。忙しく飛び回っていても、その働きの完成を見ないうちに死んでしまうのです。 + 誘惑に負けて悪に走らない人は幸いです。なぜなら、神を愛する人に約束されたいのちの冠を、ほうびとしていただけるからです。 + 悪に手を出しそうになった時、神から誘惑されたなどと言ってはなりません。神が悪を望まれるはずはありませんし、また、悪へ誘ったりするわけもないのです。 + 人は、自分の欲や悪い考えに引かれて誘惑されるのです。 + その欲や悪い考えが悪へと駆り立て、ついには、神から永遠に引き離される死の刑罰へと追いやるのです。 + ですから、だまされてはいけません。 + すべての良いもの、完全なものは、光を造られた神から来るのです。神にはわずかの変化もくもりもなく、いつまでも輝いています。 + 神は御心のままに、真理のことばによって、私たちに新しいいのちを与えてくださいました。こうして私たちは、神の新しい家族の最初の子どもとされたのです。 + 愛する皆さん。人のことばにまず耳を傾け、自分はあとから語り、怒るのは最後にしなさい。 + 怒りは、神の義から私たちを遠く引き離すからです。 + ですから、自分の生活を総点検して、どんな悪をもすっかり取り除き、神のことばをすなおに受け入れなさい。神のことばには、私たちの心をとらえ、たましいを救う力があるからです。 + また聞くだけでなく、それを実行することも忘れてはなりません。みことばを聞くだけは聞いて、自分を偽った行動をとることがありませんように。 + 聞いただけで実行に移さない人は、鏡に映る自分の顔をながめているようなものです。 + 鏡から離れると、自分がどんな表情をしていたか、すっかり忘れてしまいます。 + しかし、〔完全な律法、自由の律法である〕神の教えを一心に見つめて離れない人は、すぐに忘れたりしないばかりか、その命令を実行します。神は、そのような人の行いに大きな祝福を与えてくださいます。 + もしも、「私はクリスチャンです」と言いながら、平気でとげのあることばを口にする人がいれば、その人は自分を偽っていることになります。そのような信仰には何の価値もありません。 + 父なる神の目から見て、純粋で汚れのない信仰とは、みなしごや未亡人が困っていれば世話をし、この世から自分をきよく守ることです。 + + + 愛する皆さん。人をえこひいきし、相手が金持ちか貧しいかによって態度を変えていながら、どうして臆面もなく、「私は主イエス‧キリストを信じています」などと言えるでしょう。 + たとえば教会に、金の指輪をはめたりっぱな身なりの金持ちと、みすぼらしい身なりの貧しい人が入って来たとします。 + その時、金持ちには気を遣い、「こちらの良い席へどうぞ」と言って案内し、貧しい人には、「そこで立っているか、床にでも座っていなさい」と言ったとしたら、どうでしょう。 + そのような態度は、クリスチャンとしての信仰を根本から疑わせるもので、悪い考えで人を差別し、さばいている証拠です。 + 皆さん、よく聞いてください。神は貧しい人を選んで、豊かな信仰を持つ者としてくださいました。神の国は、そういう人のものです。神の国は、神を愛する者に約束されたものだからです。 + それなのに、あなたがたは貧しい人を軽蔑したのです。あなたがたをひどい目に会わせ、裁判所に訴えるのは、裕福な人たちではありませんか。 + また、あなたがたが仕えるイエス‧キリストの尊い御名をあざ笑うのも、彼らではありませんか。 + あなたがたがほんとうに、「あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい」という最高の律法を守っているならりっぱなことです。 + しかし、もし人をえこひいきしているなら、あなたがたは罪を犯していることになります。 + 律法全体を注意深く守っていても、一点ででもつまずけば、その人はすべてを破った者となるのです。 + なぜなら、「他人の妻と通じてはならない」と言われた神は、「殺してはならない」とも求められるのです。ですから、性的な罪を犯さなくても、だれかを殺せば律法の違反者になります。そして、罪ある者として神の前に立たせられます。 + あなたがたは、キリストの命令を守る者にふさわしく語り、行動しなさい。 + 思いやりのない人には、思いやりのないさばきが下ります。しかし、あわれみ深い人には、神のあわれみがあるのです。 + 愛する皆さん。自分には信仰があると言っても、それを行動で表さなかったら、どうしてその信仰を実証できるでしょう。そのような信仰が、人を救うことができるでしょうか。 + あなたがたの仲間に、着る物もなく、その日の食べ物にも事欠いている人がいて、 + その人に、「それはお困りですね。でも神様が祝福してくださいますよ。暖かくして、お腹いっぱい食べてください」と言うだけで、必要なものを何もあげないなら、何の役に立つでしょう。 + このように、信仰に行いが伴わなければ、その信仰は死んだも同然です。 + さらに、こう言う人もいるかもしれません。「行いのないあなたの信仰の正しさを見せてください。私は、私の行いによって、自分の信仰を見せましょう。」 + あなたは、神はただひとりだと信じています。それはりっぱなことです。しかし、悪魔もそう信じて、神を恐れているのです。 + ああ、あなたは、なんと愚かであわれな人でしょう。みことばを実行しなければ、信じることなどむなしいことを、いつになったら悟るのですか。行いを伴って初めて本物と言えるのです。 + 先祖アブラハムでさえ、その行いによって神の前に正しい者と認められたではありませんか。彼は、息子イサクを供え物として祭壇にささげよと神に命令された時、いさぎよく従いました。 + アブラハムは心から神を信じていたので、どんなおことばにも喜んで従ったのです。こうしてアブラハムの信仰は、実際の行動によって完全なものと認められました。 + ですから、「アブラハムは神を信じた。それで神の目に正しい者と認められた」という聖書のことばどおり、彼は、「神の友」と呼ばれるまでになったのです。 + 人は信仰だけでなく、行いによって神に正しいと認められることがわかるでしょう。 + 売春婦ラハブも同様です。彼女はイスラエルの使者たちをかくまい、別の道から安全に逃がしてやりました。この行為によって、彼女は神に認められたのです。 + たましいのない体が死んだものであるように、行いのない信仰は死んだも同然です。 + + + 愛する皆さん。みなが教師のようになって、人の欠点をあげつらってはいけません。自分も欠点だらけではありませんか。人よりもすぐれた判断力を持つべき私たち教師がもし悪を行うなら、ほかの人よりはるかにきびしいさばきを受けるのです。 + また、ことばを制御できる人は、すべての点で自分を完全に制することができる人です。 + 馬を御したい時は、口に小さなくつわをかけるだけでよいのです。 + また大きな船も、小さなかじ一つで、どんな嵐の中でも思いのままに進路を変えることができます。 + 同様に舌もちっぽけなものですが、使い方を誤ると、途方もなく大きな害を生じます。小さな火が大きな森林を焼き尽くします。 + 舌は火と同じように、悪の炎で体全体を毒し、私たちの人生を滅びと災いの炎で焼き尽くすのです。 + 人間は、あらゆる獣、鳥、魚、地をはうものを、思いのままに支配しています。 + しかし、自分の舌だけは思いどおりにできません。舌はいつでも、死の毒を吐き出そうと待っているのです。 + 私たちはこの舌で、天の父なる神をほめたたえ、同じ舌で、神にかたどって造られた人間をのろいます。 + 賛美とのろいが同じ人の口から出るのです。愛する皆さん。こんなことがあってはなりません。 + 同じ泉の水が甘くなったり、苦くなったりするでしょうか。 + いちじくの木にオリーブの実がなったり、ぶどうの木にいちじくの実がなったりするでしょうか。塩水の池から、真水を汲むこともできません。 + 良い生き方をする人は、柔和な行いを身につけた、知恵のある賢い人です。 + しかし、もし自分にねたみや敵対心があるなら、決してその知恵をひけらかしてはいけません。それは偽善です。 + ねたみや敵対心は、神からの知恵ではなく、この世のものであり、真理に逆らう悪霊から来るものです。 + ねたみや敵対心のうず巻くところでは、秩序が乱れ、あらゆる悪がはびこっています。 + しかし、神からの知恵は純粋であり、平和とおだやかなやさしさに満ち、思いやりと良い実に満ちています。 + また、偏見や偽善がありません。平和をつくる人は、平和の種をまいて、義の実を結ばせるのです。 + + + あなたがたの争いは、いったい何が原因ですか。あなたがたの心にうず巻く悪い欲望から出たものではありませんか。 + あなたがたときたら、人を殺してでも欲しいものを手に入れたがるのです。うらやんでも手に入れることができないと、力ずくで奪おうとしてけんかをします。神に願い求めることをしないからです。 + いくら願い求めても手に入らないのは、その目的や動機がまちがっているからです。自分を楽しませることのみ求めているからです。 + あなたがたは、まるでふしだらな妻のようです。この世の快楽に親しむのは、神を敵に回すことです。世の友を求めるなら、神の友にはなれません。 + 「神が私たちのうちに住まわせてくださった聖霊は、ねたむほどの愛をもって、私たちを見守っておられる」と書いてある聖書のことばを、どう理解しているのですか。 + 神は私たちに、すべての悪い欲望に立ち向かうための強い力を与えてくださいます。神は高慢な者を退け、謙遜な者に力をお与えになります。 + ですから、神の前に謙遜になりなさい。そして、悪魔に立ち向かいなさい。悪魔はしっぽを巻いて逃げ出すでしょう。 + 神に近づきなさい。そうすれば、神も近づいてくださいます。罪ある人たちよ。罪の生活から足を洗いなさい。純粋で真実な心の持ち主だと認めてもらえるように、神への思いで心を満たしなさい。 + あなたがたは、苦しみなさい。悲しみなさい。泣きなさい。笑いを悲しみに、喜びを憂いに変えなさい。 + 主の前で、自分がいかに取るに足りない存在か思い知らされる時、主はあなたがたを助け起こし、力づけてくださるのです。 + 皆さん。互いに悪口を言い合うのをやめなさい。それは、「自分を愛するように人を愛しなさい」という律法を批判し、律法をさばいているのです。あなたがたのなすべきことは、律法の良し悪しを言うことではなく、それに従うことです。 + 正しくさばくことのできる方は、律法を定めた神おひとりです。神だけが、私たちを救ったり、滅ぼしたりすることができるのです。それなのに、あなたは何の権威によって人をさばいたり、批判したりするのですか。 + よく聞きなさい。「今日か明日、あの町に出かけ、一年かけてひともうけしよう」ともくろむ人たち。 + 明日どんなことがわが身に起こるか、だれにもわからないのです。あなたがたのいのちは、朝霧のようにはかないものです。 + ですから、こう言うべきです。「もし主がお許しくださるなら、私はあのことと、このことをしよう。」 + ところが、あなたがたは高ぶって、むなしい計画で頭がいっぱいなのです。自分に頼っていては、決して神を喜ばせることはできません。 + ですから、何をすべきかわかっていながら行わないのは、罪だということを自覚しなさい。 + + + よく聞きなさい、金持ちたち。迫り来る恐ろしい災いのために、声をあげて泣きなさい。 + あなたがたの富は腐り、美しい着物は虫に食われ、 + 金銀は価値を失います。しかも、そのことがあなたがたに不利な証拠となり、まるで火のように全身を焼き尽くすでしょう。やがて来る審判の日には、命より大事にしてきたものがすべて、このような運命をたどるのです。 + 聞きなさい、あなたがたの農場で働いた労働者の叫び声を。あなたがたは彼らの賃金を搾取したではありませんか。彼らの叫びは、万軍の主の耳に達しているのです。 + この地上でぜいたく三昧に暮らし、ありとあらゆる快楽にふけったあなたがた。まるで、屠殺場送りになるために、心を肥え太らせてきたようなものです。 + あなたがたは、自分を守るすべを持たない善良な市民に罪をかぶせて殺してきたのです。 + こういうわけですから、皆さん。主が再び来られる時まで、忍耐していなさい。貴重な秋の収穫を期待する、農夫の忍耐に学びなさい。勇気を出しなさい。主はもうすぐ帰って来られるのですから。 + 互いに文句を言い合ってはいけません。自分だけは人から非難されない自信でもあるのですか。見なさい。偉大な裁判官である主が、すぐそこまで来ておられます。 + どんな苦難の中でもじっと忍耐した預言者たちを見ならいなさい。 + 彼らは地上で非常な苦しみに会いましたが、最後まで忠実に主に従いました。私たちは、そのように忍耐した人たちを、祝福された人と考えています。ヨブは、苦難の中で主を信じ続けた模範です。私たちは、ヨブの生き方から、主のご計画の結末には必ず祝福が伴うことを知ったのです。主は、恵みとあわれみにあふれたお方です。 + しかし何よりも大切なことは、天にしろ地にしろ、何を指してもいっさい誓わないことです。ただ「はい」、また「いいえ」とだけ言えばいいのです。誓ったばかりに、罪を犯して、神のさばきを受けないためです。 + あなたがたの中に、悩んでいる人がいますか。その人は、神に祈り続けなさい。また喜んでいる人がいるなら、昼も夜も主を賛美しなさい。 + 病気の人はいませんか。その人は教会の長老を招き、主が治してくださるように、油を注いで祈ってもらいなさい。 + その祈りが信仰によってささげられたものなら、病気は治るでしょう。もし病気の原因が罪によるものなら、主はその罪を赦してくださいます。 + ですから、互いに罪を告白し、祈り合いなさい。正しい人の祈りは大きな力があり、驚くほどの効果があります。 + エリヤは私たちと変わらない人でしたが、雨が降らないようにと熱心に祈ると、三年半ものあいだ一滴の雨も降りませんでした。 + そして、再び雨が降るようにと祈ると、激しい大雨が降って、草木も作物も青々と実るようになりました。 + 愛する皆さん。ある人が神から離れ、もはや主を信じなくなった時、だれかが彼を助け、もう一度真理をよく理解させて連れ戻したとしたらどうでしょう。 + その務めを担った人は、迷い出たたましいを死から救い出し、犯した多くの罪を神に赦してもらう働きをしたということを、あなたがたは知っていなさい。ヤコブ + +
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+ + イエス‧キリストの使徒ペテロから、エルサレムを追われて、ポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤ、ビテニヤの各地方に散らされたユダヤ人クリスチャンの皆さんへ。 + 父なる神は、ずっと昔からあなたがたを選び、ご自分の子どもにしようと決めておられました。そして、聖霊が働いて、あなたがたの心はイエス‧キリストの血によってきよめられ、神に喜ばれる者へと変わったのです。どうか、神があなたがたを祝福し、すべての不安と恐れから解放してくださいますように。 + 主イエス‧キリストの父なる神こそ、すべての賞賛を受けるにふさわしい方です。私たちは、神の測り知れないあわれみによって、新しく生まれ変わる特権を与えられ、神の家族の一員として迎えられたのです。そればかりか、キリストが死者の中から復活してくださったことにより、私たちは永遠のいのちの希望にあふれています。 + 神はご自分の子どもたちのために、朽ちることも消えることもない資産を約束してくださいました。それはあなたがたのために天にたくわえられているのです。 + 神の超自然的な力によって、あなたがたはまちがいなく守られ、やがて来る終わりの日に、用意されている救いをいただくのです。 + ですから、心から喜びなさい。今しばらくの間、地上での苦しい試練が続きますが、行く手にはすばらしい喜びが待っているからです。 + これらの試練は、あなたがたの信仰をテストするためにあるのです。それによって、信仰がどれほど強く純粋であるかを量られます。それはちょうど、金が火によって精錬され、不純物が取り除かれるのに似ています。しかも神にとっては、あなたがたの信仰は、金よりはるかに尊いものです。ですから、信仰が火のような試練のるつぼの中で鍛えられ、なお強くされるなら、あなたがたは、イエス‧キリストが再び来られる日に、多くの賞賛と栄光と名誉とを受けることになるでしょう。 + あなたがたは、イエス‧キリストを見たことがないのに愛しており、いま見ていないのに信じています。そして、天からの、ことばに表せない栄光に満ちた喜びに浸っているのです。 + これは信仰の結果である、たましいの救いを得ているからです。 + この救いについては、昔の預言者も完全に知っていたわけではありません。救いの預言はしましたが、それが実際には何を意味しているのか、自分でもよくわからなかったのです。 + 心の中のキリストの御霊が何を語っておられるのか、理解していませんでした。聖霊は、やがてキリストの身にふりかかる苦難と、それに続く大きな栄光とを書きとめるように命じられたのです。彼らは、いったいそれが、いつ、だれに実現するのか知りませんでした。 + 彼らは、これらが自分たちの時代にではなく、ずっとあとに、すなわち今の時代に実現することを知らされました。そして今ついに、この福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)は、私たち主を信じる者全員にはっきり告げ知らされたのです。これは、預言者に語られた時と同様、天から遣わされた聖霊の力によって伝えられたのでした。それは、天使でさえ知りたいと願ったことでした。 + そういうわけですから、あなたがたはこれまで以上の恵みを期待して、イエス‧キリストが再び来られる時を、真剣に、身を慎んで、ひたすら待ち望みなさい。 + あなたがたは神の子どもなのですから、神に従いなさい。何も知らず、欲望のままに生きた昔の生活に舞い戻ってはいけません。 + かえって、あなたがたを招いてくださったきよい神にならい、あらゆる点できよい者とされなさい。 + 主みずから、「わたしはきよい者であるから、あなたがたも、きよくなければならない」と言われました。 + あなたがたが祈りをささげる天の父なる神は、人の行いをすべて、正しく公平にさばかれます。ですから天に行くその日まで、主を恐れ、慎み深く生活しなさい。 + 神は、あなたがたの先祖が天国への道を外れ、むなしい努力を重ねてきた生き方からあなたがたを救い出すために、身の代金を払ってくださいました。それは、金や銀のような朽ちる物ではなく、 + 一点の罪もしみもない神の小羊、キリストの尊い血によって支払われたのです。 + 神はこのために、世の始まる前から、キリストを選んでおられました。そしてこの終わりの時代に、あなたがたへの祝福として、キリストを遣わされたのです。 + ですから、キリストを死から復活させ、栄光をお与えになった神を信じましょう。あなたがたの信仰と希望とは神にかかっているのです。 + キリストを信じたあなたがたは、たましいをきよめられ、だれをも真実に愛することができるのですから、互いに心から熱く愛し合いなさい。 + あなたがたの新しいいのちは、両親から受けた、やがて朽ち果てるいのちではなく、朽ちることのないいのちです。このいのちは、いつまでも変わらずに生きて働く神のことばによるのです。 + 生まれながらの古いいのちは、枯れてしまう草のようです。どんな栄誉も、やがてはしぼみ、散っていく花と同じです。 + しかし、主のことばは、いつまでも変わることがありません。これこそ、あなたがたに宣べ伝えられた福音のことばです。 + + + ですから、悪意、偽り、偽善、ねたみ、悪口を捨てなさい。 + すでに主の恵みといつくしみを経験したのですから、乳を求める赤ん坊のように、熱心にみことばを求めなさい。 + 主キリストに近づきなさい。主が土台石となり、神はその上に、神の家をお建てになるのです。人々は主を拒みましたが、神は主を最も重要な存在として選ばれたのです。 + あなたがたも、神の家を建て上げるための生ける土台石となりなさい。そして、聖なる祭司として、イエス‧キリストを通して、神に喜ばれる供え物を神にささげなさい。 + 聖書にこう書いてあります。「見よ。わたしは一つの石(キリスト)を(教会の)尊い土台石とするために選び、遣わした。彼に信頼する者は、決して失望しない。」 + キリストは、信じる者にとって何よりも尊い方ですが、キリストを拒む者にとっては、「つまずきの石、妨げの岩」となりました。「家を建てる者たちの捨てた石が、なくてはならない土台石となった」とあるとおりです。 + 彼らのつまずきの原因は、神のことばに耳を傾けず、従おうとしないことですが、そうなるように定められてもいたのです。 + しかし、あなたがたはそうではありません。あなたがたは神から選ばれた王なる祭司であり、きよい民として神のものとされた人たちです。それはすべて、どうして自分が暗闇から神の驚くべき光へと招き入れられたかを、人々に語り伝えるためなのです。 + あなたがたは、以前は全く無きに等しい者でしたが、今は神のものとされています。以前は神のいつくしみから遠い者でしたが、今では神のいつくしみによって変えられました。 + 愛する皆さん。この地上では、あなたがたは旅人であり、一時の滞在者にすぎないのですから、あなたがたのたましいに戦いをいどむ、この世の快楽から遠ざかりなさい。 + 異教徒の中でりっぱにふるまいなさい。そうすれば、今はあなたがたを疑いの目で見たり、非難したりしていても、やがてキリストが来られる時には、あなたがたのりっぱな行いを認めて、彼らは神をほめたたえるようになるでしょう。 + 主のために、国家の定めたすべての制度に従いなさい。この世の主権者である王が定めたものであっても、王の任命した総督が定めたものであっても従うべきです。彼らは悪い者を罰し、正しい者に栄誉を与えるからです。 + というのは、善を行って、愚かな人の無知の口を封じることは、神の望まれることだからです。 + あなたがたは、この世から解放された自由人です。しかし、それを好き勝手なことをするためにではなく、ただ神に従うことに用いなさい。 + だれであっても尊敬しなさい。お互いに深く愛し合いなさい。神を恐れ、王を尊びなさい。 + 召使は主人を尊敬し、従いなさい。善良でやさしい主人に対してだけでなく、横暴な主人にも従いなさい。 + 不当な罰を受けても耐えるなら、神に喜ばれます。 + 自分が悪いことをして受けた罰をどんなに我慢しても、何の誉れにもなりません。しかし、正しいことをしたばかりに苦しみを受け、それを耐え忍ぶのは、神に喜ばれることです。 + この苦しみは、神が与えてくださった務めでもあるのです。あなたがたのために苦しまれたキリストが見ならうべき模範となられました。この方について行きなさい。 + キリストは一度も、罪を犯したり、偽りを語ったりなさいませんでした。 + 侮辱されても、苦しめられても報復をせず、公平にさばかれる神にご自分をお任せになりました。 + キリストは、私たちの罪をその身に負って、十字架上で死んでくださいました。そのおかげで、私たちは罪から離れ、正しい生活を始めることができたのです。キリストが傷つくことによって、私たちの傷はいやされました。 + あなたがたは神から離れて迷子の羊のようにさまよっていましたが、今は、どんな敵の攻撃からもたましいを安全に守ってくださる、羊飼いである方のもとに帰ったのです。 + + + 妻は夫に従いなさい。たとえ今は、主のことばに耳を傾けようとしない夫であっても、あなたがたの敬虔な態度に打たれて、やがて信仰を持つようになるためです。神を敬う生活は、どんなことばよりも影響力があります。 + 宝石やぜいたくな着物や、きれいな髪形で外見を美しく見せようとするよりも、 + むしろ、やさしく、おだやかな心の持ち主となり、いつまでも色あせない魅力で、自分の内面を美しく飾りなさい。これこそ、神の目に価値あるものです。 + 昔の敬虔な女性たちもこのような美しさを身につけ、夫に従っていたのです。 + たとえばサラは、夫アブラハムを「主」と呼んで、彼に従いました。このサラに見ならいなさい。そうすれば、サラの信仰を受け継ぎ、正しい行いをすることになるのです。 + 同じように夫も、妻を心にかけなさい。女性が男性よりも弱い者であることを意識して、いたわりなさい。神の祝福は、妻と共に受け継ぐべきものだと心得なさい。もし妻に対する態度が誤っていれば、あなたがたの祈りはむなしいものとなります。 + あなたがた一同に言います。家族の一員としてお互いに思いやり、やさしい心と謙遜な思いで愛し合いなさい。 + 人からの悪意に報復するのはやめなさい。侮辱されたからといって、口ぎたなくののしり返してはいけません。かえって、その人のために神の祝福を祈りなさい。あなたがたは、神の祝福を分け合う者とされているのです。 + 幸福な生涯を送りたいなら、舌を抑えて、くちびるからうそが出ないようにしなさい。 + 悪から遠ざかって、善を行いなさい。平和を追い求めて手に入れなさい。 + 主は常に、自分の子どもたちを守り、その祈りに耳を傾けてくださいます。しかし悪を働く者には、主のきびしい顔が向けられているのです。 + 善を行いたいと願うあなたがたに、だれが害を加えるでしょう。 + かりにそのようなことがあっても、幸いと思いなさい。神があなたがたに報いてくださるからです。 + 心を動揺させないで、ただ主キリストを信じなさい。もしだれかに、「なぜキリストを信じるのか」と尋ねられたら、いつでもその理由を話せるようにしておきなさい。ただし、おだやかに、真摯な態度で説明すべきです。 + そして、正しいことを行いなさい。そうすれば、悪者呼ばわりする人たちも、やがて、あなたがたの正しい生き方に気づいて、自分たちの行為を恥じるでしょう。 + いいですか。あなたがたが苦しむことが神の御心であれば、悪いことをして苦しみを受けるよりも、正しいことをして苦しみを受けるほうが、はるかにいいのです。 + キリストも苦しまれました。罪を犯したことのない方であったにもかかわらず、私たち罪人のために死なれたのです。それは、肉においては死んでも、霊においては生かされて、私たちを神のもとに導くためでした。 + そして、霊においてキリストは、捕らわれている霊を訪ね、神のことばを伝えました。 + これらの霊とは、昔のノアの時代の者たちを指します。彼らはノアが箱舟を造っている間、神が忍耐して待っておられたにもかかわらず、神のことばを拒否しました。結局、わずか八人だけが箱舟の中で、水を通って救われたのです。 + 〔これは、バプテスマ(洗礼)を指し示しています。私たちの受けるバプテスマは、キリストの復活による、死と滅びからの救いを意味します。それは、体の汚れを洗いきよめるものではなく、神に立ち返った私たちの心が罪からきよめられるものです。〕 + 今、キリストは天で、神の右の座につき、すべての天使と天の軍勢を従えておられます。 + + + キリストは肉体に苦しみを受けられたのですから、あなたがたも、いつ苦しみに会ってもよい心がまえでいなさい。肉体に苦しみを受けても、神に従い通した人は、罪とはっきり手を切りました。 + こうしてあなたがたは、残りの人生を人間的な欲望の追求に費やすことなく、神の御心のままに生きるようになるのです。 + かつて、あなたがたは異教徒がしたがるように、好色、肉欲、酔酒、遊興、偶像礼拝にふけっていました。もうそれで十分です。 + 昔の仲間は、もうどんなに誘っても、あなたがたが悪い遊びに応じないのを見て、ずいぶん驚き、また、ばかにするかもしれません。 + しかし、覚えておきなさい。彼らは、生きている者と死んだ者すべてをさばかれる裁判官の前で、罪を問いただされることになるのです。 + だからこそ、福音は洪水で滅ぼされた人々にも伝えられたのです。それは、たとえ肉体には死の罰が下されても、霊においては神に生かされるためでした。 + 世の終わりが近づいています。ですから、分別を持ち、身を慎んで祈りなさい。 + 何よりも、互いに熱心に愛し合いなさい。愛は、多くの欠けた点を補うからです。 + 食べる物に困り、宿のない人がいたら、気持ちよく家に迎え入れてあげなさい。 + 神はあなたがた一人一人に賜物を与えておられます。それぞれに与えられた賜物によって、互いに助け合い、神からのあふれる恵みを他の人と分かち合いなさい。 + 説教するために選ばれた人は、神があなたを通してじかにお語りになるように語りなさい。人に奉仕するために選ばれた人は、神が下さる力に満たされて人々を助けなさい。それは、すべてのことにおいて、イエス‧キリストを通して神がほめたたえられるためです。どうか、栄光と力がいつまでもキリストにありますように。アーメン。 + 愛する皆さん。炎のように燃えさかる試練に直面しても、あわてたり、おじけづいたりしてはいけません。ふりかかる試練は、決して思いがけないものでも、異常なものでもないからです。 + むしろ、その試練によってキリストと苦しみを分かち合えるのですから、喜びなさい。やがてキリストの栄光が現れる時、その栄光を共に受けて、すばらしい喜びを味わうためです。 + もしクリスチャンであるばかりに、ののしられ、非難されるなら、あなたがたは幸いです。神の御霊がいっしょにいてくださるからです。 + だれも、人殺しや盗みの罪に問われたり、問題を引き起こしたり、みだりに他人のことに首を突っ込んだりして、そのために苦しむことがないよう気をつけてください。そんなことが、私の耳に入らないようにしてください。 + しかし、クリスチャンだという理由で苦しみを受けるなら、少しも恥じることはありません。それは、キリストの家族の一員として、キリストの名で呼ばれる特権を受けた証拠ですから、神をほめたたえなさい。 + なぜなら、さばきの時がすでに来ているからです。しかもそのさばきは、神の家(教会)から始まるのです。このように、クリスチャンの私たちでさえさばかれるのなら、神に従わない人々には、どんなに恐ろしい運命が待ち受けていることでしょう。 + 正しい人がかろうじて救われるのであれば、神を信じない人々は、いったいどんなことになるのでしょう。 + ですから、あなたがたの今の苦しみが神の御心に添うものであるなら、なお続けて善を行いなさい。そして、あなたがたを造られた神に、すべてをお任せしなさい。神から見捨てられることは決してありません。 + + + そこで教会の長老(指導者)たちに、私も同じ長老の職にある者として、ひとこと言っておきます。私は、キリストの十字架上の死の目撃者として、また、再び来られるキリストの栄光を共に受ける者として、ぜひとも次のことをお願いしたいのです。 + 神の羊の群れ(教会)を養いなさい。いやいやながらではなく、喜んで、その務めに当たりなさい。利益を求める気持ちからでなく、熱心に、喜んで、羊の群れを飼いなさい。 + 支配的にふるまわず、良い模範を示して、彼らを指導するよう心がけなさい。 + そうすれば、偉大な羊飼いであるキリストがおいでになる時、朽ちない栄光の冠を受けるのです。 + 青年たちにも言います。長老たちの指導に従いなさい。みな、謙遜になって互いに仕え合うべきです。神は、高慢な者には敵対し、謙遜な者には恵みを与えられるからです。 + あなたがたは、神の力強い御手の下で自分を低くしていなさい。ちょうどよい時に、神はあなたがたを高く引き上げてくださるでしょう。 + 思いわずらいを、すべて神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。 + 最大の敵である悪魔の攻撃に備えて、警戒しなさい。悪魔は、飢えてほえたけるライオンのように、引き裂くべき獲物を求めてうろつき回っているのです。 + 信仰に堅く立って、悪魔の攻撃に立ち向かいなさい。ご存じのように、あらゆる地域のクリスチャンたちが、同じ苦しみを通っているのです。 + キリストにあって、あふれるほど恵みを注いでくださる神は、しばらくの苦しみのあとで、あなたがたに永遠の栄光を与えてくださいます。神ご自身があなたがたを力づけ、しっかり立たせ、強めてくださいます。 + どうか、神のご支配が永遠にありますように。アーメン。 + この手紙を筆記してくれたのは、忠実な信仰の友シルワノです。私は、この手紙があなたがたを力づけるよう期待しています。なぜならここに、どうすれば神の恵みをいただけるかを記したからです。この手紙が、あなたがたを神の愛のうちにしっかりと立たせるのに役立つと信じます。 + ローマにある教会が、よろしくと言っています。わが子マルコも、よろしくとのことです。 + 互いに、愛に満ちたあいさつを交わしなさい。キリストを信じる皆さんに、平安がありますように。ペテロ + +
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+ + イエス‧キリストのしもべであり、使徒であるシモン‧ペテロから、神であり救い主であるイエス‧キリストから与えられた、同じ信仰を持つ皆さんへ。 + あなたがたは、神の恵みと平安をもっと多くいただきたいと願っているでしょう。それなら、イエス‧キリストについてもっと深く学んでください。 + キリストを知れば知るほど、その偉大な力を通して、私たちが神に従う正しい生活を送るために必要なすべてのものをいただくことができるのです。そればかりかキリストは、ご自分の栄光と共に敬虔や品性をも、私たちに与えてくださるのです。 + さらに神は、それによって、すばらしい約束を与えてくださいます。この約束のゆえに、私たちは欲望のもたらす滅びから守られ、キリストのご性質を備えた者となれるのです。 + これらの贈り物をいただくために、あなたがたはあらゆる努力をして神を理解し、神が何を望んでおられるかを知らなければなりません。 + また、自制心を持ち、忍耐と敬虔を身につけなさい。 + さらに、兄弟愛を持って互いに愛し合い、神の愛に生きなさい。 + これらが備われば、あなたがたはますます強められ、主イエス‧キリストのために多くの有益な働きができるのです。 + しかし、これらのものを追い求めない人は、実を結ばない人です。そういう人は、神が正しい生活を送るようにと、過去の罪から救ってくださったことをすっかり忘れているのでしょうか。 + ですから、愛する皆さん。ますます熱心に、自分がほんとうに神に招かれ、選ばれた者であることを確かなものとしてください。そうすれば、決してつまずくことなどありません。 + そして神はあなたがたを、主であり救い主であるイエス‧キリストの永遠の国に迎え入れるために、門を広く開けてくださいます。 + もちろん、こんなことは、すでによくわかっていることでしょうが、それでもなお、私はあなたがたに、いつもこれらのことを思い起こしてもらいたいのです。 + 私の生涯も残り少なくなったことを、主イエス‧キリストから示されています。それで、この世にいる間に、これらの注意書きを送ろうと決心したのです。 + 私が死んだあとにも、これらのことを忘れないように、あなたがたの心にはっきりと刻んでおきたいのです。 + 主イエス‧キリストの力と再臨(キリストが再び地上に来られること)について話してきましたが、それは、私たちがうまく考え出した作り話ではありません。私はこの目で、キリストの輝きと栄光をはっきり見たのです。 + キリストが聖なる山の上で、父なる神から誉れと栄光とを受けて輝かれた時、私はその場に居合わせました。その時、「これこそわたしの愛する子、わたしの大いなる喜び」と、栄光にあふれる厳かな声が天から響くのを、私ははっきり聞いたのです。 + こうして私は、預言のことばが現実となるのを目のあたりにしました。そのことばは、暗い部屋をすみずみまで照らし出す明かりのようで、難解なまま、暗闇の中に置かれている多くのことがらに光をあて、理解させてくれるものです。そして、あなたがたのたましいに夜明けの光が差し込み、明けの明星であるキリストが心を照らしてくださるのです。 + なぜなら、聖書にある預言のことばは、預言者がかってに考え出したものではないからです。それは、これら神を敬う人の心に住まれる聖霊がお授けになった、混じりけのない神からのことばなのです。 + + + しかし、預言者の活躍していた時代にも、偽預言者は現れました。同様に、あなたがたの中にも偽教師が現れます。彼らは滅びをもたらす異端をひそかに持ち込んで、自分たちを買い取ってくださった主まで否定しようとします。しかし、彼らを待っているのは、突然の恐ろしい最期です。 + 多くの者が彼らの不道徳な教えにひかれ、そのためにキリストとその教えが非難されます。 + 偽教師たちは貪欲で、人のふところをねらうためには、手段を選びません。しかし神は昔から、彼らをきびしく罰してこられました。彼らの滅びは確かです。 + 神は天使でさえ、罪を犯した場合は少しも手加減せず、地獄に投げ込み、審判の日まで、ほら穴の暗闇に閉じ込めました。 + また、神は昔、神を恐れない世界を赦さず、ノアとその家族の八人を除いて、大洪水によって滅ぼしました。 + また、ソドムとゴモラの町を灰の山と変え、地上から消し去りました。それは、後世の不敬虔な者への見せしめであり、それによって、彼らが神を恐れるようになるためでした。 + しかし、同時に神は、正しい人であったロトをソドムから救い出しました。ソドムに住んでいた彼は、毎日、人々の不道徳なふるまいを見て、良心を痛めていたからです。 + このように、主は敬虔な者たちを誘惑から救い出し、神を恐れない人々には、最後の審判の日まで閉じ込めておかれるのです。 + 汚れた情欲を燃やし、傲慢で主の権威を侮るような者には、主は特にきびしい態度で臨まれます。彼らは尊大に教会の指導者たちを非難して、恐れないのです。 + それに比べて、天使たちははるかにまさる権威を持っていながら、主の御前で彼らを非難したりしません。 + 偽教師たちはまるで、捕らえられて殺されるために生まれてきた理性のない動物と同じで、無分別です。彼らが滅ぼされるのは、目に見えています。 + それが、偽教師を待つ運命です。彼らは、昼間から飲んだり騒いだりし、享楽にふけっています。彼らはしみや傷のようなもので、あなたがたの間では不名誉な面汚しです。 + 彼らのみだらな行為は底なしで、その罪に濁った視線で、うわついた女性を誘惑しています。その貪欲の果てにわが身を滅ぼしてしまう、まさにのろわれた者たちです。 + また彼らは、不正によって得た金を愛したベオルの子、預言者バラムのように、正しい道を踏み外してさまよい続けています。 + もっともバラムは、狂った道をそれ以上進まないようにと、人間の声で語ったろばにとがめられました。 + このような偽教師は、干上がった泉、風に吹き払われる霧のように、全く内実がありません。彼らを待っているのは暗闇です。 + 彼らは臆面もなく、やっとの思いで罪の生活から足を洗った人たちを、肉の欲望や誘惑によって、もう一度罪に誘い込もうとしているのです。 + 彼らはこう言います。「善人になったからといって、救われるとは限らないなら、いっそのこと、悪いことをしたほうがましじゃないか。やりたいことをやるのが自由というものだ。」このように、彼らは「自由」を教えながら、自分自身が罪と滅びの奴隷になっているのです。何かに支配されている人は、その奴隷なのです。 + 主であり救い主であるイエス‧キリストを知り、この世の悪い生活からのがれた人が、またもとの罪の生活に舞い戻り、その奴隷となるなら、その状態は以前よりもっと悪くなるでしょう。 + キリストを知ったあとで聖なる戒めにそむくくらいなら、キリストについて何も知らなかったほうが、彼らにとってよかったのです。 + 古いことわざに、「犬は自分が吐いた物をなめる」「豚はいくら洗ってやっても、どろの中をころげ回る」とありますが、まさに罪の生活に舞い戻る人々のことではありませんか。 + + + 愛する皆さん。これは二通目の手紙です。私はこの二通の手紙で、あなたがたがすでに知っている事柄を、もう一度思い起こしてもらおうとしているのです。それは、昔の聖なる預言者たちが語ったことば、また使徒たちが伝えた、主であり救い主である方のことばです。 + まず第一に思い出してほしいことは、終末の時代には、あざける者どもが現れ、真理をあざ笑い、思いつくかぎりの悪を行うということです。 + 彼らはこんなことを言う議論のベテランです。「キリストがまた帰って来るという約束はどうなったのか。この世界は造られた最初の日から何も変わらないではないか。イエスが帰って来るなどということはありえない。」 + そう言いはる彼らは、神がかつて、この世界を大洪水によって滅ぼされたという事実を見落としています。天は昔のままですが、神が最初に造られた地は、洪水によって滅びました。 + しかし神は、今の天と地を、不敬虔な者たちのさばきの日に火で焼き滅ぼすため、そのまま残しておくようにされたのです。 + 愛する皆さん。主にとって一日は千年のようであり、千年は一日のようです。 + 再び主がおいでになるという約束がなかなか実現しないので、いったいどうなっているのかと思うかもしれません。しかし主は、いたずらに日を延ばしておられるのではありません。一人でも滅びないように、すべての人が悔い改めるために必要な時間を与えようと、忍耐して待っておられるのです。 + しかし主の日は、盗人のように、思いがけない時にやって来ます。その時、天は恐ろしいとどろきと共に消えうせ、天体は焼けて崩れ落ち、地と地上のすべてのものは跡形もなく焼き滅ぼされてしまいます。 + このように、これらのものがみな滅び去るのですから、私たちはどれほどきよく、敬虔な生活を送らなければならないことでしょう。 + その日が来るのをただ待ち望むだけでなく、早めるようにしなければなりません。その日、神は天に火を放たれ、天体は燃えて溶け去ります。 + しかし私たちは、そのあとに、神の目にかなう人々だけが住む、新しい天と地が用意されるという約束をいただいています。 + 愛する皆さん。このようなことを待ち望んでいるあなたがたですから、罪を避けて生きることに精一杯励みなさい。また、すべての人と平和に過ごしなさい。 + なぜ主が、こんなにも長く待っておられるのか考えてみなさい。主は、私たちが救いを伝える時間を与えておられるのです。学識の深い、愛する兄弟パウロも、多くの手紙の中で同じことを書いています。しかし彼の手紙はむずかしいところがあるので、中には的はずれの解釈をする者がいます。彼らは、聖書のほかの箇所もそうですが、パウロが言おうとしていることとは全く別の意味を引き出し、自分で滅びを招いているのです。 + 愛する皆さん。あなたがたは、このことを前もって知っているのですから、偽教師たちの誤った考えに惑わされて、確固としたものを失わないようによく注意しなさい。 + そして、主であり救い主であるイエス‧キリストをさらに深く知って、主の恵みと知識において成長しなさい。このキリストに、すべての栄光が、今も後も、永遠にいつまでもありますように。アーメン。ペテロ + +
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+ + 私は、この世界が造られる前から存在しておられたキリストをこの目で見、そのことばをこの耳で聞き、その体にこの手でふれました。キリストは、神のいのちのことばです。 + このいのちである方は私たちに現れ、私たちは確かにこの方を見ました。私が伝えたいのは、永遠のいのちである、このキリストのことです。キリストは初め、父なる神と共におられましたが、やがて私たちの前に姿を現されました。 + 私たちは実際に見聞きしたことを伝えているのです。それは、あなたがたが私たちと同じように、父なる神やそのひとり子イエス‧キリストと交わることができる者となるためです。 + この手紙を送るのは、あなたがたが喜びに満たされ、それによって私たちも共に喜びたいからです。 + 神は光であられ、そのうちには少しも暗い部分がありません。これが、神が私たちにゆだねられた、あなたがたへの知らせです。 + 神と交わりがあると言いながら、暗闇の中で生活しているなら、私たちはうそをついているのです。 + しかし、神の光の中におられるキリストにならって、私たちも光の中で生活すれば、互いにすばらしい交わりを持ち、神の子イエスの血が私たちをすべての罪からきよめるのです。 + もし自分には罪がないと言うなら、それは、自分のほんとうの姿から目をそらしているのであって、真理を受け入れようとしない証拠です。 + しかし、もし自らの罪を神に告白するなら、神は真実な方ですから、その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます。 + 潔白だと言いはるなら、自分がうそつきになるばかりか、神をもうそつき呼ばわりすることになります。なぜなら神は、「すべての人は罪を犯した」とはっきり宣言しておられるからです。 + + + 私の子どもたちよ。私がこう言うのも、あなたがたにいつも罪から離れていてほしいからです。しかし、もし罪を犯したとしても、父なる神の前で弁護してくださるイエス‧キリストがおられます。キリストはすべての点で正しく、神のお心に完全にかなった方です。 + そして、私たちの罪ばかりでなく、全世界の罪に対する神の怒りを一身に引き受け、神との関係を回復させてくださいました。 + 私たちが神に属していることを、どうすれば確かめられるでしょう。それは、神の命令を守っているかどうかです。 + ある人が、「私はクリスチャンだ。キリストを知っている」と言っても、もしその人がキリストの命令に従っていなければ、うそをついているのです。 + キリストのみことばを実行している人は、ますます神を愛します。それによって、キリストにつながっている人であるかどうかがわかります。 + 自分はクリスチャンだと言う人は、キリストと同じ生き方をすべきです。 + 愛する人たち。私は今、新しい戒め(神のおきて)をつくり出しているのではありません。これは、初めからある古い戒めであり、すでに何度も聞いているみことばです。 + しかしこの戒めは、古くて常に新しいのです。キリストにおいても、あなたがたにとっても真理なのです。「互いに愛し合いなさい」という戒めを守る時、私たちの生活から暗闇は消え去り、新しいいのちの光が輝きます。 + キリストの光の中を歩んでいると言いながら、兄弟(信仰を同じくする者)を憎む人は、相変わらず暗闇の中にいるのです。 + 兄弟を愛する人は光の中を歩む者であり、つまずくことはありません。 + しかし兄弟を憎む人は、暗闇の中をあてどなくさまよい、自分の行く先もわからない者です。暗闇のために、足もとさえよく見えないのです。 + 子どもたちよ。このように書き送るのは、あなたがたの罪が、すでに救い主イエスの名によって赦されているからです。 + 年長者たちよ。私がこう書き送るのは、あなたがたが、世の初めから生きておられるキリストを知っているからです。青年たちよ。私がこう語りかけるのは、あなたがたが悪魔との戦いに勝ったからです。少年たちよ。私がこう書き送るのは、あなたがたが父なる神を知ったからです。 + 私があなたがたにこう語るのは、あなたがたが強い者であり、神のことばがそのうちにとどまり、悪魔との戦いに打ち勝ったからです。 + この世と、この世のすべてのものに、心を奪われてはなりません。もし、それらを愛するなら、神を愛していないのです。 + すべての世に属するもの――罪の性質から起こる欲望、性的な欲望、暮らし向きの虚栄心――は、神から出たものではなく、みな、この世の生み出したものです。 + この世は、やがて滅び去ります。同時に、これらの禁じられた欲望も消滅します。しかし、常に神に従って歩む者は永遠に生きるのです。 + 愛する子どもたちよ。この世の終わりが近づいています。すでに耳にしていたとおり、今や多くの反キリスト(キリストに敵対する者)が現れました。このことからも、終末の近いことは確かです。 + キリストに敵対する者たちは、これまでずっと私たちの教会員のふりをしていましたが、ほんとうの仲間ではなかったのです。そうでなければ、教会にとどまり続けたはずです。彼らが出て行った時、私たちの仲間でなかったことが証明されたのです。 + しかし、あなたがたは違います。あなたがたは聖霊が与えられて、すでに真理を知る者となっています。 + ですから私は、あなたがたに真理を知らせなくてはならないと考えて、この手紙を書いているわけではありません。本物と偽物との区別ができる者となるよう注意を促しているのです。 + では、一番のうそつきとはだれでしょう。イエスはキリスト(救い主)ではないと言う者、反キリストです。父なる神と神の子とを信じない者、それが反キリストです。 + 神の子キリストを信じない人は、父なる神を自分の父とすることができません。しかし、信じる人は、父なる神を自分の父とできるのです。 + ですからあなたがたは、初めから教えられてきたことを信じ続けなさい。そうすれば、父なる神や神の子と、共にいることができるのです。 + これこそ、キリストから与えられた約束であり、永遠のいのちです。 + これまで、私が反キリストについて注意を促してきたのは、あなたがたの目をごまかし、まちがった教えに引きずり込もうとたくらむ者に、だまされてほしくないからです。 + しかし、あなたがたは聖霊をいただいています。聖霊が心のうちに生きておられます。ですから、何が正しいかを判断するのに、だれからも教えてもらう必要はありません。聖霊がすべてを指示してくださるからです。聖霊は真理であって、決して偽りを教えません。あなたがたは、聖霊の指示に従ってキリストのうちに生きるべきで、絶対に離れ出てはいけないのです。 + そこで、私の子どもたちよ。いつも、主との親しい関係を保ちなさい。そうすれば、キリストが帰って来られる時、主にお会いするのをためらったり、恥じたりしないですむでしょう。 + 私たちは、神が正しい方であり、正しいことだけを行われると知っています。ですから、正しい行いをする者はみな、神の子どもだと判断できるのです。 + + + 天の父は、どんなに私たちを愛しておられることでしょう。私たちを、ご自分の子どもとして受け入れてくださったほどです。考えてもごらんなさい。神の子どもとされたのです。ところが、神を知らない多くの人は、当然、私たちが神の子どもであることを理解できません。 + 愛する人たち。私たちは、もうすでに神の子どもなのです。これから先のことは想像もつきませんが、ただこの一事だけはわかっています。つまり、キリストが再び来られる時、私たちはキリストに似た者となるということです。その時、キリストのありのままの姿を見るからです。 + このことをほんとうに信じる人はみな、自分の身を、いつもきよく保とうと心がけます。キリストはきよいお方だからです。 + 罪を犯し続ける人は、神に逆らっているのです。罪はすべて、神のお心に反する行為だからです。 + あなたがたは、キリストが人間となられたのは、私たちの罪を取り除くためであったことをよく知っています。また、キリストは何の罪も犯さず、どんな時にも、神のお心からそれなかったことも知っているはずです。 + ですから、もし私たちが、いつもキリストのそば近くにおり、従順に従うなら、罪を犯し続けたりしないですみます。罪を犯す人々は、真の意味でキリストを知らず、キリストのものとなっていないからです。 + 愛する子どもたち。このことで、だれにも惑わされてはいけません。もし、あなたがたがいつも善を行っているなら、キリストと同じように正しく歩んでいるのです。 + しかし、もし依然として罪を犯し続けるなら、それは悪魔の子になり下がった証拠です。悪魔は、初めの罪以来、ずっと罪を重ねてきました。神の御子は、この悪魔のしわざを打ち破るために来られたのです。 + 神の家族の一員として新しく生まれた人には、神のいのちが宿っているので、もはや罪を犯す習慣はありません。新しいいのちに支配されているので、罪を犯し続けることができないのです。その人は神によってもう一度生まれたのです。 + そこで今、私たちは、神の子どもと悪魔の子どもとを、はっきり見分けることができます。罪の生活を送り、兄弟であるクリスチャンを愛さない者は、自分から神の家族ではないと証明しているようなものです。 + 私たちは初めから、「互いに愛し合いなさい」と教えられてきたからです。 + カインのようになってはいけません。カインは悪魔の子どもになって、弟を殺しました。弟の正しい生活と比べて、自分の生活があまりにも悪いと自覚していたからです。 + ですから、皆さん。たとえ全世界があなたがたを憎んでも、驚いてはいけません。 + ほかの兄弟(信仰を同じくする者)を愛しているなら、自分が霊の死から救われ、いのちを与えられたことを確信できます。そうでない者は、その死にとどまっているのです。 + だれでも兄弟を憎む者は、心の中で人殺しをしているのです。言うまでもないことですが、人殺しをする者に永遠のいのちはありません。 + キリストは、私たちのために進んでいのちを捨ててくださいました。そのことによって、私たちは愛を知ったのです。ですから、私たちも兄弟のために、いのちを捨てるべきです。 + 自分ではぜいたくに暮らしていながら、困っている兄弟がいても、見て見ぬふりをするとしたらどうでしょう。どうして、その人に神の愛があると言えるでしょう。 + 子どもたちよ。口先だけで人を愛するのではなく、真実をこめて愛し、実践によって神の愛を示そうではありませんか。 + そうすれば、自分が神の側に立っていることを強く確信し、主の前に平安があるのです。 + たとえ心に責められることがあってもです。 + しかし、愛する人たち。もし私たちの良心が潔白であれば、完全な確信と信頼を持って主の前に出ることができます。 + また、願い求めるものは何でもいただけるのです。なぜなら、私たちは主に従い、主に喜ばれる行いをしているからです。 + 神の命令には、喜んで従わなければなりません。つまり、御子イエス‧キリストの名を信じ、互いに愛し合わなければなりません。 + 神の命令に喜んで従う人は、神と共にいるのです。そして、神もその人のそばにいてくださるのです。これは、神が私たちに与えてくださった聖霊によって教えられることです。 + + + 愛する人たち。だれかが、「これこそ神の教えです」と言っても、それをうのみにして信じてはなりません。まず、それが確かに神から出たものかどうかを試しなさい。多くの偽教師があちこちに現れているからです。 + 彼らのことばが、聖霊から出たものかどうかを確かめる方法があります。それは、神の子イエス‧キリストが人間となって来られたことを、その人が認めるかどうかです。もしそのことを認めるなら、彼のことばは神から出たものと信じていいでしょう。 + しかし、そうでなければ神から出たものではなく、明らかに反キリストであり、キリストに敵対する者から出ているのです。この反キリストが出現することは、以前から聞かされていたはずです。彼らは今、至る所で、キリストへの敵意をむき出しにしています。 + 愛する子どもたち。あなたがたは神の側につく者として、キリストに敵対する者と戦い、すでに勝利を収めてきました。それは、あなたがたのうちに、この世にいるどんな悪い教師よりも、はるかに強い方がおられたからです。 + 敵対者たちはこの世につく者であり、この世のことばを語るので、この世の人たちも彼らに関心を寄せるのです。 + しかし、私たちは神の子どもです。いつも神と共にいて、神に親しんでいる人だけが、私たちのことばに耳を傾けるのです。そうでない人は耳を貸しません。このことからも、神から出たことばを語っている人かどうかを見分けることができるのです。 + 愛する人たち。互いに愛し合いましょう。愛は神から出ています。ですから、愛のある人は、その行いによって、自分が神の子どもであることを明らかにし、ますます神を知るようになるのです。 + 反対に、愛のない人に神はわかりません。なぜなら神は愛だからです。 + 神は、かけがえのないご自分のひとり子をこの世に遣わし、そのひとり子の死によって、私たちに永遠のいのちを与えてくださいました。そのようにして、どんなに私たちを愛しておられるかを示されたのです。 + 神に対する私たちの愛ではなく、私たちに対する神の愛によって、私たちの罪へのなだめとして、神のひとり子が遣わされました。ここに真の愛があるのです。 + 愛する人たち。神がこれほどまでに愛してくださったのですから、私たちもまた、互いに愛し合おうではありませんか。 + 私たちは、だれも神を見たことがありません。しかし、互いに愛し合う時、神は私たちの心の中に住んでくださり、心の中にある神の愛を、なおいっそう強めてくださるのです。 + 神は、私たちの心に聖霊を与えてくださいました。それによって、私たちは神と共に生き、神も私たちと共に歩んでくださることがわかります。 + さらに私たちは、神がひとり子を世の救い主として遣わされたのをこの目で見、それを、いま全世界に伝えています。 + イエスを神の子と信じ、それをはっきり告白する人のうちには、神が生きておられます。そして、その人も神と共に歩んでいるのです。 + 私たちは、自分がどんなに神に愛されているか知っています。現に、神の愛を身近に感じ、また、私たちを心から愛すると言われた神を信じているのです。神は愛です。愛のうちに生きる人は神と共に生きるのであり、神もまた、その人のうちに生きておられるのです。 + キリストと共に歩む時、私たちの愛は成長し、いっそう完全なものとなっていきます。そうすれば、さばきの日に恥じ入ったり、うろたえたりしないですみます。それどころか、確信と喜びにあふれて、主の御顔を見ることができるのです。私たちはキリストと愛で結ばれているからです。 + ですから、私たちを心から愛してくださる方を、どうして恐れる必要がありましょう。もし恐れがあるなら、それは、神が私たちに何をなさるのか不安をいだいているからです。神の完全な愛は、そんな恐れをすべて取り除きます。恐れている人は、神の愛をまだ十分理解していないのです。 + 私たちが神を愛することができるのは、神がまず私たちを愛してくださったからなのです。 + もし、「私は神を愛しています」と言いながら、兄弟であるクリスチャンを憎み続ける人がいれば、その人はうそつきです。目の前の兄弟を愛せない人が、どうして、見たこともない神を愛せるでしょう。 + ですから神を愛する者は、兄弟をも愛すべきです。これは、神が命じておられることです。 + + + イエスはキリストである、すなわち、神の子であり救い主であると信じるなら、その人は神の子どもです。父なる神を愛する人はみな、神の子どもたちを愛するはずです。 + そういうわけで、あなたがたがどれだけ神を愛し、従っているかで、神の子どもたちに対する愛がわかるのです。 + 神を愛するとは、そのご命令を守ることです。決してむずかしいことではありません。 + 神の子どもたちはみな、神に従います。そして、キリストに信頼することによって、この世の悪に打ち勝つことができるのです。 + イエスを神の子であると信じる人以外に、世との戦いに勝てる人はいません。 + 私たちは、イエスが神の子であると知っています。なぜなら、イエスがバプテスマ(洗礼)を受けられた時、そして、イエスが十字架の死を目前にされた時、天からの神の声がそのことを証言したからです。さらに、永遠に真実である聖霊も、そう証言しておられます。ですから、私たちには三つの証言があるわけです。すなわち、イエスのバプテスマの時の天の声、イエスの死を目前にした時の天の声、聖霊の声です。この三つが一致して、イエス‧キリストは神の子であると証言しているのです。 + 私たちが法廷で証人のことばを信じるのなら、神の証言はなおさら信じられるはずです。神ご自身がはっきりと、イエスは神の子であるとあかししておられるのですから。 + このことを信じる人は、心でそう確信しています。信じない人は、神を偽り者と言っているのです。イエスについての神の証言を信じようとしないからです。 + 神の言われたこととは、神が私たちに永遠のいのちを与えてくださったこと、そして、永遠のいのちが神の御子のうちにあるということです。 + そういうわけで、神の子を信じる人にはいのちがあり、信じない人にはいのちがないのです。 + すでに神の御子を信じているあなたがたにこのように書き送るのは、あなたがたが永遠のいのちを持っていることを、よく自覚してもらいたいからです。 + 私たちは、神の御心にかなうことを願い求めるなら、いつでもその願いを聞いていただけると確信しています。 + 私たちの願いに確かに神が耳を傾けてくださっているとわかれば、神は必ずその祈りに答えてくださると確信できるのです。 + もし、罪を犯している兄弟を見たら、神に願いなさい。それが取り返しのつかない罪でなければ、いのちを失うことはありません。しかし、死に至る罪があります。そのような罪にはまり込んでいる人に対しては、願っても無意味です。 + もちろん、すべての悪が罪であることに違いはありませんが、死に至る罪があるのです。 + 神の家族の一員とされている人は、罪を犯す習慣はありません。神の御子にしっかりと支えられているので、悪魔は手出しできないのです。 + 私たちは神の子どもですが、回りの世界は悪魔の支配下にあることを知っています。 + また、神の御子が来て、私たちに真の神を知る力を与えてくださったことも知っています。ですから私たちは、神の御子イエス‧キリストによって、真実な方のうちにいるのです。この方こそ、真実の神であり、永遠のいのちです。 + 愛する子どもたちよ。神に取って代わる心の中の偶像から、自分自身を守りなさい。 ヨハネ + +
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+ + 教会の長老ヨハネから、選ばれた夫人とその子どもたちへ。私は、あなたがたを心から愛しています。そして、あなたがたは、私だけでなく、教会員にも心から慕われています。 + 私たちの心のうちにはいつも真理が宿っているので、 + 父なる神とそのひとり子イエス‧キリストが、恵みとあわれみと平安とを注いで、私たちを祝福してくださるのです。 + あなたの子どもたちの中に、真理に従って歩み、神の命令どおりに正しく生活している者がいるのを知って、非常にうれしく思っています。 + そこで夫人よ。もう一度、思い起こしてほしいことがあります。それは、初めから与えられていた、「互いに愛し合いなさい」という神の戒めです。 + もし私たちがほんとうに神を愛しているなら、その命令に喜んで従うはずです。神は最初から、互いに愛し合うようにと命じておられるのです。 + 偽教師があちこちに出現していますから、くれぐれも注意してください。彼らは、イエス‧キリストが私たちと同じ肉体を持った人間として世に来られたことを信じないのです。彼らは真理にそむく者であり、キリストに敵対する者です。 + 彼らと同じ道をたどって、これまでの労苦が水のあわとならないようお願いします。あなたがたには、ぜひとも、主から十分な報いを受けてもらいたいのです。 + キリストの教えからはずれて、それを守ろうとしない者は、神のものではありません。しかしキリストの教えにとどまっている者は、父なる神と御子を自分のうちに持っているのです。 + あなたがたを訪問する人の中で、まちがった教えを説こうとたくらんでいる者たちを、絶対に迎え入れてはいけません。まして、彼らを励ますようなまねは、いっさいやめなさい。 + そんなことをすれば、自分から悪の仲間入りをするはめになるのです。 + あなたがたに忠告したいことはまだまだありますが、こうして手紙に書くだけにはしたくありません。一日も早くそちらへ行って、直接これらのことについて語り合い、共に楽しい時を過ごしたいからです。 + 神に選ばれているあなたの姉妹の子どもたちから、よろしくとのことです。 ヨハネ + +
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+ + 長老ヨハネから、愛するガイオへ。 + ガイオよ。私は、あなたがすべての点で栄え、たましいも体も健全であるようにと祈っています。 + 旅行の途中でこちらに寄った人たちが、あなたの良い消息を聞かせてくれたので、とても喜んでいます。彼らは、あなたがいつもきよく、真理に歩んでいると報告してくれました。 + 私の子どもたちのことで、こんな知らせを聞くことほど、大きな喜びはありません。 + ガイオよ。あなたは、旅行中の教師や伝道者をもてなしてくれているそうですね。さぞかし、神はお喜びでしょう。 + あなたの世話になった人たちが、こちらの教会に立ち寄って、あなたの友情と愛にあふれたもてなしについて話してくれました。あなたが物惜しみせず、心からもてなし、彼らを次の旅へ送り出してくれることは、私にとってもたいへんうれしいことです。 + それは主のための旅行であり、人々に主を伝えに行くのですから、信者でない人に世話をしてもらうわけにはいきません。 + ですから、私たちが協力してもてなすべきです。そうすれば、いっしょに主の働きに参加していることになるのです。 + この件について、私はそちらの教会あてに短い手紙を送っておきました。ところが、自分を指導者として売り込もうとねらっているデオテレペスが、私の権威を認めず、私の忠告を聞き入れようとしないのです。 + 今度そちらに行ったら、彼のしている行為を指摘するつもりです。そうすれば、彼がどんなにひどいことばで私たちを中傷しているかわかるでしょう。彼は、自分が旅行中の伝道者を歓迎しないばかりか、ほかの人にもそうさせないのです。そして、言うことを聞かない人々を、教会から追い出そうとしています。 + ガイオよ。デオテレペスのような悪い者にならわず、良い行いをするよう心がけなさい。正しいことを行う人は、神の子どもであることを自ら証明しており、いつも悪の道を歩む者は、神から遠く離れていることを自ら示しているのです。 + しかしデメテリオは、だれからも評判の良い人です。彼は、彼自身の告白する真理の中に生きています。私たちも彼を高く買っています。私のことばにうそはないことを、あなたはよくご存じのはずです。 + 言いたいことは山ほどありますが、書くだけにはしたくありません。 + まもなくそちらであなたに会い、思う存分語り合うつもりです。 + では、ひとまず筆を置きます。こちらの友人たちから、よろしくとのことです。そちらの人たちにも、くれぐれもよろしくお伝えください。ヨハネ + +
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+ + イエス‧キリストに仕えているヤコブの兄弟ユダから、各地のクリスチャンの皆さんへ。あなたがたは、神に選ばれ、イエス‧キリストに守られている人たちです。 + どうか、神の恵みと平安と愛とが、ますます豊かに与えられますように。 + 愛する皆さん。私は前々から、神が与えてくださった救いについて、幾つかのことを手紙で書き送りたいと願っていました。ところが今、それとは別のことを書き送らなければなりません。それは、神を信じるすべての者に与えられた真理のことばを守るために、勇敢に戦ってほしいということです。 + こう言うのも、実は、神を恐れない者たちが、あなたがたの中に忍び込んで来たからです。彼らの主張はこうです。「クリスチャンとなったからには、もう神のさばきなど、くよくよ考える必要はない。何でも自由にやりたいことをやればいい。」彼らはずっと昔から、聖書に書かれているとおりの運命をたどる者たちで、私たちのただひとりの支配者であり主であるイエス‧キリストを否定しているのです。 + 私の答えはこうです。とうにわかっているでしょうが、あなたがたに思い出してもらいたいのです。主は、イスラエルの全民衆をエジプトから救い出し、そのあとで、主に信頼せず従いもしなかった者を一人残らず殺してしまわれた、という事実をです。 + また、もう一つ心にとめてほしいことがあります。それは、かつては汚れなく、きよい存在であったにもかかわらず、罪に堕落していった、あの天使たちのことです。神は、彼らを審判の日まで鎖につなぎ、暗黒の牢獄に閉じ込めてしまわれました。 + また、ソドムとゴモラ、およびその周辺の町々に起こったことも忘れてはなりません。これらの町は、同性愛やあらゆる種類の好色に満ち、そのために、永遠の刑罰の火で焼き滅ぼされたのです。これらのことは、最後のさばきがあることを、後世の人々に知らせる警告となったのです。 + それにもかかわらず、偽教師は臆面もなく、邪悪で不道徳な生活にふけっています。みだらな行為によって自分の肉体を汚し、神の権威を軽んじ、さらに天使をも非難しているのです。 + 天使として最高の権威を持つミカエルでさえ、モーセの体について悪魔と言い争った時、あえて相手をののしったり、あざけったりはせず、「主がおまえをとがめてくださるように」と言っただけではありませんか。 + しかし、あの偽教師たちときたら、自分にもわからないことを非難し、ののしっています。まるで動物のように、したいほうだいのことをして、自分のたましいを永遠の滅びへと追いやったのです。 + 災いが彼らに下りますように。カインやバラムやコラと同じ道をたどっているからです。 + こういう者たちが、教会での愛の会食に加われば大きな汚点を残します。彼らは、他人のことなどおかまいなしに大声で笑ったり、ふざけたりしながら、むさぼり食うのです。まるで、からからに乾ききった大地の上を、一滴の雨も降らせずに通り過ぎる雲のようです。大いに期待させるだけで、何の役にも立ちません。また、彼らは収穫の時期になっても、実一つつけない木に似ています。その状態はただの死ではなく、二重の死を意味します。彼らは根こそぎ引き抜かれて、焼かれるしかないのですから。 + 彼らがあとに残すのは、海岸に打ち寄せる荒波が残していく、汚いあぶくのような恥と不名誉だけです。彼らは一見、夜空に輝く星のように見えますが、その先には、神が用意された永遠の暗闇があるだけです。 + 最初の人アダムと近い年代に生きたエノクも、彼らのことを知っていて、「見よ。主が幾百万の聖徒を連れて来られる。 + 主は全世界の人を自分の前に立たせて、正当な刑罰を宣告される。その時、彼らの神に対する恐るべき反逆行為の数々と、神に刃向かうことばのいっさいが明るみに出される」と預言しています。 + 彼らはいつも不平を言うだけで、ただ欲望のままに歩んでいます。どんな悪事でも平気で行い、大口をたたき、彼らが少しでも人をほめるとすれば、相手から何かをもらおうという魂胆がある時だけです。 + 愛する皆さん。主イエスの使徒たちから教えられたことを、思い出してください。 + 終末の時代には、主をあざける者たちが現れるはずではありませんか。彼らの生きがいは、思いつくかぎりの悪を行うことです。 + 彼らはこの世の悪を愛し、人々をあおりたてて議論をしかけ、分裂させます。彼らの心の中には、聖霊が住んでおられないのです。 + しかし、愛する人たち。あなたがたは、今のきよい信仰を土台として、自分の生活をしっかり打ち立てなければなりません。そして、聖霊の力と励ましを受けて祈り、 + いつも神の愛のうちにいなさい。そうすれば、神から祝福がいただけます。永遠のいのちに至らせる、主イエス‧キリストの恵みを待ち望みなさい。 + 偽教師の惑わしに悩まされ、神の真理を疑う人々を心にかけなさい。 + そういう人々を、地獄の火から奪い取って救い出しなさい。あるいは、親切にして、彼らが主を見いだすよう助けてあげなさい。しかし、彼らの罪に引きずられてはなりません。罪人である彼らに心はかけても、罪そのものは憎みなさい。 + あなたがたをつまずきから守り、罪のない完全な者とし、大きな喜びをもって栄光に輝く神の前に立てるようにしてくださる方に、すべての栄光がありますように。私たちの救い主であるただひとりの神に、栄光と尊厳、あらゆる力と権威が、今も、これから後も、いつまでもありますように。アーメン。ユダ + +
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+ + この書物は、イエス‧キリストについて、すぐにも起ころうとする出来事を書いたものです。それらは今までベールにおおわれていましたが、神の許しを得て、キリストが神のしもべヨハネに、幻によって示してくださったのです。その時、天から遣わされた天使が、この幻の意味を説き明かしたので、 + 私ヨハネは、それを一つ残らず書きとめました。すなわち、神とイエス‧キリストのことばと、自分が見聞きした、すべてのことを書きとめたのです。 + この預言のことばを教会で朗読する人と、それを聞いて、書かれていることを心にとめる人は幸いです。この預言が、もうすぐ実現しようとしているからです。 + ヨハネから、アジヤ州にある七つの教会の、愛する皆さんへ。今も昔も存在し、やがて来られる神から、またその王座の前におられる七つの霊から、 + さらに、私たちにすべての真理を忠実に示してくださるイエス‧キリストから、恵みと平安とがあなたがたに注がれますように。このイエス‧キリストは、使者の中から最初に復活された方であり、二度と死ぬことのない方です。この方は、地上のどの王よりもはるかに偉大で、私たちに変わらぬ愛を注ぎ、罪から解放するために、自分の血を流してくださいました。 + またこの方は、私たちを神の国の民として集め、父なる神に仕える祭司としてくださいました。イエス‧キリストが永遠にほめたたえられますように。そのご支配が永遠に続きますように。アーメン。 + 見なさい。この方が、雲に乗っておいでになります。その時、すべての人の目が、特に、この方を突き刺して殺した者たちの目が、この方に注がれるでしょう。人々はみな、恐れと悲しみのあまり激しく泣きます。そのとおりです。アーメン。 + 今も昔も存在し、やがて来られる全能の主なる神が、こう言われます。「わたしはあらゆることの初めであり、終わりである。」 + この手紙を書いているのはあなたがたの兄弟ヨハネで、私もまた、あなたがたと共に主のために苦しみ、忍耐を共にし、教えられ、そして、御国に入る権利をいただいている者です。ヨハネの見た幻私は、神のことばを宣べ伝え、また、イエス‧キリストがなさったことを告げ知らせたために、パトモス島に流されています。 + さて、ある主の日(日曜日)のことでした。私が礼拝をしていると、突然、うしろから大きな声が聞こえたのです。まるでラッパの響きのようで、 + こう語りかけました。「わたしは初めであり、終わりである。これからあなたの目に映ることを書き記し、アジヤにあるエペソ、スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、フィラデルフィヤ、ラオデキヤの七つの教会に送りなさい。」 + いったいだれだろうとふり向くと、私のうしろに七つの金の燭台がありました。 + そして、その燭台の真ん中に、一人の人が立っていました。その方は、「人の子」と呼ばれるイエスのようであり、長い衣をまとって、胸には金の帯を締めていました。 + その髪は羊毛か雪のように真っ白で、目は燃える炎のように、鋭く光っていました。 + 足は、みがきあげられた真鍮のように輝き、声は、海岸に押し寄せる大波のとどろきのようでした。 + この方は、右手に七つの星をつかみ、口には鋭い両刃の剣をくわえ、顔は澄みきった青空の太陽のように輝いていました。 + それを見た時、私はその足もとに倒れて、死んだようになりました。しかしその方は、私に右手を置いて、こう言われたのです。「恐れてはいけない。わたしは初めであり、終わりです。死んでのち復活し、今は永遠に生きる者となり、死と地獄とのかぎを持っています。 + いま見たこと、また、引き続き示されることを書きとめなさい。 + わたしの右手にある七つの星と、七つの金の燭台の意味を教えましょう。七つの星は七つの教会の指導者たち、七つの燭台は七つの教会を指します。 + + + エペソにある教会の指導者あてに、次のように書き送りなさい。『七つの教会を巡り、右手で七つの教会の指導者を支えておられる方が、こう言われます。 + 「わたしは、あなたの多くの良い行いと、わたしのための労苦と忍耐とを、これまで見てきました。また、教会内の罪に目をつぶらず、使徒と自称しながら実はそうでない者のうそを注意深く調べて、見破った事実を知っています。 + あなたはわたしのために、どんな時もじっと耐え、決してくじけませんでした。 + しかし、一つだけ非難すべき点があります。それは、あなたがわたしを、初めのころのように愛していないことです。 + どうしてそうなったのか胸に手を当てて考え、初めの愛に立ち返って、以前のように励みなさい。さもないと、わたしは行って、あなたの燭台(教会)を諸教会の中から取り除きます。 + しかし、ほめられるところもあります。あなたが、わたしと同じように、ニコライ派(異端の一派)の人々のみだらな行いを憎んでいることです。 + 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることを、よく聞きなさい。わたしは勝利を得る者に、神のパラダイスにある、いのちの木の実を食べさせます。」』 + スミルナにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、初めであり、終わりであり、死んでのち復活された方からのものです。 + 「わたしは、主のためにあなたが、どんなにひどい苦しみと貧しさに耐えてきたかを知っています。〔しかし、実際は天に宝を得ているのです。〕さらに、自分こそユダヤ人(神に選ばれた者)だと主張する人々から、白い眼で見られ、非難されてきたことも知っています。しかし、あの人たちは悪魔の仲間であって、真のユダヤ人ではありません。 + これから先、出会うことになる苦しみを、恐れてはなりません。悪魔は、信仰を試そうとして、まもなく、あなたがたのうちの何人かを牢獄に投げ込むでしょう。そして、あなたがたは十日間、苦しむことになります。しかし、たとえ死に直面するようなことになっても、最後までわたしに忠実でありなさい。そうすれば、いのちの冠(終わりのない栄光の未来)をあげましょう。 + 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることを、よく聞きなさい。勝利を得る者は、決して第二の死(最終的な滅び)によって危害を受けません。」』 + ペルガモにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、鋭い両刃の剣をふるう方からのものです。 + 「わたしは、あなたを取り巻く環境をよく知っています。そこには憎むべき悪魔の王座があり、悪魔礼拝が盛んです。それでも、あなたはいつも、わたしに従順でした。わたしの忠実な証人アンテパスが、悪魔の弟子の手にかかって殉教した時も、あなたはわたしを捨てませんでした。 + しかしなお、二、三の非難すべき点があります。教会の中で、バラムの信奉者を見過ごしにしているではありませんか。バラムは昔バラクに入れ知恵し、イスラエルの民を性的な罪に巻き込み、偶像礼拝に走らせて、滅びに追いやろうとたくらみました。 + あなたの教会にも、そのバラムに従う者が巣くっています。 + だから、心と態度を改めなさい。さもないと、わたしはすぐにでも行って、口の剣で彼らと戦います。 + 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることを、よく聞きなさい。勝利を得る人は天からの食べ物が与えられ、また、めいめいに白い石が与えられます。その石には、本人以外はだれも知らない、新しい名前が刻まれています。」』 + テアテラにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、燃える炎のような目と、真鍮のように輝く足を持つ、神の子からのものです。 + 「わたしは、あなたが貧しい人々に親切にし、物資を援助し、めんどうを見てあげたことを知っています。また、あなたの愛と信仰と忍耐とを知っています。そして、これらの点で、着実に成長していることも認めています。 + しかしなお、非難すべき点があります。あのイゼベルという女を放任しているではありませんか。自ら女預言者と称しているあの女は、不品行など大した罪ではないと、クリスチャンをそそのかしています。しかも、そう口にするだけでなく、実際に不品行を行わせ、偶像への供え物の肉を食べさせようとしているのです。 + わたしは悔い改める機会を与えましたが、あの女は拒みました。 + さあ、今、わたしのことばに耳を傾けなさい。わたしはあの女を、激痛を伴う病気にし、彼女の不道徳にならう者も、罪を悔い改めてわたしのもとへ戻らなければ、同じ目に会わせます。 + また、あの女の子どもたちも打ち殺します。こうしてすべての教会は、わたしが人の心と思いを見通すことを知るのです。わたしは一人一人に、それぞれの行いに応じて報います。 + テアテラの教会の中で、この誤った教え〔この教えの支持者たちは、これを「深い真理」と呼んでいますが、実際には悪魔の落とし穴です〕に毒されていない人々については、これ以上、何も問いただすつもりはありません。 + ただ、わたしが行くまで、いま手にしているものをしっかり握りしめていなさい。 + 勝利を得る者、すなわち、最後までわたしの働きを全うする者に、諸国民を支配する権威を与えます。 + 父なる神からそれを与えられたわたしにならって、あなたは、鉄の杖で人々を治めるのです。彼らは、砕けた陶器のように粉みじんになるでしょう。 + また、あなたに明けの明星を与えます。 + 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることに耳を傾けなさい。」』 + + + サルデスにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、神の七つの霊と七つの星を持つ方からのものです。「あなたは生き生きした活動的な教会だと言われていますが、実は死んだ状態にあることを、わたしは知っています。 + だから目を覚ましなさい。死の一歩手前まで来ている、残された者たちを力づけなさい。あなたの今までの行いは、どう見ても、神の前に正しくありません。 + 最初に聞いたこと、また、信じたことを思い出しなさい。それをしっかり守って、もう一度、わたしに心を向けなさい。さもないと、わたしは盗人のように、思いがけない時にあなたを襲って、罰します。 + しかしなお、サルデスの教会には、この世の汚れに染まっていない少数の人々がいます。その人々は白い衣を着て、わたしと共に歩みます。彼らには、その資格があるからです。 + 勝利を得る者はみな、白い衣をまといます。わたしは、その人の名をいのちの書から消し去らず、父と天使の前で、彼らはわたしのものであるとはっきり宣言します。 + 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることに耳を傾けなさい。」』 + フィラデルフィヤにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、きよく真実な方、ダビデのかぎを持つ方からのものです。この方が、そのかぎで開くとだれも閉じることができず、閉じるとだれも開けることができません。 + 「わたしは、あなたをよく知っています。あなたは決して強くはありませんが、わたしの教えを守ろうと努力し、わたしの名を否定しませんでした。それで、あなたの前に、だれも閉じることのできない門を開いておきました。 + よく見なさい。神の民だと自称しながら〔実はそうではなく〕悪魔に味方する者を、わたしはこのような目に会わせます。彼らをあなたの足もとにひれ伏させ、あなたに対するわたしの愛を明らかにします。 + あなたは迫害にもめげず、じっと忍耐して、わたしの教えに従ってきました。それで、すべての人間を試すために全世界に襲いかかる苦しみと試練の時に、わたしはあなたを守ります。 + 見なさい。わたしはすぐに来ます。いま手にしているわずかなものを、しっかり握りしめていなさい。自分の冠をだれにも奪われないためです。 + わたしは、勝利を得る者を、わたしの神の神殿の柱とします。そこは安全で、もはや追い出されたりしません。わたしはその人に、神の名を刻みます。そして、神の都、すなわち、天の神のもとから下って来る新しい都エルサレムの市民とします。こうして彼は、わたしの新しい名を刻まれるのです。 + 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることに耳を傾けなさい。」』 + ラオデキヤにある教会の指導者に、次のように書き送りなさい。『この手紙は、確固として立つ方、忠実で、過去、現在、未来にわたって存在する万物の真の証人である方、神に造られたものの根源である方からのものです。 + 「わたしは、あなたをよく知っています。あなたは冷たくもなく熱くもありません。むしろ、冷たいか熱いかの、どちらかであってほしいのです。 + しかし、なまぬるいだけなので、わたしは口から吐き出します。 + あなたは、『私は金持ちだ。ほしいものは何でも手に入るし、もうこれ以上望むものはない』とうそぶいています。しかし、そんなあなたは、ほんとうにあわれで、みじめで、貧しくて、盲目で、おまけに裸同然であることに気づいていないのです。 + 忠告しておきます。真に豊かな者になるために、火で精錬された純金をわたしから買いなさい。また、裸の恥をさらさないために、しみ一つない清潔な白い衣をわたしから買いなさい。また、見えるようになるために、わたしから目につける薬を買いなさい。 + わたしは愛する者を絶えず訓練し、しかったり、懲らしめたりします。ですから、もし神に対して熱い心を持たなければ、わたしの罰を受けることになります。 + 見なさい。わたしは戸の外でたたいています。その呼びかけにこたえて戸を開ける人なら、わたしは中に入って、だれとでも親しく語り合います。そして、互いに楽しい時を過ごすのです。 + 勝利を得る者を、わたしと共に王座につかせましょう。ちょうど、わたしが勝利を得た時、父から、王座に共に座ることを許されたように。 + 聞く耳のある人は、聖霊が諸教会に言われることに耳を傾けなさい。」』」 + + + それから、私が見ていると、天にある開かれた門が見えました。すると、聞き覚えのある、あの大きなラッパの響きのような声がして、こう語りかけました。「さあ、ここに上って来なさい。将来、必ず起こることを見せてあげましょう。」 + あっという間に私は、聖霊によって天に引き上げられました。そこで目にしたものは、王座とそこに座っておられる方でしたが、私はその栄光に圧倒されてしまいました。 + その方から、碧玉や赤めのうのように(ダイヤモンドやルビーのように)きらめく光が、輝きわたっていました。また、エメラルドのように光る虹が、王座を取り巻いていました。 + 王座の回りには二十四の座があり、二十四人の長老が座っていました。全員が白い衣をまとい、金の冠をかぶっていました。 + 王座からいなずまと雷鳴が起こり、その中に、声も聞こえました。王座の正面には、神の七つの霊を意味する七つの明かりが、燃えさかっていました。 + その前に、きらきらと水晶のような海が広がり、王座の四方には、前後に目のついている生き物が四つ立っていました。 + 第一の生き物はライオンの姿で、第二の生き物は雄牛のように見えました。第三の生き物の顔は人間のようでした。第四の生き物は、大空に翼を広げたわしの姿をしていました。 + この四つの生き物は、それぞれ六つの翼を持ち、その翼にも、おびただしい目がついていました。そして、昼も夜も、絶えずこう叫び続けているのです。「聖なる、聖なる、聖なる全能の神、主よ。昔も今も存在し、やがて来られる方。」 + これらの生き物が、王座に座って永遠に生きておられる方に、栄光と誉れと感謝とをささげた時、 + 二十四人の長老はこの方の前にひれ伏して礼拝し、冠を王座の前に投げ出して賛美しました。 + 「おお主よ。あなたは栄光と誉れと力とを受けるにふさわしい方です。すべてのものをお望みどおりに造り、存在させておられるのですから。」 + + + また私は、王座に座っておられる方の右手に、巻物が握られているのを見ました。その巻物には表にも裏にも文字があり、七つの封印で閉じてありました。 + 一人の力ある神の天使が、大きな声で、「この巻物の封印を破り、それを開く資格のある方はどなたですか」と尋ねていました。 + しかし、天にも地にも死者の中にも、だれ一人、その巻物を開いて読むことのできる者はいませんでした。 + どこを捜しても、巻物を開くのにふさわしい人が見あたらないので、私はがっかりして泣きました。 + すると、二十四人の長老の一人が、私を慰めてくれました。「泣くのはやめなさい。ごらんなさい。ユダ族から出たライオン、ダビデの家から出た方が勝利を得たので、あの巻物を開き、七つの封印を解くことができます。」 + それから私は、二十四人の長老と王座と四つの生き物との間に、小羊が立っているのを見ました。小羊には、かつてささげられた時の傷跡がありました。この方は、七つの角と七つの目を持っていました。その目は、全世界に遣わされる神の七つの霊です。 + 小羊は前に進み出て、王座に座っておられる方の右手から巻物を受け取りました。 + その時、四つの生き物と二十四人の長老は、それぞれハープと香のたちこめる金の鉢とを手にして、小羊の前にひれ伏しました。この香は、神の民の祈りです。 + 彼らは新しい歌を、高らかに歌っていました。「あなたこそ、巻物を受け取って封印を解き、それを開くのにふさわしい方。あなたは殺されましたが、その血によって、あらゆる民族の中から、神のために、人々を買い取ってくださいました。 + そして、その人々を神の国に集め、神の祭司、地上の支配者とされました。」 + それからまた、私は幻によって、王座と生き物と長老たちとの回りで歌う、数えきれない天使たちの声を聞きました。 + 彼らは大声で、「小羊こそ、ささげられるためにふさわしい方。殺された小羊こそ、力と、富と、知恵と、強さと、誉れと、栄光と、祝福とを受けるにふさわしい方」と歌っていました。 + それからまた、私は、天地のすべての者、地下や海中に眠る死者全員の叫び声を聞きました。「祝福と誉れと栄光と力とが、王座に座っておられる方と小羊とに、永遠にありますように。」 + すると、四つの生き物は「アーメン」と言い、二十四人の長老はひれ伏して礼拝しました。 + + + さらに見ていると、小羊は第一の封印を解いて、巻物を開き始めました。すると四つの生き物の一つが、雷のようにとどろく声で「来なさい」と呼びました。 + 目をこらしていると、一頭の白い馬が現れました。馬上の人は弓を持ち、冠をかぶっていました。そして次々と勝利を収めながら、なお勝利を求めて出て行きました。 + それから、小羊は第二の封印を解き、巻物を開きました。すると、第二の生き物が「来なさい」と呼ぶのが聞こえました。 + 次に現れたのは赤い馬です。その馬上の者には、長い剣と、平和を奪って地上に混乱を招く権威が与えられました。こうして、戦争と殺し合いが各地で勃発しました。 + 小羊が第三の封印を解いた時、第三の生き物が、「来なさい」と呼ぶのを聞きました。すると、黒い馬が現れました。その馬にまたがる者は、秤を手にしていました。 + 四つの生き物の間から、声が聞こえました。「小麦一リットルも、大麦三リットルも一デナリ(一日分の賃金)。オリーブ油とぶどう酒を大切にしなさい。」 + 第四の封印が解かれた時、第四の生き物が「来なさい」と呼ぶのを聞きました。 + 今度は、青ざめた馬が現れました。その馬にまたがる者の名は「死」で、そのあとに、「地獄」という名の人の乗っている馬が続きました。彼らには、戦争とききんと伝染病と獣によって、地上の人々の四分の一を殺す権威が与えられました。 + 小羊が第五の封印を解いた時、私は祭壇を見ました。その祭壇の下に、神のことばを伝え、自分たちの証言に忠実であったために殉教した者全員の、たましいが見えました。 + 彼らは大声で、主に、こう叫んでいました。「おお、きよく、真実で、絶対者なる主よ。地上の人々のひどい仕打ちを、さばいてはくださらないのですか。いったいいつ、私たちの血の復讐をしてくださるのですか。」 + すると、その一人一人に白い衣が与えられ、こう言い渡されました。「もうしばらく休むがよい。まだ、おまえたちと同じように殉教する者が、イエスに仕える同胞の中から出るからだ。」 + 小羊が第六の封印を解くのを見ていると、突然、大地震が起こりました。太陽は黒布でおおわれたように暗くなり、月は血のように赤く変わりました。 + そして、星が地上に落ちたのです。まるで、いちじくの青い実が、大風にばらばらと振り落とされるようでした。 + 星をちりばめていた天は、巻物が巻き取られるように消え去り、すべての山や島は、激しい揺れのために、あちこちへその場所を変えました。 + 地上の王、指導者、金持ち、将軍、身分の高い人も低い人も、奴隷も自由人も、人々はこぞって、ほら穴や山の岩陰に身を隠し、 + 山々に向かって大声で叫びました。「私たちの上に倒れかかれ! 王座に座っておられる方の顔から、小羊の怒りから、私たちを隠してくれ。 + 神と小羊の怒りの日がついに来たのだ。だれがそれに耐えられよう。」 + + + それから私は、四人の天使が地の四すみに立っているのを見ました。彼らは、四方からの風をしっかり押さえていたので、木の葉一枚そよがず、海面は鏡のように静かでした。 + 次に、もう一人の天使が、生ける神の大きな刻印を持って、東から来るのが見えました。彼は、地と海とを破壊する権限を与えられた四人の天使に、大声で叫びました。 + 「お待ちなさい。私たちが、神に仕える人々の額に神の刻印を押し終わるまでは、手出しをしてはなりません。地にも海にも木にも、害を加えてはいけません。」 + それから私が、「いったい何人の人に、神の刻印がつけられたのでしょうか」と尋ねると、「十四万四千人」という答えが返ってきました。その人々は、イスラエルの全十二部族から選ばれていました。内訳は次のようです。ユダの部族一万二千人、ルベンの部族一万二千人、ガドの部族一万二千人、アセルの部族一万二千人、ナフタリの部族一万二千人、マナセの部族一万二千人、シメオンの部族一万二千人、レビの部族一万二千人、イッサカルの部族一万二千人、ゼブルンの部族一万二千人、ヨセフの部族一万二千人、ベニヤミンの部族一万二千人。 + その後、私の目には、おびただしい群衆が映りました。あらゆる国民、民族、国語の人々で、とても数えきれません。彼らは白い衣をまとい、しゅろの枝を手にして、王座と小羊との前に立っていました。 + そして、声を張り上げ、「救いは、王座に座っておられる神と小羊とから来ます」と叫んでいました。 + 天使はみな、王座と長老、それに四つの生き物の回りに集まり、ひれ伏して神を礼拝してから、 + こう言いました。「アーメン。祝福と栄光と知恵と感謝と誉れと力と勢いとが、永遠に神にありますように。アーメン。」 + その時、二十四人の長老の一人が、私に尋ねました。「この白い衣の人たちがだれだか、わかりますか。どこから来たか知っていますか。」 + 「わかりません。どうか教えてください」と答えると、彼は言いました。「あの人たちは激しい迫害をくぐり抜け、小羊の血で、その衣を洗って白くした人たちです。 + だから、こうして神の王座の前にいて、昼も夜も、神殿で奉仕しているのです。そして、王座に座っておられる方によって、安全にかくまわれています。 + 彼らはもう二度と飢えることも、渇くこともありません。灼熱の太陽からも守られています。 + それは、王座の正面に立たれる小羊が、羊飼いとして彼らを養い、いのちの水の泉に導いてくださるからです。また神は、彼らの目からあふれる涙を、すっかりぬぐい取ってくださるのです。」 + + + 小羊が第七の封印を解いた時、天に、およそ半時間ほどの静けさがありました。 + それから私は、神の前に立つ七人の天使を見ました。その天使に七つのラッパが与えられました。 + すると、金の香炉を手にした、もう一人の天使が現れて、祭壇のそばに立ちました。彼に多量の香が与えられましたが、それは、クリスチャンの祈りと共に、王座の前にある金の祭壇にささげるためのものでした。 + 香のかおりは、クリスチャンの祈りと混じり合って、祭壇から神の前に立ちのぼりました。 + それから天使は、祭壇から取った火を香炉にいっぱい盛って、それを地に投げつけました。そのとたん、雷鳴がとどろき、いなずまが走り、激しい地震が起こったのです。 + すぐさま、七つのラッパを手にした七人の天使が、ラッパを口に当てました。 + 第一の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると、血の混じった雹と火が、激しい勢いで地上を襲いました。そのため、地上の三分の一が火に包まれ、木の三分の一と青草がすべて灰になりました。 + 第二の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると、炎に包まれた巨大な山のようなものが、海に投げ込まれました。そのため、船の三分の一が破壊され、また、海の三分の一が血のように赤く染まって、魚の三分の一が死にました。 + 第三の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると、燃えさかるたいまつのような大きな星が天から落ちて来て、川と泉の三分の一にばらまかれました。 + この星は「苦よもぎ」と呼ばれました。川の水の三分の一が苦よもぎのように苦くなり、その水を飲んだ多くの人が死んだからです。 + 第四の天使がラッパを吹き鳴らしました。するとたちまち、太陽の三分の一と、月の三分の一と、星の三分の一が打たれて暗くなりました。そのため、昼間は三分の二の明るさしかなく、夜もいっそう暗くなりました。 + また見ていると、一羽のわしが大空高く舞いながら、鋭い叫び声をあげていました。「ああ、災いが来る。災いが地上の人々に襲いかかる。あと三人の天使がラッパを吹き鳴らせば、恐るべきことが起こるのだ。」 + + + 第五の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると私は、天から地上に落ちて来る一人の人を見ました。その人には、底なしの穴を開くかぎが与えられていました。 + 彼が底なしの穴を開くと、大きな炉から立ちのぼるような煙が吹き上げました。そのため、太陽も空も黒ずんでしまいました。 + すると、煙の中からいなごが飛び出し、地上を駆け巡りました。そのいなごには、さそりのように人を刺す力が与えられていました。 + いなごは、草や木には害を加えず、ただ、額に神の刻印のない人々にだけ害を加えよと、命令されていたのです。 + しかし、人間を殺すことは禁じられ、ただ、さそりに刺されたのと同じ激しい痛みで苦しめることが、五か月間だけいなごに許されていました。 + その間、人々は苦しさのあまり自殺をはかりますが、どうしても死にきれません。どんなに死にたいと願っても、死は逃げて行くのです。 + このいなごは、まるで、戦闘態勢がととのった馬のような姿をしていました。頭には金の冠をかぶり、顔は人間の顔にそっくりでした。 + 毛は女の髪のように長く、ライオンのような鋭い歯をむき出していました。 + また、鉄製の胸当てのようなものを着け、その羽音は、戦場を駆ける戦車隊の響きを思わせました。 + また、さそりのように鋭く刺す尾には、五か月のあいだ人々を激痛で苦しめる力がありました。 + 彼らの王は、底なしの穴の支配者で、その名をヘブル語でアバドン(破壊)、ギリシヤ語でアポリュオン(破壊者)と呼ばれていました。 + 第一の災いは過ぎ去りました。しかし、あと二つの災いが待っているのです。 + 第六の天使がラッパを吹き鳴らしました。すると、神の王座の前にある金の祭壇の四すみから、声が響いてきました。 + その声が、第六の天使に命じました。「大ユーフラテス川のほとりにつながれている、四人の強い悪霊を解き放ちなさい。」 + この悪霊は、定められた年、月、日、時が来るまでつながれていたのでした。そして今や、人類の三分の一を殺すために解き放たれたのです。 + 彼らは、総勢二億もの大軍団を率いていました。私はその数を聞きました。 + 私は幻の中で、彼らが馬に乗って出て来る有様を見ました。兵士たちの胸当ては、火のような赤色や、空色や、黄色でした。馬の頭はライオンの頭そっくりで、その口から吐き出される煙と火と燃える硫黄とで、人類の三分の一は殺されてしまいました。 + 人間を殺す武器は、その口だけでなく、尾にもありました。尾は蛇の頭に似ており、それで打たれると、人間は致命傷を負うのです。 + これらの災害に会っても生き残った人々は、それでも神を礼拝しようとはしないで、悪霊や、金、銀、銅、石、木で造られた、見ることも、聞くことも、歩くこともできない偶像を拝み続けました。 + また彼らは、殺人や魔術、不道徳、盗みを改めようとしませんでした。 + + + それから、もう一人の強い天使が、雲に包まれ、天から下って来ました。その頭上には虹がかかり、顔は太陽のように輝き、足は火のように光っていました。 + 彼は開かれた小さな巻物を持っていました。そして、右足を海に、左足を陸に置き、 + 大声で叫びました。それはライオンがほえるような声でした。すると、それに答えるかのように、七つの雷の語る声が私の耳をつんざいたのです。 + 私は、雷のことばを書きとめようとしましたが、天からの声に止められました。「書きとめてはいけない。公表すべきものではないから。」 + それから、海と陸地をまたいで立つ強い天使は、右手を高く天にさしのべ、 + 天とその中のすべてのもの、地とそれに満ちるすべてのもの、海とその中に住むすべてのものを造られた、永遠に生きておられる神を指して誓いました。「もうこれ以上、延期されません。 + いよいよ、第七の天使がラッパを吹き鳴らす時、神に仕える預言者に告げられてから、ずっと隠されてきた神の計画が、ついに実行に移されるのです。」 + すると、再び天からの声が語りかけました。「さあ行って、海と陸地をまたいで立つ強い天使から、開かれた巻物を受け取りなさい。」 + そこで私は、その天使に近寄って、「巻物をいただきたいのです」と頼みました。すると彼は、「よろしい。さあ、この巻物を取って食べなさい。初めは蜜のように甘いが、飲み下すと、腹の中で苦くなります」と言いました。 + そこで私は、巻物を受け取って食べました。すると言われたとおり、口の中では甘かったのに、飲み下すと苦くなり、腹が痛くなりました。 + その時、彼はこう言いました。「あなたは、多くの人々、国民、民族、王について、もっと預言しなければなりません。」 + + + それから私は、杖のような物差しを手渡されました。それで神の聖所と祭壇を点検し、また、そこで礼拝している人の数を調べるように、と命令されました。 + さらに、こう注意されました。「神殿の外庭は測る必要はありません。そこは外国人に任せられるからです。彼らは四十二か月の間、この聖なる都を踏みにじって荒らします。 + それからわたしは二人の証人を任命し、特別な力を授けて、荒布を着たまま千二百六十日間、預言させます。」 + この二人の預言者とは、全地の神の前にある二本のオリーブの木、また二つの燭台(教会)のことです。 + もし彼らに害を加えようとする者があれば、彼らの口から吹き出した火で焼き滅ぼされてしまいます。 + 彼らは、その三年半の預言のあいだ中、大空を閉じて雨を降らせない力を与えられます。また、川や海を血に変えたり、思いのままに何度でも、あらゆる災害を地上に下す力も持っています。 + しかし、三年半にわたる証言の期間が終わると、底なしの穴から出て来る独裁者の挑戦を受け、殺されることになります。 + その死体は、三日半、あのいまわしいソドムやエジプトと並び称される都エルサレムの大通りにさらしものにされます。彼らの主もこの都で、十字架につけられて殺されました。彼らの死体を葬る人はなく、諸国からエルサレムを訪れた人々が、その死体に群がって見物します。 + 彼らが殺されたことで、世界中が喜び合うでしょう。なぜなら、この二人の預言者によって、非常に痛めつけられたからです。 + ところが、どうでしょう。三日半たって、神からのいのちの霊がその二つの死体に入ると、彼らは立ち上がるのです。それを見て、すべての人が恐怖におののきます。 + その時、天から、「のぼって来なさい」という大きな声が響きます。すると二人の預言者は、敵の目の前で雲に包まれ、天にのぼって行きました。 + ちょうどその時刻に、恐ろしい地震が起こって、都の十分の一の建物が破壊され、死者は七千人にのぼりました。生き残った人も、恐怖に打ちひしがれて、天の神をあがめました。 + 第二の災いが過ぎ去りました。しかし、第三の災いが待ちかまえています。 + 第七の天使がラッパを吹き鳴らすと、天から大きな声が響きました。「世界はすべて、主とキリストの手に渡った。主は永遠に支配者である。」 + すると、神の前の席にいた二十四人の長老が、地にひれ伏して礼拝し、声をそろえて神を賛美しました。 + 「今も、昔も存在される全能の神、主に心から感謝します。あなたが偉大な力を発揮して、世界を支配する王となられたからです。 + 諸国の民はあなたに怒りを燃やしましたが、今度は、あなたの怒りが下される番です。今や、地を滅ぼす原因となった者たちが滅ぼされる時が来たのです。死者がさばかれ、あなたに忠実に仕えた者が報いを受ける時です。預言者も、クリスチャンも、すべてあなたの名をほめたたえる者は、小さい者も大きい者も、あなたから報いを受けるのです。」 + その時、天にある神の神殿が開け放たれ、中に契約の箱が見えました。いなずまが走り、雷鳴がとどろき、大粒の雹が降って、全世界は大地震で揺れ動きました。 + + + また、やがて何かが起こることを暗示する、大きなしるしが天に描き出されました。一人の女が太陽をまとい、月を踏みつけ、十二の星の冠をかぶっている姿が見えました。 + この女は妊娠しており、陣痛の苦しみにうめいていました。 + そこに突然、巨大な赤い竜が現れました。七つの頭と十本の角を持ち、七つの冠をかぶっていました。 + そして、しっぽで天の星の三分の一を払い落とし、地上にばらまきました。また、子どもを産もうとしている女の前に立ちはだかり、生まれおちた子をすぐに食べようと、待ちかまえていました。 + 女は男の子を産みました。将来、その子は強大な権力を握り、すべての国の王になると約束されていたのです。その子は神のそばの王座へ引き上げられ、 + 女は荒野に逃げのびました。そこには神の用意された場所があり、彼女は千二百六十日の間、かくまわれました。 + やがて、天で戦争が始まりました。ミカエル(天使の長)と部下の天使たちは、竜とその手下の堕落した天使たちと戦いました。 + 竜は敗れ、天から追放されることになりました。 + こうして、この巨大な竜、悪魔またサタンと呼ばれ、全世界をだまし続けてきた古い大蛇は、手下もろとも、地上に投げ落とされてしまったのです。 + そのとき私は、天のすみずみにとどろき渡る大声を聞きました。「ついに時が来た。神の救いと力と支配と、キリストの権威とが、完全に現される時が来た。私たちの兄弟たち(信仰を同じくする人々)を絶えず神の前で非難してきた者が、地上に投げ落とされたから。 + 兄弟たちは、小羊の血と自らの証言によって打ち勝った。いのちを惜しまず、小羊のために投げ出したのである。 + 天よ、喜べ。天に住む者よ、喜べ。しかし、地上の人々には災いがのぞむ。悪魔が自分の時の残り少ないことを知って、怒りに燃え、あなたがたのところに下って行ったからだ。」 + 竜は自分が地上に投げ落とされたことに気づくと、男の子を産んだ女を追いかけました。 + しかし女は、大わしのような翼を二つ与えられ、荒野へ飛んで行きました。そこには、彼女のために場所が用意されており、そこで三年半の間、竜である大蛇を避けて、安全に暮らすことができたのです。 + ところが、大蛇は水を洪水のように吐き出し、女を殺そうと迫りました。 + しかし、大地は口を開けて水を飲み干し、女を助けたのです。 + 怒り狂った竜は、今度は女の子孫の残りの者、すなわち神の戒めを守り、主イエスをはっきり告白した者たちに、攻撃のほこ先を向けました。 + そして、海辺の砂の上で待ちかまえていました。 + + + 私は幻の中で、今度は海の中から、一匹の不思議な獣が現れるのを見ました。その獣には七つの頭と十本の角があり、角には十の冠がついています。そして、それぞれの頭には、神を汚し、あざける名前が書いてありました。 + その姿はひょうに似ていましたが、足は熊、口はライオンのようでした。竜はこの獣に、自分の力と地位と大きな権威とを授けました。 + 私は、獣の七つの頭のうちの一つが、回復の見込みがないほど傷ついているのがわかりましたが、その致命的な傷が治ったのです。すると、世界中の人がこの奇跡に驚き、獣に従うようになったのです。 + 人々は、その獣を礼拝するばかりか、そんな不思議な力を授けた竜をも拝み始めました。彼らは大声で、「これほど偉大な獣を見たことがない。これにたち打ちできる者などいないだろう」と、喝采を送りました。 + 竜は獣に、主をののしるようにけしかけ、四十二か月間、地上を思うままに支配する権威を与えました。 + そこで獣は、そのあいだ中、神の名と神殿、および天に住むすべての者をののしり続けました。 + 竜はまた、獣に、クリスチャンと戦って打ち勝つ力を与えました。さらに、世界のあらゆる人々を支配する権威も授けました。 + 殺された小羊のいのちの書に、世の初めから名前が書き込まれていない人々は、こぞって、この悪い獣を礼拝しました。 + 聞く耳のある人は、よく聞きなさい。 + クリスチャンの中で投獄される運命にある人は、逮捕され、連行されるでしょう。また、死ぬように定められている人は殺されます。しかし何があろうと、あわててはいけません。このような時こそ、あなたがたの忍耐と信仰が試されるのです。 + さて、私の目に、もう一匹、奇怪な獣が地からのぼって来る姿が映りました。小羊のように二本の小さな角をつけていましたが、その声は、竜のようにすごみを帯びていました。 + この獣は、あの致命的な傷が治った獣の権威を使って、全世界の人に、むりやりその最初の獣を礼拝させました。 + また、多くの人の目の前で、燃える火を天から降らせるといった奇跡を行い、人々を驚かせたりしました。 + こうして、地上のすべての人々を惑わしたのです。このような不思議なわざができたのは、最初の獣のうしろだてがあったからです。そこでこの獣は全世界の人々に、致命的な傷を負いながらも生き返った、最初の獣の大きな像を造れ、と命令しました。 + 出来上がった像に、この獣が息を吹き込むと、像はしゃべることさえできるようになりました。するとその像は、自分を拝まない者は皆殺しにするよう命じました。 + また獣は、大きい者にも小さい者にも、金持ちにも貧しい人にも、奴隷にも自由人にも、すべての人に右手か額に刻印を彫らせました。 + そして、獣の名か、その名を意味する数字を彫った刻印を持っていなければ、仕事につくことも、店で買物をすることもできないようにしたのです。 + これは、細心の注意をはらって解くべきなぞです。この数字の意味を解ける人は解いてごらんなさい。獣の名前の文字を数字になおすと、六百六十六になるのです。 + + + それから私は、エルサレムのシオンの山の頂に立っている、小羊の姿を見ました。また、そのそばに、額に小羊と小羊の父の名とが刻まれている、十四万四千人の人たちがいるのを見たのです。 + そのとき私は、滝のとどろきか激しい雷鳴のような、天からの音を耳にしました。ハープに合わせて歌う大合唱でした。 + それは十四万四千人の大合唱であり、彼らは神の王座と、四つの生き物および二十四人の長老の前で、今まで聞いたこともない新しい歌を歌いました。地上から救い出された、この十四万四千人を除いて、だれも、その合唱に加われませんでした。 + 彼らは童貞で、汚れを知らず、小羊のあとをどこまでもついて行きました。また彼らは、神と小羊とにささげられる、最初のきよい供え物として、地上の人々の中から買い取られた者たちです。 + 彼らは非難されるような偽りを言わず、とがめられることのない者です。 + また私は、もう一人の天使が天を飛ぶ姿を見ました。天使は、地上のあらゆる民族、部族、国語の人々に、永遠の福音(イエス‧キリストによる救いの知らせ)を運んでいるところでした。 + 彼は大声で叫びました。「神を恐れ、神をほめたたえなさい。神のさばきの時が来たのだ。天と地と海とその源を造られた方を礼拝しなさい。」 + 次に、もう一人の天使が天を飛んで来て、こう言いました。「大いなる都、バビロンが倒れた。世界中の人々を惑わして、不純な行為と罪のぶどう酒を飲ませた報いだ。」 + 続いて第三の天使が飛んで来て、大声で叫びました。「海から現れた獣とその像を拝み、額か手に刻印を彫った者よ。 + あなたがたは一人残らず、神の怒りの杯にあふれるぶどう酒――それも水で割らないもの――を飲まなければならない。そして、聖なる天使と小羊との前で、火と燃える硫黄とで苦しめられるのだ。 + その苦しみの煙は、昼も夜も、永遠に立ちのぼる。獣とその像とを拝み、獣の名の刻印を押したからだ。 + このことによって励まされた神の民は、どんな試みや迫害にも耐えられる。彼らは最後までしっかりと神の戒めを守り、イエスに信頼する者だから。」 + また私は、頭上で、次のように語る天からの声を聞きました。「さあ、書き記しなさい。『主のために殉教した人々が、その報酬を受ける時がついに来たのです。』」聖霊は言われます。「そのとおり。彼らには十分な祝福が注がれる。今こそ、彼らはいっさいの労苦と試みから解放されて休む時なのだ。その良い行いが、彼らといっしょに天まで立ちのぼるのだから。」 + その時、急にあたりの様子が変わって、白い雲がわき上がり、その雲に乗ったお方が見えました。イエスのようでした。「人の子」と呼ばれるその方は、純金の冠をかぶり、よく切れるかまを手にしておられました。 + そこへ、もう一人の天使が神殿から現れ、その方に叫びました。「どうぞ、かまで刈り取りをお始めください。地上の穀物は実って、刈り入れ時となっています。」 + そこで、雲に乗っておられる方がかまを入れ始め、刈り取られたものは一か所に集められました。 + そのあと、もう一人の天使が天の神殿から出て来ました。彼もまた、鋭いかまを持っていました。 + 同時に、火で世界を滅ぼす権威を授かっている天使が現れて、かまを持った天使に大声で叫びました。「さあ、そのかまで、地上のぶどう畑から実を刈り集めなさい。もう十分に熟して、さばかれる時を待っている。」 + そこで天使は、言われたとおりにかまを入れ、ぶどうを刈り集めて、神の怒りの大きな酒ぶねに投げ込みました。 + 酒ぶねの中のぶどうは、都の郊外で踏まれました。すると、酒ぶねからあふれ出た血は三百キロもの流れになり、その深さは馬のくつわに届くほどでした。 + + + また私は、天に、これからの出来事を暗示する、もう一つの巨大なしるしを見ました。最後の七つの災害を地上に下す任務が、七人の天使に与えられたのです。こうして、ついに神の怒りが頂点に達しました。 + 目の前に、火とガラスの海のようなものが広がっていました。そのほとりには、あの悪い獣とその像、またその数字の刻印とに打ち勝った、すべての人が立っていました。彼らはみな神のハープを手にして、 + 神に仕えたモーセの歌と小羊の歌とを歌っていました。「全能の神、主よ。目を見張るべきものは、あなたの偉大なみわざです。永遠に生きておられる王よ。ただ、あなたの道だけが正しく真実なのです。ああ、主よ。あなたを恐れず、その御名をほめたたえない者は一人もおりません。ただ、あなただけがきよいお方です。すべての国々の民は来て、あなたを礼拝します。あなたの正しさが明らかにされたからです。」 + それから、さらに見ていると、天にある神殿の聖所が大きく開かれました。 + 七つの災害を地上に下すよう任命された七人の天使が、その聖所から姿を現しました。彼らは、しみも傷もない、真っ白な亜麻布の衣服をまとい、胸には金の帯を締めていました。 + それから、四つの生き物の一つが、永遠に生きておられる神の激しい怒りで満ちた金の鉢を、七人の天使に一つずつ手渡しました。 + 聖所には、神の栄光と力から立ちのぼる煙が一面に漂い、七人の天使が七つの災害を下し終えるまで、だれも、そこに入ることが許されませんでした。 + + + また私は、神殿から大きな声が七人の天使に呼びかけるのを聞きました。「さあ、出かけて行って、神の怒りで満ちた七つの鉢を、地上にぶちまけなさい。」 + そこで、第一の天使が神殿から出て行き、鉢を地上にぶちまけました。すると、獣の刻印をして、その像を拝む者全員に、恐ろしい悪性のはれものができました。 + 第二の天使が鉢を海にぶちまけると、海の水は死者の血のようになり、海の中のすべての生き物が死に絶えました。 + 第三の天使は、鉢を川と泉にぶちまけました。すると、水はたちまち血に変わりました。 + 私は、水を支配している天使のことばを聞きました。「今も昔も存在される聖なる方。あなたは正しい方です。 + あなたのきよい民や預言者は殉教を遂げ、この地上に血を流しました。今度はあなたが、彼らを殺した者たちの血をしたたらせる番です。これは当然の報いなのです。」 + また私は、祭壇の天使の声を聞きました。「全能の神、主よ。あなたのさばきは正しく、真実です。」 + 次に、第四の天使が鉢を太陽にぶちまけました。すると太陽は、すべての人を火で焼く力を得ました。 + 人々は、その激しい炎熱に焼かれながらも、なおその心や態度を改めて、神の栄光を恐れようとはせず、かえって、災害をも支配される神の御名をのろいました。 + それから、第五の天使は、鉢を海から現れた獣の王座にぶちまけました。すると獣の国は暗闇でおおわれ、その民は苦しさのあまり、舌をかみ切って自殺をはかりました。 + 彼らは、苦痛とはれもののために天の神をのろいましたが、自分の悪い行いを悔い改めようとはしませんでした。 + 第六の天使は、鉢を大ユーフラテス川にぶちまけました。すると、川の水がすっかり干上がり、東方の王がいつでも軍隊を率いて西方に攻め入ることができる道ができました。 + また私は、竜と獣と偽預言者の口から、かえるに似た三つの悪霊が飛び出すのを見ました。 + 奇跡を行う力を持ったこの悪霊たちは、全世界の支配者に相談をもちかけました。全能の神の恐ろしい審判の日に備えて、一丸となって主と戦おうとけしかけるためです。 + 「用心していなさい。わたしは盗人のように、思いがけない時に来ます。目を覚まして待っている人は幸いです。そのような人は、着物をきちんと着ているので、裸で外を歩くような恥はかきません。」 + こうして彼らは、ヘブル語でハルマゲドンと呼ばれる場所の近くに、世界の全軍隊を結集させました。 + 次に、第七の天使が、鉢を空中にぶちまけました。すると、「すべてが終わった」という大きな声が、天の神殿の王座から響き渡りました。 + 雷鳴がとどろき、いなずまが走り、史上最大の大地震が発生しました。 + 大いなる都バビロンは三つに裂け、世界各地の都市もすべて破壊されて、瓦礫の山と化しました。神はバビロンの罪をすべてご存じであり、そのためにバビロンは、神の激しい怒りのぶどう酒であふれる杯を、最後の一滴まで飲み干す罰を受けたのです。 + 島々は消え去り、山々は平地に変わりました。 + また、一つが三十五キロもの重さの雹が降り、多くの被害が出て、人々はこの恐ろしい雹のことで神をのろいました。 + + + 災害をぶちまけた七人の天使の一人が、私に近づき、こう話しかけました。「ついて来なさい。地の大水の上に座っている悪名高い淫乱な女がどんな目に会うか、お見せしましょう。 + 世の王たちはこの女とみだらな関係を結び、世界中の人々も、この女の不品行のぶどう酒に酔いしれました。」 + そして天使は、私を幻の中で荒野へ連れて行きました。そこには、赤い獣にまたがる一人の女の姿がありました。その獣には七つの頭と十本の角があり、体中に、神を冒瀆することばが書き込まれていました。 + 女は紫と赤の服をまとい、金や宝石や真珠の、きらびやかな飾りを身につけていました。また、不品行の汚れであふれた金の杯を抱えていました。 + そして額には、「世界中のみだらな女と偶像礼拝者の母、大いなるバビロン」という、なぞめいたことばが刻まれていたのです。 + 彼女は血に酔っているようでした。しかもその血は、彼女が殺したクリスチャンの血だったので、私は背筋が凍りつく思いでした。 + すると、天使が私に語りかけました。「なぜ、そんなに驚いているのですか。この女と獣の正体を教えましょう。 + この獣は昔は生きていましたが、今はいません。しかし、やがて底なしの穴から現れて、永遠の滅びに向かうでしょう。地上に住む人々のうち、世の初めからいのちの書に名前が書かれていない人は、絶滅したと思われていたその獣がもう一度現れるのを見て、血の気を失うほど驚くでしょう。 + さあ、よく考えなさい。この獣の七つの頭とは、女の住む七つの丘に建てられた都のことです。 + それはまた七人の王を意味します。そのうち五人の王は、すでに倒れました。第六の王は現在、王位についており、第七の王は、まもなく姿を現すでしょう。しかし、その王座も長くはありません。 + 赤い獣そのものは第八の王であり、しかも彼が一度死んだということは、以前七人の中の一人として、王座に君臨していたことを意味します。彼は二度目に王となってから、最後の滅びに向かうのです。 + 十本の角は、これから王位につこうとしている十人の王を表します。彼らは赤い獣と共に支配するため、一時的に王座につくのです。 + 彼らは同盟を結んで、自分たちの力と権威とを、その獣に与えます。 + そして、彼らは団結して小羊と戦いますが、小羊の勝利に終わります。なぜなら、小羊は主の主、王の王であり、彼に従う者たちは、えり抜きの忠実な者だからです。 + あの女の座っている海や湖や川は、あらゆる人種や国民からなる、おびただしい人々を表しています。 + やがて、赤い獣と十本の角はその女を憎み、襲いかかって裸にし、あげくの果ては、火で焼き殺すことになります。 + というのも、それらは神の計画にあることで、神は彼らの思いを支配し、目的を達成なさるのです。彼らは赤い獣に権威を与えることで一致します。これも神のお考えどおりです。 + あなたが幻で見たあの女は、地上の王を支配している大いなる都のことです。」 + + + これらのことの後、私はもう一人の天使が、大きな権威を授けられて、天から下って来るのを見ました。地上は、その輝きで明るくなりました。 + 彼は大声で叫びました。「バビロンが倒れた。あの大いなるバビロンが倒れた。そこは悪魔の巣窟、悪霊やあらゆる汚れた霊のたまり場であった。 + あらゆる国の人々が、彼女のみだらな毒ぶどう酒に酔いしれたからだ。また、地上の支配者たちは彼女と快楽にふけり、地上の商人たちは、彼女のぜいたくな浪費のおかげで大もうけをしたからだ。」 + それから私は、天から別の声を聞きました。「クリスチャンよ。あの女から遠ざかりなさい。その罪に連なってはなりません。そうでないと、いっしょに罰を受けることになります。 + あの女の罪は数えきれず、それは積み上げられて天にまで達したので、神の罰がいよいよ下るのです。 + あなたがたは、彼女から受けた仕打ちをそっくりそのまま、いや、二倍にして返しなさい。彼女は人々に、多くの災いの飲み物を飲ませようとたくらみました。それを倍にして彼女に飲ませなさい。 + ぜいたく三昧に遊び暮らした女に、それに見合うだけの苦しみと悲しみとを与えなさい。彼女はおごっています。『私は女王で、身寄りのない未亡人とは違う。悲しみなど知らない。』 + そのため、たった一日のうちに、死の悲しみと嘆きと飢えとに襲われ、焼き滅ぼされてしまうのです。さばきをなさる主は、力ある偉大なお方だからです。 + 彼女の不純な行為に手を貸し、多くの分け前をもらって、ぜいたくの限りを尽くした地上の支配者たちは、その焼けこげた死体から立ちのぼる煙を見て、涙にくれるでしょう。 + そして、恐怖に震えながら、遠巻きにして立ち、『ああ、悲しいことだ。力ある都バビロンよ。あなたへのさばきは、一瞬のうちに下った』と叫ぶでしょう。 + また、彼女から富を得ていた地上の商人たちも泣き悲しむでしょう。もはや、彼らの商品を買う人がいなくなったからです。 + 商品とは、金、銀、宝石、真珠、上等の麻布、紫布、絹、緋色(真紅)の布、種々の香木、象牙細工、高価な木彫り、青銅、鉄、大理石、 + 肉桂、香水、香料、香油、乳香、ぶどう酒、オリーブ油、上質の小麦粉、小麦、牛、羊、馬、戦車、奴隷に及び、さらには人の命までも商ったのです。 + 地上の商人たちは嘆きます。『あなたの高価な秘蔵品は、全部その手から奪い去られた。あれほど自慢だった、ぜいを尽くした生活はもう二度とできない。すべては永久に失われたのだから。』 + それらの品を商って、彼女から富を得ていた彼らは、わが身への危険を恐れて、遠く離れて立ち、泣き悲しむでしょう。 + 『ああ、悲しいことだ。あんなに美しかった大いなる都が、あっという間に荒れ果ててしまった。最高級の紫布と緋色の布をまとい、金や宝石や真珠で飾りたてていた都よ。そのすべての富も一瞬のうちに消えてしまった。』また、各国の船主や商船の船長、乗組員も遠くから、 + 彼女が焼かれる煙を見て、涙ながらに、『あれほどすばらしい都が、この世にあっただろうか』と嘆くでしょう。 + そして、頭にちりをかぶって悲しむのです。『ああ、大いなる都よ。その有り余る富のおかげで、われわれは大金持ちになれたのに。それが何もかも、一瞬のうちに失われてしまった。』 + しかし、天よ、神の子どもよ、預言者よ、使徒よ。彼女の最期を喜びなさい。ついに神は、あなたがたのために、彼女にさばきを下されたのです。」 + その時、一人の強い天使が、ひき臼のような丸い石を持ち上げ、海に放り投げて叫びました。「大いなる都バビロンは、この石のように投げ捨てられ、もはや、永久に浮かび上がりません。 + 歌声はとだえ、竪琴や笛、ラッパの音ももう聞こえません。さまざまな産業はすたれ、ひき臼をひく人影も、二度と見ることはありません。 + 夜は真っ暗闇で、窓からは明かりももれず、結婚式の喜びの鐘も、花婿と花嫁の楽しそうな声も聞こえません。その名を世界に鳴りとどろかせた商人たちも、鳴りをひそめます。彼らは、すべての国の人々をたぶらかす彼女の魔術のおかげで、もうけていたのです。 + 彼女には、殉教したすべての預言者や神のきよい民の、血の責任が問われるのです。」 + + + この後、私は、天からおびただしい群衆の叫び声を聞きました。「ハレルヤ、主を賛美せよ。救いは神からの贈り物、誉れと権威は神だけのものです。 + その審判は正しく、真実だからです。神は、不品行によって地上に悪をはびこらせた、あの淫乱な女を処罰し、神に仕える者たちが殺されたことに復讐されたのです。」 + 彼らは、くり返し主を賛美しました。「主をほめたたえよ。彼女の焼かれる煙は永遠に立ちのぼる。」 + すると、二十四人の長老と四つの生き物はひれ伏し、王座におられる神を礼拝して、「アーメン、ハレルヤ。主を賛美せよ」と言いました。 + また、王座から声がしました。「神を恐れ、神に仕えているすべての者よ。小さい者も大きい者も、神をほめたたえよ。」 + そのとき私は、大群衆の叫び声や、海岸に打ち寄せる大波、激しい雷鳴のとどろきのような声を聞きました。「主を賛美せよ。主である全能の神が支配なさる時が来た。 + さあ、大いに喜び楽しみ、神をほめたたえよう。小羊の結婚の時が来て、花嫁のしたくも整った。 + 花嫁は、輝くばかりの、きよく真っ白な麻布の衣を着せられた。」この麻布は、クリスチャンの正しい行いを表しているのです。 + 天使は、次のことばを書きとめるよう促しました。「小羊の婚宴に招かれた人は幸いです。」天使はまた、こう付け加えました。「これは神の口から出たことばです。」 + そのとき私は、天使の足もとにひれ伏して、礼拝しようとしました。すると天使は、「何をするのです。そんなことはやめなさい。私も、神に仕える者にすぎません。あなたや、イエスへの信仰を明らかにしているクリスチャンたちと同じ者です。すべての預言も、いま私が告げたすべてのことばも、ただイエスをあかしするためです。」 + それから天が開かれ、私は、そこに白い馬を見ました。その馬に乗っているのは、「忠実、また真実」と呼ばれ、正しいさばきをし、戦いをなさる方です。 + 目は炎のように輝き、頭にはたくさんの冠をかぶっていました。額には名前が記されていましたが、その意味を知っているのはご自分だけでした。 + この方は血に染まった衣を着ていて、「神のことば」という名で呼ばれました。 + 天の軍勢はきよく真っ白な麻布を身につけ、白馬にまたがって彼に従いました。 + この方は、諸国の民を打つために、鋭い剣をくわえておられました。そして、鉄のような手で、国々を完全に支配なさり、また、全能の神の激しい怒りに満たされた酒ぶねを踏まれます。 + その衣とももには、「王の王、主の主」という名が記されていました。 + そのとき私は、光の中に立つ一人の天使が、大声で空高く飛んでいるすべての鳥に呼びかけるのを見ました。「さあ、集まりなさい。偉大な神の祝宴の始まりです。 + さあ、王、司令官、偉大な将軍、馬と乗り手、それから大きい者と小さい者、奴隷と自由人のすべての肉を食べなさい。」 + それから私は、悪い獣が地の支配者と軍勢とを召集し、馬に乗っておられる方とその軍勢とに、戦いをいどんでいるのを見ました。 + しかし、悪い獣は捕らえられ、続いて偽預言者も縛り上げられました。この偽預言者は、悪い獣と手を組んで人々を奇跡で驚かせ、獣の刻印を受けた者や、獣を拝む者たちを惑わしていたのです。結局、悪い獣も偽預言者も、硫黄の燃えさかる火の池に、生きたまま投げ込まれました。 + 彼らに従った軍勢もまた、白い馬にまたがる方の鋭い剣で殺されました。すると、天の鳥がむさぼるように、その肉をついばんでしまいました。 + + + そのとき私は、底なしの穴のかぎと太い鎖とを手にした天使が、天から下って来るのを見ました。 + 彼は、悪魔とかサタンとか呼ばれている、あの古い蛇である竜をつかまえ、鎖で縛って、千年の間、 + 底なしの穴に閉じ込めてしまいました。こうして竜は、定められた千年が過ぎるまでは、世界の国々をだますことができなくなりました。しかし、その期間が終われば、しばらくの間だけ自由な活動が許されるのです。 + それから私は、数多くの王座を見ました。そこには、さばく権威を神から授けられた人々が座っていました。私はまた、イエスについて証言し、神のことばを伝えたために首をはねられた人々のたましいと、獣もその像も拝まず、額や手に獣の刻印を受けなかった人々のたましいとを見ました。その人々はみな生き返って、キリストと共に千年間、世界を支配しました。 + これが第一の復活です。〔残りの死者は、千年が過ぎるまで死んだままでした。〕 + 第一の復活を経験する人は幸いな人であり、きよい人です。彼らには第二の死など何の力もありません。神とキリストの祭司になった彼らは、キリストと共に、千年間、支配するからです。 + 千年の後、悪魔は閉じ込められていた場所から出されます。 + 悪魔は、地上の国々を惑わそうと行き巡り、戦いのために、すべての人々を〔ゴグとマゴグともども〕召集します。それは、海辺の砂のように数えきれない大軍です。 + 彼らは地上の広々とした大平原に攻め上り、クリスチャンと都エルサレムとを取り囲みます。すると、天から敵軍めがけて火が下り、彼らを焼き滅ぼします。 + その後、人々を惑わしていた悪魔は、獣や偽預言者と同じく、硫黄の燃える火の池へ投げ込まれます。そこで、昼も夜も、永遠に苦しむのです。 + また私は、大きな白い王座と、そこに座っておられる方とを見ました。地も空も、その方の顔を避けて逃げ出し、影も形もなくなってしまいました。 + 私はすべての死者が、大きい者も小さい者も、神の前に立つのを見ました。いのちの書をはじめ、さまざまな書物が開かれました。死者は、これらの書物の規定に従い、それぞれの行いに応じてさばかれました。 + 海も、死と地獄も、その中の死者を吐き出しました。そして各自が、その行いに応じてさばかれました。 + それから死と地獄は、火の池に投げ込まれました。これが、第二の死です。 + いのちの書に名前の記されていない者はみな、火の池に投げ込まれたのです。 + + + それから私は、新しい天と新しい地とを見ました。そこには海はありません。今までの天も地も、消え去ってしまいました。 + また、私ヨハネは、神のもとを出て天から下って来る、聖なる都、新しいエルサレムに目を奪われました。その眺めのすばらしさは、まるで美しく着飾った花嫁のようでした。 + 私は、王座から大声で叫ぶ声を聞きました。「ごらんなさい。神の住まいが人々の間にあります。神は人々と共に住み、人々は神の国民となります。神ご自身が人々の中に住み、 + その目から涙をぬぐってくださるのです。もはや、死も悲しみも叫びも苦痛もありません。それらはみな、永遠に姿を消したからです。」 + 王座におられる方が宣言されました。「ごらんなさい。わたしはすべてを新しくします。」続いて言われました。「これらのことを書きとめなさい。わたしが伝えることは真実で、信頼できるからです。 + いっさいのわざが成し遂げられました。わたしは初めであり、終わりです。のどの渇いている者には、いのちの水の泉をあげましょう。 + 勝利を得る人はだれでも、すべての祝福を相続できるのです。わたしはその人の神となり、その人はわたしの子どもとなります。 + しかし、わたしに従うのをやめるような臆病者、不忠実な者、堕落した者、人殺し、不道徳な者、魔術を行う者、偶像礼拝者、うそをつく者――このような者たちの行き着く先は、火と硫黄が燃えさかる池です。これが第二の死なのです。」 + その時、最後の七つの災害の鉢をぶちまけた、七人の天使の一人が来て、私に言いました。「ついて来なさい。小羊の妻となる花嫁を紹介しましょう。」 + 幻の中で、天使は私を高い山の頂上に連れて行きました。そこで私は、すばらしい都、きよいエルサレムが神のもとを出て、天から下って来るのを見ました。 + 都は神の栄光に包まれ、宝石のように光り輝き、碧玉のように〔水晶のように〕透き通っていました。 + 都には、分厚い城壁が高くそびえ、十二人の天使が守る十二の門があり、それぞれに、イスラエルの十二部族の名が記されていました。 + また、門は東西南北の方角に、三つずつ設けられていました。 + 城壁には十二の土台石があって、それぞれに、小羊の十二使徒の名が書き込まれていました。 + 天使は、都と門と城壁とを測るために、金の物差しを手にしていました。 + 実際に測ってみると、都は縦横長さの等しい正方形であることがわかりました。さらに高さも同じで、立方体をなしているのです。それぞれの長さは二千二百キロでした。 + 次に城壁の厚さを測ってみると、六十五メートルありました。 + 都は、ガラスのように透き通る純金でできていました。城壁は碧玉で、さまざまの宝石がちりばめてある、十二の土台石の上に築かれていました。第一の土台石は碧玉、第二はサファイヤ、第三は玉髄、第四はエメラルド、第五は赤縞めのう、 + 第六は赤めのう、第七は貴かんらん石、第八は緑柱石、第九はトパーズ、第十は緑玉髄、第十一はヒヤシンス石、第十二は紫水晶です。 + 十二の門は、それぞれ一つの大きな真珠でできていました。大通りは、ガラスのように透き通る純金でした。 + それにしても、都には、どこにも神殿が見あたらないのです。というのも、全能の神である主と小羊とを、都のどこででも、自由に礼拝できるからです。 + 都には、太陽も月もいりません。神と小羊との栄光が、明るく照らしているからです。 + その光は全世界に及ぶのです。世界中の支配者たちが、それぞれの栄光を携えてやって来ます。 + 都の門は決して閉じられず、一日中、開かれたままです。ここには夜がないからです。 + あらゆる国の栄光と誉れが、都に運ばれて来ます。 + 汚れた者は入ることができません。偶像礼拝をする者、偽りを言う者は、一人たりとも入ることができません。小羊のいのちの書に名前が記されている人々だけが、ここに入ることができるのです。 + + + それから天使は、いのちの水の川を見せてくれました。それは水晶のように透き通り、神と小羊との王座から流れ出て、 + 都の大通りの中央を貫いていました。川の両岸には、十二種の実をつける、いのちの木が生えていました。その木には、それぞれひと月ごとに実がなりました。その葉は、世界中の病気に効く薬草として使われました。 + 都の中に、のろわれたものは何一つありません。神と小羊との王座があって、神に仕える者たちが礼拝しています。 + 彼らは、神と顔を合わせることができます。またその額には、神の名が書き込まれています。 + 都には夜がありません。ですから、明かりも太陽もいりません。神である主が、光そのものだからです。人々は永遠に支配し続けるのです。 + 天使は、私にこう告げました。「『わたしはすぐに来る』という約束は真実で、信じるべきことばです。預言者に将来の出来事を予告なさった神は、それがいよいよ実現するのを知らせようと、天使をあなたに遣わしたのです。このことを信じ、この書物に記されているすべてを信じる人は幸いです。」 + これらのことを見聞きした私ヨハネは、それらを示してくれた天使の前にひれ伏して、礼拝しようとしました。 + ところが彼は、前と同じように、それを拒みました。「そんなことをしてはいけません。私は、イエスに仕える者にすぎません。あなたや、あなたの兄弟である(信仰を同じくする)預言者たちや、この書物の真理に心をとめるすべての人々と同じ者なのです。ただ、神だけを礼拝しなさい。」 + それから天使は、私に指示しました。「あなたが書きとめたことを隠しておいてはいけません。いよいよ、それらが現実となるからです。 + その時が来ると、不正な者はますます不正を重ね、汚れた者はますます汚れるでしょう。反対に、正しい者はますます正しい行いに励み、きよい者はますますきよくなるのです。」 + 「ごらんなさい。わたしはすぐに戻って来ます。その時、それぞれの行いにふさわしい報いをもたらします。 + わたしは初めであり、終わりです。最初であり、最後です。」 + 都の門から入る資格と、いのちの木の実を食べる権利とを受けたいと願い、自分の衣服を洗う人は幸いです。 + 神から離れた者、魔術師、不道徳な者、人殺し、偶像崇拝者、好んで偽りを行う者は、都の外に出されます。 + 「わたしイエスは、これらすべてを諸教会に知らせるため、あなたがたに使者を送りました。わたしはダビデの根であり、その子孫です。また、ひときわ輝く明けの明星です。」 + 聖霊と花嫁は、「来てください」と言っています。これを聞く人々は、同じように、「来てください」と言いなさい。渇いている人(求めている人)は、だれでも来なさい。そして、いのちの水をただで受けなさい。 + 私は、この書物を読むすべての人に、厳かに宣言します。ここに書かれていることに、一語でも書き加える者がいれば、神はその人に、この書物にあるとおりの災いを下されます。 + また反対に、この預言の書物から一語でも取り除く者がいれば、神はその人から、いのちの木の実を食べる権利ばかりか、きよい都に入る権利をも取り上げるでしょう。 + これらを知らせてくださった方が、はっきり宣言します。「そのとおり。わたしはすぐに戻って来ます。」アーメン。主イエスよ、来てください。 + 主イエス‧キリストの恵みが、あなたがた一同と共にありますように。アーメン。 + +
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+ + 2026-08-31 +

OSIS 2.1.1 version

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+ + Japanese Colloquial Bible (口語訳聖書) + Japan Bible Society + + + 1955 + Japanese Colloquial Bible (口語訳聖書 1954/1955) + Japan Bible Society + Bible + kougo + + ja + + + Public Domain + + Bible + +
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+ + はじめに神は天と地とを創造された。 + 地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。 + 神は「光あれ」と言われた。すると光があった。 + 神はその光を見て、良しとされた。神はその光とやみとを分けられた。 + 神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。夕となり、また朝となった。第一日である。 + 神はまた言われた、「水の間におおぞらがあって、水と水とを分けよ」。 + そのようになった。神はおおぞらを造って、おおぞらの下の水とおおぞらの上の水とを分けられた。 + 神はそのおおぞらを天と名づけられた。夕となり、また朝となった。第二日である。 + 神はまた言われた、「天の下の水は一つ所に集まり、かわいた地が現れよ」。そのようになった。 + 神はそのかわいた地を陸と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。神は見て、良しとされた。 + 神はまた言われた、「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ果樹とを地の上にはえさせよ」。そのようになった。 + 地は青草と、種類にしたがって種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ木とをはえさせた。神は見て、良しとされた。 + 夕となり、また朝となった。第三日である。 + 神はまた言われた、「天のおおぞらに光があって昼と夜とを分け、しるしのため、季節のため、日のため、年のためになり、 + 天のおおぞらにあって地を照らす光となれ」。そのようになった。 + 神は二つの大きな光を造り、大きい光に昼をつかさどらせ、小さい光に夜をつかさどらせ、また星を造られた。 + 神はこれらを天のおおぞらに置いて地を照らさせ、 + 昼と夜とをつかさどらせ、光とやみとを分けさせられた。神は見て、良しとされた。 + 夕となり、また朝となった。第四日である。 + 神はまた言われた、「水は生き物の群れで満ち、鳥は地の上、天のおおぞらを飛べ」。 + 神は海の大いなる獣と、水に群がるすべての動く生き物とを、種類にしたがって創造し、また翼のあるすべての鳥を、種類にしたがって創造された。神は見て、良しとされた。 + 神はこれらを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、海の水に満ちよ、また鳥は地にふえよ」。 + 夕となり、また朝となった。第五日である。 + 神はまた言われた、「地は生き物を種類にしたがっていだせ。家畜と、這うものと、地の獣とを種類にしたがっていだせ」。そのようになった。 + 神は地の獣を種類にしたがい、家畜を種類にしたがい、また地に這うすべての物を種類にしたがって造られた。神は見て、良しとされた。 + 神はまた言われた、「われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを治めさせよう」。 + 神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。 + 神は彼らを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」。 + 神はまた言われた、「わたしは全地のおもてにある種をもつすべての草と、種のある実を結ぶすべての木とをあなたがたに与える。これはあなたがたの食物となるであろう。 + また地のすべての獣、空のすべての鳥、地を這うすべてのもの、すなわち命あるものには、食物としてすべての青草を与える」。そのようになった。 + 神が造ったすべての物を見られたところ、それは、はなはだ良かった。夕となり、また朝となった。第六日である。 + + + こうして天と地と、その万象とが完成した。 + 神は第七日にその作業を終えられた。すなわち、そのすべての作業を終って第七日に休まれた。 + 神はその第七日を祝福して、これを聖別された。神がこの日に、そのすべての創造のわざを終って休まれたからである。 + これが天地創造の由来である。主なる神が地と天とを造られた時、 + 地にはまだ野の木もなく、また野の草もはえていなかった。主なる神が地に雨を降らせず、また土を耕す人もなかったからである。 + しかし地から泉がわきあがって土の全面を潤していた。 + 主なる神は土のちりで人を造り、命の息をその鼻に吹きいれられた。そこで人は生きた者となった。 + 主なる神は東のかた、エデンに一つの園を設けて、その造った人をそこに置かれた。 + また主なる神は、見て美しく、食べるに良いすべての木を土からはえさせ、更に園の中央に命の木と、善悪を知る木とをはえさせられた。 + また一つの川がエデンから流れ出て園を潤し、そこから分れて四つの川となった。 + その第一の名はピソンといい、金のあるハビラの全地をめぐるもので、 + その地の金は良く、またそこはブドラクと、しまめのうとを産した。 + 第二の川の名はギホンといい、クシの全地をめぐるもの。 + 第三の川の名はヒデケルといい、アッスリヤの東を流れるもの。第四の川はユフラテである。 + 主なる神は人を連れて行ってエデンの園に置き、これを耕させ、これを守らせられた。 + 主なる神はその人に命じて言われた、「あなたは園のどの木からでも心のままに取って食べてよろしい。 + しかし善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう」。 + また主なる神は言われた、「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」。 + そして主なる神は野のすべての獣と、空のすべての鳥とを土で造り、人のところへ連れてきて、彼がそれにどんな名をつけるかを見られた。人がすべて生き物に与える名は、その名となるのであった。 + それで人は、すべての家畜と、空の鳥と、野のすべての獣とに名をつけたが、人にはふさわしい助け手が見つからなかった。 + そこで主なる神は人を深く眠らせ、眠った時に、そのあばら骨の一つを取って、その所を肉でふさがれた。 + 主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた。 + そのとき、人は言った。「これこそ、ついにわたしの骨の骨、わたしの肉の肉。男から取ったものだから、これを女と名づけよう」。 + それで人はその父と母を離れて、妻と結び合い、一体となるのである。 + 人とその妻とは、ふたりとも裸であったが、恥ずかしいとは思わなかった。 + + + さて主なる神が造られた野の生き物のうちで、へびが最も狡猾であった。へびは女に言った、「園にあるどの木からも取って食べるなと、ほんとうに神が言われたのですか」。 + 女はへびに言った、「わたしたちは園の木の実を食べることは許されていますが、 + ただ園の中央にある木の実については、これを取って食べるな、これに触れるな、死んではいけないからと、神は言われました」。 + へびは女に言った、「あなたがたは決して死ぬことはないでしょう。 + それを食べると、あなたがたの目が開け、神のように善悪を知る者となることを、神は知っておられるのです」。 + 女がその木を見ると、それは食べるに良く、目には美しく、賢くなるには好ましいと思われたから、その実を取って食べ、また共にいた夫にも与えたので、彼も食べた。 + すると、ふたりの目が開け、自分たちの裸であることがわかったので、いちじくの葉をつづり合わせて、腰に巻いた。 + 彼らは、日の涼しい風の吹くころ、園の中に主なる神の歩まれる音を聞いた。そこで、人とその妻とは主なる神の顔を避けて、園の木の間に身を隠した。 + 主なる神は人に呼びかけて言われた、「あなたはどこにいるのか」。 + 彼は答えた、「園の中であなたの歩まれる音を聞き、わたしは裸だったので、恐れて身を隠したのです」。 + 神は言われた、「あなたが裸であるのを、だれが知らせたのか。食べるなと、命じておいた木から、あなたは取って食べたのか」。 + 人は答えた、「わたしと一緒にしてくださったあの女が、木から取ってくれたので、わたしは食べたのです」。 + そこで主なる神は女に言われた、「あなたは、なんということをしたのです」。女は答えた、「へびがわたしをだましたのです。それでわたしは食べました」。 + 主なる神はへびに言われた、「おまえは、この事を、したので、すべての家畜、野のすべての獣のうち、最ものろわれる。おまえは腹で、這いあるき、一生、ちりを食べるであろう。 + わたしは恨みをおく、おまえと女とのあいだに、おまえのすえと女のすえとの間に。彼はおまえのかしらを砕き、おまえは彼のかかとを砕くであろう」。 + つぎに女に言われた、「わたしはあなたの産みの苦しみを大いに増す。あなたは苦しんで子を産む。それでもなお、あなたは夫を慕い、彼はあなたを治めるであろう」。 + 更に人に言われた、「あなたが妻の言葉を聞いて、食べるなと、わたしが命じた木から取って食べたので、地はあなたのためにのろわれ、あなたは一生、苦しんで地から食物を取る。 + 地はあなたのために、いばらとあざみとを生じ、あなたは野の草を食べるであろう。 + あなたは顔に汗してパンを食べ、ついに土に帰る、あなたは土から取られたのだから。あなたは、ちりだから、ちりに帰る」。 + さて、人はその妻の名をエバと名づけた。彼女がすべて生きた者の母だからである。 + 主なる神は人とその妻とのために皮の着物を造って、彼らに着せられた。 + 主なる神は言われた、「見よ、人はわれわれのひとりのようになり、善悪を知るものとなった。彼は手を伸べ、命の木からも取って食べ、永久に生きるかも知れない」。 + そこで主なる神は彼をエデンの園から追い出して、人が造られたその土を耕させられた。 + 神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた。 + + + 人はその妻エバを知った。彼女はみごもり、カインを産んで言った、「わたしは主によって、ひとりの人を得た」。 + 彼女はまた、その弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。 + 日がたって、カインは地の産物を持ってきて、主に供え物とした。 + アベルもまた、その群れのういごと肥えたものとを持ってきた。主はアベルとその供え物とを顧みられた。 + しかしカインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた。 + そこで主はカインに言われた、「なぜあなたは憤るのですか、なぜ顔を伏せるのですか。 + 正しい事をしているのでしたら、顔をあげたらよいでしょう。もし正しい事をしていないのでしたら、罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません」。 + カインは弟アベルに言った、「さあ、野原へ行こう」。彼らが野にいたとき、カインは弟アベルに立ちかかって、これを殺した。 + 主はカインに言われた、「弟アベルは、どこにいますか」。カインは答えた、「知りません。わたしが弟の番人でしょうか」。 + 主は言われた、「あなたは何をしたのです。あなたの弟の血の声が土の中からわたしに叫んでいます。 + 今あなたはのろわれてこの土地を離れなければなりません。この土地が口をあけて、あなたの手から弟の血を受けたからです。 + あなたが土地を耕しても、土地は、もはやあなたのために実を結びません。あなたは地上の放浪者となるでしょう」。 + カインは主に言った、「わたしの罰は重くて負いきれません。 + あなたは、きょう、わたしを地のおもてから追放されました。わたしはあなたを離れて、地上の放浪者とならねばなりません。わたしを見付ける人はだれでもわたしを殺すでしょう」。 + 主はカインに言われた、「いや、そうではない。だれでもカインを殺す者は七倍の復讐を受けるでしょう」。そして主はカインを見付ける者が、だれも彼を打ち殺すことのないように、彼に一つのしるしをつけられた。 + カインは主の前を去って、エデンの東、ノドの地に住んだ。 + カインはその妻を知った。彼女はみごもってエノクを産んだ。カインは町を建て、その町の名をその子の名にしたがって、エノクと名づけた。 + エノクにはイラデが生れた。イラデの子はメホヤエル、メホヤエルの子はメトサエル、メトサエルの子はレメクである。 + レメクはふたりの妻をめとった。ひとりの名はアダといい、ひとりの名はチラといった。 + アダはヤバルを産んだ。彼は天幕に住んで、家畜を飼う者の先祖となった。 + その弟の名はユバルといった。彼は琴や笛を執るすべての者の先祖となった。 + チラもまたトバルカインを産んだ。彼は青銅や鉄のすべての刃物を鍛える者となった。トバルカインの妹をナアマといった。 + レメクはその妻たちに言った、「アダとチラよ、わたしの声を聞け、レメクの妻たちよ、わたしの言葉に耳を傾けよ。わたしは受ける傷のために、人を殺し、受ける打ち傷のために、わたしは若者を殺す。 + カインのための復讐が七倍ならば、レメクのための復讐は七十七倍」。 + アダムはまたその妻を知った。彼女は男の子を産み、その名をセツと名づけて言った、「カインがアベルを殺したので、神はアベルの代りに、ひとりの子をわたしに授けられました」。 + セツにもまた男の子が生れた。彼はその名をエノスと名づけた。この時、人々は主の名を呼び始めた。 + + + アダムの系図は次のとおりである。神が人を創造された時、神をかたどって造り、 + 彼らを男と女とに創造された。彼らが創造された時、神は彼らを祝福して、その名をアダムと名づけられた。 + アダムは百三十歳になって、自分にかたどり、自分のかたちのような男の子を生み、その名をセツと名づけた。 + アダムがセツを生んで後、生きた年は八百年であって、ほかに男子と女子を生んだ。 + アダムの生きた年は合わせて九百三十歳であった。そして彼は死んだ。 + セツは百五歳になって、エノスを生んだ。 + セツはエノスを生んだ後、八百七年生きて、男子と女子を生んだ。 + セツの年は合わせて九百十二歳であった。そして彼は死んだ。 + エノスは九十歳になって、カイナンを生んだ。 + エノスはカイナンを生んだ後、八百十五年生きて、男子と女子を生んだ。 + エノスの年は合わせて九百五歳であった。そして彼は死んだ。 + カイナンは七十歳になって、マハラレルを生んだ。 + カイナンはマハラレルを生んだ後、八百四十年生きて、男子と女子を生んだ。 + カイナンの年は合わせて九百十歳であった。そして彼は死んだ。 + マハラレルは六十五歳になって、ヤレドを生んだ。 + マハラレルはヤレドを生んだ後、八百三十年生きて、男子と女子を生んだ。 + マハラレルの年は合わせて八百九十五歳であった。そして彼は死んだ。 + ヤレドは百六十二歳になって、エノクを生んだ。 + ヤレドはエノクを生んだ後、八百年生きて、男子と女子を生んだ。 + ヤレドの年は合わせて九百六十二歳であった。そして彼は死んだ。 + エノクは六十五歳になって、メトセラを生んだ。 + エノクはメトセラを生んだ後、三百年、神とともに歩み、男子と女子を生んだ。 + エノクの年は合わせて三百六十五歳であった。 + エノクは神とともに歩み、神が彼を取られたので、いなくなった。 + メトセラは百八十七歳になって、レメクを生んだ。 + メトセラはレメクを生んだ後、七百八十二年生きて、男子と女子を生んだ。 + メトセラの年は合わせて九百六十九歳であった。そして彼は死んだ。 + レメクは百八十二歳になって、男の子を生み、 + 「この子こそ、主が地をのろわれたため、骨折り働くわれわれを慰めるもの」と言って、その名をノアと名づけた。 + レメクはノアを生んだ後、五百九十五年生きて、男子と女子を生んだ。 + レメクの年は合わせて七百七十七歳であった。そして彼は死んだ。 + ノアは五百歳になって、セム、ハム、ヤペテを生んだ。 + + + 人が地のおもてにふえ始めて、娘たちが彼らに生れた時、 + 神の子たちは人の娘たちの美しいのを見て、自分の好む者を妻にめとった。 + そこで主は言われた、「わたしの霊はながく人の中にとどまらない。彼は肉にすぎないのだ。しかし、彼の年は百二十年であろう」。 + そのころ、またその後にも、地にネピリムがいた。これは神の子たちが人の娘たちのところにはいって、娘たちに産ませたものである。彼らは昔の勇士であり、有名な人々であった。 + 主は人の悪が地にはびこり、すべてその心に思いはかることが、いつも悪い事ばかりであるのを見られた。 + 主は地の上に人を造ったのを悔いて、心を痛め、 + 「わたしが創造した人を地のおもてからぬぐい去ろう。人も獣も、這うものも、空の鳥までも。わたしは、これらを造ったことを悔いる」と言われた。 + しかし、ノアは主の前に恵みを得た。 + ノアの系図は次のとおりである。ノアはその時代の人々の中で正しく、かつ全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。 + ノアはセム、ハム、ヤペテの三人の子を生んだ。 + 時に世は神の前に乱れて、暴虐が地に満ちた。 + 神が地を見られると、それは乱れていた。すべての人が地の上でその道を乱したからである。 + そこで神はノアに言われた、「わたしは、すべての人を絶やそうと決心した。彼らは地を暴虐で満たしたから、わたしは彼らを地とともに滅ぼそう。 + あなたは、いとすぎの木で箱舟を造り、箱舟の中にへやを設け、アスファルトでそのうちそとを塗りなさい。 + その造り方は次のとおりである。すなわち箱舟の長さは三百キュビト、幅は五十キュビト、高さは三十キュビトとし、 + 箱舟に屋根を造り、上へ一キュビトにそれを仕上げ、また箱舟の戸口をその横に設けて、一階と二階と三階のある箱舟を造りなさい。 + わたしは地の上に洪水を送って、命の息のある肉なるものを、みな天の下から滅ぼし去る。地にあるものは、みな死に絶えるであろう。 + ただし、わたしはあなたと契約を結ぼう。あなたは子らと、妻と、子らの妻たちと共に箱舟にはいりなさい。 + またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二つずつを箱舟に入れて、あなたと共にその命を保たせなさい。それらは雄と雌とでなければならない。 + すなわち、鳥はその種類にしたがい獣はその種類にしたがい、また地のすべての這うものも、その種類にしたがって、それぞれ二つずつ、あなたのところに入れて、命を保たせなさい。 + また、すべての食物となるものをとって、あなたのところにたくわえ、あなたとこれらのものとの食物としなさい」。 + ノアはすべて神の命じられたようにした。 + + + 主はノアに言われた、「あなたと家族とはみな箱舟にはいりなさい。あなたがこの時代の人々の中で、わたしの前に正しい人であるとわたしは認めたからである。 + あなたはすべての清い獣の中から雄と雌とを七つずつ取り、清くない獣の中から雄と雌とを二つずつ取り、 + また空の鳥の中から雄と雌とを七つずつ取って、その種類が全地のおもてに生き残るようにしなさい。 + 七日の後、わたしは四十日四十夜、地に雨を降らせて、わたしの造ったすべての生き物を、地のおもてからぬぐい去ります」。 + ノアはすべて主が命じられたようにした。 + さて洪水が地に起った時、ノアは六百歳であった。 + ノアは子らと、妻と、子らの妻たちと共に洪水を避けて箱舟にはいった。 + また清い獣と、清くない獣と、鳥と、地に這うすべてのものとの、 + 雄と雌とが、二つずつノアのもとにきて、神がノアに命じられたように箱舟にはいった。 + こうして七日の後、洪水が地に起った。 + それはノアの六百歳の二月十七日であって、その日に大いなる淵の源は、ことごとく破れ、天の窓が開けて、 + 雨は四十日四十夜、地に降り注いだ。 + その同じ日に、ノアと、ノアの子セム、ハム、ヤペテと、ノアの妻と、その子らの三人の妻とは共に箱舟にはいった。 + またすべての種類の獣も、すべての種類の家畜も、地のすべての種類の這うものも、すべての種類の鳥も、すべての翼あるものも、皆はいった。 + すなわち命の息のあるすべての肉なるものが、二つずつノアのもとにきて、箱舟にはいった。 + そのはいったものは、すべて肉なるものの雄と雌とであって、神が彼に命じられたようにはいった。そこで主は彼のうしろの戸を閉ざされた。 + 洪水は四十日のあいだ地上にあった。水が増して箱舟を浮べたので、箱舟は地から高く上がった。 + また水がみなぎり、地に増したので、箱舟は水のおもてに漂った。 + 水はまた、ますます地にみなぎり、天の下の高い山々は皆おおわれた。 + 水はその上、さらに十五キュビトみなぎって、山々は全くおおわれた。 + 地の上に動くすべて肉なるものは、鳥も家畜も獣も、地に群がるすべての這うものも、すべての人もみな滅びた。 + すなわち鼻に命の息のあるすべてのもの、陸にいたすべてのものは死んだ。 + 地のおもてにいたすべての生き物は、人も家畜も、這うものも、空の鳥もみな地からぬぐい去られて、ただノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。 + 水は百五十日のあいだ地上にみなぎった。 + + + 神はノアと、箱舟の中にいたすべての生き物と、すべての家畜とを心にとめられた。神が風を地の上に吹かせられたので、水は退いた。 + また淵の源と、天の窓とは閉ざされて、天から雨が降らなくなった。 + それで水はしだいに地の上から引いて、百五十日の後には水が減り、 + 箱舟は七月十七日にアララテの山にとどまった。 + 水はしだいに減って、十月になり、十月一日に山々の頂が現れた。 + 四十日たって、ノアはその造った箱舟の窓を開いて、 + からすを放ったところ、からすは地の上から水がかわききるまで、あちらこちらへ飛びまわった。 + ノアはまた地のおもてから、水がひいたかどうかを見ようと、彼の所から、はとを放ったが、 + はとは足の裏をとどめる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰ってきた。水がまだ全地のおもてにあったからである。彼は手を伸べて、これを捕え、箱舟の中の彼のもとに引き入れた。 + それから七日待って再びはとを箱舟から放った。 + はとは夕方になって彼のもとに帰ってきた。見ると、そのくちばしには、オリブの若葉があった。ノアは地から水がひいたのを知った。 + さらに七日待ってまた、はとを放ったところ、もはや彼のもとには帰ってこなかった。 + 六百一歳の一月一日になって、地の上の水はかれた。ノアが箱舟のおおいを取り除いて見ると、土のおもては、かわいていた。 + 二月二十七日になって、地は全くかわいた。 + この時、神はノアに言われた、 + 「あなたは妻と、子らと、子らの妻たちと共に箱舟を出なさい。 + あなたは、共にいる肉なるすべての生き物、すなわち鳥と家畜と、地のすべての這うものとを連れて出て、これらのものが地に群がり、地の上にふえ広がるようにしなさい」。 + ノアは共にいた子らと、妻と、子らの妻たちとを連れて出た。 + またすべての獣、すべての這うもの、すべての鳥、すべて地の上に動くものは皆、種類にしたがって箱舟を出た。 + ノアは主に祭壇を築いて、すべての清い獣と、すべての清い鳥とのうちから取って、燔祭を祭壇の上にささげた。 + 主はその香ばしいかおりをかいで、心に言われた、「わたしはもはや二度と人のゆえに地をのろわない。人が心に思い図ることは、幼い時から悪いからである。わたしは、このたびしたように、もう二度と、すべての生きたものを滅ぼさない。 + 地のある限り、種まきの時も、刈入れの時も、暑さ寒さも、夏冬も、昼も夜もやむことはないであろう」。 + + + 神はノアとその子らとを祝福して彼らに言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ。 + 地のすべての獣、空のすべての鳥、地に這うすべてのもの、海のすべての魚は恐れおののいて、あなたがたの支配に服し、 + すべて生きて動くものはあなたがたの食物となるであろう。さきに青草をあなたがたに与えたように、わたしはこれらのものを皆あなたがたに与える。 + しかし肉を、その命である血のままで、食べてはならない。 + あなたがたの命の血を流すものには、わたしは必ず報復するであろう。いかなる獣にも報復する。兄弟である人にも、わたしは人の命のために、報復するであろう。 + 人の血を流すものは、人に血を流される、神が自分のかたちに人を造られたゆえに。 + あなたがたは、生めよ、ふえよ、地に群がり、地の上にふえよ」。 + 神はノアおよび共にいる子らに言われた、 + 「わたしはあなたがた及びあなたがたの後の子孫と契約を立てる。 + またあなたがたと共にいるすべての生き物、あなたがたと共にいる鳥、家畜、地のすべての獣、すなわち、すべて箱舟から出たものは、地のすべての獣にいたるまで、わたしはそれと契約を立てよう。 + わたしがあなたがたと立てるこの契約により、すべて肉なる者は、もはや洪水によって滅ぼされることはなく、また地を滅ぼす洪水は、再び起らないであろう」。 + さらに神は言われた、「これはわたしと、あなたがた及びあなたがたと共にいるすべての生き物との間に代々かぎりなく、わたしが立てる契約のしるしである。 + すなわち、わたしは雲の中に、にじを置く。これがわたしと地との間の契約のしるしとなる。 + わたしが雲を地の上に起すとき、にじは雲の中に現れる。 + こうして、わたしは、わたしとあなたがた、及びすべて肉なるあらゆる生き物との間に立てた契約を思いおこすゆえ、水はふたたび、すべて肉なる者を滅ぼす洪水とはならない。 + にじが雲の中に現れるとき、わたしはこれを見て、神が地上にあるすべて肉なるあらゆる生き物との間に立てた永遠の契約を思いおこすであろう」。 + そして神はノアに言われた、「これがわたしと地にあるすべて肉なるものとの間に、わたしが立てた契約のしるしである」。 + 箱舟から出たノアの子らはセム、ハム、ヤペテであった。ハムはカナンの父である。 + この三人はノアの子らで、全地の民は彼らから出て、広がったのである。 + さてノアは農夫となり、ぶどう畑をつくり始めたが、 + 彼はぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。 + カナンの父ハムは父の裸を見て、外にいるふたりの兄弟に告げた。 + セムとヤペテとは着物を取って、肩にかけ、うしろ向きに歩み寄って、父の裸をおおい、顔をそむけて父の裸を見なかった。 + やがてノアは酔いがさめて、末の子が彼にした事を知ったとき、 + 彼は言った、「カナンはのろわれよ。彼はしもべのしもべとなって、その兄弟たちに仕える」。 + また言った、「セムの神、主はほむべきかな、カナンはそのしもべとなれ。 + 神はヤペテを大いならしめ、セムの天幕に彼を住まわせられるように。カナンはそのしもべとなれ」。 + ノアは洪水の後、なお三百五十年生きた。 + ノアの年は合わせて九百五十歳であった。そして彼は死んだ。 + + + ノアの子セム、ハム、ヤペテの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに子が生れた。 + ヤペテの子孫はゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メセク、テラスであった。 + ゴメルの子孫はアシケナズ、リパテ、トガルマ。 + ヤワンの子孫はエリシャ、タルシシ、キッテム、ドダニムであった。 + これらから海沿いの地の国民が分れて、おのおのその土地におり、その言語にしたがい、その氏族にしたがって、その国々に住んだ。 + ハムの子孫はクシ、ミツライム、プテ、カナンであった。 + クシの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカであり、ラアマの子孫はシバとデダンであった。 + クシの子はニムロデであって、このニムロデは世の権力者となった最初の人である。 + 彼は主の前に力ある狩猟者であった。これから「主の前に力ある狩猟者ニムロデのごとし」ということわざが起った。 + 彼の国は最初シナルの地にあるバベル、エレク、アカデ、カルネであった。 + 彼はその地からアッスリヤに出て、ニネベ、レホボテイリ、カラ、 + およびニネベとカラとの間にある大いなる町レセンを建てた。 + ミツライムからルデ族、アナミ族、レハビ族、ナフト族、 + パテロス族、カスル族、カフトリ族が出た。カフトリ族からペリシテ族が出た。 + カナンからその長子シドンが出て、またヘテが出た。 + その他エブスびと、アモリびと、ギルガシびと、 + ヒビびと、アルキびと、セニびと、 + アルワデびと、ゼマリびと、ハマテびとが出た。後になってカナンびとの氏族がひろがった。 + カナンびとの境はシドンからゲラルを経てガザに至り、ソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムを経て、レシャに及んだ。 + これらはハムの子孫であって、その氏族とその言語とにしたがって、その土地と、その国々にいた。 + セムにも子が生れた。セムはエベルのすべての子孫の先祖であって、ヤペテの兄であった。 + セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラムであった。 + アラムの子孫はウヅ、ホル、ゲテル、マシであった。 + アルパクサデの子はシラ、シラの子はエベルである。 + エベルにふたりの子が生れた。そのひとりの名をペレグといった。これは彼の代に地の民が分れたからである。その弟の名をヨクタンといった。 + ヨクタンにアルモダデ、シャレフ、ハザルマウテ、エラ、 + ハドラム、ウザル、デクラ、 + オバル、アビマエル、シバ、 + オフル、ハビラ、ヨバブが生れた。これらは皆ヨクタンの子であった。 + 彼らが住んだ所はメシャから東の山地セパルに及んだ。 + これらはセムの子孫であって、その氏族とその言語とにしたがって、その土地と、その国々にいた。 + これらはノアの子らの氏族であって、血統にしたがって国々に住んでいたが、洪水の後、これらから地上の諸国民が分れたのである。 + + + 全地は同じ発音、同じ言葉であった。 + 時に人々は東に移り、シナルの地に平野を得て、そこに住んだ。 + 彼らは互に言った、「さあ、れんがを造って、よく焼こう」。こうして彼らは石の代りに、れんがを得、しっくいの代りに、アスファルトを得た。 + 彼らはまた言った、「さあ、町と塔とを建てて、その頂を天に届かせよう。そしてわれわれは名を上げて、全地のおもてに散るのを免れよう」。 + 時に主は下って、人の子たちの建てる町と塔とを見て、 + 言われた、「民は一つで、みな同じ言葉である。彼らはすでにこの事をしはじめた。彼らがしようとする事は、もはや何事もとどめ得ないであろう。 + さあ、われわれは下って行って、そこで彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」。 + こうして主が彼らをそこから全地のおもてに散らされたので、彼らは町を建てるのをやめた。 + これによってその町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を乱されたからである。主はそこから彼らを全地のおもてに散らされた。 + セムの系図は次のとおりである。セムは百歳になって洪水の二年の後にアルパクサデを生んだ。 + セムはアルパクサデを生んで後、五百年生きて、男子と女子を生んだ。 + アルパクサデは三十五歳になってシラを生んだ。 + アルパクサデはシラを生んで後、四百三年生きて、男子と女子を生んだ。 + シラは三十歳になってエベルを生んだ。 + シラはエベルを生んで後、四百三年生きて、男子と女子を生んだ。 + エベルは三十四歳になってペレグを生んだ。 + エベルはペレグを生んで後、四百三十年生きて、男子と女子を生んだ。 + ペレグは三十歳になってリウを生んだ。 + ペレグはリウを生んで後、二百九年生きて、男子と女子を生んだ。 + リウは三十二歳になってセルグを生んだ。 + リウはセルグを生んで後、二百七年生きて、男子と女子を生んだ。 + セルグは三十歳になってナホルを生んだ。 + セルグはナホルを生んで後、二百年生きて、男子と女子を生んだ。 + ナホルは二十九歳になってテラを生んだ。 + ナホルはテラを生んで後、百十九年生きて、男子と女子を生んだ。 + テラは七十歳になってアブラム、ナホルおよびハランを生んだ。 + テラの系図は次のとおりである。テラはアブラム、ナホルおよびハランを生み、ハランはロトを生んだ。 + ハランは父テラにさきだって、その生れた地、カルデヤのウルで死んだ。 + アブラムとナホルは妻をめとった。アブラムの妻の名はサライといい、ナホルの妻の名はミルカといってハランの娘である。ハランはミルカの父、またイスカの父である。 + サライはうまずめで、子がなかった。 + テラはその子アブラムと、ハランの子である孫ロトと、子アブラムの妻である嫁サライとを連れて、カナンの地へ行こうとカルデヤのウルを出たが、ハランに着いてそこに住んだ。 + テラの年は二百五歳であった。テラはハランで死んだ。 + + + 時に主はアブラムに言われた、「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい。 + わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大きくしよう。あなたは祝福の基となるであろう。 + あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地のすべてのやからは、あなたによって祝福される」。 + アブラムは主が言われたようにいで立った。ロトも彼と共に行った。アブラムはハランを出たとき七十五歳であった。 + アブラムは妻サライと、弟の子ロトと、集めたすべての財産と、ハランで獲た人々とを携えてカナンに行こうとしていで立ち、カナンの地にきた。 + アブラムはその地を通ってシケムの所、モレのテレビンの木のもとに着いた。そのころカナンびとがその地にいた。 + 時に主はアブラムに現れて言われた、「わたしはあなたの子孫にこの地を与えます」。アブラムは彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。 + 彼はそこからベテルの東の山に移って天幕を張った。西にはベテル、東にはアイがあった。そこに彼は主のために祭壇を築いて、主の名を呼んだ。 + アブラムはなお進んでネゲブに移った。 + さて、その地にききんがあったのでアブラムはエジプトに寄留しようと、そこに下った。ききんがその地に激しかったからである。 + エジプトにはいろうとして、そこに近づいたとき、彼は妻サライに言った、「わたしはあなたが美しい女であるのを知っています。 + それでエジプトびとがあなたを見る時、これは彼の妻であると言ってわたしを殺し、あなたを生かしておくでしょう。 + どうかあなたは、わたしの妹だと言ってください。そうすればわたしはあなたのおかげで無事であり、わたしの命はあなたによって助かるでしょう」。 + アブラムがエジプトにはいった時エジプトびとはこの女を見て、たいそう美しい人であるとし、 + またパロの高官たちも彼女を見てパロの前でほめたので、女はパロの家に召し入れられた。 + パロは彼女のゆえにアブラムを厚くもてなしたので、アブラムは多くの羊、牛、雌雄のろば、男女の奴隷および、らくだを得た。 + ところで主はアブラムの妻サライのゆえに、激しい疫病をパロとその家に下された。 + パロはアブラムを召し寄せて言った、「あなたはわたしになんという事をしたのですか。なぜ彼女が妻であるのをわたしに告げなかったのですか。 + あなたはなぜ、彼女はわたしの妹ですと言ったのですか。わたしは彼女を妻にしようとしていました。さあ、あなたの妻はここにいます。連れて行ってください」。 + パロは彼の事について人々に命じ、彼とその妻およびそのすべての持ち物を送り去らせた。 + + + アブラムは妻とすべての持ち物を携え、エジプトを出て、ネゲブに上った。ロトも彼と共に上った。 + アブラムは家畜と金銀に非常に富んでいた。 + 彼はネゲブから旅路を進めてベテルに向かい、ベテルとアイの間の、さきに天幕を張った所に行った。 + すなわち彼が初めに築いた祭壇の所に行き、その所でアブラムは主の名を呼んだ。 + アブラムと共に行ったロトも羊、牛および天幕を持っていた。 + その地は彼らをささえて共に住ませることができなかった。彼らの財産が多かったため、共に住めなかったのである。 + アブラムの家畜の牧者たちとロトの家畜の牧者たちの間に争いがあった。そのころカナンびととペリジびとがその地に住んでいた。 + アブラムはロトに言った、「わたしたちは身内の者です。わたしとあなたの間にも、わたしの牧者たちとあなたの牧者たちの間にも争いがないようにしましょう。 + 全地はあなたの前にあるではありませんか。どうかわたしと別れてください。あなたが左に行けばわたしは右に行きます。あなたが右に行けばわたしは左に行きましょう」。 + ロトが目を上げてヨルダンの低地をあまねく見わたすと、主がソドムとゴモラを滅ぼされる前であったから、ゾアルまで主の園のように、またエジプトの地のように、すみずみまでよく潤っていた。 + そこでロトはヨルダンの低地をことごとく選びとって東に移った。こうして彼らは互に別れた。 + アブラムはカナンの地に住んだが、ロトは低地の町々に住み、天幕をソドムに移した。 + ソドムの人々はわるく、主に対して、はなはだしい罪びとであった。 + ロトがアブラムに別れた後に、主はアブラムに言われた、「目をあげてあなたのいる所から北、南、東、西を見わたしなさい。 + すべてあなたが見わたす地は、永久にあなたとあなたの子孫に与えます。 + わたしはあなたの子孫を地のちりのように多くします。もし人が地のちりを数えることができるなら、あなたの子孫も数えられることができましょう。 + あなたは立って、その地をたてよこに行き巡りなさい。わたしはそれをあなたに与えます」。 + アブラムは天幕を移してヘブロンにあるマムレのテレビンの木のかたわらに住み、その所で主に祭壇を築いた。 + + + シナルの王アムラペル、エラサルの王アリオク、エラムの王ケダラオメルおよびゴイムの王テダルの世に、 + これらの王はソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデマの王シナブ、ゼボイムの王セメベル、およびベラすなわちゾアルの王と戦った。 + これら五人の王はみな同盟してシデムの谷、すなわち塩の海に向かって行った。 + すなわち彼らは十二年の間ケダラオメルに仕えたが、十三年目にそむいたので、 + 十四年目にケダラオメルは彼と連合した王たちと共にきて、アシタロテ・カルナイムでレパイムびとを、ハムでズジびとを、シャベ・キリアタイムでエミびとを撃ち、 + セイルの山地でホリびとを撃って、荒野のほとりにあるエル・パランに及んだ。 + 彼らは引き返してエン・ミシパテすなわちカデシへ行って、アマレクびとの国をことごとく撃ち、またハザゾン・タマルに住むアモリびとをも撃った。 + そこでソドムの王、ゴモラの王、アデマの王、ゼボイムの王およびベラすなわちゾアルの王は出てシデムの谷で彼らに向かい、戦いの陣をしいた。 + すなわちエラムの王ケダラオメル、ゴイムの王テダル、シナルの王アムラペル、エラサルの王アリオクの四人の王に対する五人の王であった。 + シデムの谷にはアスファルトの穴が多かったので、ソドムの王とゴモラの王は逃げてそこに落ちたが、残りの者は山にのがれた。 + そこで彼らはソドムとゴモラの財産と食料とをことごとく奪って去り、 + またソドムに住んでいたアブラムの弟の子ロトとその財産を奪って去った。 + 時に、ひとりの人がのがれてきて、ヘブルびとアブラムに告げた。この時アブラムはエシコルの兄弟、またアネルの兄弟であるアモリびとマムレのテレビンの木のかたわらに住んでいた。彼らはアブラムと同盟していた。 + アブラムは身内の者が捕虜になったのを聞き、訓練した家の子三百十八人を引き連れてダンまで追って行き、 + そのしもべたちを分けて、夜かれらを攻め、これを撃ってダマスコの北、ホバまで彼らを追った。 + そして彼はすべての財産を取り返し、また身内の者ロトとその財産および女たちと民とを取り返した。 + アブラムがケダラオメルとその連合の王たちを撃ち破って帰った時、ソドムの王はシャベの谷、すなわち王の谷に出て彼を迎えた。 + その時、サレムの王メルキゼデクはパンとぶどう酒とを持ってきた。彼はいと高き神の祭司である。 + 彼はアブラムを祝福して言った、「願わくは天地の主なるいと高き神が、アブラムを祝福されるように。 + 願わくはあなたの敵をあなたの手に渡されたいと高き神があがめられるように」。アブラムは彼にすべての物の十分の一を贈った。 + 時にソドムの王はアブラムに言った、「わたしには人をください。財産はあなたが取りなさい」。 + アブラムはソドムの王に言った、「天地の主なるいと高き神、主に手をあげて、わたしは誓います。 + わたしは糸一本でも、くつひも一本でも、あなたのものは何にも受けません。アブラムを富ませたのはわたしだと、あなたが言わないように。 + ただし若者たちがすでに食べた物は別です。そしてわたしと共に行った人々アネルとエシコルとマムレとにはその分を取らせなさい」。 + + + これらの事の後、主の言葉が幻のうちにアブラムに臨んだ、「アブラムよ恐れてはならない、わたしはあなたの盾である。あなたの受ける報いは、はなはだ大きいであろう」。 + アブラムは言った、「主なる神よ、わたしには子がなく、わたしの家を継ぐ者はダマスコのエリエゼルであるのに、あなたはわたしに何をくださろうとするのですか」。 + アブラムはまた言った、「あなたはわたしに子を賜わらないので、わたしの家に生れたしもべが、あとつぎとなるでしょう」。 + この時、主の言葉が彼に臨んだ、「この者はあなたのあとつぎとなるべきではありません。あなたの身から出る者があとつぎとなるべきです」。 + そして主は彼を外に連れ出して言われた、「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみなさい」。また彼に言われた、「あなたの子孫はあのようになるでしょう」。 + アブラムは主を信じた。主はこれを彼の義と認められた。 + また主は彼に言われた、「わたしはこの地をあなたに与えて、これを継がせようと、あなたをカルデヤのウルから導き出した主です」。 + 彼は言った、「主なる神よ、わたしがこれを継ぐのをどうして知ることができますか」。 + 主は彼に言われた、「三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山ばとと、家ばとのひなとをわたしの所に連れてきなさい」。 + 彼はこれらをみな連れてきて、二つに裂き、裂いたものを互に向かい合わせて置いた。ただし、鳥は裂かなかった。 + 荒い鳥が死体の上に降りるとき、アブラムはこれを追い払った。 + 日の入るころ、アブラムが深い眠りにおそわれた時、大きな恐ろしい暗やみが彼に臨んだ。 + 時に主はアブラムに言われた、「あなたはよく心にとめておきなさい。あなたの子孫は他の国に旅びととなって、その人々に仕え、その人々は彼らを四百年の間、悩ますでしょう。 + しかし、わたしは彼らが仕えたその国民をさばきます。その後かれらは多くの財産を携えて出て来るでしょう。 + あなたは安らかに先祖のもとに行きます。そして高齢に達して葬られるでしょう。 + 四代目になって彼らはここに帰って来るでしょう。アモリびとの悪がまだ満ちないからです」。 + やがて日は入り、暗やみになった時、煙の立つかまど、炎の出るたいまつが、裂いたものの間を通り過ぎた。 + その日、主はアブラムと契約を結んで言われた、「わたしはこの地をあなたの子孫に与える。エジプトの川から、かの大川ユフラテまで。 + すなわちケニびと、ケニジびと、カドモニびと、 + ヘテびと、ペリジびと、レパイムびと、 + アモリびと、カナンびと、ギルガシびと、エブスびとの地を与える」。 + + + アブラムの妻サライは子を産まなかった。彼女にひとりのつかえめがあった。エジプトの女で名をハガルといった。 + サライはアブラムに言った、「主はわたしに子をお授けになりません。どうぞ、わたしのつかえめの所におはいりください。彼女によってわたしは子をもつことになるでしょう」。アブラムはサライの言葉を聞きいれた。 + アブラムの妻サライはそのつかえめエジプトの女ハガルをとって、夫アブラムに妻として与えた。これはアブラムがカナンの地に十年住んだ後であった。 + 彼はハガルの所にはいり、ハガルは子をはらんだ。彼女は自分のはらんだのを見て、女主人を見下げるようになった。 + そこでサライはアブラムに言った、「わたしが受けた害はあなたの責任です。わたしのつかえめをあなたのふところに与えたのに、彼女は自分のはらんだのを見て、わたしを見下さげます。どうか、主があなたとわたしの間をおさばきになるように」。 + アブラムはサライに言った、「あなたのつかえめはあなたの手のうちにある。あなたの好きなように彼女にしなさい」。そしてサライが彼女を苦しめたので、彼女はサライの顔を避けて逃げた。 + 主の使は荒野にある泉のほとり、すなわちシュルの道にある泉のほとりで、彼女に会い、 + そして言った、「サライのつかえめハガルよ、あなたはどこからきたのですか、またどこへ行くのですか」。彼女は言った、「わたしは女主人サライの顔を避けて逃げているのです」。 + 主の使は彼女に言った、「あなたは女主人のもとに帰って、その手に身を任せなさい」。 + 主の使はまた彼女に言った、「わたしは大いにあなたの子孫を増して、数えきれないほどに多くしましょう」。 + 主の使はまた彼女に言った、「あなたは、みごもっています。あなたは男の子を産むでしょう。名をイシマエルと名づけなさい。主があなたの苦しみを聞かれたのです。 + 彼は野ろばのような人となり、その手はすべての人に逆らい、すべての人の手は彼に逆らい、彼はすべての兄弟に敵して住むでしょう」。 + そこで、ハガルは自分に語られた主の名を呼んで、「あなたはエル・ロイです」と言った。彼女が「ここでも、わたしを見ていられるかたのうしろを拝めたのか」と言ったことによる。 + それでその井戸は「ベエル・ラハイ・ロイ」と呼ばれた。これはカデシとベレデの間にある。 + ハガルはアブラムに男の子を産んだ。アブラムはハガルが産んだ子の名をイシマエルと名づけた。 + ハガルがイシマエルをアブラムに産んだ時、アブラムは八十六歳であった。 + + + アブラムの九十九歳の時、主はアブラムに現れて言われた、「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前に歩み、全き者であれ。 + わたしはあなたと契約を結び、大いにあなたの子孫を増すであろう」。 + アブラムは、ひれ伏した。神はまた彼に言われた、 + 「わたしはあなたと契約を結ぶ。あなたは多くの国民の父となるであろう。 + あなたの名は、もはやアブラムとは言われず、あなたの名はアブラハムと呼ばれるであろう。わたしはあなたを多くの国民の父とするからである。 + わたしはあなたに多くの子孫を得させ、国々の民をあなたから起そう。また、王たちもあなたから出るであろう。 + わたしはあなた及び後の代々の子孫と契約を立てて、永遠の契約とし、あなたと後の子孫との神となるであろう。 + わたしはあなたと後の子孫とにあなたの宿っているこの地、すなわちカナンの全地を永久の所有として与える。そしてわたしは彼らの神となるであろう」。 + 神はまたアブラハムに言われた、「あなたと後の子孫とは共に代々わたしの契約を守らなければならない。あなたがたのうち + 男子はみな割礼をうけなければならない。これはわたしとあなたがた及び後の子孫との間のわたしの契約であって、あなたがたの守るべきものである。 + あなたがたは前の皮に割礼を受けなければならない。それがわたしとあなたがたとの間の契約のしるしとなるであろう。 + あなたがたのうちの男子はみな代々、家に生れた者も、また異邦人から銀で買い取った、あなたの子孫でない者も、生れて八日目に割礼を受けなければならない。 + あなたの家に生れた者も、あなたが銀で買い取った者も必ず割礼を受けなければならない。こうしてわたしの契約はあなたがたの身にあって永遠の契約となるであろう。 + 割礼を受けない男子、すなわち前の皮を切らない者はわたしの契約を破るゆえ、その人は民のうちから断たれるであろう」。 + 神はまたアブラハムに言われた、「あなたの妻サライは、もはや名をサライといわず、名をサラと言いなさい。 + わたしは彼女を祝福し、また彼女によって、あなたにひとりの男の子を授けよう。わたしは彼女を祝福し、彼女を国々の民の母としよう。彼女から、もろもろの民の王たちが出るであろう」。 + アブラハムはひれ伏して笑い、心の中で言った、「百歳の者にどうして子が生れよう。サラはまた九十歳にもなって、どうして産むことができようか」。 + そしてアブラハムは神に言った、「どうかイシマエルがあなたの前に生きながらえますように」。 + 神は言われた、「いや、あなたの妻サラはあなたに男の子を産むでしょう。名をイサクと名づけなさい。わたしは彼と契約を立てて、後の子孫のために永遠の契約としよう。 + またイシマエルについてはあなたの願いを聞いた。わたしは彼を祝福して多くの子孫を得させ、大いにそれを増すであろう。彼は十二人の君たちを生むであろう。わたしは彼を大いなる国民としよう。 + しかしわたしは来年の今ごろサラがあなたに産むイサクと、わたしの契約を立てるであろう」。 + 神はアブラハムと語り終え、彼を離れて、のぼられた。 + アブラハムは神が自分に言われたように、この日その子イシマエルと、すべて家に生れた者およびすべて銀で買い取った者、すなわちアブラハムの家の人々のうち、すべての男子を連れてきて、前の皮に割礼を施した。 + アブラハムが前の皮に割礼を受けた時は九十九歳、 + その子イシマエルが前の皮に割礼を受けた時は十三歳であった。 + この日アブラハムとその子イシマエルは割礼を受けた。 + またその家の人々は家に生れた者も、銀で異邦人から買い取った者も皆、彼と共に割礼を受けた。 + + + 主はマムレのテレビンの木のかたわらでアブラハムに現れられた。それは昼の暑いころで、彼は天幕の入口にすわっていたが、 + 目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。彼はこれを見て、天幕の入口から走って行って彼らを迎え、地に身をかがめて、 + 言った、「わが主よ、もしわたしがあなたの前に恵みを得ているなら、どうぞしもべを通り過ごさないでください。 + 水をすこし取ってこさせますから、あなたがたは足を洗って、この木の下でお休みください。 + わたしは一口のパンを取ってきます。元気をつけて、それからお出かけください。せっかくしもべの所においでになったのですから」。彼らは言った、「お言葉どおりにしてください」。 + そこでアブラハムは急いで天幕に入り、サラの所に行って言った、「急いで細かい麦粉三セヤをとり、こねてパンを造りなさい」。 + アブラハムは牛の群れに走って行き、柔らかな良い子牛を取って若者に渡したので、急いで調理した。 + そしてアブラハムは凝乳と牛乳および子牛の調理したものを取って、彼らの前に供え、木の下で彼らのかたわらに立って給仕し、彼らは食事した。 + 彼らはアブラハムに言った、「あなたの妻サラはどこにおられますか」。彼は言った、「天幕の中です」。 + そのひとりが言った、「来年の春、わたしはかならずあなたの所に帰ってきましょう。その時、あなたの妻サラには男の子が生れているでしょう」。サラはうしろの方の天幕の入口で聞いていた。 + さてアブラハムとサラとは年がすすみ、老人となり、サラは女の月のものが、すでに止まっていた。 + それでサラは心の中で笑って言った、「わたしは衰え、主人もまた老人であるのに、わたしに楽しみなどありえようか」。 + 主はアブラハムに言われた、「なぜサラは、わたしは老人であるのに、どうして子を産むことができようかと言って笑ったのか。 + 主にとって不可能なことがありましょうか。来年の春、定めの時に、わたしはあなたの所に帰ってきます。そのときサラには男の子が生れているでしょう」。 + サラは恐れたので、これを打ち消して言った、「わたしは笑いません」。主は言われた、「いや、あなたは笑いました」。 + その人々はそこを立ってソドムの方に向かったので、アブラハムは彼らを見送って共に行った。 + 時に主は言われた、「わたしのしようとする事をアブラハムに隠してよいであろうか。 + アブラハムは必ず大きな強い国民となって、地のすべての民がみな、彼によって祝福を受けるのではないか。 + わたしは彼が後の子らと家族とに命じて主の道を守らせ、正義と公道とを行わせるために彼を知ったのである。これは主がかつてアブラハムについて言った事を彼の上に臨ませるためである」。 + 主はまた言われた、「ソドムとゴモラの叫びは大きく、またその罪は非常に重いので、 + わたしはいま下って、わたしに届いた叫びのとおりに、すべて彼らがおこなっているかどうかを見て、それを知ろう」。 + その人々はそこから身を巡らしてソドムの方に行ったが、アブラハムはなお、主の前に立っていた。 + アブラハムは近寄って言った、「まことにあなたは正しい者を、悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。 + たとい、あの町に五十人の正しい者があっても、あなたはなお、その所を滅ぼし、その中にいる五十人の正しい者のためにこれをゆるされないのですか。 + 正しい者と悪い者とを一緒に殺すようなことを、あなたは決してなさらないでしょう。正しい者と悪い者とを同じようにすることも、あなたは決してなさらないでしょう。全地をさばく者は公義を行うべきではありませんか」。 + 主は言われた、「もしソドムで町の中に五十人の正しい者があったら、その人々のためにその所をすべてゆるそう」。 + アブラハムは答えて言った、「わたしはちり灰に過ぎませんが、あえてわが主に申します。 + もし五十人の正しい者のうち五人欠けたなら、その五人欠けたために町を全く滅ぼされますか」。主は言われた、「もしそこに四十五人いたら、滅ぼさないであろう」。 + アブラハムはまた重ねて主に言った、「もしそこに四十人いたら」。主は言われた、「その四十人のために、これをしないであろう」。 + アブラハムは言った、「わが主よ、どうかお怒りにならぬよう。わたしは申します。もしそこに三十人いたら」。主は言われた、「そこに三十人いたら、これをしないであろう」。 + アブラハムは言った、「いまわたしはあえてわが主に申します。もしそこに二十人いたら」。主は言われた、「わたしはその二十人のために滅ぼさないであろう」。 + アブラハムは言った、「わが主よ、どうかお怒りにならぬよう。わたしはいま一度申します、もしそこに十人いたら」。主は言われた、「わたしはその十人のために滅ぼさないであろう」。 + 主はアブラハムと語り終り、去って行かれた。アブラハムは自分の所に帰った。 + + + そのふたりのみ使は夕暮にソドムに着いた。そのときロトはソドムの門にすわっていた。ロトは彼らを見て、立って迎え、地に伏して、 + 言った、「わが主よ、どうぞしもべの家に立寄って足を洗い、お泊まりください。そして朝早く起きてお立ちください」。彼らは言った、「いや、われわれは広場で夜を過ごします」。 + しかしロトがしいて勧めたので、彼らはついに彼の所に寄り、家にはいった。ロトは彼らのためにふるまいを設け、種入れぬパンを焼いて食べさせた。 + ところが彼らの寝ないうちに、ソドムの町の人々は、若い者も老人も、民がみな四方からきて、その家を囲み、 + ロトに叫んで言った、「今夜おまえの所にきた人々はどこにいるか。それをここに出しなさい。われわれは彼らを知るであろう」。 + ロトは入口におる彼らの所に出て行き、うしろの戸を閉じて、 + 言った、「兄弟たちよ、どうか悪い事はしないでください。 + わたしにまだ男を知らない娘がふたりあります。わたしはこれをあなたがたに、さし出しますから、好きなようにしてください。ただ、わたしの屋根の下にはいったこの人たちには、何もしないでください」。 + 彼らは言った、「退け」。また言った、「この男は渡ってきたよそ者であるのに、いつも、さばきびとになろうとする。それで、われわれは彼らに加えるよりも、おまえに多くの害を加えよう」。彼らはロトの身に激しく迫り、進み寄って戸を破ろうとした。 + その時、かのふたりは手を伸べてロトを家の内に引き入れ、戸を閉じた。 + そして家の入口におる人々を、老若の別なく打って目をくらましたので、彼らは入口を捜すのに疲れた。 + ふたりはロトに言った、「ほかにあなたの身内の者がここにおりますか。あなたのむこ、むすこ、娘およびこの町におるあなたの身内の者を、皆ここから連れ出しなさい。 + われわれがこの所を滅ぼそうとしているからです。人々の叫びが主の前に大きくなり、主はこの所を滅ぼすために、われわれをつかわされたのです」。 + そこでロトは出て行って、その娘たちをめとるむこたちに告げて言った、「立ってこの所から出なさい。主がこの町を滅ぼされます」。しかしそれはむこたちには戯むれごとに思えた。 + 夜が明けて、み使たちはロトを促して言った 「立って、ここにいるあなたの妻とふたりの娘とを連れ出しなさい。そうしなければ、あなたもこの町の不義のために滅ぼされるでしょう」。 + 彼はためらっていたが、主は彼にあわれみを施されたので、かのふたりは彼の手と、その妻の手と、ふたりの娘の手を取って連れ出し、町の外に置いた。 + 彼らを外に連れ出した時そのひとりは言った、「のがれて、自分の命を救いなさい。うしろをふりかえって見てはならない。低地にはどこにも立ち止まってはならない。山にのがれなさい。そうしなければ、あなたは滅びます」。 + ロトは彼らに言った、「わが主よ、どうか、そうさせないでください。 + しもべはすでにあなたの前に恵みを得ました。あなたはわたしの命を救って、大いなるいつくしみを施されました。しかしわたしは山まではのがれる事ができません。災が身に追い迫ってわたしは死ぬでしょう。 + あの町をごらんなさい。逃げていくのに近く、また小さい町です。どうかわたしをそこにのがれさせてください。それは小さいではありませんか。そうすればわたしの命は助かるでしょう」。 + み使は彼に言った、「わたしはこの事でもあなたの願いをいれて、あなたの言うその町は滅ぼしません。 + 急いでそこへのがれなさい。あなたがそこに着くまでは、わたしは何事もすることができません」。これによって、その町の名はゾアルと呼ばれた。 + ロトがゾアルに着いた時、日は地の上にのぼった。 + 主は硫黄と火とを主の所すなわち天からソドムとゴモラの上に降らせて、 + これらの町と、すべての低地と、その町々のすべての住民と、その地にはえている物を、ことごとく滅ぼされた。 + しかしロトの妻はうしろを顧みたので塩の柱になった。 + アブラハムは朝早く起き、さきに主の前に立った所に行って、 + ソドムとゴモラの方、および低地の全面をながめると、その地の煙が、かまどの煙のように立ちのぼっていた。 + こうして神が低地の町々をこぼたれた時、すなわちロトの住んでいた町々を滅ぼされた時、神はアブラハムを覚えて、その滅びの中からロトを救い出された。 + ロトはゾアルを出て上り、ふたりの娘と共に山に住んだ。ゾアルに住むのを恐れたからである。彼はふたりの娘と共に、ほら穴の中に住んだ。 + 時に姉が妹に言った、「わたしたちの父は老い、またこの地には世のならわしのように、わたしたちの所に来る男はいません。 + さあ、父に酒を飲ませ、共に寝て、父によって子を残しましょう」。 + 彼女たちはその夜、父に酒を飲ませ、姉がはいって父と共に寝た。ロトは娘が寝たのも、起きたのも知らなかった。 + あくる日、姉は妹に言った、「わたしは昨夜、父と寝ました。わたしたちは今夜もまた父に酒を飲ませましょう。そしてあなたがはいって共に寝なさい。わたしたちは父によって子を残しましょう」。 + 彼らはその夜もまた父に酒を飲ませ、妹が行って父と共に寝た。ロトは娘の寝たのも、起きたのも知らなかった。 + こうしてロトのふたりの娘たちは父によってはらんだ。 + 姉娘は子を産み、その名をモアブと名づけた。これは今のモアブびとの先祖である。 + 妹もまた子を産んで、その名をベニアンミと名づけた。これは今のアンモンびとの先祖である。 + + + アブラハムはそこからネゲブの地に移って、カデシとシュルの間に住んだ。彼がゲラルにとどまっていた時、 + アブラハムは妻サラのことを、「これはわたしの妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは、人をつかわしてサラを召し入れた。 + ところが神は夜の夢にアビメレクに臨んで言われた、「あなたは召し入れたあの女のゆえに死なねばならない。彼女は夫のある身である」。 + アビメレクはまだ彼女に近づいていなかったので言った、「主よ、あなたは正しい民でも殺されるのですか。 + 彼はわたしに、これはわたしの妹ですと言ったではありませんか。また彼女も自分で、彼はわたしの兄ですと言いました。わたしは心も清く、手もいさぎよく、このことをしました」。 + 神はまた夢で彼に言われた、「そうです、あなたが清い心をもってこのことをしたのを知っていたから、わたしもあなたを守って、わたしに対して罪を犯させず、彼女にふれることを許さなかったのです。 + いま彼の妻を返しなさい。彼は預言者ですから、あなたのために祈って、命を保たせるでしょう。もし返さないなら、あなたも身内の者もみな必ず死ぬと知らなければなりません」。 + そこでアビメレクは朝早く起き、しもべたちをことごとく召し集めて、これらの事をみな語り聞かせたので、人々は非常に恐れた。 + そしてアビメレクはアブラハムを召して言った、「あなたはわれわれに何をするのですか。あなたに対してわたしがどんな罪を犯したために、あなたはわたしとわたしの国とに、大きな罪を負わせるのですか。あなたはしてはならぬことをわたしにしたのです」。 + アビメレクはまたアブラハムに言った、「あなたはなんと思って、この事をしたのですか」。 + アブラハムは言った、「この所には神を恐れるということが、まったくないので、わたしの妻のゆえに人々がわたしを殺すと思ったからです。 + また彼女はほんとうにわたしの妹なのです。わたしの父の娘ですが、母の娘ではありません。そして、わたしの妻になったのです。 + 神がわたしに父の家を離れて、行き巡らせた時、わたしは彼女に、あなたはわたしたちの行くさきざきでわたしを兄であると言ってください。これはあなたがわたしに施す恵みであると言いました」。 + そこでアビメレクは羊、牛および男女の奴隷を取ってアブラハムに与え、その妻サラを彼に返した。 + そしてアビメレクは言った、「わたしの地はあなたの前にあります。あなたの好きな所に住みなさい」。 + またサラに言った、「わたしはあなたの兄に銀千シケルを与えました。これはあなたの身に起ったすべての事について、あなたに償いをするものです。こうしてすべての人にあなたは正しいと認められます」。 + そこでアブラハムは神に祈った。神はアビメレクとその妻および、はしためたちをいやされたので、彼らは子を産むようになった。 + これは主がさきにアブラハムの妻サラのゆえに、アビメレクの家のすべての者の胎を、かたく閉ざされたからである。 + + + 主は、さきに言われたようにサラを顧み、告げられたようにサラに行われた。 + サラはみごもり、神がアブラハムに告げられた時になって、年老いたアブラハムに男の子を産んだ。 + アブラハムは生れた子、サラが産んだ男の子の名をイサクと名づけた。 + アブラハムは神が命じられたように八日目にその子イサクに割礼を施した。 + アブラハムはその子イサクが生れた時百歳であった。 + そしてサラは言った、「神はわたしを笑わせてくださった。聞く者は皆わたしのことで笑うでしょう」。 + また言った、「サラが子に乳を飲ませるだろうと、だれがアブラハムに言い得たであろう。それなのに、わたしは彼が年とってから、子を産んだ」。 + さて、おさなごは育って乳離れした。イサクが乳離れした日にアブラハムは盛んなふるまいを設けた。 + サラはエジプトの女ハガルのアブラハムに産んだ子が、自分の子イサクと遊ぶのを見て、 + アブラハムに言った、「このはしためとその子を追い出してください。このはしための子はわたしの子イサクと共に、世継となるべき者ではありません」。 + この事で、アブラハムはその子のために非常に心配した。 + 神はアブラハムに言われた、「あのわらべのため、またあなたのはしためのために心配することはない。サラがあなたに言うことはすべて聞きいれなさい。イサクに生れる者が、あなたの子孫と唱えられるからです。 + しかし、はしための子もあなたの子ですから、これをも、一つの国民とします」。 + そこでアブラハムは明くる朝はやく起きて、パンと水の皮袋とを取り、ハガルに与えて、肩に負わせ、その子を連れて去らせた。ハガルは去ってベエルシバの荒野にさまよった。 + やがて皮袋の水が尽きたので、彼女はその子を木の下におき、 + 「わたしはこの子の死ぬのを見るに忍びない」と言って、矢の届くほど離れて行き、子供の方に向いてすわった。彼女が子供の方に向いてすわったとき、子供は声をあげて泣いた。 + 神はわらべの声を聞かれ、神の使は天からハガルを呼んで言った、「ハガルよ、どうしたのか。恐れてはいけない。神はあそこにいるわらべの声を聞かれた。 + 立って行き、わらべを取り上げてあなたの手に抱きなさい。わたしは彼を大いなる国民とするであろう」。 + 神がハガルの目を開かれたので、彼女は水の井戸のあるのを見た。彼女は行って皮袋に水を満たし、わらべに飲ませた。 + 神はわらべと共にいまし、わらべは成長した。彼は荒野に住んで弓を射る者となった。 + 彼はパランの荒野に住んだ。母は彼のためにエジプトの国から妻を迎えた。 + そのころアビメレクとその軍勢の長ピコルはアブラハムに言った、「あなたが何事をなさっても、神はあなたと共におられる。 + それゆえ、今ここでわたしをも、わたしの子をも、孫をも欺かないと、神をさしてわたしに誓ってください。わたしがあなたに親切にしたように、あなたもわたしと、このあなたの寄留の地とに、しなければなりません」。 + アブラハムは言った、「わたしは誓います」。 + アブラハムはアビメレクの家来たちが、水の井戸を奪い取ったことについてアビメルクを責めた。 + しかしアビメレクは言った、「だれがこの事をしたかわたしは知りません。あなたもわたしに告げたことはなく、わたしもきょうまで聞きませんでした」。 + そこでアブラハムは羊と牛とを取ってアビメレクに与え、ふたりは契約を結んだ。 + アブラハムが雌の小羊七頭を分けて置いたところ、 + アビメレクはアブラハムに言った、「あなたがこれらの雌の小羊七頭を分けて置いたのは、なんのためですか」。 + アブラハムは言った、「あなたはわたしの手からこれらの雌の小羊七頭を受け取って、わたしがこの井戸を掘ったことの証拠としてください」。 + これによってその所をベエルシバと名づけた。彼らがふたりそこで誓いをしたからである。 + このように彼らはベエルシバで契約を結び、アビメレクとその軍勢の長ピコルは立ってペリシテの地に帰った。 + アブラハムはベエルシバに一本のぎょりゅうの木を植え、その所で永遠の神、主の名を呼んだ。 + こうしてアブラハムは長い間ペリシテびとの地にとどまった。 + + + これらの事の後、神はアブラハムを試みて彼に言われた、「アブラハムよ」。彼は言った、「ここにおります」。 + 神は言われた、「あなたの子、あなたの愛するひとり子イサクを連れてモリヤの地に行き、わたしが示す山で彼を燔祭としてささげなさい」。 + アブラハムは朝はやく起きて、ろばにくらを置き、ふたりの若者と、その子イサクとを連れ、また燔祭のたきぎを割り、立って神が示された所に出かけた。 + 三日目に、アブラハムは目をあげて、はるかにその場所を見た。 + そこでアブラハムは若者たちに言った、「あなたがたは、ろばと一緒にここにいなさい。わたしとわらべは向こうへ行って礼拝し、そののち、あなたがたの所に帰ってきます」。 + アブラハムは燔祭のたきぎを取って、その子イサクに負わせ、手に火と刃物とを執って、ふたり一緒に行った。 + やがてイサクは父アブラハムに言った、「父よ」。彼は答えた、「子よ、わたしはここにいます」。イサクは言った、「火とたきぎとはありますが、燔祭の小羊はどこにありますか」。 + アブラハムは言った、「子よ、神みずから燔祭の小羊を備えてくださるであろう」。こうしてふたりは一緒に行った。 + 彼らが神の示された場所にきたとき、アブラハムはそこに祭壇を築き、たきぎを並べ、その子イサクを縛って祭壇のたきぎの上に載せた。 + そしてアブラハムが手を差し伸べ、刃物を執ってその子を殺そうとした時、 + 主の使が天から彼を呼んで言った、「アブラハムよ、アブラハムよ」。彼は答えた、「はい、ここにおります」。 + み使が言った、「わらべを手にかけてはならない。また何も彼にしてはならない。あなたの子、あなたのひとり子をさえ、わたしのために惜しまないので、あなたが神を恐れる者であることをわたしは今知った」。 + この時アブラハムが目をあげて見ると、うしろに、角をやぶに掛けている一頭の雄羊がいた。アブラハムは行ってその雄羊を捕え、それをその子のかわりに燔祭としてささげた。 + それでアブラハムはその所の名をアドナイ・エレと呼んだ。これにより、人々は今日もなお「主の山に備えあり」と言う。 + 主の使は再び天からアブラハムを呼んで、 + 言った、「主は言われた、『わたしは自分をさして誓う。あなたがこの事をし、あなたの子、あなたのひとり子をも惜しまなかったので、 + わたしは大いにあなたを祝福し、大いにあなたの子孫をふやして、天の星のように、浜べの砂のようにする。あなたの子孫は敵の門を打ち取り、 + また地のもろもろの国民はあなたの子孫によって祝福を得るであろう。あなたがわたしの言葉に従ったからである』」。 + アブラハムは若者たちの所に帰り、みな立って、共にベエルシバへ行った。そしてアブラハムはベエルシバに住んだ。 + これらの事の後、ある人がアブラハムに告げて言った、「ミルカもまたあなたの兄弟ナホルに子どもを産みました。 + 長男はウヅ、弟はブズ、次はアラムの父ケムエル、 + 次はケセデ、ハゾ、ピルダシ、エデラフ、ベトエルです」。 + ベトエルの子はリベカであって、これら八人はミルカがアブラハムの兄弟ナホルに産んだのである。 + ナホルのそばめで、名をルマという女もまたテバ、ガハム、タハシおよびマアカを産んだ。 + + + サラの一生は百二十七年であった。これがサラの生きながらえた年である。 + サラはカナンの地のキリアテ・アルバすなわちヘブロンで死んだ。アブラハムは中にはいってサラのために悲しみ泣いた。 + アブラハムは死人のそばから立って、ヘテの人々に言った、 + 「わたしはあなたがたのうちの旅の者で寄留者ですが、わたしの死人を出して葬るため、あなたがたのうちにわたしの所有として一つの墓地をください」。 + ヘテの人々はアブラハムに答えて言った、 + 「わが主よ、お聞きなさい。あなたはわれわれのうちにおられて、神のような主君です。われわれの墓地の最も良い所にあなたの死人を葬りなさい。その墓地を拒んで、あなたにその死人を葬らせない者はわれわれのうちには、ひとりもないでしょう」。 + アブラハムは立ちあがり、その地の民ヘテの人々に礼をして、 + 彼らに言った、「もしわたしの死人を葬るのに同意されるなら、わたしの願いをいれて、わたしのためにゾハルの子エフロンに頼み、 + 彼が持っている畑の端のマクペラのほら穴をじゅうぶんな代価でわたしに与え、あなたがたのうちに墓地を持たせてください」。 + 時にエフロンはヘテの人々のうちにすわっていた。そこでヘテびとエフロンはヘテの人々、すなわちすべてその町の門にはいる人々の聞いているところで、アブラハムに答えて言った、 + 「いいえ、わが主よ、お聞きなさい。わたしはあの畑をあなたにさしあげます。またその中にあるほら穴もさしあげます。わたしの民の人々の前で、それをさしあげます。あなたの死人を葬りなさい」。 + アブラハムはその地の民の前で礼をし、 + その地の民の聞いているところでエフロンに言った、「あなたがそれを承諾されるなら、お聞きなさい。わたしはその畑の代価を払います。お受け取りください。わたしの死人をそこに葬りましょう」。 + エフロンはアブラハムに答えて言った、 + 「わが主よ、お聞きなさい。あの地は銀四百シケルですが、これはわたしとあなたの間で、なにほどのことでしょう。あなたの死人を葬りなさい」。 + そこでアブラハムはエフロンの言葉にしたがい、エフロンがヘテの人々の聞いているところで言った銀、すなわち商人の通用銀四百シケルを量ってエフロンに与えた。 + こうしてマムレの前のマクペラにあるエフロンの畑は、畑も、その中のほら穴も、畑の中およびその周囲の境にあるすべての木も皆、 + ヘテの人々の前、すなわちその町の門にはいるすべての人々の前で、アブラハムの所有と決まった。 + その後、アブラハムはその妻サラをカナンの地にあるマムレ、すなわちヘブロンの前のマクペラの畑のほら穴に葬った。 + このように畑とその中にあるほら穴とはヘテの人々によってアブラハムの所有の墓地と定められた。 + + + アブラハムは年が進んで老人となった。主はすべての事にアブラハムを恵まれた。 + さてアブラハムは所有のすべてを管理させていた家の年長のしもべに言った、「あなたの手をわたしのももの下に入れなさい。 + わたしはあなたに天地の神、主をさして誓わせる。あなたはわたしが今一緒に住んでいるカナンびとのうちから、娘をわたしの子の妻にめとってはならない。 + あなたはわたしの国へ行き、親族の所へ行って、わたしの子イサクのために妻をめとらなければならない」。 + しもべは彼に言った、「もしその女がわたしについてこの地に来ることを好まない時は、わたしはあなたの子をあなたの出身地に連れ帰るべきでしょうか」。 + アブラハムは彼に言った、「わたしの子は決して向こうへ連れ帰ってはならない。 + 天の神、主はわたしを父の家、親族の地から導き出してわたしに語り、わたしに誓って、おまえの子孫にこの地を与えると言われた。主は、み使をあなたの前につかわされるであろう。あなたはあそこからわたしの子に妻をめとらねばならない。 + けれどもその女があなたについて来ることを好まないなら、あなたはこの誓いを解かれる。ただわたしの子を向こうへ連れ帰ってはならない」。 + そこでしもべは手を主人アブラハムのももの下に入れ、この事について彼に誓った。 + しもべは主人のらくだのうちから十頭のらくだを取って出かけた。すなわち主人のさまざまの良い物を携え、立ってアラム・ナハライムにむかい、ナホルの町へ行った。 + 彼はらくだを町の外の、水の井戸のそばに伏させた。時は夕暮で、女たちが水をくみに出る時刻であった。 + 彼は言った、「主人アブラハムの神、主よ、どうか、きょう、わたしにしあわせを授け、主人アブラハムに恵みを施してください。 + わたしは泉のそばに立っています。町の人々の娘たちが水をくみに出てきたとき、 + 娘に向かって『お願いです、あなたの水がめを傾けてわたしに飲ませてください』と言い、娘が答えて、『お飲みください。あなたのらくだにも飲ませましょう』と言ったなら、その者こそ、あなたがしもべイサクのために定められた者ということにしてください。わたしはこれによって、あなたがわたしの主人に恵みを施されることを知りましょう」。 + 彼がまだ言い終らないうちに、アブラハムの兄弟ナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘リベカが、水がめを肩に載せて出てきた。 + その娘は非常に美しく、男を知らぬ処女であった。彼女が泉に降りて、水がめを満たし、上がってきた時、 + しもべは走り寄って、彼女に会って言った、「お願いです。あなたの水がめの水を少し飲ませてください」。 + すると彼女は「わが主よ、お飲みください」と言って、急いで水がめを自分の手に取りおろして彼に飲ませた。 + 飲ませ終って、彼女は言った、「あなたのらくだもみな飲み終るまで、わたしは水をくみましょう」。 + 彼女は急いでかめの水を水ぶねにあけ、再び水をくみに井戸に走って行って、すべてのらくだのために水をくんだ。 + その間その人は主が彼の旅の祝福されるか、どうかを知ろうと、黙って彼女を見つめていた。 + らくだが飲み終ったとき、その人は重さ半シケルの金の鼻輪一つと、重さ十シケルの金の腕輪二つを取って、 + 言った、「あなたはだれの娘か、わたしに話してください。あなたの父の家にわたしどもの泊まる場所がありましょうか」。 + 彼女は彼に言った、「わたしはナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘です」。 + また彼に言った、「わたしどもには、わらも、飼葉もたくさんあります。また泊まる場所もあります」。 + その人は頭を下げ、主を拝して、 + 言った、「主人アブラハムの神、主はほむべきかな。主はわたしの主人にいつくしみと、まこととを惜しまれなかった。そして主は旅にあるわたしを主人の兄弟の家に導かれた」。 + 娘は走って行って、母の家のものにこれらの事を告げた。 + リベカにひとりの兄があって、名をラバンといった。ラバンは泉のそばにいるその人の所へ走って行った。 + 彼は鼻輪と妹の手にある腕輪とを見、また妹リベカが「その人はわたしにこう言った」というのを聞いて、その人の所へ行ってみると、その人は泉のほとりで、らくだのそばに立っていた。 + そこでその人に言った、「主に祝福された人よ、おはいりください。なぜ外に立っておられますか。わたしは家を準備し、らくだのためにも場所を準備しておきました」。 + その人は家にはいった。ラバンはらくだの荷を解いて、わらと飼葉をらくだに与え、また水を与えてその人の足と、その従者たちの足を洗わせた。 + そして彼の前に食物を供えたが、彼は言った、「わたしは用向きを話すまでは食べません」。ラバンは言った、「お話しください」。 + そこで彼は言った、「わたしはアブラハムのしもべです。 + 主はわたしの主人を大いに祝福して、大いなる者とされました。主はまた彼に羊、牛、銀、金、男女の奴隷、らくだ、ろばを与えられました。 + 主人の妻サラは年老いてから、主人に男の子を産みました。主人はその所有を皆これに与えました。 + ところで主人はわたしに誓わせて言いました、『わたしの住んでいる地のカナンびとの娘を、わたしの子の妻にめとってはならない。 + おまえはわたしの父の家、親族の所へ行って、わたしの子に妻をめとらなければならない』。 + わたしは主人に言いました、『もしその女がわたしについてこない時はどういたしましょうか』。 + 主人はわたしに言いました、『わたしの仕えている主は、み使をおまえと一緒につかわして、おまえの旅にさいわいを与えられるであろう。おまえはわたしの親族、わたしの父の家からわたしの子に妻をめとらなければならない。 + そのとき、おまえはわたしにした誓いから解かれるであろう。またおまえがわたしの親族に行く時、彼らがおまえにその娘を与えないなら、おまえはわたしにした誓いから解かれるであろう』。 + わたしはきょう、泉のところにきて言いました、『主人アブラハムの神、主よ、どうか今わたしのゆく道にさいわいを与えてください。 + わたしはこの泉のそばに立っていますが、水をくみに出てくる娘に向かって、「お願いです。あなたの水がめの水を少し飲ませてください」と言い、 + 「お飲みください。あなたのらくだのためにも、くみましょう」とわたしに言うなら、その娘こそ、主がわたしの主人の子のために定められた女ということにしてください』。 + わたしが心のうちでそう言い終らないうちに、リベカが水がめを肩に載せて出てきて、水をくみに泉に降りたので、わたしは『お願いです、飲ませてください』と言いますと、 + 彼女は急いで水がめを肩からおろし、『お飲みください。わたしはあなたのらくだにも飲ませましょう』と言いました。それでわたしは飲みましたが、彼女はらくだにも飲ませました。 + わたしは彼女に尋ねて、『あなたはだれの娘ですか』と言いますと、『ナホルとその妻ミルカの子ベトエルの娘です』と答えました。そこでわたしは彼女の鼻に鼻輪をつけ、手に腕輪をつけました。 + そしてわたしは頭をさげて主を拝し、主人アブラハムの神、主をほめたたえました。主は主人の兄弟の娘を子にめとらせようと、わたしを正しい道に導かれたからです。 + あなたがたが、もしわたしの主人にいつくしみと、まことを尽そうと思われるなら、そうとわたしにお話しください。そうでなければ、そうでないとお話しください。それによってわたしは右か左に決めましょう」。 + ラバンとベトエルは答えて言った、「この事は主から出たことですから、わたしどもはあなたによしあしを言うことができません。 + リベカがここにおりますから連れて行って、主が言われたように、あなたの主人の子の妻にしてください」。 + アブラハムのしもべは彼らの言葉を聞いて、地に伏し、主を拝した。 + そしてしもべは銀の飾りと、金の飾り、および衣服を取り出してリベカに与え、その兄と母とにも価の高い品々を与えた。 + 彼と従者たちは飲み食いして宿ったが、あくる朝彼らが起きた時、しもべは言った、「わたしを主人のもとに帰らせてください」。 + リベカの兄と母とは言った、「娘は数日、少なくとも十日、わたしどもと共にいて、それから行かせましょう」。 + しもべは彼らに言った、「主はわたしの道にさいわいを与えられましたから、わたしを引きとめずに、主人のもとに帰らせてください」。 + 彼らは言った、「娘を呼んで聞いてみましょう」。 + 彼らはリベカを呼んで言った、「あなたはこの人と一緒に行きますか」。彼女は言った、「行きます」。 + そこで彼らは妹リベカと、そのうばと、アブラハムのしもべと、その従者とを送り去らせた。 + 彼らはリベカを祝福して彼女に言った、「妹よ、あなたは、ちよろずの人の母となれ。あなたの子孫はその敵の門を打ち取れ」。 + リベカは立って侍女たちと共にらくだに乗り、その人に従って行った。しもべはリベカを連れて立ち去った。 + さてイサクはベエル・ラハイ・ロイからきて、ネゲブの地に住んでいた。 + イサクは夕暮、野に出て歩いていたが、目をあげて、らくだの来るのを見た。 + リベカは目をあげてイサクを見、らくだからおりて、 + しもべに言った、「わたしたちに向かって、野を歩いて来るあの人はだれでしょう」。しもべは言った、「あれはわたしの主人です」。するとリベカは、被衣で身をおおった。 + しもべは自分がしたことのすべてをイサクに話した。 + イサクはリベカを天幕に連れて行き、リベカをめとって妻とし、彼女を愛した。こうしてイサクは母の死後、慰めを得た。 + + + アブラハムは再び妻をめとった。名をケトラという。 + 彼女はジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデアン、イシバクおよびシュワを産んだ。 + ヨクシャンの子はシバとデダン。デダンの子孫はアシュリびと、レトシびと、レウミびとである。 + ミデアンの子孫はエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアであって、これらは皆ケトラの子孫であった。 + アブラハムはその所有をことごとくイサクに与えた。 + またそのそばめたちの子らにもアブラハムは物を与え、なお生きている間に彼らをその子イサクから離して、東の方、東の国に移らせた。 + アブラハムの生きながらえた年は百七十五年である。 + アブラハムは高齢に達し、老人となり、年が満ちて息絶え、死んでその民に加えられた。 + その子イサクとイシマエルは彼をヘテびとゾハルの子エフロンの畑にあるマクペラのほら穴に葬った。これはマムレの向かいにあり、 + アブラハムがヘテの人々から、買い取った畑であって、そこにアブラハムとその妻サラが葬られた。 + アブラハムが死んだ後、神はその子イサクを祝福された。イサクはベエル・ラハイ・ロイのほとりに住んだ。 + サラのつかえめエジプトびとハガルがアブラハムに産んだアブラハムの子イシマエルの系図は次のとおりである。 + イシマエルの子らの名を世代にしたがって、その名をいえば次のとおりである。すなわちイシマエルの長子はネバヨテ、次はケダル、アデビエル、ミブサム、 + ミシマ、ドマ、マッサ、 + ハダデ、テマ、エトル、ネフシ、ケデマ。 + これはイシマエルの子らであり、村と宿営とによる名であって、その氏族による十二人の君たちである。 + イシマエルのよわいは百三十七年である。彼は息絶えて死に、その民に加えられた。 + イシマエルの子らはハビラからエジプトの東、シュルまでの間に住んで、アシュルに及んだ。イシマエルはすべての兄弟の東に住んだ。 + アブラハムの子イサクの系図は次のとおりである。アブラハムの子はイサクであって、 + イサクは四十歳の時、パダンアラムのアラムびとベトエルの娘で、アラムびとラバンの妹リベカを妻にめとった。 + イサクは妻が子を産まなかったので、妻のために主に祈り願った。主はその願いを聞かれ、妻リベカはみごもった。 + ところがその子らが胎内で押し合ったので、リベカは言った、「こんなことでは、わたしはどうなるでしょう」。彼女は行って主に尋ねた。 + 主は彼女に言われた、「二つの国民があなたの胎内にあり、二つの民があなたの腹から別れて出る。一つの民は他の民よりも強く、兄は弟に仕えるであろう」。 + 彼女の出産の日がきたとき、胎内にはふたごがあった。 + さきに出たのは赤くて全身毛ごろものようであった。それで名をエサウと名づけた。 + その後に弟が出た。その手はエサウのかかとをつかんでいた。それで名をヤコブと名づけた。リベカが彼らを産んだ時、イサクは六十歳であった。 + さてその子らは成長し、エサウは巧みな狩猟者となり、野の人となったが、ヤコブは穏やかな人で、天幕に住んでいた。 + イサクは、しかの肉が好きだったので、エサウを愛したが、リベカはヤコブを愛した。 + ある日ヤコブが、あつものを煮ていた時、エサウは飢え疲れて野から帰ってきた。 + エサウはヤコブに言った、「わたしは飢え疲れた。お願いだ。赤いもの、その赤いものをわたしに食べさせてくれ」。彼が名をエドムと呼ばれたのはこのためである。 + ヤコブは言った、「まずあなたの長子の特権をわたしに売りなさい」。 + エサウは言った、「わたしは死にそうだ。長子の特権などわたしに何になろう」。 + ヤコブはまた言った、「まずわたしに誓いなさい」。彼は誓って長子の特権をヤコブに売った。 + そこでヤコブはパンとレンズ豆のあつものとをエサウに与えたので、彼は飲み食いして、立ち去った。このようにしてエサウは長子の特権を軽んじた。 + + + アブラハムの時にあった初めのききんのほか、またききんがその国にあったので、イサクはゲラルにいるペリシテびとの王アビメレクの所へ行った。 + その時、主は彼に現れて言われた、「エジプトへ下ってはならない。わたしがあなたに示す地にとどまりなさい。 + あなたがこの地にとどまるなら、わたしはあなたと共にいて、あなたを祝福し、これらの国をことごとくあなたと、あなたの子孫とに与え、わたしがあなたの父アブラハムに誓った誓いを果そう。 + またわたしはあなたの子孫を増して天の星のようにし、あなたの子孫にこれらの地をみな与えよう。そして地のすべての国民はあなたの子孫によって祝福をえるであろう。 + アブラハムがわたしの言葉にしたがってわたしのさとしと、いましめと、さだめと、おきてとを守ったからである」。 + こうしてイサクはゲラルに住んだ。 + その所の人々が彼の妻のことを尋ねたとき、「彼女はわたしの妹です」と彼は言った。リベカは美しかったので、その所の人々がリベカのゆえに自分を殺すかもしれないと思って、「わたしの妻です」と言うのを恐れたからである。 + イサクは長らくそこにいたが、ある日ペリシテびとの王アビメレクは窓から外をながめていて、イサクがその妻リベカと戯れているのを見た。 + そこでアビメレクはイサクを召して言った、「彼女は確かにあなたの妻です。あなたはどうして『彼女はわたしの妹です』と言われたのですか」。イサクは彼に言った、「わたしは彼女のゆえに殺されるかもしれないと思ったからです」。 + アビメレクは言った、「あなたはどうしてこんな事をわれわれにされたのですか。民のひとりが軽々しくあなたの妻と寝るような事があれば、その時あなたはわれわれに罪を負わせるでしょう」。 + それでアビメレクはすべての民に命じて言った、「この人、またはその妻にさわる者は必ず死ななければならない」。 + イサクはその地に種をまいて、その年に百倍の収穫を得た。このように主が彼を祝福されたので、 + 彼は富み、またますます栄えて非常に裕福になり、 + 羊の群れ、牛の群れ及び多くのしもべを持つようになったので、ペリシテびとは彼をねたんだ。 + またペリシテびとは彼の父アブラハムの時に、父のしもべたちが掘ったすべての井戸をふさぎ、土で埋めた。 + アビメレクはイサクに言った、「あなたはわれわれよりも、はるかに強くなられたから、われわれの所を去ってください」。 + イサクはそこを去り、ゲラルの谷に天幕を張ってその所に住んだ。 + そしてイサクは父アブラハムの時に人々の掘った水の井戸を再び掘った。アブラハムの死後、ペリシテびとがふさいだからである。イサクは父がつけた名にしたがってそれらに名をつけた。 + しかしイサクのしもべたちが谷の中を掘って、そこにわき出る水の井戸を見つけたとき、 + ゲラルの羊飼たちは、「この水はわれわれのものだ」と言って、イサクの羊飼たちと争ったので、イサクはその井戸の名をエセクと名づけた。彼らが彼と争ったからである。 + 彼らはまた一つの井戸を掘ったが、これをも争ったので、名をシテナと名づけた。 + イサクはそこから移ってまた一つの井戸を掘ったが、彼らはこれを争わなかったので、その名をレホボテと名づけて言った、「いま主がわれわれの場所を広げられたから、われわれはこの地にふえるであろう」。 + 彼はそこからベエルシバに上った。 + その夜、主は彼に現れて言われた、「わたしはあなたの父アブラハムの神である。あなたは恐れてはならない。わたしはあなたと共におって、あなたを祝福し、わたしのしもべアブラハムのゆえにあなたの子孫を増すであろう」。 + それで彼はその所に祭壇を築いて、主の名を呼び、そこに天幕を張った。またイサクのしもべたちはそこに一つの井戸を掘った。 + 時にアビメレクがその友アホザテと、軍勢の長ピコルと共にゲラルからイサクのもとにきたので、 + イサクは彼らに言った、「あなたがたはわたしを憎んで、あなたがたの中からわたしを追い出されたのに、どうしてわたしの所にこられたのですか」。 + 彼らは言った、「われわれは主があなたと共におられるのを、はっきり見ましたので、いまわれわれの間、すなわちわれわれとあなたとの間に一つの誓いを立てて、あなたと契約を結ぼうと思います。 + われわれはあなたに害を加えたことはなく、ただ良い事だけをして、安らかに去らせたのですから、あなたはわれわれに悪い事をしてはなりません。まことにあなたは主に祝福されたかたです」。 + そこでイサクは彼らのためにふるまいを設けた。彼らは飲み食いし、 + あくる朝、はやく起きて互に誓った。こうしてイサクは彼らを去らせたので、彼らはイサクのもとから穏やかに去った。 + その日、イサクのしもべたちがきて、自分たちが掘った井戸について彼に告げて言った、「わたしたちは水を見つけました」。 + イサクはそれをシバと名づけた。これによってその町の名は今日にいたるまでベエルシバといわれている。 + エサウは四十歳の時、ヘテびとベエリの娘ユデテとヘテびとエロンの娘バスマテとを妻にめとった。 + 彼女たちはイサクとリベカにとって心の痛みとなった。 + + + イサクは年老い、目がかすんで見えなくなった時、長子エサウを呼んで言った、「子よ」。彼は答えて言った、「ここにおります」。 + イサクは言った。「わたしは年老いて、いつ死ぬかも知れない。 + それであなたの武器、弓矢をもって野に出かけ、わたしのために、しかの肉をとってきて、 + わたしの好きなおいしい食べ物を作り、持ってきて食べさせよ。わたしは死ぬ前にあなたを祝福しよう」。 + イサクがその子エサウに語るのをリベカは聞いていた。やがてエサウが、しかの肉を獲ようと野に出かけたとき、 + リベカはその子ヤコブに言った、「わたしは聞いていましたが、父は兄エサウに、 + 『わたしのために、しかの肉をとってきて、おいしい食べ物を作り、わたしに食べさせよ。わたしは死ぬ前に、主の前であなたを祝福しよう』と言いました。 + それで、子よ、わたしの言葉にしたがい、わたしの言うとおりにしなさい。 + 群れの所へ行って、そこからやぎの子の良いのを二頭わたしの所に取ってきなさい。わたしはそれで父のために、父の好きなおいしい食べ物を作りましょう。 + あなたはそれを持って行って父に食べさせなさい。父は死ぬ前にあなたを祝福するでしょう」。 + ヤコブは母リベカに言った、「兄エサウは毛深い人ですが、わたしはなめらかです。 + おそらく父はわたしにさわってみるでしょう。そうすればわたしは父を欺く者と思われ、祝福を受けず、かえってのろいを受けるでしょう」。 + 母は彼に言った、「子よ、あなたがうけるのろいはわたしが受けます。ただ、わたしの言葉に従い、行って取ってきなさい」。 + そこで彼は行ってやぎの子を取り、母の所に持ってきたので、母は父の好きなおいしい食べ物を作った。 + リベカは家にあった長子エサウの晴着を取って、弟ヤコブに着せ、 + また子やぎの皮を手と首のなめらかな所とにつけさせ、 + 彼女が作ったおいしい食べ物とパンとをその子ヤコブの手にわたした。 + そこでヤコブは父の所へ行って言った、「父よ」。すると父は言った、「わたしはここにいる。子よ、あなたはだれか」。 + ヤコブは父に言った、「長子エサウです。あなたがわたしに言われたとおりにいたしました。どうぞ起きて、すわってわたしのしかの肉を食べ、あなたみずからわたしを祝福してください」。 + イサクはその子に言った、「子よ、どうしてあなたはこんなに早く手に入れたのか」。彼は言った、「あなたの神、主がわたしにしあわせを授けられたからです」。 + イサクはヤコブに言った、「子よ、近寄りなさい。わたしは、さわってみて、あなたが確かにわが子エサウであるかどうかをみよう」。 + ヤコブが、父イサクに近寄ったので、イサクは彼にさわってみて言った、「声はヤコブの声だが、手はエサウの手だ」。 + ヤコブの手が兄エサウの手のように毛深かったため、イサクはヤコブを見わけることができなかったので、彼を祝福した。 + イサクは言った、「あなたは確かにわが子エサウですか」。彼は言った、「そうです」。 + イサクは言った、「わたしの所へ持ってきなさい。わが子のしかの肉を食べて、わたしみずから、あなたを祝福しよう」。ヤコブがそれを彼の所に持ってきたので、彼は食べた。またぶどう酒を持ってきたので、彼は飲んだ。 + そして父イサクは彼に言った、「子よ、さあ、近寄ってわたしに口づけしなさい」。 + 彼が近寄って口づけした時、イサクはその着物のかおりをかぎ、彼を祝福して言った、「ああ、わが子のかおりは、主が祝福された野のかおりのようだ。 + どうか神が、天の露と、地の肥えたところと、多くの穀物と、新しいぶどう酒とをあなたに賜わるように。 + もろもろの民はあなたに仕え、もろもろの国はあなたに身をかがめる。あなたは兄弟たちの主となり、あなたの母の子らは、あなたに身をかがめるであろう。あなたをのろう者はのろわれ、あなたを祝福する者は祝福される」。 + イサクがヤコブを祝福し終って、ヤコブが父イサクの前から出て行くとすぐ、兄エサウが狩から帰ってきた。 + 彼もまたおいしい食べ物を作って、父の所に持ってきて、言った、「父よ、起きてあなたの子のしかの肉を食べ、あなたみずから、わたしを祝福してください」。 + 父イサクは彼に言った、「あなたは、だれか」。彼は言った、「わたしはあなたの子、長子エサウです」。 + イサクは激しくふるえて言った、「それでは、あのしかの肉を取って、わたしに持ってきた者はだれか。わたしはあなたが来る前に、みんな食べて彼を祝福した。ゆえに彼が祝福を得るであろう」。 + エサウは父の言葉を聞いた時、大声をあげ、激しく叫んで、父に言った、「父よ、わたしを、わたしをも祝福してください」。 + イサクは言った、「あなたの弟が偽ってやってきて、あなたの祝福を奪ってしまった」。 + エサウは言った、「よくもヤコブと名づけたものだ。彼は二度までもわたしをおしのけた。さきには、わたしの長子の特権を奪い、こんどはわたしの祝福を奪った」。また言った、「あなたはわたしのために祝福を残しておかれませんでしたか」。 + イサクは答えてエサウに言った、「わたしは彼をあなたの主人とし、兄弟たちを皆しもべとして彼に与え、また穀物とぶどう酒を彼に授けた。わが子よ、今となっては、あなたのために何ができようか」。 + エサウは父に言った、「父よ、あなたの祝福はただ一つだけですか。父よ、わたしを、わたしをも祝福してください」。エサウは声をあげて泣いた。 + 父イサクは答えて彼に言った、「あなたのすみかは地の肥えた所から離れ、また上なる天の露から離れるであろう。 + あなたはつるぎをもって世を渡り、あなたの弟に仕えるであろう。しかし、あなたが勇み立つ時、首から、そのくびきを振り落すであろう」。 + こうしてエサウは父がヤコブに与えた祝福のゆえにヤコブを憎んだ。エサウは心の内で言った、「父の喪の日も遠くはないであろう。その時、弟ヤコブを殺そう」。 + しかしリベカは長子エサウのこの言葉を人づてに聞いたので、人をやり、弟ヤコブを呼んで言った、「兄エサウはあなたを殺そうと考えて、みずから慰めています。 + 子よ、今わたしの言葉に従って、すぐハランにいるわたしの兄ラバンのもとにのがれ、 + あなたの兄の怒りが解けるまで、しばらく彼の所にいなさい。 + 兄の憤りが解けて、あなたのした事を兄が忘れるようになったならば、わたしは人をやって、あなたをそこから迎えましょう。どうして、わたしは一日のうちにあなたがたふたりを失ってよいでしょうか」。 + リベカはイサクに言った、「わたしはヘテびとの娘どものことで、生きているのがいやになりました。もしヤコブがこの地の、あの娘どものようなヘテびとの娘を妻にめとるなら、わたしは生きていて、何になりましょう」。 + + + イサクはヤコブを呼んで、これを祝福し、命じて言った、「あなたはカナンの娘を妻にめとってはならない。 + 立ってパダンアラムへ行き、あなたの母の父ベトエルの家に行って、そこであなたの母の兄ラバンの娘を妻にめとりなさい。 + 全能の神が、あなたを祝福し、多くの子を得させ、かつふえさせて、多くの国民とし、 + またアブラハムの祝福をあなたと子孫とに与えて、神がアブラハムに授けられたあなたの寄留の地を継がせてくださるように」。 + こうしてイサクはヤコブを送り出した。ヤコブはパダンアラムに向かい、アラムびとベトエルの子で、ヤコブとエサウとの母リベカの兄ラバンのもとへ行った。 + さてエサウは、イサクがヤコブを祝福して、パダンアラムにつかわし、そこから妻をめとらせようとしたこと、彼を祝福し、命じて「あなたはカナンの娘を妻にめとってはならない」と言ったこと、 + そしてヤコブが父母の言葉に従って、パダンアラムへ行ったことを知ったとき、 + 彼はカナンの娘が父イサクの心にかなわないのを見た。 + そこでエサウはイシマエルの所に行き、すでにある妻たちのほかにアブラハムの子イシマエルの娘で、ネバヨテの妹マハラテを妻にめとった。 + さてヤコブはベエルシバを立って、ハランへ向かったが、 + 一つの所に着いた時、日が暮れたので、そこに一夜を過ごし、その所の石を取ってまくらとし、そこに伏して寝た。 + 時に彼は夢をみた。一つのはしごが地の上に立っていて、その頂は天に達し、神の使たちがそれを上り下りしているのを見た。 + そして主は彼のそばに立って言われた、「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。あなたが伏している地を、あなたと子孫とに与えよう。 + あなたの子孫は地のちりのように多くなって、西、東、北、南にひろがり、地の諸族はあなたと子孫とによって祝福をうけるであろう。 + わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰るであろう。わたしは決してあなたを捨てず、あなたに語った事を行うであろう」。 + ヤコブは眠りからさめて言った、「まことに主がこの所におられるのに、わたしは知らなかった」。 + そして彼は恐れて言った、「これはなんという恐るべき所だろう。これは神の家である。これは天の門だ」。 + ヤコブは朝はやく起きて、まくらとしていた石を取り、それを立てて柱とし、その頂に油を注いで、 + その所の名をベテルと名づけた。その町の名は初めはルズといった。 + ヤコブは誓いを立てて言った、「神がわたしと共にいまし、わたしの行くこの道でわたしを守り、食べるパンと着る着物を賜い、 + 安らかに父の家に帰らせてくださるなら、主をわたしの神といたしましょう。 + またわたしが柱に立てたこの石を神の家といたしましょう。そしてあなたがくださるすべての物の十分の一を、わたしは必ずあなたにささげます」。 + + + ヤコブはその旅を続けて東の民の地へ行った。 + 見ると野に一つの井戸があって、そのかたわらに羊の三つの群れが伏していた。人々はその井戸から群れに水を飲ませるのであったが、井戸の口には大きな石があった。 + 群れが皆そこに集まると、人々は井戸の口から石をころがして羊に水を飲ませ、その石をまた井戸の口の元のところに返しておくのである。 + ヤコブは人々に言った、「兄弟たちよ、あなたがたはどこからこられたのですか」。彼らは言った、「わたしたちはハランからです」。 + ヤコブは彼らに言った、「あなたがたはナホルの子ラバンを知っていますか」。彼らは言った、「知っています」。 + ヤコブはまた彼らに言った、「彼は無事ですか」。彼らは言った、「無事です。御覧なさい。彼の娘ラケルはいま羊と一緒にここへきます」。 + ヤコブは言った、「日はまだ高いし、家畜を集める時でもない。あなたがたは羊に水を飲ませてから、また行って飼いなさい」。 + 彼らは言った、「わたしたちはそれはできないのです。群れがみな集まった上で、井戸の口から石をころがし、それから羊に水を飲ませるのです」。 + ヤコブがなお彼らと語っている時に、ラケルは父の羊と一緒にきた。彼女は羊を飼っていたからである。 + ヤコブは母の兄ラバンの娘ラケルと母の兄ラバンの羊とを見た。そしてヤコブは進み寄って井戸の口から石をころがし、母の兄ラバンの羊に水を飲ませた。 + ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。 + ヤコブはラケルに、自分がラケルの父のおいであり、リベカの子であることを告げたので、彼女は走って行って父に話した。 + ラバンは妹の子ヤコブがきたという知らせを聞くとすぐ、走って行ってヤコブを迎え、これを抱いて口づけし、家に連れてきた。そこでヤコブはすべての事をラバンに話した。 + ラバンは彼に言った、「あなたはほんとうにわたしの骨肉です」。ヤコブは一か月の間彼と共にいた。 + 時にラバンはヤコブに言った、「あなたはわたしのおいだからといって、ただでわたしのために働くこともないでしょう。どんな報酬を望みますか、わたしに言ってください」。 + さてラバンにはふたりの娘があった。姉の名はレアといい、妹の名はラケルといった。 + レアは目が弱かったが、ラケルは美しくて愛らしかった。 + ヤコブはラケルを愛したので、「わたしは、あなたの妹娘ラケルのために七年あなたに仕えましょう」と言った。 + ラバンは言った、「彼女を他人にやるよりもあなたにやる方がよい。わたしと一緒にいなさい」。 + こうして、ヤコブは七年の間ラケルのために働いたが、彼女を愛したので、ただ数日のように思われた。 + ヤコブはラバンに言った、「期日が満ちたから、わたしの妻を与えて、妻の所にはいらせてください」。 + そこでラバンはその所の人々をみな集めて、ふるまいを設けた。 + 夕暮となったとき、娘レアをヤコブのもとに連れてきたので、ヤコブは彼女の所にはいった。 + ラバンはまた自分のつかえめジルパを娘レアにつかえめとして与えた。 + 朝になって、見ると、それはレアであったので、ヤコブはラバンに言った、「あなたはどうしてこんな事をわたしにされたのですか。わたしはラケルのために働いたのではありませんか。どうしてあなたはわたしを欺いたのですか」。 + ラバンは言った、「妹を姉より先にとつがせる事はわれわれの国ではしません。 + まずこの娘のために一週間を過ごしなさい。そうすればあの娘もあなたにあげよう。あなたは、そのため更に七年わたしに仕えなければならない」。 + ヤコブはそのとおりにして、その一週間が終ったので、ラバンは娘ラケルをも妻として彼に与えた。 + ラバンはまた自分のつかえめビルハを娘ラケルにつかえめとして与えた。 + ヤコブはまたラケルの所にはいった。彼はレアよりもラケルを愛して、更に七年ラバンに仕えた。 + 主はレアがきらわれるのを見て、その胎を開かれたが、ラケルは、みごもらなかった。 + レアは、みごもって子を産み、名をルベンと名づけて、言った、「主がわたしの悩みを顧みられたから、今は夫もわたしを愛するだろう」。 + 彼女はまた、みごもって子を産み、「主はわたしが嫌われるのをお聞きになって、わたしにこの子をも賜わった」と言って、名をシメオンと名づけた。 + 彼女はまた、みごもって子を産み、「わたしは彼に三人の子を産んだから、こんどこそは夫もわたしに親しむだろう」と言って、名をレビと名づけた。 + 彼女はまた、みごもって子を産み、「わたしは今、主をほめたたえる」と言って名をユダと名づけた。そこで彼女の、子を産むことはやんだ。 + + + ラケルは自分がヤコブに子を産まないのを知った時、姉をねたんでヤコブに言った、「わたしに子どもをください。さもないと、わたしは死にます」。 + ヤコブはラケルに向かい怒って言った、「あなたの胎に子どもをやどらせないのは神です。わたしが神に代ることができようか」。 + ラケルは言った、「わたしのつかえめビルハがいます。彼女の所におはいりなさい。彼女が子を産んで、わたしのひざに置きます。そうすれば、わたしもまた彼女によって子を持つでしょう」。 + ラケルはつかえめビルハを彼に与えて、妻とさせたので、ヤコブは彼女の所にはいった。 + ビルハは、みごもってヤコブに子を産んだ。 + そこでラケルは、「神はわたしの訴えに答え、またわたしの声を聞いて、わたしに子を賜わった」と言って、名をダンと名づけた。 + ラケルのつかえめビルハはまた、みごもって第二の子をヤコブに産んだ。 + そこでラケルは、「わたしは激しい争いで、姉と争って勝った」と言って、名をナフタリと名づけた。 + さてレアは自分が子を産むことのやんだのを見たとき、つかえめジルパを取り、妻としてヤコブに与えた。 + レアのつかえめジルパはヤコブに子を産んだ。 + そこでレアは、「幸運がきた」と言って、名をガドと名づけた。 + レアのつかえめジルパは第二の子をヤコブに産んだ。 + そこでレアは、「わたしは、しあわせです。娘たちはわたしをしあわせな者と言うでしょう」と言って、名をアセルと名づけた。 + さてルベンは麦刈りの日に野に出て、野で恋なすびを見つけ、それを母レアのもとに持ってきた。ラケルはレアに言った、「あなたの子の恋なすびをどうぞわたしにください」。 + レアはラケルに言った、「あなたがわたしの夫を取ったのは小さな事でしょうか。その上、あなたはまたわたしの子の恋なすびをも取ろうとするのですか」。ラケルは言った、「それではあなたの子の恋なすびに換えて、今夜彼をあなたと共に寝させましょう」。 + 夕方になって、ヤコブが野から帰ってきたので、レアは彼を出迎えて言った、「わたしの子の恋なすびをもって、わたしがあなたを雇ったのですから、あなたはわたしの所に、はいらなければなりません」。ヤコブはその夜レアと共に寝た。 + 神はレアの願いを聞かれたので、彼女はみごもって五番目の子をヤコブに産んだ。 + そこでレアは、「わたしがつかえめを夫に与えたから、神がわたしにその価を賜わったのです」と言って、名をイッサカルと名づけた。 + レアはまた、みごもって六番目の子をヤコブに産んだ。 + そこでレアは、「神はわたしに良い賜物をたまわった。わたしは六人の子を夫に産んだから、今こそ彼はわたしと一緒に住むでしょう」と言って、その名をゼブルンと名づけた。 + その後、彼女はひとりの娘を産んで、名をデナと名づけた。 + 次に神はラケルを心にとめられ、彼女の願いを聞き、その胎を開かれたので、 + 彼女は、みごもって男の子を産み、「神はわたしの恥をすすいでくださった」と言って、 + 名をヨセフと名づけ、「主がわたしに、なおひとりの子を加えられるように」と言った。 + ラケルがヨセフを産んだ時、ヤコブはラバンに言った、「わたしを去らせて、わたしの故郷、わたしの国へ行かせてください。 + あなたに仕えて得たわたしの妻子を、わたしに与えて行かせてください。わたしがあなたのために働いた骨折りは、あなたがごぞんじです」。 + ラバンは彼に言った、「もし、あなたの心にかなうなら、とどまってください。わたしは主があなたのゆえに、わたしを恵まれるしるしを見ました」。 + また言った、「あなたの報酬を申し出てください。わたしはそれを払います」。 + ヤコブは彼に言った、「わたしがどのようにあなたに仕えたか、またどのようにあなたの家畜を飼ったかは、あなたがごぞんじです。 + わたしが来る前には、あなたの持っておられたものはわずかでしたが、ふえて多くなりました。主はわたしの行く所どこでも、あなたを恵まれました。しかし、いつになったらわたしも自分の家を成すようになるでしょうか」。 + 彼は言った、「何をあなたにあげようか」。ヤコブは言った、「なにもわたしにくださるに及びません。もしあなたが、わたしのためにこの一つの事をしてくださるなら、わたしは今一度あなたの群れを飼い、守りましょう。 + わたしはきょう、あなたの群れをみな回ってみて、その中からすべてぶちとまだらの羊、およびすべて黒い小羊と、やぎの中のまだらのものと、ぶちのものとを移しますが、これをわたしの報酬としましょう。 + あとで、あなたがきて、あなたの前でわたしの報酬をしらべる時、わたしの正しい事が証明されるでしょう。もしも、やぎの中にぶちのないもの、まだらでないものがあったり、小羊の中に黒くないものがあれば、それはみなわたしが盗んだものとなるでしょう」。 + ラバンは言った、「よろしい。あなたの言われるとおりにしましょう」。 + そこでラバンはその日、雄やぎのしまのあるもの、まだらのもの、すべて雌やぎのぶちのもの、まだらのもの、すべて白みをおびているもの、またすべて小羊の中の黒いものを移して子らの手にわたし、 + ヤコブとの間に三日路の隔たりを設けた。ヤコブはラバンの残りの群れを飼った。 + ヤコブは、はこやなぎと、あめんどうと、すずかけの木のなまの枝を取り、皮をはいでそれに白い筋をつくり、枝の白い所を表わし、 + 皮をはいだ枝を、群れがきて水を飲む鉢、すなわち水ぶねの中に、群れに向かわせて置いた。群れは水を飲みにきた時に、はらんだ。 + すなわち群れは枝の前で、はらんで、しまのあるもの、ぶちのもの、まだらのものを産んだ。 + ヤコブはその小羊を別においた。彼はまた群れの顔をラバンの群れのしまのあるものと、すべて黒いものとに向かわせた。そして自分の群れを別にまとめておいて、ラバンの群れには、入れなかった。 + また群れの強いものが発情した時には、ヤコブは水ぶねの中に、その群れの目の前に、かの枝を置いて、枝の間で、はらませた。 + けれども群れの弱いものの時には、それを置かなかった。こうして弱いものはラバンのものとなり、強いものはヤコブのものとなったので、 + この人は大いに富み、多くの群れと、男女の奴隷、およびらくだ、ろばを持つようになった。 + + + さてヤコブはラバンの子らが、「ヤコブはわれわれの父の物をことごとく奪い、父の物によってあのすべての富を獲たのだ」と言っているのを聞いた。 + またヤコブがラバンの顔を見るのに、それは自分に対して以前のようではなかった。 + 主はヤコブに言われた、「あなたの先祖の国へ帰り、親族のもとに行きなさい。わたしはあなたと共にいるであろう」。 + そこでヤコブは人をやって、ラケルとレアとを、野にいる自分の群れのところに招き、 + 彼女らに言った、「わたしがあなたがたの父の顔を見るのに、わたしに対して以前のようではない。しかし、わたしの父の神はわたしと共におられる。 + あなたがたが知っているように、わたしは力のかぎり、あなたがたの父に仕えてきた。 + しかし、あなたがたの父はわたしを欺いて、十度もわたしの報酬を変えた。けれども神は彼がわたしに害を加えることをお許しにならなかった。 + もし彼が、『ぶちのものはあなたの報酬だ』と言えば、群れは皆ぶちのものを産んだ。もし彼が、『しまのあるものはあなたの報酬だ』と言えば、群れは皆しまのあるものを産んだ。 + こうして神はあなたがたの父の家畜をとってわたしに与えられた。 + また群れが発情した時、わたしが夢に目をあげて見ると、群れの上に乗っている雄やぎは皆しまのあるもの、ぶちのもの、霜ふりのものであった。 + その時、神の使が夢の中でわたしに言った、『ヤコブよ』。わたしは答えた、『ここにおります』。 + 神の使は言った、『目を上げて見てごらん。群れの上に乗っている雄やぎは皆しまのあるもの、ぶちのもの、霜ふりのものです。わたしはラバンがあなたにしたことをみな見ています。 + わたしはベテルの神です。かつてあなたはあそこで柱に油を注いで、わたしに誓いを立てましたが、いま立ってこの地を出て、あなたの生れた国へ帰りなさい』」。 + ラケルとレアは答えて言った、「わたしたちの父の家に、なおわたしたちの受くべき分、また嗣業がありましょうか。 + わたしたちは父に他人のように思われているではありませんか。彼はわたしたちを売ったばかりでなく、わたしたちのその金をさえ使い果たしたのです。 + 神がわたしたちの父から取りあげられた富は、みなわたしたちとわたしたちの子どものものです。だから何事でも神があなたにお告げになった事をしてください」。 + そこでヤコブは立って、子らと妻たちをらくだに乗せ、 + またすべての家畜、すなわち彼がパダンアラムで獲た家畜と、すべての財産を携えて、カナンの地におる父イサクのもとへ赴いた。 + その時ラバンは羊の毛を切るために出ていたので、ラケルは父の所有のテラピムを盗み出した。 + またヤコブはアラムびとラバンを欺き、自分の逃げ去るのを彼に告げなかった。 + こうして彼はすべての持ち物を携えて逃げ、立って川を渡り、ギレアデの山地へ向かった。 + 三日目になって、ヤコブの逃げ去ったことが、ラバンに聞えたので、 + 彼は一族を率いて、七日の間そのあとを追い、ギレアデの山地で追いついた。 + しかし、神は夜の夢にアラムびとラバンに現れて言われた、「あなたは心してヤコブに、よしあしを言ってはなりません」。 + ラバンはついにヤコブに追いついたが、ヤコブが山に天幕を張っていたので、ラバンも一族と共にギレアデの山に天幕を張った。 + ラバンはヤコブに言った、「あなたはなんという事をしたのですか。あなたはわたしを欺いてわたしの娘たちをいくさのとりこのように引いて行きました。 + なぜあなたはわたしに告げずに、ひそかに逃げ去ってわたしを欺いたのですか。わたしは手鼓や琴で喜び歌ってあなたを送りだそうとしていたのに。 + なぜわたしの孫や娘にわたしが口づけするのを許さなかったのですか。あなたは愚かな事をしました。 + わたしはあなたがたに害を加える力をもっているが、あなたがたの父の神が昨夜わたしに告げて、『おまえは心して、ヤコブによしあしを言うな』と言われました。 + 今あなたが逃げ出したのは父の家が非常に恋しくなったからでしょうが、なぜあなたはわたしの神を盗んだのですか」。 + ヤコブはラバンに答えた、「たぶんあなたが娘たちをわたしから奪いとるだろうと思ってわたしは恐れたからです。 + だれの所にでもあなたの神が見つかったら、その者を生かしてはおきません。何かあなたの物がわたしのところにあるか、われわれの一族の前で、調べてみて、それをお取りください」。ラケルが神を盗んだことをヤコブは知らなかったからである。 + そこでラバンはヤコブの天幕にはいり、またレアの天幕にはいり、更にふたりのはしための天幕にはいってみたが、見つからなかったので、レアの天幕を出てラケルの天幕にはいった。 + しかし、ラケルはすでにテラピムを取って、らくだのくらの下に入れ、その上にすわっていたので、ラバンは、くまなく天幕の中を捜したが、見つからなかった。 + その時ラケルは父に言った、「わたしは女の常のことがあって、あなたの前に立ち上がることができません。わが主よ、どうかお怒りにならぬよう」。彼は捜したがテラピムは見つからなかった。 + そこでヤコブは怒ってラバンを責めた。そしてヤコブはラバンに言った、「わたしにどんなあやまちがあり、どんな罪があって、あなたはわたしのあとを激しく追ったのですか。 + あなたはわたしの物をことごとく探られたが、何かあなたの家の物が見つかりましたか。それを、ここに、わたしの一族と、あなたの一族の前に置いて、われわれふたりの間をさばかせましょう。 + わたしはこの二十年、あなたと一緒にいましたが、その間あなたの雌羊も雌やぎも子を産みそこねたことはなく、またわたしはあなたの群れの雄羊を食べたこともありませんでした。 + また野獣が、かみ裂いたものは、あなたのもとに持ってこないで、自分でそれを償いました。また昼盗まれたものも、夜盗まれたものも、あなたはわたしにその償いを求められました。 + わたしのことを言えば、昼は暑さに、夜は寒さに悩まされて、眠ることもできませんでした。 + わたしはこの二十年あなたの家族のひとりでありました。わたしはあなたのふたりの娘のために十四年、またあなたの群れのために六年、あなたに仕えましたが、あなたは十度もわたしの報酬を変えられました。 + もし、わたしの父の神、アブラハムの神、イサクのかしこむ者がわたしと共におられなかったなら、あなたはきっとわたしを、から手で去らせたでしょう。神はわたしの悩みと、わたしの労苦とを顧みられて昨夜あなたを戒められたのです」。 + ラバンは答えてヤコブに言った、「娘たちはわたしの娘、子どもたちはわたしの孫です。また群れはわたしの群れ、あなたの見るものはみなわたしのものです。これらのわたしの娘たちのため、また彼らが産んだ子どもたちのため、きょうわたしは何をすることができましょうか。 + さあ、それではわたしとあなたと契約を結んで、これをわたしとあなたとの間の証拠としましょう」。 + そこでヤコブは石を取り、それを立てて柱とした。 + ヤコブはまた一族の者に言った、「石を集めてください」。彼らは石を取って、一つの石塚を造った。こうして彼らはその石塚のかたわらで食事をした。 + ラバンはこれをエガル・サハドタと名づけ、ヤコブはこれをガルエドと名づけた。 + そしてラバンは言った、「この石塚はきょうわたしとあなたとの間の証拠となります」。それでその名はガルエドと呼ばれた。 + またミズパとも呼ばれた。彼がこう言ったからである、「われわれが互に別れたのちも、どうか主がわたしとあなたとの間を見守られるように。 + もしあなたがわたしの娘を虐待したり、わたしの娘のほかに妻をめとることがあれば、たといそこにだれひとりいなくても、神はわたしとあなたとの間の証人でいらせられる」。 + 更にラバンはヤコブに言った、「あなたとわたしとの間にわたしが建てたこの石塚をごらんなさい、この柱をごらんなさい。 + この石塚を越えてわたしがあなたに害を加えず、またこの石塚とこの柱を越えてあなたがわたしに害を加えないように、どうかこの石塚があかしとなり、この柱があかしとなるように。 + どうかアブラハムの神、ナホルの神、彼らの父の神がわれわれの間をさばかれるように」。ヤコブは父イサクのかしこむ者によって誓った。 + そしてヤコブは山で犠牲をささげ、一族を招いて、食事をした。彼らは食事をして山に宿った。 + あくる朝ラバンは早く起き、孫と娘たちに口づけして彼らを祝福し、去って家に帰った。 + + + さて、ヤコブが旅路に進んだとき、神の使たちが彼に会った。 + ヤコブは彼らを見て、「これは神の陣営です」と言って、その所の名をマハナイムと名づけた。 + ヤコブはセイルの地、エドムの野に住む兄エサウのもとに、さきだって使者をつかわした。 + すなわちそれに命じて言った、「あなたがたはわたしの主人エサウにこう言いなさい、『あなたのしもべヤコブはこう言いました。わたしはラバンのもとに寄留して今までとどまりました。 + わたしは牛、ろば、羊、男女の奴隷を持っています。それでわが主に申し上げて、あなたの前に恵みを得ようと人をつかわしたのです』」。 + 使者はヤコブのもとに帰って言った、「わたしたちはあなたの兄エサウのもとへ行きました。彼もまたあなたを迎えようと四百人を率いてきます」。 + そこでヤコブは大いに恐れ、苦しみ、共にいる民および羊、牛、らくだを二つの組に分けて、 + 言った、「たとい、エサウがきて、一つの組を撃っても、残りの組はのがれるであろう」。 + ヤコブはまた言った、「父アブラハムの神、父イサクの神よ、かつてわたしに『おまえの国へ帰り、おまえの親族に行け。わたしはおまえを恵もう』と言われた主よ、 + あなたがしもべに施されたすべての恵みとまことをわたしは受けるに足りない者です。わたしは、つえのほか何も持たないでこのヨルダンを渡りましたが、今は二つの組にもなりました。 + どうぞ、兄エサウの手からわたしをお救いください。わたしは彼がきて、わたしを撃ち、母や子供たちにまで及ぶのを恐れます。 + あなたは、かつて、『わたしは必ずおまえを恵み、おまえの子孫を海の砂の数えがたいほど多くしよう』と言われました」。 + 彼はその夜そこに宿り、持ち物のうちから兄エサウへの贈り物を選んだ。 + すなわち雌やぎ二百、雄やぎ二十、雌羊二百、雄羊二十、 + 乳らくだ三十とその子、雌牛四十、雄牛十、雌ろば二十、雄ろば十。 + 彼はこれらをそれぞれの群れに分けて、しもべたちの手にわたし、しもべたちに言った、「あなたがたはわたしの先に進みなさい、そして群れと群れとの間には隔たりをおきなさい」。 + また先頭の者に命じて言った、「もし、兄エサウがあなたに会って『だれのしもべで、どこへ行くのか。あなたの前にあるこれらのものはだれの物か』と尋ねたら、 + 『あなたのしもべヤコブの物で、わが主エサウにおくる贈り物です。彼もわたしたちのうしろにおります』と言いなさい」。 + 彼は第二の者にも、第三の者にも、また群れ群れについて行くすべての者にも命じて言った、「あなたがたがエサウに会うときは、同じように彼に告げて、 + 『あなたのしもべヤコブもわれわれのうしろにおります』と言いなさい」。ヤコブは、「わたしがさきに送る贈り物をもってまず彼をなだめ、それから、彼の顔を見よう。そうすれば、彼はわたしを迎えてくれるであろう」と思ったからである。 + こうして贈り物は彼に先立って渡り、彼はその夜、宿営にやどった。 + 彼はその夜起きて、ふたりの妻とふたりのつかえめと十一人の子どもとを連れてヤボクの渡しをわたった。 + すなわち彼らを導いて川を渡らせ、また彼の持ち物を渡らせた。 + ヤコブはひとりあとに残ったが、ひとりの人が、夜明けまで彼と組打ちした。 + ところでその人はヤコブに勝てないのを見て、ヤコブのもものつがいにさわったので、ヤコブのもものつがいが、その人と組打ちするあいだにはずれた。 + その人は言った、「夜が明けるからわたしを去らせてください」。ヤコブは答えた、「わたしを祝福してくださらないなら、あなたを去らせません」。 + その人は彼に言った、「あなたの名はなんと言いますか」。彼は答えた、「ヤコブです」。 + その人は言った、「あなたはもはや名をヤコブと言わず、イスラエルと言いなさい。あなたが神と人とに、力を争って勝ったからです」。 + ヤコブは尋ねて言った、「どうかわたしにあなたの名を知らせてください」。するとその人は、「なぜあなたはわたしの名をきくのですか」と言ったが、その所で彼を祝福した。 + そこでヤコブはその所の名をペニエルと名づけて言った、「わたしは顔と顔をあわせて神を見たが、なお生きている」。 + こうして彼がペニエルを過ぎる時、日は彼の上にのぼったが、彼はそのもものゆえにびっこを引いていた。 + そのため、イスラエルの子らは今日まで、もものつがいの上にある腰の筋を食べない。かの人がヤコブのもものつがい、すなわち腰の筋にさわったからである。 + + + さてヤコブは目をあげ、エサウが四百人を率いて来るのを見た。そこで彼は子供たちを分けてレアとラケルとふたりのつかえめとにわたし、 + つかえめとその子供たちをまっ先に置き、レアとその子供たちを次に置き、ラケルとヨセフを最後に置いて、 + みずから彼らの前に進み、七たび身を地にかがめて、兄に近づいた。 + するとエサウは走ってきて迎え、彼を抱き、そのくびをかかえて口づけし、共に泣いた。 + エサウは目をあげて女と子供たちを見て言った、「あなたと一緒にいるこれらの者はだれですか」。ヤコブは言った、「神がしもべに授けられた子供たちです」。 + そこでつかえめたちはその子供たちと共に近寄ってお辞儀した。 + レアもまたその子供たちと共に近寄ってお辞儀し、それからヨセフとラケルが近寄ってお辞儀した。 + するとエサウは言った、「わたしが出会ったあのすべての群れはどうしたのですか」。ヤコブは言った、「わが主の前に恵みを得るためです」。 + エサウは言った、「弟よ、わたしはじゅうぶんもっている。あなたの物はあなたのものにしなさい」。 + ヤコブは言った、「いいえ、もしわたしがあなたの前に恵みを得るなら、どうか、わたしの手から贈り物を受けてください。あなたが喜んでわたしを迎えてくださるので、あなたの顔を見て、神の顔を見るように思います。 + どうかわたしが持ってきた贈り物を受けてください。神がわたしを恵まれたので、わたしはじゅうぶんもっていますから」。こうして彼がしいたので、彼は受け取った。 + そしてエサウは言った、「さあ、立って行こう。わたしが先に行く」。 + ヤコブは彼に言った、「ごぞんじのように、子供たちは、かよわく、また乳を飲ませている羊や牛をわたしが世話をしています。もし一日でも歩かせ過ぎたら群れはみな死んでしまいます。 + わが主よ、どうか、しもべの先においでください。わたしはわたしの前にいる家畜と子供たちの歩みに合わせて、ゆっくり歩いて行き、セイルでわが主と一緒になりましょう」。 + エサウは言った、「それならわたしが連れている者どものうち幾人かをあなたのもとに残しましょう」。ヤコブは言った、「いいえ、それには及びません。わが主の前に恵みを得させてください」。 + その日エサウはセイルへの帰途についた。 + ヤコブは立ってスコテに行き、自分のために家を建て、また家畜のために小屋を造った。これによってその所の名はスコテと呼ばれている。 + こうしてヤコブはパダンアラムからきて、無事カナンの地のシケムの町に着き、町の前に宿営した。 + 彼は天幕を張った野の一部をシケムの父ハモルの子らの手から百ケシタで買い取り、 + そこに祭壇を建てて、これをエル・エロヘ・イスラエルと名づけた。 + + + レアがヤコブに産んだ娘デナはその地の女たちに会おうと出かけて行ったが、 + その地のつかさ、ヒビびとハモルの子シケムが彼女を見て、引き入れ、これと寝てはずかしめた。 + 彼は深くヤコブの娘デナを慕い、この娘を愛して、ねんごろに娘に語った。 + シケムは父ハモルに言った、「この娘をわたしの妻にめとってください」。 + さてヤコブはシケムが、娘デナを汚したことを聞いたけれども、その子らが家畜を連れて野にいたので、彼らの帰るまで黙っていた。 + シケムの父ハモルはヤコブと話し合おうと、ヤコブの所に出てきた。 + ヤコブの子らは野から帰り、この事を聞いて、悲しみ、かつ非常に怒った。シケムがヤコブの娘と寝て、イスラエルに愚かなことをしたためで、こんなことは、してはならぬ事だからである。 + ハモルは彼らと語って言った、「わたしの子シケムはあなたがたの娘を心に慕っています。どうか彼女を彼の妻にください。 + あなたがたはわたしたちと婚姻し、あなたがたの娘をわたしたちに与え、わたしたちの娘をあなたがたにめとってください。 + こうしてあなたがたとわたしたちとは一緒に住みましょう。地はあなたがたの前にあります。ここに住んで取引し、ここで財産を獲なさい」。 + シケムはまたデナの父と兄弟たちとに言った、「あなたがたの前に恵みを得させてください。あなたがたがわたしに言われるものは、なんでもさしあげましょう。 + たくさんの結納金と贈り物とをお求めになっても、あなたがたの言われるとおりさしあげます。ただこの娘はわたしの妻にください」。 + しかし、ヤコブの子らはシケムが彼らの妹デナを汚したので、シケムとその父ハモルに偽って答え、 + 彼らに言った、「われわれは割礼を受けない者に妹をやる事はできません。それはわれわれの恥とするところですから。 + ただ、こうなさればわれわれはあなたがたに同意します。もしあなたがたのうち男子がみな割礼を受けて、われわれのようになるなら、 + われわれの娘をあなたがたに与え、あなたがたの娘をわれわれにめとりましょう。そしてわれわれはあなたがたと一緒に住んで一つの民となりましょう。 + けれども、もしあなたがたがわれわれに聞かず、割礼を受けないなら、われわれは娘を連れて行きます」。 + 彼らの言葉がハモルとハモルの子シケムとの心にかなったので、 + 若者は、ためらわずにこの事をした。彼がヤコブの娘を愛したからである。また彼は父の家のうちで一番重んじられた者であった。 + そこでハモルとその子シケムとは町の門に行き、町の人々に語って言った、 + 「この人々はわれわれと親しいから、この地に住まわせて、ここで取引をさせよう。地は広く、彼らをいれるにじゅうぶんである。そしてわれわれは彼らの娘を妻にめとり、われわれの娘を彼らに与えよう。 + 彼らが割礼を受けているように、もしわれわれのうちの男子が皆、割礼を受けるなら、ただこの事だけで、この人々はわれわれに同意し、われわれと一緒に住んで一つの民となるのだ。 + そうすれば彼らの家畜と財産とすべての獣とは、われわれのものとなるではないか。ただわれわれが彼らに同意すれば、彼らはわれわれと一緒に住むであろう」。 + そこで町の門に出入りする者はみなハモルとその子シケムとに聞き従って、町の門に出入りするすべての男子は割礼を受けた。 + 三日目になって彼らが痛みを覚えている時、ヤコブのふたりの子、すなわちデナの兄弟シメオンとレビとは、おのおのつるぎを取って、不意に町を襲い、男子をことごとく殺し、 + またつるぎの刃にかけてハモルとその子シケムとを殺し、シケムの家からデナを連れ出した。 + そしてヤコブの子らは殺された人々をはぎ、町をかすめた。彼らが妹を汚したからである。 + すなわち羊、牛、ろば及び町にあるものと、野にあるもの、 + 並びにすべての貨財を奪い、その子女と妻たちを皆とりこにし、家の中にある物をことごとくかすめた。 + そこでヤコブはシメオンとレビとに言った、「あなたがたはわたしをこの地の住民、カナンびととペリジびとに忌みきらわせ、わたしに迷惑をかけた。わたしは、人数が少ないから、彼らが集まってわたしを攻め撃つならば、わたしも家族も滅ぼされるであろう」。 + 彼らは言った、「わたしたちの妹を遊女のように彼が扱ってよいのですか」。 + + + ときに神はヤコブに言われた、「あなたは立ってベテルに上り、そこに住んで、あなたがさきに兄エサウの顔を避けてのがれる時、あなたに現れた神に祭壇を造りなさい」。 + ヤコブは、その家族および共にいるすべての者に言った、「あなたがたのうちにある異なる神々を捨て、身を清めて着物を着替えなさい。 + われわれは立ってベテルに上り、その所でわたしの苦難の日にわたしにこたえ、かつわたしの行く道で共におられた神に祭壇を造ろう」。 + そこで彼らは持っている異なる神々と、耳につけている耳輪をことごとくヤコブに与えたので、ヤコブはこれをシケムのほとりにあるテレビンの木の下に埋めた。 + そして彼らは、いで立ったが、大いなる恐れが周囲の町々に起ったので、ヤコブの子らのあとを追う者はなかった。 + こうしてヤコブは共にいたすべての人々と一緒にカナンの地にあるルズ、すなわちベテルにきた。 + 彼はそこに祭壇を築き、その所をエル・ベテルと名づけた。彼が兄の顔を避けてのがれる時、神がそこで彼に現れたからである。 + 時にリベカのうばデボラが死んで、ベテルのしもの、かしの木の下に葬られた。これによってその木の名をアロン・バクテと呼ばれた。 + さてヤコブがパダンアラムから帰ってきた時、神は再び彼に現れて彼を祝福された。 + 神は彼に言われた、「あなたの名はヤコブである。しかしあなたの名をもはやヤコブと呼んではならない。あなたの名をイスラエルとしなさい」。こうして彼をイスラエルと名づけられた。 + 神はまた彼に言われた、「わたしは全能の神である。あなたは生めよ、またふえよ。一つの国民、また多くの国民があなたから出て、王たちがあなたの身から出るであろう。 + わたしはアブラハムとイサクとに与えた地を、あなたに与えよう。またあなたの後の子孫にその地を与えよう」。 + 神は彼と語っておられたその場所から彼を離れてのぼられた。 + そこでヤコブは神が自分と語られたその場所に、一本の石の柱を立て、その上に灌祭をささげ、また油を注いだ。 + そしてヤコブは神が自分と語られたその場所をベテルと名づけた。 + こうして彼らはベテルを立ったが、エフラタに行き着くまでに、なお隔たりのある所でラケルは産気づき、その産は重かった。 + その難産に当って、産婆は彼女に言った、「心配することはありません。今度も男の子です」。 + 彼女は死にのぞみ、魂の去ろうとする時、子の名をベノニと呼んだ。しかし、父はこれをベニヤミンと名づけた。 + ラケルは死んでエフラタ、すなわちベツレヘムの道に葬られた。 + ヤコブはその墓に柱を立てた。これはラケルの墓の柱であって、今日に至っている。 + イスラエルはまた、いで立ってミグダル・エダルの向こうに天幕を張った。 + イスラエルがその地に住んでいた時、ルベンは父のそばめビルハのところへ行って、これと寝た。イスラエルはこれを聞いた。さてヤコブの子らは十二人であった。 + すなわちレアの子らはヤコブの長子ルベンとシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。 + ラケルの子らはヨセフとベニヤミン。 + ラケルのつかえめビルハの子らはダンとナフタリ。 + レアのつかえめジルパの子らはガドとアセル。これらはヤコブの子らであって、パダンアラムで彼に生れた者である。 + ヤコブはキリアテ・アルバ、すなわちヘブロンのマムレにいる父イサクのもとへ行った。ここはアブラハムとイサクとが寄留した所である。 + イサクの年は百八十歳であった。 + イサクは年老い、日満ちて息絶え、死んで、その民に加えられた。その子エサウとヤコブとは、これを葬った。 + + + エサウ、すなわちエドムの系図は次のとおりである。 + エサウはカナンの娘たちのうちから妻をめとった。すなわちヘテびとエロンの娘アダと、ヒビびとヂベオンの子アナの娘アホリバマとである。 + また、イシマエルの娘ネバヨテの妹バスマテをめとった。 + アダはエリパズをエサウに産み、バスマテはリウエルを産み、 + アホリバマはエウシ、ヤラム、コラを産んだ。これらはエサウの子であって、カナンの地で彼に生れた者である。 + エサウは妻と子と娘と家のすべての人、家畜とすべての獣、またカナンの地で獲たすべての財産を携え、兄弟ヤコブを離れてほかの地へ行った。 + 彼らの財産が多くて、一緒にいることができなかったからである。すなわち彼らが寄留した地は彼らの家畜のゆえに、彼らをささえることができなかったのである。 + こうしてエサウはセイルの山地に住んだ。エサウはすなわちエドムである。 + セイルの山地におったエドムびとの先祖エサウの系図は次のとおりである。 + エサウの子らの名は次のとおりである。すなわちエサウの妻アダの子はエリパズ。エサウの妻バスマテの子はリウエル。 + エリパズの子らはテマン、オマル、ゼポ、ガタム、ケナズである。 + テムナはエサウの子エリパズのそばめで、アマレクをエリパズに産んだ。これらはエサウの妻アダの子らである。 + リウエルの子らは次のとおりである。すなわちナハテ、ゼラ、シャンマ、ミザであって、これらはエサウの妻バスマテの子らである。 + ヂベオンの子アナの娘で、エサウの妻アホリバマの子らは次のとおりである。すなわち彼女はエウシ、ヤラム、コラをエサウに産んだ。 + エサウの子らの中で、族長たる者は次のとおりである。すなわちエサウの長子エリパズの子らはテマンの族長、オマルの族長、ゼポの族長、ケナズの族長、 + コラの族長、ガタムの族長、アマレクの族長である。これらはエリパズから出た族長で、エドムの地におった。これらはアダの子らである。 + エサウの子リウエルの子らは次のとおりである。すなわちナハテの族長、ゼラの族長、シャンマの族長、ミザの族長。これらはリウエルから出た族長で、エドムの地におった。これらはエサウの妻バスマテの子らである。 + エサウの妻アホリバマの子らは次のとおりである。すなわちエウシの族長、ヤラムの族長、コラの族長。これらはアナの娘で、エサウの妻アホリバマから出た族長である。 + これらはエサウすなわちエドムの子らで、族長たる者である。 + この地の住民ホリびとセイルの子らは次のとおりである。すなわちロタン、ショバル、ヂベオン、アナ、 + デション、エゼル、デシャン。これらはセイルの子ホリびとから出た族長で、エドムの地におった。 + ロタンの子らはホリ、ヘマムであり、ロタンの妹はテムナであった。 + ショバルの子らは次のとおりである。すなわちアルワン、マナハテ、エバル、シポ、オナム。 + ヂベオンの子らは次のとおりである。すなわちアヤとアナ。このアナは父ヂベオンのろばを飼っていた時、荒野で温泉を発見した者である。 + アナの子らは次のとおりである。すなわちデションとアホリバマ。アホリバマはアナの娘である。 + デションの子らは次のとおりである。すなわちヘムダン、エシバン、イテラン、ケラン。 + エゼルの子らは次のとおりである。すなわちビルハン、ザワン、アカン。 + デシャンの子らは次のとおりである。すなわちウズとアラン。 + ホリびとから出た族長は次のとおりである。すなわちロタンの族長、ショバルの族長、ヂベオンの族長、アナの族長、 + デションの族長、エゼルの族長、デシャンの族長。これらはホリびとから出た族長であって、その氏族に従ってセイルの地におった者である。 + イスラエルの人々を治める王がまだなかった時、エドムの地を治めた王たちは次のとおりである。 + ベオルの子ベラはエドムを治め、その都の名はデナバであった。 + ベラが死んで、ボズラのゼラの子ヨバブがこれに代って王となった。 + ヨバブが死んで、テマンびとの地のホシャムがこれに代って王となった。 + ホシャムが死んで、ベダデの子ハダデがこれに代って王となった。彼はモアブの野でミデアンを撃った者である。その都の名はアビテであった。 + ハダデが死んで、マスレカのサムラがこれに代って王となった。 + サムラが死んでユフラテ川のほとりにあるレホボテのサウルがこれに代って王となった。 + サウルが死んでアクボルの子バアル・ハナンがこれに代って王となった。 + アクボルの子バアル・ハナンが死んで、ハダルがこれに代って王となった。その都の名はパウであった。その妻の名はメヘタベルといって、メザハブの娘マテレデの娘であった。 + エサウから出た族長の名は、その氏族と住所と名に従って言えば次のとおりである。すなわちテムナの族長、アルワの族長、エテテの族長、 + アホリバマの族長、エラの族長、ピノンの族長、 + ケナズの族長、テマンの族長、ミブザルの族長、 + マグデエルの族長、イラムの族長。これらはエドムの族長たちであって、その領地内の住所に従っていったものである。エドムびとの先祖はエサウである。 + + + ヤコブは父の寄留の地、すなわちカナンの地に住んだ。 + ヤコブの子孫は次のとおりである。ヨセフは十七歳の時、兄弟たちと共に羊の群れを飼っていた。彼はまだ子供で、父の妻たちビルハとジルパとの子らと共にいたが、ヨセフは彼らの悪いうわさを父に告げた。 + ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。 + 兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった。 + ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。 + ヨセフは彼らに言った、「どうぞわたしが見た夢を聞いてください。 + わたしたちが畑の中で束を結わえていたとき、わたしの束が起きて立つと、あなたがたの束がまわりにきて、わたしの束を拝みました」。 + すると兄弟たちは彼に向かって、「あなたはほんとうにわたしたちの王になるのか。あなたは実際わたしたちを治めるのか」と言って、彼の夢とその言葉のゆえにますます彼を憎んだ。 + ヨセフはまた一つの夢を見て、それを兄弟たちに語って言った、「わたしはまた夢を見ました。日と月と十一の星とがわたしを拝みました」。 + 彼はこれを父と兄弟たちに語ったので、父は彼をとがめて言った、「あなたが見たその夢はどういうのか。ほんとうにわたしとあなたの母と、兄弟たちとが行って地に伏し、あなたを拝むのか」。 + 兄弟たちは彼をねたんだ。しかし父はこの言葉を心にとめた。 + さて兄弟たちがシケムに行って、父の羊の群れを飼っていたとき、 + イスラエルはヨセフに言った、「あなたの兄弟たちはシケムで羊を飼っているではないか。さあ、あなたを彼らの所へつかわそう」。ヨセフは父に言った、「はい、行きます」。 + 父は彼に言った、「どうか、行って、あなたの兄弟たちは無事であるか、また群れは無事であるか見てきて、わたしに知らせてください」。父が彼をヘブロンの谷からつかわしたので、彼はシケムに行った。 + ひとりの人が彼に会い、彼が野をさまよっていたので、その人は彼に尋ねて言った、「あなたは何を捜しているのですか」。 + 彼は言った、「兄弟たちを捜しているのです。彼らが、どこで羊を飼っているのか、どうぞわたしに知らせてください」。 + その人は言った、「彼らはここを去りました。彼らが『ドタンへ行こう』と言うのをわたしは聞きました」。そこでヨセフは兄弟たちのあとを追って行って、ドタンで彼らに会った。 + ヨセフが彼らに近づかないうちに、彼らははるかにヨセフを見て、これを殺そうと計り、 + 互に言った、「あの夢見る者がやって来る。 + さあ、彼を殺して穴に投げ入れ、悪い獣が彼を食ったと言おう。そして彼の夢がどうなるか見よう」。 + ルベンはこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から救い出そうとして言った、「われわれは彼の命を取ってはならない」。 + ルベンはまた彼らに言った、「血を流してはいけない。彼を荒野のこの穴に投げ入れよう。彼に手をくだしてはならない」。これはヨセフを彼らの手から救いだして父に返すためであった。 + さて、ヨセフが兄弟たちのもとへ行くと、彼らはヨセフの着物、彼が着ていた長そでの着物をはぎとり、 + 彼を捕えて穴に投げ入れた。その穴はからで、その中に水はなかった。 + こうして彼らはすわってパンを食べた。時に彼らが目をあげて見ると、イシマエルびとの隊商が、らくだに香料と、乳香と、もつやくとを負わせてエジプトへ下り行こうとギレアデからやってきた。 + そこでユダは兄弟たちに言った、「われわれが弟を殺し、その血を隠して何の益があろう。 + さあ、われわれは彼をイシマエルびとに売ろう。彼はわれわれの兄弟、われわれの肉身だから、彼に手を下してはならない」。兄弟たちはこれを聞き入れた。 + 時にミデアンびとの商人たちが通りかかったので、彼らはヨセフを穴から引き上げ、銀二十シケルでヨセフをイシマエルびとに売った。彼らはヨセフをエジプトへ連れて行った。 + さてルベンは穴に帰って見たが、ヨセフが穴の中にいなかったので、彼は衣服を裂き、 + 兄弟たちのもとに帰って言った、「あの子はいない。ああ、わたしはどこへ行くことができよう」。 + 彼らはヨセフの着物を取り、雄やぎを殺して、着物をその血に浸し、 + その長そでの着物を父に持ち帰って言った、「わたしたちはこれを見つけましたが、これはあなたの子の着物か、どうか見さだめてください」。 + 父はこれを見さだめて言った、「わが子の着物だ。悪い獣が彼を食ったのだ。確かにヨセフはかみ裂かれたのだ」。 + そこでヤコブは衣服を裂き、荒布を腰にまとって、長い間その子のために嘆いた。 + 子らと娘らとは皆立って彼を慰めようとしたが、彼は慰められるのを拒んで言った、「いや、わたしは嘆きながら陰府に下って、わが子のもとへ行こう」。こうして父は彼のために泣いた。 + さて、かのミデアンびとらはエジプトでパロの役人、侍衛長ポテパルにヨセフを売った。 + + + そのころユダは兄弟たちを離れて下り、アドラムびとで、名をヒラという者の所へ行った。 + ユダはその所で、名をシュアというカナンびとの娘を見て、これをめとり、その所にはいった。 + 彼女はみごもって男の子を産んだので、ユダは名をエルと名づけた。 + 彼女は再びみごもって男の子を産み、名をオナンと名づけた。 + また重ねて、男の子を産み、名をシラと名づけた。彼女はこの男の子を産んだとき、クジブにおった。 + ユダは長子エルのために、名をタマルという妻を迎えた。 + しかしユダの長子エルは主の前に悪い者であったので、主は彼を殺された。 + そこでユダはオナンに言った、「兄の妻の所にはいって、彼女をめとり、兄に子供を得させなさい」。 + しかしオナンはその子が自分のものとならないのを知っていたので、兄の妻の所にはいった時、兄に子を得させないために地に洩らした。 + 彼のした事は主の前に悪かったので、主は彼をも殺された。 + そこでユダはその子の妻タマルに言った、「わたしの子シラが成人するまで、寡婦のままで、あなたの父の家にいなさい」。彼は、シラもまた兄弟たちのように死ぬかもしれないと、思ったからである。それでタマルは行って父の家におった。 + 日がたってシュアの娘ユダの妻は死んだ。その後、ユダは喪を終ってその友アドラムびとヒラと共にテムナに上り、自分の羊の毛を切る者のところへ行った。 + 時に、ひとりの人がタマルに告げて、「あなたのしゅうとが羊の毛を切るためにテムナに上って来る」と言ったので、 + 彼女は寡婦の衣服を脱ぎすて、被衣で身をおおい隠して、テムナへ行く道のかたわらにあるエナイムの入口にすわっていた。彼女はシラが成人したのに、自分がその妻にされないのを知ったからである。 + ユダは彼女を見たとき、彼女が顔をおおっていたため、遊女だと思い、 + 道のかたわらで彼女に向かって言った、「さあ、あなたの所にはいらせておくれ」。彼はこの女がわが子の妻であることを知らなかったからである。彼女は言った、「わたしの所にはいるため、何をくださいますか」。 + ユダは言った、「群れのうちのやぎの子をあなたにあげよう」。彼女は言った、「それをくださるまで、しるしをわたしにくださいますか」。 + ユダは言った、「どんなしるしをあげようか」。彼女は言った、「あなたの印と紐と、あなたの手にあるつえとを」。彼はこれらを与えて彼女の所にはいった。彼女はユダによってみごもった。 + 彼女は起きて去り、被衣を脱いで寡婦の衣服を着た。 + やがてユダはその女からしるしを取りもどそうと、その友アドラムびとに託してやぎの子を送ったけれども、その女を見いだせなかった。 + そこで彼はその所の人々に尋ねて言った、「エナイムで道のかたわらにいた遊女はどこにいますか」。彼らは言った、「ここには遊女はいません」。 + 彼はユダのもとに帰って言った、「わたしは彼女を見いだせませんでした。またその所の人々は、『ここには遊女はいない』と言いました」。 + そこでユダは言った、「女に持たせておこう。わたしたちは恥をかくといけないから。とにかく、わたしはこのやぎの子を送ったが、あなたは彼女を見いだせなかったのだ」。 + ところが三月ほどたって、ひとりの人がユダに言った、「あなたの嫁タマルは姦淫しました。そのうえ、彼女は姦淫によってみごもりました」。ユダは言った、「彼女を引き出して焼いてしまえ」。 + 彼女は引き出された時、そのしゅうとに人をつかわして言った、「わたしはこれをもっている人によって、みごもりました」。彼女はまた言った、「どうか、この印と、紐と、つえとはだれのものか、見定めてください」。 + ユダはこれを見定めて言った、「彼女はわたしよりも正しい。わたしが彼女をわが子シラに与えなかったためである」。彼は再び彼女を知らなかった。 + さて彼女の出産の時がきたが、胎内には、ふたごがあった。 + 出産の時に、ひとりの子が手を出したので、産婆は、「これがさきに出た」と言い、緋の糸を取って、その手に結んだ。 + そして、その子が手をひっこめると、その弟が出たので、「どうしてあなたは自分で破って出るのか」と言った。これによって名はペレヅと呼ばれた。 + その後、手に緋の糸のある兄が出たので、名はゼラと呼ばれた。 + + + さてヨセフは連れられてエジプトに下ったが、パロの役人で侍衛長であったエジプトびとポテパルは、彼をそこに連れ下ったイシマエルびとらの手から買い取った。 + 主がヨセフと共におられたので、彼は幸運な者となり、その主人エジプトびとの家におった。 + その主人は主が彼とともにおられることと、主が彼の手のすることをすべて栄えさせられるのを見た。 + そこで、ヨセフは彼の前に恵みを得、そのそば近く仕えた。彼はヨセフに家をつかさどらせ、持ち物をみな彼の手にゆだねた。 + 彼がヨセフに家とすべての持ち物をつかさどらせた時から、主はヨセフのゆえにそのエジプトびとの家を恵まれたので、主の恵みは彼の家と畑とにあるすべての持ち物に及んだ。 + そこで彼は持ち物をみなヨセフの手にゆだねて、自分が食べる物のほかは、何をも顧みなかった。さてヨセフは姿がよく、顔が美しかった。 + これらの事の後、主人の妻はヨセフに目をつけて言った、「わたしと寝なさい」。 + ヨセフは拒んで、主人の妻に言った、「御主人はわたしがいるので家の中の何をも顧みず、その持ち物をみなわたしの手にゆだねられました。 + この家にはわたしよりも大いなる者はありません。また御主人はあなたを除いては、何をもわたしに禁じられませんでした。あなたが御主人の妻であるからです。どうしてわたしはこの大きな悪をおこなって、神に罪を犯すことができましょう」。 + 彼女は毎日ヨセフに言い寄ったけれども、ヨセフは聞きいれず、彼女と寝なかった。また共にいなかった。 + ある日ヨセフが務をするために家にはいった時、家の者がひとりもそこにいなかったので、 + 彼女はヨセフの着物を捕えて、「わたしと寝なさい」と言った。ヨセフは着物を彼女の手に残して外にのがれ出た。 + 彼女はヨセフが着物を自分の手に残して外にのがれたのを見て、 + その家の者どもを呼び、彼らに告げて言った、「主人がわたしたちの所に連れてきたヘブルびとは、わたしたちに戯れます。彼はわたしと寝ようとして、わたしの所にはいったので、わたしは大声で叫びました。 + 彼はわたしが声をあげて叫ぶのを聞くと、着物をわたしの所に残して外にのがれ出ました」。 + 彼女はその着物をかたわらに置いて、主人の帰って来るのを待った。 + そして彼女は次のように主人に告げた、「あなたがわたしたちに連れてこられたヘブルのしもべはわたしに戯れようとして、わたしの所にはいってきました。 + わたしが声をあげて叫んだので、彼は着物をわたしの所に残して外にのがれました」。 + 主人はその妻が「あなたのしもべは、わたしにこんな事をした」と告げる言葉を聞いて、激しく怒った。 + そしてヨセフの主人は彼を捕えて、王の囚人をつなぐ獄屋に投げ入れた。こうしてヨセフは獄屋の中におったが、 + 主はヨセフと共におられて彼にいつくしみを垂れ、獄屋番の恵みをうけさせられた。 + 獄屋番は獄屋におるすべての囚人をヨセフの手にゆだねたので、彼はそこでするすべての事をおこなった。 + 獄屋番は彼の手にゆだねた事はいっさい顧みなかった。主がヨセフと共におられたからである。主は彼のなす事を栄えさせられた。 + + + これらの事の後、エジプト王の給仕役と料理役とがその主君エジプト王に罪を犯した。 + パロはふたりの役人、すなわち給仕役の長と料理役の長に向かって憤り、 + 侍衛長の家の監禁所、すなわちヨセフがつながれている獄屋に入れた。 + 侍衛長はヨセフに命じて彼らと共におらせたので、ヨセフは彼らに仕えた。こうして彼らは監禁所で幾日かを過ごした。 + さて獄屋につながれたエジプト王の給仕役と料理役のふたりは一夜のうちにそれぞれ意味のある夢を見た。 + ヨセフが朝、彼らのところへ行って見ると、彼らは悲しみに沈んでいた。 + そこでヨセフは自分と一緒に主人の家の監禁所にいるパロの役人たちに尋ねて言った、「どうして、きょう、あなたがたの顔色が悪いのですか」。 + 彼らは言った、「わたしたちは夢を見ましたが、解いてくれる者がいません」。ヨセフは彼らに言った、「解くことは神によるのではありませんか。どうぞ、わたしに話してください」。 + 給仕役の長はその夢をヨセフに話して言った、「わたしが見た夢で、わたしの前に一本のぶどうの木がありました。 + そのぶどうの木に三つの枝があって、芽を出し、花が咲き、ぶどうのふさが熟しました。 + 時にわたしの手に、パロの杯があって、わたしはそのぶどうを取り、それをパロの杯にしぼり、その杯をパロの手にささげました」。 + ヨセフは言った、「その解き明かしはこうです。三つの枝は三日です。 + 今から三日のうちにパロはあなたの頭を上げて、あなたを元の役目に返すでしょう。あなたはさきに給仕役だった時にされたように、パロの手に杯をささげられるでしょう。 + それで、あなたがしあわせになられたら、わたしを覚えていて、どうかわたしに恵みを施し、わたしの事をパロに話して、この家からわたしを出してください。 + わたしは、実はヘブルびとの地からさらわれてきた者です。またここでもわたしは地下の獄屋に入れられるような事はしなかったのです」。 + 料理役の長はその解き明かしの良かったのを見て、ヨセフに言った、「わたしも夢を見たが、白いパンのかごが三つ、わたしの頭の上にあった。 + 一番上のかごには料理役がパロのために作ったさまざまの食物があったが、鳥がわたしの頭の上のかごからそれを食べていた」。 + ヨセフは答えて言った、「その解き明かしはこうです。三つのかごは三日です。 + 今から三日のうちにパロはあなたの頭を上げ離して、あなたを木に掛けるでしょう。そして鳥があなたの肉を食い取るでしょう」。 + さて三日目はパロの誕生日であったので、パロはすべての家来のためにふるまいを設け、家来のうちの給仕役の長の頭と、料理役の長の頭を上げた。 + すなわちパロは給仕役の長を給仕役の職に返したので、彼はパロの手に杯をささげた。 + しかしパロは料理役の長を木に掛けた。ヨセフが彼らに解き明かしたとおりである。 + ところが、給仕役の長はヨセフを思い出さず、忘れてしまった。 + + + 二年の後パロは夢を見た。夢に、彼はナイル川のほとりに立っていた。 + すると、その川から美しい、肥え太った七頭の雌牛が上がってきて葦を食っていた。 + その後、また醜い、やせ細った他の七頭の雌牛が川から上がってきて、川の岸にいた雌牛のそばに立ち、 + その醜い、やせ細った雌牛が、あの美しい、肥えた七頭の雌牛を食いつくした。ここでパロは目が覚めた。 + 彼はまた眠って、再び夢を見た。夢に、一本の茎に太った良い七つの穂が出てきた。 + その後また、やせて、東風に焼けた七つの穂が出てきて、 + そのやせた穂が、あの太って実った七つの穂をのみつくした。ここでパロは目が覚めたが、それは夢であった。 + 朝になって、パロは心が騒ぎ、人をつかわして、エジプトのすべての魔術師とすべての知者とを呼び寄せ、彼らに夢を告げたが、これをパロに解き明かしうる者がなかった。 + そのとき給仕役の長はパロに告げて言った、「わたしはきょう、自分のあやまちを思い出しました。 + かつてパロがしもべらに向かって憤り、わたしと料理役の長とを侍衛長の家の監禁所にお入れになった時、 + わたしも彼も一夜のうちに夢を見、それぞれ意味のある夢を見ましたが、 + そこに侍衛長のしもべで、ひとりの若いヘブルびとがわれわれと共にいたので、彼に話したところ、彼はわれわれの夢を解き明かし、その夢によって、それぞれ解き明かしをしました。 + そして彼が解き明かしたとおりになって、パロはわたしを職に返し、彼を木に掛けられました」。 + そこでパロは人をつかわしてヨセフを呼んだ。人々は急いで彼を地下の獄屋から出した。ヨセフは、ひげをそり、着物を着替えてパロのもとに行った。 + パロはヨセフに言った、「わたしは夢を見たが、これを解き明かす者がない。聞くところによると、あなたは夢を聞いて、解き明かしができるそうだ」。 + ヨセフはパロに答えて言った、「いいえ、わたしではありません。神がパロに平安をお告げになりましょう」。 + パロはヨセフに言った、「夢にわたしは川の岸に立っていた。 + その川から肥え太った、美しい七頭の雌牛が上がってきて葦を食っていた。 + その後、弱く、非常に醜い、やせ細った他の七頭の雌牛がまた上がってきた。わたしはエジプト全国で、このような醜いものをまだ見たことがない。 + ところがそのやせた醜い雌牛が、初めの七頭の肥えた雌牛を食いつくしたが、 + 腹にはいっても、腹にはいった事が知れず、やはり初めのように醜かった。ここでわたしは目が覚めた。 + わたしはまた夢をみた。一本の茎に七つの実った良い穂が出てきた。 + その後、やせ衰えて、東風に焼けた七つの穂が出てきたが、 + そのやせた穂が、あの七つの良い穂をのみつくした。わたしは魔術師に話したが、わたしにそのわけを示しうる者はなかった」。 + ヨセフはパロに言った、「パロの夢は一つです。神がこれからしようとすることをパロに示されたのです。 + 七頭の良い雌牛は七年です。七つの良い穂も七年で、夢は一つです。 + あとに続いて、上がってきた七頭のやせた醜い雌牛は七年で、東風に焼けた実の入らない七つの穂は七年のききんです。 + わたしがパロに申し上げたように、神がこれからしようとすることをパロに示されたのです。 + エジプト全国に七年の大豊作があり、 + その後七年のききんが起り、その豊作はみなエジプトの国で忘れられて、そのききんは国を滅ぼすでしょう。 + 後に来るそのききんが、非常に激しいから、その豊作は国のうちで記憶されなくなるでしょう。 + パロが二度重ねて夢を見られたのは、この事が神によって定められ、神がすみやかにこれをされるからです。 + それゆえパロは今、さとく、かつ賢い人を尋ね出してエジプトの国を治めさせなさい。 + パロはこうして国中に監督を置き、その七年の豊作のうちに、エジプトの国の産物の五分の一を取り、 + 続いて来る良い年々のすべての食糧を彼らに集めさせ、穀物を食糧として、パロの手で町々にたくわえ守らせなさい。 + こうすれば食糧は、エジプトの国に臨む七年のききんに備えて、この国のためにたくわえとなり、この国はききんによって滅びることがないでしょう」。 + この事はパロとそのすべての家来たちの目にかなった。 + そこでパロは家来たちに言った、「われわれは神の霊をもつこのような人を、ほかに見いだし得ようか」。 + またパロはヨセフに言った、「神がこれを皆あなたに示された。あなたのようにさとく賢い者はない。 + あなたはわたしの家を治めてください。わたしの民はみなあなたの言葉に従うでしょう。わたしはただ王の位でだけあなたにまさる」。 + パロは更にヨセフに言った、「わたしはあなたをエジプト全国のつかさとする」。 + そしてパロは指輪を手からはずして、ヨセフの手にはめ、亜麻布の衣服を着せ、金の鎖をくびにかけ、 + 自分の第二の車に彼を乗せ、「ひざまずけ」とその前に呼ばわらせ、こうして彼をエジプト全国のつかさとした。 + ついでパロはヨセフに言った、「わたしはパロである。あなたの許しがなければエジプト全国で、だれも手足を上げることはできない」。 + パロはヨセフの名をザフナテ・パネアと呼び、オンの祭司ポテペラの娘アセナテを妻として彼に与えた。ヨセフはエジプトの国を巡った。 + ヨセフがエジプトの王パロの前に立った時は三十歳であった。ヨセフはパロの前を出て、エジプト全国をあまねく巡った。 + さて七年の豊作のうちに地は豊かに物を産した。 + そこでヨセフはエジプトの国にできたその七年間の食糧をことごとく集め、その食糧を町々に納めさせた。すなわち町の周囲にある畑の食糧をその町の中に納めさせた。 + ヨセフは穀物を海の砂のように、非常に多くたくわえ、量りきれなくなったので、ついに量ることをやめた。 + ききんの年の来る前にヨセフにふたりの子が生れた。これらはオンの祭司ポテペラの娘アセナテが産んだのである。 + ヨセフは長子の名をマナセと名づけて言った、「神がわたしにすべての苦難と父の家のすべての事を忘れさせられた」。 + また次の子の名をエフライムと名づけて言った、「神がわたしを悩みの地で豊かにせられた」。 + エジプトの国にあった七年の豊作が終り、 + ヨセフの言ったように七年のききんが始まった。そのききんはすべての国にあったが、エジプト全国には食物があった。 + やがてエジプト全国が飢えた時、民はパロに食物を叫び求めた。そこでパロはすべてのエジプトびとに言った、「ヨセフのもとに行き、彼の言うようにせよ」。 + ききんが地の全面にあったので、ヨセフはすべての穀倉を開いて、エジプトびとに売った。ききんはますますエジプトの国に激しくなった。 + ききんが全地に激しくなったので、諸国の人々がエジプトのヨセフのもとに穀物を買うためにきた。 + + + ヤコブはエジプトに穀物があると知って、むすこたちに言った、「あなたがたはなぜ顔を見合わせているのですか」。 + また言った、「エジプトに穀物があるということだが、あなたがたはそこへ下って行って、そこから、われわれのため穀物を買ってきなさい。そうすれば、われわれは生きながらえて、死を免れるであろう」。 + そこでヨセフの十人の兄弟は穀物を買うためにエジプトへ下った。 + しかし、ヤコブはヨセフの弟ベニヤミンを兄弟たちと一緒にやらなかった。彼が災に会うのを恐れたからである。 + こうしてイスラエルの子らは穀物を買おうと人々に交じってやってきた。カナンの地にききんがあったからである。 + ときにヨセフは国のつかさであって、国のすべての民に穀物を売ることをしていた。ヨセフの兄弟たちはきて、地にひれ伏し、彼を拝した。 + ヨセフは兄弟たちを見て、それと知ったが、彼らに向かっては知らぬ者のようにし、荒々しく語った。すなわち彼らに言った、「あなたがたはどこからきたのか」。彼らは答えた、「食糧を買うためにカナンの地からきました」。 + ヨセフは、兄弟たちであるのを知っていたが、彼らはヨセフとは知らなかった。 + ヨセフはかつて彼らについて見た夢を思い出して、彼らに言った、「あなたがたは回し者で、この国のすきをうかがうためにきたのです」。 + 彼らはヨセフに答えた、「いいえ、わが主よ、しもべらはただ食糧を買うためにきたのです。 + われわれは皆、ひとりの人の子で、真実な者です。しもべらは回し者ではありません」。 + ヨセフは彼らに言った、「いや、あなたがたはこの国のすきをうかがうためにきたのです」。 + 彼らは言った、「しもべらは十二人兄弟で、カナンの地にいるひとりの人の子です。末の弟は今、父と一緒にいますが、他のひとりはいなくなりました」。 + ヨセフは彼らに言った、「わたしが言ったとおり、あなたがたは回し者です。 + あなたがたをこうしてためしてみよう。パロのいのちにかけて誓います。末の弟がここにこなければ、あなたがたはここを出ることはできません。 + あなたがたのひとりをやって弟を連れてこさせなさい。それまであなたがたをつないでおいて、あなたがたに誠実があるかどうか、あなたがたの言葉をためしてみよう。パロのいのちにかけて誓います。あなたがたは確かに回し者です」。 + ヨセフは彼らをみな一緒に三日の間、監禁所に入れた。 + 三日目にヨセフは彼らに言った、「こうすればあなたがたは助かるでしょう。わたしは神を恐れます。 + もしあなたがたが真実な者なら、兄弟のひとりをあなたがたのいる監禁所に残し、あなたがたは穀物を携えて行って、家族の飢えを救いなさい。 + そして末の弟をわたしのもとに連れてきなさい。そうすればあなたがたの言葉のほんとうであることがわかって、死を免れるでしょう」。彼らはそのようにした。 + 彼らは互に言った、「確かにわれわれは弟の事で罪がある。彼がしきりに願った時、その心の苦しみを見ながら、われわれは聞き入れなかった。それでこの苦しみに会うのだ」。 + ルベンが彼らに答えて言った、「わたしはあなたがたに、この子供に罪を犯すなと言ったではないか。それにもかかわらず、あなたがたは聞き入れなかった。それで彼の血の報いを受けるのです」。 + 彼らはヨセフが聞きわけているのを知らなかった。相互の間に通訳者がいたからである。 + ヨセフは彼らを離れて行って泣き、また帰ってきて彼らと語り、そのひとりシメオンを捕えて、彼らの目の前で縛った。 + そしてヨセフは人々に命じて、彼らの袋に穀物を満たし、めいめいの銀を袋に返し、道中の食料を与えさせた。ヨセフはこのように彼らにした。 + 彼らは穀物をろばに負わせてそこを去った。 + そのひとりが宿で、ろばに飼葉をやるため袋をあけて見ると、袋の口に自分の銀があった。 + 彼は兄弟たちに言った、「わたしの銀は返してある。しかも見よ、それは袋の中にある」。そこで彼らは非常に驚き、互に震えながら言った、「神がわれわれにされたこのことは何事だろう」。 + こうして彼らはカナンの地にいる父ヤコブのもとに帰り、その身に起った事をことごとく告げて言った、 + 「あの国の君は、われわれに荒々しく語り、国をうかがう回し者だと言いました。 + われわれは彼に答えました、『われわれは真実な者であって回し者ではない。 + われわれは十二人兄弟で、同じ父の子である。ひとりはいなくなり、末の弟は今父と共にカナンの地にいる』。 + その国の君であるその人はわれわれに言いました、『わたしはこうしてあなたがたの真実な者であるのを知ろう。あなたがたは兄弟のひとりをわたしのもとに残し、穀物を携えて行って、家族の飢えを救いなさい。 + そして末の弟をわたしのもとに連れてきなさい。そうすればあなたがたが回し者ではなく、真実な者であるのを知って、あなたがたの兄弟を返し、この国であなたがたに取引させましょう』」。 + 彼らが袋のものを出して見ると、めいめいの金包みが袋の中にあったので、彼らも父も金包みを見て恐れた。 + 父ヤコブは彼らに言った、「あなたがたはわたしに子を失わせた。ヨセフはいなくなり、シメオンもいなくなった。今度はベニヤミンをも取り去る。これらはみなわたしの身にふりかかって来るのだ」。 + ルベンは父に言った、「もしわたしが彼をあなたのもとに連れて帰らなかったら、わたしのふたりの子を殺してください。ただ彼をわたしの手にまかせてください。わたしはきっと、あなたのもとに彼を連れて帰ります」。 + ヤコブは言った、「わたしの子はあなたがたと共に下って行ってはならない。彼の兄は死に、ただひとり彼が残っているのだから。もしあなたがたの行く道で彼が災に会えば、あなたがたは、しらがのわたしを悲しんで陰府に下らせるであろう」。 + + + ききんはその地に激しかった。 + 彼らがエジプトから携えてきた穀物を食い尽した時、父は彼らに言った、「また行って、われわれのために少しの食糧を買ってきなさい」。 + ユダは父に答えて言った、「あの人はわれわれをきびしく戒めて、弟が一緒でなければ、わたしの顔を見てはならないと言いました。 + もしあなたが弟をわれわれと一緒にやってくださるなら、われわれは下って行って、あなたのために食糧を買ってきましょう。 + しかし、もし彼をやられないなら、われわれは下って行きません。あの人がわれわれに、弟が一緒でなければわたしの顔を見てはならないと言ったのですから」。 + イスラエルは言った、「なぜ、もうひとりの弟があるとあの人に言って、わたしを苦しめるのか」。 + 彼らは言った、「あの人がわれわれと一族とのことを問いただして、父はまだ生きているか、もうひとりの弟があるかと言ったので、問われるままに答えましたが、その人が、弟を連れてこいと言おうとは、どうして知ることができたでしょう」。 + ユダは父イスラエルに言った、「あの子をわたしと一緒にやってくだされば、われわれは立って行きましょう。そしてわれわれもあなたも、われわれの子供らも生きながらえ、死を免れましょう。 + わたしが彼の身を請け合います。わたしの手から彼を求めなさい。もしわたしが彼をあなたのもとに連れ帰って、あなたの前に置かなかったら、わたしはあなたに対して永久に罪を負いましょう。 + もしわれわれがこんなにためらわなかったら、今ごろは二度も行ってきたでしょう」。 + 父イスラエルは彼らに言った、「それではこうしなさい。この国の名産を器に入れ、携え下ってその人に贈り物にしなさい。すなわち少しの乳香、少しの蜜、香料、もつやく、ふすだしう、あめんどう。 + そしてその上に、倍額の銀を手に持って行きなさい。また袋の口に返してあった銀は持って行って返しなさい。たぶんそれは誤りであったのでしょう。 + 弟も連れ、立って、またその人の所へ行きなさい。 + どうか全能の神がその人の前であなたがたをあわれみ、もうひとりの兄弟とベニヤミンとを、返させてくださるように。もしわたしが子を失わなければならないのなら、失ってもよい」。 + そこでその人々は贈り物を取り、また倍額の銀を携え、ベニヤミンを連れ、立ってエジプトへ下り、ヨセフの前に立った。 + ヨセフはベニヤミンが彼らと共にいるのを見て、家づかさに言った、「この人々を家に連れて行き、獣をほふって、したくするように。この人々は昼、わたしと一緒に食事をします」。 + その人はヨセフの言ったようにして、この人々をヨセフの家へ連れて行った。 + ところがこの人々はヨセフの家へ連れて行かれたので恐れて言った、「初めの時に袋に返してあったあの銀のゆえに、われわれを引き入れたのです。そしてわれわれを襲い、攻め、捕えて奴隷とし、われわれのろばをも奪うのです」。 + 彼らはヨセフの家づかさに近づいて、家の入口で、言った、 + 「ああ、わが主よ、われわれは最初、食糧を買うために下ってきたのです。 + ところが宿に行って袋をあけて見ると、めいめいの銀は袋の口にあって、銀の重さは元のままでした。それでわれわれはそれを持って参りました。 + そして食糧を買うために、ほかの銀をも持って下ってきました。われわれの銀を袋に入れた者が、だれであるかは分りません」。 + 彼は言った、「安心しなさい。恐れてはいけません。その宝はあなたがたの神、あなたがたの父の神が、あなたがたの袋に入れてあなたがたに賜わったのです。あなたがたの銀はわたしが受け取りました」。そして彼はシメオンを彼らの所へ連れてきた。 + こうしてその人はこの人々をヨセフの家へ導き、水を与えて足を洗わせ、また、ろばに飼葉を与えた。 + 彼らはその所で食事をするのだと聞き、贈り物を整えて、昼にヨセフの来るのを待った。 + さてヨセフが家に帰ってきたので、彼らはその家に携えてきた贈り物をヨセフにささげ、地に伏して、彼を拝した。 + ヨセフは彼らの安否を問うて言った、「あなたがたの父、あなたがたがさきに話していたその老人は無事ですか。なお生きながらえておられますか」。 + 彼らは答えた、「あなたのしもべ、われわれの父は無事で、なお生きながらえています」。そして彼らは、頭をさげて拝した。 + ヨセフは目をあげて同じ母の子である弟ベニヤミンを見て言った、「これはあなたがたが前にわたしに話した末の弟ですか」。また言った、「わが子よ、どうか神があなたを恵まれるように」。 + ヨセフは弟なつかしさに心がせまり、急いで泣く場所をたずね、へやにはいって泣いた。 + やがて彼は顔を洗って出てきた。そして自分を制して言った、「食事にしよう」。 + そこでヨセフはヨセフ、彼らは彼ら、陪食のエジプトびとはエジプトびと、と別々に席に着いた。エジプトびとはヘブルびとと共に食事することができなかった。それはエジプトびとの忌むところであったからである。 + こうして彼らはヨセフの前に、長子は長子として、弟は弟としてすわらせられたので、その人々は互に驚いた。 + またヨセフの前から、めいめいの分が運ばれたが、ベニヤミンの分は他のいずれの者の分よりも五倍多かった。こうして彼らは飲み、ヨセフと共に楽しんだ。 + + + さてヨセフは家づかさに命じて言った、「この人々の袋に、運べるだけ多くの食糧を満たし、めいめいの銀を袋の口に入れておきなさい。 + またわたしの杯、銀の杯をあの年下の者の袋の口に、穀物の代金と共に入れておきなさい」。家づかさはヨセフの言葉のとおりにした。 + 夜が明けると、その人々と、ろばとは送り出されたが、 + 町を出て、まだ遠くへ行かないうちに、ヨセフは家づかさに言った、「立って、あの人々のあとを追いなさい。追いついて、彼らに言いなさい、『あなたがたはなぜ悪をもって善に報いるのですか。なぜわたしの銀の杯を盗んだのですか。 + これはわたしの主人が飲む時に使い、またいつも占いに用いるものではありませんか。あなたがたのした事は悪いことです』」。 + 家づかさが彼らに追いついて、これらの言葉を彼らに告げたとき、 + 彼らは言った、「わが主は、どうしてそのようなことを言われるのですか。しもべらは決してそのようなことはいたしません。 + 袋の口で見つけた銀でさえ、カナンの地からあなたの所に持ち帰ったほどです。どうして、われわれは御主人の家から銀や金を盗みましょう。 + しもべらのうちのだれの所でそれが見つかっても、その者は死に、またわれわれはわが主の奴隷となりましょう」。 + 家づかさは言った、「それではあなたがたの言葉のようにしよう。杯の見つかった者はわたしの奴隷とならなければならない。ほかの者は無罪です」。 + そこで彼らは、めいめい急いで袋を地におろし、ひとりひとりその袋を開いた。 + 家づかさは年上から捜し始めて年下に終ったが、杯はベニヤミンの袋の中にあった。 + そこで彼らは衣服を裂き、おのおの、ろばに荷を負わせて町に引き返した。 + ユダと兄弟たちとは、ヨセフの家にはいったが、ヨセフがなおそこにいたので、彼らはその前で地にひれ伏した。 + ヨセフは彼らに言った、「あなたがたのこのしわざは何事ですか。わたしのような人は、必ず占い当てることを知らないのですか」。 + ユダは言った、「われわれはわが主に何を言い、何を述べ得ましょう。どうしてわれわれは身の潔白をあらわし得ましょう。神がしもべらの罪をあばかれました。われわれと、杯を持っていた者とは共にわが主の奴隷となりましょう」。 + ヨセフは言った、「わたしは決してそのようなことはしない。杯を持っている者だけがわたしの奴隷とならなければならない。ほかの者は安全に父のもとへ上って行きなさい」。 + この時ユダは彼に近づいて言った、「ああ、わが主よ、どうぞわが主の耳にひとこと言わせてください。しもべをおこらないでください。あなたはパロのようなかたです。 + わが主はしもべらに尋ねて、『父があるか、また弟があるか』と言われたので、 + われわれはわが主に言いました、『われわれには老齢の父があり、また年寄り子の弟があります。その兄は死んで、同じ母の子で残っているのは、ただこれだけですから父はこれを愛しています』。 + その時あなたはしもべらに言われました、『その者をわたしの所へ連れてきなさい。わたしはこの目で彼を見よう』。 + われわれはわが主に言いました。『その子供は父を離れることができません。もし父を離れたら父は死ぬでしょう』。 + しかし、あなたはしもべらに言われました、『末の弟が一緒に下ってこなければ、おまえたちは再びわたしの顔を見ることはできない』。 + それであなたのしもべである父のもとに上って、わが主の言葉を彼に告げました。 + ところで、父が『おまえたちは再び行って、われわれのために少しの食糧を買ってくるように』と言ったので、 + われわれは言いました、『われわれは下って行けません。もし末の弟が一緒であれば行きましょう。末の弟が一緒でなければ、あの人の顔を見ることができません』。 + あなたのしもべである父は言いました、『おまえたちの知っているとおり、妻はわたしにふたりの子を産んだ。 + ひとりは外へ出たが、きっと裂き殺されたのだと思う。わたしは今になっても彼を見ない。 + もしおまえたちがこの子をもわたしから取って行って、彼が災に会えば、おまえたちは、しらがのわたしを悲しんで陰府に下らせるであろう』。 + わたしがあなたのしもべである父のもとに帰って行くとき、もしこの子供が一緒にいなかったら、どうなるでしょう。父の魂は子供の魂に結ばれているのです。 + この子供がわれわれと一緒にいないのを見たら、父は死ぬでしょう。そうすればしもべらは、あなたのしもべであるしらがの父を悲しんで陰府に下らせることになるでしょう。 + しもべは父にこの子供の身を請け合って『もしわたしがこの子をあなたのもとに連れ帰らなかったら、わたしは父に対して永久に罪を負いましょう』と言ったのです。 + どうか、しもべをこの子供の代りに、わが主の奴隷としてとどまらせ、この子供を兄弟たちと一緒に上り行かせてください、 + この子供を連れずに、どうしてわたしは父のもとに上り行くことができましょう。父が災に会うのを見るに忍びません」。 + + + そこでヨセフはそばに立っているすべての人の前で、自分を制しきれなくなったので、「人は皆ここから出てください」と呼ばわった。それゆえヨセフが兄弟たちに自分のことを明かした時、ひとりも彼のそばに立っている者はなかった。 + ヨセフは声をあげて泣いた。エジプトびとはこれを聞き、パロの家もこれを聞いた。 + ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしはヨセフです。父はまだ生きながらえていますか」。兄弟たちは答えることができなかった。彼らは驚き恐れたからである。 + ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしに近寄ってください」。彼らが近寄ったので彼は言った、「わたしはあなたがたの弟ヨセフです。あなたがたがエジプトに売った者です。 + しかしわたしをここに売ったのを嘆くことも、悔むこともいりません。神は命を救うために、あなたがたよりさきにわたしをつかわされたのです。 + この二年の間、国中にききんがあったが、なお五年の間は耕すことも刈り入れることもないでしょう。 + 神は、あなたがたのすえを地に残すため、また大いなる救をもってあなたがたの命を助けるために、わたしをあなたがたよりさきにつかわされたのです。 + それゆえわたしをここにつかわしたのはあなたがたではなく、神です。神はわたしをパロの父とし、その全家の主とし、またエジプト全国のつかさとされました。 + あなたがたは父のもとに急ぎ上って言いなさい、『あなたの子ヨセフが、こう言いました。神がわたしをエジプト全国の主とされたから、ためらわずにわたしの所へ下ってきなさい。 + あなたはゴセンの地に住み、あなたも、あなたの子らも、孫たちも、羊も牛も、その他のものもみな、わたしの近くにおらせます。 + ききんはなお五年つづきますから、あなたも、家族も、その他のものも、みな困らないように、わたしはそこで養いましょう』。 + あなたがたと弟ベニヤミンが目に見るとおり、あなたがたに口ら語っているのはこのわたしです。 + あなたがたはエジプトでの、わたしのいっさいの栄えと、あなたがたが見るいっさいの事をわたしの父に告げ、急いでわたしの父をここへ連れ下りなさい」。 + そしてヨセフは弟ベニヤミンのくびを抱いて泣き、ベニヤミンも彼のくびを抱いて泣いた。 + またヨセフはすべての兄弟たちに口づけし、彼らを抱いて泣いた。そして後、兄弟たちは彼と語った。 + 時に、「ヨセフの兄弟たちがきた」と言ううわさがパロの家に聞えたので、パロとその家来たちとは喜んだ。 + パロはヨセフに言った、「兄弟たちに言いなさい、『あなたがたは、こうしなさい。獣に荷を負わせてカナンの地へ行き、 + 父と家族とを連れてわたしのもとへきなさい。わたしはあなたがたに、エジプトの地の良い物を与えます。あなたがたは、この国の最も良いものを食べるでしょう』。 + また彼らに命じなさい、『あなたがたは、こうしなさい。幼な子たちと妻たちのためにエジプトの地から車をもって行き、父を連れてきなさい。 + 家財に心を引かれてはなりません。エジプト全国の良い物は、あなたがたのものだからです』」。 + イスラエルの子らはそのようにした。ヨセフはパロの命に従って彼らに車を与え、また途中の食料をも与えた。 + まためいめいに晴着を与えたが、ベニヤミンには銀三百シケルと晴着五着とを与えた。 + また彼は父に次のようなものを贈った。すなわちエジプトの良い物を負わせたろば十頭と、穀物、パン及び父の道中の食料を負わせた雌ろば十頭。 + こうしてヨセフは兄弟たちを送り去らせ、彼らに言った、「途中で争ってはなりません」。 + 彼らはエジプトから上ってカナンの地に入り、父ヤコブのもとへ行って、 + 彼に言った、「ヨセフはなお生きていてエジプト全国のつかさです」。ヤコブは気が遠くなった。彼らの言うことが信じられなかったからである。 + そこで彼らはヨセフが語った言葉を残らず彼に告げた。父ヤコブはヨセフが自分を乗せるために送った車を見て元気づいた。 + そしてイスラエルは言った、「満足だ。わが子ヨセフがまだ生きている。わたしは死ぬ前に行って彼を見よう」。 + + + イスラエルはその持ち物をことごとく携えて旅立ち、ベエルシバに行って、父イサクの神に犠牲をささげた。 + この時、神は夜の幻のうちにイスラエルに語って言われた、「ヤコブよ、ヤコブよ」。彼は言った、「ここにいます」。 + 神は言われた、「わたしは神、あなたの父の神である。エジプトに下るのを恐れてはならない。わたしはあそこであなたを大いなる国民にする。 + わたしはあなたと一緒にエジプトに下り、また必ずあなたを導き上るであろう。ヨセフが手ずからあなたの目を閉じるであろう」。 + そしてヤコブはベエルシバを立った。イスラエルの子らはヤコブを乗せるためにパロの送った車に、父ヤコブと幼な子たちと妻たちを乗せ、 + またその家畜とカナンの地で得た財産を携え、ヤコブとその子孫は皆ともにエジプトへ行った。 + こうしてヤコブはその子と、孫および娘と孫娘などその子孫をみな連れて、エジプトへ行った。 + イスラエルの子らでエジプトへ行った者の名は次のとおりである。すなわちヤコブとその子らであるが、ヤコブの長子はルベン。 + ルベンの子らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミ。 + シメオンの子らはエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハル及びカナンの女の産んだ子シャウル。 + レビの子らはゲルション、コハテ、メラリ。 + ユダの子らはエル、オナン、シラ、ペレヅ、ゼラ。エルとオナンはカナンの地で死んだ。ペレヅの子らはヘヅロンとハムル。 + イッサカルの子らはトラ、プワ、ヨブ、シムロン。 + ゼブルンの子らはセレデ、エロン、ヤリエル。 + これらと娘デナとはレアがパダンアラムでヤコブに産んだ子らである。その子らと娘らは合わせて三十三人。 + ガドの子らはゼポン、ハギ、シュニ、エヅボン、エリ、アロデ、アレリ。 + アセルの子らはエムナ、イシワ、イスイ、ベリアおよび妹サラ。ベリアの子らはヘベルとマルキエル。 + これらはラバンが娘レアに与えたジルパの子らである。彼女はこれらをヤコブに産んだ。合わせて十六人。 + ヤコブの妻ラケルの子らはヨセフとベニヤミンとである。 + エジプトの国でヨセフにマナセとエフライムとが生れた。これはオンの祭司ポテペラの娘アセナテが彼に産んだ者である。 + ベニヤミンの子らはベラ、ベケル、アシベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシ、ムッピム、ホパム、アルデ。 + これらはラケルがヤコブに産んだ子らである。合わせて十四人。 + ダンの子はホシム。 + ナフタリの子らはヤジエル、グニ、エゼル、シレム。 + これらはラバンが娘ラケルに与えたビルハの子らである。彼女はこれらをヤコブに産んだ。合わせて七人。 + ヤコブと共にエジプトへ行ったすべての者、すなわち彼の身から出た者はヤコブの子らの妻をのぞいて、合わせて六十六人であった。 + エジプトでヨセフに生れた子がふたりあった。エジプトへ行ったヤコブの家の者は合わせて七十人であった。 + さてヤコブはユダをさきにヨセフにつかわして、ゴセンで会おうと言わせた。そして彼らはゴセンの地へ行った。 + ヨセフは車を整えて、父イスラエルを迎えるためにゴセンに上り、父に会い、そのくびを抱き、くびをかかえて久しく泣いた。 + 時に、イスラエルはヨセフに言った、「あなたがなお生きていて、わたしはあなたの顔を見たので今は死んでもよい」。 + ヨセフは兄弟たちと父の家族とに言った、「わたしは上ってパロに言おう、『カナンの地にいたわたしの兄弟たちと父の家族とがわたしの所へきました。 + この者らは羊を飼う者、家畜の牧者で、その羊、牛および持ち物をみな携えてきました』。 + もしパロがあなたがたを召して、『あなたがたの職業は何か』と言われたら、 + 『しもべらは幼い時から、ずっと家畜の牧者です。われわれも、われわれの先祖もそうです』と言いなさい。そうすればあなたがたはゴセンの地に住むことができましょう。羊飼はすべて、エジプトびとの忌む者だからです」。 + + + ヨセフは行って、パロに言った、「わたしの父と兄弟たち、その羊、牛およびすべての持ち物がカナンの地からきて、今ゴセンの地におります」。 + そしてその兄弟のうちの五人を連れて行って、パロに会わせた。 + パロはヨセフの兄弟たちに言った、「あなたがたの職業は何か」。彼らはパロに言った、「しもべらは羊を飼う者です。われわれも、われわれの先祖もそうです」。 + 彼らはまたパロに言った、「この国に寄留しようとしてきました。カナンの地はききんが激しく、しもべらの群れのための牧草がないのです。どうかしもべらをゴセンの地に住ませてください」。 + パロはヨセフに言った、「あなたの父と兄弟たちとがあなたのところにきた。 + エジプトの地はあなたの前にある。地の最も良い所にあなたの父と兄弟たちとを住ませなさい。ゴセンの地に彼らを住ませなさい。もしあなたが彼らのうちに有能な者があるのを知っているなら、その者にわたしの家畜をつかさどらせなさい」。 + そこでヨセフは父ヤコブを導いてパロの前に立たせた。ヤコブはパロを祝福した。 + パロはヤコブに言った、「あなたの年はいくつか」。 + ヤコブはパロに言った、「わたしの旅路のとしつきは、百三十年です。わたしのよわいの日はわずかで、ふしあわせで、わたしの先祖たちのよわいの日と旅路の日には及びません」。 + ヤコブはパロを祝福し、パロの前を去った。 + ヨセフはパロの命じたように、父と兄弟たちとのすまいを定め、彼らにエジプトの国で最も良い地、ラメセスの地を所有として与えた。 + またヨセフは父と兄弟たちと父の全家とに、家族の数にしたがい、食物を与えて養った。 + さて、ききんが非常に激しかったので、全地に食物がなく、エジプトの国もカナンの国も、ききんのために衰えた。 + それでヨセフは人々が買った穀物の代金としてエジプトの国とカナンの国にあった銀をみな集め、その銀をパロの家に納めた。 + こうしてエジプトの国とカナンの国に銀が尽きたとき、エジプトびとはみなヨセフのもとにきて言った、「食物をください。銀が尽きたからとて、どうしてあなたの前で死んでよいでしょう」。 + ヨセフは言った、「あなたがたの家畜を出しなさい。銀が尽きたのなら、あなたがたの家畜と引き替えで食物をわたそう」。 + 彼らはヨセフの所へ家畜をひいてきたので、ヨセフは馬と羊の群れと牛の群れ及びろばと引き替えで、食物を彼らにわたした。こうして彼はその年、すべての家畜と引き替えた食物で彼らを養った。 + やがてその年は暮れ、次の年、人々はまたヨセフの所へきて言った、「わが主には何事も隠しません。われわれの銀は尽き、獣の群れもわが主のものになって、われわれのからだと田地のほかはわが主の前に何も残っていません。 + われわれはどうして田地と一緒に、あなたの目の前で滅んでよいでしょう。われわれと田地とを食物と引き替えで買ってください。われわれは田地と一緒にパロの奴隷となりましょう。また種をください。そうすればわれわれは生きながらえ、死を免れて、田地も荒れないでしょう」。 + そこでヨセフはエジプトの田地をみなパロのために買い取った。ききんがエジプトびとに、きびしかったので、めいめいその田畑を売ったからである。こうして地はパロのものとなった。 + そしてヨセフはエジプトの国境のこの端からかの端まで民を奴隷とした。 + ただ祭司の田地は買い取らなかった。祭司にはパロの給与があって、パロが与える給与で生活していたので、その田地を売らなかったからである。 + ヨセフは民に言った、「わたしはきょう、あなたがたとその田地とを買い取って、パロのものとした。あなたがたに種をあげるから地にまきなさい。 + 収穫の時は、その五分の一をパロに納め、五分の四を自分のものとして田畑の種とし、自分と家族の食糧とし、また子供の食糧としなさい」。 + 彼らは言った、「あなたはわれわれの命をお救いくださった。どうかわが主の前に恵みを得させてください。われわれはパロの奴隷になりましょう」。 + ヨセフはエジプトの田地について、収穫の五分の一をパロに納めることをおきてとしたが、それは今日に及んでいる。ただし祭司の田地だけはパロのものとならなかった。 + さてイスラエルはエジプトの国でゴセンの地に住み、そこで財産を得、子を生み、大いにふえた。 + ヤコブはエジプトの国で十七年生きながらえた。ヤコブのよわいの日は百四十七年であった。 + イスラエルは死ぬ時が近づいたので、その子ヨセフを呼んで言った、「もしわたしがあなたの前に恵みを得るなら、どうか手をわたしのももの下に入れて誓い、親切と誠実とをもってわたしを取り扱ってください。どうかわたしをエジプトには葬らないでください。 + わたしが先祖たちと共に眠るときには、わたしをエジプトから運び出して先祖たちの墓に葬ってください」。ヨセフは言った、「あなたの言われたようにいたします」。 + ヤコブがまた、「わたしに誓ってください」と言ったので、彼は誓った。イスラエルは床のかしらで拝んだ。 + + + これらの事の後に、「あなたの父は、いま病気です」とヨセフに告げる者があったので、彼はふたりの子、マナセとエフライムとを連れて行った。 + 時に人がヤコブに告げて、「あなたの子ヨセフがあなたのもとにきました」と言ったので、イスラエルは努めて床の上にすわった。 + そしてヤコブはヨセフに言った、「先に全能の神がカナンの地ルズでわたしに現れ、わたしを祝福して、 + 言われた、『わたしはおまえに多くの子を得させ、おまえをふやし、おまえを多くの国民としよう。また、この地をおまえの後の子孫に与えて永久の所有とさせる』。 + エジプトにいるあなたの所にわたしが来る前に、エジプトの国で生れたあなたのふたりの子はいまわたしの子とします。すなわちエフライムとマナセとはルベンとシメオンと同じようにわたしの子とします。 + ただし彼らの後にあなたに生れた子らはあなたのものとなります。しかし、その嗣業はその兄弟の名で呼ばれるでしょう。 + わたしがパダンから帰って来る途中ラケルはカナンの地で死に、わたしは悲しんだ。そこはエフラタに行くまでには、なお隔たりがあった。わたしはエフラタ、すなわちベツレヘムへ行く道のかたわらに彼女を葬った」。 + ところで、イスラエルはヨセフの子らを見て言った、「これはだれですか」。 + ヨセフは父に言った、「神がここでわたしにくださった子どもです」。父は言った、「彼らをわたしの所に連れてきて、わたしに祝福させてください」。 + イスラエルの目は老齢のゆえに、かすんで見えなかったが、ヨセフが彼らを父の所に近寄らせたので、父は彼らに口づけし、彼らを抱いた。 + そしてイスラエルはヨセフに言った、「あなたの顔が見られようとは思わなかったのに、神はあなたの子らをもわたしに見させてくださった」。 + そこでヨセフは彼らをヤコブのひざの間から取り出し、地に伏して拝した。 + ヨセフはエフライムを右の手に取ってイスラエルの左の手に向かわせ、マナセを左の手に取ってイスラエルの右の手に向かわせ、ふたりを近寄らせた。 + すると、イスラエルは右の手を伸べて弟エフライムの頭に置き、左の手をマナセの頭に置いた。マナセは長子であるが、ことさらそのように手を置いたのである。 + そしてヨセフを祝福して言った、「わが先祖アブラハムとイサクの仕えた神、生れてからきょうまでわたしを養われた神、 + すべての災からわたしをあがなわれたみ使よ、この子供たちを祝福してください。またわが名と先祖アブラハムとイサクの名とが、彼らによって唱えられますように、また彼らが地の上にふえひろがりますように」。 + ヨセフは父が右の手をエフライムの頭に置いているのを見て不満に思い、父の手を取ってエフライムの頭からマナセの頭へ移そうとした。 + そしてヨセフは父に言った、「父よ、そうではありません。こちらが長子です。その頭に右の手を置いてください」。 + 父は拒んで言った、「わかっている。子よ、わたしにはわかっている。彼もまた一つの民となり、また大いなる者となるであろう。しかし弟は彼よりも大いなる者となり、その子孫は多くの国民となるであろう」。 + こうして彼はこの日、彼らを祝福して言った、「あなたを指して、イスラエルは、人を祝福して言うであろう、『神があなたをエフライムのごとく、またマナセのごとくにせられるように』」。このように、彼はエフライムをマナセの先に立てた。 + イスラエルはまたヨセフに言った、「わたしはやがて死にます。しかし、神はあなたがたと共におられて、あなたがたを先祖の国に導き返されるであろう。 + なおわたしは一つの分を兄弟よりも多くあなたに与える。これはわたしがつるぎと弓とを持ってアモリびとの手から取ったものである」。 + + + ヤコブはその子らを呼んで言った、「集まりなさい。後の日に、あなたがたの上に起ることを、告げましょう、 + ヤコブの子らよ、集まって聞け。父イスラエルのことばを聞け。 + ルベンよ、あなたはわが長子、わが勢い、わが力のはじめ、威光のすぐれた者、権力のすぐれた者。 + しかし、沸き立つ水のようだから、もはや、すぐれた者ではあり得ない。あなたは父の床に上って汚した。ああ、あなたはわが寝床に上った。 + シメオンとレビとは兄弟。彼らのつるぎは暴虐の武器。 + わが魂よ、彼らの会議に臨むな。わが栄えよ、彼らのつどいに連なるな。彼らは怒りに任せて人を殺し、ほしいままに雄牛の足の筋を切った。 + 彼らの怒りは、激しいゆえにのろわれ、彼らの憤りは、はなはだしいゆえにのろわれる。わたしは彼らをヤコブのうちに分け、イスラエルのうちに散らそう。 + ユダよ、兄弟たちはあなたをほめる。あなたの手は敵のくびを押え、父の子らはあなたの前に身をかがめるであろう。 + ユダは、ししの子。わが子よ、あなたは獲物をもって上って来る。彼は雄じしのようにうずくまり、雌じしのように身を伏せる。だれがこれを起すことができよう。 + つえはユダを離れず、立法者のつえはその足の間を離れることなく、シロの来る時までに及ぶであろう。もろもろの民は彼に従う。 + 彼はそのろばの子をぶどうの木につなぎ、その雌ろばの子を良きぶどうの木につなぐ。彼はその衣服をぶどう酒で洗い、その着物をぶどうの汁で洗うであろう。 + その目はぶどう酒によって赤く、その歯は乳によって白い。 + ゼブルンは海べに住み、舟の泊まる港となって、その境はシドンに及ぶであろう。 + イッサカルはたくましいろば、彼は羊のおりの間に伏している。 + 彼は定住の地を見て良しとし、その国を見て楽しとした。彼はその肩を下げてにない、奴隷となって追い使われる。 + ダンはおのれの民をさばくであろう、イスラエルのほかの部族のように。 + ダンは道のかたわらのへび、道のほとりのまむし。馬のかかとをかんで、乗る者をうしろに落すであろう。 + 主よ、わたしはあなたの救を待ち望む。 + ガドには略奪者が迫る。しかし彼はかえって敵のかかとに迫るであろう。 + アセルはその食物がゆたかで、王の美味をいだすであろう。 + ナフタリは放たれた雌じか、彼は美しい子じかを生むであろう。 + ヨセフは実を結ぶ若木、泉のほとりの実を結ぶ若木。その枝は、かきねを越えるであろう。 + 射る者は彼を激しく攻め、彼を射、彼をいたく悩ました。 + しかし彼の弓はなお強く、彼の腕は素早い。これはヤコブの全能者の手により、イスラエルの岩なる牧者の名により、 + あなたを助ける父の神により、また上なる天の祝福、下に横たわる淵の祝福、乳ぶさと胎の祝福をもって、あなたを恵まれる全能者による。 + あなたの父の祝福は永遠の山の祝福にまさり、永久の丘の賜物にまさる。これらの祝福はヨセフのかしらに帰し、その兄弟たちの君たる者の頭の頂に帰する。 + ベニヤミンはかき裂くおおかみ、朝にその獲物を食らい、夕にその分捕物を分けるであろう」。 + すべてこれらはイスラエルの十二の部族である。そしてこれは彼らの父が彼らに語り、彼らを祝福したもので、彼は祝福すべきところに従って、彼らおのおのを祝福した。 + 彼はまた彼らに命じて言った、「わたしはわが民に加えられようとしている。あなたがたはヘテびとエフロンの畑にあるほら穴に、わたしの先祖たちと共にわたしを葬ってください。 + そのほら穴はカナンの地のマムレの東にあるマクペラの畑にあり、アブラハムがヘテびとエフロンから畑と共に買い取り、所有の墓地としたもので、 + そこにアブラハムと妻サラとが葬られ、イサクと妻リベカもそこに葬られたが、わたしはまたそこにレアを葬った。 + あの畑とその中にあるほら穴とはヘテの人々から買ったものです」。 + こうしてヤコブは子らに命じ終って、足を床におさめ、息絶えて、その民に加えられた。 + + + ヨセフは父の顔に伏して泣き、口づけした。 + そしてヨセフは彼のしもべである医者たちに、父に薬を塗ることを命じたので、医者たちはイスラエルに薬を塗った。 + このために四十日を費した。薬を塗るにはこれほどの日数を要するのである。エジプトびとは七十日の間、彼のために泣いた。 + 彼のために泣く日が過ぎて、ヨセフはパロの家の者に言った、「今もしわたしがあなたがたの前に恵みを得るなら、どうかパロに伝えてください。 + 『わたしの父はわたしに誓わせて言いました「わたしはやがて死にます。カナンの地に、わたしが掘って置いた墓に葬ってください」。それで、どうかわたしを上って行かせ、父を葬らせてください。そうすれば、わたしはまた帰ってきます』」。 + パロは言った、「あなたの父があなたに誓わせたように上って行って彼を葬りなさい」。 + そこでヨセフは父を葬るために上って行った。彼と共に上った者はパロのもろもろの家来たち、パロの家の長老たち、エジプトの国のもろもろの長老たち、 + ヨセフの全家とその兄弟たち及びその父の家族であった。ただ子供と羊と牛はゴセンの地に残した。 + また戦車と騎兵も彼と共に上ったので、その行列はたいそう盛んであった。 + 彼らはヨルダンの向こうのアタデの打ち場に行き着いて、そこで大いに嘆き、非常に悲しんだ。そしてヨセフは七日の間父のために嘆いた。 + その地の住民、カナンびとがアタデの打ち場の嘆きを見て、「これはエジプトびとの大いなる嘆きだ」と言ったので、その所の名はアベル・ミツライムと呼ばれた。これはヨルダンの向こうにある。 + ヤコブの子らは命じられたようにヤコブにおこなった。 + すなわちその子らは彼をカナンの地へ運んで行って、マクペラの畑のほら穴に葬った。このほら穴はマムレの東にあって、アブラハムがヘテびとエフロンから畑と共に買って、所有の墓地としたものである。 + ヨセフは父を葬った後、その兄弟たち及びすべて父を葬るために一緒に上った者と共にエジプトに帰った。 + ヨセフの兄弟たちは父の死んだのを見て言った、「ヨセフはことによるとわれわれを憎んで、われわれが彼にしたすべての悪に、仕返しするに違いない」。 + そこで彼らはことづけしてヨセフに言った、「あなたの父は死ぬ前に命じて言われました、 + 『おまえたちはヨセフに言いなさい、「あなたの兄弟たちはあなたに悪をおこなったが、どうかそのとがと罪をゆるしてやってください」』。今どうかあなたの父の神に仕えるしもべらのとがをゆるしてください」。ヨセフはこの言葉を聞いて泣いた。 + やがて兄弟たちもきて、彼の前に伏して言った、「このとおり、わたしたちはあなたのしもべです」。 + ヨセフは彼らに言った、「恐れることはいりません。わたしが神に代ることができましょうか。 + あなたがたはわたしに対して悪をたくらんだが、神はそれを良きに変らせて、今日のように多くの民の命を救おうと計らわれました。 + それゆえ恐れることはいりません。わたしはあなたがたとあなたがたの子供たちを養いましょう」。彼は彼らを慰めて、親切に語った。 + このようにしてヨセフは父の家族と共にエジプトに住んだ。そしてヨセフは百十年生きながらえた。 + ヨセフはエフライムの三代の子孫を見た。マナセの子マキルの子らも生れてヨセフのひざの上に置かれた。 + ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしはやがて死にます。神は必ずあなたがたを顧みて、この国から連れ出し、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地に導き上られるでしょう」。 + さらにヨセフは、「神は必ずあなたがたを顧みられる。その時、あなたがたはわたしの骨をここから携え上りなさい」と言ってイスラエルの子らに誓わせた。 + こうしてヨセフは百十歳で死んだ。彼らはこれに薬を塗り、棺に納めて、エジプトに置いた。 + +
+
+ + さて、ヤコブと共に、おのおのその家族を伴って、エジプトへ行ったイスラエルの子らの名は次のとおりである。 + すなわちルベン、シメオン、レビ、ユダ、 + イッサカル、ゼブルン、ベニヤミン、 + ダン、ナフタリ、ガド、アセルであった。 + ヤコブの腰から出たものは、合わせて七十人。ヨセフはすでにエジプトにいた。 + そして、ヨセフは死に、兄弟たちも、その時代の人々もみな死んだ。 + けれどもイスラエルの子孫は多くの子を生み、ますますふえ、はなはだ強くなって、国に満ちるようになった。 + ここに、ヨセフのことを知らない新しい王が、エジプトに起った。 + 彼はその民に言った、「見よ、イスラエルびとなるこの民は、われわれにとって、あまりにも多く、また強すぎる。 + さあ、われわれは、抜かりなく彼らを取り扱おう。彼らが多くなり、戦いの起るとき、敵に味方して、われわれと戦い、ついにこの国から逃げ去ることのないようにしよう」。 + そこでエジプトびとは彼らの上に監督をおき、重い労役をもって彼らを苦しめた。彼らはパロのために倉庫の町ピトムとラメセスを建てた。 + しかしイスラエルの人々が苦しめられるにしたがって、いよいよふえひろがるので、彼らはイスラエルの人々のゆえに恐れをなした。 + エジプトびとはイスラエルの人々をきびしく使い、 + つらい務をもってその生活を苦しめた。すなわち、しっくいこね、れんが作り、および田畑のあらゆる務に当らせたが、そのすべての労役はきびしかった。 + またエジプトの王は、ヘブルの女のために取上げをする助産婦でひとりは名をシフラといい、他のひとりは名をプアという者にさとして、 + 言った、「ヘブルの女のために助産をするとき、産み台の上を見て、もし男の子ならばそれを殺し、女の子ならば生かしておきなさい」。 + しかし助産婦たちは神をおそれ、エジプトの王が彼らに命じたようにはせず、男の子を生かしておいた。 + エジプトの王は助産婦たちを召して言った、「あなたがたはなぜこのようなことをして、男の子を生かしておいたのか」。 + 助産婦たちはパロに言った、「ヘブルの女はエジプトの女とは違い、彼女たちは健やかで助産婦が行く前に産んでしまいます」。 + それで神は助産婦たちに恵みをほどこされた。そして民はふえ、非常に強くなった。 + 助産婦たちは神をおそれたので、神は彼女たちの家を栄えさせられた。 + そこでパロはそのすべての民に命じて言った、「ヘブルびとに男の子が生れたならば、みなナイル川に投げこめ。しかし女の子はみな生かしておけ」。 + + + さて、レビの家のひとりの人が行ってレビの娘をめとった。 + 女はみごもって、男の子を産んだが、その麗しいのを見て、三月のあいだ隠していた。 + しかし、もう隠しきれなくなったので、パピルスで編んだかごを取り、それにアスファルトと樹脂とを塗って、子をその中に入れ、これをナイル川の岸の葦の中においた。 + その姉は、彼がどうされるかを知ろうと、遠く離れて立っていた。 + ときにパロの娘が身を洗おうと、川に降りてきた。侍女たちは川べを歩いていたが、彼女は、葦の中にかごのあるのを見て、つかえめをやり、それを取ってこさせ、 + あけて見ると子供がいた。見よ、幼な子は泣いていた。彼女はかわいそうに思って言った、「これはヘブルびとの子供です」。 + そのとき幼な子の姉はパロの娘に言った、「わたしが行ってヘブルの女のうちから、あなたのために、この子に乳を飲ませるうばを呼んでまいりましょうか」。 + パロの娘が「行ってきてください」と言うと、少女は行ってその子の母を呼んできた。 + パロの娘は彼女に言った、「この子を連れて行って、わたしに代り、乳を飲ませてください。わたしはその報酬をさしあげます」。女はその子を引き取って、これに乳を与えた。 + その子が成長したので、彼女はこれをパロの娘のところに連れて行った。そして彼はその子となった。彼女はその名をモーセと名づけて言った、「水の中からわたしが引き出したからです」。 + モーセが成長して後、ある日のこと、同胞の所に出て行って、そのはげしい労役を見た。彼はひとりのエジプトびとが、同胞のひとりであるヘブルびとを打つのを見たので、 + 左右を見まわし、人のいないのを見て、そのエジプトびとを打ち殺し、これを砂の中に隠した。 + 次の日また出て行って、ふたりのヘブルびとが互に争っているのを見、悪い方の男に言った、「あなたはなぜ、あなたの友を打つのですか」。 + 彼は言った、「だれがあなたを立てて、われわれのつかさ、また裁判人としたのですか。エジプトびとを殺したように、あなたはわたしを殺そうと思うのですか」。モーセは恐れた。そしてあの事がきっと知れたのだと思った。 + パロはこの事を聞いて、モーセを殺そうとした。しかしモーセはパロの前をのがれて、ミデヤンの地に行き、井戸のかたわらに座していた。 + さて、ミデヤンの祭司に七人の娘があった。彼女たちはきて水をくみ、水槽にみたして父の羊の群れに飲ませようとしたが、 + 羊飼たちがきて彼女らを追い払ったので、モーセは立ち上がって彼女たちを助け、その羊の群れに水を飲ませた。 + 彼女たちが父リウエルのところに帰った時、父は言った、「きょうは、どうして、こんなに早く帰ってきたのか」。 + 彼女たちは言った、「ひとりのエジプトびとが、わたしたちを羊飼たちの手から助け出し、そのうえ、水をたくさんくんで、羊の群れに飲ませてくれたのです」。 + 彼は娘たちに言った、「そのかたはどこにおられるか。なぜ、そのかたをおいてきたのか。呼んできて、食事をさしあげなさい」。 + モーセがこの人と共におることを好んだので、彼は娘のチッポラを妻としてモーセに与えた。 + 彼女が男の子を産んだので、モーセはその名をゲルショムと名づけた。「わたしは外国に寄留者となっている」と言ったからである。 + 多くの日を経て、エジプトの王は死んだ。イスラエルの人々は、その苦役の務のゆえにうめき、また叫んだが、その苦役のゆえの叫びは神に届いた。 + 神は彼らのうめきを聞き、神はアブラハム、イサク、ヤコブとの契約を覚え、 + 神はイスラエルの人々を顧み、神は彼らをしろしめされた。 + + + モーセは妻の父、ミデヤンの祭司エテロの羊の群れを飼っていたが、その群れを荒野の奥に導いて、神の山ホレブにきた。 + ときに主の使は、しばの中の炎のうちに彼に現れた。彼が見ると、しばは火に燃えているのに、そのしばはなくならなかった。 + モーセは言った、「行ってこの大きな見ものを見、なぜしばが燃えてしまわないかを知ろう」。 + 主は彼がきて見定ようとするのを見、神はしばの中から彼を呼んで、「モーセよ、モーセよ」と言われた。彼は「ここにいます」と言った。 + 神は言われた、「ここに近づいてはいけない。足からくつを脱ぎなさい。あなたが立っているその場所は聖なる地だからである」。 + また言われた、「わたしは、あなたの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」。モーセは神を見ることを恐れたので顔を隠した。 + 主はまた言われた、「わたしは、エジプトにいるわたしの民の悩みを、つぶさに見、また追い使う者のゆえに彼らの叫ぶのを聞いた。わたしは彼らの苦しみを知っている。 + わたしは下って、彼らをエジプトびとの手から救い出し、これをかの地から導き上って、良い広い地、乳と蜜の流れる地、すなわちカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのおる所に至らせようとしている。 + いまイスラエルの人々の叫びがわたしに届いた。わたしはまたエジプトびとが彼らをしえたげる、そのしえたげを見た。 + さあ、わたしは、あなたをパロにつかわして、わたしの民、イスラエルの人々をエジプトから導き出させよう」。 + モーセは神に言った、「わたしは、いったい何者でしょう。わたしがパロのところへ行って、イスラエルの人々をエジプトから導き出すのでしょうか」。 + 神は言われた、「わたしは必ずあなたと共にいる。これが、わたしのあなたをつかわしたしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたがたはこの山で神に仕えるであろう」。 + モーセは神に言った、「わたしがイスラエルの人々のところへ行って、彼らに『あなたがたの先祖の神が、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と言うとき、彼らが『その名はなんというのですか』とわたしに聞くならば、なんと答えましょうか」。 + 神はモーセに言われた、「わたしは、有って有る者」。また言われた、「イスラエルの人々にこう言いなさい、『「わたしは有る」というかたが、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と」。 + 神はまたモーセに言われた、「イスラエルの人々にこう言いなさい『あなたがたの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主が、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と。これは永遠にわたしの名、これは世々のわたしの呼び名である。 + あなたは行って、イスラエルの長老たちを集めて言いなさい、『あなたがたの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である主は、わたしに現れて言われました、「わたしはあなたがたを顧み、あなたがたがエジプトでされている事を確かに見た。 + それでわたしはあなたがたを、エジプトの悩みから導き出して、カナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの地、乳と蜜の流れる地へ携え上ろうと決心した」と』。 + 彼らはあなたの声に聞き従うであろう。あなたはイスラエルの長老たちと一緒にエジプトの王のところへ行って言いなさい、『ヘブルびとの神、主がわたしたちに現れられました。それで、わたしたちを、三日の道のりほど荒野に行かせて、わたしたちの神、主に犠牲をささげることを許してください』と。 + しかし、エジプトの王は強い手をもって迫らなければ、あなたがたを行かせないのをわたしは知っている。 + それで、わたしは手を伸べて、エジプトのうちに行おうとする、さまざまの不思議をもってエジプトを打とう。その後に彼はあなたがたを去らせるであろう。 + わたしはこの民にエジプトびとの好意を得させる。あなたがたは去るときに、むなし手で去ってはならない。 + 女はみな、その隣の女と、家に宿っている女に、銀の飾り、金の飾り、また衣服を求めなさい。そしてこれらを、あなたがたのむすこ、娘に着けさせなさい。このようにエジプトびとのものを奪い取りなさい」。 + + + モーセは言った、「しかし、彼らはわたしを信ぜず、またわたしの声に聞き従わないで言うでしょう、『主はあなたに現れなかった』と」。 + 主は彼に言われた、「あなたの手にあるそれは何か」。彼は言った、「つえです」。 + また言われた、「それを地に投げなさい」。彼がそれを地に投げると、へびになったので、モーセはその前から身を避けた。 + 主はモーセに言われた、「あなたの手を伸ばして、その尾を取りなさい。――そこで手を伸ばしてそれを取ると、手のなかでつえとなった。―― + これは、彼らの先祖たちの神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主が、あなたに現れたのを、彼らに信じさせるためである」。 + 主はまた彼に言われた、「あなたの手をふところに入れなさい」。彼が手をふところに入れ、それを出すと、手は、らい病にかかって、雪のように白くなっていた。 + 主は言われた、「手をふところにもどしなさい」。彼は手をふところにもどし、それをふところから出して見ると、回復して、もとの肉のようになっていた。 + 主は言われた、「彼らがもしあなたを信ぜず、また初めのしるしを認めないならば、後のしるしは信じるであろう。 + 彼らがもしこの二つのしるしをも信ぜず、あなたの声に聞き従わないならば、あなたはナイル川の水を取って、かわいた地に注ぎなさい。あなたがナイル川から取った水は、かわいた地で血となるであろう」。 + モーセは主に言った、「ああ主よ、わたしは以前にも、またあなたが、しもべに語られてから後も、言葉の人ではありません。わたしは口も重く、舌も重いのです」。 + 主は彼に言われた、「だれが人に口を授けたのか。おし、耳しい、目あき、目しいにだれがするのか。主なるわたしではないか。 + それゆえ行きなさい。わたしはあなたの口と共にあって、あなたの言うべきことを教えるであろう」。 + モーセは言った、「ああ、主よ、どうか、ほかの適当な人をおつかわしください」。 + そこで、主はモーセにむかって怒りを発して言われた、「あなたの兄弟レビびとアロンがいるではないか。わたしは彼が言葉にすぐれているのを知っている。見よ、彼はあなたに会おうとして出てきている。彼はあなたを見て心に喜ぶであろう。 + あなたは彼に語って言葉をその口に授けなさい。わたしはあなたの口と共にあり、彼の口と共にあって、あなたがたのなすべきことを教え、 + 彼はあなたに代って民に語るであろう。彼はあなたの口となり、あなたは彼のために、神に代るであろう。 + あなたはそのつえを手に執り、それをもって、しるしを行いなさい」。 + モーセは妻の父エテロのところに帰って彼に言った、「どうかわたしを、エジプトにいる身うちの者のところに帰らせ、彼らがまだ生きながらえているか、どうかを見させてください」。エテロはモーセに言った、「安んじて行きなさい」。 + 主はミデヤンでモーセに言われた、「エジプトに帰って行きなさい。あなたの命を求めた人々はみな死んだ」。 + そこでモーセは妻と子供たちをとり、ろばに乗せて、エジプトの地に帰った。モーセは手に神のつえを執った。 + 主はモーセに言われた、「あなたがエジプトに帰ったとき、わたしがあなたの手に授けた不思議を、みなパロの前で行いなさい。しかし、わたしが彼の心をかたくなにするので、彼は民を去らせないであろう。 + あなたはパロに言いなさい、『主はこう仰せられる。イスラエルはわたしの子、わたしの長子である。 + わたしはあなたに言う。わたしの子を去らせて、わたしに仕えさせなさい。もし彼を去らせるのを拒むならば、わたしはあなたの子、あなたの長子を殺すであろう』と」。 + さてモーセが途中で宿っている時、主は彼に会って彼を殺そうとされた。 + その時チッポラは火打ち石の小刀を取って、その男の子の前の皮を切り、それをモーセの足につけて言った、「あなたはまことに、わたしにとって血の花婿です」。 + そこで、主はモーセをゆるされた。この時「血の花婿です」とチッポラが言ったのは割礼のゆえである。 + 主はアロンに言われた、「荒野に行ってモーセに会いなさい」。彼は行って神の山でモーセに会い、これに口づけした。 + モーセは自分をつかわされた主のすべての言葉と、命じられたすべてのしるしをアロンに告げた。 + そこでモーセとアロンは行ってイスラエルの人々の長老たちをみな集めた。 + そしてアロンは主がモーセに語られた言葉を、ことごとく告げた。また彼は民の前でしるしを行ったので、 + 民は信じた。彼らは主がイスラエルの人々を顧み、その苦しみを見られたのを聞き、伏して礼拝した。 + + + その後、モーセとアロンは行ってパロに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、『わたしの民を去らせ、荒野で、わたしのために祭をさせなさい』と」。 + パロは言った、「主とはいったい何者か。わたしがその声に聞き従ってイスラエルを去らせなければならないのか。わたしは主を知らない。またイスラエルを去らせはしない」。 + 彼らは言った、「ヘブルびとの神がわたしたちに現れました。どうか、わたしたちを三日の道のりほど荒野に行かせ、わたしたちの神、主に犠牲をささげさせてください。そうしなければ主は疫病か、つるぎをもって、わたしたちを悩まされるからです」。 + エジプトの王は彼らに言った、「モーセとアロンよ、あなたがたは、なぜ民に働きをやめさせようとするのか。自分の労役につくがよい」。 + パロはまた言った、「見よ、今や土民の数は多い。しかも、あなたがたは彼らに労役を休ませようとするのか」。 + その日、パロは民を追い使う者と、民のかしらたちに命じて言った、 + 「あなたがたは、れんがを作るためのわらを、もはや、今までのように、この民に与えてはならない。彼らに自分で行って、わらを集めさせなさい。 + また前に作っていた、れんがの数どおりに彼らに作らせ、それを減らしてはならない。彼らはなまけ者だ。それだから、彼らは叫んで、『行ってわたしたちの神に犠牲をささげさせよ』と言うのだ。 + この人々の労役を重くして、働かせ、偽りの言葉に心を寄せさせぬようにしなさい」。 + そこで民を追い使う者たちと、民のかしらたちは出て行って、民に言った、「パロはこう仰せられる、『あなたがたに、わらは与えない。 + 自分で行って、見つかる所から、わらを取って来るがよい。しかし働きは少しも減らしてはならない』と」。 + そこで民はエジプトの全地に散って、わらのかわりに、刈り株を集めた。 + 追い使う者たちは、彼らをせき立てて言った、「わらがあった時と同じように、あなたがたの働きの、日ごとの分を仕上げなければならない」。 + パロの追い使う者たちがイスラエルの人々の上に立てたかしらたちは、打たれて、「なぜ、あなたがたは、れんが作りの仕事を、きょうも、前のように仕上げないのか」と言われた。 + そこで、イスラエルの人々のかしらたちはパロのところに行き、叫んで言った、「あなたはなぜ、しもべどもにこんなことをなさるのですか。 + しもべどもは、わらを与えられず、しかも彼らはわたしたちに、『れんがは作れ』と言うのです。その上、しもべどもは打たれています。罪はあなたの民にあるのです」。 + パロは言った、「あなたがたは、なまけ者だ、なまけ者だ。それだから、『行って、主に犠牲をささげさせよ』と言うのだ。 + さあ、行って働きなさい。わらは与えないが、なおあなたがたは定めた数のれんがを納めなければならない」。 + イスラエルの人々のかしらたちは、「れんがの日ごとの分を減らしてはならない」と言われたので、悪い事態になったことを知った。 + 彼らがパロを離れて出てきた時、彼らに会おうとして立っていたモーセとアロンに会ったので、 + 彼らに言った、「主があなたがたをごらんになって、さばかれますように。あなたがたは、わたしたちをパロとその家来たちにきらわせ、つるぎを彼らの手に渡して、殺させようとしておられるのです」。 + モーセは主のもとに帰って言った、「主よ、あなたは、なぜこの民をひどい目にあわされるのですか。なんのためにわたしをつかわされたのですか。 + わたしがパロのもとに行って、あなたの名によって語ってからこのかた、彼はこの民をひどい目にあわせるばかりです。また、あなたは、すこしもあなたの民を救おうとなさいません」。 + + + 主はモーセに言われた、「今、あなたは、わたしがパロに何をしようとしているかを見るであろう。すなわちパロは強い手にしいられて、彼らを去らせるであろう。否、彼は強い手にしいられて、彼らを国から追い出すであろう」。 + 神はモーセに言われた、「わたしは主である。 + わたしはアブラハム、イサク、ヤコブには全能の神として現れたが、主という名では、自分を彼らに知らせなかった。 + わたしはまたカナンの地、すなわち彼らが寄留したその寄留の地を、彼らに与えるという契約を彼らと立てた。 + わたしはまた、エジプトびとが奴隷としているイスラエルの人々のうめきを聞いて、わたしの契約を思い出した。 + それゆえ、イスラエルの人々に言いなさい、『わたしは主である。わたしはあなたがたをエジプトびとの労役の下から導き出し、奴隷の務から救い、また伸べた腕と大いなるさばきをもって、あなたがたをあがなうであろう。 + わたしはあなたがたを取ってわたしの民とし、わたしはあなたがたの神となる。わたしがエジプトびとの労役の下からあなたがたを導き出すあなたがたの神、主であることを、あなたがたは知るであろう。 + わたしはアブラハム、イサク、ヤコブに与えると手を挙げて誓ったその地にあなたがたをはいらせ、それを所有として、与えるであろう。わたしは主である』と」。 + モーセはこのようにイスラエルの人々に語ったが、彼らは心の痛みと、きびしい奴隷の務のゆえに、モーセに聞き従わなかった。 + さて主はモーセに言われた、 + 「エジプトの王パロのところに行って、彼がイスラエルの人々をその国から去らせるように話しなさい」。 + モーセは主にむかって言った、「イスラエルの人々でさえ、わたしの言うことを聞かなかったのに、どうして、くちびるに割礼のないわたしの言うことを、パロが聞き入れましょうか」。 + しかし、主はモーセとアロンに語って、イスラエルの人々と、エジプトの王パロのもとに行かせ、イスラエルの人々をエジプトの地から導き出せと命じられた。 + 彼らの先祖の家の首長たちは次のとおりである。すなわちイスラエルの長子ルベンの子らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミで、これらはルベンの一族である。 + シメオンの子らはエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハル、およびカナンの女から生れたシャウルで、これらはシメオンの一族である。 + レビの子らの名は、その世代に従えば、ゲルション、コハテ、メラリで、レビの一生は百三十七年であった。 + ゲルションの子らの一族はリブニとシメイである。 + コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルで、コハテの一生は百三十三年であった。 + メラリの子らはマヘリとムシである。これらはその世代によるレビの一族である。 + アムラムは父の妹ヨケベデを妻としたが、彼女はアロンとモーセを彼に産んだ。アムラムの一生は百三十七年であった。 + イヅハルの子らはコラ、ネペグ、ジクリである。 + ウジエルの子らはミサエル、エルザパン、シテリである。 + アロンはナションの姉妹、アミナダブの娘エリセバを妻とした。エリセバは彼にナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルを産んだ。 + コラの子らはアッシル、エルカナ、アビアサフで、これらはコラびとの一族である。 + アロンの子エレアザルはプテエルの娘のひとりを妻とした。彼女はピネハスを彼に産んだ。これらは、その一族によるレビびとの先祖の家の首長たちである。 + 主が、「イスラエルの人々をその軍団に従って、エジプトの地から導き出しなさい」と言われたのは、このアロンとモーセである。 + 彼らはイスラエルの人々をエジプトから導き出すことについて、エジプトの王パロに語ったもので、すなわちこのモーセとアロンである。 + 主がエジプトの地でモーセに語られた日に、 + 主はモーセに言われた、「わたしは主である。わたしがあなたに語ることは、みなエジプトの王パロに語りなさい」。 + しかしモーセは主にむかって言った、「ごらんのとおり、わたしは、くちびるに割礼のない者です。パロがどうしてわたしの言うことを聞きいれましょうか」。 + + + 主はモーセに言われた、「見よ、わたしはあなたをパロに対して神のごときものとする。あなたの兄弟アロンはあなたの預言者となるであろう。 + あなたはわたしが命じることを、ことごとく彼に告げなければならない。そしてあなたの兄弟アロンはパロに告げて、イスラエルの人々をその国から去らせるようにさせなければならない。 + しかし、わたしはパロの心をかたくなにするので、わたしのしるしと不思議をエジプトの国に多く行っても、 + パロはあなたがたの言うことを聞かないであろう。それでわたしは手をエジプトの上に加え、大いなるさばきをくだして、わたしの軍団、わたしの民イスラエルの人々を、エジプトの国から導き出すであろう。 + わたしが手をエジプトの上にさし伸べて、イスラエルの人々を彼らのうちから導き出す時、エジプトびとはわたしが主であることを知るようになるであろう」。 + モーセとアロンはそのように行った。すなわち主が彼らに命じられたように行った。 + 彼らがパロと語った時、モーセは八十歳、アロンは八十三歳であった。 + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「パロがあなたがたに、『不思議をおこなって証拠を示せ』と言う時、あなたはアロンに言いなさい、『あなたのつえを取って、パロの前に投げなさい』と。するとそれはへびになるであろう」。 + それで、モーセとアロンはパロのところに行き、主の命じられたとおりにおこなった。すなわちアロンはそのつえを、パロとその家来たちの前に投げると、それはへびになった。 + そこでパロもまた知者と魔法使を召し寄せた。これらのエジプトの魔術師らもまた、その秘術をもって同じように行った。 + すなわち彼らは、おのおのそのつえを投げたが、それらはへびになった。しかし、アロンのつえは彼らのつえを、のみつくした。 + けれども、パロの心はかたくなになって、主の言われたように、彼らの言うことを聞かなかった。 + 主はモーセに言われた、「パロの心はかたくなで、彼は民を去らせることを拒んでいる。 + あなたは、あすの朝、パロのところに行きなさい。見よ、彼は水のところに出ている。あなたは、へびに変ったあのつえを手に執り、ナイル川の岸に立って彼に会い、 + そして彼に言いなさい、『ヘブルびとの神、主がわたしをあなたにつかわして言われます、「わたしの民を去らせ、荒野で、わたしに仕えるようにさせよ」と。しかし今もなお、あなたが聞きいれようとされないので、 + 主はこう仰せられます、「これによってわたしが主であることを、あなたは知るでしょう。見よ、わたしが手にあるつえでナイル川の水を打つと、それは血に変るであろう。 + そして川の魚は死に、川は臭くなり、エジプトびとは川の水を飲むことをいとうであろう」』と」。 + 主はまたモーセに言われた、「あなたはアロンに言いなさい、『あなたのつえを執って、手をエジプトの水の上、川の上、流れの上、池の上、またそのすべての水たまりの上にさし伸べて、それを血にならせなさい。エジプト全国にわたって、木の器、石の器にも、血があるようになるでしょう』と」。 + モーセとアロンは主の命じられたようにおこなった。すなわち、彼はパロとその家来たちの目の前で、つえをあげてナイル川の水を打つと、川の水は、ことごとく血に変った。 + それで川の魚は死に、川は臭くなり、エジプトびとは川の水を飲むことができなくなった。そしてエジプト全国にわたって血があった。 + エジプトの魔術師らも秘術をもって同じようにおこなった。しかし、主の言われたように、パロの心はかたくなになり、彼らの言うことを聞かなかった。 + パロは身をめぐらして家に入り、またこのことをも心に留めなかった。 + すべてのエジプトびとはナイル川の水が飲めなかったので、飲む水を得ようと、川のまわりを掘った。 + 主がナイル川を打たれてのち七日を経た。 + + + 主はモーセに言われた、「あなたはパロのところに行って言いなさい、『主はこう仰せられます、「わたしの民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + しかし、去らせることを拒むならば、見よ、わたしは、かえるをもって、あなたの領土を、ことごとく撃つであろう。 + ナイル川にかえるが群がり、のぼって、あなたの家、あなたの寝室にはいり、寝台にのぼり、あなたの家来と民の家にはいり、またあなたのかまどや、こね鉢にはいり、 + あなたと、あなたの民と、すべての家来のからだに、はい上がるであろう」と』」。 + 主はモーセに言われた、「あなたはアロンに言いなさい、『つえを持って、手を川の上、流れの上、、池の上にさし伸べ、かえるをエジプトの地にのぼらせなさい』と」。 + アロンが手をエジプトの水の上にさし伸べたので、かえるはのぼってエジプトの地をおおった。 + 魔術師らも秘術をもって同じように行い、かえるをエジプトの地にのぼらせた。 + パロはモーセとアロンを召して言った、「かえるをわたしと、わたしの民から取り去るように主に願ってください。そのときわたしはこの民を去らせて、主に犠牲をささげさせるでしょう」。 + モーセはパロに言った、「あなたと、あなたの家来と、あなたの民のために、わたしがいつ願って、このかえるを、あなたとあなたの家から断って、ナイル川だけにとどまらせるべきか、きめてください」。 + パロは言った、「明日」。モーセは言った、「仰せのとおりになって、わたしたちの神、主に並ぶもののないことを、あなたが知られますように。 + そして、かえるはあなたと、あなたの家と、あなたの家来と、あなたの民を離れてナイル川にだけとどまるでしょう」。 + こうしてモーセとアロンはパロを離れて出た。モーセは主がパロにつかわされたかえるの事について、主に呼び求めたので、 + 主はモーセのことばのようにされ、かえるは家から、庭から、また畑から死に絶えた。 + これをひと山ひと山に積んだので、地は臭くなった。 + ところがパロは息つくひまのできたのを見て、主が言われたように、その心をかたくなにして彼らの言うことを聞かなかった。 + 主はモーセに言われた、「あなたはアロンに言いなさい、『あなたのつえをさし伸べて地のちりを打ち、それをエジプトの全国にわたって、ぶよとならせなさい』と」。 + 彼らはそのように行った。すなわちアロンはそのつえをとって手をさし伸べ、地のちりを打ったので、ぶよは人と家畜についた。すなわち、地のちりはみなエジプトの全国にわたって、ぶよとなった。 + 魔術師らも秘術をもって同じように行い、ぶよを出そうとしたが、彼らにはできなかった。ぶよが人と家畜についたので、 + 魔術師らはパロに言った、「これは神の指です」。しかし主の言われたように、パロの心はかたくなになって、彼らのいうことを聞かなかった。 + 主はモーセに言われた、「あなたは朝早く起きてパロの前に立ちなさい。ちょうど彼は水のところに出ているから彼に言いなさい、『主はこう仰せられる、「わたしの民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + あなたがわたしの民を去らせないならば、わたしは、あなたとあなたの家来と、あなたの民とあなたの家とに、あぶの群れをつかわすであろう。エジプトびとの家々は、あぶの群れで満ち、彼らの踏む地もまた、そうなるであろう。 + その日わたしは、わたしの民の住むゴセンの地を区別して、そこにあぶの群れを入れないであろう。国の中でわたしが主であることをあなたが知るためである。 + わたしはわたしの民とあなたの民の間に区別をおく。このしるしは、あす起るであろう」と』」。 + 主はそのようにされたので、おびただしいあぶが、パロの家と、その家来の家と、エジプトの全国にはいってきて、地はあぶの群れのために害をうけた。 + そこで、パロはモーセとアロンを召して言った、「あなたがたは行ってこの国の内で、あなたがたの神に犠牲をささげなさい」。 + モーセは言った、「そうすることはできません。わたしたちはエジプトびとの忌むものを犠牲として、わたしたちの神、主にささげるからです。もし、エジプトびとの目の前で、彼らの忌むものを犠牲にささげるならば、彼らはわたしたちを石で打たないでしょうか。 + わたしたちは三日の道のりほど、荒野にはいって、わたしたちの神、主に犠牲をささげ、主がわたしたちに命じられるようにしなければなりません」。 + パロは言った、「わたしはあなたがたを去らせ、荒野で、あなたがたの神、主に犠牲をささげさせよう。ただあまり遠くへ行ってはならない。わたしのために祈願しなさい」。 + モーセは言った、「わたしはあなたのもとから出て行って主に祈願しましょう。あすあぶの群れがパロと、その家来と、その民から離れるでしょう。ただパロはまた欺いて、民が主に犠牲をささげに行くのをとめないようにしてください」。 + こうしてモーセはパロのもとを出て、主に祈願したので、 + 主はモーセの言葉のようにされた。すなわち、あぶの群れをパロと、その家来と、その民から取り去られたので、一つも残らなかった。 + しかしパロはこんどもまた、その心をかたくなにして民を去らせなかった。 + + + 主はモーセに言われた、「パロのもとに行って、彼に言いなさい、『ヘブルびとの神、主はこう仰せられる、「わたしの民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + あなたがもし彼らを去らせることを拒んで、なお彼らを留めおくならば、 + 主の手は最も激しい疫病をもって、野にいるあなたの家畜、すなわち馬、ろば、らくだ、牛、羊の上に臨むであろう。 + しかし、主はイスラエルの家畜と、エジプトの家畜を区別され、すべてイスラエルの人々に属するものには一頭も死ぬものがないであろう」と』」。 + 主は、また、時を定めて仰せられた、「あす、主はこのことを国に行うであろう」。 + あくる日、主はこのことを行われたので、エジプトびとの家畜はみな死んだ。しかし、イスラエルの人々の家畜は一頭も死ななかった。 + パロは人をつかわして見させたが、イスラエルの家畜は一頭も死んでいなかった。それでもパロの心はかたくなで、民を去らせなかった。 + 主はモーセとアロンに言われた、「あなたがたは、かまどのすすを両手いっぱい取り、それをモーセはパロの目の前で天にむかって、まき散らしなさい。 + それはエジプトの全国にわたって、細かいちりとなり、エジプト全国で人と獣に付いて、うみの出るはれものとなるであろう」。 + そこで彼らは、かまどのすすを取ってパロの前に立ち、モーセは天にむかってこれをまき散らしたので、人と獣に付いて、うみの出るはれものとなった。 + 魔術師らは、はれもののためにモーセの前に立つことができなかった。はれものが魔術師らと、すべてのエジプトびとに生じたからである。 + しかし、主はパロの心をかたくなにされたので、彼は主がモーセに語られたように、彼らの言うことを聞かなかった。 + 主はまたモーセに言われた、「朝早く起き、パロの前に立って、彼に言いなさい、『ヘブルびとの神、主はこう仰せられる、「わたしの民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + わたしは、こんどは、もろもろの災を、あなたと、あなたの家来と、あなたの民にくだし、わたしに並ぶものが全地にないことを知らせるであろう。 + わたしがもし、手をさし伸べ、疫病をもって、あなたと、あなたの民を打っていたならば、あなたは地から断ち滅ぼされていたであろう。 + しかし、わたしがあなたをながらえさせたのは、あなたにわたしの力を見させるため、そして、わたしの名が全地に宣べ伝えられるためにほかならない。 + それに、あなたはなお、わたしの民にむかって、おのれを高くし、彼らを去らせようとしない。 + ゆえに、あすの今ごろ、わたしは恐ろしく大きな雹を降らせるであろう。それはエジプトの国が始まった日から今まで、かつてなかったほどのものである。 + それゆえ、いま、人をやって、あなたの家畜と、あなたが野にもっているすべてのものを、のがれさせなさい。人も獣も、すべて野にあって家に帰らないものは降る雹に打たれて死ぬであろう」と』」。 + パロの家来のうち、主の言葉をおそれる者は、そのしもべと家畜を家にのがれさせたが、 + 主の言葉を意にとめないものは、そのしもべと家畜を野に残しておいた。 + 主はモーセに言われた、「あなたの手を天にむかってさし伸べ、エジプトの全国にわたって、エジプトの地にいる人と獣と畑のすべての青物の上に雹を降らせなさい」。 + モーセが天にむかってつえをさし伸べると、主は雷と雹をおくられ、火は地にむかって、はせ下った。こうして主は、雹をエジプトの地に降らされた。 + そして雹が降り、雹の間に火がひらめき渡った。雹は恐ろしく大きく、エジプト全国には、国をなしてこのかた、かつてないものであった。 + 雹はエジプト全国にわたって、すべて畑にいる人と獣を打った。雹はまた畑のすべての青物を打ち、野のもろもろの木を折り砕いた。 + ただイスラエルの人々のいたゴセンの地には、雹が降らなかった。 + そこで、パロは人をつかわし、モーセとアロンを召して言った、「わたしはこんどは罪を犯した。主は正しく、わたしと、わたしの民は悪い。 + 主に祈願してください。この雷と雹はもうじゅうぶんです。わたしはあなたがたを去らせます。もはやとどまらなくてもよろしい」。 + モーセは彼に言った、「わたしは町を出ると、すぐ、主にむかってわたしの手を伸べひろげます。すると雷はやみ、雹はもはや降らなくなり、あなたは、地が主のものであることを知られましょう。 + しかし、あなたとあなたの家来たちは、なお、神なる主を恐れないことを、わたしは知っています」。 + ――亜麻と大麦は打ち倒された。大麦は穂を出し、亜麻は花が咲いていたからである。 + 小麦とスペルタ麦はおくてであるため打ち倒されなかった。―― + モーセはパロのもとを去り、町を出て、主にむかって手を伸べひろげたので、雷と雹はやみ、雨は地に降らなくなった。 + ところがパロは雨と雹と雷がやんだのを見て、またも罪を犯し、心をかたくなにした。彼も家来も、そうであった。 + すなわちパロは心をかたくなにし、主がモーセによって語られたように、イスラエルの人々を去らせなかった。 + + + そこで、主はモーセに言われた、「パロのもとに行きなさい。わたしは彼の心とその家来たちの心をかたくなにした。これは、わたしがこれらのしるしを、彼らの中に行うためである。 + また、わたしがエジプトびとをあしらったこと、また彼らの中にわたしが行ったしるしを、あなたがたが、子や孫の耳に語り伝えるためである。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るであろう」。 + モーセとアロンはパロのもとに行って彼に言った、「ヘブルびとの神、主はこう仰せられる、『いつまで、あなたは、わたしに屈伏することを拒むのですか。民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + もし、わたしの民を去らせることを拒むならば、見よ、あす、わたしはいなごを、あなたの領土にはいらせるであろう。 + それは地のおもてをおおい、人が地を見ることもできないほどになるであろう。そして雹を免れて、残されているものを食い尽し、野にはえているあなたがたの木をみな食い尽すであろう。 + またそれはあなたの家とあなたのすべての家来の家、および、すべてのエジプトびとの家に満ちるであろう。このようなことは、あなたの父たちも、また、祖父たちも、彼らが地上にあった日から今日に至るまで、かつて見たことのないものである』と」。そして彼は身をめぐらして、パロのもとを出て行った。 + パロの家来たちは王に言った、「いつまで、この人はわれわれのわなとなるのでしょう。この人々を去らせ、彼らの神なる主に仕えさせては、どうでしょう。エジプトが滅びてしまうことに、まだ気づかれないのですか」。 + そこで、モーセとアロンは、また、パロのもとに召し出された。パロは彼らに言った、「行って、あなたがたの神、主に仕えなさい。しかし、行くものはだれだれか」。 + モーセは言った、「わたしたちは幼い者も、老いた者も行きます。むすこも娘も携え、羊も牛も連れて行きます。わたしたちは主の祭を執り行わなければならないのですから」。 + パロは彼らに言った、「万一、わたしが、あなたがたに子供を連れてまで去らせるようなことがあれば、主があなたがたと共にいますがよい。あなたがたは悪いたくらみをしている。 + それはいけない。あなたがたは男だけ行って主に仕えるがよい。それが、あなたがたの要求であった」。彼らは、ついにパロの前から追い出された。 + 主はモーセに言われた、「あなたの手をエジプトの地の上にさし伸べて、エジプトの地にいなごをのぼらせ、地のすべての青物、すなわち、雹が打ち残したものを、ことごとく食べさせなさい」。 + そこでモーセはエジプトの地の上に、つえをさし伸べたので、主は終日、終夜、東風を地に吹かせられた。朝となって、東風は、いなごを運んできた。 + いなごはエジプト全国にのぞみ、エジプトの全領土にとどまり、その数がはなはだ多く、このようないなごは前にもなく、また後にもないであろう。 + いなごは地の全面をおおったので、地は暗くなった。そして地のすべての青物と、雹の打ち残した木の実を、ことごとく食べたので、エジプト全国にわたって、木にも畑の青物にも、緑の物とては何も残らなかった。 + そこで、パロは、急いでモーセとアロンを召して言った、「わたしは、あなたがたの神、主に対し、また、あなたがたに対して罪を犯しました。 + それで、どうか、もう一度だけ、わたしの罪をゆるしてください。そしてあなたがたの神、主に祈願して、ただ、この死をわたしから離れさせてください」。 + そこで彼はパロのところから出て、主に祈願したので、 + 主は、はなはだ強い西風に変らせ、いなごを吹き上げて、これを紅海に追いやられたので、エジプト全土には一つのいなごも残らなかった。 + しかし、主がパロの心をかたくなにされたので、彼はイスラエルの人々を去らせなかった。 + 主はまたモーセに言われた、「天にむかってあなたの手をさし伸べ、エジプトの国に、くらやみをこさせなさい。そのくらやみは、さわれるほどである」。 + モーセが天にむかって手をさし伸べたので、濃いくらやみは、エジプト全国に臨み三日に及んだ。 + 三日の間、人々は互に見ることもできず、まただれもその所から立つ者もなかった。しかし、イスラエルの人々には、みな、その住む所に光があった。 + そこでパロはモーセを召して言った、「あなたがたは行って主に仕えなさい。あなたがたの子供も連れて行ってもよろしい。ただ、あなたがたの羊と牛は残して置きなさい」。 + しかし、モーセは言った、「あなたは、また、わたしたちの神、主にささげる犠牲と燔祭の物をも、わたしたちにくださらなければなりません。 + わたしたちは家畜も連れて行きます。ひずめ一つも残しません。わたしたちは、そのうちから取って、わたしたちの神、主に仕えねばなりません。またわたしたちは、その場所に行くまでは、何をもって、主に仕えるべきかを知らないからです」。 + けれども、主がパロの心をかたくなにされたので、パロは彼らを去らせようとしなかった。 + それでパロはモーセに言った、「わたしの所から去りなさい。心して、わたしの顔は二度と見てはならない。わたしの顔を見る日には、あなたの命はないであろう」。 + モーセは言った、「よくぞ仰せられました。わたしは、二度と、あなたの顔を見ないでしょう」。 + + + 主はモーセに言われた、「わたしは、なお一つの災を、パロとエジプトの上にくだし、その後、彼はあなたがたをここから去らせるであろう。彼が去らせるとき、彼はあなたがたを、ことごとくここから追い出すであろう。 + あなたは民の耳に語って、男は隣の男から、女は隣の女から、それぞれ銀の飾り、金の飾りを請い求めさせなさい」。 + 主は民にエジプトびとの好意を得させられた。またモーセその人は、エジプトの国で、パロの家来たちの目と民の目とに、はなはだ大いなるものと見えた。 + モーセは言った、「主はこう仰せられる、『真夜中ごろ、わたしはエジプトの中へ出て行くであろう。 + エジプトの国のうちのういごは、位に座するパロのういごをはじめ、ひきうすの後にいる、はしためのういごに至るまで、みな死に、また家畜のういごもみな死ぬであろう。 + そしてエジプト全国に大いなる叫びが起るであろう。このようなことはかつてなく、また、ふたたびないであろう』と。 + しかし、すべて、イスラエルの人々にむかっては、人にむかっても、獣にむかっても、犬さえその舌を鳴らさないであろう。これによって主がエジプトびととイスラエルびととの間の区別をされるのを、あなたがたは知るであろう。 + これらのあなたの家来たちは、みな、わたしのもとに下ってきて、ひれ伏して言うであろう、『あなたもあなたに従う民もみな出て行ってください』と。その後、わたしは出て行きます」。彼は激しく怒ってパロのもとから出て行った。 + 主はモーセに言われた、「パロはあなたがたの言うことを聞かないであろう。それゆえ、わたしはエジプトの国に不思議を増し加えるであろう」。 + モーセとアロンは、すべてこれらの不思議をパロの前に行ったが、主がパロの心をかたくなにされたので、彼はイスラエルの人々をその国から去らせなかった。 + + + 主はエジプトの国で、モーセとアロンに告げて言われた、 + 「この月をあなたがたの初めの月とし、これを年の正月としなさい。 + あなたがたはイスラエルの全会衆に言いなさい、『この月の十日におのおの、その父の家ごとに小羊を取らなければならない。すなわち、一家族に小羊一頭を取らなければならない。 + もし家族が少なくて一頭の小羊を食べきれないときは、家のすぐ隣の人と共に、人数に従って一頭を取り、おのおの食べるところに応じて、小羊を見計らわなければならない。 + 小羊は傷のないもので、一歳の雄でなければならない。羊またはやぎのうちから、これを取らなければならない。 + そしてこの月の十四日まで、これを守って置き、イスラエルの会衆はみな、夕暮にこれをほふり、 + その血を取り、小羊を食する家の入口の二つの柱と、かもいにそれを塗らなければならない。 + そしてその夜、その肉を火に焼いて食べ、種入れぬパンと苦菜を添えて食べなければならない。 + 生でも、水で煮ても、食べてはならない。火に焼いて、その頭を足と内臓と共に食べなければならない。 + 朝までそれを残しておいてはならない。朝まで残るものは火で焼きつくさなければならない。 + あなたがたは、こうして、それを食べなければならない。すなわち腰を引きからげ、足にくつをはき、手につえを取って、急いでそれを食べなければならない。これは主の過越である。 + その夜わたしはエジプトの国を巡って、エジプトの国におる人と獣との、すべてのういごを打ち、またエジプトのすべての神々に審判を行うであろう。わたしは主である。 + その血はあなたがたのおる家々で、あなたがたのために、しるしとなり、わたしはその血を見て、あなたがたの所を過ぎ越すであろう。わたしがエジプトの国を撃つ時、災が臨んで、あなたがたを滅ぼすことはないであろう。 + この日はあなたがたに記念となり、あなたがたは主の祭としてこれを守り、代々、永久の定めとしてこれを守らなければならない。 + 七日の間あなたがたは種入れぬパンを食べなければならない。その初めの日に家からパン種を取り除かなければならない。第一日から第七日までに、種を入れたパンを食べる人はみなイスラエルから断たれるであろう。 + かつ、あなたがたは第一日に聖会を、また第七日に聖会を開かなければならない。これらの日には、なんの仕事もしてはならない。ただ、おのおのの食べものだけは作ることができる。 + あなたがたは、種入れぬパンの祭を守らなければならない。ちょうど、この日、わたしがあなたがたの軍勢をエジプトの国から導き出したからである。それゆえ、あなたがたは代々、永久の定めとして、その日を守らなければならない。 + 正月に、その月の十四日の夕方に、あなたがたは種入れぬパンを食べ、その月の二十一日の夕方まで続けなければならない。 + 七日の間、家にパン種を置いてはならない。種を入れたものを食べる者は、寄留の他国人であれ、国に生れた者であれ、すべて、イスラエルの会衆から断たれるであろう。 + あなたがたは種を入れたものは何も食べてはならない。すべてあなたがたのすまいにおいて種入れぬパンを食べなければならない』」。 + そこでモーセはイスラエルの長老をみな呼び寄せて言った、「あなたがたは急いで家族ごとに一つの小羊を取り、その過越の獣をほふらなければならない。 + また一束のヒソプを取って鉢の血に浸し、鉢の血を、かもいと入口の二つの柱につけなければならない。朝まであなたがたは、ひとりも家の戸の外に出てはならない。 + 主が行き巡ってエジプトびとを撃たれるとき、かもいと入口の二つの柱にある血を見て、主はその入口を過ぎ越し、滅ぼす者が、あなたがたの家にはいって、撃つのを許されないであろう。 + あなたがたはこの事を、あなたと子孫のための定めとして、永久に守らなければならない。 + あなたがたは、主が約束されたように、あなたがたに賜る地に至るとき、この儀式を守らなければならない。 + もし、あなたがたの子供たちが『この儀式はどんな意味ですか』と問うならば、 + あなたがたは言いなさい、『これは主の過越の犠牲である。エジプトびとを撃たれたとき、エジプトにいたイスラエルの人々の家を過ぎ越して、われわれの家を救われたのである』」。民はこのとき、伏して礼拝した。 + イスラエルの人々は行ってそのようにした。すなわち主がモーセとアロンに命じられたようにした。 + 夜中になって主はエジプトの国の、すべてのういご、すなわち位に座するパロのういごから、地下のひとやにおる捕虜のういごにいたるまで、また、すべての家畜のういごを撃たれた。 + それでパロとその家来およびエジプトびとはみな夜のうちに起きあがり、エジプトに大いなる叫びがあった。死人のない家がなかったからである。 + そこでパロは夜のうちにモーセとアロンを呼び寄せて言った、「あなたがたとイスラエルの人々は立って、わたしの民の中から出て行くがよい。そしてあなたがたの言うように、行って主に仕えなさい。 + あなたがたの言うように羊と牛とを取って行きなさい。また、わたしを祝福しなさい」。 + こうしてエジプトびとは民をせき立てて、すみやかに国を去らせようとした。彼らは「われわれはみな死ぬ」と思ったからである。 + 民はまだパン種を入れない練り粉を、こばちのまま着物に包んで肩に負った。 + そしてイスラエルの人々はモーセの言葉のようにして、エジプトびとから銀の飾り、金の飾り、また衣服を請い求めた。 + 主は民にエジプトびとの情を得させ、彼らの請い求めたものを与えさせられた。こうして彼らはエジプトびとのものを奪い取った。 + さて、イスラエルの人々はラメセスを出立してスコテに向かった。女と子供を除いて徒歩の男子は約六十万人であった。 + また多くの入り混じった群衆および羊、牛など非常に多くの家畜も彼らと共に上った。 + そして彼らはエジプトから携えて出た練り粉をもって、種入れぬパンの菓子を焼いた。まだパン種を入れていなかったからである。それは彼らがエジプトから追い出されて滞ることができず、また、何の食料をも整えていなかったからである。 + イスラエルの人々がエジプトに住んでいた間は、四百三十年であった。 + 四百三十年の終りとなって、ちょうどその日に、主の全軍はエジプトの国を出た。 + これは彼らをエジプトの国から導き出すために主が寝ずの番をされた夜であった。ゆえにこの夜、すべてのイスラエルの人々は代々、主のために寝ずの番をしなければならない。 + 主はモーセとアロンとに言われた、「過越の祭の定めは次のとおりである。すなわち、異邦人はだれもこれを食べてはならない。 + しかし、おのおのが金で買ったしもべは、これに割礼を行ってのち、これを食べさせることができる。 + 仮ずまいの者と、雇人とは、これを食べてはならない。 + ひとつの家でこれを食べなければならない。その肉を少しも家の外に持ち出してはならない。また、その骨を折ってはならない。 + イスラエルの全会衆はこれを守らなければならない。 + 寄留の外国人があなたのもとにとどまっていて、主に過越の祭を守ろうとするときは、その男子はみな割礼を受けてのち、近づいてこれを守ることができる。そうすれば彼は国に生れた者のようになるであろう。しかし、無割礼の者はだれもこれを食べてはならない。 + この律法は国に生れたものにも、あなたがたのうちに寄留している外国人にも同一である」。 + イスラエルの人々は、みなこのようにし、主がモーセとアロンに命じられたようにした。 + ちょうどその日に、主はイスラエルの人々を、その軍団に従ってエジプトの国から導き出された。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々のうちで、すべてのういご、すなわちすべて初めに胎を開いたものを、人であれ、獣であれ、みな、わたしのために聖別しなければならない。それはわたしのものである」。 + モーセは民に言った、「あなたがたは、エジプトから、奴隷の家から出るこの日を覚えなさい。主が強い手をもって、あなたがたをここから導き出されるからである。種を入れたパンを食べてはならない。 + あなたがたはアビブの月のこの日に出るのである。 + 主があなたに与えると、あなたの先祖たちに誓われたカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ヒビびと、エブスびとの地、乳と蜜との流れる地に、導き入れられる時、あなたはこの月にこの儀式を守らなければならない。 + 七日のあいだ種入れぬパンを食べ、七日目には主に祭をしなければならない。 + 種入れぬパンを七日のあいだ食べなければならない。種を入れたパンをあなたの所に置いてはならない。また、あなたの地区のどこでも、あなたの所にパン種を置いてはならない。 + その日、あなたの子に告げて言いなさい、『これはわたしがエジプトから出るときに、主がわたしになされたことのためである』。 + そして、これを、手につけて、しるしとし、目の間に置いて記念とし、主の律法をあなたの口に置かなければならない。主が強い手をもって、あなたをエジプトから導き出されるからである。 + それゆえ、あなたはこの定めを年々その期節に守らなければならない。 + 主があなたとあなたの先祖たちに誓われたように、あなたをカナンびとの地に導いて、それをあなたに賜わる時、 + あなたは、すべて初めに胎を開いた者、およびあなたの家畜の産むういごは、ことごとく主にささげなければならない。すなわち、それらの男性のものは主に帰せしめなければならない。 + また、すべて、ろばの、初めて胎を開いたものは、小羊をもって、あがなわなければならない。もし、あがなわないならば、その首を折らなければならない。あなたの子らのうち、すべて、男のういごは、あがなわなければならない。 + 後になって、あなたの子が『これはどんな意味ですか』と問うならば、これに言わなければならない、『主が強い手をもって、われわれをエジプトから、奴隷の家から導き出された。 + そのときパロが、かたくなで、われわれを去らせなかったため、主はエジプトの国のういごを、人のういごも家畜のういごも、ことごとく殺された。それゆえ、初めて胎を開く男性のものはみな、主に犠牲としてささげるが、わたしの子供のうちのういごは、すべてあがなうのである』。 + そして、これを手につけて、しるしとし、目の間に置いて覚えとしなければならない。主が強い手をもって、われわれをエジプトから導き出されたからである」。 + さて、パロが民を去らせた時、ペリシテびとの国の道は近かったが、神は彼らをそれに導かれなかった。民が戦いを見れば悔いてエジプトに帰るであろうと、神は思われたからである。 + 神は紅海に沿う荒野の道に、民を回らされた。イスラエルの人々は武装してエジプトの国を出て、上った。 + そのときモーセはヨセフの遺骸を携えていた。ヨセフが、「神は必ずあなたがたを顧みられるであろう。そのとき、あなたがたは、わたしの遺骸を携えて、ここから上って行かなければならない」と言って、イスラエルの人々に固く誓わせたからである。 + こうして彼らは更にスコテから進んで、荒野の端にあるエタムに宿営した。 + 主は彼らの前に行かれ、昼は雲の柱をもって彼らを導き、夜は火の柱をもって彼らを照し、昼も夜も彼らを進み行かせられた。 + 昼は雲の柱、夜は火の柱が、民の前から離れなかった。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げ、引き返して、ミグドルと海との間にあるピハヒロテの前、バアルゼポンの前に宿営させなさい。あなたがたはそれにむかって、海のかたわらに宿営しなければならない。 + パロはイスラエルの人々について、『彼らはその地で迷っている。荒野は彼らを閉じ込めてしまった』と言うであろう。 + わたしがパロの心をかたくなにするから、パロは彼らのあとを追うであろう。わたしはパロとそのすべての軍勢を破って誉を得、エジプトびとにわたしが主であることを知らせるであろう」。彼らはそのようにした。 + 民の逃げ去ったことが、エジプトの王に伝えられたので、パロとその家来たちとは、民に対する考えを変えて言った、「われわれはなぜこのようにイスラエルを去らせて、われわれに仕えさせないようにしたのであろう」。 + それでパロは戦車を整え、みずからその民を率い、 + また、えり抜きの戦車六百と、エジプトのすべての戦車およびすべての指揮者たちを率いた。 + 主がエジプトの王パロの心をかたくなにされたので、彼はイスラエルの人々のあとを追った。イスラエルの人々は意気揚々と出たのである。 + エジプトびとは彼らのあとを追い、パロのすべての馬と戦車およびその騎兵と軍勢とは、バアルゼポンの前にあるピハヒロテのあたりで、海のかたわらに宿営している彼らに追いついた。 + パロが近寄った時、イスラエルの人々は目を上げてエジプトびとが彼らのあとに進んできているのを見て、非常に恐れた。そしてイスラエルの人々は主にむかって叫び、 + かつモーセに言った、「エジプトに墓がないので、荒野で死なせるために、わたしたちを携え出したのですか。なぜわたしたちをエジプトから導き出して、こんなにするのですか。 + わたしたちがエジプトであなたに告げて、『わたしたちを捨てておいて、エジプトびとに仕えさせてください』と言ったのは、このことではありませんか。荒野で死ぬよりもエジプトびとに仕える方が、わたしたちにはよかったのです」。 + モーセは民に言った、「あなたがたは恐れてはならない。かたく立って、主がきょう、あなたがたのためになされる救を見なさい。きょう、あなたがたはエジプトびとを見るが、もはや永久に、二度と彼らを見ないであろう。 + 主があなたがたのために戦われるから、あなたがたは黙していなさい」。 + 主はモーセに言われた、「あなたは、なぜわたしにむかって叫ぶのか。イスラエルの人々に語って彼らを進み行かせなさい。 + あなたはつえを上げ、手を海の上にさし伸べてそれを分け、イスラエルの人々に海の中のかわいた地を行かせなさい。 + わたしがエジプトびとの心をかたくなにするから、彼らはそのあとを追ってはいるであろう。こうしてわたしはパロとそのすべての軍勢および戦車と騎兵とを打ち破って誉を得よう。 + わたしがパロとその戦車とその騎兵とを打ち破って誉を得るとき、エジプトびとはわたしが主であることを知るであろう」。 + このとき、イスラエルの部隊の前に行く神の使は移って彼らのうしろに行った。雲の柱も彼らの前から移って彼らのうしろに立ち、 + エジプトびとの部隊とイスラエルびとの部隊との間にきたので、そこに雲とやみがあり夜もすがら、かれとこれと近づくことなく、夜がすぎた。 + モーセが手を海の上にさし伸べたので、主は夜もすがら強い東風をもって海を退かせ、海を陸地とされ、水は分かれた。 + イスラエルの人々は海の中のかわいた地を行ったが、水は彼らの右と左に、かきとなった。 + エジプトびとは追ってきて、パロのすべての馬と戦車と騎兵とは、彼らのあとについて海の中にはいった。 + 暁の更に、主は火と雲の柱のうちからエジプトびとの軍勢を見おろして、エジプトびとの軍勢を乱し、 + その戦車の輪をきしらせて、進むのに重くされたので、エジプトびとは言った、「われわれはイスラエルを離れて逃げよう。主が彼らのためにエジプトびとと戦う」。 + そのとき主はモーセに言われた、「あなたの手を海の上にさし伸べて、水をエジプトびとと、その戦車と騎兵との上に流れ返らせなさい」。 + モーセが手を海の上にさし伸べると、夜明けになって海はいつもの流れに返り、エジプトびとはこれにむかって逃げたが、主はエジプトびとを海の中に投げ込まれた。 + 水は流れ返り、イスラエルのあとを追って海にはいった戦車と騎兵およびパロのすべての軍勢をおおい、ひとりも残らなかった。 + しかし、イスラエルの人々は海の中のかわいた地を行ったが、水は彼らの右と左に、かきとなった。 + このように、主はこの日イスラエルをエジプトびとの手から救われた。イスラエルはエジプトびとが海べに死んでいるのを見た。 + イスラエルはまた、主がエジプトびとに行われた大いなるみわざを見た。それで民は主を恐れ、主とそのしもべモーセとを信じた。 + + + そこでモーセとイスラエルの人々は、この歌を主にむかって歌った。彼らは歌って言った、「主にむかってわたしは歌おう、彼は輝かしくも勝ちを得られた、彼は馬と乗り手を海に投げ込まれた。 + 主はわたしの力また歌、わたしの救となられた、彼こそわたしの神、わたしは彼をたたえる、彼はわたしの父の神、わたしは彼をあがめる。 + 主はいくさびと、その名は主。 + 彼はパロの戦車とその軍勢とを海に投げ込まれた、そのすぐれた指揮者たちは紅海に沈んだ。 + 大水は彼らをおおい、彼らは石のように淵に下った。 + 主よ、あなたの右の手は力をもって栄光にかがやく、主よ、あなたの右の手は敵を打ち砕く。 + あなたは大いなる威光をもって、あなたに立ちむかう者を打ち破られた。あなたが怒りを発せられると、彼らは、わらのように焼きつくされた。 + あなたの鼻の息によって水は積みかさなり、流れは堤となって立ち、大水は海のもなかに凝り固まった。 + 敵は言った、『わたしは追い行き、追い着いて、分捕物を分かち取ろう、わたしの欲望を彼らによって満たそう、つるぎを抜こう、わたしの手は彼らを滅ぼそう』。 + あなたが息を吹かれると、海は彼らをおおい、彼らは鉛のように、大水の中に沈んだ。 + 主よ、神々のうち、だれがあなたに比べられようか、だれがあなたのように、聖にして栄えあるもの、ほむべくして恐るべきもの、くすしきわざを行うものであろうか。 + あなたが右の手を伸べられると、地は彼らをのんだ。 + あなたは、あがなわれた民を恵みをもって導き、み力をもって、あなたの聖なるすまいに伴われた。 + もろもろの民は聞いて震え、ペリシテの住民は苦しみに襲われた。 + エドムの族長らは、おどろき、モアブの首長らは、わななき、カナンの住民は、みな溶け去った。 + 恐れと、おののきとは彼らに臨み、み腕の大いなるゆえに、彼らは石のように黙した、主よ、あなたの民の通りすぎるまで、あなたが買いとられた民の通りすぎるまで。 + あなたは彼らを導いて、あなたの嗣業の山に植えられる。主よ、これこそあなたのすまいとして、みずから造られた所、主よ、み手によって建てられた聖所。 + 主は永遠に統べ治められる」。 + パロの馬が、その戦車および騎兵と共に海にはいると、主は海の水を彼らの上に流れ返らされたが、イスラエルの人々は海の中のかわいた地を行った。 + そのとき、アロンの姉、女預言者ミリアムはタンバリンを手に取り、女たちも皆タンバリンを取って、踊りながら、そのあとに従って出てきた。 + そこでミリアムは彼らに和して歌った、「主にむかって歌え、彼は輝かしくも勝ちを得られた、彼は馬と乗り手を海に投げ込まれた」。 + さて、モーセはイスラエルを紅海から旅立たせた。彼らはシュルの荒野に入り、三日のあいだ荒野を歩いたが、水を得なかった。 + 彼らはメラに着いたが、メラの水は苦くて飲むことができなかった。それで、その所の名はメラと呼ばれた。 + ときに、民はモーセにつぶやいて言った、「わたしたちは何を飲むのですか」。 + モーセは主に叫んだ。主は彼に一本の木を示されたので、それを水に投げ入れると、水は甘くなった。その所で主は民のために定めと、おきてを立てられ、彼らを試みて、 + 言われた、「あなたが、もしあなたの神、主の声に良く聞き従い、その目に正しいと見られることを行い、その戒めに耳を傾け、すべての定めを守るならば、わたしは、かつてエジプトびとに下した病を一つもあなたに下さないであろう。わたしは主であって、あなたをいやすものである」。 + こうして彼らはエリムに着いた。そこには水の泉十二と、なつめやしの木七十本があった。その所で彼らは水のほとりに宿営した。 + + + イスラエルの人々の全会衆はエリムを出発し、エジプトの地を出て二か月目の十五日に、エリムとシナイとの間にあるシンの荒野にきたが、 + その荒野でイスラエルの人々の全会衆は、モーセとアロンにつぶやいた。 + イスラエルの人々は彼らに言った、「われわれはエジプトの地で、肉のなべのかたわらに座し、飽きるほどパンを食べていた時に、主の手にかかって死んでいたら良かった。あなたがたは、われわれをこの荒野に導き出して、全会衆を餓死させようとしている」。 + そのとき主はモーセに言われた、「見よ、わたしはあなたがたのために、天からパンを降らせよう。民は出て日々の分を日ごとに集めなければならない。こうして彼らがわたしの律法に従うかどうかを試みよう。 + 六日目には、彼らが取り入れたものを調理すると、それは日ごとに集めるものの二倍あるであろう」。 + モーセとアロンは、イスラエルのすべての人々に言った、「夕暮には、あなたがたは、エジプトの地からあなたがたを導き出されたのが、主であることを知るであろう。 + また、朝には、あなたがたは主の栄光を見るであろう。主はあなたがたが主にむかってつぶやくのを聞かれたからである。あなたがたは、いったいわれわれを何者として、われわれにむかってつぶやくのか」。 + モーセはまた言った、「主は夕暮にはあなたがたに肉を与えて食べさせ、朝にはパンを与えて飽き足らせられるであろう。主はあなたがたが、主にむかってつぶやくつぶやきを聞かれたからである。いったいわれわれは何者なのか。あなたがたのつぶやくのは、われわれにむかってでなく、主にむかってである」。 + モーセはアロンに言った、「イスラエルの人々の全会衆に言いなさい、『あなたがたは主の前に近づきなさい。主があなたがたのつぶやきを聞かれたからである』と」。 + それでアロンがイスラエルの人々の全会衆に語ったとき、彼らが荒野の方を望むと、見よ、主の栄光が雲のうちに現れていた。 + 主はモーセに言われた、 + 「わたしはイスラエルの人々のつぶやきを聞いた。彼らに言いなさい、『あなたがたは夕には肉を食べ、朝にはパンに飽き足りるであろう。そうしてわたしがあなたがたの神、主であることを知るであろう』と」。 + 夕べになると、うずらが飛んできて宿営をおおった。また、朝になると、宿営の周囲に露が降りた。 + その降りた露がかわくと、荒野の面には、薄いうろこのようなものがあり、ちょうど地に結ぶ薄い霜のようであった。 + イスラエルの人々はそれを見て互に言った、「これはなんであろう」。彼らはそれがなんであるのか知らなかったからである。モーセは彼らに言った、「これは主があなたがたの食物として賜わるパンである。 + 主が命じられるのはこうである、『あなたがたは、おのおのその食べるところに従ってそれを集め、あなたがたの人数に従って、ひとり一オメルずつ、おのおのその天幕におるもののためにそれを取りなさい』と」。 + イスラエルの人々はそのようにして、ある者は多く、ある者は少なく集めた。 + しかし、オメルでそれを計ってみると、多く集めた者にも余らず、少なく集めた者にも不足しなかった。おのおのその食べるところに従って集めていた。 + モーセは彼らに言った、「だれも朝までそれを残しておいてはならない」。 + しかし彼らはモーセに聞き従わないで、ある者は朝までそれを残しておいたが、虫がついて臭くなった。モーセは彼らにむかって怒った。 + 彼らは、おのおのその食べるところに従って、朝ごとにそれを集めたが、日が熱くなるとそれは溶けた。 + 六日目には、彼らは二倍のパン、すなわちひとりに二オメルを集めた。そこで、会衆の長たちは皆きて、モーセに告げたが、 + モーセは彼らに言った、「主の語られたのはこうである、『あすは主の聖安息日で休みである。きょう、焼こうとするものを焼き、煮ようとするものを煮なさい。残ったものはみな朝までたくわえて保存しなさい』と」。 + 彼らはモーセの命じたように、それを朝まで保存したが、臭くならず、また虫もつかなかった。 + モーセは言った、「きょう、それを食べなさい。きょうは主の安息日であるから、きょうは野でそれを獲られないであろう。 + 六日の間はそれを集めなければならない。七日目は安息日であるから、その日には無いであろう」。 + ところが民のうちには、七日目に出て集めようとした者があったが、獲られなかった。 + そこで主はモーセに言われた、「あなたがたは、いつまでわたしの戒めと、律法とを守ることを拒むのか。 + 見よ、主はあなたがたに安息日を与えられた。ゆえに六日目には、ふつか分のパンをあなたがたに賜わるのである。おのおのその所にとどまり、七日目にはその所から出てはならない」。 + こうして民は七日目に休んだ。 + イスラエルの家はその物の名をマナと呼んだ。それはコエンドロの実のようで白く、その味は蜜を入れたせんべいのようであった。 + モーセは言った、「主の命じられることはこうである、『それを一オメルあなたがたの子孫のためにたくわえておきなさい。それはわたしが、あなたがたをエジプトの地から導き出した時、荒野であなたがたに食べさせたパンを彼らに見させるためである』と」。 + そしてモーセはアロンに言った「一つのつぼを取り、マナ一オメルをその中に入れ、それを主の前に置いて、子孫のためにたくわえなさい」。 + そこで主がモーセに命じられたように、アロンはそれをあかしの箱の前に置いてたくわえた。 + イスラエルの人々は人の住む地に着くまで四十年の間マナを食べた。すなわち、彼らはカナンの地の境に至るまでマナを食べた。 + 一オメルは一エパの十分の一である。 + + + イスラエルの人々の全会衆は、主の命に従って、シンの荒野を出発し、旅路を重ねて、レピデムに宿営したが、そこには民の飲む水がなかった。 + それで、民はモーセと争って言った、「わたしたちに飲む水をください」。モーセは彼らに言った、「あなたがたはなぜわたしと争うのか、なぜ主を試みるのか」。 + 民はその所で水にかわき、モーセにつぶやいて言った、「あなたはなぜわたしたちをエジプトから導き出して、わたしたちを、子供や家畜と一緒に、かわきによって死なせようとするのですか」。 + このときモーセは主に叫んで言った、「わたしはこの民をどうすればよいのでしょう。彼らは、今にも、わたしを石で打ち殺そうとしています」。 + 主はモーセに言われた、「あなたは民の前に進み行き、イスラエルの長老たちを伴い、あなたがナイル川を打った、つえを手に取って行きなさい。 + 見よ、わたしはホレブの岩の上であなたの前に立つであろう。あなたは岩を打ちなさい。水がそれから出て、民はそれを飲むことができる」。モーセはイスラエルの長老たちの目の前で、そのように行った。 + そして彼はその所の名をマッサ、またメリバと呼んだ。これはイスラエルの人々が争ったゆえ、また彼らが「主はわたしたちのうちにおられるかどうか」と言って主を試みたからである。 + ときにアマレクがきて、イスラエルとレピデムで戦った。 + モーセはヨシュアに言った、「われわれのために人を選び、出てアマレクと戦いなさい。わたしはあす神のつえを手に取って、丘の頂に立つであろう」。 + ヨシュアはモーセが彼に言ったようにし、アマレクと戦った。モーセとアロンおよびホルは丘の頂に登った。 + モーセが手を上げているとイスラエルは勝ち、手を下げるとアマレクが勝った。 + しかしモーセの手が重くなったので、アロンとホルが石を取って、モーセの足もとに置くと、彼はその上に座した。そしてひとりはこちらに、ひとりはあちらにいて、モーセの手をささえたので、彼の手は日没までさがらなかった。 + ヨシュアは、つるぎにかけてアマレクとその民を打ち敗った。 + 主はモーセに言われた、「これを書物にしるして記念とし、それをヨシュアの耳に入れなさい。わたしは天が下からアマレクの記憶を完全に消し去るであろう」。 + モーセは一つの祭壇を築いてその名を「主はわが旗」と呼んだ。 + そしてモーセは言った、「主の旗にむかって手を上げる、主は世々アマレクと戦われる」。 + + + さて、モーセのしゅうと、ミデアンの祭司エテロは、神がモーセと、み民イスラエルとにされたすべての事、主がイスラエルをエジプトから導き出されたことを聞いた。 + それでモーセのしゅうと、エテロは、さきに送り返されていたモーセの妻チッポラと、 + そのふたりの子とを連れてきた。そのひとりの名はゲルショムといった。モーセが、「わたしは外国で寄留者となっている」と言ったからである。 + ほかのひとりの名はエリエゼルといった。「わたしの父の神はわたしの助けであって、パロのつるぎからわたしを救われた」と言ったからである。 + こうしてモーセのしゅうと、エテロは、モーセの妻子を伴って、荒野に行き、神の山に宿営しているモーセの所にきた。 + その時、ある人がモーセに言った、「ごらんなさい。あなたのしゅうと、エテロは、あなたの妻とそのふたりの子を連れて、あなたの所にこられます」。 + そこでモーセはしゅうとを出迎えて、身をかがめ、彼に口づけして、互に安否を問い、共に天幕にはいった。 + そしてモーセは、主がイスラエルのために、パロとエジプトびととにされたすべての事、道で出会ったすべての苦しみ、また主が彼らを救われたことを、しゅうとに物語ったので、 + エテロは主がイスラエルをエジプトびとの手から救い出して、もろもろの恵みを賜わったことを喜んだ。 + そしてエテロは言った、「主はほむべきかな。主はあなたがたをエジプトびとの手と、パロの手から救い出し、民をエジプトびとの手の下から救い出された。 + 今こそわたしは知った。実に彼らはイスラエルびとにむかって高慢にふるまったが、主はあらゆる神々にまさって大いにいますことを」。 + そしてモーセのしゅうとエテロは燔祭と犠牲を神に供え、アロンとイスラエルの長老たちもみなきて、モーセのしゅうとと共に神の前で食事をした。 + あくる日モーセは座して民をさばいたが、民は朝から晩まで、モーセのまわりに立っていた。 + モーセのしゅうとは、彼がすべて民にしていることを見て、言った、「あなたが民にしているこのことはなんですか。あなたひとりが座し、民はみな朝から晩まで、あなたのまわりに立っているのはなぜですか」。 + モーセはしゅうとに言った、「民が神に伺おうとして、わたしの所に来るからです。 + 彼らは事があれば、わたしの所にきます。わたしは相互の間をさばいて、神の定めと判決を知らせるのです」。 + モーセのしゅうとは彼に言った、「あなたのしていることは良くない。 + あなたも、あなたと一緒にいるこの民も、必ず疲れ果てるであろう。このことはあなたに重過ぎるから、ひとりですることができない。 + 今わたしの言うことを聞きなさい。わたしはあなたに助言する。どうか神があなたと共にいますように。あなたは民のために神の前にいて、事件を神に述べなさい。 + あなたは彼らに定めと判決を教え、彼らの歩むべき道と、なすべき事を彼らに知らせなさい。 + また、すべての民のうちから、有能な人で、神を恐れ、誠実で不義の利を憎む人を選び、それを民の上に立てて、千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長としなさい。 + 平素は彼らに民をさばかせ、大事件はすべてあなたの所に持ってこさせ、小事件はすべて彼らにさばかせなさい。こうしてあなたを身軽にし、あなたと共に彼らに、荷を負わせなさい。 + あなたが、もしこの事を行い、神もまたあなたに命じられるならば、あなたは耐えることができ、この民もまた、みな安んじてその所に帰ることができよう」。 + モーセはしゅうとの言葉に従い、すべて言われたようにした。 + すなわち、モーセはすべてのイスラエルのうちから有能な人を選んで、民の上に長として立て、千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長とした。 + 平素は彼らが民をさばき、むずかしい事件はモーセに持ってきたが、小さい事件はすべて彼らみずからさばいた。 + こうしてモーセはしゅうとを送り返したので、その国に帰って行った。 + + + イスラエルの人々は、エジプトの地を出て後三月目のその日に、シナイの荒野にはいった。 + すなわち彼らはレピデムを出立してシナイの荒野に入り、荒野に宿営した。イスラエルはその所で山の前に宿営した。 + さて、モーセが神のもとに登ると、主は山から彼を呼んで言われた、「このように、ヤコブの家に言い、イスラエルの人々に告げなさい、 + 『あなたがたは、わたしがエジプトびとにした事と、あなたがたを鷲の翼に載せてわたしの所にこさせたことを見た。 + それで、もしあなたがたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るならば、あなたがたはすべての民にまさって、わたしの宝となるであろう。全地はわたしの所有だからである。 + あなたがたはわたしに対して祭司の国となり、また聖なる民となるであろう』。これがあなたのイスラエルの人々に語るべき言葉である」。 + それでモーセは行って民の長老たちを呼び、主が命じられたこれらの言葉を、すべてその前に述べたので、 + 民はみな共に答えて言った、「われわれは主が言われたことを、みな行います」。モーセは民の言葉を主に告げた。 + 主はモーセに言われた、「見よ、わたしは濃い雲のうちにあって、あなたに臨むであろう。それはわたしがあなたと語るのを民に聞かせて、彼らに長くあなたを信じさせるためである」。モーセは民の言葉を主に告げた。 + 主はモーセに言われた、「あなたは民のところに行って、きょうとあす、彼らをきよめ、彼らにその衣服を洗わせ、 + 三日目までに備えさせなさい。三日目に主が、すべての民の目の前で、シナイ山に下るからである。 + あなたは民のために、周囲に境を設けて言いなさい、『あなたがたは注意して、山に上らず、また、その境界に触れないようにしなさい。山に触れる者は必ず殺されるであろう。 + 手をそれに触れてはならない。触れる者は必ず石で打ち殺されるか、射殺されるであろう。獣でも人でも生きることはできない』。ラッパが長く響いた時、彼らは山に登ることができる」と。 + そこでモーセは山から民のところに下り、民をきよめた。彼らはその衣服を洗った。 + モーセは民に言った、「三日目までに備えをしなさい。女に近づいてはならない」。 + 三日目の朝となって、かみなりと、いなずまと厚い雲とが、山の上にあり、ラッパの音が、はなはだ高く響いたので、宿営におる民はみな震えた。 + モーセが民を神に会わせるために、宿営から導き出したので、彼らは山のふもとに立った。 + シナイ山は全山煙った。主が火のなかにあって、その上に下られたからである。その煙は、かまどの煙のように立ち上り、全山はげしく震えた。 + ラッパの音が、いよいよ高くなったとき、モーセは語り、神は、かみなりをもって、彼に答えられた。 + 主はシナイ山の頂に下られた。そして主がモーセを山の頂に召されたので、モーセは登った。 + 主はモーセに言われた、「下って行って民を戒めなさい。民が押し破って、主のところにきて、見ようとし、多くのものが死ぬことのないようにするためである。 + 主に近づく祭司たちにもまた、その身をきよめさせなさい。主が彼らを打つことのないようにするためである」。 + モーセは主に言った、「民はシナイ山に登ることはできないでしょう。あなたがわたしたちを戒めて『山のまわりに境を設け、それをきよめよ』と言われたからです」。 + 主は彼に言われた、「行け、下れ。そしてあなたはアロンと共に登ってきなさい。ただし、祭司たちと民とが、押し破って主のところに登ることのないようにしなさい。主が彼らを打つことのないようにするためである」。 + モーセは民の所に下って行って彼らに告げた。 + + + 神はこのすべての言葉を語って言われた。 + 「わたしはあなたの神、主であって、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である。 + あなたはわたしのほかに、なにものをも神としてはならない。 + あなたは自分のために、刻んだ像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水のなかにあるものの、どんな形をも造ってはならない。 + それにひれ伏してはならない。それに仕えてはならない。あなたの神、主であるわたしは、ねたむ神であるから、わたしを憎むものは、父の罪を子に報いて、三四代に及ぼし、 + わたしを愛し、わたしの戒めを守るものには、恵みを施して、千代に至るであろう。 + あなたは、あなたの神、主の名を、みだりに唱えてはならない。主は、み名をみだりに唱えるものを、罰しないでは置かないであろう。 + 安息日を覚えて、これを聖とせよ。 + 六日のあいだ働いてあなたのすべてのわざをせよ。 + 七日目はあなたの神、主の安息であるから、なんのわざをもしてはならない。あなたもあなたのむすこ、娘、しもべ、はしため、家畜、またあなたの門のうちにいる他国の人もそうである。 + 主は六日のうちに、天と地と海と、その中のすべてのものを造って、七日目に休まれたからである。それで主は安息日を祝福して聖とされた。 + あなたの父と母を敬え。これは、あなたの神、主が賜わる地で、あなたが長く生きるためである。 + あなたは殺してはならない。 + あなたは姦淫してはならない。 + あなたは盗んではならない。 + あなたは隣人について、偽証してはならない。 + あなたは隣人の家をむさぼってはならない。隣人の妻、しもべ、はしため、牛、ろば、またすべて隣人のものをむさぼってはならない」。 + 民は皆、かみなりと、いなずまと、ラッパの音と、山の煙っているのとを見た。民は恐れおののき、遠く離れて立った。 + 彼らはモーセに言った、「あなたがわたしたちに語ってください。わたしたちは聞き従います。神がわたしたちに語られぬようにしてください。それでなければ、わたしたちは死ぬでしょう」。 + モーセは民に言った、「恐れてはならない。神はあなたがたを試みるため、またその恐れをあなたがたの目の前において、あなたがたが罪を犯さないようにするために臨まれたのである」。 + そこで、民は遠く離れて立ったが、モーセは神のおられる濃い雲に近づいて行った。 + 主はモーセに言われた、「あなたはイスラエルの人々にこう言いなさい、『あなたがたは、わたしが天からあなたがたと語るのを見た。 + あなたがたはわたしと並べて、何をも造ってはならない。銀の神々も、金の神々も、あなたがたのために、造ってはならない。 + あなたはわたしのために土の祭壇を築き、その上にあなたの燔祭、酬恩祭、羊、牛をささげなければならない。わたしの名を覚えさせるすべての所で、わたしはあなたに臨んで、あなたを祝福するであろう。 + あなたがもしわたしに石の祭壇を造るならば、切り石で築いてはならない。あなたがもし、のみをそれに当てるならば、それをけがすからである。 + あなたは階段によって、わたしの祭壇に登ってはならない。あなたの隠し所が、その上にあらわれることのないようにするためである』。 + + + これはあなたが彼らの前に示すべきおきてである。 + あなたがヘブルびとである奴隷を買う時は、六年のあいだ仕えさせ、七年目には無償で自由の身として去らせなければならない。 + 彼がもし独身できたならば、独身で去らなければならない。もし妻を持っていたならば、その妻は彼と共に去らなければならない。 + もしその主人が彼に妻を与えて、彼に男の子また女の子を産んだならば、妻とその子供は主人のものとなり、彼は独身で去らなければならない。 + 奴隷がもし『わたしは、わたしの主人と、わたしの妻と子供を愛します。わたしは自由の身となって去ることを好みません』と明言するならば、 + その主人は彼を神のもとに連れて行き、戸あるいは柱のところに連れて行って、主人は、きりで彼の耳を刺し通さなければならない。そうすれば彼はいつまでもこれに仕えるであろう。 + もし人がその娘を女奴隷として売るならば、その娘は男奴隷が去るように去ってはならない。 + 彼女がもし彼女を自分のものと定めた主人の気にいらない時は、その主人は彼女が、あがなわれることを、これに許さなければならない。彼はこれを欺いたのであるから、これを他国の民に売る権利はない。 + 彼がもし彼女を自分の子のものと定めるならば、これを娘のように扱わなければならない。 + 彼が、たとい、ほかに女をめとることがあっても、前の女に食物と衣服を与えることと、その夫婦の道とを絶えさせてはならない。 + 彼がもしこの三つを行わないならば、彼女は金を償わずに去ることができる。 + 人を撃って死なせた者は、必ず殺されなければならない。 + しかし、人がたくむことをしないのに、神が彼の手に人をわたされることのある時は、わたしはあなたのために一つの所を定めよう。彼はその所へのがれることができる。 + しかし人がもし、ことさらにその隣人を欺いて殺す時は、その者をわたしの祭壇からでも、捕えて行って殺さなければならない。 + 自分の父または母を撃つ者は、必ず殺されなければならない。 + 人をかどわかした者は、これを売っていても、なお彼の手にあっても、必ず殺されなければならない。 + 自分の父または母をのろう者は、必ず殺されなければならない。 + 人が互に争い、そのひとりが石または、こぶしで相手を撃った時、これが死なないで床につき、 + 再び起きあがって、つえにすがり、外を歩くようになるならば、これを撃った者は、ゆるされるであろう。ただその仕事を休んだ損失を償い、かつこれにじゅうぶん治療させなければならない。 + もし人がつえをもって、自分の男奴隷または女奴隷を撃ち、その手の下に死ぬならば、必ず罰せられなければならない。 + しかし、彼がもし一日か、ふつか生き延びるならば、その人は罰せられない。奴隷は彼の財産だからである。 + もし人が互に争って、身ごもった女を撃ち、これに流産させるならば、ほかの害がなくとも、彼は必ずその女の夫の求める罰金を課せられ、裁判人の定めるとおりに支払わなければならない。 + しかし、ほかの害がある時は、命には命、 + 目には目、歯には歯、手には手、足には足、 + 焼き傷には焼き傷、傷には傷、打ち傷には打ち傷をもって償わなければならない。 + もし人が自分の男奴隷の片目、または女奴隷の片目を撃ち、これをつぶすならば、その目のためにこれを自由の身として去らせなければならない。 + また、もしその男奴隷の一本の歯、またはその女奴隷の一本の歯を撃ち落すならば、その歯のためにこれを自由の身として去らせなければならない。 + もし牛が男または女を突いて殺すならば、その牛は必ず石で撃ち殺されなければならない。その肉は食べてはならない。しかし、その牛の持ち主は罪がない。 + 牛がもし以前から突く癖があって、その持ち主が注意されても、これを守りおかなかったために、男または女を殺したならば、その牛は石で撃ち殺され、その持ち主もまた殺されなければならない。 + 彼がもし、あがないの金を課せられたならば、すべて課せられたほどのものを、命の償いに支払わなければならない。 + 男の子を突いても、女の子を突いても、この定めに従って処置されなければならない。 + 牛がもし男奴隷または女奴隷を突くならば、その主人に銀三十シケルを支払わなければならない。またその牛は石で撃ち殺されなければならない。 + もし人が穴をあけたままに置き、あるいは穴を掘ってこれにおおいをしないために、牛または、ろばがこれに落ち込むことがあれば、 + 穴の持ち主はこれを償い、金をその持ち主に支払わなければならない。しかし、その死んだ獣は彼のものとなるであろう。 + ある人の牛が、もし他人の牛を突いて殺すならば、彼らはその生きている牛を売って、その価を分け、またその死んだものをも分けなければならない。 + あるいはその牛が以前から突く癖のあることが知られているのに、その持ち主がこれを守りおかなかったならば、その人は必ずその牛のために牛をもって償わなければならない。しかし、その死んだ獣は彼のものとなるであろう。 + + + もし人が牛または羊を盗んで、これを殺し、あるいはこれを売るならば、彼は一頭の牛のために五頭の牛をもって、一頭の羊のために四頭の羊をもって償わなければならない。 + もし盗びとが穴をあけてはいるのを見て、これを撃って殺したときは、その人には血を流した罪はない。 + 彼は必ず償わなければならない。もし彼に何もない時は、彼はその盗んだ物のために身を売られるであろう。 しかし日がのぼって後ならば、その人に血を流した罪がある。 + もしその盗んだ物がなお生きて、彼の手もとにあれば、それは牛、ろば、羊のいずれにせよ、これを二倍にして償わなければならない。 + もし人が畑またはぶどう畑のものを食わせ、その家畜を放って他人の畑のものを食わせた時は、自分の畑の最も良い物と、ぶどう畑の最も良い物をもって、これを償わなければならない。 + もし火が出て、いばらに移り、積みあげた麦束、または立穂、または畑を焼いたならば、その火を燃やした者は、必ずこれを償わなければならない。 + もし人が金銭または物品の保管を隣人に託し、それが隣人の家から盗まれた時、その盗びとが見つけられたならば、これを二倍にして償わせなければならない。 + もし盗びとが見つけられなければ、家の主人を神の前に連れてきて、彼が隣人の持ち物に手をかけたかどうかを、確かめなければならない。 + 牛であれ、ろばであれ、羊であれ、衣服であれ、あるいはどんな失った物であれ、それについて言い争いが起り『これがそれです』と言う者があれば、その双方の言い分を、神の前に持ち出さなければならない。そして神が有罪と定められる者は、それを二倍にしてその相手に償わなければならない。 + もし人が、ろば、または牛、または羊、またはどんな家畜でも、それを隣人に預けて、それが死ぬか、傷つくか、あるいは奪い去られても、それを見た者がなければ、 + 双方の間に、隣人の持ち物に手をかけなかったという誓いが、主の前になされなければならない。そうすれば、持ち主はこれを受け入れ、隣人は償うに及ばない。 + けれども、それがまさしく自分の所から盗まれた時は、その持ち主に償わなければならない。 + もしそれが裂き殺された時は、それを証拠として持って来るならば、その裂き殺されたものは償うに及ばない。 + もし人が隣人から家畜を借りて、それが傷つき、または死ぬ場合、その持ち主がそれと共にいない時は、必ずこれを償わなければならない。 + もしその持ち主がそれと共におれば、それを償うに及ばない。もしそれが賃借りしたものならば、その借賃をそれに当てなければならない。 + もし人がまだ婚約しない処女を誘って、これと寝たならば、彼は必ずこれに花嫁料を払って、妻としなければならない。 + もしその父がこれをその人に与えることをかたく拒むならば、彼は処女の花嫁料に当るほどの金を払わなければならない。 + 魔法使の女は、これを生かしておいてはならない。 + すべて獣を犯す者は、必ず殺されなければならない。 + 主のほか、他の神々に犠牲をささげる者は、断ち滅ぼされなければならない。 + あなたは寄留の他国人を苦しめてはならない。また、これをしえたげてはならない。あなたがたも、かつてエジプトの国で、寄留の他国人であったからである。 + あなたがたはすべて寡婦、または孤児を悩ましてはならない。 + もしあなたが彼らを悩まして、彼らがわたしにむかって叫ぶならば、わたしは必ずその叫びを聞くであろう。 + そしてわたしの怒りは燃えたち、つるぎをもってあなたがたを殺すであろう。あなたがたの妻は寡婦となり、あなたがたの子供たちは孤児となるであろう。 + あなたが、共におるわたしの民の貧しい者に金を貸す時は、これに対して金貸しのようになってはならない。これから利子を取ってはならない。 + もし隣人の上着を質に取るならば、日の入るまでにそれを返さなければならない。 + これは彼の身をおおう、ただ一つの物、彼の膚のための着物だからである。彼は何を着て寝ることができよう。彼がわたしにむかって叫ぶならば、わたしはこれに聞くであろう。わたしはあわれみ深いからである。 + あなたは神をののしってはならない。また民の司をのろってはならない。 + あなたの豊かな穀物と、あふれる酒とをささげるに、ためらってはならない。あなたのういごを、わたしにささげなければならない。 + あなたはまた、あなたの牛と羊をも同様にしなければならない。七日の間その母と共に置いて、八日目にそれをわたしに、ささげなければならない。 + あなたがたは、わたしに対して聖なる民とならなければならない。あなたがたは、野で裂き殺されたものの肉を食べてはならない。それは犬に投げ与えなければならない。 + + + あなたは偽りのうわさを言いふらしてはならない。あなたは悪人と手を携えて、悪意のある証人になってはならない。 + あなたは多数に従って悪をおこなってはならない。あなたは訴訟において、多数に従って片寄り、正義を曲げるような証言をしてはならない。 + また貧しい人をその訴訟において、曲げてかばってはならない。 + もし、あなたが敵の牛または、ろばの迷っているのに会う時は、必ずこれを彼の所に連れて行って、帰さなければならない。 + もしあなたを憎む者のろばが、その荷物の下に倒れ伏しているのを見る時は、これを見捨てて置かないように気をつけ、必ずその人に手を貸して、これを起さなければならない。 + あなたは貧しい者の訴訟において、裁判を曲げてはならない。 + あなたは偽り事に遠ざからなければならない。あなたは罪のない者と正しい者とを殺してはならない。わたしは悪人を義とすることはないからである。 + あなたは賄賂を取ってはならない。賄賂は人の目をくらまし、正しい者の事件をも曲げさせるからである。 + あなたは寄留の他国人をしえたげてはならない。あなたがたはエジプトの国で寄留の他国人であったので、寄留の他国人の心を知っているからである。 + あなたは六年のあいだ、地に種をまき、その産物を取り入れることができる。 + しかし、七年目には、これを休ませて、耕さずに置かなければならない。そうすれば、あなたの民の貧しい者がこれを食べ、その残りは野の獣が食べることができる。あなたのぶどう畑も、オリブ畑も同様にしなければならない。 + あなたは六日のあいだ、仕事をし、七日目には休まなければならない。これはあなたの牛および、ろばが休みを得、またあなたのはしための子および寄留の他国人を休ませるためである。 + わたしが、あなたがたに言ったすべての事に心を留めなさい。他の神々の名を唱えてはならない。また、これをあなたのくちびるから聞えさせてはならない。 + あなたは年に三度、わたしのために祭を行わなければならない。 + あなたは種入れぬパンの祭を守らなければならない。わたしが、あなたに命じたように、アビブの月の定めの時に七日のあいだ、種入れぬパンを食べなければならない。それはその月にあなたがエジプトから出たからである。だれも、むなし手でわたしの前に出てはならない。 + また、あなたが畑にまいて獲た物の勤労の初穂をささげる刈入れの祭と、あなたの勤労の実を畑から取り入れる年の終りに、取入れの祭を行わなければならない。 + 男子はみな、年に三度、主なる神の前に出なければならない。 + あなたはわたしの犠牲の血を、種を入れたパンと共にささげてはならない。また、わたしの祭の脂肪を翌朝まで残して置いてはならない。 + あなたの土地の初穂の最も良い物を、あなたの神、主の家に携えてこなければならない。あなたは子やぎを、その母の乳で煮てはならない。 + 見よ、わたしは使をあなたの前につかわし、あなたを道で守らせ、わたしが備えた所に導かせるであろう。 + あなたはその前に慎み、その言葉に聞き従い、彼にそむいてはならない。わたしの名が彼のうちにあるゆえに、彼はあなたがたのとがをゆるさないであろう。 + しかし、もしあなたが彼の声によく聞き従い、すべてわたしが語ることを行うならば、わたしはあなたの敵を敵とし、あなたのあだをあだとするであろう。 + わたしの使はあなたの前に行って、あなたをアモリびと、ヘテびと、ペリジびと、カナンびと、ヒビびと、およびエブスびとの所に導き、わたしは彼らを滅ぼすであろう。 + あなたは彼らの神々を拝んではならない。これに仕えてはならない。また彼らのおこないにならってはならない。あなたは彼らを全く打ち倒し、その石の柱を打ち砕かなければならない。 + あなたがたの神、主に仕えなければならない。そうすれば、わたしはあなたがたのパンと水を祝し、あなたがたのうちから病を除き去るであろう。 + あなたの国のうちには流産する女もなく、不妊の女もなく、わたしはあなたの日の数を満ち足らせるであろう。 + わたしはあなたの先に、わたしの恐れをつかわし、あなたが行く所の民を、ことごとく打ち敗り、すべての敵に、その背をあなたの方へ向けさせるであろう。 + わたしはまた、くまばちをあなたの先につかわすであろう。これはヒビびと、カナンびと、およびヘテびとをあなたの前から追い払うであろう。 + しかし、わたしは彼らを一年のうちには、あなたの前から追い払わないであろう。土地が荒れすたれ、野の獣が増して、あなたを害することのないためである。 + わたしは徐々に彼らをあなたの前から追い払うであろう。あなたは、ついにふえひろがって、この地を継ぐようになるであろう。 + わたしは紅海からペリシテびとの海に至るまでと、荒野からユフラテ川に至るまでを、あなたの領域とし、この地に住んでいる者をあなたの手にわたすであろう。あなたは彼らをあなたの前から追い払うであろう。 + あなたは彼ら、および彼らの神々と契約を結んではならない。 + 彼らはあなたの国に住んではならない。彼らがあなたをいざなって、わたしに対して罪を犯させることのないためである。もし、あなたが彼らの神に仕えるならば、それは必ずあなたのわなとなるであろう」。 + + + また、モーセに言われた、「あなたはアロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十人の長老たちと共に、主のもとにのぼってきなさい。そしてあなたがたは遠く離れて礼拝しなさい。 + ただモーセひとりが主に近づき、他の者は近づいてはならない。また、民も彼と共にのぼってはならない」。 + モーセはきて、主のすべての言葉と、すべてのおきてとを民に告げた。民はみな同音に答えて言った、「わたしたちは主の仰せられた言葉を皆、行います」。 + そしてモーセは主の言葉を、ことごとく書きしるし、朝はやく起きて山のふもとに祭壇を築き、イスラエルの十二部族に従って十二の柱を建て、 + イスラエルの人々のうちの若者たちをつかわして、主に燔祭をささげさせ、また酬恩祭として雄牛をささげさせた。 + その時モーセはその血の半ばを取って、鉢に入れ、また、その血の半ばを祭壇に注ぎかけた。 + そして契約の書を取って、これを民に読み聞かせた。すると、彼らは答えて言った、「わたしたちは主が仰せられたことを皆、従順に行います」。 + そこでモーセはその血を取って、民に注ぎかけ、そして言った、「見よ、これは主がこれらのすべての言葉に基いて、あなたがたと結ばれる契約の血である」。 + こうしてモーセはアロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十人の長老たちと共にのぼって行った。 + そして、彼らがイスラエルの神を見ると、その足の下にはサファイアの敷石のごとき物があり、澄み渡るおおぞらのようであった。 + 神はイスラエルの人々の指導者たちを手にかけられなかったので、彼らは神を見て、飲み食いした。 + ときに主はモーセに言われた、「山に登り、わたしの所にきて、そこにいなさい。彼らを教えるために、わたしが律法と戒めとを書きしるした石の板をあなたに授けるであろう」。 + そこでモーセは従者ヨシュアと共に立ちあがり、モーセは神の山に登った。 + 彼は長老たちに言った、「わたしたちがあなたがたの所に帰って来るまで、ここで待っていなさい。見よ、アロンとホルとが、あなたがたと共にいるから、事ある者は、だれでも彼らの所へ行きなさい」。 + こうしてモーセは山に登ったが、雲は山をおおっていた。 + 主の栄光がシナイ山の上にとどまり、雲は六日のあいだ、山をおおっていたが、七日目に主は雲の中からモーセを呼ばれた。 + 主の栄光は山の頂で、燃える火のようにイスラエルの人々の目に見えたが、 + モーセは雲の中にはいって、山に登った。そしてモーセは四十日四十夜、山にいた。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げて、わたしのためにささげ物を携えてこさせなさい。すべて、心から喜んでする者から、わたしにささげる物を受け取りなさい。 + あなたがたが彼らから受け取るべきささげ物はこれである。すなわち金、銀、青銅、 + 青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸、やぎの毛糸、 + あかね染の雄羊の皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、 + ともし油、注ぎ油と香ばしい薫香のための香料、 + 縞めのう、エポデと胸当にはめる宝石。 + また、彼らにわたしのために聖所を造らせなさい。わたしが彼らのうちに住むためである。 + すべてあなたに示す幕屋の型および、そのもろもろの器の型に従って、これを造らなければならない。 + 彼らはアカシヤ材で箱を造らなければならない。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト半。 + あなたは純金でこれをおおわなければならない。すなわち内外ともにこれをおおい、その上の周囲に金の飾り縁を造らなければならない。 + また金の環四つを鋳て、その四すみに取り付けなければならない。すなわち二つの環をこちら側に、二つの環をあちら側に付けなければならない。 + またアカシヤ材のさおを造り、金でこれをおおわなければならない。 + そしてそのさおを箱の側面の環に通し、それで箱をかつがなければならない。 + さおは箱の環に差して置き、それを抜き放してはならない。 + そしてその箱に、わたしがあなたに与えるあかしの板を納めなければならない。 + また純金の贖罪所を造らなければならない。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半。 + また二つの金のケルビムを造らなければならない。これを打物造りとし、贖罪所の両端に置かなければならない。 + 一つのケルブをこの端に、一つのケルブをかの端に造り、ケルビムを贖罪所の一部としてその両端に造らなければならない。 + ケルビムは翼を高く伸べ、その翼をもって贖罪所をおおい、顔は互にむかい合い、ケルビムの顔は贖罪所にむかわなければならない。 + あなたは贖罪所を箱の上に置き、箱の中にはわたしが授けるあかしの板を納めなければならない。 + その所でわたしはあなたに会い、贖罪所の上から、あかしの箱の上にある二つのケルビムの間から、イスラエルの人々のために、わたしが命じようとするもろもろの事を、あなたに語るであろう。 + あなたはまたアカシヤ材の机を造らなければならない。長さは二キュビト、幅は一キュビト、高さは一キュビト半。 + 純金でこれをおおい、周囲に金の飾り縁を造り、 + またその周囲に手幅の棧を造り、その棧の周囲に金の飾り縁を造らなければならない。 + また、そのために金の環四つを造り、その四つの足のすみ四か所にその環を取り付けなければならない。 + 環は棧のわきに付けて、机をかつぐさおを入れる所としなければならない。 + またアカシヤ材のさおを造り、金でこれをおおい、それをもって、机をかつがなければならない。 + また、その皿、乳香を盛る杯および灌祭を注ぐための瓶と鉢を造り、これらは純金で造らなければならない。 + そして机の上には供えのパンを置いて、常にわたしの前にあるようにしなければならない。 + また純金の燭台を造らなければならない。燭台は打物造りとし、その台、幹、萼、節、花を一つに連ならせなければならない。 + また六つの枝をそのわきから出させ、燭台の三つの枝をこの側から、燭台の三つの枝をかの側から出させなければならない。 + あめんどうの花の形をした三つの萼が、それぞれ節と花をもって一つの枝にあり、また、あめんどうの花の形をした三つの萼が、それぞれ節と花をもってほかの枝にあるようにし、燭台から出る六つの枝を、みなそのようにしなければならない。 + また、燭台の幹には、あめんどうの花の形をした四つの萼を付け、その萼にはそれぞれ節と花をもたせなさい。 + すなわち二つの枝の下に一つの節を取り付け、次の二つの枝の下に一つの節を取り付け、更に次の二つの枝の下に一つの節を取り付け、燭台の幹から出る六つの枝に、みなそのようにしなければならない。 + それらの節と枝を一つに連ね、ことごとく純金の打物造りにしなければならない。 + また、それのともしび皿を七つ造り、そのともしび皿に火をともして、その前方を照させなければならない。 + その芯切りばさみと、芯取り皿は純金で造らなければならない。 + すなわち純金一タラントで燭台と、これらのもろもろの器とが造られなければならない。 + そしてあなたが山で示された型に従い、注意してこれを造らなければならない。 + + + あなたはまた十枚の幕をもって幕屋を造らなければならない。すなわち亜麻の撚糸、青糸、紫糸、緋糸で幕を作り、巧みなわざをもって、それにケルビムを織り出さなければならない。 + 幕の長さは、おのおの二十八キュビト、幕の幅は、おのおの四キュビトで、幕は皆同じ寸法でなければならない。 + その幕五枚を互に連ね合わせ、また他の五枚の幕をも互に連ね合わせなければならない。 + その一連の端にある幕の縁に青色の乳をつけ、また他の一連の端にある幕の縁にもそのようにしなければならない。 + あなたは、その一枚の幕に乳五十をつけ、また他の一連の幕の端にも乳五十をつけ、その乳を互に相向かわせなければならない。 + あなたはまた金の輪五十を作り、その輪で幕を互に連ね合わせて一つの幕屋にしなければならない。 + また幕屋をおおう天幕のためにやぎの毛糸で幕を作らなければならない。すなわち幕十一枚を作り、 + その一枚の幕の長さは三十キュビト、その一枚の幕の幅は四キュビトで、その十一枚の幕は同じ寸法でなければならない。 + そして、その幕五枚を一つに連ね合わせ、またその幕六枚を一つに連ね合わせて、その六枚目の幕を天幕の前で折り重ねなければならない。 + またその一連の端にある幕の縁に乳五十をつけ、他の一連の幕の縁にも乳五十をつけなさい。 + そして青銅の輪五十を作り、その輪を乳に掛け、その天幕を連ね合わせて一つにし、 + その天幕の幕の残りの垂れる部分、すなわちその残りの半幕を幕屋のうしろに垂れさせなければならない。 + そして天幕の幕のたけで余るものの、こちらのキュビトと、あちらのキュビトとは、幕屋をおおうように、その両側のこちらとあちらとに垂れさせなければならない。 + また、あかね染めの雄羊の皮で天幕のおおいと、じゅごんの皮でその上にかけるおおいとを造らなければならない。 + あなたは幕屋のために、アカシヤ材で立枠を造らなければならない。 + 枠の長さを十キュビト、枠の幅を一キュビト半とし、 + 枠ごとに二つの柄を造って、かれとこれとを食い合わさせ、幕屋のすべての枠にこのようにしなければならない。 + あなたは幕屋のために枠を造り、南側のために枠二十とし、 + その二十の枠の下に銀の座四十を造って、この枠の下に、その二つの柄のために二つの座を置き、かの枠の下にもその二つの柄のために二つの座を置かなければならない。 + また幕屋の他の側、すなわち北側のためにも枠二十を造り、 + その銀の座四十を造って、この枠の下に、二つの座を置き、かの枠の下にも二つの座を置かなければならない。 + また幕屋のうしろ、すなわち西側のために枠六つを造り、 + 幕屋のうしろの二つのすみのために枠二つを造らなければならない。 + これらは下で重なり合い、同じくその頂でも第一の環まで重なり合うようにし、その二つともそのようにしなければならない。それらは二つのすみのために設けるものである。 + こうしてその枠は八つ、その銀の座は十六、この枠の下に二つの座、かの枠の下にも二つの座を置かなければならない。 + またアカシヤ材で横木を造らなければならない。すなわち幕屋のこの側の枠のために五つ、 + また幕屋のかの側の枠のために横木五つ、幕屋のうしろの西側の枠のために横木五つを造り、 + 枠のまん中にある中央の横木は端から端まで通るようにしなければならない。 + そしてその枠を金でおおい、また横木を通すその環を金で造り、また、その横木を金でおおわなければならない。 + こうしてあなたは山で示された様式に従って幕屋を建てなければならない。 + また青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で垂幕を作り、巧みなわざをもって、それにケルビムを織り出さなければならない。 + そして金でおおった四つのアカシヤ材の柱の金の鉤にこれを掛け、その柱は四つの銀の座の上にすえなければならない。 + その垂幕の輪を鉤に掛け、その垂幕の内にあかしの箱を納めなさい。その垂幕はあなたがたのために聖所と至聖所とを隔て分けるであろう。 + また至聖所にあるあかしの箱の上に贖罪所を置かなければならない。 + そしてその垂幕の外に机を置き、幕屋の南側に、机に向かい合わせて燭台を置かなければならない。ただし机は北側に置かなければならない。 + あなたはまた天幕の入口のために青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、色とりどりに織ったとばりを作らなければならない。 + あなたはそのとばりのためにアカシヤ材の柱五つを造り、これを金でおおい、その鉤を金で造り、またその柱のために青銅の座五つを鋳て造らなければならない。 + + + あなたはまたアカシヤ材で祭壇を造らなければならない。長さ五キュビト、幅五キュビトの四角で、高さは三キュビトである。 + その四すみの上にその一部としてそれの角を造り、青銅で祭壇をおおわなければならない。 + また灰を取るつぼ、十能、鉢、肉叉、火皿を造り、その器はみな青銅で造らなければならない。 + また祭壇のために青銅の網細工の格子を造り、その四すみで、網の上に青銅の環を四つ取り付けなければならない。 + その網を祭壇の出張りの下に取り付け、これを祭壇の高さの半ばに達するようにしなければならない。 + また祭壇のために、さおを造らなければならない。すなわちアカシヤ材で、さおを造り、青銅で、これをおおわなければならない。 + そのさおを環に通し、さおを祭壇の両側にして、これをかつがなければならない。 + 祭壇は板で空洞に造り、山で示されたように、これを造らなければならない。 + あなたはまた幕屋の庭を造り、両側では庭のために長さ百キュビトの亜麻の撚糸のあげばりを設け、その一方に当てなければならない。 + その柱は二十、その柱の二十の座は青銅にし、その柱の鉤と桁とは銀にしなければならない。 + また同じく北側のために、長さ百キュビトのあげばりを設けなければならない。その柱は二十、その柱の二十の座は青銅にし、その柱の鉤と桁とは銀にしなければならない。 + また庭の西側の幅のために五十キュビトのあげばりを設けなければならない。その柱は十、その座も十。 + また東側でも庭の幅を五十キュビトにしなければならない。 + そしてその一方に十五キュビトのあげばりを設けなければならない。その柱は三つ、その座も三つ。 + また他の一方にも十五キュビトのあげばりを設けなければならない。その柱は三つ、その座も三つ。 + 庭の門のために青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、色とりどりに織った長さ二十キュビトのとばりを設けなければならない。その柱は四つ、その座も四つ。 + 庭の周囲の柱はみな銀の桁でつなぎ、その鉤は銀、その座は青銅にしなければならない。 + 庭の長さは百キュビト、その幅は五十キュビト、その高さは五キュビトで、亜麻の撚糸の布を掛けめぐらし、その座を青銅にしなければならない。 + すべて幕屋に用いるもろもろの器、およびそのすべての釘、また庭のすべての釘は青銅で造らなければならない。 + あなたはまたイスラエルの人々に命じて、オリブをつぶして採った純粋の油を、ともし火のために持ってこさせ、絶えずともし火をともさなければならない。 + アロンとその子たちとは、会見の幕屋の中のあかしの箱の前にある垂幕の外で、夕から朝まで主の前に、そのともし火を整えなければならない。これはイスラエルの人々の守るべき世々変らざる定めでなければならない。 + + + またイスラエルの人々のうちから、あなたの兄弟アロンとその子たち、すなわちアロンとアロンの子ナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルとをあなたのもとにこさせ、祭司としてわたしに仕えさせ、 + またあなたの兄弟アロンのために聖なる衣服を作って、彼に栄えと麗しきをもたせなければならない。 + あなたはすべて心に知恵ある者、すなわち、わたしが知恵の霊を満たした者たちに語って、アロンの衣服を作らせ、アロンを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせなければならない。 + 彼らの作るべき衣服は次のとおりである。すなわち胸当、エポデ、衣、市松模様の服、帽子、帯である。彼らはあなたの兄弟アロンとその子たちとのために聖なる衣服を作り、祭司としてわたしに仕えさせなければならない。 + 彼らは金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸を受け取らなければならない。 + そして彼らは金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸を用い、巧みなわざをもってエポデを作らなければならない。 + これに二つの肩ひもを付け、その両端を、これに付けなければならない。 + エポデの上で、これをつかねる帯は、同じきれでエポデの作りのように、金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で作らなければならない。 + あなたは二つの縞めのうを取って、その上にイスラエルの子たちの名を刻まなければならない。 + すなわち、その名六つを一つの石に、残りの名六つを他の石に、彼らの生れた順に刻まなければならない。 + 宝石に彫刻する人が印を彫刻するように、イスラエルの子たちの名をその二つの石に刻み、それを金の編細工にはめ、 + この二つの石をエポデの肩ひもにつけて、イスラエルの子たちの記念の石としなければならない。こうしてアロンは主の前でその両肩に彼らの名を負うて記念としなければならない。 + あなたはまた金の編細工を作らなければならない。 + そして二つの純金の鎖を、ひも細工にねじて作り、そのひもの鎖をかの編細工につけなければならない。 + あなたはまたさばきの胸当を巧みなわざをもって作り、これをエポデの作りのように作らなければならない。すなわち金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、これを作らなければならない。 + これは二つに折って四角にし、長さは一指当り、幅も一指当りとしなければならない。 + またその中に宝石を四列にはめ込まなければならない。すなわち紅玉髄、貴かんらん石、水晶の列を第一列とし、 + 第二列は、ざくろ石、るり、赤縞めのう。 + 第三列は黄水晶、めのう、紫水晶。 + 第四列は黄碧玉、縞めのう、碧玉であって、これらを金の編細工の中にはめ込まなければならない。 + その宝石はイスラエルの子らの名に従い、その名とひとしく十二とし、おのおの印の彫刻のように十二の部族のためにその名を刻まなければならない。 + またひも細工にねじた純金の鎖を胸当につけなければならない。 + また、胸当のために金の環二つを作り、胸当の両端にその二つの環をつけ、 + かの二筋の金のひもを胸当の端の二つの環につけなければならない。 + ただし、その二筋のひもの他の両端をかの二つの編細工につけ、エポデの肩ひもにつけて、前にくるようにしなければならない。 + あなたはまた二つの金の環を作って、これを胸当の両端につけなければならない。すなわちエポデに接する内側の縁にこれをつけなければならない。 + また二つの金の環を作って、これをエポデの二つの肩ひもの下の部分につけ、前の方で、そのつなぎ目に近く、エポデの帯の上の方にあるようにしなければならない。 + 胸当は青ひもをもって、その環をエポデの環に結びつけ、エポデの帯の上の方にあるようにしなければならない。こうして胸当がエポデから離れないようにしなければならない。 + アロンが聖所にはいる時は、さばきの胸当にあるイスラエルの子たちの名をその胸に置き、主の前に常に覚えとしなければならない。 + あなたはさばきの胸当にウリムとトンミムを入れて、アロンが主の前にいたる時、その胸の上にあるようにしなければならない。こうしてアロンは主の前に常にイスラエルの子たちのさばきを、その胸に置かなければならない。 + あなたはまた、エポデに属する上服をすべて青地で作らなければならない。 + 頭を通す口を、そのまん中に設け、その口の周囲には、よろいのえりのように織物の縁をつけて、ほころびないようにし、 + そのすそには青糸、紫糸、緋糸で、ざくろを作り、そのすその周囲につけ、また周囲に金の鈴をざくろの間々につけなければならない。 + すなわち金の鈴にざくろ、また金の鈴にざくろと、上服のすその周囲につけなければならない。 + アロンは務の時、これを着なければならない。彼が聖所にはいって主の前にいたる時、また出る時、その音が聞えて、彼は死を免れるであろう。 + あなたはまた純金の板を造り、印の彫刻のように、その上に『主に聖なる者』と刻み、 + これを青ひもで帽子に付け、それが帽子の前の方に来るようにしなければならない。 + これはアロンの額にあり、そしてアロンはイスラエルの人々がささげる聖なる物、すなわち彼らのもろもろの聖なる供え物についての罪の責めを負うであろう。これは主の前にそれらの受けいれられるため、常にアロンの額になければならない。 + あなたは亜麻糸で市松模様に下服を織り、亜麻布で、ずきんを作り、また、帯を色とりどりに織って作らなければならない。 + あなたはまたアロンの子たちのために下服を作り、彼らのために帯を作り、彼らのために、ずきんを作って、彼らに栄えと麗しきをもたせなければならない。 + そしてあなたはこれをあなたの兄弟アロンおよび彼と共にいるその子たちに着せ、彼らに油を注ぎ、彼らを職に任じ、彼らを聖別し、祭司として、わたしに仕えさせなければならない。 + また、彼らのために、その隠し所をおおう亜麻布のしたばきを作り、腰からももに届くようにしなければならない。 + アロンとその子たちは会見の幕屋にはいる時、あるいは聖所で務をするために祭壇に近づく時に、これを着なければならない。そうすれば、彼らは罪を得て死ぬことはないであろう。これは彼と彼の後の子孫とのための永久の定めでなければならない。 + + + あなたは彼らを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせるために、次の事を彼らにしなければならない。すなわち若い雄牛一頭と、きずのない雄羊二頭とを取り、 + また種入れぬパンと、油を混ぜた種入れぬ菓子と、油を塗った種入れぬせんべいとを取りなさい。これらは小麦粉で作らなければならない。 + そしてこれを一つのかごに入れ、そのかごに入れたまま、かの一頭の雄牛および二頭の雄羊と共に携えてこなければならない。 + あなたはまたアロンとその子たちを会見の幕屋の入口に連れてきて、水で彼らを洗い清め、 + また衣服を取り、下服とエポデに属する上服と、エポデと胸当とをアロンに着せ、エポデの帯を締めさせなければならない。 + そして彼の頭に帽子をかぶらせ、その帽子の上にかの聖なる冠をいただかせ、 + 注ぎ油を取って彼の頭にかけ、彼に油注ぎをしなければならない。 + あなたはまた彼の子たちを連れてきて下服を着せ、 + 彼ら、すなわちアロンとその子たちに帯を締めさせ、ずきんをかぶらせなければならない。祭司の職は永久の定めによって彼らに帰するであろう。あなたはこうして、アロンとその子たちを職に任じなければならない。 + あなたは会見の幕屋の前に雄牛を引いてきて、アロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置かなければならない。 + そして会見の幕屋の入口で、主の前にその雄牛をほふり、 + その雄牛の血を取り、指をもって、これを祭壇の角につけ、その残りの血を祭壇の基に注ぎかけなさい。 + また、その内臓をおおうすべての脂肪と肝臓の小葉と、二つの腎臓と、その上の脂肪とを取って、これを祭壇の上で焼かなければならない。 + ただし、その雄牛の肉と皮と汚物とは、宿営の外で火で焼き捨てなければならない。これは罪祭である。 + あなたはまた、かの雄羊の一頭を取り、そしてアロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置かなければならない。 + あなたはその雄羊をほふり、その血を取って、祭壇の四つの側面に注ぎかけなければならない。 + またその雄羊を切り裂き、その内臓と、その足とを洗って、これをその肉の切れ、および頭と共に置き、 + その雄羊をみな祭壇の上で焼かなければならない。これは主にささげる燔祭である。すなわち、これは香ばしいかおりであって、主にささげる火祭である。 + あなたはまた雄羊の他の一頭を取り、アロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置かなければならない。 + そしてあなたはその雄羊をほふり、その血を取って、アロンの右の耳たぶと、その子たちの右の耳たぶとにつけ、また彼らの右の手の親指と、右の足の親指とにつけ、その残りの血を祭壇の四つの側面に注ぎかけなければならない。 + また祭壇の上の血および注ぎ油を取って、アロンとその衣服、およびその子たちと、その子たちの衣服とに注がなければならない。彼とその衣服、およびその子らと、その衣服とは聖別されるであろう。 + あなたはまた、その雄羊の脂肪、脂尾、内臓をおおう脂肪、肝臓の小葉、二つの腎臓、その上の脂肪、および右のももを取らなければならない。これは任職の雄羊である。 + また主の前にある種入れぬパンのかごの中からパン一個と、油菓子一個と、せんべい一個とを取り、 + これをみなアロンの手と、その子たちの手に置き、これを主の前に揺り動かして、揺祭としなければならない。 + そしてあなたはこれを彼らの手から受け取り、燔祭に加えて祭壇の上で焼き、主の前に香ばしいかおりとしなければならない。これは主にささげる火祭である。 + あなたはまた、アロンの任職の雄羊の胸を取り、これを主の前に揺り動かして、揺祭としなければならない。これはあなたの受ける分となるであろう。 + あなたはアロンとその子たちの任職の雄羊の胸ともも、すなわち揺り動かした揺祭の胸と、ささげたももとを聖別しなければならない。 + これはイスラエルの人々から永久に、アロンとその子たちの受くべきささげ物であって、イスラエルの人々の酬恩祭の犠牲の中から受くべきもの、すなわち主にささげるささげ物である。 + アロンの聖なる衣服は彼の後の子孫に帰すべきである。彼らはこれを着て、油注がれ、職に任ぜられなければならない。 + その子たちのうち、彼に代って祭司となり、聖所で仕えるために会見の幕屋にはいる者は、七日の間これを着なければならない。 + あなたは任職の雄羊を取り、聖なる場所でその肉を煮なければならない。 + アロンとその子たちは会見の幕屋の入口で、その雄羊の肉と、かごの中のパンとを食べなければならない。 + 彼らを職に任じ、聖別するため、あがないに用いたこれらのものを、彼らは食べなければならない。他の人はこれを食べてはならない。これは聖なる物だからである。 + もし任職の肉、あるいはパンのうち、朝まで残るものがあれば、その残りは火で焼かなければならない。これは聖なる物だから食べてはならない。 + あなたはわたしがすべて命じるように、アロンとその子たちにしなければならない。すなわち彼らのために七日のあいだ、任職の式を行わなければならない。 + あなたは毎日、あがないのために、罪祭の雄牛一頭をささげなければならない。また祭壇のために、あがないをなす時、そのために罪祭をささげ、また、これに油を注いで聖別しなさい。 + あなたは七日の間、祭壇のために、あがないをして、これを聖別しなければならない。こうして祭壇は、いと聖なる物となり、すべて祭壇に触れる者は聖となるであろう。 + あなたが祭壇の上にささぐべき物は次のとおりである。すなわち当歳の小羊二頭を毎日絶やすことなくささげなければならない。 + その一頭の小羊は朝にこれをささげ、他の一頭の小羊は夕にこれをささげなければならない。 + 一頭の小羊には、つぶして取った油一ヒンの四分の一をまぜた麦粉十分の一エパを添え、また灌祭として、ぶどう酒一ヒンの四分の一を添えなければならない。 + 他の一頭の小羊は夕にこれをささげ、朝の素祭および灌祭と同じものをこれに添えてささげ、香ばしいかおりのために主にささげる火祭としなければならない。 + これはあなたがたが代々会見の幕屋の入口で、主の前に絶やすことなく、ささぐべき燔祭である。わたしはその所であなたに会い、あなたと語るであろう。 + また、その所でわたしはイスラエルの人々に会うであろう。幕屋はわたしの栄光によって聖別されるであろう。 + わたしは会見の幕屋と祭壇とを聖別するであろう。またアロンとその子たちを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせるであろう。 + わたしはイスラエルの人々のうちに住んで、彼らの神となるであろう。 + わたしが彼らのうちに住むために、彼らをエジプトの国から導き出した彼らの神、主であることを彼らは知るであろう。わたしは彼らの神、主である。 + + + あなたはまた香をたく祭壇を造らなければならない。アカシヤ材でこれを造り、 + 長さ一キュビト、幅一キュビトの四角にし、高さ二キュビトで、これにその一部として角をつけなければならない。 + その頂、その四つの側面、およびその角を純金でおおい、その周囲に金の飾り縁を造り、 + また、その両側に、飾り縁の下に金の環二つをこれのために造らなければならない。すなわち、その二つの側にこれを造らなければならない。これはそれをかつぐさおを通すところである。 + そのさおはアカシヤ材で造り、金でおおわなければならない。 + あなたはそれを、あかしの箱の前にある垂幕の前に置いて、わたしがあなたと会うあかしの箱の上にある贖罪所に向かわせなければならない。 + アロンはその上で香ばしい薫香をたかなければならない。朝ごとに、ともしびを整える時、これをたかなければならない。 + アロンはまた夕べにともしびをともす時にも、これをたかなければならない。これは主の前にあなたがたが代々に絶やすことなく、ささぐべき薫香である。 + あなたがたはその上で異なる香をささげてはならない。燔祭をも素祭をもその上でささげてはならない。また、その上に灌祭を注いではならない。 + アロンは年に一度その角に血をつけてあがないをしなければならない。すなわち、あがないの罪祭の血をもって代々にわたり、年に一度これがために、あがないをしなければならない。これは主に最も聖なるものである」。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたがイスラエルの人々の数の総計をとるに当り、おのおのその数えられる時、その命のあがないを主にささげなければならない。これは数えられる時、彼らのうちに災の起らないためである。 + すべて数に入る者は聖所のシケルで、半シケルを払わなければならない。一シケルは二十ゲラであって、おのおの半シケルを主にささげ物としなければならない。 + すべて数に入る二十歳以上の者は、主にささげ物をしなければならない。 + あなたがたの命をあがなうために、主にささげ物をする時、富める者も半シケルより多く出してはならず、貧しい者もそれより少なく出してはならない。 + あなたはイスラエルの人々から、あがないの銀を取って、これを会見の幕屋の用に当てなければならない。これは主の前にイスラエルの人々のため記念となって、あなたがたの命をあがなうであろう」。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたはまた洗うために洗盤と、その台を青銅で造り、それを会見の幕屋と祭壇との間に置いて、その中に水を入れ、 + アロンとその子たちは、それで手と足とを洗わなければならない。 + 彼らは会見の幕屋にはいる時、水で洗って、死なないようにしなければならない。また祭壇に近づいて、その務をなし、火祭を主にささげる時にも、そうしなければならない。 + すなわち、その手、その足を洗って、死なないようにしなければならない。これは彼とその子孫の代々にわたる永久の定めでなければならない」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたはまた最も良い香料を取りなさい。すなわち液体の没薬五百シケル、香ばしい肉桂をその半ば、すなわち二百五十シケル、におい菖蒲二百五十シケル、 + 桂枝五百シケルを聖所のシケルで取り、また、オリブの油一ヒンを取りなさい。 + あなたはこれを聖なる注ぎ油、すなわち香油を造るわざにしたがい、まぜ合わせて、におい油に造らなければならない。これは聖なる注ぎ油である。 + あなたはこの油を会見の幕屋と、あかしの箱とに注ぎ、 + 机と、そのもろもろの器、燭台と、そのもろもろの器、香の祭壇、 + 燔祭の祭壇と、そのもろもろの器、洗盤と、その台とに油を注ぎ、 + これらをきよめて最も聖なる物としなければならない。すべてこれに触れる者は聖となるであろう。 + あなたはアロンとその子たちに油を注いで、彼らを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせなければならない。 + そしてあなたはイスラエルの人々に言わなければならない、『これはあなたがたの代々にわたる、わたしの聖なる注ぎ油であって、 + 常の人の身にこれを注いではならない。またこの割合をもって、これと等しいものを造ってはならない。これは聖なるものであるから、あなたがたにとっても聖なる物でなければならない。 + すべてこれと等しい物を造る者、あるいはこれを祭司以外の人につける者は、民のうちから断たれるであろう』」。 + 主はまた、モーセに言われた、「あなたは香料、すなわち蘇合香、シケレテ香、楓子香、純粋の乳香の香料を取りなさい。おのおの同じ量でなければならない。 + あなたはこれをもって香、すなわち香料をつくるわざにしたがって薫香を造り、塩を加え、純にして聖なる物としなさい。 + また、その幾ぶんを細かに砕き、わたしがあなたと会う会見の幕屋にある、あかしの箱の前にこれを供えなければならない。これはあなたがたに最も聖なるものである。 + あなたが造る香の同じ割合をもって、それを自分のために造ってはならない。これはあなたにとって主に聖なるものでなければならない。 + すべてこれと等しいものを造って、これをかぐ者は民のうちから断たれるであろう」。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「見よ、わたしはユダの部族に属するホルの子なるウリの子ベザレルを名ざして召し、 + これに神の霊を満たして、知恵と悟りと知識と諸種の工作に長ぜしめ、 + 工夫を凝らして金、銀、青銅の細工をさせ、 + また宝石を切りはめ、木を彫刻するなど、諸種の工作をさせるであろう。 + 見よ、わたしはまたダンの部族に属するアヒサマクの子アホリアブを彼と共ならせ、そしてすべて賢い者の心に知恵を授け、わたしがあなたに命じたものを、ことごとく彼らに造らせるであろう。 + すなわち会見の幕屋、あかしの箱、その上にある贖罪所、幕屋のもろもろの器、 + 机とその器、純金の燭台と、そのもろもろの器、香の祭壇、 + 燔祭の祭壇とそのもろもろの器、洗盤とその台、 + 編物の服、すなわち祭司の務をするための祭司アロンの聖なる服、およびその子たちの服、 + 注ぎ油、聖所のための香ばしい香などを、すべてわたしがあなたに命じたように造らせるであろう」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたはイスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたは必ずわたしの安息日を守らなければならない。これはわたしとあなたがたとの間の、代々にわたるしるしであって、わたしがあなたがたを聖別する主であることを、知らせるためのものである。 + それゆえ、あなたがたは安息日を守らなければならない。これはあなたがたに聖なる日である。すべてこれを汚す者は必ず殺され、すべてこの日に仕事をする者は、民のうちから断たれるであろう。 + 六日のあいだは仕事をしなさい。七日目は全き休みの安息日で、主のために聖である。すべて安息日に仕事をする者は必ず殺されるであろう。 + ゆえに、イスラエルの人々は安息日を覚え、永遠の契約として、代々安息日を守らなければならない。 + これは永遠にわたしとイスラエルの人々との間のしるしである。それは主が六日のあいだに天地を造り、七日目に休み、かつ、いこわれたからである』」。 + 主はシナイ山でモーセに語り終えられたとき、あかしの板二枚、すなわち神が指をもって書かれた石の板をモーセに授けられた。 + + + 民はモーセが山を下ることのおそいのを見て、アロンのもとに集まって彼に言った、「さあ、わたしたちに先立って行く神を、わたしたちのために造ってください。わたしたちをエジプトの国から導きのぼった人、あのモーセはどうなったのかわからないからです」。 + アロンは彼らに言った、「あなたがたの妻、むすこ、娘らの金の耳輪をはずしてわたしに持ってきなさい」。 + そこで民は皆その金の耳輪をはずしてアロンのもとに持ってきた。 + アロンがこれを彼らの手から受け取り、工具で型を造り、鋳て子牛としたので、彼らは言った、「イスラエルよ、これはあなたをエジプトの国から導きのぼったあなたの神である」。 + アロンはこれを見て、その前に祭壇を築いた。そしてアロンは布告して言った、「あすは主の祭である」。 + そこで人々はあくる朝早く起きて燔祭をささげ、酬恩祭を供えた。民は座して食い飲みし、立って戯れた。 + 主はモーセに言われた、「急いで下りなさい。あなたがエジプトの国から導きのぼったあなたの民は悪いことをした。 + 彼らは早くもわたしが命じた道を離れ、自分のために鋳物の子牛を造り、これを拝み、これに犠牲をささげて、『イスラエルよ、これはあなたをエジプトの国から導きのぼったあなたの神である』と言っている」。 + 主はまたモーセに言われた、「わたしはこの民を見た。これはかたくなな民である。 + それで、わたしをとめるな。わたしの怒りは彼らにむかって燃え、彼らを滅ぼしつくすであろう。しかし、わたしはあなたを大いなる国民とするであろう」。 + モーセはその神、主をなだめて言った、「主よ、大いなる力と強き手をもって、エジプトの国から導き出されたあなたの民にむかって、なぜあなたの怒りが燃えるのでしょうか。 + どうしてエジプトびとに『彼は悪意をもって彼らを導き出し、彼らを山地で殺し、地の面から断ち滅ぼすのだ』と言わせてよいでしょうか。どうかあなたの激しい怒りをやめ、あなたの民に下そうとされるこの災を思い直し、 + あなたのしもべアブラハム、イサク、イスラエルに、あなたが御自身をさして誓い、『わたしは天の星のように、あなたがたの子孫を増し、わたしが約束したこの地を皆あなたがたの子孫に与えて、長くこれを所有させるであろう』と彼らに仰せられたことを覚えてください」。 + それで、主はその民に下すと言われた災について思い直された。 + モーセは身を転じて山を下った。彼の手には、かの二枚のあかしの板があった。板はその両面に文字があった。すなわち、この面にも、かの面にも文字があった。 + その板は神の作、その文字は神の文字であって、板に彫ったものである。 + ヨシュアは民の呼ばわる声を聞いて、モーセに言った、「宿営の中に戦いの声がします」。 + しかし、モーセは言った、「勝どきの声でなく、敗北の叫び声でもない。わたしの聞くのは歌の声である」。 + モーセが宿営に近づくと、子牛と踊りとを見たので、彼は怒りに燃え、手からかの板を投げうち、これを山のふもとで砕いた。 + また彼らが造った子牛を取って火に焼き、こなごなに砕き、これを水の上にまいて、イスラエルの人々に飲ませた。 + モーセはアロンに言った、「この民があなたに何をしたので、あなたは彼らに大いなる罪を犯させたのですか」。 + アロンは言った、「わが主よ、激しく怒らないでください。この民の悪いのは、あなたがごぞんじです。 + 彼らはわたしに言いました、『わたしたちに先立って行く神を、わたしたちのために造ってください。わたしたちをエジプトの国から導きのぼった人、あのモーセは、どうなったのかわからないからです』。 + そこでわたしは『だれでも、金を持っている者は、それを取りはずしなさい』と彼らに言いました。彼らがそれをわたしに渡したので、わたしがこれを火に投げ入れると、この子牛が出てきたのです」。 + モーセは民がほしいままにふるまったのを見た。アロンは彼らがほしいままにふるまうに任せ、敵の中に物笑いとなったからである。 + モーセは宿営の門に立って言った、「すべて主につく者はわたしのもとにきなさい」。レビの子たちはみな彼のもとに集まった。 + そこでモーセは彼らに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、『あなたがたは、おのおの腰につるぎを帯び、宿営の中を門から門へ行き巡って、おのおのその兄弟、その友、その隣人を殺せ』」。 + レビの子たちはモーセの言葉どおりにしたので、その日、民のうち、おおよそ三千人が倒れた。 + そこで、モーセは言った、「あなたがたは、おのおのその子、その兄弟に逆らって、きょう、主に身をささげた。それで主は、きょう、あなたがたに祝福を与えられるであろう」。 + あくる日、モーセは民に言った、「あなたがたは大いなる罪を犯した。それで今、わたしは主のもとに上って行く。あなたがたの罪を償うことが、できるかも知れない」。 + モーセは主のもとに帰って、そして言った、「ああ、この民は大いなる罪を犯し、自分のために金の神を造りました。 + 今もしあなたが、彼らの罪をゆるされますならば――。しかし、もしかなわなければ、どうぞあなたが書きしるされたふみから、わたしの名を消し去ってください」。 + 主はモーセに言われた、「すべてわたしに罪を犯した者は、これをわたしのふみから消し去るであろう。 + しかし、今あなたは行って、わたしがあなたに告げたところに民を導きなさい。見よ、わたしの使はあなたに先立って行くであろう。ただし刑罰の日に、わたしは彼らの罪を罰するであろう」。 + そして主は民を撃たれた。彼らが子牛を造ったからである。それはアロンが造ったのである。 + + + さて、主はモーセに言われた、「あなたと、あなたがエジプトの国から導きのぼった民とは、ここを立ってわたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓って、『これをあなたの子孫に与える』と言った地にのぼりなさい。 + わたしはひとりの使をつかわしてあなたに先立たせ、カナンびと、アモリびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとを追い払うであろう。 + あなたがたは乳と蜜の流れる地にのぼりなさい。しかし、あなたがたは、かたくなな民であるから、わたしが道であなたがたを滅ぼすことのないように、あなたがたのうちにあって一緒にはのぼらないであろう」。 + 民はこの悪い知らせを聞いて憂い、ひとりもその飾りを身に着ける者はなかった。 + 主はモーセに言われた、「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたは、かたくなな民である。もしわたしが一刻でも、あなたがたのうちにあって、一緒にのぼって行くならば、あなたがたを滅ぼすであろう。ゆえに、今、あなたがたの飾りを身から取り去りなさい。そうすればわたしはあなたがたになすべきことを知るであろう』」。 + それで、イスラエルの人々はホレブ山以来その飾りを取り除いていた。 + モーセは幕屋を取って、これを宿営の外に、宿営を離れて張り、これを会見の幕屋と名づけた。すべて主に伺い事のある者は出て、宿営の外にある会見の幕屋に行った。 + モーセが出て、幕屋に行く時には、民はみな立ちあがり、モーセが幕屋にはいるまで、おのおのその天幕の入口に立って彼を見送った。 + モーセが幕屋にはいると、雲の柱が下って幕屋の入口に立った。そして主はモーセと語られた。 + 民はみな幕屋の入口に雲の柱が立つのを見ると、立っておのおの自分の天幕の入口で礼拝した。 + 人がその友と語るように、主はモーセと顔を合わせて語られた。こうしてモーセは宿営に帰ったが、その従者なる若者、ヌンの子ヨシュアは幕屋を離れなかった。 + モーセは主に言った、「ごらんください。あなたは『この民を導きのぼれ』とわたしに言いながら、わたしと一緒につかわされる者を知らせてくださいません。しかも、あなたはかつて『わたしはお前を選んだ。お前はまたわたしの前に恵みを得た』と仰せになりました。 + それで今、わたしがもし、あなたの前に恵みを得ますならば、どうか、あなたの道を示し、あなたをわたしに知らせ、あなたの前に恵みを得させてください。また、この国民があなたの民であることを覚えてください」。 + 主は言われた「わたし自身が一緒に行くであろう。そしてあなたに安息を与えるであろう」。 + モーセは主に言った「もしあなた自身が一緒に行かれないならば、わたしたちをここからのぼらせないでください。 + わたしとあなたの民とが、あなたの前に恵みを得ることは、何によって知られましょうか。それはあなたがわたしたちと一緒に行かれて、わたしとあなたの民とが、地の面にある諸民と異なるものになるからではありませんか」。 + 主はモーセに言われた、「あなたはわたしの前に恵みを得、またわたしは名をもってあなたを知るから、あなたの言ったこの事をもするであろう」。 + モーセは言った、「どうぞ、あなたの栄光をわたしにお示しください」。 + 主は言われた、「わたしはわたしのもろもろの善をあなたの前に通らせ、主の名をあなたの前にのべるであろう。わたしは恵もうとする者を恵み、あわれもうとする者をあわれむ」。 + また言われた、「しかし、あなたはわたしの顔を見ることはできない。わたしを見て、なお生きている人はないからである」。 + そして主は言われた、「見よ、わたしのかたわらに一つの所がある。あなたは岩の上に立ちなさい。 + わたしの栄光がそこを通り過ぎるとき、わたしはあなたを岩の裂け目に入れて、わたしが通り過ぎるまで、手であなたをおおうであろう。 + そしてわたしが手をのけるとき、あなたはわたしのうしろを見るが、わたしの顔は見ないであろう」。 + + + 主はモーセに言われた、「あなたは前のような石の板二枚を、切って造りなさい。わたしはあなたが砕いた初めの板にあった言葉を、その板に書くであろう。 + あなたは朝までに備えをし、朝のうちにシナイ山に登って、山の頂でわたしの前に立ちなさい。 + だれもあなたと共に登ってはならない。また、だれも山の中にいてはならない。また山の前で羊や牛を飼っていてはならない」。 + そこでモーセは前のような石の板二枚を、切って造り、朝早く起きて、主が彼に命じられたようにシナイ山に登った。彼はその手に石の板二枚をとった。 + ときに主は雲の中にあって下り、彼と共にそこに立って主の名を宣べられた。 + 主は彼の前を過ぎて宣べられた。「主、主、あわれみあり、恵みあり、怒ることおそく、いつくしみと、まこととの豊かなる神、 + いつくしみを千代までも施し、悪と、とがと、罪とをゆるす者、しかし、罰すべき者をば決してゆるさず、父の罪を子に報い、子の子に報いて、三、四代におよぼす者」。 + モーセは急ぎ地に伏して拝し、 + そして言った、「ああ主よ、わたしがもし、あなたの前に恵みを得ますならば、かたくなな民ですけれども、どうか主がわたしたちのうちにあって一緒に行ってください。そしてわたしたちの悪と罪とをゆるし、わたしたちをあなたのものとしてください」。 + 主は言われた、「見よ、わたしは契約を結ぶ。わたしは地のいずこにも、いかなる民のうちにも、いまだ行われたことのない不思議を、あなたのすべての民の前に行うであろう。あなたが共に住む民はみな、主のわざを見るであろう。わたしがあなたのためになそうとすることは、恐るべきものだからである。 + わたしが、きょう、あなたに命じることを守りなさい。見よ、わたしはアモリびと、カナンびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとを、あなたの前から追い払うであろう。 + あなたが行く国に住んでいる者と、契約を結ばないように、気をつけなければならない。おそらく彼らはあなたのうちにあって、わなとなるであろう。 + むしろあなたがたは、彼らの祭壇を倒し、石の柱を砕き、アシラ像を切り倒さなければならない。 + あなたは他の神を拝んではならない。主はその名を『ねたみ』と言って、ねたむ神だからである。 + おそらくあなたはその国に住む者と契約を結び、彼らの神々を慕って姦淫を行い、その神々に犠牲をささげ、招かれて彼らの犠牲を食べ、 + またその娘たちを、あなたのむすこたちにめとり、その娘たちが自分たちの神々を慕って姦淫を行い、また、あなたのむすこたちをして、彼らの神々を慕わせ、姦淫を行わせるに至るであろう。 + あなたは自分のために鋳物の神々を造ってはならない。 + あなたは種入れぬパンの祭を守らなければならない。すなわち、わたしがあなたに命じたように、アビブの月の定めの時に、七日のあいだ、種入れぬパンを食べなければならない。あなたがアビブの月にエジプトを出たからである。 + すべて初めに生れる者は、わたしのものである。すべてあなたの家畜のういごの雄は、牛も羊もそうである。 + ただし、ろばのういごは小羊であがなわなければならない。もしあがなわないならば、その首を折らなければならない。あなたのむすこのうちのういごは、みなあがなわなければならない。むなし手でわたしの前に出てはならない。 + あなたは六日のあいだ働き、七日目には休まなければならない。耕し時にも、刈入れ時にも休まなければならない。 + あなたは七週の祭、すなわち小麦刈りの初穂の祭を行わなければならない。また年の終りに取り入れの祭を行わなければならない。 + 年に三度、男子はみな主なる神、イスラエルの神の前に出なければならない。 + わたしは国々の民をあなたの前から追い払って、あなたの境を広くするであろう。あなたが年に三度のぼって、あなたの神、主の前に出る時には、だれもあなたの国を侵すことはないであろう。 + あなたは犠牲の血を、種を入れたパンと共に供えてはならない。また過越の祭の犠牲を、翌朝まで残して置いてはならない。 + あなたの土地の初穂の最も良いものを、あなたの神、主の家に携えてこなければならない。あなたは子やぎをその母の乳で煮てはならない」。 + また主はモーセに言われた、「これらの言葉を書きしるしなさい。わたしはこれらの言葉に基いて、あなたおよびイスラエルと契約を結んだからである」。 + モーセは主と共に、四十日四十夜、そこにいたが、パンも食べず、水も飲まなかった。そして彼は契約の言葉、十誡を板の上に書いた。 + モーセはそのあかしの板二枚を手にして、シナイ山から下ったが、その山を下ったとき、モーセは、さきに主と語ったゆえに、顔の皮が光を放っているのを知らなかった。 + アロンとイスラエルの人々とがみな、モーセを見ると、彼の顔の皮が光を放っていたので、彼らは恐れてこれに近づかなかった。 + モーセは彼らを呼んだ。アロンと会衆のかしらたちとがみな、モーセのもとに帰ってきたので、モーセは彼らと語った。 + その後、イスラエルの人々がみな近よったので、モーセは主がシナイ山で彼に語られたことを、ことごとく彼らにさとした。 + モーセは彼らと語り終えた時、顔おおいを顔に当てた。 + しかしモーセは主の前に行って主と語る時は、出るまで顔おおいを取り除いていた。そして出て来ると、その命じられた事をイスラエルの人人に告げた。 + イスラエルの人々はモーセの顔を見ると、モーセの顔の皮が光を放っていた。モーセは行って主と語るまで、また顔おおいを顔に当てた。 + + + モーセはイスラエルの人々の全会衆を集めて言った、「これは主が行えと命じられた言葉である。 + 六日の間は仕事をしなさい。七日目はあなたがたの聖日で、主の全き休みの安息日であるから、この日に仕事をする者はだれでも殺されなければならない。 + 安息日にはあなたがたのすまいのどこでも火をたいてはならない」。 + モーセはイスラエルの人々の全会衆に言った、「これは主が命じられたことである。 + あなたがたの持ち物のうちから、主にささげる物を取りなさい。すべて、心から喜んでする者は、主にささげる物を持ってきなさい。すなわち金、銀、青銅。 + 青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸、やぎの毛糸。 + あかね染めの雄羊の皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、 + ともし油、注ぎ油と香ばしい薫香とのための香料、 + 縞めのう、エポデと胸当とにはめる宝石。 + すべてあなたがたのうち、心に知恵ある者はきて、主の命じられたものをみな造りなさい。 + すなわち幕屋、その天幕と、そのおおい、その鉤と、その枠、その横木、その柱と、その座、 + 箱と、そのさお、贖罪所、隔ての垂幕、 + 机と、そのさお、およびそのもろもろの器、供えのパン、 + また、ともしびのための燭台と、その器、ともしび皿と、ともし油、 + 香の祭壇と、そのさお、注ぎ油、香ばしい薫香、幕屋の入口のとばり、 + 燔祭の祭壇およびその青銅の網、そのさおと、そのもろもろの器、洗盤と、その台、 + 庭のあげばり、その柱とその座、庭の門のとばり、 + 幕屋の釘、庭の釘およびそのひも、 + 聖所における務のための編物の服、すなわち祭司の務をなすための祭司アロンの聖なる服およびその子たちの服」。 + イスラエルの人々の全会衆はモーセの前を去り、 + すべて心に感じた者、すべて心から喜んでする者は、会見の幕屋の作業と、そのもろもろの奉仕と、聖なる服とのために、主にささげる物を携えてきた。 + すなわち、すべて心から喜んでする男女は、鼻輪、耳輪、指輪、首飾り、およびすべての金の飾りを携えてきた。すべて金のささげ物を主にささげる者はそのようにした。 + すべて青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸、やぎの毛糸、あかね染めの雄羊の皮、じゅごんの皮を持っている者は、それを携えてきた。 + すべて銀、青銅のささげ物をささげることのできる者は、それを主にささげる物として携えてきた。また、すべて組立ての工事に用いるアカシヤ材を持っている者は、それを携えてきた。 + また、すべて心に知恵ある女たちは、その手をもって紡ぎ、その紡いだ青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸を携えてきた。 + すべて知恵があって、心に感じた女たちは、やぎの毛を紡いだ。 + また、かしらたちは縞めのう、およびエポデと胸当にはめる宝石を携えてきた。 + また、ともしびと、注ぎ油と、香ばしい薫香のための香料と、油とを携えてきた。 + このようにイスラエルの人々は自発のささげ物を主に携えてきた。すなわち主がモーセによって、なせと命じられたすべての工作のために、物を携えてこようと、心から喜んでする男女はみな、そのようにした。 + モーセはイスラエルの人々に言った、「見よ、主はユダの部族に属するホルの子なるウリの子ベザレルを名ざして召し、 + 彼に神の霊を満たして、知恵と悟りと知識と諸種の工作に長ぜしめ、 + 工夫を凝らして金、銀、青銅の細工をさせ、 + また宝石を切りはめ、木を彫刻するなど、諸種の工作をさせ、 + また人を教えうる力を、彼の心に授けられた。彼とダンの部族に属するアヒサマクの子アホリアブとが、それである。 + 主は彼らに知恵の心を満たして、諸種の工作をさせられた。すなわち彫刻、浮き織および青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸の縫取り、また機織など諸種の工作をさせ、工夫を凝らして巧みなわざをさせられた。 + + + ベザレルとアホリアブおよびすべて心に知恵ある者、すなわち主が知恵と悟りとを授けて、聖所の組立ての諸種の工事を、いかになすかを知らせられた者は、すべて主が命じられたようにしなければならない」。 + そこで、モーセはベザレルとアホリアブおよびすべて心に知恵ある者、すなわち、その心に主が知恵を授けられた者、またきて、その工事をなそうと心に望むすべての者を召し寄せた。 + 彼らは聖所の組立ての工事をするために、イスラエルの人々が携えてきたもろもろのささげ物を、モーセから受け取ったが、民はなおも朝ごとに、自発のささげ物を彼のもとに携えてきた。 + そこで聖所のもろもろの工事をする賢い人々はみな、おのおのしていた工事をやめて、 + モーセに言った「民があまりに多く携えて来るので、主がせよと命じられた組立ての工事には余ります」。 + モーセは命令を発し、宿営中にふれさせて言った、「男も女も、もはや聖所のために、ささげ物をするに及ばない」。それで民は携えて来ることをやめた。 + 材料はすべての工事をするのにじゅうぶんで、かつ余るからである。 + すべて工作をする者のうちの心に知恵ある者は、十枚の幕で幕屋を造った。すなわち亜麻の撚糸、青糸、紫糸、緋糸で造り、巧みなわざをもって、それにケルビムを織り出した。 + 幕の長さは、おのおの二十八キュビト、幕の幅は、おのおの四キュビトで、幕はみな同じ寸法である。 + その幕五枚を互に連ね合わせ、また他の五枚の幕をも互に連ね合わせ、 + その一連の端にある幕の縁に青色の乳をつけ、他の一連の端にある幕の縁にも、そのようにした。 + その一枚の幕に乳五十をつけ、他の一連の幕の端にも、乳五十をつけた。その乳を互に相向かわせた。 + そして金の輪五十を作り、その輪で、幕を互に連ね合わせたので、一つの幕屋になった。 + また、やぎの毛糸で幕を作り、幕屋をおおう天幕にした。すなわち幕十一枚を作った。 + おのおのの幕の長さは三十キュビト、おのおのの幕の幅は四キュビトで、その十一枚の幕は同じ寸法である。 + そして、その幕五枚を一つに連ね合わせ、また、その幕六枚を一つに連ね合わせ、 + その一連の端にある幕の縁に、乳五十をつけ、他の一連の幕の縁にも、乳五十をつけた。 + そして、青銅の輪五十を作り、その天幕を連ね合わせて一つにした。 + また、あかね染めの雄羊の皮で、天幕のおおいと、じゅごんの皮で、その上にかけるおおいとを作った。 + また幕屋のためにアカシヤ材をもって、立枠を造った。 + 枠の長さは十キュビト、枠の幅は、おのおの一キュビト半とし、 + 枠ごとに二つの柄を造って、かれとこれとをくい合わせ、幕屋のすべての枠にこのようにした。 + 幕屋のために枠を造った。すなわち南側のために枠二十を造った。 + その二十の枠の下に銀の座四十を造って、この枠の下に、その二つの柄のために二つの座を置き、かの枠の下にも、その二つの柄のために二つの座を置いた。 + また幕屋の他の側、すなわち北側のためにも枠二十を造った。 + その銀の座四十を造って、この枠の下にも二つの座を置き、かの枠の下にも二つの座を置いた。 + また幕屋のうしろ、西側のために枠六つを造り、 + 幕屋のうしろの二つのすみのために枠二つを造った。 + これらは、下で重なり合い、同じくその頂でも第一の環まで重なり合うようにし、その二つとも二つのすみのために、そのように造った。 + こうして、その枠は八つ、その銀の座は十六、おのおのの枠の下に、二つずつ座があった。 + またアカシヤ材の横木を造った。すなわち幕屋のこの側の枠のために五つ、 + また幕屋のかの側の枠のために横木五つ、幕屋のうしろの西側の枠のために横木五つを造った。 + 枠のまん中にある中央の横木は、端から端まで通るようにした。 + そして、その枠を金でおおい、また横木を通すその環を金で造り、またその横木を金でおおった。 + また青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、垂幕を作り、巧みなわざをもって、それにケルビムを織り出した。 + また、これがためにアカシヤ材の柱四本を作り、金でこれをおおい、その鉤を金にし、その柱のために銀の座四つを鋳た。 + また幕屋の入口のために青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、色とりどりに織ったとばりを作った。 + その柱五本と、その鉤とを造り、その柱の頭と桁とを金でおおった。ただし、その五つの座は青銅であった。 + + + ベザレルはアカシヤ材の箱を造った。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト半である。 + 純金で、内そとをおおい、その周囲に金の飾り縁を造った。 + また金の環四つを鋳て、その四すみに取りつけた。すなわち二つの環をこちら側に、二つの環をあちら側に取りつけた。 + またアカシヤ材のさおを造り、金でこれをおおい、 + そのさおを箱の側面の環に通して、箱をかつぐようにした。 + また純金で贖罪所を造った。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半である。 + また金で、二つのケルビムを造った。すなわち、これを打物造りとし、贖罪所の両端に置いた。 + 一つのケルブをこの端に、一つのケルブをかの端に置いた。すなわちケルビムを贖罪所の一部として、その両端に造った。 + ケルビムは翼を高く伸べ、その翼で贖罪所をおおい、顔は互に向かい合った。すなわちケルビムの顔は贖罪所に向かっていた。 + またアカシヤ材で、机を造った。長さは二キュビト、幅は一キュビト、高さは一キュビト半である。 + 純金でこれをおおい、その周囲に金の飾り縁を造った。 + またその周囲に手幅の棧を造り、その周囲の棧に金の飾り縁を造った。 + またこれがために金の環四つを鋳て、その四つの足のすみ四か所にその環を取りつけた。 + その環は棧のわきにあって、机をかつぐさおを入れる所とした。 + またアカシヤ材で、机をかつぐさおを造り、金でこれをおおった。 + また机の上の器、すなわちその皿、乳香を盛る杯および灌祭を注ぐための鉢と瓶とを純金で造った。 + また純金の燭台を造った。すなわち打物造りで燭台を造り、その台、幹、萼、節、花を一つに連ねた。 + また六つの枝をそのわきから出させた。すなわち燭台の三つの枝をこの側から、燭台の三つの枝をかの側から出させた。 + あめんどうの花の形をした三つの萼が、節と花とをもって、この枝にあり、また、あめんどうの花の形をした三つの萼が、節と花とをもって、かの枝にあり、燭台から出る六つの枝をみなそのようにした。 + また燭台の幹には、あめんどうの花の形をした四つの萼を、その節と花とをもたせて取りつけた。 + また二つの枝の下に一つの節を取りつけ、次の二つの枝の下に一つの節を取りつけ、さらに次の二つの枝の下に一つの節を取りつけ、燭台の幹から出る六つの枝に、みなそのようにした。 + それらの節と枝を一つに連ね、ことごとく純金の打物造りとした。 + また、それのともしび皿七つと、その芯切りばさみと、芯取り皿とを純金で造った。 + すなわち純金一タラントをもって、燭台とそのすべての器とを造った。 + またアカシヤ材で香の祭壇を造った。長さ一キュビト、幅一キュビトの四角にし、高さ二キュビトで、これにその一部として角をつけた。 + そして、その頂、その周囲の側面、その角を純金でおおい、その周囲に金の飾り縁を造った。 + また、その両側に、飾り縁の下に金の環二つを、そのために造った。すなわちその二つの側にこれを造った。これはそれをかつぐさおを通す所である。 + そのさおはアカシヤ材で造り、金でこれをおおった。 + また香料を造るわざにしたがって、聖なる注ぎ油と純粋の香料の薫香とを造った。 + + + またアカシヤ材で燔祭の祭壇を造った。長さ五キュビト、幅五キュビトの四角で、高さは三キュビトである。 + その四すみの上に、その一部とし、それの角を造り、青銅で祭壇をおおった。 + また祭壇のもろもろの器、すなわち、つぼ、十能、鉢、肉叉、火皿を造った。そのすべての器を青銅で造った。 + また祭壇のために、青銅の網細工の格子を造り、これを祭壇の出張りの下に取りつけて、祭壇の高さの半ばに達するようにした。 + また青銅の格子の四すみのために、環四つを鋳て、さおを通す所とした。 + アカシヤ材で、そのさおを造り、青銅でこれをおおい、 + そのさおを祭壇の両側にある環に通して、それをかつぐようにした。祭壇は板をもって、空洞に造った。 + また洗盤と、その台を青銅で造った。すなわち会見の幕屋の入口で務をなす女たちの鏡をもって造った。 + また庭を造った。その南側のために百キュビトの亜麻の撚糸の庭のあげばりを設けた。 + その柱は二十、その柱の二十の座は青銅で、その柱の鉤と桁は銀とした。 + また北側のためにも百キュビトのあげばりを設けた。その柱二十、その柱の二十の座は青銅で、その柱の鉤と桁は銀とした。 + また西側のために、五十キュビトのあげばりを設けた。その柱は十、その座も十で、その柱の鉤と桁は銀とした。 + また東側のためにも、五十キュビトのあげばりを設けた。 + その一方に十五キュビトのあげばりを設けた。その柱は三つ、その座も三つ。 + また他の一方にも、同じようにした。すなわち庭の門のこなたかなたともに、十五キュビトのあげばりを設けた。その柱は三つ、その座も三つ。 + 庭の周囲のあげばりはみな亜麻の撚糸である。 + 柱の座は青銅、柱の鉤と桁とは銀、柱の頭のおおいも銀である。庭の柱はみな銀の桁で連ねた。 + 庭の門のとばりは青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、色とりどりに織ったものであった。長さは二十キュビト、幅なる高さは五キュビトで、庭のあげばりと等しかった。 + その柱は四つ、その座も四つで、ともに青銅。その鉤は銀、柱の頭のおおいと桁は銀である。 + ただし、幕屋および、その周囲の庭の釘はみな青銅であった。 + 幕屋、すなわちあかしの幕屋に用いた物の総計は次のとおりである。すなわちモーセの命に従い、祭司アロンの子イタマルがレビびとを用いて量ったものである。 + ユダの部族に属するホルの子なるウリの子ベザレルは、主がモーセに命じられた事をことごとくした。 + ダンの部族に属するアヒサマクの子アホリアブは彼と共にあって彫刻、浮き織をなし、また青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸で、縫取りをする者であった。 + 聖所のもろもろの工作に用いたすべての金、すなわち、ささげ物なる金は聖所のシケルで、二十九タラント七百三十シケルであった。 + 会衆のうちの数えられた者のささげた銀は聖所のシケルで、百タラント千七百七十五シケルであった。 + これはひとり当り一ベカ、すなわち聖所のシケルの半シケルであって、すべて二十歳以上で数えられた者が六十万三千五百五十人であったからである。 + 聖所の座と垂幕の座とを鋳るために用いた銀は百タラントであった。すなわち百座につき百タラント、一座につき一タラントである。 + また千七百七十五シケルで柱の鉤を造り、また柱の頭をおおい、柱のために桁を造った。 + ささげ物なる青銅は七十タラント二千四百シケルであった。 + これを用いて会見の幕屋の入口の座、青銅の祭壇と、それにつく青銅の格子、および祭壇のもろもろの器を造った。 + また庭の周囲の座、庭の門の座、および幕屋のもろもろの釘と、庭の周囲のもろもろの釘を造った。 + + + 彼らは青糸、紫糸、緋糸で、聖所の務のための編物の服を作った。またアロンのために聖なる服を作った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸でエポデを作った。 + また金を打ち延べて板とし、これを切って糸とし、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸に交えて、巧みな細工とした。 + また、これがために肩ひもを作ってこれにつけ、その両端でこれにつけた。 + エポデの上で、これをつかねる帯は、同じきれで、同じように、金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で作った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また、縞めのうを細工して、金糸の編細工にはめ、これに印を彫刻するように、イスラエルの子たちの名を刻み、 + これをエポデの肩ひもにつけて、イスラエルの子たちの記念の石とした。主がモーセに命じられたとおりである。 + また胸当を巧みなわざをもって、エポデの作りのように作った。すなわち金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で作った。 + 胸当は二つに折って四角にした。すなわち二つに折って、長さを一指当りとし、幅も一指当りとした。 + その中に宝石四列をはめた。すなわち、紅玉髄、貴かんらん石、水晶の列を第一列とし、 + 第二列は、ざくろ石、るり、赤縞めのう、 + 第三列は黄水晶、めのう、紫水晶、 + 第四列は黄碧玉、縞めのう、碧玉であって、これらを金の編細工の中にはめ込んだ。 + その宝石はイスラエルの子たちの名にしたがい、その名と等しく十二とし、おのおの印の彫刻のように、十二部族のためにその名を刻んだ。 + またひも細工にねじた純金のくさりを胸当につけた。 + また金の二つの編細工と、二つの金の環とを作り、その二つの環を胸当の両端につけた。 + かの二筋の金のひもを胸当の端の二つの環につけた。 + ただし、その二筋のひもの他の両端を、かの二つの編細工につけ、エポデの肩ひもにつけて前にくるようにした。 + また二つの金の環を作って、これを胸当の両端につけた。すなわちエポデに接する内側の縁にこれをつけた。 + また金の環二つを作って、これをエポデの二つの肩ひもの下の部分につけ、前の方で、そのつなぎ目に近く、エポデの帯の上の方にくるようにした。 + 胸当は青ひもをもって、その環をエポデの環に結びつけ、エポデの帯の上の方にくるようにした。こうして、胸当がエポデから離れないようにした。主がモーセに命じられたとおりである。 + またエポデに属する上服は、すべて青地の織物で作った。 + 上服の口はそのまん中にあって、その口の周囲には、よろいのえりのように縁をつけて、ほころびないようにした。 + 上服のすそには青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、ざくろを作りつけ、 + また純金で鈴を作り、その鈴を上服のすその周囲の、ざくろとざくろとの間につけた。 + すなわち鈴にざくろ、鈴にざくろと、務の上服のすその周囲につけた。主がモーセに命じられたとおりである。 + またアロンとその子たちのために、亜麻糸で織った下服を作り、 + 亜麻布で帽子を作り、亜麻布で麗しい頭布を作り、亜麻の撚糸の布で、下ばきを作り、 + 亜麻の撚糸および青糸、紫糸、緋糸で、色とりどりに織った帯を作った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また純金をもって、聖なる冠の前板を作り、印の彫刻のように、その上に「主に聖なる者」という文字を書き、 + これに青ひもをつけて、それを帽子の上に結びつけた。主がモーセに命じられたとおりである。 + こうして会見の天幕なる幕屋の、もろもろの工事が終った。イスラエルの人々はすべて主がモーセに命じられたようにおこなった。 + 彼らは幕屋と天幕およびそのもろもろの器をモーセのもとに携えてきた。すなわち、その鉤、その枠、その横木、その柱、その座、 + あかね染めの雄羊の皮のおおい、じゅごんの皮のおおい、隔ての垂幕、 + あかしの箱と、そのさお、贖罪所、 + 机と、そのもろもろの器、供えのパン、 + 純金の燭台と、そのともしび皿、すなわち列に並べるともしび皿と、そのもろもろの器、およびそのともし油、 + 金の祭壇、注ぎ油、香ばしい薫香、幕屋の入口のとばり、 + 青銅の祭壇、その青銅の格子と、そのさお、およびそのもろもろの器、洗盤とその台、 + 庭のあげばり、その柱とその座、庭の門のとばり、そのひもとその釘、また会見の天幕の幕屋に用いるもろもろの器、 + 聖所で務をなす編物の服、すなわち祭司の務をなすための祭司アロンの聖なる服およびその子たちの服。 + イスラエルの人々は、すべて主がモーセに命じられたように、そのすべての工事をした。 + モーセがそのすべての工事を見ると、彼らは主が命じられたとおりに、それをなしとげていたので、モーセは彼らを祝福した。 + + + 主はモーセに言われた。 + 「正月の元日にあなたは会見の天幕なる幕屋を建てなければならない。 + そして、その中にあかしの箱を置き、垂幕で、箱を隔て隠し、 + また、机を携え入れ、それに並べるものを並べ、燭台を携え入れて、そのともしびをともさなければならない。 + あなたはまた金の香の祭壇を、あかしの箱の前にすえ、とばりを幕屋の入口にかけなければならない。 + また燔祭の祭壇を会見の天幕なる幕屋の入口の前にすえ、 + 洗盤を会見の天幕と祭壇との間にすえて、これに水を入れなければならない。 + また周囲に庭を設け、庭の門にとばりをかけなければならない。 + そして注ぎ油をとって、幕屋とその中のすべてのものに注ぎ、それとそのもろもろの器とを聖別しなければならない、こうして、それは聖となるであろう。 + あなたはまた燔祭の祭壇と、そのすべての器に油を注いで、その祭壇を聖別しなければならない。こうして祭壇は、いと聖なるものとなるであろう。 + また洗盤と、その台とに油を注いで、これを聖別し、 + アロンとその子たちを会見の幕屋の入口に連れてきて、水で彼らを洗い、 + アロンに聖なる服を着せ、これに油を注いで聖別し、祭司の務をさせなければならない。 + また彼の子たちを連れてきて、これに服を着せ、 + その父に油を注いだように、彼らにも油を注いで、祭司の務をさせなければならない。彼らが油そそがれることは、代々ながく祭司職のためになすべきことである」。 + モーセはそのように行った。すなわち主が彼に命じられたように行った。 + 第二年の正月になって、その月の元日に幕屋は建った。 + すなわちモーセは幕屋を建て、その座をすえ、その枠を立て、その横木をさし込み、その柱を立て、 + 幕屋の上に天幕をひろげ、その上に天幕のおおいをかけた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまたあかしの板をとって箱に納め、さおを箱につけ、贖罪所を箱の上に置き、 + 箱を幕屋に携え入れ、隔ての垂幕をかけて、あかしの箱を隠した。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた会見の天幕なる幕屋の内部の北側、垂幕の外に机をすえ、 + その上にパンを列に並べて、主の前に供えた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた会見の天幕なる幕屋の内部の南側に、机にむかい合わせて燭台をすえ、 + 主の前にともしびをともした。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼は会見の幕屋の中、垂幕の前に金の祭壇をすえ、 + その上に香ばしい薫香をたいた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた幕屋の入口にとばりをかけ、 + 燔祭の祭壇を会見の天幕なる幕屋の入口にすえ、その上に燔祭と素祭をささげた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた会見の天幕と祭壇との間に洗盤を置き、洗うためにそれに水を入れた。 + モーセとアロンおよびその子たちは、それで手と足を洗った。 + すなわち会見の天幕にはいるとき、また祭壇に近づくとき、そこで洗った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また幕屋と祭壇の周囲に庭を設け、庭の門にとばりをかけた。このようにしてモーセはその工事を終えた。 + そのとき、雲は会見の天幕をおおい、主の栄光が幕屋に満ちた。 + モーセは会見の幕屋に、はいることができなかった。雲がその上にとどまり、主の栄光が幕屋に満ちていたからである。 + 雲が幕屋の上からのぼる時、イスラエルの人々は道に進んだ。彼らはその旅路において常にそうした。 + しかし、雲がのぼらない時は、そののぼる日まで道に進まなかった。 + すなわちイスラエルの家のすべての者の前に、昼は幕屋の上に主の雲があり、夜は雲の中に火があった。彼らの旅路において常にそうであった。 + +
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+ + 主はモーセを呼び、会見の幕屋からこれに告げて言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたのうちだれでも家畜の供え物を主にささげるときは、牛または羊を供え物としてささげなければならない。 + もしその供え物が牛の燔祭であるならば、雄牛の全きものをささげなければならない。会見の幕屋の入口で、主の前に受け入れられるように、これをささげなければならない。 + 彼はその燔祭の獣の頭に手を置かなければならない。そうすれば受け入れられて、彼のためにあがないとなるであろう。 + 彼は主の前でその子牛をほふり、アロンの子なる祭司たちは、その血を携えてきて、会見の幕屋の入口にある祭壇の周囲に、その血を注ぎかけなければならない。 + 彼はまたその燔祭の獣の皮をはぎ、節々に切り分かたなければならない。 + 祭司アロンの子たちは祭壇の上に火を置き、その火の上にたきぎを並べ、 + アロンの子なる祭司たちはその切り分けたものを、頭および脂肪と共に、祭壇の上にある火の上のたきぎの上に並べなければならない。 + その内臓と足とは水で洗わなければならない。こうして祭司はそのすべてを祭壇の上で焼いて燔祭としなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + もしその燔祭の供え物が群れの羊または、やぎであるならば、雄の全きものをささげなければならない。 + 彼は祭壇の北側で、主の前にこれをほふり、アロンの子なる祭司たちは、その血を祭壇の周囲に注ぎかけなければならない。 + 彼はまたこれを節々に切り分かち、祭司はこれを頭および脂肪と共に、祭壇の上にある火の上のたきぎの上に並べなければならない。 + その内臓と足とは水で洗わなければならない。こうして祭司はそのすべてを祭壇の上で焼いて燔祭としなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + もし主にささげる供え物が、鳥の燔祭であるならば、山ばと、または家ばとのひなを、その供え物としてささげなければならない。 + 祭司はこれを祭壇に携えて行き、その首を摘み破り、祭壇の上で焼かなければならない。その血は絞り出して祭壇の側面に塗らなければならない。 + またその餌袋は羽と共に除いて、祭壇の東の方にある灰捨場に捨てなければならない。 + これは、その翼を握って裂かなければならない。ただし引き離してはならない。祭司はこれを祭壇の上で、火の上のたきぎの上で燔祭として焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + + + 人が素祭の供え物を主にささげるときは、その供え物は麦粉でなければならない。その上に油を注ぎ、またその上に乳香を添え、 + これをアロンの子なる祭司たちのもとに携えて行かなければならない。祭司はその麦粉とその油の一握りを乳香の全部と共に取り、これを記念の分として、祭壇の上で焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + 素祭の残りはアロンとその子らのものになる。これは主の火祭のいと聖なる物である。 + あなたが、もし天火で焼いたものを素祭としてささげるならば、それは麦粉に油を混ぜて作った種入れぬ菓子、または油を塗った種入れぬ煎餅でなければならない。 + あなたの供え物が、もし、平鍋で焼いた素祭であるならば、それは麦粉に油を混ぜて作った種入れぬものでなければならない。 + あなたはそれを細かく砕き、その上に油を注がなければならない。これは素祭である。 + あなたの供え物が、もし深鍋で煮た素祭であるならば、麦粉に油を混ぜて作らなければならない。 + あなたはこれらの物で作った素祭を、主に携えて行かなければならない。それを祭司に渡すならば、祭司はそれを祭壇に携えて行き、 + その素祭のうちから記念の分を取って、祭壇の上で焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + 素祭の残りはアロンとその子らのものになる。これは、主の火祭のいと聖なる物である。 + あなたがたが主にささげる素祭は、すべて種を入れて作ってはならない。パン種も蜜も、すべて主にささげる火祭として焼いてはならないからである。 + ただし、初穂の供え物としては、これらを主にささげることができる。しかし香ばしいかおりとして祭壇にささげてはならない。 + あなたの素祭の供え物は、すべて塩をもって味をつけなければならない。あなたの素祭に、あなたの神の契約の塩を欠いてはならない。すべて、あなたの供え物は、塩を添えてささげなければならない。 + もしあなたが初穂の素祭を主にささげるならば、火で穂を焼いたもの、新穀の砕いたものを、あなたの初穂の素祭としてささげなければならない。 + あなたはそれに油を加え、その上に乳香を置かなければならない。これは素祭である。 + 祭司は、その砕いた物およびその油のうちから記念の分を取って、乳香の全部と共に焼かなければならない。これは主にささげる火祭である。 + + + もし彼の供え物が酬恩祭の犠牲であって、牛をささげるのであれば、雌雄いずれであっても、全きものを主の前にささげなければならない。 + 彼はその供え物の頭に手を置き、会見の幕屋の入口で、これをほふらなければならない。そしてアロンの子なる祭司たちは、その血を祭壇の周囲に注ぎかけなければならない。 + 彼はまたその酬恩祭の犠牲のうちから火祭を主にささげなければならない。すなわち内臓をおおう脂肪と、内臓の上のすべての脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、ならびに腎臓と共にとられる肝臓の上の小葉である。 + そしてアロンの子たちは祭壇の上で、火の上のたきぎの上に置いた燔祭の上で、これを焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + もし彼の供え物が主にささげる酬恩祭の犠牲で、それが羊であるならば、雌雄いずれであっても、全きものをささげなければならない。 + もし小羊を供え物としてささげるならば、それを主の前に連れてきて、 + その供え物の頭に手を置き、それを会見の幕屋の前で、ほふらなければならない。そしてアロンの子たちはその血を祭壇の周囲に注ぎかけなければならない。 + 彼はその酬恩祭の犠牲のうちから、火祭を主にささげなければならない。すなわちその脂肪、背骨に接して切り取る脂尾の全部、内臓をおおう脂肪と内臓の上のすべての脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、ならびに腎臓と共に取られる肝臓の上の小葉である。 + 祭司はこれを祭壇の上で焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる食物である。 + もし彼の供え物が、やぎであるならば、それを主の前に連れてきて、 + その頭に手を置き、それを会見の幕屋の前で、ほふらなければならない。そしてアロンの子たちは、その血を祭壇の周囲に注ぎかけなければならない。 + 彼はまたそのうちから供え物を取り、火祭として主にささげなければならない。すなわち内臓をおおう脂肪と内臓の上のすべての脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、ならびに腎臓と共に取られる肝臓の上の小葉である。 + 祭司はこれを祭壇の上で焼かなければならない。これは火祭としてささげる食物であって、香ばしいかおりである。脂肪はみな主に帰すべきものである。 + あなたがたは脂肪と血とをいっさい食べてはならない。これはあなたがたが、すべてその住む所で、代々守るべき永久の定めである』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『もし人があやまって罪を犯し、主のいましめにそむいて、してはならないことの一つをした時は次のようにしなければならない。 + すなわち、油注がれた祭司が罪を犯して、とがを民に及ぼすならば、彼はその犯した罪のために雄の全き子牛を罪祭として主にささげなければならない。 + その子牛を会見の幕屋の入口に連れてきて主の前に至り、その子牛の頭に手を置き、その子牛を主の前で、ほふらなければならない。 + 油注がれた祭司は、その子牛の血を取って、それを会見の幕屋に携え入り、 + そして祭司は指をその血に浸して、聖所の垂幕の前で主の前にその血を七たび注がなければならない。 + 祭司はまたその血を取り、主の前で会見の幕屋の中にある香ばしい薫香の祭壇の角に、それを塗らなければならない。その子牛の血の残りはことごとく会見の幕屋の入口にある燔祭の祭壇のもとに注がなければならない。 + またその罪祭の子牛から、すべての脂肪を取らなければならない。すなわち内臓をおおう脂肪と内臓の上のすべての脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、ならびに腎臓と共に取られる肝臓の上の小葉である。 + これを取るには酬恩祭の犠牲の雄牛から取るのと同じようにしなければならない。そして祭司はそれを燔祭の祭壇の上で焼かなければならない。 + その子牛の皮とそのすべての肉、およびその頭と足と内臓と汚物など、 + すべてその子牛の残りは、これを宿営の外の、清い場所なる灰捨場に携え出し、火をもってこれをたきぎの上で焼き捨てなければならない。すなわちこれは灰捨場で焼き捨てらるべきである。 + もしイスラエルの全会衆があやまちを犯し、そのことが会衆の目に隠れていても、主のいましめにそむいて、してはならないことの一つをなして、とがを得たならば、 + その犯した罪が現れた時、会衆は雄の子牛を罪祭としてささげなければならない。すなわちそれを会見の幕屋の前に連れてきて、 + 会衆の長老たちは、主の前でその子牛の頭に手を置き、その子牛を主の前で、ほふらなければならない。 + そして、油注がれた祭司は、その子牛の血を会見の幕屋に携え入り、 + 祭司は指をその血に浸し、垂幕の前で主の前に七たび注がなければならない。 + またその血を取って、会見の幕屋の中の主の前にある祭壇の角に、それを塗らなければならない。その血の残りはことごとく会見の幕屋の入口にある燔祭の祭壇のもとに注がなければならない。 + またそのすべての脂肪を取って祭壇の上で焼かなければならない。 + すなわち祭司は罪祭の雄牛にしたように、この雄牛にも、しなければならない。こうして、祭司が彼らのためにあがないをするならば、彼らはゆるされるであろう。 + そして、彼はその雄牛を宿営の外に携え出し、はじめの雄牛を焼き捨てたように、これを焼き捨てなければならない。これは会衆の罪祭である。 + またつかさたる者が罪を犯し、あやまって、その神、主のいましめにそむき、してはならないことの一つをして、とがを得、 + もしその犯した罪を知るようになったときは、供え物として雄やぎの全きものを連れてきて、 + そのやぎの頭に手を置き、燔祭をほふる場所で、主の前にこれをほふらなければならない。これは罪祭である。 + 祭司は指でその罪祭の血を取り、燔祭の祭壇の角にそれを塗り、残りの血は燔祭の祭壇のもとに注がなければならない。 + また、そのすべての脂肪は、酬恩祭の犠牲の脂肪と同じように、祭壇の上で焼かなければならない。こうして、祭司が彼のためにその罪のあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + また一般の人がもしあやまって罪を犯し、主のいましめにそむいて、してはならないことの一つをして、とがを得、 + その犯した罪を知るようになったときは、その犯した罪のために供え物として雌やぎの全きものを連れてきて、 + その罪祭の頭に手を置き、燔祭をほふる場所で、その罪祭をほふらなければならない。 + そして祭司は指でその血を取り、燔祭の祭壇の角にこれを塗り、残りの血をことごとく祭壇のもとに注がなければならない。 + またそのすべての脂肪は酬恩祭の犠牲から脂肪を取るのと同じように取り、これを祭壇の上で焼いて主にささげる香ばしいかおりとしなければならない。こうして祭司が彼のためにあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + もし小羊を罪祭のために供え物として連れてくるならば、雌の全きものを連れてこなければならない。 + その罪祭の頭に手を置き、燔祭をほふる場所で、これをほふり、罪祭としなければならない。 + そして祭司は指でその罪祭の血を取り、燔祭の祭壇の角にそれを塗り、残りの血はことごとく祭壇のもとに注がなければならない。 + またそのすべての脂肪は酬恩祭の犠牲から小羊の脂肪を取るのと同じように取り、祭司はこれを主にささげる火祭のように祭壇の上で焼かなければならない。こうして祭司が彼の犯した罪のためにあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + + + もし人が証人に立ち、誓いの声を聞きながら、その見たこと、知っていることを言わないで、罪を犯すならば、彼はそのとがを負わなければならない。 + また、もし人が汚れた野獣の死体、汚れた家畜の死体、汚れた這うものの死体など、すべて汚れたものに触れるならば、そのことに気づかなくても、彼は汚れたものとなって、とがを得る。 + また、もし彼が人の汚れに触れるならば、その人の汚れが、どのような汚れであれ、それに気づかなくても、彼がこれを知るようになった時は、とがを得る。 + また、もし人がみだりにくちびるで誓い、悪をなそう、または善をなそうと言うならば、その人が誓ってみだりに言ったことは、それがどんなことであれ、それに気づかなくても、彼がこれを知るようになった時は、これらの一つについて、とがを得る。 + もしこれらの一つについて、とがを得たときは、その罪を犯したことを告白し、 + その犯した罪のために償いとして、雌の家畜、すなわち雌の小羊または雌やぎを主のもとに連れてきて、罪祭としなければならない。こうして祭司は彼のために罪のあがないをするであろう。 + もし小羊に手のとどかない時は、山ばと二羽か、家ばとのひな二羽かを、彼が犯した罪のために償いとして主に携えてきて、一羽を罪祭に、一羽を燔祭にしなければならない。 + すなわち、これらを祭司に携えてきて、祭司はその罪祭のものを先にささげなければならない。すなわち、その頭を首の根のところで、摘み破らなければならない。ただし、切り離してはならない。 + そしてその罪祭の血を祭壇の側面に注ぎ、残りの血は祭壇のもとに絞り出さなければならない。これは罪祭である。 + また第二のものは、定めにしたがって燔祭としなければならない。こうして、祭司が彼のためにその犯した罪のあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + もし二羽の山ばとにも、二羽の家ばとのひなにも、手の届かないときは、彼の犯した罪のために、供え物として麦粉十分の一エパを携えてきて、これを罪祭としなければならない。ただし、その上に油をかけてはならない。またその上に乳香を添えてはならない。これは罪祭だからである。 + 彼はこれを祭司のもとに携えて行き、祭司は一握りを取って、記念の分とし、これを主にささげる火祭のように、祭壇の上で焼かなければならない。これは罪祭である。 + こうして、祭司が彼のため、すなわち、彼がこれらの一つを犯した罪のために、あがないをするならば、彼はゆるされるであろう。そしてその残りは素祭と同じく、祭司に帰するであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「もし人が不正をなし、あやまって主の聖なる物について罪を犯したときは、その償いとして、あなたの値積りにしたがい、聖所のシケルで、銀数シケルに当る雄羊の全きものを、群れのうちから取り、それを主に携えてきて、愆祭としなければならない。 + そしてその聖なる物について犯した罪のために償いをし、またその五分の一をこれに加えて、祭司に渡さなければならない。こうして祭司がその愆祭の雄羊をもって、彼のためにあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + また人がもし罪を犯し、主のいましめにそむいて、してはならないことの一つをしたときは、たといそれを知らなくても、彼は罪を得、そのとがを負わなければならない。 + 彼はあなたの値積りにしたがって、雄羊の全きものを群れのうちから取り、愆祭としてこれを祭司のもとに携えてこなければならない。こうして、祭司が彼のために、すなわち彼が知らないで、しかもあやまって犯した過失のために、あがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + これは愆祭である。彼は確かに主の前にとがを得たからである」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「もし人が罪を犯し、主に対して不正をなしたとき、すなわち預かり物、手にした質草、またはかすめた物について、その隣人を欺き、あるいはその隣人をしえたげ、 + あるいは落し物を拾い、それについて欺き、偽って誓うなど、すべて人がそれをなして罪となることの一つについて、 + 罪を犯し、とがを得たならば、彼はそのかすめた物、しえたげて取った物、預かった物、拾った落し物、 + または偽り誓ったすべての物を返さなければならない。すなわち残りなく償い、更にその五分の一をこれに加え、彼が愆祭をささげる日に、これをその元の持ち主に渡さなければならない。 + 彼はその償いとして、あなたの値積りにしたがい、雄羊の全きものを、群れの中から取り、これを祭司のもとに携えてきて、愆祭として主にささげなければならない。 + こうして、祭司が主の前で彼のためにあがないをするならば、彼はそのいずれを行ってとがを得てもゆるされるであろう」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちに命じて言いなさい、『燔祭のおきては次のとおりである。燔祭は祭壇の炉の上に、朝まで夜もすがらあるようにし、そこに祭壇の火を燃え続かせなければならない。 + 祭司は亜麻布の服を着、亜麻布のももひきを身につけ、祭壇の上で火に焼けた燔祭の灰を取って、これを祭壇のそばに置き、 + その衣服を脱ぎ、ほかの衣服を着て、その灰を宿営の外の清い場所に携え出さなければならない。 + 祭壇の上の火は、そこに燃え続かせ、それを消してはならない。祭司は朝ごとに、たきぎをその上に燃やし、燔祭をその上に並べ、また酬恩祭の脂肪をその上で焼かなければならない。 + 火は絶えず祭壇の上に燃え続かせ、これを消してはならない。 + 素祭のおきては次のとおりである。アロンの子たちはそれを祭壇の前で主の前にささげなければならない。 + すなわち素祭の麦粉一握りとその油を、素祭の上にある全部の乳香と共に取って、祭壇の上で焼き、香ばしいかおりとし、記念の分として主にささげなければならない。 + その残りはアロンとその子たちが食べなければならない。すなわち、種を入れずに聖なる所で食べなければならない。会見の幕屋の庭でこれを食べなければならない。 + これは種を入れて焼いてはならない。わたしはこれをわたしの火祭のうちから彼らの分として与える。これは罪祭および愆祭と同様に、いと聖なるものである。 + アロンの子たちのうち、すべての男子はこれを食べることができる。これは主にささげる火祭のうちから、あなたがたが代々永久に受けるように定められた分である。すべてこれに触れるものは聖となるであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちが、アロンの油注がれる日に、主にささぐべき供え物は次のとおりである。すなわち麦粉十分の一エパを、絶えずささげる素祭とし、半ばは朝に、半ばは夕にささげなければならない。 + それは油をよく混ぜて平鍋で焼き、それを携えてきて、細かく砕いた素祭とし、香ばしいかおりとして、主にささげなければならない。 + 彼の子たちのうち、油注がれて彼についで祭司となる者は、これをささげなければならない。これは永久に主に帰する分として、全く焼きつくすべきものである。 + すべて祭司の素祭は全く焼きつくすべきものであって、これを食べてはならない」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちに言いなさい、『罪祭のおきては次のとおりである。罪祭は燔祭をほふる場所で、主の前にほふらなければならない。これはいと聖なる物である。 + 罪のためにこれをささげる祭司が、これを食べなければならない。すなわち会見の幕屋の庭の聖なる所で、これを食べなければならない。 + すべてその肉に触れる者は聖となるであろう。もしその血が衣服にかかったならば、そのかかったものは聖なる所で洗わなければならない。 + またそれを煮た土の器は砕かなければならない。もし青銅の器で煮たのであれば、それはみがいて、水で洗わなければならない。 + 祭司たちのうちのすべての男子は、これを食べることができる。これはいと聖なるものである。 + しかし、その血を会見の幕屋に携えていって、聖所であがないに用いた罪祭は食べてはならない。これは火で焼き捨てなければならない。 + + + 愆祭のおきては次のとおりである。それはいと聖なる物である。 + 愆祭は燔祭をほふる場所でほふらなければならない。そして祭司はその血を祭壇の周囲に注ぎかけ、 + そのすべての脂肪をささげなければならない。すなわち脂尾、内臓をおおう脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、腎臓と共に取られる肝臓の上の小葉である。 + 祭司はこれを祭壇の上で焼いて、主に火祭としなければならない。これは愆祭である。 + 祭司たちのうちのすべての男子は、これを食べることができる。これは聖なる所で食べなければならない。これはいと聖なる物である。 + 罪祭も愆祭も、そのおきては一つであって、異なるところはない。これは、あがないをなす祭司に帰する。 + 人が携えてくる燔祭をささげる祭司、その祭司に、そのささげる燔祭のものの皮は帰する。 + すべて天火で焼いた素祭、またすべて深鍋または平鍋で作ったものは、これをささげる祭司に帰する。 + すべて素祭は、油を混ぜたものも、かわいたものも、アロンのすべての子たちにひとしく帰する。 + 主にささぐべき酬恩祭の犠牲のおきては次のとおりである。 + もしこれを感謝のためにささげるのであれば、油を混ぜた種入れぬ菓子と、油を塗った種入れぬ煎餅と、よく混ぜた麦粉に油を混ぜて作った菓子とを、感謝の犠牲に合わせてささげなければならない。 + また種を入れたパンの菓子をその感謝のための酬恩祭の犠牲に合わせ、供え物としてささげなければならない。 + すなわちこのすべての供え物のうちから、菓子一つずつを取って主にささげなければならない。これは酬恩祭の血を注ぎかける祭司に帰する。 + その感謝のための酬恩祭の犠牲の肉は、その供え物をささげた日のうちに食べなければならない。少しでも明くる朝まで残して置いてはならない。 + しかし、その供え物の犠牲がもし誓願の供え物、または自発の供え物であるならば、その犠牲をささげた日のうちにそれを食べ、その残りはまた明くる日に食べることができる。 + ただし、その犠牲の肉の残りは三日目には火で焼き捨てなければならない。 + もしその酬恩祭の犠牲の肉を三日目に少しでも食べるならば、それは受け入れられず、また供え物と見なされず、かえって忌むべき物となるであろう。そしてそれを食べる者はとがを負わなければならない。 + その肉がもし汚れた物に触れるならば、それを食べることなく、火で焼き捨てなければならない。犠牲の肉はすべて清い者がこれを食べることができる。 + もし人がその身に汚れがあるのに、主にささげた酬恩祭の犠牲の肉を食べるならば、その人は民のうちから断たれるであろう。 + また人がもしすべて汚れたもの、すなわち人の汚れ、あるいは汚れた獣、あるいは汚れた這うものに触れながら、主にささげた酬恩祭の犠牲の肉を食べるならば、その人は民のうちから断たれるであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたは、すべて牛、羊、やぎの脂肪を食べてはならない。 + 自然に死んだ獣の脂肪および裂き殺された獣の脂肪は、さまざまのことに使ってもよい。しかし、それは決して食べてはならない。 + だれでも火祭として主にささげる獣の脂肪を食べるならば、これを食べる人は民のうちから断たれるであろう。 + またあなたがたはすべてその住む所で、鳥にせよ、獣にせよ、すべてその血を食べてはならない。 + だれでもすべて血を食べるならば、その人は民のうちから断たれるであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『酬恩祭の犠牲を主にささげる者は、その酬恩祭の犠牲のうちから、その供え物を主に携えてこなければならない。 + 主の火祭は手ずからこれを携えてこなければならない。すなわちその脂肪と胸とを携えてきて、その胸を主の前に揺り動かして、揺祭としなければならない。 + そして祭司はその脂肪を祭壇の上で焼かなければならない。その胸はアロンとその子たちに帰する。 + あなたがたの酬恩祭の犠牲のうちから、その右のももを挙祭として、祭司に与えなければならない。 + アロンの子たちのうち、酬恩祭の血と脂肪とをささげる者は、その右のももを自分の分として、獲るであろう。 + わたしはイスラエルの人々の酬恩祭の犠牲のうちから、その揺祭の胸と挙祭のももを取って、祭司アロンとその子たちに与え、これをイスラエルの人々から永久に彼らの受くべき分とする。 + これは主の火祭のうちから、アロンの受ける分と、その子たちの受ける分とであって、祭司の職をなすため、彼らが主にささげられた日に定められたのである。 + すなわち、これは彼らに油を注ぐ日に、イスラエルの人々が彼らに与えるように、主が命じられたものであって、代々永久に受くべき分である』」。 + これは燔祭、素祭、罪祭、愆祭、任職祭、酬恩祭の犠牲のおきてである。 + すなわち、主がシナイの荒野においてイスラエルの人々にその供え物を主にささげることを命じられた日に、シナイ山でモーセに命じられたものである。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたはアロンとその子たち、およびその衣服、注ぎ油、罪祭の雄牛、雄羊二頭、種入れぬパン一かごを取り、 + また全会衆を会見の幕屋の入口に集めなさい」。 + モーセは主が命じられたようにした。そして会衆は会見の幕屋の入口に集まった。 + そこでモーセは会衆にむかって言った、「これは主があなたがたにせよと命じられたことである」。 + そしてモーセはアロンとその子たちを連れてきて、水で彼らを洗い清め、 + アロンに服を着させ、帯をしめさせ、衣をまとわせ、エポデを着けさせ、エポデの帯をしめさせ、それをもってエポデを身に結いつけ、 + また胸当を着けさせ、その胸当にウリムとトンミムを入れ、 + その頭に帽子をかぶらせ、その帽子の前に金の板、すなわち聖なる冠をつけさせた。主がモーセに命じられたとおりである。 + モーセはまた注ぎ油を取り、幕屋とそのうちのすべての物に油を注いでこれを聖別し、 + かつ、それを七たび祭壇に注ぎ、祭壇とそのもろもろの器、洗盤とその台に油を注いでこれを聖別し、 + また注ぎ油をアロンの頭に注ぎ、彼に油を注いでこれを聖別した。 + モーセはまたアロンの子たちを連れてきて、服を彼らに着させ、帯を彼らにしめさせ、頭巾を頭に巻かせた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた罪祭の雄牛を連れてこさせ、アロンとその子たちは、その罪祭の雄牛の頭に手を置いた。 + モーセはこれをほふり、その血を取り、指をもってその血を祭壇の四すみの角につけて祭壇を清め、また残りの血を祭壇のもとに注いで、これを聖別し、これがためにあがないをした。 + モーセはまたその内臓の上のすべての脂肪、肝臓の小葉、二つの腎臓とその脂肪とを取り、これを祭壇の上で焼いた。 + ただし、その雄牛の皮と肉と汚物は宿営の外で、火をもって焼き捨てた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた燔祭の雄羊を連れてこさせ、アロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置いた。 + モーセはこれをほふって、その血を祭壇の周囲に注ぎかけた。 + そして、モーセはその雄羊を節々に切り分かち、その頭と切り分けたものと脂肪とを焼いた。 + またモーセは水でその内臓と足とを洗い、その雄羊をことごとく祭壇の上で焼いた。これは香ばしいかおりのための燔祭であって、主にささげる火祭である。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまたほかの雄羊、すなわち任職の雄羊を連れてこさせ、アロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置いた。 + モーセはこれをほふり、その血を取って、アロンの右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指とにつけた。 + またモーセはアロンの子たちを連れてきて、その血を彼らの右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指とにつけた。そしてモーセはその残りの血を、祭壇の周囲に注ぎかけた。 + 彼はまたその脂肪、すなわち脂尾、内臓の上のすべての脂肪、肝臓の小葉、二つの腎臓とその脂肪、ならびにその右のももを取り、 + また主の前にある種入れぬパンのかごから種入れぬ菓子一つと、油を入れたパンの菓子一つと、煎餅一つとを取って、かの脂肪と右のももとの上に載せ、 + これをすべてアロンの手と、その子たちの手に渡し、主の前に揺り動かさせて揺祭とした。 + そしてモーセはこれを彼らの手から取り、祭壇の上で燔祭と共に焼いた。これは香ばしいかおりとする任職の供え物であって、主にささげる火祭である。 + そしてモーセはその胸を取り、主の前にこれを揺り動かして揺祭とした。これは任職の雄羊のうちモーセに帰すべき分であった。主がモーセに命じられたとおりである。 + モーセはまた注ぎ油と祭壇の上の血とを取り、これをアロンとその服、またその子たちとその服とに注いで、アロンとその服、およびその子たちと、その服とを聖別した。 + モーセはまたアロンとその子たちに言った、「会見の幕屋の入口でその肉を煮なさい。そして任職祭のかごの中のパンと共に、それをその所で食べなさい。これは『アロンとその子たちが食べなければならない、と言え』とわたしが命じられたとおりである。 + あなたがたはその肉とパンとの残ったものを火で焼き捨てなければならない。 + あなたがたはその任職祭の終る日まで七日の間、会見の幕屋の入口から出てはならない。あなたがたの任職は七日を要するからである。 + きょう行ったように、あなたがたのために、あがないをせよ、と主はお命じになった。 + あなたがたは会見の幕屋の入口に七日の間、日夜とどまり、主の仰せを守って、死ぬことのないようにしなければならない。わたしはそのように命じられたからである」。 + アロンとその子たちは主がモーセによってお命じになったことを、ことごとく行った。 + + + 八日目になって、モーセはアロンとその子たち、およびイスラエルの長老たちを呼び寄せ、 + アロンに言った、「あなたは雄の子牛の全きものを罪祭のために取り、また雄羊の全きものを燔祭のために取って、主の前にささげなさい。 + あなたはまたイスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたは雄やぎを罪祭のために取り、また一歳の全き子牛と小羊とを燔祭のために取りなさい、 + また主の前にささげる酬恩祭のために雄牛と雄羊とを取り、また油を混ぜた素祭を取りなさい。主がきょうあなたがたに現れたもうからである』」。 + 彼らはモーセが命じたものを会見の幕屋の前に携えてきた。会衆がみな近づいて主の前に立ったので、 + モーセは言った、「これは主があなたがたに、せよと命じられたことである。こうして主の栄光はあなたがたに現れるであろう」。 + モーセはまたアロンに言った、「あなたは祭壇に近づき、あなたの罪祭と燔祭をささげて、あなたのため、また民のためにあがないをし、また民の供え物をささげて、彼らのためにあがないをし、すべて主がお命じになったようにしなさい」。 + そこでアロンは祭壇に近づき、自分のための罪祭の子牛をほふった。 + そしてアロンの子たちは、その血を彼のもとに携えてきたので、彼は指をその血に浸し、それを祭壇の角につけ、残りの血を祭壇のもとに注ぎ、 + また罪祭の脂肪と腎臓と肝臓の小葉とを祭壇の上で焼いた。主がモーセに命じられたとおりである。 + またその肉と皮とは宿営の外で火をもって焼き捨てた。 + 彼はまた燔祭の獣をほふり、アロンの子たちがその血を彼に渡したので、これを祭壇の周囲に注ぎかけた。 + 彼らがまた燔祭のもの、すなわち、その切り分けたものと頭とを彼に渡したので、彼はこれを祭壇の上で焼いた。 + またその内臓と足とを洗い、祭壇の上で燔祭と共にこれを焼いた。 + 彼はまた民の供え物をささげた。すなわち、民のための罪祭のやぎを取ってこれをほふり、前のようにこれを罪のためにささげた。 + また燔祭をささげた。すなわち、これを定めのようにささげた。 + また素祭をささげ、そのうちから一握りを取り、朝の燔祭に加えて、これを祭壇の上で焼いた。 + 彼はまた民のためにささげる酬恩祭の犠牲の雄牛と雄羊とをほふり、アロンの子たちが、その血を彼に渡したので、彼はこれを祭壇の周囲に注ぎかけた。 + またその雄牛と雄羊との脂肪、すなわち、脂尾、内臓をおおうもの、腎臓、肝臓の小葉。 + これらの脂肪を彼らはその胸の上に載せて携えてきたので、彼はその脂肪を祭壇の上で焼いた。 + その胸と右のももとは、アロンが主の前に揺り動かして揺祭とした。モーセが命じたとおりである。 + アロンは民にむかって手をあげて、彼らを祝福し、罪祭、燔祭、酬恩祭をささげ終って降りた。 + モーセとアロンは会見の幕屋に入り、また出てきて民を祝福した。そして主の栄光はすべての民に現れ、 + 主の前から火が出て、祭壇の上の燔祭と脂肪とを焼きつくした。民はみな、これを見て喜びよばわり、そしてひれ伏した。 + + + さてアロンの子ナダブとアビフとは、おのおのその香炉を取って火をこれに入れ、薫香をその上に盛って、異火を主の前にささげた。これは主の命令に反することであったので、 + 主の前から火が出て彼らを焼き滅ぼし、彼らは主の前に死んだ。 + その時モーセはアロンに言った、「主は、こう仰せられた。すなわち『わたしは、わたしに近づく者のうちに、わたしの聖なることを示し、すべての民の前に栄光を現すであろう』」。アロンは黙していた。 + モーセはアロンの叔父ウジエルの子ミシヤエルとエルザパンとを呼び寄せて彼らに言った、「近寄って、あなたがたの兄弟たちを聖所の前から、宿営の外に運び出しなさい」。 + 彼らは近寄って、彼らをその服のまま宿営の外に運び出し、モーセの言ったようにした。 + モーセはまたアロンおよびその子エレアザルとイタマルとに言った、「あなたがたは髪の毛を乱し、また衣服を裂いてはならない。あなたがたが死ぬことのないため、また主の怒りが、すべての会衆に及ぶことのないためである。ただし、あなたがたの兄弟イスラエルの全家は、主が火をもって焼き滅ぼしたもうたことを嘆いてもよい。 + また、あなたがたは死ぬことのないように、会見の幕屋の入口から外へ出てはならない。あなたがたの上に主の注ぎ油があるからである」。彼らはモーセの言葉のとおりにした。 + 主はアロンに言われた、 + 「あなたも、あなたの子たちも会見の幕屋にはいる時には、死ぬことのないように、ぶどう酒と濃い酒を飲んではならない。これはあなたがたが代々永く守るべき定めとしなければならない。 + これはあなたがたが聖なるものと俗なるもの、汚れたものと清いものとの区別をすることができるため、 + また主がモーセによって語られたすべての定めを、イスラエルの人々に教えることができるためである」。 + モーセはまたアロンおよびその残っている子エレアザルとイタマルとに言った、「あなたがたは主の火祭のうちから素祭の残りを取り、パン種を入れずに、これを祭壇のかたわらで食べなさい。これはいと聖なる物である。 + これは主の火祭のうちからあなたの受ける分、またあなたの子たちの受ける分であるから、あなたがたはこれを聖なる所で食べなければならない。わたしはこのように命じられたのである。 + また揺り動かした胸とささげたももとは、あなたとあなたのむすこ、娘たちがこれを清い所で食べなければならない。これはイスラエルの人々の酬恩祭の犠牲の中からあなたの分、あなたの子たちの分として与えられるものだからである。 + 彼らはそのささげたももと揺り動かした胸とを、火祭の脂肪と共に携えてきて、これを主の前に揺り動かして揺祭としなければならない。これは主がお命じになったように、長く受くべき分としてあなたと、あなたの子たちとに帰するであろう」。 + さてモーセは罪祭のやぎを、ていねいに捜したが、見よ、それがすでに焼かれていたので、彼は残っているアロンの子エレアザルとイタマルとにむかい、怒って言った、 + 「あなたがたは、なぜ罪祭のものを聖なる所で食べなかったのか。これはいと聖なる物であって、あなたがたが会衆の罪を負って、彼らのために主の前にあがないをするため、あなたがたに賜わった物である。 + 見よ、その血は聖所の中に携え入れなかった。その肉はわたしが命じたように、あなたがたは必ずそれを聖なる所で食べるべきであった」。 + アロンはモーセに言った、「見よ、きょう、彼らはその罪祭と燔祭とを主の前にささげたが、このような事がわたしに臨んだ。もしわたしが、きょう罪祭のものを食べたとしたら、主はこれを良しとせられたであろうか」。 + モーセはこれを聞いて良しとした。 + + + 主はまたモーセとアロンに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『地にあるすべての獣のうち、あなたがたの食べることができる動物は次のとおりである。 + 獣のうち、すべてひずめの分かれたもの、すなわち、ひずめの全く切れたもの、反芻するものは、これを食べることができる。 + ただし、反芻するもの、またはひずめの分かれたもののうち、次のものは食べてはならない。すなわち、らくだ、これは、反芻するけれども、ひずめが分かれていないから、あなたがたには汚れたものである。 + 岩たぬき、これは、反芻するけれども、ひずめが分かれていないから、あなたがたには汚れたものである。 + 野うさぎ、これは、反芻するけれども、ひずめが分かれていないから、あなたがたには汚れたものである。 + 豚、これは、ひずめが分かれており、ひずめが全く切れているけれども、反芻することをしないから、あなたがたには汚れたものである。 + あなたがたは、これらのものの肉を食べてはならない。またその死体に触れてはならない。これらは、あなたがたには汚れたものである。 + 水の中にいるすべてのもののうち、あなたがたの食べることができるものは次のとおりである。すなわち、海でも、川でも、すべて水の中にいるもので、ひれと、うろこのあるものは、これを食べることができる。 + すべて水に群がるもの、またすべての水の中にいる生き物のうち、すなわち、すべて海、また川にいて、ひれとうろこのないものは、あなたがたに忌むべきものである。 + これらはあなたがたに忌むべきものであるから、あなたがたはその肉を食べてはならない。またその死体は忌むべきものとしなければならない。 + すべて水の中にいて、ひれも、うろこもないものは、あなたがたに忌むべきものである。 + 鳥のうち、次のものは、あなたがたに忌むべきものとして、食べてはならない。それらは忌むべきものである。すなわち、はげわし、ひげはげわし、みさご、 + とび、はやぶさの類、 + もろもろのからすの類、 + だちょう、よたか、かもめ、たかの類、 + ふくろう、う、みみずく、 + むらさきばん、ペリカン、はげたか、 + こうのとり、さぎの類、やつがしら、こうもり。 + また羽があって四つの足で歩くすべての這うものは、あなたがたに忌むべきものである。 + ただし、羽があって四つの足で歩くすべての這うもののうち、その足のうえに、跳ね足があり、それで地の上をはねるものは食べることができる。 + すなわち、そのうち次のものは食べることができる。移住いなごの類、遍歴いなごの類、大いなごの類、小いなごの類である。 + しかし、羽があって四つの足で歩く、そのほかのすべての這うものは、あなたがたに忌むべきものである。 + あなたがたは次の場合に汚れたものとなる。すなわち、すべてこれらのものの死体に触れる者は夕まで汚れる。 + すべてこれらのものの死体を運ぶ者は、その衣服を洗わなければならない。彼は夕まで汚れる。 + すべて、ひずめの分かれた獣で、その切れ目の切れていないもの、また、反芻することをしないものは、あなたがたに汚れたものである。すべて、これに触れる者は汚れる。 + すべて四つの足で歩く獣のうち、その足の裏のふくらみで歩くものは皆あなたがたに汚れたものである。すべてその死体に触れる者は夕まで汚れる。 + その死体を運ぶ者は、その衣服を洗わなければならない。彼は夕まで汚れる。これは、あなたがたに汚れたものである。 + 地にはう這うもののうち、次のものはあなたがたに汚れたものである。すなわち、もぐらねずみ、とびねずみ、とげ尾とかげの類、 + やもり、大とかげ、とかげ、すなとかげ、カメレオン。 + もろもろの這うもののうち、これらはあなたがたに汚れたものである。すべてそれらのものが死んで、それに触れる者は夕まで汚れる。 + またそれらのものが死んで、それが落ちかかった物はすべて汚れる。木の器であれ、衣服であれ、皮であれ、袋であれ、およそ仕事に使う器はそれを水に入れなければならない。それは夕まで汚れているが、そののち清くなる。 + またそれらのものが、土の器の中に落ちたならば、その中にあるものは皆汚れる。あなたがたはその器をこわさなければならない。 + またすべてその中にある食物で、水分のあるものは汚れる。またすべてそのような器の中にある飲み物も皆汚れる。 + またそれらのものの死体が落ちかかったならば、その物はすべて汚れる。天火であれ、かまどであれ、それをこわさなければならない。これらは汚れたもので、あなたがたに汚れたものとなる。 + ただし、泉、あるいは水の集まった水たまりは汚れない。しかし、その死体に触れる者は汚れる。 + それらのものの死体が、まく種の上に落ちても、それは汚れない。 + ただし、種の上に水がかかっていて、その上にそれらのものの死体が、落ちるならば、それはあなたがたに汚れたものとなる。 + あなたがたの食べる獣が死んだ時、その死体に触れる者は夕まで汚れる。 + その死体を食べる者は、その衣服を洗わなければならない。夕まで汚れる。その死体を運ぶ者も、その衣服を洗わなければならない。夕まで汚れる。 + すべて地にはう這うものは忌むべきものである。これを食べてはならない。 + すべて腹ばい行くもの、四つ足で歩くもの、あるいは多くの足をもつもの、すなわち、すべて地にはう這うものは、あなたがたはこれを食べてはならない。それらは忌むべきものだからである。 + あなたがたはすべて這うものによって、あなたがたの身を忌むべきものとしてはならない。また、これをもって身を汚し、あるいはこれによって汚されてはならない。 + わたしはあなたがたの神、主であるから、あなたがたはおのれを聖別し、聖なる者とならなければならない。わたしは聖なる者である。地にはう這うものによって、あなたがたの身を汚してはならない。 + わたしはあなたがたの神となるため、あなたがたをエジプトの国から導き上った主である。わたしは聖なる者であるから、あなたがたは聖なる者とならなければならない』」。 + これは獣と鳥と、水の中に動くすべての生き物と、地に這うすべてのものに関するおきてであって、 + 汚れたものと清いもの、食べられる生き物と、食べられない生き物とを区別するものである。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『女がもし身ごもって男の子を産めば、七日のあいだ汚れる。すなわち、月のさわりの日かずほど汚れるであろう。 + 八日目にはその子の前の皮に割礼を施さなければならない。 + その女はなお、血の清めに三十三日を経なければならない。その清めの日の満ちるまでは、聖なる物に触れてはならない。また聖なる所にはいってはならない。 + もし女の子を産めば、二週間、月のさわりと同じように汚れる。その女はなお、血の清めに六十六日を経なければならない。 + 男の子または女の子についての清めの日が満ちるとき、女は燔祭のために一歳の小羊、罪祭のために家ばとのひな、あるいは山ばとを、会見の幕屋の入口の、祭司のもとに、携えてこなければならない。 + 祭司はこれを主の前にささげて、その女のために、あがないをしなければならない。こうして女はその出血の汚れが清まるであろう。これは男の子または女の子を産んだ女のためのおきてである。 + もしその女が小羊に手の届かないときは、山ばと二羽か、家ばとのひな二羽かを取って、一つを燔祭、一つを罪祭とし、祭司はその女のために、あがないをしなければならない。こうして女は清まるであろう』」。 + + + 主はまたモーセとアロンに言われた、 + 「人がその身の皮に腫、あるいは吹出物、あるいは光る所ができ、これがその身の皮にらい病の患部のようになるならば、その人を祭司アロンまたは、祭司なるアロンの子たちのひとりのもとに、連れて行かなければならない。 + 祭司はその身の皮の患部を見、その患部の毛がもし白く変り、かつ患部が、その身の皮よりも深く見えるならば、それはらい病の患部である。祭司は彼を見て、これを汚れた者としなければならない。 + もしまたその身の皮の光る所が白くて、皮よりも深く見えず、また毛も白く変っていないならば、祭司はその患者を七日のあいだ留め置かなければならない。 + 七日目に祭司はこれを見て、もし患部の様子に変りがなく、また患部が皮に広がっていないならば、祭司はその人をさらに七日のあいだ留め置かなければならない。 + 七日目に祭司は再びその人を見て、患部がもし薄らぎ、また患部が皮に広がっていないならば、祭司はこれを清い者としなければならない。これは吹出物である。その人は衣服を洗わなければならない。そして清くなるであろう。 + しかし、その人が祭司に見せて清い者とされた後に、その吹出物が皮に広くひろがるならば、再び祭司にその身を見せなければならない。 + 祭司はこれを見て、その吹出物が皮に広がっているならば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。これはらい病である。 + もし人にらい病の患部があるならば、その人を祭司のもとに連れて行かなければならない。 + 祭司がこれを見て、その皮に白い腫があり、その毛も白く変り、かつその腫に生きた生肉が見えるならば、 + これは古いらい病がその身の皮にあるのであるから、祭司はその人を汚れた者としなければならない。その人は汚れた者であるから、これを留め置くに及ばない。 + もしらい病が広く皮に出て、そのらい病が、その患者の皮を頭から足まで、ことごとくおおい、祭司の見るところすべてに及んでおれば、 + 祭司はこれを見、もしらい病がその身をことごとくおおっておれば、その患者を清い者としなければならない。それはことごとく白く変ったから、彼は清い者である。 + しかし、もし生肉がその人に現れておれば、汚れた者である。 + 祭司はその生肉を見て、その人を汚れた者としなければならない。生肉は汚れたものであって、それはらい病である。 + もしまたその生肉が再び白く変るならば、その人は祭司のもとに行かなければならない。 + 祭司はその人を見て、もしその患部が白く変っておれば、祭司はその患者を清い者としなければならない。その人は清い者である。 + また身の皮に腫物があったが、直って、 + その腫物の場所に白い腫、または赤みをおびた白い光る所があれば、これを祭司に見せなければならない。 + 祭司はこれを見て、もし皮よりも低く見え、その毛が白く変っていれば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。それは腫物に起ったらい病の患部だからである。 + しかし、祭司がこれを見て、もしその所に白い毛がなく、また皮よりも低い所がなく、かえって薄らいでいるならば、祭司はその人を七日のあいだ留め置かなければならない。 + そしてもし皮に広くひろがっているならば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。それは患部だからである。 + しかし、その光る所がもしその所にとどまって広がらなければ、それは腫物の跡である。祭司はその人を清い者としなければならない。 + また身の皮にやけどがあって、そのやけどの生きた肉がもし赤みをおびた白、または、ただ白くて光る所となるならば、 + 祭司はこれを見なければならない。そしてもし、その光る所にある毛が白く変って、そこが皮よりも深く見えるならば、これはやけどに生じたらい病である。祭司はその人を汚れた者としなければならない。これはらい病の患部だからである。 + けれども祭司がこれを見て、その光る所に白い毛がなく、また皮よりも低い所がなく、かえって薄らいでいるならば、祭司はその人を七日のあいだ留め置き、 + 七日目に祭司は彼を見なければならない。もし皮に広くひろがっているならば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。これはらい病の患部だからである。 + もしその光る所が、その所にとどまって、皮に広がらずに、かえって薄らいでいるならば、これはやけどの腫である。祭司はその人を清い者としなければならない。これはやけどの跡だからである。 + 男あるいは女がもし、頭またはあごに患部が生じたならば、 + 祭司はその患部を見なければならない。もしそれが皮よりも深く見え、またそこに黄色の細い毛があるならば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。それはかいせんであって、頭またはあごのらい病だからである。 + また祭司がそのかいせんの患部を見て、もしそれが皮よりも深く見えず、またそこに黒い毛がないならば、祭司はそのかいせんの患者を七日のあいだ留め置き、 + 七日目に祭司はその患部を見なければならない。そのかいせんがもし広がらず、またそこに黄色の毛がなく、そのかいせんが皮よりも深く見えないならば、 + その人は身をそらなければならない。ただし、そのかいせんをそってはならない。祭司はそのかいせんのある者をさらに七日のあいだ留め置き、 + 七日目に祭司はそのかいせんを見なければならない。もしそのかいせんが皮に広がらず、またそれが皮よりも深く見えないならば、祭司はその人を清い者としなければならない。その人はまたその衣服を洗わなければならない。そして清くなるであろう。 + しかし、もし彼が清い者とされた後に、そのかいせんが、皮に広くひろがるならば、 + 祭司はその人を見なければならない。もしそのかいせんが皮に広がっているならば、祭司は黄色の毛を捜すまでもなく、その人は汚れた者である。 + しかし、もしそのかいせんの様子に変りなく、そこに黒い毛が生じているならば、そのかいせんは直ったので、その人は清い。祭司はその人を清い者としなければならない。 + また男あるいは女がもし、その身の皮に光る所、すなわち白い光る所があるならば、 + 祭司はこれを見なければならない。もしその身の皮の光る所が、鈍い白であるならば、これはただ白せんがその皮に生じたのであって、その人は清い。 + 人がもしその頭から毛が抜け落ちても、それがはげならば清い。 + もしその額の毛が抜け落ちても、それが額のはげならば清い。 + けれども、もしそのはげ頭または、はげ額に赤みをおびた白い患部があるならば、それはそのはげ頭または、はげ額にらい病が発したのである。 + 祭司はこれを見なければならない。もしそのはげ頭または、はげ額の患部の腫が白く赤みをおびて、身の皮にらい病があらわれているならば、 + その人はらい病に冒された者であって、汚れた者である。祭司はその人を確かに汚れた者としなければならない。患部が頭にあるからである。 + 患部のあるらい病人は、その衣服を裂き、その頭を現し、その口ひげをおおって『汚れた者、汚れた者』と呼ばわらなければならない。 + その患部が身にある日の間は汚れた者としなければならない。その人は汚れた者であるから、離れて住まなければならない。すなわち、そのすまいは宿営の外でなければならない。 + また衣服にらい病の患部が生じた時は、それが羊毛の衣服であれ、亜麻の衣服であれ、 + あるいは亜麻または羊毛の縦糸であれ、横糸であれ、あるいは皮であれ、皮で作ったどのような物であれ、 + もしその衣服あるいは皮、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいは皮で作ったどのような物であれ、その患部が青みをおびているか、あるいは赤みをおびているならば、これはらい病の患部である。これを祭司に見せなければならない。 + 祭司はその患部を見て、その患部のある物を七日のあいだ留め置き、 + 七日目に患部を見て、もしその衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいは皮、またどのように用いられている皮であれ、患部が広がっているならば、その患部は悪性のらい病であって、それは汚れた物である。 + 彼はその患部のある衣服、あるいは羊毛、または亜麻の縦糸、または横糸、あるいはすべて皮で作った物を焼かなければならない。これは悪性のらい病であるから、その物を火で焼かなければならない。 + しかし、祭司がこれを見て、もし患部がその衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいはすべて皮で作った物に広がっていないならば、 + 祭司は命じて、その患部のある物を洗わせ、さらに七日の間これを留め置かなければならない。 + そしてその患部を洗った後、祭司はそれを見て、もし患部の色が変らなければ、患部が広がらなくても、それは汚れた物である。それが表にあっても裏にあっても腐れであるから、それを火で焼かなければならない。 + しかし、祭司がこれを見て、それを洗った後に、その患部が薄らいだならば、その衣服、あるいは皮、あるいは縦糸、あるいは横糸から、それを切り取らなければならない。 + しかし、なおその衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいはすべて皮で作った物にそれが現れれば、それは再発したのである。その患部のある物を火で焼かなければならない。 + また洗った衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいはすべて皮で作った物から、患部が消え去るならば、再びそれを洗わなければならない。そうすれば清くなるであろう」。 + これは羊毛または亜麻の衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいはすべて皮で作った物に生じるらい病の患部について、それを清い物とし、または汚れた物とするためのおきてである。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「らい病人が清い者とされる時のおきては次のとおりである。すなわち、その人を祭司のもとに連れて行き、 + 祭司は宿営の外に出て行って、その人を見、もしらい病の患部がいえているならば、 + 祭司は命じてその清められる者のために、生きている清い小鳥二羽と、香柏の木と、緋の糸と、ヒソプとを取ってこさせ、 + 祭司はまた命じて、その小鳥の一羽を、流れ水を盛った土の器の上で殺させ、 + そして生きている小鳥を、香柏の木と、緋の糸と、ヒソプと共に取って、これをかの流れ水を盛った土の器の上で殺した小鳥の血に、その生きている小鳥と共に浸し、 + これをらい病から清められる者に七たび注いで、その人を清い者とし、その生きている小鳥は野に放たなければならない。 + 清められる者はその衣服を洗い、毛をことごとくそり落し、水に身をすすいで清くなり、その後、宿営にはいることができる。ただし七日の間はその天幕の外にいなければならない。 + そして七日目に毛をことごとくそらなければならい。頭の毛も、ひげも、まゆも、ことごとくそらなければならない。彼はその衣服を洗い、水に身をすすいで清くなるであろう。 + 八日目にその人は雄の小羊の全きもの二頭と、一歳の雌の小羊の全きもの一頭とを取り、また麦粉十分の三エパに油を混ぜた素祭と、油一ログとを取らなければならない。 + 清めをなす祭司は、清められる人とこれらの物とを、会見の幕屋の入口で主の前に置き、 + 祭司は、かの雄の小羊一頭を取って、これを一ログの油と共に愆祭としてささげ、またこれを主の前に揺り動かして揺祭としなければならない。 + この雄の小羊は罪祭および燔祭をほふる場所、すなわち聖なる所で、これをほふらなければならない。愆祭は罪祭と同じく、祭司に帰するものであって、いと聖なる物である。 + そして祭司はその愆祭の血を取り、これを清められる者の右の耳たぶと、右の手の親指と、右の足の親指とにつけなければならない。 + 祭司はまた一ログの油を取って、これを自分の左の手のひらに注ぎ、 + そして祭司は右の指を左の手のひらにある油に浸し、その指をもって、その油を七たび主の前に注がなければならない。 + 祭司は手のひらにある油の残りを、清められる者の右の耳たぶと、右の手の親指と、右の足の親指とに、さきにつけた愆祭の血の上につけなければならない。 + そして祭司は手のひらになお残っている油を、清められる者の頭につけ、主の前で、その人のためにあがないをしなければならない。 + また祭司は罪祭をささげて、汚れのゆえに、清められねばならぬ者のためにあがないをし、その後、燔祭のものをほふらなければならない。 + そして祭司は燔祭と素祭とを祭壇の上にささげ、その人のために、あがないをしなければならない。こうしてその人は清くなるであろう。 + その人がもし貧しくて、それに手の届かない時は、自分のあがないのために揺り動かす愆祭として、雄の小羊一頭を取り、また素祭として油を混ぜた麦粉十分の一エパと、油一ログとを取り、 + さらにその手の届く山ばと二羽、または家ばとのひな二羽を取らなければならない。その一つは罪祭のため、他の一つは燔祭のためである。 + そして八日目に、その清めのために会見の幕屋の入口におる祭司のもと、主の前にこれを携えて行かなければならない。 + 祭司はその愆祭の雄の小羊と、一ログの油とを取り、これを主の前に揺り動かして揺祭としなければならない。 + そして祭司は愆祭の雄の小羊をほふり、その愆祭の血を取って、これを清められる者の右の耳たぶと、右の手の親指と、右の足の親指とにつけなければならない。 + また祭司はその油を自分の左の手のひらに注ぎ、 + 祭司はその右の指をもって、左の手のひらにある油を、七たび主の前に注がなければならない。 + また祭司はその手のひらにある油を、清められる者の右の耳たぶと、右の手の親指と、右の足の親指とに、すなわち、愆祭の血をつけたところにつけなければならない。 + また祭司は手のひらに残っている油を、清められる者の頭につけ、主の前で、その人のために、あがないをしなければならない。 + その人はその手の届く山ばと一羽、または家ばとのひな一羽をささげなければならない。 + すなわち、その手の届くものの一つを罪祭とし、他の一つを燔祭として素祭と共にささげなければならない。こうして祭司は清められる者のために、主の前にあがないをするであろう。 + これはらい病の患者で、その清めに必要なものに、手の届かない者のためのおきてである」。 + 主はまたモーセとアロンに言われた、 + 「あなたがたに所有として与えるカナンの地に、あなたがたがはいる時、その所有の地において、家にわたしがらい病の患部を生じさせることがあれば、 + その家の持ち主はきて、祭司に告げ、『患部のようなものが、わたしの家にあります』と言わなければならない。 + 祭司は命じて、祭司がその患部を見に行く前に、その家をあけさせ、その家にあるすべての物が汚されないようにし、その後、祭司は、はいってその家を見なければならない。 + その患部を見て、もしその患部が家の壁にあって、青または赤のくぼみをもち、それが壁よりも低く見えるならば、 + 祭司はその家を出て、家の入口にいたり、七日の間その家を閉鎖しなければならない。 + 祭司は七日目に、またきてそれを見、その患部がもし家の壁に広がっているならば、 + 祭司は命じて、その患部のある石を取り出し、町の外の汚れた物を捨てる場所に捨てさせ、 + またその家の内側のまわりを削らせ、その削ったしっくいを町の外の汚れた物を捨てる場所に捨てさせ、 + ほかの石を取って、元の石のところに入れさせ、またほかのしっくいを取って、家を塗らせなければならない。 + このように石を取り出し、家を削り、塗りかえた後に、その患部がもし再び家に出るならば、 + 祭司はまたきて見なければならない。患部がもし家に広がっているならば、これは家にある悪性のらい病であって、これは汚れた物である。 + その家は、こぼち、その石、その木、その家のしっくいは、ことごとく町の外の汚れた物を捨てる場所に運び出さなければならない。 + その家が閉鎖されている日の間に、これにはいる者は夕まで汚れるであろう。 + その家に寝る者はその衣服を洗わなければならない。その家で食する者も、その衣服を洗わなければならない。 + しかし、祭司がはいって見て、もし家を塗りかえた後に、その患部が家に広がっていなければ、これはその患部がいえたのであるから、祭司はその家を清いものとしなければならない。 + また彼はその家を清めるために、小鳥二羽と、香柏の木と、緋の糸と、ヒソプとを取り、 + その小鳥の一羽を流れ水を盛った土の器の上で殺し、 + 香柏の木と、ヒソプと、緋の糸と、生きている小鳥とを取って、その殺した小鳥の血と流れ水に浸し、これを七たび家に注がなければならない。 + こうして祭司は小鳥の血と流れ水と、生きている小鳥と、香柏の木と、ヒソプと、緋の糸とをもって家を清め、 + その生きている小鳥は町の外の野に放して、その家のために、あがないをしなければならない。こうして、それは清くなるであろう」。 + これはらい病のすべての患部、かいせん、 + および衣服と家のらい病、 + ならびに腫と、吹出物と、光る所とに関するおきてであって、 + いつそれが汚れているか、いつそれが清いかを教えるものである。これがらい病に関するおきてである。 + + + 主はまた、モーセとアロンに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『だれでもその肉に流出があれば、その流出は汚れである。 + その流出による汚れは次のとおりである。すなわち、その肉の流出が続いていても、あるいは、その肉の流出が止まっていても、共に汚れである。 + 流出ある者の寝た床はすべて汚れる。またその人のすわった物はすべて汚れるであろう。 + その床に触れる者は、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者のすわった物の上にすわる者は、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者の肉に触れる者は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者のつばきが、清い者にかかったならば、その人は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者の乗った鞍はすべて汚れる。 + また彼の下になった物に触れる者は、すべて夕まで汚れるであろう。またそれらの物を運ぶ者は、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者が、水で手を洗わずに人に触れるならば、その人は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者が触れた土の器は砕かなければならない。木の器はすべて水で洗わなければならない。 + 流出ある者の流出がやんで清くなるならば、清めのために七日を数え、その衣服を洗い、流れ水に身をすすがなければならない。そうして清くなるであろう。 + 八日目に、山ばと二羽、または家ばとのひな二羽を取って、会見の幕屋の入口に行き、主の前に出て、それを祭司に渡さなければならない。 + 祭司はその一つを罪祭とし、他の一つを燔祭としてささげなければならない。こうして祭司はその人のため、その流出のために主の前に、あがないをするであろう。 + 人がもし精を漏らすことがあれば、その全身を水にすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + すべて精のついた衣服および皮で作った物は水で洗わなければならない。これは夕まで汚れるであろう。 + 男がもし女と寝て精を漏らすことがあれば、彼らは共に水に身をすすがなければならない。彼らは夕まで汚れるであろう。 + また女に流出があって、その身の流出がもし血であるならば、その女は七日のあいだ不浄である。すべてその女に触れる者は夕まで汚れるであろう。 + その不浄の間に、その女の寝た物はすべて汚れる。またその女のすわった物も、すべて汚れるであろう。 + すべてその女の床に触れる者は、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + すべてその女のすわった物に触れる者は皆その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + またその女が床の上、またはすわる物の上におる時、それに触れるならば、その人は夕まで汚れるであろう。 + 男がもし、その女と寝て、その不浄を身にうけるならば、彼は七日のあいだ汚れるであろう。また彼の寝た床はすべて汚れるであろう。 + 女にもし、その不浄の時のほかに、多くの日にわたって血の流出があるか、あるいはその不浄の時を越して流出があれば、その汚れの流出の日の間は、すべてその不浄の時と同じように、その女は汚れた者である。 + その流出の日の間に、その女の寝た床は、すべてその女の不浄の時の床と同じようになる。すべてその女のすわった物は、不浄の汚れのように汚れるであろう。 + すべてこれらの物に触れる人は汚れる。その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + しかし、その女の流出がやんで、清くなるならば、自分のために、なお七日を数えなければならない。そして後、清くなるであろう。 + その女は八日目に山ばと二羽、または家ばとのひな二羽を自分のために取り、それを会見の幕屋の入口におる祭司のもとに携えて行かなければならない。 + 祭司はその一つを罪祭とし、他の一つを燔祭としてささげなければならない。こうして祭司はその女のため、その汚れの流出のために主の前に、あがないをするであろう。 + このようにしてあなたがたは、イスラエルの人々を汚れから離さなければならない。これは彼らのうちにあるわたしの幕屋を彼らが汚し、その汚れのために死ぬことのないためである』」。 + これは流出ある者、精を漏らして汚れる者、 + 不浄をわずらう女、ならびに男あるいは女の流出ある者、および不浄の女と寝る者に関するおきてである。 + + + アロンのふたりの子が、主の前に近づいて死んだ後、 + 主はモーセに言われた、「あなたの兄弟アロンに告げて、彼が時をわかたず、垂幕の内なる聖所に入り、箱の上なる贖罪所の前に行かぬようにさせなさい。彼が死を免れるためである。なぜなら、わたしは雲の中にあって贖罪所の上に現れるからである。 + アロンが聖所に、はいるには、次のようにしなければならない。すなわち雄の子牛を罪祭のために取り、雄羊を燔祭のために取り、 + 聖なる亜麻布の服を着、亜麻布のももひきをその身にまとい、亜麻布の帯をしめ、亜麻布の帽子をかぶらなければならない。これらは聖なる衣服である。彼は水に身をすすいで、これを着なければならない。 + またイスラエルの人々の会衆から雄やぎ二頭を罪祭のために取り、雄羊一頭を燔祭のために取らなければならない。 + そしてアロンは自分のための罪祭の雄牛をささげて、自分と自分の家族のために、あがないをしなければならない。 + アロンはまた二頭のやぎを取り、それを会見の幕屋の入口で主の前に立たせ、 + その二頭のやぎのために、くじを引かなければならない。すなわち一つのくじは主のため、一つのくじはアザゼルのためである。 + そしてアロンは主のためのくじに当ったやぎをささげて、これを罪祭としなければならない。 + しかし、アザゼルのためのくじに当ったやぎは、主の前に生かしておき、これをもって、あがないをなし、これをアザゼルのために、荒野に送らなければならない。 + すなわち、アロンは自分のための罪祭の雄牛をささげて、自分と自分の家族のために、あがないをしなければならない。彼は自分のための罪祭の雄牛をほふり、 + 主の前の祭壇から炭火を満たした香炉と、細かくひいた香ばしい薫香を両手いっぱい取って、これを垂幕の内に携え入り、 + 主の前で薫香をその火にくべ、薫香の雲に、あかしの箱の上なる贖罪所をおおわせなければならない。こうして、彼は死を免れるであろう。 + 彼はまたその雄牛の血を取り、指をもってこれを贖罪所の東の面に注ぎ、また指をもってその血を贖罪所の前に、七たび注がなければならない。 + また民のための罪祭のやぎをほふり、その血を垂幕の内に携え入り、その血をかの雄牛の血のように、贖罪所の上と、贖罪所の前に注ぎ、 + イスラエルの人々の汚れと、そのとが、すなわち、彼らのもろもろの罪のゆえに、聖所のためにあがないをしなければならない。また彼らの汚れのうちに、彼らと共にある会見の幕屋のためにも、そのようにしなければならない。 + 彼が聖所であがないをするために、はいった時は、自分と自分の家族と、イスラエルの全会衆とのために、あがないをなし終えて出るまで、だれも会見の幕屋の内にいてはならない。 + そして彼は主の前の祭壇のもとに出てきて、これがために、あがないをしなければならない、すなわち、かの雄牛の血と、やぎの血とを取って祭壇の四すみの角につけ、 + また指をもって七たびその血をその上に注ぎ、イスラエルの人々の汚れを除いてこれを清くし、聖別しなければならない。 + こうして聖所と会見の幕屋と祭壇とのために、あがないをなし終えたとき、かの生きているやぎを引いてこなければならない。 + そしてアロンは、その生きているやぎの頭に両手をおき、イスラエルの人々のもろもろの悪と、もろもろのとが、すなわち、彼らのもろもろの罪をその上に告白して、これをやぎの頭にのせ、定めておいた人の手によって、これを荒野に送らなければならない。 + こうしてやぎは彼らのもろもろの悪をになって、人里離れた地に行くであろう。すなわち、そのやぎを荒野に送らなければならない。 + そして、アロンは会見の幕屋に入り、聖所に入る時に着た亜麻布の衣服を脱いで、そこに置き、 + 聖なる所で水に身をすすぎ、他の衣服を着、出てきて、自分の燔祭と民の燔祭とをささげて、自分のため、また民のために、あがないをしなければならない。 + また罪祭の脂肪を祭壇の上で焼かなければならない。 + かのやぎをアザゼルに送った者は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。その後、宿営に入ることができる。 + 聖所で、あがないをするために、その血を携え入れられた罪祭の雄牛と、罪祭のやぎとは、宿営の外に携え出し、その皮と肉と汚物とは、火で焼き捨てなければならない。 + これを焼く者は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。その後、宿営に入ることができる。 + これはあなたがたが永久に守るべき定めである。すなわち、七月になって、その月の十日に、あなたがたは身を悩まし、何の仕事もしてはならない。この国に生れた者も、あなたがたのうちに宿っている寄留者も、そうしなければならない。 + この日にあなたがたのため、あなたがたを清めるために、あがないがなされ、あなたがたは主の前に、もろもろの罪が清められるからである。 + これはあなたがたの全き休みの安息日であって、あなたがたは身を悩まさなければならない。これは永久に守るべき定めである。 + 油を注がれ、父に代って祭司の職に任じられる祭司は、亜麻布の衣服、すなわち、聖なる衣服を着て、あがないをしなければならない。 + 彼は至聖所のために、あがないをなし、また会見の幕屋のためと、祭壇のために、あがないをなし、また祭司たちのためと、民の全会衆のために、あがないをしなければならない。 + これはあなたがたの永久に守るべき定めであって、イスラエルの人々のもろもろの罪のために、年に一度あがないをするものである」。彼は主がモーセに命じられたとおりにおこなった。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たち、およびイスラエルのすべての人々に言いなさい、『主が命じられることはこれである。すなわち + イスラエルの家のだれでも、牛、羊あるいは、やぎを宿営の内でほふり、または宿営の外でほふり、 + それを会見の幕屋の入口に携えてきて主の幕屋の前で、供え物として主にささげないならば、その人は血を流した者とみなされる。彼は血を流したゆえ、その民のうちから断たれるであろう。 + これはイスラエルの人々に、彼らが野のおもてでほふるのを常としていた犠牲を主のもとにひいてこさせ、会見の幕屋の入口におる祭司のもとにきて、これを主にささげる酬恩祭の犠牲としてほふらせるためである。 + 祭司はその血を会見の幕屋の入口にある主の祭壇に注ぎかけ、またその脂肪を焼いて香ばしいかおりとし、主にささげなければならない。 + 彼らが慕って姦淫をおこなったみだらな神に、再び犠牲をささげてはならない。これは彼らが代々ながく守るべき定めである』。 + あなたはまた彼らに言いなさい、『イスラエルの家の者、またはあなたがたのうちに宿る寄留者のだれでも、燔祭あるいは犠牲をささげるのに、 + これを会見の幕屋の入口に携えてきて、主にささげないならば、その人は、その民のうちから断たれるであろう。 + イスラエルの家の者、またはあなたがたのうちに宿る寄留者のだれでも、血を食べるならば、わたしはその血を食べる人に敵して、わたしの顔を向け、これをその民のうちから断つであろう。 + 肉の命は血にあるからである。あなたがたの魂のために祭壇の上で、あがないをするため、わたしはこれをあなたがたに与えた。血は命であるゆえに、あがなうことができるからである。 + このゆえに、わたしはイスラエルの人々に言った。あなたがたのうち、だれも血を食べてはならない。またあなたがたのうちに宿る寄留者も血を食べてはならない。 + イスラエルの人々のうち、またあなたがたのうちに宿る寄留者のうち、だれでも、食べてもよい獣あるいは鳥を狩り獲た者は、その血を注ぎ出し、土でこれをおおわなければならない。 + すべて肉の命は、その血と一つだからである。それで、わたしはイスラエルの人々に言った。あなたがたは、どんな肉の血も食べてはならない。すべて肉の命はその血だからである。すべて血を食べる者は断たれるであろう。 + 自然に死んだもの、または裂き殺されたものを食べる人は、国に生れた者であれ、寄留者であれ、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れているが、その後、清くなるであろう。 + もし、洗わず、また身をすすがないならば、彼はその罪を負わなければならない』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたの住んでいたエジプトの国の習慣を見習ってはならない。またわたしがあなたがたを導き入れるカナンの国の習慣を見習ってはならない。また彼らの定めに歩んではならない。 + わたしのおきてを行い、わたしの定めを守り、それに歩まなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたはわたしの定めとわたしのおきてを守らなければならない。もし人が、これを行うならば、これによって生きるであろう。わたしは主である。 + あなたがたは、だれも、その肉親の者に近づいて、これを犯してはならない。わたしは主である。 + あなたの母を犯してはならない。それはあなたの父をはずかしめることだからである。彼女はあなたの母であるから、これを犯してはならない。 + あなたの父の妻を犯してはならない。それはあなたの父をはずかしめることだからである。 + あなたの姉妹、すなわちあなたの父の娘にせよ、母の娘にせよ、家に生れたのと、よそに生れたのとを問わず、これを犯してはならない。 + あなたのむすこの娘、あるいは、あなたの娘の娘を犯してはならない。それはあなた自身をはずかしめることだからである。 + あなたの父の妻があなたの父によって産んだ娘は、あなたの姉妹であるから、これを犯してはならない。 + あなたの父の姉妹を犯してはならない。彼女はあなたの父の肉親だからである。 + またあなたの母の姉妹を犯してはならない。彼女はあなたの母の肉親だからである。 + あなたの父の兄弟の妻を犯し、父の兄弟をはずかしめてはならない。彼女はあなたのおばだからである。 + あなたの嫁を犯してはならない。彼女はあなたのむすこの妻であるから、これを犯してはならない。 + あなたの兄弟の妻を犯してはならない。それはあなたの兄弟をはずかしめることだからである。 + あなたは女とその娘とを一緒に犯してはならない。またその女のむすこの娘、またはその娘の娘を取って、これを犯してはならない。彼らはあなたの肉親であるから、これは悪事である。 + あなたは妻のなお生きているうちにその姉妹を取って、同じく妻となし、これを犯してはならない。 + あなたは月のさわりの不浄にある女に近づいて、これを犯してはならない。 + 隣の妻と交わり、彼女によって身を汚してはならない。 + あなたの子どもをモレクにささげてはならない。またあなたの神の名を汚してはならない。わたしは主である。 + あなたは女と寝るように男と寝てはならない。これは憎むべきことである。 + あなたは獣と交わり、これによって身を汚してはならない。また女も獣の前に立って、これと交わってはならない。これは道にはずれたことである。 + あなたがたはこれらのもろもろの事によって身を汚してはならない。わたしがあなたがたの前から追い払う国々の人は、これらのもろもろの事によって汚れ、 + その地もまた汚れている。ゆえに、わたしはその悪のためにこれを罰し、その地もまたその住民を吐き出すのである。 + ゆえに、あなたがたはわたしの定めとわたしのおきてを守り、これらのもろもろの憎むべき事の一つでも行ってはならない。国に生れた者も、あなたがたのうちに宿っている寄留者もそうである。 + あなたがたの先にいたこの地の人々は、これらのもろもろの憎むべき事を行ったので、その地も汚れたからである。 + これは、あなたがたがこの地を汚して、この地があなたがたの先にいた民を吐き出したように、あなたがたをも吐き出すことのないためである。 + これらのもろもろの憎むべき事の一つでも行う者があれば、これを行う人は、だれでもその民のうちから断たれるであろう。 + それゆえに、あなたがたはわたしの言いつけを守り、先に行われたこれらの憎むべき風習の一つをも行ってはならない。またこれによって身を汚してはならない。わたしはあなたがたの神、主である』」。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々の全会衆に言いなさい、『あなたがたの神、主なるわたしは、聖であるから、あなたがたも聖でなければならない。 + あなたがたは、おのおのその母とその父とをおそれなければならない。またわたしの安息日を守らなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + むなしい神々に心を寄せてはならない。また自分のために神々を鋳て造ってはならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + 酬恩祭の犠牲を主にささげるときは、あなたがたが受け入れられるように、それをささげなければならない。 + それは、ささげた日と、その翌日とに食べ、三日目まで残ったものは、それを火で焼かなければならない。 + もし三日目に、少しでも食べるならば、それは忌むべきものとなって、あなたは受け入れられないであろう。 + それを食べる者は、主の聖なる物を汚すので、そのとがを負わなければならない。その人は民のうちから断たれるであろう。 + あなたがたの地の実のりを刈り入れるときは、畑のすみずみまで刈りつくしてはならない。またあなたの刈入れの落ち穂を拾ってはならない。 + あなたのぶどう畑の実を取りつくしてはならない。またあなたのぶどう畑に落ちた実を拾ってはならない。貧しい者と寄留者とのために、これを残しておかなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは盗んではならない。欺いてはならない。互に偽ってはならない。 + わたしの名により偽り誓って、あなたがたの神の名を汚してはならない。わたしは主である。 + あなたの隣人をしえたげてはならない。また、かすめてはならない。日雇人の賃銀を明くる朝まで、あなたのもとにとどめておいてはならない。 + 耳しいを、のろってはならない。目しいの前につまずく物を置いてはならない。あなたの神を恐れなければならない。わたしは主である。 + さばきをするとき、不正を行ってはならない。貧しい者を片よってかばい、力ある者を曲げて助けてはならない。ただ正義をもって隣人をさばかなければならない。 + 民のうちを行き巡って、人の悪口を言いふらしてはならない。あなたの隣人の血にかかわる偽証をしてはならない。わたしは主である。 + あなたは心に兄弟を憎んではならない。あなたの隣人をねんごろにいさめて、彼のゆえに罪を身に負ってはならない。 + あなたはあだを返してはならない。あなたの民の人々に恨みをいだいてはならない。あなた自身のようにあなたの隣人を愛さなければならない。わたしは主である。 + あなたがたはわたしの定めを守らなければならない。あなたの家畜に異なった種をかけてはならない。あなたの畑に二種の種をまいてはならない。二種の糸の混ぜ織りの衣服を身につけてはならない。 + だれでも、人と婚約のある女奴隷で、まだあがなわれず、自由を与えられていない者と寝て交わったならば、彼らふたりは罰を受ける。しかし、殺されることはない。彼女は自由の女ではないからである。 + しかし、その男は愆祭を主に携えてこなければならない。すなわち、愆祭の雄羊を、会見の幕屋の入口に連れてこなければならない。 + そして、祭司は彼の犯した罪のためにその愆祭の雄羊をもって、主の前に彼のために、あがないをするであろう。こうして彼の犯した罪はゆるされるであろう。 + あなたがたが、かの地にはいって、もろもろのくだものの木を植えるときは、その実はまだ割礼をうけないものと、見なさなければならない。すなわち、それは三年の間あなたがたには、割礼のないものであって、食べてはならない。 + 四年目には、そのすべての実を聖なる物とし、それをさんびの供え物として主にささげなければならない。 + しかし五年目には、あなたがたはその実を食べることができるであろう。こうするならば、それはあなたがたのために、多くの実を結ぶであろう。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは何をも血のままで食べてはならない。また占いをしてはならない。魔法を行ってはならない。 + あなたがたのびんの毛を切ってはならない。ひげの両端をそこなってはならない。 + 死人のために身を傷つけてはならない。また身に入墨をしてはならない。わたしは主である。 + あなたの娘に遊女のわざをさせて、これを汚してはならない。これはみだらな事が国に行われ、悪事が地に満ちないためである。 + あなたがたはわたしの安息日を守り、わたしの聖所を敬わなければならない。わたしは主である。 + あなたがたは口寄せ、または占い師のもとにおもむいてはならない。彼らに問うて汚されてはならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたは白髪の人の前では、起立しなければならない。また老人を敬い、あなたの神を恐れなければならない。わたしは主である。 + もし他国人があなたがたの国に寄留して共にいるならば、これをしえたげてはならない。 + あなたがたと共にいる寄留の他国人を、あなたがたと同じ国に生れた者のようにし、あなた自身のようにこれを愛さなければならない。あなたがたもかつてエジプトの国で他国人であったからである。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは、さばきにおいても、物差しにおいても、はかりにおいても、ますにおいても、不正を行ってはならない。 + あなたがたは正しいてんびん、正しいおもり石、正しいエパ、正しいヒンを使わなければならない。わたしは、あなたがたをエジプトの国から導き出したあなたがたの神、主である。 + あなたがたはわたしのすべての定めと、わたしのすべてのおきてを守って、これを行わなければならない。わたしは主である』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『イスラエルの人々のうち、またイスラエルのうちに寄留する他国人のうち、だれでもその子供をモレクにささげる者は、必ず殺されなければならない。すなわち、国の民は彼を石で撃たなければならない。 + わたしは顔をその人に向け、彼を民のうちから断つであろう。彼がその子供をモレクにささげてわたしの聖所を汚し、またわたしの聖なる名を汚したからである。 + その人が子供をモレクにささげるとき、国の民がもしことさらに、この事に目をおおい、これを殺さないならば、 + わたし自身、顔をその人とその家族とに向け、彼および彼に見ならってモレクを慕い、これと姦淫する者を、すべて民のうちから断つであろう。 + もし口寄せ、または占い師のもとにおもむき、彼らを慕って姦淫する者があれば、わたしは顔をその人に向け、これを民のうちから断つであろう。 + ゆえにあなたがたは、みずからを聖別し、聖なる者とならなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたはわたしの定めを守って、これを行わなければならない。わたしはあなたがたを聖別する主である。 + だれでも父または母をのろう者は、必ず殺されなければならない。彼が父または母をのろったので、その血は彼に帰するであろう。 + 人の妻と姦淫する者、すなわち隣人の妻と姦淫する者があれば、その姦夫、姦婦は共に必ず殺されなければならない。 + その父の妻と寝る者は、その父をはずかしめる者である。彼らはふたりとも必ず殺されなければならない。その血は彼らに帰するであろう。 + 子の妻と寝る者は、ふたり共に必ず殺されなければならない。彼らは道ならぬことをしたので、その血は彼らに帰するであろう。 + 女と寝るように男と寝る者は、ふたりとも憎むべき事をしたので、必ず殺されなければならない。その血は彼らに帰するであろう。 + 女をその母と一緒にめとるならば、これは悪事であって、彼も、女たちも火に焼かれなければならない。このような悪事をあなたがたのうちになくするためである。 + 男がもし、獣と寝るならば彼は必ず殺されなければならない。あなたがたはまた、その獣を殺さなければならない。 + 女がもし、獣に近づいて、これと寝るならば、あなたは、その女と獣とを殺さなければならない。彼らは必ず殺さるべきである。その血は彼らに帰するであろう。 + 人がもし、その姉妹、すなわち父の娘、あるいは母の娘に近づいて、その姉妹のはだを見、女はその兄弟のはだを見るならば、これは恥ずべき事である。彼らは、その民の人々の目の前で、断たれなければならない。彼は、その姉妹を犯したのであるから、その罪を負わなければならない。 + 人がもし、月のさわりのある女と寝て、そのはだを現すならば、男は女の源を現し、女は自分の血の源を現したのであるから、ふたり共にその民のうちから断たれなければならない。 + あなたの母の姉妹、またはあなたの父の姉妹を犯してはならない。これは、自分の肉親の者を犯すことであるから、彼らはその罪を負わなければならない。 + 人がもし、そのおばと寝るならば、これはおじをはずかしめることであるから、彼らはその罪を負い、子なくして死ぬであろう。 + 人がもし、その兄弟の妻を取るならば、これは汚らわしいことである。彼はその兄弟をはずかしめたのであるから、彼らは子なき者となるであろう。 + あなたがたはわたしの定めとおきてとをことごとく守って、これを行わなければならない。そうすれば、わたしがあなたがたを住まわせようと導いて行く地は、あなたがたを吐き出さぬであろう。 + あなたがたの前からわたしが追い払う国びとの風習に、あなたがたは歩んではならない。彼らは、このもろもろのことをしたから、わたしは彼らを憎むのである。 + わたしはあなたがたに言った、「あなたがたは、彼らの地を獲るであろう。わたしはこれをあなたがたに与えて、これを獲させるであろう。これは乳と蜜との流れる地である」。わたしはあなたがたを他の民から区別したあなたがたの神、主である。 + あなたがたは清い獣と汚れた獣、汚れた鳥と清い鳥を区別しなければならない。わたしがあなたがたのために汚れたものとして区別した獣、または鳥またはすべて地を這うものによって、あなたがたの身を忌むべきものとしてはならない。 + あなたがたはわたしに対して聖なる者でなければならない。主なるわたしは聖なる者で、あなたがたをわたしのものにしようと、他の民から区別したからである。 + 男または女で、口寄せ、または占いをする者は、必ず殺されなければならない。すなわち、石で撃ち殺さなければならない。その血は彼らに帰するであろう』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、「アロンの子なる祭司たちに告げて言いなさい、『民のうちの死人のために、身を汚す者があってはならない。 + ただし、近親の者、すなわち、父、母、むすこ、娘、兄弟のため、 + また彼の近親で、まだ夫のない処女なる姉妹のためには、その身を汚してもよい。 + しかし、夫にとついだ姉妹のためには、身を汚してはならない。 + 彼らは頭の頂をそってはならない。ひげの両端をそり落してはならない。また身に傷をつけてはならない。 + 彼らは神に対して聖でなければならない。また神の名を汚してはならない。彼らは主の火祭、すなわち、神の食物をささげる者であるから、聖でなければならない。 + 彼らは遊女や汚れた女をめとってはならない。また夫に出された女をめとってはならない。祭司は神に対して聖なる者だからである。 + あなたは彼を聖としなければならない。彼はあなたの神の食物をささげる者だからである。彼はあなたにとって聖なる者でなければならない。あなたがたを聖とする主、すなわち、わたしは聖なる者だからである。 + 祭司の娘である者が、淫行をなして、その身を汚すならば、その父を汚すのであるから、彼女を火で焼かなければならない。 + その兄弟のうち、頭に注ぎ油を注がれ、職に任ぜられて、その衣服をつけ、大祭司となった者は、その髪の毛を乱してはならない。またその衣服を裂いてはならない。 + 死人のところに、はいってはならない。また父のためにも母のためにも身を汚してはならない。 + また聖所から出てはならない。神の聖所を汚してはならない。その神の注ぎ油による聖別が、彼の上にあるからである。わたしは主である。 + 彼は処女を妻にめとらなければならない。 + 寡婦、出された女、汚れた女、遊女などをめとってはならない。ただ、自分の民のうちの処女を、妻にめとらなければならない。 + そうすれば、彼は民のうちに、自分の子孫を汚すことはない。わたしは彼を聖別する主だからである』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンに告げて言いなさい、『あなたの代々の子孫で、だれでも身にきずのある者は近寄って、神の食物をささげてはならない。 + すべて、その身にきずのある者は近寄ってはならない。すなわち、目しい、足なえ、鼻のかけた者、手足の不つりあいの者、 + 足の折れた者、手の折れた者、 + せむし、こびと、目にきずのある者、かいせんの者、かさぶたのある者、こうがんのつぶれた者などである。 + すべて祭司アロンの子孫のうち、身にきずのある者は近寄って、主の火祭をささげてはならない。彼は身にきずがあるから、神の食物をささげるために、近寄ってはならない。 + 彼は神の食物の聖なる物も、最も聖なる物も食べることができる。 + ただし、垂幕に近づいてはならない。また祭壇に近寄ってはならない。身にきずがあるからである。彼はわたしの聖所を汚してはならない。わたしはそれを聖別する主である』」。 + モーセはこれをアロンとその子ら及びイスラエルのすべての人々に告げた。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちに告げて、イスラエルの人々の聖なる物、すなわち、彼らがわたしにささげる物をみだりに用いて、わたしの聖なる名を汚さないようにさせなさい。わたしは主である。 + 彼らに言いなさい、『あなたがたの代々の子孫のうち、だれでも、イスラエルの人々が主にささげる聖なる物に、汚れた身をもって近づく者があれば、その人はわたしの前から断たれるであろう。わたしは主である。 + アロンの子孫のうち、だれでも、らい病の者、また流出ある者は清くなるまで、聖なる物を食べてはならない。また、すべて死体によって汚れた物に触れた者、精を漏らした者、 + または、すべて人を汚す這うものに触れた者、または、どのような汚れにせよ、人を汚れさせる人に触れた者、 + このようなものに触れた人は夕まで汚れるであろう。彼はその身を水にすすがないならば、聖なる物を食べてはならない。 + 日が入れば、彼は清くなるであろう。そののち、聖なる物を食べることができる。それは彼の食物だからである。 + 自然に死んだもの、または裂き殺されたものを食べ、それによって身を汚してはならない。わたしは主である。 + それゆえに、彼らはわたしの言いつけを守らなければならない。彼らがこれを汚し、これがために、罪を獲て死ぬことのないためである。わたしは彼らを聖別する主である。 + すべて一般の人は聖なる物を食べてはならない。祭司の同居人や雇人も聖なる物を食べてはならない。 + しかし、祭司が金をもって人を買った時は、その者はこれを食べることができる。またその家に生れた者も祭司の食物を食べることができる。 + もし祭司の娘が一般の人にとついだならば、彼女は聖なる供え物を食べてはならない。 + もし祭司の娘が、寡婦となり、または出されて、子供もなく、その父の家に帰り、娘の時のようであれば、その父の食物を食べることができる。ただし、一般の人は、すべてこれを食べてはならない。 + もし人があやまって聖なる物を食べるならば、それにその五分の一を加え、聖なる物としてこれを祭司に渡さなければならない。 + 祭司はイスラエルの人々が、主にささげる聖なる物を汚してはならない。 + 人々が聖なる物を食べて、その罪のとがを負わないようにさせなければならない。わたしは彼らを聖別する主である』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たち、およびイスラエルのすべての人々に言いなさい、『イスラエルの家の者、またはイスラエルにおる他国人のうちのだれでも、誓願の供え物、または自発の供え物を燔祭として主にささげようとするならば、 + あなたがたの受け入れられるように牛、羊、あるいはやぎの雄の全きものをささげなければならない。 + すべてきずのあるものはささげてはならない。それはあなたがたのために、受け入れられないからである。 + もし人が特別の誓願をなすため、または自発の供え物のために、牛または羊を酬恩祭の犠牲として、主にささげようとするならば、その受け入れられるために、それは全きものでなければならない。それには、どんなきずもあってはならない。 + すなわち獣のうちで、めくらのもの、折れた所のあるもの、切り取った所のあるもの、うみの出る者、かいせんの者、かさぶたのある者など、あなたがたは、このようなものを主にささげてはならない。また祭壇の上に、これらを火祭として、主にささげてはならない。 + 牛あるいは羊で、足の長すぎる者、または短すぎる者は、あなたがたが自発の供え物とすることはできるが、誓願の供え物としては受け入れられないであろう。 + あなたがたは、こうがんの破れたもの、つぶれたもの、裂けたもの、または切り取られたものを、主にささげてはならない。またあなたがたの国のうちで、このようなことを、行ってはならない。 + また、あなたがたは異邦人の手からこれらのものを受けて、あなたがたの神の食物としてささげてはならない。これらのものには欠点があり、きずがあって、あなたがたのために受け入れられないからである』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「牛、または羊、またはやぎが生れたならば、これを七日の間その母親のもとに置かなければならない。八日目からは主にささげる火祭として受け入れられるであろう。 + あなたがたは雌牛または雌羊をその子と同じ日にほふってはならない。 + あなたがたが感謝の犠牲を主にささげるときは、あなたがたの受け入れられるようにささげなければならない。 + これはその日のうちに食べなければならない。明くる日まで残しておいてはならない。わたしは主である。 + あなたがたはわたしの戒めを守り、これを行わなければならない。わたしは主である。 + あなたがたはわたしの聖なる名を汚してはならない。かえって、わたしはイスラエルの人々のうちに聖とされなければならない。わたしはあなたがたを聖別する主である。 + あなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの国から導き出した者である。わたしは主である」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたが、ふれ示して聖会とすべき主の定めの祭は次のとおりである。これらはわたしの定めの祭である。 + 六日の間は仕事をしなければならない。第七日は全き休みの安息日であり、聖会である。どのような仕事もしてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて守るべき主の安息日である。 + その時々に、あなたがたが、ふれ示すべき主の定めの祭なる聖会は次のとおりである。 + 正月の十四日の夕は主の過越の祭である。 + またその月の十五日は主の種入れぬパンの祭である。あなたがたは七日の間は種入れぬパンを食べなければならない。 + その初めの日に聖会を開かなければならない。どんな労働もしてはならない。 + あなたがたは七日の間、主に火祭をささげなければならない。第七日には、また聖会を開き、どのような労働もしてはならない』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『わたしが与える地にはいって穀物を刈り入れるとき、あなたがたは穀物の初穂の束を、祭司のところへ携えてこなければならない。 + 彼はあなたがたの受け入れられるように、その束を主の前に揺り動かすであろう。すなわち、祭司は安息日の翌日に、これを揺り動かすであろう。 + またその束を揺り動かす日に、一歳の雄の小羊の全きものを燔祭として主にささげなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉十分の二エパを用い、これを主にささげて火祭とし、香ばしいかおりとしなければならない。またその灌祭には、ぶどう酒一ヒンの四分の一を用いなければならない。 + あなたがたの神にこの供え物をささげるその日まで、あなたがたはパンも、焼麦も、新穀も食べてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて、代々ながく守るべき定めである。 + また安息日の翌日、すなわち、揺祭の束をささげた日から満七週を数えなければならない。 + すなわち、第七の安息日の翌日までに、五十日を数えて、新穀の素祭を主にささげなければならない。 + またあなたがたのすまいから、十分の二エパの麦粉に種を入れて焼いたパン二個を携えてきて揺祭としなければならない。これは初穂として主にささげるものである。 + あなたがたはまたパンのほかに、一歳の全き小羊七頭と、若き雄牛一頭と、雄羊二頭をささげなければならない。すなわち、これらをその素祭および灌祭とともに主にささげて燔祭としなければならない。これは火祭であって、主に香ばしいかおりとなるであろう。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげ、一歳の小羊二頭を酬恩祭の犠牲としてささげなければならない。 + そして祭司はその初穂のパンと共に、この二頭の小羊を主の前に揺祭として揺り動かさなければならない。これらは主にささげる聖なる物であって、祭司に帰するであろう。 + あなたがたは、その日にふれ示して、聖会を開かなければならない。どのような労働もしてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて、代々ながく守るべき定めである。 + あなたがたの地の穀物を刈り入れるときは、その刈入れにあたって、畑のすみずみまで刈りつくしてはならない。またあなたの穀物の落ち穂を拾ってはならない。貧しい者と寄留者のために、それを残しておかなければならない。わたしはあなたがたの神、主である』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『七月一日をあなたがたの安息の日とし、ラッパを吹き鳴らして記念する聖会としなければならない。 + どのような労働もしてはならない。しかし、主に火祭をささげなければならない』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「特にその七月の十日は贖罪の日である。あなたがたは聖会を開き、身を悩まし、主に火祭をささげなければならない。 + その日には、どのような仕事もしてはならない。これはあなたがたのために、あなたがたの神、主の前にあがないをなすべき贖罪の日だからである。 + すべてその日に身を悩まさない者は、民のうちから断たれるであろう。 + またすべてその日にどのような仕事をしても、その人をわたしは民のうちから滅ぼし去るであろう。 + あなたがたはどのような仕事もしてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて、代々ながく守るべき定めである。 + これはあなたがたの全き休みの安息日である。あなたがたは身を悩まさなければならない。またその月の九日の夕には、その夕から次の夕まで安息を守らなければならない」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『その七月の十五日は仮庵の祭である。七日の間、主の前にそれを守らなければならない。 + 初めの日に聖会を開かなければならない。どのような労働もしてはならない。 + また七日の間、主に火祭をささげなければならない。八日目には聖会を開き、主に火祭をささげなければならない。これは聖会の日であるから、どのような労働もしてはならない。 + これらは主の定めの祭であって、あなたがたがふれ示して聖会とし、主に火祭すなわち、燔祭、素祭、犠牲および灌祭を、そのささぐべき日にささげなければならない。 + このほかに主の安息日があり、またほかに、あなたがたのささげ物があり、またほかに、あなたがたのもろもろの誓願の供え物があり、またそのほかに、あなたがたのもろもろの自発の供え物がある。これらは皆あなたがたが主にささげるものである。 + あなたがたが、地の産物を集め終ったときは、七月の十五日から七日のあいだ、主の祭を守らなければならない。すなわち、初めの日にも安息をし、八日目にも安息をしなければならない。 + 初めの日に、美しい木の実と、なつめやしの枝と、茂った木の枝と、谷のはこやなぎの枝を取って、七日の間あなたがたの神、主の前に楽しまなければならない。 + あなたがたは年に七日の間、主にこの祭を守らなければならない。これはあなたがたの代々ながく守るべき定めであって、七月にこれを守らなければならない。 + あなたがたは七日の間、仮庵に住み、イスラエルで生れた者はみな仮庵に住まなければならない。 + これはわたしがイスラエルの人々をエジプトの国から導き出したとき、彼らを仮庵に住まわせた事を、あなたがたの代々の子孫に知らせるためである。わたしはあなたがたの神、主である』」。 + モーセは主の定めの祭をイスラエルの人々に告げた。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて、オリブを砕いて採った純粋の油を、ともしびのためにあなたの所へ持ってこさせ、絶えずともしびをともさせなさい。 + すなわち、アロンは会見の幕屋のうちのあかしの垂幕の外で、夕から朝まで絶えず、そのともしびを主の前に整えなければならない。これはあなたがたが代々ながく守るべき定めである。 + 彼は純金の燭台の上に、そのともしびを絶えず主の前に整えなければならない。 + あなたは麦粉を取り、それで十二個の菓子を焼かなければならない。菓子一個に麦粉十分の二エパを用いなければならない。 + そしてそれを主の前の純金の机の上に、ひと重ね六個ずつ、ふた重ねにして置かなければならない。 + あなたはまた、おのおのの重ねの上に、純粋の乳香を置いて、そのパンの記念の分とし、主にささげて火祭としなければならない。 + 安息日ごとに絶えず、これを主の前に整えなければならない。これはイスラエルの人々のささぐべきものであって、永遠の契約である。 + これはアロンとその子たちに帰する。彼らはこれを聖なる所で食べなければならない。これはいと聖なる物であって、主の火祭のうち彼に帰すべき永久の分である」。 + イスラエルの女を母とし、エジプトびとを父とするひとりの者が、イスラエルの人々のうちに出てきて、そのイスラエルの女の産んだ子と、ひとりのイスラエルびとが宿営の中で争いをし、 + そのイスラエルの女の産んだ子が主の名を汚して、のろったので、人々は彼をモーセのもとに連れてきた。その母はダンの部族のデブリの娘で、名をシロミテといった。 + 人々は彼を閉じ込めて置いて、主の示しを受けるのを待っていた。 + 時に主はモーセに言われた、 + 「あの、のろいごとを言った者を宿営の外に引き出し、それを聞いた者に、みな手を彼の頭に置かせ、全会衆に彼を石で撃たせなさい。 + あなたはまたイスラエルの人々に言いなさい、『だれでも、その神をのろう者は、その罪を負わなければならない。 + 主の名を汚す者は必ず殺されるであろう。全会衆は必ず彼を石で撃たなければならない。他国の者でも、この国に生れた者でも、主の名を汚すときは殺されなければならない。 + だれでも、人を撃ち殺した者は、必ず殺されなければならない。 + 獣を撃ち殺した者は、獣をもってその獣を償わなければならない。 + もし人が隣人に傷を負わせるなら、その人は自分がしたように自分にされなければならない。 + すなわち、骨折には骨折、目には目、歯には歯をもって、人に傷を負わせたように、自分にもされなければならない。 + 獣を撃ち殺した者はそれを償い、人を撃ち殺した者は殺されなければならない。 + 他国の者にも、この国に生れた者にも、あなたがたは同一のおきてを用いなければならない。わたしはあなたがたの神、主だからである』」。 + モーセがイスラエルの人々に向かい、「あの、のろいごとを言った者を宿営の外に引き出し、石で撃て」と命じたので、イスラエルの人々は、主がモーセに命じられたようにした。 + + + 主はシナイ山で、モーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『わたしが与える地に、あなたがたがはいったときは、その地にも、主に向かって安息を守らせなければならない。 + 六年の間あなたは畑に種をまき、また六年の間ぶどう畑の枝を刈り込み、その実を集めることができる。 + しかし、七年目には、地に全き休みの安息を与えなければならない。これは、主に向かって守る安息である。あなたは畑に種をまいてはならない。また、ぶどう畑の枝を刈り込んではならない。 + あなたの穀物の自然に生えたものは刈り取ってはならない。また、あなたのぶどうの枝の手入れをしないで結んだ実は摘んではならない。これは地のために全き休みの年だからである。 + 安息の年の地の産物は、あなたがたの食物となるであろう。すなわち、あなたと、男女の奴隷と、雇人と、あなたの所に宿っている他国人と、 + あなたの家畜と、あなたの国のうちの獣とのために、その産物はみな、食物となるであろう。 + あなたは安息の年を七たび、すなわち、七年を七回数えなければならない。安息の年七たびの年数は四十九年である。 + 七月の十日にあなたはラッパの音を響き渡らせなければならない。すなわち、贖罪の日にあなたがたは全国にラッパを響き渡らせなければならない。 + その五十年目を聖別して、国中のすべての住民に自由をふれ示さなければならない。この年はあなたがたにはヨベルの年であって、あなたがたは、おのおのその所有の地に帰り、おのおのその家族に帰らなければならない。 + その五十年目はあなたがたにはヨベルの年である。種をまいてはならない。また自然に生えたものは刈り取ってはならない。手入れをしないで結んだぶどうの実は摘んではならない。 + この年はヨベルの年であって、あなたがたに聖であるからである。あなたがたは畑に自然にできた物を食べなければならない。 + このヨベルの年には、おのおのその所有の地に帰らなければならない。 + あなたの隣人に物を売り、また隣人から物を買うときは、互に欺いてはならない。 + ヨベルの後の年の数にしたがって、あなたは隣人から買い、彼もまた畑の産物の年数にしたがって、あなたに売らなければならない。 + 年の数の多い時は、その値を増し、年の数の少ない時は、値を減らさなければならない。彼があなたに売るのは産物の数だからである。 + あなたがたは互に欺いてはならない。あなたの神を恐れなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたはわたしの定めを行い、またわたしのおきてを守って、これを行わなければならない。そうすれば、あなたがたは安らかにその地に住むことができるであろう。 + 地はその実を結び、あなたがたは飽きるまでそれを食べ、安らかにそこに住むことができるであろう。 + 「七年目に種をまくことができず、また産物を集めることができないならば、わたしたちは何を食べようか」とあなたがたは言うのか。 + わたしは命じて六年目に、あなたがたに祝福をくだし、三か年分の産物を実らせるであろう。 + あなたがたは八年目に種をまく時には、なお古い産物を食べているであろう。九年目にその産物のできるまで、あなたがたは古いものを食べることができるであろう。 + 地は永代には売ってはならない。地はわたしのものだからである。あなたがたはわたしと共にいる寄留者、また旅びとである。 + あなたがたの所有としたどのような土地でも、その土地の買いもどしに応じなければならない。 + あなたの兄弟が落ちぶれてその所有の地を売った時は、彼の近親者がきて、兄弟の売ったものを買いもどさなければならない。 + たといその人に、それを買いもどしてくれる人がいなくても、その人が富み、自分でそれを買いもどすことができるようになったならば、 + それを売ってからの年を数えて残りの分を買い手に返さなければならない。そうすればその人はその所有の地に帰ることができる。 + しかし、もしそれを買いもどすことができないならば、その売った物はヨベルの年まで買い主の手にあり、ヨベルにはもどされて、その人はその所有の地に帰ることができるであろう。 + 人が城壁のある町の住宅を売った時は、売ってから満一年の間は、それを買いもどすことができる。その間は彼に買いもどすことを許さなければならない。 + 満一年のうちに、それを買いもどさない時は、城壁のある町の内のその家は永代にそれを買った人のものと定まって、代々の所有となり、ヨベルの年にももどされないであろう。 + しかし、周囲に城壁のない村々の家は、その地方の畑に附属するものとみなされ、買いもどすことができ、またヨベルの年には、もどされるであろう。 + レビびとの町々、すなわち、彼らの所有の町々の家は、レビびとはいつでも買いもどすことができる。 + レビびとのひとりが、それを買いもどさない時は、その所有の町にある売った家はヨベルの年にはもどされるであろう。レビびとの町々の家はイスラエルの人々のうちに彼らがもっている所有だからである。 + ただし、彼らの町々の周囲の放牧地は売ってはならない。それは彼らの永久の所有だからである。 + あなたの兄弟が落ちぶれ、暮して行けない時は、彼を助け、寄留者または旅びとのようにして、あなたと共に生きながらえさせなければならない。 + 彼から利子も利息も取ってはならない。あなたの神を恐れ、あなたの兄弟をあなたと共に生きながらえさせなければならない。 + あなたは利子を取って彼に金を貸してはならない。また利益をえるために食物を貸してはならない。 + わたしはあなたがたの神、主であって、カナンの地をあなたがたに与え、かつあなたがたの神となるためにあなたがたをエジプトの国から導き出した者である。 + あなたの兄弟が落ちぶれて、あなたに身を売るときは、奴隷のように働かせてはならない。 + 彼を雇人のように、また旅びとのようにしてあなたの所におらせ、ヨベルの年まであなたの所で勤めさせなさい。 + その時には、彼は子供たちと共にあなたの所から出て、その一族のもとに帰り、先祖の所有の地にもどるであろう。 + 彼らはエジプトの国からわたしが導き出したわたしのしもべであるから、身を売って奴隷となってはならない。 + あなたは彼をきびしく使ってはならない。あなたの神を恐れなければならない。 + あなたがもつ奴隷は男女ともにあなたの周囲の異邦人のうちから買わなければならない。すなわち、彼らのうちから男女の奴隷を買うべきである。 + また、あなたがたのうちに宿っている旅びとの子供のうちからも買うことができる。また彼らのうちあなたがたの国で生れて、あなたがたと共におる人々の家族からも買うことができる。そして彼らはあなたがたの所有となるであろう。 + あなたがたは彼らを獲て、あなたがたの後の子孫に所有として継がせることができる。すなわち、彼らは長くあなたがたの奴隷となるであろう。しかし、あなたがたの兄弟であるイスラエルの人々をあなたがたは互にきびしく使ってはならない。 + あなたと共にいる寄留者または旅びとが富み、そのかたわらにいるあなたの兄弟が落ちぶれて、あなたと共にいるその寄留者、旅びと、または寄留者の一族のひとりに身を売った場合、 + 身を売った後でも彼を買いもどすことができる。その兄弟のひとりが彼を買いもどさなければならない。 + あるいは、おじ、または、おじの子が彼を買いもどさなければならない。あるいは一族の近親の者が、彼を買いもどさなければならない。あるいは自分に富ができたならば、自分で買いもどさなければならない。 + その時、彼は自分の身を売った年からヨベルの年までを、その買い主と共に数え、その年数によって、身の代金を決めなければならない。その年数は雇われた年数として数えなければならない。 + なお残りの年が多い時は、その年数にしたがい、買われた金額に照して、あがないの金を払わなければならない。 + またヨベルの年までに残りの年が少なければ、その人と共に計算し、その年数にしたがって、あがないの金を払わなければならない。 + 彼は年々雇われる人のように扱われなければならない。あなたの目の前で彼をきびしく使わせてはならない。 + もし彼がこのようにしてあがなわれないならば、ヨベルの年に彼は子供と共に出て行くことができる。 + イスラエルの人々は、わたしのしもべだからである。彼らはわたしがエジプトの国から導き出したわたしのしもべである。わたしはあなたがたの神、主である。 + + + あなたがたは自分のために、偶像を造ってはならない。また刻んだ像も石の柱も立ててはならない。またあなたがたの地に石像を立てて、それを拝んではならない。わたしはあなたがたの神、主だからである。 + あなたがたはわたしの安息日を守り、またわたしの聖所を敬わなければならない。わたしは主である。 + もしあなたがたがわたしの定めに歩み、わたしの戒めを守って、これを行うならば、 + わたしはその季節季節に、雨をあなたがたに与えるであろう。地は産物を出し、畑の木々は実を結ぶであろう。 + あなたがたの麦打ちは、ぶどうの取入れの時まで続き、ぶどうの取入れは、種まきの時まで続くであろう。あなたがたは飽きるほどパンを食べ、またあなたがたの地に安らかに住むであろう。 + わたしが国に平和を与えるから、あなたがたは安らかに寝ることができ、あなたがたを恐れさすものはないであろう。わたしはまた国のうちから悪い獣を絶やすであろう。つるぎがあなたがたの国を行き巡ることはないであろう。 + あなたがたは敵を追うであろう。彼らは、あなたがたのつるぎに倒れるであろう。 + あなたがたの五人は百人を追い、百人は万人を追い、あなたがたの敵はつるぎに倒れるであろう。 + わたしはあなたがたを顧み、多くの子を獲させ、あなたがたを増し、あなたがたと結んだ契約を固めるであろう。 + あなたがたは古い穀物を食べている間に、また新しいものを獲て、その古いものを捨てるようになるであろう。 + わたしは幕屋をあなたがたのうちに建て、心にあなたがたを忌みきらわないであろう。 + わたしはあなたがたのうちに歩み、あなたがたの神となり、あなたがたはわたしの民となるであろう。 + わたしはあなたがたの神、主であって、あなたがたをエジプトの国から導き出して、奴隷の身分から解き放った者である。わたしはあなたがたのくびきの横木を砕いて、まっすぐに立って歩けるようにしたのである。 + しかし、あなたがたがもしわたしに聞き従わず、またこのすべての戒めを守らず、 + わたしの定めを軽んじ、心にわたしのおきてを忌みきらって、わたしのすべての戒めを守らず、わたしの契約を破るならば、 + わたしはあなたがたにこのようにするであろう。すなわち、あなたがたの上に恐怖を臨ませ、肺病と熱病をもって、あなたがたの目を見えなくし、命をやせ衰えさせるであろう。あなたがたが種をまいてもむだである。敵がそれを食べるであろう。 + わたしは顔をあなたがたにむけて攻め、あなたがたは敵の前に撃ちひしがれるであろう。またあなたがたの憎む者があなたがたを治めるであろう。あなたがたは追う者もないのに逃げるであろう。 + それでもなお、あなたがたがわたしに聞き従わないならば、わたしはあなたがたの罪を七倍重く罰するであろう。 + わたしはあなたがたの誇とする力を砕き、あなたがたの天を鉄のようにし、あなたがたの地を青銅のようにするであろう。 + あなたがたの力は、むだに費されるであろう。すなわち、地は産物をいださず、国のうちの木々は実を結ばないであろう。 + もしあなたがたがわたしに逆らって歩み、わたしに聞き従わないならば、わたしはあなたがたの罪に従って七倍の災をあなたがたに下すであろう。 + わたしはまた野獣をあなたがたのうちに送るであろう。それはあなたがたの子供を奪い、また家畜を滅ぼし、あなたがたの数を少なくするであろう。あなたがたの大路は荒れ果てるであろう。 + もしあなたがたがこれらの懲しめを受けてもなお改めず、わたしに逆らって歩むならば、 + わたしもまたあなたがたに逆らって歩み、あなたがたの罪を七倍重く罰するであろう。 + わたしはあなたがたの上につるぎを臨ませ、違約の恨みを報いるであろう。あなたがたが町々に集まる時は、あなたがたのうちに疫病を送り、あなたがたは敵の手にわたされるであろう。 + わたしがあなたがたのつえとするパンを砕くとき、十人の女が一つのかまどでパンを焼き、それをはかりにかけてあなたがたに渡すであろう。あなたがたは食べても満たされないであろう。 + それでもなお、あなたがたがわたしに聞き従わず、わたしに逆らって歩むならば、 + わたしもあなたがたに逆らい、怒りをもって歩み、あなたがたの罪を七倍重く罰するであろう。 + あなたがたは自分のむすこの肉を食べ、また自分の娘の肉を食べるであろう。 + わたしはあなたがたの高き所をこぼち、香の祭壇を倒し、偶像の死体の上に、あなたがたの死体を投げ捨てて、わたしは心にあなたがたを忌みきらうであろう。 + わたしはまたあなたがたの町々を荒れ地とし、あなたがたの聖所を荒らすであろう。またわたしはあなたがたのささげる香ばしいかおりをかがないであろう。 + わたしがその地を荒らすゆえ、そこに住むあなたがたの敵はそれを見て驚くであろう。 + わたしはあなたがたを国々の間に散らし、つるぎを抜いて、あなたがたの後を追うであろう。あなたがたの地は荒れ果て、あなたがたの町々は荒れ地となるであろう。 + こうしてその地が荒れ果てて、あなたがたは敵の国にある間、地は安息を楽しむであろう。すなわち、その時、地は休みを得て、安息を楽しむであろう。 + それは荒れ果てている日の間、休むであろう。あなたがたがそこに住んでいる間、あなたがたの安息のときに休みを得なかったものである。 + またあなたがたのうちの残っている者の心に、敵の国でわたしは恐れをいだかせるであろう。彼らは木の葉の動く音にも驚いて逃げ、つるぎを避けて逃げる者のように逃げて、追う者もないのにころび倒れるであろう。 + 彼らは追う者もないのに、つるぎをのがれる者のように折り重なって、つまずき倒れるであろう。あなたがたは敵の前に立つことができないであろう。 + あなたがたは国々のうちにあって滅びうせ、あなたがたの敵の地はあなたがたをのみつくすであろう。 + あなたがたのうちの残っている者は、あなたがたの敵の地で自分の罪のゆえにやせ衰え、また先祖たちの罪のゆえに彼らと同じようにやせ衰えるであろう。 + しかし、彼らがもし、自分の罪と、先祖たちの罪、すなわち、わたしに反逆し、またわたしに逆らって歩んだことを告白するならば、 + たといわたしが彼らに逆らって歩み、彼らを敵の国に引いて行っても、もし彼らの無割礼の心が砕かれ、あまんじて罪の罰を受けるならば、 + そのときわたしはヤコブと結んだ契約を思い起し、またイサクと結んだ契約およびアブラハムと結んだ契約を思い起し、またその地を思い起すであろう。 + しかし、彼らが地を離れて地が荒れ果てている間、地はその安息を楽しむであろう。彼らはまた、あまんじて罪の罰を受けるであろう。彼らがわたしのおきてを軽んじ、心にわたしの定めを忌みきらったからである。 + それにもかかわらず、なおわたしは彼らが敵の国におるとき、彼らを捨てず、また忌みきらわず、彼らを滅ぼし尽さず、彼らと結んだわたしの契約を破ることをしないであろう。わたしは彼らの神、主だからである。 + わたしは彼らの先祖たちと結んだ契約を彼らのために思い起すであろう。彼らはわたしがその神となるために国々の人の目の前で、エジプトの地から導き出した者である。わたしは主である』」。 + これらは主が、シナイ山で、自分とイスラエルの人々との間に、モーセによって立てられた定めと、おきてと、律法である。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『人があなたの値積りに従って主に身をささげる誓願をする時は、 + あなたの値積りは、二十歳から六十歳までの男には、その値積りを聖所のシケルに従って銀五十シケルとし、 + 女には、その値積りは三十シケルとしなければならない。 + また五歳から二十歳までは、男にはその値積りを二十シケルとし、女には十シケルとしなければならない。 + 一か月から五歳までは、男にはその値積りを銀五シケルとし、女にはその値積りを銀三シケルとしなければならない。 + また六十歳以上は、男にはその値積りを十五シケルとし、女には十シケルとしなければならない。 + もしその人が貧しくて、あなたの値積りに応じることができないならば、祭司の前に立ち、祭司の値積りを受けなければならない。祭司はその誓願者の力に従って値積らなければならない。 + 主に供え物とすることができる家畜で、人が主にささげるものはすべて聖なる物となる。 + ほかのものをそれに代用してはならない。良い物を悪い物に、悪い物を良い物に取り換えてはならない。もし家畜と家畜とを取り換えるならば、その物も、それと取り換えた物も共に聖なる物となるであろう。 + もしそれが汚れた家畜で、主に供え物としてささげられないものであるならば、その人はその家畜を祭司の前に引いてこなければならない。 + 祭司はその良い悪いに従って、それを値積らなければならない。それは祭司が値積るとおりになるであろう。 + もしその人が、それをあがなおうとするならば、その値積りにその五分の一を加えなければならない。 + もし人が自分の家を主に聖なる物としてささげるときは、祭司はその良い悪いに従って、それを値積らなければならない。それは祭司が値積ったとおりになるであろう。 + もしその家をささげる人が、それをあがなおうとするならば、その値積りの金に、その五分の一を加えなければならない。そうすれば、それは彼のものとなるであろう。 + もし人が相続した畑の一部を主にささげるときは、あなたはそこにまく種の多少に応じて、値積らなければならない。すなわち、大麦一ホメルの種を銀五十シケルに値積らなければならない。 + もしその畑をヨベルの年からささげるのであれば、その価はあなたの値積りのとおりになるであろう。 + もしその畑をヨベルの年の後にささげるのであれば、祭司はヨベルの年までに残っている年の数に従ってその金を数え、それをあなたの値積りからさし引かなければならない。 + もしまた、その畑をささげる人が、それをあがなおうとするならば、あなたの値積りの金にその五分の一を加えなければならない。そうすれば、それは彼のものと決まるであろう。 + しかし、もしその畑をあがなわず、またそれを他の人に売るならば、それはもはやあがなうことができないであろう。 + その畑は、ヨベルの年になって期限が切れるならば、奉納の畑と同じく、主の聖なる物となり、祭司の所有となるであろう。 + もしまた相続した畑の一部でなく、買った畑を主にささげる時は、 + 祭司は値積りしてヨベルの年までの金を数えなければならない。その人はその値積りの金をその日に主にささげて、聖なる物としなければならない。 + ヨベルの年にその畑は売り主であるその地の相続者に返るであろう。 + すべてあなたの値積りは聖所のシケルによってしなければならない。二十ゲラを一シケルとする。 + しかし、家畜のういごは、ういごとしてすでに主のものだから、だれもこれをささげてはならない。牛でも羊でも、それは主のものである。 + もし汚れた家畜であるならば、あなたの値積りにその五分の一を加えて、その人はこれをあがなわなければならない。もしあがなわないならば、それを値積りに従って売らなければならない。 + ただし、人が自分の持っているもののうちから奉納物として主にささげたものは、人であっても、家畜であっても、また相続の畑であっても、いっさいこれを売ってはならない。またあがなってはならない。奉納物はすべて主に属するいと聖なる物である。 + またすべて人のうちから奉納物としてささげられた人は、あがなってはならない。彼は必ず殺されなければならない。 + 地の十分の一は地の産物であれ、木の実であれ、すべて主のものであって、主に聖なる物である。 + もし人がその十分の一をあがなおうとする時は、それにその五分の一を加えなければならない。 + 牛または羊の十分の一については、すべて牧者のつえの下を十番目に通るものは、主に聖なる物である。 + その良い悪いを問うてはならない。またそれを取り換えてはならない。もし取り換えたならば、それと、その取り換えたものとは、共に聖なる物となるであろう。それをあがなうことはできない』」。 + これらは主が、シナイ山で、イスラエルの人々のために、モーセに命じられた戒めである。 + +
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+ + エジプトの国を出た次の年の二月一日に、主はシナイの荒野において、会見の幕屋で、モーセに言われた、 + 「あなたがたは、イスラエルの人々の全会衆を、その氏族により、その父祖の家によって調査し、そのすべての男子の名の数を、ひとりびとり数えて、その総数を得なさい。 + イスラエルのうちで、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者を、あなたとアロンとは、その部隊にしたがって数えなければならない。 + また、すべての部族は、おのおの父祖の家の長たるものを、ひとりずつ出して、あなたがたと協力させなければならない。 + すなわち、あなたがたに協力すべき人々の名は、次のとおりである。ルベンからはシデウルの子エリヅル。 + シメオンからはツリシャダイの子シルミエル。 + ユダからはアミナダブの子ナション。 + イッサカルからはツアルの子ネタニエル。 + ゼブルンからはヘロンの子エリアブ。 + ヨセフの子たちのうち、エフライムからはアミホデの子エリシャマ、マナセからはパダヅルの子ガマリエル。 + ベニヤミンからはギデオニの子アビダン。 + ダンからはアミシャダイの子アヒエゼル。 + アセルからはオクランの子パギエル。 + ガドからはデウエルの子エリアサフ。 + ナフタリからはエナンの子アヒラ」。 + これらは会衆のうちから選び出された人々で、その父祖の部族のつかさたち、またイスラエルの氏族のかしらたちである。 + こうして、モーセとアロンが、ここに名を掲げた人々を引き連れて、 + 二月一日に会衆をことごとく集めたので、彼らはその氏族により、その父祖の家により、その名の数にしたがって二十歳以上のものが、ひとりびとり登録した。 + 主が命じられたように、モーセはシナイの荒野で彼らを数えた。 + すなわち、イスラエルの長子ルベンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の男子の名の数を、ひとりびとり得たが、 + ルベンの部族のうちで、数えられたものは四万六千五百人であった。 + またシメオンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の男子の名の数を、ひとりびとり得たが、 + シメオンの部族のうちで、数えられたものは五万九千三百人であった。 + またガドの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ガドの部族のうちで、数えられたものは四万五千六百五十人であった。 + ユダの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ユダの部族のうちで、数えられたものは七万四千六百人であった。 + イッサカルの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + イッサカルの部族のうちで、数えられたものは五万四千四百人であった。 + ゼブルンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ゼブルンの部族のうちで、数えられたものは五万七千四百人であった。 + ヨセフの子たちのうち、エフライムの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + エフライムの部族のうちで、数えられたものは四万五百人であった。 + マナセの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + マナセの部族のうちで、数えられたものは三万二千二百人であった。 + ベニヤミンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ベニヤミンの部族のうちで、数えられたものは三万五千四百人であった。 + ダンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ダンの部族のうちで、数えられたものは六万二千七百人であった。 + アセルの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + アセルの部族のうちで、数えられたものは四万一千五百人であった。 + ナフタリの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ナフタリの部族のうちで、数えられたものは、五万三千四百人であった。 + これらが数えられた人々であって、モーセとアロンとイスラエルのつかさたちとが数えた人々である。そのつかさたちは十二人であって、おのおのその父祖の家のために出たものである。 + そしてイスラエルの人々のうち、その父祖の家にしたがって数えられた者は、すべてイスラエルのうち、戦争に出ることのできる二十歳以上の者であって、 + その数えられた者は合わせて六十万三千五百五十人であった。 + しかし、レビびとは、その父祖の部族にしたがって、そのうちに数えられなかった。 + すなわち、主はモーセに言われた、 + 「あなたはレビの部族だけは数えてはならない。またその総数をイスラエルの人々のうちに数えあげてはならない。 + あなたはレビびとに、あかしの幕屋と、そのもろもろの器と、それに附属するもろもろの物を管理させなさい。彼らは幕屋と、そのもろもろの器とを持ち運び、またそこで務をし、幕屋のまわりに宿営しなければならない。 + 幕屋が進む時は、レビびとがこれを取りくずし、幕屋を張る時は、レビびとがこれを組み立てなければならない。ほかの人がこれに近づく時は殺されるであろう。 + イスラエルの人々はその部隊にしたがって、おのおのその宿営に、おのおのその旗のもとにその天幕を張らなければならない。 + しかし、レビびとは、あかしの幕屋のまわりに宿営しなければならない。そうすれば、主の怒りはイスラエルの人々の会衆の上に臨むことがないであろう。レビびとは、あかしの幕屋の務を守らなければならない」。 + イスラエルの人々はこのようにして、すべて主がモーセに命じられたように行った。 + + + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「イスラエルの人々は、おのおのその部隊の旗のもとに、その父祖の家の旗印にしたがって宿営しなければならない。また会見の幕屋のまわりに、それに向かって宿営しなければならない。 + すなわち、日の出る方、東に宿営するものは、ユダの宿営の旗につく者であって、その部隊にしたがって宿営し、アミナダブの子ナションが、ユダの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は七万四千六百人である。 + そのかたわらに宿営する者はイッサカルの部族で、ツアルの子ネタニエルが、イッサカルの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は五万四千四百人である。 + 次はゼブルンの部族で、ヘロンの子エリアブが、ゼブルンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は五万七千四百人である。 + ユダの宿営の、その部隊にしたがって数えられた者は、合わせて十八万六千四百人である。これらの者は、まっ先に進まなければならない。 + 南の方では、ルベンの宿営の旗につく者が、その部隊にしたがっており、シデウルの子エリヅルが、ルベンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は四万六千五百人である。 + そのかたわらに宿営する者はシメオンの部族で、ツリシャダイの子シルミエルが、シメオンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は五万九千三百人である。 + 次はガドの部族で、デウエルの子エリアサフが、ガドの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は四万五千六百五十人である。 + ルベンの宿営の、その部隊にしたがって数えられた者は、合わせて十五万一千四百五十人である。これらの者は二番目に進まなければならない。 + その次に会見の幕屋を、レビびとの宿営とともに、もろもろの宿営の中央にして進まなければならない。彼らは宿営するのと同じように、おのおのその位置で、その旗にしたがって進まなければならない。 + 西の方では、エフライムの宿営の旗につく者が、その部隊にしたがっており、アミホデの子エリシャマが、エフライムの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は四万五百人である。 + そのかたわらにマナセの部族がおって、パダヅルの子ガマリエルが、マナセの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は三万二千二百人である。 + 次にベニヤミンの部族がおって、ギデオニの子アビダンが、ベニヤミンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は三万五千四百人である。 + エフライムの宿営の、その部隊にしたがって数えられた者は、合わせて十万八千百人である。これらの者は三番目に進まなければならない。 + 北の方では、ダンの宿営の旗につく者が、その部隊にしたがっており、アミシャダイの子アヒエゼルが、ダンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は六万二千七百人である。 + そのかたわらに宿営する者は、アセルの部族であって、オクランの子パギエルが、アセルの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は四万一千五百人である。 + 次にナフタリの部族がおって、エナンの子アヒラが、ナフタリの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は五万三千四百人である。 + ダンの宿営の、数えられた者は合わせて十五万七千六百人である。これらの者はその旗にしたがって、最後に進まなければならない」。 + これがイスラエルの人々の、その父祖の家にしたがって数えられた人々である。もろもろの宿営の、その部隊にしたがって数えられた者は合わせて六十万三千五百五十人であった。 + しかし、レビびとはイスラエルの人々のうちに数えられなかった。主がモーセに命じられたとおりである。 + イスラエルの人々は、すべて主がモーセに命じられたとおりに行い、その旗にしたがって宿営し、おのおのその氏族に従い、その父祖の家に従って進んだ。 + + + 主がシナイ山で、モーセと語られた時の、アロンとモーセの一族は、次のとおりであった。 + アロンの子たちの名は、次のとおりである。長子はナダブ、次はアビウ、エレアザル、イタマル。 + これがアロンの子たちの名であって、彼らはみな油を注がれ、祭司の職に任じられて祭司となった。 + ナダブとアビウとは、シナイの荒野において、異火を主の前にささげたので、主の前で死んだ。彼らには子供がなかった。そしてエレアザルとイタマルとが、父アロンの前で祭司の務をした。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「レビの部族を召し寄せ、祭司アロンの前に立って仕えさせなさい。 + 彼らは会見の幕屋の前にあって、アロンと全会衆のために、その務をし、幕屋の働きをしなければならない。 + すなわち、彼らは会見の幕屋の、すべての器をまもり、イスラエルの人々のために務をし、幕屋の働きをしなければならない。 + あなたはレビびとを、アロンとその子たちとに、与えなければならない。彼らはイスラエルの人々のうちから、全くアロンに与えられたものである。 + あなたはアロンとその子たちとを立てて、祭司の職を守らせなければならない。ほかの人で近づくものは殺されるであろう」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「わたしは、イスラエルの人々のうちの初めに生れたすべてのういごの代りに、レビびとをイスラエルの人々のうちから取るであろう。レビびとは、わたしのものとなるであろう。 + ういごはすべてわたしのものだからである。わたしは、エジプトの国において、すべてのういごを撃ち殺した日に、イスラエルのういごを、人も獣も、ことごとく聖別して、わたしに帰せしめた。彼らはわたしのものとなるであろう。わたしは主である」。 + 主はまたシナイの荒野でモーセに言われた、 + 「あなたはレビの子たちを、その父祖の家により、その氏族によって数えなさい。すなわち、一か月以上の男子を数えなければならない」。 + それでモーセは主の言葉にしたがって、命じられたとおりに、それを数えた。 + レビの子たちの名は次のとおりである。すなわち、ゲルション、コハテ、メラリ。 + ゲルションの子たちの名は、その氏族によれば次のとおりである。すなわち、リブニ、シメイ。 + コハテの子たちは、その氏族によれば、アムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエル。 + メラリの子たちは、その氏族によれば、マヘリ、ムシ。これらはその父祖の家によるレビの氏族である。 + ゲルションからリブニびとの氏族と、シメイびとの氏族とが出た。これらはゲルションびとの氏族である。 + その数えられた者、すなわち、一か月以上の男子の数は合わせて七千五百人であった。 + ゲルションびとの氏族は幕屋の後方、すなわち、西の方に宿営し、 + ラエルの子エリアサフが、ゲルションびとの父祖の家のつかさとなるであろう。 + 会見の幕屋の、ゲルションの子たちの務は、幕屋、天幕とそのおおい、会見の幕屋の入口のとばり、 + 庭のあげばり、幕屋と祭壇のまわりの庭の入口のとばり、そのひも、およびすべてそれに用いる物を守ることである。 + また、コハテからアムラムびとの氏族、イヅハルびとの氏族、ヘブロンびとの氏族、ウジエルびとの氏族が出た。これらはコハテびとの氏族である。 + 一か月以上の男子の数は、合わせて八千六百人であって、聖所の務を守る者たちである。 + コハテの子たちの氏族は、幕屋の南の方に宿営し、 + ウジエルの子エリザパンが、コハテびとの氏族の父祖の家のつかさとなるであろう。 + 彼らの務は、契約の箱、机、燭台、二つの祭壇、聖所の務に用いる器、とばり、およびすべてそれに用いる物を守ることである。 + 祭司アロンの子エレアザルが、レビびとのつかさたちの長となり、聖所の務を守るものたちを監督するであろう。 + メラリからマヘリびとの氏族と、ムシびとの氏族とが出た。これらはメラリの氏族である。 + その数えられた者、すなわち、一か月以上の男子の数は、合わせて六千二百人であった。 + アビハイルの子ツリエルが、メラリの氏族の父祖の家のつかさとなるであろう。彼らは幕屋の北の方に宿営しなければならない。 + メラリの子たちが、その務として管理すべきものは、幕屋の枠、その横木、その柱、その座、そのすべての器、およびそれに用いるすべての物、 + ならびに庭のまわりの柱とその座、その釘、およびそのひもである。 + また幕屋の前、その東の方、すなわち、会見の幕屋の東の方に宿営する者は、モーセとアロン、およびアロンの子たちであって、イスラエルの人々の務に代って、聖所の務を守るものである。ほかの人で近づく者は殺されるであろう。 + モーセとアロンとが、主の言葉にしたがって数えたレビびとで、その氏族によって数えられた者、一か月以上の男子は、合わせて二万二千人であった。 + 主はまたモーセに言われた、「あなたは、イスラエルの人々のうち、すべてういごである男子の一か月以上のものを数えて、その名の数を調べなさい。 + また主なるわたしのために、イスラエルの人々のうちの、すべてのういごの代りにレビびとを取り、またイスラエルの人々の家畜のうちの、すべてのういごの代りに、レビびとの家畜を取りなさい」。 + そこでモーセは主の命じられたように、イスラエルの人々のうちの、すべてのういごを数えた。 + その数えられたういごの男子、すべて一か月以上の者は、その名の数によると二万二千二百七十三人であった。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたはイスラエルの人々のうちの、すべてのういごの代りに、レビびとを取り、また彼らの家畜の代りに、レビびとの家畜を取りなさい。レビびとはわたしのものとなる。わたしは主である。 + またイスラエルの人々のういごは、レビびとの数を二百七十三人超過しているから、そのあがないのために、 + そのあたまかずによって、ひとりごとに銀五シケルを取らなければならない。すなわち、聖所のシケルにしたがって、それを取らなければならない。一シケルは二十ゲラである。 + あなたは、その超過した者をあがなう金を、アロンと、その子たちに渡さなければならない」。 + そこでモーセは、レビびとによってあがなわれた者を超過した人々から、あがないの金を取った。 + すなわち、モーセは、イスラエルの人々のういごから、聖所のシケルにしたがって千三百六十五シケルの銀を取り、 + そのあがないの金を、主の言葉にしたがって、アロンとその子たちに渡した。主がモーセに命じられたとおりである。 + + + 主はまたモーセとアロンに言われた、 + 「レビの子たちのうちから、コハテの子たちの総数を、その氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えなさい。 + コハテの子たちの、会見の幕屋の務は、いと聖なる物にかかわるものであって、次のとおりである。 + すなわち、宿営の進む時に、アロンとその子たちとは、まず、はいって、隔ての垂幕を取りおろし、それをもって、あかしの箱をおおい、 + その上に、じゅごんの皮のおおいを施し、またその上に総青色の布をうちかけ、環にさおをさし入れる。 + また供えのパンの机の上には、青色の布をうちかけ、その上に、さら、乳香を盛る杯、鉢、および灌祭の瓶を並べ、また絶やさず供えるパンを置き、 + 緋色の布をその上にうちかけ、じゅごんの皮のおおいをもって、これをおおい、さおをさし入れる。 + また青色の布を取って、燭台とそのともし火ざら、芯切りばさみ、芯取りざら、およびそれに用いるもろもろの油の器をおおい、 + じゅごんの皮のおおいのうちに、燭台とそのもろもろの器をいれて、担架に載せる。 + また、金の祭壇の上に青色の布をうちかけ、じゅごんの皮のおおいで、これをおおい、そのさおをさし入れる。 + また聖所の務に用いる務の器をみな取り、青色の布に包み、じゅごんの皮のおおいで、これをおおって、担架に載せる。 + また祭壇の灰を取り去って、紫の布をその祭壇の上にうちかけ、 + その上に、務をするのに用いるもろもろの器、すなわち、火ざら、肉さし、十能、鉢、および祭壇のすべての器を載せ、またその上に、じゅごんの皮のおおいをうちかけ、そしてさおをさし入れる。 + 宿営の進むとき、アロンとその子たちとが、聖所と聖所のすべての器をおおうことを終ったならば、その後コハテの子たちは、それを運ぶために、はいってこなければならない。しかし、彼らは聖なる物に触れてはならない。触れると死ぬであろう。会見の幕屋のうちの、これらの物は、コハテの子たちが運ぶものである。 + 祭司アロンの子エレアザルは、ともし油、香ばしい薫香、絶やさず供える素祭および注ぎ油をつかさどり、また幕屋の全体と、そのうちにあるすべての聖なる物、およびその所のもろもろの器をつかさどらなければならない」。 + 主はまた、モーセとアロンに言われた、 + 「あなたがたはコハテびとの一族を、レビびとのうちから絶えさせてはならない。 + 彼らがいと聖なる物に近づく時、死なないで、命を保つために、このようにしなさい、すなわち、アロンとその子たちが、まず、はいり、彼らをおのおのその働きにつかせ、そのになうべきものを取らせなさい。 + しかし、彼らは、はいって、ひと目でも聖なる物を見てはならない。見るならば死ぬであろう」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたはまたゲルションの子たちの総数を、その父祖の家により、その氏族にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えなさい。 + ゲルションびとの氏族の務として働くことと、運ぶ物とは次のとおりである。 + すなわち、彼らは幕屋の幕、会見の幕屋およびそのおおいと、その上のじゅごんの皮のおおい、ならびに会見の幕屋の入口のとばりを運び、 + また庭のあげばり、および幕屋と祭壇のまわりの庭の門の入口のとばりと、そのひも、ならびにそれに用いるすべての器を運ばなければならない。そして彼らはすべてこれらのものについての働きをしなければならない。 + ゲルションびとの子たちのすべての務、すなわち、その運ぶことと、働くこととは、すべてアロンとその子たちの命に従わなければならない。あなたがたは彼らにすべてその運ぶべき物を定めて、これを守らせなければならない。 + これはすなわちゲルションびとの子たちの氏族が、会見の幕屋でする働きであって、彼らの務は祭司アロンの子イタマルの指揮のもとにおかなければならない。 + メラリの子たちをもまたあなたはその氏族により、その祖父の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋の働きをすることのできる者を、ことごとく数えなさい。 + 彼らが会見の幕屋でするすべての務にしたがって、その運ぶ責任のある物は次のとおりである。すなわち、幕屋の枠、その横木、その柱、その座、 + 庭のまわりの柱、その座、その釘、そのひも、またそのすべての器、およびそれに用いるすべてのものである。あなたがたは彼らが運ぶ責任のある器を、その名によって割り当てなければならない。 + これはすなわちメラリの子たちの氏族の働きであって、彼らは祭司アロンの子イタマルの指揮のもとに、会見の幕屋で、このすべての働きをしなければならない」。 + そこでモーセとアロン、および会衆のつかさたちは、コハテの子たちをその氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えたが、 + その氏族にしたがって数えられた者は二千七百五十人であった。 + これはすなわち、コハテびとの氏族の数えられた者で、すべて会見の幕屋で働くことのできる者であった。モーセとアロンが、主のモーセによって命じられたところにしたがって数えたのである。 + またゲルションの子たちを、その氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えたが、 + その氏族により、その父祖の家にしたがって数えられた者は二千六百三十人であった。 + これはすなわち、ゲルションの子たちの氏族の数えられた者で、すべて会見の幕屋で働くことのできる者であった。モーセとアロンが、主の命にしたがって数えたのである。 + またメラリの子たちの氏族を、その氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えたが、 + その氏族にしたがって数えられた者は三千二百人であった。 + これはすなわち、メラリの子たちの氏族の数えられた者で、モーセとアロンが、主のモーセによって命じられたところにしたがって数えたのである。 + モーセとアロン、およびイスラエルのつかさたちは、レビびとを、その氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、会見の幕屋にはいって務の働きをし、また、運ぶ働きをする者を、ことごとく数えたが、 + その数えられた者は八千五百八十人であった。 + 彼らは主の命により、モーセによって任じられ、おのおのその働きにつき、かつその運ぶところを受け持った。こうして彼らは主のモーセに命じられたように数えられたのである。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて、らい病人、流出のある者、死体にふれて汚れた者を、ことごとく宿営の外に出させなさい。 + 男でも女でも、あなたがたは彼らを宿営の外に出してそこにおらせ、彼らに宿営を汚させてはならない。わたしがその中に住んでいるからである」。 + イスラエルの人々はそのようにして、彼らを宿営の外に出した。すなわち、主がモーセに言われたようにイスラエルの人々は行った。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げなさい、『男または女が、もし人の犯す罪をおかして、主に罪を得、その人がとがある者となる時は、 + その犯した罪を告白し、その物の価にその五分の一を加えて、彼がとがを犯した相手方に渡し、そのとがをことごとく償わなければならない。 + しかし、もし、そのとがの償いを受け取るべき親族も、その人にない時は、主にそのとがの償いをして、これを祭司に帰せしめなければならない。なお、このほか、そのあがないをするために用いた贖罪の雄羊も、祭司に帰せしめなければならない。 + イスラエルの人々が、祭司のもとに携えて来るすべての聖なるささげ物は、みな祭司に帰せしめなければならない。 + すべて人の聖なるささげ物は祭司に帰し、すべて人が祭司に与える物は祭司に帰するであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げなさい、『もし人の妻たる者が、道ならぬ事をして、その夫に罪を犯し、 + 人が彼女と寝たのに、その事が夫の目に隠れて現れず、彼女はその身を汚したけれども、それに対する証人もなく、彼女もまたその時に捕えられなかった場合、 + すなわち、妻が身を汚したために、夫が疑いの心を起して妻を疑うことがあり、または妻が身を汚した事がないのに、夫が疑いの心を起して妻を疑うことがあれば、 + 夫は妻を祭司のもとに伴い、彼女のために大麦の粉一エパの十分の一を供え物として携えてこなければならない。ただし、その上に油を注いではならない。また乳香を加えてはならない。これは疑いの供え物、覚えの供え物であって罪を覚えさせるものだからである。 + 祭司はその女を近く進ませ、主の前に立たせなければならない。 + 祭司はまた土の器に聖なる水を入れ、幕屋のゆかのちりを取ってその水に入れ、 + その女を主の前に立たせ、女にその髪の毛をほどかせ、覚えの供え物すなわち、疑いの供え物を、その手に持たせなければならない。そして祭司は、のろいの苦い水を手に取り、 + 女に誓わせて、これに言わなければならない、「もし人があなたと寝たことがなく、またあなたが、夫のもとにあって、道ならぬ事をして汚れたことがなければ、のろいの苦い水も、あなたに害を与えないであろう。 + しかし、あなたが、もし夫のもとにあって、道ならぬことをして身を汚し、あなたの夫でない人が、あなたと寝たことがあるならば、―― + 祭司はその女に、のろいの誓いをもって誓わせ、その女に言わなければならない。――主はあなたのももをやせさせ、あなたの腹をふくれさせて、あなたを民のうちの、のろいとし、また、ののしりとされるように。 + また、のろいの水が、あなたの腹にはいってあなたの腹をふくれさせ、あなたのももをやせさせるように」。その時、女は「アァメン、アァメン」と言わなければならない。 + 祭司は、こののろいを書き物に書きしるし、それを苦い水に洗い落し、 + 女にそののろいの水を飲ませなければならない。そののろいの水は彼女のうちにはいって苦くなるであろう。 + そして祭司はその女の手から疑いの供え物を取り、その供え物を主の前に揺り動かして、それを祭壇に持ってこなければならない。 + 祭司はその供え物のうちから、覚えの分、一握りを取って、それを祭壇で焼き、その後、女にその水を飲ませなければならない。 + その水を女に飲ませる時、もしその女が身を汚し、夫に罪を犯した事があれば、そののろいの水は女のうちにはいって苦くなり、その腹はふくれ、ももはやせて、その女は民のうちののろいとなるであろう。 + しかし、もし女が身を汚した事がなく、清いならば、害を受けないで、子を産むことができるであろう。 + これは疑いのある時のおきてである。妻たる者が夫のもとにあって、道ならぬ事をして身を汚した時、 + または夫たる者が疑いの心を起して、妻を疑う時、彼はその女を主の前に立たせ、祭司はこのおきてを、ことごとく彼女に行わなければならない。 + こうするならば、夫は罪がなく、妻は罪を負うであろう』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『男または女が、特に誓いを立て、ナジルびととなる誓願をして、身を主に聖別する時は、 + ぶどう酒と濃い酒を断ち、ぶどう酒の酢となったもの、濃い酒の酢となったものを飲まず、また、ぶどうの汁を飲まず、また生でも干したものでも、ぶどうを食べてはならない。 + ナジルびとである間は、すべて、ぶどうの木からできるものは、種も皮も食べてはならない。 + また、ナジルびとたる誓願を立てている間は、すべて、かみそりを頭に当ててはならない。身を主に聖別した日数の満ちるまで、彼は聖なるものであるから、髪の毛をのばしておかなければならない。 + 身を主に聖別している間は、すべて死体に近づいてはならない。 + 父母、兄弟、姉妹が死んだ時でも、そのために身を汚してはならない。神に聖別したしるしが、頭にあるからである。 + 彼はナジルびとである間は、すべて主の聖なる者である。 + もし人がはからずも彼のかたわらに死んで、彼の聖別した頭を汚したならば、彼は身を清める日に、頭をそらなければならない。すなわち、七日目にそれをそらなければならない。 + そして八日目に山ばと二羽、または家ばとのひな二羽を携えて、会見の幕屋の入口におる祭司の所に行かなければならない。 + 祭司はその一羽を罪祭に、一羽を燔祭にささげて、彼が死体によって得た罪を彼のためにあがない、その日に彼の頭を聖別しなければならない。 + 彼はまたナジルびとたる日の数を、改めて主に聖別し、一歳の雄の小羊を携えてきて、愆祭としなければならない。それ以前の日は、彼がその聖別を汚したので、無効になるであろう。 + これがナジルびとの律法である。聖別の日数が満ちた時は、その人を会見の幕屋の入口に連れてこなければならない。 + そしてその人は供え物を主にささげなければならない。すなわち、一歳の雄の小羊の全きもの一頭を燔祭とし、一歳の雌の小羊の全きもの一頭を罪祭とし、雄羊の全きもの一頭を酬恩祭とし、 + また種入れぬパンの一かご、油を混ぜて作った麦粉の菓子、油を塗った種入れぬ煎餅、および素祭と灌祭を携えてこなければならない。 + 祭司はこれを主の前に携えてきて、その罪祭と燔祭とをささげ、 + また雄羊を種入れぬパンの一かごと共に、酬恩祭の犠牲として、主にささげなければならない。祭司はまたその素祭と灌祭をもささげなければならない。 + そのナジルびとは会見の幕屋の入口で、聖別した頭をそり、その聖別した頭の髪を取って、これを酬恩祭の犠牲の下にある火の上に置かなければならない。 + 祭司はその雄羊の肩の煮えたものと、かごから取った種入れぬ菓子一つと、種入れぬ煎餅一つを取って、これをナジルびとが、その聖別した頭をそった後、その手に授け、 + 祭司は主の前でこれを揺り動かして揺祭としなければならない。これは聖なる物であって、その揺り動かした胸と、ささげたももと共に、祭司に帰するであろう。こうして後、そのナジルびとは、ぶどう酒を飲むことができる。 + これは誓願をするナジルびとと、そのナジルびとたる事のために、主にささげる彼の供え物についての律法である。このほかにその力の及ぶ物をささげることができる。すなわち、彼はその誓う誓願のように、ナジルびとの律法にしたがって行わなければならない』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちに言いなさい、『あなたがたはイスラエルの人々を祝福してこのように言わなければならない。 + 「願わくは主があなたを祝福し、あなたを守られるように。 + 願わくは主がみ顔をもってあなたを照し、あなたを恵まれるように。 + 願わくは主がみ顔をあなたに向け、あなたに平安を賜わるように」』。 + こうして彼らがイスラエルの人々のために、わたしの名を唱えるならば、わたしは彼らを祝福するであろう」。 + + + モーセが幕屋を建て終り、これに油を注いで聖別し、またそのすべての器、およびその祭壇と、そのすべての器に油を注いで、これを聖別した日に、 + イスラエルのつかさたち、すなわち、その父祖の家の長たちは、ささげ物をした。彼らは各部族のつかさたちであって、その数えられた人々をつかさどる者どもであった。 + 彼らはその供え物を、主の前に携えてきたが、おおいのある車六両と雄牛十二頭であった。つかさふたりに車一両、ひとりに雄牛一頭である。彼らはこれを幕屋の前に引いてきた。 + その時、主はモーセに言われた、 + 「あなたはこれを会見の幕屋の務に用いるために、彼らから受け取って、レビびとに、おのおのその務にしたがって、渡さなければならない」。 + そこでモーセはその車と雄牛を受け取って、これをレビびとに渡した。 + すなわち、ゲルションの子たちには、その務にしたがって、車二両と雄牛四頭を渡し、 + メラリの子たちには、その務にしたがって車四両と雄牛八頭を渡し、祭司アロンの子イタマルに、これを監督させた。 + しかし、コハテの子たちには、何をも渡さなかった。彼らの務は聖なる物を、肩にになって運ぶことであったからである。 + つかさたちは、また祭壇に油を注ぐ日に、祭壇奉納の供え物を携えてきて、その供え物を祭壇の前にささげた。 + 主はモーセに言われた、「つかさたちは一日にひとりずつ、祭壇奉納の供え物をささげなければならない」。 + 第一日に供え物をささげた者は、ユダの部族のアミナダブの子ナションであった。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ。これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはアミナダブの子ナションの供え物であった。 + 第二日にはイッサカルのつかさ、ツアルの子ネタニエルがささげ物をした。 + そのささげた供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはツアルの子ネタニエルの供え物であった。 + 第三日にはゼブルンの子たちのつかさ、ヘロンの子エリアブ。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはヘロンの子エリアブの供え物であった。 + 第四日にはルベンの子たちのつかさ、シデウルの子エリヅル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはシデウルの子エリヅルの供え物であった。 + 第五日にはシメオンの子たちのつかさ、ツリシャダイの子シルミエル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはツリシャダイの子シルミエルの供え物であった。 + 第六日にはガドの子たちのつかさ、デウエルの子エリアサフ。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはデウエルの子エリアサフの供え物であった。 + 第七日にはエフライムの子たちのつかさ、アミホデの子エリシャマ。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはアミホデの子エリシャマの供え物であった。 + 第八日にはマナセの子たちのつかさ、パダヅルの子ガマリエル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはパダヅルの子ガマリエルの供え物であった。 + 第九日にはベニヤミンの子らのつかさ、ギデオニの子アビダン。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはギデオニの子アビダンの供え物であった。 + 第十日にはダンの子たちのつかさ、アミシャダイの子アヒエゼル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはアミシャダイの子アヒエゼルの供え物であった。 + 第十一日にはアセルの子たちのつかさ、オクランの子パギエル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはオクランの子パギエルの供え物であった。 + 第十二日にはナフタリの子たちのつかさ、エナンの子アヒラ。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭。雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはエナンの子アヒラの供え物であった。 + 以上は祭壇に油を注ぐ日に、イスラエルのつかさたちが、祭壇を奉納する供え物として、ささげたものである。すなわち、銀のさら十二、銀の鉢十二、金の杯十二。 + 銀のさらはそれぞれ百三十シケル、鉢はそれぞれ七十シケル、聖所のシケルによれば、この銀の器は合わせて二千四百シケル。 + また薫香の満ちている十二の金の杯は、聖所のシケルによれば、それぞれ十シケル、その杯の金は合わせて百二十シケルであった。 + また燔祭に使う雄牛は合わせて十二、雄羊は十二、一歳の雄の小羊は十二、このほかにその素祭のものがあった。また罪祭に使う雄やぎは十二。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛は合わせて二十四、雄羊は六十、雄やぎは六十、一歳の雄の小羊は六十であって、これは祭壇に油を注いだ後に、祭壇奉納の供え物としてささげたものである。 + さてモーセは主と語るために、会見の幕屋にはいって、あかしの箱の上の、贖罪所の上、二つのケルビムの間から自分に語られる声を聞いた。すなわち、主は彼に語られた。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「アロンに言いなさい、『あなたがともし火をともす時は、七つのともし火で燭台の前方を照すようにしなさい』」。 + アロンはそのようにした。すなわち、主がモーセに命じられたように、燭台の前方を照すように、ともし火をともした。 + 燭台の造りは次のとおりである。それは金の打ち物で、その台もその花も共に打物造りであった。モーセは主に示された型にしたがって、そのようにその燭台を造った。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「レビびとをイスラエルの人々のうちから取って、彼らを清めなさい。 + あなたはこのようにして彼らを清めなければならない。すなわち、罪を清める水を彼らに注ぎかけ、彼らに全身をそらせ、衣服を洗わせて、身を清めさせ、 + そして彼らに若い雄牛一頭と、油を混ぜた麦粉の素祭とを取らせなさい。あなたはまた、ほかに若い雄牛を罪祭のために取らなければならない。 + そして、あなたはレビびとを会見の幕屋の前に連れてきて、イスラエルの人々の全会衆を集め、 + レビびとを主の前に進ませ、イスラエルの人々をして、手をレビびとの上に置かせなければならない。 + そしてアロンは、レビびとをイスラエルの人々のささげる揺祭として、主の前にささげなければならない。これは彼らに主の務をさせるためである。 + それからあなたはレビびとをして、手をかの雄牛の頭の上に置かせ、その一つを罪祭とし、一つを燔祭として主にささげ、レビびとのために罪のあがないをしなければならない。 + あなたはレビびとを、アロンとその子たちの前に立たせ、これを揺祭として主にささげなければならない。 + こうして、あなたはレビびとをイスラエルの人々のうちから分かち、レビびとをわたしのものとしなければならない。 + こうして後レビびとは会見の幕屋にはいって務につくことができる。あなたは彼らを清め、彼らをささげて揺祭としなければならない。 + 彼らはイスラエルの人々のうちから、全くわたしにささげられたものだからである。イスラエルの人々のうちの初めに生れた者、すなわち、すべてのういごの代りに、わたしは彼らを取ってわたしのものとした。 + イスラエルの人々のうちのういごは、人も獣も、みなわたしのものだからである。わたしはエジプトの地で、すべてのういごを撃ち殺した日に、彼らを聖別してわたしのものとした。 + それでわたしはイスラエルの人々のうちの、すべてのういごの代りにレビびとを取った。 + わたしはイスラエルの人々のうちからレビびとを取って、アロンとその子たちに与え、彼らに会見の幕屋で、イスラエルの人々に代って務をさせ、またイスラエルの人々のために罪のあがないをさせるであろう。これはイスラエルの人々が、聖所に近づいて、イスラエルの人々のうちに災の起ることのないようにするためである」。 + モーセとアロン、およびイスラエルの人々の全会衆は、すべて主がレビびとの事につき、モーセに命じられた所にしたがって、レビびとに行った、すなわち、イスラエルの人々は、そのように彼らに行った。 + そこでレビびとは身を清め、その衣服を洗った。アロンは彼らを主の前にささげて揺祭とした。アロンはまた彼らのために、罪のあがないをして彼らを清めた。 + こうして後、レビびとは会見の幕屋にはいって、アロンとその子たちに仕えて務をした。すなわち、彼らはレビびとの事について、主がモーセに命じられた所にしたがって、そのように彼らに行った。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「レビびとは次のようにしなければならない。すなわち、二十五歳以上の者は務につき、会見の幕屋の働きをしなければならない。 + しかし、五十歳からは務の働きを退き、重ねて務をしてはならない。 + ただ、会見の幕屋でその兄弟たちの務の助けをすることができる。しかし、務をしてはならない。あなたがレビびとにその務をさせるには、このようにしなければならない」。 + + + エジプトの国を出た次の年の正月、主はシナイの荒野でモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に、過越の祭を定めの時に行わせなさい。 + この月の十四日の夕暮、定めの時に、それを行わなければならない。あなたがたは、そのすべての定めと、そのすべてのおきてにしたがって、それを行わなければならない」。 + そこでモーセがイスラエルの人々に、過越の祭を行わなければならないと言ったので、 + 彼らは正月の十四日の夕暮、シナイの荒野で過越の祭を行った。すなわち、イスラエルの人々は、すべて主がモーセに命じられたようにおこなった。 + ところが人の死体に触れて身を汚したために、その日に過越の祭を行うことのできない人々があって、その日モーセとアロンの前にきて、 + その人々は彼に言った、「わたしたちは人の死体に触れて身を汚しましたが、なぜその定めの時に、イスラエルの人々と共に、主に供え物をささげることができないのですか」。 + モーセは彼らに言った、「しばらく待て。主があなたがたについて、どう仰せになるかを聞こう」。 + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたのうち、また、あなたがたの子孫のうち、死体に触れて身を汚した人も、遠い旅路にある人も、なお、過越の祭を主に対して行うことができるであろう。 + すなわち、二月の十四日の夕暮、それを行い、種入れぬパンと苦菜を添えて、それを食べなければならない。 + これを少しでも朝まで残しておいてはならない。またその骨は一本でも折ってはならない。過越の祭のすべての定めにしたがってこれを行わなければならない。 + しかし、その身は清く、旅に出てもいないのに、過越の祭を行わないときは、その人は民のうちから断たれるであろう。このような人は、定めの時に主の供え物をささげないゆえ、その罪を負わなければならない。 + もし他国の人が、あなたがたのうちに寄留していて、主に対して過越の祭を行おうとするならば、過越の祭の定めにより、そのおきてにしたがって、これを行わなければならない。あなたがたは他国の人にも、自国の人にも、同一の定めを用いなければならない』」。 + 幕屋を建てた日に、雲は幕屋をおおった。すれはすなわち、あかしの幕屋であって、夕には、幕屋の上に、雲は火のように見えて、朝にまで及んだ。 + 常にそうであって、昼は雲がそれをおおい、夜は火のように見えた。 + 雲が幕屋を離れてのぼる時は、イスラエルの人々は、ただちに道に進んだ。また雲がとどまる所に、イスラエルの人々は宿営した。 + すなわち、イスラエルの人々は、主の命によって道に進み、主の命によって宿営し、幕屋の上に雲がとどまっている間は、宿営していた。 + 幕屋の上に、日久しく雲のとどまる時は、イスラエルの人々は主の言いつけを守って、道に進まなかった。 + また幕屋の上に、雲のとどまる日の少ない時もあったが、彼らは、ただ主の命にしたがって宿営し、主の命にしたがって、道に進んだ。 + また雲は夕から朝まで、とどまることもあったが、朝になって、雲がのぼる時は、彼らは道に進んだ。また昼でも夜でも、雲がのぼる時は、彼らは道に進んだ。 + ふつかでも、一か月でも、あるいはそれ以上でも、幕屋の上に、雲がとどまっている間は、イスラエルの人々は宿営していて、道に進まなかったが、それがのぼると道に進んだ。 + すなわち、彼らは主の命にしたがって宿営し、主の命にしたがって道に進み、モーセによって、主が命じられたとおりに、主の言いつけを守った。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「銀のラッパを二本つくりなさい。すなわち、打物造りとし、それで会衆を呼び集め、また宿営を進ませなさい。 + この二つを吹くときは、全会衆が会見の幕屋の入口に、あなたの所に集まってこなければならない。 + もしその一つだけを吹くときは、イスラエルの氏族の長であるつかさたちが、あなたの所に集まってこなければならない。 + またあなたがたが警報を吹き鳴らす時は、東の方の宿営が、道に進まなければならない。 + 二度目の警報を吹き鳴らす時は、南の方の宿営が、道に進まなければならない。すべて道に進む時は、警報を吹き鳴らさなければならない。 + また会衆を集める時にも、ラッパを吹き鳴らすが、警報は吹き鳴らしてはならない。 + アロンの子である祭司たちが、ラッパを吹かなければならない。これはあなたがたが、代々ながく守るべき定めとしなければならない。 + また、あなたがたの国で、あなたがたをしえたげるあだとの戦いに出る時は、ラッパをもって、警報を吹き鳴らさなければならない。そうするならば、あなたがたは、あなたがたの神、主に覚えられて、あなたがたの敵から救われるであろう。 + また、あなたがたの喜びの日、あなたがたの祝いの時、および月々の第一日には、あなたがたの燔祭と酬恩祭の犠牲をささげるに当って、ラッパを吹き鳴らさなければならない。そうするならば、あなたがたの神は、それによって、あなたがたを覚えられるであろう。わたしはあなたがたの神、主である」。 + 第二年の二月二十日に、雲があかしの幕屋を離れてのぼったので、 + イスラエルの人々は、シナイの荒野を出て、その旅路に進んだが、パランの荒野に至って、雲はとどまった。 + こうして彼らは、主がモーセによって、命じられたところにしたがって、道に進むことを始めた。 + 先頭には、ユダの子たちの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。ユダの部隊の長はアミナダブの子ナション、 + イッサカルの子たちの部族の部隊の長はツアルの子ネタニエル、 + ゼブルンの子たちの部族の部隊の長はヘロンの子エリアブであった。 + そして幕屋は取りくずされ、ゲルションの子たち、およびメラリの子たちは幕屋を運び進んだ。 + 次にルベンの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。ルベンの部隊の長はシデウルの子エリヅル、 + シメオンの子たちの部族の部隊の長はツリシャダイの子シルミエル、 + ガドの子たちの部族の部隊の長はデウエルの子エリアサフであった。 + そしてコハテびとは聖なる物を運び進んだ。これが着くまでに、人々は幕屋を建て終るのである。 + 次にエフライムの子たちの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。エフライムの部隊の長はアミホデの子エリシャマ、 + マナセの子たちの部族の部隊の長はパダヅルの子ガマリエル、 + ベニヤミンの子たちの部族の部隊の長はギデオニの子アビダンであった。 + 次にダンの子たちの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。この部隊はすべての宿営のしんがりであった。ダンの部隊の長はアミシャダイの子アヒエゼル、 + アセルの子たちの部族の部隊の長はオクランの子パギエル、 + ナフタリの子たちの部族の部隊の長はエナンの子アヒラであった。 + イスラエルの人々が、その道に進む時は、このように、その部隊に従って進んだ。 + さて、モーセは、妻の父、ミデヤンびとリウエルの子ホバブに言った、「わたしたちは、かつて主がおまえたちに与えると約束された所に向かって進んでいます。あなたも一緒においでください。あなたが幸福になられるようにいたしましょう。主がイスラエルに幸福を約束されたのですから」。 + 彼はモーセに言った、「わたしは行きません。わたしは国に帰って、親族のもとに行きます」。 + モーセはまた言った、「どうかわたしたちを見捨てないでください。あなたは、わたしたちが荒野のどこに宿営すべきかを御存じですから、わたしたちの目となってください。 + もしあなたが一緒においでくださるなら、主がわたしたちに賜わる幸福をあなたにも及ぼしましょう」。 + こうして彼らは主の山を去って、三日の行程を進んだ。主の契約の箱は、その三日の行程の間、彼らに先立って行き、彼らのために休む所を尋ねもとめた。 + 彼らが宿営を出て、道に進むとき、昼は主の雲が彼らの上にあった。 + 契約の箱の進むときモーセは言った、「主よ、立ちあがってください。あなたの敵は打ち散らされ、あなたを憎む者どもは、あなたの前から逃げ去りますように」。 + またそのとどまるとき、彼は言った、「主よ、帰ってきてください、イスラエルのちよろずの人に」。 + + + さて、民は災難に会っている人のように、主の耳につぶやいた。主はこれを聞いて怒りを発せられ、主の火が彼らのうちに燃えあがって、宿営の端を焼いた。 + そこで民はモーセにむかって叫んだ。モーセが主に祈ったので、その火はしずまった。 + 主の火が彼らのうちに燃えあがったことによって、その所の名はタベラと呼ばれた。 + また彼らのうちにいた多くの寄り集まりびとは欲心を起し、イスラエルの人々もまた再び泣いて言った、「ああ、肉が食べたい。 + われわれは思い起すが、エジプトでは、ただで、魚を食べた。きゅうりも、すいかも、にらも、たまねぎも、そして、にんにくも。 + しかし、いま、われわれの精根は尽きた。われわれの目の前には、このマナのほか何もない」。 + マナは、こえんどろの実のようで、色はブドラクの色のようであった。 + 民は歩きまわって、これを集め、ひきうすでひき、または、うすでつき、かまで煮て、これをもちとした。その味は油菓子の味のようであった。 + 夜、宿営の露がおりるとき、マナはそれと共に降った。 + モーセは、民が家ごとに、おのおのその天幕の入口で泣くのを聞いた。そこで主は激しく怒られ、またモーセは不快に思った。 + そして、モーセは主に言った、「あなたはなぜ、しもべに悪い仕打ちをされるのですか。どうしてわたしはあなたの前に恵みを得ないで、このすべての民の重荷を負わされるのですか。 + わたしがこのすべての民を、はらんだのですか。わたしがこれを生んだのですか。そうではないのに、あなたはなぜわたしに『養い親が乳児を抱くように、彼らをふところに抱いて、あなたが彼らの先祖たちに誓われた地に行け』と言われるのですか。 + わたしはどこから肉を獲て、このすべての民に与えることができましょうか。彼らは泣いて、『肉を食べさせよ』とわたしに言っているのです。 + わたしひとりでは、このすべての民を負うことができません。それはわたしには重過ぎます。 + もしわたしがあなたの前に恵みを得ますならば、わたしにこのような仕打ちをされるよりは、むしろ、ひと思いに殺し、このうえ苦しみに会わせないでください」。 + 主はモーセに言われた、「イスラエルの長老たちのうち、民の長老となり、つかさとなるべきことを、あなたが知っている者七十人をわたしのもとに集め、会見の幕屋に連れてきて、そこにあなたと共に立たせなさい。 + わたしは下って、その所で、あなたと語り、またわたしはあなたの上にある霊を、彼らにも分け与えるであろう。彼らはあなたと共に、民の重荷を負い、あなたが、ただひとりで、それを負うことのないようにするであろう。 + あなたはまた民に言いなさい、『あなたがたは身を清めて、あすを待ちなさい。あなたがたは肉を食べることができるであろう。あなたがたが泣いて主の耳に、わたしたちは肉が食べたい。エジプトにいた時は良かったと言ったからである。それゆえ、主はあなたがたに肉を与えて食べさせられるであろう。 + あなたがたがそれを食べるのは、一日や二日や五日や十日や二十日ではなく、 + 一か月に及び、ついにあなたがたの鼻から出るようになり、あなたがたは、それに飽き果てるであろう。それはあなたがたのうちにおられる主を軽んじて、その前に泣き、なぜ、わたしたちはエジプトから出てきたのだろうと言ったからである』」。 + モーセは言った、「わたしと共におる民は徒歩の男子だけでも六十万です。ところがあなたは、『わたしは彼らに肉を与えて一か月のあいだ食べさせよう』と言われます。 + 羊と牛の群れを彼らのためにほふって、彼らを飽きさせるというのですか。海のすべての魚を彼らのために集めて、彼らを飽きさせるというのですか」。 + 主はモーセに言われた、「主の手は短かろうか。あなたは、いま、わたしの言葉の成るかどうかを見るであろう」。 + この時モーセは出て、主の言葉を民に告げ、民の長老たち七十人を集めて、幕屋の周囲に立たせた。 + 主は雲のうちにあって下り、モーセと語られ、モーセの上にある霊を、その七十人の長老たちにも分け与えられた。その霊が彼らの上にとどまった時、彼らは預言した。ただし、その後は重ねて預言しなかった。 + その時ふたりの者が、宿営にとどまっていたが、ひとりの名はエルダデと言い、ひとりの名はメダデといった。彼らの上にも霊がとどまった。彼らは名をしるされた者であったが、幕屋に行かなかったので、宿営のうちで預言した。 + 時にひとりの若者が走ってきて、モーセに告げて言った、「エルダデとメダデとが宿営のうちで預言しています」。 + 若い時からモーセの従者であったヌンの子ヨシュアは答えて言った、「わが主、モーセよ、彼らをさし止めてください」。 + モーセは彼に言った、「あなたは、わたしのためを思って、ねたみを起しているのか。主の民がみな預言者となり、主がその霊を彼らに与えられることは、願わしいことだ」。 + こうしてモーセはイスラエルの長老たちと共に、宿営に引きあげた。 + さて、主のもとから風が起り、海の向こうから、うずらを運んできて、これを宿営の近くに落した。その落ちた範囲は、宿営の周囲で、こちら側も、おおよそ一日の行程、あちら側も、おおよそ一日の行程、地面から高さおおよそ二キュビトであった。 + そこで民は立ち上がってその日は終日、その夜は終夜、またその次の日も終日、うずらを集めたが、集める事の最も少ない者も、十ホメルほど集めた。彼らはみな、それを宿営の周囲に広げておいた。 + その肉がなお、彼らの歯の間にあって食べつくさないうちに、主は民にむかって怒りを発し、主は非常に激しい疫病をもって民を撃たれた。 + これによって、その所の名はキブロテ・ハッタワと呼ばれた。欲心を起した民を、そこに埋めたからである。 + キブロテ・ハッタワから、民はハゼロテに進み、ハゼロテにとどまった。 + + + モーセはクシの女をめとっていたが、そのクシの女をめとったゆえをもって、ミリアムとアロンはモーセを非難した。 + 彼らは言った、「主はただモーセによって語られるのか。われわれによっても語られるのではないのか」。主はこれを聞かれた。 + モーセはその人となり柔和なこと、地上のすべての人にまさっていた。 + そこで、主は突然モーセとアロン、およびミリアムにむかって「あなたがた三人、会見の幕屋に出てきなさい」と言われたので、彼ら三人は出てきたが、 + 主は雲の柱のうちにあって下り、幕屋の入口に立って、アロンとミリアムを呼ばれた。彼らふたりが進み出ると、 + 彼らに言われた、「あなたがたは、いま、わたしの言葉を聞きなさい。あなたがたのうちに、もし、預言者があるならば、主なるわたしは幻をもって、これにわたしを知らせ、また夢をもって、これと語るであろう。 + しかし、わたしのしもべモーセとは、そうではない。彼はわたしの全家に忠信なる者である。 + 彼とは、わたしは口ずから語り、明らかに言って、なぞを使わない。彼はまた主の形を見るのである。なぜ、あなたがたはわたしのしもべモーセを恐れず非難するのか」。 + 主は彼らにむかい怒りを発して去られた。 + 雲が幕屋の上を離れ去った時、ミリアムは、らい病となり、その身は雪のように白くなった。アロンがふり返ってミリアムを見ると、彼女はらい病になっていた。 + そこで、アロンはモーセに言った、「ああ、わが主よ、わたしたちは愚かなことをして罪を犯しました。どうぞ、その罰をわたしたちに受けさせないでください。 + どうぞ彼女を母の胎から肉が半ば滅びうせて出る死人のようにしないでください」。 + その時モーセは主に呼ばわって言った、「ああ、神よ、どうぞ彼女をいやしてください」。 + 主はモーセに言われた、「彼女の父が彼女の顔につばきしてさえ、彼女は七日のあいだ、恥じて身を隠すではないか。彼女を七日のあいだ、宿営の外で閉じこめておかなければならない。その後、連れもどしてもよい」。 + そこでミリアムは七日のあいだ、宿営の外で閉じこめられた。民はミリアムが連れもどされるまでは、道に進まなかった。 + その後、民はハゼロテを立って進み、パランの荒野に宿営した。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「人をつかわして、わたしがイスラエルの人々に与えるカナンの地を探らせなさい。すなわち、その父祖の部族ごとに、すべて彼らのうちのつかさたる者ひとりずつをつかわしなさい」。 + モーセは主の命にしたがって、パランの荒野から彼らをつかわした。その人々はみなイスラエルの人々のかしらたちであった。 + 彼らの名は次のとおりである。ルベンの部族ではザックルの子シャンマ、 + シメオンの部族ではホリの子シャパテ、 + ユダの部族ではエフンネの子カレブ、 + イッサカルの部族ではヨセフの子イガル、 + エフライムの部族ではヌンの子ホセア、 + ベニヤミンの部族ではラフの子パルテ、 + ゼブルンの部族ではソデの子ガデエル、 + ヨセフの部族すなわち、マナセの部族ではスシの子ガデ、 + ダンの部族ではゲマリの子アンミエル、 + アセルの部族ではミカエルの子セトル、 + ナフタリの部族ではワフシの子ナヘビ、 + ガドの部族ではマキの子ギウエル。 + 以上はモーセがその地を探らせるためにつかわした人々の名である。そしてモーセはヌンの子ホセアをヨシュアと名づけた。 + モーセは彼らをつかわし、カナンの地を探らせようとして、これに言った、「あなたがたはネゲブに行って、山に登り、 + その地の様子を見、そこに住む民は、強いか弱いか、少ないか多いか、 + また彼らの住んでいる地は、良いか悪いか。人々の住んでいる町々は、天幕か、城壁のある町か、 + その地は、肥えているか、やせているか、そこには、木があるかないかを見なさい。あなたがたは、勇んで行って、その地のくだものを取ってきなさい」。時は、ぶどうの熟し始める季節であった。 + そこで、彼らはのぼっていって、その地をチンの荒野からハマテの入口に近いレホブまで探った。 + 彼らはネゲブにのぼって、ヘブロンまで行った。そこにはアナクの子孫であるアヒマン、セシャイ、およびタルマイがいた。ヘブロンはエジプトのゾアンよりも七年前に建てられたものである。 + ついに彼らはエシコルの谷に行って、そこで一ふさのぶどうの枝を切り取り、これを棒をもって、ふたりでかつぎ、また、ざくろといちじくをも取った。 + イスラエルの人々が、そこで切り取ったぶどうの一ふさにちなんで、その所はエシコルの谷と呼ばれた。 + 四十日の後、彼らはその地を探り終って帰ってきた。 + そして、パランの荒野にあるカデシにいたモーセとアロン、およびイスラエルの人々の全会衆のもとに行って、彼らと全会衆とに復命し、その地のくだものを彼らに見せた。 + 彼らはモーセに言った、「わたしたちはあなたが、つかわした地へ行きました。そこはまことに乳と蜜の流れている地です。これはそのくだものです。 + しかし、その地に住む民は強く、その町々は堅固で非常に大きく、わたしたちはそこにアナクの子孫がいるのを見ました。 + またネゲブの地には、アマレクびとが住み、山地にはヘテびと、エブスびと、アモリびとが住み、海べとヨルダンの岸べには、カナンびとが住んでいます」。 + そのとき、カレブはモーセの前で、民をしずめて言った、「わたしたちはすぐにのぼって、攻め取りましょう。わたしたちは必ず勝つことができます」。 + しかし、彼とともにのぼって行った人々は言った、「わたしたちはその民のところへ攻めのぼることはできません。彼らはわたしたちよりも強いからです」。 + そして彼らはその探った地のことを、イスラエルの人々に悪く言いふらして言った、「わたしたちが行き巡って探った地は、そこに住む者を滅ぼす地です。またその所でわたしたちが見た民はみな背の高い人々です。 + わたしたちはまたそこで、ネピリムから出たアナクの子孫ネピリムを見ました。わたしたちには自分が、いなごのように思われ、また彼らにも、そう見えたに違いありません」。 + + + そこで、会衆はみな声をあげて叫び、民はその夜、泣き明かした。 + またイスラエルの人々はみなモーセとアロンにむかってつぶやき、全会衆は彼らに言った、「ああ、わたしたちはエジプトの国で死んでいたらよかったのに。この荒野で死んでいたらよかったのに。 + なにゆえ、主はわたしたちをこの地に連れてきて、つるぎに倒れさせ、またわたしたちの妻子をえじきとされるのであろうか。エジプトに帰る方が、むしろ良いではないか」。 + 彼らは互に言った、「わたしたちはひとりのかしらを立てて、エジプトに帰ろう」。 + そこで、モーセとアロンはイスラエルの人々の全会衆の前でひれふした。 + このとき、その地を探った者のうちのヌンの子ヨシュアとエフンネの子カレブは、その衣服を裂き、 + イスラエルの人々の全会衆に言った、「わたしたちが行き巡って探った地は非常に良い地です。 + もし、主が良しとされるならば、わたしたちをその地に導いて行って、それをわたしたちにくださるでしょう。それは乳と蜜の流れている地です。 + ただ、主にそむいてはなりません。またその地の民を恐れてはなりません。彼らはわたしたちの食い物にすぎません。彼らを守る者は取り除かれます。主がわたしたちと共におられますから、彼らを恐れてはなりません」。 + ところが会衆はみな石で彼らを撃ち殺そうとした。そのとき、主の栄光が、会見の幕屋からイスラエルのすべての人に現れた。 + 主はモーセに言われた、「この民はいつまでわたしを侮るのか。わたしがもろもろのしるしを彼らのうちに行ったのに、彼らはいつまでわたしを信じないのか。 + わたしは疫病をもって彼らを撃ち滅ぼし、あなたを彼らよりも大いなる強い国民としよう」。 + モーセは主に言った、「エジプトびとは、あなたが力をもって、この民を彼らのうちから導き出されたことを聞いて、 + この地の住民に告げるでしょう。彼らは、主なるあなたが、この民のうちにおられ、主なるあなたが、まのあたり現れ、あなたの雲が、彼らの上にとどまり、昼は雲の柱のうちに、夜は火の柱のうちにあって、彼らの前に行かれるのを聞いたのです。 + いま、もし、あなたがこの民をひとり残らず殺されるならば、あなたのことを聞いた国民は語って、 + 『主は与えると誓った地に、この民を導き入れることができなかったため、彼らを荒野で殺したのだ』と言うでしょう。 + どうぞ、あなたが約束されたように、いま主の大いなる力を現してください。 + あなたはかつて、『主は怒ることおそく、いつくしみに富み、罪ととがをゆるす者、しかし、罰すべき者は、決してゆるさず、父の罪を子に報いて、三、四代に及ぼす者である』と言われました。 + どうぞ、あなたの大いなるいつくしみによって、エジプトからこのかた、今にいたるまで、この民をゆるされたように、この民の罪をおゆるしください」。 + 主は言われた、「わたしはあなたの言葉のとおりにゆるそう。 + しかし、わたしは生きている。また主の栄光が、全世界に満ちている。 + わたしの栄光と、わたしがエジプトと荒野で行ったしるしを見ながら、このように十度もわたしを試みて、わたしの声に聞きしたがわなかった人々はひとりも、 + わたしがかつて彼らの先祖たちに与えると誓った地を見ないであろう。またわたしを侮った人々も、それを見ないであろう。 + ただし、わたしのしもべカレブは違った心をもっていて、わたしに完全に従ったので、わたしは彼が行ってきた地に彼を導き入れるであろう。彼の子孫はそれを所有するにいたるであろう。 + 谷にはアマレクびととカナンびとが住んでいるから、あなたがたは、あす、身をめぐらして紅海の道を荒野へ進みなさい」。 + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「わたしにむかってつぶやくこの悪い会衆をいつまで忍ぶことができようか。わたしはイスラエルの人々が、わたしにむかってつぶやくのを聞いた。 + あなたは彼らに言いなさい、『主は言われる、「わたしは生きている。あなたがたが、わたしの耳に語ったように、わたしはあなたがたにするであろう。 + あなたがたは死体となって、この荒野に倒れるであろう。あなたがたのうち、わたしにむかってつぶやいた者、すなわち、すべて数えられた二十歳以上の者はみな倒れるであろう。 + エフンネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアのほかは、わたしがかつて、あなたがたを住まわせようと、手をあげて誓った地に、はいることができないであろう。 + しかし、あなたがたが、えじきになるであろうと言ったあなたがたの子供は、わたしが導いて、はいるであろう。彼らはあなたがたが、いやしめた地を知るようになるであろう。 + しかしあなたがたは死体となってこの荒野に倒れるであろう。 + あなたがたの子たちは、あなたがたの死体が荒野に朽ち果てるまで四十年のあいだ、荒野で羊飼となり、あなたがたの不信の罪を負うであろう。 + あなたがたは、かの地を探った四十日の日数にしたがい、その一日を一年として、四十年のあいだ、自分の罪を負い、わたしがあなたがたを遠ざかったことを知るであろう」。 + 主なるわたしがこれを言う。わたしは必ずわたしに逆らって集まったこの悪い会衆に、これをことごとく行うであろう。彼らはこの荒野に朽ち、ここで死ぬであろう』」。 + こうして、モーセにつかわされ、かの地を探りに行き、帰ってきて、その地を悪く言い、全会衆を、モーセにむかって、つぶやかせた人々、 + すなわち、その地を悪く言いふらした人々は、疫病にかかって主の前に死んだが、 + その地を探りに行った人々のうち、ヌンの子ヨシュアと、エフンネの子カレブとは生き残った。 + モーセが、これらのことを、イスラエルのすべての人々に告げたとき、民は非常に悲しみ、 + 朝早く起きて山の頂きに登って言った、「わたしたちはここにいる。さあ、主が約束された所へ上って行こう。わたしたちは罪を犯したのだから」。 + モーセは言った、「あなたがたは、それをなし遂げることもできないのに、どうして、そのように主の命にそむくのか。 + あなたがたは上って行ってはならない。主があなたがたのうちにおられないから、あなたがたは敵の前に、撃ち破られるであろう。 + そこには、アマレクびとと、カナンびとがあなたがたの前にいるから、あなたがたは、つるぎに倒れるであろう。あなたがたがそむいて、主に従わなかったゆえ、主はあなたがたと共におられないからである」。 + しかし、彼らは、ほしいままに山の頂に登った。ただし、主の契約の箱と、モーセとは、宿営の中から出なかった。 + そこで、その山に住んでいたアマレクびとと、カナンびとが下ってきて、彼らを撃ち破り、ホルマまで追ってきた。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたが、わたしの与えて住ませる地に行って、 + 主に火祭をささげる時、すなわち特別の誓願の供え物、あるいは自発の供え物、あるいは祝のときの供え物として、牛または羊を燔祭または犠牲としてささげ、主に香ばしいかおりとするとき、 + + その供え物を主にささげる者は、燔祭または犠牲と共に、小羊一頭ごとに、麦粉一エパの十分の一に、油一ヒンの四分の一を混ぜたものを、素祭としてささげ、ぶどう酒一ヒンの四分の一を、灌祭としてささげなければならない。 + もし、また雄羊を用いるときは、麦粉一エパの十分の二に、油一ヒンの三分の一を混ぜたものを、素祭としてささげ、 + また、ぶどう酒一ヒンの三分の一を、灌祭としてささげて、主に香ばしいかおりとしなければならない。 + またあなたが特別の誓願の供え物、あるいは酬恩祭を、主にささげる時、若い雄牛を、燔祭または犠牲とするならば、 + 麦粉一エパの十分の三に、油一ヒンの二分の一を混ぜたものを、素祭として、若い雄牛と共にささげ、 + また、ぶどう酒一ヒンの二分の一を、灌祭としてささげなければならない。これは火祭であって、主に香ばしいかおりとするものである。 + 雄牛、あるいは雄羊、あるいは小羊、あるいは子やぎは、一頭ごとに、このようにしなければならない。 + すなわち、あなたがたのささげる数にてらし、その数にしたがって、一頭ごとに、このようにしなければならない。 + すべて国に生れた者が、火祭をささげて、主に香ばしいかおりとするときは、このように、これらのことを行わなければならない。 + またあなたがたのうちに寄留している他国人、またはあなたがたのうちに、代々ながく住む者が、火祭をささげて、主に香ばしいかおりとしようとする時は、あなたがたがするように、その人もしなければならない。 + 会衆たる者は、あなたがたも、あなたがたのうちに寄留している他国人も、同一の定めに従わなければならない。これは、あなたがたが代々ながく守るべき定めである。他国の人も、主の前には、あなたがたと等しくなければならない。 + すなわち、あなたがたも、あなたがたのうちに寄留している他国人も、同一の律法、同一のおきてに従わなければならない』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『わたしが導いて行く地に、あなたがたがはいって、 + その地の食物を食べるとき、あなたがたは、ささげ物を主にささげなければならない。 + すなわち、麦粉の初物で作った菓子を、ささげ物としなければならない。これを、打ち場からのささげ物のように、ささげなければならない。 + あなたがたは代々その麦粉の初物で、主にささげ物をしなければならない。 + あなたがたが、もしあやまって、主がモーセに告げられたこのすべての戒めを行わず、 + 主がモーセによって戒めを与えられた日からこのかた、代々にわたり、あなたがたに命じられたすべての事を行わないとき、 + すなわち、会衆が知らずに、あやまって犯した時は、全会衆は若い雄牛一頭を、燔祭としてささげ、主に香ばしいかおりとし、これに素祭と灌祭とを定めのように加え、また雄やぎ一頭を、罪祭としてささげなければならない。 + そして祭司は、イスラエルの人々の全会衆のために、罪のあがないをしなければならない。そうすれば、彼らはゆるされるであろう。それは過失だからである。彼らはその過失のために、その供え物として、火祭を主にささげ、また罪祭を主の前にささげなければならない。 + そうすれば、イスラエルの人々の全会衆はゆるされ、また彼らのうちに寄留している他国人も、ゆるされるであろう。民はみな過失を犯したからである。 + もし人があやまって罪を犯す時は、一歳の雌やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。 + そして祭司は、人があやまって罪を犯した時、そのあやまって罪を犯した人のために、主の前に罪のあがないをして、その罪をあがなわなければならない。そうすれば、彼はゆるされるであろう。 + イスラエルの人々のうちの、国に生れた者でも、そのうちに寄留している他国人でも、あやまって罪を犯す者には、あなたがたは同一の律法を用いなければならない。 + しかし、国に生れた者でも、他国の人でも、故意に罪を犯す者は主を汚すもので、その人は民のうちから断たれなければならない。 + 彼は主の言葉を侮り、その戒めを破ったのであるから、必ず断たれ、その罪を負わなければならない』」。 + イスラエルの人々が荒野におるとき、安息日にひとりの人が、たきぎを集めるのを見た。 + そのたきぎを集めるのを見た人々は、その人をモーセとアロン、および全会衆のもとに連れてきたが、 + どう取り扱うべきか、まだ示しを受けていなかったので、彼を閉じ込めておいた。 + そのとき、主はモーセに言われた、「その人は必ず殺されなければならない。全会衆は宿営の外で、彼を石で撃ち殺さなければならない」。 + そこで、全会衆は彼を宿営の外に連れ出し、彼を石で撃ち殺し、主がモーセに命じられたようにした。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて、代々その衣服のすその四すみにふさをつけ、そのふさを青ひもで、すその四すみにつけさせなさい。 + あなたがたが、そのふさを見て、主のもろもろの戒めを思い起して、それを行い、あなたがたが自分の心と、目の欲に従って、みだらな行いをしないためである。 + こうして、あなたがたは、わたしのもろもろの戒めを思い起して、それを行い、あなたがたの神に聖なる者とならなければならない。 + わたしはあなたがたの神、主であって、あなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの国から導き出した者である。わたしはあなたがたの神、主である」。 + + + ここに、レビの子コハテの子なるイヅハルの子コラと、ルベンの子なるエリアブの子ダタンおよびアビラムと、ルベンの子なるペレテの子オンとが相結び、 + イスラエルの人々のうち、会衆のうちから選ばれて、つかさとなった名のある人々二百五十人と共に立って、モーセに逆らった。 + 彼らは集まって、モーセとアロンとに逆らって言った、「あなたがたは、分を越えています。全会衆は、ことごとく聖なるものであって、主がそのうちにおられるのに、どうしてあなたがたは、主の会衆の上に立つのですか」。 + モーセはこれを聞いてひれ伏した。 + やがて彼はコラと、そのすべての仲間とに言った、「あす、主は、主につくものはだれ、聖なる者はだれであるかを示して、その人をみもとに近づけられるであろう。すなわち、その選んだ人を、みもとに近づけられるであろう。 + それで、次のようにしなさい。コラとそのすべての仲間とは、火ざらを取り、 + その中に火を入れ、それに薫香を盛って、あす、主の前に出なさい。その時、主が選ばれる人は聖なる者である。レビの子たちよ、あなたがたこそ、分を越えている」。 + モーセはまたコラに言った、「レビの子たちよ、聞きなさい。 + イスラエルの神はあなたがたをイスラエルの会衆のうちから分かち、主に近づかせて、主の幕屋の務をさせ、かつ会衆の前に立って仕えさせられる。これはあなたがたにとって、小さいことであろうか。 + 神はあなたとあなたの兄弟なるレビの子たちをみな近づけられた。あなたがたはなお、その上に祭司となることを求めるのか。 + あなたとあなたの仲間は、みなそのために集まって主に敵している。あなたがたはアロンをなんと思って、彼に対してつぶやくのか」。 + モーセは人をやって、エリアブの子ダタンとアビラムとを呼ばせたが、彼らは言った、「わたしたちは参りません。 + あなたは乳と蜜の流れる地から、わたしたちを導き出して、荒野でわたしたちを殺そうとしている。これは小さいことでしょうか。その上、あなたはわたしたちに君臨しようとしている。 + かつまた、あなたはわたしたちを、乳と蜜の流れる地に導いて行かず、畑と、ぶどう畑とを嗣業として与えもしない。これらの人々の目をくらまそうとするのですか。わたしたちは参りません」。 + モーセは大いに怒って、主に言った、「彼らの供え物を顧みないでください。わたしは彼らから、ろば一頭をも取ったことなく、また彼らのひとりをも害したことはありません」。 + そしてモーセはコラに言った、「あなたとあなたの仲間はみなアロンと一緒に、あす、主の前に出なさい。 + あなたがたは、おのおの火ざらを取って、それに薫香を盛り、おのおのその火ざらを主の前に携えて行きなさい。その火ざらは会わせて二百五十。あなたとアロンも、おのおの火ざらを携えて行きなさい」。 + 彼らは、おのおの火ざらを取り、火をその中に入れ、それに薫香を盛り、モーセとアロンも共に、会見の幕屋の入口に立った。 + そのとき、コラは会衆を、ことごとく会見の幕屋の入口に集めて、彼らふたりに逆らわせようとしたが、主の栄光は全会衆に現れた。 + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「あなたがたはこの会衆を離れなさい。わたしはただちに彼らを滅ぼすであろう」。 + 彼らふたりは、ひれ伏して言った、「神よ、すべての肉なる者の命の神よ、このひとりの人が、罪を犯したからといって、あなたは全会衆に対して怒られるのですか」。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたは会衆に告げて、コラとダタンとアビラムのすまいの周囲を去れと言いなさい」。 + モーセは立ってダタンとアビラムのもとに行ったが、イスラエルの長老たちも、彼に従って行った。 + モーセは会衆に言った、「どうぞ、あなたがたはこれらの悪い人々の天幕を離れてください。彼らのものには何にも触れてはならない。彼らのもろもろの罪によって、あなたがたも滅ぼされてはいけないから」。 + そこで人々はコラとダタンとアビラムのすまいの周囲を離れ去った。そして、ダタンとアビラムとは、妻、子、および幼児と一緒に出て、天幕の入口に立った。 + モーセは言った、「あなたがたは主がこれらのすべての事をさせるために、わたしをつかわされたこと、またわたしが、これを自分の心にしたがって行うものでないことを、次のことによって知るであろう。 + すなわち、もしこれらの人々が、普通の死に方で死に、普通の運命に会うのであれば、主がわたしをつかわされたのではない。 + しかし、主が新しい事をされ、地が口を開いて、これらの人々と、それに属する者とを、ことごとくのみつくして、生きながら陰府に下らせられるならば、あなたがたはこれらの人々が、主を侮ったのであることを知らなければならない」。 + モーセが、これらのすべての言葉を述べ終ったとき、彼らの下の土地が裂け、 + 地は口を開いて、彼らとその家族、ならびにコラに属するすべての人々と、すべての所有物をのみつくした。 + すなわち、彼らと、彼らに属するものは、皆生きながら陰府に下り、地はその上を閉じふさいで、彼らは会衆のうちから、断ち滅ぼされた。 + この時、その周囲にいたイスラエルの人々は、みな彼らの叫びを聞いて逃げ去り、「恐らく地はわたしたちをも、のみつくすであろう」と言った。 + また主のもとから火が出て、薫香を供える二百五十人をも焼きつくした。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたは祭司アロンの子エレアザルに告げて、その燃える火の中から、かの火ざらを取り出させ、その中の火を遠く広くまき散らさせなさい。それらの火ざらは聖となったから、 + 罪を犯して命を失った人々の、これらの火ざらを、広い延べ板として、祭壇のおおいとしなさい。これは主の前にささげられて、聖となったからである。こうして、これはイスラエルの人々に、しるしとなるであろう」。 + そこで祭司エレアザルは、かの焼き殺された人々が供えた青銅の火ざらを取り、これを広く打ち延ばして、祭壇のおおいとし、 + これをイスラエルの人々の記念の物とした。これはアロンの子孫でないほかの人が、主の前に近づいて、薫香をたくことのないようにするため、またその人がコラ、およびその仲間のようにならないためである。すなわち、主がモーセによってエレアザルに言われたとおりである。 + その翌日、イスラエルの人々の会衆は、みなモーセとアロンとにつぶやいて言った、「あなたがたは主の民を殺しました」。 + 会衆が集まって、モーセとアロンとに逆らったとき、会見の幕屋を望み見ると、雲がこれをおおい、主の栄光が現れていた。 + モーセとアロンとが、会見の幕屋の前に行くと、 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたがたはこの会衆を離れなさい。わたしはただちに彼らを滅ぼそう」。そこで彼らふたりは、ひれ伏した。 + モーセはアロンに言った、「あなたは火ざらを取って、それに祭壇から取った火を入れ、その上に薫香を盛り、急いでそれを会衆のもとに持って行って、彼らのために罪のあがないをしなさい。主が怒りを発せられ、疫病がすでに始まったからです」。 + そこで、アロンはモーセの言ったように、それを取って会衆の中に走って行ったが、疫病はすでに民のうちに始まっていたので、薫香をたいて、民のために罪のあがないをし、 + すでに死んだ者と、なお生きている者との間に立つと、疫病はやんだ。 + コラの事によって死んだ者のほかに、この疫病によって死んだ者は一万四千七百人であった。 + アロンは会見の幕屋の入口にいるモーセのもとに帰った。こうして疫病はやんだ。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げて、彼らのうちから、おのおのの父祖の家にしたがって、つえ一本ずつを取りなさい。すなわち、そのすべてのつかさたちから、父祖の家にしたがって、つえ十二本を取り、その人々の名を、おのおのそのつえに書きしるし、 + レビのつえにはアロンの名を書きしるしなさい。父祖の家のかしらは、おのおののつえ一本を出すのだからである。 + そして、これらのつえを、わたしがあなたがたに会う会見の幕屋の中の、あかしの箱の前に置きなさい。 + わたしの選んだ人のつえには、芽が出るであろう。こうして、わたしはイスラエルの人々が、あなたがたにむかって、つぶやくのをやめさせるであろう」。 + モーセが、このようにイスラエルの人々に語ったので、つかさたちはみな、その父祖の家にしたがって、おのおの、つえ一本ずつを彼に渡した。そのつえは合わせて十二本。アロンのつえも、そのつえのうちにあった。 + モーセは、それらのつえを、あかしの幕屋の中の、主の前に置いた。 + その翌日、モーセが、あかしの幕屋にはいって見ると、レビの家のために出したアロンのつえは芽をふき、つぼみを出し、花が咲いて、あめんどうの実を結んでいた。 + モーセがそれらのつえを、ことごとく主の前から、イスラエルのすべての人の所に持ち出したので、彼らは見て、おのおの自分のつえを取った。 + 主はモーセに言われた、「アロンのつえを、あかしの箱の前に持ち帰り、そこに保存して、そむく者どものために、しるしとしなさい。こうして、彼らのわたしに対するつぶやきをやめさせ、彼らの死ぬのをまぬかれさせなければならない」。 + モーセはそのようにして、主が彼に命じられたとおりに行った。 + イスラエルの人々は、モーセに言った、「ああ、わたしたちは死ぬ。破滅です、全滅です。 + 主の幕屋に近づく者が、みな死ぬのであれば、わたしたちは死に絶えるではありませんか」。 + + + そこで、主はアロンに言われた、「あなたとあなたの子たち、およびあなたの父祖の家の者は、聖所に関する罪を負わなければならない。また、あなたとあなたの子たちとは、祭司職に関する罪を負わなければならない。 + あなたはまた、あなたの兄弟なるレビの部族の者、すなわち、あなたの父祖の部族の者どもを、あなたに近づかせ、あなたに連なり、あなたに仕えさせなければならない。ただし、あなたとあなたの子たちとは、共にあかしの幕屋の前で仕えなければならない。 + 彼らは、あなたの務と、すべての幕屋の務とを守らなければならない。ただし、聖所の器と、祭壇とに近づいてはならない。彼らもあなたがたも、死ぬことのないためである。 + 彼らはあなたに連なって、会見の幕屋の務を守り、幕屋のもろもろの働きをしなければならない。ほかの者は、あなたがたに近づいてはならない。 + このように、あなたがたは、聖所の務と、祭壇の務とを守らなければならない。そうすれば、主の激しい怒りは、かさねてイスラエルの人々に臨まないであろう。 + わたしはあなたがたの兄弟たるレビびとを、イスラエルの人々のうちから取り、主のために、これを賜物として、あなたがたに与え、会見の幕屋の働きをさせる。 + あなたとあなたの子たちは共に祭司職を守って、祭壇と、垂幕のうちのすべての事を執り行い、共に勤めなければならない。わたしは祭司の職務を賜物として、あなたがたに与える。ほかの人で近づく者は殺されるであろう」。 + 主はまたアロンに言われた、「わたしはイスラエルの人々の、すべての聖なる供え物で、わたしにささげる物の一部をあなたに与える。すなわち、わたしはこれをあなたと、あなたの子たちに、その分け前として与え、永久に受くべき分とする。 + いと聖なる供え物のうち、火で焼かずに、あなたに帰すべきものは次のとおりである。すなわち、わたしにささげるすべての供え物、素祭、罪祭、愆祭はみな、いと聖なる物であって、あなたとあなたの子たちに帰するであろう。 + いと聖なる所で、それを食べなければならない。男子はみな、それを食べることができる。それはあなたに帰すべき聖なる物である。 + またあなたに帰すべきものはこれである。すなわち、イスラエルの人々のささげる供え物のうち、すべて揺祭とするものであって、これをあなたとあなたのむすこ娘に与えて、永久に受くべき分とする。あなたの家の者のうち、清い者はみな、これを食べることができる。 + すべて油の最もよい物、およびすべて新しいぶどう酒と、穀物の最も良い物など、人々が主にささげる初穂をあなたに与える。 + 国のすべての産物の初物で、人々が主のもとに携えてきたものは、あなたに帰するであろう。あなたの家の者のうち、清い者はみな、これを食べることができる。 + イスラエルのうちの奉納物はみな、あなたに帰する。 + すべて肉なる者のういごであって、主にささげられる者はみな、人でも獣でも、あなたに帰する。ただし、人のういごは必ずあがなわなければならない。また汚れた獣のういごも、あがなわなければならない。 + 人のういごは生後一か月で、あがなわなければならない。そのあがない金はあなたの値積りにより、聖所のシケルにしたがって、銀五シケルでなければならない。一シケルは二十ゲラである。 + しかし、牛のういご、羊のういご、やぎのういごは、あがなってはならない。これらは聖なるものである。その血を祭壇に注ぎかけ、その脂肪を焼いて火祭とし、香ばしいかおりとして、主にささげなければならない。 + その肉はあなたに帰する。それは揺祭の胸や右のももと同じく、あなたに帰する。 + イスラエルの人々が、主にささげる聖なる供え物はみな、あなたとあなたのむすこ娘とに与えて、永久に受ける分とする。これは主の前にあって、あなたとあなたの子孫とに対し、永遠に変らぬ塩の契約である」。 + 主はまたアロンに言われた、「あなたはイスラエルの人々の地のうちに、嗣業をもってはならない。また彼らのうちに、何の分をも持ってはならない。彼らのうちにあって、わたしがあなたの分であり、あなたの嗣業である。 + わたしはレビの子孫にはイスラエルにおいて、すべて十分の一を嗣業として与え、その働き、すなわち、会見の幕屋の働きに報いる。 + イスラエルの人々は、かさねて会見の幕屋に近づいてはならない。罪を得て死なないためである。 + レビびとだけが会見の幕屋の働きをしなければならない。彼らがその罪を負うであろう。彼らがイスラエルの人々のうちに、嗣業の地を持たないことをもって、あなたがたの代々ながく守るべき定めとしなければならない。 + わたしはイスラエルの人々が供え物として主にささげる十分の一を、レビびとに嗣業として与えた。それで『彼らはイスラエルの人々のうちに、嗣業の地を持ってはならない』と、わたしは彼らに言ったのである」。 + 主はモーセに言われた、 + 「レビびとに言いなさい、『わたしがイスラエルの人々から取って、嗣業として与える十分の一を受ける時、あなたがたはその十分の一の十分の一を、主にささげなければならない。 + あなたがたのささげ物は、打ち場からの穀物や、酒ぶねからのぶどう酒と同じように見なされるであろう。 + そのようにあなたがたもまた、イスラエルの人々から受けるすべての十分の一の物のうちから、主に供え物をささげ、主にささげたその供え物を、祭司アロンに与えなければならない。 + あなたがたの受けるすべての贈物のうちから、その良いところ、すなわち、聖なる部分を取って、ことごとく供え物として、主にささげなければならない』。 + あなたはまた彼らに言いなさい、『あなたがたが、そのうちから良いところを取ってささげる時、その残りの部分はレビびとには、打ち場の産物や、酒ぶねの産物と同じように見なされるであろう。 + あなたがたと、あなたがたの家族とは、どこでそれを食べてもよい。これは会見の幕屋であなたがたがする働きの報酬である。 + あなたがたが、その良いところをささげるときは、それによって、あなたがたは罪を負わないであろう。あなたがたはイスラエルの人々の聖なる供え物を汚してはならない。死をまぬかれるためである』」。 + + + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「主の命じられた律法の定めは次のとおりである。すなわち『イスラエルの人々に告げて、完全で、傷がなく、まだくびきを負ったことのない赤い雌牛を、あなたのもとに引いてこさせ、 + これを祭司エレアザルにわたして、宿営の外にひき出させ、彼の前でこれをほふらせなければならない。 + そして祭司エレアザルは、指をもってその血を取り、会見の幕屋の表に向かって、その血を七たびふりかけなければならない。 + ついでその雌牛を自分の目の前で焼かせ、その皮と肉と血とは、その汚物と共に焼かなければならない。 + そして祭司は香柏の木と、ヒソプと、緋の糸とを取って雌牛の燃えているなかに投げ入れなければならない。 + そして祭司は衣服を洗い、水に身をすすいで後、宿営に、はいることができる。ただし祭司は夕まで汚れる。 + またその雌牛を焼いた者も水で衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼も夕まで汚れる。 + それから身の清い者がひとり、その雌牛の灰を集め、宿営の外の清い所にたくわえておかなければならない。これはイスラエルの人々の会衆のため、汚れを清める水をつくるために備えるものであって、罪を清めるものである。 + その雌牛の灰を集めた者は衣服を洗わなければならない。その人は夕まで汚れる。これはイスラエルの人々と、そのうちに宿っている他国人との、永久に守るべき定めとしなければならない。 + すべて人の死体に触れる者は、七日のあいだ汚れる。 + その人は三日目と七日目とに、この灰の水をもって身を清めなければならない。そうすれば清くなるであろう。しかし、もし三日目と七日目とに、身を清めないならば、清くならないであろう。 + すべて死人の死体に触れて、身を清めない者は主の幕屋を汚す者で、その人はイスラエルから断たれなければならない。汚れを清める水がその身に注ぎかけられないゆえ、その人は清くならず、その汚れは、なお、その身にあるからである。 + 人が天幕の中で死んだ時に用いる律法は次のとおりである。すなわち、すべてその天幕にはいった者、およびすべてその天幕にいた者は七日のあいだ汚れる。 + ふたで上をおおわない器はみな汚れる。 + つるぎで殺された者、または死んだ者、または人の骨、または墓などに、野外で触れる者は皆、七日のあいだ汚れる。 + 汚れた者があった時には、罪を清める焼いた雌牛の灰を取って器に入れ、流れの水をこれに加え、 + 身の清い者がひとりヒソプを取って、その水に浸し、これをその天幕と、すべての器と、そこにいた人々と、骨、あるいは殺された者、あるいは死んだ者、あるいは墓などに触れた者とにふりかけなければならない。 + すなわちその身の清い人は三日目と七日目とにその汚れたものに、それをふりかけなければならない。そして七日目にその人は身を清め、衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。そうすれば夕になって清くなるであろう。 + しかし、汚れて身を清めない人は主の聖所を汚す者で、その人は会衆のうちから断たれなければならない。汚れを清める水がその身に注ぎかけられないゆえ、その人は汚れているからである。 + これは彼らの永久に守るべき定めとしなければならない。すなわち汚れを清める水をふりかけた者は衣服を洗わなければならない。また汚れを清める水に触れた者も夕まで汚れるであろう。 + すべて汚れた人の触れる物は汚れる。またそれに触れる人も夕まで汚れるであろう』」。 + + + イスラエルの人々の全会衆は正月になってチンの荒野にはいった。そして民はカデシにとどまったが、ミリアムがそこで死んだので、彼女をそこに葬った。 + そのころ会衆は水が得られなかったため、相集まってモーセとアロンに迫った。 + すなわち民はモーセと争って言った、「さきにわれわれの兄弟たちが主の前に死んだ時、われわれも死んでいたらよかったものを。 + なぜ、あなたがたは主の会衆をこの荒野に導いて、われわれと、われわれの家畜とを、ここで死なせようとするのですか。 + どうしてあなたがたはわれわれをエジプトから上らせて、この悪い所に導き入れたのですか。ここには種をまく所もなく、いちじくもなく、ぶどうもなく、ざくろもなく、また飲む水もありません」。 + そこでモーセとアロンは会衆の前を去り、会見の幕屋の入口へ行ってひれ伏した。すると主の栄光が彼らに現れ、 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたは、つえをとり、あなたの兄弟アロンと共に会衆を集め、その目の前で岩に命じて水を出させなさい。こうしてあなたは彼らのために岩から水を出して、会衆とその家畜に飲ませなさい」。 + モーセは命じられたように主の前にあるつえを取った。 + モーセはアロンと共に会衆を岩の前に集めて彼らに言った、「そむく人たちよ、聞きなさい。われわれがあなたがたのためにこの岩から水を出さなければならないのであろうか」。 + モーセは手をあげ、つえで岩を二度打つと、水がたくさんわき出たので、会衆とその家畜はともに飲んだ。 + そのとき主はモーセとアロンに言われた、「あなたがたはわたしを信じないで、イスラエルの人々の前にわたしの聖なることを現さなかったから、この会衆をわたしが彼らに与えた地に導き入れることができないであろう」。 + これがメリバの水であって、イスラエルの人々はここで主と争ったが、主は自分の聖なることを彼らのうちに現された。 + さて、モーセはカデシからエドムの王に使者をつかわして言った、「あなたの兄弟、イスラエルはこう申します、『あなたはわたしたちが遭遇したすべての患難をご存じです。 + わたしたちの先祖はエジプトに下って行って、わたしたちは年久しくエジプトに住んでいましたが、エジプトびとがわたしたちと、わたしたちの先祖を悩ましたので、 + わたしたちが主に呼ばわったとき、主はわたしたちの声を聞き、ひとりの天の使をつかわして、わたしたちをエジプトから導き出されました。わたしたちは今あなたの領地の端にあるカデシの町におります。 + どうぞ、わたしたちにあなたの国を通らせてください。わたしたちは畑もぶどう畑も通りません。また井戸の水も飲みません。ただ王の大路を通り、あなたの領地を過ぎるまでは右にも左にも曲りません』」。 + しかし、エドムはモーセに言った、「あなたはわたしの領地をとおってはなりません。さもないと、わたしはつるぎをもって出て、あなたに立ちむかうでしょう」。 + イスラエルの人々はエドムに言った、「わたしたちは大路を通ります。もしわたしたちとわたしたちの家畜とが、あなたの水を飲むことがあれば、その価を払います。わたしは徒歩で通るだけですから何事もないでしょう」。 + しかし、エドムは「あなたは通ることはなりません」と言って、多くの民と強い軍勢とを率い、出て、これに立ちむかってきた。 + このようにエドムはイスラエルに、その領地を通ることを拒んだので、イスラエルはエドムからほかに向かった。 + こうしてイスラエルの人々の全会衆はカデシから進んでホル山に着いた。 + 主はエドムの国境に近いホル山で、モーセとアロンに言われた、 + 「アロンはその民に連ならなければならない。彼はわたしがイスラエルの人々に与えた地に、はいることができない。これはメリバの水で、あなたがたがわたしの言葉にそむいたからである。 + あなたはアロンとその子エレアザルを連れてホル山に登り、 + アロンに衣服を脱がせて、それをその子エレアザルに着せなさい。アロンはそのところで死んで、その民に連なるであろう」。 + モーセは主が命じられたとおりにし、連れだって全会衆の目の前でホル山に登った。 + そしてモーセはアロンに衣服を脱がせ、それをその子エレアザルに着せた。アロンはその山の頂で死んだ。そしてモーセとエレアザルは山から下ったが、 + 全会衆がアロンの死んだのを見たとき、イスラエルの全家は三十日の間アロンのために泣いた。 + + + 時にネゲブに住んでいたカナンびとアラデの王は、イスラエルがアタリムの道をとおって来ると聞いて、イスラエルを攻撃し、そのうちの数人を捕虜にした。 + そこでイスラエルは主に誓いを立てて言った、「もし、あなたがこの民をわたしの手にわたしてくださるならば、わたしはその町々をことごとく滅ぼしましょう」。 + 主はイスラエルの言葉を聞きいれ、カナンびとをわたされたので、イスラエルはそのカナンびとと、その町々とをことごとく滅ぼした。それでその所の名はホルマと呼ばれた。 + 民はホル山から進み、紅海の道をとおって、エドムの地を回ろうとしたが、民はその道に堪えがたくなった。 + 民は神とモーセとにむかい、つぶやいて言った、「あなたがたはなぜわたしたちをエジプトから導き上って、荒野で死なせようとするのですか。ここには食物もなく、水もありません。わたしたちはこの粗悪な食物はいやになりました」。 + そこで主は、火のへびを民のうちに送られた。へびは民をかんだので、イスラエルの民のうち、多くのものが死んだ。 + 民はモーセのもとに行って言った、「わたしたちは主にむかい、またあなたにむかい、つぶやいて罪を犯しました。どうぞへびをわたしたちから取り去られるように主に祈ってください」。モーセは民のために祈った。 + そこで主はモーセに言われた、「火のへびを造って、それをさおの上に掛けなさい。すべてのかまれた者が仰いで、それを見るならば生きるであろう」。 + モーセは青銅で一つのへびを造り、それをさおの上に掛けて置いた。すべてへびにかまれた者はその青銅のへびを仰いで見て生きた。 + イスラエルの人々は道を進んでオボテに宿営した。 + またオボテから進んで東の方、モアブの前にある荒野において、イエアバリムに宿営した。 + またそこから進んでゼレデの谷に宿営し、 + さらにそこから進んでアルノン川のかなたに宿営した。アルノン川はアモリびとの境から延び広がる荒野を流れるもので、モアブとアモリびととの間にあって、モアブの境をなしていた。 + それゆえに、「主の戦いの書」にこう言われている。「スパのワヘブ、アルノンの谷々、 + 谷々の斜面、アルの町まで傾き、モアブの境に寄りかかる」。 + 彼らはそこからベエルへ進んで行った。これは主がモーセにむかって、「民を集めよ。わたしはかれらに水を与えるであろう」と言われた井戸である。 + その時イスラエルはこの歌をうたった。「井戸の水よ、わきあがれ、人々よ、この井戸のために歌え、 + 笏とつえとをもってつかさたちがこの井戸を掘り、民のおさたちがこれを掘った」。そして彼らは荒野からマッタナに進み、 + マッタナからナハリエルに、ナハリエルからバモテに、 + バモテからモアブの野にある谷に行き、荒野を見おろすピスガの頂に着いた。 + ここでイスラエルはアモリびとの王シホンに使者をつかわして言わせた、 + 「わたしにあなたの国を通らせてください。わたしたちは畑にもぶどう畑にも、はいりません。また井戸の水も飲みません。わたしたちはあなたの領地を通り過ぎるまで、ただ王の大路を通ります」。 + しかし、シホンはイスラエルに自分の領地を通ることを許さなかった。そしてシホンは民をことごとく集め、荒野に出て、イスラエルを攻めようとし、ヤハズにきてイスラエルと戦った。 + イスラエルは、やいばで彼を撃ちやぶり、アルノンからヤボクまで彼の地を占領し、アンモンびとの境に及んだ。ヤゼルはアンモンびとの境だからである。 + こうしてイスラエルはこれらの町々をことごとく取った。そしてイスラエルはアモリびとのすべての町々に住み、ヘシボンとそれに附属するすべての村々にいた。 + ヘシボンはアモリびとの王シホンの都であって、シホンはモアブの以前の王と戦って、彼の地をアルノンまで、ことごとくその手から奪い取ったのである。 + それゆえに歌にうたわれている。「人々よ、ヘシボンにきたれ、シホンの町を築き建てよ。 + ヘシボンから火が燃え出し、シホンの都から炎が出て、モアブのアルを焼き尽し、アルノンの高地の君たちを滅ぼしたからだ。 + モアブよ、お前はわざわいなるかな、ケモシの民よ、お前は滅ぼされるであろう。彼は、むすこらを逃げ去らせ、娘らをアモリびとの王シホンの捕虜とならせた。 + 彼らの子らは滅び去った、ヘシボンからデボンまで。われわれは荒した、火はついてメデバに及んだ」。 + こうしてイスラエルはアモリびとの地に住んだが、 + モーセはまた人をつかわしてヤゼルを探らせ、ついにその村々を取って、そこにいたアモリびとを追い出し、 + 転じてバシャンの道に上って行ったが、バシャンの王オグは、その民をことごとく率い、エデレイで戦おうとして出迎えた。 + 主はモーセに言われた、「彼を恐れてはならない。わたしは彼とその民とその地とを、ことごとくあなたの手にわたす。あなたはヘシボンに住んでいたアモリびとの王シホンにしたように彼にもするであろう」。 + そこで彼とその子とすべての民とを、ひとり残らず撃ち殺して、その地を占領した。 + + + さて、イスラエルの人々はまた道を進んで、エリコに近いヨルダンのかなたのモアブの平野に宿営した。 + チッポルの子バラクはイスラエルがアモリびとにしたすべての事を見たので、 + モアブは大いにイスラエルの民を恐れた。その数が多かったためである。モアブはイスラエルの人々をひじょうに恐れたので、 + ミデアンの長老たちに言った、「この群衆は牛が野の草をなめつくすように、われわれの周囲の物をみな、なめつくそうとしている」。チッポルの子バラクはこの時モアブの王であった。 + 彼はアンモンびとの国のユフラテ川のほとりにあるペトルに使者をつかわし、ベオルの子バラムを招こうとして言わせた、「エジプトから出てきた民があり、地のおもてをおおってわたしの前にいます。 + どうぞ今きてわたしのためにこの民をのろってください。彼らはわたしよりも強いのです。そうしてくだされば、われわれは彼らを撃って、この国から追い払うことができるかもしれません。あなたが祝福する者は祝福され、あなたがのろう者はのろわれることをわたしは知っています」。 + モアブの長老たちとミデアンの長老たちは占いの礼物を手にして出発し、バラムのもとへ行って、バラクの言葉を告げた。 + バラムは彼らに言った、「今夜ここに泊まりなさい。主がわたしに告げられるとおりに、あなたがたに返答しましょう」。それでモアブのつかさたちはバラムのもとにとどまった。 + ときに神はバラムに臨んで言われた、「あなたのところにいるこの人々はだれですか」。 + バラムは神に言った、「モアブの王チッポルの子バラクが、わたしに人をよこして言いました。 + 『エジプトから出てきた民があり、地のおもてをおおっています。どうぞ今きてわたしのために彼らをのろってください。そうすればわたしは戦って、彼らを追い払うことができるかもしれません』」。 + 神はバラムに言われた、「あなたは彼らと一緒に行ってはならない。またその民をのろってはならない。彼らは祝福された者だからである」。 + 明くる朝起きて、バラムはバラクのつかさたちに言った、「あなたがたは国にお帰りなさい。主はわたしがあなたがたと一緒に行くことを、お許しになりません」。 + モアブのつかさたちは立ってバラクのもとに行って言った、「バラムはわたしたちと一緒に来ることを承知しません」。 + バラクはまた前の者よりも身分の高いつかさたちを前よりも多くつかわした。 + 彼らはバラムのところへ行って言った、「チッポルの子バラクはこう申します、『どんな妨げをも顧みず、どうぞわたしのところへおいでください。 + わたしはあなたを大いに優遇します。そしてあなたがわたしに言われる事はなんでもいたします。どうぞきてわたしのためにこの民をのろってください』」。 + しかし、バラムはバラクの家来たちに答えた、「たといバラクがその家に満ちるほどの金銀をわたしに与えようとも、事の大小を問わず、わたしの神、主の言葉を越えては何もすることができません。 + それで、どうぞ、あなたがたも今夜ここにとどまって、主がこの上、わたしになんと仰せられるかを確かめさせてください」。 + 夜になり、神はバラムに臨んで言われた、「この人々はあなたを招きにきたのだから、立ってこの人々と一緒に行きなさい。ただしわたしが告げることだけを行わなければならない」。 + 明くる朝起きてバラムは、ろばにくらをおき、モアブのつかさたちと一緒に行った。 + しかるに神は彼が行ったために怒りを発せられ、主の使は彼を妨げようとして、道に立ちふさがっていた。バラムは、ろばに乗り、そのしもべふたりも彼と共にいたが、 + ろばは主の使が、手に抜き身のつるぎをもって、道に立ちふさがっているのを見、道をそれて畑にはいったので、バラムは、ろばを打って道に返そうとした。 + しかるに主の使はまたぶどう畑の間の狭い道に立ちふさがっていた。道の両側には石がきがあった。 + ろばは主の使を見て、石がきにすり寄り、バラムの足を石がきに押しつけたので、バラムは、また、ろばを打った。 + 主の使はまた先に進んで、狭い所に立ちふさがっていた。そこは右にも左にも、曲る道がなかったので、 + ろばは主の使を見てバラムの下に伏した。そこでバラムは怒りを発し、つえでろばを打った。 + すると、主が、ろばの口を開かれたので、ろばはバラムにむかって言った、「わたしがあなたに何をしたというのですか。あなたは三度もわたしを打ったのです」。 + バラムは、ろばに言った、「お前がわたしを侮ったからだ。わたしの手につるぎがあれば、いま、お前を殺してしまうのだが」。 + ろばはまたバラムに言った、「わたしはあなたが、きょうまで長いあいだ乗られたろばではありませんか。わたしはいつでも、あなたにこのようにしたでしょうか」。バラムは言った、「いや、しなかった」。 + このとき主がバラムの目を開かれたので、彼は主の使が手に抜き身のつるぎをもって、道に立ちふさがっているのを見て、頭を垂れてひれ伏した。 + 主の使は彼に言った、「なぜあなたは三度もろばを打ったのか。あなたが誤って道を行くので、わたしはあなたを妨げようとして出てきたのだ。 + ろばはわたしを見て三度も身を巡らしてわたしを避けた。もし、ろばが身を巡らしてわたしを避けなかったなら、わたしはきっと今あなたを殺して、ろばを生かしておいたであろう」。 + バラムは主の使に言った、「わたしは罪を犯しました。あなたがわたしをとどめようとして、道に立ちふさがっておられるのを、わたしは知りませんでした。それで今、もし、お気に召さないのであれば、わたしは帰りましょう」。 + 主の使はバラムに言った、「この人々と一緒に行きなさい。ただし、わたしが告げることのみを述べなければならない」。こうしてバラムはバラクのつかさたちと一緒に行った。 + さて、バラクはバラムがきたと聞いて、国境のアルノン川のほとり、国境の一端にあるモアブの町まで出て行って迎えた。 + そしてバラクはバラムに言った、「わたしは人をつかわしてあなたを招いたではありませんか。あなたはなぜわたしのところへきませんでしたか。わたしは実際あなたを優遇することができないでしょうか」。 + バラムはバラクに言った、「ごらんなさい。わたしはあなたのところにきています。しかし、今、何事かをみずから言うことができましょうか。わたしはただ神がわたしの口に授けられることを述べなければなりません」。 + こうしてバラムはバラクと一緒に行き、キリアテ・ホゾテにきたとき、 + バラクは牛と羊とをほふって、バラムおよび彼と共にいたバラムを連れてきたつかさたちに贈った。 + 明くる朝バラクはバラムを伴ってバモテバアルにのぼり、そこからイスラエルの民の宿営の一端をながめさせた。 + + + バラムはバラクに言った、「わたしのために、ここに七つの祭壇を築き、七頭の雄牛と七頭の雄羊とを整えなさい」。 + バラクはバラムの言ったとおりにした。そしてバラクとバラムとは、その祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。 + バラムはバラクに言った、「あなたは燔祭のかたわらに立っていてください。その間にわたしは行ってきます。主はたぶんわたしに会ってくださるでしょう。そして、主がわたしに示される事はなんでもあなたに告げましょう」。こうして彼は一つのはげ山に登った。 + 神がバラムに会われたので、バラムは神に言った、「わたしは七つの祭壇を設け、祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげました」。 + 主はバラムの口に言葉を授けて言われた、「バラクのもとに帰ってこう言いなさい」。 + 彼がバラクのもとに帰ってみると、バラクはモアブのすべてのつかさたちと共に燔祭のかたわらに立っていた。 + バラムはこの託宣を述べた。「バラクはわたしをアラムから招き寄せ、モアブの王はわたしを東の山から招き寄せて言う、『きてわたしのためにヤコブをのろえ、きてイスラエルをのろえ』と。 + 神ののろわない者を、わたしがどうしてのろえよう。主ののろわない者を、わたしがどうしてのろえよう。 + 岩の頂からながめ、丘の上から見たが、これはひとり離れて住む民、もろもろの国民のうちに並ぶものはない。 + だれがヤコブの群衆を数え、イスラエルの無数の民を数え得よう。わたしは義人のように死に、わたしの終りは彼らの終りのようでありたい」。 + そこでバラクはバラムに言った、「あなたはわたしに何をするのですか。わたしは敵をのろうために、あなたを招いたのに、あなたはかえって敵を祝福するばかりです」。 + バラムは答えた、「わたしは、主がわたしの口に授けられる事だけを語るように注意すべきではないでしょうか」。 + バラクは彼に言った、「わたしと一緒にほかのところへ行って、そこから彼らをごらんください。あなたはただ彼らの一端を見るだけで、全体を見ることはできないでしょうが、そこからわたしのために彼らをのろってください」。 + そして彼はバラムを連れてゾピムの野に行き、ピスガの頂に登って、そこに七つの祭壇を築き、祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。 + ときにはバラムはバラクに言った、「あなたはここで、燔祭のかたわらに立っていてください。わたしは向こうへ行って、主に伺いますから」。 + 主はバラムに臨み、言葉を口に授けて言われた、「バラクのもとに帰ってこう言いなさい」。 + 彼がバラクのところへ行って見ると、バラクは燔祭のかたわらに立ち、モアブのつかさたちも共にいた。バラクはバラムに言った、「主はなんと言われましたか」。 + そこでバラムはまたこの託宣を述べた。「バラクよ、立って聞け、チッポルの子よ、わたしに耳を傾けよ。 + 神は人のように偽ることはなく、また人の子のように悔いることもない。言ったことで、行わないことがあろうか、語ったことで、しとげないことがあろうか。 + 祝福せよとの命をわたしはうけた、すでに神が祝福されたものを、わたしは変えることができない。 + だれもヤコブのうちに災のあるのを見ない、またイスラエルのうちに悩みのあるのを見ない。彼らの神、主が共にいまし、王をたたえる声がその中に聞える。 + 神は彼らをエジプトから導き出された、彼らは野牛の角のようだ。 + ヤコブには魔術がなく、イスラエルには占いがない。神がそのなすところを時に応じてヤコブに告げ、イスラエルに示されるからだ。 + 見よ、この民は雌じしのように立ち上がり、雄じしのように身を起す。これはその獲物を食らい、その殺した者の血を飲むまでは身を横たえない」。 + バラクはバラムに言った、「あなたは彼らをのろうことも祝福することも、やめてください」。 + バラムは答えてバラクに言った、「主の言われることは、なんでもしなければならないと、わたしはあなたに告げませんでしたか」。 + バラクはバラムに言った、「どうぞ、おいでください。わたしはあなたをほかの所へお連れしましょう。神はあなたがそこからわたしのために彼らをのろうことを許されるかもしれません」。 + そしてバラクはバラムを連れて、荒野を見おろすペオルの頂に行った。 + バラムはバラクに言った、「わたしのためにここに七つの祭壇を築き、雄牛七頭と、雄羊七頭とを整えなさい」。 + バラクはバラムの言ったとおりにし、その祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。 + + + バラムはイスラエルを祝福することが主の心にかなうのを見たので、今度はいつものように行って魔術を求めることをせず、顔を荒野にむけ、 + 目を上げて、イスラエルがそれぞれ部族にしたがって宿営しているのを見た。その時、神の霊が臨んだので、 + 彼はこの託宣を述べた。「ベオルの子バラムの言葉、目を閉じた人の言葉、 + 神の言葉を聞く者、全能者の幻を見る者、倒れ伏して、目の開かれた者の言葉。 + ヤコブよ、あなたの天幕は麗しい、イスラエルよ、あなたのすまいは、麗しい。 + それは遠くひろがる谷々のよう、川べの園のよう、主が植えられた沈香樹のよう、流れのほとりの香柏のようだ。 + 水は彼らのかめからあふれ、彼らの種は水の潤いに育つであろう。彼らの王はアガグよりも高くなり、彼らの国はあがめられるであろう。 + 神は彼らをエジプトから導き出された、彼らは野牛の角のようだ。彼らは敵なる国々の民を滅ぼし、その骨を砕き、矢をもって突き通すであろう。 + 彼らは雄じしのように身をかがめ、雌じしのように伏している。だれが彼らを起しえよう。あなたを祝福する者は祝福され、あなたをのろう者はのろわれるであろう」。 + そこでバラクはバラムにむかって怒りを発し、手を打ち鳴らした。そしてバラクはバラムに言った、「敵をのろうために招いたのに、あなたはかえって三度までも彼らを祝福した。 + それで今あなたは急いで自分のところへ帰ってください。わたしはあなたを大いに優遇しようと思った。しかし、主はその優遇をあなたに得させないようにされました」。 + バラムはバラクに言った、「わたしはあなたがつかわされた使者たちに言ったではありませんか、 + 『たといバラクがその家に満ちるほどの金銀をわたしに与えようとも、主の言葉を越えて心のままに善も悪も行うことはできません。わたしは主の言われることを述べるだけです』。 + わたしは今わたしの民のところへ帰って行きます。それでわたしはこの民が後の日にあなたの民にどんなことをするかをお知らせしましょう」。 + そしてこの託宣を述べた。「ベオルの子バラムの言葉、目を閉じた人の言葉。 + 神の言葉を聞く者、いと高き者の知識をもつ者、全能者の幻を見、倒れ伏して、目の開かれた者の言葉。 + わたしは彼を見る、しかし今ではない。わたしは彼を望み見る、しかし近くではない。ヤコブから一つの星が出、イスラエルから一本のつえが起り、モアブのこめかみと、セツのすべての子らの脳天を撃つであろう。 + 敵のエドムは領地となり、セイルもまた領地となるであろう。そしてイスラエルは勝利を得るであろう。 + 権を執る者がヤコブから出、生き残った者を町から断ち滅ぼすであろう」。 + バラムはまたアマレクを望み見て、この託宣を述べた。「アマレクは諸国民のうちの最初のもの、しかし、ついに滅び去るであろう」。 + またケニびとを望み見てこの託宣を述べた。「お前のすみかは堅固だ、岩に、お前は巣をつくっている。 + しかし、カインは滅ぼされるであろう。アシュルはいつまでお前を捕虜とするであろうか」。 + 彼はまたこの託宣を述べた。「ああ、神が定められた以上、だれが生き延びることができよう。 + キッテムの海岸から舟がきて、アシュルを攻めなやまし、エベルを攻めなやますであろう。そして彼もまたついに滅び去るであろう」。 + こうしてバラムは立ち上がって、自分のところへ帰っていった。バラクもまた立ち去った。 + + + イスラエルはシッテムにとどまっていたが、民はモアブの娘たちと、みだらな事をし始めた。 + その娘たちが神々に犠牲をささげる時に民を招くと、民は一緒にそれを食べ、娘たちの神々を拝んだ。 + イスラエルはこうしてペオルのバアルにつきしたがったので、主はイスラエルにむかって怒りを発せられた。 + そして主はモーセに言われた、「民の首領をことごとく捕え、日のあるうちにその人々を主の前で処刑しなさい。そうすれば主の怒りはイスラエルを離れるであろう」。 + モーセはイスラエルのさばきびとたちにむかって言った、「あなたがたはおのおの、配下の者どもでペオルのバアルにつきしたがったものを殺しなさい」。 + モーセとイスラエルの人々の全会衆とが会見の幕屋の入口で泣いていた時、彼らの目の前で、ひとりのイスラエルびとが、その兄弟たちの中に、ひとりのミデアンの女を連れてきた。 + 祭司アロンの子なるエレアザルの子ピネハスはこれを見て、会衆のうちから立ち上がり、やりを手に執り、 + そのイスラエルの人の後を追って、奥の間に入り、そのイスラエルの人を突き、またその女の腹を突き通して、ふたりを殺した。こうして疫病がイスラエルの人々に及ぶのがやんだ。 + しかし、その疫病で死んだ者は二万四千人であった。 + 主はモーセに言われた、 + 「祭司アロンの子なるエレアザルの子ピネハスは自分のことのように、わたしの憤激をイスラエルの人々のうちに表わし、わたしの怒りをそのうちから取り去ったので、わたしは憤激して、イスラエルの人々を滅ぼすことをしなかった。 + このゆえにあなたは言いなさい、『わたしは平和の契約を彼に授ける。 + これは彼とその後の子孫に永遠の祭司職の契約となるであろう。彼はその神のために熱心であって、イスラエルの人々のために罪のあがないをしたからである』と」。 + ミデアンの女と共に殺されたイスラエルの人の名はジムリといい、サルの子で、シメオンびとのうちの一族のつかさであった。 + またその殺されたミデアンの女の名はコズビといい、ツルの娘であった。ツルはミデアンの民の一族のかしらであった。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「ミデアンびとを打ち悩ましなさい。 + 彼らはたくらみをもって、あなたがたを悩まし、ペオルの事と、彼らの姉妹、ミデアンのつかさの娘コズビ、すなわちペオルの事により、疫病の起った日に殺された女の事とによって、あなたがたを惑わしたからである」。 + + + 疫病の後、主はモーセと祭司アロンの子エレアザルとに言われた、 + 「イスラエルの人々の全会衆の総数をその父祖の家にしたがって調べ、イスラエルにおいて、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者を数えなさい」。 + そこでモーセと祭司エレアザルとは、エリコに近いヨルダンのほとりにあるモアブの平野で彼らに言った、 + 「主がモーセに命じられたように、あなたがたのうちの二十歳以上の者を数えなさい」。エジプトの地から出てきたイスラエルの人々は次のとおりである。 + ルベンはイスラエルの長子である。ルベンの子孫は、ヘノクからヘノクびとの氏族が出、パルからパルびとの氏族が出、 + ヘヅロンからヘヅロンびとの氏族が出、カルミからカルミびとの氏族が出た。 + これらはルベンびとの氏族であって、数えられた者は四万三千七百三十人であった。 + またパルの子はエリアブ。 + エリアブの子はネムエル、ダタン、アビラムである。このダタンとアビラムとは会衆のうちから選び出された者で、コラのともがらと共にモーセとアロンとに逆らって主と争った時、 + 地は口を開いて彼らとコラとをのみ、その仲間は死んだ。その時二百五十人が火に焼き滅ぼされて、戒めの鏡となった。 + ただし、コラの子たちは死ななかった。 + シメオンの子孫は、その氏族によれば、ネムエルからネムエルびとの氏族が出、ヤミンからヤミンびとの氏族が出、ヤキンからヤキンびとの氏族が出、 + ゼラからゼラびとの氏族が出、シャウルからシャウルびとの氏族が出た。 + これらはシメオンびとの氏族であって、数えられた者は二万二千二百人であった。 + ガドの子孫は、その氏族によれば、ゼポンからゼポンびとの氏族が出、ハギからハギびとの氏族が出、シュニからシュニびとの氏族が出、 + オズニからオズニびとの氏族が出、エリからエリびとの氏族が出、 + アロドからアロドびとの氏族が出、アレリからアレリびとの氏族が出た。 + これらはガドの子孫の氏族であって、数えられた者は四万五百人であった。 + ユダの子らはエルとオナンとであって、エルとオナンとはカナンの地で死んだ。 + ユダの子孫は、その氏族によれば、シラからシラびとの氏族が出、ペレヅからペレヅびとの氏族が出、ゼラからゼラびとの氏族が出た。 + ペレヅの子孫は、ヘヅロンからヘヅロンびとの氏族が出、ハムルからハムルびとの氏族が出た。 + これらはユダの氏族であって、数えられた者は七万六千五百人であった。 + イッサカルの子孫は、その氏族によれば、トラからトラびとの氏族が出、プワからプワびとの氏族が出、 + ヤシュブからヤシュブびとの氏族が出、シムロンからシムロンびとの氏族が出た。 + これらはイッサカルの氏族であって、数えられた者は六万四千三百人であった。 + ゼブルンの子孫は、その氏族によれば、セレデからセレデびとの氏族が出、エロンからエロンびとの氏族が出、ヤリエルからヤリエルびとの氏族が出た。 + これらはゼブルンびとの氏族であって、数えられた者は六万五百人であった。 + ヨセフの子らは、その氏族によれば、マナセとエフライムとであって、 + マナセの子孫は、マキルからマキルびとの氏族が出た。マキルからギレアデが生れ、ギレアデからギレアデびとの氏族が出た。 + ギレアデの子孫は次のとおりである。イエゼルからイエゼルびとの氏族が出、ヘレクからヘレクびとの氏族が出、 + アスリエルからアスリエルびとの氏族が出、シケムからシケムびとの氏族が出、 + セミダからセミダびとの氏族が出、ヘペルからヘペルびとの氏族が出た。 + ヘペルの子ゼロペハデには男の子がなく、ただ女の子のみで、ゼロペハデの女の子の名はマアラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといった。 + これらはマナセの氏族であって、数えられた者は五万二千七百人であった。 + エフライムの子孫は、その氏族によれば、次のとおりである。シュテラからはシュテラびとの氏族が出、ベケルからベケルびとの氏族が出、タハンからタハンびとの氏族が出た。 + またシュテラの子孫は次のとおりである。すなわちエランからエランびとの氏族が出た。 + これらはエフライムの子孫の氏族であって、数えられた者は三万二千五百人であった。以上はヨセフの子孫で、その氏族によるものである。 + ベニヤミンの子孫は、その氏族によれば、ベラからベラびとの氏族が出、アシベルからアシベルびとの氏族が出、アヒラムからアヒラムびとの氏族が出、 + シュパムからシュパムびとの氏族が出、ホパムからホパムびとの氏族が出た。 + ベラの子はアルデとナアマンとであって、アルデからアルデびとの氏族が出、ナアマンからナアマンびとの氏族が出た。 + これらはベニヤミンの子孫であって、その氏族によれば数えられた者は四万五千六百人であった。 + ダンの子孫は、その氏族によれば、次のとおりである。シュハムからシュハムびとの氏族が出た。これらはダンの氏族であって、その氏族によるものである。 + シュハムびとのすべての氏族のうち、数えられた者は六万四千四百人であった。 + アセルの子孫は、その氏族によれば、エムナからエムナびとの氏族が出、エスイからエスイびとの氏族が出、ベリアからベリアびとの氏族が出た。 + ベリアの子孫のうちヘベルからヘベルびとの氏族が出、マルキエルからマルキエルびとの氏族が出た。 + アセルの娘の名はサラといった。 + これらはアセルの子孫の氏族であって、数えられた者は五万三千四百人であった。 + ナフタリの子孫は、その氏族によれば、ヤジエルからヤジエルびとの氏族が出、グニからグニびとの氏族が出、 + エゼルからエゼルびとの氏族が出、シレムからシレムびとの氏族が出た。 + これらはナフタリの氏族であって、その氏族により、数えられた者は四万五千四百人であった。 + これらはイスラエルの子孫の数えられた者であって、六十万一千百三十人であった。 + 主はモーセに言われた、 + 「これらの人々に、その名の数にしたがって地を分け与え、嗣業とさせなさい。 + 大きい部族には多くの嗣業を与え、小さい部族には少しの嗣業を与えなさい。すなわち数えられた数にしたがって、おのおのの部族にその嗣業を与えなければならない。 + ただし地は、くじをもって分け、その父祖の部族の名にしたがって、それを継がなければならない。 + すなわち、くじをもってその嗣業を大きいものと、小さいものとに分けなければならない」。 + レビびとのその氏族にしたがって数えられた者は次のとおりである。ゲルションからゲルションびとの氏族が出、コハテからコハテびとの氏族が出、メラリからメラリびとの氏族が出た。 + レビの氏族は次のとおりである。すなわちリブニびとの氏族、ヘブロンびとの氏族、マヘリびとの氏族、ムシびとの氏族、コラびとの氏族であって、コハテからアムラムが生れた。 + アムラムの妻の名はヨケベデといって、レビの娘である。彼女はエジプトでレビに生れた者であるが、アムラムにとついで、アロンとモーセおよびその姉妹ミリアムを産んだ。 + アロンにはナダブ、アビウ、エレアザルおよびイタマルが生れた。 + ナダブとアビウは異火を主の前にささげた時に死んだ。 + その数えられた一か月以上のすべての男子は二万三千人であった。彼らはイスラエルの人々のうちに嗣業を与えられなかったため、イスラエルの人々のうちに数えられなかった者である。 + これらはモーセと祭司エレアザルが、エリコに近いヨルダンのほとりにあるモアブの平野で数えたイスラエルの人々の数である。 + ただしそのうちには、モーセと祭司アロンがシナイの荒野でイスラエルの人々を数えた時に数えられた者はひとりもなかった。 + それは主がかつて彼らについて「彼らは必ず荒野で死ぬであろう」と言われたからである。それで彼らのうちエフンネの子カレブとヌンの子ヨシュアのほか、ひとりも残った者はなかった。 + + + さて、ヨセフの子マナセの氏族のうちのヘペルの子、ゼロペハデの娘たちが訴えてきた。ヘペルはギレアデの子、ギレアデはマキルの子、マキルはマナセの子である。その娘たちは名をマアラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといったが、 + 彼らは会見の幕屋の入口でモーセと、祭司エレアザルと、つかさたちと全会衆との前に立って言った、 + 「わたしたちの父は荒野で死にました。彼は、コラの仲間となって主に逆らった者どもの仲間のうちには加わりませんでした。彼は自分の罪によって死んだのですが、男の子がありませんでした。 + 男の子がないからといって、どうしてわたしたちの父の名がその氏族のうちから削られなければならないのでしょうか。わたしたちの父の兄弟と同じように、わたしたちにも所有地を与えてください」。 + モーセがその事を主の前に述べると、 + 主はモーセに言われた、 + 「ゼロペハデの娘たちの言うことは正しい。あなたは必ず彼らの父の兄弟たちと同じように、彼らにも嗣業の所有地を与えなければならない。すなわち、その父の嗣業を彼らに渡さなければならない。 + あなたはイスラエルの人々に言いなさい、『もし人が死んで、男の子がない時は、その嗣業を娘に渡さなければならない。 + もしまた娘もない時は、その嗣業を兄弟に与えなければならない。 + もし兄弟もない時は、その嗣業を父の兄弟に与えなければならない。 + もしまた父に兄弟がない時は、その氏族のうちで彼に最も近い親族にその嗣業を与えて所有させなければならない』。主がモーセに命じられたようにイスラエルの人々は、これをおきての定めとしなければならない」。 + 主はモーセに言われた、「このアバリムの山に登って、わたしがイスラエルの人々に与える地を見なさい。 + あなたはそれを見てから、兄弟アロンのようにその民に加えられるであろう。 + これは会衆がチンの荒野で逆らい争った時、あなたがたはわたしの命にそむき、あの水のかたわらで彼らの目の前にわたしの聖なることを現さなかったからである」。これはチンの荒野にあるカデシのメリバの水である。 + モーセは主に言った、 + 「すべての肉なるものの命の神、主よ、どうぞ、この会衆の上にひとりの人を立て、 + 彼らの前に出入りし、彼らを導き出し、彼らを導き入れる者とし、主の会衆を牧者のない羊のようにしないでください」。 + 主はモーセに言われた、「神の霊のやどっているヌンの子ヨシュアを選び、あなたの手をその上におき、 + 彼を祭司エレアザルと全会衆の前に立たせて、彼らの前で職に任じなさい。 + そして彼にあなたの権威を分け与え、イスラエルの人々の全会衆を彼に従わせなさい。 + 彼は祭司エレアザルの前に立ち、エレアザルは彼のためにウリムをもって、主の前に判断を求めなければならない。ヨシュアとイスラエルの人々の全会衆とはエレアザルの言葉に従っていで、エレアザルの言葉に従ってはいらなければならない」。 + そこでモーセは主が命じられたようにし、ヨシュアを選んで、祭司エレアザルと全会衆の前に立たせ、 + 彼の上に手をおき、主がモーセによって語られたとおりに彼を任命した。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて言いなさい、『あなたがたは香ばしいかおりとしてわたしにささげる火祭、すなわち、わたしの供え物、わたしの食物を定めの時にわたしにささげることを怠ってはならない』。 + また彼らに言いなさい、『あなたがたが主にささぐべき火祭はこれである。すなわち一歳の雄の全き小羊二頭を毎日ささげて常燔祭としなければならない。 + すなわち一頭の小羊を朝にささげ、一頭の小羊を夕にささげなければならない。 + また麦粉一エパの十分の一に、砕いて取った油一ヒンの四分の一を混ぜて素祭としなければならない。 + これはシナイ山で定められた常燔祭であって、主に香ばしいかおりとしてささげる火祭である。 + またその灌祭は小羊一頭について一ヒンの四分の一をささげなければならない。すなわち聖所において主のために濃い酒をそそいで灌祭としなければならない。 + 夕には他の一頭の小羊をささげなければならない。その素祭と灌祭とは朝のものと同じようにし、その小羊を火祭としてささげ、主に香ばしいかおりとしなければならない。 + また安息日には一歳の雄の全き小羊二頭と、麦粉一エパの十分の二に油を混ぜた素祭と、その灌祭とをささげなければならない。 + これは安息日ごとの燔祭であって、常燔祭とその灌祭とに加えらるべきものである。 + またあなたがたは月々の第一日に燔祭を主にささげなければならない。すなわち若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の全き小羊七頭をささげ、 + 雄牛一頭には麦粉一エパの十分の三に油を混ぜたものを素祭とし、雄羊一頭には麦粉一エパの十分の二に油を混ぜたものを素祭とし、 + 小羊一頭には麦粉十分の一に油を混ぜたものを素祭とし、これを香ばしいかおりの燔祭として主のために火祭としなければならない。 + またその灌祭は雄牛一頭についてぶどう酒一ヒンの二分の一、雄羊一頭について一ヒンの三分の一、小羊一頭について一ヒンの四分の一をささげなければならない。これは年の月々を通じて、新月ごとにささぐべき燔祭である。 + また常燔祭とその灌祭とのほかに、雄やぎ一頭を罪祭として主にささげなければならない。 + 正月の十四日は主の過越の祭である。 + またその月の十五日は祭日としなければならない。七日のあいだ種入れぬパンを食べなければならない。 + その初めの日には聖会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。 + あなたがたは火祭として主に燔祭をささげなければならない。すなわち若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊七頭をささげなければならない。これらはみな全きものでなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち雄牛一頭につき麦粉一エパの十分の三、雄羊一頭につき十分の二をささげ、 + また七頭の小羊にはその一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげ、あなたがたのために罪のあがないをしなければならない。 + あなたがたは朝にささげる常燔祭の燔祭のほかに、これらをささげなければならない。 + このようにあなたがたは七日のあいだ毎日、火祭の食物をささげて、主に香ばしいかおりとしなければならない。これは常燔祭とその灌祭とのほかにささぐべきものである。 + そして第七日に、あなたがたは聖会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。 + あなたがたは七週の祭、すなわち新しい素祭を主にささげる初穂の日にも聖会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。 + あなたがたは燔祭をささげて、主に香ばしいかおりとしなければならない。すなわち若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊七頭をささげなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち雄牛一頭につき一エパの十分の三、雄羊一頭につき十分の二をささげ、 + また七頭の小羊には一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭をささげてあなたがたのために罪のあがないをしなければならない。 + あなたがたは常燔祭とその素祭とその灌祭とのほかに、これらをささげなければならない。これらはみな、全きものでなければならない。 + + + 七月には、その月の第一日に聖会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。これはあなたがたがラッパを吹く日である。 + あなたがたは燔祭をささげて、主に香ばしいかおりとしなければならない。すなわち若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の全き小羊七頭をささげなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち雄牛一頭について一エパの十分の三、雄羊一頭について十分の二をささげ、 + また七頭の小羊には一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげ、あなたがたのために罪のあがないをしなければならない。 + これは新月の燔祭とその素祭、常燔祭とその素祭、および灌祭のほかのものであって、これらのものの定めにしたがい、香ばしいかおりとして、主に火祭としなければならない。 + またその七月の十日に聖会を開き、かつあなたがたの身を悩まさなければならない。なんの仕事もしてはならない。 + あなたがたは主に燔祭をささげて、香ばしいかおりとしなければならない。すなわち若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊七頭をささげなければならない。これらはみな全きものでなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち雄牛一頭につき一エパの十分の三、雄羊一頭につき十分の二をささげ、 + また七頭の小羊には一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは贖罪の罪祭と常燔祭とその素祭、および灌祭のほかのものである。 + 七月の十五日に聖会を開かなければならない。なんの労役もしてはならない。七日のあいだ主のために祭をしなければならない。 + あなたがたは燔祭をささげて、主に香ばしいかおりの火祭としなければならない。すなわち若い雄牛十三頭、雄羊二頭、一歳の雄の小羊十四頭をささげなければならない。これらはみな全きものでなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち十三頭の雄牛には一頭ごとに十分の三、その二頭の雄羊には一頭ごとに十分の二をささげ、 + その十四頭の小羊には一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第二日には若い雄牛十二頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とはその数にしたがって、定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第三日には雄牛十一頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第四日には雄牛十頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第五日には雄牛九頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第六日には雄牛八頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第七日には雄牛七頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第八日にはまた集会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。 + あなたがたは燔祭をささげて主に香ばしいかおりの火祭としなければならない。すなわち雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の全き小羊七頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + あなたがたは定めの祭の時に、これらのものを主にささげなければならない。これらはあなたがたの誓願、または自発の供え物としてささげる燔祭、素祭、灌祭および酬恩祭のほかのものである』」。 + モーセは主が命じられた事をことごとくイスラエルの人々に告げた。 + + + モーセはイスラエルの人々の部族のかしらたちに言った、「これは主が命じられた事である。 + もし人が主に誓願をかけ、またはその身に物断ちをしようと誓いをするならば、その言葉を破ってはならない。口で言ったとおりにすべて行わなければならない。 + またもし女がまだ若く、父の家にいて、主に誓願をかけ、またはその身に物断ちをしようとする時、 + 父が彼女の誓願、または彼女の身に断った物断ちのことを聞いて、彼女に何も言わないならば、彼女はすべて誓願を行い、またその身に断った物断ちをすべて守らなければならない。 + しかし、彼女の父がそれを聞いた日に、それを承認しない時は、彼女はその誓願、またはその身に断った物断ちをすべてやめることができる。父が承認しないのであるから、主は彼女をゆるされるであろう。 + またもし夫のある身で、みずから誓願をかけ、またはその身に物断ちをしようと、軽々しく口で言った場合、 + 夫がそれを聞き、それを聞いた日に彼女に何も言わないならば、彼女はその誓願を行い、その身に断った物断ちを守らなければならない。 + しかし、もし夫がそれを聞いた日に、それを承認しないならば、夫はその女がかけた誓願、またはその身に物断ちをしようと、軽々しく口に言ったことをやめさせることができる。主はその女をゆるされるであろう。 + しかし、寡婦あるいは離縁された女の誓願、すべてその身に断った物断ちは、それを守らなければならない。 + もし女が夫の家で誓願をかけ、またはその身に物断ちをしようと誓った時、 + 夫がそれを聞いて、彼女に何も言わず、またそれに反対しないならば、その誓願はすべて行わなければならない。またその身に断った物断ちはすべて守らなければならない。 + しかし、もし夫がそれを聞いた日にそれを認めないならば、彼女の誓願、または身の物断ちについて、彼女が口で言った事は、すべてやめることができる。夫がそれを認めなかったのだから、主はその女をゆるされるであろう。 + すべての誓願およびすべてその身を悩ます物断ちの誓約は、夫がそれを守らせることができ、または夫がそれをやめさせることができる。 + もし夫が彼女に何も言わずに日を送るならば、彼は妻がした誓願、または物断ちをすべて認めたのである。彼はそれを聞いた日に妻に何も言わなかったのだから、それを認めたのである。 + しかし、もし夫がそれを聞き、あとになって、それを認めないならば、彼は妻の罪を負わなければならない」。 + これらは主がモーセに命じられた定めであって、夫と妻との間、および父とまだ若くて父の家にいる娘との間に関するものである。 + + + さて主はモーセに言われた、 + 「ミデアンびとにイスラエルの人々のあだを報いなさい。その後、あなたはあなたの民に加えられるであろう」。 + モーセは民に言った、「あなたがたのうちから人を選んで戦いのために武装させ、ミデアンびとを攻めて、主のためミデアンびとに復讐しなさい。 + すなわちイスラエルのすべての部族から、部族ごとに千人ずつを戦いに送り出さなければならない」。 + そこでイスラエルの部族のうちから部族ごとに千人ずつを選び、一万二千人を得て、戦いのために武装させた。 + モーセは各部族から千人ずつを戦いにつかわし、また祭司エレアザルの子ピネハスに、聖なる器と吹き鳴らすラッパとを執らせて、共に戦いにつかわした。 + 彼らは主がモーセに命じられたようにミデアンびとと戦って、その男子をみな殺した。 + その殺した者のほかにまたミデアンの王五人を殺した。その名はエビ、レケム、ツル、フル、レバである。またベオルの子バラムをも、つるぎにかけて殺した。 + またイスラエルの人々はミデアンの女たちとその子供たちを捕虜にし、その家畜と、羊の群れと、貨財とをことごとく奪い取り、 + そのすまいのある町々と、その部落とを、ことごとく火で焼いた。 + こうして彼らはすべて奪ったものと、かすめたものとは人をも家畜をも取り、 + その生けどった者と、かすめたものと、奪ったものとを携えて、エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野の宿営におるモーセと祭司エレアザルとイスラエルの人々の会衆のもとへもどってきた。 + ときにモーセと祭司エレアザルと会衆のつかさたちはみな宿営の外に出て迎えたが、 + モーセは軍勢の将たち、すなわち戦場から帰ってきた千人の長たちと、百人の長たちに対して怒った。 + モーセは彼らに言った、「あなたがたは女たちをみな生かしておいたのか。 + 彼らはバラムのはかりごとによって、イスラエルの人々に、ペオルのことで主に罪を犯させ、ついに主の会衆のうちに疫病を起すに至った。 + それで今、この子供たちのうちの男の子をみな殺し、また男と寝て、男を知った女をみな殺しなさい。 + ただし、まだ男と寝ず、男を知らない娘はすべてあなたがたのために生かしておきなさい。 + そしてあなたがたは七日のあいだ宿営の外にとどまりなさい。あなたがたのうちすべて人を殺した者、およびすべて殺された者に触れた者は、あなたがた自身も、あなたがたの捕虜も共に、三日目と七日目とに身を清めなければならない。 + またすべての衣服と、すべての皮の器と、すべてやぎの毛で作ったものと、すべての木の器とを清めなければならない」。 + 祭司エレアザルは戦いに出たいくさびとたちに言った、「これは主がモーセに命じられた律法の定めである。 + 金、銀、青銅、鉄、すず、鉛など、 + すべて火に耐える物は火の中を通さなければならない。そうすれば清くなるであろう。なおその上、汚れを清める水で、清めなければならない。しかし、すべて火に耐えないものは水の中を通さなければならない。 + あなたがたは七日目に衣服を洗わなければならない。そして清くなり、その後宿営にはいることができる」。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたと祭司エレアザルおよび会衆の氏族のかしらたちは、その生けどった人と家畜の獲物の総数を調べ、 + その獲物を戦いに出た勇士と、全会衆とに折半しなさい。 + そして戦いに出たいくさびとに、人または牛、またはろば、または羊を、おのおの五百ごとに一つを取り、みつぎとして主にささげさせなさい。 + すなわち彼らが受ける半分のなかから、それを取り、主にささげる物として祭司エレアザルに渡しなさい。 + またイスラエルの人々が受ける半分のなかから、その獲た人または牛、またはろば、または羊などの家畜を、おのおの五十ごとに一つを取り、主の幕屋の務をするレビびとに与えなさい」。 + モーセと祭司エレアザルとは主がモーセに命じられたとおりに行った。 + そこでその獲物、すなわち、いくさびとたちが奪い取ったものの残りは羊六十七万五千、 + 牛七万二千、 + ろば六万一千、 + 人三万二千、これはみな男と寝ず、男を知らない女であった。 + そしてその半分、すなわち戦いに出た者の分は羊三十三万七千五百、 + 主にみつぎとした羊は六百七十五。 + 牛は三万六千、そのうちから主にみつぎとしたものは七十二。 + ろばは三万五百、そのうちから主にみつぎとしたものは六十一。 + 人は一万六千、そのうちから主にみつぎとしたものは三十二人であった。 + モーセはそのみつぎを主にささげる物として祭司エレアザルに渡した。主がモーセに命じられたとおりである。 + モーセが戦いに出た人々とは別にイスラエルの人々に与えた半分、 + すなわち会衆の受けた半分は羊三十三万七千五百、 + 牛三万六千、 + ろば三万五百、 + 人一万六千であって、 + モーセはイスラエルの人々の受けた半分のなかから、人および獣をおのおの五十ごとに一つを取って、主の幕屋の務をするレビびとに与えた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 時に軍勢の将であったものども、すなわち千人の長たちと百人の長たちとがモーセのところにきて、 + モーセに言った、「しもべらは、指揮下のいくさびとを数えましたが、われわれのうち、ひとりも欠けた者はありませんでした。 + それで、われわれは、おのおの手に入れた金の飾り物、すなわち腕飾り、腕輪、指輪、耳輪、首飾りなどを主に携えてきて供え物とし、主の前にわれわれの命のあがないをしようと思います」。 + モーセと祭司エレアザルとは、彼らから細工を施した金の飾り物を受け取った。 + 千人の長たちと百人の長たちとが、主にささげものとした金は合わせて一万六千七百五十シケル。 + いくさびとは、おのおの自分のぶんどり物を獲た。 + モーセと祭司エレアザルとは、千人の長たちと百人の長たちとから、その金を受け取り、それを携えて会見の幕屋に入り、主の前に置いてイスラエルの人々のために記念とした。 + + + ルベンの子孫とガドの子孫とは非常に多くの家畜の群れを持っていた。彼らがヤゼルの地と、ギレアデの地とを見ると、そこは家畜を飼うのに適していたので、 + ガドの子孫とルベンの子孫とがきて、モーセと、祭司エレアザルと、会衆のつかさたちとに言った、 + 「アタロテ、デボン、ヤゼル、ニムラ、ヘシボン、エレアレ、シバム、ネボ、ベオン、 + すなわち主がイスラエルの会衆の前に撃ち滅ぼされた国は、家畜を飼うのに適した地ですが、しもべらは家畜を持っています」。 + 彼らはまた言った、「それでもし、あなたの恵みを得られますなら、どうぞこの地をしもべらの領地にして、われわれにヨルダンを渡らせないでください」。 + モーセはガドの子孫とルベンの子孫とに言った、「あなたがたは兄弟が戦いに行くのに、ここにすわっていようというのか。 + どうしてあなたがたはイスラエルの人々の心をくじいて、主が彼らに与えられる地に渡ることができないようにするのか。 + あなたがたの先祖も、わたしがカデシ・バルネアから、その地を見るためにつかわした時に、同じようなことをした。 + すなわち彼らはエシコルの谷に行って、その地を見たとき、イスラエルの人々の心をくじいて、主が与えられる地に行くことができないようにした。 + そこでその時、主は怒りを発し、誓って言われた、 + 『エジプトから出てきた人々で二十歳以上の者はひとりもわたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓った地を見ることはできない。彼らはわたしに従わなかったからである。 + ただケニズびとエフンネの子カレブとヌンの子ヨシュアとはそうではない。このふたりは全く主に従ったからである』。 + 主はこのようにイスラエルにむかって怒りを発し、彼らを四十年のあいだ荒野にさまよわされたので、主の前に悪を行ったその世代の人々は、ついにみな滅びた。 + あなたがたはその父に代って立った罪びとのやからであって、主のイスラエルに対する激しい怒りをさらに増そうとしている。 + あなたがたがもしそむいて主に従わないならば、主はまたこの民を荒野にすておかれるであろう。そうすればあなたがたはこの民をことごとく滅ぼすに至るであろう」。 + 彼らはモーセのところへ進み寄って言った、「われわれはこの所に、群れのために羊のおりを建て、また子供たちのために町々を建てようと思います。 + しかし、われわれは武装してイスラエルの人々の前に進み、彼らをその所へ導いて行きましょう。ただわれわれの子供たちは、この地の住民の害をのがれるため、堅固な町々に住ませておかなければなりません。 + われわれはイスラエルの人々が、おのおのその嗣業を受けるまでは、家に帰りません。 + またわれわれはヨルダンのかなたで彼らとともには嗣業を受けません。われわれはヨルダンのこなた、すなわち東の方で嗣業を受けるからです」。 + モーセは彼らに言った、「もし、あなたがたがそのようにし、みな武装して主の前に行って戦い、 + みな武装して主の前に行ってヨルダン川を渡り、主がその敵を自分の前から追い払われて、 + この国が主の前に征服されて後、帰ってくるならば、あなたがたは主の前にも、イスラエルの前にも、とがめはないであろう。そしてこの地は主の前にあなたがたの所有となるであろう。 + しかし、そうしないならば、あなたがたは主にむかって罪を犯した者となり、その罪は必ず身に及ぶことを知らなければならない。 + あなたがたは子供たちのために町々を建て、羊のために、おりを建てなさい。しかし、あなたがたは約束したことは行わなければならない」。 + ガドの子孫とルベンの子孫とは、モーセに言った、「しもべらはあなたの命じられたとおりにいたします。 + われわれの子供たちと妻と羊と、すべての家畜とは、このギレアデの町々に残します。 + しかし、しもべらはみな武装して、あなたの言われるとおり、主の前に渡って行って戦います」。 + モーセは彼らのことについて、祭司エレアザルと、ヌンの子ヨシュアと、イスラエルの人々の部族のうちの氏族のかしらたちとに命じた。 + そしてモーセは彼らに言った、「ガドの子孫と、ルベンの子孫とが、おのおの武装してあなたがたと一緒にヨルダンを渡り、主の前に戦って、その地をあなたがたが征服するならば、あなたがたは彼らにギレアデの地を領地として与えなければならない。 + しかし、もし彼らが武装してあなたがたと一緒に渡って行かないならば、彼らはカナンの地であなたがたのうちに領地を獲なければならない」。 + ガドの子孫と、ルベンの子孫とは答えて言った、「しもべらは主が言われたとおりにいたします。 + われわれは武装して、主の前にカナンの地へ渡って行きますが、ヨルダンのこなたで、われわれの嗣業をもつことにします」。 + そこでモーセはガドの子孫と、ルベンの子孫と、ヨセフの子マナセの部族の半ばとに、アモリびとの王シホンの国と、バシャンの王オグの国とを与えた。すなわち、その国およびその領内の町々とその町々の周囲の地とを与えた。 + こうしてガドの子孫は、デボン、アタロテ、アロエル、 + アテロテ・ショパン、ヤゼル、ヨグベハ、 + ベテニムラ、ベテハランなどの堅固な町々を建て、羊のおりを建てた。 + またルベンの子孫は、ヘシボン、エレアレ、キリヤタイム、 + および後に名を改めたネボと、バアル・メオンの町を建て、またシブマの町を建てた。彼らは建てた町々に新しい名を与えた。 + またマナセの子マキルの子孫はギレアデに行って、そこを取り、その住民アモリびとを追い払ったので、 + モーセはギレアデをマナセの子マキルに与えてそこに住まわせた。 + またマナセの子ヤイルは行って村々を取り、それをハオテヤイルと名づけた。 + またノバは行ってケナテとその村々を取り、自分の名にしたがって、それをノバと名づけた。 + + + イスラエルの人々が、モーセとアロンとに導かれ、その部隊に従って、エジプトの国を出てから経た旅路は次のとおりである。 + モーセは主の命により、その旅路にしたがって宿駅を書きとめた。その宿駅にしたがえば旅路は次のとおりである。 + 彼らは正月の十五日にラメセスを出立した。すなわち過越の翌日イスラエルの人々は、すべてのエジプトびとの目の前を意気揚々と出立した。 + その時エジプトびとは、主に撃ち殺されたすべてのういごを葬っていた。主はまた彼らの神々にも罰を加えられた。 + こうしてイスラエルの人々はラメセスを出立してスコテに宿営し、 + スコテを出立して荒野の端にあるエタムに宿営し、 + エタムを出立してバアル・ゼポンの前にあるピハヒロテに引き返してミグドルの前に宿営し、 + ピハヒロテを出立して、海のなかをとおって荒野に入り、エタムの荒野を三日路ほど行って、メラに宿営し、 + メラを出立し、エリムに行って宿営した。エリムには水の泉十二と、なつめやし七十本とがあった。 + エリムを出立して紅海のほとりに宿営し、 + 紅海を出立してシンの荒野に宿営し、 + シンの荒野を出立してドフカに宿営し、 + ドフカを出立してアルシに宿営し、 + アルシを出立してレピデムに宿営した。そこには民の飲む水がなかった。 + レピデムを出立してシナイの荒野に宿営し、 + シナイの荒野を出立してキブロテ・ハッタワに宿営し、 + キブロテ・ハッタワを出立してハゼロテに宿営し、 + ハゼロテを出立してリテマに宿営し、 + リテマを出立してリンモン・パレツに宿営し、 + リンモン・パレツを出立してリブナに宿営し、 + リブナを出立してリッサに宿営し、 + リッサを出立してケヘラタに宿営し、 + ケヘラタを出立してシャペル山に宿営し、 + シャペル山を出立してハラダに宿営し、 + ハラダを出立してマケロテに宿営し、 + マケロテを出立してタハテに宿営し、 + タハテを出立してテラに宿営し、 + テラを出立してミテカに宿営し、 + ミテカを出立してハシモナに宿営し、 + ハシモナを出立してモセラに宿営し、 + モセラを出立してベネヤカンに宿営し、 + ベネヤカンを出立してホル・ハギデガデに宿営し、 + ホル・ハギデガデを出立してヨテバタに宿営し、 + ヨテバタを出立してアブロナに宿営し、 + アブロナを出立してエジオン・ゲベルに宿営し、 + エジオン・ゲベルを出立してチンの荒野すなわちカデシに宿営し、 + カデシを出立してエドムの国の端にあるホル山に宿営した。 + イスラエルの人々がエジプトの国を出て四十年目の五月一日に、祭司アロンは主の命によりホル山に登って、その所で死んだ。 + アロンはホル山で死んだとき百二十三歳であった。 + カナンの地のネゲブに住んでいたカナンびとアラデの王は、イスラエルの人々の来るのを聞いた。 + ついで、ホル山を出立してザルモナに宿営し、 + ザルモナを出立してプノンに宿営し、 + プノンを出立してオボテに宿営し、 + オボテを出立してモアブの境にあるイエ・アバリムに宿営し、 + イエ・アバリムを出立してデボン・ガドに宿営し、 + デボン・ガドを出立してアルモン・デブラタイムに宿営し、 + アルモン・デブラタイムを出立してネボの前にあるアバリムの山に宿営し、 + アバリムの山を出立してエリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野に宿営した。 + すなわちヨルダンのほとりのモアブの平野で、ベテエシモテとアベル・シッテムとの間に宿営した。 + エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野で、主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい。あなたがたがヨルダンを渡ってカナンの地にはいるときは、 + その地の住民をことごとくあなたがたの前から追い払い、すべての石像をこぼち、すべての鋳像をこぼち、すべての高き所を破壊しなければならない。 + またあなたがたはその地の民を追い払って、そこに住まなければならない。わたしがその地をあなたがたの所有として与えたからである。 + あなたがたは、おのおの氏族ごとにくじを引き、その地を分けて嗣業としなければならない。大きい部族には多くの嗣業を与え、小さい部族には少しの嗣業を与えなければならない。そのくじの当った所がその所有となるであろう。あなたがたは父祖の部族にしたがって、それを継がなければならない。 + しかし、その地の住民をあなたがたの前から追い払わないならば、その残して置いた者はあなたがたの目にとげとなり、あなたがたの脇にいばらとなり、あなたがたの住む国において、あなたがたを悩ますであろう。 + また、わたしは彼らにしようと思ったとおりに、あなたがたにするであろう」。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて言いなさい。あなたがたがカナンの地にはいるとき、あなたがたの嗣業となるべき地はカナンの地で、その全域は次のとおりである。 + 南の方はエドムに接するチンの荒野に始まり、南の境は、東は塩の海の端に始まる。 + その境はアクラビムの坂の南を巡ってチンに向かい、カデシ・バルネアの南に至り、ハザル・アダルに進み、アズモンに及ぶ。 + その境はまたアズモンから転じてエジプトの川に至り、海に及んで尽きる。 + 西の境はおおうみとその沿岸で、これがあなたがたの西の境である。 + あなたがたの北の境は次のとおりである。すなわちおおうみからホル山まで線を引き、 + ホル山からハマテの入口まで線を引き、その境をゼダデに至らせ、 + またその境はジフロンに進み、ハザル・エノンに至って尽きる。これがあなたがたの北の境である。 + あなたがたの東の境は、ハザル・エノンからシパムまで線を引き、 + またその境はアインの東の方で、シパムからリブラに下り、またその境は下ってキンネレテの海の東の斜面に至り、 + またその境はヨルダンに下り、塩の海に至って尽きる。あなたがたの国の周囲の境は以上のとおりである」。 + モーセはイスラエルの人々に命じて言った、「これはあなたがたが、くじによって継ぐべき地である。主はこれを九つの部族と半部族とに与えよと命じられた。 + それはルベンの子孫の部族とガドの子孫の部族とが共に父祖の家にしたがって、すでにその嗣業を受け、またマナセの半部族もその嗣業を受けていたからである。 + この二つの部族と半部族とはエリコに近いヨルダンのかなた、すなわち東の方、日の出る方で、その嗣業を受けた」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたがたに、嗣業として地を分け与える人々の名は次のとおりである。すなわち祭司エレアザルと、ヌンの子ヨシュアとである。 + あなたがたはまた、おのおの部族から、つかさひとりずつを選んで、地を分け与えさせなければならない。 + その人々の名は次のとおりである。すなわちユダの部族ではエフンネの子カレブ、 + シメオンの子孫の部族ではアミホデの子サムエル、 + ベニヤミンの部族ではキスロンの子エリダデ、 + ダンの子孫の部族ではヨグリの子つかさブッキ、 + ヨセフの子孫、すなわちマナセの部族ではエポデの子つかさハニエル、 + エフライムの子孫の部族ではシフタンの子つかさケムエル、 + ゼブルンの子孫の部族ではパルナクの子つかさエリザパン、 + イッサカルの子孫の部族ではアザンの子つかさパルテエル、 + アセルの子孫の部族ではシロミの子つかさアヒウデ、 + ナフタリの子孫の部族では、アミホデの子つかさパダヘル。 + カナンの地でイスラエルの人々に嗣業を分け与えることを主が命じられた人々は以上のとおりである」。 + + + エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野で、主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて、その獲た嗣業のうちから、レビびとに住むべき町々を与えさせなさい。また、あなたがたは、その町々の周囲の放牧地をレビびとに与えなければならない。 + その町々は彼らの住む所、その放牧地は彼らの家畜と群れ、およびすべての獣のためである。 + あなたがたがレビびとに与える町々の放牧地は、町の石がきから一千キュビトの周囲としなければならない。 + あなたがたは町の外で東側に二千キュビト、南側に二千キュビト、西側に二千キュビト、北側に二千キュビトを計り、町はその中央にしなければならない。彼らの町の放牧地はこのようにしなければならない。 + あなたがたがレビびとに与える町々は六つで、のがれの町とし、人を殺した者がのがれる所としなければならない。なおこのほかに四十二の町を与えなければならない。 + すなわちあなたがたがレビびとに与える町は合わせて四十八で、これをその放牧地と共に与えなければならない。 + あなたがたがイスラエルの人々の所有のうちからレビびとに町々を与えるには、大きい部族からは多く取り、小さい部族からは少なく取り、おのおの受ける嗣業にしたがって、その町々をレビびとに与えなければならない」。 + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい。あなたがたがヨルダンを渡ってカナンの地にはいるときは、 + あなたがたのために町を選んで、のがれの町とし、あやまって人を殺した者を、そこにのがれさせなければならない。 + これはあなたがたが復讐する者を避けてのがれる町であって、人を殺した者が会衆の前に立って、さばきを受けないうちに、殺されることのないためである。 + あなたがたが与える町々のうち、六つをのがれの町としなければならない。 + すなわちヨルダンのかなたで三つの町を与え、カナンの地で三つの町を与えて、のがれの町としなければならない。 + これらの六つの町は、イスラエルの人々と、他国の人および寄留者のために、のがれの場所としなければならない。すべてあやまって人を殺した者が、そこにのがれるためである。 + もし人が鉄の器で、人を打って死なせたならば、その人は故殺人である。故殺人は必ず殺されなければならない。 + またもし人を殺せるほどの石を取って、人を打って死なせたならば、その人は故殺人である。故殺人は必ず殺されなければならない。 + あるいは人を殺せるほどの木の器を取って、人を打って死なせたならば、その人は故殺人である。故殺人は必ず殺されなければならない。 + 血の復讐をする者は、自分でその故殺人を殺すことができる。すなわち彼に出会うとき、彼を殺すことができる。 + またもし恨みのために人を突き、あるいは故意に人に物を投げつけて死なせ、 + あるいは恨みによって手で人を打って死なせたならば、その打った者は必ず殺されなければならない。彼は故殺人だからである。血の復讐をする者は、その故殺人に出会うとき殺すことができる。 + しかし、もし恨みもないのに思わず人を突き、または、なにごころなく人に物を投げつけ、 + あるいは人のいるのも見ずに、人を殺せるほどの石を投げつけて死なせた場合、その人がその敵でもなく、また害を加えようとしたのでもない時は、 + 会衆はこれらのおきてによって、その人を殺した者と、血の復讐をする者との間をさばかなければならない。 + すなわち会衆はその人を殺した者を血の復讐をする者の手から救い出して、逃げて行ったのがれの町に返さなければならない。その者は聖なる油を注がれた大祭司の死ぬまで、そこにいなければならない。 + しかし、もし人を殺した者が、その逃げて行ったのがれの町の境を出た場合、 + 血の復讐をする者は、のがれの町の境の外で、これに出会い、血の復讐をする者が、その人を殺した者を殺しても、彼には血を流した罪はない。 + 彼は大祭司の死ぬまで、そののがれの町におるべきものだからである。大祭司の死んだ後は、人を殺した者は自分の所有の地にかえることができる。 + これらのことはすべてあなたがたの住む所で、代々あなたがたのためのおきての定めとしなければならない。 + 人を殺した者、すなわち故殺人はすべて証人の証言にしたがって殺されなければならない。しかし、だれもただひとりの証言によって殺されることはない。 + あなたがたは死に当る罪を犯した故殺人の命のあがないしろを取ってはならない。彼は必ず殺されなければならない。 + また、のがれの町にのがれた者のために、あがないしろを取って大祭司の死ぬ前に彼を自分の地に帰り住まわせてはならない。 + あなたがたはそのおる所の地を汚してはならない。流血は地を汚すからである。地の上に流された血は、それを流した者の血によらなければあがなうことができない。 + あなたがたは、その住む所の地、すなわちわたしのおる地を汚してはならない。主なるわたしがイスラエルの人々のうちに住んでいるからである」。 + + + ヨセフの子孫の氏族のうち、マナセの子マキルの子であるギレアデの子らの氏族のかしらたちがきて、モーセとイスラエルの人々のかしらであるつかさたちとの前で語って、 + 言った、「イスラエルの人々に、その嗣業の地をくじによって与えることを主はあなたに命じられ、あなたもまた、われわれの兄弟ゼロペハデの嗣業を、その娘たちに与えるよう、主によって命じられました。 + その娘たちがもし、イスラエルの人々のうちの他の部族のむすこたちにとつぐならば、彼女たちの嗣業は、われわれの父祖の嗣業のうちから取り除かれて、そのとつぐ部族の嗣業に加えられるでしょう。こうしてそれはわれわれの嗣業の分から取り除かれるでしょう。 + そしてイスラエルの人々のヨベルの年がきた時、彼女たちの嗣業は、そのとついだ部族の嗣業に加えられるでしょう。こうして彼女たちの嗣業は、われわれの父祖の部族の嗣業のうちから取り除かれるでしょう」。 + モーセは主の言葉にしたがって、イスラエルの人々に命じて言った、「ヨセフの子孫の部族の言うところは正しい。 + ゼロペハデの娘たちについて、主が命じられたことはこうである。すなわち『彼女たちはその心にかなう者にとついでもよいが、ただその父祖の部族の一族にのみ、とつがなければならない。 + そうすればイスラエルの人々の嗣業は、部族から部族に移るようなことはないであろう。イスラエルの人々は、おのおのその父祖の部族の嗣業をかたく保つべきだからである。 + イスラエルの人々の部族のうち、嗣業をもっている娘はみな、その父の部族に属する一族にとつがなければならない。そうすればイスラエルの人々は、おのおのその父祖の嗣業を保つことができる。 + こうして嗣業は一つの部族から他の部族に移ることはなかろう。イスラエルの人々の部族はおのおのその嗣業をかたく保つべきだからである』」。 + そこでゼロペハデの娘たちは、主がモーセに命じられたようにした。 + すなわちゼロペハデの娘たち、マアラ、テルザ、ホグラ、ミルカおよびノアは、その父の兄弟のむすこたちにとついだ。 + 彼女たちはヨセフの子マナセのむすこたちの一族にとついだので、その嗣業はその父の一族の属する部族にとどまった。 + これらはエリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野で、主がモーセによってイスラエルの人々に命じられた命令とおきてである。 + +
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+ + これはヨルダンの向こうの荒野、パランと、トペル、ラバン、ハゼロテ、デザハブとの間の、スフの前にあるアラバにおいて、モーセがイスラエルのすべての人に告げた言葉である。 + ホレブからセイル山の道を経て、カデシ・バルネアに達するには、十一日の道のりである。 + 第四十年の十一月となり、その月の一日に、モーセはイスラエルの人々にむかって、主が彼らのため彼に授けられた命令を、ことごとく告げた。 + これはモーセがヘシボンに住んでいたアモリびとの王シホン、およびアシタロテとエデレイとに住んでいたバシャンの王オグを殺した後であった。 + すなわちモーセはヨルダンの向こうのモアブの地で、みずから、この律法の説明に当った、そして言った、 + 「われわれの神、主はホレブにおいて、われわれに言われた、『あなたがたはすでに久しく、この山にとどまっていたが、 + 身をめぐらして道に進み、アモリびとの山地に行き、その近隣のすべての所、アラバ、山地、低地、ネゲブ、海べ、カナンびとの地、またレバノンに行き、大川ユフラテにまで行きなさい。 + 見よ、わたしはこの地をあなたがたの前に置いた。この地にはいって、それを自分のものとしなさい。これは主が、あなたがたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓って、彼らとその後の子孫に与えると言われた所である』。 + あの時、わたしはあなたがたに言った、『わたしはひとりであなたがたを負うことができない。 + あなたがたの神、主はあなたがたを多くされたので、あなたがたは、きょう、空の星のように多い。 + ――どうぞ、あなたがたの先祖の神、主があなたがたを、今あるより千倍も多くし、またあなたがたに約束されたように、あなたがたを恵んでくださるように。―― + わたしひとりで、どうして、あなたがたを負い、あなたがたの重荷と、あなたがたの争いを処理することができようか。 + あなたがたは、おのおの部族ごとに、知恵があり、知識があって、人に知られている人々を選び出しなさい。わたしはその人々を、あなたがたのかしらとするであろう』。 + その時、あなたがたはわたしに答えた、『あなたがしようと言われることは良いことです』。 + そこで、わたしは、あなたがたのうちから、知恵があり、人に知られている人々を取って、あなたがたのかしらとした。すなわち千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長とし、また、あなたがたの部族のつかさびととした。 + また、あのとき、わたしはあなたがたのさばきびとたちに命じて言った、『あなたがたは、兄弟たちの間の訴えを聞き、人とその兄弟、または寄留の他国人との間を、正しくさばかなければならない。 + あなたがたは、さばきをする時、人を片寄り見てはならない。小さい者にも大いなる者にも聞かなければならない。人の顔を恐れてはならない。さばきは神の事だからである。あなたがたで決めるのにむずかしい事は、わたしのところに持ってこなければならない。わたしはそれを聞くであろう』。 + わたしはまた、あの時、あなたがたがしなければならないことを、ことごとく命じた。 + われわれの神、主が命じられたように、われわれは、ホレブを出立して、あなたがたが見た、あの大きな恐ろしい荒野を通り、アモリびとの山地へ行く道によって、カデシ・バルネアにきた。 + その時わたしはあなたがたに言った、『あなたがたは、われわれの神、主がお与えになるアモリびとの山地に着いた。 + 見よ、あなたの神、主はこの地をあなたの前に置かれた。あなたの先祖の神、主が告げられたように、上って行って、これを自分のものとしなさい。恐れてはならない。おののいてはならない』。 + あなたがたは皆わたしに近寄って言った、『われわれは人をさきにつかわして、その地を探らせ、どの道から上るべきか、どの町々に入るべきかを、復命させましょう』。 + このことは良いと思ったので、わたしはあなたがたのうち、おのおのの部族から、ひとりずつ十二人の者を選んだ。 + 彼らは身をめぐらして、山地に上って行き、エシコルの谷へ行ってそれを探り、 + その地のくだものを手に取って、われわれのところに持って下り、復命して言った、『われわれの神、主が賜わる地は良い地です』。 + しかし、あなたがたは上って行くことを好まないで、あなたがたの神、主の命令にそむいた。 + そして天幕でつぶやいて言った。『主はわれわれを憎んでアモリびとの手に渡し、滅ぼそうとしてエジプトの国から導き出されたのだ。 + われわれはどこへ上って行くのか。兄弟たちは、「その民はわれわれよりも大きくて、背も高い。町々は大きく、その石がきは天に届いている。われわれは、またアナクびとの子孫をその所で見た」と言って、われわれの心をくじいた』。 + その時、わたしはあなたがたに言った、『彼らをこわがってはならない。また恐れてはならない。 + 先に立って行かれるあなたがたの神、主はエジプトにおいて、あなたがたの目の前で、すべてのことを行われたように、あなたがたのために戦われるであろう。 + あなたがたはまた荒野で、あなたの神、主が、人のその子を抱くように、あなたを抱かれるのを見た。あなたがたが、この所に来るまで、その道すがら、いつもそうであった』。 + このように言っても、あなたがたはなお、あなたがたの神、主を信じなかった。 + 主は道々あなたがたの先に立って行き、あなたがたが宿営する場所を捜し、夜は火のうちにあり、昼は雲のうちにあって、あなたがたに行くべき道を示された。 + 主は、あなたがたの言葉を聞いて怒り、誓って言われた、 + 『この悪い世代の人々のうちには、わたしが、あなたがたの先祖たちに与えると誓ったあの良い地を見る者は、ひとりもないであろう。 + ただエフンネの子カレブだけはそれを見ることができるであろう。彼が踏んだ地を、わたしは彼とその子孫に与えるであろう。彼が全く主に従ったからである』。 + 主はまた、あなたがたのゆえに、わたしをも怒って言われた、『おまえもまた、そこにはいることができないであろう。 + おまえに仕えているヌンの子ヨシュアが、そこにはいるであろう。彼を力づけよ。彼はイスラエルにそれを獲させるであろう。 + またあなたがたが、かすめられるであろうと言ったあなたがたのおさなごたち、およびその日にまだ善悪をわきまえないあなたがたの子供たちが、そこにはいるであろう。わたしはそれを彼らに与える。彼らはそれを所有とするであろう。 + あなたがたは身をめぐらし、紅海の道によって、荒野に進んで行きなさい』。 + しかし、あなたがたはわたしに答えて言った、『われわれは主にむかって罪を犯しました。われわれの神、主が命じられたように、われわれは上って行って戦いましょう』。そして、おのおの武器を身に帯びて、かるがるしく山地へ上って行こうとした。 + その時、主はわたしに言われた、『彼らに言いなさい、「あなたがたは上って行ってはならない。また戦ってはならない。わたしはあなたがたのうちにいない。おそらく、あなたがたは敵に撃ち敗られるであろう」』。 + このようにわたしが告げたのに、あなたがたは聞かないで主の命令にそむき、ほしいままに山地へ上って行ったが、 + その山地に住んでいるアモリびとが、あなたがたに向かって出てきて、はちが追うように、あなたがたを追いかけ、セイルで撃ち敗って、ホルマにまで及んだ。 + あなたがたは帰ってきて、主の前で泣いたが、主はあなたがたの声を聞かず、あなたがたに耳を傾けられなかった。 + こうしてあなたがたは、日久しくカデシにとどまった。あなたがたのそこにとどまった日数のとおりである。 + + + それから、われわれは身をめぐらし、主がわたしに告げられたように、紅海の方に向かって荒野に進み入り、日久しくセイル山を行きめぐっていたが、 + 主はわたしに言われた、 + 『あなたがたは既に久しくこの山を行きめぐっているが、身をめぐらして北に進みなさい。 + おまえはまた民に命じて言え、「あなたがたは、エサウの子孫、すなわちセイルに住んでいるあなたがたの兄弟の領内を通ろうとしている。彼らはあなたがたを恐れるであろう。それゆえ、あなたがたはみずから深く慎み、 + 彼らと争ってはならない。彼らの地は、足の裏で踏むほどでも、あなたがたに与えないであろう。わたしがセイル山をエサウに与えて、領地とさせたからである。 + あなたがたは彼らから金で食物を買って食べ、また金で水を買って飲まなければならない。 + あなたの神、主が、あなたのするすべての事において、あなたを恵み、あなたがこの大いなる荒野を通るのを、見守られたからである。あなたの神、主がこの四十年の間、あなたと共におられたので、あなたは何も乏しいことがなかった」』。 + こうしてわれわれは、エサウの子孫でセイルに住んでいる兄弟を離れ、アラバの道を避け、エラテとエジオン・ゲベルを離れて進んだ。われわれは転じて、モアブの荒野の方に向かって進んだ。 + その時、主はわたしに言われた、『モアブを敵視してはならない。またそれと争い戦ってはならない。彼らの地は、領地としてあなたに与えない。ロトの子孫にアルを与えて、領地とさせたからである。 + (むかし、エミびとがこの所に住んでいた。この民は大いなる民であって、数も多く、アナクびとのように背も高く、 + またアナクびとと同じくレパイムであると、みなされていたが、モアブびとは、これをエミびとと呼んでいた。 + ホリびとも、むかしはセイルに住んでいたが、エサウの子孫がこれを追い払い、これを滅ぼし、彼らに代ってそこに住んだ。主が賜わった所有の地に、イスラエルがおこなったのと同じである。) + あなたがたは、いま、立ちあがってゼレデ川を渡りなさい』。そこでわれわれはゼレデ川を渡った。 + カデシ・バルネアを出てこのかた、ゼレデ川を渡るまでの間の日は三十八年であって、その世代のいくさびとはみな死に絶えて、宿営のうちにいなくなった。主が彼らに誓われたとおりである。 + まことに主の手が彼らを攻め、宿営のうちから滅ぼし去られたので、彼らはついに死に絶えた。 + いくさびとがみな民のうちから死に絶えたとき、 + 主はわたしに言われた、 + 『おまえは、きょう、モアブの領地アルを通ろうとしている。 + アンモンの子孫に近づく時、おまえは彼らを敵視してはならない。また争ってはならない。わたしはアンモンの子孫の地を領地として、おまえに与えない。それをロトの子孫に領地として与えたからである。 + (これもまたレパイムの国とみなされた。むかし、レパイムがここに住んでいたからである。しかし、アンモンびとは彼らをザムズミびとと呼んだ。 + この民は大いなる民であって数も多く、アナクびとのように背も高かったが、主はアンモンびとの前から、これを滅ぼされ、アンモンびとがこれを追い払って、彼らに代ってそこに住んだ。 + この事は、セイルに住んでいるエサウの子孫のためにその前から、ホリびとを滅ぼされたのと同じである。彼らはホリびとを追い払い、これに代って今日までそこに住んでいる。 + またカフトルから出たカフトルびとは、ガザにまで及ぶ村々に住んでいたアビびとを滅ぼして、これに代ってそこに住んでいる。) + あなたがたは立ちあがり、進んでアルノン川を渡りなさい。わたしはヘシボンの王アモリびとシホンとその国とを、おまえの手に渡した。それを征服し始めよ。彼と争って戦え。 + きょうから、わたしは全天下の民に、おまえをおびえ恐れさせるであろう。彼らはおまえのうわさを聞いて震え、おまえのために苦しむであろう』。 + そこでわたしは、ケデモテの荒野から、ヘシボンの王シホンに使者をつかわし、平和の言葉を述べさせた。 + 『あなたの国を通らせてください。わたしは大路をとおっていきます、右にも左にも曲りません。 + 金で食物を売ってわたしに食べさせ、金をとって水を与えてわたしに飲ませてください。徒歩で通らせてくださるだけでよいのです。 + セイルに住むエサウの子孫と、アルに住むモアブびとが、わたしにしたようにしてください。そうすれば、わたしはヨルダンを渡って、われわれの神、主が賜わる地に行きます』。 + しかし、ヘシボンの王シホンは、われわれを通らせるのを好まなかった。あなたの神、主が彼をあなたの手に渡すため、その気を強くし、その心をかたくなにされたからである。今日見るとおりである。 + 時に主はわたしに言われた、『わたしはシホンと、その地とを、おまえに渡し始めた。おまえはそれを征服しはじめ、その地を自分のものとせよ』。 + そこでシホンは、われわれを攻めようとして、その民をことごとく率い、出てきてヤハズで戦ったが、 + われわれの神、主が彼を渡されたので、われわれは彼とその子らと、そのすべての民とを撃ち殺した。 + その時、われわれは彼のすべての町を取り、そのすべての町の男、女および子供を全く滅ぼして、ひとりをも残さなかった。 + ただその家畜は、われわれが取った町々のぶんどり物と共に、われわれが獲て自分の物とした。 + アルノンの谷のほとりにあるアロエルおよび谷の中にある町からギレアデに至るまで、われわれが攻めて取れなかった町は一つもなかった。われわれの神、主がことごとくわれわれに渡されたのである。 + ただアンモンの子孫の地、すなわちヤボク川の全岸、および山地の町々、またすべてわれわれの神、主が禁じられた所には近寄らなかった。 + + + そしてわれわれは身をめぐらして、バシャンの道を上って行ったが、バシャンの王オグは、われわれを迎え撃とうとして、その民をことごとく率い、出てきてエデレイで戦った。 + 時に主はわたしに言われた、『彼を恐れてはならない。わたしは彼と、そのすべての民と、その地をおまえの手に渡している。おまえはヘシボンに住んでいたアモリびとの王シホンにしたように、彼にするであろう』。 + こうしてわれわれの神、主はバシャンの王オグと、そのすべての民を、われわれの手に渡されたので、われわれはこれを撃ち殺して、ひとりをも残さなかった。 + その時、われわれは彼の町々を、ことごとく取った。われわれが取らなかった町は一つもなかった。取った町は六十。アルゴブの全地方であって、バシャンにおけるオグの国である。 + これらは皆、高い石がきがあり、門があり、貫の木のある堅固な町であった。このほかに石がきのない町は、非常に多かった。 + われわれはヘシボンの王シホンにしたように、これらを全く滅ぼし、そのすべての町の男、女および子供をことごとく滅ぼした。 + ただし、そのすべての家畜と、その町々からのぶんどり物とは、われわれが獲て自分の物とした。 + その時われわれはヨルダンの向こう側にいるアモリびとのふたりの王の手から、アルノン川からヘルモン山までの地を取った。 + (シドンびとはヘルモンをシリオンと呼び、アモリびとはこれをセニルと呼んでいる。) + すなわち高原のすべての町、ギレアデの全地、バシャンの全地、サルカおよびエデレイまで、バシャンにあるオグの国の町々をことごとく取った。 + (バシャンの王オグはレパイムのただひとりの生存者であった。彼の寝台は鉄の寝台であった。これは今なおアンモンびとのラバにあるではないか。これは普通のキュビト尺で、長さ九キュビト、幅四キュビトである。) + その時われわれは、この地を獲た。そしてわたしはアルノン川のほとりのアロエルから始まる地と、ギレアデの山地の半ばと、その町々とは、ルベンびとと、ガドびととに与えた。 + わたしはまたギレアデの残りの地と、オグの国であったバシャンの全地とは、マナセの半部族に与えた。すなわちアルゴブの全地方である。(そのバシャンの全地はレパイムの国と唱えられる。 + マナセの子ヤイルは、アルゴブの全地方を取って、ゲシュルびとと、マアカびとの境にまで達し、自分の名にしたがって、バシャンをハボテ・ヤイルと名づけた。この名は今日にまでおよんでいる。) + またわたしはマキルにはギレアデを与えた。 + ルベンびとと、ガドびととには、ギレアデからアルノン川までを与え、その川のまん中をもって境とし、またアンモンびとの境であるヤボク川にまで達せしめた。 + またヨルダンを境として、キンネレテからアラバの海すなわち塩の海まで、アラバをこれに与えて、東の方ピスガのふもとに達せしめた。 + その時わたしはあなたがたに命じて言った、『あなたがたの神、主はこの地をあなたがたに与えて、これを獲させられるから、あなたがた勇士はみな武装して、兄弟であるイスラエルの人々に先立って、渡って行かなければならない。 + ただし、あなたがたの妻と、子供と、家畜とは、わたしが与えた町々にとどまらなければならない。(わたしはあなたがたが多くの家畜を持っているのを知っている。) + 主がすでにあなたがたに与えられたように、あなたがたの兄弟にも安息を与えられて、彼らもまたヨルダンの向こう側で、あなたがたの神、主が与えられる地を獲るようになったならば、あなたがたはおのおのわたしがあなたがたに与えた領地に帰ることができる』。 + その時わたしはヨシュアに命じて言った、『あなたの目はあなたがたの神、主がこのふたりの王に行われたすべてのことを見た。主はまたあなたが渡って行くもろもろの国にも、同じように行われるであろう。 + 彼らを恐れてはならない。あなたがたの神、主があなたがたのために戦われるからである』。 + その時わたしは主に願って言った、 + 『主なる神よ、あなたの大いなる事と、あなたの強い手とを、たった今、しもべに示し始められました。天にも地にも、あなたのようなわざをなし、あなたのような力あるわざのできる神が、ほかにありましょうか。 + どうぞ、わたしにヨルダンを渡って行かせ、その向こう側の良い地、あの良い山地、およびレバノンを見ることのできるようにしてください』。 + しかし主はあなたがたのゆえにわたしを怒り、わたしに聞かれなかった。そして主はわたしに言われた、『おまえはもはや足りている。この事については、重ねてわたしに言ってはならない。 + おまえはピスガの頂に登り、目をあげて西、北、南、東を望み見よ。おまえはこのヨルダンを渡ることができないからである。 + しかし、おまえはヨシュアに命じ、彼を励まし、彼を強くせよ。彼はこの民に先立って渡って行き、彼らにおまえの見る地を継がせるであろう』。 + こうしてわれわれはベテペオルに対する谷にとどまっていた。 + + + イスラエルよ、いま、わたしがあなたがたに教える定めと、おきてとを聞いて、これを行いなさい。そうすれば、あなたがたは生きることができ、あなたがたの先祖の神、主が賜わる地にはいって、それを自分のものとすることができよう。 + わたしがあなたがたに命じる言葉に付け加えてはならない。また減らしてはならない。わたしが命じるあなたがたの神、主の命令を守ることのできるためである。 + あなたがたの目は、主がバアル・ペオルで行われたことを見た。ペオルのバアルに従った人々は、あなたの神、主がことごとく、あなたのうちから滅ぼしつくされたのである。 + しかし、あなたがたの神、主につき従ったあなたがたは皆、きょう、生きながらえている。 + わたしはわたしの神、主が命じられたとおりに、定めと、おきてとを、あなたがたに教える。あなたがたがはいって、自分のものとする地において、そのように行うためである。 + あなたがたは、これを守って行わなければならない。これは、もろもろの民にあなたがたの知恵、また知識を示す事である。彼らは、このもろもろの定めを聞いて、『この大いなる国民は、まことに知恵あり、知識ある民である』と言うであろう。 + われわれの神、主は、われわれが呼び求める時、つねにわれわれに近くおられる。いずれの大いなる国民に、このように近くおる神があるであろうか。 + また、いずれの大いなる国民に、きょう、わたしがあなたがたの前に立てるこのすべての律法のような正しい定めと、おきてとがあるであろうか。 + ただあなたはみずから慎み、またあなた自身をよく守りなさい。そして目に見たことを忘れず、生きながらえている間、それらの事をあなたの心から離してはならない。またそれらのことを、あなたの子孫に知らせなければならない。 + あなたがホレブにおいて、あなたの神、主の前に立った日に、主はわたしに言われた、『民をわたしのもとに集めよ。わたしは彼らにわたしの言葉を聞かせ、地上に生きながらえる間、彼らにわたしを恐れることを学ばせ、またその子供を教えることのできるようにさせよう』。 + そこであなたがたは近づいて、山のふもとに立ったが、山は火で焼けて、その炎は中天に達し、暗黒と雲と濃い雲とがあった。 + 時に主は火の中から、あなたがたに語られたが、あなたがたは言葉の声を聞いたけれども、声ばかりで、なんの形も見なかった。 + 主はその契約を述べて、それを行うように、あなたがたに命じられた。それはすなわち十誡であって、主はそれを二枚の石の板に書きしるされた。 + その時、主はわたしに命じて、あなたがたに定めと、おきてとを教えさせられた。あなたがたが渡って行って自分のものとする地で、行わせるためであった。 + それゆえ、あなたがたはみずから深く慎まなければならない。ホレブで主が火の中からあなたがたに語られた日に、あなたがたはなんの形も見なかった。 + それであなたがたは道を誤って、自分のために、どんな形の刻んだ像をも造ってはならない。男または女の像を造ってはならない。 + すなわち地の上におるもろもろの獣の像、空を飛ぶもろもろの鳥の像、 + 地に這うもろもろの物の像、地の下の水の中におるもろもろの魚の像を造ってはならない。 + あなたはまた目を上げて天を望み、日、月、星すなわちすべて天の万象を見、誘惑されてそれを拝み、それに仕えてはならない。それらのものは、あなたの神、主が全天下の万民に分けられたものである。 + しかし、主はあなたがたを取って、鉄の炉すなわちエジプトから導き出し、自分の所有の民とされた。きょう、見るとおりである。 + ところで主はあなたがたのゆえに、わたしを怒り、わたしがヨルダンを渡って行くことができないことと、あなたの神、主が嗣業としてあなたに賜わる良い地にはいることができないこととを誓われた。 + わたしはこの地で死ぬ。ヨルダンを渡って行くことはできない。しかしあなたがたは渡って行って、あの良い地を獲るであろう。 + あなたがたは慎み、あなたがたの神、主があなたがたと結ばれた契約を忘れて、あなたの神、主が禁じられたどんな形の刻んだ像をも造ってはならない。 + あなたの神、主は焼きつくす火、ねたむ神である。 + あなたがたが子を生み、孫を得、長くその地におるうちに、道を誤って、すべて何かの形に刻んだ像を造り、あなたの神、主の目の前に悪をなして、その憤りを引き起すことがあれば、 + わたしは、きょう、天と地を呼んであなたがたに対してあかしとする。あなたがたはヨルダンを渡って行って獲る地から、たちまち全滅するであろう。あなたがたはその所で長く命を保つことができず、全く滅ぼされるであろう。 + 主はあなたがたを国々に散らされるであろう。そして主があなたがたを追いやられる国民のうちに、あなたがたの残る者の数は少ないであろう。 + その所であなたがたは人が手で作った、見ることも、聞くことも、食べることも、かぐこともない木や石の神々に仕えるであろう。 + しかし、その所からあなたの神、主を求め、もし心をつくし、精神をつくして、主を求めるならば、あなたは主に会うであろう。 + 後の日になって、あなたがなやみにあい、これらのすべての事が、あなたに臨むとき、もしあなたの神、主に立ち帰ってその声に聞きしたがうならば、 + あなたの神、主はいつくしみの深い神であるから、あなたを捨てず、あなたを滅ぼさず、またあなたの先祖に誓った契約を忘れられないであろう。 + 試みにあなたの前に過ぎ去った日について問え。神が地上に人を造られた日からこのかた、天のこの端から、かの端までに、かつてこのように大いなる事があったであろうか。このようなことを聞いたことがあったであろうか。 + 火の中から語られる神の声をあなたが聞いたように、聞いてなお生きていた民がかつてあったであろうか。 + あるいはまた、あなたがたの神、主がエジプトにおいて、あなたがたの目の前に、あなたがたのためにもろもろの事をなされたように、試みと、しるしと、不思議と、戦いと、強い手と、伸ばした腕と、大いなる恐るべき事とをもって臨み、一つの国民を他の国民のうちから引き出して、自分の民とされた神が、かつてあったであろうか。 + あなたにこの事を示したのは、主こそ神であって、ほかに神のないことを知らせるためであった。 + あなたを訓練するために、主は天からその声を聞かせ、地上では、またその大いなる火を示された。あなたはその言葉が火の中から出るのを聞いた。 + 主はあなたの先祖たちを愛されたので、その後の子孫を選び、大いなる力をもって、みずからあなたをエジプトから導き出し、 + あなたよりも大きく、かつ強いもろもろの国民を、あなたの前から追い払い、あなたをその地に導き入れて、これを嗣業としてあなたに与えようとされること、今日見るとおりである。 + それゆえ、あなたは、きょう知って、心にとめなければならない。上は天、下は地において、主こそ神にいまし、ほかに神のないことを。 + あなたは、きょう、わたしが命じる主の定めと命令とを守らなければならない。そうすれば、あなたとあなたの後の子孫はさいわいを得、あなたの神、主が永久にあなたに賜わる地において、長く命を保つことができるであろう」。 + それからモーセはヨルダンの向こう側、東の方に三つの町々を指定した。 + 過去の恨みによるのではなく、あやまって隣人を殺した者をそこにのがれさせ、その町の一つにのがれて、命を全うさせるためであった。 + すなわちルベンびとのためには荒野の中の高地にあるベゼルを、ガドびとのためにはギレアデのラモテを、マナセびとのためにはバシャンのゴランを定めた。 + モーセがイスラエルの人々の前に示した律法はこれである。 + イスラエルの人々がエジプトから出たとき、モーセが彼らに述べたあかしと、定めと、おきてとはこれである。 + すなわちヨルダンの向こう側、アモリびとの王シホンの国のベテペオルに対する谷においてこれを述べた。シホンはヘシボンに住んでいたが、モーセとイスラエルの人々が、エジプトを出てきた時、これを撃ち敗って、 + その国を獲、またバシャンの王オグの国を獲た。このふたりはアモリびとの王であって、ヨルダンの向こう側、東の方におった。 + 彼らの獲た地はアルノン川のほとりにあるアロエルからシリオン山すなわちヘルモンに及び、 + ヨルダンの東側のアラバの全部をかねて、アラバの海に達し、ピスガのふもとに及んだ。 + + + さてモーセはイスラエルのすべての人を召し寄せて言った、「イスラエルよ、きょう、わたしがあなたがたの耳に語る定めと、おきてを聞き、これを学び、これを守って行え。 + われわれの神、主はホレブで、われわれと契約を結ばれた。 + 主はこの契約をわれわれの先祖たちとは結ばず、きょう、ここに生きながらえているわれわれすべての者と結ばれた。 + 主は山で火の中から、あなたがたと顔を合わせて語られた。 + その時、わたしは主とあなたがたとの間に立って主の言葉をあなたがたに伝えた。あなたがたは火のゆえに恐れて山に登ることができなかったからである。主は言われた、 + 『わたしはあなたの神、主であって、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である。 + あなたはわたしのほかに何ものをも神としてはならない。 + あなたは自分のために刻んだ像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水の中にあるものの、どのような形をも造ってはならない。 + それを拝んではならない。またそれに仕えてはならない。あなたの神、主であるわたしは、ねたむ神であるから、わたしを憎むものには、父の罪を子に報いて三、四代に及ぼし、 + わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には恵みを施して千代に至るであろう。 + あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。主はその名をみだりに唱える者を罰しないではおかないであろう。 + 安息日を守ってこれを聖とし、あなたの神、主があなたに命じられたようにせよ。 + 六日のあいだ働いて、あなたのすべてのわざをしなければならない。 + 七日目はあなたの神、主の安息であるから、なんのわざをもしてはならない。あなたも、あなたのむすこ、娘、しもべ、はしため、牛、ろば、もろもろの家畜も、あなたの門のうちにおる他国の人も同じである。こうしてあなたのしもべ、はしためを、あなたと同じように休ませなければならない。 + あなたはかつてエジプトの地で奴隷であったが、あなたの神、主が強い手と、伸ばした腕とをもって、そこからあなたを導き出されたことを覚えなければならない。それゆえ、あなたの神、主は安息日を守ることを命じられるのである。 + あなたの神、主が命じられたように、あなたの父と母とを敬え。あなたの神、主が賜わる地で、あなたが長く命を保ち、さいわいを得ることのできるためである。 + あなたは殺してはならない。 + あなたは姦淫してはならない。 + あなたは盗んではならない。 + あなたは隣人について偽証してはならない。 + あなたは隣人の妻をむさぼってはならない。また隣人の家、畑、しもべ、はしため、牛、ろば、またすべて隣人のものをほしがってはならない』。 + 主はこれらの言葉を山で火の中、雲の中、濃い雲の中から、大いなる声をもって、あなたがたの全会衆にお告げになったが、このほかのことは言われず、二枚の石の板にこれを書きしるして、わたしに授けられた。 + 時に山は火で燃えていたが、あなたがたが暗黒のうちから聞える声を聞くに及んで、あなたがたの部族のすべてのかしらと長老たちは、わたしに近寄って、 + 言った、『われわれの神、主がその栄光と、その大いなることとを、われわれに示されて、われわれは火の中から出るその声を聞きました。きょう、われわれは神が人と語られ、しかもなおその人が生きているのを見ました。 + われわれはなぜ死ななければならないでしょうか。この大いなる火はわれわれを焼き滅ぼそうとしています。もしこの上なおわれわれの神、主の声を聞くならば、われわれは死んでしまうでしょう。 + およそ肉なる者のうち、だれが、火の中から語られる生ける神の声を、われわれのように聞いてなお生きている者がありましょうか。 + あなたはどうぞ近く進んで行って、われわれの神、主が言われることをみな聞き、われわれの神、主があなたにお告げになることをすべてわれわれに告げてください。われわれは聞いて行います』。 + あなたがたがわたしに語っている時、主はあなたがたの言葉を聞いて、わたしに言われた、『わたしはこの民がおまえに語っている言葉を聞いた。彼らの言ったことはみな良い。 + ただ願わしいことは、彼らがつねにこのような心をもってわたしを恐れ、わたしのすべての命令を守って、彼らもその子孫も永久にさいわいを得るにいたることである。 + おまえは行って彼らに、「あなたがたはおのおのその天幕に帰れ」と言え。 + しかし、おまえはこの所でわたしのそばに立て。わたしはすべての命令と、定めと、おきてとをおまえに告げ示すであろう。おまえはこれを彼らに教え、わたしが彼らに与えて獲させる地において、これを行わせなければならない』。 + それゆえ、あなたがたの神、主が命じられたとおりに、慎んで行わなければならない。そして左にも右にも曲ってはならない。 + あなたがたの神、主が命じられた道に歩まなければならない。そうすればあなたがたは生きることができ、かつさいわいを得て、あなたがたの獲る地において、長く命を保つことができるであろう。 + + + これはあなたがたの神、主があなたがたに教えよと命じられた命令と、定めと、おきてであって、あなたがたは渡って行って獲る地で、これを行わなければならない。 + これはあなたが子や孫と共に、あなたの生きながらえる日の間、つねにあなたの神、主を恐れて、わたしが命じるもろもろの定めと、命令とを守らせるため、またあなたが長く命を保つことのできるためである。 + それゆえ、イスラエルよ、聞いて、それを守り行え。そうすれば、あなたはさいわいを得、あなたの先祖の神、主があなたに言われたように、乳と蜜の流れる国で、あなたの数は大いに増すであろう。 + イスラエルよ聞け。われわれの神、主は唯一の主である。 + あなたは心をつくし、精神をつくし、力をつくして、あなたの神、主を愛さなければならない。 + きょう、わたしがあなたに命じるこれらの言葉をあなたの心に留め、 + 努めてこれをあなたの子らに教え、あなたが家に座している時も、道を歩く時も、寝る時も、起きる時も、これについて語らなければならない。 + またあなたはこれをあなたの手につけてしるしとし、あなたの目の間に置いて覚えとし、 + またあなたの家の入口の柱と、あなたの門とに書きしるさなければならない。 + あなたの神、主は、あなたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに向かって、あなたに与えると誓われた地に、あなたをはいらせられる時、あなたが建てたものでない大きな美しい町々を得させ、 + あなたが満たしたものでないもろもろの良い物を満たした家を得させ、あなたが掘ったものでない掘り井戸を得させ、あなたが植えたものでないぶどう畑とオリブの畑とを得させられるであろう。あなたは食べて飽きるであろう。 + その時、あなたはみずから慎み、エジプトの地、奴隷の家から導き出された主を忘れてはならない。 + あなたの神、主を恐れてこれに仕え、その名をさして誓わなければならない。 + あなたがたは他の神々すなわち周囲の民の神々に従ってはならない。 + あなたのうちにおられるあなたの神、主はねたむ神であるから、おそらく、あなたに向かって怒りを発し、地のおもてからあなたを滅ぼし去られるであろう。 + あなたがたがマッサでしたように、あなたがたの神、主を試みてはならない。 + あなたがたの神、主があなたがたに命じられた命令と、あかしと、定めとを、努めて守らなければならない。 + あなたは主が見て正しいとし、良いとされることを行わなければならない。そうすれば、あなたはさいわいを得、かつ主があなたの先祖に誓われた、あの良い地にはいって、自分のものとすることができるであろう。 + また主が仰せられたように、あなたの敵を皆あなたの前から追い払われるであろう。 + 後の日となって、あなたの子があなたに問うて言うであろう、『われわれの神、主があなたがたに命じられたこのあかしと、定めと、おきてとは、なんのためですか』。 + その時あなたはその子に言わなければならない。『われわれはエジプトでパロの奴隷であったが、主は強い手をもって、われわれをエジプトから導き出された。 + 主はわれわれの目の前で、大きな恐ろしいしるしと不思議とをエジプトと、パロとその全家とに示され、 + われわれをそこから導き出し、かつてわれわれの先祖に誓われた地にはいらせ、それをわれわれに賜わった。 + そして主はこのすべての定めを行えと、われわれに命じられた。これはわれわれの神、主を恐れて、われわれが、つねにさいわいであり、また今日のように、主がわれわれを守って命を保たせるためである。 + もしわれわれが、命じられたとおりに、このすべての命令をわれわれの神、主の前に守って行うならば、それはわれわれの義となるであろう』。 + + + あなたの神、主が、あなたの行って取る地にあなたを導き入れ、多くの国々の民、ヘテびと、ギルガシびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、およびエブスびと、すなわちあなたよりも数多く、また力のある七つの民を、あなたの前から追いはらわれる時、 + すなわちあなたの神、主が彼らをあなたに渡して、これを撃たせられる時は、あなたは彼らを全く滅ぼさなければならない。彼らとなんの契約をもしてはならない。彼らに何のあわれみをも示してはならない。 + また彼らと婚姻をしてはならない。あなたの娘を彼のむすこに与えてはならない。かれの娘をあなたのむすこにめとってはならない。 + それは彼らがあなたのむすこを惑わしてわたしに従わせず、ほかの神々に仕えさせ、そのため主はあなたがたにむかって怒りを発し、すみやかにあなたがたを滅ぼされることとなるからである。 + むしろ、あなたがたはこのように彼らに行わなければならない。すなわち彼らの祭壇をこぼち、その石の柱を撃ち砕き、そのアシラ像を切り倒し、その刻んだ像を火で焼かなければならない。 + あなたはあなたの神、主の聖なる民である。あなたの神、主は地のおもてのすべての民のうちからあなたを選んで、自分の宝の民とされた。 + 主があなたがたを愛し、あなたがたを選ばれたのは、あなたがたがどの国民よりも数が多かったからではない。あなたがたはよろずの民のうち、もっとも数の少ないものであった。 + ただ主があなたがたを愛し、またあなたがたの先祖に誓われた誓いを守ろうとして、主は強い手をもってあなたがたを導き出し、奴隷の家から、エジプトの王パロの手から、あがない出されたのである。 + それゆえあなたは知らなければならない。あなたの神、主は神にましまし、真実の神にましまして、彼を愛し、その命令を守る者には、契約を守り、恵みを施して千代に及び、 + また彼を憎む者には、めいめいに報いて滅ぼされることを。主は自分を憎む者には猶予することなく、めいめいに報いられる。 + それゆえ、きょうわたしがあなたに命じる命令と、定めと、おきてとを守って、これを行わなければならない。 + あなたがたがこれらのおきてを聞いて守り行うならば、あなたの神、主はあなたの先祖たちに誓われた契約を守り、いつくしみを施されるであろう。 + あなたを愛し、あなたを祝福し、あなたの数を増し、あなたに与えると先祖たちに誓われた地で、あなたの子女を祝福し、あなたの地の産物、穀物、酒、油、また牛の子、羊の子を増されるであろう。 + あなたは万民にまさって祝福されるであろう。あなたのうち、男も女も子のないものはなく、またあなたの家畜にも子のないものはないであろう。 + 主はまたすべての病をあなたから取り去り、あなたの知っている、あのエジプトの悪疫にかからせず、ただあなたを憎むすべての者にそれを臨ませられるであろう。 + あなたの神、主があなたに渡される国民を滅ぼしつくし、彼らを見てあわれんではならない。また彼らの神々に仕えてはならない。それがあなたのわなとなるからである。 + あなたは心のうちで『これらの国民はわたしよりも多いから、どうしてこれを追い払うことができようか』と言うのか。 + 彼らを恐れてはならない。あなたの神、主がパロと、すべてのエジプトびととにされたことを、よく覚えなさい。 + すなわち、あなたが目で見た大いなる試みと、しるしと、不思議と、強い手と、伸ばした腕とを覚えなさい。あなたの神、主はこれらをもって、あなたを導き出されたのである。またそのように、あなたの神、主はあなたが恐れているすべての民にされるであろう。 + あなたの神、主はまた、くまばちを彼らのうちに送って、なお残っている者と逃げ隠れている者を滅ぼしつくされるであろう。 + あなたは彼らを恐れてはならない。あなたの神、主である大いなる恐るべき神があなたのうちにおられるからである。 + あなたの神、主はこれらの国民を徐々にあなたの前から追い払われるであろう。あなたはすみやかに彼らを滅ぼしつくしてはならない。そうでなければ、野の獣が増してあなたを害するであろう。 + しかし、あなたの神、主は彼らをあなたに渡し、大いなる混乱におとしいれて、ついに滅ぼされるであろう。 + また彼らの王たちをあなたの手に渡されるであろう。あなたは彼らの名を天の下から消し去るであろう。あなたに立ちむかうものはなく、あなたはついに彼らを滅ぼすにいたるであろう。 + あなたは彼らの神々の彫像を火に焼かなければならない。それに着せた銀または金をむさぼってはならない。これを取って自分のものにしてはならない。そうでなければ、あなたはこれによって、わなにかかるであろう。これはあなたの神が忌みきらわれるものだからである。 + あなたは忌むべきものを家に持ちこんで、それと同じようにあなた自身も、のろわれたものとなってはならない。あなたはそれを全く忌みきらわなければならない。それはのろわれたものだからである。 + + + わたしが、きょう、命じるこのすべての命令を、あなたがたは守って行わなければならない。そうすればあなたがたは生きることができ、かつふえ増し、主があなたがたの先祖に誓われた地にはいって、それを自分のものとすることができるであろう。 + あなたの神、主がこの四十年の間、荒野であなたを導かれたそのすべての道を覚えなければならない。それはあなたを苦しめて、あなたを試み、あなたの心のうちを知り、あなたがその命令を守るか、どうかを知るためであった。 + それで主はあなたを苦しめ、あなたを飢えさせ、あなたも知らず、あなたの先祖たちも知らなかったマナをもって、あなたを養われた。人はパンだけでは生きず、人は主の口から出るすべてのことばによって生きることをあなたに知らせるためであった。 + この四十年の間、あなたの着物はすり切れず、あなたの足は、はれなかった。 + あなたはまた人がその子を訓練するように、あなたの神、主もあなたを訓練されることを心にとめなければならない。 + あなたの神、主の命令を守り、その道に歩んで、彼を恐れなければならない。 + それはあなたの神、主があなたを良い地に導き入れられるからである。そこは谷にも山にもわき出る水の流れ、泉、および淵のある地、 + 小麦、大麦、ぶどう、いちじく及びざくろのある地、油のオリブの木、および蜜のある地、 + あなたが食べる食物に欠けることなく、なんの乏しいこともない地である。その地の石は鉄であって、その山からは銅を掘り取ることができる。 + あなたは食べて飽き、あなたの神、主がその良い地を賜わったことを感謝するであろう。 + あなたは、きょう、わたしが命じる主の命令と、おきてと、定めとを守らず、あなたの神、主を忘れることのないように慎まなければならない。 + あなたは食べて飽き、麗しい家を建てて住み、 + また牛や羊がふえ、金銀が増し、持ち物がみな増し加わるとき、 + おそらく心にたかぶり、あなたの神、主を忘れるであろう。主はあなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出し、 + あなたを導いて、あの大きな恐ろしい荒野、すなわち火のへびや、さそりがいて、水のない、かわいた地を通り、あなたのために堅い岩から水を出し、 + 先祖たちも知らなかったマナを荒野であなたに食べさせられた。それはあなたを苦しめ、あなたを試みて、ついにはあなたをさいわいにするためであった。 + あなたは心のうちに『自分の力と自分の手の働きで、わたしはこの富を得た』と言ってはならない。 + あなたはあなたの神、主を覚えなければならない。主はあなたの先祖たちに誓われた契約を今日のように行うために、あなたに富を得る力を与えられるからである。 + もしあなたの神、主を忘れて他の神々に従い、これに仕え、これを拝むならば、――わたしは、きょう、あなたがたに警告する。――あなたがたはきっと滅びるであろう。 + 主があなたがたの前から滅ぼし去られる国々の民のように、あなたがたも滅びるであろう。あなたがたの神、主の声に従わないからである。 + + + イスラエルよ、聞きなさい。あなたは、きょう、ヨルダンを渡って行って、あなたよりも大きく、かつ強い国々を取ろうとしている。その町々は大きく、石がきは天に達している。 + その民は、あなたの知っているアナクびとの子孫であって、大きく、また背が高い。あなたはまた『アナクの子孫の前に、だれが立つことができようか』と人の言うのを聞いた。 + それゆえ、あなたは、きょう、あなたの神、主は焼きつくす火であって、あなたの前に進まれることを知らなければならない。主は彼らを滅ぼし、彼らをあなたの前に屈伏させられるであろう。主があなたに言われたように、彼らを追い払い、すみやかに滅ぼさなければならない。 + あなたの神、主があなたの前から彼らを追い払われた後に、あなたは心のなかで『わたしが正しいから主はわたしをこの地に導き入れてこれを獲させられた』と言ってはならない。この国々の民が悪いから、主はこれをあなたの前から追い払われるのである。 + あなたが行ってその地を獲るのは、あなたが正しいからではなく、またあなたの心がまっすぐだからでもない。この国々の民が悪いから、あなたの神、主は彼らをあなたの前から追い払われるのである。これは主があなたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓われた言葉を行われるためである。 + それであなたは、あなたの神、主があなたにこの良い地を与えてこれを得させられるのは、あなたが正しいからではないことを知らなければならない。あなたは強情な民である。 + あなたは荒野であなたの神、主を怒らせたことを覚え、それを忘れてはならない。あなたがたはエジプトの地を出た日からこの所に来るまで、いつも主にそむいた。 + またホレブにおいてさえ、あなたがたが主を怒らせたので、主は怒ってあなたがたを滅ぼそうとされた。 + わたしが石の板すなわち主があなたがたと結ばれた契約の板を受けるために山に登った時、わたしは四十日四十夜、山にいて、パンも食べず水も飲まなかった。 + 主は神の指をもって書きしるした石の板二枚をわたしに授けられた。その上には、集会の日に主が山で火の中から、あなたがたに告げられた言葉が、ことごとく書いてあった。 + すなわち四十日四十夜が終った時、主はわたしにその契約の板である石の板二枚を授け、 + そして主はわたしに言われた、『おまえは立って、すみやかにこの所から降りなさい。おまえがエジプトから導き出した民は悪を行ったからである。彼らはわたしが命じた道を早くも離れて、鋳た像を自分たちのために造った』。 + 主はまたわたしに言われた、『この民を見るのに、これは強情な民である。 + わたしを止めるな。わたしは彼らを滅ぼし、彼らの名を天の下から消し去り、おまえを彼らよりも強く、かつ大いなる国民としよう』。 + そこでわたしは身をめぐらして山を降りたが、山は火で焼けていた。契約の板二枚はわたしの両手にあった。 + そしてわたしが見ると、あなたがたは、あなたがたの神、主にむかって罪を犯し、自分たちのために鋳物の子牛を造って、主が命じられた道を早くも離れたので、 + わたしはその二枚の板をつかんで、両手から投げ出し、あなたがたの目の前でこれを砕いた。 + そしてわたしは前のように四十日四十夜、主の前にひれ伏し、パンも食べず、水も飲まなかった。これはあなたがたが主の目の前に悪をおこない、罪を犯して主を怒らせたすべての罪によるのである。 + 主は怒りを発し、憤りを起し、あなたがたを怒って滅ぼそうとされたので、わたしは恐れたが、その時もまた主はわたしの願いを聞かれた。 + 主はまた、はなはだしくアロンを怒って、彼を滅ぼそうとされたが、わたしはその時もまたアロンのために祈った。 + わたしはあなたがたが造って罪を得た子牛を取り、それを火で焼き、それを撃ち砕き、よくひいて細かいちりとし、そのちりを山から流れ下る谷川に投げ捨てた。 + あなたがたはタベラ、マッサおよびキブロテ・ハッタワにおいてもまた主を怒らせた。 + また主はカデシ・バルネアから、あなたがたをつかわそうとされた時、『上って行って、わたしが与える地を占領せよ』と言われた。ところが、あなたがたはあなたがたの神、主の命令にそむき、彼を信ぜず、また彼の声に聞き従わなかった。 + わたしがあなたがたを知ったその日からこのかた、あなたがたはいつも主にそむいた。 + そしてわたしは、さきにひれ伏したように、四十日四十夜、主の前にひれ伏した。主があなたがたを滅ぼすと言われたからである。 + わたしは主に祈って言った、『主なる神よ、あなたが大いなる力をもってあがない、強い手をもってエジプトから導き出されたあなたの民、あなたの嗣業を滅ぼさないでください。 + あなたのしもべアブラハム、イサク、ヤコブを覚えてください。この民の強情と悪と罪とに目をとめないでください。 + あなたがわれわれを導き出された国の人はおそらく、「主は、約束した地に彼らを導き入れることができず、また彼らを憎んだので、彼らを導き出して荒野で殺したのだ」と言うでしょう。 + しかし彼らは、あなたの民、あなたの嗣業であって、あなたが大いなる力と伸ばした腕とをもって導き出されたのです』。 + + + その時、主はわたしに言われた、『おまえは、前のような石の板二枚を切って作り、山に登って、わたしのもとにきなさい。また木の箱一つを作りなさい。 + さきにおまえが砕いた二枚の板に書いてあった言葉を、わたしはその板に書きしるそう。おまえはそれをその箱におさめなければならない』。 + そこでわたしはアカシヤ材の箱一つを作り、また前のような石の板二枚を切って作り、その二枚の板を手に持って山に登った。 + 主はかつて、かの集会の日に山で火の中からあなたがたに告げられた十誡を書きしるされたように、その板に書きしるし、それを主はわたしに授けられた。 + それでわたしは身をめぐらして山から降り、その板を、わたしが作った箱におさめた。今なおその中にある。主がわたしに命じられたとおりである。 + (こうしてイスラエルの人々はベエロテ・ベネ・ヤカンを出立してモセラに着いた。アロンはその所で死んでそこに葬られ、その子エレアザルが彼に代って祭司となった。 + またそこを出立してグデゴダに至り、グデゴダを出立してヨテバタに着いた。この地には多くの水の流れがあった。 + その時、主はレビの部族を選んで、主の契約の箱をかつぎ、主の前に立って仕え、また主の名をもって祝福することをさせられた。この事は今日に及んでいる。 + そのためレビは兄弟たちと一緒には分け前がなく、嗣業もない。あなたの神、主が彼に言われたとおり、主みずからが彼の嗣業であった。) + わたしは前の時のように四十日四十夜、山におったが、主はその時にもわたしの願いを聞かれた。主はあなたを滅ぼすことを望まれなかった。 + そして主はわたしに『おまえは立ちあがり、民に先立って進み行き、わたしが彼らに与えると、その先祖に誓った地に彼らをはいらせ、それを取らせよ』と言われた。 + イスラエルよ、今、あなたの神、主があなたに求められる事はなんであるか。ただこれだけである。すなわちあなたの神、主を恐れ、そのすべての道に歩んで、彼を愛し、心をつくし、精神をつくしてあなたの神、主に仕え、 + また、わたしがきょうあなたに命じる主の命令と定めとを守って、さいわいを得ることである。 + 見よ、天と、もろもろの天の天、および地と、地にあるものとはみな、あなたの神、主のものである。 + そうであるのに、主はただあなたの先祖たちを喜び愛し、その後の子孫であるあなたがたを万民のうちから選ばれた。今日見るとおりである。 + それゆえ、あなたがたは心に割礼をおこない、もはや強情であってはならない。 + あなたがたの神である主は、神の神、主の主、大いにして力ある恐るべき神にましまし、人をかたより見ず、また、まいないを取らず、 + みなし子とやもめのために正しいさばきを行い、また寄留の他国人を愛して、食物と着物を与えられるからである。 + それゆえ、あなたがたは寄留の他国人を愛しなさい。あなたがたもエジプトの国で寄留の他国人であった。 + あなたの神、主を恐れ、彼に仕え、彼に従い、その名をさして誓わなければならない。 + 彼はあなたのさんびすべきもの、またあなたの神であって、あなたが目に見たこれらの大いなる恐るべき事を、あなたのために行われた。 + あなたの先祖たちは、わずか七十人でエジプトに下ったが、いま、あなたの神、主はあなたを天の星のように多くされた。 + + + それゆえ、あなたの神、主を愛し、常にそのさとしと、定めと、おきてと、戒めとを守らなければならない。 + あなたがたは、きょう、次のことを知らなければならない。わたしが語るのは、あなたがたの子供たちに対してではない。彼らはあなたがたの神、主の訓練と、主の大いなる事と、その強い手と、伸べた腕とを知らず、また見なかった。 + また彼らは主がエジプトで、エジプト王パロとその全国に対して行われたしるしと、わざ、 + また主がエジプトの軍勢とその馬と戦車とに行われた事、すなわち彼らがあなたがたのあとを追ってきた時に、紅海の水を彼らの上にあふれさせ、彼らを滅ぼされて、今日に至った事、 + またあなたがたがこの所に来るまで、主が荒野で、あなたがたに行われた事、 + およびルベンの子のエリアブの子、ダタンとアビラムとにされた事、すなわちイスラエルのすべての人々の中で、地が口を開き、彼らと、その家族と、天幕と、彼らに従うすべてのものを、のみつくした事などを彼らは知らず、また見なかった。 + しかし、あなたがたは主が行われたこれらの大いなる事を、ことごとく目に見たのである。 + ゆえに、わたしが、きょう、あなたがたに命じる戒めを、ことごとく守らなければならない。そうすればあなたがたは強くなり、渡って行って取ろうとする地にはいって、それを取ることができ、 + かつ、主が先祖たちに誓って彼らとその子孫とに与えようと言われた地、乳と蜜の流れる国において、長く生きることができるであろう。 + あなたがたが行って取ろうとする地は、あなたがたが出てきたエジプトの地のようではない。あそこでは、青物畑でするように、あなたがたは種をまき、足でそれに水を注いだ。 + しかし、あなたがたが渡って行って取る地は、山と谷の多い地で、天から降る雨で潤っている。 + その地は、あなたの神、主が顧みられる所で、年の始めから年の終りまで、あなたの神、主の目が常にその上にある。 + もし、きょう、あなたがたに命じるわたしの命令によく聞き従って、あなたがたの神、主を愛し、心をつくし、精神をつくして仕えるならば、 + 主はあなたがたの地に雨を、秋の雨、春の雨ともに、時にしたがって降らせ、穀物と、ぶどう酒と、油を取り入れさせ、 + また家畜のために野に草を生えさせられるであろう。あなたは飽きるほど食べることができるであろう。 + あなたがたは心が迷い、離れ去って、他の神々に仕え、それを拝むことのないよう、慎まなければならない。 + おそらく主はあなたがたにむかい怒りを発して、天を閉ざされるであろう。そのため雨は降らず、地は産物を出さず、あなたがたは主が賜わる良い地から、すみやかに滅びうせるであろう。 + それゆえ、これらのわたしの言葉を心と魂におさめ、またそれを手につけて、しるしとし、目の間に置いて覚えとし、 + これを子供たちに教え、家に座している時も、道を歩く時も、寝る時も、起きる時も、それについて語り、 + また家の入口の柱と、門にそれを書きしるさなければならない。 + そうすれば、主が先祖たちに与えようと誓われた地に、あなたがたの住む日数およびあなたがたの子供たちの住む日数は、天が地をおおう日数のように多いであろう。 + もしわたしがあなたがたに命じるこのすべての命令をよく守って行い、あなたがたの神、主を愛し、そのすべての道に歩み、主につき従うならば、 + 主はこの国々の民を皆、あなたがたの前から追い払われ、あなたがたはあなたがたよりも大きく、かつ強い国々を取るに至るであろう。 + あなたがたが足の裏で踏む所は皆、あなたがたのものとなり、あなたがたの領域は荒野からレバノンに及び、また大川ユフラテから西の海に及ぶであろう。 + だれもあなたがたに立ち向かうことのできる者はないであろう。あなたがたの神、主は、かつて言われたように、あなたがたの踏み入る地の人々が、あなたがたを恐れおののくようにされるであろう。 + 見よ、わたしは、きょう、あなたがたの前に祝福と、のろいとを置く。 + もし、きょう、わたしがあなたがたに命じるあなたがたの神、主の命令に聞き従うならば、祝福を受けるであろう。 + もしあなたがたの神、主の命令に聞き従わず、わたしが、きょう、あなたがたに命じる道を離れ、あなたがたの知らなかった他の神々に従うならば、のろいを受けるであろう。 + あなたの神、主が、あなたの行って占領する地にあなたを導き入れられる時、あなたはゲリジム山に祝福を置き、エバル山にのろいを置かなければならない。 + これらの山はヨルダンの向こう側、アラバに住んでいるカナンびとの地で、日の入る方の道の西側にあり、ギルガルに向かいあって、モレのテレビンの木の近くにあるではないか。 + あなたがたはヨルダンを渡り、あなたがたの神、主が賜わる地にはいって、それを占領しようとしている。あなたがたはそれを占領して、そこに住むであろう。 + それゆえ、わたしが、きょう、あなたがたに授ける定めと、おきてをことごとく守って行わなければならない。 + + + これはあなたの先祖たちの神、主が所有として賜わる地で、あなたがたが世に生きながらえている間、守り行わなければならない定めと、おきてである。 + あなたがたの追い払う国々の民が、その神々に仕えた所は、高い山にあるものも、丘にあるものも、青木の下にあるものも、ことごとくこわし、 + その祭壇をこぼち、柱を砕き、アシラ像を火で焼き、また刻んだ神々の像を切り倒して、その名をその所から消し去らなければならない。 + ただし、あなたがたの神、主にはそのようにしてはならない。 + あなたがたの神、主がその名を置くために、あなたがたの全部族のうちから選ばれる場所、すなわち主のすまいを尋ね求めて、そこに行き、 + あなたがたの燔祭と、犠牲と、十分の一と、ささげ物と、誓願の供え物と、自発の供え物および牛、羊のういごをそこに携えて行って、 + そこであなたがたの神、主の前で食べ、あなたがたも、家族も皆、手を労して獲るすべての物を喜び楽しまなければならない。これはあなたの神、主の恵みによって獲るものだからである。 + そこでは、われわれがきょうここでしているように、めいめいで正しいと思うようにふるまってはならない。 + あなたがたはまだ、あなたがたの神、主から賜わる安息と嗣業の地に、はいっていないのである。 + しかし、あなたがたがヨルダンを渡り、あなたがたの神、主が嗣業として賜わる地に住むようになり、さらに主があなたがたの周囲の敵をことごとく除いて、安息を与え、あなたがたが安らかに住むようになる時、 + あなたがたの神、主はその名を置くために、一つの場所を選ばれるであろう。あなたがたはそこにわたしの命じる物をすべて携えて行かなければならない。すなわち、あなたがたの燔祭と、犠牲と、十分の一と、ささげ物およびあなたがたが主に誓ったすべての誓願の供え物とを携えて行かなければならない。 + そしてあなたがたのむすこ、娘、しもべ、はしためと共にあなたがたの神、主の前に喜び楽しまなければならない。また町の内におるレビびととも、そうしなければならない。彼はあなたがたのうちに分け前がなく、嗣業を持たないからである。 + 慎んで、すべてあなたがよいと思う場所で、みだりに燔祭をささげないようにしなければならない。 + ただあなたの部族の一つのうちに、主が選ばれるその場所で、燔祭をささげ、またわたしが命じるすべての事をしなければならない。 + しかし、あなたの神、主が賜わる恵みにしたがって、すべて心に好む獣を、どの町ででも殺して、その肉を食べることができる。すなわち、かもしかや雄じかの肉と同様にそれを、汚れた人も、清い人も、食べることができる。 + ただし、その血は食べてはならない。水のようにそれを地に注がなければならない。 + あなたの穀物と、ぶどう酒と、油との十分の一および牛、羊のういご、ならびにあなたが立てる誓願の供え物と、自発の供え物およびささげ物は、町の内で食べることはできない。 + あなたの神、主が選ばれる場所で、あなたの神、主の前でそれを食べなければならない。すなわちあなたのむすこ、娘、しもべ、はしため、および町の内におるレビびとと共にそれを食べ、手を労して獲るすべての物を、あなたの神、主の前に喜び楽しまなければならない。 + 慎んで、あなたが世に生きながらえている間、レビびとを捨てないようにしなければならない。 + あなたの神、主が約束されたように、あなたの領域を広くされるとき、あなたは肉を食べたいと願って、『わたしは肉を食べよう』と言うであろう。その時、あなたはほしいだけ肉を食べることができる。 + もしあなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所が、遠く離れているならば、わたしが命じるように、主が賜わる牛、羊をほふり、門の内で、ほしいだけ食べることができる。 + かもしかや、雄じかを食べるように、それを食べることができる。すなわち汚れた人も、清い人も一様にそれを食べることができる。 + ただ堅く慎んで、その血を食べないようにしなければならない。血は命だからである。その命を肉と一緒に食べてはならない。 + あなたはそれを食べてはならない。水のようにそれを地に注がなければならない。 + あなたはそれを食べてはならない。こうして、主が正しいと見られる事を行うならば、あなたにも後の子孫にも、さいわいがあるであろう。 + ただあなたのささげる聖なる物と、誓願の物とは、主が選ばれる場所へ携えて行かなければならない。 + そして燔祭をささげる時は、肉と血とをあなたの神、主の祭壇の上にささげなければならない。犠牲をささげる時は、血をあなたの神、主の祭壇にそそぎかけ、肉はみずから食べることができる。 + あなたはわたしが命じるこれらの事を、ことごとく聞いて守らなければならない。こうしてあなたの神、主が見て良いとし、正しいとされる事を行うならば、あなたにも後の子孫にも、長くさいわいがあるであろう。 + あなたの神、主が、あなたの行って追い払おうとする国々の民を、あなたの前から断ち滅ぼされ、あなたがついにその国々を獲て、その地に住むようになる時、 + あなたはみずから慎み、彼らがあなたの前から滅ぼされた後、彼らにならって、わなにかかってはならない。また彼らの神々を尋ね求めて、『これらの国々の民はどのようにその神々に仕えたのか、わたしもそのようにしよう』と言ってはならない。 + あなたの神、主に対しては、そのようにしてはならない。彼らは主の憎まれるもろもろの忌むべき事を、その神々にむかって行い、むすこ、娘をさえ火に焼いて、神々にささげたからである。 + あなたがたはわたしが命じるこのすべての事を守って行わなければならない。これにつけ加えてはならない。また減らしてはならない。 + + + あなたがたのうちに預言者または夢みる者が起って、しるしや奇跡を示し、 + あなたに告げるそのしるしや奇跡が実現して、あなたがこれまで知らなかった『ほかの神々に、われわれは従い仕えよう』と言っても、 + あなたはその預言者または夢みる者の言葉に聞き従ってはならない。あなたがたの神、主はあなたがたが心をつくし、精神をつくして、あなたがたの神、主を愛するか、どうかを知ろうと、このようにあなたがたを試みられるからである。 + あなたがたの神、主に従って歩み、彼を恐れ、その戒めを守り、その言葉に聞き従い、彼に仕え、彼につき従わなければならない。 + その預言者または夢みる者を殺さなければならない。あなたがたをエジプトの国から導き出し、奴隷の家からあがなわれたあなたがたの神、主にあなたがたをそむかせ、あなたの神、主が歩めと命じられた道を離れさせようとして語るゆえである。こうしてあなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + 同じ母に生れたあなたの兄弟、またはあなたのむすこ、娘、またはあなたのふところの妻、またはあなたと身命を共にする友が、ひそかに誘って『われわれは行って他の神々に仕えよう』と言うかも知れない。これはあなたも先祖たちも知らなかった神々、 + すなわち地のこのはてから、地のかのはてまで、あるいは近く、あるいは遠く、あなたの周囲にある民の神々である。 + しかし、あなたはその人に従ってはならない。その人の言うことを聞いてはならない。その人をあわれんではならない。その人を惜しんではならない。その人をかばってはならない。 + 必ず彼を殺さなければならない。彼を殺すには、あなたがまず彼に手を下し、その後、民がみな手を下さなければならない。 + 彼はエジプトの国、奴隷の家からあなたを導き出されたあなたの神、主からあなたを離れさせようとしたのであるから、あなたは石をもって彼を撃ち殺さなければならない。 + そうすればイスラエルは皆聞いて恐れ、重ねてこのような悪い事を、あなたがたのうちに行わないであろう。 + あなたの神、主があなたに与えて住まわせられる町の一つで、 + よこしまな人々があなたがたのうちに起って、あなたがたの知らなかった『ほかの神々に、われわれは行って仕えよう』と言って、その町に住む人々を誘惑したことを聞くならば、 + あなたはそれを尋ね、探り、よく問いたださなければならない。そして、そのような憎むべき事があなたがたのうちに行われた事が、真実で、確かならば、 + あなたは必ず、その町に住む者をつるぎの刃にかけて撃ち殺し、その町と、そのうちにおるすべての者、およびその家畜をつるぎの刃にかけて、ことごとく滅ぼさなければならない。 + またそのすべてのぶんどり物は、町の広場の中央に集め、火をもってその町と、すべてのぶんどり物とを、ことごとく焼いて、あなたの神、主にささげなければならない。これはながく荒塚となって、再び建て直されないであろう。 + そののろわれた物は一つもあなたの手に留めおいてはならない。主が激しい怒りをやめ、あなたに慈悲を施して、あなたをあわれみ、先祖たちに誓われたように、あなたの数を多くされるためである。 + あなたの神、主の言葉に聞き従い、わたしが、きょう、命じるすべての戒めを守り、あなたの神、主が正しいと見られる事を行うならば、このようになるであろう。 + + + あなたがたはあなたがたの神、主の子供である。死んだ人のために自分の身に傷をつけてはならない。また額の髪をそってはならない。 + あなたはあなたの神、主の聖なる民だからである。主は地のおもてのすべての民のうちからあなたを選んで、自分の宝の民とされた。 + 忌むべき物は、どんなものでも食べてはならない。 + あなたがたの食べることができる獣は次のとおりである。すなわち牛、羊、やぎ、 + 雄じか、かもしか、こじか、野やぎ、くじか、おおじか、野羊など、 + 獣のうち、すべて、ひずめの分れたもの、ひずめが二つに切れたもので、反芻するものは食べることができる。 + ただし、反芻するものと、ひずめの分れたもののうち、次のものは食べてはならない。すなわち、らくだ、野うさぎ、および岩だぬき、これらは反芻するけれども、ひずめが分れていないから汚れたものである。 + また豚、これは、ひずめが分れているけれども、反芻しないから、汚れたものである。その肉を食べてはならない。またその死体に触れてはならない。 + 水の中にいるすべての物のうち、次のものは食べることができる。すなわち、すべて、ひれと、うろこのあるものは、食べることができる。 + すべて、ひれと、うろこのないものは、食べてはならない。これは汚れたものである。 + すべて清い鳥は食べることができる。 + ただし、次のものは食べてはならない。すなわち、はげわし、ひげはげわし、みさご、 + 黒とび、はやぶさ、とびの類。 + 各種のからすの類。 + だちょう、夜たか、かもめ、たかの類。 + ふくろう、みみずく、むらさきばん、 + ペリカン、はげたか、う、 + こうのとり、さぎの類。やつがしら、こうもり。 + またすべて羽があって這うものは汚れたものである。それを食べてはならない。 + すべて翼のある清いものは食べることができる。 + すべて自然に死んだものは食べてはならない。町の内におる寄留の他国人に、それを与えて食べさせることができる。またそれを外国人に売ってもよい。あなたはあなたの神、主の聖なる民だからである。子やぎをその母の乳で煮てはならない。 + あなたは毎年、畑に種をまいて獲るすべての産物の十分の一を必ず取り分けなければならない。 + そしてあなたの神、主の前、すなわち主がその名を置くために選ばれる場所で、穀物と、ぶどう酒と、油との十分の一と、牛、羊のういごを食べ、こうして常にあなたの神、主を恐れることを学ばなければならない。 + ただし、その道があまりに遠く、あなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所が、非常に遠く離れていて、あなたの神、主があなたを恵まれるとき、それを携えて行くことができないならば、 + あなたはその物を金に換え、その金を包んで手に取り、あなたの神、主が選ばれる場所に行き、 + その金をすべてあなたの好む物に換えなければならない。すなわち牛、羊、ぶどう酒、濃い酒など、すべてあなたの欲する物に換え、その所であなたの神、主の前でそれを食べ、家族と共に楽しまなければならない。 + 町の内におるレビびとを捨ててはならない。彼はあなたがたのうちに分がなく、嗣業を持たない者だからである。 + 三年の終りごとに、その年の産物の十分の一を、ことごとく持ち出して、町の内にたくわえ、 + あなたがたのうちに分け前がなく、嗣業を持たないレビびと、および町の内におる寄留の他国人と、孤児と、寡婦を呼んで、それを食べさせ、満足させなければならない。そうすれば、あなたの神、主はあなたが手で行うすべての事にあなたを祝福されるであろう。 + + + あなたは七年の終りごとに、ゆるしを行わなければならない。 + そのゆるしのしかたは次のとおりである。すべてその隣人に貸した貸主はそれをゆるさなければならない。その隣人または兄弟にそれを督促してはならない。主のゆるしが、ふれ示されたからである。 + 外国人にはそれを督促することができるが、あなたの兄弟に貸した物はゆるさなければならない。 + しかしあなたがたのうちに貧しい者はなくなるであろう。(あなたの神、主が嗣業として与えられる地で、あなたを祝福されるからである。) + ただ、あなたの神、主の言葉に聞き従って、わたしが、きょう、あなたに命じることの戒めを、ことごとく守り行うとき、そのようになるであろう。 + あなたの神、主が約束されたようにあなたを祝福されるから、あなたは多くの国びとに貸すようになり、借りることはないであろう。またあなたは多くの国びとを治めるようになり、彼らがあなたを治めることはないであろう。 + あなたの神、主が賜わる地で、もしあなたの兄弟で貧しい者がひとりでも、町の内におるならば、その貧しい兄弟にむかって、心をかたくなにしてはならない。また手を閉じてはならない。 + 必ず彼に手を開いて、その必要とする物を貸し与え、乏しいのを補わなければならない。 + あなたは心に邪念を起し、『第七年のゆるしの年が近づいた』と言って、貧しい兄弟に対し、物を惜しんで、何も与えないことのないように慎まなければならない。その人があなたを主に訴えるならば、あなたは罪を得るであろう。 + あなたは心から彼に与えなければならない。彼に与える時は惜しんではならない。あなたの神、主はこの事のために、あなたをすべての事業と、手のすべての働きにおいて祝福されるからである。 + 貧しい者はいつまでも国のうちに絶えることがないから、わたしは命じて言う、『あなたは必ず国のうちにいるあなたの兄弟の乏しい者と、貧しい者とに、手を開かなければならない』。 + もしあなたの兄弟であるヘブルの男、またはヘブルの女が、あなたのところに売られてきて、六年仕えたならば、第七年には彼に自由を与えて去らせなければならない。 + 彼に自由を与えて去らせる時は、から手で去らせてはならない。 + 群れと、打ち場と、酒ぶねのうちから取って、惜しみなく彼に与えなければならない。すなわちあなたの神、主があなたを恵まれたように、彼に与えなければならない。 + あなたはかつてエジプトの国で奴隷であったが、あなたの神、主があなたをあがない出された事を記憶しなければならない。このゆえにわたしは、きょう、この事を命じる。 + しかしその人があなたと、あなたの家族を愛し、あなたと一緒にいることを望み、『わたしはあなたを離れて去りたくありません』と言うならば、 + あなたは、きりを取って彼の耳を戸に刺さなければならない。そうすれば、彼はいつまでもあなたの奴隷となるであろう。女奴隷にもそうしなければならない。 + 彼に自由を与えて去らせる時には、快く去らせなければならない。彼が六年間、賃銀を取る雇人の二倍あなたに仕えて働いたからである。あなたがそうするならば、あなたの神、主はあなたが行うすべての事にあなたを祝福されるであろう。 + 牛、羊の産む雄のういごは皆あなたの神、主に聖別しなければならない。牛のういごを用いてなんの仕事をもしてはならない。また羊のういごの毛を切ってはならない。 + あなたの神、主が選ばれる所で、主の前にあなたは家族と共に年ごとにそれを食べなければならない。 + しかし、その獣がもし傷のあるもの、すなわち足なえまたは、めくらなど、すべて悪い傷のあるものである時は、あなたの神、主にそれを犠牲としてささげてはならない。 + 町の内でそれを食べなければならない。汚れた人も、清い人も、かもしかや、雄じかと同様にそれを食べることができる。 + ただし、その血は食べてはならない。水のようにそれを地にそそがなければならない。 + + + あなたはアビブの月を守って、あなたの神、主のために過越の祭を行わなければならない。アビブの月に、あなたの神、主が夜の間にあなたをエジプトから導き出されたからである。 + 主がその名を置くために選ばれる場所で、羊または牛をあなたの神、主に過越の犠牲としてほふらなければならない。 + 種を入れたパンをそれと共に食べてはならない。七日のあいだ、種入れぬパンすなわち悩みのパンを、それと共に食べなければならない。あなたがエジプトの国から出るとき、急いで出たからである。こうして世に生きながらえる日の間、エジプトの国から出てきた日を常に覚えなければならない。 + その七日の間は、国の内どこにもパン種があってはならない。また初めの日の夕暮にほふるものの肉を、翌朝まで残しておいてはならない。 + あなたの神、主が賜わる町の内で、過越の犠牲をほふってはならない。 + ただあなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所で、夕暮の日の入るころ、あなたがエジプトから出た時刻に、過越の犠牲をほふらなければならない。 + そしてあなたの神、主が選ばれる場所で、それを焼いて食べ、朝になって天幕に帰らなければならない。 + 六日のあいだ種入れぬパンを食べ、七日目にあなたの神、主のために聖会を開かなければならない。なんの仕事もしてはならない。 + また七週間を数えなければならない。すなわち穀物に、かまを入れ始める時から七週間を数え始めなければならない。 + そしてあなたの神、主のために七週の祭を行い、あなたの神、主が賜わる祝福にしたがって、力に応じ、自発の供え物をささげなければならない。 + こうしてあなたはむすこ、娘、しもべ、はしためおよび町の内におるレビびと、ならびにあなたがたのうちにおる寄留の他国人と孤児と寡婦と共に、あなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所で、あなたの神、主の前に喜び楽しまなければならない。 + あなたはかつてエジプトで奴隷であったことを覚え、これらの定めを守り行わなければならない。 + 打ち場と、酒ぶねから取入れをしたとき、七日のあいだ仮庵の祭を行わなければならない。 + その祭の時には、あなたはむすこ、娘、しもべ、はしためおよび町の内におるレビびと、寄留の他国人、孤児、寡婦と共に喜び楽しまなければならない。 + 主が選ばれる場所で七日の間、あなたの神、主のために祭を行わなければならない。あなたの神、主はすべての産物と、手のすべてのわざとにおいて、あなたを祝福されるから、あなたは大いに喜び楽しまなければならない。 + あなたのうちの男子は皆あなたの神、主が選ばれる場所で、年に三度、すなわち種入れぬパンの祭と、七週の祭と、仮庵の祭に、主の前に出なければならない。ただし、から手で主の前に出てはならない。 + あなたの神、主が賜わる祝福にしたがい、おのおの力に応じて、ささげ物をしなければならない。 + あなたの神、主が賜わるすべての町々の内に、部族にしたがって、さばきびとと、つかさびととを、立てなければならない。そして彼らは正しいさばきをもって民をさばかなければならない。 + あなたはさばきを曲げてはならない。人をかたより見てはならない。また賄賂を取ってはならない。賄賂は賢い者の目をくらまし、正しい者の事件を曲げるからである。 + ただ公義をのみ求めなければならない。そうすればあなたは生きながらえて、あなたの神、主が賜わる地を所有するにいたるであろう。 + あなたの神、主のために築く祭壇のかたわらに、アシラの木像をも立ててはならない。 + またあなたの神、主が憎まれる柱を立ててはならない。 + + + すべて傷があり、欠けた所のある牛または羊はあなたの神、主にささげてはならない。そのようなものはあなたの神、主の忌みきらわれるものだからである。 + あなたの神、主が賜わる町で、あなたがたのうちに、もし男子または女子があなたの神、主の前に悪事をおこなって、契約にそむき、 + 行って他の神々に仕え、それを拝み、わたしの禁じる、日や月やその他の天の万象を拝むことがあり、 + その事を知らせる者があって、あなたがそれを聞くならば、あなたはそれをよく調べなければならない。そしてその事が真実であり、そのような憎むべき事が確かにイスラエルのうちに行われていたならば、 + あなたはその悪事をおこなった男子または女子を町の門にひき出し、その男子または女子を石で撃ち殺さなければならない。 + ふたりの証人または三人の証人の証言によって殺すべき者を殺さなければならない。ただひとりの証人の証言によって殺してはならない。 + そのような者を殺すには、証人がまず手を下し、それから民が皆、手を下さなければならない。こうしてあなたのうちから悪を除き去らなければならない。 + 町の内に訴え事が起り、その事件がもし血を流す事、または権利を争う事、または人を撃った事などであって、あなたが、さばきかねるものである時は、立ってあなたの神、主が選ばれる場所にのぼり、 + レビびとである祭司と、その時の裁判人とに行って尋ねなければならない。彼らはあなたに判決の言葉を告げるであろう。 + あなたは、主が選ばれるその場所で、彼らが告げる言葉に従っておこない、すべて彼らが教えるように守り行わなければならない。 + すなわち彼らが教える律法と、彼らが告げる判決とに従って行わなければならない。彼らが告げる言葉にそむいて、右にも左にもかたよってはならない。 + もし人がほしいままにふるまい、あなたの神、主の前に立って仕える祭司または裁判人に聞き従わないならば、その人を殺して、イスラエルのうちから悪を除かなければならない。 + そうすれば民は皆、聞いて恐れ、重ねてほしいままにふるまうことをしないであろう。 + あなたの神、主が賜わる地に行き、それを獲てそこに住むようになる時、もしあなたが『わたしも周囲のすべての国びとのように、わたしの上に王を立てよう』と言うならば、 + 必ずあなたの神、主が選ばれる者を、あなたの上に立てて王としなければならない。同胞のひとりを、あなたの上に立てて王としなければならない。同胞でない外国人をあなたの上に立ててはならない。 + 王となる人は自分のために馬を多く獲ようとしてはならない。また馬を多く獲るために民をエジプトに帰らせてはならない。主はあなたがたにむかって、『この後かさねてこの道に帰ってはならない』と仰せられたからである。 + また妻を多く持って心を、迷わしてはならない。また自分のために金銀を多くたくわえてはならない。 + 彼が国の王位につくようになったら、レビびとである祭司の保管する書物から、この律法の写しを一つの書物に書きしるさせ、 + 世に生きながらえる日の間、常にそれを自分のもとに置いて読み、こうしてその神、主を恐れることを学び、この律法のすべての言葉と、これらの定めとを守って行わなければならない。 + そうすれば彼の心が同胞を見くだして、高ぶることなく、また戒めを離れて、右にも左にも曲ることなく、その子孫と共にイスラエルにおいて、長くその位にとどまることができるであろう。 + + + レビびとである祭司すなわちレビの全部族はイスラエルのうちに、分も嗣業も持たない。彼らは主にささげられる火祭の物と、その他のささげ物とを食べなければならない。 + 彼らはその兄弟のうちに嗣業を持たない。かつて彼らに約束されたとおり主が彼らの嗣業である。 + 祭司が民から受ける分は次のとおりである。すなわち犠牲をささげる者は、牛でも、羊でも、その肩と、両方のほおと、胃とを祭司に与えなければならない。 + また穀物と、ぶどう酒と、油の初物および羊の毛の初物をも彼に与えなければならない。 + あなたの神、主がすべての部族のうちから彼を選び出して、彼とその子孫を長く主の名によって立って仕えさせられるからである。 + レビびとはイスラエルの全地のうち、どこにいる者でも、彼が宿っている町を出て、主が選ばれる場所に行くならば、 + 彼は主の前に立っているすべての兄弟レビびとと同じように、その神、主の名によって仕えることができる。 + 彼が食べる分は彼らと同じである。ただし彼はこのほかに父の遺産を売って獲た物を持つことができる。 + あなたの神、主が賜わる地にはいったならば、その国々の民の憎むべき事を習いおこなってはならない。 + あなたがたのうちに、自分のむすこ、娘を火に焼いてささげる者があってはならない。また占いをする者、卜者、易者、魔法使、 + 呪文を唱える者、口寄せ、かんなぎ、死人に問うことをする者があってはならない。 + 主はすべてこれらの事をする者を憎まれるからである。そしてこれらの憎むべき事のゆえにあなたの神、主は彼らをあなたの前から追い払われるのである。 + あなたの神、主の前にあなたは全き者でなければならない。 + あなたが追い払うかの国々の民は卜者、占いをする者に聞き従うからである。しかし、あなたには、あなたの神、主はそうする事を許されない。 + あなたの神、主はあなたのうちから、あなたの同胞のうちから、わたしのようなひとりの預言者をあなたのために起されるであろう。あなたがたは彼に聞き従わなければならない。 + これはあなたが集会の日にホレブであなたの神、主に求めたことである。すなわちあなたは『わたしが死ぬことのないようにわたしの神、主の声を二度とわたしに聞かせないでください。またこの大いなる火を二度と見させないでください』と言った。 + 主はわたしに言われた、『彼らが言ったことは正しい。 + わたしは彼らの同胞のうちから、おまえのようなひとりの預言者を彼らのために起して、わたしの言葉をその口に授けよう。彼はわたしが命じることを、ことごとく彼らに告げるであろう。 + 彼がわたしの名によって、わたしの言葉を語るのに、もしこれに聞き従わない者があるならば、わたしはそれを罰するであろう。 + ただし預言者が、わたしが語れと命じないことを、わたしの名によってほしいままに語り、あるいは他の神々の名によって語るならば、その預言者は殺さなければならない』。 + あなたは心のうちに『われわれは、その言葉が主の言われたものでないと、どうして知り得ようか』と言うであろう。 + もし預言者があって、主の名によって語っても、その言葉が成就せず、またその事が起らない時は、それは主が語られた言葉ではなく、その預言者がほしいままに語ったのである。その預言者を恐れるに及ばない。 + + + あなたの神、主が国々の民を滅ぼしつくして、あなたの神、主がその地を賜わり、あなたがそれを獲て、その町々と、その家々に住むようになる時は、 + あなたの神、主が与えて獲させられる地のうちに、三つの町をあなたのために指定しなければならない。 + そしてそこに行く道を備え、またあなたの神、主があなたに継がせられる地の領域を三区に分け、すべて人を殺した者をそこにのがれさせなければならない。 + 人を殺した者がそこにのがれて、命を全うすべき場合は次のとおりである。すなわち以前から憎むこともないのに、知らないでその隣人を殺した場合、 + たとえば人が木を切ろうとして、隣人と一緒に林に入り、手におのを取って、木を切り倒そうと撃ちおろすとき、その頭が柄から抜け、隣人にあたって、死なせたような場合がそれである。そういう人はこれらの町の一つにのがれて、命を全うすることができる。 + そうしなければ、復讐する者が怒って、その殺した者を追いかけ、道が長いために、ついに追いついて殺すであろう。しかし、その人は以前から彼を憎んでいた者でないから、殺される理由はない。 + それでわたしはあなたに命じて『三つの町をあなたのために指定しなければならない』と言ったのである。 + あなたの神、主が先祖たちに誓われたように、あなたの領域を広め、先祖たちに与えると言われた地を、ことごとく賜わる時、―― + わたしが、きょう、命じるこのすべての戒めを守って、それをおこない、あなたの神、主を愛して、常にその道に歩む時――あなたはこれら三つの町のほかに、また三つの町をあなたのために増し加えなければならない。 + これはあなたの神、主が与えて嗣業とされる地のうちで、罪のない者の血が流されないようにするためである。そうしなければ、その血を流したとがは、あなたに帰するであろう。 + しかし、もし人が隣人を憎んでそれをつけねらい、立ちかかってその人を撃ち殺し、そしてこれらの町の一つにのがれるならば、 + その町の長老たちは人をつかわして彼をそこから引いてこさせ、復讐する者にわたして殺させなければならない。 + 彼をあわれんではならない。罪のない者の血を流したとがを、イスラエルから除かなければならない。そうすればあなたにさいわいがあるであろう。 + あなたの神、主が与えて獲させられる地で、あなたが継ぐ嗣業において、先祖の定めたあなたの隣人の土地の境を移してはならない。 + どんな不正であれ、どんなとがであれ、すべて人の犯す罪は、ただひとりの証人によって定めてはならない。ふたりの証人の証言により、または三人の証人の証言によって、その事を定めなければならない。 + もし悪意のある証人が起って、人に対して悪い証言をすることがあれば、 + その相争うふたりの者は主の前に行って、その時の祭司と裁判人の前に立たなければならない。 + その時、裁判人は詳細にそれを調べなければならない。そしてその証人がもし偽りの証人であって、兄弟にむかって偽りの証言をした者であるならば、 + あなたがたは彼が兄弟にしようとしたことを彼に行い、こうしてあなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + そうすれば他の人たちは聞いて恐れ、その後ふたたびそのような悪をあなたがたのうちに行わないであろう。 + あわれんではならない。命には命、目には目、歯には歯、手には手、足には足をもって償わせなければならない。 + + + あなたが敵と戦うために出る時、馬と戦車と、あなたよりも大ぜいの軍隊を見ても、彼らを恐れてはならない。あなたをエジプトの国から導きのぼられたあなたの神、主が共におられるからである。 + あなたがたが戦いに臨むとき、祭司は進み出て民に告げて、 + 彼らに言わなければならない、『イスラエルよ聞け。あなたがたは、きょう、敵と戦おうとしている。気おくれしてはならない。恐れてはならない。あわててはならない。彼らに驚いてはならない。 + あなたがたの神、主が共に行かれ、あなたがたのために敵と戦って、あなたがたを救われるからである』。 + 次につかさたちは民に告げて言わなければならない。『新しい家を建てて、まだそれをささげていない者があれば、その人を家に帰らせなければならない。そうしなければ、彼が戦いに死んだとき、ほかの人がそれをささげるようになるであろう。 + ぶどう畑を作って、まだその実を食べていない者があれば、その人を家に帰らせなければならない。そうしなければ彼が戦いに死んだとき、ほかの人がそれを食べるようになるであろう。 + 女と婚約して、まだその女をめとっていない者があれば、その人を家に帰らせなければならない。そうしなければ彼が戦いに死んだとき、ほかの人が彼女をめとるようになるであろう』。 + つかさたちは、また民に告げて言わなければならない。『恐れて気おくれする者があるならば、その人を家に帰らせなければならない。そうしなければ、兄弟たちの心が彼の心のようにくじけるであろう』。 + つかさたちがこのように民に告げ終ったならば、軍勢のかしらたちを立てて民を率いさせなければならない。 + 一つの町へ進んで行って、それを攻めようとする時は、まず穏やかに降服することを勧めなければならない。 + もしその町が穏やかに降服しようと答えて、門を開くならば、そこにいるすべての民に、みつぎを納めさせ、あなたに仕えさせなければならない。 + もし穏やかに降服せず、戦おうとするならば、あなたはそれを攻めなければならない。 + そしてあなたの神、主がそれをあなたの手にわたされる時、つるぎをもってそのうちの男をみな撃ち殺さなければならない。 + ただし女、子供、家畜およびすべて町のうちにあるもの、すなわちぶんどり物は皆、戦利品として取ることができる。また敵からぶんどった物はあなたの神、主が賜わったものだから、あなたはそれを用いることができる。 + 遠く離れている町々、すなわちこれらの国々に属さない町々には、すべてこのようにしなければならない。 + ただし、あなたの神、主が嗣業として与えられるこれらの民の町々では、息のある者をひとりも生かしておいてはならない。 + すなわちヘテびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとはみな滅ぼして、あなたの神、主が命じられたとおりにしなければならない。 + これは彼らがその神々を拝んでおこなったすべての憎むべき事を、あなたがたに教えて、それを行わせ、あなたがたの神、主に罪を犯させることのないためである。 + 長く町を攻め囲んで、それを取ろうとする時でも、おのをふるって、そこの木を切り枯らしてはならない。それはあなたの食となるものだから、切り倒してはならない。あなたは田野の木までも、人のように攻めなければならないであろうか。 + ただし実を結ばない木とわかっている木は切り倒して、あなたと戦っている町にむかい、それをもってとりでを築き、陥落するまで、それを攻めることができる。 + + + あなたの神、主が与えて獲させられる地で、殺されて野に倒れている人があって、だれが殺したのかわからない時は、 + 長老たちと、さばきびとたちが出てきて、その殺された者のある所から、周囲の町々までの距離をはからなければならない。 + そしてその殺された者のある所に最も近い町の長老たちは、まだ使わない、まだくびきを負わせて引いたことのない若い雌牛をとり、 + その町の長老たちはその雌牛を、耕すことも、種まくこともしない、絶えず水の流れている谷へ引いていって、その谷で雌牛のくびを折らなければならない。 + その時レビの子孫である祭司たちは、そこに進み出なければならない。彼らはあなたの神、主が自分に仕えさせ、また主の名によって祝福させるために選ばれた者で、すべての論争と、すべての暴行は彼らの言葉によって解決されるからである。 + そしてその殺された者のある所に最も近い町の長老たちは皆、彼らが谷でくびを折った雌牛の上で手を洗い、 + 証言して言わなければならない、『われわれの手はこの血を流さず、われわれの目もそれを見なかった。 + 主よ、あなたがあがなわれた民イスラエルをおゆるしください。罪のない者の血を流したとがを、あなたの民イスラエルのうちにとどめないでください。そして血を流したとがをおゆるしください』。 + このようにして、あなたは主が正しいと見られる事をおこない、罪のない者の血を流したとがを、あなたがたのうちから除き去らなければならない。 + あなたが出て敵と戦う際、あなたの神、主がそれをあなたの手にわたされ、あなたがそれを捕虜とした時、 + もし捕虜のうちに美しい女のあるのを見て、それを好み、妻にめとろうとするならば、 + その女をあなたの家に連れて帰らなければならない。女は髪をそり、つめを切り、 + また捕虜の着物を脱ぎすてて、あなたの家におり、自分の父母のために一か月のあいだ嘆かなければならない。そして後、あなたは彼女の所にはいって、その夫となり、彼女を妻とすることができる。 + その後あなたがもし彼女を好まなくなったならば、彼女を自由に去らせなければならない。決して金で売ってはならない。あなたはすでに彼女をはずかしめたのだから、彼女を奴隷のようにあしらってはならない。 + 人がふたりの妻をもち、そのひとりは愛する者、ひとりは気にいらない者であって、その愛する者と気にいらない者のふたりが、ともに男の子を産み、もしその長子が、気にいらない女の産んだ者である時は、 + その子たちに自分の財産を継がせる時、気にいらない女の産んだ長子をさしおいて、愛する女の産んだ子を長子とすることはできない。 + 必ずその気にいらない者の産んだ子が長子であることを認め、自分の財産を分ける時には、これに二倍の分け前を与えなければならない。これは自分の力の初めであって、長子の特権を持っているからである。 + もし、わがままで、手に負えない子があって、父の言葉にも、母の言葉にも従わず、父母がこれを懲らしてもきかない時は、 + その父母はこれを捕えて、その町の門に行き、町の長老たちの前に出し、 + 町の長老たちに言わなければならない、『わたしたちのこの子はわがままで、手に負えません。わたしたちの言葉に従わず、身持ちが悪く、大酒飲みです』。 + そのとき、町の人は皆、彼を石で撃ち殺し、あなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。そうすれば、イスラエルは皆聞いて恐れるであろう。 + もし人が死にあたる罪を犯して殺され、あなたがそれを木の上にかける時は、 + 翌朝までその死体を木の上に留めておいてはならない。必ずそれをその日のうちに埋めなければならない。木にかけられた者は神にのろわれた者だからである。あなたの神、主が嗣業として賜わる地を汚してはならない。 + + + あなたの兄弟の牛、または羊の迷っているのを見て、それを見捨てておいてはならない。必ずそれを兄弟のところへ連れて帰らなければならない。 + もしその兄弟が近くの者でなく、知らない人であるならば、それを自分の家にひいてきて、あなたのところにおき、その兄弟が尋ねてきた時に、それを彼に返さなければならない。 + あなたの兄弟のろばの場合も、そうしなければならない。着物の場合も、そうしなければならない。またすべてあなたの兄弟の失った物を見つけた場合も、そうしなければならない。それを見捨てておくことはできない。 + あなたの兄弟のろばまたは牛が道に倒れているのを見て、見捨てておいてはならない。必ずそれを助け起さなければならない。 + 女は男の着物を着てはならない。また男は女の着物を着てはならない。あなたの神、主はそのような事をする者を忌みきらわれるからである。 + もしあなたが道で、木の上、または地面に鳥の巣のあるのを見つけ、その中に雛または卵があって、母鳥がその雛または卵を抱いているならば、母鳥を雛と一緒に取ってはならない。 + 必ず母鳥を去らせ、ただ雛だけを取らなければならない。そうすればあなたはさいわいを得、長く生きながらえることができるであろう。 + 新しい家を建てる時は、屋根に欄干を設けなければならない。それは人が屋根から落ちて、血のとがをあなたの家に帰することのないようにするためである。 + ぶどう畑に二種の種を混ぜてまいてはならない。そうすればあなたがまいた種から産する物も、ぶどう畑から出る物も、みな忌むべき物となるであろう。 + 牛と、ろばとを組み合わせて耕してはならない。 + 羊毛と亜麻糸を混ぜて織った着物を着てはならない。 + 身にまとう上着の四すみに、ふさをつけなければならない。 + もし人が妻をめとり、妻のところにはいって後、その女をきらい、 + 『わたしはこの女をめとって近づいた時、彼女に処女の証拠を見なかった』と言って虚偽の非難をもって、その女に悪名を負わせるならば、 + その女の父と母は、彼女の処女の証拠を取って、門におる町の長老たちに差し出し、 + そして彼女の父は長老たちに言わなければならない。『わたしはこの人に娘を与えて妻にさせましたが、この人は娘をきらい、 + 虚偽の非難をもって、「わたしはあなたの娘に処女の証拠を見なかった」と言います。しかし、これがわたしの娘の処女の証拠です』と言って、その父母はかの布を町の長老たちの前にひろげなければならない。 + その時、町の長老たちは、その人を捕えて撃ち懲らし、 + また銀百シケルの罰金を課し、それを女の父に与えなければならない。彼はイスラエルの処女に悪名を負わせたからである。彼はその女を妻とし、一生その女を出すことはできない。 + しかし、この非難が真実であって、その女に処女の証拠が見られない時は、 + その女を父の家の入口にひき出し、町の人々は彼女を石で撃ち殺さなければならない。彼女は父の家で、みだらな事をおこない、イスラエルのうちに愚かな事をしたからである。あなたはこうしてあなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + もし夫のある女と寝ている男を見つけたならば、その女と寝た男およびその女を一緒に殺し、こうしてイスラエルのうちから悪を除き去らなければならない。 + もし処女である女が、人と婚約した後、他の男が町の内でその女に会い、これを犯したならば、 + あなたがたはそのふたりを町の門にひき出して、石で撃ち殺さなければならない。これはその女が町の内におりながら叫ばなかったからであり、またその男は隣人の妻をはずかしめたからである。あなたはこうしてあなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + しかし、男が、人と婚約した女に野で会い、その女を捕えてこれを犯したならば、その男だけを殺さなければならない。 + その女には何もしてはならない。女には死にあたる罪がない。人がその隣人に立ちむかって、それを殺したと同じ事件だからである。 + これは男が野で女に会ったので、人と婚約したその女が叫んだけれども、救う者がなかったのである。 + まだ人と婚約しない処女である女に、男が会い、これを捕えて犯し、ふたりが見つけられたならば、 + 女を犯した男は女の父に銀五十シケルを与えて、女を自分の妻としなければならない。彼はその女をはずかしめたゆえに、一生その女を出すことはできない。 + だれも父の妻をめとってはならない。父の妻と寝てはならない。 + + + すべて去勢した男子は主の会衆に加わってはならない。 + 私生児は主の会衆に加わってはならない。その子孫は十代までも主の会衆に加わってはならない。 + アンモンびととモアブびとは主の会衆に加わってはならない。彼らの子孫は十代までも、いつまでも主の会衆に加わってはならない。 + これはあなたがたがエジプトから出てきた時に、彼らがパンと水を携えてあなたがたを道に迎えず、アラム・ナハライムのペトルからベオルの子バラムを雇って、あなたをのろわせようとしたからである。 + しかし、あなたの神、主はバラムの言うことを聞こうともせず、あなたの神、主はあなたのために、そののろいを変えて、祝福とされた。あなたの神、主があなたを愛されたからである。 + あなたは一生いつまでも彼らのために平安をも、幸福をも求めてはならない。 + あなたはエドムびとを憎んではならない。彼はあなたの兄弟だからである。またエジプトびとを憎んではならない。あなたはかつてその国の寄留者であったからである。 + そして彼らが産んだ子どもは三代目には、主の会衆に加わることができる。 + 敵を攻めるために出て陣営におる時は、すべての汚れた物を避けなければならない。 + あなたがたのうちに、夜の思いがけない事によって身の汚れた人があるならば、陣営の外に出なければならない。陣営の内に、はいってはならない。 + しかし、夕方になって、水で身を洗い、日が没して後、陣営の内に、はいることができる。 + あなたはまた陣営の外に一つの所を設けておいて、用をたす時、そこに出て行かなければならない。 + また武器と共に、くわを備え、外に出て、かがむ時、それをもって土を掘り、向きをかえて、出た物をおおわなければならない。 + あなたの神、主があなたを救い、敵をあなたにわたそうと、陣営の中を歩まれるからである。ゆえに陣営は聖なる所として保たなければならない。主があなたのうちにきたない物のあるのを見て、離れ去られることのないためである。 + 主人を避けて、あなたのところに逃げてきた奴隷を、その主人にわたしてはならない。 + その者をあなたがたのうちに、あなたと共におらせ、町の一つのうち、彼が好んで選ぶ場所に住ませなければならない。彼を虐待してはならない。 + イスラエルの女子は神殿娼婦となってはならない。またイスラエルの男子は神殿男娼となってはならない。 + 娼婦の得た価または男娼の価をあなたの神、主の家に携えて行って、どんな誓願にも用いてはならない。これはともにあなたの神、主の憎まれるものだからである。 + 兄弟に利息を取って貸してはならない。金銭の利息、食物の利息などすべて貸して利息のつく物の利息を取ってはならない。 + 外国人には利息を取って貸してもよい。ただ兄弟には利息を取って貸してはならない。これはあなたが、はいって取る地で、あなたの神、主がすべてあなたのする事に祝福を与えられるためである。 + あなたの神、主に誓願をかける時、それを果すことを怠ってはならない。あなたの神、主は必ずそれをあなたに求められるからである。それを怠るときは罪を得るであろう。 + しかし、あなたが誓願をかけないならば、罪を得ることはない。 + あなたが口で言った事は守って行わなければならない。あなたが口で約束した事は、あなたの神、主にあなたが自発的に誓願したのだからである。 + あなたが隣人のぶどう畑にはいる時、そのぶどうを心にまかせて飽きるほど食べてもよい。しかし、あなたの器の中に取り入れてはならない。 + あなたが隣人の麦畑にはいる時、手でその穂を摘んで食べてもよい。しかし、あなたの隣人の麦畑にかまを入れてはならない。 + + + 人が妻をめとって、結婚したのちに、その女に恥ずべきことのあるのを見て、好まなくなったならば、離縁状を書いて彼女の手に渡し、家を去らせなければならない。 + 女がその家を出てのち、行って、ほかの人にとつぎ、 + 後の夫も彼女をきらって、離縁状を書き、その手に渡して家を去らせるか、または妻にめとった後の夫が死んだときは、 + 彼女はすでに身を汚したのちであるから、彼女を去らせた先の夫は、ふたたび彼女を妻にめとることはできない。これは主の前に憎むべき事だからである。あなたの神、主が嗣業としてあなたに与えられる地に罪を負わせてはならない。 + 人が新たに妻をめとった時は、戦争に出してはならない。また何の務もこれに負わせてはならない。その人は一年の間、束縛なく家にいて、そのめとった妻を慰めなければならない。 + ひきうす、またはその上石を質にとってはならない。これは命をつなぐものを質にとることだからである。 + イスラエルの人々のうちの同胞のひとりをかどわかして、これを奴隷のようにあしらい、またはこれを売る者を見つけたならば、そのかどわかした者を殺して、あなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + らい病の起った時は気をつけて、すべてレビびとたる祭司が教えることを、よく守って行わなければならない。すなわちわたしが彼らに命じたように、あなたがたはそれを守って行わなければならない。 + あなたがたがエジプトから出てきたとき、道であなたの神、主がミリアムにされたことを記憶しなければならない。 + あなたが隣人に物を貸すときは、自分でその家にはいって、質物を取ってはならない。 + あなたは外に立っていて、借りた人が質物を外にいるあなたのところへ持ち出さなければならない。 + もしその人が貧しい人である時は、あなたはその質物を留めおいて寝てはならない。 + その質物は日の入るまでに、必ず返さなければならない。そうすれば彼は自分の上着をかけて寝ることができて、あなたを祝福するであろう。それはあなたの神、主の前にあなたの義となるであろう。 + 貧しく乏しい雇人は、同胞であれ、またはあなたの国で、町のうちに寄留している他国人であれ、それを虐待してはならない。 + 賃銀はその日のうちに払い、それを日の入るまで延ばしてはならない。彼は貧しい者で、その心をこれにかけているからである。そうしなければ彼はあなたを主に訴えて、あなたは罪を得るであろう。 + 父は子のゆえに殺さるべきではない。子は父のゆえに殺さるべきではない。おのおの自分の罪のゆえに殺さるべきである。 + 寄留の他国人または孤児のさばきを曲げてはならない。寡婦の着物を質に取ってはならない。 + あなたはかつてエジプトで奴隷であったが、あなたの神、主がそこからあなたを救い出されたことを記憶しなければならない。それでわたしはあなたにこの事をせよと命じるのである。 + あなたが畑で穀物を刈る時、もしその一束を畑におき忘れたならば、それを取りに引き返してはならない。それは寄留の他国人と孤児と寡婦に取らせなければならない。そうすればあなたの神、主はすべてあなたがする事において、あなたを祝福されるであろう。 + あなたがオリブの実をうち落すときは、ふたたびその枝を捜してはならない。それを寄留の他国人と孤児と寡婦に取らせなければならない。 + またぶどう畑のぶどうを摘み取るときは、その残ったものを、ふたたび捜してはならない。それを寄留の他国人と孤児と寡婦に取らせなければならない。 + あなたはかつてエジプトの国で奴隷であったことを記憶しなければならない。それでわたしはあなたにこの事をせよと命じるのである。 + + + 人と人との間に争い事があって、さばきを求めてきたならば、さばきびとはこれをさばいて、正しい者を正しいとし、悪い者を悪いとしなければならない。 + その悪い者が、むち打つべき者であるならば、さばきびとは彼を伏させ、自分の前で、その罪にしたがい、数えて彼をむち打たせなければならない。 + 彼をむち打つには四十を越えてはならない。もしそれを越えて、それよりも多くむちを打つときは、あなたの兄弟はあなたの目の前で、はずかしめられることになるであろう。 + 脱穀をする牛にくつこを掛けてはならない。 + 兄弟が一緒に住んでいて、そのうちのひとりが死んで子のない時は、その死んだ者の妻は出て、他人にとついではならない。その夫の兄弟が彼女の所にはいり、めとって妻とし、夫の兄弟としての道を彼女につくさなければならない。 + そしてその女が初めに産む男の子に、死んだ兄弟の名を継がせ、その名をイスラエルのうちに絶やさないようにしなければならない。 + しかしその人が兄弟の妻をめとるのを好まないならば、その兄弟の妻は町の門へ行って、長老たちに言わなければならない、『わたしの夫の兄弟はその兄弟の名をイスラエルのうちに残すのを拒んで、夫の兄弟としての道をつくすことを好みません』。 + そのとき町の長老たちは彼を呼び寄せて、さとさなければならない。もし彼が固執して、『わたしは彼女をめとることを好みません』と言うならば、 + その兄弟の妻は長老たちの目の前で、彼のそばに行き、その足のくつを脱がせ、その顔につばきして、答えて言わなければならない。『兄弟の家をたてない者には、このようにすべきです』。 + そして彼の家の名は、くつを脱がされた者の家と、イスラエルのうちで呼ばれるであろう。 + ふたりの人が互に争うときに、そのひとりの人の妻が、打つ者の手から夫を救おうとして近づき、手を伸べて、その人の隠し所をつかまえるならば、 + その女の手を切り落さなければならない。あわれみをかけてはならない。 + あなたの袋に大小二種の重り石を入れておいてはならない。 + あなたの家に大小二種のますをおいてはならない。 + 不足のない正しい重り石を持ち、また不足のない正しいますを持たなければならない。そうすればあなたの神、主が賜わる地で、あなたは長く命を保つことができるであろう。 + すべてこのような不正をする者を、あなたの神、主が憎まれるからである。 + あなたがエジプトから出てきた時、道でアマレクびとがあなたにしたことを記憶しなければならない。 + すなわち彼らは道であなたに出会い、あなたがうみ疲れている時、うしろについてきていたすべての弱っている者を攻め撃った。このように彼らは神を恐れなかった。 + それで、あなたの神、主が嗣業として賜わる地で、あなたの神、主があなたの周囲のすべての敵を征服して、あなたに安息を与えられる時、あなたはアマレクの名を天の下から消し去らなければならない。この事を忘れてはならない。 + + + あなたの神、主が嗣業として賜わる国にはいって、それを所有し、そこに住む時は、 + あなたの神、主が賜わる国にできる、地のすべての実の初物を取ってかごに入れ、あなたの神、主がその名を置くために選ばれる所へ携えて行かなければならない。 + そしてその時の祭司の所へ行って彼に言わなければならない、『きょう、あなたの神、主にわたしは申します。主がわれわれに与えると先祖たちに誓われた国に、わたしははいることができました』。 + そのとき祭司はあなたの手からそのかごを受け取ってあなたの神、主の祭壇の前に置かなければならない。 + そして、あなたはあなたの神、主の前に述べて言わなければならない、『わたしの先祖は、さすらいの一アラムびとでありましたが、わずかの人を連れてエジプトへ下って行って、その所に寄留し、ついにそこで大きく、強い、人数の多い国民になりました。 + ところがエジプトびとはわれわれをしえたげ、また悩まして、つらい労役を負わせましたが、 + われわれが先祖たちの神、主に叫んだので、主はわれわれの声を聞き、われわれの悩みと、骨折りと、しえたげとを顧み、 + 主は強い手と、伸べた腕と、大いなる恐るべき事と、しるしと、不思議とをもって、われわれをエジプトから導き出し、 + われわれをこの所へ連れてきて、乳と蜜の流れるこの地をわれわれに賜わりました。 + 主よ、ごらんください。あなたがわたしに賜わった地の実の初物を、いま携えてきました』。そしてあなたはそれをあなたの神、主の前に置いて、あなたの神、主の前に礼拝し、 + あなたの神、主があなたとあなたの家とに賜わったすべての良い物をもって、レビびとおよびあなたのなかにいる寄留の他国人と共に喜び楽しまなければならない。 + 第三年すなわち十分の一を納める年に、あなたがすべての産物の十分の一を納め終って、それをレビびとと寄留の他国人と孤児と寡婦とに与え、町のうちで彼らに飽きるほど食べさせた時、 + あなたの神、主の前で言わなければならない、『わたしはその聖なる物を家から取り出し、またレビびとと寄留の他国人と孤児と寡婦とにそれを与え、すべてあなたが命じられた命令のとおりにいたしました。わたしはあなたの命令にそむかず、またそれを忘れませんでした。 + わたしはその聖なる物を喪のうちで食べたことがなく、また汚れた身でそれを取り出したことがなく、また死人にそれを供えたことがありませんでした。わたしはわたしの神、主の声に聞き従い、すべてあなたがわたしに命じられたとおりにいたしました。 + あなたの聖なるすみかである天からみそなわして、あなたの民イスラエルと、あなたがわれわれに与えられた地とを祝福してください。これはあなたがわれわれの先祖に誓われた乳と蜜の流れる地です』。 + きょう、あなたの神、主はこれらの定めと、おきてとを行うことをあなたに命じられる。それゆえ、あなたは心をつくし、精神をつくしてそれを守り行わなければならない。 + きょう、あなたは主をあなたの神とし、かつその道に歩み、定めと、戒めと、おきてとを守り、その声に聞き従うことを明言した。 + そして、主は先に約束されたように、きょう、あなたを自分の宝の民とされること、また、あなたがそのすべての命令を守るべきことを明言された。 + 主は誉と良き名と栄えとをあなたに与えて、主の造られたすべての国民にまさるものとされるであろう。あなたは主が言われたように、あなたの神、主の聖なる民となるであろう」。 + + + モーセとイスラエルの長老たちとは民に命じて言った、「わたしが、きょう、あなたがたに命じるすべての戒めを守りなさい。 + あなたがたがヨルダンを渡ってあなたの神、主が賜わる国にはいる時、あなたは大きな石数個を立てて、それにしっくいを塗り、 + そしてあなたが渡って、あなたの先祖たちの神、主が約束されたようにあなたの神、主が賜わる地、すなわち乳と蜜の流れる地にはいる時、この律法のすべての言葉をその上に書きしるさなければならない。 + すなわち、あなたがたが、ヨルダンを渡ったならば、わたしが、きょう、あなたがたに命じるそれらの石をエバル山に立て、それにしっくいを塗らなければならない。 + またそこにあなたの神、主のために、祭壇、すなわち石の祭壇を築かなければならない。鉄の器を石に当てず、 + 自然のままの石であなたの神、主のために祭壇を築き、その上であなたの神、主に燔祭をささげなければならない。 + また酬恩祭の犠牲をささげて、その所で食べ、あなたの神、主の前で喜び楽しまなければならない。 + あなたはこの律法のすべての言葉をその石の上に明らかに書きしるさなければならない」。 + またモーセとレビびとたる祭司たちとは、イスラエルのすべての人々に言った、「イスラエルよ、静かに聞きなさい。あなたは、きょう、あなたの神、主の民となった。 + それゆえ、あなたの神、主の声に聞き従い、わたしが、きょう、命じる戒めと定めとを行わなければならない」。 + その日またモーセは民に命じて言った、 + 「あなたがたがヨルダンを渡った時、次の人たちはゲリジム山に立って民を祝福しなければならない。すなわちシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフおよびベニヤミン。 + また次の人たちはエバル山に立ってのろわなければならない。すなわちルベン、ガド、アセル、ゼブルン、ダンおよびナフタリ。 + そしてレビびとは大声でイスラエルのすべての人々に告げて言わなければならない。 + 『工人の手の作である刻んだ像、または鋳た像は、主が憎まれるものであるから、それを造って、ひそかに安置する者はのろわれる』。民は、みな答えてアァメンと言わなければならない。 + 『父や母を軽んずる者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『隣人との土地の境を移す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『盲人を道に迷わす者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『寄留の他国人や孤児、寡婦のさばきを曲げる者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『父の妻を犯す者は、父を恥ずかしめるのであるからのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『すべて獣を犯す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『父の娘、または母の娘である自分の姉妹を犯す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『妻の母を犯す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『ひそかに隣人を撃ち殺す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『まいないを取って罪なき者を殺す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『この律法の言葉を守り行わない者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + + + もしあなたが、あなたの神、主の声によく聞き従い、わたしが、きょう、命じるすべての戒めを守り行うならば、あなたの神、主はあなたを地のもろもろの国民の上に立たせられるであろう。 + もし、あなたがあなたの神、主の声に聞き従うならば、このもろもろの祝福はあなたに臨み、あなたに及ぶであろう。 + あなたは町の内でも祝福され、畑でも祝福されるであろう。 + またあなたの身から生れるもの、地に産する物、家畜の産むもの、すなわち牛の子、羊の子は祝福されるであろう。 + またあなたのかごと、こねばちは祝福されるであろう。 + あなたは、はいるにも祝福され、出るにも祝福されるであろう。 + 敵が起ってあなたを攻める時は、主はあなたにそれを撃ち敗らせられるであろう。彼らは一つの道から攻めて来るが、あなたの前で七つの道から逃げ去るであろう。 + 主は命じて祝福をあなたの倉と、あなたの手のすべてのわざにくだし、あなたの神、主が賜わる地であなたを祝福されるであろう。 + もし、あなたの神、主の戒めを守り、その道を歩むならば、主は誓われたようにあなたを立てて、その聖なる民とされるであろう。 + そうすれば地のすべての民は皆あなたが主の名をもって唱えられるのを見てあなたを恐れるであろう。 + 主があなたに与えると先祖に誓われた地で、主は良い物、すなわちあなたの身から生れる者、家畜の産むもの、地に産する物を豊かにされるであろう。 + 主はその宝の蔵である天をあなたのために開いて、雨を季節にしたがってあなたの地に降らせ、あなたの手のすべてのわざを祝福されるであろう。あなたは多くの国民に貸すようになり、借りることはないであろう。 + 主はあなたをかしらとならせ、尾とはならせられないであろう。あなたはただ栄えて衰えることはないであろう。きょう、わたしが命じるあなたの神、主の戒めに聞き従って、これを守り行うならば、あなたは必ずこのようになるであろう。 + きょう、わたしが命じるこのすべての言葉を離れて右または左に曲り、他の神々に従い、それに仕えてはならない。 + しかし、あなたの神、主の声に聞き従わず、きょう、わたしが命じるすべての戒めと定めとを守り行わないならば、このもろもろののろいがあなたに臨み、あなたに及ぶであろう。 + あなたは町のうちでものろわれ、畑でものろわれ、 + あなたのかごも、こねばちものろわれ、 + あなたの身から生れるもの、地に産する物、牛の子、羊の子ものろわれるであろう。 + あなたは、はいるにものろわれ、出るにものろわれるであろう。 + 主はあなたが手をくだすすべての働きにのろいと、混乱と、懲しめとを送られ、あなたはついに滅び、すみやかにうせ果てるであろう。これはあなたが悪をおこなってわたしを捨てたからである。 + 主は疫病をあなたの身につかせ、あなたが行って取る地から、ついにあなたを断ち滅ぼされるであろう。 + 主はまた肺病と熱病と炎症と間けつ熱と、かんばつと、立ち枯れと、腐り穂とをもってあなたを撃たれるであろう。これらのものはあなたを追い、ついにあなたを滅ぼすであろう。 + あなたの頭の上の天は青銅となり、あなたの下の地は鉄となるであろう。 + 主はあなたの地の雨を、ちりと、ほこりに変らせ、それが天からあなたの上にくだって、ついにあなたを滅ぼすであろう。 + 主はあなたを敵の前で敗れさせられるであろう。あなたは一つの道から彼らを攻めて行くが、彼らの前で七つの道から逃げ去るであろう。そしてあなたは地のもろもろの国に恐るべき見せしめとなるであろう。 + またあなたの死体は空のもろもろの鳥と、地の獣とのえじきとなり、しかもそれを追い払う者はないであろう。 + 主はエジプトの腫物と潰瘍と壊血病とひぜんとをもってあなたを撃たれ、あなたはいやされることはないであろう。 + また主はあなたを撃って気を狂わせ、目を見えなくし、心を混乱させられるであろう。 + あなたは盲人が暗やみに手探りするように、真昼にも手探りするであろう。あなたは行く道で栄えることがなく、ただ常にしえたげられ、かすめられるだけで、あなたを救う者はないであろう。 + あなたは妻をめとっても、ほかの人が彼女と寝るであろう。家を建てても、その中に住まないであろう。ぶどう畑を作っても、その実を摘み取ることがないであろう。 + あなたの牛が目の前でほふられても、あなたはそれを食べることができず、あなたのろばが目の前で奪われても、返されないであろう。あなたの羊が敵のものになっても、それを救ってあなたに返す者はないであろう。 + あなたのむすこや娘は他国民にわたされる。あなたの目はそれを見、終日、彼らを慕って衰えるが、あなたは手を施すすべもないであろう。 + あなたの地の産物およびあなたの労して獲た物はみなあなたの知らない民が食べるであろう。あなたは、ただ常にしえたげられ、苦しめられるのみであろう。 + こうしてあなたは目に見る事柄によって、気が狂うにいたるであろう。 + 主はあなたのひざと、はぎとに悪い、いやし得ない腫物を生じさせて、足の裏から頭の頂にまで及ぼされるであろう。 + 主はあなたとあなたが立てた王とを携えて、あなたもあなたの先祖も知らない国に移されるであろう。あなたはそこで木や石で造ったほかの神々に仕えるであろう。 + あなたは主があなたを追いやられるもろもろの民のなかで驚きとなり、ことわざとなり、笑い草となるであろう。 + あなたが多くの種を畑に携えて出ても、その収穫は少ないであろう。いなごがそれを食いつくすからである。 + あなたがぶどう畑を作り、それにつちかっても、そのぶどう酒を飲むことができず、その実を集めることもないであろう。虫がそれを食べるからである。 + あなたの国にはあまねくオリブの木があるであろう。しかし、あなたはその油を身に塗ることができないであろう。その実がみな落ちてしまうからである。 + むすこや、娘があなたに生れても、あなたのものにならないであろう。彼らは捕えられて行くからである。 + あなたのもろもろの木、および地の産物は、いなごが取って食べるであろう。 + あなたのうちに寄留する他国人は、ますます高くなり、あなたの上に出て、あなたはますます低くなるであろう。 + 彼はあなたに貸し、あなたは彼に貸すことができない。彼はかしらとなり、あなたは尾となるであろう。 + このもろもろののろいが、あなたに臨み、あなたを追い、ついに追いついて、あなたを滅ぼすであろう。これはあなたの神、主の声に聞き従わず、あなたに命じられた戒めと定めとを、あなたが守らなかったからである。 + これらの事は長くあなたとあなたの子孫のうえにあって、しるしとなり、また不思議となるであろう。 + あなたがすべての物に豊かになり、あなたの神、主に心から喜び楽しんで仕えないので、 + あなたは飢え、かわき、裸になり、すべての物に乏しくなって、主があなたにつかわされる敵に仕えるであろう。敵は鉄のくびきをあなたのくびにかけ、ついにあなたを滅ぼすであろう。 + すなわち主は遠い所から、地のはてから一つの民を、はげたかが飛びかけるように、あなたに攻めきたらせられるであろう。これはあなたがその言葉を知らない民、 + 顔の恐ろしい民であって、彼らは老人の身を顧みず、幼い者をあわれまず、 + あなたの家畜が産むものや、地の産物を食って、あなたを滅ぼし、穀物をも、酒をも、油をも、牛の子をも、羊の子をも、あなたの所に残さず、ついにあなたを全く滅ぼすであろう。 + その民は全国ですべての町を攻め囲み、ついにあなたが頼みとする、堅固な高い石がきをことごとく撃ちくずし、あなたの神、主が賜わった国のうちのすべての町々を攻め囲むであろう。 + あなたは敵に囲まれ、激しく攻めなやまされて、ついにあなたの神、主が賜わったあなたの身から生れた者、むすこ、娘の肉を食べるに至るであろう。 + あなたがたのうちのやさしい、温和な男でさえも、自分の兄弟、自分のふところの妻、最後に残っている子供にも食物を惜しんで与えず、 + 自分が自分の子供を食べ、その肉を少しでも、この人々のだれにも与えようとはしないであろう。これは敵があなたのすべての町々を囲み、激しく攻め悩まして、何をもその人に残さないからである。 + またあなたがたのうちのやさしい、柔和な女、すなわち柔和で、やさしく、足の裏を土に付けようともしない者でも、自分のふところの夫や、むすこ、娘にもかくして、 + 自分の足の間からでる後産や、自分の産む子をひそかに食べるであろう。敵があなたの町々を囲み、激しく攻めなやまして、すべての物が欠乏するからである。 + もしあなたが、この書物にしるされているこの律法のすべての言葉を守り行わず、あなたの神、主というこの栄えある恐るべき名を恐れないならば、 + 主はあなたとその子孫の上に激しい災を下されるであろう。その災はきびしく、かつ久しく、その病気は重く、かつ久しいであろう。 + 主はまた、あなたが恐れた病気、すなわちエジプトのもろもろの病気を再び臨ませて、あなたの身につかせられるであろう。 + またこの律法の書にのせてないもろもろの病気と、もろもろの災とを、主はあなたが滅びるまで、あなたの上に下されるであろう。 + あなたがたは天の星のように多かったが、あなたの神、主の声に聞き従わなかったから、残る者が少なくなるであろう。 + さきに主があなたがたを良くあしらい、あなたがたを多くするのを喜ばれたように、主は今あなたがたを滅ぼし絶やすのを喜ばれるであろう。あなたがたは、はいって取る地から抜き去られるであろう。 + 主は地のこのはてから、かのはてまでのもろもろの民のうちにあなたがたを散らされるであろう。その所で、あなたもあなたの先祖たちも知らなかった木や石で造ったほかの神々にあなたは仕えるであろう。 + その国々の民のうちであなたは安きを得ず、また足の裏を休める所も得られないであろう。主はその所で、あなたの心をおののかせ、目を衰えさせ、精神を打ちしおれさせられるであろう。 + あなたの命は細い糸にかかっているようになり、夜昼恐れおののいて、その命もおぼつかなく思うであろう。 + あなたが心にいだく恐れと、目に見るものによって、朝には『ああ夕であればよいのに』と言い、夕には『ああ朝であればよいのに』と言うであろう。 + 主はあなたを舟に乗せ、かつてわたしがあなたに告げて、『あなたは再びこれを見ることはない』と言った道によって、あなたをエジプトへ連れもどされるであろう。あなたがたはそこで男女の奴隷として敵に売られるが、だれも買う者はないであろう」。 + + + これは主がモーセに命じて、モアブの地でイスラエルの人々と結ばせられた契約の言葉であって、ホレブで彼らと結ばれた契約のほかのものである。 + モーセはイスラエルのすべての人を呼び集めて言った、「あなたがたは主がエジプトの地で、パロと、そのすべての家来と、その全地とにせられたすべての事をまのあたり見た。 + すなわちその大きな試みと、しるしと、大きな不思議とをまのあたり見たのである。 + しかし、今日まで主はあなたがたの心に悟らせず、目に見させず、耳に聞かせられなかった。 + わたしは四十年の間、あなたがたを導いて荒野を通らせたが、あなたがたの身につけた着物は古びず、足のくつは古びなかった。 + あなたがたはまたパンも食べず、ぶどう酒も濃い酒も飲まなかった。こうしてあなたがたは、わたしがあなたがたの神、主であることを知るに至った。 + あなたがたがこの所にきたとき、ヘシボンの王シホンと、バシャンの王オグがわれわれを迎えて戦ったが、われわれは彼らを撃ち敗って、 + その地を取り、これをルベンびとと、ガドびとと、マナセびとの半ばとに、嗣業として与えた。 + それゆえ、あなたがたはこの契約の言葉を守って、それを行わなければならない。そうすればあなたがたのするすべての事は栄えるであろう。 + あなたがたは皆、きょう、あなたがたの神、主の前に立っている。すなわちあなたがたの部族のかしらたち、長老たち、つかさたちなど、イスラエルのすべての人々、 + あなたがたの小さい者たちも、妻たちも、宿営のうちに寄留している他国人も、あなたのために、たきぎを割る者も、水をくむ者も、みな主の前に立って、 + あなたの神、主が、きょう、あなたと結ばれるあなたの神、主の契約と誓いとに、はいろうとしている。 + これは主がさきにあなたに約束されたように、またあなたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓われたように、きょう、あなたを立てて自分の民とし、またみずからあなたの神となられるためである。 + わたしはただあなたがたとだけ、この契約と誓いとを結ぶのではない。 + きょう、ここで、われわれの神、主の前にわれわれと共に立っている者ならびに、きょう、ここにわれわれと共にいない者とも結ぶのである。 + われわれがどのようにエジプトの国に住んでいたか、どのように国々の民の中を通ってきたか、それはあなたがたが知っている。 + またあなたがたは木や石や銀や金で造った憎むべき物と偶像とが、彼らのうちにあるのを見た。 + それゆえ、あなたがたのうちに、きょう、その心にわれわれの神、主を離れてそれらの国民の神々に行って仕える男や女、氏族や部族があってはならない。またあなたがたのうちに、毒草や、にがよもぎを生ずる根があってはならない。 + そのような人はこの誓いの言葉を聞いても、心に自分を祝福して『心をかたくなにして歩んでもわたしには平安がある』と言うであろう。そうすれば潤った者も、かわいた者もひとしく滅びるであろう。 + 主はそのような人をゆるすことを好まれない。かえって主はその人に怒りとねたみを発し、この書物にしるされたすべてののろいを彼の上に加え、主はついにその人の名を天の下から消し去られるであろう。 + 主はイスラエルのすべての部族のうちからその人を区別して災をくだし、この律法の書にしるされた契約の中のもろもろののろいのようにされるであろう。 + 後の代の人、すなわちあなたがたののちに起るあなたがたの子孫および遠い国から来る外国人は、この地の災を見、主がこの地にくだされた病気を見て言うであろう。 + ――全地は硫黄となり、塩となり、焼け土となって、種もまかれず、実も結ばず、なんの草も生じなくなって、むかし主が怒りと憤りをもって滅ぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの破滅のようである。―― + すなわち、もろもろの国民は言うであろう、『なぜ、主はこの地にこのようなことをされたのか。この激しい大いなる怒りは何ゆえか』。 + そのとき人々は言うであろう、『彼らはその先祖の神、主がエジプトの国から彼らを導き出して彼らと結ばれた契約をすて、 + 行って彼らの知らない、また授からない、ほかの神々に仕えて、それを拝んだからである。 + それゆえ主はこの地にむかって怒りを発し、この書物にしるされたもろもろののろいをこれにくだし、 + そして主は怒りと、はげしい怒りと大いなる憤りとをもって彼らをこの地から抜き取って、ほかの国に投げやられた。今日見るとおりである』。 + 隠れた事はわれわれの神、主に属するものである。しかし表わされたことは長くわれわれとわれわれの子孫に属し、われわれにこの律法のすべての言葉を行わせるのである。 + + + わたしがあなたがたの前に述べたこのもろもろの祝福と、のろいの事があなたに臨み、あなたがあなたの神、主に追いやられたもろもろの国民のなかでこの事を心に考えて、 + あなたもあなたの子供も共にあなたの神、主に立ち帰り、わたしが、きょう、命じるすべてのことにおいて、心をつくし、精神をつくして、主の声に聞き従うならば、 + あなたの神、主はあなたを再び栄えさせ、あなたをあわれみ、あなたの神、主はあなたを散らされた国々から再び集められるであろう。 + たといあなたが天のはてに追いやられても、あなたの神、主はそこからあなたを集め、そこからあなたを連れ帰られるであろう。 + あなたの神、主はあなたの先祖が所有した地にあなたを帰らせ、あなたはそれを所有するに至るであろう。主はまたあなたを栄えさせ、数を増して先祖たちよりも多くされるであろう。 + そしてあなたの神、主はあなたの心とあなたの子孫の心に割礼を施し、あなたをして、心をつくし、精神をつくしてあなたの神、主を愛させ、こうしてあなたに命を得させられるであろう。 + あなたの神、主はまた、あなたを迫害する敵と、あなたを憎む者とに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。 + しかし、あなたは再び主の声に聞き従い、わたしが、きょう、あなたに命じるすべての戒めを守るであろう。 + そうすればあなたの神、主はあなたのするすべてのことと、あなたの身から生れる者と、家畜の産むものと、地に産する物を豊かに与えて、あなたを栄えさせられるであろう。すなわち主はあなたの先祖たちを喜ばれたように再びあなたを喜んで、あなたを栄えさせられるであろう。 + これはあなたが、あなたの神、主の声に聞きしたがい、この律法の書にしるされた戒めと定めとを守り、心をつくし、精神をつくしてあなたの神、主に帰するからである。 + わたしが、きょう、あなたに命じるこの戒めは、むずかしいものではなく、また遠いものでもない。 + これは天にあるのではないから、『だれがわれわれのために天に上り、それをわれわれのところへ持ってきて、われわれに聞かせ、行わせるであろうか』と言うに及ばない。 + またこれは海のかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海を渡って行き、それをわれわれのところへ携えてきて、われわれに聞かせ、行わせるであろうか』と言うに及ばない。 + この言葉はあなたに、はなはだ近くあってあなたの口にあり、またあなたの心にあるから、あなたはこれを行うことができる。 + 見よ、わたしは、きょう、命とさいわい、および死と災をあなたの前に置いた。 + すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神、主を愛し、その道に歩み、その戒めと定めと、おきてとを守ることを命じる。それに従うならば、あなたは生きながらえ、その数は多くなるであろう。またあなたの神、主はあなたが行って取る地であなたを祝福されるであろう。 + しかし、もしあなたが心をそむけて聞き従わず、誘われて他の神々を拝み、それに仕えるならば、 + わたしは、きょう、あなたがたに告げる。あなたがたは必ず滅びるであろう。あなたがたはヨルダンを渡り、はいって行って取る地でながく命を保つことができないであろう。 + わたしは、きょう、天と地を呼んであなたがたに対する証人とする。わたしは命と死および祝福とのろいをあなたの前に置いた。あなたは命を選ばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫は生きながらえることができるであろう。 + すなわちあなたの神、主を愛して、その声を聞き、主につき従わなければならない。そうすればあなたは命を得、かつ長く命を保つことができ、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われた地に住むことができるであろう」。 + + + そこでモーセは続いてこの言葉をイスラエルのすべての人に告げて、 + 彼らに言った、「わたしは、きょう、すでに百二十歳になり、もはや出入りすることはできない。また主はわたしに『おまえはこのヨルダンを渡ることはできない』と言われた。 + あなたの神、主はみずからあなたに先立って渡り、あなたの前から、これらの国々の民を滅ぼし去って、あなたにこれを獲させられるであろう。また主がかつて言われたように、ヨシュアはあなたを率いて渡るであろう。 + 主がさきにアモリびとの王シホンとオグおよびその地にされたように、彼らにもおこなって彼らを滅ぼされるであろう。 + 主は彼らをあなたがたに渡されるから、あなたがたはわたしが命じたすべての命令のとおりに彼らに行わなければならない。 + あなたがたは強く、かつ勇ましくなければならない。彼らを恐れ、おののいてはならない。あなたの神、主があなたと共に行かれるからである。主は決してあなたを見放さず、またあなたを見捨てられないであろう」。 + モーセはヨシュアを呼び、イスラエルのすべての人の目の前で彼に言った、「あなたはこの民と共に行き、主が彼らの先祖たちに与えると誓われた地に入るのであるから、あなたは強く、かつ勇ましくなければならない。あなたは彼らにそれを獲させるであろう。 + 主はみずからあなたに先立って行き、またあなたと共におり、あなたを見放さず、見捨てられないであろう。恐れてはならない、おののいてはならない」。 + モーセはこの律法を書いて、主の契約の箱をかつぐレビの子孫である祭司およびイスラエルのすべての長老たちに授けた。 + そしてモーセは彼らに命じて言った、「七年の終りごとに、すなわち、ゆるしの年の定めの時になり、かりいおの祭に、 + イスラエルのすべての人があなたの神、主の前に出るため、主の選ばれる場所に来るとき、あなたはイスラエルのすべての人の前でこの律法を読んで聞かせなければならない。 + すなわち男、女、子供およびあなたの町のうちに寄留している他国人など民を集め、彼らにこれを聞かせ、かつ学ばせなければならない。そうすれば彼らはあなたがたの神、主を恐れてこの律法の言葉を、ことごとく守り行うであろう。 + また彼らの子供たちでこれを知らない者も聞いて、あなたがたの神、主を恐れることを学ぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡って行って取る地にながらえる日のあいだ常にそうしなければならない」。 + 主はまたモーセに言われた、「あなたの死ぬ日が近づいている。ヨシュアを召して共に会見の幕屋に立ちなさい。わたしは彼に務を命じるであろう」。モーセとヨシュアが行って会見の幕屋に立つと、 + 主は幕屋で雲の柱のうちに現れられた。その雲の柱は幕屋の入口のかたわらにとどまった。 + 主はモーセに言われた、「あなたはまもなく眠って先祖たちと一緒になるであろう。そのときこの民はたちあがり、はいって行く地の異なる神々を慕って姦淫を行い、わたしを捨て、わたしが彼らと結んだ契約を破るであろう。 + その日には、わたしは彼らにむかって怒りを発し、彼らを捨て、わたしの顔を彼らに隠すゆえに、彼らは滅ぼしつくされ、多くの災と悩みが彼らに臨むであろう。そこでその日、彼らは言うであろう、『これらの災がわれわれに臨むのは、われわれの神がわれわれのうちにおられないからではないか』。 + しかも彼らがほかの神々に帰して、もろもろの悪を行うゆえに、わたしはその日には必ずわたしの顔を隠すであろう。 + それであなたがたは今、この歌を書きしるし、イスラエルの人々に教えてその口に唱えさせ、この歌をイスラエルの人々に対するわたしのあかしとならせなさい。 + わたしが彼らの先祖たちに誓った、乳と蜜の流れる地に彼らを導き入れる時、彼らは食べて飽き、肥え太るに及んで、ほかの神々に帰し、それに仕えて、わたしを軽んじ、わたしの契約を破るであろう。 + こうして多くの災と悩みとが彼らに臨む時、この歌は彼らに対して、あかしとなるであろう。(それはこの歌が彼らの子孫の口にあって、彼らはそれを忘れないからである。)わたしが誓った地に彼らを導き入れる前、すでに彼らが思いはかっている事をわたしは知っているからである」。 + モーセはその日、この歌を書いてイスラエルの人々に教えた。 + 主はヌンの子ヨシュアに命じて言われた、「あなたはイスラエルの人々をわたしが彼らに誓った地に導き入れなければならない。それゆえ強くかつ勇ましくあれ。わたしはあなたと共にいるであろう」。 + モーセがこの律法の言葉を、ことごとく書物に書き終った時、 + モーセは主の契約の箱をかつぐレビびとに命じて言った、 + 「この律法の書をとって、あなたがたの神、主の契約の箱のかたわらに置き、その所であなたにむかってあかしをするものとしなさい。 + わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知っている。きょう、わたしが生きながらえて、あなたがたと一緒にいる間ですら、あなたがたは主にそむいた。ましてわたしが死んだあとはどんなであろう。 + あなたがたの部族のすべての長老たちと、つかさたちをわたしのもとに集めなさい。わたしはこれらの言葉を彼らに語り聞かせ、天と地とを呼んで彼らにむかってあかしさせよう。 + わたしは知っている。わたしが死んだのち、あなたがたは必ず悪い事をして、わたしが命じた道を離れる。そして後の日に災があなたがたに臨むであろう。これは主の悪と見られることを行い、あなたがたのすることをもって主を怒らせるからである」。 + そしてモーセはイスラエルの全会衆に次の歌の言葉を、ことごとく語り聞かせた。 + + + 「天よ、耳を傾けよ、わたしは語る、地よ、わたしの口の言葉を聞け。 + わたしの教は雨のように降りそそぎ、わたしの言葉は露のようにしたたるであろう。若草の上に降る小雨のように、青草の上にくだる夕立ちのように。 + わたしは主の名をのべよう、われわれの神に栄光を帰せよ。 + 主は岩であって、そのみわざは全く、その道はみな正しい。主は真実なる神であって、偽りなく、義であって、正である。 + 彼らは主にむかって悪を行い、そのきずのゆえに、もはや主の子らではなく、よこしまで、曲ったやからである。 + 愚かな知恵のない民よ、あなたがたはこのようにして主に報いるのか。主はあなたを生み、あなたを造り、あなたを堅く立てられたあなたの父ではないか。 + いにしえの日を覚え、代々の年を思え。あなたの父に問え、彼はあなたに告げるであろう。長老たちに問え、彼らはあなたに語るであろう。 + いと高き者は人の子らを分け、諸国民にその嗣業を与えられたとき、イスラエルの子らの数に照して、もろもろの民の境を定められた。 + 主の分はその民であって、ヤコブはその定められた嗣業である。 + 主はこれを荒野の地で見いだし、獣のほえる荒れ地で会い、これを巡り囲んでいたわり、目のひとみのように守られた。 + わしがその巣のひなを呼び起し、その子の上に舞いかけり、その羽をひろげて彼らをのせ、そのつばさの上にこれを負うように、 + 主はただひとりで彼を導かれて、ほかの神々はあずからなかった。 + 主は彼に地の高き所を乗り通らせ、田畑の産物を食わせ、岩の中から蜜を吸わせ、堅い岩から油を吸わせ、 + 牛の凝乳、羊の乳、小羊と雄羊の脂肪、バシャンの牛と雄やぎ、小麦の良い物を食わせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立つ酒を飲んだ。 + しかるにエシュルンは肥え太って、足でけった。あなたは肥え太って、つややかになり、自分を造った神を捨て、救の岩を侮った。 + 彼らはほかの神々に仕えて、主のねたみを起し、憎むべきおこないをもって主の怒りをひき起した。 + 彼らは神でもない悪霊に犠牲をささげた。それは彼らがかつて知らなかった神々、近ごろ出た新しい神々、先祖たちの恐れることもしなかった者である。 + あなたは自分を生んだ岩を軽んじ、自分を造った神を忘れた。 + 主はこれを見、そのむすこ、娘を怒ってそれを捨てられた。 + そして言われた、『わたしはわたしの顔を彼らに隠そう。わたしは彼らの終りがどうなるかを見よう。彼らはそむき、もとるやから、真実のない子らである。 + 彼らは神でもない者をもって、わたしにねたみを起させ、偶像をもって、わたしを怒らせた。それゆえ、わたしは民ともいえない者をもって、彼らにねたみを起させ、愚かな民をもって、彼らを怒らせるであろう。 + わたしの怒りによって、火は燃えいで、陰府の深みにまで燃え行き、地とその産物とを焼きつくし、山々の基を燃やすであろう。 + わたしは彼らの上に災を積みかさね、わたしの矢を彼らにむかって射つくすであろう。 + 彼らは飢えて、やせ衰え、熱病と悪い疫病によって滅びるであろう。わたしは彼らを獣の歯にかからせ、地に這うものの毒にあたらせるであろう。 + 外にはつるぎ、内には恐れがあって、若き男も若き女も、乳のみ子も、しらがの人も滅びるであろう。 + わたしはまさに言おうとした、「彼らを遠く散らし、彼らの事を人々が記憶しないようにしよう」。 + しかし、わたしは敵が誇るのを恐れる。あだびとはまちがえて言うであろう、「われわれの手が勝ちをえたのだ。これはみな主がされたことではない」』。 + 彼らは思慮の欠けた民、そのうちには知識がない。 + もし、彼らに知恵があれば、これをさとり、その身の終りをわきまえたであろうに。 + 彼らの岩が彼らを売らず、主が彼らをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人を追い、ふたりで万人を敗ることができたであろう。 + 彼らの岩はわれらの岩に及ばない。われらの敵もこれを認めている。 + 彼らのぶどうの木は、ソドムのぶどうの木から出たもの、またゴモラの野から出たもの、そのぶどうは毒ぶどう、そのふさは苦い。 + そのぶどう酒はへびの毒のよう、まむしの恐ろしい毒のようである。 + これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉に封じ込められているではないか。 + 彼らの足がすべるとき、わたしはあだを返し、報いをするであろう。彼らの災の日は近く、彼らの破滅は、すみやかに来るであろう。 + 主はついにその民をさばき、そのしもべらにあわれみを加えられるであろう。これは彼らの力がうせ去り、つながれた者もつながれない者も、もはやいなくなったのを、主が見られるからである。 + そのとき主は言われるであろう、『彼らの神々はどこにいるか、彼らの頼みとした岩はどこにあるか。 + 彼らの犠牲のあぶらを食い、灌祭の酒を飲んだ者はどこにいるか。立ちあがってあなたがたを助けさせよ、あなたがたを守らせよ。 + 今見よ、わたしこそは彼である。わたしのほかに神はない。わたしは殺し、また生かし、傷つけ、またいやす。わたしの手から救い出しうるものはない。 + わたしは天にむかい手をあげて誓う、「わたしは永遠に生きる。 + わたしがきらめくつるぎをとぎ、手にさばきを握るとき、わたしは敵にあだを返し、わたしを憎む者に報復するであろう。 + わたしの矢を血に酔わせ、わたしのつるぎに肉を食わせるであろう。殺された者と捕えられた者の血を飲ませ、敵の長髪の頭の肉を食わせるであろう」』。 + 国々の民よ、主の民のために喜び歌え。主はそのしもべの血のために報復し、その敵にあだを返し、その民の地の汚れを清められるからである」。 + モーセとヌンの子ヨシュアは共に行って、この歌の言葉を、ことごとく民に読み聞かせた。 + モーセはこの言葉を、ことごとくイスラエルのすべての人に告げ終って、 + 彼らに言った、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命じるこのすべての言葉を心におさめ、子供たちにもこの律法のすべての言葉を守り行うことを命じなければならない。 + この言葉はあなたがたにとって、むなしい言葉ではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉により、あなたがたはヨルダンを渡って行って取る地で、長く命を保つことができるであろう」。 + この日、主はモーセに言われた、 + 「あなたはエリコに対するモアブの地にあるアバリム山すなわちネボ山に登り、わたしがイスラエルの人々に与えて獲させるカナンの地を見渡たせ。 + あなたは登って行くその山で死に、あなたの民に連なるであろう。あなたの兄弟アロンがホル山で死んでその民に連なったようになるであろう。 + これはあなたがたがチンの荒野にあるメリバテ・カデシの水のほとりで、イスラエルの人々のうちでわたしにそむき、イスラエルの人々のうちでわたしを聖なるものとして敬わなかったからである。 + それであなたはわたしがイスラエルの人々に与える地を、目の前に見るであろう。しかし、その地に、はいることはできない」。 + + + 神の人モーセは死ぬ前にイスラエルの人々を祝福した。祝福の言葉は次のとおりである。 + 「主はシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山から光を放たれ、ちよろずの聖者の中からこられた。その右の手には燃える火があった。 + まことに主はその民を愛される。すべて主に聖別されたものは、み手のうちにある。彼らはあなたの足もとに座して、教をうける。 + モーセはわれわれに律法を授けて、ヤコブの会衆の所有とさせた。 + 民のかしらたちが集まり、イスラエルの部族がみな集まった時、主はエシュルンのうちに王となられた」。 + 「ルベンは生きる、死にはしない。しかし、その人数は少なくなるであろう」。 + ユダについては、こう言った、「主よ、ユダの声を聞いて、彼をその民に導きかえしてください。み手をもって、彼のために戦ってください。彼を助けて、敵に当らせてください」。 + レビについては言った、「あなたのトンミムをレビに与えてください。ウリムをあなたに仕える人に与えてください。かつてあなたはマッサで彼を試み、メリバの水のほとりで彼と争われた。 + 彼はその父、その母について言った、『わたしは彼らを顧みない』。彼は自分の兄弟をも認めず、自分の子供をも顧みなかった。彼らはあなたの言葉にしたがい、あなたの契約を守ったからである。 + 彼らはあなたのおきてをヤコブに教え、あなたの律法をイスラエルに教え、薫香をあなたの前に供え、燔祭を祭壇の上にささげる。 + 主よ、彼の力を祝福し、彼の手のわざを喜び受けてください。彼に逆らう者と、彼を憎む者との腰を打ち砕いて、立ち上がることのできないようにしてください」。 + ベニヤミンについては言った、「主に愛される者、彼は安らかに主のそばにおり、主は終日、彼を守り、その肩の間にすまいを営まれるであろう」。 + ヨセフについては言った、「どうぞ主が彼の地を祝福されるように。上なる天の賜物と露、下に横たわる淵の賜物、 + 日によって産する尊い賜物、月によって生ずる尊い賜物、 + いにしえの山々の産する賜物、とこしえの丘の尊い賜物、 + 地とそれに満ちる尊い賜物、しばの中におられた者の恵みが、ヨセフの頭に臨み、その兄弟たちの君たる者の頭の頂にくだるように。 + 彼の牛のういごは威厳があり、その角は野牛の角のよう、これをもって国々の民をことごとく突き倒し、地のはてにまで及ぶ。このような者はエフライムに幾万とあり、またこのような者はマナセに幾千とある」。 + ゼブルンについては言った、「ゼブルンよ、あなたは外に出て楽しみを得よ。イッサカルよ、あなたは天幕にいて楽しみを得よ。 + 彼らは国々の民を山に招き、その所で正しい犠牲をささげるであろう。彼らは海の富を吸い、砂に隠れた宝を取るからである」。 + ガドについては言った、「ガドを大きくする者は、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏し、腕や頭の頂をかき裂くであろう。 + 彼は初穂の地を自分のために選んだ。そこには将軍の分も取り置かれていた。彼は民のかしらたちと共にきて、イスラエルと共に主の正義と審判とを行った」。 + ダンについては言った、「ダンはししの子であって、バシャンからおどりでる」。 + ナフタリについては言った、「ナフタリよ、あなたは恵みに満たされ、主の祝福に満ちて、湖とその南の地を所有する」。 + アセルについては言った、「アセルは他の子らにまさって祝福される。彼はその兄弟たちに愛せられ、その足を油にひたすことができるように。 + あなたの貫の木は鉄と青銅、あなたの力はあなたの年と共に続くであろう」。 + 「エシュルンよ、神に並ぶ者はほかにない。あなたを助けるために天に乗り、威光をもって空を通られる。 + とこしえにいます神はあなたのすみかであり、下には永遠の腕がある。敵をあなたの前から追い払って、『滅ぼせ』と言われた。 + イスラエルは安らかに住み、ヤコブの泉は穀物とぶどう酒の地に、ひとりいるであろう。また天は露をくだすであろう。 + イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主に救われた民があるであろうか。主はあなたを助ける盾、あなたの威光のつるぎ、あなたの敵はあなたにへつらい服し、あなたは彼らの高き所を踏み進むであろう」。 + + + モーセはモアブの平野からネボ山に登り、エリコの向かいのピスガの頂へ行った。そこで主は彼にギレアデの全地をダンまで示し、 + ナフタリの全部、エフライムとマナセの地およびユダの全地を西の海まで示し、 + ネゲブと低地、すなわち、しゅろの町エリコの谷をゾアルまで示された。 + そして主は彼に言われた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫に与えると言って誓った地はこれである。わたしはこれをあなたの目に見せるが、あなたはそこへ渡って行くことはできない」。 + こうして主のしもべモーセは主の言葉のとおりにモアブの地で死んだ。 + 主は彼をベテペオルに対するモアブの地の谷に葬られたが、今日までその墓を知る人はない。 + モーセは死んだ時、百二十歳であったが、目はかすまず、気力は衰えていなかった。 + イスラエルの人々はモアブの平野で三十日の間モーセのために泣いた。そしてモーセのために泣き悲しむ日はついに終った。 + ヌンの子ヨシュアは知恵の霊に満ちた人であった。モーセが彼の上に手を置いたからである。イスラエルの人々は彼に聞き従い、主がモーセに命じられたとおりにおこなった。 + イスラエルには、こののちモーセのような預言者は起らなかった。モーセは主が顔を合わせて知られた者であった。 + 主はエジプトの地で彼をパロとそのすべての家来およびその全地につかわして、もろもろのしるしと不思議を行わせられた。 + モーセはイスラエルのすべての人の前で大いなる力をあらわし、大いなる恐るべき事をおこなった。 + +
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+ + 主のしもべモーセが死んだ後、主はモーセの従者、ヌンの子ヨシュアに言われた、 + 「わたしのしもべモーセは死んだ。それゆえ、今あなたと、このすべての民とは、共に立って、このヨルダンを渡り、わたしがイスラエルの人々に与える地に行きなさい。 + あなたがたが、足の裏で踏む所はみな、わたしがモーセに約束したように、あなたがたに与えるであろう。 + あなたがたの領域は、荒野からレバノンに及び、また大川ユフラテからヘテびとの全地にわたり、日の入る方の大海に達するであろう。 + あなたが生きながらえる日の間、あなたに当ることのできる者は、ひとりもないであろう。わたしは、モーセと共にいたように、あなたと共におるであろう。わたしはあなたを見放すことも、見捨ることもしない。 + 強く、また雄々しくあれ。あなたはこの民に、わたしが彼らに与えると、その先祖たちに誓った地を獲させなければならない。 + ただ強く、また雄々しくあって、わたしのしもべモーセがあなたに命じた律法をことごとく守って行い、これを離れて右にも左にも曲ってはならない。それはすべてあなたが行くところで、勝利を得るためである。 + この律法の書をあなたの口から離すことなく、昼も夜もそれを思い、そのうちにしるされていることを、ことごとく守って行わなければならない。そうするならば、あなたの道は栄え、あなたは勝利を得るであろう。 + わたしはあなたに命じたではないか。強く、また雄々しくあれ。あなたがどこへ行くにも、あなたの神、主が共におられるゆえ、恐れてはならない、おののいてはならない」。 + そこでヨシュアは民のつかさたちに命じて言った、 + 「宿営のなかを巡って民に命じて言いなさい、『糧食の備えをしなさい。三日のうちに、あなたがたはこのヨルダンを渡って、あなたがたの神、主があなたがたに与えて獲させようとされる地を獲るために、進み行かなければならないからである』」。 + ヨシュアはまたルベンびと、ガドびと、およびマナセの半部族に言った、 + 「主のしもべモーセがあなたがたに命じて、『あなたがたの神、主はあなたがたのために安息の場所を備え、この地をあなたがたに賜わるであろう』と言った言葉を記憶しなさい。 + あなたがたの妻子と家畜とは、モーセがあなたがたに与えたヨルダンのこちら側の地にとどまらなければならない。しかし、あなたがたのうちの勇士はみな武装して、兄弟たちの先に立って渡り、これを助けなければならない。 + そして主があなたがたに賜わったように、あなたがたの兄弟たちにも安息を賜わり、彼らもあなたがたの神、主が賜わる地を獲るようになるならば、あなたがたは、主のしもべモーセから与えられた、ヨルダンのこちら側、日の出の方にある、あなたがたの所有の地に帰って、それを保つことができるであろう」。 + 彼らはヨシュアに答えた、「あなたがわれわれに命じられたことをみな行います。あなたがつかわされる所へは、どこへでも行きます。 + われわれはすべてのことをモーセに聞き従ったように、あなたに聞き従います。ただ、どうぞ、あなたの神、主がモーセと共におられたように、あなたと共におられますように。 + だれであっても、あなたの命令にそむき、あなたの命じられる言葉に聞き従わないものがあれば、生かしてはおきません。ただ、強く、また雄々しくあってください」。 + + + ヌンの子ヨシュアは、シッテムから、ひそかにふたりの斥候をつかわして彼らに言った、「行って、その地、特にエリコを探りなさい」。彼らは行って、名をラハブという遊女の家にはいり、そこに泊まったが、 + エリコの王に、「イスラエルの人々のうちの数名の者が今夜この地を探るために、はいってきました」と言う者があったので、 + エリコの王は人をやってラハブに言った、「あなたの所にきて、あなたの家にはいった人々をここへ出しなさい。彼らはこの国のすべてを探るためにきたのです」。 + しかし、女はすでにそのふたりの人を入れて彼らを隠していた。そして彼女は言った、「確かにその人々はわたしの所にきました。しかし、わたしはその人々がどこからきたのか知りませんでしたが、 + たそがれ時、門の閉じるころに、その人々は出て行きました。どこへ行ったのかわたしは知りません。急いであとを追いなさい。追いつけるでしょう」。 + その実、彼女はすでに彼らを連れて屋根にのぼり、屋上に並べてあった亜麻の茎の中に彼らを隠していたのである。 + そこでその人々は彼らのあとを追ってヨルダンの道を進み、渡し場へ向かった。あとを追う者が出て行くとすぐ門は閉ざされた。 + ふたりの人がまだ寝ないうち、ラハブは屋上にのぼって彼らの所にきた。 + そして彼らに言った、「主がこの地をあなたがたに賜わったこと、わたしたちがあなたがたをひじょうに恐れていること、そしてこの地の民がみなあなたがたの前に震えおののいていることをわたしは知っています。 + あなたがたがエジプトから出てこられた時、主があなたがたの前で紅海の水を干されたこと、およびあなたがたが、ヨルダンの向こう側にいたアモリびとのふたりの王シホンとオグにされたこと、すなわちふたりを、全滅されたことを、わたしたちは聞いたからです。 + わたしたちはそれを聞くと、心は消え、あなたがたのゆえに人々は全く勇気を失ってしまいました。あなたがたの神、主は上の天にも、下の地にも、神でいらせられるからです。 + それで、どうか、わたしがあなたがたを親切に扱ったように、あなたがたも、わたしの父の家を親切に扱われることをいま主をさして誓い、確かなしるしをください。 + そしてわたしの父母、兄弟、姉妹およびすべて彼らに属するものを生きながらえさせ、わたしたちの命を救って、死を免れさせてください」。 + ふたりの人は彼女に言った、「もしあなたがたが、われわれのこのことを他に漏らさないならば、われわれは命にかけて、あなたがたを救います。また主がわれわれにこの地を賜わる時、あなたがたを親切に扱い、真実をつくしましょう」。 + そこでラハブは綱をもって彼らを窓からつりおろした。その家が町の城壁の上に建っていて、彼女はその城壁の上に住んでいたからである。 + ラハブは彼らに言った、「追手に会わないように、あなたがたは山へ行って、三日の間そこに身を隠し、追手の帰って行くのを待って、それから去って行きなさい」。 + ふたりの人は彼女に言った、「あなたがわれわれに誓わせたこの誓いについて、われわれは罪を犯しません。 + われわれがこの地に討ち入る時、わたしたちをつりおろした窓に、この赤い糸のひもを結びつけ、またあなたの父母、兄弟、およびあなたの父の家族をみなあなたの家に集めなさい。 + ひとりでも家の戸口から外へ出て、血を流されることがあれば、その責めはその人自身のこうべに帰すでしょう。われわれに罪はありません。しかしあなたの家の中にいる人に手をかけて血を流すことがあれば、その責めはわれわれのこうべに帰すでしょう。 + またあなたが、われわれのこのことを他に漏らすならば、あなたがわれわれに誓わせた誓いについては、われわれに罪はありません」。 + ラハブは言った、「あなたがたの仰せのとおりにいたしましょう」。こうして彼らを送り出したので、彼らは去った。そして彼女は赤いひもを窓に結んだ。 + 彼らは立ち去って山にはいり、追手が帰るのを待って、三日の間そこにとどまった。追手は彼らをあまねく道に捜したが、ついに見つけることができなかった。 + こうしてふたりの人はまた山を下り、川を渡って、ヌンの子ヨシュアのもとにきて、その身に起ったことをつぶさに述べた。 + そしてヨシュアに言った、「ほんとうに主はこの国をことごとくわれわれの手にお与えになりました。この国の住民はみなわれわれの前に震えおののいています」。 + + + ヨシュアは朝早く起き、イスラエルの人々すべてとともにシッテムを出立して、ヨルダンに行き、それを渡らずに、そこに宿った。 + 三日の後、つかさたちは宿営の中を行き巡り、 + 民に命じて言った、「レビびとである祭司たちが、あなたがたの神、主の契約の箱をかきあげるのを見るならば、あなたがたはその所を出立して、そのあとに従わなければならない。 + そうすれば、あなたがたは行くべき道を知ることができるであろう。あなたがたは前にこの道をとおったことがないからである。しかし、あなたがたと箱との間には、おおよそ二千キュビトの距離をおかなければならない。それに近づいてはならない」。 + ヨシュアはまた民に言った、「あなたがたは身を清めなさい。あす、主があなたがたのうちに不思議を行われるからである」。 + ヨシュアは祭司たちに言った、「契約の箱をかき、民に先立って渡りなさい」。そこで彼らは契約の箱をかき、民に先立って進んだ。 + 主はヨシュアに言われた、「きょうからわたしはすべてのイスラエルの前にあなたを尊い者とするであろう。こうしてわたしがモーセと共にいたように、あなたとともにおることを彼らに知らせるであろう。 + あなたは契約の箱をかく祭司たちに命じて言わなければならない、『あなたがたは、ヨルダンの水ぎわへ行くと、すぐ、ヨルダンの中に立ちとどまらなければならない』」。 + ヨシュアはイスラエルの人々に言った、「あなたがたはここに近づいて、あなたがたの神、主の言葉を聞きなさい」。 + そしてヨシュアは言った、「生ける神があなたがたのうちにおいでになり、あなたがたの前から、カナンびと、ヘテびと、ヒビびと、ペリジびと、ギルガシびと、アモリびと、エブスびとを、必ず追い払われることを、次のことによって、あなたがたは知るであろう。 + ごらんなさい。全地の主の契約の箱は、あなたがたに先立ってヨルダンを渡ろうとしている。 + それゆえ、今、イスラエルの部族のうちから、部族ごとにひとりずつ、合わせて十二人を選びなさい。 + 全地の主なる神の箱をかく祭司たちの足の裏が、ヨルダンの水の中に踏みとどまる時、ヨルダンの水は流れをせきとめられ、上から流れくだる水はとどまって、うず高くなるであろう」。 + こうして民はヨルダンを渡ろうとして天幕をいで立ち、祭司たちは契約の箱をかき、民に先立って行ったが、 + 箱をかく者がヨルダンにきて、箱をかく祭司たちの足が水ぎわにひたると同時に、――ヨルダンは刈入れの間中、岸一面にあふれるのであるが、―― + 上から流れくだる水はとどまって、はるか遠くのザレタンのかたわらにある町アダムのあたりで、うず高く立ち、アラバの海すなわち塩の海の方に流れくだる水は全くせきとめられたので、民はエリコに向かって渡った。 + すべてのイスラエルが、かわいた地を渡って行く間、主の契約の箱をかく祭司たちは、ヨルダンの中のかわいた地に立っていた。そしてついに民はみなヨルダンを渡り終った。 + + + 民が皆、ヨルダンを渡り終った時、主はヨシュアに言われた、 + 「民のうちから、部族ごとにひとりずつ、合わせて十二人を選び、 + 彼らに命じて言いなさい、『ヨルダンの中で祭司たちが足を踏みとどめたその所から、石十二を取り、それを携えて渡り、今夜あなたがたが宿る場所にすえなさい』」。 + そこでヨシュアはイスラエルの人々のうちから、部族ごとに、ひとりずつ、かねて定めておいた十二人の者を召し寄せ、 + ヨシュアは彼らに言った、「あなたがたの神、主の契約の箱の前に立って行き、ヨルダンの中に進み入り、イスラエルの人々の部族の数にしたがって、おのおの石一つを取り上げ、肩にのせて運びなさい。 + これはあなたがたのうちに、しるしとなるであろう。後の日になって、あなたがたの子どもたちが、『これらの石は、どうしたわけですか』と問うならば、 + その時あなたがたは彼らに、むかしヨルダンの水が、主の契約の箱の前で、せきとめられたこと、すなわちその箱がヨルダンを渡った時、ヨルダンの水が、せきとめられたことを告げなければならない。こうして、それらの石は永久にイスラエルの人々の記念となるであろう」。 + イスラエルの人々はヨシュアが命じたようにし、主がヨシュアに言われたように、イスラエルの人々の部族の数にしたがって、ヨルダンの中から十二の石を取り、それを携えて渡り、彼らの宿る場所へ行って、そこにすえた。 + ヨシュアはまたヨルダンの中で、契約の箱をかく祭司たちが、足を踏みとどめた所に、十二の石を立てたが、今日まで、そこに残っている。 + 箱をかく祭司たちは、主がヨシュアに命じて、民に告げさせられた事が、すべて行われてしまうまで、ヨルダンの中に立っていた。すべてモーセがヨシュアに命じたとおりである。民は急いで渡った。 + 民がみな渡り終った時、主の箱と祭司たちとは、民の見る前で渡った。 + ルベンの子孫とガドの子孫、およびマナセの部族の半ばは、モーセが彼らに命じていたように武装して、イスラエルの人々に先立って渡り、 + 戦いのために武装したおおよそ四万の者が戦うため、主の前に渡って、エリコの平野に着いた。 + この日、主はイスラエルのすべての人の前にヨシュアを尊い者とされたので、彼らはみなモーセを敬ったように、ヨシュアを一生のあいだ敬った。 + 主はヨシュアに言われた、 + 「あかしの箱をかく祭司たちに命じて、ヨルダンから上がってこさせなさい」。 + ヨシュアは祭司たちに命じて言った、「ヨルダンから上がってきなさい」。 + 主の契約の箱をかく祭司たちはヨルダンの中から上がってきたが、祭司たちの足の裏がかわいた地にあがると同時に、ヨルダンの水はもとの所に流れかえって、以前のように、その岸にことごとくあふれた。 + 民は正月の十日に、ヨルダンから上がってきて、エリコの東の境にあるギルガルに宿営した。 + そしてヨシュアは、人々がヨルダンから取ってきた十二の石をギルガルに立て、 + イスラエルの人々に言った、「後の日にあなたがたの子どもたちが、その父に『これらの石は、どうしたわけですか』とたずねたならば、 + 『むかしイスラエルがこのヨルダンを、かわいた地にされて渡ったのだ』と言って、その子どもたちに知らせなければならない。 + すなわちあなたがたの神、主はヨルダンの水を、あなたがたのために干しからして、あなたがたを渡らせてくださった。それはあたかも、あなたがたの神、主が、われわれのために紅海を干しからして、われわれを渡らせてくださったのと同じである。 + このようにされたのは、地のすべての民に、主の手に力のあることを知らせ、あなたがたの神、主をつねに恐れさせるためである」。 + + + ヨルダンの向こう側、すなわち西の方におるアモリびとの王たちと、海べにおるカナンびとの王たちとは皆、主がイスラエルの人々の前で、ヨルダンの水を干しからして、彼らを渡らせられたと聞いて、イスラエルの人々のゆえに、心は消え、彼らのうちに、もはや元気もなくなった。 + その時、主はヨシュアに言われた、「火打石の小刀を造り、重ねてまたイスラエルの人々に割礼を行いなさい」。 + そこでヨシュアは火打石の小刀を造り、陽皮の丘で、イスラエルの人々に割礼を行った。 + ヨシュアが人々に割礼を行った理由はこうである。エジプトから出てきた民のうちの、すべての男子、すなわち、いくさびとたちは皆、エジプトを出た後、途中、荒野で死んだが、 + その出てきた民は皆、割礼を受けた者であった。しかし、エジプトを出た後に、途中、荒野で生まれた民は、みな割礼を受けていなかった。 + イスラエルの人々は四十年の間、荒野を歩いていて、そのエジプトから出てきた民、すなわち、いくさびとたちは、みな死に絶えた。これは彼らが主の声に聞き従わなかったので、主は彼らの先祖たちに誓って、われわれに与えると仰せられた地、乳と蜜の流れる地を、彼らに見させないと誓われたからである。 + ヨシュアが割礼を行ったのは、この人々についで起されたその子どもたちであった。彼らは途中で割礼を受けていなかったので、無割礼の者であったからである。 + すべての民に割礼を行うことが終ったので、民は宿営のうちの自分の所にとどまって傷の直るのを待った。 + その時、主はヨシュアに言われた、「きょう、わたしはエジプトのはずかしめを、あなたがたからころがし去った」。それでその所の名は、今日までギルガルと呼ばれている。 + イスラエルの人々はギルガルに宿営していたが、その月の十四日の夕暮、エリコの平野で過越の祭を行った。 + そして過越の祭の翌日、その地の穀物、すなわち種入れぬパンおよびいり麦を、その日に食べたが、 + その地の穀物を食べた翌日から、マナの降ることはやみ、イスラエルの人々は、もはやマナを獲なかった。その年はカナンの地の産物を食べた。 + ヨシュアがエリコの近くにいたとき、目を上げて見ると、ひとりの人が抜き身のつるぎを手に持ち、こちらに向かって立っていたので、ヨシュアはその人のところへ行って言った、「あなたはわれわれを助けるのですか。それともわれわれの敵を助けるのですか」。 + 彼は言った、「いや、わたしは主の軍勢の将として今きたのだ」。ヨシュアは地にひれ伏し拝して言った、「わが主は何をしもべに告げようとされるのですか」。 + すると主の軍勢の将はヨシュアに言った、「あなたの足のくつを脱ぎなさい。あなたが立っている所は聖なる所である」。ヨシュアはそのようにした。 + + + さてエリコは、イスラエルの人々のゆえに、かたく閉ざして、出入りするものがなかった。 + 主はヨシュアに言われた、「見よ、わたしはエリコと、その王および大勇士を、あなたの手にわたしている。 + あなたがた、いくさびとはみな、町を巡って、町の周囲を一度回らなければならない。六日の間そのようにしなければならない。 + 七人の祭司たちは、おのおの雄羊の角のラッパを携えて、箱に先立たなければならない。そして七日目には七度町を巡り、祭司たちはラッパを吹き鳴らさなければならない。 + そして祭司たちが雄羊の角を長く吹き鳴らし、そのラッパの音が、あなたがたに聞える時、民はみな大声に呼ばわり、叫ばなければならない。そうすれば、町の周囲の石がきは、くずれ落ち、民はみなただちに進んで、攻め上ることができる」。 + ヌンの子ヨシュアは祭司たちを召して言った、「あなたがたは契約の箱をかき、七人の祭司たちは雄羊の角のラッパ七本を携えて、主の箱に先立たなければならない」。 + そして民に言った、「あなたがたは進んで行って町を巡りなさい。武装した者は主の箱に先立って進まなければならない」。 + ヨシュアが民に命じたように、七人の祭司たちは、雄羊の角のラッパ七本を携えて、主に先立って進み、ラッパを吹き鳴らした。主の契約の箱はそのあとに従った。 + 武装した者はラッパを吹き鳴らす祭司たちに先立って行き、しんがりは箱に従った。ラッパは絶え間なく鳴り響いた。 + しかし、ヨシュアは民に命じて言った、「あなたがたは呼ばわってはならない。あなたがたの声を聞えさせてはならない。また口から言葉を出してはならない。ただ、わたしが呼ばわれと命じる日に、あなたがたは呼ばわらなければならない」。 + こうして主の箱を持って、町を巡らせ、その周囲を一度回らせた。人々は宿営に帰り、夜を宿営で過ごした。 + 翌朝ヨシュアは早く起き、祭司たちは主の箱をかき、 + 七人の祭司たちは、雄羊の角のラッパ七本を携えて、主の箱に先立ち、絶えず、ラッパを吹き鳴らして進み、武装した者はこれに先立って行き、しんがりは主の箱に従った。ラッパは絶え間なく鳴り響いた。 + その次の日にも、町の周囲を一度巡って宿営に帰った。六日の間そのようにした。 + 七日目には、夜明けに、早く起き、同じようにして、町を七度めぐった。町を七度めぐったのはこの日だけであった。 + 七度目に、祭司たちがラッパを吹いた時、ヨシュアは民に言った、「呼ばわりなさい。主はこの町をあなたがたに賜わった。 + この町と、その中のすべてのものは、主への奉納物として滅ぼされなければならない。ただし遊女ラハブと、その家に共におる者はみな生かしておかなければならない。われわれが送った使者たちをかくまったからである。 + また、あなたがたは、奉納物に手を触れてはならない。奉納に当り、その奉納物をみずから取って、イスラエルの宿営を、滅ぼさるべきものとし、それを悩ますことのないためである。 + ただし、銀と金、青銅と鉄の器は、みな主に聖なる物であるから、主の倉に携え入れなければならない」。 + そこで民は呼ばわり、祭司たちはラッパを吹き鳴らした。民はラッパの音を聞くと同時に、みな大声をあげて呼ばわったので、石がきはくずれ落ちた。そこで民はみな、すぐに上って町にはいり、町を攻め取った。 + そして町にあるものは、男も、女も、若い者も、老いた者も、また牛、羊、ろばをも、ことごとくつるぎにかけて滅ぼした。 + その時ヨシュアは、この地を探ったふたりの人に言った、「あの遊女の家にはいって、その女と彼女に属するすべてのものを連れ出し、彼女に誓ったようにしなさい」。 + 斥候となったその若い人たちははいって、ラハブとその父母、兄弟、そのほか彼女に属するすべてのものを連れ出し、その親族をみな連れ出して、イスラエルの宿営の外に置いた。 + そして火で町とその中のすべてのものを焼いた。ただ、銀と金、青銅と鉄の器は、主の家の倉に納めた。 + しかし、遊女ラハブとその父の家の一族と彼女に属するすべてのものとは、ヨシュアが生かしておいたので、ラハブは今日までイスラエルのうちに住んでいる。これはヨシュアがエリコを探らせるためにつかわした使者たちをかくまったためである。 + ヨシュアは、その時、人々に誓いを立てて言った、「おおよそ立って、このエリコの町を再建する人は、主の前にのろわれるであろう。その礎をすえる人は長子を失い、その門を建てる人は末の子を失うであろう」。 + 主はヨシュアと共におられ、ヨシュアの名声は、あまねくその地に広がった。 + + + しかし、イスラエルの人々は奉納物について罪を犯した。すなわちユダの部族のうちの、ゼラの子ザブデの子であるカルミの子アカンが奉納物を取ったのである。それで主はイスラエルの人々にむかって怒りを発せられた。 + ヨシュアはエリコから人々をつかわし、ベテルの東、ベテアベンの近くにあるアイに行かせようとして、その人々に言った、「上って行って、かの地を探ってきなさい」。人々は上って行って、アイを探ったが、 + ヨシュアのもとに帰ってきて言った、「民をことごとく行かせるには及びません。ただ二、三千人を上らせて、アイを撃たせなさい。彼らは少ないのですから、民をことごとくあそこへやってほねおりをさせるには及びません」。 + そこで民のうち、おおよそ三千人がそこに上ったが、ついにアイの人々の前から逃げ出した。 + アイの人々は彼らのうち、おおよそ三十六人を殺し、更に彼らを門の前からシバリムまで追って、下り坂で彼らを殺したので、民の心は消えて水のようになった。 + そのためヨシュアは衣服を裂き、イスラエルの長老たちと共に、主の箱の前で、夕方まで地にひれ伏し、ちりをかぶった。 + ヨシュアは言った、「ああ、主なる神よ、あなたはなにゆえ、この民にヨルダンを渡らせ、われわれをアモリびとの手に渡して滅ぼさせられるのですか。われわれはヨルダンの向こうに、安んじてとどまればよかったのです。 + ああ、主よ。イスラエルがすでに敵に背をむけた今となって、わたしはまた何を言い得ましょう。 + カナンびと、およびこの地に住むすべてのものは、これを聞いて、われわれを攻めかこみ、われわれの名を地から断ち去ってしまうでしょう。それであなたは、あなたの大いなる名のために、何をしようとされるのですか」。 + 主はヨシュアに言われた、「立ちなさい。あなたはどうして、そのようにひれ伏しているのか。 + イスラエルは罪を犯し、わたしが彼らに命じておいた契約を破った。彼らは奉納物を取り、盗み、かつ偽って、それを自分の所有物のうちに入れた。 + それでイスラエルの人々は敵に当ることができず、敵に背をむけた。彼らも滅ぼされるべきものとなったからである。あなたがたが、その滅ぼされるべきものを、あなたがたのうちから滅ぼし去るのでなければ、わたしはもはやあなたがたとは共にいないであろう。 + 立って、民を清めて言いなさい、『あなたがたは身を清めて、あすのために備えなさい。イスラエルの神、主はこう仰せられる、「イスラエルよ、あなたがたのうちに、滅ぼされるべきものがある。その滅ぼされるべきものを、あなたがたのうちから除き去るまでは、敵に当ることはできないであろう」。 + それゆえ、あすの朝、あなたがたは部族ごとに進み出なければならない。そして主がくじを当てられる部族は、氏族ごとに進みいで、主がくじを当てられる氏族は、家族ごとに進みいで、主がくじを当てられる家族は、男ひとりびとり進み出なければならない。 + そしてその滅ぼされるべきものを持っていて、くじを当てられた者は、その持ち物全部と共に、火で焼かれなければならない。主の契約を破りイスラエルのうちに愚かなことを行ったからである』」。 + こうしてヨシュアは朝早く起き、イスラエルを部族ごとに進み出させたところ、ユダの部族がくじに当り、 + ユダのもろもろの氏族を進み出させたところ、ゼラびとの氏族が、くじに当った。ゼラびとの氏族を家族ごとに進み出させたところ、ザブデの家族が、くじに当った。 + ザブデの家族を男ひとりびとり進み出させたところ、アカンがくじに当った。アカンはユダの部族のうちの、ゼラの子、ザブデの子なるカルミの子である。 + その時ヨシュアはアカンに言った、「わが子よ、イスラエルの神、主に栄光を帰し、また主をさんびし、あなたのしたことを今わたしに告げなさい。わたしに隠してはならない」。 + アカンはヨシュアに答えた、「ほんとうにわたしはイスラエルの神、主に対して罪を犯しました。わたしがしたのはこうです。 + わたしはぶんどり物のうちに、シナルの美しい外套一枚と銀二百シケルと、目方五十シケルの金の延べ棒一本のあるのを見て、ほしくなり、それを取りました。わたしの天幕の中に、地に隠してあります。銀はその下にあります」。 + そこでヨシュアは使者たちをつかわした。使者たちが天幕に走っていって見ると、それは彼の天幕に隠してあって、銀もその下にあった。 + 彼らはそれを天幕の中から取り出して、ヨシュアとイスラエルのすべての人々の所に携えてきたので、それを主の前に置いた。 + ヨシュアはすべてのイスラエルびとと共に、ゼラの子アカンを捕え、かの銀と外套と金の延べ棒、および彼のむすこ、娘、牛、ろば、羊、天幕など、彼の持ち物をことごとく取って、アコルの谷へ引いていった。 + そしてヨシュアは言った、「なぜあなたはわれわれを悩ましたのか。主は、きょう、あなたを悩まされるであろう」。やがてすべてのイスラエルびとは石で彼を撃ち殺し、また彼の家族をも石で撃ち殺し、火をもって焼いた。 + そしてアカンの上に石塚を大きく積み上げたが、それは今日まで残っている。そして主は激しい怒りをやめられたが、このことによって、その所の名は今日までアコルの谷と呼ばれている。 + + + 主はヨシュアに言われた、「恐れてはならない、おののいてはならない。いくさびとを皆、率い、立って、アイに攻め上りなさい。わたしはアイの王とその民、その町、その地をあなたの手に授ける。 + あなたは、さきにエリコとその王にしたとおり、アイとその王とにしなければならない。ただし、ぶんどり物と家畜とは戦利品としてあなたがたのものとすることができるであろう。あなたはまず、町のうしろに伏兵を置きなさい」。 + ヨシュアは立って、すべてのいくさびとと共に、アイに攻め上ろうとして、まず大勇士三万人を選び、それを夜のうちにつかわした。 + ヨシュアは彼らに命じて言った、「あなたがたは町に向かって、町のうしろに伏せていなければならない。町を遠く離れないで、みな備えをしていなければならない。 + わたしとわたしに従う民とは皆共に、町に攻め寄せよう。そして彼らが前のようにわれわれにむかって出てくるとき、われわれは彼らの前から逃げるであろう。 + そうすれば彼らはわれわれを追って出てくるであろうから、われわれはついに彼らを町からおびき出すことができる。彼らは言うであろう、『この人々はまた前のように、われわれの前から逃げていく』。こうしてわれわれは彼らの前から逃げるであろう。 + その時、あなたがたは伏せている所から立ち上がって、町を取らなければならない。あなたがたの神、主がそれをあなたがたの手に与えられるからである。 + あなたがたが、町を取ったならば、町に火を放ち、主が命じられたようにしなければならない。わたしはこう、あなたがたに命じるのである」。 + そうしてヨシュアが彼らをつかわしたので、彼らはアイの西方、ベテルとアイの間の待ち伏せする場所に行って身を伏せた。ヨシュアはその夜、民の中に宿った。 + ヨシュアは明くる朝、早く起きて、民を集め、イスラエルの長老たちと共に、民に先立って、アイに上っていった。 + 彼と共にいたいくさびとたちもみな上っていって、町の前に近づき、アイの北に陣を取った。彼らとアイの間には、一つの谷があった。 + ヨシュアはおおよそ五千人をとって、町の西方、ベテルとアイの間に、伏せておいた。 + こうして民の主力を町の北におき、しんがりを町の西においた。ヨシュアはその夜、谷の中で宿った。 + アイの王はこれを見て、すべての民と共に、急いで、早く起き、アラバに行く下り坂に進み出て、イスラエルと戦った。しかし、王は町のうしろに、すきをうかがう伏兵のおることを知らなかった。 + ヨシュアはイスラエルのすべての人々と共に、彼らに打ち破られたふりをして、荒野の方向へ逃げだしたので、 + その町の民はみな呼ばわり集まって彼らのあとを追い、ヨシュアのあとを追って町からおびき出され、 + アイにもベテルにも残っているものはひとりもなく、みな出てイスラエルのあとを追い、町を開け放して、イスラエルのあとを追った。 + その時、主はヨシュアに言われた、「あなたの手にあるなげやりを、アイの方にさし伸べなさい。わたしはその町をあなたの手に与えるであろう」。そこでヨシュアが手にしていたなげやりを、アイの方にさし伸べると、 + 伏兵はたちまちその場所から立ち上がり、ヨシュアが手をのべると同時に、走って町に入り、それを取って、ただちに町に火をかけた。 + それでアイの人々が、うしろをふり返って見ると、町の焼ける煙が天に立ちのぼっていたので、こちらへもあちらへも逃げるすべがなかった。荒野へ逃げていった民も身をかえして、追ってきた者に迫った。 + ヨシュアとすべてのイスラエルびとは、伏兵が町を取り、町の焼ける煙が立ち上るのを見て、身をかえしてアイの人々を撃った。 + また町を取ったものは町を出て彼らに向かったので、彼らは、こちらとあちらとからイスラエルの中にはさまれた。こうしてイスラエルびとが彼らを撃ったので、生き残ったもの、逃げおおせたものは、ひとりもなかった。 + そしてアイの王を生けどりにして、ヨシュアのもとへ連れてきた。 + イスラエルびとは、荒野に追撃してきたアイの住民をことごとく野で殺し、つるぎをもってひとりも残さず撃ち倒してのち、皆アイに帰り、つるぎをもってその町を撃ち滅ぼした。 + その日アイの人々はことごとく倒れた。その数は男女あわせて一万二千人であった。 + ヨシュアはアイの住民をことごとく滅ぼしつくすまでは、なげやりをさし伸べた手を引っこめなかった。 + ただし、その町の家畜および、ぶんどり品はイスラエルびとが自分たちの戦利品として取った。主がヨシュアに命じられた言葉にしたがったのである。 + こうしてヨシュアはアイを焼いて、永久に荒塚としたが、それは今日まで荒れ地となっている。 + ヨシュアはまた、アイの王を夕方まで木に掛けてさらし、日の入るころ、命じて、その死体を木から取りおろし、町の門の入口に投げすて、その上に石の大塚を積み上げさせたが、それは今日まで残っている。 + そしてヨシュアはエバル山にイスラエルの神、主のために一つの祭壇を築いた。 + これは主のしもべモーセがイスラエルの人々に命じたことにもとづき、モーセの律法の書にしるされているように、鉄の道具を当てない自然のままの石の祭壇であって、人々はその上で、主に燔祭をささげ、酬恩祭を供えた。 + その所で、ヨシュアはまたモーセの書きしるした律法を、イスラエルの人々の前で、石に書き写した。 + こうしてすべてのイスラエルびとは、本国人も、寄留の他国人も、長老、つかさびと、さばきびとと共に、主の契約の箱をかくレビびとである祭司たちの前で、箱のこなたとかなたに分れて、半ばはゲリジム山の前に、半ばはエバル山の前に立った。これは主のしもべモーセがさきに命じたように、イスラエルの民を祝福するためであった。 + そして後、ヨシュアはすべての律法の書にしるされている所にしたがって、祝福と、のろいとに関する律法の言葉をことごとく読んだ。 + モーセが命じたすべての言葉のうち、ヨシュアがイスラエルの全会衆および女と子どもたち、ならびにイスラエルのうちに住む寄留の他国人の前で、読まなかったものは一つもなかった。 + + + さて、ヨルダンの西側の、山地、平地、およびレバノンまでの大海の沿岸に住むもろもろの王たち、すなわちヘテびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの王たちは、これを聞いて、 + 心を合わせ、相集まって、ヨシュアおよびイスラエルと戦おうとした。 + しかし、ギベオンの住民たちは、ヨシュアがエリコとアイにおこなったことを聞いて、 + 自分たちも策略をめぐらし、行って食料品を準備し、古びた袋と、古びて破れたのを繕ったぶどう酒の皮袋とを、ろばに負わせ、 + 繕った古ぐつを足にはき、古びた着物を身につけた。彼らの食料のパンは、みなかわいて、砕けていた。 + 彼らはギルガルの陣営のヨシュアの所にきて、彼とイスラエルの人々に言った、「われわれは遠い国からまいりました。それで今われわれと契約を結んでください」。 + しかし、イスラエルの人々はそのヒビびとたちに言った、「あなたがたはわれわれのうちに住んでいるのかも知れないから、われわれはどうしてあなたがたと契約が結べましょう」。 + 彼らはヨシュアに言った、「われわれはあなたのしもべです」。ヨシュアは彼らに言った、「あなたがたはだれですか。どこからきたのですか」。 + 彼らはヨシュアに言った、「しもべどもはあなたの神、主の名のゆえに、ひじょうに遠い国からまいりました。われわれは主の名声、および主がエジプトで行われたすべての事を聞き、 + また主がヨルダンの向こう側にいたアモリびとのふたりの王、すなわちヘシボンの王シホン、およびアシタロテにおったバシャンの王オグに行われたすべてのことを聞いたからです。 + それで、われわれの長老たち、および国の住民はみなわれわれに言いました、『おまえたちは旅路の食料を手に携えていって、彼らに会って言いなさい、「われわれはあなたがたのしもべです。それで今われわれと契約を結んでください」』。 + ここにあるこのパンは、あなたがたの所に来るため、われわれが出立する日に、おのおの家から、まだあたたかなのを旅の食料として準備したのですが、今はもうかわいて砕けています。 + またぶどう酒を満たしたこれらの皮袋も、新しかったのですが、破れました。われわれのこの着物も、くつも、旅路がひじょうに長かったので、古びてしまいました」。 + そこでイスラエルの人々は彼らの食料品を共に食べ、主のさしずを求めようとはしなかった。 + そしてヨシュアは彼らと和を講じ、契約を結んで、彼らを生かしておいた。会衆の長たちは彼らに誓いを立てた。 + 契約を結んで三日の後に、彼らはその人々が近くの人々で、自分たちのうちに住んでいるということを聞いた。 + イスラエルの人々は進んで、三日目にその町々に着いた。その町々とは、ギベオン、ケピラ、ベエロテおよびキリアテ・ヤリムであった。 + ところで会衆の長たちが、すでにイスラエルの神、主をさして彼らに誓いを立てていたので、イスラエルの人々は彼らを殺さなかった。そこで会衆はみな、長たちにむかってつぶやいた。 + しかし、長たちは皆、全会衆に言った、「われわれはイスラエルの神、主をさして彼らに誓った。それゆえ今、彼らに触れてはならない。 + われわれは、こうして彼らを生かしておこう。そうすれば、われわれが彼らに立てた誓いのゆえに、怒りがわれわれに臨むことはないであろう」。 + 長たちはまた人々に「彼らを生かしておこう」と言ったので、彼らはついに、全会衆のために、たきぎを切り、水をくむものとなった。長たちが彼らに言ったとおりである。 + ヨシュアは彼らを呼び寄せて言った、「あなたがたは、われわれのうちに住みながら、なぜ『われわれはあなたがたからは遠く離れている』と言って、われわれをだましたのか。 + それであなたがたは今のろわれ、奴隷となってわたしの神の家のために、たきぎを切り、水をくむものが、絶えずあなたがたのうちから出るであろう」。 + 彼らはヨシュアに答えて言った、「あなたの神、主がそのしもべモーセに、この地をことごとくあなたがたに与え、この地に住む民をことごとくあなたがたの前から滅ぼし去るようにと、お命じになったことを、しもべどもは明らかに伝え聞きましたので、あなたがたのゆえに、命が危いと、われわれは非常に恐れて、このことをしたのです。 + われわれは、今、あなたの手のうちにあります。われわれにあなたがして良いと思い、正しいと思うことをしてください」。 + そこでヨシュアは、彼らにそのようにし、彼らをイスラエルの人々の手から救って殺させなかった。 + しかし、ヨシュアは、その日、彼らを、会衆のため、また主の祭壇のため、主が選ばれる場所で、たきぎを切り、水をくむ者とした。これは今日までつづいている。 + + + エルサレムの王アドニゼデクは、ヨシュアがアイを攻め取って、それを全く滅ぼし、さきにエリコとその王とにしたように、アイとその王にもしたこと、またギベオンの住民が、イスラエルと和を講じて、そのうちにおることを聞き、 + 大いに恐れた。それは、ギベオンが大きな町であって、王の都にもひとしいものであり、またアイより大きくて、そのうちの人々が、すべて強かったからである。 + それでエルサレムの王アドニゼデクは、ヘブロンの王ホハム、ヤルムテの王ピラム、ラキシの王ヤピア、およびエグロンの王デビルに人をつかわして言った、 + 「わたしの所に上ってきて、わたしを助けてください。われわれはギベオンを撃ちましょう。ギベオンはヨシュアおよびイスラエルの人々と和を講じたからです」。 + アモリびとの五人の王、すなわちエルサレムの王、ヘブロンの王、ヤルムテの王、ラキシの王、およびエグロンの王は兵を集め、そのすべての軍勢を率いて上ってきて、ギベオンに向かって陣を取り、それを攻めて戦った。 + ギベオンの人々は、ギルガルの陣営に人をつかわし、ヨシュアに言った、「あなたの手を引かないで、しもべどもを助けてください。早く、われわれの所に上ってきて、われわれを救い、助けてください。山地に住むアモリびとの王たちがみな集まって、われわれを攻めるからです」。 + そこでヨシュアはすべてのいくさびとと、すべての大勇士を率いて、ギルガルから上って行った。 + その時、主はヨシュアに言われた、「彼らを恐れてはならない。わたしが彼らをあなたの手にわたしたからである。彼らのうちには、あなたに当ることのできるものは、ひとりもないであろう」。 + ヨシュアは、ギルガルから、よもすがら進みのぼって、にわかに彼らに攻めよせたところ、 + 主は彼らを、イスラエルの前に、恐れあわてさせられたので、イスラエルはギベオンで彼らをおびただしく撃ち殺し、ベテホロンの上り坂をとおって逃げる彼らを、アゼカとマッケダまで追撃した。 + 彼らがイスラエルの前から逃げ走って、ベテホロンの下り坂をおりていた時、主は天から彼らの上に大石を降らし、アゼカにいたるまでもそうされたので、多くの人々が死んだ。イスラエルの人々がつるぎをもって殺したものよりも、雹に打たれて死んだもののほうが多かった。 + 主がアモリびとをイスラエルの人々にわたされた日に、ヨシュアはイスラエルの人々の前で主にむかって言った、「日よ、ギベオンの上にとどまれ、月よ、アヤロンの谷にやすらえ」。 + 民がその敵を撃ち破るまで、日はとどまり、月は動かなかった。これはヤシャルの書にしるされているではないか。日が天の中空にとどまって、急いで没しなかったこと、おおよそ一日であった。 + これより先にも、あとにも、主がこのように人の言葉を聞きいれられた日は一日もなかった。主がイスラエルのために戦われたからである。 + こうしてヨシュアはイスラエルのすべての人と共にギルガルの陣営に帰った。 + かの五人の王たちは逃げて行って、マッケダのほら穴に隠れたが、 + 五人の王たちがマッケダのほら穴にかくれているのが見つかったと、ヨシュアに告げる者があったので、 + ヨシュアは言った、「ほら穴の口に大石をころがし、そのそばに人を置いて、守らせなさい。 + ただし、あなたがたは、そこにとどまらないで、敵のあとを追い、そのしんがりを撃ち、彼らをその町にはいらせてはならない。あなたがたの神、主が彼らをあなたがたの手に渡されたからである」。 + ヨシュアとイスラエルの人々は、大いに彼らを撃ち殺し、ついに彼らを滅ぼしつくしたが、彼らのうちのがれて生き残った者どもは、堅固な町々に逃げこんだので、 + 民はみな安らかにマッケダの陣営のヨシュアのもとに帰ってきたが、イスラエルの人々にむかって舌を鳴らす者はひとりもなかった。 + その時ヨシュアは言った、「ほら穴の口を開いて、ほら穴から、かの五人の王たちを、わたしのもとにひき出しなさい」。 + やがて、そのようにして、かの五人の王たち、すなわち、エルサレムの王、ヘブロンの王、ヤルムテの王、ラキシの王、およびエグロンの王を、ほら穴から彼のもとにひき出した。 + この王たちをヨシュアのもとにひき出した時、ヨシュアはイスラエルのすべての人々を呼び寄せ、自分と共に行ったいくさびとの長たちに言った、「近寄って、この王たちのくびに足をかけなさい」。そこで近寄って、その王たちのくびに足をかけたので、 + ヨシュアは彼らに言った、「恐れおののいてはならない。強くまた雄々しくあれ。あなたがたが攻めて戦うすべての敵には、主がこのようにされるのである」。 + そして後ヨシュアは彼らを撃って死なせ、五本の木にかけて、夕暮れまで木の上にさらして置いたが、 + 日の入るころになって、ヨシュアが命じたので、これを木からおろし、彼らが隠れていたほら穴に投げ入れ、ほら穴の口に大石を置いた。これは今日まで残っている。 + その日ヨシュアはマッケダを取り、つるぎをもって、それと、その王とを撃ち、その中のすべての人を、ことごとく滅ぼして、ひとりも残さず、エリコの王にしたように、マッケダの王にもした。 + こうしてヨシュアはイスラエルのすべての人を率いて、マッケダからリブナに進み、リブナを攻めて戦った。 + 主が、それと、その王をも、イスラエルの手に渡されたので、つるぎをもって、それと、その中のすべての人を撃ち滅ぼして、ひとりもその中に残さず、エリコの王にしたように、その王にもした。 + ヨシュアはまたイスラエルのすべての人を率いて、リブナからラキシに進み、これに向かって陣をしき、攻め戦った。 + 主がラキシをイスラエルの手に渡されたので、ふつか目にこれを取り、つるぎをもって、それと、その中のすべての人を撃ち滅ぼした。すべてリブナにしたとおりであった。 + その時、ゲゼルの王ホラムが、ラキシを助けるために上ってきたので、ヨシュアは彼と、その民とを撃ち滅ぼして、ついにひとりも残さなかった。 + ヨシュアはまたイスラエルのすべての人を率いて、ラキシからエグロンに進み、これに向かって陣をしき、攻め戦った。 + その日これを取り、つるぎをもって、これを撃ち、その中のすべての人を、ことごとくその日に滅ぼした。すべてラキシにしたとおりであった。 + ヨシュアはまたイスラエルのすべての人を率いて、エグロンからヘブロンに進み上り、これを攻めて戦い、 + それを取って、それと、その王、およびそのすべての町々と、その中のすべての人を、つるぎをもって撃ち滅ぼし、ひとりも残さなかった。すべてエグロンにしたとおりであった。すなわち、それとその中のすべての人を、ことごとく滅ぼした。 + またヨシュアはイスラエルのすべての人を率いて、デビルへひきかえし、これを攻めて戦い、 + それと、その王、およびそのすべての町々を取り、つるぎをもってそれを撃ち、その中のすべての人を、ことごとく滅ぼし、ひとりも残さなかった。彼がデビルと、その王にしたことは、ヘブロンにしたとおりであり、またリブナと、その王にしたとおりであった。 + こうしてヨシュアはその地の全部、すなわち、山地、ネゲブ、平地、および山腹の地と、そのすべての王たちを撃ち滅ぼして、ひとりも残さず、すべて息のあるものは、ことごとく滅ぼした。イスラエルの神、主が命じられたとおりであった。 + ヨシュアはカデシ・バルネアからガザまでの国々、およびゴセンの全地を撃ち滅ぼして、ギベオンにまで及んだ。 + イスラエルの神、主がイスラエルのために戦われたので、ヨシュアはこれらすべての王たちと、その地をいちどきに取った。 + そしてヨシュアはイスラエルのすべての人を率いて、ギルガルの陣営に帰った。 + + + ハゾルの王ヤビンは、これを聞いて、マドンの王ヨバブ、シムロンの王、およびアクサフの王、 + また北の山地、キンネロテの南のアラバ、平地、西の方のドルの高地におる王たち、 + すなわち、東西のカナンびと、アモリびと、ヘテびと、ペリジびと、山地のエブスびと、ミヅパの地にあるヘルモンのふもとのヒビびとに使者をつかわした。 + そして彼らは、そのすべての軍勢を率いて出てきた。その大軍は浜べの砂のように数多く、馬と戦車も、ひじょうに多かった。 + これらの王たちはみな軍を集め、進んできて、共にメロムの水のほとりに陣をしき、イスラエルと戦おうとした。 + その時、主はヨシュアに言われた、「彼らのゆえに恐れてはならない。あすの今ごろ、わたしは彼らを皆イスラエルに渡して、ことごとく殺させるであろう。あなたは彼らの馬の足の筋を切り、戦車を火で焼かなければならない」。 + そこでヨシュアは、すべてのいくさびとを率いて、にわかにメロムの水のほとりにおし寄せ、彼らを襲った。 + 主は彼らをイスラエルの手に渡されたので、これを撃ち破り、大シドンおよびミスレポテ・マイムまで、これを追撃し、東の方では、ミヅパの谷まで彼らを追い、ついにひとりも残さず撃ちとった。 + ヨシュアは主が命じられたとおりに彼らに行い、彼らの馬の足の筋を切り、戦車を火で焼いた。 + その時、ヨシュアはひきかえして、ハゾルを取り、つるぎをもって、その王を撃った。ハゾルは昔、これらすべての国々の盟主であったからである。 + 彼らはつるぎをもって、その中のすべての人を撃ち、ことごとくそれを滅ぼし、息のあるものは、ひとりも残さなかった。そして火をもってハゾルを焼いた。 + ヨシュアはこれらの王たちのすべての町々、およびその諸王を取り、つるぎをもって、これを撃ち、ことごとく滅ぼした。主のしもべモーセが命じたとおりであった。 + ただし、丘の上に立っている町々をイスラエルは焼かなかった。ヨシュアはただハゾルだけを焼いた。 + これらの町のすべてのぶんどり物と家畜とは、イスラエルの人々が戦利品として取ったが、人はみなつるぎをもって、滅ぼし尽し、息のあるものは、ひとりも残さなかった。 + 主がそのしもべモーセに命じられたように、モーセはヨシュアに命じたが、ヨシュアはそのとおりにおこなった。すべて主がモーセに命じられたことで、ヨシュアが行わなかったことは一つもなかった。 + こうしてヨシュアはその全地、すなわち、山地、ネゲブの全地、ゴセンの全地、平地、アラバならびにイスラエルの山地と平地を取り、 + セイルへ上って行く道のハラク山から、ヘルモン山のふもとのレバノンの谷にあるバアルガデまでを獲た。そしてそれらの王たちを、ことごとく捕えて、撃ち殺した。 + ヨシュアはこれらすべての王たちと、長いあいだ戦った。 + ギベオンの住民ヒビびとのほかには、イスラエルの人々と和を講じた町は一つもなかった。町々はみな戦争をして、攻め取ったものであった。 + 彼らが心をかたくなにして、イスラエルに攻めよせたのは、もともと主がそうさせられたので、彼らがのろわれた者となり、あわれみを受けず、ことごとく滅ぼされるためであった。主がモーセに命じられたとおりである。 + その時、ヨシュアはまた行って、山地、ヘブロン、デビル、アナブ、ユダのすべての山地、イスラエルのすべての山地から、アナクびとを断ち、彼らの町々をも共に滅ぼした。 + それでイスラエルの人々の地に、アナクびとは、ひとりもいなくなった。ただガサ、ガテ、アシドドには、少し残っているだけであった。 + こうしてヨシュアはその地を、ことごとく取った。すべて主がモーセに告げられたとおりである。そしてヨシュアはイスラエルの部族にそれぞれの分を与えて、嗣業とさせた。こうしてその地に戦争はやんだ。 + + + さてヨルダンの向こう側、日の出の方で、アルノンの谷からヘルモン山まで、および東アラバの全土のうちで、イスラエルの人々が撃ち滅ぼして地を取った国の王たちは、次のとおりである。 + まず、アモリびとの王シホン。彼はヘシボンに住み、その領地は、アルノンの谷のほとりにあるアロエル、および谷の中の町から、ギレアデの半ばを占めて、アンモンびととの境であるヤボク川に達し、 + 東の方ではアラバをキンネレテの湖まで占め、またアラバの海すなわち塩の海の東におよび、ベテエシモテの道を経て、南はピスガの山のふもとに達した。 + 次にレパイムの生き残りのひとりであったバシャンの王オグ。彼はアシタロテとエデレイとに住み、 + ヘルモン山、サレカ、およびバシャンの全土を領したので、ゲシュルびと、およびマアカびとと境を接し、またギレアデの半ばを領したので、ヘシボンの王シホンと境を接していた。 + 主のしもべモーセと、イスラエルの人々とが、彼らを撃ち滅ぼし、そして主のしもべモーセは、これらの地を、ルベンびと、ガドびと、およびマナセの半部族に与えて所有とさせた。 + ヨルダンのこちら側、西の方にあって、レバノンの谷にあるバアルガデから、セイルへ上って行く道のハラク山までの間で、ヨシュアと、イスラエルの人々とが、撃ち滅ぼした国の王たちは、次のとおりである。ヨシュアは彼らの地をイスラエルの部族に、それぞれの分を与えて嗣業とさせた。 + これは、山地、平地、アラバ、山腹、荒野、およびネゲブであって、ヘテびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの所領であった。 + エリコの王ひとり。ベテルのほとりのアイの王ひとり。 + エルサレムの王ひとり。ヘブロンの王ひとり。 + ヤルムテの王ひとり。ラキシの王ひとり。 + エグロンの王ひとり。ゲゼルの王ひとり。 + デビルの王ひとり。ゲデルの王ひとり。 + ホルマの王ひとり。アラデの王ひとり。 + リブナの王ひとり。アドラムの王ひとり。 + マッケダの王ひとり。ベテルの王ひとり。 + タップアの王ひとり。ヘペルの王ひとり。 + アペクの王ひとり。シャロンの王ひとり。 + マドンの王ひとり。ハゾルの王ひとり。 + シムロン・メロンの王ひとり。アクサフの王ひとり。 + タアナクの王ひとり。メギドの王ひとり。 + ケデシの王ひとり。カルメルのヨクネアムの王ひとり。 + ドルの高地におるドルの王ひとり。ガリラヤのゴイイムの王ひとり。 + テルザの王ひとり。合わせて三十一王である。 + + + さてヨシュアは年が進んで老いたが、主は彼に言われた、「あなたは年が進んで老いたが、取るべき地は、なお多く残っている。 + その残っている地は、次のとおりである。ペリシテびとの全地域、ゲシュルびとの全土、 + エジプトの東のシホルから北にのびて、カナンびとに属するといわれるエクロンの境までの地、ペリシテびとの五人の君たちの地、すなわち、ガザ、アシドド、アシケロン、ガテ、およびエクロン。 + 南のアビびとの地、カナンびとの全地、シドンびとに属するメアラからアモリびとの境にあるアペクまでの部分。 + またヘルモン山のふもとのバアルガデからハマテの入口に至るゲバルびとの地、およびレバノンの東の全土。 + レバノンからミスレポテ・マイムまでの山地のすべての民、すなわちシドンびとの全土。わたしはみずから彼らをイスラエルの人々の前から追い払うであろう。わたしが命じたように、あなたはその地をイスラエルに分け与えて、嗣業とさせなければならない。 + すなわち、その地を九つの部族と、マナセの半部族とに分け与えて、嗣業とさせなければならない」。 + マナセの他の半部族と共に、ルベンびとと、ガドびととは、ヨルダンの向こう側、東の方で、その嗣業をモーセから受けた。主のしもべモーセが、彼らに与えたのは、 + アルノンの谷のほとりにあるアロエル、および谷の中にある町から、デボンとメデバの間にある高原のすべての地。 + ヘシボンで世を治めた、アモリびとの王シホンのすべての町々を含めて、アンモンの人々の境までの地。 + ギレアデと、ゲシュルびと、ならびにマアカびとの領地、ヘルモン山の全土、サルカまでのバシャン全体。 + アシタロテとエデレイで世を治めたバシャンの王オグの全国。オグはレパイムの生き残りであった。モーセはこれらを撃って、追い払った。 + ただし、イスラエルの人々は、ゲシュルびとと、マアカびとを追い払わなかった。ゲシュルびとと、マアカびとは、今日までイスラエルのうちに住んでいる。 + ただレビの部族には、ヨシュアはなんの嗣業をも与えなかった。イスラエルの神、主の火祭が彼らの嗣業であるからである。主がヨシュアに言われたとおりである。 + モーセはルベンびとの部族に、その家族にしたがって嗣業を与えたが、 + その領域はアルノンの谷のほとりにあるアロエル、および谷の中にある町からメデバのほとりのすべての高原、 + ヘシボンおよびその高原のすべての町々、デボン、バモテ・バアル、ベテ・バアル・メオン、 + ヤハヅ、ケデモテ、メパアテ、 + キリアタイム、シブマ、谷の中の山にあるゼレテ・シャハル、 + ベテペオル、ピスガの山腹、ベテエシモテ、 + すなわち高原のすべての町々と、ヘシボンで世を治めたアモリびとの王シホンの全国に及んだ。モーセはシホンを、ミデアンのつかさたちエビ、レケム、ツル、ホルおよびレバと共に撃ち殺した。これらはみなシホンの諸侯であって、その地に住んでいた者である。 + イスラエルの人々はまたベオルの子、占い師バラムをもつるぎにかけて、そのほかに殺した者どもと共に殺した。 + ルベンびとの領域はヨルダンを境とした。これはルベンびとが、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と村々とを含む。 + モーセはまたガドの部族、ガドの子孫にも、その家族にしたがって、嗣業を与えたが、 + その領域はヤゼル、ギレアデのすべての町々、アンモンびとの地の半ばで、ラバの東のアロエルまでの地。 + ヘシボンからラマテ・ミゾパまでの地、およびベトニム、マハナイムからデビルの境までの地。 + 谷の中ではベテハラム、ベテニムラ、スコテ、およびザポンなど、ヘシボンの王シホンの国の残りの部分。ヨルダンを境として、ヨルダンの東側、キンネレテの湖の南の端までの地。 + これはガドびとが、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と村々とを含む。 + モーセはまたマナセの半部族にも、嗣業を与えたが、それはマナセの半部族が、その家族にしたがって与えられたものである。 + その領域はマハナイムからバシャンの全土に及び、バシャンの王オグの全国、バシャンにあるヤイルのすべての町々、すなわちその六十の町。 + またギレアデの半ば、バシャンのオグの国の町であるアシタロテとエデレイ。これらはマナセの子マキルの子孫に与えられた。すなわちマキルの子孫の半ばが、その家族にしたがって、それを獲た。 + これらはヨルダンの向こう側、エリコの東のモアブの平野で、モーセが分け与えた嗣業である。 + ただし、レビの部族には、モーセはなんの嗣業をも与えなかった。イスラエルの神、主がその嗣業だからである。主がモーセに言われたとおりである。 + + + イスラエルの人々が、カナンの地で受けた嗣業の地は、次のとおりである。すなわち、祭司エレアザル、ヌンの子ヨシュア、およびイスラエルの人々の部族の首長たちが、これを彼らに分かち、 + 主がモーセによって命じられたように、くじによって、これを九つの部族と、半ばの部族とに、嗣業として与えた。 + これはヨルダンの向こう側で、モーセがすでに他の二つの部族と、半ばの部族とに、嗣業を与えていたからである。ただしレビびとには、彼らの中で嗣業を与えず、 + ヨセフの子孫が、マナセと、エフライムの二つの部族となったからである。レビびとには土地の分け前を与えず、ただ、その住むべき町々および、家畜と持ち物とを置くための放牧地を与えたばかりであった。 + イスラエルの人々は、主がモーセに命じられたようにおこなって、その地を分けた。 + 時に、ユダの人々がギルガルのヨシュアの所にきて、ケニズびとエフンネの子カレブが、ヨシュアに言った、「主がカデシ・バルネアで、あなたとわたしとについて、神の人モーセに言われたことを、あなたはごぞんじです。 + 主のしもべモーセが、この地を探るために、わたしをカデシ・バルネアからつかわした時、わたしは四十歳でした。そしてわたしは、自分の信ずるところを復命しました。 + しかし、共に上って行った兄弟たちは、民の心をくじいてしまいましたが、わたしは全くわが神、主に従いました。 + その日モーセは誓って、言いました、『おまえの足で踏んだ地は、かならず長くおまえと子孫との嗣業となるであろう。おまえが全くわが神、主に従ったからである』。 + 主がこの言葉をモーセに語られた時からこのかた、イスラエルが荒野に歩んだ四十五年の間、主は言われたように、わたしを生きながらえさせてくださいました。わたしは今日すでに八十五歳ですが、 + 今もなお、モーセがわたしをつかわした日のように、健やかです。わたしの今の力は、あの時の力に劣らず、どんな働きにも、戦いにも堪えることができます。 + それで主があの日語られたこの山地を、どうか今、わたしにください。あの日あなたも聞いたように、そこにはアナキびとがいて、その町々は大きく堅固です。しかし、主がわたしと共におられて、わたしはついには、主が言われたように、彼らを追い払うことができるでしょう」。 + そこでヨシュアはエフンネの子カレブを祝福し、ヘブロンを彼に与えて嗣業とさせた。 + こうしてヘブロンは、ケニズびとエフンネの子カレブの嗣業となって、今日に至っている。彼が全くイスラエルの神、主に従ったからである。 + ヘブロンの名は、もとはキリアテ・アルバといった。アルバは、アナキびとのうちの、最も大いなる人であった。こうしてこの地に戦争はやんだ。 + + + ユダの人々の部族が、その家族にしたがって、くじで獲た地は、南の方では、エドムの境に達し、南のはてにあるチンの荒野に及んでいた。 + その南の境は、塩の海の南の端の、入海から起り、 + アクラビムの坂の南に出てチンに進み、カデシ・バルネアの南から上って、ヘヅロンに進み、アダルに上っていって、カルカに回り、 + アヅモンに進んで、エジプトの川に達し、その境は海に至って尽きる。これが彼らの南の境である。 + 東の境は塩の海であって、ヨルダンの川口に達する。北の方の境は、ヨルダンの川口の、入海から起り、 + 上ってベテホグラに行き、ベテアラバの北を過ぎ、上ってルベンびとボハンの石に達し、 + またアコルの谷からデビルに上って、北におもむき、川の南にあるアドミムの坂に対するギルガルに向かって進み、エンシメシの水に達し、エンロゲルに至って尽きる。 + またその境はベンヒンノムの谷に沿って、エブスびとの地、すなわちエルサレムの南のわきに上り、ヒンノムの谷の西にある山の頂に上る。これはレパイムの谷の北の果にあるものである。 + その境は、この山の頂からネフトアの水の源に至り、その所からエフロン山の町々に及び、その境は曲ってバアラに達する。これは、すなわちキリアテ・ヤリムである。 + その境は、バアラから西に回って、セイル山に及び、ヤリム山、すなわちケサロンの北のわきを経て、ベテシメシに下り、テムナに進み、 + エクロンの北の丘のわきに出て、シッケロンに曲り、バアラ山に進み、ヤブネルに達し、海に至って尽きる。 + また西の境は大海であって、海岸を境とした。これがユダの人々の、その家族にしたがって獲た地の四方の境である。 + ヨシュアは、主に命じられたように、エフンネの子カレブに、ユダの人々のうちで、キリアテ・アルバ、すなわちヘブロンを与えて、その分とさせた。アルバはアナクの父であった。 + カレブはその所から、アナクの子三人を追い払った。すなわち、セシャイ、アヒマン、およびタルマイであって、アナクから出たものである。 + そして彼はこの所からデビルに住む民の所に攻め上った。デビルの名は、もとはキリアテ・セペルといった。 + カレブは言った、「キリアテ・セペルを撃って、これを取る者には、わたしの娘アクサを妻として与えるであろう」。 + ケナズの子で、カレブの弟オテニエルがそれを取ったので、カレブは娘アクサを、妻として彼に与えた。 + 彼女がとつぐ時、畑を父に求めるようにと、オテニエルに勧められた。そして彼女が、ろばから降りたので、カレブは彼女に、何を望むのかとたずねた。 + 彼女は答えて言った、「わたしに贈り物をください。あなたはネゲブの地に、わたしをやられるのですから、泉をもください」。カレブは彼女に上の泉と下の泉とを与えた。 + ユダの人々の部族が、その家族にしたがって獲た嗣業は、次のとおりである。 + ユダの人々の部族が、南でエドムの境の方にもっていた遠くの町々は、カブジエル、エデル、ヤグル、 + キナ、デモナ、アダダ、 + ケデシ、ハゾル、イテナン、 + ジフ、テレム、ベアロテ、 + ハゾル・ハダッタ、ケリオテ・ヘヅロンすなわちハゾル、 + アマム、シマ、モラダ、 + ハザルガダ、ヘシモン、ベテペレテ、 + ハザル・シュアル、ベエルシバ、ビジョテヤ、 + バアラ、イイム、エゼム、 + エルトラデ、ケシル、ホルマ、 + チクラグ、マデマンナ、サンサンナ、 + レバオテ、シルヒム、アイン、リンモン。これらの町は合わせて二十九、ならびにそれに属する村々。 + 平地では、エシタオル、ゾラ、アシナ、 + ザノア、エンガンニム、タップア、エナム、 + ヤルムテ、アドラム、ソコ、アゼカ、 + シャアライム、アデタイム、ゲデラ、ゲデロタイム。すなわち十四の町々と、それに属する村々。 + ゼナン、ハダシャ、ミグダルガデ、 + デラン、ミヅパ、ヨクテル、 + ラキシ、ボヅカテ、エグロン、 + カボン、ラマム、キテリシ、 + ゲデロテ、ベテダゴン、ナアマ、マッケダ。すなわち十六の町々と、それに属する村々。 + またリブナ、エテル、アシャン、 + イフタ、アシナ、ネジブ、 + ケイラ、アクジブ、マレシャ。すなわち九つの町々と、それに属する村々。 + エクロンと、その町々、および村々。 + エクロンから海まで、すべてアシドドのほとりにある町々、およびそれに属する村々。 + アシドドとその町々および村々。ガザとその町々および村々。エジプトの川と大海の海岸までが、その境であった。 + 山地では、シャミル、ヤッテル、ソコ、 + ダンナ、キリアテ・サンナすなわちデビル、 + アナブ、エシテモ、アニム、 + ゴセン、ホロン、ギロ。すなわち十一の町々と、それに属する村々。 + アラブ、ドマ、エシャン、 + ヤニム、ベテタップア、アペカ、 + ホムタ、キリアテ・アルバすなわちヘブロン、ヂオル。すなわち九つの町々と、それに属する村々。 + マオン、カルメル、ジフ、ユッタ、 + エズレル、ヨクデアム、ザノア、 + カイン、ギベア、テムナ。すなわち十の町々と、それに属する村々。 + ハルホル、ベテズル、ゲドル、 + マアラテ、ベテアノテ、エルテコン。すなわち六つの町々と、それに属する村々。 + キリアテ・バアルすなわちキリアテ・ヤリム、ラバ。これらの二つの町とそれに属する村々。 + 荒野では、ベテアラバ、ミデン、セカカ、 + ニブシャン、塩の町、エンゲデ。すなわち六つの町々と、それに属する村々。 + しかし、ユダの人々は、エルサレムの住民エブスびとを追い払うことができなかった。それでエブスびとは今日まで、ユダの人々と共にエルサレムに住んでいる。 + + + ヨセフの子孫が、くじによって獲た地の境は、エリコのほとりのヨルダン、すなわちエリコの水の東から起って、荒野に延び、エリコから山地に上っている荒野を経て、ベテルに至り、 + ベテルからルズにおもむき、アルキびとの領地であるアタロテに進み、 + 西に下ってヤフレテびとの領地に達し、下ベテホロンの地域に及び、ゲゼルに達し、海に至って尽きる。 + こうしてヨセフの子孫のマナセと、エフライムとは、その嗣業を受けた。 + エフライムの子孫が、その家族にしたがって獲た地の境は、次のとおりである。彼らの嗣業の東の境は、アタロテ・アダルであって、上ベテホロンに達し、 + その境は、その所から海に及ぶ。北にはミクメタテがあり、東ではその境はタアナテシロで曲り、進んでヤノアの東に至り、 + ヤノアからアタロテとナアラに下り、エリコに達し、ヨルダンに至って尽きる。 + タップアからその境は西に進んで、カナの川に達し、海に至って尽きる。これはエフライムの子孫の部族が、その家族にしたがって獲た嗣業である。 + このほかにマナセの子孫の嗣業のうちにも、エフライムの子孫のために分け与えられた町々があって、そのすべての町々と、それに属する村々を獲た。 + ただし、ゲゼルに住むカナンびとを、追い払わなかったので、カナンびとは今日までエフライムの中に住み、奴隷となって追い使われている。 + + + マナセの部族が、くじによって獲た地は、次のとおりである。マナセはヨセフの長子であった。マナセの長子で、ギレアデの父であるマキルは、軍人であったので、ギレアデとバシャンを獲た。 + マナセの部族の他のものにも、その家族にしたがって、地を与えたが、それは、アビエゼル、ヘレク、アスリエル、シケム、ヘペル、セミダで、これらはヨセフの子マナセの男の子孫であって、その家族にしたがって、あげたものである。 + しかし、マナセの子マキル、その子ギレアデ、その子ヘペル、その子であったゼロペハデには、女の子だけで、男の子がなかった。女の子たちの名は、マヘラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといった。 + 彼女たちは、祭司エレアザル、ヌンの子ヨシュアおよび、つかさたちの前に進み出て、「わたしたちの兄弟と同じように、わたしたちにも、嗣業を与えよと、主はモーセに命じおきになりました」と言ったので、ヨシュアは主の命にしたがって、彼らの父の兄弟たちと同じように、彼女たちにも嗣業を与えた。 + こうしてマナセはヨルダンの向こう側で、ギレアデとバシャンの地のほかに、なお十の部分を獲た。 + マナセの娘たちが、男の子らと共に、嗣業を獲たからである。ギレアデの地は、そのほかのマナセの子孫に分け与えられた。 + マナセの獲た地の境は、アセルからシケムの東のミクメタテに及び、その境は南に延びて、エンタップアの住民に達する。 + タップアの地はマナセに属していたが、マナセの境にあるタップアの町は、エフライムの子孫に属していた。 + またその境はカナの川に下って、川の南に至る。そこの町々はマナセの町々の中にあって、エフライムに属した。マナセの境は、川の北に沿って進み、海に達して尽きる。 + その川の南の地は、エフライムに属し、北はマナセに属する。海がその境となる。マナセは北はアセルに接し、東はイッサカルに接する。 + マナセはまたイッサカルとアセルの中に、ベテシャンとその村々、イブレアムとその村々、ドルの住民とその村々、エンドルの住民とその村々、タアナクの住民とその村々、メギドの住民とその村々を獲た。このうち第三のものは高地である。 + しかし、マナセの子孫は、これらの町々を取ることができなかったので、カナンびとは長くこの地に住み続けようとした。 + しかし、イスラエルの人々が強くなるにしたがって、カナンびとを使役するようになり、ことごとく追い払うことはしなかった。 + ヨセフの子孫はヨシュアに言った、「主が今まで、わたしを祝福されたので、わたしは数の多い民となったのに、あなたはなぜ、わたしの嗣業として、ただ一つのくじ、一つの分だけを、くださったのですか」。 + ヨシュアは彼らに言った、「もしあなたが数の多い民ならば、林に上っていって、そこで、ペリジびとやレパイムびとの地を自分で切り開くがよい。エフライムの山地が、あなたがたには狭いのだから」。 + ヨセフの子孫は答えた、「山地はわたしどもに十分ではありません。かつまた平地におるカナンびとは、ベテシャンとその村々におるものも、エズレルの谷におるものも、みな鉄の戦車を持っています」。 + ヨシュアはまたヨセフの家、すなわちエフライムとマナセに言った、「あなたは数の多い民で、大きな力をもっています。それでただ一つのくじでは足りません。 + 山地をもあなたのものとしなければなりません。それは林ではあるが、切り開いて、向こうの端まで、自分のものとしなければなりません。カナンびとは鉄の戦車があって、強くはあるが、あなたはそれを追い払うことができます」。 + + + そこでイスラエルの人々の全会衆は、その地を征服したので、シロに集まり、そこに会見の幕屋を立てた。 + その時、イスラエルの人々のうちに、まだ嗣業を分かち取らない部族が、七つ残っていたので、 + ヨシュアはイスラエルの人々に言った、「あなたがたは、先祖の神、主が、あなたがたに与えられた地を取りに行くのを、いつまで怠っているのですか。 + 部族ごとに三人ずつを出しなさい。わたしはその人々をつかわしましょう。彼らは立っていって、その地を行き巡り、おのおのの嗣業のために、それを図面にして、わたしのところへ持ってこなければならない。 + 彼らはその地を七つの部分に分けなければならない。ユダは南のその領地にとどまり、ヨセフの家は北のその領地にとどまらなければならない。 + あなたがたは、その地を七つに分けて、図面にし、それをここに、わたしのところへ持ってこなければならない。わたしはここで、われわれの神、主の前に、あなたがたのために、くじを引くであろう。 + レビびとは、あなたがたのうちに何の分をも持たない。主の祭司たることが、彼らの嗣業だからである。またガドとルベンとマナセの半部族とは、ヨルダンの向こう側、東の方で、すでにその嗣業を受けた。それは主のしもべモーセが、彼らに与えたものである」。 + そこでその人々は立って行った。その地の図面を作るために出て行く人々に、ヨシュアは命じて言った、「あなたがたは行って、その地を行き巡り、それを図面にして、わたしのところに持って帰りなさい。わたしはシロで、主の前に、あなたがたのために、ここでくじを引きましょう」。 + こうしてその人々は行って、その地を経めぐり、町々にしたがって、それを七つの部分とし、図面にして、書物に書きしるし、シロの宿営におるヨシュアのもとへ持ってきた。 + ヨシュアはシロで、彼らのために主の前に、くじを引いた。そしてヨシュアはその所で、イスラエルの人々に、それぞれの分として、地を分け与えた。 + まずベニヤミンの子孫の部族のために、その家族にしたがって、くじを引いた。そしてそのくじによって獲た領地は、ユダの子孫と、ヨセフの子孫との間にあった。 + すなわち、その北の方の境は、ヨルダンに始まり、エリコの北のわきに上り、また西の方の山地をとおって上り、ベテアベンの荒野に達して尽きる。 + そこから、その境はルズに進み、ルズの南のわきに至る。ルズはベテルである。ついでその境は下ベテホロンの南の山にあるアタロテ・アダルに下り、 + 西の方では、ベテホロンの南にある山から南に曲り、ユダの子孫の町キリアテ・バアルに至って尽きる。キリアテ・バアルはキリアテ・ヤリムである。これが西の方の境であった。 + また南の方は、キリアテ・ヤリムの端に始まり、その境はそこからエフロンにおもむき、ネフトアの水の源に至り、 + ついでその境は、レパイムの谷の北の端にあるベンヒンノムの谷を見おろす山の端に下り、進んでエブスびとのわきの南、ヒンノムの谷に下り、また下ってエンロゲルに至り、 + 北に曲ってエンシメシにおもむき、アドミムの坂に対するゲリロテにおもむき、ルベンびとボハンの石に下り、 + ベテアラバのわきを北に進んで、アラバに下り、 + その境は、ベテホグラの北のわきに進み、ヨルダンの南端で、塩の海の北の入海に至って尽きる。これが南の境である。 + ヨルダンは東の方の境となっていた。これがベニヤミンの子孫の、その家族にしたがって獲た嗣業の四方の境である。 + ベニヤミンの子孫の部族が、その家族にしたがって獲た町々は、エリコ、ベテホグラ、エメクケジツ、 + ベテアラバ、ゼマライム、ベテル、 + アビム、パラ、オフラ、 + ケパル・アンモニ、オフニ、ゲバ。すなわち十二の町々と、それに属する村々。 + またギベオン、ラマ、ベエロテ、 + ミヅパ、ケピラ、モザ、 + レケム、イルピエル、タララ、 + ゼラ、エレフ、エブスすなわちエルサレム、ギベア、キリアテ・ヤリム。すなわち十四の町々と、それに属する村々。これがベニヤミンの子孫の、その家族にしたがって獲た嗣業である。 + + + 次にシメオンのため、すなわちシメオンの子孫の部族のために、その家族にしたがって、くじを引いた。その嗣業はユダの子孫の嗣業のうちにあった。 + その嗣業として獲たものは、ベエルシバ、すなわちシバ、モラダ、 + ハザル・シュアル、バラ、エゼム、 + エルトラデ、ベトル、ホルマ、 + チクラグ、ベテ・マルカボテ、ハザルスサ、 + ベテレバオテ、シャルヘン。すなわち十三の町々と、それに属する村々。 + またアイン、リンモン、エテル、アシャン。すなわち四つの町々と、それに属する村々。 + およびこれらの町の周囲にあって、バアラテ・ベエル、すなわちネゲブのラマに至るまでのすべての村々。これがシメオンの子孫の部族の、その家族にしたがって獲た嗣業である。 + シメオンの子孫の嗣業は、ユダの子孫の領域のうちにあった。これはユダの子孫の分が大きかったので、シメオンの子孫が、その嗣業を彼らの嗣業の中に獲たからである。 + 第三にゼブルンの子孫のために、その家族にしたがって、くじを引いた。その嗣業の領域はサリデに及び、 + その境は西に上って、マララに至り、ダバセテに達し、ヨクネアムの東にある川に達し、 + サリデから、東の方、日の出の方に曲り、キスロテ・タボルの境に至り、ダベラテに出て、ヤピアに上り、 + そこから東の方、日の出の方に進んで、ガテヘペルとイッタ・カジンに至り、リンモンに進んで、ネアの方に曲る。 + 北ではその境はハンナトンに回り、イフタエルの谷に至って尽きる。 + そしてカッタテ、ナハラル、シムロン、イダラ、ベツレヘムなど十二の町々と、それに属する村々があった。 + これがゼブルンの子孫の、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + 第四にイッサカル、すなわちイッサカルの子孫のために、その家族にしたがって、くじを引いた。 + その領域には、エズレル、ケスロテ、シュネム、 + ハパライム、シオン、アナハラテ、 + ラビテ、キション、エベツ、 + レメテ、エンガンニム、エンハダ、ベテパッゼズがあり、 + その境はタボル、シャハヂマ、ベテシメシに達し、その境はヨルダンに至って尽きる。十六の町々と、それに属する村々があった。 + これがイッサカルの子孫の部族の、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + 第五に、アセルの子孫の部族のために、その家族にしたがって、くじを引いた。 + その領域には、ヘルカテ、ハリ、ベテン、アクサフ、 + アランメレク、アマデ、ミシャルがあり、その境は西では、カルメルとシホル・リブナテに達し、 + それから東に折れて、ベテダゴンに至り、北の方ゼブルンと、イプタエルの谷に達し、ベテエメクおよびネイエルに至り、北はカブルにいで、 + 更にエブロン、レホブ、ハンモン、カナを経て、大シドンに及び、 + それから、その境はラマに曲り、堅固な町ツロに至る。またその境はホサに曲り、海に至って尽きる。そして、マハラブ、アクジブ、 + ウンマ、アペク、レホブなど、二十二の町々と、それに属する村々があった。 + これがアセルの子孫の部族の、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + 第六に、ナフタリの子孫のために、その家族にしたがって、くじを引いた。 + その境はヘレフから、すなわちザアナニイムのかしの木から起り、アダミ・ネケブおよび、ヤブネルを経て、ラクムに至り、ヨルダンに至って尽きる。 + そしてその境は西に向かって、アズノテ・タボルに至り、そこからホッコクに出る。南はゼブルンに接し、西はアセルに接し、東はヨルダンのユダに達する。 + その堅固な町々は、ヂデム、ゼル、ハンマテ、ラッカテ、キンネレテ、 + アダマ、ラマ、ハゾル、 + ケデシ、エデレイ、エンハゾル、 + イロン、ミグダルエル、ホレム、ベテアナテ、ベテシメシなどで、十九の町々と、それに属する村々があった。 + これがナフタリの子孫の部族が、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + 第七に、ダンの子孫の部族のために、その家族にしたがって、くじを引いた。 + その嗣業の領域には、ゾラ、エシタオル、イルシメシ、 + シャラビム、アヤロン、イテラ、 + エロン、テムナ、エクロン、 + エルテケ、ギベトン、バアラテ、 + エホデ、ベネベラク、ガテリンモン、 + メヤルコン、ラッコン、およびヨッパと相対する地域があった。 + ただし、ダンの子孫の領域は、彼らのために小さかったので、ダンの子孫は、上って行き、レセムを攻めてそれを取り、つるぎにかけて撃ち滅ぼし、それを獲てそこに住み、先祖ダンの名にしたがって、レセムをダンと名づけた。 + これがダンの子孫の部族の、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + こうして国の各地域を嗣業として分け与えることを終ったとき、イスラエルの人々は、自分たちのうちに、一つの嗣業を、ヌンの子ヨシュアに与えた。 + すなわち、主の命に従って、彼が求めた町を与えたが、それはエフライムの山地にあるテムナテ・セラであって、彼はその町を建てなおして、そこに住んだ。 + これらは、祭司エレアザル、ヌンの子ヨシュア、およびイスラエルの子孫の部族の族長たちが、シロにおいて会見の幕屋の入口で、主の前に、くじを引いて分け与えた嗣業である。こうして地を分けることを終った。 + + + そこで主はヨシュアに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『先にわたしがモーセによって言っておいた、のがれの町を選び定め、 + あやまって、知らずに人を殺した者を、そこへのがれさせなさい。これはあなたがたが、あだを討つ者をさけて、のがれる場所となるでしょう。 + その人は、これらの町の一つにのがれて行って、町の門の入口に立ち、その町の長老たちに、そのわけを述べなければならない。そうすれば、彼らはその人を町に受け入れて、場所を与え、共に住ませるであろう。 + たとい、あだを討つ者が追ってきても、人を殺したその者を、その手に渡してはならない。彼はあやまって隣人を殺したのであって、もとからそれを憎んでいたのではないからである。 + その人は、会衆の前に立って、さばきを受けるまで、あるいはその時の大祭司が死ぬまで、その町に住まなければならない。そして後、彼は自分の町、自分の家に帰って行って、逃げ出してきたその町に住むことができる』」。 + そこで、ナフタリの山地にあるガリラヤのケデシ、エフライムの山地にあるシケム、およびユダの山地にあるキリアテ・アルバすなわちヘブロンを、これがために選び分かち、 + またヨルダンの向こう側、エリコの東の方では、ルベンの部族のうちから、高原の荒野にあるベゼル、ガドの部族のうちから、ギレアデのラモテ、マナセの部族のうちから、バシャンのゴランを選び定めた。 + これらは、イスラエルのすべての人々、およびそのうちに寄留する他国人のために設けられた町々であって、すべて、あやまって人を殺した者を、そこにのがれさせ、会衆の前に立たないうちに、あだを討つ者の手にかかって死ぬことのないようにするためである。 + + + 時にレビの族長たちは、祭司エレアザル、ヌンの子ヨシュアおよびイスラエルの部族の族長たちのもとにきて、 + カナンの地のシロで彼らに言った、「主はかつて、われわれに住むべき町々を与えることと、それに属する放牧地を、家畜のために与えることを、モーセによって命じられました」。 + それでイスラエルの人々は、主の命にしたがって、自分たちの嗣業のうちから、次の町々と、その放牧地とを、レビびとに与えた。 + まずコハテびとの氏族のために、くじを引いた。祭司アロンの子孫であるこれらのレビびとは、くじによって、ユダの部族、シメオンの部族、およびベニヤミンの部族のうちから、十三の町を獲た。 + その他のコハテびとは、くじによって、エフライムの部族の氏族、ダンの部族、およびマナセの半部族のうちから、十の町を獲た。 + またゲルションびとは、くじによって、イッサカルの部族の氏族、アセルの部族、ナフタリの部族、およびバシャンにあるマナセの半部族のうちから、十三の町を獲た。 + またメラリびとは、その氏族にしたがって、ルベンの部族、ガドの部族、およびゼブルンの部族のうちから、十二の町を獲た。 + イスラエルの人々は、主がモーセによって命じられたとおりに、これらの町と、その放牧地とを、くじによって、レビびとに与えた。 + まずユダの部族と、シメオンの部族のうちから、次に名をあげる町々を与えた。 + これらはレビびとに属するコハテびとの氏族の一つである、アロンの子孫に与えられた。最初のくじが彼らに当ったからである。 + すなわちユダの山地にあるキリアテ・アルバすなわちヘブロンおよびその周囲の放牧地を彼らに与えた。このアルバはアナクの父であった。 + ただし、この町の畑と、それに属する村々とは、すでにエフンネの子カレブが、それを受けて所有していた。 + 祭司アロンの子孫に与えたのは、人を殺した者の、のがれる町であるヘブロンとその放牧地、リブナとその放牧地、 + ヤッテルとその放牧地、エシテモアとその放牧地、 + ホロンとその放牧地、デビルとその放牧地、 + アインとその放牧地、ユッタとその放牧地、ベテシメシとその放牧地など、九つの町であって、この二つの部族のうちから分け与えたものである。 + またベニヤミンの部族のうちから、ギベオンとその放牧地、ゲバとその放牧地、 + アナトテとその放牧地、アルモンとその放牧地など、四つの町を与えた。 + アロンの子孫である祭司たちの町は、合わせて十三であって、それに属する放牧地があった。 + その他のコハテびとであるレビびとの氏族は、くじによって、エフライムの部族のうちから町を獲た。 + すなわち、その町は、人を殺したものの、のがれる町であるエフライムの山地のシケムとその放牧地、ゲゼルとその放牧地、 + キブザイムとその放牧地、ベテホロンとその放牧地など、四つの町である。 + またダンの部族のうちから分け与えた町は、エルテケとその放牧地、ギベトンとその放牧地、 + アヤロンとその放牧地、ガテリンモンとその放牧地など、四つの町である。 + またマナセの半部族のうちから分け与えた町は、タアナクとその放牧地、およびガテリンモンとその放牧地など、二つの町である。 + その他のコハテびとの氏族の町は、合わせて十であって、それに属する放牧地があった。 + ゲルションびとであるレビびとの氏族の一つに与えられた町は、マナセの半部族のうちからは、人を殺した者の、のがれる町であるバシャンのゴランとその放牧地、およびベエシテラとその放牧地など、二つの町である。 + イッサカルの部族のうちからは、キションとその放牧地、ダベラテとその放牧地、 + ヤルムテとその放牧地、エンガンニムとその放牧地など、四つの町である。 + アセルの部族のうちからは、ミシャルとその放牧地、アブドンとその放牧地、 + ヘルカテとその放牧地、レホブとその放牧地など、四つの町である。 + ナフタリの部族のうちからは、人を殺した者の、のがれる町であるガリラヤのケデシとその放牧地、ハンモテ・ドルとその放牧地、カルタンとその放牧地など、三つの町である。 + ゲルションびとが、その氏族にしたがって獲た町は、合わせて十三の町であって、それに属する放牧地があった。 + その他のレビびとである、メラリびとの氏族に与えられた町は、ゼブルンの部族のうちからは、ヨクネアムとその放牧地、カルタとその放牧地、 + デムナとその放牧地、ナハラルとその放牧地など、四つの町である。 + ルベンの部族のうちからは、ベゼルとその放牧地、ヤハヅとその放牧地、 + ケデモテとその放牧地、メパアテとその放牧地など、四つの町である。 + ガドの部族のうちからは、人を殺した者の、のがれる町であるギレアデのラモテとその放牧地、マハナイムとその放牧地、 + ヘシボンとその放牧地、ヤゼルとその放牧地など、合わせて四つの町である。 + これらはみな、ほかのレビびとであるメラリびとが、その氏族にしたがって、くじをもって獲た町であって、合わせて十二であった。 + イスラエルの人々の所有のうちに、レビびとが持った町々は、合わせて四十八であって、それに属する放牧地があった。 + これらの町々は、それぞれその周囲に放牧地があった。これらの町々はみなそうであった。 + このように、主が、イスラエルに与えると、その先祖たちに誓われた地を、ことごとく与えられたので、彼らはそれを獲て、そこに住んだ。 + 主は彼らの先祖たちに誓われたように、四方に安息を賜わったので、すべての敵のうち、ひとりも彼らに手向かう者はなかった。主が敵をことごとく彼らの手に渡されたからである。 + 主がイスラエルの家に約束されたすべての良いことは、一つとしてたがわず、みな実現した。 + + + 時にヨシュアは、ルベンびと、ガドびと、およびマナセの部族の半ばを呼び集めて、 + 言った、「あなたがたは主のしもべモーセが命じたことを、ことごとく守り、またわたしの命じたすべての事にも、わたしの言葉に聞きしたがいました。 + 今日まで長い年月の間、あなたがたの兄弟たちを捨てず、あなたがたの神、主の命令を、よく守ってきました。 + 今はすでに、あなたがたの神、主が、あなたがたの兄弟たちに、先に約束されたとおり、安息を賜わるようになりました。それで、あなたがたは身を返して、主のしもべモーセが、あなたがたに与えたヨルダンの向こう側の所有の地に行き、自分たちの天幕に帰りなさい。 + ただ主のしもべモーセが、あなたがたに命じた戒めと、律法とを慎んで行い、あなたがたの神、主を愛し、そのすべての道に歩み、その命令を守って、主につき従い、心をつくし、精神をつくして、主に仕えなさい」。 + そしてヨシュアが彼らを祝福して去らせたので、彼らはその天幕に帰った。 + マナセの部族の半ばには、すでにモーセがバシャンで所有地を与えたが、他の半ばには、ヨシュアがヨルダンのこちら側、西の方で、その兄弟たちのうちに、所有地を与えた。ヨシュアは、彼らをその天幕に送りかえす時、彼らを祝福して、 + 言った、「あなたがたは多くの貨財と、おびただしい数の家畜と、金、銀、青銅、鉄、および多くの衣服を持って天幕に帰り、敵から獲たぶんどり物を兄弟たちに分けなさい」。 + こうしてルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの部族の半ばは、主がモーセによって命じられたように、すでに自分の所有地となっているギレアデの地に行こうと、カナンの地のシロで、イスラエルの人々と別れて帰って行った。 + ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの部族の半ばが、カナンの地のヨルダンのほとりにきた時、その所で、ヨルダンの岸べに一つの祭壇を築いた。それは大きくて遠くから見える祭壇であった。 + イスラエルの人々は、「ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの部族の半ばが、カナンの地の国境、ヨルダンのほとりのイスラエルの人々に属する方で、一つの祭壇を築いた」といううわさを聞いた。 + イスラエルの人々が、それを聞くとひとしく、イスラエルの人々の全会衆はシロに集まって、彼らの所に攻め上ろうとした。 + そしてイスラエルの人々は、祭司エレアザルの子ピネハスをギレアデの地のルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの半部族の所につかわし、 + イスラエルの各部族のうちから、父祖の家のつかさ、ひとりずつをあげて、合わせて十人のつかさたちを、彼と共に行かせた。これらはみなイスラエルの氏族のうちで、父祖の家のかしらたる人々であった。 + 彼らはギレアデの地に行き、ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの半部族に語って言った、 + 「主の全会衆はこう言います、『あなたがたがイスラエルの神にむかって、とがを犯し、今日、ひるがえって主に従うことをやめ、自分のために一つの祭壇を築いて、今日、主にそむこうとするのは何事か。 + ペオルで犯した罪で、なお足りないとするのか。それがために主の会衆に災が下ったが、われわれは今日もなお、その罪から清められていない。 + しかもあなたがたは、今日、ひるがえって主に従うことをやめようとするのか。あなたがたが、きょう、主にそむくならば、あす、主はイスラエルの全会衆にむかって怒られるであろう。 + もしあなたがたの所有の地が清くないのであれば、主の幕屋の立っている主の所有の地に渡ってきて、われわれのうちに、所有の地を獲なさい。ただ、われわれの神、主の祭壇のほかに、自分のために祭壇を築いて、主にそむき、またわれわれをそむく者とならせないでください。 + ゼラの子アカンは、のろわれた物について、とがを犯し、それがためイスラエルの全会衆に、怒りが臨んだではないか。またその罪によって滅びた者は、彼ひとりではなかった』」。 + その時、ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの半部族は、イスラエルの氏族のかしらたちに答えて言った、 + 「力ある者、神、主。力ある者、神、主。主は知ろしめす。イスラエルもまた知らなければならない。もしそれがそむくことであり、あるいは主に罪を犯すことであるならば、きょう、われわれをゆるさないでください。 + われわれが祭壇を築いたことが、もし主に従うことをやめるためであり、またその上に、燔祭、素祭をささげるためであり、あるいはまたその上に、酬恩祭の犠牲をささげるためであったならば、主みずから、その罪を問いただしてください。 + しかし、われわれは次のことを考えてしたのです。すなわち、のちの日になって、あなたがたの子孫が、われわれの子孫にむかって言うことがあるかも知れません、『あなたがたは、イスラエルの神、主と、なんの関係があるのですか。 + ルベンの子孫と、ガドの子孫よ、主は、あなたがたと、われわれとの間に、ヨルダンを境とされました。あなたがたは主の民の特権がありません』。こう言って、あなたがたの子孫が、われわれの子孫に、主を拝むことをやめさせるかも知れないので、 + われわれは言いました、『さあ、われわれは一つの祭壇を築こう。燔祭のためではなく、また犠牲のためでもなく、 + ただあなたがたと、われわれとの間、およびわれわれの後の子孫の間に、証拠とならせて、われわれが、燔祭と犠牲、および酬恩祭をもって、主の前で、主につとめをするためである。こうすれば、のちの日になって、あなたがたの子孫が、われわれの子孫に、「あなたがたは主の民の特権がありません」とは言わないであろう』。 + またわれわれは言いました、『のちの日に、われわれ、またわれわれの子孫が、もしそのようなことを言われるならば、その時、われわれは言おう、「われわれの先祖が造った主の祭壇の型をごらんなさい。これは燔祭のためではなく、また犠牲のためでもなく、あなたがたと、われわれとの間の証拠である」。 + 主にそむき、ひるがえって今日、主に従うことをやめて、われわれの神、主の幕屋の前にある祭壇のほかに、燔祭、素祭、または犠牲をささげるための祭壇を築くようなことは、決していたしません』」。 + 祭司ピネハス、および会衆のつかさたち、すなわち彼と共に行ったイスラエルの氏族のかしらたちは、ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの子孫が語った言葉を聞いて、それを良しとした。 + そして祭司エレアザルの子ピネハスは、ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの子孫に言った、「今日、われわれは、主がわれわれのうちにいますことを知った。あなたがたが、主にむかって、このとがを犯さなかったからである。あなたがたは今、イスラエルの人々を、主の手から救い出したのです」。 + こうして祭司エレアザルの子ピネハスと、つかさたちは、ルベンの子孫、およびガドの子孫に別れて、ギレアデの地からカナンの地に帰り、イスラエルの人々のところに行って復命したので、 + イスラエルの人々はそれを良しとした。そしてイスラエルの人々は神をほめたたえ、ルベンの子孫、およびガドの子孫の住んでいる国を滅ぼすために攻め上ろうとは、もはや言わなかった。 + ルベンの子孫とガドの子孫は、その祭壇を「あかし」と名づけて言った、「これは、われわれの間にあって、主が神にいますというあかしをするものである」。 + + + 主がイスラエルの周囲の敵を、ことごとく除いて、イスラエルに安息を賜わってのち、久しくたち、ヨシュアも年が進んで老いた。 + ヨシュアはイスラエルのすべての人、その長老、かしらたち、さばきびと、つかさびとたちを呼び集めて言った、「わたしは年も進んで老人となった。 + あなたがたは、すでにあなたがたの神、主が、このもろもろの国びとに行われたすべてのことを見た。あなたがたのために戦われたのは、あなたがたの神、主である。 + 見よ、わたしはヨルダンから、日の入る方、大海までの、このもろもろの残っている国々と、すでにわたしが滅ぼし去ったすべての国々を、くじをもって、あなたがたに分け与え、あなたがたの各部族の嗣業とさせた。 + あなたがたの前から、その国民を打ち払い、あなたがたの目の前から追い払われるのは、あなたがたの神、主である。そしてあなたがたの神、主が約束されたように、あなたがたは彼らの地を獲るであろう。 + それゆえ、あなたがたは堅く立って、モーセの律法の書にしるされていることを、ことごとく守って行わなければならない。それを離れて右にも左にも曲ってはならない。 + あなたがたのうちに残っている、これらの国民と交じってはならない。彼らの神々の名を唱えてはならない。それをさして誓ってはならない。またそれに仕え、それを拝んではならない。 + ただ、今日までしてきたように、あなたがたの神、主につき従わなければならない。 + 主が大いなる強き国民を、あなたがたの前から追い払われた。あなたがたには今日まで、立ち向かうことのできる者は、ひとりもなかった。 + あなたがたのひとりは、千人を追い払うことができるであろう。あなたがたの神、主が約束されたように、みずからあなたがたのために戦われるからである。 + それゆえ、あなたがたは深く慎んで、あなたがたの神、主を愛さなければならない。 + しかし、あなたがたがもしひるがえって、これらの国民の、生き残って、あなたがたの中にとどまる者どもと親しくなり、これと婚姻し、ゆききするならば、 + あなたがたは、しかと知らなければならない。あなたがたの神、主は、もはや、これらの国民をあなたがたの前から、追い払うことをされないであろう。彼らは、かえって、あなたがたのわなとなり、網となり、あなたがたのわきに、むちとなり、あなたがたの目に、とげとなって、あなたがたはついに、あなたがたの神、主が賜わったこの良い地から、滅びうせるであろう。 + 見よ、今日、わたしは世の人のみな行く道を行こうとする。あなたがたがみな、心のうちにまた、肝に銘じて知っているように、あなたがたの神、主が、あなたがたについて約束されたもろもろの良いことで、一つも欠けたものはなかった。みなあなたがたに臨んで、一つも欠けたものはなかった。 + しかし、あなたがたの神、主があなたがたについて約束された、もろもろの良いことが、あなたがたに臨んだように、主はまた、もろもろの悪いことをあなたがたに下して、あなたがたの神、主が賜わったこの良い地から、ついに、あなたがたを滅ぼし断たれるであろう。 + もし、あなたがたの神、主が命じられたその契約を犯し、行って他の神々に仕え、それを拝むならば、主はあなたがたにむかって怒りを発し、あなたがたは、主が賜わった良い地から、すみやかに滅びうせるであろう」。 + + + ヨシュアは、イスラエルのすべての部族をシケムに集め、イスラエルの長老、かしら、さばきびと、つかさたちを召し寄せて、共に神の前に進み出た。 + そしてヨシュアはすべての民に言った、「イスラエルの神、主は、こう仰せられる、『あなたがたの先祖たち、すなわちアブラハムの父、ナホルの父テラは、昔、ユフラテ川の向こうに住み、みな、ほかの神々に仕えていたが、 + わたしは、あなたがたの先祖アブラハムを、川の向こうから連れ出して、カナンの全地を導き通り、その子孫を増した。わたしは彼にイサクを与え、 + イサクにヤコブとエサウを与え、エサウにはセイルの山地を与えて、所有とさせたが、ヤコブとその子供たちはエジプトに下った。 + わたしはモーセとアロンをつかわし、またエジプトのうちに不思議をおこなって、これに災を下し、その後あなたがたを導き出した。 + わたしはあなたがたの父たちを、エジプトから導き出し、あなたがたが海にきたとき、エジプトびとは、戦車と騎兵とをもって、あなたがたの父たちを紅海に追ってきた。 + そのとき、あなたがたの父たちが主に呼ばわったので、主は暗やみをあなたがたとエジプトびととの間に置き、海を彼らの上に傾けて彼らをおおわれた。あなたがたは、わたしがエジプトでしたことを目で見た。そして長い間、荒野に住んでいた。 + わたしはまたヨルダンの向こう側に住んでいたアモリびとの地に、あなたがたを導き入れた。彼らはあなたがたと戦ったので、わたしは彼らをあなたがたの手に渡して、彼らの地を獲させ、彼らをあなたがたの前から滅ぼし去った。 + ついで、モアブの王チッポルの子バラクが立って、イスラエルに敵し、人をつかわし、ベオルの子バラムを招き、あなたがたをのろわせようとしたが、 + わたしがバラムに聞こうとしなかったので、彼は、かえって、あなたがたを祝福した。こうしてわたしは彼の手からあなたがたを救い出した。 + そしてあなたがたは、ヨルダンを渡って、エリコにきたが、エリコの人々はあなたがたと戦い、アモリびと、ペリジびと、カナンびと、ヘテびと、ギルガシびと、ヒビびと、およびエブスびとも、あなたがたと戦ったが、わたしは彼らをあなたがたの手に渡した。 + わたしは、あなたがたの前に、くまばちを送って、あのアモリびとのふたりの王を、あなたがたの前から追い払った。これはあなたがたのつるぎ、または、あなたがたの弓によってではなかった。 + そしてわたしは、あなたがたが自分で労しなかった地を、あなたがたに与え、あなたがたが建てなかった町を、あなたがたに与えた。そしてあなたがたはいまその所に住んでいる。あなたがたはまた自分で作らなかったぶどう畑と、オリブ畑の実を食べている』。 + それゆえ、いま、あなたがたは主を恐れ、まことと、まごころと、真実とをもって、主に仕え、あなたがたの先祖が、川の向こう、およびエジプトで仕えた他の神々を除き去って、主に仕えなさい。 + もしあなたがたが主に仕えることを、こころよしとしないのならば、あなたがたの先祖が、川の向こうで仕えた神々でも、または、いまあなたがたの住む地のアモリびとの神々でも、あなたがたの仕える者を、きょう、選びなさい。ただし、わたしとわたしの家とは共に主に仕えます」。 + その時、民は答えて言った、「主を捨てて、他の神々に仕えるなど、われわれは決していたしません。 + われわれの神、主がみずからわれわれと、われわれの先祖とを、エジプトの地、奴隷の家から導き上り、またわれわれの目の前で、あの大いなるしるしを行い、われわれの行くすべての道で守り、われわれが通ったすべての国民の中でわれわれを守られたからです。 + 主はまた、この地に住んでいたアモリびとなど、すべての民を、われわれの前から追い払われました。それゆえ、われわれも主に仕えます。主はわれわれの神だからです」。 + しかし、ヨシュアは民に言った、「あなたがたは主に仕えることはできないであろう。主は聖なる神であり、ねたむ神であって、あなたがたの罪、あなたがたのとがを、ゆるされないからである。 + もしあなたがたが主を捨てて、異なる神々に仕えるならば、あなたがたにさいわいを下されたのちにも、ひるがえってあなたがたに災をくだし、あなたがたを滅ぼしつくされるであろう」。 + 民はヨシュアに言った、「いいえ、われわれは主に仕えます」。 + そこでヨシュアは民に言った、「あなたがたは主を選んで、主に仕えると言った。あなたがたみずからその証人である」。彼らは言った、「われわれは証人です」。 + ヨシュアはまた言った、「それならば、あなたがたのうちにある、異なる神々を除き去り、イスラエルの神、主に、心を傾けなさい」。 + 民はヨシュアに言った、「われわれの神、主に、われわれは仕え、その声に聞きしたがいます」。 + こうしてヨシュアは、その日、民と契約をむすび、シケムにおいて、定めと、おきてを、彼らのために設けた。 + ヨシュアはこれらの言葉を神の律法の書にしるし、大きな石を取って、その所で、主の聖所にあるかしの木の下にそれを立て、 + ヨシュアは、すべての民に言った、「見よ、この石はわれわれのあかしとなるであろう。主がわれわれに語られたすべての言葉を、聞いたからである。それゆえ、あなたがたが自分の神を捨てることのないために、この石が、あなたがたのあかしとなるであろう」。 + こうしてヨシュアは民を、おのおのその嗣業の地に帰し去らせた。 + これらの事の後、主のしもべ、ヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ、 + 人々は彼をその嗣業の地のうちのテムナテ・セラに葬った。テムナテ・セラは、エフライムの山地で、ガアシ山の北にある。 + イスラエルはヨシュアの世にある日の間、また主がイスラエルのために行われたもろもろのことを知っていて、ヨシュアのあとに生き残った長老たちが世にある日の間、つねに主に仕えた。 + イスラエルの人々が、エジプトから携え上ったヨセフの骨は、むかしヤコブが銀百枚で、シケムの父ハモルの子らから買い取ったシケムのうちの地所の一部に葬られた。これはヨセフの子孫の嗣業となった。 + アロンの子エレアザルも死んだ。人々は彼を、その子ピネハスに与えられた町で、エフライムの山地にあるギベアに葬った。 + +
+
+ + ヨシュアが死んだ後、イスラエルの人々は主に問うて言った、「わたしたちのうち、だれが先に攻め上って、カナンびとと戦いましょうか」。 + 主は言われた、「ユダが上るべきである。わたしはこの国を彼の手にわたした」。 + ユダはその兄弟シメオンに言った、「わたしと一緒に、わたしに割り当てられた領地へ上って行って、カナンびとと戦ってください。そうすればわたしもあなたと一緒に、あなたに割り当てられた領地へ行きましょう」。そこでシメオンは彼と一緒に行った。 + ユダが上って行くと、主は彼らの手にカナンびととペリジびととをわたされたので、彼らはベゼクで一万人を撃ち破り、 + またベゼクでアドニベゼクに会い、彼と戦ってカナンびととペリジびととを撃ち破った。 + アドニベゼクは逃げたが、彼らはそのあとを追って彼を捕え、その手足の親指を切り放った。 + アドニベゼクは言った、「かつて七十人の王たちが手足の親指を切られて、わたしの食卓の下で、くずを拾ったことがあったが、神はわたしがしたように、わたしに報いられたのだ」。人々は彼をエルサレムへ連れて行ったが、彼はそこで死んだ。 + ユダの人々はエルサレムを攻めて、これを取り、つるぎをもってこれを撃ち、町に火を放った。 + その後、ユダの人々は山地とネゲブと平地に住んでいるカナンびとと戦うために下ったが、 + ユダはまずヘブロンに住んでいるカナンびとを攻めて、セシャイとアヒマンとタルマイを撃ち破った。ヘブロンのもとの名はキリアテ・アルバであった。 + またそこから進んでデビルの住民を攻めた。(デビルのもとの名はキリアテ・セペルであった。) + 時にカレブは言った、「キリアテ・セペルを撃って、これを取る者には、わたしの娘アクサを妻として与えるであろう」。 + カレブの弟ケナズの子オテニエルがそれを取ったので、カレブは娘アクサを妻として彼に与えた。 + アクサは行くとき彼女の父に畑を求めることを夫にすすめられたので、アクサがろばから降りると、カレブは彼女に言った、「あなたは何を望むのか」。 + アクサは彼に言った、「わたしに贈り物をください。あなたはわたしをネゲブの地へやられるのですから、泉をもください」。それでカレブは上の泉と下の泉とを彼女に与えた。 + モーセのしゅうとであるケニびとの子孫はユダの人々と共に、しゅろの町からアラドに近いネゲブにあるユダの野に上ってきて、アマレクびとと共に住んだ。 + そしてユダはその兄弟シメオンと共に行って、ゼパテに住んでいたカナンびとを撃ち、それをことごとく滅ぼした。これによってその町の名はホルマと呼ばれた。 + ユダはまたガザとその地域、アシケロンとその地域、エクロンとその地域を取った。 + 主がユダと共におられたので、ユダはついに山地を手に入れたが、平地に住んでいた民は鉄の戦車をもっていたので、これを追い出すことができなかった。 + 人々はモーセがかつて言ったように、ヘブロンをカレブに与えたので、カレブはその所からアナクの三人の子を追い出した。 + ベニヤミンの人々はエルサレムに住んでいたエブスびとを追い出さなかったので、エブスびとは今日までベニヤミンの人々と共にエルサレムに住んでいる。 + ヨセフの一族はまたベテルに攻め上ったが、主は彼らと共におられた。 + すなわちヨセフの一族は人をやってベテルを探らせた。この町のもとの名はルズであった。 + その斥候たちは町から出てきた人を見て、言った、「どうぞこの町にはいる道を教えてください。そうすればわたしたちはあなたに恵みを施しましょう」。 + 彼が町にはいる道を教えたので、彼らはつるぎをもって町を撃った。しかし、かの人とその家族は自由に去らせた。 + その人はヘテびとの地に行って町を建て、それをルズと名づけた。これは今日までその名である。 + マナセはベテシャンとその村里の住民、タアナクとその村里の住民、ドルとその村里の住民、イブレアムとその村里の住民、メギドとその村里の住民を追い出さなかったので、カナンびとは引き続いてその地に住んでいたが、 + イスラエルは強くなったとき、カナンびとを強制労働に服させ、彼らをことごとくは追い出さなかった。 + またエフライムはゲゼルに住んでいたカナンびとを追い出さなかったので、カナンびとはゲゼルにおいて彼らのうちに住んでいた。 + ゼブルンはキテロンの住民およびナハラルの住民を追い出さなかったので、カナンびとは彼らのうちに住んで強制労働に服した。 + アセルはアッコの住民およびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブの住民を追い出さなかったので、 + アセルびとは、その地の住民であるカナンびとのうちに住んでいた。彼らが追い出さなかったからである。 + ナフタリはベテシメシの住民およびベテアナテの住民を追い出さずに、その地の住民であるカナンびとのうちに住んでいた。しかしベテシメシとベテアナテの住民は、ついに彼らの強制労働に服した。 + アモリびとはダンの人々を山地に追い込んで平地に下ることを許さなかった。 + アモリびとは引き続いてハルヘレス、アヤロン、シャラビムに住んでいたが、ヨセフの一族の手が強くなったので、彼らは強制労働に服した。 + アモリびとの境はアクラビムの坂からセラを経て上の方に及んだ。 + + + 主の使がギルガルからボキムに上って言った、「わたしはあなたがたをエジプトから上らせて、あなたがたの先祖に誓った地に連れてきて、言った、『わたしはあなたと結んだ契約を決して破ることはない。 + あなたがたはこの国の住民と契約を結んではならない。彼らの祭壇をこぼたなければならない』と。しかし、あなたがたはわたしの命令に従わなかった。あなたがたは、なんということをしたのか。 + それでわたしは言う、『わたしはあなたがたの前から彼らを追い払わないであろう。彼らはかえってあなたがたの敵となり、彼らの神々はあなたがたのわなとなるであろう』と」。 + 主の使がこれらの言葉をイスラエルのすべての人々に告げたので、民は声をあげて泣いた。 + それでその所の名をボキムと呼んだ。そして彼らはその所で主に犠牲をささげた。 + ヨシュアが民を去らせたので、イスラエルの人々はおのおのその領地へ行って土地を獲た。 + 民はヨシュアの在世中も、またヨシュアのあとに生き残った長老たち、すなわち主がかつてイスラエルのために行われたすべての大いなるわざを見た人々の在世中も主に仕えた。 + こうして主のしもべヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ。 + 人々は彼をエフライムの山地のガアシ山の北のテムナテ・ヘレスにある彼の領地内に葬った。 + そしてその時代の者もまたことごとくその先祖たちのもとにあつめられた。その後ほかの時代が起ったが、これは主を知らず、また主がイスラエルのために行われたわざをも知らなかった。 + イスラエルの人々は主の前に悪を行い、もろもろのバアルに仕え、 + かつてエジプトの地から彼らを導き出された先祖たちの神、主を捨てて、ほかの神々すなわち周囲にある国民の神々に従い、それにひざまずいて、主の怒りをひき起した。 + すなわち彼らは主を捨てて、バアルとアシタロテに仕えたので、 + 主の怒りがイスラエルに対して燃え、かすめ奪う者の手にわたして、かすめ奪わせ、かつ周囲のもろもろの敵の手に売られたので、彼らは再びその敵に立ち向かうことができなかった。 + 彼らがどこへ行っても、主の手は彼らに災をした。これは主がかつて言われ、また主が彼らに誓われたとおりで、彼らはひどく悩んだ。 + その時、主はさばきづかさを起して、彼らをかすめ奪う者の手から救い出された。 + しかし彼らはそのさばきづかさにも従わず、かえってほかの神々を慕ってそれと姦淫を行い、それにひざまずき、先祖たちが主の命令に従って歩んだ道を、いちはやく離れ去って、そのようには行わなかった。 + 主が彼らのためにさばきづかさを起されたとき、そのさばきづかさの在世中、主はさばきづかさと共におられて、彼らを敵の手から救い出された。これは彼らが自分をしえたげ悩ました者のゆえに、うめき悲しんだので、主が彼らをあわれまれたからである。 + しかしさばきづかさが死ぬと、彼らはそむいて、先祖たちにまさって悪を行い、ほかの神々に従ってそれに仕え、それにひざまずいてそのおこないをやめず、かたくなな道を離れなかった。 + それで主はイスラエルに対し激しく怒って言われた、「この民はわたしがかつて先祖たちに命じた契約を犯し、わたしの命令に従わないゆえ、 + わたしもまたヨシュアが死んだときに残しておいた国民を、この後、彼らの前から追い払わないであろう。 + これはイスラエルが、先祖たちの守ったように主の道を守ってそれに歩むかどうかをわたしが試みるためである」。 + それゆえ主はこれらの国民を急いで追い払わずに残しておいて、ヨシュアの手にわたされなかったのである。 + + + すべてカナンのもろもろの戦争を知らないイスラエルの人々を試みるために、主が残しておかれた国民は次のとおりである。 + これはただイスラエルの代々の子孫、特にまだ戦争を知らないものに、それを教え知らせるためである。 + すなわちペリシテびとの五人の君たちと、すべてのカナンびとと、シドンびとおよびレバノン山に住んで、バアル・ヘルモン山からハマテの入口までを占めていたヒビびとなどであって、 + これらをもってイスラエルを試み、主がモーセによって先祖たちに命じられた命令に、彼らが従うかどうかを知ろうとされたのである。 + しかるにイスラエルの人々はカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのうちに住んで、 + 彼らの娘を妻にめとり、また自分たちの娘を彼らのむすこに与えて、彼らの神々に仕えた。 + こうしてイスラエルの人々は主の前に悪を行い、自分たちの神、主を忘れて、バアルおよびアシラに仕えた。 + そこで主はイスラエルに対して激しく怒り、彼らをメソポタミヤの王クシャン・リシャタイムの手に売りわたされたので、イスラエルの人々は八年の間、クシャン・リシャタイムに仕えた。 + しかし、イスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主はイスラエルの人々のために、ひとりの救助者を起して彼らを救われた。すなわちカレブの弟、ケナズの子オテニエルである。 + 主の霊がオテニエルに臨んだので、彼はイスラエルをさばいた。彼が戦いに出ると、主はメソポタミヤの王クシャン・リシャタイムをその手にわたされたので、オテニエルの手はクシャン・リシャタイムに勝ち、 + 国は四十年のあいだ太平であった。ケナズの子オテニエルはついに死んだ。 + イスラエルの人々はまた主の前に悪をおこなった。すなわち彼らが主の前に悪をおこなったので、主はモアブの王エグロンを強めて、イスラエルに敵対させられた。 + エグロンはアンモンおよびアマレクの人々を集め、きてイスラエルを撃ち、しゅろの町を占領した。 + こうしてイスラエルの人々は十八年の間モアブの王エグロンに仕えた。 + しかしイスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主は彼らのために、ひとりの救助者を起された。すなわちベニヤミンびと、ゲラの子、左ききのエホデである。イスラエルの人々は彼によってモアブの王エグロンに、みつぎ物を送った。 + エホデは長さ一キュビトのもろ刃のつるぎを作らせ、それを衣の下、右のももの上に帯びて、 + モアブの王エグロンにみつぎ物をもってきた。エグロンは非常に肥えた人であった。 + エホデがみつぎ物をささげ終ったとき、彼はみつぎ物をになってきた民を帰らせ、 + かれ自身はギルガルに近い石像のある所から引きかえして言った、「王よ、わたしはあなたに申しあげる機密をもっています」。そこで王は「さがっておれ」と言ったので、かたわらに立っている者は皆出て行った。 + エホデが王のところにはいって来ると、王はひとりで涼みの高殿に座していたので、エホデが「わたしは神の命によってあなたに申しあげることがあります」と言うと、王は座から立ちあがった。 + そのときエホデは左の手を伸ばし、右のももからつるぎをとって王の腹を刺した。 + つるぎのつかも刃と共にはいったが、つるぎを腹から抜き出さなかったので、脂肪が刃をふさいだ。そして汚物が出た。 + エホデは廊下に出て、王のおる高殿の戸を閉じ、錠をおろした。 + 彼が出た後、王のしもべどもがきて、高殿の戸に錠のおろされてあるのを見て、「王はきっと涼み殿のへやで足をおおっておられるのだ」と思った。 + しもべどもは長いあいだ待っていたが、王がなお高殿の戸を開かないので、心配してかぎをとって開いて見ると、王は床にたおれて死んでいた。 + エホデは彼らのためらうまに、のがれて石像のある所を過ぎ、セイラに逃げていった。 + 彼が行ってエフライムの山地にラッパを吹き鳴らしたので、イスラエルの人々は彼と共に山地から下ってエホデに従った。 + エホデは彼らに言った、「わたしについてきなさい。主はあなたがたの敵モアブびとをあなたがたの手にわたされます」。そこで彼らはエホデに従って下り、ヨルダンの渡し場をおさえ、モアブびとをひとりも渡らせなかった。 + そのとき彼らはモアブびとおおよそ一万人を殺した。これはいずれも肥え太った勇士であって、ひとりも、のがれた者がなかった。 + こうしてモアブはその日イスラエルの手に服し、国は八十年のあいだ太平であった。 + エホデの後、アナテの子シャムガルが起り、牛のむちをもってペリシテびと六百人を殺した。この人もまたイスラエルを救った。 + + + エホデが死んだ後、イスラエルの人々がまた主の前に悪をおこなったので、 + 主は、ハゾルで世を治めていたカナンの王ヤビンの手に彼らを売りわたされた。ヤビンの軍勢の長はハロセテ・ゴイムに住んでいたシセラであった。 + 彼は鉄の戦車九百両をもち、二十年の間イスラエルの人々を激しくしえたげたので、イスラエルの人々は主に向かって呼ばわった。 + そのころラピドテの妻、女預言者デボラがイスラエルをさばいていた。 + 彼女はエフライムの山地のラマとベテルの間にあるデボラのしゅろの木の下に座し、イスラエルの人々は彼女のもとに上ってきて、さばきをうけた。 + デボラは人をつかわして、ナフタリのケデシからアビノアムの子バラクを招いて言った、「イスラエルの神、主はあなたに、こう命じられるではありませんか、『ナフタリの部族とゼブルンの部族から一万人を率い、行って、タボル山に陣をしけ。 + わたしはヤビンの軍勢の長シセラとその戦車と軍隊とをキション川に引き寄せて、あなたに出あわせ、彼をあなたの手にわたすであろう』」。 + バラクは彼女に言った、「あなたがもし一緒に行ってくだされば、わたしは行きます。しかし、一緒に行ってくださらないならば、行きません」。 + デボラは言った、「必ずあなたと一緒に行きます。しかしあなたは今行く道では誉を得ないでしょう。主はシセラを女の手にわたされるからです」。デボラは立ってバラクと一緒にケデシに行った。 + バラクはゼブルンとナフタリをケデシに呼び集め、一万人を従えて上った。デボラも彼と共に上った。 + 時にケニびとヘベルはモーセのしゅうとホバブの子孫であるケニびとから分れて、ケデシに近いザアナイムのかしの木までも遠く行って天幕を張っていた。 + アビノアムの子バラクがタボル山に上ったと、人々がシセラに告げたので、 + シセラは自分の戦車の全部すなわち鉄の戦車九百両と、自分と共におるすべての民をハロセテ・ゴイムからキション川に呼び集めた。 + デボラはバラクに言った、「さあ、立ちあがりなさい。きょうは主がシセラをあなたの手にわたされる日です。主はあなたに先立って出られるではありませんか」。そこでバラクは一万人を従えてタボル山から下った。 + 主はつるぎをもってシセラとすべての戦車および軍勢をことごとくバラクの前に撃ち敗られたので、シセラは戦車から飛びおり、徒歩で逃げ去った。 + バラクは戦車と軍勢とを追撃してハロセテ・ゴイムまで行った。シセラの軍勢はことごとくつるぎにたおれて、残ったものはひとりもなかった。 + しかしシセラは徒歩で逃げ去って、ケニびとヘベルの妻ヤエルの天幕に行った。ハゾルの王ヤビンとケニびとヘベルの家とは互にむつまじかったからである。 + ヤエルは出てきてシセラを迎え、彼に言った、「おはいりください。主よ、どうぞうちへおはいりください。恐れるにはおよびません」。シセラが天幕にはいったので、ヤエルは毛布をもって彼をおおった。 + シセラはヤエルに言った、「どうぞ、わたしに水を少し飲ませてください。のどがかわきましたから」。ヤエルは乳の皮袋を開いて彼に飲ませ、また彼をおおった。 + シセラはまたヤエルに言った、「天幕の入口に立っていてください。もし人がきて、あなたに『だれか、ここにおりますか』と問うならば『おりません』と答えてください」。 + しかし彼が疲れて熟睡したとき、ヘベルの妻ヤエルは天幕のくぎを取り、手に槌を携えて彼に忍び寄り、こめかみにくぎを打ち込んで地に刺し通したので、彼は息絶えて死んだ。 + バラクがシセラを追ってきたとき、ヤエルは彼を出迎えて言った、「おいでなさい。あなたが求めている人をお見せしましょう」。彼がヤエルの天幕にはいって見ると、シセラはこめかみにくぎを打たれて倒れて死んでいた。 + こうしてその日、神はカナンの王ヤビンをイスラエルの人々の前に撃ち敗られた。 + そしてイスラエルの人々の手はますますカナンびとの王ヤビンの上に重くなって、ついにカナンの王ヤビンを滅ぼすに至った。 + + + その日デボラとアビノアムの子バラクは歌って言った。 + 「イスラエルの指導者たちは先に立ち、民は喜び勇んで進み出た。主をさんびせよ。 + もろもろの王よ聞け、もろもろの君よ、耳を傾けよ。わたしは主に向かって歌おう、わたしはイスラエルの神、主をほめたたえよう。 + 主よ、あなたがセイルを出、エドムの地から進まれたとき、地は震い、天はしたたり、雲は水をしたたらせた。 + もろもろの山は主の前に揺り動き、シナイの主、すなわちイスラエルの神、主の前に揺り動いた。 + アナテの子シャムガルのとき、ヤエルの時には隊商は絶え、旅人はわき道をとおった。 + イスラエルには農民が絶え、かれらは絶え果てたが、デボラよ、ついにあなたは立ちあがり、立ってイスラエルの母となった。 + 人々が新しい神々を選んだとき、戦いは門に及んだ。イスラエルの四万人のうちに、盾あるいは槍の見られたことがあったか。 + わたしの心は民のうちの喜び勇んで進み出たイスラエルのつかさたちと共にある。主をさんびせよ。 + 茶色のろばに乗るもの、毛氈の上にすわるもの、および道を歩むものよ、共に歌え。 + 楽人の調べは水くむ所に聞える。かれらはそこで主の救を唱え、イスラエルの農民の救を唱えている。その時、主の民は門に下って行った。 + 起きよ、起きよ、デボラ。起きよ、起きよ、歌をうたえ。立てよ、バラク、とりこを捕えよ、アビノアムの子よ。 + その時、残った者は尊い者のように下って行き、主の民は勇士のように下って行った。 + 彼らはエフライムから出て谷に進み、兄弟ベニヤミンはあなたの民のうちにある。マキルからはつかさたちが下って行き、ゼブルンからは指揮を執るものが下って行った。 + イッサカルの君たちはデボラと共におり、イッサカルはバラクと同じく、直ちにそのあとについて谷に突進した。しかしルベンの氏族は大いに思案した。 + なぜ、あなたは、おりの間にとどまって、羊の群れに笛吹くのを聞いているのか。ルベンの氏族は大いに思案した。 + ギレアデはヨルダンの向こうにとどまっていた。なぜ、ダンは舟のかたわらにとどまったか。アセルは浜べに座し、その波止場のかたわらにとどまっていた。 + ゼブルンは命をすてて、死を恐れぬ民である。野の高い所におるナフタリもまたそうであった。 + もろもろの王たちはきて戦った。その時カナンの王たちは、メギドの水のほとりのタアナクで戦った。彼らは一片の銀をも獲なかった。 + もろもろの星は天より戦い、その軌道をはなれてシセラと戦った。 + キションの川は彼らを押し流した、激しく流れる川、キションの川。わが魂よ、勇ましく進め。 + その時、軍馬ははせ駆けり、馬のひずめは地を踏みならした。 + 主の使は言った、『メロズをのろえ、激しくその民をのろえ、彼らはきて主を助けず、主を助けて勇士を攻めなかったからである』。 + ケニびとヘベルの妻ヤエルは、女のうちの最も恵まれた者、天幕に住む女のうち最も恵まれた者である。 + シセラが水を求めると、ヤエルは乳を与えた。すなわち貴重な鉢に凝乳を盛ってささげた。 + ヤエルはくぎに手をかけ、右手に重い槌をとって、シセラを打ち、その頭を砕き、粉々にして、そのこめかみを打ち貫いた。 + シセラはヤエルの足もとにかがんで倒れ伏し、その足もとにかがんで倒れ、そのかがんだ所に倒れて死んだ。 + シセラの母は窓からながめ、格子窓から叫んで言った、『どうして彼の車の来るのがおそいのか、どうして彼の車の歩みがはかどらないのか』。 + その侍女たちの賢い者は答え、母またみずからおのれに答えて言った、 + 『彼らは獲物を得て、それを分けているのではないか、人ごとにひとり、ふたりのおなごを取り、シセラの獲物は色染めの衣、縫い取りした色染めの衣の獲物であろう。すなわち縫い取りした色染めの衣二つを、獲物としてそのくびにまとうであろう』。 + 主よ、あなたの敵はみなこのように滅び、あなたを愛する者を太陽の勢いよく上るようにしてください」。こうして後、国は四十年のあいだ太平であった。 + + + イスラエルの人々はまた主の前に悪をおこなったので、主は彼らを七年の間ミデアンびとの手にわたされた。 + ミデアンびとの手はイスラエルに勝った。イスラエルの人々はミデアンびとのゆえに、山にある岩屋と、ほら穴と要害とを自分たちのために造った。 + イスラエルびとが種をまいた時には、いつもミデアンびと、アマレクびとおよび東方の民が上ってきてイスラエルびとを襲い、 + イスラエルびとに向かって陣を取り、地の産物を荒してガザの附近にまで及び、イスラエルのうちに命をつなぐべき物を残さず、羊も牛もろばも残さなかった。 + 彼らが家畜と天幕を携えて、いなごのように多く上ってきたからである。すなわち彼らとそのらくだは無数であって、彼らは国を荒すためにはいってきたのであった。 + こうしてイスラエルはミデアンびとのために非常に衰え、イスラエルの人々は主に呼ばわった。 + イスラエルの人々がミデアンびとのゆえに、主に呼ばわったとき、 + 主はひとりの預言者をイスラエルの人々につかわして彼らに言われた、「イスラエルの神、主はこう言われる、『わたしはかつてあなたがたをエジプトから導き上り、あなたがたを奴隷の家から携え出し、 + エジプトびとの手およびすべてあなたがたをしえたげる者の手から救い出し、あなたがたの前から彼らを追い払って、その国をあなたがたに与えた。 + そしてあなたがたに言った、「わたしはあなたがたの神、主である。あなたがたが住んでいる国のアモリびとの神々を恐れてはならない」と。しかし、あなたがたはわたしの言葉に従わなかった』」。 + さて主の使がきて、アビエゼルびとヨアシに属するオフラにあるテレビンの木の下に座した。時にヨアシの子ギデオンはミデアンびとの目を避けるために酒ぶねの中で麦を打っていたが、 + 主の使は彼に現れて言った、「大勇士よ、主はあなたと共におられます」。 + ギデオンは言った、「ああ、君よ、主がわたしたちと共におられるならば、どうしてこれらの事がわたしたちに臨んだのでしょう。わたしたちの先祖が『主はわれわれをエジプトから導き上られたではないか』といって、わたしたちに告げたそのすべての不思議なみわざはどこにありますか。今、主はわたしたちを捨てて、ミデアンびとの手にわたされました」。 + 主はふり向いて彼に言われた、「あなたはこのあなたの力をもって行って、ミデアンびとの手からイスラエルを救い出しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか」。 + ギデオンは主に言った、「ああ主よ、わたしはどうしてイスラエルを救うことができましょうか。わたしの氏族はマナセのうちで最も弱いものです。わたしはまたわたしの父の家族のうちで最も小さいものです」。 + 主は言われた、「しかし、わたしがあなたと共におるから、ひとりを撃つようにミデアンびとを撃つことができるでしょう」。 + ギデオンはまた主に言った、「わたしがもしあなたの前に恵みを得ていますならば、どうぞ、わたしと語るのがあなたであるというしるしを見せてください。 + どうぞ、わたしが供え物を携えてあなたのもとにもどってきて、あなたの前に供えるまで、ここを去らないでください」。主は言われた、「わたしはあなたがもどって来るまで待ちましょう」。 + そこでギデオンは自分の家に行って、やぎの子を整え、一エパの粉で種入れぬパンをつくり、肉をかごに入れ、あつものをつぼに盛り、テレビンの木の下におる彼のもとに持ってきて、それを供えた。 + 神の使は彼に言った、「肉と種入れぬパンをとって、この岩の上に置き、それにあつものを注ぎなさい」。彼はそのようにした。 + すると主の使が手にもっていたつえの先を出して、肉と種入れぬパンに触れると、岩から火が燃えあがって、肉と種入れぬパンとを焼きつくした。そして主の使は去って見えなくなった。 + ギデオンはその人が主の使であったことをさとって言った、「ああ主なる神よ、どうなることでしょう。わたしは顔をあわせて主の使を見たのですから」。 + 主は彼に言われた、「安心せよ、恐れるな。あなたは死ぬことはない」。 + そこでギデオンは主のために祭壇をそこに築いて、それを「主は平安」と名づけた。これは今日までアビエゼルびとのオフラにある。 + その夜、主はギデオンに言われた、「あなたの父の雄牛と七歳の第二の雄牛とを取り、あなたの父のもっているバアルの祭壇を打ちこわし、そのかたわらにあるアシラ像を切り倒し、 + あなたの神、主のために、このとりでの頂に、石を並べて祭壇を築き、第二の雄牛を取り、あなたが切り倒したアシラの木をもって燔祭をささげなさい」。 + ギデオンはしもべ十人を連れて、主が言われたとおりにおこなった。ただし彼は父の家族のもの、および町の人々を恐れたので、昼それを行うことができず、夜それを行った。 + 町の人々が朝早く起きて見ると、バアルの祭壇は打ちこわされ、そのかたわらのアシラ像は切り倒され、新たに築いた祭壇の上に、第二の雄牛がささげられてあった。 + そこで彼らは互に「これはだれのしわざか」と言って問い尋ねたすえ、「これはヨアシの子ギデオンのしわざだ」と言った。 + 町の人々はヨアシに言った、「あなたのむすこを引き出して殺しなさい。彼はバアルの祭壇を打ちこわしそのかたわらにあったアシラ像を切り倒したのです」。 + しかしヨアシは自分に向かって立っているすべての者に言った、「あなたがたはバアルのために言い争うのですか。あるいは彼を弁護しようとなさるのですか。バアルのために言い争う者は、あすの朝までに殺されるでしょう。バアルがもし神であるならば、自分の祭壇が打ちこわされたのだから、彼みずから言い争うべきです」。 + そこでその日、「自分の祭壇が打ちこわされたのだから、バアルみずからその人と言い争うべきです」と言ったので、ギデオンはエルバアルと呼ばれた。 + 時にミデアンびと、アマレクびとおよび東方の民がみな集まってヨルダン川を渡り、エズレルの谷に陣を取ったが、 + 主の霊がギデオンに臨み、ギデオンがラッパを吹いたので、アビエゼルびとは集まって彼に従った。 + 次に彼があまねくマナセに使者をつかわしたので、マナセびともまた集まって彼に従った。彼がまたアセル、ゼブルンおよびナフタリに使者をつかわすと、その人々も上って彼を迎えた。 + ギデオンは神に言った、「あなたがかつて言われたように、わたしの手によってイスラエルを救おうとされるならば、 + わたしは羊の毛一頭分を打ち場に置きますから、露がその羊の毛の上にだけあって、地がすべてかわいているようにしてください。これによってわたしは、あなたがかつて言われたように、わたしの手によってイスラエルをお救いになることを知るでしょう」。 + すなわちそのようになった。彼が翌朝早く起きて、羊の毛をかき寄せ、その毛から露を絞ると、鉢に満ちるほどの水が出た。 + ギデオンは神に言った、「わたしをお怒りにならないように願います。わたしにもう一度だけ言わせてください。どうぞ、もう一度だけ羊の毛をもってためさせてください。どうぞ、羊の毛だけをかわかして、地にはことごとく露があるようにしてください」。 + 神はその夜、そうされた。すなわち羊の毛だけかわいて、地にはすべて露があった。 + + + さてエルバアルと呼ばれるギデオンおよび彼と共にいたすべての民は朝早く起き、ハロデの泉のほとりに陣を取った。ミデアンびとの陣は彼らの北の方にあり、モレの丘に沿って谷の中にあった。 + 主はギデオンに言われた、「あなたと共におる民はあまりに多い。ゆえにわたしは彼らの手にミデアンびとをわたさない。おそらくイスラエルはわたしに向かってみずから誇り、『わたしは自身の手で自分を救ったのだ』と言うであろう。 + それゆえ、民の耳に触れ示して、『だれでも恐れおののく者は帰れ』と言いなさい」。こうしてギデオンは彼らを試みたので、民のうち帰った者は二万二千人あり、残った者は一万人であった。 + 主はまたギデオンに言われた、「民はまだ多い。彼らを導いて水ぎわに下りなさい。わたしはそこで、あなたのために彼らを試みよう。わたしがあなたに告げて『この人はあなたと共に行くべきだ』と言う者は、あなたと共に行くべきである。またわたしがあなたに告げて『この人はあなたと共に行ってはならない』と言う者は、だれも行ってはならない」。 + そこでギデオンが民を導いて水ぎわに下ると、主は彼に言われた、「すべて犬のなめるように舌をもって水をなめる者はそれを別にしておきなさい。またすべてひざを折り、かがんで水を飲む者もそうしなさい」。 + そして手を口にあてて水をなめた者の数は三百人であった。残りの民はみなひざを折り、かがんで水を飲んだ。 + 主はギデオンに言われた、「わたしは水をなめた三百人の者をもって、あなたがたを救い、ミデアンびとをあなたの手にわたそう。残りの民はおのおのその家に帰らせなさい」。 + そこで彼はかの三百人を留めおき、残りのイスラエルびとの手から、つぼとラッパを取り、民をおのおのその天幕に帰らせた。時にミデアンびとの陣は下の谷の中にあった。 + その夜、主はギデオンに言われた、「立てよ、下っていって敵陣に攻め入れ。わたしはそれをあなたの手にわたす。 + もしあなたが下って行くことを恐れるならば、あなたのしもべプラと共に敵陣に下っていって、 + 彼らの言うところを聞け。そうすればあなたの手が強くなって、敵陣に攻め下ることができるであろう」。ギデオンがしもべプラと共に下って、敵陣にある兵隊たちの前哨地点に行ってみると、 + ミデアンびと、アマレクびとおよびすべての東方の民はいなごのように数多く谷に沿って伏していた。そのらくだは海べの砂のように多くて数えきれなかった。 + ギデオンがそこへ行ったとき、ある人がその仲間に夢を語っていた。その人は言った、「わたしは夢を見た。大麦のパン一つがミデアンの陣中にころがってきて、天幕に達し、それを打ち倒し、くつがえしたので、天幕は倒れ伏した」。 + 仲間は答えて言った、「それはイスラエルの人、ヨアシの子ギデオンのつるぎにちがいない。神はミデアンとすべての軍勢を彼の手にわたされるのだ」。 + ギデオンは夢の物語とその解き明かしとを聞いたので、礼拝し、イスラエルの陣営に帰り、そして言った、「立てよ、主はミデアンの軍勢をあなたがたの手にわたされる」。 + そして彼は三百人を三組に分け、手に手にラッパと、からつぼとを取らせ、つぼの中にたいまつをともさせ、 + 彼らに言った、「わたしを見て、わたしのするようにしなさい。わたしが敵陣のはずれに達したとき、あなたがたもわたしのするようにしなさい。 + わたしと共におる者がみなラッパを吹くと、あなたがたもまたすべての陣営の四方でラッパを吹き、『主のためだ、ギデオンのためだ』と言いなさい」。 + こうしてギデオンと、彼と共にいた百人の者が、中更の初めに敵陣のはずれに行ってみると、ちょうど番兵を交代した時であったので、彼らはラッパを吹き、手に携えていたつぼを打ち砕いた。 + すなわち三組の者がラッパを吹き、つぼを打ち砕き、左の手にはたいまつをとり、右の手にはラッパを持ってそれを吹き、「主のためのつるぎ、ギデオンのためのつるぎ」と叫んだ。 + そしておのおのその持ち場に立ち、敵陣を取り囲んだので、敵軍はみな走り、大声をあげて逃げ去った。 + 三百人のものがラッパを吹くと、主は敵軍をしてみな互に同志打ちさせられたので、敵軍はゼレラの方、ベテシッタおよびアベルメホラの境、タバテの近くまで逃げ去った。 + イスラエルの人々はナフタリ、アセルおよび全マナセから集まってきて、ミデアンびとを追撃した。 + ギデオンは使者をあまねくエフライムの山地につかわし、「下ってきて、ミデアンびとを攻め、ベタバラに至るまでの流れを取り、またヨルダンをも取れ」と言わせた。そこでエフライムの人々はみな集まってきて、ベタバラに至るまでの流れを取り、またヨルダンをも取った。 + 彼らはまたミデアンびとのふたりの君オレブとゼエブを捕え、オレブをオレブ岩のほとりで殺し、ゼエブをゼエブの酒ぶねのほとりで殺した。またミデアンびとを追撃し、オレブとゼエブの首を携えてヨルダンの向こうのギデオンのもとへ行った。 + + + エフライムの人々はギデオンに向かい「あなたが、ミデアンびとと戦うために行かれたとき、われわれを呼ばれなかったが、どうしてそういうことをされたのですか」と言って激しく彼を責めた。 + ギデオンは彼らに言った、「今わたしのした事は、あなたがたのした事と比べものになりましょうか。エフライムの拾い集めた取り残りのぶどうはアビエゼルの収穫したぶどうにもまさるではありませんか。 + 神はミデアンの君オレブとゼエブをあなたがたの手にわたされました。わたしのなし得た事は、あなたがたのした事と比べものになりましょうか」。ギデオンがこの言葉を述べると、彼らの憤りは解けた。 + ギデオンは自分に従っていた三百人と共にヨルダンに行ってこれを渡り、疲れながらもなお追撃したが、 + 彼はスコテの人々に言った、「どうぞわたしに従っている民にパンを与えてください。彼らが疲れているのに、わたしはミデアンの王ゼバとザルムンナを追撃しているのですから」。 + スコテのつかさたちは言った、「ゼバとザルムンナは、すでにあなたの手のうちにあるのですか。われわれはどうしてあなたの軍勢にパンを与えねばならないのですか」。 + ギデオンは言った、「それならば主がわたしの手にゼバとザルムンナをわたされるとき、わたしは野のいばらと、おどろをもって、あなたがたの肉を打つであろう」。 + そしてギデオンはそこからペヌエルに上り、同じことをペヌエルの人々に述べると、彼らもスコテの人々が答えたように答えたので、 + ペヌエルの人々に言った、「わたしが安らかに帰ってきたとき、このやぐらを打ちこわすであろう」。 + さてゼバとザルムンナは軍勢おおよそ一万五千人を率いて、カルコルにいた。これは皆、東方の民の全軍のうち生き残ったもので、戦死した者は、つるぎを帯びているものが十二万人あった。 + ギデオンはノバとヨグベハの東の隊商の道を上って、敵軍の油断しているところを撃った。 + ゼバとザルムンナは逃げたが、ギデオンは追撃して、ミデアンのふたりの王ゼバとザルムンナを捕え、その軍勢をことごとく撃ち敗った。 + こうしてヨアシの子ギデオンはヘレスの坂をとおって戦いから帰り、 + スコテの若者ひとりを捕えて、尋ねたところ、彼はスコテのつかさたち及び長老たち七十七人の名をギデオンのために書きしるした。 + ギデオンはスコテの人々のところへ行って言った、「あなたがたがかつて『ゼバとザルムンナはすでにあなたの手のうちにあるのか。われわれはどうしてあなたの疲れた人々にパンを与えねばならないのか』と言って、わたしをののしったそのゼバとザルムンナを見なさい」。 + そして彼は、その町の長老たちを捕え、野のいばらと、おどろとを取り、それをもってスコテの人々を懲らし、 + またペヌエルのやぐらを打ちこわして町の人々を殺した。 + そしてギデオンはゼバとザルムンナに言った、「あなたがたがタボルで殺したのは、どんな人々であったか」。彼らは答えた、「彼らはあなたに似てみな王子のように見えました」。 + ギデオンは言った、「彼らはわたしの兄弟、わたしの母の子たちだ。主は生きておられる。もしあなたがたが彼らを生かしておいたならば、わたしはあなたがたを殺さないのだが」。 + そして長子エテルに言った、「立って、彼らを殺しなさい」。しかしその若者はなお年が若かったので、恐れてつるぎを抜かなかった。 + そこでゼバとザルムンナは言った、「あなた自身が立って、わたしたちを撃ってください。人によってそれぞれ力も違いますから」。ギデオンは立ちあがってゼバとザルムンナを殺し、彼らのらくだの首に掛けてあった月形の飾りを取った。 + イスラエルの人々はギデオンに言った、「あなたはミデアンの手からわれわれを救われたのですから、あなたも、あなたの子も孫もわれわれを治めてください」。 + ギデオンは彼らに言った、「わたしはあなたがたを治めることはいたしません。またわたしの子もあなたがたを治めてはなりません。主があなたがたを治められます」。 + ギデオンはまた彼らに言った、「わたしはあなたがたに一つの願いがあります。あなたがたのぶんどった耳輪をめいめいわたしにください」。ミデアンびとはイシマエルびとであったゆえに、金の耳輪を持っていたからである。 + 彼らは答えた、「わたしどもは喜んでそれをさしあげます」。そして衣をひろげ、めいめいぶんどった耳輪をその中に投げ入れた。 + こうしてギデオンが求めて得た金の耳輪の重さは一千七百金シケルであった。ほかに月形の飾りと耳飾りと、ミデアンの王たちの着た紫の衣およびらくだの首に掛けた首飾りなどもあった。 + ギデオンはそれをもって一つのエポデを作り、それを自分の町オフラに置いた。イスラエルは皆それを慕って姦淫をおこなった。それはギデオンとその家にとって、わなとなった。 + このようにしてミデアンはイスラエルの人々に征服されて、再びその頭をあげることができなかった。そして国はギデオンの世にあるうち、四十年のあいだ太平であった。 + ヨアシの子エルバアルは行って自分の家に住んだ。 + ギデオンは多くの妻をもっていたので、自分の子供だけで七十人あった。 + シケムにいた彼のめかけがまたひとりの子を産んだので、アビメレクと名づけた。 + ヨアシの子ギデオンは高齢に達して死に、アビエゼルびとのオフラにある父ヨアシの墓に葬られた。 + ギデオンが死ぬと、イスラエルの人々はまたバアルを慕って、これと姦淫を行い、バアル・ベリテを自分たちの神とした。 + すなわちイスラエルの人々は周囲のもろもろの敵の手から自分たちを救われた彼らの神、主を覚えず、 + またエルバアルすなわちギデオンがイスラエルのためにしたもろもろの善行に応じて彼の家族に親切をつくすこともしなかった。 + + + さてエルバアルの子アビメレクはシケムに行き、母の身内の人たちのもとに行って、彼らと母の父の家の一族とに言った、 + 「どうぞ、シケムのすべての人々の耳に告げてください、『エルバアルのすべての子七十人であなたがたを治めるのと、ただひとりであなたがたを治めるのと、どちらがよいか。わたしがあなたがたの骨肉であることを覚えてください』と」。 + そこで母の身内の人たちがアビメレクに代ってこれらの言葉をことごとくシケムのすべての人々の耳に告げると、彼らは心をアビメレクに傾け、「彼はわれわれの兄弟だ」と言って、 + バアル・ベリテの宮から銀七十シケルを取って彼に与えた。アビメレクはそれをもって、やくざのならず者を雇って自分に従わせ、 + オフラにある父の家に行って、エルバアルの子で、自分の兄弟である七十人を、一つの石の上で殺した。ただしエルバアルの末の子ヨタムは身を隠したので生き残った。 + そこでシケムのすべての人々とベテミロのすべての人々は集まり、行ってシケムにある石の柱のかたわらのテレビンの木のもとで、アビメレクを立てて王とした。 + このことをヨタムに告げる者があったので、ヨタムは行ってゲリジム山の頂に立ち、大声に叫んで彼らに言った、「シケムの人々よ、わたしに聞きなさい。そうすれば神はあなたがたに聞かれるでしょう。 + ある時、もろもろの木が自分たちの上に王を立てようと出て行ってオリブの木に言った、『わたしたちの王になってください』。 + しかしオリブの木は彼らに言った、『わたしはどうして神と人とをあがめるために用いられるわたしの油を捨てて行って、もろもろの木を治めることができましょう』。 + もろもろの木はまたいちじくの木に言った、『きてわたしたちの王になってください』。 + しかしいちじくの木は彼らに言った、『わたしはどうしてわたしの甘味と、わたしの良い果実とを捨てて行って、もろもろの木を治めることができましょう』。 + もろもろの木はまたぶどうの木に言った、『きてわたしたちの王になってください』。 + しかし、ぶどうの木は彼らに言った、『わたしはどうして神と人とを喜ばせるわたしのぶどう酒を捨てて行って、もろもろの木を治めることができましょう』。 + そこですべての木はいばらに言った、『きてわたしたちの王になってください』。 + いばらはもろもろの木に言った、『あなたがたが真実にわたしを立てて王にするならば、きてわたしの陰に難を避けなさい。そうしなければ、いばらから火が出てレバノンの香柏を焼きつくすでしょう』。 + あなたがたがアビメレクを立てて王にしたことは、真実と敬意とをもってしたものですか。あなたがたはエルバアルとその家をよく扱い、彼のおこないに応じてしたのですか。 + わたしの父はあなたがたのために戦い、自分の命を投げ出して、あなたがたをミデアンの手から救い出したのに、 + あなたがたは、きょう、わたしの父の家に反抗して起り、その子七十人を一つの石の上で殺し、その腰元の子アビメレクをあなたがたの身内の者であるゆえに立てて、シケムの人々の王にしました。 + あなたがたが、きょう、エルバアルとその家になされたことが真実と敬意をもってしたものであるならば、アビメレクのために喜びなさい。彼もまたあなたがたのために喜ぶでしょう。 + しかし、そうでなければ、アビメレクから火が出て、シケムの人々とベテミロとを焼きつくし、またシケムの人々とベテミロからも火が出てアビメレクを焼きつくすでしょう」。 + こうしてヨタムは走って逃げ去り、ベエルに行き、兄弟アビメレクの顔をさけてそこに住んだ。 + アビメレクは三年の間イスラエルを治めたが、 + 神はアビメレクとシケムの人々の間に悪霊をおくられたので、シケムの人々はアビメレクを欺くようになった。 + これはエルバアルの七十人の子が受けた暴虐と彼らの血が、彼らを殺した兄弟アビメレクの上と、彼の手を強めてその兄弟を殺させたシケムの人々の上とに報いとなってきたのである。 + シケムの人々は彼に敵して待ち伏せする者を山々の頂におき、すべてその道を通り過ぎる者を略奪させた。このことがアビメレクに告げ知らされた。 + さてエベデの子ガアルはその身内の人々と一緒にシケムに移住したが、シケムの人々は彼を信用した。 + 人々は畑に出てぶどうを取り入れ、それを踏み絞って祭をし、神の宮に行って飲み食いしてアビメレクをのろった。 + そしてエベデの子ガアルは言った、「アビメレクは何ものか。シケムのわれわれは何ものなれば彼に仕えなければならないのか。エルバアルの子とその役人ゼブルはシケムの先祖ハモルの一族に仕えたではないか。われわれはどうして彼に仕えなければならないのか。 + ああ、この民がわたしの手の下にあったらよいのだが。そうすればわたしはアビメレクをやめさせ、アビメレクに向かって『おまえの軍勢を増して出てこい』と言うであろう」。 + 町のつかさゼブルはエベデの子ガアルの言葉を聞いて怒りを発し、 + 使者をアルマにおるアビメレクにつかわして言わせた、「エベデの子ガアルとその身内の人々がシケムにきて、町を騒がせ、あなたにそむかせようとしています。 + それであなたと、あなたと共におる人々が夜のうちに行って、野に身を伏せ、 + 朝になって、日ののぼるとき、早く起き出て町を襲うならば、ガアルと、彼と共におる民は出てきて、あなたに抵抗するでしょう。その時あなたは機を得て、彼らを撃つことができるでしょう」。 + アビメレクと、彼と共にいたすべての民は夜のうちに起き出て、四組に分れ、身を伏せてシケムをうかがった。 + エベデの子ガアルが出て、町の門の入口に立ったとき、アビメレクと、彼と共にいた民が身を伏せていたところから立ちあがったので、 + ガアルは民を見てゼブルに言った、「ごらんなさい。民が山々の頂からおりてきます」。ゼブルは彼に言った、「あなたは山々の影を人のように見るのです」。 + ガアルは再び言った、「ごらんなさい。民が国の中央部からおりてきます。一組は占い師のテレビンの木の方からきます」。 + ゼブルは彼に言った、「あなたがかつて『アビメレクは何ものか。われわれは何ものなれば彼に仕えなければならないのか』と言ったあなたの口は今どこにありますか。これはあなたが侮った民ではありませんか。今、出て彼らと戦いなさい」。 + そこでガアルはシケムの人々を率い、出てアビメレクと戦ったが、 + アビメレクは彼を追ったので、ガアルは彼の前から逃げた。そして傷つき倒れる者が多く、門の入口にまで及んだ。 + こうしてアビメレクは引き続いてアルマにいたが、ゼブルはガアルとその身内の人々を追い出してシケムにおらせなかった。 + 翌日、民が畑に出ると、そのことがアビメレクに聞えた。 + アビメレクは自分の民を率い、それを三組に分け、野に身を伏せて、うかがっていると、民が町から出てきたので、たちあがってこれを撃った。 + アビメレクと、彼と共にいた組の者は襲って行って、町の門の入口に立ち、他の二組は野にいたすべてのものを襲って、それを殺した。 + アビメレクはその日、終日、町を攻め、ついに町を取って、そのうちの民を殺し、町を破壊して、塩をまいた。 + シケムのやぐらの人々は皆これを聞いて、エルベリテの宮の塔にはいった。 + シケムのやぐらの人々が皆集まったことがアビメレクに聞えたので、 + アビメレクは自分と一緒にいた民をことごとく率いてザルモン山にのぼり、アビメレクは手におのを取って、木の枝を切り落し、それを取りあげて自分の肩にのせ、一緒にいた民にむかって言った、「あなたがたはわたしがしたことを見たとおりに急いでしなさい」。 + そこで民もまた皆おのおのその枝を切り落し、アビメレクに従って行って、枝を塔によせかけ、塔に火をつけて彼らを攻めた。こうしてシケムのやぐらの人々もまたことごとく死んだ。男女おおよそ一千人であった。 + ついでアビメレクはテベツに行き、テベツに向かって陣を張り、これを攻め取ったが、 + 町の中に一つの堅固なやぐらがあって、すべての男女すなわち町の人々が皆そこに逃げ込み、あとを閉ざして、やぐらの屋根に上ったので、 + アビメレクはやぐらのもとに押し寄せてこれを攻め、やぐらの入口に近づいて、火をつけて焼こうとしたとき、 + ひとりの女がアビメレクの頭に、うすの上石を投げて、その頭骸骨を砕いた。 + アビメレクは自分の武器を持つ若者を急ぎ呼んで言った、「つるぎを抜いてわたしを殺せ。さもないと人々はわたしを、女に殺されたのだと言うであろう」。その若者が彼を刺し通したので彼は死んだ。 + イスラエルの人々はアビメレクの死んだのを見て、おのおの去って家に帰った。 + このように神はアビメレクがその兄弟七十人を殺して、自分の父に対して犯した悪に報いられた。 + また神はシケムの人々のすべての悪を彼らのこうべに報いられた。こうしてエルバアルの子ヨタムののろいが、彼らに臨んだのである。 + + + アビメレクの後、イッサカルの人で、ドドの子であるプワの子トラが起ってイスラエルを救った。彼はエフライムの山地のシャミルに住み、 + 二十三年の間イスラエルをさばいたが、ついに死んでシャミルに葬られた。 + 彼の後にギレアデびとヤイルが起って二十二年の間イスラエルをさばいた。 + 彼に三十人の子があった。彼らは三十頭のろばに乗り、また三十の町をもっていた。ギレアデの地で今日まで、ハボテ・ヤイルと呼ばれているものがそれである。 + ヤイルは死んで、カモンに葬られた。 + イスラエルの人々は再び主の前に悪を行い、バアルとアシタロテおよびスリヤの神々、シドンの神々、モアブの神々、アンモンびとの神々、ペリシテびとの神々に仕え、主を捨ててこれに仕えなかった。 + 主はイスラエルに対して怒りを発し、彼らをペリシテびとの手およびアンモンびとの手に売りわたされたので、 + 彼らはその年イスラエルの人々をしえたげ悩ました。すなわち彼らはヨルダンの向こうのギレアデにあるアモリびとの地にいたすべてのイスラエルびとを十八年のあいだ悩ました。 + またアンモンの人々がユダとベニヤミンとエフライムの氏族を攻めるためにヨルダンを渡ってきたので、イスラエルは非常に悩まされた。 + そこでイスラエルの人々は主に呼ばわって言った、「わたしたちはわたしたちの神を捨ててバアルに仕え、あなたに罪を犯しました」。 + 主はイスラエルの人々に言われた、「わたしはかつてエジプトびと、アモリびと、アンモンびと、ペリシテびとからあなたがたを救い出したではないか。 + またシドンびと、アマレクびとおよびマオンびとがあなたがたをしえたげた時、わたしに呼ばわったので、あなたがたを彼らの手から救い出した。 + しかしあなたがたはわたしを捨てて、ほかの神々に仕えた。それゆえ、わたしはかさねてあなたがたを救わないであろう。 + あなたがたが選んだ神々に行って呼ばわり、あなたがたの悩みの時、彼らにあなたがたを救わせるがよい」。 + イスラエルの人々は主に言った、「わたしたちは罪を犯しました。なんでもあなたが良いと思われることをしてください。ただどうぞ、きょう、わたしたちを救ってください」。 + そうして彼らは自分たちのうちから異なる神々を取り除いて、主に仕えた。それで主の心はイスラエルの悩みを見るに忍びなくなった。 + 時にアンモンの人々は召集されてギレアデに陣を取ったが、イスラエルの人々は集まってミヅパに陣を取った。 + その時、民とギレアデの君たちとは互に言った、「だれがアンモンの人々に向かって戦いを始めるか。その人はギレアデのすべての民のかしらとなるであろう」。 + + + さてギレアデびとエフタは強い勇士であったが遊女の子で、エフタの父はギレアデであった。 + ギレアデの妻も子供を産んだが、その妻の子供たちが成長したとき、彼らはエフタを追い出して彼に言った、「あなたはほかの女の産んだ子だから、わたしたちの父の家を継ぐことはできません」。 + それでエフタはその兄弟たちのもとから逃げ去って、トブの地に住んでいると、やくざ者がエフタのもとに集まってきて、彼と一緒に出かけて略奪を事としていた。 + 日がたって後、アンモンの人々はイスラエルと戦うことになり、 + アンモンの人々がイスラエルと戦ったとき、ギレアデの長老たちは行ってエフタをトブの地から連れてこようとして、 + エフタに言った、「きて、わたしたちの大将になってください。そうすればわたしたちはアンモンの人々と戦うことができます」。 + エフタはギレアデの長老たちに言った、「あなたがたはわたしを憎んで、わたしの父の家から追い出したではありませんか。しかるに今あなたがたが困っている時とはいえ、わたしのところに来るとはどういうわけですか」。 + ギレアデの長老たちはエフタに言った、「それでわたしたちは今、あなたに帰ったのです。どうぞ、わたしたちと一緒に行って、アンモンの人々と戦ってください。そしてわたしたちとギレアデに住んでいるすべてのものとのかしらになってください」。 + エフタはギレアデの長老たちに言った、「もしあなたがたが、わたしをつれて帰って、アンモンの人々と戦わせるとき、主が彼らをわたしにわたされるならば、わたしはあなたがたのかしらとなりましょう」。 + ギレアデの長老たちはエフタに言った、「主はあなたとわたしたちの間の証人です。わたしたちは必ずあなたの言われるとおりにしましょう」。 + そこでエフタはギレアデの長老たちと一緒に行った。民は彼を立てて自分たちのかしらとし、大将とした。それでエフタはミヅパで、自分の言葉をことごとく主の前に述べた。 + かくてエフタはアンモンの人々の王に使者をつかわして言った、「あなたはわたしとなんのかかわりがあって、わたしのところへ攻めてきて、わたしの国と戦おうとするのですか」。 + アンモンの人々の王はエフタの使者に答えた、「昔、イスラエルがエジプトから上ってきたとき、アルノンからヤボクに及び、またヨルダンに及ぶわたしの国を奪い取ったからです。それゆえ今、穏やかにそれを返しなさい」。 + エフタはまた使者をアンモンの人々の王につかわして、 + 言わせた、「エフタはこう申します、『イスラエルはモアブの地も、またアンモンの人々の地も取りませんでした。 + イスラエルはエジプトから上ってきたとき、荒野をとおって紅海にいたり、カデシにきました。 + そしてイスラエルは使者をエドムの王につかわして「どうぞ、われわれにあなたの国を通らせてください」と言わせましたが、エドムの王は聞きいれませんでした。また同じように人をモアブの王につかわしたが、彼も承諾しなかったので、イスラエルはカデシにとどまりました。 + それから荒野をとおって、エドムの地とモアブの地を回り、モアブの地の東部に達し、アルノンの向こうに宿営しましたがモアブの領域には、はいりませんでした。アルノンはモアブの境だからです。 + 次にイスラエルはヘシボンの王すなわちアモリびとの王シホンに使者をつかわし、シホンに向かって「どうぞ、われわれにあなたの国をとおって、われわれの目的地へ行かせてください」と言わせました。 + ところがシホンはイスラエルを信ぜず、その領域を通らせないばかりか、かえってすべての民を集めてヤハヅに陣を取り、イスラエルと戦いましたが、 + イスラエルの神、主はシホンとそのすべての民をイスラエルの手にわたされたので、イスラエルは彼らを撃ち破って、その土地に住んでいたアモリびとの地をことごとく占領し、 + アルノンからヤボクまでと、荒野からヨルダンまで、アモリびとの領域をことごとく占領しました。 + このようにイスラエルの神、主はその民イスラエルの前からアモリびとを追い払われたのに、あなたはそれを取ろうとするのですか。 + あなたは、あなたの神ケモシがあなたに取らせるものを取らないのですか。われわれはわれわれの神、主がわれわれの前から追い払われたものの土地を取るのです。 + あなたはモアブの王チッポルの子バラクにまさる者ですか。バラクはかつてイスラエルと争ったことがありますか。かつて彼らと戦ったことがありますか。 + イスラエルはヘシボンとその村里に住み、またアロエルとその村里およびアルノンの岸に沿うすべての町々に住むこと三百年になりますが、あなたがたはどうしてその間にそれを取りもどさなかったのですか。 + わたしはあなたに何も悪い事をしたこともないのに、あなたはわたしと戦って、わたしに害を加えようとします。審判者であられる主よ、どうぞ、きょう、イスラエルの人々とアンモンの人々との間をおさばきください』」。 + しかしアンモンの人々の王はエフタが言いつかわした言葉をききいれなかった。 + 時に主の霊がエフタに臨み、エフタはギレアデおよびマナセをとおって、ギレアデのミヅパに行き、ギレアデのミヅパから進んでアンモンの人々のところに行った。 + エフタは主に誓願を立てて言った、「もしあなたがアンモンの人々をわたしの手にわたされるならば、 + わたしがアンモンの人々に勝って帰るときに、わたしの家の戸口から出てきて、わたしを迎えるものはだれでも主のものとし、その者を燔祭としてささげましょう」。 + エフタはアンモンの人々のところに進んで行って、彼らと戦ったが、主は彼らをエフタの手にわたされたので、 + アロエルからミンニテの附近まで、二十の町を撃ち敗り、アベル・ケラミムに至るまで、非常に多くの人を殺した。こうしてアンモンの人々はイスラエルの人々の前に攻め伏せられた。 + やがてエフタはミヅパに帰り、自分の家に来ると、彼の娘が鼓をもち、舞い踊って彼を出迎えた。彼女はエフタのひとり子で、ほかに男子も女子もなかった。 + エフタは彼女を見ると、衣を裂いて言った、「ああ、娘よ、あなたは全くわたしを打ちのめした。わたしを悩ますものとなった。わたしが主に誓ったのだから改めることはできないのだ」。 + 娘は言った、「父よ、あなたは主に誓われたのですから、主があなたのために、あなたの敵アンモンの人々に報復された今、あなたが言われたとおりにわたしにしてください」。 + 娘はまた父に言った、「どうぞ、この事をわたしにさせてください。すなわち二か月の間わたしをゆるし、友だちと一緒に行って、山々をゆきめぐり、わたしの処女であることを嘆かせてください」。 + エフタは「行きなさい」と言って、彼女を二か月の間、出してやった。彼女は友だちと一緒に行って、山の上で自分の処女であることを嘆いたが、 + 二か月の後、父のもとに帰ってきたので、父は誓った誓願のとおりに彼女におこなった。彼女はついに男を知らなかった。 + これによって年々イスラエルの娘たちは行って、年に四日ほどギレアデびとエフタの娘のために嘆くことがイスラエルのならわしとなった。 + + + エフライムの人々は集まってザポンに行き、エフタに言った、「なぜあなたは進んで行ってアンモンの人々と戦いながら、われわれを招いて一緒に行かせませんでしたか。われわれはあなたの家に火をつけてあなたを一緒に焼いてしまいます」。 + エフタは彼らに言った、「かつてわたしとわたしの民がアンモンの人々と大いに争ったとき、あなたがたを呼んだが、あなたがたはわたしを彼らの手から救ってくれませんでした。 + あなたがたが救ってくれないのを見たから、わたしは命がけでアンモンの人々のところへ攻めて行きますと、主は彼らをわたしの手にわたされたのです。どうしてあなたがたは、きょう、わたしのところに上ってきて、わたしと戦おうとするのですか」。 + そこでエフタはギレアデの人々をことごとく集めてエフライムと戦い、ギレアデの人々はエフライムを撃ち破った。これはエフライムが「ギレアデびとよ、あなたがたはエフライムとマナセのうちにいるエフライムの落人だ」と言ったからである。 + そしてギレアデびとはエフライムに渡るヨルダンの渡し場を押えたので、エフライムの落人が「渡らせてください」と言うとき、ギレアデの人々は「あなたはエフライムびとですか」と問い、その人がもし「そうではありません」と言うならば、 + またその人に「では『シボレテ』と言ってごらんなさい」と言い、その人がそれを正しく発音することができないで「セボレテ」と言うときは、その人を捕えて、ヨルダンの渡し場で殺した。その時エフライムびとの倒れたものは四万二千人であった。 + エフタは六年の間イスラエルをさばいた。ギレアデびとエフタはついに死んで、ギレアデの自分の町に葬られた。 + 彼の後にベツレヘムのイブザンがイスラエルをさばいた。 + 彼に三十人のむすこがあった。また三十人の娘があったが、それを自分の氏族以外の者にとつがせ、むすこたちのためには三十人の娘をほかからめとった。彼は七年の間イスラエルをさばいた。 + イブザンはついに死んで、ベツレヘムに葬られた。 + 彼の後にゼブルンびとエロンがイスラエルをさばいた。彼は十年の間イスラエルをさばいた。 + ゼブルンびとエロンはついに死んで、ゼブルンの地のアヤロンに葬られた。 + 彼の後にピラトンびとヒレルの子アブドンがイスラエルをさばいた。 + 彼に四十人のむすこ及び三十人の孫があり、七十頭のろばに乗った。彼は八年の間イスラエルをさばいた。 + ピラトンびとヒレルの子アブドンはついに死んで、エフライムの地のアマレクびとの山地にあるピラトンに葬られた。 + + + イスラエルの人々がまた主の前に悪を行ったので、主は彼らを四十年の間ペリシテびとの手にわたされた。 + ここにダンびとの氏族の者で、名をマノアというゾラの人があった。その妻はうまずめで、子を産んだことがなかった。 + 主の使がその女に現れて言った、「あなたはうまずめで、子を産んだことがありません。しかし、あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。 + それであなたは気をつけて、ぶどう酒または濃い酒を飲んではなりません。またすべて汚れたものを食べてはなりません。 + あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。その頭にかみそりをあててはなりません。その子は生れた時から神にささげられたナジルびとです。彼はペリシテびとの手からイスラエルを救い始めるでしょう」。 + そこでその女はきて夫に言った、「神の人がわたしのところにきました。その顔かたちは神の使の顔かたちのようで、たいそう恐ろしゅうございました。わたしはその人が、どこからきたのか尋ねませんでしたが、その人もわたしに名を告げませんでした。 + しかしその人はわたしに『あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。それであなたはぶどう酒または濃い酒を飲んではなりません。またすべて汚れたものを食べてはなりません。その子は生れた時から死ぬ日まで神にささげられたナジルびとです』と申しました」。 + そこでマノアは主に願い求めて言った、「ああ、主よ、どうぞ、あなたがさきにつかわされた神の人をもう一度わたしたちに臨ませて、わたしたちがその生れる子になすべきことを教えさせてください」。 + 神がマノアの願いを聞かれたので、神の使は女が畑に座していた時、ふたたび彼女に臨んだ。しかし夫マノアは一緒にいなかった。 + 女は急ぎ走って行って夫に言った、「さきごろ、わたしに臨まれた人がまたわたしに現れました」。 + マノアは立って妻のあとについて行き、その人のもとに行って言った、「あなたはかつてこの女にお告げになったおかたですか」。その人は言った、「そうです」。 + マノアは言った、「あなたの言われたことが事実となったとき、その子の育て方およびこれになすべき事はなんでしょうか」。 + 主の使はマノアに言った、「わたしがさきに女に言ったことは皆、守らせなければなりません。 + すなわちぶどうの木から産するものはすべて食べてはなりません。またぶどう酒と濃い酒を飲んではなりません。またすべて汚れたものを食べてはなりません。わたしが彼女に命じたことは皆、守らせなければなりません」。 + マノアは主の使に言った、「どうぞ、わたしたちに、あなたを引き留めさせ、あなたのために子やぎを備えさせてください」。 + 主の使はマノアに言った、「あなたがわたしを引き留めても、わたしはあなたの食物をたべません。しかしあなたが燔祭を備えようとなさるのであれば、主にそれをささげなさい」。マノアは彼が主の使であるのを知らなかったからである。 + マノアは主の使に言った、「あなたの名はなんといいますか。あなたの言われたことが事実となったとき、わたしたちはあなたをあがめましょう」。 + 主の使は彼に言った、「わたしの名は不思議です。どうしてあなたはそれをたずねるのですか」。 + そこでマノアは子やぎと素祭とをとり、岩の上でそれを主にささげた。主は不思議なことをされ、マノアとその妻はそれを見た。 + すなわち炎が祭壇から天にあがったとき、主の使は祭壇の炎のうちにあってのぼった。マノアとその妻は見て、地にひれ伏した。 + 主の使はふたたびマノアとその妻に現れなかった。その時マノアは彼が主の使であることを知った。 + マノアは妻に向かって言った、「わたしたちは神を見たから、きっと死ぬであろう」。 + 妻は彼に言った、「主がもし、わたしたちを殺そうと思われたのならば、わたしたちの手から燔祭と素祭をおうけにならなかったでしょう。またこれらのすべての事をわたしたちにお示しになるはずはなく、また今わたしたちにこのような事をお告げにならなかったでしょう」。 + やがて女は男の子を産んで、その名をサムソンと呼んだ。その子は成長し、主は彼を恵まれた。 + 主の霊はゾラとエシタオルの間のマハネダンにおいて初めて彼を感動させた。 + + + サムソンはテムナに下って行き、ペリシテびとの娘で、テムナに住むひとりの女を見た。 + 彼は帰ってきて父母に言った、「わたしはペリシテびとの娘で、テムナに住むひとりの女を見ました。彼女をめとってわたしの妻にしてください」。 + 父母は言った、「あなたが行って、割礼をうけないペリシテびとのうちから妻を迎えようとするのは、身内の娘たちのうちに、あるいはわたしたちのすべての民のうちに女がないためなのですか」。しかしサムソンは父に言った、「彼女をわたしにめとってください。彼女はわたしの心にかないますから」。 + 父母はこの事が主から出たものであることを知らなかった。サムソンはペリシテびとを攻めようと、おりをうかがっていたからである。そのころペリシテびとはイスラエルを治めていた。 + かくてサムソンは父母と共にテムナに下って行った。彼がテムナのぶどう畑に着くと、一頭の若いししがほえたけって彼に向かってきた。 + 時に主の霊が激しく彼に臨んだので、彼はあたかも子やぎを裂くようにそのししを裂いたが、手にはなんの武器も持っていなかった。しかしサムソンはそのしたことを父にも母にも告げなかった。 + サムソンは下って行って女と話し合ったが、女はサムソンの心にかなった。 + 日がたって後、サムソンは彼女をめとろうとして帰ったが、道を転じて、かのししのしかばねを見ると、ししのからだに、はちの群れと、蜜があった。 + 彼はそれをかきあつめ、手にとって歩きながら食べ、父母のもとに帰って、彼らに与えたので、彼らもそれを食べた。しかし、ししのからだからその蜜をかきあつめたことは彼らに告げなかった。 + そこで父が下って、女のもとに行ったので、サムソンはそこにふるまいを設けた。そうすることは花婿のならわしであったからである。 + 人々はサムソンを見ると、三十人の客を連れてきて、同席させた。 + サムソンは彼らに言った、「わたしはあなたがたに一つのなぞを出しましょう。あなたがたがもし七日のふるまいのうちにそれを解いて、わたしに告げることができたなら、わたしはあなたがたに亜麻の着物三十と、晴れ着三十をさしあげましょう。 + しかしあなたがたが、それをわたしに告げることができなければ、亜麻の着物三十と晴れ着三十をわたしにくれなければなりません」。彼らはサムソンに言った、「なぞを出しなさい。わたしたちはそれを聞きましょう」。 + サムソンは彼らに言った、「食らう者から食い物が出、強い者から甘い物が出た」。彼らは三日のあいだなぞを解くことができなかった。 + 四日目になって、彼らはサムソンの妻に言った、「あなたの夫を説きすすめて、なぞをわたしたちに明かすようにしてください。そうしなければ、わたしたちは火をつけてあなたとあなたの父の家を焼いてしまいます。あなたはわたしたちの物を取るために、わたしたちを招いたのですか」。 + そこでサムソンの妻はサムソンの前に泣いて言った、「あなたはただわたしを憎むだけで、愛してくれません。あなたはわたしの国の人々になぞを出して、それをわたしに解き明かしませんでした」。サムソンは彼女に言った、「わたしは自分の父にも母にも解き明かさなかった。どうしてあなたに解き明かせよう」。 + 彼女は七日のふるまいの間、彼の前に泣いていたが、七日目になって、サムソンはついに彼女に解き明かした。ひどく彼に迫ったからである。そこで彼女はなぞを自分の国の人々にあかした。 + 七日目になって、日の没する前に町の人々はサムソンに言った、「蜜より甘いものに何があろう。ししより強いものに何があろう」。サムソンは彼らに言った、「わたしの若い雌牛で耕さなかったなら、わたしのなぞは解けなかった」。 + この時、主の霊が激しくサムソンに臨んだので、サムソンはアシケロンに下って行って、その町の者三十人を殺し、彼らからはぎ取って、かのなぞを解いた人々に、その晴れ着を与え、激しく怒って父の家に帰った。 + サムソンの妻は花婿付添人であった客の妻となった。 + + + 日がたって後、麦刈の時にサムソンは子やぎを携えて妻をおとずれ、「へやにはいって、妻に会いましょう」と言ったが、妻の父ははいることを許さなかった。 + そして父は言った、「あなたが確かに彼女をきらったに相違ないと思ったので、わたしは彼女をあなたの客であった者にやりました。彼女の妹は彼女よりもきれいではありませんか。どうぞ、彼女の代りに妹をめとってください」。 + サムソンは彼らに言った、「今度はわたしがペリシテびとに害を加えても、彼らのことでは、わたしに罪がない」。 + そこでサムソンは行って、きつね三百匹を捕え、たいまつをとり、尾と尾をあわせて、その二つの尾の間に一つのたいまつを結びつけ、 + たいまつに火をつけて、そのきつねをペリシテびとのまだ刈らない麦の中に放し入れ、そのたばね積んだものと、まだ刈らないものとを焼き、オリブ畑をも焼いた。 + ペリシテびとは言った、「これはだれのしわざか」。人々は言った、「テムナびとの婿サムソンだ。そのしゅうとがサムソンの妻を取り返して、その客であった者に与えたからだ」。そこでペリシテびとは上ってきて彼女とその父の家を火で焼き払った。 + サムソンは彼らに言った、「あなたがたがそんなことをするならば、わたしはあなたがたに仕返しせずにはおかない」。 + そしてサムソンは彼らを、さんざんに撃って大ぜい殺した。こうしてサムソンは下って行って、エタムの岩の裂け目に住んでいた。 + そこでペリシテびとは上ってきて、ユダに陣を取り、レヒを攻めたので、 + ユダの人々は言った、「あなたがたはどうしてわれわれのところに攻めのぼってきたのですか」。彼らは言った、「われわれはサムソンを縛り、彼がわれわれにしたように、彼にするために上ってきたのです」。 + そこでユダの人々三千人がエタムの岩の裂け目に下って行って、サムソンに言った、「ペリシテびとはわれわれの支配者であることをあなたは知らないのですか。あなたはどうしてわれわれにこんな事をしたのですか」。サムソンは彼らに言った、「彼らがわたしにしたように、わたしは彼らにしたのです」。 + 彼らはまたサムソンに言った、「われわれはあなたを縛って、ペリシテびとの手にわたすために下ってきたのです」。サムソンは彼らに言った、「あなたがた自身はわたしを撃たないということを誓いなさい」。 + 彼らはサムソンに言った、「いや、われわれはただ、あなたを縛って、ペリシテびとの手にわたすだけです。決してあなたを殺しません」。彼らは二本の新しい綱をもって彼を縛って、岩からひきあげた。 + サムソンがレヒにきたとき、ペリシテびとは声をあげて、彼に近づいた。その時、主の霊が激しく彼に臨んだので、彼の腕にかかっていた綱は火に焼けた亜麻のようになって、そのなわめが手から解けて落ちた。 + 彼はろばの新しいあご骨一つを見つけたので、手を伸べて取り、それをもって一千人を打ち殺した。 + そしてサムソンは言った、「ろばのあご骨をもって山また山を築き、ろばのあご骨をもって一千人を打ち殺した」。 + 彼は言い終ると、その手からあご骨を投げすてた。これがためにその所は「あご骨の丘」と呼ばれた。 + 時に彼はひどくかわきを覚えたので、主に呼ばわって言った、「あなたはしもべの手をもって、この大きな救を施されたのに、わたしは今、かわいて死に、割礼をうけないものの手に陥ろうとしています」。 + そこで神はレヒにあるくぼんだ所を裂かれたので、そこから水が流れ出た。サムソンがそれを飲むと彼の霊はもとにかえって元気づいた。それでその名を「呼ばわった者の泉」と呼んだ。これは今日までレヒにある。 + サムソンはペリシテびとの時代に二十年の間イスラエルをさばいた。 + + + サムソンはガザへ行って、そこでひとりの遊女を見、その女のところにはいった。 + 「サムソンがここにきた」と、ガザの人々に告げるものがあったので、ガザの人々はその所を取り囲み、夜通し町の門で待ち伏せし、「われわれは朝まで待って彼を殺そう」と言って、夜通し静かにしていた。 + サムソンは夜中まで寝たが、夜中に起きて、町の門のとびらと二つの門柱に手をかけて、貫の木もろともに引き抜き、肩に載せて、ヘブロンの向かいにある山の頂に運んで行った。 + この後、サムソンはソレクの谷にいるデリラという女を愛した。 + ペリシテびとの君たちはその女のところにきて言った、「あなたはサムソンを説きすすめて、彼の大力はどこにあるのか、またわれわれはどうすれば彼に勝って、彼を縛り苦しめることができるかを見つけなさい。そうすればわれわれはおのおの銀千百枚ずつをあなたにさしあげましょう」。 + そこでデリラはサムソンに言った、「あなたの大力はどこにあるのか、またどうすればあなたを縛って苦しめることができるか、どうぞわたしに聞かせてください」。 + サムソンは女に言った、「人々がもし、かわいたことのない七本の新しい弓弦をもってわたしを縛るなら、わたしは弱くなってほかの人のようになるでしょう」。 + そこでペリシテびとの君たちが、かわいたことのない七本の新しい弓弦を女に持ってきたので、女はそれをもってサムソンを縛った。 + 女はかねて奥のへやに人を忍ばせておいて、サムソンに言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。しかしサムソンはその弓弦を、あたかも亜麻糸が火にあって断たれるように断ち切った。こうして彼の力の秘密は知れなかった。 + デリラはサムソンに言った、「あなたはわたしを欺いて、うそを言いました。どうしたらあなたを縛ることができるか、どうぞ今わたしに聞かせてください」。 + サムソンは女に言った、「もし人々がまだ用いたことのない新しい綱をもって、わたしを縛るなら、弱くなってほかの人のようになるでしょう」。 + そこでデリラは新しい綱をとり、それをもって彼を縛り、そして彼に言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。時に人々は奥のへやに忍んでいたが、サムソンはその綱を糸のように腕から断ち落した。 + そこでデリラはサムソンに言った、「あなたは今まで、わたしを欺いて、うそを言いましたが、どうしたらあなたを縛ることができるか、わたしに聞かせてください」。彼は女に言った、「あなたがもし、わたしの髪の毛七ふさを機の縦糸と一緒に織って、くぎでそれを留めておくならば、わたしは弱くなってほかの人のようになるでしょう」。そこで彼が眠ったとき、デリラはサムソンの髪の毛、七ふさをとって、それを機の縦糸に織り込み、 + くぎでそれを留めておいて、彼に言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。しかしサムソンは目をさまして、くぎと機と縦糸とを引き抜いた。 + そこで女はサムソンに言った、「あなたの心がわたしを離れているのに、どうして『おまえを愛する』と言うことができますか。あなたはすでに三度もわたしを欺き、あなたの大力がどこにあるかをわたしに告げませんでした」。 + 女は毎日その言葉をもって彼に迫り促したので、彼の魂は死ぬばかりに苦しんだ。 + 彼はついにその心をことごとく打ち明けて女に言った、「わたしの頭にはかみそりを当てたことがありません。わたしは生れた時から神にささげられたナジルびとだからです。もし髪をそり落されたなら、わたしの力は去って弱くなり、ほかの人のようになるでしょう」。 + デリラはサムソンがその心をことごとく打ち明けたのを見、人をつかわしてペリシテびとの君たちを呼んで言った、「サムソンはその心をことごとくわたしに打ち明けましたから、今度こそ上っておいでなさい」。そこでペリシテびとの君たちは、銀を携えて女のもとに上ってきた。 + 女は自分のひざの上にサムソンを眠らせ、人を呼んで髪の毛、七ふさをそり落させ、彼を苦しめ始めたが、その力は彼を去っていた。 + そして女が「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」と言ったので、彼は目をさまして言った、「わたしはいつものように出て行って、からだをゆすろう」。彼は主が自分を去られたことを知らなかった。 + そこでペリシテびとは彼を捕えて、両眼をえぐり、ガザに引いて行って、青銅の足かせをかけて彼をつないだ。こうしてサムソンは獄屋の中で、うすをひいていたが、 + その髪の毛はそり落された後、ふたたび伸び始めた。 + さてペリシテびとの君たちは、彼らの神ダゴンに大いなる犠牲をささげて祝をしようと、共に集まって言った、「われわれの神は、敵サムソンをわれわれの手にわたされた」。 + 民はサムソンを見て、自分たちの神をほめたたえて言った、「われわれの神は、われわれの国を荒し、われわれを多く殺した敵をわれわれの手にわたされた」。 + 彼らはまた心に喜んで言った、「サムソンを呼んで、われわれのために戯れ事をさせよう」。彼らは獄屋からサムソンを呼び出して、彼らの前に戯れ事をさせた。彼らがサムソンを柱のあいだに立たせると、 + サムソンは自分の手をひいている若者に言った、「わたしの手を放して、この家をささえている柱をさぐらせ、それに寄りかからせてください」。 + その家には男女が満ち、ペリシテびとの君たちも皆そこにいた。また屋根の上には三千人ばかりの男女がいて、サムソンの戯れ事をするのを見ていた。 + サムソンは主に呼ばわって言った、「ああ、主なる神よ、どうぞ、わたしを覚えてください。ああ、神よ、どうぞもう一度、わたしを強くして、わたしの二つの目の一つのためにでもペリシテびとにあだを報いさせてください」。 + そしてサムソンは、その家をささえている二つの中柱の一つを右の手に、一つを左の手にかかえて、身をそれに寄せ、 + 「わたしはペリシテびとと共に死のう」と言って、力をこめて身をかがめると、家はその中にいた君たちと、すべての民の上に倒れた。こうしてサムソンが死ぬときに殺したものは、生きているときに殺したものよりも多かった。 + やがて彼の身内の人たちおよび父の家族の者がみな下ってきて、彼を引き取り、携え上って、ゾラとエシタオルの間にある父マノアの墓に葬った。サムソンがイスラエルをさばいたのは二十年であった。 + + + ここにエフライムの山地の人で、名をミカと呼ぶものがあった。 + 彼は母に言った、「あなたはかつて銀千百枚を取られたので、それをのろい、わたしにも話されましたが、その銀はわたしが持っています。わたしがそれを取ったのです」。母は言った、「どうぞ主がわが子を祝福されますように」。 + そして彼が銀千百枚を母に返したので、母は言った、「わたしはわたしの子のために一つの刻んだ像と、一つの鋳た像を造るためにその銀をわたしの手から主に献納します。それで今それをあなたに返しましょう」。 + ミカがその銀を母に返したので、母はその銀二百枚をとって、それを銀細工人に与え、一つの刻んだ像と、一つの鋳た像を造らせた。その像はミカの家にあった。 + このミカという人は神の宮をもち、エポデとテラピムを造り、その子のひとりを立てて、自分の祭司とした。 + そのころイスラエルには王がなかったので、人々はおのおの自分たちの目に正しいと思うことを行った。 + さてここにユダの氏族のもので、ユダのベツレヘムからきたひとりの若者があった。彼はレビびとであって、そこに寄留していたのである。 + この人は自分の住むべきところを尋ねて、ユダのベツレヘムの町を去り、旅してエフライムの山地のミカの家にきた。 + ミカは彼に言った、「あなたはどこからおいでになりましたか」。彼は言った、「わたしはユダのベツレヘムのレビびとですが、住むべきところを尋ねて旅をしているのです」。 + ミカは言った、「わたしと一緒にいて、わたしのために父とも祭司ともなってください。そうすれば年に銀十枚と衣服ひとそろいと食物とをさしあげましょう」。 + レビびとはついにその人と一緒に住むことを承諾した。そしてその若者は彼の子のひとりのようになった。 + ミカはレビびとであるこの若者を立てて自分の祭司としたので、彼はミカの家にいた。 + それでミカは言った、「今わたしはレビびとを祭司に持つようになったので、主がわたしをお恵みくださることがわかりました」。 + + + そのころイスラエルには王がなかった。そのころダンびとの部族はイスラエルの部族のうちにあって、その日までまだ嗣業の地を得なかったので自分たちの住むべき嗣業の地を求めていた。 + それでダンの人々は自分の部族の総勢のうちから、勇者五人をゾラとエシタオルからつかわして土地をうかがい探らせた。すなわち彼らに言った、「行って土地を探ってきなさい」。彼らはエフライムの山地に行き、ミカの家に着いて、そこに宿ろうとした。 + 彼らがミカの家に近づいたとき、レビびとである若者の声を聞きわけたので、身をめぐらしてそこにはいって彼に言った、「だれがあなたをここに連れてきたのですか。あなたはここで何をしているのですか。ここになんの用があるのですか」。 + 若者は彼らに言った、「ミカが、かようかようにしてわたしを雇ったので、わたしはその祭司となったのです」。 + 彼らは言った、「どうぞ、神に伺って、われわれが行く道にしあわせがあるかどうかを知らせてください」。 + その祭司は彼らに言った、「安心して行きなさい。あなたがたが行く道は主が見守っておられます」。 + そこで五人の者は去ってライシに行き、そこにいる民を見ると、彼らは安らかに住まい、その穏やかで安らかなことシドンびとのようであって、この国には一つとして欠けたものがなく、富を持ち、またシドンびとと遠く離れており、ほかの民と交わることがなかった。 + かくて彼らがゾラとエシタオルにおる兄弟たちのもとに帰ってくると、兄弟たちは彼らに言った、「いかがでしたか」。 + 彼らは言った、「立って彼らのところに攻め上りましょう。われわれはかの地を見たが、非常に豊かです。あなたがたはなぜじっとしているのですか。ためらわずに進んで行って、かの地を取りなさい。 + あなたがたが行けば、安らかにおる民の所に行くでしょう。その地は広く、神はそれをあなたがたの手に賜わるのです。そこには地にあるもの一つとして欠けているものはありません」。 + そこでダンの氏族のもの六百人が武器を帯びて、ゾラとエシタオルを出発し、 + 上って行ってユダのキリアテ・ヤリムに陣を張った。このゆえに、その所は今日までマハネダンと呼ばれる。それはキリアテ・ヤリムの西にある。 + 彼らはそこからエフライムの山地に進み、ミカの家に着いた。 + かのライシの国をうかがいに行った五人の者はその兄弟たちに言った、「あなたがたはこれらの家にエポデとテラピムと刻んだ像と鋳た像のあるのを知っていますか。それであなたがたは今、なすべきことを決めなさい」。 + そこで彼らはその方へ身をめぐらして、かのレビびとの若者の家すなわちミカの家に行って、彼に安否を問うた。 + しかし武器を帯びた六百人のダンの人々は門の入口に立っていた。 + かの土地をうかがいに行った五人の者は上って行って、そこにはいり、刻んだ像とエポデとテラピムと鋳た像とを取ったが、祭司は武器を帯びた六百人の者と共に門の入口に立っていた。 + 彼らがミカの家にはいって刻んだ像とエポデとテラピムと鋳た像とを取った時、祭司は彼らに言った、「あなたがたは何をなさいますか」。 + 彼らは言った、「黙りなさい。あなたの手を口にあてて、われわれと一緒にきて、われわれのために父とも祭司ともなりなさい。ひとりの家の祭司であるのと、イスラエルの一部族、一氏族の祭司であるのと、どちらがよいですか」。 + 祭司は喜んで、エポデとテラピムと刻んだ像とを取り、民のなかに加わった。 + かくて彼らは身をめぐらして去り、その子供たちと家畜と貨財をさきにたてて進んだが、 + ミカの家をはるかに離れたとき、ミカは家に近い家の人々を集め、ダンの人々に追いつき、 + ダンの人々を呼んだので、彼らはふり向いてミカに言った、「あなたがそのように仲間を連れてきたのは、どうしたのですか」。 + 彼は言った、「あなたがたが、わたしの造った神々および祭司を奪い去ったので、わたしに何が残っていますか。しかるにあなたがたがわたしに向かって『どうしたのですか』と言われるとは何事ですか」。 + ダンの人々は彼に言った、「あなたは大きな声を出さないがよい。気の荒い連中があなたに撃ちかかって、あなたは自分の命と家族の命を失うようになるでしょう」。 + こうしてダンの人々は去って行ったが、ミカは彼らの強いのを見て、くびすをかえして自分の家に帰った。 + さて彼らはミカが造った物と、ミカと共にいた祭司とを奪ってライシにおもむき、穏やかで、安らかな民のところへ行って、つるぎをもって彼らを撃ち、火をつけてその町を焼いたが、 + シドンを遠く離れており、ほかの民との交わりがなかったので、それを救うものがなかった。その町はベテレホブに属する谷にあった。彼らは町を建てなおしてそこに住み、 + イスラエルに生れた先祖ダンの名にしたがって、その町の名をダンと名づけた。その町の名はもとはライシであった。 + そしてダンの人々は刻んだ像を自分たちのために安置し、モーセの孫すなわちゲルショムの子ヨナタンとその子孫がダンびとの部族の祭司となって、国が捕囚となる日にまで及んだ。 + 神の家がシロにあったあいだ、常に彼らはミカが造ったその刻んだ像を飾って置いた。 + + + そのころ、イスラエルに王がなかった時、エフライムの山地の奥にひとりのレビびとが寄留していた。彼はユダのベツレヘムからひとりの女を迎えて、めかけとしていたが、 + そのめかけは怒って、彼のところを去り、ユダのベツレヘムの父の家に帰って、そこに四か月ばかり過ごした。 + そこで夫は彼女をなだめて連れ帰ろうと、しもべと二頭のろばを従え、立って彼女のあとを追って行った。彼が女の父の家に着いた時、娘の父は彼を見て、喜んで迎えた。 + 娘の父であるしゅうとが引き留めたので、彼は三日共におり、みな飲み食いしてそこに宿った。 + 四日目に彼らは朝はやく起き、彼が立ち去ろうとしたので、娘の父は婿に言った、「少し食事をして元気をつけ、それから出かけなさい」。 + そこでふたりは座して共に飲み食いしたが、娘の父はその人に言った、「どうぞもう一晩泊まって楽しく過ごしなさい」。 + その人は立って去ろうとしたが、しゅうとがしいたので、ついにまたそこに宿った。 + 五日目になって、朝はやく起きて去ろうとしたが、娘の父は言った、「どうぞ、元気をつけて、日が傾くまでとどまりなさい」。そこで彼らふたりは食事をした。 + その人がついにめかけおよびしもべと共に去ろうとして立ちあがったとき、娘の父であるしゅうとは彼に言った、「日も暮れようとしている。どうぞもう一晩泊まりなさい。日は傾いた。ここに宿って楽しく過ごしなさい。そしてあしたの朝はやく起きて出立し、家に帰りなさい」。 + しかし、その人は泊まることを好まないので、立って去り、エブスすなわちエルサレムの向かいに着いた。くらをおいた二頭のろばと彼のめかけも一緒であった。 + 彼らがエブスに近づいたとき、日はすでに没したので、しもべは主人に言った、「さあ、われわれは道を転じてエブスびとのこの町にはいって、そこに宿りましょう」。 + 主人は彼に言った、「われわれは道を転じて、イスラエルの人々の町でない外国人の町に、はいってはならない。ギベアまで行こう」。 + 彼はまたしもべに言った、「さあ、われわれはギベアかラマか、そのうちの一つに着いてそこに宿ろう」。 + 彼らは進んで行ったが、ベニヤミンに属するギベアの近くで日が暮れたので、 + ギベアへ行って宿ろうと、そこに道を転じ、町にはいって、その広場に座した。だれも彼らを家に迎えて泊めてくれる者がなかったからである。 + 時にひとりの老人が夕暮に畑の仕事から帰ってきた。この人はエフライムの山地の者で、ギベアに寄留していたのである。ただしこの所の人々はベニヤミンびとであった。 + 彼は目をあげて、町の広場に旅人のおるのを見た。老人は言った、「あなたはどこへ行かれるのですか。どこからおいでになりましたか」。 + その人は言った、「われわれはユダのベツレヘムから、エフライムの山地の奥へ行くものです。わたしはあそこの者で、ユダのベツレヘムへ行き、今わたしの家に帰るところですが、だれもわたしを家に泊めてくれる者がありません。 + われわれには、ろばのわらも飼葉もあり、またわたしと、はしためと、しもべと共にいる若者との食物も酒もあって、何も欠けているものはありません」。 + 老人は言った、「安心しなさい。あなたの必要なものはなんでも備えましょう。ただ広場で夜を過ごしてはなりません」。 + そして彼を家に連れていって、ろばに飼葉を与えた。彼らは足を洗って飲み食いした。 + 彼らが楽しく過ごしていた時、町の人々の悪い者どもがその家を取り囲み、戸を打ちたたいて、家のあるじである老人に言った、「あなたの家にきた人を出しなさい。われわれはその者を知るであろう」。 + しかし家のあるじは彼らのところに出ていって言った、「いいえ、兄弟たちよ、どうぞ、そんな悪いことをしないでください。この人はすでにわたしの家にはいったのだから、そんなつまらない事をしないでください。 + ここに処女であるわたしの娘と、この人のめかけがいます。今それを出しますから、それをはずかしめ、あなたがたの好きなようにしなさい。しかしこの人にはそのようなつまらない事をしないでください」。 + しかし人々が聞きいれなかったので、その人は自分のめかけをとって彼らのところに出した。彼らはその女を犯して朝まで終夜はずかしめ、日ののぼるころになって放し帰らせた。 + 朝になって女は自分の主人を宿してくれた人の家の戸口にきて倒れ伏し、夜のあけるまでに及んだ。 + 彼女の主人は朝起きて家の戸を開き、出て旅立とうとすると、そのめかけである女が家の戸口に、手を敷居にかけて倒れていた。 + 彼は女に向かって、「起きよ、行こう」と言ったけれども、なんの答もなかった。そこでその人は女をろばに乗せ、立って自分の家におもむいたが、 + その家に着いたとき、刀を執り、めかけを捕えて、そのからだを十二切れに断ち切り、それをイスラエルの全領域にあまねく送った。 + それを見たものはみな言った、「イスラエルの人々がエジプトの地から上ってきた日から今日まで、このような事は起ったこともなく、また見たこともない。この事をよく考え、協議して言うことを決めよ」。 + + + そこでイスラエルの人々は、ダンからベエルシバまで、またギレアデの地からもみな出てきて、その会衆はひとりのようにミヅパで主のもとに集まった。 + 民の首領たち、すなわちイスラエルのすべての部族の首領たちは、みずから神の民の集合に出た。つるぎを帯びている歩兵が四十万人あった。 + ベニヤミンの人々は、イスラエルの人々がミヅパに上ったことを聞いた。イスラエルの人々は言った、「どうして、この悪事が起ったのか、われわれに話してください」。 + 殺された女の夫であるレビびとは答えて言った、「わたしは、めかけと一緒にベニヤミンに属するギベアへ行って宿りましたが、 + ギベアの人々は立ってわたしを攻め、夜の間に、わたしのおる家を取り囲んで、わたしを殺そうと企て、ついにわたしのめかけをはずかしめて、死なせました。 + それでわたしはめかけを捕えて断ち切り、それをイスラエルの嗣業のすべての地方にあまねく送りました。彼らがイスラエルにおいて憎むべきみだらなことを行ったからです。 + イスラエルの人々よ、あなたがたは皆自分の意見と考えをここに述べてください」。 + 民は皆ひとりのように立って言った、「われわれはだれも自分の天幕に行きません。まただれも自分の家に帰りません。 + われわれが今ギベアに対してしようとする事はこれです。われわれはくじを引いて、ギベアに攻めのぼりましょう。 + すなわちイスラエルのすべての部族から百人について十人、千人について百人、万人について千人を選んで、民の糧食をとらせ、民はベニヤミンのギベアに行って、ベニヤミンびとがイスラエルにおいておこなったすべてのみだらな事に対して、報復しましょう」。 + こうしてイスラエルの人々は皆集まり、一致結束して町を攻めようとした。 + イスラエルのもろもろの部族は人々をあまねくベニヤミンの部族のうちにつかわして言わせた、「あなたがたのうちに起ったこの事は、なんたる悪事でしょうか。 + それで今ギベアにいるあの悪い人々をわたしなさい。われわれは彼らを殺して、イスラエルから悪を除き去りましょう」。しかしベニヤミンの人々はその兄弟であるイスラエルの人々の言葉を聞きいれなかった。 + かえってベニヤミンの人々は町々からギベアに集まり、出てイスラエルの人々と戦おうとした。 + その日、町々から集まったベニヤミンの人々はつるぎを帯びている者二万六千人あり、ほかにギベアの住民で集まった精兵が七百人あった。 + このすべての民のうちに左ききの精兵が七百人あって、いずれも一本の毛すじをねらって石を投げても、はずれることがなかった。 + イスラエルの人々の集まった者はベニヤミンを除いて、つるぎを帯びている者四十万人あり、いずれも軍人であった。 + イスラエルの人々は立ちあがってベテルにのぼり、神に尋ねた、「われわれのうち、いずれがさきにのぼって、ベニヤミンの人々と戦いましょうか」。主は言われた、「ユダがさきに」。 + そこでイスラエルの人々は、朝起きて、ギベアに対し陣を取った。 + すなわちイスラエルの人々はベニヤミンと戦うために出て行って、ギベアで彼らに対して戦いの備えをしたが、 + ベニヤミンの人々はギベアから出てきて、その日イスラエルの人々のうち二万二千人を地に撃ち倒した。 + しかしイスラエルの民の人々は奮いたって初めの日に備えをした所にふたたび戦いの備えをした。 + そしてイスラエルの人々は上って行って主の前に夕暮まで泣き、主に尋ねた、「われわれは再びわれわれの兄弟であるベニヤミンの人々と戦いを交えるべきでしょうか」。主は言われた、「攻めのぼれ」。 + そこでイスラエルの人々は、次の日またベニヤミンの人々の所に攻めよせたが、 + ベニヤミンは次の日またギベアから出て、これを迎え、ふたたびイスラエルの人々のうち一万八千人を地に撃ち倒した。これらは皆つるぎを帯びている者であった。 + これがためにイスラエルのすべての人々すなわち全軍はベテルに上って行って泣き、その所で主の前に座して、その日夕暮まで断食し、燔祭と酬恩祭を主の前にささげた。 + そしてイスラエルの人々は主に尋ね、――そのころ神の契約の箱はそこにあって、 + アロンの子エレアザルの子であるピネハスが、それに仕えていた――そして言った、「われわれはなおふたたび出て、われわれの兄弟であるベニヤミンの人々と戦うべきでしょうか。あるいはやめるべきでしょうか」。主は言われた、「のぼれ。わたしはあす彼らをあなたがたの手にわたすであろう」。 + そこでイスラエルはギベアの周囲に伏兵を置き、 + そしてイスラエルの人々は三日目にまたベニヤミンの人々のところに攻めのぼり、前のようにギベアに対して備えをした。 + ベニヤミンの人々は出て、民を迎えたが、ついに町からおびき出されたので、彼らは前のように大路で民を撃ちはじめ、また野でイスラエルの人を三十人ばかり殺した。その大路は、一つはベテルに至り、一つはギベアに至るものであった。 + ベニヤミンの人々は言った、「彼らは初めのように、われわれの前に撃ち破られる」。しかしイスラエルの人々は言った、「われわれは逃げて、彼らを町から大路におびき出そう」。 + そしてイスラエルの人々は皆その所から立ってバアル・タマルに備えをした。その間に待ち伏せていたイスラエルの人々がその所から、すなわちゲバの西から現れ出た。 + すなわちイスラエルの全軍のうちから精兵一万人がきて、ギベアを襲い、その戦いは激しかった。しかしベニヤミンの人々は災の自分たちに迫っているのを知らなかった。 + 主がイスラエルの前にベニヤミンを撃ち敗られたので、イスラエルの人々は、その日ベニヤミンびと二万五千一百人を殺した。これらは皆つるぎを帯びている者であった。 + こうしてベニヤミンの人々は自分たちの撃ち敗られたのを見た。そこでイスラエルの人々はギベアに対して設けた伏兵をたのんで、ベニヤミンびとを避けて退いた。 + 伏兵は急いでギベアに突き入り、進んでつるぎをもって町をことごとく撃った。 + イスラエルの人々と伏兵の間に定めた合図は、町から大いなるのろしがあがるとき、 + イスラエルの人々が戦いに転じることであった。さてベニヤミンは初めイスラエルの人々を撃って三十人ばかりを殺したので言った、「まことに彼らは最初の戦いのようにわれわれの前に撃ち敗られる」。 + しかし、のろしが煙の柱となって町からのぼりはじめたので、ベニヤミンの人々がうしろを見ると、町はみな煙となって天にのぼっていた。 + その時イスラエルの人々が向きを変えたので、ベニヤミンの人々は災が自分たちに迫ったのを見て、うろたえ、 + イスラエルの人々の前から身をめぐらして荒野の方に向かったが、戦いが彼らに追い迫り、町から出てきた者どもは、彼らを中にはさんで殺した。 + すなわちイスラエルの人々はベニヤミンの人々を切り倒し、追い撃ち、踏みにじって、ノハから東の方ギベアの向かいにまで及んだ。 + ベニヤミンの倒れた者は一万八千人で、みな勇士であった。 + 彼らは身をめぐらして荒野の方、リンモンの岩まで逃げたが、イスラエルの人々は大路でそのうち五千人を切り倒し、なおも追撃してギドムに至り、そのうちの二千人を殺した。 + こうしてその日ベニヤミンの倒れた者はつるぎを帯びている者合わせて二万五千人で、みな勇士であった。 + しかし六百人の者は身をめぐらして荒野の方、リンモンの岩まで逃げて、四か月の間リンモンの岩に住んだ。 + そこでイスラエルの人々はまた身をかえしてベニヤミンの人々を攻め、つるぎをもって人も獣もすべて見つけたものを撃ち殺し、また見つけたすべての町に火をかけた。 + + + かつてイスラエルの人々はミヅパで、「われわれのうちひとりもその娘をベニヤミンびとの妻として与える者があってはならない」と言って誓ったので、 + 民はベテルに行って、そこで夕暮まで神の前に座し、声をあげて激しく泣いて、 + 言った、「イスラエルの神、主よ、どうしてイスラエルにこのような事が起って、今日イスラエルに一つの部族が欠けるようになったのですか」。 + 翌日、民は早く起きて、そこに祭壇を築き、燔祭と酬恩祭をささげた。 + そしてイスラエルの人々は言った、「イスラエルのすべての部族のうちで集会に上って、主のもとに行かなかった者はだれか」。これは彼らがミヅパにのぼって、主のもとに行かない者のことについて大いなる誓いを立てて、「その人は必ず殺されなければならない」と言ったからである。 + しかしイスラエルの人々は兄弟ベニヤミンをあわれんで言った、「今日イスラエルに一つの部族が絶えた。 + われわれは主をさして、われわれの娘を彼らに妻として与えないと誓ったので、かの残った者どもに妻をめとらせるにはどうしたらよいであろうか」。 + 彼らはまた言った、「イスラエルの部族のうちで、ミヅパにのぼって主のもとに行かなかったのはどの部族か」。ところがヤベシ・ギレアデからはひとりも陣営にきて集会に臨んだ者がなかった。 + すなわち民を集めて見ると、ヤベシ・ギレアデの住民はひとりもそこにいなかった。 + そこで会衆は勇士一万二千人をかしこにつかわし、これに命じて言った、「ヤベシ・ギレアデに行って、その住民を、女、子供もろともつるぎをもって撃て。 + そしてこのようにしなければならない。すなわち男および男と寝た女はことごとく滅ぼさなければならない」。 + こうして彼らはヤベシ・ギレアデの住民のうちで四百人の若い処女を獲た。これはまだ男と寝たことがなく、男を知らない者である。彼らはこれをカナンの地にあるシロの陣営に連れてきた。 + そこで全会衆は人をつかわして、リンモンの岩におるベニヤミンの人々に平和を告げた。 + ベニヤミンの人々がその時、帰ってきたので、彼らはヤベシ・ギレアデの女のうちから生かしておいた女をこれに与えたが、なお足りなかった。 + こうして民は、主がイスラエルの部族のうちに欠陥をつくられたことのために、ベニヤミンをあわれんだ。 + 会衆の長老たちは言った、「ベニヤミンの女が絶えたので、かの残りの者どもに妻をめとらせるにはどうしたらよいでしょうか」。 + 彼らはまた言った、「イスラエルから一つの部族が消えうせないためにベニヤミンのうちの残りの者どもに、あとつぎがなければならない。 + しかし、われわれの娘を彼らの妻に与えることはできない。イスラエルの人々が『ベニヤミンに妻を与える者はのろわれる』と言って誓ったからである」。 + それで彼らは言った、「年々シロに主の祭がある」。シロはベテルの北にあって、ベテルからシケムにのぼる大路の東、レバナの南にある。 + そして彼らはベニヤミンの人々に命じて言った、「あなたがたは行って、ぶどう畑に待ち伏せして、 + うかがいなさい。もしシロの娘たちが踊りを踊りに出てきたならば、ぶどう畑から出て、シロの娘たちのうちから、めいめい自分の妻をとって、ベニヤミンの地に連れて行きなさい。 + もしその父あるいは兄弟がきて、われわれに訴えるならば、われわれは彼らに、『われわれのために彼らをゆるしてください。戦争のときにわれわれは、彼らおのおのに妻をとってやらなかったし、またあなたがたも彼らに与えなかったからです。もし与えたならば、あなたがたは罪を犯したことになるからでした』と言いましょう」。 + ベニヤミンの人々はそのように行い、踊っている者どものうちから自分たちの数にしたがって妻を取り、それを連れて領地に帰り、町々を建てなおして、そこに住んだ。 + こうしてイスラエルの人々は、その時そこを去って、おのおのその部族および氏族に帰った。すなわちそこを立って、おのおのその嗣業の地に帰った。 + そのころ、イスラエルには王がなかったので、おのおの自分の目に正しいと見るところをおこなった。 + +
+
+ + さばきづかさが世を治めているころ、国に飢きんがあったので、ひとりの人がその妻とふたりの男の子を連れてユダのベツレヘムを去り、モアブの地へ行ってそこに滞在した。 + その人の名はエリメレク、妻の名はナオミ、ふたりの男の子の名はマロンとキリオンといい、ユダのベツレヘムのエフラタびとであった。彼らはモアブの地へ行って、そこにおったが、 + ナオミの夫エリメレクは死んで、ナオミとふたりの男の子が残された。 + ふたりの男の子はそれぞれモアブの女を妻に迎えた。そのひとりの名はオルパといい、ひとりの名はルツといった。彼らはそこに十年ほど住んでいたが、 + マロンとキリオンのふたりもまた死んだ。こうしてナオミはふたりの子と夫とに先だたれた。 + その時、ナオミはモアブの地で、主がその民を顧みて、すでに食物をお与えになっていることを聞いたので、その嫁と共に立って、モアブの地からふるさとへ帰ろうとした。 + そこで彼女は今いる所を出立し、ユダの地へ帰ろうと、ふたりの嫁を連れて道に進んだ。 + しかしナオミはふたりの嫁に言った、「あなたがたは、それぞれ自分の母の家に帰って行きなさい。あなたがたが、死んだふたりの子とわたしに親切をつくしたように、どうぞ、主があなたがたに、いつくしみを賜わりますよう。 + どうぞ、主があなたがたに夫を与え、夫の家で、それぞれ身の落ち着き所を得させられるように」。こう言って、ふたりの嫁に口づけしたので、彼らは声をあげて泣き、 + ナオミに言った、「いいえ、わたしたちは一緒にあなたの民のところへ帰ります」。 + しかしナオミは言った、「娘たちよ、帰って行きなさい。どうして、わたしと一緒に行こうというのですか。あなたがたの夫となる子がまだわたしの胎内にいると思うのですか。 + 娘たちよ、帰って行きなさい。わたしは年をとっているので、夫をもつことはできません。たとい、わたしが今夜、夫をもち、また子を産む望みがあるとしても、 + そのためにあなたがたは、子どもの成長するまで待っているつもりなのですか。あなたがたは、そのために夫をもたずにいるつもりなのですか。娘たちよ、それはいけません。主の手がわたしに臨み、わたしを責められたことで、あなたがたのために、わたしは非常に心を痛めているのです」。 + 彼らはまた声をあげて泣いた。そしてオルパはそのしゅうとめに口づけしたが、ルツはしゅうとめを離れなかった。 + そこでナオミは言った、「ごらんなさい。あなたの相嫁は自分の民と自分の神々のもとへ帰って行きました。あなたも相嫁のあとについて帰りなさい」。 + しかしルツは言った、「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることをわたしに勧めないでください。わたしはあなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。 + あなたの死なれる所でわたしも死んで、そのかたわらに葬られます。もし死に別れでなく、わたしがあなたと別れるならば、主よ、どうぞわたしをいくえにも罰してください」。 + ナオミはルツが自分と一緒に行こうと、固く決心しているのを見たので、そのうえ言うことをやめた。 + そしてふたりは旅をつづけて、ついにベツレヘムに着いた。彼らがベツレヘムに着いたとき、町はこぞって彼らのために騒ぎたち、女たちは言った、「これはナオミですか」。 + ナオミは彼らに言った、「わたしをナオミ(楽しみ)と呼ばずに、マラ(苦しみ)と呼んでください。なぜなら全能者がわたしをひどく苦しめられたからです。 + わたしは出て行くときは豊かでありましたが、主はわたしをから手で帰されました。主がわたしを悩まし、全能者がわたしに災をくだされたのに、どうしてわたしをナオミと呼ぶのですか」。 + こうしてナオミは、モアブの地から帰った嫁、モアブの女ルツと一緒に帰ってきて、大麦刈の初めにベツレヘムに着いた。 + + + さてナオミには、夫エリメレクの一族で、非常に裕福なひとりの親戚があって、その名をボアズといった。 + モアブの女ルツはナオミに言った、「どうぞ、わたしを畑に行かせてください。だれか親切な人が見当るならば、わたしはその方のあとについて落ち穂を拾います」。ナオミが彼女に「娘よ、行きなさい」と言ったので、 + ルツは行って、刈る人たちのあとに従い、畑で落ち穂を拾ったが、彼女ははからずもエリメレクの一族であるボアズの畑の部分にきた。 + その時ボアズは、ベツレヘムからきて、刈る者どもに言った、「主があなたがたと共におられますように」。彼らは答えた、「主があなたを祝福されますように」。 + ボアズは刈る人たちを監督しているしもべに言った、「これはだれの娘ですか」。 + 刈る人たちを監督しているしもべは答えた、「あれはモアブの女で、モアブの地からナオミと一緒に帰ってきたのですが、 + 彼女は『どうぞ、わたしに、刈る人たちのあとについて、束のあいだで、落ち穂を拾い集めさせてください』と言いました。そして彼女は朝早くきて、今まで働いて、少しのあいだも休みませんでした」。 + ボアズはルツに言った、「娘よ、お聞きなさい。ほかの畑に穂を拾いに行ってはいけません。またここを去ってはなりません。わたしのところで働く女たちを離れないで、ここにいなさい。 + 人々が刈りとっている畑に目をとめて、そのあとについて行きなさい。わたしは若者たちに命じて、あなたのじゃまをしないようにと、言っておいたではありませんか。あなたがかわく時には水がめのところへ行って、若者たちのくんだのを飲みなさい」。 + 彼女は地に伏して拝し、彼に言った、「どうしてあなたは、わたしのような外国人を顧みて、親切にしてくださるのですか」。 + ボアズは答えて彼女に言った、「あなたの夫が死んでこのかた、あなたがしゅうとめにつくしたこと、また自分の父母と生れた国を離れて、かつて知らなかった民のところにきたことは皆わたしに聞えました。 + どうぞ、主があなたのしたことに報いられるように。どうぞ、イスラエルの神、主、すなわちあなたがその翼の下に身を寄せようとしてきた主からじゅうぶんの報いを得られるように」。 + 彼女は言った、「わが主よ、まことにありがとうございます。わたしはあなたのはしためのひとりにも及ばないのに、あなたはこんなにわたしを慰め、はしためにねんごろに語られました」。 + 食事の時、ボアズは彼女に言った、「ここへきて、パンを食べ、あなたの食べる物を酢に浸しなさい」。彼女が刈る人々のかたわらにすわったので、ボアズは焼麦を彼女に与えた。彼女は飽きるほど食べて残した。 + そして彼女がまた穂を拾おうと立ちあがったとき、ボアズは若者たちに命じて言った、「彼女には束の間でも穂を拾わせなさい。とがめてはならない。 + また彼女のために束からわざと抜き落しておいて拾わせなさい。しかってはならない」。 + こうして彼女は夕暮まで畑で落ち穂を拾った。そして拾った穂を打つと、大麦は一エパほどあった。 + 彼女はそれを携えて町にはいり、しゅうとめにその拾ったものを見せ、かつ食べ飽きて、残して持ちかえったものを取り出して与えた。 + しゅうとめは彼女に言った、「あなたは、きょう、どこで穂を拾いましたか。どこで働きましたか。あなたをそのように顧みてくださったかたに、どうか祝福があるように」。そこで彼女は自分がだれの所で働いたかを、しゅうとめに告げて、「わたしが、きょう働いたのはボアズという名の人の所です」と言った。 + ナオミは嫁に言った、「生きている者をも、死んだ者をも、顧みて、いつくしみを賜わる主が、どうぞその人を祝福されますように」。ナオミはまた彼女に言った、「その人はわたしたちの縁者で、最も近い親戚のひとりです」。 + モアブの女ルツは言った、「その人はまたわたしに『あなたはわたしのところの刈入れが全部終るまで、わたしのしもべたちのそばについていなさい』と言いました」。 + ナオミは嫁ルツに言った、「娘よ、その人のところで働く女たちと一緒に出かけるのはけっこうです。そうすればほかの畑で人にいじめられるのを免れるでしょう」。 + それで彼女はボアズのところで働く女たちのそばについていて穂を拾い、大麦刈と小麦刈の終るまでそうした。こうして彼女はしゅうとめと一緒に暮した。 + + + 時にしゅうとめナオミは彼女に言った、「娘よ、わたしはあなたの落ち着き所を求めて、あなたをしあわせにすべきではないでしょうか。 + あなたが一緒に働いた女たちの主人ボアズはわたしたちの親戚ではありませんか。彼は今夜、打ち場で大麦をあおぎ分けます。 + それであなたは身を洗って油をぬり、晴れ着をまとって打ち場に下って行きなさい。ただ、あなたはその人が飲み食いを終るまで、その人に知られてはなりません。 + そしてその人が寝る時、その寝る場所を見定め、はいって行って、その足の所をまくって、そこに寝なさい。彼はあなたのすべきことを知らせるでしょう」。 + ルツはしゅうとめに言った、「あなたのおっしゃることを皆いたしましょう」。 + こうして彼女は打ち場に下り、すべてしゅうとめが命じたとおりにした。 + ボアズは飲み食いして、心をたのしませたあとで、麦を積んである場所のかたわらへ行って寝た。そこで彼女はひそかに行き、ボアズの足の所をまくって、そこに寝た。 + 夜中になって、その人は驚き、起きかえって見ると、ひとりの女が足のところに寝ていたので、 + 「あなたはだれですか」と言うと、彼女は答えた、「わたしはあなたのはしためルツです。あなたのすそで、はしためをおおってください。あなたは最も近い親戚です」。 + ボアズは言った、「娘よ、どうぞ、主があなたを祝福されるように。あなたは貧富にかかわらず若い人に従い行くことはせず、あなたが最後に示したこの親切は、さきに示した親切にまさっています。 + それで、娘よ、あなたは恐れるにおよびません。あなたが求めることは皆、あなたのためにいたしましょう。わたしの町の人々は皆、あなたがりっぱな女であることを知っているからです。 + たしかにわたしは近い親戚ではありますが、わたしよりも、もっと近い親戚があります。 + 今夜はここにとどまりなさい。朝になって、もしその人が、あなたのために親戚の義務をつくすならば、よろしい、その人にさせなさい。しかし主は生きておられます。その人が、あなたのために親戚の義務をつくすことを好まないならば、わたしはあなたのために親戚の義務をつくしましょう。朝までここにおやすみなさい」。 + ルツは朝まで彼の足のところに寝たが、だれかれの見分け難いころに起きあがった。それはボアズが「この女の打ち場にきたことが人に知られてはならない」と言ったからである。 + そしてボアズは言った、「あなたの着る外套を持ってきて、それを広げなさい」。彼女がそれを広げると、ボアズは大麦六オメルをはかって彼女に負わせた。彼女は町に帰り、 + しゅうとめのところへ行くと、しゅうとめは言った、「娘よ、どうでしたか」。そこでルツはその人が彼女にしたことをことごとく告げて、 + 言った、「あのかたはわたしに向かって、から手で、しゅうとめのところへ帰ってはならないと言って、この大麦六オメルをわたしにくださいました」。 + しゅうとめは言った、「娘よ、この事がどうなるかわかるまでお待ちなさい。あの人は、きょう、その事を決定しなければ落ち着かないでしょう」。 + + + ボアズは町の門のところへ上っていって、そこにすわった。すると、さきにボアズが言った親戚の人が通り過ぎようとしたので、ボアズはその人に言った、「友よ、こちらへきて、ここにおすわりください」。彼はきてすわった。 + ボアズはまた町の長老十人を招いて言った、「ここにおすわりください」。彼らがすわった時、 + ボアズは親戚の人に言った、「モアブの地から帰ってきたナオミは、われわれの親族エリメレクの地所を売ろうとしています。 + それでわたしはそのことをあなたに知らせて、ここにすわっている人々と、民の長老たちの前で、それを買いなさいと、あなたに言おうと思いました。もし、あなたが、それをあがなおうと思われるならば、あがなってください。しかし、あなたがそれをあがなわないならば、わたしにそう言って知らせてください。それをあがなう人は、あなたのほかにはなく、わたしはあなたの次ですから」。彼は言った、「わたしがあがないましょう」。 + そこでボアズは言った、「あなたがナオミの手からその地所を買う時には、死んだ者の妻であったモアブの女ルツをも買って、死んだ者の名を起してその嗣業を伝えなければなりません」。 + その親戚の人は言った、「それでは、わたしにはあがなうことができません。そんなことをすれば自分の嗣業をそこないます。あなたがわたしに代って、自分であがなってください。わたしはあがなうことができませんから」。 + むかしイスラエルでは、物をあがなう事と、権利の譲渡について、万事を決定する時のならわしはこうであった。すなわち、その人は、自分のくつを脱いで、相手の人に渡した。これがイスラエルでの証明の方法であった。 + そこで親戚の人がボアズにむかい「あなたが自分であがないなさい」と言って、そのくつを脱いだので、 + ボアズは長老たちとすべての民に言った、「あなたがたは、きょう、わたしがエリメレクのすべての物およびキリオンとマロンのすべての物をナオミの手から買いとった事の証人です。 + またわたしはマロンの妻であったモアブの女ルツをも買って、わたしの妻としました。これはあの死んだ者の名を起してその嗣業を伝え、死んだ者の名がその一族から、またその郷里の門から断絶しないようにするためです。きょうあなたがたは、その証人です」。 + すると門にいたすべての民と長老たちは言った、「わたしたちは証人です。どうぞ、主があなたの家にはいる女を、イスラエルの家をたてたラケルとレアのふたりのようにされますよう。どうぞ、あなたがエフラタで富を得、ベツレヘムで名を揚げられますように。 + どうぞ、主がこの若い女によってあなたに賜わる子供により、あなたの家が、かのタマルがユダに産んだペレヅの家のようになりますように」。 + こうしてボアズはルツをめとって妻とし、彼女のところにはいった。主は彼女をみごもらせられたので、彼女はひとりの男の子を産んだ。 + そのとき、女たちはナオミに言った、「主はほむべきかな、主はあなたを見捨てずに、きょう、あなたにひとりの近親をお授けになりました。どうぞ、その子の名がイスラエルのうちに高く揚げられますように。 + 彼はあなたのいのちを新たにし、あなたの老年を養う者となるでしょう。あなたを愛するあなたの嫁、七人のむすこにもまさる彼女が彼を産んだのですから」。 + そこでナオミはその子をとり、ふところに置いて、養い育てた。 + 近所の女たちは「ナオミに男の子が生れた」と言って、彼に名をつけ、その名をオベデと呼んだ。彼はダビデの父であるエッサイの父となった。 + さてペレヅの子孫は次のとおりである。ペレヅからヘヅロンが生れ、 + ヘヅロンからラムが生れ、ラムからアミナダブが生れ、 + アミナダブからナションが生れ、ナションからサルモンが生れ、 + サルモンからボアズが生れ、ボアズからオベデが生れ、 + オベデからエッサイが生れ、エッサイからダビデが生れた。 + +
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+ + エフライムの山地のラマタイム・ゾピムに、エルカナという名の人があった。エフライムびとで、エロハムの子であった。エロハムはエリウの子、エリウはトフの子、トフはツフの子である。 + エルカナには、ふたりの妻があって、ひとりの名はハンナといい、ひとりの名はペニンナといった。ペニンナには子どもがあったが、ハンナには子どもがなかった。 + この人は年ごとに、その町からシロに上っていって、万軍の主を拝し、主に犠牲をささげるのを常とした。シロには、エリのふたりの子、ホフニとピネハスとがいて、主に仕える祭司であった。 + エルカナは、犠牲をささげる日、妻ペニンナとそのむすこ娘にはみな、その分け前を与えた。 + エルカナはハンナを愛していたが、彼女には、ただ一つの分け前を与えるだけであった。主がその胎を閉ざされたからである。 + また彼女を憎んでいる他の妻は、ひどく彼女を悩まして、主がその胎を閉ざされたことを恨ませようとした。 + こうして年は暮れ、年は明けたが、ハンナが主の宮に上るごとに、ペニンナは彼女を悩ましたので、ハンナは泣いて食べることもしなかった。 + 夫エルカナは彼女に言った、「ハンナよ、なぜ泣くのか。なぜ食べないのか。どうして心に悲しむのか。わたしはあなたにとって十人の子どもよりもまさっているではないか」。 + シロで彼らが飲み食いしたのち、ハンナは立ちあがった。その時、祭司エリは主の神殿の柱のかたわらの座にすわっていた。 + ハンナは心に深く悲しみ、主に祈って、はげしく泣いた。 + そして誓いを立てて言った、「万軍の主よ、まことに、はしための悩みをかえりみ、わたしを覚え、はしためを忘れずに、はしために男の子を賜わりますなら、わたしはその子を一生のあいだ主にささげ、かみそりをその頭にあてません」。 + 彼女が主の前で長く祈っていたので、エリは彼女の口に目をとめた。 + ハンナは心のうちで物を言っていたので、くちびるが動くだけで、声は聞えなかった。それゆえエリは、酔っているのだと思って、 + 彼女に言った、「いつまで酔っているのか。酔いをさましなさい」。 + しかしハンナは答えた、「いいえ、わが主よ。わたしは不幸な女です。ぶどう酒も濃い酒も飲んだのではありません。ただ主の前に心を注ぎ出していたのです。 + はしためを、悪い女と思わないでください。積る憂いと悩みのゆえに、わたしは今まで物を言っていたのです」。 + そこでエリは答えた、「安心して行きなさい。どうかイスラエルの神があなたの求める願いを聞きとどけられるように」。 + 彼女は言った、「どうぞ、はしためにも、あなたの前に恵みを得させてください」。こうして、その女は去って食事し、その顔は、もはや悲しげではなくなった。 + 彼らは朝早く起きて、主の前に礼拝し、そして、ラマにある家に帰って行った。エルカナは妻ハンナを知り、主が彼女を顧みられたので、 + 彼女はみごもり、その時が巡ってきて、男の子を産み、「わたしがこの子を主に求めたからだ」といって、その名をサムエルと名づけた。 + エルカナその人とその家族とはみな上っていって、年ごとの犠牲と、誓いの供え物とをささげた。 + しかしハンナは上って行かず、夫に言った、「わたしはこの子が乳離れしてから、主の前に連れていって、いつまでも、そこにおらせましょう」。 + 夫エルカナは彼女に言った、「あなたが良いと思うようにして、この子の乳離れするまで待ちなさい。ただどうか主がその言われたことを実現してくださるように」。こうしてその女はとどまって、その子に乳をのませ、乳離れするのを待っていたが、 + 乳離れした時、三歳の雄牛一頭、麦粉一エパ、ぶどう酒のはいった皮袋一つを取り、その子を連れて、シロにある主の宮に行った。その子はなお幼かった。 + そして彼らはその牛を殺し、子供をエリのもとへ連れて行った。 + ハンナは言った、「わが君よ、あなたは生きておられます。わたしは、かつてここに立って、あなたの前で、主に祈った女です。 + この子を与えてくださいと、わたしは祈りましたが、主はわたしの求めた願いを聞きとどけられました。 + それゆえ、わたしもこの子を主にささげます。この子は一生のあいだ主にささげたものです」。そして彼らはそこで主を礼拝した。 + + + ハンナは祈って言った、「わたしの心は主によって喜び、わたしの力は主によって強められた、わたしの口は敵をあざ笑う、あなたの救によってわたしは楽しむからである。 + 主のように聖なるものはない、あなたのほかには、だれもない、われわれの神のような岩はない。 + あなたがたは重ねて高慢に語ってはならない、たかぶりの言葉を口にすることをやめよ。主はすべてを知る神であって、もろもろのおこないは主によって量られる。 + 勇士の弓は折れ、弱き者は力を帯びる。 + 飽き足りた者は食のために雇われ、飢えたものは、もはや飢えることがない。うまずめは七人の子を産み、多くの子をもつ女は孤独となる。 + 主は殺し、また生かし、陰府にくだし、また上げられる。 + 主は貧しくし、また富ませ、低くし、また高くされる。 + 貧しい者を、ちりのなかから立ちあがらせ、乏しい者を、あくたのなかから引き上げて、王侯と共にすわらせ、栄誉の位を継がせられる。地の柱は主のものであって、その柱の上に、世界をすえられたからである。 + 主はその聖徒たちの足を守られる、しかし悪いものどもは暗黒のうちに滅びる。人は力をもって勝つことができないからである。 + 主と争うものは粉々に砕かれるであろう、主は彼らにむかって天から雷をとどろかし、地のはてまでもさばき、王に力を与え、油そそがれた者の力を強くされるであろう」。 + エルカナはラマにある家に帰ったが、幼な子は祭司エリの前にいて主に仕えた。 + さて、エリの子らは、よこしまな人々で、主を恐れなかった。 + 民のささげ物についての祭司のならわしはこうである。人が犠牲をささげる時、その肉を煮る間に、祭司のしもべは、みつまたの肉刺しを手に持ってきて、 + それをかま、またはなべ、またはおおがま、または鉢に突きいれ、肉刺しの引き上げるものは祭司がみな自分のものとした。彼らはシロで、そこに来るすべてのイスラエルの人に、このようにした。 + 人々が脂肪を焼く前にもまた、祭司のしもべがきて、犠牲をささげる人に言うのであった、「祭司のために焼く肉を与えよ。祭司はあなたから煮た肉を受けない。生の肉がよい」。 + その人が、「まず脂肪を焼かせましょう。その後ほしいだけ取ってください」と言うと、しもべは、「いや、今もらいたい。くれないなら、わたしは力づくで、それを取ろう」と言う。 + このように、その若者たちの罪は、主の前に非常に大きかった。この人々が主の供え物を軽んじたからである。 + サムエルはまだ幼く、身に亜麻布のエポデを着けて、主の前に仕えていた。 + 母は彼のために小さい上着を作り、年ごとに、夫と共にその年の犠牲をささげるために上る時、それを持ってきた。 + エリはいつもエルカナとその妻を祝福して言った、「この女が主にささげた者のかわりに、主がこの女によってあなたに子を与えられるように」。そして彼らはその家に帰るのを常とした。 + こうして主がハンナを顧みられたので、ハンナはみごもって、三人の男の子とふたりの女の子を産んだ。わらべサムエルは主の前で育った。 + エリはひじょうに年をとった。そしてその子らがイスラエルの人々にしたいろいろのことを聞き、また会見の幕屋の入口で勤めていた女たちと寝たことを聞いて、 + 彼らに言った、「なにゆえ、そのようなことをするのか。わたしはこのすべての民から、あなたがたの悪いおこないのことを聞く。 + わが子らよ、それはいけない。わたしの聞く、主の民の言いふらしている風説は良くない。 + もし人が人に対して罪を犯すならば、神が仲裁されるであろう。しかし人が主に対して罪を犯すならば、だれが、そのとりなしをすることができようか」。しかし彼らは父の言うことに耳を傾けようともしなかった。主が彼らを殺そうとされたからである。 + わらべサムエルは育っていき、主にも、人々にも、ますます愛せられた。 + このとき、ひとりの神の人が、エリのもとにきて言った、「主はかく仰せられる、『あなたの先祖の家がエジプトでパロの家の奴隷であったとき、わたしはその先祖の家に自らを現した。 + そしてイスラエルのすべての部族のうちからそれを選び出して、わたしの祭司とし、わたしの祭壇に上って、香をたかせ、わたしの前でエポデを着けさせ、また、イスラエルの人々の火祭をことごとくあなたの先祖の家に与えた。 + それにどうしてあなたがたは、わたしが命じた犠牲と供え物をむさぼりの目をもって見るのか。またなにゆえ、わたしよりも自分の子らを尊び、わたしの民イスラエルのささげるもろもろの供え物の、最も良き部分をもって自分を肥やすのか』。 + それゆえイスラエルの神、主は仰せられる、『わたしはかつて、「あなたの家とあなたの父の家とは、永久にわたしの前に歩むであろう」と言った』。しかし今、主は仰せられる、『決してそうはしない。わたしを尊ぶ者を、わたしは尊び、わたしを卑しめる者は、軽んぜられるであろう。 + 見よ、日が来るであろう。その日、わたしはあなたの力と、あなたの父の家の力を断ち、あなたの家に年老いた者をなくするであろう。 + そのとき、あなたは災のうちにあって、イスラエルに与えられるもろもろの繁栄を、ねたみ見るであろう。あなたの家には永久に年老いた者がいなくなるであろう。 + しかしあなたの一族のひとりを、わたしの祭壇から断たないであろう。彼は残されてその目を泣きはらし、心を痛めるであろう。またあなたの家に生れ出るものは、みなつるぎに死ぬであろう。 + あなたのふたりの子ホフニとピネハスの身に起ることが、あなたのためにそのしるしとなるであろう。すなわちそのふたりは共に同じ日に死ぬであろう。 + わたしは自分のために、ひとりの忠実な祭司を起す。その人はわたしの心と思いとに従って行うであろう。わたしはその家を確立しよう。その人はわたしが油そそいだ者の前につねに歩むであろう。 + そしてあなたの家で生き残っている人々はみなきて、彼に一枚の銀と一個のパンを請い求め、「どうぞ、わたしを祭司の職の一つに任じ、一口のパンでも食べることができるようにしてください」と言うであろう』」。 + + + わらべサムエルは、エリの前で、主に仕えていた。そのころ、主の言葉はまれで、黙示も常ではなかった。 + さてエリは、しだいに目がかすんで、見ることができなくなり、そのとき自分のへやで寝ていた。 + 神のともしびはまだ消えず、サムエルが神の箱のある主の神殿に寝ていた時、 + 主は「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれた。彼は「はい、ここにおります」と言って、 + エリの所へ走っていって言った、「あなたがお呼びになりました。わたしは、ここにおります」。しかしエリは言った、「わたしは呼ばない。帰って寝なさい」。彼は行って寝た。 + 主はまたかさねて「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれた。サムエルは起きてエリのもとへ行って言った、「あなたがお呼びになりました。わたしは、ここにおります」。エリは言った、「子よ、わたしは呼ばない。もう一度寝なさい」。 + サムエルはまだ主を知らず、主の言葉がまだ彼に現されなかった。 + 主はまた三度目にサムエルを呼ばれたので、サムエルは起きてエリのもとへ行って言った、「あなたがお呼びになりました。わたしは、ここにおります」。その時、エリは主がわらべを呼ばれたのであることを悟った。 + そしてエリはサムエルに言った、「行って寝なさい。もしあなたを呼ばれたら、『しもべは聞きます。主よ、お話しください』と言いなさい」。サムエルは行って自分の所で寝た。 + 主はきて立ち、前のように、「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれたので、サムエルは言った、「しもべは聞きます。お話しください」。 + その時、主はサムエルに言われた、「見よ、わたしはイスラエルのうちに一つの事をする。それを聞く者はみな、耳が二つとも鳴るであろう。 + その日には、わたしが、かつてエリの家について話したことを、はじめから終りまでことごとく、エリに行うであろう。 + わたしはエリに、彼が知っている悪事のゆえに、その家を永久に罰することを告げる。その子らが神をけがしているのに、彼がそれをとめなかったからである。 + それゆえ、わたしはエリの家に誓う。エリの家の悪は、犠牲や供え物をもってしても、永久にあがなわれないであろう」。 + サムエルは朝まで寝て、主の宮の戸をあけたが、サムエルはその幻のことをエリに語るのを恐れた。 + しかしエリはサムエルを呼んで言った、「わが子サムエルよ」。サムエルは言った、「はい、ここにおります」。 + エリは言った、「何事をお告げになったのか。隠さず話してください。もしお告げになったことを一つでも隠して、わたしに言わないならば、どうぞ神があなたを罰し、さらに重く罰せられるように」。 + そこでサムエルは、その事をことごとく話して、何も彼に隠さなかった。エリは言った、「それは主である。どうぞ主が、良いと思うことを行われるように」。 + サムエルは育っていった。主が彼と共におられて、その言葉を一つも地に落ちないようにされたので、 + ダンからベエルシバまで、イスラエルのすべての人は、サムエルが主の預言者と定められたことを知った。 + 主はふたたびシロで現れられた。すなわち主はシロで、主の言葉によって、サムエルに自らを現された。こうしてサムエルの言葉は、あまねくイスラエルの人々に及んだ。 + + + イスラエルびとは出てペリシテびとと戦おうとして、エベネゼルのほとりに陣をしき、ペリシテびとはアペクに陣をしいた。 + ペリシテびとはイスラエルびとにむかって陣備えをしたが、戦うに及んで、イスラエルびとはペリシテびとの前に敗れ、ペリシテびとは戦場において、おおよそ四千人を殺した。 + 民が陣営に退いた時、イスラエルの長老たちは言った、「なにゆえ、主はきょう、ペリシテびとの前にわれわれを敗られたのか。シロへ行って主の契約の箱をここへ携えてくることにしよう。そして主をわれわれのうちに迎えて、敵の手から救っていただこう」。 + そこで民は人をシロにつかわし、ケルビムの上に座しておられる万軍の主の契約の箱を、そこから携えてこさせた。その時エリのふたりの子、ホフニとピネハスは神の契約の箱と共に、その所にいた。 + 主の契約の箱が陣営についた時、イスラエルびとはみな大声で叫んだので、地は鳴り響いた。 + ペリシテびとは、その叫び声を聞いて言った、「ヘブルびとの陣営の、この大きな叫び声は何事か」。そして主の箱が、陣営に着いたことを知った時、 + ペリシテびとは恐れて言った、「神々が陣営にきたのだ」。彼らはまた言った、「ああ、われわれはわざわいである。このようなことは今までなかった。 + ああ、われわれはわざわいである。だれがわれわれをこれらの強い神々の手から救い出すことができようか。これらの神々は、もろもろの災をもってエジプトびとを荒野で撃ったのだ。 + ペリシテびとよ、勇気を出して男らしくせよ。ヘブルびとがあなたがたに仕えたように、あなたがたが彼らに仕えることのないために、男らしく戦え」。 + こうしてペリシテびとが戦ったので、イスラエルびとは敗れて、おのおのその家に逃げて帰った。戦死者はひじょうに多く、イスラエルの歩兵で倒れたものは三万であった。 + また神の箱は奪われ、エリのふたりの子、ホフニとピネハスは殺された。 + その日ひとりのベニヤミンびとが、衣服を裂き、頭に土をかぶって、戦場から走ってシロにきた。 + 彼が着いたとき、エリは道のかたわらにある自分の座にすわって待ちかまえていた。その心に神の箱の事を気づかっていたからである。その人が町にはいって、情報をつたえたので、町はこぞって叫んだ。 + エリはその叫び声を聞いて言った、「この騒ぎ声は何か」。その人は急いでエリの所へきてエリに告げた。 + その時エリは九十八歳で、その目は固まって見ることができなかった。 + その人はエリに言った、「わたしは戦場からきたものです。きょう戦場からのがれたのです」。エリは言った、「わが子よ、様子はどうであったか」。 + しらせをもたらしたその人は答えて言った、「イスラエルびとは、ペリシテびとの前から逃げ、民のうちにはまた多くの戦死者があり、あなたのふたりの子、ホフニとピネハスも死に、神の箱は奪われました」。 + 彼が神の箱のことを言ったとき、エリはその座から、あおむけに門のかたわらに落ち、首を折って死んだ。老いて身が重かったからである。彼のイスラエルをさばいたのは四十年であった。 + 彼の嫁、ピネハスの妻はみごもって出産の時が近づいていたが、神の箱が奪われたこと、しゅうとと夫が死んだというしらせを聞いたとき、陣痛が起り身をかがめて子を産んだ。 + 彼女が死にかかっている時、世話をしていた女が彼女に言った、「恐れることはありません。男の子が生れました」。しかし彼女は答えもせず、また顧みもしなかった。 + ただ彼女は「栄光はイスラエルを去った」と言って、その子をイカボデと名づけた。これは神の箱の奪われたこと、また彼女のしゅうとと夫のことによるのである。 + 彼女はまた、「栄光はイスラエルを去った。神の箱が奪われたからです」と言った。 + + + ペリシテびとは神の箱をぶんどって、エベネゼルからアシドドに運んできた。 + そしてペリシテびとはその神の箱を取ってダゴンの宮に運びこみ、ダゴンのかたわらに置いた。 + アシドドの人々が、次の日、早く起きて見ると、ダゴンが主の箱の前に、うつむきに地に倒れていたので、彼らはダゴンを起して、それをもとの所に置いた。 + その次の朝また早く起きて見ると、ダゴンはまた、主の箱の前に、うつむきに地に倒れていた。そしてダゴンの頭と両手とは切れて離れ、しきいの上にあり、ダゴンはただ胴体だけとなっていた。 + それゆえダゴンの祭司たちやダゴンの宮にはいる人々は、だれも今日にいたるまで、アシドドのダゴンのしきいを踏まない。 + そして主の手はアシドドびとの上にきびしく臨み、主は腫物をもってアシドドとその領域の人々を恐れさせ、また悩まされた。 + アシドドの人々は、このありさまを見て言った、「イスラエルの神の箱を、われわれの所に、とどめ置いてはならない。その神の手が、われわれと、われわれの神ダゴンの上にきびしく臨むからである」。 + そこで彼らは人をつかわして、ペリシテびとの君たちを集めて言った、「イスラエルの神の箱をどうしましょう」。彼らは言った、「イスラエルの神の箱はガテに移そう」。人々はイスラエルの神の箱をそこに移した。 + 彼らがそれを移すと、主の手がその町に臨み、非常な騒ぎが起った。そして老若を問わず町の人々を撃たれたので、彼らの身に腫物ができた。 + そこで人々は神の箱をエクロンに送ったが、神の箱がエクロンに着いた時、エクロンの人々は叫んで言った、「彼らがイスラエルの神の箱をわれわれの所に移したのは、われわれと民を滅ぼすためである」。 + そこで彼らは人をつかわして、ペリシテびとの君たちをみな集めて言った、「イスラエルの神の箱を送り出して、もとの所に返し、われわれと民を滅ぼすことのないようにしよう」。恐ろしい騒ぎが町中に起っていたからである。そこには神の手が非常にきびしく臨んでいたので、 + 死なない人は腫物をもって撃たれ、町の叫びは天に達した。 + + + 主の箱は七か月の間ペリシテびとの地にあった。 + ペリシテびとは、祭司や占い師を呼んで言った、「イスラエルの神の箱をどうしましょうか。どのようにして、それをもとの所へ送り返せばよいか告げてください」。 + 彼らは言った、「イスラエルの神の箱を送り返す時には、それをむなしく返してはならない。必ず彼にとがの供え物をもって償いをしなければならない。そうすれば、あなたがたはいやされ、また彼の手がなぜあなたがたを離れないかを知ることができるであろう」。 + 人々は言った、「われわれが償うとがの供え物には何をしましょうか」。彼らは答えた、「ペリシテびとの君たちの数にしたがって、金の腫物五つと金のねずみ五つである。あなたがたすべてと、君たちに臨んだ災は一つだからである。 + それゆえ、あなたがたの腫物の像と、地を荒すねずみの像を造り、イスラエルの神に栄光を帰するならば、たぶん彼は、あなたがた、およびあなたがたの神々と、あなたがたの地に、その手を加えることを軽くされるであろう。 + なにゆえ、あなたがたはエジプトびととパロがその心をかたくなにしたように、自分の心をかたくなにするのか。神が彼らを悩ましたので、彼らは民を行かせ、民は去ったではないか。 + それゆえ今、新しい車一両を造り、まだくびきを付けたことのない乳牛二頭をとり、その牛を車につなぎ、そのおのおのの子牛を乳牛から離して家に連れ帰り、 + 主の箱をとって、それをその車に載せ、あなたがたがとがの供え物として彼に償う金の作り物を一つの箱におさめてそのかたわらに置き、それを送って去らせなさい。 + そして見ていて、それが自分の領地へ行く道を、ベテシメシへ上るならば、この大いなる災を、われわれに下したのは彼である。しかし、そうしない時は、われわれを撃ったのは彼の手ではなく、その事の偶然であったことを知るであろう」。 + 人々はそのようにした。すなわち、彼らは二頭の乳牛をとって、これを車につなぎ、そのおのおのの子牛を家に閉じこめ、 + 主の箱、および金のねずみと、腫物の像をおさめた箱とを車に載せた。 + すると雌牛はまっすぐにベテシメシの方向へ、ひとすじに大路を歩み、鳴きながら進んでいって、右にも左にも曲らなかった。ペリシテびとの君たちは、ベテシメシの境までそのあとについていった。 + 時にベテシメシの人々は谷で小麦を刈り入れていたが、目をあげて、その箱を見、それを迎えて喜んだ。 + 車はベテシメシびとヨシュアの畑にはいって、そこにとどまった。その所に大きな石があった。人々は車の木を割り、その雌牛を燔祭として主にささげた。 + レビびとは主の箱と、そのかたわらの、金の作り物をおさめた箱を取りおろし、それを大石の上に置いた。そしてベテシメシの人々は、その日、主に燔祭を供え、犠牲をささげた。 + ペリシテびとの五人の君たちはこれを見て、その日、エクロンに帰った。 + ペリシテびとが、とがの供え物として、主に償いをした金の腫物は、次のとおりである。すなわちアシドドのために一つ、ガザのために一つ、アシケロンのために一つ、ガテのために一つ、エクロンのために一つであった。 + また金のねずみは、城壁をめぐらした町から城壁のない村里にいたるまで、すべて五人の君たちに属するペリシテびとの町の数にしたがって造った。主の箱をおろした所のかたわらにあった大石は、今日にいたるまで、ベテシメシびとヨシュアの畑にあって、あかしとなっている。 + ベテシメシの人々で主の箱の中を見たものがあったので、主はこれを撃たれた。すなわち民のうち七十人を撃たれた。主が民を撃って多くの者を殺されたので、民はなげき悲しんだ。 + ベテシメシの人々は言った、「だれが、この聖なる神、主の前に立つことができようか。主はわれわれを離れてだれの所へ上って行かれたらよいのか」。 + そして彼らは、使者をキリアテ・ヤリムの人々につかわして言った、「ペリシテびとが主の箱を返したから、下ってきて、それをあなたがたの所へ携え上ってください」。 + + + キリアテ・ヤリムの人々は、きて、主の箱を携え上り、丘の上のアビナダブの家に持ってきて、その子エレアザルを聖別して、主の箱を守らせた。 + その箱は久しくキリアテ・ヤリムにとどまって、二十年を経た。イスラエルの全家は主を慕って嘆いた。 + その時サムエルはイスラエルの全家に告げていった、「もし、あなたがたが一心に主に立ち返るのであれば、ほかの神々とアシタロテを、あなたがたのうちから捨て去り、心を主に向け、主にのみ仕えなければならない。そうすれば、主はあなたがたをペリシテびとの手から救い出されるであろう」。 + そこでイスラエルの人々はバアルとアシタロテを捨て去り、ただ主にのみ仕えた。 + サムエルはまた言った、「イスラエルびとを、ことごとくミヅパに集めなさい。わたしはあなたがたのために主に祈りましょう」。 + 人々はミヅパに集まり、水をくんでそれを主の前に注ぎ、その日、断食してその所で言った、「われわれは主に対して罪を犯した」。サムエルはミヅパでイスラエルの人々をさばいた。 + イスラエルの人々のミヅパに集まったことがペリシテびとに聞えたので、ペリシテびとの君たちは、イスラエルに攻め上ってきた。イスラエルの人々はそれを聞いて、ペリシテびとを恐れた。 + そしてイスラエルの人々はサムエルに言った、「われわれのため、われわれの神、主に叫ぶことを、やめないでください。そうすれば主がペリシテびとの手からわれわれを救い出されるでしょう」。 + そこでサムエルは乳を飲む小羊一頭をとり、これを全き燔祭として主にささげた。そしてサムエルはイスラエルのために主に叫んだので、主はこれに答えられた。 + サムエルが燔祭をささげていた時、ペリシテびとはイスラエルと戦おうとして近づいてきた。しかし主はその日、大いなる雷をペリシテびとの上にとどろかせて、彼らを乱されたので、彼らはイスラエルびとの前に敗れて逃げた。 + イスラエルの人々はミヅパを出てペリシテびとを追い、これを撃って、ベテカルの下まで行った。 + その時サムエルは一つの石をとってミヅパとエシャナの間にすえ、「主は今に至るまでわれわれを助けられた」と言って、その名をエベネゼルと名づけた。 + こうしてペリシテびとは征服され、ふたたびイスラエルの領地に、はいらなかった。サムエルの一生の間、主の手が、ペリシテびとを防いだ。 + ペリシテびとがイスラエルから取った町々は、エクロンからガテまで、イスラエルにかえり、イスラエルはその周囲の地をもペリシテびとの手から取りかえした。またイスラエルとアモリびととの間には平和があった。 + サムエルは一生の間イスラエルをさばいた。 + 年ごとにサムエルはベテルとギルガル、およびミヅパを巡って、その所々でイスラエルをさばき、 + ラマに帰った。そこに彼の家があったからである。その所でも彼はイスラエルをさばき、またそこで主に祭壇を築いた。 + + + サムエルは年老いて、その子らをイスラエルのさばきづかさとした。 + 長子の名はヨエルといい、次の子の名はアビヤと言った。彼らはベエルシバでさばきづかさであった。 + しかしその子らは父の道を歩まないで、利にむかい、まいないを取って、さばきを曲げた。 + この時、イスラエルの長老たちはみな集まってラマにおるサムエルのもとにきて、 + 言った、「あなたは年老い、あなたの子たちはあなたの道を歩まない。今ほかの国々のように、われわれをさばく王を、われわれのために立ててください」。 + しかし彼らが、「われわれをさばく王を、われわれに与えよ」と言うのを聞いて、サムエルは喜ばなかった。そしてサムエルが主に祈ると、 + 主はサムエルに言われた、「民が、すべてあなたに言う所の声に聞き従いなさい。彼らが捨てるのはあなたではなく、わたしを捨てて、彼らの上にわたしが王であることを認めないのである。 + 彼らは、わたしがエジプトから連れ上った日から、きょうまで、わたしを捨ててほかの神々に仕え、さまざまの事をわたしにしたように、あなたにもしているのである。 + 今その声に聞き従いなさい。ただし、深く彼らを戒めて、彼らを治める王のならわしを彼らに示さなければならない」。 + サムエルは王を立てることを求める民に主の言葉をことごとく告げて、 + 言った、「あなたがたを治める王のならわしは次のとおりである。彼はあなたがたのむすこを取って、戦車隊に入れ、騎兵とし、自分の戦車の前に走らせるであろう。 + 彼はまたそれを千人の長、五十人の長に任じ、またその地を耕させ、その作物を刈らせ、またその武器と戦車の装備を造らせるであろう。 + また、あなたがたの娘を取って、香をつくる者とし、料理をする者とし、パンを焼く者とするであろう。 + また、あなたがたの畑とぶどう畑とオリブ畑の最も良い物を取って、その家来に与え、 + あなたがたの穀物と、ぶどう畑の、十分の一を取って、その役人と家来に与え、 + また、あなたがたの男女の奴隷および、あなたがたの最も良い牛とろばを取って、自分のために働かせ、 + また、あなたがたの羊の十分の一を取り、あなたがたは、その奴隷となるであろう。 + そしてその日あなたがたは自分のために選んだ王のゆえに呼ばわるであろう。しかし主はその日にあなたがたに答えられないであろう」。 + ところが民はサムエルの声に聞き従うことを拒んで言った、「いいえ、われわれを治める王がなければならない。 + われわれも他の国々のようになり、王がわれわれをさばき、われわれを率いて、われわれの戦いにたたかうのである」。 + サムエルは民の言葉をことごとく聞いて、それを主の耳に告げた。 + 主はサムエルに言われた、「彼らの声に聞き従い、彼らのために王を立てよ」。サムエルはイスラエルの人々に言った、「あなたがたは、めいめいその町に帰りなさい」。 + + + さて、ベニヤミンの人で、キシという名の裕福な人があった。キシはアビエルの子、アビエルはゼロルの子、ゼロルはベコラテの子、ベコラテはアピヤの子、アピヤはベニヤミンびとである。 + キシにはサウルという名の子があった。若くて麗しく、イスラエルの人々のうちに彼よりも麗しい人はなく、民のだれよりも肩から上、背が高かった。 + サウルの父キシの数頭のろばがいなくなった。そこでキシは、その子サウルに言った、「しもべをひとり連れて、立って行き、ろばを捜してきなさい」。 + そこでふたりはエフライムの山地を通りすぎ、シャリシャの地を通り過ぎたけれども見当らず、シャリムの地を通り過ぎたけれどもおらず、ベニヤミンの地を通り過ぎたけれども見当らなかった。 + 彼らがツフの地にきた時、サウルは連れてきたしもべに言った、「さあ、帰ろう。父は、ろばのことよりも、われわれのことを心配するだろう」。 + ところが、しもべは言った、「この町には神の人がおられます。尊い人で、その言われることはみなそのとおりになります。その所へ行きましょう。われわれの出てきた旅のことについて何か示されるでしょう」。 + サウルはしもべに言った、「しかし行くのであれば、その人に何を贈ろうか。袋のパンはもはや、なくなり、神の人に持っていく贈り物がない。何かありますか」。 + しもべは、またサウルに答えた、「わたしの手に四分の一シケルの銀があります。わたしはこれを、神の人に与えて、われわれの道を示してもらいましょう」。 + ――昔イスラエルでは、神に問うために行く時には、こう言った、「さあ、われわれは先見者のところへ行こう」。今の預言者は、昔は先見者といわれていたのである。―― + サウルはそのしもべに言った、「それは良い。さあ、行こう」。こうして彼らは、神の人のいるその町へ行った。 + 彼らは町へ行く坂を上っている時、水をくむために出てくるおとめたちに出会ったので、彼らに言った、「先見者はここにおられますか」。 + おとめたちは答えた、「おられます。ごらんなさい、この先です。急いで行きなさい。民がきょう高き所で犠牲をささげるので、たった今、町にこられたところです。 + あなたがたは、町にはいるとすぐ、あのかたが高き所に上って食事される前に会えるでしょう。民はそのかたがこられるまでは食事をしません。あのかたが犠牲を祝福されてから、招かれた人々が食事をするのです。さあ、上っていきなさい。すぐに会えるでしょう」。 + こうして彼らは町に上っていった。そして町の中に、はいろうとした時、サムエルは高き所に上るため彼らのほうに向かって出てきた。 + さてサウルが来る一日前に、主はサムエルの耳に告げて言われた、 + 「あすの今ごろ、あなたの所に、ベニヤミンの地から、ひとりの人をつかわすであろう。あなたはその人に油を注いで、わたしの民イスラエルの君としなさい。彼はわたしの民をペリシテびとの手から救い出すであろう。わたしの民の叫びがわたしに届き、わたしがその悩みを顧みるからである」。 + サムエルがサウルを見た時、主は言われた、「見よ、わたしの言ったのはこの人である。この人がわたしの民を治めるであろう」。 + そのときサウルは、門の中でサムエルに近づいて言った、「先見者の家はどこですか。どうか教えてください」。 + サムエルはサウルに答えた、「わたしがその先見者です。わたしの前に行って、高き所に上りなさい。あなたがたは、きょう、わたしと一緒に食事しなさい。わたしはあすの朝あなたを帰らせ、あなたの心にあることをみな示しましょう。 + 三日前に、いなくなったあなたのろばは、もはや見つかったので心にかけなくてもよろしい。しかしイスラエルのすべての望ましきものはだれのものですか。それはあなたのもの、あなたの父の家のすべての人のものではありませんか」。 + サウルは答えた、「わたしはイスラエルのうちの最も小さい部族のベニヤミンびとであって、わたしの一族はまたベニヤミンのどの一族よりも卑しいものではありませんか。どうしてあなたは、そのようなことをわたしに言われるのですか」。 + サムエルはサウルとそのしもべを導いて、へやにはいり、招かれた三十人ほどのうちの上座にすわらせた。 + そしてサムエルは料理人に言った、「あなたに渡して、取りのけておくようにと言っておいた分を持ってきなさい」。 + 料理人は、ももとその上の部分を取り上げて、それをサウルの前に置いた。そしてサムエルは言った、「ごらんなさい。取っておいた物が、あなたの前に置かれています。召しあがってください。あなたが客人たちと一緒に食事ができるように、この時まで、あなたのために取っておいたものです」。こうしてサウルはその日サムエルと一緒に食事をした。 + そして彼らが高き所を下って町にはいった時、サウルのために屋上に床が設けられ、彼はその上に身を横たえて寝た。 + そして夜明けになって、サムエルは屋上のサウルに呼ばわって言った、「起きなさい。あなたをお送りします」。サウルは起き上がった。そしてサウルとサムエルのふたりは、共に外に出た。 + 彼らが町はずれに下った時、サムエルはサウルに言った、「あなたのしもべに先に行くように言いなさい。しもべが先に行ったら、あなたは、しばらくここに立ちとどまってください。神の言葉を知らせましょう」。 + + + その時サムエルは油のびんを取って、サウルの頭に注ぎ、彼に口づけして言った、「主はあなたに油を注いで、その民イスラエルの君とされたではありませんか。あなたは主の民を治め、周囲の敵の手から彼らを救わなければならない。主があなたに油を注いで、その嗣業の君とされたことの、しるしは次のとおりです。 + あなたがきょう、わたしを離れて、去って行くとき、ベニヤミンの領地のゼルザにあるラケルの墓のかたわらで、ふたりの人に会うでしょう。そして彼らはあなたに言います、『あなたが捜しに行かれたろばは見つかりました。いま父上は、ろばよりもあなたがたの事を心配して、「わが子のことは、どうしよう」と言っておられます』。 + あなたが、そこからなお進んで、タボルのかしの木の所へ行くと、そこでベテルに上って神を拝もうとする三人の者に会うでしょう。ひとりは三頭の子やぎを連れ、ひとりは三つのパンを携え、ひとりは、ぶどう酒のはいった皮袋一つを携えている。 + 彼らはあなたにあいさつし、二つのパンをくれるでしょう。あなたはそれを、その手から受けなければならない。 + その後、あなたは神のギベアへ行く。そこはペリシテびとの守備兵のいる所である。あなたはその所へ行って、町にはいる時、立琴、手鼓、笛、琴を執る人々を先に行かせて、預言しながら高き所から降りてくる一群の預言者に会うでしょう。 + その時、主の霊があなたの上にもはげしく下って、あなたは彼らと一緒に預言し、変って新しい人となるでしょう。 + これらのしるしが、あなたの身に起ったならば、あなたは手当たりしだいになんでもしなさい。神があなたと一緒におられるからです。 + あなたはわたしに先立ってギルガルに下らなければならない。わたしはあなたのもとに下っていって、燔祭を供え、酬恩祭をささげるでしょう。わたしがあなたのもとに行って、あなたのしなければならない事をあなたに示すまで、七日のあいだ待たなければならない」。 + サウルが背をかえしてサムエルを離れたとき、神は彼に新しい心を与えられた。これらのしるしは皆その日に起った。 + 彼らはギベアにきた時、預言者の一群に出会った。そして神の霊が、はげしくサウルの上に下り、彼は彼らのうちにいて預言した。 + もとからサウルを知っていた人々はみな、サウルが預言者たちと共に預言するのを見て互に言った、「キシの子に何事が起ったのか。サウルもまた預言者たちのうちにいるのか」。 + その所のひとりの者が答えた、「彼らの父はだれなのか」。それで「サウルもまた預言者たちのうちにいるのか」というのが、ことわざとなった。 + サウルは預言することを終えて、高き所へ行った。 + サウルのおじが、サウルとそのしもべとに言った、「あなたがたは、どこへ行ったのか」。サウルは言った、「ろばを捜しにいったのですが、どこにもいないので、サムエルのもとに行きました」。 + サウルのおじは言った、「サムエルが、どんなことを言ったか、どうぞ話してください」。 + サウルはおじに言った、「ろばが見つかったと、はっきり、わたしたちに言いました」。しかしサムエルが言った王国のことについて、おじには何も告げなかった。 + さて、サムエルは民をミヅパで主の前に集め、 + イスラエルの人々に言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられる、『わたしはイスラエルをエジプトから導き出し、あなたがたをエジプトびとの手、およびすべてあなたがたをしえたげる王国の手から救い出した』。 + しかしあなたがたは、きょう、あなたがたをその悩みと苦しみの中から救われるあなたがたの神を捨て、その上、『いいえ、われわれの上に王を立てよ』と言う。それゆえ今、あなたがたは、部族にしたがい、また氏族にしたがって、主の前に出なさい」。 + こうしてサムエルがイスラエルのすべての部族を呼び寄せた時、ベニヤミンの部族が、くじに当った。 + またベニヤミンの部族をその氏族にしたがって呼び寄せた時、マテリの氏族が、くじに当り、マテリの氏族を人ごとに呼び寄せた時、キシの子サウルが、くじに当った。しかし人々が彼を捜した時、見つからなかった。 + そこでまた主に「その人はここにきているのですか」と問うと、主は言われた、「彼は荷物の間に隠れている」。 + 人々は走って行って、彼をそこから連れてきた。彼は民の中に立ったが、肩から上は、民のどの人よりも高かった。 + サムエルはすべての民に言った、「主が選ばれた人をごらんなさい。民のうちに彼のような人はないではありませんか」。民はみな「王万歳」と叫んだ。 + その時サムエルは王国のならわしを民に語り、それを書にしるして、主の前におさめた。こうしてサムエルはすべての民をそれぞれ家に帰らせた。 + サウルもまたギベアにある彼の家に帰った。そして神にその心を動かされた勇士たちも彼と共に行った。 + しかし、よこしまな人々は「この男がどうしてわれわれを救うことができよう」と言って、彼を軽んじ、贈り物をしなかった。しかしサウルは黙っていた。 + + + アンモンびとナハシは上ってきて、ヤベシ・ギレアデを攻め囲んだ。ヤベシの人々はナハシに言った、「われわれと契約を結びなさい。そうすればわれわれはあなたに仕えます」。 + しかしアンモンびとナハシは彼らに言った、「次の条件であなたがたと契約を結ぼう。すなわち、わたしが、あなたがたすべての右の目をえぐり取って、全イスラエルをはずかしめるということだ」。 + ヤベシの長老たちは彼に言った、「われわれに七日の猶予を与え、イスラエルの全領土に使者を送ることを許してください。そしてもしわれわれを救う者がない時は降伏します」。 + こうして使者が、サウルのギベアにきて、この事を民の耳に告げたので、民はみな声をあげて泣いた。 + その時サウルは畑から牛のあとについてきた。そしてサウルは言った、「民が泣いているのは、どうしたのか」。人々は彼にヤベシの人々の事を告げた。 + サウルがこの言葉を聞いた時、神の霊が激しく彼の上に臨んだので、彼の怒りははなはだしく燃えた。 + 彼は一くびきの牛をとり、それを切り裂き、使者の手によってイスラエルの全領土に送って言わせた、「だれであってもサウルとサムエルとに従って出ない者は、その牛がこのようにされるであろう」。民は主を恐れて、ひとりのように出てきた。 + サウルはベゼクでそれを数えたが、イスラエルの人々は三十万、ユダの人々は三万であった。 + そして人々は、きた使者たちに言った、「ヤベシ・ギレアデの人にこう言いなさい、『あす、日の暑くなるころ、あなたがたは救を得るであろう』と」。使者が帰って、ヤベシの人々に告げたので、彼らは喜んだ。 + そこでヤベシの人々は言った、「あす、われわれは降伏します。なんでも、あなたがたが良いと思うことを、われわれにしてください」。 + 明くる日、サウルは民を三つの部隊に分け、あかつきに敵の陣営に攻め入り、日の暑くなるころまで、アンモンびとを殺した。生き残った者はちりぢりになって、ふたり一緒にいるものはなかった。 + その時、民はサムエルに言った、「さきに、『サウルがどうしてわれわれを治めることができようか』と言ったものはだれでしょうか。その人々を引き出してください。われわれはその人々を殺します」。 + しかしサウルは言った、「主はきょう、イスラエルに救を施されたのですから、きょうは人を殺してはなりません」。 + そこでサムエルは民に言った、「さあ、ギルガルへ行って、あそこで王国を一新しよう」。 + こうして民はみなギルガルへ行って、その所で主の前にサウルを王とし、酬恩祭を主の前にささげ、サウルとイスラエルの人々は皆、その所で大いに祝った。 + + + サムエルはイスラエルの人々に言った、「見よ、わたしは、あなたがたの言葉に聞き従って、あなたがたの上に王を立てた。 + 見よ王は今、あなたがたの前に歩む。わたしは年老いて髪は白くなった。わたしの子らもあなたがたと共にいる。わたしは若い時から、きょうまで、あなたがたの前に歩んだ。 + わたしはここにいる。主の前と、その油そそがれた者の前に、わたしを訴えよ。わたしが、だれの牛を取ったか。だれのろばを取ったか。だれを欺いたか。だれをしえたげたか。だれの手から、まいないを取って、自分の目をくらましたか。もしそのようなことがあれば、わたしはそれを、あなたがたに償おう」。 + 彼らは言った、「あなたは、われわれを欺いたことも、しえたげたこともありません。また人の手から何も取ったことはありません」。 + サムエルは彼らに言った、「あなたがたが、わたしの手のうちに、なんの不正をも見いださないことを、主はあなたがたにあかしされる。その油そそがれた者も、きょうそれをあかしする」。彼らは言った、「あかしされます」。 + サムエルは民に言った、「モーセとアロンを立てて、あなたがたの先祖をエジプトの地から導き出された主が証人です。 + それゆえ、あなたがたは今、立ちなさい。わたしは主が、あなたがたとあなたがたの先祖のために行われたすべての救のわざについて、主の前に、あなたがたと論じよう。 + ヤコブがエジプトに行って、エジプトびとが、彼らを、しえたげた時、あなたがたの先祖は主に呼ばわったので、主はモーセとアロンをつかわされた。そこで彼らは、あなたがたの先祖をエジプトから導き出して、この所に住まわせた。 + しかし、彼らがその神、主を忘れたので、主は彼らをハゾルの王ヤビンの軍の長シセラの手に渡し、またペリシテびとの手とモアブの王の手にわたされた。そこで彼らがイスラエルを攻めたので、 + 民は主に呼ばわって言った、『われわれは主を捨て、バアルとアシタロテに仕えて、罪を犯しました。今、われわれを敵の手から救い出してください。われわれはあなたに仕えます』。 + 主はエルバアルとバラクとエフタとサムエルをつかわして、あなたがたを周囲の敵の手から救い出されたので、あなたがたは安らかに住むことができた。 + ところが、アンモンびとの王ナハシが攻めてくるのを見たとき、あなたがたの神、主があなたがたの王であるのに、あなたがたはわたしに、『いいえ、われわれを治める王がなければならない』と言った。 + それゆえ、今あなたがたの選んだ王、あなたがたが求めた王を見なさい。主はあなたがたの上に王を立てられた。 + もし、あなたがたが主を恐れ、主に仕えて、その声に聞き従い、主の戒めにそむかず、あなたがたも、あなたがたを治める王も共に、あなたがたの神、主に従うならば、それで良い。 + しかし、もしあなたがたが主の声に聞き従わず、主の戒めにそむくならば、主の手は、あなたがたとあなたがたの王を攻めるであろう。 + それゆえ、今、あなたがたは立って、主が、あなたがたの目の前で行われる、この大いなる事を見なさい。 + きょうは小麦刈の時ではないか。わたしは主に呼ばわるであろう。そのとき主は雷と雨を下して、あなたがたが王を求めて、主の前に犯した罪の大いなることを見させ、また知らせられるであろう」。 + そしてサムエルが主に呼ばわったので、主はその日、雷と雨を下された。民は皆ひじょうに主とサムエルとを恐れた。 + 民はみなサムエルに言った、「しもべらのために、あなたの神、主に祈って、われわれの死なないようにしてください。われわれは、もろもろの罪を犯した上に、また王を求めて、悪を加えました」。 + サムエルは民に言った、「恐れることはない。あなたがたは、このすべての悪をおこなった。しかし主に従うことをやめず、心をつくして主に仕えなさい。 + むなしい物に迷って行ってはならない。それは、あなたがたを助けることも救うこともできないむなしいものだからである。 + 主は、その大いなる名のゆえに、その民を捨てられないであろう。主が、あなたがたを自分の民とすることを良しとされるからである。 + また、わたしは、あなたがたのために祈ることをやめて主に罪を犯すことは、けっしてしないであろう。わたしはまた良い、正しい道を、あなたがたに教えるであろう。 + あなたがたは、ただ主を恐れ、心をつくして、誠実に主に仕えなければならない。そして主がどんなに大きいことをあなたがたのためにされたかを考えなければならない。 + しかし、あなたがたが、なおも悪を行うならば、あなたがたも、あなたがたの王も、共に滅ぼされるであろう」。 + + + サウルは三十歳で王の位につき、二年イスラエルを治めた。 + さてサウルはイスラエルびと三千を選んだ。二千はサウルと共にミクマシ、およびベテルの山地におり、一千はヨナタンと共にベニヤミンのギベアにいた。サウルはその他の民を、おのおの、その天幕に帰らせた。 + ヨナタンは、ゲバにあるペリシテびとの守備兵を敗った。ペリシテびとはそのことを聞いた。そこで、サウルは国中に、あまねく角笛を吹きならして言わせた、「ヘブルびとよ、聞け」。 + イスラエルの人は皆、サウルがペリシテびとの守備兵を敗ったこと、そしてイスラエルがペリシテびとに憎まれるようになったことを聞いた。こうして民は召されて、ギルガルのサウルのもとに集まった。 + ペリシテびとはイスラエルと戦うために集まった。戦車三千、騎兵六千、民は浜べの砂のように多かった。彼らは上ってきて、ベテアベンの東のミクマシに陣を張った。 + イスラエルびとは、ひどく圧迫され、味方が危くなったのを見て、ほら穴に、縦穴に、岩に、墓に、ため池に身を隠した。 + また、あるヘブルびとはヨルダンを渡って、ガドとギレアデの地へ行った。しかしサウルはなおギルガルにいて、民はみな、ふるえながら彼に従った。 + サウルは、サムエルが定めたように、七日のあいだ待ったが、サムエルがギルガルにこなかったので、民は彼を離れて散って行った。 + そこでサウルは言った、「燔祭と酬恩祭をわたしの所に持ってきなさい」。こうして彼は燔祭をささげた。 + その燔祭をささげ終ると、サムエルがきた。サウルはあいさつをしようと、彼を迎えに出た。 + その時サムエルは言った、「あなたは何をしたのですか」。サウルは言った、「民はわたしを離れて散って行き、あなたは定まった日のうちにこられないのに、ペリシテびとがミクマシに集まったのを見たので、 + わたしは、ペリシテびとが今にも、ギルガルに下ってきて、わたしを襲うかも知れないのに、わたしはまだ主の恵みを求めることをしていないと思い、やむを得ず燔祭をささげました」。 + サムエルはサウルに言った、「あなたは愚かなことをした。あなたは、あなたの神、主の命じられた命令を守らなかった。もし守ったならば、主は今あなたの王国を長くイスラエルの上に確保されたであろう。 + しかし今は、あなたの王国は続かないであろう。主は自分の心にかなう人を求めて、その人に民の君となることを命じられた。あなたが主の命じられた事を守らなかったからである」。 + こうしてサムエルは立って、ギルガルからベニヤミンのギベアに上っていった。サウルは共にいる民を数えてみたが、おおよそ六百人あった。 + サウルとその子ヨナタン、ならびに、共にいる民は、ベニヤミンのゲバにおり、ペリシテびとはミクマシに陣を張っていた。 + そしてペリシテびとの陣から三つの部隊にわかれた略奪隊が出てきて、一部隊はオフラの方に向かって、シュアルの地に行き、 + 一部隊はベテホロンの方に向かい、一部隊は荒野の方のゼボイムの谷を見おろす境の方に向かった。 + そのころ、イスラエルの地にはどこにも鉄工がいなかった。ペリシテびとが「ヘブルびとはつるぎも、やりも造ってはならない」と言ったからである。 + ただしイスラエルの人は皆、そのすきざき、くわ、おの、かまに刃をつけるときは、ペリシテびとの所へ下って行った。 + すきざきと、くわのための料金は一ピムであり、おのに刃をつけるのと、とげのあるむちを直すのは三分の一シケルであった。 + それでこの戦いの日には、サウルおよびヨナタンと共にいた民の手には、つるぎもやりもなく、ただサウルとその子ヨナタンとがそれを持っていた。 + ペリシテびとの先陣はミクマシの渡りに進み出た。 + + + ある日、サウルの子ヨナタンは、その武器を執る若者に「さあ、われわれは向こう側の、ペリシテびとの先陣へ渡って行こう」と言った。しかしヨナタンは父には告げなかった。 + サウルはギベアのはずれで、ミグロンにある、ざくろの木の下にとどまっていたが、共にいた民はおおよそ六百人であった。 + またアヒヤはエポデを身に着けて共にいた。アヒヤはアヒトブの子、アヒトブはイカボデの兄弟、イカボデはピネハスの子、ピネハスはシロにおいて主の祭司であったエリの子である。民はヨナタンが出かけることを知らなかった。 + ヨナタンがペリシテびとの先陣に渡って行こうとする渡りには、一方に険しい岩があり、他方にも険しい岩があり、一方の名をボゼヅといい、他方の名をセネといった。 + 岩の一つはミクマシの前にあって北にあり、一つはゲバの前にあって南にあった。 + ヨナタンはその武器を執る若者に言った、「さあ、われわれは、この割礼なき者どもの先陣へ渡って行こう。主がわれわれのために何か行われるであろう。多くの人をもって救うのも、少ない人をもって救うのも、主にとっては、なんの妨げもないからである」。 + 武器を執る者は彼に言った、「あなたの望みどおりにしなさい。わたしは一緒にいます。わたしはあなたと同じ心です」。 + ヨナタンはまた言った、「われわれは、あの人々の所に渡っていって、彼らに身を現そう。 + そして、もし彼らがわれわれに、『こちらから行くまで待て』と言うならば、われわれはその場にとどまり、彼らの所に上っていかないであろう。 + しかし、もし彼らが『われわれのところへ上ってこい』と言うならば、われわれは上って行こう。主が彼らをわれわれの手に渡されるからである。これをもってしるしとしよう」。 + こうしてふたりはペリシテびとの先陣に、その身を現したので、ペリシテびとは言った、「見よ、ヘブルびとが、隠れていた穴から出てくる」。 + 先陣の人々はヨナタンと、その武器を執る者に叫んで言った、「われわれのところに上ってこい。目に、もの見せてくれよう」。ヨナタンは、その武器を執る者に言った、「わたしのあとについて上ってきなさい。主は彼らをイスラエルの手に渡されたのだ」。 + そしてヨナタンはよじ登り、武器を執る者もそのあとについて登った。ペリシテびとはヨナタンの前に倒れた。武器を執る者も、あとについていってペリシテびとを殺した。 + ヨナタンとその武器を執る者とが、手始めに殺したものは、おおよそ二十人であって、このことは一くびきの牛の耕す畑のおおよそ半分の内で行われた。 + そして陣営にいる者、野にいるもの、およびすべての民は恐怖に襲われ、先陣のもの、および略奪隊までも、恐れおののいた。また地は震い動き、非常に大きな恐怖となった。 + ベニヤミンのギベアにいたサウルの番兵たちが見ると、ペリシテびとの群衆はくずれて右往左往していた。 + その時サウルは、共にいる民に言った、「人数を調べて、われわれのうちのだれが出て行ったかを見よ」。人数を調べたところ、ヨナタンとその武器を執る者とがそこにいなかった。 + サウルはアヒヤに言った、「エポデをここに持ってきなさい」。その時、アヒヤはイスラエルの人々の前でエポデを身に着けていたからである。 + サウルが祭司に語っている間にも、ペリシテびとの陣営の騒ぎはますます大きくなったので、サウルは祭司に言った、「手を引きなさい」。 + こうしてサウルおよび共にいる民は皆、集まって戦いに出た。ペリシテびとはつるぎをもって同志打ちしたので、非常に大きな混乱となった。 + また先にペリシテびとと共にいて、彼らと共に陣営にきていたヘブルびとたちも、翻ってサウルおよびヨナタンと共にいるイスラエルびとにつくようになった。 + またエフライムの山地に身を隠していたイスラエルびとたちも皆、ペリシテびとが逃げると聞いて、彼らもまた戦いに出て、それを追撃した。 + こうして主はその日イスラエルを救われた。そして戦いはベテアベンに移った。 + しかしその日イスラエルの人々は苦しんだ。これはサウルが民に誓わせて「夕方まで、わたしが敵にあだを返すまで、食物を食べる者は、のろわれる」と言ったからである。それゆえ民のうちには、ひとりも食物を口にしたものはなかった。 + ところで、民がみな森の中にはいると、地のおもてに蜜があった。 + 民は森にはいった時、蜜のしたたっているのを見た。しかしだれもそれを手に取って口につけるものがなかった。民が誓いを恐れたからである。 + しかしヨナタンは、父が民に誓わせたことを聞かなかったので、手を伸べてつえの先を蜜ばちの巣に浸し、手に取って口につけた。すると彼は目がはっきりした。 + その時、民のひとりが言った、「あなたの父は、かたく民に誓わせて『きょう、食物を食べる者は、のろわれる』と言われました。それで民は疲れているのです」。 + ヨナタンは言った、「父は国を悩ませました。ごらんなさい。この蜜をすこしなめたばかりで、わたしの目がこんなに、はっきりしたではありませんか。 + まして、民がきょう敵からぶんどった物を、じゅうぶん食べていたならば、さらに多くのペリシテびとを殺していたでしょうに」。 + その日イスラエルびとは、ペリシテびとを撃って、ミクマシからアヤロンに及んだ。そして民は、ひじょうに疲れたので、 + ぶんどり物に、はせかかって、羊、牛、子牛を取って、それを地の上に殺し、血のままでそれを食べた。 + 人々はサウルに言った、「民は血のままで食べて、主に罪を犯しています」。サウルは言った、「あなたがたはそむいている。この所へ、わたしのもとに大きな石をころがしてきなさい」。 + サウルはまた言った、「あなたがたは分れて、民の中にはいって、彼らに言いなさい、『おのおの牛または、羊を引いてきてここでほふって食べなさい。血のままで食べて、主に罪を犯してはならない』」。そこで民は皆、その夜、おのおの牛を引いてきて、それを、その所でほふった。 + こうしてサウルは主に一つの祭壇を築いた。これはサウルが主のために築いた最初の祭壇である。 + サウルは言った、「われわれは夜のうちにペリシテびとを追って下り、夜明けまで彼らをかすめて、ひとりも残らぬようにしよう」。人々は言った、「良いと思われることを、なんでもしてください」。しかし祭司は言った、「われわれは、ここで、神に尋ねましょう」。 + そこでサウルは神に伺った、「わたしはペリシテびとを追って下るべきでしょうか。あなたは彼らをイスラエルの手に渡されるでしょうか」。しかし神はその日は答えられなかった。 + そこでサウルは言った、「民の長たちよ、みなこの所に近よりなさい。あなたがたは、よく見きわめて、きょうのこの罪が起きたわけを知らなければならない。 + イスラエルを救う主は生きておられる。たとい、それがわたしの子ヨナタンであっても、必ず死ななければならない」。しかし民のうちにはひとりも、これに答えるものがいなかった。 + サウルはイスラエルのすべての人に言った、「あなたがたは向こう側にいなさい。わたしとわたしの子ヨナタンはこちら側にいましょう」。民はサウルに言った、「良いと思われることをしてください」。 + そこでサウルは言った、「イスラエルの神、主よ、あなたはきょう、なにゆえしもべに答えられなかったのですか。もしこの罪がわたしにあるか、またはわたしの子ヨナタンにあるのでしたら、イスラエルの神、主よ、ウリムをお与えください。しかし、もしこの罪が、あなたの民イスラエルにあるのでしたらトンミムをお与えください」。こうしてヨナタンとサウルとが、くじに当り、民はのがれた。 + サウルは言った、「わたしか、わたしの子ヨナタンかを決めるために、くじを引きなさい」。くじはヨナタンに当った。 + サウルはヨナタンに言った、「あなたがしたことを、わたしに言いなさい」。ヨナタンは言った、「わたしは確かに手にあったつえの先に少しばかりの蜜をつけて、なめました。わたしはここにいます。死は覚悟しています」。 + サウルは言った、「神がわたしをいくえにも罰してくださるように。ヨナタンよ、あなたは必ず死ななければならない」。 + その時、民はサウルに言った、「イスラエルのうちにこの大いなる勝利をもたらしたヨナタンが死ななければならないのですか。決してそうではありません。主は生きておられます。ヨナタンの髪の毛一すじも地に落してはなりません。彼は神と共にきょう働いたのです」。こうして民はヨナタンを救ったので彼は死を免れた。 + サウルはペリシテびとを追うことをやめて引きあげ、ペリシテびとはその国へ帰った。 + サウルはイスラエルの王となって、周囲のもろもろの敵、すなわちモアブ、アンモンの人々、エドム、ゾバの王たちおよびペリシテびとと戦い、すべて向かう所で勝利を得た。 + サウルは勇ましく働き、アマレクびとを撃って、イスラエルびとを略奪者の手から救い出した。 + さて、サウルのむすこたちはヨナタン、エスイ、およびマルキシュアである。ふたりの娘の名は次のとおりである。すなわち姉の名はメラブ、妹の名はミカルである。 + サウルの妻の名はアヒノアムといい、アヒマアズの娘である。また軍の長の名はアブネルといい、サウルのおじネルの子である。 + サウルの父キシとアブネルの父ネルとは、アビエルの子である。 + サウルの一生の間、ペリシテびとと激しい戦いがあった。サウルは力の強い人や勇気のある人を見るごとに、それを召しかかえた。 + + + さて、サムエルはサウルに言った、「主は、わたしをつかわし、あなたに油をそそいで、その民イスラエルの王とされました。それゆえ、今、主の言葉を聞きなさい。 + 万軍の主は、こう仰せられる、『わたしは、アマレクがイスラエルにした事、すなわちイスラエルがエジプトから上ってきた時、その途中で敵対したことについて彼らを罰するであろう。 + 今、行ってアマレクを撃ち、そのすべての持ち物を滅ぼしつくせ。彼らをゆるすな。男も女も、幼な子も乳飲み子も、牛も羊も、らくだも、ろばも皆、殺せ』」。 + サウルは民を呼び集め、テライムで人数を調べたところ、歩兵は二十万、ユダの人は一万であった。 + そしてサウルはアマレクの町へ行って、谷に兵を伏せた。 + サウルはケニびとに言った、「さあ、あなたがたはアマレクびとを離れて、下っていってください。彼らと一緒にあなたがたを滅ぼすようなことがあってはならない。あなたがたは、イスラエルの人々がエジプトから上ってきた時、親切にしてくれたのですから」。そこでケニびとはアマレクびとを離れて行った。 + サウルはアマレクびとを撃って、ハビラからエジプトの東にあるシュルにまで及んだ。 + そしてアマレクびとの王アガグをいけどり、つるぎをもってその民をことごとく滅ぼした。 + しかしサウルと民はアガグをゆるし、また羊と牛の最も良いもの、肥えたものならびに小羊と、すべての良いものを残し、それらを滅ぼし尽すことを好まず、ただ値うちのない、つまらない物を滅ぼし尽した。 + その時、主の言葉がサムエルに臨んだ、 + 「わたしはサウルを王としたことを悔いる。彼がそむいて、わたしに従わず、わたしの言葉を行わなかったからである」。サムエルは怒って、夜通し、主に呼ばわった。 + そして朝サウルに会うため、早く起きたが、サムエルに告げる人があった、「サウルはカルメルにきて、自分のために戦勝記念碑を建て、身をかえして進み、ギルガルへ下って行きました」。 + サムエルがサウルのもとへ来ると、サウルは彼に言った、「どうぞ、主があなたを祝福されますように。わたしは主の言葉を実行しました」。 + サムエルは言った、「それならば、わたしの耳にはいる、この羊の声と、わたしの聞く牛の声は、いったい、なんですか」。 + サウルは言った、「人々がアマレクびとの所から引いてきたのです。民は、あなたの神、主にささげるために、羊と牛の最も良いものを残したのです。そのほかは、われわれが滅ぼし尽しました」。 + サムエルはサウルに言った、「おやめなさい。昨夜、主がわたしに言われたことを、あなたに告げましょう」。サウルは彼に言った、「言ってください」。 + サムエルは言った、「たとい、自分では小さいと思っても、あなたはイスラエルの諸部族の長ではありませんか。主はあなたに油を注いでイスラエルの王とされた。 + そして主はあなたに使命を授け、つかわして言われた、『行って、罪びとなるアマレクびとを滅ぼし尽せ。彼らを皆殺しにするまで戦え』。 + それであるのに、どうしてあなたは主の声に聞き従わないで、ぶんどり物にとびかかり、主の目の前に悪をおこなったのですか」。 + サウルはサムエルに言った、「わたしは主の声に聞き従い、主がつかわされた使命を帯びて行き、アマレクの王アガグを連れてきて、アマレクびとを滅ぼし尽しました。 + しかし民は滅ぼし尽すべきもののうち最も良いものを、ギルガルで、あなたの神、主にささげるため、ぶんどり物のうちから羊と牛を取りました」。 + サムエルは言った、「主はそのみ言葉に聞き従う事を喜ばれるように、燔祭や犠牲を喜ばれるであろうか。見よ、従うことは犠牲にまさり、聞くことは雄羊の脂肪にまさる。 + そむくことは占いの罪に等しく、強情は偶像礼拝の罪に等しいからである。あなたが主のことばを捨てたので、主もまたあなたを捨てて、王の位から退けられた」。 + サウルはサムエルに言った、「わたしは主の命令とあなたの言葉にそむいて罪を犯しました。民を恐れて、その声に聞き従ったからです。 + どうぞ、今わたしの罪をゆるし、わたしと一緒に帰って、主を拝ませてください」。 + サムエルはサウルに言った、「あなたと一緒に帰りません。あなたが主の言葉を捨てたので、主もあなたを捨てて、イスラエルの王位から退けられたからです」。 + こうしてサムエルが去ろうとして身をかえした時、サウルがサムエルの上着のすそを捕えたので、それは裂けた。 + サムエルは彼に言った、「主はきょう、あなたからイスラエルの王国を裂き、もっと良いあなたの隣人に与えられた。 + またイスラエルの栄光は偽ることもなく、悔いることもない。彼は人ではないから悔いることはない」。 + サウルは言った、「わたしは罪を犯しましたが、どうぞ、民の長老たち、およびイスラエルの前で、わたしを尊び、わたしと一緒に帰って、あなたの神、主を拝ませてください」。 + そこでサムエルはサウルのあとについて帰った。そしてサウルは主を拝んだ。 + 時にサムエルは言った、「わたしの所にアマレクびとの王アガグを引いてきなさい」。アガグはうれしそうにサムエルの所にきた。アガグは「死の苦しみはきっと過ぎ去ったのだ」と思った。 + サムエルは言った、「あなたのつるぎは多くの女に子供を失わせた。そのようにあなたの母も女のうちで最も無惨に子供を失う者となるであろう」。サムエルはギルガルで主の前に、アガグを寸断した。 + そしてサムエルはラマに行き、サウルは故郷のギベアに上って、その家に帰った。 + サムエルは死ぬ日まで、二度とサウルを見なかった。しかしサムエルはサウルのために悲しんだ。また主はサウルをイスラエルの王としたことを悔いられた。 + + + さて主はサムエルに言われた、「わたしがすでにサウルを捨てて、イスラエルの王位から退けたのに、あなたはいつまで彼のために悲しむのか。角に油を満たし、それをもって行きなさい。あなたをベツレヘムびとエッサイのもとにつかわします。わたしはその子たちのうちにひとりの王を捜し得たからである」。 + サムエルは言った、「どうしてわたしは行くことができましょう。サウルがそれを聞けば、わたしを殺すでしょう」。主は言われた、「一頭の子牛を引いていって、『主に犠牲をささげるためにきました』と言いなさい。 + そしてエッサイを犠牲の場所に呼びなさい。その時わたしはあなたのすることを示します。わたしがあなたに告げる人に油を注がなければならない」。 + サムエルは主が命じられたようにして、ベツレヘムへ行った。町の長老たちは、恐れながら出て、彼を迎え、「穏やかな事のためにこられたのですか」と言った。 + サムエルは言った、「穏やかな事のためです。わたしは主に犠牲をささげるためにきました。身をきよめて、犠牲の場所にわたしと共にきてください」。そしてサムエルはエッサイとその子たちをきよめて犠牲の場に招いた。 + 彼らがきた時、サムエルはエリアブを見て、「自分の前にいるこの人こそ、主が油をそそがれる人だ」と思った。 + しかし主はサムエルに言われた、「顔かたちや身のたけを見てはならない。わたしはすでにその人を捨てた。わたしが見るところは人とは異なる。人は外の顔かたちを見、主は心を見る」。 + そこでエッサイはアビナダブを呼んでサムエルの前を通らせた。サムエルは言った、「主が選ばれたのはこの人でもない」。 + エッサイはシャンマを通らせたが、サムエルは言った、「主が選ばれたのはこの人でもない」。 + エッサイは七人の子にサムエルの前を通らせたが、サムエルはエッサイに言った、「主が選ばれたのはこの人たちではない」。 + サムエルはエッサイに言った、「あなたのむすこたちは皆ここにいますか」。彼は言った、「まだ末の子が残っていますが羊を飼っています」。サムエルはエッサイに言った、「人をやって彼を連れてきなさい。彼がここに来るまで、われわれは食卓につきません」。 + そこで人をやって彼をつれてきた。彼は血色のよい、目のきれいな、姿の美しい人であった。主は言われた、「立ってこれに油をそそげ。これがその人である」。 + サムエルは油の角をとって、その兄弟たちの中で、彼に油をそそいだ。この日からのち、主の霊は、はげしくダビデの上に臨んだ。そしてサムエルは立ってラマへ行った。 + さて主の霊はサウルを離れ、主から来る悪霊が彼を悩ました。 + サウルの家来たちは彼に言った、「ごらんなさい。神から来る悪霊があなたを悩ましているのです。 + どうぞ、われわれの主君が、あなたの前に仕えている家来たちに命じて、じょうずに琴をひく者ひとりを捜させてください。神から来る悪霊があなたに臨む時、彼が手で琴をひくならば、あなたは良くなられるでしょう」。 + そこでサウルは家来たちに言った、「じょうずに琴をひく者を捜して、わたしのもとに連れてきなさい」。 + その時、ひとりの若者がこたえた、「わたしはベツレヘムびとエッサイの子を見ましたが、琴がじょうずで、勇気もあり、いくさびとで、弁舌にひいで、姿の美しい人です。また主が彼と共におられます」。 + そこでサウルはエッサイのもとに使者をつかわして言った、「羊を飼っているあなたの子ダビデをわたしのもとによこしなさい」。 + エッサイは、ろばにパンを負わせ、皮袋にいれたぶどう酒一袋と、やぎの子とを取って、その子ダビデの手によってサウルに送った。 + ダビデはサウルのもとにきて、彼に仕えた。サウルはひじょうにこれを愛して、その武器を執る者とした。 + またサウルは人をつかわしてエッサイに言った、「ダビデをわたしに仕えさせてください。彼はわたしの心にかないました」。 + 神から出る悪霊がサウルに臨む時、ダビデは琴をとり、手でそれをひくと、サウルは気が静まり、良くなって、悪霊は彼を離れた。 + + + さてペリシテびとは、軍を集めて戦おうとし、ユダに属するソコに集まって、ソコとアゼカの間にあるエペス・ダミムに陣取った。 + サウルとイスラエルの人々は集まってエラの谷に陣取り、ペリシテびとに対して戦列をしいた。 + ペリシテびとは向こうの山の上に立ち、イスラエルはこちらの山の上に立った。その間に谷があった。 + 時に、ペリシテびとの陣から、ガテのゴリアテという名の、戦いをいどむ者が出てきた。身のたけは六キュビト半。 + 頭には青銅のかぶとを頂き、身には、うろことじのよろいを着ていた。そのよろいは青銅で重さ五千シケル。 + また足には青銅のすね当を着け、肩には青銅の投げやりを背負っていた。 + 手に持っているやりの柄は、機の巻棒のようであり、やりの穂の鉄は六百シケルであった。彼の前には、盾を執る者が進んだ。 + ゴリアテは立ってイスラエルの戦列に向かって叫んだ、「なにゆえ戦列をつくって出てきたのか。わたしはペリシテびと、おまえたちはサウルの家来ではないか。おまえたちから、ひとりを選んで、わたしのところへ下ってこさせよ。 + もしその人が戦ってわたしを殺すことができたら、われわれはおまえたちの家来となる。しかしわたしが勝ってその人を殺したら、おまえたちは、われわれの家来になって仕えなければならない」。 + またこのペリシテびとは言った、「わたしは、きょうイスラエルの戦列にいどむ。ひとりを出して、わたしと戦わせよ」。 + サウルとイスラエルのすべての人は、ペリシテびとのこの言葉を聞いて驚き、ひじょうに恐れた。 + さて、ダビデはユダのベツレヘムにいたエフラタびとエッサイという名の人の子で、この人に八人の子があったが、サウルの世には年が進んで、すでに年老いていた。 + エッサイの子らのうち、上の三人はサウルに従って戦争に出た。その戦いに出た三人の子の名は、長子をエリアブといい、次をアビナダブといい、第三をシャンマと言った。 + ダビデは末の子であって、兄三人はサウルにしたがった。 + ダビデはサウルの所から行ったりきたりして、ベツレヘムで父の羊を飼っていた。 + あのペリシテびとは四十日の間、朝夕出てきて、彼らの前に立った。 + 時に、エッサイはその子ダビデに言った、「兄たちのため、このいり麦一エパと、この十個のパンをとって、急いで陣営にいる兄の所へ持っていきなさい。 + またこの十の乾酪を取って、千人の長にもって行き、兄たちの安否を見とどけて、そのしるしをもらってきなさい」。 + さてサウルと彼らおよびイスラエルのすべての人は、エラの谷でペリシテびとと戦っていた。 + ダビデは朝はやく起きて、羊を番人に託し、エッサイが命じたように食料品を携えて行った。彼が陣営に着いた時、軍勢は、ときの声をあげて戦線に出ようとしていた。 + そしてイスラエルとペリシテびととは戦列を敷いて、軍と軍と向き合った。 + ダビデは荷物をおろして、荷物を守る者にあずけ、戦列の方へ走って、兄たちの所へ行き、彼らの安否を尋ねた。 + 兄たちと語っている時、ペリシテびとの戦列から、ガテのペリシテびとで、名をゴリアテという、あの戦いをいどむ者が上ってきて、前と同じ言葉を言ったので、ダビデはそれを聞いた。 + イスラエルのすべての人は、その人を見て、避けて逃げ、ひじょうに恐れた。 + イスラエルの人々はまた言った、「あなたがたは、あの上ってきた人を見たか。確かにイスラエルにいどむために上ってきたのだ。彼を殺す人は、王が大いなる富を与えて富ませ、その娘を与え、その父の家にはイスラエルのうちで税を免れさせるであろう」。 + ダビデはかたわらに立っている人々に言った、「このペリシテびとを殺し、イスラエルの恥をすすぐ人には、どうされるのですか。この割礼なきペリシテびとは何者なので、生ける神の軍をいどむのか」。 + 民は前と同じように、「彼を殺す人にはこうされるであろう」と答えた。 + 上の兄エリアブはダビデが人々と語るのを聞いて、ダビデに向かい怒りを発して言った、「なんのために下ってきたのか。野にいるわずかの羊はだれに託したのか。あなたのわがままと悪い心はわかっている。戦いを見るために下ってきたのだ」。 + ダビデは言った、「わたしが今、何をしたというのですか。ただひと言いっただけではありませんか」。 + またふり向いて、ほかの人に前のように語ったところ、民はまた同じように答えた。 + 人々はダビデの語った言葉を聞いて、それをサウルに告げたので、サウルは彼を呼び寄せた。 + ダビデはサウルに言った、「だれも彼のゆえに気を落してはなりません。しもべが行ってあのペリシテびとと戦いましょう」。 + サウルはダビデに言った、「行って、あのペリシテびとと戦うことはできない。あなたは年少だが、彼は若い時からの軍人だからです」。 + しかしダビデはサウルに言った、「しもべは父の羊を飼っていたのですが、しし、あるいはくまがきて、群れの小羊を取った時、 + わたしはそのあとを追って、これを撃ち、小羊をその口から救いだしました。その獣がわたしにとびかかってきた時は、ひげをつかまえて、それを撃ち殺しました。 + しもべはすでに、ししと、くまを殺しました。この割礼なきペリシテびとも、生ける神の軍をいどんだのですから、あの獣の一頭のようになるでしょう」。 + ダビデはまた言った、「ししのつめ、くまのつめからわたしを救い出された主は、またわたしを、このペリシテびとの手から救い出されるでしょう」。サウルはダビデに言った、「行きなさい。どうぞ主があなたと共におられるように」。 + そしてサウルは自分のいくさ衣をダビデに着せ、青銅のかぶとを、その頭にかぶらせ、また、うろことじのよろいを身にまとわせた。 + ダビデは、いくさ衣の上に、つるぎを帯びて行こうとしたが、できなかった。それに慣れていなかったからである。そこでダビデはサウルに言った、「わたしはこれらのものを着けていくことはできません。慣れていないからです」。 + ダビデはそれらを脱ぎすて、手につえをとり、谷間からなめらかな石五個を選びとって自分の持っている羊飼の袋に入れ、手に石投げを執って、あのペリシテびとに近づいた。 + そのペリシテびとは進んできてダビデに近づいた。そのたてを執る者が彼の前にいた。 + ペリシテびとは見まわしてダビデを見、これを侮った。まだ若くて血色がよく、姿が美しかったからである。 + ペリシテびとはダビデに言った、「つえを持って、向かってくるが、わたしは犬なのか」。ペリシテびとは、また神々の名によってダビデをのろった。 + ペリシテびとはダビデに言った、「さあ、向かってこい。おまえの肉を、空の鳥、野の獣のえじきにしてくれよう」。 + ダビデはペリシテびとに言った、「おまえはつるぎと、やりと、投げやりを持って、わたしに向かってくるが、わたしは万軍の主の名、すなわち、おまえがいどんだ、イスラエルの軍の神の名によって、おまえに立ち向かう。 + きょう、主は、おまえをわたしの手にわたされるであろう。わたしは、おまえを撃って、首をはね、ペリシテびとの軍勢の死かばねを、きょう、空の鳥、地の野獣のえじきにし、イスラエルに、神がおられることを全地に知らせよう。 + またこの全会衆も、主は救を施すのに、つるぎとやりを用いられないことを知るであろう。この戦いは主の戦いであって、主がわれわれの手におまえたちを渡されるからである」。 + そのペリシテびとが立ち上がり、近づいてきてダビデに立ち向かったので、ダビデは急ぎ戦線に走り出て、ペリシテびとに立ち向かった。 + ダビデは手を袋に入れて、その中から一つの石を取り、石投げで投げて、ペリシテびとの額を撃ったので、石はその額に突き入り、うつむきに地に倒れた。 + こうしてダビデは石投げと石をもってペリシテびとに勝ち、ペリシテびとを撃って、これを殺した。ダビデの手につるぎがなかったので、 + ダビデは走りよってペリシテびとの上に乗り、そのつるぎを取って、さやから抜きはなし、それをもって彼を殺し、その首をはねた。ペリシテの人々は、その勇士が死んだのを見て逃げた。 + イスラエルとユダの人々は立ちあがり、ときをあげて、ペリシテびとを追撃し、ガテおよびエクロンの門にまで及んだ。そのためペリシテびとの負傷者は、シャライムからガテおよびエクロンに行く道の上に倒れた。 + イスラエルの人々はペリシテびとの追撃を終えて帰り、その陣営を略奪した。 + ダビデは、あのペリシテびとの首を取ってエルサレムへ持って行ったが、その武器は自分の天幕に置いた。 + サウルはダビデがあのペリシテびとに向かって出ていくのを見て、軍の長アブネルに言った、「アブネルよ、この若者はだれの子か」。アブネルは言った、「王よ、あなたのいのちにかけて誓います。わたしは知らないのです」。 + 王は言った、「この若者がだれの子か、尋ねてみよ」。 + ダビデが、あのペリシテびとを殺して帰ってきた時、アブネルは、ペリシテびとの首を手に持っている彼を、サウルの前に連れて行った。 + サウルは彼に言った、「若者よ、あなたはだれの子か」。ダビデは答えた、「あなたのしもべ、ベツレヘムびとエッサイの子です」。 + + + ダビデがサウルに語り終えた時、ヨナタンの心はダビデの心に結びつき、ヨナタンは自分の命のようにダビデを愛した。 + この日、サウルはダビデを召しかかえて、父の家に帰らせなかった。 + ヨナタンとダビデとは契約を結んだ。ヨナタンが自分の命のようにダビデを愛したからである。 + ヨナタンは自分が着ていた上着を脱いでダビデに与えた。また、そのいくさ衣、およびつるぎも弓も帯も、そのようにした。 + ダビデはどこでもサウルがつかわす所に出て行って、てがらを立てたので、サウルは彼を兵の隊長とした。それはすべての民の心にかない、またサウルの家来たちの心にもかなった。 + 人々が引き揚げてきた時、すなわちダビデが、かのペリシテびとを殺して帰った時、女たちはイスラエルの町々から出てきて、手鼓と祝い歌と三糸の琴をもって、歌いつ舞いつ、サウル王を迎えた。 + 女たちは踊りながら互に歌いかわした、「サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した」。 + サウルは、ひじょうに怒り、この言葉に気を悪くして言った、「ダビデには万と言い、わたしには千と言う。この上、彼に与えるものは、国のほかないではないか」。 + サウルは、この日からのちダビデをうかがった。 + 次の日、神から来る悪霊がサウルにはげしく臨んで、サウルが家の中で狂いわめいたので、ダビデは、いつものように、手で琴をひいた。その時、サウルの手にやりがあったので、 + サウルは「ダビデを壁に刺し通そう」と思って、そのやりをふり上げた。しかしダビデは二度身をかわしてサウルを避けた。 + 主がサウルを離れて、ダビデと共におられたので、サウルはダビデを恐れた。 + それゆえサウルは、ダビデを遠ざけて、千人の長としたので、ダビデは民の先に立って出入りした。 + またダビデは、すべてそのすることに、てがらを立てた。主が共におられたからである。 + サウルはダビデが大きなてがらを立てるのを見て彼を恐れたが、 + イスラエルとユダのすべての人はダビデを愛した。彼が民の先に立って出入りしたからである。 + その時サウルはダビデに言った、「わたしの長女メラブを、あなたに妻として与えよう。ただ、あなたはわたしのために勇ましく、主の戦いを戦いなさい」。サウルは「自分の手で彼を殺さないで、ペリシテびとの手で殺そう」と思ったからである。 + ダビデはサウルに言った、「わたしは何者なのでしょう。わたしの親族、わたしの父の一族はイスラエルのうちで何者なのでしょう。そのわたしが、どうして王のむこになることができましょう」。 + しかしサウルの娘メラブは、ダビデにとつぐべき時になって、メホラびとアデリエルに妻として与えられた。 + サウルの娘ミカルはダビデを愛した。人々がそれをサウルに告げたとき、サウルはその事を喜んだ。 + サウルは「ミカルを彼に与えて、彼を欺く手だてとし、ペリシテびとの手で彼を殺そう」と思ったので、サウルはふたたびダビデに言った、「あなたを、きょう、わたしのむこにします」。 + そしてサウルは家来たちに命じた、「ひそかにダビデに言いなさい、『王はあなたが気に入り、王の家来たちも皆あなたを愛しています。それゆえ王のむこになりなさい』」。 + そこでサウルの家来たちはこの言葉をダビデの耳に語ったので、ダビデは言った、「わたしのような貧しく、卑しい者が、王のむこになることは、あなたがたには、たやすいことと思われますか」。 + サウルの家来たちはサウルに、「ダビデはこう言った」と告げた。 + サウルは言った、「あなたがたはダビデにこう言いなさい、『王はなにも結納を望まれない。ただペリシテびとの陽の皮一百を獲て、王のあだを討つことを望まれる』」。これはサウルが、ダビデをペリシテびとの手によって倒そうと思ったからである。 + サウルの家来たちが、この言葉をダビデに告げた時、ダビデは王のむこになることを良しとした。そして定めた日がまだこないうちに、 + ダビデは従者をつれて、立って行き、ペリシテびと二百人を殺して、その陽の皮を携え帰り、王のむこになるために、それをことごとく王にささげた。そこでサウルは娘ミカルを彼に妻として与えた。 + しかしサウルは見て、主がダビデと共におられること、またイスラエルのすべての人がダビデを愛するのを知った時、 + サウルは、ますますダビデを恐れた。こうしてサウルは絶えずダビデに敵した。 + さてペリシテびとの君たちが攻めてきたが、ダビデは、彼らが攻めてくるごとに、サウルのどの家来よりも多くのてがらを立てたので、その名はひじょうに尊敬された。 + + + サウルはその子ヨナタンおよびすべての家来たちにダビデを殺すようにと言った。しかしサウルの子ヨナタンは深くダビデを愛していた。 + ヨナタンはダビデに言った、「父サウルはあなたを殺そうとしています。それゆえあすの朝、気をつけて、わからない場所に身を隠していてください。 + わたしは出て行って、あなたがいる野原で父のかたわらに立ち、父にあなたのことを話しましょう。そして、何かわたしにわかれば、あなたに告げましょう」。 + ヨナタンは父サウルにダビデのことをほめて言った、「王よ、どうか家来ダビデに対して罪を犯さないでください。彼は、あなたに罪を犯さず、また彼のしたことは、あなたのためになることでした。 + 彼は命をかけて、あのペリシテびとを殺し、主はイスラエルの人々に大いなる勝利を与えられたのです。あなたはそれを見て喜ばれました。それであるのに、どうしてゆえなくダビデを殺し、罪なき者の血を流して罪を犯そうとされるのですか」。 + サウルはヨナタンの言葉を聞きいれた。そしてサウルは誓った、「主は生きておられる。わたしは決して彼を殺さない」。 + ヨナタンはダビデを呼んでこれらのことをみなダビデに告げた。そしてヨナタンがダビデをサウルのもとに連れてきたので、ダビデは、もとのようにサウルの前にいた。 + ところがまた戦争がおこって、ダビデは出てペリシテびとと戦い、大いに彼らを殺したので、彼らはその前から逃げ去った。 + さてサウルが家にいて手にやりを持ってすわっていた時、主から来る悪霊がサウルに臨んだので、ダビデは琴をひいていたが、 + サウルはそのやりをもってダビデを壁に刺し通そうとした。しかし彼はサウルの前に身をかわしたので、やりは壁につきささった。そしてダビデは逃げ去った。 + その夜、サウルはダビデの家に使者たちをつかわして見張りをさせ、朝になって彼を殺させようとした。しかしダビデの妻ミカルはダビデに言った、「もし今夜のうちに、あなたが自分の命を救わないならば、あすは殺されるでしょう」。 + そしてミカルがダビデを窓からつりおろしたので、彼は逃げ去った。 + ミカルは一つの像をとって、寝床の上に横たえ、その頭にやぎの毛の網をかけ、着物をもってそれをおおった。 + サウルはダビデを捕えるため使者たちをつかわしたが、彼女は言った、「あの人は病気です」。 + そこでサウルは、ダビデを見させようと使者たちをつかわして言った、「彼を寝床のまま、わたしの所に連れてきなさい。わたしが彼を殺そう」。 + 使者たちがはいって見ると、寝床には像が横たえてあって、その頭には、やぎの毛の網がかけてあった。 + サウルはミカルに言った、「あなたはどうして、このようにわたしを欺いて、わたしの敵を逃がしたのか」。ミカルはサウルに答えた、「あの人はわたしに『逃がしてくれ。さもないと、おまえを殺す』と言いました」。 + ダビデは逃げ去り、ラマにいるサムエルのもとへ行って、サウルが自分にしたすべてのことを彼に告げた。そしてダビデとサムエルは行ってナヨテに住んだ。 + ある人がサウルに「ダビデはラマのナヨテにいます」と告げたので、 + サウルは、ダビデを捕えるために、使者たちをつかわした。彼らは預言者の一群が預言していて、サムエルが、そのうちの、かしらとなって立っているのを見たが、その時、神の霊はサウルの使者たちにも臨んで、彼らもまた預言した。 + サウルは、このことを聞いて、他の使者たちをつかわしたが、彼らもまた預言した。サウルは三たび使者たちをつかわしたが、彼らもまた預言した。 + そこでサウルはみずからラマに行き、セクの大井戸に着いた時、問うて言った、「サムエルとダビデは、どこにおるか」。ひとりの人が答えた、「彼らはラマのナヨテにいます」。 + そこでサウルはそこからラマのナヨテに行ったが、神の霊はまた彼にも臨んで、彼はラマのナヨテに着くまで歩きながら預言した。 + そして彼もまた着物を脱いで、同じようにサムエルの前で預言し、一日一夜、裸で倒れ伏していた。人々が「サウルもまた預言者たちのうちにいるのか」というのはこのためである。 + + + ダビデはラマのナヨテから逃げてきて、ヨナタンに言った、「わたしが何をし、どのような悪いことがあり、あなたの父の前にどんな罪を犯したので、わたしを殺そうとされるのでしょうか」。 + ヨナタンは彼に言った、「決して殺されることはありません。父は事の大小を問わず、わたしに告げないですることはありません。どうして父がわたしにその事を隠しましょう。そのようなことはありません」。 + しかしダビデは答えた、「あなたの父は、わたしがあなたの好意をえていることをよく知っておられます。それで『ヨナタンが悲しむことのないように、これを知らせないでおこう』と思っておられるのです。しかし、主は生きておられ、あなたの魂は生きています。わたしと死との間は、ただ一歩です」。 + ヨナタンはダビデに言った、「あなたが言われることはなんでもします」。 + ダビデはヨナタンに言った、「あすは、ついたちですから、わたしは王と一緒に食事をしなければなりません。しかしわたしを行かせて三日目の夕方まで、野原に隠れることを許してください。 + もしあなたの父がわたしのことを尋ねられるならば、その時、言ってください、『ダビデはふるさとの町ベツレヘムへ急いで行くことを許してくださいと、しきりにわたしに求めました。そこで全家の年祭があるからです』。 + もし彼が「良し」と言われるなら、しもべは安全ですが、怒られるなら、わたしに害を加える決心でおられるのを知ってください。 + あなたは、主の前で、しもべと契約を結んでくださいました。それでどうぞしもべにいつくしみを施してください。しかし、もしわたしに悪いことがあるならば、あなた自らわたしを殺してください。どうしてあなたの父のもとへわたしを引いていかなければならないでしょう」。 + ヨナタンは言った、「そのようなことは決してありません。父があなたに害を加える決心をしていることがわたしにわかっているならば、わたしはそれをあなたに告げないでおきましょうか」。 + ダビデはヨナタンに言った、「あなたの父が荒々しくあなたに答えられる時、だれがわたしに告げるでしょうか」。 + ヨナタンはダビデに言った、「さあ、野原へ出ていこう」。こうしてふたりは野原へ出て行った。 + そしてヨナタンはダビデに言った、「イスラエルの神、主が、証人です。明日か明後日の今ごろ、わたしが父の心を探って、父がダビデに対して良いのを見ながら、人をつかわしてあなたに知らせないようなことをするでしょうか。 + しかし、もし父があなたに害を加えようと思っているのに、それをあなたに知らせず、あなたを逃がして、安全に去らせないならば、主よ、どうぞ幾重にも、このヨナタンを罰してください。どうぞ主が父と共におられたように、あなたと共におられますように。 + もしわたしがなお生きながらえているならば、主のいつくしみをわたしに施し、死を免れさせてください。 + またわたしの家をも、長くあなたのいつくしみにあずからせてください。主がダビデの敵をことごとく地のおもてから断ち滅ぼされる時、 + ヨナタンの名をダビデの家から絶やさないでください。どうぞ主がダビデの敵に、あだを返されるように」。 + そしてヨナタンは重ねてダビデに誓わせた。彼を愛したからである。ヨナタンは自分の命のように彼を愛していた。 + ヨナタンはダビデに言った、「あすはついたちです。あなたの席があいているので、どうしたのかと尋ねられるでしょう。 + 三日目には、きびしく尋ねられるでしょうから、先にあなたが隠れた場所へ行って、向こうの石塚のかたわらにいてください。 + わたしは的を射るようにして、矢を三本、そのそばに放ちます。 + そして、『行って矢を捜してきなさい』と言って子供をつかわしましょう。わたしが子供に、『矢は手前にある。それを取ってきなさい』と言うならば、その時あなたはきてください。主が生きておられるように、あなたは安全で、何も危険がないからです。 + しかしわたしがその子供に、『矢は向こうにある』と言うならば、その時、あなたは去って行きなさい。主があなたを去らせられるのです。 + あなたとわたしとで話しあった事については、主が常にあなたとわたしとの間におられます」。 + そこでダビデは野原に身を隠した。さて、ついたちになったので、王は食事をするため席に着いた。 + 王はいつものように壁寄りに席に着き、ヨナタンはその向かい側の席に着き、アブネルはサウルの横の席に着いたが、ダビデの場所にはだれもいなかった。 + ところがその日サウルは何も言わなかった、「彼に何か起って汚れたのだろう。きっと汚れたのにちがいない」と思ったからである。 + しかし、ふつか目すなわち、ついたちの明くる日も、ダビデの場所はあいていたので、サウルは、その子ヨナタンに言った、「どうしてエッサイの子は、きのうもきょうも食事にこないのか」。 + ヨナタンはサウルに答えた、「ダビデは、ベツレヘムへ行くことを許してくださいと、しきりにわたしに求めました。 + 彼は言いました、『わたしに行かせてください。われわれの一族が町で祭をするので、兄がわたしに来るようにと命じました。それでもし、あなたの前に恵みを得ますならば、どうぞ、わたしに行くことを許し、兄弟たちに会わせてください』。それで彼は王の食卓にこなかったのです」。 + その時サウルはヨナタンにむかって怒りを発し、彼に言った、「あなたは心の曲った、そむく女の産んだ子だ。あなたがエッサイの子を選んで、自分の身をはずかしめ、また母の身をはずかしめていることをわたしが知らないと思うのか。 + エッサイの子がこの世に生きながらえている間は、あなたも、あなたの王国も堅く立っていくことはできない。それゆえ今、人をつかわして、彼をわたしのもとに連れてこさせなさい。彼は必ず死ななければならない」。 + ヨナタンは父サウルに答えた、「どうして彼は殺されなければならないのですか。彼は何をしたのですか」。 + ところがサウルはヨナタンを撃とうとして、やりを彼に向かって振り上げたので、ヨナタンは父がダビデを殺そうと、心に決めているのを知った。 + ヨナタンは激しく怒って席を立ち、その月のふつかには食事をしなかった。父がダビデをはずかしめたので、ダビデのために憂えたからである。 + あくる朝、ヨナタンは、ひとりの小さい子供を連れて、ダビデと打ち合わせたように野原に出て行った。 + そしてその子供に言った、「走って行って、わたしの射る矢を捜しなさい」。子供が走って行く間に、ヨナタンは矢を彼の前の方に放った。 + そして子供が、ヨナタンの放った矢のところへ行った時、ヨナタンは子供のうしろから呼ばわって、「矢は向こうにあるではないか」と言った。 + ヨナタンはまた、その子供のうしろから呼ばわって言った、「早くせよ、急げ。とどまるな」。その子供は矢を拾い集めて主人ヨナタンのもとにきた。 + しかし子供は何も知らず、ヨナタンとダビデだけがそのことを知っていた。 + ヨナタンは自分の武器をその子供に渡して言った、「あなたはこれを町へ運んで行きなさい」。 + 子供が行ってしまうとダビデは石塚のかたわらをはなれて立ちいで、地にひれ伏して三度敬礼した。そして、ふたりは互に口づけし、互に泣いた。やがてダビデは心が落ち着いた。 + その時ヨナタンはダビデに言った、「無事に行きなさい。われわれふたりは、『主が常にわたしとあなたの間におられ、また、わたしの子孫とあなたの子孫の間におられる』と言って、主の名をさして誓ったのです」。こうしてダビデは立ち去り、ヨナタンは町にはいった。 + + + ダビデはノブに行き、祭司アヒメレクのところへ行った。アヒメレクはおののきながらダビデを迎えて言った、「どうしてあなたはひとりですか。だれも供がいないのですか」。 + ダビデは祭司アヒメレクに言った、「王がわたしに一つの事を命じて、『わたしがおまえをつかわしてさせる事、またわたしが命じたことについては、何をも人に知らせてはならない』と言われました。そこでわたしは、ある場所に若者たちを待たせてあります。 + ところで今あなたの手もとにパン五個でもあれば、それをわたしにください。なければなんでも、あるものをください」。 + 祭司はダビデに答えて言った、「常のパンはわたしの手もとにありません。ただその若者たちが女を慎んでさえいたのでしたら、聖別したパンがあります」。 + ダビデは祭司に答えた、「わたしが戦いに出るいつもの時のように、われわれはたしかに女たちを近づけていません。若者たちの器は、常の旅であったとしても、清いのです。まして、きょう、彼らの器は清くないでしょうか」。 + そこで祭司は彼に聖別したパンを与えた。その所に、供えのパンのほかにパンがなく、このパンは、これを取り下げる日に、あたたかいパンと置きかえるため、主の前から取り下さげたものである。 + その日、その所に、サウルのしもべのひとりが、主の前に留め置かれていた。その名はドエグといい、エドムびとであって、サウルの牧者の長であった。 + ダビデはまたアヒメレクに言った、「ここに、あなたの手もとに、やりかつるぎがありませんか。王の事が急を要したので、わたしはつるぎも武器も持ってこなかったのです」。 + 祭司は言った、「あなたがエラの谷で殺したペリシテびとゴリアテのつるぎが、布に包んでエポデのうしろにあります。もしあなたがこれを取ろうとおもわれるなら、お取りください。ここにはそのほかにはありません」。ダビデは言った、「それにまさるものはありません。それをわたしにください」。 + ダビデはその日サウルを恐れて、立ってガテの王アキシのところへ逃げて行った。 + アキシの家来たちはアキシに言った、「これはあの国の王ダビデではありませんか。人々が踊りながら、互に歌いかわして、『サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した』と言ったのは、この人のことではありませんか」。 + ダビデは、これらの言葉を心におき、ガテの王アキシを、ひじょうに恐れたので、 + 人々の前で、わざと挙動を変え、捕えられて気違いのふりをし、門のとびらを打ちたたき、よだれを流して、ひげに伝わらせた。 + アキシは家来たちに言った、「あなたがたの見るように、この人は気違いだ。どうして彼をわたしの所へ連れてきたのか。 + わたしに気違いが必要なのか。この者を連れてきて、わたしの前で狂わせようというのか。この者をわたしの家へ入れようとするのか」。 + + + こうしてダビデはその所を去り、アドラムのほら穴へのがれた。彼の兄弟たちと父の家の者は皆、これを聞き、その所に下って彼のもとにきた。 + また、しえたげられている人々、負債のある人々、心に不満のある人々も皆、彼のもとに集まってきて、彼はその長となった。おおよそ四百人の人々が彼と共にあった。 + ダビデはそこからモアブのミヅパへ行き、モアブの王に言った、「神がわたしのためにどんなことをされるかわかるまで、どうぞわたしの父母をあなたの所におらせてください」。 + そして彼はモアブの王に彼らを託したので、彼らはダビデが要害におる間、王の所におった。 + さて、預言者ガドはダビデに言った、「要害にとどまっていないで、去ってユダの地へ行きなさい」。そこでダビデは去って、ハレテの森へ行った。 + サウルは、ダビデおよび彼と共にいる人々が見つかったということを聞いた。サウルはギベアで、やりを手にもって、丘のぎょりゅうの木の下にすわっており、家来たちはみなそのまわりに立っていた。 + サウルはまわりに立っている家来たちに言った、「あなたがたベニヤミンびとは聞きなさい。エッサイの子もまた、あなたがたおのおのに畑やぶどう畑を与え、おのおのを千人の長、百人の長にするであろうか。 + あなたがたは皆共にはかってわたしに敵した。わたしの子がエッサイの子と契約を結んでも、それをわたしに告げるものはなく、またあなたがたのうち、ひとりもわたしのために憂えず、きょうのように、わたしの子がわたしのしもべをそそのかしてわたしに逆らわせ、道で彼がわたしを待ち伏せするようになっても、わたしに告げる者はない」。 + その時エドムびとドエグは、サウルの家来たちのそばに立っていたが、答えて言った、「わたしはエッサイの子がノブにいるアヒトブの子アヒメレクの所にきたのを見ました。 + アヒメレクは彼のために主に問い、また彼に食物を与え、ペリシテびとゴリアテのつるぎを与えました」。 + そこで王は人をつかわして、アヒトブの子祭司アヒメレクとその父の家のすべての者、すなわちノブの祭司たちを召したので、みな王の所にきた。 + サウルは言った、「アヒトブの子よ、聞きなさい」。彼は答えた、「わが主よ、わたしはここにおります」。 + サウルは彼に言った、「どうしてあなたはエッサイの子と共にはかってわたしに敵し、彼にパンとつるぎを与え、彼のために神に問い、きょうのように彼をわたしに逆らって立たせ、道で待ち伏せさせるのか」。 + アヒメレクは王に答えて言った、「あなたの家来のうち、ダビデのように忠義な者がほかにありますか。彼は王の娘婿であり、近衛兵の長であって、あなたの家で尊ばれる人ではありませんか。 + 彼のために神に問うたのは、きょう初めてでしょうか。いいえ、決してそうではありません。王よ、どうぞ、しもべと父の全家に罪を負わせないでください。しもべは、これについては、事の大小を問わず、何をも知らなかったのです」。 + 王は言った、「アヒメレクよ、あなたは必ず殺されなければならない。あなたの父の全家も同じである」。 + そして王はまわりに立っている近衛の兵に言った、「身をひるがえして、主の祭司たちを殺しなさい。彼らもダビデと協力していて、ダビデの逃げたのを知りながら、それをわたしに告げなかったからです」。ところが王の家来たちは主の祭司たちを殺すために手を下そうとはしなかった。 + そこで王はドエグに言った、「あなたが身をひるがえして、祭司たちを殺しなさい」。エドムびとドエグは身をひるがえして祭司たちを撃ち、その日亜麻布のエポデを身につけている者八十五人を殺した。 + 彼はまた、つるぎをもって祭司の町ノブを撃ち、つるぎをもって男、女、幼な子、乳飲み子、牛、ろば、羊を殺した。 + しかしアヒトブの子アヒメレクの子たちのひとりで、名をアビヤタルという人は、のがれてダビデの所に走った。 + そしてアビヤタルは、サウルが主の祭司たちを殺したことをダビデに告げたので、 + ダビデはアビヤタルに言った、「あの日、エドムびとドエグがあそこにいたので、わたしは彼がきっとサウルに告げるであろうと思った。わたしがあなたの父の家の人々の命を失わせるもととなったのです。 + あなたはわたしの所にとどまってください。恐れることはありません。あなたの命を求める者は、わたしの命をも求めているのです。わたしの所におられるならば、あなたは安全でしょう」。 + + + さて人々はダビデに告げて言った、「ペリシテびとがケイラを攻めて、打ち場の穀物をかすめています」。 + そこでダビデは主に問うて言った、「わたしが行って、このペリシテびとを撃ちましょうか」。主はダビデに言われた、「行ってペリシテびとを撃ち、ケイラを救いなさい」。 + しかしダビデの従者たちは彼に言った、「われわれは、ユダのここにおってさえ、恐れているのに、ましてケイラへ行って、ペリシテびとの軍に当ることができましょうか」。 + ダビデが重ねて主に問うたところ、主は彼に答えて言われた、「立って、ケイラへ下りなさい。わたしはペリシテびとをあなたの手に渡します」。 + ダビデとその従者たちはケイラへ行って、ペリシテびとと戦い、彼らの家畜を奪いとり、彼らを多く撃ち殺した。こうしてダビデはケイラの住民を救った。 + アヒメレクの子アビヤタルは、ケイラにいるダビデのもとにのがれてきた時、手にエポデをもって下ってきた。 + さてダビデのケイラにきたことがサウルに聞えたので、サウルは言った、「神はわたしの手に彼をわたされた。彼は門と貫の木のある町にはいって、自分で身を閉じこめたからである」。 + そこでサウルはすべての民を戦いに呼び集めて、ケイラに下り、ダビデとその従者を攻め囲もうとした。 + ダビデはサウルが自分に害を加えようとしているのを知って、祭司アビヤタルに言った、「エポデを持ってきてください」。 + そしてダビデは言った、「イスラエルの神、主よ、しもべはサウルがケイラにきて、わたしのために、この町を滅ぼそうとしていることを確かに聞きました。 + ケイラの人々はわたしを彼の手に渡すでしょうか。しもべの聞いたように、サウルは下ってくるでしょうか。イスラエルの神、主よ、どうぞ、しもべに告げてください」。主は言われた、「彼は下って来る」。 + ダビデは言った、「ケイラの人々はわたしと従者たちをサウルの手にわたすでしょうか」。主は言われた、「彼らはあなたがたを渡すであろう」。 + そこでダビデとその六百人ほどの従者たちは立って、ケイラを去り、いずこともなくさまよった。ダビデのケイラから逃げ去ったことがサウルに聞えたので、サウルは戦いに出ることをやめた。 + ダビデは荒野にある要害におり、またジフの荒野の山地におった。サウルは日々に彼を尋ね求めたが、神は彼をその手に渡されなかった。 + さてダビデはサウルが自分の命を求めて出てきたので恐れた。その時ダビデはジフの荒野のホレシにいたが、 + サウルの子ヨナタンは立って、ホレシにいるダビデのもとに行き、神によって彼を力づけた。 + そしてヨナタンは彼に言った、「恐れるにはおよびません。父サウルの手はあなたに届かないでしょう。あなたはイスラエルの王となり、わたしはあなたの次となるでしょう。このことは父サウルも知っています」。 + こうして彼らふたりは主の前で契約を結び、ダビデはホレシにとどまり、ヨナタンは家に帰った。 + その時ジフびとはギベアにいるサウルのもとに上って行き、そして言った、「ダビデは、荒野の南にあるハキラの丘の上のホレシの要害に隠れて、われわれと共にいるではありませんか。 + それゆえ王よ、あなたが下って行こうという望みのとおり、いま下ってきてください。われわれは彼を王の手に渡します」。 + サウルは言った、「あなたがたはわたしに同情を寄せてくれたのです。どうぞ主があなたがたを祝福されるように。 + あなたがたは行って、なお確かめてください。彼のよく行く所とだれがそこで彼を見たかを見きわめてください。人の語るところによると、彼はひじょうに悪賢いそうだ。 + それで、あなたがたは彼が隠れる隠れ場所をみな見きわめ、確かな知らせをもってわたしの所に帰ってきなさい。その時わたしはあなたがたと共に行きます。もし彼がこの地にいるならば、わたしはユダの氏族をあまねく尋ねて彼を捜しだします」。 + 彼らは立って、サウルに先立ってジフへ行った。さてダビデとその従者たちは荒野の南のアラバにあるマオンの荒野にいた。 + そしてサウルとその従者たちはきて彼を捜した。人々がこれをダビデに告げたので、ダビデはマオンの荒野にある岩の所へ下って行った。サウルはこれを聞いて、マオンの荒野にきてダビデを追った。 + サウルは山のこちら側を行き、ダビデとその従者たちとは山のむこう側を行った。そしてダビデは急いでサウルからのがれようとした。サウルとその従者たちが、ダビデとその従者たちを囲んで捕えようとしたからである。 + その時、サウルの所に、ひとりの使者がきて言った、「ペリシテびとが国を侵しています。急いできてください」。 + そこでサウルはダビデを追うことをやめて帰り、行ってペリシテびとに当った。それで人々は、その所を「のがれの岩」と名づけた。 + ダビデはそこから上ってエンゲデの要害にいた。 + + + サウルがペリシテびとを追うことをやめて帰ってきたとき、人々は彼に告げて言った、「ダビデはエンゲデの野にいます」。 + そこでサウルは、全イスラエルから選んだ三千の人を率い、ダビデとその従者たちとを捜すため、「やぎの岩」の前へ出かけた。 + 途中、羊のおりの所にきたが、そこに、ほら穴があり、サウルは足をおおうために、その中にはいった。その時、ダビデとその従者たちは、ほら穴の奥にいた。 + ダビデの従者たちは彼に言った、「主があなたに告げて、『わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。あなたは自分の良いと思うことを彼にすることができる』と言われた日がきたのです」。そこでダビデは立って、ひそかに、サウルの上着のすそを切った。 + しかし後になって、ダビデはサウルの上着のすそを切ったことに、心の責めを感じた。 + ダビデは従者たちに言った、「主が油を注がれたわが君に、わたしがこの事をするのを主は禁じられる。彼は主が油を注がれた者であるから、彼に敵して、わたしの手をのべるのは良くない」。 + ダビデはこれらの言葉をもって従者たちを差し止め、サウルを撃つことを許さなかった。サウルは立って、ほら穴を去り、道を進んだ。 + ダビデもまた、そのあとから立ち、ほら穴を出て、サウルのうしろから呼ばわって、「わが君、王よ」と言った。サウルがうしろをふり向いた時、ダビデは地にひれ伏して拝した。 + そしてダビデはサウルに言った、「どうして、あなたは『ダビデがあなたを害しようとしている』という人々の言葉を聞かれるのですか。 + あなたは、この日、自分の目で、主があなたをきょう、ほら穴の中でわたしの手に渡されたのをごらんになりました。人々はわたしにあなたを殺すことを勧めたのですが、わたしは殺しませんでした。『わが君は主が油を注がれた方であるから、これに敵して手をのべることはしない』とわたしは言いました。 + わが父よ、ごらんなさい。あなたの上着のすそは、わたしの手にあります。わたしがあなたの上着のすそを切り、しかも、あなたを殺さなかったことによって、あなたは、わたしの手に悪も、とがもないことを見て知られるでしょう。あなたはわたしの命を取ろうと、ねらっておられますが、わたしはあなたに対して罪をおかしたことはないのです。 + どうぞ主がわたしとあなたの間をさばかれますように。また主がわたしのために、あなたに報いられますように。しかし、わたしはあなたに手をくだすことをしないでしょう。 + 昔から、ことわざに言っているように、『悪は悪人から出る』。しかし、わたしはあなたに手をくだすことをしないでしょう。 + イスラエルの王は、だれを追って出てこられたのですか。あなたは、だれを追っておられるのですか。死んだ犬を追っておられるのです。一匹の蚤を追っておられるのです。 + どうぞ主がさばきびととなって、わたしとあなたの間をさばき、かつ見て、わたしの訴えを聞き、わたしをあなたの手から救い出してくださるように」。 + ダビデがこれらの言葉をサウルに語り終ったとき、サウルは言った、「わが子ダビデよ、これは、あなたの声であるか」。そしてサウルは声をあげて泣いた。 + サウルはまたダビデに言った、「あなたはわたしよりも正しい。わたしがあなたに悪を報いたのに、あなたはわたしに善を報いる。 + きょう、あなたはいかに良くわたしをあつかったかを明らかにしました。すなわち主がわたしをあなたの手にわたされたのに、あなたはわたしを殺さなかったのです。 + 人は敵に会ったとき、敵を無事に去らせるでしょうか。あなたが、きょう、わたしにした事のゆえに、どうぞ主があなたに良い報いを与えられるように。 + 今わたしは、あなたがかならず王となることを知りました。またイスラエルの王国が、あなたの手によって堅く立つことを知りました。 + それゆえ、あなたはわたしのあとに、わたしの子孫を断たず、またわたしの父の家から、わたしの名を滅ぼし去らないと、いま主をさして、わたしに誓ってください」。 + そこでダビデはサウルに、そのように誓った。そしてサウルは家に帰り、ダビデとその従者たちは要害にのぼって行った。 + + + さてサムエルが死んだので、イスラエルの人々はみな集まって、彼のためにひじょうに悲しみ、ラマにあるその家に彼を葬った。そしてダビデは立ってパランの荒野に下って行った。 + マオンに、ひとりの人があって、カルメルにその所有があり、ひじょうに裕福で、羊三千頭、やぎ一千頭を持っていた。彼はカルメルで羊の毛を切っていた。 + その人の名はナバルといい、妻の名はアビガイルといった。アビガイルは賢くて美しかったが、その夫は剛情で、粗暴であった。彼はカレブびとであった。 + ダビデは荒野にいて、ナバルがその羊の毛を切っていることを聞いたので、 + 十人の若者をつかわし、その若者たちに言った、「カルメルに上って行ってナバルの所へ行き、わたしの名をもって彼にあいさつし、 + 彼にこう言いなさい、『どうぞあなたに平安があるように。あなたの家に平安があるように。またあなたのすべての持ち物に平安があるように。 + わたしはあなたが羊の毛を切っておられることを聞きました。あなたの羊飼たちはわれわれと一緒にいたのですが、われわれは彼らを少しも害しませんでした。また彼らはカルメルにいる間に、何ひとつ失ったことはありません。 + あなたの若者たちに聞いてみられるならば、わかります。それゆえ、わたしの若者たちに、あなたの好意を示してください。われわれは祝の日にきたのです。どうぞ、あなたの手もとにあるものを、贈り物として、しもべどもとあなたの子ダビデにください』」。 + ダビデの若者たちは行って、ダビデの名をもって、これらの言葉をナバルに語り、そして待っていた。 + ナバルはダビデの若者たちに答えて言った、「ダビデとはだれか。エッサイの子とはだれか。このごろは、主人を捨てて逃げるしもべが多い。 + どうしてわたしのパンと水、またわたしの羊の毛を切る人々のためにほふった肉をとって、どこからきたのかわからない人々に与えることができようか」。 + ダビデの若者たちは、そこを去り、帰ってきて、彼にこのすべての事を告げた。 + そこでダビデは従者たちに言った、「おのおの、つるぎを帯びなさい」。彼らはおのおのつるぎを帯び、ダビデもまたつるぎを帯びた。そしておおよそ四百人がダビデに従って上っていき、二百人は荷物のところにとどまった。 + ところで、ひとりの若者がナバルの妻アビガイルに言った、「ダビデが荒野から使者をつかわして、主人にあいさつをしたのに、主人はその使者たちをののしられました。 + しかし、あの人々はわれわれに大へんよくしてくれて、われわれは少しも害を受けず、またわれわれが野にいた時、彼らと共にいた間は、何ひとつ失ったことはありませんでした。 + われわれが羊を飼って彼らと共にいる間、彼らは夜も昼もわれわれのかきとなってくれました。 + それで、あなたは今それを知って、自分のすることを考えてください。主人とその一家に災が起きるからです。しかも主人はよこしまな人で、話しかけることもできません」。 + その時、アビガイルは急いでパン二百、ぶどう酒の皮袋二つ、調理した羊五頭、いり麦五セア、ほしぶどう百ふさ、ほしいちじくのかたまり二百を取って、ろばにのせ、 + 若者たちに言った、「わたしのさきに進みなさい。わたしはあなたがたのうしろに、ついて行きます」。しかし彼女は夫ナバルには告げなかった。 + アビガイルが、ろばに乗って山陰を下ってきた時、ダビデと従者たちは彼女の方に向かって降りてきたので、彼女はその人々に出会った。 + さて、ダビデはさきにこう言った、「わたしはこの人が荒野で持っている物をみな守って、その人に属する物を何ひとつなくならないようにしたが、それは全くむだであった。彼はわたしのした親切に悪をもって報いた。 + もしわたしがあすの朝まで、ナバルに属するすべての者のうち、ひとりの男でも残しておくならば、神が幾重にもダビデを罰してくださるように」。 + アビガイルはダビデを見て、急いで、ろばを降り、ダビデの前で地にひれ伏し、 + その足もとに伏して言った、「わが君よ、このとがをわたしだけに負わせてください。しかしどうぞ、はしために、あなたの耳に語ることを許し、はしための言葉をお聞きください。 + わが君よ、どうぞ、このよこしまな人ナバルのことを気にかけないでください。あの人はその名のとおりです。名はナバルで、愚かな者です。あなたのはしためであるわたしは、わが君なるあなたがつかわされた若者たちを見なかったのです。 + それゆえ今、わが君よ、主は生きておられます。またあなたは生きておられます。主は、あなたがきて血を流し、また手ずから、あだを報いるのをとどめられました。どうぞ今、あなたの敵、およびわが君に害を加えようとする者は、ナバルのごとくになりますように。 + 今、あなたのつかえめが、わが君に携えてきた贈り物を、わが君に従う若者たちに与えてください。 + どうぞ、はしためのとがを許してください。主は必ずわが君のために確かな家を造られるでしょう。わが君が主のいくさを戦い、またこの世に生きながらえられる間、あなたのうちに悪いことが見いだされないからです。 + たとい人が立ってあなたを追い、あなたの命を求めても、わが君の命は、生きている者の束にたばねられて、あなたの神、主のもとに守られるでしょう。しかし主はあなたの敵の命を、石投げの中から投げるように、投げ捨てられるでしょう。 + そして主があなたについて語られたすべての良いことをわが君に行い、あなたをイスラエルのつかさに任じられる時、 + あなたが、ゆえなく血を流し、またわが君がみずからあだを報いたと言うことで、それがあなたのつまずきとなり、またわが君の心の責めとなることのないようにしてください。主がわが君を良くせられる時、このはしためを思いだしてください」。 + ダビデはアビガイルに言った、「きょう、あなたをつかわして、わたしを迎えさせられたイスラエルの神、主はほむべきかな。 + あなたの知恵はほむべきかな。またあなたはほむべきかな。あなたは、きょう、わたしがきて血を流し、手ずからあだを報いることをとどめられたのです。 + わたしがあなたを害することをとどめられたイスラエルの神、主はまことに生きておられる。もしあなたが急いでわたしに会いにこなかったならば、あすの朝までには、ナバルのところに、ひとりの男も残らなかったでしょう」。 + ダビデはアビガイルが携えてきた物をその手から受けて、彼女に言った、「あなたは無事にのぼって、家に帰りなさい。わたしはあなたの声を聞きいれ、あなたの願いを許します」。 + こうしてアビガイルはナバルのもとにきたが、見よ、彼はその家で、王の酒宴のような酒宴を開いていた。ナバルは心に楽しみ、ひじょうに酔っていたので、アビガイルは明くる朝まで事の大小を問わず何をも彼に告げなかった。 + 朝になってナバルの酔いがさめたとき、その妻が彼にこれらの事を告げると、彼の心はそのうちに死んで、彼は石のようになった。 + 十日ばかりして主がナバルを撃たれたので彼は死んだ。 + ダビデはナバルが死んだと聞いて言った、「主はほむべきかな。主はわたしがナバルの手から受けた侮辱に報いて、しもべが悪をおこなわないようにされた。主はナバルの悪行をそのこうべに報いられたのだ」。ダビデはアビガイルを妻にめとろうと、人をつかわして彼女に申し込んだ。 + ダビデのしもべたちはカルメルにいるアビガイルの所にきて、彼女に言った、「ダビデはあなたを妻にめとろうと、われわれをあなたの所へつかわしたのです」。 + アビガイルは立ち、地にひれ伏し拝して言った、「はしためは、わが君のしもべたちの足を洗うつかえめです」。 + アビガイルは急いで立ち、ろばに乗って、五人の侍女たちを連れ、ダビデの使者たちに従って行き、ダビデの妻となった。 + ダビデはまたエズレルのアヒノアムをめとった。彼女たちはふたりともダビデの妻となった。 + ところでサウルはその娘、ダビデの妻ミカルを、ガリムの人であるライシの子パルテに与えた。 + + + そのころジフびとがギベアにおるサウルのもとにきて言った、「ダビデは荒野の前にあるハキラの山に隠れているではありませんか」。 + サウルは立って、ジフの荒野でダビデを捜すために、イスラエルのうちから選んだ三千人をひき連れて、ジフの荒野に下った。 + サウルは荒野の前の道のかたわらにあるハキラの山に陣を取った。ダビデは荒野にとどまっていたが、サウルが自分のあとを追って荒野にきたのを見て、 + 斥候を出し、サウルが確かにきたのを知った。 + そしてダビデは立って、サウルが陣を取っている所へ行って、サウルとその軍の長、ネルの子アブネルの寝ている場所を見た。サウルは陣所のうちに寝ていて、民はその周囲に宿営していた。 + ダビデは、ヘテびとアヒメレク、およびゼルヤの子で、ヨアブの兄弟であるアビシャイに言った、「だれがわたしと共にサウルの陣に下って行くか」。アビシャイは言った、「わたしが一緒に下って行きます」。 + こうしてダビデとアビシャイとが夜、民のところへ行ってみると、サウルは陣所のうちに身を横たえて寝ており、そのやりは枕もとに地に突きさしてあった。そしてアブネルと民らとはその周囲に寝ていた。 + アビシャイはダビデに言った、「神はきょう敵をあなたの手に渡されました。どうぞわたしに、彼のやりをもってひと突きで彼を地に刺しとおさせてください。ふたたび突くには及びません」。 + しかしダビデはアビシャイに言った、「彼を殺してはならない。主が油を注がれた者に向かって、手をのべ、罪を得ない者があろうか」。 + ダビデはまた言った、「主は生きておられる。主が彼を撃たれるであろう。あるいは彼の死ぬ日が来るであろう。あるいは戦いに下って行って滅びるであろう。 + 主が油を注がれた者に向かって、わたしが手をのべることを主は禁じられる。しかし今、そのまくらもとにあるやりと水のびんを取りなさい。そしてわれわれは去ろう」。 + こうしてダビデはサウルの枕もとから、やりと水のびんを取って彼らは去ったが、だれもそれを見ず、だれも知らず、また、だれも目をさまさず、みな眠っていた。主が彼らを深く眠らされたからである。 + ダビデは向こう側に渡って行って、遠く離れて山の頂に立った。彼らの間の隔たりは大きかった。 + ダビデは民とネルの子アブネルに呼ばわって言った、「アブネルよ、あなたは答えないのか」。アブネルは答えて言った、「王を呼んでいるあなたはだれか」。 + ダビデはアブネルに言った、「あなたは男ではないか。イスラエルのうちに、あなたに及ぶ人があろうか。それであるのに、どうしてあなたは主君である王を守らなかったのか。民のひとりが、あなたの主君である王を殺そうとして、はいりこんだではないか。 + あなたがしたこの事は良くない。主は生きておられる。あなたがたは、まさに死に値する。主が油をそそがれた、あなたの主君を守らなかったからだ。いま王のやりがどこにあるか。その枕もとにあった水のびんがどこにあるかを見なさい」。 + サウルはダビデの声を聞きわけて言った、「わが子ダビデよ、これはあなたの声か」。ダビデは言った、「王、わが君よ、わたしの声です」。 + ダビデはまた言った、「わが君はどうしてしもべのあとを追われるのですか。わたしが何をしたのですか。わたしの手になんのわるいことがあるのですか。 + 王、わが君よ、どうぞ、今しもべの言葉を聞いてください。もし主があなたを動かして、わたしの敵とされたのであれば、どうぞ主が供え物を受けて和らいでくださるように。もし、それが人であるならば、どうぞその人々が主の前にのろいを受けるように。彼らが『おまえは行って他の神々に仕えなさい』と言って、きょう、わたしを追い出し、主の嗣業にあずかることができないようにしたからです。 + それゆえ今、主の前を離れて、わたしの血が地に落ちることのないようにしてください。イスラエルの王は、人が山で、しゃこを追うように、わたしの命を取ろうとして出てこられたのです」。 + その時、サウルは言った、「わたしは罪を犯した。わが子ダビデよ、帰ってきてください。きょう、わたしの命があなたの目に尊く見られたゆえ、わたしは、もはやあなたに害を加えないであろう。わたしは愚かなことをして、非常なまちがいをした」。 + ダビデは答えた、「王のやりは、ここにあります。ひとりの若者に渡ってこさせ、これを持ちかえらせてください。 + 主は人おのおのにその義と真実とに従って報いられます。主がきょう、あなたをわたしの手に渡されたのに、わたしは主が油を注がれた者に向かって、手をのべることをしなかったのです。 + きょう、わたしがあなたの命を重んじたように、どうぞ主がわたしの命を重んじて、もろもろの苦難から救い出してくださるように」。 + サウルはダビデに言った、「わが子ダビデよ、あなたはほむべきかな。あなたは多くの事をおこなって、それをなし遂げるであろう」。こうしてダビデはその道を行き、サウルは自分の所へ帰った。 + + + ダビデは心のうちに言った、「わたしは、いつかはサウルの手にかかって滅ぼされるであろう。早くペリシテびとの地へのがれるほかはない。そうすればサウルはこの上イスラエルの地にわたしをくまなく捜すことはやめ、わたしは彼の手からのがれることができるであろう」。 + こうしてダビデは、共にいた六百人と一緒に、立ってガテの王マオクの子アキシの所へ行った。 + ダビデと従者たちは、おのおのその家族とともに、ガテでアキシと共に住んだ。ダビデはそのふたりの妻、すなわちエズレルの女アヒノアムと、カルメルの女でナバルの妻であったアビガイルと共におった。 + ダビデがガテにのがれたことがサウルに聞えたので、サウルはもはや彼を捜さなかった。 + さてダビデはアキシに言った、「もしわたしがあなたの前に恵みを得るならば、どうぞ、いなかにある町のうちで一つの場所をわたしに与えてそこに住まわせてください。どうしてしもべがあなたと共に王の町に住むことができましょうか」。 + アキシはその日チクラグを彼に与えた。こうしてチクラグは今日にいたるまでユダの王に属している。 + ダビデがペリシテびとの国に住んだ日の数は一年と四か月であった。 + さてダビデは従者と共にのぼって、ゲシュルびと、ゲゼルびとおよびアマレクびとを襲った。これらは昔からシュルに至るまでの地の住民であって、エジプトに至るまでの地に住んでいた。 + ダビデはその地を撃って、男も女も生かしおかず、羊と牛とろばとらくだと衣服とを取って、アキシのもとに帰ってきた。 + アキシが「あなたはきょうどこを襲いましたか」と尋ねると、ダビデは、その時々、「ユダのネゲブです」、「エラメルびとのネゲブです」「ケニびとのネゲブです」と言った。 + ダビデは男も女も生かしおかず、ひとりをもガテに引いて行かなかった。それはダビデが、「恐らくは、彼らが、『ダビデはこうした』と言って、われわれのことを告げるであろう」と思ったからである。ダビデはペリシテびとのいなかに住んでいる間はこうするのが常であった。 + アキシはダビデを信じて言った、「彼は自分を全くその民イスラエルに憎まれるようにした。それゆえ彼は永久にわたしのしもべとなるであろう」。 + + + そのころ、ペリシテびとがイスラエルと戦おうとして、いくさのために軍勢を集めたので、アキシはダビデに言った、「あなたは、しかと承知してください。あなたとあなたの従者たちとは、わたしと共に出て、軍勢に加わらなければなりません」。 + ダビデはアキシに言った、「よろしい、あなたはしもべが何をするかを知られるでしょう」。アキシはダビデに言った、「よろしい、あなたを終身わたしの護衛の長としよう」。 + さてサムエルはすでに死んで、イスラエルのすべての人は彼のために悲しみ、その町ラマに葬った。また先にサウルは口寄せや占い師をその地から追放した。 + ペリシテびとが集まってきてシュネムに陣を取ったので、サウルはイスラエルのすべての人を集めて、ギルボアに陣を取った。 + サウルはペリシテびとの軍勢を見て恐れ、その心はいたくおののいた。 + そこでサウルは主に伺いをたてたが、主は夢によっても、ウリムによっても、預言者によっても彼に答えられなかった。 + サウルはしもべたちに言った、「わたしのために、口寄せの女を捜し出しなさい。わたしは行ってその女に尋ねよう」。しもべたちは彼に言った、「見よ、エンドルにひとりの口寄せがいます」。 + サウルは姿を変えてほかの着物をまとい、ふたりの従者を伴って行き、夜の間に、その女の所にきた。そしてサウルは言った、「わたしのために口寄せの術を行って、わたしがあなたに告げる人を呼び起してください」。 + 女は彼に言った、「あなたはサウルがしたことをごぞんじでしょう。彼は口寄せや占い師をその国から断ち滅ぼしました。どうしてあなたは、わたしの命にわなをかけて、わたしを死なせようとするのですか」。 + サウルは主をさして彼女に誓って言った、「主は生きておられる。この事のためにあなたが罰を受けることはないでしょう」。 + 女は言った、「あなたのためにだれを呼び起しましょうか」。サウルは言った、「サムエルを呼び起してください」。 + 女はサムエルを見た時、大声で叫んだ。そしてその女はサウルに言った、「どうしてあなたはわたしを欺かれたのですか。あなたはサウルです」。 + 王は彼女に言った、「恐れることはない。あなたには何が見えるのですか」。女はサウルに言った、「神のようなかたが地からのぼられるのが見えます」。 + サウルは彼女に言った、「その人はどんな様子をしていますか」。彼女は言った、「ひとりの老人がのぼってこられます。その人は上着をまとっておられます」。サウルはその人がサムエルであるのを知り、地にひれ伏して拝した。 + サムエルはサウルに言った、「なぜ、わたしを呼び起して、わたしを煩わすのか」。サウルは言った、「わたしは、ひじょうに悩んでいます。ペリシテびとがわたしに向かっていくさを起し、神はわたしを離れて、預言者によっても、夢によっても、もはやわたしに答えられないのです。それで、わたしのすべきことを知るために、あなたを呼びました」。 + サムエルは言った、「主があなたを離れて、あなたの敵となられたのに、どうしてあなたはわたしに問うのですか。 + 主は、わたしによって語られたとおりにあなたに行われた。主は王国を、あなたの手から裂きはなして、あなたの隣人であるダビデに与えられた。 + あなたは主の声に聞き従わず、主の激しい怒りに従って、アマレクびとを撃ち滅ぼさなかったゆえに、主はこの事を、この日、あなたに行われたのである。 + 主はまたイスラエルをも、あなたと共に、ペリシテびとの手に渡されるであろう。あすは、あなたもあなたの子らもわたしと一緒になるであろう。また主はイスラエルの軍勢をもペリシテびとの手に渡される」。 + そのときサウルは、ただちに、地に伸び、倒れ、サムエルの言葉のために、ひじょうに恐れ、またその力はうせてしまった。その一日一夜、食物をとっていなかったからである。 + 女はサウルのもとにきて、彼のおののいているのを見て言った、「あなたのつかえめは、あなたの声に聞き従い、わたしの命をかけて、あなたの言われた言葉に従いました。 + それゆえ今あなたも、つかえめの声に聞き従い、一口のパンをあなたの前にそなえさせてください。あなたはそれをめしあがって力をつけ、道を行ってください」。 + ところがサウルは断って言った、「わたしは食べません」。しかし彼のしもべたちも、その女もしいてすすめたので、サウルはその言葉を聞きいれ、地から起きあがり、床の上にすわった。 + その女は家に肥えた子牛があったので、急いでそれをほふり、また麦粉をとり、こねて、種入れぬパンを焼き、 + サウルとそのしもべたちの前に持ってきたので、彼らは食べた。そして彼らは立ち上がって、その夜のうちに去った。 + + + さてペリシテびとは、その軍勢をことごとくアペクに集めた。イスラエルびとはエズレルにある泉のかたわらに陣を取った。 + ペリシテびとの君たちは、あるいは百人、あるいは千人を率いて進み、ダビデとその従者たちはアキシと共に、しんがりになって進んだ。 + その時、ペリシテびとの君たちは言った、「これらのヘブルびとはここで何をしているのか」。アキシはペリシテびとたちに言った、「これはイスラエルの王サウルのしもべダビデではないか。彼はこの日ごろ、この年ごろ、わたしと共にいたが、逃げ落ちてきた日からきょうまで、わたしは彼にあやまちがあったのを見たことがない」。 + しかしペリシテびとの君たちは彼に向かって怒った。そしてペリシテびとの君たちは彼に言った、「この人を帰らせて、あなたが彼を置いたもとの所へ行かせなさい。われわれと一緒に彼を戦いに下らせてはならない。戦いの時、彼がわれわれの敵となるかも知れないからである。この者は何をもってその主君とやわらぐことができようか。ここにいる人々の首をもってするほかはあるまい。 + これは、かつて人々が踊りのうちに歌いかわして、『サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した』と言った、あのダビデではないか」。 + そこでアキシはダビデを呼んで言った、「主は生きておられる。あなたは正しい人である。あなたがわたしと一緒に戦いに出入りすることをわたしは良いと思っている。それはあなたがわたしの所にきた日からこの日まで、わたしは、あなたに悪い事があったのを見たことがないからである。しかしペリシテびとの君たちはあなたを良く言わない。 + それゆえ今安らかに帰って行きなさい。彼らが悪いと思うことはしないがよかろう」。 + ダビデはアキシに言った、「しかしわたしが何をしたというのですか。わたしがあなたに仕えはじめた日からこの日までに、あなたはしもべの身に何を見られたので、わたしは行って、わたしの主君である王の敵と戦うことができないのですか」。 + アキシはダビデに答えた、「わたしは見て、あなたが神の使のようにりっぱな人であることを知っている。しかし、ペリシテびとの君たちは、『われわれと一緒に彼を戦いに上らせてはならない』と言っている。 + それで、あなたは、一緒にきたあなたの主君のしもべたちと共に朝早く起きなさい。そして朝早く起き、夜が明けてから去りなさい」。 + こうしてダビデとその従者たちとは共にペリシテびとの地へ帰ろうと、朝早く起きて出立したが、ペリシテびとはエズレルへ上って行った。 + + + さてダビデとその従者たちが三日目にチクラグにきた時、アマレクびとはすでにネゲブとチクラグを襲っていた。彼らはチクラグを撃ち、火をはなってこれを焼き、 + その中にいた女たちおよびすべての者を捕虜にし、小さい者をも大きい者をも、ひとりも殺さずに、引いて、その道に行った。 + ダビデと従者たちはその町にきて、町が火で焼かれ、その妻とむすこ娘らは捕虜となったのを見た。 + ダビデおよび彼と共にいた民は声をあげて泣き、ついに泣く力もなくなった。 + ダビデのふたりの妻すなわちエズレルの女アヒノアムと、カルメルびとナバルの妻であったアビガイルも捕虜になった。 + その時、ダビデはひじょうに悩んだ。それは民がみなおのおのそのむすこ娘のために心を痛めたため、ダビデを石で撃とうと言ったからである。しかしダビデはその神、主によって自分を力づけた。 + ダビデはアヒメレクの子、祭司アビヤタルに、「エポデをわたしのところに持ってきなさい」と言ったので、アビヤタルは、エポデをダビデのところに持ってきた。 + ダビデは主に伺いをたてて言った、「わたしはこの軍隊のあとを追うべきですか。わたしはそれに追いつくことができましょうか」。主は彼に言われた、「追いなさい。あなたは必ず追いついて、確かに救い出すことができるであろう」。 + そこでダビデは、一緒にいた六百人の者と共に出立してベソル川へ行ったが、あとに残る者はそこにとどまった。 + すなわちダビデは四百人と共に追撃をつづけたが、疲れてベソル川を渡れない者二百人はとどまった。 + 彼らは野で、ひとりのエジプトびとを見て、それをダビデのもとに引いてきて、パンを食べさせ、水を飲ませた。 + また彼らはほしいちじくのかたまり一つと、ほしぶどう二ふさを彼に与えた。彼は食べて元気を回復した。彼は三日三夜、パンを食べず、水を飲んでいなかったからである。 + ダビデは彼に言った、「あなたはだれのものか。どこからきたのか」。彼は言った、「わたしはエジプトの若者で、アマレクびとの奴隷です。三日前にわたしが病気になったので、主人はわたしを捨てて行きました。 + わたしどもは、ケレテびとのネゲブと、ユダに属する地と、カレブのネゲブを襲い、また火でチクラグを焼きはらいました」。 + ダビデは彼に言った、「あなたはその軍隊のところへわたしを導き下ってくれるか」。彼は言った、「あなたはわたしを殺さないこと、またわたしを主人の手に渡さないことを、神をさしてわたしに誓ってください。そうすればあなたをその軍隊のところへ導き下りましょう」。 + 彼はダビデを導き下ったが、見よ、彼らはペリシテびとの地とユダの地から奪い取ったさまざまの多くのぶんどり物のゆえに、食い飲み、かつ踊りながら、地のおもてにあまねく散りひろがっていた。 + ダビデは夕ぐれから翌日の夕方まで、彼らを撃ったので、らくだに乗って逃げた四百人の若者たちのほかには、ひとりものがれた者はなかった。 + こうしてダビデはアマレクびとが奪い取ったものをみな取りもどした。またダビデはそのふたりの妻を救い出した。 + そして彼らに属するものは、小さいものも大きいものも、むすこも娘もぶんどり物も、アマレクびとが奪い去った物は何をも失わないで、ダビデがみな取りもどした。 + ダビデはまたすべての羊と牛を取った。人々はこれらの家畜を彼の前に追って行きながら、「これはダビデのぶんどり物だ」と言った。 + そしてダビデが、あの疲れてダビデについて行くことができずに、ベソル川のほとりにとどまっていた二百人の者のところへきた時、彼らは出てきてダビデを迎え、またダビデと共にいる民を迎えた。ダビデは民に近づいてその安否を問うた。 + そのときダビデと共に行った人々のうちで、悪く、かつよこしまな者どもはみな言った、「彼らはわれわれと共に行かなかったのだから、われわれはその人々にわれわれの取りもどしたぶんどり物を分け与えることはできない。ただおのおのにその妻子を与えて、連れて行かせましょう」。 + しかしダビデは言った、「兄弟たちよ、主はわれわれを守って、攻めてきた軍隊をわれわれの手に渡された。その主が賜わったものを、あなたがたはそのようにしてはならない。 + だれがこの事について、あなたがたに聞き従いますか。戦いに下って行った者の分け前と、荷物のかたわらにとどまっていた者の分け前を同様にしなければならない。彼らはひとしく分け前を受けるべきである」。 + この日以来、ダビデはこれをイスラエルの定めとし、おきてとして今日に及んでいる。 + ダビデはチクラグにきて、そのぶんどり物の一部をユダの長老である友人たちにおくって言った、「これは主の敵から取ったぶんどり物のうちからあなたがたにおくる贈り物である」。 + そのおくり先は、ベテルにいる人々、ネゲブのラモテにいる人々、ヤッテルにいる人々、 + アロエルにいる人々、シフモテにいる人々、エシテモアにいる人々、ラカルにいる人々、 + エラメルびとの町々にいる人々、ケニびとの町々にいる人々、 + ホルマにいる人々、ボラシャンにいる人々、アタクにいる人々、 + ヘブロンにいる人々、およびダビデとその従者たちが、さまよい歩いたすべての所にいる人々であった。 + + + さてペリシテびとはイスラエルと戦った。イスラエルの人々はペリシテびとの前から逃げ、多くの者は傷ついてギルボア山にたおれた。 + ペリシテびとはサウルとその子らに攻め寄り、そしてペリシテびとはサウルの子ヨナタン、アビナダブ、およびマルキシュアを殺した。 + 戦いは激しくサウルに迫り、弓を射る者どもがサウルを見つけて、彼を射たので、サウルは射る者たちにひどい傷を負わされた。 + そこでサウルはその武器を執る者に言った、「つるぎを抜き、それをもってわたしを刺せ。さもないと、これらの無割礼の者どもがきて、わたしを刺し、わたしをなぶり殺しにするであろう」。しかしその武器を執る者は、ひじょうに恐れて、それに応じなかったので、サウルは、つるぎを執って、その上に伏した。 + 武器を執る者はサウルが死んだのを見て、自分もまたつるぎの上に伏して、彼と共に死んだ。 + こうしてサウルとその三人の子たち、およびサウルの武器を執る者、ならびにその従者たちは皆、この日共に死んだ。 + イスラエルの人々で、谷の向こう側、およびヨルダンの向こう側にいる者が、イスラエルの人々の逃げるのを見、またサウルとその子たちの死んだのを見て町々を捨てて逃げたので、ペリシテびとはきてその中に住んだ。 + あくる日、ペリシテびとは殺された者から、はぎ取るためにきたが、サウルとその三人の子たちがギルボア山にたおれているのを見つけた。 + 彼らはサウルの首を切り、そのよろいをはぎ取り、ペリシテびとの全地に人をつかわして、この良い知らせを、その偶像と民とに伝えさせた。 + また彼らは、そのよろいをアシタロテの神殿に置き、彼のからだをベテシャンの城壁にくぎづけにした。 + ヤベシ・ギレアデの住民たちは、ペリシテびとがサウルにした事を聞いて、 + 勇士たちはみな立ち、夜もすがら行って、サウルのからだと、その子たちのからだをベテシャンの城壁から取りおろし、ヤベシにきて、これをそこで焼き、 + その骨を取って、ヤベシのぎょりゅうの木の下に葬り、七日の間、断食した。 + +
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+ + サウルが死んだ後、ダビデはアマレクびとを撃って帰り、ふつかの間チクラグにとどまっていたが、 + 三日目となって、ひとりの人が、その着物を裂き、頭に土をかぶって、サウルの陣営からきた。そしてダビデのもとにきて、地に伏して拝した。 + ダビデは彼に言った、「あなたはどこからきたのか」。彼はダビデに言った、「わたしはイスラエルの陣営から、のがれてきたのです」。 + ダビデは彼に言った、「様子はどうであったか話しなさい」。彼は答えた、「民は戦いから逃げ、民の多くは倒れて死に、サウルとその子ヨナタンもまた死にました」。 + ダビデは自分と話している若者に言った、「あなたはサウルとその子ヨナタンが死んだのを、どうして知ったのか」。 + 彼に話している若者は言った、「わたしは、はからずも、ギルボア山にいましたが、サウルはそのやりによりかかっており、戦車と騎兵とが彼に攻め寄ろうとしていました。 + その時、彼はうしろを振り向いてわたしを見、わたしを呼びましたので、『ここにいます』とわたしは答えました。 + 彼は『おまえはだれか』と言いましたので、『アマレクびとです』と答えました。 + 彼はまたわたしに言いました、『そばにきて殺してください。わたしは苦しみに耐えない。まだ命があるからです』。 + そこで、わたしはそのそばにいって彼を殺しました。彼がすでに倒れて、生きることのできないのを知ったからです。そしてわたしは彼の頭にあった冠と、腕につけていた腕輪とを取って、それをわが主のもとに携えてきたのです」。 + そのときダビデは自分の着物をつかんでそれを裂き、彼と共にいた人々も皆同じようにした。 + 彼らはサウルのため、またその子ヨナタンのため、また主の民のため、またイスラエルの家のために悲しみ泣いて、夕暮まで食を断った。それは彼らがつるぎに倒れたからである。 + ダビデは自分と話していた若者に言った、「あなたはどこの人ですか」。彼は言った、「アマレクびとで、寄留の他国人の子です」。 + ダビデはまた彼に言った、「どうしてあなたは手を伸べて主の油を注がれた者を殺すことを恐れなかったのですか」。 + ダビデはひとりの若者を呼び、「近寄って彼を撃て」と言った。そこで彼を撃ったので死んだ。 + ダビデは彼に言った、「あなたの流した血の責めはあなたに帰する。あなたが自分の口から、『わたしは主の油を注がれた者を殺した』と言って、自身にむかって証拠を立てたからである」。 + ダビデはこの悲しみの歌をもって、サウルとその子ヨナタンのために哀悼した。―― + これは、ユダの人々に教えるための弓の歌で、ヤシャルの書にしるされている。――彼は言った、 + 「イスラエルよ、あなたの栄光は、あなたの高き所で殺された。ああ、勇士たちは、ついに倒れた。 + ガテにこの事を告げてはいけない。アシケロンのちまたに伝えてはならない。おそらくはペリシテびとの娘たちが喜び、割礼なき者の娘たちが勝ちほこるであろう。 + ギルボアの山よ、露はおまえの上におりるな。死の野よ、雨もおまえの上に降るな。その所に勇士たちの盾は捨てられ、サウルの盾は油を塗らずに捨てられた。 + 殺した者の血を飲まずには、ヨナタンの弓は退かず、勇士の脂肪を食べないでは、サウルのつるぎは、むなしくは帰らなかった。 + サウルとヨナタンとは、愛され、かつ喜ばれた。彼らは生きるにも、死ぬにも離れず、わしよりも早く、ししよりも強かった。 + イスラエルの娘たちよ、サウルのために泣け。彼は緋色の着物をもって、はなやかにあなたがたを装い、あなたがたの着物に金の飾りをつけた。 + ああ、勇士たちは戦いのさなかに倒れた。ヨナタンは、あなたの高き所で殺された。 + わが兄弟ヨナタンよ、あなたのためわたしは悲しむ。あなたはわたしにとって、いとも楽しい者であった。あなたがわたしを愛するのは世の常のようでなく、女の愛にもまさっていた。 + ああ、勇士たちは倒れた。戦いの器はうせた」。 + + + この後、ダビデは主に問うて言った、「わたしはユダの一つの町に上るべきでしょうか」。主は彼に言われた、「上りなさい」。ダビデは言った、「どこへ上るべきでしょうか」。主は言われた、「ヘブロンへ」。 + そこでダビデはその所へ上った。彼のふたりの妻、エズレルの女アヒノアムと、カルメルびとナバルの妻であったアビガイルも上った。 + ダビデはまた自分と共にいた人々を、皆その家族と共に連れて上った。そして彼らはヘブロンの町々に住んだ。 + 時にユダの人々がきて、その所でダビデに油を注ぎ、ユダの家の王とした。人々がダビデに告げて、「サウルを葬ったのはヤベシ・ギレアデの人々である」と言ったので、 + ダビデは使者をヤベシ・ギレアデの人々につかわして彼らに言った、「あなたがたは、主君サウルにこの忠誠をあらわして彼を葬った。どうぞ主があなたがたを祝福されるように。 + どうぞ主がいまあなたがたに、いつくしみと真実を示されるように。あなたがたが、この事をしたので、わたしもまたあなたがたに好意を示すであろう。 + 今あなたがたは手を強くし、雄々しくあれ。あなたがたの主君サウルは死に、ユダの家がわたしに油を注いで、彼らの王としたからである」。 + さてサウルの軍の長、ネルの子アブネルは、さきにサウルの子イシボセテを取り、マハナイムに連れて渡り、 + 彼をギレアデ、アシュルびと、エズレル、エフライム、ベニヤミンおよび全イスラエルの王とした。 + サウルの子イシボセテはイスラエルの王となった時、四十歳であって、二年の間、世を治めたが、ユダの家はダビデに従った。 + ダビデがヘブロンにいてユダの家の王であった日数は七年と六か月であった。 + ネルの子アブネル、およびサウルの子イシボセテの家来たちはマハナイムを出てギベオンへ行った。 + ゼルヤの子ヨアブとダビデの家来たちも出ていって、ギベオンの池のそばで彼らと出会い、一方は池のこちら側に、一方は池のあちら側にすわった。 + アブネルはヨアブに言った、「さあ、若者たちを立たせて、われわれの前で勝負をさせよう」。ヨアブは言った、「彼らを立たせよう」。 + こうしてサウルの子イシボセテとベニヤミンびととのために十二人、およびダビデの家来たち十二人を数えて出した。彼らは立って進み、 + おのおの相手の頭を捕え、つるぎを相手のわき腹に刺し、こうして彼らは共に倒れた。それゆえ、その所はヘルカテ・ハヅリムと呼ばれた。それはギベオンにある。 + その日、戦いはひじょうに激しく、アブネルとイスラエルの人々はダビデの家来たちの前に敗れた。 + その所にゼルヤの三人の子、ヨアブ、アビシャイ、およびアサヘルがいたが、アサヘルは足の早いこと、野のかもしかのようであった。 + アサヘルはアブネルのあとを追っていったが、行くのに右にも左にも曲ることなく、アブネルのあとに走った。 + アブネルは後をふりむいて言った、「あなたはアサヘルであったか」。アサヘルは答えた、「わたしです」。 + アブネルは彼に言った、「右か左に曲って、若者のひとりを捕え、そのよろいを奪いなさい」。しかしアサヘルはアブネルを追うことをやめず、ほかに向かおうともしなかった。 + アブネルはふたたびアサヘルに言った、「わたしを追うことをやめて、ほかに向かいなさい。あなたを地に撃ち倒すことなど、どうしてわたしにできようか。それをすれば、わたしは、どうしてあなたの兄ヨアブに顔を合わせることができようか」。 + それでもなお彼は、ほかに向かうことを拒んだので、アブネルは、やりの石突きで彼の腹を突いたので、やりはその背中に出た。彼はそこに倒れて、その場で死んだ。そしてアサヘルが倒れて死んでいる場所に来る者は皆立ちとどまった。 + しかしヨアブとアビシャイとは、なおアブネルのあとを追ったが、彼らがギベオンの荒野の道のほとり、ギアの前にあるアンマの山にきた時、日は暮れた。 + ベニヤミンの人々はアブネルのあとについてきて、集まり、一隊となって、一つの山の頂に立った。 + その時アブネルはヨアブに呼ばわって言った、「いつまでもつるぎをもって滅ぼそうとするのか。あなたはその結果の悲惨なのを知らないのか。いつまで民にその兄弟を追うことをやめよと命じないのか」。 + ヨアブは言った、「神は生きておられる。もしあなたが言いださなかったならば、民はおのおのその兄弟を追わずに、朝のうちに去っていたであろう」。 + こうしてヨアブは角笛を吹いたので、民はみな立ちとどまって、もはやイスラエルのあとを追わず、また重ねて戦わなかった。 + アブネルとその従者たちは、夜もすがら、アラバを通って行き、ヨルダンを渡り、昼まで行進を続けてマハナイムに着いた。 + ヨアブはアブネルを追うことをやめて帰り、民をみな集めたが、ダビデの家来たち十九人とアサヘルとが見当らなかった。 + しかし、ダビデの家来たちは、アブネルの従者であるベニヤミンの人々三百六十人を撃ち殺した。 + 人々はアサヘルを取り上げてベツレヘムにあるその父の墓に葬った。ヨアブとその従者たちは、夜もすがら行って、夜明けにヘブロンに着いた。 + + + サウルの家とダビデの家との間の戦争は久しく続き、ダビデはますます強くなり、サウルの家はますます弱くなった。 + ヘブロンでダビデに男の子が生れた。彼の長子はエズレルの女アヒノアムの産んだアムノン、 + その次はカルメルびとナバルの妻であったアビガイルの産んだキレアブ、第三はゲシュルの王タルマイの娘マアカの子アブサロム、 + 第四はハギテの子アドニヤ、第五はアビタルの子シパテヤ、 + 第六はダビデの妻エグラの産んだイテレアム。これらの子がヘブロンでダビデに生れた。 + サウルの家とダビデの家とが戦いを続けている間に、アブネルはサウルの家で、強くなってきた。 + さてサウルには、ひとりのそばめがあった。その名をリヅパといい、アヤの娘であったが、イシボセテはアブネルに言った、「あなたはなぜわたしの父のそばめのところにはいったのですか」。 + アブネルはイシボセテの言葉を聞き、非常に怒って言った、「わたしはユダの犬のかしらですか。わたしはきょう、あなたの父サウルの家と、その兄弟と、その友人とに忠誠をあらわして、あなたをダビデの手に渡すことをしなかったのに、あなたはきょう、女の事のあやまちを挙げてわたしを責められる。 + 主がダビデに誓われたことを、わたしが彼のためになし遂げないならば、神がアブネルをいくえにも罰しられるように。 + すなわち王国をサウルの家から移し、ダビデの位をダンからベエルシバに至るまで、イスラエルとユダの上に立たせられるであろう」。 + イシボセテはアブネルを恐れたので、ひと言も彼に答えることができなかった。 + アブネルはヘブロンにいるダビデのもとに使者をつかわして言った、「国はだれのものですか。わたしと契約を結びなさい。わたしはあなたに力添えして、イスラエルをことごとくあなたのものにしましょう」。 + ダビデは言った、「よろしい。わたしは、あなたと契約を結びましょう。ただし一つの事をあなたに求めます。あなたがきてわたしの顔を見るとき、まずサウルの娘ミカルを連れて来るのでなければ、わたしの顔を見ることはできません」。 + それからダビデは使者をサウルの子イシボセテにつかわして言った、「ペリシテびとの陽の皮一百をもってめとったわたしの妻ミカルを引き渡しなさい」。 + そこでイシボセテは人をやって彼女をその夫、ライシの子パルテエルから取ったので、 + その夫は彼女と共に行き、泣きながら彼女のあとについて、バホリムまで行ったが、アブネルが彼に「帰って行け」と言ったので彼は帰った。 + アブネルはイスラエルの長老たちと協議して言った、「あなたがたは以前からダビデをあなたがたの王とすることを求めていましたが、 + 今それをしなさい。主がダビデについて、『わたしのしもべダビデの手によって、わたしの民イスラエルをペリシテびとの手、およびもろもろの敵の手から救い出すであろう』と言われたからです」。 + アブネルはまたベニヤミンにも語った。そしてアブネルは、イスラエルとベニヤミンの全家が良いと思うことをみな、ヘブロンでダビデに告げようとして出発した。 + アブネルが二十人を従えてヘブロンにいるダビデのもとに行った時、ダビデはアブネルと彼に従っている従者たちのために酒宴を設けた。 + アブネルはダビデに言った、「わたしは立って行き、イスラエルをことごとく、わが主、王のもとに集めて、あなたと契約を結ばせ、あなたの望むものをことごとく治められるようにいたしましょう」。こうしてダビデはアブネルを送り帰らせたので彼は安全に去って行った。 + ちょうどその時、ダビデの家来たちはヨアブと共に多くのぶんどり物を携えて略奪から帰ってきた。しかしアブネルはヘブロンのダビデのもとにはいなかった。ダビデが彼を帰らせて彼が安全に去ったからである。 + ヨアブおよび彼と共にいた軍勢がみな帰ってきたとき、人々はヨアブに言った、「ネルの子アブネルが王のもとにきたが、王が彼を帰らせたので彼は安全に去った」。 + そこでヨアブは王のもとに行って言った、「あなたは何をなさったのですか。アブネルがあなたの所にきたのに、あなたはどうして、彼を返し去らせられたのですか。 + ネルの子アブネルがあなたを欺くためにきたこと、そしてあなたの出入りを知り、またあなたのなさっていることを、ことごとく知るためにきたことをあなたはごぞんじです」。 + ヨアブはダビデの所から出てきて、使者をつかわし、アブネルを追わせたので、彼らはシラの井戸から彼を連れて帰った。しかしダビデはその事を知らなかった。 + アブネルがヘブロンに帰ってきたとき、ヨアブはひそかに語ろうといって彼を門のうちに連れて行き、その所で彼の腹を刺して死なせ、自分の兄弟アサヘルの血を報いた。 + その後ダビデはこの事を聞いて言った、「わたしとわたしの王国とは、ネルの子アブネルの血に関して、主の前に永久に罪はない。 + どうぞ、その罪がヨアブの頭と、その父の全家に帰するように。またヨアブの家には流出を病む者、らい病人、つえにたよる者、つるぎに倒れる者、または食物の乏しい者が絶えないように」。 + こうしてヨアブとその弟アビシャイとはアブネルを殺したが、それは彼がギベオンの戦いで彼らの兄弟アサヘルを殺したためであった。 + ダビデはヨアブおよび自分と共にいるすべての民に言った、「あなたがたは着物を裂き、荒布をまとい、アブネルの前に嘆きながら行きなさい」。そしてダビデ王はその棺のあとに従った。 + 人々はアブネルをヘブロンに葬った。王はアブネルの墓で声をあげて泣き、民もみな泣いた。 + 王はアブネルのために悲しみの歌を作って言った、「愚かな人の死ぬように、アブネルがどうして死んだのか。 + あなたの手は縛られず、足には足かせもかけられないのに、悪人の前に倒れる人のように、あなたは倒れた」。そして民は皆、ふたたび彼のために泣いた。 + 民はみなきて、日のあるうちに、ダビデにパンを食べさせようとしたが、ダビデは誓って言った、「もしわたしが日の入る前に、パンでも、ほかのものでも味わうならば、神がわたしをいくえにも罰しられるように」。 + 民はみなそれを見て満足した。すべて王のすることは民を満足させた。 + その日すべての民およびイスラエルは皆、ネルの子アブネルを殺したのは、王の意思によるものでないことを知った。 + 王はその家来たちに言った、「この日イスラエルで、ひとりの偉大なる将軍が倒れたのをあなたがたは知らないのか。 + わたしは油を注がれた王であるけれども、今日なお弱い。ゼルヤの子であるこれらの人々はわたしの手におえない。どうぞ主が悪を行う者に、その悪にしたがって報いられるように」。 + + + サウルの子イシボセテは、アブネルがヘブロンで死んだことを聞いて、その力を失い、イスラエルは皆あわてた。 + サウルの子イシボセテにはふたりの略奪隊の隊長があった。ひとりの名はバアナ、他のひとりの名はレカブといって、ベニヤミンの子孫であるベロテびとリンモンの子たちであった。(それはベロテもまたベニヤミンのうちに数えられているからである。 + ベロテびとはギッタイムに逃げていって、今日までその所に寄留している)。 + さてサウルの子ヨナタンに足のなえた子がひとりあった。エズレルからサウルとヨナタンの事の知らせがきた時、彼は五歳であった。うばが彼を抱いて逃げたが、急いで逃げる時、その子は落ちて足なえとなった。その名はメピボセテといった。 + ベロテびとリンモンの子たち、レカブとバアナとは出立して、日の暑いころイシボセテの家にきたが、イシボセテは昼寝をしていた。 + 家の門を守る女は麦をあおぎ分けていたが、眠くなって寝てしまった。そこでレカブとその兄弟バアナは、ひそかに中にはいった。 + 彼らが家にはいった時、イシボセテは寝室で床の上に寝ていたので、彼らはそれを撃って殺し、その首をはね、その首を取って、よもすがらアラバの道を行き、 + イシボセテの首をヘブロンにいるダビデのもとに携えて行って王に言った、「あなたの命を求めたあなたの敵サウルの子イシボセテの首です。主はきょう、わが君、王のためにサウルとそのすえとに報復されました」。 + ダビデはベロテびとリンモンの子レカブとその兄弟バアナに答えた、「わたしの命を、もろもろの苦難から救われた主は生きておられる。 + わたしはかつて、人がわたしに告げて、『見よ、サウルは死んだ』と言って、みずから良いおとずれを伝える者と思っていた者を捕えてチクラグで殺し、そのおとずれに報いたのだ。 + 悪人が正しい人をその家の床の上で殺したときは、なおさらのことだ。今わたしが、彼の血を流した罪を報い、あなたがたを、この地から絶ち滅ぼさないでおくであろうか」。 + そしてダビデは若者たちに命じたので、若者たちは彼らを殺し、その手足を切り離し、ヘブロンの池のほとりで木に掛けた。人々はイシボセテの首を持って行って、ヘブロンにあるアブネルの墓に葬った。 + + + イスラエルのすべての部族はヘブロンにいるダビデのもとにきて言った、「われわれは、あなたの骨肉です。 + 先にサウルがわれわれの王であった時にも、あなたはイスラエルを率いて出入りされました。そして主はあなたに、『あなたはわたしの民イスラエルを牧するであろう。またあなたはイスラエルの君となるであろう』と言われました」。 + このようにイスラエルの長老たちが皆、ヘブロンにいる王のもとにきたので、ダビデ王はヘブロンで主の前に彼らと契約を結んだ。そして彼らはダビデに油を注いでイスラエルの王とした。 + ダビデは王となったとき三十歳で、四十年の間、世を治めた。 + すなわちヘブロンで七年六か月ユダを治め、またエルサレムで三十三年、全イスラエルとユダを治めた。 + 王とその従者たちとはエルサレムへ行って、その地の住民エブスびとを攻めた。エブスびとはダビデに言った、「あなたはけっして、ここに攻め入ることはできない。かえって、めしいや足なえでも、あなたを追い払うであろう」。彼らが「ダビデはここに攻め入ることはできない」と思ったからである。 + ところがダビデはシオンの要害を取った。これがダビデの町である。 + その日ダビデは、「だれでもエブスびとを撃とうとする人は、水をくみ上げる縦穴を上って行って、ダビデが心に憎んでいる足なえやめしいを撃て」と言った。それゆえに人々は、「めしいや足なえは、宮にはいってはならない」と言いならわしている。 + ダビデはその要害に住んで、これをダビデの町と名づけた。またダビデはミロから内の周囲に城壁を築いた。 + こうしてダビデはますます大いなる者となり、かつ万軍の神、主が彼と共におられた。 + ツロの王ヒラムはダビデに使者をつかわして、香柏および大工と石工を送った。彼らはダビデのために家を建てた。 + そしてダビデは主が自分を堅く立ててイスラエルの王とされたこと、主がその民イスラエルのためにその王国を興されたことを悟った。 + ダビデはヘブロンからきて後、さらにエルサレムで妻とそばめを入れたので、むすこと娘がまたダビデに生れた。 + エルサレムで彼に生れた者の名は次のとおりである。シャンムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、 + イブハル、エリシュア、ネペグ、ヤピア、 + エリシャマ、エリアダ、およびエリペレテ。 + さてペリシテびとは、ダビデが油を注がれてイスラエルの王になったことを聞き、みな上ってきてダビデを捜したが、ダビデはそれを聞いて要害に下って行った。 + ペリシテびとはきて、レパイムの谷に広がっていた。 + ダビデは主に問うて言った、「ペリシテびとに向かって上るべきでしょうか。あなたは彼らをわたしの手に渡されるでしょうか」。主はダビデに言われた、「上るがよい。わたしはかならずペリシテびとをあなたの手に渡すであろう」。 + そこでダビデはバアル・ペラジムへ行って、彼らをその所で撃ち破り、そして言った、「主は、破り出る水のように、敵をわたしの前に破られた」。それゆえにその所の名はバアル・ペラジムと呼ばれている。 + ペリシテびとはその所に彼らの偶像を捨てて行ったので、ダビデとその従者たちはそれを運び去った。 + ペリシテびとが、ふたたび上ってきて、レパイムの谷に広がったので、 + ダビデは主に問うたが、主は言われた、「上ってはならない。彼らのうしろに回り、バルサムの木の前から彼らを襲いなさい。 + バルサムの木の上に行進の音が聞えたならば、あなたは奮い立たなければならない。その時、主があなたの前に出て、ペリシテびとの軍勢を撃たれるからである」。 + ダビデは、主が命じられたようにして、ペリシテびとを撃ち、ゲバからゲゼルに及んだ。 + + + ダビデは再びイスラエルのえり抜きの者三万人をことごとく集めた。 + そしてダビデは立って、自分と共にいるすべての民と共にバアレ・ユダへ行って、神の箱をそこからかき上ろうとした。この箱はケルビムの上に座しておられる万軍の主の名をもって呼ばれている。 + 彼らは神の箱を新しい車に載せて、山の上にあるアビナダブの家から運び出した。 + アビナダブの子たち、ウザとアヒオとが神の箱を載せた新しい車を指揮し、ウザは神の箱のかたわらに沿い、アヒオは箱の前に進んだ。 + ダビデとイスラエルの全家は琴と立琴と手鼓と鈴とシンバルとをもって歌をうたい、力をきわめて、主の前に踊った。 + 彼らがナコンの打ち場にきた時、ウザは神の箱に手を伸べて、それを押えた。牛がつまずいたからである。 + すると主はウザに向かって怒りを発し、彼が手を箱に伸べたので、彼をその場で撃たれた。彼は神の箱のかたわらで死んだ。 + 主がウザを撃たれたので、ダビデは怒った。その所は今日までペレヅ・ウザと呼ばれている。 + その日ダビデは主を恐れて言った、「どうして主の箱がわたしの所に来ることができようか」。 + ダビデは主の箱をダビデの町に入れることを好まず、これを移してガテびとオベデエドムの家に運ばせた。 + 神の箱はガテびとオベデエドムの家に三か月とどまった。主はオベデエドムとその全家を祝福された。 + しかしダビデ王は、「主が神の箱のゆえに、オベデエドムの家とそのすべての所有を祝福されている」と聞き、ダビデは行って、喜びをもって、神の箱をオベデエドムの家からダビデの町にかき上った。 + 主の箱をかく者が六歩進んだ時、ダビデは牛と肥えた物を犠牲としてささげた。 + そしてダビデは力をきわめて、主の箱の前で踊った。その時ダビデは亜麻布のエポデをつけていた。 + こうしてダビデとイスラエルの全家とは、喜びの叫びと角笛の音をもって、神の箱をかき上った。 + 主の箱がダビデの町にはいった時、サウルの娘ミカルは窓からながめ、ダビデ王が主の前に舞い踊るのを見て、心のうちにダビデをさげすんだ。 + 人々は主の箱をかき入れて、ダビデがそのために張った天幕の中のその場所に置いた。そしてダビデは燔祭と酬恩祭を主の前にささげた。 + ダビデは燔祭と酬恩祭をささげ終った時、万軍の主の名によって民を祝福した。 + そしてすべての民、イスラエルの全民衆に、男にも女にも、おのおのパンの菓子一個、肉一きれ、ほしぶどう一かたまりを分け与えた。こうして民はみなおのおのその家に帰った。 + ダビデが家族を祝福しようとして帰ってきた時、サウルの娘ミカルはダビデを出迎えて言った、「きょうイスラエルの王はなんと威厳のあったことでしょう。いたずら者が、恥も知らず、その身を現すように、きょう家来たちのはしためらの前に自分の身を現されました」。 + ダビデはミカルに言った、「あなたの父よりも、またその全家よりも、むしろわたしを選んで、主の民イスラエルの君とせられた主の前に踊ったのだ。わたしはまた主の前に踊るであろう。 + わたしはこれよりももっと軽んじられるようにしよう。そしてあなたの目には卑しめられるであろう。しかしわたしは、あなたがさきに言った、はしためたちに誉を得るであろう」。 + こうしてサウルの娘ミカルは死ぬ日まで子供がなかった。 + + + さて、王が自分の家に住み、また主が周囲の敵をことごとく打ち退けて彼に安息を賜わった時、 + 王は預言者ナタンに言った、「見よ、今わたしは、香柏の家に住んでいるが、神の箱はなお幕屋のうちにある」。 + ナタンは王に言った、「主があなたと共におられますから、行って、すべてあなたの心にあるところを行いなさい」。 + その夜、主の言葉がナタンに臨んで言った、 + 「行って、わたしのしもべダビデに言いなさい、『主はこう仰せられる。あなたはわたしの住む家を建てようとするのか。 + わたしはイスラエルの人々をエジプトから導き出した日から今日まで、家に住まわず、天幕をすまいとして歩んできた。 + わたしがイスラエルのすべての人々と共に歩んだすべての所で、わたしがわたしの民イスラエルを牧することを命じたイスラエルのさばきづかさのひとりに、ひと言でも「どうしてあなたがたはわたしのために香柏の家を建てないのか」と、言ったことがあるであろうか』。 + それゆえ、今あなたは、わたしのしもべダビデにこう言いなさい、『万軍の主はこう仰せられる。わたしはあなたを牧場から、羊に従っている所から取って、わたしの民イスラエルの君とし、 + あなたがどこへ行くにも、あなたと共におり、あなたのすべての敵をあなたの前から断ち去った。わたしはまた地上の大いなる者の名のような大いなる名をあなたに得させよう。 + そしてわたしの民イスラエルのために一つの所を定めて、彼らを植えつけ、彼らを自分の所に住ませ、重ねて動くことのないようにするであろう。 + また前のように、わたしがわたしの民イスラエルの上にさばきづかさを立てた日からこのかたのように、悪人が重ねてこれを悩ますことはない。わたしはあなたのもろもろの敵を打ち退けて、あなたに安息を与えるであろう。主はまた「あなたのために家を造る」と仰せられる。 + あなたが日が満ちて、先祖たちと共に眠る時、わたしはあなたの身から出る子を、あなたのあとに立てて、その王国を堅くするであろう。 + 彼はわたしの名のために家を建てる。わたしは長くその国の位を堅くしよう。 + わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となるであろう。もし彼が罪を犯すならば、わたしは人のつえと人の子のむちをもって彼を懲らす。 + しかしわたしはわたしのいつくしみを、わたしがあなたの前から除いたサウルから取り去ったように、彼からは取り去らない。 + あなたの家と王国はわたしの前に長く保つであろう。あなたの位は長く堅うせられる』」。 + ナタンはすべてこれらの言葉のように、またすべてこの幻のようにダビデに語った。 + その時ダビデ王は、はいって主の前に座して言った、「主なる神よ、わたしがだれ、わたしの家が何であるので、あなたはこれまでわたしを導かれたのですか。 + 主なる神よ、これはなおあなたの目には小さい事です。主なる神よ、あなたはまたしもべの家の、はるか後の事を語って、きたるべき代々のことを示されました。 + ダビデはこの上なにをあなたに申しあげることができましょう。主なる神よ、あなたはしもべを知っておられるのです。 + あなたの約束のゆえに、またあなたの心に従って、あなたはこのもろもろの大いなる事を行い、しもべにそれを知らせられました。 + 主なる神よ、あなたは偉大です。それは、われわれがすべて耳に聞いたところによれば、あなたのような者はなく、またあなたのほかに神はないからです。 + 地のどの国民が、あなたの民イスラエルのようでありましょうか。これは神が行って、自分のためにあがなって民とし、自らの名をあげられたもの、また彼らのために大いなる恐るべきことをなし、その民の前から国びととその神々とを追い出されたものです。 + そしてあなたの民イスラエルを永遠にあなたの民として、自分のために、定められました。主よ、あなたは彼らの神となられたのです。 + 主なる神よ、今あなたが、しもべとしもべの家とについて語られた言葉を長く堅うして、あなたの言われたとおりにしてください。 + そうすれば、あなたの名はとこしえにあがめられて、『万軍の主はイスラエルの神である』と言われ、あなたのしもべダビデの家は、あなたの前に堅く立つことができましょう。 + 万軍の主、イスラエルの神よ、あなたはしもべに示して、『おまえのために家を建てよう』と言われました。それゆえ、しもべはこの祈をあなたにささげる勇気を得たのです。 + 主なる神よ、あなたは神にましまし、あなたの言葉は真実です。あなたはこの良き事をしもべに約束されました。 + どうぞ今、しもべの家を祝福し、あなたの前に長くつづかせてくださるように。主なる神よ、あなたがそれを言われたのです。どうぞあなたの祝福によって、しもべの家がながく祝福されますように」。 + + + この後ダビデはペリシテびとを撃って、これを征服した。ダビデはまたペリシテびとの手からメテグ・アンマを取った。 + 彼はまたモアブを撃ち、彼らを地に伏させ、なわをもって彼らを測った。すなわち二筋のなわをもって殺すべき者を測り、一筋のなわをもって生かしておく者を測った。そしてモアブびとは、ダビデのしもべとなって、みつぎを納めた。 + ダビデはまたレホブの子であるゾバの王ハダデゼルが、ユフラテ川のほとりにその勢力を回復しようとして行くところを撃った。 + そしてダビデは彼から騎兵千七百人、歩兵二万人を取った。ダビデはまた一百の戦車の馬を残して、そのほかの戦車の馬はみなその足の筋を切った。 + ダマスコのスリヤびとが、ゾバの王ハダデゼルを助けるためにきたので、ダビデはスリヤびと二万二千人を殺した。 + そしてダビデはダマスコのスリヤに守備隊を置いた。スリヤびとは、ダビデのしもべとなって、みつぎを納めた。主はダビデにすべてその行く所で勝利を与えられた。 + ダビデはハダデゼルのしもべらが持っていた金の盾を奪って、エルサレムに持ってきた。 + ダビデ王はまたハダデゼルの町、ベタとベロタイから、ひじょうに多くの青銅を取った。 + 時にハマテの王トイは、ダビデがハダデゼルのすべての軍勢を撃ち破ったことを聞き、 + その子ヨラムをダビデ王のもとにつかわして、彼にあいさつし、かつ祝を述べさせた。ハダデゼルはかつてしばしばトイと戦いを交えたが、ダビデがハダデゼルと戦ってこれを撃ち破ったからである。ヨラムが銀の器と金の器と青銅の器を携えてきたので、 + ダビデ王は征服したすべての国民から取ってささげた金銀と共にこれらをも主にささげた。 + すなわちエドム、モアブ、アンモンの人々、ペリシテびと、アマレクから獲た物、およびゾバの王レホブの子ハダデゼルから獲たぶんどり物と共にこれをささげた。 + こうしてダビデは名声を得た。彼は帰ってきてから塩の谷でエドムびと一万八千人を撃ち殺した。 + そしてエドムに守備隊を置いた。すなわちエドムの全地に守備隊を置き、エドムびとは皆ダビデのしもべとなった。主はダビデにすべてその行く所で勝利を与えられた。 + こうしてダビデはイスラエルの全地を治め、そのすべての民に正義と公平を行った。 + ゼルヤの子ヨアブは軍の長、アヒルデの子ヨシャパテは史官、 + アヒトブの子ザドクとアビヤタルの子アヒメレクは祭司、セラヤは書記官、 + エホヤダの子ベナヤはケレテびととペレテびとの長、ダビデの子たちは祭司であった。 + + + 時にダビデは言った、「サウルの家の人で、なお残っている者があるか。わたしはヨナタンのために、その人に恵みを施そう」。 + さて、サウルの家にヂバという名のしもべがあったが、人々が彼をダビデのもとに呼び寄せたので、王は彼に言った、「あなたがヂバか」。彼は言った、「しもべがそうです」。 + 王は言った、「サウルの家の人がまだ残っていませんか。わたしはその人に神の恵みを施そうと思う」。ヂバは王に言った、「ヨナタンの子がまだおります。あしなえです」。 + 王は彼に言った、「その人はどこにいるのか」。ヂバは王に言った、「彼はロ・デバルのアンミエルの子マキルの家におります」。 + ダビデ王は人をつかわして、ロ・デバルのアンミエルの子マキルの家から、彼を連れてこさせた。 + サウルの子ヨナタンの子であるメピボセテはダビデのもとにきて、ひれ伏して拝した。ダビデが、「メピボセテよ」と言ったので、彼は、「しもべは、ここにおります」と答えた。 + ダビデは彼に言った、「恐れることはない。わたしはかならずあなたの父ヨナタンのためにあなたに恵みを施しましょう。あなたの父サウルの地をみなあなたに返します。またあなたは常にわたしの食卓で食事をしなさい」。 + 彼は拝して言った、「あなたは、しもべを何とおぼしめして、死んだ犬のようなわたしを顧みられるのですか」。 + 王はサウルのしもべヂバを呼んで言った、「すべてサウルとその家に属する物を皆、わたしはあなたの主人の子に与えた。 + あなたと、あなたの子たちと、しもべたちとは、彼のために地を耕して、あなたの主人の子が食べる食物を取り入れなければならない。しかしあなたの主人の子メピボセテはいつもわたしの食卓で食事をするであろう」。ヂバには十五人の男の子と二十人のしもべがあった。 + ヂバは王に言った、「すべて王わが主君がしもべに命じられるとおりに、しもべはいたしましょう」。こうしてメピボセテは王の子のひとりのようにダビデの食卓で食事をした。 + メピボセテには小さい子があって、名をミカといった。そしてヂバの家に住んでいる者はみなメピボセテのしもべとなった。 + メピボセテはエルサレムに住んだ。彼がいつも王の食卓で食事をしたからである。彼は両足ともに、なえていた。 + + + この後アンモンの人々の王が死んで、その子ハヌンがこれに代って王となった。 + そのときダビデは言った、「わたしはナハシの子ハヌンに、その父がわたしに恵みを施したように、恵みを施そう」。そしてダビデは彼を、その父のゆえに慰めようと、しもべをつかわした。ダビデのしもべたちはアンモンの人々の地に行ったが、 + アンモンの人々のつかさたちはその主君ハヌンに言った、「ダビデが慰める者をあなたのもとにつかわしたのは彼があなたの父を尊ぶためだと思われますか。ダビデがあなたのもとに、しもべたちをつかわしたのは、この町をうかがい、それを探って、滅ぼすためではありませんか」。 + そこでハヌンはダビデのしもべたちを捕え、おのおの、ひげの半ばをそり落し、その着物を中ほどから断ち切り腰の所までにして、彼らを帰らせた。 + 人々がこれをダビデに告げたので、ダビデは人をつかわして彼らを迎えさせた。その人々はひじょうに恥じたからである。そこで王は言った、「ひげがのびるまでエリコにとどまって、その後、帰りなさい」。 + アンモンの人々は自分たちがダビデに憎まれていることがわかったので、人をつかわして、ベテ・レホブのスリヤびととゾバのスリヤびととの歩兵二万人およびマアカの王とその一千人、トブの人一万二千人を雇い入れた。 + ダビデはそれを聞いて、ヨアブと勇士の全軍をつかわしたので、 + アンモンの人々は出て、門の入口に戦いの備えをした。ゾバとレホブとのスリヤびと、およびトブとマアカの人々は別に野にいた。 + ヨアブは戦いが前後から自分に迫ってくるのを見て、イスラエルのえり抜きの兵士のうちから選んで、これをスリヤびとに対して備え、 + そのほかの民を自分の兄弟アビシャイの手にわたして、アンモンの人々に対して備えさせ、 + そして言った、「もしスリヤびとがわたしに手ごわいときは、わたしを助けてください。もしアンモンの人々があなたに手ごわいときは、行ってあなたを助けましょう。 + 勇ましくしてください。われわれの民のため、われわれの神の町々のため、勇ましくしましょう。どうぞ主が良いと思われることをされるように」。 + ヨアブが自分と一緒にいる民と共に、スリヤびとに向かって戦おうとして近づいたとき、スリヤびとは彼の前から逃げた。 + アンモンの人々はスリヤびとが逃げるのを見て、彼らもまたアビシャイの前から逃げて町にはいった。そこでヨアブはアンモンの人々を撃つことをやめてエルサレムに帰った。 + しかしスリヤびとは自分たちのイスラエルに打ち敗られたのを見て、共に集まった。 + そしてハダデゼルは人をつかわし、ユフラテ川の向こう側にいるスリヤびとを率いてヘラムにこさせた。ハダデゼルの軍の長ショバクがこれを率いた。 + この事がダビデに聞えたので、彼はイスラエルをことごとく集め、ヨルダンを渡ってヘラムにきた。スリヤびとはダビデに向かって備えをして彼と戦った。 + しかしスリヤびとがイスラエルの前から逃げたので、ダビデはスリヤびとの戦車の兵七百、騎兵四万を殺し、またその軍の長ショバクを撃ったので、彼はその所で死んだ。 + ハダデゼルの家来であった王たちはみな、自分たちがイスラエルに打ち敗られたのを見て、イスラエルと和を講じ、これに仕えた。こうしてスリヤびとは恐れて再びアンモンの人々を助けることをしなかった。 + + + 春になって、王たちが戦いに出るに及んで、ダビデはヨアブおよび自分と共にいる家来たち、並びにイスラエルの全軍をつかわした。彼らはアンモンの人々を滅ぼし、ラバを包囲した。しかしダビデはエルサレムにとどまっていた。 + さて、ある日の夕暮、ダビデは床から起き出て、王の家の屋上を歩いていたが、屋上から、ひとりの女がからだを洗っているのを見た。その女は非常に美しかった。 + ダビデは人をつかわしてその女のことを探らせたが、ある人は言った、「これはエリアムの娘で、ヘテびとウリヤの妻バテシバではありませんか」。 + そこでダビデは使者をつかわして、その女を連れてきた。女は彼の所にきて、彼はその女と寝た。(女は身の汚れを清めていたのである。)こうして女はその家に帰った。 + 女は妊娠したので、人をつかわしてダビデに告げて言った、「わたしは子をはらみました」。 + そこでダビデはヨアブに、「ヘテびとウリヤをわたしの所につかわせ」と言ってやったので、ヨアブはウリヤをダビデの所につかわした。 + ウリヤがダビデの所にきたので、ダビデは、ヨアブはどうしているか、民はどうしているか、戦いはうまくいっているかとたずねた。 + そしてダビデはウリヤに言った、「あなたの家に行って、足を洗いなさい」。ウリヤは王の家を出ていったが、王の贈り物が彼の後に従った。 + しかしウリヤは王の家の入口で主君の家来たちと共に寝て、自分の家に帰らなかった。 + 人々がダビデに、「ウリヤは自分の家に帰りませんでした」と告げたので、ダビデはウリヤに言った、「旅から帰ってきたのではないか。どうして家に帰らなかったのか」。 + ウリヤはダビデに言った、「神の箱も、イスラエルも、ユダも、小屋の中に住み、わたしの主人ヨアブと、わが主君の家来たちが野のおもてに陣を取っているのに、わたしはどうして家に帰って食い飲みし、妻と寝ることができましょう。あなたは生きておられます。あなたの魂は生きています。わたしはこの事をいたしません」。 + ダビデはウリヤに言った、「きょうも、ここにとどまりなさい。わたしはあす、あなたを去らせましょう」。そこでウリヤはその日と次の日エルサレムにとどまった。 + ダビデは彼を招いて自分の前で食い飲みさせ、彼を酔わせた。夕暮になって彼は出ていって、その床に、主君の家来たちと共に寝た。そして自分の家には下って行かなかった。 + 朝になってダビデはヨアブにあてた手紙を書き、ウリヤの手に託してそれを送った。 + 彼はその手紙に、「あなたがたはウリヤを激しい戦いの最前線に出し、彼の後から退いて、彼を討死させよ」と書いた。 + ヨアブは町を囲んでいたので、勇士たちがいると知っていた場所にウリヤを置いた。 + 町の人々が出てきてヨアブと戦ったので、民のうち、ダビデの家来たちにも、倒れるものがあり、ヘテびとウリヤも死んだ。 + ヨアブは人をつかわして戦いのことをつぶさにダビデに告げた。 + ヨアブはその使者に命じて言った、「あなたが戦いのことをつぶさに王に語り終ったとき、 + もし王が怒りを起して、『あなたがたはなぜ戦おうとしてそんなに町に近づいたのか。彼らが城壁の上から射るのを知らなかったのか。 + エルベセテの子アビメレクを撃ったのはだれか。ひとりの女が城壁の上から石うすの上石を投げて彼をテベツで殺したのではなかったか。あなたがたはなぜそんなに城壁に近づいたのか』と言われたならば、その時あなたは、『あなたのしもべ、ヘテびとウリヤもまた死にました』と言いなさい」。 + こうして使者は行き、ダビデのもとにきて、ヨアブが言いつかわしたことをことごとく告げた。 + 使者はダビデに言った、「敵はわれわれよりも有利な位置を占め、出てきてわれわれを野で攻めましたが、われわれは町の入口まで彼らを追い返しました。 + その時、射手どもは城壁からあなたの家来たちを射ましたので、王の家来のある者は死に、また、あなたの家来ヘテびとウリヤも死にました」。 + ダビデは使者に言った、「あなたはヨアブにこう言いなさい、『この事で心配することはない。つるぎはこれをも彼をも同じく滅ぼすからである。強く町を攻めて戦い、それを攻め落しなさい』と。そしてヨアブを励ましなさい」。 + ウリヤの妻は夫ウリヤが死んだことを聞いて、夫のために悲しんだ。 + その喪が過ぎた時、ダビデは人をつかわして彼女を自分の家に召し入れた。彼女は彼の妻となって男の子を産んだ。しかしダビデがしたこの事は主を怒らせた。 + + + 主はナタンをダビデにつかわされたので、彼はダビデの所にきて言った、「ある町にふたりの人があって、ひとりは富み、ひとりは貧しかった。 + 富んでいる人は非常に多くの羊と牛を持っていたが、 + 貧しい人は自分が買った一頭の小さい雌の小羊のほかは何も持っていなかった。彼がそれを育てたので、その小羊は彼および彼の子供たちと共に成長し、彼の食物を食べ、彼のわんから飲み、彼のふところで寝て、彼にとっては娘のようであった。 + 時に、ひとりの旅びとが、その富んでいる人のもとにきたが、自分の羊または牛のうちから一頭を取って、自分の所にきた旅びとのために調理することを惜しみ、その貧しい人の小羊を取って、これを自分の所にきた人のために調理した」。 + ダビデはその人の事をひじょうに怒ってナタンに言った、「主は生きておられる。この事をしたその人は死ぬべきである。 + かつその人はこの事をしたため、またあわれまなかったため、その小羊を四倍にして償わなければならない」。 + ナタンはダビデに言った、「あなたがその人です。イスラエルの神、主はこう仰せられる、『わたしはあなたに油を注いでイスラエルの王とし、あなたをサウルの手から救いだし、 + あなたに主人の家を与え、主人の妻たちをあなたのふところに与え、またイスラエルとユダの家をあなたに与えた。もし少なかったならば、わたしはもっと多くのものをあなたに増し加えたであろう。 + どうしてあなたは主の言葉を軽んじ、その目の前に悪事をおこなったのですか。あなたはつるぎをもってヘテびとウリヤを殺し、その妻をとって自分の妻とした。すなわちアンモンの人々のつるぎをもって彼を殺した。 + あなたがわたしを軽んじてヘテびとウリヤの妻をとり、自分の妻としたので、つるぎはいつまでもあなたの家を離れないであろう』。 + 主はこう仰せられる、『見よ、わたしはあなたの家からあなたの上に災を起すであろう。わたしはあなたの目の前であなたの妻たちを取って、隣びとに与えるであろう。その人はこの太陽の前で妻たちと一緒に寝るであろう。 + あなたはひそかにそれをしたが、わたしは全イスラエルの前と、太陽の前にこの事をするのである』」。 + ダビデはナタンに言った、「わたしは主に罪をおかしました」。ナタンはダビデに言った、「主もまたあなたの罪を除かれました。あなたは死ぬことはないでしょう。 + しかしあなたはこの行いによって大いに主を侮ったので、あなたに生れる子供はかならず死ぬでしょう」。 + こうしてナタンは家に帰った。さて主は、ウリヤの妻がダビデに産んだ子を撃たれたので、病気になった。 + ダビデはその子のために神に嘆願した。すなわちダビデは断食して、へやにはいり終夜地に伏した。 + ダビデの家の長老たちは、彼のかたわらに立って彼を地から起そうとしたが、彼は起きようとはせず、また彼らと一緒に食事をしなかった。 + 七日目にその子は死んだ。ダビデの家来たちはその子が死んだことをダビデに告げるのを恐れた。それは彼らが、「見よ、子のなお生きている間に、われわれが彼に語ったのに彼はその言葉を聞きいれなかった。どうして彼にその子の死んだことを告げることができようか。彼は自らを害するかも知れない」と思ったからである。 + しかしダビデは、家来たちが互にささやき合うのを見て、その子の死んだのを悟り、家来たちに言った、「子は死んだのか」。彼らは言った、「死なれました」。 + そこで、ダビデは地から起き上がり、身を洗い、油をぬり、その着物を替えて、主の家にはいって拝した。そののち自分の家に行き、求めて自分のために食物を備えさせて食べた。 + 家来たちは彼に言った、「あなたのなさったこの事はなんでしょうか。あなたは子の生きている間はその子のために断食して泣かれました。しかし子が死ぬと、あなたは起きて食事をなさいました」。 + ダビデは言った、「子の生きている間に、わたしが断食して泣いたのは、『主がわたしをあわれんで、この子を生かしてくださるかも知れない』と思ったからです。 + しかし今は死んだので、わたしはどうして断食しなければならないでしょうか。わたしは再び彼をかえらせることができますか。わたしは彼の所に行くでしょうが、彼はわたしの所に帰ってこないでしょう」。 + ダビデは妻バテシバを慰め、彼女の所にはいって、彼女と共に寝たので、彼女は男の子を産んだ。ダビデはその名をソロモンと名づけた。主はこれを愛された。 + そして預言者ナタンをつかわし、命じてその名をエデデアと呼ばせられた。 + さてヨアブはアンモンの人々のラバを攻めて王の町を取った。 + ヨアブは使者をダビデにつかわして言った、「わたしはラバを攻めて水の町を取りました。 + あなたは今、残りの民を集め、この町に向かって陣をしき、これを取りなさい。わたしがこの町を取って、人がわたしの名をもって、これを呼ぶようにならないためです」。 + そこでダビデは民をことごとく集めてラバへ行き、攻めてこれを取った。 + そしてダビデは彼らの王の冠をその頭から取りはなした。それは金で重さは一タラントであった。宝石がはめてあり、それをダビデの頭に置いた。ダビデはその町からぶんどり物を非常に多く持ち出した。 + またダビデはそのうちの民を引き出して、彼らをのこぎりや、鉄のつるはし、鉄のおのを使う仕事につかせ、また、れんが造りの労役につかせた。彼はアンモンの人々のすべての町にこのようにした。そしてダビデと民とは皆エルサレムに帰った。 + + + さてダビデの子アブサロムには名をタマルという美しい妹があったが、その後ダビデの子アムノンはこれを恋した。 + アムノンは妹タマルのために悩んでついにわずらった。それはタマルが処女であって、アムノンは彼女に何事もすることができないと思ったからである。 + ところがアムノンにはひとりの友だちがあった。名をヨナダブといい、ダビデの兄弟シメアの子である。ヨナダブはひじょうに賢い人であった。 + 彼はアムノンに言った、「王子よ、あなたは、どうして朝ごとに、そんなにやせ衰えるのですか。わたしに話さないのですか」。アムノンは彼に言った、「わたしは兄弟アブサロムの妹タマルを恋しているのです」。 + ヨナダブは彼に言った、「あなたは病と偽り、寝床に横たわって、あなたの父がきてあなたを見るとき彼に言いなさい、『どうぞ、わたしの妹タマルをこさせ、わたしの所に食物を運ばせてください。そして彼女がわたしの目の前で食物をととのえ、彼女の手からわたしが食べることのできるようにさせてください』」。 + そこでアムノンは横になって病と偽ったが、王がきて彼を見た時、アムノンは王に言った、「どうぞわたしの妹タマルをこさせ、わたしの目の前で二つの菓子を作らせて、彼女の手からわたしが食べることのできるようにしてください」。 + ダビデはタマルの家に人をつかわして言わせた、「あなたの兄アムノンの家へ行って、彼のために食物をととのえなさい」。 + そこでタマルはその兄アムノンの家へ行ったところ、アムノンは寝ていた。タマルは粉を取って、これをこね、彼の目の前で、菓子を作り、その菓子を焼き、 + なべを取って彼の前にそれをあけた。しかし彼は食べることを拒んだ。そしてアムノンは、「みな、わたしを離れて出てください」と言ったので、皆、彼を離れて出た。 + アムノンはタマルに言った、「食物を寝室に持ってきてください。わたしはあなたの手から食べます」。そこでタマルは自分の作った菓子をとって、寝室にはいり兄アムノンの所へ持っていった。 + タマルが彼に食べさせようとして近くに持って行った時、彼はタマルを捕えて彼女に言った、「妹よ、来て、わたしと寝なさい」。 + タマルは言った、「いいえ、兄上よ、わたしをはずかしめてはなりません。このようなことはイスラエルでは行われません。この愚かなことをしてはなりません。 + わたしの恥をわたしはどこへ持って行くことができましょう。あなたはイスラエルの愚か者のひとりとなるでしょう。それゆえ、どうぞ王に話してください。王がわたしをあなたに与えないことはないでしょう」。 + しかしアムノンは彼女の言うことを聞こうともせず、タマルよりも強かったので、タマルをはずかしめてこれと共に寝た。 + それからアムノンは、ひじょうに深くタマルを憎むようになった。彼女を憎む憎しみは、彼女を恋した恋よりも大きかった。アムノンは彼女に言った、「立って、行きなさい」。 + タマルはアムノンに言った、「いいえ、兄上よ、わたしを返すことは、あなたがさきにわたしになさった事よりも大きい悪です」。しかしアムノンは彼女の言うことを聞こうともせず、 + 彼に仕えている若者を呼んで言った、「この女をわたしの所から外におくり出し、そのあとに戸を閉ざすがよい」。 + この時、タマルは長そでの着物を着ていた。昔、王の姫たちの処女である者はこのような着物を着たからである。アムノンのしもべは彼女を外に出して、そのあとに戸を閉ざした。 + タマルは灰を頭にかぶり、着ていた長そでの着物を裂き、手を頭にのせて、叫びながら去って行った。 + 兄アブサロムは彼女に言った、「兄アムノンがあなたと一緒にいたのか。しかし妹よ、今は黙っていなさい。彼はあなたの兄です。この事を心にとめなくてよろしい」。こうしてタマルは兄アブサロムの家に寂しく住んでいた。 + ダビデ王はこれらの事をことごとく聞いて、ひじょうに怒った。 + アブサロムはアムノンに良いことも悪いことも語ることをしなかった。それはアムノンがアブサロムの妹タマルをはずかしめたので、アブサロムが彼を憎んでいたからである。 + 満二年の後、アブサロムはエフライムの近くにあるバアル・ハゾルで羊の毛を切らせていた時、王の子たちをことごとく招いた。 + そしてアブサロムは王のもとにきて言った、「見よ、しもべは羊の毛を切らせております。どうぞ王も王の家来たちも、しもべと共にきてください」。 + 王はアブサロムに言った、「いいえ、わが子よ、われわれが皆行ってはならない。あなたの重荷になるといけないから」。アブサロムはダビデにしいて願った。しかしダビデは行くことを承知せず彼に祝福を与えた。 + そこでアブサロムは言った、「それでは、どうぞわたしの兄アムノンをわれわれと共に行かせてください」。王は彼に言った、「どうして彼があなたと共に行かなければならないのか」。 + しかしアブサロムは彼にしいて願ったので、ついにアムノンと王の子たちを皆、アブサロムと共に行かせた。 + そこでアブサロムは若者たちに命じて言った、「アムノンが酒を飲んで、心楽しくなった時を見すまし、わたしがあなたがたに、『アムノンを撃て』と言う時、彼を殺しなさい。恐れることはない。わたしが命じるのではないか。雄々しくしなさい。勇ましくしなさい」。 + アブサロムの若者たちはアブサロムの命じたようにアムノンにおこなったので、王の子たちは皆立って、おのおのその騾馬に乗って逃げた。 + 彼らがまだ着かないうちに、「アブサロムは王の子たちをことごとく殺して、ひとりも残っている者がない」という知らせがダビデに達したので、 + 王は立ち、その着物を裂いて、地に伏した。そのかたわらに立っていた家来たちも皆その着物を裂いた。 + しかしダビデの兄弟シメアの子ヨナダブは言った、「わが主よ、王の子たちである若者たちがみな殺されたと、お考えになってはなりません。アムノンだけが死んだのです。これは彼がアブサロムの妹タマルをはずかしめた日から、アブサロムの命によって定められていたことなのです。 + それゆえ、わが主、王よ、王の子たちが皆死んだと思って、この事を心にとめられてはなりません。アムノンだけが死んだのです」。 + アブサロムはのがれた。時に見張りをしていた若者が目をあげて見ると、山のかたわらのホロナイムの道から多くの民の来るのが見えた。 + ヨナダブは王に言った、「見よ、王の子たちがきました。しもべの言ったとおりです」。 + 彼が語ることを終った時、王の子たちはきて声をあげて泣いた。王もその家来たちも皆、非常にはげしく泣いた。 + しかしアブサロムはのがれて、ゲシュルの王アミホデの子タルマイのもとに行った。ダビデは日々その子のために悲しんだ。 + アブサロムはのがれてゲシュルに行き、三年の間そこにいた。 + 王は心に、アブサロムに会うことを、せつに望んだ。アムノンは死んでしまい、ダビデが彼のことはあきらめていたからである。 + + + ゼルヤの子ヨアブは王の心がアブサロムに向かっているのを知った。 + そこでヨアブはテコアに人をつかわして、そこからひとりの賢い女を連れてこさせ、その女に言った、「あなたは悲しみのうちにある人をよそおって、喪服を着、油を身に塗らず、死んだ人のために長いあいだ悲しんでいる女のように、よそおって、 + 王のもとに行き、しかじかと彼に語りなさい」。こうしてヨアブはその言葉を彼女の口に授けた。 + テコアの女は王のもとに行き、地に伏して拝し、「王よ、お助けください」と言った。 + 王は女に言った、「どうしたのか」。女は言った、「まことにわたしは寡婦でありまして、夫は死にました。 + つかえめにはふたりの子どもがあり、ふたりは野で争いましたが、だれも彼らを引き分ける者がなかったので、ひとりはついに他の者を撃って殺しました。 + すると全家族がつかえめに逆らい立って、『兄弟を撃ち殺した者を引き渡たすがよい。われわれは彼が殺したその兄弟の命のために彼を殺そう』と言い、彼らは世継をも殺そうとしました。こうして彼らは残っているわたしの炭火を消して、わたしの夫の名をも、跡継をも、地のおもてにとどめないようにしようとしています」。 + 王は女に言った、「家に帰りなさい。わたしはあなたのことについて命令を下します」。 + テコアの女は王に言った、「わが主、王よ、わたしとわたしの父の家にその罪を帰してください。どうぞ王と王の位には罪がありませんように」。 + 王は言った、「もしあなたに何か言う者があれば、わたしの所に連れてきなさい。そうすれば、その人は重ねてあなたに触れることはないでしょう」。 + 女は言った、「どうぞ王が、あなたの神、主をおぼえて、血の報復をする者に重ねて滅ぼすことをさせず、わたしの子の殺されることのないようにしてください」。王は言った、「主は生きておられる。あなたの子の髪の毛一筋も地に落ちることはないでしょう」。 + 女は言った、「どうぞ、つかえめにひと言、わが主、王に言わせてください」。ダビデは言った、「言いなさい」。 + 女は言った、「あなたは、それならばどうして、神の民に向かってこのような事を図られたのですか。王は今この事を言われたことによって自分を罪ある者とされています。それは王が追放された者を帰らせられないからです。 + わたしたちはみな死ななければなりません。地にこぼれた水の再び集めることのできないのと同じです。しかし神は、追放された者が捨てられないように、てだてを設ける人の命を取ることはなさいません。 + わたしがこの事を王、わが主に言おうとして来たのは、わたしが民を恐れたからです。つかえめは、こう思ったのです、『王に申し上げよう。王は、はしための願いのようにしてくださるかもしれない。 + 王は聞いてくださる。わたしとわたしの子を共に滅ぼして神の嗣業から離れさせようとする人の手から、はしためを救い出してくださるのだから』。 + つかえめはまた、こう思ったのです、『王、わが主の言葉はわたしを安心させるであろう』と。それは王、わが主は神の使のように善と悪を聞きわけられるからです。どうぞあなたの神、主があなたと共におられますように」。 + 王は女に答えて言った、「わたしが問うことに隠さず答えてください」。女は言った、「王、わが主よ、どうぞ言ってください」。 + 王は言った、「このすべての事において、ヨアブの手があなたと共にありますか」。女は答えた、「あなたはたしかに生きておられます。王、わが主よ、すべて王、わが主の言われた事から人は右にも左にも曲ることはできません。わたしに命じたのは、あなたのしもべヨアブです。彼がつかえめの口に、これらの言葉をことごとく授けたのです。 + 事のなりゆきを変えるため、あなたのしもべヨアブがこの事をしたのです。わが君には神の使の知恵のような知恵があって、地の上のすべてのことを知っておられます」。 + そこで王はヨアブに言った、「この事を許す。行って、若者アブサロムを連れ帰るがよい」。 + ヨアブは地にひれ伏して拝し、王を祝福した。そしてヨアブは言った、「わが主、王よ、王がしもべの願いを許されたので、きょうしもべは、あなたの前に恵みを得たことを知りました」。 + そこでヨアブは立ってゲシュルに行き、アブサロムをエルサレムに連れてきた。 + 王は言った、「彼を自分の家に引きこもらせるがよい。わたしの顔を見てはならない」。こうしてアブサロムは自分の家に引きこもり、王の顔を見なかった。 + さて全イスラエルのうちにアブサロムのように、美しさのためほめられた人はなかった。その足の裏から頭の頂まで彼には傷がなかった。 + アブサロムがその頭を刈る時、その髪の毛をはかったが、王のはかりで二百シケルあった。毎年の終りにそれを刈るのを常とした。それが重くなると、彼はそれを刈ったのである。 + アブサロムに三人のむすこと、タマルという名のひとりの娘が生れた。タマルは美しい女であった。 + こうしてアブサロムは満二年の間エルサレムに住んだが、王の顔を見なかった。 + そこでアブサロムはヨアブを王のもとにつかわそうとして、ヨアブの所に人をつかわしたが、ヨアブは彼の所にこようとはしなかった。彼は再び人をつかわしたがヨアブはこようとはしなかった。 + そこでアブサロムはその家来に言った、「ヨアブの畑はわたしの畑の隣にあって、そこに大麦がある。行ってそれに火を放ちなさい」。アブサロムの家来たちはその畑に火を放った。 + ヨアブは立ってアブサロムの家にきて彼に言った、「どうしてあなたの家来たちはわたしの畑に火を放ったのですか」。 + アブサロムはヨアブに言った、「わたしはあなたに人をつかわして、ここへ来るようにと言ったのです。あなたを王のもとにつかわし、『なんのためにわたしはゲシュルからきたのですか。なおあそこにいたならば良かったでしょうに』と言わせようとしたのです。それゆえ今わたしに王の顔を見させてください。もしわたしに罪があるなら王にわたしを殺させてください」。 + そこでヨアブは王のもとへ行って告げたので、王はアブサロムを召しよせた。彼は王のもとにきて、王の前に地にひれ伏して拝した。王はアブサロムに口づけした。 + + + この後、アブサロムは自分のために戦車と馬、および自分の前に駆ける者五十人を備えた。 + アブサロムは早く起きて門の道のかたわらに立つのを常とした。人が訴えがあって王に裁判を求めに来ると、アブサロムはその人を呼んで言った、「あなたはどの町の者ですか」。その人が「しもべはイスラエルのこれこれの部族のものです」と言うと、 + アブサロムはその人に言った、「見よ、あなたの要求は良く、また正しい。しかしあなたのことを聞くべき人は王がまだ立てていない」。 + アブサロムはまた言った、「ああ、わたしがこの地のさばきびとであったならばよいのに。そうすれば訴え、または申立てのあるものは、皆わたしの所にきて、わたしはこれに公平なさばきを行うことができるのだが」。 + そして人が彼に敬礼しようとして近づくと、彼は手を伸べ、その人を抱きかかえて口づけした。 + アブサロムは王にさばきを求めて来るすべてのイスラエルびとにこのようにした。こうしてアブサロムはイスラエルの人々の心を自分のものとした。 + そして四年の終りに、アブサロムは王に言った、「どうぞわたしを行かせ、ヘブロンで、かつて主に立てた誓いを果させてください。 + それは、しもべがスリヤのゲシュルにいた時、誓いを立てて、『もし主がほんとうにわたしをエルサレムに連れ帰ってくださるならば、わたしは主に礼拝をささげます』と言ったからです」。 + 王が彼に、「安らかに行きなさい」と言ったので、彼は立ってヘブロンへ行った。 + そしてアブサロムは密使をイスラエルのすべての部族のうちにつかわして言った、「ラッパの響きを聞くならば、『アブサロムがヘブロンで王となった』と言いなさい」。 + 二百人の招かれた者がエルサレムからアブサロムと共に行った。彼らは何心なく行き、何事をも知らなかった。 + アブサロムは犠牲をささげている間に人をつかわして、ダビデの議官ギロびとアヒトペルを、その町ギロから呼び寄せた。徒党は強く、民はしだいにアブサロムに加わった。 + ひとりの使者がダビデのところにきて、「イスラエルの人々の心はアブサロムに従いました」と言った。 + ダビデは、自分と一緒にエルサレムにいるすべての家来に言った、「立て、われわれは逃げよう。そうしなければアブサロムの前からのがれることはできなくなるであろう。急いで行くがよい。さもないと、彼らが急ぎ追いついて、われわれに害をこうむらせ、つるぎをもって町を撃つであろう」。 + 王のしもべたちは王に言った、「しもべたちは、わが主君、王の選ばれる所をすべて行います」。 + こうして王は出て行き、その全家は彼に従った。王は十人のめかけを残して家を守らせた。 + 王は出て行き、民はみな彼に従った。彼らは町はずれの家にとどまった。 + 彼のしもべたちは皆、彼のかたわらを進み、すべてのケレテびとと、すべてのペレテびと、および彼に従ってガテからきた六百人のガテびとは皆、王の前に進んだ。 + 時に王はガテびとイッタイに言った、「どうしてあなたもまた、われわれと共に行くのですか。あなたは帰って王と共にいなさい。あなたは外国人で、また自分の国から追放された者だからです。 + あなたは、きのう来たばかりです。わたしは自分の行く所を知らずに行くのに、どうしてきょう、あなたを、われわれと共にさまよわせてよいでしょう。あなたは帰りなさい。あなたの兄弟たちも連れて帰りなさい。どうぞ主が恵みと真実をあなたに示してくださるように」。 + しかしイッタイは王に答えた、「主は生きておられる。わが君、王は生きておられる。わが君、王のおられる所に、死ぬも生きるも、しもべもまたそこにおります」。 + ダビデはイッタイに言った、「では進んで行きなさい」。そこでガテびとイッタイは進み、また彼のすべての従者および彼と共にいた子どもたちも皆、進んだ。 + 国中みな大声で泣いた。民はみな進んだ。王もまたキデロンの谷を渡って進み、民は皆進んで荒野の方に向かった。 + そしてアビヤタルも上ってきた。見よ、ザドクおよび彼と共にいるすべてのレビびともまた、神の契約の箱をかいてきた。彼らは神の箱をおろして、民がことごとく町を出てしまうのを待った。 + そこで王はザドクに言った、「神の箱を町にかきもどすがよい。もしわたしが主の前に恵みを得るならば、主はわたしを連れ帰って、わたしにその箱とそのすまいとを見させてくださるであろう。 + しかしもし主が、『わたしはおまえを喜ばない』とそう言われるのであれば、どうぞ主が良しと思われることをわたしにしてくださるように。わたしはここにおります」。 + 王はまた祭司ザドクに言った、「見よ、あなたもアビヤタルも、ふたりの子たち、すなわちあなたの子アヒマアズとアビヤタルの子ヨナタンを連れて、安らかに町に帰りなさい。 + わたしはあなたがたから言葉があって知らせをうけるまで、荒野の渡し場にとどまります」。 + そこでザドクとアビヤタルは神の箱をエルサレムにかきもどり、そこにとどまった。 + ダビデはオリブ山の坂道を登ったが、登る時に泣き、その頭をおおい、はだしで行った。彼と共にいる民もみな頭をおおって登り、泣きながら登った。 + 時に、「アヒトペルがアブサロムと共謀した者のうちにいる」とダビデに告げる人があったのでダビデは言った、「主よ、どうぞアヒトペルの計略を愚かなものにしてください」。 + ダビデが山の頂にある神を礼拝する場所にきた時、見よ、アルキびとホシャイはその上着を裂き、頭に土をかぶり、来てダビデを迎えた。 + ダビデは彼に言った、「もしあなたがわたしと共に進むならば、わたしの重荷となるであろう。 + しかしもしあなたが町に帰ってアブサロムに向かい、『王よ、わたしはあなたのしもべとなります。わたしがこれまで、あなたの父のしもべであったように、わたしは今あなたのしもべとなります』と言うならば、あなたはわたしのためにアヒトペルの計略を破ることができるであろう。 + 祭司たち、ザドクとアビヤタルとは、あなたと共にあそこにいるではないか。それゆえ、あなたは王の家から聞くことをことごとく祭司たち、ザドクとアビヤタルとに告げなさい。 + あそこには彼らと共にそのふたりの子たち、すなわちザドクの子アヒマアズとアビヤタルの子ヨナタンとがいる。あなたがたは聞いたことをことごとく彼らの手によってわたしに通報しなさい」。 + そこでダビデの友ホシャイは町にはいった。その時アブサロムはすでにエルサレムにはいっていた。 + + + ダビデが山の頂を過ぎて、すこし行った時、メピボセテのしもべヂバは、くらを置いた二頭のろばを引き、その上にパン二百個、干ぶどう百ふさ、夏のくだもの一百、ぶどう酒一袋を載せてきてダビデを迎えた。 + 王はヂバに言った、「あなたはどうしてこれらのものを持ってきたのですか」。ヂバは答えた、「ろばは王の家族が乗るため、パンと夏のくだものは若者たちが食べるため、ぶどう酒は荒野で弱った者が飲むためです」。 + 王は言った、「あなたの主人の子はどこにおるのですか」。ヂバは王に言った、「エルサレムにとどまっています。彼は、『イスラエルの家はきょう、わたしの父の国をわたしに返すであろう』と思ったのです」。 + 王はヂバに言った、「見よ、メピボセテのものはことごとくあなたのものです」。ヂバは言った、「わたしは敬意を表します。わが主、王よ、あなたの前にいつまでも恵みを得させてください」。 + ダビデ王がバホリムにきた時、サウルの家の一族の者がひとりそこから出てきた。その名をシメイといい、ゲラの子である。彼は出てきながら絶えずのろった。 + そして彼はダビデとダビデ王のもろもろの家来に向かって石を投げた。その時、民と勇士たちはみな王の左右にいた。 + シメイはのろう時にこう言った、「血を流す人よ、よこしまな人よ、立ち去れ、立ち去れ。 + あなたが代って王となったサウルの家の血をすべて主があなたに報いられたのだ。主は王国をあなたの子アブサロムの手に渡された。見よ、あなたは血を流す人だから、災に会うのだ」。 + 時にゼルヤの子アビシャイは王に言った、「この死んだ犬がどうしてわが主、王をのろってよかろうか。わたしに、行って彼の首を取らせてください」。 + しかし王は言った、「ゼルヤの子たちよ、あなたがたと、なんのかかわりがあるのか。彼がのろうのは、主が彼に、『ダビデをのろえ』と言われたからであるならば、だれが、『あなたはどうしてこういうことをするのか』と言ってよいであろうか」。 + ダビデはまたアビシャイと自分のすべての家来とに言った、「わたしの身から出たわが子がわたしの命を求めている。今、このベニヤミンびととしてはなおさらだ。彼を許してのろわせておきなさい。主が彼に命じられたのだ。 + 主はわたしの悩みを顧みてくださるかもしれない。また主はきょう彼ののろいにかえて、わたしに善を報いてくださるかも知れない」。 + こうしてダビデとその従者たちとは道を行ったが、シメイはダビデに並んで向かいの山の中腹を行き、行きながらのろい、また彼に向かって石や、ちりを投げつけた。 + 王および共にいる民はみな疲れてヨルダンに着き、彼はその所で息をついだ。 + さてアブサロムとすべての民、イスラエルの人々はエルサレムにきた。アヒトペルもアブサロムと共にいた。 + ダビデの友であるアルキびとホシャイがアブサロムのもとにきた時、ホシャイはアブサロムに「王万歳、王万歳」と言った。 + アブサロムはホシャイに言った、「これはあなたがその友に示す真実なのか。あなたはどうしてあなたの友と一緒に行かなかったのか」。 + ホシャイはアブサロムに言った、「いいえ、主とこの民とイスラエルのすべての人々が選んだ者にわたしは属し、かつその人と一緒におります。 + かつまたわたしはだれに仕えるべきですか。その子の前に仕えるべきではありませんか。あなたの父の前に仕えたように、わたしはあなたの前に仕えます」。 + そこでアブサロムはアヒトペルに言った、「あなたがたは、われわれがどうしたらよいのか、計りごとを述べなさい」。 + アヒトペルはアブサロムに言った、「あなたの父が家を守るために残された、めかけたちの所にはいりなさい。そうすればイスラエルは皆あなたが父上に憎まれることを聞くでしょう。そしてあなたと一緒にいる者の手は強くなるでしょう」。 + こうして彼らがアブサロムのために屋上に天幕を張ったので、アブサロムは全イスラエルの目の前で父のめかけたちの所にはいった。 + そのころアヒトペルが授ける計りごとは人が神のみ告げを伺うようであった。アヒトペルの計りごとは皆ダビデにもアブサロムにも共にそのように思われた。 + + + 時にアヒトペルはアブサロムに言った、「わたしに一万二千の人を選び出させてください。わたしは立って、今夜ダビデのあとを追い、 + 彼が疲れて手が弱くなっているところを襲って、彼をあわてさせましょう。そして彼と共にいる民がみな逃げるとき、わたしは王ひとりを撃ち取り、 + すべての民を花嫁がその夫のもとに帰るようにあなたに帰らせましょう。あなたが求めておられるのはただひとりの命だけですから、民はみな穏やかになるでしょう」。 + この言葉はアブサロムとイスラエルのすべての長老の心にかなった。 + そこでアブサロムは言った、「アルキびとホシャイをも呼びよせなさい。われわれは彼の言うことを聞きましょう」。 + ホシャイがアブサロムのもとにきた時、アブサロムは彼に言った、「アヒトペルはこのように言った。われわれは彼の言葉のように行うべきか。いけないのであれば、言いなさい」。 + ホシャイはアブサロムに言った、「このたびアヒトペルが授けた計りごとは良くありません」。 + ホシャイはまた言った、「ごぞんじのように、あなたの父とその従者たちとは勇士です。その上彼らは、野で子を奪われた熊のように、ひどく怒っています。また、あなたの父はいくさびとですから、民と共に宿らないでしょう。 + 彼は今でも穴の中か、どこかほかの所にかくれています。もし民のうちの幾人かが手始めに倒れるならば、それを聞く者はだれでも、『アブサロムに従う民のうちに戦死者があった』と言うでしょう。 + そうすれば、ししの心のような心のある勇ましい人であっても、恐れて消え去ってしまうでしょう。それはイスラエルのすべての人が、あなたの父の勇士であること、また彼と共にいる者が、勇ましい人々であることを知っているからです。 + ところでわたしの計りごとは、イスラエルをダンからベエルシバまで、海べの砂のように多くあなたのもとに集めて、あなたみずから戦いに臨むことです。 + こうしてわれわれは彼の見つかる場所で彼を襲い、つゆが地におりるように彼の上に下る。そして彼および彼と共にいるすべての人をひとりも残さないでしょう。 + もし彼がいずれかの町に退くならば、全イスラエルはその町になわをかけ、われわれはそれを谷に引き倒して、そこに一つの小石も見られないようにするでしょう」。 + アブサロムとイスラエルの人々はみな、「アルキびとホシャイの計りごとは、アヒトペルの計りごとよりもよい」と言った。それは主がアブサロムに災を下そうとして、アヒトペルの良い計りごとを破ることを定められたからである。 + そこでホシャイは祭司たち、ザドクとアビヤタルとに言った、「アヒトペルはアブサロムとイスラエルの長老たちのためにこういう計りごとをした。またわたしはこういう計りごとをした。 + それゆえ、あなたがたはすみやかに人をつかわしてダビデに告げ、『今夜、荒野の渡し場に宿らないで、必ず渡って行きなさい。さもないと王および共にいる民はみな、滅ぼされるでしょう』と言いなさい」。 + 時に、ヨナタンとアヒマアズはエンロゲルで待っていた。ひとりのつかえめが行って彼らに告げ、彼らは行ってダビデ王に告げるのが常であった。それは彼らが町にはいるのを見られないようにするためである。 + ところがひとりの若者が彼らを見てアブサロムに告げたので、彼らふたりは急いで去り、バホリムの、あるひとりの人の家にきた。その人の庭に井戸があって、彼らはその中に下ったので、 + 女はおおいを取ってきて井戸の口の上にひろげ、麦をその上にまき散らした。それゆえその事は何も知れなかった。 + アブサロムのしもべたちはその女の家にきて言った、「アヒマアズとヨナタンはどこにいますか」。女は彼らに言った、「あの人々は小川を渡って行きました」。彼らは尋ねたが見当らなかったのでエルサレムに帰った。 + 彼らが去った後、人々は井戸から上り、行ってダビデ王に告げた。すなわち彼らはダビデに言った、「立って、すみやかに川を渡りなさい。アヒトペルがあなたがたに対してこういう計りごとをしたからです」。 + そこでダビデは立って、共にいるすべての民と一緒にヨルダンを渡った。夜明けには、ヨルダンを渡らない者はひとりもなかった。 + アヒトペルは、自分の計りごとが行われないのを見て、ろばにくらを置き、立って自分の町に行き、その家に帰った。そして家の人に遺言してみずからくびれて死に、その父の墓に葬られた。 + ダビデはマハナイムにきた。またアブサロムは自分と共にいるイスラエルのすべての人々と一緒にヨルダンを渡った。 + アブサロムはアマサをヨアブの代りに軍の長とした。アマサはかのナハシの娘でヨアブの母ゼルヤの妹であるアビガルをめとったイシマエルびと、名はイトラという人の子である。 + そしてイスラエルとアブサロムはギレアデの地に陣取った。 + ダビデがマハナイムにきた時、アンモンの人々のうちのラバのナハシの子ショビと、ロ・デバルのアンミエルの子マキル、およびロゲリムのギレアデびとバルジライは、 + 寝床と鉢、土器、小麦、大麦、粉、いり麦、豆、レンズ豆、 + 蜜、凝乳、羊、乾酪をダビデおよび共にいる民が食べるために持ってきた。それは彼らが、「民は荒野で飢え疲れかわいている」と思ったからである。 + + + さてダビデは自分と共にいる民を調べて、その上に千人の長、百人の長を立てた。 + そしてダビデは民をつかわし、三分の一をヨアブの手に、三分の一をゼルヤの子ヨアブの兄弟アビシャイの手に、三分の一をガテびとイッタイの手にあずけた。こうして王は民に言った、「わたしもまた必ずあなたがたと一緒に出ます」。 + しかし民は言った、「あなたは出てはなりません。それはわれわれがどんなに逃げても、彼らはわれわれに心をとめず、われわれの半ばが死んでも、われわれに心をとめないからです。しかしあなたはわれわれの一万に等しいのです。それゆえあなたは町の中からわれわれを助けてくださる方がよろしい」。 + 王は彼らに言った、「あなたがたの最も良いと思うことをわたしはしましょう」。こうして王は門のかたわらに立ち、民は皆あるいは百人、あるいは千人となって出て行った。 + 王はヨアブ、アビシャイおよびイッタイに命じて、「わたしのため、若者アブサロムをおだやかに扱うように」と言った。王がアブサロムの事についてすべての長たちに命じている時、民は皆聞いていた。 + こうして民はイスラエルに向かって野に出て行き、エフライムの森で戦ったが、 + イスラエルの民はその所でダビデの家来たちの前に敗れた。その日その所に戦死者が多く、二万に及んだ。 + そして戦いはあまねくその地のおもてに広がった。この日、森の滅ぼした者は、つるぎの滅ぼした者よりも多かった。 + さてアブサロムはダビデの家来たちに行き会った。その時アブサロムは騾馬に乗っていたが、騾馬は大きいかしの木の、茂った枝の下を通ったので、アブサロムの頭がそのかしの木にかかって、彼は天地の間につりさがった。騾馬は彼を捨てて過ぎて行った。 + ひとりの人がそれを見てヨアブに告げて言った、「わたしはアブサロムが、かしの木にかかっているのを見ました」。 + ヨアブはそれを告げた人に言った、「あなたはそれを見たというのか。それなら、どうしてあなたは彼をその所で、地に撃ち落さなかったのか。わたしはあなたに銀十シケルと帯一筋を与えたであろうに」。 + その人はヨアブに言った、「たといわたしの手に銀千シケルを受けても、手を出して王の子に敵することはしません。王はわれわれが聞いているところで、あなたとアビシャイとイッタイに、『わたしのため若者アブサロムを保護せよ』と命じられたからです。 + もしわたしがそむいて彼の命をそこなったのであれば、何事も王に隠れることはありませんから、あなたはみずから立ってわたしを責められたでしょう」。 + そこで、ヨアブは「こうしてあなたと共にとどまってはおられない」と言って、手に三筋の投げやりを取り、あのかしの木にかかって、なお生きているアブサロムの心臓にこれを突き通した。 + ヨアブの武器を執る十人の若者たちは取り巻いて、アブサロムを撃ち殺した。 + こうしてヨアブがラッパを吹いたので、民はイスラエルのあとを追うことをやめて帰った。ヨアブが民を引きとめたからである。 + 人々はアブサロムを取って、森の中の大きな穴に投げいれ、その上にひじょうに大きい石塚を積み上げた。そしてイスラエルはみなおのおのその天幕に逃げ帰った。 + さてアブサロムは生きている間に、王の谷に自分のために一つの柱を建てた。それは彼が、「わたしは自分の名を伝える子がない」と思ったからである。彼はその柱に自分の名をつけた。その柱は今日までアブサロムの碑ととなえられている。 + さてザドクの子アヒマアズは言った、「わたしは走って行って、主が王を敵の手から救い出されたおとずれを王に伝えましょう」。 + ヨアブは彼に言った、「きょうは、おとずれを伝えてはならない。おとずれを伝えるのは、ほかの日にしなさい。きょうは王の子が死んだので、おとずれを伝えてはならない」。 + ヨアブはクシびとに言った、「行って、あなたの見た事を王に告げなさい」。クシびとはヨアブに礼をして走って行った。 + ザドクの子アヒマアズは重ねてヨアブに言った、「何事があろうとも、わたしにもクシびとのあとから走って行かせてください」。ヨアブは言った、「子よ、おとずれの報いを得られないのに、どうしてあなたは走って行こうとするのか」。 + 彼は言った、「何事があろうとも、わたしは走って行きます」。ヨアブは彼に言った、「走って行きなさい」。そこでアヒマアズは低地の道を走って行き、クシびとを追い越した。 + 時にダビデは二つの門の間にすわっていた。そして見張りの者が城壁の門の屋根にのぼり、目をあげて見ていると、ただひとりで走ってくる者があった。 + 見張りの者が呼ばわって王に告げたので、王は言った、「もしひとりならば、その口におとずれがあるであろう」。その人は急いできて近づいた。 + 見張りの者は、ほかにまたひとり走ってくるのを見たので、門の方に呼ばわって言った、「見よ、ほかにただひとりで走って来る者があります」。王は言った、「彼もまたおとずれを持ってくるのだ」。 + 見張りの者は言った、「まっ先に走って来る人はザドクの子アヒマアズのようです」。王は言った、「彼は良い人だ。良いおとずれを持ってくるであろう」。 + 時にアヒマアズは呼ばわって王に言った、「平安でいらせられますように」。そして王の前に地にひれ伏して言った、「あなたの神、主はほむべきかな。主は王、わが君に敵して手をあげた人々を引き渡されました」。 + 王は言った、「若者アブサロムは平安ですか」。アヒマアズは答えた、「ヨアブがしもべをつかわす時、わたしは大きな騒ぎを見ましたが、何事であったか知りません」。 + 王は言った、「わきへ行って、そこに立っていなさい」。彼はわきへ行って立った。 + その時クシびとがきた。そしてそのクシびとは言った、「わが君、王が良いおとずれをお受けくださるよう。主はきょう、すべてあなたに敵して立った者どもの手から、あなたを救い出されたのです」。 + 王はクシびとに言った、「若者アブサロムは平安ですか」。クシびとは答えた、「王、わが君の敵、およびすべてあなたに敵して立ち、害をしようとする者は、あの若者のようになりますように」。 + 王はひじょうに悲しみ、門の上のへやに上って泣いた。彼は行きながらこのように言った、「わが子アブサロムよ。わが子、わが子アブサロムよ。ああ、わたしが代って死ねばよかったのに。アブサロム、わが子よ、わが子よ」。 + + + 時にヨアブに告げる者があって、「見よ、王はアブサロムのために泣き悲しんでいる」と言った。 + こうしてその日の勝利はすべての民の悲しみとなった。それはその日、民が、「王はその子のために悲しんでいる」と人の言うのを聞いたからである。 + そして民はその日、戦いに逃げて恥じている民がひそかに、はいるように、ひそかに町にはいった。 + 王は顔をおおった。そして王は大声に叫んで、「わが子アブサロムよ。アブサロム、わが子よ、わが子よ」と言った。 + 時にヨアブは家にはいり、王のもとにきて言った、「あなたは、きょう、あなたの命と、あなたのむすこ娘たちの命、およびあなたの妻たちの命と、めかけたちの命を救ったすべての家来の顔をはずかしめられました。 + それはあなたが自分を憎む者を愛し、自分を愛する者を憎まれるからです。あなたは、きょう、軍の長たちをも、しもべたちをも顧みないことを示されました。きょう、わたしは知りました。もし、アブサロムが生きていて、われわれが皆きょう死んでいたら、あなたの目にかなったでしょう。 + 今立って出て行って、しもべたちにねんごろに語ってください。わたしは主をさして誓います。もしあなたが出られないならば、今夜あなたと共にとどまる者はひとりもないでしょう。これはあなたが若い時から今までにこうむられたすべての災よりも、あなたにとって悪いでしょう」。 + そこで王は立って門のうちの座についた。人々はすべての民に、「見よ、王は門に座している」と告げたので、民はみな王の前にきた。さてイスラエルはおのおのその天幕に逃げ帰った。 + そしてイスラエルのもろもろの部族の中で民はみな争って言った、「王はわれわれを敵の手から救い出し、またわれわれをペリシテびとの手から助け出された。しかし今はアブサロムのために国のそとに逃げておられる。 + またわれわれが油を注いで、われわれの上に立てたアブサロムは戦いで死んだ。それであるのに、どうしてあなたがたは王を導きかえることについて、何をも言わないのか」。 + ダビデ王は祭司たちザドクとアビヤタルとに人をつかわして言った、「ユダの長老たちに言いなさい、『全イスラエルの言葉が王に達したのに、どうしてあなたがたは王をその家に導きかえる最後の者となるのですか。 + あなたがたはわたしの兄弟、わたしの骨肉です。それにどうして王を導きかえる最後の者となるのですか』。 + またアマサに言いなさい、『あなたはわたしの骨肉ではありませんか。これから後あなたをヨアブに代えて、わたしの軍の長とします。もしそうしないときは、神が幾重にもわたしを罰してくださるように』」。 + こうしてダビデはユダのすべての人の心を、ひとりのように自分に傾けさせたので、彼らは王に、「どうぞあなたも、すべての家来たちも帰ってきてください」と言いおくった。 + そこで王は帰ってきてヨルダンまで来ると、ユダの人人は王を迎えるためギルガルにきて、王にヨルダンを渡らせた。 + バホリムのベニヤミンびと、ゲラの子シメイは、急いでユダの人々と共に下ってきて、ダビデ王を迎えた。 + 一千人のベニヤミンびとが彼と共にいた。またサウルの家のしもべヂバもその十五人のむすこと、二十人のしもべを従えて、王の前にヨルダンに駆け下った。 + そして王の家族を渡し、王の心にかなうことをしようと渡し場を渡った。ゲラの子シメイはヨルダンを渡ろうとする時、王の前にひれ伏し、 + 王に言った、「どうぞわが君が、罪をわたしに帰しられないように。またわが君、王のエルサレムを出られた日に、しもべがおこなった悪い事を思い出されないように。どうぞ王がそれを心に留められないように。 + しもべは自分が罪を犯したことを知っています。それゆえ、見よ、わたしはきょう、ヨセフの全家のまっ先に下ってきて、わが主、王を迎えるのです」。 + ゼルヤの子アビシャイは答えて言った、「シメイは主が油を注がれた者をのろったので、そのために殺されるべきではありませんか」。 + ダビデは言った、「あなたがたゼルヤの子たちよ、あなたがたとなにのかかわりがあって、あなたがたはきょうわたしに敵対するのか。きょう、イスラエルのうちで人を殺して良かろうか。わたしが、きょうイスラエルの王となったことを、どうして自分で知らないことがあろうか」。 + こうして王はシメイに、「あなたを殺さない」と言って、王は彼に誓った。 + サウルの子メピボセテは下ってきて王を迎えた。彼は王が去った日から安らかに帰る日まで、その足を飾らず、そのひげを整えず、またその着物を洗わなかった。 + 彼がエルサレムからきて王を迎えた時、王は彼に言った、「メピボセテよ、あなたはどうしてわたしと共に行かなかったのか」。 + 彼は答えた、「わが主、王よ、わたしの家来がわたしを欺いたのです。しもべは彼に、『わたしのために、ろばにくらを置け。わたしはそれに乗って王と共に行く』と言ったのです。しもべは足なえだからです。 + ところが彼はしもべのことをわが主、王の前に、あしざまに言ったのです。しかし、わが主、王は神の使のようでいらせられます。それで、あなたの良いと思われることをしてください。 + わたしの父の全家はわが主、王の前にはみな死んだ人にすぎないのに、あなたはしもべを、あなたの食卓で食事をする人々のうちに置かれました。わたしになんの権利があって、重ねて王に訴えることができましょう」。 + 王は彼に言った、「あなたはどうしてなおも自分のことを言うのですか。わたしは決めました。あなたとヂバとはその土地を分けなさい」。 + メピボセテは王に言った、「わが主、王が安らかに家に帰られたのですから、彼にそれをみな取らせてください」。 + さてギレアデびとバルジライはロゲリムから下ってきて、ヨルダンで王を見送るため、王と共にヨルダンに進んだ。 + バルジライは、ひじょうに年老いた人で八十{歳であった。彼はまた、ひじょうに裕福な人であったので、王がマハナイムにとどまっている間、王を養った。 + 王はバルジライに言った、「わたしと一緒に渡って行きなさい。わたしはエルサレムであなたをわたしと共におらせて養いましょう」。 + バルジライは王に言った、「わたしは、なお何年いきながらえるので、王と共にエルサレムに上るのですか。 + わたしは今日八十歳です。わたしに、良いこと悪いことがわきまえられるでしょうか。しもべは食べるもの、飲むものを味わうことができましょうか。わたしは歌う男や歌う女の声をまだ聞くことができましょうか。それであるのに、しもべはどうしてなおわが主、王の重荷となってよろしいでしょうか。 + しもべは王と共にヨルダンを渡って、ただ少し行きましょう。どうして王はこのような報いをわたしに報いられなければならないのでしょうか。 + どうぞしもべを帰らせてください。わたしは自分の町で、父母の墓の近くで死にます。ただし、あなたのしもべキムハムがここにおります。わが主、王と共に彼を渡って行かせてください。またあなたが良いと思われる事を彼にしてください」。 + 王は答えた、「キムハムはわたしと共に渡って行かせます。わたしは、あなたが良いと思われる事を彼にしましょう。またあなたが望まれることはみな、あなたのためにいたします」。 + こうして民はみなヨルダンを渡った。王は渡った時、バルジライに口づけして、祝福したので、彼は自分の家に帰っていった。 + 王はギルガルに進んだ。キムハムも彼と共に進んだ。ユダの民はみな王を送り、イスラエルの民の半ばもまたそうした。 + さてイスラエルの人々はみな王の所にきて、王に言った、「われわれの兄弟であるユダの人々は、何ゆえにあなたを盗み去って、王とその家族、およびダビデに伴っているすべての従者にヨルダンを渡らせたのですか」。 + ユダの人々はみなイスラエルの人々に答えた、「王はわれわれの近親だからです。あなたがたはどうしてこの事で怒られるのですか。われわれが少しでも王の物を食べたことがありますか。王が何か賜物をわれわれに与えたことがありますか」。 + イスラエルの人々はユダの人々に答えた、「われわれは王のうちに十の分を持っています。またダビデのうちにもわれわれはあなたがたよりも多くを持っています。それであるのに、どうしてあなたがたはわれわれを軽んじたのですか。われらの王を導き帰ろうと最初に言ったのはわれわれではないのですか」。しかしユダの人々の言葉はイスラエルの人々の言葉よりも激しかった。 + + + さて、その所にひとりのよこしまな人があって、名をシバといった。ビクリの子で、ベニヤミンびとであった。彼はラッパを吹いて言った、「われわれはダビデのうちに分がない。またエッサイの子のうちに嗣業を持たない。イスラエルよ、おのおのその天幕に帰りなさい」。 + そこでイスラエルの人々は皆ダビデに従う事をやめて、ビクリの子シバに従った。しかしユダの人々はその王につき従って、ヨルダンからエルサレムへ行った。 + ダビデはエルサレムの自分の家にきた。そして王は家を守るために残しておいた十人のめかけたちを取って、一つの家に入れて守り、また養ったが、彼女たちの所には、はいらなかった。彼女たちは死ぬ日まで閉じこめられ一生、寡婦としてすごした。 + 王はアマサに言った、「わたしのため三日のうちにユダの人々を呼び集めて、ここにきなさい」。 + アマサはユダを呼び集めるために行ったが、彼は定められた時よりもおくれた。 + ダビデはアビシャイに言った、「ビクリの子シバは今われわれにアブサロムよりも多くの害をするであろう。あなたの主君の家来たちを率いて、彼のあとを追いなさい。さもないと彼は堅固な町々を獲て、われわれを悩ますであろう」。 + こうしてヨアブとケレテびととペレテびと、およびすべての勇士はアビシャイに従って出た。すなわち彼らはエルサレムを出て、ビクリの子シバのあとを追った。 + 彼らがギベオンにある大石のところにいた時、アマサがきて彼らに会った。時にヨアブは軍服を着て、帯をしめ、その上にさやに納めたつるぎを腰に結んで帯びていたが、彼が進み出た時つるぎは抜け落ちた。 + ヨアブはアマサに、「兄弟よ、あなたは安らかですか」と言って、ヨアブは右の手をもってアマサのひげを捕えて彼に口づけしようとしたが、 + アマサはヨアブの手につるぎがあることに気づかなかったので、ヨアブはそれをもってアマサの腹部を刺して、そのはらわたを地に流し出し、重ねて撃つこともなく彼を殺した。こうしてヨアブとその兄弟アビシャイはビクリの子シバのあとを追った。 + 時にヨアブの若者のひとりがアマサのかたわらに立って言った、「ヨアブに味方する者、ダビデにつく者はヨアブのあとに従いなさい」。 + アマサは血に染んで大路の中にころがっていたので、そのそばに来る者はみな彼を見て立ちどまった。この人は民がみな立ちどまるのを見て、アマサを大路から畑に移し、衣服をその上にかけた。 + アマサが大路から移されたので、民は皆ヨアブに従って進み、ビクリの子シバのあとを追った。 + シバはイスラエルのすべての部族のうちを通ってベテマアカのアベルにきた。ビクリびとは皆、集まってきて彼に従った。 + そこでヨアブと共にいたすべての人々がきて、彼をベテマアカのアベルに囲み、町に向かって土塁を築いた。それはとりでに向かって立てられた。こうして彼らは城壁をくずそうとしてこれを撃った。 + その時、ひとりの賢い女が町から呼ばわった、「あなたがたは聞きなさい。あなたがたは聞きなさい。ヨアブに、『ここにきてください。わたしはあなたに言うことがあります』と言ってください」。 + 彼がその女に近寄ると、女は「あなたがヨアブですか」と言った。彼は「そうです」と答えた。すると女は彼に「はしための言葉をお聞きください」と言ったので、「聞きましょう」と彼は言った。 + そこで女は言った、「昔、人々はいつも、『アベルで尋ねなさい』と言って、事を定めました。 + わたしはイスラエルのうちの平和な、忠誠な者です。そうであるのに、あなたはイスラエルのうちで母ともいうべき町を滅ぼそうとしておられます。どうして主の嗣業を、のみ尽そうとされるのですか」。 + ヨアブは答えた、「いいえ、決してそうではなく、わたしが、のみ尽したり、滅ぼしたりすることはありません。 + 事実はそうではなく、エフライムの山地の人ビクリの子、名をシバという者が手をあげて王ダビデにそむいたのです。あなたがたが彼ひとりを渡すならば、わたしはこの町を去ります」。女はヨアブに言った、「彼の首は城壁の上からあなたの所へ投げられるでしょう」。 + こうしてこの女が知恵をもって、すべての民の所に行ったので、彼らはビクリの子シバの首をはねてヨアブの所へ投げ出した。そこでヨアブはラッパを吹きならしたので、人々は散って町を去り、おのおの家に帰った。ヨアブはエルサレムにいる王のもとに帰った。 + ヨアブはイスラエルの全軍の長であった。エホヤダの子ベナヤはケレテびと、およびペレテびとの長、 + アドラムは徴募人の長、アヒルデの子ヨシャパテは史官、 + シワは書記官、ザドクとアビヤタルとは祭司。 + またヤイルびとイラはダビデの祭司であった。 + + + ダビデの世に、年また年と三年、ききんがあったので、ダビデが主に尋ねたところ、主は言われた、「サウルとその家とに、血を流した罪がある。それはかつて彼がギベオンびとを殺したためである」。 + そこで王はギベオンびとを召しよせた。ギベオンびとはイスラエルの子孫ではなく、アモリびとの残りであって、イスラエルの人々は彼らと誓いを立てて、その命を助けた。ところがサウルはイスラエルとユダの人々のために熱心であったので、彼らを殺そうとしたのである。 + それでダビデはギベオンびとに言った、「わたしはあなたがたのために、何をすればよいのですか。どんな償いをすれば、あなたがたは主の嗣業を祝福するのですか」。 + ギベオンびとは彼に言った、「これはわれわれと、サウルまたはその家との間の金銀の問題ではありません。またイスラエルのうちのひとりでも、われわれが殺そうというのでもありません」。ダビデは言った、「わたしがあなたがたのために何をすればよいと言うのですか」。 + かれらは王に言った、「われわれを滅ぼした人、われわれを滅ぼしてイスラエルの領域のどこにもおらせないようにと、たくらんだ人、 + その人の子孫七人を引き渡してください。われわれは主の山にあるギベオンで、彼らを主の前に木にかけましょう」。王は言った、「引き渡しましょう」。 + しかし王はサウルの子ヨナタンの子であるメピボセテを惜しんだ。彼らの間、すなわちダビデとサウルの子ヨナタンとの間に、主をさして立てた誓いがあったからである。 + 王はアヤの娘リヅパがサウルに産んだふたりの子アルモニとメピボセテ、およびサウルの娘メラブがメホラびとバルジライの子アデリエルに産んだ五人の子を取って、 + 彼らをギベオンびとの手に引き渡したので、ギベオンびとは彼らを山で主の前に木にかけた。彼ら七人は共に倒れた。彼らは刈入れの初めの日、すなわち大麦刈りの初めに殺された。 + アヤの娘リヅパは荒布をとって、それを自分のために岩の上に敷き、刈入れの初めから、その人々の死体の上に天から雨が降るまで、昼は空の鳥が死体の上にこないようにし、夜は野の獣を近寄らせなかった。 + アヤの娘でサウルのめかけであったリヅパのしたことがダビデに聞えたので、 + ダビデは行ってサウルの骨とその子ヨナタンの骨を、ヤベシギレアデの人々の所から取ってきた。これはペリシテびとがサウルをギルボアで殺した日に、木にかけたベテシャンの広場から、彼らが盗んでいたものである。 + ダビデはそこからサウルの骨と、その子ヨナタンの骨を携えて上った。また人々はそのかけられた者どもの骨を集めた。 + こうして彼らはサウルとその子ヨナタンの骨を、ベニヤミンの地のゼラにあるその父キシの墓に葬り、すべて王の命じたようにした。この後、神はその地のために、祈を聞かれた。 + ペリシテびとはまたイスラエルと戦争をした。ダビデはその家来たちと共に下ってペリシテびとと戦ったが、ダビデは疲れていた。 + 時にイシビベノブはダビデを殺そうと思った。イシビベノブは巨人の子孫で、そのやりは青銅で重さ三百シケルあり、彼は新しいつるぎを帯びていた。 + しかしゼルヤの子アビシャイはダビデを助けて、そのペリシテびとを撃ち殺した。そこでダビデの従者たちは彼に誓って言った、「あなたはわれわれと共に、重ねて戦争に出てはなりません。さもないと、あなたはイスラエルのともし火を消すでしょう」。 + この後、再びゴブでペリシテびととの戦いがあった。時にホシャびとシベカイは巨人の子孫のひとりサフを殺した。 + ここにまたゴブで、ペリシテびととの戦いがあったが、そこではベツレヘムびとヤレオレギムの子エルハナンは、ガテびとゴリアテを殺した。そのやりの柄は機の巻棒のようであった。 + またガテで再び戦いがあったが、そこにひとりの背の高い人があり、その手の指と足の指は六本ずつで、その数は合わせて二十四本であった。彼もまた巨人から生れた者であった。 + 彼はイスラエルをののしったので、ダビデの兄弟シメアの子ヨナタンが彼を殺した。 + これらの四人はガテで巨人から生れた者であったが、ダビデの手とその家来たちの手に倒れた。 + + + ダビデは主がもろもろの敵の手とサウルの手から、自分を救い出された日に、この歌の言葉を主に向かって述べ、 + 彼は言った、「主はわが岩、わが城、わたしを救う者、 + わが神、わが岩。わたしは彼に寄り頼む。わが盾、わが救の角、わが高きやぐら、わが避け所、わが救主。あなたはわたしを暴虐から救われる。 + わたしは、ほめまつるべき主に呼ばわって、わたしの敵から救われる。 + 死の波はわたしをとりまき、滅びの大水はわたしを襲った。 + 陰府の綱はわたしをとりかこみ、死のわなはわたしに、たち向かった。 + 苦難のうちにわたしは主を呼び、またわが神に呼ばわった。主がその宮からわたしの声を聞かれて、わたしの叫びはその耳にとどいた。 + その時地は震いうごき、天の基はゆるぎふるえた。彼が怒られたからである。 + 煙はその鼻からたち上り、火はその口から出て焼きつくし、白熱の炭は彼から燃え出た。 + 彼は天を低くして下られ、暗やみが彼の足の下にあった。 + 彼はケルブに乗って飛び、風の翼に乗ってあらわれた。 + 彼はその周囲に幕屋として、やみと濃き雲と水の集まりとを置かれた。 + そのみ前の輝きから炭火が燃え出た。 + 主は天から雷をとどろかせ、いと高き者は声を出された。 + 彼はまた矢を放って彼らを散らし、いなずまを放って彼らを撃ち破られた。 + 主のとがめと、その鼻のいぶきとによって、海の底はあらわれ、世界の基が、あらわになった。 + 彼は高き所から手を伸べてわたしを捕え、大水の中からわたしを引き上げ、 + わたしの強い敵と、わたしを憎む者とからわたしを救われた。彼らはわたしにとって、あまりにも強かったからだ。 + 彼らはわたしの災の日にわたしに、たち向かった。しかし主はわたしの支柱となられた。 + 彼はまたわたしを広い所へ引きだされ、わたしを喜ばれて、救ってくださった。 + 主はわたしの義にしたがってわたしに報い、わたしの手の清きにしたがってわたしに報いかえされた。 + それは、わたしが主の道を守り、悪を行わず、わが神から離れたことがないからである。 + そのすべてのおきてはわたしの前にあって、わたしはその、み定めを離れたことがない。 + わたしは主の前に欠けた所なく、自らを守って罪を犯さなかった。 + それゆえ、主はわたしの義にしたがい、その目のまえにわたしの清きにしたがって、わたしに報いられた。 + 忠実な者には、あなたは忠実な者となり、欠けた所のない人には、あなたは欠けた所のない者となり、 + 清い者には、あなたは清い者となり、まがった者には、かたいぢな者となられる。 + あなたはへりくだる民を救われる、しかしあなたの目は高ぶる者を見てこれをひくくせられる。 + まことに、主よ、あなたはわたしのともし火、わが神はわたしのやみを照される。 + まことに、あなたによってわたしは敵軍をふみ滅ぼし、わが神によって石がきをとび越えることができる。 + この神こそ、その道は非のうちどころなく、主の約束は真実である。彼はすべて彼に寄り頼む者の盾である。 + 主のほかに、だれが神か、われらの神のほか、だれが岩であるか。 + この神こそわたしの堅固な避け所であり、わたしの道を安全にされた。 + わたしの足をめじかの足のようにして、わたしを高い所に安全に立たせ、 + わたしの手を戦いに慣らされたので、わたしの腕は青銅の弓を引くことができる。 + あなたはその救の盾をわたしに与え、あなたの助けは、わたしを大いなる者とされた。 + あなたはわたしが歩く広い場所を与えられたので、わたしの足はすべらなかった。 + わたしは敵を追って、これを滅ぼし、これを絶やすまでは帰らなかった。 + わたしは彼らを絶やし、彼らを砕いたので彼らは立つことができず、わたしの足もとに倒れた。 + あなたは戦いのために、わたしに力を帯びさせわたしを攻める者をわたしの下にかがませられた。 + あなたによって、敵はそのうしろをわたしに向けたので、わたしを憎む者をわたしは滅ぼした。 + 彼らは見まわしたが、救う者はいなかった。彼らは主に叫んだが、彼らには答えられなかった。 + わたしは彼らを地のちりのように細かに打ちくだき、ちまたのどろのように、踏みにじった。 + あなたはわたしを国々の民との争いから救い出し、わたしをもろもろの国民のかしらとされた。わたしの知らなかった民がわたしに仕えた。 + 異国の人たちはきてわたしにこび、わたしの事を聞くとすぐわたしに従った。 + 異国の人たちは、うちしおれてその城からふるえながら出てきた。 + 主は生きておられる。わが岩はほむべきかな。わが神、わが救の岩はあがむべきかな。 + この神はわたしのために、あだを報い、もろもろの民をわたしの下に置かれた。 + またわたしを敵から救い出し、あだの上にわたしをあげ、暴虐の人々からわたしを救い出された。 + それゆえ、主よ、わたしはもろもろの国民の中で、あなたをたたえ、あなたの、み名をほめ歌うであろう。 + 主はその王に大いなる勝利を与え、油を注がれた者に、ダビデとその子孫とに、とこしえに、いつくしみを施される」。 + + + これはダビデの最後の言葉である。エッサイの子ダビデの託宣、すなわち高く挙げられた人、ヤコブの神に油を注がれた人、イスラエルの良き歌びとの託宣。 + 「主の霊はわたしによって語る、その言葉はわたしの舌の上にある。 + イスラエルの神は語られた、イスラエルの岩はわたしに言われた、『人を正しく治める者、神を恐れて、治める者は、 + 朝の光のように、雲のない朝に、輝きでる太陽のように、地に若草を芽ばえさせる雨のように人に臨む』。 + まことに、わが家はそのように、神と共にあるではないか。それは、神が、よろず備わって確かなとこしえの契約をわたしと結ばれたからだ。どうして彼はわたしの救と願いを、皆なしとげられぬことがあろうか。 + しかし、よこしまな人は、いばらのようで、手をもって取ることができないゆえ、みな共に捨てられるであろう。 + これに触れようとする人は鉄や、やりの柄をもって武装する、彼らはことごとく火で焼かれるであろう」。 + ダビデの勇士たちの名は次のとおりである。タクモンびとヨセブ・バッセベテはかの三人のうちの長であったが、彼はいちじに八百人に向かって、やりをふるい、それを殺した。 + 彼の次はアホアびとドドの子エレアザルであって、三勇士のひとりである。彼は、戦おうとしてそこに集まったペリシテびとに向かって戦いをいどみ、イスラエルの人々が退いた時、ダビデと共にいたが、 + 立ってペリシテびとを撃ち、ついに手が疲れ、手がつるぎに着いて離れないほどになった。その日、主は大いなる勝利を与えられた。民は彼のあとに帰ってきて、ただ殺された者をはぎ取るばかりであった。 + 彼の次はハラルびとアゲの子シャンマであった。ある時、ペリシテびとはレヒに集まった。そこに一面にレンズ豆を作った地所があった。民はペリシテびとの前から逃げたが、 + 彼はその地所の中に立って、これを防ぎ、ペリシテびとを殺した。そして主は大いなる救を与えられた。 + 三十人の長たちのうちの三人は下って行って刈入れのころに、アドラムのほら穴にいるダビデのもとにきた。時にペリシテびとの一隊はレパイムの谷に陣を取っていた。 + その時ダビデは要害におり、ペリシテびとの先陣はベツレヘムにあったが、 + ダビデは、せつに望んで、「だれかベツレヘムの門のかたわらにある井戸の水をわたしに飲ませてくれるとよいのだが」と言った。 + そこでその三人の勇士たちはペリシテびとの陣を突き通って、ベツレヘムの門のかたわらにある井戸の水を汲み取って、ダビデのもとに携えてきた。しかしダビデはそれを飲もうとはせず、主の前にそれを注いで、 + 言った、「主よ、わたしは断じて飲むことをいたしません。いのちをかけて行った人々の血を、どうしてわたしは飲むことができましょう」。こうして彼はそれを飲もうとはしなかった。三勇士はこれらのことを行った。 + ゼルヤの子ヨアブの兄弟アビシャイは三十人の長であった。彼は三百人に向かって、やりをふるい、それを殺した。そして、彼は三人と共に名を得た。 + 彼は三十人のうち最も尊ばれた者で、彼らの長となった。しかし、かの三人には及ばなかった。 + エホヤダの子ベナヤはカブジエル出身の勇士であって、多くのてがらを立てた。彼はモアブのアリエルのふたりの子を撃ち殺した。彼はまた雪の日に下っていって、穴の中でししを撃ち殺した。 + 彼はまた姿のうるわしいエジプトびとを撃ち殺した。そのエジプトびとは手にやりを持っていたが、ベナヤはつえをとってその所に下っていき、エジプトびとの手からやりをもぎとって、そのやりをもって殺した。 + エホヤダの子ベナヤはこれらの事をして三勇士と共に名を得た。 + 彼は三十人のうちに有名であったが、かの三人には及ばなかった。ダビデは彼を侍衛の長とした。 + 三十人のうちにあったのは、ヨアブの兄弟アサヘル。ベツレヘム出身のドドの子エルハナン。 + ハロデ出身のシャンマ。ハロデ出身のエリカ。 + パルテびとヘレヅ。テコア出身のイッケシの子イラ。 + アナトテ出身のアビエゼル。ホシャびとメブンナイ。 + アホアびとザルモン。ネトパ出身のマハライ。 + ネトパ出身のバアナの子ヘレブ。ベニヤミンびとのギベアから出たリバイの子イッタイ。 + ピラトンのベナヤ。ガアシの谷出身のヒダイ。 + アルバテびとアビアルボン。バホリム出身のアズマウテ。 + シャルボン出身のエリヤバ。ヤセンの子たち。ヨナタン。 + ハラルびとシャンマ。ハラルびとシャラルの子アヒアム。 + マアカ出身のアハスバイの子エリペレテ。ギロ出身のアヒトペルの子エリアム。 + カルメル出身のヘヅロ。アルバびとパアライ。 + ゾバ出身のナタンの子イガル。ガドびとバニ。 + アンモンびとゼレク。ゼルヤの子ヨアブの武器を執る者、ベエロテ出身のナハライ。 + イテルびとイラ。イテルびとガレブ。 + ヘテびとウリヤ。合わせて三十七人である。 + + + 主は再びイスラエルに向かって怒りを発し、ダビデを感動して彼らに逆らわせ、「行ってイスラエルとユダとを数えよ」と言われた。 + そこで王はヨアブおよびヨアブと共にいる軍の長たちに言った、「イスラエルのすべての部族のうちを、ダンからベエルシバまで行き巡って民を数え、わたしに民の数を知らせなさい」。 + ヨアブは王に言った、「どうぞあなたの神、主が、民を今よりも百倍に増してくださいますように。そして王、わが主がまのあたり、それを見られますように。しかし王、わが主は何ゆえにこの事を喜ばれるのですか」。 + しかし王の言葉がヨアブと軍の長たちとに勝ったので、ヨアブと軍の長たちとは王の前を退き、イスラエルの民を数えるために出て行った。 + 彼らはヨルダンを渡り、アロエルから、すなわち谷の中にある町から始めて、ガドに向かい、ヤゼルに進んだ。 + それからギレアデに行き、またヘテびとの地にあるカデシに行き、それからダンに至り、ダンからシドンにまわり、 + またツロの要害に行き、ヒビびと、およびカナンびとのすべての町に行き、ユダのネゲブに出てベエルシバへ行った。 + こうして彼らは国をあまねく行き巡って、九か月と二十日を経てエルサレムにきた。 + そしてヨアブは民の総数を王に告げた。すなわちイスラエルには、つるぎを抜く勇士たちが八十万あった。ただしユダの人々は五十万であった。 + しかしダビデは民を数えた後、心に責められた。そこでダビデは主に言った、「わたしはこれをおこなって大きな罪を犯しました。しかし主よ、今どうぞしもべの罪を取り去ってください。わたしはひじょうに愚かなことをいたしました」。 + ダビデが朝起きたとき、主の言葉はダビデの先見者である預言者ガデに臨んで言った、 + 「行ってダビデに言いなさい、『主はこう仰せられる、「わたしは三つのことを示す。あなたはその一つを選ぶがよい。わたしはそれをあなたに行うであろう」と』」。 + ガデはダビデのもとにきて、彼に言った、「あなたの国に三年のききんをこさせようか。あなたが敵に追われて三か月敵の前に逃げるようにしようか。それとも、あなたの国に三日の疫病をおくろうか。あなたは考えて、わたしがどの答を、わたしをつかわされた方になすべきかを決めなさい」。 + ダビデはガデに言った、「わたしはひじょうに悩んでいますが、主のあわれみは大きいゆえ、われわれを主の手に陥らせてください。わたしを人の手には陥らせないでください」。 + そこで主は朝から定めの時まで疫病をイスラエルに下された。ダンからベエルシバまでに民の死んだ者は七万人あった。 + 天の使が手をエルサレムに伸べてこれを滅ぼそうとしたが、主はこの害悪を悔い、民を滅ぼしている天の使に言われた、「もはや、じゅうぶんである。今あなたの手をとどめるがよい」。その時、主の使はエブスびとアラウナの打ち場のかたわらにいた。 + ダビデは民を撃っている天の使を見た時、主に言った、「わたしは罪を犯しました。わたしは悪を行いました。しかしこれらの羊たちは何をしたのですか。どうぞあなたの手をわたしとわたしの父の家に向けてください」。 + その日ガデはダビデのところにきて彼に言った、「上って行ってエブスびとアラウナの打ち場で主に祭壇を建てなさい」。 + ダビデはガデの言葉に従い、主の命じられたように上って行った。 + アラウナは見おろして、王とそのしもべたちが自分の方に進んでくるのを見たので、アラウナは出てきて王の前に地にひれ伏して拝した。 + そしてアラウナは言った、「どうして王わが主は、しもべの所にこられましたか」。ダビデは言った、「あなたから打ち場を買い取り、主に祭壇を築いて民に下る災をとどめるためです」。 + アラウナはダビデに言った、「どうぞ王、わが主のよいと思われる物を取ってささげてください。燔祭にする牛もあります。たきぎにする打穀機も牛のくびきもあります。 + 王よ、アラウナはこれをことごとく王にささげます」。アラウナはまた王に、「あなたの神、主があなたを受けいれられますように」と言った。 + しかし王はアラウナに言った、「いいえ、代価を支払ってそれをあなたから買い取ります。わたしは費用をかけずに燔祭をわたしの神、主にささげることはしません」。こうしてダビデは銀五十シケルで打ち場と牛とを買い取った。 + ダビデはその所で主に祭壇を築き、燔祭と酬恩祭をささげた。そこで主はその地のために祈を聞かれたので、災がイスラエルに下ることはとどまった。 + +
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+ + ダビデ王は年がすすんで老い、夜着を着せても暖まらなかったので、 + その家来たちは彼に言った、「王わが主のために、ひとりの若いおとめを捜し求めて王にはべらせ、王の付添いとし、あなたのふところに寝て、王わが主を暖めさせましょう」。 + そして彼らはあまねくイスラエルの領土に美しいおとめを捜し求めて、シュナミびとアビシャグを得、王のもとに連れてきた。 + おとめは非常に美しく、王の付添いとなって王に仕えたが、王は彼女を知ることがなかった。 + さてハギテの子アドニヤは高ぶって、「わたしは王となろう」と言い、自分のために戦車と騎兵および自分の前に駆ける者五十人を備えた。 + 彼の父は彼が生れてこのかた一度も「なぜ、そのような事をするのか」と言って彼をたしなめたことがなかった。アドニヤもまた非常に姿の良い人であって、アブサロムの次に生れた者である。 + 彼がゼルヤの子ヨアブと祭司アビヤタルとに相談したので、彼らはアドニヤに従って彼を助けた。 + しかし祭司ザドクと、エホヤダの子ベナヤと、預言者ナタンおよびシメイとレイ、ならびにダビデの勇士たちはアドニヤに従わなかった。 + アドニヤはエンロゲルのほとりにある「へびの石」のかたわらで、羊と牛と肥えた家畜をほふって、王の子である自分の兄弟たち、および王の家来であるユダの人々をことごとく招いた。 + しかし預言者ナタンと、ベナヤと、勇士たちと、自分の兄弟ソロモンとは招かなかった。 + 時にナタンはソロモンの母バテシバに言った、「ハギテの子アドニヤが王となったのをお聞きになりませんでしたか。われわれの主ダビデはそれをごぞんじないのです。 + それでいま、あなたに計りごとを授けて、あなたの命と、あなたの子ソロモンの命を救うようにいたしましょう。 + あなたはすぐダビデ王のところへ行って、『王わが主よ、あなたは、はしために誓って、おまえの子ソロモンが、わたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろうと言われたではありませんか。そうであるのに、どうしてアドニヤが王となったのですか』と言いなさい。 + あなたがなお王と話しておられる間に、わたしもまた、あなたのあとから、はいって行って、あなたの言葉を確認しましょう」。 + そこでバテシバは寝室にはいって王の所へ行った。(王は非常に老いて、シュナミびとアビシャグが王に仕えていた)。 + バテシバは身をかがめて王を拝した。王は言った、「何の用か」。 + 彼女は王に言った、「わが主よ、あなたは、あなたの神、主をさして、はしために誓い、『おまえの子ソロモンがわたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろう』と言われました。 + そうであるのに、ごらんなさい、今アドニヤが王となりました。王わが主よ、あなたはそれをごぞんじないのです。 + 彼は牛と肥えた家畜と羊をたくさんほふって、王の子たち、および祭司アビヤタルと、軍の長ヨアブを招きましたが、あなたのしもべソロモンは招きませんでした。 + 王わが主よ、イスラエルのすべての目はあなたに注がれ、だれがあなたに次いで、王わが主の位に座すべきかを告げられるのを望んでいます。 + 王わが主が先祖と共に眠られるとき、わたしと、わたしの子ソロモンは謀叛人とみなされるでしょう」。 + バテシバがなお王と話しているうちに、預言者ナタンがはいってきた。 + 人々は王に告げて、「預言者ナタンがここにおります」と言った。彼は王の前にはいり、地に伏して王を拝した。 + そしてナタンは言った、「王わが主よ、あなたは、『アドニヤがわたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろう』と仰せられましたか。 + 彼はきょう下っていって、牛と、肥えた家畜と羊をたくさんほふって、王の子たちと、軍の長ヨアブと、祭司アビヤタルを招きました。彼らはアドニヤの前で食い飲みして、『アドニヤ万歳』と言いました。 + しかし、あなたのしもべであるわたしと、祭司ザドクと、エホヤダの子ベナヤと、あなたのしもべソロモンを招きませんでした。 + この事は王わが主がさせられた事ですか。あなたはしもべたちに、だれがあなたに次いで王わが主の位に座すべきかを告げられませんでした」。 + ダビデ王は答えて言った、「バテシバをわたしのところに呼びなさい」。彼女は王の前にはいってきて、王の前に立った。 + すると王は誓って言った、「わたしの命をすべての苦難から救われた主は生きておられる。 + わたしがイスラエルの神、主をさしてあなたに誓い、『あなたの子ソロモンがわたしに次いで王となり、わたしに代って、わたしの位に座するであろう』と言ったように、わたしはきょう、そのようにしよう」。 + そこでバテシバは身をかがめ、地に伏して王を拝し、「わが主ダビデ王が、とこしえに生きながらえられますように」と言った。 + ダビデは言った、「祭司ザドクと、預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤをわたしの所に呼びなさい」。やがて彼らは王の前にきた。 + 王は彼らに言った、「あなたがたの主君の家来たちを連れ、わが子ソロモンをわたしの騾馬に乗せ、彼を導いてギホンに下り、 + その所で祭司ザドクと預言者ナタンは彼に油を注いでイスラエルの王としなさい。そしてラッパを吹いて、『ソロモン王万歳』と言いなさい。 + それから、あなたがたは彼に従って上ってきなさい。彼はきて、わたしの位に座し、わたしに代って王となるであろう。わたしは彼を立ててイスラエルとユダの上に主君とする」。 + エホヤダの子ベナヤは王に答えて言った、「アァメン、願わくは、王わが主君の神、主もまたそう仰せられますように。 + 願わくは、主が王わが主君と共におられたように、ソロモンと共におられて、その位をわが主君ダビデ王の位よりも大きくせられますように」。 + そこで祭司ザドクと預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとは下って行って、ソロモンをダビデ王の騾馬に乗せ、彼をギホンに導いて行った。 + 祭司ザドクは幕屋から油の角を取ってきて、ソロモンに油を注いだ。そしてラッパを吹き鳴らし、民は皆「ソロモン王万歳」と言った。 + 民はみな彼に従って上り、笛を吹いて大いに喜び祝った。地は彼らの声で裂けるばかりであった。 + アドニヤおよび彼と共にいた客たちは皆食事を終ったとき、これを聞いた。ヨアブはラッパの音を聞いて言った、「町の中のあの騒ぎは何か」。 + 彼の言葉のなお終らないうちに、そこへ祭司アビヤタルの子ヨナタンがきたので、アドニヤは彼に言った、「はいりなさい。あなたは勇敢な人で、よい知らせを持ってきたのでしょう」。 + ヨナタンは答えてアドニヤに言った、「いいえ、主君ダビデ王はソロモンを王とせられました。 + 王は祭司ザドクと預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとをソロモンと共につかわされたので、彼らはソロモンを王の騾馬に乗せて行き、 + 祭司ザドクと預言者ナタンはギホンで彼に油を注いで王としました。そして彼らがそこから喜んで上って来るので、町が騒がしいのです。あなたが聞いた声はそれなのです。 + こうしてソロモンは王の位に座し、 + かつ王の家来たちがきて、主君ダビデ王に祝いを述べて、『願わくは、あなたの神がソロモンの名をあなたの名よりも高くし、彼の位をあなたの位よりも大きくされますように』と言いました。そして王は床の上で拝されました。 + 王はまたこう言われました、『イスラエルの神、主はほむべきかな。主はきょう、わたしの位に座するひとりの子を与えて、これをわたしに見せてくださった』と」。 + その時アドニヤと共にいた客はみな驚き、立っておのおの自分の道に去って行った。 + そしてアドニヤはソロモンを恐れ、立って行って祭壇の角をつかんだ。 + ある人がこれをソロモンに告げて言った、「アドニヤはソロモンを恐れ、今彼は祭壇の角をつかんで、『どうぞ、ソロモン王がきょう、つるぎをもってしもべを殺さないとわたしに誓ってくださるように』と言っています」。 + ソロモンは言った、「もし彼がよい人となるならば、その髪の毛ひとすじも地に落ちることはなかろう。しかし彼のうちに悪のあることがわかるならば、彼は死ななければならない」。 + ソロモンは人をつかわして彼を祭壇からつれて下らせた。彼がきてソロモンを拝したので、ソロモンは彼に「家に帰りなさい」と言った。 + + + ダビデの死ぬ日が近づいたので、彼はその子ソロモンに命じて言った、 + 「わたしは世のすべての人の行く道を行こうとしている。あなたは強く、男らしくなければならない。 + あなたの神、主のさとしを守り、その道に歩み、その定めと戒めと、おきてとあかしとを、モーセの律法にしるされているとおりに守らなければならない。そうすれば、あなたがするすべての事と、あなたの向かうすべての所で、あなたは栄えるであろう。 + また主がさきにわたしについて語って『もしおまえの子たちが、その道を慎み、心をつくし、精神をつくして真実をもって、わたしの前に歩むならば、おまえに次いでイスラエルの位にのぼる人が、欠けることはなかろう』と言われた言葉を確実にされるであろう。 + またあなたはゼルヤの子ヨアブがわたしにした事、すなわち彼がイスラエルのふたりの軍の長ネルの子アブネルと、エテルの子アマサにした事を知っている。彼はこのふたりを殺して、戦争で流した地を太平の時に報い、罪のない者の血をわたしの腰のまわりの帯と、わたしの足のくつにつけた。 + それゆえ、あなたの知恵にしたがって事を行い、彼のしらがを安らかに陰府に下らせてはならない。 + ただしギレアデびとバルジライの子らには恵みを施し、彼らをあなたの食卓で食事する人々のうちに加えなさい。彼らはわたしがあなたの兄弟アブサロムを避けて逃げた時、わたしを迎えてくれたからである。 + またバホリムのベニヤミンびとゲラの子シメイがあなたと共にいる。彼はわたしがマハナイムへ行った時、激しいのろいの言葉をもってわたしをのろった。しかし彼がヨルダンへ下ってきて、わたしを迎えたので、わたしは主をさして彼に誓い、『わたしはつるぎをもってあなたを殺さない』と言った。 + しかし彼を罪のない者としてはならない。あなたは知恵のある人であるから、彼になすべき事を知っている。あなたは彼のしらがを血に染めて陰府に下らせなければならない」。 + ダビデはその先祖と共に眠って、ダビデの町に葬られた。 + ダビデがイスラエルを治めた日数は四十年であった。すなわちヘブロンで七年、エルサレムで三十三年、王であった。 + このようにしてソロモンは父ダビデの位に座し、国は堅く定まった。 + さて、ハギテの子アドニヤがソロモンの母バテシバのところへきたので、バテシバは言った、「あなたは穏やかな事のためにきたのですか」。彼は言った、「穏やかな事のためです」。 + 彼はまた言った、「あなたに申しあげる事があります」。バテシバは言った、「言いなさい」。 + 彼は言った、「ごぞんじのように、国はわたしのもので、イスラエルの人は皆わたしが王になるものと期待していました。しかし国は転じて、わたしの兄弟のものとなりました。彼のものとなったのは、主から出たことです。 + 今わたしはあなたに一つのお願いがあります。断らないでください」。バテシバは彼に言った、「言いなさい」。 + 彼は言った、「どうかソロモン王に請うて、――王はあなたに断るようなことはないでしょうから――シュナミびとアビシャグをわたしに与えて妻にさせてください」。 + バテシバは言った、「よろしい。わたしはあなたのために王に話しましょう」。 + バテシバはアドニヤのためにソロモン王に話すため、王のもとへ行った。王は立って迎え、彼女を拝して王座に着き、王母のために座を設けさせたので、彼女は王の右に座した。 + そこでバテシバは言った、「あなたに一つの小さいお願いがあります。お断りにならないでください」。王は彼女に言った、「母上よ、あなたの願いを言ってください。わたしは断らないでしょう」。 + 彼女は言った、「どうぞ、シュナミびとアビシャグをあなたの兄弟アドニヤに与えて、妻にさせてください」。 + ソロモン王は答えて母に言った、「どうしてアドニヤのためにシュナミびとアビシャグを求められるのですか。彼のためには国をも求めなさい。彼はわたしの兄で、彼の味方には祭司アビヤタルとゼルヤの子ヨアブがいるのですから」。 + そしてソロモン王は主をさして誓って言った、「もしアドニヤがこの言葉によって自分の命を失うのでなければ、どんなにでもわたしを罰してください。 + わたしを立てて、父ダビデの位にのぼらせ、主が約束されたように、わたしに一家を与えてくださった主は生きておられる。アドニヤはきょう殺されなければならない」。 + ソロモン王はエホヤダの子ベナヤをつかわしたので、彼はアドニヤを撃って殺した。 + 王はまた祭司アビヤタルに言った、「あなたの領地アナトテへ行きなさい。あなたは死に当る者ですが、さきにわたしの父ダビデの前に神、主の箱をかつぎ、またすべてわたしの父が受けた苦しみを、あなたも共に苦しんだので、わたしは、きょうは、あなたを殺しません」。 + そしてソロモンはアビヤタルを主の祭司職から追放した。こうして主がシロでエリの家について言われた主の言葉が成就した。 + さてこの知らせがヨアブに達したので、ヨアブは主の幕屋にのがれて、祭壇の角をつかんだ。ヨアブはアブサロムを支持しなかったけれども、アドニヤを支持したからである。 + ヨアブが主の幕屋にのがれて、祭壇のかたわらにいることを、ソロモン王に告げる者があったので、ソロモン王はエホヤダの子ベナヤをつかわし、「行って彼を撃て」と言った。 + ベナヤは主の幕屋へ行って彼に言った、「王はあなたに、出て来るようにと申されます」。しかし彼は言った、「いや、わたしはここで死にます」。ベナヤは王に復命して言った、「ヨアブはこう申しました。またわたしにこう答えました」。 + そこで王はベナヤに言った、「彼が言うようにし、彼を撃ち殺して葬り、ヨアブがゆえなく流した血のとがをわたしと、わたしの父の家から除き去りなさい。 + 主はまたヨアブが血を流した行為を、彼自身のこうべに報いられるであろう。これは彼が自分よりも正しいすぐれたふたりの人、すなわちイスラエルの軍の長ネルの子アブネルと、ユダの軍の長エテルの子アマサを、つるぎをもって撃ち殺し、わたしの父ダビデのあずかり知らない事をしたからである。 + それゆえ、彼らの血は永遠にヨアブのこうべと、その子孫のこうべに帰すであろう。しかしダビデと、その子孫と、その家と、その位とには、主から賜わる平安が永久にあるであろう」。 + そこでエホヤダの子ベナヤは上っていって、彼を撃ち殺した。彼は荒野にある自分の家に葬られた。 + 王はエホヤダの子ベナヤを、ヨアブに代って軍の長とした。王はまた祭司ザドクをアビヤタルに代らせた。 + また王は人をつかわし、シメイを召して言った、「あなたはエルサレムのうちに、自分のために家を建てて、そこに住み、そこからどこへも出てはならない。 + あなたが出て、キデロン川を渡る日には必ず殺されることを、しかと知らなければならない。あなたの血はあなたのこうべに帰すであろう」。 + シメイは王に言った、「お言葉は結構です。王、わが主の仰せられるとおりに、しもべはいたしましょう」。こうしてシメイは久しくエルサレムに住んだ。 + ところが三年の後、シメイのふたりの奴隷が、ガテの王マアカの子アキシのところへ逃げ去った。人々がシメイに告げて、「ごらんなさい、あなたの奴隷はガテにいます」と言ったので、 + シメイは立って、ろばにくらを置き、ガテのアキシのところへ行って、その奴隷を尋ねた。すなわちシメイは行ってその奴隷をガテから連れてきたが、 + シメイがエルサレムからガテへ行って帰ったことがソロモン王に聞えたので、 + 王は人をつかわし、シメイを召して言った、「わたしはあなたに主をさして誓わせ、かつおごそかにあなたを戒めて、『あなたが出て、どこかへ行く日には、必ず殺されることを、しかと知らなければならない』と言ったではないか。そしてあなたは、わたしに『お言葉は結構です。従います』と言った。 + ところで、あなたはなぜ主に対する誓いと、わたしが命じた命令を守らなかったのか」。 + 王はまたシメイに言った、「あなたは自分の心に、あなたがわたしの父ダビデにしたもろもろの悪を知っている。主はあなたの悪をあなたのこうべに報いられるであろう。 + しかしソロモン王は祝福をうけ、ダビデの位は永久に主の前に堅く立つであろう」。 + 王がエホヤダの子ベナヤに命じたので、彼は出ていってシメイを撃ち殺した。こうして国はソロモンの手に堅く立った。 + + + ソロモン王はエジプトの王パロと縁を結び、パロの娘をめとってダビデの町に連れてきて、自分の家と、主の宮と、エルサレムの周囲の城壁を建て終るまでそこにおらせた。 + そのころまで主の名のために建てた宮がなかったので、民は高き所で犠牲をささげていた。 + ソロモンは主を愛し、父ダビデの定めに歩んだが、ただ彼は高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + ある日、王はギベオンへ行って、そこで犠牲をささげようとした。それが主要な高き所であったからである。ソロモンは一千の燔祭をその祭壇にささげた。 + ギベオンで主は夜の夢にソロモンに現れて言われた、「あなたに何を与えようか、求めなさい」。 + ソロモンは言った、「あなたのしもべであるわたしの父ダビデがあなたに対して誠実と公義と真心とをもって、あなたの前に歩んだので、あなたは大いなるいつくしみを彼に示されました。またあなたは彼のために、この大いなるいつくしみをたくわえて、今日、彼の位に座する子を授けられました。 + わが神、主よ、あなたはこのしもべを、わたしの父ダビデに代って王とならせられました。しかし、わたしは小さい子供であって、出入りすることを知りません。 + かつ、しもべはあなたが選ばれた、あなたの民、すなわちその数が多くて、数えることも、調べることもできないほどのおびただしい民の中におります。 + それゆえ、聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」。 + ソロモンはこの事を求めたので、そのことが主のみこころにかなった。 + そこで神は彼に言われた、「あなたはこの事を求めて、自分のために長命を求めず、また自分のために富を求めず、また自分の敵の命をも求めず、ただ訴えをききわける知恵を求めたゆえに、 + 見よ、わたしはあなたの言葉にしたがって、賢い、英明な心を与える。あなたの先にはあなたに並ぶ者がなく、あなたの後にもあなたに並ぶ者は起らないであろう。 + わたしはまたあなたの求めないもの、すなわち富と誉をもあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちのうちにあなたに並ぶ者はないであろう。 + もしあなたが、あなたの父ダビデの歩んだように、わたしの道に歩んで、わたしの定めと命令とを守るならば、わたしはあなたの日を長くするであろう」。 + ソロモンが目をさましてみると、それは夢であった。そこで彼はエルサレムへ行き、主の契約の箱の前に立って燔祭と酬恩祭をささげ、すべての家来のために祝宴を設けた。 + さて、ふたりの遊女が王のところにきて、王の前に立った。 + ひとりの女は言った、「ああ、わが主よ、この女とわたしとはひとつの家に住んでいますが、わたしはこの女と一緒に家にいる時、子を産みました。 + ところがわたしの産んだ後、三日目にこの女もまた子を産みました。そしてわたしたちは一緒にいましたが、家にはほかにだれもわたしたちと共にいた者はなく、ただわたしたちふたりだけでした。 + ところがこの女は自分の子の上に伏したので、夜のうちにその子は死にました。 + 彼女は夜中に起きて、はしための眠っている間に、わたしの子をわたしのかたわらから取って、自分のふところに寝かせ、自分の死んだ子をわたしのふところに寝かせました。 + わたしは朝、子に乳を飲ませようとして起きて見ると死んでいました。しかし朝になってよく見ると、それはわたしが産んだ子ではありませんでした」。 + ほかの女は言った、「いいえ、生きているのがわたしの子です。死んだのはあなたの子です」。初めの女は言った、「いいえ、死んだのがあなたの子です。生きているのはわたしの子です」。彼らはこのように王の前に言い合った。 + この時、王は言った、「ひとりは『この生きているのがわたしの子で、死んだのがあなたの子だ』と言い、またひとりは『いいえ、死んだのがあなたの子で、生きているのはわたしの子だ』と言う」。 + そこで王は「刀を持ってきなさい」と言ったので、刀を王の前に持ってきた。 + 王は言った、「生きている子を二つに分けて、半分をこちらに、半分をあちらに与えよ」。 + すると生きている子の母である女は、その子のために心がやけるようになって、王に言った、「ああ、わが主よ、生きている子を彼女に与えてください。決してそれを殺さないでください」。しかしほかのひとりは言った、「それをわたしのものにも、あなたのものにもしないで、分けてください」。 + すると王は答えて言った、「生きている子を初めの女に与えよ。決して殺してはならない。彼女はその母なのだ」。 + イスラエルは皆王が与えた判決を聞いて王を恐れた。神の知恵が彼のうちにあって、さばきをするのを見たからである。 + + + ソロモン王はイスラエルの全地の王であった。 + 彼の高官たちは次のとおりである。ザドクの子アザリヤは祭司。 + シシャの子エリホレフとアヒヤは書記官。アヒルデの子ヨシャバテは史官。 + エホヤダの子ベナヤは軍の長。ザドクとアビヤタルは祭司。 + ナタンの子アザリヤは代官の長。ナタンの子ザブデは祭司で、王の友であった。 + アヒシャルは宮内卿。アブダの子アドニラムは徴募の長であった。 + ソロモンはまたイスラエルの全地に十二人の代官を置いた。その人々は王とその家のために食物を備えた。すなわちおのおの一年に一月ずつ食物を備えるのであった。 + その名は次のとおりである。エフライムの山地にはベンホル。 + マカヅと、シャラビムと、ベテシメシと、エロン・ベテハナンにはベンデケル。 + アルボテにはベンヘセデ、(彼はソコとヘペルの全地を担当した)。 + ドルの高地の全部にはベン・アビナダブ、(彼はソロモンの娘タパテを妻とした)。 + アヒルデの子バアナはタアナクとメギドと、エズレルの下、ザレタンのかたわらにあるベテシャンの全地を担当して、ベテシャンからアベル・メホラに至り、ヨクメアムの向こうにまで及んだ。 + ラモテ・ギレアデにはベンゲベル、(彼はギレアデにあるマナセの子ヤイルの村々を担当し、またバシャンにあるアルゴブの地方の城壁と青銅の貫の木のある大きな町六十を担当した)。 + マハナイムにはイドの子アヒナダブ。 + ナフタリにはアヒマアズ、(彼もソロモンの娘バスマテを妻にめとった)。 + アセルとベアロテにはホシャイの子バアナ。 + イッサカルにはパルアの子ヨシャパテ。 + ベニヤミンにはエラの子シメイ。 + アモリびとの王シホンの地およびバシャンの王オグの地なるギレアデの地にはウリの子ゲベル。彼はその地のただひとりの代官であった。 + ユダとイスラエルの人々は多くて、海べの砂のようであったが、彼らは飲み食いして楽しんだ。 + ソロモンはユフラテ川からペリシテびとの地と、エジプトの境に至るまでの諸国を治めたので、皆みつぎ物を携えてきて、ソロモンの一生のあいだ仕えた。 + さてソロモンの一日の食物は細かい麦粉三十コル、荒い麦粉六十コル、 + 肥えた牛十頭、牧場の牛二十頭、羊百頭で、そのほかに雄じか、かもしか、こじか、および肥えた鳥があった。 + これはソロモンがユフラテ川の西の地方をテフサからガザまで、ことごとく治めたからである。すなわち彼はユフラテ川の西の諸王をことごとく治め、周囲至る所に平安を得た。 + ソロモンの一生の間、ユダとイスラエルはダンからベエルシバに至るまで、安らかにおのおの自分たちのぶどうの木の下と、いちじくの木の下に住んだ。 + ソロモンはまた戦車の馬の、うまや四千と、騎兵一万二千を持っていた。 + そしてそれらの代官たちはおのおの当番の月にソロモン王のため、およびすべてソロモン王の食卓に連なる者のために、食物を備えて欠けることのないようにした。 + また彼らはおのおのその割当にしたがって馬および早馬に食わせる大麦とわらを、その馬のいる所に持ってきた。 + 神はソロモンに非常に多くの知恵と悟りを授け、また海べの砂原のように広い心を授けられた。 + ソロモンの知恵は東の人々の知恵とエジプトのすべての知恵にまさった。 + 彼はすべての人よりも賢く、エズラびとエタンよりも、またマホルの子ヘマン、カルコル、ダルダよりも賢く、その名声は周囲のすべての国々に聞えた。 + 彼はまた箴言三千を説いた。またその歌は一千五首あった。 + 彼はまた草木のことを論じてレバノンの香柏から石がきにはえるヒソプにまで及んだ。彼はまた獣と鳥と這うものと魚のことを論じた。 + 諸国の人々はソロモンの知恵を聞くためにきた。地の諸王はソロモンの知恵を聞いて人をつかわした。 + + + さてツロの王ヒラムは、ソロモンが油を注がれ、その父に代って、王となったのを聞いて、家来をソロモンにつかわした。ヒラムは常にダビデを愛したからである。 + そこでソロモンはヒラムに人をつかわして言った、 + 「あなたの知られるとおり、父ダビデはその周囲にあった敵との戦いのゆえに、彼の神、主の名のために宮を建てることができず、主が彼らをその足の裏の下に置かれるのを待ちました。 + ところが今わが神、主はわたしに四方の太平を賜わって、敵もなく、災もなくなったので、 + 主が父ダビデに『おまえに代って、おまえの位に、わたしがつかせるおまえの子、その人がわが名のために宮を建てるであろう』と言われたように、わが神、主の名のために宮を建てようと思います。 + それゆえ、あなたは命令を下して、レバノンの香柏をわたしのために切り出させてください。わたしのしもべたちをあなたのしもべたちと一緒に働かせます。またわたしはすべてあなたのおっしゃるとおり、あなたのしもべたちの賃銀をあなたに払います。あなたの知られるとおり、わたしたちのうちにはシドンびとのように木を切るに巧みな人がないからです」。 + ヒラムはソロモンの言葉を聞いて大いに喜び、「きょう、主はあがむべきかな。主はこのおびただしい民を治める賢い子をダビデに賜わった」と言った。 + そしてヒラムはソロモンに人をつかわして言った、「わたしはあなたが申しおくられたことを聞きました。香柏の材木と、いとすぎの材木については、すべてお望みのようにいたします。 + わたしのしもべどもにそれをレバノンから海に運びおろさせましょう。わたしはそれをいかだに組んで、海路、あなたの指示される場所まで送り、そこでそれをくずしましょう。あなたはそれを受け取ってください。また、あなたはわたしの家のために食物を供給して、わたしの望みをかなえてください」。 + こうしてヒラムはソロモンにすべて望みのように香柏の材木と、いとすぎの材木を与えた。 + またソロモンはヒラムにその家の食物として小麦二万コルを与え、またオリブをつぶして取った油二万コルを与えた。このようにソロモンは年々ヒラムに与えた。 + 主は約束されたようにソロモンに知恵を賜わった。またヒラムとソロモンの間は平和であって、彼らふたりは条約を結んだ。 + ソロモン王はイスラエルの全地から強制的に労働者を徴募した。その徴募人員は三万人であった。 + ソロモンは彼らを一か月交代に一万人ずつレバノンにつかわした。すなわち一か月レバノンに、二か月家にあり、アドニラムは徴募の監督であった。 + ソロモンにはまた荷を負う者が七万人、山で石を切る者が八万人あった。 + ほかにソロモンには工事を監督する上役の官吏が三千三百人あって、工事に働く民を監督した。 + 王は命じて大きい高価な石を切り出させ、切り石をもって宮の基をすえさせた。 + こうしてソロモンの建築者と、ヒラムの建築者およびゲバルびとは石を切り、材木と石とを宮を建てるために備えた。 + + + イスラエルの人々がエジプトの地を出て後四百八十年、ソロモンがイスラエルの王となって第四年のジフの月すなわち二月に、ソロモンは主のために宮を建てることを始めた。 + ソロモン王が主のために建てた宮は長さ六十キュビト、幅二十キュビト、高さ三十キュビトであった。 + 宮の拝殿の前の廊は宮の幅にしたがって長さ二十キュビト、その幅は宮の前で十キュビトであった。 + 彼は宮に、内側の広い枠の窓を造った。 + また宮の壁につけて周囲に脇屋を設け、宮の壁すなわち拝殿と本殿の壁の周囲に建てめぐらし、宮の周囲に脇間があるようにした。 + 下の脇間は広さ五キュビト、中の広さ六キュビト、第三のは広さ七キュビトであった。宮の外側には壁に段を造って、梁を宮の壁の中に差し込まないようにした。 + 宮は建てる時に、石切り場で切り整えた石をもって造ったので、建てている間は宮のうちには、つちも、おのも、その他の鉄器もその音が聞えなかった。 + 下の脇間の入口は宮の右側にあり、回り階段によって中の脇間に、中の脇間から第三の脇間にのぼった。 + こうして彼は宮を建て終り、香柏のたるきと板をもって宮の天井を造った。 + また宮につけて、おのおの高さ五キュビトの脇間のある脇屋を建てめぐらし、香柏の材木をもって宮に接続させた。 + そこで主の言葉がソロモンに臨んだ、 + 「あなたが建てるこの宮については、もしあなたがわたしの定めに歩み、おきてを行い、すべての戒めを守り、それに従って歩むならば、わたしはあなたの父ダビデに約束したことを成就する。 + そしてわたしはイスラエルの人々のうちに住み、わたしの民イスラエルを捨てることはない」。 + こうしてソロモンは宮を建て終った。 + 彼は香柏の板をもって宮の壁の内側を張った。すなわち宮の床から天井のたるきまで香柏の板で張った。また、いとすぎの板をもって宮の床を張った。 + また宮の奥に二十キュビトの室を床から天井のたるきまで香柏の板をもって造った。すなわち宮の内に至聖所としての本堂を造った。 + 宮すなわち本殿の前にある拝殿は長さ四十キュビトであった。 + 宮の内側の香柏の板は、ひさごの形と、咲いた花を浮彫りにしたもので、みな香柏の板で、石は見えなかった。 + そして主の契約の箱を置くために、宮の内の奥に本殿を設けた。 + 本殿は長さ二十キュビト、幅二十キュビト、高さ二十キュビトであって、純金でこれをおおった。また香柏の祭壇を造った。 + ソロモンは純金をもって宮の内側をおおい、本殿の前に金の鎖をもって隔てを造り、金をもってこれをおおった。 + また金をもって残らず宮をおおい、ついに宮を飾ることをことごとく終えた。また本殿に属する祭壇をことごとく金でおおった。 + 本殿のうちにオリブの木をもって二つのケルビムを造った。その高さはおのおの十キュビト。 + そのケルブの一つの翼の長さは五キュビト、またそのケルブの他の翼の長さも五キュビトであった。一つの翼の端から他の翼の端までは十キュビトあった。 + 他のケルブも十キュビトであって、二つのケルビムは同じ寸法、同じ形であった。 + このケルブの高さは十キュビト、かのケルブの高さも同じであった。 + ソロモンは宮のうちの奥にケルビムをすえた。ケルビムの翼を伸ばしたところ、このケルブの翼はこの壁に達し、かのケルブの翼はかの壁に達し、他の二つの翼は宮の中で互に触れ合った。 + 彼は金をもってそのケルビムをおおった。 + 彼は宮の周囲の壁に、内外の室とも皆ケルビムと、しゅろの木と、咲いた花の形の彫り物を刻み、 + 宮の床は、内外の室とも金でおおった。 + 本殿の入口にはオリブの木のとびらを造った。そのとびらの上のかまちと脇柱とで五辺形をなしていた。 + その二つのとびらもオリブの木であって、ソロモンはその上にケルビムと、しゅろの木と、咲いた花の形を刻み、金をもっておおった。すなわちケルビムと、しゅろの木の上に金を着せた。 + こうしてソロモンはまた拝殿の入口のためにオリブの木で四角の形に脇柱を造った。 + その二つのとびらはいとすぎであって、一つのとびらは二つにたたむ折り戸であり、他のとびらも二つにたたむ折り戸であった。 + ソロモンはその上にケルビムと、しゅろの木と、咲いた花を刻み、金をもって彫り物の上を形どおりにおおった。 + また切り石三かさねと、香柏の角材ひとかさねとをもって内庭を造った。 + 第四年のジフの月に主の宮の基をすえ、 + 第十一年のブルの月すなわち八月に、宮のすべての部分が設計どおりに完成した。ソロモンはこれを建てるのに七年を要した。 + + + またソロモンは自分の家を建てたが、十三年かかってその家を全部建て終った。 + 彼はレバノンの森の家を建てた。長さ百キュビト、幅五十キュビト、高さ三十キュビトで、三列の香柏の柱があり、その柱の上に香柏の梁があった。 + 四十五本の柱の上にある室は香柏の板でおおった。柱は各列十五本あった。 + また窓わくが三列あって、窓と窓と三段に向かい合っていた。 + 戸口と窓はみな四角の枠をもち、窓と窓と三段に向かい合った。 + また柱の広間を造った。長さ五十キュビト、幅三十キュビトであった。柱の前に一つの広間があり、その玄関に柱とひさしがあった。 + またソロモンはみずから審判をするために玉座の広間、すなわち審判の広間を造った。床からたるきまで香柏をもっておおった。 + ソロモンが住んだ宮殿はその広間のうしろの他の庭にあって、その造作は同じであった。ソロモンはまた彼がめとったパロの娘のために家を建てたが、その広間と同じであった。 + これらはみな内外とも、土台から軒まで、また主の宮の庭から大庭まで、寸法に合わせて切った石、すなわち、のこぎりでひいた高価な石で造られた。 + また土台は高価な石、大きな石、すなわち八キュビトの石、十キュビトの石であった。 + その上には寸法に合わせて切った高価な石と香柏とがあった。 + また大庭の周囲には三かさねの切り石と、一かさねの香柏の角材があった。主の宮の内庭と宮殿の広間の庭の場合と同じである。 + ソロモン王は人をつかわしてツロからヒラムを呼んできた。 + 彼はナフタリの部族の寡婦の子であって、その父はツロの人で、青銅の細工人であった。ヒラムは青銅のいろいろな細工をする知恵と悟りと知識に満ちた者であったが、ソロモン王のところにきて、そのすべての細工をした。 + 彼は青銅の柱二本を鋳た。一本の柱の高さは十八キュビト、そのまわりは綱をもって測ると十二キュビトあり、指四本の厚さで空洞であった。他の柱も同じである。 + また青銅を溶かして柱頭二つを造り、柱の頂にすえた。その一つの柱頭の高さは五キュビト、他の柱頭の高さも五キュビトであった。 + 柱の頂にある柱頭のために鎖に編んだ飾りひもで市松模様の網細工二つを造った。すなわちこの柱頭のために一つ、かの柱頭のために一つを造った。 + またざくろを造った。すなわち二並びのざくろを一つの網細工の上のまわりに造って、柱の頂にある柱頭を巻いた。他の柱頭にも同じようにした。 + この廊の柱の頂にある柱頭の上に四キュビトのゆりの花の細工があった。 + 二つの柱の上端の丸い突出部の上にある網細工の柱頭の周囲には、おのおの二百のざくろが二並びになっていた。 + この柱を神殿の廊に立てた。すなわち南に柱を立てて、その名をヤキンと名づけ、北に柱を立てて、その名をボアズと名づけた。 + その柱の頂にはゆりの花の細工があった。こうしてその柱の造作ができあがった。 + また海を鋳て造った。縁から縁まで十キュビトであって、周囲は円形をなし、高さ五キュビトで、その周囲は綱をもって測ると三十キュビトであった。 + その縁の下には三十キュビトの周囲をめぐるひさごがあって、海の周囲を囲んでいた。そのひさごは二並びで、海を鋳る時に鋳たものである。 + その海は十二の牛の上に置かれ、その三つは北に向かい、三つは西に向かい、三つは南に向かい、三つは東に向かっていた。海はその上に置かれ、牛のうしろは皆内に向かっていた。 + 海の厚さは手の幅で、その縁は杯の縁のように、ゆりの花に似せて造られた。海には水が二千バテはいった。 + また青銅の台を十個造った。台は長さ四キュビト、幅四キュビト、高さ三キュビトであった。 + その台の構造は次のとおりである。台には鏡板があり、鏡板は枠の中にあった。 + 枠の中にある鏡板には、ししと牛とケルビムとがあり、また、ししと牛の上と下にある枠の斜面には花飾りが細工してあった。 + また台にはおのおの四つの青銅の車輪と、青銅の車軸があり、その四すみには洗盤のささえがあった。そのささえは、おのおの花飾りのかたわらに鋳て造りつけてあった。 + その口は一キュビト上に突き出て、台の頂の内にあり、その口は丸く、台座のように造られ、深さ一キュビト半であった。またその口には彫り物があった。その鏡板は四角で、丸くなかった。 + 四つの車輪は鏡板の下にあり、車軸は台に取り付けてあり、車輪の高さはおのおの一キュビト半であった。 + 車輪の構造は戦車の車輪の構造と同じで、その車軸と縁と輻と轂とはみな鋳物であった。 + おのおのの台の四すみに四つのささえがあり、そのささえは台の一部をなしていた。 + 台の上には高さ半キュビトの丸い帯輪があった。そして台の上にあるその支柱と鏡板とはその一部をなしていた。 + その支柱の表面と鏡板にはそれぞれの場所に、ケルビムと、ししと、しゅろを刻み、またその周囲に花飾りを施した。 + このようにして十個の台を造った。それはみな同じ鋳方、同じ寸法、同じ形であった。 + また青銅の洗盤を十個造った。洗盤はおのおの四十バテの水がはいり、洗盤はおのおの四キュビトであった。十個の台の上にはおのおの一つずつの洗盤があった。 + その台の五個を宮の南の方に、五個を宮の北の方に置き、宮の東南の方に海をすえた。 + ヒラムはまたつぼと十能と鉢を造った。こうしてヒラムはソロモン王のために主の宮のすべての細工をなし終えた。 + すなわち二本の柱と、その柱の頂にある柱頭の二つの玉と、柱の頂にある柱頭の二つの玉をおおう二つの網細工と、 + その二つの網細工のためのざくろ四百。このざくろは一つの網細工に、二並びにつけて、柱の頂にある柱頭の二つの玉を巻いた。 + また十個の台と、その台の上の十個の洗盤と、 + 一つの海と、その海の下の十二の牛とであった。 + さてつぼと十能と鉢、すなわちヒラムがソロモン王のために造った主の宮のこれらの器はみな光のある青銅であった。 + 王はヨルダンの低地で、スコテとザレタンの間の粘土の地でこれらを鋳た。 + ソロモンはその器が非常に多かったので、皆それをはからずにおいた。その青銅の重さは、はかり得なかった。 + またソロモンは主の宮にあるもろもろの器を造った。すなわち金の祭壇と、供えのパンを載せる金の机、 + および純金の燭台。この燭台は本殿の前に、五つは南に、五つは北にあった。また金の花と、ともしび皿と、心かきと、 + 純金の皿と、心切りばさみと、鉢と、香の杯と、心取り皿と、至聖所である宮の奥のとびらのためおよび、宮の拝殿のとびらのために、金のひじつぼを造った。 + こうしてソロモン王が主の宮のために造るすべての細工は終った。そしてソロモンは父ダビデがささげた物、すなわち金銀および器物を携え入り、主の宮の宝蔵の中にたくわえた。 + + + ソロモンは主の契約の箱をダビデの町、すなわちシオンからかつぎ上ろうとして、イスラエルの長老たちと、すべての部族のかしらたちと、イスラエルの人々の氏族の長たちをエルサレムでソロモン王のもとに召し集めた。 + イスラエルの人は皆エタニムの月すなわち七月の祭にソロモン王のもとに集まった。 + イスラエルの長老たちが皆来たので、祭司たちは箱を取りあげた。 + そして彼らは主の箱と、会見の幕屋と、幕屋にあるすべての聖なる器をかつぎ上った。すなわち祭司とレビびとがこれらの物をかつぎ上った。 + ソロモン王および彼のもとに集まったイスラエルの会衆は皆彼と共に箱の前で、羊と牛をささげたが、その数が多くて調べることも数えることもできなかった。 + 祭司たちは主の契約の箱をその場所にかつぎ入れた。すなわち宮の本殿である至聖所のうちのケルビムの翼の下に置いた。 + ケルビムは翼を箱の所に伸べていたので、ケルビムは上から箱とそのさおをおおった。 + さおは長かったので、さおの端が本殿の前の聖所から見えた。しかし外には見えなかった。そのさおは今日までそこにある。 + 箱の内には二つの石の板のほか何もなかった。これはイスラエルの人々がエジプトの地から出たとき、主が彼らと契約を結ばれたときに、モーセがホレブで、それに納めたものである。 + そして祭司たちが聖所から出たとき、雲が主の宮に満ちたので、 + 祭司たちは雲のために立って仕えることができなかった。主の栄光が主の宮に満ちたからである。 + そこでソロモンは言った、「主は日を天に置かれた。しかも主は自ら濃き雲の中に住まおうと言われた。 + わたしはあなたのために高き家、とこしえのみすまいを建てた」。 + 王は身をめぐらして、イスラエルのすべての会衆を祝福した。その時イスラエルのすべての会衆は立っていた。 + 彼は言った、「イスラエルの神、主はほむべきかな。主はその口をもってわたしの父ダビデに約束されたことを、その手をもってなし遂げられた。主は言われた、 + 『わが民イスラエルをエジプトから導き出した日から、わたしはわたしの名を置くべき宮を建てるために、イスラエルのもろもろの部族のうちから、どの町をも選んだことがなかった。ただダビデを選んで、わが民イスラエルの上に立たせた』と。 + イスラエルの神、主の名のために宮を建てることは、わたしの父ダビデの心にあった。 + しかし主はわたしの父ダビデに言われた、『わたしの名のために宮を建てることはあなたの心にあった。あなたの心にこの事のあったのは結構である。 + けれどもあなたはその宮を建ててはならない。あなたの身から出るあなたの子がわたしの名のために宮を建てるであろう』と。 + そして主はその言われた言葉を行われた。すなわちわたしは父ダビデに代って立ち、主が言われたように、イスラエルの位に座し、イスラエルの神、主の名のために宮を建てた。 + わたしはまたそこに主の契約を納めた箱のために一つの場所を設けた。その契約は主がわれわれの先祖をエジプトの地から導き出された時に、彼らと結ばれたものである」。 + ソロモンはイスラエルの全会衆の前で、主の祭壇の前に立ち、手を天に伸べて、 + 言った、「イスラエルの神、主よ、上の天にも、下の地にも、あなたのような神はありません。あなたは契約を守られ、心をつくしてあなたの前に歩むあなたのしもべらに、いつくしみを施し、 + あなたのしもべであるわたしの父ダビデに約束されたことを守られました。あなたが口をもって約束されたことを、手をもってなし遂げられたことは、今日見るとおりであります。 + それゆえ、イスラエルの神、主よ、あなたのしもべであるわたしの父ダビデに、あなたが約束して『おまえがわたしの前に歩んだように、おまえの子孫が、その道を慎んで、わたしの前に歩むならば、おまえにはイスラエルの位に座する人が、わたしの前に欠けることはないであろう』と言われたことを、ダビデのために守ってください。 + イスラエルの神よ、どうぞ、あなたのしもべであるわたしの父ダビデに言われた言葉を確認してください。 + しかし神は、はたして地上に住まわれるでしょうか。見よ、天も、いと高き天もあなたをいれることはできません。ましてわたしの建てたこの宮はなおさらです。 + しかしわが神、主よ、しもべの祈と願いを顧みて、しもべがきょう、あなたの前にささげる叫びと祈をお聞きください。 + あなたが『わたしの名をそこに置く』と言われた所、すなわち、この宮に向かって夜昼あなたの目をお開きください。しもべがこの所に向かって祈る祈をお聞きください。 + しもべと、あなたの民イスラエルがこの所に向かって祈る時に、その願いをお聞きください。あなたのすみかである天で聞き、聞いておゆるしください。 + もし人がその隣り人に対して罪を犯し、誓いをすることを求められる時、来てこの宮であなたの祭壇の前に誓うならば、 + あなたは天で聞いて行い、あなたのしもべらをさばき、悪人を罰して、そのおこないの報いをそのこうべに帰し、義人を義として、その義にしたがって、その人に報いてください。 + もしあなたの民イスラエルが、あなたに対して罪を犯したために敵の前に敗れた時、あなたに立ち返って、あなたの名をあがめ、この宮であなたに祈り願うならば、 + あなたは天にあって聞き、あなたの民イスラエルの罪をゆるして、あなたが彼らの先祖に賜わった地に彼らを帰らせてください。 + もし彼らがあなたに罪を犯したために、天が閉ざされて雨がなく、あなたが彼らを苦しめられる時、彼らがこの所に向かって祈り、あなたの名をあがめ、その罪を離れるならば、 + あなたは天で聞き、あなたのしもべ、あなたの民イスラエルの罪をゆるし、彼らに歩むべき良い道を教えて、あなたが、あなたの民に嗣業として与えられた地に雨を降らせてください。 + もし国にききんがあるか、もしくは疫病、立ち枯れ、腐り穂、いなご、青虫があるか、もしくは敵のために町の中に攻め囲まれることがあるか、どんな災害、どんな病気があっても、 + もし、だれでも、あなたの民イスラエルがみな、おのおのその心の悩みを知って、この宮に向かい、手を伸べるならば、どんな祈、どんな願いでも、 + あなたは、あなたのすみかである天で聞いてゆるし、かつ行い、おのおのの人に、その心を知っておられるゆえ、そのすべての道にしたがって報いてください。ただ、あなただけ、すべての人の心を知っておられるからです。 + あなたが、われわれの先祖に賜わった地に、彼らの生きながらえる日の間、常にあなたを恐れさせてください。 + またあなたの民イスラエルの者でなく、あなたの名のために遠い国から来る異邦人が、 + ――それは彼らがあなたの大いなる名と、強い手と、伸べた腕とについて聞き及ぶからです、――もしきて、この宮に向かって祈るならば、 + あなたは、あなたのすみかである天で聞き、すべて異邦人があなたに呼び求めることをかなえさせてください。そうすれば、地のすべての民は、あなたの民イスラエルのように、あなたの名を知り、あなたを恐れ、またわたしが建てたこの宮があなたの名によって呼ばれることを知るにいたるでしょう。 + あなたの民が敵と戦うために、あなたがつかわされる道を通って出て行くとき、もし彼らがあなたの選ばれた町、わたしがあなたの名のために建てた宮の方に向かって、主に祈るならば、 + あなたは天で、彼らの祈と願いを聞いて彼らをお助けください。 + 彼らがあなたに対して罪を犯すことがあって、――人は罪を犯さない者はないのです、――あなたが彼らを怒り、彼らを敵にわたし、敵が彼らを捕虜として遠近にかかわらず、敵の地に引いて行く時、 + もし彼らが捕われていった地で、みずから省みて悔い、自分を捕えていった者の地で、あなたに願い、『われわれは罪を犯しました、そむいて悪を行いました』と言い、 + 自分を捕えていった敵の地で、心をつくし、精神をつくしてあなたに立ち返り、あなたが彼らの先祖に与えられた地、あなたが選ばれた町、わたしがあなたの名のために建てた宮の方に向かって、あなたに祈るならば、 + あなたのすみかである天で、彼らの祈と願いを聞いて、彼らを助け、 + あなたの民が、あなたに対して犯した罪と、あなたに対して行ったすべてのあやまちをゆるし、彼らを捕えていった者の前で、彼らにあわれみを得させ、その人々が彼らをあわれむようにしてください。 + (彼らはあなたがエジプトから、鉄のかまどの中から導き出されたあなたの民、あなたの嗣業であるからです)。 + どうぞ、しもべの願いと、あなたの民イスラエルの願いに、あなたの目を開き、すべてあなたに呼び求める時、彼らの願いをお聞きください。 + あなたは彼らを地のすべての民のうちから区別して、あなたの嗣業とされたからです。主なる神よ、あなたがわれわれの先祖をエジプトから導き出された時、モーセによって言われたとおりです」。 + ソロモンはこの祈と願いをことごとく主にささげ終ると、それまで天に向かって手を伸べ、ひざまずいていた主の祭壇の前から立ちあがり、 + 立って大声でイスラエルの全会衆を祝福して言った、 + 「主はほむべきかな。主はすべて約束されたように、その民イスラエルに太平を賜わった。そのしもべモーセによって仰せられたその良き約束は皆一つもたがわなかった。 + われわれの神がわれわれの先祖と共におられたように、われわれと共におられるように。われわれを離れず、またわれわれを見捨てられないように。 + われわれの心を主に傾けて、主のすべての道に歩ませ、われわれの先祖に命じられた戒めと定めと、おきてとを守らせられるように。 + 主の前にわたしが述べたこれらの願いの言葉が、日夜われわれの神、主に覚えられるように。そして主は日々の事に、しもべを助け、主の民イスラエルを助けられるように。 + そうすれば、地のすべての民は主が神であることと、他に神のないことを知るに至るであろう。 + それゆえ、あなたがたは、今日のようにわれわれの神、主に対して、心は全く真実であり、主の定めに歩み、主の戒めを守らなければならない」。 + そして王および王と共にいるすべてのイスラエルびとは主の前に犠牲をささげた。 + ソロモンは酬恩祭として牛二万二千頭、羊十二万頭を主にささげた。こうして王とイスラエルの人々は皆主の宮を奉献した。 + その日、王は主の宮の前にある庭の中を聖別し、その所で燔祭と素祭と酬恩祭の脂肪をささげた。これは主の前にある青銅の祭壇が素祭と酬恩祭の脂肪とを受けるに足りなかったからである。 + その時ソロモンは七日の間われわれの神、主の前に祭を行った。ハマテの入口からエジプトの川に至るまでのすべてのイスラエルびとの大いなる会衆が彼と共にいた。 + 八日目にソロモンは民を帰らせた。民は王を祝福し、主がそのしもべダビデと、その民イスラエルとに施されたもろもろの恵みを喜び、心に楽しんでその天幕に帰って行った。 + + + ソロモンが主の宮と王の宮殿およびソロモンが建てようと望んだすべてのものを建て終った時、 + 主はかつてギベオンでソロモンに現れられたように再び現れて、 + 彼に言われた、「あなたが、わたしの前に願った祈と願いとを聞いた。わたしはあなたが建てたこの宮を聖別して、わたしの名を永久にそこに置く。わたしの目と、わたしの心は常にそこにあるであろう。 + あなたがもし、あなたの父ダビデが歩んだように全き心をもって正しくわたしの前に歩み、すべてわたしが命じたようにおこなって、わたしの定めと、おきてとを守るならば、 + わたしは、あなたの父ダビデに約束して『イスラエルの王位にのぼる人があなたに欠けることはないであろう』と言ったように、あなたのイスラエルに王たる位をながく確保するであろう。 + しかし、あなたがた、またはあなたがたの子孫がそむいてわたしに従わず、わたしがあなたがたの前に置いた戒めと定めとを守らず、他の神々に行って、それに仕え、それを拝むならば、 + わたしはイスラエルを、わたしが与えた地のおもてから断つであろう。またわたしの名のために聖別した宮をわたしの前から投げすてるであろう。そしてイスラエルはもろもろの民のうちにことわざとなり、笑い草となるであろう。 + かつ、この宮は荒塚となり、そのかたわらを過ぎる者は皆驚き、うそぶいて『なにゆえ、主はこの地と、この宮とにこのようにされたのか』と言うであろう。 + その時人々は答えて『彼らは自分の先祖をエジプトの地から導き出した彼らの神、主を捨てて、他の神々につき従い、それを拝み、それに仕えたために、主はこのすべての災を彼らの上に下したのである』と言うであろう」。 + ソロモンは二十年を経て二つの家すなわち主の宮と王の宮殿とを建て終った時、 + ツロの王ヒラムがソロモンの望みに任せて香柏と、いとすぎと、金とを供給したので、ソロモン王はガリラヤの地の町二十をヒラムに与えた。 + しかしヒラムがツロから来て、ソロモンが彼に与えた町々を見たとき、それらは彼の気にいらなかったので、 + 彼は、「兄弟よ、あなたがくださったこれらの町々は、いったいなんですか」と言った。それで、そこは今日までカブルの地と呼ばれている。 + ヒラムはかつて金百二十タラントを王に贈った。 + ソロモン王が強制的に労働者を徴募したのはこうである。すなわち主の宮と自分の宮殿と、ミロとエルサレムの城壁と、ハゾルとメギドとゲゼルを建てるためであった。 + (エジプトの王パロはかつて上ってきて、ゲゼルを取り、火でこれを焼き、その町に住んでいたカナンびとを殺し、これをソロモンの妻である自分の娘に与えて婚姻の贈り物としたので、 + ソロモンはそのゲゼルを建て直した)。また下ベテホロンと、 + バアラテとユダの国の荒野にあるタマル、 + およびソロモンが持っていた倉庫の町々、戦車の町々、騎兵の町々ならびにソロモンがエルサレム、レバノンおよびそのすべての領地において建てようと望んだものをことごとく建てるためであった。 + すべてイスラエルの子孫でないアモリびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残った者、 + その地にあって彼らのあとに残った子孫すなわちイスラエルの人々の滅ぼしつくすことのできなかった者を、ソロモンは強制的に奴隷として徴募をおこない、今日に至っている。 + しかしイスラエルの人々をソロモンはひとりも奴隷としなかった。彼らは軍人、また彼の役人、司令官、指揮官、戦車隊長、騎兵隊長であったからである。 + ソロモンの工事を監督する上役の官吏は五百五十人であって、工事に働く民を治めた。 + パロの娘はダビデの町から上って、ソロモンが彼女のために建てた家に住んだ。その時ソロモンはミロを建てた。 + ソロモンは主のために築いた祭壇の上に年に三度燔祭と酬恩祭をささげ、また主の前に香をたいた。こうしてソロモンは宮を完成した。 + ソロモン王はエドムの地、紅海の岸のエラテに近いエジオン・ゲベルで数隻の船を造った。 + ヒラムは海の事を知っている船員であるそのしもべをソロモンのしもべと共にその船でつかわした。 + 彼らはオフルへ行って、そこから金四百二十タラントを取って、ソロモン王の所にもってきた。 + + + シバの女王は主の名にかかわるソロモンの名声を聞いたので、難問をもってソロモンを試みようとたずねてきた。 + 彼女は多くの従者を連れ、香料と、たくさんの金と宝石とをらくだに負わせてエルサレムにきた。彼女はソロモンのもとにきて、その心にあることをことごとく彼に告げたが、 + ソロモンはそのすべての問に答えた。王が知らないで彼女に説明のできないことは一つもなかった。 + シバの女王はソロモンのもろもろの知恵と、ソロモンが建てた宮殿、 + その食卓の食物と、列座の家来たちと、その侍臣たちの伺候ぶり、彼らの服装と、彼の給仕たち、および彼が主の宮でささげる燔祭を見て、全く気を奪われてしまった。 + 彼女は王に言った、「わたしが国であなたの事と、あなたの知恵について聞いたことは真実でありました。 + しかしわたしがきて、目に見るまでは、その言葉を信じませんでしたが、今見るとその半分もわたしは知らされていなかったのです。あなたの知恵と繁栄はわたしが聞いたうわさにまさっています。 + あなたの奥方たちはさいわいです。常にあなたの前に立って、あなたの知恵を聞く家来たちはさいわいです。 + あなたの神、主はほむべきかな。主はあなたを喜び、あなたをイスラエルの位にのぼらせられました。主は永久にイスラエルを愛せられるゆえ、あなたを王として公道と正義とを行わせられるのです」。 + そして彼女は金百二十タラントおよび多くの香料と宝石とを王に贈った。シバの女王がソロモン王に贈ったような多くの香料は再びこなかった。 + オフルから金を載せてきたヒラムの船は、またオフルからたくさんのびゃくだんの木と宝石とを運んできたので、 + 王はびゃくだんの木をもって主の宮と王の宮殿のために壁柱を造り、また歌う人々のために琴と立琴とを造った。このようなびゃくだんの木は、かつてきたこともなく、また今日まで見たこともなかった。 + ソロモン王はその豊かなのにしたがってシバの女王に贈り物をしたほかに、彼女の望みにまかせて、すべてその求める物を贈った。そして彼女はその家来たちと共に自分の国へ帰っていった。 + さて一年の間にソロモンのところに、はいってきた金の目方は六百六十六タラントであった。 + そのほかに貿易商および商人の取引、ならびにアラビヤの諸王と国の代官たちからも、はいってきた。 + ソロモン王は延金の大盾二百を造った。その大盾にはおのおの六百シケルの金を用いた。 + また延金の小盾三百を造った。その小盾にはおのおの三ミナの金を用いた。王はこれらをレバノンの森の家に置いた。 + 王はまた大きな象牙の玉座を造り、純金をもってこれをおおった。 + その玉座に六つの段があり、玉座の後に子牛の頭があり、座席の両側にひじ掛けがあって、ひじ掛けのわきに二つのししが立っていた。 + また六つの段のおのおのの両側に十二のししが立っていた。このような物はどこの国でも造られたことがなかった。 + ソロモン王が飲むときに用いた器は皆金であった。またレバノンの森の家の器も皆純金であって、銀のものはなかった。銀はソロモンの世には顧みられなかった。 + これは王が海にタルシシの船隊を所有して、ヒラムの船隊と一緒に航海させ、タルシシの船隊に三年に一度、金、銀、象牙、さる、くじゃくを載せてこさせたからである。 + このようにソロモン王は富も知恵も、地のすべての王にまさっていたので、 + 全地の人々は神がソロモンの心に授けられた知恵を聞こうとしてソロモンに謁見を求めた。 + 人々はおのおの贈り物を携えてきた。すなわち銀の器、金の器、衣服、没薬、香料、馬、騾馬など年々定まっていた。 + ソロモンは戦車と騎兵とを集めたが、戦車一千四百両、騎兵一万二千あった。ソロモンはこれを戦車の町とエルサレムの王のもとに置いた。 + 王はエルサレムで、銀を石のように用い、香柏を平地にあるいちじく桑のように多く用いた。 + ソロモンが馬を輸入したのはエジプトとクエからであった。すなわち王の貿易商はクエから代価を払って受け取ってきた。 + エジプトから輸入される戦車一両は銀六百シケル、馬は百五十シケルであった。このようにして、これらのものが王の貿易商によって、ヘテびとのすべての王たちおよびスリヤの王たちに輸出された。 + + + ソロモン王は多くの外国の女を愛した。すなわちパロの娘、モアブびと、アンモンびと、エドムびと、シドンびと、ヘテびとの女を愛した。 + 主はかつてこれらの国民について、イスラエルの人々に言われた、「あなたがたは彼らと交わってはならない。彼らもまたあなたがたと交わってはならない。彼らは必ずあなたがたの心を転じて彼らの神々に従わせるからである」。しかしソロモンは彼らを愛して離れなかった。 + 彼には王妃としての妻七百人、そばめ三百人があった。その妻たちが彼の心を転じたのである。 + ソロモンが年老いた時、その妻たちが彼の心を転じて他の神々に従わせたので、彼の心は父ダビデの心のようには、その神、主に真実でなかった。 + これはソロモンがシドンびとの女神アシタロテに従い、アンモンびとの神である憎むべき者ミルコムに従ったからである。 + このようにソロモンは主の目の前に悪を行い、父ダビデのように全くは主に従わなかった。 + そしてソロモンはモアブの神である憎むべき者ケモシのために、またアンモンの人々の神である憎むべき者モレクのためにエルサレムの東の山に高き所を築いた。 + 彼はまた外国のすべての妻たちのためにもそうしたので、彼女たちはその神々に香をたき、犠牲をささげた。 + このようにソロモンの心が転じて、イスラエルの神、主を離れたため、主は彼を怒られた。すなわち主がかつて二度彼に現れ、 + この事について彼に、他の神々に従ってはならないと命じられたのに、彼は主の命じられたことを守らなかったからである。 + それゆえ、主はソロモンに言われた、「これがあなたの本心であり、わたしが命じた契約と定めとを守らなかったので、わたしは必ずあなたから国を裂き離して、それをあなたの家来に与える。 + しかしあなたの父ダビデのために、あなたの世にはそれをしないが、あなたの子の手からそれを裂き離す。 + ただし、わたしは国をことごとくは裂き離さず、わたしのしもべダビデのために、またわたしが選んだエルサレムのために一つの部族をあなたの子に与えるであろう」。 + こうして主はエドムびとハダデを起して、ソロモンの敵とされた。彼はエドムの王家の者であった。 + さきにダビデはエドムにいたが、軍の長ヨアブが上っていって、戦死した者を葬り、エドムの男子をことごとく打ち殺した時、 + (ヨアブはイスラエルの人々と共に六か月そこにとどまって、エドムの男子をことごとく断った)。 + ハダデはその父のしもべである数人のエドムびとと共に逃げてエジプトへ行こうとした。その時ハダデはまだ少年であった。 + 彼らがミデアンを立ってパランへ行き、パランから人々を伴ってエジプトへ行き、エジプトの王パロのところへ行くと、パロは彼に家を与え、食糧を定め、かつ土地を与えた。 + ハダデは大いにパロの心にかなったので、パロは自分の妻の妹すなわち王妃タペネスの妹を妻として彼に与えた。 + タペネスの妹は彼に男の子ゲヌバテを産んだので、タペネスはその子をパロの家のうちで乳離れさせた。ゲヌバテはパロの家で、パロの子どもたちと一緒にいた。 + さてハダデはエジプトで、ダビデがその先祖と共に眠ったことと、軍の長ヨアブが死んだことを聞いたので、ハダデはパロに言った、「わたしを去らせて、国へ帰らせてください」。 + パロは彼に言った、「わたしと共にいて、なんの不足があって国へ帰ることを求めるのですか」。彼は言った、「ただ、わたしを帰らせてください」。 + 神はまたエリアダの子レゾンを起してソロモンの敵とされた。彼はその主人ゾバの王ハダデゼルのもとを逃げ去った者であった。 + ダビデがゾバの人々を殺した後、彼は人々を自分のまわりに集めて略奪隊の首領となった。彼らはダマスコへ行って、そこに住み、ダマスコで彼を王とした。 + 彼はソロモンの一生の間、イスラエルの敵となって、ハダデがしたように害をなし、イスラエルを憎んでスリヤを治めた。 + ゼレダのエフライムびとネバテの子ヤラベアムはソロモンの家来であったが、その母の名はゼルヤといって寡婦であった。彼もまたその手をあげて王に敵した。 + 彼が手をあげて、王に敵した事情はこうである。ソロモンはミロを築き、父ダビデの町の破れ口をふさいでいた。 + ヤラベアムは非常に手腕のある人であったが、ソロモンはこの若者がよく働くのを見て、彼にヨセフの家のすべての強制労働の監督をさせた。 + そのころ、ヤラベアムがエルサレムを出たとき、シロびとである預言者アヒヤが道で彼に会った。アヒヤは新しい着物を着ていた。そして彼らふたりだけが野にいた。 + アヒヤは着ている着物をつかんで、それを十二切れに裂き、 + ヤラベアムに言った、「あなたは十切れを取りなさい。イスラエルの神、主はこう言われる、『見よ、わたしは国をソロモンの手から裂き離して、あなたに十部族を与えよう。 + (ただし彼はわたしのしもべダビデのために、またわたしがイスラエルのすべての部族のうちから選んだ町エルサレムのために、一つの部族をもつであろう)。 + それは彼がわたしを捨てて、シドンびとの女神アシタロテと、モアブの神ケモシと、アンモンの人々の神ミルコムを拝み、父ダビデのように、わたしの道に歩んで、わたしの目にかなう事を行い、わたしの定めと、おきてを守ることをしなかったからである。 + しかし、わたしは国をことごとくは彼の手から取らない。わたしが選んだ、わたしのしもべダビデが、わたしの命令と定めとを守ったので、わたしは彼のためにソロモンを一生の間、君としよう。 + そして、わたしはその子の手から国を取って、その十部族をあなたに与える。 + その子には一つの部族を与えて、わたしの名を置くために選んだ町エルサレムで、わたしのしもべダビデに、わたしの前に常に一つのともしびを保たせるであろう。 + わたしがあなたを選び、あなたはすべて心の望むところを治めて、イスラエルの上に王となるであろう。 + もし、あなたが、わたしの命じるすべての事を聞いて、わたしの道に歩み、わたしの目にかなう事を行い、わたしのしもべダビデがしたように、わたしの定めと戒めとを守るならば、わたしはあなたと共にいて、わたしがダビデのために建てたように、あなたのために堅固な家を建てて、イスラエルをあなたに与えよう。 + わたしはこのためにダビデの子孫を苦しめる。しかし永久にではない』」。 + ソロモンはヤラベアムを殺そうとしたが、ヤラベアムは立ってエジプトにのがれ、エジプト王シシャクのところへ行って、ソロモンの死ぬまでエジプトにいた。 + ソロモンのそのほかの事績と、彼がしたすべての事およびその知恵は、ソロモンの事績の書にしるされているではないか。 + ソロモンがエルサレムでイスラエルの全地を治めた日は四十年であった。 + ソロモンはその先祖と共に眠って、父ダビデの町に葬られ、その子レハベアムが代って王となった。 + + + レハベアムはシケムへ行った。すべてのイスラエルびとが彼を王にしようとシケムへ行ったからである。 + ネバテの子ヤラベアムはソロモンを避けてエジプトにのがれ、なおそこにいたが、これを聞いてエジプトから帰ったので、 + 人々は人をつかわして彼を招いた。そしてヤラベアムとイスラエルの会衆は皆レハベアムの所にきて言った、 + 「父上はわれわれのくびきを重くされましたが、今父上のきびしい使役と、父上がわれわれに負わせられた重いくびきとを軽くしてください。そうすればわれわれはあなたに仕えます」。 + レハベアムは彼らに言った、「去って、三日過ぎてから、またわたしのところにきなさい」。それで民は立ち去った。 + レハベアム王は父ソロモンの存命中ソロモンに仕えた老人たちに相談して言った、「この民にどう返答すればよいと思いますか」。 + 彼らはレハベアムに言った、「もし、あなたが、きょう、この民のしもべとなって彼らに仕え、彼らに答えるとき、ねんごろに語られるならば、彼らは永久にあなたのしもべとなるでしょう」。 + しかし彼は老人たちが与えた勧めを捨てて、自分と一緒に大きくなって自分に仕えている若者たちに相談して、 + 彼らに言った、「この民がわたしにむかって『あなたの父がわれわれに負わせたくびきを軽くしてください』というのに、われわれはなんと返答すればよいと思いますか」。 + 彼と一緒に大きくなった若者たちは彼に言った、「あなたにむかって『父上はわれわれのくびきを重くされましたが、あなたは、それをわれわれのために軽くしてください』と言うこの民に、こう言いなさい、『わたしの小指は父の腰よりも太い。 + 父はあなたがたに重いくびきを負わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを懲らそう』と」。 + さてヤラベアムと民は皆、王が「三日目に再びわたしのところに来るように」と言ったとおりに、三日目にレハベアムのところにきた。 + 王は荒々しく民に答え、老人たちが与えた勧めを捨てて、 + 若者たちの勧めに従い、彼らに告げて言った、「父はあなたがたのくびきを重くしたが、わたしはあなたがたのくびきを、さらに重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを懲らそう」。 + このように王は民の言うことを聞きいれなかった。これはかつて主がシロびとアヒヤによって、ネバテの子ヤラベアムに言われた言葉を成就するために、主が仕向けられた事であった。 + イスラエルの人々は皆、王が自分たちの言うことを聞きいれないのを見たので、民は王に答えて言った、「われわれはダビデのうちに何の分があろうか、エッサイの子のうちに嗣業がない。イスラエルよ、あなたがたの天幕へ帰れ。ダビデよ、今自分の家の事を見よ」。そしてイスラエルはその天幕へ去っていった。 + しかしレハベアムはユダの町々に住んでいるイスラエルの人々を治めた。 + レハベアム王は徴募の監督であったアドラムをつかわしたが、イスラエルが皆、彼を石で撃ち殺したので、レハベアム王は急いで車に乗り、エルサレムへ逃げた。 + こうしてイスラエルはダビデの家にそむいて今日に至った。 + イスラエルは皆ヤラベアムの帰ってきたのを聞き、人をつかわして彼を集会に招き、イスラエルの全家の上に王とした。ユダの部族のほかはダビデの家に従う者がなかった。 + ソロモンの子レハベアムはエルサレムに来て、ユダの全家とベニヤミンの部族の者、すなわちえり抜きの軍人十八万を集め、国を取りもどすために、イスラエルの家と戦おうとしたが、 + 神の言葉が神の人シマヤに臨んだ、 + 「ソロモンの子であるユダの王レハベアム、およびユダとベニヤミンの全家、ならびにそのほかの民に言いなさい、 + 『主はこう仰せられる。あなたがたは上っていってはならない。あなたがたの兄弟であるイスラエルの人々と戦ってはならない。おのおの家に帰りなさい。この事はわたしから出たのである』」。それで彼らは主の言葉をきき、主の言葉に従って帰っていった。 + ヤラベアムはエフライムの山地にシケムを建てて、そこに住んだ。彼はまたそこから出てペヌエルを建てた。 + しかしヤラベアムはその心のうちに言った、「国は今ダビデの家にもどるであろう。 + もしこの民がエルサレムにある主の宮に犠牲をささげるために上るならば、この民の心はユダの王である彼らの主君レハベアムに帰り、わたしを殺して、ユダの王レハベアムに帰るであろう」。 + そこで王は相談して、二つの金の子牛を造り、民に言った、「あなたがたはもはやエルサレムに上るには、およばない。イスラエルよ、あなたがたをエジプトの国から導き上ったあなたがたの神を見よ」。 + そして彼は一つをベテルにすえ、一つをダンに置いた。 + この事は罪となった。民がベテルへ行って一つを礼拝し、ダンへ行って一つを礼拝したからである。 + 彼はまた高き所に家を造り、レビの子孫でない一般の民を祭司に任命した。 + またヤラベアムはユダで行う祭と同じ祭を八月の十五日に定め、そして祭壇に上った。彼はベテルでそのように行い、彼が造った子牛に犠牲をささげた。また自分の造った高き所の祭司をベテルに立てた。 + こうして彼はベテルに造った祭壇に八月の十五日に上った。これは彼が自分で勝手に考えついた月であった。そして彼はイスラエルの人々のために祭を定め、祭壇に上って香をたいた。 + + + 見よ、神の人が主の命によってユダからベテルにきた。その時ヤラベアムは祭壇の上に立って香をたいていた。 + 神の人は祭壇にむかい主の命によって呼ばわって言った、「祭壇よ、祭壇よ、主はこう仰せられる、『見よ、ダビデの家にひとりの子が生れる。その名をヨシヤという。彼はおまえの上で香をたく高き所の祭司らを、おまえの上にささげる。また人の骨がおまえの上で焼かれる』」。 + その日、彼はまた一つのしるしを示して言った、「主の言われたしるしはこれである、『見よ、祭壇は裂け、その上にある灰はこぼれ出るであろう』」。 + ヤラベアム王は、神の人がベテルにある祭壇にむかって呼ばわる言葉を聞いた時、祭壇から手を伸ばして、「彼を捕えよ」と言ったが、彼にむかって伸ばした手が枯れて、ひっ込めることができなかった。 + そして神の人が主の言葉をもって示したしるしのように祭壇は裂け、灰は祭壇からこぼれ出た。 + 王は神の人に言った、「あなたの神、主に願い、わたしのために祈って、わたしの手をもとに返らせてください」。神の人が主に願ったので、王の手はもとに返って、前のようになった。 + そこで王は神の人に言った、「わたしと一緒に家にきて、身を休めなさい。あなたに謝礼をさしあげましょう」。 + 神の人は王に言った、「たとい、あなたの家の半ばをくださっても、わたしはあなたと一緒にまいりません。またこの所では、パンも食べず水も飲みません。 + 主の言葉によってわたしは、『パンを食べてはならない、水を飲んではならない。また来た道から帰ってはならない』と命じられているからです」。 + こうして彼はほかの道を行き、ベテルに来た道からは帰らなかった。 + さてベテルにひとりの年老いた預言者が住んでいたが、そのむすこたちがきて、その日神の人がベテルでした事どもを彼に話した。また神の人が王に言った言葉をもその父に話した。 + 父が彼らに「その人はどの道を行ったか」と聞いたので、むすこたちはユダからきた神の人の行った道を父に示した。 + 父はむすこたちに言った、「わたしのためにろばにくらを置きなさい」。彼らがろばにくらを置いたので、彼はそれに乗り、 + 神の人のあとを追って行き、かしの木の下にすわっているのを見て、その人に言った、「あなたはユダからこられた神の人ですか」。その人は言った、「そうです」。 + そこで彼はその人に言った、「わたしと一緒に家にきてパンを食べてください」。 + その人は言った、「わたしはあなたと一緒に引き返すことはできません。あなたと一緒に行くことはできません。またわたしはこの所であなたと一緒にパンも食べず水も飲みません。 + 主の言葉によってわたしは、『その所でパンを食べてはならない、水を飲んではならない。また来た道から帰ってはならない』と言われているからです」。 + 彼はその人に言った、「わたしもあなたと同じ預言者ですが、天の使が主の命によってわたしに告げて、『その人を一緒に家につれ帰り、パンを食べさせ、水を飲ませよ』と言いました」。これは彼がその人を欺いたのである。 + そこでその人は彼と一緒に引き返し、その家でパンを食べ、水を飲んだ。 + 彼らが食卓についていたとき、主の言葉が、その人をつれて帰った預言者に臨んだので、 + 彼はユダからきた神の人にむかい呼ばわって言った、「主はこう仰せられます、『あなたが主の言葉にそむき、あなたの神、主がお命じになった命令を守らず、 + 引き返して、主があなたに、パンを食べてはならない、水を飲んではならない、と言われた場所でパンを食べ、水を飲んだゆえ、あなたの死体はあなたの先祖の墓に行かないであろう』」。 + そしてその人がパンを食べ、水を飲んだ後、彼はその人のため、すなわちつれ帰った預言者のためにろばにくらを置いた。 + こうしてその人は立ち去ったが、道でししが彼に会って彼を殺した。そしてその死体は道に捨てられ、ろばはそのかたわらに立ち、ししもまた死体のかたわらに立っていた。 + 人々はそこをとおって、道に捨てられている死体と、死体のかたわらに立っているししを見て、かの老預言者の住んでいる町にきてそれを話した。 + その人を道からつれて帰った預言者はそれを聞いて言った、「それは主の言葉にそむいた神の人だ。主が彼に言われた言葉のように、主は彼をししにわたされ、ししが彼を裂き殺したのだ」。 + そしてむすこたちに言った、「わたしのためにろばにくらを置きなさい」。彼らがくらを置いたので、 + 彼は行って、死体が道に捨てられ、ろばとししが死体のかたわらに立っているのを見た。ししはその死体を食べず、ろばも裂いていなかった。 + そこで預言者は神の人の死体を取りあげ、それをろばに載せて町に持ち帰り、悲しんでそれを葬った。 + すなわちその死体を自分の墓に納め、皆これがために「ああ、わが兄弟よ」と言って悲しんだ。 + 彼はそれを葬って後、むすこたちに言った、「わたしが死んだ時は、神の人を葬った墓に葬り、わたしの骨を彼の骨のかたわらに納めなさい。 + 彼が主の命によって、ベテルにある祭壇にむかい、またサマリヤの町々にある高き所のすべての家にむかって呼ばわった言葉は必ず成就するのです」。 + この事の後も、ヤラベアムはその悪い道を離れて立ち返ることをせず、また一般の民を、高き所の祭司に任命した。すなわち、だれでも好む者は、それを立てて高き所の祭司とした。 + この事はヤラベアムの家の罪となって、ついにこれを地のおもてから断ち滅ぼすようになった。 + + + そのころヤラベアムの子アビヤが病気になったので、 + ヤラベアムは妻に言った、「立って姿を変え、ヤラベアムの妻であることの知られないようにしてシロへ行きなさい。わたしがこの民の王となることを、わたしに告げた預言者アヒヤがそこにいます。 + パン十個と菓子数個および、みつ一びんを携えて彼のところへ行きなさい。彼はこの子がどうなるかをあなたに告げるでしょう」。 + ヤラベアムの妻はそのようにして、立ってシロへ行き、アヒヤの家に着いたが、アヒヤは年老いたため、目がかすんで見ることができなかった。 + しかし主はアヒヤに言われた、「ヤラベアムの妻が子供の事をあなたに尋ねるために来る。子供は病気だ。あなたは彼女にこうこう言わなければならない」。彼女は来るとき、他人を装っていた。 + しかし彼女が戸口にはいってきたとき、アヒヤはその足音を聞いて言った、「ヤラベアムの妻よ、はいりなさい。なぜ、他人を装うのですか。わたしはあなたにきびしい事を告げるよう、命じられています。 + 行ってヤラベアムに言いなさい、『イスラエルの神、主はこう仰せられる、「わたしはあなたを民のうちからあげ、わたしの民イスラエルの上に立てて君とし、 + 国をダビデの家から裂き離して、それをあなたに与えたのに、あなたはわたしのしもべダビデが、わたしの命令を守って一心にわたしに従い、ただわたしの目にかなった事のみを行ったようにではなく、 + あなたよりも先にいたすべての者にまさって悪をなし、行って自分のために他の神々と鋳た像を造り、わたしを怒らせ、わたしをうしろに捨て去った。 + それゆえ、見よ、わたしはヤラベアムの家に災を下し、ヤラベアムに属する男は、イスラエルについて、つながれた者も、自由な者もことごとく断ち、人があくたを残りなく焼きつくすように、ヤラベアムの家を全く断ち滅ぼすであろう。 + ヤラベアムに属する者は、町で死ぬ者を犬が食べ、野で死ぬ者を空の鳥が食べるであろう。主がこれを言われるのである」』。 + あなたは立って、家へ帰りなさい。あなたの足が町にはいる時に、子どもは死にます。 + そしてイスラエルは皆、彼のために悲しんで彼を葬るでしょう。ヤラベアムに属する者は、ただ彼だけ墓に葬られるでしょう。ヤラベアムの家のうちで、彼はイスラエルの神、主にむかって良い思いをいだいていたからです。 + 主はイスラエルの上にひとりの王を起されます。彼はその日ヤラベアムの家を断つでしょう。 + その後主はイスラエルを撃って、水に揺らぐ葦のようにし、イスラエルを、その先祖に賜わったこの良い地から抜き去って、ユフラテ川の向こうに散らされるでしょう。彼らがアシラ像を造って主を怒らせたからです。 + 主はヤラベアムの罪のゆえに、すなわち彼がみずから犯し、またイスラエルに犯させたその罪のゆえにイスラエルを捨てられるでしょう」。 + ヤラベアムの妻は立って去り、テルザへ行って、家の敷居をまたいだ時、子どもは死んだ。 + イスラエルは皆彼を葬り、彼のために悲しんだ。主がそのしもべ預言者アヒヤによって言われた言葉のとおりである。 + ヤラベアムのその他の事績、彼がどのように戦い、どのように世を治めたかは、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + ヤラベアムが世を治めた日は二十二年であった。彼はその先祖と共に眠って、その子ナダブが代って王となった。 + ソロモンの子レハベアムはユダで世を治めた。レハベアムは王となったとき四十一歳であったが、主がその名を置くために、イスラエルのすべての部族のうちから選ばれた町エルサレムで、十七年世を治めた。その母の名はナアマといってアンモンびとであった。 + ユダの人々はその先祖の行ったすべての事にまさって、主の目の前に悪を行い、その犯した罪によって主の怒りを引き起した。 + 彼らもすべての高い丘の上と、すべての青木の下に、高き所と石の柱とアシラ像とを建てたからである。 + その国にはまた神殿男娼たちがいた。彼らは主がイスラエルの人々の前から追い払われた国民のすべての憎むべき事をならい行った。 + レハベアムの王の第五年にエジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上ってきて、 + 主の宮の宝物と、王の宮殿の宝物を奪い去った。彼はそれをことごとく奪い去り、またソロモンの造った金の盾をみな奪い去った。 + レハベアムはその代りに青銅の盾を造って、王の宮殿の門を守る侍衛長の手にわたした。 + 王が主の宮にはいるごとに、侍衛はそれを携え、また、それを侍衛のへやへ持ち帰った。 + レハベアムのその他の事績と、彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + レハベアムとヤラベアムの間には絶えず戦争があった。 + レハベアムはその先祖と共に眠って先祖と共にダビデの町に葬られた。その母の名はナアマといってアンモンびとであった。その子アビヤムが代って王となった。 + + + ネバテの子ヤラベアム王の第十八年にアビヤムがユダの王となり、 + エルサレムで三年世を治めた。その母の名はマアカといって、アブサロムの娘であった。 + 彼はその父が先に行ったもろもろの罪をおこない、その心は父ダビデの心のようにその神、主に対して全く真実ではなかった。 + それにもかかわらず、その神、主はダビデのために、エルサレムにおいて彼に一つのともしびを与え、その子を彼のあとに立てて、エルサレムを固められた。 + それはダビデがヘテびとウリヤの事のほか、一生の間、主の目にかなう事を行い、主が命じられたすべての事に、そむかなかったからである。 + レハベアムとヤラベアムの間には一生の間、戦争があった。 + アビヤムのその他の行為と、彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。アビヤムとヤラベアムの間にも戦争があった。 + アビヤムはその先祖と共に眠って、ダビデの町に葬られ、その子アサが代って王となった。 + イスラエルの王ヤラベアムの第二十年にアサはユダの王となり、 + エルサレムで四十一年世を治めた。その母の名はマアカといってアブサロムの娘であった。 + アサはその父ダビデがしたように主の目にかなう事をし、 + 神殿男娼を国から追い出し、先祖たちの造ったもろもろの偶像を除いた。 + 彼はまたその母マアカが、アシラのために憎むべき像を造らせたので、彼女を太后の位から退けた。そしてアサはその憎むべき像を切り倒してキデロンの谷で焼き捨てた。 + ただし高き所は除かなかった。けれどもアサの心は一生の間、主に対して全く真実であった。 + 彼は父の献納した物と自分の献納した物、金銀および器物を主の宮に携え入れた。 + アサとイスラエルの王バアシャの間には一生の間、戦争があった。 + イスラエルの王バアシャはユダに攻め上り、ユダの王アサの所に、だれをも出入りさせないためにラマを築いた。 + そこでアサは主の宮の宝蔵と、王の宮殿の宝蔵に残っている金銀をことごとく取って、これを家来たちの手にわたし、そしてアサ王は彼らをダマスコに住んでいるスリヤの王、ヘジョンの子タブリモンの子であるベネハダデにつかわして言わせた、 + 「わたしの父とあなたの父との間に結ばれていたように、わたしとあなたの間に同盟を結びましょう。わたしはあなたに金銀の贈り物をさしあげます。行って、あなたとイスラエルの王バアシャとの同盟を破棄し、彼をわたしの所から撤退させてください」。 + ベネハダデはアサ王の言うことを聞き、自分の軍勢の長たちをつかわしてイスラエルの町々を攻め、イヨンとダンとアベル・ベテ・マアカおよびキンネレテの全地と、ナフタリの全地を撃った。 + バアシャはこれを聞き、ラマを築くことをやめて、テルザにとどまった。 + そこでアサ王はユダ全国に布告を発した。ひとりも免れる者はなかった。すなわちバアシャがラマを築くために用いた石と材木を運びこさせ、アサ王はそれを用いて、ベニヤミンのゲバとミヅパを築いた。 + アサのその他の事績とそのすべての勲功と、彼がしたすべての事および彼が建てた町々は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。彼は老年になって足を病んだ。 + アサはその先祖と共に眠って、父ダビデの町に先祖と共に葬られ、その子ヨシャパテが代って王となった。 + ユダの王アサの第二年にヤラベアムの子ナダブがイスラエルの王となって、二年イスラエルを治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、その父の道に歩み、父がイスラエルに犯させた罪をおこなった。 + イッサカルの家のアヒヤの子バアシャは彼に対してむほんを企て、ペリシテびとに属するギベトンで彼を撃った。これはナダブとイスラエルが皆ギベトンを囲んでいたからである。 + こうしてユダの王アサの第三年にバアシャは彼を殺し、彼に代って王となった。 + 彼は王となるとすぐヤラベアムの全家を撃ち、息のある者をひとりもヤラベアムの家に残さず、ことごとく滅ぼした。主がそのしもべシロびとアヒヤによって言われた言葉のとおりであって、 + これはヤラベアムがみずから犯し、またイスラエルに犯させた罪のため、また彼がイスラエルの神、主を怒らせたその怒りによるのであった。 + ナダブのその他の事績と、彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + アサとイスラエルの王バアシャの間には一生の間戦争があった。 + ユダの王アサの第三年にアヒヤの子バアシャはテルザでイスラエルの全地の王となって、二十四年世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、ヤラベアムの道に歩み、ヤラベアムがイスラエルに犯させた罪をおこなった。 + + + そこで主の言葉がハナニの子エヒウに臨み、バアシャを責めて言った、 + 「わたしはあなたをちりの中からあげて、わたしの民イスラエルの上に君としたが、あなたはヤラベアムの道に歩み、わたしの民イスラエルに罪を犯させ、その罪をもってわたしを怒らせた。 + それでわたしは、バアシャとその家を全く滅ぼし去り、あなたの家をネバテの子ヤラベアムの家のようにする。 + バアシャに属する者で、町で死ぬ者は犬が食べ、彼に属する者で、野で死ぬ者は空の鳥が食べるであろう」。 + バアシャのその他の事績と、彼がした事と、その勲功とは、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + バアシャはその先祖と共に眠って、テルザに葬られ、その子エラが代って王となった。 + 主の言葉はまたハナニの子預言者エヒウによって臨み、バアシャとその家を責めた。これは彼が主の目の前に、もろもろの悪を行い、その手のわざをもって主を怒らせ、ヤラベアムの家にならったためであり、また彼がヤラベアムの家を滅ぼしたためであった。 + ユダの王アサの第二十六年にバアシャの子エラはテルザでイスラエルの王となり、二年世を治めた。 + 彼がテルザにいて、テルザの宮殿のつかさアルザの家で酒を飲んで酔った時、その家来で戦車隊の半ばを指揮していたジムリが、彼にそむいた。 + そしてユダの王アサの第二十七年にジムリは、はいってきて彼を撃ち殺し、彼に代って王となった。 + ジムリは王となって、位についた時、バアシャの全家を殺し、その親族または友だちの男子は、ひとりも残さなかった。 + こうしてジムリはバアシャの全家を滅ぼした。主が預言者エヒウによってバアシャを責めて言われた言葉のとおりである。 + これはバアシャのもろもろの罪と、その子エラの罪のためであって、彼らが罪を犯し、またイスラエルに罪を犯させ、彼らの偶像をもってイスラエルの神、主を怒らせたからである。 + エラのその他の事績と、彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ユダの王アサの第二十七年にジムリはテルザで七日の間、世を治めた。民はペリシテびとに属するギベトンにむかって陣取っていたが、 + その陣取っていた民が「ジムリはむほんを起して王を殺した」と人のいうのを聞いたので、イスラエルは皆その日陣営で、軍の長オムリをイスラエルの王とした。 + そこでオムリはイスラエルの人々と共にギベトンから上ってテルザを囲んだ。 + ジムリはその町の陥るのを見て、王の宮殿の天守にはいり、王の宮殿に火をかけてその中で死んだ。 + これは彼が犯した罪のためであって、彼が主の目の前に悪を行い、ヤラベアムの道に歩み、ヤラベアムがイスラエルに犯させたその罪を行ったからである。 + ジムリのその他の事績と、彼が企てた陰謀は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + その時イスラエルの民は二つに分れ、民の半ばはギナテの子テブニに従って、これを王としようとし、半ばはオムリに従った。 + しかしオムリに従った民はギナテの子テブニに従った民に勝って、テブニは死に、オムリが王となった。 + ユダの王アサの第三十一年にオムリはイスラエルの王となって十二年世を治めた。彼はテルザで六年王であった。 + 彼は銀二タラントでセメルからサマリヤの山を買い、その上に町を建て、その建てた町の名をその山の持ち主であったセメルの名に従ってサマリヤと呼んだ。 + オムリは主の目の前に悪を行い、彼よりも先にいたすべての者にまさって悪い事をした。 + 彼はネバテの子ヤラベアムのすべての道に歩み、ヤラベアムがイスラエルに罪を犯させ、彼らの偶像をもってイスラエルの神、主を怒らせたその罪を行った。 + オムリが行ったその他の事績と、彼があらわした勲功とは、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + オムリはその先祖と共に眠って、サマリヤに葬られ、その子アハブが代って王となった。 + ユダの王アサの第三十八年にオムリの子アハブがイスラエルの王となった。オムリの子アハブはサマリヤで二十二年イスラエルを治めた。 + オムリの子アハブは彼よりも先にいたすべての者にまさって、主の目の前に悪を行った。 + 彼はネバテの子ヤラベアムの罪を行うことを、軽い事とし、シドンびとの王エテバアルの娘イゼベルを妻にめとり、行ってバアルに仕え、これを拝んだ。 + 彼はサマリヤに建てたバアルの宮に、バアルのために祭壇を築いた。 + アハブはまたアシラ像を造った。アハブは彼よりも先にいたイスラエルのすべての王にまさってイスラエルの神、主を怒らせることを行った。 + 彼の代にベテルびとヒエルはエリコを建てた。彼はその基をすえる時に長子アビラムを失い、その門を立てる時に末の子セグブを失った。主がヌンの子ヨシュアによって言われた言葉のとおりである。 + + + ギレアデのテシベに住むテシベびとエリヤはアハブに言った、「わたしの仕えているイスラエルの神、主は生きておられます。わたしの言葉のないうちは、数年雨も露もないでしょう」。 + 主の言葉がエリヤに臨んだ、 + 「ここを去って東におもむき、ヨルダンの東にあるケリテ川のほとりに身を隠しなさい。 + そしてその川の水を飲みなさい。わたしはからすに命じて、そこであなたを養わせよう」。 + エリヤは行って、主の言葉のとおりにした。すなわち行って、ヨルダンの東にあるケリテ川のほとりに住んだ。 + すると、からすが朝ごとに彼の所にパンと肉を運び、また夕ごとにパンと肉を運んできた。そして彼はその川の水を飲んだ。 + しかし国に雨がなかったので、しばらくしてその川はかれた。 + その時、主の言葉が彼に臨んで言った、 + 「立ってシドンに属するザレパテへ行って、そこに住みなさい。わたしはそのところのやもめ女に命じてあなたを養わせよう」。 + そこで彼は立ってザレパテへ行ったが、町の門に着いたとき、ひとりのやもめ女が、その所でたきぎを拾っていた。彼はその女に声をかけて言った、「器に水を少し持ってきて、わたしに飲ませてください」。 + 彼女が行って、それを持ってこようとした時、彼は彼女を呼んで言った、「手に一口のパンを持ってきてください」。 + 彼女は言った、「あなたの神、主は生きておられます。わたしにはパンはありません。ただ、かめに一握りの粉と、びんに少しの油があるだけです。今わたしはたきぎ二、三本を拾い、うちへ帰って、わたしと子供のためにそれを調理し、それを食べて死のうとしているのです」。 + エリヤは彼女に言った、「恐れるにはおよばない。行って、あなたが言ったとおりにしなさい。しかしまず、それでわたしのために小さいパンを、一つ作って持ってきなさい。その後、あなたと、あなたの子供のために作りなさい。 + 『主が雨を地のおもてに降らす日まで、かめの粉は尽きず、びんの油は絶えない』とイスラエルの神、主が言われるからです」。 + 彼女は行って、エリヤが言ったとおりにした。彼女と彼および彼女の家族は久しく食べた。 + 主がエリヤによって言われた言葉のように、かめの粉は尽きず、びんの油は絶えなかった。 + これらの事の後、その家の主婦であるこの女の男の子が病気になった。その病気はたいそう重く、息が絶えたので、 + 彼女はエリヤに言った、「神の人よ、あなたはわたしに、何の恨みがあるのですか。あなたはわたしの罪を思い出させるため、またわたしの子を死なせるためにおいでになったのですか」。 + エリヤは彼女に言った、「子をわたしによこしなさい」。そして彼女のふところから子供を取り、自分のいる屋上のへやへかかえて上り、自分の寝台に寝かせ、 + 主に呼ばわって言った、「わが神、主よ、あなたはわたしが宿っている家のやもめにさえ災をくだして、子供を殺されるのですか」。 + そして三度その子供の上に身を伸ばし、主に呼ばわって言った、「わが神、主よ、この子供の魂をもとに帰らせてください」。 + 主はエリヤの声を聞きいれられたので、その子供の魂はもとに帰って、彼は生きかえった。 + エリヤはその子供を取って屋上のへやから家の中につれて降り、その母にわたして言った、「ごらんなさい。あなたの子は生きかえりました」。 + 女はエリヤに言った、「今わたしはあなたが神の人であることと、あなたの口にある主の言葉が真実であることを知りました」。 + + + 多くの日を経て、三年目に主の言葉がエリヤに臨んだ、「行って、あなたの身をアハブに示しなさい。わたしは雨を地に降らせる」。 + エリヤはその身をアハブに示そうとして行った。その時、サマリヤにききんが激しかった。 + アハブは家づかさオバデヤを召した。(オバデヤは深く主を恐れる人で、 + イゼベルが主の預言者を断ち滅ぼした時、オバデヤは百人の預言者を救い出して五十人ずつほら穴に隠し、パンと水をもって彼らを養った)。 + アハブはオバデヤに言った、「国中のすべての水の源と、すべての川に行ってみるがよい。馬と騾馬を生かしておくための草があるかもしれない。そうすれば、われわれは家畜をいくぶんでも失わずにすむであろう」。 + 彼らは行き巡る地をふたりで分け、アハブはひとりでこの道を行き、オバデヤはひとりで他の道を行った。 + オバデヤが道を進んでいた時、エリヤが彼に会った。彼はエリヤを認めて伏して言った、「わが主エリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。 + エリヤは彼に言った、「そうです。行って、あなたの主人に、エリヤはここにいると告げなさい」。 + 彼は言った、「わたしにどんな罪があって、あなたはしもべをアハブの手にわたして殺そうとされるのですか。 + あなたの神、主は生きておられます。わたしの主人があなたを尋ねるために、人をつかわさない民はなく、国もありません。そしてエリヤはいないと言う時は、その国、その民に、あなたが見つからないという誓いをさせるのです。 + あなたは今『行って、エリヤはここにいると主人に告げよ』と言われます。 + しかしわたしがあなたを離れて行くと、主の霊はあなたを、わたしの知らない所へ連れて行くでしょう。わたしが行ってアハブに告げ、彼があなたを見つけることができなければ、彼はわたしを殺すでしょう。しかし、しもべは幼い時から主を恐れている者です。 + イゼベルが主の預言者を殺した時に、わたしがした事、すなわち、わたしが主の預言者のうち百人を五十人ずつほら穴に隠して、パンと水をもって養った事を、わが主は聞かれませんでしたか。 + ところが今あなたは『行って、エリヤはここにいると主人に告げよ』と言われます。そのようなことをすれば彼はわたしを殺すでしょう」。 + エリヤは言った、「わたしの仕える万軍の主は生きておられる。わたしは必ず、きょう、わたしの身を彼に示すであろう」。 + オバデヤは行ってアハブに会い、彼に告げたので、アハブはエリヤに会おうとして行った。 + アハブはエリヤを見たとき、彼に言った、「イスラエルを悩ます者よ、あなたはここにいるのですか」。 + 彼は答えた、「わたしがイスラエルを悩ますのではありません。あなたと、あなたの父の家が悩ましたのです。あなたがたが主の命令を捨て、バアルに従ったためです。 + それで今、人をつかわしてイスラエルのすべての人およびバアルの預言者四百五十人、ならびにアシラの預言者四百人、イゼベルの食卓で食事する者たちをカルメル山に集めて、わたしの所にこさせなさい」。 + そこでアハブはイスラエルのすべての人に人をつかわして、預言者たちをカルメル山に集めた。 + そのときエリヤはすべての民に近づいて言った、「あなたがたはいつまで二つのものの間に迷っているのですか。主が神ならばそれに従いなさい。しかしバアルが神ならば、それに従いなさい」。民はひと言も彼に答えなかった。 + エリヤは民に言った、「わたしはただひとり残った主の預言者です。しかしバアルの預言者は四百五十人あります。 + われわれに二頭の牛をください。そして一頭の牛を彼らに選ばせ、それを切り裂いて、たきぎの上に載せ、それに火をつけずにおかせなさい。わたしも一頭の牛を整え、それをたきぎの上に載せて火をつけずにおきましょう。 + こうしてあなたがたはあなたがたの神の名を呼びなさい。わたしは主の名を呼びましょう。そして火をもって答える神を神としましょう」。民は皆答えて「それがよかろう」と言った。 + そこでエリヤはバアルの預言者たちに言った、「あなたがたは大ぜいだから初めに一頭の牛を選んで、それを整え、あなたがたの神の名を呼びなさい。ただし火をつけてはなりません」。 + 彼らは与えられた牛を取って整え、朝から昼までバアルの名を呼んで「バアルよ、答えてください」と言った。しかしなんの声もなく、また答える者もなかったので、彼らは自分たちの造った祭壇のまわりに踊った。 + 昼になってエリヤは彼らをあざけって言った、「彼は神だから、大声をあげて呼びなさい。彼は考えにふけっているのか、よそへ行ったのか、旅に出たのか、または眠っていて起されなければならないのか」。 + そこで彼らは大声に呼ばわり、彼らのならわしに従って、刀とやりで身を傷つけ、血をその身に流すに至った。 + こうして昼が過ぎても彼らはなお叫び続けて、夕の供え物をささげる時にまで及んだ。しかしなんの声もなく、答える者もなく、また顧みる者もなかった。 + その時エリヤはすべての民にむかって「わたしに近寄りなさい」と言ったので、民は皆彼に近寄った。彼はこわれている主の祭壇を繕った。 + そしてエリヤは昔、主の言葉がヤコブに臨んで、「イスラエルをあなたの名とせよ」と言われたヤコブの子らの部族の数にしたがって十二の石を取り、 + その石で主の名によって祭壇を築き、祭壇の周囲に種二セヤをいれるほどの大きさの、みぞを作った。 + また、たきぎを並べ、牛を切り裂いてたきぎの上に載せて言った、「四つのかめに水を満たし、それを燔祭とたきぎの上に注げ」。 + また言った、「それを二度せよ」。二度それをすると、また言った、「三度それをせよ」。三度それをした。 + 水は祭壇の周囲に流れた。またみぞにも水を満たした。 + 夕の供え物をささげる時になって、預言者エリヤは近寄って言った、「アブラハム、イサク、ヤコブの神、主よ、イスラエルでは、あなたが神であること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉に従ってこのすべての事を行ったことを、今日知らせてください。 + 主よ、わたしに答えてください、わたしに答えてください。主よ、この民にあなたが神であること、またあなたが彼らの心を翻されたのであることを知らせてください」。 + そのとき主の火が下って燔祭と、たきぎと、石と、ちりとを焼きつくし、またみぞの水をなめつくした。 + 民は皆見て、ひれ伏して言った、「主が神である。主が神である」。 + エリヤは彼らに言った、「バアルの預言者を捕えよ。そのひとりも逃がしてはならない」。そこで彼らを捕えたので、エリヤは彼らをキション川に連れくだって、そこで彼らを殺した。 + エリヤはアハブに言った、「大雨の音がするから、上って行って、食い飲みしなさい」。 + アハブは食い飲みするために上っていった。しかしエリヤはカルメルの頂に登り、地に伏して顔をひざの間に入れていたが、 + 彼はしもべに言った、「上っていって海の方を見なさい」。彼は上っていって、見て、「何もありません」と言ったので、エリヤは「もう一度行きなさい」と言って七度に及んだ。 + 七度目にしもべは言った、「海から人の手ほどの小さな雲が起っています」。エリヤは言った、「上っていって、『雨にとどめられないように車を整えて下れ』とアハブに言いなさい」。 + すると間もなく、雲と風が起り、空が黒くなって大雨が降ってきた。アハブは車に乗ってエズレルへ行った。 + また主の手がエリヤに臨んだので、彼は腰をからげ、エズレルの入口までアハブの前に走っていった。 + + + アハブはエリヤのしたすべての事、また彼がすべての預言者を刀で殺したことをイゼベルに告げたので、 + イゼベルは使者をエリヤにつかわして言った、「もしわたしが、あすの今ごろ、あなたの命をあの人々のひとりの命のようにしていないならば、神々がどんなにでも、わたしを罰してくださるように」。 + そこでエリヤは恐れて、自分の命を救うために立って逃げ、ユダに属するベエルシバへ行って、しもべをそこに残し、 + 自分は一日の道のりほど荒野にはいって行って、れだまの木の下に座し、自分の死を求めて言った、「主よ、もはや、じゅうぶんです。今わたしの命を取ってください。わたしは先祖にまさる者ではありません」。 + 彼はれだまの木の下に伏して眠ったが、天の使が彼にさわり、「起きて食べなさい」と言ったので、 + 起きて見ると、頭のそばに、焼け石の上で焼いたパン一個と、一びんの水があった。彼は食べ、かつ飲んでまた寝た。 + 主の使は再びきて、彼にさわって言った、「起きて食べなさい。道が遠くて耐えられないでしょうから」。 + 彼は起きて食べ、かつ飲み、その食物で力づいて四十日四十夜行って、神の山ホレブに着いた。 + その所で彼はほら穴にはいって、そこに宿ったが、主の言葉が彼に臨んで、彼に言われた、「エリヤよ、あなたはここで何をしているのか」。 + 彼は言った、「わたしは万軍の神、主のために非常に熱心でありました。イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、刀をもってあなたの預言者たちを殺したのです。ただわたしだけ残りましたが、彼らはわたしの命を取ろうとしています」。 + 主は言われた、「出て、山の上で主の前に、立ちなさい」。その時主は通り過ぎられ、主の前に大きな強い風が吹き、山を裂き、岩を砕いた。しかし主は風の中におられなかった。風の後に地震があったが、地震の中にも主はおられなかった。 + 地震の後に火があったが、火の中にも主はおられなかった。火の後に静かな細い声が聞えた。 + エリヤはそれを聞いて顔を外套に包み、出てほら穴の口に立つと、彼に語る声が聞えた、「エリヤよ、あなたはここで何をしているのか」。 + 彼は言った、「わたしは万軍の神、主のために非常に熱心でありました。イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、刀であなたの預言者たちを殺したからです。ただわたしだけ残りましたが、彼らはわたしの命を取ろうとしています」。 + 主は彼に言われた、「あなたの道を帰って行って、ダマスコの荒野におもむき、ダマスコに着いて、ハザエルに油を注ぎ、スリヤの王としなさい。 + またニムシの子エヒウに油を注いでイスラエルの王としなさい。またアベルメホラのシャパテの子エリシャに油を注いで、あなたに代って預言者としなさい。 + ハザエルのつるぎをのがれる者をエヒウが殺し、エヒウのつるぎをのがれる者をエリシャが殺すであろう。 + また、わたしはイスラエルのうちに七千人を残すであろう。皆バアルにひざをかがめず、それに口づけしない者である」。 + さてエリヤはそこを去って行って、シャパテの子エリシャに会った。彼は十二くびきの牛を前に行かせ、自分は十二番目のくびきと共にいて耕していた。エリヤは彼のかたわらを通り過ぎて外套を彼の上にかけた。 + エリシャは牛を捨て、エリヤのあとに走ってきて言った、「わたしの父母に口づけさせてください。そして後あなたに従いましょう」。エリヤは彼に言った、「行ってきなさい。わたしはあなたに何をしましたか」。 + エリシャは彼を離れて帰り、ひとくびきの牛を取って殺し、牛のくびきを燃やしてその肉を煮、それを民に与えて食べさせ、立って行ってエリヤに従い、彼に仕えた。 + + + スリヤの王ベネハダデはその軍勢をことごとく集めた。三十二人の王が彼と共におり、また馬と戦車もあった。彼は上ってサマリヤを囲み、これを攻めた。 + また彼は町に使者をつかわし、イスラエルの王アハブに言った、「ベネハダデはこう申します、 + 『あなたの金銀はわたしのもの、またあなたの妻たちと子供たちの最も美しい者もわたしのものです』」。 + イスラエルの王は答えた、「王、わが主よ、仰せのとおり、わたしと、わたしの持ち物は皆あなたのものです」。 + 使者は再びきて言った、「ベネハダデはこう申します、『わたしはさきに人をつかわして、あなたの金銀、妻子を引きわたせと言いました。 + しかし、あすの今ごろ、しもべたちをあなたにつかわします。彼らはあなたの家と、あなたの家来の家を探って、すべて彼らの気にいる物を手に入れて奪い去るでしょう』」。 + そこでイスラエルの王は国の長老をことごとく召して言った、「よく注意して、この人が無理な事を求めているのを知りなさい。彼は人をつかわして、わたしの妻子と金銀を求めたが、わたしはそれを拒まなかった」。 + すべての長老および民は皆彼に言った、「聞いてはなりません。承諾してはなりません」。 + それで彼はベネハダデの使者に言った、「王、わが主に告げなさい。『あなたが初めに要求されたことは皆いたしましょう。しかし今度の事はできません』」。使者は去って復命した。 + ベネハダデは彼に人をつかわして言った、「もしサマリヤのちりが、わたしに従うすべての民の手を満たすに足りるならば、神々がどんなにでも、わたしを罰してくださるように」。 + イスラエルの王は答えた、「『武具を帯びる者は、それを脱ぐ者のように誇ってはならない』と告げなさい」。 + ベネハダデは仮小屋で、王たちと酒を飲んでいたが、この事を聞いて、その家来たちに言った、「戦いの備えをせよ」。彼らは町にむかって戦いの備えをした。 + この時ひとりの預言者がイスラエルの王アハブのもとにきて言った、「主はこう仰せられる、『あなたはこの大軍を見たか。わたしはきょう、これをあなたの手にわたす。あなたは、わたしが主であることを、知るようになるであろう』」。 + アハブは言った、「だれにさせましょうか」。彼は言った、「主はこう仰せられる、『地方の代官の家来たちにさせよ』」。アハブは言った、「だれが戦いを始めましょうか」。彼は答えた、「あなたです」。 + そこでアハブは地方の代官の家来たちを調べたところ二百三十二人あった。次にすべての民、すなわちイスラエルのすべての人を調べたところ七千人あった。 + 彼らは昼ごろ出ていったが、ベネハダデは仮小屋で、味方の三十二人の王たちと共に酒を飲んで酔っていた。 + 地方の代官の家来たちが先に出ていった。ベネハダデは斥候をつかわしたが、彼らは「サマリヤから人々が出てきた」と報告したので、 + 彼は言った、「和解のために出てきたのであっても、生どりにせよ。また戦いのために出てきたのであっても、生どりにせよ」。 + 地方の代官の家来たちと、それに従う軍勢が町から出ていって、 + おのおのその相手を撃ち殺したので、スリヤびとは逃げた。イスラエルはこれを追ったが、スリヤの王ベネハダデは馬に乗り、騎兵を従えてのがれた。 + イスラエルの王は出ていって、馬と戦車をぶんどり、また大いにスリヤびとを撃ち殺した。 + 時に、かの預言者がイスラエルの王のもとにきて言った、「行って、力を養い、なすべき事をよく考えなさい。来年の春にはスリヤの王が、あなたのところに攻め上ってくるからです」。 + スリヤの王の家来たちは王に言った、「彼らの神々は山の神ですから彼らがわれわれよりも強かったのです。もしわれわれが平地で戦うならば、必ず彼らよりも強いでしょう。 + それでこうしなさい。王たちをおのおのその地位から退かせ、総督を置いてそれに代らせなさい。 + またあなたが失った軍勢に等しい軍勢を集め、馬は馬、戦車は戦車をもって補いなさい。こうしてわれわれが平地で戦うならば必ず彼らよりも強いでしょう」。彼はその言葉を聞きいれて、そのようにした。 + 春になって、ベネハダデはスリヤびとを集めて、イスラエルと戦うために、アペクに上ってきた。 + イスラエルの人々は召集され、糧食を受けて彼らを迎え撃つために出かけた。イスラエルの人々はやぎの二つの小さい群れのように彼らの前に陣取ったが、スリヤびとはその地に満ちていた。 + その時神の人がきて、イスラエルの王に言った、「主はこう仰せられる、『スリヤびとが、主は山の神であって、谷の神ではないと言っているから、わたしはこのすべての大軍をあなたの手にわたす。あなたは、わたしが主であることを知るようになるであろう』」。 + 彼らは七日の間、互にむかいあって陣取り、七日目になって戦いを交えたが、イスラエルの人々は一日にスリヤびとの歩兵十万人を殺した。 + そのほかの者はアペクの町に逃げこんだが、城壁がくずれて、その残った二万七千人の上に倒れた。ベネハダデは逃げて町に入り、奥の間にはいった。 + 家来たちは彼に言った、「イスラエルの家の王たちはあわれみ深い王であると聞いています。それでわれわれの腰に荒布をつけ、くびになわをかけて、イスラエルの王の所へ行かせてください。たぶん彼はあなたの命を助けるでしょう」。 + そこで彼らは荒布を腰にまき、なわをくびにかけてイスラエルの王の所へ行って言った、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの命を助けてください』と申しています」。アハブは言った、「彼はまだ生きているのですか。彼はわたしの兄弟です」。 + その人々はこれを吉兆としてすみやかに彼の言葉をうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟です」と言ったので、彼は言った、「行って彼をつれてきなさい」。それでベネハダデは彼の所に出てきたので、彼はこれを自分の車に乗せた。 + ベネハダデは彼に言った、「わたしの父が、あなたの父上から取った町々は返します。またわたしの父がサマリヤに造ったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場を設けなさい」。アハブは言った、「わたしはこの契約をもってあなたを帰らせましょう」。こうしてアハブは彼と契約を結び、彼を帰らせた。 + さて預言者のともがらのひとりが主の言葉に従ってその仲間に言った、「どうぞ、わたしを撃ってください」。しかしその人は撃つことを拒んだので、 + 彼はその人に言った、「あなたは主の言葉に聞き従わないゆえ、わたしを離れて行くとすぐ、ししがあなたを殺すでしょう」。その人が彼のそばを離れて行くとすぐ、ししが彼に会って彼を殺した。 + 彼はまたほかの人に会って言った、「どうぞ、わたしを撃ってください」。するとその人は彼を撃ち、撃って傷つけた。 + こうしてその預言者は行って、道のかたわらで王を待ち、目にほうたいを当てて姿を変えていた。 + 王が通り過ぎる時、王に呼ばわって言った、「しもべはいくさの中に出て行きましたが、ある軍人が、ひとりの人をわたしの所につれてきて言いました、『この人を守っていなさい。もし彼がいなくなれば、あなたの命を彼の命に代えるか、または銀一タラントを払わなければならない』。 + ところが、しもべはあちらこちらと忙しくしていたので、ついに彼はいなくなりました」。イスラエルの王は彼に言った、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分でそれを定めたのです」。 + そこで彼が急いで目のほうたいを取り除いたので、イスラエルの王はそれが預言者のひとりであることを知った。 + 彼は王に言った、「主はこう仰せられる、『わたしが滅ぼそうと定めた人を、あなたは自分の手から放して行かせたので、あなたの命は彼の命に代り、あなたの民は彼の民に代るであろう』と」。 + イスラエルの王は悲しみ、かつ怒って自分の家におもむき、サマリヤに帰った。 + + + さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑をもっていたが、サマリヤの王アハブの宮殿のかたわらにあったので、 + アハブはナボテに言った、「あなたのぶどう畑はわたしの家の近くにあるので、わたしに譲って青物畑にさせてください。その代り、わたしはそれよりも良いぶどう畑をあなたにあげましょう。もしお望みならば、その価を金でさしあげましょう」。 + ナボテはアハブに言った、「わたしは先祖の嗣業をあなたに譲ることを断じていたしません」。 + アハブはエズレルびとナボテが言った言葉を聞いて、悲しみ、かつ怒って家にはいった。ナボテが「わたしは先祖の嗣業をあなたに譲りません」と言ったからである。アハブは床に伏し、顔をそむけて食事をしなかった。 + 妻イゼベルは彼の所にきて、言った、「あなたは何をそんなに悲しんで、食事をなさらないのですか」。 + 彼は彼女に言った、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑を金で譲ってください。もし望むならば、その代りに、ほかのぶどう畑をあげよう』と言ったが、彼は答えて『わたしはぶどう畑を譲りません』と言ったからだ」。 + 妻イゼベルは彼に言った、「あなたが今イスラエルを治めているのですか。起きて食事をし、元気を出してください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑をあなたにあげます」。 + 彼女はアハブの名で手紙を書き、彼の印をおして、ナボテと同じように、その町に住んでいる長老たちと身分の尊い人々に、その手紙を送った。 + 彼女はその手紙に書きしるした、「断食を布告して、ナボテを民のうちの高い所にすわらせ、 + またふたりのよこしまな者を彼の前にすわらせ、そして彼を訴えて、『あなたは神と王とをのろった』と言わせなさい。こうして彼を引き出し、石で撃ち殺しなさい」。 + その町の人々、すなわち、その町に住んでいる長老たちおよび身分の尊い人々は、イゼベルが言いつかわしたようにした。彼女が彼らに送った手紙に書きしるされていたように、 + 彼らは断食を布告して、ナボテを民のうちの高い所にすわらせた。 + そしてふたりのよこしまな者がはいってきて、その前にすわり、そのよこしまな者たちが民の前でナボテを訴えて、「ナボテは神と王とをのろった」と言った。そこで人々は彼を町の外に引き出し、石で撃ち殺した。 + そして人々はイゼベルに「ナボテは石で撃ち殺された」と言い送った。 + イゼベルはナボテが石で撃ち殺されたのを聞くとすぐ、アハブに言った、「立って、あのエズレルびとナボテが、あなたに金で譲ることを拒んだぶどう畑を取りなさい。ナボテは生きていません。死んだのです」。 + アハブはナボテの死んだのを聞くとすぐ、立って、エズレルびとナボテのぶどう畑を取るために、そこへ下っていった。 + そのとき、主の言葉がテシベびとエリヤに臨んだ、 + 「立って、下って行き、サマリヤにいるイスラエルの王アハブに会いなさい。彼はナボテのぶどう畑を取ろうとしてそこへ下っている。 + あなたは彼に言わなければならない、『主はこう仰せられる、あなたは殺したのか、また取ったのか』と。また彼に言いなさい、『主はこう仰せられる、犬がナボテの血をなめた場所で、犬があなたの血をなめるであろう』」。 + アハブはエリヤに言った、「わが敵よ、ついに、わたしを見つけたのか」。彼は言った、「見つけました。あなたが主の目の前に悪を行うことに身をゆだねたゆえ、 + わたしはあなたに災を下し、あなたを全く滅ぼし、アハブに属する男は、イスラエルにいてつながれた者も、自由な者もことごとく断ち、 + またあなたの家をネバテの子ヤラベアムの家のようにし、アヒヤの子バアシャの家のようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒らせた怒りのゆえ、またイスラエルに罪を犯させたゆえです。 + イゼベルについて、主はまた言われました、『犬がエズレルの地域でイゼベルを食うであろう』と。 + アハブに属する者は、町で死ぬ者を犬が食い、野で死ぬ者を空の鳥が食うでしょう」。 + アハブのように主の目の前に悪を行うことに身をゆだねた者はなかった。その妻イゼベルが彼をそそのかしたのである。 + 彼は主がイスラエルの人々の前から追い払われたアモリびとがしたように偶像に従って、はなはだ憎むべき事を行った。 + アハブはこれらの言葉を聞いた時、衣を裂き、荒布を身にまとい、食を断ち、荒布に伏し、打ちしおれて歩いた。 + この時、主の言葉がテシベびとエリヤに臨んだ、 + 「アハブがわたしの前にへりくだっているのを見たか。彼がわたしの前にへりくだっているゆえ、わたしは彼の世には災を下さない。その子の世に災をその家に下すであろう」。 + + + スリヤとイスラエルの間に戦争がなくて三年を経た。 + しかし三年目にユダの王ヨシャパテがイスラエルの王の所へ下っていったので、 + イスラエルの王はその家来たちに言った、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有であることを知っていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王の手からそれを取らずに黙っているのです」。 + 彼はヨシャパテに言った、「ラモテ・ギレアデで戦うためにわたしと一緒に行かれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王に言った、「わたしはあなたと一つです。わたしの民はあなたの民と一つです。わたしの馬はあなたの馬と一つです」。 + ヨシャパテはまたイスラエルの王に言った、「まず、主の言葉を伺いなさい」。 + そこでイスラエルの王は預言者四百人ばかりを集めて、彼らに言った、「わたしはラモテ・ギレアデに戦いに行くべきでしょうか、あるいは控えるべきでしょうか」。彼らは言った、「上っていきなさい。主はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + ヨシャパテは言った、「ここには、われわれの問うべき主の預言者がほかにいませんか」。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「われわれが主に問うことのできる人が、まだひとりいます。イムラの子ミカヤです。彼はわたしについて良い事を預言せず、ただ悪い事だけを預言するので、わたしは彼を憎んでいます」。ヨシャパテは言った、「王よ、そう言わないでください」。 + そこでイスラエルの王は役人を呼んで、「急いでイムラの子ミカヤを連れてきなさい」と言った。 + さてイスラエルの王およびユダの王ヨシャパテは王の服を着て、サマリヤの門の入口の広場に、おのおのその王座にすわり、預言者たちは皆その前で預言していた。 + ケナアナの子ゼデキヤは鉄の角を造って言った、「主はこう仰せられます、『あなたはこれらの角をもってスリヤびとを突いて彼らを滅ぼしなさい』」。 + 預言者たちは皆そのように預言して言った、「ラモテ・ギレアデに上っていって勝利を得なさい。主はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + さてミカヤを呼びにいった使者は彼に言った、「預言者たちは一致して王に良い事を言いました。どうぞ、あなたも、彼らのひとりの言葉のようにして、良い事を言ってください」。 + ミカヤは言った、「主は生きておられます。主がわたしに言われる事を申しましょう」。 + 彼が王の所へ行くと、王は彼に言った、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦いに行くべきでしょうか、あるいは控えるべきでしょうか」。彼は王に言った、「上っていって勝利を得なさい。主はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + しかし王は彼に言った、「幾たびあなたを誓わせたら、あなたは主の名をもって、ただ真実のみをわたしに告げるでしょうか」。 + 彼は言った、「わたしはイスラエルが皆、牧者のない羊のように、山に散っているのを見ました。すると主は『これらの者は飼主がいない。彼らをそれぞれ安らかに、その家に帰らせよ』と言われました」。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「彼がわたしについて良い事を預言せず、ただ悪い事だけを預言すると、あなたに告げたではありませんか」。 + ミカヤは言った、「それゆえ主の言葉を聞きなさい。わたしは主がその玉座にすわり、天の万軍がそのかたわらに、右左に立っているのを見たが、 + 主は『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上らせ、彼を倒れさせるであろうか』と言われました。するとひとりはこの事を言い、ひとりはほかの事を言いました。 + その時一つの霊が進み出て、主の前に立ち、『わたしが彼をいざないましょう』と言いました。 + 主は『どのような方法でするのか』と言われたので、彼は『わたしが出て行って、偽りを言う霊となって、すべての預言者の口に宿りましょう』と言いました。そこで主は『おまえは彼をいざなって、それを成し遂げるであろう。出て行って、そうしなさい』と言われました。 + それで主は偽りを言う霊をあなたのすべての預言者の口に入れ、また主はあなたの身に起る災を告げられたのです」。 + するとケナアナの子ゼデキヤは近寄って、ミカヤのほおを打って言った、「どのようにして主の霊がわたしを離れて、あなたに語りましたか」。 + ミカヤは言った、「あなたが奥の間にはいって身を隠すその日に、わかるでしょう」。 + イスラエルの王は言った、「ミカヤを捕え、町のつかさアモンと、王の子ヨアシの所へ引いて帰って、 + 言いなさい、『王がこう言います、この者を獄屋に入れ、わずかのパンと水をもって彼を養い、わたしが勝利を得て帰ってくるのを待て』」。 + ミカヤは言った、「もしあなたが勝利を得て帰ってこられるならば、主がわたしによって語られなかったのです」。また彼は言った、「あなたがた、すべての民よ、聞きなさい」。 + こうしてイスラエルの王とユダの王ヨシャパテはラモテ・ギレアデに上っていった。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「わたしは姿を変えて、戦いに行きます。あなたは王の服を着けなさい」。イスラエルの王は姿を変えて戦いに行った。 + さて、スリヤの王は、その戦車長三十二人に命じて言った、「あなたがたは、小さい者とも大きい者とも戦わないで、ただイスラエルの王とだけ戦いなさい」。 + 戦車長らはヨシャパテを見たとき、これはきっとイスラエルの王だと思ったので、身をめぐらして、これと戦おうとすると、ヨシャパテは呼ばわった。 + 戦車長らは彼がイスラエルの王でないのを見たので、彼を追うことをやめて引き返した。 + しかし、ひとりの人が何心なく弓をひいて、イスラエルの王の胸当と草摺の間を射たので、彼はその戦車の御者に言った、「わたしは傷を受けた。戦車をめぐらして、わたしを戦場から運び出せ」。 + その日戦いは激しくなった。王は戦車の中にささえられて立ち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮になって死んだ。傷の血は戦車の底に流れた。 + 日の没するころ、軍勢の中に呼ばわる声がした、「めいめいその町へ、めいめいその国へ帰れ」。 + 王は死んで、サマリヤへ携え行かれた。人々は王をサマリヤに葬った。 + またその戦車をサマリヤの池で洗ったが、犬がその血をなめた。また遊女がそこで身を洗った。主が言われた言葉のとおりである。 + アハブのそのほかの事績と、彼がしたすべての事と、その建てた象牙の家と、その建てたすべての町は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + こうしてアハブはその先祖と共に眠って、その子アハジヤが代って王となった。 + アサの子ヨシャパテはイスラエルの王アハブの第四年にユダの王となった。 + ヨシャパテは王となった時、三十五歳であったが、エルサレムで二十五年世を治めた。その母の名はアズバといい、シルヒの娘であった。 + ヨシャパテは父アサのすべての道に歩み、それを離れることなく、主の目にかなう事をした。ただし高き所は除かなかったので、民はなお高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + ヨシャパテはまたイスラエルの王と、よしみを結んだ。 + ヨシャパテのその他の事績と、彼があらわした勲功およびその戦争については、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + 彼は父アサの世になお残っていた神殿男娼たちを国のうちから追い払った。 + そのころエドムには王がなく、代官が王であった。 + ヨシャパテはタルシシの船を造って、金を獲るためにオフルに行かせようとしたが、その船はエジオン・ゲベルで難破したため、ついに行かなかった。 + そこでアハブの子アハジヤはヨシャパテに「わたしの家来をあなたの家来と一緒に船で行かせなさい」と言ったが、ヨシャパテは承知しなかった。 + ヨシャパテはその先祖と共に眠って、父ダビデの町に先祖と共に葬られ、その子ヨラムが代って王となった。 + アハブの子アハジヤはユダの王ヨシャパテの第十七年にサマリヤでイスラエルの王となり、二年イスラエルを治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、その父の道と、その母の道、およびかのイスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの道に歩み、 + バアルに仕えて、それを拝み、イスラエルの神、主を怒らせた。すべて彼の父がしたとおりであった。 + +
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+ + アハブが死んだ後、モアブはイスラエルにそむいた。 + さてアハジヤはサマリヤにある高殿のらんかんから落ちて病気になったので、使者をつかわし、「行ってエクロンの神バアル・ゼブブに、この病気がなおるかどうかを尋ねよ」と命じた。 + 時に、主の使はテシベびとエリヤに言った、「立って、上って行き、サマリヤの王の使者に会って言いなさい、『あなたがたがエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようとして行くのは、イスラエルに神がないためか』。 + それゆえ主はこう仰せられる、『あなたは、登った寝台から降りることなく、必ず死ぬであろう』」。そこでエリヤは上って行った。 + 使者たちがアハジヤのもとに帰ってきたので、アハジヤは彼らに言った、「なぜ帰ってきたのか」。 + 彼らは言った、「ひとりの人が上ってきて、われわれに会って言いました、『おまえたちをつかわした王の所へ帰って言いなさい。主はこう仰せられる、あなたがエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようとして人をつかわすのは、イスラエルに神がないためなのか。それゆえあなたは、登った寝台から降りることなく、必ず死ぬであろう』」。 + アハジヤは彼らに言った、「上ってきて、あなたがたに会って、これらの事を告げた人はどんな人であったか」。 + 彼らは答えた、「その人は毛ごろもを着て、腰に皮の帯を締めていました」。彼は言った、「その人はテシべびとエリヤだ」。 + そこで王は五十人の長を、部下の五十人と共にエリヤの所へつかわした。彼がエリヤの所へ上っていくと、エリヤは山の頂にすわっていたので、エリヤに言った、「神の人よ、王があなたに、下って来るようにと言われます」。 + しかしエリヤは五十人の長に答えた、「わたしがもし神の人であるならば、火が天から下って、あなたと部下の五十人とを焼き尽すでしょう」。そのように火が天から下って、彼と部下の五十人とを焼き尽した。 + 王はまた他の五十人の長を、部下の五十人と共にエリヤにつかわした。彼は上っていってエリヤに言った、「神の人よ、王がこう命じられます、『すみやかに下ってきなさい』」。 + しかしエリヤは彼らに答えた、「わたしがもし神の人であるならば、火が天から下って、あなたと部下の五十人とを焼き尽すでしょう」。そのように神の火が天から下って、彼と部下の五十人とを焼き尽した。 + 王はまた第三の五十人の長を部下の五十人と共につかわした。第三の五十人の長は上っていって、エリヤの前にひざまずき、彼に願って言った、「神の人よ、どうぞ、わたしの命と、あなたのしもべであるこの五十人の命をあなたの目に尊いものとみなしてください。 + ごらんなさい、火が天からくだって、さきの五十人の長ふたりと、その部下の五十人ずつとを焼き尽しました。しかし今わたしの命をあなたの目に尊いものとみなしてください」。 + その時、主の使はエリヤに言った、「彼と共に下りなさい。彼を恐れてはならない」。そこでエリヤは立って、彼と共に下り、王のもとへ行って、 + 王に言った、「主はこう仰せられます、『あなたはエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようと使者をつかわしたが、それはイスラエルに、その言葉を求むべき神がないためであるか。それゆえあなたは、登った寝台から降りることなく、必ず死ぬであろう』」。 + 彼はエリヤが言った主の言葉のとおりに死んだが、彼に子がなかったので、その兄弟ヨラムが彼に代って王となった。これはユダの王ヨシャパテの子ヨラムの第二年である。 + アハジヤのその他の事績は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + + + 主がつむじ風をもってエリヤを天に上らせようとされた時、エリヤはエリシャと共にギルガルを出て行った。 + エリヤはエリシャに言った、「どうぞ、ここにとどまってください。主はわたしをベテルにつかわされるのですから」。しかしエリシャは言った、「主は生きておられます。またあなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そして彼らはベテルへ下った。 + ベテルにいる預言者のともがらが、エリシャのもとに出てきて彼に言った、「主がきょう、あなたの師事する主人をあなたから取られるのを知っていますか」。彼は言った、「はい、知っています。あなたがたは黙っていてください」。 + エリヤは彼に言った、「エリシャよ、どうぞ、ここにとどまってください。主はわたしをエリコにつかわされるのですから」。しかしエリシャは言った、「主は生きておられます。またあなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そして彼らはエリコへ行った。 + エリコにいた預言者のともがらが、エリシャのもとにきて彼に言った、「主がきょう、あなたの師事する主人をあなたから取られるのを知っていますか」。彼は言った、「はい、知っています。あなたがたは黙っていてください」。 + エリヤはまた彼に言った、「どうぞ、ここにとどまってください。主はわたしをヨルダンにつかわされるのですから」。しかし彼は言った、「主は生きておられます。またあなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そしてふたりは進んで行った。 + 預言者のともがら五十人も行って、彼らにむかって、はるかに離れて立っていた。彼らふたりは、ヨルダンのほとりに立ったが、 + エリヤは外套を取り、それを巻いて水を打つと、水が左右に分れたので、ふたりはかわいた土の上を渡ることができた。 + 彼らが渡ったとき、エリヤはエリシャに言った、「わたしが取られて、あなたを離れる前に、あなたのしてほしい事を求めなさい」。エリシャは言った、「どうぞ、あなたの霊の二つの分をわたしに継がせてください」。 + エリヤは言った、「あなたはむずかしい事を求める。あなたがもし、わたしが取られて、あなたを離れるのを見るならば、そのようになるであろう。しかし見ないならば、そのようにはならない」。 + 彼らが進みながら語っていた時、火の車と火の馬があらわれて、ふたりを隔てた。そしてエリヤはつむじ風に乗って天にのぼった。 + エリシャはこれを見て「わが父よ、わが父よ、イスラエルの戦車よ、その騎兵よ」と叫んだが、再び彼を見なかった。そこでエリシャは自分の着物をつかんで、それを二つに裂き、 + またエリヤの身から落ちた外套を取り上げ、帰ってきてヨルダンの岸に立った。 + そしてエリヤの身から落ちたその外套を取って水を打ち、「エリヤの神、主はどこにおられますか」と言い、彼が水を打つと、水は左右に分れたので、エリシャは渡った。 + エリコにいる預言者のともがらは彼の近づいて来るのを見て、「エリヤの霊がエリシャの上にとどまっている」と言った。そして彼らは来て彼を迎え、その前に地に伏して、 + 彼に言った、「しもべらの所に力の強い者が五十人います。どうぞ彼らをつかわして、あなたの主人を尋ねさせてください。主の霊が彼を引きあげて、彼を山か谷に投げたのかも知れません」。エリシャは「つかわしてはならない」と言ったが、 + 彼の恥じるまで、しいたので、彼は「つかわしなさい」と言った。それで彼らは五十人の者をつかわし、三日の間尋ねたが、彼を見いださなかった。 + エリシャのなおエリコにとどまっている時、彼らが帰ってきたので、エリシャは彼らに言った、「わたしは、あなたがたに、行ってはならないと告げたではないか」。 + 町の人々はエリシャに言った、「見られるとおり、この町の場所は良いが水が悪いので、この地は流産を起すのです」。 + エリシャは言った、「新しい皿に塩を盛って、わたしに持ってきなさい」。彼らは持ってきた。 + エリシャは水の源へ出て行って、塩をそこに投げ入れて言った、「主はこう仰せられる、『わたしはこの水を良い水にした。もはやここには死も流産も起らないであろう』」。 + こうしてその水はエリシャの言ったとおりに良い水になって今日に至っている。 + 彼はそこからベテルへ上ったが、上って行く途中、小さい子供らが町から出てきて彼をあざけり、彼にむかって「はげ頭よ、のぼれ。はげ頭よ、のぼれ」と言ったので、 + 彼はふり返って彼らを見、主の名をもって彼らをのろった。すると林の中から二頭の雌ぐまが出てきて、その子供らのうち四十二人を裂いた。 + 彼はそこからカルメル山へ行き、そこからサマリヤに帰った。 + + + ユダの王ヨシャパテの第十八年にアハブの子ヨラムはサマリヤでイスラエルの王となり、十二年世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪をおこなったが、その父母のようではなかった。彼がその父の造ったバアルの石柱を除いたからである。 + しかし彼はイスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪につき従って、それを離れなかった。 + モアブの王メシャは羊の飼育者で、十万の小羊と、十万の雄羊の毛とを年々イスラエルの王に納めていたが、 + アハブが死んだ後、モアブの王はイスラエルの王にそむいた。 + そこでヨラム王はその時サマリヤを出て、イスラエルびとをことごとく集め、 + また、人をユダの王ヨシャパテにつかわし、「モアブの王はわたしにそむきました。あなたはモアブと戦うために、わたしと一緒に行かれませんか」と言わせた。彼は言った、「行きましょう。わたしはあなたと一つです。わたしの民はあなたの民と一つです。わたしの馬はあなたの馬と一つです」。 + 彼はまた言った、「われわれはどの道を上るのですか」。ヨラムは答えた、「エドムの荒野の道を上りましょう」。 + こうしてイスラエルの王はユダの王およびエドムの王と共に出て行った。しかし彼らは回り道をして、七日の間進んだが、軍勢とそれに従う家畜の飲む水がなかったので、 + イスラエルの王は言った、「ああ、主は、この三人の王をモアブの手に渡そうとして召し集められたのだ」。 + ヨシャパテは言った、「われわれが主に問うことのできる主の預言者はここにいませんか」。イスラエルの王のひとりの家来が答えた、「エリヤの手に水を注いだシャパテの子エリシャがここにいます」。 + ヨシャパテは言った、「主の言葉が彼にあります」。そこでイスラエルの王とヨシャパテとエドムの王とは彼のもとへ下っていった。 + エリシャはイスラエルの王に言った、「わたしはあなたとなんのかかわりがありますか。あなたの父上の預言者たちと母上の預言者たちの所へ行きなさい」。イスラエルの王は彼に言った、「いいえ、主がこの三人の王をモアブの手に渡そうとして召し集められたのです」。 + エリシャは言った、「わたしの仕える万軍の主は生きておられます。わたしはユダの王ヨシャパテのためにするのでなければ、あなたを顧み、あなたに会うことはしないのだが、 + いま楽人をわたしの所に連れてきなさい」。そこで楽人が楽を奏すると、主の手が彼に臨んで、 + 彼は言った、「主はこう仰せられる、『わたしはこの谷を水たまりで満たそう』。 + これは主がこう仰せられるからである、『あなたがたは風も雨も見ないのに、この谷に水が満ちて、あなたがたと、その家畜および獣が飲むであろう』。 + これは主の目には小さい事である。主はモアブびとをも、あなたがたの手に渡される。 + そしてあなたがたはすべての堅固な町と、すべての良い町を撃ち、すべての良い木を切り倒し、すべての水の井戸をふさぎ、石をもって地のすべての良い所を荒すであろう」。 + あくる朝になって、供え物をささげる時に、水がエドムの方から流れてきて、水は国に満ちた。 + さてモアブびとは皆、王たちが自分たちを攻めるために上ってきたのを聞いたので、よろいを着ることのできる者を、老いも若きもことごとく召集して、国境に配置したが、 + 朝はやく起きて、太陽がのぼって水を照したとき、モアブびとは目の前に血のように赤い水を見たので、 + 彼らは言った、「これは血だ、きっと王たちが互に戦って殺し合ったのだ。だから、モアブよ、ぶんどりに行きなさい」。 + しかしモアブびとがイスラエルの陣営に行くと、イスラエルびとは立ちあがってモアブびとを撃ったので、彼らはイスラエルの前から逃げ去った。イスラエルびとは進んで、モアブびとを撃ち、その国にはいって、 + 町々を滅ぼし、おのおの石を一つずつ、地のすべての良い所に投げて、これに満たし、水の井戸をことごとくふさぎ、良い木をことごとく切り倒して、ただキル・ハラセテはその名を残すのみとなったが、石を投げる者がこれを囲んで撃ち滅ぼした。 + モアブの王は戦いがあまりに激しく、当りがたいのを見て、つるぎを抜く者七百人を率い、エドムの王の所に突き入ろうとしたが、果さなかったので、 + 自分の位を継ぐべきその長子をとって城壁の上で燔祭としてささげた。その時イスラエルに大いなる憤りが臨んだので、彼らは彼をすてて自分の国に帰った。 + + + 預言者のともがらの、ひとりの妻がエリシャに呼ばわって言った、「あなたのしもべであるわたしの夫が死にました。ごぞんじのように、あなたのしもべは主を恐れる者でありましたが、今、債主がきて、わたしのふたりの子供を取って奴隷にしようとしているのです」。 + エリシャは彼女に言った、「あなたのために何をしましょうか。あなたの家にどんな物があるか、言いなさい」。彼女は言った、「一びんの油のほかは、はしための家に何もありません」。 + 彼は言った、「ほかへ行って、隣の人々から器を借りなさい。あいた器を借りなさい。少しばかりではいけません。 + そして内にはいって、あなたの子供たちと一緒に戸の内に閉じこもり、そのすべての器に油をついで、いっぱいになったとき、一つずつそれを取りのけておきなさい」。 + 彼女は彼を離れて去り、子供たちと一緒に戸の内に閉じこもり、子供たちの持って来る器に油をついだ。 + 油が満ちたとき、彼女は子供に「もっと器を持ってきなさい」と言ったが、子供が「器はもうありません」と言ったので、油はとまった。 + そこで彼女は神の人のところにきて告げたので、彼は言った、「行って、その油を売って負債を払いなさい。あなたと、あなたの子供たちはその残りで暮すことができます」。 + ある日エリシャはシュネムへ行ったが、そこにひとりの裕福な婦人がいて、しきりに彼に食事をすすめたので、彼はそこを通るごとに、そこに寄って食事をした。 + その女は夫に言った、「いつもわたしたちの所を通るあの人は確かに神の聖なる人です。 + わたしたちは屋上に壁のある一つの小さいへやを造り、そこに寝台と机といすと燭台とを彼のために備えましょう。そうすれば彼がわたしたちの所に来るとき、そこに、はいることができます」。 + さて、ある日エリシャはそこにきて、そのへやにはいり、そこに休んだが、 + 彼はそのしもべゲハジに「このシュネムの女を呼んできなさい」と言った。彼がその女を呼ぶと、彼女はきてエリシャの前に立ったので、 + エリシャはゲハジに言った、「彼女に言いなさい、『あなたはこんなにねんごろに、わたしたちのために心を用いられたが、あなたのためには何をしたらよいでしょうか。王または軍勢の長にあなたの事をよろしく頼むことをお望みですか』」。彼女は答えて言った、「わたしは自分の民のうちに住んでいます」。 + エリシャは言った、「それでは彼女のために何をしようか」。ゲハジは言った、「彼女には子供がなく、その夫は老いています」。 + するとエリシャが「彼女を呼びなさい」と言ったので、彼女を呼ぶと、来て戸口に立った。 + エリシャは言った、「来年の今ごろ、あなたはひとりの子を抱くでしょう」。彼女は言った、「いいえ、わが主よ、神の人よ、はしためを欺かないでください」。 + しかし女はついに身ごもって、エリシャが彼女に言ったように、次の年のそのころに子を産んだ。 + その子が成長して、ある日、刈入れびとの所へ出ていって、父のもとへ行ったが、 + 父にむかって「頭が、頭が」と言ったので、父はしもべに「彼を母のもとへ背負っていきなさい」と言った。 + 彼を背負って母のもとへ行くと、昼まで母のひざの上にすわっていたが、ついに死んだ。 + 母は上がっていって、これを神の人の寝台の上に置き、戸を閉じて出てきた。 + そして夫を呼んで言った、「どうぞ、しもべひとりと、ろば一頭をわたしにかしてください。急いで神の人の所へ行って、また帰ってきます」。 + 夫は言った、「どうしてきょう彼の所へ行こうとするのか。きょうは、ついたちでもなく、安息日でもない」。彼女は言った、「よろしいのです」。 + そして彼女はろばにくらを置いて、しもべに言った、「速く駆けさせなさい。わたしが命じる時でなければ、歩調をゆるめてはなりません」。 + こうして彼女は出発してカルメル山へ行き、神の人の所へ行った。神の人は彼女の近づいてくるのを見て、しもべゲハジに言った、「向こうから、あのシュネムの女が来る。 + すぐ走って行って、彼女を迎えて言いなさい、『あなたは無事ですか。あなたの夫は無事ですか。あなたの子供は無事ですか』」。彼女は答えた、「無事です」。 + ところが彼女は山にきて、神の人の所へくるとエリシャの足にすがりついた。ゲハジが彼女を追いのけようと近よった時、神の人は言った、「かまわずにおきなさい。彼女は心に苦しみがあるのだから。主はそれを隠して、まだわたしにお告げにならないのだ」。 + そこで彼女は言った、「わたしがあなたに子を求めましたか。わたしを欺かないでくださいと言ったではありませんか」。 + エリシャはゲハジに言った、「腰をひきからげ、わたしのつえを手に持って行きなさい。だれに会っても、あいさつしてはならない。またあなたにあいさつする者があっても、それに答えてはならない。わたしのつえを子供の顔の上に置きなさい」。 + 子供の母は言った、「主は生きておられます。あなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そこでエリシャはついに立ちあがって彼女のあとについて行った。 + ゲハジは彼らの先に行って、つえを子供の顔の上に置いたが、なんの声もなく、生きかえったしるしもなかったので、帰ってきてエリシャに会い、彼に告げて「子供はまだ目をさましません」と言った。 + エリシャが家にはいって見ると、子供は死んで、寝台の上に横たわっていたので、 + 彼ははいって戸を閉じ、彼らふたりだけ内にいて主に祈った。 + そしてエリシャが上がって子供の上に伏し、自分の口を子供の口の上に、自分の目を子供の目の上に、自分の両手を子供の両手の上にあて、その身を子供の上に伸ばしたとき、子供のからだは暖かになった。 + こうしてエリシャは再び起きあがって、家の中をあちらこちらと歩み、また上がって、その身を子供の上に伸ばすと、子供は七たびくしゃみをして目を開いた。 + エリシャはただちにゲハジを呼んで、「あのシュネムの女を呼べ」と言ったので、彼女を呼んだ。彼女がはいってくるとエリシャは言った、「あなたの子供をつれて行きなさい」。 + 彼女ははいってきて、エリシャの足もとに伏し、地に身をかがめた。そしてその子供を取りあげて出ていった。 + エリシャはギルガルに帰ったが、その地にききんがあった。預言者のともがらが彼の前に座していたので、エリシャはそのしもべに言った、「大きなかまをすえて、預言者のともがらのために野菜の煮物をつくりなさい」。 + 彼らのうちのひとりが畑に出ていって青物をつんだが、つる草のあるのを見て、その野うりを一包つんできて、煮物のかまの中に切り込んだ。彼らはそれが何であるかを知らなかったからである。 + やがてこれを盛って人々に食べさせようとしたが、彼らがその煮物を食べようとした時、叫んで、「ああ神の人よ、かまの中に、たべると死ぬものがはいっています」と言って、食べることができなかったので、 + エリシャは「それでは粉を持って来なさい」と言って、それをかまに投げ入れ、「盛って人々に食べさせなさい」と言った。かまの中には、なんの毒物もなくなった。 + その時、バアル・シャリシャから人がきて、初穂のパンと、大麦のパン二十個と、新穀一袋とを神の人のもとに持ってきたので、エリシャは「人々に与えて食べさせなさい」と言ったが、 + その召使は言った、「どうしてこれを百人の前に供えるのですか」。しかし彼は言った、「人々に与えて食べさせなさい。主はこう言われる、『彼らは食べてなお余すであろう』」。 + そこで彼はそれを彼らの前に供えたので、彼らは食べてなお余した。主の言葉のとおりであった。 + + + スリヤ王の軍勢の長ナアマンはその主君に重んじられた有力な人であった。主がかつて彼を用いてスリヤに勝利を得させられたからである。彼は大勇士であったが、らい病をわずらっていた。 + さきにスリヤびとが略奪隊を組んで出てきたとき、イスラエルの地からひとりの少女を捕えて行った。彼女はナアマンの妻に仕えたが、 + その女主人にむかって、「ああ、御主人がサマリヤにいる預言者と共におられたらよかったでしょうに。彼はそのらい病をいやしたことでしょう」と言ったので、 + ナアマンは行って、その主君に、「イスラエルの地からきた娘がこういう事を言いました」と告げると、 + スリヤ王は言った、「それでは行きなさい。わたしはイスラエルの王に手紙を書きましょう」。そこで彼は銀十タラントと、金六千シケルと、晴れ着十着を携えて行った。 + 彼がイスラエルの王に持って行った手紙には、「この手紙があなたにとどいたならば、わたしの家来ナアマンを、あなたにつかわしたことと御承知ください。あなたに彼のらい病をいやしていただくためです」とあった。 + イスラエルの王はその手紙を読んだ時、衣を裂いて言った、「わたしは殺したり、生かしたりすることのできる神であろうか。どうしてこの人は、らい病人をわたしにつかわして、それをいやせと言うのか。あなたがたは、彼がわたしに争いをしかけているのを知って警戒するがよい」。 + 神の人エリシャは、イスラエルの王がその衣を裂いたことを聞き、王に人をつかわして言った、「どうしてあなたは衣を裂いたのですか。彼をわたしのもとにこさせなさい。そうすれば彼はイスラエルに預言者のあることを知るようになるでしょう」。 + そこでナアマンは馬と車とを従えてきて、エリシャの家の入口に立った。 + するとエリシャは彼に使者をつかわして言った、「あなたはヨルダンへ行って七たび身を洗いなさい。そうすれば、あなたの肉はもとにかえって清くなるでしょう」。 + しかしナアマンは怒って去り、そして言った、「わたしは、彼がきっとわたしのもとに出てきて立ち、その神、主の名を呼んで、その箇所の上に手を動かして、らい病をいやすのだろうと思った。 + ダマスコの川アバナとパルパルはイスラエルのすべての川水にまさるではないか。わたしはこれらの川に身を洗って清まることができないのであろうか」。こうして彼は身をめぐらし、怒って去った。 + その時、しもべたちは彼に近よって言った、「わが父よ、預言者があなたに、何か大きな事をせよと命じても、あなたはそれをなさらなかったでしょうか。まして彼はあなたに『身を洗って清くなれ』と言うだけではありませんか」。 + そこでナアマンは下って行って、神の人の言葉のように七たびヨルダンに身を浸すと、その肉がもとにかえって幼な子の肉のようになり、清くなった。 + 彼はすべての従者を連れて神の人のもとに帰ってきて、その前に立って言った、「わたしは今、イスラエルのほか、全地のどこにも神のおられないことを知りました。それゆえ、どうぞ、しもべの贈り物を受けてください」。 + エリシャは言った、「わたしの仕える主は生きておられる。わたしは何も受けません」。彼はしいて受けさせようとしたが、それを拒んだ。 + そこでナアマンは言った、「もしお受けにならないのであれば、どうぞ騾馬に二駄の土をしもべにください。これから後しもべは、他の神には燔祭も犠牲もささげず、ただ主にのみささげます。 + どうぞ主がこの事を、しもべにおゆるしくださるように。すなわち、わたしの主君がリンモンの宮にはいって、そこで礼拝するとき、わたしの手によりかかることがあり、またわたしもリンモンの宮で身をかがめることがありましょう。わたしがリンモンの宮で身をかがめる時、どうぞ主がその事を、しもべにおゆるしくださるように」。 + エリシャは彼に言った、「安んじて行きなさい」。ナアマンがエリシャを離れて少し行ったとき、 + 神の人エリシャのしもべゲハジは言った、「主人はこのスリヤびとナアマンをいたわって、彼が携えてきた物を受けなかった。主は生きておられる。わたしは彼のあとを追いかけて、彼から少し、物を受けよう」。 + そしてゲハジはナアマンのあとを追ったが、ナアマンは自分のあとから彼が走ってくるのを見て、車から降り、彼を迎えて、「変った事があるのですか」と言うと、 + 彼は言った、「無事です。主人がわたしをつかわして言わせます、『ただいまエフライムの山地から、預言者のともがらのふたりの若者が、わたしのもとに来ましたので、どうぞ彼らに銀一タラントと晴れ着二着を与えてください』」。 + ナアマンは、「どうぞ二タラントを受けてください」と言って彼にしい、銀二タラントを二つの袋に入れ、晴れ着二着を添えて、自分のふたりのしもべに渡したので、彼らはそれを負ってゲハジの先に立って進んだが、 + 彼は丘にきたとき、それを彼らの手から受け取って家のうちにおさめ、人々を送りかえしたので、彼らは去った。 + 彼がはいって主人の前に立つと、エリシャは彼に言った、「ゲハジよ、どこへ行ってきたのか」。彼は言った、「しもべはどこへも行きません」。 + エリシャは言った、「あの人が車をはなれて、あなたを迎えたとき、わたしの心はあなたと一緒にそこにいたではないか。今は金を受け、着物を受け、オリブ畑、ぶどう畑、羊、牛、しもべ、はしためを受ける時であろうか。 + それゆえ、ナアマンのらい病はあなたに着き、ながくあなたの子孫に及ぶであろう」。彼がエリシャの前を出ていくとき、らい病が発して雪のように白くなっていた。 + + + さて預言者のともがらはエリシャに言った、「わたしたちがあなたと共に住んでいる所は狭くなりましたので、 + わたしたちをヨルダンに行かせ、そこからめいめい一本ずつ材木を取ってきて、わたしたちの住む場所を造らせてください」。エリシャは言った、「行きなさい」。 + 時にそのひとりが、「どうぞあなたも、しもべらと一緒に行ってください」と言ったので、エリシャは「行きましょう」と答えた。 + そしてエリシャは彼らと一緒に行った。彼らはヨルダンへ行って木を切り倒したが、 + ひとりが材木を切り倒しているとき、おのの頭が水の中に落ちたので、彼は叫んで言った。「ああ、わが主よ。これは借りたものです」。 + 神の人は言った、「それはどこに落ちたのか」。彼がその場所を知らせると、エリシャは一本の枝を切り落し、そこに投げ入れて、そのおのの頭を浮ばせ、 + 「それを取りあげよ」と言ったので、その人は手を伸べてそれを取った。 + かつてスリヤの王がイスラエルと戦っていたとき、家来たちと評議して「しかじかの所にわたしの陣を張ろう」と言うと、 + 神の人はイスラエルの王に「あなたは用心して、この所をとおってはなりません。スリヤびとがそこに下ってきますから」と言い送った。 + それでイスラエルの王は神の人が自分に告げてくれた所に人をつかわし、警戒したので、その所でみずからを防ぎえたことは一、二回にとどまらなかった。 + スリヤの王はこの事のために心を悩まし、家来たちを召して言った、「われわれのうち、だれがイスラエルの王と通じているのか、わたしに告げる者はないか」。 + ひとりの家来が言った、「王、わが主よ、だれも通じている者はいません。ただイスラエルの預言者エリシャが、あなたが寝室で語られる言葉でもイスラエルの王に告げるのです」。 + 王は言った、「彼がどこにいるか行って捜しなさい。わたしは人をやって彼を捕えよう」。時に「彼はドタンにいる」と王に告げる者があったので、 + 王はそこに馬と戦車および大軍をつかわした。彼らは夜のうちに来て、その町を囲んだ。 + 神の人の召使が朝早く起きて出て見ると、軍勢が馬と戦車をもって町を囲んでいたので、その若者はエリシャに言った、「ああ、わが主よ、わたしたちはどうしましょうか」。 + エリシャは言った、「恐れることはない。われわれと共にいる者は彼らと共にいる者よりも多いのだから」。 + そしてエリシャが祈って「主よ、どうぞ、彼の目を開いて見させてください」と言うと、主はその若者の目を開かれたので、彼が見ると、火の馬と火の戦車が山に満ちてエリシャのまわりにあった。 + スリヤびとがエリシャの所に下ってきた時、エリシャは主に祈って言った、「どうぞ、この人々の目をくらましてください」。するとエリシャの言葉のとおりに彼らの目をくらまされた。 + そこでエリシャは彼らに「これはその道ではない。これはその町でもない。わたしについてきなさい。わたしはあなたがたを、あなたがたの尋ねる人の所へ連れて行きましょう」と言って、彼らをサマリヤへ連れて行った。 + 彼らがサマリヤにはいったとき、エリシャは言った、「主よ、この人々の目を開いて見させてください」。主は彼らの目を開かれたので、彼らが見ると、見よ、彼らはサマリヤのうちに来ていた。 + イスラエルの王は彼らを見て、エリシャに言った、「わが父よ、彼らを撃ち殺しましょうか。彼らを撃ち殺しましょうか」。 + エリシャは答えた、「撃ち殺してはならない。あなたはつるぎと弓をもって、捕虜にした者どもを撃ち殺すでしょうか。パンと水を彼らの前に供えて食い飲みさせ、その主君のもとへ行かせなさい」。 + そこで王は彼らのために盛んなふるまいを設けた。彼らが食い飲みを終ると彼らを去らせたので、その主君の所へ帰った。スリヤの略奪隊は再びイスラエルの地にこなかった。 + この後スリヤの王ベネハダデはその全軍を集め、上ってきてサマリヤを攻め囲んだので、 + サマリヤに激しいききんが起った。すなわち彼らがこれを攻め囲んだので、ついに、ろばの頭一つが銀八十シケルで売られ、はとのふん一カブの四分の一が銀五シケルで売られるようになった。 + イスラエルの王が城壁の上をとおっていた時、ひとりの女が彼に呼ばわって、「わが主、王よ、助けてください」と言ったので、 + 彼は言った、「もし主があなたを助けられないならば、何をもってわたしがあなたを助けることができよう。打ち場の物をもってか、酒ぶねの物をもってか」。 + そして王は女に尋ねた、「何事なのですか」。彼女は答えた、「この女はわたしにむかって『あなたの子をください。わたしたちは、きょうそれを食べ、あす、わたしの子を食べましょう』と言いました。 + それでわたしたちは、まずわたしの子を煮て食べましたが、次の日わたしが彼女にむかって『あなたの子をください。わたしたちはそれを食べましょう』と言いますと、彼女はその子を隠しました」。 + 王はその女の言葉を聞いて、衣を裂き、――王は城壁の上をとおっていたが、民が見ると、その身に荒布を着けていた―― + そして王は言った「きょう、シャパテの子エリシャの首がその肩の上にすわっているならば、神がどんなにでもわたしを罰してくださるように」。 + さてエリシャはその家に座していたが、長老たちもきて彼と共に座した。王は自分の所から人をつかわしたが、エリシャはその使者がまだ着かないうちに長老たちに言った、「あなたがたは、この人を殺す者がわたしの首を取るために、人をつかわすのを見ますか。その使者がきたならば、戸を閉じて、内に入れてはなりません。彼のうしろに、その主君の足音がするではありませんか」。 + 彼がなお彼らと語っているうちに、王は彼のもとに下ってきて言った、「この災は主から出たのです。わたしはどうしてこの上、主を待たなければならないでしょうか」。 + + + エリシャは言った、「主の言葉を聞きなさい。主はこう仰せられる、『あすの今ごろサマリヤの門で、麦粉一セアを一シケルで売り、大麦二セアを一シケルで売るようになるであろう』」。 + 時にひとりの副官すなわち王がその人の手によりかかっていた者が神の人に答えて言った、「たとい主が天に窓を開かれても、そんな事がありえましょうか」。エリシャは言った、「あなたは自分の目をもってそれを見るであろう。しかしそれを食べることはなかろう」。 + さて町の門の入口に四人のらい病人がいたが、彼らは互に言った、「われわれはどうしてここに座して死を待たねばならないのか。 + われわれがもし町にはいろうといえば、町には食物が尽きているから、われわれはそこで死ぬであろう。しかしここに座していても死ぬのだ。いっその事、われわれはスリヤびとの陣営へ逃げて行こう。もし彼らがわれわれを生かしておいてくれるならば、助かるが、たといわれわれを殺しても死ぬばかりだ」。 + そこで彼らはスリヤびとの陣営へ行こうと、たそがれに立ちあがったが、スリヤびとの陣営のほとりに行って見ると、そこにはだれもいなかった。 + これは主がスリヤびとの軍勢に戦車の音、馬の音、大軍の音を聞かせられたので、彼らは互に「見よ、イスラエルの王がわれわれを攻めるために、ヘテびとの王たちおよびエジプトの王たちを雇ってきて、われわれを襲うのだ」と言って、 + たそがれに立って逃げ、その天幕と、馬と、ろばを捨て、陣営をそのままにしておいて、命を全うしようと逃げたからである。 + そこでらい病人たちは陣営のほとりに行き、一つの天幕にはいって食い飲みし、そこから金銀、衣服を持ち出してそれを隠し、また来て、他の天幕に入り、そこからも持ち出してそれを隠した。 + そして彼らは互に言った、「われわれのしている事はよくない。きょうは良いおとずれのある日であるのに、黙っていて、夜明けまで待つならば、われわれは罰をこうむるであろう。さあ、われわれは行って王の家族に告げよう」。 + そこで彼らは来て、町の門を守る者を呼んで言った、「わたしたちがスリヤびとの陣営に行って見ると、そこにはだれの姿も見えず、また人声もなく、ただ、馬とろばがつないであり、天幕はそのままでした」。 + そこで門を守る者は呼ばわって、それを王の家族のうちに知らせた。 + 王は夜のうちに起きて、家来たちに言った、「スリヤびとがわれわれに対して図っている事をあなたがたに告げよう。彼らは、われわれの飢えているのを知って、陣営を出て野に隠れ、『イスラエルびとが町を出たら、いけどりにして、町に押し入ろう』と考えているのだ」。 + 家来のひとりが答えて言った、「人々に、ここに残っている馬のうち五頭を連れてこさせてください。ここに残っているこれらの人々は、すでに滅びうせたイスラエルの全群衆と同じ運命にあうのですから。わたしたちは人をやってうかがわせましょう」。 + そこで彼らはふたりの騎兵を選んだ。王はそれをつかわし、「行って見よ」と言って、スリヤびとの軍勢のあとをつけさせたので、 + 彼らはそのあとを追ってヨルダンまで行ったが、道にはすべて、スリヤびとがあわてて逃げる時に捨てていった衣服と武器が散らばっていた。その使者は帰ってきて、これを王に告げた。 + そこで民が出ていって、スリヤびとの陣営をかすめたので、麦粉一セアは一シケルで売られ、大麦二セアは一シケルで売られ、主の言葉のとおりになった。 + 王は自分がその人の手によりかかっていた、あの副官を立てて門を管理させたが、民は門で彼を踏みつけたので、彼は死んだ。すなわち、王が神の人のところに下ってきた時、神の人が言ったとおりであった。 + これは神の人が王にむかって、「あすの今ごろ、サマリヤの門で大麦二セアを一シケルで売り、麦粉一セアを一シケルで売るようになるであろう」と言ったときに、 + その副官が神の人に答えて、「たとい主が天に窓を開かれても、そんな事がありえようか」と言ったからである。そのとき神の人は「あなたは自分の目をもってそれを見るであろう。しかしそれを食べることはなかろう」と言ったが、 + これはそのとおり彼に臨んだ。すなわち民が門で彼を踏みつけたので彼は死んだ。 + + + エリシャはかつて、その子を生きかえらせてやった女に言ったことがある。「あなたは、ここを立って、あなたの家族と共に行き、寄留しようと思う所に寄留しなさい。主がききんを呼び下されたので、七年の間それがこの地に臨むから」。 + そこで女は立って神の人の言葉のようにし、その家族と共に行ってペリシテびとの地に七年寄留した。 + 七年たって後、女はペリシテびとの地から帰ってきて、自分の家と畑のために王に訴えようと出ていった。 + 時に王は神の人のしもべゲハジにむかって「エリシャがしたもろもろの大きな事をわたしに話してください」と言って、彼と物語っていた。 + すなわちエリシャが死人を生きかえらせた事を、ゲハジが王と物語っていたとき、その子を生きかえらせてもらった女が、自分の家と畑のために王に訴えてきたので、ゲハジは言った、「わが主、王よ、これがその女です。またこれがその子で、エリシャが生きかえらせたのです」。 + 王がその女に尋ねると、彼女は王に話したので、王は彼女のためにひとりの役人に命じて言った、「すべて彼女に属する物、ならびに彼女がこの地を去った日から今までのその畑の産物をことごとく彼女に返しなさい」。 + さてエリシャはダマスコに来た。時にスリヤの王ベネハダデは病気であったが、「神の人がここに来た」と告げる者があったので、 + 王はハザエルに言った、「贈り物を携えて行って神の人を迎え、彼によって主に『わたしのこの病気はなおりましょうか』と言って尋ねなさい」。 + そこでハザエルは彼を迎えようと、ダマスコのもろもろの良い物をらくだ四十頭に載せ、贈り物として携え行き、エリシャの前に立って言った、「あなたの子、スリヤの王ベネハダデがわたしをあなたにつかわして、『わたしのこの病気はなおりましょうか』と言わせています」。 + エリシャは彼に言った、「行って彼に『あなたは必ずなおります』と告げなさい。ただし主はわたしに、彼が必ず死ぬことを示されました」。 + そして神の人がひとみを定めて彼の恥じるまでに見つめ、やがて泣き出したので、 + ハザエルは言った、「わが主よ、どうして泣かれるのですか」。エリシャは答えた、「わたしはあなたがイスラエルの人々にしようとする害悪を知っているからです。すなわち、あなたは彼らの城に火をかけ、つるぎをもって若者を殺し、幼な子を投げうち、妊娠の女を引き裂くでしょう」。 + ハザエルは言った、「しもべは一匹の犬にすぎないのに、どうしてそんな大きな事をすることができましょう」。エリシャは言った、「主がわたしに示されました。あなたはスリヤの王となるでしょう」。 + 彼がエリシャのもとを去って、主君のところへ行くと、「エリシャはあなたになんと言ったか」と尋ねられたので、「あなたが必ずなおるでしょうと、彼はわたしに告げました」と答えた。 + しかし翌日になってハザエルは布を取って水に浸し、それをもって王の顔をおおったので、王は死んだ。ハザエルは彼に代って王となった。 + イスラエルの王アハブの子ヨラムの第五年に、ユダの王ヨシャパテの子ヨラムが位についた。 + 彼は王となったとき三十二歳で、八年の間エルサレムで世を治めた。 + 彼はアハブの家がしたようにイスラエルの王たちの道に歩んだ。アハブの娘が彼の妻であったからである。彼は主の目の前に悪をおこなったが、 + 主はしもべダビデのためにユダを滅ぼすことを好まれなかった。すなわち主は彼とその子孫に常にともしびを与えると、彼に約束されたからである。 + ヨラムの世にエドムがそむいてユダの支配を脱し、みずから王を立てたので、 + ヨラムはすべての戦車を従えてザイルにわたって行き、その戦車の指揮官たちと共に、夜のうちに立ちあがって、彼を包囲しているエドムびとを撃った。しかしヨラムの軍隊は天幕に逃げ帰った。 + エドムはこのようにそむいてユダの支配を脱し、今日に至っている。リブナもまた同時にそむいた。 + ヨラムのその他の事績および彼がしたすべての事は、ユダの歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨラムはその先祖たちと共に眠って、ダビデの町にその先祖たちと共に葬られ、その子アハジヤが代って王となった。 + イスラエルの王アハブの子ヨラムの第十二年にユダの王ヨラムの子アハジヤが位についた。 + アハジヤは王となったとき二十二歳で、エルサレムで一年世を治めた。その母は名をアタリヤと言って、イスラエルの王オムリの孫娘であった。 + アハジヤはまたアハブの家の道に歩み、アハブの家がしたように主の目の前に悪をおこなった。彼はアハブの家の婿であったからである。 + 彼はアハブの子ヨラムと共に行って、スリヤの王ハザエルとラモテ・ギレアデで戦ったが、スリヤびとらはヨラムに傷を負わせた。 + ヨラム王はそのスリヤの王ハザエルと戦うときにラマでスリヤびとに負わされた傷をいやすため、エズレルに帰ったが、ユダの王ヨラムの子アハジヤはアハブの子ヨラムが病んでいたので、エズレルに下って彼をおとずれた。 + + + 時に預言者エリシャは預言者のともがらのひとりを呼んで言った、「腰をひきからげ、この油のびんを携えて、ラモテ・ギレアデへ行きなさい。 + そこに着いたならば、ニムシの子ヨシャパテの子であるエヒウを尋ね出し、内にはいって彼をその同僚たちのうちから立たせて、奥の間に連れて行き、 + 油のびんを取って、その頭に注ぎ、『主はこう仰せられる、わたしはあなたに油を注いでイスラエルの王とする』と言い、そして戸をあけて逃げ去りなさい。とどまってはならない」。 + そこで預言者であるその若者はラモテ・ギレアデへ行ったが、 + 来て見ると、軍勢の長たちが会議中であったので、彼は「将軍よ、わたしはあなたに申しあげる事があります」と言うと、エヒウが答えて、「われわれすべてのうちの、だれにですか」と言ったので、彼は「将軍よ、あなたにです」と言った。 + するとエヒウが立ちあがって家にはいったので、若者はその頭に油を注いで彼に言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられます、『わたしはあなたに油を注いで、主の民イスラエルの王とする。 + あなたは主君アハブの家を撃ち滅ぼさなければならない。それによってわたしは、わたしのしもべである預言者たちの血と、主のすべてのしもべたちの血をイゼベルに報いる。 + アハブの全家は滅びるであろう。アハブに属する男は、イスラエルにいて、つながれた者も、自由な者も、ことごとくわたしは断ち、 + アハブの家をネバテの子ヤラベアムのようにし、アヒヤの子バアシャの家のようにする。 + 犬がイズレルの地域でイゼベルを食い、彼女を葬る者はないであろう』」。そして彼は戸をあけて逃げ去った。 + やがてエヒウが主君の家来たちの所へ出て来ると、彼らはエヒウに言った、「変った事はありませんか。あの気違いは、なんのためにあなたの所にきたのですか」。エヒウは彼らに言った、「あなたがたは、あの人を知っています。またその言う事も知っています」。 + 彼らは言った、「それは違います。どうぞわれわれに話してください」。そこでエヒウは言った、「彼はこうこう、わたしに告げて言いました、『主はこう仰せられる、わたしはあなたに油を注いで、イスラエルの王とする』」。 + すると彼らは急いで、おのおの衣服をとり、それを階段の上のエヒウの下に敷き、ラッパを吹いて「エヒウは王である」と言った。 + こうしてニムシの子であるヨシャパテの子エヒウはヨラムにそむいた。(ヨラムはイスラエルをことごとく率いて、ラモテ・ギレアデでスリヤの王ハザエルを防いだが、 + ヨラム王はスリヤの王ハザエルと戦った時に、スリヤびとに負わされた傷をいやすため、エズレルに帰っていた。)エヒウは言った、「もしこれがあなたがたの本心であるならば、ひとりもこの町から忍び出て、これをエズレルに告げてはならない」。 + そしてエヒウは車に乗ってエズレルへ行った。ヨラムがそこに伏していたからである。またユダの王アハジヤはヨラムを見舞うために下っていた。 + さてエズレルのやぐらに、ひとりの物見が立っていたが、エヒウの群衆が来るのを見て、「群衆が見える」と言ったので、ヨラムは言った、「ひとりを馬に乗せてつかわし、それに会わせて『平安ですか』と言わせなさい」。 + そこでひとりが馬に乗って行き、彼に会って言った、「王はこう仰せられます、『平安ですか』」。エヒウ言った、「あなたは平安となんの関係がありますか。わたしのあとについてきなさい」。物見はまた告げて言った、「使者は彼らの所へ行きましたが、帰ってきません」。 + そこで再び人を馬でつかわしたので、彼らの所へ行って言った、「王はこう仰せられます、『平安ですか』」。エヒウは答えて言った、「あなたは平安となんの関係がありますか。わたしのあとについてきなさい」。 + 物見はまた告げて言った、「彼も、彼らの所へ行きましたが帰ってきません。あの車の操縦はニムシの子エヒウの操縦するのに似て、猛烈な勢いで操縦して来ます」。 + そこでヨラムが「車を用意せよ」と言ったので、車を用意すると、イスラエルの王ヨラムと、ユダの王アハジヤは、おのおのその車で出て行った。すなわちエヒウに会うために出ていって、エズレルびとナボテの地所で彼に会った。 + ヨラムはエヒウを見て言った、「エヒウよ、平安ですか」。エヒウは答えた、「あなたの母イゼベルの姦淫と魔術とが、こんなに多いのに、どうして平安でありえましょうか」。 + その時ヨラムは車をめぐらして逃げ、アハジヤにむかって、「アハジヤよ、反逆です」と言うと、 + エヒウは手に弓をひきしぼって、ヨラムの両肩の間を射たので、矢は彼の心臓を貫き、彼は車の中に倒れた。 + エヒウはその副官ビデカルに言った、「彼を取りあげて、エズレルびとナボテの畑に投げ捨てなさい。かつて、わたしとあなたと、ふたり共に乗って、彼の父アハブに従ったとき、主が彼について、この預言をされたことを記憶しなさい。 + すなわち主は言われた、『まことに、わたしはきのうナボテの血と、その子らの血を見た』。また主は言われた、『わたしはこの地所であなたに報復する』と。それゆえ彼を取りあげて、その地所に投げすて、主の言葉のようにしなさい」。 + ユダの王アハジヤはこれを見てベテハガンの方へ逃げたが、エヒウはそのあとを追い、「彼をも撃て」と言ったので、イブレアムのほとりのグルの坂で車の中の彼を撃った。彼はメギドまで逃げていって、そこで死んだ。 + その家来たちは彼を車に載せてエルサレムに運び、ダビデの町で彼の墓にその先祖たちと共に葬った。 + アハブの子ヨラムの第十一年にアハジヤはユダの王となったのである。 + エヒウがエズレルにきた時、イゼベルはそれを聞いて、その目を塗り、髪を飾って窓から望み見たが、 + エヒウが門にはいってきたので、「主君を殺したジムリよ、無事ですか」と言った。 + するとエヒウは顔をあげて窓にむかい、「だれか、わたしに味方する者があるか。だれかあるか」と言うと、二、三人の宦官がエヒウを望み見たので、 + エヒウは「彼女を投げ落せ」と言った。彼らは彼女を投げ落したので、その血が壁と馬とにはねかかった。そして馬は彼女を踏みつけた。 + エヒウは内にはいって食い飲みし、そして言った、「あののろわれた女を見、彼女を葬りなさい。彼女は王の娘なのだ」。 + しかし彼らが彼女を葬ろうとして行って見ると、頭蓋骨と、足と、たなごころのほか何もなかったので、 + 帰って、彼に告げると、彼は言った、「これは主が、そのしもべ、テシベびとエリヤによってお告げになった言葉である。すなわち『エズレルの地で犬がイゼベルの肉を食うであろう。 + イゼベルの死体はエズレルの地で、糞土のように野のおもてに捨てられて、だれも、これはイゼベルだ、と言うことができないであろう』」。 + + + アハブはサマリヤに七十人の子供があった。エヒウは手紙をしたためてサマリヤに送り、町のつかさたちと、長老たちと、アハブの子供の守役たちとに伝えて言った、 + 「あなたがたの主君の子供たちがあなたがたと共におり、また戦車も馬も、堅固な町も武器もあるのだから、この手紙があなたがたのもとに届いたならば、すぐ、 + あなたがたは主君の子供たちのうち最もすぐれた、最も適当な者を選んで、その父の位にすえ、主君の家のために戦いなさい」。 + 彼らは大いに恐れて言った、「ふたりの王たちがすでに彼に当ることができなかったのに、われわれがどうして当ることができよう」。 + そこで宮廷のつかさ、町のつかさ、長老たちと守役たちはエヒウに人をつかわして言った、「わたしたちは、あなたのしもべです。すべてあなたが命じられる事をいたします。わたしたちは王を立てることを好みません。あなたがよいと思われることをしてください」。 + そこでエヒウは再び彼らに手紙を書き送って言った、「もしあなたがたが、わたしに味方し、わたしに従おうとするならば、あなたがたの主君の子供たちの首を取って、あすの今ごろエズレルにいるわたしのもとに持ってきなさい」。そのころ、王の子供たち七十人は彼らを育てていた町のおもだった人々と共にいた。 + 彼らはその手紙を受け取ると、王の子供たちを捕えて、その七十人をことごとく殺し、その首をかごにつめて、エズレルにいるエヒウのもとに送った。 + 使者が来て、エヒウに告げ、「人々が王の子供たちの首を持ってきました」と言うと、「あくる朝までそれを門の入口に、ふた山に積んでおけ」と言った。 + 朝になると、彼は出て行って立ち、すべての民に言った、「あなたがたは正しい。主君にそむいて彼を殺したのはわたしです。しかしこのすべての者どもを殺したのはだれですか。 + これであなたがたは、主がアハブの家について告げられた主の言葉は一つも地に落ちないことを知りなさい。主は、そのしもべエリヤによってお告げになった事をなし遂げられたのです」。 + こうしてエヒウは、アハブの家に属する者でエズレルに残っている者をことごとく殺し、またそのすべてのおもだった者、その親しい者およびその祭司たちを殺して、彼に属する者はひとりも残さなかった。 + さてエヒウは立ってサマリヤへ行ったが、途中、牧者の集まり場で、 + ユダの王アハジヤの身内の人々に会い、「あなたがたはどなたですか」と言うと、「わたしたちはアハジヤの身内の者ですが、王の子供たちと、王母の子供たちの安否を問うために下ってきたのです」と答えたので、 + エヒウは「彼らをいけどれ」と命じた。そこで彼らをいけどって、集まり場の穴のかたわらで彼ら四十二人をことごとく殺し、ひとりをも残さなかった。 + エヒウはそこを立って行ったが、自分を迎えにきたレカブの子ヨナダブに会ったので、彼にあいさつして、「あなたの心は、わたしがあなたに対するように真実ですか」と言うと、ヨナダブは「真実です」と答えた。するとエヒウは「それならば、あなたの手をわたしに伸べなさい」と言ったので、その手を伸べると、彼を引いて自分の車に上らせ、 + 「わたしと一緒にきて、わたしが主に熱心なのを見なさい」と言った。そして彼を自分の車に乗せ、 + サマリヤへ行って、アハブに属する者で、サマリヤに残っている者をことごとく殺して、その一族を滅ぼした。主がエリヤにお告げになった言葉のとおりである。 + 次いでエヒウは民をことごとく集めて彼らに言った、「アハブは少しばかりバアルに仕えたが、エヒウは大いにこれに仕えるであろう。 + それゆえ、今バアルのすべての預言者、すべての礼拝者、すべての祭司をわたしのもとに召しなさい。ひとりもこない者のないようにしなさい。わたしは大いなる犠牲をバアルにささげようとしている。すべてこない者は生かしておかない」。しかしエヒウはバアルの礼拝者たちを滅ぼすために偽ってこうしたのである。 + そしてエヒウは「バアルのために聖会を催しなさい」と命じたので、彼らはこれを布告した。 + エヒウはあまねくイスラエルに人をつかわしたので、バアルの礼拝者たちはことごとく来た。こないで残った者はひとりもなかった。彼らはバアルの宮にはいったので、バアルの宮は端から端までいっぱいになった。 + その時エヒウは衣装をつかさどる者に「祭服を取り出してバアルのすべての礼拝者に与えよ」と言ったので、彼らのために祭服を取り出した。 + そしてエヒウはレカブの子ヨナダブと共にバアルの宮に入り、バアルの礼拝者たちに言った、「調べてみて、ここにはただバアルの礼拝者のみで、主のしもべはひとりも、あなたがたのうちにいないようにしなさい」。 + こうして彼は犠牲と燔祭とをささげるためにはいった。さてエヒウは八十人の者を外に置いて言った、「わたしがあなたがたの手に渡す者をひとりでも逃す者は、自分の命をもってその人の命に換えなければならない」。 + こうして燔祭をささげることが終ったとき、エヒウはその侍衛と将校たちに言った、「はいって彼らを殺せ。ひとりも逃がしてはならない」。侍衛と将校たちはつるぎをもって彼らを撃ち殺し、それを投げ出して、バアルの宮の本殿に入り、 + バアルの宮にある柱の像を取り出して、それを焼いた。 + また彼らはバアルの石柱をこわし、バアルの宮をこわして、かわやとしたが今日まで残っている。 + このようにエヒウはイスラエルのうちからバアルを一掃した。 + しかしエヒウはイスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪、すなわちベテルとダンにある金の子牛に仕えることをやめなかった。 + 主はエヒウに言われた、「あなたはわたしの目にかなう事を行うにあたって、よくそれを行い、またわたしの心にあるすべての事をアハブの家にしたので、あなたの子孫は四代までイスラエルの位に座するであろう」。 + しかしエヒウはイスラエルの神、主の律法を心をつくして守り行おうとはせず、イスラエルに罪を犯させたヤラベアムの罪を離れなかった。 + この時にあたって、主はイスラエルの領地を切り取ることを始められた。すなわちハザエルはイスラエルのすべての領域を侵し、 + ヨルダンの東で、ギレアデの全地、カドびと、ルベンびと、マナセびとの地を侵し、アルノン川のほとりにあるアロエルからギレアデとバシャンに及んだ。 + エヒウのその他の事績と、彼がしたすべての事およびその武勇は、ことごとくイスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + エヒウはその先祖たちと共に眠ったので、彼をサマリヤに葬った。その子エホアハズが代って王となった。 + エヒウがサマリヤでイスラエルを治めたのは二十八年であった。 + + + さてアハジヤの母アタリヤはその子の死んだのを見て、立って王の一族をことごとく滅ぼしたが、 + ヨラム王の娘で、アハジヤの姉妹であるエホシバはアハジヤの子ヨアシを、殺されようとしている王の子たちのうちから盗み取り、彼とそのうばとを寝室に入れて、アタリヤに隠したので、彼はついに殺されなかった。 + ヨアシはうばと共に六年の間、主の宮に隠れていたが、その間アタリヤが国を治めた。 + 第七年になってエホヤダは人をつかわして、カリびとと近衛兵との大将たちを招きよせ、主の宮にいる自分のもとにこさせ、彼らと契約を結び、主の宮で彼らに誓いをさせて王の子を見せ、 + 命じて言った、「あなたがたのする事はこれです、すなわち、安息日に非番となって王の家を守るあなたがたの三分の一は、 + 宮殿を守らなければならない。(他の三分の一はスルの門におり、三分の一は近衛兵のうしろの門におる)。 + すべて安息日に当番で主の宮を守るあなたがたの二つの部隊は、 + おのおのの武器を手に取って王のまわりに立たなければならない。すべて列に近よる者は殺されなければならない。あなたがたは王が出る時にも、はいる時にも王と共にいなければならない」。 + そこでその大将たちは祭司エホヤダがすべて命じたとおりにおこなった。すなわち彼らはおのおの安息日に非番となる者と、安息日に当番となる者とを率いて祭司エホヤダのもとにきたので、 + 祭司は主の宮にあるダビデ王のやりと盾を大将たちに渡した。 + 近衛兵はおのおの手に武器をとって主の宮の南側から北側まで、祭壇と宮を取り巻いて立った。 + そこでエホヤダは王の子をつれ出して冠をいただかせ、律法の書を渡し、彼を王と宣言して油を注いだので、人々は手を打って「王万歳」と言った。 + アタリヤは近衛兵と民の声を聞いて、主の宮に入り、民のところへ行って、 + 見ると、王は慣例にしたがって柱のかたわらに立ち、王のかたわらには大将たちとラッパ手たちが立ち、また国の民は皆喜んでラッパを吹いていたので、アタリヤはその衣を裂いて、「反逆です、反逆です」と叫んだ。 + その時祭司エホヤダは軍勢を指揮していた大将たちに命じて、「彼女を列の間をとおって出て行かせ、彼女に従う者をつるぎをもって殺しなさい」と言った。これは祭司がさきに「彼女を主の宮で殺してはならない」と言ったからである。 + そこで彼らは彼女を捕え、王の家の馬道へ連れて行ったが、彼女はついにそこで殺された。 + かくてエホヤダは主と王および民との間に、皆主の民となるという契約を立てさせ、また王と民との間にもそれを立てさせた。 + そこで国の民は皆バアルの宮に行って、これをこわし、その祭壇とその像を打ち砕き、バアルの祭司マッタンをその祭壇の前で殺した。そして祭司は主の宮に管理人を置いた。 + 次いでエホヤダは大将たちと、カリびとと、近衛兵と国のすべての民を率いて、主の宮から王を導き下り、近衛兵の門の道から王の家に入り、王の位に座せしめた。 + こうして国の民は皆喜び、町はアタリヤが王の家でつるぎをもって殺されてのち、おだやかになった。 + ヨアシは位についた時七歳であった。 + + + ヨアシはエヒウの第七年に位につき、エルサレムで四十年の間、世を治めた。その母はベエルシバの出身で、名をヂビアといった。 + ヨアシは一生の間、主の目にかなう事をおこなった。祭司エホヤダが彼を教えたからである。 + しかし高き所は除かなかったので、民はなおその高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + ヨアシは祭司たちに言った、「すべて主の宮に聖別してささげる銀、すなわちおのおのが課せられて、割当にしたがって人々の出す銀、および人々が心から願って主の宮の持ってくる銀は、 + これを祭司たちがおのおのその知る人から受け取り、どこでも主の宮に破れの見える時は、それをもってその破れを繕わなければならない」。 + ところがヨアシ王の二十三年に至るまで、祭司たちは主の宮の破れを繕わなかった。 + それで、ヨアシ王は祭司エホヤダおよび他の祭司たちを召して言った、「なぜ、あなたがたは主の宮の破れを繕わないのか。あなたがたはもはや知人から銀を受けてはならない。主の宮の破れを繕うためにそれを渡しなさい」。 + 祭司たちは重ねて民から銀を受けない事と、主の宮の破れを繕わない事とに同意した。 + そこで祭司エホヤダは一つの箱を取り、そのふたに穴をあけて、それを主の宮の入口の右側、祭壇のかたわらに置いた。そして門を守る祭司たちは主の宮にはいってくる銀をことごとくその中に入れた。 + こうしてその箱の中に銀が多くなったのを見ると、王の書記官と大祭司が上ってきて、主の宮にある銀を数えて袋に詰めた。 + そしてその数えた銀を、工事をつかさどる主の宮の監督者の手にわたしたので、彼らはそれを主の宮に働く木工と建築師に払い、 + 石工および石切りに払い、またそれをもって主の宮の破れを繕う材木と切り石を買い、主の宮を繕うために用いるすべての物のために費した。 + ただし、主の宮にはいってくるその銀をもって主の宮のために銀のたらい、心切りばさみ、鉢、ラッパ、金の器、銀の器などを造ることはしなかった。 + ただこれを工事をする者に渡して、それで主の宮を繕わせた。 + またその銀を渡して工事をする者に払わせた人々と計算することはしなかった。彼らは正直に事をおこなったからである。 + 愆祭の銀と罪祭の銀は主の宮に、はいらないで、祭司に帰した。 + そのころ、スリヤの王ハザエルが上ってきて、ガテを攻めてこれを取った。そしてハザエルがエルサレムに攻め上ろうとして、その顔を向けたとき、 + ユダの王ヨアシはその先祖、ユダの王ヨシャパテ、ヨラム、アハジヤが聖別してささげたすべての物、およびヨアシ自身が聖別してささげた物、ならびに主の宮の倉と、主の宮にある金をことごとく取って、スリヤ王のハザエルに贈ったので、ハザエルはエルサレムを離れ去った。 + ヨアシのその他の事績および彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨアシの家来たちは立って徒党を結び、シラに下る道にあるミロの家でヨアシを殺した。 + すなわちその家来シメアテの子ヨザカルと、ショメルの子ヨザバデが彼を撃って殺し、彼をその先祖と同じく、ダビデの町に葬った。その子アマジヤが代って王となった。 + + + ユダの王アハジヤの子ヨアシの第二十三年にエヒウの子エホアハズはサマリヤでイスラエルの王となり、十七年世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を行いつづけて、それを離れなかった。 + そこで主はイスラエルに対して怒りを発し、エホアハズの治世の間、絶えずイスラエルをスリヤの王ハザエルの手にわたし、またハザエルの子ベネハダデの手にわたされた。 + しかしエホアハズが主に願い求めたので、主はついにこれを聞きいれられた。スリヤの王によって悩まされたイスラエルの悩みを見られたからである。 + それで主がひとりの救助者をイスラエルに賜わったので、イスラエルの人々はスリヤびとの手をのがれ、前のように自分たちの天幕に住むようになった。 + それにもかかわらず、彼らはイスラエルに罪を犯させたヤラベアムの家の罪を離れず、それを行いつづけた。またアシラの像もサマリヤに立ったままであった。 + さきにスリヤの王が彼らを滅ぼし、踏み砕くちりのようにしたのでエホアハズの軍勢で残ったものは、ただ騎兵五十人、戦車十両、歩兵一万人のみであった。 + エホアハズその他の事績と、彼がしたすべての事およびその武勇は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + エホアハズは先祖たちと共に眠ったので、彼をサマリヤに葬った。その子ヨアシが代って王となった。 + ユダの王ヨアシの第三十七年に、エホアハズの子ヨアシはサマリヤでイスラエルの王となり、十六年世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムのもろもろの罪を離れず、それに歩んだ。 + ヨアシのその他の事績と、彼がしたすべての事およびユダの王アマジヤと戦ったその武勇は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨアシは先祖たちと共に眠って、ヤラベアムがその位に座した。そしてヨアシはイスラエルの王たちと同じくサマリヤに葬られた。 + さてエリシャは死ぬ病気にかかっていたが、イスラエルの王ヨアシは下ってきて彼の顔の上に涙を流し、「わが父よ、わが父よ、イスラエルの戦車よ、その騎兵よ」と言った。 + エリシャは彼に「弓と矢を取りなさい」と言ったので、弓と矢を取った。 + エリシャはまたイスラエルの王に「弓に手をかけなさい」と言ったので、手をかけた。するとエリシャは自分の手を王の手の上におき、 + 「東向きの窓をあけなさい」と言ったので、それをあけると、エリシャはまた「射なさい」と言った。彼が射ると、エリシャは言った、「主の救の矢、スリヤに対する救の矢。あなたはアペクでスリヤびとを撃ち破り、彼らを滅ぼしつくすであろう」。 + エリシャはまた「矢を取りなさい」と言ったので、それを取った。エリシャはまたイスラエルの王に「それをもって地を射なさい」と言ったので、三度射てやめた。 + すると神の人は怒って言った、「あなたは五度も六度も射るべきであった。そうしたならば、あなたはスリヤを撃ち破り、それを滅ぼしつくすことができたであろう。しかし今あなたはそうしなかったので、スリヤを撃ち破ることはただ三度だけであろう」。 + こうしてエリシャは死んで葬られた。さてモアブの略奪隊は年が改まるごとに、国にはいって来るのを常とした。 + 時に、ひとりの人を葬ろうとする者があったが、略奪隊を見たので、その人をエリシャの墓に投げ入れて去った。その人はエリシャの骨に触れるとすぐ生きかえって立ちあがった。 + スリヤの王ハザエルはエホアハズの一生の間、イスラエルを悩ましたが、 + 主はアブラハム、イサク、ヤコブと結ばれた契約のゆえにイスラエルを恵み、これをあわれみ、これを顧みて滅ぼすことを好まず、なおこれをみ前から捨てられなかった。 + スリヤの王ハザエルはついに死んで、その子ベネハダデが代って王となった。 + そこでエホアハズの子ヨアシは、父エホアハズがハザエルに攻め取られた町々を、ハザエルの子ベネハダデの手から取り返した。すなわちヨアシは三度彼を撃ち破って、イスラエルの町々を取り返した。 + + + イスラエルの王エホアハズの子ヨアシの第二年に、ユダの王ヨアシの子アマジヤが王となった。 + 彼は王となった時二十五歳で、二十九年の間エルサレムで世を治めた。その母はエルサレムの出身で、名をエホアダンといった。 + アマジヤは主の目にかなう事をおこなったが、先祖ダビデのようではなかった。彼はすべての事を父ヨアシがおこなったようにおこなった。 + ただし高き所は除かなかったので、民はなおその高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + 彼は国が彼の手のうちに強くなった時、父ヨアシ王を殺害した家来たちを殺したが、 + その殺害者の子供たちは殺さなかった。これはモーセの律法の書にしるされている所に従ったのであって、そこに主は命じて「父は子のゆえに殺さるべきではない。子は父のゆえに殺さるべきではない。おのおの自分の罪のゆえに殺さるべきである」と言われている。 + アマジヤはまた塩の谷でエドムびと一万人を殺した。またセラを攻め取って、その名をヨクテルと名づけたが、今日までそのとおりである。 + そこでアマジヤがエヒウの子エホアハズの子であるイスラエルの王ヨアシに使者をつかわして、「さあ、われわれは互に顔を合わせよう」と言わせたので、 + イスラエルの王ヨアシはユダの王アマジヤに言い送った、「かつてレバノンのいばらがレバノンの香柏に、『あなたの娘をわたしのむすこの妻にください』と言い送ったことがあったが、レバノンの野獣がとおって、そのいばらを踏み倒した。 + あなたは大いにエドムを撃って、心にたかぶっているが、その栄誉に満足して家にとどまりなさい。何ゆえ、あなたは災をひき起して、自分もユダも共に滅びるような事をするのですか」。 + しかしアマジヤが聞きいれなかったので、イスラエルの王ヨアシは上ってきた。そこで彼とユダの王アマジヤはユダのベテシメシで互に顔をあわせたが、 + ユダはイスラエルに敗られて、おのおのその天幕に逃げ帰った。 + イスラエルの王ヨアシはアハジヤの子ヨアシの子であるユダの王アマジヤをベテシメシで捕え、エルサレムにきて、エルサレムの城壁をエフライムの門から隅の門まで、おおよそ四百キュビトにわたってこわし、 + また主の宮と王の家の倉にある金銀およびもろもろの器をことごとく取り、かつ人質をとってサマリヤに帰った。 + ヨアシのその他の事績と、その武勇および彼がユダの王アマジヤと戦った事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨアシはその先祖たちと共に眠って、イスラエルの王たちと共にサマリヤに葬られ、その子ヤラベアムが代って王となった。 + ヨアシの子であるユダの王アマジヤは、エホアハズの子であるイスラエルの王ヨアシが死んで後、なお十五年生きながらえた。 + アマジヤのその他の事績は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + 時に人々がエルサレムで徒党を結び、彼に敵対したので、彼はラキシに逃げていったが、その人々はラキシに人をつかわして彼をそこで殺させた。 + 人々は彼を馬に載せて運んできて、エルサレムで彼を先祖たちと共にダビデの町に葬った。 + そしてユダの民は皆アザリヤを父アマジヤの代りに王とした。時に年十六歳であった。 + 彼はエラテの町を建てて、これをユダに復帰させた。これはかの王がその先祖たちと共に眠った後であった。 + ユダの王ヨアシの子アマジヤの第十五年に、イスラエルの王ヨアシの子ヤラべアムがサマリヤで王となって四十一年の間、世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を離れなかった。 + 彼はハマテの入口からアラバの海まで、イスラエルの領域を回復した。イスラエルの神、主がガテヘペルのアミッタイの子である、そのしもべ預言者ヨナによって言われた言葉のとおりである。 + 主はイスラエルの悩みの非常に激しいのを見られた。そこにはつながれた者も、自由な者もいなくなり、またイスラエルを助ける者もいなかった。 + しかし主はイスラエルの名を天が下から消し去ろうとは言われなかった。そして彼らをヨアシの子ヤラベアムの手によって救われた。 + ヤラベアムのその他の事績と、彼がしたすべての事およびその武勇、すなわち彼が戦争をした事および、かつてユダに属していたダマスコとハマテを、イスラエルに復帰させた事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヤラベアムはその先祖であるイスラエルの王たちと共に眠って、その子ゼカリヤが代って王となった。 + + + イスラエルの王ヤラベアムの第二十七年に、ユダの王アマジヤの子アザリヤが王となった。 + 彼が王となった時は十六歳で、五十二年の間エルサレムで世を治めた。その母はエルサレムの出身で、名をエコリアといった。 + 彼は主の目にかなう事を行い、すべての事を父アマジヤが行ったようにおこなった。 + ただし高き所は除かなかったので、民はなおその高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + 主が王を撃たれたので、その死ぬ日まで、らい病人となって、離れ家に住んだ。王の子ヨタムが家の事を管理し、国の民をさばいた。 + アザリヤのその他の事績と、彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + アザリヤはその先祖たちと共に眠ったので、彼をダビデの町にその先祖たちと共に葬った。その子ヨタムが代って王となった。 + ユダの王アザリヤの第三十八年にヤラベアムの子ゼカリヤがサマリヤでイスラエルの王となり、六か月世を治めた。 + 彼はその先祖たちがおこなったように主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を離れなかった。 + ヤベシの子シャルムが徒党を結んで彼に敵し、イブレアムで彼を撃ち殺し、彼に代って王となった。 + ゼカリヤのその他の事績は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + 主はかつてエヒウに、「あなたの子孫は四代までイスラエルの位に座するであろう」と告げられたが、はたしてそのとおりになった。 + ヤベシの子シャルムはユダの王ウジヤの第三十九年に王となり、サマリヤで一か月世を治めた。 + 時にガデの子メナヘムがテルザからサマリヤに上ってきて、ヤベシの子シャルムをサマリヤで撃ち殺し、彼に代って王となった。 + シャルムのその他の事績と、彼が徒党を結んだ事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + その時メナヘムはテルザから進んでいって、タップアと、そのうちにいるすべての者、およびその領域を撃った。すなわち彼らが彼のために開かなかったので、これを撃って、そのうちの妊娠の女をことごとく引き裂いた。 + ユダの王アザリヤの第三十九年に、ガデの子メナヘムはイスラエルの王となり、サマリヤで十年の間、世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を一生の間、離れなかった。 + 時にアッスリヤの王プルが国に攻めてきたので、メナヘムは銀一千タラントをプルに与えた。これは彼がプルの助けを得て、国を自分の手のうちに強くするためであった。 + すなわちメナヘムはその銀をイスラエルのすべての富める者に課し、その人々におのおの銀五十シケルを出させてアッスリヤの王に与えた。こうしてアッスリヤの王は国にとどまらないで帰っていった。 + メナヘムのその他の事績と彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + メナヘムは先祖たちと共に眠り、その子ペカヒヤが代って王となった。 + メナヘムの子ペカヒヤはユダの王アザリヤの第五十年に、サマリヤでイスラエルの王となり、二年の間、世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯せたネバテの子ヤラベアムの罪を離れなかった。 + 時に彼の副官であったレマリヤのペカが、ギレアデびと五十人と共に徒党を結んで彼に敵し、サマリヤの、王の宮殿の天守で彼を撃ち殺した。すなわちペカは彼を殺し、彼に代って王となった。 + ペカヒヤのその他の事績と彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + レマリヤの子ペカはユダの王アザリヤの第五十二年に、サマリヤでイスラエルの王となり、二十年の間、世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪をおこない、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を離れなかった。 + イスラエルの王ペカの世に、アッスリヤの王テグラテピレセルが来て、イヨン、アベル・ベテマアカ、ヤノア、ケデシ、ハゾル、ギレアデ、ガリラヤ、ナフタリの全地を取り、人々をアッスリヤへ捕え移した。 + 時にエラの子ホセアは徒党を結んで、レマリヤの子ペカに敵し、彼を撃ち殺し、彼に代って王となった。これはウジヤの子ヨタムの第二十年であった。 + ペカのその他の事績と彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + レマリヤの子イスラエルの王ペカの第二年に、ユダの王ウジヤの子ヨタムが王となった。 + 彼は王となった時二十五歳であったが、エルサレムで十六年の間、世を治めた。母はザドクの娘で、名をエルシャといった。 + 彼は主の目にかなう事を行い、すべて父ウジヤの行ったようにおこなった。 + ただし高き所は除かなかったので、民はなおその高き所で犠牲をささげ、香をたいた。彼は主の宮の上の門を建てた。 + ヨタムのその他の事績と彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + そのころ、主はスリヤの王レヂンとレマリヤの子ペカをユダに攻めこさせられた。 + ヨタムは先祖たちと共に眠って、その先祖ダビデの町に先祖たちと共に葬られ、その子アハズが代って王となった。 + + + レマリヤの子ペカの第十七年にユダの王ヨタムの子アハズが王となった。 + アハズは王となった時二十歳で、エルサレムで十六年の間、世を治めたが、その神、主の目にかなう事を先祖ダビデのようには行わなかった。 + 彼はイスラエルの王たちの道に歩み、また主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人の憎むべきおこないにしたがって、自分の子を火に焼いてささげ物とした。 + かつ彼は高き所、また丘の上、すべての青木の下で犠牲をささげ、香をたいた。 + そのころ、スリヤの王レヂンおよびレマリヤの子であるイスラエルの王ペカがエルサレムに攻め上って、アハズを囲んだが、勝つことができなかった。 + その時エドムの王はエラテを回復してエドムの所領とし、ユダの人々をエラテから追い出した。そしてエドムびとがエラテにきて、そこに住み、今日に至っている。 + そこでアハズは使者をアッスリヤの王テグラテピレセルにつかわして言わせた、「わたしはあなたのしもべ、あなたの子です。スリヤの王とイスラエルの王がわたしを攻め囲んでいます。どうぞ上ってきて、彼らの手からわたしを救い出してください」。 + そしてアハズは主の宮と王の家の倉にある金と銀をとり、これを贈り物としてアッスリヤの王におくったので、 + アッスリヤの王は彼の願いを聞きいれた。すなわちアッスリヤの王はダマスコに攻め上って、これを取り、その民をキルに捕え移し、またレヂンを殺した。 + アハズ王はアッスリヤの王テグラテピレセルに会おうとダマスコへ行ったが、ダマスコにある祭壇を見たので、アハズ王はその祭壇の作りにしたがって、その詳しい図面と、ひな型とを作って、祭司ウリヤに送った。 + そこで祭司ウリヤはアハズ王がダマスコから送ったものにしたがって祭壇を建てた。すなわち祭司ウリヤはアハズ王がダマスコから帰るまでにそのとおりに作った。 + 王はダマスコから帰ってきて、その祭壇を見、祭壇に近づいてその上に登り、 + 燔祭と素祭を焼き、灌祭を注ぎ、酬恩祭の血を祭壇にそそぎかけた。 + 彼はまた主の前にあった青銅の祭壇を宮の前から移した。すなわちそれを新しい祭壇と主の宮の間から移して、新しい祭壇の北の方にすえた。 + そしてアハズ王は祭司ウリヤに命じて言った、「朝の燔祭と夕の素祭および王の燔祭とその素祭、ならびに国中の民の燔祭とその素祭および灌祭は、この大きな祭壇の上で焼きなさい。また燔祭の血と犠牲の血はすべてこれにそそぎかけなさい。あの青銅の祭壇をわたしは伺いを立てるのに用いよう」。 + 祭司ウリヤはアハズ王がすべて命じたとおりにおこなった。 + またアハズ王は台の鏡板を切り取って、洗盤をその上から移し、また海をその下にある青銅の牛の上からおろして、石の座の上にすえ、 + また宮のうちに造られていた安息日用のおおいのある道、および王の用いる外の入口をアッスリヤの王のために主の宮から除いた。 + アハズのその他の事績は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + アハズは先祖たちと共に眠って、ダビデの町にその先祖たちと共に葬られ、その子ヒゼキヤが代って王となった。 + + + ユダの王アハズの第十二年にエラの子ホセアが王となり、サマリヤで九年の間、イスラエルを治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行ったが、彼以前のイスラエルの王たちのようではなかった。 + アッスリヤの王シャルマネセルが攻め上ったので、ホセアは彼に隷属して、みつぎを納めたが、 + アッスリヤの王はホセアがついに自分にそむいたのを知った。それはホセアが使者をエジプトの王ソにつかわし、また年々納めていたみつぎを、アッスリヤの王に納めなかったからである。そこでアッスリヤの王は彼を監禁し、獄屋につないだ。 + そしてアッスリヤの王は攻め上って国中を侵し、サマリヤに上ってきて三年の間、これを攻め囲んだ。 + ホセアの第九年になって、アッスリヤの王はついにサマリヤを取り、イスラエルの人々をアッスリヤに捕えていって、ハラと、ゴザンの川ハボルのほとりと、メデアの町々においた。 + この事が起ったのは、イスラエルの人々が、自分たちをエジプトの地から導き上って、エジプトの王パロの手をのがれさせられたその神、主にむかって罪を犯し、他の神々を敬い、 + 主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人のならわしに従って歩み、またイスラエルの王たちが定めたならわしに従って歩んだからである。 + イスラエルの人々はその神、主にむかって正らぬ事をひそかに行い、見張台から堅固な町に至るまで、すべての町々に高き所を建て、 + またすべての高い丘の上、すべての青木の下に石の柱とアシラ像を立て、 + 主が彼らの前から捕え移された異邦人がしたように、すべての高き所で香をたき、悪事を行って、主を怒らせた。 + また主が彼らに「あなたがたはこの事をしてはならない」と言われたのに偶像に仕えた。 + 主はすべての預言者、すべての先見者によってイスラエルとユダを戒め、「翻って、あなたがたの悪い道を離れ、わたしがあなたがたの先祖たちに命じ、またわたしのしもべである預言者たちによってあなたがたに伝えたすべての律法のとおりに、わたしの戒めと定めとを守れ」と仰せられたが、 + 彼らは聞きいれず、彼らの先祖たちがその神、主を信じないで、強情であったように、彼らは強情であった。 + そして彼らは主の定めを捨て、主が彼らの先祖たちと結ばれた契約を破り、また彼らに与えられた警告を軽んじ、かつむなしい偶像に従ってむなしくなり、また周囲の異邦人に従った。これは主が、彼らのようにおこなってはならないと彼らに命じられたものである。 + 彼らはその神、主のすべての戒めを捨て、自分のために二つの子牛の像を鋳て造り、またアシラ像を造り、天の万象を拝み、かつバアルに仕え、 + またそのむすこ、娘を火に焼いてささげ物とし、占いおよびまじないをなし、主の目の前に悪をおこなうことに身をゆだねて、主を怒らせた。 + それゆえ、主は大いにイスラエルを怒り、彼らをみ前から除かれたので、ユダの部族のほか残った者はなかった。 + ところがユダもまたその神、主の戒めを守らず、イスラエルが定めたならわしに歩んだので、 + 主はイスラエルの子孫をことごとく捨て、彼らを苦しめ、彼らを略奪者の手にわたして、ついに彼らをみ前から打ちすてられた。 + 主はイスラエルをダビデの家から裂き離されたので、イスラエルはネバテの子ヤラベアムを王としたが、ヤラベアムはイスラエルに、主に従うことをやめさせ、大きな罪を犯させた。 + イスラエルの人々がヤラベアムのおこなったすべての罪をおこない続けて、それを離れなかったので、 + ついに主はそのしもべである預言者たちによって言われたように、イスラエルをみ前から除き去られた。こうしてイスラエルは自分の国からアッスリヤに移されて今日に至っている。 + かくてアッスリヤの王はバビロン、クタ、アワ、ハマテおよびセパルワイムから人々をつれてきて、これをイスラエルの人々の代りにサマリヤの町々におらせたので、その人々はサマリヤを領有して、その町々に住んだ。 + 彼らがそこに住み始めた時、主を敬うことをしなかったので、主は彼らのうちにししを送り、ししは彼らのうちの数人を殺した。 + そこで人々はアッスリヤの王に告げて言った、「あなたが移してサマリヤの町々におらせられたあの国々の民は、その地の神のおきてを知らないゆえに、その神は彼らのうちにししを送り、ししは彼らを殺した。これは彼らが、その地の神のおきてを知らないためです」。 + アッスリヤの王は命じて言った、「あなたがたがあそこから移した祭司のひとりをあそこへ連れて行きなさい。彼をあそこへやって住まわせ、その国の神のおきてをその人々に教えさせなさい」。 + そこでサマリヤから移された祭司のひとりが来てベテルに住み、どのように主を敬うべきかを彼らに教えた。 + しかしその民はおのおの自分の神々を造って、それをサマリヤびとが造った高き所の家に安置した。民は皆住んでいる町々でそのようにおこなった。 + すなわちバビロンの人々はスコテ・ベノテを造り、クタの人々はネルガルを造り、ハマテの人々はアシマを造り、 + アワの人々はニブハズとタルタクを造り、セパルワイムびとはその子を火に焼いて、セパルワイムの神アデランメレクおよびアナンメレクにささげた。 + 彼はまた主を敬い、自分たちのうちから一般の民を立てて高き所の祭司としたので、その人々は高き所の家で勤めをした。 + このように彼らは主を敬ったが、また彼らが出てきた国々のならわしにしたがって、自分たちの神々にも仕えた。 + 今日に至るまで彼らは先のならわしにしたがっておこなっている。彼らは主を敬わず、また主がイスラエルと名づけられたヤコブの子孫に命じられた定めにも、おきてにも、律法にも、戒めにも従わない。 + 主はかつて彼らと契約を結び、彼らに命じて言われた、「あなたがたは他の神々を敬ってはならない。また彼らを拝み、彼らに仕え、彼らに犠牲をささげてはならない。 + ただ大きな力と伸べた腕とをもって、あなたがたをエジプトの地から導き上った主をのみ敬い、これを拝み、これに犠牲をささげなければならない。 + またあなたがたのために書きしるされた定めと、おきてと、律法と、戒めとを、慎んで常に守らなければならない。他の神々を敬ってはならない。 + わたしがあなたがたと結んだ契約を忘れてはならない。また他の神々を敬ってはならない。 + ただあなたがたの神、主を敬わなければならない。主はあなたがたをそのすべての敵の手から救い出されるであろう」。 + しかし彼らは聞きいれず、かえって先のならわしにしたがっておこなった。 + このように、これらの民は主を敬い、またその刻んだ像にも仕えたが、その子たちも、孫たちも同様であって、彼らはその先祖がおこなったように今日までおこなっている。 + + + イスラエルの王エラの子ホセアの第三年にユダの王アハズの子ヒゼキヤが王となった。 + 彼は王となった時二十五歳で、エルサレムで二十九年の間、世を治めた。その母はゼカリヤの娘で、名をアビといった。 + ヒゼキヤはすべて先祖ダビデがおこなったように主の目にかなう事を行い、 + 高き所を除き、石柱をこわし、アシラ像を切り倒し、モーセの造った青銅のへびを打ち砕いた。イスラエルの人々はこの時までそのへびに向かって香をたいていたからである。人々はこれをネホシタンと呼んだ。 + ヒゼキヤはイスラエルの神、主に信頼した。そのために彼のあとにも彼の先にも、ユダのすべての王のうちに彼に及ぶ者はなかった。 + すなわち彼は固く主に従って離れることなく、主がモーセに命じられた命令を守った。 + 主が彼と共におられたので、すべて彼が出て戦うところで功をあらわした。彼はアッスリヤの王にそむいて、彼に仕えなかった。 + 彼はペリシテびとを撃ち敗って、ガザとその領域にまで達し、見張台から堅固な町にまで及んだ。 + ヒゼキヤ王の第四年すなわちイスラエルの王エラの子ホセアの第七年に、アッスリヤの王シャルマネセルはサマリヤに攻め上って、これを囲んだが、 + 三年の後ついにこれを取った。サマリヤが取られたのはヒゼキヤの第六年で、それはイスラエルの王ホセアの第九年であった。 + アッスリヤの王はイスラエルの人々をアッスリヤに捕えていって、ハラと、ゴザンの川ハボルのほとりと、メデアの町々に置いた。 + これは彼らがその神、主の言葉にしたがわず、その契約を破り、主のしもべモーセの命じたすべての事に耳を傾けず、また行わなかったからである。 + ヒゼキヤ王の第十四年にアッスリヤの王セナケリブが攻め上ってユダのすべての堅固な町々を取ったので、 + ユダの王ヒゼキヤは人をラキシにつかわしてアッスリヤの王に言った、「わたしは罪を犯しました。どうぞ引き上げてください。わたしに課せられることはなんでもいたします」。アッスリヤの王は銀三百タラントと金三十タラントをユダの王ヒゼキヤに課した。 + ヒゼキヤは主の宮と王の家の倉とにある銀をことごとく彼に与えた。 + この時ユダの王ヒゼキヤはまた主の神殿の戸および柱から自分が着せた金をはぎ取って、アッスリヤの王に与えた。 + アッスリヤの王はまたタルタン、ラブサリスおよびラブシャケを、ラキシから大軍を率いてエルサレムにいるヒゼキヤ王のもとにつかわした。彼らは上ってエルサレムに来た。彼らはエルサレムに着くと、布さらし場に行く大路に沿っている上の池の水道のかたわらへ行って、そこに立った。 + そして彼らが王を呼んだので、ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナ、およびアサフの子である史官ヨアが彼らのところに出てきた。 + ラブシャケは彼らに言った、「ヒゼキヤに言いなさい、『大王、アッスリヤの王はこう仰せられる。あなたが頼みとする者は何か。 + 口先だけの言葉が戦争をする計略と力だと考えるのか。あなたは今だれにたよって、わたしにそむいたのか。 + 今あなたは、あの折れかけている葦のつえ、エジプトを頼みとしているが、それは人がよりかかる時、その人の手を刺し通すであろう。エジプトの王パロはすべて寄り頼む者にそのようにする。 + しかしあなたがもし「われわれは、われわれの神、主を頼む」とわたしに言うのであれば、その神はヒゼキヤがユダとエルサレムに告げて、「あなたがたはエルサレムで、この祭壇の前に礼拝しなければならない」と言って、その高き所と祭壇とを除いた者ではないか。 + さあ、わたしの主君アッスリヤの王とかけをせよ。もしあなたの方に乗る人があるならば、わたしは馬二千頭を与えよう。 + あなたはエジプトを頼み、戦車と騎兵を請い求めているが、わたしの主君の家来のうちの最も小さい一隊長でさえ、どうして撃退することができようか。 + わたしがこの所を滅ぼすために上ってきたのは、主の許しなしにしたことであろうか。主がわたしにこの地に攻め上ってこれを滅ぼせと言われたのだ』」。 + その時ヒルキヤの子エリアキムおよびセブナとヨアはラブシャケに言った、「どうぞ、アラム語でしもべどもに話してください。わたしたちは、それがわかるからです。城壁の上にいる民の聞いているところで、わたしたちにユダヤの言葉で話さないでください」。 + しかしラブシャケは彼らに言った、「わたしの主君は、あなたの主君とあなたにだけでなく、城壁の上に座している人々にも、この言葉を告げるためにわたしをつかわしたのではないか。彼らも、あなたがたと共に自分の糞尿を食い飲みするに至るであろう」。 + そしてラブシャケは立ちあがり、ユダヤの言葉で大声に呼ばわって言った。「大王、アッスリヤの王の言葉を聞け。 + 王はこう仰せられる、『あなたがたはヒゼキヤに欺かれてはならない。彼はあなたがたをわたしの手から救いだすことはできない。 + ヒゼキヤが「主は必ずわれわれを救い出される。この町はアッスリヤ王の手に陥ることはない」と言っても、あなたがたは主を頼みとしてはならない』。 + あなたがたはヒゼキヤの言葉を聞いてはならない。アッスリヤの王はこう仰せられる、『あなたがたはわたしと和解して、わたしに降服せよ。そうすればあなたがたはおのおの自分のぶどうの実を食べ、おのおの自分のいちじくの実を食べ、おのおの自分の井戸の水を飲むことができるであろう。 + やがてわたしが来て、あなたがたを一つの国へ連れて行く。それはあなたがたの国のように穀物とぶどう酒のある地、パンとぶどう畑のある地、オリブの木と蜜のある地である。あなたがたは生きながらえることができ、死ぬことはない。ヒゼキヤが「主はわれわれを救われる」と言って、あなたがたを惑わしても彼に聞いてはならない。 + 諸国民の神々のうち、どの神がその国をアッスリヤの王の手から救ったか。 + ハマテやアルパデの神々はどこにいるのか。セパルワイム、ヘナおよびイワの神々はどこにいるのか。彼らはサマリヤをわたしの手から救い出したか。 + 国々のすべての神々のうち、その国をわたしの手から救い出した者があったか。主がどうしてエルサレムをわたしの手から救い出すことができよう』」。 + しかし民は黙して、ひと言も彼に答えなかった。王が命じて「彼に答えてはならない」と言っておいたからである。 + こうしてヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナ、およびアサフの子である史官ヨアは衣を裂き、ヒゼキヤのもとに来て、ラブシャケの言葉を彼に告げた。 + + + ヒゼキヤ王はこれを聞いて、衣を裂き、荒布を身にまとって主に宮に入り、 + 宮内卿エリアキムと書記官セブナおよび祭司のうちの年長者たちに荒布をまとわせて、アモツの子預言者イザヤのもとにつかわした。 + 彼らはイザヤに言った、「ヒゼキヤはこう申されます、『きょうは悩みと、懲しめと、はずかしめの日です。胎児がまさに生れようとして、これを産み出す力がないのです。 + あなたの神、主はラブシャケがその主君アッスリヤの王につかわされて、生ける神をそしったもろもろの言葉を聞かれたかもしれません。そしてあなたの神、主はその聞いた言葉をとがめられるかもしれません。それゆえ、この残っている者のために祈をささげてください』」。 + ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、 + イザヤは彼らに言った、「あなたがたの主君にこう言いなさい、『主はこう仰せられる、アッスリヤの王の家来たちが、わたしをそしった言葉を聞いて恐れるには及ばない。 + 見よ、わたしは一つの霊を彼らのうちに送って、一つのうわさを聞かせ、彼を自分の国へ帰らせて、自分の国でつるぎに倒れさせるであろう』」。 + ラブシャケは引き返して、アッスリヤの王がリブナを攻めているところへ行った。彼が王のラキシを去ったことを聞いたからである。 + この時アッスリヤの王はエチオピヤの王テルハカについて、「彼はあなたと戦うために出てきた」と人々がいうのを聞いたので、再び使者をヒゼキヤにつかわして言った、 + 「ユダの王ヒゼキヤにこう言いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言うあなたの信頼する神に欺かれてはならない。 + あなたはアッスリヤの王たちがもろもろの国々にした事、彼らを全く滅ぼした事を聞いている。どうしてあなたが救われることができようか。 + わたしの父たちはゴザン、ハラン、レゼフ、およびテラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々は彼らを救ったか。 + ハマテの王、アルパデの王、セパルワイムの町の王、ヘナの王およびイワの王はどこにいるのか』」。 + ヒゼキヤは使者の手から手紙を受け取ってそれを読み、主の宮にのぼっていって、主の前にそれをひろげ、 + そしてヒゼキヤは主の前に祈って言った、「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、主よ、地のすべての国のうちで、ただあなただけが神でいらせられます。あなたは天と地を造られました。 + 主よ、耳を傾けて聞いてください。主よ、目を開いてごらんください。セナケリブが生ける神をそしるために書き送った言葉をお聞きください。 + 主よ、まことにアッスリヤの王たちはもろもろの民とその国々を滅ぼし、 + またその神々を火に投げ入れました。それらは神ではなく、人の手の作ったもので、木や石だから滅ぼされたのです。 + われわれの神、主よ、どうぞ、今われわれを彼の手から救い出してください。そうすれば地の国々は皆、主であるあなただけが神でいらせられることを知るようになるでしょう」。 + その時アモツの子イザヤは人をつかわしてヒゼキヤに言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられる、『アッスリヤの王セナケリブについてあなたがわたしに祈ったことは聞いた』。 + 主が彼について語られた言葉はこうである、『処女であるシオンの娘はあなたを侮り、あなたをあざける。エルサレムの娘はあなたのうしろで頭を振る。 + あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。あなたはだれにむかって声をあげ、目を高くあげたのか。イスラエルの聖者にむかってしたのだ。 + あなたは使者をもって主をそしって言った、「わたしは多くの戦車をひきいて山々の頂にのぼり、レバノンの奥に行き、たけの高い香柏と最も良いいとすぎを切り倒し、またその果の野営地に行き、その密林にはいった。 + わたしは井戸を掘って外国の水を飲んだ。わたしは足の裏で、エジプトのすべての川を踏みからした」。 + あなたは聞かなかったか、昔わたしがこれを定めたことを。堅固な町々をあなたが荒塚とすることも、いにしえの日からわたしが計画して今これをおこなうのだ。 + そのうちに住む民は力弱くおののき、恥をいだいて、野の草のように、青菜のようになり、育たないで枯れる屋根の草のようになった。 + わたしはあなたのすわること、出入りすること、わたしにむかって怒り叫んだことをも知っている。 + あなたがわたしにむかって怒り叫んだことと、あなたの高慢がわたしの耳にはいったため、わたしはあなたの鼻に輪をつけ、あなたの口にくつわをはめて、あなたをもときた道へ引きもどすであろう』。 + 『あなたに与えるしるしはこれである。すなわち、ことしは落ち穂からはえたものを食べ、二年目にはまたその落ち穂からはえたものを食べ、三年目には種をまき、刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べるであろう。 + ユダの家ののがれて残る者は再び下に根を張り、上に実を結ぶであろう。 + すなわち残る者がエルサレムから出てき、のがれた者がシオンの山から出て来るであろう。主の熱心がこれをされるであろう』。 + それゆえ、主はアッスリヤの王について、こう仰せられる、『彼はこの町にこない、またここに矢を放たない、盾をもってその前に来ることなく、また塁を築いてこれを攻めることはない。 + 彼は来た道を帰って、この町に、はいることはない。主がこれを言う。 + わたしは自分のため、またわたしのしもべダビデのためにこの町を守って、これを救うであろう』」。 + その夜、主の使が出て、アッスリヤの陣営で十八万五千人を撃ち殺した。人々が朝早く起きて見ると、彼らは皆、死体となっていた。 + アッスリヤの王セナケリブは立ち去り、帰って行ってニネベにいたが、 + その神ニスロクの神殿で礼拝していた時、その子アデランメレクとシャレゼルが、つるぎをもって彼を殺し、ともにアララテの地へ逃げて行った。そこでその子エサルハドンが代って王となった。 + + + そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。アモツの子預言者イザヤは彼のところにきて言った、「主はこう仰せられます、『家の人に遺言をなさい。あなたは死にます。生きながらえることはできません』」。 + そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて主に祈って言った、 + 「ああ主よ、わたしが真実を真心をもってあなたの前に歩み、あなたの目にかなうことをおこなったのをどうぞ思い起してください」。そしてヒゼキヤは激しく泣いた。 + イザヤがまだ中庭を出ないうちに主の言葉が彼に臨んだ、 + 「引き返して、わたしの民の君ヒゼキヤに言いなさい、『あなたの父ダビデの神、主はこう仰せられる、わたしはあなたの祈を聞き、あなたの涙を見た。見よ、わたしはあなたをいやす。三日目にはあなたは主の宮に上るであろう。 + かつ、わたしはあなたのよわいを十五年増す。わたしはあなたと、この町とをアッスリヤの王の手から救い、わたしの名のため、またわたしのしもべダビデのためにこの町を守るであろう』」。 + そしてイザヤは言った、「干しいちじくのひとかたまりを持ってきて、それを腫物につけさせなさい。そうすれば直るでしょう」。 + ヒゼキヤはイザヤに言った、「主がわたしをいやされる事と、三日目にわたしが主の家に上ることについて、どんなしるしがありましょうか」。 + イザヤは言った、「主が約束されたことを行われることについては、主からこのしるしを得られるでしょう。すなわち日影が十度進むか、あるいは十度退くかです」。 + ヒゼキヤは答えた、「日影が十度進むことはたやすい事です。むしろ日影を十度退かせてください」。 + そこで預言者イザヤが主に呼ばわると、アハズの日時計の上に進んだ日影を、十度退かせられた。 + そのころ、バラダンの子であるバビロンの王メロダクバラダンは、手紙と贈り物を持たせて使節をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが病んでいることを聞いたからである。 + ヒゼキヤは彼らを喜び迎えて、宝物の蔵、金銀、香料、貴重な油および武器倉、ならびにその倉庫にあるすべての物を彼らに見せた。家にある物も、国にある物も、ヒゼキヤが彼らに見せない物は一つもなかった。 + その時、預言者イザヤはヒゼキヤ王のもとにきて言った、「あの人々は何を言いましたか。どこからきたのですか」。ヒゼキヤは言った、「彼らは遠い国から、バビロンからきたのです」。 + イザヤは言った、「彼らはあなたの家で何を見ましたか」。ヒゼキヤは答えて言った、「わたしの家にある物を皆見ました。わたしの倉庫のうちには、わたしが彼らに見せない物は一つもありません」。 + そこでイザヤはヒゼキヤに言った、「主の言葉を聞きなさい、 + 『主は言われる、見よ、すべてあなたの家にある物、および、あなたの先祖たちが今日までに積みたくわえた物の、バビロンに運び去られる日が来る。何も残るものはないであろう。 + また、あなたの身から出るあなたの子たちも連れ去られ、バビロンの王の宮殿で宦官となるであろう』」。 + ヒゼキヤはイザヤに言った、「あなたが言われた主の言葉は結構です」。彼は「せめて自分が世にあるあいだ、平和と安全があれば良いことではなかろうか」と思ったからである。 + ヒゼキヤのその他の事績とその武勇および、彼が貯水池と水道を作って、町に水を引いた事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヒゼキヤはその先祖たちと共に眠って、その子マナセが代って王となった。 + + + マナセは十二歳で王となり、五十五年の間、エルサレムで世を治めた。母の名はヘフジバといった。 + マナセは主がイスラエルの人々の前から追い払われた国々の民の憎むべきおこないにならって、主の目の前に悪をおこなった。 + 彼は父ヒゼキヤがこわした高き所を建て直し、またイスラエルの王アハブがしたようにバアルのために祭壇を築き、アシラ像を造り、かつ天の万象を拝んで、これに仕えた。 + また主の宮のうちに数個の祭壇を築いた。これは主が「わたしの名をエルサレムに置こう」と言われたその宮である。 + 彼はまた主の宮の二つの庭に天の万象のために祭壇を築いた。 + またその子を火に焼いてささげ物とし、占いをし、魔術を行い、口寄せと魔法使を用い、主の目の前に多くの悪を行って、主の怒りを引き起した。 + 彼はまたアシラの彫像を作って主の宮に置いた。主はこの宮についてダビデとその子ソロモンに言われたことがある、「わたしはこの宮と、わたしがイスラエルのすべての部族のうちから選んだエルサレムとに、わたしの名を永遠に置く。 + もし、彼らがわたしが命じたすべての事、およびわたしのしもべモーセが命じたすべての律法を守り行うならば、イスラエルの足を、わたしが彼らの先祖たちに与えた地から、重ねて迷い出させないであろう」。 + しかし彼らは聞きいれなかった。マナセが人々をいざなって悪を行ったことは、主がイスラエルの人々の前に滅ぼされた国々の民よりもはなはだしかった。 + そこで主はそのしもべである預言者たちによって言われた、 + 「ユダの王マナセがこれらの憎むべき事を行い、彼の先にあったアモリびとの行ったすべての事よりも悪い事を行い、またその偶像をもってユダに罪を犯させたので、 + イスラエルの神、主はこう仰せられる、見よ、わたしはエルサレムとユダに災をくだそうとしている。これを聞く者は、その耳が二つながら鳴るであろう。 + わたしはサマリヤをはかった測りなわと、アハブの家に用いた下げ振りをエルサレムにほどこし、人が皿をぬぐい、これをぬぐって伏せるように、エルサレムをぬぐい去る。 + わたしは、わたしの嗣業の民の残りを捨て、彼らを敵の手に渡す。彼らはもろもろの敵のえじきとなり、略奪にあうであろう。 + これは彼らの先祖たちがエジプトを出た日から今日に至るまで、彼らがわたしの目の前に悪を行って、わたしを怒らせたためである」。 + マナセはまた主の目の前に悪を行って、ユダに罪を犯させたその罪のほかに、罪なき者の血を多く流して、エルサレムのこの果から、かの果にまで満たした。 + マナセのその他の事績と、彼がおこなったすべての事およびその犯した罪は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + マナセは先祖たちと共に眠って、その家の園すなわちウザの園に葬られ、その子アモンが代って王となった。 + アモンは王となった時二十二歳であって、エルサレムで二年の間、世を治めた。母はヨテバのハルツの娘で、名をメシュレメテといった。 + アモンはその父マナセのおこなったように、主の目の前に悪を行った。 + すなわち彼はすべてその父の歩んだ道に歩み、父の仕えた偶像に仕えて、これを拝み、 + 先祖たちの神、主を捨てて、主の道に歩まなかった。 + アモンの家来たちはついに彼に敵して徒党を結び、王をその家で殺したが、 + 国の民は、アモン王に敵して徒党を結んだ者をことごとく撃ち殺した。そして国の民はアモンの子ヨシヤを王としてアモンに代らせた。 + アモンのその他の事績は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + アモンはウザの園にある墓に葬られ、その子ヨシヤが代って王となった。 + + + ヨシヤは八歳で王となり、エルサレムで三十一年の間、世を治めた。母はボヅカテのアダヤの娘で、名をエデダといった。 + ヨシヤは主の目にかなう事を行い、先祖ダビデの道に歩んで右にも左にも曲らなかった。 + ヨシヤ王の第十八年に王はメシュラムの子アザリヤの子である書記官シャパンを主の宮につかわして言った、 + 「大祭司ヒルキヤのもとへのぼって行って、主に宮にはいってきた銀、すなわち門を守る者が民から集めたものの総額を彼に数えさせ、 + それを工事をつかさどる主の宮の監督者の手に渡させ、彼らから主の宮で工事をする者にそれを渡して、宮の破れを繕わせなさい。 + すなわち木工と建築師と石工にそれを渡し、また宮を繕う材木と切り石を買わせなさい。 + ただし彼らは正直に事を行うから、彼らに渡した銀については彼らと計算するに及ばない」。 + その時大祭司ヒルキヤは書記官シャパンに言った、「わたしは主の宮で律法の書を見つけました」。そしてヒルキヤがその書物をシャパンに渡したので、彼はそれを読んだ。 + 書記官シャパンは王のもとへ行き、王に報告して言った、「しもべどもは宮にあった銀を皆出して、それを工事をつかさどる主の宮の監督者の手に渡しました」。 + 書記官シャパンはまた王に告げて「祭司ヒルキヤはわたしに一つの書物を渡しました」と言い、それを王の前で読んだ。 + 王はその律法の書の言葉を聞くと、その衣を裂いた。 + そして王は祭司ヒルキヤと、シャパンの子アヒカムと、ミカヤの子アクボルと、書記官シャパンと、王の大臣アサヤとに命じて言った、 + 「あなたがたは行って、この見つかった書物の言葉について、わたしのため、民のため、またユダ全国のために主に尋ねなさい。われわれの先祖たちがこの書物の言葉に聞き従わず、すべてわれわれについてしるされている事を行わなかったために、主はわれわれにむかって、大いなる怒りを発しておられるからです」。 + そこで祭司ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シャパンおよびアサヤはシャルムの妻である女預言者ホルダのもとへ行った。シャルムはハルハスの子であるテクワの子で、衣装べやを守る者であった。その時ホルダはエルサレムの下町に住んでいた。彼らがホルダに告げたので、 + ホルダは彼らに言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられます、『あなたがたをわたしにつかわした人に言いなさい。 + 主はこう言われます、見よ、わたしはユダの王が読んだあの書物のすべての言葉にしたがって、災をこの所と、ここに住んでいる民に下そうとしている。 + 彼らがわたしを捨てて他の神々に香をたき、自分たちの手で作ったもろもろの物をもって、わたしを怒らせたからである。それゆえ、わたしはこの所にむかって怒りの火を発する。これは消えることがないであろう』。 + ただし主に尋ねるために、あなたがたをつかわしたユダの王にはこう言いなさい、『あなたが聞いた言葉についてイスラエルの神、主はこう仰せられます、 + あなたは、わたしがこの所と、ここに住んでいる民にむかって、これは荒れ地となり、のろいとなるであろうと言うのを聞いた時、心に悔い、主の前にへりくだり、衣を裂いてわたしの前に泣いたゆえ、わたしもまたあなたの言うことを聞いたのであると主は言われる。 + それゆえ、見よ、わたしはあなたを先祖たちのもとに集める。あなたは安らかに墓に集められ、わたしがこの所に下すもろもろの災を目に見ることはないであろう』」。彼らはこの言葉を王に持ち帰った。 + + + そこで王は人をつかわしてユダとエルサレムの長老たちをことごとく集めた。 + そして王はユダのもろもろの人々と、エルサレムのすべての住民および祭司、預言者ならびに大小のすべての民を従えて主の宮にのぼり、主の宮で見つかった契約の書の言葉をことごとく彼らに読み聞かせた。 + 次いで王は柱のかたわらに立って、主の前に契約を立て、主に従って歩み、心をつくし精神をつくして、主の戒めと、あかしと、定めとを守り、この書物にしるされているこの契約の言葉を行うことを誓った。民は皆その契約に加わった。 + こうして王は大祭司ヒルキヤと、それに次ぐ祭司たちおよび門を守る者どもに命じて、主の神殿からバアルとアシラと天の万象とのために作ったもろもろの器を取り出させ、エルサレムの外のキデロンの野でそれを焼き、その灰をベテルに持って行かせた。 + また、ユダの町々とエルサレムの周囲にある高き所で香をたくためにユダの王たちが任命した祭司たちを廃し、またバアルと日と月と星宿と天の万象とに香をたく者どもをも廃した。 + 彼はまた主の宮からアシラ像を取り出し、エルサレムの外のキデロン川に持って行って、キデロン川でそれを焼き、それを打ち砕いて粉とし、その粉を民の墓に投げすてた。 + また主の宮にあった神殿男娼の家をこわした。そこは女たちがアシラ像のために掛け幕を織る所であった。 + 彼はまたユダの町々から祭司をことごとく召しよせ、また祭司が香をたいたゲバからベエルシバまでの高き所を汚し、また門にある高き所をこわした。これらの高き所は町のつかさヨシュアの門の入口にあり、町の門にはいる人の左にあった。 + 高き所の祭司たちはエルサレムで主の祭壇にのぼることをしなかったが、その兄弟たちのうちにあって種入れぬパンを食べた。 + 王はまた、だれもそのむすこ娘を火に焼いて、モレクにささげ物とすることのないように、ベンヒンノムの谷にあるトペテを汚した。 + またユダの王たちが太陽にささげて主の宮の門に置いた馬を、境内にある侍従ナタンメレクのへやのかたわらに移し、太陽の車を火で焼いた。 + また王はユダの王たちがアハズの高殿の屋上に造った祭壇と、マナセが主の宮の二つの庭に造った祭壇とをこわして、それを打ち砕き、砕けたものをキデロン川に投げすてた。 + また王はイスラエルの王ソロモンが昔シドンびとの憎むべき者アシタロテと、モアブびとの憎むべき者ケモシと、アンモンの人々の憎むべき者ミルコムのためにエルサレムの東、滅亡の山の南に築いた高き所を汚した。 + またもろもろの石柱を打ち砕き、アシラ像を切り倒し、人の骨をもってその所を満たした。 + また、ベテルにある祭壇と、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムが造った高き所、すなわちその祭壇と高き所とを彼はこわし、その石を打ち砕いて粉とし、かつアシラ像を焼いた。 + そしてヨシヤは身をめぐらして山に墓のあるのを見、人をつかわしてその墓から骨を取らせ、それをその祭壇の上で焼いて、それを汚した。昔、神の人が主の言葉としてこの事を呼ばわり告げたが、そのとおりになった。 + その時ヨシヤは「あそこに見える石碑は何か」と尋ねた。町の人々が彼に「あれはあなたがベテルの祭壇に対して行われたこれらの事を、ユダからきて預言した神の人の墓です」と言ったので、 + 彼は言った、「そのままにして置きなさい。だれもその骨を移してはならない」。それでその骨と、サマリヤからきた預言者の骨には手をつけなかった。 + またイスラエルの王たちがサマリヤの町々に造って、主を怒らせた高き所の家も皆ヨシヤは取り除いて、彼がすべてベテルに行ったようにこれに行った。 + 彼はまた、そこにあった高き所の祭司たちを皆祭壇の上で殺し、人の骨を祭壇の上で焼いた。こうして彼はエルサレムに帰った。 + そして王はすべての民に命じて、「あなたがたはこの契約の書にしるされているように、あなたがたの神、主に過越の祭を執り行いなさい」と言った。 + さばきづかさがイスラエルをさばいた日からこのかた、またイスラエルの王たちとユダの王たちの世にも、このような過越の祭を執り行ったことはなかったが、 + ヨシヤ王の第十八年に、エルサレムでこの過越の祭を主に執り行ったのである。 + ヨシヤはまた祭司ヒルキヤが主の宮で見つけた書物にしるされている律法の言葉を確実に行うために、口寄せと占い師と、テラピムと偶像およびユダの地とエルサレムに見られるもろもろの憎むべき者を取り除いた。 + ヨシヤのように心をつくし、精神をつくし、力をつくしてモーセのすべての律法にしたがい、主に寄り頼んだ王はヨシヤの先にはなく、またその後にも彼のような者は起らなかった。 + けれども主はなおユダにむかって発せられた激しい大いなる怒りをやめられなかった。これはマナセがもろもろの腹だたしい行いをもって主を怒らせたためである。 + それゆえ主は言われた、「わたしはイスラエルを移したように、ユダをもわたしの目の前から移し、わたしが選んだこのエルサレムの町と、わたしの名をそこに置こうと言ったこの宮とを捨てるであろう」。 + ヨシヤのその他の事績と、彼が行ったすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨシヤの世にエジプトの王パロ・ネコが、アッスリヤの王のところへ行こうと、ユフラテ川をさして上ってきたので、ヨシヤ王は彼を迎え撃とうと出て行ったが、パロ・ネコは彼を見るや、メギドにおいて彼を殺した。 + その家来たちは彼の死体を車に載せ、メギドからエルサレムに運んで彼の墓に葬った。国の民はヨシヤの子エホアハズを立て、彼に油を注ぎ、王として父に代らせた。 + エホアハズは王となった時二十三歳で、エルサレムで三か月の間、世を治めた。母はリブナのエレミヤの娘で、名をハムタルといった。 + エホアハズは先祖たちがすべて行ったように主の目の前に悪を行ったが、 + パロ・ネコは彼をハマテの地のリブラにつないで置いて、エルサレムで世を治めることができないようにした。また銀百タラントと金一タラントのみつぎを国に課した。 + そしてパロ・ネコはヨシヤの子エリアキムを父ヨシヤに代って王とならせ、名をエホヤキムと改め、エホアハズをエジプトへ引いて行った。エホアハズはエジプトへ行ってそこで死んだ。 + エホヤキムは金銀をパロに送った。しかし彼はパロの命に従って金を送るために国に税を課し、国の民おのおのからその課税にしたがって金銀をきびしく取り立てて、それをパロ・ネコに送った。 + エホヤキムは二十五歳で王となり、エルサレムで十一年の間、世を治めた。母はルマのペダヤの娘で、名をゼビダといった。 + エホヤキムは先祖たちがすべて行ったように主の目の前に悪を行った。 + + + エホヤキムの世にバビロンの王ネブカデネザルが上ってきたので、エホヤキムは彼に隷属して三年を経たが、ついに翻って彼にそむいた。 + 主はカルデヤびとの略奪隊、スリヤびとの略奪隊、モアブびとの略奪隊、アンモンびとの略奪隊をつかわしてエホヤキムを攻められた。すなわちユダを攻め、これを滅ぼすために彼らをつかわされた。主がそのしもべである預言者たちによって語られた言葉のとおりである。 + これは全く主の命によってユダに臨んだもので、ユダを主の目の前から払い除くためであった。すなわちマナセがすべておこなったその罪のため、 + また彼が罪なき人の血を流し、罪なき人の血をエルサレムに満たしたためであって、主はその罪をゆるそうとはされなかった。 + エホヤキムのその他の事績と、彼がおこなったすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + エホヤキムは先祖たちとともに眠り、その子エホヤキンが代って王となった。 + エジプトの王は再びその国から出てこなかった。バビロンの王がエジプトの川からユフラテ川まで、すべてエジプトの王に属するものを取ったからである。 + エホヤキンは王となった時十八歳で、エルサレムで三か月の間、世を治めた。母はエルサレムのエルナタンの娘で、名をネホシタといった。 + エホヤキンはすべてその父がおこなったように主の目の前に悪を行った。 + そのころ、バビロンの王ネブカデネザルの家来たちはエルサレムに攻め上って、町を囲んだ。 + その家来たちが町を囲んでいたとき、バビロンの王ネブカデネザルもまた町に攻めてきた。 + ユダの王エホヤキンはその母、その家来、そのつかさたち、および侍従たちと共に出て、バビロンの王に降服したので、バビロンの王は彼を捕虜とした。これはネブカデネザルの治世の第八年であった。 + 彼はまた主の宮のもろもろの宝物および王の家の宝物をことごとく持ち出し、イスラエルの王ソロモンが造って主の神殿に置いたもろもろの金の器を切りこわした。主が言われたとおりである。 + 彼はまたエルサレムのすべての市民、およびすべてのつかさとすべての勇士、ならびにすべての木工と鍛冶一万人を捕えて行った。残った者は国の民の貧しい者のみであった。 + さらに彼はエホヤキンをバビロンに捕えて行き、また王の母、王の妻たち、および侍従と国のうちのおもな人々をも、エルサレムからバビロンへ捕えて行った。 + またバビロンの王はすべて勇敢な者七千人、木工と鍛冶一千人ならびに強くて良く戦う者をみな捕えてバビロンへ連れて行った。 + そしてバビロンの王はエホヤキンの父の兄弟マッタニヤを王としてエホヤキンに代え、名をゼデキヤと改めた。 + ゼデキヤは二十一歳で王となり、エルサレムで十一年の間、世を治めた。母はリブナのエレミヤの娘で、名をハムタルといった。 + ゼデキヤはすべてエホヤキムがおこなったように主の目の前に悪を行った。 + エルサレムとユダにこのような事の起ったのは主の怒りによるので、主はついに彼らをみ前から払いすてられた。さてゼデキヤはバビロンの王にそむいた。 + + + そこでゼデキヤの治世の第九年の十月十日に、バビロンの王ネブカデネザルはもろもろの軍勢を率い、エルサレムにきて、これにむかって陣を張り、周囲にとりでを築いてこれを攻めた。 + こうして町は囲まれて、ゼデキヤ王の第十一年にまで及んだが、 + その四月九日になって、町のうちにききんが激しくなり、その地の民に食物がなくなった。 + 町の一角がついに破れたので、王はすべての兵士とともに、王の園のかたわらにある二つの城壁のあいだの門の道から夜のうちに逃げ出して、カルデヤびとが町を囲んでいる間に、アラバの方へ落ち延びた。 + しかしカルデヤびとの軍勢は王を追い、エリコの平地で彼に追いついた。彼の軍勢はみな彼を離れて散り去ったので、 + カルデヤびとは王を捕え、彼をリブラにいるバビロンの王のもとへ引いていって彼の罪を定め、 + ゼデキヤの子たちをゼデキヤの目の前で殺し、ゼデキヤの目をえぐり、足かせをかけてバビロンへ連れて行った。 + バビロンの王ネブカデネザルの第十九年の五月七日に、バビロンの王の臣、侍衛の長ネブザラダンがエルサレムにきて、 + 主の宮と王の家とエルサレムのすべての家を焼いた。すなわち火をもってすべての大きな家を焼いた。 + また侍衛の長と共にいたカルデヤびとのすべての軍勢はエルサレムの周囲の城壁を破壊した。 + そして侍衛の長ネブザラダンは、町に残された民およびバビロン王に降服した者と残りの群衆を捕え移した。 + ただし侍衛の長はその地の貧しい者を残して、ぶどうを作る者とし、農夫とした。 + カルデヤびとはまた主の宮の青銅の柱と、主の宮の洗盤の台と、青銅の海を砕いて、その青銅をバビロンに運び、 + またつぼと、十能と、心切りばさみと、香を盛る皿およびすべて神殿の務に用いる青銅の器、 + また心取り皿と鉢を取り去った。侍衛の長はまた金で作った物と銀で作った物を取り去った。 + ソロモンが主の宮のために造った二つの柱と、一つの海と洗盤の台など、これらのもろもろの器の青銅の重さは量ることができなかった。 + 一つの柱の高さは十八キュビトで、その上に青銅の柱頭があり、柱頭の高さは三キュビトで、柱頭の周囲に網細工とざくろがあって、みな青銅であった。他の柱もその網細工もこれと同じであった。 + 侍衛の長は祭司長セラヤと次席の祭司ゼパニヤと三人の門を守る者を捕え、 + また兵士をつかさどるひとりの役人と、王の前にはべる者のうち、町で見つかった者五人と、その地の民を募った軍勢の長の書記官と、町で見つかったその地の民六十人を町から捕え去った。 + 侍衛の長ネブザラダンは彼らを捕えて、リブラにいるバビロンの王のもとへ連れて行ったので、 + バビロンの王はハマテの地のリブラで彼らを撃ち殺した。このようにしてユダはその地から捕え移された。 + さてバビロンの王ネブカデネザルはユダの地に残してとどまらせた民の上に、シャパンの子アヒカムの子であるゲダリヤを立てて総督とした。 + 時に軍勢の長たちおよびその部下の人々は、バビロンの王がゲダリヤを総督としたことを聞いて、ミヅパにいるゲダリヤのもとにきた。すなわちネタニヤの子イシマエル、カレヤの子ヨハナン、ネトパびとタンホメテの子セラヤ、マアカびとの子ヤザニヤおよびその部下の人々がゲダリヤのもとにきた。 + ゲダリヤは彼らとその部下の人々に誓って言った、「あなたがたはカルデヤびとのしもべとなることを恐れてはならない。この地に住んで、バビロンの王に仕えなさい。そうすればあなたがたは幸福を得るでしょう」。 + ところが七月になって、王の血統のエリシャマの子であるネタニヤの子イシマエルは十人の者と共にきて、ゲダリヤを撃ち殺し、また彼と共にミヅパにいたユダヤ人と、カルデヤびとを殺した。 + そのため、大小の民および軍勢の長たちは、みな立ってエジプトへ行った。彼らはカルデヤびとを恐れたからである。 + ユダの王エホヤキンが捕え移されて後三十七年の十二月二十七日、すなわちバビロンの王エビルメロダクの治世の第一年に、王はユダの王エホヤキンを獄屋から出して + ねんごろに彼を慰め、その位を彼と共にバビロンにいる王たちの位よりも高くした。 + こうしてエホヤキンはその獄屋の衣を脱ぎ、一生の間、常に王の前で食事した。 + 彼は一生の間、たえず日々の分を王から賜わって、その食物とした。 + +
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+ + アダム、セツ、エノス、 + ケナン、マハラレル、ヤレド、 + エノク、メトセラ、ラメク、 + ノア、セム、ハム、ヤペテ。 + ヤペテの子らはゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メセク、テラス。 + ゴメルの子らはアシケナズ、デパテ、トガルマ。 + ヤワンの子らはエリシャ、タルシシ、キッテム、ロダニム。 + ハムの子らはクシ、エジプト、プテ、カナン。 + クシの子らはセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカ。ラアマの子らはシバとデダン。 + クシはニムロデを生んだ。ニムロデは初めて世の権力ある者となった。 + エジプトはルデびと、アナムびと、レハブびと、ナフトびと、 + パテロスびと、カスルびと、カフトルびとを生んだ。カフトルびとからペリシテびとが出た。 + カナンは長子シドンとヘテを生んだ。 + またエブスびと、アモリびと、ギルガシびと、 + ヒビびと、アルキびと、セニびと、 + アルワデびと、ゼマリびと、ハマテびとを生んだ。 + セムの子らはエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラム、ウズ、ホル、ゲテル、メセクである。 + アルパクサデはシラを生み、シラはエベルを生んだ。 + エベルにふたりの子が生れた。ひとりの名はペレグ――彼の代に地の民が散り分れたからである――その弟の名はヨクタンといった。 + ヨクタンはアルモダデ、シャレフ、ハザル・マウテ、エラ、 + ハドラム、ウザル、デクラ、 + エバル、アビマエル、シバ、 + オフル、ハビラ、ヨバブを生んだ。これらはみなヨクタンの子である。 + セム、アルパクサデ、シラ、 + エベル、ペレグ、リウ、 + セルグ、ナホル、テラ、 + アブラムすなわちアブラハムである。 + アブラハムの子らはイサクとイシマエルである。 + 彼らの子孫は次のとおりである。イシマエルの長子はネバヨテ、次はケダル、アデビエル、ミブサム、 + ミシマ、ドマ、マッサ、ハダデ、テマ、 + エトル、ネフシ、ケデマ。これらはイシマエルの子孫である。 + アブラハムのそばめケトラの子孫は次のとおりである。彼女はジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデアン、イシバク、シュワを産んだ。ヨクシャンの子らはシバとデダンである。 + ミデアンの子らはエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダア。これらはみなケトラの子孫である。 + アブラハムはイサクを生んだ。イサクの子らはエサウとイスラエル。 + エサウの子らはエリパズ、リウエル、エウシ、ヤラム、コラ。 + エリパズの子らはテマン、オマル、ゼピ、ガタム、ケナズ、テムナ、アマレク。 + リウエルの子らはナハテ、ゼラ、シャンマ、ミッザ。 + セイルの子らはロタン、ショバル、ヂベオン、アナ、デション、エゼル、デシャン。 + ロタンの子らはホリとホマム。ロタンの妹はテムナ。 + ショバルの子らはアルヤン、マナハテ、エバル、シピ、オナム。ヂベオンの子らはアヤとアナ。 + アナの子はデション。デションの子らはハムラン、エシバン、イテラン、ケラン。 + エゼルの子らはビルハン、ザワン、ヤカン。デシャンの子らはウズとアラン。 + イスラエルの人々を治める王がまだなかった時、エドムの地を治めた王たちは次のとおりである。ベオルの子ベラ。その都の名はデナバといった。 + ベラが死んで、ボズラのゼラの子ヨバブが代って王となった。 + ヨバブが死んで、テマンびとの地のホシャムが代って王となった。 + ホシャムが死んで、ベダテの子ハダデが代って王となった。彼はモアブの野でミデアンを撃った。彼の都の名はアビテといった。 + ハダデが死んで、マスレカのサムラが代って王となった。 + サムラが死んで、ユフラテ川のほとりのレホボテのサウルが代って王となった。 + サウルが死んで、アクボルの子バアル・ハナンが代って王となった。 + バアル・ハナンが死んで、ハダデが代って王となった。彼の都の名はパイといった。彼の妻はマテレデの娘であって、名をメヘタベルといった。マテレデはメザハブの娘である。 + ハダデも死んだ。エドムの族長は、テムナ侯、アルヤ侯、エテテ侯、 + アホリバマ侯、エラ侯、ピノン侯、 + ケナズ侯、テマン侯、ミブザル侯、 + マグデエル侯、イラム侯。これらはエドムの族長である。 + + + イスラエルの子らは次のとおりである。ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン、 + ダン、ヨセフ、ベニヤミン、ナフタリ、ガド、アセル。 + ユダの子らはエル、オナン、シラである。この三人はカナンの女バテシュアがユダによって産んだ者である。ユダの長子エルは主の前に悪を行ったので、主は彼を殺された。 + ユダの嫁タマルはユダによってペレヅとゼラを産んだ。ユダの子らは合わせて五人である。 + ペレヅの子らはヘヅロンとハムル。 + ゼラの子らはジムリ、エタン、ヘマン、カルコル、ダラで、合わせて五人である。 + カルミの子はアカル。アカルは奉納物について罪を犯し、イスラエルを悩ました者である。 + エタンの子はアザリヤである。 + ヘヅロンに生れた子らはエラメル、ラム、ケルバイである。 + ラムはアミナダブを生み、アミナダブはユダの子孫のつかさナションを生んだ。 + ナションはサルマを生み、サルマはボアズを生み、 + ボアズはオベデを生み、オベデはエッサイを生んだ。 + エッサイは長子エリアブ、次にアビナダブ、第三にシメア、 + 第四にネタンエル、第五にラダイ、 + 第六にオゼム、第七にダビデを生んだ。 + 彼らの姉妹はゼルヤとアビガイルである。ゼルヤの産んだ子はアビシャイ、ヨアブ、アサヘルの三人である。 + アビガイルはアマサを産んだ。アマサの父はイシマエルびとエテルである。 + ヘヅロンの子カレブはその妻アズバおよびエリオテによって子をもうけた。その子らはエシル、ショバブ、アルドンである。 + カレブはアズバが死んだのでエフラタをめとった。エフラタはカレブによってホルを産んだ。 + ホルはウリを生み、ウリはベザレルを生んだ。 + そののちヘヅロンはギレアデの父マキルの娘の所にはいった。彼が彼女をめとったときは六十歳であった。彼女はヘヅロンによってセグブを産んだ。 + セグブはヤイルを生んだ。ヤイルはギレアデの地に二十三の町をもっていた。 + しかしゲシュルとアラムは彼らからハボテ・ヤイルおよびケナテとその村里など合わせて六十の町を取った。これらはみなギレアデの父マキルの子孫であった。 + ヘヅロンが死んだのち、カレブは父ヘヅロンの妻エフラタの所にはいった。彼女は彼にテコアの父アシュルを産んだ。 + ヘヅロンの長子エラメルの子らは長子ラム、次はブナ、オレン、オゼム、アヒヤである。 + エラメルはまたほかの妻をもっていた。名をアタラといって、オナムの母である。 + エラメルの長子ラムの子らはマアツ、ヤミン、エケルである。 + オナムの子らはシャンマイとヤダである。シャンマイの子らはナダブとアビシュルである。 + アビシュルの妻の名はアビハイルといって、アバンとモリデを産んだ。 + ナダブの子らはセレデとアッパイムである。セレデは子をもたずに死んだ。 + アッパイムの子はイシ、イシの子はセシャン、セシャンの子はアヘライである。 + シャンマイの兄弟ヤダの子らはエテルとヨナタンである。エテルは子をもたずに死んだ。 + ヨナタンの子らはペレテとザザである。以上はエラメルの子孫である。 + セシャンには男の子はなく、ただ女の子のみであったが、彼はヤルハと呼ぶエジプトびとの奴隷をもっていたので、 + セシャンは娘を奴隷ヤルハに与えてその妻とさせた。彼女はヤルハによってアッタイを産んだ。 + アッタイはナタンを生み、ナタンはザバデを生み、 + ザバデはエフラルを生み、エフラルはオベデを生み、 + オベデはエヒウを生み、エヒウはアザリヤを生み、 + アザリヤはヘレヅを生み、ヘレヅはエレアサを生み、 + エレアサはシスマイを生み、シスマイはシャルムを生み、 + シャルムはエカミヤを生み、エカミヤはエリシャマを生んだ。 + エラメルの兄弟であるカレブの子らは長子をマレシャといってジフの父である。マレシャの子はヘブロン。 + ヘブロンの子らはコラ、タップア、レケム、シマである。 + シマはラハムを生んだ。ラハムはヨルカムの父である。またレケムはシャンマイを生んだ。 + シャンマイの子はマオン。マオンはベテヅルの父である。 + カレブのそばめエパはハラン、モザ、ガゼズを産んだ。ハランはガゼズを生んだ。 + エダイの子らはレゲム、ヨタム、ゲシャン、ペレテ、エパ、シャフである。 + カレブのそばめマアカはシベルとテルハナを産み、 + またマデマンナの父シャフおよびマクベナとギベアの父シワを産んだ。カレブの娘はアクサである。 + これらはカレブの子孫であった。エフラタの長子ホルの子らはキリアテ・ヤリムの父ショバル、 + ベツレヘムの父サルマおよびベテガデルの父ハレフである。 + キリアテ・ヤリムの父ショバル子らはハロエとメヌコテびとの半ばである。 + キリアテ・ヤリムの氏族はイテルびと、プテびと、シュマびと、ミシラびとであって、これらからザレアびとおよびエシタオルびとが出た。 + サルマの子らはベツレヘム、ネトパびと、アタロテ・ベテ・ヨアブ、マナハテびとの半ばおよびゾリびとである。 + またヤベヅに住んでいた書記の氏族テラテびと、シメアテびと、スカテびとである。これらはケニびとであってレカブの家の先祖ハマテから出た者である。 + + + ヘブロンで生れたダビデの子らは次のとおりである。長子はアムノンでエズレルびとアヒノアムから生れ、次はダニエルでカルメルびとアビガイルから生れ、 + 第三はアブサロムでゲシュルの王タルマイの娘マアカの産んだ子、第四はアドニヤでハギテの産んだ子、 + 第五はシパテヤでアビタルから生れ、第六はイテレアムで、彼の妻エグラから生れた。 + この六人はヘブロンで彼に生れた。ダビデがそこで王となっていたのは七年六か月、エルサレムで王となっていたのは三十三年であった。 + エルサレムで生れたものは次のとおりである。すなわちシメア、ショバブ、ナタン、ソロモン。この四人はアンミエルの娘バテシュアから生れた。 + またイブハル、エリシャマ、エリペレテ、 + ノガ、ネペグ、ヤピア、 + エリシャマ、エリアダ、エリペレテの九人、 + これらはみなダビデの子である。このほかに、そばめどもの産んだ子らがあり、タマルは彼らの姉妹であった。 + ソロモンの子はレハベアム、その子はアビヤ、その子はアサ、その子はヨシャパテ、 + その子はヨラム、その子はアハジヤ、その子はヨアシ、 + その子はアマジヤ、その子はアザリヤ、その子はヨタム、 + その子はアハズ、その子はヒゼキヤ、その子はマナセ、 + その子はアモン、その子はヨシヤ、 + ヨシヤの子らは長子ヨハナン、次はエホヤキム、第三はゼデキヤ、第四はシャルムである。 + エホヤキムの子孫はその子はエコニア、その子はゼデキヤである。 + 捕虜となったエコニヤの子らはその子シャルテル、 + マルキラム、ペダヤ、セナザル、エカミア、ホシャマ、ネダビヤである。 + ペダヤの子らはゼルバベルとシメイである。ゼルバベルの子らはメシュラムとハナニヤ。シロミテは彼らの姉妹である。 + またハシュバ、オヘル、ベレキヤ、ハサデヤ、ユサブ・ヘセデの五人がある。 + ハナニヤの子らはペラテヤとエシャヤ、その子レパヤ、その子アルナン、その子オバデヤ、その子シカニヤである。 + シカニヤの子らはシマヤ。シマヤの子らはハットシ、イガル、バリア、ネアリヤ、シャパテの六人である。 + ネアリヤの子らはエリオエナイ、ヒゼキヤ、アズリカムの三人である。 + エリオエナイの子らはホダヤ、エリアシブ、ペラヤ、アックブ、ヨハナン、デラヤ、アナニの七人である。 + + + ユダの子らはペレヅ、ヘヅロン、カルミ、ホル、ショバルである。 + ショバルの子レアヤはヤハテを生み、ヤハテはアホマイとラハデを生んだ。これらはザレアびとの一族である。 + エタムの子らはエズレル、イシマおよびイデバシ、彼らの姉妹の名はハゼレルポニである。 + ゲドルの父はペヌエル、ホシャの父はエゼルである。これらはベツレヘムの父エフラタの長子ホルの子らである。 + テコアの父アシュルにはふたりの妻ヘラとナアラとがあった。 + ナアラはアシュルによってアホザム、ヘペル、テメニおよびアハシタリを産んだ。これらはナアラの子である。 + ヘラの子らはゼレテ、エゾアル、エテナンである。 + コヅはアヌブとゾベバを生んだ。またハルムの子アハルヘルの氏族も彼から出た。 + ヤベヅはその兄弟のうちで最も尊ばれた者であった。その母が「わたしは苦しんでこの子を産んだから」と言ってその名をヤベヅと名づけたのである。 + ヤベヅはイスラエルの神に呼ばわって言った、「どうか、あなたが豊かにわたしを恵み、わたしの国境を広げ、あなたの手がわたしとともにあって、わたしを災から免れさせ、苦しみをうけさせられないように」。神は彼の求めるところをゆるされた。 + シュワの兄弟ケルブはメヒルを生んだ。メヒルはエシトンの父、 + エシトンはベテラパ、パセアおよびイルナハシの父テヒンナを生んだ。これらはレカの人々である。 + ケナズの子らはオテニエルとセラヤ。オテニエルの子らはハタテとメオノタイ。 + メオノタイはオフラを生み、セラヤはゲハラシムの父ヨアブを生んだ。彼らは工人であったのでゲハラシムと呼ばれたのである。 + エフンネの子カレブの子らはイル、エラおよびナアム。エラの子はケナズ。 + エハレレルの子らはジフ、ジバ、テリア、アサレルである。 + エズラの子らはエテル、メレデ、エペル、ヤロン。次のものはメレデがめとったパロの娘ビテヤの子らである。すなわち彼女はみごもってミリアム、シャンマイおよびイシバを産んだ。イシバはエシテモアの父である。 + 彼の妻はユダヤ人で、ゲドルの父エレデとソコの父ヘベルとザノアの父エクテエルを産んだ。 + ナハムの姉妹であるホデヤの妻の子らはガルムびとケイラの父およびマアカびとエシテモアである。 + シモンの子らはアムノン、リンナ、ベネハナン、テロンである。イシの子らはゾヘテとベネゾヘテである。 + ユダの子シラの子らはレカの父エル、マレシャの父ラダおよびベテアシベアの亜麻布織の家の一族、 + ならびにモアブを治めてレヘムに帰ったヨキム、コゼバの人々、ヨアシおよびサラフである。その記録は古い。 + これらの者は陶器を造る人で、ネタイムおよびゲデラに住み、王の用をするため、王とともに、そこに住んだ。 + シメオンの子らはネムエル、ヤミン、ヤリブ、ゼラ、シャウル。 + シャウルの子はシャルム、その子はミブサム、その子はミシマ。 + ミシマの子孫は、その子はハムエル、その子はザックル、その子はシメイ。 + シメイには男の子十六人、女の子六人あったが、その兄弟たちには多くの子はなかった。またその氏族の者はすべてユダの子孫ほどにはふえなかった。 + 彼らの住んだ所はベエルシバ、モラダ、ハザル・シュアル、 + ビルハ、エゼム、トラデ、 + ベトエル、ホルマ、チクラグ、 + ベテ・マルカボテ、ハザル・スシム、ベテ・ビリ、およびシャライムである。これらはダビデの世に至るまで彼らの町であった。 + その村里はエタム、アイン、リンモン、トケン、アシャンの五つの町である。 + またこれらの町々の周囲に多くの村があって、バアルまでおよんだ。彼らのすみかは以上のとおりで、彼らはおのおの系図をもっていた。 + メショバブ、ヤムレク、アマジヤの子ヨシャ、 + ヨエル、アシエルのひこ、セラヤの孫、ヨシビアの子エヒウ。 + エリオエナイ、ヤコバ、エショハヤ、アサヤ、アデエル、エシミエル、ベナヤ、 + およびシピの子ジザ。シピはアロンの子、アロンはエダヤの子、エダヤはシムリの子、シムリはシマヤの子である。 + ここに名をあげた者どもはその氏族の長であって、それらの氏族は大いにふえ広がった。 + 彼らは群れのために牧場を求めてゲドルの入口に行き、谷の東の方まで進み、 + ついに豊かな良い牧場を見いだした。その地は広く穏やかで、安らかであった。その地の前の住民はハムびとであったからである。 + これらの名をしるした者どもはユダの王ヒゼキヤの世に行って、彼らの天幕と、そこにいたメウニびとを撃ち破り、彼らをことごとく滅ぼして今日に至っている。そこには、群れのための牧場があったので、彼らはそこに住んだ。 + またシメオンびとのうちの五百人はイシの子らペラテヤ、ネアリヤ、レパヤ、ウジエルをかしらとしてセイル山に行き、 + アマレクびとで、のがれて残っていた者を撃ち滅ぼして、今日までそこに住んでいる。 + + + イスラエルの長子ルベンの子らは次のとおりである。――ルベンは長子であったが父の床を汚したので、長子の権はイスラエルの子ヨセフの子らに与えられた。それで長子の権による系図にしるされていない。 + またユダは兄弟たちにまさる者となり、その中から君たる者がでたが長子の権はヨセフのものとなったのである。―― + すなわちイスラエルの長子ルベンの子らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミ。 + ヨエルの子らはその子はシマヤ、その子はゴグ、その子はシメイ、 + その子はミカ、その子はレアヤ、その子はバアル、 + その子はベエラである。このベエラはアッスリヤの王テルガテ・ピルネセルが捕え移した者である。彼はルベンびとのつかさであった。 + 彼の兄弟たちは、その氏族により、その歴代の系図によれば、かしらエイエルおよびゼカリヤ、 + ベラなどである。ベラはアザズの子、シマの孫、ヨエルのひこである。彼はアロエルに住み、ネボおよびバアル・メオンまで及んでいたが、 + ギレアデの地で彼の家畜がふえ増したので、彼は東の方ユフラテ川のこなたの荒野の入口にまで住んだ。 + またサウルの時、彼らはハガルびとと戦って、これを撃ち倒し、ギレアデの東の全部にわたって彼らの天幕に住んだ。 + ガドの子孫はこれと相対してバシャンの地に住み、サルカまで及んでいた。 + そのかしらはヨエル、次はシャパム、ヤアナイ、シャパテで、ともにバシャンに住んだ。 + 彼らの兄弟たちは、その氏族によればミカエル、メシュラム、シバ、ヨライ、ヤカン、ジア、エベルの七人である。 + これらはホリの子アビハイルの子らである。ホリはヤロアの子、ヤロアはギレアデの子、ギレアデはミカエルの子、ミカエルはエシサイの子、エシサイはヤドの子、ヤドはブズの子である。 + アヒはアブデルの子、アブデルはグニの子、グニはその氏族の長である。 + 彼らはギレアデとバシャンとその村里とシャロンのすべての放牧地に住んで、その四方の境にまで及んでいた。 + これらはみなユダの王ヨタムの世とイスラエルの王ヤラベアムの世に系図にのせられた。 + ルベンびとと、ガドびとと、マナセの半部族には出て戦いうる者四万四千七百六十人あり、皆勇士で、盾とつるぎをとり、弓をひき、戦いに巧みな人々であった。 + 彼らはハガルびとおよびエトル、ネフシ、ノダブなどと戦ったが、 + 助けを得てこれを攻めたので、ハガルびとおよびこれとともにいた者は皆、彼らの手にわたされた。これは彼らが戦いにあたって神に呼ばわり、神に寄り頼んだので神はその願いを聞かれたからである。 + 彼らはその家畜を奪い取ったが、らくだ五万、羊二十五万、ろば二千あり、また人は十万人あった。 + これはその戦いが神によったので、多くの者が殺されて倒れたからである。そして彼らは捕え移される時まで、これに代ってその所に住んだ。 + マナセの半部族の人々はこの地に住み、ふえ広がって、ついにバシャンからバアル・ヘルモン、セニルおよびヘルモン山にまで及んだ。 + その氏族の長たちは次のとおりである。すなわち、エペル、イシ、エリエル、アズリエル、エレミヤ、ホダヤ、ヤデエル。これらは皆その氏族の長で名高い大勇士であった。 + 彼らは先祖たちの神にむかって罪を犯し、神が、かつて彼らの前から滅ぼされた国の民の神々を慕って、これと姦淫したので、 + イスラエルの神は、アッスリヤの王プルの心を奮い起し、またアッスリヤの王テルガテ・ピルネセルの心を奮い起されたので、彼はついにルベンびとと、ガドびとと、マナセの半部族を捕えて行き、ハウラとハボルとハラとゴザン川のほとりに移して今日に至っている。 + + + レビの子らはゲルション、コハテ、メラリ。 + コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエル。 + アムラムの子らはアロン、モーセ、ミリアム。アロンの子らはナダブ、アビウ、エレアザル、イタマル。 + エレアザルはピネハスを生み、ピネハスはアビシュアを生み、 + アビシュアはブッキを生み、ブッキはウジを生み、 + ウジはゼラヒヤを生み、ゼラヒヤはメラヨテを生み、 + メラヨテはアマリヤを生み、アマリヤはアヒトブを生み、 + アヒトブはザドクを生み、ザドクはアヒマアズを生み、 + アヒマアズはアザリヤを生み、アザリヤはヨナハンを生み、 + ヨナハンはアザリヤを生んだ。このアザリヤはソロモンがエルサレムに建てた宮で祭司の務をした者である。 + アザリヤはアマリヤを生み、アマリヤはアヒトブを生み、 + アヒトブはザトクを生み、ザトクはシャルムを生み、 + シャルムはヒルキヤを生み、ヒルキヤはアザリヤを生み、 + アザリヤはセラヤを生み、セラヤはヨザダクを生んだ。 + ヨザダクは主がネブカデネザルの手によってユダとエルサレムの人を捕え移された時に捕えられて行った。 + レビの子らはゲルション、コハテおよびメラリ。 + ゲルションの子らの名はリブニとシメイ。 + コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルである。 + メラリの子らはマヘリとムシ。これらはレビびとのその家筋による氏族である。 + ゲルションの子はリブニ、その子はヤハテ、その子はジンマ、 + その子はヨア、その子はイド、その子はゼラ、その子はヤテライ。 + コハテの子はアミナダブ、その子はコラ、その子はアシル、 + その子はエルカナ、その子はエビアサフ、その子はアシル、 + その子はタハテ、その子はウリエル、その子はウジヤ、その子はシャウル。 + エルカナの子らはアマサイとアヒモテ、 + その子はエルカナ、その子はゾパイ、その子はナハテ、 + その子はエリアブ、その子はエロハム、その子はエルカナ。 + サムエルの子らは、長子はヨエル、次はアビヤ。 + メラリの子はマヘリ、その子はリブニ、その子はシメイ、その子はウザ、 + その子はシメア、その子はハギヤ、その子はアサヤである。 + 契約の箱を安置したのち、ダビデが主の宮で歌をうたう事をつかさどらせた人々は次のとおりである。 + 彼らは会見の幕屋の前で歌をもって仕えたが、ソロモンがエルサレムに主の宮を建ててからは、一定の秩序に従って務を行った。 + その務をしたもの、およびその子らは次のとおりである。コハテびとの子らのうちヘマンは歌をうたう者、ヘマンはヨエルの子、ヨエルはサムエルの子、 + サムエルはエルカナの子、エルカナはエロハムの子、エロハムはエリエルの子、エリエルはトアの子、 + トアはヅフの子、ヅフはエルカナの子、エルカナはマハテの子、マハテはアマサイの子、 + アマサイはエルカナの子、エルカナはヨエルの子、ヨエルはアザリヤの子、アザリヤはゼパニヤの子、 + ゼパニヤはタハテの子、タハテはアシルの子、アシルはエビアサフの子、エビアサフはコラの子、 + コラはイヅハルの子、イヅハルはコハテの子、コハテはレビの子、レビはイスラエルの子である。 + ヘマンの兄弟アサフはヘマンの右に立った。アサフはベレキヤの子、ベレキヤはシメアの子、 + シメアはミカエルの子、ミカエルはバアセヤの子、バアセヤはマルキヤの子、 + マルキヤはエテニの子、エテニはゼラの子、ゼラはアダヤの子、 + アダヤはエタンの子、エタンはジンマの子、ジンマはシメイの子、 + シメイはヤハテの子、ヤハテはゲルションの子、ゲルションはレビの子である。 + また彼らの兄弟であるメラリの子らが左に立った。そのうちのエタンはキシの子、キシはアブデの子、アブデはマルクの子、 + マルクはハシャビヤの子、ハシャビヤはアマジヤの子、アマジヤはヒルキヤの子、 + ヒルキヤはアムジの子、アムジはバニの子、バニはセメルの子、 + セメルはマヘリの子、マヘリはムシの子、ムシはメラリの子、メラリはレビの子である。 + 彼らの兄弟であるレビびとたちは、神の宮の幕屋のもろもろの務に任じられた。 + アロンとその子らは燔祭の壇と香の祭壇の上にささげることをなし、また至聖所のすべてのわざをなし、かつイスラエルのためにあがないをなした。すべて神のしもべモーセの命じたとおりである。 + アロンの子孫は次のとおりである。アロンの子はエレアザル、その子はピネハス、その子はアビシュア、 + その子はブッキ、その子はウジ、その子はゼラヒヤ、 + その子はメラヨテ、その子はアマリヤ、その子はアヒトブ、 + その子はザドク、その子はアヒマアズである。 + アロンの子孫の住む所はその境のうちにある宿営によっていえば次のとおりである。まずコハテびとの氏族がくじによって得たところ、 + すなわち彼らが与えられたところは、ユダの地にあるヘブロンとその周囲の放牧地である。 + ただし、その町の田畑とその村々は、エフンネの子カレブに与えられた。 + そしてアロンの子孫に与えられたものは、のがれの町であるヘブロンおよびリブナとその放牧地、ヤッテルおよびエシテモアとその放牧地、 + ヒレンとその放牧地、デビルとその放牧地、 + アシャンとその放牧地、ベテシメシとその放牧地である。 + またベニヤミンの部族のうちからはゲバとその放牧地、アレメテとその放牧地、アナトテとその放牧地を与えられた。彼らの町は、すべてその氏族のうちに十三あった。 + またコハテの子孫の残りの者は部族の氏族のうちからと、半部族すなわちマナセの半部族のうちからくじによって十の町を与えられた。 + またゲルションの子孫はその氏族によってイッサカルの部族、アセルの部族、ナフタリの部族、およびバシャンのマナセの部族のうちから十三の町が与えられた。 + メラリの子孫はその氏族によってルベンの部族、ガドの部族、およびゼブルンの部族のうちからくじによって十二の町が与えられた。 + このようにイスラエルの人々はレビびとに町々とその放牧地とを与えた。 + すなわちユダの子孫の部族とシメオンの部族の子孫と、ベニヤミンの子孫の部族のうちからここに名をあげたこれらの町をくじによって与えた。 + コハテの子孫の氏族はまたエフライムの部族のうちからも町々を獲てその領地とした。 + すなわち彼らが与えられた、のがれの町はエフライムの山地にあるシケムとその放牧地、ゲゼルとその放牧地、 + ヨクメアムとその放牧地、ベテホロンとその放牧地、 + アヤロンとその放牧地、ガテリンモンとその放牧地である。 + またマナセの半部族のうちからは、アネルとその放牧地およびビレアムとその放牧地を、コハテの子孫の氏族の残りのものに与えた。 + ゲルションの子孫に与えられたものはマナセの半部族のうちからはバシャンのゴランとその放牧地、アシタロテとその放牧地。 + イッサカルの部族のうちからはケデシとその放牧地、ダベラテとその放牧地、 + ラモテとその放牧地、アネムとその放牧地。 + アセルの部族のうちからはマシャルとその放牧地、アブドンとその放牧地、 + ホコクとその放牧地、レホブとその放牧地。 + ナフタリの部族のうちからはガリラヤのケデシとその放牧地、ハンモンとその放牧地、キリアタイムとその放牧地である。 + このほかのもの、すなわちメラリの子孫に与えられたものはゼブルンの部族のうちからリンモンとその放牧地、タボルとその放牧地、 + エリコに近いヨルダンのかなた、すなわちヨルダンの東ではルベンの部族のうちからは荒野のベゼルとその放牧地、ヤザとその放牧地、 + ケデモテとその放牧地、メパアテとその放牧地。 + ガドの部族のうちからはギレアデのラモテとその放牧地、マハナイムとその放牧地、 + ヘシボンとその放牧地、ヤゼルとその放牧地である。 + + + イッサカルの子らはトラ、プワ、ヤシュブ、シムロムの四人。 + トラの子らはウジ、レパヤ、エリエル、ヤマイ、エブサム、サムエル。これは皆トラの子で、その氏族の長である。その子孫の大勇士たる者はダビデの世にはその数二万二千六百人であった。 + ウジの子はイズラヒヤ、イズラヒヤの子らはミカエル、オバデヤ、ヨエル、イシアの五人で、みな長たる者であった。 + その子孫のうちに、その氏族に従えば軍勢の士卒三万六千人あった。これは彼らが妻子を多くもっていたからである。 + イッサカルのすべての氏族のうちの兄弟たちで系図によって数えられた大勇士は合わせて八万七千人あった。 + ベニヤミンの子らはベラ、ベケル、エデアエルの三人。 + ベラの子らはエヅボン、ウジ、ウジエル、エレモテ、イリの五人で、皆その氏族の長である。その系図によって数えられた大勇士は二万二千三十四人あった。 + ベケルの子らはゼミラ、ヨアシ、エリエゼル、エリオエナイ、オムリ、エレモテ、アビヤ、アナトテ、アラメテで皆ベケルの子らである。 + その子孫のうち、その氏族の長として系図によって数えられた大勇士は二万二百人あった。 + エデアエルの子はビルハン。ビルハンの子らはエウシ、ベニヤミン、エホデ、ケナアナ、ゼタン、タルシシ、アヒシャハル。 + 皆エデアエルの子らで氏族の長であった。その子孫のうちには、いくさに出てよく戦う大勇士が一万七千二百人あった。 + またイルの子らはシュパムとホパム。アヘルの子はホシムである。 + ナフタリの子らはヤハジエル、グニ、エゼル、シャルムで皆ビルハの産んだ子である。 + マナセの子らはそのそばめであるスリヤの女の産んだアスリエル。彼女はまたギレアデの父マキルを産んだ。 + マキルはホパムとシュパムの妹マアカという者を妻にめとった。二番目の子はゼロペハデという。ゼロペハデには女の子だけがあった。 + マキルの妻マアカは男の子を産んで名をペレシと名づけた。その弟の名はシャレシ。シャレシの子らはウラムとラケムである。 + ウラムの子はベダン。これらはマナセの子マキルの子であるギレアデの子らである。 + その妹ハンモレケテはイシホデ、アビエゼル、マヘラを産んだ。 + セミダの子らはアヒアン、シケム、リキ、アニアムである。 + エフライムの子はシュテラ、その子はベレデ、その子はタハテ、その子はエラダ、その子はタハテ、 + その子はザバデ、その子はシュテラである。エゼルとエレアデはガテの土人らに殺された。これは彼らが下って行ってその家畜を奪おうとしたからである。 + 父エフライムが日久しくこのために悲しんだので、その兄弟たちが来て彼を慰めた。 + そののち、エフライムは妻のところにはいった。妻ははらんで男の子を産み、その名をベリアと名づけた。その家に災があったからである。 + エフライムの娘セラは上と下のベテホロンおよびウゼン・セラを建てた。 + ベリアの子はレパ、その子はレセフ、その子はテラ、その子はタハン、 + その子はラダン、その子はアミホデ、その子はエリシャマ、 + その子はヌン、その子はヨシュア。 + エフライムの子孫の領地と住所はベテルとその村々、また東の方ではナアラン、西の方ではゲゼルとその村々、またシケムとその村々、アワとその村々。 + またマナセの子孫の国境に沿って、ベテシャンとその村々、タアナクとその村々、メギドンとその村々、ドルとその村々で、イスラエルの子ヨセフの子孫はこれらの所に住んだ。 + アセルの子らはイムナ、イシワ、エスイ、ベリアおよびその姉妹セラ。 + ベリアの子らはヘベルとマルキエル。マルキエルはビルザヒテの父である。 + ヘベルはヤフレテ、ショメル、ホタムおよびその姉妹シュアを生んだ。 + ヤフレテの子らはパサク、ビムハル、アシワテ。これらはヤレフテの子らである。 + 彼の兄弟ショメルの子らはロガ、ホバおよびアラム。 + ショメルの兄弟ヘレムの子らはゾパ、イムナ、シレシ、アマル。 + ゾパの子らはスア、ハルネペル、シュアル、ベリ、イムラ、 + ベゼル、ホド、シャンマ、シルシャ、イテラン、ベエラ。 + エテルの子らはエフンネ、ピスパおよびアラ。 + ウラの子らはアラ、ハニエル、およびリヂア。 + これらは皆アセルの子孫であって、その氏族の長、えりぬきの大勇士、つかさたちのかしらであった。その系図によって数えられた者で、いくさに出てよく戦う者の数は二万六千人であった。 + + + ベニヤミンの生んだ者は長子はベラ、その次はアシベル、第三はアハラ、 + 第四はノハ、第五はラパ。 + ベラの子らはアダル、ゲラ、アビウデ、 + アビシュア、ナアマン、アホア、 + ゲラ、シフパム、ヒラム。 + エホデの子らは次のとおりである。(これらはゲバの住民の氏族の長であって、マナハテに捕え移されたものである。) + すなわちナアマン、アヒヤ、ゲラすなわちヘグラム。ゲラはウザとアヒフデの父であった。 + シャハライムは妻ホシムとバアラを離別してのち、モアブの国で子らをもうけた。 + 彼が妻ホデシによってもうけた子らはヨバブ、ヂビア、メシャ、マルカム、 + エウヅ、シャキヤ、ミルマ。これらはその子らであって氏族の長である。 + 彼はまたホシムによってアビトブとエルパアルをもうけた。 + エルパアルの子らはエベル、ミシャムおよびセメド。彼はオノとロドとその村々を建てた者である。 + またベリアとシマがあった。(これはアヤロンの住民の氏族の長であって、ガテの住民を追い払ったものである。) + またアヒオ、シャシャク、エレモテ。 + ゼバデヤ、アラデ、アデル、 + ミカエル、イシパおよびヨハはベリアの子らであった。 + ゼバデヤ、メシュラム、ヘゼキ、ヘベル、 + イシメライ、エズリアおよびヨバブはエルパアルの子らであった。 + ヤキン、ジクリ、ザベデ、 + エリエナイ、チルタイ、エリエル、 + アダヤ、ベラヤおよびシムラテはシマの子らであった。 + イシパン、ヘベル、エリエル、 + アブドン、ジクリ、ハナン、 + ハナニヤ、エラム、アントテヤ、 + イペデヤおよびペヌエルはシャシャクの子らであった。 + シャムセライ、シハリア、アタリヤ、 + ヤレシャ、エリヤおよびジクリはエロハムの子らであった。 + これらは歴代の氏族の長であり、またかしらであって、エルサレムに住んだ。 + ギベオンの父エイエルはギベオンに住み、その妻の名はマアカといった。 + その長子はアブドンで、次はツル、キシ、バアル、ナダブ、 + ゲドル、アヒオ、ザケル、 + およびミクロテ。ミクロテはシメアを生んだ。これらもまた兄弟たちと向かいあってエルサレムに住んだ。 + ネルはキシを生み、キシはサウルを生み、サウルはヨナタン、マルキシュア、アビナダブ、エシバアルを生んだ。 + ヨナタンの子はメリバアルで、メリバアルはミカエルを生んだ。 + ミカの子らはピトン、メレク、タレア、アハズである。 + アハズはエホアダを生み、エホアダはアレメテ、アズマウテ、ジムリを生み、ジムリはモザを生み、 + モザはビネアを生んだ。ビネアの子はラパ、ラパの子はエレアサ、エレアサの子はアゼルである。 + アゼルには六人の子があり、その名はアズリカム、ボケル、イシマエル、シャリヤ、オバデヤ、ハナンで、皆アゼルの子である。 + その兄弟エセクの子らは、長子はウラム、次はエウシ、第三はエリペレテである。 + ウラムの子らは大勇士で、よく弓を射る者であった。彼は多くの子と孫をもち、百五十人もあった。これらは皆ベニヤミンの子孫である。 + + + このようにすべてのイスラエルびとは系図によって数えられた。これらはイスラエルの列王紀にしるされている。ユダはその不信のゆえにバビロンに捕囚となった。 + その領地の町々に最初に住んだものはイスラエルびと、祭司、レビびとおよび宮に仕えるしもべたちであった。 + またエルサレムにはユダの子孫、ベニヤミンの子孫およびエフライムとマナセの子孫が住んでいた。 + すなわちユダの子ペレヅの子孫のうちではアミホデの子ウタイ。アミホデはオムリの子、オムリはイムリの子、イムリはバニの子である。 + シロびとのうちでは長子アサヤとそのほかの子たち。 + ゼラの子孫のうちではユエルとその兄弟六百九十人。 + ベニヤミンの子孫のうちではハセヌアの子ホダビヤの子であるメシュラムの子サル、 + エロハムの子イブニヤ、ミクリの子であるウジの子エラおよびイブニヤの子リウエルの子であるシパテヤの子メシュラム、 + ならびに彼らの兄弟たちで、その系図によれば合わせて九百五十六人。これらの人々は皆その氏族の長であった。 + 祭司のうちではエダヤ、ヨアリブ、ヤキン、 + およびヒルキヤの子アザリヤ、ヒルキヤはメシュラムの子、メシュラムはザドクの子、ザドクはメラヨテの子、メラヨテはアヒトブの子である。アザリヤは神の宮のつかさである。 + またエロハムの子アダヤ、エロハムはパシュルの子、パシュルはマルキヤの子である。またアデエルの子はマアセヤ、アデエルはヤゼラの子、ヤゼラはメシュラムの子、メシュラムはメシレモテの子、メシレモテはインメルの子である。 + そのほかに彼らの兄弟たちもあった。これらはその氏族の長で、合わせて一千七百六十人、みな神の宮の務をするのに、はなはだ力のある人々であった。 + レビびとのうちではハシュブの子シマヤ、ハシュブはアズリカムの子、アズリカムはハシャビヤの子で、これらはメラリの子孫である。 + またバクバッカル、ヘレシ、ガラル、およびアサフの子ジクリの子であるミカの子マッタニヤ、 + ならびにエドトンの子ガラルの子であるシマヤの子オバデヤおよびエルカナの子であるアサの子ベレキヤ、エルカナはネトパびとの村里に住んだ者である。 + 門を守るものはシャルム、アックブ、タルモン、アヒマンおよびその兄弟たちで、シャルムはその長であった。 + 彼は今日まで東の方にある王の門を守っている。これらはレビの子孫で営の門を守る者である。 + コラの子エビヤサフの子であるコレの子シャルムおよびその氏族の兄弟たちなどのコラびとは幕屋のもろもろの門を守る務をつかさどった。その先祖たちは主の営をつかさどり、その入口を守る者であった。 + エレアザルの子ピネハスが、むかし彼らのつかさであった。主は彼とともにおられた。 + メシレミヤの子ゼカリヤは会見の幕屋の門を守る者であった。 + これらは皆選ばれて門を守る者で、合わせて二百十二人あった。彼らはその村々で系図によって数えられた者で、ダビデと先見者サムエルが彼らを職に任じたのである。 + こうして彼らとその子孫は監守人として、主の家である幕屋の家の門をつかさどった。 + 門を守る者は東西南北の四方にいた。 + またその村々にいる兄弟たちは七日ごとに代り、来て彼らを助けた。 + 門を守る者の長である四人のレビびとは神の家のもろもろの室と宝とをつかさどった。 + 彼らは神の家を守る身であるから、そのまわりに宿った。そして朝ごとにこれを開くことをした。 + そのうちに務の器をつかさどる者があった。彼らはその数を調べて携え入り、またその数を調べて携え出した。 + またそのほかの品、すべての聖なる器および麦粉、ぶどう酒、油、乳香、香料をつかさどる者があった。 + また祭司のともがらのうちに香料を混ぜる者があった。 + コラびとシャルムの長子でレビびとのひとりであるマタテヤはせんべいを造る勤めをつかさどった。 + またコハテびとの子孫であるその兄弟たちのうちに供えのパンをつかさどって、安息日ごとにこれを整える者どもがあった。 + レビびとの氏族の長であるこれらの者は歌うたう者であって、宮のもろもろの室に住み、ほかの務はしなかった。彼らは日夜自分の務に従ったからである。 + これらはレビびとの歴代の氏族の長であって、かしらたる人々であった。彼らはエルサレムに住んだ。 + ギベオンの父エヒエルはギベオンに住んでいた。その妻の名はマアカといった。 + 彼の長子はアブドン、次はツル、キシ、バアル、ネル、ナダブ、 + ゲドル、アヒオ、ゼカリヤ、ミクロテである。 + ミクロテはシメアムを生んだ。彼らもその兄弟たちとともにエルサレムに住んで、その兄弟たちと向かいあっていた。 + ネルはキシを生み、キシはサウルを生み、サウルはヨナタン、マルキシュア、アビナダブ、エシバアルを生んだ。 + ヨナタンの子はメリバアルで、メリバアルはミカを生んだ。 + ミカの子らはピトン、メレク、タレアおよびアハズである。 + アハズはヤラを生み、ヤラはアレメテ、アズマウテおよびジムリを生み、ジムリはモザを生み、 + モザはビネアを生んだ。ビネアの子はレパヤ、その子はエレアサ、その子はアゼルである。 + アゼルに六人の男の子があった。その名はアズリカム、ボケル、イシマエル、シャリヤ、オバデヤ、ハナン。これらはみなアゼルの子らであった。 + + + さてペリシテびとはイスラエルと戦ったが、イスラエルの人々がペリシテびとの前から逃げ、ギルボア山で殺されて倒れたので、 + ペリシテびとはサウルとその子たちのあとを追い、サウルの子ヨナタン、アビナダブおよびマルキシュアを殺した。 + 戦いは激しくサウルにおし迫り、射手の者どもがついにサウルを見つけたので、彼は射手の者どもに傷を負わされた。 + そこでサウルはその武器を執る者に言った、「つるぎを抜き、それをもってわたしを刺せ。さもないと、これらの割礼なき者が来て、わたしをはずかしめるであろう」。しかしその武器を執る者がいたく恐れて聞きいれなかったので、サウルはつるぎをとってその上に伏した。 + 武器を執る者はサウルの死んだのを見て、自分もまたつるぎの上に伏して死んだ。 + こうしてサウルと三人の子らおよびその家族は皆ともに死んだ。 + 谷にいたイスラエルの人々は皆彼らの逃げるのを見、またサウルとその子らの死んだのを見て、町々をすてて逃げたので、ペリシテびとが来てそのうちに住んだ。 + あくる日ペリシテびとは殺された者から、はぎ取るために来て、サウルとその子らのギルボア山に倒れているのを見、 + サウルをはいでその首と、よろいかぶとを取り、ペリシテびとの国の四方に人をつかわして、この良き知らせをその偶像と民に告げさせた。 + そしてサウルのよろいかぶとを彼らの神の家に置き、首をダゴンの神殿にくぎづけにした。 + しかしヤベシ・ギレアデの人々は皆ペリシテびとがサウルにしたことを聞いたので、 + 勇士たちが皆立ち上がり、サウルのからだとその子らのからだをとって、これをヤベシに持って来て、ヤベシのかしの木の下にその骨を葬り、七日の間、断食した。 + こうしてサウルは主にむかって犯した罪のために死んだ。すなわち彼は主の言葉を守らず、また口寄せに問うことをして、 + 主に問うことをしなかった。それで主は彼を殺し、その国を移してエッサイの子ダビデに与えられた。 + + + ここにイスラエルの人は皆ヘブロンにいるダビデのもとに集まって来て言った、「われわれは、あなたの骨肉です。 + 先にサウルが王であった時にも、あなたはイスラエルを率いて出入りされました。そしてあなたの神、主はあなたに『あなたはわが民イスラエルを牧する者となり、わが民イスラエルの君となるであろう』と言われました」。 + このようにイスラエルの長老が皆ヘブロンにいる王のもとに来たので、ダビデはヘブロンで主の前に彼らと契約を結んだ。そして彼らは、サムエルによって語られた主の言葉に従ってダビデに油を注ぎ、イスラエルの王とした。 + ダビデとすべてのイスラエルはエルサレムへ行った。エルサレムはすなわちエブスであって、そこにはその地の住民であるエブスびとがいた。 + エブスの住民はダビデに言った、「あなたはここにはいってはならない」。しかし、ダビデはシオンの要害を取った。これがすなわちダビデの町である。 + この時ダビデは言った、「だれでも第一にエブスびとを撃つ者を、かしらとし、将とする」。ゼルヤの子ヨアブが第一にのぼっていったので、かしらとなった。 + そしてダビデがその要害に住んだので人々はこれをダビデの町と名づけた。 + ダビデはまたその町の周囲すなわちミロから四方に石がきを築き、ヨアブは町のほかの部分を繕った。 + こうしてダビデはますます大いなる者となった。万軍の主が彼とともにおられたからである。 + ダビデの勇士のおもなものは次のとおりである。彼らはイスラエルのすべての人とともにダビデに力をそえて国を得させ、主がイスラエルについて言われた言葉にしたがって、彼を王とした人々である。 + ダビデの勇士の数は次のとおりである。すなわち三人の長であるハクモニびとの子ヤショベアム、彼はやりをふるって三百人に向かい、一度にこれを殺した者である。 + 彼の次はアホアびとドドの子エレアザルで、三勇士のひとりである。 + 彼はダビデとともにパスダミムにいたが、ペリシテびとがそこに集まって来て戦った。そこに一面に大麦のはえた地所があった。民はペリシテびとの前から逃げた。 + しかし彼は地所の中に立ってこれを防ぎ、ペリシテびとを殺した。そして主は大いなる勝利を与えて彼らを救われた。 + 三十人の長たちのうちの三人は下っていってアドラムのほらあなの岩の所にいるダビデのもとへ行った。時にペリシテびとの軍勢はレパイムの谷に陣を取っていた。 + その時ダビデは要害におり、ペリシテびとの先陣はベツレヘムにあったが、 + ダビデはせつに望んで、「だれかベツレヘムの門のかたわらにある井戸の水をわたしに飲ませてくれるとよいのだが」と言った。 + そこでその三人はペリシテびとの陣を突き通って、ベツレヘムの門のかたわらにある井戸の水をくみ取って、ダビデのもとに携えて来た。しかしダビデはそれを飲もうとはせず、それを主の前に注いで、 + 言った、「わが神よ、わたしは断じてこれをいたしません。命をかけて行ったこの人たちの血をどうしてわたしは飲むことができましょう。彼らは命をかけてこの水をとって来たのです」。それゆえ、ダビデはこの水を飲もうとはしなかった。三勇士はこのことをおこなった。 + ヨアブの兄弟アビシャイは三十人の長であった。彼はやりをふるって三百人に立ち向かい、これを殺して三人のほかに名を得た。 + 彼は三十人のうち、最も尊ばれた者で、彼らのかしらとなった。しかし、かの三人には及ばなかった。 + エホヤダの子ベナヤは、カブジエル出身の勇士であって、多くのてがらを立てた。彼はモアブのアリエルのふたりの子を撃ち殺した。彼はまた雪の日に下っていって、穴の中でししを撃ち殺した。 + 彼はまた身のたけ五キュビトばかりのエジプトびとを撃ち殺した。そのエジプトびとは手に機の巻棒ほどのやりを持っていたが、ベナヤはつえをとって彼の所へ下って行き、エジプトびとの手から、やりをもぎとり、そのやりをもって彼を殺した。 + エホヤダの子ベナヤは、これらの事を行って三勇士のほかに名を得た。 + 彼は三十人のうちに有名であったが、かの三人には及ばなかった。ダビデは彼を侍衛の長とした。 + 軍団のうちの勇士はヨアブの兄弟アサヘル。ベツレヘム出身のドドの子エルハナン。 + ハロデ出身のシャンマ。ペロンびとヘレヅ。 + テコア出身のイッケシの子イラ。アナトテ出身のアビエゼル。 + ホシャテびとシベカイ。アホアびとイライ。 + ネトパ出身のマハライ。ネトパ出身のバアナの子ヘレデ。 + ベニヤミンびとのギベアから出たリバイの子イタイ。ピラトンのベナヤ。 + ガアシの谷のホライ。アルバテびとアビエル。 + バハルム出身のアズマウテ。シャルボン出身のエリヤバ。 + ギゾンびとハセム。ハラルびとシャゲの子ヨナタン。 + ハラルびとサカルの子アヒアム。ウルの子エリパル。 + メケラテびとヘペル。ペロンびとアヒヤ。 + カルメル出身のヘズロ。エズバイの子ナアライ。 + ナタンの兄弟ヨエル。ハグリの子ミブハル。 + アンモンびとゼレク。ゼルヤの子ヨアブの武器を執るもの、ベエロテ出身のナハライ。 + イテルびとイラ。イテルびとガレブ。 + ヘテびとウリヤ。アハライの子ザバデ。 + ルベンびとシザの子アデナ。彼はルベンびとの長であって、三十人を率いた。 + またマアカの子ハナン。ミテニびとヨシャパテ。 + アシテラテびとウジヤ。アロエルびとホタムの子らシャマとエイエル。 + テジびとシムリの子エデアエルおよびその兄弟ヨハ。 + マハブびとエリエル。エルナアムの子らエリバイおよびヨシャビヤ。モアブびとイテマ。 + エリエル、オベデおよびメゾバびとヤシエルである。 + + + ダビデがキシの子サウルにしりぞけられて、なおチクラグにいた時、次の人々が彼のもとに来た。彼らはダビデを助けて戦った勇士たちのうちにあり、 + 弓をよくする者、左右いずれの手をもってもよく矢を射、石を投げる者で、ともにベニヤミンびとで、サウルの同族である。 + そのかしらはアヒエゼル、次はヨアシで、ともにギベア出身のシマアの子たちである。またエジエルとペレテで、ともにアズマウテの子たちである。またベラカおよびアナトテ出身のエヒウ。 + またギベオン出身のイシマヤ、彼は三十人のうちの勇士で、その三十人の長である。またエレミヤ、ヤハジエル、ヨハナン、ゲデラ出身のヨザバデ、 + エルザイ、エリモテ、ベアリヤ、シマリヤ、ハリフびとシパテヤ、 + エルカナ、イシア、アザリエル、ヨエゼル、ヤショベアムで、これらはコラびとである。 + またゲドルのエロハムの子たちであるヨエラおよびゼバデヤである。 + ガドびとのうちから荒野の要害に来て、ダビデについた者は皆勇士で、よく戦う軍人、よく盾とやりをつかう者、その顔はししの顔のようで、その速いことは山にいるしかのようであった。 + 彼らのかしらはエゼル、次はオバデヤ、第三はエリアブ、 + 第四はミシマンナ、第五はエレミヤ、 + 第六はアッタイ、第七はエリエル、 + 第八はヨナハン、第九はエルザバデ、 + 第十はエレミヤ、第十一はマクバナイである。 + これらはガドの子孫で軍勢の長たる者、その最も小さい者でも百人に当り、その最も大いなる者は千人に当った。 + 正月、ヨルダンがその全岸にあふれたとき、彼らはこれを渡って、谷々にいる者をことごとく東に西に逃げ走らせた。 + ベニヤミンとユダの子孫のうちの人々が要害に来て、ダビデについた。 + ダビデは出て彼らを迎えて言った、「あなたがたが好意をもって、わたしを助けるために来たのならば、わたしの心もあなたがたと、ひとつになりましょう。しかし、わたしの手になんの悪事もないのに、もしあなたがたが、わたしを欺いて、敵に渡すためであるならば、われわれの先祖の神がどうぞみそなわして、あなたがたを責められますように」。 + 時に霊が三十人の長アマサイに臨み、アマサイは言った、「ダビデよ、われわれはあなたのもの。エッサイの子よ、われわれはあなたと共にある。平安あれ、あなたに平安あれ。あなたを助ける者に平安あれ。あなたの神があなたを助けられる」。そこでダビデは彼らを受けいれて部隊の長とした。 + さきにダビデがペリシテびとと共にサウルと戦おうと攻めて来たとき、マナセびと数人がダビデについた。(ただしダビデはついにペリシテびとを助けなかった。それはペリシテびとの君たちが相はかって、「彼はわれわれの首をとって、その主君サウルのもとに帰るであろう」と言って、彼を去らせたからである。) + ダビデがチクラグへ行ったとき、マナセびとアデナ、ヨザバデ、エデアエル、ミカエル、ヨザバデ、エリウ、ヂルタイが彼についた。皆マナセびとの千人の長であった。 + 彼らはダビデを助けて敵軍に当った。彼らは皆大勇士で軍勢の長であった。 + ダビデを助ける者が日に日に加わって、ついに大軍となり、神の軍勢のようになった。 + 主の言葉に従い、サウルの国をダビデに与えようとして、ヘブロンにいるダビデのもとに来た武装した軍隊の数は、次のとおりである。 + ユダの子孫で盾とやりをとり、武装した者六千八百人、 + シメオンの子孫で、よく戦う勇士七千百人、 + レビの子孫からは四千六百人。 + エホヤダはアロンの家のつかさで、彼に属する者は三千七百人。 + ザドクは年若い勇士で、彼の氏族から出た将軍は二十二人。 + サウルの同族、ベニヤミンの子孫からは三千人、ベニヤミンびとの多くはなおサウルの家に忠義をつくしていた。 + エフライムの子孫からは二万八百人、皆勇士で、その氏族の名ある人々であった。 + マナセの半部族からは一万八千人、皆ダビデを王に立てようとして上って来て、名をつらねた者である。 + イッサカルの子孫からはよく時勢に通じ、イスラエルのなすべきことをわきまえた人々が来た。その長たる者が二百人あって、その兄弟たちは皆その指揮に従った。 + ゼブルンからは五万人、皆訓練を経た軍隊で、もろもろの武具で身をよろい、一心にダビデを助けた者である。 + ナフタリからは将たる者一千人および盾とやりをとってこれに従う者三万七千人。 + ダンびとからは武装した者二万八千六百人。 + アセルからは戦いの備えをした熟練の者四万人。 + またヨルダンのかなたルベンびと、ガドびと、マナセの半部族からはもろもろの武具で身をよろった者十二万人であった。 + すべてこれらの戦いの備えをしたいくさびとらは真心をもってヘブロンに来て、ダビデを全イスラエルの王にしようとした。このほかのイスラエルびともまた、心をひとつにしてダビデを王にしようとした。 + 彼らはヘブロンにダビデとともに三日いて、食い飲みした。その兄弟たちは彼らのために備えをしたからである。 + また彼らに近い人々はイッサカル、ゼブルン、ナフタリなどの遠い所の者まで、ろば、らくだ、騾馬、牛などに食物を負わせて来た。すなわち麦粉の食物、干いちじく、干ぶどう、ぶどう酒、油、牛、羊などを多く携えて来た。これはイスラエルに喜びがあったからである。 + + + ここにダビデは千人の長、百人の長などの諸将と相はかり、 + そしてダビデはイスラエルの全会衆に言った、「もし、このことをあなたがたがよしとし、われわれの神、主がこれを許されるならば、われわれは、イスラエルの各地に残っているわれわれの兄弟ならびに、放牧地の付いている町々にいる祭司とレビびとに、使をつかわし、われわれの所に呼び集めましょう。 + また神の箱をわれわれの所に移しましょう。われわれはサウルの世にはこれをおろそかにしたからです」。 + 会衆は一同「そうしましょう」と言った。このことがすべての民の目に正しかったからである。 + そこでダビデはキリアテ・ヤリムから神の箱を運んでくるため、エジプトのシホルからハマテの入口までのイスラエルをことごとく呼び集めた。 + そしてダビデとすべてのイスラエルはバアラすなわちユダのキリアテ・ヤリムに上り、ケルビムの上に座しておられる主の名をもって呼ばれている神の箱をそこからかき上ろうと、 + 神の箱を新しい車にのせて、アビナダブの家からひきだし、ウザとアヒヨがその車を御した。 + ダビデおよびすべてのイスラエルは歌と琴と立琴と、手鼓と、シンバルと、ラッパをもって、力をきわめて神の前に踊った。 + 彼らがキドンの打ち場に来た時、ウザは手を伸べて箱を押えた。牛がつまずいたからである。 + ウザが手を箱につけたことによって、主は彼に向かって怒りを発し、彼を撃たれたので、彼はその所で神の前に死んだ。 + 主がウザを撃たれたので、ダビデは怒った。その所は今日までペレヅ・ウザと呼ばれている。 + その日ダビデは神を恐れて言った、「どうして神の箱を、わたしの所へかいて行けようか」。 + それでダビデはその箱を自分の所ダビデの町へは移さず、これを転じてガテびとオベデ・エドムの家に運ばせた。 + 神の箱は三か月の間、オベデ・エドムの家に、その家族とともにとどまった。主はオベデ・エドムの家族とそのすべての持ち物を祝福された。 + + + ツロの王ヒラムはダビデに使者をつかわし、彼のために家を建てさせようと香柏および石工と木工を送った。 + ダビデは主が自分を堅く立ててイスラエルの王とされたことと、その民イスラエルのために彼の国を大いに興されたことを悟った。 + ダビデはエルサレムでまた妻たちをめとった。そしてダビデにまたむすこ、娘が生れた。 + 彼がエルサレムで得た子たちの名は次のとおりである。すなわちシャンマ、ショバブ、、ナタン、ソロモン、 + イブハル、エリシュア、エルペレテ、 + ノガ、ネペグ、ヤピア、 + エリシャマ、ベエリアダ、エリペレテである。 + さてペリシテびとはダビデが油を注がれて全イスラエルの王になったことを聞いたので、ペリシテびとはみな上ってきてダビデを捜した。ダビデはこれを聞いてこれに当ろうと出ていったが、 + ペリシテびとはすでに来て、レパイムの谷を侵した。 + ダビデは神に問うて言った、「ペリシテびとに向かって上るべきでしょうか。あなたは彼らをわたしの手にわたされるでしょうか」。主はダビデに言われた、「上りなさい。わたしは彼らをあなたの手にわたそう」。 + そこで彼はバアル・ペラジムへ上っていった。その所でダビデは彼らを打ち敗り、そして言った、「神は破り出る水のように、わたしの手で敵を破られた」。それゆえ、その所の名はバアル・ペラジムと呼ばれている。 + 彼らが自分たちの神をそこに残して退いたので、ダビデは命じてこれを火で焼かせた。 + ペリシテびとは再び谷を侵した。 + ダビデが再び神に問うたので神は言われた、「あなたは彼らを追って上ってはならない。遠回りしてバルサムの木の前から彼らを襲いなさい。 + バルサムの木の上に行進の音が聞えたならば、あなたは行って戦いなさい。神があなたの前に出てペリシテびとの軍勢を撃たれるからです」。 + ダビデは神が命じられたようにして、ペリシテびとの軍勢を撃ち破り、ギベオンからゲゼルに及んだ。 + そこでダビデの名はすべての国々に聞えわたり、主はすべての国びとに彼を恐れさせられた。 + + + ダビデはダビデの町のうちに自分のために家を建て、また神の箱のために所を備え、これがために幕屋を張った。 + ダビデは言った、「神の箱をかくべき者はただレビびとのみである。主が主の箱をかかせ、また主に長く仕えさせるために彼らを選ばれたからである」。 + ダビデは主の箱をこれがために備えた所にかき上るため、イスラエルをことごとくエルサレムに集めた。 + ダビデはまたアロンの子孫とレビびとを集めた。 + すなわち、コハテの子孫のうちからはウリエルを長としてその兄弟百二十人、 + メラリの子孫のうちからはアサヤを長としてその兄弟二百二十人、 + ゲルショムの子孫のうちからはヨエルを長としてその兄弟百三十人、 + エリザパンの子孫のうちからはシマヤを長としてその兄弟二百人、 + ヘブロンの子孫のうちからはエリエルを長としてその兄弟八十人、 + ウジエルの子孫のうちからはアミナダブを長としてその兄弟百十二人である。 + ダビデは祭司ザドクとアビヤタル、およびレビびとウリエル、アサヤ、ヨエル、シマヤ、エリエル、アミナダブを召し、 + 彼らに言った、「あなたがたはレビびとの氏族の長である。あなたがたとあなたがたの兄弟はともに身を清め、イスラエルの神、主の箱をわたしがそのために備えた所にかき上りなさい。 + さきにこれをかいた者があなたがたでなかったので、われわれの神、主はわれわれを撃たれました。これはわれわれがその定めにしたがってそれを扱わなかったからです」。 + そこで祭司たちとレビびとたちはイスラエルの神、主の箱をかき上るために身を清め、 + レビびとたちはモーセが主の言葉にしたがって命じたように、神の箱をさおをもって肩にになった。 + ダビデはまたレビびとの長たちに、その兄弟たちを選んで歌うたう者となし、立琴と琴とシンバルなどの楽器を打ちはやし、喜びの声をあげることを命じた。 + そこでレビびとはヨエルの子ヘマンと、その兄弟ベレキヤの子アサフおよびメラリの子孫である彼らの兄弟クシャヤの子エタンを選んだ。 + またこれに次ぐその兄弟たちがこれと共にいた。すなわちゼカリヤ、ヤジエル、セミラモテ、エイエル、ウンニ、エリアブ、ベナヤ、マアセヤ、マッタテヤ、エリペレホ、ミクネヤおよび門を守る者オベデ・エドムとエイエル。 + 歌うたう者ヘマン、アサフおよびエタンは青銅のシンバルを打ちはやす者であった。 + ゼカリヤ、アジエル、セミラモテ、エイエル、ウンニ、エリアブ、マアセヤ、ベナヤはアラモテにしたがって立琴を奏する者であった。 + しかしマッタテヤ、エリペレホ、ミクネヤ、オベデ・エドム、エイエル、アザジヤはセミニテにしたがって琴をもって指揮する者であった。 + ケナニヤはレビびとの楽長で、音楽に通じていたので、これを指揮した。 + ベレキヤとエルカナは箱のために門を守る者であった。 + 祭司シバニヤ、ヨシャパテ、ネタネル、アマサイ、ゼカリヤ、ベナヤ、エリエゼルらは神の箱の前でラッパを吹き、オベデ・エドムとエヒアは箱のために門を守る者であった。 + ダビデとイスラエルの長老たちおよび千人の長たちは行って、オベデ・エドムの家から主の契約の箱を喜び勇んでかき上った。 + 神が主の契約の箱をかくレビびとを助けられたので、彼らは雄牛七頭、雄羊七頭をささげた。 + ダビデは亜麻布の衣服を着ていた。箱をかくすべてのレビびとは、歌うたう者、音楽をつかさどるケナニヤも同様である。ダビデはまた亜麻布のエポデを着ていた。 + こうしてイスラエルは皆、声をあげ、角笛を吹きならし、ラッパと、シンバルと、立琴と琴をもって打ちはやして主の契約の箱をかき上った。 + 主の契約の箱がダビデの町にはいったとき、サウルの娘ミカルが窓からながめ、ダビデ王の舞い踊るのを見て、心のうちに彼をいやしめた。 + + + 人々は神の箱をかき入れて、ダビデがそのために張った幕屋のうちに置き、そして燔祭と酬恩祭を神の前にささげた。 + ダビデは燔祭と酬恩祭をささげ終えたとき、主の名をもって民を祝福し、 + イスラエルの人々に男にも女にもおのおのパン一つ、肉一切れ、干ぶどう一かたまりを分け与えた。 + ダビデはまたレビびとのうちから主の箱の前に仕える者を立てて、イスラエルの神、主をあがめ、感謝し、ほめたたえさせた。 + 楽長はアサフ、その次はゼカリヤ、エイエル、セミラモテ、エヒエル、マッタテヤ、エリアブ、ベナヤ、オベデ・エドム、エイエルで、彼らは立琴と琴を弾じ、アサフはシンバルを打ち鳴らし、 + 祭司ベナヤとヤハジエルは神の契約の箱の前でつねにラッパを吹いた。 + その日ダビデは初めてアサフと彼の兄弟たちを立てて、主に感謝をささげさせた。 + 主に感謝し、そのみ名を呼び、そのみわざをもろもろの民の中に知らせよ。 + 主にむかって歌え、主をほめ歌え。そのもろもろのくすしきみわざを語れ。 + その聖なるみ名を誇れ。どうか主を求める者の心が喜ぶように。 + 主とそのみ力とを求めよ。つねにそのみ顔をたずねよ。 + + そのしもべアブラハムのすえよ、その選ばれたヤコブの子らよ。主のなされたくすしきみわざと、その奇跡と、そのみ口のさばきとを心にとめよ。 + 彼はわれわれの神、主にいます。そのさばきは全地にある。 + 主はとこしえにその契約をみこころにとめられる。これはよろずよに命じられたみ言葉であって、 + アブラハムと結ばれた契約、イサクに誓われた約束である。 + 主はこれを堅く立ててヤコブのために定めとし、イスラエルのためにとこしえの契約として、 + 言われた、「あなたにカナンの地を与えて、あなたがたの受ける嗣業の分け前とする」と。 + その時、彼らの数は少なくて、数えるに足らず、かの国で旅びととなり、 + 国から国へ行き、この国からほかの民へ行った。 + 主は人の彼らをしえたげるのをゆるされず、彼らのために王たちを懲しめて、 + 言われた、「わが油そそがれた者たちにさわってはならない。わが預言者たちに害を加えてはならない」と。 + 全地よ、主に向かって歌え。日ごとにその救を宣べ伝えよ。 + もろもろの国の中にその栄光をあらわし、もろもろの民の中にくすしきみわざをあらわせ。 + 主は大いなるかたにいまして、いとほめたたうべき者、もろもろの神にまさって、恐るべき者だからである。 + もろもろの民のすべての神はむなしい。しかし主は天を造られた。 + 誉と威厳とはそのみ前にあり、力と喜びとはその聖所にある。 + もろもろの民のやからよ、主に帰せよ、栄光と力とを主に帰せよ。 + そのみ名にふさわしい栄光を主に帰せよ。供え物を携えて主のみ前にきたれ。聖なる装いをして主を拝め。 + 全地よ、そのみ前におののけ。世界は堅く立って、動かされることはない。 + 天は喜び、地はたのしみ、もろもろの国民の中に言え、「主は王であられる」と。 + 海とその中に満つるものとは鳴りどよめき、田畑とその中のすべての物は喜べ。 + そのとき林のもろもろの木も主のみ前に喜び歌う。主は地をさばくためにこられるからである。 + 主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 + また言え、「われわれの救の神よ、われわれを救い、もろもろの国民の中からわれわれを集めてお救いください。そうすればあなたの聖なるみ名に感謝し、あなたの誉を誇るでしょう。 + イスラエルの神、主は、とこしえからとこしえまでほむべきかな」と。その時すべての民は「アァメン」と言って主をほめたたえた。 + ダビデはアサフとその兄弟たちを主の契約の箱の前にとめおいて、常に箱の前に仕え、日々のわざを行わせた。 + オベデ・エドムとその兄弟たちは合わせて六十八人である。またエドトンの子オベデ・エドムおよびホサは門守であった。 + 祭司ザドクとその兄弟である祭司たちはギベオンにある高き所で主の幕屋の前に仕え、 + 主がイスラエルに命じられた律法にしるされたすべてのことにしたがって燔祭の壇の上に朝夕たえず燔祭を主にささげた。 + また彼らとともにヘマン、エドトンおよびほかの選ばれて名をしるされた者どもがいて、主のいつくしみの世々限りなきことについて主に感謝した。 + すなわちヘマンおよびエドトンは彼らとともにいて、ラッパ、シンバルおよびその他の聖歌のための楽器をとって音楽を奏し、エドトンの子らは門を守った。 + こうして民は皆おのおの家に帰り、ダビデはその家族を祝福するために帰って行った。 + + + さてダビデは自分の家に住むようになったとき、預言者ナタンに言った、「見よ、わたしは香柏の家に住んでいるが、主の契約の箱は天幕のうちにある」。 + ナタンはダビデに言った、「神があなたとともにおられるから、すべてあなたの心にあるところを行いなさい」。 + その夜、神の言葉がナタンに臨んで言った、 + 「行ってわたしのしもべダビデに告げよ、『主はこう言われる、わたしの住む家を建ててはならない。 + わたしはイスラエルを導き上った日から今日まで、家に住まわず、天幕から天幕に、幕屋から幕屋に移ったのである。 + わたしがすべてのイスラエルと共に歩んだすべての所で、わたしの民を牧することを命じたイスラエルのさばきづかさのひとりに、ひと言でも、「どうしてあなたがたは、わたしのために香柏の家を建てないのか」と言ったことがあるだろうか』と。 + それゆえ今あなたは、わたしのしもべダビデにこう言いなさい、『万軍の主はこう仰せられる、「わたしはあなたを牧場から、羊に従っている所から取って、わたしの民イスラエルの君とし、 + あなたがどこへ行くにもあなたと共におり、あなたのすべての敵をあなたの前から断ち去った。わたしはまた地の上の大いなる者の名のような名をあなたに得させよう。 + そしてわたしはわが民イスラエルのために一つの所を定めて、彼らを植えつけ、彼らを自分の所に住ませ、重ねて動くことのないようにしよう。 + また前のように、すなわちわたしがわが民イスラエルの上にさばきづかさを立てた時からこのかたのように、悪い人が重ねてこれを荒すことはないであろう。わたしはまたあなたのもろもろの敵を征服する。かつわたしは主があなたのために家を建てられることを告げる。 + あなたの日が満ち、あなたの先祖たちの所へ行かねばならぬとき、わたしはあなたの子、すなわちあなたの子らのひとりを、あなたのあとに立てて、その王国を堅くする。 + 彼はわたしのために家を建てるであろう。わたしは長く彼の位を堅くする。 + わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。わたしは、わたしのいつくしみを、あなたのさきにあった者から取り去ったように、彼からは取り去らない。 + かえって、わたしは彼を長くわたしの家に、わたしの王国にすえおく。彼の位はとこしえに堅く立つであろう』」。 + ナタンはすべてこれらの言葉のように、またすべてこの幻のようにダビデに語った。 + そこで、ダビデ王は、はいって主の前に座して言った、「主なる神よ、わたしがだれ、わたしの家がなんであるので、あなたはこれまでわたしを導かれたのですか。 + 神よ、これはあなたの目には小さな事です。主なる神よ、あなたはしもべの家について、はるか後の事を語って、きたるべき代々のことを示されました。 + しもべの名誉については、ダビデはこの上あなたに何を申しあげることができましょう。あなたはしもべを知っておられるからです。 + 主よ、あなたはしもべのために、またあなたの心にしたがって、このもろもろの大いなる事をなし、すべての大いなる事を知らされました。 + 主よ、われわれがすべて耳に聞いた所によれば、あなたのようなものはなく、またあなたのほかに神はありません。 + また地上のどの国民が、あなたの民イスラエルのようでありましょうか。これは神が行って、自分のためにあがなって民とし、エジプトからあなたがあがない出されたあなたの民の前から国々の民を追い払い、大いなる恐るべき事を行って、名を得られたものではありませんか。 + あなたはあなたの民イスラエルを長くあなたの民とされました。主よ、あなたは彼らの神となられたのです。 + それゆえ主よ、あなたがしもべと、しもべの家について語られた言葉を長く堅くして、あなたの言われたとおりにしてください。 + そうすればあなたの名はとこしえに堅くされ、あがめられて、『イスラエルの神、万軍の主はイスラエルの神である』と言われ、またあなたのしもべダビデの家はあなたの前に堅く立つことができるでしょう。 + わが神よ、あなたは彼のために家を建てると、しもべに示されました。それゆえ、しもべはあなたの前に祈る勇気を得ました。 + 主よ、あなたは神にいまし、この良き事をしもべに約束されました。 + それゆえどうぞいま、しもべの家を祝福し、あなたの前に長く続かせてくださるように。主よ、あなたの祝福されるものは長く祝福を受けるからです」。 + + + この後ダビデはペリシテびとを撃ってこれを征服し、ペリシテびとの手からガテとその村々を取った。 + 彼はまたモアブを撃った。モアブびとはダビデのしもべとなって、みつぎを納めた。 + ダビデはまた、ハマテのゾバの王ハダデゼルがユフラテ川のほとりに、その記念碑を建てようとして行ったとき彼を撃った。 + そしてダビデは彼から戦車一千、騎兵七千人、歩兵二万人を取った。ダビデは一百の戦車の馬を残して、そのほかの戦車の馬はみなその足の筋を切った。 + その時ダマスコのスリヤびとがゾバの王ハダデゼルを助けるために来たので、ダビデはそのスリヤびと二万二千人を殺した。 + そしてダビデはダマスコのスリヤに守備隊を置いた。スリヤびとはみつぎを納めてダビデのしもべとなった。主はダビデにすべてその行く所で勝利を与えられた。 + ダビデはハダデゼルのしもべらが持っていた金の盾を奪って、エルサレムに持ってきた。 + またハダデゼルの町テブハテとクンからダビデは非常に多くの青銅を取った。ソロモンはそれを用いて青銅の海、柱および青銅の器を造った。 + 時にハマテの王トイはダビデがゾバの王ハダデゼルのすべての軍勢を撃ち破ったことを聞き、 + その子ハドラムをダビデ王につかわして、彼にあいさつさせ、かつ祝を述べさせた。ハダデゼルはかつてしばしばトイと戦いを交えたが、ダビデはハダデゼルと戦って、これを撃ち破ったからである。ハドラムは金、銀および青銅のさまざまの器を贈ったので、 + ダビデ王はこれをエドム、モアブ、アンモンの人々、ペリシテびと、アマクレなどの諸国民のうちから取ってきた金銀とともに、主にささげた。 + ゼルヤの子アビシャイは塩の谷で、エドムびと一万八千を撃ち殺した。 + ダビデはエドムに守備隊を置き、エドムびとは皆ダビデのしもべとなった。主はダビデにすべてその行く所で勝利を与えられた。 + こうしてダビデはイスラエルの全地を治め、そのすべての民に公道と正義を行った。 + ゼルヤの子ヨアブは軍の長、アヒルデの子ヨシャパテは史官、 + アヒトブの子ザドクとアビヤタルの子アビメレクは祭司、シャウシャは書記官、 + エホヤダの子ベナヤはケレテびととペレテびとの長、ダビデの子たちは王のかたわらにはべる大臣であった。 + + + この後アンモンの人々の王ナハシが死んで、その子がこれに代って王となった。 + そのときダビデは言った、「わたしはナハシの子ハヌンに、彼の父がわたしに恵みを施したように、恵みを施そう」。そしてダビデは彼をその父のゆえに慰めようとして使者をつかわした。ダビデのしもべたちはハヌンを慰めるためアンモンの人々の地に来たが、 + アンモンの人々のつかさたちはハヌンに言った、「ダビデが慰める者をあなたのもとにつかわしたことによって、あなたは彼があなたの父を尊ぶのだと思われますか。彼のしもべたちが来たのは、この国をうかがい、探って滅ぼすためではありませんか」。 + そこでハヌンはダビデのしもべたちを捕えて、そのひげをそり落し、その着物を中ほどから断ち切って腰の所までにして彼らを帰してやった。 + ある人々が来て、この人たちのされたことをダビデに告げたので、彼は人をつかわして、彼らを迎えさせた。その人々が非常に恥じたからである。そこで王は言った、「ひげがのびるまでエリコにとどまって、その後帰りなさい」。 + アンモンの人々は自分たちがダビデに憎まれることをしたとわかったので、ハヌンおよびアンモンの人々は銀千タラントを送ってメソポタミヤとアラム・マアカ、およびゾバから戦車と騎兵を雇い入れた。 + すなわち戦車三万二千およびマアカの王とその軍隊を雇い入れたので、彼らは来てメデバの前に陣を張った。そこでアンモンの人々は町々から寄り集まって、戦いに出動した。 + ダビデはこれを聞いてヨアブと勇士の全軍をつかわしたので、 + アンモンの人々は出て来て町の入口に戦いの備えをした。また助けに来た王たちは別に野にいた。 + 時にヨアブは戦いが前後から自分に向かっているのを見て、イスラエルのえり抜きの兵士のうちから選んで、これをスリヤびとに対して備え、 + そのほかの民を自分の兄弟アビシャイの手にわたして、アンモンの人々に対して備えさせ、 + そして言った、「もしスリヤびとがわたしに手ごわいときは、わたしを助けてください。もしアンモンの人々があなたに手ごわいときは、あなたを助けましょう。 + 勇ましくしてください。われわれの民のためと、われわれの神の町々のために、勇ましくしましょう。どうか、主が良いと思われることをされるように」。 + こうしてヨアブが自分と一緒にいる民と共にスリヤびとに向かって戦おうとして近づいたとき、スリヤびとは彼の前から逃げた。 + アンモンの人々はスリヤびとの逃げるのを見て、彼らもまたヨアブの兄弟アビシャイの前から逃げて町にはいった。そこでヨアブはエルサレムに帰った。 + しかしスリヤびとは自分たちがイスラエルの前に打ち敗られたのを見て、使者をつかわし、ハダデゼルの軍の長ショパクの率いるユフラテ川の向こう側にいるスリヤびとを引き出した。 + この事がダビデに聞えたので、彼はイスラエルをことごとく集め、ヨルダンを渡り、彼らの所に来て、これに向かって戦いの備えをした。ダビデがこのようにスリヤびとに対して戦いの備えをしたとき、彼はダビデと戦った。 + しかしスリヤびとがイスラエルの前から逃げたので、ダビデはスリヤびとの戦車の兵七千、歩兵四万を殺し、また軍の長ショパクをも殺した。 + ハダデゼルのしもべたちは味方の者がイスラエルに打ち敗られたのを見て、ダビデと和を講じ、彼に仕えた。スリヤびとは再びアンモンびとを助けることをしなかった。 + + + 春になって、王たちが戦いに出るに及んで、ヨアブは軍勢を率いてアンモンびとの地を荒し、行ってラバを包囲した。しかしダビデはエルサレムにとどまった。ヨアブはラバを撃って、これを滅ぼした。 + そしてダビデは彼らの王の冠をその頭から取りはなした。その金の重さを量ってみると一タラント、またその中に宝石があった。これをダビデの頭に置いた。ダビデはまたその町のぶんどり物を非常に多く持ち出した。 + また彼はそのうちの民を引き出して、これをのこぎりと、鉄のつるはしと、おのを使う仕事につかせた。ダビデはアンモンびとのすべての町々にこのように行った。そしてダビデと民とは皆エルサレムに帰った。 + この後ゲゼルでペリシテびとと戦いが起った。その時ホシャびとシベカイが巨人の子孫のひとりシパイを殺した。かれらはついに征服された。 + ここにまたペリシテびとと戦いがあったが、ヤイルの子エルハナンはガテびとゴリアテの兄弟ラミを殺した。そのやりの柄は機の巻棒のようであった。 + またガテに戦いがあったが、そこにひとりの背の高い人がいた。その手の指と足の指は六本ずつで、合わせて二十四本あった。彼もまた巨人から生れた者であった。 + 彼はイスラエルをののしったので、ダビデの兄弟シメアの子ヨナタンがこれを殺した。 + これらはガテで巨人から生れた者であったが、ダビデの手とその家来たちの手に倒れた。 + + + 時にサタンが起ってイスラエルに敵し、ダビデを動かしてイスラエルを数えさせようとした。 + ダビデはヨアブと軍の将校たちに言った、「あなたがたは行って、ベエルシバからダンまでのイスラエルを数え、その数を調べてわたしに知らせなさい」。 + ヨアブは言った、「それがどのくらいあっても、どうか主がその民を百倍に増されるように。しかし王わが主よ、彼らは皆あなたのしもべではありませんか。どうしてわが主はこの事を求められるのですか。どうしてイスラエルに罪を得させられるのですか」。 + しかし王の言葉がヨアブに勝ったので、ヨアブは出て行って、イスラエルをあまねく行き巡り、エルサレムに帰って来た。 + そしてヨアブは民の総数をダビデに告げた。すなわちイスラエルにはつるぎを抜く者が百十万人、ユダにはつるぎを抜く者が四十七万人あった。 + しかしヨアブは王の命令を快しとしなかったので、レビとベニヤミンとはその中に数えなかった。 + この事が神の目に悪かったので、神はイスラエルを撃たれた。 + そこでダビデは神に言った、「わたしはこの事を行って大いに罪を犯しました。しかし今どうか、しもべの罪を除いてください。わたしは非常に愚かなことをいたしました」。 + 主はダビデの先見者ガデに告げて言われた、 + 「行ってダビデに言いなさい、『主はこう仰せられる、わたしは三つの事を示す。あなたはその一つを選びなさい。わたしはそれをあなたに行おう』と」。 + ガデはダビデのもとに来て言った、「主はこう仰せられます、『あなたは選びなさい。 + すなわち三年のききんか、あるいは三月の間、あなたのあだの前に敗れて、敵のつるぎに追いつかれるか、あるいは三日の間、主のつるぎすなわち疫病がこの国にあって、主の使がイスラエルの全領域にわたって滅ぼすことをするか』。いま、わたしがどういう答をわたしをつかわしたものになすべきか決めなさい」。 + ダビデはガデに言った、「わたしは非常に悩んでいるが、主のあわれみは大きいゆえ、わたしを主の手に陥らせてください。しかしわたしを人の手に陥らせないでください」。 + そこで主はイスラエルに疫病を下されたので、イスラエルびとのうち七万人が倒れた。 + 神はまたみ使をエルサレムにつかわして、これを滅ぼそうとされたが、み使がまさに滅ぼそうとしたとき、主は見られて、この災を悔い、その滅ぼすみ使に言われた、「もうじゅうぶんだ。今あなたの手をとどめよ」。そのとき主の使はエブスびとオルナンの打ち場のかたわらに立っていた。 + ダビデが目をあげて見ると、主の使が地と天の間に立って、手に抜いたつるぎをもち、エルサレムの上にさし伸べていたので、ダビデと長老たちは荒布を着て、ひれ伏した。 + そしてダビデは神に言った、「民を数えよと命じたのはわたしではありませんか。罪を犯し、悪い事をしたのはわたしです。しかしこれらの羊は何をしましたか。わが神、主よ、どうぞあなたの手をわたしと、わたしの父の家にむけてください。しかし災をあなたの民に下さないでください」。 + 時に主の使はガデに命じ、ダビデが上って行って、エブスびとオルナンの打ち場で主のために一つの祭壇を築くように告げさせた。 + そこでダビデはガデが主の名をもって告げた言葉に従って上って行った。 + そのときオルナンは麦を打っていたが、ふりかえってみ使を見たので、ともにいた彼の四人の子は身をかくした。 + ダビデがオルナンに近づくと、オルナンは目を上げてダビデを見、打ち場から出て来て地にひれ伏してダビデを拝した。 + ダビデはオルナンに言った、「この打ち場の所をわたしに与えなさい。わたしは災が民に下るのをとどめるため、そこに主のために一つの祭壇を築きます。あなたは、そのじゅうぶんな価をとってこれをわたしに与えなさい」。 + オルナンはダビデに言った、「どうぞこれをお取りなさい。そして王わが主の良しと見られるところを行いなさい。わたしは牛を燔祭のために、打穀機をたきぎのために、麦を素祭のためにささげます。わたしは皆これをささげます」。 + ダビデ王はオルナンに言った、「いいえ、わたしはじゅうぶんな代価を払ってこれを買います。わたしは主のためにあなたのものを取ることをしません。また、費えなしに燔祭をささげることをいたしません」。 + それでダビデはその所のために金六百シケルをはかって、オルナンに払った。 + こうしてダビデは主のために、その所に一つの祭壇を築き、燔祭と酬恩祭をささげて、主を呼んだ。主は燔祭の祭壇の上に天から火を下して答えられた。 + また主がみ使に命じられたので、彼はつるぎをさやにおさめた。 + その時ダビデは主がエブスびとオルナンの打ち場で自分に答えられたのを見たので、その所で犠牲をささげた。 + モーセが荒野で造った主の幕屋と燔祭の祭壇とは、その時ギベオンの高き所にあったからである。 + しかしダビデはその前へ行って神に求めることができなかった。彼が主の使のつるぎを恐れたからである。 + + + それでダビデは言った、「主なる神の家はこれである、イスラエルのための燔祭の祭壇はこれである」と。 + ダビデは命じてイスラエルの地にいる他国人を集めさせ、また神の家を建てるのに用いる石を切るために石工を定めた。 + ダビデはまた門のとびらのくぎ、およびかすがいに用いる鉄をおびただしく備えた。また青銅を量ることもできないほどおびただしく備えた。 + また香柏を数えきれぬほど備えた。これはシドンびととツロの人々がおびただしく香柏をダビデの所に持って来たからである。 + ダビデは言った、「わが子ソロモンは若く、かつ経験がない。また主のために建てる家はきわめて壮大で、万国に名を得、栄えを得るものでなければならない。それゆえ、わたしはその準備をしておこう」と。こうしてダビデは死ぬ前に多くの物資を準備した。 + そして彼はその子ソロモンを召して、イスラエルの神、主のために家を建てることを命じた。 + すなわちダビデはソロモンに言った、「わが子よ、わたしはわが神、主の名のために家を建てようと志していた。 + ところが主の言葉がわたしに臨んで言われた、『おまえは多くの血を流し、大いなる戦争をした。おまえはわたしの前で多くの血を地に流したから、わが名のために家を建ててはならない。 + 見よ、男の子がおまえに生れる。彼は平和の人である。わたしは彼に平安を与えて、周囲のもろもろの敵に煩わされないようにしよう。彼の名はソロモンと呼ばれ、彼の世にわたしはイスラエルに平安と静穏とを与える。 + 彼はわが名のために家を建てるであろう。彼はわが子となり、わたしは彼の父となる。わたしは彼の王位をながくイスラエルの上に堅くするであろう』。 + それでわが子よ、どうか主があなたと共にいまし、あなたを栄えさせて、主があなたについて言われたように、あなたの神、主の家を建てさせてくださるように。 + ただ、どうか主があなたに分別と知恵を賜い、あなたをイスラエルの上に立たせられるとき、あなたの神、主の律法を、あなたに守らせてくださるように。 + あなたがもし、主がイスラエルについてモーセに命じられた定めとおきてとを慎んで守るならば、あなたは栄えるであろう。心を強くし、勇め。恐れてはならない、おののいてはならない。 + 見よ、わたしは苦難のうちにあって主の家のために金十万タラント、銀百万タラントを備え、また青銅と鉄を量ることもできないほどおびただしく備えた。また材木と石をも備えた。あなたはまたこれに加えなければならない。 + あなたにはまた多数の職人、すなわち石や木を切り刻む者、工作に巧みな各種の者がある。 + 金、銀、青銅、鉄もおびただしくある。たって行いなさい。どうか主があなたと共におられるように」。 + ダビデはまたイスラエルのすべてのつかさたちにその子ソロモンを助けるように命じて言った、 + 「あなたがたの神、主はあなたがたとともにおられるではないか。四方に泰平を賜わったではないか。主はこの地の民をわたしの手にわたされたので、この地は主の前とその民の前に服している。 + それであなたがたは心をつくし、精神をつくしてあなたがたの神、主を求めなさい。たって主なる神の聖所を建て、主の名のために建てるその家に、主の契約の箱と神の聖なるもろもろの器を携え入れなさい」。 + + + ダビデは老い、その日が満ちたので、その子ソロモンをイスラエルの王とした。 + ダビデはイスラエルのすべてのつかさおよび祭司とレビびとを集めた。 + レビびとの三十歳以上のものを数えると、その男の数が三万八千人あった。 + ダビデは言った、「そのうち二万四千人は主の家の仕事をつかさどり、六千人はつかさびと、およびさばきびととなり、 + 四千人は門を守る者となり、また四千人はさんびのためにわたしの造った楽器で主をたたえよ」。 + そしてダビデは彼らをレビの子らにしたがってゲルション、コハテ、メラリの組に分けた。 + ゲルションの子らはラダンとシメイ。 + ラダンの子らは、かしらのエヒエルとゼタムとヨエルの三人。 + シメイの子らはシロミテ、ハジエル、ハランの三人。これらはラダンの氏族の長であった。 + シメイの子らはヤハテ、ジナ、エウシ、ベリアの四人。皆シメイの子で、 + ヤハテはかしら、ジザはその次、エウシとベリアは子が多くなかったので、ともに数えられて一つの氏族となった。 + コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルの四人。 + アムラムの子らはアロンとモーセである。アロンはその子らとともに、ながくいと聖なるものを聖別するために分かたれて、主の前に香をたき、主に仕え、常に主の名をもって祝福することをなした。 + 神の人モーセの子らはレビの部族のうちに数えられた。 + モーセの子らはゲルションとエリエゼル。 + ゲルションの子らは、かしらはシブエル。 + エリエゼルの子らは、かしらはレハビヤ。エリエゼルにはこのほかに子がなかった。しかしレハビヤの子らは非常に多かった。 + イヅハルの子らは、かしらはシロミテ。 + ヘブロンの子らは長子はエリヤ、次はアマリヤ、第三はヤハジエル、第四はエカメアム。 + ウジエルの子らは、かしらはミカ、次はイシアである。 + メラリの子らはマヘリとムシ。マヘリの子らはエレアザルとキシ。 + エレアザルは男の子がなくて死に、ただ娘たちだけであったが、キシの子であるその身内の男たちが彼女たちをめとった。 + ムシの子らはマヘリ、エデル、エレモテの三人である。 + これらはその氏族によるレビの子孫であって、その人数が数えられ、その名がしるされて、主の家の務をなした二十歳以上の者で、氏族の長であった。 + ダビデは言った、「イスラエルの神、主はその民に平安を与え、ながくエルサレムに住まわれる。 + レビびとは重ねて幕屋およびその勤めの器物をかつぐことはない。 + ――ダビデの最後の言葉によって、レビびとは二十歳以上の者が数えられた―― + 彼らの務はアロンの子孫を助けて主の家の働きをし、庭とへやの仕事およびすべての聖なるものを清めること、そのほか、すべて神の家の働きをすることである。 + また供えのパン、素祭の麦粉、種入れぬ菓子、焼いた供え物、油をまぜた供え物をつかさどり、またすべて分量および大きさを量ることをつかさどり、 + また朝ごとに立って主に感謝し、さんびし、夕にもまたそのようにし、 + また安息日と新月と祭日に、主にもろもろの燔祭をささげるときは、絶えず主の前にその命じられた数にしたがってささげなければならない。 + このようにして彼らは会見の幕屋と聖所の務を守り、主の家の働きのためにその兄弟であるアロンの子らに仕えなければならない」。 + + + アロンの子孫の組は次のとおりである。すなわちアロンの子らはナダブ、アビウ、エレアザル、イタマル。 + ナダブとアビウはその父に先だって死に、子がなかったので、エレアザルとイタマルが祭司となった。 + ダビデはエレアザルの子孫ザドクとイタマルの子孫アヒメレクの助けによって彼らを分けて、それぞれの勤めにつけた。 + エレアザルの子孫のうちにはイタマルの子孫のうちよりも長たる人々が多かった。それでエレアザルの子孫で氏族の長である十六人と、イタマルの子孫で氏族の長である者八人にこれを分けた。 + このように彼らは皆ひとしく、くじによって分けられた。聖所のつかさ、および神のつかさは、ともにエレアザルの子孫とイタマルの子孫から出たからである。 + レビびとネタネルの子である書記シマヤは、王とつかさたちと祭司ザドクとアビヤタルの子アヒメレクと祭司およびレビびとの氏族の長たちの前で、これを書きしるした。すなわちエレアザルのために氏族一つを取れば、イタマルのためにも一つを取った。 + 第一のくじはヨアリブに当り、第二はエダヤに当り、 + 第三はハリムに、第四はセオリムに、 + 第五はマルキヤに、第六はミヤミンに、 + 第七はハッコヅに、第八はアビヤに、 + 第九はエシュアに、第十はシカニヤに、 + 第十一はエリアシブに、第十二はヤキムに、 + 第十三はホッパに、第十四はエシバブに、 + 第十五はビルガに、第十六はインメルに、 + 第十七はヘジルに、第十八はハピセツに、 + 第十九はペタヒヤに、第二十はエゼキエルに、 + 第二十一はヤキンに、第二十二はガムルに、 + 第二十三はデラヤに、第二十四はマアジヤに当った。 + これは、彼らの先祖アロンによって設けられた定めにしたがい、主の家にはいって務をなす順序であって、イスラエルの神、主の彼に命じられたとおりである。 + このほかのレビの子孫は次のとおりである。すなわちアムラムの子らのうちではシュバエル。シュバエルの子らのうちではエデヤ。 + レハビヤについては、レハビヤの子らのうちでは長子イシア。 + イヅハリびとのうちではシロミテ。シロミテの子らのうちではヤハテ。 + ヘブロンの子らは長子はエリヤ、次はアマリヤ、第三はヤハジエル、第四はエカメアム。 + ウジエルの子らのうちではミカ。ミカの子らのうちではシャミル。 + ミカの兄弟はイシア。イシアの子らのうちではゼカリヤ。 + メラリの子らはマヘリとムシ。ヤジアの子らはベノ。 + メラリの子孫のヤジアから出た者はベノ、ショハム、ザックル、イブリ。 + マヘリからエレアザルが出た。彼には子がなかった。 + キシについては、キシの子はエラメル。 + ムシの子らはマヘリ、エデル、エリモテ。これらはレビびとの子孫で、その氏族によっていった者である。 + これらの者もまた氏族の兄もその弟も同様に、ダビデ王と、ザドクと、アヒメレクと、祭司およびレビびとの氏族の長たちの前で、アロンの子孫であるその兄弟たちのようにくじを引いた。 + + + ダビデと軍の長たちはまたアサフ、ヘマンおよびエドトンの子らを勤めのために分かち、琴と、立琴と、シンバルをもって預言する者にした。その勤めをなした人々の数は次のとおりである。 + アサフの子たちはザックル、ヨセフ、ネタニヤ、アサレラであって、アサフの指揮のもとに王の命によって預言した者である。 + エドトンについては、エドトンの子たちはゲダリヤ、ゼリ、エサヤ、ハシャビヤ、マッタテヤの六人で、琴をもって主に感謝し、かつほめたたえて預言したその父エドトンの指揮の下にあった。 + ヘマンについては、ヘマンの子たちはブッキヤ、マッタニヤ、ウジエル、シブエル、エレモテ、ハナニヤ、ハナニ、エリアタ、ギダルテ、ロマムテ・エゼル、ヨシベカシャ、マロテ、ホテル、マハジオテである。 + これらは皆、神がご自身の約束にしたがって高くされた王の先見者ヘマンの子たちであった。神はヘマンに男の子十四人、女の子三人を与えられた。 + これらの者は皆その父の指揮の下にあって、主の宮で歌をうたい、シンバルと立琴と琴をもって神の宮の務をした。アサフ、エドトンおよびヘマンは王の命の下にあった。 + 彼らおよび主に歌をうたうことのために訓練され、すべて熟練した兄弟たちの数は二百八十八人であった。 + 彼らは小なる者も、大なる者も、教師も生徒も皆ひとしくその務のためにくじを引いた。 + 第一のくじはアサフのためにヨセフに当り、第二はゲダリヤに当った。彼とその兄弟たちおよびその子たち、合わせて十二人。 + 第三はザックルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第四はイヅリに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第五はネタニヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第六はブッキヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第七はアサレラに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第八はエサヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第九はマッタニヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十はシメイに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十一はアザリエルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十二はハシャビヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十三はシュバエルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十四はマッタテヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十五はエレモテに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十六はハナニヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十七はヨシベカシャに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十八はハナニに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十九はマロテに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十はエリアタに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十一はホテルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十二はギダルテに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十三はマハジオテに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十四はロマムテ・エゼルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人であった。 + + + 門を守る者の組は次のとおりである。すなわちコラびとのうちでは、アサフの子孫のうちのコレの子メシレミヤ。 + メシレミヤの子たちは、長子はゼカリヤ、次はエデアエル、第三はゼバデヤ、第四はヤテニエル、 + 第五はエラム、第六はヨハナン、第七はエリヨエナイである。 + オベデ・エドムの子たちは、長子はシマヤ、次はヨザバデ、第三はヨア、第四はサカル、第五はネタネル、 + 第六はアンミエル、第七はイッサカル、第八はピウレタイである。神が彼を祝福されたからである。 + 彼の子シマヤにも数人の子が生れ、有能な人々であったので、その父の家を治める者となった。 + すなわちシマヤの子たちはオテニ、レパエル、オベデ、エルザバデで、エルザバデの兄弟エリウとセマキヤは力ある人々であった。 + これらは皆オベデ・エドムの子孫である。彼らはその子たちおよびその兄弟たちと共にその勤めに適した力ある人々で、合わせて六十二人、みなオベデ・エドムに属する者である。 + メシレミヤにも子たちと兄弟たち合わせて十八人あって、皆力ある人々であった。 + メラリの子孫ホサにも子たちがあった。そのかしらはシムリ、これは長子ではなかったが、父はこれをかしらにしたのであった。 + 次はヒルキヤ、第三はテバリヤ、第四はゼカリヤである。ホサの子たちと兄弟たちは合わせて十三人である。 + これらは門を守る者の組の長たる人々であって、その兄弟たちと同様に務をなして、主の宮に仕えた。 + 彼らはそれぞれ門のために小なる者も、大なる者も等しく、その氏族にしたがってくじを引いた。 + 東の門のくじはシレミヤに当った。また彼の子で思慮深い議士ゼカリヤのためにくじを引いたが、北の門のくじがこれに当った。 + オベデ・エドムには南の門のくじ、その子たちには倉のくじ、 + シュパムとホサには西の門のくじが当った。これは坂の大路にあるシャレケテの門のかたわらにあった。守る者と守る者とが相対していた。 + 東の方には毎日六人、北の方には毎日四人、南の方には毎日四人、倉には二人と二人、 + 西の方パルバルには大路に四人、パルバルに二人。 + 門を守る者の組は以上のとおりで、コラの子孫とメラリの子孫であった。 + レビびとのうちアヒヤは神の宮の倉および聖なる物の倉をつかさどった。 + ラダンの子孫すなわちラダンから出たゲルションびとの子孫で、ゲルションびとの氏族の長はエヒエリである。 + エヒエリ、ゼタムおよびその兄弟ヨエルの子たちは主の宮の倉をつかさどった。 + アムラムびと、イヅハルびと、ヘブロンびと、ウジエルびとのうちでは次のとおりであった。 + すなわちモーセの子ゲルショムの子シブエルは倉のつかさであった。 + その兄弟でエリエゼルから出た者は、その子はレハビヤ、その子はエサヤ、その子はヨラム、その子はジクリ、その子はシロミテである。 + このシロミテとその兄弟たちはすべての聖なる物の倉をつかさどった。これはダビデ王と、氏族の長と、千人の長と、百人の長と、軍の長たちのささげたものである。 + すなわち彼らが戦いで獲たぶんどり物のうちから主の宮の修繕のためにささげたものである。 + またすべて先見者サムエル、キシの子サウル、ネルの子アブネル、ゼルヤの子ヨアブなどがささげた物。すべてこれらのささげ物はシロミテとその兄弟たちが管理した。 + イヅハルびとのうちでは、ケナニヤとその子たちが、つかさおよびさばきびととしてイスラエルの外事のために選ばれた。 + ヘブロンびとのうちでは、ハシャビヤおよびその兄弟など勇士千七百人があって、ヨルダンのこなた、すなわち西の方でイスラエルの監督となり、主のすべての事を行い、王に奉仕した。 + ヘブロンびとのうちでは、系図と氏族によってエリヤがヘブロンびとの長であったが、ダビデの治世の第四十年に彼らを尋ね求め、ギレアデのヤゼルで彼らのうちから大勇士を得た。 + ダビデ王は彼とその兄弟など氏族の長たち二千七百人の勇士をルベンびと、ガドびと、マナセびとの半部族の監督となし、すべて神につける事と王の事とをつかさどらせた。 + + + イスラエルの子孫のうちで氏族の長、千人の長、百人の長、およびつかさたちは年のすべての月の間、月ごとに交替して組のすべての事をなして王に仕えたが、その数にしたがえば各組二万四千人あった。 + まず第一の組すなわち正月の分はザブデエルの子ヤショベアムがこれを率いた。その組には二万四千人あった。 + 彼はペレヅの子孫で、正月の軍団のすべての将たちのかしらであった。 + 二月の組はアホアびとドダイがこれを率いた。その組には二万四千人あった。 + 三月の第三の将は祭司エホヤダの子ベナヤが長であって、その組には二万四千人あった。 + このベナヤはかの三十人のうちの勇士であって三十人を率い、その子アミザバデがその組にあった。 + 四月の第四の将はヨアブの兄弟アサヘルであって、その子ゼバデヤがこれに次いだ。その組には二万四千人あった。 + 五月の第五の将はイズラヒびとシャンモテであって、その組には二万四千人あった。 + 六月の第六の将はテコアびとイッケシの子イラであって、その組には二万四千人あった。 + 七月の第七の将はエフライムの子孫であるペロンびとヘレヅであって、その組には二万四千人あった。 + 八月の第八の将はゼラびとの子孫であるホシャびとシベカイであって、その組には二万四千人あった。 + 九月の第九の将はベニヤミンの子孫であるアナトテびとアビエゼルであって、その組には二万四千人あった。 + 十月の第十の将はゼラびとの子孫であるネトパびとマハライであって、その組には二万四千人あった。 + 十一月の第十一の将はエフライムの子孫であるピラトンびとベナヤであって、その組には二万四千人あった。 + 十二月の第十二の将はオテニエルの子孫であるネトパびとヘルダイであって、その組には二万四千人あった。 + なおイスラエルの部族を治める者たちは次のとおりである。ルベンびとのつかさはヂクリの子エリエゼル。シメオンびとのつかさはマアカの子シパテヤ。 + レビびとのつかさはケムエルの子ハシャビヤ。アロンびとのつかさはザドク。 + ユダのつかさはダビデの兄弟のひとりエリウ。イッサカルのつかさはミカエルの子オムリ。 + ゼブルンのつかさはオバデヤの子イシマヤ。ナフタリのつかさはアズリエルの子エレモテ。 + エフライムの子孫のつかさはアザジヤの子ホセア。マナセの半部族のつかさはペダヤの子ヨエル。 + ギレアデにあるマナセの半部族のつかさはゼカリヤの子イド。ベニヤミンのつかさはアブネルの子ヤシエル。 + ダンのつかさはエロハムの子アザリエル。これらはイスラエルの部族のつかさたちであった。 + しかしダビデは二十歳以下の者は数えなかった。主がかつてイスラエルを天の星のように多くすると言われたからである。 + ゼルヤの子ヨアブは数え始めたが、これをなし終えなかった。その数えることによって怒りがイスラエルの上に臨んだ。またその数はダビデ王の歴代志に載せなかった。 + アデエルの子アズマウテは王の倉をつかさどり、ウジヤの子ヨナタンは田野、町々、村々、もろもろの塔にある倉をつかさどり、 + ケルブの子エズリは地を耕す農夫をつかさどり、 + ラマテびとシメイはぶどう畑をつかさどり、シプミびとザブデはぶどう畑から取ったぶどう酒の倉をつかさどり、 + ゲデルびとバアル・ハナンは平野のオリブの木といちじく桑の木をつかさどり、ヨアシは油の倉をつかさどり、 + シャロンびとシテライはシャロンで飼う牛の群れをつかさどり、アデライの子シャパテはもろもろの谷におる牛の群れをつかさどり、 + イシマエルびとオビルはらくだをつかさどり、メロノテびとエデヤはろばをつかさどり、 + ハガルびとヤジズは羊の群れをつかさどった。彼らは皆ダビデ王の財産のつかさであった。 + またダビデのおじヨナタンは議官で、知恵ある人であり、学者であった。また彼とハクモニの子エヒエルは王の子たちの補佐であった。 + アヒトペルは王の議官。アルキびとホシャイは王の友であった。 + アヒトペルに次ぐ者はベナヤの子エホヤダおよびアビヤタル。王の軍の長はヨアブであった。 + + + ダビデはイスラエルのすべての長官、すなわち部族の長、王に仕えた組の長、千人の長、百人の長、王とその子たちのすべての財産および家畜のつかさ、宦官、有力者、勇士などをことごとくエルサレムに召し集めた。 + そしてダビデ王はその足で立ち上がって言った、「わが兄弟たち、わが民よ、わたしに聞きなさい。わたしは主の契約の箱のため、われわれの神の足台のために安住の家を建てようとの志をもち、すでにこれを建てる準備をした。 + しかし神はわたしに言われた、『おまえはわが名のために家を建ててはならない。おまえは軍人であって、多くの血を流したからである』と。 + それにもかかわらず、イスラエルの神、主はわたしの父の全家のうちからわたしを選んで長くイスラエルの王とせられた。すなわちユダを選んでかしらとし、ユダの家のうちで、わたしの父の家を選び、わたしの父の子らのうちで、わたしを喜び、全イスラエルの王とせられた。 + そして主はわたしに多くの子を賜わり、そのすべての子らのうちからわが子ソロモンを選び、これを主の国の位にすわらせて、イスラエルを治めさせようとせられた。 + 主はまたわたしに言われた、『おまえの子ソロモンがわが家およびわが庭を造るであろう。わたしは彼を選んでわが子となしたからである。わたしは彼の父となる。 + 彼がもし今日のように、わが戒めとわがおきてを固く守って行うならば、わたしはその国をいつまでも堅くするであろう』と。 + それゆえいま、主の会衆なる全イスラエルの目の前およびわれわれの神の聞かれる所であなたがたに勧める。あなたがたはその神、主のすべての戒めを守り、これを求めなさい。そうすればあなたがたはこの良き地を所有し、これをあなたがたの後の子孫に長く嗣業として伝えることができる。 + わが子ソロモンよ、あなたの父の神を知り、全き心をもって喜び勇んで彼に仕えなさい。主はすべての心を探り、すべての思いを悟られるからである。あなたがもし彼を求めるならば会うことができる。しかしあなたがもしかれを捨てるならば彼は長くあなたを捨てられるであろう。 + それであなたは慎みなさい。主はあなたを選んで聖所とすべき家を建てさせようとされるのだから心を強くしてこれを行いなさい」。 + こうしてダビデは神殿の廊およびその家、その倉、その上の室、その内の室、贖罪所の室などの計画をその子ソロモンに授け、 + またその心にあったすべてのもの、すなわち主の宮の庭、周囲のすべての室、神の家の倉、ささげ物の倉などの計画を授け、 + また祭司およびレビびとの組と、主の宮のもろもろの務の仕事と、主の宮のもろもろの勤めの器物について授け、 + またもろもろの勤めに用いるすべての金の器を造る金の目方、およびもろもろの勤めに用いる銀の器の目方を定めた。 + すなわち金の燭台と、そのともしび皿の目方、おのおのの燭台と、そのともしび皿の金の目方を定め、また銀の燭台についてもおのおのの燭台の用法にしたがって燭台と、そのともしび皿の銀の目方を定めた。 + また供えのパンの机については、そのおのおのの机のために金の目方を定め、また銀の机のためにも銀を定め、 + また肉さし、鉢、かめに用いる純金の目方を定め、金の大杯についてもおのおのの目方を定め、銀の大杯についてもおのおのの目方を定め、 + また香の祭壇のために精金の目方を定め、また翼を伸べて主の契約の箱をおおっているケルビムの金の車のひな型の金を定めた。 + ダビデはすべての工作が計画にしたがってなされるため、これについて主の手によって書かれたものにより、これをことごとく明らかにした。 + ダビデはその子ソロモンに言った、「あなたは心を強くし、勇んでこれを行いなさい。恐れてはならない。おののいてはならない。主なる神、わたしの神があなたとともにおられるからである。主はあなたを離れず、あなたを捨てず、ついに主の宮の務のすべての工事をなし終えさせられるでしょう。 + 見よ、神の宮のすべての務のためには祭司とレビびとの組がある。またもろもろの勤めのためにすべての仕事を喜んでする巧みな者が皆あなたと共にある。またつかさたちおよびすべての民もあなたの命じるところをことごとく行うでしょう」。 + + + ダビデ王はまた全会衆に言った、「わが子ソロモンは神がただひとりを選ばれた者であるが、まだ若くて経験がなく、この事業は大きい。この宮は人のためではなく、主なる神のためだからである。 + そこでわたしは力をつくして神の宮のために備えた。すなわち金の物を造るために金、銀の物のために銀、青銅の物のために青銅、鉄の物のために鉄、木の物のために木を備えた。その他縞めのう、はめ石、アンチモニイ、色のついた石、さまざまの宝石、大理石などおびただしい。 + なおわたしはわが神の宮に熱心なるがゆえに、聖なる家のために備えたすべての物に加えて、わたしの持っている金銀の財宝をわが神の宮にささげる。 + すなわちオフルの金三千タラント、精銀七千タラントをそのもろもろの建物の壁をおおうためにささげる。 + 金は金の物のために、銀は銀の物のために、すべて工人によって造られるもののために用いる。だれかきょう、主にその身をささげる者のように喜んでささげ物をするだろうか」。 + そこで氏族の長たち、イスラエルの部族のつかさたち、千人の長、百人の長および王の工事をつかさどる者たちは喜んでささげ物をした。 + こうして彼らは神の宮の務のために金五千タラント一万ダリク、銀一万タラント、青銅一万八千タラント、鉄十万タラントをささげた。 + 宝石を持っている者はそれをゲルションびとエヒエルの手によって神の宮の倉に納めた。 + 彼らがこのように真心からみずから進んで主にささげたので、民はそのみずから進んでささげたのを喜んだ。ダビデ王もまた大いに喜んだ。 + そこでダビデは全会衆の前で主をほめたたえた。ダビデは言った、「われわれの先祖イスラエルの神、主よ、あなたはとこしえにほむべきかたです。 + 主よ、大いなることと、力と、栄光と、勝利と、威光とはあなたのものです。天にあるもの、地にあるものも皆あなたのものです。主よ、国もまたあなたのものです。あなたは万有のかしらとして、あがめられます。 + 富と誉とはあなたから出ます。あなたは万有をつかさどられます。あなたの手には勢いと力があります。あなたの手はすべてのものを大いならしめ、強くされます。 + われわれの神よ、われわれは、いま、あなたに感謝し、あなたの光栄ある名をたたえます。 + しかしわれわれがこのように喜んでささげることができても、わたしは何者でしょう。わたしの民は何でしょう。すべての物はあなたから出ます。われわれはあなたから受けて、あなたにささげたのです。 + われわれはあなたの前ではすべての先祖たちのように、旅びとです、寄留者です。われわれの世にある日は影のようで、長くとどまることはできません。 + われわれの神、主よ、あなたの聖なる名のために、あなたに家を建てようとしてわれわれが備えたこの多くの物は皆あなたの手から出たもの、また皆あなたのものです。 + わが神よ、あなたは心をためし、また正直を喜ばれることを、わたしは知っています。わたしは正しい心で、このすべての物を喜んでささげました。今わたしはまた、ここにおるあなたの民が喜んで、みずから進んであなたにささげ物をするのを見ました。 + われわれの先祖アブラハム、イサク、イスラエルの神、主よ、あなたの民の心にこの意志と精神とをいつまでも保たせ、その心をあなたに向けさせてください。 + またわが子ソロモンに心をつくしてあなたの命令と、あなたのあかしと、あなたのさだめとを守らせて、これをことごとく行わせ、わたしが備えをした宮を建てさせてください」。 + そしてダビデが全会衆にむかって、「あなたがたの神、主をほめたたえよ」と言ったので、全会衆は先祖たちの神、主をほめたたえ、伏して主を拝し、王に敬礼した。 + そしてその翌日彼らは全イスラエルのために主に犠牲をささげた。すなわち燔祭として雄牛一千、雄羊一千、小羊一千をその灌祭と共に主にささげ、おびただしい犠牲をささげた。 + そしてその日、彼らは大いなる喜びをもって主の前に食い飲みした。彼らはさらに改めてダビデの子ソロモンを王となし、これに油を注いで主の君となし、またザドクを祭司とした。 + こうしてソロモンはその父ダビデに代り、王として主の位に座した。彼は栄え、イスラエルは皆彼に従った。 + またすべてのつかさたち、勇士たち、およびダビデ王の王子たちも皆ソロモン王に忠誠を誓った。 + 主は全イスラエルの目の前でソロモンを非常に大いならしめ、彼より前のイスラエルのどの王も得たことのない王威を彼に与えられた。 + このようにエッサイの子ダビデは全イスラエルを治めた。 + 彼がイスラエルを治めた期間は四十年であった。すなわちヘブロンで七年世を治め、エルサレムで三十三年世を治めた。 + 彼は高齢に達し、年も富も誉も満ち足りて死んだ。その子ソロモンが彼に代って王となった。 + ダビデ王の始終の行為は、先見者サムエルの書、預言者ナタンの書および先見者ガドの書にしるされている。 + そのうちには彼のすべての政と、その力および彼とイスラエルと他のすべての国々に臨んだ事どもをしるしている。 + +
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+ + ダビデの子ソロモンはその国に自分の地位を確立した。その神、主が共にいまして彼を非常に大いなる者にされた。 + ソロモンはすべてのイスラエルびと、すなわち千人の長、百人の長、さばきびとおよびイスラエルの全地のすべてのつかさ、氏族のかしらたちに告げた。 + そしてソロモンとイスラエルの全会衆はともにギベオンにある高き所へ行った。主のしもべモーセが荒野で造った神の会見の幕屋がそこにあったからである。 + (しかし神の箱はダビデがすでにキリアテ・ヤリムから、これのために備えた所に運び上らせてあった。ダビデはさきに、エルサレムでこれのために天幕を張って置いたからである。) + またホルの子であるウリの子ベザレルが造った青銅の祭壇がその所の主の幕屋の前にあり、ソロモンおよび会衆は主に求めた。 + ソロモンはそこに上って行って、会見の幕屋のうちにある主の前の青銅の祭壇に燔祭一千をささげた。 + その夜、神はソロモンに現れて言われた、「あなたに何を与えようか、求めなさい」。 + ソロモンは神に言った、「あなたはわたしの父ダビデに大いなるいつくしみを示し、またわたしを彼に代って王とされました。 + 主なる神よ、どうぞわが父ダビデに約束された事を果してください。あなたは地のちりのような多くの民の上にわたしを立てて王とされたからです。 + この民の前に出入りすることのできるように今わたしに知恵と知識とを与えてください。だれがこのような大いなるあなたの民をさばくことができましょうか」。 + 神はソロモンに言われた、「この事があなたの心にあって、富をも、宝をも、誉をも、またあなたを憎む者の命をも求めず、また長命をも求めず、ただわたしがあなたを立てて王としたわたしの民をさばくために知恵と知識とを自分のために求めたので、 + 知恵と知識とはあなたに与えられている。わたしはまたあなたの前の王たちの、まだ得たことのないほどの富と宝と誉とをあなたに与えよう。あなたの後の者も、このようなものを得ないでしょう」。 + それからソロモンはギベオンの高き所を去り、会見の幕屋の前を去って、エルサレムに帰り、イスラエルを治めた。 + ソロモンは戦車と騎兵とを集めたが、戦車一千四百両、騎兵一万二千人あった。ソロモンはこれを戦車の町々と、エルサレムの王のもととに置いた。 + 王は銀と金を石のようにエルサレムに多くし、香柏を平野のいちじく桑のように多くした。 + ソロモンが馬を輸入したのはエジプトとクエからであった。すなわち王の貿易商人がクエから代価を払って受け取って来た。 + 彼らはエジプトから戦車一両を銀六百シケルで輸入し、馬一頭を銀百五十で輸入した。同じようにこれらのものが彼らによってヘテびとのすべての王たち、およびスリヤの王たちにも輸出された。 + + + さてソロモンは主の名のために一つの宮を建て、また自分のために一つの王宮を建てようと思った。 + そしてソロモンは荷を負う者七万人、山で石を切り出す者八万人、これらを監督する者三千六百人を数え出した。 + ソロモンはまずツロのヒラムに人をつかわして言わせた、「あなたはわたしの父ダビデに、その住むべき家を建てるために香柏を送られました。どうぞ彼にされたように、わたしにもして下さい。 + 見よ、わたしはわが神、主の名のために一つの家を建て、これを聖別して彼にささげ、彼の前にこうばしい香をたき、常供のパンを供え、また燔祭を安息日、新月、およびわれらの神、主の定めの祭に朝夕ささげ、これをイスラエルのながく守るべき定めにしようとしています。 + またわたしの建てる家は大きな家です。われらの神はすべての神よりも大いなる神だからです。 + しかし、天も、諸天の天も彼を入れることができないのに、だれが彼のために家を建てることができましょうか。わたしは何者ですか、彼のために家を建てるというのも、ただ彼の前に香をたく所に、ほかならないのです。 + それで、どうぞ金、銀、青銅、鉄の細工および紫糸、緋糸、青糸の織物にくわしく、また彫刻の術に巧みな工人ひとりをわたしに送って、父ダビデが備えておいたユダとエルサレムのわたしの工人たちと一緒に働かせてください。 + またどうぞレバノンから香柏、いとすぎ、びゃくだんを送ってください。わたしはあなたのしもべたちがレバノンで木を切ることをよくわきまえているのを知っています。わたしのしもべたちも、あなたのしもべたちと一緒に働かせ、 + わたしのためにたくさんの材木を備えさせてください。わたしの建てる家は非常に広大なものですから。 + わたしは木を切るあなたのしもべたちに砕いた小麦二万コル、大麦二万コル、ぶどう酒二万バテ、油二万バテを与えます」。 + そこでツロの王ヒラムは手紙をソロモンに送って答えた、「主はその民を愛するゆえに、あなたを彼らの王とされました」。 + ヒラムはまた言った、「天地を造られたイスラエルの神、主はほむべきかな。彼はダビデ王に賢い子を与え、これに分別と知恵を授けて、主のために宮を建て、また自分のために、王宮を建てることをさせられた。 + いまわたしは達人ヒラムという知恵のある工人をつかわします。 + 彼はダンの子孫である女を母とし、ツロの人を父とし、金銀、青銅、鉄、石、木の細工および紫糸、青糸、亜麻糸、緋糸の織物にくわしく、またよくもろもろの彫刻をし、意匠を凝らしてもろもろの工作をします。彼を用いてあなたの工人およびあなたの父、わが主ダビデの工人と一緒に働かせなさい。 + それでいまわが主の言われた小麦、大麦、油およびぶどう酒をそのしもべどもに送ってください。 + あなたの求められる材木はレバノンから切りだし、いかだに組んで、海からヨッパに送ります。あなたはそれをエルサレムに運び上げなさい」。 + そこでソロモンはその父ダビデが数えたようにイスラエルの国にいるすべての他国人を数えたが、合わせて十五万三千六百人あった。 + 彼はその七万人を荷を負う者とし、八万人を山で木や石を切る者とし、三千六百人を民を働かせる監督者とした。 + + + ソロモンはエルサレムのモリアの山に主の宮を建てることを始めた。そこは父ダビデに主が現れられた所、すなわちエブスびとオルナンの打ち場にダビデが備えた所である。 + ソロモンが宮を建て始めたのは、その治世の四年の二月であった。 + ソロモンの建てた神の宮の基の寸法は次のとおりである。すなわち昔の尺度によれば長さ六十キュビト、幅二十キュビト、 + 宮の前の廊は宮の幅に従って長さ二十キュビト高さ百二十キュビトで、その内部は純金でおおった。 + またその拝殿はいとすぎの板で張り、精金をもってこれをおおい、その上にしゅろと鎖の形を施した。 + また宝石をはめ込んで宮を飾った。その金はパルワイムの金であった。 + 彼はまた金をもってその宮、すなわち、梁、敷居、壁および戸をおおい、壁の上にケルビムを彫りつけた。 + 彼はまた至聖所を造った。その長さは宮の長さにしたがって二十キュビト、幅も二十キュビトである。彼は精金六百タラントをもってこれをおおった。 + その釘の金の重さは五十シケルであった。彼はまた階上の室も金でおおった。 + 彼は至聖所に木を刻んだケルビムの像を二つ造り、これを金でおおった。 + ケルビムの翼の長さは合わせて二十キュビトあった。すなわち一つのケルブの一つの翼は五キュビトで、宮の壁に届き、ほかの翼も五キュビトで、他のケルブの翼に届き、 + 他のケルブの一つの翼も五キュビトで、宮の壁に届き、ほかの翼も五キュビトで、先のケルブの翼に接していた。 + これらのケルビムの翼は広げると二十キュビトあった。かれらは共に足で立ち、その顔は拝殿に向かっていた。 + ソロモンはまた青糸、紫糸、緋糸および亜麻糸で垂幕を造り、その上にケルビムの縫い取りを施した。 + 彼は宮の前に柱を二本造った。その高さは三十五キュビト、おのおのの柱の頂に五キュビトの柱頭を造った。 + 彼は首飾のような鎖を造って、柱の頂につけ、ざくろ百を造ってその鎖の上につけた。 + 彼はこの柱を神殿の前に、一本を南の方に、一本を北の方に立て、南の方のをヤキンと名づけ、北の方のをボアズと名づけた。 + + + ソロモンはまた青銅の祭壇を造った。その長さ二十キュビト、幅二十キュビト、高さ十キュビトである。 + 彼はまた海を鋳て造った。縁から縁まで十キュビトであって、周囲は円形をなし、高さ五キュビトで、その周囲は綱をもって測ると三十キュビトあった。 + 海の下には三十キュビトの周囲をめぐるひさごの形があって、海の周囲を囲んでいた。そのひさごは二並びで、海を鋳る時に鋳たものである。 + その海は十二の牛の上に置かれ、その三つは北に向かい、三つは西に向かい、三つは南に向かい、三つは東に向かっていた。海はその上に置かれ、牛のうしろはみな内に向かっていた。 + 海の厚さは手の幅で、その縁は杯の縁のように、ゆりの花に似せて造られた。海には水を三千バテ入れることができた。 + 彼はまた物を洗うために洗盤十個を造って、五個を南側に、五個を北側に置いた。その中で燔祭に用いるものを洗った。しかし海は祭司がその中で身を洗うためであった。 + 彼はまた金の燭台十個をその定めに従って造り、拝殿の中の南側に五個、北側に五個を置き、 + また机十個を造り、神殿の中の南側に五個、北側に五個を置き、また金の鉢百を造った。 + 彼はまた祭司の庭と大庭および庭の戸を造り、その戸を青銅でおおった。 + 彼は海を宮の東南のすみにすえた。 + ヒラムはまたつぼと十能と鉢とを造った。こうしてヒラムはソロモン王のため、神の宮の工事を終えた。 + すなわち二本の柱と玉と、柱の頂にある二つの柱頭と、柱の頂にある柱頭の二つの玉をおおう二つの網細工と、 + その二つの網細工のためのざくろ四百、このざくろはおのおの網細工に二並びにつけて、柱の頂にある柱頭の二つの玉を巻いていた。 + 彼はまた台と台の上の洗盤と、 + 一つの海とその下の十二の牛を造った。 + つぼ、十能、肉さしなどすべてこれらの器物を、達人ヒラムはソロモン王のため、主の宮のために、光のある青銅で造った。 + 王はヨルダンの低地で、スコテとゼレダの間の粘土の地でこれを鋳た。 + このようにソロモンはこれらのすべての器物を非常に多く造ったので、その青銅の重量は、量ることができなかった。 + こうしてソロモンは神の宮のすべての器物を造った。すなわち金の祭壇と、供えのパンを載せる机、 + また定めのように本殿の前で火をともす純金の燭台と、そのともしび皿を造った。 + その花、ともしび皿、心かきは精金であった。 + また心切りばさみ、鉢、香の杯、心取り皿は純金であった。また宮の戸、すなわち至聖所の内部の戸および拝殿の戸のひじつぼは金であった。 + + + こうしてソロモンは主の宮のためにしたすべての工事を終った。そしてソロモンは父ダビデがささげた物、すなわち金銀およびもろもろの器物を携えて行って神の宮の宝蔵に納めた。 + ソロモンは主の契約の箱をダビデの町シオンからかつぎ上ろうとして、イスラエルの長老たちと、すべての部族のかしらたちと、イスラエルの人々の氏族の長たちをエルサレムに召し集めた。 + イスラエルの人々は皆七月の祭に王のもとに集まった。 + イスラエルの長老たちが皆きたので、レビびとたちは箱を取り上げた。 + 彼らは箱と、会見の幕屋と、幕屋にあるすべて聖なる器をかつぎ上った。すなわち祭司とレビびとがこれらの物をかつぎ上った。 + ソロモン王および彼のもとに集まったイスラエルの会衆は皆箱の前で羊と牛をささげたが、その数が多くて、調べることも数えることもできなかった。 + こうして祭司たちは主の契約の箱をその場所にかつぎ入れ、宮の本殿である至聖所のうちのケルビムの翼の下に置いた。 + ケルビムは翼を箱の所の上に伸べていたので、ケルビムは上から箱とそのさおをおおった。 + さおは長かったので、さおの端が本殿の前の聖所から見えた。しかし外部には見えなかった。さおは今日までそこにある。 + 箱の内には二枚の板のほか何もなかった。これはイスラエルの人々がエジプトから出て来たとき、主が彼らと契約を結ばれ、モーセがホレブでそれを納めたものである。 + そして祭司たちが聖所から出たとき(ここにいた祭司たちは皆、その組の順にかかわらず身を清めた。 + またレビびとの歌うたう者、すなわちアサフ、ヘマン、エドトンおよび彼らの子たちと兄弟たちはみな亜麻布を着、シンバルと、立琴と、琴をとって祭壇の東に立ち、百二十人の祭司は彼らと一緒に立ってラッパを吹いた。 + ラッパ吹く者と歌うたう者とは、ひとりのように声を合わせて主をほめ、感謝した)、そして彼らがラッパと、シンバルとその他の楽器をもって声をふりあげ、主をほめて「主は恵みあり、そのあわれみはとこしえに絶えることがない」と言ったとき、雲はその宮すなわち主の宮に満ちた。 + 祭司たちは雲のゆえに立って勤めをすることができなかった。主の栄光が神の宮に満ちたからである。 + + + そこでソロモンは言った、「主はみずから濃き雲の中に住まおうと言われた。 + しかしわたしはあなたのために高き家、とこしえのみすまいを建てた」。 + そして王は顔をふり向けてイスラエルの全会衆を祝福した。その時イスラエルの全会衆は立っていた。 + 彼は言った、「イスラエルの神、主はほむべきかな。主は口をもってわが父ダビデに約束されたことを、その手をもってなし遂げられた。すなわち主は言われた、 + 『わが民をエジプトの地から導き出した日から、わたしはわが名を置くべき家を建てるために、イスラエルのもろもろの部族のうちから、どの町をも選んだことがなく、また他のだれをもわが民イスラエルの君として選んだことがない。 + わが名を置くために、ただエルサレムだけを選び、またわが民イスラエルを治めさせるために、ただダビデだけを選んだ』。 + イスラエルの神、主の名のために家を建てることは、父ダビデの心にあった。 + しかし主は父ダビデに言われた、『わたしの名のために家を建てることはあなたの心にあった。あなたの心にこの事のあったのは結構である。 + しかしあなたはその家を建ててはならない。あなたの腰から出るあなたの子がわたしの名のために家を建てるであろう』。 + そして主はそう言われた言葉を行われた。すなわちわたしは父ダビデに代って立ち、主が言われたように、イスラエルの位に座し、イスラエルの神、主の名のために家を建てた。 + わたしはまた、主がイスラエルの人々と結ばれた主の契約を入れた箱をそこに納めた」。 + ソロモンはイスラエルの全会衆の前、主の祭壇の前に立って、手を伸べた。 + ソロモンはさきに長さ五キュビト、幅五キュビト、高さ三キュビトの青銅の台を造って、庭のまん中にすえて置いたので、彼はその上に立ち、イスラエルの全会衆の前でひざをかがめ、その手を天に伸べて、 + 言った、「イスラエルの神、主よ、天にも地にも、あなたのような神はありません。あなたは契約を守られ、心をつくしてあなたの前に歩むあなたのしもべらに、いつくしみを施し、 + あなたのしもべ、わたしの父ダビデに約束されたことを守られました。あなたが口をもって約束されたことを、手をもってなし遂げられたことは、今日見るとおりであります。 + それゆえ、イスラエルの神、主よ、あなたのしもべ、わたしの父ダビデに、あなたが約束して、『おまえがわたしの前に歩んだように、おまえの子孫がその道を慎んで、わたしのおきてに歩むならば、おまえにはイスラエルの位に座する人がわたしの前に欠けることはない』と言われたことを、ダビデのためにお守りください。 + それゆえ、イスラエルの神、主よ、どうぞ、あなたのしもべダビデに言われた言葉を確認してください。 + しかし神は、はたして人と共に地上に住まわれるでしょうか。見よ、天も、いと高き天もあなたをいれることはできません。わたしの建てたこの家などなおさらです。 + しかしわが神、主よ、しもべの祈と願いを顧みて、しもべがあなたの前にささげる叫びと祈をお聞きください。 + どうぞ、あなたの目を昼も夜もこの家に、すなわち、あなたの名をそこに置くと言われた所に向かってお開きください。どうぞ、しもべがこの所に向かってささげる祈をお聞きください。 + どうぞ、しもべと、あなたの民イスラエルがこの所に向かって祈る時に、その願いをお聞きください。あなたのすみかである天から聞き、聞いておゆるしください。 + もし人がその隣り人に対して罪を犯し、誓いをすることを求められるとき、来てこの宮で、あなたの祭壇の前に誓うならば、 + あなたは天から聞いて、行い、あなたのしもべらをさばき、悪人に報いをなして、その行いの報いをそのこうべに帰し、義人を義として、その義にしたがってその人に報いてください。 + もしあなたの民イスラエルが、あなたに対して罪を犯したために、敵の前に敗れた時、あなたに立ち返って、あなたの名をあがめ、この宮であなたの前に祈り願うならば、 + あなたは天から聞き、あなたの民イスラエルの罪をゆるして、あなたが彼らとその先祖に与えられた地に彼らを帰らせてください。 + もし彼らがあなたに罪を犯したために、天が閉ざされて、雨がなく、あなたが彼らを苦しめられるとき、彼らがこの所に向かって祈り、あなたの名をあがめ、その罪を離れるならば、 + あなたは天にあって聞き、あなたのしもべ、あなたの民イスラエルの罪をゆるして、彼らに歩むべき良い道を教え、あなたの民に嗣業として賜わった地に雨を降らせてください。 + もし国にききんがあるか、もしくは疫病、立ち枯れ、腐り穂、いなご、青虫があるか、または敵のために町の門の中に攻め囲まれることがあるか、どんな災害、どんな病気があっても、 + もし、ひとりか、あるいはあなたの民イスラエルが皆おのおのその心の悩みを知って、この宮に向かい、手を伸べるならば、どんな祈、どんな願いでも、 + あなたはそのすみかである天から聞いてゆるし、おのおのの人に、その心を知っておられるゆえ、そのすべての道にしたがって報いてください。ただあなただけがすべての人の心を知っておられるからです。 + あなたがわれわれの先祖たちに賜わった地に、彼らの生きながらえる日の間、常にあなたを恐れさせ、あなたの道に歩ませてください。 + またあなたの民イスラエルの者でなく、他国人で、あなたの大いなる名と、強い手と、伸べた腕のために遠い国から来て、この宮に向かって祈るならば、 + あなたは、あなたのすみかである天から聞き、すべて他国人があなたに呼び求めるようにしてください。そうすれば地のすべての民はあなたの民イスラエルのように、あなたの名を知り、あなたを恐れ、またわたしが建てたこの宮が、あなたの名によって呼ばれることを知るにいたるでしょう。 + あなたの民が敵と戦うために、あなたがつかわされる道によって出るとき、もし彼らがあなたの選ばれたこの町と、わたしがあなたの名のために建てたこの宮に向かってあなたに祈るならば、 + あなたは天から彼らの祈と願いとを聞いて彼らをお助けください。 + 彼らがあなたに対して罪を犯すことがあって、――罪を犯さない人はないゆえ、――あなたが彼らを怒って、敵にわたし、敵が彼らを捕虜として遠い地あるいは近い地に引いて行くとき、 + もし、彼らが捕われて行った地で、みずから省みて悔い、その捕われの地であなたに願い、『われわれは罪を犯し、よこしまな事をし、悪を行いました』と言い、 + その捕われの地で心をつくし、精神をつくしてあなたに立ち返り、あなたが彼らの先祖に与えられた地、あなたが選ばれた町、わたしがあなたの名のために建てたこの宮に向かって祈るならば、 + あなたのすみかである天から、彼らの祈と願いとを聞いて彼らを助け、あなたに向かって罪を犯したあなたの民をおゆるしください。 + わが神よ、どうぞ、この所でささげる祈にあなたの目を開き、あなたの耳を傾けてください。 + 主なる神よ、今あなたと、あなたの力の箱が立って、あなたの安息所におはいりください。主なる神よ、どうぞあなたの祭司たちに救の衣を着せ、あなたの聖徒たちに恵みを喜ばせてください。 + 主なる神よ、どうぞあなたの油そそがれた者の顔を退けないでください。あなたのしもべダビデに示されたいつくしみを覚えて下さい」。 + + + ソロモンが祈り終ったとき、天から火が下って燔祭と犠牲を焼き、主の栄光が宮に満ちた。 + 主の栄光が主の宮に満ちたので、祭司たちは主の宮に、はいることができなかった。 + イスラエルの人々はみな火が下ったのを見、また主の栄光が宮に臨んだのを見て、敷石の上で地にひれ伏して拝し、主に感謝して言った、「主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」。 + そして王と民は皆主の前に犠牲をささげた。 + ソロモン王のささげた犠牲は、牛二万二千頭、羊十二万頭であった。こうして王と民は皆神の宮をささげた。 + 祭司はその持ち場に立ち、レビびとも主の楽器をとって立った。その楽器はダビデ王が主に感謝するために造ったもので、ダビデが彼らの手によってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに絶えることがない」ととなえさせたものである。祭司は彼らの前でラッパを吹き、すべてのイスラエルびとは立っていた。 + ソロモンはまた主の宮の前にある庭の中を聖別し、その所で、燔祭と酬恩祭のあぶらをささげた。これはソロモンが造った青銅の祭壇が、その燔祭と素祭とあぶらとを載せるに足りなかったからである。 + その時ソロモンは七日の間祭を行った。ハマテの入口からエジプトの川に至るまでのすべてのイスラエルびとが彼と共にあり、非常に大きな会衆であった。 + そして八日目に聖会を開いた。彼らは七日の間、祭壇奉献の礼を行い、七日の間祭を行ったが、 + 七月二十三日に至ってソロモンは民をその天幕に帰らせた。皆主がダビデ、ソロモンおよびその民イスラエルに施された恵みのために喜び、かつ心に楽しんで去った。 + こうしてソロモンは主の家と王の家とを造り終えた。すなわち彼は主の家と自分の家について、しようと計画したすべての事を首尾よくなし遂げた。 + 時に主は夜ソロモンに現れて言われた、「わたしはあなたの祈を聞き、この所をわたしのために選んで、犠牲をささげる家とした。 + わたしが天を閉じて雨をなくし、またはわたしがいなごに命じて地の物を食わせ、または疫病を民の中に送るとき、 + わたしの名をもってとなえられるわたしの民が、もしへりくだり、祈って、わたしの顔を求め、その悪い道を離れるならば、わたしは天から聞いて、その罪をゆるし、その地をいやす。 + 今この所にささげられる祈にわたしの目を開き、耳を傾ける。 + 今わたしはわたしの名をながくここにとどめるために、この宮を選び、かつ聖別した。わたしの目とわたしの心は常にここにある。 + あなたがもし父ダビデの歩んだようにわたしの前に歩み、わたしが命じたとおりにすべて行って、わたしの定めとおきてとを守るならば、 + わたしはあなたの父ダビデに契約して『イスラエルを治める人はあなたに欠けることがない』と言ったとおりに、あなたの王の位を堅くする。 + しかし、あなたがたがもし翻って、わたしがあなたがたの前に置いた定めと戒めとを捨て、行って他の神々に仕え、それを拝むならば、 + わたしはあなたがたをわたしの与えた地から抜き去り、またわたしの名のために聖別したこの宮をわたしの前から投げ捨てて、もろもろの民のうちにことわざとし、笑い草とする。 + またこの宮は高いけれども、ついには、そのかたわらを過ぎる者は皆驚いて、『何ゆえ主はこの地と、この宮とにこのようにされたのか』と言うであろう。 + その時、人々は答えて『彼らはその先祖たちをエジプトの地から導き出した彼らの神、主を捨てて、他の神々につき従い、それを拝み、それに仕えたために、主はこのすべての災を彼らの上に下したのである』と言うであろう」。 + + + ソロモンは二十年を経て、主の家と自分の家とを建て終った。 + またソロモンはヒラムから送られた町々を建て直して、そこにイスラエルの人々を住ませた。 + ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻めて、これを取った。 + 彼はまた荒野にタデモルを建て、もろもろの倉の町をハマテに建てた。 + また城壁、門、貫の木のある堅固な町、上ベテホロンと下ベテホロンを建てた。 + ソロモンはまたバアラテと自分のもっていたすべての倉の町と、すべての戦車の町と、騎兵の町、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分の治める全地方に建てようと望んだものを、ことごとく建てた。 + すべてイスラエルの子孫でないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残った民、 + その地にあって彼らのあとに残ったその子孫、すなわちイスラエルの子孫が滅ぼし尽さなかった民に、ソロモンは強制徴募をおこなって今日に及んでいる。 + しかし、イスラエルの人々をソロモンはその工事のためには、ひとりも奴隷としなかった。彼らは兵士となり、将校となり、戦車と、騎兵の長となった。 + これらはソロモン王のおもな官吏で、二百五十人あり、民を治めた。 + ソロモンはパロの娘をダビデの町から連れ上って、彼女のために建てた家に入れて言った、「主の箱を迎えた所は神聖であるから、わたしの妻はイスラエルの王ダビデの家に住んではならない」。 + ソロモンは廊の前に築いておいた主の祭壇の上で主に燔祭をささげた。 + すなわちモーセの命令に従って、毎日定めのようにささげ、安息日、新月および年に三度の祭、すなわち種入れぬパンの祭、七週の祭、仮庵の祭にこれをささげた。 + ソロモンは、その父ダビデのおきてに従って、祭司の組を定めてその職に任じ、またレビびとをその勤めに任じて、毎日定めのように祭司の前でさんびと奉仕をさせ、また門を守る者に、その組にしたがって、もろもろの門を守らせた。これは神の人ダビデがこのように命じたからである。 + 祭司とレビびとはすべての事につき、また倉の事について、王の命令にそむかなかった。 + このようにソロモンは、主の宮の基をすえた日からこれをなし終えたときまで、その工事の準備をことごとくなしたので、主の宮は完成した。 + それからソロモンはエドムの地の海べにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行った。 + 時にヒラムはそのしもべどもの手によって船団を彼に送り、また海の事になれたしもべどもをつかわしたので、彼らはソロモンのしもべらと共にオフルへ行き、そこから金四百五十タラントを取って、これをソロモン王のもとに携えてきた。 + + + シバの女王はソロモンの名声を聞いたので、難問をもってソロモンを試みようと、非常に多くの従者を連れ、香料と非常にたくさんの金と宝石とをらくだに負わせて、エルサレムのソロモンのもとに来て、その心にあることをことごとく彼に告げた。 + ソロモンは彼女のすべての問に答えた。ソロモンが知らないで彼女に説明のできないことは一つもなかった。 + シバの女王はソロモンの知恵と、彼が建てた家を見、 + またその食卓の食物と、列座の家来たちと、その侍臣たちの伺候振りと彼らの服装、および彼の給仕たちとその服装、ならびに彼が主の宮でささげる燔祭を見て、全く気を奪われてしまった。 + 彼女は王に言った、「わたしが国であなたの事と、あなたの知恵について聞いたうわさは真実でした。 + しかしわたしは来て目に見るまでは、そのうわさを信じませんでしたが、今見ると、あなたの知恵の大いなることはその半分もわたしに知らされませんでした。あなたはわたしの聞いたうわさにまさっています。 + あなたの奥方たちはさいわいです。常にあなたの前に立って、あなたの知恵を聞くこのあなたの家来たちはさいわいです。 + あなたの神、主はほむべきかな。主はあなたを喜び、あなたをその位につかせ、あなたの神、主のために王とされました。あなたの神はイスラエルを愛して、とこしえにこれを堅くするために、あなたをその王とされ、公道と正義を行われるのです」。 + そして彼女は金百二十タラント、および非常に多くの香料と宝石とを王に贈った。シバの女王がソロモンに贈ったような香料は、いまだかつてなかった。 + オフルから金を携えて来たヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木と宝石をも携えて来た。 + 王はそのびゃくだんの木で、主の宮と王の家とに階段を造り、また歌うたう者のために琴と立琴を造った。このようなものはかつてユダの地で見たことがなかった。 + ソロモン王は、シバの女王が贈った物に報いたほかに、彼女の望みにまかせて、すべてその求めるものを贈った。そして彼女はその家来たちと共に自分の国へ帰って行った。 + さて一年の間にソロモンの所にはいって来た金の目方は六百六十六タラントであった。 + このほかに貿易商および商人の携えて来たものがあった。またアラビヤのすべての王たちおよび国の代官たちも金銀をソロモンに携えてきた。 + ソロモン王は延金の大盾二百を造った。その大盾にはおのおの六百シケルの延金を用いた。 + また延金の小盾三百を造った。小盾にはおのおの三百シケルの金を用いた。王はこれらをレバノンの森の家に置いた。 + 王はまた大きな象牙の玉座を造り、純金でこれをおおった。 + その玉座には六つの段があり、また金の足台があって共に玉座につらなり、その座する所の両方に、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立っていた。 + また十二のししが六つの段のおのおのの両側に立っていた。このような物はどこの国でも造られたことがなかった。 + ソロモン王が飲むときに用いた器はみな金であった。またレバノンの森の家の器もみな純金であって、銀はソロモンの世には尊ばれなかった。 + これは王の船がヒラムのしもべたちを乗せてタルシシへ行き、三年ごとに一度、そのタルシシの船が金、銀、象牙、さる、くじゃくを載せて来たからである。 + このようにソロモン王は富と知恵において、地のすべての王にまさっていたので、 + 地のすべての王は神がソロモンの心に授けられた知恵を聞こうとしてソロモンに謁見を求めた。 + 人々はおのおの贈り物を携えてきた。すなわち銀の器、金の器、衣服、没薬、香料、馬、騾馬など年々定まっていた。 + ソロモンは馬と戦車のために馬屋四千と騎兵一万二千を持ち、これを戦車の町に置き、またエルサレムの王のもとに置いた。 + 彼はユフラテ川からペリシテびとの地と、エジプトの境に至るまでのすべての王を治めた。 + 王はまた銀を石のようにエルサレムに多くし、香柏を平野のいちじく桑のように多くした。 + また人々はエジプトおよび諸国から馬をソロモンのために輸入した。 + ソロモンのそのほかの始終の行為は、預言者ナタンの書と、シロびとアヒヤの預言と、先見者イドがネバテの子ヤラベアムについて述べた黙示のなかに、しるされているではないか。 + ソロモンはエルサレムで四十年の間イスラエルの全地を治めた。 + ソロモンはその先祖たちと共に眠って、父ダビデの町に葬られ、その子レハベアムが代って王となった。 + + + レハベアムはシケムへ行った。すべてのイスラエルびとが彼を王にしようとシケムへ行ったからである。 + ネバテの子ヤラベアムは、ソロモンを避けてエジプトにのがれていたが、これを聞いてエジプトから帰ったので、 + 人々は人をつかわして彼を招いた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来て、レハベアムに言った、 + 「あなたの父は、われわれのくびきを重くしましたが、今あなたの父のきびしい使役と、あなたの父が、われわれに負わせた重いくびきを軽くしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕えましょう」。 + レハベアムは彼らに答えた、「三日の後、またわたしの所に来なさい」。それで民は去った。 + レハベアム王は父ソロモンの存命中ソロモンに仕えた長老たちに相談して言った、「あなたがたはこの民にどう返答すればよいと思いますか」。 + 彼らはレハベアムに言った、「あなたがもしこの民を親切にあつかい、彼らを喜ばせ、ねんごろに語られるならば彼らは長くあなたのしもべとなるでしょう」。 + しかし彼は長老たちが与えた勧めをすてて、自分と一緒に大きくなって自分に仕えている若者たちに相談して、 + 彼らに言った、「あなたがたは、この民がわたしに向かって、『あなたの父上が、われわれに負わせたくびきを軽くしてください』と言うのに、われわれはなんと返答すればよいと思いますか」。 + 彼と一緒に大きくなった若者たちは彼に言った、「あなたに向かって、『あなたの父は、われわれのくびきを重くしたが、あなたは、それをわれわれのために軽くしてください』と言ったこの民に、こう言いなさい、『わたしの小指は父の腰よりも太い、 + 父はあなたがたに重いくびきを負わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりであなたがたを懲らそう』」。 + さてヤラベアムと民は皆、王が「三日目にわたしのところに来なさい」と言ったとおりに、三日目にレハベアムのところへ行った。 + 王は荒々しく彼らに答えた。すなわちレハベアム王は長老たちの勧めをすて、 + 若者たちの勧めに従い、彼らに告げて言った、「父はあなたがたのくびきを重くしたが、わたしは更にこれを重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりであなたがたを懲らそう」。 + このように王は民の言うことを聞きいれなかった。これは主が、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子ヤラベアムに言われた言葉を成就するために、神がなされたのであった。 + イスラエルの人々は皆、王が自分たちの言うことを聞きいれないのを見たので、民は王に答えて言った、「われわれはダビデのうちに何の分があろうか。われわれはエッサイの子のうちに嗣業がない。イスラエルよ、めいめいの天幕に帰れ。ダビデよ、今あなたの家を見よ」。そしてイスラエルは皆彼らの天幕へ去って行った。 + しかしレハベアムはユダの町々に住んでいるイスラエルの人々を治めた。 + レハベアム王は徴募人の監督であったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々が石で彼を撃ち殺したので、レハベアム王は急いで車に乗り、エルサレムに逃げた。 + こうしてイスラエルはダビデの家にそむいて今日に至った。 + + + レハベアムはエルサレムに来て、ユダとベニヤミンの家の者、すなわち、えり抜きの軍人十八万人を集め、国を取りもどすためにイスラエルと戦おうとしたが、 + 主の言葉が神の人シマヤに臨んで言った、 + 「ソロモンの子、ユダの王レハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々に言いなさい、 + 『主はこう仰せられる、あなたがたは上ってはならない。あなたがたの兄弟と戦ってはならない。おのおの自分の家に帰りなさい。この事はわたしから出たのである』」。それで人々は主の言葉を聞き、ヤラベアムを攻めに行くのをやめて帰った。 + レハベアムはエルサレムに住んで、ユダに防衛の町々を建てた。 + すなわちベツレヘム、エタム、テコア、 + ベテズル、ソコ、アドラム、 + ガテ、マレシャ、ジフ、 + アドライム、ラキシ、アゼカ、 + ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害の町々である。 + 彼はその要害を堅固にし、これに軍長を置き、糧食と油とぶどう酒をたくわえ、 + またそのすべての町に盾とやりを備えて、これを非常に強化し、そしてユダとベニヤミンを確保した。 + イスラエルの全地の祭司とレビびとは四方の境から来てレハベアムに身を寄せた。 + すなわちレビびとは自分の放牧地と領地を離れてユダとエルサレムに来た。これはヤラベアムとその子らが彼らを排斥して、主の前に祭司の務をさせなかったためである。 + ヤラベアムは高き所と、みだらな神と、自分で造った子牛のために自分の祭司を立てた。 + またイスラエルのすべての部族のうちで、すべてその心を傾けて、イスラエルの神、主を求める者は先祖の神、主に犠牲をささげるために、レビびとに従ってエルサレムに来た。 + このように彼らはユダの国を堅くし、ソロモンの子レハベアムを三年の間強くした。彼らは三年の間ダビデとソロモンの道に歩んだからである。 + レハベアムはダビデの子エレモテの娘マハラテを妻にめとった。マハラテはエッサイの子エリアブの娘アビハイルが産んだ者である。 + 彼女はエウシ、シマリヤおよびザハムの三子を産んだ。 + 彼はまた彼女の後にアブサロムの娘マアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産んだ。 + レハベアムはアブサロムの娘マアカをすべての妻とそばめにまさって愛した。彼は妻十八人、そばめ六十人をめとって、男の子二十八人と女の子六十人をもうけた。 + レハベアムはマアカの子アビヤを立ててかしらとし、その兄弟の長とした。彼はアビヤを王にしようと思ったからである。 + それで王は賢くとり行い、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全地方にあるすべての要害の町に散在させ、彼らに糧食を多く与え、また多くの妻を得させた。 + + + レハベアムはその国が堅く立ち、強くなるに及んで、主のおきてを捨てた。イスラエルも皆彼にならった。 + 彼らがこのように主に向かって罪を犯したので、レハベアム王の五年にエジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上ってきた。 + その戦車は一千二百、騎兵は六万、また彼に従ってエジプトから来た民、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数であった。 + シシャクはユダの要害の町々を取り、エルサレムに迫って来た。 + そこで預言者シマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集まったユダのつかさたちのもとにきて言った、「主はこう仰せられる、『あなたがたはわたしを捨てたので、わたしもあなたがたを捨ててシシャクにわたした』と」。 + そこでイスラエルのつかさたち、および王はへりくだって、「主は正しい」と言った。 + 主は彼らのへりくだるのを見られたので、主の言葉がシマヤにのぞんで言った、「彼らがへりくだったから、わたしは彼らを滅ぼさないで、間もなく救を施す。わたしはシシャクの手によって、怒りをエルサレムに注ぐことをしない。 + しかし彼らはシシャクのしもべになる。これは彼らがわたしに仕えることと、国々の王たちに仕えることとの相違を知るためである」。 + エジプトの王シシャクはエルサレムに攻めのぼって、主の宮の宝物と、王の家の宝物とを奪い去った。すなわちそれらをことごとく奪い去り、またソロモンの造った金の盾をも奪い去った。 + それでレハベアム王は、その代りに青銅の盾を造って、王の家の門を守る侍衛長たちの手に渡した。 + 王が主の宮にはいるごとに侍衛は来て、これを負い、またこれを侍衛のへやへ持って帰った。 + レハベアムがへりくだったので主の怒りは彼を離れ、彼をことごとく滅ぼそうとはされなかった。またユダの事情もよくなった。 + レハベアム王はエルサレムで自分の地位を確立し、世を治めた。すなわちレハベアムは四十一歳のとき位につき、十七年の間エルサレムで世を治めた。エルサレムは主がその名を置くためにイスラエルのすべての部族のうちから選ばれた町である。彼の母はアンモンの女で、名をナアマといった。 + レハベアムは主を求めることに心を傾けないで、悪い事を行った。 + レハベアムの始終の行為は、預言者シマヤおよび先見者イドの書にしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間には絶えず戦争があった。 + レハベアムはその先祖たちと共に眠って、ダビデの町に葬られ、その子アビヤが彼に代って王となった。 + + + ヤラベアム王の第十八年にアビヤがユダの王となった。 + 彼は三年の間エルサレムで世を治めた。彼の母はギベアのウリエルの娘で、名をミカヤといった。 + ここにアビヤとヤラベアムとの間に戦争が起り、アビヤは四十万の精兵から成る勇敢な軍勢をもって戦いにいで、ヤラベアムも大勇士から成る八十万の精兵をもって、これに向かって戦いの備えをした。 + 時にアビヤはエフライムの山地にあるゼマライム山の上に立って言った、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々よ皆聞け。 + あなたがたはイスラエルの神、主が塩の契約をもってイスラエルの国をながくダビデとその子孫に賜わったことを知らないのか。 + ところがダビデの子ソロモンの家来であるネバテの子ヤラベアムが起って、その主君にそむき、 + また卑しい無頼のともがらが集まって彼にくみし、ソロモンの子レハベアムに敵したが、レハベアムは若く、かつ意志が弱くてこれに当ることができなかった。 + 今また、あなたがたは大軍をたのみ、またヤラベアムが造って、あなたがたの神とした金の子牛をたのんで、ダビデの子孫の手にある主の国に敵対しようとしている。 + またあなたがたはアロンの子孫である主の祭司とレビびととを追いだして、他の国々の民がするように祭司を立てたではないか。すなわちだれでも若い雄牛一頭、雄羊七頭を携えてきて、自分を聖別する者は皆あの神でない者の祭司とすることができた。 + しかしわれわれにおいては、主がわれわれの神であって、われわれは彼を捨てない。また主に仕える祭司はアロンの子孫であり、働きをなす者はレビびとである。 + 彼らは朝ごと夕ごとに主に燔祭と、こうばしい香をささげ、供えのパンを純金の机の上に供え、また金の燭台とそのともしび皿を整えて、夕ごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神、主の務を守っているが、あなたがたは彼を捨てた。 + 見よ、神はみずからわれわれと共におられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司たちはラッパを吹きならして、あなたがたを攻める。イスラエルの人々よ、あなたがたの先祖の神、主に敵して戦ってはならない。あなたがたは成功しない」。 + ヤラベアムは伏兵を彼らのうしろに回らせたので、彼の軍隊はユダの前にあり、伏兵は彼らのうしろにあった。 + ユダはうしろを見ると、敵が前とうしろとにあったので、主に向かって呼ばわり、祭司たちはラッパを吹いた。 + そこでユダの人々はときの声をあげた。ユダの人々がときの声をあげると、神はヤラベアムとイスラエルの人々をアビヤとユダの前に打ち敗られたので、 + イスラエルの人々はユダの前から逃げた。神が彼らをユダの手に渡されたので、 + アビヤとその民は、彼らをおびただしく撃ち殺した。イスラエルの殺されて倒れた者は五十万人、皆精兵であった。 + このように、この時イスラエルの人々は打ち負かされ、ユダの人々は勝を得た。彼らがその先祖の神、主を頼んだからである。 + アビヤはヤラベアムを追撃して数個の町を彼から取った。すなわちベテルとその村里、エシャナとその村里、エフロンとその村里である。 + ヤラベアムは、アビヤの世には再び力を得ることができず、主に撃たれて死んだ。 + しかしアビヤは強くなり、妻十四人をめとり、むすこ二十二人、むすめ十六人をもうけた。 + アビヤのその他の行為すなわちその行動と言葉は、預言者イドの注釈にしるされている。 + + + アビヤはその先祖たちと共に眠って、ダビデの町に葬られ、その子アサが代って王となった。アサの治世に国は十年の間、穏やかであった。 + アサはその神、主の目に良しと見え、また正しと見えることを行った。 + 彼は異なる祭壇と、もろもろの高き所を取り除き、石柱をこわし、アシラ像を切り倒し、 + ユダに命じてその先祖たちの神、主を求めさせ、おきてと戒めとを行わせ、 + ユダのすべての町々から、高き所と香の祭壇とを取り除いた。そして国は彼のもとに穏やかであった。 + 彼は国が穏やかであったので、要害の町数個をユダに建てた。また主が彼に平安を賜わったので、この年ごろ戦争がなかった。 + 彼はユダに言った、「われわれはこれらの町を建て、その周囲に石がきを築き、やぐらを建て、門と貫の木を設けよう。われわれがわれわれの神、主を求めたので、この国はなおわれわれのものであり、われわれが彼を求めたので、四方において、われわれに平安を賜わった」。こうして彼らは滞りなく建て終った。 + アサの軍隊はユダから出た者三十万人あって、盾とやりをとり、ベニヤミンから出た者二十八万人あって、小盾をとり、弓を引いた。これはみな大勇士であった。 + エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊と三百の戦車を率いて、マレシャまで攻めてきた。 + アサは出て、これを迎え、マレシャのゼパタの谷に戦いの備えをした。 + 時にアサはその神、主に向かって呼ばわって言った、「主よ、力のある者を助けることも、力のない者を助けることも、あなたにおいては異なることはありません。われわれの神、主よ、われわれをお助けください。われわれはあなたに寄り頼み、あなたの名によってこの大軍に当ります。主よ、あなたはわれわれの神です。どうぞ人をあなたに勝たせないでください」。 + そこで主はアサの前とユダの前でエチオピヤびとを撃ち敗られたので、エチオピヤびとは逃げ去った。 + アサと彼に従う民は彼らをゲラルまで追撃したので、エチオピヤびとは倒れて、生き残った者はひとりもなかった。主と主の軍勢の前に撃ち破られたからである。ユダの人々の得たぶんどり物は非常に多かった。 + 彼らはまた、ゲラルの周囲の町々をことごとく撃ち破った。主の恐れが彼らの上に臨んだからである。そして彼らはそのすべての町をかすめ奪った。その内に多くの物があったからである。 + また家畜をもっている者の天幕を襲い、多くの羊とらくだを奪い取って、エルサレムに帰った。 + + + 時に神の霊がオデデの子アザリヤに臨んだので、 + 彼は出ていってアサを迎え、これに言った、「アサおよびユダとベニヤミンの人々よ、わたしに聞きなさい。あなたがたが主と共におる間は、主もあなたがたと共におられます。あなたがたが、もし彼を求めるならば、彼に会うでしょう。しかし、彼を捨てるならば、彼もあなたがたを捨てられるでしょう。 + そもそも、イスラエルには長い間、まことの神がなく、教をなす祭司もなく、律法もなかった。 + しかし、悩みの時、彼らがイスラエルの神、主に立ち返り、彼を求めたので彼に会った。 + そのころは、出る者にも入る者にも、平安がなく、大いなる騒乱が国々のすべての住民を悩ました。 + 国は国に、町は町に撃ち砕かれた。神がもろもろの悩みをもって彼らを苦しめられたからです。 + しかしあなたがたは勇気を出しなさい。手を弱くしてはならない。あなたがたのわざには報いがあるからです」。 + アサはこれらの言葉すなわちオデデの子アザリヤの預言を聞いて勇気を得、憎むべき偶像をユダとベニヤミンの全地から除き、また彼がエフライムの山地で得た町々から除き、主の宮の廊の前にあった主の祭壇を再興した。 + 彼はまたユダとベニヤミンの人々およびエフライム、マナセ、シメオンから来て、彼らの間に寄留していた者を集めた。その神、主がアサと共におられるのを見て、イスラエルからアサのもとに下った者が多くあったからである。 + 彼らはアサの治世の十五年の三月にエルサレムに集まり、 + 携えてきたぶんどり物のうちから牛七百頭、羊七千頭をその日主にささげた。 + そして彼らは契約を結び、心をつくし、精神をつくして先祖の神、主を求めることと、 + すべてイスラエルの神、主を求めない者は老幼男女の別なく殺さるべきことを約した。 + そして彼らは大声をあげて叫び、ラッパを吹き、角笛を鳴らして、主に誓いを立てた。 + ユダは皆その誓いを喜んだ。彼らは心をつくして誓いを立て、精神をつくして主を求めたので、主は彼らに会い、四方で彼らに安息を賜わった。 + アサ王の母マアカがアシラのために憎むべき像を造ったので、アサは彼女をおとして太后とせず、その憎むべき像を切り倒して粉々に砕き、キデロン川でそれを焼いた。 + ただし高き所はイスラエルから除かなかったが、アサの心は一生の間、正しかった。 + 彼はまた、その父のささげた物および自分のささげた物、すなわち銀、金並びに器物などを主の宮に携え入れた。 + そしてアサの治世の三十五年までは再び戦争がなかった。 + + + アサの治世の三十六年にイスラエルの王バアシャはユダに攻め上り、ユダの王アサの所にだれをも出入りさせないためにラマを築いた。 + そこでアサは主の宮と王の家の宝蔵から金銀を取り出し、ダマスコに住んでいるスリヤの王ベネハダデに贈って言った、 + 「わたしの父とあなたの父の間のように、わたしとあなたの間に同盟を結びましょう。わたしはあなたに金銀を贈ります。行って、あなたとイスラエルの王バアシャとの同盟を破り、彼をわたしから撤退させてください」。 + ベネハダデはアサ王の言うことを聞き、自分の軍勢の長たちをつかわしてイスラエルの町々を攻め、イヨンとダンとアベル・マイムおよびナフタリのすべての倉の町を撃った。 + バアシャはこれを聞いて、ラマを築くことをやめ、その工事を廃した。 + そこでアサ王はユダの全国の人々を引き連れ、バアシャがラマを建てるために用いた石と木材を運んでこさせ、それをもってゲバとミヅパを建てた。 + そのころ先見者ハナニがユダの王アサのもとに来て言った、「あなたがスリヤの王に寄り頼んで、あなたの神、主に寄り頼まなかったので、スリヤ王の軍勢はあなたの手からのがれてしまった。 + かのエチオピヤびとと、リビアびとは大軍で、その戦車と騎兵は、はなはだ多かったではないか。しかしあなたが主に寄り頼んだので、主は彼らをあなたの手に渡された。 + 主の目はあまねく全地を行きめぐり、自分に向かって心を全うする者のために力をあらわされる。今度の事では、あなたは愚かな事をした。ゆえにこの後、あなたに戦争が臨むであろう」。 + するとアサはその先見者を怒って、獄屋に入れた。この事のために激しく彼を怒ったからである。アサはまたそのころ民のある者をしえたげた。 + 見よ、アサの始終の行為は、ユダとイスラエルの列王の書にしるされている。 + アサはその治世の三十九年に足を病み、その病は激しくなったが、その病の時にも、主を求めないで医者を求めた。 + アサは先祖たちと共に眠り、その治世の四十一年に死んだ。 + 人々は彼が自分のためにダビデの町に掘っておいた墓に葬り、製香の術をもって造った様々の香料を満たした床に横たえ、彼のためにおびただしく香をたいた。 + + + アサの子ヨシャパテがアサに代って王となり、イスラエルに向かって自分を強くし、 + ユダのすべての堅固な町々に軍隊を置き、またユダの地およびその父アサが取ったエフライムの町々に守備隊を置いた。 + 主はヨシャパテと共におられた。彼がその父ダビデの最初の道に歩んで、バアルに求めず、 + その父の神に求めて、その戒めに歩み、イスラエルの行いにならわなかったからである。 + それゆえ、主は国を彼の手に堅く立てられ、またユダの人々は皆ヨシャパテに贈り物を持ってきた。彼は大いなる富と誉とを得た。 + そこで彼は主の道に心を励まし、さらに高き所とアシラ像とをユダから除いた。 + 彼はまたその治世の三年に、つかさたちベネハイル、オバデヤ、ゼカリヤ、ネタンエルおよびミカヤをつかわしてユダの町々で教えさせ、 + また彼らと共にレビびとのうちからシマヤ、ネタニヤ、ゼバデヤ、アサヘル、セミラモテ、ヨナタン、アドニヤ、トビヤ、トバドニヤをつかわし、またこれらのレビびとと共に祭司エリシャマとヨラムをもつかわした。 + 彼らは主の律法の書を携えて、ユダで教をなし、またユダの町々をことごとく巡回して、民の間に教をなした。 + そこでユダの周囲の国々は皆主を恐れ、ヨシャパテと戦うことをしなかった。 + また、ペリシテびとのうちで贈り物や、みつぎの銀をヨシャパテの所に持ってくる者があり、またアラビヤびとは雄羊七千七百頭、雄やぎ七千七百頭を彼に持ってきた。 + こうしてヨシャパテはますます大いになり、ユダに要害および倉の町を建て、 + ユダの町々に多くの軍需品を持ち、またエルサレムに大勇士である軍人たちを持っていた。 + 彼らをその氏族によって数えれば次のとおりである。すなわちユダから出た千人の長のうちでは、アデナという軍長と彼に従う大勇士三十万人、 + その次は軍長ヨハナンと彼に従う者二十八万人、 + その次は喜んでその身を主にささげた者ジクリの子アマジヤと彼に従う大勇士二十万人。 + ベニヤミンから出た者のうちでは、エリアダという大勇士と彼に従う弓および盾を持つ者二十万人、 + その次はヨザバデと彼に従う戦いの備えある者十八万人である。 + これらは皆王に仕える者たちで、このほかにまたユダ全国の堅固な町々に、王が駐在させた者があった。 + + + ヨシャパテは大いなる富と誉とをもち、アハブと縁を結んだ。 + 彼は数年の後、サマリヤに下って、アハブをおとずれた。アハブは彼と彼に従ってきた民のために羊と牛を多くほふり、ラモテ・ギレアデに一緒に攻め上ることを彼にすすめた。 + イスラエルの王アハブはユダの王ヨシャパテに言った、「あなたはわたしと一緒にラモテ・ギレアデに攻めて行きますか」。ヨシャパテは答えた、「わたしはあなたと一つです、わたしの民はあなたの民と一つです。わたしはあなたと一緒に戦いに臨みましょう」。 + ヨシャパテはまたイスラエルの王に言った、「まず主の言葉を求めなさい」。 + そこでイスラエルの王は預言者四百人を集めて彼らに言った、「われわれはラモテ・ギレアデに、戦いに行くべきか、あるいは控えるべきか」。彼らは言った、「上って行きなさい。神はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + ヨシャパテは言った、「ほかにわれわれが問うべき主の預言者はここにいませんか」。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「ほかになおひとりいます。われわれはこの人によって主に問うことができますが、彼はわたしについて良い事を預言したことがなく、常に悪いことだけを預言するので、わたしは彼を憎みます。その者はイムラの子ミカヤです」。ヨシャパテは言った、「王よ、そうは言わないでください」。 + そこでイスラエルの王はひとりの役人を呼んで、「イムラの子ミカヤを急いで連れてきなさい」と言った。 + さてイスラエルの王およびユダの王ヨシャパテは王の衣を着て、サマリヤの門の入口の広場におのおのその玉座に座し、預言者たちは皆その前で預言していた。 + ケナアナの子ゼデキヤは鉄の角を造って言った、「主はこう仰せられます、『あなたはこれらの角をもってスリヤびとを突いて滅ぼし尽しなさい』」。 + 預言者たちは皆そのように預言して言った、「ラモテ・ギレアデに上っていって勝利を得なさい。主はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + さてミカヤを呼びに行った使者は彼に言った、「預言者たちは一致して王に良い事を言いました。どうぞ、あなたの言葉も、彼らのひとりの言葉のようにし、良い事を言ってください」。 + ミカヤは言った、「主は生きておられる。わが神の言われることをわたしは申します」。 + 彼が王の所へ行くと、王は彼に言った、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦いに行くべきか、あるいは控えるべきか」。彼は言った、「上って行って勝利を得なさい。彼らはあなたの手にわたされるでしょう」。 + しかし王は彼に言った、「幾たびあなたを誓わせたら、あなたは主の名をもって、ただ真実のみをわたしに告げるだろうか」。 + 彼は言った、「わたしはイスラエルが皆牧者のない羊のように山に散っているのを見ました。すると主は『これらの者は主人をもっていない。彼らをそれぞれ安らかに、その家に帰らせよ』と言われました」。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「わたしはあなたに、彼はわたしについて良い事を預言せず、ただ悪い事だけを預言すると告げたではありませんか」。 + ミカヤは言った、「それだから主の言葉を聞きなさい。わたしは主がその玉座に座し、天の万軍がその右左に立っているのを見たが、 + 主は、『だれがイスラエルの王アハブをいざなって、ラモテ・ギレアデに上らせ、彼を倒れさせるであろうか』と言われた。するとひとりは、こうしようと言い、ひとりは、ああしようと言った。 + その時一つの霊が進み出て、主の前に立ち、『わたしが彼をいざないましょう』と言ったので、主は彼に『何をもってするか』と言われた。 + 彼は『わたしが出て行って、偽りを言う霊となって、すべての預言者の口に宿りましょう』と言った。そこで主は『おまえは彼をいざなって、それをなし遂げるであろう。出て行って、そうしなさい』と言われた。 + それゆえ、主は偽りを言う霊をこの預言者たちの口に入れ、また主はあなたについて災を告げられたのです」。 + するとケナアナの子ゼデキヤが近寄ってミカヤのほおを打って言った、「主の霊がどの道からわたしを離れて行って、あなたに語りましたか」。 + ミカヤは言った、「あなたが奥の間にはいって身を隠す日に見るでしょう」。 + イスラエルの王は言った、「ミカヤを捕え、町のつかさアモンと王の子ヨアシの所へ引いて行って、 + 言いなさい、『王はこう言う、この者を獄屋に入れ、少しばかりのパンと水をもって彼を養い、わたしが勝利を得て帰ってくるのを待て』と」。 + ミカヤは言った、「あなたがもし勝利を得て帰るならば、主はわたしによって語られなかったのです」。また彼は言った、「あなたがたすべての民よ、聞きなさい」。 + こうしてイスラエルの王とユダの王ヨシャパテは、ラモテ・ギレアデに上った。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「わたしは姿を変えて戦いに行きましょう。しかしあなたは王の衣を着けなさい」。イスラエルの王は姿を変えて戦いに行った。 + さて、スリヤの王は、その戦車隊長たちに命じて言った、「あなたがたは小さい者とも、大きい者とも戦ってはならない。ただイスラエルの王とのみ戦いなさい」。 + 戦車隊長らはヨシャパテを見たとき、これはきっとイスラエルの王だと思ったので、身を巡らしてこれと戦おうとした。しかしヨシャパテが呼ばわったので、主はこれを助けられた。すなわち神は敵を彼から離れさせられた。 + 戦車隊長らは彼がイスラエルの王でないのを見たので、彼を追うことをやめて引き返した。 + しかし、ひとりの人が、なにごころなく弓を引いて、イスラエルの王の胸当と、くさずりの間を射たので、彼はその車の御者に言った、「わたしは傷を受けたから、車をめぐらして、わたしを軍中から運び出せ」。 + その日戦いは激しくなった。イスラエルの王は車の中に自分をささえて立ち、夕暮までスリヤびとに向かっていたが、日の入るころになって死んだ。 + + + ユダの王ヨシャパテは、つつがなくエルサレムの自分の家に帰った。 + そのとき、先見者ハナニの子エヒウが出てヨシャパテを迎えて言った、「あなたは悪人を助け、主を憎む者を愛してよいのですか。それゆえ怒りが主の前から出て、あなたの上に臨みます。 + しかしあなたには、なお良い事もあります。あなたはアシラ像を国の中から除き、心を傾けて神を求められました」。 + ヨシャパテはエルサレムに住んでいたが、また出て、ベエルシバからエフライムの山地まで民の中を巡り、先祖たちの神、主に彼らを導き返した。 + 彼はまたユダの国中、すべての堅固な町ごとに裁判人を置いた。 + そして裁判人たちに言った、「あなたがたは自分のする事に気をつけなさい。あなたがたは人のために裁判するのではなく、主のためにするのです。あなたがたが裁判する時には、主はあなたがたと共におられます。 + だからあなたがたは主を恐れ、慎んで行いなさい。われわれの神、主には不義がなく、人をかたより見ることなく、まいないを取ることもないからです」。 + ヨシャパテはまたレビびと、祭司、およびイスラエルの氏族の長たちを選んでエルサレムに置き、主のために裁判を行い、争議の解決に当らせた。彼らはエルサレムに居住した。 + ヨシャパテは彼らに命じて言った、「あなたがたは主を恐れ、真実と真心とをもって行わなければならない。 + すべてその町々に住んでいるあなたがたの兄弟たちから、血を流した事または律法と戒め、定めとおきてなどの事について訴えてきたならば、彼らをさとして、主の前に罪を犯させず、怒りがあなたがたと、あなたがたの兄弟たちに臨まないようにしなさい。そのようにすれば、あなたがたは罪を犯すことがないでしょう。 + 見よ、祭司長アマリヤは、あなたがたの上にいて、主の事をすべてつかさどり、イシマエルの子、ユダの家のつかさゼバデヤは王の事をすべてつかさどり、またレビびとはあなたがたの前にあって役人となります。雄々しく行動しなさい。主は正直な人と共におられます」。 + + + この後モアブびと、アンモンびとおよびメウニびとらがヨシャパテと戦おうと攻めてきた。 + その時ある人がきて、ヨシャパテに告げて言った、「海のかなたのエドムから大軍があなたに攻めて来ます。見よ、彼らはハザゾン・タマル(すなわちエンゲデ)にいます」。 + そこでヨシャパテは恐れ、主に顔を向けて助けを求め、ユダ全国に断食をふれさせた。 + それでユダはこぞって集まり、主の助けを求めた。すなわちユダのすべての町から人々が来て主を求めた。 + そこでヨシャパテは主の宮の新しい庭の前で、ユダとエルサレムの会衆の中に立って、 + 言った、「われわれの先祖の神、主よ、あなたは天にいます神ではありませんか。異邦人のすべての国を治められるではありませんか。あなたの手には力があり、勢いがあって、あなたに逆らいうる者はありません。 + われわれの神よ、あなたはこの国の民をあなたの民イスラエルの前から追い払って、あなたの友アブラハムの子孫に、これを永遠に与えられたではありませんか。 + 彼らはここに住み、あなたの名のためにここに聖所を建てて言いました、 + 『つるぎ、審判、疫病、ききんなどの災がわれわれに臨む時、われわれはこの宮の前に立って、あなたの前におり、その悩みの中であなたに呼ばわります。すると、あなたは聞いて助けられます。あなたの名はこの宮にあるからです』と。 + 今アンモン、モアブ、およびセイル山の人々をごらんなさい。昔イスラエルがエジプトの国から出てきた時、あなたはイスラエルに彼らを侵すことをゆるされなかったので、イスラエルは彼らを離れて、滅ぼしませんでした。 + 彼らがわれわれに報いるところをごらんください。彼らは来て、あなたがわれわれに賜わったあなたの領地からわれわれを追い払おうとしています。 + われわれの神よ、あなたは彼らをさばかれないのですか。われわれはこのように攻めて来る大軍に当る力がなく、またいかになすべきかを知りません。ただ、あなたを仰ぎ望むのみです」。 + ユダの人々はその幼な子、その妻、および子供たちと共に皆主の前に立っていた。 + その時主の霊が会衆の中でアサフの子孫であるレビびとヤハジエルに臨んだ。ヤハジエルはゼカリヤの子、ゼカリヤはベナヤの子、ベナヤはエイエルの子、エイエルはマッタニヤの子である。 + ヤハジエルは言った、「ユダの人々、エルサレムの住民、およびヨシャパテ王よ、聞きなさい。主はあなたがたにこう仰せられる、『この大軍のために恐れてはならない。おののいてはならない。これはあなたがたの戦いではなく、主の戦いだからである。 + あす、彼らの所へ攻め下りなさい。見よ、彼らはヂヅの坂から上って来る。あなたがたはエルエルの野の東、谷の端でこれに会うであろう。 + この戦いには、あなたがたは戦うに及ばない。ユダおよびエルサレムよ、あなたがたは進み出て立ち、あなたがたと共におられる主の勝利を見なさい。恐れてはならない。おののいてはならない。あす、彼らの所に攻めて行きなさい。主はあなたがたと共におられるからである』」。 + ヨシャパテは地にひれ伏した。ユダの人々およびエルサレムの民も主の前に伏して、主を拝した。 + その時コハテびとの子孫、およびコラびとの子孫であるレビびとが立ち上がり、大声をあげてイスラエルの神、主をさんびした。 + 彼らは朝早く起きてテコアの野に出て行った。その出て行くとき、ヨシャパテは立って言った、「ユダの人々およびエルサレムの民よ、わたしに聞きなさい。あなたがたの神、主を信じなさい。そうすればあなたがたは堅く立つことができる。主の預言者を信じなさい。そうすればあなたがたは成功するでしょう」。 + 彼はまた民と相談して人々を任命し、聖なる飾りを着けて軍勢の前に進ませ、主に向かって歌をうたい、かつさんびさせ、「主に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と言わせた。 + そして彼らが歌をうたい、さんびし始めた時、主は伏兵を設け、かのユダに攻めてきたアンモン、モアブ、セイル山の人々に向かわせられたので、彼らは打ち敗られた。 + すなわちアンモンとモアブの人々は立ち上がって、セイル山の民に敵し、彼らを殺して全く滅ぼしたが、セイルの民を殺し尽すに及んで、彼らもおのおの互に助けて滅ぼしあった。 + ユダの人々は野の物見やぐらへ行って、かの群衆を見たが、地に倒れた死体だけであって、ひとりものがれた者はなかった。 + それでヨシャパテとその民は彼らの物を奪うために来て見ると、多数の家畜、財宝、衣服および宝石などおびただしくあったので、おのおのそれをはぎ取ったが、運びきれないほどたくさんで、かすめ取るに三日もかかった。それほど物が多かったのである。 + 四日目に彼らはベラカの谷に集まり、その所で主を祝福した。それでその所の名を今日までベラカの谷と呼んでいる。 + そしてユダとエルサレムの人々は皆ヨシャパテを先に立て、喜んでエルサレムに帰ってきた。主が彼らにその敵のことによって喜びを与えられたからである。 + すなわち彼らは立琴、琴およびラッパをもってエルサレムの主の宮に来た。 + そしてもろもろの国の民は主がイスラエルの敵と戦われたことを聞いて神を恐れた。 + こうして神が四方に安息を賜わったので、ヨシャパテの国は穏やかであった。 + このようにヨシャパテはユダを治めた。彼は三十五歳の時、王となり、二十五年の間エルサレムで世を治めた。彼の母の名はアズバといってシルヒの娘である。 + ヨシャパテは父アサの道を歩んでそれを離れず、主の目に正しいと見られることを行った。 + しかし高き所は除かず、また民はその先祖の神に心を傾けなかった。 + ヨシャパテのその他の始終の行為は、ハナニの子エヒウの書にしるされ、イスラエルの列王の書に載せられてある。 + この後ユダの王ヨシャパテはイスラエルの王アハジヤと相結んだ。アハジヤは悪を行った。 + ヨシャパテはタルシシへ行く船を造るためにアハジヤと相結び、エジオン・ゲベルで一緒に船数隻を造った。 + その時マレシャのドダワの子エリエゼルはヨシャパテに向かって預言し、「あなたはアハジヤと相結んだので、主はあなたの造った物をこわされます」と言ったが、その船は難破して、タルシシへ行くことができなかった。 + + + ヨシャパテは先祖たちと共に眠り、先祖たちと共にダビデの町に葬られ、その子ヨラムが代って王となった。 + ヨシャパテの子であるその兄弟たちはアザリヤ、エヒエル、ゼカリヤ、アザリヤ、ミカエルおよびシパテヤで、皆ユダの王ヨシャパテの子たちであった。 + その父は彼らに金、銀、宝物の賜物を多く与え、またユダの要害の町々を与えたが、ヨラムは長子なので、国はヨラムに与えた。 + ヨラムはその父の位に登って強くなった時、その兄弟たちをことごとくつるぎにかけて殺し、またユダのつかさたち数人を殺した。 + ヨラムは位についた時三十二歳で、エルサレムで八年の間世を治めた。 + 彼はアハブの家がしたようにイスラエルの王たちの道に歩んだ。アハブの娘を妻としたからである。このように彼は主の目の前に悪をおこなったが、 + 主はさきにダビデと結ばれた契約のゆえに、また彼とその子孫とにながく、ともしびを与えると約束されたことによって、ダビデの家を滅ぼすことを好まれなかった。 + ヨラムの世にエドムがそむいて、ユダの支配を脱し、みずから王を立てたので、 + ヨラムはその将校たち、およびすべての戦車を従えて渡って行き、夜のうちに立ち上がって、自分を包囲しているエドムびととその戦車の隊長たちを撃った。 + エドムはこのようにそむいてユダの支配を脱し、今日に至っている。そのころリブナもまたそむいてユダの支配を脱した。ヨラムが先祖たちの神、主を捨てたからである。 + 彼はまたユダの山地に高き所を造って、エルサレムの民に姦淫を行わせ、ユダを惑わした。 + その時預言者エリヤから次のような一通の手紙がヨラムのもとに来た、「あなたの先祖ダビデの神、主はこう仰せられる、『あなたは父ヨシャパテの道に歩まず、またユダの王アサの道に歩まないで、 + イスラエルの王たちの道に歩み、ユダとエルサレムの民に、かのアハブの家がイスラエルに姦淫を行わせたように、姦淫を行わせ、またあなたの父の家の者で、あなたにまさっているあなたの兄弟たちを殺したゆえ、 + 主は大いなる災をもってあなたの民と子供と妻たちと、すべての所有を撃たれる。 + あなたはまた内臓の病気にかかって大病になり、それが日に日に重くなって、ついに内臓が出るようになる』」。 + その時、主はヨラムに対してエチオピヤびとの近くに住んでいるペリシテびととアラビヤびとの霊を振り起されたので、 + 彼らはユダに攻め上って、これを侵し、王の家にある貨財をことごとく奪い去り、またヨラムの子供と妻たちをも奪い去ったので、末の子エホアハズのほかには、ひとりも残った者がなかった。 + このもろもろの事の後、主は彼を撃って内臓にいえがたい病気を起させられた。 + 時がたって、二年の終りになり、その内臓が病気のために出て、重い病苦によって死んだ。民は彼の先祖のために香をたいたように、彼のために香をたかなかった。 + ヨラムはその位についた時三十二歳で、八年の間エルサレムで世を治め、ついに死んだ。ひとりも彼を惜しむ者がなかった。人々は彼をダビデの町に葬ったが、王たちの墓にではなかった。 + + + エルサレムの民はヨラムの末の子アハジヤを彼の代りに王とした。かつてアラビヤびとと一緒に陣営に攻めてきた一隊の者が上の子たちをことごとく殺したので、ユダの王ヨラムの子アハジヤが王となったのである。 + アハジヤは王となった時四十二歳で、エルサレムで一年の間世を治めた。その母はオムリの娘で名をアタリヤといった。 + アハジヤもまたアハブの家の道に歩んだ。その母が彼の相談相手となって悪を行わせたからである。 + 彼はまたアハブの家がしたように主の目の前に悪を行った。すなわちその父が死んだ後、アハブの家の者がその相談役となったので、彼はついに自分を滅ぼすに至った。 + アハジヤはまた彼らの勧めに従って、イスラエルの王アハブの子ヨラムと共にラモテ・ギレアデへ行き、スリヤの王ハザエルと戦ったが、スリヤびとはヨラムに傷を負わせた。 + そこでヨラムはスリヤの王ハザエルと戦った時、ラマで負ったその傷をいやすためにエズレルに帰った。ユダの王ヨラムの子アハジヤはアハブの子ヨラムが病気なのでエズレルに下ってこれを見舞った。 + アハジヤがヨラムを見舞に行ったことによって滅びに至ったのは神によって定められたことである。すなわち彼がそこに着いた時、ヨラムと一緒に出て、ニムシの子エヒウを迎えた。エヒウは主がアハブの家を断ち滅ぼすために油を注がれた者である。 + エヒウはアハブの家を罰するにあたって、ユダのつかさたち、およびアハジヤの兄弟たちの子らがアハジヤに仕えているのを見たので、彼らをも殺した。 + アハジヤはサマリヤに隠れていたが、エヒウが彼を捜し求めたので、人々は彼を捕え、エヒウのもとに引いてきて、彼を殺した。ただし「彼は心をつくして主を求めたヨシャパテの子である」と人々は言ったのでこれを葬った。こうしてアハジヤの家には国を統べ治めうる者がなくなった。 + アハジヤの母アタリヤは自分の子の死んだのを見て、立ってユダの家の王子をことごとく滅ぼしたが、 + 王の娘エホシバはアハジヤの子ヨアシを王の子たちの殺される者のうちから盗み取り、彼とそのうばを寝室においた。こうしてエホシバがヨアシをアタリヤから隠したので、アタリヤはヨアシを殺さなかった。エホシバはヨラム王の娘、またアハジヤの妹で、祭司エホヤダの妻である。 + こうしてヨアシは神の宮に隠れて彼らと共におること六年、その間アタリヤが国を治めた。 + + + 第七年になって、エホヤダは勇気をだしてエロハムの子アザリヤ、ヨハナンの子イシマエル、オベデの子アザリヤ、アダヤの子マアセヤ、ジクリの子エリシャパテなどの百人の長たちを招いて契約を結ばせた。 + そこで彼らはユダを行きめぐって、ユダのすべての町からレビびとを集め、またイスラエルの氏族の長たちを集めて、エルサレムに来た。 + そしてその会衆は皆神の宮で王と契約を結んだ。その時エホヤダは彼らに言った、「主がダビデの子孫のことについて言われたように、王の子が位につくべきです。 + あなたがたのなすべき事はこれです。すなわちあなたがた祭司およびレビびとの安息日にはいって来る者の、三分の一は門を守る者となり、 + 三分の一は王の家におり、三分の一は礎の門におり、民は皆、主の宮の庭にいなさい。 + 祭司と、勤めをするレビびとのほかは、だれも主の宮に、はいってはならない。彼らは聖なる者であるから、はいることができる。民は皆、主の命令を守らなければならない。 + レビびとはめいめい手に武器をとって王のまわりに立たなければならない。宮にはいる者をすべて殺しなさい。あなたがたは王がはいる時にも出る時にも、王と共にいなさい」。 + そこでレビびとおよびユダの人々は、祭司エホヤダがすべて命じたように行い、めいめいその組の者で、安息日にはいって来るべき者と、安息日に出て行くべき者を率いていた。祭司エホヤダが組の者を去らせなかったからである。 + また祭司エホヤダは、神の宮にあるダビデ王のやりおよび大盾、小盾を百人の長たちに渡し、 + また王を守るために、すべての民にめいめい手に武器をとらせ、宮の南側から北側にわたって、祭壇と宮に沿って立たせた。 + こうして王の子を連れ出して、これに冠をいただかせ、あかしの書を渡して王となし、エホヤダおよびその子たちが彼に油を注いだ。そして「王万歳」と言った。 + アタリヤは民の走りながら王をほめる声を聞いたので、主の宮に入り、民の所へ行って、 + 見ると、王は入口で柱のかたわらに立ち、王のかたわらには将軍たちとラッパ手が立っており、また国の民は皆喜んでラッパを吹き、歌をうたう者は楽器をもってさんびしていたので、アタリヤは衣を裂いて「反逆だ、反逆だ」と叫んだ。 + その時エホヤダは軍勢を統率する百人の長たちを呼び出し、「列の間から彼女を連れ出せ、彼女に従う者をつるぎで殺せ」と言った。祭司が彼女を主の宮で殺してはならないと言ったからである。 + そこで人々は彼女に手をかけ、王の家の馬の門の入口まで連れて行き、その所で彼女を殺した。 + エホヤダは自分とすべての民と王との間に、彼らは皆、主の民となるとの契約を結んだ。 + そこですべての民はバアルの家に行って、それをこわし、その祭壇とその像とを打ち砕き、バアルの祭司マッタンを祭壇の前で殺した。 + エホヤダはまた主の宮の守衛を、祭司とレビびとの指揮のもとに置いた。このレビびとは昔ダビデがモーセの律法にしるされているように、喜びと歌とをもって主に燔祭をささげるために、主の宮に配置したものであって、今そのダビデの例にならったものである。 + 彼はまた主の宮のもろもろの門に門衛を置き、汚れた者は何によって汚れた者でも、はいらせないようにした。 + こうしてエホヤダは百人の長たち、貴族たち、民のつかさたちおよび国のすべての民を率いて、主の宮から王を連れ下り、上の門から王の家に進み、王を国の位につかせた。 + 国の民は皆喜んだ。町はアタリヤがつるぎで殺された後、穏やかであった。 + + + ヨアシは位についた時七歳で、エルサレムで四十年の間、世を治めた。彼の母はベエルシバから出た者で名をヂビアといった。 + ヨアシは祭司エホヤダの世にある日の間は常に主の良しと見られることを行った。 + エホヤダは彼のためにふたりの妻をめとり、彼に男子と女子が生れた。 + この後ヨアシは主の宮を修繕しようと志して、 + 祭司とレビびとを集めて言った、「ユダの町々へ行って、あなたがたの神の宮を年々修繕する資金をすべてのイスラエルびとから集めなさい。その事を急いでしなさい」。ところがレビびとはこれを急いでしなかった。 + それで王はかしらであるエホヤダを召して言った、「あなたはなぜレビびとに求めて、主のしもべモーセがあかしの幕屋のためにイスラエルの会衆に課した税金をユダとエルサレムから取り立てさせないのか」。 + かの悪い女アタリヤの子らが神の宮に侵入して主の宮のもろもろの奉納物をとり、バアルのために用いたからである。 + そこで王は命じて一個の箱を造らせ、これを主の宮の門の外に置き、 + ユダとエルサレムにふれて、神のしもべモーセが荒野でイスラエルに課した税金を主のために持ってこさせた。 + すべてのつかさたちおよびすべての民は皆喜んでその税金を持って来て、その箱に投げ入れたので、ついに箱はいっぱいになった。 + レビびとはその箱に金が多くあるのを見て、王の役人の所へ持って行くと、王の書記と祭司長の下役とが来て、その箱を傾け、これを取ってもとの所に返した。彼らは日々このようにして金をおびただしく集めた。 + 王とエホヤダはこれを主の宮の工事をなす者に渡し、石工および木工を雇って、主の宮を修繕させ、また鉄工および青銅工を雇って、主の宮を修復させた。 + 工人たちは働いたので、修復の工事は彼らの手によってはかどり、神の宮を、もとの状態に復し、これを堅固にした。 + それをなし終ったとき、余った金を王とエホヤダの前に持って来たので、それをもって主の宮のために器物を造った。すなわち勤めの器、燔祭の器、香の皿、および金銀の器を造った。エホヤダの世にある日の間は、絶えず主の宮で燔祭をささげた。 + しかしエホヤダは年老い、日が満ちて死んだ。その死んだ時は百三十歳であった。 + 人々は彼をダビデの町で王たちの中に葬った。彼はイスラエルにおいて神とその宮とに良い事を行ったからである。 + エホヤダの死んだ後、ユダのつかさたちが来て、うやうやしく王に敬意を表した。王は彼らに聞き従った。 + 彼らはその先祖の神、主の宮を捨てて、アシラ像および偶像に仕えたので、そのとがのために、怒りがユダとエルサレムに臨んだ。 + 主は彼らをご自分に引き返そうとして、預言者たちをつかわし、彼らにむかってあかしをさせられたが、耳を傾けなかった。 + そこで神の霊が祭司エホヤダの子ゼカリヤに臨んだので、彼は民の前に立ち上がって言った、「神はこう仰せられる、『あなたがたが主の戒めを犯して、災を招くのはどういうわけであるか。あなたがたが主を捨てたために、主もあなたがたを捨てられたのである』」。 + しかし人々は彼を害しようと計り、王の命によって、石をもって彼を主の宮の庭で撃ち殺した。 + このようにヨアシ王はゼカリヤの父エホヤダが自分に施した恵みを思わず、その子を殺した。ゼカリヤは死ぬ時、「どうぞ主がこれをみそなわして罰せられるように」と言った。 + 年の終りになって、スリヤの軍勢はヨアシにむかって攻め上り、ユダとエルサレムに来て、民のつかさたちをことごとく民のうちから滅ぼし、そのぶんどり物を皆ダマスコの王に送った。 + この時スリヤの軍勢は少数で来たのであるが、主は大軍を彼らの手に渡された。これは彼らがその先祖の神、主を捨てたためである。このように彼らはヨアシを罰した。 + スリヤ軍はヨアシに大傷を負わせて捨て去ったが、ヨアシの家来たちは祭司エホヤダの子の血のために、党を結んで彼にそむき、彼を床の上に殺して、死なせた。人々は彼をダビデの町に葬ったが、王の墓には葬らなかった。 + 党を結んで彼にそむいた者は、アンモンの女シメアテの子ザバデおよびモアブの女シムリテの子ヨザバデであった。 + ヨアシの子らのこと、ヨアシに対する多くの預言および神の宮の修理の事などは、列王の書の注釈にしるされている。ヨアシの子アマジヤが彼に代って王となった。 + + + アマジヤは王となった時二十五歳で、二十九年の間エルサレムで世を治めた。その母はエルサレムの者で、名をエホアダンといった。 + アマジヤは主の良しと見られることを行ったが、全き心をもってではなかった。 + 彼は、国が彼の手のうちに強くなったとき、父ヨアシ王を殺害した家来たちを殺した。 + しかしその子供たちは殺さなかった。これはモーセの律法の書にしるされている所に従ったのであって、そこに主は命じて、「父は子のゆえに殺されるべきではない。子は父のゆえに殺されるべきではない。おのおの自分の罪のゆえに殺されるべきである」と言われている。 + アマジヤはユダの人々を集め、その氏族に従って、千人の長に付属させ、または百人の長に付属させた。ユダとベニヤミンのすべてに行った。そして二十歳以上の者を数えたところ、やりと盾をとって戦いに臨みうる精兵三十万人を得た。 + 彼はまた銀百タラントをもってイスラエルから大勇士十万人を雇った。 + その時、神の人が彼の所に来て言った、「王よ、イスラエルの軍勢をあなたと共に行かせてはいけません。主はイスラエルびと、すなわちエフライムのすべての人々とは共におられないからです。 + もしあなたがこのような方法で戦いに強くなろうと思うならば、神はあなたを敵の前に倒されるでしょう。神には助ける力があり、また倒す力があるからです」。 + アマジヤは神の人に言った、「それではわたしがイスラエルの軍隊に与えた百タラントをどうしましょうか」。神の人は答えた、「主はそれよりも多いものをあなたにお与えになることができます」。 + そこでアマジヤはエフライムから来て自分に加わった軍隊を分離して帰らせたので、彼らはユダに対して激しい怒りを発し、火のように怒って自分の所に帰った。 + しかしアマジヤは勇気を出し、その民を率いて塩の谷へ行き、セイルびと一万人を撃ち殺した。 + またユダの人々はこのほかに一万人をいけどり、岩の頂に引いて行って岩の頂から彼らを投げ落したので、皆こなごなに砕けた。 + ところがアマジヤが自分と共に戦いに行かせないで帰してやった兵卒らが、サマリヤからベテホロンまでの、ユダの町々を襲って三千人を殺し、多くの物を奪い取った。 + アマジヤはエドムびとを殺して帰った時、セイルびとの神々を携えてきて、これを安置して自分の神とし、これを礼拝し、これにささげ物をなした。 + それゆえ、主はアマジヤに向かって怒りを発し、預言者を彼につかわして言わせられた、「かの民の神々は自分の民をあなたの手から救うことができなかったのに、あなたはどうしてそれを求めたのか」。 + 彼がこう王に語ると、王は彼に、「われわれはあなたを王の顧問にしたのですか。やめなさい。あなたはどうして殺されようとするのですか」と言ったので、預言者はやめて言った、「あなたはこの事を行って、わたしのいさめを聞きいれないゆえ、神はあなたを滅ぼそうと定められたことをわたしは知っています」。 + そこでユダの王アマジヤは協議の結果、人をエヒウの子エホアハズの子であるイスラエルの王ヨアシにつかわし、「さあ、われわれは互に顔をあわせよう」と言わせたところ、 + イスラエルの王ヨアシはユダの王アマジヤに言い送った、「レバノンのいばらが、かつてレバノンの香柏に、『あなたの娘をわたしのむすこの妻に与えよ』と言い送ったところが、レバノンの野獣が通りかかって、そのいばらを踏み倒した。 + あなたは『見よ、わたしはエドムを撃ち破った』と言って心に誇り高ぶっている。しかしあなたは自分の家にとどまっていなさい。どうしてあなたは災を引き起して、自分もユダも共に滅びようとするのか」。 + しかしアマジヤは聞きいれなかった。これは神から出たのであって、彼らがエドムの神々を求めたので神は彼らを敵の手に渡されるためである。 + そこでイスラエルの王ヨアシは上って来て、ユダのベテシメシでユダの王アマジヤと顔を合わせたが、 + ユダはイスラエルに撃ち破られ、おのおのその天幕に逃げ帰った。 + その時イスラエルの王ヨアシはエホアハズの子ヨアシの子であるユダの王アマジヤをベテシメシで捕えて、エルサレムに引いて行き、エルサレムの城壁をエフライム門から、隅の門まで四百キュビトほどをこわし、 + また神の宮のうちで、オベデエドムが守っていたすべての金銀およびもろもろの器物ならびに王の家の財宝を奪い、また人質をとって、サマリヤに帰った。 + ユダの王ヨアシの子アマジヤはイスラエルの王エホアハズの子ヨアシが死んで後なお十五年生きながらえた。 + アマジヤのその他の始終の行為は、ユダとイスラエルの列王の書にしるされているではないか。 + アマジヤがそむいて、主に従わなくなった時から、人々はエルサレムにおいて党を結び、彼に敵したので、彼はラキシに逃げて行ったが、その人々はラキシに人をやって、彼をその所で殺させた。 + 人々はこれを馬に負わせて持ってきて、ユダの町でその先祖たちと共にこれを葬った。 + + + そこでユダの民は皆ウジヤをとって王となし、その父アマジヤに代らせた。時に十六歳であった。 + 彼はエラテを建てて、これをふたたびユダのものにした。これはかの王がその先祖たちと共に眠った後であった。 + ウジヤは王となった時十六歳で、エルサレムで五十二年の間世を治めた。その母はエルサレムの者で名をエコリヤといった。 + ウジヤは父アマジヤがしたように、すべて主の良しと見られることを行った。 + 彼は神を恐れることを自分に教えたゼカリヤの世にある日の間、神を求めることに努めた。彼が主を求めた間、神は彼を栄えさせられた。 + 彼は出てペリシテびとと戦い、ガテの城壁、ヤブネの城壁およびアシドドの城壁をくずし、アシドドの地とペリシテびとのなかに町を建てた。 + 神は彼を助けてペリシテびとと、グルバアルに住むアラビヤびとおよびメウニびとを攻め撃たせられた。 + アンモンびとはウジヤにみつぎを納めた。ウジヤは非常に強くなったので、その名はエジプトの入口までも広まった。 + ウジヤはまたエルサレムの隅の門、谷の門および城壁の曲りかどにやぐらを建てて、これを堅固にした。 + 彼はまた荒野にやぐらを建て、また多くの水ためを掘った。彼は平野にも平地にもたくさんの家畜をもっていたからである。彼はまた農事を好んだので、山々および肥えた畑には農夫とぶどうをつくる者をもっていた。 + ウジヤはまたよく戦う一軍団を持っていた。彼らは書記エイエルと、つかさマアセヤによって調べた数に従って組々に分れ、皆王の軍長のひとりハナニヤの指揮下にあった。 + その氏族の長である大勇士の数は合わせて二千六百人であった。 + その指揮下にある軍勢は三十万七千五百人で、皆大いなる力をもって戦い、王を助けて敵に当った。 + ウジヤはその全軍のために盾、やり、かぶと、よろい、弓および石投げの石を備えた。 + 彼はまたエルサレムで技術者の考案した機械を造って、これをやぐらおよび城壁のすみずみにすえ、これをもって矢および大石を射出した。こうして彼の名声は遠くまで広まった。彼が驚くほど神の助けを得て強くなったからである。 + ところが彼は強くなるに及んで、その心に高ぶり、ついに自分を滅ぼすに至った。すなわち彼はその神、主にむかって罪を犯し、主の宮にはいって香の祭壇の上に香をたこうとした。 + その時、祭司アザリヤは主の祭司である勇士八十人を率いて、彼のあとに従ってはいり、 + ウジヤ王を引き止めて言った、「ウジヤよ、主に香をたくことはあなたのなすべきことではなく、ただアロンの子孫で、香をたくために清められた祭司たちのすることです。すぐ聖所から出なさい。あなたは罪を犯しました。あなたは主なる神から栄えを得ることはできません」。 + するとウジヤは怒りを発し、香炉を手にとって香をたこうとしたが、彼が祭司に向かって怒りを発している間に、らい病がその額に起った。時に彼は主の宮で祭司たちの前、香の祭壇のかたわらにいた。 + 祭司の長アザリヤおよびすべての祭司たちが彼を見ると、彼の額にらい病が生じていたので、急いで彼をそこから追い出した。彼自身もまた主に撃たれたことを知って、急いで出て行った。 + ウジヤ王は、死ぬ日までらい病人であった。彼はらい病人であったので、離れ殿に住んだ。主の宮から断たれたからである。その子ヨタムが王の家をつかさどり、国の民を治めた。 + ウジヤのその他の始終の行為は、アモツの子預言者イザヤがこれを書きしるした。 + ウジヤは先祖たちと共に眠ったので、人々は「彼はらい病人である」と言って、王たちの墓に連なる墓地に、その先祖たちと共に葬った。その子ヨタムが彼に代って王となった。 + + + ヨタムは王となった時二十五歳で、十六年の間エルサレムで世を治めた。その母はザドクの娘で名をエルシャといった。 + ヨタムはその父ウジヤがしたように主の良しと見られることをした。しかし主の宮には、はいらなかった。民はなお悪を行った。 + 彼は主の宮の上の門を建て、オペルの石がきを多く築き増し、 + またユダの山地に数個の町を建て、林の間に城とやぐらを築いた。 + 彼はアンモンびとの王と戦ってこれに勝った。その年アンモンの人々は銀百タラント、小麦一万コル、大麦一万コルを彼に贈った。アンモンの人々は第二年にも第三年にも同じように彼に納めた。 + ヨタムはその神、主の前にその行いを堅くしたので力ある者となった。 + ヨタムのその他の行為、そのすべての戦いおよびその行いなどは、イスラエルとユダの列王の書にしるされている。 + 彼は王となった時、二十五歳で、十六年の間エルサレムで世を治めた。 + ヨタムはその先祖と共に眠ったので、ダビデの町に葬られ、その子アハズが彼に代って王となった。 + + + アハズは王となった時二十歳で、十六年の間エルサレムで世を治めたが、その父ダビデとは違って、主の良しと見られることを行わず、 + イスラエルの王たちの道に歩み、またもろもろのバアルのために鋳た像を造り、 + ベンヒンノムの谷で香をたき、その子らを火に焼いて供え物とするなど、主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人の憎むべき行いにならい、 + また高き所の上、丘の上、すべての青木の下で犠牲をささげ、香をたいた。 + それゆえ、その神、主は彼をスリヤの王の手に渡されたので、スリヤびとは彼を撃ち破り、その民を多く捕虜として、ダマスコに引いて行った。彼はまたイスラエルの王の手にも渡されたので、イスラエルの王も彼を撃ち破って大いに殺した。 + すなわちレマリヤの子ペカはユダで一日のうちに十二万人を殺した。皆勇士であった。これは彼らがその先祖の神、主を捨てたためである。 + その時、エフライムの勇士ジクリという者が王の子マアセヤ、宮内大臣アズリカムおよび王に次ぐ人エルカナを殺した。 + イスラエルの人々はついにその兄弟のうちから婦人ならびに男子、女子など二十万人を捕虜にし、また多くのぶんどり物をとり、そのぶんどり物をサマリヤに持って行った。 + その時そこに名をオデデという主の預言者があって、サマリヤに帰って来た軍勢の前に進み出て言った、「見よ、あなたがたの先祖の神、主はユダを怒って、これをあなたがたの手に渡されたが、あなたがたは天に達するほどの怒りをもってこれを殺した。 + そればかりでなく、あなたがたは今、ユダとエルサレムの人々を従わせて、自分の男女の奴隷にしようと思っている。しかしあなたがた自身もまた、あなたがたの神、主に罪を犯しているではないか。 + いまわたしに聞き、あなたがたがその兄弟のうちから捕えて来た捕虜を放ち帰らせなさい。主の激しい怒りがあなたがたの上に臨んでいるからです」。 + そこでエフライムびとのおもなる人々、すなわちヨハナンの子アザリヤ、メシレモテの子ベレキヤ、シャルムの子ヒゼキヤ、ハデライの子アマサらもまた、戦争から帰った者どもに向かって立ちあがり、 + 彼らに言った、「捕虜をここに引き入れてはならない。あなたがたはわたしどもに主に対するとがを得させて、さらにわれわれの罪とがを増し加えようとしている。われわれのとがは大きく、激しい怒りがイスラエルの上に臨んでいるからです」。 + そこで兵卒どもがその捕虜とぶんどり物をつかさたちと全会衆の前に捨てておいたので、 + 前に名をあげた人々が立って捕虜を受け取り、ぶんどり物のうちから衣服をとって、裸の者に着せ、また、くつをはかせ、食い飲みさせ、油を注ぎなどし、その弱い者を皆ろばに乗せ、こうして彼らをしゅろの町エリコに連れて行って、その兄弟たちに渡し、そしてサマリヤに帰って来た。 + その時アハズ王は人をアッスリヤの王につかわして助けを求めさせた。 + エドムびとが再び侵入してユダを撃ち、民を捕え去ったからである。 + ペリシテびともまた平野の町々およびユダのネゲブの町々を侵して、ベテシメシ、アヤロン、ゲデロテおよびソコとその村里、テムナとその村里、ギムゾとその村里を取って、そこに住んだ。 + これはイスラエルの王アハズのゆえに、主がユダを低くされたのであって、彼がユダのうちにみだらなことを行い、主に向かって大いに罪を犯したからである。 + アッスリヤの王テルガデ・ピルネセルは彼の所に来たが、彼に力を添えないで、かえって彼を悩ました。 + アハズは主の宮と王の家、およびつかさたちの家の物を取ってアッスリヤの王に与えたが、それはアハズの助けにはならなかった。 + このアハズ王はその悩みの時にあたって、ますます主に罪を犯した。 + すなわち、彼は自分を撃ったダマスコの神々に、犠牲をささげて言った、「スリヤの王たちの神々はその王たちを助けるから、わたしもそれに犠牲をささげよう。そうすれば彼らはわたしを助けるであろう」と。しかし、彼らはかえってアハズとイスラエル全国とを倒す者となった。 + アハズは神の宮の器物を集めて、神の宮の器物を切り破り、主の宮の戸を閉じ、エルサレムのすべてのすみずみに祭壇を造り、 + ユダのすべての町々に高き所を造って、他の神々に香をたきなどして、先祖の神、主の怒りを引き起した。 + アハズのその他の始終の行為およびそのすべての行動は、ユダとイスラエルの列王の書にしるされている。 + アハズはその先祖たちと共に眠ったので、エルサレムの町にこれを葬った。しかし、イスラエルの王たちの墓には持って行かなかった。その子ヒゼキヤが彼に代って王となった。 + + + ヒゼキヤは王となった時二十五歳で、二十九年の間エルサレムで世を治めた。その母はアビヤと言って、ゼカリヤの娘である。 + ヒゼキヤは父ダビデがすべてなしたように主の良しと見られることをした。 + 彼はその治世の第一年の一月に主の宮の戸を開き、かつこれを繕った。 + 彼は祭司とレビびとを連れていって、東の広場に集め、 + 彼らに言った、「レビびとよ、聞きなさい。あなたがたは今、身を清めて、あなたがたの先祖の神、主の宮を清め、聖所から汚れを除き去りなさい。 + われわれの先祖は罪を犯し、われわれの神、主の悪と見られることを行って、主を捨て、主のすまいに顔をそむけ、うしろを向けた。 + また廊の戸を閉じ、ともしびを消し、聖所でイスラエルの神に香をたかず、燔祭をささげなかった。 + それゆえ、主の怒りはユダとエルサレムに臨み、あなたがたが目に見るように、主は彼らを恐れと驚きと物笑いにされた。 + 見よ、われわれの父たちはつるぎにたおれ、われわれのむすこたち、むすめたち、妻たちはこれがために捕虜となった。 + 今わたしは、イスラエルの神、主と契約を結ぶ志をもっている。そうすればその激しい怒りは、われわれを離れるであろう。 + わが子らよ、今は怠ってはならない。主はあなたがたを選んで、主の前に立って仕えさせ、ご自分に仕える者となし、また香をたく者とされたからである」。 + そこでレビびとは立ち上がった。すなわちコハテびとの子孫のうちでは、アマサイの子マハテおよびアザリヤの子ヨエル。メラリの子孫では、アブデの子キシおよびエハレレルの子アザリヤ。ゲルションびとのうちでは、ジンマの子ヨアおよびヨアの子エデン。 + エリザパンの子孫のうちでは、シムリとエイエル。アサフの子孫のうちでは、ゼカリヤとマッタニヤ。 + ヘマンの子孫のうちでは、エヒエルとシメイ。エドトンの子孫のうちでは、シマヤとウジエルである。 + 彼らはその兄弟たちを集めて身を清め、主の言葉による王の命令に従って、主の宮を清めるためにはいって来た。 + 祭司たちが主の宮の奥にはいってこれを清め、主の宮にあった汚れた物をことごとく主の宮の庭に運び出すと、レビびとはそれを受けて外に出し、キデロン川に持って行った。 + 彼らは正月の元日に清めることを始めて、その月の八日に主の宮の廊に達した。それから主の宮を清めるのに八日を費し、正月の十六日にこれを終った。 + そこで彼らはヒゼキヤ王の所へ行って言った、「われわれは主の宮をことごとく清め、また燔祭の壇とそのすべての器物、および供えのパンの机とそのすべての器物とを清めました。 + またアハズ王がその治世に罪を犯して捨てたすべての器物をも整えて清めました。それらは主の祭壇の前にあります」。 + そこでヒゼキヤ王は朝早く起きいで、町のつかさたちを集めて、主の宮に上って行き、 + 雄牛七頭、雄羊七頭、小羊七頭、雄やぎ七頭を引いてこさせ、国と聖所とユダのためにこれを罪祭とし、アロンの子孫である祭司たちに命じてこれを主の祭壇の上にささげさせた。 + すなわち、雄牛をほふると、祭司たちはその血を受けて祭壇にふりかけ、また雄羊をほふると、その血を祭壇にふりかけ、また小羊をほふると、その血を祭壇にふりかけた。 + そして罪祭の雄やぎを王と会衆の前に引いて来たので、彼らはその上に手を置いた。 + そして祭司たちはこれをほふり、その血を罪祭として祭壇の上にささげてイスラエル全国のためにあがないをした。これは王がイスラエル全国のために燔祭および罪祭をささげることを命じたためである。 + 王はまたレビびとを主の宮に置き、ダビデおよび王の先見者ガドと預言者ナタンの命令に従って、これにシンバル、立琴および琴をとらせた。これは主がその預言者によって命じられたところである。 + こうしてレビびとはダビデの楽器をとり、祭司はラッパをとって立った。 + そこでヒゼキヤは燔祭を祭壇の上にささげることを命じた。燔祭をささげ始めた時、主の歌をうたい、ラッパを吹き、イスラエルの王ダビデの楽器をならし始めた。 + そして会衆は皆礼拝し、歌うたう者は歌をうたい、ラッパ手はラッパを吹き鳴らし、燔祭が終るまですべてこのようであったが、 + ささげる事が終ると、王および彼と共にいた者はみな身をかがめて礼拝した。 + またヒゼキヤ王およびつかさたちはレビびとに命じて、ダビデと先見者アサフの言葉をもって主をさんびさせた。彼らは喜んでさんびし、頭をさげて礼拝した。 + その時、ヒゼキヤは言った、「あなたがたはすでに主に仕えるために身を清めたのであるから、進みよって、主の宮に犠牲と感謝の供え物を携えて来なさい」と。そこで会衆は犠牲と感謝の供え物を携えて来た。また志ある者は皆燔祭を携えて来た。 + 会衆の携えて来た燔祭の数は雄牛七十頭、雄羊百頭、小羊二百頭、これらは皆主に燔祭としてささげるものであった。 + また奉納物は牛六百頭、小羊三千頭であった。 + ところが祭司が少なくてその燔祭の物の皮を、はぎつくすことができなかったので、その兄弟であるレビびとがこれを助けて、そのわざをなし終え、その間に他の祭司たちは身を清めた。これはレビびとが祭司たちよりも、身を清めることに、きちょうめんであったからである。 + このほかおびただしい燔祭があり、また、酬恩祭の脂肪および燔祭の灌祭もあった。こうして、主の宮の勤めは回復された。 + この事は、にわかになされたけれども、神がこのように民のために備えをされたので、ヒゼキヤおよびすべての民は喜んだ。 + + + ヒゼキヤはイスラエルとユダにあまねく人をつかわし、また手紙をエフライムとマナセに書き送り、エルサレムにある主の宮に来て、イスラエルの神、主に過越の祭を行うように勧めた。 + 王はすでにつかさたちおよびエルサレムにおる全会衆に計って、二月に過越の祭を行うことを定めた。 + ――これは身を清めた祭司の数が足らず、民もまた、エルサレムに集まらなかったので、正月にこれを行うことができなかったからである―― + この事が、王にも全会衆にも良かったので、 + この事を定めて、ベエルシバからダンまでイスラエルにあまねくふれ示し、エルサレムに来て、イスラエルの神、主に過越の祭を行うことを勧めた。これはしるされているように、これを行う者が多くなかったゆえである。 + そこで飛脚たちは、王とそのつかさたちから受けた手紙をもって、イスラエルとユダをあまねく行き巡り、王の命を伝えて言った、「イスラエルの人々よ、あなたがたはアブラハム、イサク、イスラエルの神、主に立ち返りなさい。そうすれば主は、アッスリヤの王たちの手からのがれた残りのあなたがたに、帰られるでしょう。 + あなたがたの父たちおよび兄弟たちのようになってはならない。彼らはその先祖たちの神、主にむかって罪を犯したので、あなたがたの見るように主は彼らを滅びに渡されたのです。 + あなたがたの父たちのように強情にならないで、主に帰服し、主がとこしえに聖別された聖所に入り、あなたがたの神、主に仕えなさい。そうすれば、その激しい怒りがあなたがたを離れるでしょう。 + もしあなたがたが主に立ち返るならば、あなたがたの兄弟および子供は、これを捕えていった者の前にあわれみを得て、この国に帰ることができるでしょう。あなたがたの神、主は恵みあり、あわれみある方であられるゆえ、あなたがたが彼に立ち返るならば、顔をあなたがたにそむけられることはありません」。 + このように飛脚たちは、エフライムとマナセの国にはいって、町から町に行き巡り、ついに、ゼブルンまで行ったが、人々はこれをあざけり笑った。 + ただしアセル、マナセ、ゼブルンのうちには身を低くして、エルサレムにきた人々もあった。 + またユダにおいては神の手が人々に一つ心を与えて、王とつかさたちが主の言葉によって命じたことを行わせた。 + こうして二月になって、多くの民は、種入れぬパンの祭を行うためエルサレムに集まったが、非常に大きな会衆であった。 + 彼らは立ってエルサレムにあるもろもろの祭壇を取り除き、またすべての香をたく祭壇を取り除いてキデロン川に投げすて、 + 二月の十四日に過越の小羊をほふった。そこで祭司たちおよびレビびとはみずから恥じ、身を清めて主の宮に燔祭を携えて来た。 + 彼らは神の人モーセの律法に従い、いつものようにその所に立ち、祭司たちは、レビびとの手から血を受けて注いだ。 + 時に、会衆のうちにまだ身を清めていない者が多かったので、レビびとはその清くないすべての人々に代って過越の小羊をほふり、主に清めてささげた。 + 多くの民すなわちエフライム、マナセ、イッサカル、ゼブルンからきた多くの者はまだ身を清めていないのに、書きしるされたとおりにしないで過越の物を食べた。それでヒゼキヤは、彼らのために祈って言った、「恵みふかき主よ、彼らをゆるしてください。 + 彼らは聖所の清めの規定どおりにしなかったけれども、その心を傾けて神を求め、その先祖の神、主を求めたのです」。 + 主はヒゼキヤに聞いて、民をいやされた。 + そこでエルサレムに来ていたイスラエルの人々は大いなる喜びをいだいて、七日のあいだ種入れぬパンの祭を行った。またレビびとと祭司たちは日々に主をさんびし、力をつくして主をたたえた。 + そしてヒゼキヤは主の勤めによく通じているすべてのレビびとを深くねぎらった。こうして人々は酬恩祭の犠牲をささげ、その先祖の神、主に感謝して、七日のあいだ祭の供え物を食べた。 + なお全会衆は相はかって、さらに七日のあいだ祭を守ることを定め、喜びをもってまた七日のあいだ守った。 + 時にユダの王ヒゼキヤは雄牛一千頭、羊七千頭を会衆に贈り、また、つかさたちは雄牛一千頭、羊一万頭を会衆に贈った。祭司もまた多く身を清めた。 + ユダの全会衆および祭司、レビびと、ならびにイスラエルからきた全会衆、およびイスラエルの地からきた他国人と、ユダに住む他国人は皆喜んだ。 + このようにエルサレムに大いなる喜びがあった。イスラエルの王ダビデの子ソロモンの時からこのかた、このような事はエルサレムになかった。 + このとき祭司たちとレビびとは立って、民を祝福したが、その声は聞かれ、その祈は主の聖なるすみかである天に達した。 + + + この事がすべて終った時、そこにいたイスラエルびとは皆、ユダの町々に出て行って、石柱を砕き、アシラ像を切り倒し、ユダとベニヤミンの全地、およびエフライムとマナセにある高き所と祭壇とを取りこわし、ついにこれをことごとく破壊した。そしてイスラエルの人々はおのおのその町々、その所領に帰った。 + ヒゼキヤは祭司およびレビびとの班を定め、班ごとにおのおのその勤めに従って、祭司とレビびとに燔祭と酬恩祭をささげさせ、主の営の門で勤めをし、感謝をし、さんびをさせた。 + また燔祭のために自分の財産のうちから王の分を出した。すなわち朝夕の燔祭および安息日、新月、定めの祭などの燔祭のために出して、主の律法にしるされているとおりにした。 + またエルサレムに住む民に、祭司とレビびとにその分を与えることを命じた。これは彼らをして主の律法に身をゆだねさせるためである。 + その命令が伝わるやいなや、イスラエルの人々は穀物、酒、油、蜜ならびに畑のもろもろの産物の初物を多くささげ、またすべての物の十分の一をおびただしく携えて来た。 + ユダの町々に住んでいたイスラエルとユダの人々もまた牛、羊の十分の一ならびにその神、主にささげられた奉納物を携えて来て、これを積み重ねた。 + 三月にこれを積み重ねることを始め、七月にこれを終った。 + ヒゼキヤおよびつかさたちは来て、その積み重ねた物を見、主とその民イスラエルを祝福した。 + そしてヒゼキヤがその積み重ねた物について祭司およびレビびとに問い尋ねた時、 + ザドクの家から出た祭司の長アザリヤは彼に答えて言った、「民が主の宮に供え物を携えて来ることを始めてからこのかた、われわれは飽きるほど食べたが、たくさん残りました。主がその民を恵まれたからです。それでわれわれは、このように多くの残った物をもっているのです」。 + そこでヒゼキヤは主の宮のうちに室を設けることを命じたので、彼らはこれを設け、 + その供え物の十分の一および奉納物を忠実に携え入れた。これをつかさどる者のかしらはレビびとコナニヤで、その兄弟シメイは彼に次ぐ者となり、 + エヒエル、アザジヤ、ナハテ、アサヘル、エレモテ、ヨザバデ、エリエル、イスマキヤ、マハテ、ベナヤらは、ヒゼキヤ王および神の宮のつかさアザリヤの任命によって、コナニヤおよびその兄弟シメイを助けて、その監督者となった。 + 東の門を守る者レビびとイムナの子コレは、神にささげる自発のささげ物をつかさどり、主の供え物および最も聖なる物を分配した。 + 彼を助ける者はエデン、ミニヤミン、エシュア、シマヤ、アマリヤおよびシカニヤで、皆祭司の町々でその兄弟たちに、班によって、老若ひとしく忠実に分配した。 + ただしすべて登録された三歳以上の男子で主の宮に入り、その班に従って日々の職分をつくし、その受持の勤めをなす者は除かれた。 + 祭司の登録はその氏族によってなされ、二十歳以上のレビびとの登録はその班により、その受持にしたがってなされた。 + また祭司はその幼な子、その妻、そのむすこ、その娘、全会衆と共に登録した。彼らは忠実に身を聖なる事にささげたからである。 + また町々の放牧地におるアロンの子孫である祭司たちのためには、町ごとに人を名ざし選んで、祭司のうちのすべての男およびレビびとのうちの登録されたすべての者に、その分を与えさせた。 + ヒゼキヤはユダ全国にこのようにし、良い事、正しい事、忠実な事をその神、主の前に行った。 + 彼がその神を求めるために神の宮の務につき、律法につき、戒めについて始めたわざは、ことごとく心をつくして行い、これをなし遂げた。 + + + ヒゼキヤがこれらの事を忠実に行った後、アッスリヤの王セナケリブが来てユダに侵入し、堅固な町々に向かって陣を張り、これを攻め取ろうとした。 + ヒゼキヤはセナケリブが来て、エルサレムを攻めようとするのを見たので、 + そのつかさたちおよび勇士たちと相談して、町の外にある泉の水を、ふさごうとした。彼らはこれを助けた。 + 多くの民は集まって、すべての泉および国の中を流れる谷川をふさいで言った、「アッスリヤの王たちがきて、多くの水を得られるようなことをしておいていいだろうか」。 + ヒゼキヤはまた勇気を出して、破れた城壁をことごとく築き直して、その上にやぐらを建て、その外にまた城壁を巡らし、ダビデの町のミロを堅固にし、武器および盾を多く造り、 + 軍長を民の上に置き、町の門の広場に民を集めて、これを励まして言った、 + 「心を強くし、勇みたちなさい。アッスリヤの王をも、彼と共にいるすべての群衆をも恐れてはならない。おののいてはならない。われわれと共におる者は彼らと共におる者よりも大いなる者だからである。 + 彼と共におる者は肉の腕である。しかしわれわれと共におる者はわれわれの神、主であって、われわれを助け、われわれに代って戦われる」。民はユダの王ヒゼキヤの言葉に安心した。 + この後アッスリヤの王セナケリブはその全軍をもってラキシを囲んでいたが、その家来をエルサレムにつかわして、ユダの王ヒゼキヤおよびエルサレムにいるすべてのユダの人に告げさせて言った、 + 「アッスリヤの王セナケリブはこう言います、『あなたがたは何を頼んでエルサレムにこもっているのか。 + ヒゼキヤは「われわれの神、主がアッスリヤの王の手から、われわれを救ってくださる」と言って、あなたがたをそそのかし、飢えと、かわきをもって、あなたがたを死なせようとしているのではないか。 + このヒゼキヤは主のもろもろの高き所と祭壇を取り除き、ユダとエルサレムに命じて、「あなたがたはただ一つの祭壇の前で礼拝し、その上に犠牲をささげなければならない」と言った者ではないか。 + あなたがたは、わたしおよびわたしの先祖たちが、他の国々のすべての民にしたことを知らないのか。それらの国々の民の神々は、少しでもその国を、わたしの手から救い出すことができたか。 + わたしの先祖たちが滅ぼし尽したそれらの国民のもろもろの神のうち、だれか自分の民をわたしの手から救い出すことのできたものがあるか。それで、どうしてあなたがたの神が、あなたがたをわたしの手から救い出すことができよう。 + それゆえ、あなたがたはヒゼキヤに欺かれてはならない。そそのかされてはならない。また彼を信じてはならない。いずれの民、いずれの国の神もその民をわたしの手、または、わたしの先祖の手から救いだすことができなかったのだから、ましてあなたがたの神が、どうしてわたしの手からあなたがたを救いだすことができようか』」。 + セナケリブの家来は、このほかにも多く主なる神、およびそのしもべヒゼキヤをそしった。 + セナケリブはまた手紙を書き送って、イスラエルの神、主をあざけり、かつそしって言った、「諸国の民の神々が、その民をわたしの手から救い出さなかったように、ヒゼキヤの神も、その民をわたしの手から救い出さないであろう」と。 + そして彼らは大声をあげ、ユダヤの言葉をもって、城壁の上にいるエルサレムの民に向かって叫び、これをおどし、かつおびやかした。彼らは町を取るためである。 + このように彼らがエルサレムの神について語ること、人の手のわざである地上の民の神々について語るようであった。 + そこでヒゼキヤ王およびアモツの子預言者イザヤは共に祈って、天に呼ばわったので、 + 主はひとりのみ使をつかわして、アッスリヤ王の陣営にいるすべての大勇士と将官、軍長らを滅ぼされた。それで王は赤面して自分の国に帰ったが、その神の家にはいった時、その子のひとりが、つるぎをもって彼をその所で殺した。 + このように主は、ヒゼキヤとエルサレムの住民をアッスリヤの王セナケリブの手およびすべての敵の手から救い出し、いたる所で彼らを守られた。 + そこで多くの人々はささげ物をエルサレムに携えてきて主にささげ、また宝物をユダの王ヒゼキヤに贈った。この後ヒゼキヤは万国の民に尊ばれた。 + そのころ、ヒゼキヤは病んで死ぬばかりであったが、主に祈ったので、主はこれに答えて、しるしを賜わった。 + しかしヒゼキヤはその受けた恵みに報いることをせず、その心が高ぶったので、怒りが彼とユダおよびエルサレムに臨もうとしたが、 + ヒゼキヤはその心の高ぶりを悔いてへりくだり、またエルサレムの住民も同様にしたので、主の怒りは、ヒゼキヤの世には彼らに臨まなかった。 + ヒゼキヤは富と栄誉をきわめ、宝蔵を造って、金、銀、宝石、香料、盾および各種の尊い器物をおさめ、 + また倉庫を造って穀物、酒、油などの産物をおさめ、小屋を造って種々の家畜を置き、おりを造って羊の群れを置き、 + また多数の町を設け、かつ羊と牛をおびただしく所有した。神が非常に多くの貨財を彼に賜わったからである。 + このヒゼキヤはまたギホンの水の上の源をふさいで、これをダビデの町の西の方にまっすぐに引き下した。このようにヒゼキヤはそのすべてのわざをなし遂げた。 + しかしバビロンの君たちが使者をつかわして、この国にあった、しるしについて尋ねさせた時には、神は彼を試みて、彼の心にあることを、ことごとく知るために彼を捨て置かれた。 + ヒゼキヤのその他の行為およびその徳行は、アモツの子預言者イザヤの黙示とユダとイスラエルの列王の書にしるされている。 + ヒゼキヤはその先祖たちと共に眠ったので、ダビデの子孫の墓のうちの高い所に葬られた。ユダの人々およびエルサレムの住民は皆その死に当って彼に敬意を表した。その子マナセが彼に代って王となった。 + + + マナセは十二歳で王となり、五十五年の間エルサレムで世を治めた。 + 彼は主がイスラエルの人々の前から追い払われた国々の民の憎むべき行いに見ならって、主の目の前に悪を行った。 + すなわち、その父ヒゼキヤがこわした高き所を再び築き、またもろもろのバアルのために祭壇を設け、アシラ像を造り、天の万象を拝んで、これに仕え、 + また主が「わが名は永遠にエルサレムにある」と言われた主の宮のうちに数個の祭壇を築き、 + 主の宮の二つの庭に天の万象のために祭壇を築いた。 + 彼はまたベンヒンノムの谷でその子供を火に焼いて供え物とし、占いをし、魔法をつかい、まじないを行い、口寄せと、占い師を任用するなど、主の前に多くの悪を行って、その怒りをひき起した。 + 彼はまた刻んだ偶像を造って神の宮に安置した。神はこの宮についてダビデとその子ソロモンに言われたことがある、「わたしはこの宮と、わたしがイスラエルのすべての部族のうちから選んだエルサレムとに、わたしの名を永遠に置く。 + 彼らがもし、わたしがすべて命じた事、すなわち、モーセが伝えたすべての律法と定めとおきてとを慎んで行うならば、わたしがあなたがたの先祖のために定めた地から、重ねてイスラエルの足を移すことをしない」と。 + マナセはこのようにユダとエルサレムの住民を迷わせ、主がイスラエルの人々の前に滅ぼされた国々の民にもまさって悪を行わせた。 + 主はマナセおよびその民に告げられたが、彼らは心に留めなかった。 + それゆえ、主はアッスリヤの王の軍勢の諸将をこれに攻めこさせられたので、彼らはマナセをかぎで捕え、青銅のかせにつないで、バビロンに引いて行った。 + 彼は悩みにあうに及んで、その神、主に願い求め、その先祖の神の前に大いに身を低くして、 + 神に祈ったので、神はその祈を受けいれ、その願いを聞き、彼をエルサレムに連れ帰って、再び国に臨ませられた。これによってマナセは主こそ、まことに神にいますことを知った。 + この後、彼はダビデの町の外の石がきをギホンの西の方の谷のうちに築き、魚の門の入口にまで及ぼし、またオペルに石がきをめぐらして、非常に高くこれを築き上げ、ユダのすべての堅固な町に軍長を置き、 + また主の宮から、異邦の神々および偶像を取り除き、主の宮の山とエルサレムに自分で築いたすべての祭壇を取り除いて、町の外に投げ捨て、 + 主の祭壇を築き直して、酬恩祭および感謝の犠牲を、その上にささげ、ユダに命じてイスラエルの神、主に仕えさせた。 + しかし民は、なお高き所で犠牲をささげた。ただしその神、主にのみささげた。 + マナセのそのほかの行為、その神にささげた祈、およびイスラエルの神、主の名をもって彼に告げた先見者たちの言葉は、イスラエルの列王の記録のうちにしるされている。 + またその祈と、祈の聞かれた事、そのもろもろの罪と、とが、その身を低くする前に高き所を築いて、アシラ像および刻んだ像を立てた場所などは、先見者の記録のうちにしるされている。 + マナセはその先祖たちと共に眠ったので、その家に葬られた。その子アモンが彼に代って王となった。 + アモンは王となった時二十二歳で、二年の間エルサレムで世を治めた。 + 彼はその父マナセのしたように主の前に悪を行った。すなわちアモンはその父マナセが造ったもろもろの刻んだ像に犠牲をささげて、これに仕え、 + その父マナセが身を低くしたように主の前に身を低くしなかった。かえってこのアモンは、いよいよそのとがを増した。 + その家来たちは党を結んで彼にそむき、彼をその家で殺した。 + しかし国の民は、党を結んでアモン王にそむいた者どもをことごとく撃ち殺した。そして国の民はその子ヨシヤを王となして、そのあとを継がせた。 + + + ヨシヤは八歳のとき王となり、エルサレムで三十一年の間世を治めた。 + 彼は主の良しと見られることをなし、その父ダビデの道を歩んで、右にも左にも曲らなかった。 + 彼はまだ若かったが、その治世の第八年に父ダビデの神を求めることを始め、その十二年には高き所、アシラ像、刻んだ像、鋳た像などを除いて、ユダとエルサレムを清めることを始め、 + もろもろのバアルの祭壇を、自分の前で打ちこわさせ、その上に立っていた香の祭壇を切り倒し、アシラ像、刻んだ像、鋳た像を打ち砕いて粉々にし、これらの像に犠牲をささげた者どもの墓の上にそれをまき散らし、 + 祭司らの骨をそのもろもろの祭壇の上で焼き、こうしてユダとエルサレムを清めた。 + またマナセ、エフライム、シメオンおよびナフタリの荒れた町々にもこのようにし、 + もろもろの祭壇をこわし、アシラ像およびもろもろの刻んだ像を粉々に打ち砕き、イスラエル全国の香の祭壇をことごとく切り倒して、エルサレムに帰った。 + ヨシヤはその治世の十八年に、国と宮とを清めた時、その神、主の宮を繕わせようと、アザリヤの子シャパン、町のつかさマアセヤおよびヨアハズの子史官ヨアをつかわした。 + 彼らは大祭司ヒルキヤのもとへ行って、神の宮にはいった金を渡した。これは門を守るレビびとがマナセ、エフライムおよびその他のすべてのイスラエル、ならびにユダとベニヤミンのすべての人、およびエルサレムの住民の手から集めたものである。 + 彼らはこれを主の宮を監督する職工らの手に渡したので、主の宮で働く職工らは、これを宮を繕い直すために支払った。 + すなわち、大工および建築者にこれを渡して、ユダの王たちが破った建物のために、切り石および骨組の材木を買わせ、梁材を整えさせた。 + その人々は忠実に仕事をした。その監督者はメラリの子孫であるレビびとヤハテとオバデヤ、およびコハテびとの子孫であるゼカリヤとメシュラムであって、工事をつかさどった。また楽器に巧みなレビびとがこれに伴った。 + 彼らはまた荷を負う者を監督し、様々の仕事に働くすべての者をつかさどった。また他のレビびとは書記となり、役人となり、また門衛となった。 + さて彼らが主の宮にはいった金を取りだした時、祭司ヒルキヤはモーセの伝えた主の律法の書を発見した。 + そこでヒルキヤは書記官シャパンに言った、「わたしは主の宮で律法の書を発見しました」と。そしてヒルキヤはその書をシャパンに渡した。 + シャパンはその書を王のもとに持って行き、さらに王に復命して言った、「しもべらはゆだねられた事をことごとくなし、 + 主の宮にあった金をあけて、監督者の手および職工の手に渡しました」。 + 書記官シャパンはまた王に告げて、「祭司ヒルキヤはわたしに一つの書物を渡しました」と言い、シャパンはそれを王の前で読んだ。 + 王はその律法の言葉を聞いて衣を裂いた。 + そして王はヒルキヤおよびシャパンの子アヒカムとミカの子アブドンと書記官シャパンと王の家来アサヤとに命じて言った、 + 「あなたがたは行って、この発見された書物の言葉についてわたしのために、またイスラエルとユダの残りの者のために主に問いなさい。われわれの先祖たちが主の言葉を守らず、すべてこの書物にしるされていることを行わなかったので、主はわれわれに大いなる怒りを注がれるからです」。 + そこでヒルキヤおよび王のつかわした人々は、シャルムの妻である女預言者ホルダのもとへ行った。シャルムはハスラの子であるトクハテの子で、衣装を守る者である。時にホルダは、エルサレムの第二区に住んでいた。彼らはホルダにその趣意を語ったので、 + ホルダは彼らに言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられます、『あなたがたをわたしにつかわした人に告げなさい。 + 主はこう仰せられます。見よ、わたしはユダの王の前で読んだ書物にしるされているもろもろののろい、すなわち災をこの所と、ここに住む者に下す。 + 彼らはわたしを捨てて、他の神々に香をたき、自分の手で造ったもろもろの物をもって、わたしの怒りを引き起そうとしたからである。それゆえ、わたしの怒りは、この所に注がれて消えない。 + しかしあなたがたをつかわして、主に問わせるユダの王にはこう言いなさい。イスラエルの神、主はこう仰せられる。あなたが聞いた言葉については、 + この所と、ここに住む者を責める神の言葉を、あなたが聞いた時、心に悔い、神の前に身をひくくし、わたしの前にへりくだり、衣を裂いて、わたしの前に泣いたので、わたしもまた、あなたに聞いた、と主は言われる。 + 見よ、わたしはあなたを先祖たちのもとに集める。あなたは安らかにあなたの墓に集められる。あなたはわたしがこの所と、ここに住む者に下すもろもろの災を目に見ることがない』と」。彼らは王に復命した。 + そこで王は人をつかわしてユダとエルサレムの長老をことごとく集め、 + そして王は主の宮に上って行った。ユダのすべての人々、エルサレムの住民、祭司、レビびと、およびすべての民は、老いた者も若い者もことごとく彼に従った。そこで王は主の宮で発見した契約の書の言葉を、ことごとく彼らの耳に読み聞かせ、 + そして王は自分の所に立って、主の前に契約を立て、主に従って歩み、心をつくし、精神をつくして、その戒めと、あかしと定めとをまもり、この書にしるされた契約の言葉を行おうと言い、 + エルサレムおよびベニヤミンの人々を皆これに加わらせた。エルサレムの住民は先祖の神であるその神の契約にしたがって行った。 + ヨシヤはイスラエルの人々に属するすべての地から、憎むべきものをことごとく取り除き、イスラエルにいるすべての人をその神、主に仕えさせた。ヨシヤが世にある日の間は、彼らは先祖の神、主に従って離れなかった。 + + + ヨシヤはエルサレムで主に過越の祭を行った。すなわち正月の十四日に過越の小羊をほふらせ、 + 祭司にその職務をとり行わせ、彼らを励まして主の宮の務をさせ、 + また主の聖なる者となってすべてのイスラエルびとを教えるレビびとに言った、「あなたがたはイスラエルの王ダビデの子ソロモンの建てた宮に、聖なる箱を置きなさい。再びこれを肩にになうに及ばない。あなたがたの神、主およびその民イスラエルに仕えなさい。 + あなたがたはイスラエルの王ダビデの書、およびその子ソロモンの書に基いて氏族にしたがい、その班によって、みずから備えをなし、 + あなたがたの兄弟である民の人々の氏族の区分にしたがって聖所に立ち、このためにレビびとの氏族の分が欠けることのないようにしなさい。 + あなたがたは過越の小羊をほふり、身を清め、あなたがたの兄弟のために備えをし、モーセが伝えた主の言葉にしたがって行いなさい」。 + ヨシヤは、小羊および子やぎを民の人々に贈った。これは皆その所にいるすべての人のための過越の供え物であって、その数三万、また雄牛三千を贈った。それらは王の所有から出したのである。 + そのつかさたちも民と祭司とレビびとに真心から贈った。また神の宮のつかさたちヒルキヤ、ゼカリヤ、エヒエルも小羊と子やぎ二千六百頭、牛三百頭を祭司に与えて過越の供え物とした。 + またレビびとの長である人々すなわちコナニヤおよびその兄弟シマヤ、ネタンエルならびにハシャビヤ、エイエル、ヨザバデなども小羊と子やぎ五千頭、牛五百頭をレビびとに贈って過越の供え物とした。 + このように勤めのことが備わったので、王の命に従って祭司たちはその持ち場に立ち、レビびとはその班に従って仕え、 + やがて過越の小羊がほふられたので、祭司はその血を受け取って注いだ。レビびとはその皮をはいだ。 + それから燔祭の物をとり分け、それを民の人々の氏族の区分に従って渡し、主にささげさせた。これはモーセの書にしるされたとおりである。また牛をもこのようにした。 + そして定めに従って過越の小羊を火であぶり、その他の聖なる供え物を深なべ、かま、浅なべなどに煮て、急いですべての民の人々にくばった。 + その後、彼らは自分のためと、祭司たちのために備えをした。アロンの子孫である祭司たちは、燔祭と脂肪をささげるのに忙しくて、夜になったからである。それでレビびとは自分たちのためと、アロンの子孫である祭司たちのために備えたのである。 + アサフの子孫である歌うたう者たちは、ダビデ、アサフ、ヘマンおよび王の先見者エドトンの命に従ってその持ち場におり、門衛たちはおのおの門にいて、その職務を離れるに及ばなかった。兄弟であるレビびとが彼らのために備えたからである。 + このようにその日、主の勤めの事がことごとく備わったので、ヨシヤ王の命に従って過越の祭を行い、主の祭壇に燔祭をささげた。 + ここに来ていたイスラエルの人々は、そのとき過越の祭を行い、また七日の間、種入れぬパンの祭を行った。 + 預言者サムエルの日からこのかた、イスラエルでこのような過越の祭を行ったことはなかった。またイスラエルの諸王のうちには、ヨシヤが、祭司、レビびと、ならびにそこに来たユダとイスラエルのすべての人々、およびエルサレムの住民と共に行ったような過越の祭を行った者はひとりもなかった。 + この過越の祭はヨシヤの治世の第十八年に行われた。 + このようにヨシヤが宮を整えた後、エジプトの王ネコはユフラテ川のほとりにあるカルケミシで戦うために上ってきたので、ヨシヤはこれを防ごうと出て行った。 + しかしネコは彼に使者をつかわして言った、「ユダの王よ、われわれはお互に何のあずかるところがありますか。わたしはきょう、あなたを攻めようとして来たのではありません。わたしの敵の家を攻めようとして来たのです。神がわたしに命じて急がせています。わたしと共におられる神に逆らうことをやめなさい。そうしないと、神はあなたを滅ぼされるでしょう」。 + しかしヨシヤは引き返すことを好まず、かえって彼と戦うために、姿を変え、神の口から出たネコの言葉を聞きいれず、行ってメギドの谷で戦ったが、 + 射手の者どもがヨシヤを射あてたので、王はその家来たちに、「わたしを助け出せ。わたしはひどく傷ついた」と言った。 + そこで家来たちは彼を車から助け出し、王のもっていた第二の車に乗せてエルサレムにつれて行ったが、ついに死んだので、その先祖の墓にこれを葬った。そしてユダとエルサレムは皆ヨシヤのために悲しんだ。 + 時にエレミヤはヨシヤのために哀歌を作った。歌うたう男、歌うたう女は今日に至るまで、その哀歌のうちにヨシヤのことを述べ、イスラエルのうちにこれを例とした。これは哀歌のうちにしるされている。 + ヨシヤのその他の行為、主の律法にしるされた所に従って行った徳行、 + およびその始終の行いなどは、イスラエルとユダの列王の書にしるされている。 + + + 国の民はヨシヤの子エホアハズを立て、エルサレムでその父に代って王とならせた。 + エホアハズは王となった時二十三歳で、エルサレムで三月の間、世を治めたが、 + エジプトの王はエルサレムで彼を廃し、かつ銀百タラント、金一タラントの罰金を国に課した。 + そしてエジプト王は彼の兄弟エリアキムをユダとエルサレムの王とし、その名をエホヤキムと改め、その兄弟エホアハズを捕えてエジプトへ引いて行った。 + エホヤキムは王となった時二十五歳で、十一年の間エルサレムで世を治めた。彼はその神、主の前に悪を行った。 + 時に、バビロンの王ネブカデネザルが彼の所に攻め上り、彼をバビロンに引いて行こうとして、かせにつないだ。 + ネブカデネザルはまた主の宮の器物をバビロンに運んで行って、バビロンにあるその宮殿にそれをおさめた。 + エホヤキムのその他の行為、その行った憎むべき事および彼がひそかに行った事などは、イスラエルとユダの列王の書にしるされている。その子エホヤキンが彼に代って王となった。 + エホヤキンは王となった時八歳で、エルサレムで三月と十日の間、世を治め、主の前に悪を行った。 + 年が改まり春になって、ネブカデネザル王は人をつかわして、彼を主の宮の尊い器物と共にバビロンに連れて行かせ、その兄弟ゼデキヤをユダとエルサレムの王とした。 + ゼデキヤは王となった時二十一歳で、十一年の間エルサレムで世を治めた。 + 彼はその神、主の前に悪を行い、主の言葉を伝える預言者エレミヤの前に、身をひくくしなかった。 + 彼はまた、彼に神をさして誓わせたネブカデネザル王にもそむいた。彼は強情で、その心をかたくなにして、イスラエルの神、主に立ち返らなかった。 + 祭司のかしらたちおよび民らもまた、すべて異邦人のもろもろの憎むべき行為にならって、はなはだしく罪を犯し、主がエルサレムに聖別しておかれた主の宮を汚した。 + その先祖の神、主はその民と、すみかをあわれむがゆえに、しきりに、その使者を彼らにつかわされたが、 + 彼らが神の使者たちをあざけり、その言葉を軽んじ、その預言者たちをののしったので、主の怒りがその民に向かって起り、ついに救うことができないようになった。 + そこで主はカルデヤびとの王を彼らに攻めこさせられたので、彼はその聖所の家でつるぎをもって若者たちを殺し、若者をも、処女をも、老人をも、しらがの者をもあわれまなかった。主は彼らをことごとく彼の手に渡された。 + 彼は神の宮のもろもろの大小の器物、主の宮の貨財、王とそのつかさたちの貨財など、すべてこれをバビロンに携えて行き、 + 神の宮を焼き、エルサレムの城壁をくずし、そのうちの宮殿をことごとく火で焼き、そのうちの尊い器物をことごとくこわした。 + 彼はまたつるぎをのがれた者どもを、バビロンに捕えて行って、彼とその子らの家来となし、ペルシャの国の興るまで、そうして置いた。 + これはエレミヤの口によって伝えられた主の言葉の成就するためであった。こうして国はついにその安息をうけた。すなわちこれはその荒れている間、安息して、ついに七十年が満ちた。 + ペルシャ王クロスの元年に当り、主はエレミヤの口によって伝えた主の言葉を成就するため、ペルシャ王クロスの霊を感動されたので、王はあまねく国中にふれ示し、またそれを書き示して言った、 + 「ペルシャの王クロスはこう言う、『天の神、主は地上の国々をことごとくわたしに賜わって、主の宮をユダにあるエルサレムに建てることをわたしに命じられた。あなたがたのうち、その民である者は皆、その神、主の助けを得て上って行きなさい』」。 + +
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+ + ペルシャ王クロスの元年に、主はさきにエレミヤの口によって伝えられた主の言葉を成就するため、ペルシャ王クロスの心を感動されたので、王は全国に布告を発し、また詔書をもって告げて言った、 + 「ペルシャ王クロスはこのように言う、天の神、主は地上の国々をことごとくわたしに下さって、主の宮をユダにあるエルサレムに建てることをわたしに命じられた。 + あなたがたのうち、その民である者は皆その神の助けを得て、ユダにあるエルサレムに上って行き、イスラエルの神、主の宮を復興せよ。彼はエルサレムにいます神である。 + すべて生き残って、どこに宿っている者でも、その所の人々は金、銀、貨財、家畜をもって助け、そのほかにまたエルサレムにある神の宮のために真心よりの供え物をささげよ」。 + そこでユダとベニヤミンの氏族の長、祭司およびレビびとなど、すべて神にその心を感動された者は、エルサレムにある主の宮を復興するために上って行こうと立ち上がった。 + その周囲の人々は皆、銀の器、金、貨財、家畜および宝物を与えて彼らを力づけ、そのほかにまた、もろもろの物を惜しげなくささげた。 + クロス王はまたネブカデネザルが、さきにエルサレムから携え出して自分の神の宮に納めた主の宮の器を取り出した。 + すなわちペルシャ王クロスは倉づかさミテレダテの手によってこれを取り出して、ユダのつかさセシバザルに数え渡した。 + その数は次のとおりである。金のたらい一千、銀のたらい一千、香炉二十九、 + 金の鉢三十、銀の鉢二千四百十、その他の器一千、 + 金銀の器は合わせて五千四百六十九あったが、セシバザルは捕囚を連れてバビロンからエルサレムに上った時、これらのものをことごとく携えて上った。 + + + バビロンの王ネブカデネザルに捕えられて、バビロンに移された者のうち、捕囚をゆるされてエルサレムおよびユダに上って、おのおの自分の町に帰ったこの州の人々は次のとおりである。 + 彼らはゼルバベル、エシュア、ネヘミヤ、セラヤ、レエラヤ、モルデカイ、ビルシャン、ミスパル、ビグワイ、レホム、バアナと共に帰ってきた。そのイスラエルの民の人数は次のとおりである。 + パロシの子孫は二千百七十二人、 + シパテヤの子孫は三百七十二人、 + アラの子孫は七百七十五人、 + パハテ・モアブの子孫すなわちエシュアとヨアブの子孫は二千八百十二人、 + エラムの子孫は一千二百五十四人、 + ザットの子孫は九百四十五人、 + ザッカイの子孫は七百六十人、 + バニの子孫は六百四十二人、 + ベバイの子孫は六百二十三人、 + アズガデの子孫は一千二百二十二人、 + アドニカムの子孫は六百六十六人、 + ビグワイの子孫は二千五十六人、 + アデンの子孫は四百五十四人、 + アテルの子孫すなわちヒゼキヤの子孫は九十八人、 + ベザイの子孫は三百二十三人、 + ヨラの子孫は百十二人、 + ハシュムの子孫は二百二十三人、 + ギバルの子孫は九十五人、 + ベツレヘムの子孫は百二十三人、 + ネトパの人々は五十六人、 + アナトテの人々は百二十八人、 + アズマウテの子孫は四十二人、 + キリアテ・ヤリム、ケピラおよびベエロテの子孫は七百四十三人、 + ラマおよびゲバの子孫は六百二十一人、 + ミクマシの人々は百二十二人、 + ベテルおよびアイの人々は二百二十三人、 + ネボの子孫は五十二人、 + マグビシの子孫は百五十六人、 + 他のエラムの子孫は一千二百五十四人、 + ハリムの子孫は三百二十人、 + ロド、ハデデおよびオノの子孫は七百二十五人、 + エリコの子孫は三百四十五人、 + セナアの子孫は三千六百三十人。 + 祭司は、エシュアの家のエダヤの子孫九百七十三人、 + インメルの子孫一千五十二人、 + パシュルの子孫一千二百四十七人、 + ハリムの子孫一千十七人。 + レビびとは、ホダヤの子孫すなわちエシュアとカデミエルの子孫七十四人。 + 歌うたう者は、アサフの子孫百二十八人。 + 門衛の子孫は、シャルムの子孫、アテルの子孫、タルモンの子孫、アックブの子孫、ハテタの子孫、ショバイの子孫合わせて百三十九人。 + 宮に仕えるしもべたちは、ヂハの子孫、ハスパの子孫、タバオテの子孫、 + ケロスの子孫、シアハの子孫、パドンの子孫、 + レバナの子孫、ハガバの子孫、アックブの子孫、 + ハガブの子孫、シャルマイの子孫、ハナンの子孫、 + ギデルの子孫、ガハルの子孫、レアヤの子孫、 + レヂンの子孫、ネコダの子孫、ガザムの子孫、 + ウザの子孫、パセアの子孫、ベサイの子孫、 + アスナの子孫、メウニムの子孫、ネフシムの子孫、 + バクブクの子孫、ハクパの子孫、ハルホルの子孫、 + バヅリテの子孫、メヒダの子孫、ハルシャの子孫、 + バルコスの子孫、シセラの子孫、テマの子孫、 + ネヂアの子孫、ハテパの子孫である。 + ソロモンのしもべたちの子孫は、ソタイの子孫、ハッソペレテの子孫、ペリダの子孫、 + ヤアラの子孫、ダルコンの子孫、ギデルの子孫、 + シパテヤの子孫、ハッテルの子孫、ポケレテ・ハッゼバイムの子孫、アミの子孫。 + 宮に仕えるしもべたちとソロモンのしもべたちの子孫とは合わせて三百九十二人。 + 次にあげる人々はテル・メラ、テル・ハレサ、ケルブ、アダンおよびインメルから上って来た者であったが、彼らはその氏族とその血統とを示して、そのイスラエルの者であることを明らかにすることができなかった。 + すなわちデラヤの子孫、トビヤの子孫、ネコダの子孫で合わせて六百五十二人。 + 祭司の子孫のうちにはハバヤの子孫、ハッコヅの子孫、バルジライの子孫があった。バルジライはギレアデびとバルジライの娘たちのうちから妻をめとったので、その名で呼ばれることになった。 + これらの者は系譜に載った者たちのうちに自分の名を尋ねたが見いだされなかったので、汚れた者として、祭司の職から除かれた。 + 総督は彼らに告げて、ウリムとトンミムを身につける祭司の興るまでは、いと聖なる物を食べてはならないと言った。 + 会衆は合わせて四万二千三百六十人であった。 + このほかに、しもべおよびはしため合わせて七千三百三十七人、また歌うたう男女二百人あった。 + その馬は七百三十六頭、その騾馬は二百四十五頭、 + そのらくだは四百三十五頭、そのろばは六千七百二十頭あった。 + 氏族の長数人はエルサレムにある主の宮の所にきた時、神の宮をもとの所に建てるために真心よりの供え物をささげた。 + すなわち、その力に従って工事のために倉に納めたものは、金六万一千ダリク、銀五千ミナ、祭司の衣服百かさねであった。 + 祭司、レビびと、および民のある者はエルサレムおよびその近郊に住み、歌うたう者、門衛および宮に仕えるしもべたちはその町々に住み、一般のイスラエルびとは自分たちの町々に住んだ。 + + + こうしてイスラエルの人々はその町々に住んでいたが、七月になって、民はひとりのようにエルサレムに集まった。 + そこでヨザダクの子エシュアとその仲間の祭司たち、およびシャルテルの子ゼルバベルとその兄弟たちは立って、イスラエルの神の祭壇を築いた。これは神の人モーセの律法にしるされたところに従って、その上に燔祭をささげるためであった。 + 彼らは国々の民を恐れていたので、祭壇をもとの所に設けた。そしてその上で燔祭を主にささげ、朝夕それをささげた。 + また、しるされたところに従って仮庵の祭を行い、おきてに従って、毎日ささぐべき数のとおりに、日々の燔祭をささげた。 + そしてその後は常燔祭、新月と主のすべて定められた祭とにささげる供え物および各自が主にささげる真心よりの供え物をささげた。 + すなわち七月一日から燔祭を主にささげることを始めたが、主の宮の基礎はまだすえられてなかった。 + そこで石工と木工に金を渡し、またシドンとツロの人々に食い物、飲み物および油を与えて、ペルシャ王クロスから得た許可に従って、レバノンからヨッパの海に香柏を運ばせた。 + さてエルサレムの神の宮に帰った次の年の二月に、シャルテルの子ゼルバベルとヨザダクの子エシュアはその兄弟である他の祭司、レビびとおよび捕囚からエルサレムに帰って来たすべての人々と共に工事を始め、二十歳以上のレビびとを立てて、主の宮の工事を監督させた。 + そこでユダの子孫であるエシュアとその子らおよびその兄弟、カデミエルとその子らは共に立って、神の宮で工事をなす者を監督した。ヘナダデの子らおよびレビびとの子らと、その兄弟たちもまた一緒であった。 + こうして建築者が主の宮の基礎をすえた時、祭司たちは礼服をつけてラッパをとり、アサフの子らであるレビびとはシンバルをとり、イスラエルの王ダビデの指令に従って主をさんびした。 + 彼らは互に歌いあって主をほめ、かつ感謝し、「主はめぐみ深く、そのいつくしみはとこしえにイスラエルに絶えることがない」と言った。そして民はみな主をさんびするとき、大声をあげて叫んだ。主の宮の基礎がすえられたからである。 + しかし祭司、レビびと、氏族の長である多くの人々のうちに、もとの宮を見た老人たちがあったが、今この宮の基礎のすえられるのを見た時、大声をあげて泣いた。また喜びのために声をあげて叫ぶ者も多かった。 + それで、人々は民の喜び叫ぶ声と、民の泣く声とを聞きわけることができなかった。民が大声に叫んだので、その声が遠くまで聞えたからである。 + + + ユダとベニヤミンの敵である者たちは捕囚から帰ってきた人々が、イスラエルの神、主のために神殿を建てていることを聞き、 + ゼルバベルと氏族の長たちのもとに来て言った、「われわれも、あなたがたと一緒にこれを建てさせてください。われわれはあなたがたと同じく、あなたがたの神を礼拝します。アッスリヤの王エサル・ハドンがわれわれをここにつれて来た日からこのかた、われわれは彼に犠牲をささげてきました」。 + しかしゼルバベル、エシュアおよびその他のイスラエルの氏族の長たちは、彼らに言った、「あなたがたは、われわれの神に宮を建てることにあずかってはなりません。ペルシャの王クロス王がわれわれに命じたように、われわれだけで、イスラエルの神、主のために建てるのです」。 + そこでその地の民はユダの民の手を弱らせて、その建築を妨げ、 + その企てを破るために役人を買収して彼らに敵せしめ、ペルシャ王クロスの代からペルシャ王ダリヨスの治世にまで及んだ。 + アハスエロスの治世、すなわちその治世の初めに、彼らはユダとエルサレムの住民を訴える告訴状を書いた。 + またアルタシャスタの世にビシラム、ミテレダテ、タビエルおよびその他の同僚も、ペルシャ王アルタシャスタに手紙を書いた。その手紙の文はアラム語で書かれて訳されていた。 + 長官レホムと書記官シムシャイはアルタシャスタ王にエルサレムを訴えて次のような手紙をしたためた。 + すなわち長官レホムと書記官シムシャイおよびその他の同僚、すなわち裁判官、知事、役人、ペルシャ人、エレクの人々、バビロン人、スサの人々すなわちエラムびと、 + およびその他の民すなわち大いなる尊いオスナパルが、移してサマリヤの町々および川向こうのその他の地に住ませた者どもが、 + 送った手紙の写しはこれである。――「アルタシャスタ王へ、川向こうのあなたのしもべども、あいさつを申し上げます。 + 王よ、ご承知ください。あなたのもとから、わたしたちの所に上って来たユダヤ人らはエルサレムに来て、かのそむいた悪い町を建て直し、その城壁を築きあげ、その基礎をつくろっています。 + 王よ、いまご承知ください。もしこの町を建て、城壁を築きあげるならば、彼らはみつぎ、関税、税金を納めなくなります。そうすれば王の収入が減るでしょう。 + われわれは王宮の塩をはむ者ですから、王の不名誉を見るに忍びないので、人をつかわして王にお聞かせするのです。 + 歴代の記録をお調べください。その記録の書において、この町はそむいた町で、諸王と諸州に害を及ぼしたものであることを見、その中に古来、むほんの行われたことを知られるでしょう。この町が滅ぼされたのはこれがためなのです。 + われわれは王にお知らせいたします。もしこの町が建てられ、城壁が築きあげられたなら、王は川向こうの領地を失うに至るでしょう」。 + 王は返書を送って言った、「長官レホム、書記官シムシャイ、その他サマリヤおよび川向こうのほかの所に住んでいる同僚に、あいさつをする。いま、 + あなたがたがわれわれに送った手紙を、わたしの前に明らかに読ませた。 + わたしは命令を下して調査させたところ、この町は古来、諸王にそむいた事、その中に反乱、むほんのあったことを見いだした。 + またエルサレムには大いなる王たちがあって、川向こうの地をことごとく治め、みつぎ、関税、税金を納めさせたこともあった。 + それであなたがたは命令を伝えて、その人々をとどめ、わたしの命令の下るまで、この町を建てさせてはならない。 + あなたがたは慎んでこのことについて怠ることのないようにしなさい。どうして損害を増して、王に害を及ぼしてよかろうか」。 + アルタシャスタ王の手紙の写しがレホムおよび書記官シムシャイとその同僚の前に読み上げられたので、彼らは急いでエルサレムのユダヤ人のもとにおもむき、腕力と権力とをもって彼らをやめさせた。 + それでエルサレムにある神の宮の工事は中止された。すなわちペルシャ王ダリヨスの治世の二年まで中止された。 + + + さて預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤのふたりの預言者は、ユダとエルサレムにいるユダヤ人に向かって、彼らの上にいますイスラエルの神の名によって預言した。 + そこでシャルテルの子ゼルバベルおよびヨザダクの子エシュアは立ちあがって、エルサレムにある神の宮を建て始めた。神の預言者たちも、彼らと共にいて彼らを助けた。 + その時、川向こうの州の知事タテナイおよびセタル・ボズナイとその同僚は彼らの所に来てこう言った、「だれがあなたがたにこの宮を建て、この城壁を築きあげることを命じたのか」。 + また「この建物を建てている人々の名はなんというのか」と尋ねた。 + しかしユダヤ人の長老たちの上には、神の目が注がれていたので、彼らはこれをやめさせることができず、その事をダリヨスに奏して、その返答の来るのを待った。 + 川向こうの州の知事タテナイおよびセタル・ボズナイとその同僚である川向こうの州の知事たちが、ダリヨス王に送った手紙の写しは次のとおりである。 + すなわち、彼らが王に送った手紙には、次のようにしるされてあった。「願わくはダリヨス王に全き平安があるように。 + 王に次のことをお知らせいたします。すなわち、われわれがユダヤ州へ行き、かの大いなる神の宮へ行って見たところ、それは大きな石をもって建てられ、材木を組んで壁をつくり、その工事は勤勉に行われ、彼らの手によって大いにはかどっています。 + そこでわれわれはその長老たちに尋ねてこう言いました、『だれがあなたがたにこの宮を建て、この城壁を築きあげることを命じたのか』と。 + われわれはまた彼らのかしらたる人々の名を書きしるして、あなたにお知らせするために、その名を尋ねました。 + すると、彼らはわれわれに答えてこう言いました、『われわれは天地の神のしもべであって、年久しい昔に建てられた宮を、再び建てるのです。これはもと、イスラエルの大いなる王の建てあげたものですが、 + われわれの先祖たちが、天の神の怒りを引き起したため、神は彼らを、カルデヤびとバビロンの王ネブカデネザルの手に渡されたので、彼はこの宮をこわし、民をバビロンに捕えて行きました。 + ところがバビロンの王クロスの元年に、クロス王は神のこの宮を再び建てることの命令を下されました。 + またクロス王は先にネブカデネザルが、エルサレムの宮からバビロンの神殿に移した神の宮の金銀の器を、バビロンの神殿から取り出して、彼が総督に任じたセシバザルという名の者に渡して、 + 彼に言われました、「これらの器を携えて行って、エルサレムにある宮に納め、神の宮をもとの所に建てよ」と。 + そこでこのセシバザルは来てエルサレムにある神の宮の基礎をすえました。その時から今に至るまで、建築を続けていますが、まだ完成しないのです』と。 + それで今、もし王がよしと見られるならば、バビロンにある王の宝庫を調べて、エルサレムの神のこの宮を建てることの命令が、はたしてクロス王から出ているかどうかを確かめ、この事についての王のお考えをわれわれに伝えてください」。 + + + そこでダリヨス王は命を下して、バビロンのうちで、古文書をおさめてある書庫を調べさせたところ、 + メデヤ州の都エクバタナで、一つの巻物を見いだした。そのうちにこうしるされてある。「記録。 + クロス王の元年にクロス王は命を下した、『エルサレムにある神の宮については、犠牲をささげ、燔祭を供える所の宮を建て、その宮の高さを六十キュビトにし、その幅を六十キュビトにせよ。 + 大いなる石の層を三段にし、木の層を一段にせよ。その費用は王の家から与えられる。 + またネブカデネザルが、エルサレムの宮からバビロンに移した神の宮の金銀の器物は、これをかえして、エルサレムにある宮のもとの所に持って行き、これを神の宮に納めよ』」。 + 「それで川向こうの州の知事タテナイおよびセタル・ボズナイとその同僚である川向こうの州の知事たちよ、あなたがたはこれに遠ざかり、 + 神のこの宮の工事を彼らに任せ、ユダヤ人の知事とユダヤ人の長老たちに、神のこの宮をもとの所に建てさせよ。 + わたしはまた命を下し、神のこの宮を建てることについて、あなたがたがこれらのユダヤ人の長老たちになすべき事を示す。王の財産、すなわち川向こうの州から納めるみつぎの中から、その費用をじゅうぶんそれらの人々に与えて、その工事を滞らないようにせよ。 + またその必要とするもの、すなわち天の神にささげる燔祭の子牛、雄羊および小羊ならびに麦、塩、酒、油などエルサレムにいる祭司たちの求めにしたがって、日々怠りなく彼らに与え、 + 彼らにこうばしい犠牲を天の神にささげさせ、王と王子たちの長寿を祈らせよ。 + わたしはまた命を下す。だれでもこの命ずる所を改める者があるならば、その家の梁は抜き取られ、彼はその上にくぎづけにされ、その家はまた、これがために汚物の山とされるであろう。 + これを改めようとする者、あるいはエルサレムにある神のこの宮を滅ぼそうとして手を出す王あるいは民は、かしこにその名をとどめられる神よ、願わくはこれを倒されるように。われダリヨスは命を下す。心してこれを行え」。 + ダリヨス王がこう言い送ったので、川向こうの州の知事タテナイおよびセタル・ボズナイとその同僚たちは心してこれを行った。 + そしてユダヤ人の長老たちは、預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤの預言によって建て、これをなし遂げた。彼らはイスラエルの神の命令により、またクロス、ダリヨスおよびペルシャ王アルタシャスタの命によって、これを建て終った。 + この宮はダリヨス王の治世の六年アダルの月の三日に完成した。 + そこでイスラエルの人々、祭司たち、レビびとおよびその他の捕囚から帰った人々は、喜んで神のこの宮の奉献式を行った。 + すなわち神のこの宮の奉献式において、雄牛一百頭、雄羊二百頭、小羊四百頭をささげ、またイスラエルの部族の数にしたがって、雄やぎ十二頭をささげて、すべてのイスラエルびとのための罪祭とした。 + またモーセの書にしるされてあるように祭司を組別により、レビびとを班別によって立て、エルサレムで神に仕えさせた。 + こうして捕囚から帰って来た人々は、正月の十四日に過越の祭を行った。 + すなわち祭司、レビびとたちは共に身を清めて皆清くなり、すべて捕囚から帰って来た人々のため、その兄弟である祭司たちのため、また彼ら自身のために過越の小羊をほふった。 + そして捕囚から帰って来たイスラエルの人々、およびその地の異邦人の汚れを捨てて彼らに連なり、イスラエルの神、主を拝しようとする者はすべてこれを食べ、 + 喜んで七日の間、種入れぬパンの祭を行った。これは主が彼らを喜ばせ、またアッスリヤの王の心を彼らに向かわせ、彼にイスラエルの神にいます神の宮の工事を助けさせられたからである。 + + + これらの事の後ペルシャ王アルタシャスタの治世にエズラという者があった。エズラはセラヤの子、セラヤはアザリヤの子、アザリヤはヒルキヤの子、 + ヒルキヤはシャルムの子、シャルムはザドクの子、ザドクはアヒトブの子、 + アヒトブはアマリヤの子、アマリヤはアザリヤの子、アザリヤはメラヨテの子、 + メラヨテはゼラヒヤの子、ゼラヒヤはウジの子、ウジはブッキの子、 + ブッキはアビシュアの子、アビシュアはピネハスの子、ピネハスはエレアザルの子、エレアザルは祭司長アロンの子である。 + このエズラはバビロンから上って来た。彼はイスラエルの神、主がお授けになったモーセの律法に精通した学者であった。その神、主の手が彼の上にあったので、その求めることを王はことごとく許した。 + アルタシャスタ王の七年にまたイスラエルの人々および祭司、レビびと、歌うたう者、門衛、宮に仕えるしもべなどエルサレムに上った。 + そして王の七年の五月にエズラはエルサレムに来た。 + すなわち正月の一日にバビロンを出立して、五月一日にエルサレムに着いた。その神の恵みの手が彼の上にあったからである。 + エズラは心をこめて主の律法を調べ、これを行い、かつイスラエルのうちに定めとおきてとを教えた。 + 主の戒めの言葉、およびイスラエルに賜わった定めに通じた学者で、祭司であるエズラにアルタシャスタ王の与えた手紙の写しは、次のとおりである。 + 「諸王の王アルタシャスタ、天の神の律法の学者である祭司エズラに送る。今、 + わたしは命を下す。わが国のうちにいるイスラエルの民およびその祭司、レビびとのうち、すべてエルサレムへ行こうと望む者は皆、あなたと共に行くことができる。 + あなたは、自分の手にあるあなたの神の律法に照して、ユダとエルサレムの事情を調べるために、王および七人の議官によってつかわされるのである。 + かつあなたは王およびその議官らが、エルサレムにいますイスラエルの神に真心からささげる銀と金を携え、 + またバビロン全州であなたが獲るすべての金銀、および民と祭司とが、エルサレムにあるその神の宮のために、真心からささげた供え物を携えて行く。 + それであなたはその金をもって雄牛、雄羊、小羊およびその素祭と灌祭の品々を気をつけて買い、エルサレムにあるあなたがたの神の宮の祭壇の上に、これをささげなければならない。 + また、あなたとあなたの兄弟たちが、その余った金銀でしようと思うよい事があるならば、あなたがたの神のみ旨に従ってそれを行え。 + またあなたの神の宮の勤め事のためにあなたが与えられた器は、エルサレムの神の前に納めよ。 + そのほかあなたの神の宮のために用うべき必要なものがあれば、それを王の倉から出して用いよ。 + われ、アルタシャスタ王は川向こうの州のすべての倉づかさに命を下して言う、『天の神の律法の学者である祭司エズラがあなたがたに求める事は、すべてこれを心して行え。 + すなわち銀は百タラントまで、小麦は百コルまで、ぶどう酒は百バテまで、油は百バテまで、塩は制限なく与えよ。 + 天の神の宮のために、天の神の命じるところは、すべて正しくこれを行え。そうしないと神の怒りが、王と王の子らの国に臨むであろう』。 + われわれは、またあなたがたに告げる、『祭司、レビびと、歌うたう者、門衛、宮に仕えるしもべ、および神のこの宮の仕えびとたちには、みつぎ、租税、税金を課してはならぬ』。 + エズラよ、あなたはあなたの手にある神の知恵によって、つかさおよび裁判人を立て、川向こうの州のすべての民、すなわちあなたの神の律法を知っている者たちを、ことごとくさばかせよ。あなたがたはまたこれを知らない者を教えよ。 + あなたの神の律法および王の律法を守らない者を、きびしくその罪に定めて、あるいは死刑に、あるいは追放に、あるいは財産没収に、あるいは投獄に処せよ」。 + われわれの先祖の神、主はほむべきかな。主はこのように、王の心に、エルサレムにある主の宮を飾る心を起させ、 + また王の前と、その議官の前と王の大臣の前で、わたしに恵みを得させられた。わたしはわが神、主の手がわたしの上にあるので力を得、イスラエルのうちから首領たる人々を集めて、わたしと共に上らせた。 + + + アルタシャスタ王の治世に、バビロンからわたしと一緒に上って来た者の氏族の長、およびその系譜は次のとおりである。 + ピネハスの子孫のうちではゲルショム。イタマルの子孫のうちではダニエル。ダビデの子孫のうちではシカニヤの子ハットシ。 + パロシの子孫のうちではゼカリヤおよび彼と共に系譜に載せられた男百五十人。 + パハテ・モアブの子孫のうちではゼラヒヤの子エリヨエナイおよび彼と共にある男二百人。 + ザッツの子孫のうちではヤハジエルの子シカニヤおよび彼と共にある男三百人。 + アデンの子孫のうちではヨナタンの子エベデおよび彼と共にある男五十人。 + エラムの子孫のうちではアタリヤの子エサヤおよび彼と共にある男七十人。 + シパテヤの子孫のうちではミカエルの子ゼバデヤおよび彼と共にある男八十人。 + ヨアブの子孫のうちではエヒエルの子オバデヤおよび彼と共にある男二百十八人。 + バニの子孫のうちではヨシピアの子シロミテおよび彼と共にある男百六十人。 + ベバイの子孫のうちではベバイの子ゼカリヤおよび彼と共にある男二十八人。 + アズガデの子孫のうちではハッカタンの子ヨハナンおよび彼と共にある男百十人。 + アドニカムの子孫のうちでは後に来た者どもで、その名はエリペレテ、ユエル、シマヤおよび彼らと共にある男六十人。 + ビグワイの子孫のうちではウタイとザックルおよび彼らと共にある男七十人である。 + わたしは彼らをアハワに流れる川のほとりに集めて、そこに三日のあいだ露営した。わたしは民と祭司とを調べたが、そこにはレビの子孫はひとりもいなかったので、 + 人をつかわしてエリエゼル、アリエル、シマヤ、エルナタン、ヤリブ、エルナタン、ナタン、ゼカリヤ、メシュラムという首長たる人々を招き、またヨヤリブ、およびエルナタンのような見識のある人々を招いた。 + そしてわたしはカシピアという所の首長イドのもとに彼らをつかわし、カシピアという所にいるイドと、その兄弟である宮に仕えるしもべたちに告ぐべき言葉を、彼らに授け、われわれの神の宮のために、仕え人をわれわれに連れて来いと言った。 + われわれの神がよくわれわれを助けられたので、彼らはイスラエルの子、レビの子、マヘリの子孫のうちの思慮深い人、すなわちセレビヤおよびその子らとその兄弟たち十八人を、われわれに連れて来、 + またハシャビヤおよび彼と共に、メラリの子孫のエサヤとその兄弟およびその子ら二十人、 + および宮に仕えるしもべ、すなわちダビデとそのつかさたちが、レビびとに仕えさせるために選んだ宮に仕えるしもべ二百二十人を連れてきた。これらの者は皆その名を言って記録された。 + そこでわたしは、かしこのアハワ川のほとりで断食を布告し、われわれの神の前で身をひくくし、われわれと、われわれの幼き者と、われわれのすべての貨財のために、正しい道を示されるように神に求めた。 + これは、われわれがさきに王に告げて、「われわれの神の手は、神を求めるすべての者の上にやさしく下り、その威力と怒りとはすべて神を捨てる者の上に下る」と言ったので、わたしは道中の敵に対して、われわれを守るべき歩兵と騎兵とを、王に頼むことを恥じたからである。 + そこでわれわれは断食して、このことをわれわれの神に求めたところ、神はその願いを聞きいれられた。 + わたしはおもだった祭司十二人すなわちセレビヤ、ハシャビヤおよびその兄弟十人を選び、 + 金銀および器物、すなわち王と、その議官と、その諸侯およびすべて在留のイスラエルびとが、われわれの神の宮のためにささげた奉納物を量って彼らに渡した。 + わたしが量って彼らの手に渡したものは、銀六百五十タラント、銀の器百タラント、金百タラントであった。 + また金の大杯が二十あって、一千ダリクに当る。また光り輝く青銅の器二個あって、その尊いこと金のようである。 + そしてわたしは彼らに言った、「あなたがたは主に聖別された者である。この器物も聖である。またこの金銀は、あなたがたの先祖の神、主にささげた真心よりの供え物である。 + あなたがたはエルサレムで、主の宮のへやの中で、祭司長、レビびとおよびイスラエルの氏族のかしらたちの前で、これを量るまで、見張り、かつ守りなさい」。 + そこで祭司およびレビびとたちは、その金銀および器物を、エルサレムにあるわれわれの神の宮に携えて行くため、その重さのものを受け取った。 + われわれは正月の十二日に、アハワ川を出立してエルサレムに向かったが、われわれの神の手は、われわれの上にあって、敵の手および道に待ち伏せする者の手から、われわれを救われた。 + われわれはエルサレムに着いて、三日そこにいたが、 + 四日目にわれわれの神の宮の内で、その金銀および器物を、ウリヤの子祭司メレモテの手に量って渡した。ピネハスの子エレアザルが彼と共にいた。またエシュアの子ヨザバデ、およびビンヌイの子ノアデヤのふたりのレビびとも、彼らと共にいた。 + すなわちそのすべての数と重さとを調べ、その重さは皆書きとめられた。 + そのとき捕囚の人々で捕囚から帰って来た者は、イスラエルの神に燔祭をささげた。すなわちイスラエル全体のために雄牛十二頭、雄羊九十六頭、小羊七十七頭をささげ、また罪祭として雄やぎ十二頭をささげた。これらはみな、主にささげた燔祭である。 + 彼らはまた王の命令書を、王の総督たち、および川向こうの州の知事たちに渡したので、彼らは民と神の宮とを援助した。 + + + これらの事がなされた後、つかさたちは、わたしのもとに来て言った、「イスラエルの民、祭司およびレビびとは諸国の民と離れないで、カナンびと、ヘテびと、ペリジびと、エブスびと、アンモンびと、モアブびと、エジプトびと、アモリびとなどの憎むべき事を行いました。 + すなわち、彼らの娘たちをみずからめとり、またそのむすこたちにめとったので、聖なる種が諸国の民とまじりました。そしてつかさたる者、長たる者が先だって、このとがを犯しました」。 + わたしはこの事を聞いた時、着物と上着とを裂き、髪の毛とひげを抜き、驚きあきれてすわった。 + イスラエルの神の言葉におののく者は皆、捕囚から帰って来た人々のとがのゆえに、わたしのもとに集まったが、わたしは夕の供え物の時まで、驚きあきれてすわった。 + 夕の供え物の時になって、わたしは断食から立ちあがり、着物と上着を裂いたまま、ひざをかがめて、わが神、主にむかって手をさし伸べて、 + 言った、「わが神よ、わたしはあなたにむかって顔を上げるのを恥じて、赤面します。われわれの不義は積って頭よりも高くなり、われわれのとがは重なって天に達したからです。 + われわれの先祖の日から今日まで、われわれは大いなるとがを負い、われわれの不義によって、われわれとわれわれの王たち、および祭司たちは国々の王たちの手にわたされ、つるぎにかけられ、捕え行かれ、かすめられ、恥をこうむりました。今日のとおりです。 + ところがいま、われわれの神、主は、しばし恵みを施して、のがれ残るべき者をわれわれのうちにおき、その聖所のうちに確かなよりどころを与え、こうしてわれわれの神はわれわれの目を明らかにし、われわれをその奴隷のうちにあって、少しく生き返らせられました。 + われわれは奴隷の身でありますが、その奴隷たる時にも神はわれわれを見捨てられず、かえってペルシャ王たちの目の前でいつくしみを施して、われわれを生き返らせ、われわれの神の宮を建てさせ、その破壊をつくろわせ、ユダとエルサレムでわれわれに保護を与えられました。 + われわれの神よ、この後、何を言うことができましょう。われわれは、あなたの戒めを捨てたからです。 + あなたはかつて、あなたのしもべである預言者たちによって命じて仰せられました、『おまえたちが行って獲ようとする地は、各地の民の汚れにより、その憎むべきわざによって汚れた地で、この果から、かの果まで、その汚れに満ちている。 + それでおまえたちの娘を、彼らのむすこに与えてはならない。彼らの娘を、おまえたちのむすこにめとってはならない。また永久に彼らの平安をも福祉をも求めてはならない。そうすればおまえたちは強くなり、その地の良き物を食べ、これを永久におまえたちの子孫に伝えて嗣業とさせることができる』と。 + われわれの悪い行いにより、大いなるとがによって、これらすべてのことが、すでにわれわれに臨みましたが、われわれの神なるあなたは、われわれの不義よりも軽い罰をくだして、このように残りの者を与えてくださったのを見ながら、 + われわれは再びあなたの命令を破って、これらの憎むべきわざを行う民と縁を結んでよいでしょうか。あなたはわれわれを怒って、ついに滅ぼし尽し、残る者も、のがれる者もないようにされるのではないでしょうか。 + ああ、イスラエルの神、主よ、あなたは正しくいらせられます。われわれはのがれて残ること今日のとおりです。われわれは、とがをもってあなたの前にあります。それゆえだれもあなたの前に立つことはできません」。 + + + エズラが神の宮の前に泣き伏して祈り、かつざんげしていた時、男、女および子供の大いなる群集がイスラエルのうちから彼のもとに集まってきた。民はいたく泣き悲しんだ。 + 時にエラムの子孫のうちのエヒエルの子シカニヤが、エズラに告げて言った、「われわれは神にむかって罪を犯し、この地の民から異邦の女をめとりました。しかし、このことについてはイスラエルに、今なお望みがあります。 + それでわれわれはわが主の教と、われわれの神の命令におののく人々の教とに従って、これらの妻ならびにその子供たちを、ことごとく追い出すという契約を、われわれの神に立てましょう。そして律法に従ってこれを行いましょう。 + 立ちあがってください、この事はあなたの仕事です。われわれはあなたを助けます。心を強くしてこれを行いなさい」。 + エズラは立って、おもだった祭司、レビびとおよびすべてのイスラエルびとに、この言葉のように行うことを誓わせたので、彼らは誓った。 + エズラは神の宮の前から出て、エリアシブの子ヨハナンのへやにはいったが、そこへ行っても彼はパンも食べず、水も飲まずに夜を過ごした。これは彼が、捕囚から帰った人々のとがを嘆いたからである。 + そしてユダおよびエルサレムにあまねく布告を出し、捕囚から帰ったすべての者に告げて、エルサレムに集まるべき事と、 + つかさおよび長老たちのさとしに従って、三日のうちにこない者はだれでもその財産はことごとく没収され、その人自身は捕われ人の会から破門されると言った。 + そこでユダとベニヤミンの人々は皆三日のうちにエルサレムに集まった。これは九月の二十日であった。すべての民は神の宮の前の広場に座して、このことのため、また大雨のために震えおののいていた。 + 時に祭司エズラは立って彼らに言った、「あなたがたは罪を犯し、異邦の女をめとって、イスラエルのとがを増した。 + それで今、あなたがたの先祖の神、主にざんげして、そのみ旨を行いなさい。あなたがたはこの地の民および異邦の女と離れなさい」。 + すると会衆は皆大声をあげて答えた、「あなたの言われたとおり、われわれは必ず行います。 + しかし民は多く、また大雨の季節ですから、外に立っていることはできません。またこれは一日やふつかの仕事ではありません。われわれはこの事について大いに罪を犯したからです。 + それでどうぞ、われわれのつかさたちは全会衆のために立ってください。われわれの町の内に、もし異邦の女をめとった者があるならば、みな定めの時にこさせなさい。またおのおのの町の長老および裁判人も、それと一緒にこさせなさい。そうすればこの事によるわれわれの神の激しい怒りは、ついにわれわれを離れるでしょう」。 + ところがアサヘルの子ヨナタンおよびテクワの子ヤハジアはこれに反対した。そしてメシュラムおよびレビびとシャベタイは彼らを支持した。 + そこで捕囚から帰って来た人々はこのように行った。すなわち祭司エズラは、氏族の長たちをその氏族にしたがい、おのおのその名をさして選んだ。彼らは十月の一日から座してこの事を調べ、 + 正月の一日になって、異邦の女をめとった人々をことごとく調べ終った。 + 祭司の子孫のうちで異邦の女をめとった事のあらわれた者は、ヨザダクの子エシュアの子ら、およびその兄弟たちのうちではマアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダリヤであった。 + 彼らはその妻を離縁しようという誓いをなし、すでに罪を犯したというので、そのとがのために雄羊一頭をささげた。 + インメルの子らのうちではハナニおよびゼバデヤ。 + ハリムの子らのうちではマアセヤ、エリヤ、シマヤ、エヒエル、ウジヤ。 + パシュルの子らのうちではエリオエナイ、マアセヤ、イシマエル、ネタンエル、ヨザバデ、エラサ。 + レビびとのうちではヨザバテ、シメイ、ケラヤ(すなわちケリタ)、ペタヒヤ、ユダ、エリエゼル。 + 歌うたう者のうちではエリアシブ。門衛のうちではシャルム、テレム、ウリ。 + イスラエルのうち、パロシの子らのうちではラミヤ、エジア、マルキヤ、ミヤミン、エレアザル、ハシャビヤ、ベナヤ。 + エラムの子らのうちではマッタニヤ、ゼカリヤ、エヒエル、アブデ、エレモテ、エリヤ。 + ザットの子らのうちではエリオエナイ、エリアシブ、マッタニヤ、エレモテ、ザバデ、アジザ。 + ベバイの子らのうちではヨハナン、ハナニヤ、ザバイ、アテライ。 + バニの子らのうちではメシュラム、マルク、アダヤ、ヤシュブ、シヤル、エレモテ。 + パハテ・モアブの子らのうちではアデナ、ケラル、ベナヤ、マアセヤ、マッタニヤ、ベザレル、ビンヌイ、マナセ。 + ハリムの子らのうちではエリエゼル、イシヤ、マルキヤ、シマヤ、シメオン、 + ベニヤミン、マルク、シマリヤ。 + ハシュムの子らのうちではマッテナイ、マッタタ、ザバデ、エリパレテ、エレマイ、マナセ、シメイ。 + バニの子らのうちではマアダイ、アムラム、ウエル、 + ベナヤ、ベデヤ、ケルヒ、 + ワニア、メレモテ、エリアシブ、 + マッタニヤ、マッテナイ、ヤアス。 + ビンヌイの子らのうちではシメイ、 + シレミヤ、ナタン、アダヤ、 + マクナデバイ、シャシャイ、シャライ、 + アザリエル、シレミヤ、シマリヤ、 + シャルム、アマリヤ、ヨセフ。 + ネボの子らではエイエル、マッタテヤ、ザバデ、ゼビナ、ヤッダイ、ヨエル、ベナヤ。 + これらの者は皆異邦の女をめとった者である。彼らはその女たちをその子供と共に離縁した。 + +
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+ + ハカリヤの子ネヘミヤの言葉。第二十年のキスレウの月に、わたしが首都スサにいた時、 + わたしの兄弟のひとりハナニが数人の者と共にユダから来たので、わたしは捕囚を免れて生き残ったユダヤ人の事およびエルサレムの事を尋ねた。 + 彼らはわたしに言った、「かの州で捕囚を免れて生き残った者は大いなる悩みと、はずかしめのうちにあり、エルサレムの城壁はくずされ、その門は火で焼かれたままであります」と。 + わたしはこれらの言葉を聞いた時、すわって泣き、数日のあいだ嘆き悲しみ、断食して天の神の前に祈って、 + 言った、「天の神、主、おのれを愛し、その戒めを守る者には契約を守り、いつくしみを施される大いなる恐るべき神よ、 + どうぞ耳を傾け、目を開いてしもべの祈を聞いてください。わたしは今、あなたのしもべであるイスラエルの子孫のために、昼も夜もみ前に祈り、われわれイスラエルの子孫が、あなたに対して犯した罪をざんげいたします。まことにわたしも、わたしの父の家も罪を犯しました。 + われわれはあなたに対して大いに悪い事を行い、あなたのしもべモーセに命じられた戒めをも、定めをも、おきてをも守りませんでした。 + どうぞ、あなたのしもべモーセに命じられた言葉を、思い起してください。すなわちあなたは言われました、『もしあなたがたが罪を犯すならば、わたしはあなたがたを、もろもろの民の間に散らす。 + しかし、あなたがたがわたしに立ち返り、わたしの戒めを守って、これを行うならば、たといあなたがたのうちの散らされた者が、天の果にいても、わたしはそこから彼らを集め、わたしの名を住まわせるために選んだ所に連れて来る』と。 + 彼らは、あなたが大いなる力と強い手をもって、あがなわれたあなたのしもべ、あなたの民です。 + 主よ、どうぞしもべの祈と、あなたの名を恐れることを喜ぶあなたのしもべらの祈に耳を傾けてください。どうぞ、きょう、しもべを恵み、この人の目の前であわれみを得させてください」。この時、わたしは王の給仕役であった。 + + + アルタシャスタ王の第二十年、ニサンの月に、王の前に酒が出た時、わたしは酒をついで王にささげた。これまでわたしは王の前で悲しげな顔をしていたことはなかった。 + 王はわたしに言われた、「あなたは病気でもないのにどうして悲しげな顔をしているのか。何か心に悲しみをもっているにちがいない」。そこでわたしは大いに恐れて、 + 王に申しあげた、「どうぞ王よ、長生きされますように。わたしの先祖の墳墓の地であるあの町は荒廃し、その門が火で焼かれたままであるのに、どうしてわたしは悲しげな顔をしないでいられましょうか」。 + 王はわたしにむかって、「それでは、あなたは何を願うのか」と言われたので、わたしは天の神に祈って、 + 王に申しあげた、「もし王がよしとされ、しもべがあなたの前に恵みを得ますならば、どうかわたしを、ユダにあるわたしの先祖の墳墓の町につかわして、それを再建させてください」。 + 時に王妃もかたわらに座していたが、王はわたしに言われた、「あなたの旅の期間はどれほどですか。いつごろ帰ってきますか」。こうして王がわたしをつかわすことをよしとされたので、わたしは期間を定めて王に申しあげた。 + わたしはまた王に申しあげた、「もし王がよしとされるならば、川向こうの州の知事たちに与える手紙をわたしに賜わり、わたしがユダに行きつくまで、彼らがわたしを通過させるようにしてください。 + また王の山林を管理するアサフに与える手紙をも賜わり、神殿に属する城の門を建てるため、また町の石がき、およびわたしの住むべき家を建てるために用いる材木をわたしに与えるようにしてください」。わたしの神がよくわたしを助けられたので、王はわたしの願いを許された。 + そこでわたしは川向こうの州の知事たちの所へ行って、王の手紙を渡した。なお王は軍の長および騎兵をわたしと共につかわした。 + ところがホロニびとサンバラテおよびアンモンびと奴隷トビヤはこれを聞き、イスラエルの子孫の福祉を求める人が来たというので、大いに感情を害した。 + わたしはエルサレムに着いて、そこに三日滞在した後、 + 夜中に起き出た。数人の者がわたしに伴ったが、わたしは、神がエルサレムのためになそうとして、わたしの心に入れられたことを、だれにも告げ知らせず、またわたしが乗った獣のほかには、獣をつれて行かなかった。 + わたしは夜中に出て谷の門を通り、龍の井戸および糞の門に行って、エルサレムのくずれた城壁や、火に焼かれた門を調査し、 + また泉の門および王の池に行ったが、わたしの乗っている獣の通るべき所もなかった。 + わたしはまたその夜のうちに谷に沿って上り、城壁を調査したうえ、身をめぐらして、谷の門を通って帰った。 + つかさたちは、わたしがどこへ行ったか、何をしたかを知らなかった。わたしはまたユダヤ人にも、祭司たちにも、尊い人たちにも、つかさたちにも、その他工事をする人々にもまだ知らせなかった。 + しかしわたしはついに彼らに言った、「あなたがたの見るとおり、われわれは難局にある。エルサレムは荒廃し、その門は火に焼かれた。さあ、われわれは再び世のはずかしめをうけることのないように、エルサレムの城壁を築こう」。 + そして、わたしの神がよくわたしを助けられたことを彼らに告げ、また王がわたしに語られた言葉をも告げたので、彼らは「さあ、立ち上がって築こう」と言い、奮い立って、この良きわざに着手しようとした。 + ところがホロニびとサンバラテ、アンモンびと奴隷トビヤおよびアラビヤびとガシムがこれを聞いて、われわれをあざけり、われわれを侮って言った、「あなたがたは何をするのか、王に反逆しようとするのか」。 + わたしは彼らに答えて言った、「天の神がわれわれを恵まれるので、そのしもべであるわれわれは奮い立って築くのである。しかしあなたがたはエルサレムに何の分もなく、権利もなく、記念もない」。 + + + かくて大祭司エリアシブは、その兄弟である祭司たちと共に立って羊の門を建て、これを聖別してそのとびらを設け、さらにこれを聖別して、ハンメアの望楼に及ぼし、またハナネルの望楼にまで及ぼした。 + 彼の次にはエリコの人々が建て、その次にはイムリの子ザックルが建てた。 + 魚の門はハッセナアの子らが建て、その梁を置き、そのとびらと横木と貫の木とを設けた。 + その次にハッコヅの子ウリヤの子メレモテが修理し、その次にメシザベルの子ベレキヤの子メシュラムが修理し、その次にバアナの子ザドクが修理した。 + その次にテコアびとらが修理したが、その貴人たちはその主の工事に服さなかった。 + 古い門はパセアの子ヨイアダおよびベソデヤの子メシュラムがこれを修理し、その梁を置き、そのとびらと横木と貫の木とを設けた。 + その次にギベオンびとメラテヤ、メロノテびとヤドン、および川向こうの州の知事の行政下にあるギベオンとミヅパの人々が修理した。 + その次にハルハヤの子ウジエルなどの金細工人が修理し、その次に製香者のひとりハナニヤが修理した。こうして彼らはエルサレムを城壁の広い所まで復旧した。 + その次にエルサレムの半区域の知事ホルの子レパヤが修理し、 + その次にハルマフの子エダヤが自分の家と向かい合っている所を修理し、その次にはハシャブニヤの子ハットシが修理した。 + ハリムの子マルキヤおよびバハテ・モアブの子ハシュブも他の部分および炉の望楼を修理した。 + その次にエルサレムの他の半区域の知事ハロヘシの子シャルムがその娘たちと共に修理した。 + 谷の門はハヌンがザノアの民と共にこれを修理し、これを建て直して、そのとびらと横木と貫の木とを設け、また糞の門まで城壁一千キュビトを修理した。 + 糞の門はベテ・ハケレムの区域の知事レカブの子マルキヤがこれを修理し、これを建て直して、そのとびらと横木と貫の木とを設けた。 + 泉の門はミヅパの区域の知事コロホゼの子シャルンがこれを修理し、これを建て直して、おおいを施し、そのとびらと横木と貫の木とを設けた。彼はまた王の園のほとりのシラの池に沿った石がきを修理して、ダビデの町から下る階段にまで及んだ。 + その後にベテズルの半区域の知事アズブクの子ネヘミヤが修理して、ダビデの墓と向かい合った所に及び、掘池と勇士の宅にまで及んだ。 + その後にバニの子レホムなどのレビびとが修理し、その次にケイラの半区域の知事ハシャビヤがその区域のために修理した。 + その後にケイラの半区域の知事ヘナダデの子バワイなどその兄弟たちが修理し、 + その次にエシュアの子でミヅパの知事であるエゼルが、城壁の曲りかどにある武器倉に上る所と向かい合った他の部分を修理し、 + その後にザバイの子バルクが、力をつくして城壁の曲りかどから大祭司エリアシブの家の門までの他の部分を修理し、 + その後にハッコヅの子ウリヤの子メレモテが、エリアシブの家の門からエリアシブの家の端までの他の部分を修理し、 + 彼の後に低地の人々である祭司たちが修理し、 + その後にベニヤミンおよびハシュブが、自分たちの家と向かい合っている所を修理し、その後にアナニヤの子マアセヤの子アザリヤが、自分の家の附近を修理し、 + その後にヘナダデの子ビンヌイが、アザリヤの家から城壁の曲りかど、およびすみまでの他の部分を修理した。 + ウザイの子パラルは、城壁の曲りかどと向かい合っている所、および監視の庭に近い王の上の家から突き出ている望楼と向かい合っている所を修理した。その後にパロシの子ペダヤ、 + およびオペルに住んでいる宮に仕えるしもべたちが、東の方の水の門と向かい合っている所、および突き出ている望楼と向かい合っている所まで修理した。 + その後にテコアびとが、突き出ている大望楼と向かい合っている他の部分を修理し、オペルの城壁にまで及んだ。 + 馬の門から上の方は祭司たちが、おのおの自分の家と向かい合っている所を修理した。 + その後にインメルの子ザドクが、自分の家と向かい合っている所を修理し、その後にシカニヤの子シマヤという東の門を守る者が修理し、 + その後にシレミヤの子ハナニヤおよびザラフの第六の子ハヌンが他の部分を修理し、その後にベレキヤの子メシュラムが、自分のへやと向かい合っている所を修理した。 + その後に金細工人のひとりマルキヤという者が、召集の門と向かい合っている所を修理して、すみの二階のへやに至り、宮に仕えるしもべたちおよび商人の家にまで及んだ。 + またすみの二階のへやと羊の門の間は金細工人と商人たちがこれを修理した。 + + + サンバラテはわれわれが城壁を築くのを聞いて怒り、大いに憤ってユダヤ人をあざけった。 + 彼はその兄弟たちおよびサマリヤの兵隊の前で語って言った、「この弱々しいユダヤ人は何をしているのか。自分で再興しようとするのか。犠牲をささげようとするのか。一日で事を終えようとするのか。塵塚の中の石はすでに焼けているのに、これを取りだして生かそうとするのか」。 + またアンモンびとトビヤは、彼のかたわらにいて言った、「そうだ、彼らの築いている城壁は、きつね一匹が上ってもくずれるであろう」と。 + 「われわれの神よ、聞いてください。われわれは侮られています。彼らのはずかしめを彼らのこうべに返し、彼らを捕囚の地でぶんどり物にしてください。 + 彼らのとがをおおわず、彼らの罪をみ前から消し去らないでください。彼らは築き建てる者の前であなたを怒らせたからです」。 + こうしてわれわれは城壁を築いたが、石がきはみな相連なって、その高さの半ばにまで達した。民が心をこめて働いたからである。 + ところがサンバラテ、トビヤ、アラビヤびと、アンモンびと、アシドドびとらは、エルサレムの城壁の修理が進展し、その破れ目もふさがり始めたと聞いて大いに怒り、 + 皆共に相はかり、エルサレムを攻めて、その中に混乱を起そうとした。 + そこでわれわれは神に祈り、また日夜見張りを置いて彼らに備えた。 + その時、ユダびとは言った、「荷を負う者の力は衰え、そのうえ、灰土がおびただしいので、われわれは城壁を築くことができない」。 + またわれわれの敵は言った、「彼らの知らないうちに、また見ないうちに、彼らの中にはいりこんで彼らを殺し、その工事をやめさせよう」。 + また彼らの近くに住んでいるユダヤ人たちはきて、十度もわれわれに言った、「彼らはその住んでいるすべての所からわれわれに攻め上るでしょう」と。 + そこでわたしは民につるぎ、やりおよび弓を持たせ、城壁の後の低い所、すなわち空地にその家族にしたがって立たせた。 + わたしは見めぐり、立って尊い人々、つかさたち、およびその他の民らに言った、「あなたがたは彼らを恐れてはならない。大いなる恐るべき主を覚え、あなたがたの兄弟、むすこ、娘、妻および家のために戦いなさい」。 + われわれの敵は自分たちの事が、われわれに悟られたことを聞き、また神が彼らの計りごとを破られたことを聞いたので、われわれはみな城壁に帰り、おのおのその工事を続けた。 + その日から後は、わたしのしもべの半数は工事に働き、半数はやり、盾、弓、よろいをもって武装した。そしてつかさたちは城壁を築いているユダの全家の後に立った。 + 荷を負い運ぶ者はおのおの片手で工事をなし、片手に武器を執った。 + 築き建てる者はおのおのその腰につるぎを帯びて築き建て、ラッパを吹く者はわたしのかたわらにいた。 + わたしは尊い人々、つかさたち、およびその他の民に言った、「工事は大きくかつ広がっているので、われわれは城壁の上で互に遠く離れている。 + どこででもラッパの音を聞いたなら、そこにいるわれわれの所に集まってほしい。われわれの神はわれわれのために戦われます」。 + このようにして、われわれは工事を進めたが、半数の者は夜明けから星の出る時まで、やりを執っていた。 + その時わたしはまた民に告げて、「おのおのそのしもべと共にエルサレムの内に宿り、夜はわれわれの護衛者となり、昼は工事をするように」と言った。 + そして、わたしも、わたしの兄弟たちも、わたしのしもべたちも、わたしを護衛する人々も、われわれのうちひとりも、その衣を脱がず、おのおの手に武器を執っていた。 + + + さて、ここに民がその妻と共に、その兄弟であるユダヤ人に向かって大いに叫び訴えることがあった。 + すなわち、ある人々は言った、「われわれはむすこ娘と共に大ぜいです。われわれは穀物を得て、食べて生きていかなければなりません」。 + またある人々は言った、「われわれは飢えのために、穀物を得ようと田畑も、ぶどう畑も、家も抵当に入れています」。 + ある人々は言った、「われわれは王の税金のために、われわれの田畑およびぶどう畑をもって金を借りました。 + 現にわれわれの肉はわれわれの兄弟の肉に等しく、われわれの子供も彼らの子供に等しいのに、見よ、われわれはむすこ娘を人の奴隷とするようにしいられています。われわれの娘のうちには、すでに人の奴隷になった者もありますが、われわれの田畑も、ぶどう畑も他人のものになっているので、われわれにはどうする力もありません」。 + わたしは彼らの叫びと、これらの言葉を聞いて大いに怒った。 + わたしはみずから考えたすえ、尊い人々およびつかさたちを責めて言った、「あなたがたはめいめいその兄弟から利息をとっている」。そしてわたしは彼らの事について大会を開き、 + 彼らに言った、「われわれは異邦人に売られたわれわれの兄弟ユダヤ人を、われわれの力にしたがってあがなった。しかるにあなたがたは自分の兄弟を売ろうとするのか。彼らはわれわれに売られるのか」。彼らは黙してひと言もいわなかった。 + わたしはまた言った、「あなたがたのする事はよくない。あなたがたは、われわれの敵である異邦人のそしりをやめさせるために、われわれの神を恐れつつ事をなすべきではないか。 + わたしもわたしの兄弟たちも、わたしのしもべたちも同じく金と穀物とを貸しているが、われわれはこの利息をやめよう。 + どうぞ、あなたがたは、きょうにも彼らの田畑、ぶどう畑、オリブ畑および家屋を彼らに返し、またあなたがたが彼らから取っていた金銭、穀物、ぶどう酒、油などの百分の一を返しなさい」。 + すると彼らは「われわれはそれを返します。彼らから何をも要求しません。あなたの言うようにします」と言った。そこでわたしは祭司たちを呼び、彼らにこの言葉のとおりに行うという誓いを立てさせた。 + わたしはまたわたしのふところを打ち払って言った、「この約束を実行しない者を、どうぞ神がこのように打ち払って、その家およびその仕事を離れさせられるように。その人はこのように打ち払われてむなしくなるように」。会衆はみな「アァメン」と言って、主をさんびした。そして民はこの約束のとおりに行った。 + またわたしは、ユダの地の総督に任ぜられた時から、すなわちアルタシャスタ王の第二十年から第三十二年まで、十二年の間、わたしもわたしの兄弟たちも、総督としての手当てを受けなかった。 + わたしより以前の総督らは民に重荷を負わせ、彼らから銀四十シケルのほかにパンとぶどう酒を取り、また彼らのしもべたちも民を圧迫した。しかしわたしは神を恐れるので、そのようなことはしなかった。 + わたしはかえって、この城壁の工事に身をゆだね、どんな土地をも買ったことはない。わたしのしもべたちは皆そこに集まって工事をした。 + またわたしの食卓にはユダヤ人と、つかさたち百五十人もあり、そのほかに、われわれの周囲の異邦人のうちからきた人々もあった。 + これがために一日に牛一頭、肥えた羊六頭を備え、また鶏をもわたしのために備え、十日ごとにたくさんのぶどう酒を備えたが、わたしはこの民の労役が重かったので、総督としての手当てを求めなかった。 + わが神よ、わたしがこの民のためにしたすべての事を覚えて、わたしをお恵みください。 + + + サンバラテ、トビヤ、アラビヤびとガシムおよびその他のわれわれの敵は、わたしが城壁を築き終って、一つの破れも残らないと聞いた。(しかしその時にはまだ門のとびらをつけていなかったのである。) + そこでサンバラテとガシムはわたしに使者をつかわして言った、「さあ、われわれはオノの平野にある一つの村で会見しよう」と。彼らはわたしに危害を加えようと考えていたのである。 + それでわたしは彼らに使者をつかわして言わせた、「わたしは大いなる工事をしているから下って行くことはできない。どうしてこの工事をさしおいて、あなたがたの所へ下って行き、その間、工事をやめることができようか」。 + 彼らは四度までこのようにわたしに人をつかわしたが、わたしは同じように彼らに答えた。 + ところが、サンバラテは五度目にそのしもべを前のようにわたしにつかわした。その手には開封の手紙を携えていた。 + その中に次のようにしるしてあった、「諸国民の間に言い伝えられ、またガシムも言っているが、あなたはユダヤ人と共に反乱を企て、これがために城壁を築いている。またその言うところによれば、あなたは彼らの王になろうとしている。 + またあなたは預言者を立てて、あなたのことをエルサレムにのべ伝えさせ、『ユダに王がある』と言わせているが、そのことはこの言葉のとおり王に聞えるでしょう。それゆえ、今おいでなさい。われわれは共に相談しましょう」。 + そこでわたしは彼に人をつかわして言わせた、「あなたの言うようなことはしていません。あなたはそれを自分の心から造り出したのです」と。 + 彼らはみな「彼らの手が弱って工事をやめるようになれば、工事は成就しないだろう」と考えて、われわれをおどそうとしたのである。しかし神よ、どうぞいまわたしの手を強めてください。 + さてわたしはメヘタベルの子デラヤの子シマヤの家に行ったところ、彼は閉じこもっていて言った、「われわれは神の宮すなわち神殿の中で会合し、神殿の戸を閉じておきましょう。彼らはあなたを殺そうとして来るからです。きっと夜のうちにあなたを殺そうとして来るでしょう」。 + わたしは言った、「わたしのような者がどうして逃げられよう。わたしのような者でだれが神殿にはいって命を全うすることができよう。わたしははいらない」。 + わたしは悟った。神が彼をつかわされたのではない。彼がわたしにむかってこの預言を伝えたのは、トビヤとサンバラテが彼を買収したためである。 + 彼が買収されたのはこの事のためである。すなわちわたしを恐れさせ、わたしにこのようにさせて、罪を犯させ、わたしに悪名をきせて侮辱するためであった。 + わが神よ、トビヤ、サンバラテおよび女預言者ノアデヤならびにその他の預言者など、すべてわたしを恐れさせようとする者たちをおぼえて、彼らが行ったこれらのわざに報いてください。 + こうして城壁は五十二日を経て、エルルの月の二十五日に完成した。 + われわれの敵が皆これを聞いた時、われわれの周囲の異邦人はみな恐れ、大いに面目を失った。彼らはこの工事が、われわれの神の助けによって成就したことを悟ったからである。 + またそのころ、ユダの尊い人々は多くの手紙をトビヤに送った。トビヤの手紙もまた彼らにきた。 + トビヤはアラの子シカニヤの婿であったので、ユダのうちの多くの者が彼と誓いを立てていたからである。トビヤの子ヨハナンもベレキヤの子メシュラムの娘を妻にめとった。 + 彼らはまたトビヤの善行をわたしの前に語り、またわたしの言葉を彼に伝えた。トビヤはたびたび手紙を送って、わたしを恐れさせようとした。 + + + 城壁が築かれて、とびらを設け、さらに門衛、歌うたう者およびレビびとを任命したので、 + わたしは、わたしの兄弟ハナニと、城のつかさハナニヤに命じて、エルサレムを治めさせた。彼は多くの者にまさって忠信な、神を恐れる者であったからである。 + わたしは彼らに言った、「日の暑くなるまではエルサレムのもろもろの門を開いてはならない。人々が立って守っている間に門を閉じさせ、貫の木を差せ。またエルサレムの住民の中から番兵を立てて、おのおのにその所を守らせ、またおのおのの家と向かい合う所を守らせよ」。 + 町は広くて大きかったが、その内の民は少なく、家々はまだ建てられていなかった。 + 時に神はわたしの心に、尊い人々、つかさおよび民を集めて、家系によってその名簿をしらべようとの思いを起された。わたしは最初に上って来た人々の系図を発見し、その中にこのようにしるしてあるのを見いだした。 + バビロンの王ネブカデネザルが捕え移した捕囚のうち、ゆるされてエルサレムおよびユダに上り、おのおの自分の町に帰ったこの州の人々は次のとおりである。 + 彼らはゼルバベル、エシュア、ネヘミヤ、アザリヤ、ラアミヤ、ナハマニ、モルデカイ、ビルシャン、ミスペレテ、ビグワイ、ネホム、バアナと一緒に帰ってきた者たちである。そのイスラエルの民の人数は次のとおりである。 + パロシの子孫は二千百七十二人。 + シパテヤの子孫は三百七十二人。 + アラの子孫は六百五十二人。 + パハテ・モアブの子孫すなわちエシュアとヨアブの子孫は二千八百十八人。 + エラムの子孫は一千二百五十四人。 + ザットの子孫は八百四十五人。 + ザッカイの子孫は七百六十人。 + ビンヌイの子孫は六百四十八人。 + ベバイの子孫は六百二十八人。 + アズガデの子孫は二千三百二十二人。 + アドニカムの子孫は六百六十七人。 + ビグワイの子孫は二千六十七人。 + アデンの子孫は六百五十五人。 + ヒゼキヤの家のアテルの子孫は九十八人。 + ハシュムの子孫は三百二十八人。 + ベザイの子孫は三百二十四人。 + ハリフの子孫は百十二人。 + ギベオンの子孫は九十五人。 + ベツレヘムおよびネトパの人々は百八十八人。 + アナトテの人々は百二十八人。 + ベテ・アズマウテの人々は四十二人。 + キリアテ・ヤリム、ケピラおよびベエロテの人々は七百四十三人。 + ラマおよびゲバの人々は六百二十一人。 + ミクマシの人々は百二十二人。 + ベテルおよびアイの人々は百二十三人。 + ほかのネボの人々は五十二人。 + ほかのエラムの子孫は一千二百五十四人。 + ハリムの子孫は三百二十人。 + エリコの人々は三百四十五人。 + ロド、ハデデおよびオノの人々は七百二十一人。 + セナアの子孫は三千九百三十人。 + 祭司では、エシュアの家のエダヤの子孫が九百七十三人。 + インメルの子孫が一千五十二人。 + パシュルの子孫が一千二百四十七人。 + ハリムの子孫が一千十七人。 + レビびとでは、エシュアの子孫すなわちホデワの子孫のうちのカデミエルの子孫が七十四人。 + 歌うたう者では、アサフの子孫が百四十八人。 + 門衛では、シャルムの子孫、アテルの子孫、タルモンの子孫、アックブの子孫、ハテタの子孫およびショバイの子孫合わせて百三十八人。 + 宮に仕えるしもべでは、ジハの子孫、ハスパの子孫、タバオテの子孫、 + ケロスの子孫、シアの子孫、パドンの子孫、 + レバナの子孫、ハガバの子孫、サルマイの子孫、 + ハナンの子孫、ギデルの子孫、ガハルの子孫、 + レアヤの子孫、レヂンの子孫、ネコダの子孫、 + ガザムの子孫、ウザの子孫、パセアの子孫、 + ベサイの子孫、メウニムの子孫、ネフセシムの子孫、 + バクブクの子孫、ハクパの子孫、ハルホルの子孫、 + バヅリテの子孫、メヒダの子孫、ハルシャの子孫、 + バルコスの子孫、シセラの子孫、テマの子孫、 + ネヂアの子孫およびハテパの子孫。 + ソロモンのしもべであった者たちの子孫では、ソタイの子孫、ソペレテの子孫、ペリダの子孫、 + ヤアラの子孫、ダルコンの子孫、ギデルの子孫、 + シパテヤの子孫、ハッテルの子孫、ポケレテ・ハッゼバイムの子孫、アモンの子孫。 + 宮に仕えるしもべたちとソロモンのしもべであった者たちの子孫とは合わせて三百九十二人。 + テルメラ、テルハレサ、ケルブ、アドンおよびインメルから上って来た者があったが、その氏族と、血統とを示して、イスラエルの者であることを明らかにすることができなかった。その人々は次のとおりである。 + すなわちデラヤの子孫、トビヤの子孫、ネコダの子孫であって、合わせて六百四十二人。 + また祭司のうちにホバヤの子孫、ハッコヅの子孫、バルジライの子孫がある。バルジライはギレアデびとバルジライの娘たちのうちから妻をめとったので、その名で呼ばれた。 + これらの者はこの系図に載った者のうちに、自分の籍をたずねたが、なかったので、汚れた者として祭司の職から除かれた。 + 総督は彼らに告げて、ウリムとトンミムを帯びる祭司の起るまでは、いと聖なる物を食べてはならぬと言った。 + 会衆は合わせて四万二千三百六十人であった。 + このほかに男女の奴隷が七千三百三十七人、歌うたう者が男女合わせて二百四十五人あった。 + その馬は七百三十六頭、その騾馬は二百四十五頭、 + そのらくだは四百三十五頭、そのろばは六千七百二十頭であった。 + 氏族の長のうち工事のためにささげ物をした人々があった。総督は金一千ダリク、鉢五十、祭司の衣服五百三十かさねを倉に納めた。 + また氏族の長のうちのある人々は金二万ダリク、銀二千二百ミナを工事のために倉に納めた。 + その他の民の納めたものは金二万ダリク、銀二千ミナ、祭司の衣服六十七かさねであった。 + こうして祭司、レビびと、門衛、歌うたう者、民のうちのある人々、宮に仕えるしもべたち、およびイスラエルびとは皆その町々に住んだ。イスラエルの人々はその町々に住んで七月になった。 + + + その時民は皆ひとりのようになって水の門の前の広場に集まり、主がイスラエルに与えられたモーセの律法の書を持って来るように、学者エズラに求めた。 + 祭司エズラは七月の一日に律法を携えて来て、男女の会衆およびすべて聞いて悟ることのできる人々の前にあらわれ、 + 水の門の前にある広場で、あけぼのから正午まで、男女および悟ることのできる人々の前でこれを読んだ。民はみな律法の書に耳を傾けた。 + 学者エズラはこの事のために、かねて設けた木の台の上に立ったが、彼のかたわらには右の方にマッタテヤ、シマ、アナヤ、ウリヤ、ヒルキヤおよびマアセヤが立ち、左の方にはペダヤ、ミサエル、マルキヤ、ハシュム、ハシバダナ、ゼカリヤおよびメシュラムが立った。 + エズラはすべての民の前にその書を開いた。彼はすべての民よりも高い所にいたからである。彼が書を開くと、すべての民は起立した。 + エズラは大いなる神、主をほめ、民は皆その手をあげて、「アァメン、アァメン」と言って答え、こうべをたれ、地にひれ伏して主を拝した。 + エシュア、バニ、セレビヤ、ヤミン、アックブ、シャベタイ、ホデヤ、マアセヤ、ケリタ、アザリヤ、ヨザバデ、ハナン、ペラヤおよびレビびとたちは民に律法を悟らせた。民はその所に立っていた。 + 彼らはその書、すなわち神の律法をめいりょうに読み、その意味を解き明かしてその読むところを悟らせた。 + 総督であるネヘミヤと、祭司であり、学者であるエズラと、民を教えるレビびとたちはすべての民に向かって「この日はあなたがたの神、主の聖なる日です。嘆いたり、泣いたりしてはならない」と言った。すべての民が律法の言葉を聞いて泣いたからである。 + そして彼らに言った、「あなたがたは去って、肥えたものを食べ、甘いものを飲みなさい。その備えのないものには分けてやりなさい。この日はわれわれの主の聖なる日です。憂えてはならない。主を喜ぶことはあなたがたの力です」。 + レビびともまたすべての民を静めて、「泣くことをやめなさい。この日は聖なる日です。憂えてはならない」と言った。 + すべての民は去って食い飲みし、また分け与えて、大いに喜んだ。これは彼らが読み聞かされた言葉を悟ったからである。 + 次の日、すべての民の氏族の長たち、祭司、レビびとらは律法の言葉を学ぶために学者エズラのもとに集まってきて、 + 律法のうちに主がモーセに命じられたこと、すなわちイスラエルの人々は七月の祭の間、仮庵の中に住むべきことがしるされているのを見いだした。 + またすべての町々およびエルサレムにのべ伝えて、「あなたがたは山に出て行って、オリブと野生のオリブ、ミルトス、なつめやし、および茂った木の枝を取ってきて、しるされてあるとおり、仮庵を造れ」と言ってあるのを見いだした。 + それで民は出て行って、それを持って帰り、おのおのその家の屋根の上、その庭、神の宮の庭、水の門の広場、エフライムの門の広場などに仮庵を造った。 + 捕囚から帰って来た会衆は皆仮庵を造って、仮庵に住んだ。ヌンの子ヨシュアの日からこの日まで、イスラエルの人々はこのように行ったことがなかった。それでその喜びは非常に大きかった。 + エズラは初めの日から終りの日まで、毎日神の律法の書を読んだ。人々は七日の間、祭を行い、八日目になって、おきてにしたがって聖会を開いた。 + + + その月の二十四日にイスラエルの人々は集まって断食し、荒布をまとい、土をかぶった。 + そしてイスラエルの子孫は、すべての異邦人を離れ、立って自分の罪と先祖の不義とをざんげした。 + 彼らはその所に立って、その日の四分の一をもってその神、主の律法の書を読み、他の四分の一をもってざんげをなし、その神、主を拝した。 + その時エシュア、バニ、カデミエル、シバニヤ、ブンニ、セレビヤ、バニ、ケナニらはレビびとの台の上に立ち、大声をあげて、その神、主に呼ばわった。 + それからまたエシュア、カデミエル、バニ、ハシャブニヤ、セレビヤ、ホデヤ、セバニヤ、ペタヒヤなどのレビびとは言った、「立ちあがって永遠から永遠にいますあなたがたの神、主をほめなさい。あなたの尊いみ名はほむべきかな。これはすべての祝福とさんびを越えるものです」。 + またエズラは言った、「あなたは、ただあなたのみ、主でいらせられます。あなたは天と諸天の天と、その万象、地とその上のすべてのもの、海とその中のすべてのものを造り、これをことごとく保たれます。天の万軍はあなたを拝します。 + あなたは主、神でいらせられます。あなたは昔アブラムを選んでカルデヤのウルから導き出し、彼にアブラハムという名を与え、 + 彼の心があなたの前に忠信なのを見られて、彼と契約を結び、その子孫にカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、エブスびとおよびギルガシびとの地を与えると言われたが、ついにあなたはその約束を成就されました。あなたは正しくいらせられるからです。 + あなたはわれわれの先祖がエジプトで苦難を受けるのを顧みられ、また紅海のほとりで呼ばわり叫ぶのを聞きいれられ、 + しるしと不思議とをあらわしてパロと、そのすべての家来と、その国のすべての民を攻められました。彼らがわれわれの先祖に対して、ごうまんにふるまったことを知られたからです。そしてあなたが名をあげられたこと今日のようです。 + あなたはまた彼らの前で海を分け、彼らに、かわいた地を踏んで海の中を通らせ、彼らを追う者を、石を大水に投げ入れるように淵に投げ入れ、 + 昼は雲の柱をもって彼らを導き、夜は火の柱をもってその行くべき道を照されました。 + あなたはまたシナイ山の上に下り、天から彼らと語り、正しいおきてと、まことの律法および良きさだめと戒めとを授け、 + あなたの聖なる安息日を彼らに示し、あなたのしもべモーセによって戒めと、さだめと、律法とを彼らに命じ、 + 天から食物を与えてその飢えをとどめ、岩から水を出してそのかわきを潤し、また、彼らに与えると誓われたその国にはいって、これを獲るように彼らに命じられました。 + しかし彼ら、すなわちわれわれの先祖はごうまんにふるまい、かたくなで、あなたの戒めに従わず、 + 従うことを拒み、あなたが彼らの中で行われた奇跡を心にとめず、かえってかたくなになり、みずからひとりのかしらを立てて、エジプトの奴隷の生活に帰ろうとしました。しかしあなたは罪をゆるす神、恵みあり、あわれみあり、怒ることおそく、いつくしみ豊かにましまして、彼らを捨てられませんでした。 + また彼らがみずから一つの鋳物の子牛を造って、『これはあなたがたをエジプトから導き上ったあなたがたの神である』と言って、大いに汚し事を行った時にも、 + あなたは大いなるあわれみをもって彼らを荒野に見捨てられず、昼は雲の柱を彼らの上から離さないで道々彼らを導き、夜は火の柱をもって彼らの行くべき道を照されました。 + またあなたは良きみたまを賜わって彼らを教え、あなたのマナを常に彼らの口に与え、また水を彼らに与えて、かわきをとどめ、 + 四十年の間彼らを荒野で養われたので、彼らはなんの欠けるところもなく、その衣服も古びず、その足もはれませんでした。 + そしてあなたは彼らに諸国、諸民を与えて、これをすべて分かち取らせられました。彼らはヘシボンの王シホンの領地、およびバシャンの王オグの領地を獲ました。 + また彼らの子孫を増して空の星のようにし、彼らの先祖たちに、はいって獲よと言われた地に彼らを導き入れられたので、 + その子孫は、はいってこの地を獲ました。あなたはまた、この地に住むカナンびとを彼らの前に征服し、その王たちおよびその地の民を彼らの手に渡して、意のままに扱わせられました。 + それで彼らは堅固な町々および肥えた地を取り、もろもろの良い物の満ちた家、掘池、ぶどう畑、オリブ畑および多くの果樹を獲、食べて飽き、肥え太り、あなたの大いなる恵みによって楽しみました。 + それにもかかわらず彼らは不従順で、あなたにそむき、あなたの律法を後に投げ捨て、彼らを戒めて、あなたに立ち返らせようとした預言者たちを殺し、大いに汚し事を行いました。 + そこであなたは彼らを敵の手に渡して苦しめられましたが、彼らがその苦難の時にあなたに呼ばわったので、あなたは天からこれを聞かれ、大いなるあわれみをもって彼らに救う者を与え、敵の手から救わせられました。 + ところが彼らは安息を得るやいなや、またあなたの前に悪事を行ったので、あなたは彼らを敵の手に捨て置いて、これに治めさせられましたが、彼らがまた立ち返ってあなたに呼ばわったので、あなたは天からこれを聞き、あわれみをもってしばしば彼らを救い出し、 + 彼らを戒めて、あなたの律法に引きもどそうとされました。けれども彼らはごうまんにふるまい、あなたの戒めに従わず、人がこれを行うならば、これによって生きるというあなたのおきてを破って罪を犯し、肩をそびやかし、かたくなになって、聞き従おうとはしませんでした。 + それでもあなたは年久しく彼らを忍び、あなたの預言者たちにより、あなたのみたまをもって彼らを戒められましたが、彼らは耳を傾けなかったので、彼らを国々の民の手に渡されました。 + しかしあなたは大いなるあわれみによって彼らを絶やさず、また彼らを捨てられませんでした。あなたは恵みあり、あわれみある神でいらせられるからです。 + それゆえ、われわれの神、契約を保ち、いつくしみを施される大いにして力強く、恐るべき神よ、アッスリヤの王たちの時から今日まで、われわれとわれわれの王たち、つかさたち、祭司たち、預言者たち、先祖たち、およびあなたのすべての民に臨んだもろもろの苦難を小さい事と見ないでください。 + われわれに臨んだすべての事について、あなたは正しいのです。あなたは誠実をもって行われたのに、われわれは悪を行ったのです。 + われわれの王たち、つかさたち、祭司たち、先祖たちはあなたの律法を行わず、あなたがお与えになった命令と戒めとに聞き従いませんでした。 + すなわち彼らはおのれの国におり、あなたが下さった大きな恵みのうちにおり、またあなたがお与えになった広い肥えた地におりながら、あなたに仕えず、また自分の悪いわざをやめることをしませんでした。 + われわれは今日奴隷です。あなたがわれわれの先祖に与えて、その実とその良き物とを食べさせようとされた地で、われわれは奴隷となっているのです。 + そしてこの地はわれわれの罪のゆえに、あなたがわれわれの上に立てられた王たちのために多くの産物を出しています。かつ彼らはわれわれの身をも、われわれの家畜をも意のままに左右することができるので、われわれは大いなる苦難のうちにあるのです」。 + このもろもろの事のためにわれわれは堅い契約を結んで、これを記録し、われわれのつかさたち、レビびとたち祭司たちはこれに印を押した。 + + + 印を押した者はハカリヤの子である総督ネヘミヤ、およびゼデキヤ、 + セラヤ、アザリヤ、エレミヤ、 + パシュル、アマリヤ、マルキヤ、 + ハットシ、シバニヤ、マルク、 + ハリム、メレモテ、オバデヤ、 + ダニエル、ギンネトン、バルク、 + メシュラム、アビヤ、ミヤミン、 + マアジヤ、ビルガイ、シマヤで、これらは祭司である。 + レビびとではアザニヤの子エシュア、ヘナダデの子らのうちのビンヌイ、カデミエル、 + およびその兄弟シバニヤ、ホデヤ、ケリタ、ペラヤ、ハナン、 + ミカ、レホブ、ハシャビヤ、 + ザックル、セレビヤ、シバニヤ、 + ホデヤ、バニ、ベニヌである。 + 民のかしらではパロシ、パハテ・モアブ、エラム、ザット、バニ、 + ブンニ、アズガデ、ベバイ、 + アドニヤ、ビグワイ、アデン、 + アテル、ヒゼキヤ、アズル、 + ホデヤ、ハシュム、ベザイ、 + ハリフ、アナトテ、ノバイ、 + マグピアシ、メシュラム、ヘジル、 + メシザベル、ザドク、ヤドア、 + ペラテヤ、ハナン、アナニヤ、 + ホセア、ハナニヤ、ハシュブ、 + ハロヘシ、ピルハ、ショベク、 + レホム、ハシャブナ、マアセヤ、 + アヒヤ、ハナン、アナン、 + マルク、ハリム、バアナである。 + その他の民、祭司、レビびと、門を守る者、歌うたう者、宮に仕えるしもべ、ならびにすべて国々の民と離れて神の律法に従った者およびその妻、むすこ、娘などすべて知識と悟りのある者は、 + その兄弟である尊い人々につき従い、神のしもべモーセによって授けられた神の律法に歩み、われわれの主、主のすべての戒めと、おきてと、定めとを守り行うために、のろいと誓いとに加わった。 + われわれはこの地の民らにわれわれの娘を与えず、われわれのむすこに彼らの娘をめとらない。 + またこの地の民らがたとい品物または穀物を安息日に携えて来て売ろうとしても、われわれは安息日または聖日にはそれを買わない。また七年ごとに耕作をやめ、すべての負債をゆるす。 + われわれはまたみずから規定を設けて、われわれの神の宮の用のために年々シケルの三分の一を出し、 + 供えのパン、常素祭、常燔祭のため、安息日、新月および定めの祭の供え物のため、聖なる物のため、イスラエルのあがないをなす罪祭、およびわれわれの神の宮のもろもろのわざのために用いることにした。 + またわれわれ祭司、レビびとおよび民はくじを引いて、律法にしるされてあるようにわれわれの神、主の祭壇の上にたくべきたきぎの供え物を、年々定められた時に氏族にしたがって、われわれの神の宮に納める者を定めた。 + またわれわれの土地の初なり、および各種の木の実の初なりを、年々主の宮に携えてくることを誓い、 + また律法にしるしてあるように、われわれの子どもおよび家畜のういご、およびわれわれの牛や羊のういごを、われわれの神の宮に携えてきて、われわれの神の宮に仕える祭司に渡し、 + われわれの麦粉の初物、われわれの供え物、各種の木の実、ぶどう酒および油を祭司のもとに携えて行って、われわれの神の宮のへやに納め、またわれわれの土地の産物の十分の一をレビびとに与えることにした。レビびとはわれわれのすべての農作をなす町において、その十分の一を受くべき者だからである。 + レビびとが十分の一を受ける時には、アロンの子孫である祭司が、そのレビびとと共にいなければならない。そしてまたレビびとはその十分の一の十分の一を、われわれの神の宮に携え上って、へやまたは倉に納めなければならない。 + すなわちイスラエルの人々およびレビの子孫は穀物、ぶどう酒、および油の供え物を携えて行って、聖所の器物および勤めをする祭司、門衛、歌うたう者たちのいるへやにこれを納めなければならない。こうしてわれわれは、われわれの神の宮をなおざりにしない。 + + + 民のつかさたちはエルサレムに住み、その他の民はくじを引いて、十人のうちからひとりずつを、聖都エルサレムに来て住ませ、九人を他の町々に住ませた。 + またすべてみずから進みでてエルサレムに住むことを申し出た人々は、民はこれを祝福した。 + さてエルサレムに住んだこの州の長たちは次のとおりである。ただしユダの町々ではおのおのその町々にある自分の所有地に住んだ。すなわちイスラエルびと、祭司、レビびと、宮に仕えるしもべ、およびソロモンのしもべであった者たちの子孫である。 + そしてエルサレムにはユダの子孫およびベニヤミンの子孫のうちのある者たちが住んだ。すなわちユダの子孫ではウジヤの子アタヤで、ウジヤはゼカリヤの子、ゼカリヤはアマリヤの子、アマリヤはシパテヤの子、シパテヤはマハラレルの子、マハラレルはペレヅの子孫である。 + またバルクの子マアセヤで、バルクはコロホゼの子、コロホゼはハザヤの子、ハザヤはアダヤの子、アダヤはヨヤリブの子、ヨヤリブはゼカリヤの子、ゼカリヤはシロニびとの子である。 + ペレヅの子孫でエルサレムに住んだ者は合わせて四百六十八人で、みな勇敢な人々である。 + ベニヤミンの子孫では次のとおりである。すなわちメシュラムの子サルで、メシュラムはヨエデの子、ヨエデはペダヤの子、ペダヤはコラヤの子、コラヤはマアセヤの子、マアセヤはイテエルの子、イテエルはエサヤの子である。 + その次はガバイおよびサライなどで合わせて九百二十八人。 + ジクリの子ヨエルが彼らの監督である。ハッセヌアの子ユダがその副官として町を治めた。 + 祭司ではヨヤリブの子エダヤ、ヤキン、 + および神の宮のつかさセラヤで、セラヤはヒルキヤの子、ヒルキヤはメシュラムの子、メシュラムはザドクの子、ザドクはメラヨテの子、メラヨテはアヒトブの子である。 + 宮の務をするその兄弟は八百二十二人あり、また、エロハムの子アダヤがある。エロハムはペラリヤの子、ペラリヤはアムジの子、アムジはゼカリヤの子、ゼカリヤはパシホルの子、パシホルはマルキヤの子である。 + アダヤの兄弟で、氏族の長たる者は二百四十二人あり、またアザリエルの子アマシサイがある。アザリエルはアハザイの子、アハザイはメシレモテの子、メシレモテはインメルの子である。 + その兄弟である勇士は百二十八人あり、その監督はハッゲドリムの子ザブデエルである。 + レビびとではハシュブの子シマヤで、ハシュブはアズリカムの子、アズリカムはハシャビヤの子、ハシャビヤはブンニの子である。 + またシャベタイおよびヨザバデがある。これらはレビびとのかしらであって、神の宮の外のわざをつかさどった。 + またミカの子マッタニヤがある。ミカはザブデの子、ザブデはアサフの子である。マッタニヤは祈の時に感謝の言葉を唱え始める者である。その兄弟のうちのバクブキヤは彼に次ぐ者であった。またシャンマの子アブダがある。シャンマはガラルの子、ガラルはエドトンの子である。 + 聖都におるレビびとは合わせて二百八十四人であった。 + 門衛では門を守るアックブ、タルモンおよびその兄弟たち合わせて百七十二人である。 + その他のイスラエルびと、祭司、レビびとたちは皆ユダのすべての町々にあって、おのおの自分の嗣業にとどまった。 + ただし宮に仕えるしもべたちはオペルに住み、ヂハおよびギシパが宮に仕えるしもべたちを監督していた。 + エルサレムにおるレビびとの監督はウジである。ウジはバニの子、バニはハシャビヤの子、ハシャビヤはマッタニヤの子、マッタニヤはミカの子である。ミカは歌うたう者なるアサフの子孫である。ウジは神の宮のわざを監督した。 + 彼らについては王からの命令があって、歌うたう者に日々の定まった分を与えさせた。 + またユダの子ゼラの子孫であるメシザベルの子ペタヒヤは王の手に属して民に関するすべての事を取り扱った。 + また村々とその田畑については、ユダの子孫の者はキリアテ・アルバとその村々、デボンとその村々、エカブジエルとその村々に住み、 + エシュア、モラダおよびベテペレテに住み、 + ハザル・シュアルおよびベエルシバとその村々に住み、 + チクラグおよびメコナとその村々に住み、 + エンリンモン、ザレア、ヤルムテに住み、 + ザノア、アドラムおよびそれらの村々、ラキシとその田野、アゼカとその村々に住んだ。こうして彼らはベエルシバからヒンノムの谷にまで宿営した。 + ベニヤミンの子孫はまたゲバからミクマシ、アヤおよびベテルとその村々に住み、 + アナトテ、ノブ、アナニヤ、 + ハゾル、ラマ、ギッタイム、 + ハデデ、ゼボイム、ネバラテ、 + ロド、オノ、工人の谷に住んだ。 + レビびとの組のユダにあるもののうちベニヤミンに合したものもあった。 + + + シャルテルの子ゼルバベルおよびエシュアと一緒に上ってきた祭司とレビびとは次のとおりである。すなわちセラヤ、エレミヤ、エズラ、 + アマリヤ、マルク、ハットシ、 + シカニヤ、レホム、メレモテ、 + イド、ギンネトイ、アビヤ、 + ミヤミン、マアデヤ、ビルガ、 + シマヤ、ヨヤリブ、エダヤ、 + サライ、アモク、ヒルキヤ、エダヤで、これらの者はエシュアの時代に祭司およびその兄弟らのかしらであった。 + レビびとではエシュア、ビンヌイ、カデミエル、セレビヤ、ユダ、マッタニヤで、マッタニヤはその兄弟らと共に感謝のことをつかさどった。 + また彼らの兄弟であるバグブキヤおよびウンノは彼らの向かいに立って勤めをした。 + エシュアの子はヨアキム、ヨアキムの子はエリアシブ、エリアシブの子はヨイアダ、 + ヨイアダの子はヨナタン、ヨナタンの子はヤドアである。 + ヨアキムの時代に祭司で氏族の長であった者はセラヤの氏族ではメラヤ、エレミヤの氏族ではハナニヤ、 + エズラの氏族ではメシュラム、アマリヤの氏族ではヨハナン、 + マルキの氏族ではヨナタン、シバニヤの氏族ではヨセフ、 + ハリムの氏族ではアデナ、メラヨテの氏族ではヘルカイ、 + イドの氏族ではゼカリヤ、ギンネトンの氏族ではメシュラム、 + アビヤの氏族ではジクリ、ミニヤミンの氏族、モアデヤの氏族ではピルタイ、 + ビルガの氏族ではシャンマ、シマヤの氏族ではヨナタン、 + ヨヤリブの氏族ではマッテナイ、エダヤの氏族ではウジ、 + サライの氏族ではカライ、アモクの氏族ではエベル、 + ヒルキヤの氏族ではハシャビヤ、エダヤの氏族ではネタンエルである。 + レビびとについては、エリアシブ、ヨイアダ、ヨハナンおよびヤドアの時代に、その氏族の長たちが登録された。また祭司たちもペルシャ王ダリヨスの治世まで登録された。 + レビの子孫で氏族の長たる者は、エリアシブの子ヨハナンの世まで歴代志の書にしるされている。 + レビびとのかしらはハシャビヤ、セレビヤおよびカデミエルの子エシュアであって、その兄弟たち相向かい合い、組と組と対応して神の人ダビデの命令に従い、さんびと感謝をささげた。 + マツタニヤ、バクブキヤ、オバデヤ、メシュラム、タルモンおよびアックブは門を守る者で門の内の倉を監督した。 + これらはヨザダクの子エシュアの子ヨアキムの時代、また総督ネヘミヤおよび学者である祭司エズラの時代にいた人々である。 + さてエルサレムの城壁の落成式に当って、レビびとを、そのすべての所から招いてエルサレムにこさせ、感謝と、歌と、シンバルと、立琴と、琴とをもって喜んで落成式を行おうとした。 + そこで、歌うたう人々はエルサレムの周囲の地方、ネトパびとの村々から集まってきた。 + またベテギルガルおよびゲバとアズマウテの地方からも集まってきた。この歌うたう者たちはエルサレムの周囲に自分の村々を建てていたからである。 + そして祭司とレビびとたちは身を清め、また民およびもろもろの門と城壁とを清めた。 + そこでわたしはユダのつかさたちを城壁の上にのぼらせ、また感謝する者の二つの大きな組を作って、行進させた。その一つは城壁の上を右に糞の門をさして進んだ。 + そのあとに従って進んだ者はホシャヤ、およびユダのつかさたちの半ば、 + ならびにアザリヤ、エズラ、メシュラム、 + ユダ、ベニヤミン、シマヤ、エレミヤであった。 + また数人の祭司がラッパをもって従った。すなわちヨナタンの子ゼカリヤ。ヨナタンはシマヤの子、シマヤはマッタニヤの子、マッタニヤはミカヤの子、ミカヤはザックルの子、ザックルはアサフの子である。 + またゼカリヤの兄弟たちシマヤ、アザリエル、ミラライ、ギラライ、マアイ、ネタンエル、ユダ、ハナニなどであって、神の人ダビデの楽器を持って従った。そして学者エズラは彼らの先に進んだ。 + 彼らは泉の門を経て、まっすぐに進み、城壁の上り口で、ダビデの町の階段から上り、ダビデの家の上を過ぎて東の方、水の門に至った。 + 他の一組の感謝する者は左に進んだ。わたしは民の半ばと共に彼らのあとに従った。そして城壁の上を行き、炉の望楼の上を過ぎて、城壁の広い所に至り、 + エフライムの門の上を通り、古い門を過ぎ、魚の門およびハナネルの望楼とハンメアの望楼を過ぎて、羊の門に至り、近衛の門に立ち止まった。 + こうして二組の感謝する者は神の宮にはいって立った。わたしもそこに立ち、つかさたちの半ばもわたしと共に立った。 + また祭司エリアキム、マアセヤ、ミニヤミン、ミカヤ、エリオエナイ、ゼカリヤ、ハナニヤらはラッパを持ち、 + マアセヤ、シマヤ、エレアザル、ウジ、ヨハナン、マルキヤ、エラムおよびエゼルも共にいた。そして歌うたう者たちは声高く歌った。エズラヒヤはその監督であった。 + こうして彼らはその日、大いなる犠牲をささげて喜んだ。神が彼らを大いに喜び楽しませられたからである。女子供までも喜んだ。それでエルサレムの喜びの声は遠くまで聞えた。 + その日、倉のもろもろのへやをつかさどる人々を選び、ささげ物、初物、十分の一など律法の定めるところの祭司およびレビびとの分を町々の田畑にしたがって取り集めて、へやに入れることをつかさどらせた。これは祭司およびレビびとの仕えるのを、ユダびとが喜んだからである。 + 彼らはダビデおよびその子ソロモンの命令に従って、神の勤めおよび清め事の勤めをした。歌うたう者および門を守る者もそのように行った。 + 昔ダビデおよびアサフの日には、歌うたう者のかしらがひとりいて、神にさんびと感謝をささげる事があった。 + またゼルバベルの日およびネヘミヤの日には、イスラエルびとはみな歌うたう者と門を守る者に日々の分を与え、またレビびとに物を聖別して与え、レビびとはまたこれを聖別してアロンの子孫に与えた。 + + + その日モーセの書を読んで民に聞かせたが、その中にアンモンびと、およびモアブびとは、いつまでも神の会に、はいってはならないとしるされているのを見いだした。 + これは彼らがかつて、パンと水をもってイスラエルの人々を迎えず、かえってこれをのろわせるためにバラムを雇ったからである。しかしわれわれの神はそののろいを変えて祝福とされた。 + 人々はこの律法を聞いた時、混血の民をことごとくイスラエルから分け離した。 + これより先、われわれの神の宮のへやをつかさどっていた祭司エリアシブは、トビヤと縁組したので、 + トビヤのために大きなへやを備えた。そのへやはもと、素祭の物、乳香、器物および規定によってレビびと、歌うたう者および門を守る者たちに与える穀物、ぶどう酒、油の十分の一、ならびに祭司のためのささげ物を置いた所である。 + その当時、わたしはエルサレムにいなかった。わたしはバビロンの王アルタシャスタの三十二年に王の所へ行ったが、しばらくたって王にいとまを請い、 + エルサレムに来て、エリアシブがトビヤのためにした悪事、すなわち彼のために神の宮の庭に一つのへやを備えたことを発見した。 + わたしは非常に怒り、トビヤの家の器物をことごとくそのへやから投げだし、 + 命じて、すべてのへやを清めさせ、そして神の宮の器物および素祭、乳香などを再びそこに携え入れた。 + わたしはまたレビびとがその受くべき分を与えられていなかったことを知った。これがためにその務をなすレビびとおよび歌うたう者たちは、おのおの自分の畑に逃げ帰った。 + それでわたしはつかさたちを責めて言った、「なぜ神の宮を捨てさせたのか」。そしてレビびとを招き集めて、その持ち場に復帰させた。 + そこでユダの人々は皆、穀物、ぶどう酒、油の十分の一を倉に携えてきた。 + わたしは祭司シレミヤ、学者ザドクおよびレビびとペダヤを倉のつかさとし、またマッタニヤの子ザックルの子ハナンをその助手として倉をつかさどらせた。彼らは忠実な者と思われたからである。彼らの任務は兄弟たちに分配する事であった。 + わが神よ、この事のためにわたしを覚えてください。わが神の宮とその勤めのためにわたしが行った良きわざをぬぐい去らないでください。 + そのころわたしはユダのうちで安息日に酒ぶねを踏む者、麦束を持ってきて、ろばに負わす者、またぶどう酒、ぶどう、いちじくおよびさまざまの荷を安息日にエルサレムに運び入れる者を見たので、わたしは彼らが食物を売っていたその日に彼らを戒めた。 + そこに住んでいたツロの人々もまた魚およびさまざまの品物を持ってきて、安息日にユダの人々に売り、エルサレムで商売した。 + そこでわたしはユダの尊い人々を責めて言った、「あなたがたはなぜこの悪事を行って、安息日を汚すのか。 + あなたがたの先祖も、このように行ったので、われわれの神はこのすべての災を、われわれとこの町に下されたではないか。ところがあなたがたは安息日を汚して、さらに大いなる怒りをイスラエルの上に招くのである」。 + そこで安息日の前に、エルサレムのもろもろの門が暗くなり始めた時、わたしは命じてそのとびらを閉じさせ、安息日が終るまでこれを開いてはならないと命じ、わたしのしもべ数人を門に置いて、安息日に荷を携え入れさせないようにした。 + これがために、商人およびさまざまの品物を売る者どもは一、二回エルサレムの外に宿った。 + わたしは彼らを戒めて言った、「あなたがたはなぜ城壁の前に宿るのか。もしあなたがたが重ねてそのようなことをするならば、わたしはあなたがたを処罰する」と。そのとき以来、彼らは安息日にはこなかった。 + わたしはまたレビびとに命じて、その身を清めさせ、来て門を守らせて、安息日を聖別した。わが神よ、わたしのためにまた、このことを覚え、あなたの大いなるいつくしみをもって、わたしをあわれんでください。 + そのころまた、わたしはアシドド、アンモン、モアブの女をめとったユダヤ人を見た。 + 彼らの子供の半分はアシドドの言葉を語って、ユダヤの言葉を語ることができず、おのおのその母親の出た民の言葉を語った。 + わたしは彼らを責め、またののしり、そのうちの数人を撃って、その毛を抜き、神の名をさして誓わせて言った、「あなたがたは彼らのむすこに自分の娘を与えてはならない。またあなたがたのむすこ、またはあなたがた自身のために彼らの娘をめとってはならない。 + イスラエルの王ソロモンはこれらのことによって罪を犯したではないか。彼のような王は多くの国民のうちにもなく、神に愛せられた者である。神は彼をイスラエル全国の王とせられた。ところが異邦の女たちは彼に罪を犯させた。 + それゆえあなたがたが異邦の女をめとり、このすべての大いなる悪を行って、われわれの神に罪を犯すのを、われわれは聞き流しにしておけようか」。 + 大祭司エリアシブの子ヨイアダのひとりの子はホロニびとサンバラテの婿であったので、わたしは彼をわたしのところから追い出した。 + わが神よ、彼らのことを覚えてください。彼らは祭司の職を汚し、また祭司およびレビびとの契約を汚しました。 + このように、わたしは彼らを清めて、異邦のものをことごとく捨てさせ、祭司およびレビびとの務を定めて、おのおのそのわざにつかせた。 + また定められた時に、たきぎの供え物をささげさせ、また初物をささげさせた。わが神よ、わたしを覚え、わたしをお恵みください。 + +
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+ + アハシュエロスすなわちインドからエチオピヤまで百二十七州を治めたアハシュエロスの世、 + アハシュエロス王が首都スサで、その国の位に座していたころ、 + その治世の第三年に、彼はその大臣および侍臣たちのために酒宴を設けた。ペルシャとメデアの将軍および貴族ならびに諸州の大臣たちがその前にいた。 + その時、王はその盛んな国の富と、その王威の輝きと、はなやかさを示して多くの日を重ね、百八十日に及んだ。 + これらの日が終った時、王は王の宮殿の園の庭で、首都スサにいる大小のすべての民のために七日の間、酒宴を設けた。 + そこには白綿布の垂幕と青色のとばりとがあって、紫色の細布のひもで銀の輪および大理石の柱につながれていた。また長いすは金銀で作られ、石膏と大理石と真珠貝および宝石の切りはめ細工の床の上に置かれていた。 + 酒は金の杯で賜わり、その杯はそれぞれ違ったもので、王の大きな度量にふさわしく、王の用いる酒を惜しみなく賜わった。 + その飲むことは法にかない、だれもしいられることはなかった。これは王が人々におのおの自分の好むようにさせよと宮廷のすべての役人に命じておいたからである。 + 王妃ワシテもまたアハシュエロス王に属する王宮の内で女たちのために酒宴を設けた。 + 七日目にアハシュエロス王は酒のために心が楽しくなり、王の前に仕える七人の侍従メホマン、ビズタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタルおよびカルカスに命じて、 + 王妃ワシテに王妃の冠をかぶらせて王の前にこさせよと言った。これは彼女が美しかったので、その美しさを民らと大臣たちに見せるためであった。 + ところが、王妃ワシテは侍従が伝えた王の命令に従って来ることを拒んだので、王は大いに憤り、その怒りが彼の内に燃えた。 + そこで王は時を知っている知者に言った、――王はすべて法律と審判に通じている者に相談するのを常とした。 + 時に王の次にいた人々はペルシャおよびメデアの七人の大臣カルシナ、セタル、アデマタ、タルシシ、メレス、マルセナ、メムカンであった。彼らは皆王の顔を見る者で、国の首位に座する人々であった―― + 「王妃ワシテは、アハシュエロス王が侍従をもって伝えた命令を行わないゆえ、法律に従って彼女にどうしたらよかろうか」。 + メムカンは王と大臣たちの前で言った、「王妃ワシテはただ王にむかって悪い事をしたばかりでなく、すべての大臣およびアハシュエロス王の各州のすべての民にむかってもしたのです。 + 王妃のこの行いはあまねくすべての女たちに聞えて、彼らはついにその目に夫を卑しめ、『アハシュエロス王は王妃ワシテに、彼の前に来るように命じたがこなかった』と言うでしょう。 + 王妃のこの行いを聞いたペルシャとメデアの大臣の夫人たちもまた、今日、王のすべての大臣たちにこのように言うでしょう。そうすれば必ず卑しめと怒りが多く起ります。 + もし王がよしとされるならば、ワシテはこの後、再びアハシュエロス王の前にきてはならないという王の命令を下し、これをペルシャとメデアの法律の中に書きいれて変ることのないようにし、そして王妃の位を彼女にまさる他の者に与えなさい。 + 王の下される詔がこの大きな国にあまねく告げ示されるとき、妻たる者はことごとく、その夫を高下の別なく共に敬うようになるでしょう」。 + 王と大臣たちはこの言葉をよしとしたので、王はメムカンの言葉のとおりに行った。 + 王は王の諸州にあまねく書を送り、各州にはその文字にしたがい、各民族にはその言語にしたがって書き送り、すべて男子たる者はその家の主となるべきこと、また自分の民の言語を用いて語るべきことをさとした。 + + + これらのことの後、アハシュエロス王の怒りがとけ、王はワシテおよび彼女のしたこと、また彼女に対して定めたことを思い起した。 + 時に王に仕える侍臣たちは言った、「美しい若い処女たちを王のために尋ね求めましょう。 + どうぞ王はこの国の各州において役人を選び、美しい若い処女をことごとく首都スサにある婦人の居室に集めさせ、婦人をつかさどる王の侍従ヘガイの管理のもとにおいて、化粧のための品々を彼らに与えてください。 + こうして御意にかなうおとめをとって、ワシテの代りに王妃としてください」。王はこの事をよしとし、そのように行った。 + さて首都スサにひとりのユダヤ人がいた。名をモルデカイといい、キシのひこ、シメイの孫、ヤイルの子で、ベニヤミンびとであった。 + 彼はバビロンの王ネブカデネザルが捕えていったユダの王エコニヤと共に捕えられていった捕虜のひとりで、エルサレムから捕え移された者である。 + 彼はそのおじの娘ハダッサすなわちエステルを養い育てた。彼女には父も母もなかったからである。このおとめは美しく、かわいらしかったが、その父母の死後、モルデカイは彼女を引きとって自分の娘としたのである。 + 王の命令と詔が伝えられ、多くのおとめが首都スサに集められて、ヘガイの管理のもとにおかれたとき、エステルもまた王宮に携え行かれ、婦人をつかさどるヘガイの管理のもとにおかれた。 + このおとめはヘガイの心にかなって、そのいつくしみを得た。すなわちヘガイはすみやかに彼女に化粧の品々および食物の分け前を与え、また宮中から七人のすぐれた侍女を選んで彼女に付き添わせ、彼女とその侍女たちを婦人の居室のうちの最も良い所に移した。 + エステルは自分の民のことをも、自分の同族のことをも人に知らせなかった。モルデカイがこれを知らすなと彼女に命じたからである。 + モルデカイはエステルの様子および彼女がどうしているかを知ろうと、毎日婦人の居室の庭の前を歩いた。 + おとめたちはおのおの婦人のための規定にしたがって十二か月を経て後、順番にアハシュエロス王の所へ行くのであった。これは彼らの化粧の期間として、没薬の油を用いること六か月、香料および婦人の化粧に使う品々を用いること六か月が定められていたからである。 + こうしておとめは王の所へ行くのであった。そしておとめが婦人の居室を出て王宮へ行く時には、すべてその望む物が与えられた。 + そして夕方行って、あくる朝第二の婦人の居室に帰り、そばめたちをつかさどる王の侍従シャシガズの管理に移された。王がその女を喜び、名ざして召すのでなければ、再び王の所へ行くことはなかった。 + さてモルデカイのおじアビハイルの娘、すなわちモルデカイが引きとって自分の娘としたエステルが王の所へ行く順番となったが、彼女は婦人をつかさどる王の侍従ヘガイが勧めた物のほか何をも求めなかった。エステルはすべて彼女を見る者に喜ばれた。 + エステルがアハシュエロス王に召されて王宮へ行ったのは、その治世の第七年の十月、すなわちテベテの月であった。 + 王はすべての婦人にまさってエステルを愛したので、彼女はすべての処女にまさって王の前に恵みといつくしみとを得た。王はついに王妃の冠を彼女の頭にいただかせ、ワシテに代って王妃とした。 + そして王は大いなる酒宴を催して、すべての大臣と侍臣をもてなした。エステルの酒宴がこれである。また諸州に免税を行い、王の大きな度量にしたがって贈り物を与えた。 + 二度目に処女たちが集められたとき、モルデカイは王の門にすわっていた。 + エステルはモルデカイが命じたように、まだ自分の同族のことをも自分の民のことをも人に知らせなかった。エステルはモルデカイの言葉に従うこと、彼に養い育てられた時と少しも変らなかった。 + そのころ、モルデカイが王の門にすわっていた時、王の侍従で、王のへやの戸を守る者のうちのビグタンとテレシのふたりが怒りのあまりアハシュエロス王を殺そうとねらっていたが、 + その事がモルデカイに知れたので、彼はこれを王妃エステルに告げ、エステルはこれをモルデカイの名をもって王に告げた。 + その事が調べられて、それに相違ないことがあらわれたので、彼らふたりは木にかけられた。この事は王の前で日誌の書にかきしるされた。 + + + これらの事の後、アハシュエロス王はアガグびとハンメダタの子ハマンを重んじ、これを昇進させて、自分と共にいるすべての大臣たちの上にその席を定めさせた。 + 王の門の内にいる王の侍臣たちは皆ひざまずいてハマンに敬礼した。これは王が彼についてこうすることを命じたからである。しかしモルデカイはひざまずかず、また敬礼しなかった。 + そこで王の門にいる王の侍臣たちはモルデカイにむかって、「あなたはどうして王の命令にそむくのか」と言った。 + 彼らは毎日モルデカイにこう言うけれども聞きいれなかったので、その事がゆるされるかどうかを見ようと、これをハマンに告げた。なぜならモルデカイはすでに自分のユダヤ人であることを彼らに語ったからである。 + ハマンはモルデカイのひざまずかず、また自分に敬礼しないのを見て怒りに満たされたが、 + ただモルデカイだけを殺すことを潔しとしなかった。彼らがモルデカイの属する民をハマンに知らせたので、ハマンはアハシュエロスの国のうちにいるすべてのユダヤ人、すなわちモルデカイの属する民をことごとく滅ぼそうと図った。 + アハシュエロス王の第十二年の正月すなわちニサンの月に、ハマンの前で、十二月すなわちアダルの月まで、一日一日のため、一月一月のために、プルすなわちくじを投げさせた。 + そしてハマンはアハシュエロス王に言った、「お国の各州にいる諸民のうちに、散らされて、別れ別れになっている一つの民がいます。その法律は他のすべての民のものと異なり、また彼らは王の法律を守りません。それゆえ彼らを許しておくことは王のためになりません。 + もし王がよしとされるならば、彼らを滅ぼせと詔をお書きください。そうすればわたしは王の事をつかさどる者たちの手に銀一万タラントを量りわたして、王の金庫に入れさせましょう」。 + そこで王は手から指輪をはずし、アガグびとハンメダタの子で、ユダヤ人の敵であるハマンにわたした。 + そして王はハマンに言った、「その銀はあなたに与える。その民もまたあなたに与えるから、よいと思うようにしなさい」。 + そこで正月の十三日に王の書記官が召し集められ、王の総督、各州の知事および諸民のつかさたちにハマンが命じたことをことごとく書きしるした。すなわち各州に送るものにはその文字を用い、諸民に送るものにはその言語を用い、おのおのアハシュエロス王の名をもってそれを書き、王の指輪をもってそれに印を押した。 + そして急使をもってその書を王の諸州に送り、十二月すなわちアダルの月の十三日に、一日のうちにすべてのユダヤ人を、若い者、老いた者、子供、女の別なく、ことごとく滅ぼし、殺し、絶やし、かつその貨財を奪い取れと命じた。 + この文書の写しを詔として各州に伝え、すべての民に公示して、その日のために備えさせようとした。 + 急使は王の命令により急いで出ていった。この詔は首都スサで発布された。時に王とハマンは座して酒を飲んでいたが、スサの都はあわて惑った。 + + + モルデカイはすべてこのなされたことを知ったとき、その衣を裂き、荒布をまとい、灰をかぶり、町の中へ行って大声をあげ、激しく叫んで、 + 王の門の入口まで行った。荒布をまとっては王の門の内にはいることができないからである。 + すべて王の命令と詔をうけ取った各州ではユダヤ人のうちに大いなる悲しみがあり、断食、嘆き、叫びが起り、また荒布をまとい、灰の上に座する者が多かった。 + エステルの侍女たちおよび侍従たちがきて、この事を告げたので、王妃は非常に悲しみ、モルデカイに着物を贈り、それを着せて、荒布を脱がせようとしたが受けなかった。 + そこでエステルは王の侍従のひとりで、王が自分にはべらせたハタクを召し、モルデカイのもとへ行って、それは何事であるか、何ゆえであるかを尋ねて来るようにと命じた。 + ハタクは出て、王の門の前にある町の広場にいるモルデカイのもとへ行くと、 + モルデカイは自分の身に起ったすべての事を彼に告げ、かつハマンがユダヤ人を滅ぼすことのために王の金庫に量り入れると約束した銀の正確な額を告げた。 + また彼らを滅ぼさせるために、スサで発布された詔書の写しを彼にわたし、それをエステルに見せ、かつ説きあかし、彼女が王のもとへ行ってその民のために王のあわれみを請い、王の前に願い求めるように彼女に言い伝えよと言った。 + ハタクが帰ってきてモルデカイの言葉をエステルに告げたので、 + エステルはハタクに命じ、モルデカイに言葉を伝えさせて言った、 + 「王の侍臣および王の諸州の民は皆、男でも女でも、すべて召されないのに内庭にはいって王のもとへ行く者は、必ず殺されなければならないという一つの法律のあることを知っています。ただし王がその者に金の笏を伸べれば生きることができるのです。しかしわたしはこの三十日の間、王のもとへ行くべき召をこうむらないのです」。 + エステルの言葉をモルデカイに告げたので、 + モルデカイは命じてエステルに答えさせて言った、「あなたは王宮にいるゆえ、すべてのユダヤ人と異なり、難を免れるだろうと思ってはならない。 + あなたがもし、このような時に黙っているならば、ほかの所から、助けと救がユダヤ人のために起るでしょう。しかし、あなたとあなたの父の家とは滅びるでしょう。あなたがこの国に迎えられたのは、このような時のためでなかったとだれが知りましょう」。 + そこでエステルは命じてモルデカイに答えさせた、 + 「あなたは行ってスサにいるすべてのユダヤ人を集め、わたしのために断食してください。三日のあいだ夜も昼も食い飲みしてはなりません。わたしとわたしの侍女たちも同様に断食しましょう。そしてわたしは法律にそむくことですが王のもとへ行きます。わたしがもし死なねばならないのなら、死にます」。 + モルデカイは行って、エステルがすべて自分に命じたとおりに行った。 + + + 三日目にエステルは王妃の服を着、王宮の内庭に入り、王の広間にむかって立った。王は王宮の玉座に座して王宮の入口にむかっていたが、 + 王妃エステルが庭に立っているのを見て彼女に恵みを示し、その手にある金の笏をエステルの方に伸ばしたので、エステルは進みよってその笏の頭にさわった。 + 王は彼女に言った、「王妃エステルよ、何を求めるのか。あなたの願いは何か。国の半ばでもあなたに与えよう」。 + エステルは言った、「もし王がよしとされるならば、きょうわたしが王のために設けた酒宴に、ハマンとご一緒にお臨みください」。 + そこで王は「ハマンを速く連れてきて、エステルの言うようにせよ」と言い、やがて王とハマンはエステルの設けた酒宴に臨んだ。 + 酒宴の時、王はエステルに言った、「あなたの求めることは何か。必ず聞かれる。あなたの願いは何か。国の半ばでも聞きとどけられる」。 + エステルは答えて言った、「わたしの求め、わたしの願いはこれです。 + もしわたしが王の目の前に恵みを得、また王がもしわたしの求めを許し、わたしの願いを聞きとどけるのをよしとされるならば、ハマンとご一緒に、あすまた、わたしが設けようとする酒宴に、お臨みください。わたしはあす王のお言葉どおりにいたしましょう」。 + こうしてハマンはその日、心に喜び楽しんで出てきたが、ハマンはモルデカイが王の門にいて、自分にむかって立ちあがりもせず、また身動きもしないのを見たので、モルデカイに対し怒りに満たされた。 + しかしハマンは耐え忍んで家に帰り、人をやってその友だちおよび妻ゼレシを呼んでこさせ、 + そしてハマンはその富の栄華と、そのむすこたちの多いことと、すべて王が自分を重んじられたこと、また王の大臣および侍臣たちにまさって自分を昇進させられたことを彼らに語った。 + ハマンはまた言った、「王妃エステルは酒宴を設けたが、わたしのほかはだれも王と共にこれに臨ませなかった。あすもまたわたしは王と共に王妃に招かれている。 + しかしユダヤ人モルデカイが王の門に座しているのを見る間は、これらの事もわたしには楽しくない」。 + その時、妻ゼレシとすべての友は彼に言った、「高さ五十キュビトの木を立てさせ、あすの朝、モルデカイをその上に掛けるように王に申し上げなさい。そして王と一緒に楽しんでその酒宴においでなさい」。ハマンはこの事をよしとして、その木を立てさせた。 + + + その夜、王は眠ることができなかったので、命じて日々の事をしるした記録の書を持ってこさせ、王の前で読ませたが、 + その中に、モルデカイがかつて王の侍従で、王のへやの戸を守る者のうちのビグタナとテレシのふたりが、アハシュエロス王を殺そうとねらっていることを告げた、としるされているのを見いだした。 + そこで王は言った、「この事のために、どんな栄誉と爵位をモルデカイに与えたか」。王に仕える侍臣たちは言った、「何も彼に与えていません」。 + 王は言った、「庭にいるのはだれか」。この時ハマンはモルデカイのために設けた木にモルデカイを掛けることを王に申し上げようと王宮の外庭にはいってきていた。 + 王の侍臣たちが「ハマンが庭に立っています」と王に言ったので、王は「ここへ、はいらせよ」と言った。 + やがてハマンがはいって来ると王は言った、「王が栄誉を与えようと思う人にはどうしたらよかろうか」。ハマンは心のうちに言った、「王はわたし以外にだれに栄誉を与えようと思われるだろうか」。 + ハマンは王に言った、「王が栄誉を与えようと思われる人のためには、 + 王の着られた衣服を持ってこさせ、また王の乗られた馬、すなわちその頭に王冠をいただいた馬をひいてこさせ、 + その衣服と馬とを王の最も尊い大臣のひとりの手にわたして、王が栄誉を与えようと思われる人にその衣服を着させ、またその人を馬に乗せ、町の広場を導いて通らせ、『王が栄誉を与えようと思う人にはこうするのだ』とその前に呼ばわらせなさい」。 + それで王はハマンに言った、「急いであなたが言ったように、その衣服と馬とを取り寄せ、王の門に座しているユダヤ人モルデカイにそうしなさい。あなたが言ったことを一つも欠いてはならない」。 + そこでハマンは衣服と馬とを取り寄せ、モルデカイにその衣服を着せ、彼を馬に乗せて町の広場を通らせ、その前に呼ばわって、「王が栄誉を与えようと思う人にはこうするのだ」と言った。 + こうしてモルデカイは王の門に帰ってきたが、ハマンは憂え悩み、頭をおおって急いで家に帰った。 + そしてハマンは自分の身に起った事をことごとくその妻ゼレシと友だちに告げた。するとその知者たちおよび妻ゼレシは彼に言った、「あのモルデカイ、すなわちあなたがその人の前に敗れ始めた者が、もしユダヤ人の子孫であるならば、あなたは彼に勝つことはできない。必ず彼の前に敗れるでしょう」。 + 彼らがなおハマンと話している時、王の侍従たちがきてハマンを促し、エステルが設けた酒宴に臨ませた。 + + + 王とハマンは王妃エステルの酒宴に臨んだ。 + このふつか目の酒宴に王はまたエステルに言った、「王妃エステルよ、あなたの求めることは何か。必ず聞かれる。あなたの願いは何か。国の半ばでも聞きとどけられる」。 + 王妃エステルは答えて言った、「王よ、もしわたしが王の目の前に恵みを得、また王がもしよしとされるならば、わたしの求めにしたがってわたしの命をわたしに与え、またわたしの願いにしたがってわたしの民をわたしに与えてください。 + わたしとわたしの民は売られて滅ぼされ、殺され、絶やされようとしています。もしわたしたちが男女の奴隷として売られただけなら、わたしは黙っていたでしょう。わたしたちの難儀は王の損失とは比較にならないからです」。 + アハシュエロス王は王妃エステルに言った、「そんな事をしようと心にたくらんでいる者はだれか。またどこにいるのか」。 + エステルは言った、「そのあだ、その敵はこの悪いハマンです」。そこでハマンは王と王妃の前に恐れおののいた。 + 王は怒って酒宴の席を立ち、宮殿の園へ行ったが、ハマンは残って王妃エステルに命ごいをした。彼は王が自分に害を加えようと定めたのを見たからである。 + 王が宮殿の園から酒宴の場所に帰ってみると、エステルのいた長いすの上にハマンが伏していたので、王は言った、「彼はまたわたしの家で、しかもわたしの前で王妃をはずかしめようとするのか」。この言葉が王の口から出たとき、人々は、ハマンの顔をおおった。 + その時、王に付き添っていたひとりの侍従ハルボナが「王のためによい事を告げたあのモルデカイのためにハマンが用意した高さ五十キュビトの木がハマンの家に立っています」と言ったので、王は「彼をそれに掛けよ」と言った。 + そこで人々はハマンをモルデカイのために備えてあったその木に掛けた。こうして王の怒りは和らいだ。 + + + その日アハシュエロス王は、ユダヤ人の敵ハマンの家を王妃エステルに与えた。モルデカイは王の前にきた。これはエステルが自分とモルデカイがどんな関係の者であるかを告げたからである。 + 王はハマンから取り返した自分の指輪をはずして、モルデカイに与えた。エステルはモルデカイにハマンの家を管理させた。 + エステルは再び王の前に奏し、その足もとにひれ伏して、アガグびとハマンの陰謀すなわち彼がユダヤ人に対して企てたその計画を除くことを涙ながらに請い求めた。 + 王はエステルにむかって金の笏を伸べたので、エステルは身を起して王の前に立ち、 + そして言った、「もし王がよしとされ、わたしが王の前に恵みを得、またこの事が王の前に正しいと見え、かつわたしが王の目にかなうならば、アガグびとハンメダタの子ハマンが王の諸州にいるユダヤ人を滅ぼそうとはかって書き送った書を取り消す旨を書かせてください。 + どうしてわたしは、わたしの民に臨もうとする災を、だまって見ていることができましょうか。どうしてわたしの同族の滅びるのを、だまって見ていることができましょうか」。 + アハシュエロス王は王妃エステルとユダヤ人モルデカイに言った、「ハマンがユダヤ人を殺そうとしたので、わたしはハマンの家をエステルに与え、またハマンを木に掛けさせた。 + あなたがたは自分たちの思うままに王の名をもってユダヤ人についての書をつくり、王の指輪をもってそれに印を押すがよい。王の名をもって書き、王の指輪をもって印を押した書はだれも取り消すことができない」。 + その時王の書記官が召し集められた。それは三月すなわちシワンの月の二十三日であった。そしてインドからエチオピヤまでの百二十七州にいる総督、諸州の知事および大臣たちに、モルデカイがユダヤ人について命じたとおりに書き送った。すなわち各州にはその文字を用い、各民族にはその言語を用いて書き送り、ユダヤ人に送るものにはその文字と言語とを用いた。 + その書はアハシュエロス王の名をもって書かれ、王の指輪をもって印を押し、王の御用馬として、そのうまやに育った早馬に乗る急使によって送られた。 + その中で、王はすべての町にいるユダヤ人に、彼らが相集まって自分たちの生命を保護し、自分たちを襲おうとする諸国、諸州のすべての武装した民を、その妻子もろともに滅ぼし、殺し、絶やし、かつその貨財を奪い取ることを許した。 + ただしこの事をアハシュエロス王の諸州において、十二月すなわちアダルの月の十三日に、一日のうちに行うことを命じた。 + この書いた物の写しを詔として各州に伝え、すべての民に公示して、ユダヤ人に、その日のために備えして、その敵にあだをかえさせようとした。 + 王の御用馬である早馬に乗った急使は、王の命によって急がされ、せきたてられて出て行った。この詔は首都スサで出された。 + モルデカイは青と白の朝服を着、大きな金の冠をいただき、紫色の細布の上着をまとって王の前から出て行った。スサの町中、声をあげて喜んだ。 + ユダヤ人には光と喜びと楽しみと誉があった。 + いずれの州でも、いずれの町でも、すべて王の命令と詔の伝達された所では、ユダヤ人は喜び楽しみ、酒宴を開いてこの日を祝日とした。そしてこの国の民のうち多くの者がユダヤ人となった。これはユダヤ人を恐れる心が彼らのうちに起ったからである。 + + + 十二月すなわちアダルの月の十三日、王の命令と詔の行われる時が近づいたとき、すなわちユダヤ人の敵が、ユダヤ人を打ち伏せようと望んでいたのに、かえってユダヤ人が自分たちを憎む者を打ち伏せることとなったその日に、 + ユダヤ人はアハシュエロス王の各州にある自分たちの町々に集まり、自分たちに害を加えようとする者を殺そうとしたが、だれもユダヤ人に逆らうことのできるものはなかった。すべての民がユダヤ人を恐れたからである。 + 諸州の大臣、総督、知事および王の事をつかさどる者は皆ユダヤ人を助けた。彼らはモルデカイを恐れたからである。 + モルデカイは王の家で大いなる者となり、その名声は各州に聞えわたった。この人モルデカイがますます勢力ある者となったからである。 + そこでユダヤ人はつるぎをもってすべての敵を撃って殺し、滅ぼし、自分たちを憎む者に対し心のままに行った。 + ユダヤ人はまた首都スサにおいても五百人を殺し、滅ぼした。 + またパルシャンダタ、ダルポン、アスパタ、 + ポラタ、アダリヤ、アリダタ、 + パルマシタ、アリサイ、アリダイ、ワエザタ、 + すなわちハンメダタの子で、ユダヤ人の敵であるハマンの十人の子をも殺した。しかし、そのぶんどり物には手をかけなかった。 + その日、首都スサで殺された者の数が王に報告されると、 + 王は王妃エステルに言った、「ユダヤ人は首都スサで五百人を殺し、またハマンの十人の子を殺した。王のその他の諸州ではどんなに彼らは殺したことであろう。さてあなたの求めることは何か。必ず聞かれる。更にあなたの願いは何か。必ず聞きとどけられる」。 + エステルは言った、「もし王がよしとされるならば、どうぞスサにいるユダヤ人にあすも、きょうの詔のように行うことをゆるしてください。かつハマンの十人の子を木に掛けさせてください」。 + 王はそうせよと命じたので、スサにおいて詔が出て、ハマンの十人の子は木に掛けられた。 + アダルの月の十四日にまたスサにいるユダヤ人が集まり、スサで三百人を殺した。しかし、そのぶんどり物には手をかけなかった。 + 王の諸州にいる他のユダヤ人もまた集まって、自分たちの生命を保護し、その敵に勝って平安を得、自分たちを憎む者七万五千人を殺した。しかし、そのぶんどり物には手をかけなかった。 + これはアダルの月の十三日であって、その十四日に休んで、その日を酒宴と喜びの日とした。 + しかしスサにいるユダヤ人は十三日と十四日に集まり、十五日に休んで、その日を酒宴と喜びの日とした。 + それゆえ村々のユダヤ人すなわち城壁のない町々に住む者はアダルの月の十四日を喜びの日、酒宴の日、祝日とし、互に食べ物を贈る日とした。 + モルデカイはこれらのことを書きしるしてアハシュエロス王の諸州にいるすべてのユダヤ人に、近い者にも遠い者にも書を送り、 + アダルの月の十四日と十五日とを年々祝うことを命じた。 + すなわちこの両日にユダヤ人がその敵に勝って平安を得、またこの月は彼らのために憂いから喜びに変り、悲しみから祝日に変ったので、これらを酒宴と喜びの日として、互に食べ物を贈り、貧しい者に施しをする日とせよとさとした。 + そこでユダヤ人は彼らがすでに始めたように、またモルデカイが彼らに書き送ったように、行うことを約束した。 + これはアガグびとハンメダタの子ハマン、すなわちすべてのユダヤ人の敵がユダヤ人を滅ぼそうとはかり、プルすなわちくじを投げて彼らを絶やし、滅ぼそうとしたが、 + エステルが王の前にきたとき、王は書を送って命じ、ハマンがユダヤ人に対して企てたその悪い計画をハマンの頭上に臨ませ、彼とその子らを木に掛けさせたからである。 + このゆえに、この両日をプルの名にしたがってプリムと名づけた。そしてこの書のすべての言葉により、またこの事について見たところ、自分たちの会ったところによって、 + ユダヤ人は相定め、年々その書かれているところにしたがい、その定められた時にしたがって、この両日を守り、自分たちと、その子孫およびすべて自分たちにつらなる者はこれを行い続けて廃することなく、 + この両日を、代々、家々、州々、町々において必ず覚えて守るべきものとし、これらのプリムの日がユダヤ人のうちに廃せられることのないようにし、またこの記念がその子孫の中に絶えることのないようにした。 + さらにアビハイルの娘である王妃エステルとユダヤ人モルデカイは、権威をもってこのプリムの第二の書を書き、それを確かめた。 + そしてアハシュエロスの国の百二十七州にいるすべてのユダヤ人に、平和と真実の言葉をもって書を送り、 + 断食と悲しみのことについて、ユダヤ人モルデカイと王妃エステルが、かつてユダヤ人に命じたように、またユダヤ人たちが、かつて自分たちとその子孫のために定めたように、プリムのこれらの日をその定めた時に守らせた。 + エステルの命令はプリムに関するこれらの事を確定した。またこれは書にしるされた。 + + + アハシュエロス王はその国および海に沿った国々にみつぎを課した。 + 彼の権力と勢力によるすべての事業、および王がモルデカイを高い地位にのぼらせた事の詳しい話はメデアとペルシャの王たちの日誌の書にしるされているではないか。 + ユダヤ人モルデカイはアハシュエロス王に次ぐ者となり、ユダヤ人の中にあって大いなる者となり、その多くの兄弟に喜ばれた。彼はその民の幸福を求め、すべての国民に平和を述べたからである。 + +
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+ + ウヅの地にヨブという名の人があった。そのひととなりは全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかった。 + 彼に男の子七人と女の子三人があり、 + その家畜は羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭で、しもべも非常に多く、この人は東の人々のうちで最も大いなる者であった。 + そのむすこたちは、めいめい自分の日に、自分の家でふるまいを設け、その三人の姉妹をも招いて一緒に食い飲みするのを常とした。 + そのふるまいの日がひとめぐり終るごとに、ヨブは彼らを呼び寄せて聖別し、朝早く起きて、彼らすべての数にしたがって燔祭をささげた。これはヨブが「わたしのむすこたちは、ことによったら罪を犯し、その心に神をのろったかもしれない」と思ったからである。ヨブはいつも、このように行った。 + ある日、神の子たちが来て、主の前に立った。サタンも来てその中にいた。 + 主は言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。 + 主はサタンに言われた、「あなたはわたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか」。 + サタンは主に答えて言った、「ヨブはいたずらに神を恐れましょうか。 + あなたは彼とその家およびすべての所有物のまわりにくまなく、まがきを設けられたではありませんか。あなたは彼の勤労を祝福されたので、その家畜は地にふえたのです。 + しかし今あなたの手を伸べて、彼のすべての所有物を撃ってごらんなさい。彼は必ずあなたの顔に向かって、あなたをのろうでしょう」。 + 主はサタンに言われた、「見よ、彼のすべての所有物をあなたの手にまかせる。ただ彼の身に手をつけてはならない」。サタンは主の前から出て行った。 + ある日ヨブのむすこ、娘たちが第一の兄の家で食事をし、酒を飲んでいたとき、 + 使者がヨブのもとに来て言った、「牛が耕し、ろばがそのかたわらで草を食っていると、 + シバびとが襲ってきて、これを奪い、つるぎをもってしもべたちを打ち殺しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。 + 彼がなお語っているうちに、またひとりが来て言った、「神の火が天から下って、羊およびしもべたちを焼き滅ぼしました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。 + 彼がなお語っているうちに、またひとりが来て言った、「カルデヤびとが三組に分れて来て、らくだを襲ってこれを奪い、つるぎをもってしもべたちを打ち殺しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。 + 彼がなお語っているうちに、またひとりが来て言った、「あなたのむすこ、娘たちが第一の兄の家で食事をし、酒を飲んでいると、 + 荒野の方から大風が吹いてきて、家の四すみを撃ったので、あの若い人たちの上につぶれ落ちて、皆死にました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。 + このときヨブは起き上がり、上着を裂き、頭をそり、地に伏して拝し、 + そして言った、「わたしは裸で母の胎を出た。また裸でかしこに帰ろう。主が与え、主が取られたのだ。主のみ名はほむべきかな」。 + すべてこの事においてヨブは罪を犯さず、また神に向かって愚かなことを言わなかった。 + + + ある日、また神の子たちが来て、主の前に立った。サタンもまたその中に来て、主の前に立った。 + 主はサタンに言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。 + 主はサタンに言われた、「あなたは、わたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか。あなたは、わたしを勧めて、ゆえなく彼を滅ぼそうとしたが、彼はなお堅く保って、おのれを全うした」。 + サタンは主に答えて言った、「皮には皮をもってします。人は自分の命のために、その持っているすべての物をも与えます。 + しかしいま、あなたの手を伸べて、彼の骨と肉とを撃ってごらんなさい。彼は必ずあなたの顔に向かって、あなたをのろうでしょう」。 + 主はサタンに言われた、「見よ、彼はあなたの手にある。ただ彼の命を助けよ」。 + サタンは主の前から出て行って、ヨブを撃ち、その足の裏から頭の頂まで、いやな腫物をもって彼を悩ました。 + ヨブは陶器の破片を取り、それで自分の身をかき、灰の中にすわった。 + 時にその妻は彼に言った、「あなたはなおも堅く保って、自分を全うするのですか。神をのろって死になさい」。 + しかしヨブは彼女に言った、「あなたの語ることは愚かな女の語るのと同じだ。われわれは神から幸をうけるのだから、災をも、うけるべきではないか」。すべてこの事においてヨブはそのくちびるをもって罪を犯さなかった。 + 時に、ヨブの三人の友がこのすべての災のヨブに臨んだのを聞いて、めいめい自分の所から尋ねて来た。すなわちテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルである。彼らはヨブをいたわり、慰めようとして、たがいに約束してきたのである。 + 彼らは目をあげて遠方から見たが、彼のヨブであることを認めがたいほどであったので、声をあげて泣き、めいめい自分の上着を裂き、天に向かって、ちりをうちあげ、自分たちの頭の上にまき散らした。 + こうして七日七夜、彼と共に地に座していて、ひと言も彼に話しかける者がなかった。彼の苦しみの非常に大きいのを見たからである。 + + + この後、ヨブは口を開いて、自分の生れた日をのろった。 + すなわちヨブは言った、 + 「わたしの生れた日は滅びうせよ。『男の子が、胎にやどった』と言った夜もそのようになれ。 + その日は暗くなるように。神が上からこれを顧みられないように。光がこれを照さないように。 + やみと暗黒がこれを取りもどすように。雲が、その上にとどまるように。日を暗くする者が、これを脅かすように。 + その夜は、暗やみが、これを捕えるように。年の日のうちに加わらないように。月の数にもはいらないように。 + また、その夜は、はらむことのないように。喜びの声がそのうちに聞かれないように。 + 日をのろう者が、これをのろうように。レビヤタンを奮い起すに巧みな者が、これをのろうように。 + その明けの星は暗くなるように。光を望んでも、得られないように。また、あけぼののまぶたを見ることのないように。 + これは、わたしの母の胎の戸を閉じず、また悩みをわたしの目に隠さなかったからである。 + なにゆえ、わたしは胎から出て、死ななかったのか。腹から出たとき息が絶えなかったのか。 + なにゆえ、ひざが、わたしを受けたのか。なにゆえ、乳ぶさがあって、わたしはそれを吸ったのか。 + そうしなかったならば、わたしは伏して休み、眠ったであろう。そうすればわたしは安んじており、 + 自分のために荒れ跡を築き直した地の王たち、参議たち、 + あるいは、こがねを持ち、しろがねを家に満たした君たちと一緒にいたであろう。 + なにゆえ、わたしは人知れずおりる胎児のごとく、光を見ないみどりごのようでなかったのか。 + かしこでは悪人も、あばれることをやめ、うみ疲れた者も、休みを得、 + 捕われ人も共に安らかにおり、追い使う者の声を聞かない。 + 小さい者も大きい者もそこにおり、奴隷も、その主人から解き放される。 + なにゆえ、悩む者に光を賜い、心の苦しむ者に命を賜わったのか。 + このような人は死を望んでも来ない、これを求めることは隠れた宝を掘るよりも、はなはだしい。 + 彼らは墓を見いだすとき、非常に喜び楽しむのだ。 + なにゆえ、その道の隠された人に、神が、まがきをめぐらされた人に、光を賜わるのか。 + わたしの嘆きはわが食物に代って来り、わたしのうめきは水のように流れ出る。 + わたしの恐れるものが、わたしに臨み、わたしの恐れおののくものが、わが身に及ぶ。 + わたしは安らかでなく、またおだやかでない。わたしは休みを得ない、ただ悩みのみが来る」。 + + + その時、テマンびとエリパズが答えて言った、 + 「もし人があなたにむかって意見を述べるならば、あなたは腹を立てるでしょうか。しかしだれが黙っておれましょう。 + 見よ、あなたは多くの人を教えさとし、衰えた手を強くした。 + あなたの言葉はつまずく者をたすけ起し、かよわいひざを強くした。 + ところが今、この事があなたに臨むと、あなたは耐え得ない。この事があなたに触れると、あなたはおじ惑う。 + あなたが神を恐れていることは、あなたのよりどころではないか。あなたの道の全きことは、あなたの望みではないか。 + 考えてみよ、だれが罪のないのに、滅ぼされた者があるか。どこに正しい者で、断ち滅ぼされた者があるか。 + わたしの見た所によれば、不義を耕し、害悪をまく者は、それを刈り取っている。 + 彼らは神のいぶきによって滅び、その怒りの息によって消えうせる。 + ししのほえる声、たけきししの声はともにやみ、若きししのきばは折られ、 + 雄じしは獲物を得ずに滅び、雌じしの子は散らされる。 + さて、わたしに、言葉がひそかに臨んだ、わたしの耳はそのささやきを聞いた。 + すなわち人の熟睡するころ、夜の幻によって思い乱れている時、 + 恐れがわたしに臨んだので、おののき、わたしの骨はことごとく震えた。 + 時に、霊があって、わたしの顔の前を過ぎたので、わたしの身の毛はよだった。 + そのものは立ちどまったが、わたしはその姿を見わけることができなかった。一つのかたちが、わたしの目の前にあった。わたしは静かな声を聞いた、 + 『人は神の前に正しくありえようか。人はその造り主の前に清くありえようか。 + 見よ、彼はそのしもべをさえ頼みとせず、その天使をも誤れる者とみなされる。 + まして、泥の家に住む者、ちりをその基とする者、しみのようにつぶされる者。 + 彼らは朝から夕までの間に打ち砕かれ、顧みる者もなく、永遠に滅びる。 + もしその天幕の綱が彼らのうちに取り去られるなら、ついに悟ることもなく、死にうせるではないか』。 + + + 試みに呼んでみよ、だれかあなたに答える者があるか。どの聖者にあなたは頼もうとするのか。 + 確かに、憤りは愚かな者を殺し、ねたみはあさはかな者を死なせる。 + わたしは愚かな者の根を張るのを見た、しかしわたしは、にわかにそのすみかをのろった。 + その子らは安きを得ず、町の門でしえたげられても、これを救う者がない。 + その収穫は飢えた人が食べ、いばらの中からさえ、これを奪う。また、かわいた者はその財産をあえぎ求める。 + 苦しみは、ちりから起るものでなく、悩みは土から生じるものでない。 + 人が生れて悩みを受けるのは、火の子が上に飛ぶにひとしい。 + しかし、わたしであるならば、神に求め、神に、わたしの事をまかせる。 + 彼は大いなる事をされるかたで、測り知れない、その不思議なみわざは数えがたい。 + 彼は地に雨を降らせ、野に水を送られる。 + 彼は低い者を高くあげ、悲しむ者を引き上げて、安全にされる。 + 彼は悪賢い者の計りごとを敗られる。それで何事もその手になし遂げることはできない。 + 彼は賢い者を、彼ら自身の悪巧みによって捕え、曲った者の計りごとをくつがえされる。 + 彼らは昼も、やみに会い、真昼にも、夜のように手探りする。 + 彼は貧しい者を彼らの口のつるぎから救い、また強い者の手から救われる。 + それゆえ乏しい者に望みがあり、不義はその口を閉じる。 + 見よ、神に戒められる人はさいわいだ。それゆえ全能者の懲しめを軽んじてはならない。 + 彼は傷つけ、また包み、撃ち、またその手をもっていやされる。 + 彼はあなたを六つの悩みから救い、七つのうちでも、災はあなたに触れることがない。 + ききんの時には、あなたをあがなって、死を免れさせ、いくさの時には、つるぎの力を免れさせられる。 + あなたは舌をもってむち打たれる時にも、おおい隠され、滅びが来る時でも、恐れることはない。 + あなたは滅びと、ききんとを笑い、地の獣をも恐れることはない。 + あなたは野の石と契約を結び、野の獣はあなたと和らぐからである。 + あなたは自分の天幕の安全なことを知り、自分の家畜のおりを見回っても、欠けた物がなく、 + また、あなたの子孫の多くなり、そのすえが地の草のようになるのを知るであろう。 + あなたは高齢に達して墓に入る、あたかも麦束をその季節になって打ち場に運びあげるようになるであろう。 + 見よ、われわれの尋ねきわめた所はこのとおりだ。あなたはこれを聞いて、みずから知るがよい」。 + + + ヨブは答えて言った、 + 「どうかわたしの憤りが正しく量られ、同時にわたしの災も、はかりにかけられるように。 + そうすれば、これは海の砂よりも重いに相違ない。それゆえ、わたしの言葉が軽率であったのだ。 + 全能者の矢が、わたしのうちにあり、わたしの霊はその毒を飲み、神の恐るべき軍勢が、わたしを襲い攻めている。 + 野ろばは、青草のあるのに鳴くであろうか。牛は飼葉の上でうなるであろうか。 + 味のない物は塩がなくて食べられようか。すべりひゆのしるは味があろうか。 + わたしの食欲はこれに触れることを拒む。これは、わたしのきらう食物のようだ。 + どうかわたしの求めるものが獲られるように。どうか神がわたしの望むものをくださるように。 + どうか神がわたしを打ち滅ぼすことをよしとし、み手を伸べてわたしを断たれるように。 + そうすれば、わたしはなお慰めを得、激しい苦しみの中にあっても喜ぶであろう。わたしは聖なる者の言葉を否んだことがないからだ。 + わたしにどんな力があって、なお待たねばならないのか。わたしにどんな終りがあるので、なお耐え忍ばねばならないのか。 + わたしの力は石の力のようであるのか。わたしの肉は青銅のようであるのか。 + まことに、わたしのうちに助けはなく、救われる望みは、わたしから追いやられた。 + その友に対するいつくしみをさし控える者は、全能者を恐れることをすてる。 + わが兄弟たちは谷川のように、過ぎ去る出水のように欺く。 + これは氷のために黒くなり、そのうちに雪が隠れる。 + これは暖かになると消え去り、暑くなるとその所からなくなる。 + 隊商はその道を転じ、むなしい所へ行って滅びる。 + テマの隊商はこれを望み、シバの旅びとはこれを慕う。 + 彼らはこれにたよったために失望し、そこに来てみて、あわてる。 + あなたがたは今わたしにはこのような者となった。あなたがたはわたしの災難を見て恐れた。 + わたしは言ったことがあるか、『わたしに与えよ』と、あるいは『あなたがたの財産のうちからわたしのために、まいないを贈れ』と、 + あるいは『あだの手からわたしを救い出せ』と、あるいは『しえたげる者の手からわたしをあがなえ』と。 + わたしに教えよ、そうすればわたしは黙るであろう。わたしの誤っている所をわたしに悟らせよ。 + 正しい言葉はいかに力のあるものか。しかしあなたがたの戒めは何を戒めるのか。 + あなたがたは言葉を戒めうると思うのか。望みの絶えた者の語ることは風のようなものだ。 + あなたがたは、みなしごのためにくじをひき、あなたがたの友をさえ売り買いするであろう。 + 今、どうぞわたしを見られよ、わたしはあなたがたの顔に向かって偽らない。 + どうぞ、思いなおせ、まちがってはならない。さらに思いなおせ、わたしの義は、なおわたしのうちにある。 + わたしの舌に不義があるか。わたしの口は災をわきまえることができぬであろうか。 + + + 地上の人には、激しい労務があるではないか。またその日は雇人の日のようではないか。 + 奴隷が夕暮を慕うように、雇人がその賃銀を望むように、 + わたしは、むなしい月を持たせられ、悩みの夜を与えられる。 + わたしは寝るときに言う、『いつ起きるだろうか』と。しかし夜は長く、暁までころびまわる。 + わたしの肉はうじと土くれとをまとい、わたしの皮は固まっては、またくずれる。 + わたしの日は機のひよりも速く、望みをもたずに消え去る。 + 記憶せよ、わたしの命は息にすぎないことを。わたしの目は再び幸を見ることがない。 + わたしを見る者の目は、かさねてわたしを見ることがなく、あなたがわたしに目を向けられても、わたしはいない。 + 雲が消えて、なくなるように、陰府に下る者は上がって来ることがない。 + 彼は再びその家に帰らず、彼の所も、もはや彼を認めない。 + それゆえ、わたしはわが口をおさえず、わたしの霊のもだえによって語り、わたしの魂の苦しさによって嘆く。 + わたしは海であるのか、龍であるのか、あなたはわたしの上に見張りを置かれる。 + 『わたしの床はわたしを慰め、わたしの寝床はわが嘆きを軽くする』とわたしが言うとき、 + あなたは夢をもってわたしを驚かし、幻をもってわたしを恐れさせられる。 + それゆえ、わたしは息の止まることを願い、わが骨よりもむしろ死を選ぶ。 + わたしは命をいとう。わたしは長く生きることを望まない。わたしに構わないでください。わたしの日は息にすぎないのだから。 + 人は何者なので、あなたはこれを大きなものとし、これにみ心をとめ、 + 朝ごとに、これを尋ね、絶え間なく、これを試みられるのか。 + いつまで、あなたはわたしに目を離さず、つばをのむまも、わたしを捨てておかれないのか。 + 人を監視される者よ、わたしが罪を犯したとて、あなたに何をなしえようか。なにゆえ、わたしをあなたの的とし、わたしをあなたの重荷とされるのか。 + なにゆえ、わたしのとがをゆるさず、わたしの不義を除かれないのか。わたしはいま土の中に横たわる。あなたがわたしを尋ねられても、わたしはいないでしょう」。 + + + 時にシュヒびとビルダデが答えて言った、 + 「いつまであなたは、そのような事を言うのか。あなたの口の言葉は荒い風ではないか。 + 神は公義を曲げられるであろうか。全能者は正義を曲げられるであろうか。 + あなたの子たちが彼に罪を犯したので、彼らをそのとがの手に渡されたのだ。 + あなたがもし神に求め、全能者に祈るならば、 + あなたがもし清く、正しくあるならば、彼は必ずあなたのために立って、あなたの正しいすみかを栄えさせられる。 + あなたの初めは小さくあっても、あなたの終りは非常に大きくなるであろう。 + 先の代の人に問うてみよ、先祖たちの尋ねきわめた事を学べ。 + われわれはただ、きのうからあった者で、何も知らない、われわれの世にある日は、影のようなものである。 + 彼らはあなたに教え、あなたに語り、その悟りから言葉を出さないであろうか。 + 紙草は泥のない所に生長することができようか。葦は水のない所におい茂ることができようか。 + これはなお青くて、まだ刈られないのに、すべての草に先だって枯れる。 + すべて神を忘れる者の道はこのとおりだ。神を信じない者の望みは滅びる。 + その頼むところは断たれ、その寄るところは、くもの巣のようだ。 + その家によりかかろうとすれば、家は立たず、それにすがろうとしても、それは耐えない。 + 彼は日の前に青々と茂り、その若枝を園にはびこらせ、 + その根を石塚にからませ、岩の間に生きていても、 + もしその所から取り除かれれば、その所は彼を拒んで言うであろう、『わたしはあなたを見たことがない』と。 + 見よ、これこそ彼の道の喜びである、そしてほかの者が地から生じるであろう。 + 見よ、神は全き人を捨てられない。また悪を行う者の手を支持されない。 + 彼は笑いをもってあなたの口を満たし、喜びの声をもってあなたのくちびるを満たされる。 + あなたを憎む者は恥を着せられ、悪しき者の天幕はなくなる」。 + + + ヨブは答えて言った、 + 「まことにわたしは、その事のそのとおりであることを知っている。しかし人はどうして神の前に正しくありえようか。 + よし彼と争おうとしても、千に一つも答えることができない。 + 彼は心賢く、力強くあられる。だれが彼にむかい、おのれをかたくなにして、栄えた者があるか。 + 彼は、山を移されるが、山は知らない。彼は怒りをもって、これらをくつがえされる。 + 彼が、地を震い動かしてその所を離れさせられると、その柱はゆらぐ。 + 彼が日に命じられると、日は出ない。彼はまた星を閉じこめられる。 + 彼はただひとり天を張り、海の波を踏まれた。 + 彼は北斗、オリオン、プレアデスおよび南の密室を造られた。 + 彼が大いなる事をされることは測りがたく、不思議な事をされることは数知れない。 + 見よ、彼がわたしのかたわらを通られても、わたしは彼を見ない。彼は進み行かれるが、わたしは彼を認めない。 + 見よ、彼が奪い去られるのに、だれが彼をはばむことができるか。だれが彼にむかって『あなたは何をするのか』と言うことができるか。 + 神はその怒りをやめられない。ラハブを助ける者どもは彼のもとにかがんだ。 + どうしてわたしは彼に答え、言葉を選んで、彼と議論することができよう。 + たといわたしは正しくても答えることができない。わたしを責められる者にあわれみを請わなければならない。 + たといわたしが呼ばわり、彼がわたしに答えられても、わたしの声に耳を傾けられたとは信じない。 + 彼は大風をもってわたしを撃ち砕き、ゆえなく、わたしに多くの傷を負わせ、 + わたしに息をつかせず、苦い物をもってわたしを満たされる。 + 力の争いであるならば、彼を見よ、さばきの事であるならば、だれが彼を呼び出すことができよう。 + たといわたしは正しくても、わたしの口はわたしを罪ある者とする。たといわたしは罪がなくても、彼はわたしを曲った者とする。 + わたしは罪がない、しかしわたしは自分を知らない。わたしは自分の命をいとう。 + 皆同一である。それゆえ、わたしは言う、『彼は罪のない者と、悪しき者とを共に滅ぼされるのだ』と。 + 災がにわかに人を殺すような事があると、彼は罪のない者の苦難をあざ笑われる。 + 世は悪人の手に渡されてある。彼はその裁判人の顔をおおわれる。もし彼でなければ、これはだれのしわざか。 + わたしの日は飛脚よりも速く、飛び去って幸を見ない。 + これは走ること葦舟のごとく、えじきに襲いかかる、わしのようだ。 + たといわたしは『わが嘆きを忘れ、憂い顔をかえて元気よくなろう』と言っても、 + わたしはわがもろもろの苦しみを恐れる。あなたがわたしを罪なき者とされないことをわたしは知っているからだ。 + わたしは罪ある者とされている。どうして、いたずらに労する必要があるか。 + たといわたしは雪で身を洗い、灰汁で手を清めても、 + あなたはわたしを、みぞの中に投げ込まれるので、わたしの着物も、わたしをいとうようになる。 + 神はわたしのように人ではないゆえ、わたしは彼に答えることができない。われわれは共にさばきに臨むことができない。 + われわれの間には、われわれふたりの上に手を置くべき仲裁者がない。 + どうか彼がそのつえをわたしから取り離し、その怒りをもって、わたしを恐れさせられないように。 + そうすれば、わたしは語って、彼を恐れることはない。わたしはみずからそのような者ではないからだ。 + + + わたしは自分の命をいとう。わたしは自分の嘆きを包まず言いあらわし、わが魂の苦しみによって語ろう。 + わたしは神に申そう、わたしを罪ある者とされないように。なぜわたしと争われるかを知らせてほしい。 + あなたはしえたげをなし、み手のわざを捨て、悪人の計画を照すことを良しとされるのか。 + あなたの持っておられるのは肉の目か、あなたは人が見るように見られるのか。 + あなたの日は人の日のごとく、あなたの年は人の年のようであるのか。 + あなたはなにゆえわたしのとがを尋ね、わたしの罪を調べられるのか。 + あなたはわたしの罪のないことを知っておられる。またあなたの手から救い出しうる者はない。 + あなたの手はわたしをかたどり、わたしを作った。ところが今あなたはかえって、わたしを滅ぼされる。 + どうぞ覚えてください、あなたは土くれをもってわたしを作られた事を。ところが、わたしをちりに返そうとされるのか。 + あなたはわたしを乳のように注ぎ、乾酪のように凝り固まらせたではないか。 + あなたは肉と皮とをわたしに着せ、骨と筋とをもってわたしを編み、 + 命といつくしみとをわたしに授け、わたしを顧みてわが霊を守られた。 + しかしあなたはこれらの事をみ心に秘めおかれた。この事があなたの心のうちにあった事をわたしは知っている。 + わたしがもし罪を犯せば、あなたはわたしに目をつけて、わたしを罪から解き放されない。 + わたしがもし悪ければわたしはわざわいだ。たといわたしが正しくても、わたしは頭を上げることができない。わたしは恥に満ち、悩みを見ているからだ。 + もし頭をあげれば、あなたは、ししのようにわたしを追い、わたしにむかって再びくすしき力をあらわされる。 + あなたは証人を入れ替えてわたしを攻め、わたしにむかってあなたの怒りを増し、新たに軍勢を出してわたしを攻められる。 + なにゆえあなたはわたしを胎から出されたか、わたしは息絶えて目に見られることなく、 + 胎から墓に運ばれて、初めからなかった者のようであったなら、よかったのに。 + わたしの命の日はいくばくもないではないか。どうぞ、しばしわたしを離れて、少しく慰めを得させられるように。 + わたしが行って、帰ることのないその前に、これを得させられるように。わたしは暗き地、暗黒の地へ行く。 + これは暗き地で、やみにひとしく、暗黒で秩序なく、光もやみのようだ」。 + + + そこでナアマびとゾパルは答えて言った、 + 「言葉が多ければ、答なしにすまされるだろうか。口の達者な人は義とされるだろうか。 + あなたのむなしい言葉は人を沈黙させるだろうか。あなたがあざけるとき、人はあなたを恥じさせないだろうか。 + あなたは言う、『わたしの教は正しい、わたしは神の目に潔い』と。 + どうぞ神が言葉を出し、あなたにむかってくちびるを開き、 + 知恵の秘密をあなたに示されるように。神はさまざまの知識をもたれるからである。それであなたは知るがよい、神はあなたの罪よりも軽くあなたを罰せられることを。 + あなたは神の深い事を窮めることができるか。全能者の限界を窮めることができるか。 + それは天よりも高い、あなたは何をなしうるか。それは陰府よりも深い、あなたは何を知りうるか。 + その量は地よりも長く、海よりも広い。 + 彼がもし行きめぐって人を捕え、さばきに召し集められるとき、だれが彼をはばむことができよう。 + 彼は卑しい人間を知っておられるからだ。彼は不義を見る時、これに心をとめられぬであろうか。 + しかし野ろばの子が人として生れるとき、愚かな者も悟りを得るであろう。 + もしあなたが心を正しくするならば、神に向かって手を伸べるであろう。 + もしあなたの手に不義があるなら、それを遠く去れ、あなたの天幕に悪を住まわせてはならない。 + そうすれば、あなたは恥じることなく顔をあげることができ、堅く立って、恐れることはない。 + あなたは苦しみを忘れ、あなたのこれを覚えることは、流れ去った水のようになる。 + そしてあなたの命は真昼よりも光り輝き、たとい暗くても朝のようになる。 + あなたは望みがあるゆえに安んじ、保護されて安らかにいこうことができる。 + あなたは伏してやすみ、あなたを恐れさせるものはない。多くの者はあなたの好意を求めるであろう。 + しかし悪しき者の目は衰える。彼らは逃げ場を失い、その望みは息の絶えるにひとしい」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「まことに、あなたがたのみ、人である、知恵はあなたがたと共に死ぬであろう。 + しかしわたしも、あなたがたと同様に悟りをもつ。わたしはあなたがたに劣らない。だれがこのような事を知らないだろうか。 + わたしは神に呼ばわって、聞かれた者であるのに、その友の物笑いとなっている。正しく全き人は物笑いとなる。 + 安らかな者の思いには、不幸な者に対する侮りがあって、足のすべる者を待っている。 + かすめ奪う者の天幕は栄え、神を怒らす者は安らかである。自分の手に神を携えている者も同様だ。 + しかし獣に問うてみよ、それはあなたに教える。空の鳥に問うてみよ、それはあなたに告げる。 + あるいは地の草や木に問うてみよ、彼らはあなたに教える。海の魚もまたあなたに示す。 + これらすべてのもののうち、いずれか主の手がこれをなしたことを知らぬ者があろうか。 + すべての生き物の命、およびすべての人の息は彼の手のうちにある。 + 口が食物を味わうように、耳は言葉をわきまえないであろうか。 + 老いた者には知恵があり、命の長い者には悟りがある。 + 知恵と力は神と共にあり、深慮と悟りも彼のものである。 + 彼が破壊すれば、再び建てることができない。彼が人を閉じ込めれば、開き出すことができない。 + 彼が水を止めれば、それはかれ、彼が水を出せば、地をくつがえす。 + 力と深き知恵は彼と共にあり、惑わされる者も惑わす者も彼のものである。 + 彼は議士たちを裸にして連れ行き、さばきびとらを愚かにし、 + 王たちのきずなを解き、彼らの腰に腰帯を巻き、 + 祭司たちを裸にして連れ行き、力ある者を滅ぼし、 + みずから頼む者たちの言葉を奪い、長老たちの分別を取り去り、 + 君たちの上に侮りを注ぎ、強い者たちの帯を解き、 + 暗やみの中から隠れた事どもをあらわし、暗黒を光に引き出し、 + 国々を大きくし、またこれを滅ぼし、国々を広くし、また捕え行き、 + 地の民の長たちの悟りを奪い、彼らを道なき荒野にさまよわせ、 + 光なき暗やみに手探りさせ、酔うた者のようによろめかせる。 + + + 見よ、わたしの目は、これをことごとく見た。わたしの耳はこれを聞いて悟った。 + あなたがたの知っている事は、わたしも知っている。わたしはあなたがたに劣らない。 + しかしわたしは全能者に物を言おう、わたしは神と論ずることを望む。 + あなたがたは偽りをもってうわべを繕う者、皆、無用の医師だ。 + どうか、あなたがたは全く沈黙するように。これがあなたがたの知恵であろう。 + 今、わたしの論ずることを聞くがよい。わたしの口で言い争うことに耳を傾けるがよい。 + あなたがたは神のために不義を言おうとするのか。また彼のために偽りを述べるのか。 + あなたがたは彼にひいきしようとするのか。神のために争おうとするのか。 + 神があなたがたを調べられるとき、あなたがたは無事だろうか。あなたがたは人を欺くように彼を欺くことができるか。 + あなたがたがもし、ひそかにひいきするならば、彼は必ずあなたがたを責められる。 + その威厳はあなたがたを恐れさせないであろうか。彼をおそれる恐れがあなたがたに臨まないであろうか。 + あなたがたの格言は灰のことわざだ。あなたがたの盾は土の盾だ。 + 黙して、わたしにかかわるな、わたしは話そう。何事でもわたしに来るなら、来るがよい。 + わたしはわが肉をわが歯に取り、わが命をわが手のうちに置く。 + 見よ、彼はわたしを殺すであろう。わたしは絶望だ。しかしなおわたしはわたしの道を彼の前に守り抜こう。 + これこそわたしの救となる。神を信じない者は、神の前に出ることができないからだ。 + あなたがたはよくわたしの言葉を聞き、わたしの述べる所を耳に入れよ。 + 見よ、わたしはすでにわたしの立ち場を言い並べた。わたしは義とされることをみずから知っている。 + だれかわたしと言い争う事のできる者があろうか。もしあるならば、わたしは黙して死ぬであろう。 + ただわたしに二つの事を許してください。そうすれば、わたしはあなたの顔をさけて隠れることはないでしょう。 + あなたの手をわたしから離してください。あなたの恐るべき事をもってわたしを恐れさせないでください。 + そしてお呼びください、わたしは答えます。わたしに物を言わせて、あなたご自身、わたしにお答えください。 + わたしのよこしまと、わたしの罪がどれほどあるか。わたしのとがと罪とをわたしに知らせてください。 + なにゆえ、あなたはみ顔をかくし、わたしをあなたの敵とされるのか。 + あなたは吹き回される木の葉をおどし、干あがったもみがらを追われるのか。 + あなたはわたしについて苦き事どもを書きしるし、わたしに若い時の罪を継がせ、 + わたしの足を足かせにはめ、わたしのすべての道をうかがい、わたしの足の周囲に限りをつけられる。 + このような人は腐れた物のように朽ち果て、虫に食われた衣服のようにすたれる。 + + + 女から生れる人は日が短く、悩みに満ちている。 + 彼は花のように咲き出て枯れ、影のように飛び去って、とどまらない。 + あなたはこのような者にさえ目を開き、あなたの前に引き出して、さばかれるであろうか。 + だれが汚れたもののうちから清いものを出すことができようか、ひとりもない。 + その日は定められ、その月の数もあなたと共にあり、あなたがその限りを定めて、越えることのできないようにされたのだから、 + 彼から目をはなし、手をひいてください。そうすれば彼は雇人のように、その日を楽しむことができるでしょう。 + 木には望みがある。たとい切られてもまた芽をだし、その若枝は絶えることがない。 + たといその根が地の中に老い、その幹が土の中に枯れても、 + なお水の潤いにあえば芽をふき、若木のように枝を出す。 + しかし人は死ねば消えうせる。息が絶えれば、どこにおるか。 + 水が湖から消え、川がかれて、かわくように、 + 人は伏して寝、また起きず、天のつきるまで、目ざめず、その眠りからさまされない。 + どうぞ、わたしを陰府にかくし、あなたの怒りのやむまで、潜ませ、わたしのために時を定めて、わたしを覚えてください。 + 人がもし死ねば、また生きるでしょうか。わたしはわが服役の諸日の間、わが解放の来るまで待つでしょう。 + あなたがお呼びになるとき、わたしは答えるでしょう。あなたはみ手のわざを顧みられるでしょう。 + その時あなたはわたしの歩みを数え、わたしの罪を見のがされるでしょう。 + わたしのとがは袋の中に封じられ、あなたはわたしの罪を塗りかくされるでしょう。 + しかし山は倒れてくずれ、岩もその所から移される。 + 水は石をうがち、大水は地のちりを洗い去る。このようにあなたは人の望みを断たれる。 + あなたはながく彼に勝って、彼を去り行かせ、彼の顔かたちを変らせて追いやられる。 + 彼の子らは尊くなっても、彼はそれを知らない、卑しくなっても、それを悟らない。 + ただおのが身に痛みを覚え、おのれのために嘆くのみである」。 + + + そこでテマンびとエリパズは答えて言った、 + 「知者はむなしき知識をもって答えるであろうか。東風をもってその腹を満たすであろうか。 + 役に立たない談話をもって論じるであろうか。無益な言葉をもって争うであろうか。 + ところがあなたは神を恐れることを捨て、神の前に祈る事をやめている。 + あなたの罪はあなたの口を教え、あなたは悪賢い人の舌を選び用いる。 + あなたの口みずからあなたの罪を定める、わたしではない。あなたのくちびるがあなたに逆らって証明する。 + あなたは最初に生れた人であるのか。山よりも先に生れたのか。 + あなたは神の会議にあずかったのか。あなたは知恵を独占しているのか。 + あなたが知るものはわれわれも知るではないか。あなたが悟るものはわれわれも悟るではないか。 + われわれの中にはしらがの人も、年老いた人もあって、あなたの父よりも年上だ。 + 神の慰めおよびあなたに対するやさしい言葉も、あなたにとって、あまりに小さいというのか。 + どうしてあなたの心は狂うのか。どうしてあなたの目はしばたたくのか。 + あなたが神にむかって気をいらだて、このような言葉をあなたの口から出すのはなぜか。 + 人はいかなる者か、どうしてこれは清くありえよう。女から生れた者は、どうして正しくありえよう。 + 見よ、神はその聖なる者にすら信を置かれない、もろもろの天も彼の目には清くない。 + まして憎むべき汚れた者、また不義を水のように飲む人においては。 + わたしはあなたに語ろう、聞くがよい。わたしは自分の見た事を述べよう。 + これは知者たちがその先祖からうけて、隠す所なく語り伝えたものである。 + 彼らにのみこの地は授けられて、他国人はその中に行き来したことがなかった。 + 悪しき人は一生の間、もだえ苦しむ。残酷な人には年の数が定められている。 + その耳には恐ろしい音が聞え、繁栄の時にも滅ぼす者が彼に臨む。 + 彼は、暗やみから帰りうるとは信ぜず、つるぎにねらわれる。 + 彼は食物はどこにあるかと言いつつさまよい、暗き日が手近に備えられてあるのを知る。 + 悩みと苦しみとが彼を恐れさせ、戦いの備えをした王のように彼に打ち勝つ。 + これは彼が神に逆らってその手を伸べ、全能者に逆らって高慢にふるまい、 + 盾の厚い面をもって強情に、彼にはせ向かうからだ。 + また彼は脂肪をもってその顔をおおい、その腰には脂肪の肉を集め、 + 滅ぼされた町々に住み、人の住まない家、荒塚となる所におるからだ。 + 彼は富める者とならず、その富はながく続かない、また地に根を張ることはない。 + 彼は暗やみからのがれることができない。炎はその若枝を枯らし、その花は風に吹き去られる。 + 彼をしてみずから欺いて、むなしい事にたよらせてはならない。その報いはむなしいからだ。 + 彼の時のこない前にその事がなし遂げられ、彼の枝は緑とならないであろう。 + 彼はぶどうの木のように、その熟さない実をふり落すであろう。またオリブの木のように、その花を落すであろう。 + 神を信じない者のやからは子なく、まいないによる天幕は火で焼き滅ぼされるからだ。 + 彼らは害悪をはらみ、不義を生み、その腹は偽りをつくる」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「わたしはこのような事を数多く聞いた。あなたがたは皆人を慰めようとして、かえって人を煩わす者だ。 + むなしき言葉に、はてしがあろうか。あなたは何に激して答をするのか。 + わたしもあなたがたのように語ることができる。もしあなたがたがわたしと代ったならば、わたしは言葉を練って、あなたがたを攻め、あなたがたに向かって頭を振ることができる。 + また口をもって、あなたがたを強くし、くちびるの慰めをもって、あなたがたの苦しみを和らげることができる。 + たといわたしは語っても、わたしの苦しみは和らげられない。たといわたしは忍んでも、どれほどそれがわたしを去るであろうか。 + まことに神は今わたしを疲れさせた。彼はわたしのやからをことごとく荒した。 + 彼はわたしを、しわ寄らせた。これがわたしに対する証拠である。またわたしのやせ衰えた姿が立って、わたしを攻め、わたしの顔にむかって証明する。 + 彼は怒ってわたしをかき裂き、わたしを憎み、わたしに向かって歯をかみ鳴らした。わたしの敵は目を鋭くして、わたしを攻める。 + 人々はわたしに向かって口を張り、侮ってわたしのほおを打ち、ともに集まってわたしを攻める。 + 神はわたしをよこしまな者に渡し、悪人の手に投げいれられる。 + わたしは安らかであったのに、彼はわたしを切り裂き、首を捕えて、わたしを打ち砕き、わたしを立てて的とされた。 + その射手はわたしを囲む。彼は無慈悲にもわたしの腰を射通し、わたしの肝を地に流れ出させられる。 + 彼はわたしを打ち破って、破れに破れを加え、勇士のようにわたしに、はせかかられる。 + わたしは荒布を膚に縫いつけ、わたしの角をちりに伏せた。 + わたしの顔は泣いて赤くなり、わたしのまぶたには深いやみがある。 + しかし、わたしの手には暴虐がなく、わたしの祈は清い。 + 地よ、わたしの血をおおってくれるな。わたしの叫びに、休む所を得させるな。 + 見よ、今でもわたしの証人は天にある。わたしのために保証してくれる者は高い所にある。 + わたしの友はわたしをあざける、しかしわたしの目は神に向かって涙を注ぐ。 + どうか彼が人のために神と弁論し、人とその友との間をさばいてくれるように。 + 数年過ぎ去れば、わたしは帰らぬ旅路に行くであろう。 + + + わが霊は破れ、わが日は尽き、墓はわたしを待っている。 + まことにあざける者どもはわたしのまわりにあり、わが目は常に彼らの侮りを見る。 + どうか、あなた自ら保証となられるように。ほかにだれがわたしのために保証となってくれる者があろうか。 + あなたは彼らの心を閉じて、悟ることのないようにされた。それゆえ、彼らに勝利を得させられるはずはない。 + 分け前を得るために友を訴えるものは、その子らの目がつぶれるであろう。 + 彼はわたしを民の笑い草とされた。わたしは顔につばきされる者となる。 + わが目は憂いによってかすみ、わがからだはすべて影のようだ。 + 正しい者はこれに驚き、罪なき者は神を信ぜぬ者に対して憤る。 + それでもなお正しい者はその道を堅く保ち、潔い手をもつ者はますます力を得る。 + しかし、あなたがたは皆再び来るがよい、わたしはあなたがたのうちに賢い者を見ないのだ。 + わが日は過ぎ去り、わが計りごとは敗れ、わが心の願いも敗れた。 + 彼らは夜を昼に変える。彼らは言う、『光が暗やみに近づいている』と。 + わたしがもし陰府をわたしの家として望み、暗やみに寝床をのべ、 + 穴に向かって『あなたはわたしの父である』と言い、うじに向かって『あなたはわたしの母、わたしの姉妹である』と言うならば、 + わたしの望みはどこにあるか、だれがわたしの望みを見ることができようか。 + これは下って陰府の関門にいたり、われわれは共にちりに下るであろうか」。 + + + そこでシュヒびとビルダデは答えて言った、 + 「あなたはいつまで言葉にわなを設けるのか。あなたはまず悟るがよい、それからわれわれは論じよう。 + なぜ、われわれは獣のように思われるのか。なぜ、あなたの目に愚かな者と見えるのか。 + 怒っておのが身を裂く者よ、あなたのために地は捨てられるだろうか。岩はその所から移されるだろうか。 + 悪しき者の光は消え、その火の炎は光を放たず、 + その天幕のうちの光は暗く、彼の上のともしびは消える。 + その力ある歩みはせばめられ、その計りごとは彼を倒す。 + 彼は自分の足で網にかかり、また落し穴の上を歩む。 + わなは彼のかかとを捕え、網わなは彼を捕える。 + 輪なわは彼を捕えるために地に隠され、張り網は彼を捕えるために道に設けられる。 + 恐ろしい事が四方にあって彼を恐れさせ、その歩みにしたがって彼を追う。 + その力は飢え、災は彼をつまずかすために備わっている。 + その皮膚は病によって食いつくされ、死のういごは彼の手足を食いつくす。 + 彼はその頼む所の天幕から引き離されて、恐れの王のもとに追いやられる。 + 彼に属さない者が彼の天幕に住み、硫黄が彼のすまいの上にまき散らされる。 + 下ではその根が枯れ、上ではその枝が切られる。 + 彼の形見は地から滅び、彼の名はちまたに消える。 + 彼は光からやみに追いやられ、世の中から追い出される。 + 彼はその民の中に子もなく、孫もなく、彼のすみかには、ひとりも生き残る者はない。 + 西の者は彼の日について驚き、東の者はおじ恐れる。 + まことに、悪しき者のすまいはこのようであり、神を知らない者の所はこのようである」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「あなたがたはいつまでわたしを悩まし、言葉をもってわたしを打ち砕くのか。 + あなたがたはすでに十度もわたしをはずかしめ、わたしを悪くあしらってもなお恥じないのか。 + たといわたしが、まことにあやまったとしても、そのあやまちは、わたし自身にとどまる。 + もしあなたがたが、まことにわたしに向かって高ぶり、わたしの恥を論じるならば、 + 『神がわたしをしえたげ、その網でわたしを囲まれたのだ』と知るべきだ。 + 見よ、わたしが『暴虐』と叫んでも答えられず、助けを呼び求めても、さばきはない。 + 彼はわたしの道にかきをめぐらして、越えることのできないようにし、わたしの行く道に暗やみを置かれた。 + 彼はわたしの栄えをわたしからはぎ取り、わたしのこうべから冠を奪い、 + 四方からわたしを取りこわして、うせさせ、わたしの望みを木のように抜き去り、 + わたしに向かって怒りを燃やし、わたしを敵のひとりのように思われた。 + その軍勢がいっせいに来て、塁を築いて攻め寄せ、わたしの天幕のまわりに陣を張った。 + 彼はわたしの兄弟たちをわたしから遠く離れさせられた。わたしを知る人々は全くわたしに疎遠になった。 + わたしの親類および親しい友はわたしを見捨て、 + わたしの家に宿る者はわたしを忘れ、わたしのはしためらはわたしを他人のように思い、わたしは彼らの目に他国人となった。 + わたしがしもべを呼んでも、彼は答えず、わたしは口をもって彼に請わなければならない。 + わたしの息はわが妻にいとわれ、わたしは同じ腹の子たちにきらわれる。 + わらべたちさえもわたしを侮り、わたしが起き上がれば、わたしをあざける。 + 親しい人々は皆わたしをいみきらい、わたしの愛した人々はわたしにそむいた。 + わたしの骨は皮と肉につき、わたしはわずかに歯の皮をもってのがれた。 + わが友よ、わたしをあわれめ、わたしをあわれめ、神のみ手がわたしを打ったからである。 + あなたがたは、なにゆえ神のようにわたしを責め、わたしの肉をもって満足しないのか。 + どうか、わたしの言葉が、書きとめられるように。どうか、わたしの言葉が、書物にしるされるように。 + 鉄の筆と鉛とをもって、ながく岩に刻みつけられるように。 + わたしは知る、わたしをあがなう者は生きておられる、後の日に彼は必ず地の上に立たれる。 + わたしの皮がこのように滅ぼされたのち、わたしは肉を離れて神を見るであろう。 + しかもわたしの味方として見るであろう。わたしの見る者はこれ以外のものではない。わたしの心はこれを望んでこがれる。 + あなたがたがもし『われわれはどうして彼を責めようか』と言い、また『事の根源は彼のうちに見いだされる』と言うならば、 + つるぎを恐れよ、怒りはつるぎの罰をきたらすからだ。これによって、あなたがたは、さばきのあることを知るであろう」。 + + + そこでナアマびとゾパルは答えて言った、 + 「これによって、わたしは答えようとの思いを起し、これがために心中しきりに騒ぎ立つ。 + わたしはわたしをはずかしめる非難を聞く、しかし、わたしの悟りの霊がわたしに答えさせる。 + あなたはこの事を知らないのか、昔から地の上に人の置かれてよりこのかた、 + 悪しき人の勝ち誇はしばらくであって、神を信じない者の楽しみはただつかのまであることを。 + たといその高さが天に達し、その頭が雲におよんでも、 + 彼はおのれの糞のように、とこしえに滅び、彼を見た者は言うであろう、『彼はどこにおるか』と。 + 彼は夢のように飛び去って、再び見ることはない。彼は夜の幻のように追い払われるであろう。 + 彼を見た目はかさねて彼を見ることがなく、彼のいた所も再び彼を見ることがなかろう。 + その子らは貧しい者に恵みを求め、その手は彼の貨財を償うであろう。 + その骨には若い力が満ちている、しかしそれは彼と共にちりに伏すであろう。 + たとい悪は彼の口に甘く、これを舌の裏にかくし、 + これを惜しんで捨てることなく、口の中に含んでいても、 + その食物は彼の腹の中で変り、彼の内で毒蛇の毒となる。 + 彼は貨財をのんでも、またそれを吐き出す、神がそれを彼の腹から押し出されるからだ。 + 彼は毒蛇の毒を吸い、まむしの舌は彼を殺すであろう。 + 彼は蜜と凝乳の流れる川々を見ることができない。 + 彼はほねおって獲たものを返して、それを食うことができない。その商いによって得た利益をもって楽しむことができない。 + 彼が貧しい者をしえたげ、これを捨てたからだ。彼は家を奪い取っても、それを建てることができない。 + 彼の欲張りは足ることを知らぬゆえ、その楽しむ何物をも救うことができないであろう。 + 彼が残して食べなかった物とては一つもない。それゆえ、その繁栄はながく続かないであろう。 + その力の満ちている時、彼は窮境に陥り、悩みの手がことごとく彼の上に臨むであろう。 + 彼がその腹を満たそうとすれば、神はその激しい怒りを送って、それを彼の上に降り注ぎ、彼の食物とされる。 + 彼は鉄の武器を免れても、青銅の矢は彼を射通すであろう。 + 彼がこれをその身から引き抜けば、きらめく矢じりがその肝から出てきて、恐れが彼の上に臨む。 + もろもろの暗黒が彼の宝物のためにたくわえられ、人が吹き起したものでない火が彼を焼きつくし、その天幕に残っている者を滅ぼすであろう。 + 天は彼の罪をあらわし、地は起って彼を攻めるであろう。 + その家の財産は奪い去られ、神の怒りの日に消えうせるであろう。 + これが悪しき人の神から受ける分、神によって定められた嗣業である」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「あなたがたはとくと、わたしの言葉を聞き、これをもって、あなたがたの慰めとするがよい。 + まずわたしをゆるして語らせなさい。わたしが語ったのち、あざけるのもよかろう。 + わたしのつぶやきは人に対してであろうか。わたしはどうして、いらだたないでいられようか。 + あなたがたはわたしを見て、驚き、手を口にあてるがよい。 + わたしはこれを思うと恐ろしくなって、からだがしきりに震えわななく。 + なにゆえ悪しき人が生きながらえ、老齢に達し、かつ力強くなるのか。 + その子らは彼らの前に堅く立ち、その子孫もその目の前に堅く立つ。 + その家は安らかで、恐れがなく、神のつえは彼らの上に臨むことがない。 + その雄牛は種を与えて、誤ることなく、その雌牛は子を産んで、そこなうことがない。 + 彼らはその小さい者どもを群れのように連れ出し、その子らは舞い踊る。 + 彼らは手鼓と琴に合わせて歌い、笛の音によって楽しみ、 + その日をさいわいに過ごし、安らかに陰府にくだる。 + 彼らは神に言う、『われわれを離れよ、われわれはあなたの道を知ることを好まない。 + 全能者は何者なので、われわれはこれに仕えねばならないのか。われわれはこれに祈っても、なんの益があるか』と。 + 見よ、彼らの繁栄は彼らの手にあるではないか。悪人の計りごとは、わたしの遠く及ぶ所でない。 + 悪人のともしびの消されること、幾たびあるか。その災の彼らの上に臨むこと、神がその怒りをもって苦しみを与えられること、幾たびあるか。 + 彼らが風の前のわらのようになること、あらしに吹き去られるもみがらのようになること、幾たびあるか。 + あなたがたは言う、『神は彼らの罪を積みたくわえて、その子らに報いられるのだ』と。どうかそれを彼ら自身に報いて、彼らにその罪を知らせられるように。 + すなわち彼ら自身の目にその滅びを見させ、全能者の怒りを彼らに飲ませられるように。 + その月の数のつきるとき、彼らはその後の家になんのかかわる所があろうか。 + 神は天にある者たちをさえ、さばかれるのに、だれが神に知識を教えることができようか。 + ある者は繁栄をきわめ、全く安らかに、かつおだやかに死に、 + そのからだには脂肪が満ち、その骨の髄は潤っている。 + ある者は心を苦しめて死に、なんの幸をも味わうことがない。 + 彼らはひとしくちりに伏し、うじにおおわれる。 + 見よ、わたしはあなたがたの思いを知り、わたしを害しようとするたくらみを知る。 + あなたがたは言う、『王侯の家はどこにあるか、悪人の住む天幕はどこにあるか』と。 + あなたがたは道行く人々に問わなかったか、彼らの証言を受け入れないのか。 + すなわち、災の日に悪人は免れ、激しい怒りの日に彼は救い出される。 + だれが彼に向かって、その道を告げ知らせる者があるか、だれが彼のした事を彼に報いる者があるか。 + 彼はかかれて墓に行き、塚の上で見張りされ、 + 谷の土くれも彼には快く、すべての人はそのあとに従う。彼の前に行った者も数えきれない。 + それで、あなたがたはどうしてむなしい事をもって、わたしを慰めようとするのか。あなたがたの答は偽り以外の何ものでもない」。 + + + そこでテマンびとエリパズは答えて言った、 + 「人は神を益することができるであろうか。賢い人も、ただ自身を益するのみである。 + あなたが正しくても、全能者になんの喜びがあろう。あなたが自分の道を全うしても、彼になんの利益があろう。 + 神はあなたが神を恐れることのゆえに、あなたを責め、あなたをさばかれるであろうか。 + あなたの悪は大きいではないか。あなたの罪は、はてしがない。 + あなたはゆえなく兄弟のものを質にとり、裸な者の着物をはぎ取り、 + 疲れた者に水を飲ませず、飢えた者に食物を与えなかった。 + 力ある人は土地を得、名ある人はそのうちに住んだ。 + あなたは、やもめをむなしく去らせた。みなしごの腕は折られた。 + それゆえ、わなはあなたをめぐり、恐怖は、にわかにあなたを驚かす。 + あなたの光は暗くされ、あなたは見ることができない。大水はあなたをおおうであろう。 + 神は天に高くおられるではないか。見よ、いと高き星を。いかに高いことよ。 + それであなたは言う、『神は何を知っておられるか。彼は黒雲を通して、さばくことができるのか。 + 濃い雲が彼をおおい隠すと、彼は見ることができない。彼は天の大空を歩まれるのだ』と。 + あなたは悪しき人々が踏んだいにしえの道を守ろうとするのか。 + 彼らは時がこないうちに取り去られ、その基は川のように押し流された。 + 彼らは神に言った、『われわれを離れてください』と、また『全能者はわれわれに何をなしえようか』と。 + しかし神は彼らの家を良い物で満たされた。ただし悪人の計りごとはわたしのくみする所ではない。 + 正しい者はこれを見て喜び、罪なき者は彼らをあざ笑って言う、 + 『まことにわれわれのあだは滅ぼされ、その残した物は火で焼き滅ぼされた』と。 + あなたは神と和らいで、平安を得るがよい。そうすれば幸福があなたに来るでしょう。 + どうか、彼の口から教を受け、その言葉をあなたの心におさめるように。 + あなたがもし全能者に立ち返って、おのれを低くし、あなたの天幕から不義を除き去り、 + こがねをちりの中に置き、オフルのこがねを谷川の石の中に置き、 + 全能者があなたのこがねとなり、あなたの貴重なしろがねとなるならば、 + その時、あなたは全能者を喜び、神に向かって顔をあげることができる。 + あなたが彼に祈るならば、彼はあなたに聞かれる。そしてあなたは自分の誓いを果す。 + あなたが事をなそうと定めるならば、あなたはその事を成就し、あなたの道には光が輝く。 + 彼は高ぶる者を低くされるが、へりくだる者を救われるからだ。 + 彼は罪のない者を救われる。あなたはその手の潔いことによって、救われるであろう」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「きょうもまた、わたしのつぶやきは激しく、彼の手はわたしの嘆きにかかわらず、重い。 + どうか、彼を尋ねてどこで会えるかを知り、そのみ座に至ることができるように。 + わたしは彼の前にわたしの訴えをならべ、口をきわめて論議するであろう。 + わたしは、わたしに答えられるみ言葉を知り、わたしに言われる所を悟ろう。 + 彼は大いなる力をもって、わたしと争われるであろうか、いな、かえってわたしを顧みられるであろう。 + かしこでは正しい人は彼と言い争うことができる。そうすれば、わたしはわたしをさばく者から永久に救われるであろう。 + 見よ、わたしが進んでも、彼を見ない。退いても、彼を認めることができない。 + 左の方に尋ねても、会うことができない。右の方に向かっても、見ることができない。 + しかし彼はわたしの歩む道を知っておられる。彼がわたしを試みられるとき、わたしは金のように出て来るであろう。 + わたしの足は彼の歩みに堅く従った。わたしは彼の道を守って離れなかった。 + わたしは彼のくちびるの命令にそむかず、その口の言葉をわたしの胸にたくわえた。 + しかし彼は変ることはない。だれが彼をひるがえすことができようか。彼はその心の欲するところを行われるのだ。 + 彼はわたしのために定めた事をなし遂げられる。そしてこのような事が多く彼の心にある。 + それゆえ、わたしは彼の前におののく。わたしは考えるとき、彼を恐れる。 + 神はわたしの心を弱くされた。全能者はわたしを恐れさせられた。 + わたしは、やみによって閉じこめられ、暗黒がわたしの顔をおおっている。 + + + なにゆえ、全能者はさばきの時を定めておかれないのか。なにゆえ、彼を知る者がその日を見ないのか。 + 世には地境を移す者、群れを奪ってそれを飼う者、 + みなしごのろばを追いやる者、やもめの牛を質に取る者、 + 貧しい者を道から押しのける者がある。世の弱い者は皆彼らをさけて身をかくす。 + 見よ、彼らは荒野におる野ろばのように出て働き、野で獲物を求めて、その子らの食物とする。 + 彼らは畑でそのまぐさを刈り、また悪人のぶどう畑で拾い集める。 + 彼らは着る物がなく、裸で夜を過ごし、寒さに身をおおうべき物もない。 + 彼らは山の雨にぬれ、しのぎ場もなく岩にすがる。 + (みなしごをその母のふところから奪い、貧しい者の幼な子を質にとる者がある。) + 彼らは着る物がなく、裸で歩き、飢えつつ麦束を運び、 + 悪人のオリブ並み木の中で油をしぼり、酒ぶねを踏んでも、かわきを覚える。 + 町の中から死のうめきが起り、傷ついた者の魂が助けを呼び求める。しかし神は彼らの祈を顧みられない。 + 光にそむく者たちがある。彼らは光の道を知らず、光の道にとどまらない。 + 人を殺す者は暗いうちに起き出て弱い者と貧しい者を殺し、夜は盗びととなる。 + 姦淫する者の目はたそがれを待って、『だれもわたしを見ていないだろう』と言い、顔におおう物を当てる。 + 彼らは暗やみで家をうがち、昼は閉じこもって光を知らない。 + 彼らには暗黒は朝である。彼らは暗黒の恐れを友とするからだ。 + あなたがたは言う、『彼らは水のおもてにすみやかに流れ去り、その受ける分は地でのろわれ、酒ぶねを踏む者はだれも彼らのぶどう畑の道に行かない。 + ひでりと熱さは雪水を奪い去る、陰府が罪を犯した者に対するも、これと同様だ。 + 町の広場は彼らを忘れ、彼らの名は覚えられることなく、不義は木の折られるように折られる』と。 + 彼らは子を産まぬうまずめをくらい、やもめをあわれむことをしない。 + しかし神はその力をもって、強い人々を生きながらえさせられる。彼らは生きる望みのない時にも起きあがる。 + 神が彼らに安全を与えられるので、彼らは安らかである。神の目は彼らの道の上にある。 + 彼らはしばし高められて、いなくなり、ぜにあおいのように枯れて消えうせ、麦の穂先のように切り取られる。 + もし、そうでないなら、だれがわたしにその偽りを証明し、わが言葉のむなしいことを示しうるだろうか」。 + + + そこでシュヒびとビルダデは答えて言った、 + 「大権と恐れとは神と共にある。彼は高き所で平和を施される。 + その軍勢は数えることができるか。何物かその光に浴さないものがあるか。 + それで人はどうして神の前に正しくありえようか。女から生れた者がどうして清くありえようか。 + 見よ、月さえも輝かず、星も彼の目には清くない。 + うじのような人、虫のような人の子はなおさらである」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「あなたは力のない者をどれほど助けたかしれない。気力のない腕をどれほど救ったかしれない。 + 知恵のない者をどれほど教えたかしれない。悟りをどれほど多く示したかしれない。 + あなたはだれの助けによって言葉をだしたのか。あなたから出たのはだれの霊なのか。 + 亡霊は水およびその中に住むものの下に震う。 + 神の前では陰府も裸である。滅びの穴もおおい隠すものはない。 + 彼は北の天を空間に張り、地を何もない所に掛けられる。 + 彼は水を濃い雲の中に包まれるが、その下の雲は裂けない。 + 彼は月のおもてをおおい隠して、雲をその上にのべ、 + 水のおもてに円を描いて、光とやみとの境とされた。 + 彼が戒めると、天の柱は震い、かつ驚く。 + 彼はその力をもって海を静め、その知恵をもってラハブを打ち砕き、 + その息をもって天を晴れわたらせ、その手をもって逃げるへびを突き通される。 + 見よ、これらはただ彼の道の端にすぎない。われわれが彼について聞く所はいかにかすかなささやきであろう。しかし、その力のとどろきに至っては、だれが悟ることができるか」。 + + + ヨブはまた言葉をついで言った、 + 「神は生きておられる。彼はわたしの義を奪い去られた。全能者はわたしの魂を悩まされた。 + わたしの息がわたしのうちにあり、神の息がわたしの鼻にある間、 + わたしのくちびるは不義を言わない、わたしの舌は偽りを語らない。 + わたしは断じて、あなたがたを正しいとは認めない。わたしは死ぬまで、潔白を主張してやめない。 + わたしは堅くわが義を保って捨てない。わたしは今まで一日も心に責められた事がない。 + どうか、わたしの敵は悪人のようになり、わたしに逆らう者は不義なる者のようになるように。 + 神が彼を断ち、その魂を抜きとられるとき、神を信じない者になんの望みがあろう。 + 災が彼に臨むとき、神はその叫びを聞かれるであろうか。 + 彼は全能者を喜ぶであろうか、常に神を呼ぶであろうか。 + わたしは神のみ手についてあなたがたに教え、全能者と共にあるものを隠すことをしない。 + 見よ、あなたがたは皆みずからこれを見た、それなのに、どうしてむなしい者となったのか。 + これは悪人の神から受ける分、圧制者の全能者から受ける嗣業である。 + その子らがふえればつるぎに渡され、その子孫は食物に飽きることがない。 + その生き残った者は疫病で死んで埋められ、そのやもめらは泣き悲しむことをしない。 + たとい彼は銀をちりのように積み、衣服を土のように備えても、 + その備えるものは正しい人がこれを着、その銀は罪なき者が分かち取るであろう。 + 彼の建てる家は、くもの巣のようであり、番人の造る小屋のようである。 + 彼は富める身で寝ても、再び富むことがなく、目を開けばその富はない。 + 恐ろしい事が大水のように彼を襲い、夜はつむじ風が彼を奪い去る。 + 東風が彼を揚げると、彼は去り、彼をその所から吹き払う。 + それは彼を投げつけて、あわれむことなく、彼はその力からのがれようと、もがく。 + それは彼に向かって手を鳴らし、あざけり笑って、その所から出て行かせる。 + + + しろがねには掘り出す穴があり、精錬するこがねには出どころがある。 + くろがねは土から取り、あかがねは石から溶かして取る。 + 人は暗やみを破り、いやはてまでも尋ねきわめて、暗やみおよび暗黒の中から鉱石を取る。 + 彼らは人の住む所を離れて縦穴をうがち、道行く人に忘れられ、人を離れて身をつりさげ、揺れ動く。 + 地はそこから食物を出す。その下は火でくつがえされるようにくつがえる。 + その石はサファイヤのある所、そこにはまた金塊がある。 + その道は猛禽も知らず、たかの目もこれを見ず、 + 猛獣もこれを踏まず、ししもこれを通らなかった。 + 人は堅い岩に手をくだして、山を根元からくつがえす。 + 彼は岩に坑道を掘り、その目はもろもろの尊い物を見る。 + 彼は水路をふさいで、漏れないようにし、隠れた物を光に取り出す。 + しかし知恵はどこに見いだされるか。悟りのある所はどこか。 + 人はそこに至る道を知らない、また生ける者の地でそれを獲ることができない。 + 淵は言う、『それはわたしのうちにない』と。また海は言う、『わたしのもとにない』と。 + 精金もこれと換えることはできない。銀も量ってその価とすることはできない。 + オフルの金をもってしても、その価を量ることはできない。尊い縞めのうも、サファイヤも同様である。 + こがねも、玻璃もこれに並ぶことができない。また精金の器物もこれと換えることができない。 + さんごも水晶も言うに足りない。知恵を得るのは真珠を得るのにまさる。 + エチオピヤのトパズもこれに並ぶことができない。純金をもってしても、その価を量ることはできない。 + それでは知恵はどこから来るか。悟りのある所はどこか。 + これはすべての生き物の目に隠され、空の鳥にも隠されている。 + 滅びも死も言う、『われわれはそのうわさを耳に聞いただけだ』。 + 神はこれに至る道を悟っておられる、彼はそのある所を知っておられる。 + 彼は地の果までもみそなわし、天が下を見きわめられるからだ。 + 彼が風に重さを与え、水をますで量られたとき、 + 彼が雨のために規定を設け、雷のひらめきのために道を設けられたとき、 + 彼は知恵を見て、これをあらわし、これを確かめ、これをきわめられた。 + そして人に言われた、『見よ、主を恐れることは知恵である、悪を離れることは悟りである』と」。 + + + ヨブはまた言葉をついで言った、 + 「ああ過ぎた年月のようであったらよいのだが、神がわたしを守ってくださった日のようであったらよいのだが。 + あの時には、彼のともしびがわたしの頭の上に輝き、彼の光によってわたしは暗やみを歩んだ。 + わたしの盛んな時のようであったならよいのだが。あの時には、神の親しみがわたしの天幕の上にあった。 + あの時には、全能者がなおわたしと共にいまし、わたしの子供たちもわたしの周囲にいた。 + あの時、わたしの足跡は乳で洗われ、岩もわたしのために油の流れを注ぎだした。 + あの時には、わたしは町の門に出て行き、わたしの座を広場に設けた。 + 若い者はわたしを見てしりぞき、老いた者は身をおこして立ち、 + 君たる者も物言うことをやめて、その口に手を当て、 + 尊い者も声をおさめて、その舌を上あごにつけた。 + 耳に聞いた者はわたしを祝福された者となし、目に見た者はこれをあかしした。 + これは助けを求める貧しい者を救い、また、みなしごおよび助ける人のない者を救ったからである。 + 今にも滅びようとした者の祝福がわたしに来た。わたしはまたやもめの心をして喜び歌わせた。 + わたしは正義を着、正義はわたしをおおった。わたしの公義は上着のごとく、また冠のようであった。 + わたしは目しいの目となり、足なえの足となり、 + 貧しい者の父となり、知らない人の訴えの理由を調べてやった。 + わたしはまた悪しき者のきばを折り、その歯の間から獲物を引き出した。 + その時、わたしは言った、『わたしは自分の巣の中で死に、わたしの日は砂のように多くなるであろう。 + わたしの根は水のほとりにはびこり、露は夜もすがらわたしの枝におくであろう。 + わたしの栄えはわたしと共に新しく、わたしの弓はわたしの手にいつも強い』と。 + 人々はわたしに聞いて待ち、黙して、わたしの教に従った。 + わたしが言った後は彼らは再び言わなかった。わたしの言葉は彼らの上に雨のように降りそそいだ。 + 彼らは雨を待つように、わたしを待ち望み、春の雨を仰ぐように口を開いて仰いだ。 + 彼らが希望を失った時にも、わたしは彼らにむかってほほえんだ。彼らはわたしの顔の光を除くことができなかった。 + わたしは彼らのために道を選び、そのかしらとして座し、軍中の王のようにしており、嘆く者を慰める人のようであった。 + + + しかし今はわたしよりも年若い者が、かえってわたしをあざ笑う。彼らの父はわたしが卑しめて、群れの犬と一緒にさえしなかった者だ。 + 彼らの手の力からわたしは何を得るであろうか、彼らはその気力がすでに衰えた人々だ。 + 彼らは乏しさと激しい飢えとによって、かわいた荒れ地をかむ。 + 彼らは、ぜにあおいおよび灌木の葉を摘み、れだまの根をもって身を暖める。 + 彼らは人々の中から追いだされ、盗びとを追うように、人々は彼らを追い呼ばわる。 + 彼らは急流の谷間に住み、土の穴または岩の穴におり、 + 灌木の中にいななき、いらくさの下に押し合う。 + 彼らは愚かな者の子、また卑しい者の子であって、国から追いだされた者だ。 + それなのに、わたしは今彼らの歌となり、彼らの笑い草となった。 + 彼らはわたしをいとい、遠くわたしをはなれ、わたしの顔につばきすることも、ためらわない。 + 神がわたしの綱を解いて、わたしを卑しめられたので、彼らもわたしの前に慎みを捨てた。 + このともがらはわたしの右に立ち上がり、わたしを追いのけ、わたしにむかって滅びの道を築く。 + 彼らはわたしの道をこわし、わたしの災を促す。これをさし止める者はない。 + 彼らは広い破れ口からはいるように進みきたり、破壊の中をおし寄せる。 + 恐ろしい事はわたしに臨み、わたしの誉は風のように吹き払われ、わたしの繁栄は雲のように消えうせた。 + 今は、わたしの魂はわたしの内にとけて流れ、悩みの日はわたしを捕えた。 + 夜はわたしの骨を激しく悩まし、わたしをかむ苦しみは、やむことがない。 + それは暴力をもって、わたしの着物を捕え、はだ着のえりのように、わたしをしめつける。 + 神がわたしを泥の中に投げ入れられたので、わたしはちり灰のようになった。 + わたしがあなたにむかって呼ばわっても、あなたは答えられない。わたしが立っていても、あなたは顧みられない。 + あなたは変って、わたしに無情な者となり、み手の力をもってわたしを攻め悩まされる。 + あなたはわたしを揚げて風の上に乗せ、大風のうなり声の中に、もませられる。 + わたしは知っている、あなたはわたしを死に帰らせ、すべての生き物の集まる家に帰らせられることを。 + さりながら荒塚の中にある者は、手を伸べないであろうか、災の中にある者は助けを呼び求めないであろうか。 + わたしは苦しい日を送る者のために泣かなかったか。わたしの魂は貧しい人のために悲しまなかったか。 + しかしわたしが幸を望んだのに災が来た。光を待ち望んだのにやみが来た。 + わたしのはらわたは沸きかえって、静まらない。悩みの日がわたしに近づいた。 + わたしは日の光によらずに黒くなって歩き、公会の中に立って助けを呼び求める。 + わたしは山犬の兄弟となり、だちょうの友となった。 + わたしの皮膚は黒くなって、はげ落ち、わたしの骨は熱さによって燃え、 + わたしの琴は悲しみの音となり、わたしの笛は泣く者の声となった。 + + + わたしは、わたしの目と契約を結んだ、どうして、おとめを慕うことができようか。 + もしそうすれば上から神の下される分はどんなであろうか。高き所から全能者の与えられる嗣業はどんなであろうか。 + 不義なる者には災が下らないであろうか。悪をなす者には災難が臨まないであろうか。 + 彼はわたしの道をみそなわし、わたしの歩みをことごとく数えられぬであろうか。 + もし、わたしがうそと共に歩み、わたしの足が偽りにむかって急いだことがあるなら、 + (正しいはかりをもってわたしを量れ、そうすれば神はわたしの潔白を知られるであろう。) + もしわたしの歩みが、道をはなれ、わたしの心がわたしの目にしたがって歩み、わたしの手に汚れがついていたなら、 + わたしのまいたのを他の人が食べ、わたしのために成長するものが、抜き取られてもかまわない。 + もし、わたしの心が、女に迷ったことがあるか、またわたしが隣り人の門で待ち伏せしたことがあるなら、 + わたしの妻が他の人のためにうすをひき、他の人が彼女の上に寝てもかまわない。 + これは重い罪であって、さばきびとに罰せられるべき悪事だからである。 + これは滅びに至るまでも焼きつくす火であって、わたしのすべての産業を根こそぎ焼くであろう。 + わたしのしもべ、また、はしためがわたしと言い争ったときに、わたしがもしその言い分を退けたことがあるなら、 + 神が立ち上がられるとき、わたしはどうしようか、神が尋ねられるとき、なんとお答えしようか。 + わたしを胎内に造られた者は、彼をも造られたのではないか。われわれを腹の内に形造られた者は、ただひとりではないか。 + わたしがもし貧しい者の願いを退け、やもめの目を衰えさせ、 + あるいはわたしひとりで食物を食べて、みなしごに食べさせなかったことがあるなら、 + (わたしは彼の幼い時から父のように彼を育て、またその母の胎を出たときから彼を導いた。) + もし着物がないために死のうとする者や、身をおおう物のない貧しい人をわたしが見た時に、 + その腰がわたしを祝福せず、また彼がわたしの羊の毛で暖まらなかったことがあるなら、 + もしわたしを助ける者が門におるのを見て、みなしごにむかってわたしの手を振り上げたことがあるなら、 + わたしの肩骨が、肩から落ち、わたしの腕が、つけ根から折れてもかまわない。 + わたしは神から出る災を恐れる、その威光の前には何事もなすことはできない。 + わたしがもし金をわが望みとし、精金をわが頼みと言ったことがあるなら、 + わたしがもしわが富の大いなる事と、わたしの手に多くの物を獲た事とを喜んだことがあるなら、 + わたしがもし日の輝くのを見、または月の照りわたって動くのを見た時、 + 心ひそかに迷って、手に口づけしたことがあるなら、 + これもまたさばきびとに罰せらるべき悪事だ。わたしは上なる神を欺いたからである。 + わたしがもしわたしを憎む者の滅びるのを喜び、または災が彼に臨んだとき、勝ち誇ったことがあるなら、 + (わたしはわが口に罪を犯させず、のろいをもって彼の命を求めたことはなかった。) + もし、わたしの天幕の人々で、『だれか彼の肉に飽きなかった者があるか』と、言わなかったことがあるなら、 + (他国人はちまたに宿らず、わたしはわが門を旅びとに開いた。) + わたしがもし人々の前にわたしのとがをおおい、わたしの悪事を胸の中に隠したことがあるなら、 + わたしが大衆を恐れ、宗族の侮りにおじて、口を閉じ、門を出なかったことがあるなら、 + ああ、わたしに聞いてくれる者があればよいのだが、(わたしのかきはんがここにある。どうか、全能者がわたしに答えられるように。)ああ、わたしの敵の書いた告訴状があればよいのだが。 + わたしは必ずこれを肩に負い、冠のようにこれをわが身に結び、 + わが歩みの数を彼に述べ、君たる者のようにして、彼に近づくであろう。 + もしわが田畑がわたしに向かって呼ばわり、そのうねみぞが共に泣き叫んだことがあるなら、 + もしわたしが金を払わないでその産物を食べ、その持ち主を死なせたことがあるなら、 + 小麦の代りに、いばらがはえ、大麦の代りに雑草がはえてもかまわない」。ヨブの言葉は終った。 + + + このようにヨブが自分の正しいことを主張したので、これら三人の者はヨブに答えるのをやめた。 + その時ラム族のブズびとバラケルの子エリフは怒りを起した。すなわちヨブが神よりも自分の正しいことを主張するので、彼はヨブに向かって怒りを起した。 + またヨブの三人の友がヨブを罪ありとしながら、答える言葉がなかったので、エリフは彼らにむかっても怒りを起した。 + エリフは彼らが皆、自分よりも年長者であったので、ヨブに物言うことをひかえて待っていたが、 + ここにエリフは三人の口に答える言葉のないのを見て怒りを起した。 + ブズびとバラケルの子エリフは答えて言った、「わたしは年若く、あなたがたは年老いている。それゆえ、わたしははばかって、わたしの意見を述べることをあえてしなかった。 + わたしは思った、『日を重ねた者が語るべきだ、年を積んだ者が知恵を教えるべきだ』と。 + しかし人のうちには霊があり、全能者の息が人に悟りを与える。 + 老いた者、必ずしも知恵があるのではなく、年とった者、必ずしも道理をわきまえるのではない。 + ゆえにわたしは言う、『わたしに聞け、わたしもまたわが意見を述べよう』。 + 見よ、わたしはあなたがたの言葉に期待し、その知恵ある言葉に耳を傾け、あなたがたが言うべき言葉を捜し出すのを待っていた。 + わたしはあなたがたに心をとめたが、あなたがたのうちにヨブを言いふせる者はひとりもなく、また彼の言葉に答える者はひとりもなかった。 + おそらくあなたがたは言うだろう、『われわれは知恵を見いだした、彼に勝つことのできるのは神だけで、人にはできない』と。 + 彼はその言葉をわたしに向けて言わなかった。わたしはあなたがたの言葉をもって彼に答えることはしない。 + 彼らは驚いて、もはや答えることをせず、彼らには、もはや言うべき言葉がない。 + 彼らは物言わず、立ちとどまって、もはや答えるところがないので、わたしはこれ以上待つ必要があろうか。 + わたしもまたわたしの分を答え、わたしの意見を述べよう。 + わたしには言葉が満ち、わたしのうちの霊がわたしに迫るからだ。 + 見よ、わたしの心は口を開かないぶどう酒のように、新しいぶどう酒の皮袋のように、今にも張りさけようとしている。 + わたしは語って、気を晴らし、くちびるを開いて答えよう。 + わたしはだれをもかたより見ることなく、また何人とにもへつらうことをしない。 + わたしはへつらうことを知らないからだ。もしへつらうならば、わたしの造り主は直ちにわたしを滅ぼされるであろう。 + + + だから、ヨブよ、今わたしの言うことを聞け、わたしのすべての言葉に耳を傾けよ。 + 見よ、わたしは口を開き、口の中の舌は物言う。 + わたしの言葉はわが心の正しきを語り、わたしのくちびるは真実をもってその知識を語る。 + 神の霊はわたしを造り、全能者の息はわたしを生かす。 + あなたがもしできるなら、わたしに答えよ、わたしの前に言葉を整えて、立て。 + 見よ、神に対しては、わたしもあなたと同様であり、わたしもまた土から取って造られた者だ。 + 見よ、わたしの威厳はあなたを恐れさせない、わたしの勢いはあなたを圧しない。 + 確かに、あなたはわたしの聞くところで言った、わたしはあなたの言葉の声を聞いた。 + あなたは言う、『わたしはいさぎよく、とがはない。わたしは清く、不義はない。 + 見よ、彼はわたしを攻める口実を見つけ、わたしを自分の敵とみなし、 + わたしの足をかせにはめ、わたしのすべての行いに目をとめられる』と。 + 見よ、わたしはあなたに答える、あなたはこの事において正しくない。神は人よりも大いなる者だ。 + あなたが『彼はわたしの言葉に少しも答えられない』といって、彼に向かって言い争うのは、どういうわけであるか。 + 神は一つの方法によって語られ、また二つの方法によって語られるのだが、人はそれを悟らないのだ。 + 人々が熟睡するとき、または床にまどろむとき、夢あるいは夜の幻のうちで、 + 彼は人々の耳を開き、警告をもって彼らを恐れさせ、 + こうして人にその悪しきわざを離れさせ、高ぶりを人から除き、 + その魂を守って、墓に至らせず、その命を守って、つるぎに滅びないようにされる。 + 人はまたその床の上で痛みによって懲らされ、その骨に戦いが絶えることなく、 + その命は、食物をいとい、その食欲は、おいしい食物をきらう。 + その肉はやせ落ちて見えず、その骨は見えなかったものまでもあらわになり、 + その魂は墓に近づき、その命は滅ぼす者に近づく。 + もしそこに彼のためにひとりの天使があり、千のうちのひとりであって、仲保となり、人にその正しい道を示すならば、 + 神は彼をあわれんで言われる、『彼を救って、墓に下ることを免れさせよ、わたしはすでにあがないしろを得た。 + 彼の肉を幼な子の肉よりもみずみずしくならせ、彼を若い時の元気に帰らせよ』と。 + その時、彼が神に祈るならば、神は彼を顧み、喜びをもって、み前にいたらせ、その救を人に告げ知らせられる。 + 彼は人々の前に歌って言う、『わたしは罪を犯し、正しい事を曲げた。しかしわたしに報復がなかった。 + 彼はわたしの魂をあがなって、墓に下らせられなかった。わたしの命は光を見ることができる』と。 + 見よ、神はこれらすべての事をふたたび、みたび人に行い、 + その魂を墓から引き返し、彼に命の光を見させられる。 + ヨブよ、耳を傾けてわたしに聞け、黙せよ、わたしは語ろう。 + あなたがもし言うべきことがあるなら、わたしに答えよ、語れ、わたしはあなたを正しい者にしようと望むからだ。 + もし語ることがないなら、わたしに聞け、黙せよ、わたしはあなたに知恵を教えよう」。 + + + エリフはまた答えて言った、 + 「あなたがた知恵ある人々よ、わたしの言葉を聞け、あなたがた知識ある人々よ、わたしに耳を傾けよ。 + 口が食物を味わうように、耳は言葉をわきまえるからだ。 + われわれは正しい事を選び、われわれの間に良い事の何であるかを明らかにしよう。 + ヨブは言った、『わたしは正しい、神はわたしの公義を奪われた。 + わたしは正しいにもかかわらず、偽る者とされた。わたしにはとががないけれども、わたしの矢傷はいえない』と。 + だれかヨブのような人があろう。彼はあざけりを水のように飲み、 + 悪をなす者どもと交わり、悪人と共に歩む。 + 彼は言った、『人は神と親しんでも、なんの益もない』と。 + それであなたがた理解ある人々よ、わたしに聞け、神は断じて悪を行うことなく、全能者は断じて不義を行うことはない。 + 神は人のわざにしたがってその身に報い、おのおのの道にしたがって、その身に振りかからせられる。 + まことに神は悪しき事を行われない。全能者はさばきをまげられない。 + だれかこの地を彼にゆだねた者があるか。だれか全世界を彼に負わせた者があるか。 + 神がもしその霊をご自分に取りもどし、その息をご自分に取りあつめられるならば、 + すべての肉は共に滅び、人はちりに帰るであろう。 + もし、あなたに悟りがあるならば、これを聞け、わたしの言うところに耳を傾けよ。 + 公義を憎む者は世を治めることができようか。正しく力ある者を、あなたは非難するであろうか。 + 王たる者に向かって『よこしまな者』と言い、つかさたる者に向かって、『悪しき者』と言うことができるであろうか。 + 神は君たる者をもかたより見られることなく、富める者を貧しき者にまさって顧みられることはない。彼らは皆み手のわざだからである。 + 彼らはまたたく間に死に、民は夜の間に振われて、消えうせ、力ある者も人手によらずに除かれる。 + 神の目が人の道の上にあって、そのすべての歩みを見られるからだ。 + 悪を行う者には身を隠すべき暗やみもなく、暗黒もない。 + 人がさばきのために神の前に出るとき、神は人のために時を定めておかれない。 + 彼は力ある者をも調べることなく打ち滅ぼし、他の人々を立てて、これに替えられる。 + このように、神は彼らのわざを知り、夜の間に彼らをくつがえされるので、彼らはやがて滅びる。 + 彼は人々の見る所で、彼らをその悪のために撃たれる。 + これは彼らがそむいて彼に従わず、その道を全く顧みないからだ。 + こうして彼らは貧しき者の叫びを彼のもとにいたらせ、悩める者の叫びを彼に聞かせる。 + 彼が黙っておられるとき、だれが非難することができようか。彼が顔を隠されるとき、だれが彼を見ることができようか。一国の上にも、一人の上にも同様だ。 + これは神を信じない者が世を治めることがなく、民をわなにかける事のないようにするためである。 + だれが神に向かって言ったか、『わたしは罪を犯さないのに、懲しめられた。 + わたしの見ないものをわたしに教えられたい。もしわたしが悪い事をしたなら、重ねてこれをしない』と。 + あなたが拒むゆえに、彼はあなたの好むように報いをされるであろうか。あなたみずから選ぶがよい、わたしはしない。あなたの知るところを言いなさい。 + 悟りある人々はわたしに言うだろう、わたしに聞くところの知恵ある人は言うだろう、 + 『ヨブの言うところは知識がなく、その言葉は悟りがない』と。 + どうかヨブが終りまで試みられるように、彼は悪人のように答えるからである。 + 彼は自分の罪に、とがを加え、われわれの中にあって手をうち、神に逆らって、その言葉をしげくする」。 + + + エリフはまた答えて言った、 + 「あなたはこれを正しいと思うのか、あなたは『神の前に自分は正しい』と言うのか。 + あなたは言う、『これはわたしになんの益があるか、罪を犯したのとくらべてなんのまさるところがあるか』と。 + わたしはあなたおよび、あなたと共にいるあなたの友人たちに答えよう。 + 天を仰ぎ見よ、あなたの上なる高き空を望み見よ。 + あなたが罪を犯しても、彼になんのさしさわりがあるか。あなたのとがが多くても、彼に何をなし得ようか。 + またあなたは正しくても、彼に何を与え得ようか。彼はあなたの手から何を受けられるであろうか。 + あなたの悪はただあなたのような人にかかわり、あなたの義はただ人の子にかかわるのみだ。 + しえたげの多いために叫び、力ある者の腕のゆえに呼ばわる人々がある。 + しかし、ひとりとして言う者はない、『わが造り主なる神はどこにおられるか、彼は夜の間に歌を与え、 + 地の獣よりも多く、われわれを教え、空の鳥よりも、われわれを賢くされる方である』と。 + 彼らが叫んでも答えられないのは、悪しき者の高ぶりによる。 + まことに神はむなしい叫びを聞かれない。また全能者はこれを顧みられない。 + あなたが彼を見ないと言う時はなおさらだ。さばきは神の前にある。あなたは彼を待つべきである。 + 今彼が怒りをもって罰せず、罪とがを深く心にとめられないゆえに + ヨブは口を開いてむなしい事を述べ、無知の言葉をしげくする」。 + + + エリフは重ねて言った、 + 「しばらく待て、わたしはあなたに示すことがある。なお神のために言うべき事がある。 + わたしは遠くからわが知識を取り、わが造り主に正義を帰する。 + まことにわたしの言葉は偽らない。知識の全き者があなたと共にいる。 + 見よ、神は力ある者であるが、何をも卑しめられない、その悟りの力は大きい。 + 彼は悪しき者を生かしておかれない、苦しむ者のためにさばきを行われる。 + 彼は正しい者から目を離さず、位にある王たちと共に、とこしえに、彼らをすわらせて、尊くされる。 + もし彼らが足かせにつながれ、悩みのなわに捕えられる時は、 + 彼らの行いと、とがと、その高ぶったふるまいを彼らに示し、 + 彼らの耳を開いて、教を聞かせ、悪を離れて帰ることを命じられる。 + もし彼らが聞いて彼に仕えるならば、彼らはその日を幸福に過ごし、その年を楽しく送るであろう。 + しかし彼らが聞かないならば、つるぎによって滅び、知識を得ないで死ぬであろう。 + 心に神を信じない者どもは怒りをたくわえ、神に縛られる時も、助けを呼び求めることをしない。 + 彼らは年若くして死に、その命は恥のうちに終る。 + 神は苦しむ者をその苦しみによって救い、彼らの耳を逆境によって開かれる。 + 神はまたあなたを悩みから、束縛のない広い所に誘い出された。そしてあなたの食卓に置かれた物はすべて肥えた物であった。 + しかしあなたは悪人のうくべきさばきをおのれに満たし、さばきと公義はあなたを捕えている。 + あなたは怒りに誘われて、あざけりに陥らぬように心せよ。あがないしろの大いなるがために、おのれを誤るな。 + あなたの叫びはあなたを守って、悩みを免れさせるであろうか、いかに力をつくしても役に立たない。 + 人々がその所から断たれるその夜を慕ってはならない。 + 慎んで悪に傾いてはならない。あなたは悩みよりもむしろこれを選んだからだ。 + 見よ、神はその力をもってあがめられる。だれか彼のように教える者があるか。 + だれか彼のためにその道を定めた者があるか。だれか『あなたは悪い事をした』と言いうる者があるか。 + 神のみわざをほめたたえる事を忘れてはならない。これは人々の歌いあがめるところである。 + すべての人はこれを仰ぎ見る。人は遠くからこれを見るにすぎない。 + 見よ、神は大いなる者にいまして、われわれは彼を知らない。その年の数も計り知ることができない。 + 彼は水のしたたりを引きあげ、その霧をしたたらせて雨とされる。 + 空はこれを降らせて、人の上に豊かに注ぐ。 + だれか雲の広がるわけと、その幕屋のとどろくわけとを悟ることができようか。 + 見よ、彼はその光をおのれのまわりにひろげ、また海の底をおおわれる。 + 彼はこれらをもって民をさばき、食物を豊かに賜い、 + いなずまをもってもろ手を包み、これに命じて敵を打たせられる。 + そのとどろきは、悪にむかって怒りに燃える彼を現す。 + + + これがためにわが心もまたわななき、その所からとび離れる。 + 聞け、神の声のとどろきを、またその口から出るささやきを。 + 彼はこれを天が下に放ち、その光を地のすみずみまで至らせられる。 + その後、声とどろき、彼はそのいかめしい声をもって鳴り渡られる。その声の聞える時、彼はいなずまを引きとめられない。 + 神はその驚くべき声をもって鳴り渡り、われわれの悟りえない大いなる事を行われる。 + 彼は雪に向かって『地に降れ』と命じ、夕立ちおよび雨に向かって『強く降れ』と命じられる。 + 彼はすべての人の手を封じられる。これはすべての人にみわざを知らせるためである。 + その時、獣は穴に入り、そのほらにとどまる。 + つむじ風はそのへやから、寒さは北風から来る。 + 神のいぶきによって氷が張り、広々とした水は凍る。 + 彼は濃い雲に水気を負わせ、雲はそのいなずまを散らす。 + これは彼の導きによってめぐる。彼の命じるところをことごとく世界のおもてに行うためである。 + 神がこれらをこさせるのは、懲しめのため、あるいはその地のため、あるいはいつくしみのためである。 + ヨブよ、これを聞け、立って神のくすしきみわざを考えよ。 + あなたは知っているか、神がいかにこれらに命じて、その雲の光を輝かされるかを。 + あなたは知っているか、雲のつりあいと、知識の全き者のくすしきみわざを。 + 南風によって地が穏やかになる時、あなたの着物が熱くなることを。 + あなたは鋳た鏡のように堅い大空を、彼のように張ることができるか。 + われわれが彼に言うべき事をわれわれに教えよ、われわれは暗くて、言葉をつらねることはできない。 + わたしは語ることがあると彼に告げることができようか、人は滅ぼされることを望むであろうか。 + 光が空に輝いているとき、風過ぎて空を清めると、人々はその光を見ることができない。 + 北から黄金のような輝きがでてくる。神には恐るべき威光がある。 + 全能者は――われわれはこれを見いだすことができない。彼は力と公義とにすぐれ、正義に満ちて、これを曲げることはない。 + それゆえ、人々は彼を恐れる。彼はみずから賢いと思う者を顧みられない」。 + + + この時、主はつむじ風の中からヨブに答えられた、 + 「無知の言葉をもって、神の計りごとを暗くするこの者はだれか。 + あなたは腰に帯して、男らしくせよ。わたしはあなたに尋ねる、わたしに答えよ。 + わたしが地の基をすえた時、どこにいたか。もしあなたが知っているなら言え。 + あなたがもし知っているなら、だれがその度量を定めたか。だれが測りなわを地の上に張ったか。 + その土台は何の上に置かれたか。その隅の石はだれがすえたか。 + かの時には明けの星は相共に歌い、神の子たちはみな喜び呼ばわった。 + 海の水が流れいで、胎内からわき出たとき、だれが戸をもって、これを閉じこめたか。 + あの時、わたしは雲をもって衣とし、黒雲をもってむつきとし、 + これがために境を定め、関および戸を設けて、 + 言った、『ここまで来てもよい、越えてはならぬ、おまえの高波はここにとどまるのだ』と。 + あなたは生れた日からこのかた朝に命じ、夜明けにその所を知らせ、 + これに地の縁をとらえさせ、悪人をその上から振り落させたことがあるか。 + 地は印せられた土のように変り、衣のようにいろどられる。 + 悪人はその光を奪われ、その高くあげた腕は折られる。 + あなたは海の源に行ったことがあるか。淵の底を歩いたことがあるか。 + 死の門はあなたのために開かれたか。あなたは暗黒の門を見たことがあるか。 + あなたは地の広さを見きわめたか。もしこれをことごとく知っているならば言え。 + 光のある所に至る道はいずれか。暗やみのある所はどこか。 + あなたはこれをその境に導くことができるか。その家路を知っているか。 + あなたは知っているだろう、あなたはかの時すでに生れており、またあなたの日数も多いのだから。 + あなたは雪の倉にはいったことがあるか。ひょうの倉を見たことがあるか。 + これらは悩みの時のため、いくさと戦いの日のため、わたしがたくわえて置いたものだ。 + 光の広がる道はどこか。東風の地に吹き渡る道はどこか。 + だれが大雨のために水路を切り開き、いかずちの光のために道を開き、 + 人なき地にも、人なき荒野にも雨を降らせ、 + 荒れすたれた地をあき足らせ、これに若草をはえさせるか。 + 雨に父があるか。露の玉はだれが生んだか。 + 氷はだれの胎から出たか。空の霜はだれが生んだか。 + 水は固まって石のようになり、淵のおもては凍る。 + あなたはプレアデスの鎖を結ぶことができるか。オリオンの綱を解くことができるか。 + あなたは十二宮をその時にしたがって引き出すことができるか。北斗とその子星を導くことができるか。 + あなたは天の法則を知っているか、そのおきてを地に施すことができるか。 + あなたは声を雲にあげ、多くの水にあなたをおおわせることができるか。 + あなたはいなずまをつかわして行かせ、『われわれはここにいる』と、あなたに言わせることができるか。 + 雲に知恵を置き、霧に悟りを与えたのはだれか。 + だれが知恵をもって雲を数えることができるか。だれが天の皮袋を傾けて、 + ちりを一つに流れ合させ、土くれを固まらせることができるか。 + あなたはししのために食物を狩り、子じしの食欲を満たすことができるか。 + 彼らがほら穴に伏し、林のなかに待ち伏せする時、あなたはこの事をなすことができるか。 + からすの子が神に向かって呼ばわり、食物がなくて、さまようとき、からすにえさを与える者はだれか。 + + + あなたは岩間のやぎが子を産むときを知っているか。あなたは雌じかが子を産むのを見たことがあるか。 + これらの妊娠の月を数えることができるか。これらが産む時を知っているか。 + これらは身をかがめて子を産み、そのはらみ子を産みいだす。 + その子は強くなって、野に育ち、出て行って、その親のもとに帰らない。 + だれが野ろばを放って、自由にしたか。だれが野ろばのつなぎを解いたか。 + わたしは荒野をその家として与え、荒れ地をそのすみかとして与えた。 + これは町の騒ぎをいやしめ、御者の呼ぶ声を聞きいれず、 + 山を牧場としてはせまわり、もろもろの青物を尋ね求める。 + 野牛は快くあなたに仕え、あなたの飼葉おけのかたわらにとどまるだろうか。 + あなたは野牛に手綱をつけてうねを歩かせることができるか、これはあなたに従って谷を耕すであろうか。 + その力が強いからとて、あなたはこれに頼むであろうか。またあなたの仕事をこれに任せるであろうか。 + あなたはこれにたよって、あなたの穀物を打ち場に運び帰らせるであろうか。 + だちょうは威勢よくその翼をふるう。しかしこれにはきれいな羽と羽毛があるか。 + これはその卵を土の中に捨て置き、これを砂のなかで暖め、 + 足でつぶされることも、野の獣に踏まれることも忘れている。 + これはその子に無情であって、あたかも自分の子でないようにし、その苦労のむなしくなるをも恐れない。 + これは神がこれに知恵を授けず、悟りを与えなかったゆえである。 + これがその身を起して走る時には、馬をも、その乗り手をもあざける。 + あなたは馬にその力を与えることができるか。力をもってその首を装うことができるか。 + あなたはこれをいなごのように、とばせることができるか。その鼻あらしの威力は恐ろしい。 + これは谷であがき、その力に誇り、みずから出ていって武器に向かう。 + これは恐れをあざ笑って、驚くことなく、つるぎをさけて退くことがない。 + 矢筒はその上に鳴り、やりと投げやりと、あいきらめく。 + これはたけりつ、狂いつ、地をひとのみにし、ラッパの音が鳴り渡っても、立ちどまることがない。 + これはラッパの鳴るごとにハアハアと言い、遠くから戦いをかぎつけ、隊長の大声およびときの声を聞き知る。 + たかが舞いあがり、その翼をのべて南に向かうのは、あなたの知恵によるのか、 + わしがかけのぼり、その巣を高い所につくるのは、あなたの命令によるのか。 + これは岩の上にすみかを構え、岩のとがり、または険しい所におり、 + そこから獲物をうかがう。その目の及ぶところは遠い。 + そのひなもまた血を吸う。おおよそ殺された者のある所には、これもそこにいる」。 + + + 主はまたヨブに答えて言われた、 + 「非難する者が全能者と争おうとするのか、神と論ずる者はこれに答えよ」。 + そこで、ヨブは主に答えて言った、 + 「見よ、わたしはまことに卑しい者です、なんとあなたに答えましょうか。ただ手を口に当てるのみです。 + わたしはすでに一度言いました、また言いません、すでに二度言いました、重ねて申しません」。 + 主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた、 + 「あなたは腰に帯して、男らしくせよ。わたしはあなたに尋ねる、わたしに答えよ。 + あなたはなお、わたしに責任を負わそうとするのか。あなたはわたしを非とし、自分を是としようとするのか。 + あなたは神のような腕を持っているのか、神のような声でとどろきわたることができるか。 + あなたは威光と尊厳とをもってその身を飾り、栄光と華麗とをもってその身を装ってみよ。 + あなたのあふるる怒りを漏らし、すべての高ぶる者を見て、これを低くせよ。 + すべての高ぶる者を見て、これをかがませ、また悪人をその所で踏みつけ、 + 彼らをともにちりの中にうずめ、その顔を隠れた所に閉じこめよ。 + そうすれば、わたしもまた、あなたをほめて、あなたの右の手はあなたを救うことができるとしよう。 + 河馬を見よ、これはあなたと同様にわたしが造ったもので、牛のように草を食う。 + 見よ、その力は腰にあり、その勢いは腹の筋にある。 + これはその尾を香柏のように動かし、そのももの筋は互にからみ合う。 + その骨は青銅の管のようで、その肋骨は鉄の棒のようだ。 + これは神のわざの第一のものであって、これを造った者がこれにつるぎを授けた。 + 山もこれがために食物をいだし、もろもろの野の獣もそこに遊ぶ。 + これは酸棗の木の下に伏し、葦の茂み、または沼に隠れている。 + 酸棗の木はその陰でこれをおおい、川の柳はこれをめぐり囲む。 + 見よ、たとい川が荒れても、これは驚かない。ヨルダンがその口に注ぎかかっても、これはあわてない。 + だれが、かぎでこれを捕えることができるか。だれが、わなでその鼻を貫くことができるか。 + + + あなたはつり針でわにをつり出すことができるか。糸でその舌を押えることができるか。 + あなたは葦のなわをその鼻に通すことができるか。つり針でそのあごを突き通すことができるか。 + これはしきりに、あなたに願い求めるであろうか。柔らかな言葉をあなたに語るであろうか。 + これはあなたと契約を結ぶであろうか。あなたはこれを取って、ながくあなたのしもべとすることができるであろうか。 + あなたは鳥と戯れるようにこれと戯れ、またあなたのおとめたちのために、これをつないでおくことができるであろうか。 + 商人の仲間はこれを商品として、小売商人の間に分けるであろうか。 + あなたは、もりでその皮を満たし、やすでその頭を突き通すことができるか。 + あなたの手をこれの上に置け、あなたは戦いを思い出して、再びこれをしないであろう。 + 見よ、その望みはむなしくなり、これを見てすら倒れる。 + あえてこれを激する勇気のある者はひとりもない。それで、だれがわたしの前に立つことができるか。 + だれが先にわたしに与えたので、わたしはこれに報いるのか。天が下にあるものは、ことごとくわたしのものだ。 + わたしはこれが全身と、その著しい力と、その美しい構造について黙っていることはできない。 + だれがその上着をはぐことができるか。だれがその二重のよろいの間にはいることができるか。 + だれがその顔の戸を開くことができるか。そのまわりの歯は恐ろしい。 + その背は盾の列でできていて、その堅く閉じたさまは密封したように、 + 相互に密接して、風もその間に、はいることができず、 + 互に相連なり、固く着いて離すことができない。 + これが、くしゃみすれば光を発し、その目はあけぼののまぶたに似ている。 + その口からは、たいまつが燃えいで、火花をいだす。 + その鼻の穴からは煙が出てきて、さながら煮え立つなべの水煙のごとく、燃える葦の煙のようだ。 + その息は炭火をおこし、その口からは炎が出る。 + その首には力が宿っていて、恐ろしさが、その前に踊っている。 + その肉片は密接に相連なり、固く身に着いて動かすことができない。 + その心臓は石のように堅く、うすの下石のように堅い。 + その身を起すときは勇士も恐れ、その衝撃によってあわて惑う。 + つるぎがこれを撃っても、きかない、やりも、矢も、もりも用をなさない。 + これは鉄を見ること、わらのように、青銅を見ること朽ち木のようである。 + 弓矢もこれを逃がすことができない。石投げの石もこれには、わらくずとなる。 + こん棒もわらくずのようにみなされ、投げやりの響きを、これはあざ笑う。 + その下腹は鋭いかわらのかけらのようで、麦こき板のようにその身を泥の上に伸ばす。 + これは淵をかなえのように沸きかえらせ、海を香油のなべのようにする。 + これは自分のあとに光る道を残し、淵をしらがのように思わせる。 + 地の上にはこれと並ぶものなく、これは恐れのない者に造られた。 + これはすべての高き者をさげすみ、すべての誇り高ぶる者の王である」。 + + + そこでヨブは主に答えて言った、 + 「わたしは知ります、あなたはすべての事をなすことができ、またいかなるおぼしめしでも、あなたにできないことはないことを。 + 『無知をもって神の計りごとをおおうこの者はだれか』。それゆえ、わたしはみずから悟らない事を言い、みずから知らない、測り難い事を述べました。 + 『聞け、わたしは語ろう、わたしはあなたに尋ねる、わたしに答えよ』。 + わたしはあなたの事を耳で聞いていましたが、今はわたしの目であなたを拝見いたします。 + それでわたしはみずから恨み、ちり灰の中で悔います」。 + 主はこれらの言葉をヨブに語られて後、テマンびとエリパズに言われた、「わたしの怒りはあなたとあなたのふたりの友に向かって燃える。あなたがたが、わたしのしもべヨブのように正しい事をわたしについて述べなかったからである。 + それで今、あなたがたは雄牛七頭、雄羊七頭を取って、わたしのしもべヨブの所へ行き、あなたがたのために燔祭をささげよ。わたしのしもべヨブはあなたがたのために祈るであろう。わたしは彼の祈を受けいれるによって、あなたがたの愚かを罰することをしない。あなたがたはわたしのしもべヨブのように正しい事をわたしについて述べなかったからである」。 + そこでテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルは行って、主が彼らに命じられたようにしたので、主はヨブの祈を受けいれられた。 + ヨブがその友人たちのために祈ったとき、主はヨブの繁栄をもとにかえし、そして主はヨブのすべての財産を二倍に増された。 + そこで彼のすべての兄弟、すべての姉妹、および彼の旧知の者どもことごとく彼のもとに来て、彼と共にその家で飲み食いし、かつ主が彼にくだされたすべての災について彼をいたわり、慰め、おのおの銀一ケシタと金の輪一つを彼に贈った。 + 主はヨブの終りを初めよりも多く恵まれた。彼は羊一万四千頭、らくだ六千頭、牛一千くびき、雌ろば一千頭をもった。 + また彼は男の子七人、女の子三人をもった。 + 彼はその第一の娘をエミマと名づけ、第二をケジアと名づけ、第三をケレン・ハップクと名づけた。 + 全国のうちでヨブの娘たちほど美しい女はなかった。父はその兄弟たちと同様に嗣業を彼らにも与えた。 + この後、ヨブは百四十年生きながらえて、その子とその孫と四代までを見た。 + ヨブは年老い、日満ちて死んだ。 + +
+
+ + 悪しき者のはかりごとに歩まず、罪びとの道に立たず、あざける者の座にすわらぬ人はさいわいである。 + このような人は主のおきてをよろこび、昼も夜もそのおきてを思う。 + このような人は流れのほとりに植えられた木の時が来ると実を結び、その葉もしぼまないように、そのなすところは皆栄える。 + 悪しき者はそうでない、風の吹き去るもみがらのようだ。 + それゆえ、悪しき者はさばきに耐えない。罪びとは正しい者のつどいに立つことができない。 + 主は正しい者の道を知られる。しかし、悪しき者の道は滅びる。 + + + なにゆえ、もろもろの国びとは騒ぎたち、もろもろの民はむなしい事をたくらむのか。 + 地のもろもろの王は立ち構え、もろもろのつかさはともに、はかり、主とその油そそがれた者とに逆らって言う、 + 「われらは彼らのかせをこわし、彼らのきずなを解き捨てるであろう」と。 + 天に座する者は笑い、主は彼らをあざけられるであろう。 + そして主は憤りをもって彼らに語り、激しい怒りをもって彼らを恐れ惑わせて言われる、 + 「わたしはわが王を聖なる山シオンに立てた」と。 + わたしは主の詔をのべよう。主はわたしに言われた、「おまえはわたしの子だ。きょう、わたしはおまえを生んだ。 + わたしに求めよ、わたしはもろもろの国を嗣業としておまえに与え、地のはてまでもおまえの所有として与える。 + おまえは鉄のつえをもって彼らを打ち破り、陶工の作る器物のように彼らを打ち砕くであろう」と。 + それゆえ、もろもろの王よ、賢くあれ、地のつかさらよ、戒めをうけよ。 + 恐れをもって主に仕え、おののきをもって + その足に口づけせよ。さもないと主は怒って、あなたがたを道で滅ぼされるであろう、その憤りがすみやかに燃えるからである。すべて主に寄り頼む者はさいわいである。 + + + 主よ、わたしに敵する者のいかに多いことでしょう。わたしに逆らって立つ者が多く、 + 「彼には神の助けがない」と、わたしについて言う者が多いのです。 [セラ + しかし主よ、あなたはわたしを囲む盾、わが栄え、わたしの頭を、もたげてくださるかたです。 + わたしが声をあげて主を呼ばわると、主は聖なる山からわたしに答えられる。 [セラ + わたしはふして眠り、また目をさます。主がわたしをささえられるからだ。 + わたしを囲んで立ち構えるちよろずの民をもわたしは恐れない。 + 主よ、お立ちください。わが神よ、わたしをお救いください。あなたはわたしのすべての敵のほおを打ち、悪しき者の歯を折られるのです。 + 救は主のものです。どうかあなたの祝福があなたの民の上にありますように。 [セラ + + + わたしの義を助け守られる神よ、わたしが呼ばわる時、お答えください。あなたはわたしが悩んでいた時、わたしをくつろがせてくださいました。わたしをあわれみ、わたしの祈をお聞きください。 + 人の子らよ、いつまでわたしの誉をはずかしめるのか。いつまでむなしい言葉を愛し、偽りを慕い求めるのか。 [セラ + しかしあなたがたは知るがよい、主は神を敬う人をご自分のために聖別されたことを。主はわたしが呼ばわる時におききくださる。 + あなたがたは怒っても、罪を犯してはならない。床の上で静かに自分の心に語りなさい。 [セラ + 義のいけにえをささげて主に寄り頼みなさい。 + 多くの人は言う、「どうか、わたしたちに良い事が見られるように。主よ、どうか、み顔の光をわたしたちの上に照されるように」と。 + あなたがわたしの心にお与えになった喜びは、穀物と、ぶどう酒の豊かな時の喜びにまさるものでした。 + わたしは安らかに伏し、また眠ります。主よ、わたしを安らかにおらせてくださるのは、ただあなただけです。 + + + 主よ、わたしの言葉に耳を傾け、わたしの嘆きに、み心をとめてください。 + わが王、わが神よ、わたしの叫びの声をお聞きください。わたしはあなたに祈っています。 + 主よ、朝ごとにあなたはわたしの声を聞かれます。わたしは朝ごとにあなたのためにいけにえを備えて待ち望みます。 + あなたは悪しき事を喜ばれる神ではない。悪人はあなたのもとに身を寄せることはできない。 + 高ぶる者はあなたの目の前に立つことはできない。あなたはすべて悪を行う者を憎まれる。 + あなたは偽りを言う者を滅ぼされる。主は血を流す者と、人をだます者を忌みきらわれる。 + しかし、わたしはあなたの豊かないつくしみによって、あなたの家に入り、聖なる宮にむかって、かしこみ伏し拝みます。 + 主よ、わたしのあだのゆえに、あなたの義をもってわたしを導き、わたしの前にあなたの道をまっすぐにしてください。 + 彼らの口には真実がなく、彼らの心には滅びがあり、そののどは開いた墓、その舌はへつらいを言うのです。 + 神よ、どうか彼らにその罪を負わせ、そのはかりごとによって、みずから倒れさせ、その多くのとがのゆえに彼らを追いだしてください。彼らはあなたにそむいたからです。 + しかし、すべてあなたに寄り頼む者を喜ばせ、とこしえに喜び呼ばわらせてください。また、み名を愛する者があなたによって喜びを得るように、彼らをお守りください。 + 主よ、あなたは正しい者を祝福し、盾をもってするように、恵みをもってこれをおおい守られます。 + + + 主よ、あなたの怒りをもって、わたしを責めず、あなたの激しい怒りをもって、わたしを懲しめないでください。 + 主よ、わたしをあわれんでください。わたしは弱り衰えています。主よ、わたしをいやしてください。わたしの骨は悩み苦しんでいます。 + わたしの魂もまたいたく悩み苦しんでいます。主よ、あなたはいつまでお怒りになるのですか。 + 主よ、かえりみて、わたしの命をお救いください。あなたのいつくしみにより、わたしをお助けください。 + 死においては、あなたを覚えるものはなく、陰府においては、だれがあなたをほめたたえることができましょうか。 + わたしは嘆きによって疲れ、夜ごとに涙をもって、わたしのふしどをただよわせ、わたしのしとねをぬらした。 + わたしの目は憂いによって衰え、もろもろのあだのゆえに弱くなった。 + すべて悪を行う者よ、わたしを離れ去れ。主はわたしの泣く声を聞かれた。 + 主はわたしの願いを聞かれた。主はわたしの祈をうけられる。 + わたしの敵は恥じて、いたく悩み苦しみ、彼らは退いて、たちどころに恥をうけるであろう。 + + + わが神、主よ、わたしはあなたに寄り頼みます。どうかすべての追い迫る者からわたしを救い、わたしをお助けください。 + さもないと彼らは、ししのように、わたしをかき裂き、助ける者の来ないうちに、引いて行くでしょう。 + わが神、主よ、もしわたしがこの事を行ったならば、もしわたしの手によこしまな事があるならば、 + もしわたしの友に悪をもって報いたことがあり、ゆえなく、敵のものを略奪したことがあるならば、 + 敵にわたしを追い捕えさせ、わたしの命を地に踏みにじらせ、わたしの魂をちりにゆだねさせてください。 [セラ + 主よ、怒りをもって立ち、わたしの敵の憤りにむかって立ちあがり、わたしのために目をさましてください。あなたはさばきを命じられました。 + もろもろの民をあなたのまわりにつどわせ、その上なる高みくらにおすわりください。 + 主はもろもろの民をさばかれます。主よ、わたしの義と、わたしにある誠実とに従って、わたしをさばいてください。 + どうか悪しき者の悪を断ち、正しき者を堅く立たせてください。義なる神よ、あなたは人の心と思いとを調べられます。 + わたしを守る盾は神である。神は心の直き者を救われる。 + 神は義なるさばきびと、日ごとに憤りを起される神である。 + もし人が悔い改めないならば、神はそのつるぎをとぎ、その弓を張って構え、 + また死に至らせる武器を備え、その矢を火矢とされる。 + 見よ、悪しき者は邪悪をはらみ、害毒をやどし、偽りを生む。 + 彼は穴を掘って、それを深くし、みずから作った穴に陥る。 + その害毒は自分のかしらに帰り、その強暴は自分のこうべに下る。 + わたしは主にむかって、その義にふさわしい感謝をささげ、いと高き者なる主の名をほめ歌うであろう。 + + + 主、われらの主よ、あなたの名は地にあまねく、いかに尊いことでしょう。あなたの栄光は天の上にあり、 + みどりごと、ちのみごとの口によって、ほめたたえられています。あなたは敵と恨みを晴らす者とを静めるため、あだに備えて、とりでを設けられました。 + わたしは、あなたの指のわざなる天を見、あなたが設けられた月と星とを見て思います。 + 人は何者なので、これをみ心にとめられるのですか、人の子は何者なので、これを顧みられるのですか。 + ただ少しく人を神よりも低く造って、栄えと誉とをこうむらせ、 + これにみ手のわざを治めさせ、よろずの物をその足の下におかれました。 + すべての羊と牛、また野の獣、 + 空の鳥と海の魚、海路を通うものまでも。 + 主、われらの主よ、あなたの名は地にあまねく、いかに尊いことでしょう。 + + + わたしは心をつくして主に感謝し、あなたのくすしきみわざをことごとく宣べ伝えます。 + いと高き者よ、あなたによってわたしは喜びかつ楽しみ、あなたの名をほめ歌います。 + わたしの敵は退くとき、つまずき倒れてあなたの前に滅びました。 + あなたがわたしの正しい訴えを助け守られたからです。あなたはみくらに座して、正しいさばきをされました。 + あなたはもろもろの国民を責め、悪しき者を滅ぼし、永久に彼らの名を消し去られました。 + 敵は絶えはてて、とこしえに滅び、あなたが滅ぼされたもろもろの町はその記憶さえ消えうせました。 + しかし主はとこしえに、み位に座し、さばきのために、みくらを設けられました。 + 主は正義をもって世界をさばき、公平をもってもろもろの民をさばかれます。 + 主はしえたげられる者のとりで、なやみの時のとりでです。 + み名を知る者はあなたに寄り頼みます。主よ、あなたを尋ね求める者をあなたは捨てられたことがないからです。 + シオンに住まわれる主にむかってほめうたい、そのみわざをもろもろの民のなかに宣べ伝えよ。 + 血を流す者にあだを報いられる主は彼らを心にとめ、苦しむ者の叫びをお忘れにならないからです。 + 主よ、わたしをあわれんでください。死の門からわたしを引きあげられる主よ、あだする者のわたしを悩ますのをみそなわしてください。 + そうすれば、わたしはあなたのすべての誉を述べ、シオンの娘の門で、あなたの救を喜ぶことができましょう。 + もろもろの国民は自分の作った穴に陥り、隠し設けた網に自分の足を捕えられる。 + 主はみずからを知らせ、さばきを行われた。悪しき者は自分の手で作ったわなに捕えられる。 [ヒガヨン、セラ + 悪しき者、また神を忘れるもろもろの国民は陰府へ去って行く。 + 貧しい者は常に忘れられるのではない。苦しむ者の望みはとこしえに滅びるのではない。 + 主よ、立ちあがってください。人に勝利を得させず、もろもろの国民に、み前でさばきを受けさせてください。 + 主よ、彼らに恐れを起させ、もろもろの国民に自分がただ、人であることを知らせてください。 [セラ + + + 主よ、なにゆえ遠く離れて立たれるのですか。なにゆえ悩みの時に身を隠されるのですか。 + 悪しき者は高ぶって貧しい者を激しく責めます。どうぞ彼らがその企てたはかりごとにみずから捕えられますように。 + 悪しき者は自分の心の願いを誇り、むさぼる者は主をのろい、かつ捨てる。 + 悪しき者は誇り顔をして、神を求めない。その思いに、すべて「神はない」という。 + 彼の道は常に栄え、あなたのさばきは彼を離れて高く、彼はそのすべてのあだを口先で吹く。 + 彼は心の内に言う、「わたしは動かされることはなく、世々わざわいにあうことがない」と。 + その口はのろいと、欺きと、しえたげとに満ち、その舌の下には害毒と不正とがある。 + 彼は村里の隠れ場におり、忍びやかな所で罪のない者を殺す。その目は寄るべなき者をうかがい、 + 隠れ場にひそむししのように、ひそかに待ち伏せする。彼は貧しい者を捕えようと待ち伏せし、貧しい者を網にひきいれて捕える。 + 寄るべなき者は彼の力によって打ちくじかれ、衰え、倒れる。 + 彼は心のうちに言う、「神は忘れた、神はその顔を隠した、神は絶えて見ることはなかろう」と。 + 主よ、立ちあがってください。神よ、み手をあげてください。苦しむ者を忘れないでください。 + なにゆえ、悪しき者は神を侮り、心のうちに「あなたはとがめることをしない」と言うのですか。 + あなたはみそなわし、悩みと苦しみとを見て、それをみ手に取られます。寄るべなき者はあなたに身をゆだねるのです。あなたはいつもみなしごを助けられました。 + 悪しき者と悪を行う者の腕を折り、その悪を一つも残さないまでに探り出してください。 + 主はとこしえに王でいらせられる。もろもろの国民は滅びて主の国から跡を断つでしょう。 + 主よ、あなたは柔和な者の願いを聞き、その心を強くし、耳を傾けて、 + みなしごと、しえたげられる者とのためにさばきを行われます。地に属する人は再び人を脅かすことはないでしょう。 + + + わたしは主に寄り頼む。なにゆえ、あなたがたはわたしにむかって言うのか、「鳥のように山にのがれよ。 + 見よ、悪しき者は、暗やみで、心の直き者を射ようと弓を張り、弦に矢をつがえている。 + 基が取りこわされるならば、正しい者は何をなし得ようか」と。 + 主はその聖なる宮にいまし、主のみくらは天にあり、その目は人の子らをみそなわし、そのまぶたは人の子らを調べられる。 + 主は正しき者をも、悪しき者をも調べ、そのみ心は乱暴を好む者を憎まれる。 + 主は悪しき者の上に炭火と硫黄とを降らせられる。燃える風は彼らがその杯にうくべきものである。 + 主は正しくいまして、正しい事を愛されるからである。直き者は主のみ顔を仰ぎ見るであろう。 + + + 主よ、お助けください。神を敬う人は絶え、忠信な者は人の子らのなかから消えうせました。 + 人はみなその隣り人に偽りを語り、へつらいのくちびると、ふたごころとをもって語る。 + 主はすべてのへつらいのくちびると、大きな事を語る舌とを断たれるように。 + 彼らは言う、「わたしたちは舌をもって勝を得よう、わたしたちのくちびるはわたしたちのものだ、だれがわたしたちの主人であるか」と。 + 主は言われる、「貧しい者がかすめられ、乏しい者が嘆くゆえに、わたしはいま立ちあがって、彼らをその慕い求める安全な所に置こう」と。 + 主のことばは清き言葉である。地に設けた炉で練り、七たびきよめた銀のようである。 + 主よ、われらを保ち、とこしえにこの人々から免れさせてください。 + 卑しい事が人の子のなかにあがめられている時、悪しき者はいたる所でほしいままに歩いています。 + + + 主よ、いつまでなのですか。とこしえにわたしをお忘れになるのですか。いつまで、み顔をわたしに隠されるのですか。 + いつまで、わたしは魂に痛みを負い、ひねもす心に悲しみをいだかなければならないのですか。いつまで敵はわたしの上にあがめられるのですか。 + わが神、主よ、みそなわして、わたしに答え、わたしの目を明らかにしてください。さもないと、わたしは死の眠りに陥り、 + わたしの敵は「わたしは敵に勝った」と言い、わたしのあだは、わたしの動かされることによって喜ぶでしょう。 + しかしわたしはあなたのいつくしみに信頼し、わたしの心はあなたの救を喜びます。 + 主は豊かにわたしをあしらわれたゆえ、わたしは主にむかって歌います。 + + + 愚かな者は心のうちに「神はない」と言う。彼らは腐れはて、憎むべき事をなし、善を行う者はない。 + 主は天から人の子らを見おろして、賢い者、神をたずね求める者があるかないかを見られた。 + 彼らはみな迷い、みなひとしく腐れた。善を行う者はない、ひとりもない。 + すべて悪を行う者は悟りがないのか。彼らは物食うようにわが民をくらい、また主を呼ぶことをしない。 + その時、彼らは大いに恐れた。神は正しい者のやからと共におられるからである。 + あなたがたは貧しい者の計画をはずかしめようとする。しかし主は彼の避け所である。 + どうか、シオンからイスラエルの救が出るように。主がその民の繁栄を回復されるとき、ヤコブは喜び、イスラエルは楽しむであろう。 + + + 主よ、あなたの幕屋にやどるべき者はだれですか、あなたの聖なる山に住むべき者はだれですか。 + 直く歩み、義を行い、心から真実を語る者、 + その舌をもってそしらず、その友に悪をなさず、隣り人に対するそしりを取りあげず、 + その目は神に捨てられた者を卑しめ、主を恐れる者を尊び、誓った事は自分の損害になっても変えることなく、 + 利息をとって金銭を貸すことなく、まいないを取って罪のない者の不利をはかることをしない人である。これらの事を行う者はとこしえに動かされることはない。 + + + 神よ、わたしをお守りください。わたしはあなたに寄り頼みます。 + わたしは主に言う、「あなたはわたしの主、あなたのほかにわたしの幸はない」と。 + 地にある聖徒は、すべてわたしの喜ぶすぐれた人々である。 + おおよそ、ほかの神を選ぶ者は悲しみを増す。わたしは彼らのささげる血の灌祭を注がず、その名を口にとなえることをしない。 + 主はわたしの嗣業、またわたしの杯にうくべきもの。あなたはわたしの分け前を守られる。 + 測りなわは、わたしのために好ましい所に落ちた。まことにわたしは良い嗣業を得た。 + わたしにさとしをさずけられる主をほめまつる。夜はまた、わたしの心がわたしを教える。 + わたしは常に主をわたしの前に置く。主がわたしの右にいますゆえ、わたしは動かされることはない。 + このゆえに、わたしの心は楽しみ、わたしの魂は喜ぶ。わたしの身もまた安らかである。 + あなたはわたしを陰府に捨ておかれず、あなたの聖者に墓を見させられないからである。 + あなたはいのちの道をわたしに示される。あなたの前には満ちあふれる喜びがあり、あなたの右には、とこしえにもろもろの楽しみがある。 + + + 主よ、正しい訴えを聞き、わたしの叫びにみ心をとめ、偽りのないくちびるから出るわたしの祈に耳を傾けてください。 + どうかわたしについての宣告がみ前から出て、あなたの目が公平をみられるように。 + あなたがわたしの心をためし、夜、わたしに臨み、わたしを試みられても、わたしのうちになんの悪い思いをも見いだされないでしょう。わたしの口も罪を犯しません。 + 人のおこないの事をいえば、あなたのくちびるの言葉によって、わたしは不法な者の道を避けました。 + わたしの歩みはあなたの道に堅く立ち、わたしの足はすべることがなかったのです。 + 神よ、わたしはあなたに呼ばわります。あなたはわたしに答えられます。どうか耳を傾けて、わたしの述べることをお聞きください。 + 寄り頼む者をそのあだから右の手で救われる者よ、あなたのいつくしみを驚くばかりにあらわし、 + ひとみのようにわたしを守り、みつばさの陰にわたしを隠し、 + わたしをしえたげる悪しき者から、わたしを囲む恐ろしい敵から、のがれさせてください。 + 彼らはその心を閉じて、あわれむことなく、その口をもって高ぶって語るのです。 + 彼らはわたしを追いつめ、わたしを囲み、わたしを地に投げ倒さんと、その目をそそぎます。 + 彼らはかき裂かんと、いらだつししのごとく、隠れた所にひそみ待つ子じしのようです。 + 主よ、立ちあがって、彼らに立ちむかい、彼らを倒してください。つるぎをもって悪しき者からわたしのいのちをお救いください。 + 主よ、み手をもって人々からわたしをお救いください。すなわち自分の分け前をこの世で受け、あなたの宝をもってその腹を満たされる世の人々からわたしをお救いください。彼らは多くの子に飽き足り、その富を幼な子に残すのです。 + しかしわたしは義にあって、み顔を見、目ざめる時、みかたちを見て、満ち足りるでしょう。 + + + わが力なる主よ、わたしはあなたを愛します。 + 主はわが岩、わが城、わたしを救う者、わが神、わが寄り頼む岩、わが盾、わが救の角、わが高きやぐらです。 + わたしはほめまつるべき主に呼ばわって、わたしの敵から救われるのです。 + 死の綱は、わたしを取り巻き、滅びの大水は、わたしを襲いました。 + 陰府の綱は、わたしを囲み、死のわなは、わたしに立ちむかいました。 + わたしは悩みのうちに主に呼ばわり、わが神に叫び求めました。主はその宮からわたしの声を聞かれ、主にさけぶわたしの叫びがその耳に達しました。 + そのとき地は揺れ動き、山々の基は震い動きました。主がお怒りになったからです。 + 煙はその鼻から立ちのぼり、火はその口から出て焼きつくし、炭はそれによって燃えあがりました。 + 主は天をたれて下られ、暗やみがその足の下にありました。 + 主はケルブに乗って飛び、風の翼をもってかけり、 + やみをおおいとして、自分のまわりに置き、水を含んだ暗い濃き雲をその幕屋とされました。 + そのみ前の輝きから濃き雲を破って、ひょうと燃える炭とが降ってきました。 + 主はまた天に雷をとどろかせ、いと高き者がみ声を出されると、ひょうと燃える炭とが降ってきました。 + 主は矢を放って彼らを散らし、いなずまをひらめかして彼らを打ち敗られました。 + 主よ、そのとき、あなたのとがめと、あなたの鼻のいぶきとによって、海の底はあらわれ、地の基があらわになったのです。 + 主は高い所からみ手を伸べて、わたしを捕え、大水からわたしを引きあげ、 + わたしの強い敵と、わたしを憎む者とからわたしを助け出されました。彼らはわたしにまさって強かったからです。 + 彼らはわたしの災の日にわたしを襲いました。しかし主はわたしのささえとなられました。 + 主はわたしを広い所につれ出し、わたしを喜ばれるがゆえに、わたしを助けられました。 + 主はわたしの義にしたがってわたしに報い、わたしの手の清きにしたがってわたしに報いかえされました。 + わたしは主の道を守り、悪意をもって、わが神を離れたことがなかったのです、 + そのすべてのおきてはわたしの前にあって、わたしはその定めを捨てたことがなかったのです。 + わたしは主の前に欠けたところがなく、自分を守って罪を犯しませんでした。 + このゆえに主はわたしの義にしたがい、その目の前にわたしの手の清きにしたがってわたしに報いられました。 + あなたはいつくしみある者には、いつくしみある者となり、欠けたところのない者には、欠けたところのない者となり、 + 清い者には、清い者となり、ひがんだ者には、ひがんだ者となられます。 + あなたは苦しんでいる民を救われますが、高ぶる目をひくくされるのです。 + あなたはわたしのともしびをともし、わが神、主はわたしのやみを照されます。 + まことに、わたしはあなたによって敵軍を打ち破り、わが神によって城壁をとび越えることができます。 + この神こそ、その道は完全であり、主の言葉は真実です。主はすべて寄り頼む者の盾です。 + 主のほかに、だれが神でしょうか。われらの神のほかに、だれが岩でしょうか。 + 神はわたしに力を帯びさせ、わたしの道を安全にされました。 + 神はわたしの足をめじかの足のようにされ、わたしを高い所に安全に立たせ、 + わたしの手を戦いに慣らされたので、わたしの腕は青銅の弓をもひくことができます。 + あなたはその救の盾をわたしに与え、あなたの右の手はわたしをささえ、あなたの助けはわたしを大いなる者とされました。 + あなたがわたしの歩む所を広くされたので、わたしの足はすべらなかったのです。 + わたしは敵を追って、これに追いつき、これを滅ぼしつくすまでは帰らなかったのです。 + わたしが彼らを突き通したので、彼らは立ちあがることができず、わたしの足もとに倒れました。 + あなたは戦いのためにわたしに力を帯びさせ、わたしに立ち向かう者らをわたしのもとに、かがませられました。 + あなたは敵にその後をわたしに向けさせられたので、わたしは自分を憎む者を滅ぼしました。 + 彼らは助けを叫び求めたが、救う者はなく、主にむかって叫んだけれども、彼らに答えられなかったのです。 + わたしは彼らを風の前のちりのように細かに砕き、ちまたの泥のように打ち捨てました。 + あなたは民の争いからわたしを救い、わたしをもろもろの国民のかしらとされました。わたしの知らなかった民がわたしに仕えました。 + 彼らはわたしの事を聞くと、ただちにわたしに従い、異邦の人々はきて、わたしにへつらいました。 + 異邦の人々は打ちしおれて、その城から震えながら出てきました。 + 主は生きておられます。わが岩はほむべきかな。わが救の神はあがむべきかな。 + 神はわたしにあだを報いさせ、もろもろの民をわたしのもとに従わせ、 + わたしの敵からわたしを救い出されました。まことに、あなたはわたしに逆らって起りたつ者の上にわたしをあげ、不法の人からわたしを救い出されました。 + このゆえに主よ、わたしはもろもろの国民のなかであなたをたたえ、あなたのみ名をほめ歌います。 + 主はその王に大いなる勝利を与え、その油そそがれた者に、ダビデとその子孫とに、とこしえにいつくしみを加えられるでしょう。 + + + もろもろの天は神の栄光をあらわし、大空はみ手のわざをしめす。 + この日は言葉をかの日につたえ、この夜は知識をかの夜につげる。 + 話すことなく、語ることなく、その声も聞えないのに、 + その響きは全地にあまねく、その言葉は世界のはてにまで及ぶ。神は日のために幕屋を天に設けられた。 + 日は花婿がその祝のへやから出てくるように、また勇士が競い走るように、その道を喜び走る。 + それは天のはてからのぼって、天のはてにまで、めぐって行く。その暖まりをこうむらないものはない。 + 主のおきては完全であって、魂を生きかえらせ、主のあかしは確かであって、無学な者を賢くする。 + 主のさとしは正しくて、心を喜ばせ、主の戒めはまじりなくて、眼を明らかにする。 + 主を恐れる道は清らかで、とこしえに絶えることがなく、主のさばきは真実であって、ことごとく正しい。 + これらは金よりも、多くの純金よりも慕わしく、また蜜よりも、蜂の巣のしたたりよりも甘い。 + あなたのしもべは、これらによって戒めをうける。これらを守れば、大いなる報いがある。 + だれが自分のあやまちを知ることができましようか。どうか、わたしを隠れたとがから解き放ってください。 + また、あなたのしもべを引きとめて、故意の罪を犯させず、これに支配されることのないようにしてください。そうすれば、わたしはあやまちのない者となって、大いなるとがを免れることができるでしょう。 + わが岩、わがあがないぬしなる主よ、どうか、わたしの口の言葉と、心の思いがあなたの前に喜ばれますように。 + + + 主が悩みの日にあなたに答え、ヤコブの神のみ名があなたを守られるように。 + 主が聖所から助けをあなたにおくり、シオンからあなたをささえ、 + あなたのもろもろの供え物をみ心にとめ、あなたの燔祭をうけられるように。 [セラ + 主があなたの心の願いをゆるし、あなたのはかりごとをことごとく遂げさせられるように。 + われらがあなたの勝利を喜びうたい、われらの神のみ名によって旗を揚げるように。主があなたの求めをすべて遂げさせられるように。 + 今わたしは知る、主はその油そそがれた者を助けられることを。主はその右の手による大いなる勝利をもってその聖なる天から彼に答えられるであろう。 + ある者は戦車を誇り、ある者は馬を誇る。しかしわれらは、われらの神、主のみ名を誇る。 + 彼らはかがみ、また倒れる。しかしわれらは起きて、まっすぐに立つ。 + 主よ、王に勝利をおさずけください。われらが呼ばわる時、われらにお答えください。 + + + 主よ、王はあなたの力によって喜び、あなたの助けによって、いかに大きな喜びをもつことでしょう。 + あなたは彼の心の願いをゆるし、そのくちびるの求めをいなまれなかった。 [セラ + あなたは大いなる恵みをもって彼を迎え、そのかしらに純金の冠をいただかせられる。 + 彼がいのちを求めると、あなたはそれを彼にさずけ、世々限りなくそのよわいを長くされた。 + あなたの助けによって彼の栄光は大きい。あなたは誉と威厳とを彼に与えられる。 + まことに、あなたは彼をとこしえに恵まれた者とし、み前に喜びをもって楽しませられる。 + 王は主に信頼するゆえ、いと高き者のいつくしみをこうむって、動かされることはない。 + あなたの手はもろもろの敵を尋ね出し、あなたの右の手はあなたを憎む者を尋ね出すであろう。 + あなたが怒る時、彼らを燃える炉のようにするであろう。主はみ怒りによって彼らをのみつくされる。火は彼らを食いつくすであろう。 + あなたは彼らのすえを地から断ち、彼らの種を人の子らの中から滅ぼすであろう。 + たとい彼らがあなたにむかって悪い事を企て、悪いはかりごとを思いめぐらしても、なし遂げることはできない。 + あなたは彼らを逃げ走らせ、あなたの弓弦を張って、彼らの顔をねらうであろう。 + 主よ、力をあらわして、みずからを高くしてください。われらはあなたの大能をうたい、かつほめたたえるでしょう。 + + + わが神、わが神、なにゆえわたしを捨てられるのですか。なにゆえ遠く離れてわたしを助けず、わたしの嘆きの言葉を聞かれないのですか。 + わが神よ、わたしが昼よばわっても、あなたは答えられず、夜よばわっても平安を得ません。 + しかしイスラエルのさんびの上に座しておられるあなたは聖なるおかたです。 + われらの先祖たちはあなたに信頼しました。彼らが信頼したので、あなたは彼らを助けられました。 + 彼らはあなたに呼ばわって救われ、あなたに信頼して恥をうけなかったのです。 + しかし、わたしは虫であって、人ではない。人にそしられ、民に侮られる。 + すべてわたしを見る者は、わたしをあざ笑い、くちびるを突き出し、かしらを振り動かして言う、 + 「彼は主に身をゆだねた、主に彼を助けさせよ。主は彼を喜ばれるゆえ、主に彼を救わせよ」と。 + しかし、あなたはわたしを生れさせ、母のふところにわたしを安らかに守られた方です。 + わたしは生れた時から、あなたにゆだねられました。母の胎を出てからこのかた、あなたはわたしの神でいらせられました。 + わたしを遠く離れないでください。悩みが近づき、助ける者がないのです。 + 多くの雄牛はわたしを取り巻き、バシャンの強い雄牛はわたしを囲み、 + かき裂き、ほえたけるししのように、わたしにむかって口を開く。 + わたしは水のように注ぎ出され、わたしの骨はことごとくはずれ、わたしの心臓は、ろうのように、胸のうちで溶けた。 + わたしの力は陶器の破片のようにかわき、わたしの舌はあごにつく。あなたはわたしを死のちりに伏させられる。 + まことに、犬はわたしをめぐり、悪を行う者の群れがわたしを囲んで、わたしの手と足を刺し貫いた。 + わたしは自分の骨をことごとく数えることができる。彼らは目をとめて、わたしを見る。 + 彼らは互にわたしの衣服を分け、わたしの着物をくじ引にする。 + しかし主よ、遠く離れないでください。わが力よ、速く来てわたしをお助けください。 + わたしの魂をつるぎから、わたしのいのちを犬の力から助け出してください。 + わたしをししの口から、苦しむわが魂を野牛の角から救い出してください。 + わたしはあなたのみ名を兄弟たちに告げ、会衆の中であなたをほめたたえるでしょう。 + 主を恐れる者よ、主をほめたたえよ。ヤコブのもろもろのすえよ、主をあがめよ。イスラエルのもろもろのすえよ、主をおじおそれよ。 + 主が苦しむ者の苦しみをかろんじ、いとわれず、またこれにみ顔を隠すことなく、その叫ぶときに聞かれたからである。 + 大いなる会衆の中で、わたしのさんびはあなたから出るのです。わたしは主を恐れる者の前で、わたしの誓いを果します。 + 貧しい者は食べて飽くことができ、主を尋ね求める者は主をほめたたえるでしょう。どうか、あなたがたの心がとこしえに生きるように。 + 地のはての者はみな思い出して、主に帰り、もろもろの国のやからはみな、み前に伏し拝むでしょう。 + 国は主のものであって、主はもろもろの国民を統べ治められます。 + 地の誇り高ぶる者はみな主を拝み、ちりに下る者も、おのれを生きながらえさせえない者も、みなそのみ前にひざまずくでしょう。 + 子々孫々、主に仕え、人々は主のことをきたるべき代まで語り伝え、 + 主がなされたその救を後に生れる民にのべ伝えるでしょう。 + + + 主はわたしの牧者であって、わたしには乏しいことがない。 + 主はわたしを緑の牧場に伏させ、いこいのみぎわに伴われる。 + 主はわたしの魂をいきかえらせ、み名のためにわたしを正しい道に導かれる。 + たといわたしは死の陰の谷を歩むとも、わざわいを恐れません。あなたがわたしと共におられるからです。あなたのむちと、あなたのつえはわたしを慰めます。 + あなたはわたしの敵の前で、わたしの前に宴を設け、わたしのこうべに油をそそがれる。わたしの杯はあふれます。 + わたしの生きているかぎりは必ず恵みといつくしみとが伴うでしょう。わたしはとこしえに主の宮に住むでしょう。 + + + 地と、それに満ちるもの、世界と、そのなかに住む者とは主のものである。 + 主はその基を大海のうえにすえ、大川のうえに定められた。 + 主の山に登るべき者はだれか。その聖所に立つべき者はだれか。 + 手が清く、心のいさぎよい者、その魂がむなしい事に望みをかけない者、偽って誓わない者こそ、その人である。 + このような人は主から祝福をうけ、その救の神から義をうける。 + これこそ主を慕う者のやから、ヤコブの神の、み顔を求める者のやからである。 [セラ + 門よ、こうべをあげよ。とこしえの戸よ、あがれ。栄光の王がはいられる。 + 栄光の王とはだれか。強く勇ましい主、戦いに勇ましい主である。 + 門よ、こうべをあげよ。とこしえの戸よ、あがれ。栄光の王がはいられる。 + この栄光の王とはだれか。万軍の主、これこそ栄光の王である。 [セラ + + + 主よ、わが魂はあなたを仰ぎ望みます。 + わが神よ、わたしはあなたに信頼します。どうか、わたしをはずかしめず、わたしの敵を勝ち誇らせないでください。 + すべてあなたを待ち望む者をはずかしめず、みだりに信義にそむく者をはずかしめてください。 + 主よ、あなたの大路をわたしに知らせ、あなたの道をわたしに教えてください。 + あなたのまことをもって、わたしを導き、わたしを教えてください。あなたはわが救の神です。わたしはひねもすあなたを待ち望みます。 + 主よ、あなたのあわれみと、いつくしみとを思い出してください。これはいにしえから絶えることがなかったのです。 + わたしの若き時の罪と、とがとを思い出さないでください。主よ、あなたの恵みのゆえに、あなたのいつくしみにしたがって、わたしを思い出してください。 + 主は恵みふかく、かつ正しくいらせられる。それゆえ、主は道を罪びとに教え、 + へりくだる者を公義に導き、へりくだる者にその道を教えられる。 + 主のすべての道はその契約とあかしとを守る者にはいつくしみであり、まことである。 + 主よ、み名のために、わたしの罪をおゆるしください。わたしの罪は大きいのです。 + 主を恐れる人はだれか。主はその選ぶべき道をその人に教えられる。 + 彼はみずからさいわいに住まい、そのすえは地を継ぐであろう。 + 主の親しみは主をおそれる者のためにあり、主はその契約を彼らに知らせられる。 + わたしの目は常に主に向かっている。主はわたしの足を網から取り出されるからである。 + わたしをかえりみ、わたしをあわれんでください。わたしはひとりわびしく苦しんでいるのです。 + わたしの心の悩みをゆるめ、わたしを苦しみから引き出してください。 + わたしの苦しみ悩みをかえりみ、わたしのすべての罪をおゆるしください。 + わたしの敵がいかに多く、かつ激しい憎しみをもってわたしを憎んでいるかをごらんください。 + わたしの魂を守り、わたしをお助けください。わたしをはずかしめないでください。わたしはあなたに寄り頼んでいます。 + どうか、誠実と潔白とが、わたしを守ってくれるように。わたしはあなたを待ち望んでいます。 + 神よ、イスラエルをあがない、すべての悩みから救いだしてください。 + + + 主よ、わたしをさばいてください。わたしは誠実に歩み、迷うことなく主に信頼しています。 + 主よ、わたしをためし、わたしを試み、わたしの心と思いとを練りきよめてください。 + あなたのいつくしみはわたしの目の前にあり、わたしはあなたのまことによって歩みました。 + わたしは偽る人々と共にすわらず、偽善者と交わらず、 + 悪を行う者のつどいを憎み、悪しき者と共にすわることをしません。 + 主よ、わたしは手を洗って、罪のないことを示し、あなたの祭壇をめぐって、 + 感謝の歌を声高くうたい、あなたのくすしきみわざをことごとくのべ伝えます。 + 主よ、わたしはあなたの住まわれる家と、あなたの栄光のとどまる所とを愛します。 + どうか、わたしを罪びとと共に、わたしのいのちを、血を流す人々と共に、取り去らないでください。 + 彼らの手には悪い企てがあり、彼らの右の手は、まいないで満ちています。 + しかしわたしは誠実に歩みます。わたしをあがない、わたしをあわれんでください。 + わたしの足は平らかな所に立っています。わたしは会衆のなかで主をたたえましょう。 + + + 主はわたしの光、わたしの救だ、わたしはだれを恐れよう。主はわたしの命のとりでだ。わたしはだれをおじ恐れよう。 + わたしのあだ、わたしの敵である悪を行う者どもが、襲ってきて、わたしをそしり、わたしを攻めるとき、彼らはつまずき倒れるであろう。 + たとい軍勢が陣営を張って、わたしを攻めても、わたしの心は恐れない。たといいくさが起って、わたしを攻めても、なおわたしはみずから頼むところがある。 + わたしは一つの事を主に願った、わたしはそれを求める。わたしの生きるかぎり、主の家に住んで、主のうるわしきを見、その宮で尋ねきわめることを。 + それは主が悩みの日に、その仮屋のうちにわたしを潜ませ、その幕屋の奥にわたしを隠し、岩の上にわたしを高く置かれるからである。 + 今わたしのこうべはわたしをめぐる敵の上に高くあげられる。それゆえ、わたしは主の幕屋で喜びの声をあげて、いけにえをささげ、歌って、主をほめたたえるであろう。 + 主よ、わたしが声をあげて呼ばわるとき、聞いて、わたしをあわれみ、わたしに答えてください。 + あなたは仰せられました、「わが顔をたずね求めよ」と。あなたにむかって、わたしの心は言います、「主よ、わたしはみ顔をたずね求めます」と。 + み顔をわたしに隠さないでください。怒ってあなたのしもべを退けないでください。あなたはわたしの助けです。わが救の神よ、わたしを追い出し、わたしを捨てないでください。 + たとい父母がわたしを捨てても、主がわたしを迎えられるでしょう。 + 主よ、あなたの道をわたしに教え、わたしのあだのゆえに、わたしを平らかな道に導いてください。 + わたしのあだの望むがままに、わたしを引き渡さないでください。偽りのあかしをする者がわたしに逆らって起り、暴言を吐くからです。 + わたしは信じます、生ける者の地でわたしは主の恵みを見ることを。 + 主を待ち望め、強く、かつ雄々しくあれ。主を待ち望め。 + + + 主よ、わたしはあなたにむかって呼ばわります。わが岩よ、わたしにむかって耳しいとならないでください。もしあなたが黙っておられるならば、おそらく、わたしは墓に下る者と等しくなるでしょう。 + わたしがあなたにむかって助けを求め、あなたの至聖所にむかって手をあげるとき、わたしの願いの声を聞いてください。 + 悪しき者および悪を行う者らと共にわたしを引き行かないでください。彼らはその隣り人とむつまじく語るけれども、その心には害悪をいだく者です。 + どうぞ、そのわざにしたがい、その悪しき行いにしたがって彼らに報い、その手のわざにしたがって彼らに報い、その受くべき罰を彼らに与えてください。 + 彼らは主のもろもろのみわざと、み手のわざとを顧みないゆえに、主は彼らを倒して、再び建てられることはない。 + 主はほむべきかな。主はわたしの願いの声を聞かれた。 + 主はわが力、わが盾。わたしの心は主に寄り頼む。わたしは助けを得たので、わたしの心は大いに喜び、歌をもって主をほめたたえる。 + 主はその民の力、その油そそがれた者の救のとりでである。 + どうぞ、あなたの民を救い、あなたの嗣業を恵み、彼らの牧者となって、とこしえに彼らをいだき導いてください。 + + + 神の子らよ、主に帰せよ、栄光と力とを主に帰せよ。 + み名の栄光を主に帰せよ、聖なる装いをもって主を拝め。 + 主のみ声は水の上にあり、栄光の神は雷をとどろかせ、主は大水の上におられる。 + 主のみ声は力があり、主のみ声は威厳がある。 + 主のみ声は香柏を折り砕き、主はレバノンの香柏を折り砕かれる。 + 主はレバノンを子牛のように踊らせ、シリオンを若い野牛のように踊らされる。 + 主のみ声は炎をひらめかす。 + 主のみ声は荒野を震わせ、主はカデシの荒野を震わされる。 + 主のみ声はかしの木を巻きあげ、また林を裸にする。その宮で、すべてのものは呼ばわって言う、「栄光」と。 + 主は洪水の上に座し、主はみくらに座して、とこしえに王であらせられる。 + 主はその民に力を与え、平安をもってその民を祝福されるであろう。 + + + 主よ、わたしはあなたをあがめます。あなたはわたしを引きあげ、敵がわたしの事によって喜ぶのを、ゆるされなかったからです。 + わが神、主よ、わたしがあなたにむかって助けを叫び求めると、あなたはわたしをいやしてくださいました。 + 主よ、あなたはわたしの魂を陰府からひきあげ、墓に下る者のうちから、わたしを生き返らせてくださいました。 + 主の聖徒よ、主をほめうたい、その聖なるみ名に感謝せよ。 + その怒りはただつかのまで、その恵みはいのちのかぎり長いからである。夜はよもすがら泣きかなしんでも、朝と共に喜びが来る。 + わたしは安らかな時に言った、「わたしは決して動かされることはない」と。 + 主よ、あなた恵みをもって、わたしをゆるがない山のように堅くされました。あなたがみ顔をかくされたので、わたしはおじ惑いました。 + 主よ、わたしはあなたに呼ばわりました。ひたすら主に請い願いました、 + 「わたしが墓に下るならば、わたしの死になんの益があるでしょうか。ちりはあなたをほめたたえるでしょうか。あなたのまことをのべ伝えるでしょうか。 + 主よ、聞いてください、わたしをあわれんでください。主よ、わたしの助けとなってください」と。 + あなたはわたしのために、嘆きを踊りにかえ、荒布を解き、喜びをわたしの帯とされました。 + これはわたしの魂があなたをほめたたえて、口をつぐむことのないためです。わが神、主よ、わたしはとこしえにあなたに感謝します。 + + + 主よ、わたしはあなたに寄り頼みます。とこしえにわたしをはずかしめず、あなたの義をもってわたしをお助けください。 + あなたの耳をわたしに傾けて、すみやかにわたしをお救いください。わたしのためにのがれの岩となり、わたしを救う堅固な城となってください。 + まことに、あなたはわたしの岩、わたしの城です。み名のためにわたしを引き、わたしを導き、 + わたしのためにひそかに設けた網からわたしを取り出してください。あなたはわたしの避け所です。 + わたしは、わが魂をみ手にゆだねます。主、まことの神よ、あなたはわたしをあがなわれました。 + あなたはむなしい偶像に心を寄せる者を憎まれます。しかしわたしは主に信頼し、 + あなたのいつくしみを喜び楽しみます。あなたがわたしの苦しみをかえりみ、わたしの悩みにみこころをとめ、 + わたしを敵の手にわたさず、わたしの足を広い所に立たせられたからです。 + 主よ、わたしをあわれんでください。わたしは悩み苦しんでいます。わたしの目は憂いによって衰え、わたしの魂も、からだもまた衰えました。 + わたしのいのちは悲しみによって消えゆき、わたしの年は嘆きによって消えさり、わたしの力は苦しみによって尽き、わたしの骨は枯れはてました。 + わたしはすべてのあだにそしられる者となり、隣り人には恐れられ、知り人には恐るべき者となり、ちまたでわたしを見る者は避けて逃げます。 + わたしは死んだ者のように人の心に忘れられ、破れた器のようになりました。 + まことに、わたしは多くの人のささやくのを聞きます、「至る所に恐るべきことがある」と。彼らはわたしに逆らってともに計り、わたしのいのちを取ろうと、たくらむのです。 + しかし、主よ、わたしはあなたに信頼して、言います、「あなたはわたしの神である」と。 + わたしの時はあなたのみ手にあります。わたしをわたしの敵の手と、わたしを責め立てる者から救い出してください。 + み顔をしもべの上に輝かせ、いつくしみをもってわたしをお救いください。 + 主よ、わたしはあなたに呼ばわります、わたしをはずかしめないでください。悪しき者に恥をうけさせ、彼らに声をあげさせずに陰府に行かせてください。 + 高ぶりと侮りとをもって正しい者をみだりにそしる偽りのくちびるをつぐませてください。 + あなたを恐れる者のためにたくわえ、あなたに寄り頼む者のために人の子らの前に施されたあなたの恵みはいかに大いなるものでしょう。 + あなたは彼らをみ前のひそかな所に隠して人々のはかりごとを免れさせ、また仮屋のうちに潜ませて舌の争いを避けさせられます。 + 主はほむべきかな、包囲された町のようにわたしが囲まれたとき、主は驚くばかりに、いつくしみをわたしに示された。 + わたしは驚きあわてて言った、「わたしはあなたの目の前から断たれた」と。しかしわたしがあなたに助けを呼び求めたとき、わたしの願いを聞きいれられた。 + すべての聖徒よ、主を愛せよ。主は真実な者を守られるが、おごりふるまう者にはしたたかに報いられる。 + すべて主を待ち望む者よ、強くあれ、心を雄々しくせよ。 + + + そのとががゆるされ、その罪がおおい消される者はさいわいである。 + 主によって不義を負わされず、その霊に偽りのない人はさいわいである。 + わたしが自分の罪を言いあらわさなかった時は、ひねもす苦しみうめいたので、わたしの骨はふるび衰えた。 + あなたのみ手が昼も夜も、わたしの上に重かったからである。わたしの力は、夏のひでりによってかれるように、かれ果てた。 [セラ + わたしは自分の罪をあなたに知らせ、自分の不義を隠さなかった。わたしは言った、「わたしのとがを主に告白しよう」と。その時あなたはわたしの犯した罪をゆるされた。 [セラ + このゆえに、すべて神を敬う者はあなたに祈る。大水の押し寄せる悩みの時にもその身に及ぶことはない。 + あなたはわたしの隠れ場であって、わたしを守って悩みを免れさせ、救をもってわたしを囲まれる。 [セラ + わたしはあなたを教え、あなたの行くべき道を示し、わたしの目をあなたにとめて、さとすであろう。 + あなたはさとりのない馬のようであってはならない。また騾馬のようであってはならない。彼らはくつわ、たづなをもっておさえられなければ、あなたに従わないであろう。 + 悪しき者は悲しみが多い。しかし主に信頼する者はいつくしみで囲まれる。 + 正しき者よ、主によって喜び楽しめ、すべて心の直き者よ、喜びの声を高くあげよ。 + + + 正しき者よ、主によって喜べ、さんびは直き者にふさわしい。 + 琴をもって主をさんびせよ、十弦の立琴をもって主をほめたたえよ。 + 新しい歌を主にむかって歌い、喜びの声をあげて巧みに琴をかきならせ。 + 主のみことばは直く、そのすべてのみわざは真実だからである。 + 主は正義と公平とを愛される。地は主のいつくしみで満ちている。 + もろもろの天は主のみことばによって造られ、天の万軍は主の口の息によって造られた。 + 主は海の水を水がめの中に集めるように集め、深い淵を倉におさめられた。 + 全地は主を恐れ、世に住むすべての者は主を恐れかしこめ。 + 主が仰せられると、そのようになり、命じられると、堅く立ったからである。 + 主はもろもろの国のはかりごとをむなしくし、もろもろの民の企てをくじかれる。 + 主のはかりごとはとこしえに立ち、そのみこころの思いは世々に立つ。 + 主をおのが神とする国はさいわいである。主がその嗣業として選ばれた民はさいわいである。 + 主は天から見おろされ、すべての人の子らを見、 + そのおられる所から地に住むすべての人をながめられる。 + 主はすべて彼らの心を造り、そのすべてのわざに心をとめられる。 + 王はその軍勢の多きによって救を得ない。勇士はその力の大いなるによって助けを得ない。 + 馬は勝利に頼みとならない。その大いなる力も人を助けることはできない。 + 見よ、主の目は主を恐れる者の上にあり、そのいつくしみを望む者の上にある。 + これは主が彼らの魂を死から救い、ききんの時にも生きながらえさせるためである。 + われらの魂は主を待ち望む。主はわれらの助け、われらの盾である。 + われらは主の聖なるみ名に信頼するがゆえに、われらの心は主にあって喜ぶ。 + 主よ、われらが待ち望むように、あなたのいつくしみをわれらの上にたれてください。 + + + わたしは常に主をほめまつる。そのさんびはわたしの口に絶えない。 + わが魂は主によって誇る。苦しむ者はこれを聞いて喜ぶであろう。 + わたしと共に主をあがめよ、われらは共にみ名をほめたたえよう。 + わたしが主に求めたとき、主はわたしに答え、すべての恐れからわたしを助け出された。 + 主を仰ぎ見て、光を得よ、そうすれば、あなたがたは、恥じて顔を赤くすることはない。 + この苦しむ者が呼ばわったとき、主は聞いて、すべての悩みから救い出された。 + 主の使は主を恐れる者のまわりに陣をしいて彼らを助けられる。 + 主の恵みふかきことを味わい知れ、主に寄り頼む人はさいわいである。 + 主の聖徒よ、主を恐れよ、主を恐れる者には乏しいことがないからである。 + 若きししは乏しくなって飢えることがある。しかし主を求める者は良き物に欠けることはない。 + 子らよ、来てわたしに聞け、わたしは主を恐るべきことをあなたがたに教えよう。 + さいわいを見ようとして、いのちを慕い、ながらえることを好む人はだれか。 + あなたの舌をおさえて悪を言わせず、あなたのくちびるをおさえて偽りを言わすな。 + 悪を離れて善をおこない、やわらぎを求めて、これを努めよ。 + 主の目は正しい人をかえりみ、その耳は彼らの叫びに傾く。 + 主のみ顔は悪を行う者にむかい、その記憶を地から断ち滅ぼされる。 + 正しい者が助けを叫び求めるとき、主は聞いて、彼らをそのすべての悩みから助け出される。 + 主は心の砕けた者に近く、たましいの悔いくずおれた者を救われる。 + 正しい者には災が多い。しかし、主はすべてその中から彼を助け出される。 + 主は彼の骨をことごとく守られる。その一つだに折られることはない。 + 悪は悪しき者を殺す。正しい者を憎む者は罪に定められる。 + 主はそのしもべらの命をあがなわれる。主に寄り頼む者はひとりだに罪に定められることはない。 + + + 主よ、わたしと争う者とあらそい、わたしと戦う者と戦ってください。 + 盾と大盾とを執って、わたしを助けるために立ちあがってください。 + やりと投げやりとを抜いて、わたしに追い迫る者に立ちむかい、「わたしはおまえの救である」と、わたしに言ってください。 + どうか、わたしの命を求める者をはずかしめ、いやしめ、わたしにむかって悪をたくらむ者を退け、あわてふためかせてください。 + 彼らを風の前のもみがらのようにし、主の使に彼らを追いやらせてください。 + 彼らの道を暗く、なめらかにし、主の使に彼らを追い行かせてください。 + 彼らはゆえなくわたしのために網を隠し、ゆえなくわたしのために穴を掘ったからです。 + 不意に滅びを彼らに臨ませ、みずから隠した網にとらえられ、彼らを滅びに陥らせてください。 + そのときわが魂は主によって喜び、その救をもって楽しむでしょう。 + わたしの骨はことごとく言うでしょう、「主よ、だれかあなたにたぐうべき者がありましょう。あなたは弱い者を強い者から助け出し、弱い者と貧しい者を、かすめ奪う者から助け出される方です」と。 + 悪意のある証人が起って、わたしの知らない事をわたしに尋ねる。 + 彼らは悪をもってわたしの善に報い、わが魂を寄るべなき者とした。 + しかし、わたしは彼らが病んだとき、荒布をまとい、断食してわが身を苦しめた。わたしは胸にこうべをたれて祈った、 + ちょうど、わが友、わが兄弟のために悲しんだかのように。わたしは母をいたむ者のように悲しみうなだれて歩きまわった。 + しかし彼らはわたしのつまずくとき、喜びつどい、ともに集まってわたしを責めた。わたしの知らない他国の者はわたしをののしってやめなかった。 + 彼らはますます、けがす言葉をもってあざけり、わたしにむかって歯をかみならした。 + 主よ、いつまであなたはながめておられますか、わたしを彼らの破壊から、わたしのいのちを若きししから救い出してください。 + わたしは大いなるつどいの中で、あなたに感謝し、多くの民の中で、あなたをほめたたえるでしょう。 + 偽ってわたしの敵となった者どものわたしについて喜ぶことを許さないでください。ゆえなく、わたしを憎む者どものたがいに目くばせすることを許さないでください。 + 彼らは平和を語らず、国のうちに穏やかに住む者にむかって欺きの言葉をたくらむからです。 + 彼らはわたしにむかって口をあけひろげ、「あはぁ、あはぁ、われらの目はそれを見た」と言います。 + 主よ、あなたはこれを見られました。もださないでください。主よ、わたしに遠ざからないでください。 + わが神、わが主よ、わがさばきのため、わが訴えのために奮いたち、目をさましてください。 + わが神、主よ、あなたの義にしたがってわたしをさばき、わたしの事について彼らを喜ばせないでください。 + 彼らにその心のうちで、「あはぁ、われらの願ったことが達せられた」と言わせないでください。また彼らに「われらは彼を滅ぼしつくした」と言わせないでください。 + わたしの災を喜ぶ者どもをともに恥じ、あわてふためかせてください。わたしにむかって誇りたかぶる者どもに恥と、はずかしめとを着せてください。 + わたしの義を喜ぶ者をば喜びの声をあげて喜ばせ、「そのしもべの幸福を喜ばれる主は大いなるかな」とつねに言わせてください。 + わたしの舌はひねもすあなたの義と、あなたの誉とを語るでしょう。 + + + とがは悪しき者にむかい、その心のうちに言う。その目の前に神を恐れる恐れはない。 + 彼は自分の不義があらわされないため、また憎まれないために、みずからその目でおもねる。 + その口の言葉はよこしまと欺きである。彼は知恵を得ることと、善を行う事とをやめた。 + 彼はその床の上でよこしまな事をたくらみ、よからぬ道に身をおいて、悪をきらわない。 + 主よ、あなたのいつくしみは天にまで及び、あなたのまことは雲にまで及ぶ。 + あなたの義は神の山のごとく、あなたのさばきは大きな淵のようだ。主よ、あなたは人と獣とを救われる。 + 神よ、あなたのいつくしみはいかに尊いことでしょう。人の子らはあなたの翼のかげに避け所を得、 + あなたの家の豊かなのによって飽き足りる。あなたはその楽しみの川の水を彼らに飲ませられる。 + いのちの泉はあなたのもとにあり、われらはあなたの光によって光を見る。 + どうか、あなたを知る者に絶えずいつくしみを施し、心の直き者に絶えず救を施してください。 + 高ぶる者の足がわたしを踏み、悪しき者の手がわたしを追い出すことをゆるさないでください。 + 悪を行う者はそこに倒れ、彼らは打ち伏せられて、起きあがることはできない。 + + + 悪をなす者のゆえに、心を悩ますな。不義を行う者のゆえに、ねたみを起すな。 + 彼らはやがて草のように衰え、青菜のようにしおれるからである。 + 主に信頼して善を行え。そうすればあなたはこの国に住んで、安きを得る。 + 主によって喜びをなせ。主はあなたの心の願いをかなえられる。 + あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ、主はそれをなしとげ、 + あなたの義を光のように明らかにし、あなたの正しいことを真昼のように明らかにされる。 + 主の前にもだし、耐え忍びて主を待ち望め。おのが道を歩んで栄える者のゆえに、悪いはかりごとを遂げる人のゆえに、心を悩ますな。 + 怒りをやめ、憤りを捨てよ。心を悩ますな、これはただ悪を行うに至るのみだ。 + 悪を行う者は断ち滅ぼされ、主を待ち望む者は国を継ぐからである。 + 悪しき者はただしばらくで、うせ去る。あなたは彼の所をつぶさに尋ねても彼はいない。 + しかし柔和な者は国を継ぎ、豊かな繁栄をたのしむことができる。 + 悪しき者は正しい者にむかってはかりごとをめぐらし、これにむかって歯がみする。 + しかし主は悪しき者を笑われる、彼の日の来るのを見られるからである。 + 悪しき者はつるぎを抜き、弓を張って、貧しい者と乏しい者とを倒し、直く歩む者を殺そうとする。 + しかしそのつるぎはおのが胸を刺し、その弓は折られる。 + 正しい人の持ち物の少ないのは、多くの悪しきの者の豊かなのにまさる。 + 悪しき者の腕は折られるが、主は正しい者を助けささえられるからである。 + 主は全き者のもろもろの日を知られる。彼らの嗣業はとこしえに続く。 + 彼らは災の時にも恥をこうむらず、ききんの日にも飽き足りる。 + しかし、悪しき者は滅び、主の敵は牧場の栄えの枯れるように消え、煙のように消えうせる。 + 悪しき者は物を借りて返すことをしない。しかし正しい人は寛大で、施し与える。 + 主に祝福された者は国を継ぎ、主にのろわれた者は断ち滅ぼされる。 + 人の歩みは主によって定められる。主はその行く道を喜ばれる。 + たといその人が倒れても、全く打ち伏せられることはない、主がその手を助けささえられるからである。 + わたしは、むかし年若かった時も、年老いた今も、正しい人が捨てられ、あるいはその子孫が食物を請いあるくのを見たことがない。 + 正しい人は常に寛大で、物を貸し与え、その子孫は祝福を得る。 + 悪をさけて、善を行え。そうすれば、あなたはとこしえに住むことができる。 + 主は公義を愛し、その聖徒を見捨てられないからである。正しい者はとこしえに助け守られる。しかし、悪しき者の子孫は断ち滅ぼされる。 + 正しい者は国を継ぎ、とこしえにその中に住むことができる。 + 正しい者の口は知恵を語り、その舌は公義を述べる。 + その心には神のおきてがあり、その歩みはすべることがない。 + 悪しき者は正しい人をうかがい、これを殺そうとはかる。 + 主は正しい人を悪しき者の手にゆだねられない、またさばかれる時、これを罪に定められることはない。 + 主を待ち望め、その道を守れ。そうすれば、主はあなたを上げて、国を継がせられる。あなたは悪しき者の断ち滅ぼされるのを見るであろう。 + わたしは悪しき者が勝ち誇って、レバノンの香柏のようにそびえたつのを見た。 + しかし、わたしが通り過ぎると、見よ、彼はいなかった。わたしは彼を尋ねたけれども見つからなかった。 + 全き人に目をそそぎ、直き人を見よ。おだやかな人には子孫がある。 + しかし罪を犯す者どもは共に滅ぼされ、悪しき者の子孫は断たれる。 + 正しい人の救は主から出る。主は彼らの悩みの時の避け所である。 + 主は彼らを助け、彼らを解き放ち、彼らを悪しき者どもから解き放って救われる。彼らは主に寄り頼むからである。 + + + 主よ、あなたの憤りをもってわたしを責めず、激しい怒りをもってわたしを懲らさないでください。 + あなたの矢がわたしに突き刺さり、あなたの手がわたしの上にくだりました。 + あなたの怒りによって、わたしの肉には全きところなく、わたしの罪によって、わたしの骨には健やかなところはありません。 + わたしの不義はわたしの頭を越え、重荷のように重くて負うことができません。 + わたしの愚かによって、わたしの傷は悪臭を放ち、腐れただれました。 + わたしは折れかがんで、いたくうなだれ、ひねもす悲しんで歩くのです。 + わたしの腰はことごとく焼け、わたしの肉には全きところがありません。 + わたしは衰えはて、いたく打ちひしがれ、わたしの心の激しい騒ぎによってうめき叫びます。 + 主よ、わたしのすべての願いはあなたに知られ、わたしの嘆きはあなたに隠れることはありません。 + わたしの胸は激しく打ち、わたしの力は衰え、わたしの目の光もまた、わたしを離れ去りました。 + わが友、わがともがらはわたしの災を見て離れて立ち、わが親族もまた遠く離れて立っています。 + わたしのいのちを求める者はわなを設け、わたしをそこなおうとする者は滅ぼすことを語り、ひねもす欺くことをはかるのです。 + しかしわたしは耳しいのように聞かず、おしのように口を開きません。 + まことに、わたしは聞かない人のごとく、議論を口にしない人のようです。 + しかし、主よ、わたしはあなたを待ち望みます。わが神、主よ、あなたこそわたしに答えられるのです。 + わたしは祈ります、「わが足のすべるとき、わたしにむかって高ぶる彼らにわたしのことによって喜ぶことをゆるさないでください」と。 + わたしは倒れるばかりになり、わたしの苦しみは常にわたしと共にあります。 + わたしは、みずから不義を言いあらわし、わが罪のために悲しみます。 + ゆえなく、わたしに敵する者は強く、偽ってわたしを憎む者は多いのです。 + 悪をもって善に報いる者は、わたしがよい事に従うがゆえに、わがあだとなります。 + 主よ、わたしを捨てないでください。わが神よ、わたしに遠ざからないでください。 + 主、わが救よ、すみやかにわたしをお助けください。 + + + わたしは言った、「舌をもって罪を犯さないために、わたしの道を慎み、悪しき者のわたしの前にある間はわたしの口にくつわをかけよう」と。 + わたしは黙して物言わず、むなしく沈黙を守った。しかし、わたしの悩みはさらにひどくなり、 + わたしの心はわたしのうちに熱し、思いつづけるほどに火が燃えたので、わたしは舌をもって語った。 + 「主よ、わが終りと、わが日の数のどれほどであるかをわたしに知らせ、わが命のいかにはかないかを知らせてください。 + 見よ、あなたはわたしの日をつかのまとされました。わたしの一生はあなたの前では無にひとしいのです。まことに、すべての人はその盛んな時でも息にすぎません。 [セラ + まことに人は影のように、さまよいます。まことに彼らはむなしい事のために騒ぎまわるのです。彼は積みたくわえるけれども、だれがそれを収めるかを知りません。 + 主よ、今わたしは何を待ち望みましょう。わたしの望みはあなたにあります。 + わたしをすべてのとがから助け出し、愚かな者にわたしをあざけらせないでください。 + わたしは黙して口を開きません。あなたがそれをなされたからです。 + あなたが下された災をわたしから取り去ってください。わたしはあなたのみ手に打ち懲らされることにより滅びるばかりです。 + あなたは罪を責めて人を懲らされるとき、その慕い喜ぶものを、しみが食うように、消し滅ぼされるのです。まことにすべての人は息にすぎません。 [セラ + 主よ、わたしの祈を聞き、わたしの叫びに耳を傾け、わたしの涙を見て、もださないでください。わたしはあなたに身を寄せる旅びと、わがすべての先祖たちのように寄留者です。 + わたしが去って、うせない前に、み顔をそむけて、わたしを喜ばせてください」。 + + + わたしは耐え忍んで主を待ち望んだ。主は耳を傾けて、わたしの叫びを聞かれた。 + 主はわたしを滅びの穴から、泥の沼から引きあげて、わたしの足を岩の上におき、わたしの歩みをたしかにされた。 + 主は新しい歌をわたしの口に授け、われらの神にささげるさんびの歌をわたしの口に授けられた。多くの人はこれを見て恐れ、かつ主に信頼するであろう。 + 主をおのが頼みとする人、高ぶる者にたよらず、偽りの神に迷う者にたよらない人はさいわいである。 + わが神、主よ、あなたのくすしきみわざと、われらを思うみおもいとは多くて、くらべうるものはない。わたしはこれを語り述べようとしても多くて数えることはできない。 + あなたはいけにえと供え物とを喜ばれない。あなたはわたしの耳を開かれた。あなたは燔祭と罪祭とを求められない。 + その時わたしは言った、「見よ、わたしはまいります。書の巻に、わたしのためにしるされています。 + わが神よ、わたしはみこころを行うことを喜びます。あなたのおきてはわたしの心のうちにあります」と。 + わたしは大いなる集会で、救についての喜びのおとずれを告げ示しました。見よ、わたしはくちびるを閉じませんでした。主よ、あなたはこれをご存じです。 + わたしはあなたの救を心のうちに隠しおかず、あなたのまことと救とを告げ示しました。わたしはあなたのいつくしみとまこととを大いなる集会に隠しませんでした。 + 主よ、あなたのあわれみをわたしに惜しまず、あなたのいつくしみとまこととをもって常にわたしをお守りください。 + 数えがたい災がわたしを囲み、わたしの不義がわたしに追い迫って、物見ることができないまでになりました。それはわたしの頭の毛よりも多く、わたしの心は消えうせるばかりになりました。 + 主よ、みこころならばわたしをお救いください。主よ、すみやかにわたしをお助けください。 + わたしのいのちを奪おうと尋ね求める者どもをことごとく恥じあわてさせてください。わたしのそこなわれることを願う者どもをうしろに退かせ、恥を負わせてください。 + わたしにむかって「あはぁ、あはぁ」と言う者どもを自分の恥によって恐れおののかせてください。 + しかし、すべてあなたを尋ね求める者はあなたによって喜び楽しむように。あなたの救を愛する者は常に「主は大いなるかな」ととなえるように。 + わたしは貧しく、かつ乏しい。しかし主はわたしをかえりみられます。あなたはわが助け、わが救主です。わが神よ、ためらわないでください。 + + + 貧しい者をかえりみる人はさいわいである。主はそのような人を悩みの日に救い出される。 + 主は彼を守って、生きながらえさせられる。彼はこの地にあって、さいわいな者と呼ばれる。あなたは彼をその敵の欲望にわたされない。 + 主は彼をその病の床でささえられる。あなたは彼の病む時、その病をことごとくいやされる。 + わたしは言った、「主よ、わたしをあわれみ、わたしをいやしてください。わたしはあなたにむかって罪を犯しました」と。 + わたしの敵はわたしをそしって言う、「いつ彼は死に、その名がほろびるであろうか」と。 + そのひとりがわたしを見ようとして来るとき、彼は偽りを語り、その心によこしまを集め、外に出てはそれを言いふらす。 + すべてわたしを憎む者はわたしについて共にささやき、わたしのために災を思いめぐらす。 + 彼らは言う、「彼に一つのたたりがつきまとったから、倒れ伏して再び起きあがらないであろう」と。 + わたしの信頼した親しい友、わたしのパンを食べた親しい友さえもわたしにそむいてくびすをあげた。 + しかし主よ、わたしをあわれみ、わたしを助け起してください。そうすればわたしは彼らに報い返すことができます。 + わたしの敵がわたしに打ち勝てないことによって、あなたがわたしを喜ばれることをわたしは知ります。 + あなたはわたしの全きによって、わたしをささえ、とこしえにみ前に置かれます。 + イスラエルの神、主はとこしえからとこしえまでほむべきかな。アァメン、アァメン。 + + + 神よ、しかが谷川を慕いあえぐように、わが魂もあなたを慕いあえぐ。 + わが魂はかわいているように神を慕い、いける神を慕う。いつ、わたしは行って神のみ顔を見ることができるだろうか。 + 人々がひねもすわたしにむかって「おまえの神はどこにいるのか」と言いつづける間はわたしの涙は昼も夜もわたしの食物であった。 + わたしはかつて祭を守る多くの人と共に群れをなして行き、喜びと感謝の歌をもって彼らを神の家に導いた。今これらの事を思い起して、わが魂をそそぎ出すのである。 + わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか。神を待ち望め。わたしはなおわが助け、わが神なる主をほめたたえるであろう。 + わが魂はわたしのうちにうなだれる。それで、わたしはヨルダンの地から、またヘルモンから、ミザルの山からあなたを思い起す。 + あなたの大滝の響きによって淵々呼びこたえ、あなたの波、あなたの大波はことごとくわたしの上を越えていった。 + 昼には、主はそのいつくしみをほどこし、夜には、その歌すなわちわがいのちの神にささげる祈がわたしと共にある。 + わたしはわが岩なる神に言う、「何ゆえわたしをお忘れになりましたか。何ゆえわたしは敵のしえたげによって悲しみ歩くのですか」と。 + わたしのあだは骨も砕けるばかりにわたしをののしり、ひねもすわたしにむかって「おまえの神はどこにいるのか」と言う。 + わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか。神を待ち望め。わたしはなおわが助け、わが神なる主をほめたたえるであろう。 + + + 神よ、わたしをさばき、神を恐れない民にむかって、わたしの訴えをあげつらい、たばかりをなすよこしまな人からわたしを助け出してください。 + あなたはわたしの寄り頼む神です。なぜわたしを捨てられたのですか。なぜわたしは敵のしえたげによって悲しみ歩くのですか。 + あなたの光とまこととを送ってわたしを導き、あなたの聖なる山と、あなたの住まわれる所にわたしをいたらせてください。 + その時わたしは神の祭壇へ行き、わたしの大きな喜びである神へ行きます。神よ、わが神よ、わたしは琴をもってあなたをほめたたえます。 + わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか。神を待ち望め。わたしはなおわが助け、わが神なる主をほめたたえるであろう。 + + + 神よ、いにしえ、われらの先祖たちの日に、あなたがなされたみわざを彼らがわれらに語ったのを耳で聞きました。 + すなわちあなたはみ手をもって、もろもろの国民を追い払ってわれらの先祖たちを植え、またもろもろの民を悩まして、われらの先祖たちをふえ広がらせられました。 + 彼らは自分のつるぎによって国を獲たのでなく、また自分の腕によって勝利を得たのでもありません。ただあなたの右の手、あなたの腕、あなたのみ顔の光によるのでした。あなたが彼らを恵まれたからです。 + あなたはわが王、わが神、ヤコブのために勝利を定められる方です。 + われらはあなたによって、あだを押し倒し、われらに立ちむかう者を、み名によって踏みにじるのです。 + わたしは自分の弓を頼まず、わたしのつるぎもまた、わたしを救うことができないからです。 + しかしあなたはわれらをあだから救い、われらを憎む者をはずかしめられました。 + われらは常に神によって誇り、とこしえにあなたのみ名に感謝するでしょう。 [セラ + ところがあなたはわれらを捨てて恥を負わせ、われらの軍勢と共に出て行かれませんでした。 + あなたがわれらをあだの前から退かせられたので、われらの敵は心のままにかすめ奪いました。 + あなたはわれらをほふられる羊のようにし、またもろもろの国民のなかに散らされました。 + あなたはわずかの金であなたの民を売り、彼らのために高い価を求められませんでした。 + あなたはわれらを隣り人にそしらせ、われらをめぐる者どもに侮らせ、あざけらせられました。 + またもろもろの国民のなかにわれらを笑い草とし、もろもろの民のなかに笑い者とされました。 + わがはずかしめはひねもすわたしの前にあり、恥はわたしの顔をおおいました。 + これはそしる者と、ののしる者の言葉により、敵と、恨みを報いる者のゆえによるのです。 + これらの事が皆われらに臨みましたが、われらはあなたを忘れず、あなたの契約にそむくことがありませんでした。 + われらの心はたじろがず、またわれらの歩みはあなたの道を離れませんでした。 + それでもあなたは山犬の住む所でわれらを砕き、暗やみをもってわれらをおおわれました。 + われらがもしわれらの神の名を忘れ、ほかの神に手を伸べたことがあったならば、 + 神はこれを見あらわされないでしょうか。神は心の秘密をも知っておられるからです。 + ところがわれらはあなたのためにひねもす殺されて、ほふられる羊のようにみなされました。 + 主よ、起きてください。なぜ眠っておられるのですか。目をさましてください。われらをとこしえに捨てないでください。 + なぜあなたはみ顔を隠されるのですか。なぜわれらの悩みと、しえたげをお忘れになるのですか。 + まことにわれらの魂はかがんで、ちりに伏し、われらのからだは土につきました。 + 起きて、われらをお助けください。あなたのいつくしみのゆえに、われらをあがなってください。 + + + わたしの心はうるわしい言葉であふれる。わたしは王についてよんだわたしの詩を語る。わたしの舌はすみやかに物書く人の筆のようだ。 + あなたは人の子らにまさって麗しく、気品がそのくちびるに注がれている。このゆえに神はとこしえにあなたを祝福された。 + ますらおよ、光栄と威厳とをもって、つるぎを腰に帯びよ。 + 真理のため、また正義を守るために威厳をもって、勝利を得て乗り進め。あなたの右の手はあなたに恐るべきわざを教えるであろう。 + あなたの矢は鋭くて、王の敵の胸をつらぬき、もろもろの民はあなたのもとに倒れる。 + 神から賜わったあなたの位は永遠にかぎりなく続き、あなたの王のつえは公平のつえである。 + あなたは義を愛し、悪を憎む。このゆえに神、あなたの神は喜びの油をあなたのともがらにまさって、あなたに注がれた。 + あなたの衣はみな没薬、芦薈、肉桂で、よいかおりを放っている。琴の音は象牙の殿から出て、あなたを喜ばせる。 + あなたの愛する女たちのうちには王の娘たちがあり、王妃はオフルの金を飾って、あなたの右に立つ。 + 娘よ、聞け、かえりみて耳を傾けよ。あなたの民と、あなたの父の家とを忘れよ。 + 王はあなたのうるわしさを慕うであろう。彼はあなたの主であるから、彼を伏しおがめ。 + ツロの民は贈り物をもちきたり、民のうちの富める者もあなたの好意を請い求める。 + 王の娘は殿のうちで栄えをきわめ、こがねを織り込んだ衣を着飾っている。 + 彼女は縫い取りした衣を着て王のもとに導かれ、その供びとなるおとめらは彼女に従ってその行列にある。 + 彼らは喜びと楽しみとをもって導かれ行き、王の宮殿にはいる。 + あなたの子らは父祖に代って立ち、あなたは彼らを全地に君とするであろう。 + わたしはあなたの名をよろず代におぼえさせる。このゆえにもろもろの民は世々かぎりなくあなたをほめたたえるであろう。 + + + 神はわれらの避け所また力である。悩める時のいと近き助けである。 + このゆえに、たとい地は変り、山は海の真中に移るとも、われらは恐れない。 + たといその水は鳴りとどろき、あわだつとも、そのさわぎによって山は震え動くとも、われらは恐れない。 [セラ + 一つの川がある。その流れは神の都を喜ばせ、いと高き者の聖なるすまいを喜ばせる。 + 神がその中におられるので、都はゆるがない。神は朝はやく、これを助けられる。 + もろもろの民は騒ぎたち、もろもろの国は揺れ動く、神がその声を出されると地は溶ける。 + 万軍の主はわれらと共におられる、ヤコブの神はわれらの避け所である。 [セラ + 来て、主のみわざを見よ、主は驚くべきことを地に行われた。 + 主は地のはてまでも戦いをやめさせ、弓を折り、やりを断ち、戦車を火で焼かれる。 + 「静まって、わたしこそ神であることを知れ。わたしはもろもろの国民のうちにあがめられ、全地にあがめられる」。 + 万軍の主はわれらと共におられる、ヤコブの神はわれらの避け所である。 [セラ + + + もろもろの民よ、手をうち、喜びの声をあげ、神にむかって叫べ。 + いと高き主は恐るべく、全地をしろしめす大いなる王だからである。 + 主はもろもろの民をわれらに従わせ、もろもろの国をわれらの足の下に従わせられた。 + 主はその愛されたヤコブの誇をわれらの嗣業として、われらのために選ばれた。 [セラ + 神は喜び叫ぶ声と共にのぼり、主はラッパの声と共にのぼられた。 + 神をほめうたえよ、ほめうたえよ、われらの王をほめうたえよ、ほめうたえよ。 + 神は全地の王である。巧みな歌をもってほめうたえよ。 + 神はもろもろの国民を統べ治められる。神はその聖なるみくらに座せられる。 + もろもろの民の君たちはつどい来て、アブラハムの神の民となる。地のもろもろの盾は神のものである。神は大いにあがめられる。 + + + 主は大いなる神であって、われらの神の都、その聖なる山で、大いにほめたたえらるべき方である。 + シオンの山は北の端が高くて、うるわしく、全地の喜びであり、大いなる王の都である。 + そのもろもろの殿のうちに神はみずからを高きやぐらとして現された。 + 見よ、王らは相会して共に進んできたが、 + 彼らは都を見るや驚き、あわてふためき、急ぎ逃げ去った。 + おののきは彼らに臨み、その苦しみは産みの苦しみをする女のようであった。 + あなたは東風を起してタルシシの舟を破られた。 + さきにわれらが聞いたように、今われらは万軍の主の都、われらの神の都でこれを見ることができた。神はとこしえにこの都を堅くされる。 [セラ + 神よ、われらはあなたの宮のうちであなたのいつくしみを思いました。 + 神よ、あなたの誉は、あなたのみ名のように、地のはてにまで及びます。あなたの右の手は勝利で満ちています。 + あなたのさばきのゆえに、シオンの山を喜ばせ、ユダの娘を楽しませてください。 + シオンのまわりを歩き、あまねくめぐって、そのやぐらを数え、 + その城壁に心をとめ、そのもろもろの殿をしらべよ。これはあなたがたが後の代に語り伝えるためである。 + これこそ神であり、世々かぎりなくわれらの神であって、とこしえにわれらを導かれるであろう。 + + + もろもろの民よ、これを聞け、すべて世に住む者よ、耳を傾けよ。 + 低きも高きも、富めるも貧しきも、共に耳を傾けよ。 + わが口は知恵を語り、わが心は知識を思う。 + わたしは耳をたとえに傾け、琴を鳴らして、わたしのなぞを解き明かそう。 + わたしをしえたげる者の不義がわたしを取り囲む悩みの日に、どうして恐れなければならないのか。 + 彼らはおのが富をたのみ、そのたからの多いのを誇る人々である。 + まことに人はだれも自分をあがなうことはできない。そのいのちの価を神に払うことはできない。 + + とこしえに生きながらえて、墓を見ないためにそのいのちをあがなうには、あまりに価高くて、それを満足に払うことができないからである。 + まことに賢い人も死に、愚かな者も、獣のような者も、ひとしく滅んで、その富を他人に残すことは人の見るところである。 + たとい彼らはその地を自分の名をもって呼んでも、墓こそ彼らのとこしえのすまい、世々彼らのすみかである。 + 人は栄華のうちに長くとどまることはできない、滅びうせる獣にひとしい。 + これぞ自分をたのむ愚かな者どもの成りゆき、自分の分け前を喜ぶ者どもの果である。 [セラ + 彼らは陰府に定められた羊のように死が彼らを牧するであろう。彼らはまっすぐに墓に下り、そのかたちは消えうせ、陰府が彼らのすまいとなるであろう。 + しかし神はわたしを受けられるゆえ、わたしの魂を陰府の力からあがなわれる。 [セラ + 人が富を得るときも、その家の栄えが増し加わるときも、恐れてはならない。 + 彼が死ぬときは何ひとつ携え行くことができず、その栄えも彼に従って下って行くことはないからである。 + たとい彼が生きながらえる間、自分を幸福と思っても、またみずから幸な時に、人々から称賛されても、 + 彼はついにおのれの先祖の仲間に連なる。彼らは絶えて光を見ることがない。 + 人は栄華のうちに長くとどまることはできない。滅びうせる獣にひとしい。 + + + 全能者なる神、主は詔して、日の出るところから日の入るところまであまねく地に住む者を召し集められる。 + 神は麗しさのきわみであるシオンから光を放たれる。 + われらの神は来て、もだされない。み前には焼きつくす火があり、そのまわりには、はげしい暴風がある。 + 神はその民をさばくために、上なる天および地に呼ばわれる、 + 「いけにえをもってわたしと契約を結んだわが聖徒をわたしのもとに集めよ」と。 + 天は神の義をあらわす、神はみずから、さばきぬしだからである。 [セラ + 「わが民よ、聞け、わたしは言う。イスラエルよ、わたしはあなたにむかってあかしをなす。わたしは神、あなたの神である。 + わたしがあなたを責めるのは、あなたのいけにえのゆえではない。あなたの燔祭はいつもわたしの前にある。 + わたしはあなたの家から雄牛を取らない。またあなたのおりから雄やぎを取らない。 + 林のすべての獣はわたしのもの、丘の上の千々の家畜もわたしのものである。 + わたしは空の鳥をことごとく知っている。野に動くすべてのものはわたしのものである。 + たといわたしは飢えても、あなたに告げない、世界とその中に満ちるものとはわたしのものだからである。 + わたしは雄牛の肉を食べ、雄やぎの血を飲むだろうか。 + 感謝のいけにえを神にささげよ。あなたの誓いをいと高き者に果せ。 + 悩みの日にわたしを呼べ、わたしはあなたを助け、あなたはわたしをあがめるであろう」。 + しかし神は悪しき者に言われる、「あなたはなんの権利があってわたしの定めを述べ、わたしの契約を口にするのか。 + あなたは教を憎み、わたしの言葉を捨て去った。 + あなたは盗びとを見ればこれとむつみ、姦淫を行う者と交わる。 + あなたはその口を悪にわたし、あなたの舌はたばかりを仕組む。 + あなたは座してその兄弟をそしり、自分の母の子をののしる。 + あなたがこれらの事をしたのを、わたしが黙っていたので、あなたはわたしを全く自分とひとしい者と思った。しかしわたしはあなたを責め、あなたの目の前にその罪をならべる。 + 神を忘れる者よ、このことを思え。さもないとわたしはあなたをかき裂く。そのときだれも助ける者はないであろう。 + 感謝のいけにえをささげる者はわたしをあがめる。自分のおこないを慎む者にはわたしは神の救を示す」。 + + + 神よ、あなたのいつくしみによって、わたしをあわれみ、あなたの豊かなあわれみによって、わたしのもろもろのとがをぬぐい去ってください。 + わたしの不義をことごとく洗い去り、わたしの罪からわたしを清めてください。 + わたしは自分のとがを知っています。わたしの罪はいつもわたしの前にあります。 + わたしはあなたにむかい、ただあなたに罪を犯し、あなたの前に悪い事を行いました。それゆえ、あなたが宣告をお与えになるときは正しく、あなたが人をさばかれるときは誤りがありません。 + 見よ、わたしは不義のなかに生れました。わたしの母は罪のうちにわたしをみごもりました。 + 見よ、あなたは真実を心のうちに求められます。それゆえ、わたしの隠れた心に知恵を教えてください。 + ヒソプをもって、わたしを清めてください、わたしは清くなるでしょう。わたしを洗ってください、わたしは雪よりも白くなるでしょう。 + わたしに喜びと楽しみとを満たし、あなたが砕いた骨を喜ばせてください。 + み顔をわたしの罪から隠し、わたしの不義をことごとくぬぐい去ってください。 + 神よ、わたしのために清い心をつくり、わたしのうちに新しい、正しい霊を与えてください。 + わたしをみ前から捨てないでください。あなたの聖なる霊をわたしから取らないでください。 + あなたの救の喜びをわたしに返し、自由の霊をもって、わたしをささえてください。 + そうすればわたしは、とがを犯した者にあなたの道を教え、罪びとはあなたに帰ってくるでしょう。 + 神よ、わが救の神よ、血を流した罪からわたしを助け出してください。わたしの舌は声高らかにあなたの義を歌うでしょう。 + 主よ、わたしのくちびるを開いてください。わたしの口はあなたの誉をあらわすでしょう。 + あなたはいけにえを好まれません。たといわたしが燔祭をささげてもあなたは喜ばれないでしょう。 + 神の受けられるいけにえは砕けた魂です。神よ、あなたは砕けた悔いた心をかろしめられません。 + あなたのみこころにしたがってシオンに恵みを施し、エルサレムの城壁を築きなおしてください。 + その時あなたは義のいけにえと燔祭と、全き燔祭とを喜ばれるでしょう。その時あなたの祭壇に雄牛がささげられるでしょう。 + + + 力ある者よ、何ゆえあなたは神を敬う人に与えた災について誇るのか。あなたはひねもす人を滅ぼすことをたくらむ。 + 虚偽を行う者よ、あなたの舌は鋭いかみそりのようだ。 + あなたは善よりも悪を好み、まことを語るよりも偽りを語ることを好む。 [セラ + 欺きの舌よ、あなたはすべての滅ぼす言葉を好む。 + しかし神はとこしえにあなたを砕き、あなたを捕えて、その天幕から引き離し、生ける者の地から、あなたの根を絶やされる。 [セラ + 正しい者はこれを見て恐れ、彼を笑って言うであろう、 + 「神をおのが避け所とせず、その富の豊かなるを頼み、その宝に寄り頼む人を見よ」と。 + しかし、わたしは神の家にある緑のオリブの木のようだ。わたしは世々かぎりなく神のいつくしみを頼む。 + あなたがこの事をなされたので、わたしはとこしえに、あなたに感謝し、聖徒の前であなたのみ名をふれ示そう。これはよいことだからである。 + + + 愚かな者は心のうちに「神はない」と言う。彼らは腐れはて、憎むべき不義をおこなった。善を行う者はない。 + 神は天から人の子を見おろして、賢い者、神を尋ね求める者があるかないかを見られた。 + 彼らは皆そむき、みなひとしく堕落した。善を行う者はない、ひとりもない。 + 悪を行う者は悟りがないのか。彼らは物食うようにわが民を食らい、また神を呼ぶことをしない。 + 彼らは恐るべきことのない時に大いに恐れた。神はよこしまな者の骨を散らされるからである。神が彼らを捨てられるので、彼らは恥をこうむるであろう。 + どうか、シオンからイスラエルの救が出るように。神がその民の繁栄を回復される時、ヤコブは喜び、イスラエルは楽しむであろう。 + + + 神よ、み名によってわたしを救い、み力によってわたしをさばいてください。 + 神よ、わたしの祈をきき、わが口の言葉に耳を傾けてください。 + 高ぶる者がわたしに逆らって起り、あらぶる者がわたしのいのちを求めています。彼らは神をおのが前に置くことをしません。 [セラ + 見よ、神はわが助けぬし、主はわがいのちを守られるかたです。 + 神はわたしのあだに災をもって報いられるでしょう。あなたのまことをもって彼らを滅ぼしてください。 + わたしは喜んであなたにいけにえをささげます。主よ、わたしはみ名に感謝します。これはよい事だからです。 + あなたはすべての悩みからわたしを救い、わたしの目に敵の敗北を見させられたからです。 + + + 神よ、わたしの祈に耳を傾けてください。わたしの願いを避けて身を隠さないでください。 + わたしにみこころをとめ、わたしに答えてください。わたしは悩みによって弱りはて、 + 敵の声と、悪しき者のしえたげとによって気が狂いそうです。彼らはわたしに悩みを臨ませ、怒ってわたしを苦しめるからです。 + わたしの心はわがうちにもだえ苦しみ、死の恐れがわたしの上に落ちました。 + 恐れとおののきがわたしに臨み、はなはだしい恐れがわたしをおおいました。 + わたしは言います、「どうか、はとのように翼をもちたいものだ。そうすればわたしは飛び去って安きを得るであろう。 + わたしは遠くのがれ去って、野に宿ろう。 [セラ + わたしは急ぎ避難して、はやてとあらしをのがれよう」と。 + 主よ、彼らのはかりごとを打ち破ってください。彼らの舌を混乱させてください。わたしは町のうちに暴力と争いとを見るからです。 + 彼らは昼も夜も町の城壁の上を歩きめぐり、町のうちには害悪と悩みとがあります。 + また滅ぼす事が町のうちにあり、しえたげと欺きとはその市場を離れることがありません。 + わたしをののしる者は敵ではありません。もしそうであるならば忍ぶことができます。わたしにむかって高ぶる者はあだではありません。もしそうであるならば身を隠して彼を避けることができます。 + しかしそれはあなたです、わたしと同じ者、わたしの同僚、わたしの親しい友です。 + われらはたがいに楽しく語らい、つれだって神の宮に上りました。 + どうぞ、死を彼らに臨ませ、生きたままで陰府に下らせ、恐れをもって彼らを墓に去らせてください。 + しかしわたしが神に呼ばわれば、主はわたしを救われます。 + 夕べに、あしたに、真昼にわたしが嘆きうめけば、主はわたしの声を聞かれます。 + たといわたしを攻める者が多くとも、主はわたしがたたかう戦いからわたしを安らかに救い出されます。 + 昔からみくらに座しておられる神は聞いて彼らを悩まされるでしょう。 [セラ 彼らはおきてを守らず、神を恐れないからです。 + わたしの友はその親しき者に手を伸ばして、その契約を破った。 + その口は牛酪よりもなめらかだが、その心には戦いがある。その言葉は油よりもやわらかだが、それは抜いたつるぎである。 + あなたの荷を主にゆだねよ。主はあなたをささえられる。主は正しい人の動かされるのを決してゆるされない。 + しかし主よ、あなたは彼らを滅びの穴に投げ入れられます。血を流す者と欺く者とはおのが日の半ばも生きながらえることはできません。しかしわたしはあなたに寄り頼みます。 + + + 神よ、どうかわたしをあわれんでください。人々がわたしを踏みつけ、あだする人々がひねもすわたしをしえたげます。 + わたしの敵はひねもすわたしを踏みつけ、誇りたかぶって、わたしと戦う者が多いのです。 + わたしが恐れるときは、あなたに寄り頼みます。 + わたしは神によって、そのみ言葉をほめたたえます。わたしは神に信頼するゆえ、恐れることはありません。肉なる者はわたしに何をなし得ましょうか。 + 彼らはひねもすわたしの事を妨害し、その思いはことごとくわたしにわざわいします。 + 彼らは共に集まって身をひそめ、わたしの歩みに目をとめ、わたしのいのちをうかがい求めます。 + 神よ、彼らにその罪を報い、憤りをもってもろもろの民を倒してください。 + あなたはわたしのさすらいを数えられました。わたしの涙をあなたの皮袋にたくわえてください。これは皆あなたの書にしるされているではありませんか。 + わたしが呼び求める日に、わたしの敵は退きます。これによって神がわたしを守られることを知ります。 + わたしは神によってそのみ言葉をほめたたえ、主によってそのみ言葉をほめたたえます。 + わたしは神に信頼するゆえ、恐れることはありません。人はわたしに何をなし得ましょうか。 + 神よ、わたしがあなたに立てた誓いは果さなければなりません。わたしは感謝の供え物をあなたにささげます。 + あなたはわたしの魂を死から救い、わたしの足を守って倒れることなく、いのちの光のうちで神の前にわたしを歩ませられたからです。 + + + 神よ、わたしをあわれんでください。わたしをあわれんでください。わたしの魂はあなたに寄り頼みます。滅びのあらしの過ぎ去るまではあなたの翼の陰をわたしの避け所とします。 + わたしはいと高き神に呼ばわります。わたしのためにすべての事をなしとげられる神に呼ばわります。 + 神は天から送ってわたしを救い、わたしを踏みつける者をはずかしめられます。 [セラ すなわち神はそのいつくしみとまこととを送られるのです。 + わたしは人の子らをむさぼり食らうししの中に横たわっています。彼らの歯はほこ、また矢、彼らの舌は鋭いつるぎです。 + 神よ、みずからを天よりも高くし、みさかえを全地の上にあげてください。 + 彼らはわたしの足を捕えようと網を設けました。わたしの魂はうなだれました。彼らはわたしの前に穴を掘りました。しかし彼らはみずからその中に陥ったのです。 [セラ + 神よ、わたしの心は定まりました。わたしの心は定まりました。わたしは歌い、かつほめたたえます。 + わが魂よ、さめよ。立琴よ、琴よ、さめよ。わたしはしののめを呼びさまします。 + 主よ、わたしはもろもろの民の中であなたに感謝し、もろもろの国の中であなたをほめたたえます。 + あなたのいつくしみは大きく、天にまで及び、あなたのまことは雲にまで及びます。 + 神よ、みずからを天よりも高くし、みさかえを全地の上にあげてください。 + + + あなたがた力ある者よ、まことにあなたがたは正しい事を語り、公平をもって人の子らをさばくのか。 + 否、あなたがたは心のうちに悪い事をたくらみ、その手は地に暴虐を行う。 + 悪しき者は胎を出た時から、そむき去り、生れ出た時から、あやまちを犯し、偽りを語る。 + + 彼らはへびの毒のような毒をもち、魔法使または巧みに呪文を唱える者の声を聞かない耳をふさぐ耳しいのまむしのようである。 + 神よ、彼らの口の歯を折ってください。主よ、若いししのきばを抜き砕いてください。 + 彼らを流れゆく水のように消え去らせ、踏み倒される若草のように衰えさせてください。 + また溶けてどろどろになるかたつむりのように、時ならず生れた日を見ぬ子のようにしてください。 + あなたがたの釜がまだいばらの熱を感じない前に青いのも、燃えているのも共につむじ風に吹き払われるように彼らを吹き払ってください。 + 正しい者は復讐を見て喜び、その足を悪しき者の血で洗うであろう。 + そして人々は言うであろう、「まことに正しい者には報いがある。まことに地にさばきを行われる神がある」と。 + + + わが神よ、どうかわたしをわが敵から助け出し、わたしに逆らって起りたつ者からお守りください。 + 悪を行う者からわたしを助け出し、血を流す人からわたしをお救いください。 + 見よ、彼らはひそみかくれて、わたしの命をうかがい、力ある人々が共に集まってわたしを攻めます。主よ、わたしにとがも罪もなく、 + わたしにあやまちもないのに、彼らは走りまわって備えをします。わたしを助けるために目をさまして、ごらんください。 + 万軍の神、主よ、あなたはイスラエルの神です。目をさまして、もろもろの国民を罰し、悪をたくらむ者どもに、あわれみを施さないでください。 [セラ + 彼らは夕ごとに帰ってきて、犬のようにほえて町をあさりまわる。 + 見よ、彼らはその口をもってほえ叫び、そのくちびるをもってうなり、「だれが聞くものか」と言う。 + しかし、主よ、あなたは彼らを笑い、もろもろの国民をあざけり笑われる。 + わが力よ、わたしはあなたにむかってほめ歌います。神よ、あなたはわたしの高きやぐらです。 + わが神はそのいつくしみをもってわたしを迎えられる。わが神はわたしに敵の敗北を見させられる。 + どうぞ、わが民の忘れることのないために、彼らを殺さないでください。主、われらの盾よ、み力をもって彼らをよろめかせ、彼らを倒れさせないでください。 + 彼らの口の罪、そのくちびるの言葉のために彼らをその高ぶりに捕われさせてください。彼らが語るのろいと偽りのために + 憤りをもって彼らを滅ぼし、もはやながらえることのないまでに、彼らを滅ぼしてください。そうすれば地のはてまで、人々は神がヤコブを治められることを知るに至るでしょう。 [セラ + 彼らは夕ごとに帰ってきて、犬のようにほえて町をあさりまわる。 + 彼らは食い物のためにあるきまわり、飽くことを得なければ怒りうなる。 + しかし、わたしはあなたのみ力をうたい、朝には声をあげてみいつくしみを歌います。あなたはわたしの悩みの日にわが高きやぐらとなり、わたしの避け所となられたからです。 + わが力よ、わたしはあなたにむかってほめうたいます。神よ、あなたはわが高きやぐら、わたしにいつくしみを賜わる神であられるからです。 + + + 神よ、あなたはわれらを捨て、われらを打ち破られました。あなたは憤られました。再びわれらをかえしてください。 + あなたは国を震わせ、これを裂かれました。その破れをいやしてください。国が揺れ動くのです。 + あなたはその民に耐えがたい事をさせ、人をよろめかす酒をわれらに飲ませられました。 + あなたは弓の前からのがれた者を再び集めようとあなたを恐れる者のために一つの旗を立てられました。 [セラ + あなたの愛される者が助けを得るために、右の手をもって勝利を与え、われらに答えてください。 + 神はその聖所で言われた、「わたしは大いなる喜びをもってシケムを分かち、スコテの谷を分かち与えよう。 + ギレアデはわたしのもの、マナセもわたしのものである。エフライムはわたしのかぶと、ユダはわたしのつえである。 + モアブはわたしの足だらい、エドムにはわたしのくつを投げる。ペリシテについては、かちどきをあげる」と。 + だれがわたしを堅固な町に至らせるでしょうか。だれがわたしをエドムに導くでしょうか。 + 神よ、あなたはわれらを捨てられたではありませんか。神よ、あなたはわれらの軍勢と共に出て行かれません。 + われらに助けを与えて、あだにむかわせてください。人の助けはむなしいのです。 + われらは神によって勇ましく働きます。われらのあだを踏みにじる者は神だからです。 + + + 神よ、わたしの叫びを聞いてください。わたしの祈に耳を傾けてください。 + わが心のくずおれるとき、わたしは地のはてからあなたに呼ばわります。わたしを導いてわたしの及びがたいほどの高い岩にのぼらせてください。 + あなたはわたしの避け所、敵に対する堅固なやぐらです。 + わたしをとこしえにあなたの幕屋に住まわせ、あなたの翼の陰にのがれさせてください。 [セラ + 神よ、あなたはわたしのもろもろの誓いを聞き、み名を恐れる者に賜わる嗣業をわたしに与えられました。 + どうか王のいのちを延ばし、そのよわいをよろずよに至らせてください。 + 彼をとこしえに神の前に王たらしめ、いつくしみとまこととに命じて彼を守らせてください。 + そうすればわたしはとこしえにみ名をほめうたい、日ごとにわたしのもろもろの誓いを果すでしょう。 + + + わが魂はもだしてただ神をまつ。わが救は神から来る。 + 神こそわが岩、わが救、わが高きやぐらである。わたしはいたく動かされることはない。 + あなたがたは、いつまで人に押し迫るのか。あなたがたは皆、傾いた石がきのように、揺り動くまがきのように人を倒そうとするのか。 + 彼らは人を尊い地位から落そうとのみはかり、偽りを喜び、その口では祝福し、心のうちではのろうのである。 [セラ + わが魂はもだしてただ神をまつ。わが望みは神から来るからである。 + 神こそわが岩、わが救、わが高きやぐらである。わたしは動かされることはない。 + わが救とわが誉とは神にある。神はわが力の岩、わが避け所である。 + 民よ、いかなる時にも神に信頼せよ。そのみ前にあなたがたの心を注ぎ出せ。神はわれらの避け所である。 [セラ + 低い人はむなしく、高い人は偽りである。彼らをはかりにおけば、彼らは共に息よりも軽い。 + あなたがたは、しえたげにたよってはならない。かすめ奪うことに、むなしい望みをおいてはならない。富の増し加わるとき、これに心をかけてはならない。 + 神はひとたび言われた、わたしはふたたびこれを聞いた、力は神に属することを。 + 主よ、いつくしみもまたあなたに属することを。あなたは人おのおののわざにしたがって報いられるからである。 + + + 神よ、あなたはわたしの神、わたしは切にあなたをたずね求め、わが魂はあなたをかわき望む。水なき、かわき衰えた地にあるように、わが肉体はあなたを慕いこがれる。 + それでわたしはあなたの力と栄えとを見ようと、聖所にあって目をあなたに注いだ。 + あなたのいつくしみは、いのちにもまさるゆえ、わがくちびるはあなたをほめたたえる。 + わたしは生きながらえる間、あなたをほめ、手をあげて、み名を呼びまつる。 + + わたしが床の上であなたを思いだし、夜のふけるままにあなたを深く思うとき、わたしの魂は髄とあぶらとをもってもてなされるように飽き足り、わたしの口は喜びのくちびるをもってあなたをほめたたえる。 + あなたはわたしの助けとなられたゆえ、わたしはあなたの翼の陰で喜び歌う。 + わたしの魂はあなたにすがりつき、あなたの右の手はわたしをささえられる。 + しかしわたしの魂を滅ぼそうとたずね求める者は地の深き所に行き、 + つるぎの力にわたされ、山犬のえじきとなる。 + しかし王は神にあって喜び、神によって誓う者はみな誇ることができる。偽りを言う者の口はふさがれるからである。 + + + 神よ、わたしが嘆き訴えるとき、わたしの声をお聞きください。敵の恐れからわたしの命をお守りください。 + わたしを隠して、悪を行う者のひそかなはかりごとから免れさせ、不義を行う者のはかりごとから免れさせてください。 + 彼らはその舌をつるぎのようにとぎ、苦い言葉を矢のように放ち、 + 隠れた所から罪なき者を射ようとする。にわかに彼を射て恐れることがない。 + 彼らは悪い企てを固くたもち、共にはかり、ひそかにわなをかけて言う、「だれがわれらを見破ることができるか。 + だれがわれらの罪をたずね出すことができるか。われらは巧みに、はかりごとを考えめぐらしたのだ」と。人の内なる思いと心とは深い。 + しかし神は矢をもって彼らを射られる。彼らはにわかに傷をうけるであろう。 + 神は彼らの舌のゆえに彼らを滅ぼされる。彼らを見る者は皆そのこうべを振るであろう。 + その時すべての人は恐れ、神のみわざを宣べ伝え、そのなされた事を考えるであろう。 + 正しい人は主にあって喜び、かつ主に寄り頼む。すべて心の直き者は誇ることができる。 + + + 神よ、シオンにて、あなたをほめたたえることはふさわしいことである。人はあなたに誓いを果すであろう。 + + 祈を聞かれる方よ、すべての肉なる者は罪のゆえにあなたに来る。われらのとががわれらに打ち勝つとき、あなたはこれをゆるされる。 + あなたに選ばれ、あなたに近づけられて、あなたの大庭に住む人はさいわいである。われらはあなたの家、あなたの聖なる宮の恵みによって飽くことができる。 + われらの救の神よ、地のもろもろのはてと、遠き海の望みであるあなたは恐るべきわざにより、救をもってわれらに答えられる。 + あなたは大能を帯び、そのみ力によって、もろもろの山を堅く立たせられる。 + あなたは海の響き、大波の響き、もろもろの民の騒ぎを静められる。 + それゆえ、地のはてに住む人々も、あなたのもろもろのしるしを見て恐れる。あなたは朝と夕の出る所をして喜び歌わせられる。 + あなたは地に臨んで、これに水をそそぎ、これを大いに豊かにされる。神の川は水で満ちている。あなたはそのように備えして彼らに穀物を与えられる。 + あなたはその田みぞを豊かにうるおし、そのうねを整え、夕立ちをもってそれを柔らかにし、そのもえ出るのを祝福し、 + またその恵みをもって年の冠とされる。あなたの道にはあぶらがしたたる。 + 野の牧場はしたたり、小山は喜びをまとい、 + 牧場は羊の群れを着、もろもろの谷は穀物をもっておおわれ、彼らは喜び呼ばわって共に歌う。 + + + 全地よ、神にむかって喜び呼ばわれ。 + そのみ名の栄光を歌え。栄えあるさんびをささげよ。 + 神に告げよ。「あなたのもろもろのみわざは恐るべきかな。大いなるみ力によって、あなたの敵はみ前に屈服し、 + 全地はあなたを拝み、あなたをほめうたい、み名をほめうたうであろう」と。 [セラ + 来て、神のみわざを見よ。人の子らにむかってなされることは恐るべきかな。 + 神は海を変えて、かわいた地とされた。人々は徒歩で川を渡った。その所でわれらは神を喜んだ。 + 神は大能をもって、とこしえに統べ治め、その目はもろもろの国民を監視される。そむく者はみずからを高くしてはならない。 [セラ + もろもろの民よ、われらの神をほめよ。神をほめたたえる声を聞えさせよ。 + 神はわれらを生きながらえさせ、われらの足のすべるのをゆるされない。 + 神よ、あなたはわれらを試み、しろがねを練るように、われらを練られた。 + あなたはわれらを網にひきいれ、われらの腰に重き荷を置き、 + 人々にわれらの頭の上を乗り越えさせられた。われらは火の中、水の中を通った。しかしあなたはわれらを広い所に導き出された。 + わたしは燔祭をもってあなたの家に行き、わたしの誓いをあなたに果します。 + これはわたしが悩みにあったとき、わたしのくちびるの言い出したもの、わたしの口が約束したものです。 + わたしは肥えたものの燔祭を雄羊のいけにえの煙と共にあなたにささげ、雄牛と雄やぎとをささげます。 [セラ + すべて神を恐れる者よ、来て聞け。神がわたしのためになされたことを告げよう。 + わたしは声をあげて神に呼ばわり、わが舌をもって神をあがめた。 + もしわたしが心に不義をいだいていたならば、主はお聞きにならないであろう。 + しかし、まことに神はお聞きになり、わが祈の声にみこころをとめられた。 + 神はほむべきかな。神はわが祈をしりぞけず、そのいつくしみをわたしから取り去られなかった。 + + + どうか、神がわれらをあわれみ、われらを祝福し、そのみ顔をわれらの上に照されるように。 [セラ + これはあなたの道があまねく地に知られ、あなたの救の力がもろもろの国民のうちに知られるためです。 + 神よ、民らにあなたをほめたたえさせ、もろもろの民にあなたをほめたたえさせてください。 + もろもろの国民を楽しませ、また喜び歌わせてください。あなたは公平をもってもろもろの民をさばき、地の上なるもろもろの国民を導かれるからです。 [セラ + 神よ、民らにあなたをほめたたえさせ、もろもろの民にあなたをほめたたえさせてください。 + 地はその産物を出しました。神、われらの神はわれらを祝福されました。 + 神はわれらを祝福されました。地のもろもろのはてにことごとく神を恐れさせてください。 + + + 神よ、立ちあがって、その敵を散らし、神を憎む者をみ前から逃げ去らせてください。 + 煙の追いやられるように彼らを追いやり、ろうの火の前に溶けるように悪しき者を神の前に滅ぼしてください。 + しかし正しい者を喜ばせ、神の前に喜び踊らせ、喜び楽しませてください。 + 神にむかって歌え、そのみ名をほめうたえ。雲に乗られる者にむかって歌声をあげよ。その名は主、そのみ前に喜び踊れ。 + その聖なるすまいにおられる神はみなしごの父、やもめの保護者である。 + 神は寄るべなき者に住むべき家を与え、めしゅうどを解いて幸福に導かれる。しかしそむく者はかわいた地に住む。 + 神よ、あなたが民に先だち出て、荒野を進み行かれたとき、 [セラ + シナイの主なる神の前に、イスラエルの神なる神の前に、地は震い、天は雨を降らせました。 + 神よ、あなたは豊かな雨を降らせて、疲れ衰えたあなたの嗣業の地を回復され、 + あなたの群れは、そのうちにすまいを得ました。神よ、あなたは恵みをもって貧しい者のために備えられました。 + 主は命令を下される。おとずれを携えた女たちの大いなる群れは言う、 + 「もろもろの軍勢の王たちは逃げ去り、逃げ去った」と。家にとどまる女たちは獲物を分ける、 + たとい彼らは羊のおりの中にとどまるとも。はとの翼は、しろがねをもっておおわれ、その羽はきらめくこがねをもっておおわれる。 + 全能者がかしこで王たちを散らされたとき、ザルモンに雪が降った。 + 神の山、バシャンの山、峰かさなる山、バシャンの山よ。 + 峰かさなるもろもろの山よ、何ゆえ神がすまいにと望まれた山をねたみ見るのか。まことに主はとこしえにそこに住まわれる。 + 主は神のいくさ車幾千万をもって、シナイから聖所に来られた。 + あなたはとりこを率い、人々のうちから、またそむく者のうちから贈り物をうけて、高い山に登られた。主なる神がそこに住まわれるためである。 + 日々にわれらの荷を負われる主はほむべきかな。神はわれらの救である。 [セラ + われらの神は救の神である。死からのがれ得るのは主なる神による。 + 神はその敵のこうべを打ち砕き、おのがとがの中に歩む者の毛深い頭のいただきを打ち砕かれる。 + 主は言われた、「わたしはバシャンから彼らを携え帰り、海の深い所から彼らを携え帰る。 + あなたはその足を彼らの血に浸し、あなたの犬の舌はその分け前を敵から得るであろう」と。 + 神よ、人々はあなたのこうごうしい行列を見た。わが神、わが王の、聖所に進み行かれるのを見た。 + 歌う者は前に行き、琴をひく者はあとになり、おとめらはその間にあって手鼓を打って言う、 + 「大いなる集会で神をほめよ。イスラエルの源から出た者よ、主をほめまつれ」と。 + そこに彼らを導く年若いベニヤミンがおり、その群れの中にユダの君たちがおり、ゼブルンの君たち、ナフタリの君たちがいる。 + 神よ、あなたの大能を奮い起してください。われらのために事をなされた神よ、あなたの力をお示しください。 + エルサレムにあるあなたの宮のために、王たちはあなたに贈り物をささげるでしょう。 + 葦の中に住む獣、もろもろの民の子牛を率いる雄牛の群れをいましめてください。みつぎ物をむさぼる者たちを足の下に踏みつけ、戦いを好むもろもろの民を散らしてください。 + 青銅をエジプトから持ちきたらせ、エチオピヤには急いでその手を神に伸べさせてください。 + 地のもろもろの国よ、神にむかって歌え、主をほめうたえ。 [セラ + いにしえからの天の天に乗られる主にむかってほめうたえ。見よ、主はみ声を出し、力あるみ声を出される。 + 力を神に帰せよ。その威光はイスラエルの上にあり、その力は雲の中にある。 + 神はその聖所で恐るべく、イスラエルの神はその民に力と勢いとを与えられる。神はほむべきかな。 + + + 神よ、わたしをお救いください。大水が流れ来て、わたしの首にまで達しました。 + わたしは足がかりもない深い泥の中に沈みました。わたしは深い水に陥り、大水がわたしの上を流れ過ぎました。 + わたしは叫びによって疲れ、わたしののどはかわき、わたしの目は神を待ちわびて衰えました。 + ゆえなく、わたしを憎む者はわたしの頭の毛よりも多く、偽ってわたしの敵となり、わたしを滅ぼそうとする者は強いのです。わたしは盗まなかった物をも償わなければならないのですか。 + 神よ、あなたはわたしの愚かなことを知っておられます。わたしのもろもろのとがはあなたに隠れることはありません。 + 万軍の神、主よ、あなたを待ち望む者がわたしの事によって、はずかしめられることのないようにしてください。イスラエルの神よ、あなたを求める者がわたしの事によって、恥を負わせられることのないようにしてください。 + わたしはあなたのためにそしりを負い、恥がわたしの顔をおおったのです。 + わたしはわが兄弟には、知らぬ者となり、わが母の子らには、のけ者となりました。 + あなたの家を思う熱心がわたしを食いつくし、あなたをそしる者のそしりがわたしに及んだからです。 + わたしが断食をもってわたしの魂を悩ませば、かえってそれによってそしりをうけました。 + わたしが荒布を衣とすれば、かえって彼らのことわざとなりました。 + わたしは門に座する者の話題となり、酔いどれの歌となりました。 + しかし主よ、わたしはあなたに祈ります。神よ、恵みの時に、あなたのいつくしみの豊かなるにより、わたしにお答えください。 + あなたのまことの救により、わたしを泥の中に沈まぬよう助け出してください。わたしを憎む者から、また深い水からわたしを助け出してください。 + 大水がわたしの上を流れ過ぎることなく、淵がわたしをのむことなく、穴がその口をわたしの上に閉じることのないようにしてください。 + 主よ、あなたのいつくしみの深きにより、わたしにお答えください。あなたのあわれみの豊かなるにより、わたしを顧みてください。 + あなたの顔をしもべに隠さないでください。わたしは悩んでいるのです。すみやかにわたしにお答えください。 + わたしに近く寄って、わたしをあがない、わが敵のゆえにわたしをお救いください。 + あなたはわたしの受けるそしりと、恥と、はずかしめとを知っておられます。わたしのあだは皆あなたの前にあります。 + そしりがわたしの心を砕いたので、わたしは望みを失いました。わたしは同情する者を求めたけれども、ひとりもなく、慰める者を求めたけれども、ひとりも見ませんでした。 + 彼らはわたしの食物に毒を入れ、わたしのかわいた時に酢を飲ませました。 + 彼らの前の食卓を網とし、彼らが犠牲をささげる祭を、わなとしてください。 + 彼らの目を暗くして見えなくし、彼らの腰を常に震わせ、 + あなたの憤りを彼らの上にそそぎ、あなたの激しい怒りを彼らに追いつかせてください。 + 彼らの宿営を荒し、ひとりもその天幕に住まわせないでください。 + 彼らはあなたが撃たれた者を迫害し、あなたが傷つけられた者をさらに苦しめるからです。 + 彼らに、罰に罰を加え、あなたの赦免にあずからせないでください。 + 彼らをいのちの書から消し去って、義人のうちに記録されることのないようにしてください。 + しかしわたしは悩み苦しんでいます。神よ、あなたの救がわたしを高い所に置かれますように。 + わたしは歌をもって神の名をほめたたえ、感謝をもって神をあがめます。 + これは雄牛または角とひずめのある雄牛にまさって主を喜ばせるでしょう。 + へりくだる者は、これを見て喜べ。神を求める者よ、あなたがたの心を生きかえらせよ。 + 主は乏しい者に聞き、その捕われ人をかろしめられないからである。 + 天と地は主をほめたたえ、海とその中に動くあらゆるものは主をほめたたえよ。 + 神はシオンを救い、ユダの町々を建て直されるからである。そのしもべらはそこに住んでこれを所有し、 + そのしもべらの子孫はこれを継ぎ、み名を愛する者はその中に住むであろう。 + + + 神よ、みこころならばわたしをお救いください。主よ、すみやかにわたしをお助けください。 + わたしのいのちをたずね求める者どもを恥じあわてさせてください。わたしのそこなわれることを願う者どもをうしろに退かせ、恥を負わせてください。 + 「あはぁ、あはぁ」と言う者どもを自分の恥によって恐れおののかせてください。 + すべてあなたを尋ね求める者はあなたによって喜び楽しむように。あなたの救を愛する者はつねに「神は大いなるかな」ととなえるように。 + しかし、わたしは貧しく、かつ乏しい。神よ、急いでわたしに来てください。あなたはわが助け、わが救主です。主よ、ためらわないでください。 + + + 主よ、わたしはあなたに寄り頼む。とこしえにわたしをはずかしめないでください。 + あなたの義をもってわたしを助け、わたしを救い出してください。あなたの耳を傾けて、わたしをお救いください。 + わたしのためにのがれの岩となり、わたしを救う堅固な城となってください。あなたはわが岩、わが城だからです。 + わが神よ、悪しき者の手からわたしを救い、不義、残忍な人の支配から、わたしを救い出してください。 + 主なる神よ、あなたはわたしの若い時からのわたしの望み、わたしの頼みです。 + わたしは生れるときからあなたに寄り頼みました。あなたはわたしを母の胎から取り出されたかたです。わたしは常にあなたをほめたたえます。 + わたしは多くの人に怪しまれるような者となりました。しかしあなたはわたしの堅固な避け所です。 + わたしの口はひねもす、あなたをたたえるさんびと、頌栄とをもって満たされています。 + わたしが年老いた時、わたしを見離さないでください。わたしが力衰えた時、わたしを見捨てないでください。 + わたしの敵はわたしについて語り、わたしのいのちをうかがう者は共にはかって、 + 「神は彼を見捨てた。彼を助ける者がないから彼を追って捕えよ」と言います。 + 神よ、わたしに遠ざからないでください。わが神よ、すみやかに来てわたしを助けてください。 + わたしにあだする者を恥じさせ、滅ぼしてください。わたしをそこなわんとする者を、そしりと、はずかしめとをもっておおってください。 + しかしわたしは絶えず望みをいだいて、いよいよあなたをほめたたえるでしょう。 + わたしの口はひねもすあなたの義と、あなたの救とを語るでしょう。わたしはその数を知らないからです。 + わたしは主なる神の大能のみわざを携えゆき、ただあなたの義のみを、ほめたたえるでしょう。 + 神よ、あなたはわたしを若い時から教えられました。わたしはなお、あなたのくすしきみわざを宣べ伝えます。 + 神よ、わたしが年老いて、しらがとなるとも、あなたの力をきたらんとするすべての代に宣べ伝えるまで、わたしを見捨てないでください。 + 神よ、あなたの大能と義とは高い天にまで及ぶ。あなたは大いなる事をなされました。神よ、だれかあなたに等しい者があるでしょうか。 + あなたはわたしを多くの重い悩みにあわされましたが、再びわたしを生かし、地の深い所から引きあげられるでしょう。 + あなたはわたしの誉を増し、再びわたしを慰められるでしょう。 + わが神よ、わたしはまた立琴をもってあなたと、あなたのまこととをほめたたえます。イスラエルの聖者よ、わたしは琴をもってあなたをほめ歌います。 + わたしがあなたにむかってほめ歌うとき、わがくちびるは喜び呼ばわり、あなたがあがなわれたわが魂もまた喜び呼ばわるでしょう。 + わたしの舌もまたひねもすあなたの義を語るでしょう。わたしをそこなわんとした者が恥じあわてたからです。 + + + 神よ、あなたの公平を王に与え、あなたの義を王の子に与えてください。 + 彼は義をもってあなたの民をさばき、公平をもってあなたの貧しい者をさばくように。 + もろもろの山と丘とは義によって民に平和を与えるように。 + 彼は民の貧しい者の訴えを弁護し、乏しい者に救を与え、しえたげる者を打ち砕くように。 + 彼は日と月とのあらんかぎり、世々生きながらえるように。 + 彼は刈り取った牧草の上に降る雨のごとく、地を潤す夕立ちのごとく臨むように。 + 彼の世に義は栄え、平和は月のなくなるまで豊かであるように。 + 彼は海から海まで治め、川から地のはてまで治めるように。 + 彼のあだは彼の前にかがみ、彼の敵はちりをなめるように。 + タルシシおよび島々の王たちはみつぎを納め、シバとセバの王たちは贈り物を携えて来るように。 + もろもろの王は彼の前にひれ伏し、もろもろの国民は彼に仕えるように。 + 彼は乏しい者をその呼ばわる時に救い、貧しい者と、助けなき者とを救う。 + 彼は弱い者と乏しい者とをあわれみ、乏しい者のいのちを救い、 + 彼らのいのちを、しえたげと暴力とからあがなう。彼らの血は彼の目に尊い。 + 彼は生きながらえ、シバの黄金が彼にささげられ、彼のために絶えず祈がささげられ、ひねもす彼のために祝福が求められるように。 + 国のうちには穀物が豊かにみのり、その実はレバノンのように山々の頂に波打ち、人々は野の草のごとく町々に栄えるように。 + 彼の名はとこしえに続き、その名声は日のあらん限り、絶えることのないように。人々は彼によって祝福を得、もろもろの国民は彼をさいわいなる者ととなえるように。 + イスラエルの神、主はほむべきかな。ただ主のみ、くすしきみわざをなされる。 + その光栄ある名はとこしえにほむべきかな。全地はその栄光をもって満たされるように。アァメン、アァメン。 + エッサイの子ダビデの祈は終った。 + + + 神は正しい者にむかい、心の清い者にむかって、まことに恵みふかい。 + しかし、わたしは、わたしの足がつまずくばかり、わたしの歩みがすべるばかりであった。 + これはわたしが、悪しき者の栄えるのを見て、その高ぶる者をねたんだからである。 + 彼らには苦しみがなく、その身はすこやかで、つやがあり、 + ほかの人々のように悩むことがなく、ほかの人々のように打たれることはない。 + それゆえ高慢は彼らの首飾となり、暴力は衣のように彼らをおおっている。 + 彼らは肥え太って、その目はとびいで、その心は愚かな思いに満ちあふれている。 + 彼らはあざけり、悪意をもって語り、高ぶって、しえたげを語る。 + 彼らはその口を天にさからって置き、その舌は地をあるきまわる。 + それゆえ民は心を変えて彼らをほめたたえ、彼らのうちにあやまちを認めない。 + 彼らは言う、「神はどうして知り得ようか、いと高き者に知識があろうか」と。 + 見よ、これらは悪しき者であるのに、常に安らかで、その富が増し加わる。 + まことに、わたしはいたずらに心をきよめ、罪を犯すことなく手を洗った。 + わたしはひねもす打たれ、朝ごとに懲しめをうけた。 + もしわたしが「このような事を語ろう」と言ったなら、わたしはあなたの子らの代を誤らせたであろう。 + しかし、わたしがこれを知ろうと思いめぐらしたとき、これはわたしにめんどうな仕事のように思われた。 + わたしが神の聖所に行って、彼らの最後を悟り得たまではそうであった。 + まことにあなたは彼らをなめらかな所に置き、彼らを滅びに陥らせられる。 + なんと彼らはまたたくまに滅ぼされ、恐れをもって全く一掃されたことであろう。 + あなたが目をさまして彼らの影をかろしめられるとき、彼らは夢みた人の目をさました時のようである。 + わたしの魂が痛み、わたしの心が刺されたとき、 + わたしは愚かで悟りがなく、あなたに対しては獣のようであった。 + けれどもわたしは常にあなたと共にあり、あなたはわたしの右の手を保たれる。 + あなたはさとしをもってわたしを導き、その後わたしを受けて栄光にあずからせられる。 + わたしはあなたのほかに、だれを天にもち得よう。地にはあなたのほかに慕うものはない。 + わが身とわが心とは衰える。しかし神はとこしえにわが心の力、わが嗣業である。 + 見よ、あなたに遠い者は滅びる。あなたは、あなたにそむく者を滅ぼされる。 + しかし神に近くあることはわたしに良いことである。わたしは主なる神をわが避け所として、あなたのもろもろのみわざを宣べ伝えるであろう。 + + + 神よ、なぜ、われらをとこしえに捨てられるのですか。なぜ、あなたの牧の羊に怒りを燃やされるのですか。 + 昔あなたが手に入れられたあなたの公会、すなわち、あなたの嗣業の部族となすためにあがなわれたものを思い出してください。あなたが住まわれたシオンの山を思い出してください。 + とこしえの滅びの跡に、あなたの足を向けてください。敵は聖所で、すべての物を破壊しました。 + あなたのあだは聖所の中でほえさけび、彼らのしるしを立てて、しるしとしました。 + 彼らは上の入口では、おのをもって木の格子垣を切り倒しました。 + また彼らは手おのと鎚とをもって聖所の彫り物をことごとく打ち落しました。 + 彼らはあなたの聖所に火をかけ、み名のすみかをけがして、地に倒しました。 + 彼らは心のうちに言いました、「われらはことごとくこれを滅ぼそう」と。彼らは国のうちの神の会堂をことごとく焼きました。 + われらは自分たちのしるしを見ません。預言者も今はいません。そしていつまで続くのか、われらのうちには、知る者がありません。 + 神よ、あだはいつまであざけるでしょうか。敵はとこしえにあなたの名をののしるでしょうか。 + なぜあなたは手を引かれるのですか。なぜあなたは右の手をふところに入れておかれるのですか。 + 神はいにしえからわたしの王であって、救を世の中に行われた。 + あなたはみ力をもって海をわかち、水の上の龍の頭を砕かれた。 + あなたはレビヤタンの頭をくだき、これを野の獣に与えてえじきとされた。 + あなたは泉と流れとを開き、絶えず流れるもろもろの川をからされた。 + 昼はあなたのもの、夜もまたあなたのもの。あなたは光と太陽とを設けられた。 + あなたは地のもろもろの境を定め、夏と冬とを造られた。 + 主よ、敵はあなたをあざけり、愚かな民はあなたのみ名をののしります。この事を思い出してください。 + どうかあなたのはとの魂を野の獣にわたさないでください。貧しい者のいのちをとこしえに忘れないでください。 + あなたの契約をかえりみてください。地の暗い所は暴力のすまいで満ちています。 + しえたげられる者を恥じさせないでください。貧しい者と乏しい者とにみ名をほめたたえさせてください。 + 神よ、起きてあなたの訴えをあげつらい、愚かな者のひねもすあなたをあざけるのをみこころにとめてください。 + あなたのあだの叫びを忘れないでください。あなたの敵の絶えずあげる騒ぎを忘れないでください。 + + + 神よ、われらはあなたに感謝します。われらは感謝します。われらはあなたのみ名を呼び、あなたのくすしきみわざを語ります。 + 定まった時が来れば、わたしは公平をもってさばく。 + 地とすべてこれに住むものがよろめくとき、わたしはその柱を堅くする。 [セラ + わたしは、誇る者には「誇るな」と言い、悪しき者には「角をあげるな、 + 角を高くあげるな、高慢な態度をもって語るな」と言う。 + 上げることは東からでなく、西からでなく、また荒野からでもない。 + それはさばきを行われる神であって、神はこれを下げ、かれを上げられる。 + 主の手には杯があって、よく混ぜた酒があわだっている。主がこれを注ぎ出されると、地のすべての悪しき者はこれを一滴も残さずに飲みつくすであろう。 + しかしわたしはとこしえに喜び、ヤコブの神をほめうたいます。 + 悪しき者の角はことごとく切り離されるが正しい者の角はあげられるであろう。 + + + 神はユダに知られ、そのみ名はイスラエルにおいて偉大である。 + その幕屋はサレムにあり、そのすまいはシオンにある。 + かしこで神は弓の火矢を折り、盾とつるぎと戦いの武器をこわされた。 [セラ + あなたは永久の山々にまさって光栄あり、威厳がある。 + 雄々しい者はかすめられ、彼らは眠りに沈み、いくさびとは皆その手を施すことができなかった。 + ヤコブの神よ、あなたのとがめによって、乗り手と馬とは深い眠りに陥った。 + しかし、あなたこそは恐るべき方である。あなたが怒りを発せられるとき、だれがみ前に立つことができよう。 + + あなたは天からさばきを仰せられた。神が地のしえたげられた者を救うために、さばきに立たれたとき、地は恐れて、沈黙した。 [セラ + まことに人の怒りはあなたをほめたたえる。怒りの余りをあなたは帯とされる。 + あなたがたの神、主に誓いを立てて、それを償え。その周囲のすべての者は恐るべき主に贈り物をささげよ。 + 主はもろもろの君たちのいのちを断たれる。主は地の王たちの恐るべき者である。 + + + わたしは神にむかい声をあげて叫ぶ。わたしが神にむかって声をあげれば、神はわたしに聞かれる。 + わたしは悩みの日に主をたずね求め、夜はわが手を伸べてたゆむことなく、わが魂は慰められるのを拒む。 + わたしは神を思うとき、嘆き悲しみ、深く思うとき、わが魂は衰える。 [セラ + あなたはわたしのまぶたをささえて閉じさせず、わたしは物言うこともできないほどに悩む。 + わたしは昔の日を思い、いにしえの年を思う。 + わたしは夜、わが心と親しく語り、深く思うてわが魂を探り、言う、 + 「主はとこしえにわれらを捨てられるであろうか。ふたたび、めぐみを施されないであろうか。 + そのいつくしみはとこしえに絶え、その約束は世々ながくすたれるであろうか。 + 神は恵みを施すことを忘れ、怒りをもってそのあわれみを閉じられたであろうか」と。 [セラ + その時わたしは言う、「わたしの悲しみはいと高き者の右の手が変ったことである」と。 + わたしは主のみわざを思い起す。わたしは、いにしえからのあなたのくすしきみわざを思いいだす。 + わたしは、あなたのすべてのみわざを思い、あなたの力あるみわざを深く思う。 + 神よ、あなたの道は聖である。われらの神のように大いなる神はだれか。 + あなたは、くすしきみわざを行われる神である。あなたは、もろもろの民の間に、その大能をあらわし、 + その腕をもっておのれの民をあがない、ヤコブとヨセフの子らをあがなわれた。 [セラ + 神よ、大水はあなたを見た。大水はあなたを見ておののき、淵もまた震えた。 + 雲は水を注ぎいだし、空は雷をとどろかし、あなたの矢は四方にきらめいた。 + あなたの雷のとどろきは、つむじ風の中にあり、あなたのいなずまは世を照し、地は震い動いた。 + あなたの大路は海の中にあり、あなたの道は大水の中にあり、あなたの足跡はたずねえなかった。 + あなたは、その民をモーセとアロンの手によって羊の群れのように導かれた。 + + + わが民よ、わが教を聞き、わが口の言葉に耳を傾けよ。 + わたしは口を開いて、たとえを語り、いにしえからの、なぞを語ろう。 + これはわれらがさきに聞いて知ったこと、またわれらの先祖たちがわれらに語り伝えたことである。 + われらはこれを子孫に隠さず、主の光栄あるみわざと、その力と、主のなされたくすしきみわざとをきたるべき代に告げるであろう。 + 主はあかしをヤコブのうちにたて、おきてをイスラエルのうちに定めて、その子孫に教うべきことをわれらの先祖たちに命じられた。 + これは次の代に生れる子孫がこれを知り、みずから起って、そのまた子孫にこれを伝え、 + 彼らをして神に望みをおき、神のみわざを忘れず、その戒めを守らせるためである。 + またその先祖たちのようにかたくなで、そむく者のやからとなり、その心が定まりなく、その魂が神に忠実でないやからとならないためである。 + エフライムの人々は武装し、弓を携えたが、戦いの日に引き返した。 + 彼らは神の契約を守らず、そのおきてにしたがって歩むことを拒み、 + 神がなされた事と、彼らに示されたくすしきみわざとを忘れた。 + 神はエジプトの地と、ゾアンの野でくすしきみわざを彼らの先祖たちの前に行われた。 + 神は海を分けて彼らを通らせ、水を立たせて山のようにされた。 + 昼は雲をもって彼らを導き、夜は、よもすがら火の光をもって彼らを導かれた。 + 神は荒野で岩を裂き、淵から飲むように豊かに彼らに飲ませ、 + また岩から流れを引いて、川のように水を流れさせられた。 + ところが彼らはなお神にむかって罪をかさね、荒野でいと高き者にそむき、 + おのが欲のために食物を求めて、その心のうちに神を試みた。 + また彼らは神に逆らって言った、「神は荒野に宴を設けることができるだろうか。 + 見よ、神が岩を打たれると、水はほとばしりいで、流れがあふれた。神はまたパンを与えることができるだろうか。民のために肉を備えることができるだろうか」と。 + それゆえ、主は聞いて憤られた。火はヤコブにむかって燃えあがり、怒りはイスラエルにむかって立ちのぼった。 + これは彼らが神を信ぜず、その救の力を信用しなかったからである。 + しかし神は上なる大空に命じて天の戸を開き、 + 彼らの上にマナを降らせて食べさせ、天の穀物を彼らに与えられた。 + 人は天使のパンを食べた。神は彼らに食物をおくって飽き足らせられた。 + 神は天に東風を吹かせ、み力をもって南風を導かれた。 + 神は彼らの上に肉をちりのように降らせ、翼ある鳥を海の砂のように降らせて、 + その宿営のなか、そのすまいのまわりに落された。 + こうして彼らは食べて、飽き足ることができた。神が彼らにその望んだものを与えられたからである。 + ところが彼らがまだその欲を離れず、食物がなお口の中にあるうちに、 + 神の怒りが彼らにむかって立ちのぼり、彼らのうちの最も強い者を殺し、イスラエルのうちのえり抜きの者を打ち倒された。 + すべてこれらの事があったにもかかわらず、彼らはなお罪を犯し、そのくすしきみわざを信じなかった。 + それゆえ神は彼らの日を息のように消えさせ、彼らの年を恐れをもって過ごさせられた。 + 神が彼らを殺されたとき、彼らは神をたずね、悔いて神を熱心に求めた。 + こうして彼らは、神は彼らの岩、いと高き神は彼らのあがないぬしであることを思い出した。 + しかし彼らはその口をもって神にへつらい、その舌をもって神に偽りを言った。 + 彼らの心は神にむかって堅実でなく、神の契約に真実でなかった。 + しかし神はあわれみに富まれるので、彼らの不義をゆるして滅ぼさず、しばしばその怒りをおさえて、その憤りをことごとくふり起されなかった。 + また神は、彼らがただ肉であって、過ぎ去れば再び帰りこぬ風であることを思い出された。 + 幾たび彼らは野で神にそむき、荒野で神を悲しませたことであろうか。 + 彼らはかさねがさね神を試み、イスラエルの聖者を怒らせた。 + 彼らは神の力をも、神が彼らをあだからあがなわれた日をも思い出さなかった。 + 神はエジプトでもろもろのしるしをおこない、ゾアンの野でもろもろの奇跡をおこない、 + 彼らの川を血に変らせて、その流れを飲むことができないようにされた。 + 神ははえの群れを彼らのうちに送って彼らを食わせ、かえるを送って彼らを滅ぼされた。 + また神は彼らの作物を青虫にわたし、彼らの勤労の実をいなごにわたされた。 + 神はひょうをもって彼らのぶどうの木を枯らし、霜をもって彼らのいちじく桑の木を枯らされた。 + 神は彼らの家畜をひょうにわたし、彼らの群れを燃えるいなずまにわたされた。 + 神は彼らの上に激しい怒りと、憤りと、恨みと、悩みと、滅ぼす天使の群れとを放たれた。 + 神はその怒りのために道を設け、彼らの魂を死から免れさせず、そのいのちを疫病にわたされた。 + 神はエジプトですべてのういごを撃ち、ハムの天幕で彼らの力の初めの子を撃たれた。 + こうして神はおのれの民を羊のように引き出し、彼らを荒野で羊の群れのように導き、 + 彼らを安らかに導かれたので彼らは恐れることがなかった。しかし海は彼らの敵をのみつくした。 + 神は彼らをその聖地に伴い、その右の手をもって獲たこの山に伴いこられた。 + 神は彼らの前からもろもろの国民を追い出し、その地を分けて嗣業とし、イスラエルの諸族を彼らの天幕に住まわせられた。 + しかし彼らはいと高き神を試み、これにそむいて、そのもろもろのあかしを守らず、 + そむき去って、先祖たちのように真実を失い、狂った弓のようにねじれた。 + 彼らは高き所を設けて神を怒らせ、刻んだ像をもって神のねたみを起した。 + 神は聞いて大いに怒り、イスラエルを全くしりぞけられた。 + 神は人々のなかに設けた幕屋なるシロのすまいを捨て、 + その力をとりことならせ、その栄光をあだの手にわたされた。 + 神はその民をつるぎにわたし、その嗣業にむかって大いなる怒りをもらされた。 + 火は彼らの若者たちを焼きつくし、彼らのおとめたちは婚姻の歌を失い、 + 彼らの祭司たちはつるぎによって倒れ、彼らのやもめたちは嘆き悲しむことさえしなかった。 + そのとき主は眠った者のさめたように、勇士が酒によって叫ぶように目をさまして、 + そのあだを撃ち退け、とこしえの恥を彼らに負わせられた。 + 神はヨセフの天幕をしりぞけ、エフライムの部族を選ばず、 + ユダの部族を選び、神の愛するシオンの山を選ばれた。 + 神はその聖所を高い天のように建て、とこしえに基を定められた地のように建てられた。 + 神はそのしもべダビデを選んで、羊のおりから取り、 + 乳を与える雌羊の番をするところからつれて来て、その民ヤコブ、その嗣業イスラエルの牧者とされた。 + こうして彼は直き心をもって彼らを牧し、巧みな手をもって彼らを導いた。 + + + 神よ、もろもろの異邦人はあなたの嗣業の地を侵し、あなたの聖なる宮をけがし、エルサレムを荒塚としました。 + 彼らはあなたのしもべのしかばねを空の鳥に与えてえさとし、あなたの聖徒の肉を地の獣に与え、 + その血をエルサレムのまわりに水のように流し、これを葬る人がありませんでした。 + われらは隣り人にそしられ、まわりの人々に侮られ、あざけられる者となりました。 + 主よ、いつまでなのですか。とこしえにお怒りになられるのですか。あなたのねたみは火のように燃えるのですか。 + どうか、あなたを知らない異邦人と、あなたの名を呼ばない国々の上にあなたの怒りを注いでください。 + 彼らはヤコブを滅ぼし、そのすみかを荒したからです。 + われらの先祖たちの不義をみこころにとめられず、あわれみをもって、すみやかにわれらを迎えてください。われらは、はなはだしく低くされたからです。 + われらの救の神よ、み名の栄光のためにわれらを助け、み名のためにわれらを救い、われらの罪をおゆるしください。 + どうして異邦人は言うのでしょう、「彼らの神はどこにいるのか」と。あなたのしもべらの流された血の報いをわれらのまのあたりになして、異邦人に知らせてください。 + 捕われ人の嘆きをあなたのみ前にいたらせ、あなたの大いなる力により、死に定められた者を守りながらえさせてください。 + 主よ、われらの隣り人があなたをそしったそしりを七倍にして彼らのふところに報い返してください。 + そうすれば、あなたの民、あなたの牧の羊は、とこしえにあなたに感謝し、世々あなたをほめたたえるでしょう。 + + + イスラエルの牧者よ、羊の群れのようにヨセフを導かれる者よ、耳を傾けてください。ケルビムの上に座せられる者よ、光を放ってください。 + エフライム、ベニヤミン、マナセの前にあなたの力を振り起し、来て、われらをお救いください。 + 神よ、われらをもとに返し、み顔の光を照してください。そうすればわれらは救をえるでしょう。 + 万軍の神、主よ、いつまで、その民の祈にむかってお怒りになるのですか。 + あなたは涙のパンを彼らに食わせ、多くの涙を彼らに飲ませられました。 + あなたはわれらを隣り人のあざけりとし、われらの敵はたがいにあざわらいました。 + 万軍の神よ、われらをもとに返し、われらの救われるため、み顔の光を照してください。 + あなたは、ぶどうの木をエジプトから携え出し、もろもろの国民を追い出して、これを植えられました。 + あなたはこれがために地を開かれたので、深く根ざして、国にはびこりました。 + 山々はその影でおおわれ、神の香柏はその枝でおおわれました。 + これはその枝を海にまでのべ、その若枝を大川にまでのべました。 + あなたは何ゆえ、そのかきをくずして道ゆくすべての人にその実を摘み取らせられるのですか。 + 林のいのししはこれを荒し、野のすべての獣はこれを食べます。 + 万軍の神よ、再び天から見おろして、このぶどうの木をかえりみてください。 + あなたの右の手の植えられた幹と、みずからのために強くされた枝とをかえりみてください。 + 彼らは火をもってこれを焼き、これを切り倒しました。彼らをみ顔のとがめによって滅ぼしてください。 + しかしあなたの手をその右の手の人の上におき、みずからのために強くされた人の子の上においてください。 + そうすれば、われらはあなたを離れ退くことはありません。われらを生かしてください。われらはあなたのみ名を呼びます。 + 万軍の神、主よ、われらをもとに返し、み顔の光を照してください。そうすればわれらは救をえるでしょう。 + + + われらの力なる神にむかって高らかに歌え。ヤコブの神にむかって喜びの声をあげよ。 + 歌をうたい、鼓を打て。良い音の琴と立琴とをかきならせ。 + 新月と満月とわれらの祭の日とにラッパを吹きならせ。 + これはイスラエルの定め、ヤコブの神のおきてである。 + 神が出てエジプトの国を攻められたとき、ヨセフのなかにこれを立てて、あかしとされた。わたしはかしこでまだ知らなかった言葉を聞いた、 + 「わたしはあなたの肩から重荷をのぞき、あなたの手をかごから免れさせた。 + あなたが悩んだとき、呼ばわったのでわたしはあなたを救った。わたしは雷の隠れた所で、あなたに答え、メリバの水のほとりで、あなたを試みた。 [セラ + わが民よ、聞け、わたしはあなたに勧告する。イスラエルよ、あなたがわたしに聞き従うことを望む。 + あなたのうちに他の神があってはならない。あなたは外国の神を拝んではならない。 + わたしはエジプトの国から、あなたをつれ出したあなたの神、主である。あなたの口を広くあけよ、わたしはそれを満たそう。 + しかしわが民はわたしの声に聞き従わず、イスラエルはわたしを好まなかった。 + それゆえ、わたしは彼らをそのかたくなな心にまかせ、その思いのままに行くにまかせた。 + わたしはわが民のわたしに聞き従い、イスラエルのわが道に歩むことを欲する。 + わたしはすみやかに彼らの敵を従え、わが手を彼らのあだに向けよう。 + 主を憎む者も彼らに恐れ従い、彼らの時はとこしえに続くであろう。 + わたしは麦の最も良いものをもってあなたを養い、岩から出た蜜をもってあなたを飽かせるであろう」。 + + + 神は神の会議のなかに立たれる。神は神々のなかで、さばきを行われる。 + 「あなたがたはいつまで不正なさばきをなし、悪しき者に好意を示すのか。 [セラ + 弱い者と、みなしごとを公平に扱い、苦しむ者と乏しい者の権利を擁護せよ。 + 弱い者と貧しい者を救い、彼らを悪しき者の手から助け出せ」。 + 彼らは知ることなく、悟ることもなくて、暗き中をさまよう。地のもろもろの基はゆり動いた。 + わたしは言う、「あなたがたは神だ、あなたがたは皆いと高き者の子だ。 + しかし、あなたがたは人のように死に、もろもろの君のひとりのように倒れるであろう」。 + 神よ、起きて、地をさばいてください。すべての国民はあなたのものだからです。 + + + 神よ、沈黙を守らないでください。神よ、何も言わずに、黙っていないでください。 + 見よ、あなたの敵は騒ぎたち、あなたを憎む者は頭をあげました。 + 彼らはあなたの民にむかって巧みなはかりごとをめぐらし、あなたの保護される者にむかって相ともに計ります。 + 彼らは言います、「さあ、彼らを断ち滅ぼして国を立てさせず、イスラエルの名をふたたび思い出させないようにしよう」。 + 彼らは心をひとつにして共にはかり、あなたに逆らって契約を結びます。 + すなわちエドムの天幕に住む者とイシマエルびと、モアブとハガルびと、 + ゲバルとアンモンとアマレク、ペリシテとツロの住民などです。 + アッスリヤもまた彼らにくみしました。彼らはロトの子孫を助けました。 [セラ + あなたがミデアンにされたように、キション川でシセラとヤビンにされたように、彼らにしてください。 + 彼らはエンドルで滅ぼされ、地のために肥料となりました。 + 彼らの貴人をオレブとゼエブのように、そのすべての君たちをゼバとザルムンナのようにしてください。 + 彼らは言いました、「われらは神の牧場を獲て、われらの所有にしよう」と。 + わが神よ、彼らを巻きあげられるちりのように、風の前のもみがらのようにしてください。 + 林を焼く火のように、山を燃やす炎のように、 + あなたのはやてをもって彼らを追い、つむじかぜをもって彼らを恐れさせてください。 + 彼らの顔に恥を満たしてください。主よ、そうすれば彼らはあなたの名を求めるでしょう。 + 彼らをとこしえに恥じ恐れさせ、あわて惑って滅びうせさせてください。 + 主という名をおもちになるあなたのみ、全地をしろしめすいと高き者であることを彼らに知らせてください。 + + + 万軍の主よ、あなたのすまいはいかに麗しいことでしょう。 + わが魂は絶えいるばかりに主の大庭を慕い、わが心とわが身は生ける神にむかって喜び歌います。 + すずめがすみかを得、つばめがそのひなをいれる巣を得るように、万軍の主、わが王、わが神よ、あなたの祭壇のかたわらにわがすまいを得させてください。 + あなたの家に住み、常にあなたをほめたたえる人はさいわいです。 [セラ + その力があなたにあり、その心がシオンの大路にある人はさいわいです。 + 彼らはバカの谷を通っても、そこを泉のある所とします。また前の雨は池をもってそこをおおいます。 + 彼らは力から力に進み、シオンにおいて神々の神にまみえるでしょう。 + 万軍の神、主よ、わが祈をおききください。ヤコブの神よ、耳を傾けてください。 [セラ + 神よ、われらの盾をみそなわし、あなたの油そそがれた者の顔をかえりみてください。 + あなたの大庭にいる一日は、よそにいる千日にもまさるのです。わたしは悪の天幕にいるよりは、むしろ、わが神の家の門守となることを願います。 + 主なる神は日です、盾です。主は恵みと誉とを与え、直く歩む者に良い物を拒まれることはありません。 + 万軍の主よ、あなたに信頼する人はさいわいです。 + + + 主よ、あなたはみ国にめぐみを示し、ヤコブの繁栄を回復されました。 + あなたはその民の不義をゆるし、彼らの罪をことごとくおおわれました。 [セラ + あなたはすべての怒りを捨て、激しい憤りを遠ざけられました。 + われらの救の神よ、われらを回復し、われらに対するあなたの憤りをおやめください。 + あなたはとこしえにわれらを怒り、よろずよまで、あなたの怒りを延ばされるのですか。 + あなたの民が、あなたによって喜びを得るため、われらを再び生かされないのですか。 + 主よ、あなたのいつくしみをわれらに示し、あなたの救をわれらに与えてください。 + わたしは主なる神の語られることを聞きましょう。主はその民、その聖徒、ならびにその心を主に向ける者に、平和を語られるからです。 + まことに、その救は神を恐れる者に近く、その栄光はわれらの国にとどまるでしょう。 + いつくしみと、まこととは共に会い、義と平和とは互に口づけし、 + まことは地からはえ、義は天から見おろすでしょう。 + 主が良い物を与えられるので、われらの国はその産物を出し、 + 義は主のみ前に行き、その足跡を道とするでしょう。 + + + 主よ、あなたの耳を傾けて、わたしにお答えください。わたしは苦しみかつ乏しいからです。 + わたしのいのちをお守りください。わたしは神を敬う者だからです。あなたに信頼するあなたのしもべをお救いください。あなたはわたしの神です。 + 主よ、わたしをあわれんでください。わたしはひねもすあなたに呼ばわります。 + あなたのしもべの魂を喜ばせてください。主よ、わが魂はあなたを仰ぎ望みます。 + 主よ、あなたは恵みふかく、寛容であって、あなたに呼ばわるすべての者にいつくしみを豊かに施されます。 + 主よ、わたしの祈に耳を傾け、わたしの願いの声をお聞きください。 + わたしの悩みの日にわたしはあなたに呼ばわります。あなたはわたしに答えられるからです。 + 主よ、もろもろの神のうちにあなたに等しい者はなく、また、あなたのみわざに等しいものはありません。 + 主よ、あなたが造られたすべての国民はあなたの前に来て、伏し拝み、み名をあがめるでしょう。 + あなたは大いなる神で、くすしきみわざをなされます。ただあなたのみ、神でいらせられます。 + 主よ、あなたの道をわたしに教えてください。わたしはあなたの真理に歩みます。心をひとつにしてみ名を恐れさせてください。 + わが神、主よ、わたしは心をつくしてあなたに感謝し、とこしえに、み名をあがめるでしょう。 + わたしに示されたあなたのいつくしみは大きく、わが魂を陰府の深い所から助け出されたからです。 + 神よ、高ぶる者はわたしに逆らって起り、荒ぶる者の群れはわたしのいのちを求め、彼らは自分の前にあなたを置くことをしません。 + しかし主よ、あなたはあわれみと恵みに富み、怒りをおそくし、いつくしみと、まこととに豊かな神でいらせられます。 + わたしをかえりみ、わたしをあわれみ、あなたのしもべにみ力を与え、あなたのはしための子をお救いください。 + わたしに、あなたの恵みのしるしをあらわしてください。そうすれば、わたしを憎む者どもはわたしを見て恥じるでしょう。主よ、あなたはわたしを助け、わたしを慰められたからです。 + + + 主が基をすえられた都は聖なる山の上に立つ。 + 主はヤコブのすべてのすまいにまさって、シオンのもろもろの門を愛される。 + 神の都よ、あなたについて、もろもろの栄光ある事が語られる。 [セラ + わたしはラハブとバビロンをわたしを知る者のうちに挙げる。ペリシテ、ツロ、またエチオピヤを見よ。「この者はかしこに生れた」と言われる。 + しかしシオンについては「この者も、かの者もその中に生れた」と言われる。いと高き者みずからシオンを堅く立てられるからである。 + 主がもろもろの民を登録されるとき、「この者はかしこに生れた」としるされる。 [セラ + 歌う者と踊る者はみな言う、「わがもろもろの泉はあなたのうちにある」と。 + + + わが神、主よ、わたしは昼、助けを呼び求め、夜、み前に叫び求めます。 + わたしの祈をみ前にいたらせ、わたしの叫びに耳を傾けてください。 + わたしの魂は悩みに満ち、わたしのいのちは陰府に近づきます。 + わたしは穴に下る者のうちに数えられ、力のない人のようになりました。 + すなわち死人のうちに捨てられた者のように、墓に横たわる殺された者のように、あなたが再び心にとめられない者のようになりました。彼らはあなたのみ手から断ち滅ぼされた者です。 + あなたはわたしを深い穴、暗い所、深い淵に置かれました。 + あなたの怒りはわたしの上に重く、あなたはもろもろの波をもってわたしを苦しめられました。 [セラ + あなたはわが知り人をわたしから遠ざけ、わたしを彼らの忌みきらう者とされました。わたしは閉じこめられて、のがれることはできません。 + わたしの目は悲しみによって衰えました。主よ、わたしは日ごとにあなたを呼び、あなたにむかってわが両手を伸べました。 + あなたは死んだ者のために奇跡を行われるでしょうか。なき人のたましいは起きあがってあなたをほめたたえるでしょうか。 [セラ + あなたのいつくしみは墓のなかに、あなたのまことは滅びのなかに、宣べ伝えられるでしょうか。 + あなたの奇跡は暗やみに、あなたの義は忘れの国に知られるでしょうか。 + しかし主よ、わたしはあなたに呼ばわります。あしたに、わが祈をあなたのみ前にささげます。 + 主よ、なぜ、あなたはわたしを捨てられるのですか。なぜ、わたしにみ顔を隠されるのですか。 + わたしは若い時から苦しんで死ぬばかりです。あなたの脅しにあって衰えはてました。 + あなたの激しい怒りがわたしを襲い、あなたの恐ろしい脅しがわたしを滅ぼしました。 + これらの事がひねもす大水のようにわたしをめぐり、わたしを全く取り巻きました。 + あなたは愛する者と友とをわたしから遠ざけ、わたしの知り人を暗やみにおかれました。 + + + 主よ、わたしはとこしえにあなたのいつくしみを歌い、わたしの口をもってあなたのまことをよろずよに告げ知らせます。 + あなたのいつくしみはとこしえに堅く立ち、あなたのまことは天のようにゆるぐことはありません。 + あなたは言われました、「わたしはわたしの選んだ者と契約を結び、わたしのしもべダビデに誓った、 + 『わたしはあなたの子孫をとこしえに堅くし、あなたの王座を建てて、よろずよに至らせる』」。 [セラ + 主よ、もろもろの天にあなたのくすしきみわざをほめたたえさせ、聖なる者のつどいで、あなたのまことをほめたたえさせてください。 + 大空のうちに、だれか主と並ぶものがあるでしょうか。神の子らのうちに、だれか主のような者があるでしょうか。 + 主は聖なる者の会議において恐るべき神、そのまわりにあるすべての者にまさって大いなる恐るべき者です。 + 万軍の神、主よ、主よ、だれかあなたのように大能のある者があるでしょうか。あなたのまことは、あなたをめぐっています。 + あなたは海の荒れるのを治め、その波の起るとき、これを静められます。 + あなたはラハブを、殺された者のように打ち砕き、あなたの敵を力ある腕をもって散らされました。 + もろもろの天はあなたのもの、地もまたあなたのもの、世界とその中にあるものとはあなたがその基をおかれたものです。 + 北と南はあなたがこれを造られました。タボルとヘルモンは、み名を喜び歌います。 + あなたは大能の腕をもたれます。あなたの手は強く、あなたの右の手は高く、 + 義と公平はあなたのみくらの基、いつくしみと、まことはあなたの前に行きます。 + 祭の日の喜びの声を知る民はさいわいです。主よ、彼らはみ顔の光のなかを歩み、 + ひねもす、み名によって喜び、あなたの義をほめたたえます。 + あなたは彼らの力の栄光だからです。われらの角はあなたの恵みによって高くあげられるでしょう。 + われらの盾は主に属し、われらの王はイスラエルの聖者に属します。 + 昔あなたは幻をもってあなたの聖徒に告げて言われました、「わたしは勇士に栄冠を授け、民の中から選ばれた者を高くあげた。 + わたしはわがしもべダビデを得て、これにわが聖なる油をそそいだ。 + わが手は常に彼と共にあり、わが腕はまた彼を強くする。 + 敵は彼をだますことなく、悪しき者は彼を卑しめることはない。 + わたしは彼の前にもろもろのあだを打ち滅ぼし、彼を憎む者どもを打ち倒す。 + わがまことと、わがいつくしみは彼と共にあり、わが名によって彼の角は高くあげられる。 + わたしは彼の手を海の上におき、彼の右の手を川の上におく。 + 彼はわたしにむかい『あなたはわが父、わが神、わが救の岩』と呼ぶであろう。 + わたしはまた彼をわがういごとし、地の王たちのうちの最も高い者とする。 + わたしはとこしえに、わがいつくしみを彼のために保ち、わが契約は彼のために堅く立つ。 + わたしは彼の家系をとこしえに堅く定め、その位を天の日数のようにながらえさせる。 + もしその子孫がわがおきてを捨て、わがさばきに従って歩まないならば、 + もし彼らがわが定めを犯し、わが戒めを守らないならば、 + わたしはつえをもって彼らのとがを罰し、むちをもって彼らの不義を罰する。 + しかし、わたしはわがいつくしみを彼から取り去ることなく、わがまことにそむくことはない。 + わたしはわが契約を破ることなく、わがくちびるから出た言葉を変えることはない。 + わたしはひとたびわが聖によって誓った。わたしはダビデに偽りを言わない。 + 彼の家系はとこしえに続き、彼の位は太陽のように常にわたしの前にある。 + また月のようにとこしえに堅く定められ、大空の続くかぎり堅く立つ」。 [セラ + しかしあなたは、あなたの油そそがれた者を捨ててしりぞけ、彼に対して激しく怒られました。 + あなたはそのしもべとの契約を廃棄し、彼の冠を地になげうって、けがされました。 + あなたはその城壁をことごとくこわし、そのとりでを荒れすたれさせられました。 + そこを通り過ぎる者は皆彼をかすめ、彼はその隣り人のあざけりとなりました。 + あなたは彼のあだの右の手を高くあげ、そのもろもろの敵を喜ばせられました。 + まことに、あなたは彼のつるぎの刃をかえして、彼を戦いに立たせられなかったのです。 + あなたは彼の手から王のつえを取り去り、その王座を地に投げすてられました。 + あなたは彼の若き日をちぢめ、恥をもって彼をおおわれました。 [セラ + 主よ、いつまでなのですか。とこしえにお隠れになるのですか。あなたの怒りはいつまで火のように燃えるのですか。 + 主よ、人のいのちの、いかに短く、すべての人の子を、いかにはかなく造られたかを、みこころにとめてください。 + だれか生きて死を見ず、その魂を陰府の力から救いうるものがあるでしょうか。 [セラ + 主よ、あなたがまことをもってダビデに誓われた昔のいつくしみはどこにありますか。 + + 主よ、あなたのしもべがうけるはずかしめをみこころにとめてください。主よ、あなたのもろもろの敵はわたしをそしり、あなたの油そそがれた者の足跡をそしります。わたしはもろもろの民のそしりをわたしのふところにいだいているのです。 + 主はとこしえにほむべきかな。アァメン、アァメン。 + + + 主よ、あなたは世々われらのすみかでいらせられる。 + 山がまだ生れず、あなたがまだ地と世界とを造られなかったとき、とこしえからとこしえまで、あなたは神でいらせられる。 + あなたは人をちりに帰らせて言われます、「人の子よ、帰れ」と。 + あなたの目の前には千年も過ぎ去ればきのうのごとく、夜の間のひと時のようです。 + あなたは人を大水のように流れ去らせられます。彼らはひと夜の夢のごとく、あしたにもえでる青草のようです。 + あしたにもえでて、栄えるが、夕べには、しおれて枯れるのです。 + われらはあなたの怒りによって消えうせ、あなたの憤りによって滅び去るのです。 + あなたはわれらの不義をみ前におき、われらの隠れた罪をみ顔の光のなかにおかれました。 + われらのすべての日は、あなたの怒りによって過ぎ去り、われらの年の尽きるのは、ひと息のようです。 + われらのよわいは七十年にすぎません。あるいは健やかであっても八十年でしょう。しかしその一生はただ、ほねおりと悩みであって、その過ぎゆくことは速く、われらは飛び去るのです。 + だれがあなたの怒りの力を知るでしょうか。だれがあなたをおそれる恐れにしたがってあなたの憤りを知るでしょうか。 + われらにおのが日を数えることを教えて、知恵の心を得させてください。 + 主よ、み心を変えてください。いつまでお怒りになるのですか。あなたのしもべをあわれんでください。 + あしたに、あなたのいつくしみをもってわれらを飽き足らせ、世を終るまで喜び楽しませてください。 + あなたがわれらを苦しめられた多くの日と、われらが災にあった多くの年とに比べて、われらを楽しませてください。 + あなたのみわざを、あなたのしもべらに、あなたの栄光を、その子らにあらわしてください。 + われらの神、主の恵みを、われらの上にくだし、われらの手のわざを、われらの上に栄えさせてください。われらの手のわざを栄えさせてください。 + + + いと高き者のもとにある隠れ場に住む人、全能者の陰にやどる人は + 主に言うであろう、「わが避け所、わが城、わが信頼しまつるわが神」と。 + 主はあなたをかりゅうどのわなと、恐ろしい疫病から助け出されるからである。 + 主はその羽をもって、あなたをおおわれる。あなたはその翼の下に避け所を得るであろう。そのまことは大盾、また小盾である。 + あなたは夜の恐ろしい物をも、昼に飛んでくる矢をも恐れることはない。 + また暗やみに歩きまわる疫病をも、真昼に荒す滅びをも恐れることはない。 + たとい千人はあなたのかたわらに倒れ、万人はあなたの右に倒れても、その災はあなたに近づくことはない。 + あなたはただ、その目をもって見、悪しき者の報いを見るだけである。 + あなたは主を避け所とし、いと高き者をすまいとしたので、 + 災はあなたに臨まず、悩みはあなたの天幕に近づくことはない。 + これは主があなたのために天使たちに命じて、あなたの歩むすべての道であなたを守らせられるからである。 + 彼らはその手で、あなたをささえ、石に足を打ちつけることのないようにする。 + あなたはししと、まむしとを踏み、若いししと、へびとを足の下に踏みにじるであろう。 + 彼はわたしを愛して離れないゆえに、わたしは彼を助けよう。彼はわが名を知るゆえに、わたしは彼を守る。 + 彼がわたしを呼ぶとき、わたしは彼に答える。わたしは彼の悩みのときに、共にいて、彼を救い、彼に光栄を与えよう。 + わたしは長寿をもって彼を満ち足らせ、わが救を彼に示すであろう。 + + + いと高き者よ、主に感謝し、み名をほめたたえるのは、よいことです。 + あしたに、あなたのいつくしみをあらわし、夜な夜な、あなたのまことをあらわすために、 + 十弦の楽器と立琴を用い、琴のたえなる調べを用いるのは、よいことです。 + 主よ、あなたはみわざをもってわたしを楽しませられました。わたしはあなたのみ手のわざを喜び歌います。 + 主よ、あなたのみわざはいかに大いなることでしょう。あなたのもろもろの思いは、いとも深く、 + 鈍い者は知ることができず、愚かな者はこれを悟ることができません。 + たとい、悪しき者は草のようにもえいで、不義を行う者はことごとく栄えても、彼らはとこしえに滅びに定められているのです。 + しかし、主よ、あなたはとこしえに高き所にいらせられます。 + 主よ、あなたの敵、あなたの敵は滅び、不義を行う者はことごとく散らされるでしょう。 + しかし、あなたはわたしの角を野牛の角のように高くあげ、新しい油をわたしに注がれました。 + わたしの目はわが敵の没落を見、わたしの耳はわたしを攻める悪者どもの破滅を聞きました。 + 正しい者はなつめやしの木のように栄え、レバノンの香柏のように育ちます。 + 彼らは主の家に植えられ、われらの神の大庭に栄えます。 + 彼らは年老いてなお実を結び、いつも生気に満ち、青々として、 + 主の正しいことを示すでしょう。主はわが岩です。主には少しの不義もありません。 + + + 主は王となり、威光の衣をまとわれます。主は衣をまとい、力をもって帯とされます。まことに、世界は堅く立って、動かされることはありません。 + あなたの位はいにしえより堅く立ち、あなたはとこしえよりいらせられます。 + 主よ、大水は声をあげました。大水はその声をあげました。大水はそのとどろく声をあげます。 + 主は高き所にいらせられて、その勢いは多くの水のとどろきにまさり、海の大波にまさって盛んです。 + あなたのあかしはいとも確かです。主よ、聖なることはとこしえまでもあなたの家にふさわしいのです。 + + + あだを報いられる神、主よ、あだを報いられる神よ、光を放ってください。 + 地をさばかれる者よ、立って高ぶる者にその受くべき罰をお与えください。 + 主よ、悪しき者はいつまで、悪しき者はいつまで勝ち誇るでしょうか。 + 彼らは高慢な言葉を吐き散らし、すべて不義を行う者はみずから高ぶります。 + 主よ、彼らはあなたの民を打ち砕き、あなたの嗣業を苦しめます。 + 彼らはやもめと旅びとのいのちをうばい、みなしごを殺します。 + 彼らは言います、「主は見ない、ヤコブの神は悟らない」と。 + 民のうちの鈍き者よ、悟れ。愚かな者よ、いつ賢くなるだろうか。 + 耳を植えた者は聞くことをしないだろうか、目を造った者は見ることをしないだろうか。 + もろもろの国民を懲らす者は罰することをしないだろうか、人を教える者は知識をもたないだろうか。 + 主は人の思いの、むなしいことを知られる。 + 主よ、あなたによって懲らされる人、あなたのおきてを教えられる人はさいわいです。 + あなたはその人を災の日からのがれさせ、悪しき者のために穴が掘られるまでその人に平安を与えられます。 + 主はその民を捨てず、その嗣業を見捨てられないからです。 + さばきは正義に帰り、すべて心の正しい者はそれに従うでしょう。 + だれがわたしのために立ちあがって、悪しき者を責めるだろうか。だれがわたしのために立って、不義を行う者を責めるだろうか。 + もしも主がわたしを助けられなかったならば、わが魂はとくに音なき所に住んだであろう。 + しかし「わたしの足がすべる」と思ったとき、主よ、あなたのいつくしみはわたしをささえられました。 + わたしのうちに思い煩いの満ちるとき、あなたの慰めはわが魂を喜ばせます。 + 定めをもって危害をたくらむ悪しき支配者はあなたと親しむことができるでしょうか。 + 彼らは相結んで正しい人の魂を責め、罪のない者に死を宣告します。 + しかし主はわが高きやぐらとなり、わが神はわが避け所の岩となられました。 + 主は彼らの不義を彼らに報い、彼らをその悪のゆえに滅ぼされます。われらの神、主は彼らを滅ぼされます。 + + + さあ、われらは主にむかって歌い、われらの救の岩にむかって喜ばしい声をあげよう。 + われらは感謝をもって、み前に行き、主にむかい、さんびの歌をもって、喜ばしい声をあげよう。 + 主は大いなる神、すべての神にまさって大いなる王だからである。 + 地の深い所は主のみ手にあり、山々の頂もまた主のものである。 + 海は主のもの、主はこれを造られた。またそのみ手はかわいた地を造られた。 + さあ、われらは拝み、ひれ伏し、われらの造り主、主のみ前にひざまずこう。 + 主はわれらの神であり、われらはその牧の民、そのみ手の羊である。どうか、あなたがたは、きょう、そのみ声を聞くように。 + あなたがたは、メリバにいた時のように、また荒野のマッサにいた日のように、心をかたくなにしてはならない。 + あの時、あなたがたの先祖たちはわたしのわざを見たにもかかわらず、わたしを試み、わたしをためした。 + わたしは四十年の間、その代をきらって言った、「彼らは心の誤っている民であって、わたしの道を知らない」と。 + それゆえ、わたしは憤って、彼らはわが安息に入ることができないと誓った。 + + + 新しい歌を主にむかってうたえ。全地よ、主にむかってうたえ。 + 主にむかって歌い、そのみ名をほめよ。日ごとにその救を宣べ伝えよ。 + もろもろの国の中にその栄光をあらわし、もろもろの民の中にそのくすしきみわざをあらわせ。 + 主は大いなる神であって、いともほめたたうべきもの、もろもろの神にまさって恐るべき者である。 + もろもろの民のすべての神はむなしい。しかし主はもろもろの天を造られた。 + 誉と、威厳とはそのみ前にあり、力と、うるわしさとはその聖所にある。 + もろもろの民のやからよ、主に帰せよ、栄光と力とを主に帰せよ。 + そのみ名にふさわしい栄光を主に帰せよ。供え物を携えてその大庭にきたれ。 + 聖なる装いをして主を拝め、全地よ、そのみ前におののけ。 + もろもろの国民の中に言え、「主は王となられた。世界は堅く立って、動かされることはない。主は公平をもってもろもろの民をさばかれる」と。 + 天は喜び、地は楽しみ、海とその中に満ちるものとは鳴りどよめき、 + 田畑とその中のすべての物は大いに喜べ。そのとき、林のもろもろの木も主のみ前に喜び歌うであろう。 + 主は来られる、地をさばくために来られる。主は義をもって世界をさばき、まことをもってもろもろの民をさばかれる。 + + + 主は王となられた。地は楽しみ、海に沿った多くの国々は喜べ。 + 雲と暗やみとはそのまわりにあり、義と正とはそのみくらの基である。 + 火はそのみ前に行き、そのまわりのあだを焼きつくす。 + 主のいなずまは世界を照し、地は見ておののく。 + もろもろの山は主のみ前に、全地の主のみ前に、ろうのように溶けた。 + もろもろの天はその義をあらわし、よろずの民はその栄光を見た。 + すべて刻んだ像を拝む者、むなしい偶像をもってみずから誇る者ははずかしめをうける。もろもろの神は主のみ前にひれ伏す。 + 主よ、あなたのさばきのゆえに、シオンは聞いて喜び、ユダの娘たちは楽しむ。 + 主よ、あなたは全地の上にいまして、いと高く、もろもろの神にまさって大いにあがめられます。 + 主は悪を憎む者を愛し、その聖徒のいのちを守り、これを悪しき者の手から助け出される。 + 光は正しい人のために現れ、喜びは心の正しい者のためにあらわれる。 + 正しき人よ、主によって喜べ、その聖なるみ名に感謝せよ。 + + + 新しき歌を主にむかってうたえ。主はくすしきみわざをなされたからである。その右の手と聖なる腕とは、おのれのために勝利を得られた。 + 主はその勝利を知らせ、その義をもろもろの国民の前にあらわされた。 + 主はそのいつくしみと、まこととをイスラエルの家にむかって覚えられた。地のもろもろのはては、われらの神の勝利を見た。 + 全地よ、主にむかって喜ばしき声をあげよ。声を放って喜び歌え、ほめうたえ。 + 琴をもって主をほめうたえ。琴と歌の声をもってほめうたえ。 + ラッパと角笛の音をもって王なる主の前に喜ばしき声をあげよ。 + 海とその中に満ちるもの、世界とそのうちに住む者とは鳴りどよめけ。 + 大水はその手を打ち、もろもろの山は共に主のみ前に喜び歌え。 + 主は地をさばくために来られるからである。主は義をもって世界をさばき、公平をもってもろもろの民をさばかれる。 + + + 主は王となられた。もろもろの民はおののけ。主はケルビムの上に座せられる。地は震えよ。 + 主はシオンにおられて大いなる神、主はもろもろの民の上に高くいらせられる。 + 彼らはあなたの大いなる恐るべきみ名をほめたたえるであろう。主は聖でいらせられる。 + 大能の王であり、公義を愛する者であるあなたは堅く公平を立て、ヤコブの中に正と義とを行われた。 + われらの神、主をあがめ、その足台のもとで拝みまつれ。主は聖でいらせられる。 + その祭司の中にモーセとアロンとがあった。そのみ名を呼ぶ者の中にサムエルもあった。彼らが主に呼ばわると、主は答えられた。 + 主は雲の柱のうちで彼らに語られた。彼らはそのあかしと、彼らに賜わった定めとを守った。 + われらの神、主よ、あなたは彼らに答えられた。あなたは彼らにゆるしを与えられた神であったが、悪を行う者には報復された。 + われらの神、主をあがめ、その聖なる山で拝みまつれ。われらの神、主は聖でいらせられるからである。 + + + 全地よ、主にむかって喜ばしき声をあげよ。 + 喜びをもって主に仕えよ。歌いつつ、そのみ前にきたれ。 + 主こそ神であることを知れ。われらを造られたものは主であって、われらは主のものである。われらはその民、その牧の羊である。 + 感謝しつつ、その門に入り、ほめたたえつつ、その大庭に入れ。主に感謝し、そのみ名をほめまつれ。 + 主は恵みふかく、そのいつくしみはかぎりなく、そのまことはよろず代に及ぶからである。 + + + わたしはいつくしみと公義について歌います。主よ、わたしはあなたにむかって歌います。 + わたしは全き道に心をとめます。あなたはいつ、わたしに来られるでしょうか。わたしは直き心をもって、わが家のうちを歩みます。 + わたしは目の前に卑しい事を置きません。わたしはそむく者の行いを憎みます。それはわたしに付きまといません。 + ひがんだ心はわたしを離れるでしょう。わたしは悪い事を知りません。 + ひそかに、その隣り人をそしる者をわたしは滅ぼします。高ぶる目と高慢な心の人を耐え忍ぶ事はできません。 + わたしは国のうちの忠信な者に好意を寄せ、わたしと共に住まわせます。全き道を歩む者はわたしに仕えるでしょう。 + 欺くことをする者はわが家のうちに住むことができません。偽りを言う者はわが目の前に立つことができません。 + わたしは朝ごとに国の悪しき者をことごとく滅ぼし、不義を行う者をことごとく主の都から断ち除きます。 + + + 主よ、わたしの祈をお聞きください。わたしの叫びをみ前に至らせてください。 + わたしの悩みの日にみ顔を隠すことなく、あなたの耳をわたしに傾け、わが呼ばわる日に、すみやかにお答えください。 + わたしの日は煙のように消え、わたしの骨は炉のように燃えるからです。 + わたしの心は草のように撃たれて、しおれました。わたしはパンを食べることを忘れました。 + わが嘆きの声によってわたしの骨はわたしの肉に着きます。 + わたしは荒野のはげたかのごとく、荒れた跡のふくろうのようです。 + わたしは眠らずに屋根にひとりいるすずめのようです。 + わたしの敵はひねもす、わたしをそしり、わたしをあざける者はわが名によってのろいます。 + わたしは灰をパンのように食べ、わたしの飲み物に涙を交えました。 + これはあなたの憤りと怒りのゆえです。あなたはわたしをもたげて投げすてられました。 + わたしのよわいは夕暮の日影のようです。わたしは草のようにしおれました。 + しかし主よ、あなたはとこしえにみくらに座し、そのみ名はよろず代に及びます。 + あなたは立ってシオンをあわれまれるでしょう。これはシオンを恵まれる時であり、定まった時が来たからです。 + あなたのしもべはシオンの石をも喜び、そのちりをさえあわれむのです。 + もろもろの国民は主のみ名を恐れ、地のもろもろの王はあなたの栄光を恐れるでしょう。 + 主はシオンを築き、その栄光をもって現れ、 + 乏しい者の祈をかえりみ、彼らの願いをかろしめられないからです。 + きたるべき代のために、この事を書きしるしましょう。そうすれば新しく造られる民は、主をほめたたえるでしょう。 + 主はその聖なる高き所から見おろし、天から地を見られた。 + これは捕われ人の嘆きを聞き、死に定められた者を解き放ち、 + 人々がシオンで主のみ名をあらわし、エルサレムでその誉をあらわすためです。 + その時もろもろの民、もろもろの国はともに集まって、主に仕えるでしょう。 + 主はわたしの力を中途でくじき、わたしのよわいを短くされました。 + わたしは言いました、「わが神よ、どうか、わたしのよわいの半ばでわたしを取り去らないでください。あなたのよわいはよろず代に及びます」と。 + あなたはいにしえ、地の基をすえられました。天もまたあなたのみ手のわざです。 + これらは滅びるでしょう。しかしあなたは長らえられます。これらはみな衣のように古びるでしょう。あなたがこれらを上着のように替えられると、これらは過ぎ去ります。 + しかしあなたは変ることなく、あなたのよわいは終ることがありません。 + あなたのしもべの子らは安らかに住み、その子孫はあなたの前に堅く立てられるでしょう。 + + + わがたましいよ、主をほめよ。わがうちなるすべてのものよ、その聖なるみ名をほめよ。 + わがたましいよ、主をほめよ。そのすべてのめぐみを心にとめよ。 + 主はあなたのすべての不義をゆるし、あなたのすべての病をいやし、 + あなたのいのちを墓からあがないいだし、いつくしみと、あわれみとをあなたにこうむらせ、 + あなたの生きながらえるかぎり、良き物をもってあなたを飽き足らせられる。こうしてあなたは若返って、わしのように新たになる。 + 主はすべてしえたげられる者のために正義と公正とを行われる。 + 主はおのれの道をモーセに知らせ、おのれのしわざをイスラエルの人々に知らせられた。 + 主はあわれみに富み、めぐみふかく、怒ること遅く、いつくしみ豊かでいらせられる。 + 主は常に責めることをせず、また、とこしえに怒りをいだかれない。 + 主はわれらの罪にしたがってわれらをあしらわず、われらの不義にしたがって報いられない。 + 天が地よりも高いように、主がおのれを恐れる者に賜わるいつくしみは大きい、 + 東が西から遠いように、主はわれらのとがをわれらから遠ざけられる。 + 父がその子供をあわれむように、主はおのれを恐れる者をあわれまれる。 + 主はわれらの造られたさまを知り、われらのちりであることを覚えていられるからである。 + 人は、そのよわいは草のごとく、その栄えは野の花にひとしい。 + 風がその上を過ぎると、うせて跡なく、その場所にきいても、もはやそれを知らない。 + しかし主のいつくしみは、とこしえからとこしえまで、主を恐れる者の上にあり、その義は子らの子に及び、 + その契約を守り、その命令を心にとめて行う者にまで及ぶ。 + 主はその玉座を天に堅くすえられ、そのまつりごとはすべての物を統べ治める。 + 主の使たちよ、そのみ言葉の声を聞いて、これを行う勇士たちよ、主をほめまつれ。 + そのすべての万軍よ、そのみこころを行うしもべたちよ、主をほめよ。 + 主が造られたすべての物よ、そのまつりごとの下にあるすべての所で、主をほめよ。わがたましいよ、主をほめよ。 + + + わがたましいよ、主をほめよ。わが神、主よ、あなたはいとも大いにして誉と威厳とを着、 + 光を衣のようにまとい、天を幕のように張り、 + 水の上におのが高殿のうつばりをおき、雲をおのれのいくさ車とし、風の翼に乗りあるき、 + 風をおのれの使者とし、火と炎をおのれのしもべとされる。 + あなたは地をその基の上にすえて、とこしえに動くことのないようにされた。 + あなたはこれを衣でおおうように大水でおおわれた。水はたたえて山々の上を越えた。 + あなたのとがめによって水は退き、あなたの雷の声によって水は逃げ去った。 + 山は立ちあがり、谷はあなたが定められた所に沈んだ。 + あなたは水に境を定めて、これを越えさせず、再び地をおおうことのないようにされた。 + あなたは泉を谷にわき出させ、それを山々の間に流れさせ、 + 野のもろもろの獣に飲ませられる。野のろばもそのかわきをいやす。 + 空の鳥もそのほとりに住み、こずえの間にさえずり歌う。 + あなたはその高殿からもろもろの山に水を注がれる。地はあなたのみわざの実をもって満たされる。 + あなたは家畜のために草をはえさせ、また人のためにその栽培する植物を与えて、地から食物を出させられる。 + すなわち人の心を喜ばすぶどう酒、その顔をつややかにする油、人の心を強くするパンなどである。 + 主の木と、主がお植えになったレバノンの香柏とは豊かに潤され、 + 鳥はその中に巣をつくり、こうのとりはもみの木をそのすまいとする。 + 高き山はやぎのすまい、岩は岩だぬきの隠れる所である。 + あなたは月を造って季節を定められた。日はその入る時を知っている。 + あなたは暗やみを造って夜とされた。その時、林の獣は皆忍び出る。 + 若きししはほえてえさを求め、神に食物を求める。 + 日が出ると退いて、その穴に寝る。 + 人は出てわざにつき、その勤労は夕べに及ぶ。 + 主よ、あなたのみわざはいかに多いことであろう。あなたはこれらをみな知恵をもって造られた。地はあなたの造られたもので満ちている。 + かしこに大いなる広い海がある。その中に無数のもの、大小の生き物が満ちている。 + そこに舟が走り、あなたが造られたレビヤタンはその中に戯れる。 + 彼らは皆あなたが時にしたがって食物をお与えになるのを期待している。 + あなたがお与えになると、彼らはそれを集める。あなたが手を開かれると、彼らは良い物で満たされる。 + あなたがみ顔を隠されると、彼らはあわてふためく。あなたが彼らの息を取り去られると、彼らは死んでちりに帰る。 + あなたが霊を送られると、彼らは造られる。あなたは地のおもてを新たにされる。 + どうか、主の栄光がとこしえにあるように。主がそのみわざを喜ばれるように。 + 主が地を見られると、地は震い、山に触れられると、煙をいだす。 + わたしは生きるかぎり、主にむかって歌い、ながらえる間はわが神をほめ歌おう。 + どうか、わたしの思いが主に喜ばれるように。わたしは主によって喜ぶ。 + どうか、罪びとが地から断ち滅ぼされ、悪しき者が、もはや、いなくなるように。わがたましいよ、主をほめよ。主をほめたたえよ。 + + + 主に感謝し、そのみ名を呼び、そのみわざをもろもろの民のなかに知らせよ。 + 主にむかって歌え、主をほめうたえ、そのすべてのくすしきみわざを語れ。 + その聖なるみ名を誇れ。主を尋ね求める者の心を喜ばせよ。 + 主とそのみ力とを求めよ、つねにそのみ顔を尋ねよ。 + + そのしもべアブラハムの子孫よ、その選ばれた者であるヤコブの子らよ、主のなされたくすしきみわざと、その奇跡と、そのみ口のさばきとを心にとめよ。 + 彼はわれらの神、主でいらせられる。そのさばきは全地にある。 + 主はとこしえに、その契約をみこころにとめられる。これはよろず代に命じられたみ言葉であって、 + アブラハムと結ばれた契約、イサクに誓われた約束である。 + 主はこれを堅く立てて、ヤコブのために定めとし、イスラエルのために、とこしえの契約として + 言われた、「わたしはあなたにカナンの地を与えて、あなたがたの受ける嗣業の分け前とする」と。 + このとき彼らの数は少なくて、数えるに足らず、その所で旅びととなり、 + この国からかの国へ行き、この国から他の民へ行った。 + 主は人の彼らをしえたげるのをゆるさず、彼らのために王たちを懲しめて、 + 言われた、「わが油そそがれた者たちにさわってはならない、わが預言者たちに害を加えてはならない」と。 + 主はききんを地に招き、人のつえとするパンをことごとく砕かれた。 + また彼らの前にひとりをつかわされた。すなわち売られて奴隷となったヨセフである。 + 彼の足は足かせをもって痛められ、彼の首は鉄の首輪にはめられ、 + 彼の言葉の成る時まで、主のみ言葉が彼を試みた。 + 王は人をつかわして彼を解き放ち、民のつかさは彼に自由を与えた。 + 王はその家のつかさとしてその所有をことごとくつかさどらせ、 + その心のままに君たちを教えさせ、長老たちに知恵を授けさせた。 + その時イスラエルはエジプトにきたり、ヤコブはハムの地に寄留した。 + 主はその民を大いに増し加え、これをそのあだよりも強くされた。 + 主は人々の心をかえて、その民を憎ませ、そのしもべたちを悪賢く扱わせられた。 + 主はそのしもべモーセと、そのお選びになったアロンとをつかわされた。 + 彼らはハムの地で主のしるしと、奇跡とを彼らのうちにおこなった。 + 主は暗やみをつかわして地を暗くされた。しかし彼らはそのみ言葉に従わなかった。 + 主は彼らの水を血に変らせて、その魚を殺された。 + 彼らの国には、かえるが群がり、王の寝間にまではいった。 + 主が言われると、はえの群れがきたり、ぶよが国じゅうにあった。 + 主は雨にかえて、ひょうを彼らに与え、きらめくいなずまを彼らの国に放たれた。 + 主は彼らのぶどうの木と、いちじくの木とを撃ち、彼らの国のもろもろの木を折り砕かれた。 + 主が言われると、いなごがきたり、無数の若いいなごが来て、 + 彼らの国のすべての青物を食いつくし、その地の実を食いつくした。 + 主は彼らの国のすべてのういごを撃ち、彼らのすべての力の初めを撃たれた。 + そして金銀を携えてイスラエルを出て行かせられた。その部族のうちに、ひとりの倒れる者もなかった。 + エジプトは彼らの去るのを喜んだ。彼らに対する恐れが彼らに臨んだからである。 + 主は雲をひろげておおいとし、夜は火をもって照された。 + また彼らの求めによって、うずらを飛びきたらせ、天から、かてを豊かに彼らに与えられた。 + 主が岩を開かれると、水がほとばしり出て、かわいた地に川のように流れた。 + これは主がその聖なる約束と、そのしもべアブラハムを覚えられたからである。 + こうして主はその民を導いて喜びつつ出て行かせ、その選ばれた民を導いて歌いつつ出て行かせられた。 + 主はもろもろの国びとの地を彼らに与えられたので、彼らはもろもろの民の勤労の実を自分のものとした。 + これは彼らが主の定めを守り、そのおきてを行うためである。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 + だれが主の大能のみわざを語り、その誉をことごとく言いあらわすことができようか。 + 公正を守る人々、常に正義を行う人はさいわいである。 + 主よ、あなたがその民を恵まれるとき、わたしを覚えてください。あなたが彼らを救われるとき、わたしを助けてください。 + そうすれば、わたしはあなたの選ばれた者の繁栄を見、あなたの国民の喜びをよろこび、あなたの嗣業と共に誇ることができるでしょう。 + われらは先祖たちと同じく罪を犯した。われらは不義をなし、悪しきことを行った。 + われらの先祖たちはエジプトにいたとき、あなたのくすしきみわざに心を留めず、あなたのいつくしみの豊かなのを思わず、紅海で、いと高き神にそむいた。 + けれども主はその大能を知らせようと、み名のために彼らを救われた。 + 主は紅海をしかって、それをかわかし、彼らを導いて荒野を行くように、淵を通らせられた。 + こうして主は彼らをあだの手から救い、敵の力からあがなわれた。 + 水が彼らのあだをおおったので、そのうち、ひとりも生き残った者はなかった。 + このとき彼らはそのみ言葉を信じ、その誉を歌った。 + しかし彼らはまもなくそのみわざを忘れ、その勧めを待たず、 + 野でわがままな欲望を起し、荒野で神を試みた。 + 主は彼らにその求めるものを与えられたが、彼らのうちに病気を送って、やせ衰えさせられた。 + 人々が宿営のうちでモーセをねたみ、主の聖者アロンをねたんだとき、 + 地が開けてダタンを飲み、アビラムの仲間をおおった。 + 火はまたこの仲間のうちに燃え起り、炎は悪しき者を焼きつくした。 + 彼らはホレブで子牛を造り、鋳物の像を拝んだ。 + 彼らは神の栄光を草を食う牛の像と取り替えた。 + + 彼らは、エジプトで大いなる事をなし、ハムの地でくすしきみわざをなし、紅海のほとりで恐るべき事をなされた救主なる神を忘れた。 + それゆえ、主は彼らを滅ぼそうと言われた。しかし主のお選びになったモーセは破れ口で主のみ前に立ち、み怒りを引きかえして、滅びを免れさせた。 + 彼らは麗しい地を侮り、主の約束を信ぜず、 + またその天幕でつぶやき、主のみ声に聞き従わなかった。 + それゆえ、主はみ手をあげて、彼らに誓い、彼らを荒野で倒れさせ、 + またその子孫を、もろもろの国民のうちに追い散らし、もろもろの地に彼らをまき散らそうとされた。 + また彼らはペオルのバアルを慕って、死んだ者にささげた、いけにえを食べた。 + 彼らはそのおこないをもって主を怒らせたので、彼らのうちに疫病が起った。 + その時ピネハスが立って仲裁にはいったので、疫病はやんだ。 + これによってピネハスはよろず代まで、とこしえに義とされた。 + 彼らはまたメリバの水のほとりで主を怒らせたので、モーセは彼らのために災にあった。 + これは彼らが神の霊にそむいたとき、彼がそのくちびるで軽率なことを言ったからである。 + 彼らは主が命じられたもろもろの民を滅ぼさず、 + かえってもろもろの国民とまじってそのわざにならい、 + 自分たちのわなとなった偶像に仕えた。 + 彼らはそのむすこ、娘たちを悪霊にささげ、 + 罪のない血、すなわちカナンの偶像にささげたそのむすこ、娘たちの血を流した。こうして国は血で汚された。 + このように彼らはそのわざによっておのれを汚し、そのおこないによって姦淫をなした。 + それゆえ、主の怒りがその民にむかって燃え、その嗣業を憎んで、 + 彼らをもろもろの国民の手にわたされた。彼らはおのれを憎む者に治められ、 + その敵にしえたげられ、その力の下に征服された。 + 主はしばしば彼らを助けられたが、彼らははかりごとを設けてそむき、その不義によって低くされた。 + それにもかかわらず、主は彼らの叫びを聞かれたとき、その悩みをかえりみ、 + その契約を彼らのために思い出し、そのいつくしみの豊かなるにより、みこころを変えられ、 + 彼らをとりこにした者どもによって、あわれまれるようにされた。 + われらの神、主よ、われらを救って、もろもろの国民のなかから集めてください。われらはあなたの聖なるみ名に感謝し、あなたの誉を誇るでしょう。 + イスラエルの神、主はとこしえからとこしえまでほむべきかな。すべての民は「アァメン」ととなえよ。主をほめたたえよ。 + + + 「主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と、 + 主にあがなわれた者は言え。主は彼らを悩みからあがない、 + もろもろの国から、東、西、北、南から彼らを集められた。 + 彼らは人なき荒野にさまよい、住むべき町にいたる道を見いださなかった。 + 彼らは飢え、またかわき、その魂は彼らのうちに衰えた。 + 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから助け出し、 + 住むべき町に行き着くまで、まっすぐな道に導かれた。 + どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 + 主はかわいた魂を満ち足らせ、飢えた魂を良き物で満たされるからである。 + 暗黒と深いやみの中にいる者、苦しみと、くろがねに縛られた者、 + 彼らは神の言葉にそむき、いと高き者の勧めを軽んじたので、 + 主は重い労働をもって彼らの心を低くされた。彼らはつまずき倒れても、助ける者がなかった。 + 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い、 + 暗黒と深いやみから彼らを導き出して、そのかせをこわされた。 + どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 + 主は青銅のとびらをこわし、鉄の貫の木を断ち切られたからである。 + ある者はその罪に汚れた行いによって病み、その不義のゆえに悩んだ。 + 彼らはすべての食物をきらって、死の門に近づいた。 + 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い、 + そのみ言葉をつかわして、彼らをいやし、彼らを滅びから助け出された。 + どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 + 彼らが感謝のいけにえをささげ、喜びの歌をもって、そのみわざを言いあらわすように。 + 舟で海にくだり、大海で商売をする者は、 + 主のみわざを見、また深い所でそのくすしきみわざを見た。 + 主が命じられると暴風が起って、海の波をあげた。 + 彼らは天にのぼり、淵にくだり、悩みによってその勇気は溶け去り、 + 酔った人のようによろめき、よろめいて途方にくれる。 + 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い出された。 + 主があらしを静められると、海の波は穏やかになった。 + こうして彼らは波の静まったのを喜び、主は彼らをその望む港へ導かれた。 + どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 + 彼らが民の集会で主をあがめ、長老の会合で主をほめたたえるように。 + 主は川を野に変らせ、泉をかわいた地に変らせ、 + 肥えた地をそれに住む者の悪のゆえに塩地に変らせられる。 + 主は野を池に変らせ、かわいた地を泉に変らせ、 + 飢えた者をそこに住まわせられる。こうして彼らはその住むべき町を建て、 + 畑に種をまき、ぶどう畑を設けて多くの収穫を得た。 + 主が彼らを祝福されたので彼らは大いにふえ、その家畜の減るのをゆるされなかった。 + 彼らがしえたげと、悩みと、悲しみとによって減り、かつ卑しめられたとき、 + 主はもろもろの君に侮りをそそぎ、道なき荒れ地にさまよわせられた。 + しかし主は貧しい者を悩みのうちからあげて、その家族を羊の群れのようにされた。 + 正しい者はこれを見て喜び、もろもろの不義はその口を閉じた。 + すべて賢い者はこれらの事に心をよせ、主のいつくしみをさとるようにせよ。 + + + 神よ、わが心は定まりました。わが心は定まりました。わたしは歌い、かつほめたたえます。わが魂よ、さめよ。 + 立琴よ、琴よ、さめよ。わたしはしののめを呼びさまします。 + 主よ、わたしはもろもろの民の中であなたに感謝し、もろもろの国の中であなたをほめたたえます。 + あなたのいつくしみは大きく、天にまでおよびあなたのまことは雲にまで及ぶ。 + 神よ、みずからを天よりも高くし、みさかえを全地の上にあげてください。 + あなたの愛される者が助けを得るために、右のみ手をもって救をほどこし、わたしに答えてください。 + 神はその聖所で言われた、「わたしは大いなる喜びをもってシケムを分かち、スコテの谷を分かち与えよう。 + ギレアデはわたしのもの、マナセもわたしのものである。エフライムはわたしのかぶと、ユダはわたしのつえである。 + モアブはわたしの足だらい、エドムにはわたしのくつを投げる。ペリシテについては、かちどきをあげる」。 + だれがわたしを堅固な町に至らせるであろうか。だれがわたしをエドムに導くであろうか。 + 神よ、あなたはわれらを捨てられたではありませんか。神よ、あなたはわれらの軍勢と共に出て行かれません。 + われらに助けを与えて、あだにむかわせてください。人の助けはむなしいからです。 + われらは神によって勇ましく働きます。われらのあだを踏みにじる者は神だからです。 + + + わたしのほめたたえる神よ、もださないでください。 + 彼らは悪しき口と欺きの口をあけて、わたしにむかい、偽りの舌をもってわたしに語り、 + 恨みの言葉をもってわたしを囲み、ゆえなくわたしを攻めるのです。 + 彼らはわが愛にむくいて、わたしを非難します。しかしわたしは彼らのために祈ります。 + 彼らは悪をもってわが善に報い、恨みをもってわが愛に報いるのです。 + 彼の上に悪しき人を立て、訴える者に彼を訴えさせてください。 + 彼がさばかれるとき、彼を罪ある者とし、その祈を罪に変えてください。 + その日を少なくし、その財産をほかの人にとらせ、 + その子らをみなしごにし、その妻をやもめにしてください。 + その子らを放浪者として施しをこわせ、その荒れたすまいから追い出させてください。 + 彼が持っているすべての物を債主に奪わせ、その勤労の実をほかの人にかすめさせてください。 + 彼にいつくしみを施す者はひとりもなく、またそのみなしごをあわれむ者もなく、 + その子孫を絶えさせ、その名を次の代に消し去ってください。 + その父たちの不義は主のみ前に覚えられ、その母の罪を消し去らないでください。 + それらを常に主のみ前に置き、彼の記憶を地から断ってください。 + これは彼がいつくしみを施すことを思わず、かえって貧しい者、乏しい者を責め、心の痛める者を殺そうとしたからです。 + 彼はのろうことを好んだ。のろいを彼に臨ませてください。彼は恵むことを喜ばなかった。恵みを彼から遠ざけてください。 + 彼はのろいを衣のように着た。のろいを水のようにその身にしみこませ、油のようにその骨にしみこませてください。 + またそれを自分の着る着物のようにならせ、常に締める帯のようにならせてください。 + これがわたしを非難する者と、わたしに逆らって悪いことを言う者の主からうける報いとしてください。 + しかし、わが主なる神よ、あなたはみ名のために、わたしを顧みてください。あなたのいつくしみの深きにより、わたしをお助けください。 + わたしは貧しく、かつ乏しいのです。わたしの心はわがうちに傷ついています。 + わたしは夕日の影のように去りゆき、いなごのように追い払われます。 + わたしのひざは断食によってよろめき、わたしの肉はやせ衰え、 + わたしは彼らにそしられる者となりました。彼らはわたしを見ると、頭を振ります。 + わが神、主よ、わたしをお助けください。あなたのいつくしみにしたがって、わたしをお救いください。 + 主よ、これがあなたのみ手のわざであること、あなたがそれをなされたことを、彼らに知らせてください。 + 彼らはのろうけれども、あなたは祝福されます。わたしを攻める者をはずかしめ、あなたのしもべを喜ばせてください。 + わたしを非難する者にはずかしめを着せ、おのが恥を上着のようにまとわせてください。 + わたしはわが口をもって大いに主に感謝し、多くの人のなかで主をほめたたえます。 + 主は貧しい者の右に立って、死罪にさだめようとする者から彼を救われるからです。 + + + 主はわが主に言われる、「わたしがあなたのもろもろの敵をあなたの足台とするまで、わたしの右に座せよ」と。 + 主はあなたの力あるつえをシオンから出される。あなたはもろもろの敵のなかで治めよ。 + あなたの民は、あなたがその軍勢を聖なる山々に導く日に心から喜んでおのれをささげるであろう。あなたの若者は朝の胎から出る露のようにあなたに来るであろう。 + 主は誓いを立てて、み心を変えられることはない、「あなたはメルキゼデクの位にしたがってとこしえに祭司である」。 + 主はあなたの右におられて、その怒りの日に王たちを打ち破られる。 + 主はもろもろの国のなかでさばきを行い、しかばねをもって満たし、広い地を治める首領たちを打ち破られる。 + 彼は道のほとりの川からくんで飲み、それによって、そのこうべをあげるであろう。 + + + 主をほめたたえよ。わたしは正しい者のつどい、および公会で、心をつくして主に感謝する。 + 主のみわざは偉大である。すべてそのみわざを喜ぶ者によって尋ね窮められる。 + そのみわざは栄光と威厳とに満ち、その義はとこしえに、うせることがない。 + 主はそのくすしきみわざを記念させられた。主は恵みふかく、あわれみに満ちていられる。 + 主はおのれを恐れる者に食物を与え、その契約をとこしえに心にとめられる。 + 主はもろもろの国民の所領をその民に与えて、みわざの力をこれにあらわされた。 + そのみ手のわざは真実かつ公正であり、すべてのさとしは確かである。 + これらは世々かぎりなく堅く立ち、真実と正直とをもってなされた。 + 主はその民にあがないを施し、その契約をとこしえに立てられた。そのみ名は聖にして、おそれおおい。 + 主を恐れることは知恵のはじめである。これを行う者はみな良き悟りを得る。主の誉は、とこしえに、うせることはない。 + + + 主をほめたたえよ。主をおそれて、そのもろもろの戒めを大いに喜ぶ人はさいわいである。 + その子孫は地において強くなり、正しい者のやからは祝福を得る。 + 繁栄と富とはその家にあり、その義はとこしえに、うせることはない。 + 光は正しい者のために暗黒の中にもあらわれる。主は恵み深く、あわれみに満ち、正しくいらせられる。 + 恵みを施し、貸すことをなし、その事を正しく行う人はさいわいである。 + 正しい人は決して動かされることなく、とこしえに覚えられる。 + 彼は悪いおとずれを恐れず、その心は主に信頼してゆるがない。 + その心は落ち着いて恐れることなく、ついにそのあだについての願いを見る。 + 彼は惜しげなく施し、貧しい者に与えた。その義はとこしえに、うせることはない。その角は誉を得てあげられる。 + 悪しき者はこれを見て怒り、歯をかみならして溶け去る。悪しき者の願いは滅びる。 + + + 主をほめたたえよ。主のしもべたちよ、ほめたたえよ。主のみ名をほめたたえよ。 + 今より、とこしえに至るまで主のみ名はほむべきかな。 + 日のいずるところから日の入るところまで、主のみ名はほめたたえられる。 + 主はもろもろの国民の上に高くいらせられ、その栄光は天よりも高い。 + われらの神、主にくらぶべき者はだれか。主は高き所に座し、 + 遠く天と地とを見おろされる。 + 主は貧しい者をちりからあげ、乏しい者をあくたからあげて、 + もろもろの君たちと共にすわらせ、その民の君たちと共にすわらせられる。 + また子を産まぬ女に家庭を与え、多くの子供たちの喜ばしい母とされる。主をほめたたえよ。 + + + イスラエルがエジプトをいで、ヤコブの家が異言の民を離れたとき、 + ユダは主の聖所となり、イスラエルは主の所領となった。 + 海はこれを見て逃げ、ヨルダンはうしろに退き、 + 山は雄羊のように踊り、小山は小羊のように踊った。 + 海よ、おまえはどうして逃げるのか、ヨルダンよ、おまえはどうしてうしろに退くのか。 + 山よ、おまえたちはどうして雄羊のように踊るのか、小山よ、おまえたちはどうして小羊のように踊るのか。 + 地よ、主のみ前におののけ、ヤコブの神のみ前におののけ。 + 主は岩を池に変らせ、石を泉に変らせられた。 + + + 主よ、栄光をわれらにではなく、われらにではなく、あなたのいつくしみと、まこととのゆえに、ただ、み名にのみ帰してください。 + なにゆえ、もろもろの国民は言うのでしょう、「彼らの神はどこにいるのか」と。 + われらの神は天にいらせられる。神はみこころにかなうすべての事を行われる。 + 彼らの偶像はしろがねと、こがねで、人の手のわざである。 + それは口があっても語ることができない。目があっても見ることができない。 + 耳があっても聞くことができない。鼻があってもかぐことができない。 + 手があっても取ることができない。足があっても歩くことができない。また、のどから声を出すこともできない。 + これを造る者と、これに信頼する者とはみな、これと等しい者になる。 + イスラエルよ、主に信頼せよ。主は彼らの助け、また彼らの盾である。 + アロンの家よ、主に信頼せよ。主は彼らの助け、また彼らの盾である。 + 主を恐れる者よ、主に信頼せよ。主は彼らの助け、また彼らの盾である。 + 主はわれらをみこころにとめられた。主はわれらを恵み、イスラエルの家を恵み、アロンの家を恵み、 + また、小さい者も、大いなる者も、主を恐れる者を恵まれる。 + どうか、主があなたがたを増し加え、あなたがたと、あなたがたの子孫とを増し加えられるように。 + 天地を造られた主によってあなたがたが恵まれるように。 + 天は主の天である。しかし地は人の子らに与えられた。 + 死んだ者も、音なき所に下る者も、主をほめたたえることはない。 + しかし、われらは今より、とこしえに至るまで、主をほめまつるであろう。主をほめたたえよ。 + + + わたしは主を愛する。主はわが声と、わが願いとを聞かれたからである。 + 主はわたしに耳を傾けられたので、わたしは生きるかぎり主を呼びまつるであろう。 + 死の綱がわたしを取り巻き、陰府の苦しみがわたしを捕えた。わたしは悩みと悲しみにあった。 + その時わたしは主のみ名を呼んだ。「主よ、どうぞわたしをお救いください」と。 + 主は恵みふかく、正しくいらせられ、われらの神はあわれみに富まれる。 + 主は無学な者を守られる。わたしが低くされたとき、主はわたしを救われた。 + わが魂よ、おまえの平安に帰るがよい。主は豊かにおまえをあしらわれたからである。 + あなたはわたしの魂を死から、わたしの目を涙から、わたしの足をつまずきから助け出されました。 + わたしは生ける者の地で、主のみ前に歩みます。 + 「わたしは大いに悩んだ」と言った時にもなお信じた。 + わたしは驚きあわてたときに言った、「すべての人は当にならぬ者である」と。 + わたしに賜わったもろもろの恵みについて、どうして主に報いることができようか。 + わたしは救の杯をあげて、主のみ名を呼ぶ。 + わたしはすべての民の前で、主にわが誓いをつぐなおう。 + 主の聖徒の死はそのみ前において尊い。 + 主よ、わたしはあなたのしもべです。わたしはあなたのしもべ、あなたのはしための子です。あなたはわたしのなわめを解かれました。 + わたしは感謝のいけにえをあなたにささげて、主のみ名を呼びます。 + わたしはすべての民の前で主にわが誓いをつぐないます。 + エルサレムよ、あなたの中で、主の家の大庭の中で、これをつぐないます。主をほめたたえよ。 + + + もろもろの国よ、主をほめたたえよ。もろもろの民よ、主をたたえまつれ。 + われらに賜わるそのいつくしみは大きいからである。主のまことはとこしえに絶えることがない。主をほめたたえよ。 + + + 主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 + イスラエルは言え、「そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と。 + アロンの家は言え、「そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と。 + 主をおそれる者は言え、「そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と。 + わたしが悩みのなかから主を呼ぶと、主は答えて、わたしを広い所に置かれた。 + 主がわたしに味方されるので、恐れることはない。人はわたしに何をなし得ようか。 + 主はわたしに味方し、わたしを助けられるので、わたしを憎む者についての願いを見るであろう。 + 主に寄り頼むは人にたよるよりも良い。 + 主に寄り頼むはもろもろの君にたよるよりも良い。 + もろもろの国民はわたしを囲んだ。わたしは主のみ名によって彼らを滅ぼす。 + 彼らはわたしを囲んだ、わたしを囲んだ。わたしは主のみ名によって彼らを滅ぼす。 + 彼らは蜂のようにわたしを囲み、いばらの火のように燃えたった。わたしは主のみ名によって彼らを滅ぼす。 + わたしはひどく押されて倒れようとしたが、主はわたしを助けられた。 + 主はわが力、わが歌であって、わが救となられた。 + 聞け、勝利の喜ばしい歌が正しい者の天幕にある。「主の右の手は勇ましいはたらきをなし、 + 主の右の手は高くあがり、主の右の手は勇ましいはたらきをなす」。 + わたしは死ぬことなく、生きながらえて、主のみわざを物語るであろう。 + 主はいたくわたしを懲らされたが、死にはわたされなかった。 + わたしのために義の門を開け、わたしはその内にはいって、主に感謝しよう。 + これは主の門である。正しい者はその内にはいるであろう。 + わたしはあなたに感謝します。あなたがわたしに答えて、わが救となられたことを。 + 家造りらの捨てた石は隅のかしら石となった。 + これは主のなされた事でわれらの目には驚くべき事である。 + これは主が設けられた日であって、われらはこの日に喜び楽しむであろう。 + 主よ、どうぞわれらをお救いください。主よ、どうぞわれらを栄えさせてください。 + 主のみ名によってはいる者はさいわいである。われらは主の家からあなたをたたえます。 + 主は神であって、われらを照された。枝を携えて祭の行列を祭壇の角にまで進ませよ。 + あなたはわが神、わたしはあなたに感謝します。あなたはわが神、わたしはあなたをあがめます。 + 主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 + + + おのが道を全くして、主のおきてに歩む者はさいわいです。 + 主のもろもろのあかしを守り心をつくして主を尋ね求め、 + また悪を行わず、主の道に歩む者はさいわいです。 + あなたはさとしを命じて、ねんごろに守らせられます。 + どうかわたしの道を堅くして、あなたの定めを守らせてください。 + わたしは、あなたのもろもろの戒めに目をとめる時、恥じることはありません。 + わたしは、あなたの正しいおきてを学ぶとき、正しい心をもってあなたに感謝します。 + わたしはあなたの定めを守ります。わたしを全くお捨てにならないでください。 + 若い人はどうしておのが道を清く保つことができるでしょうか。み言葉にしたがって、それを守るよりほかにありません。 + わたしは心をつくしてあなたを尋ね求めます。わたしをあなたの戒めから迷い出させないでください。 + わたしはあなたにむかって罪を犯すことのないように、心のうちにみ言葉をたくわえました。 + あなたはほむべきかな、主よ、あなたの定めをわたしに教えてください。 + わたしはくちびるをもって、あなたの口から出るもろもろのおきてを言いあらわします。 + わたしは、もろもろのたからを喜ぶように、あなたのあかしの道を喜びます。 + わたしは、あなたのさとしを思い、あなたの道に目をとめます。 + わたしはあなたの定めを喜び、あなたのみ言葉を忘れません。 + あなたのしもべを豊かにあしらって、生きながらえさせ、み言葉を守らせてください。 + わたしの目を開いて、あなたのおきてのうちのくすしき事を見させてください。 + わたしはこの地にあっては寄留者です。あなたの戒めをわたしに隠さないでください。 + わが魂はつねにあなたのおきてを慕って、絶えいるばかりです。 + あなたは、あなたの戒めから迷い出る高ぶる者、のろわれた者を責められます。 + わたしはあなたのあかしを守りました。彼らのそしりと侮りとをわたしから取り去ってください。 + たといもろもろの君が座して、わたしをそこなおうと図っても、あなたのしもべは、あなたの定めを深く思います。 + あなたのあかしは、わたしを喜ばせ、わたしを教えさとすものです。 + わが魂はちりについています。み言葉に従って、わたしを生き返らせてください。 + わたしが自分の歩んだ道を語ったとき、あなたはわたしに答えられました。あなたの定めをわたしに教えてください。 + あなたのさとしの道をわたしにわきまえさせてください。わたしはあなたのくすしきみわざを深く思います。 + わが魂は悲しみによって溶け去ります。み言葉に従って、わたしを強くしてください。 + 偽りの道をわたしから遠ざけ、あなたのおきてをねんごろに教えてください。 + わたしは真実の道を選び、あなたのおきてをわたしの前に置きました。 + 主よ、わたしはあなたのあかしに堅く従っています。願わくは、わたしをはずかしめないでください。 + あなたがわたしの心を広くされるとき、わたしはあなたの戒めの道を走ります。 + 主よ、あなたの定めの道をわたしに教えてください。わたしは終りまでこれを守ります。 + わたしに知恵を与えてください。わたしはあなたのおきてを守り、心をつくしてこれに従います。 + わたしをあなたの戒めの道に導いてください。わたしはそれを喜ぶからです。 + わたしの心をあなたのあかしに傾けさせ、不正な利得に傾けさせないでください。 + わたしの目をほかにむけて、むなしいものを見させず、あなたの道をもって、わたしを生かしてください。 + あなたを恐れる者にかかわる約束をあなたのしもべに堅くしてください。 + わたしの恐れるそしりを除いてください。あなたのおきては正しいからです。 + 見よ、わたしはあなたのさとしを慕います。あなたの義をもって、わたしを生かしてください。 + 主よ、あなたの約束にしたがって、あなたのいつくしみと、あなたの救をわたしに臨ませてください。 + そうすれば、わたしをそしる者に、答えることができます。わたしはあなたのみ言葉に信頼するからです。 + またわたしの口から真理の言葉をことごとく除かないでください。わたしの望みはあなたのおきてにあるからです。 + わたしは絶えず、とこしえに、あなたのおきてを守ります。 + わたしはあなたのさとしを求めたので、自由に歩むことができます。 + わたしはまた王たちの前にあなたのあかしを語って恥じることはありません。 + わたしは、わたしの愛するあなたの戒めに自分の喜びを見いだすからです。 + わたしは、わたしの愛するあなたの戒めを尊び、あなたの定めを深く思います。 + どうか、あなたのしもべに言われたみ言葉を思い出してください。あなたはわたしにそれを望ませられました。 + あなたの約束はわたしを生かすので、わが悩みの時の慰めです。 + 高ぶる者は大いにわたしをあざ笑います。しかしわたしはあなたのおきてを離れません。 + 主よ、わたしはあなたの昔からのおきてを思い出して、みずから慰めます。 + あなたのおきてを捨てる悪しき者のゆえに、わたしは激しい憤りを起します。 + あなたの定めはわが旅の家で、わたしの歌となりました。 + 主よ、わたしは夜の間にあなたのみ名を思い出して、あなたのおきてを守ります。 + わたしはあなたのさとしを守ったことによって、この祝福がわたしに臨みました。 + 主はわたしの受くべき分です。わたしはあなたのみ言葉を守ることを約束します。 + わたしは心をつくして、あなたの恵みを請い求めます。あなたの約束にしたがって、わたしをお恵みください。 + わたしは、あなたの道を思うとき、足をかえして、あなたのあかしに向かいます。 + わたしはあなたの戒めを守るのに、すみやかで、ためらいません。 + たとい、悪しき者のなわがわたしを捕えても、わたしはあなたのおきてを忘れません。 + わたしはあなたの正しいおきてのゆえに夜半に起きて、あなたに感謝します。 + わたしは、すべてあなたを恐れる者、またあなたのさとしを守る者の仲間です。 + 主よ、地はあなたのいつくしみで満ちています。あなたの定めをわたしに教えてください。 + 主よ、あなたはみ言葉にしたがってしもべをよくあしらわれました。 + わたしに良い判断と知識とを教えてください。わたしはあなたの戒めを信じるからです。 + わたしは苦しまない前には迷いました。しかし今はみ言葉を守ります。 + あなたは善にして善を行われます。あなたの定めをわたしに教えてください。 + 高ぶる者は偽りをもってわたしをことごとくおおいます。しかしわたしは心をつくしてあなたのさとしを守ります。 + 彼らの心は肥え太って脂肪のようです。しかしわたしはあなたのおきてを喜びます。 + 苦しみにあったことは、わたしに良い事です。これによってわたしはあなたのおきてを学ぶことができました。 + あなたの口のおきては、わたしのためには幾千の金銀貨幣にもまさるのです。 + あなたのみ手はわたしを造り、わたしを形造りました。わたしに知恵を与えて、あなたの戒めを学ばせてください。 + あなたを恐れる者はわたしを見て喜ぶでしょう。わたしはみ言葉によって望みをいだいたからです。 + 主よ、わたしはあなたのさばきの正しく、また、あなたが真実をもってわたしを苦しめられたことを知っています。 + あなたがしもべに告げられた約束にしたがって、あなたのいつくしみをわが慰めとしてください。 + あなたのあわれみをわたしに臨ませ、わたしを生かしてください。あなたのおきてはわが喜びだからです。 + 高ぶる者に恥をこうむらせてください。彼らは偽りをもって、わたしをくつがえしたからです。しかしわたしはあなたのさとしを深く思います。 + あなたをおそれる者と、あなたのあかしを知る者とをわたしに帰らせてください。 + わたしの心を全くして、あなたの定めを守らせてください。そうすればわたしは恥をこうむることがありません。 + わが魂はあなたの救を慕って絶えいるばかりです。わたしはみ言葉によって望みをいだきます。 + わたしの目はあなたの約束を待つによって衰え、「いつ、あなたはわたしを慰められるのですか」と尋ねます。 + わたしは煙の中の皮袋のようになりましたが、なお、あなたの定めを忘れませんでした。 + あなたのしもべの日はどれほど続くでしょうか。いつあなたは、わたしを迫害する者をさばかれるでしょうか。 + 高ぶる者はわたしをおとしいれようと穴を掘りました。彼らはあなたのおきてに従わない人々です。 + あなたの戒めはみな真実です。彼らは偽りをもってわたしを迫害します。わたしをお助けください。 + 彼らはこの地において、ほとんどわたしを滅ぼしました。しかし、わたしはあなたのさとしを捨てませんでした。 + あなたのいつくしみにしたがってわたしを生かしてください。そうすればわたしはあなたの口から出るあかしを守ります。 + 主よ、あなたのみ言葉は天においてとこしえに堅く定まり、 + あなたのまことはよろずよに及びます。あなたが地を定められたので、地は堅く立っています。 + これらのものはあなたの仰せにより、堅く立って今日に至っています。よろずのものは皆あなたのしもべだからです。 + あなたのおきてがわが喜びとならなかったならば、わたしはついに悩みのうちに滅びたでしょう。 + わたしは常にあなたのさとしを忘れません。あなたはこれをもって、わたしを生かされたからです。 + わたしはあなたのものです。わたしをお救いください。わたしはあなたのさとしを求めました。 + 悪しき者はわたしを滅ぼそうと待ち伏せています。しかし、わたしはあなたのあかしを思います。 + わたしはすべての全きことに限りあることを見ました。しかしあなたの戒めは限りなく広いのです。 + いかにわたしはあなたのおきてを愛することでしょう。わたしはひねもすこれを深く思います。 + あなたの戒めは常にわたしと共にあるので、わたしをわが敵にまさって賢くします。 + わたしはあなたのあかしを深く思うので、わがすべての師にまさって知恵があります。 + わたしはあなたのさとしを守るので、老いた者にまさって事をわきまえます。 + わたしはみ言葉を守るために、わが足をとどめて、すべての悪い道に行かせません。 + あなたがわたしを教えられたので、わたしはあなたのおきてを離れません。 + あなたのみ言葉はいかにわがあごに甘いことでしょう。蜜にまさってわが口に甘いのです。 + わたしはあなたのさとしによって知恵を得ました。それゆえ、わたしは偽りのすべての道を憎みます。 + あなたのみ言葉はわが足のともしび、わが道の光です。 + わたしはあなたの正しいおきてを守ることを誓い、かつこれを実行しました。 + わたしはいたく苦しみました。主よ、み言葉に従って、わたしを生かしてください。 + 主よ、わがさんびの供え物をうけて、あなたのおきてを教えてください。 + わたしのいのちは常に危険にさらされています。しかし、わたしはあなたのおきてを忘れません。 + 悪しき者はわたしのためにわなを設けました。しかし、わたしはあなたのさとしから迷い出ません。 + あなたのあかしはとこしえにわが嗣業です。まことに、そのあかしはわが心の喜びです。 + わたしはあなたの定めを終りまで、とこしえに守ろうと心を傾けます。 + わたしは二心の者を憎みます。しかしあなたのおきてを愛します。 + あなたはわが隠れ場、わが盾です。わたしはみ言葉によって望みをいだきます。 + 悪をなす者よ、わたしを離れ去れ、わたしはわが神の戒めを守るのです。 + あなたの約束にしたがって、わたしをささえて、ながらえさせ、わが望みについて恥じることのないようにしてください。 + わたしをささえてください。そうすれば、わたしは安らかで、常にあなたの定めに心をそそぎます。 + すべてあなたの定めから迷い出る者をあなたは、かろしめられます。まことに、彼らの欺きはむなしいのです。 + あなたは地のすべての悪しき者を、金かすのようにみなされます。それゆえ、わたしはあなたのあかしを愛します。 + わが肉はあなたを恐れるので震えます。わたしはあなたのさばきを恐れます。 + わたしは正しく義にかなったことを行いました。わたしを捨てて、しえたげる者にゆだねないでください。 + しもべのために保証人となって、高ぶる者にわたしを、しえたげさせないでください。 + わが目はあなたの救と、あなたの正しい約束とを待ち望んで衰えます。 + あなたのいつくしみにしたがって、しもべをあしらい、あなたの定めを教えてください。 + わたしはあなたのしもべです。わたしに知恵を与えて、あなたのあかしを知らせてください。 + 彼らはあなたのおきてを破りました。今は主のはたらかれる時です。 + それゆえ、わたしは金よりも、純金よりもまさってあなたの戒めを愛します。 + それゆえ、わたしは、あなたのもろもろのさとしにしたがって、正しき道に歩み、すべての偽りの道を憎みます。 + あなたのあかしは驚くべきものです。それゆえ、わが魂はこれを守ります。 + み言葉が開けると光を放って、無学な者に知恵を与えます。 + わたしはあなたの戒めを慕うゆえに、口を広くあけてあえぎ求めました。 + み名を愛する者に常にされるように、わたしをかえりみ、わたしをあわれんでください。 + あなたの約束にしたがって、わが歩みを確かにし、すべての不義に支配されないようにしてください。 + わたしを人のしえたげからあがなってください。そうすればわたしは、あなたのさとしを守ります。 + み顔をしもべの上に照し、あなたの定めを教えてください。 + 人々があなたのおきてを守らないので、わが目の涙は川のように流れます。 + 主よ、あなたは正しく、あなたのさばきは正しいのです。 + あなたの正義と、この上ない真実とをもってあなたのあかしを命じられました。 + わたしのあだが、あなたのみ言葉を忘れるので、わが熱心はわたしを滅ぼすのです。 + あなたの約束はまことに確かです。あなたのしもべはこれを愛します。 + わたしは取るにたらない者で、人に侮られるけれども、なお、あなたのさとしを忘れません。 + あなたの義はとこしえに正しく、あなたのおきてはまことです。 + 悩みと苦しみがわたしに臨みました。しかしあなたの戒めはわたしの喜びです。 + あなたのあかしはとこしえに正しいのです。わたしに知恵を与えて、生きながらえさせてください。 + わたしは心をつくして呼ばわります。主よ、お答えください。わたしはあなたの定めを守ります。 + わたしはあなたに呼ばわります。わたしをお救いください。わたしはあなたのあかしを守ります。 + わたしは朝早く起き出て呼ばわります。わたしはみ言葉によって望みをいだくのです。 + わが目は夜警の交代する時に先だってさめ、あなたの約束を深く思います。 + あなたのいつくしみにしたがって、わが声を聞いてください。主よ、あなたの公義にしたがって、わたしを生かしてください。 + わたしをしえたげる者が悪いたくらみをもって近づいています。彼らはあなたのおきてを遠くはなれているのです。 + しかし主よ、あなたは近くいらせられます。あなたのもろもろの戒めはまことです。 + わたしは早くからあなたのあかしによって、あなたがこれをとこしえに立てられたことを知りました。 + わが悩みを見て、わたしをお救いください。わたしはあなたのおきてを忘れないからです。 + わが訴えを弁護して、わたしをあがない、あなたの約束にしたがって、わたしを生かしてください。 + 救は悪しき者を遠く離れている。彼らはあなたの定めを求めないからです。 + 主よ、あなたのあわれみは大きい。あなたの公義に従って、わたしを生かしてください。 + わたしをしえたげる者、わたしをあだする者は多い。しかしわたしは、あなたのあかしを離れません。 + 不信仰な者があなたのみ言葉を守らないので、わたしは彼らを見て、いとわしく思います。 + わたしがいかにあなたのさとしを愛するかをお察しください。主よ、あなたのいつくしみにしたがって、わたしを生かしてください。 + あなたのみ言葉の全体は真理です。あなたの正しいおきてのすべてはとこしえに絶えることはありません。 + もろもろの君はゆえなくわたしをしえたげます。しかしわが心はみ言葉をおそれます。 + わたしは大いなる獲物を得た者のようにあなたのみ言葉を喜びます。 + わたしは偽りを憎み、忌みきらいます。しかしあなたのおきてを愛します。 + わたしはあなたの正しいおきてのゆえに、一日に七たびあなたをほめたたえます。 + あなたのおきてを愛する者には大いなる平安があり、何ものも彼らをつまずかすことはできません。 + 主よ、わたしはあなたの救を望み、あなたの戒めをおこないます。 + わが魂は、あなたのあかしを守ります。わたしはいたくこれを愛します。 + わがすべての道があなたのみ前にあるので、わたしはあなたのさとしと、あかしとを守ります。 + 主よ、どうか、わが叫びをみ前にいたらせ、み言葉に従って、わたしに知恵をお与えください。 + わが願いをみ前にいたらせ、み言葉にしたがって、わたしをお助けください。 + あなたの定めをわたしに教えられるので、わがくちびるはさんびを唱えます。 + あなたのすべての戒めは正しいので、わが舌はみ言葉を歌います。 + わたしはあなたのさとしを選びました。あなたのみ手を、常にわが助けとしてください。 + 主よ、わたしはあなたの救を慕います。あなたのおきてはわたしの喜びです。 + わたしを生かして、あなたをほめたたえさせ、あなたのおきてを、わが助けとしてください。 + わたしは失われた羊のように迷い出ました。あなたのしもべを捜し出してください。わたしはあなたの戒めを忘れないからです。 + + + わたしが悩みのうちに、主に呼ばわると、主はわたしに答えられる。 + 「主よ、偽りのくちびるから、欺きの舌から、わたしを助け出してください」。 + 欺きの舌よ、おまえに何が与えられ、何が加えられるであろうか。 + ますらおの鋭い矢と、えにしだの熱い炭とである。 + わざわいなるかな、わたしはメセクにやどり、ケダルの天幕のなかに住んでいる。 + わたしは久しく平安を憎む者のなかに住んでいた。 + わたしは平安を願う、しかし、わたしが物言うとき、彼らは戦いを好む。 + + + わたしは山にむかって目をあげる。わが助けは、どこから来るであろうか。 + わが助けは、天と地を造られた主から来る。 + 主はあなたの足の動かされるのをゆるされない。あなたを守る者はまどろむことがない。 + 見よ、イスラエルを守る者はまどろむこともなく、眠ることもない。 + 主はあなたを守る者、主はあなたの右の手をおおう陰である。 + 昼は太陽があなたを撃つことなく、夜は月があなたを撃つことはない。 + 主はあなたを守って、すべての災を免れさせ、またあなたの命を守られる。 + 主は今からとこしえに至るまで、あなたの出ると入るとを守られるであろう。 + + + 人々がわたしにむかって「われらは主の家に行こう」と言ったとき、わたしは喜んだ。 + エルサレムよ、われらの足はあなたの門のうちに立っている。 + しげくつらなった町のように建てられているエルサレムよ、 + もろもろの部族すなわち主の部族が、そこに上って来て主のみ名に感謝することは、イスラエルのおきてである。 + そこにさばきの座、ダビデの家の王座が設けられてあった。 + エルサレムのために平安を祈れ、「エルサレムを愛する者は栄え、 + その城壁のうちに平安があり、もろもろの殿のうちに安全があるように」と。 + わが兄弟および友のために、わたしは「エルサレムのうちに平安があるように」と言い、 + われらの神、主の家のために、わたしはエルサレムのさいわいを求めるであろう。 + + + 天に座しておられる者よ、わたしはあなたにむかって目をあげます。 + 見よ、しもべがその主人の手に目をそそぎ、はしためがその主婦の手に目をそそぐように、われらはわれらの神、主に目をそそいで、われらをあわれまれるのを待ちます。 + 主よ、われらをあわれんでください。われらをあわれんでください。われらに侮りが満ちあふれています。 + 思い煩いのない者のあざけりと、高ぶる者の侮りとは、われらの魂に満ちあふれています。 + + + 今、イスラエルは言え、主がもしわれらの方におられなかったならば、 + 人々がわれらに逆らって立ちあがったとき、主がもしわれらの方におられなかったならば、 + 彼らの怒りがわれらにむかって燃えたったとき、彼らはわれらを生きているままで、のんだであろう。 + また大水はわれらを押し流し、激流はわれらの上を越え、 + さか巻く水はわれらの上を越えたであろう。 + 主はほむべきかな。主はわれらをえじきとして彼らの歯にわたされなかった。 + われらは野鳥を捕えるわなをのがれる鳥のようにのがれた。わなは破れてわれらはのがれた。 + われらの助けは天地を造られた主のみ名にある。 + + + 主に信頼する者は、動かされることなくて、とこしえにあるシオンの山のようである。 + 山々がエルサレムを囲んでいるように、主は今からとこしえにその民を囲まれる。 + これは悪しき者のつえが正しい者の所領にとどまることなく、正しい者がその手を不義に伸べることのないためである。 + 主よ、善良な人と、心の正しい人とに、さいわいを施してください。 + しかし転じて自分の曲った道に入る者を主は、悪を行う者と共に去らせられる。イスラエルの上に平安があるように。 + + + 主がシオンの繁栄を回復されたとき、われらは夢みる者のようであった。 + その時われらの口は笑いで満たされ、われらの舌は喜びの声で満たされた。その時「主は彼らのために大いなる事をなされた」と言った者が、もろもろの国民の中にあった。 + 主はわれらのために大いなる事をなされたので、われらは喜んだ。 + 主よ、どうか、われらの繁栄を、ネゲブの川のように回復してください。 + 涙をもって種まく者は、喜びの声をもって刈り取る。 + 種を携え、涙を流して出て行く者は、束を携え、喜びの声をあげて帰ってくるであろう。 + + + 主が家を建てられるのでなければ、建てる者の勤労はむなしい。主が町を守られるのでなければ、守る者のさめているのはむなしい。 + あなたがたが早く起き、おそく休み、辛苦のかてを食べることは、むなしいことである。主はその愛する者に、眠っている時にも、なくてならぬものを与えられるからである。 + 見よ、子供たちは神から賜わった嗣業であり、胎の実は報いの賜物である。 + 壮年の時の子供は勇士の手にある矢のようだ。 + 矢の満ちた矢筒を持つ人はさいわいである。彼は門で敵と物言うとき恥じることはない。 + + + すべて主をおそれ、主の道に歩む者はさいわいである。 + あなたは自分の手の勤労の実を食べ、幸福で、かつ安らかであろう。 + あなたの妻は家の奥にいて多くの実を結ぶぶどうの木のようであり、あなたの子供たちは食卓を囲んでオリブの若木のようである。 + 見よ、主をおそれる人は、このように祝福を得る。 + 主はシオンからあなたを祝福されるように。あなたは世にあるかぎりエルサレムの繁栄を見、 + またあなたの子らの子を見るであろう。どうぞ、イスラエルの上に平安があるように。 + + + 今イスラエルは言え、「彼らはわたしの若い時から、ひどくわたしを悩ました。 + 彼らはわたしの若い時から、ひどくわたしを悩ました。しかしわたしに勝つことができなかった。 + 耕す者はわたしの背の上をたがやして、そのうねみぞを長くした」と。 + 主は正しくいらせられ、悪しき者のなわを断ち切られた。 + シオンを憎む者はみな、恥を得て、退くように。 + 彼らを、育たないさきに枯れる屋根の草のようにしてください。 + これを刈る者はその手に満たず、これをたばねる者はそのふところに満たない。 + かたわらを過ぎる者は、「主の恵みがあなたの上にあるように。われらは主のみ名によってあなたがたを祝福する」と言わない。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + 主よ、悪しき人々からわたしを助け出し、わたしを守って、乱暴な人々からのがれさせてください。 + 彼らは心のうちに悪い事をはかり、絶えず戦いを起します。 + 彼らはへびのようにおのが舌を鋭くし、そのくちびるの下にはまむしの毒があります。 [セラ + 主よ、わたしを保って、悪しき人の手からのがれさせ、わたしを守って、わが足をつまずかせようとする乱暴な人々からのがれさせてください。 + 高ぶる者はわたしのためにわなを伏せ、綱をもって網を張り、道のほとりにわなを設けました。 [セラ + わたしは主に言います、「あなたはわが神です。主よ、わが願いの声に耳を傾けてください。 + わが救の力、主なる神よ、あなたは戦いの日に、わがこうべをおおわれました。 + 主よ、悪しき人の願いをゆるさないでください。その悪しき計画をとげさせないでください。 [セラ + わたしを囲む者がそのこうべをあげるとき、そのくちびるの害悪で彼らをおおってください。 + 燃える炭を彼らの上に落してください。彼らを穴に投げ入れ、再び上がることのできないようにしてください。 + 悪口を言う者を世に立たせないでください。乱暴な人をすみやかに災に追い捕えさせてください」。 + わたしは主が苦しむ者の訴えをたすけ、貧しい者のために正しいさばきを行われることを知っています。 + 正しい人は必ずみ名に感謝し、直き人はみ前に住むでしょう。 + + + 主よ、わたしはあなたに呼ばわります。すみやかにわたしをお助けください。わたしがあなたに呼ばわるとき、わが声に耳を傾けてください。 + わたしの祈を、み前にささげる薫香のようにみなし、わたしのあげる手を、夕べの供え物のようにみなしてください。 + 主よ、わが口に門守を置いて、わがくちびるの戸を守ってください。 + 悪しき事にわが心を傾けさせず、不義を行う人々と共に悪しきわざにあずからせないでください。また彼らのうまき物を食べさせないでください。 + 正しい者にいつくしみをもってわたしを打たせ、わたしを責めさせてください。しかし悪しき者の油をわがこうべにそそがせないでください。わが祈は絶えず彼らの悪しきわざに敵しているからです。 + 彼らはおのれを罪に定める者にわたされるとき、主のみ言葉のまことなることを学ぶでしょう。 + 人が岩を裂いて地の上に打ち砕くように、彼らの骨は陰府の口にまき散らされるでしょう。 + しかし主なる神よ、わが目はあなたに向かっています。わたしはあなたに寄り頼みます。わたしを助けるものもないままに捨ておかないでください。 + わたしを守って、彼らがわたしのために設けたわなと、悪を行う者のわなとをのがれさせてください。 + わたしがのがれると同時に、悪しき者をおのれの網に陥らせてください。 + + + わたしは声を出して主に呼ばわり、声を出して主に願い求めます。 + わたしはみ前にわが嘆きを注ぎ出し、み前にわが悩みをあらわします。 + わが霊のわがうちに消えうせようとする時も、あなたはわが道を知られます。彼らはわたしを捕えようとわたしの行く道にわなを隠しました。 + わたしは右の方に目を注いで見回したが、わたしに心をとめる者はひとりもありません。わたしには避け所がなく、わたしをかえりみる人はありません。 + 主よ、わたしはあなたに呼ばわります。わたしは言います、「あなたはわが避け所、生ける者の地でわたしの受くべき分です。 + どうか、わが叫びにみこころをとめてください。わたしは、はなはだしく低くされています。わたしを責める者から助け出してください。彼らはわたしにまさって強いのです。 + わたしをひとやから出し、み名に感謝させてください。あなたが豊かにわたしをあしらわれるので、正しい人々はわたしのまわりに集まるでしょう」。 + + + 主よ、わが祈を聞き、わが願いに耳を傾けてください。あなたの真実と、あなたの正義とをもって、わたしにお答えください。 + あなたのしもべのさばきにたずさわらないでください。生ける者はひとりもみ前に義とされないからです。 + 敵はわたしをせめ、わがいのちを地に踏みにじり、死んで久しく時を経た者のようにわたしを暗い所に住まわせました。 + それゆえ、わが霊はわがうちに消えうせようとし、わが心はわがうちに荒れさびれています。 + わたしはいにしえの日を思い出し、あなたが行われたすべての事を考え、あなたのみ手のわざを思います。 + わたしはあなたにむかって手を伸べ、わが魂は、かわききった地のようにあなたを慕います。 [セラ + 主よ、すみやかにわたしにお答えください。わが霊は衰えます。わたしにみ顔を隠さないでください。さもないと、わたしは穴にくだる者のようになるでしょう。 + あしたに、あなたのいつくしみを聞かせてください。わたしはあなたに信頼します。わが歩むべき道を教えてください。わが魂はあなたを仰ぎ望みます。 + 主よ、わたしをわが敵から助け出してください。わたしは避け所を得るためにあなたのもとにのがれました。 + あなたのみむねを行うことを教えてください。あなたはわが神です。恵みふかい、みたまをもってわたしを平らかな道に導いてください。 + 主よ、み名のために、わたしを生かし、あなたの義によって、わたしを悩みから救い出してください。 + また、あなたのいつくしみによって、わが敵を断ち、わがあだをことごとく滅ぼしてください。わたしはあなたのしもべです。 + + + わが岩なる主はほむべきかな。主は、いくさすることをわが手に教え、戦うことをわが指に教えられます。 + 主はわが岩、わが城、わが高きやぐら、わが救主、わが盾、わが寄り頼む者です。主はもろもろの民をおのれに従わせられます。 + 主よ、人は何ものなので、あなたはこれをかえりみ、人の子は何ものなので、これをみこころに、とめられるのですか。 + 人は息にひとしく、その日は過ぎゆく影にひとしいのです。 + 主よ、あなたの天を垂れてくだり、山に触れて煙を出させてください。 + いなずまを放って彼らを散らし、矢を放って彼らを打ち敗ってください。 + 高い所からみ手を伸べて、わたしを救い、大水から、異邦人の手からわたしを助け出してください。 + 彼らの口は偽りを言い、その右の手は偽りの右の手です。 + 神よ、わたしは新しい歌をあなたにむかって歌い、十弦の立琴にあわせてあなたをほめ歌います。 + あなたは王たちに勝利を与え、そのしもべダビデを救われます。 + わたしを残忍なつるぎから救い、異邦人の手から助け出してください。彼らの口は偽りを言い、その右の手は偽りの右の手です。 + われらのむすこたちはその若い時、よく育った草木のようです。われらの娘たちは宮の建物のために刻まれたすみの柱のようです。 + われらの倉は満ちて様々の物を備え、われらの羊は野でちよろずの子を産み、 + われらの家畜はみごもって子を産むに誤ることなく、われらのちまたには悩みの叫びがありません。 + このような祝福をもつ民はさいわいです。主をおのが神とする民はさいわいです。 + + + わが神、王よ、わたしはあなたをあがめ、世々かぎりなくみ名をほめまつります。 + わたしは日ごとにあなたをほめ、世々かぎりなくみ名をほめたたえます。 + 主は大いなる神で、大いにほめたたえらるべきです。その大いなることは測り知ることができません。 + この代はかの代にむかってあなたのみわざをほめたたえ、あなたの大能のはたらきを宣べ伝えるでしょう。 + わたしはあなたの威厳の光栄ある輝きと、あなたのくすしきみわざとを深く思います。 + 人々はあなたの恐るべきはたらきの勢いを語り、わたしはあなたの大いなることを宣べ伝えます。 + 彼らはあなたの豊かな恵みの思い出を言いあらわし、あなたの義を喜び歌うでしょう。 + 主は恵みふかく、あわれみに満ち、怒ることおそく、いつくしみ豊かです。 + 主はすべてのものに恵みがあり、そのあわれみはすべてのみわざの上にあります。 + 主よ、あなたのすべてのみわざはあなたに感謝し、あなたの聖徒はあなたをほめまつるでしょう。 + 彼らはみ国の栄光を語り、あなたのみ力を宣べ、 + あなたの大能のはたらきと、み国の光栄ある輝きとを人の子に知らせるでしょう。 + あなたの国はとこしえの国です。あなたのまつりごとはよろずよに絶えることはありません。 + 主はすべて倒れんとする者をささえ、すべてかがむ者を立たせられます。 + よろずのものの目はあなたを待ち望んでいます。あなたは時にしたがって彼らに食物を与えられます。 + あなたはみ手を開いて、すべての生けるものの願いを飽かせられます。 + 主はそのすべての道に正しく、そのすべてのみわざに恵みふかく、 + すべて主を呼ぶ者、誠をもって主を呼ぶ者に主は近いのです。 + 主はおのれを恐れる者の願いを満たし、またその叫びを聞いてこれを救われます。 + 主はおのれを愛する者をすべて守られるが、悪しき者をことごとく滅ぼされます。 + わが口は主の誉を語り、すべての肉なる者は世々かぎりなくその聖なるみ名をほめまつるでしょう。 + + + 主をほめたたえよ。わが魂よ、主をほめたたえよ。 + わたしは生けるかぎりは主をほめたたえ、ながらえる間は、わが神をほめうたおう。 + もろもろの君に信頼してはならない。人の子に信頼してはならない。彼らには助けがない。 + その息が出ていけば彼は土に帰る。その日には彼のもろもろの計画は滅びる。 + ヤコブの神をおのが助けとし、その望みをおのが神、主におく人はさいわいである。 + 主は天と地と、海と、その中にあるあらゆるものを造り、とこしえに真実を守り、 + しえたげられる者のためにさばきをおこない、飢えた者に食物を与えられる。主は捕われ人を解き放たれる。 + 主は盲人の目を開かれる。主はかがむ者を立たせられる。主は正しい者を愛される。 + 主は寄留の他国人を守り、みなしごと、やもめとをささえられる。しかし、悪しき者の道を滅びに至らせられる。 + 主はとこしえに統べ治められる。シオンよ、あなたの神はよろず代まで統べ治められる。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。われらの神をほめうたうことはよいことである。主は恵みふかい。さんびはふさわしいことである。 + 主はエルサレムを築き、イスラエルの追いやられた者を集められる。 + 主は心の打ち砕かれた者をいやし、その傷を包まれる。 + 主はもろもろの星の数を定め、すべてそれに名を与えられる。 + われらの主は大いなる神、力も豊かであって、その知恵ははかりがたい。 + 主はしえたげられた者をささえ、悪しき者を地に投げ捨てられる。 + 主に感謝して歌え、琴にあわせてわれらの神をほめうたえ。 + 主は雲をもって天をおおい、地のために雨を備え、もろもろの山に草をはえさせ、 + 食物を獣に与え、また鳴く小がらすに与えられる。 + 主は馬の力を喜ばれず、人の足をよみせられない。 + 主はおのれを恐れる者とそのいつくしみを望む者とをよみせられる。 + エルサレムよ、主をほめたたえよ。シオンよ、あなたの神をほめたたえよ。 + 主はあなたの門の貫の木を堅くし、あなたのうちにいる子らを祝福されるからである。 + 主はあなたの国境を安らかにし、最も良い麦をもってあなたを飽かせられる。 + 主はその戒めを地に下される。そのみ言葉はすみやかに走る。 + 主は雪を羊の毛のように降らせ、霜を灰のようにまかれる。 + 主は氷をパンくずのように投げうたれる。だれがその寒さに耐えることができましょうか。 + 主はみ言葉を下してこれを溶かし、その風を吹かせられると、もろもろの水は流れる。 + 主はそのみ言葉をヤコブに示し、そのもろもろの定めと、おきてとをイスラエルに示される。 + 主はいずれの国民をも、このようにはあしらわれなかった。彼らは主のもろもろのおきてを知らない。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。もろもろの天から主をほめたたえよ。もろもろの高き所で主をほめたたえよ。 + その天使よ、みな主をほめたたえよ。その万軍よ、みな主をほめたたえよ。 + 日よ、月よ、主をほめたたえよ。輝く星よ、みな主をほめたたえよ。 + いと高き天よ、天の上にある水よ、主をほめたたえよ。 + これらのものに主のみ名をほめたたえさせよ、これらは主が命じられると造られたからである。 + 主はこれらをとこしえに堅く定め、越えることのできないその境を定められた。 + 海の獣よ、すべての淵よ、地から主をほめたたえよ。 + 火よ、あられよ、雪よ、霜よ、み言葉を行うあらしよ、 + もろもろの山、すべての丘、実を結ぶ木、すべての香柏よ、 + 野の獣、すべての家畜、這うもの、翼ある鳥よ、 + 地の王たち、すべての民、君たち、地のすべてのつかさよ、 + 若い男子、若い女子、老いた人と幼い者よ、 + 彼らをして主のみ名をほめたたえさせよ。そのみ名は高く、たぐいなく、その栄光は地と天の上にあるからである。 + 主はその民のために一つの角をあげられた。これはすべての聖徒のほめたたえるもの、主に近いイスラエルの人々のほめたたえるものである。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。主にむかって新しい歌をうたえ。聖徒のつどいで、主の誉を歌え。 + イスラエルにその造り主を喜ばせ、シオンの子らにその王を喜ばせよ。 + 彼らに踊りをもって主のみ名をほめたたえさせ、鼓と琴とをもって主をほめ歌わせよ。 + 主はおのが民を喜び、へりくだる者を勝利をもって飾られるからである。 + 聖徒を栄光によって喜ばせ、その床の上で喜び歌わせよ。 + そののどには神をあがめる歌があり、その手にはもろ刃のつるぎがある。 + これはもろもろの国にあだを返し、もろもろの民を懲らし、 + 彼らの王たちを鎖で縛り、彼らの貴人たちを鉄のかせで縛りつけ、 + しるされたさばきを彼らに行うためである。これはそのすべての聖徒に与えられる誉である。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。その聖所で神をほめたたえよ。その力のあらわれる大空で主をほめたたえよ。 + その大能のはたらきのゆえに主をほめたたえよ。そのすぐれて大いなることのゆえに主をほめたたえよ。 + ラッパの声をもって主をほめたたえよ。立琴と琴とをもって主をほめたたえよ。 + 鼓と踊りとをもって主をほめたたえよ。緒琴と笛とをもって主をほめたたえよ。 + 音の高いシンバルをもって主をほめたたえよ。鳴りひびくシンバルをもって主をほめたたえよ。 + 息のあるすべてのものに主をほめたたえさせよ。主をほめたたえよ。 + +
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+ + ダビデの子、イスラエルの王ソロモンの箴言。 + これは人に知恵と教訓とを知らせ、悟りの言葉をさとらせ、 + 賢い行いと、正義と公正と公平の教訓をうけさせ、 + 思慮のない者に悟りを与え、若い者に知識と慎みを得させるためである。 + 賢い者はこれを聞いて学に進み、さとい者は指導を得る。 + 人はこれによって箴言と、たとえと、賢い者の言葉と、そのなぞとを悟る。 + 主を恐れることは知識のはじめである、愚かな者は知恵と教訓を軽んじる。 + わが子よ、あなたは父の教訓を聞き、母の教を捨ててはならない。 + それらは、あなたの頭の麗しい冠となり、あなたの首の飾りとなるからである。 + わが子よ、悪者があなたを誘っても、それに従ってはならない。 + 彼らがあなたに向かって、「一緒に来なさい。われわれは待ち伏せして、人の血を流し、罪のない者を、ゆえなく伏してねらい、 + 陰府のように、彼らを生きたままで、のみ尽し、健やかな者を、墓に下る者のようにしよう。 + われわれは、さまざまの尊い貨財を得、奪い取った物で、われわれの家を満たそう。 + あなたもわれわれの仲間に加わりなさい、われわれは共に一つの金袋を持とう」と言っても、 + わが子よ、彼らの仲間になってはならない、あなたの足をとどめて、彼らの道に行ってはならない。 + 彼らの足は悪に走り、血を流すことに速いからだ。 + すべて鳥の目の前で網を張るのは、むだである。 + 彼らは自分の血を待ち伏せし、自分の命を伏してねらうのだ。 + すべて利をむさぼる者の道はこのようなものである。これはその持ち主の命を取り去るのだ。 + 知恵は、ちまたに呼ばわり、市場にその声をあげ、 + 城壁の頂で叫び、町の門の入口で語る。 + 「思慮のない者たちよ、あなたがたは、いつまで思慮のないことを好むのか。あざける者は、いつまで、あざけり楽しみ、愚かな者は、いつまで、知識を憎むのか。 + わたしの戒めに心をとめよ、見よ、わたしは自分の思いを、あなたがたに告げ、わたしの言葉を、あなたがたに知らせる。 + わたしは呼んだが、あなたがたは聞くことを拒み、手を伸べたが、顧みる者はなく、 + かえって、あなたがたはわたしのすべての勧めを捨て、わたしの戒めを受けなかったので、 + わたしもまた、あなたがたが災にあう時に、笑い、あなたがたが恐慌にあう時、あざけるであろう。 + これは恐慌が、あらしのようにあなたがたに臨み、災が、つむじ風のように臨み、悩みと悲しみとが、あなたがたに臨む時である。 + その時、彼らはわたしを呼ぶであろう、しかし、わたしは答えない。ひたすら、わたしを求めるであろう、しかし、わたしに会えない。 + 彼らは知識を憎み、主を恐れることを選ばず、 + わたしの勧めに従わず、すべての戒めを軽んじたゆえ、 + 自分の行いの実を食らい、自分の計りごとに飽きる。 + 思慮のない者の不従順はおのれを殺し、愚かな者の安楽はおのれを滅ぼす。 + しかし、わたしに聞き従う者は安らかに住まい、災に会う恐れもなく、安全である」。 + + + わが子よ、もしあなたがわたしの言葉を受け、わたしの戒めを、あなたの心におさめ、 + あなたの耳を知恵に傾け、あなたの心を悟りに向け、 + しかも、もし知識を呼び求め、悟りを得ようと、あなたの声をあげ、 + 銀を求めるように、これを求め、かくれた宝を尋ねるように、これを尋ねるならば、 + あなたは、主を恐れることを悟り、神を知ることができるようになる。 + これは、主が知恵を与え、知識と悟りとは、み口から出るからである。 + 彼は正しい人のために、確かな知恵をたくわえ、誠実に歩む者の盾となって、 + 公正の道を保ち、その聖徒たちの道筋を守られる。 + そのとき、あなたは、ついに正義と公正、公平とすべての良い道を悟る。 + これは知恵が、あなたの心にはいり、知識があなたの魂に楽しみとなるからである。 + 慎みはあなたを守り、悟りはあなたを保って、 + 悪の道からあなたを救い、偽りをいう者から救う。 + 彼らは正しい道を離れて、暗い道に歩み、 + 悪を行うことを楽しみ、悪人の偽りを喜び、 + その道は曲り、その行いは、よこしまである。 + 慎みと悟りはまたあなたを遊女から救い、言葉の巧みな、みだらな女から救う。 + 彼女は若い時の友を捨て、その神に契約したことを忘れている。 + その家は死に下り、その道は陰府におもむく。 + すべて彼女のもとへ行く者は、帰らない、また命の道にいたらない。 + こうして、あなたは善良な人々の道に歩み、正しい人々の道を守ることができる。 + 正しい人は地にながらえ、誠実な人は地にとどまる。 + しかし悪しき者は地から断ち滅ぼされ、不信実な者は地から抜き捨てられる。 + + + わが子よ、わたしの教を忘れず、わたしの戒めを心にとめよ。 + そうすれば、これはあなたの日を長くし、命の年を延べ、あなたに平安を増し加える。 + いつくしみと、まこととを捨ててはならない、それをあなたの首に結び、心の碑にしるせ。 + そうすれば、あなたは神と人との前に恵みと、誉とを得る。 + 心をつくして主に信頼せよ、自分の知識にたよってはならない。 + すべての道で主を認めよ、そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにされる。 + 自分を見て賢いと思ってはならない、主を恐れて、悪を離れよ。 + そうすれば、あなたの身を健やかにし、あなたの骨に元気を与える。 + あなたの財産と、すべての産物の初なりをもって主をあがめよ。 + そうすれば、あなたの倉は満ちて余り、あなたの酒ぶねは新しい酒であふれる。 + わが子よ、主の懲しめを軽んじてはならない、その戒めをきらってはならない。 + 主は、愛する者を、戒められるからである、あたかも父がその愛する子を戒めるように。 + 知恵を求めて得る人、悟りを得る人はさいわいである。 + 知恵によって得るものは、銀によって得るものにまさり、その利益は精金よりも良いからである。 + 知恵は宝石よりも尊く、あなたの望む何物も、これと比べるに足りない。 + その右の手には長寿があり、左の手には富と、誉がある。 + その道は楽しい道であり、その道筋はみな平安である。 + 知恵は、これを捕える者には命の木である、これをしっかり捕える人はさいわいである。 + 主は知恵をもって地の基をすえ、悟りをもって天を定められた。 + その知識によって海はわきいで、雲は露をそそぐ。 + わが子よ、確かな知恵と、慎みとを守って、それをあなたの目から離してはならない。 + それはあなたの魂の命となりあなたの首の飾りとなる。 + こうして、あなたは安らかに自分の道を行き、あなたの足はつまずくことがない。 + あなたは座しているとき、恐れることはなく、伏すとき、あなたの眠りはここちよい。 + あなたはにわかに起る恐怖を恐れることなく、悪しき者の滅びが来ても、それを恐れることはない。 + これは、主があなたの信頼する者であり、あなたの足を守って、わなに捕われさせられないからである。 + あなたの手に善をなす力があるならば、これをなすべき人になすことをさし控えてはならない。 + あなたが物を持っている時、その隣り人に向かい、「去って、また来なさい。あす、それをあげよう」と言ってはならない。 + あなたの隣り人がかたわらに安らかに住んでいる時、これに向かって、悪を計ってはならない。 + もし人があなたに悪を行ったのでなければ、ゆえなく、これと争ってはならない。 + 暴虐な人を、うらやんではならない、そのすべての道を選んではならない。 + よこしまな者は主に憎まれるからである、しかし、正しい者は主に信任される。 + 主の、のろいは悪しき者の家にある、しかし、正しい人のすまいは主に恵まれる。 + 彼はあざける者をあざけり、へりくだる者に恵みを与えられる。 + 知恵ある者は、誉を得る、しかし、愚かな者ははずかしめを得る。 + + + 子供らよ、父の教を聞き、悟りを得るために耳を傾けよ。 + わたしは、良い教訓を、あなたがたにさずける。わたしの教を捨ててはならない。 + わたしもわが父には子であり、わが母の目には、ひとりのいとし子であった。 + 父はわたしを教えて言った、「わたしの言葉を、心に留め、わたしの戒めを守って、命を得よ。 + それを忘れることなく、またわが口の言葉にそむいてはならない、知恵を得よ、悟りを得よ。 + 知恵を捨てるな、それはあなたを守る。それを愛せよ、それはあなたを保つ。 + 知恵の初めはこれである、知恵を得よ、あなたが何を得るにしても、悟りを得よ。 + それを尊べ、そうすれば、それはあなたを高くあげる、もしそれをいだくならば、それはあなたを尊くする。 + それはあなたの頭に麗しい飾りを置き、栄えの冠をあなたに与える」。 + わが子よ、聞け、わたしの言葉をうけいれよ、そうすれば、あなたの命の年は多くなる。 + わたしは知恵の道をあなたに教え、正しい道筋にあなたを導いた。 + あなたが歩くとき、その歩みは妨げられず、走る時にも、つまずくことはない。 + 教訓をかたくとらえて、離してはならない、それを守れ、それはあなたの命である。 + よこしまな者の道に、はいってはならない、悪しき者の道を歩んではならない。 + それを避けよ、通ってはならない、それを離れて進め。 + 彼らは悪を行わなければ眠ることができず、人をつまずかせなければ、寝ることができず、 + 不正のパンを食らい、暴虐の酒を飲むからである。 + 正しい者の道は、夜明けの光のようだ、いよいよ輝きを増して真昼となる。 + 悪しき人の道は暗やみのようだ、彼らは何につまずくかを知らない。 + わが子よ、わたしの言葉に心をとめ、わたしの語ることに耳を傾けよ。 + それを、あなたの目から離さず、あなたの心のうちに守れ。 + それは、これを得る者の命であり、またその全身を健やかにするからである。 + 油断することなく、あなたの心を守れ、命の泉は、これから流れ出るからである。 + 曲った言葉をあなたから捨てさり、よこしまな談話をあなたから遠ざけよ。 + あなたの目は、まっすぐに正面を見、あなたのまぶたはあなたの前を、まっすぐに見よ。 + あなたの足の道に気をつけよ、そうすれば、あなたのすべての道は安全である。 + 右にも左にも迷い出てはならない、あなたの足を悪から離れさせよ。 + + + わが子よ、わたしの知恵に心をとめ、わたしの悟りに耳をかたむけよ。 + これは、あなたが慎みを守り、あなたのくちびるに知識を保つためである。 + 遊女のくちびるは蜜をしたたらせ、その言葉は油よりもなめらかである。 + しかしついには、彼女はにがよもぎのように苦く、もろ刃のつるぎのように鋭くなる。 + その足は死に下り、その歩みは陰府の道におもむく。 + 彼女はいのちの道に心をとめず、その道は人を迷わすが、彼女はそれを知らない。 + 子供らよ、今わたしの言うことを聞け、わたしの口の言葉から、離れ去ってはならない。 + あなたの道を彼女から遠く離し、その家の門に近づいてはならない。 + おそらくはあなたの誉を他人にわたし、あなたの年を無慈悲な者にわたすに至る。 + おそらくは他人があなたの資産によって満たされ、あなたの労苦は他人の家に行く。 + そしてあなたの終りが来て、あなたの身と、からだが滅びるとき、泣き悲しんで、 + 言うであろう、「わたしは教訓をいとい、心に戒めを軽んじ、 + 教師の声に聞き従わず、わたしを教える者に耳を傾けず、 + 集まりの中、会衆のうちにあって、わたしは、破滅に陥りかけた」と。 + あなたは自分の水ためから水を飲み、自分の井戸から、わき出す水を飲むがよい。 + あなたの泉を、外にまきちらし、水の流れを、ちまたに流してよかろうか。 + それを自分だけのものとし、他人を共にあずからせてはならない。 + あなたの泉に祝福を受けさせ、あなたの若い時の妻を楽しめ。 + 彼女は愛らしい雌じか、美しいしかのようだ。いつも、その乳ぶさをもって満足し、その愛をもって常に喜べ。 + わが子よ、どうして遊女に迷い、みだらな女の胸をいだくのか。 + 人の道は主の目の前にあり、主はすべて、その行いを見守られる。 + 悪しき者は自分のとがに捕えられ、自分の罪のなわにつながれる。 + 彼は、教訓がないために死に、その愚かさの大きいことによって滅びる。 + + + わが子よ、あなたがもし隣り人のために保証人となり、他人のために手をうって誓ったならば、 + もしあなたのくちびるの言葉によって、わなにかかり、あなたの口の言葉によって捕えられたならば、 + わが子よ、その時はこうして、おのれを救え、あなたは隣り人の手に陥ったのだから。急いで行って、隣り人にひたすら求めよ。 + あなたの目を眠らせず、あなたのまぶたを、まどろませず、 + かもしかが、かりゅうどの手からのがれるように、鳥が鳥を取る者の手からのがれるように、おのれを救え。 + なまけ者よ、ありのところへ行き、そのすることを見て、知恵を得よ。 + ありは、かしらなく、つかさなく、王もないが、 + 夏のうちに食物をそなえ、刈入れの時に、かてを集める。 + なまけ者よ、いつまで寝ているのか、いつ目をさまして起きるのか。 + しばらく眠り、しばらくまどろみ、手をこまぬいて、またしばらく休む。 + それゆえ、貧しさは盗びとのようにあなたに来り、乏しさは、つわもののようにあなたに来る。 + よこしまな人、悪しき人は偽りの言葉をもって行きめぐり、 + 目でめくばせし、足で踏み鳴らし、指で示し、 + よこしまな心をもって悪を計り、絶えず争いをおこす。 + それゆえ、災は、にわかに彼に臨み、たちまちにして打ち敗られ、助かることはない。 + 主の憎まれるものが六つある、否、その心に、忌みきらわれるものが七つある。 + すなわち、高ぶる目、偽りを言う舌、罪なき人の血を流す手、 + 悪しき計りごとをめぐらす心、すみやかに悪に走る足、 + 偽りをのべる証人、また兄弟のうちに争いをおこす人がこれである。 + わが子よ、あなたの父の戒めを守り、あなたの母の教を捨てるな。 + つねに、これをあなたの心に結び、あなたの首のまわりにつけよ。 + これは、あなたが歩くとき、あなたを導き、あなたが寝るとき、あなたを守り、あなたが目ざめるとき、あなたと語る。 + 戒めはともしびである、教は光である、教訓の懲しめは命の道である。 + これは、あなたを守って、悪い女に近づかせず、みだらな女の、巧みな舌に惑わされぬようにする。 + 彼女の麗しさを心に慕ってはならない、そのまぶたに捕えられてはならない。 + 遊女は一塊のパンのために雇われる、しかし、みだらな女は人の尊い命を求める。 + 人は火を、そのふところにいだいてその着物が焼かれないであろうか。 + また人は、熱い火を踏んで、その足が、焼かれないであろうか。 + その隣の妻と不義を行う者も、それと同じだ。すべて彼女に触れる者は罰を免れることはできない。 + 盗びとが飢えたとき、その飢えを満たすために盗むならば、人は彼を軽んじないであろうか。 + もし捕えられたなら、その七倍を償い、その家の貨財を、ことごとく出さなければならない。 + 女と姦淫を行う者は思慮がない。これを行う者はおのれを滅ぼし、 + 傷と、はずかしめとを受けて、その恥をすすぐことができない。 + ねたみは、その夫を激しく怒らせるゆえ、恨みを報いるとき、容赦することはない。 + どのようなあがない物をも顧みず、多くの贈り物をしても、和らがない。 + + + わが子よ、わたしの言葉を守り、わたしの戒めをあなたの心にたくわえよ。 + わたしの戒めを守って命を得よ、わたしの教を守ること、ひとみを守るようにせよ。 + これをあなたの指にむすび、これをあなたの心の碑にしるせ。 + 知恵に向かって、「あなたはわが姉妹だ」と言い、悟りに向かっては、あなたの友と呼べ。 + そうすれば、これはあなたを守って遊女に迷わせず、言葉巧みな、みだらな女に近づかせない。 + わたしはわが家の窓により、格子窓から外をのぞいて、 + 思慮のない者のうちに、若い者のうちに、ひとりの知恵のない若者のいるのを見た。 + 彼はちまたを過ぎ、女の家に行く曲りかどに近づき、その家に行く道を、 + たそがれに、よいに、また夜中に、また暗やみに歩いていった。 + 見よ、遊女の装いをした陰険な女が彼に会う。 + この女は、騒がしくて、慎みなく、その足は自分の家にとどまらず、 + ある時はちまたにあり、ある時は市場にあり、すみずみに立って人をうかがう。 + この女は彼を捕えて口づけし、恥しらぬ顔で彼に言う、 + 「わたしは酬恩祭をささげなければならなかったが、きょう、その誓いを果しました。 + それでわたしはあなたを迎えようと出て、あなたを尋ね、あなたに会いました。 + わたしは床に美しい、しとねと、エジプトのあや布を敷き、 + 没薬、ろかい、桂皮をもってわたしの床をにおわせました。 + さあ、わたしたちは夜が明けるまで、情をつくし、愛をかわして楽しみましょう。 + 夫は家にいません、遠くへ旅立ち、 + 手に金袋を持って出ました。満月になるまでは帰りません」と。 + 女が多くの、なまめかしい言葉をもって彼を惑わし、巧みなくちびるをもって、いざなうと、 + 若い人は直ちに女に従った、あたかも牛が、ほふり場に行くように、雄じかが、すみやかに捕えられ、 + ついに、矢がその内臓を突き刺すように、鳥がすみやかに網にかかるように、彼は自分が命を失うようになることを知らない。 + 子供らよ、今わたしの言うことを聞き、わが口の言葉に耳を傾けよ。 + あなたの心を彼女の道に傾けてはならない、またその道に迷ってはならない。 + 彼女は多くの人を傷つけて倒した、まことに、彼女に殺された者は多い。 + その家は陰府へ行く道であって、死のへやへ下って行く。 + + + 知恵は呼ばわらないのか、悟りは声をあげないのか。 + これは道のほとりの高い所の頂、また、ちまたの中に立ち、 + 町の入口にあるもろもろの門のかたわら、正門の入口で呼ばわって言う、 + 「人々よ、わたしはあなたがたに呼ばわり、声をあげて人の子らを呼ぶ。 + 思慮のない者よ、悟りを得よ、愚かな者よ、知恵を得よ。 + 聞け、わたしは高貴な事を語り、わがくちびるは正しい事を語り出す。 + わが口は真実を述べ、わがくちびるは悪しき事を憎む。 + わが口の言葉はみな正しい、そのうちに偽りと、よこしまはない。 + これはみな、さとき者の明らかにするところ、知識を得る者の正しとするところである。 + あなたがたは銀を受けるよりも、わたしの教を受けよ、精金よりも、むしろ知識を得よ。 + 知恵は宝石にまさり、あなたがたの望むすべての物は、これと比べるにたりない。 + 知恵であるわたしは悟りをすみかとし、知識と慎みとをもつ。 + 主を恐れるとは悪を憎むことである。わたしは高ぶりと、おごりと、悪しき道と、偽りの言葉とを憎む。 + 計りごとと、確かな知恵とは、わたしにある、わたしには悟りがあり、わたしには力がある。 + わたしによって、王たる者は世を治め、君たる者は正しい定めを立てる。 + わたしによって、主たる者は支配し、つかさたる者は地を治める。 + わたしは、わたしを愛する者を愛する、わたしをせつに求める者は、わたしに出会う。 + 富と誉とはわたしにあり、すぐれた宝と繁栄もまたそうである。 + わたしの実は金よりも精金よりも良く、わたしの産物は精銀にまさる。 + わたしは正義の道、公正な道筋の中を歩み、 + わたしを愛する者に宝を得させ、またその倉を満ちさせる。 + 主が昔そのわざをなし始められるとき、そのわざの初めとして、わたしを造られた。 + いにしえ、地のなかった時、初めに、わたしは立てられた。 + まだ海もなく、また大いなる水の泉もなかった時、わたしはすでに生れ、 + 山もまだ定められず、丘もまだなかった時、わたしはすでに生れた。 + すなわち神がまだ地をも野をも、地のちりのもとをも造られなかった時である。 + 彼が天を造り、海のおもてに、大空を張られたとき、わたしはそこにあった。 + 彼が上に空を堅く立たせ、淵の泉をつよく定め、 + 海にその限界をたて、水にその岸を越えないようにし、また地の基を定められたとき、 + わたしは、そのかたわらにあって、名匠となり、日々に喜び、常にその前に楽しみ、 + その地で楽しみ、また世の人を喜んだ。 + それゆえ、子供らよ、今わたしの言うことを聞け、わたしの道を守る者はさいわいである。 + 教訓を聞いて、知恵を得よ、これを捨ててはならない。 + わたしの言うことを聞き、日々わたしの門のかたわらでうかがい、わたしの戸口の柱のわきで待つ人はさいわいである。 + それは、わたしを得る者は命を得、主から恵みを得るからである。 + わたしを失う者は自分の命をそこなう、すべてわたしを憎む者は死を愛する者である」。 + + + 知恵は自分の家を建て、その七つの柱を立て、 + 獣をほふり、酒を混ぜ合わせて、ふるまいを備え、 + はしためをつかわして、町の高い所で呼ばわり言わせた、 + 「思慮のない者よ、ここに来れ」と。また、知恵のない者に言う、 + 「来て、わたしのパンを食べ、わたしの混ぜ合わせた酒をのみ、 + 思慮のないわざを捨てて命を得、悟りの道を歩め」と。 + あざける者を戒める者は、自ら恥を得、悪しき者を責める者は自ら傷を受ける。 + あざける者を責めるな、おそらく彼はあなたを憎むであろう。知恵ある者を責めよ、彼はあなたを愛する。 + 知恵ある者に教訓を授けよ、彼はますます知恵を得る。正しい者を教えよ、彼は学に進む。 + 主を恐れることは知恵のもとである、聖なる者を知ることは、悟りである。 + わたしによって、あなたの日は多くなり、あなたの命の年は増す。 + もしあなたに知恵があるならば、あなた自身のために知恵があるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責めを負うことになる。 + 愚かな女は、騒がしく、みだらで、恥を知らない。 + 彼女はその家の戸口に座し、町の高い所にある座にすわり、 + 道を急ぐ行き来の人を招いて言う、 + 「思慮のない者よ、ここに来れ」と。また知恵のない人に向かってこれに言う、 + 「盗んだ水は甘く、ひそかに食べるパンはうまい」と。 + しかしその人は、死の影がそこにあることを知らず、彼女の客は陰府の深みにおることを知らない。 + + + ソロモンの箴言。知恵ある子は父を喜ばせ、愚かな子は母の悲しみとなる。 + 不義の宝は益なく、正義は人を救い出して、死を免れさせる。 + 主は正しい人を飢えさせず、悪しき者の欲望をくじかれる。 + 手を動かすことを怠る者は貧しくなり、勤め働く者の手は富を得る。 + 夏のうちに集める者は賢い子であり、刈入れの時に眠る者は恥をきたらせる子である。 + 正しい者のこうべには祝福があり、悪しき者の口は暴虐を隠す。 + 正しい者の名はほめられ、悪しき者の名は朽ちる。 + 心のさとき者は戒めを受ける、むだ口をたたく愚かな者は滅ぼされる。 + まっすぐに歩む者の歩みは安全である、しかし、その道を曲げる者は災にあう。 + 目で、めくばせする者は憂いをおこし、あからさまに、戒める者は平和をきたらせる。 + 正しい者の口は命の泉である、悪しき者の口は暴虐を隠す。 + 憎しみは、争いを起し、愛はすべてのとがをおおう。 + さとき者のくちびるには知恵があり、知恵のない者の背にはむちがある。 + 知恵ある者は知識をたくわえる、愚かな者のむだ口は、今にも滅びをきたらせる。 + 富める者の宝は、その堅き城であり、貧しい者の乏しきは、その滅びである。 + 正しい者の受ける賃銀は命に導き、悪しき者の利得は罪に至る。 + 教訓を守る者は命の道にあり、懲しめを捨てる者は道をふみ迷う。 + 憎しみを隠す者には偽りのくちびるがあり、そしりを口に出す者は愚かな者である。 + 言葉が多ければ、とがを免れない、自分のくちびるを制する者は知恵がある。 + 正しい者の舌は精銀である、悪しき者の心は価値が少ない。 + 正しい者のくちびるは多くの人を養い、愚かな者は知恵がなくて死ぬ。 + 主の祝福は人を富ませる、主はこれになんの悲しみをも加えない。 + 愚かな者は、戯れ事のように悪を行う、さとき人には賢い行いが楽しみである。 + 悪しき者の恐れることは自分に来り、正しい者の願うことは与えられる。 + あらしが通りすぎる時、悪しき者は、もはや、いなくなり、正しい者は永久に堅く立てられる。 + なまけ者は、これをつかわす者にとっては、酢が歯をいため、煙が目を悩ますようなものだ。 + 主を恐れることは人の命の日を多くする、悪しき者の年は縮められる。 + 正しい者の望みは喜びに終り、悪しき者の望みは絶える。 + 主は、まっすぐに歩む者には城であり、悪を行う者には滅びである。 + 正しい者はいつまでも動かされることはない、悪しき者は、地に住むことができない。 + 正しい者の口は知恵をいだし、偽りの舌は抜かれる。 + 正しい者のくちびるは喜ばるべきことをわきまえ、悪しき者の口は偽りを語る。 + + + 偽りのはかりは主に憎まれ、正しいふんどうは彼に喜ばれる。 + 高ぶりが来れば、恥もまた来る、へりくだる者には知恵がある。 + 正しい者の誠実はその人を導き、不信実な者のよこしまはその人を滅ぼす。 + 宝は怒りの日に益なく、正義は人を救い出して、死を免れさせる。 + 誠実な者は、その正義によって、その道をまっすぐにせられ、悪しき者は、その悪によって倒れる。 + 正しい者はその正義によって救われ、不信実な者は自分の欲によって捕えられる。 + 悪しき者は死ぬとき、その望みは絶え、不信心な者の望みもまた絶える。 + 正しい者は、悩みから救われ、悪しき者は代ってそれに陥る。 + 不信心な者はその口をもって隣り人を滅ぼす、正しい者は知識によって救われる。 + 正しい者が、しあわせになれば、その町は喜び、悪しき者が滅びると、喜びの声がおこる。 + 町は正しい者の祝福によって、高くあげられ、悪しき者の口によって、滅ぼされる。 + 隣り人を侮る者は知恵がない、さとき人は口をつぐむ。 + 人のよしあしを言いあるく者は秘密をもらす、心の忠信なる者は事を隠す。 + 指導者がなければ民は倒れ、助言者が多ければ安全である。 + 他人のために保証をする者は苦しみをうけ、保証をきらう者は安全である。 + しとやかな女は、誉を得、強暴な男は富を得る。 + いつくしみある者はおのれ自身に益を得、残忍な者はおのれの身をそこなう。 + 悪しき者の得る報いはむなしく、正義を播く者は確かな報いを得る。 + 正義を堅く保つ者は命に至り、悪を追い求める者は死を招く。 + 心のねじけた者は主に憎まれ、まっすぐに道を歩む者は彼に喜ばれる。 + 確かに、悪人は罰を免れない、しかし正しい人は救を得る。 + 美しい女の慎みがないのは、金の輪の、ぶたの鼻にあるようだ。 + 正しい者の願いは、すべて良い結果を得、悪しき者の望みは怒りに至る。 + 施し散らして、なお富を増す人があり、与えるべきものを惜しんで、かえって貧しくなる者がある。 + 物惜しみしない者は富み、人を潤す者は自分も潤される。 + 穀物を、しまい込んで売らない者は民にのろわれる、それを売る者のこうべには祝福がある。 + 善を求める者は恵みを得る、悪を求める者には悪が来る。 + 自分の富を頼む者は衰える、正しい者は木の青葉のように栄える。 + 自分の家族を苦しめる者は風を所有とする、愚かな者は心のさとき者のしもべとなる。 + 正しい者の結ぶ実は命の木である、不法な者は人の命をとる。 + もし正しい者がこの世で罰せられるならば、悪しき者と罪びととは、なおさらである。 + + + 戒めを愛する人は知識を愛する、懲しめを憎む者は愚かである。 + 善人は主の恵みをうけ、悪い計りごとを設ける人は主に罰せられる。 + 人は悪をもって堅く立つことはできない、正しい人の根は動くことはない。 + 賢い妻はその夫の冠である、恥をこうむらせる妻は夫の骨に生じた腐れのようなものである。 + 正しい人の考えは公正である、悪しき者の計ることは偽りである。 + 悪しき者の言葉は、人の血を流そうとうかがう、正しい人の口は人を救う。 + 悪しき者は倒されて、うせ去る、正しい人の家は堅く立つ。 + 人はその悟りにしたがって、ほめられ、心のねじけた者は、卑しめられる。 + 身分の低い人でも自分で働く者は、みずから高ぶって食に乏しい者にまさる。 + 正しい人はその家畜の命を顧みる、悪しき者は残忍をもって、あわれみとする。 + 自分の田地を耕す者は食糧に飽きる、無益な事に従う者は知恵がない。 + 悪しき者の堅固なやぐらは崩壊する、正しい人の根は堅く立つ。 + 悪人はくちびるのとがによって、わなに陥る、しかし正しい人は悩みをのがれる。 + 人はその口の実によって、幸福に満ち足り、人の手のわざは、その人の身に帰る。 + 愚かな人の道は、自分の目に正しく見える、しかし知恵ある者は勧めをいれる。 + 愚かな人は、すぐに怒りをあらわす、しかし賢い人は、はずかしめをも気にとめない。 + 真実を語る人は正しい証言をなし、偽りの証人は偽りを言う。 + つるぎをもって刺すように、みだりに言葉を出す者がある、しかし知恵ある人の舌は人をいやす。 + 真実を言うくちびるは、いつまでも保つ、偽りを言う舌は、ただ、まばたきの間だけである。 + 悪をたくらむ者の心には欺きがあり、善をはかる人には喜びがある。 + 正しい人にはなんの害悪も生じない、しかし悪しき者は災をもって満たされる。 + 偽りを言うくちびるは主に憎まれ、真実を行う者は彼に喜ばれる。 + さとき人は知識をかくす、しかし愚かな者は自分の愚かなことをあらわす。 + 勤め働く者の手はついに人を治める、怠る者は人に仕えるようになる。 + 心に憂いがあればその人をかがませる、しかし親切な言葉はその人を喜ばせる。 + 正しい人は悪を離れ去る、しかし悪しき者は自ら道に迷う。 + 怠る者は自分の獲物を捕えない、しかし勤め働く人は尊い宝を獲る。 + 正義の道には命がある、しかし誤りの道は死に至る。 + + + 知恵ある子は父の教訓をきく、あざける者は、懲しめをきかない。 + 善良な人はその口の実によって、幸福を得る、不信実な者の願いは、暴虐である。 + 口を守る者はその命を守る、くちびるを大きく開く者には滅びが来る。 + なまけ者の心は、願い求めても、何も得ない、しかし勤め働く者の心は豊かに満たされる。 + 正しい人は偽りを憎む、しかし悪しき人は恥ずべく、忌まわしくふるまう。 + 正義は道をまっすぐ歩む者を守り、罪は悪しき者を倒す。 + 富んでいると偽って、何も持たない者がいる、貧しいと偽って、多くの富を持つ者がいる。 + 人の富はその命をあがなう、しかし貧しい者にはあがなうべき富がない。 + 正しい者の光は輝き、悪しき者のともしびは消される。 + 高ぶりはただ争いを生じる、勧告をきく者は知恵がある。 + 急いで得た富は減る、少しずつたくわえる者はそれを増すことができる。 + 望みを得ることが長びくときは、心を悩ます、願いがかなうときは、命の木を得たようだ。 + み言葉を軽んじる者は滅ぼされ、戒めを重んじる者は報いを得る。 + 知恵ある人の教は命の泉である、これによって死のわなをのがれることができる。 + 善良な賢い者は恵みを得る、しかし、不信実な者の道は滅びである。 + おおよそ、さとき者は知識によって事をおこない、愚かな者は自分の愚を見せびらかす。 + 悪しき使者は人を災におとしいれる、しかし忠実な使者は人を救う。 + 貧乏と、はずかしめとは教訓を捨てる者に来る、しかし戒めを守る者は尊ばれる。 + 願いがかなえば、心は楽しい、愚かな者は悪を捨てることをきらう。 + 知恵ある者とともに歩む者は知恵を得る。愚かな者の友となる者は害をうける。 + 災は罪びとを追い、正しい者は良い報いを受ける。 + 善良な人はその嗣業を子孫にのこす、しかし罪びとの富は正しい人のためにたくわえられる。 + 貧しい人の新田は多くの食糧を産する、しかし不正によれば押し流される。 + むちを加えない者はその子を憎むのである、子を愛する者は、つとめてこれを懲らしめる。 + 正しい者は食べてその食欲を満たす、しかし悪しき者の腹は満たされない。 + + + 知恵はその家を建て、愚かさは自分の手でそれをこわす。 + まっすぐに歩む者は主を恐れる、曲って歩む者は主を侮る。 + 愚かな者の言葉は自分の背にむちを当てる、知恵ある者のくちびるはその身を守る。 + 牛がなければ穀物はない、牛の力によって農作物は多くなる。 + 真実な証人はうそをいわない、偽りの証人はうそをつく。 + あざける者は知恵を求めても得られない、さとき者は知識を得ることがたやすい。 + 愚かな者の前を離れ去れ、そこには知識の言葉がないからである。 + さとき者の知恵は自分の道をわきまえることにあり、愚かな者の愚かは、欺くことにある。 + 神は悪しき者をあざけられる、正しい者は、その恵みを受ける。 + 心の苦しみは心みずからが知る、その喜びには他人はあずからない。 + 悪しき者の家は滅ぼされ、正しい者の幕屋は栄える。 + 人が見て自ら正しいとする道でも、その終りはついに死に至る道となるものがある。 + 笑う時にも心に悲しみがあり、喜びのはてに憂いがある。 + 心のもとれる者はそのしわざの実を刈り取り、善良な人もまたその行いの実を刈り取る。 + 思慮のない者はすべてのことを信じる、さとき者は自分の歩みを慎む。 + 知恵ある者は用心ぶかく、悪を離れる、愚かな者は高ぶって用心しない。 + 怒りやすい者は愚かなことを行い、賢い者は忍耐強い。 + 思慮のない者は愚かなことを自分のものとする、さとき者は知識をもって冠とする。 + 悪人は善人の前にひれ伏し、悪しき者は正しい者の門にひれ伏す。 + 貧しい者はその隣にさえも憎まれる、しかし富める者は多くの友をもつ。 + 隣り人を卑しめる者は罪びとである、貧しい人をあわれむ者はさいわいである。 + 悪を計る者はおのれを誤るではないか、善を計る者にはいつくしみと、まこととがある。 + すべての勤労には利益がある、しかし口先だけの言葉は貧乏をきたらせるだけだ。 + 知恵ある者の冠はその知恵である、愚かな者の花の冠はただ愚かさである。 + まことの証人は人の命を救う、偽りを吐く者は裏切者である。 + 主を恐れることによって人は安心を得、その子らはのがれ場を得る。 + 主を恐れることは命の泉である、人を死のわなからのがれさせる。 + 王の栄えは民の多いことにあり、君の滅びは民を失うことにある。 + 怒りをおそくする者は大いなる悟りがあり、気の短い者は愚かさをあらわす。 + 穏やかな心は身の命である、しかし興奮は骨を腐らせる。 + 貧しい者をしえたげる者はその造り主を侮る、乏しい者をあわれむ者は、主をうやまう。 + 悪しき者はその悪しき行いによって滅ぼされ、正しい者はその正しきによって、のがれ場を得る。 + 知恵はさとき者の心にとどまり、愚かな者の心に知られない。 + 正義は国を高くし、罪は民をはずかしめる。 + 賢いしもべは王の恵みをうけ、恥をきたらす者はその怒りにあう。 + + + 柔かい答は憤りをとどめ、激しい言葉は怒りをひきおこす。 + 知恵ある者の舌は知識をわかち与え、愚かな者の口は愚かを吐き出す。 + 主の目はどこにでもあって、悪人と善人とを見張っている。 + 優しい舌は命の木である、乱暴な言葉は魂を傷つける。 + 愚かな者は父の教訓を軽んじる、戒めを守る者は賢い者である。 + 正しい者の家には多くの宝がある、悪しき者の所得には煩いがある。 + 知恵ある者のくちびるは知識をひろめる、愚かな者の心はそうでない。 + 悪しき者の供え物は主に憎まれ、正しい者の祈は彼に喜ばれる。 + 悪しき者の道は主に憎まれ、正義を求める者は彼に愛せられる。 + 道を捨てる者には、きびしい懲しめがあり、戒めを憎む者は死に至る。 + 陰府と滅びとは主の目の前にあり、人の心はなおさらである。 + あざける者は戒められることを好まない、また知恵ある者に近づかない。 + 心に楽しみがあれば顔色も喜ばしい、心に憂いがあれば気はふさぐ。 + さとき者の心は知識をたずね、愚かな者の口は愚かさを食物とする。 + 悩んでいる者の日々はことごとくつらく、心の楽しい人は常に宴会をもつ。 + 少しの物を所有して主を恐れるのは、多くの宝をもって苦労するのにまさる。 + 野菜を食べて互に愛するのは、肥えた牛を食べて互に憎むのにまさる。 + 憤りやすい者は争いをおこし、怒りをおそくする者は争いをとどめる。 + なまけ者の道には、いばらがはえしげり、正しい者の道は平らかである。 + 知恵ある子は父を喜ばせる、愚かな人はその母を軽んじる。 + 無知な者は愚かなことを喜び、さとき者はまっすぐに歩む。 + 相はかることがなければ、計画は破れる、はかる者が多ければ、それは必ず成る。 + 人は口から出る好ましい答によって喜びを得る、時にかなった言葉は、いかにも良いものだ。 + 知恵ある人の道は上って命に至る、こうしてその人は下にある陰府を離れる。 + 主は高ぶる者の家を滅ぼし、やもめの地境を定められる。 + 悪人の計りごとは主に憎まれ、潔白な人の言葉は彼に喜ばれる。 + 不正な利をむさぼる者はその家を煩らわせる、まいないを憎む者は生きながらえる。 + 正しい者の心は答えるべきことを考える、悪しき者の口は悪を吐き出す。 + 主は悪しき者に遠ざかり、正しい者の祈を聞かれる。 + 目の光は心を喜ばせ、よい知らせは骨を潤す。 + ためになる戒めを聞く耳をもつ者は、知恵ある者の中にとどまる。 + 教訓を捨てる者はおのれの命を軽んじ、戒めを重んじる者は悟りを得る。 + 主を恐れることは知恵の教訓である、謙遜は、栄誉に先だつ。 + + + 心にはかることは人に属し、舌の答は主から出る。 + 人の道は自分の目にことごとく潔しと見える、しかし主は人の魂をはかられる。 + あなたのなすべき事を主にゆだねよ、そうすれば、あなたの計るところは必ず成る。 + 主はすべての物をおのおのその用のために造り、悪しき人をも災の日のために造られた。 + すべて心に高ぶる者は主に憎まれる、確かに、彼は罰を免れない。 + いつくしみとまことによって、とがはあがなわれる、主を恐れることによって、人は悪を免れる。 + 人の道が主を喜ばせる時、主はその人の敵をもその人と和らがせられる。 + 正義によって得たわずかなものは、不義によって得た多くの宝にまさる。 + 人は心に自分の道を考え計る、しかし、その歩みを導く者は主である。 + 王のくちびるには神の決定がある、さばきをするとき、その口に誤りがない。 + 正しいはかりと天びんとは主のものである、袋にあるふんどうもすべて彼の造られたものである。 + 悪を行うことは王の憎むところである、その位が正義によって堅く立っているからである。 + 正しいくちびるは王に喜ばれる、彼は正しい事を言う者を愛する。 + 王の怒りは死の使者である、知恵ある人はこれをなだめる。 + 王の顔の光には命がある、彼の恵みは春雨をもたらす雲のようだ。 + 知恵を得るのは金を得るのにまさる、悟りを得るのは銀を得るよりも望ましい。 + 悪を離れることは正しい人の道である、自分の道を守る者はその魂を守る。 + 高ぶりは滅びにさきだち、誇る心は倒れにさきだつ。 + へりくだって貧しい人々と共におるのは、高ぶる者と共にいて、獲物を分けるにまさる。 + 慎んで、み言葉をおこなう者は栄える、主に寄り頼む者はさいわいである。 + 心に知恵ある者はさとき者ととなえられる、くちびるが甘ければ、その教に人を説きつける力を増す。 + 知恵はこれを持つ者に命の泉となる、しかし、愚かさは愚かな者の受ける懲しめである。 + 知恵ある者の心はその言うところを賢くし、またそのくちびるに人を説きつける力を増す。 + ここちよい言葉は蜂蜜のように、魂に甘く、からだを健やかにする。 + 人が見て自分で正しいとする道があり、その終りはついに死にいたる道となるものがある。 + ほねおる者は飲食のためにほねおる、その口が自分に迫るからである。 + よこしまな人は悪を企てる、そのくちびるには激しい火のようなものがある。 + 偽る者は争いを起し、つげ口する者は親しい友を離れさせる。 + しえたげる者はその隣り人をいざない、これを良くない道に導く。 + めくばせする者は悪を計り、くちびるを縮める者は悪事をなし遂げる。 + しらがは栄えの冠である、正しく生きることによってそれが得られる。 + 怒りをおそくする者は勇士にまさり、自分の心を治める者は城を攻め取る者にまさる。 + 人はくじをひく、しかし事を定めるのは全く主のことである。 + + + 平穏であって、ひとかたまりのかわいたパンのあるのは、争いがあって、食物の豊かな家にまさる。 + 賢いしもべは身持の悪いむすこを治め、かつ、その兄弟たちの中にあって、資産の分け前を獲る。 + 銀を試みるものはるつぼ、金を試みるものは炉、人の心を試みるものは主である。 + 悪を行う者は偽りのくちびるに聞き、偽りをいう者は悪しき舌に耳を傾ける。 + 貧しい者をあざける者はその造り主を侮る、人の災を喜ぶ者は罰を免れない。 + 孫は老人の冠である、父は子の栄えである。 + すぐれた言葉は愚かな者には似合わない、まして偽りを言うくちびるは君たる者には似合わない。 + まいないはこれを贈る人の目には幸運の玉のようだ、その向かう所、どこでも彼は栄える。 + 愛を追い求める人は人のあやまちをゆるす、人のことを言いふらす者は友を離れさせる。 + 一度の戒めがさとき人に徹するのは、百度の懲しめが愚かな人に徹するよりも深い。 + 悪しき者はただ、そむく事のみを求める、それゆえ、彼に向かっては残忍な使者がつかわされる。 + 愚かな者が愚かな事をするのに会うよりは、子をとられた雌ぐまに会うほうがよい。 + 悪をもて善に報いる者は、悪がその家を離れることがない。 + 争いの初めは水がもれるのに似ている、それゆえ、けんかの起らないうちにそれをやめよ。 + 悪しき者を正しいとする者、正しい者を悪いとする者、この二つの者はともに主に憎まれる。 + 愚かな者はすでに心がないのに、どうして知恵を買おうとして手にその代金を持っているのか。 + 友はいずれの時にも愛する、兄弟はなやみの時のために生れる。 + 知恵のない人は手をうって、その隣り人の前で保証をする。 + 争いを好む者は罪を好む、その門を高くする者は滅びを求める。 + 曲った心の者はさいわいを得ない、みだりに舌をもって語る者は災に陥る。 + 愚かな子を生む者は嘆きを得る、愚か者の父は喜びを得ない。 + 心の楽しみは良い薬である、たましいの憂いは骨を枯らす。 + 悪しき者は人のふところからまいないを受けて、さばきの道をまげる。 + さとき者はその顔を知恵にむける、しかし、愚かな者は目を地の果にそそぐ。 + 愚かな子はその父の憂いである、またこれを産んだ母の痛みである。 + 正しい人を罰するのはよくない、尊い人を打つのは悪い。 + 言葉を少なくする者は知識のある者、心の冷静な人はさとき人である。 + 愚かな者も黙っているときは、知恵ある者と思われ、そのくちびるを閉じている時は、さとき者と思われる。 + + + 人と交わりをしない者は口実を捜し、すべてのよい考えに激しく反対する。 + 愚かな者は悟ることを喜ばず、ただ自分の意見を言い表わすことを喜ぶ。 + 悪しき者が来ると、卑しめもまた来る、不名誉が来ると、はずかしめも共にくる。 + 人の口の言葉は深い水のようだ、知恵の泉は、わいて流れる川である。 + 悪しき者をえこひいきすることは良くない、正しい者をさばいて、悪しき者とすることも良くない。 + 愚かな者のくちびるは争いを起し、その口はむち打たれることを招く。 + 愚かな者の口は自分の滅びとなり、そのくちびるは自分を捕えるわなとなる。 + 人のよしあしをいう者の言葉はおいしい食物のようで、腹の奥にしみこむ。 + その仕事を怠る者は、滅ぼす者の兄弟である。 + 主の名は堅固なやぐらのようだ、正しい者はその中に走りこんで救を得る。 + 富める者の富はその堅き城である、それは高き城壁のように彼を守る。 + 人の心の高ぶりは滅びにさきだち、謙遜は栄誉にさきだつ。 + 事をよく聞かないで答える者は、愚かであって恥をこうむる。 + 人の心は病苦をも忍ぶ、しかし心の痛むときは、だれがそれに耐えようか。 + さとき者の心は知識を得、知恵ある者の耳は知識を求める。 + 人の贈り物は、その人のために道をひらき、また尊い人の前に彼を導く。 + 先に訴え出る者は正しいように見える、しかしその訴えられた人が来て、それを調べて、事は明らかになる。 + くじは争いをとどめ、かつ強い争い相手の間を決定する。 + 助けあう兄弟は堅固な城のようだ、しかし争いは、やぐらの貫の木のようだ。 + 人は自分の言葉の結ぶ実によって、満ち足り、そのくちびるの産物によって自ら飽きる。 + 死と生とは舌に支配される、これを愛する者はその実を食べる。 + 妻を得る者は、良き物を得る、かつ主から恵みを与えられる。 + 貧しい者は、あわれみを請い、富める者は、はげしい答をする。 + 世には友らしい見せかけの友がある、しかし兄弟よりもたのもしい友もある。 + + + 正しく歩む貧しい者は、曲ったことを言う愚かな者にまさる。 + 人が知識のないのは良くない、足で急ぐ者は道に迷う。 + 人は自分の愚かさによって道につまずき、かえって心のうちに主をうらむ。 + 富は多くの新しい友を作る、しかし貧しい人はその友に捨てられる。 + 偽りの証人は罰を免れない、偽りをいう者はのがれることができない。 + 気前のよい人にこびる者は多い、人はみな贈り物をする人の友となる。 + 貧しい者はその兄弟すらもみなこれを憎む、ましてその友はこれに遠ざからないであろうか。言葉をかけてこれを呼んでも、去って帰らないのである。 + 知恵を得る者は自分の魂を愛し、悟りを保つ者は幸を得る。 + 偽りの証人は罰を免れない、偽りをいう者は滅びる。 + 愚かな者が、ぜいたくな暮しをするのは、ふさわしいことではない、しもべたる者が、君たる者を治めるなどは、なおさらである。 + 悟りは人に怒りを忍ばせる、あやまちをゆるすのは人の誉である。 + 王の怒りは、ししのほえるようであり、その恵みは草の上におく露のようである。 + 愚かな子はその父の災である、妻の争うのは、雨漏りの絶えないのとひとしい。 + 家と富とは先祖からうけつぐもの、賢い妻は主から賜わるものである。 + 怠りは人を熟睡させる、なまけ者は飢える。 + 戒めを守る者は自分の魂を守る、み言葉を軽んじる者は死ぬ。 + 貧しい者をあわれむ者は主に貸すのだ、その施しは主が償われる。 + 望みのあるうちに、自分の子を懲らせ、これを滅ぼす心を起してはならない。 + 怒ることの激しい者は罰をうける、たとい彼を救ってやっても、さらにくり返さねばならない。 + 勧めを聞き、教訓をうけよ、そうすれば、ついには知恵ある者となる。 + 人の心には多くの計画がある、しかしただ主の、み旨だけが堅く立つ。 + 人に望ましいのは、いつくしみ深いことである、貧しい人は偽りをいう人にまさる。 + 主を恐れることは人を命に至らせ、常に飽き足りて、災にあうことはない。 + なまけ者は、手を皿に入れても、それを口に持ってゆくことをしない。 + あざける者を打て、そうすれば思慮のない者も慎む。さとき者を戒めよ、そうすれば彼は知識を得る。 + 父に乱暴をはたらき、母を追い出す者は、恥をきたらし、はずかしめをまねく子である。 + わが子よ、知識の言葉をはなれて人を迷わせる教訓を聞くことをやめよ。 + 悪い証人はさばきをあざけり、悪しき者の口は悪をむさぼり食う。 + さばきはあざける者のために備えられ、むちは愚かな者の背のために備えられる。 + + + 酒は人をあざける者とし、濃い酒は人をあばれ者とする、これに迷わされる者は無知である。 酒は人をあざける者とし、濃い酒は人をあばれ者とする、これに迷わされる者は無知である。 + 王の怒りは、ししがほえるようだ、彼を怒らせる者は自分の命をそこなう。 王の怒りは、ししがほえるようだ、彼を怒らせる者は自分の命をそこなう。 + 争いに関係しないことは人の誉である、すべて愚かな者は怒り争う。 争いに関係しないことは人の誉である、すべて愚かな者は怒り争う。 + なまけ者は寒いときに耕さない、それゆえ刈入れのときになって、求めても何もない。 なまけ者は寒いときに耕さない、それゆえ刈入れのときになって、求めても何もない。 + 人の心にある計りごとは深い井戸の水のようだ、しかし、さとき人はこれをくみ出す。 人の心にある計りごとは深い井戸の水のようだ、しかし、さとき人はこれをくみ出す。 + 自分は真実だという人が多い、しかし、だれが忠信な人に会うであろうか。 自分は真実だという人が多い、しかし、だれが忠信な人に会うであろうか。 + 欠けた所なく、正しく歩む人――その後の子孫はさいわいである。 欠けた所なく、正しく歩む人――その後の子孫はさいわいである。 + さばきの座にすわる王はその目をもって、すべての悪をふるいわける。 さばきの座にすわる王はその目をもって、すべての悪をふるいわける。 + だれが「わたしは自分の心を清めた、わたしの罪は清められた」ということができようか。 だれが「わたしは自分の心を清めた、わたしの罪は清められた」ということができようか。 + 互に違った二種のはかり、二種のますは、ひとしく主に憎まれる。 互に違った二種のはかり、二種のますは、ひとしく主に憎まれる。 + 幼な子でさえも、その行いによって自らを示し、そのすることの清いか正しいかを現す。 幼な子でさえも、その行いによって自らを示し、そのすることの清いか正しいかを現す。 + 聞く耳と、見る目とは、ともに主が造られたものである。 聞く耳と、見る目とは、ともに主が造られたものである。 + 眠りを愛してはならない、そうすれば貧しくなる、目を開け、そうすればパンに飽くことができる。 眠りを愛してはならない、そうすれば貧しくなる、目を開け、そうすればパンに飽くことができる。 + 買う者は、「悪い、悪い」という、しかし去って後、彼は自ら誇る。 買う者は、「悪い、悪い」という、しかし去って後、彼は自ら誇る。 + 金もあり、価の高い宝石も多くあるが、尊い器は知識のくちびるである。 金もあり、価の高い宝石も多くあるが、尊い器は知識のくちびるである。 + 人のために保証する者からは、まずその着物を取れ、他人のために保証する者をば抵当に取れ。 人のために保証する者からは、まずその着物を取れ、他人のために保証する者をば抵当に取れ。 + 欺き取ったパンはおいしい、しかし後にはその口は砂利で満たされる。 欺き取ったパンはおいしい、しかし後にはその口は砂利で満たされる。 + 計りごとは共に議することによって成る、戦おうとするならば、まずよく議しなければならない。 計りごとは共に議することによって成る、戦おうとするならば、まずよく議しなければならない。 + 歩きまわって人のよしあしをいう者は秘密をもらす、くちびるを開いて歩く者と交わってはならない。 歩きまわって人のよしあしをいう者は秘密をもらす、くちびるを開いて歩く者と交わってはならない。 + 自分の父母をののしる者は、そのともしびは暗やみの中に消える。 自分の父母をののしる者は、そのともしびは暗やみの中に消える。 + 初めに急いで得た資産は、その終りがさいわいでない。 初めに急いで得た資産は、その終りがさいわいでない。 + 「わたしが悪に報いる」と言ってはならない、主を待ち望め、主はあなたを助けられる。 「わたしが悪に報いる」と言ってはならない、主を待ち望め、主はあなたを助けられる。 + 互に違った二種のふんどうは主に憎まれる、偽りのはかりは良くない。 互に違った二種のふんどうは主に憎まれる、偽りのはかりは良くない。 + 人の歩みは主によって定められる、人はどうして自らその道を、明らかにすることができようか。 人の歩みは主によって定められる、人はどうして自らその道を、明らかにすることができようか。 + 軽々しく「これは聖なるささげ物だ」と言い、また誓いを立てて後に考えることは、その人のわなとなる。 軽々しく「これは聖なるささげ物だ」と言い、また誓いを立てて後に考えることは、その人のわなとなる。 + 知恵ある王は、箕をもってあおぎ分けるように悪人を散らし、車をもって脱穀するように、これを罰する。 知恵ある王は、箕をもってあおぎ分けるように悪人を散らし、車をもって脱穀するように、これを罰する。 + 人の魂は主のともしびであり、人の心の奥を探る。 人の魂は主のともしびであり、人の心の奥を探る。 + いつくしみと、まこととは王を守る、その位もまた正義によって保たれる。 いつくしみと、まこととは王を守る、その位もまた正義によって保たれる。 + 若い人の栄えはその力、老人の美しさはそのしらがである。 若い人の栄えはその力、老人の美しさはそのしらがである。 + 傷つくまでに打てば悪い所は清くなり、むちで打てば心の底までも清まる。 傷つくまでに打てば悪い所は清くなり、むちで打てば心の底までも清まる。 + + + 王の心は、主の手のうちにあって、水の流れのようだ、主はみこころのままにこれを導かれる。 王の心は、主の手のうちにあって、水の流れのようだ、主はみこころのままにこれを導かれる。 + 人の道は自分の目には正しく見える、しかし主は人の心をはかられる。 人の道は自分の目には正しく見える、しかし主は人の心をはかられる。 + 正義と公平を行うことは、犠牲にもまさって主に喜ばれる。 正義と公平を行うことは、犠牲にもまさって主に喜ばれる。 + 高ぶる目とおごる心とは、悪しき人のともしびであって、罪である。 高ぶる目とおごる心とは、悪しき人のともしびであって、罪である。 + 勤勉な人の計画は、ついにその人を豊かにする、すべて怠るものは貧しくなる。 勤勉な人の計画は、ついにその人を豊かにする、すべて怠るものは貧しくなる。 + 偽りの舌をもって宝を得るのは、吹きはらわれる煙、死のわなである。 偽りの舌をもって宝を得るのは、吹きはらわれる煙、死のわなである。 + 悪しき者の暴虐はその身を滅ぼす、彼らは公平を行うことを好まないからである。 悪しき者の暴虐はその身を滅ぼす、彼らは公平を行うことを好まないからである。 + 罪びとの道は曲っている、潔白な人の行いはまっすぐである。 罪びとの道は曲っている、潔白な人の行いはまっすぐである。 + 争いを好む女と一緒に家におるよりは屋根のすみにおるほうがよい。 争いを好む女と一緒に家におるよりは屋根のすみにおるほうがよい。 + 悪しき者の魂は悪を行うことを願う、その隣り人にも好意をもって見られない。 悪しき者の魂は悪を行うことを願う、その隣り人にも好意をもって見られない。 + あざけるものが罰をうけるならば、思慮のない者は知恵を得る。知恵ある者が教をうけるならば知識を得る。 あざけるものが罰をうけるならば、思慮のない者は知恵を得る。知恵ある者が教をうけるならば知識を得る。 + 正しい神は、悪しき者の家をみとめて、悪しき者を滅びに投げいれられる。 正しい神は、悪しき者の家をみとめて、悪しき者を滅びに投げいれられる。 + 耳を閉じて貧しい者の呼ぶ声を聞かない者は、自分が呼ぶときに、聞かれない。 耳を閉じて貧しい者の呼ぶ声を聞かない者は、自分が呼ぶときに、聞かれない。 + ひそかな贈り物は憤りをなだめる、ふところのまいないは激しい怒りを和らげる。 ひそかな贈り物は憤りをなだめる、ふところのまいないは激しい怒りを和らげる。 + 公義を行うことは、正しい者には喜びであるが、悪を行う者には滅びである。 公義を行うことは、正しい者には喜びであるが、悪を行う者には滅びである。 + 悟りの道を離れる人は、死人の集会の中におる。 悟りの道を離れる人は、死人の集会の中におる。 + 快楽を好む者は貧しい人となり、酒と油とを好む者は富むことがない。 快楽を好む者は貧しい人となり、酒と油とを好む者は富むことがない。 + 悪しき者は正しい者のあがないとなり、不信実な者は正しい人に代る。 悪しき者は正しい者のあがないとなり、不信実な者は正しい人に代る。 + 争い怒る女と共におるよりは、荒野に住むほうがましだ。 争い怒る女と共におるよりは、荒野に住むほうがましだ。 + 知恵ある者の家には尊い宝があり、愚かな人はこれを、のみ尽す。 知恵ある者の家には尊い宝があり、愚かな人はこれを、のみ尽す。 + 正義といつくしみとを追い求める者は、命と誉とを得る。 正義といつくしみとを追い求める者は、命と誉とを得る。 + 知恵ある者は強い者の城にのぼって、その頼みとするとりでをくずす。 知恵ある者は強い者の城にのぼって、その頼みとするとりでをくずす。 + 口と舌とを守る者はその魂を守って、悩みにあわせない。 口と舌とを守る者はその魂を守って、悩みにあわせない。 + 高ぶりおごる者を「あざける者」となづける、彼は高慢無礼な行いをするものである。 高ぶりおごる者を「あざける者」となづける、彼は高慢無礼な行いをするものである。 + なまけ者の欲望は自分の身を殺す、これはその手を働かせないからである。 なまけ者の欲望は自分の身を殺す、これはその手を働かせないからである。 + 悪しき者はひねもす人の物をむさぼる、正しい者は与えて惜しまない。 悪しき者はひねもす人の物をむさぼる、正しい者は与えて惜しまない。 + 悪しき者の供え物は憎まれる、悪意をもってささげる時はなおさらである。 悪しき者の供え物は憎まれる、悪意をもってささげる時はなおさらである。 + 偽りの証人は滅ぼされる、よく聞く人の言葉はすたることがない。 偽りの証人は滅ぼされる、よく聞く人の言葉はすたることがない。 + 悪しき者はあつかましくし、正しい人はその道をつつしむ。 悪しき者はあつかましくし、正しい人はその道をつつしむ。 + 主に向かっては知恵も悟りも、計りごとも、なんの役にも立たない。 主に向かっては知恵も悟りも、計りごとも、なんの役にも立たない。 + 戦いの日のために馬を備える、しかし勝利は主による。 戦いの日のために馬を備える、しかし勝利は主による。 + + + 令名は大いなる富にまさり、恩恵は銀や金よりも良い。 + 富める者と貧しい者とは共に世におる、すべてこれを造られたのは主である。 + 賢い者は災を見て自ら避け、思慮のない者は進んでいって、罰をうける。 + 謙遜と主を恐れることとの報いは、富と誉と命とである。 + よこしまな者の道にはいばらとわながあり、たましいを守る者は遠くこれを離れる。 + 子をその行くべき道に従って教えよ、そうすれば年老いても、それを離れることがない。 + 富める者は貧しき者を治め、借りる者は貸す人の奴隷となる。 + 悪をまく者は災を刈り、その怒りのつえはすたれる。 + 人を見て恵む者はめぐまれる、自分のパンを貧しい人に与えるからである。 + あざける者を追放すれば争いもまた去り、かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。 + 心の潔白を愛する者、その言葉の上品な者は、王がその友となる。 + 主の目は知識ある者を守る、しかし主は不信実な者の言葉を敗られる。 + なまけ者は言う、「ししがそとにいる、わたしは、ちまたで殺される」と。 + 遊女の口は深い落し穴である、主に憎まれる者はその中に陥る。 + 愚かなことが子供の心の中につながれている、懲しめのむちは、これを遠く追いだす。 + 貧しい者をしえたげて自分の富を増そうとする者と、富める者に与える者とは、ついに必ず貧しくなる。 + あなたの耳を傾けて知恵ある者の言葉を聞き、かつ、わたしの知識にあなたの心を用いよ。 + これをあなたのうちに保ち、ことごとく、あなたのくちびるに備えておくなら、楽しいことである。 + あなたが主に、寄り頼むことのできるように、わたしはきょう、これをあなたにも教える。 + わたしは、勧めと知識との三十の言葉をあなたのためにしるしたではないか。 + それは正しいこと、真実なことをあなたに示し、あなたをつかわした者に真実の答をさせるためであった。 + 貧しい者を、貧しいゆえに、かすめてはならない、悩む者を、町の門でおさえつけてはならない。 + それは主が彼らの訴えをただし、かつ彼らをそこなう者の命を、そこなわれるからである。 + 怒る者と交わるな、憤る人と共に行くな。 + それはあなたがその道にならって、みずから、わなに陥ることのないためである。 + あなたは人と手を打つ者となってはならない、人の負債の保証をしてはならない。 + あなたが償うものがないとき、あなたの寝ている寝床までも、人が奪い取ってよかろうか。 + あなたの先祖が立てた古い地境を移してはならない。 + あなたはそのわざに巧みな人を見るか、そのような人は王の前に立つが、卑しい人々の前には立たない。 + + + 治める人と共に座して食事するとき、あなたの前にあるものを、よくわきまえ、 + あなたがもし食をたしなむ者であるならば、あなたののどに刀をあてよ。 + そのごちそうをむさぼり食べてはならない、これは人を欺く食物だからである。 + 富を得ようと苦労してはならない、かしこく思いとどまるがよい。 + あなたの目をそれにとめると、それはない、富はたちまち自ら翼を生じて、わしのように天に飛び去るからだ。 + 物惜しみする人のパンを食べてはならない、そのごちそうをむさぼり願ってはならない。 + 彼は心のうちで勘定する人のように、「食え、飲め」とあなたに言うけれども、その心はあなたに真実ではない。 + あなたはついにその食べた物を吐き出すようになり、あなたのねんごろな言葉もむだになる。 + 愚かな者の耳に語ってはならない、彼はあなたの言葉が示す知恵をいやしめるからだ。 + 古い地境を移してはならない、みなしごの畑を侵してはならない。 + 彼らのあがない主は強くいらせられ、あなたに逆らって彼らの訴えを弁護されるからだ。 + あなたの心を教訓に用い、あなたの耳を知識の言葉に傾けよ。 + 子を懲らすことを、さし控えてはならない、むちで彼を打っても死ぬことはない。 + もし、むちで彼を打つならば、その命を陰府から救うことができる。 + わが子よ、もしあなたの心が賢くあれば、わたしの心もまた喜び、 + もしあなたのくちびるが正しい事を言うならば、わたしの心も喜ぶ。 + 心に罪びとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主を恐れよ。 + かならず後のよい報いがあって、あなたの望みは、すたらない。 + わが子よ、よく聞いて、知恵を得よ、かつ、あなたの心を道に向けよ。 + 酒にふけり、肉をたしなむ者と交わってはならない。 + 酒にふける者と、肉をたしなむ者とは貧しくなり、眠りをむさぼる者は、ぼろを身にまとうようになる。 + あなたを生んだ父のいうことを聞き、年老いた母を軽んじてはならない。 + 真理を買え、これを売ってはならない、知恵と教訓と悟りをも買え。 + 正しい人の父は大いによろこび、知恵ある子を生む者は子のために楽しむ。 + あなたの父母を楽しませ、あなたを産んだ母を喜ばせよ。 + わが子よ、あなたの心をわたしに与え、あなたの目をわたしの道に注げ。 + 遊女は深い穴のごとく、みだらな女は狭い井戸のようだ。 + 彼女は盗びとのように人をうかがい、かつ世の人のうちに、不信実な者を多くする。 + 災ある者はだれか、憂いある者はだれか、争いをする者はだれか、煩いある者はだれか、ゆえなく傷をうける者はだれか、赤い目をしている者はだれか。 + 酒に夜をふかす者、行って、混ぜ合わせた酒を味わう者である。 + 酒はあかく、杯の中にあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見てはならない。 + これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺す。 + あなたの目は怪しいものを見、あなたの心は偽りを言う。 + あなたは海の中に寝ている人のように、帆柱の上に寝ている人のようになる。 + あなたは言う、「人がわたしを撃ったが、わたしは痛くはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何も覚えはない。いつわたしはさめるのか、また酒を求めよう」と。 + + + 悪を行う人をうらやんではならない、また彼らと共におることを願ってはならない。 + 彼らはその心に強奪を計り、そのくちびるに人をそこなうことを語るからである。 + 家は知恵によって建てられ、悟りによって堅くせられ、 + また、へやは知識によってさまざまの尊く、麗しい宝で満たされる。 + 知恵ある者は強い人よりも強く、知識ある人は力ある人よりも強い。 + 良い指揮によって戦いをすることができ、勝利は多くの議する者がいるからである。 + 知恵は高くて愚かな者の及ぶところではない、愚かな者は門で口を開くことができない。 + 悪を行うことを計る者を人はいたずら者ととなえる。 + 愚かな者の計るところは罪であり、あざける者は人に憎まれる。 + もしあなたが悩みの日に気をくじくならば、あなたの力は弱い。 + 死地にひかれゆく者を助け出せ、滅びによろめきゆく者を救え。 + あなたが、われわれはこれを知らなかったといっても、心をはかる者はそれを悟らないであろうか。あなたの魂を守る者はそれを知らないであろうか。彼はおのおのの行いにより、人に報いないであろうか。 + わが子よ、蜜を食べよ、これは良いものである、また、蜂の巣のしたたりはあなたの口に甘い。 + 知恵もあなたの魂にはそのようであることを知れ。それを得るならば、かならず報いがあって、あなたの望みは、すたらない。 + 悪しき者がするように、正しい者の家をうかがってはならない、その住む所に乱暴をしてはならない。 + 正しい者は七たび倒れても、また起きあがる、しかし、悪しき者は災によって滅びる。 + あなたのあだが倒れるとき楽しんではならない、彼のつまずくとき心に喜んではならない。 + 主はそれを見て悪いこととし、その怒りを彼から転じられる。 + 悪を行う者のゆえに心を悩ましてはならない、よこしまな者をうらやんではならない。 + 悪しき者には後の良い報いはない、よこしまな者のともしびは消される。 + わが子よ、主と王とを恐れよ、そのいずれにも不従順であってはならない。 + その災はたちまち起るからである。この二つの者からくる滅びをだれが知り得ようか。 + これらもまた知恵ある者の箴言である。片寄ったさばきをするのは、よくない。 + 悪しき者に向かって、「あなたは正しい」という者を、人々はのろい、諸民は憎む。 + 悪しき者をせめる者は恵みを得る、また幸福が与えられる。 + 正しい答をする者は、くちびるに、口づけするのである。 + 外で、あなたの仕事を整え、畑で、すべての物をおのれのために備え、その後あなたの家を建てるがよい。 + ゆえなく隣り人に敵して、証言をしてはならない、くちびるをもって欺いてはならない。 + 「彼がわたしにしたように、わたしも彼にしよう、わたしは人がしたところにしたがって、その人に報いよう」と言ってはならない。 + わたしはなまけ者の畑のそばと、知恵のない人のぶどう畑のそばを通ってみたが、 + いばらが一面に生え、あざみがその地面をおおい、その石がきはくずれていた。 + わたしはこれをみて心をとどめ、これを見て教訓を得た。 + 「しばらく眠り、しばらくまどろみ、手をこまぬいて、またしばらく休む」。 + それゆえ、貧しさは盗びとのように、あなたに来、乏しさは、つわもののように、あなたに来る。 + + + これらもまたソロモンの箴言であり、ユダの王ヒゼキヤに属する人々がこれを書き写した。 + 事を隠すのは神の誉であり、事を窮めるのは王の誉である。 + 天の高さと地の深さと、王たる者の心とは測ることができない。 + 銀から、かなくそを除け、そうすれば、銀細工人が器を造る材料となる。 + 王の前から悪しき者を除け、そうすれば、その位は正義によって堅く立つ。 + 王の前で自ら高ぶってはならない、偉い人の場に立ってはならない。 + 尊い人の前で下にさげられるよりは、「ここに上がれ」といわれるほうがましだ。 + あなたが目に見たことを、軽々しく法廷に出してはならない。あとになり、あなたが隣り人にはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。 + 隣り人と争うことがあるならば、ただその人と争え、他人の秘密をもらしてはならない。 + そうでないと、聞く者があなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 + おりにかなって語る言葉は、銀の彫り物に金のりんごをはめたようだ。 + 知恵をもって戒める者は、これをきく者の耳にとって、金の耳輪、精金の飾りのようだ。 + 忠実な使者はこれをつかわす者にとって、刈入れの日に冷やかな雪があるようだ、よくその主人の心を喜ばせる。 + 贈り物をすると偽って誇る人は、雨のない雲と風のようだ。 + 忍耐をもって説けば君も言葉をいれる、柔らかな舌は骨を砕く。 + 蜜を得たならば、ただ足るほどにこれを食べよ、おそらくは食べすごして、それを吐き出すであろう。 + 隣り人の家に足をしげくしてはならない、おそらくは彼は煩わしくなって、あなたを憎むようになろう。 + 隣り人に敵して偽りのあかしを立てる人は、こん棒、つるぎ、または鋭い矢のようだ。 + 悩みに会うとき不信実な者を頼みにするのは、悪い歯、またはなえた足を頼みとするようなものだ。 + 心の痛める人の前で歌をうたうのは、寒い日に着物を脱ぐようであり、また傷の上に酢をそそぐようだ。 + もしあなたのあだが飢えているならば、パンを与えて食べさせ、もしかわいているならば水を与えて飲ませよ。 + こうするのは、火を彼のこうべに積むのである、主はあなたに報いられる。 + 北風は雨を起し、陰言をいう舌は人の顔を怒らす。 + 争いを好む女と一緒に家におるよりは、屋根のすみにおるほうがよい。 + 遠い国から来るよい消息は、かわいている人が飲む冷やかな水のようだ。 + 正しい者が悪い者の前に屈服するのは、井戸が濁ったよう、また泉がよごれたようなものだ。 + 蜜を多く食べるのはよくない、ほめる言葉は控え目にするがよい。 + 自分の心を制しない人は、城壁のない破れた城のようだ。 + + + 誉が愚かな者にふさわしくないのは、夏に雪が降り、刈入れの時に雨が降るようなものだ。 + いわれのないのろいは、飛びまわるすずめや、飛びかけるつばめのようなもので、止まらない。 + 馬のためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚かな者の背のためにはつえがある。 + 愚かな者にその愚かさにしたがって答をするな、自分も彼と同じようにならないためだ。 + 愚かな者にその愚かさにしたがって答をせよ、彼が自分の目に自らを知恵ある者と見ないためだ。 + 愚かな者に託して事を言い送る者は、自分の足を切り去り、身に害をうける。 + あしなえの足は用がない、愚かな者の口には箴言もそれにひとしい。 + 誉を愚かな者に与えるのは、石を石投げにつなぐようだ。 + 愚かな者の口に箴言があるのは、酔った者が、とげのあるつえを手で振り上げるようだ。 + 通りがかりの愚か者や、酔った者を雇う者は、すべての人を傷つける射手のようだ。 + 犬が帰って来てその吐いた物を食べるように、愚かな者はその愚かさをくり返す。 + 自分の目に自らを知恵ある者とする人を、あなたは見るか、彼よりもかえって愚かな人に望みがある。 + なまけ者は、「道にししがいる、ちまたにししがいる」という。 + 戸がちょうつがいによって回るように、なまけ者はその寝床で寝返りをする。 + なまけ者は手を皿に入れても、それを口に持ってゆくことをいとう。 + なまけ者は自分の目に、良く答えることのできる七人の者よりも、自らを知恵ありとする。 + 自分に関係のない争いにたずさわる者は、通りすぎる犬の耳をとらえる者のようだ。 + + 隣り人を欺いて、「わたしはただ戯れにした」という者は、燃え木または矢、または死を、投げつける気違いのようだ。 + たきぎがなければ火は消え、人のよしあしを言う者がなければ争いはやむ。 + おき火に炭をつぎ、火にたきぎをくべるように、争いを好む人は争いの火をおこす。 + 人のよしあしをいう者の言葉はおいしい食物のようで、腹の奥にしみこむ。 + くちびるはなめらかであっても、心の悪いのは上ぐすりをかけた土の器のようだ。 + 憎む者はくちびるをもって自ら飾るけれども、心のうちには偽りをいだく。 + 彼が声をやわらげて語っても、信じてはならない。その心に七つの憎むべきものがあるからだ。 + たとい偽りをもってその憎しみをかくしても、彼の悪は会衆の中に現れる。 + 穴を掘る者は自らその中に陥る、石をまろばしあげる者の上に、その石はまろびかえる。 + 偽りの舌は自分が傷つけた者を憎み、へつらう口は滅びをきたらせる。 + + + あすのことを誇ってはならない、一日のうちに何がおこるかを知ることができないからだ。 + 自分の口をもって自らをほめることなく、他人にほめさせよ。自分のくちびるをもってせず、ほかの人にあなたをほめさせよ。 + 石は重く、砂も軽くはない、しかし愚かな者の怒りはこの二つよりも重い。 + 憤りはむごく、怒りははげしい、しかしねたみの前には、だれが立ちえよう。 + あからさまに戒めるのは、ひそかに愛するのにまさる。 + 愛する者が傷つけるのは、まことからであり、あだの口づけするのは偽りからである。 + 飽いている者は蜂蜜をも踏みつける、しかし飢えた者には苦い物でさえ、みな甘い。 + その家を離れてさまよう人は、巣を離れてさまよう鳥のようだ。 + 油と香とは人の心を喜ばせる、しかし魂は悩みによって裂かれる。 + あなたの友、あなたの父の友を捨てるな、あなたが悩みにあう日には兄弟の家に行くな、近い隣り人は遠くにいる兄弟にまさる。 + わが子よ、知恵を得て、わたしの心を喜ばせよ、そうすればわたしをそしる者に答えることができる。 + 賢い者は災を見て自ら避け、思慮のない者は進んでいって、罰をうける。 + 人のために保証する者からは、まずその着物をとれ、他人のために保証をする者をば抵当に取れ。 + 朝はやく起きて大声にその隣り人を祝すれば、かえってのろいと見なされよう。 + 雨の降る日に雨漏りの絶えないのと、争い好きな女とは同じだ。 + この女を制するのは風を制するのとおなじく、右の手に油をつかむのとおなじだ。 + 鉄は鉄をとぐ、そのように人はその友の顔をとぐ。 + いちじくの木を守る者はその実を食べる、主人を尊ぶ者は誉を得る。 + 水にうつせば顔と顔とが応じるように、人の心はその人をうつす。 + 陰府と滅びとは飽くことなく、人の目もまた飽くことがない。 + るつぼによって銀をためし、炉によって金をためす、人はその称賛によってためされる。 + 愚かな者をうすに入れ、きねをもって、麦と共にこれをついても、その愚かさは去ることがない。 + あなたの羊の状態をよく知り、あなたの群れに心をとめよ。 + 富はいつまでも続くものではない、どうして位が末代までも保つであろうか。 + 草が刈り取られ、新しい芽がのび、山の牧草も集められると、 + 小羊はあなたの衣料を出し、やぎは畑を買う価となり、 + やぎの乳は多くて、あなたと、あなたの家のものの食物となり、おとめらを養うのにじゅうぶんである。 + + + 悪しき者は追う人もないのに逃げる、正しい人はししのように勇ましい。 + 国の罪によって、治める者は多くなり、さとく、また知識ある人によって、国はながく保つ。 + 貧しい者をしえたげる貧しい人は、糧食を残さない激しい雨のようだ。 + 律法を捨てる者は悪しき者をほめる、律法を守る者はこれに敵対する。 + 悪人は正しいことを悟らない、主を求める者はこれをことごとく悟る。 + 正しく歩む貧しい者は、曲った道を歩む富める者にまさる。 + 律法を守る者は賢い子である、不品行な者と交わるものは、父をはずかしめる。 + 利息と高利とによってその富をます者は、貧しい者を恵む者のために、それをたくわえる。 + 耳をそむけて律法を聞かない者は、その祈でさえも憎まれる。 + 正しい者を悪い道に惑わす者は、みずから自分の穴に陥る、しかし誠実な人は幸福を継ぐ。 + 富める人は自分の目に自らを知恵ある者と見る、しかし悟りのある貧しい者は彼を見やぶる。 + 正しい者が勝つときは、大いなる栄えがある、悪しき者が起るときは、民は身をかくす。 + その罪を隠す者は栄えることがない、言い表わしてこれを離れる者は、あわれみをうける。 + 常に主を恐れる人はさいわいである、心をかたくなにする者は災に陥る。 + 貧しい民を治める悪いつかさは、ほえるしし、または飢えたくまのようだ。 + 悟りのないつかさは残忍な圧制者である、不正の利を憎む者は長命を得る。 + 人を殺してその血を身に負う者は死ぬまで、のがれびとである、だれもこれを助けてはならない。 + 正しく歩む者は救を得、曲った道に歩む者は穴に陥る。 + 自分の田地を耕す者は食糧に飽き、無益な事に従う者は貧乏に飽きる。 + 忠実な人は多くの祝福を得る、急いで富を得ようとする者は罰を免れない。 + 人を片寄り見ることは良くない、人は一切れのパンのために、とがを犯すことがある。 + 欲の深い人は急いで富を得ようとする、かえって欠乏が自分の所に来ることを知らない。 + 人を戒める者は舌をもってへつらう者よりも、大いなる感謝をうける。 + 父や母の物を盗んで「これは罪ではない」と言う者は、滅ぼす者の友である。 + むさぼる者は争いを起し、主に信頼する者は豊かになる。 + 自分の心を頼む者は愚かである、知恵をもって歩む者は救を得る。 + 貧しい者に施す者は物に不足しない、目をおおって見ない人は多くののろいをうける。 + 悪しき者が起るときは、民は身をかくす、その滅びるときは、正しい人が増す。 + + + しばしばしかられても、なおかたくなな者は、たちまち打ち敗られて助かることはない。 + 正しい者が権力を得れば民は喜び、悪しき者が治めるとき、民はうめき苦しむ。 + 知恵を愛する人はその父を喜ばせ、遊女に交わる者はその資産を浪費する。 + 王は公儀をもって国を堅くする、しかし、重税を取り立てる者はこれを滅ぼす。 + その隣り人にへつらう者は、彼の足の前に網を張る。 + 悪人は自分の罪のわなに陥る、しかし正しい人は喜び楽しむ。 + 正しい人は貧しい者の訴えをかえりみる、悪しき人はそれを知ろうとはしない。 + あざける人は町を乱し、知恵ある者は怒りを静める。 + 知恵ある人が愚かな人と争うと、愚かな者はただ怒り、あるいは笑って、休むことがない。 + 血に飢えている人は罪のない者を憎む、悪しき者は彼の命を求める。 + 愚かな者は怒りをことごとく表わし、知恵ある者は静かにこれをおさえる。 + もし治める者が偽りの言葉に聞くならば、その役人らはみな悪くなる。 + 貧しい者と、しえたげる者とは共に世におる、主は彼ら両者の目に光を与えられる。 + もし王が貧しい者を公平にさばくならば、その位はいつまでも堅く立つ。 + むちと戒めとは知恵を与える、わがままにさせた子はその母に恥をもたらす。 + 悪しき者が権力を得ると罪も増す、正しい者は彼らの倒れるのを見る。 + あなたの子を懲しめよ、そうすれば彼はあなたを安らかにし、またあなたの心に喜びを与える。 + 預言がなければ民はわがままにふるまう、しかし律法を守る者はさいわいである。 + しもべは言葉だけで訓練することはできない、彼は聞いて知っても、心にとめないからである。 + 言葉の軽率な人を見るか、彼よりもかえって愚かな者のほうに望みがある。 + しもべをその幼い時からわがままに育てる人は、ついにはそれを自分のあとつぎにする。 + 怒る人は争いを起し、憤る人は多くの罪を犯す。 + 人の高ぶりはその人を低くし、心にへりくだる者は誉を得る。 + 盗びとにくみする者は自分の魂を憎む、彼はのろいを聞いても何事をも口外しない。 + 人を恐れると、わなに陥る、主に信頼する者は安らかである。 + 治める者の歓心を得ようとする人は多い、しかし人の事を定めるのは主による。 + 正しい人は不正を行う人を憎み、悪しき者は正しく歩む人を憎む。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
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+ + ダビデの子、エルサレムの王である伝道者の言葉。 + 伝道者は言う、空の空、空の空、いっさいは空である。 + 日の下で人が労するすべての労苦は、その身になんの益があるか。 + 世は去り、世はきたる。しかし地は永遠に変らない。 + 日はいで、日は没し、その出た所に急ぎ行く。 + 風は南に吹き、また転じて、北に向かい、めぐりにめぐって、またそのめぐる所に帰る。 + 川はみな、海に流れ入る、しかし海は満ちることがない。川はその出てきた所にまた帰って行く。 + すべての事は人をうみ疲れさせる、人はこれを言いつくすことができない。目は見ることに飽きることがなく、耳は聞くことに満足することがない。 + 先にあったことは、また後にもある、先になされた事は、また後にもなされる。日の下には新しいものはない。 + 「見よ、これは新しいものだ」と言われるものがあるか、それはわれわれの前にあった世々に、すでにあったものである。 + 前の者のことは覚えられることがない、また、きたるべき後の者のことも、後に起る者はこれを覚えることがない。 + 伝道者であるわたしはエルサレムで、イスラエルの王であった。 + わたしは心をつくし、知恵を用いて、天が下に行われるすべてのことを尋ね、また調べた。これは神が、人の子らに与えて、ほねおらせられる苦しい仕事である。 + わたしは日の下で人が行うすべてのわざを見たが、みな空であって風を捕えるようである。 + 曲ったものは、まっすぐにすることができない、欠けたものは数えることができない。 + わたしは心の中に語って言った、「わたしは、わたしより先にエルサレムを治めたすべての者にまさって、多くの知恵を得た。わたしの心は知恵と知識を多く得た」。 + わたしは心をつくして知恵を知り、また狂気と愚痴とを知ろうとしたが、これもまた風を捕えるようなものであると悟った。 + それは知恵が多ければ悩みが多く、知識を増す者は憂いを増すからである。 + + + わたしは自分の心に言った、「さあ、快楽をもって、おまえを試みよう。おまえは愉快に過ごすがよい」と。しかし、これもまた空であった。 + わたしは笑いについて言った、「これは狂気である」と。また快楽について言った、「これは何をするのか」と。 + わたしの心は知恵をもってわたしを導いているが、わたしは酒をもって自分の肉体を元気づけようと試みた。また、人の子は天が下でその短い一生の間、どんな事をしたら良いかを、見きわめるまでは、愚かな事をしようと試みた。 + わたしは大きな事業をした。わたしは自分のために家を建て、ぶどう畑を設け、 + 園と庭をつくり、またすべて実のなる木をそこに植え、 + 池をつくって、木のおい茂る林に、そこから水を注がせた。 + わたしは男女の奴隷を買った。またわたしの家で生れた奴隷を持っていた。わたしはまた、わたしより先にエルサレムにいただれよりも多くの牛や羊の財産を持っていた。 + わたしはまた銀と金を集め、王たちと国々の財宝を集めた。またわたしは歌うたう男、歌うたう女を得た。また人の子の楽しみとするそばめを多く得た。 + こうして、わたしは大いなる者となり、わたしより先にエルサレムにいたすべての者よりも、大いなる者となった。わたしの知恵もまた、わたしを離れなかった。 + なんでもわたしの目の好むものは遠慮せず、わたしの心の喜ぶものは拒まなかった。わたしの心がわたしのすべての労苦によって、快楽を得たからである。そしてこれはわたしのすべての労苦によって得た報いであった。 + そこで、わたしはわが手のなしたすべての事、およびそれをなすに要した労苦を顧みたとき、見よ、皆、空であって、風を捕えるようなものであった。日の下には益となるものはないのである。 + わたしはまた、身をめぐらして、知恵と、狂気と、愚痴とを見た。そもそも、王の後に来る人は何をなし得ようか。すでに彼がなした事にすぎないのだ。 + 光が暗きにまさるように、知恵が愚痴にまさるのを、わたしは見た。 + 知者の目は、その頭にある。しかし愚者は暗やみを歩む。けれどもわたしはなお同一の運命が彼らのすべてに臨むことを知っている。 + わたしは心に言った、「愚者に臨む事はわたしにも臨むのだ。それでどうしてわたしは賢いことがあろう」。わたしはまた心に言った、「これもまた空である」と。 + そもそも、知者も愚者も同様に長く覚えられるものではない。きたるべき日には皆忘れられてしまうのである。知者が愚者と同じように死ぬのは、どうしたことであろう。 + そこで、わたしは生きることをいとった。日の下に行われるわざは、わたしに悪しく見えたからである。皆空であって、風を捕えるようである。 + わたしは日の下で労したすべての労苦を憎んだ。わたしの後に来る人にこれを残さなければならないからである。 + そして、その人が知者であるか、または愚者であるかは、だれが知り得よう。そうであるのに、その人が、日の下でわたしが労し、かつ知恵を働かしてなしたすべての労苦をつかさどることになるのだ。これもまた空である。 + それでわたしはふり返ってみて、日の下でわたしが労したすべての労苦について、望みを失った。 + 今ここに人があって、知恵と知識と才能をもって労しても、これがために労しない人に、すべてを残して、その所有とさせなければならないのだ。これもまた空であって、大いに悪い。 + そもそも、人は日の下で労するすべての労苦と、その心づかいによってなんの得るところがあるか。 + そのすべての日はただ憂いのみであって、そのわざは苦しく、その心は夜の間も休まることがない。これもまた空である。 + 人は食い飲みし、その労苦によって得たもので心を楽しませるより良い事はない。これもまた神の手から出ることを、わたしは見た。 + だれが神を離れて、食い、かつ楽しむことのできる者があろう。 + 神は、その心にかなう人に、知恵と知識と喜びとをくださる。しかし罪びとには仕事を与えて集めることと、積むことをさせられる。これは神の心にかなう者にそれを賜わるためである。これもまた空であって、風を捕えるようである。 + + + 天が下のすべての事には季節があり、すべてのわざには時がある。 + 生るるに時があり、死ぬるに時があり、植えるに時があり、植えたものを抜くに時があり、 + 殺すに時があり、いやすに時があり、こわすに時があり、建てるに時があり、 + 泣くに時があり、笑うに時があり、悲しむに時があり、踊るに時があり、 + 石を投げるに時があり、石を集めるに時があり、抱くに時があり、抱くことをやめるに時があり、 + 捜すに時があり、失うに時があり、保つに時があり、捨てるに時があり、 + 裂くに時があり、縫うに時があり、黙るに時があり、語るに時があり、 + 愛するに時があり、憎むに時があり、戦うに時があり、和らぐに時がある。 + 働く者はその労することにより、なんの益を得るか。 + わたしは神が人の子らに与えて、ほねおらせられる仕事を見た。 + 神のなされることは皆その時にかなって美しい。神はまた人の心に永遠を思う思いを授けられた。それでもなお、人は神のなされるわざを初めから終りまで見きわめることはできない。 + わたしは知っている。人にはその生きながらえている間、楽しく愉快に過ごすよりほかに良い事はない。 + またすべての人が食い飲みし、そのすべての労苦によって楽しみを得ることは神の賜物である。 + わたしは知っている。すべて神がなさる事は永遠に変ることがなく、これに加えることも、これから取ることもできない。神がこのようにされるのは、人々が神の前に恐れをもつようになるためである。 + 今あるものは、すでにあったものである。後にあるものも、すでにあったものである。神は追いやられたものを尋ね求められる。 + わたしはまた、日の下を見たが、さばきを行う所にも不正があり、公義を行う所にも不正がある。 + わたしは心に言った、「神は正しい者と悪い者とをさばかれる。神はすべての事と、すべてのわざに、時を定められたからである」と。 + わたしはまた、人の子らについて心に言った、「神は彼らをためして、彼らに自分たちが獣にすぎないことを悟らせられるのである」と。 + 人の子らに臨むところは獣にも臨むからである。すなわち一様に彼らに臨み、これの死ぬように、彼も死ぬのである。彼らはみな同様の息をもっている。人は獣にまさるところがない。すべてのものは空だからである。 + みな一つ所に行く。皆ちりから出て、皆ちりに帰る。 + だれが知るか、人の子らの霊は上にのぼり、獣の霊は地にくだるかを。 + それで、わたしは見た、人はその働きによって楽しむにこした事はない。これが彼の分だからである。だれが彼をつれていって、その後の、どうなるかを見させることができようか。 + + + わたしはまた、日の下に行われるすべてのしえたげを見た。見よ、しえたげられる者の涙を。彼らを慰める者はない。しえたげる者の手には権力がある。しかし彼らを慰める者はいない。 + それで、わたしはなお生きている生存者よりも、すでに死んだ死者を、さいわいな者と思った。 + しかし、この両者よりもさいわいなのは、まだ生れない者で、日の下に行われる悪しきわざを見ない者である。 + また、わたしはすべての労苦と、すべての巧みなわざを見たが、これは人が互にねたみあってなすものである。これもまた空であって、風を捕えるようである。 + 愚かなる者は手をつかねて、自分の肉を食う。 + 片手に物を満たして平穏であるのは、両手に物を満たして労苦し、風を捕えるのにまさる。 + わたしはまた、日の下に空なる事のあるのを見た。 + ここに人がある。ひとりであって、仲間もなく、子もなく、兄弟もない。それでも彼の労苦は窮まりなく、その目は富に飽くことがない。また彼は言わない、「わたしはだれのために労するのか、どうして自分を楽しませないのか」と。これもまた空であって、苦しいわざである。 + ふたりはひとりにまさる。彼らはその労苦によって良い報いを得るからである。 + すなわち彼らが倒れる時には、そのひとりがその友を助け起す。しかしひとりであって、その倒れる時、これを助け起す者のない者はわざわいである。 + またふたりが一緒に寝れば暖かである。ひとりだけで、どうして暖かになり得ようか。 + 人がもし、そのひとりを攻め撃ったなら、ふたりで、それに当るであろう。三つよりの綱はたやすくは切れない。 + 貧しくて賢いわらべは、老いて愚かで、もはや、いさめをいれることを知らない王にまさる。 + たとい、その王が獄屋から出て、王位についた者であっても、また自分の国に貧しく生れて王位についた者であっても、そうである。 + わたしは日の下に歩むすべての民が、かのわらべのように王に代って立つのを見た。 + すべての民は果てしがない。彼はそのすべての民を導いた。しかし後に来る者は彼を喜ばない。たしかに、これもまた空であって、風を捕えるようである。 + + + 神の宮に行く時には、その足を慎むがよい。近よって聞くのは愚かな者の犠牲をささげるのにまさる。彼らは悪を行っていることを知らないからである。 + 神の前で軽々しく口をひらき、また言葉を出そうと、心にあせってはならない。神は天にいまし、あなたは地におるからである。それゆえ、あなたは言葉を少なくせよ。 + 夢は仕事の多いことによってきたり、愚かなる者の声は言葉の多いことによって知られる。 + あなたは神に誓いをなすとき、それを果すことを延ばしてはならない。神は愚かな者を喜ばれないからである。あなたの誓ったことを必ず果せ。 + あなたが誓いをして、それを果さないよりは、むしろ誓いをしないほうがよい。 + あなたの口が、あなたに罪を犯させないようにせよ。また使者の前にそれは誤りであったと言ってはならない。どうして、神があなたの言葉を怒り、あなたの手のわざを滅ぼしてよかろうか。 + 夢が多ければ空なる言葉も多い。しかし、あなたは神を恐れよ。 + あなたは国のうちに貧しい者をしえたげ、公道と正義を曲げることのあるのを見ても、その事を怪しんではならない。それは位の高い人よりも、さらに高い者があって、その人をうかがうからである。そしてそれらよりもなお高い者がある。 + しかし、要するに耕作した田畑をもつ国には王は利益である。 + 金銭を好む者は金銭をもって満足しない。富を好む者は富を得て満足しない。これもまた空である。 + 財産が増せば、これを食う者も増す。その持ち主は目にそれを見るだけで、なんの益があるか。 + 働く者は食べることが少なくても多くても、快く眠る。しかし飽き足りるほどの富は、彼に眠ることをゆるさない。 + わたしは日の下に悲しむべき悪のあるのを見た。すなわち、富はこれをたくわえるその持ち主に害を及ぼすことである。 + またその富は不幸な出来事によってうせ行くことである。それで、その人が子をもうけても、彼の手には何も残らない。 + 彼は母の胎から出てきたように、すなわち裸で出てきたように帰って行く。彼はその労苦によって得た何物をもその手に携え行くことができない。 + 人は全くその来たように、また去って行かなければならない。これもまた悲しむべき悪である。風のために労する者になんの益があるか。 + 人は一生、暗やみと、悲しみと、多くの悩みと、病と、憤りの中にある。 + 見よ、わたしが見たところの善かつ美なる事は、神から賜わった短い一生の間、食い、飲み、かつ日の下で労するすべての労苦によって、楽しみを得る事である。これがその分だからである。 + また神はすべての人に富と宝と、それを楽しむ力を与え、またその分を取らせ、その労苦によって楽しみを得させられる。これが神の賜物である。 + このような人は自分の生きる日のことを多く思わない。神は喜びをもって彼の心を満たされるからである。 + + + わたしは日の下に一つの悪のあるのを見た。これは人々の上に重い。 + すなわち神は富と、財産と、誉とを人に与えて、その心に慕うものを、一つも欠けることのないようにされる。しかし神は、その人にこれを持つことを許されないで、他人がこれを持つようになる。これは空である。悪しき病である。 + たとい人は百人の子をもうけ、また命長く、そのよわいの日が多くても、その心が幸福に満足せず、また葬られることがなければ、わたしは言う、流産の子はその人にまさると。 + これはむなしく来て、暗やみの中に去って行き、その名は暗やみにおおわれる。 + またこれは日を見ず、物を知らない。けれどもこれは彼よりも安らかである。 + たとい彼は千年に倍するほど生きても幸福を見ない。みな一つ所に行くのではないか。 + 人の労苦は皆、その口のためである。しかしその食欲は満たされない。 + 賢い者は愚かな者になんのまさるところがあるか。また生ける者の前に歩むことを知る貧しい者もなんのまさるところがあるか。 + 目に見る事は欲望のさまよい歩くにまさる。これもまた空であって、風を捕えるようなものである。 + 今あるものは、すでにその名がつけられた。そして人はいかなる者であるかは知られた。それで人は自分よりも力強い者と争うことはできない。 + 言葉が多ければむなしい事も多い。人になんの益があるか。 + 人はその短く、むなしい命の日を影のように送るのに、何が人のために善であるかを知ることができよう。だれがその身の後に、日の下に何があるであろうかを人に告げることができるか。 + + + 良き名は良き油にまさり、死ぬる日は生るる日にまさる。 + 悲しみの家にはいるのは、宴会の家にはいるのにまさる。死はすべての人の終りだからである。生きている者は、これを心にとめる。 + 悲しみは笑いにまさる。顔に憂いをもつことによって、心は良くなるからである。 + 賢い者の心は悲しみの家にあり、愚かな者の心は楽しみの家にある。 + 賢い者の戒めを聞くのは、愚かな者の歌を聞くのにまさる。 + 愚かな者の笑いはかまの下に燃えるいばらの音のようである。これもまた空である。 + たしかに、しえたげは賢い人を愚かにし、まいないは人の心をそこなう。 + 事の終りはその初めよりも良い。耐え忍ぶ心は、おごり高ぶる心にまさる。 + 気をせきたてて怒るな。怒りは愚かな者の胸に宿るからである。 + 「昔が今よりもよかったのはなぜか」と言うな。あなたがこれを問うのは知恵から出るのではない。 + 知恵に財産が伴うのは良い。それは日を見る者どもに益がある。 + 知恵が身を守るのは、金銭が身を守るようである。しかし、知恵はこれを持つ者に生命を保たせる。これが知識のすぐれた所である。 + 神のみわざを考えみよ。神の曲げられたものを、だれがまっすぐにすることができるか。 + 順境の日には楽しめ、逆境の日には考えよ。神は人に将来どういう事があるかを、知らせないために、彼とこれとを等しく造られたのである。 + わたしはこのむなしい人生において、もろもろの事を見た。そこには義人がその義によって滅びることがあり、悪人がその悪によって長生きすることがある。 + あなたは義に過ぎてはならない。また賢きに過ぎてはならない。あなたはどうして自分を滅ぼしてよかろうか。 + 悪に過ぎてはならない。また愚かであってはならない。あなたはどうして、自分の時のこないのに、死んでよかろうか。 + あなたがこれを執るのはよい、また彼から手を引いてはならない。神をかしこむ者は、このすべてからのがれ出るのである。 + 知恵が知者を強くするのは、十人のつかさが町におるのにまさる。 + 善を行い、罪を犯さない正しい人は世にいない。 + 人の語るすべての事に心をとめてはならない。これはあなたが、自分のしもべのあなたをのろう言葉を聞かないためである。 + あなたもまた、しばしば他人をのろったのを自分の心に知っているからである。 + わたしは知恵をもってこのすべての事を試みて、「わたしは知者となろう」と言ったが、遠く及ばなかった。 + 物事の理は遠く、また、はなはだ深い。だれがこれを見いだすことができよう。 + わたしは、心を転じて、物を知り、事を探り、知恵と道理を求めようとし、また悪の愚かなこと、愚痴の狂気であることを知ろうとした。 + わたしは、その心が、わなと網のような女、その手が、かせのような女は、死よりも苦い者であることを見いだした。神を喜ばす者は彼女からのがれる。しかし罪びとは彼女に捕えられる。 + 伝道者は言う、見よ、その数を知ろうとして、いちいち数えて、わたしが得たものはこれである。 + わたしはなおこれを求めたけれども、得なかった。わたしは千人のうちにひとりの男子を得たけれども、そのすべてのうちに、ひとりの女子をも得なかった。 + 見よ、わたしが得た事は、ただこれだけである。すなわち、神は人を正しい者に造られたけれども、人は多くの計略を考え出した事である。 + + + だれが知者のようになり得よう。だれが事の意義を知り得よう。人の知恵はその人の顔を輝かせ、またその粗暴な顔を変える。 + 王の命を守れ。すでに神をさして誓ったことゆえ、驚くな。 + 事が悪い時は、王の前を去れ、ためらうな。彼はすべてその好むところをなすからである。 + 王の言葉は決定的である。だれが彼に「あなたは何をするのか」と言うことができようか。 + 命令を守る者は災にあわない。知者の心は時と方法をわきまえている。 + 人の悪が彼の上に重くても、すべてのわざには時と方法がある。 + 後に起る事を知る者はない。どんな事が起るかをだれが彼に告げ得よう。 + 風をとどめる力をもつ人はない。また死の日をつかさどるものはない。戦いには免除はない。また悪はこれを行う者を救うことができない。 + わたしはこのすべての事を見た。また日の下に行われるもろもろのわざに心を用いた。時としてはこの人が、かの人を治めて、これに害をこうむらせることがある。 + またわたしは悪人の葬られるのを見た。彼らはいつも聖所に出入りし、それを行ったその町でほめられた。これもまた空である。 + 悪しきわざに対する判決がすみやかに行われないために、人の子らの心はもっぱら悪を行うことに傾いている。 + 罪びとで百度悪をなして、なお長生きするものがあるけれども、神をかしこみ、み前に恐れをいだく者には幸福があることを、わたしは知っている。 + しかし悪人には幸福がない。またその命は影のようであって長くは続かない。彼は神の前に恐れをいだかないからである。 + 地の上に空な事が行われている。すなわち、義人であって、悪人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。また、悪人であって、義人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。わたしは言った、これもまた空であると。 + そこで、わたしは歓楽をたたえる。それは日の下では、人にとって、食い、飲み、楽しむよりほかに良い事はないからである。これこそは日の下で、神が賜わった命の日の間、その勤労によってその身に伴うものである。 + わたしは心をつくして知恵を知ろうとし、また地上に行われるわざを昼も夜も眠らずに窮めようとしたとき、 + わたしは神のもろもろのわざを見たが、人は日の下に行われるわざを窮めることはできない。人はこれを尋ねようと労しても、これを窮めることはできない。また、たとい知者があって、これを知ろうと思っても、これを窮めることはできないのである。 + + + わたしはこのすべての事に心を用いて、このすべての事を明らかにしようとした。すなわち正しい者と賢い者、および彼らのわざが、神の手にあることを明らかにしようとした。愛するか憎むかは人にはわからない。彼らの前にあるすべてのことは空である。 + すべての人に臨むところは、みな同様である。正しい者にも正しくない者にも、善良な者にも悪い者にも、清い者にも汚れた者にも、犠牲をささげる者にも、犠牲をささげない者にも、その臨むところは同様である。善良な人も罪びとも異なることはない。誓いをなす者も、誓いをなすことを恐れる者も異なることはない。 + すべての人に同一に臨むのは、日の下に行われるすべての事のうちの悪事である。また人の心は悪に満ち、その生きている間は、狂気がその心のうちにあり、その後は死者のもとに行くのである。 + すべて生ける者に連なる者には望みがある。生ける犬は、死せるししにまさるからである。 + 生きている者は死ぬべき事を知っている。しかし死者は何事をも知らない、また、もはや報いを受けることもない。その記憶に残る事がらさえも、ついに忘れられる。 + その愛も、憎しみも、ねたみも、すでに消えうせて、彼らはもはや日の下に行われるすべての事に、永久にかかわることがない。 + あなたは行って、喜びをもってあなたのパンを食べ、楽しい心をもってあなたの酒を飲むがよい。神はすでに、あなたのわざをよみせられたからである。 + あなたの衣を常に白くせよ。あなたの頭に油を絶やすな。 + 日の下で神から賜わったあなたの空なる命の日の間、あなたはその愛する妻と共に楽しく暮すがよい。これはあなたが世にあってうける分、あなたが日の下で労する労苦によって得るものだからである。 + すべてあなたの手のなしうる事は、力をつくしてなせ。あなたの行く陰府には、わざも、計略も、知識も、知恵もないからである。 + わたしはまた日の下を見たが、必ずしも速い者が競走に勝つのではなく、強い者が戦いに勝つのでもない。また賢い者がパンを得るのでもなく、さとき者が富を得るのでもない。また知識ある者が恵みを得るのでもない。しかし時と災難はすべての人に臨む。 + 人はその時を知らない。魚がわざわいの網にかかり、鳥がわなにかかるように、人の子らもわざわいの時が突然彼らに臨む時、それにかかるのである。 + またわたしは日の下にこのような知恵の例を見た。これはわたしにとって大きな事である。 + ここに一つの小さい町があって、そこに住む人は少なかったが、大いなる王が攻めて来て、これを囲み、これに向かって大きな雲梯を建てた。 + しかし、町のうちにひとりの貧しい知恵のある人がいて、その知恵をもって町を救った。ところがだれひとり、その貧しい人を記憶する者がなかった。 + そこでわたしは言う、「知恵は力にまさる。しかしかの貧しい人の知恵は軽んぜられ、その言葉は聞かれなかった」。 + 静かに聞かれる知者の言葉は、愚かな者の中のつかさたる者の叫びにまさる。 + 知恵は戦いの武器にまさる。しかし、ひとりの罪びとは多くの良きわざを滅ぼす。 + + + 死んだはえは、香料を造る者のあぶらを臭くし、少しの愚痴は知恵と誉よりも重い。 + 知者の心は彼を右に向けさせ、愚者の心は左に向けさせる。 + 愚者は道を行く時、思慮が足りない、自分の愚かなことをすべての人に告げる。 + つかさたる者があなたに向かって立腹しても、あなたの所を離れてはならない。温順は大いなるとがを和らげるからである。 + わたしは日の下に一つの悪のあるのを見た。それはつかさたる者から出るあやまちに似ている。 + すなわち愚かなる者が高い地位に置かれ、富める者が卑しい所に座している。 + わたしはしもべたる者が馬に乗り、君たる者が奴隷のように徒歩であるくのを見た。 + 穴を掘る者はみずからこれに陥り、石がきをこわす者は、へびにかまれる。 + 石を切り出す者はそれがために傷をうけ、木を割る者はそれがために危険にさらされる。 + 鉄が鈍くなったとき、人がその刃をみがかなければ、力を多くこれに用いねばならない。しかし、知恵は人を助けてなし遂げさせる。 + へびがもし呪文をかけられる前に、かみつけば、へび使は益がない。 + 知者の口の言葉は恵みがある、しかし愚者のくちびるはその身を滅ぼす。 + 愚者の口の言葉の初めは愚痴である、またその言葉の終りは悪い狂気である。 + 愚者は言葉を多くする、しかし人はだれも後に起ることを知らない。だれがその身の後に起る事を告げることができようか。 + 愚者の労苦はその身を疲れさせる、彼は町にはいる道をさえ知らない。 + あなたの王はわらべであって、その君たちが朝から、ごちそうを食べる国よ、あなたはわざわいだ。 + あなたの王は自主の子であって、その君たちが酔うためでなく、力を得るために、適当な時にごちそうを食べる国よ、あなたはさいわいだ。 + 怠惰によって屋根は落ち、無精によって家は漏る。 + 食事は笑いのためになされ、酒は命を楽しませる。金銭はすべての事に応じる。 + あなたは心のうちでも王をのろってはならない、また寝室でも富める者をのろってはならない。空の鳥はあなたの声を伝え、翼のあるものは事を告げるからである。 + + + あなたのパンを水の上に投げよ、多くの日の後、あなたはそれを得るからである。 + あなたは一つの分を七つまた八つに分けよ、あなたは、どんな災が地に起るかを知らないからだ。 + 雲がもし雨で満ちるならば、地にそれを注ぐ、また木がもし南か北に倒れるならば、その木は倒れた所に横たわる。 + 風を警戒する者は種をまかない、雲を観測する者は刈ることをしない。 + あなたは、身ごもった女の胎の中で、どうして霊が骨にはいるかを知らない。そのようにあなたは、すべての事をなされる神のわざを知らない。 + 朝のうちに種をまけ、夕まで手を休めてはならない。実るのは、これであるか、あれであるか、あるいは二つともに良いのであるか、あなたは知らないからである。 + 光は快いものである。目に太陽を見るのは楽しいことである。 + 人が多くの年、生きながらえ、そのすべてにおいて自分を楽しませても、暗い日の多くあるべきことを忘れてはならない。すべて、きたらんとする事は皆空である。 + 若い者よ、あなたの若い時に楽しめ。あなたの若い日にあなたの心を喜ばせよ。あなたの心の道に歩み、あなたの目の見るところに歩め。ただし、そのすべての事のために、神はあなたをさばかれることを知れ。 + あなたの心から悩みを去り、あなたのからだから痛みを除け。若い時と盛んな時はともに空だからである。 + + + あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ。悪しき日がきたり、年が寄って、「わたしにはなんの楽しみもない」と言うようにならない前に、 + また日や光や、月や星の暗くならない前に、雨の後にまた雲が帰らないうちに、そのようにせよ。 + その日になると、家を守る者は震え、力ある人はかがみ、ひきこなす女は少ないために休み、窓からのぞく者の目はかすみ、 + 町の門は閉ざされる。その時ひきこなす音は低くなり、人は鳥の声によって起きあがり、歌の娘たちは皆、低くされる。 + 彼らはまた高いものを恐れる。恐ろしいものが道にあり、あめんどうは花咲き、いなごはその身をひきずり歩き、その欲望は衰え、人が永遠の家に行こうとするので、泣く人が、ちまたを歩きまわる。 + その後、銀のひもは切れ、金の皿は砕け、水がめは泉のかたわらで破れ、車は井戸のかたわらで砕ける。 + ちりは、もとのように土に帰り、霊はこれを授けた神に帰る。 + 伝道者は言う、「空の空、いっさいは空である」と。 + さらに伝道者は知恵があるゆえに、知識を民に教えた。彼はよく考え、尋ねきわめ、あまたの箴言をまとめた。 + 伝道者は麗しい言葉を得ようとつとめた。また彼は真実の言葉を正しく書きしるした。 + 知者の言葉は突き棒のようであり、またよく打った釘のようなものであって、ひとりの牧者から出た言葉が集められたものである。 + わが子よ、これら以外の事にも心を用いよ。多くの書を作れば際限がない。多く学べばからだが疲れる。 + 事の帰する所は、すべて言われた。すなわち、神を恐れ、その命令を守れ。これはすべての人の本分である。 + 神はすべてのわざ、ならびにすべての隠れた事を善悪ともにさばかれるからである。 + +
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+ + ソロモンの雅歌 + どうか、あなたの口の口づけをもって、わたしに口づけしてください。あなたの愛はぶどう酒にまさり、 + あなたのにおい油はかんばしく、あなたの名は注がれたにおい油のようです。それゆえ、おとめたちはあなたを愛するのです。 + あなたのあとについて、行かせてください。わたしたちは急いでまいりましょう。王はわたしをそのへやに連れて行かれた。わたしたちは、あなたによって喜び楽しみ、ぶどう酒にまさって、あなたの愛をほめたたえます。おとめたちは真心をもってあなたを愛します。 + エルサレムの娘たちよ、わたしは黒いけれども美しい。ケダルの天幕のように、ソロモンのとばりのように。 + わたしが日に焼けているがために、日がわたしを焼いたがために、わたしを見つめてはならない。わが母の子らは怒って、わたしにぶどう園を守らせた。しかし、わたしは自分のぶどう園を守らなかった。 + わが魂の愛する者よ、あなたはどこで、あなたの群れを養い、昼の時にどこで、それを休ませるのか、わたしに告げてください。どうして、わたしはさまよう者のように、あなたの仲間の群れのかたわらに、いなければならないのですか。 + 女のうちの最も美しい者よ、あなたが知らないなら、群れの足跡に従っていって、羊飼たちの天幕のかたわらで、あなたの子やぎを飼いなさい。 + わが愛する者よ、わたしはあなたをパロの車の雌馬になぞらえる。 + あなたのほおは美しく飾られ、あなたの首は宝石をつらねた首飾で美しい。 + われわれは銀を散らした金の飾り物を、あなたのために造ろう。 + 王がその席に着かれたとき、わたしのナルドはそのかおりを放った。 + わが愛する者は、わたしにとっては、わたしの乳ぶさの間にある没薬の袋のようです。 + わが愛する者は、わたしにとっては、エンゲデのぶどう園にあるヘンナ樹の花ぶさのようです。 + わが愛する者よ、見よ、あなたは美しい、見よ、あなたは美しい、あなたの目ははとのようだ。 + わが愛する者よ、見よ、あなたは美しく、まことにりっぱです。わたしたちの床は緑、 + わたしたちの家の梁は香柏、そのたるきはいとすぎです。 + + + わたしはシャロンのばら、谷のゆりです。 + おとめたちのうちにわが愛する者のあるのは、いばらの中にゆりの花があるようだ。 + わが愛する者の若人たちの中にあるのは、林の木の中にりんごの木があるようです。わたしは大きな喜びをもって、彼の陰にすわった。彼の与える実はわたしの口に甘かった。 + 彼はわたしを酒宴の家に連れて行った。わたしの上にひるがえる彼の旗は愛であった。 + 干ぶどうをもって、わたしに力をつけ、りんごをもって、わたしに元気をつけてください。わたしは愛のために病みわずらっているのです。 + どうか、彼の左の手がわたしの頭の下にあり、右の手がわたしを抱いてくれるように。 + エルサレムの娘たちよ、わたしは、かもしかと野の雌じかをさして、あなたがたに誓い、お願いする、愛のおのずから起るときまでは、ことさらに呼び起すことも、さますこともしないように。 + わが愛する者の声が聞える。見よ、彼は山をとび、丘をおどり越えて来る。 + わが愛する者はかもしかのごとく、若い雄じかのようです。見よ、彼はわたしたちの壁のうしろに立ち、窓からのぞき、格子からうかがっている。 + わが愛する者はわたしに語って言う、「わが愛する者よ、わが麗しき者よ、立って、出てきなさい。 + 見よ、冬は過ぎ、雨もやんで、すでに去り、 + もろもろの花は地にあらわれ、鳥のさえずる時がきた。山ばとの声がわれわれの地に聞える。 + いちじくの木はその実を結び、ぶどうの木は花咲いて、かんばしいにおいを放つ。わが愛する者よ、わが麗しき者よ、立って、出てきなさい。 + 岩の裂け目、がけの隠れ場におるわがはとよ、あなたの顔を見せなさい。あなたの声を聞かせなさい。あなたの声は愛らしく、あなたの顔は美しい。 + われわれのためにきつねを捕えよ、ぶどう園を荒す小ぎつねを捕えよ、われわれのぶどう園は花盛りだから」と。 + わが愛する者はわたしのもの、わたしは彼のもの。彼はゆりの花の中で、その群れを養っている。 + わが愛する者よ、日の涼しくなるまで、影の消えるまで、身をかえして出ていって、険しい山々の上で、かもしかのように、若い雄じかのようになってください。 + + + わたしは夜、床の上で、わが魂の愛する者をたずねた。わたしは彼をたずねたが、見つからなかった。わたしは彼を呼んだが、答がなかった。 + 「わたしは今起きて、町をまわり歩き、街路や広場で、わが魂の愛する者をたずねよう」と、彼をたずねたが、見つからなかった。 + 町をまわり歩く夜回りたちに出会ったので、「あなたがたは、わが魂の愛する者を見ましたか」と尋ねた。 + わたしが彼らと別れて行くとすぐ、わが魂の愛する者に出会った。わたしは彼を引き留めて行かせず、ついにわが母の家につれて行き、わたしを産んだ者のへやにはいった。 + エルサレムの娘たちよ、わたしは、かもしかと野の雌じかをさして、あなたがたに誓い、お願いする、愛のおのずから起るときまでは、ことさらに呼び起すことも、さますこともしないように。 + 没薬、乳香など、商人のもろもろの香料をもって、かおりを放ち、煙の柱のように、荒野から上って来るものは何か。 + 見よ、あれはソロモンの乗物で、六十人の勇士がそのまわりにいる。イスラエルの勇士で、 + 皆、つるぎをとり、戦いをよくし、おのおの腰に剣を帯びて、夜の危険に備えている。 + ソロモン王はレバノンの木をもって、自分のために輿をつくった。 + その柱は銀、そのうしろは金、その座は紫の布でつくった。その内部にはエルサレムの娘たちが、愛情をこめてつくった物を張りつけた。 + シオンの娘たちよ、出てきてソロモン王を見よ。彼は婚姻の日、心の喜びの日に、その母の彼にかぶらせた冠をいただいている。 + + + わが愛する者よ、見よ、あなたは美しい、見よ、あなたは美しい。あなたの目は、顔おおいのうしろにあって、はとのようだ。あなたの髪はギレアデの山を下るやぎの群れのようだ。 + あなたの歯は洗い場から上ってきた毛を切られた雌羊の群れのようだ。みな二子を産んで、一匹も子のないものはない。 + あなたのくちびるは紅の糸のようで、その口は愛らしい。あなたのほおは顔おおいのうしろにあって、ざくろの片われのようだ。 + あなたの首は武器倉のために建てたダビデのやぐらのようだ。その上には一千の盾を掛けつらね、みな勇士の大盾である。 + あなたの両乳ぶさは、かもしかの二子である二匹の子じかが、ゆりの花の中に草を食べているようだ。 + 日の涼しくなるまで、影の消えるまで、わたしは没薬の山および乳香の丘へ急ぎ行こう。 + わが愛する者よ、あなたはことごとく美しく、少しのきずもない。 + わが花嫁よ、レバノンからわたしと一緒にきなさい、レバノンからわたしと一緒にきなさい。アマナの頂を去り、セニルおよびヘルモンの頂を去り、ししの穴、ひょうの山を去りなさい。 + わが妹、わが花嫁よ、あなたはわたしの心を奪った。あなたはただひと目で、あなたの首飾のひと玉で、わたしの心を奪った。 + わが妹、わが花嫁よ、あなたの愛は、なんと麗しいことであろう。あなたの愛はぶどう酒よりも、あなたの香油のかおりはすべての香料よりも、いかにすぐれていることであろう。 + わが花嫁よ、あなたのくちびるは甘露をしたたらせ、あなたの舌の下には、蜜と乳とがある。あなたの衣のかおりはレバノンのかおりのようだ。 + わが妹、わが花嫁は閉じた園、閉じた園、封じた泉のようだ。 + あなたの産み出す物は、もろもろの良き実をもつざくろの園、ヘンナおよびナルド、 + ナルド、さふらん、しょうぶ、肉桂、さまざまの乳香の木、没薬、ろかい、およびすべての尊い香料である。 + あなたは園の泉、生ける水の井、またレバノンから流れ出る川である。 + 北風よ、起れ、南風よ、きたれ。わが園を吹いて、そのかおりを広く散らせ。わが愛する者がその園にはいってきて、その良い実を食べるように。 + + + わが妹、わが花嫁よ、わたしはわが園にはいって、わが没薬と香料とを集め、わが蜜蜂の巣と、蜜とを食べ、わがぶどう酒と乳とを飲む。友らよ、食らえ、飲め、愛する人々よ、大いに飲め。 + わたしは眠っていたが、心はさめていた。聞きなさい、わが愛する者が戸をたたいている。「わが妹、わが愛する者、わがはと、わが全き者よ、あけてください。わたしの頭は露でぬれ、わたしの髪の毛は夜露でぬれている」と言う。 + わたしはすでに着物を脱いだ、どうしてまた着られようか。すでに足を洗った、どうしてまた、よごせようか。 + わが愛する者が掛けがねに手をかけたので、わが心は内におどった。 + わたしが起きて、わが愛する者のためにあけようとしたとき、わたしの手から没薬がしたたり、わたしの指から没薬の液が流れて、貫の木の取手の上に落ちた。 + わたしはわが愛する者のために開いたが、わが愛する者はすでに帰り去った。彼が帰り去ったとき、わが心は力を失った。わたしは尋ねたけれども見つからず、呼んだけれども答がなかった。 + 町をまわり歩く夜回りらはわたしを見ると、撃って傷つけ、城壁を守る者らは、わたしの上着をはぎ取った。 + エルサレムの娘たちよ、わたしはあなたがたに誓って、お願いする。もしわが愛する者を見たなら、わたしが愛のために病みわずらっていると、彼に告げてください。 + 女のうちの最も美しい者よ、あなたの愛する者は、ほかの人の愛する者に、なんのまさるところがあるか。あなたの愛する者は、ほかの人の愛する者に、なんのまさるところがあって、そのように、わたしたちに誓い、願うのか。 + わが愛する者は白く輝き、かつ赤く、万人にぬきんで、 + その頭は純金のように、その髪の毛はうねっていて、からすのように黒い。 + その目は泉のほとりのはとのように、乳で洗われて、良く落ち着いている。 + そのほおは、かんばしい花の床のように、かおりを放ち、そのくちびるは、ゆりの花のようで、没薬の液をしたたらす。 + その手は宝石をはめた金の円筒のごとく、そのからだはサファイヤをもっておおった象牙の細工のごとく、 + その足のすねは金の台の上にすえた大理石の柱のごとく、その姿はレバノンのごとく、香柏のようで、美しい。 + その言葉は、はなはだ美しく、彼はことごとく麗しい。エルサレムの娘たちよ、これがわが愛する者、これがわが友なのです。 + + + 女のうちの最も美しい者よ、あなたの愛する者はどこへ行ったか。あなたの愛する者はどこへおもむいたか。わたしたちはあなたと一緒にたずねよう。 + わが愛する者は園の中で、群れを飼い、またゆりの花を取るために自分の園に下り、かんばしい花の床へ行きました。 + わたしはわが愛する人のもの、わが愛する者はわたしのものです。彼はゆりの花の中で、その群れを飼っています。 + わが愛する者よ、あなたは美しいことテルザのごとく、麗しいことエルサレムのごとく、恐るべきこと旗を立てた軍勢のようだ。 + あなたの目はわたしを恐れさせるゆえ、わたしからそむけてください。あなたの髪はギレアデの山を下るやぎの群れのようだ。 + あなたの歯は洗い場から上ってきた雌羊の群れのようだ。みな二子を産んで、一匹も子のないものはない。 + あなたのほおは顔おおいのうしろにあって、ざくろの片われのようだ。 + 王妃は六十人、そばめは八十人、また数しれぬおとめがいる。 + わがはと、わが全き者はただひとり、彼女は母のひとり子、彼女を産んだ者の最愛の者だ。おとめたちは彼女を見て、さいわいな者ととなえ、王妃たち、そばめたちもまた、彼女を見て、ほめた。 + 「このしののめのように見え、月のように美しく、太陽のように輝き、恐るべき事、旗を立てた軍勢のような者はだれか」。 + わたしは谷の花を見、ぶどうが芽ざしたか、ざくろの花が咲いたかを見ようと、くるみの園へ下っていった。 + わたしの知らないうちに、わたしの思いは、わたしを車の中のわが君のかたわらにおらせた。 + 帰れ、帰れ、シュラムの女よ、帰れ、帰れ、わたしたちはあなたを見たいものだ。あなたがたはどうしてマハナイムの踊りを見るようにシュラムの女を見たいのか。 + + + 女王のような娘よ、あなたの足は、くつの中にあって、なんと麗しいことであろう。あなたのももは、まろやかで、玉のごとく、名人の手のわざのようだ。 + あなたのほぞは、混ぜたぶどう酒を欠くことのない丸い杯のごとく、あなたの腹は、ゆりの花で囲まれた山盛りの麦のようだ。 + あなたの両乳ぶさは、かもしかの二子である二匹の子じかのようだ。 + あなたの首は象牙のやぐらのごとく、あなたの目は、バテラビムの門のほとりにあるヘシボンの池のごとく、あなたの鼻は、ダマスコを見おろすレバノンのやぐらのようだ。 + あなたの頭は、カルメルのようにあなたを飾り、髪の毛は紫色のようで、王はそのたれ髪に捕われた。 + 愛する者よ、快活なおとめよ、あなたはなんと美しく愛すべき者であろう。 + あなたはなつめやしの木のように威厳があり、あなたの乳ぶさはそのふさのようだ。 + わたしは言う、「このなつめやしの木にのぼり、その枝に取りつこう。どうか、あなたの乳ぶさが、ぶどうのふさのごとく、あなたの息のにおいがりんごのごとく、 + あなたの口づけが、なめらかに流れ下る良きぶどう酒のごとく、くちびると歯の上をすべるように」と。 + わたしはわが愛する人のもの、彼はわたしを恋い慕う。 + わが愛する者よ、さあ、わたしたちはいなかへ出ていって、村里に宿りましょう。 + わたしたちは早く起き、ぶどう園へ行って、ぶどうの木が芽ざしたか、ぶどうの花が咲いたか、ざくろが花咲いたかを見ましょう。その所で、わたしはわが愛をあなたに与えます。 + 恋なすは、かおりを放ち、もろもろの良きくだものは、新しいのも古いのも共にわたしたちの戸の上にある。わが愛する者よ、わたしはこれをあなたのためにたくわえました。 + + + どうか、あなたは、わが母の乳ぶさを吸ったわが兄弟のようになってください。わたしがそとであなたに会うとき、あなたに口づけしても、だれもわたしをいやしめないでしょう。 + わたしはあなたを導いて、わが母の家に行き、わたしを産んだ者のへやにはいり、香料のはいったぶどう酒、ざくろの液を、あなたに飲ませましょう。 + どうか、彼の左の手がわたしの頭の下にあり、右の手がわたしを抱いてくれるように。 + エルサレムの娘たちよ、わたしはあなたがたに誓い、お願いする、愛のおのずから起るときまでは、ことさらに呼び起すことも、さますこともしないように。 + 自分の愛する者によりかかって、荒野から上って来る者はだれですか。りんごの木の下で、わたしはあなたを呼びさました。あなたの母上は、かしこで、あなたのために産みの苦しみをなし、あなたの産んだ者が、かしこで産みの苦しみをした。 + わたしをあなたの心に置いて印のようにし、あなたの腕に置いて印のようにしてください。愛は死のように強く、ねたみは墓のように残酷だからです。そのきらめきは火のきらめき、最もはげしい炎です。 + 愛は大水も消すことができない、洪水もおぼれさせることができない。もし人がその家の財産をことごとく与えて、愛に換えようとするならば、いたくいやしめられるでしょう。 + わたしたちに小さい妹がある、まだ乳ぶさがない。わたしたちの妹に縁談のある日には、彼女のために何をしてやろうか。 + 彼女が城壁であるなら、その上に銀の塔を建てよう。彼女が戸であるなら、香柏の板でそれを囲もう。 + わたしは城壁、わたしの乳ぶさは、やぐらのようでありました。それでわたしは彼の目には、平和をもたらす者のようでありました。 + ソロモンはバアルハモンにぶどう園をもっていた。彼はぶどう園を、守る者どもにあずけて、おのおのその実のために銀一千を納めさせた。 + わたしのものであるぶどう園は、わたしの前にある。ソロモンよ、あなたは一千を獲るでしょう、その実を守る者どもは二百を獲るでしょう。 + 園の中に住む者よ、わたしの友だちはあなたの声に耳を傾けます、どうぞ、それをわたしに聞かせてください。 + わが愛する者よ、急いでください。かんばしい山々の上で、かもしかのように、また若い雄じかのようになってください。 + +
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+ + アモツの子イザヤがユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの世にユダとエルサレムについて見た幻。 + 天よ、聞け、地よ、耳を傾けよ、主が次のように語られたから、「わたしは子を養い育てた、しかし彼らはわたしにそむいた。 + 牛はその飼主を知り、ろばはその主人のまぐさおけを知る。しかしイスラエルは知らず、わが民は悟らない」。 + ああ、罪深い国びと、不義を負う民、悪をなす者のすえ、堕落せる子らよ。彼らは主を捨て、イスラエルの聖者をあなどり、これをうとんじ遠ざかった。 + あなたがたは、どうして重ね重ねそむいて、なおも打たれようとするのか。その頭はことごとく病み、その心は全く弱りはてている。 + 足のうらから頭まで、完全なところがなく、傷と打ち傷と生傷ばかりだ。これを絞り出すものなく、包むものなく、油をもってやわらげるものもない。 + あなたがたの国は荒れすたれ、町々は火で焼かれ、田畑のものはあなたがたの前で外国人に食われ、滅ぼされたソドムのように荒れすたれた。 + シオンの娘はぶどう畑の仮小屋のように、きゅうり畑の番小屋のように、包囲された町のように、ただひとり残った。 + もし万軍の主が、われわれに少しの生存者を残されなかったなら、われわれはソドムのようになり、またゴモラと同じようになったであろう。 + あなたがたソドムのつかさたちよ、主の言葉を聞け。あなたがたゴモラの民よ、われわれの神の教に耳を傾けよ。 + 主は言われる、「あなたがたがささげる多くの犠牲は、わたしになんの益があるか。わたしは雄羊の燔祭と、肥えた獣の脂肪とに飽いている。わたしは雄牛あるいは小羊、あるいは雄やぎの血を喜ばない。 + あなたがたは、わたしにまみえようとして来るが、だれが、わたしの庭を踏み荒すことを求めたか。 + あなたがたは、もはや、むなしい供え物を携えてきてはならない。薫香は、わたしの忌みきらうものだ。新月、安息日、また会衆を呼び集めること――わたしは不義と聖会とに耐えられない。 + あなたがたの新月と定めの祭とは、わが魂の憎むもの、それはわたしの重荷となり、わたしは、それを負うのに疲れた。 + あなたがたが手を伸べるとき、わたしは目をおおって、あなたがたを見ない。たとい多くの祈をささげても、わたしは聞かない。あなたがたの手は血まみれである。 + あなたがたは身を洗って、清くなり、わたしの目の前からあなたがたの悪い行いを除き、悪を行うことをやめ、 + 善を行うことをならい、公平を求め、しえたげる者を戒め、みなしごを正しく守り、寡婦の訴えを弁護せよ。 + 主は言われる、さあ、われわれは互に論じよう。たといあなたがたの罪は緋のようであっても、雪のように白くなるのだ。紅のように赤くても、羊の毛のようになるのだ。 + もし、あなたがたが快く従うなら、地の良き物を食べることができる。 + しかし、あなたがたが拒みそむくならば、つるぎで滅ぼされる」。これは主がその口で語られたことである。 + かつては忠信であった町、どうして遊女となったのか。昔は公平で満ち、正義がそのうちにやどっていたのに、今は人を殺す者ばかりとなってしまった。 + あなたの銀はかすとなり、あなたのぶどう酒は水をまじえ、 + あなたのつかさたちはそむいて、盗びとの仲間となり、みな、まいないを好み、贈り物を追い求め、みなしごを正しく守らず、寡婦の訴えは彼らに届かない。 + このゆえに、主、万軍の主、イスラエルの全能者は言われる、「ああ、わたしはわが敵にむかって憤りをもらし、わがあだにむかって恨みをはらす。 + わたしはまた、わが手をあなたに向け、あなたのかすを灰汁で溶かすように溶かし去り、あなたの混ざり物をすべて取り除く。 + こうして、あなたのさばきびとをもとのとおりに、あなたの議官を初めのとおりに回復する。その後あなたは正義の都、忠信の町ととなえられる」。 + シオンは公平をもってあがなわれ、そのうちの悔い改める者は、正義をもってあがなわれる。 + しかし、そむく者と罪びととは共に滅ぼされ、主を捨てる者は滅びうせる。 + あなたがたは、みずから喜んだかしの木によって、はずかしめを受け、みずから選んだ園によって、恥じ赤らむ。 + あなたがたは葉の枯れるかしの木のように、水のない園のようになり、 + 強い者も麻くずのように、そのわざは火花のようになり、その二つのものは共に燃えて、それを消す者はない。 + + + アモツの子イザヤがユダとエルサレムについて示された言葉。 + 終りの日に次のことが起る。主の家の山は、もろもろの山のかしらとして堅く立ち、もろもろの峰よりも高くそびえ、すべて国はこれに流れてき、 + 多くの民は来て言う、「さあ、われわれは主の山に登り、ヤコブの神の家へ行こう。彼はその道をわれわれに教えられる、われわれはその道に歩もう」と。律法はシオンから出、主の言葉はエルサレムから出るからである。 + 彼はもろもろの国のあいだにさばきを行い、多くの民のために仲裁に立たれる。こうして彼らはそのつるぎを打ちかえて、すきとし、そのやりを打ちかえて、かまとし、国は国にむかって、つるぎをあげず、彼らはもはや戦いのことを学ばない。 + ヤコブの家よ、さあ、われわれは主の光に歩もう。 + あなたはあなたの民ヤコブの家を捨てられた。これは彼らが東の国からの占い師をもって満たし、ペリシテびとのように占い者となり、外国人と同盟を結んだからである。 + 彼らの国には金銀が満ち、その財宝は限りない。また彼らの国には馬が満ち、その戦車も限りない。 + また彼らの国には偶像が満ち、彼らはその手のわざを拝み、その指で作ったものを拝む。 + こうして人はかがめられ、人々は低くされる。どうか彼らをおゆるしにならぬように。 + あなたは岩の間にはいり、ちりの中にかくれて、主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避けよ。 + その日には目をあげて高ぶる者は低くせられ、おごる人はかがめられ、主のみ高くあげられる。 + これは、万軍の主の一日があって、すべて誇る者と高ぶる者、すべておのれを高くする者と得意な者とに臨むからである。 + またレバノンの高くそびえるすべての香柏、バシャンのすべてのかしの木、 + またすべての高い山々、すべてのそびえ立つ峰々、 + すべての高きやぐら、すべての堅固な城壁、 + タルシシのすべての船、すべての麗しい船舶に臨む。 + その日には高ぶる者はかがめられ、おごる人は低くせられ、主のみ高くあげられる。 + こうして偶像はことごとく滅びうせる。 + 主が立って地を脅かされるとき、人々は岩のほら穴にはいり、また地の穴にはいって、主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避ける。 + その日、人々は拝むためにみずから造ったしろがねの偶像と、こがねの偶像とを、もぐらもちと、こうもりに投げ与え、 + 岩のほら穴や、がけの裂け目にはいり、主が立って地を脅かされるとき、主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避ける。 + あなたがたは鼻から息の出入りする人に、たよることをやめよ、このような者はなんの価値があろうか。 + + + 見よ、主、万軍の主はエルサレムとユダからささえとなり、頼みとなるもの――すべてささえとなるパン、すべてささえとなる水――を取り去られる。 + すなわち勇士と軍人、裁判官と預言者、占い師と長老、 + 五十人の長と身分の高い人、議官と巧みな魔術師、老練なまじない師を取り去られる。 + わたしはわらべを立てて彼らの君とし、みどりごに彼らを治めさせる。 + 民は互に相しえたげ、人はおのおのその隣をしえたげ、若い者は老いたる者にむかって高ぶり、卑しい者は尊い者にむかって高ぶる。 + その時、人はその父の家で、兄弟をつかまえて言う、「あなたは外套を持っている、わたしたちのつかさびとになって、この荒れ跡をあなたの手で治めてください」と。 + その日、彼は声をあげて言う、「わたしはいやす者となることはできません、わたしの家にはパンもなく、外套もありません、わたしを立てて、民のつかさびとにしないでください」。 + これは彼らの言葉と行いとが主にそむき、その栄光の目をおかしたので、エルサレムはつまずき、ユダは倒れたからである。 + 彼らの不公平は彼らにむかって不利なあかしをし、ソドムのようにその罪をあらわして隠さない。わざわいなるかな、彼らはみずから悪の報いをうけた。 + 正しい人に言え、彼らはさいわいであると。彼らはその行いの実を食べるからである。 + 悪しき者はわざわいだ、彼は災をうける。その手のなした事が彼に報いられるからである。 + わが民は幼な子にしえたげられ、女たちに治められる。ああ、わが民よ、あなたを導く者はかえって、あなたを迷わせ、あなたの行くべき道を混乱させる。 + 主は言い争うために立ちあがり、その民をさばくために立たれる。 + 主はその民の長老と君たちとをさばいて、「あなたがたは、ぶどう畑を食い荒した。貧しい者からかすめとった物は、あなたがたの家にある。 + なぜ、あなたがたはわが民を踏みにじり、貧しい者の顔をすり砕くのか」と万軍の神、主は言われる。 + 主は言われた、シオンの娘らは高ぶり、首をのばしてあるき、目でこびをおくり、その行くとき気どって歩き、その足でりんりんと鳴り響かす。 + それゆえ、主はシオンの娘らの頭を撃って、かさぶたでおおい、彼らの隠れた所をあらわされる。 + その日、主は彼らの美しい装身具と服装すなわち、くるぶし輪、髪ひも、月形の飾り、 + 耳輪、腕輪、顔おおい、 + 頭飾り、すね飾り、飾り帯、香箱、守り袋、 + 指輪、鼻輪、 + 礼服、外套、肩掛、手さげ袋、 + 薄織の上着、亜麻布の着物、帽子、被衣などを取り除かれる。 + 芳香はかわって、悪臭となり、帯はかわって、なわとなり、よく編んだ髪はかわって、かぶろとなり、はなやかな衣はかわって、荒布の衣となり、美しい顔はかわって、焼き印された顔となる。 + あなたの男たちはつるぎに倒れ、あなたの勇士たちは戦いに倒れる。 + シオンの門は嘆き悲しみ、シオンは荒れすたれて、地に座する。 + + + その日、七人の女がひとりの男にすがって、「わたしたちは自分のパンをたべ、自分の着物を着ます。ただ、あなたの名によって呼ばれることを許して、わたしたちの恥を取り除いてください」と言う。 + その日、主の枝は麗しく栄え、地の産物はイスラエルの生き残った者の誇、また光栄となる。 + + そして主が審判の霊と滅亡の霊とをもって、シオンの娘らの汚れを洗い、エルサレムの血をその中から除き去られるとき、シオンに残る者、エルサレムにとどまる者、すべてエルサレムにあって、生命の書にしるされた者は聖なる者ととなえられる。 + その時、主はシオンの山のすべての場所と、そのもろもろの集会との上に、昼は雲をつくり、夜は煙と燃える火の輝きとをつくられる。これはすべての栄光の上にある天蓋であり、あずまやであって、 + 昼は暑さをふせぐ陰となり、また暴風と雨を避けて隠れる所となる。 + + + わたしはわが愛する者のために、そのぶどう畑についてのわが愛の歌をうたおう。わが愛する者は土肥えた小山の上に、一つのぶどう畑をもっていた。 + 彼はそれを掘りおこし、石を除き、それに良いぶどうを植え、その中に物見やぐらを建て、またその中に酒ぶねを掘り、良いぶどうの結ぶのを待ち望んだ。ところが結んだものは野ぶどうであった。 + それで、エルサレムに住む者とユダの人々よ、どうか、わたしとぶどう畑との間をさばけ。 + わたしが、ぶどう畑になした事のほかに、何かなすべきことがあるか。わたしは良いぶどうの結ぶのを待ち望んだのに、どうして野ぶどうを結んだのか。 + それで、わたしが、ぶどう畑になそうとすることを、あなたがたに告げる。わたしはそのまがきを取り去って、食い荒されるにまかせ、そのかきをとりこわして、踏み荒されるにまかせる。 + わたしはこれを荒して、刈り込むことも、耕すこともせず、おどろと、いばらとを生えさせ、また雲に命じて、その上に雨を降らさない。 + 万軍の主のぶどう畑はイスラエルの家であり、主が喜んでそこに植えられた物は、ユダの人々である。主はこれに公平を望まれたのに、見よ、流血。正義を望まれたのに、見よ、叫び。 + わざわいなるかな、彼らは家に家を建て連ね、田畑に田畑をまし加えて、余地をあまさず、自分ひとり、国のうちに住まおうとする。 + 万軍の主はわたしの耳に誓って言われた、「必ずや多くの家は荒れすたれ、大きな麗しい家も住む者がないようになる。 + 十反のぶどう畑もわずかに一バテの実を結び、一ホメルの種もわずかに一エパの実を結ぶ」。 + わざわいなるかな、彼らは朝早く起きて、濃き酒をおい求め、夜のふけるまで飲みつづけて、酒にその身を焼かれている。 + 彼らの酒宴には琴あり、立琴あり、鼓あり笛あり、ぶどう酒がある。しかし彼らは主のみわざを顧みず、み手のなされる事に目をとめない。 + それゆえ、わが民は無知のために、とりこにせられ、その尊き者は飢えて死に、そのもろもろの民は、かわきによって衰えはてる。 + また陰府はその欲望を大きくし、その口を限りなく開き、エルサレムの貴族、そのもろもろの民、その群集およびそのうちの喜びたのしめる者はみなその中に落ちこむ。 + 人はかがめられ、人々は低くせられ、高ぶる者の目は低くされる。 + しかし万軍の主は公平によってあがめられ、聖なる神は正義によって、おのれを聖なる者として示される。 + こうして小羊は自分の牧場におるように草をはみ、肥えた家畜および子やぎは荒れ跡の中で食を得る。 + わざわいなるかな、彼らは偽りのなわをもって悪を引きよせ、車の綱をもってするように罪を引きよせる。 + 彼らは言う、「彼を急がせ、そのわざをすみやかにさせよ、それを見せてもらおう。イスラエルの聖者の定める事を近づききたらせよ、それを見せてもらおう」と。 + わざわいなるかな、彼らは悪を呼んで善といい、善を呼んで悪といい、暗きを光とし、光を暗しとし、苦きを甘しとし、甘きを苦しとする。 + わざわいなるかな、彼らはおのれを見て、賢しとし、みずから顧みて、さとしとする。 + わざわいなるかな、彼らはぶどう酒を飲むことの英雄であり、濃き酒をまぜ合わせることの勇士である。 + 彼らはまいないによって悪しき者を義とし、義人からその義を奪う。 + それゆえ、火の舌が刈り株を食い尽すように、枯れ草が炎の中に消えうせるように、彼らの根は朽ちたものとなり、彼らの花はちりのように飛び去る。彼らは万軍の主の律法を捨て、イスラエルの聖者の言葉を侮ったからである。 + それゆえ、主はその民にむかって怒りを発し、み手を伸べて彼らを撃たれた。山は震い動き、彼らのしかばねは、ちまたの中で、あくたのようになった。それにもかかわらず、み怒りはやまず、なお、み手を伸ばされる。 + 主は旗をあげて遠くから一つの国民を招き、地の果から彼らを呼ばれる。見よ、彼らは走って、すみやかに来る。 + その中には疲れる者も、つまずく者もなく、まどろむ者も、眠る者もない。その腰の帯はとけず、そのくつのひもは切れていない。 + その矢は鋭く、その弓はことごとく張り、その馬のひずめは火打石のように、その車の輪はつむじ風のように思われる。 + そのほえることは、ししのように、若いししのようにほえ、うなって獲物を捕え、かすめ去っても救う者がない。 + その日、その鳴りどよめくことは、海の鳴りどよめくようだ。もし地をのぞむならば、見よ、暗きと悩みとがあり、光は雲によって暗くなる。 + + + ウジヤ王の死んだ年、わたしは主が高くあげられたみくらに座し、その衣のすそが神殿に満ちているのを見た。 + その上にセラピムが立ち、おのおの六つの翼をもっていた。その二つをもって顔をおおい、二つをもって足をおおい、二つをもって飛びかけり、 + 互に呼びかわして言った。「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主、その栄光は全地に満つ」。 + その呼ばわっている者の声によって敷居の基が震い動き、神殿の中に煙が満ちた。 + その時わたしは言った、「わざわいなるかな、わたしは滅びるばかりだ。わたしは汚れたくちびるの者で、汚れたくちびるの民の中に住む者であるのに、わたしの目が万軍の主なる王を見たのだから」。 + この時セラピムのひとりが火ばしをもって、祭壇の上から取った燃えている炭を手に携え、わたしのところに飛んできて、 + わたしの口に触れて言った、「見よ、これがあなたのくちびるに触れたので、あなたの悪は除かれ、あなたの罪はゆるされた」。 + わたしはまた主の言われる声を聞いた、「わたしはだれをつかわそうか。だれがわれわれのために行くだろうか」。その時わたしは言った、「ここにわたしがおります。わたしをおつかわしください」。 + 主は言われた、「あなたは行って、この民にこう言いなさい、『あなたがたはくりかえし聞くがよい、しかし悟ってはならない。あなたがたはくりかえし見るがよい、しかしわかってはならない』と。 + あなたはこの民の心を鈍くし、その耳を聞えにくくし、その目を閉ざしなさい。これは彼らがその目で見、その耳で聞き、その心で悟り、悔い改めていやされることのないためである」。 + そこで、わたしは言った、「主よ、いつまでですか」。主は言われた、「町々は荒れすたれて、住む者もなく、家には人かげもなく、国は全く荒れ地となり、 + 人々は主によって遠くへ移され、荒れはてた所が国の中に多くなる時まで、こうなっている。 + その中に十分の一の残る者があっても、これもまた焼き滅ぼされる。テレビンの木またはかしの木が切り倒されるとき、その切り株が残るように」。聖なる種族はその切り株である。 + + + ユダの王、ウジヤの子ヨタム、その子アハズの時、スリヤの王レヂンとレマリヤの子であるイスラエルの王ペカとが上ってきて、エルサレムを攻めたが勝つことができなかった。 + 時に「スリヤがエフライムと同盟している」とダビデの家に告げる者があったので、王の心と民の心とは風に動かされる林の木のように動揺した。 + その時、主はイザヤに言われた、「今、あなたとあなたの子シャル・ヤシュブと共に出て行って、布さらしの野へ行く大路に沿う上の池の水道の端でアハズに会い、 + 彼に言いなさい、『気をつけて、静かにし、恐れてはならない。レヂンとスリヤおよびレマリヤの子が激しく怒っても、これら二つの燃え残りのくすぶっている切り株のゆえに心を弱くしてはならない。 + スリヤはエフライムおよびレマリヤの子と共にあなたにむかって悪い事を企てて言う、 + 「われわれはユダに攻め上って、これを脅し、われわれのためにこれを破り取り、タビエルの子をそこの王にしよう」と。 + 主なる神はこう言われる、この事は決して行われない、また起ることはない。 + スリヤのかしらはダマスコ、ダマスコのかしらはレヂンである。(六十五年のうちにエフライムは敗れて、国をなさないようになる。) + エフライムのかしらはサマリヤ、サマリヤのかしらはレマリヤの子である。もしあなたがたが信じないならば、立つことはできない』」。 + 主は再びアハズに告げて言われた、 + 「あなたの神、主に一つのしるしを求めよ、陰府のように深い所に、あるいは天のように高い所に求めよ」。 + しかしアハズは言った、「わたしはそれを求めて、主を試みることをいたしません」。 + そこでイザヤは言った、「ダビデの家よ、聞け。あなたがたは人を煩わすことを小さい事とし、またわが神をも煩わそうとするのか。 + それゆえ、主はみずから一つのしるしをあなたがたに与えられる。見よ、おとめがみごもって男の子を産む。その名はインマヌエルととなえられる。 + その子が悪を捨て、善を選ぶことを知るころになって、凝乳と、蜂蜜とを食べる。 + それはこの子が悪を捨て、善を選ぶことを知る前に、あなたが恐れているふたりの王の地は捨てられるからである。 + 主はエフライムがユダから分れた時からこのかた、臨んだことのないような日をあなたと、あなたの民と、あなたの父の家とに臨ませられる。それはアッスリヤの王である」。 + その日、主はエジプトの川々の源にいる、はえを招き、アッスリヤの地にいる蜂を呼ばれる。 + 彼らはみな来て、険しい谷、岩の裂け目、すべてのいばら、すべての牧場の上にとどまる。 + その日、主は大川の向こうから雇ったかみそり、すなわちアッスリヤの王をもって、頭と足の毛とをそり、また、ひげをも除き去られる。 + その日、人は若い雌牛一頭と羊二頭を飼い、 + それから出る乳が多いので、凝乳を食べることができ、すべて国のうちに残された者は凝乳と、蜂蜜とを食べることができる。 + その日、銀一千シケルの価ある千株のぶどうの木のあった所も、ことごとくいばらと、おどろの生える所となり、 + いばらと、おどろとが地にはびこるために、人々は弓と矢をもってそこへ行く。 + くわをもって掘り耕したすべての山々にも、あなたは、いばらと、おどろとを恐れて、そこへ行くことができない。その地はただ牛を放ち、羊の踏むところとなる。 + + + 主はわたしに言われた、「一枚の大きな札を取って、その上に普通の文字で、『マヘル・シャラル・ハシ・バズ』と書きなさい」。 + そこで、わたしは確かな証人として、祭司ウリヤおよびエベレキヤの子ゼカリヤを立てた。 + わたしが預言者の妻に近づくと、彼女はみごもって男の子を産んだ。その時、主はわたしに言われた、「その名をマヘル・シャラル・ハシ・バズと呼びなさい。 + それはこの子がまだ『おとうさん、おかあさん』と呼ぶことを知らないうちに、ダマスコの富と、サマリヤのぶんどり品とが、アッスリヤ王の前に奪い去られるからである」。 + 主はまた重ねてわたしに言われた、 + 「この民はゆるやかに流れるシロアの水を捨てて、レヂンとレマリヤの子の前に恐れくじける。 + それゆえ見よ、主は勢いたけく、みなぎりわたる大川の水を彼らにむかってせき入れられる。これはアッスリヤの王と、そのもろもろの威勢とであって、そのすべての支流にはびこり、すべての岸を越え、 + ユダに流れ入り、あふれみなぎって、首にまで及ぶ。インマヌエルよ、その広げた翼はあまねく、あなたの国に満ちわたる」。 + もろもろの民よ、打ち破られて、驚きあわてよ。遠き国々のものよ、耳を傾けよ。腰に帯して、驚きあわてよ。腰に帯して、驚きあわてよ。 + ともに計れ、しかし、成らない。言葉を出せ、しかし、行われない。神がわれわれと共におられるからである。 + 主は強いみ手をもって、わたしを捕え、わたしに語り、この民の道に歩まないように、さとして言われた、 + 「この民がすべて陰謀ととなえるものを陰謀ととなえてはならない。彼らの恐れるものを恐れてはならない。またおののいてはならない。 + あなたがたは、ただ万軍の主を聖として、彼をかしこみ、彼を恐れなければならない。 + 主はイスラエルの二つの家には聖所となり、またさまたげの石、つまずきの岩となり、エルサレムの住民には網となり、わなとなる。 + 多くの者はこれにつまずき、かつ倒れ、破られ、わなにかけられ、捕えられる」。 + わたしは、あかしを一つにまとめ、教をわが弟子たちのうちに封じておこう。 + 主はいま、ヤコブの家に、み顔をかくしておられるとはいえ、わたしはその主を待ち、主を望みまつる。 + 見よ、わたしと、主のわたしに賜わった子たちとは、シオンの山にいます万軍の主から与えられたイスラエルのしるしであり、前ぶれである。 + 人々があなたがたにむかって「さえずるように、ささやくように語る巫子および魔術者に求めよ」という時、民は自分たちの神に求むべきではないか。生ける者のために死んだ者に求めるであろうか。 + ただ教とあかしとに求めよ。まことに彼らはこの言葉によって語るが、そこには夜明けがない。 + 彼らはしえたげられ、飢えて国の中を経あるく。その飢えるとき怒りを放ち、自分たちの王、自分たちの神をのろい、かつその顔を天に向ける。 + また地を見ると、見よ、悩みと暗きと、苦しみのやみとがあり、彼らは暗黒に追いやられる。 + + + しかし、苦しみにあった地にも、やみがなくなる。さきにはゼブルンの地、ナフタリの地にはずかしめを与えられたが、後には海に至る道、ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤに光栄を与えられる。 + 暗やみの中に歩んでいた民は大いなる光を見た。暗黒の地に住んでいた人々の上に光が照った。 + あなたが国民を増し、その喜びを大きくされたので、彼らは刈入れ時に喜ぶように、獲物を分かつ時に楽しむように、あなたの前に喜んだ。 + これはあなたが彼らの負っているくびきと、その肩のつえと、しえたげる者のむちとを、ミデアンの日になされたように折られたからだ。 + すべて戦場で、歩兵のはいたくつと、血にまみれた衣とは、火の燃えくさとなって焼かれる。 + ひとりのみどりごがわれわれのために生れた、ひとりの男の子がわれわれに与えられた。まつりごとはその肩にあり、その名は、「霊妙なる議士、大能の神、とこしえの父、平和の君」ととなえられる。 + そのまつりごとと平和とは、増し加わって限りなく、ダビデの位に座して、その国を治め、今より後、とこしえに公平と正義とをもってこれを立て、これを保たれる。万軍の主の熱心がこれをなされるのである。 + 主はひと言をヤコブにおくり、これをイスラエルの上にくだされる。 + すべてこの民、エフライムとサマリヤに住む者とは知るであろう。彼らは高ぶり、心おごって言う、 + 「かわらがくずれても、われわれは切り石をもって建てよう。くわの木が切り倒されても、われわれは香柏をもってこれにかえよう」と。 + それゆえ、主は敵を起して彼らを攻めさせ、そのあだを奮い立たせられる。 + 東にスリヤびとあり、西にペリシテびとあり、彼らは大口をあけてイスラエルを食い尽す。それでも主の怒りはやまず、なおも、そのみ手を伸ばされる。 + しかもなお、この民は自分たちを撃った者に帰らず、万軍の主を求めない。 + それゆえ、主はイスラエルから頭と尾と、しゅろの枝と葦とを一日のうちに断ち切られる。 + その頭とは、長老と尊き人、その尾とは、偽りを教える預言者である。 + この民を導く者は、これを迷わせ、彼らに導かれる者は、のみ尽される。 + それゆえ、主はその若き人々を喜ばれず、そのみなしごと寡婦とをあわれまれない。彼らはみな、不信仰であって、悪を行う者、すべての口は愚かな事を語るからである。それでも主の怒りはやまず、なおも、そのみ手を伸ばされる。 + 悪は火のように燃え、いばらと、おどろとを食い尽し、茂りあう林を焼き、煙の柱となって巻きあがる。 + 万軍の主の怒りによって地は焼け、その民は火の燃えくさのようになり、だれもその兄弟をあわれむ者がない。 + 彼らは右手につかんでも、なお飢え、左手で食べても飽くことがない。おのおのその隣り人の肉を食う。 + マナセはエフライムを、エフライムはマナセを食い、彼らは共にユダを攻める。それでも主の怒りはやまず、なおも、そのみ手を伸ばされる。 + + + わざわいなるかな、不義の判決を下す者、暴虐の宣告を書きしるす者。 + 彼らは乏しい者の訴えを引き受けず、わが民のうちの貧しい者の権利をはぎ、寡婦の資産を奪い、みなしごのものをかすめる。 + あなたがたは刑罰の日がきたなら、何をしようとするのか。大風が遠くから来るとき、何をしようとするのか。あなたがたはのがれていって、だれに助けを求めようとするのか。また、どこにあなたがたの富を残そうとするのか。 + ただ捕われた者の中にかがみ、殺された者の中に伏し倒れるのみだ。それでも主の怒りはやまず、なおも、そのみ手を伸ばされる。 + ああ、アッスリヤはわが怒りのつえ、わが憤りのむちだ。 + わたしは彼をつかわして不信の国を攻め、彼に命じてわが怒りの民を攻め、かすめ奪わせ、彼らをちまたの泥のように踏みにじらせる。 + しかし彼はそのようには思わず、その心もそのようには考えず、かえってその心は滅ぼすことを思い、あまたの国々を倒そうとする。 + 彼は言う、「わが諸侯はみな王ではないか。 + カルノはカルケミシのようではないか。ハマテはアルパデのようではないか。サマリヤはダマスコのようではないか。 + わが手は偶像に仕える国々に伸びた。その彫った像はエルサレムおよびサマリヤのものにまさっていた。 + わたしはサマリヤとその偶像に行ったように、エルサレムとその偶像に行わぬであろうか」。 + 主がシオンの山とエルサレムとになそうとすることを、ことごとくなし遂げられた時、主はアッスリヤ王の無礼な言葉と、その高ぶりとを罰せられる。 + 彼は言う、「わが手の力により、またわが知恵によって、わたしはこれをなした。わたしは賢いからである。わたしはもろもろの民の境を除き、その財宝を奪った。またわたしは雄牛のように、位に座する者を引きおろした。 + わが手は巣を取るように、もろもろの民の富を得た。またわたしは人々が捨てられた卵を集めるように、全地を取り集めた。あるいは翼を動かし、あるいは口を開き、あるいはぺちゃくちゃ言う者もなかった」。 + おのは、それを用いて切る者にむかって、自分を誇ることができようか。のこぎりは、それを動かす者にむかって、みずから高ぶることができようか。これはあたかも、むちが自分をあげる者を動かし、つえが木でない者をあげようとするのに等しい。 + それゆえ、主、万軍の主は、その肥えた勇士の中に病気を送って衰えさせ、その栄光の下に火の燃えるような炎を燃やされる。 + イスラエルの光は火となり、その聖者は炎となり、そのいばらと、おどろとを一日のうちに焼き滅ぼす。 + また、その林と土肥えた田畑の栄えを、魂も、からだも二つながら滅ぼし、病める者のやせ衰える時のようにされる。 + その林の木の残りのものはわずかであって、わらべもそれを書きとめることができる。 + その日にはイスラエルの残りの者と、ヤコブの家の生き残った者とは、もはや自分たちを撃った者にたよらず、真心をもってイスラエルの聖者、主にたより、 + 残りの者、すなわちヤコブの残りの者は大能の神に帰る。 + あなたの民イスラエルは海の砂のようであっても、そのうちの残りの者だけが帰って来る。滅びはすでに定まり、義であふれている。 + 主、万軍の主は定められた滅びを全地に行われる。 + それゆえ、主、万軍の主はこう言われる、「シオンに住むわが民よ、アッスリヤびとが、エジプトびとがしたように、むちをもってあなたを打ち、つえをあげてあなたをせめても、彼らを恐れてはならない。 + ただしばらくして、わが憤りはやみ、わが怒りは彼らを滅ぼすからである。 + 万軍の主は、むかしミデアンびとをオレブの岩で撃たれた時のように、彼らにむかって、むちをふるわれる。またそのつえを海の上にのばし、エジプトでなされたように、それをあげられる。 + その日には、彼の重荷はあなたの肩からおり、彼のくびきはあなたの首から離れる」。彼はリンモンから上り、 + アイアテにきたり、ミグロンを過ぎ、ミクマシでその行李をとどめ、 + 渡しを過ぎて、ゲバに宿る。ラマはおののき、サウルのギベアは逃げ去った。 + ガリムの娘よ、声をあげて叫べ。ライシよ、耳を傾けよ。アナトテよ、彼に答えよ。 + マデメナは逃げ去り、ゲビムの民は隠れ場を求めた。 + この日彼はノブに立ちとどまり、シオンの娘の山、エルサレムの丘にむかって、その手を振る。 + 見よ、主、万軍の主は、恐ろしい力をもって枝を切りおろされる。たけの高いものも切り落され、そびえ立つものは低くされる。 + 主はおのをもって茂りあう林を切られる。みごとな木の茂るレバノンも倒される。 + + + エッサイの株から一つの芽が出、その根から一つの若枝が生えて実を結び、 + その上に主の霊がとどまる。これは知恵と悟りの霊、深慮と才能の霊、主を知る知識と主を恐れる霊である。 + 彼は主を恐れることを楽しみとし、その目の見るところによって、さばきをなさず、その耳の聞くところによって、定めをなさず、 + 正義をもって貧しい者をさばき、公平をもって国のうちの柔和な者のために定めをなし、その口のむちをもって国を撃ち、そのくちびるの息をもって悪しき者を殺す。 + 正義はその腰の帯となり、忠信はその身の帯となる。 + おおかみは小羊と共にやどり、ひょうは子やぎと共に伏し、子牛、若じし、肥えたる家畜は共にいて、小さいわらべに導かれ、 + 雌牛と熊とは食い物を共にし、牛の子と熊の子と共に伏し、ししは牛のようにわらを食い、 + 乳のみ子は毒蛇のほらに戯れ、乳離れの子は手をまむしの穴に入れる。 + 彼らはわが聖なる山のどこにおいても、そこなうことなく、やぶることがない。水が海をおおっているように、主を知る知識が地に満ちるからである。 + その日、エッサイの根が立って、もろもろの民の旗となり、もろもろの国びとはこれに尋ね求め、その置かれる所に栄光がある。 + その日、主は再び手を伸べて、その民の残れる者をアッスリヤ、エジプト、パテロス、エチオピヤ、エラム、シナル、ハマテおよび海沿いの国々からあがなわれる。 + 主は国々のために旗をあげて、イスラエルの追いやられた者を集め、ユダの散らされた者を地の四方から集められる。 + エフライムのねたみはうせ、ユダを悩ます者は断たれ、エフライムはユダをねたまず、ユダはエフライムを悩ますことはない。 + しかし彼らは西の方ペリシテびとの肩に襲いかかり、相共に東の民をかすめ、その手をエドムおよびモアブに伸べ、アンモンの人々をおのれに従わせる。 + 主はエジプトの海の舌をからし、川の上に手を振って熱い風を吹かせ、その川を打って七つの川となし、くつをぬらさないで渡らせられる。 + その民の残れる者のためにアッスリヤからの大路があり、昔イスラエルがエジプトの国から上ってきた時にあったようになる。 + + + その日あなたは言う、「主よ、わたしはあなたに感謝します。あなたは、さきにわたしにむかって怒られたが、その怒りはやんで、わたしを慰められたからです。 + 見よ、神はわが救である。わたしは信頼して恐れることはない。主なる神はわが力、わが歌であり、わが救となられたからである」。 + あなたがたは喜びをもって、救の井戸から水をくむ。 + その日、あなたがたは言う、「主に感謝せよ。そのみ名を呼べ。そのみわざをもろもろの民の中につたえよ。そのみ名のあがむべきことを語りつげよ。 + 主をほめうたえ。主はそのみわざを、みごとになし遂げられたから。これを全地に宣べ伝えよ。 + シオンに住む者よ、声をあげて、喜びうたえ。イスラエルの聖者はあなたがたのうちで大いなる者だから」。 + + + アモツの子イザヤに示されたバビロンについての託宣。 + あなたがたは木のない山に旗を立て、声をあげて彼らを招き、手を振って彼らを貴族の門に、はいらせよ。 + わたしはわが怒りのさばきを行うために聖別した者どもに命じ、わが勇士、わが勝ち誇る者どもを招いた。 + 聞け、多くの民のような騒ぎ声が山々に聞える。聞け、もろもろの国々、寄りつどえるもろもろの国民のざわめく声が聞える。これは万軍の主が戦いのために軍勢を集められるのだ。 + 彼らは遠い国から、天の果から来る。これは、主とその憤りの器で、全地を滅ぼすために来るのだ。 + あなたがたは泣き叫べ。主の日が近づき、滅びが全能者から来るからだ。 + それゆえ、すべての手は弱り、すべての人の心は溶け去る。 + 彼らは恐れおののき、苦しみと悩みに捕えられ、子を産まんとする女のようにもだえ苦しみ、互に驚き、顔を見あわせ、その顔は炎のようになる。 + 見よ、主の日が来る。残忍で、憤りと激しい怒りとをもってこの地を荒し、その中から罪びとを断ち滅ぼすために来る。 + 天の星とその星座とはその光を放たず、太陽は出ても暗く、月はその光を輝かさない。 + わたしはその悪のために世を罰し、その不義のために悪い者を罰し、高ぶる者の誇をとどめ、あらぶる者の高慢を低くする。 + わたしは人を精金よりも、オフルのこがねよりも少なくする。 + それゆえ、万軍の主の憤りにより、その激しい怒りの日に、天は震い、地は揺り動いて、その所をはなれる。 + 彼らは追われた、かもしかのように、あるいは集める者のない羊のようになって、おのおの自分の民に帰り、自分の国に逃げて行く。 + すべて見いだされる者は刺され、すべて捕えられる者はつるぎによって倒され、 + 彼らのみどりごはその目の前で投げ砕かれ、その家はかすめ奪われ、その妻は汚される。 + 見よ、わたしは、しろがねをも顧みず、こがねをも喜ばないメデアびとを起して、彼らにむかわせる。 + 彼らの弓は若い者を射殺し、腹の実をあわれむことなく、幼な子を見て、惜しむことがない。 + 国々の誉であり、カルデヤびとの誇である麗しいバビロンは、神に滅ぼされたソドム、ゴモラのようになる。 + ここにはながく住む者が絶え、世々にいたるまで住みつく者がなく、アラビヤびともそこに天幕を張らず、羊飼もそこに群れを伏させることがない。 + ただ、野の獣がそこに伏し、ほえる獣がその家に満ち、だちょうがそこに住み、鬼神がそこに踊る。 + ハイエナはその城の中で鳴き、山犬は楽しい宮殿でほえる。その時の来るのは近い、その日は延びることがない。 + + + 主はヤコブをあわれみ、イスラエルを再び選んで、これをおのれの地に置かれる。異邦人はこれに加わって、ヤコブの家に結びつらなり、 + もろもろの民は彼らを連れてその所に導いて来る。そしてイスラエルの家は、主の地で彼らを男女の奴隷とし、さきに自分たちを捕虜にした者を捕虜にし、自分たちをしえたげた者を治める。 + 主があなたの苦労と不安とを除き、またあなたが服した苦役を除いて、安息をお与えになるとき、 + あなたはこのあざけりの歌をとなえ、バビロンの王をののしって言う、「あの、しえたげる者は全く絶えてしまった。あの、おごる者は全く絶えてしまった。 + 主は悪い者のつえと、つかさびとの笏を折られた。 + 彼らは憤りをもってもろもろの民を絶えず撃っては打ち、怒りをもってもろもろの国を治めても、そのしえたげをとどめる者がなかった。 + 全地はやすみを得、穏やかになり、ことごとく声をあげて歌う。 + いとすぎおよびレバノンの香柏でさえもあなたのゆえに喜んで言う、『あなたはすでに倒れたので、もはや、きこりが上ってきて、われわれを攻めることはない』。 + 下の陰府はあなたのために動いて、あなたの来るのを迎え、地のもろもろの指導者たちの亡霊をあなたのために起し、国々のもろもろの王をその王座から立ちあがらせる。 + 彼らは皆あなたに告げて言う、『あなたもまたわれわれのように弱くなった、あなたもわれわれと同じようになった』。 + あなたの栄華とあなたの琴の音は陰府に落ちてしまった。うじはあなたの下に敷かれ、みみずはあなたをおおっている。 + 黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。 + あなたはさきに心のうちに言った、『わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果なる集会の山に座し、 + 雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう』。 + しかしあなたは陰府に落され、穴の奥底に入れられる。 + あなたを見る者はつくづくあなたを見、あなたに目をとめて言う、『この人は地を震わせ、国々を動かし、 + 世界を荒野のようにし、その都市をこわし、捕えた者をその家に解き帰さなかった者であるのか』。 + もろもろの国の王たちは皆尊いさまで、自分の墓に眠る。 + しかしあなたは忌みきらわれる月足らぬ子のように墓のそとに捨てられ、つるぎで刺し殺された者でおおわれ、踏みつけられる死体のように穴の石に下る。 + あなたは自分の国を滅ぼし、自分の民を殺したために、彼らと共に葬られることはない。どうか、悪を行う者の子孫はとこしえに名を呼ばれることのないように。 + 先祖のよこしまのゆえに、その子孫のためにほふり場を備えよ。これは彼らが起って地を取り、世界のおもてに町々を満たすことのないためである」。 + 万軍の主は言われる、「わたしは立って彼らを攻め、バビロンからその名と、残れる者、その子と孫とを断ち滅ぼす、と主は言う。 + わたしはこれをはりねずみのすみかとし、水の池とし、滅びのほうきをもって、これを払い除く、と万軍の主は言う」。 + 万軍の主は誓って言われる、「わたしが思ったように必ず成り、わたしが定めたように必ず立つ。 + わたしはアッスリヤびとをわが地で打ち破り、わが山々で彼を踏みにじる。こうして彼が置いたくびきはイスラエルびとから離れ、彼が負わせた重荷はイスラエルびとの肩から離れる」。 + これは全地について定められた計画である。これは国々の上に伸ばされた手である。 + 万軍の主が定められるとき、だれがそれを取り消すことができるのか。その手を伸ばされるとき、だれがそれを引きもどすことができるのか。 + アハズ王の死んだ年にこの託宣があった、 + 「ペリシテの全地よ、あなたを打ったむちが折られたことを喜んではならない。へびの根からまむしが出、その実は飛びかけるへびとなるからだ。 + いと貧しい者は食を得、乏しい者は安らかに伏す。しかし、わたしはききんをもってあなたの子孫を殺し、あなたの残れる者を滅ぼす。 + 門よ、泣きわめけ。町よ、叫べ。ペリシテの全地よ、恐れのあまり消えうせよ、北から煙が来るからだ。その隊列からは、ひとりも脱落する者はない」。 + その国の使者たちになんと答えようか。「主はシオンの基をおかれた、その民の苦しむ者はこの中に避け所を得る」と答えよ。 + + + モアブについての託宣。アルは一夜のうちに荒されて、モアブは滅びうせ、キルは一夜のうちに荒されて、モアブは滅びうせた。 + デボンの娘は高き所にのぼって泣き、モアブはネボとメデバの上で嘆き叫ぶ。おのおのその頭をかぶろにし、そのひげをことごとくそった。 + 彼らはそのちまたで荒布をまとい、その屋根または広場で、みな泣き叫び、涙に浸る。 + ヘシボンとエレアレとは叫び、その声はヤハズまで聞える。それゆえ、モアブの兵士は声をあげ、その魂はおののく。 + わが心はモアブのために叫び呼ばわる。その落人はゾアルおよびエグラテ・シリシヤにのがれ、泣きながらルヒテの坂をのぼり、ホロナイムの道で滅びの叫びをあげる。 + ニムリムの水はかわき、草は枯れ、苗は消えて、青い物はない。 + それゆえ、彼らはその得た富と、そのたくわえた物とを携えて、柳の川をわたる。 + その叫びの声はモアブの境をめぐり、その嘆きの声はエグライムにいたり、またその嘆きの声はベエル・エリムにいたる。 + デボンの水は血で満ちる。わたしはデボンの上にさらに災を加え、モアブののがれた者とこの地の残った者とに、ししを送る。 + + + 彼らはセラから荒野の道によって小羊をシオンの娘の山に送り、国のつかさに納めた。 + モアブの娘らはアルノンの渡しで、さまよう鳥のように、巣を追われたひなのようである。 + 「相はかって、事を定めよ。真昼の中でも、あなたの陰を夜のようにし、さすらい人を隠し、のがれて来た者をわたさず、 + モアブのさすらい人を、あなたのうちにやどらせ、彼らの避け所となって、滅ぼす者からのがれさせよ。しえたげる者がなくなり、滅ぼす者が絶え、踏みにじる者が地から断たれたとき、 + 一つの玉座がいつくしみによって堅く立てられ、ダビデの幕屋にあって、さばきをなし、公平を求め、正義を行うに、すみやかなる者が真実をもってその上に座する」。 + われわれはモアブの高ぶりのことを聞いた、その高ぶることは、はなはだしい。われわれはその誇と、高ぶりと、そのおごりとのことを聞いた、その自慢は偽りである。 + それゆえ、モアブは泣き叫べ、民はみなモアブのために泣き叫べ。全く撃ちのめされて、キルハレセテの干ぶどうのために嘆け。 + ヘシボンの畑と、シブマのぶどうの木とは、しぼみ衰えた。国々のもろもろの主が、その枝を打ち落したからである。その枝はさきにはヤゼルまでいたり、荒野にまではびこり、そのつるは広がって海を越えた。 + それゆえ、わたしはヤゼルと共に、シブマのぶどうの木のために泣く。ヘシボンよ、エレアレよ、わたしは涙をもってあなたを浸す。ときの声が、あなたの果実と、あなたの収穫の上にふりかかってきたからである。 + 喜びと楽しみとは土肥えた畑から取り去られ、ぶどう畑には歌うことなく、喜び呼ばわることなく、酒ぶねを踏んで酒を絞る者なく、ぶどうの収穫を喜ぶ声はやんだ。 + それゆえ、わが魂はモアブのために、わが心はキルハレスのために、琴のように鳴りひびく。 + モアブが高き所に出て、おのれを疲れさせ、またその聖所にきて祈っても、効果はない。 + これは主がさきにモアブについて語られたみ言葉である。 + しかし今、主は語って言われる、「モアブの栄えはその大いなる群衆にもかかわらず、雇人の年期とひとしく三年のうちに、はずかしめを受け、残れる者はまことに少なく、力がない」。 + + + ダマスコについての託宣。見よ、ダマスコは町の姿を失って、荒塚となる。 + その町々はとこしえに捨てられ、家畜の群れの住む所となって、伏しやすむが、これを脅かす者はない。 + エフライムのとりではすたり、ダマスコの主権はやみ、スリヤの残れる者は、イスラエルの子らの栄光のように消えうせると万軍の主は言われる。 + その日、ヤコブの栄えは衰え、その肥えたる肉はやせ、 + あたかも刈入れ人がまだ刈らない麦を集め、かいなをもって穂を刈り取ったあとのように、レパイムの谷で穂を拾い集めたあとのようになる。 + オリブの木を打つとき、二つ三つの実をこずえに残し、あるいは四つ五つをみのり多き木の枝に残すように、とり残されるものがあるとイスラエルの神、主は言われる。 + その日、人々はその造り主を仰ぎのぞみ、イスラエルの聖者に目をとめ、 + おのれの手のわざである祭壇を仰ぎのぞまず、おのれの指が造ったアシラ像と香の祭壇とに目をとめない。 + その日、彼らの堅固な町々は昔イスラエルの子らのゆえに捨て去られたヒビびとおよびアモリびとの荒れ跡のように荒れ地になる。 + これはあなたがたが自分の救の神を忘れ、自分の避け所なる岩を心にとめなかったからだ。それゆえ、あなたがたは美しい植物を植え、異なる神の切り枝をさし、 + その植えた日にこれを成長させ、そのまいた朝にこれを花咲かせても、その収穫は悲しみと、いやしがたい苦しみの日にとび去る。 + ああ、多くの民はなりどよめく、海のなりどよめくように、彼らはなりどよめく。ああ、もろもろの国はなりとどろく、大水のなりとどろくように、彼らはなりとどろく。 + もろもろの国は多くの水のなりとどろくように、なりとどろく。しかし、神は彼らを懲しめられる。彼らは遠くのがれて、風に吹き去られる山の上のもみがらのように、また暴風にうず巻くちりのように追いやられる。 + 夕暮には、見よ、恐れがある。まだ夜の明けないうちに彼らはうせた。これはわれわれをかすめる者の受くべき分、われわれを奪う者の引くべきくじである。 + + + ああ、エチオピヤの川々のかなたなるぶんぶんと羽音のする国、 + この国は葦の船を水にうかべ、ナイル川によって使者をつかわす。とく走る使者よ、行け。川々の分れる国の、たけ高く、膚のなめらかな民、遠近に恐れられる民、力強く、戦いに勝つ民へ行け。 + すべて世におるもの、地に住むものよ、山の上に旗の立つときは見よ、ラッパの鳴りひびくときは聞け。 + 主はわたしにこう言われた、「晴れわたった日光の熱のように、刈入れの熱むして露の多い雲のように、わたしは静かにわたしのすまいから、ながめよう」。 + 刈入れの前、花は過ぎてその花がぶどうとなって熟すとき、彼はかまをもって、つるを刈り、枝を切り去る。 + 彼らはみな山の猛禽と、地の獣とに捨て置かれる。猛禽はその上で夏を過ごし、地の獣はみなその上で冬を過ごす。 + その時、川々の分れる国のたけ高く、膚のなめらかな民、遠くの者にも近くの者にも恐れられる民、力強く、戦いに勝つ民から万軍の主にささげる贈り物を携えて、万軍の主のみ名のある所、シオンの山に来る。 + + + エジプトについての託宣。見よ、主は速い雲に乗って、エジプトに来られる。エジプトのもろもろの偶像は、み前に震えおののき、エジプトびとの心は彼らのうちに溶け去る。 + わたしはエジプトびとを奮いたたせて、エジプトびとに逆らわせる。彼らはおのおのその兄弟に敵して戦い、おのおのその隣に敵し、町は町を攻め、国は国を攻める。 + エジプトびとの魂は、彼らのうちにうせて、むなしくなる。わたしはその計りごとを破る。彼らは偶像および魔術師、巫子および魔法使に尋ね求める。 + わたしはエジプトびとをきびしい主人の手に渡す、荒々しい王が彼らを治めると、主、万軍の主は言われる。 + ナイルの水はつき、川はかれてかわく。 + またその運河は臭いにおいを放ち、エジプトのナイルの支流はややに減ってかわき、葦とよしとは枯れはてる。 + ナイルのほとり、ナイルの岸には裸の所があり、ナイルのほとりにまいた物はことごとく枯れ、散らされて、うせ去る。 + 漁夫は嘆き、すべてナイルにつりをたれる者は悲しみ、網を水のおもてにうつ者は衰える。 + 練った麻で物を造る者と、白布を織る者は恥じる。 + 国の柱たる者は砕かれ、すべて雇われて働く者は嘆き悲しむ。 + ゾアンの君たちは全く愚かであり、パロの賢い議官らは愚かな計りごとをなす。あなたがたはどうしてパロにむかって「わたしは賢い者の子、いにしえの王の子です」と言うことができようか。 + あなたの賢い者はどこにおるか。彼らをして、万軍の主がエジプトについて定められたことをあなたに告げ知らしめよ。 + ゾアンの君たちは愚かとなり、メンピスの君たちは欺かれ、エジプトのもろもろの部族の隅の石たる彼らは、かえってエジプトを迷わせた。 + 主は曲った心を彼らのうちに混ぜられた。彼らはエジプトをして、すべてその行うことに迷わせ、あたかも酔った人の物吐くときによろめくようにさせた。 + エジプトに対しては、頭あるいは尾、しゅろの枝あるいは葦が共になしうるわざはない。 + その日、エジプトびとは女のようになり、万軍の主の彼らの上に振り動かされるみ手の前に恐れおののく。 + ユダの地は、エジプトびとに恐れられ、ユダについて語り告げることを聞くエジプトびとはみな、万軍の主がエジプトびとにむかって定められた計りごとのゆえに恐れる。 + その日、エジプトの地にカナンの国ことばを語り、また万軍の主に誓いを立てる五つの町があり、その中の一つは太陽の町ととなえられる。 + その日、エジプトの国の中に主をまつる一つの祭壇があり、その境に主をまつる一つの柱がある。 + これはエジプトの国で万軍の主に、しるしとなり、あかしとなる。彼らがしえたげる者のゆえに、主に叫び求めるとき、主は救う者をつかわして、彼らを守り助けられる。 + 主はご自分をエジプトびとに知らせられる。その日、エジプトびとは主を知り、犠牲と供え物とをもって主に仕え、主に誓願をたててこれを果す。 + 主はエジプトを撃たれる。主はこれを撃たれるが、またいやされる。それゆえ彼らは主に帰る。主は彼らの願いをいれて、彼らをいやされる。 + その日、エジプトからアッスリヤに通う大路があって、アッスリヤびとはエジプトに、エジプトびとはアッスリヤに行き、エジプトびとはアッスリヤびとと共に主に仕える。 + その日、イスラエルはエジプトとアッスリヤと共に三つ相並び、全地のうちで祝福をうけるものとなる。 + 万軍の主は、これを祝福して言われる、「さいわいなるかな、わが民なるエジプト、わが手のわざなるアッスリヤ、わが嗣業なるイスラエル」と。 + + + アッスリヤの王サルゴンからつかわされた最高司令官がアシドドに来て、これを攻め、これを取った年、―― + その時に主はアモツの子イザヤによって語って言われた、「さあ、あなたの腰から荒布を解き、足からくつを脱ぎなさい」。そこでイザヤはそのようにし、裸、はだしで歩いた。―― + 主は言われた、「わがしもべイザヤは三年の間、裸、はだしで歩き、エジプトとエチオピヤに対するしるしとなり、前ぶれとなったが、 + このようにエジプトびとのとりことエチオピヤびとの捕われ人とは、アッスリヤの王に引き行かれて、その若い者も老いた者もみな裸、はだしで、しりをあらわし、エジプトの恥を示す。 + 彼らはその頼みとしたエチオピヤのゆえに、その誇としたエジプトのゆえに恐れ、かつ恥じる。 + その日には、この海べに住む民は言う、『見よ、われわれが頼みとした国、すなわちわれわれがのがれて行って助けを求め、アッスリヤ王から救い出されようとした国はすでにこのとおりである。われわれはどうしてのがれることができようか』と。」 + + + 海の荒野についての託宣。つむじ風がネゲブを吹き過ぎるように、荒野から、恐るべき地から、来るものがある。 + わたしは一つのきびしい幻を示された。かすめ奪う者はかすめ奪い、滅ぼす者は滅ぼす。エラムよ、のぼれ、メデアよ、囲め。わたしはすべての嘆きをやめさせる。 + それゆえ、わが腰は激しい痛みに満たされ、出産に臨む女の苦しみのような苦しみがわたしを捕えた。わたしは、かがんで聞くことができず、恐れおののいて見ることができない。 + わが心はみだれ惑い、わななき恐れること、はなはだしく、わたしのあこがれたたそがれは変っておののきとなった。 + 彼らは食卓を設け、じゅうたんを敷いて食い飲みする。もろもろの君よ、立って、盾に油をぬれ。 + 主はわたしにこう言われた、「行って、見張びとをおき、その見るところを告げさせよ。 + 馬に乗って二列に並んだ者と、ろばに乗った者と、らくだに乗った者とを彼が見るならば、耳を傾けてつまびらかに聞かせよ」。 + その時、見張びとは呼ばわって言った、「主よ、わたしがひねもすやぐらに立ち、夜もすがらわが見張所に立っていると、 + 見よ、馬に乗って二列に並んだ者がここに来ます」。彼は答えて言った、「倒れた、バビロンは倒れた、その神々の像はことごとく打ち砕かれて地に伏した」。 + ああ、踏みにじられたわが民、わが打ち場の子よ、イスラエルの神、万軍の主からわたしが聞いたところのものをあなたがたに告げる。 + ドマについての託宣。セイルからわたしに呼ばわる者がある、「夜回りよ、今は夜のなんどきですか、夜回りよ、今は夜のなんどきですか」。 + 夜回りは言う、「朝がきます、夜もまたきます。もしあなたがたが聞こうと思うならば聞きなさい、また来なさい」。 + アラビヤについての託宣。デダンびとの隊商よ、あなたがたはアラビヤの林にやどる。 + テマの地に住む民よ、水を携えて、かわいた者を迎え、パンをもって、逃げのがれた者を迎えよ。 + 彼らはつるぎを避け、抜いたつるぎを避け、張った弓を避け、また激しい戦いを避けて、逃げてきたからである。 + 主はわたしにこう言われた、「雇人の年期のように一年以内にケダルのすべての栄華はつきはてる。 + ケダルの子らの勇士で、射手の残る者は少ない」。これはイスラエルの神、主が語られたのである。 + + + 幻の谷についての託宣。あなたがたはなぜ、みな屋根にのぼったのか。 + 叫び声で満ちている者、騒がしい都、喜びに酔っている町よ。あなたのうちの殺された者はつるぎで殺されたのではなく、また戦いに倒れたのでもない。 + あなたのつかさたちは皆共にのがれて行ったが、弓を捨てて捕えられた。彼らは遠く逃げて行ったが、あなたのうちの見つかった者はみな捕えられた。 + それゆえ、わたしは言った、「わたしを顧みてくれるな、わたしはいたく泣き悲しむ。わが民の娘の滅びのために、わたしを慰めようと努めてはならない」。 + 万軍の神、主は幻の谷に騒ぎと、踏みにじりと、混乱の日をこさせられる。城壁はくずれ落ち、叫び声は山に聞える。 + エラムは箙を負い、戦車と騎兵とをもってきたり、キルは盾をあらわした。 + あなたの最も美しい谷は戦車で満ち、騎兵はもろもろの門にむかって立った。 + ユダを守るおおいは取り除かれた。その日あなたは林の家の武具を仰ぎ望んだ。 + またあなたがたはダビデの町の破れの多いのを見、下の池の水を集め、 + エルサレムの家を数え、またその家をこわして城壁を築き、 + 一つの貯水池を二つの城壁の間に造って古池の水をひいた。しかしあなたがたはこの事をなされた者を仰ぎ望まず、この事を昔から計画された者を顧みなかった。 + その日、万軍の神、主は泣き悲しみ、頭をかぶろにし、荒布をまとうことを命じられたが、 + 見よ、あなたがたは喜び楽しみ、牛をほふり、羊を殺し、肉を食い、酒を飲んで言う、「われわれは食い、かつ飲もう、明日は死ぬのだから」。 + 万軍の主はみずからわたしの耳に示された、「まことに、この不義はあなたがたが死ぬまで、ゆるされることはない」と万軍の神、主は言われる。 + 万軍の神、主はこう言われる、「さあ、王の家をつかさどるこの執事セブナに行って言いなさい、 + 『あなたはここになんの係わりがありますか。あなたはだれの縁故でここに自分のために墓を掘ったのですか。あなたは高い所に墓を掘り、岩をうがって自分のためにすみかを造った。 + 強い人よ、見よ、主はあなたを激しくなげ倒される。主はあなたを堅くつかまえ、 + ぐるぐるまわして、まりのように広々した地に投げられる。主人の家の恥となる者よ、あなたはそこで死に、あなたの華麗な車はそこに残る。 + わたしは、あなたをその職から追い、その地位から引きおろす。 + その日、わたしは、わがしもべヒルキヤの子エリアキムを呼んで、 + あなたの衣を着せ、あなたの帯をしめさせ、あなたの権力を彼の手にゆだねる。彼はエルサレムの民とユダの家との父となる。 + わたしはまたダビデの家のかぎを彼の肩に置く。彼が開けば閉じる者なく、彼が閉じれば開く者はない。 + わたしは彼を堅い所に打ったくぎのようにする。そして彼はその父の家の誉の座となり、 + その父の家のすべての重さは彼の上にかかる。すなわちその子、その孫およびすべての小さい器、鉢からすべてのびんにいたるまでみな、彼の上にかかる』」。 + 万軍の主は言われる、「その日、堅い所に打ったくぎは抜け、切られて落ちる。その上にかかっている荷もまた取り去られる」と主は語られた。 + + + ツロについての託宣。タルシシのもろもろの船よ、泣き叫べ、ツロは荒れすたれて、家なく、船泊まりする港もないからだ。この事はクプロの地から彼らに告げ知らせられる。 + 海べに住む民よ、シドンの商人よ、もだせ、あなたがたの使者は海を渡り、大いなる水の上にあった。 + ツロの収入はシホルの穀物、ナイル川の収穫であった。ツロはもろもろの国びとの商人であった。 + シドンよ、恥じよ、海は言った、海の城は言う、「わたしは苦しまず、また産まなかった。わたしは若い男子を養わず、また処女を育てなかった」。 + この報道がエジプトに達するとき、彼らはツロについての報道によって、いたく苦しむ。 + タルシシに渡れ、海べに住む民よ、泣き叫べ。 + これがその起源も古い町、自分の足で移り、遠くにまで移住した町、あなたがたの喜び誇る町なのか。 + ツロにむかってこれを定めたのはだれか。ツロは冠を授けた町、その商人は君たち、その貿易業者は地の尊い人々であった。 + 万軍の主はすべての栄光の誇を汚し、地のすべての尊い者をはずかしめるためにこれを定められたのだ。 + タルシシの娘よ、ナイル川のようにおのが地にあふれよ。もはや束縛するものはない。 + 主はその手を海の上に伸べて国々を震い動かされた。主はカナンについて詔を出し、そのとりでをこわされた。 + 主は言われた、「しえたげられた処女シドンの娘よ、あなたはもはや喜ぶことはない。立って、クプロに渡れ、そこでもあなたは安息を得ることはない」。 + カルデヤびとの国を見よ、アッスリヤではなく、この民がツロを野の獣のすみかに定めた。彼らはやぐらを建て、もろもろの宮殿をこわして荒塚とした。 + タルシシのもろもろの船よ、泣き叫べ、あなたがたのとりでは荒れすたれたから。 + その日、ツロはひとりの王のながらえる日と同じく七十年の間忘れられ、七十年終って後、ツロは遊女の歌のようになる、 + 「忘れられた遊女よ、琴を執って町を経めぐり、巧みに弾じ、多くの歌をうたって、人に思い出されよ」。 + 七十年終って後、主はツロを顧みられる。ツロは再び淫行の価を得て、地のおもてにある世のすべての国々と姦淫を行い、 + その商品とその価とは主にささげられる。これはたくわえられることなく、積まれることなく、その商品は主の前に住む者のために豊かな食物となり、みごとな衣服となる。 + + + 見よ、主はこの地をむなしくし、これを荒れすたれさせ、これをくつがえして、その民を散らされる。 + そして、その民も祭司もひとしく、しもべも主人もひとしく、はしためも主婦もひとしく、買う者も売る者もひとしく、貸す者も借りる者もひとしく、債権者も債務者もひとしく、この事にあう。 + 地は全くむなしくされ、全くかすめられる。主がこの言葉を告げられたからである。 + 地は悲しみ、衰え、世はしおれ、衰え、天も地と共にしおれはてる。 + 地はその住む民の下に汚された。これは彼らが律法にそむき、定めを犯し、とこしえの契約を破ったからだ。 + それゆえ、のろいは地をのみつくし、そこに住む者はその罪に苦しみ、また地の民は焼かれて、わずかの者が残される。 + 新しいぶどう酒は悲しみ、ぶどうはしおれ、心の楽しい者もみな嘆く。 + 鼓の音は静まり、喜ぶ者の騒ぎはやみ、琴の音もまた静まった。 + 彼らはもはや歌をうたって酒を飲まず、濃き酒はこれを飲む者に苦くなる。 + 混乱せる町は破られ、すべての家は閉ざされて、はいることができない。 + ちまたには酒の不足のために叫ぶ声があり、すべての喜びは暗くなり、地の楽しみは追いやられた。 + 町には荒れすたれた所のみ残り、その門もこわされて破れた。 + 地のうちで、もろもろの民のなかで残るものは、オリブの木の打たれた後の実のように、ぶどうの収穫の終った後にその採り残りを集めるときのようになる。 + 彼らは声をあげて喜び歌う。主の威光のゆえに、西から喜び呼ばわる。 + それゆえ、東で主をあがめ、海沿いの国々でイスラエルの神、主の名をあがめよ。 + われわれは地の果から、さんびの歌を聞いた、「栄光は正しい者にある」と。しかし、わたしは言う、「わたしはやせ衰える、わたしはやせ衰える、わたしはわざわいだ。欺く者はあざむき、欺く者は、はなはだしくあざむく」。 + 地に住む者よ、恐れと、落し穴と、わなとはあなたの上にある。 + 恐れの声をのがれる者は落し穴に陥り、落し穴から出る者はわなに捕えられる。天の窓は開け、地の基が震い動くからである。 + 地は全く砕け、地は裂け、地は激しく震い、 + 地は酔いどれのようによろめき、仮小屋のようにゆり動く。そのとがはその上に重く、ついに倒れて再び起きあがることはない。 + その日、主は天において、天の軍勢を罰し、地の上で、地のもろもろの王を罰せられる。 + 彼らは囚人が土ろうの中に集められるように集められて、獄屋の中に閉ざされ、多くの日を経て後、罰せられる。 + こうして万軍の主がシオンの山およびエルサレムで統べ治め、かつその長老たちの前にその栄光をあらわされるので、月はあわて、日は恥じる。 + + + 主よ、あなたはわが神、わたしはあなたをあがめ、み名をほめたたえる。あなたはさきに驚くべきみわざを行い、いにしえから定めた計画を真実をもって行われたから。 + あなたは町を石塚とし、堅固な町を荒塚とされた。外国人のやかたは、もはや町ではなく、とこしえに建てられることはない。 + それゆえ、強い民はあなたを尊び、あらぶる国々の町はあなたを恐れる。 + あなたは貧しい者のとりでとなり、乏しい者の悩みのときのとりでとなり、あらしをさける避け所となり、熱さをさける陰となられた。あらぶる者の及ぼす害は、石がきを打つあらしのごとく、 + かわいた地の熱さのようだからである。あなたは外国人の騒ぎをおさえ、雲が陰をもって熱をとどめるようにあらぶる者の歌をとどめられる。 + 万軍の主はこの山で、すべての民のために肥えたものをもって祝宴を設け、久しくたくわえたぶどう酒をもって祝宴を設けられる。すなわち髄の多い肥えたものと、よく澄んだ長くたくわえたぶどう酒をもって祝宴を設けられる。 + また主はこの山で、すべての民のかぶっている顔おおいと、すべての国のおおっているおおい物とを破られる。 + 主はとこしえに死を滅ぼし、主なる神はすべての顔から涙をぬぐい、その民のはずかしめを全地の上から除かれる。これは主の語られたことである。 + その日、人は言う、「見よ、これはわれわれの神である。わたしたちは彼を待ち望んだ。彼はわたしたちを救われる。これは主である。わたしたちは彼を待ち望んだ。わたしたちはその救を喜び楽しもう」と。 + 主の手はこの山にとどまり、モアブは肥だめの中に踏まれるわらのように、おのれの所で踏みにじられる。 + 彼はその中で泳ぐ物が泳ごうとして手を伸ばすように、その手を伸ばす。しかし主はその高ぶりを、その手の巧みなわざと共に低くされる。 + その石がきの高い城郭を主は傾け倒し、地に投げうって、ちりにかえされる。 + + + その日ユダの国で、この歌をうたう、「われわれは堅固な町をもつ。主は救をその石がきとし、またとりでとされる。 + 門を開いて、信仰を守る正しい国民を入れよ。 + あなたは全き平安をもってこころざしの堅固なものを守られる。彼はあなたに信頼しているからである。 + とこしえに主に信頼せよ、主なる神はとこしえの岩だからである。 + 主は高き所、そびえたつ町に住む者をひきおろし、これを伏させ、これを地に伏させて、ちりにかえされる。 + こうして足で踏まれ、貧しい者の足で踏まれ、乏しい者はその上を歩む」。 + 正しい者の道は平らである。あなたは正しい者の道をなめらかにされる。 + 主よ、あなたがさばきをなさる道で、われわれはあなたを待ち望む。われわれの魂の慕うものは、あなたの記念の名である。 + わが魂は夜あなたを慕い、わがうちなる霊は、せつにあなたを求める。あなたのさばきが地に行われるとき、世に住む者は正義を学ぶからである。 + 悪しき者は恵まれても、なお正義を学ばず、正しい地にあっても不義を行い、主の威光を仰ぐことをしない。 + 主よ、あなたのみ手が高くあがるけれども、彼らはそれを顧みない。どうか、あなたの、おのが民を救われる熱心を彼らに見させて、大いに恥じさせ、火をもってあなたの敵を焼き滅ぼしてください。 + 主よ、あなたはわれわれのために平和を設けられる。あなたはわれわれのためにわれわれのすべてのわざをなし遂げられた。 + われわれの神、主よ、あなた以外のもろもろの主がわれわれを治めた。しかし、われわれはただ、あなたの名のみをあがめる。 + 死んだ者はまた生きない。亡霊は生き返らない。それで、あなたは彼らを罰して滅ぼし、彼らの思い出をことごとく消し去られた。 + 主よ、あなたはこの国民を増し加えられた。あなたはこの国民を増し加えられた。あなたは栄光をあらわされた。あなたは地の境を四方に広げられた。 + 主よ、彼らは悩みのとき、あなたに求めた。彼らがあなたの懲しめにあったとき、祈をささげた。 + 主よ、はらめる女の産むときが近づいて苦しみ、その痛みによって叫ぶように、われわれはあなたのゆえに、そのようであった。 + われわれは、はらみ、苦しんだ。しかしわれわれの産んだものは風にすぎなかった。われわれは救を地に施すこともせず、また世に住む者を滅ぼすこともしなかった。 + あなたの死者は生き、彼らのなきがらは起きる。ちりに伏す者よ、さめて喜びうたえ。あなたの露は光の露であって、それを亡霊の国の上に降らされるからである。 + さあ、わが民よ、あなたのへやにはいり、あなたのうしろの戸を閉じて、憤りの過ぎ去るまで、しばらく隠れよ。 + 見よ、主はそのおられる所を出て、地に住む者の不義を罰せられる。地はその上に流された血をあらわして、殺された者を、もはやおおうことがない。 + + + その日、主は堅く大いなる強いつるぎで逃げるへびレビヤタン、曲りくねるへびレビヤタンを罰し、また海におる龍を殺される。 + その日「麗しきぶどう畑よ、このことを歌え。 + 主なるわたしはこれを守り、常に水をそそぎ、夜も昼も守って、そこなう者のないようにする。 + わたしは憤らない。いばら、おどろがわたしと戦うなら、わたしは進んでこれを攻め、皆もろともに焼きつくす。 + それを望まないなら、わたしの保護にたよって、わたしと和らぎをなせ、わたしと和らぎをなせ」。 + 後になれば、ヤコブは根をはり、イスラエルは芽を出して花咲き、その実を全世界に満たす。 + 主は彼らを撃った者を撃たれたように彼らを撃たれたか。あるいは彼らを殺した者が殺されたように彼らは殺されたか。 + あなたは彼らと争って、彼らを追放された。主は東風の日に、その激しい風をもって彼らを移しやられた。 + それゆえ、ヤコブの不義はこれによって、あがなわれる。これによって結ぶ実は彼の罪を除く。すなわち彼が祭壇のすべての石を砕けた白堊のようにし、アシラ像と香の祭壇とを再び建てないことである。 + 堅固な町は荒れてさびしく、捨て去られたすまいは荒野のようだ。子牛はそこに草を食い、そこに伏して、その木の枝を裸にする。 + その枝が枯れると、折り取られ、女が来てそれを燃やす。これは無知の民だからである。それゆえ、彼らを造られた主は彼らをあわれまれない。彼らを形造られた主は、彼らを恵まれない。 + イスラエルの人々よ、その日、主はユフラテ川からエジプトの川にいたるまで穀物の穂を打ち落される。そしてあなたがたは、ひとりびとり集められる。 + その日大いなるラッパが鳴りひびき、アッスリヤの地にある失われた者と、エジプトの地に追いやられた者とがきて、エルサレムの聖山で主を拝む。 + + + エフライムの酔いどれの誇る冠と、酒におぼれた者の肥えた谷のかしらにあるしぼみゆく花の美しい飾りは、わざわいだ。 + 見よ、主はひとりの力ある強い者を持っておられる。これはひょうをまじえた暴風のように、破り、そこなう暴風雨のように、大水のあふれみなぎる暴風のように、それを激しく地に投げうつ。 + エフライムの酔いどれの誇る冠は足で踏みにじられる。 + 肥えた谷のかしらにあるしぼみゆく花の美しい飾りは、夏前に熟した初なりのいちじくのようだ。人がこれを見ると、取るやいなや、食べてしまう。 + その日、万軍の主はその民の残った者のために、栄えの冠となり、麗しい冠となられる。 + また、さばきの席に座する者にはさばきの霊となり、戦いを門まで追い返す者には力となられる。 + しかし、これらもまた酒のゆえによろめき、濃き酒のゆえによろける。祭司と預言者とは濃き酒のゆえによろめき、酒のゆえに心みだれ、濃き酒のゆえによろける。彼らは幻を見るときに誤り、さばきを行うときにつまづく。 + すべての食卓は吐いた物で満ち、清い所はない。 + 「彼はだれに知識を教えようとするのか。だれにおとずれを説きあかそうとするのか。乳をやめ、乳ぶさを離れた者にするのだろうか。 + それは教訓に教訓、教訓に教訓、規則に規則、規則に規則。ここにも少し、そこにも少し教えるのだ」。 + 否、むしろ主は異国のくちびると、異国の舌とをもってこの民に語られる。 + 主はさきに彼らに言われた、「これが安息だ、疲れた者に安息を与えよ。これが休息だ」と。しかし彼らは聞こうとはしなかった。 + それゆえ、主の言葉は彼らに、教訓に教訓、教訓に教訓、規則に規則、規則に規則、ここにも少し、そこにも少しとなる。これは彼らが行って、うしろに倒れ、破られ、わなにかけられ、捕えられるためである。 + それゆえ、エルサレムにあるこの民を治めるあざける人々よ、主の言葉を聞け。 + あなたがたは言った、「われわれは死と契約をなし、陰府と協定を結んだ。みなぎりあふれる災の過ぎる時にも、それはわれわれに来ない。われわれはうそを避け所となし、偽りをもって身をかくしたからである」。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、「見よ、わたしはシオンに一つの石をすえて基とした。これは試みを経た石、堅くすえた尊い隅の石である。『信ずる者はあわてることはない』。 + わたしは公平を、測りなわとし、正義を、下げ振りとする。ひょうは偽りの避け所を滅ぼし、水は隠れ場を押し倒す」。 + その時あなたがたが死とたてた契約は取り消され、陰府と結んだ協定は行われない。みなぎりあふれる災の過ぎるとき、あなたがたはこれによって打ち倒される。 + それが過ぎるごとに、あなたがたを捕える。それは朝な朝な過ぎ、昼も夜も過ぎるからだ。このおとずれを聞きわきまえることは、全くの恐れである。 + 床が短くて身を伸べることができず、かける夜具が狭くて身をおおうことができないからだ。 + 主はペラジム山で立たれたように立ちあがり、ギベオンの谷で憤られたように憤られて、その行いをなされる。その行いは類のないものである。またそのわざをなされる。そのわざは異なったものである。 + それゆえ、あなたがたはあざけってはならない。さもないと、あなたがたのなわめは、きびしくなる。わたしは主なる万軍の神から全地の上に臨む滅びの宣言を聞いたからである。 + あなたがたは耳を傾けて、わが声を聞くがよい。心してわが言葉を聞くがよい。 + 種をまくために耕す者は絶えず耕すだろうか。彼は絶えずその地をひらき、まぐわをもって土をならすだろうか。 + 地のおもてを平らにしたならば、いのんどをまき、クミンをまき、小麦をうねに植え、大麦を定めた所に植え、スペルト麦をその境に植えないだろうか。 + これは彼の神が正しく、彼を導き教えられるからである。 + いのんどは麦こき板でこかない、クミンはその上に車輪をころがさない。いのんどを打つには棒を用い、クミンを打つにはさおを用いる。 + 人はパン用の麦を打つとき砕くだろうか、否、それが砕けるまでいつまでも打つことをしない。馬をもってその上に車輪を引かせるとき、それを砕くことをしない。 + これもまた万軍の主から出ることである。その計りごとは驚くべく、その知恵はすぐれている。 + + + ああ、アリエルよ、アリエルよ、ダビデが営をかまえた町よ、年に年を加え、祭をめぐりこさせよ。 + その時わたしはアリエルを悩ます。そこには悲しみと嘆きとがあって、アリエルのようなものとなる。 + わたしはあなたのまわりに営を構え、やぐらをもってあなたを囲み、塁を築いてあなたを攻める。 + その時あなたは深い地の中から物言い、低いちりの中から言葉を出す。あなたの声は亡霊の声のように地から出、あなたの言葉はちりの中から、さえずるようである。 + しかしあなたのあだの群れは細かなちりのようになり、あらぶる者の群れは吹き去られるもみがらのようになる。また、にわかに、またたくまに、この事がある。 + すなわち万軍の主は雷、地震、大いなる叫び、つむじ風、暴風および焼きつくす火の炎をもって臨まれる。 + そしてアリエルを攻めて戦う国々の群れ、すなわちアリエルとその城を攻めて戦い、これを悩ます者はみな夢のように、夜の幻のようになる。 + 飢えた者が食べることを夢みても、さめると、その飢えがいえないように、あるいは、かわいた者が飲むことを夢みても、さめると、疲れてそのかわきがとまらないように、シオンの山を攻めて戦う国々の群れもそのようになる。 + あなたがたは知覚を失って気が遠くなれ、目がくらんで盲となれ。あなたがたは酔っていよ、しかし酒のゆえではない、よろめけ、しかし濃き酒のゆえではない。 + 主が深い眠りの霊をあなたがたの上にそそぎ、あなたがたの目である預言者を閉じこめ、あなたがたの頭である先見者をおおわれたからである。 + それゆえ、このすべての幻は、あなたがたには封じた書物の言葉のようになり、人々はこれを読むことのできる者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「これは封じてあるから読むことができない」と彼は言う。 + またその書物を読むことのできない者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「読むことはできない」と彼は言う。 + 主は言われた、「この民は口をもってわたしに近づき、くちびるをもってわたしを敬うけれども、その心はわたしから遠く離れ、彼らのわたしをかしこみ恐れるのは、そらで覚えた人の戒めによるのである。 + それゆえ、見よ、わたしはこの民に、再び驚くべきわざを行う、それは不思議な驚くべきわざである。彼らのうちの賢い人の知恵は滅び、さとい人の知識は隠される」。 + わざわいなるかな、おのが計りごとを主に深く隠す者。彼らは暗い中でわざを行い、「だれがわれわれを見るか、だれがわれわれのことを知るか」と言う。 + あなたがたは転倒して考えている。陶器師は粘土と同じものに思われるだろうか。造られた物はそれを造った者について、「彼はわたしを造らなかった」と言い、形造られた物は形造った者について、「彼は知恵がない」と言うことができようか。 + しばらくしてレバノンは変って肥えた畑となり、肥えた畑は林のように思われる時が来るではないか。 + その日、耳しいは書物の言葉を聞き、目しいの目はその暗やみから、見ることができる。 + 柔和な者は主によって新たなる喜びを得、人のなかの貧しい者はイスラエルの聖者によって楽しみを得る。 + あらぶる者は絶え、あざける者はうせ、悪を行おうと、おりをうかがう者は、ことごとく断ち滅ぼされるからである。 + 彼らは言葉によって人を罪に定め、町の門でいさめる者をわなにおとしいれ、むなしい言葉をかまえて正しい者をしりぞける。 + それゆえ、昔アブラハムをあがなわれた主は、ヤコブの家についてこう言われる、「ヤコブは、もはやはずかしめを受けず、その顔は、もはや色を失うことはない。 + 彼の子孫が、その中にわが手のわざを見るとき、彼らはわが名を聖とし、ヤコブの聖者を聖として、イスラエルの神を恐れる。 + 心のあやまれる者も、悟りを得、つぶやく者も教をうける」。 + + + 主は言われる、「そむける子らはわざわいだ、彼らは計りごとを行うけれども、わたしによってではない。彼らは同盟を結ぶけれども、わが霊によってではない、罪に罪を加えるためだ。 + 彼らはわが言葉を求めず、エジプトへ下っていって、パロの保護にたより、エジプトの陰に隠れようとする。 + それゆえ、パロの保護はかえってあなたがたの恥となり、エジプトの陰に隠れることはあなたがたのはずかしめとなる。 + たとい、彼の君たちがゾアンにあり、彼の使者たちがハネスに来ても、 + 彼らは皆おのれを益することのできない民により、すなわち助けとならず、益とならず、かえって恥となり、はずかしめとなる民によって、恥をかくからである」。 + ネゲブの獣についての託宣。彼らはその富を若いろばの背に負わせ、その宝をらくだの背に負わせて、雌じし、雄じし、まむしおよび飛びかけるへびの出る悩みと苦しみの国を通って、おのれを益することのできない民に行く。 + そのエジプトの助けは無益であって、むなしい。それゆえ、わたしはこれを「休んでいるラハブ」と呼んだ。 + いま行って、これを彼らの前で札にしるし、書物に載せ、後の世に伝えて、とこしえにあかしとせよ。 + 彼らはそむける民、偽りを言う子ら、主の教を聞こうとしない子らだ。 + 彼らは先見者にむかって「見るな」と言い、預言者にむかっては「正しい事をわれわれに預言するな、耳に聞きよいことを語れ、迷わしごとを預言せよ。 + 大路を去り、小路をはなれ、イスラエルの聖者について語り聞かすな」と言う。 + それゆえ、イスラエルの聖者はこう言われる、「あなたがたはこの言葉を侮り、しえたげと、よこしまとを頼み、これにたよるがゆえに、 + この不義はあなたがたには突き出て、くずれ落ちようとする高い石がきの破れのようであって、その倒壊はにわかに、またたくまに来る。 + その破れることは陶器師の器を破るように惜しむことなく打ち砕き、その砕けのなかには、炉から火を取り、池から水をくめるほどの、ひとかけらさえ見いだされない」。 + 主なる神、イスラエルの聖者はこう言われた、「あなたがたは立ち返って、落ち着いているならば救われ、穏やかにして信頼しているならば力を得る」。しかし、あなたがたはこの事を好まなかった。 + かえって、あなたがたは言った、「否、われわれは馬に乗って、とんで行こう」と。それゆえ、あなたがたはとんで帰る。また言った、「われらは速い馬に乗ろう」と。それゆえ、あなたがたを追う者は速い。 + ひとりの威嚇によって千人は逃げ、五人の威嚇によってあなたがたは逃げて、その残る者はわずかに山の頂にある旗ざおのように、丘の上にある旗のようになる。 + それゆえ、主は待っていて、あなたがたに恵を施される。それゆえ、主は立ちあがって、あなたがたをあわれまれる。主は公平の神でいらせられる。すべて主を待ち望む者はさいわいである。 + シオンにおり、エルサレムに住む民よ、あなたはもはや泣くことはない。主はあなたの呼ばわる声に応じて、必ずあなたに恵みを施される。主がそれを聞かれるとき、直ちに答えられる。 + たとい主はあなたがたに悩みのパンと苦しみの水を与えられても、あなたの師は再び隠れることはなく、あなたの目はあなたの師を見る。 + また、あなたが右に行き、あるいは左に行く時、そのうしろで「これは道だ、これに歩め」と言う言葉を耳に聞く。 + その時、あなたがたはしろがねをおおった刻んだ像と、こがねを張った鋳た像とを汚し、これをきたない物のようにまき散らして、これに「去れ」と言う。 + 主はあなたが地にまく種に雨を与え、地の産物なる穀物をくださる。それはおびただしく、かつ豊かである。その日あなたの家畜は広い牧場で草を食べ、 + 地を耕す牛と、ろばは、シャベルと、くまででより分けて塩を加えた飼料を食べる。 + 大いなる虐殺の日、やぐらの倒れる時、すべてのそびえたつ山と、すべての高い丘に水の流れる川がある。 + さらに主がその民の傷を包み、その打たれた傷をいやされる日には、月の光は日の光のようになり、日の光は七倍となり、七つの日の光のようにになる。 + 見よ、主の名は遠い所から燃える怒りと、立ちあがる濃い煙をもって来る。そのくちびるは憤りで満ち、その舌は焼きつくす火のごとく、 + その息はあふれて首にまで達する流れのようであって、滅びのふるいをもってもろもろの国をふるい、また惑わす手綱をもろもろの民のあごにつけるために来る。 + あなたがたは、聖なる祭を守る夜のように歌をうたう。また笛をならして主の山にきたり、イスラエルの岩なる主にまみえる時のように心に喜ぶ。 + 主はその威厳ある声を聞かせ、激しい怒りと、焼きつくす火の炎と、豪雨と、暴風と、ひょうとをもってその腕の下ることを示される。 + 主がそのむちをもって打たれる時、アッスリヤの人々は主の声によって恐れおののく。 + 主が懲しめのつえを彼らの上に加えられるごとに鼓を鳴らし、琴をひく。主は腕を振りかざして、彼らと戦われる。 + 焼き場はすでに設けられた。しかも王のために深く広く備えられ、火と多くのたきぎが積まれてある。主の息はこれを硫黄の流れのように燃やす。 + + + 助けを得るためにエジプトに下り、馬にたよる者はわざわいだ。彼らは戦車が多いので、これに信頼し、騎兵がはなはだ強いので、これに信頼する。しかしイスラエルの聖者を仰がず、また主にはかることをしない。 + それにもかかわらず、主もまた賢くいらせられ、必ず災をくだし、その言葉を取り消すことなく、立って悪をなす者の家を攻め、また不義を行う者を助ける者を攻められる。 + かのエジプトびとは人であって、神ではない。その馬は肉であって、霊ではない。主がみ手を伸ばされるとき、助ける者はつまずき、助けられる者も倒れて、皆ともに滅びる。 + 主はわたしにこう言われた、「ししまたは若いししが獲物をつかんで、ほえたけるとき、あまたの羊飼が呼び出されて、これにむかっても、その声によって驚かず、その叫びによって恐れないように、万軍の主は下ってきて、シオンの山およびその丘で戦われる。 + 鳥がひなを守るように、万軍の主はエルサレムを守り、これを守って救い、これを惜しんで助けられる」。 + イスラエルの人々よ、主に帰れ。あなたがたは、はなはだしく主にそむいた。 + その日、あなたがたは自分の手で造って罪を犯したしろがねの偶像と、こがねの偶像をめいめい投げすてる。 + 「アッスリヤびとはつるぎによって倒れる、人のつるぎではない。つるぎが彼らを滅ぼす、人のつるぎではない。彼らはつるぎの前から逃げ去り、その若い者は奴隷の働きをしいられる。 + 彼らの岩は恐れによって過ぎ去り、その君たちはあわて、旗をすてて逃げ去る」。これは主の言葉である。主の火はシオンにあり、その炉はエルサレムにある。 + + + 見よ、ひとりの王が正義をもって統べ治め、君たちは公平をもってつかさどり、 + おのおの風をさける所、暴風雨をのがれる所のようになり、かわいた所にある水の流れのように、疲れた地にある大きな岩の陰のようになる。 + こうして、見る者の目は開かれ、聞く者の耳はよく聞き、 + 気短な者の心は悟る知識を得、どもりの舌はたやすく、あざやかに語ることができる。 + 愚かな者は、もはや尊い人と呼ばれることなく、悪人はもはや、りっぱな人と言われることはない。 + それは愚かな者は愚かなことを語り、その心は不義をたくらみ、よこしまを行い、主について誤ったことを語り、飢えた者の望みを満たさず、かわいた者の飲み物を奪い取るからである。 + 悪人の行いは悪い。彼は悪い計りごとをめぐらし、偽りの言葉をもって貧しい者をおとしいれ、乏しい者が正しいことを語っても、なお、これをおとしいれる。 + しかし尊い人は尊いことを語り、つねに尊いことを行う。 + 安んじている女たちよ、起きて、わが声を聞け。思い煩いなき娘たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。 + 思い煩いなき女たちよ、一年あまりの日をすぎて、あなたがたは震えおののく。ぶどうの収穫がむなしく、実を取り入れる時が来ないからだ。 + 安んじている女たちよ、震え恐れよ。思い煩いなき女たちよ、震えおののけ。衣を脱ぎ、裸になって腰に荒布をまとえ。 + 良き畑のため、実り豊かなぶどうの木のために胸を打て。 + いばら、おどろの生えているわが民の地のため、喜びに満ちている町にあるすべての喜びの家のために胸を打て。 + 宮殿は捨てられ、にぎわった町は荒れすたれ、丘と、やぐらとは、とこしえにほら穴となり、野のろばの楽しむ所、羊の群れの牧場となるからである。 + しかし、ついには霊が上からわれわれの上にそそがれて、荒野は良き畑となり、良き畑は林のごとく見られるようになる。 + その時、公平は荒野に住み、正義は良き畑にやどる。 + 正義は平和を生じ、正義の結ぶ実はとこしえの平安と信頼である。 + わが民は平和の家におり、安らかなすみかにおり、静かな休み所におる。 + しかし林はことごとく切り倒され、町もことごとく倒される。 + すべての水のほとりに種をまき、牛およびろばを自由に放ちおくあなたがたは、さいわいである。 + + + わざわいなるかな、おのれ自ら滅ぼされないのに、人を滅ぼし、だれも欺かないのに人を欺く者よ。あなたが滅ぼすことをやめたとき、あなたは滅ぼされ、あなたが欺くことを終えたとき、あなたは欺かれる。 + 主よ、われわれをお恵みください、われわれはあなたを待ち望む。朝ごとに、われわれの腕となり、悩みの時に、救となってください。 + 鳴りとどろく声によって、もろもろの民は逃げ去り、あなたが立ちあがられると、もろもろの国は散らされる。 + 青虫が物を集めるようにぶんどり品は集められ、いなごのとびつどうように、人々はその上にとびつどう。 + 主は高くいらせられ、高い所に住まわれる。主はシオンに公平と正義とを満たされる。 + また主は救と知恵と知識を豊かにして、あなたの代を堅く立てられる。主を恐れることはその宝である。 + 見よ、勇士たちは外にあって叫び、平和の使者はいたく嘆く。 + 大路は荒れすたれて、旅びとは絶え、契約は破られ、証人は軽んぜられ、人を顧みることがない。 + 地は嘆き衰え、レバノンは恥じて枯れ、シャロンは荒野のようになり、バシャンとカルメルはその葉を落す。 + 主は言われる、「今わたしは起きよう、いま立ちあがろう、いま自らを高くしよう。 + あなたがたは、もみがらをはらみ、わらを産む。あなたがたの息は火となって、あなたがたを食いつくす。 + もろもろの民は焼かれて石灰のようになり、いばらが切られて火に燃やされたようになる」。 + あなたがた遠くにいる者よ、わたしがおこなったことを聞け。あなたがた近くにいる者よ、わが大能を知れ。 + シオンの罪びとは恐れに満たされ、おののきは神を恐れない者を捕えた。「われわれのうち、だれが焼きつくす火の中におることができよう。われわれのうち、だれがとこしえの燃える火の中におることができよう」。 + 正しく歩む者、正直に語る者、しえたげて得た利をいやしめる者、手を振って、まいないを取らない者、耳をふさいで血を流す謀略を聞かない者、目を閉じて悪を見ない者、 + このような人は高い所に住み、堅い岩はそのとりでとなり、そのパンは与えられ、その水は絶えることがない。 + あなたの目は麗しく飾った王を見、遠く広い国を見る。 + あなたの心はかの恐ろしかった事を思い出す。「数を調べた者はどこにいるか。みつぎを量った者はどこにいるか。やぐらを数えた者はどこにいるか」。 + あなたはもはや高慢な民を見ない。かの民の言葉はあいまいで、聞きとりがたく、その舌はどもって、悟りがたい。 + 定めの祭の町シオンを見よ。あなたの目は平和なすまい、移されることのない幕屋エルサレムを見る。その杭はとこしえに抜かれず、その綱は、ひとすじも断たれることはない。 + 主は威厳をもってかしこにいまし、われわれのために広い川と流れのある所となり、その中には、こぐ舟も入らず、大きな船も過ぎることはない。 + 主はわれわれのさばき主、主はわれわれのつかさ、主はわれわれの王であって、われわれを救われる。 + あなたの船綱は解けて、帆柱のもとを結びかためることができず、帆を張ることもできない。その時多くの獲物とぶんどり品は分けられ、足なえまでも獲物を取る。 + そこに住む者のうちには、「わたしは病気だ」と言う者はなく、そこに住む民はその罪がゆるされる。 + + + もろもろの国よ、近づいて聞け。もろもろの民よ、耳を傾けよ。地とそれに満ちるもの、世界とそれから出るすべてのものよ、聞け。 + 主はすべての国にむかって怒り、そのすべての軍勢にむかって憤り、彼らをことごとく滅ぼし、彼らをわたして、ほふらせられた。 + 彼らは殺されて投げすてられ、その死体の悪臭は立ちのぼり、山々はその血で溶けて流れる。 + 天の万象は衰え、もろもろの天は巻物のように巻かれ、その万象はぶどうの木から葉の落ちるように、いちじくの木から葉の落ちるように落ちる。 + わたしのつるぎは天において憤りをもって酔った。見よ、これはエドムの上にくだり、わたしが滅びに定めた民の上にくだって、これをさばく。 + 主のつるぎは血で満ち、脂肪で肥え、小羊とやぎの血、雄羊の腎臓の脂肪で肥えている。主がボズラで犠牲の獣をほふり、エドムの地で大いに殺されたからである。 + 野牛は彼らと共にほふり場にくだり、子牛は力ある雄牛と共にくだる。その国は血で酔い、その土は脂肪で肥やされる。 + 主はあだをかえす日をもち、シオンの訴えのために報いられる年をもたれるからである。 + エドムのもろもろの川は変って樹脂となり、その土は変って硫黄となり、その地は変って燃える樹脂となって、 + 夜も昼も消えず、その煙は、とこしえに立ちのぼる。これは世々荒れすたれて、とこしえまでもそこを通る者はない。 + たかと、やまあらしとがそこをすみかとし、ふくろうと、からすがそこに住む。主はその上に荒廃をきたらせる測りなわを張り、尊い人々の上に混乱を起す下げ振りをさげられる。 + 人々はこれを名づけて「国なき所」といい、その君たちは皆うせてなくなる。 + そのとりでの上には、いばらが生え、その城には、いらくさと、あざみとが生え、山犬のすみか、だちょうのおる所となる。 + 野の獣はハイエナと出会い、鬼神はその友を呼び、夜の魔女もそこに降りてきて、休み所を得る。 + ふくろうはそこに巣をつくって卵を産み、それをかえして、そのひなを翼の陰に集める。とびもまた、おのおのその連れ合いと共に、そこに集まる。 + あなたがたは主の書をつまびらかにたずねて、これを読め。これらのものは一つも欠けることなく、また一つもその連れ合いを欠くものはない。これは主の口がこれを命じ、その霊が彼らを集められたからである。 + 主は彼らのためにくじを引き、手ずから測りなわをもって、この地を分け与え、長く彼らに所有させ、世々ここに住まわせられる。 + + + 荒野と、かわいた地とは楽しみ、さばくは喜びて花咲き、さふらんのように、 + さかんに花咲き、かつ喜び楽しみ、かつ歌う。これにレバノンの栄えが与えられ、カルメルおよびシャロンの麗しさが与えられる。彼らは主の栄光を見、われわれの神の麗しさを見る。 + あなたがたは弱った手を強くし、よろめくひざを健やかにせよ。 + 心おののく者に言え、「強くあれ、恐れてはならない。見よ、あなたがたの神は報復をもって臨み、神の報いをもってこられる。神は来て、あなたがたを救われる」と。 + その時、目しいの目は開かれ、耳しいの耳はあけられる。 + その時、足なえは、しかのように飛び走り、おしの舌は喜び歌う。それは荒野に水がわきいで、さばくに川が流れるからである。 + 焼けた砂は池となり、かわいた地は水の源となり、山犬の伏したすみかは、葦、よしの茂りあう所となる。 + そこに大路があり、その道は聖なる道ととなえられる。汚れた者はこれを通り過ぎることはできない、愚かなる者はそこに迷い入ることはない。 + そこには、ししはおらず、飢えた獣も、その道にのぼることはなく、その所でこれに会うことはない。ただ、あがなわれた者のみ、そこを歩む。 + 主にあがなわれた者は帰ってきて、その頭に、とこしえの喜びをいただき、歌うたいつつ、シオンに来る。彼らは楽しみと喜びとを得、悲しみと嘆きとは逃げ去る。 + + + ヒゼキヤ王の第十四年に、アッスリヤの王セナケリブが上ってきて、ユダのすべての堅固な町々を攻め取った。 + アッスリヤの王はラキシからラブシャケをエルサレムにつかわし、大軍を率いてヒゼキヤ王のもとへ行かせた。ラブシャケは布さらしの野へ行く大路に沿う、上の池の水道のかたわらに立った。 + この時ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナおよびアサフの子である史官ヨアが彼の所に出てきた。 + ラブシャケは彼らに言った、「ヒゼキヤに言いなさい、『大王アッスリヤの王はこう仰せられる、あなたが頼みとする者は何か。 + 口先だけの言葉が戦争をする計略と力だと考えるのか。あなたは今だれを頼んで、わたしにそむいたのか。 + 見よ、あなたはかの折れかけている葦のつえエジプトを頼みとしているが、それは人が寄りかかるとき、その人の手を刺し通す。エジプトの王パロはすべて寄り頼む者にそのようにするのだ。 + しかし、あなたがもし「われわれはわれわれの神、主を頼む」とわたしに言うならば、ヒゼキヤがユダとエルサレムに告げて、「あなたがたはこの祭壇の前で礼拝しなければならない」と言って除いたのは、その神の高き所と祭壇ではなかったのか。 + さあ、今わたしの主君アッスリヤの王とかけをせよ。もしあなたの方に乗る人があるならば、わたしは馬二千頭を与えよう。 + あなたはエジプトを頼み、戦車と騎兵を請い求めているが、わたしの主君の家来のうちの最も小さい一隊長でさえ、どうして撃退することができようか。 + わたしがこの国を滅ぼすために上ってきたのは、主の許しなしでしたことであろうか。主はわたしに、この国へ攻め上って、これを滅ぼせと言われたのだ』」。 + その時、エリアキム、セブナおよびヨアはラブシャケに言った、「どうぞ、アラム語でしもべたちに話してください。わたしたちはそれがわかるからです。城壁の上にいる民の聞いているところで、わたしたちにユダヤの言葉で話さないでください」。 + しかしラブシャケは言った、「わたしの主君は、あなたの主君とあなたにだけでなく、城壁の上に座している人々にも、この言葉を告げるために、わたしをつかわされたのではないか。彼らをも、あなたがたと共に自分の糞尿を食い飲みするに至らせるためではないか」。 + そしてラブシャケは立ちあがり、ユダヤの言葉で大声に呼ばわって言った、「大王、アッスリヤの王の言葉を聞け。 + 王はこう仰せられる、『あなたがたはヒゼキヤに欺かれてはならない。彼はあなたがたを救い出すことはできない。 + ヒゼキヤが、主は必ずわれわれを救い出される。この町はアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言っても、あなたがたは主を頼みとしてはならない』。 + あなたがたはヒゼキヤの言葉を聞いてはならない。アッスリヤの王はこう仰せられる、『あなたがたは、わたしと和ぼくして、わたしに降服せよ。そうすれば、あなたがたはめいめい自分のぶどうの実を食べ、めいめい自分のいちじくの実を食べ、めいめい自分の井戸の水を飲むことができる。 + やがて、わたしが来て、あなたがたを一つの国へ連れて行く。それは、あなたがたの国のように穀物とぶどう酒の多い地、パンとぶどう畑の多い地だ。 + ヒゼキヤが、主はわれわれを救われる、と言って、あなたがたを惑わすことのないように気をつけよ。もろもろの国の神々のうち、どの神がその国をアッスリヤの王の手から救ったか。 + ハマテやアルパデの神々はどこにいるか。セパルワイムの神々はどこにいるか。彼らはサマリヤをわたしの手から救い出したか。 + これらの国々のすべての神々のうちに、だれかその国をわたしの手から救い出した者があるか。主がどうしてエルサレムをわたしの手から救い出すことができよう』」。 + しかし民は黙ってひと言も答えなかった。王が命じて、「彼に答えてはならない」と言っておいたからである。 + その時ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナおよびアサフの子である史官ヨアは衣を裂き、ヒゼキヤのもとに来て、ラブシャケの言葉を彼に告げた。 + + + ヒゼキヤ王はこれを聞いて、衣を裂き、荒布を身にまとって主の宮に入り、 + 宮内卿エリアキムと書記官セブナおよび祭司のうちの年長者たちに荒布をまとわせて、アモツの子預言者イザヤのもとへつかわした。 + 彼らはイザヤに言った、「ヒゼキヤはこう言います、『きょうは悩みと責めと、はずかしめの日です。胎児がまさに生れようとして、これを産み出す力がないのです。 + あなたの神、主は、あるいはラブシャケのもろもろの言葉を聞かれたかもしれません。彼はその主君アッスリヤの王につかわされて、生ける神をそしりました。あなたの神、主はその言葉を聞いて、あるいは責められるかもしれません。それゆえ、この残っている者のために祈をささげてください』」。 + ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、 + イザヤは彼らに言った、「あなたがたの主君にこう言いなさい、『主はこう仰せられる、アッスリヤの王のしもべらが、わたしをそしった言葉を聞いて恐れるには及ばない。 + 見よ、わたしは一つの霊を彼のうちに送って、一つのうわさを聞かせ、彼を自分の国へ帰らせて、その国でつるぎに倒れさせる』」。 + ラブシャケは引き返して、アッスリヤの王がリブナを攻めているところへ行った。彼は王がラキシを去ったことを聞いたからである。 + この時、アッスリヤの王はエチオピヤの王テルハカについて、「彼はあなたと戦うために出てきた」と人々が言うのを聞いた。彼はこのことを聞いて、使者をヒゼキヤにつかわそうとして言った、 + 「ユダの王ヒゼキヤにこう言いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言うあなたの信頼する神に欺かれてはならない。 + あなたはアッスリヤの王たちが、国々にしたこと、彼らを全く滅ぼしたことを聞いている。どうしてあなたは救われることができようか。 + わたしの先祖たちはゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々は彼らを救ったか。 + ハマテの王、アルパデの王、セパルワイムの町の王、ヘナの王およびイワの王はどこにいるか』」。 + ヒゼキヤは使者の手から手紙を受け取ってそれを読み、主の宮にのぼっていって、主の前にそれをひろげ、 + 主に祈って言った、 + 「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、万軍の主よ、地のすべての国のうちで、ただあなただけが神でいらせられます。あなたは天と地を造られました。 + 主よ、耳を傾けて聞いてください。主よ、目を開いて見てください。セナケリブが生ける神をそしるために書き送った言葉を聞いてください。 + 主よ、まことにアッスリヤの王たちは、もろもろの民とその国々を滅ぼし、 + またその神々を火に投げ入れました。それらは神ではなく、人の手の造ったもので、木や石だから滅ぼされたのです。 + 今われわれの神、主よ、どうぞ、われわれを彼の手から救い出してください。そうすれば地の国々は皆あなただけが主でいらせられることを知るようになるでしょう」。 + その時アモツの子イザヤは人をつかわしてヒゼキヤに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、あなたはアッスリヤの王セナケリブについてわたしに祈ったゆえ、 + 主が彼について語られた言葉はこうである、『処女であるシオンの娘はあなたを侮り、あなたをあざける。エルサレムの娘は、あなたのうしろで頭を振る。 + あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。あなたはだれにむかって声をあげ、目を高くあげたのか。イスラエルの聖者にむかってだ。 + あなたは、そのしもべらによって主をそしって言った、「わたしは多くの戦車を率いて山々の頂にのぼり、レバノンの奥へ行き、たけの高い香柏と、最も良いいとすぎを切り倒し、またその果の高地へ行き、その密林にはいった。 + わたしは井戸を掘って水を飲んだ。わたしは足の裏でエジプトのすべての川を踏みからした」。 + あなたは聞かなかったか、昔わたしがそれを定めたことを。堅固な町々を、あなたがこわして荒塚とすることも、いにしえの日から、わたしが計画して今それをきたらせたのだ。 + そのうちに住む民は力弱く、おののき恥をいだいて、野の草のように、青菜のようになり、育たずに枯れる屋根の草のようになった。 + わたしは、あなたの座すること、出入りすること、また、わたしにむかって怒り叫んだことをも知っている。 + あなたが、わたしにむかって怒り叫んだことと、あなたの高慢な言葉とがわたしの耳にはいったゆえ、わたしは、あなたの鼻に輪をつけ、あなたの口にくつわをはめて、あなたを、もと来た道へ引きもどす』。 + あなたに与えるしるしはこれである。すなわち、ことしは落ち穂から生えた物を食べ、二年目には、またその落ち穂から生えた物を食べ、三年目には種をまき、刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べる。 + ユダの家の、のがれて残る者は再び下に根を張り、上に実を結ぶ。 + すなわち残る者はエルサレムから出、のがれる物はシオンの山から出る。万軍の主の熱心がこれをなし遂げられる。 + それゆえ、主はアッスリヤの王について、こう仰せられる、『彼はこの町にこない。またここに矢を放たない。また盾をもって、その前にこない。また塁を築いて、これを攻めることはない。 + 彼は来た道から帰って、この町に、はいることはない、と主は言う。 + わたしは自分のため、また、わたしのしもべダビデのために町を守って、これを救おう』」。 + 主の使が出て、アッスリヤびとの陣営で十八万五千人を撃ち殺した。人々が朝早く起きて見ると、彼らは皆死体となっていた。 + アッスリヤの王セナケリブは立ち去り、帰っていってニネベにいたが、 + その神ニスロクの神殿で礼拝していた時、その子らのアデラン・メレクとシャレゼルがつるぎをもって彼を殺し、ともにアララテの地へ逃げていった。それで、その子エサルハドンが代って王となった。 + + + そのころヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。アモツの子預言者イザヤは彼のところに来て言った、「主はこう仰せられます、あなたの家を整えておきなさい。あなたは死にます、生きながらえることはできません」。 + そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて主に祈って言った、 + 「ああ主よ、願わくは、わたしが真実と真心とをもって、み前に歩み、あなたの目にかなう事を行ったのを覚えてください」。そしてヒゼキヤはひどく泣いた。 + その時主の言葉がイザヤに臨んで言った、 + 「行って、ヒゼキヤに言いなさい、『あなたの父ダビデの神、主はこう仰せられます、「わたしはあなたの祈を聞いた。あなたの涙を見た。見よ、わたしはあなたのよわいを十五年増そう。 + わたしはあなたと、この町とをアッスリヤの王の手から救い、この町を守ろう」。 + 主が約束されたことを行われることについては、あなたは主からこのしるしを得る。 + 見よ、わたしはアハズの日時計の上に進んだ日影を十度退かせよう』」。すると日時計の上に進んだ日影が十度退いた。 + 次の言葉はユダの王ヒゼキヤが病気になって、その病気が直った後、書きしるしたものである。 + わたしは言った、わたしはわが一生のまっ盛りに、去らなければならない。わたしは陰府の門に閉ざされて、わが残りの年を失わなければならない。 + わたしは言った、わたしは生ける者の地で、主を見ることなく、世におる人々のうちに、再び人を見ることがない。 + わがすまいは抜き去られて羊飼の天幕のようにわたしを離れる。わたしは、わが命を機織りのように巻いた。彼はわたしを機から切り離す。あなたは朝から夕までの間に、わたしを滅ぼされる。 + わたしは朝まで叫んだ。主はししのようにわが骨をことごとく砕かれる。あなたは朝から夕までの間に、わたしを滅ぼされる。 + わたしは、つばめのように、つるのように鳴き、はとのようにうめき、わが目は上を見て衰える。主よ、わたしは、しえたげられています。どうか、わたしの保証人となってください。 + しかし、わたしは何を言うことができましょう。主はわたしに言われ、かつ、自らそれをなされたからである。わが魂の苦しみによって、わが眠りはことごとく逃げ去った。 + 主よ、これらの事によって人は生きる。わが霊の命もすべてこれらの事による。どうか、わたしをいやし、わたしを生かしてください。 + 見よ、わたしが大いなる苦しみにあったのは、わが幸福のためであった。あなたはわが命を引きとめて、滅びの穴をまぬかれさせられた。これは、あなたがわが罪をことごとく、あなたの後に捨てられたからである。 + 陰府は、あなたに感謝することはできない。死はあなたをさんびすることはできない。墓にくだる者は、あなたのまことを望むことはできない。 + ただ生ける者、生ける者のみ、きょう、わたしがするように、あなたに感謝する。父はあなたのまことを、その子らに知らせる。 + 主はわたしを救われる。われわれは世にあるかぎり、主の家で琴にあわせて、歌をうたおう。 + イザヤは言った、「干いちじくのひとかたまりを持ってこさせ、それを腫物につけなさい。そうすれば直るでしょう」。 + ヒゼキヤはまた言った、「わたしが主の家に上ることについて、どんなしるしがありましょうか」。 + + + そのころ、バラダンの子であるバビロンの王メロダク・バラダンは手紙と贈り物を持たせて使節をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが病気であったが、直ったことを聞いたからである。 + ヒゼキヤは彼らを喜び迎えて、宝物の蔵、金銀、香料、貴重な油および武器倉、ならびにその倉庫にあるすべての物を彼らに見せた。家にある物も、国にある物も、ヒゼキヤが彼らに見せない物は一つもなかった。 + 時に預言者イザヤはヒゼキヤ王のもとに来て言った、「あの人々は何を言いましたか。どこから来たのですか」。ヒゼキヤは言った、「彼らは遠い国から、すなわちバビロンから来たのです」。 + イザヤは言った、「彼らは、あなたの家で何を見ましたか」。ヒゼキヤは答えて言った、「彼らは、わたしの家にある物を皆見ました。倉庫のうちには、彼らに見せなかった物は一つもありません」。 + そこでイザヤはヒゼキヤに言った、「万軍の主の言葉を聞きなさい。 + 見よ、すべてあなたの家にある物およびあなたの先祖たちが今日までに積みたくわえた物がバビロンに運び去られる日が来る。何も残るものはない、と主が言われます。 + また、あなたの身から出るあなたの子たちも連れ去られて、バビロンの王の宮殿において宦官となるでしょう」。 + ヒゼキヤはイザヤに言った、「あなたが言われた主の言葉は結構です」。彼は「少なくとも自分が世にある間は太平と安全があるだろう」と思ったからである。 + + + あなたがたの神は言われる、「慰めよ、わが民を慰めよ、 + ねんごろにエルサレムに語り、これに呼ばわれ、その服役の期は終り、そのとがはすでにゆるされ、そのもろもろの罪のために二倍の刑罰を主の手から受けた」。 + 呼ばわる者の声がする、「荒野に主の道を備え、さばくに、われわれの神のために、大路をまっすぐにせよ。 + もろもろの谷は高くせられ、もろもろの山と丘とは低くせられ、高底のある地は平らになり、険しい所は平地となる。 + こうして主の栄光があらわれ、人は皆ともにこれを見る。これは主の口が語られたのである」。 + 声が聞える、「呼ばわれ」。わたしは言った、「なんと呼ばわりましょうか」。「人はみな草だ。その麗しさは、すべて野の花のようだ。 + 主の息がその上に吹けば、草は枯れ、花はしぼむ。たしかに人は草だ。 + 草は枯れ、花はしぼむ。しかし、われわれの神の言葉はとこしえに変ることはない」。 + よきおとずれをシオンに伝える者よ、高い山にのぼれ。よきおとずれをエルサレムに伝える者よ、強く声をあげよ、声をあげて恐れるな。ユダのもろもろの町に言え、「あなたがたの神を見よ」と。 + 見よ、主なる神は大能をもってこられ、その腕は世を治める。見よ、その報いは主と共にあり、そのはたらきの報いは、そのみ前にある。 + 主は牧者のようにその群れを養い、そのかいなに小羊をいだき、そのふところに入れて携えゆき、乳を飲ませているものをやさしく導かれる。 + だれが、たなごころをもって海をはかり、指を伸ばして天をはかり、地のちりを枡に盛り、てんびんをもって、もろもろの山をはかり、はかりをもって、もろもろの丘をはかったか。 + だれが、主の霊を導き、その相談役となって主を教えたか。 + 主はだれと相談して悟りを得たか。だれが主に公義の道を教え、知識を教え、悟りの道を示したか。 + 見よ、もろもろの国民は、おけの一しずくのように、はかりの上のちりのように思われる。見よ、主は島々を、ほこりのようにあげられる。 + レバノンは、たきぎに足りない、またその獣は、燔祭に足りない。 + 主のみ前には、もろもろの国民は無きにひとしい。彼らは主によって、無きもののように、むなしいもののように思われる。 + それで、あなたがたは神をだれとくらべ、どんな像と比較しようとするのか。 + 偶像は細工人が鋳て造り、鍛冶が、金をもって、それをおおい、また、これがために銀の鎖を造る。 + 貧しい者は、ささげ物として朽ちることのない木を選び、巧みな細工人を求めて、動くことのない像を立たせる。 + あなたがたは知らなかったか。あなたがたは聞かなかったか。初めから、あなたがたに伝えられなかったか。地の基をおいた時から、あなたがたは悟らなかったか。 + 主は地球のはるか上に座して、地に住む者をいなごのように見られる。主は天を幕のようにひろげ、これを住むべき天幕のように張り、 + また、もろもろの君を無きものとせられ、地のつかさたちを、むなしくされる。 + 彼らは、かろうじて植えられ、かろうじてまかれ、その幹がかろうじて地に根をおろしたとき、神がその上を吹かれると、彼らは枯れて、わらのように、つむじ風にまき去られる。 + 聖者は言われる、「それで、あなたがたは、わたしをだれにくらべ、わたしは、だれにひとしいというのか」。 + 目を高くあげて、だれが、これらのものを創造したかを見よ。主は数をしらべて万軍をひきいだし、おのおのをその名で呼ばれる。その勢いの大いなるにより、またその力の強きがゆえに、一つも欠けることはない。 + ヤコブよ、何ゆえあなたは、「わが道は主に隠れている」と言うか。イスラエルよ、何ゆえあなたは、「わが訴えはわが神に顧みられない」と言うか。 + あなたは知らなかったか、あなたは聞かなかったか。主はとこしえの神、地の果の創造者であって、弱ることなく、また疲れることなく、その知恵ははかりがたい。 + 弱った者には力を与え、勢いのない者には強さを増し加えられる。 + 年若い者も弱り、かつ疲れ、壮年の者も疲れはてて倒れる。 + しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、わしのように翼をはって、のぼることができる。走っても疲れることなく、歩いても弱ることはない。 + + + 海沿いの国々よ、静かにして、わたしに聞け。もろもろの民よ、力を新たにし、近づいて語れ。われわれは共にさばきの座に近づこう。 + だれが東から人を起したか。彼はその行く所で勝利をもって迎えられ、もろもろの国を征服し、もろもろの王を足の下に踏みつけ、そのつるぎをもって彼らをちりのようにし、その弓をもって吹き去られる、わらのようにする。 + 彼はこれらの者を追ってその足のまだ踏んだことのない道を、安らかに過ぎて行く。 + だれがこの事を行ったか、なしたか。だれが初めから世々の人々を呼び出したか。主なるわたしは初めであって、また終りと共にあり、わたしがそれだ。 + 海沿いの国々は見て恐れ、地の果は、おののき、近づいて来た。 + 彼らはおのおのその隣を助け、その兄弟たちに言う、「勇気を出せよ」と。 + 細工人は鍛冶を励まし、鎚をもって平らかにする者は金敷きを打つ者に、はんだづけについて言う、「それは良い」と。また、くぎをもってそれを堅くし、動くことのないようにする。 + しかし、わがしもべイスラエルよ、わたしの選んだヤコブ、わが友アブラハムの子孫よ、 + わたしは地の果から、あなたを連れてき、地のすみずみから、あなたを召して、あなたに言った、「あなたは、わたしのしもべ、わたしは、あなたを選んで捨てなかった」と。 + 恐れてはならない、わたしはあなたと共にいる。驚いてはならない、わたしはあなたの神である。わたしはあなたを強くし、あなたを助け、わが勝利の右の手をもって、あなたをささえる。 + 見よ、あなたにむかって怒る者はみな、はじて、あわてふためき、あなたと争う者は滅びて無に帰する。 + あなたは、あなたと争う者を尋ねても見いださず、あなたと戦う者は全く消えうせる。 + あなたの神、主なるわたしはあなたの右の手をとってあなたに言う、「恐れてはならない、わたしはあなたを助ける」。 + 主は言われる、「虫にひとしいヤコブよ、イスラエルの人々よ、恐れてはならない。わたしはあなたを助ける。あなたをあがなう者はイスラエルの聖者である。 + 見よ、わたしはあなたを鋭い歯のある新しい打穀機とする。あなたは山を打って、これを粉々にし、丘をもみがらのようにする。 + あなたがあおげば風はこれを巻き去り、つむじ風がこれを吹き散らす。あなたは主によって喜びイスラエルの聖者によって誇る。 + 貧しい者と乏しい者とは水を求めても、水がなく、その舌がかわいて焼けているとき、主なるわたしは彼らに答える、イスラエルの神なるわたしは彼らを捨てることがない。 + わたしは裸の山に川を開き、谷の中に泉をいだし、荒野を池となし、かわいた地を水の源とする。 + わたしは荒野に香柏、アカシヤ、ミルトスおよびオリブの木を植え、さばくに、いとすぎ、すずかけ、からまつをともに置く。 + 人々はこれを見て、主のみ手がこれをなし、イスラエルの聖者がこれを創造されたことを知り、かつ、よく考えて共に悟る」。 + 主は言われる、「あなたがたの訴えを出せ」と。ヤコブの王は言われる、「あなたがたの証拠を持ってこい。 + それを持ってきて、起るべき事をわれわれに告げよ。さきの事どもの何であるかを告げよ。われわれはよく考えて、その結末を知ろう。あるいはきたるべき事をわれわれに聞かせよ。 + この後きたるべき事をわれわれに告げよ。われわれはあなたがたが神であることを知るであろう。幸をくだし、あるいは災をくだせ。われわれは驚いて肝をつぶすであろう。 + 見よ、あなたがたは無きものである。あなたがたのわざはむなしい。あなたがたを選ぶ者は憎むべき者である」。 + わたしはひとりを起して北からこさせ、わが名を呼ぶ者を東からこさせる。彼はもろもろのつかさを踏みつけてしっくいのようにし、陶器師が粘土を踏むようにする。 + だれか、初めからこの事をわれわれに告げ知らせたか。だれか、あらかじめわれわれに告げて、「彼は正しい」と言わせたか。ひとりもこの事を告げた者はない。ひとりも聞かせた者はない。ひとりもあなたがたの言葉を聞いた者はない。 + わたしははじめてこれをシオンに告げた。わたしは、よきおとずれを伝える者をエルサレムに与える。 + しかし、わたしが見ると、ひとりもない。彼らのなかには、わたしが尋ねても答えうる助言者はひとりもない。 + 見よ、彼らはみな人を惑わす者であって、そのわざは無きもの、その鋳た像はむなしき風である。 + + + わたしの支持するわがしもべ、わたしの喜ぶわが選び人を見よ。わたしはわが霊を彼に与えた。彼はもろもろの国びとに道をしめす。 + 彼は叫ぶことなく、声をあげることなく、その声をちまたに聞えさせず、 + また傷ついた葦を折ることなく、ほのぐらい灯心を消すことなく、真実をもって道をしめす。 + 彼は衰えず、落胆せず、ついに道を地に確立する。海沿いの国々はその教を待ち望む。 + 天を創造してこれをのべ、地とそれに生ずるものをひらき、その上の民に息を与え、その中を歩む者に霊を与えられる主なる神はこう言われる、 + 「主なるわたしは正義をもってあなたを召した。わたしはあなたの手をとり、あなたを守った。わたしはあなたを民の契約とし、もろもろの国びとの光として与え、 + 盲人の目を開き、囚人を地下の獄屋から出し、暗きに座する者を獄屋から出させる。 + わたしは主である、これがわたしの名である。わたしはわが栄光をほかの者に与えない。また、わが誉を刻んだ像に与えない。 + 見よ、さきに預言した事は起った。わたしは新しい事を告げよう。その事がまだ起らない前に、わたしはまず、あなたがたに知らせよう」。 + 主にむかって新しき歌をうたえ。地の果から主をほめたたえよ。海とその中に満ちるもの、海沿いの国々とそれに住む者とは鳴りどよめ。 + 荒野とその中のもろもろの町と、ケダルびとの住むもろもろの村里は声をあげよ。セラの民は喜びうたえ。山の頂から呼ばわり叫べ。 + 栄光を主に帰し、その誉を海沿いの国々で語り告げよ。 + 主は勇士のように出て行き、いくさ人のように熱心を起し、ときの声をあげて呼ばわり、その敵にむかって大能をあらわされる。 + わたしは久しく声を出さず、黙して、おのれをおさえていた。今わたしは子を産もうとする女のように叫ぶ。わたしの息は切れ、かつあえぐ。 + わたしは山と丘とを荒し、すべての草を枯らし、もろもろの川を島とし、もろもろの池をからす。 + わたしは目しいを彼らのまだ知らない大路に行かせ、まだ知らない道に導き、暗きをその前に光とし、高低のある所を平らにする。わたしはこれらの事をおこなって彼らを捨てない。 + 刻んだ偶像に頼み、鋳た偶像にむかって「あなたがたは、われわれの神である」と言う者は退けられて、大いに恥をかく。 + 耳しいよ、聞け。目しいよ、目を注いで見よ。 + だれか、わがしもべのほかに目しいがあるか。だれか、わがつかわす使者のような耳しいがあるか。だれか、わが献身者のような目しいがあるか。だれか、主のしもべのような目しいがあるか。 + 彼は多くの事を見ても認めず、耳を開いても聞かない。 + 主はおのれの義のために、その教を大いなるものとし、かつ光栄あるものとすることを喜ばれた。 + ところが、この民はかすめられ、奪われて、みな穴の中に捕われ、獄屋の中に閉じこめられた。彼らはかすめられても助ける者がなく、物を奪われても「もどせ」と言う者もない。 + あなたがたのうち、だれがこの事に耳を傾けるだろうか、だれが心をもちいて後のためにこれを聞くだろうか。 + ヤコブを奪わせた者はだれか。かすめる者にイスラエルをわたした者はだれか。これは主ではないか。われわれは主にむかって罪を犯し、その道に歩むことを好まず、またその教に従うことを好まなかった。 + それゆえ、主は激しい怒りと、猛烈な戦いを彼らに臨ませられた。それが火のように周囲に燃えても、彼らは悟らず、彼らを焼いても、心にとめなかった。 + + + ヤコブよ、あなたを創造された主はこう言われる。イスラエルよ、あなたを造られた主はいまこう言われる、「恐れるな、わたしはあなたをあがなった。わたしはあなたの名を呼んだ、あなたはわたしのものだ。 + あなたが水の中を過ぎるとき、わたしはあなたと共におる。川の中を過ぎるとき、水はあなたの上にあふれることがない。あなたが火の中を行くとき、焼かれることもなく、炎もあなたに燃えつくことがない。 + わたしはあなたの神、主である、イスラエルの聖者、あなたの救主である。わたしはエジプトを与えてあなたのあがないしろとし、エチオピヤとセバとをあなたの代りとする。 + あなたはわが目に尊く、重んぜられるもの、わたしはあなたを愛するがゆえに、あなたの代りに人を与え、あなたの命の代りに民を与える。 + 恐れるな、わたしはあなたと共におる。わたしは、あなたの子孫を東からこさせ、西からあなたを集める。 + わたしは北にむかって『ゆるせ』と言い、南にむかって『留めるな』と言う。わが子らを遠くからこさせ、わが娘らを地の果からこさせよ。 + すべてわが名をもってとなえられる者をこさせよ。わたしは彼らをわが栄光のために創造し、これを造り、これを仕立てた」。 + 目があっても目しいのような民、耳があっても耳しいのような民を連れ出せ。 + 国々はみな相つどい、もろもろの民は集まれ。彼らのうち、だれがこの事を告げ、さきの事どもを、われわれに聞かせることができるか。その証人を出して、おのれの正しい事を証明させ、それを聞いて「これは真実だ」と言わせよ。 + 主は言われる、「あなたがたはわが証人、わたしが選んだわがしもべである。それゆえ、あなたがたは知って、わたしを信じ、わたしが主であることを悟ることができる。わたしより前に造られた神はなく、わたしより後にもない。 + ただわたしのみ主である。わたしのほかに救う者はいない。 + わたしはさきに告げ、かつ救い、かつ聞かせた。あなたがたのうちには、ほかの神はなかった。あなたがたはわが証人である」と主は言われる。 + 「わたしは神である、今より後もわたしは主である。わが手から救い出しうる者はない。わたしがおこなえば、だれが、これをとどめることができよう」。 + あなたがたをあがなう者、イスラエルの聖者、主はこう言われる、「あなたがたのために、わたしは人をバビロンにつかわし、すべての貫の木をこわし、カルデヤびとの喜びの声を嘆きに変らせる。 + わたしは主、あなたがたの聖者、イスラエルの創造者、あなたがたの王である」。 + 海のなかに大路を設け、大いなる水の中に道をつくり、 + 戦車および馬、軍勢および兵士を出てこさせ、これを倒して起きることができないようにし、絶え滅ぼして、灯心の消えうせるようにされる主はこう言われる、 + 「あなたがたは、さきの事を思い出してはならない、また、いにしえのことを考えてはならない。 + 見よ、わたしは新しい事をなす。やがてそれは起る、あなたがたはそれを知らないのか。わたしは荒野に道を設け、さばくに川を流れさせる。 + 野の獣はわたしをあがめ、山犬および、だちょうもわたしをあがめる。わたしが荒野に水をいだし、さばくに川を流れさせて、わたしの選んだ民に飲ませるからだ。 + この民は、わが誉を述べさせるためにわたしが自分のために造ったものである。 + ところがヤコブよ、あなたはわたしを呼ばなかった。イスラエルよ、あなたはわたしをうとんじた。 + あなたは燔祭の羊をわたしに持ってこなかった。また犠牲をもってわたしをあがめなかった。わたしは供え物の重荷をあなたに負わせなかった。また乳香をもってあなたを煩わさなかった。 + あなたは金を出して、わたしのために菖蒲を買わず、犠牲の脂肪を供えて、わたしを飽かせず、かえって、あなたの罪の重荷をわたしに負わせ、あなたの不義をもって、わたしを煩わせた。 + わたしこそ、わたし自身のためにあなたのとがを消す者である。わたしは、あなたの罪を心にとめない。 + あなたは、自分の正しいことを証明するために自分のことを述べて、わたしに思い出させよ。われわれは共に論じよう。 + あなたの遠い先祖は罪を犯し、あなたの仲保者らはわたしにそむいた。 + それゆえ、わたしは聖所の君たちを汚し、ヤコブを全き滅びにわたし、イスラエルをののしらしめた。 + + + しかし、わがしもべヤコブよ、わたしが選んだイスラエルよ、いま聞け。 + あなたを造り、あなたを胎内に形造り、あなたを助ける主はこう言われる、『わがしもべヤコブよ、わたしが選んだエシュルンよ、恐れるな。 + わたしは、かわいた地に水を注ぎ、干からびた地に流れをそそぎ、わが霊をあなたの子らにそそぎ、わが恵みをあなたの子孫に与えるからである。 + こうして、彼らは水の中の草のように、流れのほとりの柳のように、生え育つ。 + ある人は「わたしは主のものである」と言い、ある人はヤコブの名をもって自分を呼び、またある人は「主のものである」と手にしるして、イスラエルの名をもって自分を呼ぶ』」。 + 主、イスラエルの王、イスラエルをあがなう者、万軍の主はこう言われる、「わたしは初めであり、わたしは終りである。わたしのほかに神はない。 + だれかわたしに等しい者があるか。その者はそれを示し、またそれを告げ、わが前に言いつらねよ。だれが、昔から、きたるべき事を聞かせたか。その者はやがて成るべき事をわれわれに告げよ。 + 恐れてはならない、またおののいてはならない。わたしはこの事を昔から、あなたがたに聞かせなかったか、また告げなかったか。あなたがたはわが証人である。わたしのほかに神があるか。わたしのほかに岩はない。わたしはそのあることを知らない」。 + 偶像を造る者は皆むなしく、彼らの喜ぶところのものは、なんの役にも立たない。その信者は見ることもなく、また知ることもない。ゆえに彼らは恥を受ける。 + だれが神を造り、またなんの役にも立たない偶像を鋳たか。 + 見よ、その仲間は皆恥を受ける。その細工人らは人間にすぎない。彼らが皆集まって立つとき、恐れて共に恥じる。 + 鉄の細工人はこれを造るのに炭の火をもって細工し、鎚をもってこれを造り、強い腕をもってこれを鍛える。彼が飢えれば力は衰え、水を飲まなければ疲れはてる。 + 木の細工人は線を引き、鉛筆でえがき、かんなで削り、コンパスでえがき、それを人の美しい姿にしたがって人の形に造り、家の中に安置する。 + 彼は香柏を切り倒し、あるいはかしの木、あるいはかしわの木を選んで、それを林の木の中で強く育てる。あるいは香柏を植え、雨にそれを育てさせる。 + こうして人はその一部をとって、たきぎとし、これをもって身を暖め、またこれを燃やしてパンを焼き、また他の一部を神に造って拝み、刻んだ像に造ってその前にひれ伏す。 + その半ばは火に燃やし、その半ばで肉を煮て食べ、あるいは肉をあぶって食べ飽き、また身を暖めて言う、「ああ、暖まった、熱くなった」と。 + そしてその余りをもって神を造って偶像とし、その前にひれ伏して拝み、これに祈って、「あなたはわが神だ、わたしを救え」と言う。 + これらの人は知ることがなく、また悟ることがない。その目はふさがれて見ることができず、その心は鈍くなって悟ることができない。 + その心のうちに思うことをせず、また知識がなく、悟りがないために、「わたしはその半ばを火に燃やし、またその炭火の上でパンを焼き、肉をあぶって食べ、その残りの木をもって憎むべきものを造るのか。木のはしくれの前にひれ伏すのか」と言う者もない。 + 彼は灰を食い、迷った心に惑わされて、おのれを救うことができず、また「わが右の手に偽りがあるではないか」と言わない。 + ヤコブよ、イスラエルよ、これらの事を心にとめよ。あなたはわがしもべだから。わたしはあなたを造った、あなたはわがしもべだ。イスラエルよ、わたしはあなたを忘れない。 + わたしはあなたのとがを雲のように吹き払い、あなたの罪を霧のように消した。わたしに立ち返れ、わたしはあなたをあがなったから。 + 天よ、歌え、主がこの事をなされたから。地の深き所よ、呼ばわれ。もろもろの山よ、林およびその中のもろもろの木よ、声を放って歌え。主はヤコブをあがない、イスラエルのうちに栄光をあらわされたから。 + あなたをあがない、あなたを胎内に造られた主はこう言われる、「わたしは主である。わたしはよろずの物を造り、ただわたしだけが天をのべ、地をひらき、――だれがわたしと共にいたか―― + 偽る物のしるしをむなしくし、占う者を狂わせ、賢い者をうしろに退けて、その知識を愚かにする。 + わたしは、わがしもべの言葉を遂げさせ、わが使の計りごとを成らせ、エルサレムについては、『これは民の住む所となる』と言い、ユダのもろもろの町については、『ふたたび建てられる、わたしはその荒れ跡を興そう』と言い、 + また淵については、『かわけ、わたしはあなたのもろもろの川を干す』と言い、 + またクロスについては、『彼はわが牧者、わが目的をことごとくなし遂げる』と言い、エルサレムについては、『ふたたび建てられる』と言い、神殿については、『あなたの基がすえられる』と言う」。 + + + わたしはわが受膏者クロスの右の手をとって、もろもろの国をその前に従わせ、もろもろの王の腰を解き、とびらをその前に開かせて、門を閉じさせない、と言われる主はその受膏者クロスにこう言われる、 + 「わたしはあなたの前に行って、もろもろの山を平らにし、青銅のとびらをこわし、鉄の貫の木を断ち切り、 + あなたに、暗い所にある財宝と、ひそかな所に隠した宝物とを与えて、わたしは主、あなたの名を呼んだイスラエルの神であることをあなたに知らせよう。 + わがしもべヤコブのために、わたしの選んだイスラエルのために、わたしはあなたの名を呼んだ。あなたがわたしを知らなくても、わたしはあなたに名を与えた。 + わたしは主である。わたしのほかに神はない、ひとりもない。あなたがわたしを知らなくても、わたしはあなたを強くする。 + これは日の出る方から、また西の方から、人々がわたしのほかに神のないことを知るようになるためである。わたしは主である、わたしのほかに神はない。 + わたしは光をつくり、また暗きを創造し、繁栄をつくり、またわざわいを創造する。わたしは主である、すべてこれらの事をなす者である。 + 天よ、上より水を注げ、雲は義を降らせよ。地は開けて救を生じ、また義をも、生えさせよ。主なるわたしはこれを創造した。 + 陶器が陶器師と争うように、おのれを造った者と争う者はわざわいだ。粘土は陶器師にむかって『あなたは何を造るか』と言い、あるいは『あなたの造った物には手がない』と言うだろうか。 + 父にむかって『あなたは、なぜ子をもうけるのか』と言い、あるいは女にむかって『あなたは、なぜ産みの苦しみをするのか』と言う者はわざわいだ」。 + イスラエルの聖者、イスラエルを造られた主はこう言われる、「あなたがたは、わが子らについてわたしに問い、またわが手のわざについてわたしに命ずるのか。 + わたしは地を造って、その上に人を創造した。わたしは手をもって天をのべ、その万軍を指揮した。 + わたしは義をもってクロスを起した。わたしは彼のすべての道をまっすぐにしよう。彼はわが町を建て、わが捕囚を価のためでなく、また報いのためでもなく解き放つ」と万軍の主は言われる。 + 主はこう言われる、「エジプトの富と、エチオピヤの商品と、たけの高いセバびととはあなたに来て、あなたのものとなり、あなたに従い、彼らは鎖につながれて来て、あなたの前にひれ伏し、あなたに願って言う、『神はただあなたと共にいまし、このほかに神はなく、ひとりもない』」。 + イスラエルの神、救主よ、まことに、あなたはご自分を隠しておられる神である。 + 偶像を造る者は皆恥を負い、はずかしめを受け、ともに、あわてふためいて退く。 + しかし、イスラエルは主に救われて、とこしえの救を得る。あなたがたは世々かぎりなく、恥を負わず、はずかしめを受けない。 + 天を創造された主、すなわち神であってまた地をも造り成し、これを堅くし、いたずらにこれを創造されず、これを人のすみかに造られた主はこう言われる、「わたしは主である、わたしのほかに神はない。 + わたしは隠れたところ、地の暗い所で語らず、ヤコブの子孫に『わたしを尋ねるのはむだだ』と言わなかった。主なるわたしは正しい事を語り、まっすぐな事を告げる。 + もろもろの国からのがれてきた者よ、集まってきて、共に近寄れ。木像をにない、救うことのできない神に祈る者は無知である。 + あなたがたの言い分を持ってきて述べよ。また共に相談せよ。この事をだれがいにしえから示したか。だれが昔から告げたか。わたし、すなわち主ではなかったか。わたしのほかに神はない。わたしは義なる神、救主であって、わたしのほかに神はない。 + 地の果なるもろもろの人よ、わたしを仰ぎのぞめ、そうすれば救われる。わたしは神であって、ほかに神はないからだ。 + わたしは自分をさして誓った、わたしの口から出た正しい言葉は帰ることがない、『すべてのひざはわが前にかがみ、すべての舌は誓いをたてる』。 + 人はわたしについて言う、『正義と力とは主にのみある』と。人々は主にきたり、主にむかって怒る者は皆恥を受ける。 + しかしイスラエルの子孫は皆主によって勝ち誇ることができる」。 + + + ベルは伏し、ネボはかがみ、彼らの像は獣と家畜との上にある。あなたがたが持ち歩いたものは荷となり、疲れた獣の重荷となった。 + 彼らはかがみ、彼らは共に伏し、重荷となった者を救うことができずかえって、自分は捕われて行く。 + 「ヤコブの家よ、イスラエルの家の残ったすべての者よ、生れ出た時から、わたしに負われ、胎を出た時から、わたしに持ち運ばれた者よ、わたしに聞け。 + わたしはあなたがたの年老いるまで変らず、白髪となるまで、あなたがたを持ち運ぶ。わたしは造ったゆえ、必ず負い、持ち運び、かつ救う。 + あなたがたは、わたしをだれにたぐい、だれと等しくし、だれにくらべ、かつなぞらえようとするのか。 + 彼らは袋からこがねを注ぎ出し、はかりをもって、しろがねをはかり、金細工人を雇って、それを神に造らせ、これにひれ伏して拝む。 + 彼らはこれをもたげて肩に載せ、持って行って、その所に置き、そこに立たせる。これはその所から動くことができない。人がこれに呼ばわっても答えることができない。また彼をその悩みから救うことができない。 + あなたがたはこの事をおぼえ、よく考えよ。そむける者よ、この事を心にとめよ、 + いにしえよりこのかたの事をおぼえよ。わたしは神である、わたしのほかに神はない。わたしは神である、わたしと等しい者はない。 + わたしは終りの事を初めから告げ、まだなされない事を昔から告げて言う、『わたしの計りごとは必ず成り、わが目的をことごとくなし遂げる』と。 + わたしは東から猛禽を招き、遠い国からわが計りごとを行う人を招く。わたしはこの事を語ったゆえ、必ずこさせる。わたしはこの事をはかったゆえ、必ず行う。 + 心をかたくなにして、救に遠い者よ、わたしに聞け。 + わたしはわが救を近づかせるゆえ、その来ることは遠くない。わが救はおそくない。わたしは救をシオンに与え、わが栄光をイスラエルに与える」。 + + + 処女なるバビロンの娘よ、下って、ちりの中にすわれ。カルデヤびとの娘よ、王座のない地にすわれ。あなたはもはや、やさしく、たおやかな女ととなえられることはない。 + 石うすをとって粉をひけ、顔おおいを取り去り、うちぎを脱ぎ、すねをあらわして川を渡れ。 + あなたの裸はあらわれ、あなたの恥は見られる。わたしはあだを報いて、何人とをも助けない。 + われわれをあがなう者はその名を万軍の主といい、イスラエルの聖者である。 + カルデヤびとの娘よ、黙してすわれ、また暗い所にはいれ。あなたはもはや、もろもろの国の女王ととなえられることはない。 + わたしはわが民を憤り、わが嗣業を汚して、これをあなたの手に渡した。あなたはこれに、あわれみを施さず、年老いた者の上に、はなはだ重いくびきを負わせた。 + あなたは言った、「わたしは、とこしえに女王となる」と。そして、あなたはこれらの事を心にとめず、またその終りを思わなかった。 + 楽しみにふけり、安らかにおり、心のうちに「ただわたしだけで、わたしのほかにだれもなく、わたしは寡婦となることはない、また子を失うことはない」と言う者よ、今この事を聞け。 + これらの二つの事は一日のうちに、またたくまにあなたに臨む。すなわち子を失い、寡婦となる事はたといあなたが多くの魔術を行い、魔法の大いなる力をもってしてもことごとくあなたに臨む。 + あなたは自分の悪に寄り頼んで言う、「わたしを見る者はない」と。あなたの知恵と、あなたの知識とはあなたを惑わした。あなたは心のうちに言った、「ただわたしだけで、わたしのほかにだれもない」と。 + しかし、わざわいが、あなたに臨む、あなたは、それをあがなうことができない。なやみが、あなたを襲う、あなたは、それをつぐなうことができない。滅びが、にわかにあなたに臨む、あなたは、それについて何も知らない。 + あなたが若い時から勤め行ったあなたの魔法と、多くの魔術とをもって立ちむかってみよ、あるいは成功するかもしれない、あるいは敵を恐れさせるかもしれない。 + あなたは多くの計りごとによってうみ疲れた。かの天を分かつ者、星を見る者、新月によって、あなたに臨む事を告げる者を立ちあがらせて、あなたを救わせてみよ。 + 見よ、彼らはわらのようになって、火に焼き滅ぼされ、自分の身を炎の勢いから、救い出すことができない。その火は身を暖める炭火ではない、またその前にすわるべき火でもない。 + あなたが勤めて行ったものと、あなたの若い時からあなたと売り買いした者とは、ついにこのようになる。彼らはめいめい自分の方向にさすらいゆき、ひとりもあなたを救う者はない。 + + + ヤコブの家よ、これを聞け。あなたがたはイスラエルの名をもってとなえられ、ユダの腰から出、主の名によって誓い、イスラエルの神をとなえるけれども、真実をもってせず、正義をもってしない。 + 彼らはみずから聖なる都のものととなえ、イスラエルの神に寄り頼む。その名は万軍の主という。 + 「わたしはさきに成った事を、いにしえから告げた。わたしは口から出して彼らに知らせた。わたしは、にわかにこの事を行い、そして成った。 + わたしはあなたが、かたくなで、その首は鉄の筋、その額は青銅であることを知るゆえに、 + いにしえから、かの事をあなたに告げ、その成らないさきに、これをあなたに聞かせた。そうでなければ、あなたは言うだろう、『わが偶像がこれをしたのだ、わが刻んだ像と、鋳た像がこれを命じたのだ』と。 + あなたはすでに聞いた、すべてこれが成ったことを見よ。あなたがたはこれを宣べ伝えないのか。わたしは今から新しい事、あなたがまだ知らない隠れた事をあなたに聞かせよう。 + これらの事はいま創造されたので、いにしえからあったのではない。この日以前には、あなたはこれを聞かなかった。そうでなければ、あなたは言うだろう、『見よ、わたしはこれを知っていた』と。 + あなたはこれを聞くこともなく、知ることもなく、あなたの耳は、いにしえから開かれなかった。わたしはあなたが全く不信実で、生れながら反逆者ととなえられたことを知っていたからである。 + わが名のために、わたしは怒りをおそくする。わが誉のために、わたしはこれをおさえて、あなたを断ち滅ぼすことをしない。 + 見よ、わたしはあなたを練った。しかし銀のようにではなくて、苦しみの炉をもってあなたを試みた。 + わたしは自分のために、自分のためにこれを行う。どうしてわが名を汚させることができよう。わたしはわが栄光をほかの者に与えることをしない。 + ヤコブよ、わたしの召したイスラエルよ、わたしに聞け。わたしはそれだ、わたしは初めであり、わたしはまた終りである。 + わが手は地の基をすえ、わが右の手は天をのべた。わたしが呼ぶと、彼らはもろともに立つ。 + あなたがたは皆集まって聞け。彼らのうち、だれがこれらの事を告げたか。主の愛せられる彼は主のみこころをバビロンに行い、その腕はカルデヤびとの上に臨む。 + 語ったのは、ただわたしであって、わたしは彼を召した。わたしは彼をこさせた。彼はその道に栄える。 + あなたがたはわたしに近寄って、これを聞け。わたしは初めから、ひそかに語らなかった。それが成った時から、わたしはそこにいたのだ」。いま主なる神は、わたしとその霊とをつかわされた。 + あなたのあがない主、イスラエルの聖者、主はこう言われる、「わたしはあなたの神、主である。わたしは、あなたの利益のために、あなたを教え、あなたを導いて、その行くべき道に行かせる。 + どうか、あなたはわたしの戒めに聞き従うように。そうすれば、あなたの平安は川のように、あなたの義は海の波のようになり、 + あなたのすえは砂のように、あなたの子孫は砂粒のようになって、その名はわが前から断たれることなく、滅ぼされることはない」。 + あなたがたはバビロンから出、カルデヤからのがれよ。喜びの声をもってこれをのべ聞かせ、地の果にまで語り伝え、「主はそのしもべヤコブをあがなわれた」と言え。 + 主が彼らを導いて、さばくを通らせられたとき、彼らは、かわいたことがなかった。主は彼らのために岩から水を流れさせ、また岩を裂かれると、水がほとばしり出た。 + 主は言われた、「悪い者には平安がない」と。 + + + 海沿いの国々よ、わたしに聞け。遠いところのもろもろの民よ、耳を傾けよ。主はわたしを生れ出た時から召し、母の胎を出た時からわが名を語り告げられた。 + 主はわが口を鋭利なつるぎとなし、わたしをみ手の陰にかくし、とぎすました矢となして、箙にわたしを隠された。 + また、わたしに言われた、「あなたはわがしもべ、わが栄光をあらわすべきイスラエルである」と。 + しかし、わたしは言った、「わたしはいたずらに働き、益なく、むなしく力を費した。しかもなお、まことにわが正しきは主と共にあり、わが報いはわが神と共にある」と。 + ヤコブをおのれに帰らせ、イスラエルをおのれのもとに集めるために、わたしを腹の中からつくってそのしもべとされた主は言われる。(わたしは主の前に尊ばれ、わが神はわが力となられた) + 主は言われる、「あなたがわがしもべとなって、ヤコブのもろもろの部族をおこし、イスラエルのうちの残った者を帰らせることは、いとも軽い事である。わたしはあなたを、もろもろの国びとの光となして、わが救を地の果にまでいたらせよう」と。 + イスラエルのあがない主、イスラエルの聖者なる主は、人に侮られる者、民に忌みきらわれる者、つかさたちのしもべにむかってこう言われる、「もろもろの王は見て、立ちあがり、もろもろの君は立って、拝する。これは真実なる主、イスラエルの聖者が、あなたを選ばれたゆえである」。 + 主はこう言われる、「わたしは恵みの時に、あなたに答え、救の日にあなたを助けた。わたしはあなたを守り、あなたを与えて民の契約とし、国を興し、荒れすたれた地を嗣業として継がせる。 + わたしは捕えられた人に『出よ』と言い、暗きにおる者に『あらわれよ』と言う。彼らは道すがら食べることができ、すべての裸の山にも牧草を得る。 + 彼らは飢えることがなく、かわくこともない。また熱い風も、太陽も彼らを撃つことはない。彼らをあわれむ者が彼らを導き、泉のほとりに彼らを導かれるからだ。 + わたしは、わがもろもろの山を道とし、わが大路を高くする。 + 見よ、人々は遠くから来る。見よ、人々は北から西から、またスエネの地から来る」。 + 天よ、歌え、地よ、喜べ。もろもろの山よ、声を放って歌え。主はその民を慰め、その苦しむ者をあわれまれるからだ。 + しかしシオンは言った、「主はわたしを捨て、主はわたしを忘れられた」と。 + 「女がその乳のみ子を忘れて、その腹の子を、あわれまないようなことがあろうか。たとい彼らが忘れるようなことがあっても、わたしは、あなたを忘れることはない。 + 見よ、わたしは、たなごころにあなたを彫り刻んだ。あなたの石がきは常にわが前にある。 + あなたを建てる者は、あなたをこわす者を追い越し、あなたを荒した者は、あなたから出て行く。 + あなたの目をあげて見まわせ。彼らは皆集まって、あなたのもとに来る。主は言われる、わたしは生きている、あなたは彼らを皆、飾りとして身につけ、花嫁の帯のようにこれを結ぶ。 + あなたの荒れ、かつすたれた所、こわされた地は、住む人の多いために狭くなり、あなたを、のみつくした者は、はるかに離れ去る。 + あなたが子を失った後に生れた子らは、なおあなたの耳に言う、『この所はわたしには狭すぎる、わたしのために住むべき所を得させよ』と。 + その時あなたは心のうちに言う、『だれがわたしのためにこれらの者を産んだのか。わたしは子を失って、子をもたない。わたしは捕われ、かつ追いやられた。だれがこれらの者を育てたのか。見よ、わたしはひとり残された。これらの者はどこから来たのか』と」。 + 主なる神はこう言われる、「見よ、わたしは手をもろもろの国にむかってあげ、旗をもろもろの民にむかって立てる。彼らはそのふところにあなたの子らを携え、その肩にあなたの娘たちを載せて来る。 + もろもろの王は、あなたの養父となり、その王妃たちは、あなたの乳母となり、彼らはその顔を地につけて、あなたにひれ伏し、あなたの足のちりをなめる。こうして、あなたはわたしが主であることを知る。わたしを待ち望む者は恥をこうむることがない」。 + 勇士が奪った獲物をどうして取り返すことができようか。暴君がかすめた捕虜をどうして救い出すことができようか。 + しかし主はこう言われる、「勇士がかすめた捕虜も取り返され、暴君が奪った獲物も救い出される。わたしはあなたと争う者と争い、あなたの子らを救うからである。 + わたしはあなたをしえたげる者にその肉を食わせ、その血を新しい酒のように飲ませて酔わせる。こうして、すべての人はわたしが主であって、あなたの救主、またあなたのあがない主、ヤコブの全能者であることを知るようになる」。 + + + 主はこう言われる、「わたしがあなたがたの母を去らせたその離縁状は、どこにあるか。わたしはどの債主にあなたがたを売りわたしたか。見よ、あなたがたは、その不義のために売られ、あなたがたの母は、あなたがたのとがのために出されたのだ。 + わたしが来たとき、なぜひとりもいなかったか。わたしが呼んだとき、なぜひとりも答える者がなかったか。わたしの手が短くて、あがなうことができないのか。わたしは救う力を持たないのか。見よ、わたしが、しかると海はかれ、川は荒野となり、その中の魚は水がないために、かわき死んで悪臭を放つ。 + わたしは黒い衣を天に着せ、荒布をもってそのおおいとする」。 + 主なる神は教をうけた者の舌をわたしに与えて、疲れた者を言葉をもって助けることを知らせ、また朝ごとにさまし、わたしの耳をさまして、教をうけた者のように聞かせられる。 + 主なる神はわたしの耳を開かれた。わたしは、そむくことをせず、退くことをしなかった。 + わたしを打つ者に、わたしの背をまかせ、わたしのひげを抜く者に、わたしのほおをまかせ、恥とつばきとを避けるために、顔をかくさなかった。 + しかし主なる神はわたしを助けられる。それゆえ、わたしは恥じることがなかった。それゆえ、わたしは顔を火打石のようにした。わたしは決してはずかしめられないことを知る。 + わたしを義とする者が近くおられる。だれがわたしと争うだろうか、われわれは共に立とう。わたしのあだはだれか、わたしの所へ近くこさせよ。 + 見よ、主なる神はわたしを助けられる。だれがわたしを罪に定めるだろうか。見よ、彼らは皆衣のようにふるび、しみのために食いつくされる。 + あなたがたのうち主を恐れ、そのしもべの声に聞き従い、暗い中を歩いて光を得なくても、なお主の名を頼み、おのれの神にたよる者はだれか。 + 見よ、火を燃やし、たいまつをともす者よ、皆その火の炎の中を歩め、またその燃やした、たいまつの中を歩め。あなたがたは、これをわたしの手から受けて、苦しみのうちに伏し倒れる。 + + + 「義を追い求め、主を尋ね求める者よ、わたしに聞け。あなたがたの切り出された岩と、あなたがたの掘り出された穴とを思いみよ。 + あなたがたの父アブラハムと、あなたがたを産んだサラとを思いみよ。わたしは彼をただひとりであったときに召し、彼を祝福して、その子孫を増し加えた。 + 主はシオンを慰め、またそのすべて荒れた所を慰めて、その荒野をエデンのように、そのさばくを主の園のようにされる。こうして、その中に喜びと楽しみとがあり、感謝と歌の声とがある。 + わが民よ、わたしに聞け、わが国びとよ、わたしに耳を傾けよ。律法はわたしから出、わが道はもろもろの民の光となる。 + わが義はすみやかに近づき、わが救は出て行った。わが腕はもろもろの民を治める。海沿いの国々はわたしを待ち望み、わが腕に寄り頼む。 + 目をあげて天を見、また下なる地を見よ。天は煙のように消え、地は衣のようにふるび、その中に住む者は、ぶよのように死ぬ。しかし、わが救はとこしえにながらえ、わが義はくじけることがない。 + 義を知る者よ、心のうちにわが律法をたもつ者よ、わたしに聞け。人のそしりを恐れてはならない、彼らのののしりに驚いてはならない。 + 彼らは衣のように、しみに食われ、羊の毛のように虫に食われるからだ。しかし、わが義はとこしえにながらえ、わが救はよろず代に及ぶ」。 + 主のかいなよ、さめよ、さめよ、力を着よ。さめて、いにしえの日、昔の代にあったようになれ。ラハブを切り殺し、龍を刺し貫いたのは、あなたではなかったか。 + 海をかわかし、大いなる淵の水をかわかし、また海の深き所を、あがなわれた者の過ぎる道とされたのは、あなたではなかったか。 + 主にあがなわれた者は、歌うたいつつ、シオンに帰ってきて、そのこうべに、とこしえの喜びをいただき、彼らは喜びと楽しみとを得、悲しみと嘆きとは逃げ去る。 + 「わたしこそあなたを慰める者だ。あなたは何者なれば、死ぬべき人を恐れ、草のようになるべき人の子を恐れるのか。 + 天をのべ、地の基をすえられたあなたの造り主、主を忘れて、なぜ、しえたげる者が滅ぼそうと備えをするとき、その憤りのゆえに常にひねもす恐れるのか。しえたげる者の憤りはどこにあるか。 + 身をかがめている捕われ人は、すみやかに解かれて、死ぬことなく、穴にくだることなく、その食物はつきることがない。 + わたしは海をふるわせ、その波をなりどよめかすあなたの神、主である。その名を万軍の主という。 + わたしはわが言葉をあなたの口におき、わが手の陰にあなたを隠した。こうして、わたしは天をのべ、地の基をすえ、シオンにむかって、あなたはわが民であると言う」。 + エルサレムよ、起きよ、起きよ、立て。あなたはさきに主の手から憤りの杯をうけて飲み、よろめかす大杯を、滓までも飲みほした。 + その産んだもろもろの子のなかに、自分を導く者なく、その育てたもろもろの子のなかに、自分の手をとる者がない。 + これら二つの事があなたに臨んだ――だれがあなたと共に嘆くだろうか――荒廃と滅亡、ききんとつるぎ。だれがあなたを慰めるだろうか。 + あなたの子らは息絶えだえになり、網にかかった、かもしかのように、すべてのちまたのすみに横たわり、主の憤りと、あなたの神の責めとは、彼らに満ちている。 + それゆえ、苦しめる者、酒にではなく酔っている者よ、これを聞け。 + あなたの主、おのが民の訴えを弁護されるあなたの神、主はこう言われる、「見よ、わたしはよろめかす杯をあなたの手から取り除き、わが憤りの大杯を取り除いた。あなたは再びこれを飲むことはない。 + わたしはこれをあなたを悩ます者の手におく。彼らはさきにあなたにむかって言った、『身をかがめよ、われわれは越えていこう』と。そしてあなたはその背を地のようにし、ちまたのようにして、彼らの越えていくにまかせた」。 + + + シオンよ、さめよ、さめよ、力を着よ。聖なる都エルサレムよ、美しい衣を着よ。割礼を受けない者および汚れた者は、もはやあなたのところに、はいることがないからだ。 + 捕われたエルサレムよ、あなたの身からちりを振り落せ、起きよ。捕われたシオンの娘よ、あなたの首のなわを解きすてよ。 + 主はこう言われる、「あなたがたは、ただで売られた。金を出さずにあがなわれる」。 + 主なる神はこう言われる、「わが民はさきにエジプトへ下って行って、かしこに寄留した。またアッスリヤびとはゆえなく彼らをしえたげた。 + それゆえ、今わたしはここに何をしようか。わが民はゆえなく捕われた」と主は言われる。主は言われる、「彼らをつかさどる者はわめき、わが名は常にひねもす侮られる。 + それゆえ、わが民はわが名を知るにいたる。その日には彼らはこの言葉を語る者がわたしであることを知る。わたしはここにおる」。 + よきおとずれを伝え、平和を告げ、よきおとずれを伝え、救を告げ、シオンにむかって「あなたの神は王となられた」と言う者の足は山の上にあって、なんと麗しいことだろう。 + 聞けよ、あなたの見張びとは声をあげて、共に喜び歌っている。彼らは目と目と相合わせて、主がシオンに帰られるのを見るからだ。 + エルサレムの荒れすたれた所よ、声を放って共に歌え。主はその民を慰め、エルサレムをあがなわれたからだ。 + 主はその聖なるかいなを、もろもろの国びとの前にあらわされた。地のすべての果は、われわれの神の救を見る。 + 去れよ、去れよ、そこを出て、汚れた物にさわるな。その中を出よ、主の器をになう者よ、おのれを清く保て。 + あなたがたは急いで出るに及ばない、また、とんで行くにも及ばない。主はあなたがたの前に行き、イスラエルの神はあなたがたのしんがりとなられるからだ。 + 見よ、わがしもべは栄える。彼は高められ、あげられ、ひじょうに高くなる。 + 多くの人が彼に驚いたように――彼の顔だちは、そこなわれて人と異なり、その姿は人の子と異なっていたからである―― + 彼は多くの国民を驚かす。王たちは彼のゆえに口をつむぐ。それは彼らがまだ伝えられなかったことを見、まだ聞かなかったことを悟るからだ。 + + + だれがわれわれの聞いたことを信じ得たか。主の腕は、だれにあらわれたか。 + 彼は主の前に若木のように、かわいた土から出る根のように育った。彼にはわれわれの見るべき姿がなく、威厳もなく、われわれの慕うべき美しさもない。 + 彼は侮られて人に捨てられ、悲しみの人で、病を知っていた。また顔をおおって忌みきらわれる者のように、彼は侮られた。われわれも彼を尊ばなかった。 + まことに彼はわれわれの病を負い、われわれの悲しみをになった。しかるに、われわれは思った、彼は打たれ、神にたたかれ、苦しめられたのだと。 + しかし彼はわれわれのとがのために傷つけられ、われわれの不義のために砕かれたのだ。彼はみずから懲しめをうけて、われわれに平安を与え、その打たれた傷によって、われわれはいやされたのだ。 + われわれはみな羊のように迷って、おのおの自分の道に向かって行った。主はわれわれすべての者の不義を、彼の上におかれた。 + 彼はしえたげられ、苦しめられたけれども、口を開かなかった。ほふり場にひかれて行く小羊のように、また毛を切る者の前に黙っている羊のように、口を開かなかった。 + 彼は暴虐なさばきによって取り去られた。その代の人のうち、だれが思ったであろうか、彼はわが民のとがのために打たれて、生けるものの地から断たれたのだと。 + 彼は暴虐を行わず、その口には偽りがなかったけれども、その墓は悪しき者と共に設けられ、その塚は悪をなす者と共にあった。 + しかも彼を砕くことは主のみ旨であり、主は彼を悩まされた。彼が自分を、とがの供え物となすとき、その子孫を見ることができ、その命をながくすることができる。かつ主のみ旨が彼の手によって栄える。 + 彼は自分の魂の苦しみにより光を見て満足する。義なるわがしもべはその知識によって、多くの人を義とし、また彼らの不義を負う。 + それゆえ、わたしは彼に大いなる者と共に物を分かち取らせる。彼は強い者と共に獲物を分かち取る。これは彼が死にいたるまで、自分の魂をそそぎだし、とがある者と共に数えられたからである。しかも彼は多くの人の罪を負い、とがある者のためにとりなしをした。 + + + 「子を産まなかったうまずめよ、歌え。産みの苦しみをしなかった者よ、声を放って歌いよばわれ。夫のない者の子は、とついだ者の子よりも多い」と主は言われる。 + 「あなたの天幕の場所を広くし、あなたのすまいの幕を張りひろげ、惜しむことなく、あなたの綱を長くし、あなたの杭を強固にせよ。 + あなたは右に左にひろがり、あなたの子孫はもろもろの国を獲、荒れすたれた町々をも住民で満たすからだ。 + 恐れてはならない。あなたは恥じることがない。あわてふためいてはならない。あなたは、はずかしめられることがない。あなたは若い時の恥を忘れ、寡婦であった時のはずかしめを、再び思い出すことがない。 + あなたを造られた者はあなたの夫であって、その名は万軍の主。あなたをあがなわれる者は、イスラエルの聖者であって、全地の神ととなえられる。 + 捨てられて心悲しむ妻、また若い時にとついで出された妻を招くように主はあなたを招かれた」とあなたの神は言われる。 + 「わたしはしばしばあなたを捨てたけれども、大いなるあわれみをもってあなたを集める。 + あふれる憤りをもって、しばしわが顔を隠したけれども、とこしえのいつくしみをもって、あなたをあわれむ」とあなたをあがなわれる主は言われる。 + 「このことはわたしにはノアの時のようだ。わたしはノアの洪水を、再び地にあふれさせないと誓ったが、そのように、わたしは再びあなたを怒らない、再びあなたを責めないと誓った。 + 山は移り、丘は動いても、わがいつくしみはあなたから移ることなく、平安を与えるわが契約は動くことがない」とあなたをあわれまれる主は言われる。 + 「苦しみをうけ、あらしにもてあそばれ、慰めを得ない者よ、見よ、わたしはアンチモニーであなたの石をすえ、サファイヤであなたの基をおき、 + めのうであなたの尖塔を造り、紅玉であなたの門を造り、あなたの城壁をことごとく宝石で造る。 + あなたの子らはみな主に教をうけ、あなたの子らは大いに栄える。 + あなたは義をもって堅く立ち、しえたげから遠ざかって恐れることはない。また恐怖から遠ざかる、それはあなたに近づくことがないからである。 + たとい争いを起す者があってもわたしによるのではない。すべてあなたと争う者は、あなたのゆえに倒れる。 + 見よ、炭火を吹きおこして、その目的にかなう武器を造り出す鍛冶は、わたしが創造した者、また荒し滅ぼす者も、わたしが創造した者である。 + すべてあなたを攻めるために造られる武器は、その目的を達しない。すべてあなたに逆らい立って、争い訴える舌は、あなたに説き破られる。これが主のしもべらの受ける嗣業であり、また彼らがわたしから受ける義である」と主は言われる。 + + + 「さあ、かわいている者はみな水にきたれ。金のない者もきたれ。来て買い求めて食べよ。あなたがたは来て、金を出さずに、ただでぶどう酒と乳とを買い求めよ。 + なぜ、あなたがたは、かてにもならぬもののために金を費し、飽きることもできぬもののために労するのか。わたしによく聞き従え。そうすれば、良い物を食べることができ、最も豊かな食物で、自分を楽しませることができる。 + 耳を傾け、わたしにきて聞け。そうすれば、あなたがたは生きることができる。わたしは、あなたがたと、とこしえの契約を立てて、ダビデに約束した変らない確かな恵みを与える。 + 見よ、わたしは彼を立てて、もろもろの民への証人とし、また、もろもろの民の君とし、命令する者とした。 + 見よ、あなたは知らない国民を招く、あなたを知らない国民はあなたのもとに走ってくる。これはあなたの神、主、イスラエルの聖者のゆえであり、主があなたに光栄を与えられたからである。 + あなたがたは主にお会いすることのできるうちに、主を尋ねよ。近くおられるうちに呼び求めよ。 + 悪しき者はその道を捨て、正らぬ人はその思いを捨てて、主に帰れ。そうすれば、主は彼にあわれみを施される。われわれの神に帰れ、主は豊かにゆるしを与えられる。 + わが思いは、あなたがたの思いとは異なり、わが道は、あなたがたの道とは異なっていると主は言われる。 + 天が地よりも高いように、わが道は、あなたがたの道よりも高く、わが思いは、あなたがたの思いよりも高い。 + 天から雨が降り、雪が落ちてまた帰らず、地を潤して物を生えさせ、芽を出させて、種まく者に種を与え、食べる者にかてを与える。 + このように、わが口から出る言葉も、むなしくわたしに帰らない。わたしの喜ぶところのことをなし、わたしが命じ送った事を果す。 + あなたがたは喜びをもって出てきて、安らかに導かれて行く。山と丘とはあなたの前に声を放って喜び歌い、野にある木はみな手を打つ。 + いとすぎは、いばらに代って生え、ミルトスの木は、おどろに代って生える。これは主の記念となり、また、とこしえのしるしとなって、絶えることはない」。 + + + 主はこう言われる、「あなたがたは公平を守って正義を行え。わが救の来るのは近く、わが助けのあらわれるのが近いからだ。 + 安息日を守って、これを汚さず、その手をおさえて、悪しき事をせず、このように行う人、これを堅く守る人の子はさいわいである」。 + 主に連なっている異邦人は言ってはならない、「主は必ずわたしをその民から分かたれる」と。宦官もまた言ってはならない、「見よ、わたしは枯れ木だ」と。 + 主はこう言われる、「わが安息日を守り、わが喜ぶことを選んで、わが契約を堅く守る宦官には、 + わが家のうちで、わが垣のうちで、むすこにも娘にもまさる記念のしるしと名を与え、絶えることのない、とこしえの名を与える。 + また主に連なり、主に仕え、主の名を愛し、そのしもべとなり、すべて安息日を守って、これを汚さず、わが契約を堅く守る異邦人は―― + わたしはこれをわが聖なる山にこさせ、わが祈の家のうちで楽しませる、彼らの燔祭と犠牲とは、わが祭壇の上に受けいれられる。わが家はすべての民の祈の家ととなえられるからである」。 + イスラエルの追いやられた者を集められる主なる神はこう言われる、「わたしはさらに人を集めて、すでに集められた者に加えよう」と。 + 野のすべての獣よ、林におるすべての獣よ、来て食らえ。 + 見張人らはみな目しいで、知ることがなく、みな、おしの犬で、ほえることができない。みな夢みる者、伏している者、まどろむことを好む者だ。 + この犬どもは強欲で、飽くことを知らない。彼らはまた悟ることのできない牧者で、皆おのが道にむかいゆき、おのおのみな、おのれの利を求める。 + 彼らは互に言う、「さあ、われわれは酒を手に入れ、濃い酒をあびるほど飲もう。あすも、きょうのようであるだろう、すばらしい日だ」と。 + + + 正しい者が滅びても、心にとめる人がなく、神を敬う人々が取り去られても、悟る者はない。正しい者は災の前に取り去られて、 + 平安に入るからである。すべて正直に歩む者は、その床に休むことができる。 + しかし、あなたがた女魔法使の子よ、姦夫と遊女のすえよ、こちらへ近寄れ。 + あなたがたは、だれにむかって戯れをなすのか。だれにむかって口を開き、舌を出すのか。あなたがたは背信の子ら、偽りのすえではないか。 + あなたがたは、かしの木の間、すべての青木の下で心をこがし、谷の中、岩のはざまで子どもを殺した。 + あなたは谷のなめらかな石を自分の嗣業とし、これを自分の分け前とし、これに灌祭をそそぎ、供え物をささげた。わたしはこれらの物によってなだめられようか。 + あなたは高くそびえた山の上に自分の床を設け、またそこに登って行って犠牲をささげた。 + また戸および柱のうしろに、あなたのしるしを置いた。あなたはわたしを離れて自分の床をあらわし、それにのぼって、その床をひろくした。また彼らと契約をなし、彼らの床を愛し、その裸を見た。 + あなたは、におい油を携えてモレクに行き、多くのかおり物をささげた。またあなたの使者を遠くにつかわし、陰府の深い所にまでつかわした。 + あなたは道の長いのに疲れても、なお「望みがない」とは言わなかった。あなたはおのが力の回復を得たので、衰えることがなかった。 + あなたはだれをおじ恐れて、偽りを言い、わたしを覚えず、また心におかなかったのか。わたしが久しく黙っていたために、あなたはわたしを恐れなかったのではなかったか。 + わたしはあなたの義と、あなたのわざを告げ示そう、しかしこれらはあなたを益しない。 + あなたが呼ばわる時、あなたが集めておいた偶像にあなたを救わせよ。風は彼らを運び去り、息は彼らを取り去る。しかしわたしに寄り頼む者は地を継ぎ、わが聖なる山をまもる。 + 主は言われる、「土を盛り、土を盛って道を備えよ、わが民の道から、つまずく物を取り去れ」と。 + いと高く、いと上なる者、とこしえに住む者、その名を聖ととなえられる者がこう言われる、「わたしは高く、聖なる所に住み、また心砕けて、へりくだる者と共に住み、へりくだる者の霊をいかし、砕ける者の心をいかす。 + わたしはかぎりなく争わない、また絶えず怒らない。霊はわたしから出、いのちの息はわたしがつくったからだ。 + 彼のむさぼりの罪のゆえに、わたしは怒って彼を打ち、わが顔をかくして怒った。しかし彼はなおそむいて、おのが心の道へ行った。 + わたしは彼の道を見た。わたしは彼をいやし、また彼を導き、慰めをもって彼に報い、悲しめる者のために、くちびるの実を造ろう。 + 遠い者にも近い者にも平安あれ、平安あれ、わたしは彼をいやそう」と主は言われる。 + しかし悪しき者は波の荒い海のようだ。静まることができないで、その水はついに泥と汚物とを出す。 + わが神は言われる、「よこしまな者には平安がない」と。 + + + 「大いに呼ばわって声を惜しむな。あなたの声をラッパのようにあげ、わが民にそのとがを告げ、ヤコブの家にその罪を告げ示せ。 + 彼らは日々わたしを尋ね求め、義を行い、神のおきてを捨てない国民のように、わが道を知ることを喜ぶ。彼らは正しいさばきをわたしに求め、神に近づくことを喜ぶ。 + 彼らは言う、『われわれが断食したのに、なぜ、ごらんにならないのか。われわれがおのれを苦しめたのに、なぜ、ごぞんじないのか』と。見よ、あなたがたの断食の日には、おのが楽しみを求め、その働き人をことごとくしえたげる。 + 見よ、あなたがたの断食するのは、ただ争いと、いさかいのため、また悪のこぶしをもって人を打つためだ。きょう、あなたがたのなす断食は、その声を上に聞えさせるものではない。 + このようなものは、わたしの選ぶ断食であろうか。人がおのれを苦しめる日であろうか。そのこうべを葦のように伏せ、荒布と灰とをその下に敷くことであろうか。あなたは、これを断食ととなえ、主に受けいれられる日と、となえるであろうか。 + わたしが選ぶところの断食は、悪のなわをほどき、くびきのひもを解き、しえたげられる者を放ち去らせ、すべてのくびきを折るなどの事ではないか。 + また飢えた者に、あなたのパンを分け与え、さすらえる貧しい者を、あなたの家に入れ、裸の者を見て、これを着せ、自分の骨肉に身を隠さないなどの事ではないか。 + そうすれば、あなたの光が暁のようにあらわれ出て、あなたは、すみやかにいやされ、あなたの義はあなたの前に行き、主の栄光はあなたのしんがりとなる。 + また、あなたが呼ぶとき、主は答えられ、あなたが叫ぶとき、『わたしはここにおる』と言われる。もし、あなたの中からくびきを除き、指をさすこと、悪い事を語ることを除き、 + 飢えた者にあなたのパンを施し、苦しむ者の願いを満ち足らせるならば、あなたの光は暗きに輝き、あなたのやみは真昼のようになる。 + 主は常にあなたを導き、良き物をもってあなたの願いを満ち足らせ、あなたの骨を強くされる。あなたは潤った園のように、水の絶えない泉のようになる。 + あなたの子らは久しく荒れすたれたる所を興し、あなたは代々やぶれた基を立て、人はあなたを『破れを繕う者』と呼び、『市街を繕って住むべき所となす者』と呼ぶようになる。 + もし安息日にあなたの足をとどめ、わが聖日にあなたの楽しみをなさず、安息日を喜びの日と呼び、主の聖日を尊ぶべき日ととなえ、これを尊んで、おのが道を行わず、おのが楽しみを求めず、むなしい言葉を語らないならば、 + その時あなたは主によって喜びを得、わたしは、あなたに地の高い所を乗り通らせ、あなたの先祖ヤコブの嗣業をもって、あなたを養う」。これは主の口から語られたものである。 + + + 見よ、主の手が短くて、救い得ないのではない。その耳が鈍くて聞き得ないのでもない。 + ただ、あなたがたの不義があなたがたと、あなたがたの神との間を隔てたのだ。またあなたがたの罪が主の顔をおおったために、お聞きにならないのだ。 + あなたがたの手は血で汚れ、あなたがたの指は不義で汚れ、あなたがたのくちびるは偽りを語り、あなたがたの舌は悪をささやき、 + ひとりも正義をもって訴え、真実をもって論争する者がない。彼らはむなしきことを頼み、偽りを語り、害悪をはらみ、不義を産む。 + 彼らはまむしの卵をかえし、くもの巣を織る。その卵を食べる者は死ぬ。卵が踏まれると破れて毒蛇を出す。 + その織る物は着物とならない。その造る物をもって身をおおうことができない。彼のわざは不義のわざであり、彼らの手には暴虐の行いがある。 + 彼らの足は悪に走り、罪のない血を流すことに速い。彼らの思いは不義の思いであり、荒廃と滅亡とがその道にある。 + 彼らは平和の道を知らず、その行く道には公平がない。彼らはその道を曲げた。すべてこれを歩む者は平和を知らない。 + それゆえ、公平は遠くわれわれを離れ、正義はわれわれに追いつかない。われわれは光を望んでも、暗きを見、輝きを望んでも、やみを行く。 + われわれは盲人のように、かきを手さぐりゆき、目のない者のように手さぐりゆき、真昼でも、たそがれのようにつまずき、強壮な者の中にあっても死人のようだ。 + われわれは皆くまのようにほえ、はとのようにいたくうめき、公平を望んでも、きたらず、救を望んでも、遠くわれわれを離れ去る。 + われわれのとがは、あなたの前に多く、罪は、われわれを訴えて、あかしをなし、とがは、われわれと共にあり、不義は、われわれがこれを知る。 + われわれは、そむいて主をいなみ、退いて、われわれの神に従わず、しえたげと、そむきとを語り、偽りの言葉を心にはらんで、それを言いあらわす。 + 公平はうしろに退けられ、正義ははるかに立つ。それは、真実は広場に倒れ、正直は、はいることができないからである。 + 真実は欠けてなく、悪を離れる者はかすめ奪われる。主はこれを見て、公平がなかったことを喜ばれなかった。 + 主は人のないのを見られ、仲に立つ者のないのをあやしまれた。それゆえ、ご自分のかいなをもって、勝利を得、その義をもって、おのれをささえられた。 + 主は義を胸当としてまとい、救のかぶとをその頭にいただき、報復の衣をまとって着物とし、熱心を外套として身を包まれた。 + 主は彼らの行いにしたがって報いをなし、あだにむかって怒り、敵にむかって報いをなし、海沿いの国々にむかって報いをされる。 + こうして、人々は西の方から主の名を恐れ、日の出る方からその栄光を恐れる。主は、せき止めた川を、そのいぶきで押し流すように、こられるからである。 + 主は言われる、「主は、あがなう者としてシオンにきたり、ヤコブのうちの、とがを離れる者に至る」と。 + 主は言われる、「わたしが彼らと立てる契約はこれである。あなたの上にあるわが霊、あなたの口においたわが言葉は、今から後とこしえに、あなたの口から、あなたの子らの口から、あなたの子らの子の口から離れることはない」と。 + + + 起きよ、光を放て。あなたの光が臨み、主の栄光があなたの上にのぼったから。 + 見よ、暗きは地をおおい、やみはもろもろの民をおおう。しかし、あなたの上には主が朝日のごとくのぼられ、主の栄光があなたの上にあらわれる。 + もろもろの国は、あなたの光に来、もろもろの王は、のぼるあなたの輝きに来る。 + あなたの目をあげて見まわせ、彼らはみな集まってあなたに来る。あなたの子らは遠くから来、あなたの娘らは、かいなにいだかれて来る。 + その時あなたは見て、喜びに輝き、あなたの心はどよめき、かつ喜ぶ。海の富が移ってあなたに来、もろもろの国の宝が、あなたに来るからである。 + 多くのらくだ、ミデアンおよびエパの若きらくだはあなたをおおい、シバの人々はみな黄金、乳香を携えてきて、主の誉を宣べ伝える。 + ケダルの羊の群れはみなあなたに集まって来、ネバヨテの雄羊はあなたに仕え、わが祭壇の上にのぼって受けいれられる。こうして、わたしはわが栄光の家を輝かす。 + 雲のように飛び、はとがその小屋に飛び帰るようにして来る者はだれか。 + 海沿いの国々はわたしを待ち望み、タルシシの船はいや先にあなたの子らを遠くから載せて来、また彼らの金銀を共に載せて来て、あなたの神、主の名にささげ、イスラエルの聖者にささげる。主があなたを輝かされたからである。 + 異邦人はあなたの城壁を築き、彼らの王たちはあなたに仕える。わたしは怒りをもってあなたを打ったけれども、また恵みをもってあなたをあわれんだからである。 + あなたの門は常に開いて、昼も夜も閉ざすことはない。これは人々が国々の宝をあなたに携えて来、その王たちを率いて来るためである。 + あなたに仕えない国と民とは滅び、その国々は全く荒れすたれる。 + レバノンの栄えはあなたに来、いとすぎ、すずかけ、まつは皆共に来て、わが聖所をかざる。またわたしはわが足をおく所を尊くする。 + あなたを苦しめた者の子らは、かがんで、あなたのもとに来、あなたをさげすんだ者は、ことごとくあなたの足もとに伏し、あなたを主の都、イスラエルの聖者のシオンととなえる。 + あなたは捨てられ、憎まれて、その中を過ぎる者もなかったが、わたしはあなたを、とこしえの誇、世々の喜びとする。 + あなたはまた、もろもろの国の乳を吸い、王たちの乳ぶさを吸い、そして主なるわたしが、あなたの救主、また、あなたのあがない主、ヤコブの全能者であることを知るにいたる。 + わたしは青銅の代りに黄金を携え、くろがねの代りにしろがねを携え、木の代りに青銅を、石の代りに鉄を携えてきて、あなたのまつりごとを平和にし、あなたのつかさびとを正しくする。 + 暴虐は、もはやあなたの地に聞かれず、荒廃と滅亡は、もはやあなたの境のうちに聞かれず、あなたはその城壁を「救」ととなえ、その門を「誉」ととなえる。 + 昼は、もはや太陽があなたの光とならず、夜も月が輝いてあなたを照さず、主はとこしえにあなたの光となり、あなたの神はあなたの栄えとなられる。 + あなたの太陽は再び没せず、あなたの月はかけることがない。主がとこしえにあなたの光となり、あなたの悲しみの日が終るからである。 + あなたの民はことごとく正しい者となって、とこしえに地を所有する。彼らはわたしの植えた若枝、わが手のわざ、わが栄光をあらわすものとなる。 + その最も小さい者は氏族となり、その最も弱い者は強い国となる。わたしは主である。その時がくるならば、すみやかにこの事をなす。 + + + 主なる神の霊がわたしに臨んだ。これは主がわたしに油を注いで、貧しい者に福音を宣べ伝えることをゆだね、わたしをつかわして心のいためる者をいやし、捕われ人に放免を告げ、縛られている者に解放を告げ、 + 主の恵みの年とわれわれの神の報復の日とを告げさせ、また、すべての悲しむ者を慰め、 + シオンの中の悲しむ者に喜びを与え、灰にかえて冠を与え、悲しみにかえて喜びの油を与え、憂いの心にかえて、さんびの衣を与えさせるためである。こうして、彼らは義のかしの木ととなえられ、主がその栄光をあらわすために植えられた者ととなえられる。 + 彼らはいにしえの荒れた所を建てなおし、さきに荒れすたれた所を興し、荒れた町々を新たにし、世々すたれた所を再び建てる。 + 外国人は立ってあなたがたの群れを飼い、異邦人はあなたがたの畑を耕す者となり、ぶどうを作る者となる。 + しかし、あなたがたは主の祭司ととなえられ、われわれの神の役者と呼ばれ、もろもろの国の富を食べ、彼らの宝を得て喜ぶ。 + あなたがたは、さきに受けた恥にかえて、二倍の賜物を受け、はずかしめにかえて、その嗣業を得て楽しむ。それゆえ、あなたがたはその地にあって、二倍の賜物を獲、とこしえの喜びを得る。 + 主なるわたしは公平を愛し、強奪と邪悪を憎み、真実をもって彼らに報いを与え、彼らと、とこしえの契約を結ぶからである。 + 彼らの子孫は、もろもろの国の中で知られ、彼らの子らは、もろもろの民の中に知られる。すべてこれを見る者はこれが主の祝福された民であることを認める。 + わたしは主を大いに喜び、わが魂はわが神を楽しむ。主がわたしに救の衣を着せ、義の上衣をまとわせて、花婿が冠をいただき、花嫁が宝玉をもって飾るようにされたからである。 + 地が芽をいだし、園がまいたものを生やすように、主なる神は義と誉とを、もろもろの国の前に、生やされる。 + + + シオンの義が朝日の輝きのようにあらわれいで、エルサレムの救が燃えるたいまつの様になるまで、わたしはシオンのために黙せず、エルサレムのために休まない。 + もろもろの国はあなたの義を見、もろもろの王は皆あなたの栄えを見る。そして、あなたは主の口が定められる新しい名をもってとなえられる。 + また、あなたは主の手にある麗しい冠となり、あなたの神の手にある王の冠となる。 + あなたはもはや「捨てられた者」と言われず、あなたの地はもはや「荒れた者」と言われず、あなたは「わが喜びは彼女にある」ととなえられ、あなたの地は「配偶ある者」ととなえられる。主はあなたを喜ばれ、あなたの地は配偶を得るからである。 + 若い者が処女をめとるようにあなたの子らはあなたをめとり、花婿が花嫁を喜ぶようにあなたの神はあなたを喜ばれる。 + エルサレムよ、わたしはあなたの城壁の上に見張人をおいて、昼も夜もたえず、もだすことのないようにしよう。主に思い出されることを求める者よ、みずから休んではならない。 + 主がエルサレムを堅く立てて、全地に誉を得させられるまで、お休みにならぬようにせよ。 + 主はその右の手をさし、大能のかいなをさして誓われた、「わたしは再びあなたの穀物をあなたの敵に与えて食べさせない。また、あなたが労して得たぶどう酒を異邦人に与えて飲ませない。 + しかし、穀物を刈り入れた者はこれを食べて主をほめたたえ、ぶどうを集めた者はわが聖所の庭でこれを飲む」。 + 門を通って行け、通って行け。民の道を備えよ。土を盛り、土を盛って大路を設けよ。石を取りのけ。もろもろの民の上に旗をあげよ。 + 見よ、主は地の果にまで告げて言われた、「シオンの娘に言え、『見よ、あなたの救は来る。見よ、その報いは主と共にあり、その働きの報いは、その前にある』と。 + 彼らは『聖なる民、主にあがなわれた者』ととなえられ、あなたは『人に尋ね求められる者、捨てられない町』ととなえられる」。 + + + 「このエドムから来る者、深紅の衣を着て、ボズラから来る者はだれか。その装いは、はなやかに、大いなる力をもって進み来る者はだれか」。「義をもって語り、救を施す力あるわたしがそれだ」。 + 「何ゆえあなたの装いは赤く、あなたの衣は酒ぶねを踏む者のように赤いのか」。 + 「わたしはひとりで酒ぶねを踏んだ。もろもろの民のなかに、わたしと事を共にする者はなかった。わたしは怒りによって彼らを踏み、憤りによって彼らを踏みにじったので、彼らの血がわが衣にふりかかり、わが装いをことごとく汚した。 + 報復の日がわが心のうちにあり、わがあがないの年が来たからである。 + わたしは見たけれども、助ける者はなく、怪しんだけれども、ささえる者はなかった。それゆえ、わがかいながわたしを勝たせ、わが憤りがわたしをささえた。 + わたしは怒りによって、もろもろの民を踏みにじり、憤りによって彼らを酔わせ、彼らの血を、地に流れさせた」。 + わたしは主がわれわれになされたすべてのことによって、主のいつくしみと、主の誉とを語り告げ、また、そのあわれみにより、その多くのいつくしみによって、イスラエルの家に施されたその大いなる恵みを語り告げよう。 + 主は言われた、「まことに彼らはわが民、偽りのない子らである」と。そして主は彼らの救主となられた。 + 彼らのすべての悩みのとき、主も悩まれて、そのみ前の使をもって彼らを救い、その愛とあわれみとによって彼らをあがない、いにしえの日、つねに彼らをもたげ、彼らを携えられた。 + ところが彼らはそむいてその聖なる霊を憂えさせたので、主はひるがえって彼らの敵となり、みずから彼らと戦われた。 + その時、民はいにしえのモーセの日を思い出して言った、「その群れの牧者を、海から携えあげた者はどこにいるか。彼らの中に聖なる霊をおいた者はどこにいるか。 + 栄光のかいなをモーセの右に行かせ、彼らの前に水を二つに分けて、みずから、とこしえの名をつくり、 + 彼らを導いて、馬が野を走るように、つまずくことなく淵を通らせた者はどこにいるか。 + 谷にくだる家畜のように、主の霊は彼らをいこわせられた。このように、あなたはおのれの民を導いてみずから栄光の名をつくられた」。 + どうか、天から見おろし、その聖なる栄光あるすみかからごらんください。あなたの熱心と、大能とはどこにありますか。あなたのせつなる同情とあわれみとはおさえられて、わたしにあらわれません。 + たといアブラハムがわれわれを知らず、イスラエルがわれわれを認めなくても、あなたはわれわれの父です。主よ、あなたはわれわれの父、いにしえからあなたの名はわれわれのあながい主です。 + 主よ、なぜ、われわれをあなたの道から離れ迷わせ、われわれの心をかたくなにして、あなたを恐れないようにされるのですか。どうぞ、あなたのしもべらのために、あなたの嗣業である部族らのために、お帰りください。 + あなたの聖なる民が、あなたの聖所を獲て間もないのに、われわれのあだは、それを踏みにじりました。 + われわれはあなたによって、いにしえから治められない者のようになり、あなたの名をもって、となえられない者のようになりました。 + + + どうか、あなたが天を裂いて下り、あなたの前に山々が震い動くように。 + 火が柴木を燃やし、火が水を沸かすときのごとく下られるように。そして、み名をあなたのあだにあらわし、もろもろの国をあなたの前に震えおののかせられるように。 + あなたは、われわれが期待しなかった恐るべき事をなされた時に下られたので、山々は震い動いた。 + いにしえからこのかた、あなたのほか神を待ち望む者に、このような事を行われた神を聞いたことはなく、耳に入れたこともなく、目に見たこともない。 + あなたは喜んで義を行い、あなたの道にあって、あなたを記念する者を迎えられる。見よ、あなたは怒られた、われわれは罪を犯した。われわれは久しく罪のうちにあった。われわれは救われるであろうか。 + われわれはみな汚れた人のようになり、われわれの正しい行いは、ことごとく汚れた衣のようである。われわれはみな木の葉のように枯れ、われわれの不義は風のようにわれわれを吹き去る。 + あなたの名を呼ぶ者はなく、みずから励んで、あなたによりすがる者はない。あなたはみ顔を隠して、われわれを顧みられず、われわれをおのれの不義の手に渡された。 + されど主よ、あなたはわれわれの父です。われわれは粘土であって、あなたは陶器師です。われわれはみな、み手のわざです。 + 主よ、ひどくお怒りにならぬように、いつまでも不義をみこころにとめられぬように。どうぞ、われわれを顧みてください。われわれはみな、あなたの民です。 + あなたの聖なる町々は荒野となり、シオンは荒野となり、エルサレムは荒れすたれた。 + われわれの先祖があなたをほめたたえた聖なる麗しいわれわれの宮は火で焼かれ、われわれが慕った所はことごとく荒れはてた。 + 主よ、これらの事があってもなお、あなたはみずからをおさえ、黙して、われわれをいたく苦しめられるのですか。 + + + わたしはわたしを求めなかった者に問われることを喜び、わたしを尋ねなかった者に見いだされることを喜んだ。わたしはわが名を呼ばなかった国民に言った、「わたしはここにいる、わたしはここにいる」と。 + よからぬ道に歩み、自分の思いに従うそむける民に、わたしはひねもす手を伸べて招いた。 + この民はまのあたり常にわたしを怒らせ、園の中で犠牲をささげ、かわらの上で香をたき、 + 墓場にすわり、ひそかな所にやどり、豚の肉を食らい、憎むべき物の、あつものをその器に盛って、 + 言う、「あなたはそこに立って、わたしに近づいてはならない。わたしはあなたと区別されたものだから」と。これらはわが鼻の煙、ひねもす燃える火である。 + 見よ、この事はわが前にしるされた、「わたしは黙っていないで報い返す。そうだ、わたしは彼らのふところに、 + 彼らの不義と、彼らの先祖たちの不義とを共に報い返す。彼らが山の上で香をたき、丘の上でわたしをそしったゆえ、わたしは彼らのさきのわざを量って、そのふところに返す」と主は言われる。 + 主はこう言われる、「人がぶどうのふさの中に、ぶどうのしるのあるのを見るならば、『それを破るな、その中に祝福があるから』と言う。そのようにわたしは、わがしもべらのために行って、ことごとくは滅ぼさない。 + わたしはヤコブから子孫をいだし、ユダからわが山々を受けつぐべき者をいだす。わたしが選んだ者はこれを受けつぎ、わがしもべらはそこに住む。 + シャロンは羊の群れの牧場となり、アコルの谷は牛の群れの伏す所となって、わたしを尋ね求めたわが民のものとなる。 + しかし主を捨て、わが聖なる山を忘れ、机を禍福の神に供え、混ぜ合わせた酒を盛って運命の神にささげるあなたがたよ、 + わたしは、あなたがたをつるぎに渡すことに定めた。あなたがたは皆かがんでほふられる。あなたがたはわたしが呼んだときに答えず、わたしが語ったときに聞かず、わたしの目に悪い事をおこない、わたしの好まなかった事を選んだからだ」。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、「見よ、わがしもべたちは食べる、しかし、あなたがたは飢える。見よ、わがしもべたちは飲む、しかし、あなたがたはかわく。見よ、わがしもべたちは喜ぶ、しかし、あなたがたは恥じる。 + 見よ、わがしもべたちは心の楽しみによって歌う、しかし、あなたがたは心の苦しみによって叫び、たましいの悩みによって泣き叫ぶ。 + あなたがたの残す名はわが選んだ者には、のろいの文句となり、主なる神はあなたがたを殺される。しかし、おのれのしもべたちを、ほかの名をもって呼ばれる。 + それゆえ、地にあっておのれのために祝福を求める者は、真実の神によっておのれの祝福を求め、地にあって誓う者は、真実の神をさして誓う。さきの悩みは忘れられて、わが目から隠れうせるからである。 + 見よ、わたしは新しい天と、新しい地とを創造する。さきの事はおぼえられることなく、心に思い起すことはない。 + しかし、あなたがたはわたしの創造するものにより、とこしえに楽しみ、喜びを得よ。見よ、わたしはエルサレムを造って喜びとし、その民を楽しみとする。 + わたしはエルサレムを喜び、わが民を楽しむ。泣く声と叫ぶ声は再びその中に聞えることはない。 + わずか数日で死ぬみどりごと、おのが命の日を満たさない老人とは、もはやその中にいない。百歳で死ぬ者も、なお若い者とせられ、百歳で死ぬ者は、のろわれた罪びととされる。 + 彼らは家を建てて、それに住み、ぶどう畑を作って、その実を食べる。 + 彼らが建てる所に、ほかの人は住まず、彼らが植えるものは、ほかの人が食べない。わが民の命は、木の命のようになり、わが選んだ者は、その手のわざをながく楽しむからである。 + 彼らの勤労はむだでなく、その生むところの子らは災にかからない。彼らは主に祝福された者のすえであって、その子らも彼らと共におるからである。 + 彼らが呼ばないさきに、わたしは答え、彼らがなお語っているときに、わたしは聞く。 + おおかみと小羊とは共に食らい、ししは牛のようにわらを食らい、へびはちりを食物とする。彼らはわが聖なる山のどこでもそこなうことなく、やぶることはない」と主は言われる。 + + + 主はこう言われる、「天はわが位、地はわが足台である。あなたがたはわたしのためにどんな家を建てようとするのか。またどんな所がわが休み所となるのか」。 + 主は言われる、「わが手はすべてこれらの物を造った。これらの物はことごとくわたしのものである。しかし、わたしが顧みる人はこれである。すなわち、へりくだって心悔い、わが言葉に恐れおののく者である。 + 牛をほふる者は、また人を殺す者、小羊を犠牲とする者は、また犬をくびり殺す者、供え物をささげる者は、また豚の血をささげる者、乳香を記念としてささげる者は、また偶像をほめる者である。これはおのが道を選び、その心は憎むべきものを楽しむ。 + わたしもまた彼らのために悩みを選び、彼らの恐れるところのものを彼らに臨ませる。これは、わたしが呼んだときに答える者なく、わたしが語ったときに聞くことをせず、わたしの目に悪い事を行い、わたしの好まなかった事を選んだからである」。 + あなたがた、主の言葉に恐れおののく者よ、主の言葉を聞け、「あなたがたの兄弟たちはあなたがたを憎み、あなたがたをわが名のために追い出して言った、『願わくは主がその栄光をあらわしてわれわれにあなたがたの喜びを見させよ』と。しかし彼らは恥を受ける。 + 聞けよ、町から起る騒ぎを。宮から聞える声を。主がその敵に報復される声を。 + シオンは産みの苦しみをなす前に産み、その苦しみの来ない前に男子を産んだ。 + だれがこのような事を聞いたか、だれがこのような事どもを見たか。一つの国は一日の苦しみで生れるだろうか。一つの国民はひと時に生れるだろうか。しかし、シオンは産みの苦しみをするやいなやその子らを産んだ。 + わたしが出産に臨ませて産ませないことがあろうか」と主は言われる。「わたしは産ませる者なのに胎をとざすであろうか」とあなたの神は言われる。 + 「すべてエルサレムを愛する者よ、彼女と共に喜べ、彼女のゆえに楽しめ。すべて彼女のために悲しむ者よ、彼女と共に喜び楽しめ。 + あなたがたは慰めを与えるエルサレムの乳ぶさから乳を吸って飽くことができ、またその豊かな栄えから飲んで楽しむことができるからだ」。 + 主はこう言われる、「見よ、わたしは川のように彼女に繁栄を与え、みなぎる流れのように、もろもろの国の富を与える。あなたがたは乳を飲み、腰に負われ、ひざの上であやされる。 + 母のその子を慰めるように、わたしもあなたがたを慰める。あなたがたはエルサレムで慰めを得る。 + あなたがたは見て、心喜び、あなたがたの骨は若草のように栄える。主の手はそのしもべらと共にあり、その憤りはその敵にむかっていることを知る。 + 見よ、主は火の中にあらわれて来られる。その車はつむじ風のようだ。激しい怒りをもってその憤りをもらし、火の炎をもって責められる。 + 主は火をもって、またつるぎをもって、すべての人にさばきを行われる。主に殺される者は多い」。 + 「みずからを聖別し、みずからを清めて園に行き、その中にあるものに従い、豚の肉、憎むべき物およびねずみを食う者はみな共に絶えうせる」と主は言われる。 + 「わたしは彼らのわざと、彼らの思いとを知っている。わたしは来て、すべての国民と、もろもろのやからとを集める。彼らは来て、わが栄光を見る。 + わたしは彼らの中に一つのしるしを立てて、のがれた者をもろもろの国、すなわちタルシシ、よく弓をひくプトおよびルデ、トバル、ヤワン、またわが名声を聞かず、わが栄光を見ない遠くの海沿いの国々につかわす。彼らはわが栄光をもろもろの国民の中に伝える。 + 彼らはイスラエルの子らが清い器に供え物を盛って主の宮に携えて来るように、あなたがたの兄弟をことごとくもろもろの国の中から馬、車、かご、騾馬、らくだに乗せて、わが聖なる山エルサレムにこさせ、主の供え物とする」と主は言われる。 + 「わたしはまた彼らの中から人を選んで祭司とし、レビびととする」と主は言われる。 + 「わたしが造ろうとする新しい天と、新しい地がわたしの前にながくとどまるように、あなたの子孫と、あなたの名はながくとどまる」と主は言われる。 + 「新月ごとに、安息日ごとに、すべての人はわが前に来て礼拝する」と主は言われる。 + 「彼らは出て、わたしにそむいた人々のしかばねを見る。そのうじは死なず、その火は消えることがない。彼らはすべての人に忌みきらわれる」。 + +
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+ + ベニヤミンの地アナトテの祭司のひとりである、ヒルキヤの子エレミヤの言葉。 + アモンの子、ユダの王ヨシヤの時、すなわちその治世の十三年に、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + その言葉はまたヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの時にも臨んで、ヨシヤの子、ユダの王ゼデキヤの十一年の終り、すなわちその年の五月にエルサレムの民が捕え移された時にまで及んだ。 + 主の言葉がわたしに臨んで言う、 + 「わたしはあなたをまだ母の胎につくらないさきに、あなたを知り、あなたがまだ生れないさきに、あなたを聖別し、あなたを立てて万国の預言者とした」。 + その時わたしは言った、「ああ、主なる神よ、わたしはただ若者にすぎず、どのように語ってよいか知りません」。 + しかし主はわたしに言われた、「あなたはただ若者にすぎないと言ってはならない。だれにでも、すべてわたしがつかわす人へ行き、あなたに命じることをみな語らなければならない。 + 彼らを恐れてはならない、わたしがあなたと共にいて、あなたを救うからである」と主は仰せられる。 + そして主はみ手を伸べて、わたしの口につけ、主はわたしに言われた、「見よ、わたしの言葉をあなたの口に入れた。 + 見よ、わたしはきょう、あなたを万民の上と、万国の上に立て、あなたに、あるいは抜き、あるいはこわし、あるいは滅ぼし、あるいは倒し、あるいは建て、あるいは植えさせる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んで言う、「エレミヤよ、あなたは何を見るか」。わたしは答えた、「あめんどうの枝を見ます」。 + 主はわたしに言われた、「あなたの見たとおりだ。わたしは自分の言葉を行おうとして見張っているのだ」。 + 主の言葉がふたたびわたしに臨んで言う、「あなたは何を見るか」。わたしは答えた、「煮え立っているなべを見ます。北からこちらに向かっています」。 + 主はわたしに言われた、「災が北から起って、この地に住むすべての者の上に臨む」。 + 主は言われる、「見よ、わたしは北の国々のすべての民を呼ぶ。彼らは来て、エルサレムの門の入口と、周囲のすべての城壁、およびユダのすべての町々に向かって、おのおのその座を設ける。 + わたしは、彼らがわたしを捨てて、すべての悪事を行ったゆえに、わたしのさばきを彼らに告げる。彼らは他の神々に香をたき、自分の手で作った物を拝したのである。 + しかしあなたは腰に帯して立ち、わたしが命じるすべての事を彼らに告げよ。彼らを恐れてはならない。さもないと、わたしは彼らの前であなたをあわてさせる。 + 見よ、わたしはきょう、この全国と、ユダの王と、そのつかさと、その祭司と、その地の民の前に、あなたを堅き城、鉄の柱、青銅の城壁とする。 + 彼らはあなたと戦うが、あなたに勝つことはできない。わたしがあなたと共にいて、あなたを救うからである」と主は言われる。 + + + 主の言葉がわたしに臨んで言う、 + 「行って、エルサレムに住む者の耳に告げよ、主はこう言われる、わたしはあなたの若い時の純情、花嫁の時の愛、荒野なる、種まかぬ地でわたしに従ったことを覚えている。 + イスラエルは主のために聖別されたもの、その刈入れの初穂である。すべてこれを食べる者は罪せられ、災にあう」と主は言われる。 + ヤコブの家とイスラエルの家のすべてのやからよ、主の言葉を聞け。 + 主はこう言われる、「あなたがたの先祖は、わたしになんの悪い事があるのを見て、わたしから遠ざかり、むなしいものに従って、むなしくなったのか。 + 彼らは言わなかった、『われわれをエジプトの地より導き出し、荒野なる、穴の多い荒れた地、かわいた濃い暗黒の地、人の通らない、人の住まない地を通らせた主はどこにおられるか』と。 + わたしはあなたがたを導いて豊かな地に入れ、その実と良い物を食べさせた。しかしあなたがたはここにはいって、わたしの地を汚し、わたしの嗣業を憎むべきものとした。 + 祭司たちは、『主はどこにおられるか』と言わなかった。律法を扱う者たちはわたしを知らず、つかさたちはわたしにそむき、預言者たちはバアルによって預言し、益なき者に従って行った。 + それゆえ、わたしはなお、あなたがたと争う、またあなたがたの子孫と争う」と主は言われる。 + 「あなたがたはクプロの島々に渡ってみよ、また人をケダルにつかわして、このようなことがかつてあったかをつまびらかに、しらべてみよ。 + その神を神ではない者に取り替えた国があろうか。ところが、わたしの民はその栄光を益なきものと取り替えた。 + 天よ、この事を知って驚け、おののけ、いたく恐れよ」と主は言われる。 + 「それは、わたしの民が二つの悪しき事を行ったからである。すなわち生ける水の源であるわたしを捨てて、自分で水ためを掘った。それは、こわれた水ためで、水を入れておくことのできないものだ。 + イスラエルは奴隷であるか、家に生れたしもべであるか。それならなぜ捕われの身となったのか。 + ししは彼に向かってほえ、その声を高くあげて、彼の地を荒した。その町々は滅びて住む人もない。 + メンピスとタパネスの人々もまた、あなたのかしらの冠を砕いた。 + あなたの神、主があなたを道に導かれた時、あなたは主を捨てたので、この事があなたに及んだのではないか。 + あなたがナイルの水を飲もうとして、エジプトへ行くのは何のためか。またユフラテの水を飲もうとして、アッスリヤへ行くのは何のためか。 + あなたの悪事はあなたを懲しめ、あなたの背信はあなたを責める。あなたが、あなたの神、主を捨てることの悪しくかつ苦いことであるのを見て知るがよい。わたしを恐れることがあなたのうちにないのだ」と万軍の神、主は言われる。 + 「あなたは久しい以前に自分のくびきを折り、自分のなわめを断ち切って、『わたしは仕えることをしない』と言った。そして、すべての高い丘の上と、すべての青木の下で、遊女のように身をかがめた。 + わたしはあなたを、まったく良い種のすぐれたぶどうの木として植えたのに、どうしてあなたは変って、悪い野ぶどうの木となったのか。 + たといソーダをもって自ら洗い、また多くの灰汁を用いても、あなたの悪の汚れは、なおわたしの前にある」と主なる神は言われる。 + 「どうしてあなたは、『わたしは汚れていない、バアルに従わなかった』と言うことができようか。谷の中でのあなたの行いを見るがよい。あなたのしたことを知るがよい。あなたは御しがたい若いらくだであって、その道を行きつもどりつする。 + あなたは荒野に慣れた野の雌ろばである、その欲情のために風にあえぐ。その欲情をだれがとどめることができようか。すべてこれを尋ねる者は苦労するにおよばない、その月であればこれに会うことができる。 + あなたの足が、はだしにならないように、のどが、かわかないようにせよ。ところが、あなたは言った、『それはだめだ、わたしは異なる国の者を愛して、それに従って行こう』と。 + 盗びとが捕えられて、はずかしめを受けるように、イスラエルの家は、はずかしめを受ける。彼らはその王も、そのつかさも、その祭司も、その預言者もみなそのとおりである。 + 彼らは木に向かって、『あなたはわたしの父です』と言い、また石に向かって、『あなたはわたしを生んでくださった』と言う。彼らは背をわたしに向けて、その顔をわたしに向けない。しかし彼らが災にあう時は、『立って、われわれを救いたまえ』と言う。 + あなたが自分のために造った神々はどこにいるのか。あなたが災にあう時、もし彼らがあなたを救えるなら、立ってもらうがよい。ユダよ、あなたの神々は、あなたの町の数ほど多いからである。 + あなたがたは、なぜわたしと争うのか。あなたがたは皆わたしにそむいている」と主は言われる。 + 「わたしがあなたがたの子どもたちを打ったのはむだであった。彼らは戒めを受けず、あなたがたのつるぎは、たけりたつししのように、預言者たちを滅ぼした。 + あなたがたこの世代の人よ、主の言葉を聞け。わたしはイスラエルにとって、荒野であったであろうか。暗黒の地であったであろうか。それならなぜ、わたしの民は『われわれは自由だ、もはやあなたのところへは行かない』と言うのか。 + おとめはその飾り物を忘れることができようか。花嫁はその帯を忘れることができようか。ところが、わたしの民の、わたしを忘れた日は数えがたい。 + あなたは恋人を尋ねて、いかにも巧みにその方に足を向ける。それゆえ悪い女さえ、あなたの道を学んだ。 + また、あなたの着物のすそには罪のない貧しい人の命の血がついている。あなたは彼らが押し入るのを見たのではない。しかも、すべてこれらの事にもかかわらず、 + あなたは言う、『わたしは罪がない。彼の怒りは、決してわたしに臨むことがない』と。あなたが『わたしは罪を犯さなかった』と言うことによって、わたしはあなたをさばく。 + あなたはなぜ軽々しくさまよって、その道を変えようとするのか。あなたはアッスリヤに、はずかしめを受けたように、エジプトにもまた、はずかしめを受ける。 + あなたはまた両手を頭に置いて、そこから出て来る。主があなたの頼みとする者どもを捨てられたので、あなたは彼らによって栄えることがないからだ。 + + + もし人がその妻を離婚し、女が彼のもとを去って、他人の妻となるなら、その人はふたたび彼女に帰るであろうか。その地は大いに汚れないであろうか。あなたは多くの恋人と姦淫を行った。しかもわたしに帰ろうというのか」と主は言われる。 + 「目をあげてもろもろの裸の山を見よ、姦淫を行わなかった所がどこにあるか。荒野にいるアラビヤびとがするように、あなたは道のかたわらに座して恋人を待った。あなたは姦淫の悪事をもって、この地を汚した。 + それゆえ雨はとどめられ、春の雨は降らなかった。しかもあなたには遊女の額があり、少しも恥じようとはしない。 + 今あなたは、わたしを呼んで言ったではないか、『わが父よ、あなたはわたしの若い時の友です。 + 永久に怒られるのですか、終りまで憤られるのですか』と。見よ、あなたはこう言ったけれども、なしうるかぎりのもろもろの悪を行った」。 + ヨシヤ王の時、主はまたわたしに言われた、「あなたは、かの背信のイスラエルがしたことを見たか。彼女はすべての高い丘にのぼり、すべての青木の下に行って、そこで姦淫を行った。 + わたしは、彼女がこのすべてを行った後、わたしの所に帰るであろうと思ったが、帰ってこなかった。その不信の姉妹ユダはこれを見た。 + わたしが背信のイスラエルを、そのすべての姦淫のゆえに、離縁状を与えて出したのをユダは見た。しかもその不信の姉妹ユダは恐れず、自分も行って姦淫を行った。 + 彼女にとって姦淫は軽いことであったので、石と木とに姦淫を行って、この地を汚した。 + このすべての事があっても、なおその不信の姉妹ユダは真心をもってわたしに帰らない、ただ偽っているだけだ」と主は言われる。 + 主はまたわたしに言われた、「背信のイスラエルは不信のユダよりも自分の罪の少ないことを示した。 + あなたは行って北にむかい、この言葉をのべて言うがよい、『主は言われる、背信のイスラエルよ、帰れ。わたしは怒りの顔をあなたがたに向けない、わたしはいつくしみ深い者である。いつまでも怒ることはしないと、主は言われる。 + ただあなたは自分の罪を認め、あなたの神、主にそむいてすべての青木の下で異なる神々にあなたの愛を惜しまず与えたこと、わたしの声に聞き従わなかったことを言いあらわせと、主は言われる。 + 主は言われる、背信の子らよ、帰れ。わたしはあなたがたの夫だからである。町からひとり、氏族からふたりを取って、あなたがたをシオンへ連れて行こう。 + わたしは自分の心にかなう牧者たちをあなたがたに与える。彼らは知識と悟りとをもってあなたがたを養う。 + 主は言われる、あなたがたが地に増して多くなるとき、その日には、人々はかさねて「主の契約の箱」と言わず、これを思い出さず、これを覚えず、これを尋ねず、これを作らない。 + そのときエルサレムは主のみ位ととなえられ、万国の民はここに集まる。すなわち主の名のもとにエルサレムに集まり、かさねて、かたくなに自分の悪い心に従うことはしない。 + その日には、ユダの家はイスラエルの家と一緒になり、北の地から出て、わたしがあなたがたの先祖たちに嗣業として与えた地に共に来る。 + どのようにして、あなたをわたしの子どもたちのうちに置き、万国のうちで最も美しい嗣業である良い地をあなたに与えようかと、わたしは思っていた。わたしはまた、あなたがわたしを「わが父」と呼び、わたしに従って離れることはないと思っていた。 + イスラエルの家よ、背信の妻が夫のもとを去るように、たしかに、あなたがたはわたしにそむいた』と主は言われる」。 + 裸の山の上に声が聞える、イスラエルの民が悲しみ祈るのである。彼らが曲った道に歩み、その神、主を忘れたからだ。 + 「背信の子どもたちよ、帰れ。わたしはあなたがたの背信をいやす」。「見よ、われわれはあなたのもとに帰ります。あなたはわれわれの神、主であらせられます。 + まことに、もろもろの丘は迷いであり、山の上の騒ぎも同じです。まことに、イスラエルの救はわれわれの神、主にあるのです。 + しかし、われわれの幼少の時から、恥ずべきことが、われわれの先祖のほねおって得たもの、すなわちその羊、その牛、およびそのむすこ、娘たちをことごとくのみ尽しました。 + われわれは恥の中に伏し、はずかしめにおおわれています。それはわれわれと先祖とが、われわれの幼少の時から今日まで、われわれの神、主に罪を犯し、われわれの神、主の声に従わなかったからです」。 + + + 主は言われる、「イスラエルよ、もし、あなたが帰るならば、わたしのもとに帰らなければならない。もし、あなたが憎むべき者をわたしの前から取り除いて、ためらうことなく、 + また真実と正義と正直とをもって、『主は生きておられる』と誓うならば、万国の民は彼によって祝福を受け、彼によって誇る」。 + 主はユダの人々とエルサレムに住む人々にこう言われる、「あなたがたの新田を耕せ、いばらの中に種をまくな。 + ユダの人々とエルサレムに住む人々よ、あなたがたは自ら割礼を行って、主に属するものとなり、自分の心の前の皮を取り去れ。さもないと、あなたがたの悪しき行いのためにわたしの怒りが火のように発して燃え、これを消す者はない」。 + ユダに告げ、エルサレムに示して言え、「国中にラッパを吹き、大声に呼ばわって言え、『集まれ、われわれは堅固な町々へ行こう』と。 + シオンの方を示す旗を立てよ。避難せよ、とどまってはならない、わたしが北から災と大いなる破滅をこさせるからだ。 + ししはその森から出てのぼり、国々を滅ぼす者は進んできた。彼はあなたの国を荒そうとして、すでにその所から出てきた。あなたの町々は滅ぼされて、住む者もなくなる。 + このために、あなたがたは荒布を身にまとって、悲しみ嘆け。主の激しい怒りが、まだわれわれを離れないからだ」。 + 主は言われる、「その日、王と君たちとはその心を失い、祭司は驚き、預言者は怪しむ」。 + そこでわたしは言った、「ああ主なる神よ、まことにあなたはこの民とエルサレムとをまったく欺かれました。『あなたがたは安らかになる』と言われましたが、つるぎが命にまでも及びました」。 + その時この民とエルサレムとはこう告げられる、「熱い風が荒野の裸の山からわたしの民の娘のほうに吹いてくる。これはあおぎ分けるためではなく、清めるためでもない。 + これよりもなお激しい風がわたしのために吹く。いまわたしは彼らにさばきを告げる」。 + 見よ、彼は雲のように上ってくる。その戦車はつむじ風のよう、その馬はわしの飛ぶよりも速い。ああ、われわれはわざわいだ、われわれは滅ぼされる。 + エルサレムよ、あなたの心の悪を洗い清めよ、そうするならば救われる。悪しき思いはいつまであなたのうちにとどまるのか。 + ダンから告げる声がある、エフライムの山から災を知らせている。 + 国々の民に彼の来ることを告げ、またエルサレムに知らせよ。「攻めかこむ者が遠くの国から来て、ユダの町々にむかってその声をあげる。 + 彼らは畑を守る者のようにこれを攻めかこむ。それはわたしにそむいたからだと、主は言われる。 + あなたの道とその行いとが、あなたの身にこれを招いたのだ。これはあなたの悪の結果で、まことに苦く、あなたの心をつらぬく」。 + ああ、わがはらわたよ、わがはらわたよ、わたしは苦しみにもだえる。ああ、わが心臓の壁よ、わたしの心臓は、はげしく鼓動する。わたしは沈黙を守ることができない、ラッパの声と、戦いの叫びを聞くからである。 + 破壊に次ぐに破壊があり、全地は荒され、わたしの天幕はにわかに破られ、わたしの幕はたちまち破られた。 + いつまでわたしは旗を見、またラッパの声を聞かなければならないのか。 + 「わたしの民は愚かであって、わたしを知らない。彼らは愚鈍な子どもらで、悟ることがない。彼らは悪を行うのにさといけれども、善を行うことを知らない」。 + わたしは地を見たが、それは形がなく、またむなしかった。天をあおいだが、そこには光がなかった。 + わたしは山を見たが、みな震え、もろもろの丘は動いていた。 + わたしは見たが、人はひとりもおらず、空の鳥はみな飛び去っていた。 + わたしは見たが、豊かな地は荒れ地となり、そのすべての町は、主の前に、その激しい怒りの前に、破壊されていた。 + それは主がこう言われたからだ、「全地は荒れ地となる。しかしわたしはことごとくはこれを滅ぼさない。 + このために地は悲しみ、上なる天は暗くなる。わたしがすでにこれを言い、これを定めたからだ。わたしは悔いない、またそれをする事をやめない」。 + どの町の人も、騎兵と射手の叫びのために逃げて森に入り、岩に上る。町はみな捨てられ、そこに住む人はない。 + ああ、荒された女よ、あなたが紅の着物をき、金の飾りで身をよそおい、目を塗って大きくするのは、なんのためか。あなたが美しくしても、むだである。あなたの恋人らはあなたを卑しめ、あなたの命を求めている。 + わたしは子を産む女のような声、ういごを産む女の苦しむような声を聞いた。シオンの娘のあえぐ叫びである。両手を伸べて彼女は言う、「わたしはわざわいだ、わたしを殺す者らの前にわたしは気が遠くなる」と。 + + + エルサレムのちまたを行きめぐり、見て、知るがよい。その広場を尋ねて、公平を行い、真実を求める者が、ひとりでもあるか捜してみよ。あれば、わたしはエルサレムをゆるす。 + 彼らは、「主は生きておられる」と言うけれども、実は、偽って誓うのだ。 + 主よ、あなたの目は、真実を顧みられるではありませんか。あなたが彼らを打たれても、痛みを覚えず、彼らを滅ぼされても、懲しめを受けることを拒み、その顔を岩よりも堅くして、悔い改めることを拒みました。 + それで、わたしは言った、「これらはただ貧しい愚かな人々で、主の道と、神のおきてを知りません。 + わたしは偉い人たちの所へ行って、彼らに語ります。彼らは主の道を知り、神のおきてを知っています」。ところが、彼らも皆おなじように、くびきを折り、なわめを断っていた。 + それゆえ林から、ししが出てきて彼らを殺し、荒野から、おおかみが出てきて彼らを滅ぼす。ひょうは彼らの町々をねらっている。そこから出る者はみな裂かれる。彼らの罪が多く、その背信がはなはだしいからである。 + 「わたしはどうしてあなたを、ゆるすことができようか。あなたの子どもらは、わたしを捨てさり、神でもないものをさして誓った。わたしが彼らを満ち足らせた時、彼らは姦淫を行い、遊女の家に群れ集まった。 + 彼らは肥え太った丈夫な雄馬のように、おのおの、いなないて隣の妻を慕う。 + わたしはこれらの事のために彼らを罰しないでいられようか。このような国民にあだを返さないであろうか」と主は言われる。 + 「あなたがたはユダのぶどうの並み木の間を、のぼって行って、滅ぼせ、ただ、ことごとく滅ぼしてはならない。その枝を切り除け、主のものではないからである。 + イスラエルの家とユダの家とはわたしにまったく不信であった」と主は言われる。 + 「彼らは主について偽り語って言った、『主は何事もなされない、災はわれわれに来ない、またつるぎや、ききんを見ることはない。 + 預言者らは風となり、彼らのうちに言葉はない。彼らはこのようになる』と」。 + それゆえ万軍の神、主はこう言われる、「彼らがこの言葉を語ったので、見よ、わたしはあなたの口にあるわたしの言葉を火とし、この民をたきぎとする。火は彼らを焼き尽す」。 + 主は言われる、「イスラエルの家よ、見よ、わたしは遠い国の民をあなたがたのところに攻めこさせる。その国は長く続く国、古い国で、あなたがたはその国の言葉を知らず、人々の語るのを悟ることもできない。 + その箙は開いた墓のようであり、彼らはみな勇士である。 + 彼らはあなたが刈り入れた物と、あなたの糧食とを食い尽し、あなたのむすこ娘を食い尽し、あなたの羊と牛を食い尽し、あなたのぶどうの木といちじくの木を食い尽し、またつるぎをもって、あなたが頼みとする堅固な町々を滅ぼす」。 + 主は言われる、「しかしその時でも、わたしはことごとくはあなたを滅ぼさない。 + あなたの民が、『どうしてわれわれの神、主はこれらのすべての事をわれわれになされたのか』と言うならば、あなたは彼らに答えなければならない、『あなたがたがわたしを捨てて、自分の地で異なる神々に仕えたように、あなたがたは自分のものでない地で異邦の人に仕えるようになる』と」。 + これをヤコブの家にのべ、またユダに示して言え、 + 「愚かで、悟りもなく、目があっても見えず、耳があっても聞えない民よ、これを聞け。 + 主は言われる、あなたがたはわたしを恐れないのか、わたしの前におののかないのか。わたしは砂を置いて海の境とし、これを永遠の限界として、越えることができないようにした。波はさかまいても、勝つことはできない、鳴りわたっても、これを越えることはできない。 + ところが、この民には強情な、そむく心があり、彼らはわき道にそれて、去ってしまった。 + 彼らは『われわれに雨を与え、秋の雨と春の雨を時にしたがって降らせ、われわれのために刈入れの時を定められたわれわれの神、主を恐れよう』とその心のうちに言わないのだ。 + あなたがたのとがは、これらの事をしりぞけ、あなたがたの罪は、良い物があなたがたに来るのをさまたげた。 + わが民のうちには悪い者があって、鳥をとる人のように身をかがめてうかがい、わなを置いて人を捕える。 + かごに鳥が満ちているように、彼らの家は不義の宝で満ちている。それゆえ、彼らは大いなる者、裕福な者となり、 + 肥えて、つやがあり、その悪しき行いには際限がない。彼らは公正に、みなしごの訴えをさばいて、それを助けようとはせず、また貧しい人の訴えをさばかない。 + 主は言われる、わたしはこのような事のために、彼らを罰しないであろうか。わたしはこのような民に、あだを返さないであろうか」。 + 驚くべきこと、恐るべきことがこの地に起っている。 + 預言者は偽って預言し、祭司は自分の手によって治め、わが民はこのようにすることを愛している。しかしあなたがたはその終りにはどうするつもりか。 + + + ベニヤミンの人々よ、エルサレムの中から避難せよ。テコアでラッパを吹き、ベテハケレムに合図の火をあげよ。北から災が臨み、大いなる滅びが来るからである。 + わたしは美しい、たおやかなシオンの娘を滅ぼす。 + 牧者たちは、その群れをひきいて来て、彼女を攻め、彼女の周囲に天幕を張る。群れはおのおのその所で草を食う。 + 「戦いを始め、彼女を攻めよ。立て、われわれは真昼に攻撃しよう」。「わざわいなるかな、日ははや傾き、夕日の影は長くなった」。 + 「立て、われわれは夜の間に攻撃しよう、そして彼女のもろもろの宮殿を破壊しよう」。 + 万軍の主はこう言われる、「あなたがたは彼女の木を切り倒し、エルサレムにむかって塁を築け。これは罰すべき町である、そのうちにはただ圧制だけがある。 + 井戸に新しい水がわくように彼女はその悪を常にあらたに流す。そのうちには暴虐と破滅とが聞える。わたしの前に病と傷とが絶えない。 + エルサレムよ、戒めを受けいれよ。さもないと、わたしはあなたから離れ、あなたを荒れ地とし、住む人のない地とする」。 + 万軍の主はこう言われる、「ぶどうの残りを摘みとるように、イスラエルの残りの民をのこらず摘み取れ。ぶどうを摘みとる人のように、あなたの手をふたたびその枝に伸ばせ」。 + わたしはだれに語り、だれを戒めて、聞かせようか。見よ、彼らの耳は閉ざされて、聞くことができない。見よ、彼らは主の言葉をあざけり、それを喜ばない。 + それゆえ、わたしの身には主の怒りが満ち、それを忍ぶのに、うみつかれている。「それをちまたにいる子供らと、集まっている若い人々とに漏らせ。夫も妻も、老いた人も、年のひじょうに進んだ人も捕えられ、 + 彼らの家と畑と妻とは共に他人に渡る。わたしが手を伸ばして、この地に住む者を撃つからである」と主は言われる。 + 「それは彼らが、小さい者から大きい者まで、みな不正な利をむさぼり、また預言者から祭司にいたるまで、みな偽りを行っているからだ。 + 彼らは、手軽にわたしの民の傷をいやし、平安がないのに『平安、平安』と言っている。 + 彼らは憎むべきことをして、恥じたであろうか。すこしも恥ずかしいとは思わず、また恥じることを知らなかった。それゆえ彼らは倒れる者と共に倒れる。わたしが彼らを罰するとき、彼らは倒れる」と主は言われる。 + 主はこう言われる、「あなたがたはわかれ道に立って、よく見、いにしえの道につき、良い道がどれかを尋ねて、その道に歩み、そしてあなたがたの魂のために、安息を得よ。しかし彼らは答えて、『われわれはその道に歩まない』と言った。 + わたしはあなたがたの上に見張びとを立て、『ラッパの音に気をつけよ』と言った。しかし彼らは答えて、『われわれは気をつけることはしない』と言った。 + それゆえ国々の民よ、聞け。会衆よ、彼らにどのようなことが起るかを知れ。 + 地よ、聞け。見よ、わたしはこの民に災をくだす。それは彼らのたくらみの実である。彼らがわたしの言葉に気をつけず、わたしのおきてを捨てたからである。 + シバから、わたしの所に乳香が来、遠い国から、菖蒲が来るのはなんのためか。あなたがたの燔祭はわたしには喜ばしくなく、あなたがたの犠牲もうれしくはない。 + それゆえ主はこう言われる、『見よ、わたしはこの民の前につまずく石を置く、人々は父も子も共にそれにつまずき、隣り人もその友も滅びる』」。 + 主はこう言われる、「見よ、民が北の国から来る、大いなる国民が地の果から興る。 + 彼らは弓とやりをとる。彼らは残忍で、あわれみがなく、海のような響きを立てる。シオンの娘よ、彼らは馬に乗り、いくさ人のように身をよろって、あなたを攻める」。 + われわれはそのうわさを聞いて、手は弱り、子を産む女に臨むような悩みと苦しみとに捕えられた。 + 畑に出てはならない、また道を歩いてはならない。敵はつるぎを持ち、恐れが四方にあるからだ。 + わが民の娘よ、荒布を身にまとい、灰の中にまろび、ひとり子を失った時のように、悲しみ、いたく嘆け。滅ぼす者が、にわかにわれわれを襲うからだ。 + 「わたしはあなたを民のうちに立てて、ためす者、試みる者とした。あなたが彼らの道を知り、それをためすことができるようにするためである。 + 彼らはみな、強情な反逆者であって、歩きまわって人をそしる。彼らは青銅や鉄であって、みな卑しいことを行う。 + ふいごは激しく吹き、鉛は火にとけて尽き、精錬はいたずらに進む。悪しき者がまだ除かれないからである。 + 主が彼らを捨てられたので、彼らは捨てられた銀と呼ばれる」。 + + + 主からエレミヤに臨んだ言葉はこうである。 + 「主の家の門に立ち、その所で、この言葉をのべて言え、主を拝むために、この門をはいるユダのすべての人よ、主の言葉を聞け。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、あなたがたの道とあなたがたの行いを改めるならば、わたしはあなたがたをこの所に住まわせる。 + あなたがたは、『これは主の神殿だ、主の神殿だ、主の神殿だ』という偽りの言葉を頼みとしてはならない。 + もしあなたがたが、まことに、その道と行いを改めて、互に公正を行い、 + 寄留の他国人と、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪のない人の血をこの所に流すことなく、また、ほかの神々に従って自ら害をまねくことをしないならば、 + わたしはあなたがたを、わたしが昔あなたがたの先祖に与えたこの地に永遠に住まわせる。 + 見よ、あなたがたは偽りの言葉を頼みとしているが、それはむだである。 + あなたがたは盗み、殺し、姦淫し、偽って誓い、バアルに香をたき、あなたがたが以前には知らなかった他の神々に従いながら、 + わたしの名をもって、となえられるこの家に来てわたしの前に立ち、『われわれは救われた』と言い、しかもすべてこれら憎むべきことを行うのは、どうしたことか。 + わたしの名をもって、となえられるこの家が、あなたがたの目には盗賊の巣と見えるのか。わたし自身、そう見たと主は言われる。 + わたしが初めにわたしの名を置いた場所シロへ行き、わが民イスラエルの悪のために、わたしがその場所に対して行ったことを見よ。 + 主は言われる、今あなたがたはこれらのすべてのことを行っている。またわたしはあなたがたに、しきりに語ったけれども、あなたがたは聞かず、あなたがたを呼んだけれども答えなかった。 + それゆえわたしはシロに対して行ったように、わたしの名をもって、となえられるこの家にも行う。すなわちあなたがたが頼みとする所、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖に与えたこの所に行う。 + そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟、すなわちエフライムのすべての子孫を捨てたように、わたしの前からあなたがたをも捨てる。 + あなたはこの民のために祈ってはならない。彼らのために嘆き、祈ってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求めを聞かない。 + あなたは彼らがユダの町々と、エルサレムのちまたでしていることを見ないのか。 + 子どもらは、たきぎを集め、父たちは火をたき、女は粉をこね、パンを造ってこれを天后に供える。また彼らは他の神々の前に酒を注いで、わたしを怒らせる。 + 主は言われる、彼らが怒らせるのはわたしなのか。自分たち自身ではないのか。そして自らうろたえている。 + それゆえ主なる神はこう言われる、見よ、わたしの怒りと憤りを、この所と、人と獣と、畑の木と、地の産物とに注ぐ。怒りは燃えて消えることがない」。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、「あなたがたの犠牲に燔祭の物を合わせて肉を食べるがよい。 + それはあなたがたの先祖をエジプトの地から導き出した日に、わたしは燔祭と犠牲とについて彼らに語ったこともなく、また命じたこともないからである。 + ただわたしはこの戒めを彼らに与えて言った、『わたしの声に聞きしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神となり、あなたがたはわたしの民となる。わたしがあなたがたに命じるすべての道を歩んで幸を得なさい』と。 + しかし彼らは聞き従わず、耳を傾けず、自分の悪い心の計りごとと強情にしたがって歩み、悪くなるばかりで、よくはならなかった。 + あなたがたの先祖がエジプトの地を出た日から今日まで、わたしはわたしのしもべである預言者たちを日々彼らにつかわした。 + しかし彼らはわたしに聞かず、耳を傾けないで強情になり、先祖たちにもまさって悪を行った。 + たといあなたが彼らにこのすべての言葉を語っても彼らは聞かない。また彼らを呼んでもあなたに答えない。 + それゆえ、あなたはこう彼らに言わなければならない、『これはその神、主の声に聞き従わず、その戒めを受けいれなかった国民である。真実はうせ、彼らの口から絶えた。 + あなたの髪の毛を切って捨てよ、裸の山の上に嘆きの声をあげよ。主が、お怒りになっている世の人を退け捨てられたからだ』。 + 主は言われる、ユダの民はわたしの前に悪を行い、わたしの名をもってとなえられる家に、憎むべき者を置いてそこを汚した。 + またベンヒンノムの谷にあるトペテの高き所を築いて、むすこ娘を火に焼いた。わたしはそれを命じたことはなく、またそのようなことを考えたこともなかった。 + 主は言われる、それゆえに見よ、その所をトペテ、またはベンヒンノムの谷と呼ばないで、ほふりの谷と呼ぶ日が来る。それはほかに場所がないので、トペテに葬るからである。 + この民の死体は空の鳥と地の獣の食物となり、これを追い払う者もない。 + そのときわたしはユダの町々とエルサレムのちまたに、喜びの声、楽しみの声、花婿の声、花嫁の声を絶やす。この地は荒れ果てるからである。 + + + 主は言われる、その時ユダの王たちの骨と、そのつかさたちの骨と、祭司たちの骨と、預言者たちの骨と、エルサレムに住む人々の骨は墓より掘り出されて、 + 彼らの愛し、仕え、従い、求め、また拝んだ、日と月と天の衆群の前にさらされる。その骨は集める者も葬る者もなく、地のおもてに糞土のようになる。 + この悪しき民のうちの残っている残りの者はみな、わたしが追いやった場所で、生きることよりも死ぬことを願うようになると、万軍の主は言われる。 + あなたは彼らに言わなければならない。主はこう仰せられる、人は倒れたならば、また起きあがらないであろうか。離れていったならば、帰ってこないであろうか。 + それにどうしてこの民は、常にそむいて離れていくのか。彼らは偽りを固くとらえて、帰ってくることを拒んでいる。 + わたしは気をつけて聞いたが、彼らは正しくは語らなかった。その悪を悔いて、『わたしのした事は何か』という者はひとりもない。彼らはみな戦場に、はせ入る馬のように、自分のすきな道に向かう。 + 空のこうのとりでもその時を知り、山ばとと、つばめと、つるはその来る時を守る。しかしわが民は主のおきてを知らない。 + どうしてあなたがたは、『われわれには知恵がある、主のおきてがある』と言うことができようか。見よ、まことに書記の偽りの筆がこれを偽りにしたのだ。 + 知恵ある者は、はずかしめられ、あわてふためき、捕えられる。見よ、彼らは主の言葉を捨てた、彼らになんの知恵があろうか。 + それゆえ、わたしは彼らの妻を他人に与え、その畑を征服者に与える。それは彼らが小さい者から大きい者にいたるまで、みな不正な利をむさぼり、預言者から祭司にいたるまで、みな偽りを行っているからである。 + 彼らは手軽に、わたしの民の傷をいやし、平安がないのに、『平安、平安』と言っている。 + 彼らは憎むべきことをして、恥じたであろうか。すこしも恥ずかしいとは思わず、また恥じることを知らなかった。それゆえ彼らは倒れる者と共に倒れる。わたしが彼らを罰するとき、彼らは倒れると、主は言われる。 + 主は言われる、わたしが集めようと思うとき、ぶどうの木にぶどうはなく、いちじくの木に、いちじくはなく、葉さえ、しぼんでいる。わたしが彼らに与えたものも、彼らを離れて、うせ去った」。 + どうしてわれわれはなす事もなく座しているのか。集まって、堅固な町にはいり、そこでわれわれは滅びよう。われわれが主に罪を犯したので、われわれの神、主がわれわれを滅ぼそうとして、毒の水を飲ませられるのだ。 + われわれは平安を望んだが、良い事はこなかった。いやされる時を望んだが、かえって恐怖が来た。 + 「彼らの馬のいななきはダンから聞えてくる。彼らの強い馬の声によって全地は震う。彼らは来て、この地と、ここにあるすべてのもの、町と、そのうちに住む者とを食い滅ぼす。 + 見よ、魔法をもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主は言われる。 + わが嘆きはいやしがたく、わが心はうちに悩む。 + 聞け、地の全面から、わが民の娘の声があがるのを。「主はシオンにおられないのか、シオンの王はそのうちにおられないのか」。「なぜ彼らはその彫像と、異邦の偶像とをもって、わたしを怒らせたのか」。 + 「刈入れの時は過ぎ、夏もはや終った、しかしわれわれはまだ救われない」。 + わが民の娘の傷によって、わが心は痛む。わたしは嘆き、うろたえる。 + ギレアデに乳香があるではないか。その所に医者がいるではないか。それにどうしてわが民の娘はいやされることがないのか。 + + + ああ、わたしの頭が水となり、わたしの目が涙の泉となればよいのに。そうすれば、わたしは民の娘の殺された者のために昼も夜も嘆くことができる。 + ああ、わたしが荒野に、隊商の宿を得ることができればよいのに。そうすれば、わたしは民を離れて去って行くことができる。彼らはみな姦淫する者、不信のともがらだからである。 + 彼らは弓をひくように、その舌を曲げる。真実ではなく、偽りがこの地に強くなった。彼らは悪より悪に進み、またわたしを知らないと、主は言われる。 + あなたがたはおのおの隣り人に気をつけよ。どの兄弟をも信じてはならない。兄弟はみな、押しのける者であり、隣り人はみな、ののしって歩く者だからである。 + 人はみな、その隣り人を欺き、真実を言う者はない。彼らは自分の舌に偽りを言うことを教え、悪を行い、疲れて悔い改めるいとまもなく、 + しえたげに、しえたげを積み重ね、偽りに偽りを積み重ね、わたしを知ることを拒んでいると、主は言われる。 + それゆえ万軍の主はこう言われる、「見よ、わたしは彼らを溶かし、試みる。このほか、わが民をどうすることができよう。 + 彼らの舌は殺す矢のようだ、それは偽りを言う。その口ではおのおの隣り人におだやかに語るが、その心では彼を待ち伏せる計りごとを立てる。 + 主は言われる、これらのことのために、わたしが彼らを罰しないだろうか。わたしがこのような民にあだを返さないだろうか。 + 山のために泣き叫び、野の牧場のために悲しめ。これらは荒れすたれて、通り過ぎる人もない。ここには牛、羊の鳴く声も聞えず、空の鳥も獣も皆逃げ去った。 + わたしはエルサレムを荒塚とし、山犬の巣とする。またユダの町々を荒して、住む人もない所とする」。 + 知恵があって、これを悟ることのできる人はだれか。主の口の言葉をうけて、それを示す人はだれか。この地が滅ぼされて荒野のようになり、通り過ぎる人もなくなったのはどういうわけか。 + 主は言われる、「それは彼らの前にわたしが立てたおきてを彼らが捨てて、わたしの声に聞き従わず、そのとおりに歩かなかったからである。 + 彼らは強情に自分の心に従い、また先祖の教えたようにバアルに従った。 + それゆえ万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、見よ、わたしはこの民に、にがよもぎを食べさせ、毒の水を飲ませ、 + 彼らも、その先祖たちも知らなかった国びとのうちに彼らを散らし、また彼らを滅ぼし尽すまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。 + 万軍の主はこう言われる、「よく考えて、泣き女を呼べ。また人をつかわして巧みな女を招け。 + 彼らに急いでこさせ、われわれのために泣き悲しませて、われわれの目に涙をこぼさせ、まぶたから水をあふれさせよ。 + シオンから悲しみの声が聞える。それは言う、『ああ、われわれは滅ぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地を去り、彼らがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 + 女たちよ、主の言葉を聞け。あなたがたの耳に、その口の言葉をいれよ。あなたがたの娘に悲しみの歌を教え、おのおのその隣り人に哀悼の歌を教えよ。 + 死がわれわれの窓に上って来、われわれの邸宅の中にはいり、ちまたにいる子どもらを絶やし、広場にいる若い人たちを殺そうとしているからだ。 + あなたはこう言いなさい、「主は言われる、『人の死体が糞土のように、野に倒れているようになり、また刈入れする人のうしろに残って、だれも集めることをしない束のようになる』」。 + 主はこう言われる、「知恵ある人はその知恵を誇ってはならない。力ある人はその力を誇ってはならない。富める者はその富を誇ってはならない。 + 誇る者はこれを誇とせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知っていること、わたしが主であって、地に、いつくしみと公平と正義を行っている者であることを知ることがそれである。わたしはこれらの事を喜ぶと、主は言われる」。 + 主は言われる、「見よ、このような日が来る。その日には、割礼をうけても、心に割礼をうけていないすべての人をわたしは罰する。 + エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々、モアブ、および野にいて、髪の毛のすみずみをそる人々はそれである。これらの国びとはみな割礼をうけていない者であり、イスラエルの全家もみな心に割礼をうけていない者である」。 + + + イスラエルの家よ、主のあなたがたに語られる言葉を聞け。 + 主はこう言われる、「異邦の人の道に習ってはならない。また異邦の人が天に現れるしるしを恐れても、あなたがたはそれを恐れてはならない。 + 異邦の民のならわしはむなしいからだ。彼らの崇拝するものは、林から切りだした木で、木工の手で、おのをもって造ったものだ。 + 人々は銀や金をもって、それを飾り、くぎと鎚をもって動かないようにそれをとめる。 + その偶像は、きゅうり畑のかかしのようで、ものを言うことができない。歩くこともできないから、人に運んでもらわなければならない。それを恐れるに及ばない。それは災をくだすことができず、また幸をくだす力もないからだ」。 + 主よ、あなたに並びうる者はありません。あなたは大いなる者であり、あなたの名もその力のために大いなるものであります。 + 万国の王であるあなたを、恐れない者がありましょうか。あなたを恐れるのは当然のことであります。万国のすべての知恵ある者のうちにも、その国々のうちにも、あなたに並びうる者はありません。 + 彼らは皆、愚かで鈍く、偶像の教は、ただ木にすぎない。 + 銀ぱくはタルシシから渡来し、金はウパズから携えてくる。これらは工人と金細工人の工作である。彼らの着物はすみれ色と紫色である。これらはみな巧みな細工人の作った物である。 + しかし主はまことの神である。生きた神であり、永遠の王である。その怒りによって地は震いうごき、万国はその憤りに当ることができない。 + あなたがたは彼らに、こう言わなければならない、「天地を造らなかった神々は地の上、天の下から滅び去る」と。 + 主はその力をもって地を造り、その知恵をもって世界を建て、その悟りをもって天をのべられた。 + 彼が声を出されると、天に多くの水のざわめきがあり、また地の果から霧を立ちあがらせられる。彼は雨のために、いなびかりをおこし、その倉から風を取り出される。 + すべての人は愚かで知恵がなく、すべての金細工人はその造った偶像のために恥をこうむる。その偶像は偽り物で、そのうちに息がないからだ。 + これらは、むなしいもので、迷いのわざである。罰せられる時に滅びるものである。 + ヤコブの分である彼はこのようなものではない。彼は万物の造り主だからである。イスラエルは彼の嗣業としての部族である。彼の名を万軍の主という。 + 囲みの中におる者よ、あなたの包を地から取り上げよ。 + 主がこう言われるからだ、「見よ、わたしはこのたび、この地に住む者を投げ捨てる。かつ彼らをせめなやまして、思い知らせる」。 + わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷は重い。しかしわたしは言った、「まことに、これは悩みである。わたしはこれを忍ばなければならない」と。 + わたしの天幕は破れ、綱はことごとく切れ、子どもたちはわたしを捨てて行って、いなくなった。もはやわたしの天幕を張る者はなく、幕を掛ける者もない。 + 牧者は愚かであって、主に問うことをしないからである。それゆえ彼らは栄えることもなく、その群れはみな散り去っている。 + 聞けよ、うわさのあるのを。見よ、北の国から大いなる騒ぎが来る。これはユダの町々を荒して山犬の巣とする。 + 主よ、わたしは知っています、人の道は自身によるのではなく、歩む人が、その歩みを自分で決めることのできないことを。 + 主よ、わたしを懲らしてください。正しい道にしたがって、怒らずに懲らしてください。さもないと、わたしは無に帰してしまうでしょう。 + あなたを知らない国民と、あなたの名をとなえない人々にあなたの怒りを注いでください。彼らはヤコブを食い尽しこれを食い尽して滅ぼし、そのすみかを荒したからです。 + + + 主からエレミヤに臨んだ言葉は言う、 + 「この契約の言葉を聞き、ユダの人々とエルサレムに住む者に告げよ。 + 彼らに言え、イスラエルの神、主はこう仰せられる、この契約の言葉に従わない人は、のろわれる。 + この契約は、わたしがあなたがたの先祖をエジプトの地、鉄のかまどの中から導き出した時に、彼らに命じたところのものである。すなわち、その時わたしは彼らに言った、わたしの声を聞き、あなたがたに命じるすべてのことを行うならば、あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる。 + そして、わたしがあなたがたの先祖に、乳と蜜との流れる地を与えると誓ったことを、なし遂げると。すなわち今日のとおりである」。その時わたしは、「主よ、仰せのとおりです」と答えた。 + 主はわたしに言われた、「このすべての言葉を、ユダの町々と、エルサレムのちまたに告げ示し、この契約の言葉を聞き、これを行え、と言いなさい。 + わたしは、あなたがたの先祖をエジプトの地から導き出した時から今日にいたるまで、おごそかに彼らを戒め、絶えず戒めて、わたしの声に聞き従うようにと言った。 + しかし彼らは従わず、その耳を傾けず、おのおの自分の悪い強情な心に従って歩んだ。それゆえ、わたしはこの契約の言葉をもって彼らを責めた。これはわたしが彼らに行えと命じたが、行わなかったものである」。 + 主はまたわたしに言われた、「ユダの人々とエルサレムに住む者のうちに反逆の事がある。 + 彼らは、わたしの言葉を聞くことを拒んだその先祖たちの罪に立ち返り、またほかの神々に従ってそれに仕えた。イスラエルの家とユダの家とは、わたしがその先祖たちと結んだ契約を破った。 + それゆえ主はこう言われる、見よ、わたしは災を彼らの上に下す。彼らはそれを免れることはできない。彼らがわたしを呼んでも、わたしは聞かない。 + ユダの町々とエルサレムに住む者は、行って、自分たちがそれに香をたいている神々に呼び求めるが、これらは、彼らの災の時にも決して彼らを救うことはできない。 + ユダよ、あなたの神々は、あなたの町の数ほど多くなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数ほどの祭壇を恥ずべき者のために立てた。すなわちバアルに香をたくための祭壇である。 + それゆえ、この民のために祈ってはならない。また彼らのために泣き、あるいは祈り求めてはならない。彼らがその災の時に、わたしに呼ばわっても、わたしは彼らに聞くことをしないからだ。 + わが愛する者は、わたしの家で何をするのか。すでにこれは悪事を行った。誓願と犠牲の肉とがあなたに災を免れさせることができるであろうか。それであなたは喜ぶことができるであろうか。 + 主はあなたを、かつては『良い実のなる美しい青々としたオリブの木』と呼ばれたが、激しい暴風のとどろきと共に、主はそれに火をかけ、その枝を焼き払われるのである。 + あなたを植えた万軍の主は、あなたに向かって災を言い渡された。これはイスラエルの家とユダの家とが悪を行い、バアルに香をたいて、わたしを怒らせたからである」。 + 主が知らせてくださったので、わたしはそれを知った。その時、あなたは彼らの悪しきわざをわたしに示された。 + しかしわたしは、ほふられに行く、おとなしい小羊のようで、彼らがわたしを害しようと、計りごとをめぐらしているのを知らなかった。彼らは言う、「さあ、木とその実を共に滅ぼそう。生ける者の地から彼を絶って、その名を人に忘れさせよう」。 + 正しいさばきをし、人の心と思いを探られる万軍の主よ、わたしは自分の訴えをあなたにお任せしました。あなたが彼らにあだをかえされるのを見させてください。 + それゆえ主はアナトテの人々についてこう言われる、彼らはあなたの命を取ろうと求めて言う、「主の名によって預言してはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手にかかって死ぬであろう」。 + それで万軍の主はこう言われる、「見よ、わたしは彼らを罰する。若い人はつるぎで死に、彼らのむすこ娘は、ききんで死に、 + だれも残る者はない。わたしがアナトテの人々に災を下し、彼らを罰する年をこさせるからである」。 + + + 主よ、わたしがあなたと論じ争う時、あなたは常に正しい。しかしなお、わたしはあなたの前に、さばきのことを論じてみたい。悪人の道がさかえ、不信実な者がみな繁栄するのはなにゆえですか。 + あなたが彼らを植えられたので、彼らは根づき、育って、実を結びます。彼らは口ではあなたに近づきますが、心はあなたから遠ざかっています。 + 主よ、あなたはわたしを知り、わたしを見、わたしの心があなたに対していかにあるかを試みられます。ほふるために羊を引き出すように、彼らを引き出し、殺す日にそなえて、彼らを残しておいてください。 + いつまで、この地は嘆き、どの畑の野菜も枯れていてよいでしょうか。この地に住む者の悪によって、獣と鳥は滅びうせます。人々は言いました、「彼はわれわれの終りを見ることはない」と。 + 「もしあなたが、徒歩の人と競争して疲れるなら、どうして騎馬の人と競うことができようか。もし安全な地で、あなたが倒れるなら、ヨルダンの密林では、どうするつもりか。 + あなたの兄弟たち、あなたの父の家のものさえ、あなたを欺き、大声をあげて、あなたを追っている。彼らが親しげにあなたに語ることがあっても、彼らを信じてはならない」。 + 「わたしはわが家を離れ、わが嗣業を捨て、わが魂の愛する者を敵の手に渡した。 + わたしの嗣業は、わたしにとって林の中のししのようになった。これはわたしに向かってその声をあげる。それゆえわたしはこれを憎む。 + わたしの嗣業は、わたしにとって、斑点のある猛禽のようではないか。他の猛禽がこれを囲んでいるではないか。行って、野の獣をみな集め、連れてきてこれを食べさせよ。 + 多くの牧者たちはわたしのぶどう畑を滅ぼし、わたしの地を踏み荒した。わたしの麗しい地を荒れた野にした。 + 彼らはこれを荒れ地としてしまった。その荒れ地がわたしに向かって嘆くのだ。全地は荒れ地にされた。しかし、ひとりもこれを心に留める者はない。 + 滅ぼす者どもが荒野のすべての、はげ山の上にきた。主のつるぎが、地の、この果から、かの果までを滅ぼすのだ。命あるものは安らかであることができない。 + 彼らは麦をまいて、いばらを刈り取る。苦労してもなんの利益もない。彼らはその収穫を恥じるようになる。主の激しい怒りによってである」。 + わたしがわが民イスラエルにつがせた嗣業に手を触れるすべての悪い隣り人について、主はこう言われる、「見よ、わたしは彼らをその地から抜き出し、ユダの家を彼らのうちから抜き出す。 + わたしは、彼らを抜き出したのちに、また彼らをあわれんで、それぞれその嗣業に導き返し、おのおのを、その地に帰らせる。 + もし彼らがわたしの民の道を学び、わたしの名によって、『主は生きておられる』と言って誓うことが、かつて彼らがわたしの民に教えてバアルをさして誓わせたようになるならば、彼らはわたしの民のうちに建てられる。 + しかし耳をかさない民があるときは、わたしはその民を抜き出して滅ぼすと、主は言われる」。 + + + 主はわたしにこう言われた、「行って、亜麻布の帯を買い、腰に結べ。水につけてはならない」。 + そこで、わたしは主の言葉に従い、帯を買って腰に結んだ。 + 主の言葉は、再びわたしに臨んで言った、 + 「あなたが買って腰に結んでいる帯を手に取り、立ってユフラテの川へ行き、その所の岩の裂け目にこれを隠せ」。 + わたしは主が命じられたように、行って、これをユフラテの川のほとりに隠した。 + 多くの日を経てのち、主はわたしに言われた、「立って、ユフラテの川へ行き、あなたに命じて、そこに隠させた帯をその所から取ってきなさい」。 + そこでわたしはユフラテの川へ行き、地を掘って、隠した所から帯を取り出したが、その帯はそこなわれて、役に立たなくなっていた。 + その時、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「主はこう仰せられる、これと同じように、わたしはユダの高ぶりとエルサレムの大いなる高ぶりを、破るのである。 + この悪しき民はわたしの言葉を聞くことを拒み、自分の心を強情にして歩み、また他の神々に従ってこれに仕え、これを拝んでいる。彼らはこの帯のように、なんの役にも立たなくなる」。 + 主は言われる、「帯が人の腰に着くように、イスラエルのすべての家とユダのすべての家とをわたしに着かせ、これをわたしの民とし、名とし、誉とし、栄えとしようとした。しかし彼らは聞き従おうともしなかった」。 + 「あなたはこの言葉を彼らに語らなければならない、『イスラエルの神はこう言われる、酒つぼには、みな酒が満ちる』と。彼らはあなたに言うであろう、『酒つぼに、みな酒が満ちることをわれわれが知らないことがあろうか』と。 + その時、あなたは彼らに言わなければならない、『主はこう言われる、見よ、わたしはこの地に住むすべての者と、ダビデの位に座す王たちと、祭司と預言者およびエルサレムに住むすべての者に酔いを満たし、 + 彼らを互に打ち当てて砕く。父と子をもそのようにすると、主は言われる。わたしは彼らをあわれまず、惜しまず、かわいそうとも思わずに滅ぼす』と」。 + 耳を傾けて聞け、高ぶってはならない、主がお語りになるからである。 + 主がまだやみを起されないうちに、またあなたがたの足が薄暗がりの山につまずかないうちに、あなたがたの神、主に栄光を帰せよ。さもないと、あなたがたが光を望んでいる間に、主はそれを暗黒に変え、それを暗やみとされるからである。 + もしあなたがたが聞かないならば、わたしの魂はひそかな所で、あなたがたの高ぶりのために悲しむ。また主の群れが、かすめられたために、わたしの目はいたく泣いて、涙を流すのである。 + 王と太后とに告げよ、「あなたがたは低い座にすわりなさい。麗しい冠はすでにあなたがたの頭から落ちてしまったからです」。 + ネゲブの町々は閉ざされて、これを開く人がない。ユダはみな捕え移される、ことごとく捕え移される。 + 「目をあげて、北の方からくる者を見よ、あなたに賜わった群れ、あなたの麗しい群れはどこにいるのか。 + 彼らがあなたの親しみ慣れた人たちを、あなたの上に立ててかしらとするとき、あなたは何を言おうとするのか。あなたの苦しみは、子を産む女の苦しみのようでないであろうか。 + あなたが心のうちに、『どうしてこのようなことがわたしに起ったのか』というならば、あなたの罪が重いゆえに、あなたの着物のすそはあげられ、はずかしめを受けるのだ。 + エチオピヤびとはその皮膚を変えることができようか。ひょうはその斑点を変えることができようか。もしそれができるならば、悪に慣れたあなたがたも、善を行うことができる。 + わたしはあなたがたを散らし、野の風に吹き散らされるもみがらのようにする。 + 主は言われる、これがあなたに授けられた定め、わたしが量ってあなたに与える分である。あなたがわたしを忘れて、偽りを頼みとしたからだ。 + わたしはまたあなたの着物のすそを顔まであげて、あなたの恥をあらわす。 + わたしはあなたの憎むべき行い、あなたの姦淫と、いななき、野の丘の上で行ったあなたのみだらな行いを見た。エルサレムよ、あなたはわざわいだ、あなたの清められるのはいつのことであろうか」。 + + + ひでりの事についてエレミヤに臨んだ主の言葉。 + 「ユダは悲しみ、その町々の門は傾き、民は地に座して嘆き、エルサレムの叫びはあがる。 + その君たちは、しもべをつかわして水をくませる。彼らが井戸の所にきても、水は見つからず、むなしい器をもって帰り、恥じ、かつ当惑して、その頭をおおう。 + 地に雨が降らず、土が、かわいて割れたため、農夫は恥じて、その頭をおおう。 + 野にいる雌じかでさえも子を産んで、これを捨てる。草がないからである。 + 野ろばは、はげ山の上に立って、山犬のようにあえぎ、草のないために、その目はくらむ。 + 主よ、われわれの罪がわれわれを訴えて不利な証言をしても、あなたの名のために、事をなしてください。われわれの背信の数は多く、あなたに向かって罪を犯しました。 + イスラエルの望みなる主よ、悩みの時の救主よ、なぜ、あなたはこの地に住む異邦の人のようにし、また一夜の宿りのために立ち寄る旅びとのようになさらねばならないのですか。 + なぜ、あなたは、うろたえている人のようにし、また人を救いえない勇士のようになさらねばならないのですか。主よ、あなたはわれわれのうちにいらせられます。われわれは、み名によって呼ばれている者です。われわれを見捨てないでください」。 + この民について主はこう言われる、「彼らはこのように好んで、さまよい、その足をとどめることをしなかったので、主は彼らを喜ばず、いまそのとがを覚え、その罪を罰するのだ」。 + 主はわたしに言われた、「この民のために恵みを祈ってはならない。 + 彼らが断食しても、わたしは彼らの呼ぶのを聞かない。燔祭と素祭をささげても、わたしはそれを受けない。かえって、つるぎと、ききん、および疫病をもって、彼らを滅ぼしてしまう」。 + わたしは言った、「ああ、主なる神よ、預言者たちはこの民に向かい、『あなたがたは、つるぎを見ることはない。ききんもこない。わたしはこの所に確かな平安をあなたがたに与える』と言っています」。 + 主はわたしに言われた、「預言者らはわたしの名によって偽りの預言をしている。わたしは彼らをつかわさなかった。また彼らに命じたこともなく、話したこともない。彼らは偽りの黙示と、役に立たない占い、および自分の心でつくりあげた欺きをあなたがたに預言しているのだ。 + それゆえ、わたしがつかわさないのに、わたしの名によって預言して、『つるぎとききんは、この地にこない』と言っているあの預言者について、主はこう仰せられる、この預言者らは、つるぎとききんに滅ぼされる。 + また彼らの預言を聞く民は、ききんとつるぎとによって、エルサレムのちまたに投げ捨てられる。だれもこれを葬る者はない。彼らとその妻、およびそのむすこ娘も同様である。わたしが彼らの悪をその上に注ぐからである。 + この言葉を彼らに語れ、『わたしの目は夜も昼も絶えず涙を流す。わが民の娘であるおとめが大きな傷と重い打撃によって滅ぼされるからである。 + わたしが出て畑に行くと、つるぎで殺された者がある。町にはいると、ききんで病んでいる者がある。預言者も祭司も共にその地にさまよって、知るところがない』」。 + あなたはまったくユダを捨てられたのですか。あなたの心はシオンをきらわれるのですか。あなたはわれわれを撃ったのに、どうしていやしてはくださらないのですか。われわれは平安を望んだが、良い事はこなかった。いやされる時を望んだが、かえって恐怖が来た。 + 主よ、われわれは自分の悪と、先祖のとがとを認めています。われわれはあなたに罪を犯しました。 + み名のために、われわれを捨てないでください。あなたの栄えあるみ位をはずかしめないでください。あなたがわれわれにお立てになった契約を覚えて、それを破らないでください。 + 異邦の偽りの神々のうちに、雨を降らせうる者があるであろうか。天が自分で夕立ちを降らすことができようか。われわれの神、主よ、あなたこそ、これをなさる方ではありませんか。われわれの待ち望むのはあなたです。あなたがこれらすべてのことをなさるからです。 + + + 主はわたしに言われた、「たといモーセとサムエルとがわたしの前に立っても、わたしの心はこの民を顧みない。彼らをわたしの前から追い出し、ここを去らせよ。 + もし彼らが、『われわれはどこに行けばよいのか』とあなたに尋ねるならば、彼らに言いなさい、『主はこう仰せられる、疫病に定められた者は疫病に、つるぎに定められた者はつるぎに、ききんに定められた者はききんに、とりこに定められた者はとりこに行く』。 + 主は仰せられる、わたしは四つの物をもって彼らを罰する。すなわち、つるぎをもって殺し、犬をもってかませ、空の鳥と地の獣をもって食い滅ぼさせる。 + またユダの王ヒゼキヤの子マナセが、エルサレムでした行いのゆえに、わたしは彼らを地のすべての国が見て恐れおののくものとする。 + エルサレムよ、だれがあなたをあわれむであろうか。だれがあなたのために嘆くであろうか。だれがふり返って、あなたの安否を問うであろうか。 + 主は言われる、あなたはわたしを捨てた。そしてますます退いて行く。それゆえ、わたしは手を伸べてあなたを滅ぼした。わたしはあわれむことには飽きた。 + わたしはこの地の門で、箕で彼らをあおぎ分けた。彼らがその道を離れなかったので、わたしは彼らの子を奪い、わが民を滅ぼした。 + わたしは彼らの寡婦の数を浜べの砂よりも多くした。わたしは真昼に、滅ぼす者を連れてきて、若者らの母たちをせめ、驚きと恐れを、にわかに母たちにおこした。 + 七人の子を産んだ女は、弱り衰えて、息絶え、まだ昼であったが、彼女の日は没した。彼女は恥じ、うろたえた。その残りの者は、これを敵のつるぎに渡すと主は言われる」。 + ああ、わたしはわざわいだ。わが母よ、あなたは、なぜ、わたしを産んだのか。全国の人はわたしと争い、わたしを攻める。わたしは人に貸したこともなく、人に借りたこともないのに、皆わたしをのろう。 + 主よ、もしわたしが彼らの幸福をあなたに祈り求めず、また敵のため、その悩みのときと、災のときに、わたしがあなたにとりなしをしなかったのであれば、彼らののろいも、やむをえないでしょう。 + 人は鉄を、北からくる鉄や青銅を砕くことができましょうか。 + 「わたしはあなたの富と宝を、ぶんどり物として他に与える。代価を受けることはできない。それはあなたのすべての罪によるので、領域内のいたる所にこのことが起る。 + わたしはあなたの知らない地で、あなたの敵に仕えさせる。わたしの怒りによって火は点じられ、いつまでも燃え続けるからである」。 + 主よ、あなたは知っておられます。わたしを覚え、わたしを顧みてください。わたしを迫害する者に、あだを返し、あなたの寛容によって、わたしを取り去らないでください。わたしがあなたのために、はずかしめを受けるのを知ってください。 + わたしはみ言葉を与えられて、それを食べました。み言葉は、わたしに喜びとなり、心の楽しみとなりました。万軍の神、主よ、わたしは、あなたの名をもってとなえられている者です。 + わたしは笑いさざめく人のつどいにすわることなく、また喜ぶことをせず、ただひとりですわっていました。あなたの手がわたしの上にあり、あなたが憤りをもってわたしを満たされたからです。 + どうしてわたしの痛みは止まらず、傷は重くて、なおらないのですか。あなたはわたしにとって、水がなくて人を欺く谷川のようになられるのですか。 + それゆえ主はこう仰せられる、「もしあなたが帰ってくるならば、もとのようにして、わたしの前に立たせよう。もしあなたが、つまらないことを言うのをやめて、貴重なことを言うならば、わたしの口のようになる。彼らはあなたの所に帰ってくる。しかしあなたが彼らの所に帰るのではない。 + わたしはあなたをこの民の前に、堅固な青銅の城壁にする。彼らがあなたを攻めても、あなたに勝つことはできない。わたしがあなたと共にいて、あなたを助け、あなたを救うからであると、主は言われる。 + わたしはあなたを悪人の手から救い、無慈悲な人の手からあがなう」。 + + + 主の言葉はまたわたしに臨んだ、 + 「あなたはこの所で妻をめとってはならない。またむすこ娘を持ってはならない。 + この所で生れるむすこ娘と、この地でこれを産む母たちと、これを生む父たちとについて主はこう言われる、 + 彼らは死の病にかかって死に、哀悼する者もなく、埋葬する者もなく、地のおもてに、糞土のようになる。またつるぎと、ききんに滅ぼされて、その死体は空の鳥と地の獣の食い物となる。 + 主はこう言われる、喪のある家に、はいってはならない。また行って、それを悲しみ嘆いてはならない。わたしがこの民からわたしの平安と、いつくしみと、あわれみとを取り去ったからであると、主は言われる。 + 大いなる者も小さき者も、この地に死ぬ。彼らは葬られず、また彼らのために悲しむ者もなく、自分の身を傷つける者もなく、髪をそる者もない。 + 悲しむ者のためにパンをさいて、死者のためにこれを慰める者はなく、また父あるいは母のために慰めの杯をこれに与えて飲ませる者もない。 + またあなたは宴会をする家にはいって、人々と共にすわって食い飲みしてはならない。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、見よ、あなたの目の前で、あなたのなおこの世にいる間に、わたしは喜びの声と楽しみの声、花婿の声と花嫁の声とをこの所に絶やしてしまう。 + あなたがこのすべての言葉をこの民に告げるとき、彼らがあなたに尋ねて、『主がわれわれにこの大きな災を宣告されるのはどうしてですか。われわれにどんな悪い所があるのですか。われわれの神、主にそむいて、われわれが犯した罪とはなんですか』と言うならば、 + あなたは彼らに答えなければならない、『主は仰せられる、それはあなたがたの先祖がわたしを捨てて他の神々に従い、これに仕え、これを拝し、またわたしを捨て、わたしの律法を守らなかったからである。 + あなたがたは、あなたがたの先祖よりも、いっそう悪いことをした。見よ、あなたがたはおのおの自分の悪い強情な心に従い、わたしに聞き従うことはしない。 + それゆえ、わたしはあなたがたをこの地より追い出し、あなたがたも、あなたがたの先祖も知らない地に行かせる。その所であなたがたは昼夜、ほかの神々に仕えるようになる。これはわたしがあなたがたにあわれみを示さないからである』と。 + 主は言われる、それゆえ、見よ、こののち『イスラエルの民をエジプトの地から導き出した主は生きておられる』とは言わないで、 + 『イスラエルの民を北の国と、そのすべて追いやられた国々から導き出した主は生きておられる』という日がくる。わたしが彼らを、その先祖に与えた彼らの地に導きかえすからである。 + 主は言われる、見よ、わたしは多くの漁夫を呼んできて、彼らをすなどらせ、また、そののち多くの猟師を呼んできて、もろもろの山、もろもろの丘、および岩の裂け目から彼らをかり出させる。 + わたしの目は彼らのすべての道を見ているからである。みなわたしに隠れてはいない。またその悪はわたしの目に隠れることはない。 + わたしはその悪とその罪の報いを二倍にする。彼らがその忌むべき偶像の死体をもって、わたしの地を汚し、その憎むべきものをもって、わたしの嗣業を満たしたからである」。 + 主、わが力、わが城、悩みの時の、のがれ場よ、万国の民は地の果からあなたのもとにきて申します、「われわれの先祖が受け嗣いだのは、ただ偽りと、役に立たないつまらない事ばかりです。 + 人が自分で神々を造ることができましょうか。そういうものは神ではありません」。 + 「それゆえ、見よ、わたしは彼らに知らせよう。すなわち、この際わたしの力と、わたしの勢いとを知らせよう。彼らはわたしの名が、主であることを知るようになる」。 + + + 「ユダの罪は、鉄の筆、金剛石のとがりをもってしるされ、彼らの心の碑と、祭壇の角に彫りつけられている。 + 彼らの子供たちは青木の下と、高い丘の上、野の山の上にある祭壇とアシラのことを覚えている。 + わたしはあなたの富とすべての宝とを、あなたの全領域の内で犯した罪の代価として、ぶんどり物とならせる。 + わたしがあなたに与えた嗣業からあなたは手をはなすようになる。またわたしは、あなたの知らない地で、あなたの敵に仕えさせる。わたしの怒りによって、火は点じられ、いつまでも燃え続けるからである」。 + 主はこう言われる、「おおよそ人を頼みとし肉なる者を自分の腕とし、その心が主を離れている人は、のろわれる。 + 彼は荒野に育つ小さい木のように、何も良いことの来るのを見ない。荒野の、干上がった所に住み、人の住まない塩地にいる。 + おおよそ主にたより、主を頼みとする人はさいわいである。 + 彼は水のほとりに植えた木のようで、その根を川にのばし、暑さにあっても恐れることはない。その葉は常に青く、ひでりの年にも憂えることなく、絶えず実を結ぶ」。 + 心はよろずの物よりも偽るもので、はなはだしく悪に染まっている。だれがこれを、よく知ることができようか。 + 「主であるわたしは心を探り、思いを試みる。おのおのに、その道にしたがい、その行いの実によって報いをするためである」。 + しゃこが自分が産んだのではない卵を抱くように、不正な財産を得る者がある。その人は一生の半ばにそれから離れて、その終りには愚かな者となる。 + 初めから高くあげられた栄えあるみ座は、われわれの聖所のある所である。 + またイスラエルの望みである主よ、あなたを捨てる者はみな恥をかき、あなたを離れる者は土に名をしるされます。それは生ける水の源である主を捨てたからです。 + 主よ、わたしをいやしてください、そうすれば、わたしはいえます。わたしをお救いください、そうすれば、わたしは救われます。あなたはわたしのほめたたえる者だからです。 + 彼らはわたしに言います、「主の言葉はどこにあるのか。今、それを出して見せよ」と。 + 悪をつかわされるようにとは、わたしはたって求めませんでした。また災の日を願わなかったのを、あなたはごぞんじです。わたしのくちびるから出たことは、み前にあります。 + どうか、わたしを恐れさせないでください。災のときに、あなたはわたしののがれ場です。 + わたしを攻め悩ます者をはずかしめてください。しかしわたしをはずかしめないでください。彼らを恐れさせてください。しかしわたしを恐れさせないでください。災の日を彼らにきたらせ、滅びを倍にして彼らを滅ぼしてください。 + 主はわたしにこう言われた、「行って、ユダの王たちの出入りするベニヤミンの門、およびエルサレムのすべての門に立って、 + 言いなさい、『これらの門からはいるユダの王たち、およびユダのすべての民とエルサレムに住むすべての者よ、主の言葉を聞きなさい。 + 主はこう言われる、命が惜しいならば気をつけるがよい。安息日に荷をたずさえ、またはそれを持ってエルサレムの門にはいってはならない。 + また安息日にあなたがたの家から荷を運び出してはならない。なんのわざをもしてはならない。わたしがあなたがたの先祖に命じたように安息日を聖別して守りなさい。 + しかし彼らは従わず耳を傾けず、聞くことも、戒めをうけることをも強情に拒んだ。 + 主は言われる、もしあなたがたがわたしに聞き従い、安息日に荷をたずさえてこの町の門にはいらず、安息日を聖別して、なんのわざをもしないならば、 + ダビデの位に座する王たち、つかさたち、ユダの人々、エルサレムに住む者は、車と馬に乗ってこの町の門からはいることができる。そしてこの町には長く人が住むようになる。 + また人々はユダの町々やエルサレムの周囲、ベニヤミンの地、平地と山地およびネゲブから来て燔祭、犠牲、素祭、乳香、感謝祭をたずさえて主の家にはいる。 + しかし、もしあなたがたがわたしに聞き従わないで、安息日を聖別して守ることをせず、安息日に荷をたずさえてエルサレムの門にはいるならば、わたしは火をその門の中に燃やして、エルサレムのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。その火は消えることがない』」。 + + + 主からエレミヤに臨んだ言葉。 + 「立って、陶器師の家に下って行きなさい。その所でわたしはあなたにわたしの言葉を聞かせよう」。 + わたしは陶器師の家へ下って行った。見ると彼は、ろくろで仕事をしていたが、 + 粘土で造っていた器が、その人の手の中で仕損じたので、彼は自分の意のままに、それをもってほかの器を造った。 + その時、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「主は仰せられる、イスラエルの家よ、この陶器師がしたように、わたしもあなたがたにできないのだろうか。イスラエルの家よ、陶器師の手に粘土があるように、あなたがたはわたしの手のうちにある。 + ある時には、わたしが民または国を抜く、破る、滅ぼすということがあるが、 + もしわたしの言った国がその悪を離れるならば、わたしはこれに災を下そうとしたことを思いかえす。 + またある時には、わたしが民または国を建てる、植えるということがあるが、 + もしその国がわたしの目に悪と見えることを行い、わたしの声に聞き従わないなら、わたしはこれに幸を与えようとしたことを思いかえす。 + それゆえ、ユダの人々とエルサレムに住む者に言いなさい、『主はこう仰せられる、見よ、わたしはあなたがたに災を下そうと工夫し、あなたがたを攻める計りごとを立てている。あなたがたはおのおのその悪しき道を離れ、その道と行いを改めなさい』と。 + しかし彼らは言う、『それはむだです。われわれは自分の図るところに従い、おのおのその悪い強情な心にしたがって行動します』と。 + それゆえ主はこう言われる、異邦の民のうちのある者に尋ねてみよ、このような事を聞いた者があろうか。おとめイスラエルは恐ろしい事をした。 + レバノンの雪が、どうしてシリオンの岩を離れようか。山の水、冷たい川の流れが、どうしてかわいてしまおうか。 + それなのにわが民はわたしを忘れて、偽りの神々に香をたいている。彼らはその道、古い道につまずき、また小道に入り、大路からはなれた。 + 自分の地を荒れすたれさせて、いつまでも人に舌打ちされるものとした。そこを通る人はみな身震いして、首を振る。 + わたしは東風のように、彼らをその敵の前に散らす。その滅びの日には、わたしは彼らに背を向け、顔を向けない」。 + 彼らは言った、「さあ、計略をめぐらして、エレミヤを倒そう。祭司には律法があり、知恵ある者には計りごとがあり、預言者には言葉があって、これらのものが滅びてしまうことはない。さあ、われわれは舌をもって彼を撃とう。彼のすべての言葉に、心を留めないことにしよう」。 + 主よ、どうぞわたしにみ心を留め、わたしの訴えをお聞きください。 + 悪をもって善に報いるべきでしょうか。しかもなお彼らはわたしの命を取ろうとして穴を掘りました。わたしがあなたの前に立って、彼らのことを良く言い、あなたの憤りを止めようとしたのを覚えてください。 + それゆえ、彼らの子どもたちをききんに渡し、彼らをつるぎの刃に渡してください。彼らの妻は子を失い、また寡婦となり、男は疫病にかかって死に、若い者は、戦争でつるぎに殺されますように。 + あなたが敵をにわかに彼らに臨ませられるとき、彼らの家から叫び声が聞えますように。彼らは穴を掘って、わたしを捕えようとし、わなをつくって、わたしの足を捕えようとしたからです。 + 主よ、あなたは彼らがわたしを殺すためにめぐらしている計略を皆ごぞんじです。その悪をゆるすことなく、その罪をあなたの前から消し去らないでください。彼らをあなたの前に倒れさせてください。あなたのお怒りになる時に彼らを罰してください。 + + + 主はこう言われる、「行って、陶器師のびんを買い、民の長老と年長の祭司のうちの数人を伴って、 + 瀬戸かけの門の入口にあるベンヒンノムの谷へ行き、その所で、わたしがあなたに語る言葉をのべて、 + 言いなさい、『ユダの王たち、およびエルサレムに住む者よ、主の言葉を聞きなさい。万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、見よ、わたしは災をこの所に下す。おおよそ、その災のことを聞くものの耳は両方とも鳴る。 + 彼らがわたしを捨て、この所を汚し、この所で、自分も先祖たちもユダの王たちも知らなかった他の神々に香をたき、かつ罪のない者の血を、この所に満たしたからである。 + また彼らはバアルのために高き所を築き、火をもって自分の子どもたちを焼き、燔祭としてバアルにささげた。これはわたしの命じたことではなく、定めたことでもなく、また思いもしなかったことである。 + 主は言われる、それゆえ、見よ、この所をトペテまたはベンヒンノムの谷と呼ばないで、虐殺の谷と呼ぶ日がくる。 + またわたしはこの所でユダとエルサレムの計りごとを打ち破り、つるぎをもって、彼らをその敵の前と、そのいのちを求める者の手に倒れさせ、またその死体を空の鳥と地の獣の食い物とし、 + かつ、この町を荒れすたれさせて、人に舌打ちされるものとする。そこを通る人は皆そのもろもろの災を見て身震いし、舌打ちする。 + また彼らがその敵とその命を求める者とに囲まれて苦しみ悩む時、わたしは彼らに自分のむすこの肉、娘の肉を食べさせる。彼らはまた互にその友の肉を食べるようになる』。 + そこで、あなたは、一緒に行く人々の目の前で、そのびんを砕き、 + そして彼らに言いなさい、『万軍の主はこう仰せられる、陶器師の器をひとたび砕くならば、もはやもとのようにすることはできない。このようにわたしはこの民とこの町とを砕く。人々はほかに葬るべき場所がないために、トペテに葬るであろう。 + 主は仰せられる、わたしはこの所と、ここに住む者とにこのようにし、この町をトペテのようにする。 + エルサレムの家とユダの王たちの家、すなわち彼らがその屋上で天の衆群に香をたき、ほかの神々に酒を注いだ家は、皆トペテの所のように汚される』」。 + エレミヤは主が彼をつかわして預言させられたトペテから帰ってきて、主の家の庭に立ち、すべての民に言った、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、見よ、わたしは、この町とそのすべての村々に、わたしの言ったもろもろの災を下す。彼らが強情で、わたしの言葉に聞き従おうとしないからである」。 + + + さて祭司インメルの子で、主の宮のつかさの長であったパシュルは、エレミヤがこれらの事を預言するのを聞いた。 + そしてパシュルは預言者エレミヤを打ち、主の宮にある上のベニヤミンの門の足かせにつないだ。 + その翌日パシュルがエレミヤを足かせから解き放した時、エレミヤは彼に言った、「主はあなたの名をパシュルとは呼ばないで、『恐れが周囲にある』と呼ばれる。 + 主はこう仰せられる、見よ、わたしはあなたを、あなた自身とあなたのすべての友だちに恐れを起させる者とする。彼らはあなたが見ている目の前で敵のつるぎに倒れる。わたしはまたユダのすべての民をバビロン王の手に渡す。彼は彼らを捕えてバビロンに移し、つるぎをもって殺す。 + わたしはまたこの町のすべての富と、その獲たすべての物と、そのすべての貴重な物と、ユダの王たちのすべての宝物をその敵の手に渡す。彼らはこれをかすめ、民を捕えてバビロンに移す。 + パシュルよ、あなたと、あなたの家に住む者とはみな捕え移される。あなたはバビロンに行って、その所で死に、その所に葬られる。あなたも、あなたが偽って預言した言葉に聞き従った友もみなそのようになる」。 + 主よ、あなたがわたしを欺かれたので、わたしはその欺きに従いました。あなたはわたしよりも強いので、わたしを説き伏せられたのです。わたしは一日中、物笑いとなり、人はみなわたしをあざけります。 + それは、わたしが語り、呼ばわるごとに、「暴虐、滅亡」と叫ぶからです。主の言葉が一日中、わが身のはずかしめと、あざけりになるからです。 + もしわたしが、「主のことは、重ねて言わない、このうえその名によって語る事はしない」と言えば、主の言葉がわたしの心にあって、燃える火のわが骨のうちに閉じこめられているようで、それを押えるのに疲れはてて、耐えることができません。 + 多くの人のささやくのを聞くからです。恐れが四方にあります。「告発せよ。さあ、彼を告発しよう」と言って、わが親しい友は皆わたしのつまずくのを、うかがっています。また、「彼は欺かれるだろう。そのとき、われわれは彼に勝って、あだを返すことができる」と言います。 + しかし主は強い勇士のようにわたしと共におられる。それゆえ、わたしに迫りくる者はつまずき、わたしに打ち勝つことはできない。彼らは、なし遂げることができなくて、大いに恥をかく。その恥は、いつまでも忘れられることはない。 + 正しき者を試み、人の心と思いを見られる万軍の主よ、あなたが彼らに、あだを返されるのを見せてください。わたしはあなたに、わたしの訴えをお任せしたからです。 + 主に向かって歌い、主をほめたたえよ。主は貧しい者の命を、悪人の手から救われたからである。 + わたしの生れた日はのろわれよ。母がわたしを産んだ日は祝福を受けるな。 + わたしの父に「男の子が、生れました」と告げて、彼を大いに喜ばせた人は、のろわれよ。 + その人は、主のあわれみを受けることなく、滅ぼされた町のようになれ。朝には、彼に叫びを聞かせ、昼には戦いの声を聞かせよ。 + 彼がわたしを胎内で殺さず、わが母をわたしの墓場となさず、その胎をいつまでも大きくしなかったからである。 + なにゆえにわたしは胎内を出てきて、悩みと悲しみに会い、恥を受けて一生を過ごすのか。 + + + ゼデキヤ王は、マルキヤの子パシュルと祭司マアセヤの子ゼパニヤを、エレミヤのもとにつかわし、 + 「バビロンの王ネブカデレザルがわれわれを攻めようとしているゆえ、われわれのために主に尋ねてほしい。主はそのもろもろの不思議なわざをもって、われわれを助け、バビロンの王をわれわれから退かせられるかも知れない」と言わせた。その時、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + エレミヤは彼らに答えて言った、「あなたがたはゼデキヤにこのように言いなさい、 + 『イスラエルの神、主はこう仰せられる、見よ、あなたがたが、この城壁の外にあって、あなたがたを攻め囲むバビロンの王およびカルデヤびとと戦うとき、わたしはあなたがたの手に持っている武器をとりあげ、これを町の中に集めさせる。 + わたしは手を伸べ、強い腕をもって、怒り、憤り、激しく怒って、あなたがたを攻める。 + わたしはまたこの町に住む人と獣とを撃つ。彼らはみな重い疫病にかかって死ぬ。 + 主は言われる、この後、わたしはユダの王ゼデキヤとその家来たち、および疫病と、つるぎと、ききんを免れて、この町に残っている民を、バビロンの王ネブカデレザルの手と、その敵の手、およびその命を求める者の手に渡す。バビロンの王はつるぎの刃にかけて彼らを撃ち、彼らを惜しまず、顧みず、またあわれむこともしない』。 + あなたはまたこの民に言いなさい、『主はこう仰せられる、見よ、わたしは命の道と死の道とをあなたがたの前に置く。 + この町にとどまる者は、つるぎと、ききんと、疫病とで死ぬ。しかし、出て行って、あなたがたを攻め囲んでいるカルデヤびとに降伏する者は死を免れ、その命は自分のぶんどり物となる。 + 主は言われる、わたしがこの町に顔を向けたのは幸を与えるためではなく、災を与えるためである。この町はバビロンの王の手に渡される。彼は火をもって、これを焼き払う』。 + またユダの王の家に言いなさい、『主の言葉を聞きなさい。 + ダビデの家よ、主はこう仰せられる、朝ごとに、正しいさばきを行い、物を奪われた人をしえたげる者の手から救え。そうしないと、あなたがたの悪い行いのために、わたしの怒りは火のように燃えて、それを消すことはできない』」。 + 「主は言われる、谷に住む者よ、平原の岩よ、見よ、わたしはあなたに敵する。あなたがたは言う、『だれが下ってきて、われわれを攻めるものか、だれがわれわれのいる所に、はいるものか』と。 + わたしはあなたがたを、その行いの実によって罰する。またその林に火をつけて、その周囲のものをみな焼き尽すと、主は言われる」。 + + + 主はこう言われる、「ユダの王の家に下り、その所にこの言葉をのべて、 + 言いなさい、『ダビデの位にすわるユダの王よ、あなたと、あなたの家臣、および、この門からはいるあなたの民は主の言葉を聞きなさい。 + 主はこう言われる、公平と正義を行い、物を奪われた人を、しえたげる者の手から救い、異邦の人、孤児、寡婦を悩まし、しえたげてはならない。またこの所に、罪なき者の血を流してはならない。 + もしあなたがたがこの言葉を真実に行うならば、ダビデの位にすわる王とその家臣、およびその民は、車と馬に乗って、この家の門にはいることができる。 + しかしあなたがたがこの言葉を聞かないならば、わたしは自身をさして誓うが、この家は荒れ地となると、主は言われる。 + 主はユダの王の家についてこう言われる、あなたはわたしに対してギレアデのようであり、レバノンの頂のようである。しかし、わたしは必ずあなたを荒れ地にし、人の住まない町にする。 + わたしは滅ぼす者を設けて、あなたを攻めさせる、彼らはおのおのその武器をとり、あなたの麗しい香柏を切り倒し、火に投げ入れる。 + 多くの国の人はこの町を過ぎ、互に語って、「なぜ主はこの大いなる町をこのようにされたのか」と言うとき、 + 人は答えて、「これは彼らがその神、主の契約を捨てて他の神々を拝し、これに仕えたからである」と言うであろう』」。 + 死んだ者のために泣くことなく、またそのために嘆いてはならない。捕え移されてゆく者のために、激しく泣け。彼はふたたび帰ってきて、その故郷を見ることがないからである。 + ユダの王ヨシヤの子シャルムは父ヨシヤについで王となったが、ついにこの所から出て行った。主は彼についてこう言われる、「彼は再びここに帰らない。 + 彼はその捕え行かれた所で死に、再びこの地を見ない」。 + 「不義をもってその家を建て、不法をもってその高殿を造り、隣り人を雇って何をも与えず、その賃金を払わない者はわざわいである。 + 彼は言う、『わたしは自分のために大きな家を建て、広い高殿を造ろう』と。そしてこれがために窓を造り、香柏の鏡板でおおい、それを朱で塗る。 + あなたは競って香柏を用いることによって、王であると思うのか。あなたの父は食い飲みし、公平と正義を行って、幸を得たのではないか。 + 彼は貧しい人と乏しい人の訴えをただして、さいわいを得た。こうすることがわたしを知ることではないかと主は言われる。 + しかし、あなたは目も心も、不正な利益のためにのみ用い、罪なき者の血を流そうとし、圧制と暴虐を行おうとする」。 + それゆえ、主はユダの王ヨシヤの子エホヤキムについてこう言われる、「人々は『悲しいかな、わが兄』、『悲しいかな、わが姉』と言って、彼のために嘆かない。また『悲しいかな、主君よ』、『悲しいかな、陛下よ』と言って嘆かない。 + ろばが埋められるように、彼は葬られる。引かれて行って、エルサレムの門の外に投げ捨てられる」。 + 「レバノンに登って呼ばわり、バシャンにあなたの声をあげ、アバリムから呼ばわれ。あなたの愛する者がみな滅ぼされるからだ。 + あなたの栄えていた時、わたしはあなたに語ったが『聞きたくはない』と言った。あなたがわたしの声に聞き従わないことは、あなたの幼い時からの、ならわしであった。 + あなたの牧者はみな、風に追い立てられ、あなたの愛する者は捕え移される。その時、あなたは自分のもろもろの悪のために、恥じ、うろたえる。 + レバノンに住み、香柏の中に巣をつくっている者よ、子を産む女に臨む苦しみのような苦痛があなたに臨むとき、あなたはどんなに嘆くことであろうか」。 + 「主は言われる、わたしは生きている。ユダの王エホヤキムの子コニヤが、わたしの右手の指輪であっても、わたしはあなたを抜き取る。 + あなたの命を求める者の手、あなたがその顔を恐れる者の手、すなわちバビロンの王ネブカデレザルの手と、カルデヤびとの手にあなたを渡す。 + わたしは、あなたと、あなたを産んだ母を、あなたがたの生れた国でない他の国に追いやる。あなたがたはそこで死ぬ。 + 彼らが帰りたいとせつに願う国に、彼らは再び帰ることができない」。 + この人コニヤは卑しむべき、こわれたつぼであろうか、だれも心に留めない器であろうか。なぜ彼とその子孫は追いやられて、知らない地に投げやられるのか。 + ああ、地よ、地よ、地よ、主の言葉を聞けよ。 + 主はこう言われる、「この人を、子なき人として、またその一生のうち、栄えることのない人として記録せよ。その子孫のうち、ひとりも栄えて、ダビデの位にすわり、ユダを治めるものが再び起らないからである」。 + + + 主は言われる、「わが牧場の羊を滅ぼし散らす牧者はわざわいである」。 + それゆえイスラエルの神、主はわが民を養う牧者についてこう言われる、「あなたがたはわたしの群れを散らし、これを追いやって顧みなかった。見よ、わたしはあなたがたの悪しき行いによってあなたがたに報いると、主は言われる。 + わたしの群れの残った者を、追いやったすべての地から集め、再びこれをそのおりに帰らせよう。彼らは子を産んでその数が多くなる。 + わたしはこれを養う牧者をその上に立てる、彼らは再び恐れることなく、またおののくことなく、いなくなることもないと、主は言われる。 + 主は仰せられる、見よ、わたしがダビデのために一つの正しい枝を起す日がくる。彼は王となって世を治め、栄えて、公平と正義を世に行う。 + その日ユダは救を得、イスラエルは安らかにおる。その名は『主はわれわれの正義』ととなえられる。 + 主は言われる、それゆえ見よ、人々は『イスラエルの民をエジプトの地から導き出された主は生きておられる』とまた言わないで、 + 『イスラエルの家の子孫を北の地と、そのすべて追いやられた地から導き出された神は生きておられる』という日がくる。その時、彼らは自分の地に住んでいる」。 + 預言者たちについて。わが心はわたしのうちに破れ、わが骨はみな震う。主とその聖なる言葉のために、わたしは酔っている人のよう、酒に打ち負かされた人のようである。 + この地に姦淫を行うものが満ちているからだ。のろいによって地は嘆き、荒野の牧場はかわく。彼らの道は悪く、その力は正しくない。 + 「預言者と祭司とは共に神を汚す者である。わたしの家においてすら彼らの悪を見たと、主は言われる。 + それゆえ、彼らの道は、おのずから暗黒の中にあるなめらかな道のようになり、彼らは押されてその道に倒れる。わたしが彼らの罰せられる年に、災をその上に臨ませるからであると、主は言われる。 + わたしはサマリヤの預言者のうちに不快な事のあるのを見た。彼らはバアルによって預言し、わが民イスラエルを惑わした。 + しかしエルサレムの預言者のうちには、恐ろしい事のあるのを見た。彼らは姦淫を行い、偽りに歩み、悪人の手を強くし、人をその悪から離れさせない。彼らはみなわたしにはソドムのようであり、その民はゴモラのようである」。 + それゆえ万軍の主は預言者についてこう言われる、「見よ、わたしは彼らに、にがよもぎを食べさせ、毒の水を飲ませる。神を汚すことがエルサレムの預言者から出て、全地に及んでいるからである」。 + 万軍の主はこう言われる、「あなたがたに預言する預言者の言葉を聞いてはならない。彼らはあなたがたに、むなしい望みをいだかせ、主の口から出たのでない、自分の心の黙示を語るのである。 + 彼らは主の言葉を軽んじる者に向かって絶えず、『あなたがたは平安を得る』と言い、また自分の強情な心にしたがって歩むすべての人に向かって、『あなたがたに災はこない』と言う」。 + 彼らのうちだれか主の議会に立って、その言葉を見聞きした者があろうか。だれか耳を傾けてその言葉を聞いた者があろうか。 + 見よ、主の暴風がくる。憤りと、つむじ風が出て、悪人のこうべをうつ。 + 主の怒りは、み心に思い定められたことをなし遂げられるまで退くことはない。末の日にあなたがたはそれを明らかに悟る。 + 預言者たちはわたしがつかわさなかったのに、彼らは走った。わたしが、彼らに告げなかったのに、彼らは預言した。 + もし彼らがわたしの議会に立ったのであれば、わたしの民にわが言葉を告げ示して、その悪い道と悪い行いから、離れさせたであろうに。 + 「主は言われる、わたしはただ近くの神であって、遠くの神ではないのであるか。 + 主は言われる、人は、ひそかな所に身を隠して、わたしに見られないようにすることができようか。主は言われる、わたしは天と地とに満ちているではないか。 + わが名によって偽りを預言する預言者たちが、『わたしは夢を見た、わたしは夢を見た』と言うのを聞いた。 + 偽りを預言する預言者たちの心に、いつまで偽りがあるのであるか。彼らはその心の欺きを預言する。 + 彼らはその先祖がバアルに従ってわが名を忘れたように、互に夢を語って、わたしの民にわが名を忘れさせようとする。 + 夢をみた預言者は夢を語るがよい。しかし、わたしの言葉を受けた者は誠実にわたしの言葉を語らなければならない。わらと麦とをくらべることができようかと、主は言われる。 + 主は仰せられる、わたしの言葉は火のようではないか。また岩を打ち砕く鎚のようではないか。 + それゆえ見よ、わたしはわたしの言葉を互に盗む預言者の敵となると、主は言われる。 + 見よ、わたしは、『主は言いたもう』と舌をもって語る預言者の敵となると、主は言われる。 + 主は仰せられる、見よ、わたしは偽りの夢を預言する者の敵となる。彼らはそれを語り、またその偽りと大言をもってわたしの民を惑わす。わたしが彼らをつかわしたのではなく、また彼らに命じたのでもない。それで彼らはこの民にすこしも益にならないと、主は言われる。 + この民のひとり、または預言者、または祭司があなたに、『主の重荷はなんですか』と問うならば、彼らに答えなさい、『あなたがたがその重荷です。そして主は、あなたがたを捨てると言っておられます』と。 + そして、『主の重荷』と言うその預言者、祭司、または民のひとりを、その家族と共にわたしは罰する。 + あなたがたは、みな互に、隣り人に、また兄弟に、こう言わなければならない、『主はなんと答えられましたか』、『主はなんと言われましたか』と。 + しかし重ねて『主の重荷』と言ってはならない。重荷は人おのおのの自分の言葉だからである。あなたがたは生ける神、万軍の主なるわれわれの神の言葉を曲げる者である。 + あなたは預言者にこう言わなければならない、『主はあなたになんと答えられましたか』、『主はなんと言われましたか』と。 + もしあなたがたが『主の重荷』と言うならば、主はこう仰せられる、『わたしが人をあなたがたにつかわして、あなたがたは「主の重荷」と言ってはならないと言わせたのに、あなたがたは「主の重荷」という言葉を言ったので、 + わたしは必ずあなたがたを捕え移させ、あなたがたとあなたがたの先祖とに与えたこの町と、あなたがたとを、わたしの前から捨て去る。 + そして、忘れられることのない永遠のはずかしめと永遠の恥を、あなたがたにこうむらせる』」。 + + + バビロンの王ネブカデレザルがユダの王エホヤキムの子エコニヤおよびユダの君たちと工匠と鍛冶をエルサレムからバビロンに移して後、主はわたしにこの幻をお示しになった。見よ、主の宮の前に置かれているいちじくを盛った二つのかごがあった。 + その一つのかごには、はじめて熟したような非常に良いいちじくがあり、ほかのかごには非常に悪くて食べられないほどの悪いいちじくが入れてあった。 + 主はわたしに、「エレミヤよ、何を見るか」と言われた。わたしは、「いちじくです。その良いいちじくは非常によく、悪いほうのいちじくは非常に悪くて、食べられません」と答えた。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「イスラエルの神、主はこう仰せられる、この所からカルデヤびとの地に追いやったユダの捕われ人を、わたしはこの良いいちじくのように顧みて恵もう。 + わたしは彼らに目をかけてこれを恵み、彼らをこの地に返し、彼らを建てて倒さず、植えて抜かない。 + わたしは彼らにわたしが主であることを知る心を与えよう。彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。彼らは一心にわたしのもとに帰ってくる。 + 主はこう仰せられる、わたしはユダの王ゼデキヤとそのつかさたち、およびエルサレムの人の残ってこの地にいる者、ならびにエジプトの地に住んでいる者を、この悪くて食べられない悪いいちじくのようにしよう。 + わたしは彼らを地のもろもろの国で、忌みきらわれるものとし、またわたしの追いやるすべての所で、はずかしめに会わせ、ことわざとなり、あざけりと、のろいに会わせる。 + わたしはつるぎと、ききんと、疫病を彼らのうちに送って、ついに彼らをわたしが彼らとその先祖とに与えた地から絶えさせる」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの四年(バビロンの王ネブカデレザルの元年)にユダのすべての民についての言葉がエレミヤに臨んだ。 + 預言者エレミヤはこの言葉をユダのすべての民とエルサレムに住むすべての人に告げて言った、 + 「ユダの王アモンの子ヨシヤの十三年から今日にいたるまで二十三年の間、主の言葉がわたしに臨んだ。わたしはたゆまずにそれをあなたがたに語ってきたが、あなたがたは聞かなかった。 + 主はたゆまず、そのしもべである預言者を、あなたがたにつかわされたが、あなたがたは聞かずまた耳を傾けて聞こうともしなかった。 + 彼らは言った、『あなたがたはおのおの今その悪の道と悪い行いを捨てなさい。そうすれば主が昔からあなたがたと先祖たちとに与えられた地に永遠に住むことができる。 + あなたがたは、ほかの神に従って、それに仕え、それを拝んではならない。あなたがたの手で作ったものをもって、わたしを怒らせてはならない。このようなことをしないなら、わたしはあなたがたをそこなうことはない』と。 + しかしあなたがたはわたしに聞き従わず、あなたがたの手で作った物をもって、わたしを怒らせて自ら害を招いたと、主は言われる。 + それゆえ万軍の主はこう仰せられる、あなたがたがわたしの言葉に聞き従わないゆえ、 + 見よ、わたしは北の方のすべての種族と、わたしのしもべであるバビロンの王ネブカデレザルを呼び寄せて、この地とその民と、そのまわりの国々を攻め滅ぼさせ、これを忌みきらわれるものとし、人の笑いものとし、永遠のはずかしめとすると、主は言われる。 + またわたしは喜びの声、楽しみの声、花婿の声、花嫁の声、ひきうすの音、ともしびの光を彼らの中に絶えさせる。 + この地はみな滅ぼされて荒れ地となる。そしてその国々は七十年の間バビロンの王に仕える。 + 主は言われる、七十年の終った後に、わたしはバビロンの王と、その民と、カルデヤびとの地を、その罪のために罰し、永遠の荒れ地とする。 + わたしはあの地について、わたしが語ったすべての言葉をその上に臨ませる。これはエレミヤが、万国のことについて預言したものであって、みなこの書にしるされている。 + 多くの国々と偉大な王たちとは、彼らをさえ奴隷として仕えさせる。わたしは彼らの行いと、その手のわざに従って報いる」。 + イスラエルの神、主はわたしにこう仰せられた、「わたしの手から、この怒りの杯を受けて、わたしがあなたをつかわす国々の民に飲ませなさい。 + 彼らは飲んで、よろめき狂う。これはわたしが彼らのうちに、つるぎをつかわそうとしているからである」。 + こうしてわたしは主の手から杯を受け、主がわたしをつかわされた国々の民に飲ませた。 + すなわちエルサレムとユダのすべての町と、その王たちおよびそのつかさたちに飲ませて、それらを滅ぼし、荒れ地とし、人の笑いものとし、のろわれるものとした。今日のとおりである。 + またエジプトの王パロとその家来たち、その君たち、そのすべての民と、 + もろもろの寄留の異邦人、およびウズの地のすべての王たち、およびペリシテびとの地のすべての王たち、(アシケロン、ガザ、エクロン、アシドドの残りの者)、 + エドム、モアブ、アンモンの子孫、 + ツロのすべての王たち、シドンのすべての王たち、海のかなたの海沿いの地の王たち、 + デダン、テマ、ブズおよびすべて髪の毛のすみずみをそる者、 + アラビヤのすべての王たち、荒野の雑種の民のすべての王たち、 + ジムリのすべての王たち、エラムのすべての王たち、メデアのすべての王たち、 + 北のすべての王たちの遠き者、近き者もつぎつぎに、またすべて地のおもてにある世の国々の王たちもこの杯を飲む。そして彼らの次にバビロンの王もこれを飲む。 + 「それであなたは彼らに言いなさい、『万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、飲め、酔って吐け、倒れて再び立つな、わたしがあなたがたのうちに、つるぎをつかわすからである』」。 + 「もし彼らがあなたの手から杯を受けて飲むことをしないならば、あなたは彼らに言いなさい、『万軍の主はこう仰せられる、あなたがたは必ず飲まなければならない。 + 見よ、わたしの名をもって呼ばれるこの町にさえ災を下すのだ。どうしてあなたがたが罰を免れることができようか。あなたがたは罰を免れることはできない。わたしがつるぎを呼び寄せて、地に住むすべての者を攻めるからであると、万軍の主は仰せられる』。 + それゆえ、あなたは彼らにこのすべての言葉を預言して言いなさい、『主は高い所から呼ばわり、その聖なるすまいから声を出し、自分のすみかに向かって大いに呼ばわり、地に住むすべての者に向かってぶどうを踏む者のように叫ばれる。 + 叫びは地の果にまで響きわたる。主が国々と争い、すべての肉なる者をさばき、悪人をつるぎに渡すからであると、主は言われる』。 + 万軍の主はこう仰せられる、見よ、国から国へ災が出て行く。大きなあらしが地の果からおこる。 + その日、主に殺される人々は、地のこの果から、かの果に及ぶ。彼らは悲しまれず、集められず、また葬られずに、地のおもてに糞土となる。 + 牧者よ、嘆き叫べ、群れのかしらたちよ、灰の中にまろべ。あなたがたのほふられる日、散らされる日が来たからだ。あなたがたは選び分けられた雄羊のように倒れる。 + 牧者には、のがれ場なく、群れのかしらたちは逃げる所がない。 + 牧者の叫び声と、群れのかしらたちの嘆きの声が聞える。主が彼らの牧場を滅ぼしておられるからだ。 + 主の激しい怒りによって、平和な牧場は荒れていく。 + ししのように彼はその巣を出た。主のつるぎと、その激しい怒りによって、彼らの地は荒れ地となった」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムが世を治めた初めのころ、主からこの言葉があった、 + 「主はこう仰せられる、主の宮の庭に立ち、わたしがあなたに命じて言わせるすべての言葉を、主の宮で礼拝するために来ているユダの町々の人々に告げなさい。ひと言をも言い残しておいてはならない。 + 彼らが聞いて、おのおのその悪い道を離れることがあるかも知れない。そのとき、わたしは彼らの行いの悪いために、災を彼らに下そうとしたのを思いなおす。 + あなたは彼らに言いなさい、『主はこう仰せられる、もしあなたがたがわたしに聞き従わず、わたしがあなたがたの前に定めおいた律法を行わず、 + わたしがあなたがたに、しきりにつかわすわたしのしもべである預言者の言葉に聞き従わないならば、(あなたがたは聞き従わなかったが、) + わたしはこの宮をシロのようにし、またこの町を地の万国にのろわれるものとする』」。 + 祭司と預言者およびすべての民は、エレミヤが主の宮でこれらの言葉を語るのを聞いた。 + エレミヤが主に命じられたすべての言葉を民に告げ終った時、祭司と預言者および民はみな彼を捕えて言った、「あなたは死ななければならない。 + なぜあなたは主の名によって預言し、この宮はシロのようになり、この町は荒されて住む人もなくなるであろうと言ったのか」と。民はみな主の宮に集まってエレミヤを取り囲んだ。 + ユダのつかさたちはこの事を聞いて王の宮殿を出て主の宮に上り、主の宮の「新しい門」の入口に座した。 + 祭司と預言者らは、つかさたちとすべての民に訴えて言った、「この人は死刑に処すべき者です。あなたがたが自分の耳で聞かれたように、この町に逆らう預言をしたのです」。 + その時エレミヤは、つかさたちとすべての民に言った、「主はわたしをつかわし、この宮とこの町にむかって、預言をさせられたので、そのすべての言葉をあなたがたは聞いた。 + それで、あなたがたは今、あなたがたの道と行いを改め、あなたがたの神、主の声に聞き従いなさい。そうするならば主はあなたがたに災を下そうとしたことを思いなおされる。 + 見よ、わたしはあなたがたの手の中にある。あなたがたの目に、良いと見え、正しいと思うことをわたしに行うがよい。 + ただ明らかにこのことを知っておきなさい。もしあなたがたがわたしを殺すならば、罪なき者の血はあなたがたの身と、この町と、その住民とに帰する。まことに主がわたしをつかわして、このすべての言葉をあなたがたの耳に、告げさせられたからである」。 + つかさたちと、すべての民とは、祭司と預言者に言った、「この人は死刑に処すべき者ではない。われわれの神、主の名によってわれわれに語ったのである」。 + その時この地の長老たち数人が立って、そこに集まっているすべての者に告げて言った、 + 「ユダの王ヒゼキヤの世に、モレシテびとミカはユダのすべての民に預言して言った、『万軍の主はこう仰せられる、シオンは畑のように耕され、エルサレムは石塚となり、宮の山は木のおい茂る高い所となる』。 + ユダの王ヒゼキヤと、すべてのユダの人は彼を殺そうとしたことがあろうか。ヒゼキヤは主を恐れ、主の恵みを求めたので、主は彼らに災を下すとお告げになったのを思いなおされたではないか。しかし、われわれは、自分の身に大きな災を招こうとしている」。 + 主の名によって預言した人がほかにもあった。すなわちキリアテ・ヤリムのシマヤの子ウリヤである。彼はエレミヤとおなじような言葉をもって、この町とこの地にむかって預言した。 + エホヤキム王と、そのすべての勇士と、すべてのつかさたちはその言葉を聞いた。そして王は彼を殺そうと思ったが、ウリヤはこれを聞いて恐れ、エジプトに逃げて行ったので、 + エホヤキム王は人をエジプトにつかわした。すなわちアクボルの子エルナタンと他の数名の人を、エジプトにつかわした。 + 彼らはウリヤをエジプトから引き出し、エホヤキム王のもとに連れてきたので、王はつるぎをもって彼を殺し、その死体を共同墓地に捨てさせた。 + しかしシャパンの子アヒカムはエレミヤを助け、民の手に渡されて殺されることのないようにした。 + + + ユダの王ヨシヤの子ゼデキヤが世を治め始めたころ、この言葉が主からエレミヤに臨んだ。 + すなわち主はこうわたしに仰せられた、「綱と、くびきとを作って、それをあなたの首につけ、 + エルサレムにいるユダの王ゼデキヤの所に来た使者たちによって、エドムの王、モアブの王、アンモンびとの王、ツロの王、シドンの王に言いおくりなさい。 + 彼らの主君にこの命を伝えさせなさい、『万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、あなたがたは主君にこのように告げなければならない。 + わたしは大いなる力と伸べた腕とをもって、地と地の上にいる人と獣とをつくった者である。そして心のままに地を人に与える。 + いまわたしはこのすべての国を、わたしのしもべであるバビロンの王ネブカデネザルの手に与え、また野の獣をも彼に与えて彼に仕えさせた。 + 彼の地に時がくるまで、万国民は彼とその子とその孫に仕える。その時がくるならば、多くの国と大いなる王たちとが彼を自分の奴隷にする。 + バビロンの王ネブカデネザルに仕えず、バビロンの王のくびきを自分の首に負わない民と国とは、わたしがつるぎと、ききんと、疫病をもって罰し、ついには彼の手によってことごとく滅ぼすと主は言われる。 + それで、あなたがたの預言者、占い師、夢みる者、法術師、魔法使が、「あなたがたはバビロンの王に仕えることはない」と言っても、聞いてはならない。 + 彼らはあなたがたに偽りを預言して、あなたがたを自分の国から遠く離れさせ、わたしに、あなたがたを追い出してあなたがたを滅ぼさせるのである。 + しかしバビロンの王のくびきを首に負って、彼に仕える国民を、わたしはその故国に残らせ、それを耕して、そこに住まわせると主は言われる』」。 + わたしはユダの王ゼデキヤにも同じように言った、「あなたがたは、バビロンの王のくびきを自分の首に負って、彼とその民とに仕え、そして生きなさい。 + どうしてあなたと、あなたの民とが、主がバビロンの王に仕えない国民について言われたように、つるぎと、ききんと、疫病に死んでよかろうか。 + あなたがたはバビロンの王に仕えることはないとあなたがたに告げる預言者の言葉を聞いてはならない。彼らがあなたがたに預言していることは偽りであるからだ。 + 主は言われる、わたしが彼らをつかわしたのではないのに、彼らはわたしの名によって偽って預言している。そのために、わたしはあなたがたを追い払い、あなたがたと、あなたがたに預言する預言者たちを滅ぼすようになるのだ」。 + わたしはまた祭司とこのすべての民とに語って言った、「主はこう仰せられる、『見よ、主の宮の器は今、すみやかに、バビロンから返されてくる』とあなたがたに預言する預言者の言葉を聞いてはならない。それは、彼らがあなたがたに預言していることは偽りであるからだ。 + 彼らのいうことを聞いてはならない。バビロンの王に仕え、そして生きなさい。どうしてこの町が荒れ地となってよかろうか。 + もし彼らが預言者であって、主の言葉が彼らのうちにあるのであれば、主の宮とユダの王の宮殿とエルサレムとに残されている器が、バビロンに移されないように、万軍の主に、とりなしを願うべきだ。 + 万軍の主は柱と海と台、その他この町に残っている器について、こう仰せられる。 + これはバビロンの王ネブカデネザルが、ユダの王エホヤキムの子エコニヤ、およびユダとエルサレムのすべての身分の尊い人々を捕えてエルサレムからバビロンに移したときに、持ち去らなかった器である。―― + すなわち万軍の主、イスラエルの神は、主の宮とユダの王の宮殿とエルサレムとに残されている器について、こう仰せられる。 + これらはバビロンに携え行かれ、わたしが顧みる日までそこにおかれている。その後、わたしはこれらのものを、この所に携え帰らせると主は言われる」。 + + + その年、すなわちユダの王ゼデキヤの治世の初め、その第四年の五月、ギベオン出身の預言者であって、アズルの子であるハナニヤは、主の宮で祭司とすべての民の前でわたしに語って言った、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、わたしはバビロンの王のくびきを砕いた。 + 二年の内に、バビロンの王ネブカデネザルが、この所から取ってバビロンに携えて行った主の宮の器を、皆この所に帰らせる。 + わたしはまたユダの王エホヤキムの子エコニヤと、バビロンに行ったユダのすべての捕われ人をこの所に帰らせる。それは、わたしがバビロンの王のくびきを、砕くからであると主は言われる」。 + そこで預言者エレミヤは主の宮のうちに立っている祭司とすべての民の前で、預言者ハナニヤに言った。 + すなわち預言者エレミヤは言った、「アァメン。どうか主がこのようにしてくださるように。どうかあなたの預言した言葉が成就して、バビロンに携えて行った主の宮の器とすべての捕われ人を、主がバビロンから再びこの所に帰らせてくださるように。 + ただし、今わたしがあなたとすべての民の聞いている所で語るこの言葉を聞きなさい。 + わたしと、あなたの先に出た預言者は、むかしから、多くの地と大きな国について、戦いと、ききんと、疫病の事を預言した。 + 平和を預言する預言者は、その預言者の言葉が成就するとき、真実に主がその預言者をつかわされたのであることが知られるのだ」。 + そこで預言者ハナニヤは預言者エレミヤの首から、くびきを取って、それを砕いた。 + そしてハナニヤは、すべての民の前で語り、「主はこう仰せられる、『わたしは二年のうちに、このように、万国民の首からバビロンの王ネブカデネザルのくびきを離して砕く』」と言った。預言者エレミヤは去って行った。 + 預言者ハナニヤが預言者エレミヤの首から、くびきを離して砕いた後、しばらくして主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「行って、ハナニヤに告げなさい、『主はこう仰せられる、あなたは木のくびきを砕いたが、わたしはそれに替えて鉄のくびきを作ろう。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、わたしは鉄のくびきをこの万国民の首に置いて、バビロンの王ネブカデネザルに仕えさせる。彼らはこれに仕える。わたしは野の獣をも彼に与えた』」。 + 預言者エレミヤはまた預言者ハナニヤに言った、「ハナニヤよ、聞きなさい。主があなたをつかわされたのではない。あなたはこの民に偽りを信じさせた。 + それゆえ主は仰せられる、『わたしはあなたを地のおもてから除く。あなたは主に対する反逆を語ったので、今年のうちに死ぬのだ』と」。 + 預言者ハナニヤはその年の七月に死んだ。 + + + これは預言者エレミヤがエルサレムから、かの捕え移された長老たち、およびネブカデネザルによってエルサレムからバビロンに捕え移された祭司と預言者ならびにすべての民に送った手紙に書きしるした言葉である。 + それはエコニヤ王と太后と宦官およびユダとエルサレムのつかさたち、および工匠と鍛冶とがエルサレムを去ってのちに書かれたものであって、 + エレミヤはその手紙をシャパンの子エラサおよびヒルキヤの子ゲマリヤの手によって送った。この人々はユダの王ゼデキヤがバビロンに行かせ、バビロンの王ネブカデネザルのもとにつかわしたものであった。その手紙には次のように書いてあった。 + 「万軍の主、イスラエルの神は、すべて捕え移された者、すなわち、わたしがエルサレムから、バビロンに捕え移させた者に、こう言う、 + あなたがたは家を建てて、それに住み、畑を作ってその産物を食べよ。 + 妻をめとって、むすこ娘を産み、また、そのむすこに嫁をめとり、娘をとつがせて、むすこ娘を産むようにせよ。その所であなたがたの数を増し、減ってはならない。 + わたしがあなたがたを捕え移させたところの町の平安を求め、そのために主に祈るがよい。その町が平安であれば、あなたがたも平安を得るからである。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、あなたがたのうちにいる預言者と占い師に惑わされてはならない。また彼らの見る夢に聞き従ってはならない。 + それは、彼らがわたしの名によってあなたがたに偽りを預言しているからである。わたしが彼らをつかわしたのではないと主は言われる。 + 主はこう言われる、バビロンで七十年が満ちるならば、わたしはあなたがたを顧み、わたしの約束を果し、あなたがたをこの所に導き帰る。 + 主は言われる、わたしがあなたがたに対していだいている計画はわたしが知っている。それは災を与えようというのではなく、平安を与えようとするものであり、あなたがたに将来を与え、希望を与えようとするものである。 + その時、あなたがたはわたしに呼ばわり、来て、わたしに祈る。わたしはあなたがたの祈を聞く。 + あなたがたはわたしを尋ね求めて、わたしに会う。もしあなたがたが一心にわたしを尋ね求めるならば、 + わたしはあなたがたに会うと主は言われる。わたしはあなたがたの繁栄を回復し、あなたがたを万国から、すべてわたしがあなたがたを追いやった所から集め、かつ、わたしがあなたがたを捕われ離れさせたそのもとの所に、あなたがたを導き帰ろうと主は言われる。 + あなたがたは、『主はバビロンでわれわれのために預言者たちを起された』と言ったが、―― + 主はダビデの位に座している王と、この町に住むすべての民で、あなたがたと共に捕え移されなかった兄弟たちについて、こう言われる、 + 『万軍の主はこう言われる、見よ、わたしは、つるぎと、ききんと、疫病を彼らに送り、彼らを悪くて食べられない腐ったいちじくのようにしてしまう。 + わたしはつるぎと、ききんと、疫病をもって彼らのあとを追い、また彼らを地の万国に忌みきらわれるものとなし、わたしが彼らを追いやる国々で、のろいとなり、恐れとなり、物笑いとなり、はずかしめとならせる。 + それは彼らがわたしの言葉に聞き従わなかったからであると主は言われる。わたしはこの言葉を、わたしのしもべである預言者たちによって、しきりに送ったが、あなたがたは聞こうともしなかったと主は言われる』。―― + わたしがエルサレムからバビロンに送ったあなたがたすべての捕われ人よ、主の言葉を聞きなさい、 + 『わたしの名によって、あなたがたに偽りを預言しているコラヤの子アハブと、マアセヤの子ゼデキヤについて万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、見よ、わたしは彼らをバビロンの王ネブカデレザルの手に渡す。王はあなたがたの目の前で彼らを殺す。 + バビロンにいるユダの捕われ人は皆、彼らの名を、のろいの言葉に用いて、「主があなたをバビロンの王が火で焼いたゼデキヤとアハブのようにされるように」という。 + それは、彼らがイスラエルのうちで愚かな事をし、隣の妻と不義を行い、わたしが命じたのでない偽りの言葉を、わたしの名によって語ったことによるのである。わたしはそれを知っており、またその証人であると主は言われる』」。 + ネヘラムびとシマヤにあなたは言いなさい、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、あなたは自分の名でエルサレムにいるすべての民と、マアセヤの子祭司ゼパニヤおよびすべての祭司に手紙を送って言う、 + 『主は祭司エホヤダに代ってあなたを祭司とし、主の宮をつかさどらせ、すべて狂い、かつ預言する者を足かせと首かせにつながせられる。 + そうであるのに、どうしてあなたは、あなたがたに預言しているアナトテのエレミヤを戒めないのか。 + 彼はバビロンにいるわれわれの所に手紙を送って、捕われの時はなお長いゆえ、あなたがたは家を建ててそこに住み、畑を作ってその産物を食べよと言ってきた』」。 + 祭司ゼパニヤはこの手紙を預言者エレミヤに読み聞かせた。 + その時、主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「すべての捕われ人に書き送って言いなさい、ネヘラムびとシマヤの事について主はこう仰せられる、わたしはシマヤをつかわさなかったのに、彼があなたがたに預言して偽りを信じさせたので、 + 主はこう仰せられる、見よ、わたしはネヘラムびとシマヤとその子孫を罰する。彼は主に対する反逆を語ったゆえ、彼に属する者で、この民のうちに住み、わたしが自分の民に行おうとしている良い事を見るものはひとりもいない」。 + + + 主からエレミヤに臨んだ言葉。 + 「イスラエルの神、主はこう仰せられる、わたしがあなたに語った言葉を、ことごとく書物にしるしなさい。 + 主は言われる、見よ、わたしがわが民イスラエルとユダの繁栄を回復する日が来る。主がこれを言われる。わたしは彼らを、その先祖に与えた地に帰らせ、彼らにこれを保たせる」。 + これは主がイスラエルとユダについて言われた言葉である。 + 「主はこう仰せられる、われわれはおののきの声を聞いた。恐れがあり、平安はない。 + 子を産む男があるか、尋ねてみよ。どうして男がみな子を産む女のように手を腰におくのをわたしは見るのか。なぜ、どの人の顔色も青く変っているのか。 + 悲しいかな、その日は大いなる日であって、それに比べるべき日はない。それはヤコブの悩みの時である。しかし彼はそれから救い出される。 + 万軍の主は仰せられる、その日わたしは彼らの首からそのくびきを砕き離し、彼らの束縛を解く。異邦の人はもはや、彼らを使役することをしない。 + 彼らはその神、主と、わたしが彼らのために立てるその王ダビデに仕える。 + 主は仰せられる、わがしもべヤコブよ、恐れることはない、イスラエルよ、驚くことはない。見よ、わたしがあなたを救って、遠くからかえし、あなたの子孫を救って、その捕え移された地からかえすからだ。ヤコブは帰ってきて、穏やかに安らかにおり、彼を恐れさせる者はない。 + 主は言われる、わたしはあなたと共にいて、あなたを救う。わたしはあなたを散らした国々をことごとく滅ぼし尽す。しかし、あなたを滅ぼし尽すことはしない。わたしは正しい道に従ってあなたを懲らしめる。決して罰しないではおかない。 + 主はこう仰せられる、あなたの痛みはいえず、あなたの傷は重い。 + あなたの訴えを支持する者はなく、あなたの傷をつつむ薬はなく、あなたをいやすものもない。 + あなたの愛する者は皆あなたを忘れてあなたの事を心に留めない。それは、あなたのとがが多く、あなたの罪がはなはだしいので、わたしがあだを撃つようにあなたを撃ち、残忍な敵のように懲らしたからだ。 + なぜ、あなたの傷のために叫ぶのか、あなたの悩みはいえることはない。あなたのとがが多く、あなたの罪がはなはだしいので、これらの事をわたしはあなたにしたのである。 + しかし、すべてあなたを食い滅ぼす者は食い滅ぼされ、あなたをしえたげる者は、ひとり残らず、捕え移され、あなたをかすめる者は、かすめられ、すべてあなたの物を奪う者は奪われる者となる。 + 主は言われる、わたしはあなたの健康を回復させ、あなたの傷をいやす。それは、人があなたを捨てられた者とよび、『だれも心に留めないシオン』というからである。 + 主はこう仰せられる、見よ、わたしはヤコブの天幕を再び栄えさせ、そのすまいにあわれみを施す。町は、その丘に建てなおされ、宮殿はもと立っていた所に立つ。 + 感謝の歌と喜ぶ者の声とが、その中から出る。わたしが彼らを増すゆえ、彼らは少なくはなく、また彼らを尊ばれしめるゆえ、卑しめられることはない。 + その子らは、いにしえのようになり、その会衆はわたしの前に堅く立つ。すべて彼らをしえたげる者をわたしは罰する。 + その君は彼ら自身のうちのひとりであり、そのつかさは、そのうちから出る。わたしは彼をわたしに近づけ、彼はわたしに近づく。だれか自分の命をかけてわたしに近づく者があろうかと主は言われる。 + あなたがたは、わたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる」。 + 見よ、主の暴風がくる。憤りと、つむじ風が出て、悪人のこうべをうつ。 + 主の激しい怒りは、み心に思い定められたことを行って、これを遂げるまで、退くことはない。末の日にあなたがたはこれを悟るのである。 + + + 「主は言われる、その時わたしはイスラエルの全部族の神となり、彼らはわたしの民となる」。 + 主はこう言われる、「つるぎをのがれて生き残った民は、荒野で恵みを得た。イスラエルが安息を求めた時、 + 主は遠くから彼に現れた。わたしは限りなき愛をもってあなたを愛している。それゆえ、わたしは絶えずあなたに真実をつくしてきた。 + イスラエルのおとめよ、再びわたしはあなたを建てる、あなたは建てられる。あなたは再び鼓をもって身を飾り、出て行って、喜び楽しむ者と共に踊る。 + またあなたはぶどうの木をサマリヤの山に植える。植える者は、植えてその実を食べることができる。 + 見守る者がエフライムの山の上に立って呼ばわる日が来る。『立って、シオンに上り、われわれの神、主に、もうでよう』と」。 + 主はこう仰せられる、「ヤコブのために喜んで声高く歌い、万国のかしらのために叫び声をあげよ。告げ示し、ほめたたえて言え、『主はその民イスラエルの残りの者を救われた』と。 + 見よ、わたしは彼らを北の国から連れ帰り、彼らを地の果から集める。彼らのうちには、盲人やあしなえ、妊婦、産婦も共にいる。彼らは大きな群れとなって、ここに帰ってくる。 + 彼らは泣き悲しんで帰ってくる。わたしは慰めながら彼らを導き帰る。彼らがつまずかないように、まっすぐな道により、水の流れのそばを通らせる。それは、わたしがイスラエルの父であり、エフライムはわたしの長子だからである。 + 万国の民よ、あなたがたは主の言葉を聞き、これを遠い、海沿いの地に示して言いなさい、『イスラエルを散らした者がこれを集められる。牧者がその群れを守るようにこれを守られる』と。 + すなわち主はヤコブをあがない、彼らよりも強い者の手から彼を救いだされた。 + 彼らは来てシオンの山で声高く歌い、主から賜わった良い物のために、穀物と酒と油および若き羊と牛のために、喜びに輝く。その魂は潤う園のようになり、彼らは重ねて憂えることがない。 + その時おとめたちは舞って楽しみ、若い者も老いた者も共に楽しむ。わたしは彼らの悲しみを喜びにかえ、彼らを慰め、憂いの代りに喜びを与える。 + わたしは多くのささげ物で、祭司の心を飽かせ、わたしの良き物で、わたしの民を満ち足らせると主は言われる」。 + 主はこう仰せられる、「嘆き悲しみ、いたく泣く声がラマで聞える。ラケルがその子らのために嘆くのである。子らがもはやいないので、彼女はその子らのことで慰められるのを願わない」。 + 主はこう仰せられる、「あなたは泣く声をとどめ、目から涙をながすことをやめよ。あなたのわざに報いがある。彼らは敵の地から帰ってくると主は言われる。 + あなたの将来には希望があり、あなたの子供たちは自分の国に帰ってくると主は言われる。 + わたしは確かに、エフライムがこう言って嘆くの聞いた、『あなたはわたしを懲しめられた、わたしはくびきに慣れない子牛のように懲しめをうけた。主よ、あなたはわたしの神、主でいらせられる、わたしを連れ帰って、もとにかえしてください。 + わたしはそむき去った後、悔い、教をうけた後、ももを打った。若い時のはずかしめが身にあるので、わたしは恥じ、 うろたえた』。 + 主は言われる、エフライムはわたしの愛する子、わたしの喜ぶ子であろうか。わたしは彼について語るごとに、なお彼を忘れることができない。それゆえ、わたしの心は彼をしたっている。わたしは必ず彼をあわれむ。 + みずからのために道しるべを置き、みずからのために標柱を立てよ。大路に、あなたの通って行った道に心を留めよ。イスラエルのおとめよ、帰れ、これらの、あなたの町々に帰れ。 + 不信の娘よ、いつまでさまようのか。主は地の上に新しい事を創造されたのだ、女が男を保護する事である」。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、「わたしが彼らを再び栄えさせる時、人々はまたユダの地とその町々でこの言葉を言う、『正義のすみかよ、聖なる山よ、どうか主がおまえを祝福してくださるように』。 + ユダとそのすべての町の人、および農夫と群れを飼って歩き回る者は共にそこに住む。 + わたしが疲れた魂を飽き足らせ、すべて悩んでいる魂を慰めるからである」。 + ここでわたしは目をさましたが、わたしの眠りは、ここちよかった。 + 「主は言われる、見よ、わたしが人の種と獣の種とをイスラエルの家とユダの家とにまく日が来る。 + わたしは彼らを抜き、砕き、倒し、滅ぼし、悩まそうと待ちかまえていたように、また彼らを建て、植えようと待ちかまえていると主は言われる。 + その時、彼らはもはや、『父がすっぱいぶどうを食べたので、子どもの歯がうく』とは言わない。 + 人はめいめい自分の罪によって死ぬ。すっぱいぶどうを食べる人はみな、その歯がうく。 + 主は言われる、見よ、わたしがイスラエルの家とユダの家とに新しい契約を立てる日が来る。 + この契約はわたしが彼らの先祖をその手をとってエジプトの地から導き出した日に立てたようなものではない。わたしは彼らの夫であったのだが、彼らはそのわたしの契約を破ったと主は言われる。 + しかし、それらの日の後にわたしがイスラエルの家に立てる契約はこれである。すなわちわたしは、わたしの律法を彼らのうちに置き、その心にしるす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となると主は言われる。 + 人はもはや、おのおのその隣とその兄弟に教えて、『あなたは主を知りなさい』とは言わない。それは、彼らが小より大に至るまで皆、わたしを知るようになるからであると主は言われる。わたしは彼らの不義をゆるし、もはやその罪を思わない」。 + 主はこう言われる、すなわち太陽を与えて昼の光とし、月と星とを定めて夜の光とし、海をかき立てて、その波を鳴りとどろかせる者――その名は万軍の主という。 + 主は言われる、「もしこの定めがわたしの前ですたれてしまうなら、イスラエルの子孫もすたって、永久にわたしの前で民であることはできない」。 + 主はこう言われる、「もし上の天を量ることができ、下の地の基を探ることができるなら、そのとき、わたしはイスラエルのすべての子孫をそのもろもろの行いのために捨て去ると主は言われる」。 + 主は言われる、「見よ、この町が、ハナネルの塔から隅の門まで、主のために再建される時が来る。 + 測りなわはそれよりも遠くまっすぐに延びて、ガレブの丘に達し、ゴアのほうに向かう。 + 死体と灰との谷の全部、またキデロンの谷に行くまでと、東のほうの馬の門のすみに行くまでとのすべての畑はみな主の聖なる所となり、永遠にわたって、ふたたび抜かれ、また倒されることはない」。 + + + ユダの王ゼデキヤの十年、すなわちネブカデレザルの十八年に、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + その時、バビロンの王の軍勢がエルサレムを攻め囲んでいて、預言者エレミヤはユダの王の宮殿にある監視の庭のうちに監禁されていた。 + ユダの王ゼデキヤが彼を閉じ込めたのであるが、王は言った、「なぜあなたは預言して言うのか、『主はこう仰せられる、見よ、わたしはこの町をバビロンの王の手に渡し、彼はこれを取る。 + またユダの王ゼデキヤはカルデヤびとの手をのがれることなく、かならずバビロンの王の手に渡され、顔と顔を合わせて彼と語り、目と目は相まみえる。 + そして彼はゼデキヤをバビロンに引いていき、ゼデキヤは、わたしが彼を顧みる時まで、そこにいると主は言われる。あなたがたは、カルデヤびとと戦っても勝つことはできない』と」。 + エレミヤは言った、「主の言葉がわたしに臨んで言われる、 + 『見よ、あなたのおじシャルムの子ハナメルがあなたの所に来て言う、「アナトテにあるわたしの畑を買いなさい。それは、これを買い取り、あがなう権利があなたにあるから」と』。 + はたして主の言葉のように、わたしのいとこであるハナメルが監視の庭のうちにいるわたしの所に来て言った、『ベニヤミンの地のアナトテにあるわたしの畑を買ってください。所有するのも、あがなうのも、あなたの権利なのです。買い取ってあなたの物にしてください。これが主の言葉であるのをわたしは知っていました』。 + そこでわたしは、いとこのハナメルからアナトテにある畑を買い取り、銀十七シケルを量って彼に支払った。 + すなわち、わたしはその証書をつくって、これに記名し、それを封印し、証人を立て、はかりをもって銀を量って与えた。 + そしてわたしはその約定をしるして封印した買収証書と、封印のない写しとを取り、 + いとこのハナメルと、買収証書に記名した証人たち、および監視の庭にすわっているすべてのユダヤ人の前で、その証書をマアセヤの子であるネリヤの子バルクに与え、 + 彼らの前で、わたしはバルクに命じて言った、 + 『万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、これらの証書すなわち、この買収証書の封印したものと、封印のない写しとを取り、これらを土の器に入れて、長く保存せよ。 + 万軍の主、イスラエルの神がこう言われるからである、「この地で人々はまた家と畑とぶどう畑を買うようになる」と』。 + わたしは買収証書をネリヤの子バルクに渡したあとで主に祈って言った、 + 『ああ主なる神よ、あなたは大いなる力と、伸べた腕をもって天と地をお造りになったのです。あなたのできないことは、ひとつもありません。 + あなたはいつくしみを千万人に施し、また父の罪をそののちの子孫に報いられるのです。あなたは大いなる全能の神でいらせられ、その名は万軍の主と申されます。 + あなたの計りごとは大きく、また、事を行うのに力があり、あなたの目は人々の歩むすべての道を見て、おのおのの道にしたがい、その行いの実によってこれに報いられます。 + あなたは、しるしと、不思議なわざとをエジプトの地に行い、また今日に至るまでイスラエルと全人類のうちに行い、そして今日のように名をあげられました。 + あなたは、しるしと、不思議なわざと、強い手と、伸べた腕と、大いなる恐るべき事をもって、あなたの民イスラエルをエジプトの地から導き出し、 + この地を彼らに賜わりました。これはあなたが彼らの先祖たちに与えようと誓われた乳と蜜の流れる地です。 + こうして彼らは、はいってこれを獲たのですが、あなたの声に聞き従わず、あなたの律法を行わず、すべてあなたがせよと命じられたことをしなかったので、あなたはこの災を彼らの上にお下しになりました。 + 見よ、塁が築きあげられたのは、この町を取るためです。つるぎと、ききんと、疫病のために、町はこれを攻めているカルデヤびとの手に渡されます。あなたの言われたようになりましたのは、ごらんのとおりであります。 + 主なる神よ、あなたはわたしに言われました、「銀をもって畑を買い、証人を立てよ」と。そうであるのに、町はカルデヤびとの手に渡されています』」。 + 主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「見よ、わたしは主である、すべて命ある者の神である。わたしにできない事があろうか。 + それゆえ、主はこう言われる、見よ、わたしはこの町をカルデヤびとと、バビロンの王ネブカデレザルの手に渡す。彼はこれを取る。 + この町を攻めているカルデヤびとがきて、この町に火をつけて焼き払う。屋根の上で人々が、バアルに香をたき、ほかの神々に酒をそそいで、わたしを怒らせたその家をも彼らは焼く。 + それは、イスラエルの人々とユダの人々とは、その若い時から、わたしの前に悪いことのみを行い、またイスラエルの民はその手のわざをもって、わたしを怒らせることばかりをしたからであると主は言われる。 + この町はそれが建った日からきょうまで、わたしの怒りと憤りとをひき起してきたので、わたしの前からこれを除き去るのである。 + それは、イスラエルの民とユダの民とが、もろもろの悪を行って、わたしを怒らせたことによるのである。――彼らの王たちと、そのつかさたち、祭司たち、預言者たち、またユダの人々とエルサレムの住民たちが皆そうである。 + 彼らはその背中をわたしに向けて顔をわたしに向けず、わたしがたゆまず教えたにもかかわらず、彼らは教を聞かず、またうけないのである。 + 彼らは憎むべき物を、わが名をもって呼ばれている家にすえつけて、そこを汚し、 + またベンヒンノムの谷にバアルの高き所を築いて、むすこ娘をモレクにささげた。わたしは彼らにこのようなことを命じたことはなく、また彼らがこの憎むべきことを行って、ユダに罪を犯させようとは考えもしなかった。 + それゆえ今イスラエルの神、主は、この町、すなわちあなたがたが、『つるぎと、ききんと、疫病のためにバビロンの王の手に渡される』といっている町についてこう仰せられる、 + 見よ、わたしは、わたしの怒りと憤りと大いなる怒りをもって、彼らを追いやったもろもろの国から彼らを集め、この所へ導きかえって、安らかに住まわせる。 + そして彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。 + わたしは彼らに一つの心と一つの道を与えて常にわたしを恐れさせる。これは彼らが彼ら自身とその後の子孫の幸を得るためである。 + わたしは彼らと永遠の契約を立てて、彼らを見捨てずに恵みを施すことを誓い、またわたしを恐れる恐れを彼らの心に置いて、わたしを離れることのないようにしよう。 + わたしは彼らに恵みを施すことを喜びとし、心をつくし、精神をつくし、真実をもって彼らをこの地に植える。 + 主はこう仰せられる、わたしがこのもろもろの大きな災をこの民に下したように、わたしが彼らに約束するもろもろの幸を彼らの上に下す。 + 人々はこの地に畑を買うようになる。あなたがたが、『それは荒れて人も獣もいなくなり、カルデヤびとの手に渡されてしまう』といっている地である。 + 人々はベニヤミンの地と、エルサレムの周囲と、ユダの町々と、山地の町々と、平地の町々と、ネゲブの町々で、銀をもって畑を買い、証書をつくって、これに記名し封印し、また証人を立てる。それは、わたしが彼らを再び栄えさせるからであると主は言われる」。 + + + エレミヤがなお監視の庭に閉じ込められている時、主の言葉はふたたび彼に臨んだ、 + 「地を造られた主、それを形造って堅く立たせられた主、その名を主と名のっておられる者がこう仰せられる、 + わたしに呼び求めよ、そうすれば、わたしはあなたに答える。そしてあなたの知らない大きな隠されている事を、あなたに示す。 + イスラエルの神、主は塁と、つるぎとを防ぐために破壊されたこの町の家と、ユダの王の家についてこう言われる、 + カルデヤびとは来て戦い、わたしが怒りと憤りをもって殺す人々の死体を、それに満たす。わたしは人々のもろもろの悪のために、この町にわたしの顔をおおい隠した。 + 見よ、わたしは健康と、いやしとを、ここにもたらして人々をいやし、豊かな繁栄と安全とを彼らに示す。 + わたしはユダとイスラエルを再び栄えさせ、彼らを建てて、もとのようにする。 + わたしは彼らがわたしに向かって犯した罪のすべてのとがを清め、彼らがわたしに向かって犯した罪と反逆のすべてのとがをゆるす。 + この町は地のもろもろの民の前に、わたしのために喜びの名となり、誉となり、栄えとなる。彼らはわたしがわたしの民に施すもろもろの恵みのことを聞く。そして、わたしがこの町に施すもろもろの恵みと、もろもろの繁栄のために恐れて身をふるわす。 + 主はこう言われる、あなたがたが、『それは荒れて、人もおらず獣もいない』というこの所、すなわち、荒れて、人もおらず住む者もなく、獣もいないユダの町とエルサレムのちまたに、 + 再び喜びの声、楽しみの声、花婿の声、花嫁の声、および『万軍の主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみは、いつまでも絶えることがない』といって、感謝の供え物を主の宮に携えてくる者の声が聞える。それは、わたしがこの地を再び栄えさせて初めのようにするからであると主は言われる。 + 万軍の主はこう言われる、荒れて、人もおらず獣もいないこの所と、そのすべての町々に再びその群れを伏させる牧者のすまいがあるようになる。 + 山地の町々と、平地の町々と、ネゲブの町々と、ベニヤミンの地、エルサレムの周囲と、ユダの町々で、群れは再びそれを数える者の手の下を通りすぎると主は言われる。 + 主は言われる、見よ、わたしがイスラエルの家とユダの家に約束したことをなし遂げる日が来る。 + その日、その時になるならば、わたしはダビデのために一つの正しい枝を生じさせよう。彼は公平と正義を地に行う。 + その日、ユダは救を得、エルサレムは安らかにおる。その名は『主はわれわれの正義』ととなえられる。 + 主はこう仰せられる、イスラエルの家の位に座する人がダビデの子孫のうちに欠けることはない。 + またわたしの前に燔祭をささげ、素祭を焼き、つねに犠牲をささげる人が、レビびとである祭司のうちに絶えることはない」。 + 主の言葉はエレミヤに臨んだ、 + 「主はこう仰せられる、もしあなたがたが、昼と結んだわたしの契約を破り、また夜と結んだわたしの契約を破り、昼と夜が定められた時に来ないようにすることができるならば、 + しもべダビデとわたしが結んだ契約もまた破れ、彼はその位に座して王となる子を与えられない。またわたしがわたしに仕えるレビびとである祭司に立てた契約も破れる。 + 天の星は数えることができず、浜の砂は量ることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの子孫と、わたしに仕えるレビびとである祭司の数を増そう」。 + 主の言葉はエレミヤに臨んだ、 + 「あなたはこの民が、『主は自ら選んだ二つのやからを捨てた』といっているのを聞かないか。彼らはこのようにわたしの民を侮って、これを国とみなさないのである。 + 主はこう言われる、もしわたしが昼と夜とに契約を立てず、また天地のおきてを定めなかったのであれば、 + わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの子孫を捨てて、再び彼の子孫のうちからアブラハム、イサク、ヤコブの子孫を治める者を選ばない。わたしは彼らを再び栄えさせ、彼らにあわれみをたれよう」。 + + + バビロンの王ネブカデレザルがその全軍と、彼に従っている地のすべての国の人々、およびもろもろの民を率いて、エルサレムとその町々を攻めて戦っていた時に、主からエレミヤに臨んだ言葉、 + 「イスラエルの神、主はこう言われる、行ってユダの王ゼデキヤに告げて言いなさい、『主はこう言われる、見よ、わたしはこの町をバビロンの王の手に渡す。彼は火でこれを焼く。 + あなたはその手をのがれることはできない、必ず捕えられてその手に渡される。あなたはまのあたりバビロンの王を見、顔と顔を合わせて彼と語る。それからバビロンへ行く』。 + しかしユダの王ゼデキヤよ、主の言葉を聞きなさい。主はあなたの事についてこう言われる、『あなたはつるぎで死ぬことはない。 + あなたは安らかに死ぬ。民はあなたの先祖であるあなたの先の王たちのために香をたいたように、あなたのためにも香をたき、またあなたのために嘆いて「ああ、主君よ」と言う』。わたしがこの言葉をいうのであると主は言われる」。 + そこで預言者エレミヤはこの言葉をことごとくエルサレムでユダの王ゼデキヤに告げた。 + その時バビロンの王の軍勢はエルサレム、および残っているユダのすべての町、すなわちラキシとアゼカを攻めて戦っていた。それはユダの町々のうちに、これらの堅固な町がなお残っていたからである。 + ゼデキヤ王がエルサレムにいるすべての民と契約を立てて、彼らに釈放のことを告げ示した後に、主からエレミヤに臨んだ言葉。 + その契約はすなわち人がおのおのそのヘブルびとである男女の奴隷を解放し、その兄弟であるユダヤ人を奴隷としないことを定めたものであった。 + この契約をしたつかさたちと、すべての民は人がおのおのその男女の奴隷を解放し、再びこれを奴隷としないということに聞き従って、これを解放したが、 + 後に心を翻し、解放した男女の奴隷をひきかえさせ、再びこれを従わせて奴隷とした。 + そこで主の言葉が主からエレミヤに臨んだ、 + 「イスラエルの神、主はこう言われる、わたしはあなたがたの先祖をエジプトの地、その奴隷であった家から導き出した時、彼らと契約を立てて言った、 + 『あなたがたの兄弟であるヘブルびとで、あなたがたに身を売り、六年の間あなたがたに仕えた者は、六年の終りに、あなたがたおのおのがこれを解放しなければならない。あなたがたは彼を解放して、あなたがたに仕えることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖たちはわたしに聞き従わず、またその耳を傾けなかった。 + しかしあなたがたは今日、心を改め、おのおのその隣り人に釈放のことを告げ示して、わたしの見て正しいとすることを行い、かつわたしの名をもってとなえられる家で、わたしの前に契約を立てた。 + ところがあなたがたは再び心を翻して、わたしの名を汚し、おのおの男女の奴隷をその願いのままに解放したのをひきかえさせ、再びこれを従わせて、あなたがたの奴隷とした。 + それゆえに、主はこう仰せられる、あなたがたがわたしに聞き従わず、おのおのその兄弟とその隣に釈放のことを告げ示さなかったので、見よ、わたしはあなたがたのために釈放を告げ示して、あなたがたをつるぎと、疫病と、ききんとに渡すと主は言われる。わたしはあなたがたを地のもろもろの国に忌みきらわれるものとする。 + わたしの契約を破り、わたしの前に立てた契約の定めに従わない人々を、わたしは彼らが二つに裂いて、その二つの間を通った子牛のようにする。―― + すなわち二つに分けた子牛の間を通ったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官と祭司と、この地のすべての民を、 + わたしはその敵の手と、その命を求める者の手に渡す。その死体は空の鳥と野の獣の食物となる。 + わたしはまたユダの王ゼデキヤと、そのつかさたちをその敵の手、その命を求める者の手、あなたがたを離れて去ったバビロンの王の軍勢の手に渡す。 + 主は言われる、見よ、わたしは彼らに命じて、この町に引きかえしてこさせる。彼らはこの町を攻めて戦い、これを取り、火を放って焼き払う。わたしはユダの町々を住む人のない荒れ地とする」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの時、主からエレミヤに臨んだ言葉。 + 「レカブびとの家に行って、彼らと語り、彼らを主の宮の一室に連れてきて、酒を飲ませなさい」。 + そこでわたしはハバジニヤの子エレミヤの子であるヤザニヤと、その兄弟と、そのむすこたち、およびレカブびとの全家を連れ、 + これを主の宮にあるハナンの子たちの室に連れてきた。ハナンはイグダリヤの子であって神の人であった。その室は、つかさたちの室の次にあって、門を守るシャルムの子マアセヤの室の上にあった。 + わたしはレカブびとの前に酒を満たしたつぼと杯を置き、彼らに、「酒を飲みなさい」と言ったが、 + 彼らは答えた、「われわれは酒を飲みません。それは、レカブの子であるわれわれの先祖ヨナダブがわれわれに命じて、『あなたがたとあなたがたの子孫はいつまでも酒を飲んではならない。 + また家を建てず、種をまかず、またぶどう畑を植えてはならない。またこれを所有してはならない。あなたがたは生きながらえる間は幕屋に住んでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿っている地に長く生きることができると言ったからです』。 + こうしてわれわれは、レカブの子であるわれわれの先祖ヨナダブがすべて命じた言葉に従って、われわれも、妻も、むすこ娘も生きながらえる間、酒を飲まず、 + 住む家を建てず、ぶどう畑も畑も種も持たないで、 + 幕屋に住み、すべてわれわれの先祖ヨナダブがわれわれに命じたところに従い、そのように行いました。 + しかしバビロンの王ネブカデレザルがこの地に上ってきた時、われわれは言いました、『さあ、われわれはエルサレムへ行こう。カルデヤびとの軍勢とスリヤびとの軍勢が恐ろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住んでいるのです」。 + その時、主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、行って、ユダの人々とエルサレムに住む者とに告げよ。主は仰せられる、あなたがたはわたしの言葉を聞いて教を受けないのか。 + レカブの子ヨナダブがその子孫に酒を飲むなと命じた言葉は守られてきた。彼らは今日に至るまで酒を飲まず、その先祖の命に従ってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語ったけれども、わたしに聞き従わなかった。 + わたしはまた、わたしのしもべである預言者たちを、しきりにあなたがたにつかわして言わせた、『あなたがたは今おのおのその悪い道を離れ、その行いを改めなさい。ほかの神々に従い仕えてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖に与えたこの地に住むことができる』と。しかしあなたがたは耳を傾けず、わたしに聞かなかった。 + レカブの子ヨナダブの子孫は、その先祖が彼らに命じた命令を守っているのである。しかしこの民はわたしに従わなかった。 + それゆえ万軍の神、主、イスラエルの神はこう仰せられる、見よ、わたしはユダとエルサレムに住む者とに、わたしが彼らの上に宣告した災を下す。わたしが彼らに語っても聞かず、彼らを呼んでも答えなかったからである」。 + ところでエレミヤはレカブびとの家の人々に言った、「万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、あなたがたは先祖ヨナダブの命に従い、そのすべての戒めを守り、彼があなたがたに命じた事を行った。 + それゆえ、万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、レカブの子ヨナダブには、わたしの前に立つ人がいつまでも欠けることはない」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの四年に主からこの言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「あなたは巻物を取り、わたしがあなたに語った日、すなわちヨシヤの日から今日に至るまで、イスラエルとユダと万国とに関してあなたに語ったすべての言葉を、それにしるしなさい。 + ユダの家がわたしの下そうとしているすべての災を聞いて、おのおのその悪い道を離れて帰ることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪をゆるすかも知れない」。 + そこでエレミヤはネリヤの子バルクを呼んだ。バルクはエレミヤの口述にしたがって、主が彼にお告げになった言葉をことごとく巻物に書きしるした。 + そしてエレミヤはバルクに命じて言った、「わたしは主の宮に行くことを妨げられている。 + それで、あなたが行って、断食の日に主の宮で、すべての民が聞いているところで、あなたがわたしの口述にしたがって、巻物に筆記した主の言葉を読みなさい。またユダの人々がその町々から来て聞いているところで、それを読みなさい。 + 彼らは主の前に祈願をささげ、おのおのその悪い道を離れて帰ることもあろう。主がこの民に対して宣告された怒りと憤りは大きいからである」。 + こうしてネリヤの子バルクはすべて預言者エレミヤが自分に命じたように、主の宮で、その巻物に書かれた主の言葉を読んだ。 + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの五年九月、エルサレムのすべての民と、ユダの町々からエルサレムに来たすべての民とは、主の前に断食を行うべきことを告げ示された。 + バルクは主の宮の上の庭で、主の宮の新しい門の入口のかたわらにある書記シャパンの子であるゲマリヤのへやで、巻物に書かれたエレミヤの言葉をすべての民に読み聞かせた。 + シャパンの子であるゲマリヤの子ミカヤはその巻物にある主の言葉をことごとく聞いて、 + 王の家にある書記のへやに下って行くと、もろもろのつかさたち、すなわち書記エリシャマ、シマヤの子デラヤ、アカボルの子エルナタン、シャパンの子ゲマリヤ、ハナニヤの子ゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座していた。 + ミカヤはバルクが民に巻物を読んで聞かせたとき、自分の聞いたすべての言葉を彼らに告げたので、 + つかさたちはクシの子セレミヤの子であるネタニヤの子エホデをバルクのもとにつかわして言わせた、「あなたが民に読み聞かせたその巻物を手に取って、来てください」。そこでネリヤの子バルクは巻物を手に取って、彼らのもとに来たので、 + 彼らはバルクに言った、「座してそれを読んでください」。バルクはそれを彼らに読みきかせた。 + 彼らはそのすべての言葉を聞き、恐れて互に見かわし、バルクに言った、「われわれはこのすべての言葉を、王に報告しなければならない」。 + そしてバルクに尋ねて言った、「このすべての言葉を、あなたがどのようにして書いたのか話してください。彼の口述によるのですか」。 + バルクは彼らに答えた、「彼がわたしにこのすべての言葉を口述したので、わたしはそれを墨汁で巻物に書いたのです」。 + つかさたちはバルクに言った、「行って、エレミヤと一緒に身を隠しなさい。人に所在を知られてはなりません」。 + そこで彼らは巻物を書記エリシャマのへやに置いて庭にはいり、王のもとへ行って、このすべての言葉を王に告げたので、 + 王はその巻物を持ってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記エリシャマのへやから巻物を取ってきて、それを王と王のかたわらに立っているすべてのつかさたちに読みきかせた。 + 時は九月であって、王は冬の家に座していた。その前に炉があって火が燃えていた。 + エホデが三段か四段を読むと、王は小刀をもってそれを切り取り、炉の火に投げいれ、ついに巻物全部を炉の火で焼きつくした。 + 王とその家来たちはこのすべての言葉を聞いても恐れず、またその着物を裂くこともしなかった。 + エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王にその巻物を焼かないようにと願ったときにも彼は聞きいれなかった。 + そして王は王子エラメルとアヅリエルの子セラヤとアブデルの子セレミヤに、書記バルクと預言者エレミヤを捕えるようにと命じたが、主は彼らを隠された。 + バルクがエレミヤの口述にしたがって筆記した言葉を載せた巻物を王が焼いた後、主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「他の巻物を取り、ユダの王エホヤキムが焼いた、前の巻物のうちにある言葉を皆それに書きしるしなさい。 + またユダの王エホヤキムについて言いなさい、『主はこう仰せられる、あなたはこの巻物を焼いて言った、「どうしてあなたはこの巻物に、バビロンの王が必ず来てこの地を滅ぼし、ここから人と獣とを絶やす、と書いたのか」と。 + それゆえ主はユダの王エホヤキムについてこう言われる、彼の子孫にはダビデの位にすわる者がなくなる。また彼の死体は捨てられて昼は暑さにあい、夜は霜にあう。 + わたしはまた彼とその子孫とその家来たちをその罪のために罰する。また彼らとエルサレムの民とユダの人々には災を下す。この災のことについては、すでに語ったけれども、彼らは聞くことをしなかった』」。 + そこでエレミヤは他の巻物を取り、ネリヤの子書記バルクに与えたので、バルクはユダの王エホヤキムが火にくべて焼いた巻物のすべての言葉を、エレミヤの口述にしたがってそれに書きしるし、また同じような言葉を多くそれに加えた。 + + + ヨシヤの子ゼデキヤはエホヤキムの子コニヤに代って王となった。バビロンの王ネブカデレザルが彼をユダの地の王としたのである。 + 彼もその家来たちも、その地の人々も、主が預言者エレミヤによって語られた言葉に聞き従わなかった。 + ゼデキヤ王はセレミヤの子ユカルと、マアセヤの子祭司ゼパニヤを預言者エレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神、主に祈ってください」と言わせた。 + エレミヤは民の中に出入りしていた。まだ獄屋に入れられなかったからである。 + パロの軍勢がエジプトから出て来たので、エルサレムを攻め囲んでいたカルデヤびとはその情報を聞いてエルサレムを退いた。 + その時、主の言葉は預言者エレミヤに臨んだ、 + 「イスラエルの神、主はこう言われる、あなたがたをつかわしてわたしに求めたユダの王にこう言いなさい、『あなたがたを救うために出てきたパロの軍勢はその国エジプトに帰ろうとしている。 + カルデヤびとが再び来てこの町を攻めて戦い、これを取って火で焼き滅ぼす。 + 主はこう言われる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離れ去る」といって自分を欺いてはならない。彼らは去ることはない。 + たといあなたがたが自分を攻めて戦うカルデヤびとの全軍を撃ち破って、その天幕のうちに負傷者のみを残しても、彼らは立ち上がって火でこの町を焼き滅ぼす』」。 + さてカルデヤびとの軍勢がパロの軍勢の来るのを聞いてエルサレムを退いたとき、 + エレミヤは、ベニヤミンの地で民のうちに自分の分け前を受け取るため、エルサレムを立ってその地へ行こうと、 + ベニヤミンの門に着いたとき、そこにハナニヤの子セレミヤの子でイリヤという名の番兵がいて、預言者エレミヤを捕え、「あなたはカルデヤびとの側に脱走しようとしている」と言った。 + エレミヤは言った、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側に脱走しようとしていない」。しかしイリヤは聞かず、エレミヤを捕えて、つかさたちのもとへ引いて行った。 + つかさたちは怒って、エレミヤを打ちたたき、書記ヨナタンの家の獄屋にいれた。この家が獄屋になっていたからである。 + エレミヤが地下の獄屋にはいって、そこに多くの日を送ってのち、 + ゼデキヤ王は人をつかわし、彼を連れてこさせた。王は自分の家でひそかに彼に尋ねて言った、「主から何かお言葉があったか」。エレミヤはあったと答えた。そして言った、「あなたはバビロンの王の手に引き渡されます」。 + エレミヤはまたゼデキヤ王に言った、「わたしが獄屋にいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来に、あるいはこの民に、どのような罪を犯したからなのですか。 + あなたがたに預言して、『バビロンの王はあなたがたをも、この地をも攻めにこない』と言っていたあなたがたの預言者は今どこにいるのですか。 + 王なるわが君よ、どうぞ今お聞きください。わたしの願いをお聞きとどけください。わたしを書記ヨナタンの家へ帰らせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺されるでしょう」。 + そこでゼデキヤ王は命を下し、エレミヤを監視の庭に入れさせ、かつ、パンを造る者の町から毎日パン一個を彼に与えさせた。これは町にパンがなくなるまで続いた。こうしてエレミヤは監視の庭にいた。 + + + マッタンの子シパテヤ、パシュルの子ゲダリヤ、セレミヤの子ユカル、マルキヤの子パシュルはエレミヤがすべての民に告げていたその言葉を聞いた。 + 彼は言った、「主はこう言われる、この町にとどまる者は、つるぎや、ききんや、疫病で死ぬ。しかし出てカルデヤびとにくだる者は死を免れる。すなわちその命を自分のぶんどり物として生きることができる。 + 主はこう言われる、この町は必ずバビロンの王の軍勢の手に渡される。彼はこれを取る」。 + すると、つかさたちは王に言った、「この人を殺してください。このような言葉をのべて、この町に残っている兵士の手と、すべての民の手を弱くしているからです。この人は民の安泰を求めないで、その災を求めているのです」。 + ゼデキヤ王は言った、「見よ、彼はあなたがたの手にある。王はあなたがたに逆らって何事をもなし得ない」。 + そこで彼らはエレミヤを捕え、監視の庭にある王子マルキヤの穴に投げ入れた。すなわち、綱をもってエレミヤをつり降ろしたが、その穴には水がなく、泥だけであったので、エレミヤは泥の中に沈んだ。 + 王の家の宦官エチオピヤびとエベデメレクは、彼らがエレミヤを穴に投げ入れたことを聞いた。その時、王はベニヤミンの門に座していたので、 + エベデメレクは王の家から出て行って王に言った、 + 「王なるわが君よ、この人々が預言者エレミヤにしたことはみな良いことではありません。彼を穴に投げ入れました。町に食物がなくなりましたから、彼はそこで餓死するでしょう」。 + 王はエチオピヤびとエベデメレクに命じて言った、「ここから三人のひとを連れて行って、預言者エレミヤを、死なないうちに穴から引き上げなさい」。 + そこでエベデメレクはその人々を連れて王の家の倉の衣服室に行き、そこから古い布切れや、着ふるした着物を取り、これを穴の中にいるエレミヤのところへ、綱をもってつり降ろした。 + そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布切れや着物を、あなたのわきの下にはさんで、綱に当てなさい」とエレミヤに言った。エレミヤはそのようにした。 + すると彼らは綱をもってエレミヤを穴から引き上げた。そしてエレミヤは監視の庭にとどまった。 + ゼデキヤ王は人をつかわして預言者エレミヤを主の宮の第三の門に連れてこさせ、王はエレミヤに言った、「あなたに尋ねたいことがある。何事もわたしに隠してはならない」。 + エレミヤはゼデキヤに言った、「もしわたしがお話するなら、あなたは必ずわたしを殺されるではありませんか。たといわたしが忠告をしても、あなたはお聞きにならないでしょう」。 + その時ゼデキヤ王は、ひそかにエレミヤに誓って言った、「われわれの魂を造られた主は生きておられる。わたしはあなたを殺さない、またあなたの命を求める者の手に、あなたを渡すこともしない」。 + そこでエレミヤはゼデキヤに言った、「万軍の神、イスラエルの神、主はこう仰せられる、もしあなたがバビロンの王のつかさたちに降伏するならば、あなたの命は助かり、またこの町は火で焼かれることなく、あなたも、あなたの家の者も生きながらえることができる。 + しかし、もしあなたが出てバビロンの王のつかさたちに降伏しないならば、この町はカルデヤびとの手に渡される。彼らは火でこれを焼く。あなたはその手をのがれることができない」。 + ゼデキヤ王はエレミヤに言った、「わたしはカルデヤびとに脱走したユダヤ人を恐れている。カルデヤびとはわたしを彼らの手に渡し、彼らはわたしをはずかしめる」。 + エレミヤは言った、「彼らはあなたを渡さないでしょう。どうか、わたしがあなたに告げた主の声に聞き従ってください。そうすれば幸を得、また命が助かります。 + しかし降伏することを拒むならば、主がわたしに示された幻を申しましょう。 + すなわち、ユダの王の家に残っている女たちは、みなバビロンの王のつかさたちの所へ引いて行かれます。その女たちは言うのです、『あなたの親しい友だちがあなたを欺いた、そしてあなたに勝った。今あなたの足は泥に沈んでいるので、彼らはあなたを捨てて去る』。 + あなたの妻たちと子供たちは皆カルデヤびとの所へひき出される。あなた自身もその手をのがれることができず、バビロンの王に捕えられる。そしてこの町は火で焼かれるでしょう」。 + ゼデキヤはエレミヤに言った、「これらの言葉を人に知らせてはならない。そうすればあなたは殺されることはない。 + わたしがあなたと話をしたことを、つかさたちが聞いて、彼らがあなたの所に来て、『あなたが王に話したこと、王があなたに話したことをわれわれに告げなさい。何事も隠してはならない。われわれはあなたを殺しはしない』と言うならば、 + あなたは彼らに、『わたしは王に願って、わたしをヨナタンの家に送り返さず、そこで死ぬことのないようにしてくださいと言った』と答えなさい」。 + さて、つかさたちは皆エレミヤのところへ来て尋ねたが、王が彼に教えたように彼らに答えたので、彼らは彼と話すことをやめた。その会話を聞いた者がなかったからである。 + エレミヤはエルサレムの取られる日まで監視の庭にとどまっていた。 + + + ユダの王ゼデキヤの九年十月、バビロンの王ネブカデレザルはその全軍を率い、エルサレムに来てこれを攻め囲んだが、 + ゼデキヤの十一年四月九日になって町の一角が破れた。 + エルサレムが取られたので、バビロンの王のつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王のその他のつかさたちは皆ともに来て中の門に座した。 + ユダの王ゼデキヤとすべての兵士たちはこれを見て逃げ、夜のうちに、王の庭園の道を通って、二つの城壁の間の門から町を出て、アラバの方へ行ったが、 + カルデヤびとの軍勢はこれを追って、エリコの平地でゼデキヤに追いつき、これを捕えて、ハマテの地リブラにいるバビロンの王ネブカデレザルのもとに引いて行ったので、王はそこで彼の罪をさだめた。 + バビロンの王はリブラで、ゼデキヤの子たちを彼の目の前で殺した。バビロンの王はまたユダのすべての貴族たちを殺した。 + 王はまたゼデキヤの目をつぶさせ、彼をバビロンに引いて行くために、鎖につないだ。 + またカルデヤびとは王宮と民家を火で焼き、エルサレムの城壁を破壊した。 + そして侍衛の長ネブザラダンは町のうちに残っている民と、自分に降伏した者、およびその他の残っている民をバビロンに捕え移した。 + しかし侍衛の長ネブザラダンは、民の貧しい無産者をユダの地に残し、同時にぶどう畑と田地をこれに与えた。 + さてバビロンの王ネブカデレザルはエレミヤの事について侍衛の長ネブザラダンに命じて言った、 + 「彼をとり、よく世話をせよ。害を加えることなく、彼があなたに言うようにしてやりなさい」。 + そこで侍衛の長ネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王のつかさたちは、 + 人をつかわして、エレミヤを監視の庭から連れてこさせ、シャパンの子アヒカムの子であるゲダリヤに託して、家につれて行かせた。こうして彼は民のうちにいた。 + エレミヤが監視の庭に閉じこめられていた時、主の言葉が彼に臨んだ、 + 「行って、エチオピヤびとエベデメレクに告げなさい、『万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、わたしの言った災をわたしはこの町に下す、幸をこれに下すのではない。その日、この事があなたの目の前で成就する。 + 主は言われる、その日わたしはあなたを救う。あなたは自分の恐れている人々の手に渡されることはない。 + わたしが必ずあなたを救い、つるぎに倒れることのないようにするからである。あなたの命はあなたのぶんどり物となる。あなたがわたしに寄り頼んだからであると主は言われる』」。 + + + 侍衛の長ネブザラダンは、バビロンに移されるエルサレムとユダの人々のうちにエレミヤを鎖につないでおいて、これを捕えて行ったが、ついにラマで彼を釈放した。その後、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + 侍衛の長はエレミヤを召して彼に言った、「あなたの神、主はこの所にこの災を下すと告げ示された。 + 主はこれを下し、自ら言われたとおりに行われた。あなたがたが主に対して罪を犯し、み声に従わなかったから、この事があなたがたの上に臨んだのだ。 + 見よ、わたしはきょう、あなたの手の鎖を解いてあなたを釈放する。もしあなたがわたしと一緒にバビロンへ行くのが良いと思われるなら、おいでなさい。わたしは、じゅうぶんあなたの世話をします。もしあなたがわたしと一緒にバビロンには行きたくないなら、行かなくてもよろしい。見よ、この地はみなあなたの前にあります、あなたが良いと思い、正しいと思う所に行きなさい。 + あなたがとどまるならば、バビロンの王がユダの町々の総督として立てたシャパンの子アヒカムの子であるゲダリヤの所へ帰り、彼と共に民のうちに住みなさい。あるいはまたあなたが正しいと思う所へ行きなさい」。こうして侍衛の長は彼に糧食と贈り物を与えて去らせた。 + そこでエレミヤはミヅパへ行き、アヒカムの子ゲダリヤの所へ行って、彼と共にその地に残っている民のうちに住んだ。 + さて野外にいた軍勢の長たちと、その配下の人々は、バビロンの王がアヒカムの子ゲダリヤを立てて、その地の総督とし、男、女、子供、および国のうちのバビロンに移されない貧しい者を彼に委託した事を聞いたので、 + ネタニヤの子イシマエルと、カレヤの子ヨハナンおよびタンホメテの子セラヤと、ネトパびとであるエパイの子たちと、マアカびとの子ヤザニヤおよびその配下の人々は、ミヅパにいるゲダリヤのもとへ行った。 + シャパンの子であるアヒカムの子ゲダリヤは、彼らとその配下の人々に誓って言った、「カルデヤびとに仕えることを恐れるに及ばない。この地に住んでバビロンの王に仕えるならば、あなたがたは幸福になる。 + わたしはミヅパにいて、われわれの所に来るカルデヤびとの前に、あなたがたのために立ちましょう。あなたがたは、ぶどう酒や夏のくだもの、油を集めて、それを器にたくわえ、あなたがたの獲た町々に住みなさい」。 + 同じように、モアブとアンモンびとのうち、またエドムおよび他の国々にいるユダヤ人は、バビロンの王がユダに人を残したことと、シャパンの子であるアヒカムの子ゲダリヤを立ててその総督としたこととを聞いた。 + そこでそのユダヤ人らはみなその追いやられたもろもろの所から帰ってきて、ユダの地のミヅパにいるゲダリヤのもとにきた。そして多くのぶどう酒と夏のくだものを集めた。 + またカレヤの子ヨハナンと、野外にいた軍勢の長たちはみなミヅパにいるゲダリヤのもとにきて、 + 彼に言った、「アンモンびとの王バアリスがあなたを殺すためにネタニヤの子イシマエルをつかわしたことを知っていますか」。しかしアヒカムの子ゲダリヤは彼らの言うことを信じなかったので、 + カレヤの子ヨハナンはミヅパでひそかにゲダリヤに言った、「わたしが行って、人に知れないように、ネタニヤの子イシマエルを殺しましょう。どうして彼があなたを殺して、あなたの周囲に集まっているユダヤ人を散らし、ユダの残った者を滅ぼしてよいでしょう」。 + しかしアヒカムの子ゲダリヤはカレヤの子ヨハナンに言った、「この事をしてはならない。あなたはイシマエルについて偽りを言っているのです」。 + + + 七月のころ、王家のもので、エリシャマの子ネタニヤの子であり、また王の高官のひとりであるイシマエルは、王の十人のつかさたちと共にミヅパにいたアヒカムの子ゲダリヤのもとにきて、ミヅパで食を共にしたが、 + ネタニヤの子イシマエルおよび共にいた十人の者は立ち上がって、バビロンの王がこの地の総督としたシャパンの子アヒカムの子であるゲダリヤを刀で殺し、 + イシマエルはまたミヅパでゲダリヤと共にいたすべてのユダヤ人と、たまたまそこにいたカルデヤびとの兵士たちを殺した。 + ゲダリヤが殺された次の日、まだだれもその事を知らないうちに、 + 八十人の人々がそのひげをそり、衣服をさき、身に傷をつけ、手には素祭のささげ物と香を携え、シケム、シロ、サマリヤからきて、主の宮にささげようとした。 + ネタニヤの子イシマエルはミヅパから泣きながら出てきて彼らを迎え、彼らに会って、「アヒカムの子ゲダリヤのもとにおいでなさい」と言った。 + そして彼らが町の中にはいったとき、ネタニヤの子イシマエルは自分と一緒にいた人々と共に彼らを殺して、その死体を穴に投げ入れた。 + しかしそのうちの十人はイシマエルに向かい、「わたしたちは畑に小麦、大麦、油、および蜜を隠しています、わたしたちを殺さないでください」と言ったので、彼らをその仲間と共に殺さないでしまった。 + イシマエルが自分の殺した人々の死体を投げ入れた穴は、アサ王がイスラエルの王バアシャを恐れて掘った穴であった。ネタニヤの子イシマエルは殺した人々をこれに満たした。 + 次いでイシマエルはミヅパに残っているすべての民、すなわち王の娘たちと侍衛の長ネブザラダンがアヒカムの子ゲダリヤに託したミヅパに残っているすべての民とを捕虜とした。ネタニヤの子イシマエルは彼らを捕虜とし、アンモンびとのもとに渡り行こうとして立ち去った。 + カレヤの子ヨハナンおよび彼と共にいる軍勢の長たちはネタニヤの子イシマエルの行った悪事をみな聞き、 + その兵士たちを率いて、ネタニヤの子イシマエルと戦うために出て行き、ギベオンの大池のほとりで彼に会った。 + イシマエルと共にいる人々は、カレヤの子ヨハナンおよび彼と共にいる軍勢の長たちを見て喜んだ。 + そしてイシマエルがミヅパから捕虜にしてきた人々は身をめぐらしてカレヤの子ヨハナンのもとへ行った。 + ネタニヤの子イシマエルは八人の者と共にヨハナンを避けて逃げ、アンモンびとの所へ行った。 + そこでカレヤの子ヨハナンおよび彼と共にいる軍勢の長たちはネタニヤの子イシマエルがアヒカムの子ゲダリヤを殺して、ミヅパから捕虜として連れてきた、あの残っていた民、すなわち兵士や女、子供、宦官をギベオンから連れ帰ったが、 + 彼らはエジプトへ行こうとしてベツレヘムの近くにあるゲルテ・キムハムへ行って、そこにとどまった。 + これは、ネタニヤの子イシマエルが、バビロンの王によってこの地の総督に任じられたアヒカムの子ゲダリヤを殺したことにより、カルデヤびとを恐れたからである。 + + + そのとき軍勢の長たち、およびカレヤの子ヨハナンと、ホシャヤの子アザリヤ、ならびに民の最も小さい者から最も大いなる者にいたるまで、 + みな預言者エレミヤの所に来て言った、「どうかあなたの前にわれわれの求めが受けいれられますように。われわれのため、この残っている者すべてのために、あなたの神、主に祈ってください、(今ごらんのとおり、われわれは多くのうち、わずかに残っている者です) + そうすれば、あなたの神、主は、われわれの行くべき道と、なすべき事をお示しになるでしょう」。 + 預言者エレミヤは彼らに言った、「よくわかりました。あなたがたの求めにしたがって、あなたがたの神、主に祈りましょう。主があなたがたに答えられることを、何事も隠さないであなたがたに言いましょう」。 + 彼らはエレミヤに言った、「もし、あなたの神、主があなたをつかわしてお告げになるすべての言葉を、われわれが行わないときは、どうか主がわれわれに対してまことの真実な証人となられるように。 + われわれは良くても悪くても、われわれがあなたをつかわそうとするわれわれの神、主の声に従います。われわれの神、主の声に従うとき、われわれは幸を得るでしょう」。 + 十日の後、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + エレミヤはカレヤの子ヨハナンおよび彼と共にいる軍勢の長たち、ならびに民の最も小さい者から最も大いなる者までことごとく招いて、 + 彼らに言った、「あなたがたがわたしをつかわして、あなたの祈願をその前にのべさせたイスラエルの神、主はこう言われます、 + もしあなたがたがこの地にとどまるならば、わたしはあなたがたを建てて倒すことなく、あなたがたを植えて抜くことはしない。わたしはあなたがたに災を下したことを悔いているからである。 + 主は言われる、あなたが恐れているバビロンの王を恐れてはならない。彼を恐れてはならない、わたしが共にいて、あなたがたを救い、彼の手から助け出すからである。 + わたしはあなたがたをあわれみ、また彼にあなたがたをあわれませ、あなたがたを自分の地にとどまらせる。 + しかし、もしあなたがたが、『われわれはこの地にとどまらない』といって、あなたがたの神、主の声にしたがわず、 + また、『いいえ、われわれはあの戦争を見ず、ラッパの声を聞かず、食物も乏しくないエジプトの地へ行って、あそこに住まおう』と言うならば、 + あなたがた、ユダの残っている者たちよ、主の言葉を聞きなさい。万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、もしあなたがたがむりにエジプトへ行ってそこに住むならば、 + あなたがたの恐れているつるぎはエジプトの地であなたがたに追いつき、あなたがたの恐れているききんは、すぐあとを追ってエジプトまで行き、その所であなたがたは死ぬ。 + すべてむりにエジプトへ行ってそこに住む者は、つるぎと、ききんと、疫病で死ぬ。わたしが彼らに下そうとしている災をのがれて残る者はそのうちにない。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、わたしの怒りと憤りとをエルサレムの住民の上に注いだように、わたしの憤りは、あなたがたがエジプトへ行くとき、あなたがたの上に注ぐ。あなたがたは、のろいとなり、恐怖となり、ののしりとなり、はずかしめとなる。あなたがたは再びこの所を見ることができない。 + ユダの残っている者たちよ、『エジプトへ行ってはならない』と主はあなたがたに言われた。わたしがきょう警告したことを、あなたがたは確かに知らなければならない。 + あなたがたはみずからそむき去って、命を失った。なぜなら、あなたがたがわたしをあなたがたの神、主につかわし、『われわれの神、主に祈り、われわれの神、主の言われることをことごとく示してください。われわれはそれを行います』と言ったので、 + わたしはきょうそれを示したが、あなたがたはあなたがたの神、主の声を聞かず、主がわたしをつかわして命じさせられた事には、すこしも従わなかったからである。 + それゆえ、あなたがたが行って住まうことを願っているその所で、あなたがたはつるぎと、ききんと、疫病で死ぬことを確かに知らなければならない」。 + + + エレミヤがすべての民にむかって、彼らの神、主の言葉をことごとく語り、彼らの神、主が自分をつかわして言わせられるその言葉をみな告げ終った時、 + ホシャヤの子アザリヤと、カレヤの子ヨハナンおよび高慢な人々はみなエレミヤに言った、「あなたは偽りを言っている。われわれの神、主が、『エジプトへ行ってそこに住むな』と言わせるためにあなたをつかわされたのではない。 + ネリヤの子バルクがあなたをそそのかして、われわれに逆らわせ、われわれをカルデヤびとの手に渡して殺すか、あるいはバビロンに捕え移させるのだ」。 + こうしてカレヤの子ヨハナンと軍勢の長たちおよび民らは皆、主の声にしたがわず、ユダの地にとどまろうとしなかった。 + そしてカレヤの子ヨハナンと軍勢の長たちは、ユダに残っている者すなわち追いやられた国々からユダの地に住むために帰ってきた者、―― + 男、女、子供、王の娘たち、およびすべて侍衛の長ネブザラダンがシャパンの子であるアヒカムの子ゲダリヤに渡しておいた者、ならびに預言者エレミヤとネリヤの子バルクをつれて、 + エジプトの地へ行った。彼らは主の声にしたがわなかったのである。そして彼らはついにタパネスに行った。 + 主の言葉はタパネスでエレミヤに臨んだ、 + 「大きな石を手に取り、ユダの人々の目の前で、これをタパネスにあるパロの宮殿の入口の敷石のしっくいの中に隠して、 + 彼らに言いなさい、『万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、見よ、わたしは使者をつかわして、わたしのしもべであるバビロンの王ネブカデレザルを招く。彼はその位をこの隠した石の上にすえ、その上に王の天蓋を張る。 + 彼は来てエジプトの地を撃ち、疫病に定まっている者を疫病に渡し、とりこに定まっている者をとりこにし、つるぎに定まっている者をつるぎにかける。 + 彼はエジプトの神々の宮に火をつけてこれを焼き、彼らをとりこにする。そして羊を飼う者が着物の虫をはらいきよめるように、エジプトの地をきよめる。彼は安らかにそこを去る。 + 彼はエジプトの地にあるヘリオポリスのオベリスクをこわし、エジプトの神々の宮を火で焼く』」。 + + + エジプトの地に住んでいるユダヤ人すなわちミグドル、タパネス、メンピス、パテロスの地に住む者の事についてエレミヤに臨んだ言葉、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、あなたがたはわたしがエルサレムとユダの町々に下した災を見た。見よ、これらは今日、すでに荒れ地となって住む人もない。 + これは彼らが悪を行って、わたしを怒らせたことによるのである。すなわち彼らは自分も、あなたがたも、あなたがたの先祖たちも知らなかった、ほかの神々に行って、香をたき、これに仕えた。 + わたしは自分のしもべであるすべての預言者たちを、しきりにあなたがたにつかわして、『どうか、わたしの忌みきらうこの憎むべき事をしないように』と言わせたけれども、 + 彼らは聞かず、耳を傾けず、ほかの神々に香をたいて、その悪を離れなかった。 + それゆえ、わたしは怒りと憤りをユダの町々とエルサレムのちまたに注ぎ、それを焼いたので、それらは今日のように荒れ、滅びてしまった。 + 万軍の神、イスラエルの神、主は今こう言われる、あなたがたはなぜ大いなる悪を行って自分自身を害し、ユダのうちから、あなたがたの男と女と、子供と乳のみ子を断って、ひとりも残らないようにしようとするのか。 + なぜあなたがたはその手のわざをもってわたしを怒らせ、あなたがたが行って住まうエジプトの地で、ほかの神々に香をたいて自分の身を滅ぼし、地の万国のうちに、のろいとなり、はずかしめとなろうとするのか。 + ユダの地とエルサレムのちまたで行ったあなたがたの先祖たちの悪、ユダの王たちの悪、その妻たちの悪、およびあなたがた自身の悪、あなたがたの妻たちの悪をあなたがたは忘れたのか。 + 彼らは今日に至るまで悔いず、また恐れず、あなたがたとあなたがたの先祖たちの前に立てた、わたしの律法とわたしの定めとに従って歩まないのである。 + それゆえ万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、見よ、わたしは顔をあなたがたに向けて災を下し、ユダの人々をことごとく断つ。 + またわたしは、エジプトの地に住むために、むりに行ったあのユダの残りの者を取り除く。彼らはみな滅ぼされてエジプトの地に倒れる。彼らは、つるぎとききんに滅ぼされ、最も小さい者から最も大いなる者まで、つるぎとききんによって死ぬ。そして、のろいとなり、恐怖となり、ののしりとなり、はずかしめとなる。 + わたしはエルサレムを罰したように、つるぎと、ききんと、疫病をもってエジプトに住んでいる者を罰する。 + それゆえ、エジプトの地へ行ってそこに住んでいるユダの残りの者のうち、のがれ、または残って、帰り住まおうと願うユダの地へ帰る者はひとりもない。少数ののがれる者のほかには、帰ってくる者はない」。 + その時、自分の妻がほかの神々に香をたいたことを知っている人々、およびその所に立っている女たちの大いなる群衆、ならびにエジプトの地のパテロスに住んでいる民はエレミヤに答えて言った、 + 「あなたが主の名によってわたしたちに述べられた言葉は、わたしたちは聞くことができません。 + わたしたちは誓ったことをみな行い、わたしたちが、もと行っていたように香を天后にたき、また酒をその前に注ぎます。すなわち、ユダの町々とエルサレムのちまたで、わたしたちとわたしたちの先祖たちおよびわたしたちの王たちと、わたしたちのつかさたちが行ったようにいたします。その時には、わたしたちは糧食には飽き、しあわせで、災に会いませんでした。 + ところが、わたしたちが、天后に香をたくことをやめ、酒をその前に注がなくなった時から、すべての物に乏しくなり、つるぎとききんに滅ぼされました」。 + また女たちは言った、「わたしたちが天后に香をたき、酒をその前に注ぐに当って、これにかたどってパンを造り、酒を注いだのは、わたしたちの夫が許したことではありませんか」。 + そこでエレミヤは男女のすべての人、およびこの答をしたすべての民に言った、 + 「ユダの町々とエルサレムのちまたで、あなたがたとあなたがたの先祖たち、およびあなたがたの王たちとあなたがたのつかさたち、およびその地の民が香をたいたことは、主がこれを忘れず、また、心にとどめておられることではないか。 + 主はあなたがたの悪しきわざのため、あなたがたの憎むべき行いのために、もはや忍ぶことができなくなられた。それゆえ、あなたがたの地は今日のごとく荒れ地となり、驚きとなり、のろいとなり、住む人のない地となった。 + あなたがたが香をたき、主に罪を犯し、主の声に聞き従わず、その律法と、定めと、あかしに従って歩まなかったので、今日のようにこの災があなたがたに臨んだのである」。 + エレミヤはまたすべての民と女たちに言った、「あなたがたすべてエジプトの地にいるユダの人々よ、主の言葉を聞きなさい。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、あなたがたとあなたがたの妻たちは口で言い、手で行い、『わたしたちは天后に香をたき、酒を注いで立てた誓いを必ずなし遂げる』と言う。それならば、あなたがたの誓いをかため、あなたがたの誓いをなし遂げなさい。 + それゆえ、あなたがたすべてエジプトの地にいるユダの人々よ、主の言葉を聞きなさい。主は言われる、わたしは自分の大いなる名をさして誓う、すなわちエジプトの全地に、ユダの人々で、その口に、『主なる神は生きておられる』と言って、わたしの名をとなえるものは、もはやひとりもないようになる。 + 見よ、わたしは彼らを見守っている、それは幸を与えるためではなく、災を下すためである。エジプトの地にいるユダの人々は、つるぎとききんによって滅び絶える。 + しかし、つるぎをのがれるわずかの者はエジプトの地を出てユダの地に帰る。そしてユダの残っている民でエジプトに来て住んだ者は、わたしの言葉が立つか、彼らの言葉が立つか、いずれであるかを知るようになる。 + 主は言われる、わたしがこの所であなたがたを罰するしるしはこれである。わたしはこのようにしてわたしがあなたがたに災を下そうと言った事の必ず立つことを知らせよう。 + すなわち主はこう言われる、見よ、わたしはユダの王ゼデキヤを、その命を求める敵であるバビロンの王ネブカデレザルの手に渡したように、エジプトの王パロ・ホフラをその敵の手、その命を求める者の手に渡す」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの四年に、ネリヤの子バルクがこれらの言葉をエレミヤの口述にしたがって書にしるした時、預言者エレミヤが彼に語った言葉、 + 「バルクよ、イスラエルの神、主はあなたについてこう言われる、 + あなたはかつて、『ああ、わたしはわざわいだ、主がわたしの苦しみに悲しみをお加えになった。わたしは嘆き疲れて、安息が得られない』と言った。 + あなたはこう彼に言いなさい、主はこう言われる、見よ、わたしは自分で建てたものをこわし、自分で植えたものを抜いている――それは、この全地である。 + あなたは自分のために大いなる事を求めるのか、これを求めてはならない。見よ、わたしはすべての人に災を下そうとしている。しかしあなたの命はあなたの行くすべての所で、ぶんどり物としてあなたに与えると主は言われる」。 + + + もろもろの国の事について預言者エレミヤに臨んだ主の言葉。 + エジプトの事、すなわちユフラテ川のほとりにあるカルケミシの近くにいるエジプトの王パロ・ネコの軍勢の事について。これはユダの王ヨシヤの子エホヤキムの四年に、バビロンの王ネブカデレザルが撃ち破ったものである。その言葉は次のとおりである、 + 「大盾と小盾とを備え、進んで戦え。 + 騎兵よ、馬を戦車につなぎ、馬に乗れ。かぶとをかぶって立て。ほこをみがき、よろいを着よ。 + わたしは見たが、何ゆえか彼らは恐れて退き、その勇士たちは打ち敗られ、あわてて逃げて、うしろをふり向くこともしない、――恐れが彼らの周囲にあると主は言われる。 + 足早き者も逃げることができず、勇士ものがれることができない。北の方、ユフラテ川のほとりで彼らはつまずき倒れた。 + あのナイル川のようにわきあがり、川々のように、その水のさかまく者はだれか。 + エジプトはナイル川のようにわきあがり、その水は川々のようにさかまく。そしてこれは言う、わたしは上って、地をおおい、町々とそのうちに住む者を滅ぼそう。 + 馬よ、進め、車よ、激しく走れ。勇士よ、盾を取るエチオピヤびとと、プテびとよ、弓を巧みに引くルデびとよ、進み出よ。 + その日は万軍の神、主の日であって、主があだを報いられる日、その敵にあだをかえされる日だ。つるぎは食べて飽き、彼らの血に酔う。万軍の神、主が、北の地で、ユフラテ川のほとりで、ほふることをなされるからだ。 + おとめなるエジプトの娘よ、ギレアデに上って乳香を取れ。あなたは多くの薬を用いても、むだだ。あなたは、いやされることはない。 + あなたの恥は国々に聞えている、あなたの叫びは地に満ちている。勇士が勇士につまずいて、共に倒れたからである」。 + バビロンの王ネブカデレザルが来て、エジプトの地を撃とうとする事について、主が預言者エレミヤにお告げになった言葉、 + 「エジプトで宣べ、ミグドルで告げ示し、またメンピスとタパネスに告げ示して言え、『堅く立って、備えせよ、つるぎがあなたの周囲を、滅ぼし尽すからだ』。 + なぜ、アピスはのがれたのか。あなたの雄牛は、なぜ立たなかったのか。それは主がこれを倒されたからだ。 + あなたに属する多くの兵は、つまずいて倒れた。そして互に言った、『立てよ、われわれは、しえたげる者のつるぎを避けて、われわれの民に帰り、故郷の地へ行こう』と。 + エジプトの王パロの名を、『好機を逸する騒がしい者』と呼べ。 + 万軍の主という名の王は言われる、わたしは生きている、彼は山々のうちのタボルのように、海のほとりのカルメルのように来り臨む。 + エジプトに住む民よ、捕われのために荷物を備えよ。メンピスは荒れ地となり、廃虚となって住む人もなくなる。 + エジプトは美しい雌の子牛だ、しかし北から、牛ばえが来て、それにとまった。 + そのうちにいる雇兵でさえ、肥えた子牛のようだ。彼らはふり返って共に逃げ、立つことをしなかった。彼らの災難の日、その罰せられる時が来たからだ。 + 彼は逃げ去るへびのような音をたてる。その敵が軍勢を率いて彼に臨み、きこりのように、おのをもって来るからだ。 + 彼らは彼の林がいかに入り込みがたくとも、それを切り倒す。彼らはいなごよりも多く、数えがたいからであると、主は言われる。 + エジプトの娘ははずかしめを受け、北からくる民の手に渡される」。 + 万軍の主、イスラエルの神は言われた、「見よ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその神々とその王たち、すなわちパロと彼を頼む者とを罰する。 + わたしは彼らを、その命を求める者の手と、バビロンの王ネブカデレザルの手と、その家来たちの手に渡す。その後、エジプトは昔のように人の住む所となると、主は言われる。 + わたしのしもべヤコブよ、恐れることはない、イスラエルよ、驚くことはない。見よ、わたしがあなたを遠くから救い、あなたの子孫をその捕え移された地から救うからだ。ヤコブは帰ってきて、おだやかに、安らかになり、彼を恐れさせる者はない。 + 主は言われる、わたしのしもべヤコブよ、恐れることはない、わたしが共にいるからだ。わたしはあなたを追いやった国々をことごとく滅ぼし尽す。しかしあなたを滅ぼし尽すことはしない。わたしは正しい道に従って、あなたを懲らしめる、決して罰しないではおかない」。 + + + パロがまだガザを撃たなかったころ、ペリシテびとの事について預言者エレミヤに臨んだ主の言葉。 + 「主はこう言われる、見よ、水は北から起り、あふれ流れて、この地と、そこにあるすべての物、その町と、その中に住む者とにあふれかかる。その時、人々は叫び、この地に住む者はみな嘆く。 + そのたくましい馬のひずめの踏み鳴らす音のため、その戦車の響きのため、その車輪のとどろきのために、父はその手が弱くなって、自分の子をも顧みない。 + これは、ペリシテびとを滅ぼし尽し、ツロとシドンに残って助けをなす者をことごとく絶やす日が来るからである。主はカフトルの海岸に残っているペリシテびとを滅ぼされる。 + ガザには髪をそることが始まっている。アシケロンは滅びた。アナクびとの残りの民よ、いつまで自分の身に傷つけるのか。 + 主のつるぎよ、おまえはいつになれば静かになるのか。おまえのさやに帰り、休んで静かにしておれ。 + 主がこれに命を下されたのだ、どうして静かにしておれようか。アシケロンと海岸の地を攻めることを定められたのだ」。 + + + モアブの事について、万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取られ、とりでは、はずかしめられてこわされた。 + モアブの誉は、消え去った。ヘシボンで人々はモアブの害を図り、『さあ、この国を断ち滅ぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ぼされる、つるぎがおまえを追う。 + ホロナイムから叫び声が聞える、『荒廃と大いなる滅亡だ』という。 + モアブは滅ぼされ、叫びはゾアルにまで聞える。 + 彼らは泣きながらルヒテの坂を登る。彼らはホロナイムの下り坂で、『滅亡』の叫びを聞いたからだ。 + 逃げて、自分の身を救え、荒野の野ろばのようになれ。 + おまえが、とりでと財宝とを頼みにしたので、おまえも捕えられるからだ。またケモシは、その祭司とつかさたちと共に、捕えられて行く。 + 滅ぼす者はすべての町に来る、一つの町ものがれることができない。谷は滅び、平地は荒される、主の言われたとおりである。 + モアブに翼を与えて、飛び去らせよ。その町々は荒れて、住む者はなくなる。 + 主のわざを行うことを怠る者はのろわれる。またそのつるぎを押えて血を流さない者はのろわれる。 + モアブはその幼い時から安らかで、酒が、沈んだおりの上にとどまって、器から器に、くみ移されなかったように、捕え移されなかったので、その味はなお存し、その香気も変ることがない。 + 主は言われる、それゆえ見よ、わたしがこれを傾ける者どもをつかわす日が来る。彼らはこれを傾け、その器をあけ、そのかめを砕く。 + その時モアブはケモシのために恥をかく。ちょうどイスラエルの家がその頼みとしたベテルのために恥をかいたようになる。 + あなたがたはどうして『われわれは勇士だ。強い戦士だ』というのか。 + モアブとその町々を滅ぼす者は上って来、モアブのえり抜きの若者たちは下って殺されたと万軍の主と名のる王が言われる。 + モアブの災難は近づいている、その苦難はすみやかに来る。 + すべてその周囲にある者よ、またその名を知る者よ、彼のために嘆いて、『ああ、強き笏、麗しきつえは、ついに折れた』と言え。 + デボンに住む者よ、あなたの栄えを離れて下り、かわいた地に座せよ。モアブを滅ぼす者があなたに攻めのぼって来て、あなたの城を滅ぼしたからだ。 + アロエルに住む者よ、道のかたわらに立って見張りし、逃げてくる男、のがれてくる女に尋ねて、『何が起ったのか』と言え。 + モアブは敗れて、恥をこうむっている。嘆き呼ばわれ。アルノン川のほとりで、モアブは滅ぼされたと告げよ。 + さばきは高原の地に臨み、ホロン、ヤハズ、メパアテ、 + デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、 + キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、 + ケリオテ、ボズラなどモアブの地のすべての町の、遠いものにも近いものにも、臨んだ。 + モアブの角は砕け、その腕は折れたと主は言われる。 + モアブを酔わせよ、彼が主に敵して自ら高ぶったからである。モアブは自分の吐いた物の中にころがって、笑い草となる。 + イスラエルはあなたの笑い草ではなかったか。あなたが、彼のことを語るごとに首を振ったのは、彼が盗賊の中にいたとでもいうのか。 + モアブに住む者よ、町を去って岩の間に住め。谷の入口のかたわらに巣を作る山ばとのようにせよ。 + われわれはモアブの高慢な事を聞いた、その高慢は、はなはだしい。すなわち、その尊大、高慢、横柄、およびその心の高ぶりのことを聞いた。 + 主は言われる、わたしは彼の横着なのを知る、彼の自慢は偽りで、その行いも偽りである。 + それゆえ、わたしはモアブのために嘆き、モアブの全地のために呼ばわる。キルヘレスの人々のためにわたしは悲しむ。 + シブマのぶどうの木よ、わたしはヤゼルのために泣くのにまさっておまえのために泣く。おまえのつるは延びて海を越え、ヤゼルに及んだ。おまえの夏の実と、その収穫を滅ぼす者が襲ってきた。 + 喜びと楽しみは、実り多いモアブの地を去った。わたしは、ぶどうをしぼる所にも酒をなくした。楽しく呼ばわって、ぶどうを踏む者もなくなった。呼ばわっても、喜んで呼ばわる声ではない。 + ヘシボンとエレアレは叫ぶ。ヤハヅに至るまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至るまで、彼らはその声をあげる。ニムリムの水も絶えたからである。 + 主は言われる、わたしは犠牲を高き所にささげ、香をその神にたく者をモアブのうちに滅ぼす。 + それゆえ、わたしの心はモアブのために笛のように嘆き、わたしの心はキルヘレスの人々のために笛のように嘆く。彼らの獲た富が消えうせたからである。 + 人はみな髪をそり、皆ひげをそり、みな手に傷をつけ、腰に荒布を着ける。 + モアブではどこの屋根の上も、広場も、ただ悲しみに包まれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器のようにモアブを砕いたからであると主は言われる。 + ああ、モアブはついに滅びた。人々は嘆く。ああ、モアブは恥じて顔をそむけた。モアブはその周囲のすべての者の笑い草となり恐れとなった」。 + 主はこう言われる、「見よ、敵はわしのように速く飛んできて、モアブに向かって翼をのべる。 + 町々は取られ、城は奪われる。その日モアブの勇士の心は子を産む女の心のようになる。 + モアブは滅ぼされて、国を成さないようになる。主に敵して自ら誇ったからである。 + 主は言われる、モアブに住む者よ、恐れと、穴と、わなとがあなたに臨んでいる。 + 恐れをさけて逃げる者は穴におちいり、穴をよじ上って出る者は、わなに捕えられる。わたしがモアブに、その罰せられる年に、これらのものを臨ませるからであると主は言われる。 + 逃げた者はヘシボンの陰に、力なく立ちどまる。ヘシボンから火が出、シホンの家から炎が出て、モアブの額、騒ぐ人々の頭の頂を焼いたからだ。 + モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民は滅びた。おまえのむすこらは捕え移され、おまえの娘らも捕え行かれたからである。 + しかし末の日にわたしは再びモアブを栄えさせると主は言われる」。ここまではモアブのさばきの事をいったのである。 + + + アンモンびとについて、主はこう言われる、「イスラエルには子がないのか、世継ぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追い出して、その民がその町々に住んでいるのか。 + 主は言われる、それゆえ、見よ、アンモンびとのラバを攻める戦いの叫びを、わたしが聞えさせる日が来る。ラバは荒塚となり、その村々は火で焼かれる。そのときイスラエルは自分を追い出した者どもを追い出すと主は言われる。 + ヘシボンよ嘆け、アイは滅ぼされた。ラバの娘たちよ呼ばわれ。荒布を身にまとい、悲しんで、まがきのうちを走りまわれ。ミルコムとその祭司およびつかさが共に捕え移されるからだ。 + 不信の娘よ、あなたはなぜ自分の谷の事を誇るのか。あなたは自分の富に寄り頼んで、『だれがわたしに攻めてくるものか』と言う。 + 主なる万軍の神は言われる、見よ、わたしはあなたの上に恐れを臨ませる、それはあなたの周囲の者から来る。あなたは追われて、おのおの直ちに他人に続き、逃げる者を集める人もない。 + しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再び栄えさせると、主は言われる」。 + エドムの事について、万軍の主はこう言われる、「テマンには、もはや知恵がないのか。さとい者には計りごとがなくなったのか。その知恵は消えうせたのか。 + デダンに住む者よ、逃げよ、のがれよ、深い所に隠れよ。わたしがエサウの災難を彼の上に臨ませ、彼を罰する時をこさせるからだ。 + ぶどうを集める者があなたの所に来たならば、すこしの実をも残さないであろうか。夜、盗びとが来たならば、自分たちの満足するだけ滅ぼさないであろうか。 + しかしわたしはエサウを裸にし、その隠れる所を現したので、彼はその身を隠すことができない。その子どもたちも、兄弟も、隣り人も滅ぼされる。そして彼は、いなくなる。 + あなたのみなしごを残せ、わたしがそれを生きながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄り頼ませよ」。 + 主はこう言われる、「もし、杯を飲むべきでない者もそれを飲まなければならなかったとすれば、あなたは罰を免れることができようか。あなたは罰を免れない。それを飲まなければならない。 + 主は言われる、わたしは自分をさして誓った、ボズラは驚きとなり、ののしりとなり、荒れ地となり、のろいとなる。その町々は長く荒れ地となる」。 + わたしは主からのおとずれを聞いた。ひとりの使者がつかわされて万国に行き、そして言った、「あなたがたは集まり、行って彼を攻め、立って戦え。 + 見よ、わたしはあなたを万国のうちに小さい者とし、人々のうちに卑しめられる者とする。 + 岩の割れ目に住み、山の高みを占める者よ、あなたの恐ろしい事と、あなたの心の高ぶりが、あなたを欺いた。あなたは、わたしのように巣を高い所に作っているが、わたしはその所からあなたを取りおろすと主は言われる。 + エドムは恐れとなる。そのかたわらを通り過ぎる者はみな恐れ、その災のために、舌打ちする。 + 主は言われる、ソドムとゴモラとその隣の町々がくつがえされた時のように、そこに住む人はなく、そこに宿る人もなくなる。 + 見よ、ししがヨルダンの密林から上ってきて、じょうぶな羊のおりを襲うように、わたしは、たちまち彼らをそこから逃げ走らせ、わたしの選ぶ者をその上に立てる。だれかわたしのような者があるであろうか。だれがわたしを呼びつけることができようか。どの牧者がわたしの前に立つことができようか。 + それゆえ、エドムに対して主が立てた計りごとと、テマンに住む者に対してしようとする事を聞くがよい。彼らの群れのうちの小さいものまでも皆、引かれて行く。彼らのおりのものもその終りを見て恐れる。 + その倒れる音を聞いて、地は震い、彼らの叫び声は紅海にも聞える。 + 見よ、敵はわしのように上り、すみやかに飛びかけり、その翼をボズラの上に張り広げる。その日エドムの勇士の心は子を産む女の心のようになる」。 + ダマスコの事について、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼らは悪いおとずれを聞いたからだ。彼らは勇気を失い、穏やかになることのできない海のように悩む。 + ダマスコは弱り、身をめぐらして逃げた、恐怖に襲われている。子を産む女に臨むように痛みと悲しみと彼に臨む。 + ああ、名ある町、楽しい町は捨てられる。 + それゆえ、その日に、若い者は、広場に倒れ、兵士はことごとく滅ぼされると万軍の主は言われる。 + わたしはダマスコの城壁の上に火を燃やし、ベネハダデの宮殿を焼き尽す」。 + バビロンの王ネブカデレザルが攻め撃ったケダルとハゾルの諸国の事について、主はこう言われる、「立って、ケダルに向かって進み、東の人々を滅ぼせ。 + 彼らの天幕と、その羊の群れとは取られ、その垂幕とそのもろもろの器と、らくだとは彼らの所から運び去られ、人々は彼らに向かって叫ぶ、『恐ろしいことが四方にある』と。 + 主は言われる、ハゾルに住む者よ、逃げよ、遠くさまよい行き、深い所に隠れよ。バビロンの王ネブカデレザルがあなたがたを攻める計りごとをめぐらし、あなたがたを攻める、てだてを設けたからだ。 + 主は言われる、立って進み、安全な所に住むきらくな民を攻めよ、彼らは門もなく、貫の木もなく、ひとり離れて住む。 + 彼らのらくだは、ぶんどり物となり、家畜の群れは奪われる。わたしは、かの髪の毛のすみずみを切る者を四方に散らし、その災難を八方からこさせると主は言われる。 + ハゾルは山犬のすまいとなり、いつまでも荒れ地となっている。だれもそこに住む人はなく、そこに宿る人もない」。 + ユダの王ゼデキヤの治世の初めのころに、エラムの事について預言者エレミヤに臨んだ主の言葉。 + 万軍の主はこう言われる、「見よ、わたしはエラムが力として頼んでいる弓を折る。 + わたしは天の四方から、四方の風をエラムにこさせ、彼らを四方の風に散らす。エラムから追い出される者の行かない国はない。 + 主は言われる、わたしはエラムをしてその敵の前、またその命を求める者の前に恐れさせる。わたしは災をくだし、激しい怒りをその上にくだす。彼らのうしろに、つるぎを送って滅ぼし尽す。 + そしてわたしの位をエラムにすえ、王とつかさたちとを滅ぼすと主は言われる。 + しかし末の日に、わたしはエラムを再び栄えさせると、主は言われる」。 + + + 主が預言者エレミヤによって語られたバビロンとカルデヤびとの地の事についての言葉。 + 「国々のうちに告げ、また触れ示せよ、旗を立てて、隠すことなく触れ示して言え、『バビロンは取られ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕かれ、その像ははずかしめられ、その偶像は砕かれる』と。 + それは、北の方から一つの国民がきて、これを攻め、その地を荒して、住む人もないようにするからである。人も獣もみな逃げ去ってしまう。 + 主は言われる、その日その時、イスラエルの民とユダの民は共に帰ってくる。彼らは嘆きながら帰ってくる。そしてその神、主を求める。 + 彼らは顔をシオンに向けて、その道を問い、『さあ、われわれは、永遠に忘れられることのない契約を結んで主に連なろう』と言う。 + わたしの民は迷える羊の群れである、その牧者がこれをいざなって、山に踏み迷わせたので、山から丘へと行きめぐり、その休む所を忘れた。 + これに会う者はみなこれを食べた。その敵は言った、『われわれに罪はない。彼らがそのまことのすみかである主、先祖たちの希望であった主に対して罪を犯したのだ』と。 + バビロンのうちから逃げよ。カルデヤびとの地から出よ。群れの前に行く雄やぎのようにせよ。 + 見よ、わたしは大きい国々を起し集めて、北の地からバビロンに攻めこさせる。彼らはこれに向かって勢ぞろいをし、これをその所から取る。彼らの矢はむなしく帰らない老練な勇士のようである。 + カルデヤは人にかすめられる。これをかすめる者はみな飽くことができると、主は言われる。 + わたしの嗣業をかすめる者どもよ、あなたがたは喜び楽しみ、雌の子牛のように草に戯れ、雄馬のように、いなないているが、 + あなたがたの母はいたくはずかしめられ、あなたがたを産んだ者は恥をこうむる。見よ、彼女は国々のうちの最もあとなるものとなり、かわいた砂原の荒野となる。 + 主の怒りによって、ここに住む者はなく、完全に荒れ地となる。バビロンのかたわらを通る者は、みなその傷を見て驚き、かつあざ笑う。 + あなたがたすべて弓を張る者よ、バビロンの周囲に勢ぞろいして、これを攻め、矢を惜しまずに、これを射よ、彼女が主に罪を犯したからだ。 + その周囲に叫び声をあげよ、彼女は降伏した。そのとりでは倒れ、その城壁はくずれた、主があだをかえされたからだ。彼女に報復せよ、彼女がおこなったように、これに行え。 + 種まく者と、刈入れどきに、かまを取る者をバビロンに絶やせ。滅ぼす者のつるぎを恐れて、人はおのおの自分の民の所に帰り、そのふるさとに逃げて行く。 + イスラエルは、ししに追われて散った羊である。初めにアッスリヤの王がこれを食い、そして今はついにバビロンの王ネブカデレザルがその骨をかじった。 + それゆえ万軍の主、イスラエルの神は、こう言われる、見よ、わたしはアッスリヤの王を罰したように、バビロンの王とその国に罰を下す。 + わたしはイスラエルを再びその牧場に帰らせる。彼はカルメルとバシャンで草を食べる。またエフライムの山とギレアデでその望みが満たされる。 + 主は言われる、その日その時には、イスラエルのとがを探しても見当らず、ユダの罪を探してもない。それはわたしが残しておく人々を、ゆるすからである。 + 主は言われる、上って行って、メラタイムの地を攻め、ペコデの民を攻め、彼らを殺して全く滅ぼし、わたしがあなたがたに命じたことを皆、行いなさい。 + その地に、いくさの叫びと、大いなる滅びがある。 + ああ、全地を砕いた鎚はついに折れ砕ける。ああ、バビロンはついに国々のうちの恐るべき見ものとなる。 + バビロンよ、わたしは、おまえを捕えるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知らなかった。おまえは主に敵したので、尋ね出され、捕えられた。 + 主は武器の倉を開いてその怒りの武器を取り出された。主なる万軍の神が、カルデヤびとの地に事を行われるからである。 + あらゆる方面からきて、これを攻め、その穀倉を開き、これを穀物の山のように積み上げ、完全に滅ぼし尽し、そこに残る者のないようにせよ。 + その雄牛をことごとく殺せ、それを、ほふり場に下らせよ。それらのものはわざわいだ、その日、その罰を受ける時がきたからだ。 + 聞けよ、バビロンの地から逃げ、のがれてきた者の声がする。われわれの神、主の報復、その宮の報復の事をシオンに告げ示す。 + 弓を張る射手をことごとく呼び集めて、バビロンを攻めよ。その周囲に陣を敷け。ひとりも逃がすな。そのしわざにしたがってバビロンに報い、これがおこなった所にしたがってこれに行え。彼がイスラエルの聖者である主に向かって高慢にふるまったからだ。 + それゆえ、その日、若い者は、広場に倒れ、兵士はみな絶やされると主は言われる。 + 主なる万軍の神は言われる、高ぶる者よ、見よ、わたしはおまえの敵となる、あなたの日、わたしがおまえを罰する時が来た。 + 高ぶる者はつまずき倒れる、これを助け起すものはない。わたしはその町々に火を燃やして、その周囲の者をことごとく焼き尽す。 + 万軍の主はこう言われる、イスラエルの民とユダの民は共にしえたげられている。彼らをとりこにした者はみな彼らを固く守って釈放することを拒む。 + 彼らをあがなう者は強く、その名は万軍の主といわれる。彼は必ず彼らの訴えをただし、この地に安きを与えるが、バビロンに住む者には不安を与えられる。 + 主は言われる、カルデヤびとの上とバビロンに住む者の上、そのつかさたち、その知者たちの上につるぎが臨む。 + 占い師の上につるぎが臨み、彼らは愚か者となる。その勇士の上につるぎが臨み、彼らは滅ぼされる。 + その馬の上と、その車の上につるぎが臨み、またそのうちにあるすべての雇兵の上に臨み、彼らは女のようになる。その財宝の上につるぎが臨み、それはかすめられる。 + その水の上に、ひでりが来て、それはかわく。それは、この地が偶像の地であって、人々が偶像に心が狂っているからだ。 + それゆえ、野の獣と山犬とは共にバビロンにおり、だちょうもそこに住む。しかし、いつまでもその地に住む人はなく、世々ここに住む人はない。 + 主は言われる、神がソドムとゴモラと、その隣の町々を滅ぼされたように、そこに住む人はなく、そこに宿る人の子はない。 + 見よ、一つの民が北の方から来る。大いなる国と多くの王が地の果から立ち上がっている。 + 彼らは弓と、やりを取る。残忍で、あわれみがなく、その響きは海の鳴りとどろくようである。バビロンの娘よ、彼らは馬に乗り、いくさびとのように身をよろって、あなたを攻める。 + バビロンの王はそのうわさを聞いて、その手は弱り、子を産む女に臨むような痛みと苦しみに迫られた。 + 見よ、ししがヨルダンの密林から上ってきて、じょうぶな羊のおりを襲うように、わたしは、たちまち彼らをそこから逃げ去らせる。そしてわたしの選ぶ者をその上に立てる。だれかわたしのような者があるであろうか。だれがわたしを呼びつけることができようか。どの牧者がわたしの前に立つことができようか。 + それゆえ、バビロンに対して主が立てた計りごとと、カルデヤびとの地に対してしようとする事を聞くがよい。彼らの群れのうちの小さい者は、かならず引かれて行く。彼らのおりのものも必ずその終りを見て恐れる。 + バビロンが取られたとの声によって地は震い、その叫びは国々のうちに聞える」。 + + + 主はこう言われる、「見よ、わたしは、滅ぼす者の心を奮い起して、バビロンを攻め、カルデヤに住む者を攻めさせる。 + わたしはバビロンに、あおぎ分ける者をつかわす。彼らは、その災の日に、四方からこれを攻め、それをあおぎ分けて、その地をむなしくする。 + 射手にはその弓を張らせることなく、よろいを着て立ち上がらせるな。その若き者をあわれむことなく、その軍勢をことごとく滅ぼせ。 + 彼らはカルデヤびとの地に殺されて倒れ、そのちまたに傷ついて倒れる。 + イスラエルとユダはその神、万軍の主に捨てられてはいないが、しかしカルデヤびとの地にはイスラエルの聖者に向かって犯した罪が満ちている。 + バビロンのうちからのがれ出て、おのおのその命を救え。その罰にまきこまれて断ち滅ぼされてはならない。今は主があだを返される時だから、それに報復をされるのである。 + バビロンは主の手のうちにある金の杯であって、すべての地を酔わせた。国々はその酒を飲んだので、国々は狂った。 + バビロンはたちまち倒れて破れた。これがために嘆け。その傷のために乳香を取れ。あるいは、いえるかも知れない。 + われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨てて、おのおの自分の国に帰ろう。その罰が天に達し、雲にまで及んでいるからだ。 + 主はわれわれの正しいことを明らかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神、主のみわざを告げ示そう。 + 矢をとぎ、盾を取れ。主はメデアびとの王たちの心を引き立てられる。主のバビロンに思い図ることは、これを滅ぼすことであり、主があだを返し、その宮のあだを返されるのである。 + バビロンの城壁に向かって旗を立て、見張りを強固にし、番兵を置き、伏兵を備えよ。主がバビロンに住む者を攻めようと図り、その言われたことを、いま行われるからだ。 + 多くの水のほとりに住み、多くの財宝を持つ者よ、あなたの終りが来て、その命の糸は断たれる。 + 万軍の主はみずからをさして誓い、言われる、わたしは必ずあなたのうちに、人をいなごのように満たす。彼らはあなたに向かって、かちどきの声をあげる。 + 主はその力をもって地を造り、その知恵をもって世界を建て、その悟りをもって天をのべられた。 + 彼が声を出されると、天に多くの水のざわめきがあり、また地の果から霧を立ちあがらせられる。彼は雨のためにいなびかりをおこし、その倉から風を取り出される。 + すべての人は愚かで知恵がなく、すべての金細工人はその造った偶像のために恥をこうむる。その偶像は偽り物で、そのうちに息がないからだ。 + それらは、むなしいもの、迷いのわざである。罰せられる時になれば滅びるものである。 + ヤコブの分である彼はこのようなものではない、彼は万物の造り主だからである。イスラエルは彼の嗣業としての部族である。彼の名は万軍の主という。 + おまえはわたしの鎚であり、戦いの武器である。わたしはおまえをもってすべての国を砕き、おまえをもって万国を滅ぼす。 + おまえをもってわたしは馬と、その騎手とを砕き、おまえをもって戦車とそれに乗る者とを砕く。 + わたしはおまえをもって男と女とを砕き、おまえをもって老いた者と幼い者とを砕き、おまえをもって若い者と、おとめとを砕く。 + わたしはおまえをもって、羊飼と、その群れとを砕き、おまえをもって農夫と、くびきを負う家畜とを砕き、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕く。 + わたしはバビロンとカルデヤに住むすべての者とに、彼らがシオンで行ったもろもろの悪しき事のために、あなたがたの目の前で報いをすると、主は言われる。 + 主は言われる、全地を滅ぼし尽す滅ぼしの山よ、見よ、わたしはおまえの敵となる、わたしは手をおまえの上に伸べて、おまえを岩からころばし、おまえを焼け山にする。 + 主は言われる、人がおまえから石を取って、隅の石とすることなく、また礎とすることもない。おまえはいつまでも荒れ地となっている。 + 地に旗を立て、国々のうちにラッパを吹き、国々の民を集めてそれを攻め、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々をまねいてそれを攻め、軍の長を立ててそれを攻め、群がるいなごのように馬を上り行かせよ。 + 国々の民を集めてそれを攻め、メデアびとの王たちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地の人々を集めてこれを攻めよ。 + その地は震い、かつもだえ苦しむ、主がその思い図ることをバビロンにおこない、バビロンの地を、住む人なき荒れ地とされるからだ。 + バビロンの勇士たちは戦いをやめて、その城にこもり、力はうせて、女のようになる。その家は焼け、その貫の木は砕かれる。 + 飛脚は走って飛脚に会い、使者は走って使者に会い、バビロンの王に告げて、町はことごとく取られ、 + 渡し場は奪われ、とりでは火で焼かれ、兵士はおびえていると言う。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、バビロンの娘は、打ち場のようだ、その踏まれる時が来たのだ。しばらくしてその刈り取られる時が来る」。 + 「バビロンの王ネブカデレザルはわたしを食い尽し、わたしを滅ぼし、わたしを、からの器のようにし、龍のようにわたしを飲み、わたしのうまい物でその腹を満たし、わたしを洗いざらいにした。 + わたしとわたしの肉親におこなった暴虐は、バビロンにふりかかる」とシオンに住む者は言わなければならない。「わたしの血はカルデヤに住む者にふりかかる」とエルサレムは言わなければならない。 + それゆえ主はこう言われる、「見よ、わたしはあなたの訴えをただし、あなたのためにあだを返す。わたしはバビロンの海をかわかし、その泉をかわかす。 + バビロンは荒塚となり、山犬のすまいとなり、驚きとなり、笑いとなり、住む人のない所となる。 + 彼らはししのように共にほえ、若いししのようにほえる。 + 彼らの欲の燃えている時、わたしは宴を設けて彼らを酔わせ、彼らがついに気を失って、ながい眠りにいり、もはや目をさますことのないようにしようと主は言われる。 + わたしは彼らを小羊のように、また雄羊や雄やぎのように、ほふり場に下らせよう。 + ああ、バビロンはついに取られた、全地の人の、ほめたたえた者は捕えられた。ああ、バビロンはついに国々のうちに驚きとなった。 + 海はバビロンにあふれかかり、どよめく波におおわれた。 + その町々は荒れて、かわいた地となり、砂原となり、住む人のない地となる。人の子はひとりとしてそこを過ぎることはない。 + わたしはバビロンでベルを罰し、そののみこんだものを口から取り出す。国々が川のように彼に流れ入ることはなくなる。バビロンの城壁は倒れた。 + わが民よ、あなたがたはその中から出て、おのおの主の激しい怒りを免れ、その命を救え。 + 心を弱くしてはならない、この地で聞くうわさを恐れてはならない。うわさはこの年にもくれば、また次の年にもくる。この地に暴虐があり、つかさとつかさとが攻めあうことがある。 + それゆえ見よ、わたしがバビロンの偶像を罰する日が来る。その全地ははずかしめられ、その殺される者はみなその中に倒れる。 + 天と地とそのうちにあるすべてのものはバビロンの事で喜び歌う。滅ぼす者が北の方からここに来るからであると主は言われる。 + イスラエルの殺された者たちのために、バビロンは倒れなければならない、バビロンのために全地の殺された者は倒れたのだ。 + つるぎをのがれてきたあなたがたは、行け、立ちとどまってはならない。遠くから主を覚え、エルサレムを心にとめよ。 + 『われわれはののしりを聞いたので、恥じている。異邦人が主の宮の聖所にはいったので、恥がわれわれの顔をおおった』。 + 主は言われる、それゆえ見よ、わたしがその偶像を罰する日が来る、傷つけられた者が、その全国にうめくようになる。 + たといバビロンが天に上っても、その城を高くして固めても、滅ぼす者はわたしから出て、これに臨むと主は言われる。 + 聞け、バビロンの叫びを、カルデヤびとの地に起る大いなる滅びの騒ぎ声を。 + 主がバビロンを滅ぼし、その大いなる声を絶やされるのだ。その波は大水のように鳴りとどろき、その声はひびき渡る。 + 滅ぼす者がこれに臨み、バビロンに来た。その勇士たちは捕えられ、その弓は折られる。主は報いをする神であるから必ず報いられるのだ。 + わたしはその君たちと知者たち、おさたち、つかさたち、および勇士たちを酔わせる。彼らは、ながい眠りにいり、目をさますことはない。万軍の主と呼ばれる王がこれを言わせる。 + 万軍の主はこう言われる、バビロンの広い城壁は地にくずされ、その高い門は火に焼かれる。こうして民の労苦はむなしくなり、国民はただ火のために疲れる」。 + マアセヤの子であるネリヤの子セラヤが、ユダの王ゼデキヤと共に、その治世の四年にバビロンへ行くとき、預言者エレミヤがセラヤに命じた言葉。セラヤは宿営の長であった。 + エレミヤはバビロンに臨もうとするすべての災を巻物にしるした。これはすなわちバビロンの事についてしるしたすべての言葉である。 + エレミヤはセラヤに言った、「あなたはバビロンへ行ったならば、忘れることなくこのすべての言葉を読み、 + そして言いなさい、『主よ、あなたはこの所を滅ぼし、人と獣とを問わず、すべてここに住む者のないようにし、永久にここを荒れ地としようと、この所について語られました』と。 + あなたがこの巻物を読み終ったならば、これに石をむすびつけてユフラテ川の中に投げこみ、 + そして言いなさい、『バビロンはこのように沈んで、二度と上がってこない。わたしがこれに災を下すからである』と」。ここまではエレミヤの言葉である。 + + + ゼデキヤは王となったとき二十一歳であったが、エルサレムで十一年世を治めた。母の名はハムタルといい、リブナのエレミヤの娘である。 + ゼデキヤはエホヤキムがすべて行ったように、主の目の前に悪事を行った。 + たしかに、主の怒りによって、エルサレムとユダとは、そのみ前から捨て去られるようなことになった。そしてゼデキヤはバビロンの王にそむいた。 + そこで彼の治世の九年十月十日に、バビロンの王ネブカデレザルはその軍勢を率い、エルサレムにきて、これを包囲し、周囲に塁を築いてこれを攻めた。 + こうしてこの町は攻め囲まれて、ゼデキヤ王の十一年にまで及んだが、 + その四月九日になって、町の中の食糧は、はなはだしく欠乏し、その地の民は食物を得ることができなくなった。 + そして町の城壁はついに打ち破られたので、兵士たちはみな逃げ、夜のうちに、王の園の近くの、二つの城壁の間の門から町をのがれ出て、カルデヤびとが、町を攻め囲んでいるうちに、アラバの方へ落ちて行った。 + しかしカルデヤびとの軍勢は王を追って行って、エリコの平地でゼデキヤに追いついたが、彼の軍勢がみな散って彼のそばを離れたので、 + カルデヤびとは王を捕え、ハマテの地のリブラにいるバビロンの王のもとに引いていったので、王は彼の罪を定めた。 + すなわちバビロンの王はゼデキヤの子たちをその目の前で殺させ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺させ、 + またゼデキヤの目をつぶさせた。そしてバビロンの王は彼を鎖につないでバビロンへ連れて行き、その死ぬ日まで獄屋に入れて置いた。 + 五月十日に、――それはバビロンの王ネブカデレザルの世の十九年であった――バビロンの王に仕える侍衛の長ネブザラダンはエルサレムに、はいって、 + 主の宮と王の宮殿を焼き、エルサレムのすべての家を焼いた。彼は大きな家をみな焼きはらった。 + また侍衛の長と共にいたカルデヤびとの軍勢は、エルサレムの周囲の城壁をみな取りこわした。 + そして侍衛の長ネブザラダンは民のうちの最も貧しい者若干、そのほか町のうちに残った者、およびバビロンの王にくだった人、その他工匠たちを捕え移した。 + しかし侍衛の長ネブザラダンはその地の最も貧しい者若干を残して、ぶどうを作る者とし、農夫とした。 + カルデヤびとはまた主の宮の青銅の柱と、洗盤の台と、青銅の海を砕いて、その青銅をことごとくバビロンへ運び、 + また、つぼと、十能と、心切りばさみと、鉢と、香を盛る皿および宮の勤めに用いる青銅の器をことごとく取って行った。 + また彼らは小鉢と、心取り皿と、鉢と、つぼと、燭台と、香を盛る皿と、灌祭の鉢を取った。金で作った物は金として、銀で作った物は銀として、侍衛の長は運び去った。 + ソロモン王が主の宮に造った二本の柱と、一つの海と、海の下の十二の青銅の牛と、台など、このすべての物の青銅の重さは量ることもできなかった。 + この一本の柱の高さは十八キュビト、周囲は十二キュビトで、指四本の厚さがあり、中は、うつろであった。 + その上に青銅の柱頭があり、柱頭の高さは五キュビト、柱頭の周囲は網細工と、ざくろとで飾り、これらもみな青銅であった。他の柱もそのざくろも、これと同じであった。 + その四方に九十六個のざくろがあり、周囲の網細工の上にあるざくろの数は百個であった。 + 侍衛の長は祭司長セラヤと次席の祭司ゼパニヤと三人の門を守る者を捕え、 + また兵士をつかさどるひとりの役人と、町にいた王の側近の者七人と、その地の民を募る軍勢の長の書記官と、町の中にいた六十人の者を町から捕え去った。 + 侍衛の長ネブザラダンは、これらの人を捕えて、リブラにいるバビロンの王のもとに連れて行った。 + バビロンの王は、ハマテの地のリブラで彼らを撃ち殺した。こうして、ユダは自分の地から捕え移された。 + ネブカデレザルが捕え移した民の数は次のとおりである。第七年にはユダヤ人三千二十三人。 + またネブカデレザルはその第十八年にエルサレムから八百三十二人を捕え移した。 + ネブカデレザルの二十三年に侍衛の長ネブザラダンは、ユダヤ人七百四十五人を捕え移した。この総数は四千六百人であった。 + ユダの王エホヤキンが捕え移されて後三十七年の十二月二十五日に、バビロンの王エビルメロダクはその即位の年に、ユダの王エホヤキンを獄屋から出し、そのこうべを挙げさせ、 + 親切に彼を慰め、その位を、バビロンで共にいる王たちの位よりも高くした。 + こうしてエホヤキンは獄屋の服を脱いだ。そして生きている間は毎日王の食卓で食事し、 + 彼の給与としては、その死ぬ日まで一生の間、たえず日々の必要にしたがって、バビロンの王から給与を賜わった。 + +
+
+ + ああ、むかしは、民の満ちみちていたこの都、国々の民のうちで大いなる者であったこの町、今は寂しいさまで座し、やもめのようになった。もろもろの町のうちで女王であった者、今は奴隷となった。 + これは夜もすがらいたく泣き悲しみ、そのほおには涙が流れている。そのすべての愛する者のうちには、これを慰める者はひとりもなく、そのすべての友はこれにそむいて、その敵となった。 + ユダは悩みのゆえに、また激しい苦役のゆえに、のがれて行って、もろもろの国民のうちに住んでいるが、安息を得ず、これを追う者がみな追いついてみると、悩みのうちにあった。 + シオンの道は祭に上ってくる者のないために悲しみ、その門はことごとく荒れ、その祭司たちは嘆き、そのおとめたちは引かれて行き、シオンはみずからいたく苦しむ。 + そのあだはかしらとなり、その敵は栄えている。そのとがが多いので、主がこれを悩まされたからである。その幼な子たちは捕われて、あだの前に行った。 + シオンの娘の栄華はことごとく彼女を離れ去り、その君たちは牧草を得ない、しかのようになり、自分を追う者の前に力なく逃げ去った。 + エルサレムはその悩みと苦しみの日に、昔から持っていたもろもろの宝を思い出す。その民があだの手に陥り、だれもこれを助ける者のない時、あだはこれを見て、その滅びをあざ笑った。 + エルサレムは、はなはだしく罪を犯したので、汚れたものとなった。これを尊んだ者も皆その裸を見たので、これを卑しめる。これもまたみずから嘆き、顔をそむける。 + その汚れはその衣のすそにあり、これはその終りを思わなかった。それゆえ、これは驚くばかりに落ちぶれ、これを慰める者はひとりもない。「主よ、わが悩みを顧みてください、敵は勝ち誇っていますから」。 + 敵は手を伸べて、その財宝をことごとく奪った。あなたがさきに異邦人らはあなたの公会に、はいってはならないと命じられたのに、彼らがその聖所にはいるのをシオンは見た。 + その民はみな嘆いて食物を求め、その命をささえるために、財宝を食物にかえた。「主よ、みそなわして、わたしの卑しめられるのを顧みてください」。 + 「すべて道行く人よ、あなたがたはなんとも思わないのか。主がその激しい怒りの日にわたしを悩まして、わたしにくだされた苦しみのような苦しみが、また世にあるだろうか、尋ねて見よ。 + 主は上から火を送り、それをわが骨にくだし、網を張ってわが足を捕え、わたしを引き返させ、ひねもす心わびしく、かつ病み衰えさせられた。 + わたしのとがは、つかねられて、一つのくびきとせられ、主のみ手により固く締められて、わたしの首におかれ、わたしの力を衰えさせられた。主はわたしを、立ちむかい得ざる者の手に渡された。 + 主はわたしのうちにあるすべての勇士を無視し、聖会を召集して、わたしを攻め、わが若き人々を打ち滅ぼされた。主は酒ぶねを踏むように、ユダの娘なるおとめを踏みつけられた。 + このために、わたしは泣き悲しみ、わたしの目は涙であふれる。わたしを慰める者、わたしを勇気づける者がわたしから遠く離れたからである。わが子らは敵が勝ったために、わびしい者となった」。 + シオンは手を伸ばしても、これを慰める者はひとりもない。ヤコブについては、主は命じて、その周囲の者を、これがあだとせられた。エルサレムは彼らの中にあって、汚れた物のようになった。 + 「主は正しい、わたしは、み言葉にそむいた。すべての民よ、聞け、わが苦しみを顧みよ。わがおとめらも、わが若人らも捕われて行った。 + わたしはわが愛する者を呼んだが、彼らはわたしを欺いた。わが祭司および長老たちは、その命をささえようと、食物を求めている間に、町のうちで息絶えた。 + 主よ、顧みてください、わたしは悩み、わがはらわたはわきかえり、わが心臓はわたしの内に転倒しています。わたしは、はなはだしくそむいたからです。外にはつるぎがあって、わが子を奪い、家の内には死のようなものがある。 + わたしがどんなに嘆くかを聞いてください。わたしを慰める者はひとりもなく、敵はみなわたしの悩みを聞いて、あなたがこれをなされたのを喜んだ。あなたがさきに告げ知らせたその日をきたらせ、彼らをも、わたしのようにしてください。 + 彼らの悪をことごとくあなたの前にあらわし、さきにわがもろもろのとがのために、わたしに行われたように、彼らにも行ってください。わが嘆きは多く、わが心は弱りはてているからです」。 + + + ああ、主は怒りを起し、黒雲をもってシオンの娘をおおわれた。主はイスラエルの栄光を天から地に投げ落し、その怒りの日に、おのれの足台を心にとめられなかった。 + 主はヤコブのすべてのすまいを滅ぼして、あわれまず、その怒りによって、ユダの娘のとりでをこわし、これを地に倒して、その国とそのつかさたちをはずかしめられた。 + 主は激しい怒りをもって、イスラエルのすべての力を断ち、敵の前で、おのれの右の手を引きもどし、周囲を焼きつくす燃える火のように、ヤコブを焼かれた。 + 主は敵のように弓を張り、あだのように右の手を伸べて立ち、シオンの娘の天幕におるわれわれの目に誇る者を、ことごとく殺し、火のようにその怒りを注がれた。 + 主は敵のようになって、イスラエルを滅ぼし、そのすべての宮殿を滅ぼし、そのとりでをこわし、ユダの娘の上に憂いと悲しみとを増し加えられた。 + 主は園の小屋のようにおのれの幕屋を倒し、その祭の場所をこわされた。主は祭と安息日とをシオンに忘れさせ、激しい怒りによって、王と祭司とを捨てられた。 + 主はその祭壇を忌み、その聖所をきらって、もろもろの宮殿の石がきを敵の手に渡された。彼らは祭の日のように、主の宮で声をあげた。 + 主はシオンの娘の城壁を破壊しようと思い定めて、なわを張り、打ちこわして、その手をひかず、城壁と石がきとを悲しませられた。これらは共に衰える。 + その門は地にうずもれ、主はその貫の木をこわし砕かれた。その王と君たちはもろもろの国民の中におり、もはや律法はなく、またその預言者は主から幻を得ない。 + シオンの娘の長老たちは地に座して黙し、頭にちりをかぶり、身に荒布をまとった。エルサレムのおとめたちはこうべを地にたれた。 + わが目は涙のためにつぶれ、わがはらわたはわきかえり、わが肝はわが民の娘の滅びのために、地に注ぎ出される。幼な子や乳のみ子が町のちまたに息も絶えようとしているからである。 + 彼らが、傷ついた者のように町のちまたで息も絶えようとするとき、その母のふところにその命を注ぎ出そうとするとき、母にむかって、「パンとぶどう酒とはどこにありますか」と叫ぶ。 + エルサレムの娘よ、わたしは何をあなたに言い、何にあなたを比べることができようか。シオンの娘なるおとめよ、わたしは何をもってあなたになぞらえて、あなたを慰めることができようか。あなたの破れは海のように大きい、だれがあなたをいやすことができようか。 + あなたの預言者たちはあなたのために人を欺く偽りの幻を見た。彼らはあなたの不義をあらわして捕われを免れさせようとはせず、あなたのために人を迷わす偽りの託宣を見た。 + すべて道行く人は、あなたにむかって手を打ち、エルサレムの娘にむかって、あざ笑い、かつ頭を振って言う、「麗しさのきわみ、全地の喜びととなえられた町はこれなのか」と。 + あなたのもろもろの敵は、あなたをののしり、あざ笑い、歯がみして言う、「われわれはこれを滅ぼした、ああ、これはわれわれが望んだ日だ、今われわれはこれにあい、これを見た」と。 + 主はその計画されたことを行い、警告されたことをなし遂げ、いにしえから命じておかれたように、滅ぼして、あわれむことをせず、あなたについて敵を喜ばせ、あなたのあだの力を高められた。 + シオンの娘よ、声高らかに主に呼ばわれ、夜も昼も川のように涙を流せ。みずから安んじることをせず、あなたのひとみを休ませるな。 + 夜、初更に起きて叫べ。主の前にあなたの心を水のように注ぎ出せ。町のかどで、飢えて息も絶えようとする幼な子の命のために、主にむかって両手をあげよ。 + 主よ、みそなわして、顧みてください。あなたはだれにむかってこのように行われたのですか。女は自分の産んだ子、その大事に育てた幼な子を食べるでしょうか。祭司と預言者が主の聖所で殺されていいでしょうか。 + 老いも若きも、ちまたのちりに伏し、わがおとめも、若人も、つるぎで倒されてしまった。あなたは、その怒りの日にこれを殺し、これをほふって、あわれむことをされなかった。 + あなたは、わたしの恐れるものを、祭の日のように四方から呼び集められた。主の怒りの日には、のがれた者も残った者もなかった。わたしが、いだき育てた者をわたしの敵は滅ぼし尽した。 + + + わたしは彼の怒りのむちによって、悩みにあった人である。 + 彼はわたしをかり立てて、光のない暗い中を歩かせ、 + まことにその手をしばしばかえて、ひねもすわたしを攻められた。 + 彼はわが肉と皮を衰えさせ、わが骨を砕き、 + 苦しみと悩みをもって、わたしを囲み、わたしを閉じこめ、 + 遠い昔に死んだ者のように、暗い所に住まわせられた。 + 彼はわたしのまわりに、かきをめぐらして、出ることのできないようにし、重い鎖でわたしをつながれた。 + わたしは叫んで助けを求めたが、彼はわたしの祈をしりぞけ、 + 切り石をもって、わたしの行く道をふさぎ、わたしの道筋を曲げられた。 + 彼はわたしに対して待ち伏せするくまのように、潜み隠れるししのように、 + わが道を離れさせ、わたしを引き裂いて、見るかげもないみじめな者とし、 + その弓を張って、わたしを矢の的のようにされた。 + 彼はその箙の矢をわたしの心臓に打ち込まれた。 + わたしはすべての民の物笑いとなり、ひねもす彼らの歌となった。 + 彼はわたしを苦い物で飽かせ、にがよもぎをわたしに飲ませられた。 + 彼は小石をもって、わたしの歯を砕き、灰の中にわたしをころがされた。 + わが魂は平和を失い、わたしは幸福を忘れた。 + そこでわたしは言った、「わが栄えはうせ去り、わたしが主に望むところのものもうせ去った」と。 + どうか、わが悩みと苦しみ、にがよもぎと胆汁とを心に留めてください。 + わが魂は絶えずこれを思って、わがうちにうなだれる。 + しかし、わたしはこの事を心に思い起す。それゆえ、わたしは望みをいだく。 + 主のいつくしみは絶えることがなく、そのあわれみは尽きることがない。 + これは朝ごとに新しく、あなたの真実は大きい。 + わが魂は言う、「主はわたしの受くべき分である、それゆえ、わたしは彼を待ち望む」と。 + 主はおのれを待ち望む者と、おのれを尋ね求める者にむかって恵みふかい。 + 主の救を静かに待ち望むことは、良いことである。 + 人が若い時にくびきを負うことは、良いことである。 + 主がこれを負わせられるとき、ひとりすわって黙しているがよい。 + 口をちりにつけよ、あるいはなお望みがあるであろう。 + おのれを撃つ者にほおを向け、満ち足りるまでに、はずかしめを受けよ。 + 主はとこしえにこのような人を捨てられないからである。 + 彼は悩みを与えられるが、そのいつくしみが豊かなので、またあわれみをたれられる。 + 彼は心から人の子を苦しめ悩ますことをされないからである。 + 地のすべての捕われ人を足の下に踏みにじり、 + いと高き者の前に人の公義をまげ、 + 人の訴えをくつがえすことは、主のよみせられないことである。 + 主が命じられたのでなければ、だれが命じて、その事の成ったことがあるか。 + 災もさいわいも、いと高き者の口から出るではないか。 + 生ける人はどうしてつぶやかねばならないのか、人は自分の罪の罰せられるのを、つぶやくことができようか。 + われわれは、自分の行いを調べ、かつ省みて、主に帰ろう。 + われわれは天にいます神にむかって、手と共に心をもあげよう。 + 「わたしたちは罪を犯し、そむきました、あなたはおゆるしになりませんでした。 + あなたは怒りをもってご自分をおおい、わたしたちを追い攻め、殺して、あわれまず、 + また雲をもってご自分をおおい、祈を通じないようにし、 + もろもろの民の中に、わたしたちをちりあくたとなさいました。 + 敵はみなわたしたちをののしり、 + 恐れと落し穴と、荒廃と滅亡とが、わたしたちに臨みました。 + わが民の娘の滅びによって、わたしの目には涙の川が流れています。 + わが目は絶えず涙を注ぎ出して、やむことなく、 + 主が天から見おろして、顧みられる時にまで及ぶでしょう。 + わが目はわが町のすべての娘の最期のゆえに、わたしを痛ませます。 + ゆえなくわたしに敵する者どもによって、わたしは鳥のように追われました。 + 彼らは生きているわたしを穴の中に投げ入れ、わたしの上に石を投げつけました。 + 水はわたしの頭の上にあふれ、わたしは『断ち滅ぼされた』と言いました。 + 主よ、わたしは深い穴からみ名を呼びました。 + あなたはわが声を聞かれました、『わが嘆きと叫びに耳をふさがないでください』。 + わたしがあなたに呼ばわったとき、あなたは近寄って、『恐れるな』と言われました。 + 主よ、あなたはわが訴えを取りあげて、わたしの命をあがなわれました。 + 主よ、あなたはわたしがこうむった不義をごらんになりました。わたしの訴えをおさばきください。 + あなたはわたしに対する彼らの報復と、陰謀とを、ことごとくごらんになりました。 + 主よ、あなたはわたしに対する彼らのそしりと、陰謀とを、ことごとく聞かれました。 + 立ってわたしに逆らう者どものくちびると、その思いは、ひねもすわたしを攻めています。 + どうか、彼らのすわるをも、立つをも、みそなわしてください。わたしは彼らの歌となっています。 + 主よ、彼らの手のわざにしたがって、彼らに報い、 + 彼らの心をかたくなにし、あなたののろいを彼らに注いでください。 + 主よ、怒りをもって彼らを追い、天が下から彼らを滅ぼしてください」。 + + + ああ、黄金は光を失い、純金は色を変じ、聖所の石はすべてのちまたのかどに投げ捨てられた。 + ああ、精金にも比すべきシオンのいとし子らは、陶器師の手のわざである土の器のようにみなされる。 + 山犬さえも乳ぶさをたれて、その子に乳を飲ませる。ところが、わが民の娘は、荒野のだちょうのように無慈悲になった。 + 乳のみ子の舌はかわいて、上あごに、ひたとつき、幼な子らはパンを求めても、これに与える者がない。 + うまい物を食べていた者は、落ちぶれて、ちまたにおり、紫の着物で育てられた者も、今は灰だまりの上に伏している。 + わが民の娘のうけた懲しめは、ソドムの罰よりも大きかった。ソドムは昔、人の手によらないで、またたくまに滅ぼされたのだ。 + わが民の君たちは雪よりも清らかに、乳よりも白く、そのからだは、さんごよりも赤く、その姿の美しさはサファイヤのようであった。 + 今はその顔はすすよりも黒く、町の中にいても人に知られず、その皮膚は縮んで骨につき、かわいて枯れ木のようになった。 + つるぎで殺される者は、飢えて死ぬ者よりもさいわいである。彼らは田畑の産物の欠乏によって、刺された者のように衰え行くからである。 + わが民の娘の滅びる時には情深い女たちさえも、手ずから自分の子どもを煮て、それを食物とした。 + 主はその憤りをことごとく漏らし、激しい怒りをそそぎ、シオンに火を燃やして、その礎までも焼き払われた。 + 地の王たちも、世の民らもみな、エルサレムの門に、あだや敵が、討ち入ろうとは信じなかった。 + これはその預言者たちの罪のため、その祭司たちの不義のためであった。彼らは義人の血をその町の中に流した者である。 + 彼らは盲人のように、ちまたにさまよい、血で汚れている。だれもその衣にさわることができない。 + 人々は彼らにむかって、「去れよ、けがらわしい」、「去れよ、去れよ、さわるな」と叫んだので、彼らは逃げ去って放浪者となったが、異邦人の中でも人々は「もうわれわれのうちに宿ってはならない」と言った。 + 主はみずから彼らを散らして、再び彼らを顧みず、祭司を尊ばず、長老をいたわられなかった。 + われわれの目は、むなしく助けを待ち望んで疲れ衰えた。われわれは待ち望んだが、救を与え得ない国びとを待ち望んだ。 + 人々がわれわれの歩みをうかがうので、われわれは自分の町の中をも、歩くことができなかった。われわれの終りは近づいた、日は尽きた。われわれの終りが来たからである。 + われわれを追う者は空のはげたかよりも速く、彼らは山でわれわれを追い立て、野でわれわれを待ち伏せる。 + われわれが鼻の息とたのんだ者、主に油そそがれた者は、彼らの落し穴で捕えられた。彼はわれわれが「異邦人の中でもその陰に生きるであろう」と思った者である。 + ウズの地に住むエドムの娘よ、喜び楽しめ、あなたにもまた杯がめぐって行く、あなたも酔って裸になる。 + シオンの娘よ、あなたの不義の罰は終った。主は重ねてあなたを捕え移されない。エドムの娘よ、主はあなたの不義を罰し、あなたの罪をあらわされる。 + + + 主よ、われわれに臨んだ事を覚えてください。われわれのはずかしめを顧みてください。 + われわれの嗣業は他国の人に移り、家は異邦人のものとなった。 + われわれはみなしごとなって父はなく、母はやもめにひとしい。 + われわれは金を出して水を飲み、価を払って、たきぎを獲なければならない。 + われわれは首にくびきをかけられて追い使われ、疲れても休むことができない。 + われわれは足りるだけの食物を獲るために、エジプトおよびアッスリヤに手をさし伸べた。 + われわれの先祖は罪を犯して、すでに世になく、われわれはその不義の責めを負っている。 + 奴隷であった者がわれわれを治めるが、われわれをその手から救い出す者がない。 + われわれは荒野のつるぎのゆえに、おのが命をかけて食物を獲る。 + われわれの皮膚は飢餓の激しい熱のために、炉のように熱い。 + 女たちはシオンで犯され、おとめたちはユダの町々で汚された。 + 君たる者も彼らの手でつるされ、長老たちも尊ばれず、 + 若者たちは、ひきうすをになわせられ、わらべたちは、たきぎを負って、よろめき、 + 長老たちは門に集まることをやめ、若者たちはその音楽を廃した。 + われわれの心の喜びはやみ、踊りは悲しみに変り、 + われわれの冠はこうべから落ちた。わざわいなるかな、われわれは罪を犯したからである。 + このために、われわれの心は衰え、これらの事のために、われわれの目はくらくなった。 + シオンの山は荒れはて、山犬がその上を歩いているからである。 + しかし主よ、あなたはとこしえに統べ治められる。あなたの、み位は世々絶えることがない。 + なぜ、あなたはわれわれをながく忘れ、われわれを久しく捨ておかれるのですか。 + 主よ、あなたに帰らせてください、われわれは帰ります。われわれの日を新たにして、いにしえの日のようにしてください。 + あなたは全くわれわれを捨てられたのですか、はなはだしく怒っていられるのですか。 + +
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+ + 第三十年四月五日に、わたしがケバル川のほとりで、捕囚の人々のうちにいた時、天が開けて、神の幻を見た。 + これはエホヤキン王の捕え移された第五年であって、その月の五日に、 + 主の言葉がケバル川のほとり、カルデヤびとの地でブジの子祭司エゼキエルに臨み、主の手がその所で彼の上にあった。 + わたしが見ていると、見よ、激しい風と大いなる雲が北から来て、その周囲に輝きがあり、たえず火を吹き出していた。その火の中に青銅のように輝くものがあった。 + またその中から四つの生きものの形が出てきた。その様子はこうである。彼らは人の姿をもっていた。 + おのおの四つの顔をもち、またそのおのおのに四つの翼があった。 + その足はまっすぐで、足のうらは子牛の足のうらのようであり、みがいた青銅のように光っていた。 + その四方に、そのおのおのの翼の下に人の手があった。この四つの者はみな顔と翼をもち、 + 翼は互に連なり、行く時は回らずに、おのおの顔の向かうところにまっすぐに進んだ。 + 顔の形は、おのおのその前方に人の顔をもっていた。四つの者は右の方に、ししの顔をもち、四つの者は左の方に牛の顔をもち、また四つの者は後ろの方に、わしの顔をもっていた。 + 彼らの顔はこのようであった。その翼は高く伸ばされ、その二つは互に連なり、他の二つをもってからだをおおっていた。 + 彼らはおのおのその顔の向かうところへまっすぐに行き、霊の行くところへ彼らも行き、その行く時は回らない。 + この生きもののうちには燃える炭の火のようなものがあり、たいまつのように、生きものの中を行き来している。火は輝いて、その火から、いなずまが出ていた。 + 生きものは、いなずまのひらめきのように速く行き来していた。 + わたしが生きものを見ていると、生きもののかたわら、地の上に輪があった。四つの生きものおのおのに、一つずつの輪である。 + もろもろの輪の形と作りは、光る貴かんらん石のようである。四つのものは同じ形で、その作りは、あたかも、輪の中に輪があるようである。 + その行く時、彼らは四方のいずれかに行き、行く時は回らない。 + 四つの輪には輪縁と輻とがあり、その輪縁の周囲は目をもって満たされていた。 + 生きものが行く時には、輪もそのかたわらに行き、生きものが地からあがる時は、輪もあがる。 + 霊の行く所には彼らも行き、輪は彼らに伴ってあがる。生きものの霊が輪の中にあるからである。 + 彼らが行く時は、これらも行き、彼らがとどまる時は、これらもとどまり、彼らが地からあがる時は、輪もまたこれらと共にあがる。生きものの霊が輪の中にあるからである。 + 生きものの頭の上に水晶のように輝く大空の形があって、彼らの頭の上に広がっている。、 + 大空の下にはまっすぐに伸ばした翼があり、たがいに相連なり、生きものはおのおの二つの翼をもって、からだをおおっている。 + その行く時、わたしは大水の声、全能者の声のような翼の声を聞いた。その声の響きは大軍の声のようで、そのとどまる時は翼をたれる。 + また彼らの頭の上の大空から声があった。彼らが立ちとどまる時は翼をおろした。 + 彼らの頭の上の大空の上に、サファイヤのような位の形があった。またその位の形の上に、人の姿のような形があった。 + そしてその腰とみえる所の上の方に、火の形のような光る青銅の色のものが、これを囲んでいるのを見た。わたしはその腰とみえる所の下の方に、火のようなものを見た。そして彼のまわりに輝きがあった。 + そのまわりにある輝きのさまは、雨の日に雲に起るにじのようであった。主の栄光の形のさまは、このようであった。わたしはこれを見て、わたしの顔をふせたとき、語る者の声を聞いた。 + + + 彼はわたしに言われた、「人の子よ、立ちあがれ、わたしはあなたに語ろう」。 + そして彼がわたしに語られた時、霊がわたしのうちに入り、わたしを立ちあがらせた。そして彼のわたしに語られるのを聞いた。 + 彼はわたしに言われた、「人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの民、すなわちわたしにそむいた反逆の民につかわす。彼らもその先祖も、わたしにそむいて今日に及んでいる。 + 彼らは厚顔で強情な者たちである。わたしはあなたを彼らにつかわす。あなたは彼らに『主なる神はこう言われる』と言いなさい。 + 彼らは聞いても、拒んでも、(彼らは反逆の家だから)彼らの中に預言者がいたことを知るだろう。 + 人の子よ、彼らを恐れてはならない。彼らの言葉をも恐れてはならない。たといあざみといばらがあなたと一緒にあっても、またあなたが、さそりの中に住んでも、彼らの言葉を恐れてはならない。彼らの顔をはばかってはならない。彼らは反逆の家である。 + 彼らが聞いても、拒んでも、あなたはただわたしの言葉を彼らに語らなければならない。彼らは反逆の家だから。 + 人の子よ、わたしがあなたに語るところを聞きなさい。反逆の家のようにそむいてはならない。あなたの口を開いて、わたしが与えるものを食べなさい」。 + この時わたしが見ると、見よ、わたしの方に伸べた手があった。また見よ、手の中に巻物があった。 + 彼がわたしの前にこれを開くと、その表にも裏にも文字が書いてあった。その書かれていることは悲しみと、嘆きと、災の言葉であった。 + + + 彼はわたしに言われた。「人の子よ、あなたに与えられたものを食べなさい。この巻物を食べ、行ってイスラエルの家に語りなさい」。 + そこでわたしが口を開くと、彼はわたしにその巻物を食べさせた。 + そして彼はわたしに言われた、「人の子よ、わたしがあなたに与えるこの巻物を食べ、これであなたの腹を満たしなさい」。わたしがそれを食べると、それはわたしの口に甘いこと蜜のようであった。 + 彼はまたわたしに言われた、「人の子よ、イスラエルの家に行って、わたしの言葉を語りなさい。 + わたしはあなたを、異国語を用い、舌の重い民につかわすのでなく、イスラエルの家につかわすのである。 + すなわちあなたがその言葉を知らない、異国語の舌の重い多くの民につかわすのではない。もしわたしがあなたをそのような民につかわしたら、彼らはあなたに聞いたであろう。 + しかしイスラエルの家はあなたに聞くのを好まない。彼らはわたしに聞くのを好まないからである。イスラエルの家はすべて厚顔でまた強情である。 + 見よ、わたしはあなたの顔を彼らの顔に向かって堅くし、あなたの額を彼らの額に向かって堅くした。 + わたしはあなたの額を岩よりも堅いダイヤモンドのようにした。ゆえに彼らを恐れてはならない。彼らの顔をはばかってはならない。彼らは反逆の家である」。 + また彼はわたしに言われた、「人の子よ、わたしがあなたに語るすべての言葉をあなたの心におさめ、あなたの耳に聞きなさい。 + そして捕囚の人々、あなたの民の人々の所へ行って、彼らが聞いても、彼らが拒んでも、『主なる神はこう言われる』と彼らに言いなさい」。 + 時に霊がわたしをもたげた。そして主の栄光がその所からのぼった時、わたしの後に大いなる地震の響きを聞いた。 + それは互に相触れる生きものの翼の音と、そのかたわらの輪の音で、大いなる地震のように響いた。 + 霊はわたしをもたげ、わたしを取り去ったので、わたしは心を熱くし、苦々しい思いで出て行った。主の手が強くわたしの上にあった。 + そしてわたしはケバル川のほとりのテルアビブにいる捕囚の人々のもとへ行き、七日の間、驚きあきれて彼らの中に座した。 + 七日過ぎて後、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの家のために見守る者とした。あなたはわたしの口から言葉を聞くたびに、わたしに代って彼らを戒めなさい。 + わたしが悪人に『あなたは必ず死ぬ』と言うとき、あなたは彼の命を救うために彼を戒めず、また悪人を戒めて、その悪い道から離れるように語らないなら、その悪人は自分の悪のために死ぬ。しかしその血をわたしはあなたの手から求める。 + しかし、もしあなたが悪人を戒めても、彼がその悪をも、またその悪い道をも離れないなら、彼はその悪のために死ぬ。しかしあなたは自分の命を救う。 + また義人がその義にそむき、不義を行うなら、わたしは彼の前に、つまずきを置き、彼は死ぬ。あなたが彼を戒めなかったゆえ、彼はその罪のために死に、その行った義は覚えられない。しかしその血をわたしはあなたの手から求める。 + けれども、もしあなたが義人を戒めて、罪を犯さないように語り、そして彼が罪を犯さないなら、彼は戒めを受けいれたゆえに、その命を保ち、あなたは自分の命を救う」。 + その所で主の手がわたしの上に臨み、彼はわたしに言われた、「立って、平野に出て行きなさい。その所でわたしはあなたに語ろう」。 + そこで、わたしは立って平野に出て行った。見よ、主の栄光が、かつてわたしがケバル川のほとりで見た栄光のように、その所に立ち現れたので、わたしはひれ伏した。 + しかし霊がわたしのうちにはいって、わたしを立ちあがらせ、わたしに語って言った、「行って、あなたの家にこもっていなさい。 + 人の子よ、見よ、彼らはあなたの上になわをかけ、それであなたを縛り、あなたを民の中に行かせないようにする。 + わたしはあなたの舌を上あごにつかせ、あなたをおしにして、彼らを戒めることができないようにする。彼らは反逆の家だからである。 + しかし、わたしがあなたと語るときは、あなたの口を開く。あなたは彼らに『主なる神はこう言われる』と言わなければならない。聞く者は聞くがよい、拒む者は拒むがよい。彼らは反逆の家だからである。 + + + 人の子よ、一枚のかわらを取って、あなたの前に置き、その上にエルサレムの町を描きなさい。 + そしてこれを取り囲み、これにむかって雲梯を設け、塁を築き、陣を張り、その回りに城くずしを備えてこれを攻めなさい。 + また鉄の板をとり、それをあなたと町の間に置いて鉄の壁となし、あなたの顔をこれに向けなさい。町をこのように囲んで、その包囲を押し進めなさい。これがイスラエルの家のしるしである。 + あなたはまた自分の左脇を下にして寝なさい。わたしはあなたの上にイスラエルの家の罰を置く。あなたはこのようにして寝ている日の間、彼らの罰を負わなければならない。 + わたしは彼らの罰の年数に等しいその日数、すなわち三百九十日をあなたのために定める。その間あなたはイスラエルの家の罰を負わなければならない。 + あなたはその期間を終ったなら、また右脇を下にして寝て、ユダの家の罰を負わなければならない。わたしは一日を一年として四十日をあなたのために定める。 + あなたは自分の顔をエルサレムの包囲の方に向け、腕をあらわし、町に向かって預言しなければならない。 + 見よ、わたしはあなたに、なわをかけて、あなたの包囲の期間の終るまで、左右に動くことができないようにする。 + あなたはまた小麦、大麦、豆、レンズ豆、あわ、はだか麦を取って、一つの器に入れ、これでパンを造り、あなたが横になって寝る日の数、すなわち三百九十日の間これを食べなければならない。 + あなたが食べる食物は量って一日に二十シケルである。あなたは一日に一度これを食べなければならない。 + また水を量って一ヒンの六分の一を一日に一度飲まなければならない。 + あなたは大麦の菓子のようにしてこれを食べなさい。すなわち彼らの目の前でこれを人の糞で焼かなければならない」。 + そして主は言われた、「このようにイスラエルの民はわたしが追いやろうとする国々の中で汚れたパンを食べなければならない」。 + そこでわたしは言った、「ああ、主なる神よ、わたしは自分を汚したことはありません。わたしは幼い時から今日まで、自然に死んだものや、野獣に裂き殺されたものを食べたことはありません。また汚れた肉がわたしの口にはいったことはありません」。 + すると彼はわたしに言われた、「見よ、わたしは牛の糞をもって人の糞に換えることをあなたにゆるす。あなたはそれで自分のパンを整えなさい」。 + またわたしに言われた、「人の子よ、見よ、わたしはエルサレムで人のつえとするパンを打ち砕く。彼らはパンを量って、恐れながら食べ、また水を量って驚きながら飲む。 + これは彼らをパンと水とに乏しくし、互に驚いて顔を見合わせ、その罰のために衰えさせるためである。 + + + 人の子よ、鋭いつるぎを取り、それを理髪師のかみそりとして、あなたの頭と、ひげとをそり、はかりで量って、その毛を分けなさい。 + その三分の一は包囲の期間の終る時、町の中で火で焼き、また三分の一を取り、つるぎで町のまわりでこれを打ち、さらに三分の一を風に散らしなさい。わたしはつるぎを抜いて、彼らのあとを追う。 + あなたはその毛を少し取って、衣のすそに包み、 + またそのうちから少しを取って火の中に投げ入れ、火でこれを焼きなさい。火はその中から出て、イスラエルの全家に及ぶ。 + 主なる神はこう言われる、わたしはこのエルサレムを万国の中に置き、国々をそのまわりに置いた。 + エルサレムは他の国々よりも悪しく、わたしのおきてにそむき、そのまわりの国々よりもわたしの定めにそむいた。すなわち彼らはわたしのおきてを捨て、わたしの定めに歩まなかった。 + それゆえ主はこう言われる、あなたがたはそのまわりにいる異邦人よりも狂暴であって、わたしの定めに歩まず、わたしのおきてを行わず、むしろ、あなたがたの回りにいる異邦人のおきてを守っていた。 + それゆえ主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたを攻め、異邦人の目の前で、あなたの中にさばきを行う。 + あなたのもろもろの憎むべき事のために、わたしがまだした事のないような事、またこの後ふたたびしないような事をあなたに対してする。 + それゆえ、あなたのうちで父はその子を食い、子はその父を食う。わたしはあなたに対してさばきを行い、あなたのうちの残りの者をことごとく四方の風に散らす。 + それゆえ、主なる神は言われる、わたしは生きている。あなたはその忌むべき物と、その憎むべき事とをもって、わたしの聖所を汚したので、わたしは必ずあなたの数を減らす。わたしの目はあなたを惜しみ見ず、またわたしはあなたをあわれまない。 + あなたの三分の一はあなたの中で疫病で死に、ききんで滅び、三分の一はあなたのまわりでつるぎに倒れ、三分の一は四方の風に散らされる。わたしはつるぎを抜いてそのあとを追う。 + こうしてわたしは怒りを漏らし尽し、憤りを彼らの上に漏らして、満足する。こうして、わたしの憤りを彼らの上に漏らし尽した時、彼らは主であるわたしが熱心に語ったことを知るであろう。 + わたしはまわりにある国々の中と、すべてそばを通る者の目の前であなたを滅亡とあざけりに渡す。 + わたしが怒りと、憤りと、重い懲罰とをもって、あなたに対してさばきを行う時、あなたはそのまわりにある国々のあざけりとなり、そしりとなり、戒めとなり、驚きとなる。これは主であるわたしが語るのである。 + すなわち、わたしがあなたを滅ぼすききんの矢、滅亡の矢をあなたに放つ時、わたしはあなたを滅ぼすために放つのだ。わたしはあなたの上にききんを増し加え、あなたがつえとするパンを打ち砕く。 + わたしはあなたにききんと野獣を送って、あなたの子を奪い取り、また疫病と流血にあなたの中を通らせ、またつるぎをあなたに送る。主であるわたしがこれを言う」。 + + + 主の言葉が、わたしに臨んで言った、 + 「人の子よ、あなたの顔をイスラエルの山々に向け、預言して、 + 言え。イスラエルの山々よ、主なる神の言葉を聞け。主なる神は山と丘と、谷と川に向かって、こう言われる、見よ、わたしはつるぎをあなたがたに送り、あなたがたの高き所を滅ぼす。 + あなたがたの祭壇は荒され、あなたがたの香の祭壇はこわされる。わたしはあなたがたの偶像の前に、あなたがたの殺された者を投げ出す。 + わたしはイスラエルの民の死体を彼らの偶像の前に置き、骨をあなたがたの祭壇のまわりに散らす。 + すべてあなたがたの住む所で町々は滅ぼされ、高き所は荒される。こうしてあなたがたの祭壇はこわし荒され、あなたがたの偶像は砕かれて滅び、あなたがたの香の祭壇は倒され、あなたがたのわざは消し去られる。 + また殺された者はあなたがたのうちに倒れる。これによって、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + わたしは、あなたがたのある者を生かしておく。あなたがたが、つるぎをのがれて国々の中におり、国々に散らされる時、 + あなたがたのうちののがれた者は、その捕え移された国々の中でわたしを思い出す。これはわたしが、彼らのわたしを離れた姦淫の心と、偶像を慕って姦淫を行う目をくじくからである。そして彼らはそのもろもろの憎むべきことと、その犯した悪のために、みずからをいとうようになる。 + そして彼らはわたしが主であることを知る。この災を彼らに対して下すと、わたしが言ったのは決してむなしい事ではない」。 + 主なる神はこう言われる、「あなたは手を打ち、足を踏みならして言え。ああ、イスラエルの家のすべての悪しき憎むべき者はわざわいだ。彼らはつるぎと、ききんと、疫病に倒れるからである。 + 遠くにいる者は疫病で死に、近くにいる者はつるぎに倒れる。生き残って身を全うする者はききんによって死ぬ。このようにわたしはわが憤りを彼らの上に漏らし尽す。 + 彼らの殺される者がその偶像の中にあり、その祭壇のまわりにあり、すべての高き丘の上にあり、すべての山の頂にあり、すべての青木の下にあり、すべての茂ったかしの木の下にあり、彼らがこうばしいかおりを、すべての偶像にささげた所にある時、あなたがたはわたしが主であることを知るのである。 + わたしはまた手を彼らの上に伸べて、その地を荒し、すべて彼らの住む所を、荒野からリブラまで荒れ地とする。これによって彼らはわたしが主であることを知るようになる」。 + + + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの地の終りについて主はこう言われる、この国の四方の境に終りが来た。 + いま、あなたの終りが来た。わたしはわが怒りをあなたに漏らし、あなたの行いに従って、あなたをさばき、あなたのもろもろの憎むべき物のためにあなたを罰する。 + わたしの目はあなたを惜しみ見ず、またあなたをあわれまない。わたしはあなたの行いのためにあなたを罰する。あなたの憎むべき事があなたのうちにある。これによって、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はこう言われる、災が引き続いて起る。見よ、災が来る。 + 終りが来る。その終りが来る。それが起って、あなたに臨む。見よ、それが来る。 + この地に住む者よ、あなたの最後の運命があなたに来た。時は来た。日が近づいた。混乱の日で、山々に聞える喜びの日ではない。 + 今わたしは、すみやかにわたしの憤りをあなたの上に注ぎ、わたしの怒りをあなたに漏らし尽し、あなたの行いに従ってあなたをさばき、あなたのもろもろの憎むべき事のためにあなたを罰する。 + わたしの目はあなたを惜しみ見ず、またあなたをあわれまない。わたしはあなたの行いのためにあなたを罰する。あなたの憎むべき事があなたのうちにある。これによって、あなたがたは、主であるわたしがあなたを撃つことを知るようになる。 + 見よ、その日を。また見よ、かの日が来た。あなたの最後の運命が来た。不義は花咲き、高ぶりは芽を出した。 + 暴虐はつのって悪のつえとなった。彼らもその群衆も、その富も消え、また彼らの名声も消えて何も残らなくなる。 + 時は来た。日は近づいた。買う者は喜ぶな。売る者は悲しむな。怒りがすべての群衆の上に臨むからだ。 + 売る者はたとい生きていても、その売ったものに帰ることはない。怒りがそのすべての民衆の上にあるからだ。それはもとに帰らない。その不義のために、だれも命を全うすることはできない。 + 人々がラッパを吹いて備えをしても戦いに出る者はない。それはわたしの怒りがそのすべての群衆の上にあるからだ。 + 外にはつるぎがあり、内には疫病とききんがある。畑にいる者はつるぎに死に、町にいる者はききんと疫病に滅ぼされる。 + そのうちの、のがれる者は谷間のはとのように山々に行って、おのおの皆その罪のために悲しむ。 + 両手とも弱くなり、両ひざとも水のように弱くなる。 + 彼らは荒布を身にまとい、恐れが彼らをおおい、すべての顔には恥があらわれ、すべての頭は髪をそり落す。 + 彼らはその銀をちまたに捨て、その金はあくたのようになる。主の怒りの日には金銀も彼らを救うことはできない。それらは彼らの飢えを満足させることができない、またその腹を満たすことができない。それは彼らの不義のつまずきであったからだ。 + 彼らはその美しい飾り物を高ぶりのために用い、またこれをもってその憎むべき偶像と忌むべき物を造った。それゆえわたしはこれを彼らに対して汚れたものとする。 + わたしはこれを外国人の手に渡して奪わせ、地の悪人に渡してかすめさせる。彼らはこれを汚す。 + わたしは彼らから顔をそむけて、彼らにわたしの聖所を汚させる。強盗がこれにはいって汚し、 + また荒れ地とする。この地は流血のとがに満ち、この町は暴虐に満ちているゆえ、 + わたしは国々のうちの悪い者どもを招いて、彼らの家をかすめさせる。わたしは強い者の高ぶりをやめさせる。また彼らの聖所は汚される。 + 滅びが来るとき、彼らは平安を求めても得られない。 + 災に災が重なりきたり、知らせに知らせが相つぐ。その時、彼らは預言者に幻を求める。しかし律法は祭司のうちに絶え、計りごとは長老のうちに絶える。 + 王は悲しみ、つかさは望みを失い、その地の民の手はおののきによってこわばる。わたしは彼らの行いに従って彼らをあつかい、そのさばきに従って彼らをさばく。そして彼らはわたしが主であることを知るようになる」。 + + + 第六年の六月五日にわたしがわたしの家に座し、ユダの長老たちがわたしの前に座していたとき、主なる神の手がわたしの上に下った。 + わたしは見ていると、見よ、人のような形があって、その腰とみられる所から下は火のように見え、腰から上は光る青銅のように輝いて見えた。 + 彼は手のようなものを伸べて、わたしの髪の毛をつかんだ。そして霊がわたしを天と地の間に引きあげ、神の幻のうちにわたしをエルサレムに携えて行き、北に向かった内庭の門の入口に至らせた。そこには、ねたみをひき起すねたみの偶像があった。 + 見よ、そこに、わたしがかの平野で見た幻のようなイスラエルの神の栄光があらわれた。 + 時に彼はわたしに言われた、「人の子よ、目をあげて北の方をのぞめ」。そこでわたしが目をあげて北の方をのぞむと、見よ、祭壇の門の北にあたって、その入口に、このねたみの偶像があった。 + 彼はまたわたしに言われた、「人の子よ、あなたは彼らのしていること、すなわちイスラエルの家がここでしている大いなる憎むべきことを見るか。これはわたしを聖所から遠ざけるものである。しかしあなたは、さらに大いなる憎むべきことを見るだろう」。 + そして彼はわたしを庭の門に行かせた。わたしが見ると、見よ、壁に一つの穴があった。 + 彼はわたしに言われた、「人の子よ、壁に穴をあけよ」。そこでわたしが壁に穴をあけると、見よ、一つの戸があった。 + 彼はわたしに言われた、「はいって、彼らがここでなす所の悪しき憎むべきことを見よ」。 + そこでわたしがはいって見ると、もろもろの這うものと、憎むべき獣の形、およびイスラエルの家のもろもろの偶像が、まわりの壁に描いてあった。 + またイスラエルの家の長老七十人が、その前に立っていた。シャパンの子ヤザニヤも、彼らの中に立っていた。おのおの手に香炉を持ち、そしてその香の煙が雲のようにのぼった。 + 時に彼はわたしに言われた、「人の子よ、イスラエルの家の長老たちが暗い所で行う事、すなわちおのおのその偶像の室で行う事を見るか。彼らは言う、『主はわれわれを見られない。主はこの地を捨てられた』と」。 + またわたしに言われた、「あなたはさらに彼らがなす大いなる憎むべきことを見る」。 + そして彼はわたしを連れて主の家の北の門の入口に行った。見よ、そこに女たちがすわって、タンムズのために泣いていた。 + その時、彼はわたしに言われた、「人の子よ、あなたはこれを見たか。これよりもさらに大いなる憎むべきことを見るだろう」。 + 彼はまたわたしを連れて、主の家の内庭にはいった。見よ、主の宮の入口に、廊と祭壇との間に二十五人ばかりの人が、主の宮にその背中を向け、顔を東に向け、東に向かって太陽を拝んでいた。 + 時に彼はわたしに言われた、「人の子よ、あなたはこれを見たか。ユダの家にとって、彼らがここでしているこれらの憎むべきわざは軽いことであるか。彼らはこの地を暴虐で満たし、さらにわたしを怒らせる。見よ、彼らはその鼻に木の枝を置く。 + それゆえ、わたしも憤って事を行う。わたしの目は彼らを惜しみ見ず、またあわれまない。たとい彼らがわたしの耳に大声で呼ばわっても、わたしは彼らの言うことを聞かない」。 + + + 時に彼はわたしの耳に大声に呼ばわって言われた、「町を罰する者たちよ、おのおの滅ぼす武器をその手に持って近よれ」と。 + 見よ、北に向かう上の門の道から出て来る六人の者があった。おのおのその手に滅ぼす武器を持ち、彼らの中のひとりは亜麻布を着、その腰に物を書く墨つぼをつけていた。彼らははいって来て、青銅の祭壇のかたわらに立った。 + ここにイスラエルの神の栄光がその座しているケルビムから立ちあがって、宮の敷居にまで至った。そして主は、亜麻布を着て、その腰に物を書く墨つぼをつけている者を呼び、 + 彼に言われた、「町の中、エルサレムの中をめぐり、その中で行われているすべての憎むべきことに対して嘆き悲しむ人々の額にしるしをつけよ」。 + またわたしの聞いている所で他の者に言われた、「彼のあとに従い町をめぐって、撃て。あなたの目は惜しみ見るな。またあわれむな。 + 老若男女をことごとく殺せ。しかし身にしるしのある者には触れるな。まずわたしの聖所から始めよ」。そこで、彼らは宮の前にいた老人から始めた。 + この時、主は彼らに言われた、「宮を汚し、死人で庭を満たせ。行け」。そこで彼らは出て行って、町の中で撃った。 + さて彼らが人々を打ち殺していた時、わたしひとりだけが残されたので、ひれ伏して、叫んで言った、「ああ主なる神よ、あなたがエルサレムの上に怒りを注がれるとき、イスラエルの残りの者を、ことごとく滅ぼされるのですか」。 + 主はわたしに言われた、「イスラエルとユダの家の罪は非常に大きい。国は血で満ち、町は不義で満ちている。彼らは言う、『主はこの地を捨てられた。主は顧みられない』。 + それゆえ、わたしの目は彼らを惜しみ見ず、またあわれまない。彼らの行うところを、彼らのこうべに報いる」。 + 時に、かの亜麻布を着、物を書く墨つぼを腰につけていた人が報告して言った、「わたしはあなたがお命じになったように行いました」。 + + + 時にわたしは見ていたが、見よ、ケルビムの頭の上の大空に、サファイヤのようなものが王座の形をして、その上に現れた。 + 彼は亜麻布を着たその人に言われた、「ケルビムの下の回る車の間にはいり、ケルビムの間から炭火をとってあなたの手に満たし、これを町中にまき散らせ」。そして彼はわたしの目の前ではいった。 + この人がはいった時、ケルビムは宮の南側に立っていた。また雲はその内庭を満たしていた。 + 主の栄光はケルビムの上から宮の敷居の上にあがり、宮は雲で満ち、庭は主の栄光の輝きで満たされた。 + 時にケルビムの翼の音が大能の神が語られる声のように外庭にまで聞えた。 + 彼が亜麻布を着ている人に、「回る車の間、ケルビムの間から火を取れ」。と命じた時、その人ははいって、輪のかたわらに立った。 + ひとりのケルブはその手をケルビムの間から伸べて、ケルビムの間にある火を取り、亜麻布を着た人の手に置いた。すると彼はこれを取って出て行った。 + ケルビムはその翼の下に人の手のような形のものを持っているように見えた。 + わたしが見ていると、見よ、ケルビムのかたわらに四つの輪があり、一つの輪はひとりのケルブのかたわらに、他の輪は他のケルブのかたわらにあった。輪のさまは、光る貴かんらん石のようであった。 + そのさまは四つとも同じ形で、あたかも輪の中に輪があるようであった。 + その行く時は四方のどこへでも行く。その行く時は回らない。ただ先頭の輪の向くところに従い、その行く時は回ることをしない。 + その輪縁、その輻、および輪には、まわりに目が満ちていた。―その輪は四つともこれを持っていた。 + その輪はわたしの聞いている所で、「回る輪」と呼ばれた。 + そのおのおのには四つの顔があった。第一の顔はケルブの顔、第二の顔は人の顔、第三はししの顔、第四はわしの顔であった。 + その時ケルビムはのぼった。これがケバル川でわたしが見た生きものである。 + ケルビムの行く時、輪もそのかたわらに行き、ケルビムが翼をあげて地から飛びあがる時は、輪もそのかたわらを離れない。 + その立ちどまる時は、輪も立ちどまり、そののぼる時は、輪も共にのぼる。生きものの霊がその中にあるからである。 + 時に主の栄光が宮の敷居から出て行って、ケルビムの上に立った。 + するとケルビムは翼をあげて、わたしの目の前で、地からのぼった。その出て行く時、輪もまたこれと共にあり、主の宮の東の門の入口の所へ行って止まった。イスラエルの神の栄光がその上にあった。 + これがすなわちわたしがケバル川のほとりで、イスラエルの神の下に見たかの生きものである。わたしはそれがケルビムであることを知っていた。 + これにはおのおの四つの顔があり、おのおの四つの翼があり、また人の手のようなものがその翼の下にあった。 + その顔の形は、ケバル川のほとりでわたしが見たそのままの顔である。おのおのその前の方にまっすぐに行った。 + + + 時に霊はわたしをあげて、東に向かう主の宮の東の門に連れて行った。見よ、その門の入口に二十五人の者がいた。わたしはその中にアズルの子ヤザニヤと、ベナヤの子ペラテヤを見た。共に民のつかさであった。 + すると彼はわたしに言われた、「人の子よ、これらの者はこの町の中で悪い事を考え、悪い計りごとをめぐらす人々である。 + 彼らは言う、『家を建てる時は近くはない。この町はなべであり、われわれは肉である』と。 + それゆえ、彼らに向かって預言せよ。人の子よ、預言せよ」。 + 時に、主の霊がわたしに下って、わたしに言われた、「主はこう言われると言え、イスラエルの家よ、考えてみよ。わたしはあなたがたの心にある事どもを知っている。 + あなたがたはこの町に殺される者を増し、殺された者をもってちまたを満たした。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、町の中にあなたがたが置く殺された者は肉である。この町はなべである。しかし、あなたがたはその中から取り出される。 + あなたがたはつるぎを恐れた。わたしはあなたがたにつるぎを臨ませると、主は言われる。 + またわたしはあなたがたをその中から引き出して、他国人の手に渡し、あなたがたをさばく。 + あなたがたはつるぎに倒れる。わたしはあなたがたをイスラエルの境でさばく。これによってあなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + この町はあなたがたに対してなべとはならず、あなたがたはその肉とはならない。わたしはイスラエルの境であなたがたをさばく。 + これによって、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。あなたがたはわたしの定めに歩まず、またわたしのおきてを行わず、かえってその周囲の他国人のおきてに従って行っているからである」。 + このようにわたしが預言していた時、ベナヤの子ペラテヤが死んだので、わたしは打ち伏して、大声で叫んで言った、「ああ主なる神よ、あなたはイスラエルの残りの者をことごとく滅ぼそうとされるのですか」。 + 時に主の言葉がわたしに臨んで言った、 + 「人の子よ、あなたの兄弟、あなたの友、あなたの兄弟である捕われ人、イスラエルの全家、エルサレムの住民は言った、『彼らが主から遠く離れた。この地はわれわれの所有として与えられているのだ』と。 + それゆえ、言え、『主なる神はこう言われる、たといわたしは彼らを遠く他国人の中に移し、国々の中に散らしても、彼らの行った国々で、わたしはしばらく彼らのために聖所となる』と。 + それゆえ、言え、『主はこう言われる、わたしはあなたがたをもろもろの民の中から集め、その散らされた国々から集めて、イスラエルの地をあなたがたに与える』と。 + 彼らはその所に来る時、そのもろもろのいとうべきものと、もろもろの憎むべきものとをその所から取り除く。 + そしてわたしは彼らに一つの心を与え、彼らのうちに新しい霊を授け、彼らの肉から石の心を取り去って、肉の心を与える。 + これは彼らがわたしの定めに歩み、わたしのおきてを守って行い、そして彼らがわたしの民となり、わたしが彼らの神となるためである。 + しかしいとうべきもの、憎むべきものをその心に慕って歩む者には、彼らの行いに従ってそのこうべに報いると、主なる神は言われる」。 + 時にケルビムはその翼をあげた。輪がそのかたわらにあり、イスラエルの神の栄光がその上にあった。 + 主の栄光が町の中からのぼって、町の東にある山の上に立ちどまった。 + その時、霊はわたしをあげ、神の霊によって、幻のうちにわたしをカルデヤの捕われ人の所へ携えて行った。そしてわたしが見た幻はわたしを離れてのぼった。 + そこでわたしは主がわたしに示された事をことごとくかの捕われ人に告げた。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたは反逆の家の中にいる。彼らは見る目があるが見ず、聞く耳があるが聞かず、彼らは反逆の家である。 + それゆえ、人の子よ、捕囚の荷物を整え、彼らの目の前で昼のうちに移れ、彼らの目の前であなたの所から他の所に移れ。彼らは反逆の家であるが、あるいは彼らは顧みるところがあろう。 + あなたは、捕囚の荷物のようなあなたの荷物を、彼らの目の前で昼のうちに持ち出せ。そして捕囚に行くべき人々のように、彼らの目の前で夕べのうちに出て行け。 + すなわち彼らの目の前で壁に穴をあけ、そこから出て行け。 + あなたは彼らの目の前でその荷物を肩に負い、やみのうちにそれを運び出せ。あなたの顔をおおって地を見るな。わたしはあなたをしるしとなして、イスラエルの家に示すのだ」。 + そこでわたしは命じられたようにし、捕囚の荷物のような荷物を昼のうちに持ち出し、夕べにはわたしの手で壁に穴をあけ、やみのうちに彼らの目の前で、これを肩に負って運び出した。 + 次の朝、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、反逆の家であるイスラエルの家は、あなたに向かって、『何をしているのか』と言わなかったか。 + あなたは彼らに言いなさい、『主なる神はこう言われる、この託宣はエルサレムの君、およびその中にあるイスラエルの全家にかかわるものである』と。 + また言いなさい、『わたしはあなたがたのしるしである。わたしがしたとおりに彼らもされる。彼らはとりこにされて移される』と。 + 彼らのうちの君は、やみのうちにその荷物を肩に載せて出て行く。彼は壁に穴をあけて、そこから出て行く。彼は顔をおおって、自分の目でこの地を見ない。 + わたしはわたしの網を彼の上に打ちかける。彼はわたしのわなにかかる。わたしは彼をカルデヤびとの地のバビロンに引いて行く。しかし彼はそれを見ないで、そこで死ぬであろう。 + またすべて彼の周囲にいて彼を助ける者および彼の軍隊を、わたしは四方に散らし、つるぎを抜いてそのあとを追う。 + わたしが彼らを諸国民の中に散らし、国々にまき散らすとき、彼らはわたしが主であることを知る。 + ただし、わたしは彼らのうちに、わずかの者を残して、つるぎと、ききんと、疫病を免れさせ、彼らがおこなったもろもろの憎むべきことを、彼らが行く国びとの中に告白させよう。そして彼らはわたしが主であることを知るようになる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、震えてあなたのパンを食べ、おののきと恐れとをもって水を飲め。 + そしてこの地の民について言え、主なる神はイスラエルの地のエルサレムの民についてこう言われる、彼らは恐れをもってそのパンを食べ、驚きをもってその水を飲むようになる。これはその地が、すべてその中に住む者の暴虐のために衰え、荒れ地となるからである。 + 人の住んでいた町々は荒れはて、地は荒塚となる。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るようになる」。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの地について、あなたがたが『日は延び、すべての幻はむなしくなった』という、このことわざはなんであるか。 + それゆえ、彼らに言え、『主なる神はこう言われる、わたしはこのことわざをやめさせ、彼らが再びイスラエルで、これをことわざとしないようにする』と。しかし、あなたは彼らに言え、『日とすべての幻の実現とは近づいた』と。 + イスラエルの家のうちには、もはやむなしい幻も、偽りの占いもなくなる。 + しかし主なるわたしは、わが語るべきことを語り、それは必ず成就する。決して延びることはない。ああ、反逆の家よ、あなたの日にわたしはこれを語り、これを成就すると、主なる神は言われる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、見よ、イスラエルの家は言う、『彼の見る幻は、なお多くの日の後の事である。彼が預言することは遠い後の時のことである』と。 + それゆえ、彼らに言え、主なる神はこう言われる、わたしの言葉はもはや延びない。わたしの語る言葉は成就すると、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの預言者たちに向かって預言せよ。すなわち自分の心のままに預言する人々に向かって、預言して言え、『あなたがたは主の言葉を聞け』。 + 主なる神はこう言われる、なにも見ないで、自分の霊に従う愚かな預言者たちはわざわいだ。 + イスラエルよ、あなたの預言者たちは、荒れ跡にいるきつねのようだ。 + あなたがたは主の日に戦いに立つため、破れ口にのぼらず、またイスラエルの家のために石がきを築こうともしない。 + 彼らは虚偽を言い、偽りを占った。彼らは主が彼らをつかわさないのに『主が言われる』と言い、なおその言葉の成就することを期待する。 + あなたがたはむなしい幻を見、偽りの占いを語り、わたしが言わないのに『主が言われる』と言ったではないか」。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、「あなたがたはむなしいことを語り、偽りの物を見るゆえ、わたしはあなたがたを罰すると主なる神は言われる。 + わたしの手は、むなしい幻を見、偽りの占いを言う預言者に敵対する。彼らはわが民の会に臨まず、イスラエルの家の籍にしるされず、イスラエルの地に、はいることができない。そしてあなたがたはわたしが主なる神であることを知るようになる。 + 彼らはわが民を惑わし、平和がないのに『平和』と言い、また民が塀を築く時、これらの預言者たちは水しっくいをもってこれを塗る。 + それゆえ、水しっくいを塗る者どもに『これはかならずくずれる』と言え。これに大雨が注ぎ、ひょうが降り、あらしが吹く。 + そして塀がくずれる時、人々はあなたがたに向かって、『あなたがたが塗った水しっくいはどこにあるか』と言わないであろうか。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わたしはわが憤りをもって大風を起し、わが怒りをもって大雨を注がせ、憤りをもってひょうを降らせて、これを滅ぼす。 + またわたしはあなたがたが水しっくいをもって塗った塀をこわして、これを地に倒し、その基をあらわす。これが倒れる時、あなたがたはその中に滅びる。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るようになる。 + こうしてわたしが、その塀と、これを水しっくいで塗った者との上に、わたしの憤りを漏らし尽して、あなたがたに言う、塀はなくなり、これを塗った者もなくなる。 + これがすなわち平和がないのに平和の幻を見、エルサレムについて預言したイスラエルの預言者であると、主なる神は言われる。 + 人の子よ、心のままに預言するあなたの民の娘たちに対して、あなたの顔を向け、彼らに向かって預言して、 + 言え、主なる神はこう言われる、手の節々に占いひもを縫いつけ、もろもろの大きさの人の頭に、かぶり物を作りかぶせて、魂をかり取ろうとする女はわざわいだ。あなたがたは、わが民の魂をかり取って、あなたがたの利益のために、他の魂を生かしおこうとするのか。 + あなたがたは少しばかりの大麦のため、少しばかりのパンのために、わが民のうちに、わたしを汚し、かの偽りを聞きいれるわが民に偽りを述べて、死んではならない者を死なせ、生きていてはならない者を生かす。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたがたが用いて、魂をかり取るところの占いひもを奪い、あなたがたの腕から占いひもを裂き取って、あなたがたがかり取るところの魂を、鳥のように放ちやる。 + わたしはまたあなたがたの、かぶり物を裂き、わが民をあなたがたの手から救う。彼らは再びあなたがたの獲物とはならない。そしてあなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + あなたがたは偽りをもって正しい者の心を悩ました。わたしはこれを悩まさなかった。またあなたがたは悪人が、その命を救うために、その悪しき道から離れようとする時、それをしないように勧める。 + それゆえ、あなたがたは重ねてむなしい幻を見ることができず、占いをすることができないようになる。わたしはわが民を、あなたがたの手から救い出す。そのとき、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる」。 + + + ここにイスラエルの長老のうちのある人々が、わたしの所に来て、わたしの前に座した。 + 時に主の言葉が、わたしに臨んだ、 + 「人の子よ、これらの人々は、その偶像を心の中に持ち、罪に落しいれるところのつまずきを、その顔の前に置いている。わたしはどうして彼らの願いをいれることができようか。 + それゆえ彼らに告げて言え、主なる神は、こう言われる、イスラエルの家の人々で、その偶像を心の中に持ち、その顔の前に罪に落しいれるところのつまずくものを置きながら、預言者のもとに来る者には、その多くの偶像のゆえに、主なるわたしは、みずからこれに答をする。 + これはその偶像のために、すべてわたしを離れたイスラエルの家の心を、わたしが捕えるためである。 + それゆえイスラエルの家に言え、主なる神はこう言われる、あなたがたは悔いて、あなたがたの偶像を捨てよ。あなたがたの顔を、そのすべての憎むべきものからそむけよ。 + イスラエルの家の者およびイスラエルに宿る外国人のだれでも、わたしから離れ、その心に偶像を持ち、その顔の前に罪に落しいれるところのつまずきを置きながら、預言者に来て、心のままにわたしに求めるときは、主であるわたしは、みずからこれに答をする。 + わたしはわたしの顔を、その人に向け、彼を、しるし、およびことわざとなし、これをわが民のうちから断ち滅ぼす。その時、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + もし預言者が欺かれて言葉を出すことがあれば、それは主であるわたしが、その預言者を欺いたのである。わたしは手を彼の上に伸べ、わが民イスラエルのうちから彼を滅ぼす。 + 彼らはその罰を負う。その預言者の罰は、問い求める者の罰と同様である。 + これはイスラエルの家が、重ねてわたしを離れて迷わず、重ねてそのもろもろのとがによって、おのれを汚さないため、また彼らがわが民となり、わたしが彼らの神となるためであると、主なる神は言われる」。 + 主の言葉が、またわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、もし国がわたしに、もとりそむいて罪を犯し、わたしがその上に手を伸べて、そのつえとたのむパンを砕き、これにききんを送り、人と獣とをそのうちから断つ時、 + たといそこにノア、ダニエル、ヨブの三人がいても、彼らはその義によって、ただ自分の命を救いうるのみであると、主なる神は言われる。 + もしわたしが野の獣にこの地を通らせ、これを荒させ、これを荒れ地となし、その獣のためにそこを通る者がないようにしたなら、 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、たといこれら三人の者がその中にいても、そのむすこ娘を救うことはできない。ただ自分自身を救いうるのみで、その地は荒れ地となる。 + あるいは、わたしがもし、つるぎをその地に臨ませ、つるぎよ、この地を行きめぐれと言って、人と獣とをそこから断つならば、 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、たといこれら三人の者がその中にいても、そのむすこ娘を救うことはできない。ただ自分自身を救いうるのみである。 + あるいは、わたしがもし、この地に疫病を送り、血をもってわが憤りをその上に注ぎ、人と獣とをそこから断つならば、 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、たといノア、ダニエル、ヨブがそこにいても、彼らはそのむすこ娘を救うことができない。ただその義によって自分の命を救いうるのみである。 + 主なる神はこう言われる、わたしが人と獣とを地から断つために、つるぎと、ききんと、悪しき獣と、疫病との四つのきびしい罰をエルサレムに送る時はどうであろうか。 + しかし、もしそれがあなたがたに来るとき、むすこ娘たちを助け出す者が、その中に残っていて、あなたがたがその行いと、わざとを見るならば、わたしがエルサレムの上に与えたすべての災について慰められるであろう。 + すなわち、あなたがたが、その行いと、わざとを見る時、彼らはあなたがたを慰め、あなたがたはわたしがこれに行った事は、すべてゆえなくしたのではないことを知るようになると、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ぶどうの木、森の木のうちにあるぶどうの枝は、ほかの木になんのまさる所があるか。 + その木は何かを造るために用いられるか。また人はこれを用いて、器物を掛ける木釘を造るだろうか。 + 見よ、これは火に投げ入れられて燃える。火がその両端を焼いたとき、またその中ほどがこげたとき、それはなんの役に立つだろうか。 + 見よ、これは完全な時でも、なんの用をもなさない。まして火がこれを焼き、これをこがした時には、なんの役に立つだろうか。 + それゆえ主なる神はこう言われる、わたしが森の木の中のぶどうの木を、火に投げ入れて焼くように、エルサレムの住民をそのようにする。 + わたしはわたしの顔を彼らに向けて攻める。彼らがその火からのがれても、火は彼らを焼き尽す。わたしが顔を彼らに向けて攻める時、あなたがたはわたしが主であることを知る。 + 彼らが、もとりそむいたゆえに、わたしはこの地を荒れ地とすると、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉が再びわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、エルサレムにその憎むべき事どもを示して、 + 言え。主なる神はエルサレムにこう言われる、あなたの起り、あなたの生れはカナンびとの地である。あなたの父はアモリびと、あなたの母はヘテびとである。 + あなたの生れについていえば、その生れた日に、へその緒は切られず、水で洗い清められず、塩でこすられず、また布で包まれなかった。 + ひとりもあなたをあわれみ見る者なく、情をもってこれらのことの一つをも、あなたにしてやる者もなく、あなたの生れた日に、あなたはきらわれて、野原に捨てられた。 + わたしはあなたのかたわらを通り、あなたが血の中にころがりまわっているのを見た時、わたしは血の中にいるあなたに言った、『生きよ、 + 野の木のように育て』と。すなわちあなたは成長して大きくなり、一人前の女になり、その乳ぶさは形が整い、髪は長くなったが、着物がなく、裸であった。 + わたしは再びあなたのかたわらをとおって、あなたを見たが、見よ、あなたは愛せられる年齢に達していたので、わたしは着物のすそであなたをおおい、あなたの裸をかくし、そしてあなたに誓い、あなたと契約を結んだ。そしてあなたはわたしのものとなったと、主なる神は言われる。 + そこでわたしは水であなたを洗い、あなたの血を洗い落して油を塗り、 + 縫い取りした着物を着せ、皮のくつをはかせ、細布をかぶらせ、絹のきれであなたをおおった。 + また飾り物であなたを飾り、腕輪をあなたの手にはめ、鎖をあなたの首にかけ、 + 鼻には鼻輪、耳には耳輪、頭には美しい冠を与えた。 + このようにあなたは金銀で飾られ、細布、絹、縫い取りの服をあなたの衣とし、麦粉と、蜜と、油とを食べた。あなたは非常に美しくなって王の地位に進み、 + あなたの美しさのために、あなたの名声は国々に広まった。これはわたしが、あなたに施した飾りによって全うされたからであると、主なる神は言われる。 + ところが、あなたは自分の美しさをたのみ、自分の名声によって姦淫を行い、すべてかたわらを通る者と、ほしいままに姦淫を行った。 + あなたは自分の衣をとって、自分のために、はなやかに色どった聖所を造り、その上で姦淫を行っている。こんなことはかつてなかったこと、またあってはならないことである。 + あなたはわたしが与えた金銀の美しい飾りの品をとり、自分のために男の像を造って、これと姦淫を行った。 + また縫い取りのある自分の衣をとって彼らに着せ、わたしの油と香とをその前に供え、 + またわたしがあなたに与えたパン、わたしがあなたを養うための麦粉、油および蜜を、こうばしきかおりとして彼らの前に供えたと、主なる神は言われる。 + あなたはまた、あなたがわたしに産んだむすこ、娘たちをとって、その像に供え、彼らに食わせた。このようなあなたの姦淫は小さい事であろうか。 + あなたはわたしの子どもを殺し、火の中を通らせて彼らにささげた。 + あなたがそのすべての憎むべきことや姦淫を行うに当って、あなたが衣もなく、裸で、血の中にころがりまわっていた自分の若き日のことを思わなかった。 + あなたがもろもろの悪を行った後、(あなたはわざわいだ、わざわいだと、主なる神は言われる) + あなたは自分のために高楼を建て、広場、広場に台を造り、 + ちまた、ちまたのつじに台を造って、あなたの美しさを汚し、すべてかたわらを通る者に身をまかせて、大いに姦淫を行っている。 + あなたはまた、かの肉欲的な隣りエジプトの人々と姦淫を行い、大いに姦淫を行って、わたしを怒らせた。 + それゆえ、わたしはわたしの手をあなたの上に伸べて、あなたの賜わる分を減らし、あなたの敵、すなわち、あなたのみだらな行為を恥じるペリシテびとの娘らの欲のままに、あなたを渡した。 + あなたは飽くことがないので、またアッスリヤの人々と姦淫を行ったが、彼らと姦淫を行っても、なお飽くことがなかった。 + あなたはまたカルデヤの商業地と大いに姦淫を行ったが、これと姦淫を行っても、なお飽くことがなかった。 + 主なる神は言われる、あなたの心はどんなに恋いわずらうのか。あなたは、これらすべての事を行った。これはあつかましい姦淫のわざである。 + あなたは、ちまた、ちまたのつじに高楼を建て、広場、広場に台を設けたが、価をもらうことをあざけったので、遊女のようではなかった。 + 自分の夫に替えて他人と通じる姦婦よ。 + 人はすべての遊女に物を与える。しかしあなたはすべての恋人に物を与え、彼らにまいないして、あなたと姦淫するために、四方からあなたの所にこさせる。 + このようにあなたは姦淫を行うに当って、他の女と違っている。すなわち、だれもあなたに姦淫をさせたのではない。あなたはかえって価を払い、相手はあなたに払わない。これがあなたの違うところである。 + それで遊女よ、主の言葉を聞け。 + 主なる神はこう言われる、あなたがその恋人と姦淫して、あなたの恥じる所をあらわし、あなたの裸をあらわし、またすべての偶像と、あなたが彼らにささげたあなたの子どもらの血のゆえに、 + 見よ、わたしはあなたと遊んだあなたのすべての恋人、およびすべてあなたが恋した者と、すべてあなたが憎んだ者とを集め、四方から彼らをあなたの所に集めて、あなたの裸を彼らにあらわす。彼らはあなたの裸を、ことごとく見る。 + わたしは姦淫を行った女と、血を流した女がさばかれるように、あなたをさばき、憤りと、ねたみの血とを、あなたに注ぐ。 + わたしはあなたを恋人の手に渡す。彼らはあなたの高楼を倒し、台をこわし、あなたの衣をはぎ取り、あなたの美しい飾りの品を奪い、あなたを衣服のない裸者にする。 + 彼らは民衆をかり立ててあなたを攻め、石であなたを撃ち、つるぎであなたを切り、 + 火であなたの家を焼き、多くの女たちの前で、あなたにさばきを行う。こうしてわたしはあなたに淫行をやめさせ、重ねて価を払わせないようにする。 + そしてあなたに対するわが憤りをしずめ、わがねたみをあなたから離し、わたしは心を安んじて、再び怒ることをしない。 + またあなたはその若き日の事を覚えず、すべてこれらの事をもって、わたしを怒らせたから、見よ、わたしもあなたの行うところをあなたのこうべに報いると、主なる神は言われる。あなたはもろもろの憎むべき事に加えて、このみだらな事をおこなったではないか。 + 見よ、すべてことわざを用いる者は、あなたについて、『この母にしてこの娘あり』という、ことわざを用いる。 + あなたは、その夫と子どもとを捨てたあなたの母の娘、またその夫と子どもとを捨てた姉妹を持っている。あなたの母はヘテびと、あなたの父はアモリびと、 + あなたの姉はサマリヤ、サマリヤはその娘たちと共に、あなたの北に住み、あなたの妹はソドムで、その娘たちと共に、あなたの南に住んでいる。 + あなたは彼らの道を歩まず、彼らの憎むべき事に従っていないが、しばらくすると、あなたのおこないは、彼らよりもさらに悪くなる。 + 主なる神は言われる、わたしは生きている。あなたの妹ソドムとその娘たちは、あなたとあなたの娘たちがしたほどのことはしなかった。 + 見よ、あなたの妹ソドムの罪はこれである。すなわち彼女と、その娘たちは高ぶり、食物に飽き、安泰に暮していたが、彼らは、乏しい者と貧しい者を助けなかった。 + 彼らは高ぶり、わたしの前に憎むべき事をおこなったので、わたしはそれを見た時、彼らを除いた。 + サマリヤはあなたの半分も罪を犯さなかった。あなたは彼らよりも多く憎むべき事をおこない、あなたのおこなったもろもろの憎むべき事によって、あなたの姉妹を義と見せかけた。 + あなたはその姉妹を有利にさばいたことによって、あなたもまた自分のはずかしめを負わなければならない。それはあなたが彼らよりも、さらに憎むべきことをした罪によって、彼らはあなたよりも義とされるからである。それであなたも恥を受け、はずかしめを負わなければならない。それはあなたがその姉妹を義と見せかけたからである。 + わたしは彼らの幸福をもとに返す。すなわちソドムとその娘たちの幸福、サマリヤとその娘たちの幸福、また彼らの中にいるあなたの幸福をもとに返す。 + これはあなたに自分のはずかしめを負わせるため、またすべてあなたのなした事を恥じさせるためである。こうしてあなたは彼らの慰めとなる。 + あなたの姉妹ソドムと、その娘たちとは、そのもとの所に帰り、サマリヤと、その娘たちとは、そのもとの所に帰り、あなたと、あなたの娘たちとは、そのもとの所に帰る。 + あなたの高ぶりの日に、あなたの姉妹ソドムは、あなたの口に、ことわざとなったではなかったか。 + すなわちあなたの悪があらわされた時まで、そうではなかったか。しかし今はあなたも彼女と同様に、エドムの娘たちと、すべてその周囲の者、および四方からあなたをあざけるペリシテの娘たちのそしりとなった。 + あなたはあなたのみだらな行為と、あなたの憎むべき事のとがとを、身に負っていると主は言われる。 + 主なる神はこう言われる、誓いを軽んじ、契約を破ったあなたには、あなたがしたように、わたしもあなたにする。 + しかしわたしはあなたの若き日に、あなたと結んだ契約を覚え、永遠の契約をあなたと立てる。 + わたしがあなたの姉および妹を受け、またあなたとの契約によらずに、娘として彼らをあなたに与える時、あなたは自分のおこないを思い出して恥じる。 + わたしはあなたと契約を立て、あなたはわたしが主であることを知るようになる。 + こうしてすべてあなたの行ったことにつき、わたしがあなたをゆるす時、あなたはそれを思い出して恥じ、その恥のゆえに重ねて口を開くことがないと、主なる神は言われる」。 + + + 時に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの家になぞをかけ、たとえを語って、 + 言え。主なる神がこう言われる、さまざまの色の羽毛を多く持ち、大きな翼と、長い羽根とを持つ大わしがレバノンに来て、香柏のこずえにとまり、 + その若枝の頂を摘み切り、これを商業の地に運び、商人の町に置いた。 + またその地の種をとって、これを肥えた土に植えた。すなわち水の多い所にもって行って、柳を植えるようにこれを植えた。 + これが成長して、たけ低く、はびこるぶどうの木となり、枝はわしに向かい、根はわしの下にあり、こうしてついにぶどうの木となり、枝を伸ばし、葉を出した。 + ここにまた大きな翼と、羽毛の多いほかの一羽の大わしがあった。見よ、このぶどうの木は、潤いを得るために、その根をわしに向かってまげ、その枝をわしに向かって伸ばした。 + これが枝を出し、実を結び、みごとなぶどうの木となるために、わしはこれを植えた苗床から水の多い良い地に移し植えた。 + あなたは、主なる神がこう言われると言え、これは栄えるであろうか。わしはその根を抜き、その枝を切り、その若葉を皆枯らさないであろうか。これをその根からあげるには、強い腕や多くの民を必要としない。 + 見よ、それが移し植えられたら、また栄えるであろうか。東風がこれを打つ時、それは枯れてしまわないであろうか。その育った苗床で枯れないであろうか」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「反逆の家に言え。これらがなんであるかをあなたがたは知らないのか。彼らに言え、見よ、バビロンの王がエルサレムにきて、その王とつかさとを捕え、これをバビロンに引いて行った。 + また王の子孫のひとりを捕えて、これと契約を結び、誓いを立てさせ、また国のおもだった人々を捕えて行った。 + これはこの国を卑しくして、みずから立つことができないようにし、その契約を守ることによって立たせるためである。 + しかし彼はバビロンの王にそむき、使者をエジプトに送って、馬と多くの兵とをそこから獲ようとした。彼は成功するだろうか。このようなことをなす者は、のがれることができようか。 + 契約を破ってなおのがれることができようか。主なる神は言われる、わたしは生きている、必ず彼は自分を王となした王の住む所、彼が立てた誓いを軽んじ、その契約を破った相手の王のいるバビロンで彼は死ぬ。 + 多くの命を断つために塁を築き、雲梯を建てるとき、パロは決して大いなる軍勢と、多くの人とをもって、彼を助けて戦いをしない。 + 彼は誓いを軽んじ、契約を破り、その手を与えて誓いながら、なおこれらの事をしたゆえ、のがれることはできない。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わたしは生きている、彼がわたしの誓いを軽んじ、わたしの契約を破ったことを、必ず彼のこうべに報いる。 + わたしはわが網を彼の上に打ちかけ、彼をわがわなに捕えて、バビロンに引いて行き、彼がわたしにむかって犯した反逆のために、その所で彼をさばく。 + 彼のすべての軍隊のえり抜きの兵士は皆つるぎに倒れ、生き残った者は八方に散らされる。そしてあなたがたは主なるわたしが、これを語ったことを知るようになる」。 + 主なる神はこう言われる、「わたしはまた香柏の高いこずえから小枝をとって、これを植え、その若芽の頂から柔かい芽を摘みとり、これを高いすぐれた山に植える。 + わたしはイスラエルの高い山にこれを植える。これは枝を出し、実を結び、みごとな香柏となり、その下にもろもろの種類の獣が住み、その枝の陰に各種の鳥が巣をつくる。 + そして野のすべての木は、主なるわたしが高い木を低くし、低い木を高くし、緑の木を枯らし、枯れ木を緑にすることを知るようになる。主であるわたしはこれを語り、これをするのである」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「あなたがたがイスラエルの地について、このことわざを用い、『父たちが、酢いぶどうを食べたので子供たちの歯がうく』というのはどんなわけか。 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、あなたがたは再びイスラエルでこのことわざを用いることはない。 + 見よ、すべての魂はわたしのものである。父の魂も子の魂もわたしのものである。罪を犯した魂は必ず死ぬ。 + 人がもし正しくあって、公道と正義とを行い、 + 山の上で食事をせず、また目をあげてイスラエルの家の偶像を仰がず、隣り人の妻を犯さず、汚れの時にある女に近づかず、 + だれをもしえたげず、質物を返し、決して奪わず、食物を飢えた者に与え、裸の者に衣服を着せ、 + 利息や高利をとって貸さず、手をひいて悪を行わず、人と人との間に真実のさばきを行い、 + わたしの定めに歩み、わたしのおきてを忠実に守るならば、彼は正しい人である。彼は必ず生きることができると、主なる神は言われる。 + しかし彼が子を生み、その子が荒い者で、人の血を流し、これらの義務の一つをも行わず、 + かえって山の上で食事をし、隣り人の妻を犯し、 + 乏しい者や貧しい者をしえたげ、物を奪い、質物を返さず、目をあげて偶像を仰ぎ、憎むべき事をおこない、 + 利息や高利をとって貸すならば、その子は生きるであろうか。彼は生きることはできない。彼はこれらの憎むべき事をしたので、必ず死に、その血は彼自身に帰する。 + しかし彼が子を生み、その子が父の行ったすべての罪を見て、恐れ、そのようなことを行わず、 + 山の上で食事せず、目をあげてイスラエルの家の偶像を仰がず、隣り人の妻を犯さず、 + だれをもしえたげず、質物をひき留めず、物を奪わず、かえって自分の食物を飢えた者に与え、裸の者に衣服を着せ、 + その手をひいて悪を行わず、利息や高利をとらず、わたしのおきてを行い、わたしの定めに歩むならば、彼はその父の悪のために死なず、必ず生きる。 + しかしその父は人をかすめ、その兄弟の物を奪い、その民の中で良くない事を行ったゆえ、見よ、彼はその悪のために死ぬ。 + しかしあなたがたは、『なぜ、子は父の悪を負わないのか』と言う。子は公道と正義とを行い、わたしのすべての定めを守っておこなったので、必ず生きるのである。 + 罪を犯す魂は死ぬ。子は父の悪を負わない。父は子の悪を負わない。義人の義はその人に帰し、悪人の悪はその人に帰する。 + しかし、悪人がもしその行ったもろもろの罪を離れ、わたしのすべての定めを守り、公道と正義とを行うならば、彼は必ず生きる。死ぬことはない。 + その犯したもろもろのとがは、彼に対して覚えられない。彼はそのなした正しい事のために生きる。 + 主なる神は言われる、わたしは悪人の死を好むであろうか。むしろ彼がそのおこないを離れて生きることを好んでいるではないか。 + しかし義人がもしその義を離れて悪を行い、悪人のなすもろもろの憎むべき事を行うならば、生きるであろうか。彼が行ったもろもろの正しい事は覚えられない。彼はその犯したとがと、その犯した罪とのために死ぬ。 + しかしあなたがたは、『主のおこないは正しくない』と言う。イスラエルの家よ、聞け。わたしのおこないは正しくないのか。正しくないのは、あなたがたのおこないではないか。 + 義人がその義を離れて悪を行い、そのために死ぬならば、彼は自分の行った悪のために死ぬのである。 + しかし悪人がその行った悪を離れて、公道と正義とを行うならば、彼は自分の命を救うことができる。 + 彼は省みて、その犯したすべてのとがを離れたのだから必ず生きる。死ぬことはない。 + しかしイスラエルの家は『主のおこないは正しくない』と言う。イスラエルの家よ、わたしのおこないは、はたして正しくないのか。正しくないのは、あなたがたのおこないではないか。 + それゆえ、イスラエルの家よ、わたしはあなたがたを、おのおのそのおこないに従ってさばくと、主なる神は言われる。悔い改めて、あなたがたのすべてのとがを離れよ。さもないと悪はあなたがたを滅ぼす。 + あなたがたがわたしに対しておこなったすべてのとがを捨て去り、新しい心と、新しい霊とを得よ。イスラエルの家よ、あなたがたはどうして死んでよかろうか。 + わたしは何人との死をも喜ばないのであると、主なる神は言われる。それゆえ、あなたがたは翻って生きよ」。 + + + あなたはイスラエルの君たちのために悲しみの歌をのべて + 言え、あなたの母はししのうちにあって、どんな雌じしであったろう。彼女は若いししのうちに伏して子じしを養った。 + 彼女は子じしの一つを育てたが、それは若いししとなって、獲物をとることを学び、人を食べた。 + 国々の人は彼に対して叫び声をあげ、落し穴でこれを捕え、かぎでこれをエジプトの地に引いて行った。 + 雌じしは自分の思いが破れ、その望みを失ったのを見たので、ほかの子じしをとって、これを若い子じしとした。 + 彼はししのうちに行き来し、若いししとなって、獲物をとることを学び、人を食べた。 + 彼はその要害を荒し、その町々を滅ぼした。そのほえる声によって、その地とその中に満ちるものとは皆恐れた。 + そこで国々の人は彼に対して四方にわなを設け、彼に網を打ちかけ、落し穴で彼を捕えた。 + 彼らはかぎをもって、これをかごに入れ、これをバビロンの王のもとに連れて行き、これをおりの中に入れて、再びその声をイスラエルの山々に聞えさせないようにした。 + あなたの母は水のほとりに移し植えられたぶどう畑のぶどうの木のようで、水が多いために実りがよく、枝がはびこった。 + その強い幹は君たる者のつえとなった。それは茂みの中に高くそびえ、多くの枝をつけて高く見えた。 + しかしこのぶどうの木は憤りによって抜かれ、地に投げうたれ、東風がそれを枯らし、その実はもぎ取られ、その強い幹は枯れて、火に焼き滅ぼされた。 + 今これは荒野に、かわいた、水のない地に移し植えられ、 + 火がその幹から出て、その枝と実とを滅ぼしたので、強い幹で、君たる者のつえとなるべきものはそこにない。これが悲しみの言葉、また悲しみの歌となった。 + + + 第七年の五月十日に、イスラエルの長老たちのある人々が、主に尋ねるためにきて、わたしの前に座した。 + 時に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの長老たちに告げて言え。主なる神はこう言われる、あなたがたがわたしのもとに来たのは、わたしに何か尋ねるためであるか。主なる神は言われる、わたしは生きている、わたしはあなたがたの尋ねに答えない。 + あなたは彼らをさばこうとするのか。人の子よ、あなたは彼らをさばこうとするのか。それなら彼らの先祖たちのした憎むべき事を彼らに知らせ、 + かつ彼らに言え。主なる神はこう言われる、わたしがイスラエルを選び、ヤコブの家の子孫に誓い、エジプトの地でわたし自身を彼らに知らせ彼らに誓って、わたしはあなたがたの神、主であると言った日、 + その日にわたしは彼らに誓って、エジプトの地から彼らを導き出し、わたしが彼らのために探り求めた乳と蜜との流れる地、全地の中で最もすばらしい所へ行かせると言った。 + わたしは彼らに言った、あなたがたは、おのおのその目を楽しませる憎むべきものを捨てよ。エジプトの偶像をもって、その身を汚すな。わたしはあなたがたの神、主であると。 + ところが彼らはわたしにそむき、わたしの言うことを聞こうともしなかった。彼らは、おのおのその目を楽しませた憎むべきものを捨てず、またエジプトの偶像を捨てなかった。それで、わたしはエジプトの地のうちで、わたしの憤りを彼らに注ぎ、わたしの怒りを彼らに漏らそうと思った。 + しかしわたしはわたしの名のために行動した。それはエジプトの地から彼らを導き出して、周囲に住んでいた異邦人たちに、わたしのことを知らせ、わたしの名が彼らの目の前に、はずかしめられないためである。 + すなわち、わたしはエジプトの地から彼らを導き出して、荒野に連れて行き、 + わたしの定めを彼らに授け、わたしのおきてを彼らに示した。これは人がこれを行うことによって生きるものである。 + わたしはまた彼らに安息日を与えて、わたしと彼らとの間のしるしとした。これは主なるわたしが彼らを聖別したことを、彼らに知らせるためである。 + しかしイスラエルの家は荒野でわたしにそむき、わたしの定めに歩まず、人がそれを行うことによって、生きることのできるわたしのおきてを捨て、大いにわたしの安息日を汚した。そこでわたしは荒野で、わたしの憤りを彼らの上に注ぎ、これを滅ぼそうと思ったが、 + わたしはわたしの名のために行動した。それはわたしが彼らを導き出して見せた異邦人の前に、わたしの名が汚されないためである。 + ただし、わたしは荒野で彼らに誓い、わたしが彼らに与えた乳と蜜との流れる地、全地の最もすばらしい地に、彼らを導かないと言った。 + これは彼らがその心に偶像を慕って、わがおきてを捨て、わが定めに歩まず、わが安息日を汚したからである。 + けれどもわたしは彼らを惜しみ見て、彼らを滅ぼさず、荒野で彼らを絶やさなかった。 + わたしはまた荒野で彼らの子どもたちに言った、あなたがたの先祖の定めに歩んではならない。そのおきてを守ってはならない。その偶像をもって、あなたがたの身を汚してはならない。 + 主なるわたしはあなたがたの神である。わが定めに歩み、わがおきてを守ってこれを行い、 + わが安息日を聖別せよ。これはわたしとあなたがたとの間のしるしとなって、主なるわたしがあなたがたの神であることを、あなたがたに知らせるためである。 + しかしその子どもたちはわたしにそむき、わが定めに歩まず、人がこれを行うことによって、生きることのできるわたしのおきてを守り行わず、わが安息日を汚した。そこでわたしはわが憤りを彼らの上に注ぎ、荒野で彼らに対し、わが怒りを漏らそうと思った。 + しかしわたしはわが手を翻して、わが名のために行動した。それはわたしが彼らを導き出して見せた異邦人の前に、わたしの名が汚されないためである。 + ただしわたしは荒野で彼らに誓い、わたしは異邦人の間に彼らを散らし、国々の中に彼らをふりまくと言った。 + これは彼らがわがおきてを行わず、わが定めを捨て、わが安息日を汚し、彼らの目にその先祖の偶像を慕ったからである。 + またわたしは彼らに良くない定めと、それによって生きることのできないおきてとを与え、 + そして、彼らのういごに火の中を通らせるその供え物によって、彼らを汚し、彼らを恐れさせた。わたしがこれを行ったのは、わたしが主であることを、彼らに知らせるためである。 + それゆえ人の子よ、イスラエルの家に告げて言え。主なる神はこう言われる、あなたがたの先祖はまた、不信の罪を犯してわたしを汚した。 + わたしが彼らに与えようと誓った地に、彼らを導き入れた時、彼らはすべての高い丘と、すべての茂った木とを見て、その所で犠牲をささげ、忌むべき供え物をささげ、またこうばしいかおりをその所に上らせ、その所に灌祭を注いだ。 + (わたしは彼らに言った、あなたがたが通うその高き所はなんであるか。それでその名は今日までバマととなえられている。) + それゆえ、イスラエルの家に言え。主なる神はこう言われる、あなたがたは、その先祖のおこないに従って、その身を汚し、その憎むべきものを慕うのか。 + あなたがたは、その供え物をささげ、その子供に火の中を通らせて、今日まですべての偶像をもって、その身を汚すのである。イスラエルの家よ、わたしは、なおあなたがたに尋ねられるべきであろうか。わたしは生きている。わたしは決してあなたがたに尋ねられるはずはないと、主なる神は言われる。 + あなたがたの心にあること、すなわち『われわれは異邦人のようになり、国々のもろもろのやからのようになって、木や石を拝もう』との考えは決して成就しない。 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、わたしは必ず強い手と伸べた腕と注がれた憤りとをもって、あなたがたを治める。 + わたしはわが強い手と伸べた腕と注がれた憤りとをもって、あなたがたをもろもろの民の中から導き出し、その散らされた国々から集め、 + もろもろの民の荒野に導き入れ、その所で顔と顔とを合わせて、あなたがたをさばく。 + すなわち、エジプトの地の荒野で、あなたがたの先祖をさばいたように、わたしはあなたがたをさばくと、主なる神は言われる。 + わたしはあなたがたに、むちの下を通らせ、数えてはいらせ、 + あなたがたのうちから、従わぬ者と、わたしにそむいた者とを分かち、その寄留した地から、彼らを導き出す。しかし彼らはイスラエルの地に入ることはできない。こうしてあなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + それで、イスラエルの家よ、主なる神はこう言われる、あなたがたはわたしに聞かないなら、今も後も、おのおのその偶像に行って仕えるがよい。しかし再び供え物と偶像とをもって、わたしの聖なる名を汚してはならない。 + 主なる神は言われる、わたしの聖なる山、イスラエルの高い山の上で、イスラエルの全家はその地で、ことごとくわたしに仕える。その所でわたしは喜んで彼らを受けいれ、あなたがたのささげ物と最上の供え物とを、その聖なるささげ物と共に求める。 + わたしがあなたがたをもろもろの民の中から導き出し、かつてあなたがたを散らした国々から集める時、こうばしいかおりとして、あなたがたを喜んで受けいれる。そしてわたしは異邦人の前で、あなたがたの中に、わたしの聖なることをあらわす。 + こうしてわたしがあなたがたを、イスラエルの地、すなわちあなたがたの先祖たちに与えると誓った地に、はいらせる時、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + またその所であなたがたは、その身を汚したあなたがたのおこないと、すべてのわざとを思い出し、みずから行ったすべての悪事のために、自分を忌みきらうようになる。 + イスラエルの家よ、わたしがあなたがたの悪しきおこないによらず、またその腐れたわざによらず、わたしの名のために、あなたがたを扱う時、あなたがたはわたしが主であることを知るのであると、主なる神は言われる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、顔を南に向け、南に向かって語り、ネゲブの森の地に対して預言せよ。 + すなわちネゲブの森に言え、主の言葉を聞け、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたのうちに火を燃やす。その火はあなたのうちのすべての青木と、すべての枯れ木を焼き滅ぼし、その燃える炎は消されることがなく、南から北まで、すべての地のおもては、これがために焼ける。 + すべて肉なる者は、主なるわたしがこれを焼いたことを見る。その火は消されない」。 + そこでわたしは言った、「ああ主なる神よ、彼らはわたしについてこう語っています、『彼はたとえをもって語る者ではないか』と」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をエルサレムに向け、あなたの言葉を聖所に向けてのべ、イスラエルの地に向かって預言し、 + イスラエルの地に言え。主はこう言われる、見よ、わたしはあなたを攻め、わたしのつるぎをさやから抜き、あなたのうちから、正しい者も悪しき者をも断ってしまう。 + わたしがあなたのうちから、正しい者も悪しき者をも断つゆえに、わたしのつるぎはさやから抜け出て、南から北までのすべての肉なる者を攻める。 + すべて肉なる者は、主なるわたしが、そのつるぎをさやから抜き放ったことを知る。このつるぎは再びさやに納められない。 + それゆえ、人の子よ、嘆け、心砕けるまでに嘆き、彼らの目の前でいたく嘆け。 + 人があなたに向かって、『なぜ嘆くのか』と言うなら、『この知らせのためである。それが来れば人の心はみな溶け、手はみななえ、霊はみな弱り、ひざはみな水のようになる。見よ、それは来る、必ず成就する』と言え」と主なる神は言われる。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、預言して言え、主はこう言われる、つるぎがある、とぎ、かつ、みがいたつるぎがある。 + 殺すためにといであり、いなずまのようにきらめくためにみがいてある。わたしたちは喜ぶことができるか。わが子よ、あなたはつえと、すべて木で作ったものとを軽んじた。 + このつるぎは手にとるために、とがれ、殺す者の手に渡すために、とがれみがかれるのである。 + 人の子よ、叫び嘆け、このことはわが民に臨み、イスラエルのすべての君たちに臨むからである。彼らはわが民と共につるぎにわたされる。それゆえ、あなたのももを打て。 + これはためしにすることではない。もしあなたが、つえをあざけったら、どういうことになろうか」と主なる神は言われる。 + 「それゆえ、人の子よ、あなたは預言し、手を打ちならせ。つるぎを二度も三度も臨ませよ。これは人を殺すつるぎ、大いに殺すつるぎであって、彼らを囲むものである。 + これがために彼らの心は溶け、多くの者がすべての門に倒れる。わたしはひらめくつるぎを彼らに送る。ああ、これはいなずまのようになり、人を殺すためにみがかれている。 + あなたの刃の向かうところで、右に左になぎ倒せ。 + わたしもまた、わたしの手を打ちならし、わたしの怒りをしずめると、主なるわたしは言った」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、バビロンの王のつるぎが来るために、二つの道を備えよ。この二つの道は一つの国から出ている。あなたは道しるべを作り、これを町に向かう道のはじめに置け。 + あなたはまたアンモンの人々のラバと、ユダと、堅固な城の町エルサレムとにつるぎの来る道を設けよ。 + バビロンの王は道の分れ目、二つの道のはじめに立って占いをし、矢をふり、テラピムに問い、肝を見る。 + 彼の右にエルサレムのために占いが出る。すなわち口を開いて叫び、声をあげ、ときを作り、門に向かって城くずしを設け、塁を築き、雲悌を建てよと言う。 + しかしこれは彼らの目には偽りの占いと思われ、彼らは堅き誓いをなした。しかし彼は、彼らを捕えることによって、罪を思い出させる。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、あなたがたの罪は覚えられ、その反逆は現れ、その罪はすべてのわざに現れる。このようにあなたがたは、すでに覚えられているから、彼らの手に捕えられる。 + 汚れた悪人であるイスラエルの君よ、あなたの終りの刑罰の時であるその日が来る。 + 主なる神はこう言われる、かぶり物を脱ぎ、冠を取り離せ。すべてのものは、そのままには残らない。卑しい者は高くされ、高い者は卑しくされる。 + ああ破滅、破滅、破滅、わたしはこれをこさせる。わたしが与える権威をもつ者が来る時まで、その跡形さえも残らない。 + 人の子よ、預言して言え。主なる神はアンモンの人々と、そのあざけりについて、こう言われる、つるぎがある。このつるぎは殺すために抜かれ、いなずまのようにひかりきらめくようにとがれている。 + 彼らがあなたに偽りの幻を示し、偽りを占ったゆえ、これは殺さるべき悪しき者の首の上に置かれる。彼らの終りの刑罰の時であるその日がきている。 + これをさやに納めよ、わたしはあなたの造られた所、あなたの生れた地であなたをさばく。 + わたしの怒りをあなたに注ぎ、わたしの憤りの火をあなたに向けて燃やし、滅ぼすことに巧みな残忍な人の手にあなたを渡す。 + あなたは火のための、たきぎとなり、あなたの血は国の中に流され、覚えられることはない、主なるわたしが言う」。 + + + また主の言葉がわたしに臨んで言った、 + 「人の子よ、あなたはさばくのか。血を流すこの町をさばくのか。それならこの町にそのもろもろの憎むべき事を示して、 + 言え。主なる神はこう言われる、自分のうちに血を流して、その刑罰の時をまねき、偶像を造ってその身を汚す町よ、 + あなたはその流した血によって罪を得、その造った偶像によって汚れ、あなたの日を近づかせ、あなたの年の定めの時はきた。それゆえわたしはあなたをもろもろの国民のあざけりとなし、万国の物笑いとする。 + あなたに近い者も、遠い者も、汚れと、混乱に満ちているあなたをあざける。 + 見よ、あなたのうちのイスラエルの君たちは、おのおのその力にしたがって、血を流そうとしている。 + 父母はあなたのうちで卑しめられ、寄留者はあなたのうちで虐待をうけ、みなしごと、やもめとはあなたのうちで悩まされている。 + あなたはわたしの聖なるものを卑しめ、わたしの安息日を汚した。 + 人をののしって血を流そうとする者は、あなたのうちにおり、人々はあなたのうちで、山の上で食事をし、あなたのうちで、みだらなおこないをし、 + あなたのうちで、父の裸を現し、あなたのうちで、汚れのうちにある女を犯す。 + またあなたのうちに、その隣の妻と憎むべき事を行う者があり、淫行をもって、その嫁を汚す者があり、自分の父の娘である自分の姉妹を犯す者があり、 + また血を流そうとして、あなたのうちで、まいないを取る者がある。あなたは利息と高利とを取り、しえたげによって、あなたの隣り人のものをかすめ、そしてわたしを忘れてしまったと、主なる神は言われる。 + それゆえ見よ、あなたが得た不正の利の事、およびあなたのうちにある流血の事に対して、わたしは手を打ちならす。 + わたしがあなたを攻める日には、あなたの勇気は、これに耐え得ようか。またあなたの手は強くあり得ようか。主なるわたしはこれを宣言し、これをなす。 + わたしはあなたを、もろもろの国民のうちに散らし、国々の間にまき、そしてあなたから汚れを除く。 + わたしはあなたによって、もろもろの国民の前に汚される。そしてあなたはわたしが主であることを知る」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの家はわたしに対して、かなかすとなった。彼らはすべて炉の中の銀、青銅、すず、鉄、鉛のかなかすとなった。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、あなたがたは皆かなかすとなったゆえ、見よ、わたしはあなたがたをエルサレムの中に集める。 + 人が銀、青銅、鉄、鉛、すずなどを炉の中に集め、これに火を吹きかけて溶かすように、わたしは怒りと憤りとをもって、あなたがたを集め入れて溶かす。 + すなわち、わたしはあなたがたを集め、わたしの怒りの火を、あなたがたに吹きかける。あなたがたはその中で溶ける。 + 銀が炉の中で溶けるように、あなたがたもその中で溶ける。そしてあなたがたは主なるわたしが、あなたがたの上に、わたしの怒りを注いだことを知るようになる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、これに言え、あなたは怒りの日に清められず、また雨の降らない地である。 + その中の君たちは、獲物を裂くほえるししのような者で、彼らは人々を滅ぼし、宝と尊い物とを取り、そのうちに、やもめの数をふやす。 + その祭司たちはわが律法を犯し、聖なる物を汚した。彼らは聖なる物と汚れた物とを区別せず、清くない物と清い物との違いを教えず、わが安息日を無視し、こうしてわたしは彼らの間に汚されている。 + その中にいる君たちは、獲物を裂くおおかみのようで、血を流し、不正の利を得るために人々を滅ぼす。 + その預言者たちは、水しっくいでこれを塗り、偽りの幻を見、彼らに偽りを占い、主が語らないのに『主なる神はこう言われる』と言う。 + 国の民はしえたげを行い、奪うことをなし、乏しい者と貧しい者とをかすめ、不法に他国人をしえたぐ。 + わたしは、国のために石がきを築き、わたしの前にあって、破れ口に立ち、わたしにこれを滅ぼさせないようにする者を、彼らのうちに尋ねたが得られなかった。 + それゆえ、わたしはわが怒りを彼らの上に注ぎ、わが憤りの火をもって彼らを滅ぼし、彼らのおこないを、そのこうべに報いたと、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ここにふたりの女があった。ひとりの母の娘である。 + 彼らはエジプトで淫行をした。彼らは若い時に淫行をした。すなわちその所で彼らの胸は押され、その処女の乳ぶさはいじられた。 + 彼らの名は姉はアホラ、妹はアホリバである。彼らはわたしのものとなって、むすこ娘たちを産んだ。その本名はアホラはサマリヤ、アホリバはエルサレムである。 + アホラはわたしのものである間に淫行をなし、その恋人なるアッスリヤびとにこがれた。 + すなわち紫の衣をきた軍人、長官、司令官、すべて好ましい若者、馬に乗る者たちである。 + 彼女は彼らに淫行を供えた。彼らはすべてアッスリヤのえり抜きの人々である。彼女はまた、そのこがれたすべての者のもろもろの偶像をもって、おのれを汚した。 + 彼女はエジプトの日からおこなっていた、その淫行を捨てなかった。それは彼女の若い時に、彼らが彼女と寝、その処女の乳ぶさをいじり、その情欲を彼女の上に注いだからである。 + それゆえ、わたしは彼女をその恋人の手に渡し、そのこがれたアッスリヤの人々の手に渡した。 + 彼らは彼女の裸を現し、そのむすこ娘たちを奪い、つるぎをもって彼女を殺した。こうして彼女に対するさばきが行われたとき、彼女は女たちの間の語り草となった。 + その妹アホリバはこれを見て、姉よりも情欲をほしいままにし、姉の淫行よりも多く淫行をなし、 + アッスリヤの人々に恋こがれた。長官、司令官、盛装した軍人、馬に乗る者たちで、すべて好ましい若者たちである。 + わたしは彼女が身を汚したのを見た。彼らは共に一つの道をたどったが、 + 彼女はさらにその淫行を続け、壁に描いた人々を見た。すなわち朱で描いたカルデヤびとの像で、 + 腰には帯を結び、頭にはたれさがったずきんをいただいていた。これらはみな官吏のような姿で、その生れた国カルデヤのバビロン人に似ていた。 + 彼女はこれらを見て、これに恋こがれ、使者をカルデヤの彼らのもとに送った。 + そこでバビロンの人々は彼女のもとに来て、恋の床につき、情欲をもって彼女を汚したが、彼女は彼らに汚されるにおよんで、その心は彼らから離れた。 + 彼女がその淫行を公然と続け、その裸をさらしたので、わたしの心は彼女から離れた。これはあたかもわたしの心が、彼女の姉から離れたと同様である。 + しかし彼女はなおエジプトの地で姦淫をしたその若き日を覚えて、その淫行を続け、 + その情夫たちに恋こがれた。その人の肉は、ろばの肉のごとく、その精は馬の精のようであった。 + このようにあなたは、かのエジプトびとが、あなたの胸に手をつけ、あなたの若い乳ぶさをおさえた時の、若い時の淫行を慕っている」。 + それゆえ、アホリバよ、主なる神はこう言われる、「見よ、わたしは、あなたの心がすでに離れたあなたの恋人らを起して、あなたを攻めさせ、彼らに四方から来てあなたを攻めさせる。 + すなわちバビロンの人々およびカルデヤのすべての人々、ペコデ、ショア、コア、アッスリヤのすべての人々、好ましい若者、長官、司令官、官吏、軍人など、すべて馬に乗る者たちである。 + 彼らは戦車、貨車、および多くの民を率いて、北からあなたに攻めて来る。大盾、小盾、かぶとを備えて、四方からあなたに攻めかかる。わたしが彼らにさばきをゆだねるゆえ、彼らは、そのおきてに従って、あなたをさばく。 + わたしはあなたに向かってわたしの憤りを起すゆえ、彼らは怒りをもってあなたを扱い、あなたの鼻と耳とを切り落し、そして残りの者はつるぎに倒れる。彼らはあなたのむすこ娘たちを奪い、生き残った者を火で焼く。 + 彼らはまたあなたの衣服をはぎ取り、あなたの美しい飾りを取り去る。 + こうしてわたしはあなたの淫乱と、エジプトの地から持って来た淫行とを取り除き、重ねてあなたの目を、エジプトびとに向けて上げさせず、彼らの事を思わないようにする。 + 主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたの憎む者の手、あなたの心の離れた者の手にあなたを渡す。 + 彼らは憎しみをもってあなたを扱い、あなたの所得をことごとく取り去り、あなたを赤はだかにし、あなたの淫行の裸を現す。あなたの淫乱と淫行とのゆえに、 + すなわち、あなたが異邦人を慕って姦淫を行い、彼らの偶像をもって身を汚したゆえに、これらのことがあなたに臨むのだ。 + あなたはその姉の道を歩んだので、わたしも彼女の杯をあなたにわたす。 + 主なる神はこう言われる、あなたは姉の深い、大きな杯を飲み、笑い物となり、あざけりとなる、この杯にはそれらが多くこもっている。 + あなたは酔いと憂いとに満たされる。驚きと滅びの杯、これがあなたの姉サマリヤの杯である。 + あなたはこれを飲みこれをかたむけ、あなたの髪の毛をひきむしり、あなたの乳ぶさをかきさく。わたしがこれを言うと、主なる神は言われる。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、あなたはわたしを忘れ、わたしをあなたのうしろに捨て去ったゆえ、あなたは自分の淫乱と淫行との罪を負わねばならぬ」。 + 主はわたしに言われた、「人の子よ、あなたはアホラとアホリバをさばくのか。それならば彼らにその憎むべき事を告げよ。 + 彼らは姦淫を行い、血が彼らの手の上にある。彼らはその偶像と姦淫を行い、またわたしに産んだ子らを、食物のために彼らにささげた。 + さらに彼らは、わたしに対してこのようにした。すなわち、彼らは同じ日にわたしの聖所を汚し、わたしの安息日を犯した。 + 彼らはその子らを、偶像にささげるためにほふった同じ日に、わたしの聖所にきて、これを汚した。見よ、彼らがわたしの家の中でしたことはこれである。 + さらに彼らは使者をやって、遠くから来るように人々を招いた。見よ、彼らはきた。あなたは、この人々のために身を洗い、目を描き、飾り物を身につけ、 + 尊い床に座し、食卓をその前に設け、わたしの香と、わたしの油とを、その上に供えた。 + こうして、のんきな群衆の声は彼女と共にあり、また、荒野から連れて来た通りがかりの酔いどれも、彼らと共にいた。彼らは女たちの手に腕輪をはめさせ、頭に美しい冠をいただかせた。 + そこでわたしは言った、彼女と姦淫を行う時、人々は姦淫を犯さないであろうか。 + 人が遊女の所にはいるように、彼らは彼女の所にはいった。こうして彼らは姦淫を行うために、アホラおよびアホリバの所にはいった。 + しかし正しい人々は淫婦のさばきと、血を流した女のさばきとをもって、彼らをさばく。それは彼らが淫婦であって、その手に血があるからである」。 + 主なる神はこう言われる、「わたしは軍隊を彼らに向かって攻め上らせ、彼らを恐れと略奪とに渡す。 + 軍隊は彼らを石で打ち、つるぎで切り、そのむすこ娘たちを殺し、火でその家を焼く。 + こうしてわたしはこの地に淫乱を絶やす。すべての女はみずからいましめて、あなたがたがしたような淫乱を行わない。 + あなたがたの淫乱の報いは、あなたがたの上にくだり、あなたがたはその偶像礼拝の罪を負い、そしてわたしが主なる神であることを知るようになる」。 + + + 第九年の十月十日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたはこの日すなわち今日の名を書きしるせ。バビロンの王は、この日エルサレムを包囲した。 + あなたはこの反逆の家にたとえを語って言え。主なる神はこう言われる、かますをすえ、これをすえて、水をくみ入れよ。 + その中に肉の切れを入れよ、すべて良い肉の切れ、すなわち、ももと肩の肉をこれに入れよ。良い骨をこれに満たせ。 + 羊の最も良いものを取れ。かまの下にまきを積み、その肉を煮たぎらせ、またその中の骨を煮よ。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わざわいなるかな、流血の町、さびているかま。そのさびはこれを離れない。肉をひとつびとつ無差別に取り出せ。 + その流した血はまだその中にある。彼女はこれを裸岩の上に流し、土でこれをおおうために、地面には注がなかった。 + これは、わたしの怒りをつのらせ、あだを返すために、その流した血がおおわれないように、裸岩の上に流したのである。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わざわいなるかな、流血の町。わたしもまた、まきをさらに積み重ねる。 + まきを積み重ね、火を燃やし、肉をよく煮て、煮つくし、骨を焼け。 + そしてかまを熱くするため、それをからにして炭火の上に置き、その銅を焼いて、汚れをその中に溶かし、そのさびを去れ。 + しかしわたしのほねおりは、むだであった。その多くのさびは火によって消えない。 + そのさびとは、あなたの不潔な淫行である。わたしはあなたを清めようとしたが、あなたはあなたの不潔から清められようとしないから、わたしの怒りをあなたに漏らし尽すまでは、あなたは汚れから清まることはない。 + 主なるわたしはこれを言った。そしてこれは必ず成る。わたしはこれをなす。わたしはやめない、惜しまない、悔いない。あなたのおこないにより、あなたのわざによって、あなたをさばくと、主なる神は言われる」。 + また主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、見よ、わたしは、にわかにあなたの目の喜ぶ者を取り去る。嘆いてはならない。泣いてはならない。涙を流してはならない。 + 声をたてずに嘆け。死人のために嘆き悲しむな。ずきんをかぶり、足にくつをはけ。口をおおうな。嘆きのパンを食べるな」。 + 朝のうちに、わたしは人々に語ったが、夕べには、わたしの妻は死んだ。翌朝わたしは命じられたようにした。 + 人々はわたしに言った、「あなたがするこの事は、われわれになんの関係があるのか、それをわれわれに告げてはくれまいか」。 + わたしは彼らに言った、「主の言葉がわたしに臨んだ、 + 『イスラエルの家に言え、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたがたの力の誇、目の喜び、心の望みであるわが聖所を汚す。あなたがたが残すむすこ娘たちは、つるぎに倒れる。 + あなたがたもわたしがしたようにし、口をおおわず、嘆きのパンを食べず、 + 頭にずきんをかぶり、足にくつをはき、嘆かず、泣かず、その罪の中にやせ衰えて、互にうめくようになる。 + このようにエゼキエルはあなたがたのためにしるしとなる。彼がしたようにあなたがたもせよ。この事が成る時、あなたがたはわたしが主なる神であることを知るようになる』。 + 人の子よ、わたしが、彼らのとりで、彼らの喜びと栄え、彼らの目の喜びであり、その心の望みであるもの、また彼らのむすこ娘たちを取り去る日、 + その日に難をのがれて来る者が、あなたのもとにきて、あなたに事を告げる。 + その日あなたは、そののがれてきた者に向かって口を開き、語り、もはや沈黙しない。こうしてあなたは彼らのためにしるしとなり、彼らはわたしが主であることを知る」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をアンモンの人々に向け、これに向かって預言し、 + アンモンの人々に言え。主なる神の言葉を聞け。主なる神はこう言われる、あなたはわが聖所の汚された時、またイスラエルの地の荒された時、またユダの家が捕え移された時、ああ、それはよい気味であると言った。 + それゆえ、わたしはあなたを、東の人々に渡して彼らの所有とする。彼らはあなたのうちに陣営を設け、あなたのうちに住居を造り、あなたのくだものを食べ、あなたの乳を飲む。 + わたしはラバを、らくだを飼う所とし、アンモンびとの町々を、羊の伏す所とする。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はこう言われる、あなたはイスラエルの地に向かって手をうち、足を踏み、心に悪意を満たして喜んだ。 + それゆえ、見よ、わたしはわが手をあなたに向けて伸べ、あなたを、もろもろの国民に渡して略奪にあわせ、あなたを、もろもろの民の中から断ち、諸国の中から滅ぼし絶やす。そしてあなたは、わたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はわたしにこう言われる、モアブは言った、見よ、ユダの家は、他のすべての国民と同様であると。 + それゆえ、わたしはモアブの境界の町々、すなわち国の栄えであるベテエシモテ、バアルメオン、キリアタイムの横腹を開き、 + これをアンモンの人々と共に、東方の人々に与えて、その所有とし、モアブの人々をもろもろの国民の中に記憶させない。 + わたしはモアブの上にさばきを行う。そのとき、彼らはわたしが主であることを知る。 + 主なる神はこう言われる、エドムは恨みをふくんでユダの家に敵対し、これに恨みを返して、はなはだしく罪を犯した。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わたしはエドムの上に手を伸べて、その中から人と獣とを断ち、これを荒れ地とする。テマンからデダンまで人々はつるぎに倒れる。 + わたしはわが民イスラエルの手をもって、エドムにわがあだを報いる。彼らがわが怒り、わが憤りに従ってエドムに行う時、エドムの人々は、わたしがあだを返すことを知るようになると、主なる神は言われる。 + 主なる神はこう言われる、ペリシテびとは恨みをふくんで行動し、心に悪意をもってあだを返し、深い敵意をもって、滅ぼすことをした。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしは手をペリシテびとの上に伸べ、ケレテびとを断ち、海べの残りの者を滅ぼす。 + わたしは怒りに満ちた懲罰をもって、大いなる復讐を彼らになす。わたしが彼らにあだを返す時、彼らはわたしが主であることを知るようになる」。 + + + 第十一年の第一日に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ツロはエルサレムについて言った、『ああ、それはよい気味である。もろもろの民の門は破れて、わたしに開かれた。わたしは豊かになり、彼は破れはてた』と。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、ツロよ、わたしはあなたを攻め、海がその波を起すように、わたしは多くの国民を、あなたに攻めこさせる。 + 彼らはツロの城壁をこわし、そのやぐらを倒す。わたしはその土を払い去って、裸の岩にする。 + ツロは海の中にあって、網をはる場所になる。これはわたしが言ったのであると、主なる神は言われる。ツロは、もろもろの民にかすめられ、 + その本土におる娘たちは、つるぎで殺される。そして彼らは、わたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はこう言われる、見よ、わたしは王の王なるバビロンの王ネブカデレザルに、馬、戦車、騎兵、および多くの軍勢をひきいて、北からツロに攻めこさせる。 + 彼は本土におるあなたの娘たちを、つるぎで殺し、あなたに向かって雲悌を建て、塁を築き、盾を備え、 + 城くずしをあなたの城壁に向け、おのであなたのやぐらを打ち砕く。 + その多くの馬の土煙は、あなたをおおう。人が破れた町にはいるように、彼があなたの門にはいる時、騎兵と貨車と戦車の響きによって、あなたの石がきはゆるぐ。 + 彼はその馬のひずめで、あなたのすべてのちまたを踏みあらし、つるぎであなたの民を殺す。あなたの力強い柱は地に倒れる。 + 彼らはあなたの財宝を奪い、商品をかすめ、城壁をくずし、楽しい家をこわし、石と木と土とを水の中に投げ込む。 + わたしはあなたの歌の声をとどめる。琴の音はもはや聞えなくなる。 + わたしはあなたを裸の岩にする。あなたは網を張る場所となり、再び建てられることはない。主なるわたしがこれを言ったと、主なる神は言われる。 + 主なる神はツロにこう言われる、海沿いの国々はあなたの倒れる響き、手負いのうめき、あなたのうちの殺人のゆえに、身震いしないであろうか。 + その時、海の君たちは皆その位からおり、朝服を脱ぎ、縫い取りの衣服を取り去り、恐れを身にまとい、地に座して、いたく恐れ、あなたの事を驚き、 + あなたのために悲しみの歌をのべて言う、『あなたは海にあって、強い誉ある町、本土に恐れを与えていたあなたも、その住民も、海から消え去った。 + 島々はあなたの倒れる日に身震いする。海の島々はあなたの去り行くことを見て驚く』。 + 主なる神はこう言われる、わたしはあなたを、荒れた町となし、住む者のない町のようにし、淵をあなたに向かってわきあがらせ、大水にあなたをおおわせる時、 + あなたを穴に下る者どもと共に、昔の民の所に下し、穴に下る者と共に下の国に、昔のままの荒れ跡の中に、あなたを住ませる。それゆえ、あなたは人の住む所とならず、また生ある者の地に所を得ない。 + わたしはあなたの終りを、恐るべきものとする。あなたは無に帰する。あなたを尋ねる人があっても、永久に見いださないと、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ツロのために悲しみの歌をのべ、 + 海の入口に住んで、多くの海沿いの国々の民の商人であるツロに対して言え、主なる神はこう言われる、ツロよ、あなたは言った、『わたしの美は完全である』と。 + あなたの境は海の中にあり、あなたの建設者はあなたの美を完全にした。 + 人々はセニルのもみの木であなたのために船板を造り、レバノンから香柏をとって、あなたのために帆柱を造り、 + バシャンのかしの木で、あなたのためにかいを造り、クプロの島から来る松の木に象牙をはめて、あなたのために甲板を造った。 + あなたの帆はエジプトから来るあや布であって、あなたの旗に用いられ、あなたのおおいはエリシャの海岸から来る青と紫の布である。 + あなたのこぎ手は、シドンとアルワデの住民、あなたのかじとりは、あなたのうちにいる熟練なゼメルの人々である。 + ゲバルの老人たち、およびその熟練な人々は、あなたのうちにいて漏りを繕い、海のすべての船およびその船員らはあなたのうちにいて、あなたの商品を交易する。 + ペルシャ人、ルデびと、プテびとはあなたの軍に加わって、あなたの戦士となる。彼らはあなたのうちに、盾とかぶとを掛け、あなたに輝きをそえた。 + アルワデとヘレクの人々は、あなたの周囲の城壁の上にあり、ガマデの人々は、あなたのやぐらの中にあり、彼らは、あなたの周囲の城壁にその盾を掛けて、あなたの美観を全うした。 + あなたはそのすべての貨物に富むゆえに、タルシシはあなたと交易をなし、銀、鉄、すず、鉛をあなたの商品と交換した。 + ヤワン、トバル、およびメセクはあなたと取引し、彼らは人身と青銅の器とを、あなたの商品と交換した。 + ベテ・トガルマは馬、軍馬、および騾馬をあなたの商品と交換した。 + ローヅ島の人々はあなたと取引し、多くの海沿いの国々は、あなたの市場となり、象牙と黒たんとを、みつぎとしてあなたに持ってきた。 + あなたの製品が多いので、エドムはあなたと商売し、彼らは赤玉、紫、縫い取りの布、細布、さんご、めのうをもって、あなたの商品と交換した。 + ユダとイスラエルの地は、あなたと取引し、麦、オリブ、いちじく、蜜、油、および乳香をもって、あなたの商品と交換した。 + あなたの製品が多く、あなたの富が多いので、ダマスコはあなたと取引し、ヘルボンの酒と、さらした羊毛と、 + ウザルの酒をもって、あなたの商品と交換し、銑鉄、肉桂、菖蒲をもって、あなたの商品と交易した。 + デダンは乗物の鞍敷をもって、あなたと取引した。 + アラビヤびと、およびケダルのすべての君たちは小羊、雄羊、やぎをもって、あなたと取引し、これらの物をあなたと交易した。 + シバとラアマの商人は、あなたと取引し、もろもろの尊い香料と、もろもろの宝石と金とをもって、あなたの商品と交換した。 + ハラン、カンネ、エデン、アッスリヤ、キルマデはあなたと取引した。 + 彼らは、はなやかな衣服と、青く縫い取りした布と、ひもで結んで、じょうぶにした敷物などをもって、あなたと取引した。 + タルシシの船はあなたの商品を運んでまわった。あなたは海の中にいて満ち足り、いたく栄えた。 + あなたのこぎ手らはあなたを大海の中に進め、海の中で東風があなたの船を破った。 + あなたの財宝、あなたの貨物、あなたの商品、あなたの船員、あなたのかじ取り、あなたの漏りを繕う者、あなたの商品を商う者、あなたの中にいるすべての軍人、あなたの中にいるすべての仲間は皆、あなたの破滅の日に海の中に沈む。 + あなたのかじ取りの叫び声に、近郷は震い、 + すべてかいをとる者は船からくだる。船員および海のすべてのかじ取りは海べに立ち、 + あなたのために声をあげて泣き、はげしく叫び、ちりをこうべにかぶり、灰の中にまろび、 + あなたのために髪をそり、荒布をまとい、あなたのために心を痛めて泣き、はげしく嘆く。 + 彼らは悲しんで、あなたのために悲しみの歌をのべ、あなたを弔って言う、『だれかツロのように海の中で滅びたものがあるか。 + あなたの商品が海を越えてきた時、あなたは多くの民を飽かせ、あなたの多くの財宝と商品とをもって、地の王たちを富ませた。 + 今あなたは海で破船し、深い水に沈み、あなたの商品と、あなたのすべての船員とは、あなたと共に沈んだ。 + 海沿いの国々に住む者は皆あなたについて驚き、その王たちは大いに恐れてその顔を震わす。 + もろもろの民の中の商人らはあなたをあざける。あなたは恐るべき終りを遂げ、永遠にうせはてる』」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ツロの君に言え、主なる神はこう言われる、あなたは心に高ぶって言う、『わたしは神である、神々の座にすわって、海の中にいる』と。しかし、あなたは自分を神のように賢いと思っても、人であって、神ではない。 + 見よ、あなたはダニエルよりも賢く、すべての秘密もあなたには隠れていない。 + あなたは知恵と悟りとによって富を得、金銀を倉にたくわえた。 + あなたは大いなる貿易の知恵によってあなたの富を増し、その富によってあなたの心は高ぶった。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、あなたは自分を神のように賢いと思っているゆえ、 + 見よ、わたしは、もろもろの国民の最も恐れている異邦人をあなたに攻めこさせる。彼らはつるぎを抜いて、あなたが知恵をもって得た麗しいものに向かい、あなたの輝きを汚し、 + あなたを穴に投げ入れる。あなたは海の中で殺された者のような死を遂げる。 + それでもなおあなたは、『自分は神である』と、あなたを殺す人々の前で言うことができるか。あなたは自分を傷つける者の手にかかっては、人であって、神ではないではないか。 + あなたは異邦人の手によって割礼を受けない者の死を遂げる。これはわたしが言うのであると、主なる神は言われる」。 + また主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ツロの王のために悲しみの歌をのべて、これに言え。主なる神はこう言われる、あなたは知恵に満ち、美のきわみである完全な印である。 + あなたは神の園エデンにあって、もろもろの宝石が、あなたをおおっていた。すなわち赤めのう、黄玉、青玉、貴かんらん石、緑柱石、縞めのう、サファイヤ、ざくろ石、エメラルド。そしてあなたの象眼も彫刻も金でなされた。これらはあなたの造られた日に、あなたのために備えられた。 + わたしはあなたを油そそがれた守護のケルブと一緒に置いた。あなたは神の聖なる山にいて、火の石の間を歩いた。 + あなたは造られた日から、あなたの中に悪が見いだされた日まではそのおこないが完全であった。 + あなたの商売が盛んになると、あなたの中に暴虐が満ちて、あなたは罪を犯した。それゆえ、わたしはあなたを神の山から汚れたものとして投げ出し、守護のケルブはあなたを火の石の間から追い出した。 + あなたは自分の美しさのために心高ぶり、その輝きのために自分の知恵を汚したゆえに、わたしはあなたを地に投げうち、王たちの前に置いて見せ物とした。 + あなたは不正な交易をして犯した多くの罪によってあなたの聖所を汚したゆえ、わたしはあなたの中から火を出してあなたを焼き、あなたを見るすべての者の前であなたを地の上の灰とした。 + もろもろの民のうちであなたを知る者は皆あなたについて驚く。あなたは恐るべき終りを遂げ、永遠にうせはてる」。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をシドンに向け、これに向かって預言して、 + 言え。主なる神はこう言われる、シドンよ、見よ、わたしはあなたの敵となる、わたしはあなたのうちで栄えをあらわす。わたしがシドンのうちにさばきをおこない、そのうちにわたしの聖なることをあらわす時、彼らはわたしが主であることを知る。 + わたしは疫病をこれに送り、そのちまたに流血を送る。その四方からこれに臨むつるぎによって殺される者がその中に倒れる時、彼らはわたしが主であることを知る。 + イスラエルの家には、もはや刺すいばらはなく、これを卑しめたその周囲の人々のうちには、苦しめるとげもなくなる。こうして彼らはわたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はこう言われる、わたしがイスラエルの家の者を、その散らされたもろもろの民の中から集め、もろもろの国民の目の前で、彼らにわたしの聖なることをあらわす時、彼らはわたしが、わがしもべヤコブに与えた地に住むようになる。 + 彼らはそこに安らかに住み、家を建て、またぶどう畑を作る。かつて彼らを卑しめたすべての隣り人たちに対して、わたしがさばきを行う時、彼らは安らかに住む。こうして彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知る」。 + + + 第十年の十月十二日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をエジプトの王パロに向け、彼とエジプト全国に対して預言し、 + 語って言え。主なる神はこう言われる、エジプトの王パロよ、見よ、わたしはあなたの敵となる。あなたはその川の中に伏す大いなる龍で、『ナイル川はわたしのもの、わたしがこれを造った』と言う。 + わたしは、かぎをあなたのあごにかけ、あなたの川の魚を、あなたのうろこにつかせ、あなたと、あなたのうろこについているもろもろの魚を、あなたの川から引きあげ、 + あなたとあなたの川のもろもろの魚を、荒野に投げ捨てる。あなたは野の面に倒れ、あなたを取り集める者も、葬る者もない。わたしはあなたを地の獣と空の鳥のえじきとして与える。 + そしてエジプトのすべての住民はわたしが主であることを知る。あなたはイスラエルの家に対して葦のつえであった。 + 彼らがあなたを手にとる時、あなたは折れ、彼らの肩はことごとく裂ける。彼らがまたあなたに寄りかかる時、あなたは破れ、彼らの腰をことごとく震えさせる。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはつるぎをあなたに持ってきて、人と獣とをあなたのうちから断つ。 + エジプトの地は荒れて、むなしくなる。そして彼はわたしが主であることを知る。あなたは『ナイル川はわたしのもの、わたしがこれを造った』と言っているゆえに、 + 見よ、わたしはあなたとあなたの川々の敵となって、エジプトの地をミグドルからスエネまで、エチオピヤの境に至るまで、ことごとく荒し、むなしくする。 + 人の足はこれを渡らず、獣の足もこれを渡らない。四十年の間、ここに住む者はない。 + わたしはエジプトの地を荒して、荒れた国々の中に置き、その町々は荒れて、四十年のあいだ荒れた町々の中にある。わたしはエジプトびとを、もろもろの国民の中に散らし、もろもろの国の中に散らす。 + 主なる神はこう言われる、四十年の後、わたしはエジプトびとを、その散らされたもろもろの民の中から集める。 + すなわちエジプトの運命をもとに返し、彼らをその生れた地であるパテロスの地に帰らせる。その所で彼らは卑しい国となる。 + これはもろもろの国よりも卑しくなり、再びもろもろの国民の上に出ることができない。わたしは彼らを小さくするゆえ、再びもろもろの国民を治めることはない。 + これはイスラエルが助けを求める時、その罪を思い出して、再びイスラエルの家の頼みとはならない。こうして彼らは、わたしが主なる神であることを知る」。 + 第二十七年の一月一日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、バビロンの王ネブカデレザルは、その軍勢をツロに対して大いに働かせた。頭は皆はげ、肩はみな破れた。しかし彼もその軍勢も、ツロに対してなしたその働きのために、なんの報いをも得なかった。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはバビロンの王ネブカデレザルに、エジプトの地を与える。彼はその財宝を取り、物をかすめ、物を奪い、それをその軍勢に与えて報いとする。 + 彼の働いた報酬として、わたしはエジプトの地を彼に与える。彼らはわたしのために、これをしたからであると、主なる神は言われる。 + その日、わたしはイスラエルの家に、一つの角を生じさせ、あなたの口を彼らのうちに開かせる。そして彼らはわたしが主であることを知る」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、預言して言え、主なる神はこう言われる、嘆け、その日はわざわいだ。 + その日は近い、主の日は近い。これは雲の日、異邦人の滅びの時である。 + つるぎがエジプトに臨む。エジプトで殺される者の倒れる時、エチオピヤには苦しみがあり、その財宝は奪い去られ、その基は破られる。 + エチオピヤ、プテ、ルデ、アラビヤ、リビヤおよび同盟国の人々は、彼らと共につるぎに倒れる。 + 主はこう言われる、エジプトを助ける者は倒れ、その誇る力はうせる。ミグドルからスエネまで、人々はつるぎによってそのうちに倒れると主なる神が言われる。 + それは荒れて、荒れはてた国々のうちにあり、その町々は荒れた町々のうちにある。 + わたしがエジプトに火を送り、これを助ける者が皆滅びる時、彼らはわたしが主であることを知る。 + その日、早足の使者がわたしから出て、何事も知らぬエチオピヤびとを恐れさせる。そしてかのエジプトの滅びの日に、彼らに苦しみが来る。見よ、これはかならず来る。 + 主なる神はこう言われる、わたしはバビロンの王ネブカデレザルの手によってエジプトの富を滅ぼす。 + 彼と彼に従うその民、すなわち国民のうちの最も恐るべき者がきて、その地を滅ぼす。彼らはつるぎを抜いて、エジプトを攻め、殺した者を国に満たす。 + わたしはナイル川をからし、その国を悪しき者の手に売り、異邦人の手によって国とその中のものとを荒す。主なるわたしはこれを言った。 + 主なる神はこう言われる、わたしは偶像をこわし、メンピスで偶像を滅ぼす。エジプトの国には、もはや君たる者がなくなる。わたしはエジプトの国に恐れを与える。 + わたしはパテロスを荒し、ゾアンに火を放ち、テーベにさばきをおこない、 + わたしの怒りを、エジプトの要害であるペルシゥムに注ぎ、テーベの群衆を断ち、 + エジプトに火を下す。ペルシゥムはいたく苦しみ、テーベは打ち破られ、その城壁は破壊され、 + オンとピベセテの若者はつるぎに倒れ、女たちは捕え移される。 + わたしがエジプトの支配を砕く時、テパネスでは日は暗くなり、その誇る力は絶え、雲はこれをおおい、その娘たちは捕え移される。 + このようにわたしはエジプトにさばきを行う。そのとき彼らはわたしが主であることを知る」。 + 第十一年の一月七日に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、わたしはエジプトの王パロの腕を折った。見よ、これは包まれず、いやされず、ほうたいをも施されない。それは強くなって、つるぎを執ることができない。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはエジプトの王パロを攻め、その強い腕と、折れた腕とを共に折り、その手からつるぎを落させる。 + わたしはエジプトびとを、もろもろの国民の中に散らし、国々に散らす。 + わたしはバビロンの王の腕を強くし、わたしのつるぎを、その手に与える。しかしわたしはパロの腕を折るゆえ、彼は深手を負った者のように、彼の前にうめく。 + わたしがバビロンの王の腕を強くし、パロの腕がたれる時、彼らはわたしが主であることを知る。わたしがわたしのつるぎを、バビロンの王に授け、これをエジプトの国に向かって伸べさせ、 + わたしがエジプトびとを、もろもろの国民の中に散らし、国々に散らす時、彼らはわたしが主であることを知る」。 + + + 第十一年の三月一日に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、エジプトの王パロと、その民衆とに言え、あなたはその大いなること、だれに似ているか。 + 見よ、わたしはあなたをレバノンの香柏のようにする。麗しき枝と森の陰があり、たけが高く、その頂は雲の中にある。 + 水はこれを育て、大水がこれを高くする。その川々はその植えた所をめぐって流れ、その流れを野のすべての木に送る。 + これによってそのたけは、野のすべての木よりも高くなり、その育つとき多くの水のために枝葉は茂り、枝は伸び、 + その枝葉に空のすべての鳥が、巣をつくり、その枝の下に野のすべての獣は子を生み、その陰にもろもろの国民は住む。 + これはその大きなことと、その枝の長いことによって美しかった。その根を多くの水に、おろしていたからである。 + 神の園の香柏も、これと競うことはできない。もみの木もその枝葉に及ばない。けやきもその枝と比べられない。神の園のすべての木も、その麗しきこと、これに比すべきものはない。 + わたしはその枝を多くして、これを美しくした。神の園にあるエデンの木は皆これをうらやんだ。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、これは、たけが高くなり、その頂を雲の中におき、その心が高ぶりおごるゆえ、 + わたしはこれを、もろもろの国民の力ある者の手に渡す。彼はこれに対してその悪のために正しい処置をとる。わたしはこれを追い出した。 + もろもろの国民の最も恐れている異邦人はこれを切り倒して捨てる。その枝はもろもろの山と、すべての谷とに落ち、その枝葉は砕けて、地のすべての流れにあり、地のすべての民は、その陰を離れて、これを捨てる。 + その倒れた所に、空のもろもろの鳥は住み、その枝の上に、野のもろもろの獣はいる。 + これは水のほとりのすべての木が、その高さのために誇ることなく、その頂を雲の中におくことなく、水に潤う木が、みずから高ぶり立つことのないためである。これらは皆、死に渡され、下の国に入り、穴に下る者と共に他の人々のうちにいる。 + 主なる神はこう言われる、これが陰府に下る日にわたしが淵をこれがために悲しませ、その川々をせきとめるので、大水はとどまる。わたしはレバノンを、これがために嘆かせ、野のすべての木を、これがために衰えさせる。 + わたしがこれを穴に下る者と共に陰府に落す時、もろもろの国民をその落ちる響きのために、打ち震えさせる。そしてエデンのすべての木、レバノンのすぐれて美しいもの、すべて水に潤うものは、下の国で慰められる。 + 彼らもこれと共に陰府に下り、つるぎで殺された者のところに至る。まことにもろもろの国民のうちで、その陰に住んだ者も滅びる。 + エデンの木のうちで、その栄えと大いなることで、あなたはどれに似ているのか。あなたはこのように、エデンの木と共に、下の国に落され、つるぎで殺された者と共に、割礼を受けない者のうちに住む。これがパロとその民衆であると、主なる神は言われる」。 + + + 第十二年の十二月一日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、エジプトの王パロのために、悲しみの歌をのべて、これに言え、あなたは自分をもろもろの国民のうちのししであると考えているが、あなたは海の中の龍のような者である。あなたは川の中に、はね起き、足で水をかきまぜ、川を濁す。 + 主なる神はこう言われる、わたしは多くの民の集団をもって、わたしの網をあなたに投げかけ、あなたを網で引きあげる。 + わたしはあなたを地に投げ捨て、野の面に投げうち、空のすべての鳥をあなたの上にとまらせ、全地の獣にあなたを与えて飽かせる。 + わたしはあなたの肉を山々に捨て、あなたの死体で谷を満たす。 + わたしはあなたの流れる血で、地を潤し、山々にまで及ぼす。谷川はあなたの死体で満ちる。 + わたしはあなたを滅ぼす時、空をおおい、星を暗くし、雲で日をおおい、月に光を放たせない。 + わたしは空の輝く光を、ことごとくあなたの上に暗くし、あなたの国をやみとすると主なる神は言う。 + わたしはもろもろの国民、あなたの知らない国々の中に、あなたを捕え移す時、多くの民の心を痛ませる。 + わたしはあなたについて、多くの民を驚かせる。その王たちは、わたしがわたしのつるぎを、彼らの前に振るう時、あなたの事でおののく。あなたの倒れる日には、彼らはおのおの自分の命を思って、絶えず打ち震える。 + 主なる神はこう言われる、バビロンの王のつるぎはあなたに臨む。 + わたしはあなたの民衆を勇士のつるぎに倒れさせる。彼らは皆、もろもろの国民の中で、最も恐れられている者たちである。彼らはエジプトの誇を断つ、エジプトの民衆は皆滅ぼされる。 + わたしはその家畜をことごとく、多くの水のかたわらから滅ぼす。人の足は再びこれを濁さず、家畜のひずめもこれを乱さない。 + その時わたしはその水を清くし、その川々を油のように流れさせると、主なる神は言う。 + わたしはエジプトの国を荒し、その国に満ちるものが、ことごとく取り去られる時、わたしがその中に住む者をことごとく撃つ時、彼らはわたしが主であることを知る。 + これは悲しみの歌である。人々はこれを歌い、もろもろの国の娘たちはこれを歌う。すなわちエジプトと、そのすべての民衆とのために、これを歌うのであると、主なる神は言われる」。 + 第十二年の一月十五日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、エジプトの民衆のために嘆き、これと大いなる国々の娘らとを、下の国に投げ下し、穴に下った者のところに至らせよ。 + 『あなたの美はだれにまさっているか。下って、割礼を受けない者と共に伏せよ』。 + 彼らはつるぎに殺される者のうちに倒れる。その民衆はこれと共に伏せる。 + 勇士の首領はその助け手と共に、陰府の中から彼らに言う、『割礼を受けない者、つるぎに殺された者は下って伏している』と。 + アッスリヤとその仲間とはその所におり、その墓はこれを囲む。彼らはみな殺された者、またつるぎに倒れた者である。 + 彼らの墓は穴の奥に設けられ、その仲間はその墓の周囲にあり、これはみな殺された者、つるぎに倒れた者、生ける者の地に恐れを起した者である。 + その所にエラムがおり、その民衆は皆、その墓の周囲におる。彼らはみな殺された者、つるぎに倒れた者、割礼を受けないで、下の国に下った者、生ける者の地に、恐れを起した者で、穴に下る者と共に、恥を負うのである。 + 彼らはそのすべての民衆と共に、殺された者の中に床を置き、その墓はこれを囲む。これは皆、割礼を受けない者、つるぎに殺された者、生ける者の地に恐れを起した者で、穴に下る者と共に恥を負う。彼らは殺された者の中に置かれている。 + その所にメセクとトバル、およびすべての民衆がおる。その墓はこれを囲む。彼らは皆、割礼を受けない者で、つるぎで殺された者である。生ける者の地に恐れを起したからである。 + 彼らは昔の倒れた勇士と共に伏さない。これらの勇士は、武具を持って陰府に下り、つるぎをまくらとし、その盾は骨の上にある。これは勇士の恐れが、生ける者の地にあったからである。 + あなたは割礼を受けない者のうちに、つるぎで殺された者と共に横たわる。 + その所にエドムとその王たちと、そのすべての君たちがおる。彼らはその力を持つにもかかわらず、かのつるぎで殺された者と共に横たえられ、割礼を受けない者および穴に下る者と共に伏している。 + その所に北の君たち、およびシドンびとが皆おる。彼らは自分の力によって恐れを起したので、殺された者と共に恥を受けて、下って行った者である。彼らはつるぎで殺された者と共に、割礼を受けずに伏し、穴に下る者と共に恥を負う。 + パロは彼らを見る時、そのすべての民衆について慰められる。パロとそのすべての軍勢とは、つるぎで殺されると、主なる神は言われる。 + 彼は生ける者の国に恐れを広げた。それゆえ、パロとすべての民衆とは、割礼を受けない者のうちにあって、つるぎで殺された者と共に伏すと、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの民の人々に語って言え、わたしがつるぎを一つの国に臨ませる時、その国の民が彼らのうちからひとりを選んで、これを自分たちの見守る者とする。 + 彼は国につるぎが臨むのを見て、ラッパを吹き、民を戒める。 + しかし人がラッパの音を聞いても、みずから警戒せず、ついにつるぎが来て、その人を殺したなら、その血は彼のこうべに帰する。 + 彼はラッパの音を聞いて、みずから警戒しなかったのであるから、その血は彼自身に帰する。しかしその人が、みずから警戒したなら、その命は救われる。 + しかし見守る者が、つるぎの臨むのを見ても、ラッパを吹かず、そのため民が、みずから警戒しないでいるうちに、つるぎが臨み、彼らの中のひとりを失うならば、その人は、自分の罪のために殺されるが、わたしはその血の責任を、見守る者の手に求める。 + それゆえ、人の子よ、わたしはあなたを立てて、イスラエルの家を見守る者とする。あなたはわたしの口から言葉を聞き、わたしに代って彼らを戒めよ。 + わたしが悪人に向かって、悪人よ、あなたは必ず死ぬと言う時、あなたが悪人を戒めて、その道から離れさせるように語らなかったら、悪人は自分の罪によって死ぬ。しかしわたしはその血を、あなたの手に求める。 + しかしあなたが悪人に、その道を離れるように戒めても、その悪人がその道を離れないなら、彼は自分の罪によって死ぬ。しかしあなたの命は救われる。 + それゆえ、人の子よ、イスラエルの家に言え、あなたがたはこう言った、『われわれのとがと、罪はわれわれの上にある。われわれはその中にあって衰えはてる。どうして生きることができようか』と。 + あなたは彼らに言え、主なる神は言われる、わたしは生きている。わたしは悪人の死を喜ばない。むしろ悪人が、その道を離れて生きるのを喜ぶ。あなたがたは心を翻せ、心を翻してその悪しき道を離れよ。イスラエルの家よ、あなたはどうして死んでよかろうか。 + 人の子よ、あなたの民の人々に言え、義人の義は、彼が罪を犯す時には、彼を救わない。悪人の悪は、彼がその悪を離れる時、その悪のために倒れることはない。義人は彼が罪を犯す時、その義のために生きることはできない。 + わたしが義人に、彼は必ず生きると言っても、もし彼が自分の義をたのんで、罪を犯すなら、彼のすべての義は覚えられない。彼はみずから犯した罪のために死ぬ。 + また、わたしが悪人に『あなたは必ず死ぬ』と言っても、もし彼がその罪を離れ、公道と正義とを行うならば、 + すなわちその悪人が質物を返し、奪った物をもどし、命の定めに歩み、悪を行わないならば、彼は必ず生きる。決して死なない。 + 彼の犯したすべての罪は彼に対して覚えられない。彼は公道と正義とを行ったのであるから、必ず生きる。 + あなたの民の人々は『主の道は公平でない』と言う。しかし彼らの道こそ公平でないのである。 + 義人がその義を離れて、罪を犯すならば、彼はこれがために死ぬ。 + 悪人がその悪を離れて、公道と正義とを行うならば、彼はこれによって生きる。 + それであるのに、あなたがたは『主の道は公平でない』と言う。イスラエルの家よ、わたしは各自のおこないにしたがって、あなたがたをさばく」。 + わたしたちが捕え移された後、すなわち第十二年の十月五日に、エルサレムからのがれて来た者が、わたしのもとに来て言った、「町は打ち破られた」と。 + その者が来た前の夜、主の手がわたしに臨んだ。次の朝、その人がわたしのもとに来たころ、主はわたしの口を開かれた。わたしの口が開けたので、もはやわたしは沈黙しなかった。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの地の、かの荒れ跡の住民らは、語り続けて言う、『アブラハムはただひとりで、なおこの地を所有した。しかしわたしたちの数は多い。この地はわれわれの所有として与えられている』と。 + それゆえ、あなたは彼らに言え、主なる神はこう言われる、あなたがたは肉を血のついたままで食べ、おのが偶像を仰ぎ、血を流していて、なおこの地を所有することができるか。 + あなたがたはつるぎをたのみ、憎むべき事をおこない、おのおの隣り人の妻を汚して、なおこの地を所有することができるか。 + あなたは彼らに言いなさい。主なる神はこう言われる、わたしは生きている。かの荒れ跡にいる者は必ずつるぎに倒れる。わたしは野の面にいる者を、獣に与えて食わせ、要害とほら穴とにいる者は疫病で死ぬ。 + わたしはこの国を全く荒す。彼の誇る力はうせ、イスラエルの山々は荒れて通る者もなくなる。 + 彼らがおこなったすべての憎むべきことのために、わたしがこの国を全く荒す時、彼らはわたしが主であることを悟る。 + 人の子よ、あなたの民の人々は、かきのかたわら、家の入口で、あなたの事を論じ、たがいに語りあって言う、『さあ、われわれは、どんな言葉が主から出るかを聞こう』と。 + 彼らは民が来るようにあなたの所に来、わたしの民のようにあなたの前に座して、あなたの言葉を聞く。しかし彼らはそれを行わない。彼等は口先では多くの愛を現すが、その心は利におもむいている。 + 見よ、あなたは彼らには、美しい声で愛の歌をうたう者のように、また楽器をよく奏する者のように思われる。彼らはあなたの言葉は聞くが、それを行おうとはしない。 + この事が起る時――これは必ず起る――そのとき彼らの中にひとりの預言者がいたことを彼らは悟る」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの牧者たちに向かって預言せよ。預言して彼ら牧者に言え、主なる神はこう言われる、わざわいなるかな、自分自身を養うイスラエルの牧者。牧者は群れを養うべき者ではないか。 + ところが、あなたがたは脂肪を食べ、毛織物をまとい、肥えたものをほふるが、群れを養わない。 + あなたがたは弱った者を強くせず、病んでいる者をいやさず、傷ついた者をつつまず、迷い出た者を引き返らせず、うせた者を尋ねず、彼らを手荒く、きびしく治めている。 + 彼らは牧者がないために散り、野のもろもろの獣のえじきになる。 + わが羊は散らされている。彼らはもろもろの山と、もろもろの高き丘にさまよい、わが羊は地の全面に散らされているが、これを捜す者もなく、尋ねる者もない。 + それゆえ、牧者よ、主の言葉を聞け。 + 主なる神は言われる、わたしは生きている。わが羊はかすめられ、わが羊は野のもろもろの獣のえじきとなっているが、その牧者はいない。わが牧者はわが羊を尋ねない。牧者は自身を養うが、わが羊を養わない。 + それゆえ牧者らよ、主の言葉を聞け。 + 主なる神はこう言われる、見よ、わたしは牧者らの敵となり、わたしの羊を彼らの手に求め、彼らにわたしの群れを養うことをやめさせ、再び牧者自身を養わせない。またわが羊を彼らの口から救って、彼らの食物にさせない。 + 主なる神はこう言われる、見よ、わたしは、わたしみずからわが羊を尋ねて、これを捜し出す。 + 牧者がその羊の散り去った時、その羊の群れを捜し出すように、わたしはわが羊を捜し出し、雲と暗やみの日に散った、すべての所からこれを救う。 + わたしは彼らをもろもろの民の中から導き出し、もろもろの国から集めて、彼らの国に携え入れ、イスラエルの山の上、泉のほとり、また国のうちの人の住むすべての所でこれを養う。 + わたしは良き牧場で彼らを養う。その牧場はイスラエルの高い山にあり、その所で彼らは良い羊のおりに伏し、イスラエルの山々の上で肥えた牧場で草を食う。 + わたしはみずからわが羊を飼い、これを伏させると主なる神は言われる。 + わたしは、うせたものを尋ね、迷い出たものを引き返し、傷ついたものを包み、弱ったものを強くし、肥えたものと強いものとは、これを監督する。わたしは公平をもって彼らを養う。 + 主なる神はこう言われる、あなたがた、わが群れよ、見よ、わたしは羊と羊との間、雄羊と雄やぎとの間をさばく。 + あなたがたは良き牧場で草を食い、その草の残りを足で踏み、また澄んだ水を飲み、その残りを足で濁すが、これは、あまりのことではないか。 + わが羊はあなたがたが、足で踏んだものを食い、あなたがたの足で濁したものを、飲まなければならないのか。 + それゆえ、主なる神はこう彼らに言われる、見よ、わたしは肥えた羊と、やせた羊との間をさばく。 + あなたがたは、わきと肩とをもって押し、角をもって、すべて弱い者を突き、ついに彼らを外に追い散らした。 + それゆえ、わたしはわが群れを助けて、再びかすめさせず、羊と羊との間をさばく。 + わたしは彼らの上にひとりの牧者を立てる。すなわちわがしもべダビデである。彼は彼らを養う。彼は彼らを養い、彼らの牧者となる。 + 主なるわたしは彼らの神となり、わがしもべダビデは彼らのうちにあって君となる。主なるわたしはこれを言う。 + わたしは彼らと平和の契約を結び、国の内から野獣を追い払う。彼らは心を安んじて荒野に住み、森の中に眠る。 + わたしは彼らおよびわが山の周囲の所々を祝福し、季節にしたがって雨を降らす。これは祝福の雨となる。 + 野の木は実を結び、地は産物を出す。彼らは心を安んじてその国におり、わたしが彼らのくびきの棒を砕き、彼らを奴隷とした者の手から救い出す時、彼らはわたしが主であることを悟る。 + 彼らは重ねて、もろもろの国民にかすめられることなく、地の獣も彼らを食うことはない。彼らは心を安んじて住み、彼らを恐れさせる者はない。 + わたしは彼らのために、良い栽培所を与える。彼らは重ねて、国のききんに滅びることなく重ねて諸国民のはずかしめを受けることはない。 + 彼らはその神、主なるわたしが彼らと共におり、彼らイスラエルの家が、わが民であることを悟ると、主なる神は言われる。 + あなたがたはわが羊、わが牧場の羊である。わたしはあなたがたの神であると、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をセイル山に向け、これに対して預言し、 + これに言え。主なる神はこう言われる、セイル山よ、見よ、わたしはあなたを敵とし、わたしの手をあなたに向かって伸べ、あなたを全く荒し、 + あなたの町々を滅ぼす。あなたは荒れはてる。そしてわたしが主であることを悟る。 + あなたは限りない敵意をいだいて、イスラエルの人々をその災の時、終りの刑罰の時に、つるぎの手に渡した。 + それゆえ、主なる神は言われる、わたしは生きている。わたしはあなたを血にわたす。血はあなたを追いかける。あなたには血のとががあるゆえ、血はあなたを追いかける + わたしはセイル山を全く荒し、そこに行き来する者を断ち、 + その山々を殺された者で満たす。つるぎで殺された者が、あなたのもろもろの丘、もろもろの谷、もろもろのくぼ地に倒れる。 + わたしはあなたを、永遠の荒れ地とし、あなたの町々には住む者がなくなる。そしてあなたがたは、わたしが主であることを悟る。 + あなたは言う、『これら二つの国民、二つの国はわたしのもの、われわれはこれを獲よう』と。しかし主はそこにおられる。 + それゆえ、主なる神は言われる、わたしは生きている。あなたが彼らを憎んで、彼らに示した怒りと、ねたみにしたがって、わたしはあなたを扱う。わたしがあなたをさばく時、わたし自身をあなたに示す。 + あなたがイスラエルの山々に向かって、『これは荒れはてて、われわれの食となる』と言ったもろもろのそしりを、主なるわたしが聞いたことをあなたは悟る。 + あなたがたは、わたしに対して口をもって誇り、またわたしに対して、あなたがたの言葉を多くした。わたしはそれを聞いた。 + 主なる神はこう言われる、全地の喜びのために、わたしはあなたを荒れ地とする。 + あなたが、イスラエルの家の嗣業の荒れるのを喜んだように、わたしはあなたに、そのようにする。セイル山よ、あなたは荒れ地となる。エドムもすべてそのようになる。そのとき彼らは、わたしが主であることを悟るようになる。 + + + 人の子よ、イスラエルの山々に預言して言え。イスラエルの山々よ、主の言葉を聞け。 + 主なる神はこう言われる、敵はあなたがたについて言う、『ああ、昔の高き所が、われわれのものとなった』と。 + それゆえ、あなたは預言して言え。主なる神はこう言われる、彼らはあなたがたを荒し、四方からあなたがたを打ち滅ぼしたので、あなたがたは他の国民の所有となり、また民の悪いうわさとなった。 + それゆえ、イスラエルの山々よ、主なる神の言葉を聞け。主なる神は、山と、丘と、くぼ地と、谷と、滅びた荒れ跡と、人の捨てた町々、すなわちその周囲にある諸国民の残った者にかすめられ、あざけられるようになったものに、こう言われる。 + 主なる神はこう言われる、わたしはねたみの炎をもって、他の国民とエドム全国とに対して言う、彼らは心ゆくまで喜び、心に誇ってわが地を自分の所有とし、これを奪い、かすめた者である。 + それゆえ、あなたはイスラエルの地の事を預言し、山と、丘と、くぼ地と、谷とに言え。主なる神はこう言われる、見よ、あなたがたは諸国民のはずかしめを受けたので、わたしはねたみと怒りとをもって語る。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わたしは誓って言う、あなたがたの周囲の諸国民は必ずはずかしめを受ける。 + しかしイスラエルの山々よ、あなたがたは枝を出し、わが民イスラエルのために実を結ぶ。この事の成るのは近い。 + 見よ、わたしはあなたがたに臨み、あなたがたを顧みる。あなたがたは耕され、種をまかれる。 + わたしはあなたがたの上に人をふやす。これはことごとくイスラエルの家の者となり、町々には人が住み、荒れ跡は建て直される。 + わたしはあなたがたの上に人と獣とをふやす。彼らはふえて、子を生む。わたしはあなたがたの上に、昔のように人を住ませ、初めの時よりも、まさる恵みをあなたがたに施す。その時あなたがたは、わたしが主であることを悟る。 + わたしはわが民イスラエルの人々をあなたがたの上に歩ませる。彼らはあなたがたを所有し、あなたがたはその嗣業となり、あなたがたは重ねて彼らに子のない嘆きをさせない。 + 主なる神はこう言われる、彼らはあなたがたに向かって、『あなたは人を食い、あなたの民に子のない嘆きをさせる』と言う。 + あなたはもはや人を食わない。あなたの民に重ねて子のない嘆きをさせることはないと、主なる神は言われる。 + わたしは重ねて諸国民のはずかしめをあなたに聞かせない。あなたは重ねて、もろもろの民のはずかしめを受けることはなく、あなたの民を重ねてつまずかせることはないと、主なる神は言われる」。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、昔、イスラエルの家が、自分の国に住んだとき、彼らはおのれのおこないとわざとをもって、これを汚した。そのおこないは、わたしの前には、汚れにある女の汚れのようであった。 + 彼らが国に血を流し、またその偶像をもって、国を汚したため、わたしはわが怒りを彼らの上に注ぎ、 + 彼らを諸国民の中に散らしたので、彼らは国々の中に散った。わたしは彼らのおこないと、わざとにしたがって、彼らをさばいた。 + 彼らがその行くところの国々へ行ったとき、わが聖なる名を汚した。これは人々が彼らについて『これは主の民であるが、その国から出た者である』と言ったからである。 + しかしわたしはイスラエルの家が、その行くところの諸国民の中で汚したわが聖なる名を惜しんだ。 + それゆえ、あなたはイスラエルの家に言え。主なる神はこう言われる、イスラエルの家よ、わたしがすることはあなたがたのためではない。それはあなたがたが行った諸国民の中で汚した、わが聖なる名のためである。 + わたしは諸国民の中で汚されたもの、すなわち、あなたがたが彼らの中で汚した、わが大いなる名の聖なることを示す。わたしがあなたがたによって、彼らの目の前に、わたしの聖なることを示す時、諸国民はわたしが主であることを悟ると、主なる神は言われる。 + わたしはあなたがたを諸国民の中から導き出し、万国から集めて、あなたがたの国に行かせる。 + わたしは清い水をあなたがたに注いで、すべての汚れから清め、またあなたがたを、すべての偶像から清める。 + わたしは新しい心をあなたがたに与え、新しい霊をあなたがたの内に授け、あなたがたの肉から、石の心を除いて、肉の心を与える。 + わたしはまたわが霊をあなたがたのうちに置いて、わが定めに歩ませ、わがおきてを守ってこれを行わせる。 + あなたがたは、わたしがあなたがたの先祖に与えた地に住んで、わが民となり、わたしはあなたがたの神となる。 + わたしはあなたがたをそのすべての汚れから救い、穀物を呼びよせてこれを増し、ききんをあなたがたに臨ませない。 + またわたしは木の実と、田畑の作物とを多くする。あなたがたは重ねて諸国民の間に、ききんのはずかしめを受けることがない。 + その時あなたがたは自身の悪しきおこないと、良からぬわざとを覚えて、その罪と、その憎むべきこととのために、みずから恨む。 + わたしがなすことはあなたがたのためではないと、主なる神は言われる。あなたがたはこれを知れ。イスラエルの家よ、あなたがたは自分のおこないを恥じて悔やむべきである。 + 主なる神はこう言われる、わたしは、あなたがたのすべての罪を清める日に、町々に人を住ませ、その荒れ跡を建て直す。 + 荒れた地は、行き来の人々の目に荒れ地と見えたのに引きかえて耕される。 + そこで人々は言う、『この荒れた地は、エデンの園のようになった。荒れ、滅び、くずれた町々は、堅固になり、人の住む所となった』と。 + あなたがたの周囲に残った諸国民は主なるわたしがくずれた所を建て直し、荒れた所にものを植えたということを悟るようになる。主なるわたしがこれを言い、これをなすのである。 + 主なる神はこう言われる、イスラエルの家は、わたしが次のことを彼らのためにするように、わたしに求めるべきである。すなわち人を群れのようにふやすこと、 + すなわち犠牲のための群れのように、エルサレムの祝い日の群れのようにすることである。こうして荒れた町々は人の群れで満ちる。その時人々は、わたしが主であることを悟るようになる」。 + + + 主の手がわたしに臨み、主はわたしを主の霊に満たして出て行かせ、谷の中にわたしを置かれた。そこには骨が満ちていた。 + 彼はわたしに谷の周囲を行きめぐらせた。見よ、谷の面には、はなはだ多くの骨があり、皆いたく枯れていた。 + 彼はわたしに言われた、「人の子よ、これらの骨は、生き返ることができるのか」。わたしは答えた、「主なる神よ、あなたはご存じです」。 + 彼はまたわたしに言われた、「これらの骨に預言して、言え。枯れた骨よ、主の言葉を聞け。 + 主なる神はこれらの骨にこう言われる、見よ、わたしはあなたがたのうちに息を入れて、あなたがたを生かす。 + わたしはあなたがたの上に筋を与え、肉を生じさせ、皮でおおい、あなたがたのうちに息を与えて生かす。そこであなたがたはわたしが主であることを悟る」。 + わたしは命じられたように預言したが、わたしが預言した時、声があった。見よ、動く音があり、骨と骨が集まって相つらなった。 + わたしが見ていると、その上に筋ができ、肉が生じ、皮がこれをおおったが、息はその中になかった。 + 時に彼はわたしに言われた、「人の子よ、息に預言せよ、息に預言して言え。主なる神はこう言われる、息よ、四方から吹いて来て、この殺された者たちの上に吹き、彼らを生かせ」。 + そこでわたしが命じられたように預言すると、息はこれにはいった。すると彼らは生き、その足で立ち、はなはだ大いなる群衆となった。 + そこで彼はわたしに言われた、「人の子よ、これらの骨はイスラエルの全家である。見よ、彼らは言う、『われわれの骨は枯れ、われわれの望みは尽き、われわれは絶え果てる』と。 + それゆえ彼らに預言して言え。主なる神はこう言われる、わが民よ、見よ、わたしはあなたがたの墓を開き、あなたがたを墓からとりあげて、イスラエルの地にはいらせる。 + わが民よ、わたしがあなたがたの墓を開き、あなたがたをその墓からとりあげる時、あなたがたは、わたしが主であることを悟る。 + わたしがわが霊を、あなたがたのうちに置いて、あなたがたを生かし、あなたがたをその地に安住させる時、あなたがたは、主なるわたしがこれを言い、これをおこなったことを悟ると、主は言われる」。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたは一本の木を取り、その上に『ユダおよびその友であるイスラエルの子孫のために』と書き、また一本の木を取って、その上に『ヨセフおよびその友であるイスラエルの全家のために』と書け。これはエフライムの木である。 + あなたはこれらを合わせて、一つの木となせ。これらはあなたの手で一つになる。 + あなたの民の人々があなたに向かって、『これはなんのことであるか、われわれに示してくれないか』と言う時は、 + これに言え、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはエフライムの手にあるヨセフと、その友であるイスラエルの部族の木を取り、これをユダの木に合わせて、一つの木となす。これらはわたしの手で一つとなる。 + あなたが文字を書いた木が、彼らの目の前で、あなたの手にあるとき、 + あなたは彼らに言え。主なる神は、こう言われる、見よ、わたしはイスラエルの人々を、その行った国々から取り出し、四方から彼らを集めて、その地にみちびき、 + その地で彼らを一つの民となしてイスラエルの山々におらせ、ひとりの王が彼ら全体の王となり、彼らは重ねて二つの国民とならず、再び二つの国に分れない。 + 彼らはまた、その偶像と、その憎むべきことどもと、もろもろのとがとをもって、身を汚すことはない。わたしは彼らを、その犯したすべての背信から救い出して、これを清める。そして彼らはわが民となり、わたしは彼らの神となる。 + わがしもべダビデは彼らの王となる。彼らすべての者のために、ひとりの牧者が立つ。彼らはわがおきてに歩み、わが定めを守って行う。 + 彼らはわがしもべヤコブに、わたしが与えた地に住む。これはあなたがたの先祖の住んだ所である。そこに彼らと、その子らと、その子孫とが永遠に住み、わがしもべダビデが、永遠に彼らの君となる。 + わたしは彼らと平和の契約を結ぶ。これは彼らの永遠の契約となる。わたしは彼らを祝福し、彼らをふやし、わが聖所を永遠に彼らの中に置く。 + わがすみかは彼らと共にあり、わたしは彼らの神となり、彼らはわが民となる。 + そしてわが聖所が永遠に、彼らのうちにあるようになるとき、諸国民は主なるわたしが、イスラエルを聖別する者であることを悟る」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、メセクとトバルの大君であるマゴグの地のゴグに、あなたの顔を向け、これに対して預言して、 + 言え。主なる神はこう言われる、メセクとトバルの大君であるゴグよ、見よ、わたしはあなたの敵となる。 + わたしはあなたを引きもどし、あなたのあごにかぎをかけて、あなたと、あなたのすべての軍勢と、馬と、騎兵とを引き出す。彼らはみな武具をつけ、大盾、小盾を持ち、すべてつるぎをとる者で大軍である。 + ペルシャ、エチオピヤ、プテは彼らと共におり、みな盾とかぶとを持つ。 + ゴメルとそのすべての軍隊、北の果のベテ・トガルマと、そのすべての軍隊など、多くの民もあなたと共におる。 + あなたは備えをなせ。あなたとあなたの所に集まった軍隊は、みな備えをなせ。そしてあなたは彼らの保護者となれ。 + 多くの日の後、あなたは集められ、終りの年にあなたは戦いから回復された地、すなわち多くの民の中から、人々が集められた地に向かい、久しく荒れすたれたイスラエルの山々に向かって進む。その人々は国々から導き出されて、みな安らかに住んでいる。 + あなたはそのすべての軍隊および多くの民を率いて上り、暴風のように進み、雲のように地をおおう。 + 主なる神はこう言われる、その日に、あなたの心に思いが起り、悪い計りごとを企てて、 + 言う、『わたしは無防備の村々の地に上り、穏やかにして安らかに住む民、すべて石がきもなく、貫の木も門もない地に住む者どもを攻めよう』と。 + そしてあなたは物を奪い、物をかすめ、いま人の住むようになっている荒れ跡を攻め、また国々から集まってきて、地の中央に住み、家畜と貨財とを持つ民を攻めようとする。 + シバ、デダン、タルシシの商人、およびそのもろもろの村々はあなたに言う、『あなたは物を奪うために来たのか。物をかすめるために軍隊を集めたのか。あなたは金銀を持ち去り、家畜と貨財とを取りあげ、大いに物を奪おうとするのか』と。 + それゆえ、人の子よ、ゴグに預言して言え。主なる神はこう言われる、わが民イスラエルの安らかに住むその日に、あなたは立ちあがり、 + 北の果のあなたの所から来る。多くの民はあなたと共におり、みな馬に乗り、その軍隊は大きく、その兵士は強い。 + あなたはわが民イスラエルに攻めのぼり、雲のように地をおおう。ゴグよ、終りの日にわたしはあなたを、わが国に攻めきたらせ、あなたをとおして、わたしの聖なることを諸国民の目の前にあらわして、彼らにわたしを知らせる。 + 主なる神はこう言われる、わたしが昔、わがしもべイスラエルの預言者たちによって語ったのは、あなたのことではないか。すなわち彼らは、そのころ年久しく預言して、わたしはあなたを送って、彼らを攻めさせると言ったではないか。 + しかし主なる神は言われる、その日、すなわちゴグがイスラエルの地に攻め入る日に、わが怒りは現れる。 + わたしは、わがねたみと、燃えたつ怒りとをもって言う。その日には必ずイスラエルの地に、大いなる震動があり、 + 海の魚、空の鳥、野の獣、すべての地に這うもの、地のおもてにあるすべての人は、わが前に打ち震える。また山々はくずれ、がけは落ち、すべての石がきは地に倒れる。 + 主なる神は言われる、わたしはゴグに対し、すべての恐れを呼びよせる。すべての人のつるぎは、その兄弟に向けられる。 + わたしは疫病と流血とをもって彼をさばく。わたしはみなぎる雨と、ひょうと、火と、硫黄とを、彼とその軍隊および彼と共におる多くの民の上に降らせる。 + そしてわたしはわたしの大いなることと、わたしの聖なることとを、多くの国民の目に示す。そして彼らはわたしが主であることを悟る。 + + + 人の子よ、ゴグに向かって預言して言え。主なる神はこう言われる、メセクとトバルの大君であるゴグよ、見よ、わたしはあなたの敵となる。 + わたしはあなたを引きもどし、あなたを押しやり、北の果から上らせ、イスラエルの山々に導き、 + あなたの左の手から弓を打ち落し、右の手から矢を落させる。 + あなたとあなたのすべての軍隊およびあなたと共にいる民たちは、イスラエルの山々に倒れる。わたしはあなたを、諸種の猛禽と野獣とに与えて食わせる。 + あなたは野の面に倒れる。わたしがこれを言ったからであると、主なる神は言われる。 + わたしはゴグと、海沿いの国々に安らかに住む者に対して火を送り、彼らにわたしが主であることを悟らせる。 + わたしはわが聖なる名を、わが民イスラエルのうちに知らせ、重ねてわが聖なる名を汚させない。諸国民はわたしが主、イスラエルの聖者であることを悟る。 + 主なる神は言われる、見よ、これは来る、必ず成就する。これはわたしが言った日である。 + イスラエルの町々に住む者は出て来て、武器すなわち大盾、小盾、弓、矢、手やり、およびやりなどを燃やし、焼き、七年の間これを火に燃やす。 + 彼らは野から木を取らず、森から木を切らず、武器で火を燃やし、自分をかすめた者をかすめ、自分の物を奪った者を奪うと、主なる神は言われる。 + その日、わたしはイスラエルのうちに、墓地をゴグに与える。これは旅びとの谷にあって海の東にある。これは旅びとを妨げる。そこにゴグとその民衆を埋めるからである。これをハモン・ゴグの谷と名づける。 + イスラエルの家はこれを埋めて、地を清めるために七か月を費す。 + 国のすべての民はこれを埋め、これによって名を高める。これはわが栄えを現す日であると、主なる神は言われる。 + 彼らは人々を選んで、絶えず国の中を行きめぐらせ、地のおもてに残っている者を埋めて、これを清めさせる。七か月の終りに彼らは尋ねる。 + 国を行きめぐる者が行きめぐって、人の骨を見る時、死人を埋める者が、これをハモン・ゴグの谷に埋めるまで、そのかたわらに、標を建てて置く。 + (ハモナの町もそこにある。)こうして彼らはその国を清める。 + 主なる神はこう言われる、人の子よ、諸種の鳥と野の獣とに言え、みな集まってこい。わたしがおまえたちのために供えた犠牲、すなわちイスラエルの山々の上にある、大いなる犠牲に、四方から集まり、その肉を食い、その血を飲め。 + おまえたちは勇士の肉を食い、地の君たちの血を飲め。雄羊、小羊、雄やぎ、雄牛などすべてバシャンの肥えた獣を食え。 + わたしがおまえたちのために供えた犠牲は、飽きるまでその脂肪を食べ、酔うまで血を飲め。 + おまえたちはわが食卓について馬と、騎手と、勇士と、もろもろの戦士とを飽きるほど食べると、主なる神は言われる。 + わたしはわが栄光を諸国民に示す。すべての国民はわたしが行ったさばきと、わたしが彼らの上に加えた手とを見る。 + この日から後、イスラエルの家はわたしが彼らの神、主であることを悟るようになる。 + また諸国民はイスラエルの家が、その悪によって捕え移されたことを悟る。彼らがわたしにそむいたので、わたしはわが顔を彼らに隠し、彼らをその敵の手に渡した。それで彼らは皆つるぎに倒れた。 + わたしは彼らの汚れと、とがとに従って、彼らを扱い、わたしの顔を彼らに隠した。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、いまわたしはヤコブの幸福をもとに返し、イスラエルの全家をあわれみ、わが聖なる名のために、ねたみを起す。 + 彼らは、その国に安らかに住み、だれもこれを恐れさせる者がないようになった時、自分の恥と、わたしに向かってなした反逆とを忘れる。 + わたしが彼らを諸国民の中から帰らせ、その敵の国から呼び集め、彼らによって、わたしの聖なることを、多くの国民の前に示す時、 + 彼らは、わたしが彼らの神、主であることを悟る。これはわたしが彼らを諸国民のうちに移し、またこれをその国に呼び集めたからである。わたしはそのひとりをも、国々のうちに残すことをしない。 + わたしは、わが霊をイスラエルの家に注ぐ時、重ねてわが顔を彼らに隠さないと、主なる神は言われる」。 + + + われわれが捕え移されてから二十五年、都が打ち破られて後十四年、その年の初めの月の十日、その日に主の手がわたしに臨み、わたしをかの所に携えて行った。 + すなわち神は幻のうちに、わたしをイスラエルの地に携えて行って、非常に高い山の上におろされた。その山の上に、わたしと相対して、一つの町のような建物があった。 + 神がわたしをそこに携えて行かれると、見よ、ひとりの人がいた。その姿は青銅の形のようで、手に麻のなわと、測りざおとを持って門に立っていた。 + その人はわたしに言った、「人の子よ、目で見、耳で聞き、わたしがあなたに示す、すべての事を心にとめよ。あなたをここに携えて来たのは、これをあなたに示すためである。あなたの見ることを、ことごとくイスラエルの家に告げよ」。 + 見よ、宮の外の周囲に、かきがあり、その人の手に六キュビトの測りざおがあった。そのキュビトは、おのおの一キュビトと一手幅とである。彼が、そのかきの厚さを測ると、一さおあり、高さも一さおあった。 + 彼が東向きの門に行き、その階段を上って、門の敷居を測ると、その厚さは一さおあり、 + その詰め所は長さ一さお、幅一さお、詰め所と、詰め所との間は五キュビトあり、内の門の廊のかたわらの門の敷居は一さおあった。 + 門の廊を測ると八キュビトあり、 + その脇柱は二キュビト、門の廊は内側にあった。 + 東向きの門の詰め所は、こなたに三つ、かなたに三つあり、三つとも同じ寸法である。脇柱もまた、こなたかなたともに同じ寸法である。 + 門の入口の広さを測ると十キュビトあり、門の長さは十三キュビトあった。 + 詰め所の前の境は一キュビト、かなたの境も一キュビトで、詰め所は、こなたかなたともに六キュビトあった。 + 彼がまたこの詰め所の裏から、かの詰め所の裏まで、門を測ると、入口から入口まで二十五キュビトあった。 + 彼がまた廊を測ると二十キュビトあり、門の廊の周囲は、すべて庭である。 + 入口の門の前から内の門の廊の前まで五十キュビトあり、 + 詰め所と、門の内側の周囲の脇柱とに窓があり、廊の内側の周囲にも、同様に窓があり、脇柱には、しゅろがあった。 + 彼がまたわたしを外庭に携え入れると、見よ、庭の周囲に設けた室と、敷石とがあり、敷石の上に三十の室があった。 + 敷石は門のわきにあり、門と同じ長さで、これは下の敷石である。 + 彼が下の門の内の前から、内庭の外の前までの距離を測ると、百キュビトあった。 + また彼はわたしに先だって北へ行った。見よ、そこに外庭に属する北向きの門があった。彼はその長さと幅とを測った。 + その詰め所が、こなたに三つ、かなたに三つあり、また脇柱と廊とがあった。これらは初めの門と同じ寸法で、長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトである。 + その窓と、廊と、しゅろとは、東向きの門にあるものと同じ寸法である。そして七段の階段を経て、それに上ると、廊は内側にあった。 + 内庭の門は北と東の門に向かっていた。彼が門から門までを測ると、百キュビトあった。 + 彼がまたわたしを南へ行かせると、見よ、南向きの門があった。その脇柱と廊を測ると、他と同じ寸法であった。 + これと、その廊の周囲とに、他の窓のような窓があって、その長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトあった。 + これを上るのに七段の階段があり、その廊は内側にあった。その脇柱の上には、こなたに一つ、かなたに一つのしゅろがあった。 + 内庭には南向きの門があり、門から門まで南の方へ測ると、百キュビトあった。 + 彼がわたしを南の門から内庭にはいらせ、南の門を測ると、さきのものと、同じ寸法であった。 + その詰め所と、脇柱と、廊とは、他のものと同じ寸法で、その門と、廊の周囲とには窓があり、門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトであった。 + 周囲に廊があって、その長さは二十五キュビト、幅は五キュビトである。 + その廊は外庭に面して、脇柱の上にしゅろがあり、その階段は八段であった。 + 彼はまたわたしを内庭の東の方に携えて行って、門を測った。それは他と同じ寸法であった。 + その詰め所と、脇柱と、廊とは、他と同じ寸法で、その門と、その廊の周囲とに窓があり、門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトである。 + その廊は外庭に面し、その脇柱の上には、こなたかなたに、しゅろがあり、その階段は八段であった。 + 彼がまたわたしを北の門に携えて行って、これを測ると、それは他と同じ寸法であった。 + その詰め所と、脇柱と、廊とは、他と同じ寸法で、その周囲に窓があり、門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトである。 + その廊は外庭に面し、その脇柱の上には、こなたかなたに、しゅろがあり、その階段は八段であった。 + 門の廊に戸のある室があって、そこは燔祭の物を洗う所である。 + 門の廊に、こなたに二つの台、かなたに二つの台があり、その上で、燔祭、罪祭、愆祭の物をほふるのであった。 + 北の門の入口にある廊の外の片側に、二つの台があり、門の廊の他の側にも、二つの台があり、 + 門のかたわら、内側に四つの台、外側に四つの台があって、合わせて八つの台である。その上で、犠牲の物をほふるのである。 + そこにまた燔祭のために四つの切り石の台があり、その長さは一キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト、その上に燔祭および犠牲をほふる器を置くのである。 + 内の周囲に、一手幅の折り釘が打ちつけてあって、供え物の肉は、台の上に置かれるのである。 + 彼はまたわたしを、外から内庭に連れてはいった。見よ、内庭に二つの室があり、一つは北の門のかたわらにあって南に向かい、一つは南の門のかたわらにあって、北に向かっていた。 + 彼はわたしに言った、この南向きの室は、宮を守る祭司のためのもの、 + また北向きの室は、祭壇を守る祭司のためのものである。その人たちは、レビの子孫のうちのザドクの子孫であって、主に近く仕える者たちである。 + そして彼が庭を測ると、その長さは百キュビト、幅も百キュビトで四角である。宮の前には祭壇があった。 + 彼がわたしを宮の廊に連れて行って、廊の脇柱を測ると、こなたも五キュビト、かなたも五キュビトであり、門の幅は十四キュビトである。門の壁は、こなたも三キュビト、かなたも三キュビトである。 + 廊の長さは二十キュビト、幅は十二キュビトであり、十の階段によって上るのである。脇柱に沿って、こなたに一つ、かなたに一つの柱があった。 + + + 彼がわたしを拝殿に連れて行って、脇柱を測ると、こなたの幅も六キュビト、かなたの幅も六キュビトあった。 + その戸の幅は十キュビト、戸のわきの壁は、こなたも五キュビト、かなたも五キュビトあった。彼はまた拝殿の長さを測ると四十キュビト、その幅は二十キュビトあった。 + 彼がまた内にはいって、戸の脇柱を測ると、それは二キュビトあり、戸の幅は六キュビト、戸のわきの壁は七キュビトあった。 + 彼はまた拝殿の奥の室の長さを測ると二十キュビト、幅も二十キュビトあった。そして彼はわたしに、これは至聖所であると言った。 + 彼が宮の壁を測ると、その厚さは六キュビトあり、宮の周囲の脇間の広さは、四方おのおの四キュビトあり、 + 脇間は、室の上に室があって三階になり、各階に三十の室がある。宮の周囲の壁には、脇間をささえる突起があった。これは脇間が、宮の壁そのものによってささえられないためである。 + 脇間は、宮の周囲の各階にある突起につれて、階を重ねて上にいくにしたがって広くなり、宮の外部の階段が上に通じ、一階から三階へは、二階をとおって上るのである。 + わたしはまた宮の周囲に高い所のあるのを見た。脇間の基を測ると、六キュビトの一さおあった。 + 脇間の外の壁の厚さは五キュビト、あき地になっている高い所は五キュビトあった。宮の高い所と、 + 庭の室の間には、宮の周囲に、広さ二十キュビトの所があった。 + 脇間の戸は、あき地になっている高い所に向かって開け、一つの戸は北に向かい、一つの戸は南に向かっていた。そのあき地になっている所の幅は、周囲五キュビトであった。 + 西の方の宮の庭に面した建物は、幅七十キュビト、その建物の周囲の壁の厚さは五キュビト、長さは九十キュビトであった。 + 彼が宮を測ると、その長さは百キュビトあり、その庭と建物と、その壁は長さ百キュビト、 + また宮の東に面した所と庭との幅は百キュビトであった。 + 彼が西の方の庭に面した建物と、その壁の長さを測ると、かなた、こなたともに百キュビトであった。宮の拝殿と、内部の室と、外の廊とには、羽目板があった。 + これらの三つのものの周囲には、すべて引込み枠の窓があり、宮の敷居に面して、宮の周囲は、床から窓まで、羽目板であって、窓には、おおいがあった。 + 戸の上の空所、内室、外室ともに、羽目板であった。内室および拝殿の周囲のすべての壁には、同じように彫刻してあった。 + すなわちケルビムと、しゅろとが彫刻してあった。ケルブとケルブとの間に、しゅろがあり、おのおののケルブには、二つの顔があり、 + こなたには、しゅろに向かって、人の顔があり、かなたには、しゅろに向かって、若じしの顔があり、宮の周囲は、すべてこのように彫刻してあった。 + 床から戸の上まで、ケルビムと、しゅろとが、壁に彫刻してあった。 + 拝殿の柱は四角であった。聖所の前には、木の祭壇に似たものがあった。 + その高さは三キュビト、長さは二キュビト、幅は二キュビトで、すみと、台と、壁とは、ともに木である。彼はわたしに言った、「これは主の前にある机である」 + 拝殿と聖所とには、二つの戸があり、 + その戸には、二つのとびらがあった。すなわち二つの開き戸である。 + 拝殿の戸には、おのおのにケルビムと、しゅろとが、彫刻してあって、それは壁に彫刻したものと同じである。また外の廊に面して、木の天蓋があり、 + 廊の壁には、こなたかなたに引込み窓と、しゅろとがあった。 + + + 彼はわたしを北の方の内庭に連れ出し、庭に向かった北の方の建物に対する室に導いた。 + 北側にある建物の長さは百キュビト、幅は五十キュビトである。 + 二十キュビトの内庭に続いて、外庭の敷石に面し、三階になった廊下があった。 + また室の前に幅十キュビト、長さ百キュビトの通路があった。その戸は北に向かっていた。 + その建物の上の室は、下の室と中の室よりも狭かった。それは廊下のために、場所を取ったためである。 + これらは三階であって、外庭の柱のような柱は持たなかった。それで上の室は、下および中の室よりも狭いのである。 + 室の外に沿ってかきがあり、それは他の室に向かって外庭に至る。その長さは五十キュビト、 + 外庭の室の長さも五十キュビトあった。宮に面する所は百キュビトであった。 + これらの室の下に外庭からこれにはいるように、東側に入口があった。 + 外側のかきは、外庭に始まっている。南の方で、庭と建物との前に、室があった。 + 北向きの室と同様に、その前に通路があり、その長さも幅も同様で、その出口もその配置もその戸も同様である。 + 南の室の下に、人々が通路にはいる東の入口があり、これに対して隔てのかきがあった。 + 時に彼はわたしに言った、「庭に面した北の室と、南の室とは、聖なる室であって、主に近く仕える祭司たちが、最も聖なるものを食べる場所である。その場所に彼らは、最も聖なるもの、すなわち素祭、罪祭、愆祭のものを置かなければならない。その場所は聖だからである。 + 祭司たちが、聖所にはいった時は、そこから外庭に出てはならない。彼らは勤めを行う衣服を、その所に置かなければならない。これは聖だからである。彼らは民衆に属する場所に近づく前に、他の衣服を着けなければならない」。 + 彼らは宮の庭の内部を測り終えると、東向きの門の道から、わたしを連れ出して、宮の周囲を測った。 + 彼が測りざおで、東側を測ると、測りざおで五百キュビトあり、 + また転じて、北側を測ると、測りざおで五百キュビトあり、 + また転じて、南側を測ると、測りざおで五百キュビトあり、 + また転じて、西側を測ると、測りざおで五百キュビトあった。 + このように、四方を測ったが、その周囲に、長さ五百キュビト、幅五百キュビトのかきがあって、聖所と、俗の所との隔てをなしていた。 + + + その後、彼はわたしを門に導いた。門は東に面していた。 + その時、見よ、イスラエルの神の栄光が、東の方から来たが、その来る響きは、大水の響きのようで、地はその栄光で輝いた。 + わたしが見た幻の様は、彼がこの町を滅ぼしに来た時に、わたしが見た幻と同様で、これはまたわたしがケバル川のほとりで見た幻のようであった。それでわたしは顔を伏せた。 + 主の栄光が、東の方に面した門の道から宮にはいった時、 + 霊がわたしを引き上げて、内庭に導き入れると、見よ、主の栄光が宮に満ちた。 + その人がわたしのかたわらに立った時、わたしはひとりの人が、宮の中からわたしに語るのを聞いた。 + 彼はわたしに言った、「人の子よ、これはわたしの位のある所、わたしの足の裏の踏む所、わたしが永久にイスラエルの人々の中に住む所である。またイスラエルの家は、民もその王たちも、再び姦淫と、王たちの死体とをもって、わが聖なる名を汚さない。 + 彼らはその敷居を、わが敷居のかたわらに設け、その門柱を、わが門柱のかたわらに設けたので、わたしと彼らとの間には、わずかに壁があるのみである。そして彼らは、その犯した憎むべき事をもって、わが聖なる名を汚したので、わたしは怒りをもって、これを滅ぼした。 + 今彼らに命じて姦淫と、その王たちの死体を、わたしから遠く取り除かせよ。そうしたら、わたしは永久に彼らの中に住む。 + 人の子よ、宮と、その外形と、設計とをイスラエルの家に示せ。彼らはその悪を恥じるであろう。 + 彼らがその犯したすべての事を恥じたら、彼らに、この宮の建て方、設備、出口、入口、すべての形式、すべてのおきて、すべての規定を示せ。これを彼らの目の前に書き、彼らにそのすべての規定と、おきてとを守り行わせよ。 + 宮の規定はこれである。山の頂の四方の地域はみな最も聖である。見よ、これは宮の規定である。 + 祭壇の寸法はキュビトですれば、次のようである。(そのキュビトは一キュビトと一手幅である。)土台は高さ一キュビト、幅一キュビト、その周囲の縁は半キュビトである。 + 祭壇の高さは、次のとおりである。地面の土台から下のかさねまで二キュビト、幅は一キュビト、また小さいかさねから大きいかさねまで四キュビト、その幅は一キュビトである。 + 祭壇の炉は四キュビトで、祭壇の炉から高さ一キュビトの角が四本出ていた。 + 炉は長さ十二キュビト、幅十二キュビトの四角形である。 + そのかさねは四方とも長さ十四キュビト、幅十四キュビトの四角形、その周囲の縁は幅半キュビト、その台は四方一キュビト、その階段は東に面する」。 + 彼はわたしに言った、「人の子よ、主なる神はこう言われる、祭壇を建て、その上に燔祭をささげ、これに血を注ぐ日には、次のことを祭壇の定めとせよ。 + すなわち主なる神は言われる、ザドクの子孫で、わたしに近く仕えるレビびとである祭司には、罪祭のために雄牛の子を与えよ。 + またその血をとって、これを祭壇の四つの角と、かさねの四すみと、周囲の縁に塗って、祭壇を清め、これをあがなえ。 + あなたはまた罪祭の牛をとって、これを聖所の外、宮のうちの定められた所で焼け。 + 第二日に、あなたは無傷の雄やぎを、罪祭としてささげよ。すなわち雄牛で清めたように、これで祭壇を清めよ。 + 清めごとを終えたなら、無傷の雄牛の子と、群れの中の無傷の雄羊とをささげよ。 + これを主の前に持ってきて、祭司らはその上に塩をまき、これらを燔祭として主にささげよ。 + 七日の間、あなたは日々雄やぎを罪祭とせよ。また雄牛の子と、群れの中の雄羊との無傷のものをととのえ、 + 七日の間、彼らは祭壇をあがない、これを清め、これを聖別しなければならない。 + 彼らがこれらの日を満たしたとき、八日目から後は、祭司たちは、あなたがたの燔祭と、酬恩祭とを祭壇の上に供える。そうすれば、わたしは、あなたがたを受けいれると、主なる神は言われる」。 + + + こうして、彼はわたしを連れて、聖所の東に向いている外の門に帰ると、門は閉じてあった。 + 彼はわたしに言った、「この門は閉じたままにしておけ、開いてはならない。ここからだれもはいってはならない。イスラエルの神、主が、ここからはいったのだから、これは閉じたままにしておけ。 + ただ君たる者だけが、この内に座し、主の前でパンを食し、門の廊を通ってはいり、またそこから外に出よ」。 + 彼はまたわたしを連れて、北の門の道から宮の前に行った。わたしが見ていると、見よ、主の栄光が主の宮に満ちた。わたしがひれ伏すと、 + 主はわたしに言われた、「人の子よ、主の宮のすべてのおきてと、そのすべての規定とについて、わたしがあなたに告げるすべての事に心をとめ、目を注ぎ、耳を傾けよ。また宮にはいることを許されている者と、聖所にはいることのできない者とに心せよ。 + また反逆の家であるイスラエルの家に言え。主なる神は、こう言われる、イスラエルの家よ、その憎むべきことをやめよ。 + すなわちあなたがたは、わたしの食物である脂肪と血とがささげられる時、心にも肉にも、割礼を受けない異邦人を入れて、わが聖所におらせ、これを汚した。また、もろもろの憎むべきものをもって、わが契約を破った。 + あなたがたは、わが聖なる物を守る務を怠り、かえって異邦人を立てて、わが聖所の務を守らせた。 + それゆえ、主なる神は、こう言われる、イスラエルの人々のうちにいるすべての異邦人のうち、心と肉とに割礼を受けないすべての者は、わが聖所にはいってはならない。 + またレビ人であって、イスラエルが迷った時、偶像を慕い、わたしから迷い出て、遠く離れた者は、その罪を負わなければならない。 + すなわち彼らはわが聖所で、仕え人となり、宮の門を守る者となり、宮に仕えるしもべとなり、民のために、燔祭および犠牲のものを殺し、彼らの前に立って仕えなければならない。 + 彼らはその偶像の前で民に仕え、イスラエルの家にとって、罪のつまずきとなったゆえ、主なる神は言われる、わたしは彼らについて誓った。彼らはその罪を負わなければならない。 + 彼らはわたしに近づき、祭司として、わたしに仕えることはできない。またわたしの聖なる物、および最も聖なる物に、近づいてはならない。彼らはそのおこなった憎むべきことのため、恥を負わなければならない。 + しかし彼らには、宮を守る務をさせ、そのもろもろの務と、宮でなすべきすべての事とに当らせる。 + しかしザドクの子孫であるレビの祭司たち、すなわちイスラエルの人々が、わたしを捨てて迷った時に、わが聖所の務を守った者どもは、わたしに仕えるために近づき、脂肪と血とをわたしにささげるために、わたしの前に立てと、主なる神は言われる。 + すなわち彼らはわが聖所に入り、わが台に近づいてわたしに仕え、わたしの務を守る。 + 彼らが内庭の門にはいる時は、麻の衣服を着なければならない。内庭の門および宮の内で、務をなす時は、毛織物を身につけてはならない。 + また頭には亜麻布の冠をつけ、腰には亜麻布の袴をつけなければならない。ただし汗の出るような衣を身につけてはならない。 + 彼らは外庭に出る時、すなわち外庭に出て民に接する時は、務をなす時の衣服は脱いで聖なる室に置き、ほかの衣服を着なければならない。これはその衣服をもって、その聖なることを民にうつさないためである。 + 彼らはまた頭をそってはならない。また髪を長くのばしてはならない。その頭の髪は切らなければならない。 + 祭司はすべて内庭にはいる時は、酒を飲んではならない。 + また寡婦、および出された女をめとってはならない。ただイスラエルの家の血統の処女、あるいは祭司の妻で、やもめになったものをめとらなければならない。 + 彼らはわが民に、聖と俗との区別を教え、汚れたものと、清いものとの区別を示さなければならない。 + 争いのある時は、さばきのために立ち、わがおきてにしたがってさばき、また、わたしのもろもろの祭の時は、彼らはわが律法と定めを守り、わが安息日を、聖別しなければならない。 + 死人に近づいて、身を汚してはならない。ただ父のため、母のため、むすこのため、娘のため、兄弟のため、夫をもたない姉妹のためには、近よって身を汚すことも許される。 + このような人は、汚れた後、自身のために、七日の期間を数えよ。そうすれば清まる。 + 彼は聖所に入り、内庭に行き、聖所で務に当る日には、罪祭をささげなければならないと、主なる神は言われる。 + 彼らには嗣業はない。わたしがその嗣業である。あなたがたはイスラエルの中で、彼らに所有を与えてはならない。わたしが彼らの所有である。 + 彼らは素祭、罪祭、愆祭の物を食べる。すべてイスラエルのうちのささげられた物は彼らの物となる。 + すべての物の初なりの初物、およびすべてあなたがたのささげるもろもろのささげ物は、みな祭司のものとなる。またあなたがたの麦粉の初物は祭司に与えよ。これはあなたがたの家が、祝福されるためである。 + 祭司は、鳥でも獣でも、すべて自然に死んだもの、または裂き殺されたものを食べてはならない。 + + + あなたがたは、くじを引き、地を分けて、それを所有するときには、地の一部を聖なる地所として主にささげよ。その長さは二万五千キュビト、幅は二万キュビトで、その区域はすべて聖なる地である。 + そのうち聖所に属するものは縦横五百キュビトずつであって、それは四角である。また五十キュビトの空地をその周囲につくれ。 + あなたはこの聖なる地所から長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトを測り取り、その中に聖所と至聖所とを設けよ。 + これは国の中で聖なる所であって、主に近く仕える聖所の仕え人である祭司に帰属する。これは彼らのためには家を建てる所、聖所のためには聖地となる。 + また長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトの別の地所は、宮に仕えるレビびとに帰属し、彼らの住む町のための所有とする。 + 聖地として区別した部分に沿い、幅五千キュビト、長さ二万五千キュビトは、町の所有とせよ。これはイスラエル全家のものとなる。 + また君たる者の分は、かの聖地と町の所有地との、こなたかなたにある。すなわち聖地と町の所有地に沿い、西と東に向かい、部族の分の一つに応じて、地所の西から東の境に至り、 + その所有の地所はイスラエルの中にある。わたしの君たちは、重ねてわたしの民をしえたげず、部族にしたがってイスラエルの家に土地を与える。 + 主なる神は、こう言われる、イスラエルの君たちよ、暴虐と略奪とをやめ、公道と正義を行え。わが民を追いたてることをやめよと、主なる神は言われる。 + あなたがたは正しいはかり、正しいエパ、正しいバテを用いよ。 + エパとバテとは同量にせよ。すなわちバテをホメルの十分の一とし、エパもホメルの十分の一とし、すべてホメルによって量を定めよ。 + 一シケルは二十ゲラである。五シケルは五シケル、十シケルは十シケルとせよ。一ミナは五十シケルとせよ。 + あなたがたがささげるささげ物はこれである。すなわち、一ホメルの小麦のうちから六分の一エパをささげ、大麦一ホメルのうちから六分の一エパをささげよ。 + 油は一コルのうちから十分の一バテをささげよ。コルはホメルと同じく十バテに当る。 + またイスラエルの氏族から、家畜の群れ二百につき一頭の羊を出して、素祭、燔祭、酬恩祭とし、彼らのために、あがないをなせと主なる神は言われる。 + 国の民は皆これをイスラエルの君にささげ物とせよ。 + また祭日、ついたち、安息日、すなわちイスラエルの家のすべての祝い日に、燔祭、素祭、灌祭を供えるのは、君たる者の務である。すなわち彼はイスラエルの家のあがないのために、罪祭、素祭、燔祭、酬恩祭をささげなければならない。 + 主なる神は、こう言われる、正月の元日に、あなたは無傷の雄牛の子を取って聖所を清めよ。 + 祭司は罪祭の獣の血を取って、宮の柱と祭壇のかさねの四すみ、および内庭の門の柱に塗れ。 + 月の七日に、あなたがたは、過失や無知のために罪を犯した者のために、このように行って宮のためにあがないをなせ。 + 正月の十四日に、あなたがたは過越の祭を祝え。七日の間、種を入れぬパンを食べよ。 + その日に君たる者は、自身のため、また国のすべての民のため、雄牛をささげて罪祭とし、 + 祝い日である七日の間は、七頭の雄牛と、七頭の雄羊の無傷のものを、七日の間毎日、燔祭として主に供えよ。また、雄やぎを罪祭として日々ささげよ。 + また素祭として麦粉一エパを各雄牛のため、一エパを各雄羊のためにととのえ、油一ヒンを各エパに加えよ。 + 七月十五日の祝い日に、彼は七日の間、罪祭、燔祭、素祭および油を、このように供えなければならない。 + + + 主なる神は、こう言われる、内庭にある東向きの門は、働きをする六日の間は閉じ、安息日にはこれを開き、またついたちにはこれを開け。 + 君たる者は、外から門の廊をとおってはいり、門の柱のかたわらに立て。そのとき祭司たちは、燔祭と酬恩祭とをささげ、彼は門の敷居で、礼拝して出て行くのである。しかし門は夕暮まで閉じてはならない。 + 国の民は安息日と、ついたちとに、その門の入口で主の前に礼拝をせよ。 + 君たる者が、安息日に主にささげる燔祭は、六頭の無傷の小羊と、一頭の無傷の雄羊とである。 + また素祭は雄羊のために麦粉一エパ、小羊のための素祭は、その人のささげうる程度とし、麦粉一エパに油一ヒンを加えよ。 + ついたちには無傷の雄牛の子一頭、六頭の小羊および一頭の雄羊をささげよ。これらはすべて無傷のものでなければならない。 + 素祭は雄牛のために麦粉一エパ、雄羊のために麦粉一エパ、小羊のためには、その人のささげうる程度のものを供えよ。また麦粉一エパに油一ヒンを加えよ。 + 君たる者がはいる時は門の廊の道からはいり、またその道から出よ。 + 国の民が、祝い日に主の前に出る時、礼拝のため、北の門の道からはいる者は、南の門の道から出て行き、南の門の道からはいる者は、北の門の道から出て行け。そのはいった門の道からは、帰ってはならない。まっすぐに進んで、出て行かなければならない。 + 彼らがはいる時、君たる者は、彼らと共にはいり、彼らが出る時、彼も出なければならない。 + 祭日と祝い日には、素祭として、若い雄牛のために麦粉一エパ、雄羊のために麦粉一エパ、小羊のためには、その人のささげうる程度のものを供え、麦粉一エパには油一ヒンを加えよ。 + また君たる者が、心からの供え物として、燔祭または酬恩祭を主にささげる時は、彼のために東に面した門を開け。彼は安息日に行うように、その燔祭と酬恩祭を供え、そして退出する。その退出の後、門は閉ざされる。 + 彼は日ごとに一歳の無傷の小羊を燔祭として、主にささげなければならない。すなわち朝ごとに、これをささげなければならない。 + 彼は朝ごとに、素祭をこれに添えてささげなければならない。すなわち麦粉一エパの六分の一に、これを潤す油一ヒンの三分の一を、素祭として主にささげなければならない。これは常燔祭のおきてである。 + すなわち朝ごとに常燔祭として、小羊と素祭と油とをささげなければならない。 + 主なる神は、こう言われる、君たる者が、もしその嗣業から、その子のひとりに財産を与える時は、それはその子らの嗣業の所有となる。 + しかし彼がその奴隷のひとりに、嗣業の一部分を与える時は、それは彼の解放の年まで、その人に属していて、その後は君たる人に帰る。彼の嗣業は、ただその子らにだけ伝わるべきである。 + 君たる者はその民の嗣業を取って、その財産を継がせないようにしてはならない。彼はただ、自分の財産のうちから、その子らにその嗣業を、与えなければならない。これはわが民のひとりでも、その財産を失わないためである」。 + こうして彼はわたしを連れて、門のかたわらの入口から、北向きの祭司の聖なる室に、はいらせた。見ると、西の奥の方に一つの場所があった。 + 彼はわたしに言った、「これは祭司たちが愆祭および罪祭のものを煮、素祭のものを焼く所である。これは外庭にそれらを携え出て、聖なるべきことを、民にうつさないためである」。 + 彼はまたわたしを外庭に連れ出し、庭の四すみを通らせた。見よ、庭のこのすみにも庭があり、また庭のかのすみにも庭があった。 + すなわち庭の四すみに小さい庭があり、長さ四十キュビト、幅三十キュビトで、四つとも同じ大きさである。 + その四つの小さい庭の内部の四方には、石の壁があり、周囲の壁の下に、物を煮る所が設けてあった。 + 彼はわたしに言った、「これらは宮の仕え人たちが、民のささげる犠牲のものを煮る台所である」。 + + + そして彼はわたしを宮の戸口に帰らせた。見よ、水の宮の敷居の下から、東の方へ流れていた。宮は東に面し、その水は、下から出て、祭壇の南にある宮の敷居の南の端から、流れ下っていた。 + 彼は北の門の道から、わたしを連れ出し、外をまわって、東に向かう外の門に行かせた。見よ、水は南の方から流れ出ていた。 + その人は東に進み、手に測りなわをもって一千キュビトを測り、わたしを渡らせた。すると水はくるぶしに達した。 + 彼がまた一千キュビトを測って、わたしを渡らせると、水はひざに達した。彼がまた一千キュビトを測って、わたしを渡らせると、水は腰に達した。 + 彼がまた一千キュビトを測ると、渡り得ないほどの川になり、水は深くなって、泳げるほどの水、越え得ないほどの川になった。 + 彼はわたしに「人の子よ、あなたはこれを見るか」と言った。それから、彼はわたしを川の岸に沿って連れ帰った。 + わたしが帰ってくると、見よ、川の岸のこなたかなたに、はなはだ多くの木があった。 + 彼はわたしに言った、「この水は東の境に流れて行き、アラバに落ち下り、その水が、よどんだ海にはいると、それは清くなる。 + おおよそこの川の流れる所では、もろもろの動く生き物が皆生き、また、はなはだ多くの魚がいる。これはその水がはいると、海の水を清くするためである。この川の流れる所では、すべてのものが生きている。 + すなどる者が、海のかたわらに立ち、エンゲデからエン・エグライムまで、網を張る所となる。その魚は、大海の魚のように、その種類がはなはだ多い。 + ただし、その沢と沼とは清められないで、塩地のままで残る。 + 川のかたわら、その岸のこなたかなたに、食物となる各種の木が育つ。その葉は枯れず、その実は絶えず、月ごとに新しい実がなる。これはその水が聖所から流れ出るからである。その実は食用に供せられ、その葉は薬となる」。 + 主なる神は、こう言われる、「あなたがたがイスラエルの十二の部族に、嗣業として土地を分け与えるには、その境を次のように定めなければならない。ヨセフには二つの分を与えよ。 + あなたがたは、これを公平に分けよ。これはわたしが、あなたがたの先祖に与えると誓ったもので、これは嗣業として、あなたがたに属するものである。 + その地の境はこのとおりである。北は大海からヘテロンの道を経て、ハマテの入口およびゼダデに至り、 + またベロテおよびダマスコとハマテの境にあるシブライムに至り、ハウランの境にあるハザル・ハテコンに及ぶ。 + その境は海からダマスコの北の境にあるハザル・エノンにおよび、北の方はハマテがその境である。これが北の方である。 + 東の方は、ハウランとダマスコの間のハザル・エノンから、ギレアデとイスラエルの地との間の、ヨルダンに沿い、東の海に至り、タマルに及ぶ。これが東の方である。 + 南の方はタマルからメリボテ・カデシの川に及び、そこからエジプトの川に沿って大海に至る。これが南の方である。 + 西の方はハマテの入口に至る大海を境とする。これが西の方である。 + あなたがたはこのように、イスラエルの部族に従って、この地をあなたがたの間に分割せよ。 + あなたがたは、くじをもって、これをあなたがたのうちに分け、またあなたがたのうちにいて、あなたがたのうちに、子を生んだ寄留の他国人のうちに分けて、嗣業とせよ。彼らは、あなたがたには、イスラエルの人々のうちの本国人と同様である。彼らもあなたがたと一緒にくじを引いて、イスラエルの部族のうちに嗣業を得るべきである。 + 他国人には、その住んでいる部族のうちで、その嗣業をこれに与えなければならないと、主なる神は言われる。 + + + イスラエルの部族の名は次のとおりである。北の果からヘテロンの道を経て、ハマテの入口に至り、ハマテに相対するダマスコの北の境にあるハザル・エノンに及び、東の方から西の方へのびる地方、これがダンの分である。 + ダンの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがアセルの分である。 + アセルの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがナフタリの分である。 + ナフタリの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがマナセの分である。 + マナセの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがエフライムの分である。 + エフライムの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがルベンの分である。 + ルベンの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがユダの分である。 + ユダの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方は、あなたがたのささげる献納地とせよ。その幅は二万五千キュビト、その東の方から西の方へのびる長さは、部族の一つの分に同じで、聖所はその中にある。 + すなわちあなたがたの主にささげる献納地は長さ二万五千キュビト、幅二万キュビトとである。 + これが祭司への聖なる献納地である。すなわち祭司の分は、北は二万五千キュビト、西は幅一万キュビト、東は幅一万キュビト、南は長さ二万五千キュビトである。主の聖所はその中にある。 + これはイスラエルの人々が迷い出た時、レビびとが迷ったように迷ったことはなく、わが務を守り通したザドクの子孫のうちから、聖別された祭司に属する。 + このようにレビびとの境に沿って、いと聖なる地、すなわち聖なる献納地が、特別な分として彼らに帰属する。 + レビびとの分は祭司の所有地の境に沿って、長さ二万五千キュビト、幅一万キュビト、すなわち、そのすべての長さ二万五千キュビト、幅二万キュビトである。 + 彼らはこれを売ってはならない、また交換してはならない、またその大事な分を手ばなしてはならない。これは主に属する聖なる物だからである。 + その残りの地すなわち幅五千キュビト、長さ二万五千キュビトは町のため、すみかのため、また郊外のための一般人の地所とせよ。町はその中に置け。 + 一般人の地所の広さは次のとおりである。すなわち北の方四千五百キュビト、南の方四千五百キュビト、東の方四千五百キュビト、西の方四千五百キュビトである。 + 町は郊外を含む。郊外は北二百五十キュビト、南二百五十キュビト、東二百五十キュビト、西二百五十キュビトである。 + 聖なる献納地に沿っている残りの地の長さは東へ一万キュビト、西へ一万キュビトである。これは聖なる献納地に沿っており、その産物は町の働き人の食物となる。 + 町の働き人は、イスラエルのすべての部族から出て、これを耕作するのである。 + あなたがたがささげる献納地の全体は二万五千キュビト四方である。これは町の所有地と共に聖なる献納地である。 + 聖なる献納地と町の所有地との、こなたかなたの残りの地は、君たる者に属する。これは聖なる献納地の二万五千キュビトに面して東の境に至り、西はその二万五千キュビトに面して西の境に至り、部族の分に沿うもので、君たる者に属する。聖なる献納地と、宮の聖所とは、その中にある。 + 町の所有地は、君たる者に属する部分の中にあり、そして君たる者の分は、ユダの領地と、ベニヤミンの領地との間にある。 + なお残りの部族では東の方から西の方に至る地方、これがベニヤミンの分である。 + ベニヤミンの領地に沿って、東の方から西の方に至る地方、これがシメオンの分である。 + シメオンの領地に沿って、東の方から西の方に至る地方、これがイッサカルの分である。 + イッサカルの領地に沿って、東の方から西の方に至る地方、これがゼブルンの分である。 + ゼブルンの領地に沿って、東の方から西の方に至る地方、これがガドの分である。 + 南の方はガドの領地に沿って、タマルからメリボテ・カデシの水に至り、そこからエジプトの川に沿って大海に至る。 + これはあなたがたが、くじをもってイスラエルの部族のうちに分けて、嗣業とすべき地である。これが彼らの分であると、主なる神は言われる。 + 町の出口は次のとおりである。北の方の長さは四千五百キュビトである。 + 町の門はイスラエルの部族の名にしたがい、三つの門になっている。すなわちルベンの門、ユダの門、レビの門である。 + 東の方は四千五百キュビトであって、三つの門がある。すなわちヨセフの門、ベニヤミンの門、ダンの門である。 + 南の方は四千五百キュビトであって、三つの門がある。すなわちシメオンの門、イッサカルの門、ゼブルンの門である。 + 西の方は四千五百キュビトであって、三つの門がある。すなわちガドの門、アセルの門、ナフタリの門である。 + 町の周囲は一万八千キュビトあり、この日から後、この町の名は『主そこにいます』と呼ばれる」。 + +
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+ + ユダの王エホヤキムの治世の第三年にバビロンの王ネブカデネザルはエルサレムにきて、これを攻め囲んだ。 + 主はユダの王エホヤキムと、神の宮の器具の一部とを、彼の手にわたされたので、彼はこれをシナルの地の自分の神の宮に携えゆき、その器具を自分の神の蔵に納めた。 + 時に王は宦官の長アシペナズに、イスラエルの人々の中から、王の血統の者と、貴族たる者数人とを、連れて来るように命じた。 + すなわち身に傷がなく、容姿が美しく、すべての知恵にさとく、知識があって、思慮深く、王の宮に仕えるに足る若者を連れてこさせ、これにカルデヤびとの文学と言語とを学ばせようとした。 + そして王は王の食べる食物と、王の飲む酒の中から、日々の分を彼らに与えて、三年のあいだ彼らを養い育て、その後、彼らをして王の前に、はべらせようとした。 + 彼らのうちに、ユダの部族のダニエル、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤがあった。 + 宦官の長は彼らに名を与えて、ダニエルをベルテシャザルと名づけ、ハナニヤをシャデラクと名づけ、ミシャエルをメシャクと名づけ、アザリヤをアベデネゴと名づけた。 + ダニエルは王の食物と、王の飲む酒とをもって、自分を汚すまいと、心に思い定めたので、自分を汚させることのないように、宦官の長に求めた。 + 神はダニエルをして、宦官の長の前に、恵みとあわれみとを得させられたので、 + 宦官の長はダニエルに言った、「わが主なる王は、あなたがたの食べ物と、飲み物とを定められたので、わたしはあなたがたの健康の状態が、同年輩の若者たちよりも悪いと、王が見られることを恐れるのです。そうすればあなたがたのために、わたしのこうべが、王の前に危くなるでしょう」。 + そこでダニエルは宦官の長がダニエル、ハナニヤ、ミシャエルおよびアザリヤの上に立てた家令に言った、 + 「どうぞ、しもべらを十日の間ためしてください。わたしたちにただ野菜を与えて食べさせ、水を飲ませ、 + そしてわたしたちの顔色と、王の食物を食べる若者の顔色とをくらべて見て、あなたの見るところにしたがって、しもべらを扱ってください」。 + 家令はこの事について彼らの言うところを聞きいれ、十日の間、彼らをためした。 + 十日の終りになってみると、彼らの顔色は王の食物を食べたすべての若者よりも美しく、また肉も肥え太っていた。 + それで家令は彼らの食物と、彼らの飲むべき酒とを除いて、彼らに野菜を与えた。 + この四人の者には、神は知識を与え、すべての文学と知恵にさとい者とされた。ダニエルはまたすべての幻と夢とを理解した。 + さて、王が命じたところの若者を召し入れるまでの日数が過ぎたので、宦官の町は彼らをネブカデネザルの前に連れていった。 + 王が彼らと語ってみると、彼らすべての中にはダニエル、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤにならぶ者がなかったので、彼らは王の前にはべることとなった。 + 王が彼らにさまざまの事を尋ねてみると、彼らは知恵と理解において、全国の博士、法術士にまさること十倍であった。 + ダニエルはクロス王の元年まで仕えていた。 + + + ネブカデネザルの治世の第二年に、ネブカデネザルは夢を見、そのために心に思い悩んで眠ることができなかった。 + そこで王は命じて王のためにその夢を解かせようと、博士、法術士、魔術士、カルデヤびとを召させたので、彼らはきて王の前に立った。 + 王は彼らにむかって、「わたしは夢を見たが、その夢を知ろうと心に思い悩んでいる」と言ったので、 + カルデヤびとらはアラム語で王に言った、「王よ、とこしえに生きながらえられますように。どうぞしもべらにその夢をお話しください。わたしたちはその解き明かしを申しあげましょう」。 + 王は答えてカルデヤびとに言った、「わたしの言うことは必ず行う。あなたがたがもしその夢と、その解き明かしを、わたしに示さないならば、あなたがたの身は切り裂かれ、あなたがたの家は滅ぼされる。 + しかし、その夢とその解き明かしとを示すならば、贈り物と報酬と大いなる栄誉とを、わたしから受けるだろう。それゆえその夢とその解き明かしとを、わたしに示しなさい」。 + 彼らは再び答えて言った、「王よ、しもべらにその夢をお話しください。そうすればわたしたちはその解き明かしを示しましょう」。 + 王は答えて言った、「あなたがたはわたしが言ったことは、必ず行うことを承知しているので、時を延ばそうとしているのを、わたしは確かに知っている。 + もしその夢をわたしに示さないならば、あなたがたの受ける刑罰はただ一つあるのみだ。あなたがたは一致して、偽りと、欺きの言葉をわたしの前に述べて、時の変るのを待とうとしているのだ。まずその夢をわたしに示しなさい。そうすれば、わたしはあなたがたがその解き明かしをも、示しうることを知るだろう」。 + カルデヤびとらは王の前に答えて言った、「世の中には王のその要求に応じうる者はひとりもありません。どんな大いなる力ある王でも、このような事を、博士、法術士、カルデヤびとに尋ねた者はありませんでした。 + 王の尋ねられる事はむずかしい事であって、肉なる者と共におられない神々を除いては、王の前にこれを示しうる者はないでしょう」。 + これによって王は怒り、かつ大いに憤り、バビロンの知者をすべて滅ぼせと命じた。 + この命令が発せられたので、知者らは殺されることになった。またダニエルとその同僚をも殺そうと求めた。 + そして王の侍衛の長アリオクが、バビロンの知者らを殺そうと出てきたので、ダニエルは思慮と知恵とをもってこれに応答した。 + すなわち王の高官アリオクに「どうして王はそんなにきびしい命令を出されたのですか」と言った。アリオクがその事をダニエルに告げ知らせると、 + ダニエルは王のところへはいっていって、その解き明かしを示すために、しばらくの時を与えられるよう王に願った。 + それからダニエルは家に帰り、同僚のハナニヤ、ミシャエルおよびアザリヤにこの事を告げ知らせ、 + 共にこの秘密について天の神のあわれみを請い、ダニエルとその同僚とが、他のバビロンの知者と共に滅ぼされることのないように求めた。 + ついに夜の幻のうちにこの秘密がダニエルに示されたので、ダニエルは天の神をほめたたえた。 + ダニエルは言った、「神のみ名は永遠より永遠に至るまでほむべきかな、知恵と権能とは神のものである。 + 神は時と季節とを変じ、王を廃し、王を立て、知者に知恵を与え、賢者に知識を授けられる。 + 神は深妙、秘密の事をあらわし、暗黒にあるものを知り、光をご自身のうちに宿す。 + わが先祖たちの神よ、あなたはわたしに知恵と力とを賜い、今われわれがあなたに請い求めたところのものをわたしに示し、王の求めたことをわれわれに示されたので、わたしはあなたに感謝し、あなたをさんびします」。 + そこでダニエルは、王がバビロンの知者たちを滅ぼすことを命じておいたアリオクのもとへ行って、彼にこう言った、「バビロンの知者たちを滅ぼしてはなりません。わたしを王の前に連れて行ってください。わたしはその解き明かしを王に示します」。 + アリオクは急いでダニエルを王の前に連れて行き、王にこう言った、「ユダから捕え移した者の中に、その解き明かしを王にお知らせすることのできる、ひとりの人を見つけました」。 + 王は答えて、ベルテシャザルという名のダニエルに言った、「あなたはわたしが見た夢と、その解き明かしとをわたしに知らせることができるのか」。 + ダニエルは王に答えて言った、「王が求められる秘密は、知者、法術士、博士、占い師など、これを王に示すことはできません。 + しかし秘密をあらわすひとりの神が天におられます。彼は後の日に起るべき事を、ネブカデネザル王に知らされたのです。あなたの夢と、あなたが床にあって見た脳中の幻はこれです。 + 王よ、あなたが床におられたとき、この後どんな事があろうかと、思いまわされたが、秘密をあらわされるかたが、将来どんな事が起るかを、あなたに知らされたのです。 + この秘密をわたしにあらわされたのは、すべての生ける者にまさって、わたしに知恵があるためではなく、ただその解き明かしを、王にお知らせすることによって、あなたが心に思われたことを、お知りになるためです。 + 王よ、あなたは一つの大いなる像が、あなたの前に立っているのを見られました。その像は大きく、非常に光り輝いて、恐ろしい外観をもっていました。 + その像の頭は純金、胸と両腕とは銀、腹と、ももとは青銅、 + すねは鉄、足の一部は鉄、一部は粘土です。 + あなたが見ておられたとき、一つの石が人手によらずに切り出されて、その像の鉄と粘土との足を撃ち、これを砕きました。 + こうして鉄と、粘土と、青銅と、銀と、金とはみな共に砕けて、夏の打ち場のもみがらのようになり、風に吹き払われて、あとかたもなくなりました。ところがその像を撃った石は、大きな山となって全地に満ちました。 + これがその夢です。今わたしたちはその解き明かしを、王の前に申しあげましょう。 + 王よ、あなたは諸王の王であって、天の神はあなたに国と力と勢いと栄えとを賜い、 + また人の子ら、野の獣、空の鳥はどこにいるものでも、皆これをあなたの手に与えて、ことごとく治めさせられました。あなたはあの金の頭です。 + あなたの後にあなたに劣る一つの国が起ります。また第三に青銅の国が起って、全世界を治めるようになります。 + 第四の国は鉄のように強いでしょう。鉄はよくすべての物をこわし砕くからです。鉄がこれらをことごとく打ち砕くように、その国はこわし砕くでしょう。 + あなたはその足と足の指を見られましたが、その一部は陶器師の粘土、一部は鉄であったので、それは分裂した国をさします。しかしあなたが鉄と粘土との混じったのを見られたように、その国には鉄の強さがあるでしょう。 + その足の指の一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。 + あなたが鉄と粘土との混じったのを見られたように、それらは婚姻によって、互に混ざるでしょう。しかし鉄と粘土とは相混じらないように、かれとこれと相合することはありません。 + それらの王たちの世に、天の神は一つの国を立てられます。これはいつまでも滅びることがなく、その主権は他の民にわたされず、かえってこれらのもろもろの国を打ち破って滅ぼすでしょう。そしてこの国は立って永遠に至るのです。 + 一つの石が人手によらずに山から切り出され、その石が鉄と、青銅と、粘土と、銀と、金とを打ち砕いたのを、あなたが見られたのはこの事です。大いなる神がこの後に起るべきことを、王に知らされたのです。その夢はまことであって、この解き明かしは確かです」。 + そこでネブカデネザル王はひれ伏して、ダニエルを拝し、供え物と薫香とを、彼にささげることを命じた。 + そして王はダニエルに答えて言った、「あなたがこの秘密をあらわすことができたのを見ると、まことに、あなたがたの神は神々の神、王たちの主であって、秘密をあらわされるかただ」。 + こうして王はダニエルに高い位を授け、多くの大いなる贈り物を与えて、彼をバビロン全州の総督とし、またバビロンの知者たちを統轄する者の長とした。 + 王はまたダニエルの願いによって、シャデラクとメシャクとアベデネゴを任命して、バビロン州の事務をつかさどらせた。ただしダニエルは王の宮にとどまっていた。 + + + ネブカデネザル王は一つの金の像を造った。その高さは六十キュビト、その幅は六キュビトで、彼はこれをバビロン州のドラの平野に立てた。 + そしてネブカデネザル王は、総督、長官、知事、参議、庫官、法官、高僧および諸州の官吏たちを召し集め、ネブカデネザル王の立てたこの像の落成式に臨ませようとした。 + そこで、総督、長官、知事、参議、庫官、法官、高僧および諸州の官吏たちは、ネブカデネザル王の立てた像の落成式に臨み、そのネブカデネザルの立てた像の前に立った。 + 時に伝令者は大声に呼ばわって言った、「諸民、諸族、諸国語の者よ、あなたがたにこう命じられる。 + 角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞く時は、ひれ伏してネブカデネザル王の立てた金の像を拝まなければならない。 + だれでもひれ伏して拝まない者は、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる」と。 + そこで民らはみな、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞くや、諸民、諸族、諸国語の者たちはみな、ひれ伏して、ネブカデネザル王の立てた金の像を拝んだ。 + その時、あるカルデヤびとらが進みきて、ユダヤ人をあしざまに訴えた。 + すなわち彼らはネブカデネザル王に言った、「王よ、とこしえに生きながらえられますように。 + 王よ、あなたは命令を出して仰せられました。すべて、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞く者は皆、ひれ伏して金の像を拝まなければならない。 + また、だれでもひれ伏して拝まない者はみな、火の燃える炉の中に投げ込まれると。 + ここにあなたが任命して、バビロン州の事務をつかさどらせられているユダヤ人シャデラク、メシャクおよびアベデネゴがおります。王よ、この人々はあなたを尊ばず、あなたの神々にも仕えず、あなたの立てられた金の像をも拝もうとしません」。 + そこでネブカデネザルは怒りかつ憤って、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを連れてこいと命じたので、この人々を王の前に連れてきた。 + ネブカデネザルは彼らに言った、「シャデラク、メシャク、アベデネゴよ、あなたがたがわが神々に仕えず、またわたしの立てた金の像を拝まないとは、ほんとうなのか。 + あなたがたがもし、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞くときにひれ伏して、わたしが立てた像を、ただちに拝むならば、それでよろしい。しかし、拝むことをしないならば、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる。いったい、どの神が、わたしの手からあなたがたを救うことができようか」。 + シャデラク、メシャクおよびアベデネゴは王に答えて言った、「ネブカデネザルよ、この事について、お答えする必要はありません。 + もしそんなことになれば、わたしたちの仕えている神は、その火の燃える炉から、わたしたちを救い出すことができます。また王よ、あなたの手から、わたしたちを救い出されます。 + たといそうでなくても、王よ、ご承知ください。わたしたちはあなたの神々に仕えず、またあなたの立てた金の像を拝みません」。 + そこでネブカデネザルは怒りに満ち、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴにむかって、顔色を変え、炉を平常よりも七倍熱くせよと命じた。 + またその軍勢の中の力の強い人々を呼んで、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを縛って、彼らを火の燃える炉の中に投げ込めと命じた。 + そこでこの人々は、外套、下着、帽子、その他の衣服のまま縛られて、火の燃える炉の中に投げ込まれた。 + 王の命令はきびしく、かつ炉は、はなはだしく熱していたので、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを引きつれていった人々は、その火炎に焼き殺された。 + シャデラク、メシャク、アベデネゴの三人は縛られたままで、火の燃える炉の中に落ち込んだ。 + その時、ネブカデネザル王は驚いて急ぎ立ちあがり、大臣たちに言った、「われわれはあの三人を縛って、火の中に投げ入れたではないか」。彼らは王に答えて言った、「王よ、そのとおりです」。 + 王は答えて言った、「しかし、わたしの見るのに四人の者がなわめなしに、火の中を歩いているが、なんの害をも受けていない。その第四の者の様子は神の子のようだ」。 + そこでネブカデネザルは、その火の燃える炉の入口に近寄って、「いと高き神のしもべシャデラク、メシャク、アベデネゴよ、出てきなさい」と言ったので、シャデラク、メシャク、アベデネゴはその火の中から出てきた。 + 総督、長官、知事および王の大臣たちも集まってきて、この人々を見たが、火は彼らの身にはなんの力もなく、その頭の毛は焼けず、その外套はそこなわれず、火のにおいもこれに付かなかった。 + ネブカデネザルは言った、「シャデラク、メシャク、アベデネゴの神はほむべきかな。神はその使者をつかわして、自分に寄り頼むしもべらを救った。また彼らは自分の神以外の神に仕え、拝むよりも、むしろ王の命令を無視し、自分の身をも捨てようとしたのだ。 + それでわたしはいま命令を下す。諸民、諸族、諸国語の者のうちだれでも、シャデラク、メシャク、アベデネゴの神をののしる者があるならば、その身は切り裂かれ、その家は滅ぼされなければならない。このように救を施すことのできる神は、ほかにないからだ」。 + こうして、王はシャデラク、メシャクおよびアベデネゴの位を進めて、バビロン州におらせた。 + + + ネブカデネザル王は全世界に住む諸民、諸族、諸国語の者に告げる。どうか、あなたがたに平安が増すように。 + いと高き神はわたしにしるしと奇跡とを行われた。わたしはこれを知らせたいと思う。 + ああ、そのしるしの大いなること、ああ、その奇跡のすばらしいこと、その国は永遠の国、その主権は世々に及ぶ。 + われネブカデネザルはわが家に安らかにおり、わが宮にあって栄えていたが、 + わたしは一つの夢を見て、そのために恐れた。すなわち床にあって、その事を思いめぐらし、わが脳中の幻のために心を悩ました。 + そこでわたしは命令を下し、バビロンの知者をことごとくわが前に召し寄せて、その夢の解き明かしを示させようとした。 + すると、博士、法術士、カルデヤびと、占い師たちがきたので、わたしはその夢を彼らに語ったが、彼らはその解き明かしを示すことができなかった。 + 最後にダニエルがわたしの前にきた、――彼の名はわが神の名にちなんで、ベルテシャザルととなえられ、彼のうちには聖なる神の霊がやどっていた――わたしは彼にその夢を語って言った、 + 「博士の長ベルテシャザルよ、わたしは知っている。聖なる神の霊があなたのうちにやどっているから、どんな秘密もあなたにはむずかしいことはない。ここにわたしが見た夢がある。その解き明かしをわたしに告げなさい。 + わたしが床にあって見た脳中の幻はこれである。わたしが見たのに、地の中央に一本の木があって、そのたけが高かったが、 + その木は成長して強くなり、天に達するほどの高さになって、地の果までも見えわたり、 + その葉は美しく、その実は豊かで、すべての者がその中から食物を獲、また野の獣はその陰にやどり、空の鳥はその枝にすみ、すべての肉なる者はこれによって養われた。 + わたしが床にあって見た脳中の幻の中に、ひとりの警護者、ひとりの聖者の天から下るのを見たが、 + 彼は声高く呼ばわって、こう言った、『この木を切り倒し、その枝を切りはらい、その葉をゆり落し、その実を打ち散らし、獣をその下から逃げ去らせ、鳥をその枝から飛び去らせよ。 + ただしその根の切り株を地に残し、それに鉄と青銅のなわをかけて、野の若草の中におき、天からくだる露にぬれさせ、また地の草の中で、獣と共にその分にあずからせよ。 + またその心は変って人間の心のようでなく、獣の心が与えられて、七つの時を過ごさせよ。 + この宣言は警護者たちの命令によるもの、この決定は聖者たちの言葉によるもので、いと高き者が、人間の国を治めて、自分の意のままにこれを人に与え、また人のうちの最も卑しい者を、その上に立てられるという事を、すべての者に知らせるためである』と。 + われネブカデネザル王はこの夢を見た。ベルテシャザルよ、あなたはその解き明かしをわたしに告げなさい。わが国の知者たちは、いずれもその解き明かしを、わたしに示すことができなかったけれども、あなたにはそれができる。あなたのうちには、聖なる神の霊がやどっているからだ」。 + その時、その名をベルテシャザルととなえるダニエルは、しばらくのあいだ驚き、思い悩んだので、王は彼に告げて言った、「ベルテシャザルよ、あなたはこの夢と、その解き明かしのために、悩むには及ばない」。ベルテシャザルは答えて言った、「わが主よ、どうか、この夢は、あなたを憎む者にかかわるように。この解き明かしは、あなたの敵に臨むように。 + あなたが見られた木、すなわちその成長して強くなり、天に達するほどの高さになって、地の果までも見えわたり、 + その葉は美しく、その実は豊かで、すべての者がその中から食物を獲、また野の獣がその陰にやどり、空の鳥がその枝に住んだ木、 + 王よ、それはすなわちあなたです。あなたは成長して強くなり、天に達するほどに大きくなり、あなたの主権は地の果にまで及びました。 + ところが、王はひとりの警護者、ひとりの聖者が、天から下って、こう言うのを見られました、『この木を切り倒して、これを滅ぼせ。ただしその根の切り株を地に残し、それに鉄と青銅のなわをかけて、野の若草の中におき、天からくだる露にぬれさせ、また野の獣と共にその分にあずからせて、七つの時を過ごさせよ』と。 + 王よ、その解き明かしはこうです。すなわちこれはいと高き者の命令であって、わが主なる王に臨まんとするものです。 + すなわちあなたは追われて世の人を離れ、野の獣と共におり、牛のように草を食い、天からくだる露にぬれるでしょう。こうして七つの時が過ぎて、ついにあなたは、いと高き者が人間の国を治めて、自分の意のままに、これを人に与えられることを知るに至るでしょう。 + また彼らはその木の根の切り株を残しおけと命じたので、あなたが、天はまことの支配者であるということを知った後、あなたの国はあなたに確保されるでしょう。 + それゆえ王よ、あなたはわたしの勧告をいれ、義を行って罪を離れ、しえたげられる者をあわれんで、不義を離れなさい。そうすれば、あるいはあなたの繁栄が、長く続くかもしれません」。 + この事は皆ネブカデネザル王に臨んだ。 + 十二か月を経て後、王がバビロンの王宮の屋上を歩いていたとき、 + 王は自ら言った、「この大いなるバビロンは、わたしの大いなる力をもって建てた王城であって、わが威光を輝かすものではないか」。 + その言葉がなお王の口にあるうちに、天から声がくだって言った、「ネブカデネザル王よ、あなたに告げる。国はあなたを離れ去った。 + あなたは、追われて世の人を離れ、野の獣と共におり、牛のように草を食い、こうして七つの時を経て、ついにあなたは、いと高き者が人間の国を治めて、自分の意のままに、これを人に与えられることを知るに至るだろう」。 + この言葉は、ただちにネブカデネザルに成就した。彼は追われて世の人を離れ、牛のように草を食い、その身は天からくだる露にぬれ、ついにその毛は、わしの羽のようになり、そのつめは鳥のつめのようになった。 + こうしてその期間が満ちた後、われネブカデネザルは、目をあげて天を仰ぎ見ると、わたしの理性が自分に帰ったので、わたしはいと高き者をほめ、その永遠に生ける者をさんびし、かつあがめた。その主権は永遠の主権、その国は世々かぎりなく、 + 地に住む民はすべて無き者のように思われ、天の衆群にも、地に住む民にも、彼はその意のままに事を行われる。だれも彼の手をおさえて「あなたは何をするのか」と言いうる者はない。 + この時わたしの理性は自分に帰り、またわが国の光栄のために、わが尊厳と光輝とが、わたしに帰った。わが大臣、わが貴族らもきて、わたしに求め、わたしは国の上に堅く立って、前にもまさって大いなる者となった。 + そこでわれネブカデネザルは今、天の王をほめたたえ、かつあがめたてまつる。そのみわざはことごとく真実で、その道は正しく、高ぶり歩む者を低くされる。 + + + ベルシャザル王は、その大臣一千人のために、盛んな酒宴を設け、その一千人の前で酒を飲んでいた。 + 酒が進んだとき、ベルシャザルは、その父ネブカデネザルがエルサレムの神殿から取ってきた金銀の器を持ってこいと命じた。王とその大臣たち、および王の妻とそばめらが、これをもって酒を飲むためであった。 + そこで人々はそのエルサレムの神の宮すなわち神殿から取ってきた金銀の器を持ってきたので、王とその大臣たち、および王の妻とそばめらは、これをもって飲んだ。 + すなわち彼らは酒を飲んで、金、銀、青銅、鉄、木、石などの神々をほめたたえた。 + すると突然人の手の指があらわれて、燭台と相対する王の宮殿の塗り壁に物を書いた。王はその物を書いた手の先を見た。 + そのために王の顔色は変り、その心は思い悩んで乱れ、その腰のつがいはゆるみ、ひざは震えて互に打ちあった。 + 王は大声に呼ばわって、法術士、カルデヤびと、占い師らを召してこさせた。王はバビロンの知者たちに告げて言った、「この文字を読み、その解き明かしをわたしに示す者には紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけさせて、国の第三のつかさとしよう」と。 + 王の知者たちは皆はいってきた。しかしその文字を読むことができず、またその解き明かしを王に示すことができなかったので、 + ベルシャザル王は大いに思い悩んで、その顔色は変り、王の大臣たちも当惑した。 + 時に王妃は王と大臣たちの言葉を聞いて、その宴会場にはいってきた。そして王妃は言った、「王よ、どうか、とこしえに生きながらえられますように。あなたは心に思い悩んではなりません。また顔色を変えるには及びません。 + あなたの国には、聖なる神の霊のやどっているひとりの人がおります。あなたの父の代に、彼は、明知、分別および神のような知恵のあることをあらわしました。あなたの父ネブカデネザル王は、彼を立てて、博士、法術士、カルデヤびと、占い師らの長とされました。 + 彼は、王がベルテシャザルという名を与えたダニエルという者ですが、このダニエルには、すぐれた霊、知識、分別があって、夢を解き、なぞを解き、難問を解くことができます。ゆえにダニエルを召しなさい。彼はその解き明かしを示すでしょう」。 + そこでダニエルは王の前に召された。王はダニエルに言った、「あなたは、わが父の王が、ユダからひきつれてきたユダの捕囚のひとりなのか。 + 聞くところによると、あなたのうちには、聖なる神の霊がやどっていて、明知、分別および非凡な知恵があるそうだ。 + わたしは、知者、法術士らを、わが前に召しよせて、この文字を読ませ、その解き明かしを示させようとしたが、彼らは、この事の解き明かしを示すことができなかった。 + しかしまた聞くところによると、あなたは解き明かしをなし、かつ難問を解くことができるそうだ。それで、あなたがもし、この文字を読み、その解き明かしをわたしに示すことができたなら、あなたに紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけさせて、この国の第三のつかさとしよう」。 + ダニエルは王の前に答えて言った、「あなたの賜物は、あなたご自身にとっておき、あなたの贈り物は、他人にお与えください。それでも、わたしは王のためにその文字を読み、その解き明かしをお知らせいたしましょう。 + 王よ、いと高き神はあなたの父ネブカデネザルに国と権勢と、光栄と尊厳とを賜いました。 + 彼に権勢を賜わったことによって、諸民、諸族、諸国語の者はみな、彼の前におののき恐れました。彼は自分の欲する者を殺し、自分の欲する者を生かし、自分の欲する者を上げ、自分の欲する者を下しました。 + しかし彼は心に高ぶり、かたくなになり、ごうまんにふるまったので、王位からしりぞけられ、その光栄を奪われ、 + 追われて世の人と離れ、その思いは獣のようになり、そのすまいは野ろばと共にあり、牛のように草を食い、その身は天からくだる露にぬれ、こうしてついに彼は、いと高き神が人間の国を治めて、自分の意のままに人を立てられるということを、知るようになりました。 + ベルシャザルよ、あなたは彼の子であって、この事をことごとく知っていながら、なお心を低くせず、 + かえって天の主にむかって、みずから高ぶり、その宮の器物をあなたの前に持ってこさせ、あなたとあなたの大臣たちと、あなたの妻とそばめたちは、それをもって酒を飲み、そしてあなたは見ることも、聞くことも、物を知ることもできない金、銀、青銅、鉄、木、石の神々をほめたたえたが、あなたの命をその手ににぎり、あなたのすべての道をつかさどられる神をあがめようとはしなかった。 + それゆえ、彼の前からこの手が出てきて、この文字が書きしるされたのです。 + そのしるされた文字はこうです。メネ、メネ、テケル、ウパルシン。 + その事の解き明かしはこうです、メネは神があなたの治世を数えて、これをその終りに至らせたことをいうのです。 + テケルは、あなたがはかりで量られて、その量の足りないことがあらわれたことをいうのです。 + ペレスは、あなたの国が分かたれて、メデアとペルシャの人々に与えられることをいうのです」。 + そこでベルシャザルは命じて、ダニエルに紫の衣を着せ、金の鎖をその首にかけさせ、彼について布告を発して、彼は国の第三のつかさであると言わせた。 + カルデヤびとの王ベルシャザルは、その夜のうちに殺され、 + メデアびとダリヨスが、その国を受けた。この時ダリヨスは、おおよそ六十二歳であった。 + + + ダリヨスは全国を治めるために、その国に百二十人の総督を立てることをよしとし、 + また彼らの上に三人の総監を立てた。ダニエルはそのひとりであった。これは総督たちをして、この三人の前に、その職務に関する報告をさせて、王に損失の及ぶことのないようにするためであった。 + ダニエルは彼のうちにあるすぐれた霊のゆえに、他のすべての総監および総督たちにまさっていたので、王は彼を立てて全国を治めさせようとした。 + そこで総監および総督らは、国事についてダニエルを訴えるべき口実を得ようとしたが、訴えるべきなんの口実も、なんのとがをも見いだすことができなかった。それは彼が忠信な人であって、その身になんのあやまちも、とがも見いだされなかったからである。 + そこでその人々は言った、「われわれはダニエルの神の律法に関して、彼を訴える口実を得るのでなければ、ついに彼を訴えることはできまい」と。 + こうして総監と総督らは、王のもとに集まってきて、王に言った、「ダリヨス王よ、どうかとこしえに生きながらえられますように。 + 国の総監、長官および総督、参議および知事らは、相はかって、王が一つのおきてを立て、一つの禁令を定められるよう求めることになりました。王よ、それはこうです。すなわち今から三十日の間は、ただあなたにのみ願い事をさせ、もしあなたをおいて、神または人にこれをなす者があれば、すべてその者を、ししの穴に投げ入れるというのです。 + それで王よ、その禁令を定め、その文書に署名して、メデアとペルシャの変ることのない法律のごとく、これを変えることのできないようにしてください」。 + そこでダリヨス王は、その禁令の文書に署名した。 + ダニエルは、その文書の署名されたことを知って家に帰り、二階のへやの、エルサレムに向かって窓の開かれた所で、以前からおこなっていたように、一日に三度ずつ、ひざをかがめて神の前に祈り、かつ感謝した。 + そこでその人々は集まってきて、ダニエルがその神の前に祈り、かつ求めていることを見たので、 + 彼らは王の前にきて、王の禁令について奏上して言った、「王よ、あなたは禁令に署名して、今から三十日の間は、ただあなたにのみ願い事をさせ、もしあなたをおいて、神または人に、これをなす者があれば、すべてその者を、ししの穴に投げ入れると、定められたではありませんか」。王は答えて言った、「その事は確かであって、メデアとペルシャの法律のごとく、変えることのできないものだ」。 + 彼らは王の前に答えて言った、「王よ、ユダから引いてきた捕囚のひとりである、かのダニエルは、あなたをも、あなたの署名された禁令をも顧みず、一日に三度ずつ、祈をささげています」。 + 王はこの言葉を聞いて大いに憂え、ダニエルを救おうと心を用い、日の入るまで、彼を救い出すことに努めた。 + 時にその人々は、また王のもとに集まってきて、王に言った、「王よ、メデアとペルシャの法律によれば、王の立てた禁令、または、おきては変えることのできないものであることを、ご承知ください」。 + そこで王は命令を下したので、ダニエルは引き出されて、ししの穴に投げ入れられた。王はダニエルに言った、「どうか、あなたの常に仕える神が、あなたを救われるように」。 + そして一つの石を持ってきて、穴の口をふさいだので、王は自分の印と、大臣らの印をもって、これに封印した。これはダニエルの処置を変えることのないようにするためであった。 + こうして王はその宮殿に帰ったが、その夜は食をとらず、また、そばめたちを召し寄せず、全く眠ることもしなかった。 + こうして王は朝まだき起きて、ししの穴へ急いで行ったが、 + ダニエルのいる穴に近づいたとき、悲しげな声をあげて呼ばわり、ダニエルに言った、「生ける神のしもべダニエルよ、あなたが常に仕えている神はあなたを救って、ししの害を免れさせることができたか」。 + ダニエルは王に言った、「王よ、どうか、とこしえに生きながらえられますように。 + わたしの神はその使をおくって、ししの口を閉ざされたので、ししはわたしを害しませんでした。これはわたしに罪のないことが、神の前に認められたからです。王よ、わたしはあなたの前にも、何も悪い事をしなかったのです」。 + そこで王は大いに喜び、ダニエルを穴の中から出せと命じたので、ダニエルは穴の中から出されたが、その身になんの害をも受けていなかった。これは彼が自分の神を頼みとしていたからである。 + 王はまた命令を下して、ダニエルをあしざまに訴えた人々を引いてこさせ、彼らをその妻子と共に、ししの穴に投げ入れさせた。彼らが穴の底に達しないうちに、ししは彼らにとびかかって、その骨までもかみ砕いた。 + そこでダリヨス王は全世界に住む諸民、諸族、諸国語の者に詔を書きおくって言った、「どうか、あなたがたに平安が増すように。 + わたしは命令を出す。わが国のすべての州の人は、皆ダニエルの神を、おののき恐れなければならない。彼は生ける神であって、とこしえに変ることなく、その国は滅びず、その主権は終りまで続く。 + 彼は救を施し、助けをなし、天においても、地においても、しるしと奇跡とをおこない、ダニエルを救って、ししの力をのがれさせたかたである」。 + こうして、このダニエルはダリヨスの世と、ペルシャ人クロスの世において栄えた。 + + + バビロンの王ベルシャザルの元年に、ダニエルは床にあって夢を見、また脳中に幻を得たので、彼はその夢をしるして、その事の大意を述べた。 + ダニエルは述べて言った、「わたしは夜の幻のうちに見た。見よ、天の四方からの風が大海をかきたてると、 + 四つの大きな獣が海からあがってきた。その形は、おのおの異なり、 + 第一のものは、ししのようで、わしの翼をもっていたが、わたしが見ていると、その翼は抜きとられ、また地から起されて、人のように二本の足で立たせられ、かつ人の心が与えられた。 + 見よ、第二の獣は熊のようであった。これはそのからだの一方をあげ、その口の歯の間に、三本の肋骨をくわえていたが、これに向かって『起きあがって、多くの肉を食らえ』と言う声があった。 + その後わたしが見たのは、ひょうのような獣で、その背には鳥の翼が四つあった。またこの獣には四つの頭があり、主権が与えられた。 + その後わたしが夜の幻のうちに見た第四の獣は、恐ろしい、ものすごい、非常に強いもので、大きな鉄の歯があり、食らい、かつ、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは、その前に出たすべての獣と違って、十の角を持っていた。 + わたしが、その角を注意して見ていると、その中に、また一つの小さい角が出てきたが、この小さい角のために、さきの角のうち三つがその根から抜け落ちた。見よ、この小さい角には、人の目のような目があり、また大きな事を語る口があった。 + わたしが見ていると、もろもろのみ座が設けられて、日の老いたる者が座しておられた。その衣は雪のように白く、頭の毛は混じりもののない羊の毛のようであった。そのみ座は火の炎であり、その車輪は燃える火であった。 + 彼の前から、ひと筋の火の流れが出てきた。彼に仕える者は千々、彼の前にはべる者は万々、審判を行う者はその席に着き、かずかずの書き物が開かれた。 + わたしは、その角の語る大いなる言葉の声がするので見ていたが、わたしが見ている間にその獣は殺され、そのからだはそこなわれて、燃える火に投げ入れられた。 + その他の獣はその主権を奪われたが、その命は、時と季節の来るまで延ばされた。 + わたしはまた夜の幻のうちに見ていると、見よ、人の子のような者が、天の雲に乗ってきて、日の老いたる者のもとに来ると、その前に導かれた。 + 彼に主権と光栄と国とを賜い、諸民、諸族、諸国語の者を彼に仕えさせた。その主権は永遠の主権であって、なくなることがなく、その国は滅びることがない。 + そこで、われダニエル、わがうちなる霊は憂え、わが脳中の幻は、わたしを悩ましたので、 + わたしは、そこに立っている者のひとりに近寄って、このすべての事の真意を尋ねた。するとその者は、わたしにこの事の解き明かしを告げ知らせた。 + 『この四つの大きな獣は、地に起らんとする四人の王である。 + しかしついには、いと高き者の聖徒が国を受け、永遠にその国を保って、世々かぎりなく続く』。 + そこでわたしは、さらに第四の獣の真意を知ろうとした。その獣は他の獣と異なって、はなはだ恐ろしく、その歯は鉄、そのつめは青銅であって、食らい、かつ、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。 + この獣の頭には、十の角があったが、そのほかに一つの角が出てきたので、この角のために、三つの角が抜け落ちた。この角には目があり、また大きな事を語る口があって、その形は、その同類のものよりも大きく見えた。 + わたしが見ていると、この角は聖徒と戦って、彼らに勝ったが、 + ついに日の老いたる者がきて、いと高き者の聖徒のために審判をおこなった。そしてその時がきて、この聖徒たちは国を受けた。 + 彼はこう言った、『第四の獣は地上の第四の国である。これはすべての国と異なって、全世界を併合し、これを踏みつけ、かつ打ち砕く。 + 十の角はこの国から起る十人の王である。その後にまたひとりの王が起る。彼は先の者と異なり、かつ、その三人の王を倒す。 + 彼は、いと高き者に敵して言葉を出し、かつ、いと高き者の聖徒を悩ます。彼はまた時と律法とを変えようと望む。聖徒はひと時と、ふた時と、半時の間、彼の手にわたされる。 + しかし審判が行われ、彼の主権は奪われて、永遠に滅び絶やされ、 + 国と主権と全天下の国々の権威とは、いと高き者の聖徒たる民に与えられる。彼らの国は永遠の国であって、諸国の者はみな彼らに仕え、かつ従う』。 + その事はここで終った。われダニエルは、これを思いまわして、非常に悩み、顔色も変った。しかし、わたしはこの事を心に留めた」。 + + + われダニエルは先に幻を見たが、後またベルシャザル王の治世の第三年に、一つの幻がわたしに示された。 + その幻を見たのは、エラム州の首都スサにいた時であって、ウライ川のほとりにおいてであった。 + わたしが目をあげて見ると、川の岸に一匹の雄羊が立っていた。これに二つの角があって、その角は共に長かったが、一つの角は他の角よりも長かった。その長いのは後に伸びたのである。 + わたしが見ていると、その雄羊は、西、北、南にむかって突撃したが、これに当ることのできる獣は一匹もなく、またその手から救い出すことのできるものもなかった。これはその心のままにふるまい、みずから高ぶっていた。 + わたしがこれを考え、見ていると、一匹の雄やぎが、全地のおもてを飛びわたって西からきたが、その足は土を踏まなかった。このやぎには、目の間に著しい一つの角があった。 + この者は、さきにわたしが川の岸に立っているのを見た、あの二つの角のある雄羊にむかってきて、激しく怒ってこれに走り寄った。 + わたしが見ていると、それが雄羊に近寄るや、これにむかって怒りを発し、雄羊を撃って、その二つの角を砕いた。雄羊には、これに当る力がなかったので、やぎは雄羊を地に打ち倒して踏みつけた。また、その雄羊を、やぎの力から救いうる者がなかった。 + こうして、その雄やぎは、はなはだしく高ぶったが、その盛んになった時、あの大きな角が折れて、その代りに四つの著しい角が生じ、天の四方に向かった。 + その角の一つから、一つの小さい角が出て、南に向かい、東に向かい、麗しい地に向かって、はなはだしく大きくなり、 + 天の衆群に及ぶまでに大きくなり、星の衆群のうちの数個を地に投げ下して、これを踏みつけ、 + またみずから高ぶって、その衆群の主に敵し、その常供の燔祭を取り除き、かつその聖所を倒した。 + そしてその衆群は、罪によって、常供の燔祭と共に、これにわたされた。その角はまた真理を地に投げうち、ほしいままにふるまって、みずから栄えた。 + それから、わたしはひとりの聖者の語っているのを聞いた。またひとりの聖者があって、その語っている聖者にむかって言った、「常供の燔祭と、荒すことをなす罪と、聖所とその衆群がわたされて、足の下に踏みつけられることについて、幻にあらわれたことは、いつまでだろうか」と。 + 彼は言った、「二千三百の夕と朝の間である。そして聖所は清められてその正しい状態に復する」。 + われダニエルはこの幻を見て、その意味を知ろうと求めていた時、見よ、人のように見える者が、わたしの前に立った。 + わたしはウライ川の両岸の間から人の声が出て、呼ばわるのを聞いた、「ガブリエルよ、この幻をその人に悟らせよ」。 + すると彼はわたしの立っている所にきた。彼がきたとき、わたしは恐れて、ひれ伏した。しかし、彼はわたしに言った、「人の子よ、悟りなさい。この幻は終りの時にかかわるものです」。 + 彼がわたしに語っていた時、わたしは地にひれ伏して、深い眠りに陥ったが、彼はわたしに手を触れ、わたしを立たせて、 + 言った、「見よ、わたしは憤りの終りの時に起るべきことを、あなたに知らせよう。それは定められた終りの時にかかわるものであるから。 + あなたが見た、あの二つの角のある雄羊は、メデアとペルシャの王です。 + また、かの雄やぎはギリシヤの王です、その目の間の大きな角は、その第一の王です。 + またその角が折れて、その代りに四つの角が生じたのは、その民から四つの国が起るのです。しかし、第一の王のような勢力はない。 + 彼らの国の終りの時になり、罪びとの罪が満ちるに及んで、ひとりの王が起るでしょう。その顔は猛悪で、彼はなぞを解き、 + その勢力は盛んであって、恐ろしい破壊をなし、そのなすところ成功して、有力な人々と、聖徒である民を滅ぼすでしょう。 + 彼は悪知恵をもって、偽りをその手におこない遂げ、みずから心に高ぶり、不意に多くの人を打ち滅ぼし、また君の君たる者に敵するでしょう。しかし、ついに彼は人手によらずに滅ぼされるでしょう。 + 先に示された朝夕の幻は真実です。しかし、あなたはその幻を秘密にしておかなければならない。これは多くの日の後にかかわる事だから」。 + われダニエルは疲れはてて、数日の間病みわずらったが、後起きて、王の事務を執った。しかし、わたしはこの幻の事を思って驚いた。またこれを悟ることができなかった。 + + + メデアびとアハシュエロスの子ダリヨスが、カルデヤびとの王となったその元年、 + すなわちその治世の第一年に、われダニエルは主が預言者エレミヤに臨んで告げられたその言葉により、エルサレムの荒廃の終るまでに経ねばならぬ年の数は七十年であることを、文書によって悟った。 + それでわたしは、わが顔を主なる神に向け、断食をなし、荒布を着、灰をかぶって祈り、かつ願い求めた。 + すなわちわたしは、わが神、主に祈り、ざんげして言った、「ああ、大いなる恐るべき神、主、おのれを愛し、おのれの戒めを守る者のために契約を保ち、いつくしみを施される者よ、 + われわれは罪を犯し、悪をおこない、よこしまなふるまいをなし、そむいて、あなたの戒めと、おきてを離れました。 + われわれはまた、あなたのしもべなる預言者たちが、あなたの名をもって、われわれの王たち、君たち、先祖たち、および国のすべての民に告げた言葉に聞き従いませんでした。 + 主よ、正義はあなたのものですが、恥はわれわれに加えられて、今日のような有様です。すなわちユダの人々、エルサレムの住民および全イスラエルの者は、近き者も、遠き者もみな、あなたが追いやられたすべての国々で恥をこうむりました。これは彼らがあなたにそむいて犯した罪によるのです。 + 主よ、恥はわれわれのもの、われわれの王たち、君たちおよび先祖たちのものです。これはわれわれがあなたにむかって罪を犯したからです。 + あわれみと、ゆるしはわれわれの神、主のものです。これはわれわれが彼にそむいたからです。 + またわれわれの神、主のみ声に聞き従わず、主がそのしもべ預言者たちによって、われわれの前に賜わった律法を行わなかったからです。 + まことにイスラエルの人々は皆あなたの律法を犯し、離れ去って、あなたのみ声に聞き従わなかったので、神のしもべモーセの律法にしるされたのろいと誓いが、われわれの上に注ぎかかりました。これはわれわれが神にむかって罪を犯したからです。 + すなわち神は大いなる災をわれわれの上にくだして、さきにわれわれと、われわれを治めたつかさたちにむかって告げられた言葉を実行されたのです。あのエルサレムに臨んだような事は、全天下にいまだかつてなかった事です。 + モーセの律法にしるされたように、この災はすべてわれわれに臨みましたが、なおわれわれの神、主の恵みを請い求めることをせず、その不義を離れて、あなたの真理を悟ることをもしませんでした。 + それゆえ、主はこれを心に留めて、災をわれわれに下されたのです。われわれの神、主は、何事をされるにも、正しくあらせられます。ところが、われわれはそのみ声に聞き従わなかったのです。 + われわれの神、主よ、あなたは強きみ手をもって、あなたの民をエジプトの地から導き出して、今日のように、み名をあげられました。われわれは罪を犯し、よこしまなふるまいをしました。 + 主よ、どうぞあなたが、これまで正しいみわざをなされたように、あなたの町エルサレム、あなたの聖なる山から、あなたの怒りと憤りとを取り去ってください。これはわれわれの罪と、われわれの先祖の不義のために、エルサレムと、あなたの民が、われわれの周囲の者の物笑いとなったからです。 + それゆえ、われわれの神よ、しもべの祈と願いを聞いてください。主よ、あなたご自身のために、あの荒れたあなたの聖所に、あなたのみ顔を輝かせてください。 + わが神よ、耳を傾けて聞いてください。目を開いて、われわれの荒れたさまを見、み名をもってとなえられる町をごらんください。われわれがあなたの前に祈をささげるのは、われわれの義によるのではなく、ただあなたの大いなるあわれみによるのです。 + 主よ、聞いてください。主よ、ゆるしてください。主よ、み心に留めて、おこなってください。わが神よ、あなたご自身のために、これを延ばさないでください。あなたの町と、あなたの民は、み名をもってとなえられているからです」。 + わたしがこう言って祈り、かつわが罪とわが民イスラエルの罪をざんげし、わが神の聖なる山のために、わが神、主の前に願いをしていたとき、 + すなわちわたしが祈の言葉を述べていたとき、わたしが初めに幻のうちに見た、かの人ガブリエルは、すみやかに飛んできて、夕の供え物をささげるころ、わたしに近づき、 + わたしに告げて言った、「ダニエルよ、わたしは今あなたに、知恵と悟りを与えるためにきました。 + あなたが祈を始めたとき、み言葉が出たので、それをあなたに告げるためにきたのです。あなたは大いに愛せられている者です。ゆえに、このみ言葉を考えて、この幻を悟りなさい。 + あなたの民と、あなたの聖なる町については、七十週が定められています。これはとがを終らせ、罪に終りを告げ、不義をあがない、永遠の義をもたらし、幻と預言者を封じ、いと聖なる者に油を注ぐためです。 + それゆえ、エルサレムを建て直せという命令が出てから、メシヤなるひとりの君が来るまで、七週と六十二週あることを知り、かつ悟りなさい。その間に、しかも不安な時代に、エルサレムは広場と街路とをもって、建て直されるでしょう。 + その六十二週の後にメシヤは断たれるでしょう。ただし自分のためにではありません。またきたるべき君の民は、町と聖所とを滅ぼすでしょう。その終りは洪水のように臨むでしょう。そしてその終りまで戦争が続き、荒廃は定められています。 + 彼は一週の間多くの者と、堅く契約を結ぶでしょう。そして彼はその週の半ばに、犠牲と供え物とを廃するでしょう。また荒す者が憎むべき者の翼に乗って来るでしょう。こうしてついにその定まった終りが、その荒す者の上に注がれるのです」。 + + + ペルシャの王クロスの第三年に、ベルテシャザルと名づけられたダニエルに、一つの言葉が啓示されたが、その言葉は真実であり、大いなる戦いを意味するものであった。彼はその言葉に心を留め、その幻を悟った。 + そのころ、われダニエルは三週の間、悲しんでいた。 + すなわち三週間の全く満ちるまでは、うまい物を食べず、肉と酒とを口にせず、また身に油を塗らなかった。 + 正月の二十四日に、わたしがチグリスという大川の岸に立っていたとき、 + 目をあげて望み見ると、ひとりの人がいて、亜麻布の衣を着、ウパズの金の帯を腰にしめていた。 + そのからだは緑柱石のごとく、その顔は電光のごとく、その目は燃えるたいまつのごとく、その腕と足は、みがいた青銅のように輝き、その言葉の声は、群衆の声のようであった。 + この幻を見た者は、われダニエルのみであって、わたしと共にいた人々は、この幻を見なかったが、彼らは大いにおののいて、逃げかくれた。 + それでわたしひとり残って、この大いなる幻を見たので、力が抜け去り、わが顔の輝きは恐ろしく変って、全く力がなくなった。 + わたしはその言葉の声を聞いたが、その言葉の声を聞いたとき、顔を伏せ、地にひれ伏して、深い眠りに陥った。 + 見よ、一つの手があって、わたしに触れたので、わたしは震えながらひざまずき、手をつくと、 + 彼はわたしに言った、「大いに愛せられる人ダニエルよ、わたしがあなたに告げる言葉に心を留め、立ちあがりなさい。わたしは今あなたのもとにつかわされたのです」。彼がこの言葉をわたしに告げているとき、わたしは震えながら立ちあがった。 + すると彼はわたしに言った、「ダニエルよ、恐れるに及ばない。あなたが悟ろうと心をこめ、あなたの神の前に身を悩ましたその初めの日から、あなたの言葉は、すでに聞かれたので、わたしは、あなたの言葉のゆえにきたのです。 + ペルシャの国の君が、二十一日の間わたしの前に立ちふさがったが、天使の長のひとりであるミカエルがきて、わたしを助けたので、わたしは、彼をペルシャの国の君と共に、そこに残しておき、 + 末の日に、あなたの民に臨まんとする事を、あなたに悟らせるためにきたのです。この幻は、なおきたるべき日にかかわるものです」。 + 彼がこれらの言葉を、わたしに述べていたとき、わたしは、地にひれ伏して黙っていたが、 + 見よ、人の子のような者が、わたしのくちびるにさわったので、わたしは口を開き、わが前に立っている者に語って言った、「わが主よ、この幻によって、苦しみがわたしに臨み、全く力を失いました。 + わが主のしもべは、どうしてわが主と語ることができましょう。わたしは全く力を失い、息も止まるばかりです」。 + 人の形をした者は、再びわたしにさわり、わたしを力づけて、 + 言った、「大いに愛せられる人よ、恐れるには及ばない。安心しなさい。心を強くし、勇気を出しなさい」。彼がこう言ったとき、わたしは力づいて言った、「わが主よ、語ってください。あなたは、わたしに力をつけてくださったから」。 + そこで彼は言った、「あなたは、わたしがなんのためにきたかを知っていますか。わたしは、今帰っていって、ペルシャの君と戦おうとしているのです。彼との戦いがすむと、ギリシヤの君があらわれるでしょう。 + しかしわたしは、まず真理の書にしるされている事を、あなたに告げよう。わたしを助けて、彼らと戦う者は、あなたがたの君ミカエルのほかにはありません。 + + + わたしはまたメデアびとダリヨスの元年に立って彼を強め、彼を力づけたことがあります。 + わたしは今あなたに真理を示そう。見よ、ペルシャになお三人の王が起るでしょう。その第四の者は、他のすべての者にまさって富み、その富によって強くなったとき、彼はすべてのものを動員して、ギリシヤの国を攻めます。 + またひとりの勇ましい王が起り、大いなる権力をもって世を治め、その意のままに事をなすでしょう。 + 彼が強くなった時、その国は破られ、天の四方に分かたれます。それは彼の子孫に帰せず、また彼が治めたほどの権力もなく、彼の国は抜き取られて、これら以外の者どもに帰するでしょう。 + 南の王は強くなります。しかしその将軍のひとりが、彼にまさって強くなり、権力をふるいます。その権力は、大いなる権力です。 + 年を経て後、彼らは縁組をなし、南の王の娘が、北の王にきて、和親をはかります。しかしその女は、その腕の力を保つことができず、またその王も、その子も立つことができません。その女と、その従者と、その子およびその女を獲た者とは、わたされるでしょう。 + そのころ、この女の根から、一つの芽が起って彼に代り、北の王の軍勢にむかってきて、その城に討ち入り、これを攻めて勝つでしょう。 + 彼はまた彼らの神々、鋳像および金銀の貴重な器物を、エジプトに携え去り、そして数年の間、北の王を討つことを控えます。 + その後、北の王は、南の王の国に討ち入るが、自分の国に帰るでしょう。 + その子らはまた憤激して、あまたの大軍を集め、進んで行って、みなぎりあふれ、通り過ぎるが、また行って、その城にまで攻め寄せるでしょう。 + そこで南の王は、大いに怒り、出てきて北の王と戦います。彼は大軍を起すけれども、その軍は相手の手にわたされるでしょう。 + 彼がその軍を打ち破ったとき、その心は高ぶり、数万人を倒します。しかし、勝つことはありません。 + それは北の王がまた初めよりも大いなる軍を起し、数年の後、大いなる軍勢と多くの軍需品とをもって、攻めて来るからです。 + そのころ多くの者が起って、南の王に敵します。またあなたの民のうちのあらくれ者が、みずから高ぶって事をなし、幻を成就しようとするが失敗するでしょう。 + こうして北の王がきて、塁を築き、堅固な町を取るが、南の王の力は、これに立ち向かうことができず、またそのえり抜きの民も、これに立ち向かう力がありません。 + これに攻めて来る者は、その心のままに事をなし、その前に立ち向かうことのできる者はなく、彼は麗しい地に立ち、その地は全く彼のために荒されます。 + 彼は全国の力をもって討ち入ろうと、その顔を向けるが、相手と仲直りをし、その娘を与えて、その国を取ろうとします。しかし、その事は成らず、また彼の利益にはならないでしょう。 + その後、彼は顔を海沿いの国々に向けて、その多くのものを取ります。しかし、ひとりの大将があって、彼が与えた恥辱をそそぎ、その恥辱を彼の上に返します。 + こうして彼は、その顔を自分の国の要害に向けるが、彼はつまずき倒れて消えうせるでしょう。 + 彼に代って起る者は、栄光の国に人をつかわして、租税を取り立てさせるでしょう。しかし彼は、怒りにも戦いにもよらず、数日のうちに滅ぼされます。 + 彼に代って起る者は、卑しむべき者であって、彼には、王の尊厳が与えられず、彼は不意にきて、巧言をもって国を獲るでしょう。 + 洪水のような軍勢は、彼の前に押し流されて敗られ、契約の君たる者もまた敗られるでしょう。 + 彼は、これと同盟を結んで後、偽りのおこないをなし、わずかな民をもって強くなり、 + 不意にその州の最も肥えた所に攻め入り、その父も、その父の父もしなかった事をおこない、その奪った物、かすめた物および財宝を、人々の中に散らすでしょう。彼はまた計略をめぐらして、堅固な城を攻めるが、ただし、それは時の至るまでです。 + 彼はその勢力と勇気とを奮い起し、大軍を率いて南の王を攻めます。南の王もまたみずから奮い、はなはだ大いなる強力な軍勢をもって戦います。しかし、彼に対して、陰謀をめぐらす者があるので、これに立ち向かうことができません。 + すなわち彼の食物を食べる者たちが、彼を滅ぼします。そして、その軍勢は押し流されて、多くの者が倒れ死ぬでしょう。 + このふたりの王は、害を与えようと心にはかり、ひとつ食卓に共に食して、偽りを語るが、それは成功しません。終りはなお定まった時の来るまでこないからです。 + 彼は大いなる財宝をもって、自分の国に帰るでしょう。しかし、彼の心は聖なる契約にそむき、ほしいままに事をなして、自分の国に帰ります。 + 定まった時になって、彼はまた南に討ち入ります。しかし、この時は前の時のようではありません。 + それはキッテムの船が、彼に立ち向かって来るので、彼は脅かされて帰り、聖なる契約に対して憤り、事を行うでしょう。彼は帰っていって、聖なる契約を捨てる者を顧み用いるでしょう。 + 彼から軍勢が起って、神殿と城郭を汚し、常供の燔祭を取り除き、荒す憎むべきものを立てるでしょう。 + 彼は契約を破る者どもを、巧言をもってそそのかし、そむかせるが、自分の神を知る民は、堅く立って事を行います。 + 民のうちの賢い人々は、多くの人を悟りに至らせます。それでも、彼らはしばらくの間、やいばにかかり、火に焼かれ、捕われ、かすめられなどして倒れます。 + その倒れるとき、彼らは少しの助けを獲ます。また多くの人が、巧言をもって彼らにくみするでしょう。 + また賢い者のうちのある者は、終りの時まで、自分を練り、清め、白くするために倒れるでしょう。終りはなお定まった時の来るまでこないからです。 + この王は、その心のままに事をおこない、すべての神を越えて、自分を高くし、自分を大いにし、神々の神たる者にむかって、驚くべき事を語り、憤りのやむ時まで栄えるでしょう。これは定められた事が成就するからです。 + 彼はその先祖の神々を顧みず、また婦人の好む者も、いかなる神をも顧みないでしょう。彼はすべてにまさって、自分を大いなる者とするからです。 + 彼はこれらの者の代りに、要害の神をあがめ、金、銀、宝石、および宝物をもって、その先祖たちの知らなかった神をあがめ、 + 異邦の神の助けによって、最も強固な城にむかって、事をなすでしょう。そして彼を認める者には、栄誉を増し与え、これに多くの人を治めさせ、賞与として土地を分け与えるでしょう。 + 終りの時になって、南の王は彼と戦います。北の王は、戦車と騎兵と、多くの船をもって、つむじ風のように彼を攻め、国々にはいっていって、みなぎりあふれ、通り過ぎるでしょう。 + 彼はまた麗しい国にはいります。また彼によって、多くの者が滅ぼされます。しかし、エドム、モアブ、アンモンびとらのうちのおもな者は、彼の手から救われましょう。 + 彼は国々にその手を伸ばし、エジプトの地も免れません。 + 彼は金銀の財宝と、エジプトのすべての宝物を支配し、リビヤびと、エチオピヤびとは、彼のあとに従います。 + しかし東と北からの知らせが彼を驚かし、彼は多くの人を滅ぼし絶やそうと、大いなる怒りをもって出て行きます。 + 彼は海と麗しい聖山との間に、天幕の宮殿を設けるでしょう。しかし、彼はついにその終りにいたり、彼を助ける者はないでしょう。 + + + その時あなたの民を守っている大いなる君ミカエルが立ちあがります。また国が始まってから、その時にいたるまで、かつてなかったほどの悩みの時があるでしょう。しかし、その時あなたの民は救われます。すなわちあの書に名をしるされた者は皆救われます。 + また地のちりの中に眠っている者のうち、多くの者は目をさますでしょう。そのうち永遠の生命にいたる者もあり、また恥と、限りなき恥辱をうける者もあるでしょう。 + 賢い者は、大空の輝きのように輝き、また多くの人を義に導く者は、星のようになって永遠にいたるでしょう。 + ダニエルよ、あなたは終りの時までこの言葉を秘し、この書を封じておきなさい。多くの者は、あちこちと探り調べ、そして知識が増すでしょう」。 + そこで、われダニエルが見ていると、ほかにまたふたりの者があって、ひとりは川のこなたの岸に、ひとりは川のかなたの岸に立っていた。 + わたしは、かの亜麻布を着て川の水の上にいる人にむかって言った、「この異常なできごとは、いつになって終るでしょうか」と。 + かの亜麻布を着て、川の水の上にいた人が、天に向かって、その右の手と左の手をあげ、永遠に生ける者をさして誓い、それは、ひと時とふた時と半時である。聖なる民を打ち砕く力が消え去る時に、これらの事はみな成就するだろうと言うのを、わたしは聞いた。 + わたしはこれを聞いたけれども悟れなかった。わたしは言った、「わが主よ、これらの事の結末はどんなでしょうか」。 + 彼は言った、「ダニエルよ、あなたの道を行きなさい。この言葉は終りの時まで秘し、かつ封じておかれます。 + 多くの者は、自分を清め、自分を白くし、かつ練られるでしょう。しかし、悪い者は悪い事をおこない、ひとりも悟ることはないが、賢い者は悟るでしょう。 + 常供の燔祭が取り除かれ、荒す憎むべきものが立てられる時から、千二百九十日が定められている。 + 待っていて千三百三十五日に至る者はさいわいです。 + しかし、終りまであなたの道を行きなさい。あなたは休みに入り、定められた日の終りに立って、あなたの分を受けるでしょう」。 + +
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+ + ユダヤの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの世、イスラエルの王ヨアシの子ヤラベアムの世に、ベエリの子ホセアに臨んだ主の言葉。 + 主が最初ホセアによって語られた時、主はホセアに言われた、「行って、淫行の妻と、淫行によって生れた子らを受けいれよ。この国は主にそむいて、はなはだしい淫行をなしているからである」。 + そこで彼は行ってデブライムの娘ゴメルをめとった。彼女はみごもって男の子を産んだ。 + 主はまた彼に言われた、「あなたはその子の名をエズレルと名づけよ。しばらくしてわたしはエズレルの血のためにエヒウの家を罰し、イスラエルの家の国を滅ぼすからである。 + その日、わたしはエズレルの谷でイスラエルの弓を折る」と。 + ゴメルはまたみごもって女の子を産んだ。主はホセアに言われた、「あなたはその名をロルハマと名づけよ。わたしはもはやイスラエルの家をあわれまず、決してこれをゆるさないからである。 + しかし、わたしはユダの家をあわれみ、その神、主によってこれを救う。わたしは弓、つるぎ、戦争、馬および騎兵によって救うのではない」と。 + ゴメルはロルハマを乳離れさせたとき、またみごもって男の子を産んだ。 + 主は言われた、「その子の名をロアンミと名づけよ。あなたがたは、わたしの民ではなく、わたしは、あなたがたの神ではないからである」。 + しかしイスラエルの人々の数は海の砂のように量ることも、数えることもできないほどになって、さきに彼らが「あなたがたは、わたしの民ではない」と言われたその所で、「あなたがたは生ける神の子である」と言われるようになる。 + そしてユダの人々とイスラエルの人々は共に集まり、ひとりの長を立てて、その地からのぼって来る。エズレルの日は大いなるものとなる。 + + + あなたがたの兄弟に向かっては「アンミ(わが民)」と言い、あなたがたの姉妹に向かっては「ルハマ(あわれまれる者)」と言え。 + 「あなたがたの母とあげつらえ、あげつらえ――彼女はわたしの妻ではない、わたしは彼女の夫ではない――そして彼女にその顔から淫行を除かせ、その乳ぶさの間から姦淫を除かせよ。 + そうでなければ、わたしは彼女の着物をはいで裸にし、その生れ出た日のようにし、また荒野のようにし、かわききった地のようにし、かわきによって彼女を殺す。 + わたしはその子らをあわれまない、彼らは淫行の子らだからである。 + 彼らの母は淫行をなし、彼らをはらんだ彼女は恥ずべきことを行った。彼女は言った、『わたしはわが恋人たちについて行こう。彼らはパンと水と羊の毛と麻と油と飲み物とを、わたしに与える者である』と。 + それゆえ、わたしはいばらで彼女の道をふさぎ、かきをたてて、彼女にはその道がわからないようにする。 + 彼女はその恋人たちのあとを慕って行く、しかし彼らに追いつくことはない。彼らを尋ねる、しかし見いだすことはない。そこで彼女は言う、『わたしは行って、さきの夫に帰ろう。あの時は今よりもわたしによかったから』と。 + 彼女に穀物と酒と油とを与えた者、またバアルのために用いた銀と金とを多く彼女に与えた者は、わたしであったことを彼女は知らなかった。 + それゆえ、わたしは穀物をその時になって奪い、ぶどう酒をその季節になって奪い、また彼女の裸をおおうために用いる羊の毛と麻とを奪い取る。 + わたしは今、彼女のみだらなことをその恋人たちの目の前にあらわす。だれも彼女をわたしの手から救う者はない。 + わたしは彼女のすべての楽しみ、すなわち祝、新月、安息日、すべての祭をやめさせる。 + わたしはまた彼女が先に『これはわたしの恋人らが、わたしに与えた報酬だ』と言った彼女のぶどうの木と、いちじくの木とを荒し、これを林とし、野の獣にこれを食わせる。 + また彼女が耳輪と宝石で身を飾り、その恋人たちを慕って行って、わたしを忘れ、香をたいて仕えたバアルの祭の日のために、わたしは彼女を罰すると主は言われる。 + それゆえ、見よ、わたしは彼女をいざなって、荒野に導いて行き、ねんごろに彼女に語ろう。 + その所でわたしは彼女にそのぶどう畑を与え、アコルの谷を望みの門として与える。その所で彼女は若かった日のように、エジプトの国からのぼって来た時のように、答えるであろう。 + 主は言われる、その日には、あなたはわたしを『わが夫』と呼び、もはや『わがバアル』とは呼ばない。 + わたしはもろもろのバアルの名を彼女の口から取り除き、重ねてその名をとなえることのないようにする。 + その日には、わたしはまたあなたのために野の獣、空の鳥および地の這うものと契約を結び、また弓と、つるぎと、戦争とを地から断って、あなたを安らかに伏させる。 + またわたしは永遠にあなたとちぎりを結ぶ。すなわち正義と、公平と、いつくしみと、あわれみとをもってちぎりを結ぶ。 + わたしは真実をもって、あなたとちぎりを結ぶ。そしてあなたは主を知るであろう。 + 主は言われる、その日わたしは天に答え、天は地に答える。 + 地は穀物と酒と油とに答え、またこれらのものはエズレルに答える。 + わたしはわたしのために彼を地にまき、あわれまれぬ者をあわれみ、わたしの民でない者に向かって、『あなたはわたしの民である』と言い、彼は『あなたはわたしの神である』と言う」。 + + + 主はわたしに言われた、「あなたは再び行って、イスラエルの人々が他の神々に転じて、干ぶどうの菓子を愛するにもかかわらず、主がこれを愛せられるように、姦夫に愛せられる女、姦淫を行う女を愛せよ」と。 + そこでわたしは銀十五シケルと大麦一ホメル半とをもって彼女を買い取った。 + わたしは彼女に言った、「あなたは長くわたしの所にとどまって、淫行をなさず、また他の人のものとなってはならない。わたしもまた、あなたにそうしよう」と。 + イスラエルの子らは多くの日の間、王なく、君なく、犠牲なく、柱なく、エポデおよびテラピムもなく過ごす。 + そしてその後イスラエルの子らは帰って来て、その神、主と、その王ダビデとをたずね求め、終りの日におののいて、主とその恵みに向かって来る。 + + + イスラエルの人々よ、主の言葉を聞け。主はこの地に住む者と争われる。この地には真実がなく、愛情がなく、また神を知ることもないからである。 + ただのろいと、偽りと、人殺しと、盗みと、姦淫することのみで、人々は皆荒れ狂い、殺害に殺害が続いている。 + それゆえ、この地は嘆き、これに住む者はみな、野の獣も空の鳥も共に衰え、海の魚さえも絶えはてる。 + しかし、だれも争ってはならない、責めてはならない。祭司よ。わたしの争うのは、あなたと争うのだ。 + あなたは昼つまずき、預言者もまたあなたと共に夜つまずく。わたしはあなたの母を滅ぼす。 + わたしの民は知識がないために滅ぼされる。あなたは知識を捨てたゆえに、わたしもあなたを捨てて、わたしの祭司としない。あなたはあなたの神の律法を忘れたゆえに、わたしもまたあなたの子らを忘れる。 + 彼らは大きくなるにしたがって、ますますわたしに罪を犯したゆえ、わたしは彼らの栄えを恥に変える。 + 彼らはわが民の罪を食いものにし、その罪を犯すことをせつに願っている。 + それゆえ祭司も民と同じようになる。わたしはそのわざのために彼らを罰し、そのおこないのために彼らに報いる。 + 彼らは食べても飽くことなく、淫行をなしてもその数を増すことがない。彼らは主を捨てて、淫行を愛したからである。 + 酒と新しい酒とは思慮を奪う。 + わが民は木に向かって事を尋ねる。またそのつえは彼らに事を示す。これは淫行の霊が彼らを迷わしたからである。彼らはその神を捨てて淫行をなした。 + 彼らは山々の頂で犠牲をささげ、丘の上、かしの木、柳の木、テレビンの木の下で供え物をささげる。これはその木陰がここちよいためである。それゆえ、あなたがたの娘は淫行をなし、あなたがたの嫁は姦淫を行う。 + わたしはあなたがたの娘が淫行をしても罰しない。またあなたがたの嫁が姦淫を行っても罰しない。男たちみずから遊女と共に離れ去り、宮の遊女と共に犠牲をささげているからである。悟りのない民は滅びる。 + イスラエルよ、あなたは淫行をなしても、ユダに罪を犯させてはならない。ギルガルへ行ってはならない。ベテアベンにのぼってはならない。また「主は生きておられる」と言って誓ってはならない。 + イスラエルは強情な雌牛のように強情である。今、主は小羊を広い野に放つようにして、彼らを養うことができようか。 + エフライムは偶像に結びつらなった。そのなすにまかせよ。 + 彼らは酒宴のとりことなり、淫行にふけっている。彼らはその光栄よりも恥を愛する。 + 風はその翼に彼らを包んだ。彼らはその祭壇のゆえに恥を受ける。 + + + 祭司たちよ、これを聞け、イスラエルの家よ、心をとめよ、王の家よ、耳を傾けよ、さばきはあなたがたに臨む。あなたがたはミヅパにわなを設け、タボルの上に網を張ったからだ。 + 彼らはシッテムの穴を深くしたが、わたしは彼らをことごとく懲らしめる。 + わたしはエフライムを知っている。イスラエルはわたしに隠れることがない。エフライムよ、あなたは今淫行をなし、イスラエルは汚された。 + 彼らのおこないは彼らを神に帰らせない。それは淫行の霊が彼らのうちにあって、主を知ることができないからだ。 + イスラエルの誇はその顔に向かって証言している。エフライムはその不義によってつまずき、ユダもまた彼らと共につまずく。 + 彼らは羊の群れ、牛の群れを携えて行って、主を求めても、主に会うことはない。主は彼らから離れ去られた。 + 彼らは主にむかって貞操を守らず、ほかの者の子を産んだ。新月は彼らをその田畑と共に滅ぼす。 + ギベアで角笛を吹き、ラマでラッパを鳴らし、ベテアベンで呼ばわり叫べ。ベニヤミンよ、おののけ。 + エフライムは刑罰の日に荒れすたれる。わたしはイスラエルの部族のうちに、必ず起るべき事を知らせる。 + ユダの君たちは境を移す者のようになった。わたしはわが怒りを水のように彼らの上に注ぐ。 + エフライムは甘んじて、むなしいものに従って歩んだゆえ、さばきを受けて、しえたげられ、打ちひしがれる。 + それゆえ、わたしはエフライムには、しみのように、ユダの家には腐れのようになる。 + エフライムはおのれの病を見、ユダはおのれの傷を見たとき、エフライムはアッスリヤに行き、大王に人をつかわした。しかし彼はあなたがたをいやすことができない。また、あなたがたの傷をなおすことができない。 + わたしはエフライムに対しては、ししのようになり、ユダの家に対しては若きししのようになる。わたしは、わたしこそ、かき裂いて去り、かすめて行くが、だれも救う者はない。 + わたしは彼らがその罪を認めて、わが顔をたずね求めるまで、わたしの所に帰っていよう。彼らは悩みによって、わたしを尋ね求めて言う、 + + + 「さあ、わたしたちは主に帰ろう。主はわたしたちをかき裂かれたが、またいやし、わたしたちを打たれたが、また包んでくださるからだ。 + 主は、ふつかの後、わたしたちを生かし、三日目にわたしたちを立たせられる。わたしたちはみ前で生きる。 + わたしたちは主を知ろう、せつに主を知ることを求めよう。主はあしたの光のように必ず現れいで、冬の雨のように、わたしたちに臨み、春の雨のように地を潤される」。 + エフライムよ、わたしはあなたに何をしようか。ユダよ、わたしはあなたに何をしようか。あなたがたの愛はあしたの雲のごとく、また、たちまち消える露のようなものである。 + それゆえ、わたしは預言者たちによって彼らを切り倒し、わが口の言葉をもって彼らを殺した。わがさばきは現れ出る光のようだ。 + わたしはいつくしみを喜び、犠牲を喜ばない。燔祭よりもむしろ神を知ることを喜ぶ。 + ところが彼らはアダムで契約を破り、かしこでわたしにそむいた。 + ギレアデは悪を行う者の町で、血の足跡で満たされている。 + 盗賊が人を待ち伏せするように、祭司たちは党を組み、シケムへ行く道で人を殺す。このように彼らは悪しき事を行う。 + わたしはイスラエルの家に恐るべき事を見た。かしこでエフライムは淫行をなし、イスラエルは汚された。 + ユダよ、あなたのためにも刈入れが定められている。わたしがわが民の繁栄を回復するとき、 + + + わたしがイスラエルをいやすとき、エフライムの不義と、サマリヤの悪しきわざとは現れる。彼らは偽りをおこない、内では盗びとが押し入り、外では山賊の群れが襲いきたる。 + しかし、彼らはわたしが彼らのすべての悪を覚えていることを悟らない。今、そのわざは彼らを囲んで、わたしの顔の前にある。 + 彼らはその悪をもって王を喜ばせ、その偽りをもって君たちを喜ばせる。 + 彼らはみな姦淫を行う者で、パンを焼く者が熱くする炉のようだ。パンを焼く者は、ねり粉をこねてから、それがふくれるまで、しばらく、火をおこす事をしないだけだ。 + われわれの王の日に、つかさたちは酒の熱によって病みわずらい、王はあざける者と共に手を伸べた。 + 彼らは陰謀をもってその心を炉のように燃やす。その怒りは夜通しくすぶり、朝になると炎のように燃える。 + 彼らは皆、炉のように熱くなって、そのさばきびとを焼き滅ぼす。そのもろもろの王は皆たおれる。彼らの中にはわたしを呼ぶ者がひとりもない。 + エフライムはもろもろの民の中に入り混じる。エフライムは火にかけて、かえさない菓子である。 + 他国人らは彼の力を食い尽すが、彼はそれを知らない。しらがが混じってはえても、それを悟らない。 + イスラエルの誇は自らに向かって証言している、彼らはこのもろもろの事があっても、なおその神、主に帰らず、また主を求めない。 + エフライムは知恵のない愚かな、はとのようだ。彼らはエジプトに向かって呼び求め、またアッスリヤへ行く。 + 彼らが行くとき、わたしは彼らの上に網を張って、空の鳥のように引き落し、その悪しきおこないのゆえに、彼らを懲らしめる。 + わざわいなるかな、彼らはわたしを離れて迷い出た。滅びは彼らに臨む。彼らがわたしに向かって罪を犯したからだ。わたしは彼らをあがなおうと思うが、彼らはわたしに逆らって偽りを言う。 + 彼らは真心をもってわたしを呼ばず、ただ床の上で悲しみ叫ぶ。彼らは穀物と酒のためには集まるが、わたしに逆らう。 + わたしは彼らを教え、その腕を強くしたが、彼らはわたしに逆らって、悪しき事をはかる。 + 彼らはバアルに帰る。彼らはあざむく弓のようだ。彼らの君たちはその舌の高ぶりのために、つるぎに倒れる。これはエジプトの国で人々のあざけりとなる。 + + + ラッパをあなたの口にあてよ、はげたかは主の家に臨む。彼らがわたしの契約を破り、わたしの律法を犯したからだ。 + 彼らはわたしに向かって叫ぶ、「わが神よ、われわれイスラエルはあなたを知る」と。 + イスラエルは善はしりぞけた。敵はこれを追うであろう。 + 彼らは王を立てた、しかし、わたしによって立てたのではない。彼らは君を立てた、しかし、わたしはこれを知らない。彼らは銀と金をもって、自分たちの滅びのために偶像を造った。 + サマリヤよ、わたしはあなたの子牛を忌みきらう。わたしの怒りは彼らに向かって燃える。彼らはいつになればイスラエルで罪なき者となるであろうか。 + これは工人の作ったもので、神ではない。サマリヤの子牛は砕けて粉となる。 + 彼らは風をまいて、つむじ風を刈り取る。立っている穀物は穂を持たず、また実らない。たとい実っても、他国人がこれを食い尽す。 + イスラエルはのまれた。彼らは諸国民の間にあって、すでに無用な器のようになった。 + 彼らはひとりさまよう野のろばのように、アッスリヤにのぼって行った。エフライムは物を贈って恋人を得た。 + たとい彼らが国々に物を贈って同盟者を得ても、わたしはまもなく彼らを集める。彼らはしばらくにして、王や君たちに油をそそぐことをやめる。 + エフライムは多くの祭壇を造って罪を犯したゆえ、これは彼には罪を犯すための祭壇となった。 + わたしは彼のために、あまたの律法を書きしるしたが、これはかえって怪しい物のように思われた。 + 彼らは犠牲を好み、肉をささげてこれを食べる。しかし主はこれを喜ばれない。今、彼らの不義を覚え、彼らの罪を罰せられる。彼らはエジプトに帰る。 + イスラエルは自分の造り主を忘れて、もろもろの宮殿を建てた。ユダは堅固な町々を多く増し加えた。しかしわたしは火をその町々に送って、もろもろの城を焼き滅ぼす。 + + + イスラエルよ、もろもろの民のように喜びおどるな。あなたは淫行をなして、あなたの神を離れ、すべての穀物の打ち場で受ける淫行の価を愛した。 + 打ち場と酒ぶねとは彼らを養わない。また新しい酒もむなしくなる。 + 彼らは主の地に住むことなく、エフライムはエジプトに帰り、アッスリヤで汚れた物を食べる。 + 彼らは主に向かって酒を注がず、また犠牲をもって主を喜ばせず、彼らのパンは喪におる者のパンのようで、すべてこれを食べる者は汚される。彼らのパンはただ自分の飢えを満たすためで、主の家に、はいることはできない。 + あなたがたは祝の日と、主の祭の日に、何をしようとするのか。 + 見よ、彼らはアッスリヤへ行く。エジプトは彼らを集め、メンピスは彼らを葬る。あざみは彼らの銀の宝物を所有し、いばらは彼らの天幕にはびこる。 + 刑罰の日は来た。報いの日は来た。イスラエルはこれを知る。預言者は愚かな者、霊に感じた人は狂った者だ。これはあなたがたの不義が多く、恨みが大きいためである。 + 預言者はわが神の民エフライムの見張人である。しかし預言者のすべての道には鳥をとる者のわながあり、恨みはその神の家にある。 + 彼らはギベアの日のように、深くおのれを腐らせた。主はその不義を覚え、その罪を罰せられる。 + わたしはイスラエルを荒野のぶどうのように見、あなたがたの先祖たちを、いちじくの木の初めに結んだ初なりのように見た。ところが彼らはバアル・ペオルへ行き、身をバアルにゆだね、彼らが愛した物と同じように憎むべき者となった。 + エフライムの栄光は、鳥のようにとび去る。すなわち産むことも、はらむことも、みごもることもなくなる。 + たとい彼らが子を育てても、わたしはその子を奪って、残る者のないようにする。わたしが彼らを離れるとき、彼らはわざわいだ。 + わたしが見たように、エフライムの子らはえじきに定められた。エフライムはその子らを、人を殺す者に渡さなければならない。 + 主よ、彼らに与えてください。あなたは何を与えられますか。流産の胎と、かわいた乳ぶさを彼らに与えてください。 + 彼らのすべての悪はギルガルにある。わたしはかしこで彼らを憎んだ。彼らのおこないの悪しきがゆえに、彼らをわが家から追いだし、重ねて愛することをしない。その君たちはみな、反逆者である。 + エフライムは撃たれ、その根は枯れて、実を結ばない。たとい彼らが子を産んでも、わたしはそのいつくしむ子らを殺す。 + 彼らは聞き従わないので、わが神はこれを捨てられる。彼らはもろもろの国民のうちに、さすらい人となる。 + + + イスラエルは実を結ぶ茂ったぶどうの木である。その実を多く結ぶにしたがって、祭壇を増し、その地の豊かなるにしたがって、柱の像を麗しくした。 + 彼らの心は偽りである。今、彼らはその罪を負わなければならない。主はその祭壇をこわし、その柱の像を砕かれる。 + 今、彼らは言う、「われわれは主を恐れないので、われわれには王がない。王はわれわれのために何をなしえようか」と。 + 彼らはむなしき言葉をいだし、偽りの誓いをもって契約を結ぶ。それゆえ、さばきは畑のうねの毒草のように現れる。 + サマリヤの住民は、ベテアベンの子牛のためにおののき、その民はこれがために嘆き、その偶像に仕える祭司たちは、その栄光のうせたるがために泣き悲しむ。 + その子牛はアッスリヤに携えられ、礼物として大王にささげられ、エフライムは恥をうけ、イスラエルはおのれの偶像を恥じる。 + サマリヤの王は、水のおもての木切れのように滅ぼされる。 + イスラエルの罪であるアベンの高き所も滅び、いばらとあざみがその祭壇の上にはえ茂る。その時彼らは山に向かって、「われわれをおおえ」と言い、丘に向かって「われわれの上に倒れよ」と言う。 + イスラエルよ、あなたはギベアの日からこのかた罪を犯した。彼らはその所に立っていた。戦いはギベアにおる彼らに及ばないであろうか。 + わたしは来てよこしまな民を攻め、これを懲らしめる。彼らがその二つの罪のために懲しめられるとき、もろもろの民は集まって彼らを攻める。 + エフライムはならされた若い雌牛であって、穀物を踏むことを好む。わたしはその麗しい首を惜しんだ。しかし、わたしはエフライムにくびきをかける。ユダは耕し、ヤコブは自分のために、まぐわをひかねばならない。 + あなたがたは自分のために正義をまき、いつくしみの実を刈り取り、あなたがたの新田を耕せ。今は主を求むべき時である。主は来て救いを雨のように、あなたがたに降りそそがれる。 + あなたがたは悪を耕し、不義を刈りおさめ、偽りの実を食べた。これはあなたがたが自分の戦車を頼み、勇士の多いことを頼んだためである。 + それゆえ、あなたがたの民の中にいくさの騒ぎが起り、シャルマンが戦いの日にベテ・アルベルを打ち破ったように、あなたがたの城はことごとく打ち破られる。母らはその子らと共に打ち砕かれた。 + イスラエルの家よ、あなたがたの大いなる悪のゆえに、このように、あなたがたにも行われ、イスラエルの王は、あらしの中に全く滅ぼされる。 + + + わたしはイスラエルの幼い時、これを愛した。わたしはわが子をエジプトから呼び出した。 + わたしが呼ばわるにしたがって、彼らはいよいよわたしから遠ざかり、もろもろのバアルに犠牲をささげ、刻んだ像に香をたいた。 + わたしはエフライムに歩むことを教え、彼らをわたしの腕にいだいた。しかし彼らはわたしにいやされた事を知らなかった。 + わたしはあわれみの綱、すなわち愛のひもで彼らを導いた。わたしは彼らに対しては、あごから、くびきをはずす者のようになり、かがんで彼らに食物を与えた。 + 彼らはエジプトの地に帰り、アッスリヤびとが彼らの王となる。彼らがわたしに帰ることを拒んだからである。 + つるぎは、そのもろもろの町にあれ狂い、その門の貫の木を砕き、その城の中に彼らを滅ぼす。 + わが民はわたしからそむき去ろうとしている。それゆえ、彼らはくびきをかけられ、これを除きうる者はひとりもいない。 + エフライムよ、どうして、あなたを捨てることができようか。イスラエルよ、どうしてあなたを渡すことができようか。どうしてあなたをアデマのようにすることができようか。どうしてあなたをゼボイムのように扱うことができようか。わたしの心は、わたしのうちに変り、わたしのあわれみは、ことごとくもえ起っている。 + わたしはわたしの激しい怒りをあらわさない。わたしは再びエフライムを滅ぼさない。わたしは神であって、人ではなく、あなたのうちにいる聖なる者だからである。わたしは滅ぼすために臨むことをしない。 + 彼らは主に従って歩む。主はししのほえるように声を出される。主が声を出されると、子らはおののきつつ西から来る。 + 彼らはエジプトから鳥のように、アッスリヤの地から、はとのように急いで来る。わたしは彼らをその家に帰らせると主は言われる。 + エフライムは偽りをもって、わたしを囲み、イスラエルの家は欺きをもって、わたしを囲んだ。しかしユダはなお神に知られ、聖なる者に向かって真実である。 + + + エフライムはひねもす風を牧し、東風を追い、偽りと暴虐とを増し加え、アッスリヤと取引をなし、油をエジプトに送った。 + 主はユダと争い、ヤコブをそのしわざにしたがって罰し、そのおこないにしたがって報いられる。 + ヤコブは胎にいたとき、その兄弟のかかとを捕え、成人したとき神と争った。 + 彼は天の使と争って勝ち、泣いてこれにあわれみを求めた。彼はベテルで神に出会い、その所で神は彼と語られた。 + 主は万軍の神、その名は主である。 + それゆえ、あなたはあなたの神に帰り、いつくしみと正しきとを守り、つねにあなたの神を待ち望め。 + 商人はその手に偽りのはかりを持ち、しえたげることを好む。 + エフライムは言った、「まことにわたしは富める者となった。わたしは自分ために財宝を得た」と。しかし彼のすべての富もその犯した罪をつぐなうことはできない。 + わたしはエジプトの国を出たときから、あなたの神、主である。わたしは祭の日のように、再びあなたを天幕に住まわせよう。 + わたしは預言者たちに語った。幻を多く示したのはわたしである。わたしは預言者たちによってたとえを語った。 + もしギレアデに不義があるなら、彼らは必ずむなしき者となる。もし彼らがギルガルで雄牛を犠牲にささげるなら、彼らの祭壇は畑のうねに積んだ石塚のようになる。 + (ヤコブはアラムの地に逃げっていった。イスラエルは妻をめとるために人に仕えた。彼は妻をめとるために羊を飼った。) + 主はひとりの預言者によって、イスラエルをエジプトから導き出し、ひとりの預言者によってこれを守られた。 + エフライムはいたく主を怒らせた。それゆえ主はその血のとがを彼の上にのこし、そのはずかしめを彼に返される。 + + + エフライムが物言えば、人々はおののいた。彼はイスラエルの中に自分を高くした。しかし彼はバアルによって罪を犯して死んだ。 + そして彼らは今もなおますます罪を犯し、その銀をもって自分のために像を鋳、巧みに偶像を造る。これは皆工人のわざである。彼らは言う、これに犠牲をささげよ、人々は子牛に口づけせよと。 + それゆえ彼らは朝の霧のように、すみやかに消えうせる露のように、打ち場から風に吹き去られるもみがらのように、また窓から出て行く煙のようになる。 + わたしはエジプトの国を出てからこのかた、あなたの神、主である。あなたはわたしのほかに神を知らない。わたしのほかに救う者はない。 + わたしは荒野で、またかわいた地で、あなたを知った。 + しかし彼らは食べて飽き、飽きて、その心が高ぶり、わたしを忘れた。 + それゆえ、わたしは彼らに向かって、ししのようになり、ひょうのように道のかたわらに潜んでうかがう。 + わたしは子を取られた熊のように彼らに出会って、その胸をかきさき、その所で、ししのようにこれを食い尽し、野の獣のようにこれをかき破る。 + イスラエルよ、わたしはあなたを滅ぼす。だれがあなたを助けることができよう。 + あなたを助けるあなたの王は今、どこにいるのか。あなたがかつて「わたしに王と君たちとを与えよ」と言ったあなたを保護すべき、すべてのつかさたちは今、どこにいるのか。 + わたしは怒りをもってあなたに王を与えた、また憤りをもってこれを奪い取った。 + エフライムの不義は包みおかれ、その罪は積みたくわえられてある。 + 子を産む女の苦しみが彼に臨む。彼は知恵のない子である。生れる時が来ても彼は産門にあらわれない。 + わたしは彼らを陰府の力から、あがなうことがあろうか。彼らを死から、あがなうことがあろうか。死よ、おまえの災はどこにあるのか。陰府よ、おまえの滅びはどこにあるのか。あわれみは、わたしの目から隠されている。 + たとい彼は葦のように栄えても、東風が吹いて来る。主の風が荒野から吹き起る。これがためにその源はかれ、その泉はかわく。それはすべての尊い物の宝庫をかすめ奪う。 + サマリヤはその神にそむいたので、その罪を負い、つるぎに倒れ、その幼な子は投げ砕かれ、そのはらめる女は引き裂かれる。 + + + イスラエルよ、あなたの神、主に帰れ。あなたは自分の不義によって、つまずいたからだ。 + あなたがたは言葉を携えて、主に帰って言え、「不義はことごとくゆるして、よきものを受けいれてください。わたしたちは自分のくちびるの実をささげます。 + アッスリヤはわたしたちを助けず、わたしたちは馬に乗りません。わたしたちはもはや自分たちの手のわざに向かって『われわれの神』とは言いません。みなしごはあなたによって、あわれみを得るでしょう」。 + わたしは彼らのそむきをいやし、喜んでこれを愛する。わたしの怒りは彼らを離れ去ったからである。 + わたしはイスラエルに対しては露のようになる。彼はゆりのように花咲き、ポプラのように根を張り、 + その枝は茂りひろがり、その麗しさはオリブの木のように、そのかんばしさはレバノンのようになる。 + 彼らは帰って来て、わが陰に住み、園のように栄え、ぶどうの木のように花咲き、そのかんばしさはレバノンの酒のようになる。 + エフライムよ、わたしは偶像となんの係わりがあろうか。あなたに答え、あなたを顧みる者はわたしである。わたしは緑のいとすぎのようだ。あなたはわたしから実を得る。 + 知恵のある者はだれか。その人にこれらのことを悟らせよ。悟りある者はだれか。その人にこれらのことを知らせよ。主の道は直く、正しき者はこれを歩む。しかし罪びとはこれにつまずく。 + +
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+ + ペトエルの子ヨエルに臨んだ主の言葉。 + 老人たちよ、これを聞け。すべてこの地に住む者よ、耳を傾けよ。あなたがたの世、またはあなたがたの先祖の世にこのような事があったか。 + これをあなたがたの子たちに語り、子たちはまたその子たちに語り、その子たちはまたこれを後の代に語り伝えよ。 + かみ食らういなごの残したものは、群がるいなごがこれを食い、群がるいなごの残したものは、とびいなごがこれを食い、とびいなごの残したものは、滅ぼすいなごがこれを食った。 + 酔える者よ、目をさまして泣け。すべて酒を飲む者よ、うまい酒のゆえに泣き叫べ。うまい酒はあなたがたの口から断たれるからだ。 + 一つの国民がわたしの国に攻めのぼってきた。その勢いは強く、その数は計られず、その歯はししの歯のようで、雌じしのきばをもっている。 + 彼らはわがぶどうの木を荒し、わがいちじくの木を折り、その皮をはだかにして捨てた。その枝は白くなった。 + あなたがたは若い時の夫のために荒布を腰にまとったおとめのように泣き悲しめ。 + 素祭と灌祭とは主の家に絶え、主に仕える祭司たちは嘆き悲しむ。 + 畑は荒れ、地は悲しむ。これは穀物が荒れはて、新しい酒は尽き、油も絶えるためである。 + 小麦および大麦のために、農夫たちよ、恥じよ、ぶどう作りたちよ、泣け。畑の収穫がうせ去ったからである。 + ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれ、ざくろ、やし、りんご、野のすべての木はしぼんだ。それゆえ楽しみは人の子らからかれうせた。 + 祭司たちよ、荒布を腰にまとい、泣き悲しめ。祭壇に仕える者たちよ、泣け。神に仕える者たちよ、来て、荒布をまとい、夜を過ごせ。素祭も灌祭もあなたがたの神の家から退けられたからである。 + あなたがたは断食を聖別し、聖会を召集し、長老たちを集め、国の民をことごとくあなたがたの神、主の家に集め、主に向かって叫べ。 + ああ、その日はわざわいだ。主の日は近く、全能者からの滅びのように来るからである。 + われわれの目の前に食物は絶え、われわれの神の家から喜びと楽しみが絶えたではないか。 + 種は土の下に朽ち、倉は荒れ、穀物がつきたので、穀倉はこわされる。 + いかに家畜はうめき鳴くか。牛の群れはさまよう。彼らには牧草がないからだ。羊の群れも滅びうせる。 + 主よ、わたしはあなたに向かって呼ばわる。火が荒野の牧草を焼き滅ぼし、炎が野のすべての木を焼き尽したからである。 + 野の獣もまたあなたに向かって呼ばわる。水の流れがかれはて、火が荒野の牧草を焼き滅ぼしたからである + + + あなたがたはシオンでラッパを吹け。わが聖なる山で警報を吹きならせ。国の民はみな、ふるいわななけ。主の日が来るからである。それは近い。 + これは暗く、薄暗い日、雲の群がるまっくらな日である。多くの強い民が暗やみのようにもろもろの山をおおう。このようなことは昔からあったことがなく、後の代々の年にも再び起ることがないであろう。 + 火は彼らの前を焼き、炎は彼らの後に燃える。彼らのこない前には、地はエデンの園のようであるが、その去った後は荒れ果てた野のようになる。これをのがれうるものは一つもない。 + そのかたちは馬のかたちのようであり、その走ることは軍馬のようである。 + 山の頂でとびおどる音は、戦車のとどろくようである。また刈り株を焼く火の炎の音のようであり、戦いの備えをした強い軍隊のようである。 + その前にもろもろの民はなやみ、すべての顔は色を失う。 + 彼らは勇士のように走り、兵士のように城壁によじ登る。彼らはおのおの自分の道を進んで行って、その道を踏みはずさない。 + 彼らは互におしあわず、おのおのその道を進み行く。彼らは武器の中にとびこんでも、身をそこなわない。 + 彼らは町にとび入り、城壁の上を走り、家々によじ登り、盗びとのように窓からはいる。 + 地は彼らの前におののき、天はふるい、日も月も暗くなり、星はその光を失う。 + 主はその軍勢の前で声をあげられる。その軍隊は非常に多いからである。そのみ言葉をなし遂げる者は強い。主の日は大いにして、はなはだ恐ろしいゆえ、だれがこれに耐えることができよう。 + 主は言われる、「今からでも、あなたがたは心をつくし、断食と嘆きと、悲しみとをもってわたしに帰れ。 + あなたがたは衣服ではなく、心を裂け」。あなたがたの神、主に帰れ。主は恵みあり、あわれみあり、怒ることがおそく、いつくしみが豊かで、災を思いかえされるからである。 + 神があるいは立ち返り、思いかえして祝福をその後に残し、素祭と灌祭とをあなたがたの神、主にささげさせられる事はないとだれが知るだろうか。 + シオンでラッパを吹きならせ。断食を聖別し、聖会を召集し、 + 民を集め、会衆を聖別し、老人たちを集め、幼な子、乳のみ子を集め、花婿をその家から呼びだし、花嫁をそのへやから呼びだせ。 + 主に仕える祭司たちは、廊と祭壇との間で泣いて言え、「主よ、あなたの民をゆるし、あなたの嗣業をもろもろの国民のうちに、そしりと笑い草にさせないでください。どうしてもろもろの国民に、『彼らの神はどこにいるのか』と言わせてよいでしょうか」。 + その時主は自分の地のために、ねたみを起し、その民をあわれまれた。 + 主は答えて、その民に言われた、「見よ、わたしは穀物と新しい酒と油とをあなたがたに送る。あなたがたはこれを食べて飽きるであろう。わたしは重ねてあなたがたにもろもろの国民のうちでそしりを受けさせない。 + わたしは北から来る者をあなたがたから遠ざけ、これをかわいた荒れ地に追いやり、その前の者を東の海に、その後の者を西の海に追いやる。その臭いにおいは起り、その悪しきにおいは上る。これは大いなる事をしたからである。 + 地よ恐るな、喜び楽しめ、主は大いなる事を行われたからである。 + 野のもろもろの獣よ、恐るな。荒野の牧草はもえいで、木はその実を結び、いちじくの木とぶどうの木とは豊かに実る。 + シオンの子らよ、あなたがたの神、主によって喜び楽しめ。主はあなたがたを義とするために秋の雨を賜い、またあなたがたのために豊かに雨を降らせ、前のように、秋の雨と春の雨とを降らせられる。 + 打ち場は穀物で満ち、石がめは新しい酒と油とであふれる。 + わたしがあなたがたに送った大軍、すなわち群がるいなご、とびいなご、滅ぼすいなご、かみ食らういなごの食った年をわたしはあなたがたに償う。 + あなたがたは、じゅうぶん食べて飽き、あなたがたに不思議なわざをなされたあなたがたの神、主のみ名をほめたたえる。わが民は永遠にはずかしめられることがない。 + あなたがたはイスラエルのうちにわたしのいることを知り、主なるわたしがあなたがたの神であって、ほかにないことを知る。わが民は永遠にはずかしめられることがない。 + その後わたしはわが霊をすべての肉なる者に注ぐ。あなたがたのむすこ、娘は預言をし、あなたがたの老人たちは夢を見、あなたがたの若者たちは幻を見る。 + その日わたしはまたわが霊をしもべ、はしために注ぐ。 + わたしはまた、天と地とにしるしを示す。すなわち血と、火と、煙の柱とがあるであろう。 + 主の大いなる恐るべき日が来る前に、日は暗く、月は血に変る。 + すべて主の名を呼ぶ者は救われる。それは主が言われたように、シオンの山とエルサレムとに、のがれる者があるからである。その残った者のうちに、主のお召しになる者がある。 + + + 見よ、わたしがユダとエルサレムとの幸福をもとに返すその日、その時、 + わたしは万国の民を集めて、これをヨシャパテの谷に携えくだり、その所でわが民、わが嗣業であるイスラエルのために彼らをさばく。彼らがわが民を諸国民のうちに散らして、わたしの地を分かち取ったからである。 + 彼らはわが民をくじ引きにし、遊女のために少年をわたし、酒のために少女を売って飲んだ。 + ツロとシドンよ、ペリシテのすべての地方よ、おまえたちは、わたしとなんのかかわりがあるか。おまえたちはわたしに報復をしようとするのか。もしおまえたちがわたしに報復しようとするなら、わたしは時をうつさず、すみやかに、おまえたちのおこないの報復をおまえたちの頭上にこさせる。 + これはおまえたちがわたしの銀と金とをとり、わたしの貴重な宝をおまえたちの宮に携え行き、 + またユダの人々とエルサレムの人々とをギリシヤびとに売って、その本国から遠く離れさせたからである。 + 見よ、わたしはおまえたちが売ったその所から彼らを起して、おまえたちのおこないの報復をおまえたちの頭上にこさせる。 + わたしはおまえたちのむすこ娘たちをユダの人々の手に売る。彼らはこれを遠い国びとであるシバびとに売ると、主は言われる」。 + もろもろの国民の中に宣べ伝えよ。戦いの備えをなし、勇士をふるい立たせ、兵士をことごとく近づかせ、のぼらせよ。 + あなたがたのすきを、つるぎに、あなたがたのかまを、やりに打ちかえよ。弱い者に「わたしは勇士である」と言わせよ。 + 周囲のすべての国民よ、急ぎ来て、集まれ。主よ、あなたの勇士をかしこにお下しください。 + もろもろの国民をふるい立たせ、ヨシャパテの谷にのぼらせよ。わたしはそこに座して、周囲のすべての国民をさばく。 + かまを入れよ、作物は熟した。来て踏め、酒ぶねは満ち、石がめはあふれている。彼らの悪が大きいからだ。 + 群衆また群衆は、さばきの谷におる。主の日がさばきの谷に近いからである。 + 日も月も暗くなり、星もその光を失う。 + 主はシオンから大声で叫び、エルサレムから声を出される。天も地もふるい動く。しかし主はその民の避け所、イスラエルの人々のとりでである。 + 「そこであなたがたは知るであろう、わたしはあなたがたの神、主であって、わが聖なる山シオンに住むことを。エルサレムは聖所となり、他国人は重ねてその中を通ることがない。 + その日もろもろの山にうまい酒がしたたり、もろもろの丘は乳を流し、ユダのすべての川は水を流す。泉は主の家から出て、シッテムの谷を潤す。 + エジプトは荒れ地となり、エドムは荒野となる。彼らはその国でユダの人々をしえたげ、罪なき者の血を流したからである。 + しかしユダは永遠に人の住む所となり、エルサレムは世々に保つ。 + わたしは彼らに血の報復をなし、とがある者をゆるさない。主はシオンに住まわれる」。 + +
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+ + テコアの牧者のひとりであるアモスの言葉。これはユダの王ウジヤの世、イスラエルの王ヨアシの子ヤラベアムの世、地震の二年前に、彼がイスラエルについて示されたものである。 + 彼は言った、「主はシオンからほえ、エルサレムから声を出される。牧者の牧場は嘆き、カルメルの頂は枯れる」。 + 主はこう言われる、「ダマスコの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが鉄のすり板で、ギレアデを踏みにじったからである。 + わたしはハザエルの家に火を送り、ベネハダデのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。 + わたしはダマスコの貫の木を砕き、アベンの谷から住民を断ち、ベテエデンから王のつえをとる者を断つ。スリヤの民はキルに捕えられて行く」と主は言われる。 + 主はこう言われる、「ガザの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが人々をことごとく捕えて行って、エドムに渡したからである。 + わたしはガザの石がきに火を送り、そのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。 + わたしはアシドドから住民を断ち、アシケロンから王のつえをとる者を断つ。わたしはまた手をかえしてエクロンを撃つ。そして残ったペリシテびとも滅びる」と主なる神は言われる。 + 主はこう言われる、「ツロの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが人々をことごとくエドムに渡し、また兄弟の契約を心に留めなかったからである。 + それゆえ、わたしはツロの石がきに火を送り、そのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす」。 + 主はこう言われる、「エドムの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼がつるぎをもってその兄弟を追い、全くあわれみの情を断ち、常に怒って、人をかき裂き、ながくその憤りを保ったからである。 + それゆえ、わたしはテマンに火を送り、ボズラのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす」。 + 主はこう言われる、「アンモンの人々の三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らがその国境を広げるために、ギレアデのはらんでいる女をひき裂いたからである。 + それゆえ、わたしはラバの石がきに火をはなち、そのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。これは戦いの日に、ときの声をもってせられ、つむじ風の日に、暴風をもってせられる。 + 彼らの王はそのつかさたちと共に捕えられて行く」と主は言われる。 + + + 主はこう言われる、「モアブの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼がエドムの王の骨を焼いて灰にしたからである。 + それゆえ、わたしはモアブに火を送り、ケリオテのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。モアブは騒ぎと、ときの声と、ラッパの音の中に死ぬ。 + わたしはそのうちから、支配者を断ち、そのすべてのつかさを彼と共に殺す」と主は言われる。 + 主はこう言われる、「ユダの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが主の律法を捨て、その定めを守らず、その先祖たちが従い歩いた偽りの物に惑わされたからである。 + それゆえ、わたしはユダに火を送り、エルサレムのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす」。 + 主はこう言われる、「イスラエルの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが正しい者を金のために売り、貧しい者をくつ一足のために売るからである。 + 彼らは弱い者の頭を地のちりに踏みつけ、苦しむ者の道をまげ、また父子ともにひとりの女のところへ行って、わが聖なる名を汚す。 + 彼らはすべての祭壇のかたわらに質に取った衣服を敷いて、その上に伏し、罰金をもって得た酒を、その神の家で飲む。 + さきにわたしはアモリびとを彼らの前から滅ぼした。これはその高きこと、香柏のごとく、その強きこと、かしの木のようであったが、わたしはその上の実と、下の根とを滅ぼした。 + わたしはまた、あなたがたをエジプトの地から連れ上り、四十年のあいだ荒野で、あなたがたを導き、アモリびとの地を獲させた。 + わたしはあなたがたの子らのうちから預言者を起し、あなたがたの若者のうちからナジルびとを起した。イスラエルの人々よ、そうではないか」と主は言われる。 + 「ところがあなたがたはナジルびとに酒を飲ませ、預言者に命じて『預言するな』と言う。 + 見よ、わたしは麦束をいっぱい積んだ車が物を圧するように、あなたがたをその所で圧する。 + 速く走る者も逃げ場を失い、強い者もその力をふるうことができず、勇士もその命を救うことができない。 + 弓をとる者も立つことができず、足早の者も自分を救うことができず、馬に乗る者もその命を救うことができない。 + 勇士のうちの雄々しい心の者もその日には裸で逃げる」と主は言われる。 + + + イスラエルの人々よ、主があなたがたに向かって言われたこと、わたしがエジプトの地から導き上った全家に向かって言ったこの言葉を聞け。 + 「地のもろもろのやからのうちで、わたしはただ、あなたがただけを知った。それゆえ、わたしはあなたがたのもろもろの罪のため、あなたがたを罰する。 + ふたりの者がもし約束しなかったなら、一緒に歩くだろうか。 + ししがもし獲物がなかったなら、林の中でほえるだろうか。若いししがもし物をつかまなかったなら、その穴から声を出すだろうか。 + もしわながなかったなら、鳥は地に張った網にかかるだろうか。網にもし何もかからなかったなら、地からとびあがるだろうか。 + 町でラッパが鳴ったなら、民は驚かないだろうか。主がなされるのでなければ、町に災が起るだろうか。 + まことに主なる神はそのしもべである預言者にその隠れた事を示さないでは、何事をもなされない。 + ししがほえる、だれが恐れないでいられよう。主なる神が語られる、だれが預言しないでいられよう」。 + アッスリヤにあるもろもろの宮殿、エジプトの地にあるもろもろの宮殿に宣べて言え、「サマリヤの山々に集まり、そのうちにある大いなる騒ぎと、その中で行われる暴虐とを見よ」と。 + 主は言われる、「彼らは正義を行うことを知らず、しえたげ取った物と奪い取った物とをそのもろもろの宮殿にたくわえている」。 + それゆえ主なる神はこう言われる、「敵がきて、この国を囲み、あなたの防備をあなたから取り除き、あなたのもろもろの宮殿はかすめられる」。 + 主はこう言われる、「羊飼がししの口から、羊の両足、あるいは片耳を取り返すように、サマリヤに住むイスラエルの人々も、長いすのすみや、寝台の一部を携えて救われるであろう」。 + 万軍の神、主なる神は言われる、「聞け、そしてヤコブの家に証言せよ。 + わたしはイスラエルのもろもろのとがを罰する日にベテルの祭壇を罰する。その祭壇の角は折れて、地に落ちる。 + わたしはまた冬の家と夏の家とを撃つ、象牙の家は滅び、大いなる家は消えうせる」と主は言われる。 + + + 「バシャンの雌牛どもよ、この言葉を聞け。あなたがたはサマリヤの山におり、弱い者をしえたげ、貧しい者を圧迫し、またその主人に向かって、『持ってきて、わたしたちに飲ませよ』と言う。 + 主なる神はご自分の聖なることによって誓われた、見よ、あなたがたの上にこのような時が来る。その時、人々はあなたがたをつり針にかけ、あなたがたの残りの者を魚つり針にかけて引いて行く。 + あなたがたはおのおのまっすぐに石がきの破れた所を出て、ハルモンに追いやられる」と主は言われる。 + 「あなたがたはベテルへ行って罪を犯し、ギルガルへ行って、とがを増し加えよ。朝ごとに、あなたがたの犠牲を携えて行け、三日ごとに、あなたがたの十分の一を携えて行け。 + 種を入れたパンの感謝祭をささげ、心よりの供え物をふれ示せ。イスラエルの人々よ、あなたがたはこのようにするのを好んでいる」と主なる神は言われる。 + 「わたしはまた、あなたがたのすべての町であなたがたの歯を清くし、あなたがたのすべての所でパンを乏しくした。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「わたしはまた、刈入れまでなお三月あるのに雨をとどめて、あなたがたの上にくださず、この町には雨を降らし、かの町には雨を降らさず、この畑は雨をえ、かの畑は雨をえないで枯れた。 + そこで二つ三つの町が一つの町によろめいて行って、水を飲んでも、飽くことができなかった。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「わたしは立ち枯れと腐り穂とをもってあなたがたを撃ち、あなたがたの園と、ぶどう畑とを荒した。いちじくの木とオリブの木とは、いなごが食った。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「わたしはエジプトにしたようにあなたがたのうちに疫病を送り、つるぎをもってあなたがたの若者を殺し、あなたがたの馬を奪い去り、あなたがたの宿営の臭気を上らせて、あなたがたの鼻をつかせた。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「わたしはあなたがたのうちの町を神がソドムとゴモラを滅ぼされた時のように滅ぼしたので、あなたがたは炎の中から取り出された燃えさしのようであった。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「それゆえイスラエルよ、わたしはこのようにあなたに行う。わたしはこれを行うゆえ、イスラエルよ、あなたの神に会う備えをせよ」。 + 見よ、彼は山を造り、風を創造し、人にその思いのいかなるかを示し、また、あけぼのを変えて暗やみとなし、地の高い所を踏まれる者、その名を万軍の神、主と言う。 + + + イスラエルの家よ、わたしが悲しみの歌をもって、あなたがたについて宣べるこの言葉を聞け、 + 「おとめイスラエルは倒れて、また起き上がらず、彼女はおのれの地に投げ倒されてこれを起す者がない」。 + 主なる神はこう言われる、「イスラエルの家では、千人出た町は百人残り、百人出た町は十人残る」。 + 主はイスラエルの家にこう言われる、「あなたがたはわたしを求めよ、そして生きよ。 + ベテルを求めるな、ギルガルに行くな。ベエルシバにおもむくな。ギルガルは必ず捕えられて行き、ベテルは無に帰するからである」。 + あなたがたは主を求めよ、そして生きよ。さもないと主は火のようにヨセフの家に落ち下られる。火はこれを焼くが、ベテルのためにこれを消す者はひとりもない。 + あなたがた、公道をにがよもぎに変え、正義を地に投げ捨てる者よ。 + プレアデスおよびオリオンを造り、暗黒を朝に変じ、昼を暗くして夜となし、海の水を呼んで、地のおもてに注がれる者、その名は主という。 + 主は滅びをたちまち強い者に臨ませられるので、滅びはついに城に臨む。 + 彼らは門にいて戒める者を憎み、真実を語る者を忌みきらう。 + あなたがたは貧しい者を踏みつけ、彼から麦の贈り物をとるゆえ、あなたがたは切り石の家を建てても、その中に住むことはできない。美しいぶどう畑を作っても、その酒を飲むことはできない。 + わたしは知る、あなたがたのとがは多く、あなたがたの罪は大きいからである。あなたがたは正しい者をしえたげ、まいないを取り、門で貧しい者を退ける。 + それゆえ、このような時には賢い者は沈黙する、これは悪い時だからである。 + 善を求めよ、悪を求めるな。そうすればあなたがたは生きることができる。またあなたがたが言うように、万軍の神、主はあなたがたと共におられる。 + 悪を憎み、善を愛し、門で公義を立てよ。万軍の神、主は、あるいはヨセフの残りの者をあわれまれるであろう。 + それゆえ、主なる万軍の神、主はこう言われる、「すべての広場で泣くことがあろう。すべてのちまたで人々は『悲しいかな、悲しいかな』と言う。また彼らは農夫を呼んできて嘆かせ、巧みな泣き女を招いて泣かせ、 + またすべてのぶどう畑にも泣くことがあろう。それはわたしがあなたがたの中を通るからである」と主は言われる。 + わざわいなるかな、主の日を望む者よ、あなたがたは何ゆえ主の日を望むのか。これは暗くて光がない。 + 人がししの前を逃れてもくまに出会い、また家にはいって、手を壁につけると、へびにかまれるようなものである。 + 主の日は暗くて、光がなく、薄暗くて輝きがないではないか。 + わたしはあなたがたの祭を憎み、かつ卑しめる。わたしはまた、あなたがたの聖会を喜ばない。 + たといあなたがたは燔祭や素祭をささげても、わたしはこれを受けいれない。あなたがたの肥えた獣の酬恩祭はわたしはこれを顧みない。 + あなたがたの歌の騒がしい音をわたしの前から断て。あなたがたの琴の音は、わたしはこれを聞かない。 + 公道を水のように、正義をつきない川のように流れさせよ。 + 「イスラエルの家よ、あなたがたは四十年の間、荒野でわたしに犠牲と供え物をささげたか。 + かえってあなたがたの王シクテをにない、あなたがたが自分で作ったあなたがたの偶像、星の神、キウンをになった。 + それゆえわたしはあなたがたをダマスコのかなたに捕え移す」と、その名を万軍の神ととなえられる主は言われる。 + + + 「わざわいなるかな、安らかにシオンにいる者、また安心してサマリヤの山にいる者、諸国民のかしらのうちの著名な人々で、イスラエルの家がきて従う者よ。 + カルネに渡って見よ。そこから大ハマテに行き、またペリシテびとのガテに下って見よ。彼らはこれらの国にまさっているか。彼らの土地はあなたがたの土地よりも大きいか。 + あなたがたは災の日を遠ざけ、強暴の座を近づけている。 + わざわいなるかな、みずから象牙の寝台に伏し、長いすの上に身を伸ばし、群れのうちから小羊を取り、牛舎のうちから子牛を取って食べ、 + 琴の音に合わせて歌い騒ぎ、ダビデのように楽器を造り出し、 + 鉢をもって酒を飲み、いとも尊い油を身にぬり、ヨセフの破滅を悲しまない者たちよ。 + それゆえ今、彼らは捕われて、捕われ人のまっ先に立って行く。そしてかの身を伸ばした者どもの騒ぎはやむであろう」。 + 主なる神はおのれによって誓われた、(万軍の神、主は言われる、)「わたしはヤコブの誇を忌みきらい、そのもろもろの宮殿を憎む。わたしはこの町とすべてその中にいる者を渡す」。 + 一つの家に十人の者が残っていても、彼らは死に、 + そしてその親戚、すなわちこれを焼く者は、骨を家から運びだすために、これを取り上げ、またその家の奥にいる者に向かって、「まだあなたと共にいる者があるか」と言い、「ない」との答がある時、かの人はまた「声を出すな、主の名をとなえるな」と言うであろう。 + 見よ、主は命じて、大きな家を撃って、みじんとなし、小さな家を撃って、切れ切れとされる。 + 馬は岩の上を走るだろうか。人は牛で海を耕すだろうか。ところがあなたがたは公道を毒に変じ、正義の実をにがよもぎに変じた。 + あなたがたはロデバルを喜び、「われわれは自分の力でカルナイムを得たではないか」と言う。 + それゆえ、万軍の神、主は言われる、「イスラエルの家よ、見よ、わたしは一つの国民を起して、あなたがたに敵対させる。彼らはハマテの入口からアラバの川まであなたがたを悩ます」。 + + + 主なる神はこのようにわたしに示された。見よ、二番草のはえ出る初めに主は、いなごを造られた。見よ、その二番草は王の刈った後に、はえたものである。 + そのいなごが地の青草を食い尽した時、わたしは言った、「主なる神よ、どうぞ、ゆるしてください。ヤコブは小さい者です、どうして立つことができましょう」。 + 主はこのことについて思いかえされ、「このことは起さない」と主は言われた。 + 主なる神はこのようにわたしに示された。見よ、主なる神はさばきのために火を呼ばれた。火は大淵を焼き、また地を焼こうとした。 + その時わたしは言った、「主なる神よ、どうぞ、やめてください。ヤコブは小さい者です、どうして立つことができましょう」。 + 主はこのことについて思いかえされ、「このこともまた起さない」と主なる神は言われた。 + また主はわたしに示された。見よ、主は測りなわをもって築いた石がきの上に立ち、その手に測りなわをもっておられた。 + そして主はわたしに言われた、「アモスよ、あなたは何を見るか」。「測りなわ」とわたしが答えると、主はまた言われた、「見よ、わたしは測りなわをわが民イスラエルの中に置く。わたしはもはや彼らを見過しにしない。 + イサクの高き所は荒され、イスラエルの聖所は荒れはてる。わたしはつるぎをもってヤラベアムの家に立ち向かう」。 + 時にベテルの祭司アマジヤは、イスラエルの王ヤラベアムに人をつかわして言う、「イスラエルの家のただ中で、アモスはあなたにそむきました。この地は彼のもろもろの言葉に耐えることができません。 + アモスはこのように言っています、『ヤラベアムはつるぎによって死ぬ、イスラエルは必ず捕えられて行って、その国を離れる』と」。 + それからアマジヤはアモスに言った、「先見者よ、行ってユダの地にのがれ、かの地でパンを食べ、かの地で預言せよ。 + しかしベテルでは二度と預言してはならない。ここは王の聖所、国の宮だから」。 + アモスはアマジヤに答えた、「わたしは預言者でもなく、また預言者の子でもない。わたしは牧者である。わたしはいちじく桑の木を作る者である。 + ところが主は群れに従っている所からわたしを取り、『行って、わが民イスラエルに預言せよ』と、主はわたしに言われた。 + それゆえ今、主の言葉を聞け。あなたは言う、『イスラエルに向かって預言するな、イサクの家に向かって語るな』と。 + それゆえ、主はこう言われる、『あなたの妻は町で遊女となり、あなたのむすこ、娘たちはつるぎに倒れ、あなたの地は測りなわで分かたれる。そしてあなたは汚れた地で死に、イスラエルは必ず捕えられて行って、その国を離れる』」。 + + + 主なる神は、このようにわたしに示された。見よ、ひとかごの夏のくだものがある。 + 主は言われた、「アモスよ、あなたは何を見るか」。わたしは「ひとかごの夏のくだもの」と答えた。すると主はわたしに言われた、「わが民イスラエルの終りがきた。わたしは再び彼らを見過しにしない。 + その日には宮の歌は嘆きに変り、しかばねがおびただしく、人々は無言でこれを至る所に投げ捨てる」と主なる神は言われる。 + あなたがた、貧しい者を踏みつけ、また国の乏しい者を滅ぼす者よ、これを聞け。 + あなたがたは言う、「新月はいつ過ぎ去るだろう、そうしたら、われわれは穀物を売ろう。安息日はいつ過ぎ去るだろう、そうしたら、われわれは麦を売り出そう。われわれはエパを小さくし、シケルを大きくし、偽りのはかりをもって欺き、 + 乏しい者を金で買い、貧しい者をくつ一足で買いとり、また、くず麦を売ろう」。 + 主はヤコブの誇をさして誓われた、「わたしは必ず彼らのすべてのわざをいつまでも忘れない。 + これがために地は震わないであろうか。地に住む者はみな嘆かないであろうか。地はみなナイル川のようにわきあがり、エジプトのナイル川のようにみなぎって、また沈まないであろうか」。 + 主なる神は言われる、「その日には、わたしは真昼に太陽を沈ませ、白昼に地を暗くし、 + あなたがたの祭を嘆きに変らせ、あなたがたの歌をことごとく悲しみの歌に変らせ、すべての人に荒布を腰にまとわせ、すべての人に髪をそり落させ、その日を、ひとり子を失った喪中のようにし、その終りを、苦い日のようにする」。 + 主なる神は言われる、「見よ、わたしがききんをこの国に送る日が来る、それはパンのききんではない、水にかわくのでもない、主の言葉を聞くことのききんである。 + 彼らは海から海へさまよい歩き、主の言葉を求めて、こなたかなたへはせまわる、しかしこれを得ないであろう。 + その日には美しいおとめも、若い男もかわきのために気を失う。 + かのサマリヤのアシマをさして誓い、『ダンよ、あなたの神は生きている』と言い、また『ベエルシバの道は生きている』と言う者どもは必ず倒れる。再び起きあがることはない」。 + + + わたしは祭壇のかたわらに立っておられる主を見た。主は言われた、「柱の頭を打って、敷居を震わせ、これを打ち砕いて、すべての民の頭の上に落ちかからせよ。その残った者を、わたしはつるぎで殺し、そのひとりも逃げおおす者はなく、のがれうる者はない。 + たとい彼らは陰府に掘り下っても、わたしの手はこれをそこから引き出す。たとい彼らは天によじのぼっても、わたしはそこからこれを引きおろす。 + たとい彼らはカルメルの頂に隠れても、わたしはこれを捜して、そこから引き出す。たとい彼らはわたしの目をのがれて、海の底に隠れても、わたしはへびに命じて、その所でこれをかませる。 + たとい彼らは捕われて、その敵の前に行っても、わたしはその所でつるぎに命じて、これを殺させる。わたしは彼らの上にわたしの目を注ぐ、それは災のためであって、幸のためではない」。 + 万軍の神、主が地に触れられると、地は溶け、その中に住む者はみな嘆き、地はみなナイル川のようにわきあがり、エジプトのナイル川のようにまた沈む。 + 主はご自分の高殿を天に築き、大空の基を地の上にすえ、海の水を呼んで、地のおもてに注がれる。その名は主ととなえられる。 + 主は言われる、「イスラエルの子らよ、あなたがたはわたしにとってエチオピヤびとのようではないか。わたしはイスラエルをエジプトの国から、ペリシテびとをカフトルから、スリヤびとをキルから導き上ったではないか。 + 見よ、主なる神の目はこの罪を犯した国の上に注がれている。わたしはこれを地のおもてから断ち滅ぼす。しかし、わたしはヤコブの家をことごとくは滅ぼさない」と主は言われる。 + 「見よ、わたしは命じて、人がふるいで物をふるうように、わたしはイスラエルの家を万国民のうちでふるう。ひと粒も地に落ちることはない。 + わが民の罪びと、すなわち『災はわれわれに近づかない、われわれに臨まない』と言う者どもはみな、つるぎで殺される。 + その日には、わたしはダビデの倒れた幕屋を興し、その破損を繕い、そのくずれた所を興し、これを昔の時のように建てる。 + これは彼らがエドムの残った者、およびわが名をもって呼ばれるすべての国民を所有するためである」とこの事をなされる主は言われる。 + 主は言われる、「見よ、このような時が来る。その時には、耕す者は刈る者に相継ぎ、ぶどうを踏む者は種まく者に相継ぐ。もろもろの山にはうまい酒がしたたり、もろもろの丘は溶けて流れる。 + わたしはわが民イスラエルの幸福をもとに返す。彼らは荒れた町々を建てて住み、ぶどう畑を作ってその酒を飲み、園を作ってその実を食べる。 + わたしは彼らをその地に植えつける。彼らはわたしが与えた地から再び抜きとられることはない」とあなたの神、主は言われる。 + +
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+ + オバデヤの幻。主なる神はエドムについてこう言われる、われわれは主から出たおとずれを聞いた。ひとりの使者が諸国民のうちにつかわされて言う、「立てよ、われわれは立ってエドムと戦おう」。 + 見よ、わたしはあなたを国々のうちで小さい者とする。あなたはひどく卑しめられる。 + 岩のはざまにおり、高い所に住む者よ、あなたの心の高ぶりは、あなたを欺いた。あなたは心のうちに言う、「だれがわたしを地に引き下らせる事ができるか」。 + たといあなたは、わしのように高くあがり、星の間に巣を設けても、わたしはそこからあなたを引きおろすと主は言われる。 + もし盗びとがあなたの所に来、強盗が夜きても、彼らは、ほしいだけ盗むではないか。ああ、あなたは全く滅ぼされてしまう。もしぶどうを集める者があなたの所に来たなら、彼らはなお余りの実を残さないであろうか。 + ああ、エサウはかすめられ、その隠しておいた宝は探り出される。 + あなたと契約を結んだ人々はみな、あなたを欺き、あなたを国境に追いやった。あなたと同盟を結んだ人々はあなたに勝った。あなたの信頼する友はあなたの下にわなを設けた、しかしその事を悟らない。 + 主は言われる、その日には、わたしはエドムから知者を滅ぼし、エサウの山から悟りを断ち除かないだろうか。 + テマンよ、あなたの勇士は驚き恐れる。人はみな殺されてエサウの山から断ち除かれる。 + あなたはその兄弟ヤコブに暴虐を行ったので、恥はあなたをおおい、あなたは永遠に断たれる。 + あなたが離れて立っていた日、すなわち異邦人がその財宝を持ち去り、外国人がその門におし入り、エルサレムをくじ引きにした日、あなたも彼らのひとりのようであった。 + しかしあなたは自分の兄弟の日、すなわちその災の日をながめていてはならなかった。あなたはユダの人々の滅びの日に、これを喜んではならず、その悩みの日に誇ってはならなかった。 + あなたはわが民の災の日に、その門にはいってはならず、その災の日にその苦しみをながめてはならなかった。またその災の日に、その財宝に手をかけてはならなかった。 + あなたは分れ道に立って、そののがれる者を切ってはならなかった。あなたは悩みの日にその残った者を敵にわたしてはならなかった。 + 主の日が万国の民に臨むのは近い。あなたがしたようにあなたもされる。あなたの報いはあなたのこうべに帰する。 + あなたがたがわが聖なる山で飲んだように、周囲のもろもろの民も飲む。すなわち彼らは飲んでよろめき、かつてなかったようになる。 + しかしシオンの山には、のがれる者がいて、聖なる所となる。またヤコブの家はその領地を獲る。 + ヤコブの家は火となり、ヨセフの家は炎となり、エサウの家はわらとなる。彼らはその中に燃えて、これを焼く。エサウの家には残る者がないようになると主は言われた。 + ネゲブの人々はエサウの山を獲、セフェラの人々はペリシテびとを獲る。また彼らはエフライムの地、およびサマリヤの地を獲、ベニヤミンはギレアデを獲る。 + ハラにいるイスラエルの人々の捕われ人は、フェニキヤをザレパテまで取り、セパラデにいるエルサレムの捕われ人は、ネゲブの町々を獲る。 + こうして救う者はシオンの山に上って、エサウの山を治める。そして王国は主のものとなる。 + +
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+ + 主の言葉がアミッタイの子ヨナに臨んで言った、 + 「立って、あの大きな町ニネベに行き、これに向かって呼ばわれ。彼らの悪がわたしの前に上ってきたからである」。 + しかしヨナは主の前を離れてタルシシへのがれようと、立ってヨッパに下って行った。ところがちょうど、タルシシへ行く船があったので、船賃を払い、主の前を離れて、人々と共にタルシシへ行こうと船に乗った。 + 時に、主は大風を海の上に起されたので、船が破れるほどの激しい暴風が海の上にあった。 + それで水夫たちは恐れて、めいめい自分の神を呼び求め、また船を軽くするため、その中の積み荷を海に投げ捨てた。しかし、ヨナは船の奥に下り、伏して熟睡していた。 + そこで船長は来て、彼に言った、「あなたはどうして眠っているのか。起きて、あなたの神に呼ばわりなさい。神があるいは、われわれを顧みて、助けてくださるだろう」。 + やがて人々は互に言った、「この災がわれわれに臨んだのは、だれのせいか知るために、さあ、くじを引いてみよう」。そして彼らが、くじを引いたところ、くじはヨナに当った。 + そこで人々はヨナに言った、「この災がだれのせいで、われわれに臨んだのか、われわれに告げなさい。あなたの職業は何か。あなたはどこから来たのか。あなたの国はどこか。あなたはどこの民か」。 + ヨナは彼らに言った、「わたしはヘブルびとです。わたしは海と陸とをお造りになった天の神、主を恐れる者です」。 + そこで人々ははなはだしく恐れて、彼に言った、「あなたはなんたる事をしてくれたのか」。人々は彼がさきに彼らに告げた事によって、彼が主の前を離れて、のがれようとしていた事を知っていたからである。 + 人々は彼に言った、「われわれのために海が静まるには、あなたをどうしたらよかろうか」。それは海がますます荒れてきたからである。 + ヨナは彼らに言った、「わたしを取って海に投げ入れなさい。そうしたら海は、あなたがたのために静まるでしょう。わたしにはよくわかっています。この激しい暴風があなたがたに臨んだのは、わたしのせいです」。 + しかし人々は船を陸にこぎもどそうとつとめたが、成功しなかった。それは海が彼らに逆らって、いよいよ荒れたからである。 + そこで人々は主に呼ばわって言った、「主よ、どうぞ、この人の生命のために、われわれを滅ぼさないでください。また罪なき血を、われわれに帰しないでください。主よ、これはみ心に従って、なされた事だからです」。 + そして彼らはヨナを取って海に投げ入れた。すると海の荒れるのがやんだ。 + そこで人々は大いに主を恐れ、犠牲を主にささげて、誓願を立てた。 + 主は大いなる魚を備えて、ヨナをのませられた。ヨナは三日三夜その魚の腹の中にいた。 + + + ヨナは魚の腹の中からその神、主に祈って、 + 言った、「わたしは悩みのうちから主に呼ばわると、主はわたしに答えられた。わたしが陰府の腹の中から叫ぶと、あなたはわたしの声を聞かれた。 + あなたはわたしを淵の中、海のまん中に投げ入れられた。大水はわたしをめぐり、あなたの波と大波は皆、わたしの上を越えて行った。 + わたしは言った、『わたしはあなたの前から追われてしまった、どうして再びあなたの聖なる宮を望みえようか』。 + 水がわたしをめぐって魂にまでおよび、淵はわたしを取り囲み、海草は山の根元でわたしの頭にまといついた。 + わたしは地に下り、地の貫の木はいつもわたしの上にあった。しかしわが神、主よ、あなたはわが命を穴から救いあげられた。 + わが魂がわたしのうちに弱っているとき、わたしは主をおぼえ、わたしの祈はあなたに至り、あなたの聖なる宮に達した。 + むなしい偶像に心を寄せる者は、そのまことの忠節を捨てる。 + しかしわたしは感謝の声をもって、あなたに犠牲をささげ、わたしの誓いをはたす。救は主にある」。 + 主は魚にお命じになったので、魚はヨナを陸に吐き出した。 + + + 時に主の言葉は再びヨナに臨んで言った、 + 「立って、あの大きな町ニネベに行き、あなたに命じる言葉をこれに伝えよ」。 + そこでヨナは主の言葉に従い、立って、ニネベに行った。ニネベは非常に大きな町であって、これを行きめぐるには、三日を要するほどであった。 + ヨナはその町にはいり、初め一日路を行きめぐって呼ばわり、「四十日を経たらニネベは滅びる」と言った。 + そこでニネベの人々は神を信じ、断食をふれ、大きい者から小さい者まで荒布を着た。 + このうわさがニネベの王に達すると、彼はその王座から立ち上がり、朝服を脱ぎ、荒布をまとい、灰の中に座した。 + また王とその大臣の布告をもって、ニネベ中にふれさせて言った、「人も獣も牛も羊もみな、何をも味わってはならない。物を食い、水を飲んではならない。 + 人も獣も荒布をまとい、ひたすら神に呼ばわり、おのおのその悪い道およびその手にある強暴を離れよ。 + あるいは神はみ心をかえ、その激しい怒りをやめて、われわれを滅ぼされないかもしれない。だれがそれを知るだろう」。 + 神は彼らのなすところ、その悪い道を離れたのを見られ、彼らの上に下そうと言われた災を思いかえして、これをおやめになった。 + + + ところがヨナはこれを非常に不快として、激しく怒り、 + 主に祈って言った、「主よ、わたしがなお国におりました時、この事を申したではありませんか。それでこそわたしは、急いでタルシシにのがれようとしたのです。なぜなら、わたしはあなたが恵み深い神、あわれみあり、怒ることおそく、いつくしみ豊かで、災を思いかえされることを、知っていたからです。 + それで主よ、どうぞ今わたしの命をとってください。わたしにとっては、生きるよりも死ぬ方がましだからです」。 + 主は言われた、「あなたの怒るのは、よいことであろうか」。 + そこでヨナは町から出て、町の東の方に座し、そこに自分のために一つの小屋を造り、町のなりゆきを見きわめようと、その下の日陰にすわっていた。 + 時に主なる神は、ヨナを暑さの苦痛から救うために、とうごまを備えて、それを育て、ヨナの頭の上に日陰を設けた。ヨナはこのとうごまを非常に喜んだ。 + ところが神は翌日の夜明けに虫を備えて、そのとうごまをかませられたので、それは枯れた。 + やがて太陽が出たとき、神が暑い東風を備え、また太陽がヨナの頭を照したので、ヨナは弱りはて、死ぬことを願って言った、「生きるよりも死ぬ方がわたしにはましだ」。 + しかし神はヨナに言われた、「とうごまのためにあなたの怒るのはよくない」。ヨナは言った、「わたしは怒りのあまり狂い死にそうです」。 + 主は言われた、「あなたは労せず、育てず、一夜に生じて、一夜に滅びたこのとうごまをさえ、惜しんでいる。 + ましてわたしは十二万あまりの、右左をわきまえない人々と、あまたの家畜とのいるこの大きな町ニネベを、惜しまないでいられようか」。 + +
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+ + ユダの王ヨタム、アハズおよびヒゼキヤの世に、モレシテびとミカが、サマリヤとエルサレムについて示された主の言葉。 + あなたがたすべての民よ、聞け。地とその中に満てる者よ、耳を傾けよ。主なる神はあなたがたにむかって証言し、主はその聖なる宮から証言される。 + 見よ、主はそのご座所から出てこられ、下ってきて地の高い所を踏まれる。 + 山は彼の下に溶け、谷は裂け、火の前のろうのごとく、坂に流れる水のようだ。 + これはみなヤコブのとがのゆえ、イスラエルの家の罪のゆえである。ヤコブのとがとは何か、サマリヤではないか。ユダの家の罪とは何か、エルサレムではないか。 + このゆえにわたしはサマリヤを野の石塚となし、ぶどうを植える所となし、またその石を谷に投げ落し、その基をあらわにする。 + その彫像はみな砕かれ、その獲た価はみな火で焼かれる。わたしはその偶像をことごとくこわす。これは遊女の価から集めたのだから、遊女の価に帰る。 + わたしはこれがために嘆き悲しみ、はだしと裸で歩きまわり、山犬のように嘆き、だちょうのように悲しみ鳴く。 + サマリヤの傷はいやすことのできないもので、ユダまでひろがり、わが民の門、エルサレムまで及んでいる。 + ガテに告げるな、泣き叫ぶな。ベテレアフラで、ちりの中にころがれ。 + サピルに住む者よ、裸になり、恥をこうむって進み行け。ザアナンに住む者は出てこない。ベテエゼルの嘆きはあなたがたからその跡を断つ。 + マロテに住む者は気づかわしそうに幸を待つ。災が主から出て、エルサレムの門に臨んだからである。 + ラキシに住む者よ、戦車に早馬をつなげ。ラキシはシオンの娘にとって罪の初めであった。イスラエルのとがが、あなたがたのうちに見られたからである。 + それゆえ、あなたはモレセテ・ガテに別れの贈り物を与える。アクジブの家々はイスラエルの王たちにとって、人を欺くものとなる。 + マレシャに住む者よ、わたしはまた侵略者をあなたの所に連れて行く。イスラエルの栄光はアドラムに去るであろう。 + あなたの喜ぶ子らのために、あなたの髪をそり落せ。そのそった所をはげたかのように大きくせよ。彼らは捕えられてあなたを離れるからである。 + + + その床の上で不義を計り、悪を行う者はわざわいである。彼らはその手に力あるゆえ、夜が明けるとこれを行う。 + 彼らは田畑をむさぼってこれを奪い、家をむさぼってこれを取る。彼らは人をしえたげてその家を奪い、人をしえたげてその嗣業を奪う。 + それゆえ、主はこう言われる、見よ、わたしはこのやからにむかって災を下そうと計る。あなたがたはその首をこれから、はずすことはできない。また、まっすぐに立って歩くことはできない。これは災の時だからである。 + その日、人々は歌を作ってあなたがたをののしり、悲しみの歌をもって嘆き悲しみ、「われわれはことごとく滅ぼされる、わが民の分は人に与えられる。どうしてこれはわたしから離れるのであろう。われわれの田畑はわれわれを捕えた者の間に分け与えられる」と言う。 + それゆえ、主の会衆のうちにはくじによって測りなわを張る者はひとりもなくなる。 + 彼らは言う、「あなたがたは説教してはならない。そのような事について説教してはならない。そうすればわれわれは恥をこうむることがない」と。 + ヤコブの家よ、そんなことは言えるのだろうか。主は気短な方であろうか。これらは主のみわざなのであろうか。わが言葉は正しく歩む者に、益とならないのであろうか。 + ところが、あなたがたは立ってわが民の敵となり、いくさのことを知らずに、安らかに過ぎゆく者から、平和な者から、上着をはぎ取り、 + わが民の女たちをその楽しい家から追い出し、その子どもから、わが栄えをとこしえに奪う。 + 立って去れ、これはあなたがたの休み場所ではない。これは汚れのゆえに滅びる。その滅びは悲惨な滅びだ。 + もし人が風に歩み、偽りを言い、「わたしはぶどう酒と濃き酒とについて、あなたに説教しよう」と言うならば、その人はこの民の説教者となるであろう。 + ヤコブよ、わたしは必ずあなたをことごとく集め、イスラエルの残れる者を集める。わたしはこれをおりの羊のように、牧場の中の群れのように共におく。これは人の多きによって騒がしくなる。 + 打ち破る者は彼らに先だって登りゆき、彼らは門を打ち破り、これをとおって外に出て行く。彼らの王はその前に進み、主はその先頭に立たれる。 + + + わたしは言った、ヤコブのかしらたちよ、イスラエルの家のつかさたちよ、聞け、公義はあなたがたの知っておるべきことではないか。 + あなたがたは善を憎み、悪を愛し、わが民の身から皮をはぎ、その骨から肉をそぎ、 + またわが民の肉を食らい、その皮をはぎ、その骨を砕き、これを切りきざんで、なべに入れる食物のようにし、大なべに入れる肉のようにする。 + こうして彼らが主に呼ばわっても、主はお答えにならない。かえってその時には、み顔を彼らに隠される。彼らのおこないが悪いからである。 + わが民を惑わす預言者について主はこう言われる、彼らは食べ物のある時には、「平安」を叫ぶけれども、その口に何も与えない者にむかっては、宣戦を布告する。 + それゆえ、あなたがたには夜があっても幻がなく、暗やみがあっても占いがない。太陽はその預言者たちに没し、昼も彼らの上に暗くなる。 + 先見者は恥をかき、占い師は顔をあからめ、彼らは皆そのくちびるをおおう。神の答がないからである。 + しかしわたしは主のみたまによって力に満ち、公義と勇気とに満たされ、ヤコブにそのとがを示し、イスラエルにその罪を示すことができる。 + ヤコブの家のかしらたち、イスラエルの家のつかさたちよ、すなわち公義を憎み、すべての正しい事を曲げる者よ、これを聞け。 + あなたがたは血をもってシオンを建て、不義をもってエルサレムを建てた。 + そのかしらたちは、まいないをとってさばき、その祭司たちは価をとって教え、その預言者たちは金をとって占う。しかもなお彼らは主に寄り頼んで、「主はわれわれの中におられるではないか、だから災はわれわれに臨むことがない」と言う。 + それゆえ、シオンはあなたがたのゆえに田畑となって耕され、エルサレムは石塚となり、宮の山は木のおい茂る高い所となる。 + + + 末の日になって、主の家の山はもろもろの山のかしらとして堅く立てられ、もろもろの峰よりも高くあげられ、もろもろの民はこれに流れくる。 + 多くの国民は来て言う、「さあ、われわれは主の山に登り、ヤコブの神の家に行こう。彼はその道をわれわれに教え、われわれはその道に歩もう」と。律法はシオンから出、主の言葉はエルサレムから出るからである。 + 彼は多くの民の間をさばき、遠い所まで強い国々のために仲裁される。そこで彼らはつるぎを打ちかえて、すきとし、そのやりを打ちかえて、かまとし、国は国にむかってつるぎをあげず、再び戦いのことを学ばない。 + 彼らは皆そのぶどうの木の下に座し、そのいちじくの木の下にいる。彼らを恐れさせる者はない。これは万軍の主がその口で語られたことである。 + すべての民はおのおのその神の名によって歩む。しかしわれわれはわれわれの神、主の名によって、とこしえに歩む。 + 主は言われる、その日には、わたしはかの足のなえた者を集め、またかの追いやられた者およびわたしが苦しめた者を集め、 + その足のなえた者を残れる民とし、遠く追いやられた者を強い国民とする。主はシオンの山で、今よりとこしえに彼らを治められる。 + 羊の群れのやぐら、シオンの娘の山よ、以前の主権はあなたに帰ってくる。すなわちエルサレムの娘の国はあなたに帰ってくる。 + 今あなたは何ゆえわめき叫ぶのか、あなたのうちに王がないのか。あなたの相談相手は絶えはて、産婦のように激しい痛みがあなたを捕えたのか。 + シオンの娘よ、産婦のように苦しんでうめけ。あなたは今、町を出て野にやどり、バビロンに行かなければならない。その所であなたは救われる。主はその所であなたを敵の手からあがなわれる。 + いま多くの国民はあなたに逆らい、集まって言う、「どうかシオンが汚されるように、われわれの目がシオンを見てあざ笑うように」と。 + しかし彼らは主の思いを知らず、またその計画を悟らない。すなわち主が麦束を打ち場に集めるように、彼らを集められることを悟らない。 + シオンの娘よ、立って打ちこなせ。わたしはあなたの角を鉄となし、あなたのひずめを青銅としよう。あなたは多くの民を打ち砕き、彼らのぶんどり物を主にささげ、彼らの富を全地の主にささげる。 + + + 今あなたは壁でとりまかれている。敵はわれわれを攻め囲み、 つえをもってイスラエルのつかさのほおを撃つ。 + しかしベツレヘム・エフラタよ、あなたはユダの氏族のうちで小さい者だが、イスラエルを治める者があなたのうちからわたしのために出る。その出るのは昔から、いにしえの日からである。 + それゆえ、産婦の産みおとす時まで、主は彼らを渡しおかれる。その後その兄弟たちの残れる者はイスラエルの子らのもとに帰る。 + 彼は主の力により、その神、主の名の威光により、立ってその群れを養い、彼らを安らかにおらせる。今、彼は大いなる者となって、地の果にまで及ぶからである。 + これは平和である。アッスリヤびとがわれわれの国に来て、われわれの土地を踏むとき、七人の牧者を起し、八人の君を起してこれに当らせる。 + 彼らはつるぎをもってアッスリヤの地を治め、ぬきみのつるぎをもってニムロデの地を治める。アッスリヤびとがわれわれの地に来て、われわれの境を踏み荒すとき、彼らはアッスリヤびとから、われわれを救う。 + その時ヤコブの残れる者は多くの民の中にあること、人によらず、また人の子らを待たずに主からくだる露のごとく、青草の上に降る夕立ちのようである。 + またヤコブの残れる者が国々の中におり、多くの民の中にいること、林の獣の中のししのごとく、羊の群れの中の若いししのようである。それが過ぎるときは踏み、かつ裂いて救う者はない。 + あなたの手はもろもろのあだの上にあげられ、あなたの敵はことごとく断たれる。 + 主は言われる、その日には、わたしはあなたのうちから馬を絶やし、戦車をこわし、 + あなたの国の町々を絶やし、あなたの城をことごとくくつがえす。 + またあなたの手から魔術を絶やす。あなたのうちには占い師がないようになる。 + またあなたのうちから彫像および石の柱を絶やす。あなたは重ねて手で作った物を拝むことはない。 + またあなたのうちからアシラ像を抜き倒し、あなたの町々を滅ぼす。 + そしてわたしは怒りと憤りとをもってその聞き従わないもろもろの国民に復讐する。 + + + あなたがたは主の言われることを聞き、立ちあがって、もろもろの山の前に訴えをのべ、もろもろの丘にあなたの声を聞かせよ。 + もろもろの山よ、地の変ることなき基よ、主の言い争いを聞け。主はその民と言い争い、イスラエルと論争されるからである。 + 「わが民よ、わたしはあなたに何をなしたか、何によってあなたを疲れさせたか、わたしに答えよ。 + わたしはエジプトの国からあなたを導きのぼり、奴隷の家からあなたをあがない出し、モーセ、アロンおよびミリアムをつかわして、あなたに先だたせた。 + わが民よ、モアブの王バラクがたくらんだ事、ベオルの子バラムが彼に答えた事、シッテムからギルガルに至るまでに起った事どもを思い起せ。そうすれば、あなたは主の正義のみわざを知るであろう」。 + 「わたしは何をもって主のみ前に行き、高き神を拝すべきか。燔祭および当歳の子牛をもってそのみ前に行くべきか。 + 主は数千の雄羊、万流の油を喜ばれるだろうか。わがとがのためにわが長子をささぐべきか。わが魂の罪のためにわが身の子をささぐべきか」。 + 人よ、彼はさきによい事のなんであるかをあなたに告げられた。主のあなたに求められることは、ただ公義をおこない、いつくしみを愛し、へりくだってあなたの神と共に歩むことではないか。 + 主の声が町にむかって呼ばわる――全き知恵はあなたの名を恐れることである――「部族および町の会衆よ、聞け。 + わたしは悪人の家にある不義の財宝、のろうべき不正な枡を忘れ得ようか。 + 不正なはかりを用い、偽りのおもしを入れた袋を用いる人をわたしは罪なしとするだろうか。 + あなたのうちの富める人は暴虐で満ち、あなたの住民は偽りを言い、その舌は口で欺くことをなす。 + それゆえ、わたしはあなたを撃ち、あなたをその罪のために滅ぼすことを始めた。 + あなたは食べても、飽くことがなく、あなたの腹はいつもひもじい。あなたは移しても、救うことができない。あなたが救う者を、わたしはつるぎにわたす。 + あなたは種をまいても、刈ることがなく、オリブの実を踏んでも、その身に油を塗ることがなく、ぶどうを踏んでも、その酒を飲むことがない。 + あなたはオムリの定めを守り、アハブの家のすべてのわざをおこない、彼らの計りごとに従って歩んだ。これはわたしがあなたを荒し、その住民を笑い物とするためである。あなたがたは民のはずかしめを負わねばならぬ」。 + + + わざわいなるかな、わたしは夏のくだものを集める時のように、ぶどうの収穫の残りを集める時のようになった。食らうべきぶどうはなく、わが心の好む初なりのいちじくもない。 + 神を敬う人は地に絶え、人のうちに正しい者はない。みな血を流そうと待ち伏せし、おのおの網をもってその兄弟を捕える。 + 両手は悪い事をしようと努めてやまない。つかさと裁判官はまいないを求め、大いなる人はその心の悪い欲望を言いあらわし、こうして彼らはその悪を仕組む。 + 彼らの最もよい者もいばらのごとく、最も正しい者もいばらのいけがきのようだ。彼らの見張びとの日、すなわち彼らの刑罰の日が来る。いまや彼らの混乱が近い。 + あなたがたは隣り人を信じてはならない。友人をたのんではならない。あなたのふところに寝る者にも、あなたの口の戸を守れ。 + むすこは父をいやしめ、娘はその母にそむき、嫁はそのしゅうとめにそむく。人の敵はその家の者である。 + しかし、わたしは主を仰ぎ見、わが救の神を待つ。わが神はわたしの願いを聞かれる。 + わが敵よ、わたしについて喜ぶな。たといわたしが倒れるとも起きあがる。たといわたしが暗やみの中にすわるとも、主はわが光となられる。 + 主はわが訴えを取りあげ、わたしのためにさばきを行われるまで、わたしは主の怒りを負わなければならない。主に対して罪を犯したからである。主はわたしを光に導き出してくださる。わたしは主の正義を見るであろう。 + その時「あなたの神、主はどこにいるか」とわたしに言ったわが敵は、これを見て恥をこうむり、わが目は彼を見てあざ笑う。彼は街路の泥のように踏みつけられる。 + あなたの城壁を築く日が来る。その日には国境が遠く広がる。 + その日にはアッスリヤからエジプトまで、エジプトからユフラテ川まで、海から海まで、山から山まで、人々はあなたに来る。 + しかしかの地はその住民のゆえに、そのおこないの実によって荒れはてる。 + どうか、あなたのつえをもってあなたの民、すなわち園の中の林にひとりおるあなたの嗣業の羊を牧し、いにしえの日のようにバシャンとギレアデで、彼らを養ってください。 + あなたがエジプトの国を出た時のように、わたしはもろもろの不思議な事を彼らに示す。 + 国々の民は見て、そのすべての力を恥じ、その手を口にあて、その耳は聞えぬ耳となる。 + 彼らはへびのように、地に這うもののようにちりをなめ、震えながらその城から出、おののきつつ、われわれの神、主に近づいてきて、あなたのために恐れる。 + だれかあなたのように不義をゆるし、その嗣業の残れる者のためにとがを見過ごされる神があろうか。神はいつくしみを喜ばれるので、その怒りをながく保たず、 + 再びわれわれをあわれみ、われわれの不義を足で踏みつけられる。あなたはわれわれのもろもろの罪を海の深みに投げ入れ、 + 昔からわれわれの先祖たちに誓われたように、真実をヤコブに示し、いつくしみをアブラハムに示される。 + +
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+ + ニネベについての託宣。エルコシびとナホムの幻の書。 + 主はねたみ、かつあだを報いる神、主はあだを報いる者、また憤る者、主はおのがあだに報復し、おのが敵に対して憤りをいだく。 + 主は怒ることおそく、力強き者、主は罰すべき者を決してゆるされない者、主の道はつむじ風と大風の中にあり、雲はその足のちりである。 + 彼は海を戒めて、これをかわかし、すべての川をかれさせる。バシャンとカルメルはしおれ、レバノンの花はしぼむ。 + もろもろの山は彼の前に震い、もろもろの丘は溶け、地は彼の前にむなしくなり、世界とその中に住む者も皆、むなしくなる。 + だれが彼の憤りの前に立つことができよう。だれが彼の燃える怒りに耐えることができよう。その憤りは火のように注がれ、岩も彼によって裂かれる。 + 主は恵み深く、なやみの日の要害である。彼はご自分を避け所とする者を知っておられる。 + しかし、彼はみなぎる洪水であだを全く滅ぼし、おのが敵を暗やみに追いやられる。 + あなたがたは主に対して何を計るか。彼はその敵に二度としかえしをする必要がないように敵を全く滅ぼされる。 + 彼らは結びからまったいばらのように、かわいた刈り株のように、焼き尽される。 + 主に対して悪事を計り、よこしまな事を勧める者があなたのうちから出たではないか。 + 主はこう言われる、「たとい彼らは強く、かつ多くあっても、切り倒されて絶えはてる。わたしはあなたを苦しめたが、重ねてあなたを苦しめない。 + 今わたしは彼のくびきを砕いて、あなたからとり除き、あなたのなわめを切りはなす」。 + 主はあなたについてお命じになった、「あなたの名は長く続かない。わたしはあなたの神々の家から、彫像および鋳造を除き去る。あなたは罪深い者だから、わたしはあなたの墓を設ける」。 + 見よ、良きおとずれを伝える者の足は山の上にある。彼は平安を宣べている。ユダよ、あなたの祭を行い、あなたの誓願をはたせ。よこしまな者は重ねて、あなたに向かって攻めてこないからである。彼は全く断たれる。 + + + 撃ち破る者があなたに向かって上って来る。城を守れ、道をうかがえ。腰に帯せよ、大いに力を強くせよ。 + 主はヤコブの栄えを回復して、イスラエルの栄えのようにされる。かすめる者が彼らをかすめ、そのぶどうづるを、そこなったからである。 + その勇士の盾は赤くいろどられ、その兵士は紅に身をよろう。戦車はその備えの日に、火のように輝き、軍馬はおどる。 + 戦車はちまたに狂い走り、大路に飛びかける。彼らはたいまつのように輝き、いなずまのように飛びかける。 + 将士らは召集され、彼らはその道でつまずき倒れ、城壁に向かって急いで行って大盾を備える。 + 川々の門は開け、宮殿はあわてふためく。 + その王妃は裸にされて、捕われゆき、その侍女たちは悲しみ、胸を打って、はとのようにうめく。 + ニネベは池のようであったが、その水は注ぎ出された。「立ち止まれ、立ち止まれ」と呼んでも、ふりかえるものもない。 + 銀を奪え、金を奪え。その宝は限りなく、もろもろの尊い物はおびただしい。 + 消えうせ、むなしくなり、荒れはてた。心は消え、ひざは震え、すべての腰には痛みがあり、すべての顔は色を失った。 + ししのすみかはどこであるか。若いししの穴はどこであるか。そこに雄じしはその獲物を携え行き、その子じしと共にいても、これを恐れさせる者はない。 + 雄じしはその子じしのために引き裂き、雌じしのために獲物を絞め殺し、獲物をもってその穴を満たし、引き裂いた肉をもってそのすみかを満たした。 + 万軍の主は言われる、見よ、わたしはあなたに臨む。わたしはあなたの戦車を焼いて煙にする。つるぎはあなたの若いししを滅ぼす。わたしはまた、あなたの獲物を地から断つ。あなたの使者の声は重ねて聞かれない。 + + + わざわいなるかな、血を流す町。その中には偽りと、ぶんどり物が満ち、略奪はやまない。 + むちの音がする。車輪のとどろく音が聞える。かける馬があり、走る戦車がある。 + 騎兵は突撃し、つるぎがきらめき、やりがひらめく。殺される者はおびただしく、しかばねは山をなす。死体は数限りなく、人々はその死体につまずく。 + これは皆あでやかな遊女の恐るべき魔力と、多くの淫行のためであって、その淫行をもって諸国民を売り、その魔力をもって諸族を売り渡したものである。 + 万軍の主は言われる、見よ、わたしはあなたに臨む、わたしはあなたのすそを顔の上まであげ、あなたの裸を諸民に見せ、あなたの恥じる所を諸国に見せる。 + わたしは汚らわしい物を、あなたの上に投げかけて、あなたをはずかしめ、あなたを見ものとする。 + すべてあなたを見るものは、あなたを避けて逃げ去って言う、「ニネベは滅びた」と。だれがこのために嘆こう。わたしはどこから彼女を慰める者を、尋ね出し得よう。 + あなたはテーベにまさっているか。これはナイル川のかたわらに座し、水をその周囲にめぐらし、海をとりでとなし、水をその垣としている。 + その力はエチオピヤ、またエジプトであって、限りがない。プトびと、リビヤびともその助け手であった。 + しかし、これもとりことなって捕えられて行き、その子供もすべてのちまたのかどで打ち砕かれ、その尊い人々はくじで分けられ、その大いなる人々は皆、鎖につながれた。 + あなたもまた酔わされて気を失い、あなたは敵を避けて逃げ場を求める。 + あなたのとりでは皆初なりの実をもつ、いちじくの木のようだ。これをゆすぶればその実は落ちて、食べようとする者の口にはいる。 + 見よ、あなたのうちにいる兵士は女のようだ。あなたの国の門はあなたの敵の前に広く開かれ、火はあなたの貫の木を焼いた。 + 籠城のために水をくめ。あなたのとりでを堅めよ。粘土の中にはいって、しっくいを踏み、れんがの型をとれ。 + その所で火はあなたを焼き、つるぎはあなたを切る。それはいなごのようにあなたを食い滅ぼす。あなたはいなごのように数を増せ。ばったのようにふえよ。 + あなたは自分の商人を天の星よりも多くした。いなごは羽をはって飛び去る。 + あなたの君たちは、ばったのように、あなたの学者たちは、いなごのように、寒い日には垣にとまり、日が出て来ると飛び去る。そのありかはだれも知らない。 + アッスリヤの王よ、あなたの牧者は眠り、あなたの貴族はまどろむ。あなたの民は山の上に散らされ、これを集める者はない。 + あなたの破れは、いえることがなく、あなたの傷は重い。あなたのうわさを聞く者は皆、あなたの事について手を打つ。あなたの悪を常に身に受けなかったような者が、だれひとりあるか。 + +
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+ + 預言者ハバククが見た神の託宣。 + 主よ、わたしが呼んでいるのに、いつまであなたは聞きいれて下さらないのか。わたしはあなたに「暴虐がある」と訴えたが、あなたは助けて下さらないのか。 + あなたは何ゆえ、わたしによこしまを見せ、何ゆえ、わたしに災を見せられるのか。略奪と暴虐がわたしの前にあり、また論争があり、闘争も起っている。 + それゆえ、律法はゆるみ、公義は行われず、悪人は義人を囲み、公義は曲げて行われている。 + 諸国民のうちを望み見て、驚け、そして怪しめ。わたしはあなたがたの日に一つの事をする。人がこの事を知らせても、あなたがたはとうてい信じまい。 + 見よ、わたしはカルデヤびとを興す。これはたけく、激しい国民であって、地を縦横に行きめぐり、自分たちのものでないすみかを奪う。 + これはきびしく、恐ろしく、そのさばきと威厳とは彼ら自身から出る。 + その馬はひょうよりも速く、夜のおおかみよりも荒い。その騎兵は威勢よく進む。すなわち、その騎兵は遠い所から来る。彼らは物を食おうと急ぐわしのように飛ぶ。 + 彼らはみな暴虐のために来る。彼らを恐れる恐れが彼らの前を行く。彼らはとりこを砂のように集める。 + 彼らは王たちを侮り、つかさたちをあざける。彼らはすべての城をあざ笑い、土を積み上げてこれを奪う。 + こうして、彼らは風のようになぎ倒して行き過ぎる。彼らは罪深い者で、おのれの力を神となす。 + わが神、主、わが聖者よ。あなたは永遠からいますかたではありませんか。わたしたちは死んではならない。主よ、あなたは彼らをさばきのために備えられた。岩よ、あなたは彼らを懲しめのために立てられた。 + あなたは目が清く、悪を見られない者、また不義を見られない者であるのに、何ゆえ不真実な者に目をとめていられるのですか。悪しき者が自分よりも正しい者を、のみ食らうのに、何ゆえ黙っていられるのですか。 + あなたは人を海の魚のようにし、治める者のない這う虫のようにされる。 + 彼はつり針でこれをことごとくつり上げ、網でこれを捕え、引き網でこれを集め、こうして彼は喜び楽しむ。 + それゆえ、彼はその網に犠牲をささげ、その引き網に香をたく。これによって彼はぜいたくに暮し、その食物も豊かになるからである。 + それで、彼はいつまでもその網の獲物を取り入れて、無情にも諸国民を殺すのであろうか。 + + + わたしはわたしの見張所に立ち、物見やぐらに身を置き、望み見て、彼がわたしになんと語られるかを見、またわたしの訴えについてわたし自らなんと答えたらよかろうかを見よう。 + 主はわたしに答えて言われた、「この幻を書き、これを板の上に明らかにしるし、走りながらも、これを読みうるようにせよ。 + この幻はなお定められたときを待ち、終りをさして急いでいる。それは偽りではない。もしおそければ待っておれ。それは必ず臨む。滞りはしない。 + 見よ、その魂の正しくない者は衰える。しかし義人はその信仰によって生きる。 + また、酒は欺くものだ。高ぶる者は定まりがない。彼の欲は陰府のように広い。彼は死のようであって、飽くことなく、万国をおのれに集め、万民をおのれのものとしてつどわせる」。 + これらは皆ことわざをもって彼をあざけり、あざけりのなぞをもって彼をあざ笑わないだろうか。すなわち言う、「わざわいなるかな、おのれに属さないものを増し加える者よ。いつまでこのようであろうか。質物でおのれを重くする者よ」。 + あなたの負債者は、にわかに興らないであろうか。あなたを激しくゆすぶる者は目ざめないであろうか。その時あなたは彼らにかすめられる。 + あなたは多くの国民をかすめたゆえ、そのもろもろの民の残れる者は皆あなたをかすめる。これは人の血を流し、国と町と、その中に住むすべての者に暴虐を行ったからである。 + わざわいなるかな、災の手を免れるために高い所に巣を構えようと、おのが家のために不義の利を取る者よ。 + あなたは事をはかって自分の家に恥を招き、多くの民を滅ぼして、自分の生命を失った。 + 石は石がきから叫び、梁は建物からこれに答えるからである。 + わざわいなるかな、血をもって町を建て、悪をもって町を築く者よ。 + 見よ、もろもろの民は火のために労し、もろもろの国びとはむなしい事のために疲れる。これは万軍の主から出る言葉ではないか。 + 海が水でおおわれているように、地は主の栄光の知識で満たされるからである。 + わざわいなるかな、その隣り人に怒りの杯を飲ませて、これを酔わせ、彼らの隠し所を見ようとする者よ。 + あなたは誉の代りに恥に飽き、あなたもまた飲んでよろめけ。主の右の手の杯は、あなたに巡り来る。恥はあなたの誉に代る。 + あなたがレバノンになした暴虐は、あなたを倒し、獣のような滅亡は、あなたを恐れさせる。これは人の血を流し、国と町と、町の中に住むすべての者に、暴虐を行ったからである。 + 刻める像、鋳像および偽りを教える者は、その作者がこれを刻んだとてなんの益があろうか。その作者が物言わぬ偶像を造って、その造ったものに頼んでみても、なんの益があろうか。 + わざわいなるかな、木に向かって、さめよと言い、物言わぬ石に向かって、起きよと言う者よ。これは黙示を与え得ようか。見よ、これは金銀をきせたもので、その中には命の息は少しもない。 + しかし、主はその聖なる宮にいます、全地はそのみ前に沈黙せよ。 + + + シギヨノテの調べによる、預言者ハバククの祈。 + 主よ、わたしはあなたのことを聞きました。主よ、わたしはあなたのみわざを見て恐れます。この年のうちにこれを新たにし、この年のうちにこれを知らせてください。怒る時にもあわれみを思いおこしてください。 + 神はテマンからこられ、聖者はパランの山からこられた。その栄光は天をおおい、そのさんびは地に満ちた。 [セラ + その輝きは光のようであり、その光は彼の手からほとばしる。かしこにその力を隠す。 + 疫病はその前に行き、熱病はその後に従う。 + 彼は立って、地をはかり、彼は見て、諸国民をおののかせられる。とこしえの山は散らされ、永遠の丘は沈む。彼の道は昔のとおりである。 + わたしが見ると、クシャンの天幕に悩みがあり、ミデアンの国の幕は震う。 + 主よ、あなたが馬に乗り、勝利の戦車に乗られる時、あなたは川に向かって怒られるのか。川に向かって憤られるのか。あるいは海に向かって立腹されるのか。 + あなたの弓は取り出された。矢は、弦につがえられた。 [セラ あなたは川をもって地を裂かれた。 + 山々はあなたを見て震い、荒れ狂う水は流れいで、淵は声を出して、その手を高くあげた。 + 飛び行くあなたの矢の光のために、電光のようにきらめく、あなたのやりのために、日も月もそのすみかに立ち止まった。 + あなたは憤って地を行きめぐり、怒って諸国民を踏みつけられた。 + あなたはあなたの民を救うため、あなたの油そそいだ者を救うために出て行かれた。あなたは悪しき者の頭を砕き、彼を腰から首まで裸にされた。 [セラ + あなたはあなたのやりで将軍の首を刺しとおされた。彼らはわたしを散らそうとして、つむじ風のように来、貧しい者をひそかに、のみ滅ぼすことを楽しみとした。 + あなたはあなたの馬を使って、海と大水のさかまくところを踏みつけられた。 + わたしは聞いて、わたしのからだはわななき、わたしのくちびるはその声を聞いて震える。腐れはわたしの骨に入り、わたしの歩みは、わたしの下によろめく。わたしはわれわれに攻め寄せる民の上に悩みの日の臨むのを静かに待とう。 + いちじくの木は花咲かず、ぶどうの木は実らず、オリブの木の産はむなしくなり、田畑は食物を生ぜず、おりには羊が絶え、牛舎には牛がいなくなる。 + しかし、わたしは主によって楽しみ、わが救の神によって喜ぶ。 + 主なる神はわたしの力であって、わたしの足を雌じかの足のようにし、わたしに高い所を歩ませられる。これを琴に合わせ、聖歌隊の指揮者によって歌わせる。 + +
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+ + ユダの王アモンの子ヨシヤの世に、ゼパニヤに臨んだ主の言葉。ゼパニヤはクシの子、クシはゲダリヤの子、ゲダリヤはアマリヤの子、アマリヤはヒゼキヤの子である。 + 主は言われる、「わたしは地のおもてからすべてのものを一掃する」。 + 主は言われる、「わたしは人も獣も一掃し、空の鳥、海の魚をも一掃する。わたしは悪人を倒す。わたしは地のおもてから人を絶ち滅ぼす」。 + 「わたしはユダとエルサレムのすべての住民との上に手を伸べる。わたしはこの所からバアルの残党と、偶像の祭司の名とを断つ。 + また屋上で天の万象を拝む者、主に誓いを立てて拝みながら、またミルコムをさして誓う者、 + 主にそむいて従わない者、主を求めず、主を尋ねない者を断つ」。 + 主なる神の前に沈黙せよ。主の日は近づき、主はすでに犠牲を備え、その招いた者を聖別されたからである。 + 主の犠牲をささげる日に、「わたしはつかさたちと王の子たち、およびすべて異邦の衣服を着る者を罰する。 + その日にわたしはまた、すべて敷居をとび越え、暴虐と欺きとを自分の主君の家に満たす者を罰する」。 + 主は言われる、「その日には魚の門から叫び声がおこり、第二の町からうめき声がおこり、もろもろの丘からすさまじい響きがおこる。 + しっくいの家の住民よ、泣き叫べ。あきないする民は皆滅ぼされ、銀を量る者は皆断たれるからである。 + その時、わたしはともしびをもって、エルサレムを尋ねる。そして滓の上に凝り固まり、その心の中で『主は良いことも、悪いこともしない』と言う人々をわたしは罰する。 + 彼らの財宝はかすめられ、彼らの家は荒れはてる。彼らは家を建てても、それに住むことができない、ぶどう畑を作っても、そのぶどう酒を飲むことができない」。 + 主の大いなる日は近い、近づいて、すみやかに来る。主の日の声は耳にいたい。そこに、勇士もいたく叫ぶ。 + その日は怒りの日、なやみと苦しみの日、荒れ、また滅びる日、暗く、薄暗い日、雲と黒雲の日、 + ラッパとときの声の日、堅固な町と高いやぐらを攻める日である。 + わたしは人々になやみを下して、盲人のように歩かせる。彼らが主に対して罪を犯したからである。彼らの血はちりのように流され、彼らの肉は糞土のように捨てられる。 + 彼らの銀も金も、主の怒りの日には彼らを救うことができない。全地は主のねたみの火にのまれる。主は地に住む人々をたちまち滅ぼし尽される。 + + + あなたがた、恥を知らぬ民よ、共につどい、集まれ。 + すなわち、もみがらのように追いやられる前に、主の激しい怒りがまだあなたがたに臨まない前に、主の憤りの日がまだあなたがたに来ない前に。 + すべて主の命令を行うこの地のへりくだる者よ、主を求めよ。正義を求めよ。謙遜を求めよ。そうすればあなたがたは主の怒りの日に、あるいは隠されることがあろう。 + ともあれ、ガザは捨てられ、アシケロンは荒れはて、アシドドは真昼に追い払われ、エクロンは抜き去られる。 + わざわいなるかな、海べに住む者、ケレテの国民。ペリシテびとの地、カナンよ、主の言葉があなたがたに臨む。わたしはあなたを滅ぼして、住む者がないようにする。 + 海べよ、あなたは牧場となり、羊飼の牧草地となり、また羊のおりとなる。 + 海べはユダの家の残りの者に帰する。彼らはその所で群れを養い、夕暮にはアシケロンの家に伏す。彼らの神、主が彼らを顧み、その幸福を回復されるからである。 + 「わたしはモアブのあざけりと、アンモンの人々の、ののしりを聞いた。彼らはわが民をあざけり、自ら誇って彼らの国境を侵した。 + それゆえ、万軍の主、イスラエルの神は言われる、わたしは生きている。モアブは必ずソドムのようになる。アンモンの人々はゴモラのようになる。いらくさと塩穴とがここを占領して、永遠に荒れ地となる。わが民の残りの者は彼らをかすめ、わが国民の残りの者はこれを所有する」。 + この事の彼らに臨むのはその高ぶりによるのだ。彼らが万軍の主の民をあざけり、みずから誇ったからである。 + 主は彼らに対して恐るべき者となられる。主は地のすべての神々を飢えさせられる。もろもろの国の民は、おのおの自分の所から出て主を拝む。 + エチオピヤびとよ、あなたがたもまたわがつるぎによって殺される。 + 主はまた北に向かって手を伸べ、アッスリヤを滅ぼし、ニネベを荒して、荒野のような、かわいた地とされる。 + 家畜の群れ、もろもろの野の獣はその中に伏し、はげたかや、やまあらしはその柱の頂に住み、ふくろうは、その窓のうちになき、からすは、その敷居の上に鳴く。その香柏の細工が裸にされるからである。 + この町は勝ち誇って、安らかに落ち着き、その心の中で、「ただわたしだけだ、わたしの外にはだれもない」と言った町であるが、このように荒れはてて、獣の伏す所になってしまった。ここを通り過ぎる者は皆あざけって、手を振る。 + + + わざわいなるかな、このそむき汚れた暴虐の町。 + これはだれの声にも耳を傾けず、懲しめを受けいれず、主に寄り頼まず、おのれの神に近よらない。 + その中にいるつかさたちは、ほえるしし、そのさばきびとたちは、夜のおおかみで、彼らは朝まで何一つ残さない。 + その預言者たちは、放縦で偽りびと、その祭司たちは聖なる物を汚し、律法を破る。 + その中にいます主は義であって、不義を行われない。朝ごとにその公義を現して、誤ることがない。しかし不義な者は恥を知らない。 + 「わたしは諸国民を滅ぼした。そのやぐらは荒れはてた。わたしはそのちまたを荒したので、ちまたを行き来する者もない。その町々は荒れすたれて、人の姿もなく、住む者もない。 + わたしは言った、『これは必ずわたしを恐れ、懲しめを受ける。これはわたしが命じたすべての事を見失わない』と。しかし彼らはしきりに自分の行状を乱した」。 + 主は言われる、「それゆえ、あなたがたは、わたしが立って、証言する日を待て。わたしの決意は諸国民をよせ集め、もろもろの国を集めて、わが憤り、わが激しい怒りをことごとくその上に注ぐことであって、全地は、ねたむわたしの怒りの火に焼き滅ぼされるからである。 + その時わたしはもろもろの民に清きくちびるを与え、すべて彼らに主の名を呼ばせ、心を一つにして主に仕えさせる。 + わたしを拝む者、わたしが散らした者の娘はエチオピヤの川々の向こうから来て、わたしに供え物をささげる。 + その日には、あなたはわたしにそむいたすべてのわざのゆえに、はずかしめられることはない。その時わたしはあなたのうちから、高ぶって誇る者どもを除くゆえ、あなたは重ねてわが聖なる山で、高ぶることはない。 + わたしは柔和にしてへりくだる民を、あなたのうちに残す。彼らは主の名を避け所とする。 + イスラエルの残りの者は不義を行わず、偽りを言わず、その口には欺きの舌を見ない。それゆえ、彼らは食を得て伏し、彼らをおびやかす者はいない」。 + シオンの娘よ、喜び歌え。イスラエルよ、喜び呼ばわれ。エルサレムの娘よ、心のかぎり喜び楽しめ。 + 主はあなたを訴える者を取り去り、あなたの敵を追い払われた。イスラエルの王なる主はあなたのうちにいます。あなたはもはや災を恐れることはない。 + その日、人々はエルサレムに向かって言う、「シオンよ、恐れるな。あなたの手を弱々しくたれるな。 + あなたの神、主はあなたのうちにいまし、勇士であって、勝利を与えられる。彼はあなたのために喜び楽しみ、その愛によってあなたを新にし、祭の日のようにあなたのために喜び呼ばわられる」。 + 「わたしはあなたから悩みを取り去る。あなたは恥を受けることはない。 + 見よ、その時あなたをしえたげる者をわたしはことごとく処分し、足なえを救い、追いやられた者を集め、彼らの恥を誉にかえ、全地にほめられるようにする。 + その時、わたしはあなたがたを連れかえる。わたしがあなたがたを集めるとき、わたしがあなたがたの目の前に、あなたがたの幸福を回復するとき、地のすべての民の中で、あなたがたに名を得させ、誉を得させる」と主は言われる。 + +
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+ + ダリヨス王の二年六月、その月の一日に、主の言葉が預言者ハガイによって、シャルテルの子、ユダの総督ゼルバベル、およびヨザダクの子、大祭司ヨシュアに臨んだ、 + 「万軍の主はこう言われる、この民は、主の家を再び建てる時は、まだこないと言っている」。 + そこで、主の言葉はまた預言者ハガイに臨んだ、 + 「主の家はこのように荒れはてているのに、あなたがたは、みずから板で張った家に住んでいる時であろうか。 + それで今、万軍の主はこう言われる、あなたがたは自分のなすべきことをよく考えるがよい。 + あなたがたは多くまいても、取入れは少なく、食べても、飽きることはない。飲んでも、満たされない。着ても、暖まらない。賃銀を得ても、これを破れた袋に入れているようなものである。 + 万軍の主はこう言われる、あなたがたは、自分のなすべきことを考えるがよい。 + 山に登り、木を持ってきて主の家を建てよ。そうすればわたしはこれを喜び、かつ栄光のうちに現れると主は言われる。 + あなたがたは多くを望んだが、見よ、それは少なかった。あなたがたが家に持ってきたとき、わたしはそれを吹き払った。これは何ゆえであるかと、万軍の主は言われる。これはわたしの家が荒れはてているのに、あなたがたは、おのおの自分の家の事だけに、忙しくしている。 + それゆえ、あなたがたの上の天は露をさし止め、地はその産物をさし止めた。 + また、わたしは地にも、山にも、穀物にも、新しい酒にも、油にも、地に生じるものにも、人間にも、家畜にも、手で作るすべての作物にも、ひでりを呼び寄せた」。 + そこで、シャルテルの子ゼルバベルとヨザダクの子、大祭司ヨシュアおよび残りのすべての民は、その神、主の声と、その神、主のつかわされた預言者ハガイの言葉とに聞きしたがい、そして民は、主の前に恐れかしこんだ。 + 時に、主の使者ハガイは主の命令により、民に告げて言った、「わたしはあなたがたと共にいると主は言われる」。 + そして主は、シャルテルの子、ユダの総督ゼルバベルの心と、ヨザダクの子、大祭司ヨシュアの心、および残りのすべての民の心を、振り動かされたので、彼らは来て、その神、万軍の主の家の作業にとりかかった。 + これは六月二十四日のことであった。 + + + ダリヨス王の二年の七月二十一日に、主の言葉が預言者ハガイに臨んだ、 + 「シャルテルの子、ユダの総督ゼルバベルと、ヨザダクの子、大祭司ヨシュア、および残りのすべての民に告げて言え、 + 『あなたがた残りの者のうち、以前の栄光に輝く主の家を見た者はだれか。あなたがたは今、この状態をどう思うか。これはあなたがたの目には、無にひとしいではないか。 + 主は言われる、ゼルバベルよ、勇気を出せ。ヨザダクの子、大祭司ヨシュアよ、勇気を出せ。主は言われる。この地のすべての民よ、勇気を出せ。働け。わたしはあなたがたと共にいると、万軍の主は言われる。 + これはあなたがたがエジプトから出た時、わたしがあなたがたに、約束した言葉である。わたしの霊が、あなたがたのうちに宿っている。恐れるな。 + 万軍の主はこう言われる、しばらくして、いま一度、わたしは天と、地と、海と、かわいた地とを震う。 + わたしはまた万国民を震う。万国民の財宝は、はいって来て、わたしは栄光をこの家に満たすと、万軍の主は言われる。 + 銀はわたしのもの、金もわたしのものであると、万軍の主は言われる。 + 主の家の後の栄光は、前の栄光よりも大きいと、万軍の主は言われる。わたしはこの所に繁栄を与えると、万軍の主は言われる』」。 + ダリヨスの二年の九月二十四日に、主の言葉が預言者ハガイに臨んだ、 + 「万軍の主はこう言われる、律法について祭司たちに尋ねて言え、 + 『人がその衣服のすそで聖なる肉を運んで行き、そのすそがもし、パンまたはあつもの、または酒、または油、またはどんな食物にでもさわったなら、それらは聖なるものとなるか』と」。祭司たちは「ならない」と答えた。 + ハガイはまた言った、「もし、死体によって汚れた人が、これらの一つにさわったなら、それは汚れるか」。祭司たちは「汚れる」と答えた。 + そこで、ハガイは言った、「主は言われる、この民も、この国も、わたしの前では、そのようである。またその手のわざもそのようである。その所で彼らのささげるものは、汚れたものである。 + 今、あなたがたはこの日から、後の事を思うがよい。主の宮で石の上に石が積まれなかった前、あなたがたは、どんなであったか。 + あの時には、二十枡の麦の積まれる所に行ったが、わずかに十枡を得、また五十桶をくもうとして、酒ぶねに行ったが、二十桶を得たのみであった。 + わたしは立ち枯れと、腐り穂と、ひょうをもってあなたがたと、あなたがたのすべての手のわざを撃った。しかし、あなたがたは、わたしに帰らなかったと主は言われる。 + あなたがたはこの日より後、すなわち、九月二十四日よりの事を思うがよい。また主の宮の基をすえた日から後の事を心にとめるがよい。 + 種はなお、納屋にあるか。ぶどうの木、いちじくの木、ざくろの木、オリブの木もまだ実を結ばない。しかし、わたしはこの日から、あなたがたに恵みを与える」。 + この月の二十四日に、主の言葉がふたたびハガイに臨んだ、 + 「ユダの総督ゼルバベルに告げて言え、わたしは天と地を震う。 + わたしは国々の王位を倒し、異邦の国々の力を滅ぼし、また戦車、およびこれに乗る者を倒す。馬およびこれに乗る者は、たがいにその仲間のつるぎによって倒れる。 + 万軍の主は言われる、シャルテルの子、わがしもべゼルバベルよ、主は言われる、その日、わたしはあなたを立て、あなたを印章のようにする。わたしはあなたを選んだからであると、万軍の主は言われる」。 + +
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+ + ダリヨスの第二年の八月に、主の言葉がイドの子ベレキヤの子である預言者ゼカリヤに臨んだ、 + 「主はあなたがたの先祖たちに対して、いたくお怒りになった。 + それゆえ、万軍の主はこう仰せられると、彼らに告げよ。万軍の主は仰せられる、わたしに帰れ、そうすれば、わたしもあなたがたに帰ろうと、万軍の主は仰せられる。 + あなたがたの先祖たちのようであってはならない。先の預言者たちは、彼らにむかって叫んで言った、『万軍の主はこう仰せられる、悪い道を離れ、悪いおこないを捨てて帰れ』と。しかし彼らは聞きいれず、耳をわたしに傾けなかったと主は言われる。 + あなたがたの先祖たち、彼らはどこにいるか。預言者たち、彼らは永遠に生きているのか。 + しかしわたしのしもべである預言者たちに命じたわが言葉と、わが定めとは、あなたがたの先祖たちに及んだではないか。それで彼らは立ち返って言った、『万軍の主がわれわれの道にしたがい、おこないに従って、われわれに、なそうと思い定められたように、そのとおりされたのだ』と」。 + ダリヨスの第二年の十一月、すなわちセバテという月の二十四日に、主の言葉がイドの子ベレキヤの子である預言者ゼカリヤに臨んだ。そしてゼカリヤは言った、 + 「わたしは夜、見ていると、ひとりの人が赤馬に乗って、谷間にあるミルトスの木の中に立ち、その後に赤馬、栗毛の馬、白馬がいた。 + その時わたしが『わが主よ、これらはなんですか』と尋ねると、わたしと語る天の使は言った、『これがなんであるか、あなたに示しましょう』。 + すると、ミルトスの木の中に立っている人が答えて、『これらは地を見回らせるために、主がつかわされた者です』と言うと、 + 彼らは答えて、ミルトスの中に立っている主の使に言った、『われわれは地を見回ったが、全地はすべて平穏です』。 + すると主の使は言った、『万軍の主よ、あなたは、いつまでエルサレムとユダの町々とを、あわれんで下さらないのですか。あなたはお怒りになって、すでに七十年になりました』。 + 主はわたしと語る天の使に、ねんごろな慰めの言葉をもって答えられた。 + そこで、わたしと語る天の使は言った、『あなたは呼ばわって言いなさい。万軍の主はこう仰せられます、わたしはエルサレムのため、シオンのために、大いなるねたみを起し、 + 安らかにいる国々の民に対して、大いに怒る。なぜなら、わたしが少しばかり怒ったのに、彼らは、大いにこれを悩ましたからであると。 + それゆえ、主はこう仰せられます、わたしはあわれみをもってエルサレムに帰る。わたしの家はその中に建てられ、測りなわはエルサレムに張られると、万軍の主は仰せられます。 + あなたはまた呼ばわって言いなさい。万軍の主はこう仰せられます、わが町々は再び良い物で満ちあふれ、主は再びシオンを慰め、再びエルサレムを選ぶ』と」。 + わたしが目をあげて見ていると、見よ、四つの角があった。 + わたしと語る天の使に「これらはなんですか」と言うと、彼は答えて言った、「これらはユダ、イスラエルおよびエルサレムを散らした角です」。 + その時、主は四人の鍛冶をわたしに示された。 + わたしが「これらは何をするために来たのですか」と言うと、彼は答えた、「これらの角はユダを散らして、人にその頭をあげさせなかったものですが、この四人の者が来たのは彼らをおどし、かのユダの地にむかって角をあげ、これを散らした国々の民の角を投げうつためです」。 + + + またわたしが目をあげて見ていると、見よ、ひとりの人が、測りなわを手に持っているので、 + 「あなたはどこへ行くのですか」と尋ねると、その人はわたしに言った、「エルサレムを測って、その広さと、長さを見ようとするのです」。 + すると見よ、わたしと語る天の使が出て行くと、またひとりの天の使が出てきて、これに出会って、 + 言った、「走って行って、あの若い人に言いなさい、『エルサレムはその中に、人と家畜が多くなるので、城壁のない村里のように、人の住む所となるでしょう。 + 主は仰せられます、わたしはその周囲で火の城壁となり、その中で栄光となる』と」。 + 主は仰せられる、さあ、北の地から逃げて来なさい。わたしはあなたがたを、天の四方の風のように散らしたからである。 + さあ、バビロンの娘と共にいる者よ、シオンにのがれなさい。 + あなたがたにさわる者は、彼の目の玉にさわるのであるから、あなたがたを捕えていった国々の民に、その栄光にしたがって、わたしをつかわされた万軍の主は、こう仰せられる、 + 「見よ、わたしは彼らの上に手を振る。彼らは自分に仕えた者のとりことなる。その時あなたがたは万軍の主が、わたしをつかわされたことを知る。 + 主は言われる、シオンの娘よ、喜び歌え。わたしが来て、あなたの中に住むからである。 + その日には、多くの国民が主に連なって、わたしの民となる。わたしはあなたの中に住む。 + あなたは万軍の主が、わたしをあなたにつかわされたことを知る。主は聖地で、ユダを自分の分として取り、エルサレムを再び選ばれるであろう」。 + すべて肉なる者よ、主の前に静まれ。主はその聖なるすみかから立ちあがられたからである。 + + + 時に主は大祭司ヨシュアが、主の使の前に立ち、サタンがその右に立って、これを訴えているのをわたしに示された。 + 主はサタンに言われた、「サタンよ、主はあなたを責めるのだ。すなわちエルサレムを選んだ主はあなたを責めるのだ。これは火の中から取り出した燃えさしではないか」。 + ヨシュアは汚れた衣を着て、み使の前に立っていたが、 + み使は自分の前に立っている者どもに言った、「彼の汚れた衣を脱がせなさい」。またヨシュアに向かって言った、「見よ、わたしはあなたの罪を取り除いた。あなたに祭服を着せよう」。 + わたしは言った、「清い帽子を頭にかぶらせなさい」。そこで清い帽子を頭にかぶらせ、衣を彼に着せた。主の使はかたわらに立っていた。 + 主の使は、ヨシュアを戒めて言った、 + 「万軍の主は、こう仰せられる、あなたがもし、わたしの道に歩み、わたしの務を守るならば、わたしの家をつかさどり、わたしの庭を守ることができる。わたしはまた、ここに立っている者どもの中に行き来することを得させる。 + 大祭司ヨシュアよ、あなたも、あなたの前にすわっている同僚たちも聞きなさい。彼らはよいしるしとなるべき人々だからである。見よ、わたしはわたしのしもべなる枝を生じさせよう。 + 万軍の主は言われる、見よ、ヨシュアの前にわたしが置いた石の上に、すなわち七つの目をもっているこの一つの石の上に、わたしはみずから文字を彫刻する。そしてわたしはこの地の罪を、一日の内に取り除く。 + 万軍の主は言われる、その日には、あなたがたはめいめいその隣り人を招いて、ぶどうの木の下、いちじくの木の下に座すのである」。 + + + わたしと語った天の使がまた来て、わたしを呼びさました。わたしは眠りから呼びさまされた人のようであった。 + 彼がわたしに向かって「何を見るか」と言ったので、わたしは言った、「わたしが見ていると、すべて金で造られた燭台が一つあって、その上に油を入れる器があり、また燭台の上に七つのともしび皿があり、そのともしび皿は燭台の上にあって、これにおのおの七本ずつの管があります。 + また燭台のかたわらに、オリブの木が二本あって、一本は油をいれる器の右にあり、一本はその左にあります」。 + わたしはまたわたしと語る天の使に言った、「わが主よ、これらはなんですか」。 + わたしと語る天の使は答えて、「あなたはそれがなんであるか知らないのですか」と言ったので、わたしは「わが主よ、知りません」と言った。 + すると彼はわたしに言った、「ゼルバベルに、主がお告げになる言葉はこれです。万軍の主は仰せられる、これは権勢によらず、能力によらず、わたしの霊によるのである。 + 大いなる山よ、おまえは何者か。おまえはゼルバベルの前に平地となる。彼は『恵みあれ、これに恵みあれ』と呼ばわりながら、かしら石を引き出すであろう」。 + 主の言葉がわたしに臨んで言うには、 + 「ゼルバベルの手はこの宮の礎をすえた。彼の手はこれを完成する。その時あなたがたは万軍の主が、わたしをあなたがたにつかわされたことを知る。 + だれでも小さい事の日をいやしめた者は、ゼルバベルの手に、下げ振りのあるのを見て、喜ぶ。これらの七つのものは、あまねく全地を行き来する主の目である」。 + わたしはまた彼に尋ねて、「燭台の左右にある、この二本のオリブの木はなんですか」と言い、 + 重ねてまた「この二本の金の管によって、油をそれから注ぎ出すオリブの二枝はなんですか」と言うと、 + 彼はわたしに答えて、「あなたはそれがなんであるか知らないのですか」と言ったので、「わが主よ、知りません」と言った。 + すると彼は言った、「これらはふたりの油そそがれた者で、全地の主のかたわらに立つ者です」。 + + + わたしがまた目をあげて見ていると、飛んでいる巻物を見た。 + 彼がわたしに「何を見るか」と言ったので、「飛んでいる巻物を見ます。その長さは二十キュビト、その幅は十キュビトです」と答えた。 + すると彼はまた、わたしに言った、「これは全地のおもてに出て行く、のろいの言葉です。すべて盗む者はこれに照して除き去られ、すべて偽り誓う者は、これに照して除き去られるのです。 + 万軍の主は仰せられます、わたしはこれを出て行かせる。これは盗む者の家に入り、またわたしの名をさして偽り誓う者の家に入り、その家の中に宿って、これをその木と石と共に滅ぼすと」。 + わたしと語る天の使は進んで来て、わたしに「目をあげて、この出てきた物が、なんであるかを見なさい」と言った。 + わたしが「これはなんですか」と言うと、彼は「この出てきた物は、エパ枡です」と言い、また「これは全地の罪です」と言った。 + そして見よ、鉛のふたを取りあげると、そのエパ枡の中にひとりの女がすわっていた。 + すると彼は「これは罪悪である」と言って、その女をエパ枡の中に押し入れ、鉛の重しを、その枡の口に投げかぶせた。 + それからわたしが目をあげて見ていると、ふたりの女が出てきた。これに、こうのとりの翼のような翼があり、その翼に風をはらんで、エパ枡を天と地との間に持ちあげた。 + わたしは、わたしと語る天の使に言った、「彼らはエパ枡を、どこへ持って行くのですか」。 + 彼はわたしに言った、「シナルの地で、女たちのために家を建てるのです。それが建てられると、彼らはエパ枡をそこにすえ、それの土台の上に置くのです」。 + + + わたしがまた目をあげて見ていると、四両の戦車が二つの山の間から出てきた。その山は青銅の山であった。 + 第一の戦車には赤馬を着け、第二の戦車には黒馬を着け、 + 第三の戦車には白馬を着け、第四の戦車には、まだらのねずみ色の馬を着けていた。 + わたしは、わたしと語るみ使に尋ねた、「わが主よ、これらはなんですか」。 + 天の使は答えて、わたしに言った、「これらは全地の主の前に現れて後、天の四方に出て行くものです。 + 黒馬を着けた戦車は、北の国をさして出て行き、白馬は西の国をさして出て行き、まだらの馬は南の国をさして出て行くのです」。 + 馬が出てくると、彼らは、地をあまねくめぐるために、しきりに出たがるのであった。それで彼が「行って、地をあまねくめぐれ」と言うと、彼らは地を行きめぐった。 + すると彼はわたしを呼んで、「北の国をさして行く者どもは、北の国でわたしの心を静まらせてくれた」と言った。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「バビロンから帰ってきたかの捕囚の中から、ヘルダイ、トビヤおよびエダヤを連れて、その日にゼパニヤの子ヨシヤの家に行き、 + 彼らから金銀を受け取って、一つの冠を造り、それをヨザダクの子である大祭司ヨシュアの頭にかぶらせて、 + 彼に言いなさい、『万軍の主は、こう仰せられる、見よ、その名を枝という人がある。彼は自分の場所で成長して、主の宮を建てる。 + すなわち彼は主の宮を建て、王としての光栄を帯び、その位に座して治める。その位のかたわらに、ひとりの祭司がいて、このふたりの間に平和の一致がある』。 + またその冠はヘルダイ、トビヤ、エダヤおよびゼパニヤの子ヨシヤの記念として、主の宮に納められる。 + また遠い所の者どもが来て、主の宮を建てることを助ける。そしてあなたがたは万軍の主が、わたしをつかわされたことを知るようになる。あなたがたがもし励んで、あなたがたの神、主の声に聞き従うならば、このようになる」。 + + + ダリヨス王の第四年の九月、すなわちキスリウという月の四日に、主の言葉がゼカリヤに臨んだ。 + その時ベテルの人々は、シャレゼル、レゲン・メレクおよびその従者をつかわして、主の恵みを請い、 + かつ万軍の主の宮にいる祭司に問わせ、かつ預言者に問わせて言った、「わたしは今まで、多年おこなってきたように、五月に泣き悲しみ、かつ断食すべきでしょうか」。 + この時、万軍の主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「地のすべての民、および祭司に告げて言いなさい、あなたがたが七十年の間、五月と七月とに断食し、かつ泣き悲しんだ時、はたして、わたしのために断食したか。 + あなたがたが食い飲みする時、それは全く自分のために食い、自分のために飲むのではないか。 + 昔エルサレムがその周囲の町々と共に、人が住み、栄えていた時、また南の地および平野にも、人が住んでいた時に、さきの預言者たちによって、主がお告げになった言葉は、これらの事ではなかったか」。 + 主の言葉が、またゼカリヤに臨んだ、 + 「万軍の主はこう仰せられる、真実のさばきを行い、互に相いつくしみ、相あわれみ、 + やもめ、みなしご、寄留の他国人および貧しい人を、しえたげてはならない。互に人を害することを、心に図ってはならない」。 + ところが、彼らは聞くことを拒み、肩をそびやかし、耳を鈍くして聞きいれず、 + その心を金剛石のようにして、万軍の主がそのみたまにより、さきの預言者によって伝えられた、律法と言葉とに聞き従わなかった。それゆえ、大いなる怒りが、万軍の主から出て、彼らに臨んだのである。 + 「わたしが呼ばわったけれども、彼らは聞こうとしなかった。そのとおりに、彼らが呼ばわっても、わたしは聞かない」と万軍の主は仰せられる。 + 「わたしは、つむじ風をもって、彼らを未知のもろもろの国民の中に散らした。こうして彼らが去った後、この地は荒れて行き来する者もなく、この麗しい地は荒れ地となったのである」。 + + + 万軍の主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「万軍の主は、こう仰せられる、『わたしはシオンのために、大いなるねたみを起し、またこれがために、大いなる憤りをもってねたむ』。 + 主はこう仰せられる、『わたしはシオンに帰って、エルサレムの中に住む。エルサレムは忠信な町ととなえられ、万軍の主の山は聖なる山と、となえられる』。 + 万軍の主は、こう仰せられる、『エルサレムの街路には再び老いた男、老いた女が座するようになる。みな年寄の人々で、おのおのつえを手に持つ。 + またその町の街路には、男の子、女の子が満ちて、街路に遊び戯れる』。 + 万軍の主は、こう仰せられる、『その日には、たとい、この民の残れる者の目に、不思議な事であっても、それはわたしの目にも、不思議な事であろうか』と万軍の主は言われる。 + 万軍の主は、こう仰せられる、『見よ、わが民を東の国から、また西の国から救い出し、 + 彼らを連れてきて、エルサレムに住まわせ、彼らはわが民となり、わたしは彼らの神となって、共に真実と正義とをもって立つ』」。 + 万軍の主は、こう仰せられる、「万軍の主の家である宮を建てるために、その礎をすえた日からこのかた、預言者たちの口から出たこれらの言葉を、きょう聞く者よ、あなたがたの手を強くせよ。 + この日の以前には、人も働きの価を得ず、獣も働きの価を得ず、また出る者もはいる者も、あだのために安全ではなかった。わたしはまた人々を相たがいにそむかせた。 + しかし今は、わたしのこの民の残れる者に対することは、さきの日のようではないと、万軍の主は言われる。 + そこには、平和と繁栄との種がまかれるからである。すなわちぶどうの木は実を結び、地は産物を出し、天は露を与える。わたしはこの民の残れる者に、これをことごとく与える。 + ユダの家およびイスラエルの家よ、あなたがたが、国々の民の中に、のろいとなっていたように、わたしはあなたがたを救って祝福とする。恐れてはならない。あなたがたの手を強くせよ」。 + 万軍の主は、こう仰せられる、「あなたがたの先祖が、わたしを怒らせた時に、災を下そうと思って、これをやめなかったように、――万軍の主は言われる―― + そのように、わたしはまた今日、エルサレムとユダの家に恵みを与えよう。恐れてはならない。 + あなたがたのなすべき事はこれである。あなたがたは互に真実を語り、またあなたがたの門で、真実と平和のさばきとを、行わなければならない。 + あなたがたは、互に人を害することを、心に図ってはならない。偽りの誓いを好んではならない。わたしはこれらの事を憎むからであると、主は言われる」。 + 万軍の主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「万軍の主は、こう仰せられる、四月の断食と、五月の断食と、七月の断食と、十月の断食とは、ユダの家の喜び楽しみの時となり、よき祝の時となる。ゆえにあなたがたは、真実と平和とを愛せよ。 + 万軍の主は、こう仰せられる、もろもろの民および多くの町の住民、すなわち、一つの町の住民は、他の町の人々のところに行き、 + 『われわれは、ただちに行って、主の恵みを請い、万軍の主に呼び求めよう』と言うと、『わたしも行こう』と言う。 + 多くの民および強い国民はエルサレムに来て、万軍の主を求め、主の恵みを請う。 + 万軍の主は、こう仰せられる、その日には、もろもろの国ことばの民の中から十人の者が、ひとりのユダヤ人の衣のすそをつかまえて、『あなたがたと一緒に行こう。神があなたがたと共にいますことを聞いたから』と言う」。 + + + 託宣 主の言葉はハデラクの地に臨み、ダマスコの上にとどまる。アラムの町々はイスラエルのすべての部族のように主に属するからである。 + これに境するハマテもまたそのとおりだ。非常に賢いが、ツロとシドンもまた同様である。 + ツロは自分のために、とりでを築き、銀をちりのように積み、金を道ばたの泥のように積んだ。 + しかし見よ、主はこれを攻め取り、その富を海の中に投げ入れられる。これは火で焼き滅ぼされる。 + アシケロンはこれを見て恐れ、ガザもまた見てもだえ苦しみ、エクロンもまたその望む所のものがはずかしめられて苦しむ。ガザには王が絶え、アシケロンには住む者がなくなり、 + アシドドには混血の民が住む。わたしはペリシテびとの誇を断つ。 + またその口から血を取り除き、その歯の間から憎むべき物を取り除く。これもまた残ってわれわれの神に帰し、ユダの一民族のようになる。またエクロンはエブスびとのようになる。 + その時わたしは、わが家のために営を張って、見張りをし、行き来する者のないようにする。しえたげる者は、かさねて通ることがない。わたしが今、自分の目で見ているからである。 + シオンの娘よ、大いに喜べ、エルサレムの娘よ、呼ばわれ。見よ、あなたの王はあなたの所に来る。彼は義なる者であって勝利を得、柔和であって、ろばに乗る。すなわち、ろばの子である子馬に乗る。 + わたしはエフライムから戦車を断ち、エルサレムから軍馬を断つ。また、いくさ弓も断たれる。彼は国々の民に平和を告げ、その政治は海から海に及び、大川から地の果にまで及ぶ。 + あなたについてはまた、あなたとの契約の血のゆえに、わたしはかの水のない穴から、あなたの捕われ人を解き放す。 + 望みをいだく捕われ人よ、あなたの城に帰れ。わたしはきょうもなお告げて言う、必ず倍して、あなたをもとに返すことを。 + わたしはユダを張って、わが弓となし、エフライムをその矢とした。シオンよ、わたしはあなたの子らを呼び起して、ギリシヤの人々を攻めさせ、あなたを勇士のつるぎのようにさせる。 + その時、主は彼らの上に現れて、その矢をいなずまのように射られる。主なる神はラッパを吹きならし、南のつむじ風に乗って出てこられる。 + 万軍の主は彼らを守られるので、彼らは石投げどもを食い尽し、踏みつける。彼らはまたぶどう酒のように彼らの血を飲み、鉢のようにそれで満たされ、祭壇のすみのように浸される。 + その日、彼らの神、主は、彼らを救い、その民を羊のように養われる。彼らは冠の玉のように、その地に輝く。 + そのさいわい、その麗しさは、いかばかりであろう。穀物は若者を栄えさせ、新しいぶどう酒は、おとめを栄えさせる。 + + + あなたがたは春の雨の時に、雨を主に請い求めよ。主はいなずまを造り、大雨を人々に賜い、野の青草をおのおのに賜わる。 + テラピムは、たわごとを言い、占い師は偽りを見、夢見る者は偽りの夢を語り、むなしい慰めを与える。このゆえに、民は羊のようにさまよい、牧者がないために悩む。 + 「わが怒りは牧者にむかって燃え、わたしは雄やぎを罰する。万軍の主が、その群れの羊であるユダの家を顧み、これをみごとな軍馬のようにされるからである。 + 隅石は彼らから出、天幕の杭も彼らから出、いくさ弓も彼らから出、支配者も皆彼らの中から出る。 + 彼らが戦う時は勇士のようになって、道ばたの泥の中に敵を踏みにじる。主が彼らと共におられるゆえに彼らは戦い、馬に乗る者どもを困らせる。 + わたしはユダの家を強くし、ヨセフの家を救う。わたしは彼らをあわれんで、彼らを連れ帰る。彼らはわたしに捨てられたことのないようになる。わたしは彼らの神、主であって、彼らに答えるからである。 + エフライムびとは勇士のようになり、その心は酒を飲んだように喜ぶ。その子供らはこれを見て喜び、その心は主によって楽しむ。 + わたしは彼らに向かい、口笛を吹いて彼らを集める、わたしが彼らをあがなったからである。彼らは昔のように数多くなる。 + わたしは彼らを国々の民の中に散らした。しかし彼らは遠い国々でわたしを覚え、その子供らと共に生きながらえて帰ってくる。 + わたしは彼らをエジプトの国から連れ帰り、アッスリヤから彼らを集める。わたしはギレアデの地およびレバノンに彼らを連れて行く。彼らはいる所もないほどに多くなる。 + 彼らはエジプトの海を通る。海の波は撃たれ、ナイルの淵はことごとくかれた。アッスリヤの高ぶりは低くされ、エジプトのつえは移り去る。 + わたしは彼らを主によって強くする。彼らは主の名を誇る」と主は言われる。 + + + レバノンよ、おまえの門を開き、おまえの香柏を火に焼き滅ぼさせよ。 + いとすぎよ、泣き叫べ。香柏は倒れ、みごとな木は、そこなわれたからである。バシャンのかしよ、泣き叫べ。茂った林は倒れたからである。 + 聞け、牧者の泣き叫ぶ声を。彼らの栄えが消え去ったからである。聞け、ししのほえる声を。ヨルダンの草むらが荒れ果てたからである。 + わが神、主はこう仰せられた、「ほふらるべき羊の群れの牧者となれ。 + これを買う者は、これをほふっても罰せられない。これを売る者は言う、『主はほむべきかな、わたしは富んだ』と。そしてその牧者は、これをあわれまない。 + わたしは、もはやこの地の住民をあわれまないと、主は言われる。見よ、わたしは人をおのおのその牧者の手に渡し、おのおのその王の手に渡す。彼らは地を荒す。わたしは彼らの手からこれを救い出さない」。 + わたしは羊の商人のために、ほふらるべき羊の群れの牧者となった。わたしは二本のつえを取り、その一本を恵みと名づけ、一本を結びと名づけて、その羊を牧した。 + わたしは一か月に牧者三人を滅ぼした。わたしは彼らに、がまんしきれなくなったが、彼らもまた、わたしを忌みきらった。 + それでわたしは言った、「わたしはあなたがたの牧者とならない。死ぬ者は死に、滅びる者は滅び、残った者はたがいにその肉を食いあうがよい」。 + わたしは恵みというつえを取って、これを折った。これはわたしがもろもろの民と結んだ契約を、廃するためであった。 + そしてこれは、その日に廃された。そこで、わたしに目を注いでいた羊の商人らは、これが主の言葉であったことを知った。 + わたしは彼らに向かって、「あなたがたがもし、よいと思うならば、わたしに賃銀を払いなさい。もし、いけなければやめなさい」と言ったので、彼らはわたしの賃銀として、銀三十シケルを量った。 + 主はわたしに言われた、「彼らによって、わたしが値積られたその尊い価を、宮のさいせん箱に投げ入れよ」。わたしは銀三十シケルを取って、これを主の宮のさいせん箱に投げ入れた。 + そしてわたしは結びという第二のつえを折った。これはユダとイスラエルの間の、兄弟関係を廃するためであった。 + 主はわたしに言われた、「おまえはまた愚かな牧者の器を取れ。 + 見よ、わたしは地にひとりの牧者を起す。彼は滅ぼされる者を顧みず、迷える者を尋ねず、傷ついた者をいやさず、健やかな者を養わず、肥えた者の肉を食らい、そのひずめをさえ裂く者である。 + その羊の群れを捨てる愚かな牧者はわざわいだ。どうか、つるぎがその腕を撃ち、その右の目を撃つように。その腕は全く衰え、その右の目は全く見えなくなるように」。 + + + 託宣 イスラエルについての主の言葉。すなわち天をのべ、地の基をすえ、人の霊をその中に造られた主は、こう仰せられる、 + 「見よ、わたしはエルサレムを、その周囲にあるすべての民をよろめかす杯にしようとしている。これはエルサレムの攻め囲まれる時、ユダにも及ぶ。 + その日には、わたしはエルサレムをすべての民に対して重い石とする。これを持ちあげる者はみな大傷を受ける。地の国々の民は皆集まって、これを攻める。 + 主は言われる、その日には、わたしはすべての馬を撃って驚かせ、その乗り手を撃って狂わせる。しかし、もろもろの民の馬を、ことごとく撃って、めくらとするとき、ユダの家に対しては、わたしの目を開く。 + その時ユダの諸族は、その心の中に『エルサレムの住民は、その神、万軍の主によって力強くなった』と言う。 + その日には、わたしはユダの諸族を、たきぎの中の火皿のようにし、麦束の中のたいまつのようにする。彼らは右に左に、その周囲にあるすべての民を、焼き滅ぼす。しかしエルサレムはなお、そのもとの所、すなわちエルサレムで、人の住む所となる。 + 主はまずユダの幕屋を救われる。これはダビデの家の光栄と、エルサレムの住民の光栄とが、ユダの光栄にまさることのないようにするためである。 + その日、主はエルサレムの住民を守られる。彼らの中の弱い者も、その日には、ダビデのようになる。またダビデの家は神のように、彼らに先だつ主の使のようになる。 + その日には、わたしはエルサレムに攻めて来る国民を、ことごとく滅ぼそうと努める。 + わたしはダビデの家およびエルサレムの住民に、恵みと祈の霊とを注ぐ。彼らはその刺した者を見る時、ひとり子のために嘆くように彼のために嘆き、ういごのために悲しむように、彼のためにいたく悲しむ。 + その日には、エルサレムの嘆きは、メギドの平野にあったハダデ・リンモンのための嘆きのように大きい。 + 国じゅう、氏族おのおの別れて嘆く。すなわちダビデの家の氏族は別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆く。ナタンの家の氏族は別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆く。 + レビの家の氏族は別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆く。シメイの氏族は別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆く。 + その他の氏族も皆別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆くのである。 + + + その日には、罪と汚れとを清める一つの泉が、ダビデの家とエルサレムの住民とのために開かれる。 + 万軍の主は言われる、その日には、わたしは地から偶像の名を取り除き、重ねて人に覚えられることのないようにする。わたしはまた預言者および汚れの霊を、地から去らせる。 + もし、人が今後預言するならば、その産みの父母はこれにむかって、『あなたは主の名をもって偽りを語るゆえ、生きていることができない』と言い、その産みの父母は彼が預言している時、彼を刺すであろう。 + その日には、預言者たちは皆預言する時、その幻を恥じる。また人を欺くための毛の上着を着ない。 + そして『わたしは預言者ではない、わたしは土地を耕す者だ。若い時から土地を持っている』と言う。 + もし、人が彼に『あなたの背中の傷は何か』と尋ねるならば、『これはわたしの友だちの家で受けた傷だ』と、彼は言うであろう」。 + 万軍の主は言われる、「つるぎよ、立ち上がってわが牧者を攻めよ。わたしの次に立つ人を攻めよ。牧者を撃て、その羊は散る。わたしは手をかえして、小さい者どもを攻める。 + 主は言われる、全地の人の三分の二は断たれて死に、三分の一は生き残る。 + わたしはこの三分の一を火の中に入れ、銀をふき分けるように、これをふき分け、金を精錬するように、これを精錬する。彼らはわたしの名を呼び、わたしは彼らに答える。わたしは『彼らはわが民である』と言い、彼らは『主はわが神である』と言う」。 + + + 見よ、主の日が来る。その時あなたの奪われた物は、あなたの中で分かたれる。 + わたしは万国の民を集めて、エルサレムを攻め撃たせる。町は取られ、家はかすめられ、女は犯され、町の半ばは捕えられて行く。しかし残りの民は町から断たれることはない。 + その時、主は出てきて、いくさの日にみずから戦われる時のように、それらの国びとと戦われる。 + その日には彼の足が、東の方エルサレムの前にあるオリブ山の上に立つ。そしてオリブ山は、非常に広い一つの谷によって、東から西に二つに裂け、その山の半ばは北に、半ばは南に移り、 + わが山の谷はふさがれる。裂けた山の谷が、そのかたわらに接触するからである。そして、あなたがたはユダの王ウジヤの世に、地震を避けて逃げたように逃げる。こうして、あなたがたの神、主はこられる、もろもろの聖者と共にこられる。 + その日には、寒さも霜もない。 + そこには長い連続した日がある(主はこれを知られる)。これには昼もなく、夜もない。夕暮になっても、光があるからである。 + その日には、生ける水がエルサレムから流れ出て、その半ばは東の海に、その半ばは西の海に流れ、夏も冬もやむことがない。 + 主は全地の王となられる。その日には、主ひとり、その名一つのみとなる。 + 全地はゲバからエルサレムの南リンモンまで、平地のように変る。しかしエルサレムは高くなって、そのもとの所にとどまり、ベニヤミンの門から、先にあった門の所に及び、隅の門に至り、ハナネルのやぐらから、王の酒ぶねにまで及ぶ。 + その中には人が住み、もはやのろいはなく、エルサレムは安らかに立つ。 + エルサレムを攻撃したもろもろの民を、主は災をもって撃たれる。すなわち彼らはなお足で立っているうちに、その肉は腐れ、目はその穴の中で腐れ、舌はその口の中で腐れる。 + その日には、主は彼らを大いにあわてさせられるので、彼らはおのおのその隣り人を捕え、手をあげてその隣り人を攻める。 + ユダもまた、エルサレムに敵して戦う。その周囲のすべての国びとの財宝、すなわち金銀、衣服などが、はなはだ多く集められる。 + また馬、騾、らくだ、ろば、およびその陣営にあるすべての家畜にも、この災のような災が臨む。 + エルサレムに攻めて来たもろもろの国びとの残った者は、皆年々上って来て、王なる万軍の主を拝み、仮庵の祭を守るようになる。 + 地の諸族のうち、王なる万軍の主を拝むために、エルサレムに上らない者の上には、雨が降らない。 + エジプトの人々が、もし上ってこない時には、主が仮庵の祭を守るために、上ってこないすべての国びとを撃たれるその災が、彼らの上に臨む。 + これが、エジプトびとの受ける罰、およびすべて仮庵の祭を守るために上ってこない国びとの受ける罰である。 + その日には、馬の鈴の上に「主に聖なる者」と、しるすのである。また主の宮のなべは、祭壇の前の鉢のように、聖なる物となる。 + エルサレムおよびユダのすべてのなべは、万軍の主に対して聖なる物となり、すべて犠牲をささげる者は来てこれを取り、その中で犠牲の肉を煮ることができる。その日には、万軍の主の宮に、もはや商人はいない。 + +
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+ + マラキによってイスラエルに臨んだ主の言葉の託宣。 + 主は言われる、「わたしはあなたがたを愛した」と。ところがあなたがたは言う、「あなたはどんなふうに、われわれを愛されたか」。主は言われる、「エサウはヤコブの兄ではないか。しかしわたしはヤコブを愛し、 + エサウを憎んだ。かつ、わたしは彼の山地を荒し、その嗣業を荒野の山犬に与えた」。 + もしエドムが「われわれは滅ぼされたけれども、荒れた所を再び建てる」と言うならば、万軍の主は「彼らは建てるかもしれない。しかしわたしはそれを倒す。人々は、彼らを悪しき国ととなえ、とこしえに主の怒りをうける民ととなえる」と言われる。 + あなたがたの目はこれを見て、「主はイスラエルの境を越えて大いなる神である」と言うであろう。 + 「子はその父を敬い、しもべはその主人を敬う。それでわたしがもし父であるならば、あなたがたのわたしを敬う事実が、どこにあるか。わたしがもし主人であるならば、わたしを恐れる事実が、どこにあるか。わたしの名を侮る祭司たちよ、と万軍の主はあなたがたに言われる。ところがあなたがたは『われわれはどんなふうにあなたの名を侮ったか』と言い、 + 汚れた食物をわたしの祭壇の上にささげる。またあなたがたは、主の台は卑しむべき物であると考えて、『われわれはどんなふうに、それを汚したか』と言う。 + あなたがたが盲目の獣を、犠牲にささげるのは悪い事ではないか。また足のなえたもの、病めるものをささげるのは悪い事ではないか。今これをあなたのつかさにささげてみよ。彼はあなたを喜び、あなたを受けいれるであろうかと、万軍の主は言われる。 + あなたがたは、神がわれわれをあわれまれるように、神の恵みを求めてみよ。このようなあなたがたの手のささげ物をもって、彼はあなたがたを受けいれられるであろうかと、万軍の主は言われる。 + あなたがたがわが祭壇の上にいたずらに、火をたくことのないように戸を閉じる者があなたがたのうちに、ひとりあったらいいのだが。わたしはあなたがたを喜ばない、またあなたがたの手からささげ物を受けないと、万軍の主は言われる。 + 日の出る所から没する所まで、国々のうちにわが名はあがめられている。また、どこでも香と清いささげ物が、わが名のためにささげられる。これはわが名が国々のうちにあがめられているからであると、万軍の主は言われる。 + ところがあなたがたは、主の台は汚れている、またこの食物は卑しむべき物であると言って、これを汚した。 + あなたがたはまた『これはなんと煩わしい事か』と言って、わたしを鼻であしらうと、万軍の主は言われる。あなたがたはまた奪った物、足なえのもの、病めるものを、ささげ物として携えて来る。わたしはそれを、あなたがたの手から、受けるであろうかと主は言われる。 + 群れのうちに雄の獣があり、それをささげると誓いを立てているのに、傷のあるものを、主にささげる偽り者はのろわれる。わたしは大いなる王で、わが名は国々のうちに恐れられるべきであると、万軍の主は言われる。 + + + 祭司たちよ、今この命令があなたがたに与えられる。 + 万軍の主は言われる、あなたがたがもし聞き従わず、またこれを心に留めず、わが名に栄光を帰さないならば、わたしはあなたがたの上に、のろいを送り、またあなたがたの祝福をのろいに変える。あなたがたは、これを心に留めないので、わたしはすでにこれをのろった。 + 見よ、わたしはあなたがたの子孫を責める。またあなたがたの犠牲の糞を、あなたがたの顔の上にまき散らし、あなたがたをわたしの前から退ける。 + こうしてわたしが、この命令をあなたがたに与えたのは、レビと結んだわが契約が、保たれるためであることを、あなたがたが知るためであると、万軍の主は言われる。 + 彼と結んだわが契約は、生命と平安との契約であって、わたしがこれを彼に与えたのは、彼にわたしを恐れさせるためである。彼はすでにわたしを恐れ、わが名の前におののいた。 + 彼の口には、まことの律法があり、そのくちびるには、不義が見られなかった。彼は平安と公義とをもって、わたしと共に歩み、また多くの人を不義から立ち返らせた。 + 祭司のくちびるは知識を保ち、人々が彼の口から律法を尋ねるのが当然である。彼は万軍の主の使者だからだ。 + ところが、あなたがたは道を離れ、多くの人を教えてつまずかせ、レビの契約を破ったと、万軍の主は言われる。 + あなたがたはわたしの道を守らず、律法を教えるに当って、人にかたよったがために、あなたがたをすべての民の前に侮られ、卑しめられるようにする」。 + われわれの父は皆一つではないか。われわれを造った神は一つではないか。なにゆえ、われわれは先祖たちの契約を破って、おのおのその兄弟に偽りを行うのか。 + ユダは偽りを行い、イスラエルおよびエルサレムの中には憎むべき事が行われた。すなわちユダは主が愛しておられる聖所を汚して、他の神に仕える女をめとった。 + どうか、主がこうした事を行う人をば、証言する者も、答弁する者も、また万軍の主にささげ物をする者をも、ヤコブの幕屋から断たれるように。 + あなたがたはまたこのような事をする。すなわち神がもはやささげ物をかえりみず、またこれをあなたがたの手から、喜んで受けられないために、あなたがたは涙と、泣くことと、嘆きとをもって、主の祭壇をおおい、 + 「なぜ神は受けられないのか」と尋ねる。これは主があなたと、あなたの若い時の妻との間の、契約の証人だったからである。彼女は、あなたの連れ合い、契約によるあなたの妻であるのに、あなたは彼女を裏切った。 + 一つ神は、われわれのために命の霊を造り、これをささえられたではないか。彼は何を望まれるか。神を敬う子孫であるゆえ、あなたがたはみずから慎んで、その若い時の妻を裏切ってはならない。 + イスラエルの神、主は言われる、「わたしは離縁する者を憎み、また、しえたげをもってその衣をおおう人を憎むと、万軍の主は言われる。ゆえにみずから慎んで、裏切ることをしてはならない」。 + あなたがたは言葉をもって主を煩わした。しかしあなたがたは言う、「われわれはどんなふうに、彼を煩わしたか」。それはあなたがたが「すべて悪を行う者は主の目に良く見え、かつ彼に喜ばれる」と言い、また「さばきを行う神はどこにあるか」と言うからである。 + + + 「見よ、わたしはわが使者をつかわす。彼はわたしの前に道を備える。またあなたがたが求める所の主は、たちまちその宮に来る。見よ、あなたがたの喜ぶ契約の使者が来ると、万軍の主が言われる。 + その来る日には、だれが耐え得よう。そのあらわれる時には、だれが立ち得よう。彼は金をふきわける者の火のようであり、布さらしの灰汁のようである。 + 彼は銀をふきわけて清める者のように座して、レビの子孫を清め、金銀のように彼らを清める。そして彼らは義をもって、ささげ物を主にささげる。 + その時ユダとエルサレムとのささげ物は、昔の日のように、また先の年のように主に喜ばれる。 + そしてわたしはあなたがたに近づいて、さばきをなし、占い者、姦淫を行う者、偽りの誓いをなす者にむかい、雇人の賃銀をかすめ、やもめと、みなしごとをしえたげ、寄留の他国人を押しのけ、わたしを恐れない者どもにむかって、すみやかにあかしを立てると、万軍の主は言われる。 + 主なるわたしは変ることがない。それゆえ、ヤコブの子らよ、あなたがたは滅ぼされない。 + あなたがたは、その先祖の日から、わが定めを離れて、これを守らなかった。わたしに帰れ、わたしはあなたがたに帰ろうと、万軍の主は言われる。ところが、あなたがたは『われわれはどうして帰ろうか』と尋ねる。 + 人は神の物を盗むことをするだろうか。しかしあなたがたは、わたしの物を盗んでいる。あなたがたはまた『どうしてわれわれは、あなたの物を盗んでいるのか』と言う。十分の一と、ささげ物をもってである。 + あなたがたは、のろいをもって、のろわれる。あなたがたすべての国民は、わたしの物を盗んでいるからである。 + わたしの宮に食物のあるように、十分の一全部をわたしの倉に携えてきなさい。これをもってわたしを試み、わたしが天の窓を開いて、あふるる恵みを、あなたがたに注ぐか否かを見なさいと、万軍の主は言われる。 + わたしは食い滅ぼす者を、あなたがたのためにおさえて、あなたがたの地の産物を、滅ぼさないようにしよう。また、あなたがたのぶどうの木が、その熟する前に、その実を畑に落すことのないようにしようと、万軍の主は言われる。 + こうして万国の人は、あなたがたを祝福された者ととなえるであろう。あなたがたは楽しい地となるからであると、万軍の主は言われる。 + 主は言われる、あなたがたは言葉を激しくして、わたしに逆らった。しかもあなたがたは『われわれはあなたに逆らって、どんな事を言ったか』と言う。 + あなたがたは言った、『神に仕える事はつまらない。われわれがその命令を守り、かつ万軍の主の前に、悲しんで歩いたからといって、なんの益があるか。 + 今われわれは高ぶる者を、祝福された者と思う。悪を行う者は栄えるばかりでなく、神を試みても罰せられない』」。 + そのとき、主を恐れる者は互に語った。主は耳を傾けてこれを聞かれた。そして主を恐れる者、およびその名を心に留めている者のために、主の前に一つの覚え書がしるされた。 + 「万軍の主は言われる、彼らはわたしが手を下して事を行う日に、わたしの者となり、わたしの宝となる。また人が自分に仕える子をあわれむように、わたしは彼らをあわれむ。 + その時あなたがたは、再び義人と悪人、神に仕える者と、仕えない者との区別を知るようになる。 + + + 万軍の主は言われる、見よ、炉のように燃える日が来る。その時すべて高ぶる者と、悪を行う者とは、わらのようになる。その来る日は、彼らを焼き尽して、根も枝も残さない。 + しかしわが名を恐れるあなたがたには、義の太陽がのぼり、その翼には、いやす力を備えている。あなたがたは牛舎から出る子牛のように外に出て、とびはねる。 + また、あなたがたは悪人を踏みつけ、わたしが事を行う日に、彼らはあなたがたの足の裏の下にあって、灰のようになると、万軍の主は言われる。 + あなたがたは、わがしもべモーセの律法、すなわちわたしがホレブで、イスラエル全体のために、彼に命じた定めとおきてとを覚えよ。 + 見よ、主の大いなる恐るべき日が来る前に、わたしは預言者エリヤをあなたがたにつかわす。 + 彼は父の心をその子供たちに向けさせ、子供たちの心をその父に向けさせる。これはわたしが来て、のろいをもってこの国を撃つことのないようにするためである」。 + +
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+ + アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図。 + アブラハムはイサクの父であり、イサクはヤコブの父、ヤコブはユダとその兄弟たちとの父、 + ユダはタマルによるパレスとザラとの父、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父、 + アラムはアミナダブの父、アミナダブはナアソンの父、ナアソンはサルモンの父、 + サルモンはラハブによるボアズの父、ボアズはルツによるオベデの父、オベデはエッサイの父、 + エッサイはダビデ王の父であった。ダビデはウリヤの妻によるソロモンの父であり、 + ソロモンはレハベアムの父、レハベアムはアビヤの父、アビヤはアサの父、 + アサはヨサパテの父、ヨサパテはヨラムの父、ヨラムはウジヤの父、 + ウジヤはヨタムの父、ヨタムはアハズの父、アハズはヒゼキヤの父、 + ヒゼキヤはマナセの父、マナセはアモンの父、アモンはヨシヤの父、 + ヨシヤはバビロンへ移されたころ、エコニヤとその兄弟たちとの父となった。 + バビロンへ移されたのち、エコニヤはサラテルの父となった。サラテルはゾロバベルの父、 + ゾロバベルはアビウデの父、アビウデはエリヤキムの父、エリヤキムはアゾルの父、 + アゾルはサドクの父、サドクはアキムの父、アキムはエリウデの父、 + エリウデはエレアザルの父、エレアザルはマタンの父、マタンはヤコブの父、 + ヤコブはマリヤの夫ヨセフの父であった。このマリヤからキリストといわれるイエスがお生れになった。 + だから、アブラハムからダビデまでの代は合わせて十四代、ダビデからバビロンへ移されるまでは十四代、そして、バビロンへ移されてからキリストまでは十四代である。 + イエス・キリストの誕生の次第はこうであった。母マリヤはヨセフと婚約していたが、まだ一緒にならない前に、聖霊によって身重になった。 + 夫ヨセフは正しい人であったので、彼女のことが公けになることを好まず、ひそかに離縁しようと決心した。 + 彼がこのことを思いめぐらしていたとき、主の使が夢に現れて言った、「ダビデの子ヨセフよ、心配しないでマリヤを妻として迎えるがよい。その胎内に宿っているものは聖霊によるのである。 + 彼女は男の子を産むであろう。その名をイエスと名づけなさい。彼は、おのれの民をそのもろもろの罪から救う者となるからである」。 + すべてこれらのことが起ったのは、主が預言者によって言われたことの成就するためである。すなわち、 + 「見よ、おとめがみごもって男の子を産むであろう。その名はインマヌエルと呼ばれるであろう」。これは、「神われらと共にいます」という意味である。 + ヨセフは眠りからさめた後に、主の使が命じたとおりに、マリヤを妻に迎えた。 + しかし、子が生れるまでは、彼女を知ることはなかった。そして、その子をイエスと名づけた。 + + + イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、 + 「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。 + ヘロデ王はこのことを聞いて不安を感じた。エルサレムの人々もみな、同様であった。 + そこで王は祭司長たちと民の律法学者たちとを全部集めて、キリストはどこに生れるのかと、彼らに問いただした。 + 彼らは王に言った、「それはユダヤのベツレヘムです。預言者がこうしるしています、 + 『ユダの地、ベツレヘムよ、おまえはユダの君たちの中で、決して最も小さいものではない。おまえの中からひとりの君が出て、わが民イスラエルの牧者となるであろう』」。 + そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、星の現れた時について詳しく聞き、 + 彼らをベツレヘムにつかわして言った、「行って、その幼な子のことを詳しく調べ、見つかったらわたしに知らせてくれ。わたしも拝みに行くから」。 + 彼らは王の言うことを聞いて出かけると、見よ、彼らが東方で見た星が、彼らより先に進んで、幼な子のいる所まで行き、その上にとどまった。 + 彼らはその星を見て、非常な喜びにあふれた。 + そして、家にはいって、母マリヤのそばにいる幼な子に会い、ひれ伏して拝み、また、宝の箱をあけて、黄金・乳香・没薬などの贈り物をささげた。 + そして、夢でヘロデのところに帰るなとのみ告げを受けたので、他の道をとおって自分の国へ帰って行った。 + 彼らが帰って行ったのち、見よ、主の使が夢でヨセフに現れて言った、「立って、幼な子とその母を連れて、エジプトに逃げなさい。そして、あなたに知らせるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが幼な子を捜し出して、殺そうとしている」。 + そこで、ヨセフは立って、夜の間に幼な子とその母とを連れてエジプトへ行き、 + ヘロデが死ぬまでそこにとどまっていた。それは、主が預言者によって「エジプトからわが子を呼び出した」と言われたことが、成就するためである。 + さて、ヘロデは博士たちにだまされたと知って、非常に立腹した。そして人々をつかわし、博士たちから確かめた時に基いて、ベツレヘムとその附近の地方とにいる二歳以下の男の子を、ことごとく殺した。 + こうして、預言者エレミヤによって言われたことが、成就したのである。 + 「叫び泣く大いなる悲しみの声がラマで聞えた。ラケルはその子らのためになげいた。子らがもはやいないので、慰められることさえ願わなかった」。 + さて、ヘロデが死んだのち、見よ、主の使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて言った、 + 「立って、幼な子とその母を連れて、イスラエルの地に行け。幼な子の命をねらっていた人々は、死んでしまった」。 + そこでヨセフは立って、幼な子とその母とを連れて、イスラエルの地に帰った。 + しかし、アケラオがその父ヘロデに代ってユダヤを治めていると聞いたので、そこへ行くことを恐れた。そして夢でみ告げを受けたので、ガリラヤの地方に退き、 + ナザレという町に行って住んだ。これは預言者たちによって、「彼はナザレ人と呼ばれるであろう」と言われたことが、成就するためである。 + + + そのころ、バプテスマのヨハネが現れ、ユダヤの荒野で教を宣べて言った、 + 「悔い改めよ、天国は近づいた」。 + 預言者イザヤによって、「荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』」と言われたのは、この人のことである。 + このヨハネは、らくだの毛ごろもを着物にし、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。 + すると、エルサレムとユダヤ全土とヨルダン附近一帯の人々が、ぞくぞくとヨハネのところに出てきて、 + 自分の罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。 + ヨハネは、パリサイ人やサドカイ人が大ぜいバプテスマを受けようとしてきたのを見て、彼らに言った、「まむしの子らよ、迫ってきている神の怒りから、おまえたちはのがれられると、だれが教えたのか。 + だから、悔改めにふさわしい実を結べ。 + 自分たちの父にはアブラハムがあるなどと、心の中で思ってもみるな。おまえたちに言っておく、神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子を起すことができるのだ。 + 斧がすでに木の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれるのだ。 + わたしは悔改めのために、水でおまえたちにバプテスマを授けている。しかし、わたしのあとから来る人はわたしよりも力のあるかたで、わたしはそのくつをぬがせてあげる値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。 + また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てるであろう」。 + そのときイエスは、ガリラヤを出てヨルダン川に現れ、ヨハネのところにきて、バプテスマを受けようとされた。 + ところがヨハネは、それを思いとどまらせようとして言った、「わたしこそあなたからバプテスマを受けるはずですのに、あなたがわたしのところにおいでになるのですか」。 + しかし、イエスは答えて言われた、「今は受けさせてもらいたい。このように、すべての正しいことを成就するのは、われわれにふさわしいことである」。そこでヨハネはイエスの言われるとおりにした。 + イエスはバプテスマを受けるとすぐ、水から上がられた。すると、見よ、天が開け、神の御霊がはとのように自分の上に下ってくるのを、ごらんになった。 + また天から声があって言った、「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 + + + さて、イエスは御霊によって荒野に導かれた。悪魔に試みられるためである。 + そして、四十日四十夜、断食をし、そののち空腹になられた。 + すると試みる者がきて言った、「もしあなたが神の子であるなら、これらの石がパンになるように命じてごらんなさい」。 + イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きるものである』と書いてある」。 + それから悪魔は、イエスを聖なる都に連れて行き、宮の頂上に立たせて + 言った、「もしあなたが神の子であるなら、下へ飛びおりてごらんなさい。『神はあなたのために御使たちにお命じになると、あなたの足が石に打ちつけられないように、彼らはあなたを手でささえるであろう』と書いてありますから」。 + イエスは彼に言われた、「『主なるあなたの神を試みてはならない』とまた書いてある」。 + 次に悪魔は、イエスを非常に高い山に連れて行き、この世のすべての国々とその栄華とを見せて + 言った、「もしあなたが、ひれ伏してわたしを拝むなら、これらのものを皆あなたにあげましょう」。 + するとイエスは彼に言われた、「サタンよ、退け。『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。 + そこで、悪魔はイエスを離れ去り、そして、御使たちがみもとにきて仕えた。 + さて、イエスはヨハネが捕えられたと聞いて、ガリラヤへ退かれた。 + そしてナザレを去り、ゼブルンとナフタリとの地方にある海べの町カペナウムに行って住まわれた。 + これは預言者イザヤによって言われた言が、成就するためである。 + 「ゼブルンの地、ナフタリの地、海に沿う地方、ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤ、 + 暗黒の中に住んでいる民は大いなる光を見、死の地、死の陰に住んでいる人々に、光がのぼった」。 + この時からイエスは教を宣べはじめて言われた、「悔い改めよ、天国は近づいた」。 + さて、イエスがガリラヤの海べを歩いておられると、ふたりの兄弟、すなわち、ペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレとが、海に網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。 + イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。 + すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。 + そこから進んで行かれると、ほかのふたりの兄弟、すなわち、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、父ゼベダイと一緒に、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。そこで彼らをお招きになると、 + すぐ舟と父とをおいて、イエスに従って行った。 + イエスはガリラヤの全地を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、民の中のあらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。 + そこで、その評判はシリヤ全地にひろまり、人々があらゆる病にかかっている者、すなわち、いろいろの病気と苦しみとに悩んでいる者、悪霊につかれている者、てんかん、中風の者などをイエスのところに連れてきたので、これらの人々をおいやしになった。 + こうして、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ及びヨルダンの向こうから、おびただしい群衆がきてイエスに従った。 + + + イエスはこの群衆を見て、山に登り、座につかれると、弟子たちがみもとに近寄ってきた。 + そこで、イエスは口を開き、彼らに教えて言われた。 + 「こころの貧しい人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。 + 悲しんでいる人たちは、さいわいである、彼らは慰められるであろう。 + 柔和な人たちは、さいわいである、彼らは地を受けつぐであろう。 + 義に飢えかわいている人たちは、さいわいである、彼らは飽き足りるようになるであろう。 + あわれみ深い人たちは、さいわいである、彼らはあわれみを受けるであろう。 + 心の清い人たちは、さいわいである、彼らは神を見るであろう。 + 平和をつくり出す人たちは、さいわいである、彼らは神の子と呼ばれるであろう。 + 義のために迫害されてきた人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。 + わたしのために人々があなたがたをののしり、また迫害し、あなたがたに対し偽って様々の悪口を言う時には、あなたがたは、さいわいである。 + 喜び、よろこべ、天においてあなたがたの受ける報いは大きい。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。 + あなたがたは、地の塩である。もし塩のききめがなくなったら、何によってその味が取りもどされようか。もはや、なんの役にも立たず、ただ外に捨てられて、人々にふみつけられるだけである。 + あなたがたは、世の光である。山の上にある町は隠れることができない。 + また、あかりをつけて、それを枡の下におく者はいない。むしろ燭台の上において、家の中のすべてのものを照させるのである。 + そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かし、そして、人々があなたがたのよいおこないを見て、天にいますあなたがたの父をあがめるようにしなさい。 + わたしが律法や預言者を廃するためにきた、と思ってはならない。廃するためではなく、成就するためにきたのである。 + よく言っておく。天地が滅び行くまでは、律法の一点、一画もすたることはなく、ことごとく全うされるのである。 + それだから、これらの最も小さいいましめの一つでも破り、またそうするように人に教えたりする者は、天国で最も小さい者と呼ばれるであろう。しかし、これをおこないまたそう教える者は、天国で大いなる者と呼ばれるであろう。 + わたしは言っておく。あなたがたの義が律法学者やパリサイ人の義にまさっていなければ、決して天国に、はいることはできない。 + 昔の人々に『殺すな。殺す者は裁判を受けねばならない』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。兄弟に対して怒る者は、だれでも裁判を受けねばならない。兄弟にむかって愚か者と言う者は、議会に引きわたされるであろう。また、ばか者と言う者は、地獄の火に投げ込まれるであろう。 + だから、祭壇に供え物をささげようとする場合、兄弟が自分に対して何かうらみをいだいていることを、そこで思い出したなら、 + その供え物を祭壇の前に残しておき、まず行ってその兄弟と和解し、それから帰ってきて、供え物をささげることにしなさい。 + あなたを訴える者と一緒に道を行く時には、その途中で早く仲直りをしなさい。そうしないと、その訴える者はあなたを裁判官にわたし、裁判官は下役にわたし、そして、あなたは獄に入れられるであろう。 + よくあなたに言っておく。最後の一コドラントを支払ってしまうまでは、決してそこから出てくることはできない。 + 『姦淫するな』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。だれでも、情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである。 + もしあなたの右の目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に投げ入れられない方が、あなたにとって益である。 + もしあなたの右の手が罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に落ち込まない方が、あなたにとって益である。 + また『妻を出す者は離縁状を渡せ』と言われている。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。だれでも、不品行以外の理由で自分の妻を出す者は、姦淫を行わせるのである。また出された女をめとる者も、姦淫を行うのである。 + また昔の人々に『いつわり誓うな、誓ったことは、すべて主に対して果せ』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。いっさい誓ってはならない。天をさして誓うな。そこは神の御座であるから。 + また地をさして誓うな。そこは神の足台であるから。またエルサレムをさして誓うな。それは『大王の都』であるから。 + また、自分の頭をさして誓うな。あなたは髪の毛一すじさえ、白くも黒くもすることができない。 + あなたがたの言葉は、ただ、しかり、しかり、否、否、であるべきだ。それ以上に出ることは、悪から来るのである。 + 『目には目を、歯には歯を』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。悪人に手向かうな。もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。 + あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着をも与えなさい。 + もし、だれかが、あなたをしいて一マイル行かせようとするなら、その人と共に二マイル行きなさい。 + 求める者には与え、借りようとする者を断るな。 + 『隣り人を愛し、敵を憎め』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。 + こうして、天にいますあなたがたの父の子となるためである。天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らして下さるからである。 + あなたがたが自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。そのようなことは取税人でもするではないか。 + 兄弟だけにあいさつをしたからとて、なんのすぐれた事をしているだろうか。そのようなことは異邦人でもしているではないか。 + それだから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい。 + + + 自分の義を、見られるために人の前で行わないように、注意しなさい。もし、そうしないと、天にいますあなたがたの父から報いを受けることがないであろう。 + だから、施しをする時には、偽善者たちが人にほめられるため会堂や町の中でするように、自分の前でラッパを吹きならすな。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。 + あなたは施しをする場合、右の手のしていることを左の手に知らせるな。 + それは、あなたのする施しが隠れているためである。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いてくださるであろう。 + また祈る時には、偽善者たちのようにするな。彼らは人に見せようとして、会堂や大通りのつじに立って祈ることを好む。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。 + あなたは祈る時、自分のへやにはいり、戸を閉じて、隠れた所においでになるあなたの父に祈りなさい。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いてくださるであろう。 + また、祈る場合、異邦人のように、くどくどと祈るな。彼らは言葉かずが多ければ、聞きいれられるものと思っている。 + だから、彼らのまねをするな。あなたがたの父なる神は、求めない先から、あなたがたに必要なものはご存じなのである。 + だから、あなたがたはこう祈りなさい、天にいますわれらの父よ、御名があがめられますように。 + 御国がきますように。みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。 + わたしたちの日ごとの食物を、きょうもお与えください。 + わたしたちに負債のある者をゆるしましたように、わたしたちの負債をもおゆるしください。 + わたしたちを試みに会わせないで、悪しき者からお救いください。 + もしも、あなたがたが、人々のあやまちをゆるすならば、あなたがたの天の父も、あなたがたをゆるして下さるであろう。 + もし人をゆるさないならば、あなたがたの父も、あなたがたのあやまちをゆるして下さらないであろう。 + また断食をする時には、偽善者がするように、陰気な顔つきをするな。彼らは断食をしていることを人に見せようとして、自分の顔を見苦しくするのである。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。 + あなたがたは断食をする時には、自分の頭に油を塗り、顔を洗いなさい。 + それは断食をしていることが人に知れないで、隠れた所においでになるあなたの父に知られるためである。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いて下さるであろう。 + あなたがたは自分のために、虫が食い、さびがつき、また、盗人らが押し入って盗み出すような地上に、宝をたくわえてはならない。 + むしろ自分のため、虫も食わず、さびもつかず、また、盗人らが押し入って盗み出すこともない天に、宝をたくわえなさい。 + あなたの宝のある所には、心もあるからである。 + 目はからだのあかりである。だから、あなたの目が澄んでおれば、全身も明るいだろう。 + しかし、あなたの目が悪ければ、全身も暗いだろう。だから、もしあなたの内なる光が暗ければ、その暗さは、どんなであろう。 + だれも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない。 + それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな。命は食物にまさり、からだは着物にまさるではないか。 + 空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取りいれることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれた者ではないか。 + あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。 + また、なぜ、着物のことで思いわずらうのか。野の花がどうして育っているか、考えて見るがよい。働きもせず、紡ぎもしない。 + しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。 + きょうは生えていて、あすは炉に投げ入れられる野の草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。 + だから、何を食べようか、何を飲もうか、あるいは何を着ようかと言って思いわずらうな。 + これらのものはみな、異邦人が切に求めているものである。あなたがたの天の父は、これらのものが、ことごとくあなたがたに必要であることをご存じである。 + まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう。 + だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。 + + + 人をさばくな。自分がさばかれないためである。 + あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう。 + なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。 + 自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えようか。 + 偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。 + 聖なるものを犬にやるな。また真珠を豚に投げてやるな。恐らく彼らはそれらを足で踏みつけ、向きなおってあなたがたにかみついてくるであろう。 + 求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。 + すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。 + あなたがたのうちで、自分の子がパンを求めるのに、石を与える者があろうか。 + 魚を求めるのに、へびを与える者があろうか。 + このように、あなたがたは悪い者であっても、自分の子供には、良い贈り物をすることを知っているとすれば、天にいますあなたがたの父はなおさら、求めてくる者に良いものを下さらないことがあろうか。 + だから、何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ。これが律法であり預言者である。 + 狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。 + 命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない。 + にせ預言者を警戒せよ。彼らは、羊の衣を着てあなたがたのところに来るが、その内側は強欲なおおかみである。 + あなたがたは、その実によって彼らを見わけるであろう。茨からぶどうを、あざみからいちじくを集める者があろうか。 + そのように、すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。 + 良い木が悪い実をならせることはないし、悪い木が良い実をならせることはできない。 + 良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれる。 + このように、あなたがたはその実によって彼らを見わけるのである。 + わたしにむかって『主よ、主よ』と言う者が、みな天国にはいるのではなく、ただ、天にいますわが父の御旨を行う者だけが、はいるのである。 + その日には、多くの者が、わたしにむかって『主よ、主よ、わたしたちはあなたの名によって預言したではありませんか。また、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって多くの力あるわざを行ったではありませんか』と言うであろう。 + そのとき、わたしは彼らにはっきり、こう言おう、『あなたがたを全く知らない。不法を働く者どもよ、行ってしまえ』。 + それで、わたしのこれらの言葉を聞いて行うものを、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができよう。 + 雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけても、倒れることはない。岩を土台としているからである。 + また、わたしのこれらの言葉を聞いても行わない者を、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができよう。 + 雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまう。そしてその倒れ方はひどいのである」。 + イエスがこれらの言を語り終えられると、群衆はその教にひどく驚いた。 + それは律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように、教えられたからである。 + + + イエスが山をお降りになると、おびただしい群衆がついてきた。 + すると、そのとき、ひとりのらい病人がイエスのところにきて、ひれ伏して言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 + イエスは手を伸ばして、彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病は直ちにきよめられた。 + イエスは彼に言われた、「だれにも話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた供え物をささげて、人々に証明しなさい」。 + さて、イエスがカペナウムに帰ってこられたとき、ある百卒長がみもとにきて訴えて言った、 + 「主よ、わたしの僕が中風でひどく苦しんで、家に寝ています」。 + イエスは彼に、「わたしが行ってなおしてあげよう」と言われた。 + そこで百卒長は答えて言った、「主よ、わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。ただ、お言葉を下さい。そうすれば僕はなおります。 + わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け』と言えば行き、ほかの者に『こい』と言えばきますし、また、僕に『これをせよ』と言えば、してくれるのです」。 + イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた人々に言われた、「よく聞きなさい。イスラエル人の中にも、これほどの信仰を見たことがない。 + なお、あなたがたに言うが、多くの人が東から西からきて、天国で、アブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席につくが、 + この国の子らは外のやみに追い出され、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう」。 + それからイエスは百卒長に「行け、あなたの信じたとおりになるように」と言われた。すると、ちょうどその時に、僕はいやされた。 + それから、イエスはペテロの家にはいって行かれ、そのしゅうとめが熱病で、床についているのをごらんになった。 + そこで、その手にさわられると、熱が引いた。そして女は起きあがってイエスをもてなした。 + 夕暮になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れてきたので、イエスはみ言葉をもって霊どもを追い出し、病人をことごとくおいやしになった。 + これは、預言者イザヤによって「彼は、わたしたちのわずらいを身に受け、わたしたちの病を負うた」と言われた言葉が成就するためである。 + イエスは、群衆が自分のまわりに群がっているのを見て、向こう岸に行くようにと弟子たちにお命じになった。 + するとひとりの律法学者が近づいてきて言った、「先生、あなたがおいでになる所なら、どこへでも従ってまいります」。 + イエスはその人に言われた、「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない」。 + また弟子のひとりが言った、「主よ、まず、父を葬りに行かせて下さい」。 + イエスは彼に言われた、「わたしに従ってきなさい。そして、その死人を葬ることは、死人に任せておくがよい」。 + それから、イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。 + すると突然、海上に激しい暴風が起って、舟は波にのまれそうになった。ところが、イエスは眠っておられた。 + そこで弟子たちはみそばに寄ってきてイエスを起し、「主よ、お助けください、わたしたちは死にそうです」と言った。 + するとイエスは彼らに言われた、「なぜこわがるのか、信仰の薄い者たちよ」。それから起きあがって、風と海とをおしかりになると、大なぎになった。 + 彼らは驚いて言った、「このかたはどういう人なのだろう。風も海も従わせるとは」。 + それから、向こう岸、ガダラ人の地に着かれると、悪霊につかれたふたりの者が、墓場から出てきてイエスに出会った。彼らは手に負えない乱暴者で、だれもその辺の道を通ることができないほどであった。 + すると突然、彼らは叫んで言った、「神の子よ、あなたはわたしどもとなんの係わりがあるのです。まだその時ではないのに、ここにきて、わたしどもを苦しめるのですか」。 + さて、そこからはるか離れた所に、おびただしい豚の群れが飼ってあった。 + 悪霊どもはイエスに願って言った、「もしわたしどもを追い出されるのなら、あの豚の群れの中につかわして下さい」。 + そこで、イエスが「行け」と言われると、彼らは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れ全体が、がけから海へなだれを打って駆け下り、水の中で死んでしまった。 + 飼う者たちは逃げて町に行き、悪霊につかれた者たちのことなど、いっさいを知らせた。 + すると、町中の者がイエスに会いに出てきた。そして、イエスに会うと、この地方から去ってくださるようにと頼んだ。 + + + さて、イエスは舟に乗って海を渡り、自分の町に帰られた。 + すると、人々が中風の者を床の上に寝かせたままでみもとに運んできた。イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、しっかりしなさい。あなたの罪はゆるされたのだ」と言われた。 + すると、ある律法学者たちが心の中で言った、「この人は神を汚している」。 + イエスは彼らの考えを見抜いて、「なぜ、あなたがたは心の中で悪いことを考えているのか。 + あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。 + しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために」と言い、中風の者にむかって、「起きよ、床を取りあげて家に帰れ」と言われた。 + すると彼は起きあがり、家に帰って行った。 + 群衆はそれを見て恐れ、こんな大きな権威を人にお与えになった神をあがめた。 + さてイエスはそこから進んで行かれ、マタイという人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。 + それから、イエスが家で食事の席についておられた時のことである。多くの取税人や罪人たちがきて、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。 + パリサイ人たちはこれを見て、弟子たちに言った、「なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人などと食事を共にするのか」。 + イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。 + 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、学んできなさい。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。 + そのとき、ヨハネの弟子たちがイエスのところにきて言った、「わたしたちとパリサイ人たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。 + するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいる間は、悲しんでおられようか。しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その時には断食をするであろう。 + だれも、真新しい布ぎれで、古い着物につぎを当てはしない。そのつぎきれは着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなるから。 + だれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、その皮袋は張り裂け、酒は流れ出るし、皮袋もむだになる。だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。そうすれば両方とも長もちがするであろう」。 + これらのことを彼らに話しておられると、そこにひとりの会堂司がきて、イエスを拝して言った、「わたしの娘がただ今死にました。しかしおいでになって手をその上においてやって下さい。そうしたら、娘は生き返るでしょう」。 + そこで、イエスが立って彼について行かれると、弟子たちも一緒に行った。 + するとそのとき、十二年間も長血をわずらっている女が近寄ってきて、イエスのうしろからみ衣のふさにさわった。 + み衣にさわりさえすれば、なおしていただけるだろう、と心の中で思っていたからである。 + イエスは振り向いて、この女を見て言われた、「娘よ、しっかりしなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです」。するとこの女はその時に、いやされた。 + それからイエスは司の家に着き、笛吹きどもや騒いでいる群衆を見て言われた。 + 「あちらへ行っていなさい。少女は死んだのではない。眠っているだけである」。すると人々はイエスをあざ笑った。 + しかし、群衆を外へ出したのち、イエスは内へはいって、少女の手をお取りになると、少女は起きあがった。 + そして、そのうわさがこの地方全体にひろまった。 + そこから進んで行かれると、ふたりの盲人が、「ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」と叫びながら、イエスについてきた。 + そしてイエスが家にはいられると、盲人たちがみもとにきたので、彼らに「わたしにそれができると信じるか」と言われた。彼らは言った、「主よ、信じます」。 + そこで、イエスは彼らの目にさわって言われた、「あなたがたの信仰どおり、あなたがたの身になるように」。 + すると彼らの目が開かれた。イエスは彼らをきびしく戒めて言われた、「だれにも知れないように気をつけなさい」。 + しかし、彼らは出て行って、その地方全体にイエスのことを言いひろめた。 + 彼らが出て行くと、人々は悪霊につかれたおしをイエスのところに連れてきた。 + すると、悪霊は追い出されて、おしが物を言うようになった。群衆は驚いて、「このようなことがイスラエルの中で見られたことは、これまで一度もなかった」と言った。 + しかし、パリサイ人たちは言った、「彼は、悪霊どものかしらによって悪霊どもを追い出しているのだ」。 + イエスは、すべての町々村々を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。 + また群衆が飼う者のない羊のように弱り果てて、倒れているのをごらんになって、彼らを深くあわれまれた。 + そして弟子たちに言われた、「収穫は多いが、働き人が少ない。 + だから、収穫の主に願って、その収穫のために働き人を送り出すようにしてもらいなさい」。 + + + そこで、イエスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊を追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやす権威をお授けになった。 + 十二使徒の名は、次のとおりである。まずペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、 + ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、 + 熱心党のシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。 + イエスはこの十二人をつかわすに当り、彼らに命じて言われた、「異邦人の道に行くな。またサマリヤ人の町にはいるな。 + むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところに行け。 + 行って、『天国が近づいた』と宣べ伝えよ。 + 病人をいやし、死人をよみがえらせ、らい病人をきよめ、悪霊を追い出せ。ただで受けたのだから、ただで与えるがよい。 + 財布の中に金、銀または銭を入れて行くな。 + 旅行のための袋も、二枚の下着も、くつも、つえも持って行くな。働き人がその食物を得るのは当然である。 + どの町、どの村にはいっても、その中でだれがふさわしい人か、たずね出して、立ち去るまではその人のところにとどまっておれ。 + その家にはいったなら、平安を祈ってあげなさい。 + もし平安を受けるにふさわしい家であれば、あなたがたの祈る平安はその家に来るであろう。もしふさわしくなければ、その平安はあなたがたに帰って来るであろう。 + もしあなたがたを迎えもせず、またあなたがたの言葉を聞きもしない人があれば、その家や町を立ち去る時に、足のちりを払い落しなさい。 + あなたがたによく言っておく。さばきの日には、ソドム、ゴモラの地の方が、その町よりは耐えやすいであろう。 + わたしがあなたがたをつかわすのは、羊をおおかみの中に送るようなものである。だから、へびのように賢く、はとのように素直であれ。 + 人々に注意しなさい。彼らはあなたがたを衆議所に引き渡し、会堂でむち打つであろう。 + またあなたがたは、わたしのために長官たちや王たちの前に引き出されるであろう。それは、彼らと異邦人とに対してあかしをするためである。 + 彼らがあなたがたを引き渡したとき、何をどう言おうかと心配しないがよい。言うべきことは、その時に授けられるからである。 + 語る者は、あなたがたではなく、あなたがたの中にあって語る父の霊である。 + 兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、また子は親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。 + またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 + 一つの町で迫害されたなら、他の町へ逃げなさい。よく言っておく。あなたがたがイスラエルの町々を回り終らないうちに、人の子は来るであろう。 + 弟子はその師以上のものではなく、僕はその主人以上の者ではない。 + 弟子がその師のようであり、僕がその主人のようであれば、それで十分である。もし家の主人がベルゼブルと言われるならば、その家の者どもはなおさら、どんなにか悪く言われることであろう。 + だから彼らを恐れるな。おおわれたもので、現れてこないものはなく、隠れているもので、知られてこないものはない。 + わたしが暗やみであなたがたに話すことを、明るみで言え。耳にささやかれたことを、屋根の上で言いひろめよ。 + また、からだを殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、からだも魂も地獄で滅ぼす力のあるかたを恐れなさい。 + 二羽のすずめは一アサリオンで売られているではないか。しかもあなたがたの父の許しがなければ、その一羽も地に落ちることはない。 + またあなたがたの頭の毛までも、みな数えられている。 + それだから、恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。 + だから人の前でわたしを受けいれる者を、わたしもまた、天にいますわたしの父の前で受けいれるであろう。 + しかし、人の前でわたしを拒む者を、わたしも天にいますわたしの父の前で拒むであろう。 + 地上に平和をもたらすために、わたしがきたと思うな。平和ではなく、つるぎを投げ込むためにきたのである。 + わたしがきたのは、人をその父と、娘をその母と、嫁をそのしゅうとめと仲たがいさせるためである。 + そして家の者が、その人の敵となるであろう。 + わたしよりも父または母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりもむすこや娘を愛する者は、わたしにふさわしくない。 + また自分の十字架をとってわたしに従ってこない者はわたしにふさわしくない。 + 自分の命を得ている者はそれを失い、わたしのために自分の命を失っている者は、それを得るであろう。 + あなたがたを受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。わたしを受けいれる者は、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである。 + 預言者の名のゆえに預言者を受けいれる者は、預言者の報いを受け、義人の名のゆえに義人を受けいれる者は、義人の報いを受けるであろう。 + わたしの弟子であるという名のゆえに、この小さい者のひとりに冷たい水一杯でも飲ませてくれる者は、よく言っておくが、決してその報いからもれることはない」。 + + + イエスは十二弟子にこのように命じ終えてから、町々で教えまた宣べ伝えるために、そこを立ち去られた。 + さて、ヨハネは獄中でキリストのみわざについて伝え聞き、自分の弟子たちをつかわして、 + イエスに言わせた、「『きたるべきかた』はあなたなのですか。それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか」。 + イエスは答えて言われた、「行って、あなたがたが見聞きしていることをヨハネに報告しなさい。 + 盲人は見え、足なえは歩き、らい病人はきよまり、耳しいは聞え、死人は生きかえり、貧しい人々は福音を聞かされている。 + わたしにつまずかない者は、さいわいである」。 + 彼らが帰ってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆に語りはじめられた、「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのか。風に揺らぐ葦であるか。 + では、何を見に出てきたのか。柔らかい着物をまとった人か。柔らかい着物をまとった人々なら、王の家にいる。 + では、なんのために出てきたのか。預言者を見るためか。そうだ、あなたがたに言うが、預言者以上の者である。 + 『見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、あなたの前に、道を整えさせるであろう』と書いてあるのは、この人のことである。 + あなたがたによく言っておく。女の産んだ者の中で、バプテスマのヨハネより大きい人物は起らなかった。しかし、天国で最も小さい者も、彼よりは大きい。 + バプテスマのヨハネの時から今に至るまで、天国は激しく襲われている。そして激しく襲う者たちがそれを奪い取っている。 + すべての預言者と律法とが預言したのは、ヨハネの時までである。 + そして、もしあなたがたが受けいれることを望めば、この人こそは、きたるべきエリヤなのである。 + 耳のある者は聞くがよい。 + 今の時代を何に比べようか。それは子供たちが広場にすわって、ほかの子供たちに呼びかけ、 + 『わたしたちが笛を吹いたのに、あなたたちは踊ってくれなかった。弔いの歌を歌ったのに、胸を打ってくれなかった』と言うのに似ている。 + なぜなら、ヨハネがきて、食べることも、飲むこともしないと、あれは悪霊につかれているのだ、と言い、 + また人の子がきて、食べたり飲んだりしていると、見よ、あれは食をむさぼる者、大酒を飲む者、また取税人、罪人の仲間だ、と言う。しかし、知恵の正しいことは、その働きが証明する」。 + それからイエスは、数々の力あるわざがなされたのに、悔い改めることをしなかった町々を、責めはじめられた。 + 「わざわいだ、コラジンよ。わざわいだ、ベツサイダよ。おまえたちのうちでなされた力あるわざが、もしツロとシドンでなされたなら、彼らはとうの昔に、荒布をまとい灰をかぶって、悔い改めたであろう。 + しかし、おまえたちに言っておく。さばきの日には、ツロとシドンの方がおまえたちよりも、耐えやすいであろう。 + ああ、カペナウムよ、おまえは天にまで上げられようとでもいうのか。黄泉にまで落されるであろう。おまえの中でなされた力あるわざが、もしソドムでなされたなら、その町は今日までも残っていたであろう。 + しかし、あなたがたに言う。さばきの日には、ソドムの地の方がおまえよりは耐えやすいであろう」。 + そのときイエスは声をあげて言われた、「天地の主なる父よ。あなたをほめたたえます。これらの事を知恵のある者や賢い者に隠して、幼な子にあらわしてくださいました。 + 父よ、これはまことにみこころにかなった事でした。 + すべての事は父からわたしに任せられています。そして、子を知る者は父のほかにはなく、父を知る者は、子と、父をあらわそうとして子が選んだ者とのほかに、だれもありません。 + すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう。 + わたしは柔和で心のへりくだった者であるから、わたしのくびきを負うて、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたの魂に休みが与えられるであろう。 + わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからである」。 + + + そのころ、ある安息日に、イエスは麦畑の中を通られた。すると弟子たちは、空腹であったので、穂を摘んで食べはじめた。 + パリサイ人たちがこれを見て、イエスに言った、「ごらんなさい、あなたの弟子たちが、安息日にしてはならないことをしています」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが飢えたとき、ダビデが何をしたか読んだことがないのか。 + すなわち、神の家にはいって、祭司たちのほか、自分も供の者たちも食べてはならぬ供えのパンを食べたのである。 + また、安息日に宮仕えをしている祭司たちは安息日を破っても罪にはならないことを、律法で読んだことがないのか。 + あなたがたに言っておく。宮よりも大いなる者がここにいる。 + 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か知っていたなら、あなたがたは罪のない者をとがめなかったであろう。 + 人の子は安息日の主である」。 + イエスはそこを去って、彼らの会堂にはいられた。 + すると、そのとき、片手のなえた人がいた。人々はイエスを訴えようと思って、「安息日に人をいやしても、さしつかえないか」と尋ねた。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたのうちに、一匹の羊を持っている人があるとして、もしそれが安息日に穴に落ちこんだなら、手をかけて引き上げてやらないだろうか。 + 人は羊よりも、はるかにすぐれているではないか。だから、安息日に良いことをするのは、正しいことである」。 + そしてイエスはその人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。そこで手を伸ばすと、ほかの手のように良くなった。 + パリサイ人たちは出て行って、なんとかしてイエスを殺そうと相談した。 + イエスはこれを知って、そこを去って行かれた。ところが多くの人々がついてきたので、彼らを皆いやし、 + そして自分のことを人々にあらわさないようにと、彼らを戒められた。 + これは預言者イザヤの言った言葉が、成就するためである、 + 「見よ、わたしが選んだ僕、わたしの心にかなう、愛する者。わたしは彼にわたしの霊を授け、そして彼は正義を異邦人に宣べ伝えるであろう。 + 彼は争わず、叫ばず、またその声を大路で聞く者はない。 + 彼が正義に勝ちを得させる時まで、いためられた葦を折ることがなく、煙っている燈心を消すこともない。 + 異邦人は彼の名に望みを置くであろう」。 + そのとき、人々が悪霊につかれた盲人のおしを連れてきたので、イエスは彼をいやして、物を言い、また目が見えるようにされた。 + すると群衆はみな驚いて言った、「この人が、あるいはダビデの子ではあるまいか」。 + しかし、パリサイ人たちは、これを聞いて言った、「この人が悪霊を追い出しているのは、まったく悪霊のかしらベルゼブルによるのだ」。 + イエスは彼らの思いを見抜いて言われた、「おおよそ、内部で分れ争う国は自滅し、内わで分れ争う町や家は立ち行かない。 + もしサタンがサタンを追い出すならば、それは内わで分れ争うことになる。それでは、その国はどうして立ち行けよう。 + もしわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出すとすれば、あなたがたの仲間はだれによって追い出すのであろうか。だから、彼らがあなたがたをさばく者となるであろう。 + しかし、わたしが神の霊によって悪霊を追い出しているのなら、神の国はすでにあなたがたのところにきたのである。 + まただれでも、まず強い人を縛りあげなければ、どうして、その人の家に押し入って家財を奪い取ることができようか。縛ってから、はじめてその家を掠奪することができる。 + わたしの味方でない者は、わたしに反対するものであり、わたしと共に集めない者は、散らすものである。 + だから、あなたがたに言っておく。人には、その犯すすべての罪も神を汚す言葉も、ゆるされる。しかし、聖霊を汚す言葉は、ゆるされることはない。 + また人の子に対して言い逆らう者は、ゆるされるであろう。しかし、聖霊に対して言い逆らう者は、この世でも、きたるべき世でも、ゆるされることはない。 + 木が良ければ、その実も良いとし、木が悪ければ、その実も悪いとせよ。木はその実でわかるからである。 + まむしの子らよ。あなたがたは悪い者であるのに、どうして良いことを語ることができようか。おおよそ、心からあふれることを、口が語るものである。 + 善人はよい倉から良い物を取り出し、悪人は悪い倉から悪い物を取り出す。 + あなたがたに言うが、審判の日には、人はその語る無益な言葉に対して、言い開きをしなければならないであろう。 + あなたは、自分の言葉によって正しいとされ、また自分の言葉によって罪ありとされるからである」。 + そのとき、律法学者、パリサイ人のうちのある人々がイエスにむかって言った、「先生、わたしたちはあなたから、しるしを見せていただきとうございます」。 + すると、彼らに答えて言われた、「邪悪で不義な時代は、しるしを求める。しかし、預言者ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう。 + すなわち、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、地の中にいるであろう。 + ニネベの人々が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、ニネベの人々はヨナの宣教によって悔い改めたからである。しかし見よ、ヨナにまさる者がここにいる。 + 南の女王が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果から、はるばるきたからである。しかし見よ、ソロモンにまさる者がここにいる。 + 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無い所を歩きまわるが、見つからない。 + そこで、出てきた元の家に帰ろうと言って帰って見ると、その家はあいていて、そうじがしてある上、飾りつけがしてあった。 + そこでまた出て行って、自分以上に悪い他の七つの霊を一緒に引き連れてきて中にはいり、そこに住み込む。そうすると、その人ののちの状態は初めよりももっと悪くなるのである。よこしまな今の時代も、このようになるであろう」。 + イエスがまだ群衆に話しておられるとき、その母と兄弟たちとが、イエスに話そうと思って外に立っていた。 + それで、ある人がイエスに言った、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟がたが、あなたに話そうと思って、外に立っておられます」。 + イエスは知らせてくれた者に答えて言われた、「わたしの母とは、だれのことか。わたしの兄弟とは、だれのことか」。 + そして、弟子たちの方に手をさし伸べて言われた、「ごらんなさい。ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。 + 天にいますわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。 + + + その日、イエスは家を出て、海べにすわっておられた。 + ところが、大ぜいの群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗ってすわられ、群衆はみな岸に立っていた。 + イエスは譬で多くの事を語り、こう言われた、「見よ、種まきが種をまきに出て行った。 + まいているうちに、道ばたに落ちた種があった。すると、鳥がきて食べてしまった。 + ほかの種は土の薄い石地に落ちた。そこは土が深くないので、すぐ芽を出したが、 + 日が上ると焼けて、根がないために枯れてしまった。 + ほかの種はいばらの地に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまった。 + ほかの種は良い地に落ちて実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。 + 耳のある者は聞くがよい」。 + それから、弟子たちがイエスに近寄ってきて言った、「なぜ、彼らに譬でお話しになるのですか」。 + そこでイエスは答えて言われた、「あなたがたには、天国の奥義を知ることが許されているが、彼らには許されていない。 + おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。 + だから、彼らには譬で語るのである。それは彼らが、見ても見ず、聞いても聞かず、また悟らないからである。 + こうしてイザヤの言った預言が、彼らの上に成就したのである。『あなたがたは聞くには聞くが、決して悟らない。見るには見るが、決して認めない。 + この民の心は鈍くなり、その耳は聞えにくく、その目は閉じている。それは、彼らが目で見ず、耳で聞かず、心で悟らず、悔い改めていやされることがないためである』。 + しかし、あなたがたの目は見ており、耳は聞いているから、さいわいである。 + あなたがたによく言っておく。多くの預言者や義人は、あなたがたの見ていることを見ようと熱心に願ったが、見ることができず、またあなたがたの聞いていることを聞こうとしたが、聞けなかったのである。 + そこで、種まきの譬を聞きなさい。 + だれでも御国の言を聞いて悟らないならば、悪い者がきて、その人の心にまかれたものを奪いとって行く。道ばたにまかれたものというのは、そういう人のことである。 + 石地にまかれたものというのは、御言を聞くと、すぐに喜んで受ける人のことである。 + その中に根がないので、しばらく続くだけであって、御言のために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまう。 + また、いばらの中にまかれたものとは、御言を聞くが、世の心づかいと富の惑わしとが御言をふさぐので、実を結ばなくなる人のことである。 + また、良い地にまかれたものとは、御言を聞いて悟る人のことであって、そういう人が実を結び、百倍、あるいは六十倍、あるいは三十倍にもなるのである」。 + また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、良い種を自分の畑にまいておいた人のようなものである。 + 人々が眠っている間に敵がきて、麦の中に毒麦をまいて立ち去った。 + 芽がはえ出て実を結ぶと、同時に毒麦もあらわれてきた。 + 僕たちがきて、家の主人に言った、『ご主人様、畑におまきになったのは、良い種ではありませんでしたか。どうして毒麦がはえてきたのですか』。 + 主人は言った、『それは敵のしわざだ』。すると僕たちが言った『では行って、それを抜き集めましょうか』。 + 彼は言った、『いや、毒麦を集めようとして、麦も一緒に抜くかも知れない。 + 収穫まで、両方とも育つままにしておけ。収穫の時になったら、刈る者に、まず毒麦を集めて束にして焼き、麦の方は集めて倉に入れてくれ、と言いつけよう』」。 + また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、一粒のからし種のようなものである。ある人がそれをとって畑にまくと、 + それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜の中でいちばん大きくなり、空の鳥がきて、その枝に宿るほどの木になる」。 + またほかの譬を彼らに語られた、「天国は、パン種のようなものである。女がそれを取って三斗の粉の中に混ぜると、全体がふくらんでくる」。 + イエスはこれらのことをすべて、譬で群衆に語られた。譬によらないでは何事も彼らに語られなかった。 + これは預言者によって言われたことが、成就するためである、「わたしは口を開いて譬を語り、世の初めから隠されていることを語り出そう」。 + それからイエスは、群衆をあとに残して家にはいられた。すると弟子たちは、みもとにきて言った、「畑の毒麦の譬を説明してください」。 + イエスは答えて言われた、「良い種をまく者は、人の子である。 + 畑は世界である。良い種と言うのは御国の子たちで、毒麦は悪い者の子たちである。 + それをまいた敵は悪魔である。収穫とは世の終りのことで、刈る者は御使たちである。 + だから、毒麦が集められて火で焼かれるように、世の終りにもそのとおりになるであろう。 + 人の子はその使たちをつかわし、つまずきとなるものと不法を行う者とを、ことごとく御国からとり集めて、 + 炉の火に投げ入れさせるであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 + そのとき、義人たちは彼らの父の御国で、太陽のように輝きわたるであろう。耳のある者は聞くがよい。 + 天国は、畑に隠してある宝のようなものである。人がそれを見つけると隠しておき、喜びのあまり、行って持ち物をみな売りはらい、そしてその畑を買うのである。 + また天国は、良い真珠を捜している商人のようなものである。 + 高価な真珠一個を見いだすと、行って持ち物をみな売りはらい、そしてこれを買うのである。 + また天国は、海におろして、あらゆる種類の魚を囲みいれる網のようなものである。 + それがいっぱいになると岸に引き上げ、そしてすわって、良いのを器に入れ、悪いのを外へ捨てるのである。 + 世の終りにも、そのとおりになるであろう。すなわち、御使たちがきて、義人のうちから悪人をえり分け、 + そして炉の火に投げこむであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 + あなたがたは、これらのことが皆わかったか」。彼らは「わかりました」と答えた。 + そこで、イエスは彼らに言われた、「それだから、天国のことを学んだ学者は、新しいものと古いものとを、その倉から取り出す一家の主人のようなものである」。 + イエスはこれらの譬を語り終えてから、そこを立ち去られた。 + そして郷里に行き、会堂で人々を教えられたところ、彼らは驚いて言った、「この人は、この知恵とこれらの力あるわざとを、どこで習ってきたのか。 + この人は大工の子ではないか。母はマリヤといい、兄弟たちは、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。 + またその姉妹たちもみな、わたしたちと一緒にいるではないか。こんな数々のことを、いったい、どこで習ってきたのか」。 + こうして人々はイエスにつまずいた。しかし、イエスは言われた、「預言者は、自分の郷里や自分の家以外では、どこででも敬われないことはない」。 + そして彼らの不信仰のゆえに、そこでは力あるわざを、あまりなさらなかった。 + + + そのころ、領主ヘロデはイエスのうわさを聞いて、 + 家来に言った、「あれはバプテスマのヨハネだ。死人の中からよみがえったのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」。 + というのは、ヘロデは先に、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕えて縛り、獄に入れていた。 + すなわち、ヨハネはヘロデに、「その女をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。 + そこでヘロデはヨハネを殺そうと思ったが、群衆を恐れた。彼らがヨハネを預言者と認めていたからである。 + さてヘロデの誕生日の祝に、ヘロデヤの娘がその席上で舞をまい、ヘロデを喜ばせたので、 + 彼女の願うものは、なんでも与えようと、彼は誓って約束までした。 + すると彼女は母にそそのかされて、「バプテスマのヨハネの首を盆に載せて、ここに持ってきていただきとうございます」と言った。 + 王は困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、それを与えるように命じ、 + 人をつかわして、獄中でヨハネの首を切らせた。 + その首は盆に載せて運ばれ、少女にわたされ、少女はそれを母のところに持って行った。 + それから、ヨハネの弟子たちがきて、死体を引き取って葬った。そして、イエスのところに行って報告した。 + イエスはこのことを聞くと、舟に乗ってそこを去り、自分ひとりで寂しい所へ行かれた。しかし、群衆はそれと聞いて、町々から徒歩であとを追ってきた。 + イエスは舟から上がって、大ぜいの群衆をごらんになり、彼らを深くあわれんで、そのうちの病人たちをおいやしになった。 + 夕方になったので、弟子たちがイエスのもとにきて言った、「ここは寂しい所でもあり、もう時もおそくなりました。群衆を解散させ、めいめいで食物を買いに、村々へ行かせてください」。 + するとイエスは言われた、「彼らが出かけて行くには及ばない。あなたがたの手で食物をやりなさい」。 + 弟子たちは言った、「わたしたちはここに、パン五つと魚二ひきしか持っていません」。 + イエスは言われた、「それをここに持ってきなさい」。 + そして群衆に命じて、草の上にすわらせ、五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンをさいて弟子たちに渡された。弟子たちはそれを群衆に与えた。 + みんなの者は食べて満腹した。パンくずの残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。 + 食べた者は、女と子供とを除いて、おおよそ五千人であった。 + それからすぐ、イエスは群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸へ先におやりになった。 + そして群衆を解散させてから、祈るためひそかに山へ登られた。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。 + ところが舟は、もうすでに陸から数丁も離れており、逆風が吹いていたために、波に悩まされていた。 + イエスは夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らの方へ行かれた。 + 弟子たちは、イエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと言っておじ惑い、恐怖のあまり叫び声をあげた。 + しかし、イエスはすぐに彼らに声をかけて、「しっかりするのだ、わたしである。恐れることはない」と言われた。 + するとペテロが答えて言った、「主よ、あなたでしたか。では、わたしに命じて、水の上を渡ってみもとに行かせてください」。 + イエスは、「おいでなさい」と言われたので、ペテロは舟からおり、水の上を歩いてイエスのところへ行った。 + しかし、風を見て恐ろしくなり、そしておぼれかけたので、彼は叫んで、「主よ、お助けください」と言った。 + イエスはすぐに手を伸ばし、彼をつかまえて言われた、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」。 + ふたりが舟に乗り込むと、風はやんでしまった。 + 舟の中にいた者たちはイエスを拝して、「ほんとうに、あなたは神の子です」と言った。 + それから、彼らは海を渡ってゲネサレの地に着いた。 + するとその土地の人々はイエスと知って、その附近全体に人をつかわし、イエスのところに病人をみな連れてこさせた。 + そして彼らにイエスの上着のふさにでも、さわらせてやっていただきたいとお願いした。そしてさわった者は皆いやされた。 + + + ときに、パリサイ人と律法学者たちとが、エルサレムからイエスのもとにきて言った、 + 「あなたの弟子たちは、なぜ昔の人々の言伝えを破るのですか。彼らは食事の時に手を洗っていません」。 + イエスは答えて言われた、「なぜ、あなたがたも自分たちの言伝えによって、神のいましめを破っているのか。 + 神は言われた、『父と母とを敬え』、また『父または母をののしる者は、必ず死に定められる』と。 + それだのに、あなたがたは『だれでも父または母にむかって、あなたにさしあげるはずのこのものは供え物です、と言えば、 + 父または母を敬わなくてもよろしい』と言っている。こうしてあなたがたは自分たちの言伝えによって、神の言を無にしている。 + 偽善者たちよ、イザヤがあなたがたについて、こういう適切な預言をしている、 + 『この民は、口さきではわたしを敬うが、その心はわたしから遠く離れている。 + 人間のいましめを教として教え、無意味にわたしを拝んでいる』」。 + それからイエスは群衆を呼び寄せて言われた、「聞いて悟るがよい。 + 口にはいるものは人を汚すことはない。かえって、口から出るものが人を汚すのである」。 + そのとき、弟子たちが近寄ってきてイエスに言った、「パリサイ人たちが御言を聞いてつまずいたことを、ご存じですか」。 + イエスは答えて言われた、「わたしの天の父がお植えにならなかったものは、みな抜き取られるであろう。 + 彼らをそのままにしておけ。彼らは盲人を手引きする盲人である。もし盲人が盲人を手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込むであろう」。 + ペテロが答えて言った、「その譬を説明してください」。 + イエスは言われた、「あなたがたも、まだわからないのか。 + 口にはいってくるものは、みな腹の中にはいり、そして、外に出て行くことを知らないのか。 + しかし、口から出て行くものは、心の中から出てくるのであって、それが人を汚すのである。 + というのは、悪い思い、すなわち、殺人、姦淫、不品行、盗み、偽証、誹りは、心の中から出てくるのであって、 + これらのものが人を汚すのである。しかし、洗わない手で食事することは、人を汚すのではない」。 + さて、イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方へ行かれた。 + すると、そこへ、その地方出のカナンの女が出てきて、「主よ、ダビデの子よ、わたしをあわれんでください。娘が悪霊にとりつかれて苦しんでいます」と言って叫びつづけた。 + しかし、イエスはひと言もお答えにならなかった。そこで弟子たちがみもとにきて願って言った、「この女を追い払ってください。叫びながらついてきていますから」。 + するとイエスは答えて言われた、「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外の者には、つかわされていない」。 + しかし、女は近寄りイエスを拝して言った、「主よ、わたしをお助けください」。 + イエスは答えて言われた、「子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。 + すると女は言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、小犬もその主人の食卓から落ちるパンくずは、いただきます」。 + そこでイエスは答えて言われた、「女よ、あなたの信仰は見あげたものである。あなたの願いどおりになるように」。その時に、娘はいやされた。 + イエスはそこを去って、ガリラヤの海べに行き、それから山に登ってそこにすわられた。 + すると大ぜいの群衆が、足なえ、不具者、盲人、おし、そのほか多くの人々を連れてきて、イエスの足もとに置いたので、彼らをおいやしになった。 + 群衆は、おしが物を言い、不具者が直り、足なえが歩き、盲人が見えるようになったのを見て驚き、そしてイスラエルの神をほめたたえた。 + イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「この群衆がかわいそうである。もう三日間もわたしと一緒にいるのに、何も食べるものがない。しかし、彼らを空腹のままで帰らせたくはない。恐らく途中で弱り切ってしまうであろう」。 + 弟子たちは言った、「荒野の中で、こんなに大ぜいの群衆にじゅうぶん食べさせるほどたくさんのパンを、どこで手に入れましょうか」。 + イエスは弟子たちに「パンはいくつあるか」と尋ねられると、「七つあります。また小さい魚が少しあります」と答えた。 + そこでイエスは群衆に、地にすわるようにと命じ、 + 七つのパンと魚とを取り、感謝してこれをさき、弟子たちにわたされ、弟子たちはこれを群衆にわけた。 + 一同の者は食べて満腹した。そして残ったパンくずを集めると、七つのかごにいっぱいになった。 + 食べた者は、女と子供とを除いて四千人であった。 + そこでイエスは群衆を解散させ、舟に乗ってマガダンの地方へ行かれた。 + + + パリサイ人とサドカイ人とが近寄ってきて、イエスを試み、天からのしるしを見せてもらいたいと言った。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたは夕方になると、『空がまっかだから、晴だ』と言い、 + また明け方には『空が曇ってまっかだから、きょうは荒れだ』と言う。あなたがたは空の模様を見分けることを知りながら、時のしるしを見分けることができないのか。 + 邪悪で不義な時代は、しるしを求める。しかし、ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう」。そして、イエスは彼らをあとに残して立ち去られた。 + 弟子たちは向こう岸に行ったが、パンを持って来るのを忘れていた。 + そこでイエスは言われた、「パリサイ人とサドカイ人とのパン種を、よくよく警戒せよ」。 + 弟子たちは、これは自分たちがパンを持ってこなかったためであろうと言って、互に論じ合った。 + イエスはそれと知って言われた、「信仰の薄い者たちよ、なぜパンがないからだと互に論じ合っているのか。 + まだわからないのか。覚えていないのか。五つのパンを五千人に分けたとき、幾かご拾ったか。 + また、七つのパンを四千人に分けたとき、幾かご拾ったか。 + わたしが言ったのは、パンについてではないことを、どうして悟らないのか。ただ、パリサイ人とサドカイ人とのパン種を警戒しなさい」。 + そのとき彼らは、イエスが警戒せよと言われたのは、パン種のことではなく、パリサイ人とサドカイ人との教のことであると悟った。 + イエスがピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、弟子たちに尋ねて言われた、「人々は人の子をだれと言っているか」。 + 彼らは言った、「ある人々はバプテスマのヨハネだと言っています。しかし、ほかの人たちは、エリヤだと言い、また、エレミヤあるいは預言者のひとりだ、と言っている者もあります」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。 + シモン・ペテロが答えて言った、「あなたこそ、生ける神の子キリストです」。 + すると、イエスは彼にむかって言われた、「バルヨナ・シモン、あなたはさいわいである。あなたにこの事をあらわしたのは、血肉ではなく、天にいますわたしの父である。 + そこで、わたしもあなたに言う。あなたはペテロである。そして、わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てよう。黄泉の力もそれに打ち勝つことはない。 + わたしは、あなたに天国のかぎを授けよう。そして、あなたが地上でつなぐことは、天でもつながれ、あなたが地上で解くことは天でも解かれるであろう」。 + そのとき、イエスは、自分がキリストであることをだれにも言ってはいけないと、弟子たちを戒められた。 + この時から、イエス・キリストは、自分が必ずエルサレムに行き、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受け、殺され、そして三日目によみがえるべきことを、弟子たちに示しはじめられた。 + すると、ペテロはイエスをわきへ引き寄せて、いさめはじめ、「主よ、とんでもないことです。そんなことがあるはずはございません」と言った。 + イエスは振り向いて、ペテロに言われた、「サタンよ、引きさがれ。わたしの邪魔をする者だ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」。 + それからイエスは弟子たちに言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。 + 自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのために自分の命を失う者は、それを見いだすであろう。 + たとい人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。また、人はどんな代価を払って、その命を買いもどすことができようか。 + 人の子は父の栄光のうちに、御使たちを従えて来るが、その時には、実際のおこないに応じて、それぞれに報いるであろう。 + よく聞いておくがよい、人の子が御国の力をもって来るのを見るまでは、死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。 + + + 六日ののち、イエスはペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。 + ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、その顔は日のように輝き、その衣は光のように白くなった。 + すると、見よ、モーセとエリヤが彼らに現れて、イエスと語り合っていた。 + ペテロはイエスにむかって言った、「主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。もし、おさしつかえなければ、わたしはここに小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。 + 彼がまだ話し終えないうちに、たちまち、輝く雲が彼らをおおい、そして雲の中から声がした、「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である。これに聞け」。 + 弟子たちはこれを聞いて非常に恐れ、顔を地に伏せた。 + イエスは近づいてきて、手を彼らにおいて言われた、「起きなさい、恐れることはない」。 + 彼らが目をあげると、イエスのほかには、だれも見えなかった。 + 一同が山を下って来るとき、イエスは「人の子が死人の中からよみがえるまでは、いま見たことをだれにも話してはならない」と、彼らに命じられた。 + 弟子たちはイエスにお尋ねして言った、「いったい、律法学者たちは、なぜ、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」。 + 答えて言われた、「確かに、エリヤがきて、万事を元どおりに改めるであろう。 + しかし、あなたがたに言っておく。エリヤはすでにきたのだ。しかし人々は彼を認めず、自分かってに彼をあしらった。人の子もまた、そのように彼らから苦しみを受けることになろう」。 + そのとき、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言われたのだと悟った。 + さて彼らが群衆のところに帰ると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて、ひざまずいて、言った、 + 「主よ、わたしの子をあわれんでください。てんかんで苦しんでおります。何度も何度も火の中や水の中に倒れるのです。 + それで、その子をお弟子たちのところに連れてきましたが、なおしていただけませんでした」。 + イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な、曲った時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまであなたがたに我慢ができようか。その子をここに、わたしのところに連れてきなさい」。 + イエスがおしかりになると、悪霊はその子から出て行った。そして子はその時いやされた。 + それから、弟子たちがひそかにイエスのもとにきて言った、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。 + するとイエスは言われた、「あなたがたの信仰が足りないからである。よく言い聞かせておくが、もし、からし種一粒ほどの信仰があるなら、この山にむかって『ここからあそこに移れ』と言えば、移るであろう。このように、あなたがたにできない事は、何もないであろう。〔 + しかし、このたぐいは、祈と断食とによらなければ、追い出すことはできない〕」。 + 彼らがガリラヤで集まっていた時、イエスは言われた、「人の子は人々の手にわたされ、 + 彼らに殺され、そして三日目によみがえるであろう」。弟子たちは非常に心をいためた。 + 彼らがカペナウムにきたとき、宮の納入金を集める人たちがペテロのところにきて言った、「あなたがたの先生は宮の納入金を納めないのか」。 + ペテロは「納めておられます」と言った。そして彼が家にはいると、イエスから先に話しかけて言われた、「シモン、あなたはどう思うか。この世の王たちは税や貢をだれから取るのか。自分の子からか、それとも、ほかの人たちからか」。 + ペテロが「ほかの人たちからです」と答えると、イエスは言われた、「それでは、子は納めなくてもよいわけである。 + しかし、彼らをつまずかせないために、海に行って、つり針をたれなさい。そして最初につれた魚をとって、その口をあけると、銀貨一枚が見つかるであろう。それをとり出して、わたしとあなたのために納めなさい」。 + + + そのとき、弟子たちがイエスのもとにきて言った、「いったい、天国ではだれがいちばん偉いのですか」。 + すると、イエスは幼な子を呼び寄せ、彼らのまん中に立たせて言われた、 + 「よく聞きなさい。心をいれかえて幼な子のようにならなければ、天国にはいることはできないであろう。 + この幼な子のように自分を低くする者が、天国でいちばん偉いのである。 + また、だれでも、このようなひとりの幼な子を、わたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。 + しかし、わたしを信ずるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海の深みに沈められる方が、その人の益になる。 + この世は、罪の誘惑があるから、わざわいである。罪の誘惑は必ず来る。しかし、それをきたらせる人は、わざわいである。 + もしあなたの片手または片足が、罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。両手、両足がそろったままで、永遠の火に投げ込まれるよりは、片手、片足になって命に入る方がよい。 + もしあなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。両眼がそろったままで地獄の火に投げ入れられるよりは、片目になって命に入る方がよい。 + あなたがたは、これらの小さい者のひとりをも軽んじないように、気をつけなさい。あなたがたに言うが、彼らの御使たちは天にあって、天にいますわたしの父のみ顔をいつも仰いでいるのである。〔 + 人の子は、滅びる者を救うためにきたのである。〕 + あなたがたはどう思うか。ある人に百匹の羊があり、その中の一匹が迷い出たとすれば、九十九匹を山に残しておいて、その迷い出ている羊を捜しに出かけないであろうか。 + もしそれを見つけたなら、よく聞きなさい、迷わないでいる九十九匹のためよりも、むしろその一匹のために喜ぶであろう。 + そのように、これらの小さい者のひとりが滅びることは、天にいますあなたがたの父のみこころではない。 + もしあなたの兄弟が罪を犯すなら、行って、彼とふたりだけの所で忠告しなさい。もし聞いてくれたら、あなたの兄弟を得たことになる。 + もし聞いてくれないなら、ほかにひとりふたりを、一緒に連れて行きなさい。それは、ふたりまたは三人の証人の口によって、すべてのことがらが確かめられるためである。 + もし彼らの言うことを聞かないなら、教会に申し出なさい。もし教会の言うことも聞かないなら、その人を異邦人または取税人同様に扱いなさい。 + よく言っておく。あなたがたが地上でつなぐことは、天でも皆つながれ、あなたがたが地上で解くことは、天でもみな解かれるであろう。 + また、よく言っておく。もしあなたがたのうちのふたりが、どんな願い事についても地上で心を合わせるなら、天にいますわたしの父はそれをかなえて下さるであろう。 + ふたりまたは三人が、わたしの名によって集まっている所には、わたしもその中にいるのである」。 + そのとき、ペテロがイエスのもとにきて言った、「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯した場合、幾たびゆるさねばなりませんか。七たびまでですか」。 + イエスは彼に言われた、「わたしは七たびまでとは言わない。七たびを七十倍するまでにしなさい。 + それだから、天国は王が僕たちと決算をするようなものだ。 + 決算が始まると、一万タラントの負債のある者が、王のところに連れられてきた。 + しかし、返せなかったので、主人は、その人自身とその妻子と持ち物全部とを売って返すように命じた。 + そこで、この僕はひれ伏して哀願した、『どうぞお待ちください。全部お返しいたしますから』。 + 僕の主人はあわれに思って、彼をゆるし、その負債を免じてやった。 + その僕が出て行くと、百デナリを貸しているひとりの仲間に出会い、彼をつかまえ、首をしめて『借金を返せ』と言った。 + そこでこの仲間はひれ伏し、『どうか待ってくれ。返すから』と言って頼んだ。 + しかし承知せずに、その人をひっぱって行って、借金を返すまで獄に入れた。 + その人の仲間たちは、この様子を見て、非常に心をいため、行ってそのことをのこらず主人に話した。 + そこでこの主人は彼を呼びつけて言った、『悪い僕、わたしに願ったからこそ、あの負債を全部ゆるしてやったのだ。 + わたしがあわれんでやったように、あの仲間をあわれんでやるべきではなかったか』。 + そして主人は立腹して、負債全部を返してしまうまで、彼を獄吏に引きわたした。 + あなたがためいめいも、もし心から兄弟をゆるさないならば、わたしの天の父もまたあなたがたに対して、そのようになさるであろう」。 + + + イエスはこれらのことを語り終えられてから、ガリラヤを去ってヨルダンの向こうのユダヤの地方へ行かれた。 + すると大ぜいの群衆がついてきたので、彼らをそこでおいやしになった。 + さてパリサイ人たちが近づいてきて、イエスを試みようとして言った、「何かの理由で、夫がその妻を出すのは、さしつかえないでしょうか」。 + イエスは答えて言われた、「あなたがたはまだ読んだことがないのか。『創造者は初めから人を男と女とに造られ、 + そして言われた、それゆえに、人は父母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりの者は一体となるべきである』。 + 彼らはもはや、ふたりではなく一体である。だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」。 + 彼らはイエスに言った、「それでは、なぜモーセは、妻を出す場合には離縁状を渡せ、と定めたのですか」。 + イエスが言われた、「モーセはあなたがたの心が、かたくななので、妻を出すことを許したのだが、初めからそうではなかった。 + そこでわたしはあなたがたに言う。不品行のゆえでなくて、自分の妻を出して他の女をめとる者は、姦淫を行うのである」。 + 弟子たちは言った、「もし妻に対する夫の立場がそうだとすれば、結婚しない方がましです」。 + するとイエスは彼らに言われた、「その言葉を受けいれることができるのはすべての人ではなく、ただそれを授けられている人々だけである。 + というのは、母の胎内から独身者に生れついているものがあり、また他から独身者にされたものもあり、また天国のために、みずから進んで独身者となったものもある。この言葉を受けられる者は、受けいれるがよい」。 + そのとき、イエスに手をおいて祈っていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちは彼らをたしなめた。 + するとイエスは言われた、「幼な子らをそのままにしておきなさい。わたしのところに来るのをとめてはならない。天国はこのような者の国である」。 + そして手を彼らの上においてから、そこを去って行かれた。 + すると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて言った、「先生、永遠の生命を得るためには、どんなよいことをしたらいいでしょうか」。 + イエスは言われた、「なぜよい事についてわたしに尋ねるのか。よいかたはただひとりだけである。もし命に入りたいと思うなら、いましめを守りなさい」。 + 彼は言った、「どのいましめですか」。イエスは言われた、「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。 + 父と母とを敬え』。また『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』」。 + この青年はイエスに言った、「それはみな守ってきました。ほかに何が足りないのでしょう」。 + イエスは彼に言われた、「もしあなたが完全になりたいと思うなら、帰ってあなたの持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。 + この言葉を聞いて、青年は悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。 + それからイエスは弟子たちに言われた、「よく聞きなさい。富んでいる者が天国にはいるのは、むずかしいものである。 + また、あなたがたに言うが、富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。 + 弟子たちはこれを聞いて非常に驚いて言った、「では、だれが救われることができるのだろう」。 + イエスは彼らを見つめて言われた、「人にはそれはできないが、神にはなんでもできない事はない」。 + そのとき、ペテロがイエスに答えて言った、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいを捨てて、あなたに従いました。ついては、何がいただけるでしょうか」。 + イエスは彼らに言われた、「よく聞いておくがよい。世が改まって、人の子がその栄光の座につく時には、わたしに従ってきたあなたがたもまた、十二の位に座してイスラエルの十二の部族をさばくであろう。 + おおよそ、わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、もしくは畑を捨てた者は、その幾倍もを受け、また永遠の生命を受けつぐであろう。 + しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう。 + + + 天国は、ある家の主人が、自分のぶどう園に労働者を雇うために、夜が明けると同時に、出かけて行くようなものである。 + 彼は労働者たちと、一日一デナリの約束をして、彼らをぶどう園に送った。 + それから九時ごろに出て行って、他の人々が市場で何もせずに立っているのを見た。 + そして、その人たちに言った、『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。相当な賃銀を払うから』。 + そこで、彼らは出かけて行った。主人はまた、十二時ごろと三時ごろとに出て行って、同じようにした。 + 五時ごろまた出て行くと、まだ立っている人々を見たので、彼らに言った、『なぜ、何もしないで、一日中ここに立っていたのか』。 + 彼らが『だれもわたしたちを雇ってくれませんから』と答えたので、その人々に言った、『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい』。 + さて、夕方になって、ぶどう園の主人は管理人に言った、『労働者たちを呼びなさい。そして、最後にきた人々からはじめて順々に最初にきた人々にわたるように、賃銀を払ってやりなさい』。 + そこで、五時ごろに雇われた人々がきて、それぞれ一デナリずつもらった。 + ところが、最初の人々がきて、もっと多くもらえるだろうと思っていたのに、彼らも一デナリずつもらっただけであった。 + もらったとき、家の主人にむかって不平をもらして + 言った、『この最後の者たちは一時間しか働かなかったのに、あなたは一日じゅう、労苦と暑さを辛抱したわたしたちと同じ扱いをなさいました』。 + そこで彼はそのひとりに答えて言った、『友よ、わたしはあなたに対して不正をしてはいない。あなたはわたしと一デナリの約束をしたではないか。 + 自分の賃銀をもらって行きなさい。わたしは、この最後の者にもあなたと同様に払ってやりたいのだ。 + 自分の物を自分がしたいようにするのは、当りまえではないか。それともわたしが気前よくしているので、ねたましく思うのか』。 + このように、あとの者は先になり、先の者はあとになるであろう」。 + さて、イエスはエルサレムへ上るとき、十二弟子をひそかに呼びよせ、その途中で彼らに言われた、 + 「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に渡されるであろう。彼らは彼に死刑を宣告し、 + そして彼をあざけり、むち打ち、十字架につけさせるために、異邦人に引きわたすであろう。そして彼は三日目によみがえるであろう」。 + そのとき、ゼベダイの子らの母が、その子らと一緒にイエスのもとにきてひざまずき、何事かをお願いした。 + そこでイエスは彼女に言われた、「何をしてほしいのか」。彼女は言った、「わたしのこのふたりのむすこが、あなたの御国で、ひとりはあなたの右に、ひとりは左にすわれるように、お言葉をください」。 + イエスは答えて言われた、「あなたがたは、自分が何を求めているのか、わかっていない。わたしの飲もうとしている杯を飲むことができるか」。彼らは「できます」と答えた。 + イエスは彼らに言われた、「確かに、あなたがたはわたしの杯を飲むことになろう。しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、わたしの父によって備えられている人々だけに許されることである」。 + 十人の者はこれを聞いて、このふたりの兄弟たちのことで憤慨した。 + そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者たちはその民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。 + あなたがたの間ではそうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、 + あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、僕とならねばならない。 + それは、人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためであるのと、ちょうど同じである」。 + それから、彼らがエリコを出て行ったとき、大ぜいの群衆がイエスに従ってきた。 + すると、ふたりの盲人が道ばたにすわっていたが、イエスがとおって行かれると聞いて、叫んで言った、「主よ、ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」。 + 群衆は彼らをしかって黙らせようとしたが、彼らはますます叫びつづけて言った、「主よ、ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」。 + イエスは立ちどまり、彼らを呼んで言われた、「わたしに何をしてほしいのか」。 + 彼らは言った、「主よ、目をあけていただくことです」。 + イエスは深くあわれんで、彼らの目にさわられた。すると彼らは、たちまち見えるようになり、イエスに従って行った。 + + + さて、彼らがエルサレムに近づき、オリブ山沿いのベテパゲに着いたとき、イエスはふたりの弟子をつかわして言われた、 + 「向こうの村へ行きなさい。するとすぐ、ろばがつながれていて、子ろばがそばにいるのを見るであろう。それを解いてわたしのところに引いてきなさい。 + もしだれかが、あなたがたに何か言ったなら、主がお入り用なのです、と言いなさい。そう言えば、すぐ渡してくれるであろう」。 + こうしたのは、預言者によって言われたことが、成就するためである。 + すなわち、「シオンの娘に告げよ、見よ、あなたの王がおいでになる、柔和なおかたで、ろばに乗って、くびきを負うろばの子に乗って」。 + 弟子たちは出て行って、イエスがお命じになったとおりにし、 + ろばと子ろばとを引いてきた。そしてその上に自分たちの上着をかけると、イエスはそれにお乗りになった。 + 群衆のうち多くの者は自分たちの上着を道に敷き、また、ほかの者たちは木の枝を切ってきて道に敷いた。 + そして群衆は、前に行く者も、あとに従う者も、共に叫びつづけた、「ダビデの子に、ホサナ。主の御名によってきたる者に、祝福あれ。いと高き所に、ホサナ」。 + イエスがエルサレムにはいって行かれたとき、町中がこぞって騒ぎ立ち、「これは、いったい、どなただろう」と言った。 + そこで群衆は、「この人はガリラヤのナザレから出た預言者イエスである」と言った。 + それから、イエスは宮にはいられた。そして、宮の庭で売り買いしていた人々をみな追い出し、また両替人の台や、はとを売る者の腰掛をくつがえされた。 + そして彼らに言われた、「『わたしの家は、祈の家ととなえらるべきである』と書いてある。それだのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしている」。 + そのとき宮の庭で、盲人や足なえがみもとにきたので、彼らをおいやしになった。 + しかし、祭司長、律法学者たちは、イエスがなされた不思議なわざを見、また宮の庭で「ダビデの子に、ホサナ」と叫んでいる子供たちを見て立腹し、 + イエスに言った、「あの子たちが何を言っているのか、お聞きですか」。イエスは彼らに言われた、「そうだ、聞いている。あなたがたは『幼な子、乳のみ子たちの口にさんびを備えられた』とあるのを読んだことがないのか」。 + それから、イエスは彼らをあとに残し、都を出てベタニヤに行き、そこで夜を過ごされた。 + 朝はやく都に帰るとき、イエスは空腹をおぼえられた。 + そして、道のかたわらに一本のいちじくの木があるのを見て、そこに行かれたが、ただ葉のほかは何も見当らなかった。そこでその木にむかって、「今から後いつまでも、おまえには実がならないように」と言われた。すると、いちじくの木はたちまち枯れた。 + 弟子たちはこれを見て、驚いて言った、「いちじくがどうして、こうすぐに枯れたのでしょう」。 + イエスは答えて言われた、「よく聞いておくがよい。もしあなたがたが信じて疑わないならば、このいちじくにあったようなことが、できるばかりでなく、この山にむかって、動き出して海の中にはいれと言っても、そのとおりになるであろう。 + また、祈のとき、信じて求めるものは、みな与えられるであろう」。 + イエスが宮にはいられたとき、祭司長たちや民の長老たちが、その教えておられる所にきて言った、「何の権威によって、これらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「わたしも一つだけ尋ねよう。あなたがたがそれに答えてくれたなら、わたしも、何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。 + ヨハネのバプテスマはどこからきたのであったか。天からであったか、人からであったか」。すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 + しかし、もし人からだと言えば、群衆が恐ろしい。人々がみなヨハネを預言者と思っているのだから」。 + そこで彼らは、「わたしたちにはわかりません」と答えた。すると、イエスが言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい。 + あなたがたはどう思うか。ある人にふたりの子があったが、兄のところに行って言った、『子よ、きょう、ぶどう園へ行って働いてくれ』。 + すると彼は『おとうさん、参ります』と答えたが、行かなかった。 + また弟のところにきて同じように言った。彼は『いやです』と答えたが、あとから心を変えて、出かけた。 + このふたりのうち、どちらが父の望みどおりにしたのか」。彼らは言った、「あとの者です」。イエスは言われた、「よく聞きなさい。取税人や遊女は、あなたがたより先に神の国にはいる。 + というのは、ヨハネがあなたがたのところにきて、義の道を説いたのに、あなたがたは彼を信じなかった。ところが、取税人や遊女は彼を信じた。あなたがたはそれを見たのに、あとになっても、心をいれ変えて彼を信じようとしなかった。 + もう一つの譬を聞きなさい。ある所に、ひとりの家の主人がいたが、ぶどう園を造り、かきをめぐらし、その中に酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。 + 収穫の季節がきたので、その分け前を受け取ろうとして、僕たちを農夫のところへ送った。 + すると、農夫たちは、その僕たちをつかまえて、ひとりを袋だたきにし、ひとりを殺し、もうひとりを石で打ち殺した。 + また別に、前よりも多くの僕たちを送ったが、彼らをも同じようにあしらった。 + しかし、最後に、わたしの子は敬ってくれるだろうと思って、主人はその子を彼らの所につかわした。 + すると農夫たちは、その子を見て互に言った、『あれはあと取りだ。さあ、これを殺して、その財産を手に入れよう』。 + そして彼をつかまえて、ぶどう園の外に引き出して殺した。 + このぶどう園の主人が帰ってきたら、この農夫たちをどうするだろうか」。 + 彼らはイエスに言った、「悪人どもを、皆殺しにして、季節ごとに収穫を納めるほかの農夫たちに、そのぶどう園を貸し与えるでしょう」。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたは、聖書でまだ読んだことがないのか、『家造りらの捨てた石が隅のかしら石になった。これは主がなされたことで、わたしたちの目には不思議に見える』。 + それだから、あなたがたに言うが、神の国はあなたがたから取り上げられて、御国にふさわしい実を結ぶような異邦人に与えられるであろう。 + またその石の上に落ちる者は打ち砕かれ、それがだれかの上に落ちかかるなら、その人はこなみじんにされるであろう」。 + 祭司長たちやパリサイ人たちがこの譬を聞いたとき、自分たちのことをさして言っておられることを悟ったので、 + イエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。群衆はイエスを預言者だと思っていたからである。 + + + イエスはまた、譬で彼らに語って言われた、 + 「天国は、ひとりの王がその王子のために、婚宴を催すようなものである。 + 王はその僕たちをつかわして、この婚宴に招かれていた人たちを呼ばせたが、その人たちはこようとはしなかった。 + そこでまた、ほかの僕たちをつかわして言った、『招かれた人たちに言いなさい。食事の用意ができました。牛も肥えた獣もほふられて、すべての用意ができました。さあ、婚宴においでください』。 + しかし、彼らは知らぬ顔をして、ひとりは自分の畑に、ひとりは自分の商売に出て行き、 + またほかの人々は、この僕たちをつかまえて侮辱を加えた上、殺してしまった。 + そこで王は立腹し、軍隊を送ってそれらの人殺しどもを滅ぼし、その町を焼き払った。 + それから僕たちに言った、『婚宴の用意はできているが、招かれていたのは、ふさわしくない人々であった。 + だから、町の大通りに出て行って、出会った人はだれでも婚宴に連れてきなさい』。 + そこで、僕たちは道に出て行って、出会う人は、悪人でも善人でもみな集めてきたので、婚宴の席は客でいっぱいになった。 + 王は客を迎えようとしてはいってきたが、そこに礼服をつけていないひとりの人を見て、 + 彼に言った、『友よ、どうしてあなたは礼服をつけないで、ここにはいってきたのですか』。しかし、彼は黙っていた。 + そこで、王はそばの者たちに言った、『この者の手足をしばって、外の暗やみにほうり出せ。そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう』。 + 招かれる者は多いが、選ばれる者は少ない」。 + そのときパリサイ人たちがきて、どうかしてイエスを言葉のわなにかけようと、相談をした。 + そして、彼らの弟子を、ヘロデ党の者たちと共に、イエスのもとにつかわして言わせた、「先生、わたしたちはあなたが真実なかたであって、真理に基いて神の道を教え、また、人に分け隔てをしないで、だれをもはばかられないことを知っています。 + それで、あなたはどう思われますか、答えてください。カイザルに税金を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか」。 + イエスは彼らの悪意を知って言われた、「偽善者たちよ、なぜわたしをためそうとするのか。 + 税に納める貨幣を見せなさい」。彼らはデナリ一つを持ってきた。 + そこでイエスは言われた、「これは、だれの肖像、だれの記号か」。 + 彼らは「カイザルのです」と答えた。するとイエスは言われた、「それでは、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。 + 彼らはこれを聞いて驚嘆し、イエスを残して立ち去った。 + 復活ということはないと主張していたサドカイ人たちが、その日、イエスのもとにきて質問した、 + 「先生、モーセはこう言っています、『もし、ある人が子がなくて死んだなら、その弟は兄の妻をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。 + さて、わたしたちのところに七人の兄弟がありました。長男は妻をめとったが死んでしまい、そして子がなかったので、その妻を弟に残しました。 + 次男も三男も、ついに七人とも同じことになりました。 + 最後に、その女も死にました。 + すると復活の時には、この女は、七人のうちだれの妻なのでしょうか。みんながこの女を妻にしたのですが」。 + イエスは答えて言われた、「あなたがたは聖書も神の力も知らないから、思い違いをしている。 + 復活の時には、彼らはめとったり、とついだりすることはない。彼らは天にいる御使のようなものである。 + また、死人の復活については、神があなたがたに言われた言葉を読んだことがないのか。 + 『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』と書いてある。神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である」。 + 群衆はこれを聞いて、イエスの教に驚いた。 + さて、パリサイ人たちは、イエスがサドカイ人たちを言いこめられたと聞いて、一緒に集まった。 + そして彼らの中のひとりの律法学者が、イエスをためそうとして質問した、 + 「先生、律法の中で、どのいましめがいちばん大切なのですか」。 + イエスは言われた、「『心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。 + これがいちばん大切な、第一のいましめである。 + 第二もこれと同様である、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。 + これらの二つのいましめに、律法全体と預言者とが、かかっている」。 + パリサイ人たちが集まっていたとき、イエスは彼らにお尋ねになった、 + 「あなたがたはキリストをどう思うか。だれの子なのか」。彼らは「ダビデの子です」と答えた。 + イエスは言われた、「それではどうして、ダビデが御霊に感じてキリストを主と呼んでいるのか。 + すなわち『主はわが主に仰せになった、あなたの敵をあなたの足もとに置くときまでは、わたしの右に座していなさい』。 + このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいるなら、キリストはどうしてダビデの子であろうか」。 + イエスにひと言でも答えうる者は、なかったし、その日からもはや、進んでイエスに質問する者も、いなくなった。 + + + そのときイエスは、群衆と弟子たちとに語って言われた、 + 「律法学者とパリサイ人とは、モーセの座にすわっている。 + だから、彼らがあなたがたに言うことは、みな守って実行しなさい。しかし、彼らのすることには、ならうな。彼らは言うだけで、実行しないから。 + また、重い荷物をくくって人々の肩にのせるが、それを動かすために、自分では指一本も貸そうとはしない。 + そのすることは、すべて人に見せるためである。すなわち、彼らは経札を幅広くつくり、その衣のふさを大きくし、 + また、宴会の上座、会堂の上席を好み、 + 広場であいさつされることや、人々から先生と呼ばれることを好んでいる。 + しかし、あなたがたは先生と呼ばれてはならない。あなたがたの先生は、ただひとりであって、あなたがたはみな兄弟なのだから。 + また、地上のだれをも、父と呼んではならない。あなたがたの父はただひとり、すなわち、天にいます父である。 + また、あなたがたは教師と呼ばれてはならない。あなたがたの教師はただひとり、すなわち、キリストである。 + そこで、あなたがたのうちでいちばん偉い者は、仕える人でなければならない。 + だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは、天国を閉ざして人々をはいらせない。自分もはいらないし、はいろうとする人をはいらせもしない。〔 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは、やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。だから、もっときびしいさばきを受けるに違いない。〕 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたはひとりの改宗者をつくるために、海と陸とを巡り歩く。そして、つくったなら、彼を自分より倍もひどい地獄の子にする。 + 盲目な案内者たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは言う、『神殿をさして誓うなら、そのままでよいが、神殿の黄金をさして誓うなら、果す責任がある』と。 + 愚かな盲目な人たちよ。黄金と、黄金を神聖にする神殿と、どちらが大事なのか。 + また、あなたがたは言う、『祭壇をさして誓うなら、そのままでよいが、その上の供え物をさして誓うなら、果す責任がある』と。 + 盲目な人たちよ。供え物と供え物を神聖にする祭壇とどちらが大事なのか。 + 祭壇をさして誓う者は、祭壇と、その上にあるすべての物とをさして誓うのである。 + 神殿をさして誓う者は、神殿とその中に住んでおられるかたとをさして誓うのである。 + また、天をさして誓う者は、神の御座とその上にすわっておられるかたとをさして誓うのである。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。はっか、いのんど、クミンなどの薬味の十分の一を宮に納めておりながら、律法の中でもっと重要な、公平とあわれみと忠実とを見のがしている。それもしなければならないが、これも見のがしてはならない。 + 盲目な案内者たちよ。あなたがたは、ぶよはこしているが、らくだはのみこんでいる。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。杯と皿との外側はきよめるが、内側は貪欲と放縦とで満ちている。 + 盲目なパリサイ人よ。まず、杯の内側をきよめるがよい。そうすれば、外側も清くなるであろう。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは白く塗った墓に似ている。外側は美しく見えるが、内側は死人の骨や、あらゆる不潔なものでいっぱいである。 + このようにあなたがたも、外側は人に正しく見えるが、内側は偽善と不法とでいっぱいである。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは預言者の墓を建て、義人の碑を飾り立てて、こう言っている、 + 『もしわたしたちが先祖の時代に生きていたなら、預言者の血を流すことに加わってはいなかっただろう』と。 + このようにして、あなたがたは預言者を殺した者の子孫であることを、自分で証明している。 + あなたがたもまた先祖たちがした悪の枡目を満たすがよい。 + へびよ、まむしの子らよ、どうして地獄の刑罰をのがれることができようか。 + それだから、わたしは、預言者、知者、律法学者たちをあなたがたにつかわすが、そのうちのある者を殺し、また十字架につけ、そのある者を会堂でむち打ち、また町から町へと迫害して行くであろう。 + こうして義人アベルの血から、聖所と祭壇との間であなたがたが殺したバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上に流された義人の血の報いが、ことごとくあなたがたに及ぶであろう。 + よく言っておく。これらのことの報いは、みな今の時代に及ぶであろう。 + ああ、エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、おまえにつかわされた人たちを石で打ち殺す者よ。ちょうど、めんどりが翼の下にそのひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことであろう。それだのに、おまえたちは応じようとしなかった。 + 見よ、おまえたちの家は見捨てられてしまう。 + わたしは言っておく、『主の御名によってきたる者に、祝福あれ』とおまえたちが言う時までは、今後ふたたび、わたしに会うことはないであろう」。 + + + イエスが宮から出て行こうとしておられると、弟子たちは近寄ってきて、宮の建物にイエスの注意を促した。 + そこでイエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたは、これらすべてのものを見ないか。よく言っておく。その石一つでもくずされずに、そこに他の石の上に残ることもなくなるであろう」。 + またオリブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとにきて言った、「どうぞお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。あなたがまたおいでになる時や、世の終りには、どんな前兆がありますか」。 + そこでイエスは答えて言われた、「人に惑わされないように気をつけなさい。 + 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がキリストだと言って、多くの人を惑わすであろう。 + また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。 + 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに、ききんが起り、また地震があるであろう。 + しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである。 + そのとき人々は、あなたがたを苦しみにあわせ、また殺すであろう。またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう。 + そのとき、多くの人がつまずき、また互に裏切り、憎み合うであろう。 + また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。 + また不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えるであろう。 + しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 + そしてこの御国の福音は、すべての民に対してあかしをするために、全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである。 + 預言者ダニエルによって言われた荒らす憎むべき者が、聖なる場所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、 + そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。 + 屋上にいる者は、家からものを取り出そうとして下におりるな。 + 畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。 + その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。 + あなたがたの逃げるのが、冬または安息日にならないように祈れ。 + その時には、世の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような大きな患難が起るからである。 + もしその期間が縮められないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選民のためには、その期間が縮められるであろう。 + そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、また、『あそこにいる』と言っても、それを信じるな。 + にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、大いなるしるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。 + 見よ、あなたがたに前もって言っておく。 + だから、人々が『見よ、彼は荒野にいる』と言っても、出て行くな。また『見よ、へやの中にいる』と言っても、信じるな。 + ちょうど、いなずまが東から西にひらめき渡るように、人の子も現れるであろう。 + 死体のあるところには、はげたかが集まるものである。 + しかし、その時に起る患難の後、たちまち日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。 + そのとき、人の子のしるしが天に現れるであろう。またそのとき、地のすべての民族は嘆き、そして力と大いなる栄光とをもって、人の子が天の雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。 + また、彼は大いなるラッパの音と共に御使たちをつかわして、天のはてからはてに至るまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。 + いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。 + そのように、すべてこれらのことを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。 + よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。 + 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。 + その日、その時は、だれも知らない。天の御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。 + 人の子の現れるのも、ちょうどノアの時のようであろう。 + すなわち、洪水の出る前、ノアが箱舟にはいる日まで、人々は食い、飲み、めとり、とつぎなどしていた。 + そして洪水が襲ってきて、いっさいのものをさらって行くまで、彼らは気がつかなかった。人の子の現れるのも、そのようであろう。 + そのとき、ふたりの者が畑にいると、ひとりは取り去られ、ひとりは取り残されるであろう。 + ふたりの女がうすをひいていると、ひとりは取り去られ、ひとりは残されるであろう。 + だから、目をさましていなさい。いつの日にあなたがたの主がこられるのか、あなたがたには、わからないからである。 + このことをわきまえているがよい。家の主人は、盗賊がいつごろ来るかわかっているなら、目をさましていて、自分の家に押し入ることを許さないであろう。 + だから、あなたがたも用意をしていなさい。思いがけない時に人の子が来るからである。 + 主人がその家の僕たちの上に立てて、時に応じて食物をそなえさせる忠実な思慮深い僕は、いったい、だれであろう。 + 主人が帰ってきたとき、そのようにつとめているのを見られる僕は、さいわいである。 + よく言っておくが、主人は彼を立てて自分の全財産を管理させるであろう。 + もしそれが悪い僕であって、自分の主人は帰りがおそいと心の中で思い、 + その僕仲間をたたきはじめ、また酒飲み仲間と一緒に食べたり飲んだりしているなら、 + その僕の主人は思いがけない日、気がつかない時に帰ってきて、 + 彼を厳罰に処し、偽善者たちと同じ目にあわせるであろう。彼はそこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
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+ + 神の子イエス・キリストの福音のはじめ。 + 預言者イザヤの書に、「見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、あなたの道を整えさせるであろう。 + 荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』」と書いてあるように、 + バプテスマのヨハネが荒野に現れて、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えていた。 + そこで、ユダヤ全土とエルサレムの全住民とが、彼のもとにぞくぞくと出て行って、自分の罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。 + このヨハネは、らくだの毛ごろもを身にまとい、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。 + 彼は宣べ伝えて言った、「わたしよりも力のあるかたが、あとからおいでになる。わたしはかがんで、そのくつのひもを解く値うちもない。 + わたしは水でバプテスマを授けたが、このかたは、聖霊によってバプテスマをお授けになるであろう」。 + そのころ、イエスはガリラヤのナザレから出てきて、ヨルダン川で、ヨハネからバプテスマをお受けになった。 + そして、水の中から上がられるとすぐ、天が裂けて、聖霊がはとのように自分に下って来るのを、ごらんになった。 + すると天から声があった、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 + それからすぐに、御霊がイエスを荒野に追いやった。 + イエスは四十日のあいだ荒野にいて、サタンの試みにあわれた。そして獣もそこにいたが、御使たちはイエスに仕えていた。 + ヨハネが捕えられた後、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べ伝えて言われた、 + 「時は満ちた、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」。 + さて、イエスはガリラヤの海べを歩いて行かれ、シモンとシモンの兄弟アンデレとが、海で網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。 + イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。 + すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。 + また少し進んで行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。 + そこで、すぐ彼らをお招きになると、父ゼベダイを雇人たちと一緒に舟において、イエスのあとについて行った。 + それから、彼らはカペナウムに行った。そして安息日にすぐ、イエスは会堂にはいって教えられた。 + 人々は、その教に驚いた。律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように、教えられたからである。 + ちょうどその時、けがれた霊につかれた者が会堂にいて、叫んで言った、 + 「ナザレのイエスよ、あなたはわたしたちとなんの係わりがあるのです。わたしたちを滅ぼしにこられたのですか。あなたがどなたであるか、わかっています。神の聖者です」。 + イエスはこれをしかって、「黙れ、この人から出て行け」と言われた。 + すると、けがれた霊は彼をひきつけさせ、大声をあげて、その人から出て行った。 + 人々はみな驚きのあまり、互に論じて言った、「これは、いったい何事か。権威ある新しい教だ。けがれた霊にさえ命じられると、彼らは従うのだ」。 + こうしてイエスのうわさは、たちまちガリラヤの全地方、いたる所にひろまった。 + それから会堂を出るとすぐ、ヤコブとヨハネとを連れて、シモンとアンデレとの家にはいって行かれた。 + ところが、シモンのしゅうとめが熱病で床についていたので、人々はさっそく、そのことをイエスに知らせた。 + イエスは近寄り、その手をとって起されると、熱が引き、女は彼らをもてなした。 + 夕暮になり日が沈むと、人々は病人や悪霊につかれた者をみな、イエスのところに連れてきた。 + こうして、町中の者が戸口に集まった。 + イエスは、さまざまの病をわずらっている多くの人々をいやし、また多くの悪霊を追い出された。また、悪霊どもに、物言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスを知っていたからである。 + 朝はやく、夜の明けるよほど前に、イエスは起きて寂しい所へ出て行き、そこで祈っておられた。 + すると、シモンとその仲間とが、あとを追ってきた。 + そしてイエスを見つけて、「みんなが、あなたを捜しています」と言った。 + イエスは彼らに言われた、「ほかの、附近の町々にみんなで行って、そこでも教を宣べ伝えよう。わたしはこのために出てきたのだから」。 + そして、ガリラヤ全地を巡りあるいて、諸会堂で教を宣べ伝え、また悪霊を追い出された。 + ひとりのらい病人が、イエスのところに願いにきて、ひざまずいて言った、「みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 + イエスは深くあわれみ、手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。 + すると、らい病が直ちに去って、その人はきよくなった。 + イエスは彼をきびしく戒めて、すぐにそこを去らせ、こう言い聞かせられた、 + 「何も人に話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた物をあなたのきよめのためにささげて、人々に証明しなさい」。 + しかし、彼は出て行って、自分の身に起ったことを盛んに語り、また言いひろめはじめたので、イエスはもはや表立っては町に、はいることができなくなり、外の寂しい所にとどまっておられた。しかし、人々は方々から、イエスのところにぞくぞくと集まってきた。 + + + 幾日かたって、イエスがまたカペナウムにお帰りになったとき、家におられるといううわさが立ったので、 + 多くの人々が集まってきて、もはや戸口のあたりまでも、すきまが無いほどになった。そして、イエスは御言を彼らに語っておられた。 + すると、人々がひとりの中風の者を四人の人に運ばせて、イエスのところに連れてきた。 + ところが、群衆のために近寄ることができないので、イエスのおられるあたりの屋根をはぎ、穴をあけて、中風の者を寝かせたまま、床をつりおろした。 + イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。 + ところが、そこに幾人かの律法学者がすわっていて、心の中で論じた、 + 「この人は、なぜあんなことを言うのか。それは神をけがすことだ。神ひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」。 + イエスは、彼らが内心このように論じているのを、自分の心ですぐ見ぬいて、「なぜ、あなたがたは心の中でそんなことを論じているのか。 + 中風の者に、あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きよ、床を取りあげて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。 + しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに言い、中風の者にむかって、 + 「あなたに命じる。起きよ、床を取りあげて家に帰れ」と言われた。 + すると彼は起きあがり、すぐに床を取りあげて、みんなの前を出て行ったので、一同は大いに驚き、神をあがめて、「こんな事は、まだ一度も見たことがない」と言った。 + イエスはまた海べに出て行かれると、多くの人々がみもとに集まってきたので、彼らを教えられた。 + また途中で、アルパヨの子レビが収税所にすわっているのをごらんになって、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。 + それから彼の家で、食事の席についておられたときのことである。多くの取税人や罪人たちも、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。こんな人たちが大ぜいいて、イエスに従ってきたのである。 + パリサイ派の律法学者たちは、イエスが罪人や取税人たちと食事を共にしておられるのを見て、弟子たちに言った、「なぜ、彼は取税人や罪人などと食事を共にするのか」。 + イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。 + ヨハネの弟子とパリサイ人とは、断食をしていた。そこで人々がきて、イエスに言った、「ヨハネの弟子たちとパリサイ人の弟子たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。 + するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいるのに、断食ができるであろうか。花婿と一緒にいる間は、断食はできない。 + しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう。 + だれも、真新しい布ぎれを、古い着物に縫いつけはしない。もしそうすれば、新しいつぎは古い着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなる。 + まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそうすれば、ぶどう酒は皮袋をはり裂き、そして、ぶどう酒も皮袋もむだになってしまう。〔だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである〕」。 + ある安息日に、イエスは麦畑の中をとおって行かれた。そのとき弟子たちが、歩きながら穂をつみはじめた。 + すると、パリサイ人たちがイエスに言った、「いったい、彼らはなぜ、安息日にしてはならぬことをするのですか」。 + そこで彼らに言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが食物がなくて飢えたとき、ダビデが何をしたか、まだ読んだことがないのか。 + すなわち、大祭司アビアタルの時、神の家にはいって、祭司たちのほか食べてはならぬ供えのパンを、自分も食べ、また供の者たちにも与えたではないか」。 + また彼らに言われた、「安息日は人のためにあるもので、人が安息日のためにあるのではない。 + それだから、人の子は、安息日にもまた主なのである」。 + + + イエスがまた会堂にはいられると、そこに片手のなえた人がいた。 + 人々はイエスを訴えようと思って、安息日にその人をいやされるかどうかをうかがっていた。 + すると、イエスは片手のなえたその人に、「立って、中へ出てきなさい」と言い、 + 人々にむかって、「安息日に善を行うのと悪を行うのと、命を救うのと殺すのと、どちらがよいか」と言われた。彼らは黙っていた。 + イエスは怒りを含んで彼らを見まわし、その心のかたくななのを嘆いて、その人に「手を伸ばしなさい」と言われた。そこで手を伸ばすと、その手は元どおりになった。 + パリサイ人たちは出て行って、すぐにヘロデ党の者たちと、なんとかしてイエスを殺そうと相談しはじめた。 + それから、イエスは弟子たちと共に海べに退かれたが、ガリラヤからきたおびただしい群衆がついて行った。またユダヤから、 + エルサレムから、イドマヤから、更にヨルダンの向こうから、ツロ、シドンのあたりからも、おびただしい群衆が、そのなさっていることを聞いて、みもとにきた。 + イエスは群衆が自分に押し迫るのを避けるために、小舟を用意しておけと、弟子たちに命じられた。 + それは、多くの人をいやされたので、病苦に悩む者は皆イエスにさわろうとして、押し寄せてきたからである。 + また、けがれた霊どもはイエスを見るごとに、みまえにひれ伏し、叫んで、「あなたこそ神の子です」と言った。 + イエスは御自身のことを人にあらわさないようにと、彼らをきびしく戒められた。 + さてイエスは山に登り、みこころにかなった者たちを呼び寄せられたので、彼らはみもとにきた。 + そこで十二人をお立てになった。彼らを自分のそばに置くためであり、さらに宣教につかわし、 + また悪霊を追い出す権威を持たせるためであった。 + こうして、この十二人をお立てになった。そしてシモンにペテロという名をつけ、 + またゼベダイの子ヤコブと、ヤコブの兄弟ヨハネ、彼らにはボアネルゲ、すなわち、雷の子という名をつけられた。 + つぎにアンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルパヨの子ヤコブ、タダイ、熱心党のシモン、 + それからイスカリオテのユダ。このユダがイエスを裏切ったのである。イエスが家にはいられると、 + 群衆がまた集まってきたので、一同は食事をする暇もないほどであった。 + 身内の者たちはこの事を聞いて、イエスを取押えに出てきた。気が狂ったと思ったからである。 + また、エルサレムから下ってきた律法学者たちも、「彼はベルゼブルにとりつかれている」と言い、「悪霊どものかしらによって、悪霊どもを追い出しているのだ」とも言った。 + そこでイエスは彼らを呼び寄せ、譬をもって言われた、「どうして、サタンがサタンを追い出すことができようか。 + もし国が内部で分れ争うなら、その国は立ち行かない。 + また、もし家が内わで分れ争うなら、その家は立ち行かないであろう。 + もしサタンが内部で対立し分争するなら、彼は立ち行けず、滅んでしまう。 + だれでも、まず強い人を縛りあげなければ、その人の家に押し入って家財を奪い取ることはできない。縛ってからはじめて、その家を略奪することができる。 + よく言い聞かせておくが、人の子らには、その犯すすべての罪も神をけがす言葉も、ゆるされる。 + しかし、聖霊をけがす者は、いつまでもゆるされず、永遠の罪に定められる」。 + そう言われたのは、彼らが「イエスはけがれた霊につかれている」と言っていたからである。 + さて、イエスの母と兄弟たちとがきて、外に立ち、人をやってイエスを呼ばせた。 + ときに、群衆はイエスを囲んですわっていたが、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟、姉妹たちが、外であなたを尋ねておられます」と言った。 + すると、イエスは彼らに答えて言われた、「わたしの母、わたしの兄弟とは、だれのことか」。 + そして、自分をとりかこんで、すわっている人々を見まわして、言われた、「ごらんなさい、ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。 + 神のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。 + + + イエスはまたも、海べで教えはじめられた。おびただしい群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗ってすわったまま、海上におられ、群衆はみな海に沿って陸地にいた。 + イエスは譬で多くの事を教えられたが、その教の中で彼らにこう言われた、 + 「聞きなさい、種まきが種をまきに出て行った。 + まいているうちに、道ばたに落ちた種があった。すると、鳥がきて食べてしまった。 + ほかの種は土の薄い石地に落ちた。そこは土が深くないので、すぐ芽を出したが、 + 日が上ると焼けて、根がないために枯れてしまった。 + ほかの種はいばらの中に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまったので、実を結ばなかった。 + ほかの種は良い地に落ちた。そしてはえて、育って、ますます実を結び、三十倍、六十倍、百倍にもなった」。 + そして言われた、「聞く耳のある者は聞くがよい」。 + イエスがひとりになられた時、そばにいた者たちが、十二弟子と共に、これらの譬について尋ねた。 + そこでイエスは言われた、「あなたがたには神の国の奥義が授けられているが、ほかの者たちには、すべてが譬で語られる。 + それは『彼らは見るには見るが、認めず、聞くには聞くが、悟らず、悔い改めてゆるされることがない』ためである」。 + また彼らに言われた、「あなたがたはこの譬がわからないのか。それでは、どうしてすべての譬がわかるだろうか。 + 種まきは御言をまくのである。 + 道ばたに御言がまかれたとは、こういう人たちのことである。すなわち、御言を聞くと、すぐにサタンがきて、彼らの中にまかれた御言を、奪って行くのである。 + 同じように、石地にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞くと、すぐに喜んで受けるが、 + 自分の中に根がないので、しばらく続くだけである。そののち、御言のために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまう。 + また、いばらの中にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞くが、 + 世の心づかいと、富の惑わしと、その他いろいろな欲とがはいってきて、御言をふさぐので、実を結ばなくなる。 + また、良い地にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞いて受けいれ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶのである」。 + また彼らに言われた、「ますの下や寝台の下に置くために、あかりを持ってくることがあろうか。燭台の上に置くためではないか。 + なんでも、隠されているもので、現れないものはなく、秘密にされているもので、明るみに出ないものはない。 + 聞く耳のある者は聞くがよい」。 + また彼らに言われた、「聞くことがらに注意しなさい。あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられ、その上になお増し加えられるであろう。 + だれでも、持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」。 + また言われた、「神の国は、ある人が地に種をまくようなものである。 + 夜昼、寝起きしている間に、種は芽を出して育って行くが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。 + 地はおのずから実を結ばせるもので、初めに芽、つぎに穂、つぎに穂の中に豊かな実ができる。 + 実がいると、すぐにかまを入れる。刈入れ時がきたからである」。 + また言われた、「神の国を何に比べようか。また、どんな譬で言いあらわそうか。 + それは一粒のからし種のようなものである。地にまかれる時には、地上のどんな種よりも小さいが、 + まかれると、成長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、その陰に空の鳥が宿るほどになる」。 + イエスはこのような多くの譬で、人々の聞く力にしたがって、御言を語られた。 + 譬によらないでは語られなかったが、自分の弟子たちには、ひそかにすべてのことを解き明かされた。 + さてその日、夕方になると、イエスは弟子たちに、「向こう岸へ渡ろう」と言われた。 + そこで、彼らは群衆をあとに残し、イエスが舟に乗っておられるまま、乗り出した。ほかの舟も一緒に行った。 + すると、激しい突風が起り、波が舟の中に打ち込んできて、舟に満ちそうになった。 + ところがイエス自身は、舳の方でまくらをして、眠っておられた。そこで、弟子たちはイエスをおこして、「先生、わたしどもがおぼれ死んでも、おかまいにならないのですか」と言った。 + イエスは起きあがって風をしかり、海にむかって、「静まれ、黙れ」と言われると、風はやんで、大なぎになった。 + イエスは彼らに言われた、「なぜ、そんなにこわがるのか。どうして信仰がないのか」。 + 彼らは恐れおののいて、互に言った、「いったい、この方はだれだろう。風も海も従わせるとは」。 + + + こうして彼らは海の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。 + それから、イエスが舟からあがられるとすぐに、けがれた霊につかれた人が墓場から出てきて、イエスに出会った。 + この人は墓場をすみかとしており、もはやだれも、鎖でさえも彼をつなぎとめて置けなかった。 + 彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、だれも彼を押えつけることができなかったからである。 + そして、夜昼たえまなく墓場や山で叫びつづけて、石で自分のからだを傷つけていた。 + ところが、この人がイエスを遠くから見て、走り寄って拝し、 + 大声で叫んで言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。神に誓ってお願いします。どうぞ、わたしを苦しめないでください」。 + それは、イエスが、「けがれた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。 + また彼に、「なんという名前か」と尋ねられると、「レギオンと言います。大ぜいなのですから」と答えた。 + そして、自分たちをこの土地から追い出さないようにと、しきりに願いつづけた。 + さて、そこの山の中腹に、豚の大群が飼ってあった。 + 霊はイエスに願って言った、「わたしどもを、豚にはいらせてください。その中へ送ってください」。 + イエスがお許しになったので、けがれた霊どもは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れは二千匹ばかりであったが、がけから海へなだれを打って駆け下り、海の中でおぼれ死んでしまった。 + 豚を飼う者たちが逃げ出して、町や村にふれまわったので、人々は何事が起ったのかと見にきた。 + そして、イエスのところにきて、悪霊につかれた人が着物を着て、正気になってすわっており、それがレギオンを宿していた者であるのを見て、恐れた。 + また、それを見た人たちは、悪霊につかれた人の身に起った事と豚のこととを、彼らに話して聞かせた。 + そこで、人々はイエスに、この地方から出て行っていただきたいと、頼みはじめた。 + イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供をしたいと願い出た。 + しかし、イエスはお許しにならないで、彼に言われた、「あなたの家族のもとに帰って、主がどんなに大きなことをしてくださったか、またどんなにあわれんでくださったか、それを知らせなさい」。 + そこで、彼は立ち去り、そして自分にイエスがしてくださったことを、ことごとくデカポリスの地方に言いひろめ出したので、人々はみな驚き怪しんだ。 + イエスがまた舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆がみもとに集まってきた。イエスは海べにおられた。 + そこへ、会堂司のひとりであるヤイロという者がきて、イエスを見かけるとその足もとにひれ伏し、 + しきりに願って言った、「わたしの幼い娘が死にかかっています。どうぞ、その子がなおって助かりますように、おいでになって、手をおいてやってください」。 + そこで、イエスは彼と一緒に出かけられた。大ぜいの群衆もイエスに押し迫りながら、ついて行った。 + さてここに、十二年間も長血をわずらっている女がいた。 + 多くの医者にかかって、さんざん苦しめられ、その持ち物をみな費してしまったが、なんのかいもないばかりか、かえってますます悪くなる一方であった。 + この女がイエスのことを聞いて、群衆の中にまぎれ込み、うしろから、み衣にさわった。 + それは、せめて、み衣にでもさわれば、なおしていただけるだろうと、思っていたからである。 + すると、血の元がすぐにかわき、女は病気がなおったことを、その身に感じた。 + イエスはすぐ、自分の内から力が出て行ったことに気づかれて、群衆の中で振り向き、「わたしの着物にさわったのはだれか」と言われた。 + そこで弟子たちが言った、「ごらんのとおり、群衆があなたに押し迫っていますのに、だれがさわったかと、おっしゃるのですか」。 + しかし、イエスはさわった者を見つけようとして、見まわしておられた。 + その女は自分の身に起ったことを知って、恐れおののきながら進み出て、みまえにひれ伏して、すべてありのままを申し上げた。 + イエスはその女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。すっかりなおって、達者でいなさい」。 + イエスが、まだ話しておられるうちに、会堂司の家から人々がきて言った、「あなたの娘はなくなりました。このうえ、先生を煩わすには及びますまい」。 + イエスはその話している言葉を聞き流して、会堂司に言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい」。 + そしてペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネのほかは、ついて来ることを、だれにもお許しにならなかった。 + 彼らが会堂司の家に着くと、イエスは人々が大声で泣いたり、叫んだりして、騒いでいるのをごらんになり、 + 内にはいって、彼らに言われた、「なぜ泣き騒いでいるのか。子供は死んだのではない。眠っているだけである」。 + 人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスはみんなの者を外に出し、子供の父母と供の者たちだけを連れて、子供のいる所にはいって行かれた。 + そして子供の手を取って、「タリタ、クミ」と言われた。それは、「少女よ、さあ、起きなさい」という意味である。 + すると、少女はすぐに起き上がって、歩き出した。十二歳にもなっていたからである。彼らはたちまち非常な驚きに打たれた。 + イエスは、だれにもこの事を知らすなと、きびしく彼らに命じ、また、少女に食物を与えるようにと言われた。 + + + イエスはそこを去って、郷里に行かれたが、弟子たちも従って行った。 + そして、安息日になったので、会堂で教えはじめられた。それを聞いた多くの人々は、驚いて言った、「この人は、これらのことをどこで習ってきたのか。また、この人の授かった知恵はどうだろう。このような力あるわざがその手で行われているのは、どうしてか。 + この人は大工ではないか。マリヤのむすこで、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではないか。またその姉妹たちも、ここにわたしたちと一緒にいるではないか」。こうして彼らはイエスにつまずいた。 + イエスは言われた、「預言者は、自分の郷里、親族、家以外では、どこででも敬われないことはない」。 + そして、そこでは力あるわざを一つもすることができず、ただ少数の病人に手をおいていやされただけであった。 + そして、彼らの不信仰を驚き怪しまれた。それからイエスは、附近の村々を巡りあるいて教えられた。 + また十二弟子を呼び寄せ、ふたりずつつかわすことにして、彼らにけがれた霊を制する権威を与え、 + また旅のために、つえ一本のほかには何も持たないように、パンも、袋も、帯の中に銭も持たず、 + ただわらじをはくだけで、下着も二枚は着ないように命じられた。 + そして彼らに言われた、「どこへ行っても、家にはいったなら、その土地を去るまでは、そこにとどまっていなさい。 + また、あなたがたを迎えず、あなたがたの話を聞きもしない所があったなら、そこから出て行くとき、彼らに対する抗議のしるしに、足の裏のちりを払い落しなさい」。 + そこで、彼らは出て行って、悔改めを宣べ伝え、 + 多くの悪霊を追い出し、大ぜいの病人に油をぬっていやした。 + さて、イエスの名が知れわたって、ヘロデ王の耳にはいった。ある人々は「バプテスマのヨハネが、死人の中からよみがえってきたのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」と言い、 + 他の人々は「彼はエリヤだ」と言い、また他の人々は「昔の預言者のような預言者だ」と言った。 + ところが、ヘロデはこれを聞いて、「わたしが首を切ったあのヨハネがよみがえったのだ」と言った。 + このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤをめとったが、そのことで、人をつかわし、ヨハネを捕えて獄につないだ。 + それは、ヨハネがヘロデに、「兄弟の妻をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。 + そこで、ヘロデヤはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。 + それはヘロデが、ヨハネは正しくて聖なる人であることを知って、彼を恐れ、彼に保護を加え、またその教を聞いて非常に悩みながらも、なお喜んで聞いていたからである。 + ところが、よい機会がきた。ヘロデは自分の誕生日の祝に、高官や将校やガリラヤの重立った人たちを招いて宴会を催したが、 + そこへ、このヘロデヤの娘がはいってきて舞をまい、ヘロデをはじめ列座の人たちを喜ばせた。そこで王はこの少女に「ほしいものはなんでも言いなさい。あなたにあげるから」と言い、 + さらに「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓って言った。 + そこで少女は座をはずして、母に「何をお願いしましょうか」と尋ねると、母は「バプテスマのヨハネの首を」と答えた。 + するとすぐ、少女は急いで王のところに行って願った、「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆にのせて、それをいただきとうございます」。 + 王は非常に困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、少女の願いを退けることを好まなかった。 + そこで、王はすぐに衛兵をつかわし、ヨハネの首を持って来るように命じた。衛兵は出て行き、獄中でヨハネの首を切り、 + 盆にのせて持ってきて少女に与え、少女はそれを母にわたした。 + ヨハネの弟子たちはこのことを聞き、その死体を引き取りにきて、墓に納めた。 + さて、使徒たちはイエスのもとに集まってきて、自分たちがしたことや教えたことを、みな報告した。 + するとイエスは彼らに言われた、「さあ、あなたがたは、人を避けて寂しい所へ行って、しばらく休むがよい」。それは、出入りする人が多くて、食事をする暇もなかったからである。 + そこで彼らは人を避け、舟に乗って寂しい所へ行った。 + ところが、多くの人々は彼らが出かけて行くのを見、それと気づいて、方々の町々からそこへ、一せいに駆けつけ、彼らより先に着いた。 + イエスは舟から上がって大ぜいの群衆をごらんになり、飼う者のない羊のようなその有様を深くあわれんで、いろいろと教えはじめられた。 + ところが、はや時もおそくなったので、弟子たちはイエスのもとにきて言った、「ここは寂しい所でもあり、もう時もおそくなりました。 + みんなを解散させ、めいめいで何か食べる物を買いに、まわりの部落や村々へ行かせてください」。 + イエスは答えて言われた、「あなたがたの手で食物をやりなさい」。弟子たちは言った、「わたしたちが二百デナリものパンを買ってきて、みんなに食べさせるのですか」。 + するとイエスは言われた、「パンは幾つあるか。見てきなさい」。彼らは確かめてきて、「五つあります。それに魚が二ひき」と言った。 + そこでイエスは、みんなを組々に分けて、青草の上にすわらせるように命じられた。 + 人々は、あるいは百人ずつ、あるいは五十人ずつ、列をつくってすわった。 + それから、イエスは五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンをさき、弟子たちにわたして配らせ、また、二ひきの魚もみんなにお分けになった。 + みんなの者は食べて満腹した。 + そこで、パンくずや魚の残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。 + パンを食べた者は男五千人であった。 + それからすぐ、イエスは自分で群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸のベツサイダへ先におやりになった。 + そして群衆に別れてから、祈るために山へ退かれた。 + 夕方になったとき、舟は海のまん中に出ており、イエスだけが陸地におられた。 + ところが逆風が吹いていたために、弟子たちがこぎ悩んでいるのをごらんになって、夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らに近づき、そのそばを通り過ぎようとされた。 + 彼らはイエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと思い、大声で叫んだ。 + みんなの者がそれを見て、おじ恐れたからである。しかし、イエスはすぐ彼らに声をかけ、「しっかりするのだ。わたしである。恐れることはない」と言われた。 + そして、彼らの舟に乗り込まれると、風はやんだ。彼らは心の中で、非常に驚いた。 + 先のパンのことを悟らず、その心が鈍くなっていたからである。 + 彼らは海を渡り、ゲネサレの地に着いて舟をつないだ。 + そして舟からあがると、人々はすぐイエスと知って、 + その地方をあまねく駆けめぐり、イエスがおられると聞けば、どこへでも病人を床にのせて運びはじめた。 + そして、村でも町でも部落でも、イエスがはいって行かれる所では、病人たちをその広場におき、せめてその上着のふさにでも、さわらせてやっていただきたいと、お願いした。そしてさわった者は皆いやされた。 + + + さて、パリサイ人と、ある律法学者たちとが、エルサレムからきて、イエスのもとに集まった。 + そして弟子たちのうちに、不浄な手、すなわち洗わない手で、パンを食べている者があるのを見た。 + もともと、パリサイ人をはじめユダヤ人はみな、昔の人の言伝えをかたく守って、念入りに手を洗ってからでないと、食事をしない。 + また市場から帰ったときには、身を清めてからでないと、食事をせず、なおそのほかにも、杯、鉢、銅器を洗うことなど、昔から受けついでかたく守っている事が、たくさんあった。 + そこで、パリサイ人と律法学者たちとは、イエスに尋ねた、「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人の言伝えに従って歩まないで、不浄な手でパンを食べるのですか」。 + イエスは言われた、「イザヤは、あなたがた偽善者について、こう書いているが、それは適切な預言である、『この民は、口さきではわたしを敬うが、その心はわたしから遠く離れている。 + 人間のいましめを教として教え、無意味にわたしを拝んでいる』。 + あなたがたは、神のいましめをさしおいて、人間の言伝えを固執している」。 + また、言われた、「あなたがたは、自分たちの言伝えを守るために、よくも神のいましめを捨てたものだ。 + モーセは言ったではないか、『父と母とを敬え』、また『父または母をののしる者は、必ず死に定められる』と。 + それだのに、あなたがたは、もし人が父または母にむかって、あなたに差上げるはずのこのものはコルバン、すなわち、供え物ですと言えば、それでよいとして、 + その人は父母に対して、もう何もしないで済むのだと言っている。 + こうしてあなたがたは、自分たちが受けついだ言伝えによって、神の言を無にしている。また、このような事をしばしばおこなっている」。 + それから、イエスは再び群衆を呼び寄せて言われた、「あなたがたはみんな、わたしの言うことを聞いて悟るがよい。 + すべて外から人の中にはいって、人をけがしうるものはない。かえって、人の中から出てくるものが、人をけがすのである。〔 + 聞く耳のある者は聞くがよい〕」。 + イエスが群衆を離れて家にはいられると、弟子たちはこの譬について尋ねた。 + すると、言われた、「あなたがたも、そんなに鈍いのか。すべて、外から人の中にはいって来るものは、人を汚し得ないことが、わからないのか。 + それは人の心の中にはいるのではなく、腹の中にはいり、そして、外に出て行くだけである」。イエスはこのように、どんな食物でもきよいものとされた。 + さらに言われた、「人から出て来るもの、それが人をけがすのである。 + すなわち内部から、人の心の中から、悪い思いが出て来る。不品行、盗み、殺人、 + 姦淫、貪欲、邪悪、欺き、好色、妬み、誹り、高慢、愚痴。 + これらの悪はすべて内部から出てきて、人をけがすのである」。 + さて、イエスは、そこを立ち去って、ツロの地方に行かれた。そして、だれにも知れないように、家の中にはいられたが、隠れていることができなかった。 + そして、けがれた霊につかれた幼い娘をもつ女が、イエスのことをすぐ聞きつけてきて、その足もとにひれ伏した。 + この女はギリシヤ人で、スロ・フェニキヤの生れであった。そして、娘から悪霊を追い出してくださいとお願いした。 + イエスは女に言われた、「まず子供たちに十分食べさすべきである。子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。 + すると、女は答えて言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、食卓の下にいる小犬も、子供たちのパンくずは、いただきます」。 + そこでイエスは言われた、「その言葉で、じゅうぶんである。お帰りなさい。悪霊は娘から出てしまった」。 + そこで、女が家に帰ってみると、その子は床の上に寝ており、悪霊は出てしまっていた。 + それから、イエスはまたツロの地方を去り、シドンを経てデカポリス地方を通りぬけ、ガリラヤの海べにこられた。 + すると人々は、耳が聞えず口のきけない人を、みもとに連れてきて、手を置いてやっていただきたいとお願いした。 + そこで、イエスは彼ひとりを群衆の中から連れ出し、その両耳に指をさし入れ、それから、つばきでその舌を潤し、 + 天を仰いでため息をつき、その人に「エパタ」と言われた。これは「開けよ」という意味である。 + すると彼の耳が開け、その舌のもつれもすぐ解けて、はっきりと話すようになった。 + イエスは、この事をだれにも言ってはならぬと、人々に口止めをされたが、口止めをすればするほど、かえって、ますます言いひろめた。 + 彼らは、ひとかたならず驚いて言った、「このかたのなさった事は、何もかも、すばらしい。耳の聞えない者を聞えるようにしてやり、口のきけない者をきけるようにしておやりになった」。 + + + そのころ、また大ぜいの群衆が集まっていたが、何も食べるものがなかったので、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、 + 「この群衆がかわいそうである。もう三日間もわたしと一緒にいるのに、何も食べるものがない。 + もし、彼らを空腹のまま家に帰らせるなら、途中で弱り切ってしまうであろう。それに、なかには遠くからきている者もある」。 + 弟子たちは答えた、「こんな荒野で、どこからパンを手に入れて、これらの人々にじゅうぶん食べさせることができましょうか」。 + イエスが弟子たちに、「パンはいくつあるか」と尋ねられると、「七つあります」と答えた。 + そこでイエスは群衆に地にすわるように命じられた。そして七つのパンを取り、感謝してこれをさき、人々に配るように弟子たちに渡されると、弟子たちはそれを群衆に配った。 + また小さい魚が少しばかりあったので、祝福して、それをも人々に配るようにと言われた。 + 彼らは食べて満腹した。そして残ったパンくずを集めると、七かごになった。 + 人々の数はおよそ四千人であった。それからイエスは彼らを解散させ、 + すぐ弟子たちと共に舟に乗って、ダルマヌタの地方へ行かれた。 + パリサイ人たちが出てきて、イエスを試みようとして議論をしかけ、天からのしるしを求めた。 + イエスは、心の中で深く嘆息して言われた、「なぜ、今の時代はしるしを求めるのだろう。よく言い聞かせておくが、しるしは今の時代には決して与えられない」。 + そして、イエスは彼らをあとに残し、また舟に乗って向こう岸へ行かれた。 + 弟子たちはパンを持って来るのを忘れていたので、舟の中にはパン一つしか持ち合わせがなかった。 + そのとき、イエスは彼らを戒めて、「パリサイ人のパン種とヘロデのパン種とを、よくよく警戒せよ」と言われた。 + 弟子たちは、これは自分たちがパンを持っていないためであろうと、互に論じ合った。 + イエスはそれと知って、彼らに言われた、「なぜ、パンがないからだと論じ合っているのか。まだわからないのか、悟らないのか。あなたがたの心は鈍くなっているのか。 + 目があっても見えないのか。耳があっても聞えないのか。まだ思い出さないのか。 + 五つのパンをさいて五千人に分けたとき、拾い集めたパンくずは、幾つのかごになったか」。弟子たちは答えた、「十二かごです」。 + 「七つのパンを四千人に分けたときには、パンくずを幾つのかごに拾い集めたか」。「七かごです」と答えた。 + そこでイエスは彼らに言われた、「まだ悟らないのか」。 + そのうちに、彼らはベツサイダに着いた。すると人々が、ひとりの盲人を連れてきて、さわってやっていただきたいとお願いした。 + イエスはこの盲人の手をとって、村の外に連れ出し、その両方の目につばきをつけ、両手を彼に当てて、「何か見えるか」と尋ねられた。 + すると彼は顔を上げて言った、「人が見えます。木のように見えます。歩いているようです」。 + それから、イエスが再び目の上に両手を当てられると、盲人は見つめているうちに、なおってきて、すべてのものがはっきりと見えだした。 + そこでイエスは、「村にはいってはいけない」と言って、彼を家に帰された。 + さて、イエスは弟子たちとピリポ・カイザリヤの村々へ出かけられたが、その途中で、弟子たちに尋ねて言われた、「人々は、わたしをだれと言っているか」。 + 彼らは答えて言った、「バプテスマのヨハネだと、言っています。また、エリヤだと言い、また、預言者のひとりだと言っている者もあります」。 + そこでイエスは彼らに尋ねられた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。ペテロが答えて言った、「あなたこそキリストです」。 + するとイエスは、自分のことをだれにも言ってはいけないと、彼らを戒められた。 + それから、人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、また殺され、そして三日の後によみがえるべきことを、彼らに教えはじめ、 + しかもあからさまに、この事を話された。すると、ペテロはイエスをわきへ引き寄せて、いさめはじめたので、 + イエスは振り返って、弟子たちを見ながら、ペテロをしかって言われた、「サタンよ、引きさがれ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」。 + それから群衆を弟子たちと一緒に呼び寄せて、彼らに言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。 + 自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのため、また福音のために、自分の命を失う者は、それを救うであろう。 + 人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。 + また、人はどんな代価を払って、その命を買いもどすことができようか。 + 邪悪で罪深いこの時代にあって、わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、父の栄光のうちに聖なる御使たちと共に来るときに、その者を恥じるであろう」。 + + + また、彼らに言われた、「よく聞いておくがよい。神の国が力をもって来るのを見るまでは、決して死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。 + 六日の後、イエスは、ただペテロ、ヤコブ、ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、 + その衣は真白く輝き、どんな布さらしでも、それほどに白くすることはできないくらいになった。 + すると、エリヤがモーセと共に彼らに現れて、イエスと語り合っていた。 + ペテロはイエスにむかって言った、「先生、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。それで、わたしたちは小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。 + そう言ったのは、みんなの者が非常に恐れていたので、ペテロは何を言ってよいか、わからなかったからである。 + すると、雲がわき起って彼らをおおった。そして、その雲の中から声があった、「これはわたしの愛する子である。これに聞け」。 + 彼らは急いで見まわしたが、もはやだれも見えず、ただイエスだけが、自分たちと一緒におられた。 + 一同が山を下って来るとき、イエスは「人の子が死人の中からよみがえるまでは、いま見たことをだれにも話してはならない」と、彼らに命じられた。 + 彼らはこの言葉を心にとめ、死人の中からよみがえるとはどういうことかと、互に論じ合った。 + そしてイエスに尋ねた、「なぜ、律法学者たちは、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」。 + イエスは言われた、「確かに、エリヤが先にきて、万事を元どおりに改める。しかし、人の子について、彼が多くの苦しみを受け、かつ恥ずかしめられると、書いてあるのはなぜか。 + しかしあなたがたに言っておく、エリヤはすでにきたのだ。そして彼について書いてあるように、人々は自分かってに彼をあしらった」。 + さて、彼らがほかの弟子たちの所にきて見ると、大ぜいの群衆が弟子たちを取り囲み、そして律法学者たちが彼らと論じ合っていた。 + 群衆はみな、すぐイエスを見つけて、非常に驚き、駆け寄ってきて、あいさつをした。 + イエスが彼らに、「あなたがたは彼らと何を論じているのか」と尋ねられると、 + 群衆のひとりが答えた、「先生、おしの霊につかれているわたしのむすこを、こちらに連れて参りました。 + 霊がこのむすこにとりつきますと、どこででも彼を引き倒し、それから彼はあわを吹き、歯をくいしばり、からだをこわばらせてしまいます。それでお弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。 + イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまで、あなたがたに我慢ができようか。その子をわたしの所に連れてきなさい」。 + そこで人々は、その子をみもとに連れてきた。霊がイエスを見るや否や、その子をひきつけさせたので、子は地に倒れ、あわを吹きながらころげまわった。 + そこで、イエスが父親に「いつごろから、こんなになったのか」と尋ねられると、父親は答えた、「幼い時からです。 + 霊はたびたび、この子を火の中、水の中に投げ入れて、殺そうとしました。しかしできますれば、わたしどもをあわれんでお助けください」。 + イエスは彼に言われた、「もしできれば、と言うのか。信ずる者には、どんな事でもできる」。 + その子の父親はすぐ叫んで言った、「信じます。不信仰なわたしを、お助けください」。 + イエスは群衆が駆け寄って来るのをごらんになって、けがれた霊をしかって言われた、「おしとつんぼの霊よ、わたしがおまえに命じる。この子から出て行け。二度と、はいって来るな」。 + すると霊は叫び声をあげ、激しく引きつけさせて出て行った。その子は死人のようになったので、多くの人は、死んだのだと言った。 + しかし、イエスが手を取って起されると、その子は立ち上がった。 + 家にはいられたとき、弟子たちはひそかにお尋ねした、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。 + すると、イエスは言われた、「このたぐいは、祈によらなければ、どうしても追い出すことはできない」。 + それから彼らはそこを立ち去り、ガリラヤをとおって行ったが、イエスは人に気づかれるのを好まれなかった。 + それは、イエスが弟子たちに教えて、「人の子は人々の手にわたされ、彼らに殺され、殺されてから三日の後によみがえるであろう」と言っておられたからである。 + しかし、彼らはイエスの言われたことを悟らず、また尋ねるのを恐れていた。 + それから彼らはカペナウムにきた。そして家におられるとき、イエスは弟子たちに尋ねられた、「あなたがたは途中で何を論じていたのか」。 + 彼らは黙っていた。それは途中で、だれが一ばん偉いかと、互に論じ合っていたからである。 + そこで、イエスはすわって十二弟子を呼び、そして言われた、「だれでも一ばん先になろうと思うならば、一ばんあとになり、みんなに仕える者とならねばならない」。 + そして、ひとりの幼な子をとりあげて、彼らのまん中に立たせ、それを抱いて言われた。 + 「だれでも、このような幼な子のひとりを、わたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。そして、わたしを受けいれる者は、わたしを受けいれるのではなく、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである」。 + ヨハネがイエスに言った、「先生、わたしたちについてこない者が、あなたの名を使って悪霊を追い出しているのを見ましたが、その人はわたしたちについてこなかったので、やめさせました」。 + イエスは言われた、「やめさせないがよい。だれでもわたしの名で力あるわざを行いながら、すぐそのあとで、わたしをそしることはできない。 + わたしたちに反対しない者は、わたしたちの味方である。 + だれでも、キリストについている者だというので、あなたがたに水一杯でも飲ませてくれるものは、よく言っておくが、決してその報いからもれることはないであろう。 + また、わたしを信じるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海に投げ込まれた方が、はるかによい。 + もし、あなたの片手が罪を犯させるなら、それを切り捨てなさい。両手がそろったままで地獄の消えない火の中に落ち込むよりは、かたわになって命に入る方がよい。〔 + 地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。〕 + もし、あなたの片足が罪を犯させるなら、それを切り捨てなさい。両足がそろったままで地獄に投げ入れられるよりは、片足で命に入る方がよい。〔 + 地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。〕 + もし、あなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出しなさい。両眼がそろったままで地獄に投げ入れられるよりは、片目になって神の国に入る方がよい。 + 地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。 + 人はすべて火で塩づけられねばならない。 + 塩はよいものである。しかし、もしその塩の味がぬけたら、何によってその味が取りもどされようか。あなたがた自身の内に塩を持ちなさい。そして、互に和らぎなさい」。 + + + それから、イエスはそこを去って、ユダヤの地方とヨルダンの向こう側へ行かれたが、群衆がまた寄り集まったので、いつものように、また教えておられた。 + そのとき、パリサイ人たちが近づいてきて、イエスを試みようとして質問した、「夫はその妻を出しても差しつかえないでしょうか」。 + イエスは答えて言われた、「モーセはあなたがたになんと命じたか」。 + 彼らは言った、「モーセは、離縁状を書いて妻を出すことを許しました」。 + そこでイエスは言われた、「モーセはあなたがたの心が、かたくななので、あなたがたのためにこの定めを書いたのである。 + しかし、天地創造の初めから、『神は人を男と女とに造られた。 + それゆえに、人はその父母を離れ、 + ふたりの者は一体となるべきである』。彼らはもはや、ふたりではなく一体である。 + だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」。 + 家にはいってから、弟子たちはまたこのことについて尋ねた。 + そこで、イエスは言われた、「だれでも、自分の妻を出して他の女をめとる者は、その妻に対して姦淫を行うのである。 + また妻が、その夫と別れて他の男にとつぐならば、姦淫を行うのである」。 + イエスにさわっていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちは彼らをたしなめた。 + それを見てイエスは憤り、彼らに言われた、「幼な子らをわたしの所に来るままにしておきなさい。止めてはならない。神の国はこのような者の国である。 + よく聞いておくがよい。だれでも幼な子のように神の国を受けいれる者でなければ、そこにはいることは決してできない」。 + そして彼らを抱き、手をその上において祝福された。 + イエスが道に出て行かれると、ひとりの人が走り寄り、みまえにひざまずいて尋ねた、「よき師よ、永遠の生命を受けるために、何をしたらよいでしょうか」。 + イエスは言われた、「なぜわたしをよき者と言うのか。神ひとりのほかによい者はいない。 + いましめはあなたの知っているとおりである。『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。欺き取るな。父と母とを敬え』」。 + すると、彼は言った、「先生、それらの事はみな、小さい時から守っております」。 + イエスは彼に目をとめ、いつくしんで言われた、「あなたに足りないことが一つある。帰って、持っているものをみな売り払って、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。 + すると、彼はこの言葉を聞いて、顔を曇らせ、悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。 + それから、イエスは見まわして、弟子たちに言われた、「財産のある者が神の国にはいるのは、なんとむずかしいことであろう」。 + 弟子たちはこの言葉に驚き怪しんだ。イエスは更に言われた、「子たちよ、神の国にはいるのは、なんとむずかしいことであろう。 + 富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。 + すると彼らはますます驚いて、互に言った、「それでは、だれが救われることができるのだろう」。 + イエスは彼らを見つめて言われた、「人にはできないが、神にはできる。神はなんでもできるからである」。 + ペテロがイエスに言い出した、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいを捨てて、あなたに従って参りました」。 + イエスは言われた、「よく聞いておくがよい。だれでもわたしのために、また福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子、もしくは畑を捨てた者は、 + 必ずその百倍を受ける。すなわち、今この時代では家、兄弟、姉妹、母、子および畑を迫害と共に受け、また、きたるべき世では永遠の生命を受ける。 + しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう」。 + さて、一同はエルサレムへ上る途上にあったが、イエスが先頭に立って行かれたので、彼らは驚き怪しみ、従う者たちは恐れた。するとイエスはまた十二弟子を呼び寄せて、自分の身に起ろうとすることについて語りはじめられた、 + 「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に引きわたされる。そして彼らは死刑を宣告した上、彼を異邦人に引きわたすであろう。 + また彼をあざけり、つばきをかけ、むち打ち、ついに殺してしまう。そして彼は三日の後によみがえるであろう」。 + さて、ゼベダイの子のヤコブとヨハネとがイエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちがお頼みすることは、なんでもかなえてくださるようにお願いします」。 + イエスは彼らに「何をしてほしいと、願うのか」と言われた。 + すると彼らは言った、「栄光をお受けになるとき、ひとりをあなたの右に、ひとりを左にすわるようにしてください」。 + イエスは言われた、「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていない。あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けることができるか」。 + 彼らは「できます」と答えた。するとイエスは言われた、「あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けるであろう。 + しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、ただ備えられている人々だけに許されることである」。 + 十人の者はこれを聞いて、ヤコブとヨハネとのことで憤慨し出した。 + そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者と見られている人々は、その民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。 + しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、 + あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、すべての人の僕とならねばならない。 + 人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためである」。 + それから、彼らはエリコにきた。そして、イエスが弟子たちや大ぜいの群衆と共にエリコから出かけられたとき、テマイの子、バルテマイという盲人のこじきが、道ばたにすわっていた。 + ところが、ナザレのイエスだと聞いて、彼は「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんでください」と叫び出した。 + 多くの人々は彼をしかって黙らせようとしたが、彼はますます激しく叫びつづけた、「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんでください」。 + イエスは立ちどまって「彼を呼べ」と命じられた。そこで、人々はその盲人を呼んで言った、「喜べ、立て、おまえを呼んでおられる」。 + そこで彼は上着を脱ぎ捨て、踊りあがってイエスのもとにきた。 + イエスは彼にむかって言われた、「わたしに何をしてほしいのか」。その盲人は言った、「先生、見えるようになることです」。 + そこでイエスは言われた、「行け、あなたの信仰があなたを救った」。すると彼は、たちまち見えるようになり、イエスに従って行った。 + + + さて、彼らがエルサレムに近づき、オリブの山に沿ったベテパゲ、ベタニヤの附近にきた時、イエスはふたりの弟子をつかわして言われた、 + 「むこうの村へ行きなさい。そこにはいるとすぐ、まだだれも乗ったことのないろばの子が、つないであるのを見るであろう。それを解いて引いてきなさい。 + もし、だれかがあなたがたに、なぜそんな事をするのかと言ったなら、主がお入り用なのです。またすぐ、ここへ返してくださいますと、言いなさい」。 + そこで、彼らは出かけて行き、そして表通りの戸口に、ろばの子がつないであるのを見たので、それを解いた。 + すると、そこに立っていた人々が言った、「そのろばの子を解いて、どうするのか」。 + 弟子たちは、イエスが言われたとおり彼らに話したので、ゆるしてくれた。 + そこで、弟子たちは、そのろばの子をイエスのところに引いてきて、自分たちの上着をそれに投げかけると、イエスはその上にお乗りになった。 + すると多くの人々は自分たちの上着を道に敷き、また他の人々は葉のついた枝を野原から切ってきて敷いた。 + そして、前に行く者も、あとに従う者も共に叫びつづけた、「ホサナ、主の御名によってきたる者に、祝福あれ。 + 今きたる、われらの父ダビデの国に、祝福あれ。いと高き所に、ホサナ」。 + こうしてイエスはエルサレムに着き、宮にはいられた。そして、すべてのものを見まわった後、もはや時もおそくなっていたので、十二弟子と共にベタニヤに出て行かれた。 + 翌日、彼らがベタニヤから出かけてきたとき、イエスは空腹をおぼえられた。 + そして、葉の茂ったいちじくの木を遠くからごらんになって、その木に何かありはしないかと近寄られたが、葉のほかは何も見当らなかった。いちじくの季節でなかったからである。 + そこで、イエスはその木にむかって、「今から後いつまでも、おまえの実を食べる者がないように」と言われた。弟子たちはこれを聞いていた。 + それから、彼らはエルサレムにきた。イエスは宮に入り、宮の庭で売り買いしていた人々を追い出しはじめ、両替人の台や、はとを売る者の腰掛をくつがえし、 + また器ものを持って宮の庭を通り抜けるのをお許しにならなかった。 + そして、彼らに教えて言われた、「『わたしの家は、すべての国民の祈の家ととなえらるべきである』と書いてあるではないか。それだのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしてしまった」。 + 祭司長、律法学者たちはこれを聞いて、どうかしてイエスを殺そうと計った。彼らは、群衆がみなその教に感動していたので、イエスを恐れていたからである。 + 夕方になると、イエスと弟子たちとは、いつものように都の外に出て行った。 + 朝はやく道をとおっていると、彼らは先のいちじくが根元から枯れているのを見た。 + そこで、ペテロは思い出してイエスに言った、「先生、ごらんなさい。あなたがのろわれたいちじくが、枯れています」。 + イエスは答えて言われた、「神を信じなさい。 + よく聞いておくがよい。だれでもこの山に、動き出して、海の中にはいれと言い、その言ったことは必ず成ると、心に疑わないで信じるなら、そのとおりに成るであろう。 + そこで、あなたがたに言うが、なんでも祈り求めることは、すでにかなえられたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになるであろう。 + また立って祈るとき、だれかに対して、何か恨み事があるならば、ゆるしてやりなさい。そうすれば、天にいますあなたがたの父も、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださるであろう。〔 + もしゆるさないならば、天にいますあなたがたの父も、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださらないであろう〕」。 + 彼らはまたエルサレムにきた。そして、イエスが宮の内を歩いておられると、祭司長、律法学者、長老たちが、みもとにきて言った、 + 「何の権威によってこれらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。 + そこで、イエスは彼らに言われた、「一つだけ尋ねよう。それに答えてほしい。そうしたら、何の権威によって、わたしがこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。 + ヨハネのバプテスマは天からであったか、人からであったか、答えなさい」。 + すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 + しかし、人からだと言えば……」。彼らは群衆を恐れていた。人々が皆、ヨハネを預言者だとほんとうに思っていたからである。 + それで彼らは「わたしたちにはわかりません」と答えた。するとイエスは言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。 + + + そこでイエスは譬で彼らに語り出された、「ある人がぶどう園を造り、垣をめぐらし、また酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。 + 季節になったので、農夫たちのところへ、ひとりの僕を送って、ぶどう園の収穫の分け前を取り立てさせようとした。 + すると、彼らはその僕をつかまえて、袋だたきにし、から手で帰らせた。 + また他の僕を送ったが、その頭をなぐって侮辱した。 + そこでまた他の者を送ったが、今度はそれを殺してしまった。そのほか、なお大ぜいの者を送ったが、彼らを打ったり、殺したりした。 + ここに、もうひとりの者がいた。それは彼の愛子であった。自分の子は敬ってくれるだろうと思って、最後に彼をつかわした。 + すると、農夫たちは『あれはあと取りだ。さあ、これを殺してしまおう。そうしたら、その財産はわれわれのものになるのだ』と話し合い、 + 彼をつかまえて殺し、ぶどう園の外に投げ捨てた。 + このぶどう園の主人は、どうするだろうか。彼は出てきて、農夫たちを殺し、ぶどう園を他の人々に与えるであろう。 + あなたがたは、この聖書の句を読んだことがないのか。『家造りらの捨てた石が隅のかしら石になった。 + これは主がなされたことで、わたしたちの目には不思議に見える』」。 + 彼らはいまの譬が、自分たちに当てて語られたことを悟ったので、イエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。そしてイエスをそこに残して立ち去った。 + さて、人々はパリサイ人やヘロデ党の者を数人、イエスのもとにつかわして、その言葉じりを捕えようとした。 + 彼らはきてイエスに言った、「先生、わたしたちはあなたが真実なかたで、だれをも、はばかられないことを知っています。あなたは人に分け隔てをなさらないで、真理に基いて神の道を教えてくださいます。ところで、カイザルに税金を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか」。 + イエスは彼らの偽善を見抜いて言われた、「なぜわたしをためそうとするのか。デナリを持ってきて見せなさい」。 + 彼らはそれを持ってきた。そこでイエスは言われた、「これは、だれの肖像、だれの記号か」。彼らは「カイザルのです」と答えた。 + するとイエスは言われた、「カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。彼らはイエスに驚嘆した。 + 復活ということはないと主張していたサドカイ人たちが、イエスのもとにきて質問した、 + 「先生、モーセは、わたしたちのためにこう書いています、『もし、ある人の兄が死んで、その残された妻に、子がない場合には、弟はこの女をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。 + ここに、七人の兄弟がいました。長男は妻をめとりましたが、子がなくて死に、 + 次男がその女をめとって、また子をもうけずに死に、三男も同様でした。 + こうして、七人ともみな子孫を残しませんでした。最後にその女も死にました。 + 復活のとき、彼らが皆よみがえった場合、この女はだれの妻なのでしょうか。七人とも彼女を妻にしたのですが」。 + イエスは言われた、「あなたがたがそんな思い違いをしているのは、聖書も神の力も知らないからではないか。 + 彼らが死人の中からよみがえるときには、めとったり、とついだりすることはない。彼らは天にいる御使のようなものである。 + 死人がよみがえることについては、モーセの書の柴の篇で、神がモーセに仰せられた言葉を読んだことがないのか。『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあるではないか。 + 神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である。あなたがたは非常な思い違いをしている」。 + ひとりの律法学者がきて、彼らが互に論じ合っているのを聞き、またイエスが巧みに答えられたのを認めて、イエスに質問した、「すべてのいましめの中で、どれが第一のものですか」。 + イエスは答えられた、「第一のいましめはこれである、『イスラエルよ、聞け。主なるわたしたちの神は、ただひとりの主である。 + 心をつくし、精神をつくし、思いをつくし、力をつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。 + 第二はこれである、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。これより大事ないましめは、ほかにない」。 + そこで、この律法学者はイエスに言った、「先生、仰せのとおりです、『神はひとりであって、そのほかに神はない』と言われたのは、ほんとうです。 + また『心をつくし、知恵をつくし、力をつくして神を愛し、また自分を愛するように隣り人を愛する』ということは、すべての燔祭や犠牲よりも、はるかに大事なことです」。 + イエスは、彼が適切な答をしたのを見て言われた、「あなたは神の国から遠くない」。それから後は、イエスにあえて問う者はなかった。 + イエスが宮で教えておられたとき、こう言われた、「律法学者たちは、どうしてキリストをダビデの子だと言うのか。 + ダビデ自身が聖霊に感じて言った、『主はわが主に仰せになった、あなたの敵をあなたの足もとに置くときまでは、わたしの右に座していなさい』。 + このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいる。それなら、どうしてキリストはダビデの子であろうか」。大ぜいの群衆は、喜んでイエスに耳を傾けていた。 + イエスはその教の中で言われた、「律法学者に気をつけなさい。彼らは長い衣を着て歩くことや、広場であいさつされることや、 + また会堂の上席、宴会の上座を好んでいる。 + また、やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。彼らはもっときびしいさばきを受けるであろう」。 + イエスは、さいせん箱にむかってすわり、群衆がその箱に金を投げ入れる様子を見ておられた。多くの金持は、たくさんの金を投げ入れていた。 + ところが、ひとりの貧しいやもめがきて、レプタ二つを入れた。それは一コドラントに当る。 + そこで、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめは、さいせん箱に投げ入れている人たちの中で、だれよりもたくさん入れたのだ。 + みんなの者はありあまる中から投げ入れたが、あの婦人はその乏しい中から、あらゆる持ち物、その生活費全部を入れたからである」。 + + + イエスが宮から出て行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。 + イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」。 + またオリブ山で、宮にむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにお尋ねした。 + 「わたしたちにお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。またそんなことがことごとく成就するような場合には、どんな前兆がありますか」。 + そこで、イエスは話しはじめられた、「人に惑わされないように気をつけなさい。 + 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだと言って、多くの人を惑わすであろう。 + また、戦争と戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない。 + 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに地震があり、またききんが起るであろう。これらは産みの苦しみの初めである。 + あなたがたは自分で気をつけていなさい。あなたがたは、わたしのために、衆議所に引きわたされ、会堂で打たれ、長官たちや王たちの前に立たされ、彼らに対してあかしをさせられるであろう。 + こうして、福音はまずすべての民に宣べ伝えられねばならない。 + そして、人々があなたがたを連れて行って引きわたすとき、何を言おうかと、前もって心配するな。その場合、自分に示されることを語るがよい。語る者はあなたがた自身ではなくて、聖霊である。 + また兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、子は両親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。 + また、あなたがたはわたしの名のゆえに、すべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 + 荒らす憎むべきものが、立ってはならぬ所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。 + 屋上にいる者は、下におりるな。また家から物を取り出そうとして内にはいるな。 + 畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。 + その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。 + この事が冬おこらぬように祈れ。 + その日には、神が万物を造られた創造の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような患難が起るからである。 + もし主がその期間を縮めてくださらないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選ばれた選民のために、その期間を縮めてくださったのである。 + そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、『見よ、あそこにいる』と言っても、それを信じるな。 + にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、しるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。 + だから、気をつけていなさい。いっさいの事を、あなたがたに前もって言っておく。 + その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、 + 星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。 + そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。 + そのとき、彼は御使たちをつかわして、地のはてから天のはてまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。 + いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。 + そのように、これらの事が起るのを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。 + よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。 + 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。 + その日、その時は、だれも知らない。天にいる御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。 + 気をつけて、目をさましていなさい。その時がいつであるか、あなたがたにはわからないからである。 + それはちょうど、旅に立つ人が家を出るに当り、その僕たちに、それぞれ仕事を割り当てて責任をもたせ、門番には目をさましておれと、命じるようなものである。 + だから、目をさましていなさい。いつ、家の主人が帰って来るのか、夕方か、夜中か、にわとりの鳴くころか、明け方か、わからないからである。 + あるいは急に帰ってきて、あなたがたの眠っているところを見つけるかも知れない。 + 目をさましていなさい。わたしがあなたがたに言うこの言葉は、すべての人々に言うのである」。 + + + さて、過越と除酵との祭の二日前になった。祭司長たちや律法学者たちは、策略をもってイエスを捕えたうえ、なんとかして殺そうと計っていた。 + 彼らは、「祭の間はいけない。民衆が騒ぎを起すかも知れない」と言っていた。 + イエスがベタニヤで、らい病人シモンの家にいて、食卓についておられたとき、ひとりの女が、非常に高価で純粋なナルドの香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、それをこわし、香油をイエスの頭に注ぎかけた。 + すると、ある人々が憤って互に言った、「なんのために香油をこんなにむだにするのか。 + この香油を三百デナリ以上にでも売って、貧しい人たちに施すことができたのに」。そして女をきびしくとがめた。 + するとイエスは言われた、「するままにさせておきなさい。なぜ女を困らせるのか。わたしによい事をしてくれたのだ。 + 貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいるから、したいときにはいつでも、よい事をしてやれる。しかし、わたしはあなたがたといつも一緒にいるわけではない。 + この女はできる限りの事をしたのだ。すなわち、わたしのからだに油を注いで、あらかじめ葬りの用意をしてくれたのである。 + よく聞きなさい。全世界のどこででも、福音が宣べ伝えられる所では、この女のした事も記念として語られるであろう」。 + ときに、十二弟子のひとりイスカリオテのユダは、イエスを祭司長たちに引きわたそうとして、彼らの所へ行った。 + 彼らはこれを聞いて喜び、金を与えることを約束した。そこでユダは、どうかしてイエスを引きわたそうと、機会をねらっていた。 + 除酵祭の第一日、すなわち過越の小羊をほふる日に、弟子たちがイエスに尋ねた、「わたしたちは、過越の食事をなさる用意を、どこへ行ってしたらよいでしょうか」。 + そこで、イエスはふたりの弟子を使いに出して言われた、「市内に行くと、水がめを持っている男に出会うであろう。その人について行きなさい。 + そして、その人がはいって行く家の主人に言いなさい、『弟子たちと一緒に過越の食事をする座敷はどこか、と先生が言っておられます』。 + するとその主人は、席を整えて用意された二階の広間を見せてくれるから、そこにわたしたちのために用意をしなさい」。 + 弟子たちは出かけて市内に行って見ると、イエスが言われたとおりであったので、過越の食事の用意をした。 + 夕方になって、イエスは十二弟子と一緒にそこに行かれた。 + そして、一同が席について食事をしているとき言われた、「特にあなたがたに言っておくが、あなたがたの中のひとりで、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ろうとしている」。 + 弟子たちは心配して、ひとりびとり「まさか、わたしではないでしょう」と言い出した。 + イエスは言われた、「十二人の中のひとりで、わたしと一緒に同じ鉢にパンをひたしている者が、それである。 + たしかに人の子は、自分について書いてあるとおりに去って行く。しかし、人の子を裏切るその人は、わざわいである。その人は生れなかった方が、彼のためによかったであろう」。 + 一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「取れ、これはわたしのからだである」。 + また杯を取り、感謝して彼らに与えられると、一同はその杯から飲んだ。 + イエスはまた言われた、「これは、多くの人のために流すわたしの契約の血である。 + あなたがたによく言っておく。神の国で新しく飲むその日までは、わたしは決して二度と、ぶどうの実から造ったものを飲むことをしない」。 + 彼らは、さんびを歌った後、オリブ山へ出かけて行った。 + そのとき、イエスは弟子たちに言われた、「あなたがたは皆、わたしにつまずくであろう。『わたしは羊飼を打つ。そして、羊は散らされるであろう』と書いてあるからである。 + しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先にガリラヤへ行くであろう」。 + するとペテロはイエスに言った、「たとい、みんなの者がつまずいても、わたしはつまずきません」。 + イエスは言われた、「あなたによく言っておく。きょう、今夜、にわとりが二度鳴く前に、そう言うあなたが、三度わたしを知らないと言うだろう」。 + ペテロは力をこめて言った、「たといあなたと一緒に死なねばならなくなっても、あなたを知らないなどとは、決して申しません」。みんなの者もまた、同じようなことを言った。 + さて、一同はゲツセマネという所にきた。そしてイエスは弟子たちに言われた、「わたしが祈っている間、ここにすわっていなさい」。 + そしてペテロ、ヤコブ、ヨハネを一緒に連れて行かれたが、恐れおののき、また悩みはじめて、彼らに言われた、 + 「わたしは悲しみのあまり死ぬほどである。ここに待っていて、目をさましていなさい」。 + そして少し進んで行き、地にひれ伏し、もしできることなら、この時を過ぎ去らせてくださるようにと祈りつづけ、そして言われた、 + 「アバ、父よ、あなたには、できないことはありません。どうか、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの思いではなく、みこころのままになさってください」。 + それから、きてごらんになると、弟子たちが眠っていたので、ペテロに言われた、「シモンよ、眠っているのか、ひと時も目をさましていることができなかったのか。 + 誘惑に陥らないように、目をさまして祈っていなさい。心は熱しているが、肉体が弱いのである」。 + また離れて行って同じ言葉で祈られた。 + またきてごらんになると、彼らはまだ眠っていた。その目が重くなっていたのである。そして、彼らはどうお答えしてよいか、わからなかった。 + 三度目にきて言われた、「まだ眠っているのか、休んでいるのか。もうそれでよかろう。時がきた。見よ、人の子は罪人らの手に渡されるのだ。 + 立て、さあ行こう。見よ、わたしを裏切る者が近づいてきた」。 + そしてすぐ、イエスがまだ話しておられるうちに、十二弟子のひとりのユダが進みよってきた。また祭司長、律法学者、長老たちから送られた群衆も、剣と棒とを持って彼についてきた。 + イエスを裏切る者は、あらかじめ彼らに合図をしておいた、「わたしの接吻する者が、その人だ。その人をつかまえて、まちがいなく引ひっぱって行け」。 + 彼は来るとすぐ、イエスに近寄り、「先生」と言って接吻した。 + 人々はイエスに手をかけてつかまえた。 + すると、イエスのそばに立っていた者のひとりが、剣を抜いて大祭司の僕に切りかかり、その片耳を切り落した。 + イエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたは強盗にむかうように、剣や棒を持ってわたしを捕えにきたのか。 + わたしは毎日あなたがたと一緒に宮にいて教えていたのに、わたしをつかまえはしなかった。しかし聖書の言葉は成就されねばならない」。 + 弟子たちは皆イエスを見捨てて逃げ去った。 + ときに、ある若者が身に亜麻布をまとって、イエスのあとについて行ったが、人々が彼をつかまえようとしたので、 + その亜麻布を捨てて、裸で逃げて行った。 + それから、イエスを大祭司のところに連れて行くと、祭司長、長老、律法学者たちがみな集まってきた。 + ペテロは遠くからイエスについて行って、大祭司の中庭まではいり込み、その下役どもにまじってすわり、火にあたっていた。 + さて、祭司長たちと全議会とは、イエスを死刑にするために、イエスに不利な証拠を見つけようとしたが、得られなかった。 + 多くの者がイエスに対して偽証を立てたが、その証言が合わなかったからである。 + ついに、ある人々が立ちあがり、イエスに対して偽証を立てて言った、 + 「わたしたちはこの人が『わたしは手で造ったこの神殿を打ちこわし、三日の後に手で造られない別の神殿を建てるのだ』と言うのを聞きました」。 + しかし、このような証言も互に合わなかった。 + そこで大祭司が立ちあがって、まん中に進み、イエスに聞きただして言った、「何も答えないのか。これらの人々があなたに対して不利な証言を申し立てているが、どうなのか」。 + しかし、イエスは黙っていて、何もお答えにならなかった。大祭司は再び聞きただして言った、「あなたは、ほむべき者の子、キリストであるか」。 + イエスは言われた、「わたしがそれである。あなたがたは人の子が力ある者の右に座し、天の雲に乗って来るのを見るであろう」。 + すると、大祭司はその衣を引き裂いて言った、「どうして、これ以上、証人の必要があろう。 + あなたがたはこのけがし言を聞いた。あなたがたの意見はどうか」。すると、彼らは皆、イエスを死に当るものと断定した。 + そして、ある者はイエスにつばきをかけ、目隠しをし、こぶしでたたいて、「言いあててみよ」と言いはじめた。また下役どもはイエスを引きとって、手のひらでたたいた。 + ペテロは下で中庭にいたが、大祭司の女中のひとりがきて、 + ペテロが火にあたっているのを見ると、彼を見つめて、「あなたもあのナザレ人イエスと一緒だった」と言った。 + するとペテロはそれを打ち消して、「わたしは知らない。あなたの言うことがなんの事か、わからない」と言って、庭口の方に出て行った。 + ところが、先の女中が彼を見て、そばに立っていた人々に、またもや「この人はあの仲間のひとりです」と言いだした。 + ペテロは再びそれを打ち消した。しばらくして、そばに立っていた人たちがまたペテロに言った、「確かにあなたは彼らの仲間だ。あなたもガリラヤ人だから」。 + しかし、彼は、「あなたがたの話しているその人のことは何も知らない」と言い張って、激しく誓いはじめた。 + するとすぐ、にわとりが二度目に鳴いた。ペテロは、「にわとりが二度鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われたイエスの言葉を思い出し、そして思いかえして泣きつづけた。 + + + 夜が明けるとすぐ、祭司長たちは長老、律法学者たち、および全議会と協議をこらした末、イエスを縛って引き出し、ピラトに渡した。 + ピラトはイエスに尋ねた、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは、「そのとおりである」とお答えになった。 + そこで祭司長たちは、イエスのことをいろいろと訴えた。 + ピラトはもう一度イエスに尋ねた、「何も答えないのか。見よ、あなたに対してあんなにまで次々に訴えているではないか」。 + しかし、イエスはピラトが不思議に思うほどに、もう何もお答えにならなかった。 + さて、祭のたびごとに、ピラトは人々が願い出る囚人ひとりを、ゆるしてやることにしていた。 + ここに、暴動を起し人殺しをしてつながれていた暴徒の中に、バラバという者がいた。 + 群衆が押しかけてきて、いつものとおりにしてほしいと要求しはじめたので、 + ピラトは彼らにむかって、「おまえたちはユダヤ人の王をゆるしてもらいたいのか」と言った。 + それは、祭司長たちがイエスを引きわたしたのは、ねたみのためであることが、ピラトにわかっていたからである。 + しかし祭司長たちは、バラバの方をゆるしてもらうように、群衆を煽動した。 + そこでピラトはまた彼らに言った、「それでは、おまえたちがユダヤ人の王と呼んでいるあの人は、どうしたらよいか」。 + 彼らは、また叫んだ、「十字架につけよ」。 + ピラトは言った、「あの人は、いったい、どんな悪事をしたのか」。すると、彼らは一そう激しく叫んで、「十字架につけよ」と言った。 + それで、ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバをゆるしてやり、イエスをむち打ったのち、十字架につけるために引きわたした。 + 兵士たちはイエスを、邸宅、すなわち総督官邸の内に連れて行き、全部隊を呼び集めた。 + そしてイエスに紫の衣を着せ、いばらの冠を編んでかぶらせ、 + 「ユダヤ人の王、ばんざい」と言って敬礼をしはじめた。 + また、葦の棒でその頭をたたき、つばきをかけ、ひざまずいて拝んだりした。 + こうして、イエスを嘲弄したあげく、紫の衣をはぎとり、元の上着を着せた。それから、彼らはイエスを十字架につけるために引き出した。 + そこへ、アレキサンデルとルポスとの父シモンというクレネ人が、郊外からきて通りかかったので、人々はイエスの十字架を無理に負わせた。 + そしてイエスをゴルゴタ、その意味は、されこうべ、という所に連れて行った。 + そしてイエスに、没薬をまぜたぶどう酒をさし出したが、お受けにならなかった。 + それから、イエスを十字架につけた。そしてくじを引いて、だれが何を取るかを定めたうえ、イエスの着物を分けた。 + イエスを十字架につけたのは、朝の九時ごろであった。 + イエスの罪状書きには「ユダヤ人の王」と、しるしてあった。 + また、イエスと共にふたりの強盗を、ひとりを右に、ひとりを左に、十字架につけた。〔 + こうして「彼は罪人たちのひとりに数えられた」と書いてある言葉が成就したのである。〕 + そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって言った、「ああ、神殿を打ちこわして三日のうちに建てる者よ、 + 十字架からおりてきて自分を救え」。 + 祭司長たちも同じように、律法学者たちと一緒になって、かわるがわる嘲弄して言った、「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。 + イスラエルの王キリスト、いま十字架からおりてみるがよい。それを見たら信じよう」。また、一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。 + 昼の十二時になると、全地は暗くなって、三時に及んだ。 + そして三時に、イエスは大声で、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」と叫ばれた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。 + すると、そばに立っていたある人々が、これを聞いて言った、「そら、エリヤを呼んでいる」。 + ひとりの人が走って行き、海綿に酢いぶどう酒を含ませて葦の棒につけ、イエスに飲ませようとして言った、「待て、エリヤが彼をおろしに来るかどうか、見ていよう」。 + イエスは声高く叫んで、ついに息をひきとられた。 + そのとき、神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。 + イエスにむかって立っていた百卒長は、このようにして息をひきとられたのを見て言った、「まことに、この人は神の子であった」。 + また、遠くの方から見ている女たちもいた。その中には、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセとの母マリヤ、またサロメがいた。 + 彼らはイエスがガリラヤにおられたとき、そのあとに従って仕えた女たちであった。なおそのほか、イエスと共にエルサレムに上ってきた多くの女たちもいた。 + さて、すでに夕がたになったが、その日は準備の日、すなわち安息日の前日であったので、 + アリマタヤのヨセフが大胆にもピラトの所へ行き、イエスのからだの引取りかたを願った。彼は地位の高い議員であって、彼自身、神の国を待ち望んでいる人であった。 + ピラトは、イエスがもはや死んでしまったのかと不審に思い、百卒長を呼んで、もう死んだのかと尋ねた。 + そして、百卒長から確かめた上、死体をヨセフに渡した。 + そこで、ヨセフは亜麻布を買い求め、イエスをとりおろして、その亜麻布に包み、岩を掘って造った墓に納め、墓の入口に石をころがしておいた。 + マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが納められた場所を見とどけた。 + + + さて、安息日が終ったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとが、行ってイエスに塗るために、香料を買い求めた。 + そして週の初めの日に、早朝、日の出のころ墓に行った。 + そして、彼らは「だれが、わたしたちのために、墓の入口から石をころがしてくれるのでしょうか」と話し合っていた。 + ところが、目をあげて見ると、石はすでにころがしてあった。この石は非常に大きかった。 + 墓の中にはいると、右手に真白な長い衣を着た若者がすわっているのを見て、非常に驚いた。 + するとこの若者は言った、「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのであろうが、イエスはよみがえって、ここにはおられない。ごらんなさい、ここがお納めした場所である。 + 今から弟子たちとペテロとの所へ行って、こう伝えなさい。イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて、あなたがたに言われたとおり、そこでお会いできるであろう、と」。 + 女たちはおののき恐れながら、墓から出て逃げ去った。そして、人には何も言わなかった。恐ろしかったからである。〔 + 週の初めの日の朝早く、イエスはよみがえって、まずマグダラのマリヤに御自身をあらわされた。イエスは以前に、この女から七つの悪霊を追い出されたことがある。 + マリヤは、イエスと一緒にいた人々が泣き悲しんでいる所に行って、それを知らせた。 + 彼らは、イエスが生きておられる事と、彼女に御自身をあらわされた事とを聞いたが、信じなかった。 + この後、そのうちのふたりが、いなかの方へ歩いていると、イエスはちがった姿で御自身をあらわされた。 + このふたりも、ほかの人々の所に行って話したが、彼らはその話を信じなかった。 + その後、イエスは十一弟子が食卓についているところに現れ、彼らの不信仰と、心のかたくななことをお責めになった。彼らは、よみがえられたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである。 + そして彼らに言われた、「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ。 + 信じてバプテスマを受ける者は救われる。しかし、不信仰の者は罪に定められる。 + 信じる者には、このようなしるしが伴う。すなわち、彼らはわたしの名で悪霊を追い出し、新しい言葉を語り、 + へびをつかむであろう。また、毒を飲んでも、決して害を受けない。病人に手をおけば、いやされる」。 + 主イエスは彼らに語り終ってから、天にあげられ、神の右にすわられた。 + 弟子たちは出て行って、至る所で福音を宣べ伝えた。主も彼らと共に働き、御言に伴うしるしをもって、その確かなことをお示しになった。〕 + +
+
+ + わたしたちの間に成就された出来事を、最初から親しく見た人々であって、 + 御言に仕えた人々が伝えたとおり物語に書き連ねようと、多くの人が手を着けましたが、 + テオピロ閣下よ、わたしもすべての事を初めから詳しく調べていますので、ここに、それを順序正しく書きつづって、閣下に献じることにしました。 + すでにお聞きになっている事が確実であることを、これによって十分に知っていただきたいためであります。 + ユダヤの王ヘロデの世に、アビヤの組の祭司で名をザカリヤという者がいた。その妻はアロン家の娘のひとりで、名をエリサベツといった。 + ふたりとも神のみまえに正しい人であって、主の戒めと定めとを、みな落度なく行っていた。 + ところが、エリサベツは不妊の女であったため、彼らには子がなく、そしてふたりともすでに年老いていた。 + さてザカリヤは、その組が当番になり神のみまえに祭司の務をしていたとき、 + 祭司職の慣例に従ってくじを引いたところ、主の聖所にはいって香をたくことになった。 + 香をたいている間、多くの民衆はみな外で祈っていた。 + すると主の御使が現れて、香壇の右に立った。 + ザカリヤはこれを見て、おじ惑い、恐怖の念に襲われた。 + そこで御使が彼に言った、「恐れるな、ザカリヤよ、あなたの祈が聞きいれられたのだ。あなたの妻エリサベツは男の子を産むであろう。その子をヨハネと名づけなさい。 + 彼はあなたに喜びと楽しみとをもたらし、多くの人々もその誕生を喜ぶであろう。 + 彼は主のみまえに大いなる者となり、ぶどう酒や強い酒をいっさい飲まず、母の胎内にいる時からすでに聖霊に満たされており、 + そして、イスラエルの多くの子らを、主なる彼らの神に立ち帰らせるであろう。 + 彼はエリヤの霊と力とをもって、みまえに先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に義人の思いを持たせて、整えられた民を主に備えるであろう」。 + するとザカリヤは御使に言った、「どうしてそんな事が、わたしにわかるでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています」。 + 御使が答えて言った、「わたしは神のみまえに立つガブリエルであって、この喜ばしい知らせをあなたに語り伝えるために、つかわされたものである。 + 時が来れば成就するわたしの言葉を信じなかったから、あなたはおしになり、この事の起る日まで、ものが言えなくなる」。 + 民衆はザカリヤを待っていたので、彼が聖所内で暇どっているのを不思議に思っていた。 + ついに彼は出てきたが、物が言えなかったので、人々は彼が聖所内でまぼろしを見たのだと悟った。彼は彼らに合図をするだけで、引きつづき、おしのままでいた。 + それから務の期日が終ったので、家に帰った。 + そののち、妻エリサベツはみごもり、五か月のあいだ引きこもっていたが、 + 「主は、今わたしを心にかけてくださって、人々の間からわたしの恥を取り除くために、こうしてくださいました」と言った。 + 六か月目に、御使ガブリエルが、神からつかわされて、ナザレというガリラヤの町の一処女のもとにきた。 + この処女はダビデ家の出であるヨセフという人のいいなづけになっていて、名をマリヤといった。 + 御使がマリヤのところにきて言った、「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」。 + この言葉にマリヤはひどく胸騒ぎがして、このあいさつはなんの事であろうかと、思いめぐらしていた。 + すると御使が言った、「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。 + 見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。 + 彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。そして、主なる神は彼に父ダビデの王座をお与えになり、 + 彼はとこしえにヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くでしょう」。 + そこでマリヤは御使に言った、「どうして、そんな事があり得ましょうか。わたしにはまだ夫がありませんのに」。 + 御使が答えて言った、「聖霊があなたに臨み、いと高き者の力があなたをおおうでしょう。それゆえに、生れ出る子は聖なるものであり、神の子と、となえられるでしょう。 + あなたの親族エリサベツも老年ながら子を宿しています。不妊の女といわれていたのに、はや六か月になっています。 + 神には、なんでもできないことはありません」。 + そこでマリヤが言った、「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」。そして御使は彼女から離れて行った。 + そのころ、マリヤは立って、大急ぎで山里へむかいユダの町に行き、 + ザカリヤの家にはいってエリサベツにあいさつした。 + エリサベツがマリヤのあいさつを聞いたとき、その子が胎内でおどった。エリサベツは聖霊に満たされ、 + 声高く叫んで言った、「あなたは女の中で祝福されたかた、あなたの胎の実も祝福されています。 + 主の母上がわたしのところにきてくださるとは、なんという光栄でしょう。 + ごらんなさい。あなたのあいさつの声がわたしの耳にはいったとき、子供が胎内で喜びおどりました。 + 主のお語りになったことが必ず成就すると信じた女は、なんとさいわいなことでしょう」。 + するとマリヤは言った、「わたしの魂は主をあがめ、 + わたしの霊は救主なる神をたたえます。 + この卑しい女をさえ、心にかけてくださいました。今からのち代々の人々は、わたしをさいわいな女と言うでしょう、 + 力あるかたが、わたしに大きな事をしてくださったからです。そのみ名はきよく、 + そのあわれみは、代々限りなく主をかしこみ恐れる者に及びます。 + 主はみ腕をもって力をふるい、心の思いのおごり高ぶる者を追い散らし、 + 権力ある者を王座から引きおろし、卑しい者を引き上げ、 + 飢えている者を良いもので飽かせ、富んでいる者を空腹のまま帰らせなさいます。 + 主は、あわれみをお忘れにならず、その僕イスラエルを助けてくださいました、 + わたしたちの父祖アブラハムとその子孫とをとこしえにあわれむと約束なさったとおりに」。 + マリヤは、エリサベツのところに三か月ほど滞在してから、家に帰った。 + さてエリサベツは月が満ちて、男の子を産んだ。 + 近所の人々や親族は、主が大きなあわれみを彼女におかけになったことを聞いて、共どもに喜んだ。 + 八日目になったので、幼な子に割礼をするために人々がきて、父の名にちなんでザカリヤという名にしようとした。 + ところが、母親は、「いいえ、ヨハネという名にしなくてはいけません」と言った。 + 人々は、「あなたの親族の中には、そういう名のついた者は、ひとりもいません」と彼女に言った。 + そして父親に、どんな名にしたいのですかと、合図で尋ねた。 + ザカリヤは書板を持ってこさせて、それに「その名はヨハネ」と書いたので、みんなの者は不思議に思った。 + すると、立ちどころにザカリヤの口が開けて舌がゆるみ、語り出して神をほめたたえた。 + 近所の人々はみな恐れをいだき、またユダヤの山里の至るところに、これらの事がことごとく語り伝えられたので、 + 聞く者たちは皆それを心に留めて、「この子は、いったい、どんな者になるだろう」と語り合った。主のみ手が彼と共にあった。 + 父ザカリヤは聖霊に満たされ、預言して言った、 + 「主なるイスラエルの神は、ほむべきかな。神はその民を顧みてこれをあがない、 + わたしたちのために救の角を僕ダビデの家にお立てになった。 + 古くから、聖なる預言者たちの口によってお語りになったように、 + わたしたちを敵から、またすべてわたしたちを憎む者の手から、救い出すためである。 + こうして、神はわたしたちの父祖たちにあわれみをかけ、その聖なる契約、 + すなわち、父祖アブラハムにお立てになった誓いをおぼえて、 + わたしたちを敵の手から救い出し、 + 生きている限り、きよく正しく、みまえに恐れなく仕えさせてくださるのである。 + 幼な子よ、あなたは、いと高き者の預言者と呼ばれるであろう。主のみまえに先立って行き、その道を備え、 + 罪のゆるしによる救をその民に知らせるのであるから。 + これはわたしたちの神のあわれみ深いみこころによる。また、そのあわれみによって、日の光が上からわたしたちに臨み、 + 暗黒と死の陰とに住む者を照し、わたしたちの足を平和の道へ導くであろう」。 + 幼な子は成長し、その霊も強くなり、そしてイスラエルに現れる日まで、荒野にいた。 + + + そのころ、全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。 + これは、クレニオがシリヤの総督であった時に行われた最初の人口調査であった。 + 人々はみな登録をするために、それぞれ自分の町へ帰って行った。 + ヨセフもダビデの家系であり、またその血統であったので、ガリラヤの町ナザレを出て、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。 + それは、すでに身重になっていたいいなづけの妻マリヤと共に、登録をするためであった。 + ところが、彼らがベツレヘムに滞在している間に、マリヤは月が満ちて、 + 初子を産み、布にくるんで、飼葉おけの中に寝かせた。客間には彼らのいる余地がなかったからである。 + さて、この地方で羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。 + すると主の御使が現れ、主の栄光が彼らをめぐり照したので、彼らは非常に恐れた。 + 御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。 + きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。 + あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである」。 + するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れ、御使と一緒になって神をさんびして言った、 + 「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。 + 御使たちが彼らを離れて天に帰ったとき、羊飼たちは「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」と、互に語り合った。 + そして急いで行って、マリヤとヨセフ、また飼葉おけに寝かしてある幼な子を捜しあてた。 + 彼らに会った上で、この子について自分たちに告げ知らされた事を、人々に伝えた。 + 人々はみな、羊飼たちが話してくれたことを聞いて、不思議に思った。 + しかし、マリヤはこれらの事をことごとく心に留めて、思いめぐらしていた。 + 羊飼たちは、見聞きしたことが何もかも自分たちに語られたとおりであったので、神をあがめ、またさんびしながら帰って行った。 + 八日が過ぎ、割礼をほどこす時となったので、受胎のまえに御使が告げたとおり、幼な子をイエスと名づけた。 + それから、モーセの律法による彼らのきよめの期間が過ぎたとき、両親は幼な子を連れてエルサレムへ上った。 + それは主の律法に「母の胎を初めて開く男の子はみな、主に聖別された者と、となえられねばならない」と書いてあるとおり、幼な子を主にささげるためであり、 + また同じ主の律法に、「山ばと一つがい、または、家ばとのひな二羽」と定めてあるのに従って、犠牲をささげるためであった。 + その時、エルサレムにシメオンという名の人がいた。この人は正しい信仰深い人で、イスラエルの慰められるのを待ち望んでいた。また聖霊が彼に宿っていた。 + そして主のつかわす救主に会うまでは死ぬことはないと、聖霊の示しを受けていた。 + この人が御霊に感じて宮にはいった。すると律法に定めてあることを行うため、両親もその子イエスを連れてはいってきたので、 + シメオンは幼な子を腕に抱き、神をほめたたえて言った、 + 「主よ、今こそ、あなたはみ言葉のとおりにこの僕を安らかに去らせてくださいます、 + わたしの目が今あなたの救を見たのですから。 + この救はあなたが万民のまえにお備えになったもので、 + 異邦人を照す啓示の光、み民イスラエルの栄光であります」。 + 父と母とは幼な子についてこのように語られたことを、不思議に思った。 + するとシメオンは彼らを祝し、そして母マリヤに言った、「ごらんなさい、この幼な子は、イスラエルの多くの人を倒れさせたり立ちあがらせたりするために、また反対を受けるしるしとして、定められています。―― + そして、あなた自身もつるぎで胸を刺し貫かれるでしょう。――それは多くの人の心にある思いが、現れるようになるためです」。 + また、アセル族のパヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。彼女は非常に年をとっていた。むすめ時代にとついで、七年間だけ夫と共に住み、 + その後やもめぐらしをし、八十四歳になっていた。そして宮を離れずに夜も昼も断食と祈とをもって神に仕えていた。 + この老女も、ちょうどそのとき近寄ってきて、神に感謝をささげ、そしてこの幼な子のことを、エルサレムの救を待ち望んでいるすべての人々に語りきかせた。 + 両親は主の律法どおりすべての事をすませたので、ガリラヤへむかい、自分の町ナザレに帰った。 + 幼な子は、ますます成長して強くなり、知恵に満ち、そして神の恵みがその上にあった。 + さて、イエスの両親は、過越の祭には毎年エルサレムへ上っていた。 + イエスが十二歳になった時も、慣例に従って祭のために上京した。 + ところが、祭が終って帰るとき、少年イエスはエルサレムに居残っておられたが、両親はそれに気づかなかった。 + そして道連れの中にいることと思いこんで、一日路を行ってしまい、それから、親族や知人の中を捜しはじめたが、 + 見つからないので、捜しまわりながらエルサレムへ引返した。 + そして三日の後に、イエスが宮の中で教師たちのまん中にすわって、彼らの話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。 + 聞く人々はみな、イエスの賢さやその答に驚嘆していた。 + 両親はこれを見て驚き、そして母が彼に言った、「どうしてこんな事をしてくれたのです。ごらんなさい、おとう様もわたしも心配して、あなたを捜していたのです」。 + するとイエスは言われた、「どうしてお捜しになったのですか。わたしが自分の父の家にいるはずのことを、ご存じなかったのですか」。 + しかし、両親はその語られた言葉を悟ることができなかった。 + それからイエスは両親と一緒にナザレに下って行き、彼らにお仕えになった。母はこれらの事をみな心に留めていた。 + イエスはますます知恵が加わり、背たけも伸び、そして神と人から愛された。 + + + 皇帝テベリオ在位の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、その兄弟ピリポがイツリヤ・テラコニテ地方の領主、ルサニヤがアビレネの領主、 + アンナスとカヤパとが大祭司であったとき、神の言が荒野でザカリヤの子ヨハネに臨んだ。 + 彼はヨルダンのほとりの全地方に行って、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えた。 + それは、預言者イザヤの言葉の書に書いてあるとおりである。すなわち「荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』。 + すべての谷は埋められ、すべての山と丘とは、平らにされ、曲ったところはまっすぐに、わるい道はならされ、 + 人はみな神の救を見るであろう」。 + さて、ヨハネは、彼からバプテスマを受けようとして出てきた群衆にむかって言った、「まむしの子らよ、迫ってきている神の怒りから、のがれられると、おまえたちにだれが教えたのか。 + だから、悔改めにふさわしい実を結べ。自分たちの父にはアブラハムがあるなどと、心の中で思ってもみるな。おまえたちに言っておく。神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子を起すことができるのだ。 + 斧がすでに木の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれるのだ」。 + そこで群衆が彼に、「それでは、わたしたちは何をすればよいのですか」と尋ねた。 + 彼は答えて言った、「下着を二枚もっている者は、持たない者に分けてやりなさい。食物を持っている者も同様にしなさい」。 + 取税人もバプテスマを受けにきて、彼に言った、「先生、わたしたちは何をすればよいのですか」。 + 彼らに言った、「きまっているもの以上に取り立ててはいけない」。 + 兵卒たちもたずねて言った、「では、わたしたちは何をすればよいのですか」。彼は言った、「人をおどかしたり、だまし取ったりしてはいけない。自分の給与で満足していなさい」。 + 民衆は救主を待ち望んでいたので、みな心の中でヨハネのことを、もしかしたらこの人がそれではなかろうかと考えていた。 + そこでヨハネはみんなの者にむかって言った、「わたしは水でおまえたちにバプテスマを授けるが、わたしよりも力のあるかたが、おいでになる。わたしには、そのくつのひもを解く値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。 + また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てるであろう」。 + こうしてヨハネはほかにもなお、さまざまの勧めをして、民衆に教を説いた。 + ところが領主ヘロデは、兄弟の妻ヘロデヤのことで、また自分がしたあらゆる悪事について、ヨハネから非難されていたので、 + 彼を獄に閉じ込めて、いろいろな悪事の上に、もう一つこの悪事を重ねた。 + さて、民衆がみなバプテスマを受けたとき、イエスもバプテスマを受けて祈っておられると、天が開けて、 + 聖霊がはとのような姿をとってイエスの上に下り、そして天から声がした、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 + イエスが宣教をはじめられたのは、年およそ三十歳の時であって、人々の考えによれば、ヨセフの子であった。ヨセフはヘリの子、 + それから、さかのぼって、マタテ、レビ、メルキ、ヤンナイ、ヨセフ、 + マタテヤ、アモス、ナホム、エスリ、ナンガイ、 + マハテ、マタテヤ、シメイ、ヨセク、ヨダ、 + ヨハナン、レサ、ゾロバベル、サラテル、ネリ、 + メルキ、アデイ、コサム、エルマダム、エル、 + ヨシュア、エリエゼル、ヨリム、マタテ、レビ、 + シメオン、ユダ、ヨセフ、ヨナム、エリヤキム、 + メレヤ、メナ、マタタ、ナタン、ダビデ、 + エッサイ、オベデ、ボアズ、サラ、ナアソン、 + アミナダブ、アデミン、アルニ、エスロン、パレス、ユダ、 + ヤコブ、イサク、アブラハム、テラ、ナホル、 + セルグ、レウ、ペレグ、エベル、サラ、 + カイナン、アルパクサデ、セム、ノア、ラメク、 + メトセラ、エノク、ヤレデ、マハラレル、カイナン、 + エノス、セツ、アダム、そして神にいたる。 + + + さて、イエスは聖霊に満ちてヨルダン川から帰り、 + 荒野を四十日のあいだ御霊にひきまわされて、悪魔の試みにあわれた。そのあいだ何も食べず、その日数がつきると、空腹になられた。 + そこで悪魔が言った、「もしあなたが神の子であるなら、この石に、パンになれと命じてごらんなさい」。 + イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではない』と書いてある」。 + それから、悪魔はイエスを高い所へ連れて行き、またたくまに世界のすべての国々を見せて + 言った、「これらの国々の権威と栄華とをみんな、あなたにあげましょう。それらはわたしに任せられていて、だれでも好きな人にあげてよいのですから。 + それで、もしあなたがわたしの前にひざまずくなら、これを全部あなたのものにしてあげましょう」。 + イエスは答えて言われた、「『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。 + それから悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、宮の頂上に立たせて言った、「もしあなたが神の子であるなら、ここから下へ飛びおりてごらんなさい。 + 『神はあなたのために、御使たちに命じてあなたを守らせるであろう』とあり、 + また、『あなたの足が石に打ちつけられないように、彼らはあなたを手でささえるであろう』とも書いてあります」。 + イエスは答えて言われた、「『主なるあなたの神を試みてはならない』と言われている」。 + 悪魔はあらゆる試みをしつくして、一時イエスを離れた。 + それからイエスは御霊の力に満ちあふれてガリラヤへ帰られると、そのうわさがその地方全体にひろまった。 + イエスは諸会堂で教え、みんなの者から尊敬をお受けになった。 + それからお育ちになったナザレに行き、安息日にいつものように会堂にはいり、聖書を朗読しようとして立たれた。 + すると預言者イザヤの書が手渡されたので、その書を開いて、こう書いてある所を出された、 + 「主の御霊がわたしに宿っている。貧しい人々に福音を宣べ伝えさせるために、わたしを聖別してくださったからである。主はわたしをつかわして、囚人が解放され、盲人の目が開かれることを告げ知らせ、打ちひしがれている者に自由を得させ、 + 主のめぐみの年を告げ知らせるのである」。 + イエスは聖書を巻いて係りの者に返し、席に着かれると、会堂にいるみんなの者の目がイエスに注がれた。 + そこでイエスは、「この聖句は、あなたがたが耳にしたこの日に成就した」と説きはじめられた。 + すると、彼らはみなイエスをほめ、またその口から出て来るめぐみの言葉に感嘆して言った、「この人はヨセフの子ではないか」。 + そこで彼らに言われた、「あなたがたは、きっと『医者よ、自分自身をいやせ』ということわざを引いて、カペナウムで行われたと聞いていた事を、あなたの郷里のこの地でもしてくれ、と言うであろう」。 + それから言われた、「よく言っておく。預言者は、自分の郷里では歓迎されないものである。 + よく聞いておきなさい。エリヤの時代に、三年六か月にわたって天が閉じ、イスラエル全土に大ききんがあった際、そこには多くのやもめがいたのに、 + エリヤはそのうちのだれにもつかわされないで、ただシドンのサレプタにいるひとりのやもめにだけつかわされた。 + また預言者エリシャの時代に、イスラエルには多くのらい病人がいたのに、そのうちのひとりもきよめられないで、ただシリヤのナアマンだけがきよめられた」。 + 会堂にいた者たちはこれを聞いて、みな憤りに満ち、 + 立ち上がってイエスを町の外へ追い出し、その町が建っている丘のがけまでひっぱって行って、突き落そうとした。 + しかし、イエスは彼らのまん中を通り抜けて、去って行かれた。 + それから、イエスはガリラヤの町カペナウムに下って行かれた。そして安息日になると、人々をお教えになったが、 + その言葉に権威があったので、彼らはその教に驚いた。 + すると、汚れた悪霊につかれた人が会堂にいて、大声で叫び出した、 + 「ああ、ナザレのイエスよ、あなたはわたしたちとなんの係わりがあるのです。わたしたちを滅ぼしにこられたのですか。あなたがどなたであるか、わかっています。神の聖者です」。 + イエスはこれをしかって、「黙れ、この人から出て行け」と言われた。すると悪霊は彼を人なかに投げ倒し、傷は負わせずに、その人から出て行った。 + みんなの者は驚いて、互に語り合って言った、「これは、いったい、なんという言葉だろう。権威と力とをもって汚れた霊に命じられると、彼らは出て行くのだ」。 + こうしてイエスの評判が、その地方のいたる所にひろまっていった。 + イエスは会堂を出てシモンの家におはいりになった。ところがシモンのしゅうとめが高い熱を病んでいたので、人々は彼女のためにイエスにお願いした。 + そこで、イエスはそのまくらもとに立って、熱が引くように命じられると、熱は引き、女はすぐに起き上がって、彼らをもてなした。 + 日が暮れると、いろいろな病気になやむ者をかかえている人々が、皆それをイエスのところに連れてきたので、そのひとりびとりに手を置いて、おいやしになった。 + 悪霊も「あなたこそ神の子です」と叫びながら多くの人々から出ていった。しかし、イエスは彼らを戒めて、物を言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスはキリストだと知っていたからである。 + 夜が明けると、イエスは寂しい所へ出て行かれたが、群衆が捜しまわって、みもとに集まり、自分たちから離れて行かれないようにと、引き止めた。 + しかしイエスは、「わたしは、ほかの町々にも神の国の福音を宣べ伝えねばならない。自分はそのためにつかわされたのである」と言われた。 + そして、ユダヤの諸会堂で教を説かれた。 + + + さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、 + そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。 + その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。 + 話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。 + シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。 + そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。 + そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。 + これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。 + 彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。 + シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。今からあなたは人間をとる漁師になるのだ」。 + そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。 + イエスがある町におられた時、全身らい病になっている人がそこにいた。イエスを見ると、顔を地に伏せて願って言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 + イエスは手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病がただちに去ってしまった。 + イエスは、だれにも話さないようにと彼に言い聞かせ、「ただ行って自分のからだを祭司に見せ、それからあなたのきよめのため、モーセが命じたとおりのささげ物をして、人々に証明しなさい」とお命じになった。 + しかし、イエスの評判はますますひろまって行き、おびただしい群衆が、教を聞いたり、病気をなおしてもらったりするために、集まってきた。 + しかしイエスは、寂しい所に退いて祈っておられた。 + ある日のこと、イエスが教えておられると、ガリラヤやユダヤの方々の村から、またエルサレムからきたパリサイ人や律法学者たちが、そこにすわっていた。主の力が働いて、イエスは人々をいやされた。 + その時、ある人々が、ひとりの中風をわずらっている人を床にのせたまま連れてきて、家の中に運び入れ、イエスの前に置こうとした。 + ところが、群衆のためにどうしても運び入れる方法がなかったので、屋根にのぼり、瓦をはいで、病人を床ごと群衆のまん中につりおろして、イエスの前においた。 + イエスは彼らの信仰を見て、「人よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。 + すると律法学者とパリサイ人たちとは、「神を汚すことを言うこの人は、いったい、何者だ。神おひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」と言って論じはじめた。 + イエスは彼らの論議を見ぬいて、「あなたがたは心の中で何を論じているのか。 + あなたの罪はゆるされたと言うのと、起きて歩けと言うのと、どちらがたやすいか。 + しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威を持っていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに対して言い、中風の者にむかって、「あなたに命じる。起きよ、床を取り上げて家に帰れ」と言われた。 + すると病人は即座にみんなの前で起きあがり、寝ていた床を取りあげて、神をあがめながら家に帰って行った。 + みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った。 + そののち、イエスが出て行かれると、レビという名の取税人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。 + すると、彼はいっさいを捨てて立ちあがり、イエスに従ってきた。 + それから、レビは自分の家で、イエスのために盛大な宴会を催したが、取税人やそのほか大ぜいの人々が、共に食卓に着いていた。 + ところが、パリサイ人やその律法学者たちが、イエスの弟子たちに対してつぶやいて言った、「どうしてあなたがたは、取税人や罪人などと飲食を共にするのか」。 + イエスは答えて言われた、「健康な人には医者はいらない。いるのは病人である。 + わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」。 + また彼らはイエスに言った、「ヨハネの弟子たちは、しばしば断食をし、また祈をしており、パリサイ人の弟子たちもそうしているのに、あなたの弟子たちは食べたり飲んだりしています」。 + するとイエスは言われた、「あなたがたは、花婿が一緒にいるのに、婚礼の客に断食をさせることができるであろうか。 + しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう」。 + それからイエスはまた一つの譬を語られた、「だれも、新しい着物から布ぎれを切り取って、古い着物につぎを当てるものはない。もしそんなことをしたら、新しい着物を裂くことになるし、新しいのから取った布ぎれも古いのに合わないであろう。 + まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、新しいぶどう酒は皮袋をはり裂き、そしてぶどう酒は流れ出るし、皮袋もむだになるであろう。 + 新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。 + まただれも、古い酒を飲んでから、新しいのをほしがりはしない。『古いのが良い』と考えているからである」。 + + + ある安息日にイエスが麦畑の中をとおって行かれたとき、弟子たちが穂をつみ、手でもみながら食べていた。 + すると、あるパリサイ人たちが言った、「あなたがたはなぜ、安息日にしてはならぬことをするのか」。 + そこでイエスが答えて言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが飢えていたとき、ダビデのしたことについて、読んだことがないのか。 + すなわち、神の家にはいって、祭司たちのほかだれも食べてはならぬ供えのパンを取って食べ、また供の者たちにも与えたではないか」。 + また彼らに言われた、「人の子は安息日の主である」。 + また、ほかの安息日に会堂にはいって教えておられたところ、そこに右手のなえた人がいた。 + 律法学者やパリサイ人たちは、イエスを訴える口実を見付けようと思って、安息日にいやされるかどうかをうかがっていた。 + イエスは彼らの思っていることを知って、その手のなえた人に、「起きて、まん中に立ちなさい」と言われると、起き上がって立った。 + そこでイエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたに聞くが、安息日に善を行うのと悪を行うのと、命を救うのと殺すのと、どちらがよいか」。 + そして彼ら一同を見まわして、その人に「手を伸ばしなさい」と言われた。そのとおりにすると、その手は元どおりになった。 + そこで彼らは激しく怒って、イエスをどうかしてやろうと、互に話合いをはじめた。 + このころ、イエスは祈るために山へ行き、夜を徹して神に祈られた。 + 夜が明けると、弟子たちを呼び寄せ、その中から十二人を選び出し、これに使徒という名をお与えになった。 + すなわち、ペテロとも呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、ヤコブとヨハネ、ピリポとバルトロマイ、 + マタイとトマス、アルパヨの子ヤコブと、熱心党と呼ばれたシモン、 + ヤコブの子ユダ、それからイスカリオテのユダ。このユダが裏切者となったのである。 + そして、イエスは彼らと一緒に山を下って平地に立たれたが、大ぜいの弟子たちや、ユダヤ全土、エルサレム、ツロとシドンの海岸地方などからの大群衆が、 + 教を聞こうとし、また病気をなおしてもらおうとして、そこにきていた。そして汚れた霊に悩まされている者たちも、いやされた。 + また群衆はイエスにさわろうと努めた。それは力がイエスの内から出て、みんなの者を次々にいやしたからである。 + そのとき、イエスは目をあげ、弟子たちを見て言われた、「あなたがた貧しい人たちは、さいわいだ。神の国はあなたがたのものである。 + あなたがたいま飢えている人たちは、さいわいだ。飽き足りるようになるからである。あなたがたいま泣いている人たちは、さいわいだ。笑うようになるからである。 + 人々があなたがたを憎むとき、また人の子のためにあなたがたを排斥し、ののしり、汚名を着せるときは、あなたがたはさいわいだ。 + その日には喜びおどれ。見よ、天においてあなたがたの受ける報いは大きいのだから。彼らの祖先も、預言者たちに対して同じことをしたのである。 + しかしあなたがた富んでいる人たちは、わざわいだ。慰めを受けてしまっているからである。 + あなたがた今満腹している人たちは、わざわいだ。飢えるようになるからである。あなたがた今笑っている人たちは、わざわいだ。悲しみ泣くようになるからである。 + 人が皆あなたがたをほめるときは、あなたがたはわざわいだ。彼らの祖先も、にせ預言者たちに対して同じことをしたのである。 + しかし、聞いているあなたがたに言う。敵を愛し、憎む者に親切にせよ。 + のろう者を祝福し、はずかしめる者のために祈れ。 + あなたの頬を打つ者にはほかの頬をも向けてやり、あなたの上着を奪い取る者には下着をも拒むな。 + あなたに求める者には与えてやり、あなたの持ち物を奪う者からは取りもどそうとするな。 + 人々にしてほしいと、あなたがたの望むことを、人々にもそのとおりにせよ。 + 自分を愛してくれる者を愛したからとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、自分を愛してくれる者を愛している。 + 自分によくしてくれる者によくしたとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、それくらいの事はしている。 + また返してもらうつもりで貸したとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でも、同じだけのものを返してもらおうとして、仲間に貸すのである。 + しかし、あなたがたは、敵を愛し、人によくしてやり、また何も当てにしないで貸してやれ。そうすれば受ける報いは大きく、あなたがたはいと高き者の子となるであろう。いと高き者は、恩を知らぬ者にも悪人にも、なさけ深いからである。 + あなたがたの父なる神が慈悲深いように、あなたがたも慈悲深い者となれ。 + 人をさばくな。そうすれば、自分もさばかれることがないであろう。また人を罪に定めるな。そうすれば、自分も罪に定められることがないであろう。ゆるしてやれ。そうすれば、自分もゆるされるであろう。 + 与えよ。そうすれば、自分にも与えられるであろう。人々はおし入れ、ゆすり入れ、あふれ出るまでに量をよくして、あなたがたのふところに入れてくれるであろう。あなたがたの量るその量りで、自分にも量りかえされるであろうから」。 + イエスはまた一つの譬を語られた、「盲人は盲人の手引ができようか。ふたりとも穴に落ち込まないだろうか。 + 弟子はその師以上のものではないが、修業をつめば、みなその師のようになろう。 + なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。 + 自分の目にある梁は見ないでいて、どうして兄弟にむかって、兄弟よ、あなたの目にあるちりを取らせてください、と言えようか。偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい、そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目にあるちりを取りのけることができるだろう。 + 悪い実のなる良い木はないし、また良い実のなる悪い木もない。 + 木はそれぞれ、その実でわかる。いばらからいちじくを取ることはないし、野ばらからぶどうを摘むこともない。 + 善人は良い心の倉から良い物を取り出し、悪人は悪い倉から悪い物を取り出す。心からあふれ出ることを、口が語るものである。 + わたしを主よ、主よ、と呼びながら、なぜわたしの言うことを行わないのか。 + わたしのもとにきて、わたしの言葉を聞いて行う者が、何に似ているか、あなたがたに教えよう。 + それは、地を深く掘り、岩の上に土台をすえて家を建てる人に似ている。洪水が出て激流がその家に押し寄せてきても、それを揺り動かすことはできない。よく建ててあるからである。 + しかし聞いても行わない人は、土台なしで、土の上に家を建てた人に似ている。激流がその家に押し寄せてきたら、たちまち倒れてしまい、その被害は大きいのである」。 + + + イエスはこれらの言葉をことごとく人々に聞かせてしまったのち、カペナウムに帰ってこられた。 + ところが、ある百卒長の頼みにしていた僕が、病気になって死にかかっていた。 + この百卒長はイエスのことを聞いて、ユダヤ人の長老たちをイエスのところにつかわし、自分の僕を助けにきてくださるようにと、お願いした。 + 彼らはイエスのところにきて、熱心に願って言った、「あの人はそうしていただくねうちがございます。 + わたしたちの国民を愛し、わたしたちのために会堂を建ててくれたのです」。 + そこで、イエスは彼らと連れだってお出かけになった。ところが、その家からほど遠くないあたりまでこられたとき、百卒長は友だちを送ってイエスに言わせた、「主よ、どうぞ、ご足労くださいませんように。わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。 + それですから、自分でお迎えにあがるねうちさえないと思っていたのです。ただ、お言葉を下さい。そして、わたしの僕をなおしてください。 + わたしも権威の下に服している者ですが、わたしの下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け』と言えば行き、ほかの者に『こい』と言えばきますし、また、僕に『これをせよ』と言えば、してくれるのです」。 + イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた群衆の方に振り向いて言われた、「あなたがたに言っておくが、これほどの信仰は、イスラエルの中でも見たことがない」。 + 使にきた者たちが家に帰ってみると、僕は元気になっていた。 + そののち、間もなく、ナインという町へおいでになったが、弟子たちや大ぜいの群衆も一緒に行った。 + 町の門に近づかれると、ちょうど、あるやもめにとってひとりむすこであった者が死んだので、葬りに出すところであった。大ぜいの町の人たちが、その母につきそっていた。 + 主はこの婦人を見て深い同情を寄せられ、「泣かないでいなさい」と言われた。 + そして近寄って棺に手をかけられると、かついでいる者たちが立ち止まったので、「若者よ、さあ、起きなさい」と言われた。 + すると、死人が起き上がって物を言い出した。イエスは彼をその母にお渡しになった。 + 人々はみな恐れをいだき、「大預言者がわたしたちの間に現れた」、また、「神はその民を顧みてくださった」と言って、神をほめたたえた。 + イエスについてのこの話は、ユダヤ全土およびその附近のいたる所にひろまった。 + ヨハネの弟子たちは、これらのことを全部彼に報告した。するとヨハネは弟子の中からふたりの者を呼んで、 + 主のもとに送り、「『きたるべきかた』はあなたなのですか。それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか」と尋ねさせた。 + そこで、この人たちがイエスのもとにきて言った、「わたしたちはバプテスマのヨハネからの使ですが、『きたるべきかた』はあなたなのですか、それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか、とヨハネが尋ねています」。 + そのとき、イエスはさまざまの病苦と悪霊とに悩む人々をいやし、また多くの盲人を見えるようにしておられたが、 + 答えて言われた、「行って、あなたがたが見聞きしたことを、ヨハネに報告しなさい。盲人は見え、足なえは歩き、らい病人はきよまり、耳しいは聞え、死人は生きかえり、貧しい人々は福音を聞かされている。 + わたしにつまずかない者は、さいわいである」。 + ヨハネの使が行ってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆に語りはじめられた、「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのか。風に揺らぐ葦であるか。 + では、何を見に出てきたのか。柔らかい着物をまとった人か。きらびやかに着かざって、ぜいたくに暮している人々なら、宮殿にいる。 + では、何を見に出てきたのか。預言者か。そうだ、あなたがたに言うが、預言者以上の者である。 + 『見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、あなたの前に、道を整えさせるであろう』と書いてあるのは、この人のことである。 + あなたがたに言っておく。女の産んだ者の中で、ヨハネより大きい人物はいない。しかし、神の国で最も小さい者も、彼よりは大きい。 + (これを聞いた民衆は皆、また取税人たちも、ヨハネのバプテスマを受けて神の正しいことを認めた。 + しかし、パリサイ人と律法学者たちとは彼からバプテスマを受けないで、自分たちに対する神のみこころを無にした。) + だから今の時代の人々を何に比べようか。彼らは何に似ているか。 + それは子供たちが広場にすわって、互に呼びかけ、『わたしたちが笛を吹いたのに、あなたたちは踊ってくれなかった。弔いの歌を歌ったのに、泣いてくれなかった』と言うのに似ている。 + なぜなら、バプテスマのヨハネがきて、パンを食べることも、ぶどう酒を飲むこともしないと、あなたがたは、あれは悪霊につかれているのだ、と言い、 + また人の子がきて食べたり飲んだりしていると、見よ、あれは食をむさぼる者、大酒を飲む者、また取税人、罪人の仲間だ、と言う。 + しかし、知恵の正しいことは、そのすべての子が証明する」。 + あるパリサイ人がイエスに、食事を共にしたいと申し出たので、そのパリサイ人の家にはいって食卓に着かれた。 + するとそのとき、その町で罪の女であったものが、パリサイ人の家で食卓に着いておられることを聞いて、香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、 + 泣きながら、イエスのうしろでその足もとに寄り、まず涙でイエスの足をぬらし、自分の髪の毛でぬぐい、そして、その足に接吻して、香油を塗った。 + イエスを招いたパリサイ人がそれを見て、心の中で言った、「もしこの人が預言者であるなら、自分にさわっている女がだれだか、どんな女かわかるはずだ。それは罪の女なのだから」。 + そこでイエスは彼にむかって言われた、「シモン、あなたに言うことがある」。彼は「先生、おっしゃってください」と言った。 + イエスが言われた、「ある金貸しに金をかりた人がふたりいたが、ひとりは五百デナリ、もうひとりは五十デナリを借りていた。 + ところが、返すことができなかったので、彼はふたり共ゆるしてやった。このふたりのうちで、どちらが彼を多く愛するだろうか」。 + シモンが答えて言った、「多くゆるしてもらったほうだと思います」。イエスが言われた、「あなたの判断は正しい」。 + それから女の方に振り向いて、シモンに言われた、「この女を見ないか。わたしがあなたの家にはいってきた時に、あなたは足を洗う水をくれなかった。ところが、この女は涙でわたしの足をぬらし、髪の毛でふいてくれた。 + あなたはわたしに接吻をしてくれなかったが、彼女はわたしが家にはいった時から、わたしの足に接吻をしてやまなかった。 + あなたはわたしの頭に油を塗ってくれなかったが、彼女はわたしの足に香油を塗ってくれた。 + それであなたに言うが、この女は多く愛したから、その多くの罪はゆるされているのである。少しだけゆるされた者は、少しだけしか愛さない」。 + そして女に、「あなたの罪はゆるされた」と言われた。 + すると同席の者たちが心の中で言いはじめた、「罪をゆるすことさえするこの人は、いったい、何者だろう」。 + しかし、イエスは女にむかって言われた、「あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。 + + + そののちイエスは、神の国の福音を説きまた伝えながら、町々村々を巡回し続けられたが、十二弟子もお供をした。 + また悪霊を追い出され病気をいやされた数名の婦人たち、すなわち、七つの悪霊を追い出してもらったマグダラと呼ばれるマリヤ、 + ヘロデの家令クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか多くの婦人たちも一緒にいて、自分たちの持ち物をもって一行に奉仕した。 + さて、大ぜいの群衆が集まり、その上、町々からの人たちがイエスのところに、ぞくぞくと押し寄せてきたので、一つの譬で話をされた、 + 「種まきが種をまきに出て行った。まいているうちに、ある種は道ばたに落ち、踏みつけられ、そして空の鳥に食べられてしまった。 + ほかの種は岩の上に落ち、はえはしたが水気がないので枯れてしまった。 + ほかの種は、いばらの間に落ちたので、いばらも一緒に茂ってきて、それをふさいでしまった。 + ところが、ほかの種は良い地に落ちたので、はえ育って百倍もの実を結んだ」。こう語られたのち、声をあげて「聞く耳のある者は聞くがよい」と言われた。 + 弟子たちは、この譬はどういう意味でしょうか、とイエスに質問した。 + そこで言われた、「あなたがたには、神の国の奥義を知ることが許されているが、ほかの人たちには、見ても見えず、聞いても悟られないために、譬で話すのである。 + この譬はこういう意味である。種は神の言である。 + 道ばたに落ちたのは、聞いたのち、信じることも救われることもないように、悪魔によってその心から御言が奪い取られる人たちのことである。 + 岩の上に落ちたのは、御言を聞いた時には喜んで受けいれるが、根が無いので、しばらくは信じていても、試錬の時が来ると、信仰を捨てる人たちのことである。 + いばらの中に落ちたのは、聞いてから日を過ごすうちに、生活の心づかいや富や快楽にふさがれて、実の熟するまでにならない人たちのことである。 + 良い地に落ちたのは、御言を聞いたのち、これを正しい良い心でしっかりと守り、耐え忍んで実を結ぶに至る人たちのことである。 + だれもあかりをともして、それを何かの器でおおいかぶせたり、寝台の下に置いたりはしない。燭台の上に置いて、はいって来る人たちに光が見えるようにするのである。 + 隠されているもので、あらわにならないものはなく、秘密にされているもので、ついには知られ、明るみに出されないものはない。 + だから、どう聞くかに注意するがよい。持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っていると思っているものまでも、取り上げられるであろう」。 + さて、イエスの母と兄弟たちとがイエスのところにきたが、群衆のためそば近くに行くことができなかった。 + それで、だれかが「あなたの母上と兄弟がたが、お目にかかろうと思って、外に立っておられます」と取次いだ。 + するとイエスは人々にむかって言われた、「神の御言を聞いて行う者こそ、わたしの母、わたしの兄弟なのである」。 + ある日のこと、イエスは弟子たちと舟に乗り込み、「湖の向こう岸へ渡ろう」と言われたので、一同が船出した。 + 渡って行く間に、イエスは眠ってしまわれた。すると突風が湖に吹きおろしてきたので、彼らは水をかぶって危険になった。 + そこで、みそばに寄ってきてイエスを起し、「先生、先生、わたしたちは死にそうです」と言った。イエスは起き上がって、風と荒浪とをおしかりになると、止んでなぎになった。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたの信仰は、どこにあるのか」。彼らは恐れ驚いて互に言い合った、「いったい、このかたはだれだろう。お命じになると、風も水も従うとは」。 + それから、彼らはガリラヤの対岸、ゲラサ人の地に渡った。 + 陸にあがられると、その町の人で、悪霊につかれて長いあいだ着物も着ず、家に居つかないで墓場にばかりいた人に、出会われた。 + この人がイエスを見て叫び出し、みまえにひれ伏して大声で言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。お願いです、わたしを苦しめないでください」。 + それは、イエスが汚れた霊に、その人から出て行け、とお命じになったからである。というのは、悪霊が何度も彼をひき捕えたので、彼は鎖と足かせとでつながれて看視されていたが、それを断ち切っては悪霊によって荒野へ追いやられていたのである。 + イエスは彼に「なんという名前か」とお尋ねになると、「レギオンと言います」と答えた。彼の中にたくさんの悪霊がはいり込んでいたからである。 + 悪霊どもは、底知れぬ所に落ちて行くことを自分たちにお命じにならぬようにと、イエスに願いつづけた。 + ところが、そこの山べにおびただしい豚の群れが飼ってあったので、その豚の中へはいることを許していただきたいと、悪霊どもが願い出た。イエスはそれをお許しになった。 + そこで悪霊どもは、その人から出て豚の中へはいり込んだ。するとその群れは、がけから湖へなだれを打って駆け下り、おぼれ死んでしまった。 + 飼う者たちは、この出来事を見て逃げ出して、町や村里にふれまわった。 + 人々はこの出来事を見に出てきた。そして、イエスのところにきて、悪霊を追い出してもらった人が着物を着て、正気になってイエスの足もとにすわっているのを見て、恐れた。 + それを見た人たちは、この悪霊につかれていた者が救われた次第を、彼らに語り聞かせた。 + それから、ゲラサの地方の民衆はこぞって、自分たちの所から立ち去ってくださるようにとイエスに頼んだ。彼らが非常な恐怖に襲われていたからである。そこで、イエスは舟に乗って帰りかけられた。 + 悪霊を追い出してもらった人は、お供をしたいと、しきりに願ったが、イエスはこう言って彼をお帰しになった。 + 「家へ帰って、神があなたにどんなに大きなことをしてくださったか、語り聞かせなさい」。そこで彼は立ち去って、自分にイエスがして下さったことを、ことごとく町中に言いひろめた。 + イエスが帰ってこられると、群衆は喜び迎えた。みんながイエスを待ちうけていたのである。 + するとそこに、ヤイロという名の人がきた。この人は会堂司であった。イエスの足もとにひれ伏して、自分の家においでくださるようにと、しきりに願った。 + 彼に十二歳ばかりになるひとり娘があったが、死にかけていた。ところが、イエスが出て行かれる途中、群衆が押し迫ってきた。 + ここに、十二年間も長血をわずらっていて、医者のために自分の身代をみな使い果してしまったが、だれにもなおしてもらえなかった女がいた。 + この女がうしろから近寄ってみ衣のふさにさわったところ、その長血がたちまち止まってしまった。 + イエスは言われた、「わたしにさわったのは、だれか」。人々はみな自分ではないと言ったので、ペテロが「先生、群衆があなたを取り囲んで、ひしめき合っているのです」と答えた。 + しかしイエスは言われた、「だれかがわたしにさわった。力がわたしから出て行ったのを感じたのだ」。 + 女は隠しきれないのを知って、震えながら進み出て、みまえにひれ伏し、イエスにさわった訳と、さわるとたちまちなおったこととを、みんなの前で話した。 + そこでイエスが女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。 + イエスがまだ話しておられるうちに、会堂司の家から人がきて、「お嬢さんはなくなられました。この上、先生を煩わすには及びません」と言った。 + しかしイエスはこれを聞いて会堂司にむかって言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい。娘は助かるのだ」。 + それから家にはいられるとき、ペテロ、ヨハネ、ヤコブおよびその子の父母のほかは、だれも一緒にはいって来ることをお許しにならなかった。 + 人々はみな、娘のために泣き悲しんでいた。イエスは言われた、「泣くな、娘は死んだのではない。眠っているだけである」。 + 人々は娘が死んだことを知っていたので、イエスをあざ笑った。 + イエスは娘の手を取って、呼びかけて言われた、「娘よ、起きなさい」。 + するとその霊がもどってきて、娘は即座に立ち上がった。イエスは何か食べ物を与えるように、さしずをされた。 + 両親は驚いてしまった。イエスはこの出来事をだれにも話さないようにと、彼らに命じられた。 + + + それからイエスは十二弟子を呼び集めて、彼らにすべての悪霊を制し、病気をいやす力と権威とをお授けになった。 + また神の国を宣べ伝え、かつ病気をなおすためにつかわして + 言われた、「旅のために何も携えるな。つえも袋もパンも銭も持たず、また下着も二枚は持つな。 + また、どこかの家にはいったら、そこに留まっておれ。そしてそこから出かけることにしなさい。 + だれもあなたがたを迎えるものがいなかったら、その町を出て行くとき、彼らに対する抗議のしるしに、足からちりを払い落しなさい」。 + 弟子たちは出て行って、村々を巡り歩き、いたる所で福音を宣べ伝え、また病気をいやした。 + さて、領主ヘロデはいろいろな出来事を耳にして、あわて惑っていた。それは、ある人たちは、ヨハネが死人の中からよみがえったと言い、 + またある人たちは、エリヤが現れたと言い、またほかの人たちは、昔の預言者のひとりが復活したのだと言っていたからである。 + そこでヘロデが言った、「ヨハネはわたしがすでに首を切ったのだが、こうしてうわさされているこの人は、いったい、だれなのだろう」。そしてイエスに会ってみようと思っていた。 + 使徒たちは帰ってきて、自分たちのしたことをすべてイエスに話した。それからイエスは彼らを連れて、ベツサイダという町へひそかに退かれた。 + ところが群衆がそれと知って、ついてきたので、これを迎えて神の国のことを語り聞かせ、また治療を要する人たちをいやされた。 + それから日が傾きかけたので、十二弟子がイエスのもとにきて言った、「群衆を解散して、まわりの村々や部落へ行って宿を取り、食物を手にいれるようにさせてください。わたしたちはこんな寂しい所にきているのですから」。 + しかしイエスは言われた、「あなたがたの手で食物をやりなさい」。彼らは言った、「わたしたちにはパン五つと魚二ひきしかありません、この大ぜいの人のために食物を買いに行くかしなければ」。 + というのは、男が五千人ばかりもいたからである。しかしイエスは弟子たちに言われた、「人々をおおよそ五十人ずつの組にして、すわらせなさい」。 + 彼らはそのとおりにして、みんなをすわらせた。 + イエスは五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福してさき、弟子たちにわたして群衆に配らせた。 + みんなの者は食べて満腹した。そして、その余りくずを集めたら、十二かごあった。 + イエスがひとりで祈っておられたとき、弟子たちが近くにいたので、彼らに尋ねて言われた、「群衆はわたしをだれと言っているか」。 + 彼らは答えて言った、「バプテスマのヨハネだと、言っています。しかしほかの人たちは、エリヤだと言い、また昔の預言者のひとりが復活したのだと、言っている者もあります」。 + 彼らに言われた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。ペテロが答えて言った、「神のキリストです」。 + イエスは彼らを戒め、この事をだれにも言うなと命じ、そして言われた、 + 「人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、また殺され、そして三日目によみがえる」。 + それから、みんなの者に言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、日々自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。 + 自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのために自分の命を失う者は、それを救うであろう。 + 人が全世界をもうけても、自分自身を失いまたは損したら、なんの得になろうか。 + わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、自分の栄光と、父と聖なる御使との栄光のうちに現れて来るとき、その者を恥じるであろう。 + よく聞いておくがよい、神の国を見るまでは、死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。 + これらのことを話された後、八日ほどたってから、イエスはペテロ、ヨハネ、ヤコブを連れて、祈るために山に登られた。 + 祈っておられる間に、み顔の様が変り、み衣がまばゆいほどに白く輝いた。 + すると見よ、ふたりの人がイエスと語り合っていた。それはモーセとエリヤであったが、 + 栄光の中に現れて、イエスがエルサレムで遂げようとする最後のことについて話していたのである。 + ペテロとその仲間の者たちとは熟睡していたが、目をさますと、イエスの栄光の姿と、共に立っているふたりの人とを見た。 + このふたりがイエスを離れ去ろうとしたとき、ペテロは自分が何を言っているのかわからないで、イエスに言った、「先生、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。それで、わたしたちは小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。 + 彼がこう言っている間に、雲がわき起って彼らをおおいはじめた。そしてその雲に囲まれたとき、彼らは恐れた。 + すると雲の中から声があった、「これはわたしの子、わたしの選んだ者である。これに聞け」。 + そして声が止んだとき、イエスがひとりだけになっておられた。弟子たちは沈黙を守って、自分たちが見たことについては、そのころだれにも話さなかった。 + 翌日、一同が山を降りて来ると、大ぜいの群衆がイエスを出迎えた。 + すると突然、ある人が群衆の中から大声をあげて言った、「先生、お願いです。わたしのむすこを見てやってください。この子はわたしのひとりむすこですが、 + 霊が取りつきますと、彼は急に叫び出すのです。それから、霊は彼をひきつけさせて、あわを吹かせ、彼を弱り果てさせて、なかなか出て行かないのです。 + それで、お弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。 + イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な、曲った時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか、またあなたがたに我慢ができようか。あなたの子をここに連れてきなさい」。 + ところが、その子がイエスのところに来る時にも、悪霊が彼を引き倒して、引きつけさせた。イエスはこの汚れた霊をしかりつけ、その子供をいやして、父親にお渡しになった。 + 人々はみな、神の偉大な力に非常に驚いた。みんなの者がイエスのしておられた数々の事を不思議に思っていると、弟子たちに言われた、 + 「あなたがたはこの言葉を耳におさめて置きなさい。人の子は人々の手に渡されようとしている」。 + しかし、彼らはなんのことかわからなかった。それが彼らに隠されていて、悟ることができなかったのである。また彼らはそのことについて尋ねるのを恐れていた。 + 弟子たちの間に、彼らのうちでだれがいちばん偉いだろうかということで、議論がはじまった。 + イエスは彼らの心の思いを見抜き、ひとりの幼な子を取りあげて自分のそばに立たせ、彼らに言われた、 + 「だれでもこの幼な子をわたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。そしてわたしを受けいれる者は、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである。あなたがたみんなの中でいちばん小さい者こそ、大きいのである」。 + するとヨハネが答えて言った、「先生、わたしたちはある人があなたの名を使って悪霊を追い出しているのを見ましたが、その人はわたしたちの仲間でないので、やめさせました」。 + イエスは彼に言われた、「やめさせないがよい。あなたがたに反対しない者は、あなたがたの味方なのである」。 + さて、イエスが天に上げられる日が近づいたので、エルサレムへ行こうと決意して、その方へ顔をむけられ、 + 自分に先立って使者たちをおつかわしになった。そして彼らがサマリヤ人の村へはいって行き、イエスのために準備をしようとしたところ、 + 村人は、エルサレムへむかって進んで行かれるというので、イエスを歓迎しようとはしなかった。 + 弟子のヤコブとヨハネとはそれを見て言った、「主よ、いかがでしょう。彼らを焼き払ってしまうように、天から火をよび求めましょうか」。 + イエスは振りかえって、彼らをおしかりになった。 + そして一同はほかの村へ行った。 + 道を進んで行くと、ある人がイエスに言った、「あなたがおいでになる所ならどこへでも従ってまいります」。 + イエスはその人に言われた、「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない」。 + またほかの人に、「わたしに従ってきなさい」と言われた。するとその人が言った、「まず、父を葬りに行かせてください」。 + 彼に言われた、「その死人を葬ることは、死人に任せておくがよい。あなたは、出て行って神の国を告げひろめなさい」。 + またほかの人が言った、「主よ、従ってまいりますが、まず家の者に別れを言いに行かせてください」。 + イエスは言われた、「手をすきにかけてから、うしろを見る者は、神の国にふさわしくないものである」。 + + + その後、主は別に七十二人を選び、行こうとしておられたすべての町や村へ、ふたりずつ先におつかわしになった。 + そのとき、彼らに言われた、「収穫は多いが、働き人が少ない。だから、収穫の主に願って、その収穫のために働き人を送り出すようにしてもらいなさい。 + さあ、行きなさい。わたしがあなたがたをつかわすのは、小羊をおおかみの中に送るようなものである。 + 財布も袋もくつも持って行くな。だれにも道であいさつするな。 + どこかの家にはいったら、まず『平安がこの家にあるように』と言いなさい。 + もし平安の子がそこにおれば、あなたがたの祈る平安はその人の上にとどまるであろう。もしそうでなかったら、それはあなたがたの上に帰って来るであろう。 + それで、その同じ家に留まっていて、家の人が出してくれるものを飲み食いしなさい。働き人がその報いを得るのは当然である。家から家へと渡り歩くな。 + どの町へはいっても、人々があなたがたを迎えてくれるなら、前に出されるものを食べなさい。 + そして、その町にいる病人をいやしてやり、『神の国はあなたがたに近づいた』と言いなさい。 + しかし、どの町へはいっても、人々があなたがたを迎えない場合には、大通りに出て行って言いなさい、 + 『わたしたちの足についているこの町のちりも、ぬぐい捨てて行く。しかし、神の国が近づいたことは、承知しているがよい』。 + あなたがたに言っておく。その日には、この町よりもソドムの方が耐えやすいであろう。 + わざわいだ、コラジンよ。わざわいだ、ベツサイダよ。おまえたちの中でなされた力あるわざが、もしツロとシドンでなされたなら、彼らはとうの昔に、荒布をまとい灰の中にすわって、悔い改めたであろう。 + しかし、さばきの日には、ツロとシドンの方がおまえたちよりも、耐えやすいであろう。 + ああ、カペナウムよ、おまえは天にまで上げられようとでもいうのか。黄泉にまで落されるであろう。 + あなたがたに聞き従う者は、わたしに聞き従うのであり、あなたがたを拒む者は、わたしを拒むのである。そしてわたしを拒む者は、わたしをおつかわしになったかたを拒むのである」。 + 七十二人が喜んで帰ってきて言った、「主よ、あなたの名によっていたしますと、悪霊までがわたしたちに服従します」。 + 彼らに言われた、「わたしはサタンが電光のように天から落ちるのを見た。 + わたしはあなたがたに、へびやさそりを踏みつけ、敵のあらゆる力に打ち勝つ権威を授けた。だから、あなたがたに害をおよぼす者はまったく無いであろう。 + しかし、霊があなたがたに服従することを喜ぶな。むしろ、あなたがたの名が天にしるされていることを喜びなさい」。 + そのとき、イエスは聖霊によって喜びあふれて言われた、「天地の主なる父よ。あなたをほめたたえます。これらの事を知恵のある者や賢い者に隠して、幼な子にあらわしてくださいました。父よ、これはまことに、みこころにかなった事でした。 + すべての事は父からわたしに任せられています。そして、子がだれであるかは、父のほか知っている者はありません。また父がだれであるかは、子と、父をあらわそうとして子が選んだ者とのほか、だれも知っている者はいません」。 + それから弟子たちの方に振りむいて、ひそかに言われた、「あなたがたが見ていることを見る目は、さいわいである。 + あなたがたに言っておく。多くの預言者や王たちも、あなたがたの見ていることを見ようとしたが、見ることができず、あなたがたの聞いていることを聞こうとしたが、聞けなかったのである」。 + するとそこへ、ある律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った、「先生、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。 + 彼に言われた、「律法にはなんと書いてあるか。あなたはどう読むか」。 + 彼は答えて言った、「『心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。また、『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』とあります」。 + 彼に言われた、「あなたの答は正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、いのちが得られる」。 + すると彼は自分の立場を弁護しようと思って、イエスに言った、「では、わたしの隣り人とはだれのことですか」。 + イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。 + するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。 + 同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。 + ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、 + 近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。 + 翌日、デナリ二つを取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、わたしが支払います』と言った。 + この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。 + 彼が言った、「その人に慈悲深い行いをした人です」。そこでイエスは言われた、「あなたも行って同じようにしなさい」。 + 一同が旅を続けているうちに、イエスがある村へはいられた。するとマルタという名の女がイエスを家に迎え入れた。 + この女にマリヤという妹がいたが、主の足もとにすわって、御言に聞き入っていた。 + ところが、マルタは接待のことで忙がしくて心をとりみだし、イエスのところにきて言った、「主よ、妹がわたしだけに接待をさせているのを、なんともお思いになりませんか。わたしの手伝いをするように妹におっしゃってください」。 + 主は答えて言われた、「マルタよ、マルタよ、あなたは多くのことに心を配って思いわずらっている。 + しかし、無くてならぬものは多くはない。いや、一つだけである。マリヤはその良い方を選んだのだ。そしてそれは、彼女から取り去ってはならないものである」。 + + + また、イエスはある所で祈っておられたが、それが終ったとき、弟子のひとりが言った、「主よ、ヨハネがその弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈ることを教えてください」。 + そこで彼らに言われた、「祈るときには、こう言いなさい、『父よ、御名があがめられますように。御国がきますように。 + わたしたちの日ごとの食物を、日々お与えください。 + わたしたちに負債のある者を皆ゆるしますから、わたしたちの罪をもおゆるしください。わたしたちを試みに会わせないでください』」。 + そして彼らに言われた、「あなたがたのうちのだれかに、友人があるとして、その人のところへ真夜中に行き、『友よ、パンを三つ貸してください。 + 友だちが旅先からわたしのところに着いたのですが、何も出すものがありませんから』と言った場合、 + 彼は内から、『面倒をかけないでくれ。もう戸は締めてしまったし、子供たちもわたしと一緒に床にはいっているので、いま起きて何もあげるわけにはいかない』と言うであろう。 + しかし、よく聞きなさい、友人だからというのでは起きて与えないが、しきりに願うので、起き上がって必要なものを出してくれるであろう。 + そこでわたしはあなたがたに言う。求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。 + すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。 + あなたがたのうちで、父であるものは、その子が魚を求めるのに、魚の代りにへびを与えるだろうか。 + 卵を求めるのに、さそりを与えるだろうか。 + このように、あなたがたは悪い者であっても、自分の子供には、良い贈り物をすることを知っているとすれば、天の父はなおさら、求めて来る者に聖霊を下さらないことがあろうか」。 + さて、イエスが悪霊を追い出しておられた。それは、おしの霊であった。悪霊が出て行くと、おしが物を言うようになったので、群衆は不思議に思った。 + その中のある人々が、「彼は悪霊のかしらベルゼブルによって、悪霊どもを追い出しているのだ」と言い、 + またほかの人々は、イエスを試みようとして、天からのしるしを求めた。 + しかしイエスは、彼らの思いを見抜いて言われた、「おおよそ国が内部で分裂すれば自滅してしまい、また家が分れ争えば倒れてしまう。 + そこでサタンも内部で分裂すれば、その国はどうして立ち行けよう。あなたがたはわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出していると言うが、 + もしわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出すとすれば、あなたがたの仲間はだれによって追い出すのであろうか。だから、彼らがあなたがたをさばく者となるであろう。 + しかし、わたしが神の指によって悪霊を追い出しているのなら、神の国はすでにあなたがたのところにきたのである。 + 強い人が十分に武装して自分の邸宅を守っている限り、その持ち物は安全である。 + しかし、もっと強い者が襲ってきて彼に打ち勝てば、その頼みにしていた武具を奪って、その分捕品を分けるのである。 + わたしの味方でない者は、わたしに反対するものであり、わたしと共に集めない者は、散らすものである。 + 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無い所を歩きまわるが、見つからないので、出てきた元の家に帰ろうと言って、 + 帰って見ると、その家はそうじがしてある上、飾りつけがしてあった。 + そこでまた出て行って、自分以上に悪い他の七つの霊を引き連れてきて中にはいり、そこに住み込む。そうすると、その人の後の状態は初めよりももっと悪くなるのである」。 + イエスがこう話しておられるとき、群衆の中からひとりの女が声を張りあげて言った、「あなたを宿した胎、あなたが吸われた乳房は、なんとめぐまれていることでしょう」。 + しかしイエスは言われた、「いや、めぐまれているのは、むしろ、神の言を聞いてそれを守る人たちである」。 + さて群衆が群がり集まったので、イエスは語り出された、「この時代は邪悪な時代である。それはしるしを求めるが、ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう。 + というのは、ニネベの人々に対してヨナがしるしとなったように、人の子もこの時代に対してしるしとなるであろう。 + 南の女王が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために、地の果からはるばるきたからである。しかし見よ、ソロモンにまさる者がここにいる。 + ニネベの人々が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、ニネベの人々はヨナの宣教によって悔い改めたからである。しかし見よ、ヨナにまさる者がここにいる。 + だれもあかりをともして、それを穴倉の中や枡の下に置くことはしない。むしろはいって来る人たちに、そのあかりが見えるように、燭台の上におく。 + あなたの目は、からだのあかりである。あなたの目が澄んでおれば、全身も明るいが、目がわるければ、からだも暗い。 + だから、あなたの内なる光が暗くならないように注意しなさい。 + もし、あなたのからだ全体が明るくて、暗い部分が少しもなければ、ちょうど、あかりが輝いてあなたを照す時のように、全身が明るくなるであろう」。 + イエスが語っておられた時、あるパリサイ人が、自分の家で食事をしていただきたいと申し出たので、はいって食卓につかれた。 + ところが、食前にまず洗うことをなさらなかったのを見て、そのパリサイ人が不思議に思った。 + そこで主は彼に言われた、「いったい、あなたがたパリサイ人は、杯や盆の外側をきよめるが、あなたがたの内側は貪欲と邪悪とで満ちている。 + 愚かな者たちよ、外側を造ったかたは、また内側も造られたではないか。 + ただ、内側にあるものをきよめなさい。そうすれば、いっさいがあなたがたにとって、清いものとなる。 + しかし、あなた方パリサイ人は、わざわいである。はっか、うん香、あらゆる野菜などの十分の一を宮に納めておりながら、義と神に対する愛とをなおざりにしている。それもなおざりにはできないが、これは行わねばならない。 + あなたがたパリサイ人は、わざわいである。会堂の上席や広場での敬礼を好んでいる。 + あなたがたは、わざわいである。人目につかない墓のようなものである。その上を歩いても人々は気づかないでいる」。 + ひとりの律法学者がイエスに答えて言った、「先生、そんなことを言われるのは、わたしたちまでも侮辱することです」。 + そこで言われた、「あなたがた律法学者も、わざわいである。負い切れない重荷を人に負わせながら、自分ではその荷に指一本でも触れようとしない。 + あなたがたは、わざわいである。預言者たちの碑を建てるが、しかし彼らを殺したのは、あなたがたの先祖であったのだ。 + だから、あなたがたは、自分の先祖のしわざに同意する証人なのだ。先祖が彼らを殺し、あなたがたがその碑を建てるのだから。 + それゆえに、『神の知恵』も言っている、『わたしは預言者と使徒とを彼らにつかわすが、彼らはそのうちのある者を殺したり、迫害したりするであろう』。 + それで、アベルの血から祭壇と神殿との間で殺されたザカリヤの血に至るまで、世の初めから流されてきたすべての預言者の血について、この時代がその責任を問われる。 + そうだ、あなたがたに言っておく、この時代がその責任を問われるであろう。 + あなたがた律法学者は、わざわいである。知識のかぎを取りあげて、自分がはいらないばかりか、はいろうとする人たちを妨げてきた」。 + イエスがそこを出て行かれると、律法学者やパリサイ人は、激しく詰め寄り、いろいろな事を問いかけて、 + イエスの口から何か言いがかりを得ようと、ねらいはじめた。 + + + その間に、おびただしい群衆が、互に踏み合うほどに群がってきたが、イエスはまず弟子たちに語りはじめられた、「パリサイ人のパン種、すなわち彼らの偽善に気をつけなさい。 + おおいかぶされたもので、現れてこないものはなく、隠れているもので、知られてこないものはない。 + だから、あなたがたが暗やみで言ったことは、なんでもみな明るみで聞かれ、密室で耳にささやいたことは、屋根の上で言いひろめられるであろう。 + そこでわたしの友であるあなたがたに言うが、からだを殺しても、そのあとでそれ以上なにもできない者どもを恐れるな。 + 恐るべき者がだれであるか、教えてあげよう。殺したあとで、更に地獄に投げ込む権威のあるかたを恐れなさい。そうだ、あなたがたに言っておくが、そのかたを恐れなさい。 + 五羽のすずめは二アサリオンで売られているではないか。しかも、その一羽も神のみまえで忘れられてはいない。 + その上、あなたがたの頭の毛までも、みな数えられている。恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。 + そこで、あなたがたに言う。だれでも人の前でわたしを受けいれる者を、人の子も神の使たちの前で受けいれるであろう。 + しかし、人の前でわたしを拒む者は、神の使たちの前で拒まれるであろう。 + また、人の子に言い逆らう者はゆるされるであろうが、聖霊をけがす者は、ゆるされることはない。 + あなたがたが会堂や役人や高官の前へひっぱられて行った場合には、何をどう弁明しようか、何を言おうかと心配しないがよい。 + 言うべきことは、聖霊がその時に教えてくださるからである」。 + 群衆の中のひとりがイエスに言った、「先生、わたしの兄弟に、遺産を分けてくれるようにおっしゃってください」。 + 彼に言われた、「人よ、だれがわたしをあなたがたの裁判人または分配人に立てたのか」。 + それから人々にむかって言われた、「あらゆる貪欲に対してよくよく警戒しなさい。たといたくさんの物を持っていても、人のいのちは、持ち物にはよらないのである」。 + そこで一つの譬を語られた、「ある金持の畑が豊作であった。 + そこで彼は心の中で、『どうしようか、わたしの作物をしまっておく所がないのだが』と思いめぐらして + 言った、『こうしよう。わたしの倉を取りこわし、もっと大きいのを建てて、そこに穀物や食糧を全部しまい込もう。 + そして自分の魂に言おう。たましいよ、おまえには長年分の食糧がたくさんたくわえてある。さあ安心せよ、食え、飲め、楽しめ』。 + すると神が彼に言われた、『愚かな者よ、あなたの魂は今夜のうちにも取り去られるであろう。そしたら、あなたが用意した物は、だれのものになるのか』。 + 自分のために宝を積んで神に対して富まない者は、これと同じである」。 + それから弟子たちに言われた、「それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようかと、命のことで思いわずらい、何を着ようかとからだのことで思いわずらうな。 + 命は食物にまさり、からだは着物にまさっている。 + からすのことを考えて見よ。まくことも、刈ることもせず、また、納屋もなく倉もない。それだのに、神は彼らを養っていて下さる。あなたがたは鳥よりも、はるかにすぐれているではないか。 + あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。 + そんな小さな事さえできないのに、どうしてほかのことを思いわずらうのか。 + 野の花のことを考えて見るがよい。紡ぎもせず、織りもしない。しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。 + きょうは野にあって、あすは炉に投げ入れられる草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。 + あなたがたも、何を食べ、何を飲もうかと、あくせくするな、また気を使うな。 + これらのものは皆、この世の異邦人が切に求めているものである。あなたがたの父は、これらのものがあなたがたに必要であることを、ご存じである。 + ただ、御国を求めなさい。そうすれば、これらのものは添えて与えられるであろう。 + 恐れるな、小さい群れよ。御国を下さることは、あなたがたの父のみこころなのである。 + 自分の持ち物を売って、施しなさい。自分のために古びることのない財布をつくり、盗人も近寄らず、虫も食い破らない天に、尽きることのない宝をたくわえなさい。 + あなたがたの宝のある所には、心もあるからである。 + 腰に帯をしめ、あかりをともしていなさい。 + 主人が婚宴から帰ってきて戸をたたくとき、すぐあけてあげようと待っている人のようにしていなさい。 + 主人が帰ってきたとき、目を覚しているのを見られる僕たちは、さいわいである。よく言っておく。主人が帯をしめて僕たちを食卓につかせ、進み寄って給仕をしてくれるであろう。 + 主人が夜中ごろ、あるいは夜明けごろに帰ってきても、そうしているのを見られるなら、その人たちはさいわいである。 + このことを、わきまえているがよい。家の主人は、盗賊がいつごろ来るかわかっているなら、自分の家に押し入らせはしないであろう。 + あなたがたも用意していなさい。思いがけない時に人の子が来るからである」。 + するとペテロが言った、「主よ、この譬を話しておられるのはわたしたちのためなのですか。それとも、みんなの者のためなのですか」。 + そこで主が言われた、「主人が、召使たちの上に立てて、時に応じて定めの食事をそなえさせる忠実な思慮深い家令は、いったいだれであろう。 + 主人が帰ってきたとき、そのようにつとめているのを見られる僕は、さいわいである。 + よく言っておくが、主人はその僕を立てて自分の全財産を管理させるであろう。 + しかし、もしその僕が、主人の帰りがおそいと心の中で思い、男女の召使たちを打ちたたき、そして食べたり、飲んだりして酔いはじめるならば、 + その僕の主人は思いがけない日、気がつかない時に帰って来るであろう。そして、彼を厳罰に処して、不忠実なものたちと同じ目にあわせるであろう。 + 主人のこころを知っていながら、それに従って用意もせず勤めもしなかった僕は、多くむち打たれるであろう。 + しかし、知らずに打たれるようなことをした者は、打たれ方が少ないだろう。多く与えられた者からは多く求められ、多く任せられた者からは更に多く要求されるのである。 + わたしは、火を地上に投じるためにきたのだ。火がすでに燃えていたならと、わたしはどんなに願っていることか。 + しかし、わたしには受けねばならないバプテスマがある。そして、それを受けてしまうまでは、わたしはどんなにか苦しい思いをすることであろう。 + あなたがたは、わたしが平和をこの地上にもたらすためにきたと思っているのか。あなたがたに言っておく。そうではない。むしろ分裂である。 + というのは、今から後は、一家の内で五人が相分れて、三人はふたりに、ふたりは三人に対立し、 + また父は子に、子は父に、母は娘に、娘は母に、しゅうとめは嫁に、嫁はしゅうとめに、対立するであろう」。 + イエスはまた群衆に対しても言われた、「あなたがたは、雲が西に起るのを見るとすぐ、にわか雨がやって来る、と言う。果してそのとおりになる。 + それから南風が吹くと、暑つくなるだろう、と言う。果してそのとおりになる。 + 偽善者よ、あなたがたは天地の模様を見分けることを知りながら、どうして今の時代を見分けることができないのか。 + また、あなたがたは、なぜ正しいことを自分で判断しないのか。 + たとえば、あなたを訴える人と一緒に役人のところへ行くときには、途中でその人と和解するように努めるがよい。そうしないと、その人はあなたを裁判官のところへひっぱって行き、裁判官はあなたを獄吏に引き渡し、獄吏はあなたを獄に投げ込むであろう。 + わたしは言って置く、最後の一レプタまでも支払ってしまうまでは、決してそこから出て来ることはできない」。 + + + ちょうどその時、ある人々がきて、ピラトがガリラヤ人たちの血を流し、それを彼らの犠牲の血に混ぜたことを、イエスに知らせた。 + そこでイエスは答えて言われた、「それらのガリラヤ人が、そのような災難にあったからといって、他のすべてのガリラヤ人以上に罪が深かったと思うのか。 + あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう。 + また、シロアムの塔が倒れたためにおし殺されたあの十八人は、エルサレムの他の全住民以上に罪の負債があったと思うか。 + あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう」。 + それから、この譬を語られた、「ある人が自分のぶどう園にいちじくの木を植えて置いたので、実を捜しにきたが見つからなかった。 + そこで園丁に言った、『わたしは三年間も実を求めて、このいちじくの木のところにきたのだが、いまだに見あたらない。その木を切り倒してしまえ。なんのために、土地をむだにふさがせて置くのか』。 + すると園丁は答えて言った、『ご主人様、ことしも、そのままにして置いてください。そのまわりを掘って肥料をやって見ますから。 + それで来年実がなりましたら結構です。もしそれでもだめでしたら、切り倒してください』」。 + 安息日に、ある会堂で教えておられると、 + そこに十八年間も病気の霊につかれ、かがんだままで、からだを伸ばすことの全くできない女がいた。 + イエスはこの女を見て、呼びよせ、「女よ、あなたの病気はなおった」と言って、 + 手をその上に置かれた。すると立ちどころに、そのからだがまっすぐになり、そして神をたたえはじめた。 + ところが会堂司は、イエスが安息日に病気をいやされたことを憤り、群衆にむかって言った、「働くべき日は六日ある。その間に、なおしてもらいにきなさい。安息日にはいけない」。 + 主はこれに答えて言われた、「偽善者たちよ、あなたがたはだれでも、安息日であっても、自分の牛やろばを家畜小屋から解いて、水を飲ませに引き出してやるではないか。 + それなら、十八年間もサタンに縛られていた、アブラハムの娘であるこの女を、安息日であっても、その束縛から解いてやるべきではなかったか」。 + こう言われたので、イエスに反対していた人たちはみな恥じ入った。そして群衆はこぞって、イエスがなされたすべてのすばらしいみわざを見て喜んだ。 + そこで言われた、「神の国は何に似ているか。またそれを何にたとえようか。 + 一粒のからし種のようなものである。ある人がそれを取って庭にまくと、育って木となり、空の鳥もその枝に宿るようになる」。 + また言われた、「神の国を何にたとえようか。 + パン種のようなものである。女がそれを取って三斗の粉の中に混ぜると、全体がふくらんでくる」。 + さてイエスは教えながら町々村々を通り過ぎ、エルサレムへと旅を続けられた。 + すると、ある人がイエスに、「主よ、救われる人は少ないのですか」と尋ねた。 + そこでイエスは人々にむかって言われた、「狭い戸口からはいるように努めなさい。事実、はいろうとしても、はいれない人が多いのだから。 + 家の主人が立って戸を閉じてしまってから、あなたがたが外に立ち戸をたたき始めて、『ご主人様、どうぞあけてください』と言っても、主人はそれに答えて、『あなたがたがどこからきた人なのか、わたしは知らない』と言うであろう。 + そのとき、『わたしたちはあなたとご一緒に飲み食いしました。また、あなたはわたしたちの大通りで教えてくださいました』と言い出しても、 + 彼は、『あなたがたがどこからきた人なのか、わたしは知らない。悪事を働く者どもよ、みんな行ってしまえ』と言うであろう。 + あなたがたは、アブラハム、イサク、ヤコブやすべての預言者たちが、神の国にはいっているのに、自分たちは外に投げ出されることになれば、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 + それから人々が、東から西から、また南から北からきて、神の国で宴会の席につくであろう。 + こうしてあとのもので先になるものがあり、また、先のものであとになるものもある」。 + ちょうどその時、あるパリサイ人たちが、イエスに近寄ってきて言った、「ここから出て行きなさい。ヘロデがあなたを殺そうとしています」。 + そこで彼らに言われた、「あのきつねのところへ行ってこう言え、『見よ、わたしはきょうもあすも悪霊を追い出し、また、病気をいやし、そして三日目にわざを終えるであろう。 + しかし、きょうもあすも、またその次の日も、わたしは進んで行かねばならない。預言者がエルサレム以外の地で死ぬことは、あり得ないからである』。 + ああ、エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、おまえにつかわされた人々を石で打ち殺す者よ。ちょうどめんどりが翼の下にひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことであろう。それだのに、おまえたちは応じようとしなかった。 + 見よ、おまえたちの家は見捨てられてしまう。わたしは言って置く、『主の名によってきたるものに、祝福あれ』とおまえたちが言う時の来るまでは、再びわたしに会うことはないであろう」。 + + + ある安息日のこと、食事をするために、あるパリサイ派のかしらの家にはいって行かれたが、人々はイエスの様子をうかがっていた。 + するとそこに、水腫をわずらっている人が、みまえにいた。 + イエスは律法学者やパリサイ人たちにむかって言われた、「安息日に人をいやすのは、正しいことかどうか」。 + 彼らは黙っていた。そこでイエスはその人に手を置いていやしてやり、そしてお帰しになった。 + それから彼らに言われた、「あなたがたのうちで、自分のむすこか牛が井戸に落ち込んだなら、安息日だからといって、すぐに引き上げてやらない者がいるだろうか」。 + 彼らはこれに対して返す言葉がなかった。 + 客に招かれた者たちが上座を選んでいる様子をごらんになって、彼らに一つの譬を語られた。 + 「婚宴に招かれたときには、上座につくな。あるいは、あなたよりも身分の高い人が招かれているかも知れない。 + その場合、あなたとその人とを招いた者がきて、『このかたに座を譲ってください』と言うであろう。そのとき、あなたは恥じ入って末座につくことになるであろう。 + むしろ、招かれた場合には、末座に行ってすわりなさい。そうすれば、招いてくれた人がきて、『友よ、上座の方へお進みください』と言うであろう。そのとき、あなたは席を共にするみんなの前で、面目をほどこすことになるであろう。 + おおよそ、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう」。 + また、イエスは自分を招いた人に言われた、「午餐または晩餐の席を設ける場合には、友人、兄弟、親族、金持の隣り人などは呼ばぬがよい。恐らく彼らもあなたを招きかえし、それであなたは返礼を受けることになるから。 + むしろ、宴会を催す場合には、貧乏人、不具者、足なえ、盲人などを招くがよい。 + そうすれば、彼らは返礼ができないから、あなたはさいわいになるであろう。正しい人々の復活の際には、あなたは報いられるであろう」。 + 列席者のひとりがこれを聞いてイエスに「神の国で食事をする人は、さいわいです」と言った。 + そこでイエスが言われた、「ある人が盛大な晩餐会を催して、大ぜいの人を招いた。 + 晩餐の時刻になったので、招いておいた人たちのもとに僕を送って、『さあ、おいでください。もう準備ができましたから』と言わせた。 + ところが、みんな一様に断りはじめた。最初の人は、『わたしは土地を買いましたので、行って見なければなりません。どうぞ、おゆるしください』と言った。 + ほかの人は、『わたしは五対の牛を買いましたので、それをしらべに行くところです。どうぞ、おゆるしください』、 + もうひとりの人は、『わたしは妻をめとりましたので、参ることができません』と言った。 + 僕は帰ってきて、以上の事を主人に報告した。すると家の主人はおこって僕に言った、『いますぐに、町の大通りや小道へ行って、貧乏人、不具者、盲人、足なえなどを、ここへ連れてきなさい』。 + 僕は言った、『ご主人様、仰せのとおりにいたしましたが、まだ席がございます』。 + 主人が僕に言った、『道やかきねのあたりに出て行って、この家がいっぱいになるように、人々を無理やりにひっぱってきなさい。 + あなたがたに言って置くが、招かれた人で、わたしの晩餐にあずかる者はひとりもないであろう』」。 + 大ぜいの群衆がついてきたので、イエスは彼らの方に向いて言われた、 + 「だれでも、父、母、妻、子、兄弟、姉妹、さらに自分の命までも捨てて、わたしのもとに来るのでなければ、わたしの弟子となることはできない。 + 自分の十字架を負うてわたしについて来るものでなければ、わたしの弟子となることはできない。 + あなたがたのうちで、だれかが邸宅を建てようと思うなら、それを仕上げるのに足りるだけの金を持っているかどうかを見るため、まず、すわってその費用を計算しないだろうか。 + そうしないと、土台をすえただけで完成することができず、見ているみんなの人が、 + 『あの人は建てかけたが、仕上げができなかった』と言ってあざ笑うようになろう。 + また、どんな王でも、ほかの王と戦いを交えるために出て行く場合には、まず座して、こちらの一万人をもって、二万人を率いて向かって来る敵に対抗できるかどうか、考えて見ないだろうか。 + もし自分の力にあまれば、敵がまだ遠くにいるうちに、使者を送って、和を求めるであろう。 + それと同じように、あなたがたのうちで、自分の財産をことごとく捨て切るものでなくては、わたしの弟子となることはできない。 + 塩は良いものだ。しかし、塩もききめがなくなったら、何によって塩味が取りもどされようか。 + 土にも肥料にも役立たず、外に投げ捨てられてしまう。聞く耳のあるものは聞くがよい」。 + + + さて、取税人や罪人たちが皆、イエスの話を聞こうとして近寄ってきた。 + するとパリサイ人や律法学者たちがつぶやいて、「この人は罪人たちを迎えて一緒に食事をしている」と言った。 + そこでイエスは彼らに、この譬をお話しになった、 + 「あなたがたのうちに、百匹の羊を持っている者がいたとする。その一匹がいなくなったら、九十九匹を野原に残しておいて、いなくなった一匹を見つけるまでは捜し歩かないであろうか。 + そして見つけたら、喜んでそれを自分の肩に乗せ、 + 家に帰ってきて友人や隣り人を呼び集め、『わたしと一緒に喜んでください。いなくなった羊を見つけましたから』と言うであろう。 + よく聞きなさい。それと同じように、罪人がひとりでも悔い改めるなら、悔改めを必要としない九十九人の正しい人のためにもまさる大きいよろこびが、天にあるであろう。 + また、ある女が銀貨十枚を持っていて、もしその一枚をなくしたとすれば、彼女はあかりをつけて家中を掃き、それを見つけるまでは注意深く捜さないであろうか。 + そして、見つけたなら、女友だちや近所の女たちを呼び集めて、『わたしと一緒に喜んでください。なくした銀貨が見つかりましたから』と言うであろう。 + よく聞きなさい。それと同じように、罪人がひとりでも悔い改めるなら、神の御使たちの前でよろこびがあるであろう」。 + また言われた、「ある人に、ふたりのむすこがあった。 + ところが、弟が父親に言った、『父よ、あなたの財産のうちでわたしがいただく分をください』。そこで、父はその身代をふたりに分けてやった。 + それから幾日もたたないうちに、弟は自分のものを全部とりまとめて遠い所へ行き、そこで放蕩に身を持ちくずして財産を使い果した。 + 何もかも浪費してしまったのち、その地方にひどいききんがあったので、彼は食べることにも窮しはじめた。 + そこで、その地方のある住民のところに行って身を寄せたところが、その人は彼を畑にやって豚を飼わせた。 + 彼は、豚の食べるいなご豆で腹を満たしたいと思うほどであったが、何もくれる人はなかった。 + そこで彼は本心に立ちかえって言った、『父のところには食物のあり余っている雇人が大ぜいいるのに、わたしはここで飢えて死のうとしている。 + 立って、父のところへ帰って、こう言おう、父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。 + もう、あなたのむすこと呼ばれる資格はありません。どうぞ、雇人のひとり同様にしてください』。 + そこで立って、父のところへ出かけた。まだ遠く離れていたのに、父は彼をみとめ、哀れに思って走り寄り、その首をだいて接吻した。 + むすこは父に言った、『父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。もうあなたのむすこと呼ばれる資格はありません』。 + しかし父は僕たちに言いつけた、『さあ、早く、最上の着物を出してきてこの子に着せ、指輪を手にはめ、はきものを足にはかせなさい。 + また、肥えた子牛を引いてきてほふりなさい。食べて楽しもうではないか。 + このむすこが死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから』。それから祝宴がはじまった。 + ところが、兄は畑にいたが、帰ってきて家に近づくと、音楽や踊りの音が聞えたので、 + ひとりの僕を呼んで、『いったい、これは何事なのか』と尋ねた。 + 僕は答えた、『あなたのご兄弟がお帰りになりました。無事に迎えたというので、父上が肥えた子牛をほふらせなさったのです』。 + 兄はおこって家にはいろうとしなかったので、父が出てきてなだめると、 + 兄は父にむかって言った、『わたしは何か年もあなたに仕えて、一度でもあなたの言いつけにそむいたことはなかったのに、友だちと楽しむために子やぎ一匹も下さったことはありません。 + それだのに、遊女どもと一緒になって、あなたの身代を食いつぶしたこのあなたの子が帰ってくると、そのために肥えた子牛をほふりなさいました』。 + すると父は言った、『子よ、あなたはいつもわたしと一緒にいるし、またわたしのものは全部あなたのものだ。 + しかし、このあなたの弟は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから、喜び祝うのはあたりまえである』」。 + + + イエスはまた、弟子たちに言われた、「ある金持のところにひとりの家令がいたが、彼は主人の財産を浪費していると、告げ口をする者があった。 + そこで主人は彼を呼んで言った、『あなたについて聞いていることがあるが、あれはどうなのか。あなたの会計報告を出しなさい。もう家令をさせて置くわけにはいかないから』。 + この家令は心の中で思った、『どうしようか。主人がわたしの職を取り上げようとしている。土を掘るには力がないし、物ごいするのは恥ずかしい。 + そうだ、わかった。こうしておけば、職をやめさせられる場合、人々がわたしをその家に迎えてくれるだろう』。 + それから彼は、主人の負債者をひとりびとり呼び出して、初めの人に、『あなたは、わたしの主人にどれだけ負債がありますか』と尋ねた。 + 『油百樽です』と答えた。そこで家令が言った、『ここにあなたの証書がある。すぐそこにすわって、五十樽と書き変えなさい』。 + 次に、もうひとりに、『あなたの負債はどれだけですか』と尋ねると、『麦百石です』と答えた。これに対して、『ここに、あなたの証書があるが、八十石と書き変えなさい』と言った。 + ところが主人は、この不正な家令の利口なやり方をほめた。この世の子らはその時代に対しては、光の子らよりも利口である。 + またあなたがたに言うが、不正の富を用いてでも、自分のために友だちをつくるがよい。そうすれば、富が無くなった場合、あなたがたを永遠のすまいに迎えてくれるであろう。 + 小事に忠実な人は、大事にも忠実である。そして、小事に不忠実な人は大事にも不忠実である。 + だから、もしあなたがたが不正の富について忠実でなかったら、だれが真の富を任せるだろうか。 + また、もしほかの人のものについて忠実でなかったら、だれがあなたがたのものを与えてくれようか。 + どの僕でも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない」。 + 欲の深いパリサイ人たちが、すべてこれらの言葉を聞いて、イエスをあざ笑った。 + そこで彼らにむかって言われた、「あなたがたは、人々の前で自分を正しいとする人たちである。しかし、神はあなたがたの心をご存じである。人々の間で尊ばれるものは、神のみまえでは忌みきらわれる。 + 律法と預言者とはヨハネの時までのものである。それ以来、神の国が宣べ伝えられ、人々は皆これに突入している。 + しかし、律法の一画が落ちるよりは、天地の滅びる方が、もっとたやすい。 + すべて自分の妻を出して他の女をめとる者は、姦淫を行うものであり、また、夫から出された女をめとる者も、姦淫を行うものである。 + ある金持がいた。彼は紫の衣や細布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮していた。 + ところが、ラザロという貧乏人が全身でき物でおおわれて、この金持の玄関の前にすわり、 + その食卓から落ちるもので飢えをしのごうと望んでいた。その上、犬がきて彼のでき物をなめていた。 + この貧乏人がついに死に、御使たちに連れられてアブラハムのふところに送られた。金持も死んで葬られた。 + そして黄泉にいて苦しみながら、目をあげると、アブラハムとそのふところにいるラザロとが、はるかに見えた。 + そこで声をあげて言った、『父、アブラハムよ、わたしをあわれんでください。ラザロをおつかわしになって、その指先を水でぬらし、わたしの舌を冷やさせてください。わたしはこの火炎の中で苦しみもだえています』。 + アブラハムが言った、『子よ、思い出すがよい。あなたは生前よいものを受け、ラザロの方は悪いものを受けた。しかし今ここでは、彼は慰められ、あなたは苦しみもだえている。 + そればかりか、わたしたちとあなたがたとの間には大きな淵がおいてあって、こちらからあなたがたの方へ渡ろうと思ってもできないし、そちらからわたしたちの方へ越えて来ることもできない』。 + そこで金持が言った、『父よ、ではお願いします。わたしの父の家へラザロをつかわしてください。 + わたしに五人の兄弟がいますので、こんな苦しい所へ来ることがないように、彼らに警告していただきたいのです』。 + アブラハムは言った、『彼らにはモーセと預言者とがある。それに聞くがよかろう』。 + 金持が言った、『いえいえ、父アブラハムよ、もし死人の中からだれかが兄弟たちのところへ行ってくれましたら、彼らは悔い改めるでしょう』。 + アブラハムは言った、『もし彼らがモーセと預言者とに耳を傾けないなら、死人の中からよみがえってくる者があっても、彼らはその勧めを聞き入れはしないであろう』」。 + + + イエスは弟子たちに言われた、「罪の誘惑が来ることは避けられない。しかし、それをきたらせる者は、わざわいである。 + これらの小さい者のひとりを罪に誘惑するよりは、むしろ、ひきうすを首にかけられて海に投げ入れられた方が、ましである。 + あなたがたは、自分で注意していなさい。もしあなたの兄弟が罪を犯すなら、彼をいさめなさい。そして悔い改めたら、ゆるしてやりなさい。 + もしあなたに対して一日に七度罪を犯し、そして七度『悔い改めます』と言ってあなたのところへ帰ってくれば、ゆるしてやるがよい」。 + 使徒たちは主に「わたしたちの信仰を増してください」と言った。 + そこで主が言われた、「もし、からし種一粒ほどの信仰があるなら、この桑の木に、『抜け出して海に植われ』と言ったとしても、その言葉どおりになるであろう。 + あなたがたのうちのだれかに、耕作か牧畜かをする僕があるとする。その僕が畑から帰って来たとき、彼に『すぐきて、食卓につきなさい』と言うだろうか。 + かえって、『夕食の用意をしてくれ。そしてわたしが飲み食いをするあいだ、帯をしめて給仕をしなさい。そのあとで、飲み食いをするがよい』と、言うではないか。 + 僕が命じられたことをしたからといって、主人は彼に感謝するだろうか。 + 同様にあなたがたも、命じられたことを皆してしまったとき、『わたしたちはふつつかな僕です。すべき事をしたに過ぎません』と言いなさい」。 + イエスはエルサレムへ行かれるとき、サマリヤとガリラヤとの間を通られた。 + そして、ある村にはいられると、十人のらい病人に出会われたが、彼らは遠くの方で立ちとどまり、 + 声を張りあげて、「イエスさま、わたしたちをあわれんでください」と言った。 + イエスは彼らをごらんになって、「祭司たちのところに行って、からだを見せなさい」と言われた。そして、行く途中で彼らはきよめられた。 + そのうちのひとりは、自分がいやされたことを知り、大声で神をほめたたえながら帰ってきて、 + イエスの足もとにひれ伏して感謝した。これはサマリヤ人であった。 + イエスは彼にむかって言われた、「きよめられたのは、十人ではなかったか。ほかの九人は、どこにいるのか。 + 神をほめたたえるために帰ってきたものは、この他国人のほかにはいないのか」。 + それから、その人に言われた、「立って行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのだ」。 + 神の国はいつ来るのかと、パリサイ人が尋ねたので、イエスは答えて言われた、「神の国は、見られるかたちで来るものではない。 + また『見よ、ここにある』『あそこにある』などとも言えない。神の国は、実にあなたがたのただ中にあるのだ」。 + それから弟子たちに言われた、「あなたがたは、人の子の日を一日でも見たいと願っても見ることができない時が来るであろう。 + 人々はあなたがたに、『見よ、あそこに』『見よ、ここに』と言うだろう。しかし、そちらへ行くな、彼らのあとを追うな。 + いなずまが天の端からひかり出て天の端へとひらめき渡るように、人の子もその日には同じようであるだろう。 + しかし、彼はまず多くの苦しみを受け、またこの時代の人々に捨てられねばならない。 + そして、ノアの時にあったように、人の子の時にも同様なことが起るであろう。 + ノアが箱舟にはいる日まで、人々は食い、飲み、めとり、とつぎなどしていたが、そこへ洪水が襲ってきて、彼らをことごとく滅ぼした。 + ロトの時にも同じようなことが起った。人々は食い、飲み、買い、売り、植え、建てなどしていたが、 + ロトがソドムから出て行った日に、天から火と硫黄とが降ってきて、彼らをことごとく滅ぼした。 + 人の子が現れる日も、ちょうどそれと同様であろう。 + その日には、屋上にいる者は、自分の持ち物が家の中にあっても、取りにおりるな。畑にいる者も同じように、あとへもどるな。 + ロトの妻のことを思い出しなさい。 + 自分の命を救おうとするものは、それを失い、それを失うものは、保つのである。 + あなたがたに言っておく。その夜、ふたりの男が一つ寝床にいるならば、ひとりは取り去られ、他のひとりは残されるであろう。 + ふたりの女が一緒にうすをひいているならば、ひとりは取り去られ、他のひとりは残されるであろう。〔 + ふたりの男が畑におれば、ひとりは取り去られ、他のひとりは残されるであろう〕」。 + 弟子たちは「主よ、それはどこであるのですか」と尋ねた。するとイエスは言われた、「死体のある所には、またはげたかが集まるものである」。 + + + また、イエスは失望せずに常に祈るべきことを、人々に譬で教えられた。 + 「ある町に、神を恐れず、人を人とも思わぬ裁判官がいた。 + ところが、その同じ町にひとりのやもめがいて、彼のもとにたびたびきて、『どうぞ、わたしを訴える者をさばいて、わたしを守ってください』と願いつづけた。 + 彼はしばらくの間きき入れないでいたが、そののち、心のうちで考えた、『わたしは神をも恐れず、人を人とも思わないが、 + このやもめがわたしに面倒をかけるから、彼女のためになる裁判をしてやろう。そうしたら、絶えずやってきてわたしを悩ますことがなくなるだろう』」。 + そこで主は言われた、「この不義な裁判官の言っていることを聞いたか。 + まして神は、日夜叫び求める選民のために、正しいさばきをしてくださらずに長い間そのままにしておかれることがあろうか。 + あなたがたに言っておくが、神はすみやかにさばいてくださるであろう。しかし、人の子が来るとき、地上に信仰が見られるであろうか」。 + 自分を義人だと自任して他人を見下げている人たちに対して、イエスはまたこの譬をお話しになった。 + 「ふたりの人が祈るために宮に上った。そのひとりはパリサイ人であり、もうひとりは取税人であった。 + パリサイ人は立って、ひとりでこう祈った、『神よ、わたしはほかの人たちのような貪欲な者、不正な者、姦淫をする者ではなく、また、この取税人のような人間でもないことを感謝します。 + わたしは一週に二度断食しており、全収入の十分の一をささげています』。 + ところが、取税人は遠く離れて立ち、目を天にむけようともしないで、胸を打ちながら言った、『神様、罪人のわたしをおゆるしください』と。 + あなたがたに言っておく。神に義とされて自分の家に帰ったのは、この取税人であって、あのパリサイ人ではなかった。おおよそ、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう」。 + イエスにさわっていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちはそれを見て、彼らをたしなめた。 + するとイエスは幼な子らを呼び寄せて言われた、「幼な子らをわたしのところに来るままにしておきなさい、止めてはならない。神の国はこのような者の国である。 + よく聞いておくがよい。だれでも幼な子のように神の国を受けいれる者でなければ、そこにはいることは決してできない」。 + また、ある役人がイエスに尋ねた、「よき師よ、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。 + イエスは言われた、「なぜわたしをよき者と言うのか。神ひとりのほかによい者はいない。 + いましめはあなたの知っているとおりである、『姦淫するな、殺すな、盗むな、偽証を立てるな、父と母とを敬え』」。 + すると彼は言った、「それらのことはみな、小さい時から守っております」。 + イエスはこれを聞いて言われた、「あなたのする事がまだ一つ残っている。持っているものをみな売り払って、貧しい人々に分けてやりなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。 + 彼はこの言葉を聞いて非常に悲しんだ。大金持であったからである。 + イエスは彼の様子を見て言われた、「財産のある者が神の国にはいるのはなんとむずかしいことであろう。 + 富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。 + これを聞いた人々が、「それでは、だれが救われることができるのですか」と尋ねると、 + イエスは言われた、「人にはできない事も、神にはできる」。 + ペテロが言った、「ごらんなさい、わたしたちは自分のものを捨てて、あなたに従いました」。 + イエスは言われた、「よく聞いておくがよい。だれでも神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子を捨てた者は、 + 必ずこの時代ではその幾倍もを受け、また、きたるべき世では永遠の生命を受けるのである」。 + イエスは十二弟子を呼び寄せて言われた、「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子について預言者たちがしるしたことは、すべて成就するであろう。 + 人の子は異邦人に引きわたされ、あざけられ、はずかしめを受け、つばきをかけられ、 + また、むち打たれてから、ついに殺され、そして三日目によみがえるであろう」。 + 弟子たちには、これらのことが何一つわからなかった。この言葉が彼らに隠されていたので、イエスの言われた事が理解できなかった。 + イエスがエリコに近づかれたとき、ある盲人が道ばたにすわって、物ごいをしていた。 + 群衆が通り過ぎる音を耳にして、彼は何事があるのかと尋ねた。 + ところが、ナザレのイエスがお通りなのだと聞かされたので、 + 声をあげて、「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんで下さい」と言った。 + 先頭に立つ人々が彼をしかって黙らせようとしたが、彼はますます激しく叫びつづけた、「ダビデの子よ、わたしをあわれんで下さい」。 + そこでイエスは立ちどまって、その者を連れて来るように、とお命じになった。彼が近づいたとき、 + 「わたしに何をしてほしいのか」とおたずねになると、「主よ、見えるようになることです」と答えた。 + そこでイエスは言われた、「見えるようになれ。あなたの信仰があなたを救った」。 + すると彼は、たちまち見えるようになった。そして神をあがめながらイエスに従って行った。これを見て、人々はみな神をさんびした。 + + + さて、イエスはエリコにはいって、その町をお通りになった。 + ところが、そこにザアカイという名の人がいた。この人は取税人のかしらで、金持であった。 + 彼は、イエスがどんな人か見たいと思っていたが、背が低かったので、群衆にさえぎられて見ることができなかった。 + それでイエスを見るために、前の方に走って行って、いちじく桑の木に登った。そこを通られるところだったからである。 + イエスは、その場所にこられたとき、上を見あげて言われた、「ザアカイよ、急いで下りてきなさい。きょう、あなたの家に泊まることにしているから」。 + そこでザアカイは急いでおりてきて、よろこんでイエスを迎え入れた。 + 人々はみな、これを見てつぶやき、「彼は罪人の家にはいって客となった」と言った。 + ザアカイは立って主に言った、「主よ、わたしは誓って自分の財産の半分を貧民に施します。また、もしだれかから不正な取立てをしていましたら、それを四倍にして返します」。 + イエスは彼に言われた、「きょう、救がこの家にきた。この人もアブラハムの子なのだから。 + 人の子がきたのは、失われたものを尋ね出して救うためである」。 + 人々がこれらの言葉を聞いているときに、イエスはなお一つの譬をお話しになった。それはエルサレムに近づいてこられたし、また人々が神の国はたちまち現れると思っていたためである。 + それで言われた、「ある身分の高い人が、王位を受けて帰ってくるために遠い所へ旅立つことになった。 + そこで十人の僕を呼び十ミナを渡して言った、『わたしが帰って来るまで、これで商売をしなさい』。 + ところが、本国の住民は彼を憎んでいたので、あとから使者をおくって、『この人が王になるのをわれわれは望んでいない』と言わせた。 + さて、彼が王位を受けて帰ってきたとき、だれがどんなもうけをしたかを知ろうとして、金を渡しておいた僕たちを呼んでこさせた。 + 最初の者が進み出て言った、『ご主人様、あなたの一ミナで十ミナをもうけました』。 + 主人は言った、『よい僕よ、うまくやった。あなたは小さい事に忠実であったから、十の町を支配させる』。 + 次の者がきて言った、『ご主人様、あなたの一ミナで五ミナをつくりました』。 + そこでこの者にも、『では、あなたは五つの町のかしらになれ』と言った。 + それから、もうひとりの者がきて言った、『ご主人様、さあ、ここにあなたの一ミナがあります。わたしはそれをふくさに包んで、しまっておきました。 + あなたはきびしい方で、おあずけにならなかったものを取りたて、おまきにならなかったものを刈る人なので、おそろしかったのです』。 + 彼に言った、『悪い僕よ、わたしはあなたの言ったその言葉であなたをさばこう。わたしがきびしくて、あずけなかったものを取りたて、まかなかったものを刈る人間だと、知っているのか。 + では、なぜわたしの金を銀行に入れなかったのか。そうすれば、わたしが帰ってきたとき、その金を利子と一緒に引き出したであろうに』。 + そして、そばに立っていた人々に、『その一ミナを彼から取り上げて、十ミナを持っている者に与えなさい』と言った。 + 彼らは言った、『ご主人様、あの人は既に十ミナを持っています』。 + 『あなたがたに言うが、おおよそ持っている人には、なお与えられ、持っていない人からは、持っているものまでも取り上げられるであろう。 + しかしわたしが王になることを好まなかったあの敵どもを、ここにひっぱってきて、わたしの前で打ち殺せ』」。 + イエスはこれらのことを言ったのち、先頭に立ち、エルサレムへ上って行かれた。 + そしてオリブという山に沿ったベテパゲとベタニヤに近づかれたとき、ふたりの弟子をつかわして言われた、 + 「向こうの村へ行きなさい。そこにはいったら、まだだれも乗ったことのないろばの子がつないであるのを見るであろう。それを解いて、引いてきなさい。 + もしだれかが『なぜ解くのか』と問うたら、『主がお入り用なのです』と、そう言いなさい」。 + そこで、つかわされた者たちが行って見ると、果して、言われたとおりであった。 + 彼らが、そのろばの子を解いていると、その持ち主たちが、「なぜろばの子を解くのか」と言ったので、 + 「主がお入り用なのです」と答えた。 + そしてそれをイエスのところに引いてきて、その子ろばの上に自分たちの上着をかけてイエスをお乗せした。 + そして進んで行かれると、人々は自分たちの上着を道に敷いた。 + いよいよオリブ山の下り道あたりに近づかれると、大ぜいの弟子たちはみな喜んで、彼らが見たすべての力あるみわざについて、声高らかに神をさんびして言いはじめた、 + 「主の御名によってきたる王に、祝福あれ。天には平和、いと高きところには栄光あれ」。 + ところが、群衆の中にいたあるパリサイ人たちがイエスに言った、「先生、あなたの弟子たちをおしかり下さい」。 + 答えて言われた、「あなたがたに言うが、もしこの人たちが黙れば、石が叫ぶであろう」。 + いよいよ都の近くにきて、それが見えたとき、そのために泣いて言われた、 + 「もしおまえも、この日に、平和をもたらす道を知ってさえいたら……しかし、それは今おまえの目に隠されている。 + いつかは、敵が周囲に塁を築き、おまえを取りかこんで、四方から押し迫り、 + おまえとその内にいる子らとを地に打ち倒し、城内の一つの石も他の石の上に残して置かない日が来るであろう。それは、おまえが神のおとずれの時を知らないでいたからである」。 + それから宮にはいり、商売人たちを追い出しはじめて、 + 彼らに言われた、「『わが家は祈の家であるべきだ』と書いてあるのに、あなたがたはそれを盗賊の巣にしてしまった」。 + イエスは毎日、宮で教えておられた。祭司長、律法学者また民衆の重立った者たちはイエスを殺そうと思っていたが、 + 民衆がみな熱心にイエスに耳を傾けていたので、手のくだしようがなかった。 + + + ある日、イエスが宮で人々に教え、福音を宣べておられると、祭司長や律法学者たちが、長老たちと共に近寄ってきて、 + イエスに言った、「何の権威によってこれらの事をするのですか。そうする権威をあなたに与えたのはだれですか、わたしたちに言ってください」。 + そこで、イエスは答えて言われた、「わたしも、ひと言たずねよう。それに答えてほしい。 + ヨハネのバプテスマは、天からであったか、人からであったか」。 + 彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 + しかし、もし人からだと言えば、民衆はみな、ヨハネを預言者だと信じているから、わたしたちを石で打つだろう」。 + それで彼らは「どこからか、知りません」と答えた。 + イエスはこれに対して言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。 + そこでイエスは次の譬を民衆に語り出された、「ある人がぶどう園を造って農夫たちに貸し、長い旅に出た。 + 季節になったので、農夫たちのところへ、ひとりの僕を送って、ぶどう園の収穫の分け前を出させようとした。ところが、農夫たちは、その僕を袋だたきにし、から手で帰らせた。 + そこで彼はもうひとりの僕を送った。彼らはその僕も袋だたきにし、侮辱を加えて、から手で帰らせた。 + そこで更に三人目の者を送ったが、彼らはこの者も、傷を負わせて追い出した。 + ぶどう園の主人は言った、『どうしようか。そうだ、わたしの愛子をつかわそう。これなら、たぶん敬ってくれるだろう』。 + ところが、農夫たちは彼を見ると、『あれはあと取りだ。あれを殺してしまおう。そうしたら、その財産はわれわれのものになるのだ』と互に話し合い、 + 彼をぶどう園の外に追い出して殺した。そのさい、ぶどう園の主人は、彼らをどうするだろうか。 + 彼は出てきて、この農夫たちを殺し、ぶどう園を他の人々に与えるであろう」。人々はこれを聞いて、「そんなことがあってはなりません」と言った。 + そこで、イエスは彼らを見つめて言われた、「それでは、『家造りらの捨てた石が隅のかしら石になった』と書いてあるのは、どういうことか。 + すべてその石の上に落ちる者は打ち砕かれ、それがだれかの上に落ちかかるなら、その人はこなみじんにされるであろう」。 + このとき、律法学者たちや祭司長たちはイエスに手をかけようと思ったが、民衆を恐れた。いまの譬が自分たちに当てて語られたのだと、悟ったからである。 + そこで、彼らは機会をうかがい、義人を装うまわし者どもを送って、イエスを総督の支配と権威とに引き渡すため、その言葉じりを捕えさせようとした。 + 彼らは尋ねて言った、「先生、わたしたちは、あなたの語り教えられることが正しく、また、あなたは分け隔てをなさらず、真理に基いて神の道を教えておられることを、承知しています。 + ところで、カイザルに貢を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか」。 + イエスは彼らの悪巧みを見破って言われた、 + 「デナリを見せなさい。それにあるのは、だれの肖像、だれの記号なのか」。「カイザルのです」と、彼らが答えた。 + するとイエスは彼らに言われた、「それなら、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。 + そこで彼らは、民衆の前でイエスの言葉じりを捕えることができず、その答に驚嘆して、黙ってしまった。 + 復活ということはないと言い張っていたサドカイ人のある者たちが、イエスに近寄ってきて質問した、 + 「先生、モーセは、わたしたちのためにこう書いています、『もしある人の兄が妻をめとり、子がなくて死んだなら、弟はこの女をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。 + ところで、ここに七人の兄弟がいました。長男は妻をめとりましたが、子がなくて死に、 + そして次男、三男と、次々に、その女をめとり、 + 七人とも同様に、子をもうけずに死にました。 + のちに、その女も死にました。 + さて、復活の時には、この女は七人のうち、だれの妻になるのですか。七人とも彼女を妻にしたのですが」。 + イエスは彼らに言われた、「この世の子らは、めとったり、とついだりするが、 + かの世にはいって死人からの復活にあずかるにふさわしい者たちは、めとったり、とついだりすることはない。 + 彼らは天使に等しいものであり、また復活にあずかるゆえに、神の子でもあるので、もう死ぬことはあり得ないからである。 + 死人がよみがえることは、モーセも柴の篇で、主を『アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』と呼んで、これを示した。 + 神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である。人はみな神に生きるものだからである」。 + 律法学者のうちのある人々が答えて言った、「先生、仰せのとおりです」。 + 彼らはそれ以上何もあえて問いかけようとしなかった。 + イエスは彼らに言われた、「どうして人々はキリストをダビデの子だと言うのか。 + ダビデ自身が詩篇の中で言っている、『主はわが主に仰せになった、 + あなたの敵をあなたの足台とする時までは、わたしの右に座していなさい』。 + このように、ダビデはキリストを主と呼んでいる。それなら、どうしてキリストはダビデの子であろうか」。 + 民衆がみな聞いているとき、イエスは弟子たちに言われた、 + 「律法学者に気をつけなさい。彼らは長い衣を着て歩くのを好み、広場での敬礼や会堂の上席や宴会の上座をよろこび、 + やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。彼らはもっときびしいさばきを受けるであろう」。 + + + イエスは目をあげて、金持たちがさいせん箱に献金を投げ入れるのを見られ、 + また、ある貧しいやもめが、レプタ二つを入れるのを見て + 言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめはだれよりもたくさん入れたのだ。 + これらの人たちはみな、ありあまる中から献金を投げ入れたが、あの婦人は、その乏しい中から、持っている生活費全部を入れたからである」。 + ある人々が、見事な石と奉納物とで宮が飾られていることを話していたので、イエスは言われた、 + 「あなたがたはこれらのものをながめているが、その石一つでもくずされずに、他の石の上に残ることもなくなる日が、来るであろう」。 + そこで彼らはたずねた、「先生、では、いつそんなことが起るのでしょうか。またそんなことが起るような場合には、どんな前兆がありますか」。 + イエスが言われた、「あなたがたは、惑わされないように気をつけなさい。多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだとか、時が近づいたとか、言うであろう。彼らについて行くな。 + 戦争と騒乱とのうわさを聞くときにも、おじ恐れるな。こうしたことはまず起らねばならないが、終りはすぐにはこない」。 + それから彼らに言われた、「民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。 + また大地震があり、あちこちに疫病やききんが起り、いろいろ恐ろしいことや天からの物すごい前兆があるであろう。 + しかし、これらのあらゆる出来事のある前に、人々はあなたがたに手をかけて迫害をし、会堂や獄に引き渡し、わたしの名のゆえに王や総督の前にひっぱって行くであろう。 + それは、あなたがたがあかしをする機会となるであろう。 + だから、どう答弁しようかと、前もって考えておかないことに心を決めなさい。 + あなたの反対者のだれもが抗弁も否定もできないような言葉と知恵とを、わたしが授けるから。 + しかし、あなたがたは両親、兄弟、親族、友人にさえ裏切られるであろう。また、あなたがたの中で殺されるものもあろう。 + また、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。 + しかし、あなたがたの髪の毛一すじでも失われることはない。 + あなたがたは耐え忍ぶことによって、自分の魂をかち取るであろう。 + エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たならば、そのときは、その滅亡が近づいたとさとりなさい。 + そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。市中にいる者は、そこから出て行くがよい。また、いなかにいる者は市内にはいってはいけない。 + それは、聖書にしるされたすべての事が実現する刑罰の日であるからだ。 + その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。地上には大きな苦難があり、この民にはみ怒りが臨み、 + 彼らはつるぎの刃に倒れ、また捕えられて諸国へ引きゆかれるであろう。そしてエルサレムは、異邦人の時期が満ちるまで、彼らに踏みにじられているであろう。 + また日と月と星とに、しるしが現れるであろう。そして、地上では、諸国民が悩み、海と大波とのとどろきにおじ惑い、 + 人々は世界に起ろうとする事を思い、恐怖と不安で気絶するであろう。もろもろの天体が揺り動かされるからである。 + そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。 + これらの事が起りはじめたら、身を起し頭をもたげなさい。あなたがたの救が近づいているのだから」。 + それから一つの譬を話された、「いちじくの木を、またすべての木を見なさい。 + はや芽を出せば、あなたがたはそれを見て、夏がすでに近いと、自分で気づくのである。 + このようにあなたがたも、これらの事が起るのを見たなら、神の国が近いのだとさとりなさい。 + よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。 + 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は決して滅びることがない。 + あなたがたが放縦や、泥酔や、世の煩いのために心が鈍っているうちに、思いがけないとき、その日がわなのようにあなたがたを捕えることがないように、よく注意していなさい。 + その日は地の全面に住むすべての人に臨むのであるから。 + これらの起ろうとしているすべての事からのがれて、人の子の前に立つことができるように、絶えず目をさまして祈っていなさい」。 + イエスは昼のあいだは宮で教え、夜には出て行ってオリブという山で夜をすごしておられた。 + 民衆はみな、み教を聞こうとして、いつも朝早く宮に行き、イエスのもとに集まった。 + + + さて、過越といわれている除酵祭が近づいた。 + 祭司長たちや律法学者たちは、どうかしてイエスを殺そうと計っていた。民衆を恐れていたからである。 + そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテと呼ばれていたユダに、サタンがはいった。 + すなわち、彼は祭司長たちや宮守がしらたちのところへ行って、どうしてイエスを彼らに渡そうかと、その方法について協議した。 + 彼らは喜んで、ユダに金を与える取決めをした。 + ユダはそれを承諾した。そして、群衆のいないときにイエスを引き渡そうと、機会をねらっていた。 + さて、過越の小羊をほふるべき除酵祭の日がきたので、 + イエスはペテロとヨハネとを使いに出して言われた、「行って、過越の食事ができるように準備をしなさい」。 + 彼らは言った、「どこに準備をしたらよいのですか」。 + イエスは言われた、「市内にはいったら、水がめを持っている男に出会うであろう。その人がはいる家までついて行って、 + その家の主人に言いなさい、『弟子たちと一緒に過越の食事をする座敷はどこか、と先生が言っておられます』。 + すると、その主人は席の整えられた二階の広間を見せてくれるから、そこに用意をしなさい」。 + 弟子たちは出て行ってみると、イエスが言われたとおりであったので、過越の食事の用意をした。 + 時間になったので、イエスは食卓につかれ、使徒たちも共に席についた。 + イエスは彼らに言われた、「わたしは苦しみを受ける前に、あなたがたとこの過越の食事をしようと、切に望んでいた。 + あなたがたに言って置くが、神の国で過越が成就する時までは、わたしは二度と、この過越の食事をすることはない」。 + そして杯を取り、感謝して言われた、「これを取って、互に分けて飲め。 + あなたがたに言っておくが、今からのち神の国が来るまでは、わたしはぶどうの実から造ったものを、いっさい飲まない」。 + またパンを取り、感謝してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「これは、あなたがたのために与えるわたしのからだである。わたしを記念するため、このように行いなさい」。 + 食事ののち、杯も同じ様にして言われた、「この杯は、あなたがたのために流すわたしの血で立てられる新しい契約である。 + しかし、そこに、わたしを裏切る者が、わたしと一緒に食卓に手を置いている。 + 人の子は定められたとおりに、去って行く。しかし人の子を裏切るその人は、わざわいである」。 + 弟子たちは、自分たちのうちのだれが、そんな事をしようとしているのだろうと、互に論じはじめた。 + それから、自分たちの中でだれがいちばん偉いだろうかと言って、争論が彼らの間に、起った。 + そこでイエスが言われた、「異邦の王たちはその民の上に君臨し、また、権力をふるっている者たちは恩人と呼ばれる。 + しかし、あなたがたは、そうであってはならない。かえって、あなたがたの中でいちばん偉い人はいちばん若い者のように、指導する人は仕える者のようになるべきである。 + 食卓につく人と給仕する者と、どちらが偉いのか。食卓につく人の方ではないか。しかし、わたしはあなたがたの中で、給仕をする者のようにしている。 + あなたがたは、わたしの試錬のあいだ、わたしと一緒に最後まで忍んでくれた人たちである。 + それで、わたしの父が国の支配をわたしにゆだねてくださったように、わたしもそれをあなたがたにゆだね、 + わたしの国で食卓について飲み食いをさせ、また位に座してイスラエルの十二の部族をさばかせるであろう。 + シモン、シモン、見よ、サタンはあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って許された。 + しかし、わたしはあなたの信仰がなくならないように、あなたのために祈った。それで、あなたが立ち直ったときには、兄弟たちを力づけてやりなさい」。 + シモンが言った、「主よ、わたしは獄にでも、また死に至るまでも、あなたとご一緒に行く覚悟です」。 + するとイエスが言われた、「ペテロよ、あなたに言っておく。きょう、鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」。 + そして彼らに言われた、「わたしが財布も袋もくつも持たせずにあなたがたをつかわしたとき、何かこまったことがあったか」。彼らは、「いいえ、何もありませんでした」と答えた。 + そこで言われた、「しかし今は、財布のあるものは、それを持って行け。袋も同様に持って行け。また、つるぎのない者は、自分の上着を売って、それを買うがよい。 + あなたがたに言うが、『彼は罪人のひとりに数えられた』としるしてあることは、わたしの身に成しとげられねばならない。そうだ、わたしに係わることは成就している」。 + 弟子たちが言った、「主よ、ごらんなさい、ここにつるぎが二振りございます」。イエスは言われた、「それでよい」。 + イエスは出て、いつものようにオリブ山に行かれると、弟子たちも従って行った。 + いつもの場所に着いてから、彼らに言われた、「誘惑に陥らないように祈りなさい」。 + そしてご自分は、石を投げてとどくほど離れたところへ退き、ひざまずいて、祈って言われた、 + 「父よ、みこころならば、どうぞ、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの思いではなく、みこころが成るようにしてください」。 + そのとき、御使が天からあらわれてイエスを力づけた。 + イエスは苦しみもだえて、ますます切に祈られた。そして、その汗が血のしたたりのように地に落ちた。 + 祈を終えて立ちあがり、弟子たちのところへ行かれると、彼らが悲しみのはて寝入っているのをごらんになって + 言われた、「なぜ眠っているのか。誘惑に陥らないように、起きて祈っていなさい」。 + イエスがまだそう言っておられるうちに、そこに群衆が現れ、十二弟子のひとりでユダという者が先頭に立って、イエスに接吻しようとして近づいてきた。 + そこでイエスは言われた、「ユダ、あなたは接吻をもって人の子を裏切るのか」。 + イエスのそばにいた人たちは、事のなりゆきを見て、「主よ、つるぎで切りつけてやりましょうか」と言って、 + そのうちのひとりが、祭司長の僕に切りつけ、その右の耳を切り落した。 + イエスはこれに対して言われた、「それだけでやめなさい」。そして、その僕の耳に手を触て、おいやしになった。 + それから、自分にむかって来る祭司長、宮守がしら、長老たちに対して言われた、「あなたがたは、強盗にむかうように剣や棒を持って出てきたのか。 + 毎日あなたがたと一緒に宮にいた時には、わたしに手をかけなかった。だが、今はあなたがたの時、また、やみの支配の時である」。 + それから人々はイエスを捕え、ひっぱって大祭司の邸宅へつれて行った。ペテロは遠くからついて行った。 + 人々は中庭のまん中に火をたいて、一緒にすわっていたので、ペテロもその中にすわった。 + すると、ある女中が、彼が火のそばにすわっているのを見、彼を見つめて、「この人もイエスと一緒にいました」と言った。 + ペテロはそれを打ち消して、「わたしはその人を知らない」と言った。 + しばらくして、ほかの人がペテロを見て言った、「あなたもあの仲間のひとりだ」。するとペテロは言った、「いや、それはちがう」。 + 約一時間たってから、またほかの者が言い張った、「たしかにこの人もイエスと一緒だった。この人もガリラヤ人なのだから」。 + ペテロは言った、「あなたの言っていることは、わたしにわからない」。すると、彼がまだ言い終らぬうちに、たちまち、鶏が鳴いた。 + 主は振りむいてペテロを見つめられた。そのときペテロは、「きょう、鶏が鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われた主のお言葉を思い出した。 + そして外へ出て、激しく泣いた。 + イエスを監視していた人たちは、イエスを嘲弄し、打ちたたき、 + 目かくしをして、「言いあててみよ。打ったのは、だれか」ときいたりした。 + そのほか、いろいろな事を言って、イエスを愚弄した。 + 夜が明けたとき、人民の長老、祭司長たち、律法学者たちが集まり、イエスを議会に引き出して言った、 + 「あなたがキリストなら、そう言ってもらいたい」。イエスは言われた、「わたしが言っても、あなたがたは信じないだろう。 + また、わたしがたずねても、答えないだろう。 + しかし、人の子は今からのち、全能の神の右に座するであろう」。 + 彼らは言った、「では、あなたは神の子なのか」。イエスは言われた、「あなたがたの言うとおりである」。 + すると彼らは言った、「これ以上、なんの証拠がいるか。われわれは直接彼の口から聞いたのだから」。 + + + 群衆はみな立ちあがって、イエスをピラトのところへ連れて行った。 + そして訴え出て言った、「わたしたちは、この人が国民を惑わし、貢をカイザルに納めることを禁じ、また自分こそ王なるキリストだと、となえているところを目撃しました」。 + ピラトはイエスに尋ねた、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは「そのとおりである」とお答えになった。 + そこでピラトは祭司長たちと群衆とにむかって言った、「わたしはこの人になんの罪もみとめない」。 + ところが彼らは、ますます言いつのってやまなかった、「彼は、ガリラヤからはじめてこの所まで、ユダヤ全国にわたって教え、民衆を煽動しているのです」。 + ピラトはこれを聞いて、この人はガリラヤ人かと尋ね、 + そしてヘロデの支配下のものであることを確かめたので、ちょうどこのころ、ヘロデがエルサレムにいたのをさいわい、そちらへイエスを送りとどけた。 + ヘロデはイエスを見て非常に喜んだ。それは、かねてイエスのことを聞いていたので、会って見たいと長いあいだ思っていたし、またイエスが何か奇跡を行うのを見たいと望んでいたからである。 + それで、いろいろと質問を試みたが、イエスは何もお答えにならなかった。 + 祭司長たちと律法学者たちとは立って、激しい語調でイエスを訴えた。 + またヘロデはその兵卒どもと一緒になって、イエスを侮辱したり嘲弄したりしたあげく、はなやかな着物を着せてピラトへ送りかえした。 + ヘロデとピラトとは以前は互に敵視していたが、この日に親しい仲になった。 + ピラトは、祭司長たちと役人たちと民衆とを、呼び集めて言った、 + 「おまえたちは、この人を民衆を惑わすものとしてわたしのところに連れてきたので、おまえたちの面前でしらべたが、訴え出ているような罪は、この人に少しもみとめられなかった。 + ヘロデもまたみとめなかった。現に彼はイエスをわれわれに送りかえしてきた。この人はなんら死に当るようなことはしていないのである。 + だから、彼をむち打ってから、ゆるしてやることにしよう」。〔 + 祭ごとにピラトがひとりの囚人をゆるしてやることになっていた。〕 + ところが、彼らはいっせいに叫んで言った、「その人を殺せ。バラバをゆるしてくれ」。 + このバラバは、都で起った暴動と殺人とのかどで、獄に投ぜられていた者である。 + ピラトはイエスをゆるしてやりたいと思って、もう一度かれらに呼びかけた。 + しかし彼らは、わめきたてて「十字架につけよ、彼を十字架につけよ」と言いつづけた。 + ピラトは三度目に彼らにむかって言った、「では、この人は、いったい、どんな悪事をしたのか。彼には死に当る罪は全くみとめられなかった。だから、むち打ってから彼をゆるしてやることにしよう」。 + ところが、彼らは大声をあげて詰め寄り、イエスを十字架につけるように要求した。そして、その声が勝った。 + ピラトはついに彼らの願いどおりにすることに決定した。 + そして、暴動と殺人とのかどで獄に投ぜられた者の方を、彼らの要求に応じてゆるしてやり、イエスの方は彼らに引き渡して、その意のままにまかせた。 + 彼らがイエスをひいてゆく途中、シモンというクレネ人が郊外から出てきたのを捕えて十字架を負わせ、それをになってイエスのあとから行かせた。 + 大ぜいの民衆と、悲しみ嘆いてやまない女たちの群れとが、イエスに従って行った。 + イエスは女たちの方に振りむいて言われた、「エルサレムの娘たちよ、わたしのために泣くな。むしろ、あなたがた自身のため、また自分の子供たちのために泣くがよい。 + 『不妊の女と子を産まなかった胎と、ふくませなかった乳房とは、さいわいだ』と言う日が、いまに来る。 + そのとき、人々は山にむかって、われわれの上に倒れかかれと言い、また丘にむかって、われわれにおおいかぶされと言い出すであろう。 + もし、生木でさえもそうされるなら、枯木はどうされることであろう」。 + さて、イエスと共に刑を受けるために、ほかにふたりの犯罪人も引かれていった。 + されこうべと呼ばれている所に着くと、人々はそこでイエスを十字架につけ、犯罪人たちも、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけた。 + そのとき、イエスは言われた、「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」。人々はイエスの着物をくじ引きで分け合った。 + 民衆は立って見ていた。役人たちもあざ笑って言った、「彼は他人を救った。もし彼が神のキリスト、選ばれた者であるなら、自分自身を救うがよい」。 + 兵卒どももイエスをののしり、近寄ってきて酢いぶどう酒をさし出して言った、 + 「あなたがユダヤ人の王なら、自分を救いなさい」。 + イエスの上には、「これはユダヤ人の王」と書いた札がかけてあった。 + 十字架にかけられた犯罪人のひとりが、「あなたはキリストではないか。それなら、自分を救い、またわれわれも救ってみよ」と、イエスに悪口を言いつづけた。 + もうひとりは、それをたしなめて言った、「おまえは同じ刑を受けていながら、神を恐れないのか。 + お互は自分のやった事のむくいを受けているのだから、こうなったのは当然だ。しかし、このかたは何も悪いことをしたのではない」。 + そして言った、「イエスよ、あなたが御国の権威をもっておいでになる時には、わたしを思い出してください」。 + イエスは言われた、「よく言っておくが、あなたはきょう、わたしと一緒にパラダイスにいるであろう」。 + 時はもう昼の十二時ごろであったが、太陽は光を失い、全地は暗くなって、三時に及んだ。 + そして聖所の幕がまん中から裂けた。 + そのとき、イエスは声高く叫んで言われた、「父よ、わたしの霊をみ手にゆだねます」。こう言ってついに息を引きとられた。 + 百卒長はこの有様を見て、神をあがめ、「ほんとうに、この人は正しい人であった」と言った。 + この光景を見に集まってきた群衆も、これらの出来事を見て、みな胸を打ちながら帰って行った。 + すべてイエスを知っていた者や、ガリラヤから従ってきた女たちも、遠い所に立って、これらのことを見ていた。 + ここに、ヨセフという議員がいたが、善良で正しい人であった。 + この人はユダヤの町アリマタヤの出身で、神の国を待ち望んでいた。彼は議会の議決や行動には賛成していなかった。 + この人がピラトのところへ行って、イエスのからだの引取り方を願い出て、 + それを取りおろして亜麻布に包み、まだだれも葬ったことのない、岩を掘って造った墓に納めた。 + この日は準備の日であって、安息日が始まりかけていた。 + イエスと一緒にガリラヤからきた女たちは、あとについてきて、その墓を見、またイエスのからだが納められる様子を見とどけた。 + そして帰って、香料と香油とを用意した。それからおきてに従って安息日を休んだ。 + + + 週の初めの日、夜明け前に、女たちは用意しておいた香料を携えて、墓に行った。 + ところが、石が墓からころがしてあるので、 + 中にはいってみると、主イエスのからだが見当らなかった。 + そのため途方にくれていると、見よ、輝いた衣を着たふたりの者が、彼らに現れた。 + 女たちは驚き恐れて、顔を地に伏せていると、このふたりの者が言った、「あなたがたは、なぜ生きた方を死人の中にたずねているのか。 + そのかたは、ここにはおられない。よみがえられたのだ。まだガリラヤにおられたとき、あなたがたにお話しになったことを思い出しなさい。 + すなわち、人の子は必ず罪人らの手に渡され、十字架につけられ、そして三日目によみがえる、と仰せられたではないか」。 + そこで女たちはその言葉を思い出し、 + 墓から帰って、これらいっさいのことを、十一弟子や、その他みんなの人に報告した。 + この女たちというのは、マグダラのマリヤ、ヨハンナ、およびヤコブの母マリヤであった。彼女たちと一緒にいたほかの女たちも、このことを使徒たちに話した。 + ところが、使徒たちには、それが愚かな話のように思われて、それを信じなかった。〔 + ペテロは立って墓へ走って行き、かがんで中を見ると、亜麻布だけがそこにあったので、事の次第を不思議に思いながら帰って行った。〕 + この日、ふたりの弟子が、エルサレムから七マイルばかり離れたエマオという村へ行きながら、 + このいっさいの出来事について互に語り合っていた。 + 語り合い論じ合っていると、イエスご自身が近づいてきて、彼らと一緒に歩いて行かれた。 + しかし、彼らの目がさえぎられて、イエスを認めることができなかった。 + イエスは彼らに言われた、「歩きながら互に語り合っているその話は、なんのことなのか」。彼らは悲しそうな顔をして立ちどまった。 + そのひとりのクレオパという者が、答えて言った、「あなたはエルサレムに泊まっていながら、あなただけが、この都でこのごろ起ったことをご存じないのですか」。 + 「それは、どんなことか」と言われると、彼らは言った、「ナザレのイエスのことです。あのかたは、神とすべての民衆との前で、わざにも言葉にも力ある預言者でしたが、 + 祭司長たちや役人たちが、死刑に処するために引き渡し、十字架につけたのです。 + わたしたちは、イスラエルを救うのはこの人であろうと、望みをかけていました。しかもその上に、この事が起ってから、きょうが三日目なのです。 + ところが、わたしたちの仲間である数人の女が、わたしたちを驚かせました。というのは、彼らが朝早く墓に行きますと、 + イエスのからだが見当らないので、帰ってきましたが、そのとき御使が現れて、『イエスは生きておられる』と告げたと申すのです。 + それで、わたしたちの仲間が数人、墓に行って見ますと、果して女たちが言ったとおりで、イエスは見当りませんでした」。 + そこでイエスが言われた、「ああ、愚かで心のにぶいため、預言者たちが説いたすべての事を信じられない者たちよ。 + キリストは必ず、これらの苦難を受けて、その栄光に入るはずではなかったのか」。 + こう言って、モーセやすべての預言者からはじめて、聖書全体にわたり、ご自身についてしるしてある事どもを、説きあかされた。 + それから、彼らは行こうとしていた村に近づいたが、イエスがなお先へ進み行かれる様子であった。 + そこで、しいて引き止めて言った、「わたしたちと一緒にお泊まり下さい。もう夕暮になっており、日もはや傾いています」。イエスは、彼らと共に泊まるために、家にはいられた。 + 一緒に食卓につかれたとき、パンを取り、祝福してさき、彼らに渡しておられるうちに、 + 彼らの目が開けて、それがイエスであることがわかった。すると、み姿が見えなくなった。 + 彼らは互に言った、「道々お話しになったとき、また聖書を説き明してくださったとき、お互の心が内に燃えたではないか」。 + そして、すぐに立ってエルサレムに帰って見ると、十一弟子とその仲間が集まっていて、 + 「主は、ほんとうによみがえって、シモンに現れなさった」と言っていた。 + そこでふたりの者は、途中であったことや、パンをおさきになる様子でイエスだとわかったことなどを話した。 + こう話していると、イエスが彼らの中にお立ちになった。〔そして「やすかれ」と言われた。〕 + 彼らは恐れ驚いて、霊を見ているのだと思った。 + そこでイエスが言われた、「なぜおじ惑っているのか。どうして心に疑いを起すのか。 + わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ」。〔 + こう言って、手と足とをお見せになった。〕 + 彼らは喜びのあまり、まだ信じられないで不思議に思っていると、イエスが「ここに何か食物があるか」と言われた。 + 彼らが焼いた魚の一きれをさしあげると、 + イエスはそれを取って、みんなの前で食べられた。 + それから彼らに対して言われた、「わたしが以前あなたがたと一緒にいた時分に話して聞かせた言葉は、こうであった。すなわち、モーセの律法と預言書と詩篇とに、わたしについて書いてあることは、必ずことごとく成就する」。 + そこでイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心を開いて + 言われた、「こう、しるしてある。キリストは苦しみを受けて、三日目に死人の中からよみがえる。 + そして、その名によって罪のゆるしを得させる悔改めが、エルサレムからはじまって、もろもろの国民に宣べ伝えられる。 + あなたがたは、これらの事の証人である。 + 見よ、わたしの父が約束されたものを、あなたがたに贈る。だから、上から力を授けられるまでは、あなたがたは都にとどまっていなさい」。 + それから、イエスは彼らをベタニヤの近くまで連れて行き、手をあげて彼らを祝福された。 + 祝福しておられるうちに、彼らを離れて、〔天にあげられた。〕 + 彼らは〔イエスを拝し、〕非常な喜びをもってエルサレムに帰り、 + 絶えず宮にいて、神をほめたたえていた。 + +
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+ + 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。 + この言は初めに神と共にあった。 + すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。 + この言に命があった。そしてこの命は人の光であった。 + 光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。 + ここにひとりの人があって、神からつかわされていた。その名をヨハネと言った。 + この人はあかしのためにきた。光についてあかしをし、彼によってすべての人が信じるためである。 + 彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。 + すべての人を照すまことの光があって、世にきた。 + 彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。 + 彼は自分のところにきたのに、自分の民は彼を受けいれなかった。 + しかし、彼を受けいれた者、すなわち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである。 + それらの人は、血すじによらず、肉の欲によらず、また、人の欲にもよらず、ただ神によって生れたのである。 + そして言は肉体となり、わたしたちのうちに宿った。わたしたちはその栄光を見た。それは父のひとり子としての栄光であって、めぐみとまこととに満ちていた。 + ヨハネは彼についてあかしをし、叫んで言った、「『わたしのあとに来るかたは、わたしよりもすぐれたかたである。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この人のことである」。 + わたしたちすべての者は、その満ち満ちているものの中から受けて、めぐみにめぐみを加えられた。 + 律法はモーセをとおして与えられ、めぐみとまこととは、イエス・キリストをとおしてきたのである。 + 神を見た者はまだひとりもいない。ただ父のふところにいるひとり子なる神だけが、神をあらわしたのである。 + さて、ユダヤ人たちが、エルサレムから祭司たちやレビ人たちをヨハネのもとにつかわして、「あなたはどなたですか」と問わせたが、その時ヨハネが立てたあかしは、こうであった。 + すなわち、彼は告白して否まず、「わたしはキリストではない」と告白した。 + そこで、彼らは問うた、「それでは、どなたなのですか、あなたはエリヤですか」。彼は「いや、そうではない」と言った。「では、あの預言者ですか」。彼は「いいえ」と答えた。 + そこで、彼らは言った、「あなたはどなたですか。わたしたちをつかわした人々に、答を持って行けるようにしていただきたい。あなた自身をだれだと考えるのですか」。 + 彼は言った、「わたしは、預言者イザヤが言ったように、『主の道をまっすぐにせよと荒野で呼ばわる者の声』である」。 + つかわされた人たちは、パリサイ人であった。 + 彼らはヨハネに問うて言った、「では、あなたがキリストでもエリヤでもまたあの預言者でもないのなら、なぜバプテスマを授けるのですか」。 + ヨハネは彼らに答えて言った、「わたしは水でバプテスマを授けるが、あなたがたの知らないかたが、あなたがたの中に立っておられる。 + それがわたしのあとにあとにおいでになる方であって、わたしはその人のくつのひもを解く値うちもない」。 + これらのことは、ヨハネがバプテスマを授けていたヨルダンの向こうのベタニヤであったのである。 + その翌日、ヨハネはイエスが自分の方にこられるのを見て言った、「見よ、世の罪を取り除く神の小羊。 + 『わたしのあとに来るかたは、わたしよりもすぐれたかたである。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この人のことである。 + わたしはこのかたを知らなかった。しかし、このかたがイスラエルに現れてくださるそのことのために、わたしはきて、水でバプテスマを授けているのである」。 + ヨハネはまたあかしをして言った、「わたしは、御霊がはとのように天から下って、彼の上にとどまるのを見た。 + わたしはこの人を知らなかった。しかし、水でバプテスマを授けるようにと、わたしをおつかわしになったそのかたが、わたしに言われた、『ある人の上に、御霊が下ってとどまるのを見たら、その人こそは、御霊によってバプテスマを授けるかたである』。 + わたしはそれを見たので、このかたこそ神の子であると、あかしをしたのである」。 + その翌日、ヨハネはまたふたりの弟子たちと一緒に立っていたが、 + イエスが歩いておられるのに目をとめて言った、「見よ、神の小羊」。 + そのふたりの弟子は、ヨハネがそう言うのを聞いて、イエスについて行った。 + イエスはふり向き、彼らがついてくるのを見て言われた、「何か願いがあるのか」。彼らは言った、「ラビ(訳して言えば、先生)どこにおとまりなのですか」。 + イエスは彼らに言われた、「きてごらんなさい。そうしたらわかるだろう」。そこで彼らはついて行って、イエスの泊まっておられる所を見た。そして、その日はイエスのところに泊まった。時は午後四時ごろであった。 + ヨハネから聞いて、イエスについて行ったふたりのうちのひとりは、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。 + 彼はまず自分の兄弟シモンに出会って言った、「わたしたちはメシヤ(訳せば、キリスト)にいま出会った」。 + そしてシモンをイエスのもとにつれてきた。イエスは彼に目をとめて言われた、「あなたはヨハネの子シモンである。あなたをケパ(訳せば、ペテロ)と呼ぶことにする」。 + その翌日、イエスはガリラヤに行こうとされたが、ピリポに出会って言われた、「わたしに従ってきなさい」。 + ピリポは、アンデレとペテロとの町ベツサイダの人であった。 + このピリポがナタナエルに出会って言った、「わたしたちは、モーセが律法の中にしるしており、預言者たちがしるしていた人、ヨセフの子、ナザレのイエスにいま出会った」。 + ナタナエルは彼に言った、「ナザレから、なんのよいものが出ようか」。ピリポは彼に言った、「きて見なさい」。 + イエスはナタナエルが自分の方に来るのを見て、彼について言われた、「見よ、あの人こそ、ほんとうのイスラエル人である。その心には偽りがない」。 + ナタナエルは言った、「どうしてわたしをご存じなのですか」。イエスは答えて言われた、「ピリポがあなたを呼ぶ前に、わたしはあなたが、いちじくの木の下にいるのを見た」。 + ナタナエルは答えた、「先生、あなたは神の子です。あなたはイスラエルの王です」。 + イエスは答えて言われた、「あなたが、いちじくの木の下にいるのを見たと、わたしが言ったので信じるのか。これよりも、もっと大きなことを、あなたは見るであろう」。 + また言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。天が開けて、神の御使たちが人の子の上に上り下りするのを、あなたがたは見るであろう」。 + + + 三日目にガリラヤのカナに婚礼があって、イエスの母がそこにいた。 + イエスも弟子たちも、その婚礼に招かれた。 + ぶどう酒がなくなったので、母はイエスに言った、「ぶどう酒がなくなってしまいました」。 + イエスは母に言われた、「婦人よ、あなたは、わたしと、なんの係わりがありますか。わたしの時は、まだきていません」。 + 母は僕たちに言った、「このかたが、あなたがたに言いつけることは、なんでもして下さい」。 + そこには、ユダヤ人のきよめのならわしに従って、それぞれ四、五斗もはいる石の水がめが、六つ置いてあった。 + イエスは彼らに「かめに水をいっぱい入れなさい」と言われたので、彼らは口のところまでいっぱいに入れた。 + そこで彼らに言われた、「さあ、くんで、料理がしらのところに持って行きなさい」。すると、彼らは持って行った。 + 料理がしらは、ぶどう酒になった水をなめてみたが、それがどこからきたのか知らなかったので、(水をくんだ僕たちは知っていた)花婿を呼んで + 言った、「どんな人でも、初めによいぶどう酒を出して、酔いがまわったころにわるいのを出すものだ。それだのに、あなたはよいぶどう酒を今までとっておかれました」。 + イエスは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行い、その栄光を現された。そして弟子たちはイエスを信じた。 + そののち、イエスは、その母、兄弟たち、弟子たちと一緒に、カペナウムに下って、幾日かそこにとどまられた。 + さて、ユダヤ人の過越の祭が近づいたので、イエスはエルサレムに上られた。 + そして牛、羊、はとを売る者や両替する者などが宮の庭にすわり込んでいるのをごらんになって、 + なわでむちを造り、羊も牛もみな宮から追いだし、両替人の金を散らし、その台をひっくりかえし、 + はとを売る人々には「これらのものを持って、ここから出て行け。わたしの父の家を商売の家とするな」と言われた。 + 弟子たちは、「あなたの家を思う熱心が、わたしを食いつくすであろう」と書いてあることを思い出した。 + そこで、ユダヤ人はイエスに言った、「こんなことをするからには、どんなしるしをわたしたちに見せてくれますか」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「この神殿をこわしたら、わたしは三日のうちに、それを起すであろう」。 + そこで、ユダヤ人たちは言った、「この神殿を建てるのには、四十六年もかかっています。それだのに、あなたは三日のうちに、それを建てるのですか」。 + イエスは自分のからだである神殿のことを言われたのである。 + それで、イエスが死人の中からよみがえったとき、弟子たちはイエスがこう言われたことを思い出して、聖書とイエスのこの言葉とを信じた。 + 過越の祭の間、イエスがエルサレムに滞在しておられたとき、多くの人々は、その行われたしるしを見て、イエスの名を信じた。 + しかしイエスご自身は、彼らに自分をお任せにならなかった。それは、すべての人を知っておられ、 + また人についてあかしする者を、必要とされなかったからである。それは、ご自身人の心の中にあることを知っておられたからである。 + + + パリサイ人のひとりで、その名をニコデモというユダヤ人の指導者があった。 + この人が夜イエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちはあなたが神からこられた教師であることを知っています。神がご一緒でないなら、あなたがなさっておられるようなしるしは、だれにもできはしません」。 + イエスは答えて言われた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」。 + ニコデモは言った、「人は年をとってから生れることが、どうしてできますか。もう一度、母の胎にはいって生れることができましょうか」。 + イエスは答えられた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。 + 肉から生れる者は肉であり、霊から生れる者は霊である。 + あなたがたは新しく生れなければならないと、わたしが言ったからとて、不思議に思うには及ばない。 + 風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。 + ニコデモはイエスに答えて言った、「どうして、そんなことがあり得ましょうか」。 + イエスは彼に答えて言われた、「あなたはイスラエルの教師でありながら、これぐらいのことがわからないのか。 + よくよく言っておく。わたしたちは自分の知っていることを語り、また自分の見たことをあかししているのに、あなたがたはわたしたちのあかしを受けいれない。 + わたしが地上のことを語っているのに、あなたがたが信じないならば、天上のことを語った場合、どうしてそれを信じるだろうか。 + 天から下ってきた者、すなわち人の子のほかには、だれも天に上った者はない。 + そして、ちょうどモーセが荒野でへびを上げたように、人の子もまた上げられなければならない。 + それは彼を信じる者が、すべて永遠の命を得るためである」。 + 神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。 + 神が御子を世につかわされたのは、世をさばくためではなく、御子によって、この世が救われるためである。 + 彼を信じる者は、さばかれない。信じない者は、すでにさばかれている。神のひとり子の名を信じることをしないからである。 + そのさばきというのは、光がこの世にきたのに、人々はそのおこないが悪いために、光よりもやみの方を愛したことである。 + 悪を行っている者はみな光を憎む。そして、そのおこないが明るみに出されるのを恐れて、光にこようとはしない。 + しかし、真理を行っている者は光に来る。その人のおこないの、神にあってなされたということが、明らかにされるためである。 + こののち、イエスは弟子たちとユダヤの地に行き、彼らと一緒にそこに滞在して、バプテスマを授けておられた。 + ヨハネもサリムに近いアイノンで、バプテスマを授けていた。そこには水がたくさんあったからである。人々がぞくぞくとやってきてバプテスマを受けていた。 + そのとき、ヨハネはまだ獄に入れられてはいなかった。 + ところが、ヨハネの弟子たちとひとりのユダヤ人との間に、きよめのことで争論が起った。 + そこで彼らはヨハネのところにきて言った、「先生、ごらん下さい。ヨルダンの向こうであなたと一緒にいたことがあり、そして、あなたがあかしをしておられたあのかたが、バプテスマを授けており、皆の者が、そのかたのところへ出かけています」。 + ヨハネは答えて言った、「人は天から与えられなければ、何ものも受けることはできない。 + 『わたしはキリストではなく、そのかたよりも先につかわされた者である』と言ったことをあかししてくれるのは、あなたがた自身である。 + 花嫁をもつ者は花婿である。花婿の友人は立って彼の声を聞き、その声を聞いて大いに喜ぶ。こうして、この喜びはわたしに満ち足りている。 + 彼は必ず栄え、わたしは衰える。 + 上から来る者は、すべてのものの上にある。地から出る者は、地に属する者であって、地のことを語る。天から来る者は、すべてのものの上にある。 + 彼はその見たところ、聞いたところをあかししているが、だれもそのあかしを受けいれない。 + しかし、そのあかしを受けいれる者は、神がまことであることを、たしかに認めたのである。 + 神がおつかわしになったかたは、神の言葉を語る。神は聖霊を限りなく賜うからである。 + 父は御子を愛して、万物をその手にお与えになった。 + 御子を信じる者は永遠の命をもつ。御子に従わない者は、命にあずかることがないばかりか、神の怒りがその上にとどまるのである」。 + + + イエスが、ヨハネよりも多く弟子をつくり、またバプテスマを授けておられるということを、パリサイ人たちが聞き、それを主が知られたとき、 + (しかし、イエスみずからが、バプテスマをお授けになったのではなく、その弟子たちであった) + ユダヤを去って、またガリラヤへ行かれた。 + しかし、イエスはサマリヤを通過しなければならなかった。 + そこで、イエスはサマリヤのスカルという町においでになった。この町は、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにあったが、 + そこにヤコブの井戸があった。イエスは旅の疲れを覚えて、そのまま、この井戸のそばにすわっておられた。時は昼の十二時ごろであった。 + ひとりのサマリヤの女が水をくみにきたので、イエスはこの女に、「水を飲ませて下さい」と言われた。 + 弟子たちは食物を買いに町に行っていたのである。 + すると、サマリヤの女はイエスに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、どうしてサマリヤの女のわたしに、飲ませてくれとおっしゃるのですか」。これは、ユダヤ人はサマリヤ人と交際していなかったからである。 + イエスは答えて言われた、「もしあなたが神の賜物のことを知り、また、『水を飲ませてくれ』と言った者が、だれであるか知っていたならば、あなたの方から願い出て、その人から生ける水をもらったことであろう」。 + 女はイエスに言った、「主よ、あなたは、くむ物をお持ちにならず、その上、井戸は深いのです。その生ける水を、どこから手に入れるのですか。 + あなたは、この井戸を下さったわたしたちの父ヤコブよりも、偉いかたなのですか。ヤコブ自身も飲み、その子らも、その家畜も、この井戸から飲んだのですが」。 + イエスは女に答えて言われた、「この水を飲む者はだれでも、またかわくであろう。 + しかし、わたしが与える水を飲む者は、いつまでも、かわくことがないばかりか、わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が、わきあがるであろう」。 + 女はイエスに言った、「主よ、わたしがかわくことがなく、また、ここにくみにこなくてもよいように、その水をわたしに下さい」。 + イエスは女に言われた、「あなたの夫を呼びに行って、ここに連れてきなさい」。 + 女は答えて言った、「わたしには夫はありません」。イエスは女に言われた、「夫がないと言ったのは、もっともだ。 + あなたには五人の夫があったが、今のはあなたの夫ではない。あなたの言葉のとおりである」。 + 女はイエスに言った、「主よ、わたしはあなたを預言者と見ます。 + わたしたちの先祖は、この山で礼拝をしたのですが、あなたがたは礼拝すべき場所は、エルサレムにあると言っています」。 + イエスは女に言われた、「女よ、わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが、この山でも、またエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。 + あなたがたは自分の知らないものを拝んでいるが、わたしたちは知っているかたを礼拝している。救はユダヤ人から来るからである。 + しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊とまこととをもって父を礼拝する時が来る。そうだ、今きている。父は、このような礼拝をする者たちを求めておられるからである。 + 神は霊であるから、礼拝をする者も、霊とまこととをもって礼拝すべきである」。 + 女はイエスに言った、「わたしは、キリストと呼ばれるメシヤがこられることを知っています。そのかたがこられたならば、わたしたちに、いっさいのことを知らせて下さるでしょう」。 + イエスは女に言われた、「あなたと話をしているこのわたしが、それである」。 + そのとき、弟子たちが帰って来て、イエスがひとりの女と話しておられるのを見て不思議に思ったが、しかし、「何を求めておられますか」とも、「何を彼女と話しておられるのですか」とも、尋ねる者はひとりもなかった。 + この女は水がめをそのままそこに置いて町に行き、人々に言った、 + 「わたしのしたことを何もかも、言いあてた人がいます。さあ、見にきてごらんなさい。もしかしたら、この人がキリストかも知れません」。 + 人々は町を出て、ぞくぞくとイエスのところへ行った。 + その間に弟子たちはイエスに、「先生、召しあがってください」とすすめた。 + ところが、イエスは言われた、「わたしには、あなたがたの知らない食物がある」。 + そこで、弟子たちが互に言った、「だれかが、何か食べるものを持ってきてさしあげたのであろうか」。 + イエスは彼らに言われた、「わたしの食物というのは、わたしをつかわされたかたのみこころを行い、そのみわざをなし遂げることである。 + あなたがたは、刈入れ時が来るまでには、まだ四か月あると、言っているではないか。しかし、わたしはあなたがたに言う。目をあげて畑を見なさい。はや色づいて刈入れを待っている。 + 刈る者は報酬を受けて、永遠の命に至る実を集めている。まく者も刈る者も、共々に喜ぶためである。 + そこで、『ひとりがまき、ひとりが刈る』ということわざが、ほんとうのこととなる。 + わたしは、あなたがたをつかわして、あなたがたがそのために労苦しなかったものを刈りとらせた。ほかの人々が労苦し、あなたがたは、彼らの労苦の実にあずかっているのである」。 + さて、この町からきた多くのサマリヤ人は、「この人は、わたしのしたことを何もかも言いあてた」とあかしした女の言葉によって、イエスを信じた。 + そこで、サマリヤ人たちはイエスのもとにきて、自分たちのところに滞在していただきたいと願ったので、イエスはそこにふつか滞在された。 + そしてなお多くの人々が、イエスの言葉を聞いて信じた。 + 彼らは女に言った、「わたしたちが信じるのは、もうあなたが話してくれたからではない。自分自身で親しく聞いて、この人こそまことに世の救主であることが、わかったからである」。 + ふつかの後に、イエスはここを去ってガリラヤへ行かれた。 + イエスはみずからはっきり、「預言者は自分の故郷では敬われないものだ」と言われたのである。 + ガリラヤに着かれると、ガリラヤの人たちはイエスを歓迎した。それは、彼らも祭に行っていたので、その祭の時、イエスがエルサレムでなされたことをことごとく見ていたからである。 + イエスは、またガリラヤのカナに行かれた。そこは、かつて水をぶどう酒にかえられた所である。ところが、病気をしているむすこを持つある役人がカペナウムにいた。 + この人が、ユダヤからガリラヤにイエスのきておられることを聞き、みもとにきて、カペナウムに下って、彼の子をなおしていただきたいと、願った。その子が死にかかっていたからである。 + そこで、イエスは彼に言われた、「あなたがたは、しるしと奇跡とを見ない限り、決して信じないだろう」。 + この役人はイエスに言った、「主よ、どうぞ、子供が死なないうちにきて下さい」。 + イエスは彼に言われた、「お帰りなさい。あなたのむすこは助かるのだ」。彼は自分に言われたイエスの言葉を信じて帰って行った。 + その下って行く途中、僕たちが彼に出会い、その子が助かったことを告げた。 + そこで、彼は僕たちに、そのなおりはじめた時刻を尋ねてみたら、「きのうの午後一時に熱が引きました」と答えた。 + それは、イエスが「あなたのむすこは助かるのだ」と言われたのと同じ時刻であったことを、この父は知って、彼自身もその家族一同も信じた。 + これは、イエスがユダヤからガリラヤにきてなされた第二のしるしである。 + + + こののち、ユダヤ人の祭があったので、イエスはエルサレムに上られた。 + エルサレムにある羊の門のそばに、ヘブル語でベテスダと呼ばれる池があった。そこには五つの廊があった。 + その廊の中には、病人、盲人、足なえ、やせ衰えた者などが、大ぜいからだを横たえていた。〔彼らは水の動くのを待っていたのである。 + それは、時々、主の御使がこの池に降りてきて水を動かすことがあるが、水が動いた時まっ先にはいる者は、どんな病気にかかっていても、いやされたからである。〕 + さて、そこに三十八年のあいだ、病気に悩んでいる人があった。 + イエスはその人が横になっているのを見、また長い間わずらっていたのを知って、その人に「なおりたいのか」と言われた。 + この病人はイエスに答えた、「主よ、水が動く時に、わたしを池の中に入れてくれる人がいません。わたしがはいりかけると、ほかの人が先に降りて行くのです」。 + イエスは彼に言われた、「起きて、あなたの床を取りあげ、そして歩きなさい」。 + すると、この人はすぐにいやされ、床をとりあげて歩いて行った。その日は安息日であった。 + そこでユダヤ人たちは、そのいやされた人に言った、「きょうは安息日だ。床を取りあげるのは、よろしくない」。 + 彼は答えた、「わたしをなおして下さったかたが、床を取りあげて歩けと、わたしに言われました」。 + 彼らは尋ねた、「取りあげて歩けと言った人は、だれか」。 + しかし、このいやされた人は、それがだれであるか知らなかった。群衆がその場にいたので、イエスはそっと出て行かれたからである。 + そののち、イエスは宮でその人に出会ったので、彼に言われた、「ごらん、あなたはよくなった。もう罪を犯してはいけない。何かもっと悪いことが、あなたの身に起るかも知れないから」。 + 彼は出て行って、自分をいやしたのはイエスであったと、ユダヤ人たちに告げた。 + そのためユダヤ人たちは、安息日にこのようなことをしたと言って、イエスを責めた。 + そこで、イエスは彼らに答えられた、「わたしの父は今に至るまで働いておられる。わたしも働くのである」。 + このためにユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうと計るようになった。それは、イエスが安息日を破られたばかりではなく、神を自分の父と呼んで、自分を神と等しいものとされたからである。 + さて、イエスは彼らに答えて言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。子は父のなさることを見てする以外に、自分からは何事もすることができない。父のなさることであればすべて、子もそのとおりにするのである。 + なぜなら、父は子を愛して、みずからなさることは、すべて子にお示しになるからである。そして、それよりもなお大きなわざを、お示しになるであろう。あなたがたが、それによって不思議に思うためである。 + すなわち、父が死人を起して命をお与えになるように、子もまた、そのこころにかなう人々に命を与えるであろう。 + 父はだれをもさばかない。さばきのことはすべて、子にゆだねられたからである。 + それは、すべての人が父を敬うと同様に、子を敬うためである。子を敬わない者は、子をつかわされた父をも敬わない。 + よくよくあなたがたに言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしをつかわされたかたを信じる者は、永遠の命を受け、またさばかれることがなく、死から命に移っているのである。 + よくよくあなたがたに言っておく。死んだ人たちが、神の子の声を聞く時が来る。今すでにきている。そして聞く人は生きるであろう。 + それは、父がご自分のうちに生命をお持ちになっていると同様に、子にもまた、自分のうちに生命を持つことをお許しになったからである。 + そして子は人の子であるから、子にさばきを行う権威をお与えになった。 + このことを驚くには及ばない。墓の中にいる者たちがみな神の子の声を聞き、 + 善をおこなった人々は、生命を受けるためによみがえり、悪をおこなった人々は、さばきを受けるためによみがえって、それぞれ出てくる時が来るであろう。 + わたしは、自分からは何事もすることができない。ただ聞くままにさばくのである。そして、わたしのこのさばきは正しい。それは、わたし自身の考えでするのではなく、わたしをつかわされたかたの、み旨を求めているからである。 + もし、わたしが自分自身についてあかしをするならば、わたしのあかしはほんとうではない。 + わたしについてあかしをするかたはほかにあり、そして、その人がするあかしがほんとうであることを、わたしは知っている。 + あなたがたはヨハネのもとへ人をつかわしたが、そのとき彼は真理についてあかしをした。 + わたしは人からあかしを受けないが、このことを言うのは、あなたがたが救われるためである。 + ヨハネは燃えて輝くあかりであった。あなたがたは、しばらくの間その光を喜び楽しもうとした。 + しかし、わたしには、ヨハネのあかしよりも、もっと力あるあかしがある。父がわたしに成就させようとしてお与えになったわざ、すなわち、今わたしがしているこのわざが、父のわたしをつかわされたことをあかししている。 + また、わたしをつかわされた父も、ご自分でわたしについてあかしをされた。あなたがたは、まだそのみ声を聞いたこともなく、そのみ姿を見たこともない。 + また、神がつかわされた者を信じないから、神の御言はあなたがたのうちにとどまっていない。 + あなたがたは、聖書の中に永遠の命があると思って調べているが、この聖書は、わたしについてあかしをするものである。 + しかも、あなたがたは、命を得るためにわたしのもとにこようともしない。 + わたしは人からの誉を受けることはしない。 + しかし、あなたがたのうちには神を愛する愛がないことを知っている。 + わたしは父の名によってきたのに、あなたがたはわたしを受けいれない。もし、ほかの人が彼自身の名によって来るならば、その人を受けいれるのであろう。 + 互に誉を受けながら、ただひとりの神からの誉を求めようとしないあなたがたは、どうして信じることができようか。 + わたしがあなたがたのことを父に訴えると、考えてはいけない。あなたがたを訴える者は、あなたがたが頼みとしているモーセその人である。 + もし、あなたがたがモーセを信じたならば、わたしをも信じたであろう。モーセは、わたしについて書いたのである。 + しかし、モーセの書いたものを信じないならば、どうしてわたしの言葉を信じるだろうか」。 + + + そののち、イエスはガリラヤの海、すなわち、テベリヤ湖の向こう岸へ渡られた。 + すると、大ぜいの群衆がイエスについてきた。病人たちになさっていたしるしを見たからである。 + イエスは山に登って、弟子たちと一緒にそこで座につかれた。 + 時に、ユダヤ人の祭である過越が間近になっていた。 + イエスは目をあげ、大ぜいの群衆が自分の方に集まって来るのを見て、ピリポに言われた、「どこからパンを買ってきて、この人々に食べさせようか」。 + これはピリポをためそうとして言われたのであって、ご自分ではしようとすることを、よくご承知であった。 + すると、ピリポはイエスに答えた、「二百デナリのパンがあっても、めいめいが少しずついただくにも足りますまい」。 + 弟子のひとり、シモン・ペテロの兄弟アンデレがイエスに言った、 + 「ここに、大麦のパン五つと、さかな二ひきとを持っている子供がいます。しかし、こんなに大ぜいの人では、それが何になりましょう」。 + イエスは「人々をすわらせなさい」と言われた。その場所には草が多かった。そこにすわった男の数は五千人ほどであった。 + そこで、イエスはパンを取り、感謝してから、すわっている人々に分け与え、また、さかなをも同様にして、彼らの望むだけ分け与えられた。 + 人々がじゅうぶんに食べたのち、イエスは弟子たちに言われた、「少しでもむだにならないように、パンくずのあまりを集めなさい」。 + そこで彼らが集めると、五つの大麦のパンを食べて残ったパンくずは、十二のかごにいっぱいになった。 + 人々はイエスのなさったこのしるしを見て、「ほんとうに、この人こそ世にきたるべき預言者である」と言った。 + イエスは人々がきて、自分をとらえて王にしようとしていると知って、ただひとり、また山に退かれた。 + 夕方になったとき、弟子たちは海べに下り、 + 舟に乗って海を渡り、向こう岸のカペナウムに行きかけた。すでに暗くなっていたのに、イエスはまだ彼らのところにおいでにならなかった。 + その上、強い風が吹いてきて、海は荒れ出した。 + 四、五十丁こぎ出したとき、イエスが海の上を歩いて舟に近づいてこられるのを見て、彼らは恐れた。 + すると、イエスは彼らに言われた、「わたしだ、恐れることはない」。 + そこで、彼らは喜んでイエスを舟に迎えようとした。すると舟は、すぐ、彼らが行こうとしていた地に着いた。 + その翌日、海の向こう岸に立っていた群衆は、そこに小舟が一そうしかなく、またイエスは弟子たちと一緒に小舟にお乗りにならず、ただ弟子たちだけが船出したのを見た。 + しかし、数そうの小舟がテベリヤからきて、主が感謝されたのちパンを人々に食べさせた場所に近づいた。 + 群衆は、イエスも弟子たちもそこにいないと知って、それらの小舟に乗り、イエスをたずねてカペナウムに行った。 + そして、海の向こう岸でイエスに出会ったので言った、「先生、いつ、ここにおいでになったのですか」。 + イエスは答えて言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたがわたしを尋ねてきているのは、しるしを見たためではなく、パンを食べて満腹したからである。 + 朽ちる食物のためではなく、永遠の命に至る朽ちない食物のために働くがよい。これは人の子があなたがたに与えるものである。父なる神は、人の子にそれをゆだねられたのである」。 + そこで、彼らはイエスに言った、「神のわざを行うために、わたしたちは何をしたらよいでしょうか」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「神がつかわされた者を信じることが、神のわざである」。 + 彼らはイエスに言った、「わたしたちが見てあなたを信じるために、どんなしるしを行って下さいますか。どんなことをして下さいますか。 + わたしたちの先祖は荒野でマナを食べました。それは『天よりのパンを彼らに与えて食べさせた』と書いてあるとおりです」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「よくよく言っておく。天からのパンをあなたがたに与えたのは、モーセではない。天からのまことのパンをあなたがたに与えるのは、わたしの父なのである。 + 神のパンは、天から下ってきて、この世に命を与えるものである」。 + 彼らはイエスに言った、「主よ、そのパンをいつもわたしたちに下さい」。 + イエスは彼らに言われた、「わたしが命のパンである。わたしに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決してかわくことがない。 + しかし、あなたがたに言ったが、あなたがたはわたしを見たのに信じようとはしない。 + 父がわたしに与えて下さる者は皆、わたしに来るであろう。そして、わたしに来る者を決して拒みはしない。 + わたしが天から下ってきたのは、自分のこころのままを行うためではなく、わたしをつかわされたかたのみこころを行うためである。 + わたしをつかわされたかたのみこころは、わたしに与えて下さった者を、わたしがひとりも失わずに、終りの日によみがえらせることである。 + わたしの父のみこころは、子を見て信じる者が、ことごとく永遠の命を得ることなのである。そして、わたしはその人々を終りの日によみがえらせるであろう」。 + ユダヤ人らは、イエスが「わたしは天から下ってきたパンである」と言われたので、イエスについてつぶやき始めた。 + そして言った、「これはヨセフの子イエスではないか。わたしたちはその父母を知っているではないか。わたしは天から下ってきたと、どうして今いうのか」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「互につぶやいてはいけない。 + わたしをつかわされた父が引きよせて下さらなければ、だれもわたしに来ることはできない。わたしは、その人々を終りの日によみがえらせるであろう。 + 預言者の書に、『彼らはみな神に教えられるであろう』と書いてある。父から聞いて学んだ者は、みなわたしに来るのである。 + 神から出た者のほかに、だれかが父を見たのではない。その者だけが父を見たのである。 + よくよくあなたがたに言っておく。信じる者には永遠の命がある。 + わたしは命のパンである。 + あなたがたの先祖は荒野でマナを食べたが、死んでしまった。 + しかし、天から下ってきたパンを食べる人は、決して死ぬことはない。 + わたしは天から下ってきた生きたパンである。それを食べる者は、いつまでも生きるであろう。わたしが与えるパンは、世の命のために与えるわたしの肉である」。 + そこで、ユダヤ人らが互に論じて言った、「この人はどうして、自分の肉をわたしたちに与えて食べさせることができようか」。 + イエスは彼らに言われた、「よくよく言っておく。人の子の肉を食べず、また、その血を飲まなければ、あなたがたの内に命はない。 + わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者には、永遠の命があり、わたしはその人を終りの日によみがえらせるであろう。 + わたしの肉はまことの食物、わたしの血はまことの飲み物である。 + わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者はわたしにおり、わたしもまたその人におる。 + 生ける父がわたしをつかわされ、また、わたしが父によって生きているように、わたしを食べる者もわたしによって生きるであろう。 + 天から下ってきたパンは、先祖たちが食べたが死んでしまったようなものではない。このパンを食べる者は、いつまでも生きるであろう」。 + これらのことは、イエスがカペナウムの会堂で教えておられたときに言われたものである。 + 弟子たちのうちの多くの者は、これを聞いて言った、「これは、ひどい言葉だ。だれがそんなことを聞いておられようか」。 + しかしイエスは、弟子たちがそのことでつぶやいているのを見破って、彼らに言われた、「このことがあなたがたのつまずきになるのか。 + それでは、もし人の子が前にいた所に上るのを見たら、どうなるのか。 + 人を生かすものは霊であって、肉はなんの役にも立たない。わたしがあなたがたに話した言葉は霊であり、また命である。 + しかし、あなたがたの中には信じない者がいる」。イエスは、初めから、だれが信じないか、また、だれが彼を裏切るかを知っておられたのである。 + そしてイエスは言われた、「それだから、父が与えて下さった者でなければ、わたしに来ることはできないと、言ったのである」。 + それ以来、多くの弟子たちは去っていって、もはやイエスと行動を共にしなかった。 + そこでイエスは十二弟子に言われた、「あなたがたも去ろうとするのか」。 + シモン・ペテロが答えた、「主よ、わたしたちは、だれのところに行きましょう。永遠の命の言をもっているのはあなたです。 + わたしたちは、あなたが神の聖者であることを信じ、また知っています」。 + イエスは彼らに答えられた、「あなたがた十二人を選んだのは、わたしではなかったか。それだのに、あなたがたのうちのひとりは悪魔である」。 + これは、イスカリオテのシモンの子ユダをさして言われたのである。このユダは、十二弟子のひとりでありながら、イエスを裏切ろうとしていた。 + + + そののち、イエスはガリラヤを巡回しておられた。ユダヤ人たちが自分を殺そうとしていたので、ユダヤを巡回しようとはされなかった。 + 時に、ユダヤ人の仮庵の祭が近づいていた。 + そこで、イエスの兄弟たちがイエスに言った、「あなたがしておられるわざを弟子たちにも見せるために、ここを去りユダヤに行ってはいかがです。 + 自分を公けにあらわそうと思っている人で、隠れて仕事をするものはありません。あなたがこれらのことをするからには、自分をはっきりと世にあらわしなさい」。 + こう言ったのは、兄弟たちもイエスを信じていなかったからである。 + そこでイエスは彼らに言われた、「わたしの時はまだきていない。しかし、あなたがたの時はいつも備わっている。 + 世はあなたがたを憎み得ないが、わたしを憎んでいる。わたしが世のおこないの悪いことを、あかししているからである。 + あなたがたこそ祭に行きなさい。わたしはこの祭には行かない。わたしの時はまだ満ちていないから」。 + 彼らにこう言って、イエスはガリラヤにとどまっておられた。 + しかし、兄弟たちが祭に行ったあとで、イエスも人目にたたぬように、ひそかに行かれた。 + ユダヤ人らは祭の時に、「あの人はどこにいるのか」と言って、イエスを捜していた。 + 群衆の中に、イエスについていろいろとうわさが立った。ある人々は、「あれはよい人だ」と言い、他の人々は、「いや、あれは群衆を惑わしている」と言った。 + しかし、ユダヤ人らを恐れて、イエスのことを公然と口にする者はいなかった。 + 祭も半ばになってから、イエスは宮に上って教え始められた。 + すると、ユダヤ人たちは驚いて言った、「この人は学問をしたこともないのに、どうして律法の知識をもっているのだろう」。 + そこでイエスは彼らに答えて言われた、「わたしの教はわたし自身の教ではなく、わたしをつかわされたかたの教である。 + 神のみこころを行おうと思う者であれば、だれでも、わたしの語っているこの教が神からのものか、それとも、わたし自身から出たものか、わかるであろう。 + 自分から出たことを語る者は、自分の栄光を求めるが、自分をつかわされたかたの栄光を求める者は真実であって、その人の内には偽りがない。 + モーセはあなたがたに律法を与えたではないか。それだのに、あなたがたのうちには、その律法を行う者がひとりもない。あなたがたは、なぜわたしを殺そうと思っているのか」。 + 群衆は答えた、「あなたは悪霊に取りつかれている。だれがあなたを殺そうと思っているものか」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「わたしが一つのわざをしたところ、あなたがたは皆それを見て驚いている。 + モーセはあなたがたに割礼を命じたので、(これは、実は、モーセから始まったのではなく、先祖たちから始まったものである)あなたがたは安息日にも人に割礼を施している。 + もし、モーセの律法が破られないように、安息日であっても割礼を受けるのなら、安息日に人の全身を丈夫にしてやったからといって、どうして、そんなにおこるのか。 + うわべで人をさばかないで、正しいさばきをするがよい」。 + さて、エルサレムのある人たちが言った、「この人は人々が殺そうと思っている者ではないか。 + 見よ、彼は公然と語っているのに、人々はこれに対して何も言わない。役人たちは、この人がキリストであることを、ほんとうに知っているのではなかろうか。 + わたしたちはこの人がどこからきたのか知っている。しかし、キリストが現れる時には、どこから来るのか知っている者は、ひとりもいない」。 + イエスは宮の内で教えながら、叫んで言われた、「あなたがたは、わたしを知っており、また、わたしがどこからきたかも知っている。しかし、わたしは自分からきたのではない。わたしをつかわされたかたは真実であるが、あなたがたは、そのかたを知らない。 + わたしは、そのかたを知っている。わたしはそのかたのもとからきた者で、そのかたがわたしをつかわされたのである」。 + そこで人々はイエスを捕えようと計ったが、だれひとり手をかける者はなかった。イエスの時が、まだきていなかったからである。 + しかし、群衆の中の多くの者が、イエスを信じて言った、「キリストがきても、この人が行ったよりも多くのしるしを行うだろうか」。 + 群衆がイエスについてこのようなうわさをしているのを、パリサイ人たちは耳にした。そこで、祭司長たちやパリサイ人たちは、イエスを捕えようとして、下役どもをつかわした。 + イエスは言われた、「今しばらくの間、わたしはあなたがたと一緒にいて、それから、わたしをおつかわしになったかたのみもとに行く。 + あなたがたはわたしを捜すであろうが、見つけることはできない。そしてわたしのいる所に、あなたがたは来ることができない」。 + そこでユダヤ人たちは互に言った、「わたしたちが見つけることができないというのは、どこへ行こうとしているのだろう。ギリシヤ人の中に離散している人たちのところにでも行って、ギリシヤ人を教えようというのだろうか。 + また、『わたしを捜すが、見つけることはできない。そしてわたしのいる所には来ることができないだろう』と言ったその言葉は、どういう意味だろう」。 + 祭の終りの大事な日に、イエスは立って、叫んで言われた、「だれでもかわく者は、わたしのところにきて飲むがよい。 + わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その腹から生ける水が川となって流れ出るであろう」。 + これは、イエスを信じる人々が受けようとしている御霊をさして言われたのである。すなわち、イエスはまだ栄光を受けておられなかったので、御霊がまだ下っていなかったのである。 + 群衆のある者がこれらの言葉を聞いて、「このかたは、ほんとうに、あの預言者である」と言い、 + ほかの人たちは「このかたはキリストである」と言い、また、ある人々は、「キリストはまさか、ガリラヤからは出てこないだろう。 + キリストは、ダビデの子孫から、またダビデのいたベツレヘムの村から出ると、聖書に書いてあるではないか」と言った。 + こうして、群衆の間にイエスのことで分争が生じた。 + 彼らのうちのある人々は、イエスを捕えようと思ったが、だれひとり手をかける者はなかった。 + さて、下役どもが祭司長たちやパリサイ人たちのところに帰ってきたので、彼らはその下役どもに言った、「なぜ、あの人を連れてこなかったのか」。 + 下役どもは答えた、「この人の語るように語った者は、これまでにありませんでした」。 + パリサイ人たちが彼らに答えた、「あなたがたまでが、だまされているのではないか。 + 役人たちやパリサイ人たちの中で、ひとりでも彼を信じた者があっただろうか。 + 律法をわきまえないこの群衆は、のろわれている」。 + 彼らの中のひとりで、以前にイエスに会いにきたことのあるニコデモが、彼らに言った、 + 「わたしたちの律法によれば、まずその人の言い分を聞き、その人のしたことを知った上でなければ、さばくことをしないのではないか」。 + 彼らは答えて言った、「あなたもガリラヤ出なのか。よく調べてみなさい、ガリラヤからは預言者が出るものではないことが、わかるだろう」。〔 + そして、人々はおのおの家に帰って行った。 + + + イエスはオリブ山に行かれた。 + 朝早くまた宮にはいられると、人々が皆みもとに集まってきたので、イエスはすわって彼らを教えておられた。 + すると、律法学者たちやパリサイ人たちが、姦淫をしている時につかまえられた女をひっぱってきて、中に立たせた上、イエスに言った、 + 「先生、この女は姦淫の場でつかまえられました。 + モーセは律法の中で、こういう女を石で打ち殺せと命じましたが、あなたはどう思いますか」。 + 彼らがそう言ったのは、イエスをためして、訴える口実を得るためであった。しかし、イエスは身をかがめて、指で地面に何か書いておられた。 + 彼らが問い続けるので、イエスは身を起して彼らに言われた、「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」。 + そしてまた身をかがめて、地面に物を書きつづけられた。 + これを聞くと、彼らは年寄から始めて、ひとりびとり出て行き、ついに、イエスだけになり、女は中にいたまま残された。 + そこでイエスは身を起して女に言われた、「女よ、みんなはどこにいるか。あなたを罰する者はなかったのか」。 + 女は言った、「主よ、だれもございません」。イエスは言われた、「わたしもあなたを罰しない。お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように」。〕 + イエスは、また人々に語ってこう言われた、「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう」。 + するとパリサイ人たちがイエスに言った、「あなたは、自分のことをあかししている。あなたのあかしは真実ではない」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「たとい、わたしが自分のことをあかししても、わたしのあかしは真実である。それは、わたしがどこからきたのか、また、どこへ行くのかを知っているからである。しかし、あなたがたは、わたしがどこからきて、どこへ行くのかを知らない。 + あなたがたは肉によって人をさばくが、わたしはだれもさばかない。 + しかし、もしわたしがさばくとすれば、わたしのさばきは正しい。なぜなら、わたしはひとりではなく、わたしをつかわされたかたが、わたしと一緒だからである。 + あなたがたの律法には、ふたりによる証言は真実だと、書いてある。 + わたし自身のことをあかしするのは、わたしであるし、わたしをつかわされた父も、わたしのことをあかしして下さるのである」。 + すると、彼らはイエスに言った、「あなたの父はどこにいるのか」。イエスは答えられた、「あなたがたは、わたしをもわたしの父をも知っていない。もし、あなたがたがわたしを知っていたなら、わたしの父をも知っていたであろう」。 + イエスが宮の内で教えていた時、これらの言葉をさいせん箱のそばで語られたのであるが、イエスの時がまだきていなかったので、だれも捕える者がなかった。 + さて、また彼らに言われた、「わたしは去って行く。あなたがたはわたしを捜し求めるであろう。そして自分の罪のうちに死ぬであろう。わたしの行く所には、あなたがたは来ることができない」。 + そこでユダヤ人たちは言った、「わたしの行く所に、あなたがたは来ることができないと、言ったのは、あるいは自殺でもしようとするつもりか」。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたは下から出た者だが、わたしは上からきた者である。あなたがたはこの世の者であるが、わたしはこの世の者ではない。 + だからわたしは、あなたがたは自分の罪のうちに死ぬであろうと、言ったのである。もしわたしがそういう者であることをあなたがたが信じなければ、罪のうちに死ぬことになるからである」。 + そこで彼らはイエスに言った、「あなたは、いったい、どういうかたですか」。イエスは彼らに言われた、「わたしがどういう者であるかは、初めからあなたがたに言っているではないか。 + あなたがたについて、わたしの言うべきこと、さばくべきことが、たくさんある。しかし、わたしをつかわされたかたは真実なかたである。わたしは、そのかたから聞いたままを世にむかって語るのである」。 + 彼らは、イエスが父について話しておられたことを悟らなかった。 + そこでイエスは言われた、「あなたがたが人の子を上げてしまった後はじめて、わたしがそういう者であること、また、わたしは自分からは何もせず、ただ父が教えて下さったままを話していたことが、わかってくるであろう。 + わたしをつかわされたかたは、わたしと一緒におられる。わたしは、いつも神のみこころにかなうことをしているから、わたしをひとり置きざりになさることはない」。 + これらのことを語られたところ、多くの人々がイエスを信じた。 + イエスは自分を信じたユダヤ人たちに言われた、「もしわたしの言葉のうちにとどまっておるなら、あなたがたは、ほんとうにわたしの弟子なのである。 + また真理を知るであろう。そして真理は、あなたがたに自由を得させるであろう」。 + そこで、彼らはイエスに言った、「わたしたちはアブラハムの子孫であって、人の奴隷になったことなどは、一度もない。どうして、あなたがたに自由を得させるであろうと、言われるのか」。 + イエスは彼らに答えられた、「よくよくあなたがたに言っておく。すべて罪を犯す者は罪の奴隷である。 + そして、奴隷はいつまでも家にいる者ではない。しかし、子はいつまでもいる。 + だから、もし子があなたがたに自由を得させるならば、あなたがたは、ほんとうに自由な者となるのである。 + わたしは、あなたがたがアブラハムの子孫であることを知っている。それだのに、あなたがたはわたしを殺そうとしている。わたしの言葉が、あなたがたのうちに根をおろしていないからである。 + わたしはわたしの父のもとで見たことを語っているが、あなたがたは自分の父から聞いたことを行っている」。 + 彼らはイエスに答えて言った、「わたしたちの父はアブラハムである」。イエスは彼らに言われた、「もしアブラハムの子であるなら、アブラハムのわざをするがよい。 + ところが今、神から聞いた真理をあなたがたに語ってきたこのわたしを、殺そうとしている。そんなことをアブラハムはしなかった。 + あなたがたは、あなたがたの父のわざを行っているのである」。彼らは言った、「わたしたちは、不品行の結果うまれた者ではない。わたしたちにはひとりの父がある。それは神である」。 + イエスは彼らに言われた、「神があなたがたの父であるならば、あなたがたはわたしを愛するはずである。わたしは神から出た者、また神からきている者であるからだ。わたしは自分からきたのではなく、神からつかわされたのである。 + どうしてあなたがたは、わたしの話すことがわからないのか。あなたがたが、わたしの言葉を悟ることができないからである。 + あなたがたは自分の父、すなわち、悪魔から出てきた者であって、その父の欲望どおりを行おうと思っている。彼は初めから、人殺しであって、真理に立つ者ではない。彼のうちには真理がないからである。彼が偽りを言うとき、いつも自分の本音をはいているのである。彼は偽り者であり、偽りの父であるからだ。 + しかし、わたしが真理を語っているので、あなたがたはわたしを信じようとしない。 + あなたがたのうち、だれがわたしに罪があると責めうるのか。わたしは真理を語っているのに、なぜあなたがたは、わたしを信じないのか。 + 神からきた者は神の言葉に聞き従うが、あなたがたが聞き従わないのは、神からきた者でないからである」。 + ユダヤ人たちはイエスに答えて言った、「あなたはサマリヤ人で、悪霊に取りつかれていると、わたしたちが言うのは、当然ではないか」。 + イエスは答えられた、「わたしは、悪霊に取りつかれているのではなくて、わたしの父を重んじているのだが、あなたがたはわたしを軽んじている。 + わたしは自分の栄光を求めてはいない。それを求めるかたが別にある。そのかたは、またさばくかたである。 + よくよく言っておく。もし人がわたしの言葉を守るならば、その人はいつまでも死を見ることがないであろう」。 + ユダヤ人たちが言った、「あなたが悪霊に取りつかれていることが、今わかった。アブラハムは死に、預言者たちも死んでいる。それだのに、あなたは、わたしの言葉を守る者はいつまでも死を味わうことがないであろうと、言われる。 + あなたは、わたしたちの父アブラハムより偉いのだろうか。彼も死に、預言者たちも死んだではないか。あなたは、いったい、自分をだれと思っているのか」。 + イエスは答えられた、「わたしがもし自分に栄光を帰するなら、わたしの栄光は、むなしいものである。わたしに栄光を与えるかたは、わたしの父であって、あなたがたが自分の神だと言っているのは、そのかたのことである。 + あなたがたはその神を知っていないが、わたしは知っている。もしわたしが神を知らないと言うならば、あなたがたと同じような偽り者であろう。しかし、わたしはそのかたを知り、その御言を守っている。 + あなたがたの父アブラハムは、わたしのこの日を見ようとして楽しんでいた。そしてそれを見て喜んだ」。 + そこでユダヤ人たちはイエスに言った、「あなたはまだ五十にもならないのに、アブラハムを見たのか」。 + イエスは彼らに言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。アブラハムの生れる前からわたしは、いるのである」。 + そこで彼らは石をとって、イエスに投げつけようとした。しかし、イエスは身を隠して、宮から出て行かれた。 + + + イエスが道をとおっておられるとき、生れつきの盲人を見られた。 + 弟子たちはイエスに尋ねて言った、「先生、この人が生れつき盲人なのは、だれが罪を犯したためですか。本人ですか、それともその両親ですか」。 + イエスは答えられた、「本人が罪を犯したのでもなく、また、その両親が犯したのでもない。ただ神のみわざが、彼の上に現れるためである。 + わたしたちは、わたしをつかわされたかたのわざを、昼の間にしなければならない。夜が来る。すると、だれも働けなくなる。 + わたしは、この世にいる間は、世の光である」。 + イエスはそう言って、地につばきをし、そのつばきで、どろをつくり、そのどろを盲人の目に塗って言われた、 + 「シロアム(つかわされた者、の意)の池に行って洗いなさい」。そこで彼は行って洗った。そして見えるようになって、帰って行った。 + 近所の人々や、彼がもと、こじきであったのを見知っていた人々が言った、「この人は、すわってこじきをしていた者ではないか」。 + ある人々は「その人だ」と言い、他の人々は「いや、ただあの人に似ているだけだ」と言った。しかし、本人は「わたしがそれだ」と言った。 + そこで人々は彼に言った、「では、おまえの目はどうしてあいたのか」。 + 彼は答えた、「イエスというかたが、どろをつくって、わたしの目に塗り、『シロアムに行って洗え』と言われました。それで、行って洗うと、見えるようになりました」。 + 人々は彼に言った、「その人はどこにいるのか」。彼は「知りません」と答えた。 + 人々は、もと盲人であったこの人を、パリサイ人たちのところにつれて行った。 + イエスがどろをつくって彼の目をあけたのは、安息日であった。 + パリサイ人たちもまた、「どうして見えるようになったのか」、と彼に尋ねた。彼は答えた、「あのかたがわたしの目にどろを塗り、わたしがそれを洗い、そして見えるようになりました」。 + そこで、あるパリサイ人たちが言った、「その人は神からきた人ではない。安息日を守っていないのだから」。しかし、ほかの人々は言った、「罪のある人が、どうしてそのようなしるしを行うことができようか」。そして彼らの間に分争が生じた。 + そこで彼らは、もう一度この盲人に聞いた、「おまえの目をあけてくれたその人を、どう思うか」。「預言者だと思います」と彼は言った。 + ユダヤ人たちは、彼がもと盲人であったが見えるようになったことを、まだ信じなかった。ついに彼らは、目が見えるようになったこの人の両親を呼んで、 + 尋ねて言った、「これが、生れつき盲人であったと、おまえたちの言っているむすこか。それではどうして、いま目が見えるのか」。 + 両親は答えて言った、「これがわたしどものむすこであること、また生れつき盲人であったことは存じています。 + しかし、どうしていま見えるようになったのか、それは知りません。また、だれがその目をあけて下さったのかも知りません。あれに聞いて下さい。あれはもうおとなですから、自分のことは自分で話せるでしょう」。 + 両親はユダヤ人たちを恐れていたので、こう答えたのである。それは、もしイエスをキリストと告白する者があれば、会堂から追い出すことに、ユダヤ人たちが既に決めていたからである。 + 彼の両親が「おとなですから、あれに聞いて下さい」と言ったのは、そのためであった。 + そこで彼らは、盲人であった人をもう一度呼んで言った、「神に栄光を帰するがよい。あの人が罪人であることは、わたしたちにはわかっている」。 + すると彼は言った、「あのかたが罪人であるかどうか、わたしは知りません。ただ一つのことだけ知っています。わたしは盲であったが、今は見えるということです」。 + そこで彼らは言った、「その人はおまえに何をしたのか。どんなにしておまえの目をあけたのか」。 + 彼は答えた、「そのことはもう話してあげたのに、聞いてくれませんでした。なぜまた聞こうとするのですか。あなたがたも、あの人の弟子になりたいのですか」。 + そこで彼らは彼をののしって言った、「おまえはあれの弟子だが、わたしたちはモーセの弟子だ。 + モーセに神が語られたということは知っている。だが、あの人がどこからきた者か、わたしたちは知らぬ」。 + そこで彼が答えて言った、「わたしの目をあけて下さったのに、そのかたがどこからきたか、ご存じないとは、不思議千万です。 + わたしたちはこのことを知っています。神は罪人の言うことはお聞きいれになりませんが、神を敬い、そのみこころを行う人の言うことは、聞きいれて下さいます。 + 生れつき盲であった者の目をあけた人があるということは、世界が始まって以来、聞いたことがありません。 + もしあのかたが神からきた人でなかったら、何一つできなかったはずです」。 + これを聞いて彼らは言った、「おまえは全く罪の中に生れていながら、わたしたちを教えようとするのか」。そして彼を外へ追い出した。 + イエスは、その人が外へ追い出されたことを聞かれた。そして彼に会って言われた、「あなたは人の子を信じるか」。 + 彼は答えて言った、「主よ、それはどなたですか。そのかたを信じたいのですが」。 + イエスは彼に言われた、「あなたは、もうその人に会っている。今あなたと話しているのが、その人である」。 + すると彼は、「主よ、信じます」と言って、イエスを拝した。 + そこでイエスは言われた、「わたしがこの世にきたのは、さばくためである。すなわち、見えない人たちが見えるようになり、見える人たちが見えないようになるためである」。 + そこにイエスと一緒にいたあるパリサイ人たちが、それを聞いてイエスに言った、「それでは、わたしたちも盲なのでしょうか」。 + イエスは彼らに言われた、「もしあなたがたが盲人であったなら、罪はなかったであろう。しかし、今あなたがたが『見える』と言い張るところに、あなたがたの罪がある。 + + + よくよくあなたがたに言っておく。羊の囲いにはいるのに、門からでなく、ほかの所からのりこえて来る者は、盗人であり、強盗である。 + 門からはいる者は、羊の羊飼である。 + 門番は彼のために門を開き、羊は彼の声を聞く。そして彼は自分の羊の名をよんで連れ出す。 + 自分の羊をみな出してしまうと、彼は羊の先頭に立って行く。羊はその声を知っているので、彼について行くのである。 + ほかの人には、ついて行かないで逃げ去る。その人の声を知らないからである」。 + イエスは彼らにこの比喩を話されたが、彼らは自分たちにお話しになっているのが何のことだか、わからなかった。 + そこで、イエスはまた言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。わたしは羊の門である。 + わたしよりも前にきた人は、みな盗人であり、強盗である。羊は彼らに聞き従わなかった。 + わたしは門である。わたしをとおってはいる者は救われ、また出入りし、牧草にありつくであろう。 + 盗人が来るのは、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするためにほかならない。わたしがきたのは、羊に命を得させ、豊かに得させるためである。 + わたしはよい羊飼である。よい羊飼は、羊のために命を捨てる。 + 羊飼ではなく、羊が自分のものでもない雇人は、おおかみが来るのを見ると、羊をすてて逃げ去る。そして、おおかみは羊を奪い、また追い散らす。 + 彼は雇人であって、羊のことを心にかけていないからである。 + わたしはよい羊飼であって、わたしの羊を知り、わたしの羊はまた、わたしを知っている。 + それはちょうど、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。そして、わたしは羊のために命を捨てるのである。 + わたしにはまた、この囲いにいない他の羊がある。わたしは彼らをも導かねばならない。彼らも、わたしの声に聞き従うであろう。そして、ついに一つの群れ、ひとりの羊飼となるであろう。 + 父は、わたしが自分の命を捨てるから、わたしを愛して下さるのである。命を捨てるのは、それを再び得るためである。 + だれかが、わたしからそれを取り去るのではない。わたしが、自分からそれを捨てるのである。わたしには、それを捨てる力があり、またそれを受ける力もある。これはわたしの父から授かった定めである」。 + これらの言葉を語られたため、ユダヤ人の間にまたも分争が生じた。 + そのうちの多くの者が言った、「彼は悪霊に取りつかれて、気が狂っている。どうして、あなたがたはその言うことを聞くのか」。 + 他の人々は言った、「それは悪霊に取りつかれた者の言葉ではない。悪霊は盲人の目をあけることができようか」。 + そのころ、エルサレムで宮きよめの祭が行われた。時は冬であった。 + イエスは、宮の中にあるソロモンの廊を歩いておられた。 + するとユダヤ人たちが、イエスを取り囲んで言った、「いつまでわたしたちを不安のままにしておくのか。あなたがキリストであるなら、そうとはっきり言っていただきたい」。 + イエスは彼らに答えられた、「わたしは話したのだが、あなたがたは信じようとしない。わたしの父の名によってしているすべてのわざが、わたしのことをあかししている。 + あなたがたが信じないのは、わたしの羊でないからである。 + わたしの羊はわたしの声に聞き従う。わたしは彼らを知っており、彼らはわたしについて来る。 + わたしは、彼らに永遠の命を与える。だから、彼らはいつまでも滅びることがなく、また、彼らをわたしの手から奪い去る者はない。 + わたしの父がわたしに下さったものは、すべてにまさるものである。そしてだれも父のみ手から、それを奪い取ることはできない。 + わたしと父とは一つである」。 + そこでユダヤ人たちは、イエスを打ち殺そうとして、また石を取りあげた。 + するとイエスは彼らに答えられた、「わたしは、父による多くのよいわざを、あなたがたに示した。その中のどのわざのために、わたしを石で打ち殺そうとするのか」。 + ユダヤ人たちは答えた、「あなたを石で殺そうとするのは、よいわざをしたからではなく、神を汚したからである。また、あなたは人間であるのに、自分を神としているからである」。 + イエスは彼らに答えられた、「あなたがたの律法に、『わたしは言う、あなたがたは神々である』と書いてあるではないか。 + 神の言を託された人々が、神々といわれておるとすれば、(そして聖書の言は、すたることがあり得ない) + 父が聖別して、世につかわされた者が、『わたしは神の子である』と言ったからとて、どうして『あなたは神を汚す者だ』と言うのか。 + もしわたしが父のわざを行わないとすれば、わたしを信じなくてもよい。 + しかし、もし行っているなら、たといわたしを信じなくても、わたしのわざを信じるがよい。そうすれば、父がわたしにおり、また、わたしが父におることを知って悟るであろう」。 + そこで、彼らはまたイエスを捕えようとしたが、イエスは彼らの手をのがれて、去って行かれた。 + さて、イエスはまたヨルダンの向こう岸、すなわち、ヨハネが初めにバプテスマを授けていた所に行き、そこに滞在しておられた。 + 多くの人々がイエスのところにきて、互に言った、「ヨハネはなんのしるしも行わなかったが、ヨハネがこのかたについて言ったことは、皆ほんとうであった」。 + そして、そこで多くの者がイエスを信じた。 + + + さて、ひとりの病人がいた。ラザロといい、マリヤとその姉妹マルタの村ベタニヤの人であった。 + このマリヤは主に香油をぬり、自分の髪の毛で、主の足をふいた女であって、病気であったのは、彼女の兄弟ラザロであった。 + 姉妹たちは人をイエスのもとにつかわして、「主よ、ただ今、あなたが愛しておられる者が病気をしています」と言わせた。 + イエスはそれを聞いて言われた、「この病気は死ぬほどのものではない。それは神の栄光のため、また、神の子がそれによって栄光を受けるためのものである」。 + イエスは、マルタとその姉妹とラザロとを愛しておられた。 + ラザロが病気であることを聞いてから、なおふつか、そのおられた所に滞在された。 + それから弟子たちに、「もう一度ユダヤに行こう」と言われた。 + 弟子たちは言った、「先生、ユダヤ人らが、さきほどもあなたを石で殺そうとしていましたのに、またそこに行かれるのですか」。 + イエスは答えられた、「一日には十二時間あるではないか。昼間あるけば、人はつまずくことはない。この世の光を見ているからである。 + しかし、夜あるけば、つまずく。その人のうちに、光がないからである」。 + そう言われたが、それからまた、彼らに言われた、「わたしたちの友ラザロが眠っている。わたしは彼を起しに行く」。 + すると弟子たちは言った、「主よ、眠っているのでしたら、助かるでしょう」。 + イエスはラザロが死んだことを言われたのであるが、弟子たちは、眠って休んでいることをさして言われたのだと思った。 + するとイエスは、あからさまに彼らに言われた、「ラザロは死んだのだ。 + そして、わたしがそこにいあわせなかったことを、あなたがたのために喜ぶ。それは、あなたがたが信じるようになるためである。では、彼のところに行こう」。 + するとデドモと呼ばれているトマスが、仲間の弟子たちに言った、「わたしたちも行って、先生と一緒に死のうではないか」。 + さて、イエスが行ってごらんになると、ラザロはすでに四日間も墓の中に置かれていた。 + ベタニヤはエルサレムに近く、二十五丁ばかり離れたところにあった。 + 大ぜいのユダヤ人が、その兄弟のことで、マルタとマリヤとを慰めようとしてきていた。 + マルタはイエスがこられたと聞いて、出迎えに行ったが、マリヤは家ですわっていた。 + マルタはイエスに言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう。 + しかし、あなたがどんなことをお願いになっても、神はかなえて下さることを、わたしは今でも存じています」。 + イエスはマルタに言われた、「あなたの兄弟はよみがえるであろう」。 + マルタは言った、「終りの日のよみがえりの時よみがえることは、存じています」。 + イエスは彼女に言われた、「わたしはよみがえりであり、命である。わたしを信じる者は、たとい死んでも生きる。 + また、生きていて、わたしを信じる者は、いつまでも死なない。あなたはこれを信じるか」。 + マルタはイエスに言った、「主よ、信じます。あなたがこの世にきたるべきキリスト、神の御子であると信じております」。 + マルタはこう言ってから、帰って姉妹のマリヤを呼び、「先生がおいでになって、あなたを呼んでおられます」と小声で言った。 + これを聞いたマリヤはすぐ立ち上がって、イエスのもとに行った。 + イエスはまだ村に、はいってこられず、マルタがお迎えしたその場所におられた。 + マリヤと一緒に家にいて彼女を慰めていたユダヤ人たちは、マリヤが急いで立ち上がって出て行くのを見て、彼女は墓に泣きに行くのであろうと思い、そのあとからついて行った。 + マリヤは、イエスのおられる所に行ってお目にかかり、その足もとにひれ伏して言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう」。 + イエスは、彼女が泣き、また、彼女と一緒にきたユダヤ人たちも泣いているのをごらんになり、激しく感動し、また心を騒がせ、そして言われた、 + 「彼をどこに置いたのか」。彼らはイエスに言った、「主よ、きて、ごらん下さい」。 + イエスは涙を流された。 + するとユダヤ人たちは言った、「ああ、なんと彼を愛しておられたことか」。 + しかし、彼らのある人たちは言った、「あの盲人の目をあけたこの人でも、ラザロを死なせないようには、できなかったのか」。 + イエスはまた激しく感動して、墓にはいられた。それは洞穴であって、そこに石がはめてあった。 + イエスは言われた、「石を取りのけなさい」。死んだラザロの姉妹マルタが言った、「主よ、もう臭くなっております。四日もたっていますから」。 + イエスは彼女に言われた、「もし信じるなら神の栄光を見るであろうと、あなたに言ったではないか」。 + 人々は石を取りのけた。すると、イエスは目を天にむけて言われた、「父よ、わたしの願いをお聞き下さったことを感謝します。 + あなたがいつでもわたしの願いを聞きいれて下さることを、よく知っています。しかし、こう申しますのは、そばに立っている人々に、あなたがわたしをつかわされたことを、信じさせるためであります」。 + こう言いながら、大声で「ラザロよ、出てきなさい」と呼ばわれた。 + すると、死人は手足を布でまかれ、顔も顔おおいで包まれたまま、出てきた。イエスは人々に言われた、「彼をほどいてやって、帰らせなさい」。 + マリヤのところにきて、イエスのなさったことを見た多くのユダヤ人たちは、イエスを信じた。 + しかし、そのうちの数人がパリサイ人たちのところに行って、イエスのされたことを告げた。 + そこで、祭司長たちとパリサイ人たちとは、議会を召集して言った、「この人が多くのしるしを行っているのに、お互は何をしているのだ。 + もしこのままにしておけば、みんなが彼を信じるようになるだろう。そのうえ、ローマ人がやってきて、わたしたちの土地も人民も奪ってしまうであろう」。 + 彼らのうちのひとりで、その年の大祭司であったカヤパが、彼らに言った、「あなたがたは、何もわかっていないし、 + ひとりの人が人民に代って死んで、全国民が滅びないようになるのがわたしたちにとって得だということを、考えてもいない」。 + このことは彼が自分から言ったのではない。彼はこの年の大祭司であったので、預言をして、イエスが国民のために、 + ただ国民のためだけではなく、また散在している神の子らを一つに集めるために、死ぬことになっていると、言ったのである。 + 彼らはこの日からイエスを殺そうと相談した。 + そのためイエスは、もはや公然とユダヤ人の間を歩かないで、そこを出て、荒野に近い地方のエフライムという町に行かれ、そこに弟子たちと一緒に滞在しておられた。 + さて、ユダヤ人の過越の祭が近づいたので、多くの人々は身をきよめるために、祭の前に、地方からエルサレムへ上った。 + 人々はイエスを捜し求め、宮の庭に立って互に言った、「あなたがたはどう思うか。イエスはこの祭にこないのだろうか」。 + 祭司長たちとパリサイ人たちとは、イエスを捕えようとして、そのいどころを知っている者があれば申し出よ、という指令を出していた。 + + + 過越の祭の六日まえに、イエスはベタニヤに行かれた。そこは、イエスが死人の中からよみがえらせたラザロのいた所である。 + イエスのためにそこで夕食の用意がされ、マルタは給仕をしていた。イエスと一緒に食卓についていた者のうちに、ラザロも加わっていた。 + その時、マリヤは高価で純粋なナルドの香油一斤を持ってきて、イエスの足にぬり、自分の髪の毛でそれをふいた。すると、香油のかおりが家にいっぱいになった。 + 弟子のひとりで、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが言った、 + 「なぜこの香油を三百デナリに売って、貧しい人たちに、施さなかったのか」。 + 彼がこう言ったのは、貧しい人たちに対する思いやりがあったからではなく、自分が盗人であり、財布を預かっていて、その中身をごまかしていたからであった。 + イエスは言われた、「この女のするままにさせておきなさい。わたしの葬りの日のために、それをとっておいたのだから。 + 貧しい人たちはいつもあなたがたと共にいるが、わたしはいつも共にいるわけではない」。 + 大ぜいのユダヤ人たちが、そこにイエスのおられるのを知って、押しよせてきた。それはイエスに会うためだけではなく、イエスが死人のなかから、よみがえらせたラザロを見るためでもあった。 + そこで祭司長たちは、ラザロも殺そうと相談した。 + それは、ラザロのことで、多くのユダヤ人が彼らを離れ去って、イエスを信じるに至ったからである。 + その翌日、祭にきていた大ぜいの群衆は、イエスがエルサレムにこられると聞いて、 + しゅろの枝を手にとり、迎えに出て行った。そして叫んだ、「ホサナ、主の御名によってきたる者に祝福あれ、イスラエルの王に」。 + イエスは、ろばの子を見つけて、その上に乗られた。それは + 「シオンの娘よ、恐れるな。見よ、あなたの王がろばの子に乗っておいでになる」と書いてあるとおりであった。 + 弟子たちは初めにはこのことを悟らなかったが、イエスが栄光を受けられた時に、このことがイエスについて書かれてあり、またそのとおりに、人々がイエスに対してしたのだということを、思い起した。 + また、イエスがラザロを墓から呼び出して、死人の中からよみがえらせたとき、イエスと一緒にいた群衆が、そのあかしをした。 + 群衆がイエスを迎えに出たのは、イエスがこのようなしるしを行われたことを、聞いていたからである。 + そこで、パリサイ人たちは互に言った、「何をしてもむだだった。世をあげて彼のあとを追って行ったではないか」。 + 祭で礼拝するために上ってきた人々のうちに、数人のギリシヤ人がいた。 + 彼らはガリラヤのベツサイダ出であるピリポのところにきて、「君よ、イエスにお目にかかりたいのですが」と言って頼んだ。 + ピリポはアンデレのところに行ってそのことを話し、アンデレとピリポは、イエスのもとに行って伝えた。 + すると、イエスは答えて言われた、「人の子が栄光を受ける時がきた。 + よくよくあなたがたに言っておく。一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる。 + 自分の命を愛する者はそれを失い、この世で自分の命を憎む者は、それを保って永遠の命に至るであろう。 + もしわたしに仕えようとする人があれば、その人はわたしに従って来るがよい。そうすれば、わたしのおる所に、わたしに仕える者もまた、おるであろう。もしわたしに仕えようとする人があれば、その人を父は重んじて下さるであろう。 + 今わたしは心が騒いでいる。わたしはなんと言おうか。父よ、この時からわたしをお救い下さい。しかし、わたしはこのために、この時に至ったのです。 + 父よ、み名があがめられますように」。すると天から声があった、「わたしはすでに栄光をあらわした。そして、更にそれをあらわすであろう」。 + すると、そこに立っていた群衆がこれを聞いて、「雷がなったのだ」と言い、ほかの人たちは、「御使が彼に話しかけたのだ」と言った。 + イエスは答えて言われた、「この声があったのは、わたしのためではなく、あなたがたのためである。 + 今はこの世がさばかれる時である。今こそこの世の君は追い出されるであろう。 + そして、わたしがこの地から上げられる時には、すべての人をわたしのところに引きよせるであろう」。 + イエスはこう言って、自分がどんな死に方で死のうとしていたかを、お示しになったのである。 + すると群衆はイエスにむかって言った、「わたしたちは律法によって、キリストはいつまでも生きておいでになるのだ、と聞いていました。それだのに、どうして人の子は上げられねばならないと、言われるのですか。その人の子とは、だれのことですか」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「もうしばらくの間、光はあなたがたと一緒にここにある。光がある間に歩いて、やみに追いつかれないようにしなさい。やみの中を歩く者は、自分がどこへ行くのかわかっていない。 + 光のある間に、光の子となるために、光を信じなさい」。イエスはこれらのことを話してから、そこを立ち去って、彼らから身をお隠しになった。 + このように多くのしるしを彼らの前でなさったが、彼らはイエスを信じなかった。 + それは、預言者イザヤの次の言葉が成就するためである、「主よ、わたしたちの説くところを、だれが信じたでしょうか。また、主のみ腕はだれに示されたでしょうか」。 + こういうわけで、彼らは信じることができなかった。イザヤはまた、こうも言った、 + 「神は彼らの目をくらまし、心をかたくなになさった。それは、彼らが目で見ず、心で悟らず、悔い改めていやされることがないためである」。 + イザヤがこう言ったのは、イエスの栄光を見たからであって、イエスのことを語ったのである。 + しかし、役人たちの中にも、イエスを信じた者が多かったが、パリサイ人をはばかって、告白はしなかった。会堂から追い出されるのを恐れていたのである。 + 彼らは神のほまれよりも、人のほまれを好んだからである。 + イエスは大声で言われた、「わたしを信じる者は、わたしを信じるのではなく、わたしをつかわされたかたを信じるのであり、 + また、わたしを見る者は、わたしをつかわされたかたを見るのである。 + わたしは光としてこの世にきた。それは、わたしを信じる者が、やみのうちにとどまらないようになるためである。 + たとい、わたしの言うことを聞いてそれを守らない人があっても、わたしはその人をさばかない。わたしがきたのは、この世をさばくためではなく、この世を救うためである。 + わたしを捨てて、わたしの言葉を受けいれない人には、その人をさばくものがある。わたしの語ったその言葉が、終りの日にその人をさばくであろう。 + わたしは自分から語ったのではなく、わたしをつかわされた父ご自身が、わたしの言うべきこと、語るべきことをお命じになったのである。 + わたしは、この命令が永遠の命であることを知っている。それゆえに、わたしが語っていることは、わたしの父がわたしに仰せになったことを、そのまま語っているのである」。 + + + 過越の祭の前に、イエスは、この世を去って父のみもとに行くべき自分の時がきたことを知り、世にいる自分の者たちを愛して、彼らを最後まで愛し通された。 + 夕食のとき、悪魔はすでにシモンの子イスカリオテのユダの心に、イエスを裏切ろうとする思いを入れていたが、 + イエスは、父がすべてのものを自分の手にお与えになったこと、また、自分は神から出てきて、神にかえろうとしていることを思い、 + 夕食の席から立ち上がって、上着を脱ぎ、手ぬぐいをとって腰に巻き、 + それから水をたらいに入れて、弟子たちの足を洗い、腰に巻いた手ぬぐいでふき始められた。 + こうして、シモン・ペテロの番になった。すると彼はイエスに、「主よ、あなたがわたしの足をお洗いになるのですか」と言った。 + イエスは彼に答えて言われた、「わたしのしていることは今あなたにはわからないが、あとでわかるようになるだろう」。 + ペテロはイエスに言った、「わたしの足を決して洗わないで下さい」。イエスは彼に答えられた、「もしわたしがあなたの足を洗わないなら、あなたはわたしとなんの係わりもなくなる」。 + シモン・ペテロはイエスに言った、「主よ、では、足だけではなく、どうぞ、手も頭も」。 + イエスは彼に言われた、「すでにからだを洗った者は、足のほかは洗う必要がない。全身がきれいなのだから。あなたがたはきれいなのだ。しかし、みんながそうなのではない」。 + イエスは自分を裏切る者を知っておられた。それで、「みんながきれいなのではない」と言われたのである。 + こうして彼らの足を洗ってから、上着をつけ、ふたたび席にもどって、彼らに言われた、「わたしがあなたがたにしたことがわかるか。 + あなたがたはわたしを教師、また主と呼んでいる。そう言うのは正しい。わたしはそのとおりである。 + しかし、主であり、また教師であるわたしが、あなたがたの足を洗ったからには、あなたがたもまた、互に足を洗い合うべきである。 + わたしがあなたがたにしたとおりに、あなたがたもするように、わたしは手本を示したのだ。 + よくよくあなたがたに言っておく。僕はその主人にまさるものではなく、つかわされた者はつかわした者にまさるものではない。 + もしこれらのことがわかっていて、それを行うなら、あなたがたはさいわいである。 + あなたがた全部の者について、こう言っているのではない。わたしは自分が選んだ人たちを知っている。しかし、『わたしのパンを食べている者が、わたしにむかってそのかかとをあげた』とある聖書は成就されなければならない。 + そのことがまだ起らない今のうちに、あなたがたに言っておく。いよいよ事が起ったとき、わたしがそれであることを、あなたがたが信じるためである。 + よくよくあなたがたに言っておく。わたしがつかわす者を受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。わたしを受けいれる者は、わたしをつかわされたかたを、受けいれるのである」。 + イエスがこれらのことを言われた後、その心が騒ぎ、おごそかに言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ろうとしている」。 + 弟子たちはだれのことを言われたのか察しかねて、互に顔を見合わせた。 + 弟子たちのひとりで、イエスの愛しておられた者が、み胸に近く席についていた。 + そこで、シモン・ペテロは彼に合図をして言った、「だれのことをおっしゃったのか、知らせてくれ」。 + その弟子はそのままイエスの胸によりかかって、「主よ、だれのことですか」と尋ねると、 + イエスは答えられた、「わたしが一きれの食物をひたして与える者が、それである」。そして、一きれの食物をひたしてとり上げ、シモンの子イスカリオテのユダにお与えになった。 + この一きれの食物を受けるやいなや、サタンがユダにはいった。そこでイエスは彼に言われた、「しようとしていることを、今すぐするがよい」。 + 席を共にしていた者のうち、なぜユダにこう言われたのか、わかっていた者はひとりもなかった。 + ある人々は、ユダが金入れをあずかっていたので、イエスが彼に、「祭のために必要なものを買え」と言われたか、あるいは、貧しい者に何か施させようとされたのだと思っていた。 + ユダは一きれの食物を受けると、すぐに出て行った。時は夜であった。 + さて、彼が出て行くと、イエスは言われた、「今や人の子は栄光を受けた。神もまた彼によって栄光をお受けになった。 + 彼によって栄光をお受けになったのなら、神ご自身も彼に栄光をお授けになるであろう。すぐにもお授けになるであろう。 + 子たちよ、わたしはまだしばらく、あなたがたと一緒にいる。あなたがたはわたしを捜すだろうが、すでにユダヤ人たちに言ったとおり、今あなたがたにも言う、『あなたがたはわたしの行く所に来ることはできない』。 + わたしは、新しいいましめをあなたがたに与える、互に愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。 + 互に愛し合うならば、それによって、あなたがたがわたしの弟子であることを、すべての者が認めるであろう」。 + シモン・ペテロがイエスに言った、「主よ、どこへおいでになるのですか」。イエスは答えられた、「あなたはわたしの行くところに、今はついて来ることはできない。しかし、あとになってから、ついて来ることになろう」。 + ペテロはイエスに言った、「主よ、なぜ、今あなたについて行くことができないのですか。あなたのためには、命も捨てます」。 + イエスは答えられた、「わたしのために命を捨てると言うのか。よくよくあなたに言っておく。鶏が鳴く前に、あなたはわたしを三度知らないと言うであろう」。 + + + 「あなたがたは、心を騒がせないがよい。神を信じ、またわたしを信じなさい。 + わたしの父の家には、すまいがたくさんある。もしなかったならば、わたしはそう言っておいたであろう。あなたがたのために、場所を用意しに行くのだから。 + そして、行って、場所の用意ができたならば、またきて、あなたがたをわたしのところに迎えよう。わたしのおる所にあなたがたもおらせるためである。 + わたしがどこへ行くのか、その道はあなたがたにわかっている」。 + トマスはイエスに言った、「主よ、どこへおいでになるのか、わたしたちにはわかりません。どうしてその道がわかるでしょう」。 + イエスは彼に言われた、「わたしは道であり、真理であり、命である。だれでもわたしによらないでは、父のみもとに行くことはできない。 + もしあなたがたがわたしを知っていたならば、わたしの父をも知ったであろう。しかし、今は父を知っており、またすでに父を見たのである」。 + ピリポはイエスに言った、「主よ、わたしたちに父を示して下さい。そうして下されば、わたしたちは満足します」。 + イエスは彼に言われた、「ピリポよ、こんなに長くあなたがたと一緒にいるのに、わたしがわかっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのである。どうして、わたしたちに父を示してほしいと、言うのか。 + わたしが父におり、父がわたしにおられることをあなたは信じないのか。わたしがあなたがたに話している言葉は、自分から話しているのではない。父がわたしのうちにおられて、みわざをなさっているのである。 + わたしが父におり、父がわたしにおられることを信じなさい。もしそれが信じられないならば、わざそのものによって信じなさい。 + よくよくあなたがたに言っておく。わたしを信じる者は、またわたしのしているわざをするであろう。そればかりか、もっと大きいわざをするであろう。わたしが父のみもとに行くからである。 + わたしの名によって願うことは、なんでもかなえてあげよう。父が子によって栄光をお受けになるためである。 + 何事でもわたしの名によって願うならば、わたしはそれをかなえてあげよう。 + もしあなたがたがわたしを愛するならば、わたしのいましめを守るべきである。 + わたしは父にお願いしよう。そうすれば、父は別に助け主を送って、いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう。 + それは真理の御霊である。この世はそれを見ようともせず、知ろうともしないので、それを受けることができない。あなたがたはそれを知っている。なぜなら、それはあなたがたと共におり、またあなたがたのうちにいるからである。 + わたしはあなたがたを捨てて孤児とはしない。あなたがたのところに帰って来る。 + もうしばらくしたら、世はもはやわたしを見なくなるだろう。しかし、あなたがたはわたしを見る。わたしが生きるので、あなたがたも生きるからである。 + その日には、わたしはわたしの父におり、あなたがたはわたしにおり、また、わたしがあなたがたにおることが、わかるであろう。 + わたしのいましめを心にいだいてこれを守る者は、わたしを愛する者である。わたしを愛する者は、わたしの父に愛されるであろう。わたしもその人を愛し、その人にわたし自身をあらわすであろう」。 + イスカリオテでない方のユダがイエスに言った、「主よ、あなたご自身をわたしたちにあらわそうとして、世にはあらわそうとされないのはなぜですか」。 + イエスは彼に答えて言われた、「もしだれでもわたしを愛するならば、わたしの言葉を守るであろう。そして、わたしの父はその人を愛し、また、わたしたちはその人のところに行って、その人と一緒に住むであろう。 + わたしを愛さない者はわたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉は、わたしの言葉ではなく、わたしをつかわされた父の言葉である。 + これらのことは、あなたがたと一緒にいた時、すでに語ったことである。 + しかし、助け主、すなわち、父がわたしの名によってつかわされる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、またわたしが話しておいたことを、ことごとく思い起させるであろう。 + わたしは平安をあなたがたに残して行く。わたしの平安をあなたがたに与える。わたしが与えるのは、世が与えるようなものとは異なる。あなたがたは心を騒がせるな、またおじけるな。 + 『わたしは去って行くが、またあなたがたのところに帰って来る』と、わたしが言ったのを、あなたがたは聞いている。もしわたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるであろう。父がわたしより大きいかたであるからである。 + 今わたしは、そのことが起らない先にあなたがたに語った。それは、事が起った時にあなたがたが信じるためである。 + わたしはもはや、あなたがたに、多くを語るまい。この世の君が来るからである。だが、彼はわたしに対して、なんの力もない。 + しかし、わたしが父を愛していることを世が知るように、わたしは父がお命じになったとおりのことを行うのである。立て。さあ、ここから出かけて行こう。 + + + わたしはまことのぶどうの木、わたしの父は農夫である。 + わたしにつながっている枝で実を結ばないものは、父がすべてこれをとりのぞき、実を結ぶものは、もっと豊かに実らせるために、手入れしてこれをきれいになさるのである。 + あなたがたは、わたしが語った言葉によって既にきよくされている。 + わたしにつながっていなさい。そうすれば、わたしはあなたがたとつながっていよう。枝がぶどうの木につながっていなければ、自分だけでは実を結ぶことができないように、あなたがたもわたしにつながっていなければ実を結ぶことができない。 + わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。もし人がわたしにつながっており、またわたしがその人とつながっておれば、その人は実を豊かに結ぶようになる。わたしから離れては、あなたがたは何一つできないからである。 + 人がわたしにつながっていないならば、枝のように外に投げすてられて枯れる。人々はそれをかき集め、火に投げ入れて、焼いてしまうのである。 + あなたがたがわたしにつながっており、わたしの言葉があなたがたにとどまっているならば、なんでも望むものを求めるがよい。そうすれば、与えられるであろう。 + あなたがたが実を豊かに結び、そしてわたしの弟子となるならば、それによって、わたしの父は栄光をお受けになるであろう。 + 父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛したのである。わたしの愛のうちにいなさい。 + もしわたしのいましめを守るならば、あなたがたはわたしの愛のうちにおるのである。それはわたしがわたしの父のいましめを守ったので、その愛のうちにおるのと同じである。 + わたしがこれらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたのうちにも宿るため、また、あなたがたの喜びが満ちあふれるためである。 + わたしのいましめは、これである。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。 + 人がその友のために自分の命を捨てること、これよりも大きな愛はない。 + あなたがたにわたしが命じることを行うならば、あなたがたはわたしの友である。 + わたしはもう、あなたがたを僕とは呼ばない。僕は主人のしていることを知らないからである。わたしはあなたがたを友と呼んだ。わたしの父から聞いたことを皆、あなたがたに知らせたからである。 + あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだのである。そして、あなたがたを立てた。それは、あなたがたが行って実をむすび、その実がいつまでも残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものはなんでも、父が与えて下さるためである。 + これらのことを命じるのは、あなたがたが互に愛し合うためである。 + もしこの世があなたがたを憎むならば、あなたがたよりも先にわたしを憎んだことを、知っておくがよい。 + もしあなたがたがこの世から出たものであったなら、この世は、あなたがたを自分のものとして愛したであろう。しかし、あなたがたはこの世のものではない。かえって、わたしがあなたがたをこの世から選び出したのである。だから、この世はあなたがたを憎むのである。 + わたしがあなたがたに『僕はその主人にまさるものではない』と言ったことを、おぼえていなさい。もし人々がわたしを迫害したなら、あなたがたをも迫害するであろう。また、もし彼らがわたしの言葉を守っていたなら、あなたがたの言葉をも守るであろう。 + 彼らはわたしの名のゆえに、あなたがたに対してすべてそれらのことをするであろう。それは、わたしをつかわされたかたを彼らが知らないからである。 + もしわたしがきて彼らに語らなかったならば、彼らは罪を犯さないですんだであろう。しかし今となっては、彼らには、その罪について言いのがれる道がない。 + わたしを憎む者は、わたしの父をも憎む。 + もし、ほかのだれもがしなかったようなわざを、わたしが彼らの間でしなかったならば、彼らは罪を犯さないですんだであろう。しかし事実、彼らはわたしとわたしの父とを見て、憎んだのである。 + それは、『彼らは理由なしにわたしを憎んだ』と書いてある彼らの律法の言葉が成就するためである。 + わたしが父のみもとからあなたがたにつかわそうとしている助け主、すなわち、父のみもとから来る真理の御霊が下る時、それはわたしについてあかしをするであろう。 + あなたがたも、初めからわたしと一緒にいたのであるから、あかしをするのである。 + + + わたしがこれらのことを語ったのは、あなたがたがつまずくことのないためである。 + 人々はあなたがたを会堂から追い出すであろう。更にあなたがたを殺す者がみな、それによって自分たちは神に仕えているのだと思う時が来るであろう。 + 彼らがそのようなことをするのは、父をもわたしをも知らないからである。 + わたしがあなたがたにこれらのことを言ったのは、彼らの時がきた場合、わたしが彼らについて言ったことを、思い起させるためである。これらのことを初めから言わなかったのは、わたしがあなたがたと一緒にいたからである。 + けれども今わたしは、わたしをつかわされたかたのところに行こうとしている。しかし、あなたがたのうち、だれも『どこへ行くのか』と尋ねる者はない。 + かえって、わたしがこれらのことを言ったために、あなたがたの心は憂いで満たされている。 + しかし、わたしはほんとうのことをあなたがたに言うが、わたしが去って行くことは、あなたがたの益になるのだ。わたしが去って行かなければ、あなたがたのところに助け主はこないであろう。もし行けば、それをあなたがたにつかわそう。 + それがきたら、罪と義とさばきとについて、世の人の目を開くであろう。 + 罪についてと言ったのは、彼らがわたしを信じないからである。 + 義についてと言ったのは、わたしが父のみもとに行き、あなたがたは、もはやわたしを見なくなるからである。 + さばきについてと言ったのは、この世の君がさばかれるからである。 + わたしには、あなたがたに言うべきことがまだ多くあるが、あなたがたは今はそれに堪えられない。 + けれども真理の御霊が来る時には、あなたがたをあらゆる真理に導いてくれるであろう。それは自分から語るのではなく、その聞くところを語り、きたるべき事をあなたがたに知らせるであろう。 + 御霊はわたしに栄光を得させるであろう。わたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるからである。 + 父がお持ちになっているものはみな、わたしのものである。御霊はわたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるのだと、わたしが言ったのは、そのためである。 + しばらくすれば、あなたがたはもうわたしを見なくなる。しかし、またしばらくすれば、わたしに会えるであろう」。 + そこで、弟子たちのうちのある者は互に言い合った、「『しばらくすれば、わたしを見なくなる。またしばらくすれば、わたしに会えるであろう』と言われ、『わたしの父のところに行く』と言われたのは、いったい、どういうことなのであろう」。 + 彼らはまた言った、「『しばらくすれば』と言われるのは、どういうことか。わたしたちには、その言葉の意味がわからない」。 + イエスは、彼らが尋ねたがっていることに気がついて、彼らに言われた、「しばらくすればわたしを見なくなる、またしばらくすればわたしに会えるであろうと、わたしが言ったことで、互に論じ合っているのか。 + よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたは泣き悲しむが、この世は喜ぶであろう。あなたがたは憂えているが、その憂いは喜びに変るであろう。 + 女が子を産む場合には、その時がきたというので、不安を感じる。しかし、子を産んでしまえば、もはやその苦しみをおぼえてはいない。ひとりの人がこの世に生れた、という喜びがあるためである。 + このように、あなたがたにも今は不安がある。しかし、わたしは再びあなたがたと会うであろう。そして、あなたがたの心は喜びに満たされるであろう。その喜びをあなたがたから取り去る者はいない。 + その日には、あなたがたがわたしに問うことは、何もないであろう。よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたが父に求めるものはなんでも、わたしの名によって下さるであろう。 + 今までは、あなたがたはわたしの名によって求めたことはなかった。求めなさい、そうすれば、与えられるであろう。そして、あなたがたの喜びが満ちあふれるであろう。 + わたしはこれらのことを比喩で話したが、もはや比喩では話さないで、あからさまに、父のことをあなたがたに話してきかせる時が来るであろう。 + その日には、あなたがたは、わたしの名によって求めるであろう。わたしは、あなたがたのために父に願ってあげようとは言うまい。 + 父ご自身があなたがたを愛しておいでになるからである。それは、あなたがたがわたしを愛したため、また、わたしが神のみもとからきたことを信じたためである。 + わたしは父から出てこの世にきたが、またこの世を去って、父のみもとに行くのである」。 + 弟子たちは言った、「今はあからさまにお話しになって、少しも比喩ではお話しになりません。 + あなたはすべてのことをご存じであり、だれもあなたにお尋ねする必要のないことが、今わかりました。このことによって、わたしたちはあなたが神からこられたかたであると信じます」。 + イエスは答えられた、「あなたがたは今信じているのか。 + 見よ、あなたがたは散らされて、それぞれ自分の家に帰り、わたしをひとりだけ残す時が来るであろう。いや、すでにきている。しかし、わたしはひとりでいるのではない。父がわたしと一緒におられるのである。 + これらのことをあなたがたに話したのは、わたしにあって平安を得るためである。あなたがたは、この世ではなやみがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」。 + + + これらのことを語り終えると、イエスは天を見あげて言われた、「父よ、時がきました。あなたの子があなたの栄光をあらわすように、子の栄光をあらわして下さい。 + あなたは、子に賜わったすべての者に、永遠の命を授けさせるため、万民を支配する権威を子にお与えになったのですから。 + 永遠の命とは、唯一の、まことの神でいますあなたと、また、あなたがつかわされたイエス・キリストとを知ることであります。 + わたしは、わたしにさせるためにお授けになったわざをなし遂げて、地上であなたの栄光をあらわしました。 + 父よ、世が造られる前に、わたしがみそばで持っていた栄光で、今み前にわたしを輝かせて下さい。 + わたしは、あなたが世から選んでわたしに賜わった人々に、み名をあらわしました。彼らはあなたのものでありましたが、わたしに下さいました。そして、彼らはあなたの言葉を守りました。 + いま彼らは、わたしに賜わったものはすべて、あなたから出たものであることを知りました。 + なぜなら、わたしはあなたからいただいた言葉を彼らに与え、そして彼らはそれを受け、わたしがあなたから出たものであることをほんとうに知り、また、あなたがわたしをつかわされたことを信じるに至ったからです。 + わたしは彼らのためにお願いします。わたしがお願いするのは、この世のためにではなく、あなたがわたしに賜わった者たちのためです。彼らはあなたのものなのです。 + わたしのものは皆あなたのもの、あなたのものはわたしのものです。そして、わたしは彼らによって栄光を受けました。 + わたしはもうこの世にはいなくなりますが、彼らはこの世に残っており、わたしはみもとに参ります。聖なる父よ、わたしに賜わった御名によって彼らを守って下さい。それはわたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためであります。 + わたしが彼らと一緒にいた間は、あなたからいただいた御名によって彼らを守り、また保護してまいりました。彼らのうち、だれも滅びず、ただ滅びの子だけが滅びました。それは聖書が成就するためでした。 + 今わたしはみもとに参ります。そして世にいる間にこれらのことを語るのは、わたしの喜びが彼らのうちに満ちあふれるためであります。 + わたしは彼らに御言を与えましたが、世は彼らを憎みました。わたしが世のものでないように、彼らも世のものではないからです。 + わたしがお願いするのは、彼らを世から取り去ることではなく、彼らを悪しき者から守って下さることであります。 + わたしが世のものでないように、彼らも世のものではありません。 + 真理によって彼らを聖別して下さい。あなたの御言は真理であります。 + あなたがわたしを世につかわされたように、わたしも彼らを世につかわしました。 + また彼らが真理によって聖別されるように、彼らのためわたし自身を聖別いたします。 + わたしは彼らのためばかりではなく、彼らの言葉を聞いてわたしを信じている人々のためにも、お願いいたします。 + 父よ、それは、あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるように、みんなの者が一つとなるためであります。すなわち、彼らをもわたしたちのうちにおらせるためであり、それによって、あなたがわたしをおつかわしになったことを、世が信じるようになるためであります。 + わたしは、あなたからいただいた栄光を彼らにも与えました。それは、わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためであります。 + わたしが彼らにおり、あなたがわたしにいますのは、彼らが完全に一つとなるためであり、また、あなたがわたしをつかわし、わたしを愛されたように、彼らをお愛しになったことを、世が知るためであります。 + 父よ、あなたがわたしに賜わった人々が、わたしのいる所に一緒にいるようにして下さい。天地が造られる前からわたしを愛して下さって、わたしに賜わった栄光を、彼らに見させて下さい。 + 正しい父よ、この世はあなたを知っていません。しかし、わたしはあなたを知り、また彼らも、あなたがわたしをおつかわしになったことを知っています。 + そしてわたしは彼らに御名を知らせました。またこれからも知らせましょう。それは、あなたがわたしを愛して下さったその愛が彼らのうちにあり、またわたしも彼らのうちにおるためであります」。 + + + イエスはこれらのことを語り終えて、弟子たちと一緒にケデロンの谷の向こうへ行かれた。そこには園があって、イエスは弟子たちと一緒にその中にはいられた。 + イエスを裏切ったユダは、その所をよく知っていた。イエスと弟子たちとがたびたびそこで集まったことがあるからである。 + さてユダは、一隊の兵卒と祭司長やパリサイ人たちの送った下役どもを引き連れ、たいまつやあかりや武器を持って、そこへやってきた。 + しかしイエスは、自分の身に起ろうとすることをことごとく承知しておられ、進み出て彼らに言われた、「だれを捜しているのか」。 + 彼らは「ナザレのイエスを」と答えた。イエスは彼らに言われた、「わたしが、それである」。イエスを裏切ったユダも、彼らと一緒に立っていた。 + イエスが彼らに「わたしが、それである」と言われたとき、彼らはうしろに引きさがって地に倒れた。 + そこでまた彼らに、「だれを捜しているのか」とお尋ねになると、彼らは「ナザレのイエスを」と言った。 + イエスは答えられた、「わたしがそれであると、言ったではないか。わたしを捜しているのなら、この人たちを去らせてもらいたい」。 + それは、「あなたが与えて下さった人たちの中のひとりも、わたしは失わなかった」とイエスの言われた言葉が、成就するためである。 + シモン・ペテロは剣を持っていたが、それを抜いて、大祭司の僕に切りかかり、その右の耳を切り落した。その僕の名はマルコスであった。 + すると、イエスはペテロに言われた、「剣をさやに納めなさい。父がわたしに下さった杯は、飲むべきではないか」。 + それから一隊の兵卒やその千卒長やユダヤ人の下役どもが、イエスを捕え、縛りあげて、 + まずアンナスのところに引き連れて行った。彼はその年の大祭司カヤパのしゅうとであった。 + カヤパは前に、ひとりの人が民のために死ぬのはよいことだと、ユダヤ人に助言した者であった。 + シモン・ペテロともうひとりの弟子とが、イエスについて行った。この弟子は大祭司の知り合いであったので、イエスと一緒に大祭司の中庭にはいった。 + しかし、ペテロは外で戸口に立っていた。すると大祭司の知り合いであるその弟子が、外に出て行って門番の女に話し、ペテロを内に入れてやった。 + すると、この門番の女がペテロに言った、「あなたも、あの人の弟子のひとりではありませんか」。ペテロは「いや、そうではない」と答えた。 + 僕や下役どもは、寒い時であったので、炭火をおこし、そこに立ってあたっていた。ペテロもまた彼らに交じり、立ってあたっていた。 + 大祭司はイエスに、弟子たちのことやイエスの教のことを尋ねた。 + イエスは答えられた、「わたしはこの世に対して公然と語ってきた。すべてのユダヤ人が集まる会堂や宮で、いつも教えていた。何事も隠れて語ったことはない。 + なぜ、わたしに尋ねるのか。わたしが彼らに語ったことは、それを聞いた人々に尋ねるがよい。わたしの言ったことは、彼らが知っているのだから」。 + イエスがこう言われると、そこに立っていた下役のひとりが、「大祭司にむかって、そのような答をするのか」と言って、平手でイエスを打った。 + イエスは答えられた、「もしわたしが何か悪いことを言ったのなら、その悪い理由を言いなさい。しかし、正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか」。 + それからアンナスは、イエスを縛ったまま大祭司カヤパのところへ送った。 + シモン・ペテロは、立って火にあたっていた。すると人々が彼に言った、「あなたも、あの人の弟子のひとりではないか」。彼はそれをうち消して、「いや、そうではない」と言った。 + 大祭司の僕のひとりで、ペテロに耳を切りおとされた人の親族の者が言った、「あなたが園であの人と一緒にいるのを、わたしは見たではないか」。 + ペテロはまたそれを打ち消した。するとすぐに、鶏が鳴いた。 + それから人々は、イエスをカヤパのところから官邸につれて行った。時は夜明けであった。彼らは、けがれを受けないで過越の食事ができるように、官邸にはいらなかった。 + そこで、ピラトは彼らのところに出てきて言った、「あなたがたは、この人に対してどんな訴えを起すのか」。 + 彼らはピラトに答えて言った、「もしこの人が悪事をはたらかなかったなら、あなたに引き渡すようなことはしなかったでしょう」。 + そこでピラトは彼らに言った、「あなたがたは彼を引き取って、自分たちの律法でさばくがよい」。ユダヤ人らは彼に言った、「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません」。 + これは、ご自身がどんな死にかたをしようとしているかを示すために言われたイエスの言葉が、成就するためである。 + さて、ピラトはまた官邸にはいり、イエスを呼び出して言った、「あなたは、ユダヤ人の王であるか」。 + イエスは答えられた、「あなたがそう言うのは、自分の考えからか。それともほかの人々が、わたしのことをあなたにそう言ったのか」。 + ピラトは答えた、「わたしはユダヤ人なのか。あなたの同族や祭司長たちが、あなたをわたしに引き渡したのだ。あなたは、いったい、何をしたのか」。 + イエスは答えられた、「わたしの国はこの世のものではない。もしわたしの国がこの世のものであれば、わたしに従っている者たちは、わたしをユダヤ人に渡さないように戦ったであろう。しかし事実、わたしの国はこの世のものではない」。 + そこでピラトはイエスに言った、「それでは、あなたは王なのだな」。イエスは答えられた、「あなたの言うとおり、わたしは王である。わたしは真理についてあかしをするために生れ、また、そのためにこの世にきたのである。だれでも真理につく者は、わたしの声に耳を傾ける」。 + ピラトはイエスに言った、「真理とは何か」。こう言って、彼はまたユダヤ人の所に出て行き、彼らに言った、「わたしには、この人になんの罪も見いだせない。 + 過越の時には、わたしがあなたがたのために、ひとりの人を許してやるのが、あなたがたのしきたりになっている。ついては、あなたがたは、このユダヤ人の王を許してもらいたいのか」。 + すると彼らは、また叫んで「その人ではなく、バラバを」と言った。このバラバは強盗であった。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + さて、一週の初めの日に、朝早くまだ暗いうちに、マグダラのマリヤが墓に行くと、墓から石がとりのけてあるのを見た。 + そこで走って、シモン・ペテロとイエスが愛しておられた、もうひとりの弟子のところへ行って、彼らに言った、「だれかが、主を墓から取り去りました。どこへ置いたのか、わかりません」。 + そこでペテロともうひとりの弟子は出かけて、墓へむかって行った。 + ふたりは一緒に走り出したが、そのもうひとりの弟子の方が、ペテロよりも早く走って先に墓に着き、 + そして身をかがめてみると、亜麻布がそこに置いてあるのを見たが、中へははいらなかった。 + シモン・ペテロも続いてきて、墓の中にはいった。彼は亜麻布がそこに置いてあるのを見たが、 + イエスの頭に巻いてあった布は亜麻布のそばにはなくて、はなれた別の場所にくるめてあった。 + すると、先に墓に着いたもうひとりの弟子もはいってきて、これを見て信じた。 + しかし、彼らは死人のうちからイエスがよみがえるべきことをしるした聖句を、まだ悟っていなかった。 + それから、ふたりの弟子たちは自分の家に帰って行った。 + しかし、マリヤは墓の外に立って泣いていた。そして泣きながら、身をかがめて墓の中をのぞくと、 + 白い衣を着たふたりの御使が、イエスの死体のおかれていた場所に、ひとりは頭の方に、ひとりは足の方に、すわっているのを見た。 + すると、彼らはマリヤに、「女よ、なぜ泣いているのか」と言った。マリヤは彼らに言った、「だれかが、わたしの主を取り去りました。そして、どこに置いたのか、わからないのです」。 + そう言って、うしろをふり向くと、そこにイエスが立っておられるのを見た。しかし、それがイエスであることに気がつかなかった。 + イエスは女に言われた、「女よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか」。マリヤは、その人が園の番人だと思って言った、「もしあなたが、あのかたを移したのでしたら、どこへ置いたのか、どうぞ、おっしゃって下さい。わたしがそのかたを引き取ります」。 + イエスは彼女に「マリヤよ」と言われた。マリヤはふり返って、イエスにむかってヘブル語で「ラボニ」と言った。それは、先生という意味である。 + イエスは彼女に言われた、「わたしにさわってはいけない。わたしは、まだ父のみもとに上っていないのだから。ただ、わたしの兄弟たちの所に行って、『わたしは、わたしの父またあなたがたの父であって、わたしの神またあなたがたの神であられるかたのみもとへ上って行く』と、彼らに伝えなさい」。 + マグダラのマリヤは弟子たちのところに行って、自分が主に会ったこと、またイエスがこれこれのことを自分に仰せになったことを、報告した。 + その日、すなわち、一週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人をおそれて、自分たちのおる所の戸をみなしめていると、イエスがはいってきて、彼らの中に立ち、「安かれ」と言われた。 + そう言って、手とわきとを、彼らにお見せになった。弟子たちは主を見て喜んだ。 + イエスはまた彼らに言われた、「安かれ。父がわたしをおつかわしになったように、わたしもまたあなたがたをつかわす」。 + そう言って、彼らに息を吹きかけて仰せになった、「聖霊を受けよ。 + あなたがたがゆるす罪は、だれの罪でもゆるされ、あなたがたがゆるさずにおく罪は、そのまま残るであろう」。 + 十二弟子のひとりで、デドモと呼ばれているトマスは、イエスがこられたとき、彼らと一緒にいなかった。 + ほかの弟子たちが、彼に「わたしたちは主にお目にかかった」と言うと、トマスは彼らに言った、「わたしは、その手に釘あとを見、わたしの指をその釘あとにさし入れ、また、わたしの手をそのわきにさし入れてみなければ、決して信じない」。 + 八日ののち、イエスの弟子たちはまた家の内におり、トマスも一緒にいた。戸はみな閉ざされていたが、イエスがはいってこられ、中に立って「安かれ」と言われた。 + それからトマスに言われた、「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手をのばしてわたしのわきにさし入れてみなさい。信じない者にならないで、信じる者になりなさい」。 + トマスはイエスに答えて言った、「わが主よ、わが神よ」。 + イエスは彼に言われた、「あなたはわたしを見たので信じたのか。見ないで信ずる者は、さいわいである」。 + イエスは、この書に書かれていないしるしを、ほかにも多く、弟子たちの前で行われた。 + しかし、これらのことを書いたのは、あなたがたがイエスは神の子キリストであると信じるためであり、また、そう信じて、イエスの名によって命を得るためである。 + + + そののち、イエスはテベリヤの海べで、ご自身をまた弟子たちにあらわされた。そのあらわされた次第は、こうである。 + シモン・ペテロが、デドモと呼ばれているトマス、ガリラヤのカナのナタナエル、ゼベダイの子らや、ほかのふたりの弟子たちと一緒にいた時のことである。 + シモン・ペテロは彼らに「わたしは漁に行くのだ」と言うと、彼らは「わたしたちも一緒に行こう」と言った。彼らは出て行って舟に乗った。しかし、その夜はなんの獲物もなかった。 + 夜が明けたころ、イエスが岸に立っておられた。しかし弟子たちはそれがイエスだとは知らなかった。 + イエスは彼らに言われた、「子たちよ、何か食べるものがあるか」。彼らは「ありません」と答えた。 + すると、イエスは彼らに言われた、「舟の右の方に網をおろして見なさい。そうすれば、何かとれるだろう」。彼らは網をおろすと、魚が多くとれたので、それを引き上げることができなかった。 + イエスの愛しておられた弟子が、ペテロに「あれは主だ」と言った。シモン・ペテロは主であると聞いて、裸になっていたため、上着をまとって海にとびこんだ。 + しかし、ほかの弟子たちは舟に乗ったまま、魚のはいっている網を引きながら帰って行った。陸からはあまり遠くない五十間ほどの所にいたからである。 + 彼らが陸に上って見ると、炭火がおこしてあって、その上に魚がのせてあり、またそこにパンがあった。 + イエスは彼らに言われた、「今とった魚を少し持ってきなさい」。 + シモン・ペテロが行って、網を陸へ引き上げると、百五十三びきの大きな魚でいっぱいになっていた。そんなに多かったが、網はさけないでいた。 + イエスは彼らに言われた、「さあ、朝の食事をしなさい」。弟子たちは、主であることがわかっていたので、だれも「あなたはどなたですか」と進んで尋ねる者がなかった。 + イエスはそこにきて、パンをとり彼らに与え、また魚も同じようにされた。 + イエスが死人の中からよみがえったのち、弟子たちにあらわれたのは、これで既に三度目である。 + 彼らが食事をすませると、イエスはシモン・ペテロに言われた、「ヨハネの子シモンよ、あなたはこの人たちが愛する以上に、わたしを愛するか」。ペテロは言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に「わたしの小羊を養いなさい」と言われた。 + またもう一度彼に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。彼はイエスに言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を飼いなさい」。 + イエスは三度目に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。ペテロは「わたしを愛するか」とイエスが三度も言われたので、心をいためてイエスに言った、「主よ、あなたはすべてをご存じです。わたしがあなたを愛していることは、おわかりになっています」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を養いなさい。 + よくよくあなたに言っておく。あなたが若かった時には、自分で帯をしめて、思いのままに歩きまわっていた。しかし年をとってからは、自分の手をのばすことになろう。そして、ほかの人があなたに帯を結びつけ、行きたくない所へ連れて行くであろう」。 + これは、ペテロがどんな死に方で、神の栄光をあらわすかを示すために、お話しになったのである。こう話してから、「わたしに従ってきなさい」と言われた。 + ペテロはふり返ると、イエスの愛しておられた弟子がついて来るのを見た。この弟子は、あの夕食のときイエスの胸近くに寄りかかって、「主よ、あなたを裏切る者は、だれなのですか」と尋ねた人である。 + ペテロはこの弟子を見て、イエスに言った、「主よ、この人はどうなのですか」。 + イエスは彼に言われた、「たとい、わたしの来る時まで彼が生き残っていることを、わたしが望んだとしても、あなたにはなんの係わりがあるか。あなたは、わたしに従ってきなさい」。 + こういうわけで、この弟子は死ぬことがないといううわさが、兄弟たちの間にひろまった。しかし、イエスは彼が死ぬことはないと言われたのではなく、ただ「たとい、わたしの来る時まで彼が生き残っていることを、わたしが望んだとしても、あなたにはなんの係わりがあるか」と言われただけである。 + これらの事についてあかしをし、またこれらの事を書いたのは、この弟子である。そして彼のあかしが真実であることを、わたしたちは知っている。 + イエスのなさったことは、このほかにまだ数多くある。もしいちいち書きつけるならば、世界もその書かれた文書を収めきれないであろうと思う。 + +
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+ + テオピロよ、わたしは先に第一巻を著わして、イエスが行い、また教えはじめてから、 + お選びになった使徒たちに、聖霊によって命じたのち、天に上げられた日までのことを、ことごとくしるした。 + イエスは苦難を受けたのち、自分の生きていることを数々の確かな証拠によって示し、四十日にわたってたびたび彼らに現れて、神の国のことを語られた。 + そして食事を共にしているとき、彼らにお命じになった、「エルサレムから離れないで、かねてわたしから聞いていた父の約束を待っているがよい。 + すなわち、ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは間もなく聖霊によって、バプテスマを授けられるであろう」。 + さて、弟子たちが一緒に集まったとき、イエスに問うて言った、「主よ、イスラエルのために国を復興なさるのは、この時なのですか」。 + 彼らに言われた、「時期や場合は、父がご自分の権威によって定めておられるのであって、あなたがたの知る限りではない。 + ただ、聖霊があなたがたにくだる時、あなたがたは力を受けて、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、さらに地のはてまで、わたしの証人となるであろう」。 + こう言い終ると、イエスは彼らの見ている前で天に上げられ、雲に迎えられて、その姿が見えなくなった。 + イエスの上って行かれるとき、彼らが天を見つめていると、見よ、白い衣を着たふたりの人が、彼らのそばに立っていて + 言った、「ガリラヤの人たちよ、なぜ天を仰いで立っているのか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになるであろう」。 + それから彼らは、オリブという山を下ってエルサレムに帰った。この山はエルサレムに近く、安息日に許されている距離のところにある。 + 彼らは、市内に行って、その泊まっていた屋上の間にあがった。その人たちは、ペテロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコブと熱心党のシモンとヤコブの子ユダとであった。 + 彼らはみな、婦人たち、特にイエスの母マリヤ、およびイエスの兄弟たちと共に、心を合わせて、ひたすら祈をしていた。 + そのころ、百二十名ばかりの人々が、一団となって集まっていたが、ペテロはこれらの兄弟たちの中に立って言った、 + 「兄弟たちよ、イエスを捕えた者たちの手びきになったユダについては、聖霊がダビデの口をとおして預言したその言葉は、成就しなければならなかった。 + 彼はわたしたちの仲間に加えられ、この務を授かっていた者であった。( + 彼は不義の報酬で、ある地所を手に入れたが、そこへまっさかさまに落ちて、腹がまん中から引き裂け、はらわたがみな流れ出てしまった。 + そして、この事はエルサレムの全住民に知れわたり、そこで、この地所が彼らの国語でアケルダマと呼ばれるようになった。「血の地所」との意である。) + 詩篇に、『その屋敷は荒れ果てよ、そこにはひとりも住む者がいなくなれ』と書いてあり、また『その職は、ほかの者に取らせよ』とあるとおりである。 + そういうわけで、主イエスがわたしたちの間にゆききされた期間中、 + すなわち、ヨハネのバプテスマの時から始まって、わたしたちを離れて天に上げられた日に至るまで、始終わたしたちと行動を共にした人たちのうち、だれかひとりが、わたしたちに加わって主の復活の証人にならねばならない」。 + そこで一同は、バルサバと呼ばれ、またの名をユストというヨセフと、マッテヤとのふたりを立て、 + 祈って言った、「すべての人の心をご存じである主よ。このふたりのうちのどちらを選んで、 + ユダがこの使徒の職務から落ちて、自分の行くべきところへ行ったそのあとを継がせなさいますか、お示し下さい」。 + それから、ふたりのためにくじを引いたところ、マッテヤに当ったので、この人が十一人の使徒たちに加えられることになった。 + + + 五旬節の日がきて、みんなの者が一緒に集まっていると、 + 突然、激しい風が吹いてきたような音が天から起ってきて、一同がすわっていた家いっぱいに響きわたった。 + また、舌のようなものが、炎のように分れて現れ、ひとりびとりの上にとどまった。 + すると、一同は聖霊に満たされ、御霊が語らせるままに、いろいろの他国の言葉で語り出した。 + さて、エルサレムには、天下のあらゆる国々から、信仰深いユダヤ人たちがきて住んでいたが、 + この物音に大ぜいの人が集まってきて、彼らの生れ故郷の国語で、使徒たちが話しているのを、だれもかれも聞いてあっけに取られた。 + そして驚き怪しんで言った、「見よ、いま話しているこの人たちは、皆ガリラヤ人ではないか。 + それだのに、わたしたちがそれぞれ、生れ故郷の国語を彼らから聞かされるとは、いったい、どうしたことか。 + わたしたちの中には、パルテヤ人、メジヤ人、エラム人もおれば、メソポタミヤ、ユダヤ、カパドキヤ、ポントとアジヤ、 + フルギヤとパンフリヤ、エジプトとクレネに近いリビヤ地方などに住む者もいるし、またローマ人で旅にきている者、 + ユダヤ人と改宗者、クレテ人とアラビヤ人もいるのだが、あの人々がわたしたちの国語で、神の大きな働きを述べるのを聞くとは、どうしたことか」。 + みんなの者は驚き惑って、互に言い合った、「これは、いったい、どういうわけなのだろう」。 + しかし、ほかの人たちはあざ笑って、「あの人たちは新しい酒で酔っているのだ」と言った。 + そこで、ペテロが十一人の者と共に立ちあがり、声をあげて人々に語りかけた。「ユダヤの人たち、ならびにエルサレムに住むすべてのかたがた、どうか、この事を知っていただきたい。わたしの言うことに耳を傾けていただきたい。 + 今は朝の九時であるから、この人たちは、あなたがたが思っているように、酒に酔っているのではない。 + そうではなく、これは預言者ヨエルが預言していたことに外ならないのである。すなわち、 + 『神がこう仰せになる。終りの時には、わたしの霊をすべての人に注ごう。そして、あなたがたのむすこ娘は預言をし、若者たちは幻を見、老人たちは夢を見るであろう。 + その時には、わたしの男女の僕たちにもわたしの霊を注ごう。そして彼らも預言をするであろう。 + また、上では、天に奇跡を見せ、下では、地にしるしを、すなわち、血と火と立ちこめる煙とを、見せるであろう。 + 主の大いなる輝かしい日が来る前に、日はやみに月は血に変るであろう。 + そのとき、主の名を呼び求める者は、みな救われるであろう』。 + イスラエルの人たちよ、今わたしの語ることを聞きなさい。あなたがたがよく知っているとおり、ナザレ人イエスは、神が彼をとおして、あなたがたの中で行われた数々の力あるわざと奇跡としるしとにより、神からつかわされた者であることを、あなたがたに示されたかたであった。 + このイエスが渡されたのは神の定めた計画と予知とによるのであるが、あなたがたは彼を不法の人々の手で十字架につけて殺した。 + 神はこのイエスを死の苦しみから解き放って、よみがえらせたのである。イエスが死に支配されているはずはなかったからである。 + ダビデはイエスについてこう言っている、『わたしは常に目の前に主を見た。主は、わたしが動かされないため、わたしの右にいて下さるからである。 + それゆえ、わたしの心は楽しみ、わたしの舌はよろこび歌った。わたしの肉体もまた、望みに生きるであろう。 + あなたは、わたしの魂を黄泉に捨ておくことをせず、あなたの聖者が朽ち果てるのを、お許しにならないであろう。 + あなたは、いのちの道をわたしに示し、み前にあって、わたしを喜びで満たして下さるであろう』。 + 兄弟たちよ、族長ダビデについては、わたしはあなたがたにむかって大胆に言うことができる。彼は死んで葬られ、現にその墓が今日に至るまで、わたしたちの間に残っている。 + 彼は預言者であって、『その子孫のひとりを王位につかせよう』と、神が堅く彼に誓われたことを認めていたので、 + キリストの復活をあらかじめ知って、『彼は黄泉に捨ておかれることがなく、またその肉体が朽ち果てることもない』と語ったのである。 + このイエスを、神はよみがえらせた。そして、わたしたちは皆その証人なのである。 + それで、イエスは神の右に上げられ、父から約束の聖霊を受けて、それをわたしたちに注がれたのである。このことは、あなたがたが現に見聞きしているとおりである。 + ダビデが天に上ったのではない。彼自身こう言っている、『主はわが主に仰せになった、 + あなたの敵をあなたの足台にするまでは、わたしの右に座していなさい』。 + だから、イスラエルの全家は、この事をしかと知っておくがよい。あなたがたが十字架につけたこのイエスを、神は、主またキリストとしてお立てになったのである」。 + 人々はこれを聞いて、強く心を刺され、ペテロやほかの使徒たちに、「兄弟たちよ、わたしたちは、どうしたらよいのでしょうか」と言った。 + すると、ペテロが答えた、「悔い改めなさい。そして、あなたがたひとりびとりが罪のゆるしを得るために、イエス・キリストの名によって、バプテスマを受けなさい。そうすれば、あなたがたは聖霊の賜物を受けるであろう。 + この約束は、われらの主なる神の召しにあずかるすべての者、すなわちあなたがたと、あなたがたの子らと、遠くの者一同とに、与えられているものである」。 + ペテロは、ほかになお多くの言葉であかしをなし、人々に「この曲った時代から救われよ」と言って勧めた。 + そこで、彼の勧めの言葉を受けいれた者たちは、バプテスマを受けたが、その日、仲間に加わったものが三千人ほどあった。 + そして一同はひたすら、使徒たちの教を守り、信徒の交わりをなし、共にパンをさき、祈をしていた。 + みんなの者におそれの念が生じ、多くの奇跡としるしとが、使徒たちによって、次々に行われた。 + 信者たちはみな一緒にいて、いっさいの物を共有にし、 + 資産や持ち物を売っては、必要に応じてみんなの者に分け与えた。 + そして日々心を一つにして、絶えず宮もうでをなし、家ではパンをさき、よろこびと、まごころとをもって、食事を共にし、 + 神をさんびし、すべての人に好意を持たれていた。そして主は、救われる者を日々仲間に加えて下さったのである。 + + + さて、ペテロとヨハネとが、午後三時の祈のときに宮に上ろうとしていると、 + 生れながら足のきかない男が、かかえられてきた。この男は、宮もうでに来る人々に施しをこうため、毎日、「美しの門」と呼ばれる宮の門のところに、置かれていた者である。 + 彼は、ペテロとヨハネとが、宮にはいって行こうとしているのを見て、施しをこうた。 + ペテロとヨハネとは彼をじっと見て、「わたしたちを見なさい」と言った。 + 彼は何かもらえるのだろうと期待して、ふたりに注目していると、 + ペテロが言った、「金銀はわたしには無い。しかし、わたしにあるものをあげよう。ナザレ人イエス・キリストの名によって歩きなさい」。 + こう言って彼の右手を取って起してやると、足と、くるぶしとが、立ちどころに強くなって、 + 踊りあがって立ち、歩き出した。そして、歩き回ったり踊ったりして神をさんびしながら、彼らと共に宮にはいって行った。 + 民衆はみな、彼が歩き回り、また神をさんびしているのを見、 + これが宮の「美しの門」のそばにすわって、施しをこうていた者であると知り、彼の身に起ったことについて、驚き怪しんだ。 + 彼がなおもペテロとヨハネとにつきまとっているとき、人々は皆ひどく驚いて、「ソロモンの廊」と呼ばれる柱廊にいた彼らのところに駆け集まってきた。 + ペテロはこれを見て、人々にむかって言った、「イスラエルの人たちよ、なぜこの事を不思議に思うのか。また、わたしたちが自分の力や信心で、あの人を歩かせたかのように、なぜわたしたちを見つめているのか。 + アブラハム、イサク、ヤコブの神、わたしたちの先祖の神は、その僕イエスに栄光を賜わったのであるが、あなたがたは、このイエスを引き渡し、ピラトがゆるすことに決めていたのに、それを彼の面前で拒んだ。 + あなたがたは、この聖なる正しいかたを拒んで、人殺しの男をゆるすように要求し、 + いのちの君を殺してしまった。しかし、神はこのイエスを死人の中から、よみがえらせた。わたしたちは、その事の証人である。 + そして、イエスの名が、それを信じる信仰のゆえに、あなたがたのいま見て知っているこの人を、強くしたのであり、イエスによる信仰が、彼をあなたがた一同の前で、このとおり完全にいやしたのである。 + さて、兄弟たちよ、あなたがたは知らずにあのような事をしたのであり、あなたがたの指導者たちとても同様であったことは、わたしにわかっている。 + 神はあらゆる預言者の口をとおして、キリストの受難を予告しておられたが、それをこのように成就なさったのである。 + だから、自分の罪をぬぐい去っていただくために、悔い改めて本心に立ちかえりなさい。 + それは、主のみ前から慰めの時がきて、あなたがたのためにあらかじめ定めてあったキリストなるイエスを、神がつかわして下さるためである。 + このイエスは、神が聖なる預言者たちの口をとおして、昔から預言しておられた万物更新の時まで、天にとどめておかれねばならなかった。 + モーセは言った、『主なる神は、わたしをお立てになったように、あなたがたの兄弟の中から、ひとりの預言者をお立てになるであろう。その預言者があなたがたに語ることには、ことごとく聞きしたがいなさい。 + 彼に聞きしたがわない者は、みな民の中から滅ぼし去られるであろう』。 + サムエルをはじめ、その後つづいて語ったほどの預言者はみな、この時のことを予告した。 + あなたがたは預言者の子であり、神があなたがたの先祖たちと結ばれた契約の子である。神はアブラハムに対して、『地上の諸民族は、あなたの子孫によって祝福を受けるであろう』と仰せられた。 + 神がまずあなたがたのために、その僕を立てて、おつかわしになったのは、あなたがたひとりびとりを、悪から立ちかえらせて、祝福にあずからせるためなのである」。 + + + 彼らが人々にこのように語っているあいだに、祭司たち、宮守がしら、サドカイ人たちが近寄ってきて、 + 彼らが人々に教を説き、イエス自身に起った死人の復活を宣伝しているのに気をいら立て、 + 彼らに手をかけて捕え、はや日が暮れていたので、翌朝まで留置しておいた。 + しかし、彼らの話を聞いた多くの人たちは信じた。そして、その男の数が五千人ほどになった。 + 明くる日、役人、長老、律法学者たちが、エルサレムに召集された。 + 大祭司アンナスをはじめ、カヤパ、ヨハネ、アレキサンデル、そのほか大祭司の一族もみな集まった。 + そして、そのまん中に使徒たちを立たせて尋問した、「あなたがたは、いったい、なんの権威、また、だれの名によって、このことをしたのか」。 + その時、ペテロが聖霊に満たされて言った、「民の役人たち、ならびに長老たちよ、 + わたしたちが、きょう、取調べを受けているのは、病人に対してした良いわざについてであり、この人がどうしていやされたかについてであるなら、 + あなたがたご一同も、またイスラエルの人々全体も、知っていてもらいたい。この人が元気になってみんなの前に立っているのは、ひとえに、あなたがたが十字架につけて殺したのを、神が死人の中からよみがえらせたナザレ人イエス・キリストの御名によるのである。 + このイエスこそは『あなたがた家造りらに捨てられたが、隅のかしら石となった石』なのである。 + この人による以外に救はない。わたしたちを救いうる名は、これを別にしては、天下のだれにも与えられていないからである」。 + 人々はペテロとヨハネとの大胆な話しぶりを見、また同時に、ふたりが無学な、ただの人たちであることを知って、不思議に思った。そして彼らがイエスと共にいた者であることを認め、 + かつ、彼らにいやされた者がそのそばに立っているのを見ては、まったく返す言葉がなかった。 + そこで、ふたりに議会から退場するように命じてから、互に協議をつづけて + 言った、「あの人たちを、どうしたらよかろうか。彼らによって著しいしるしが行われたことは、エルサレムの住民全体に知れわたっているので、否定しようもない。 + ただ、これ以上このことが民衆の間にひろまらないように、今後はこの名によって、いっさいだれにも語ってはいけないと、おどしてやろうではないか」。 + そこで、ふたりを呼び入れて、イエスの名によって語ることも説くことも、いっさい相成らぬと言いわたした。 + ペテロとヨハネとは、これに対して言った、「神に聞き従うよりも、あなたがたに聞き従う方が、神の前に正しいかどうか、判断してもらいたい。 + わたしたちとしては、自分の見たこと聞いたことを、語らないわけにはいかない」。 + そこで、彼らはふたりを更におどしたうえ、ゆるしてやった。みんなの者が、この出来事のために、神をあがめていたので、その人々の手前、ふたりを罰するすべがなかったからである。 + そのしるしによっていやされたのは、四十歳あまりの人であった。 + ふたりはゆるされてから、仲間の者たちのところに帰って、祭司長たちや長老たちが言ったいっさいのことを報告した。 + 一同はこれを聞くと、口をそろえて、神にむかい声をあげて言った、「天と地と海と、その中のすべてのものとの造りぬしなる主よ。 + あなたは、わたしたちの先祖、あなたの僕ダビデの口をとおして、聖霊によって、こう仰せになりました、『なぜ、異邦人らは、騒ぎ立ち、もろもろの民は、むなしいことを図り、 + 地上の王たちは、立ちかまえ、支配者たちは、党を組んで、主とそのキリストとに逆らったのか』。 + まことに、ヘロデとポンテオ・ピラトとは、異邦人らやイスラエルの民と一緒になって、この都に集まり、あなたから油を注がれた聖なる僕イエスに逆らい、 + み手とみ旨とによって、あらかじめ定められていたことを、なし遂げたのです。 + 主よ、いま、彼らの脅迫に目をとめ、僕たちに、思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい。 + そしてみ手を伸ばしていやしをなし、聖なる僕イエスの名によって、しるしと奇跡とを行わせて下さい」。 + 彼らが祈り終えると、その集まっていた場所が揺れ動き、一同は聖霊に満たされて、大胆に神の言を語り出した。 + 信じた者の群れは、心を一つにし思いを一つにして、だれひとりその持ち物を自分のものだと主張する者がなく、いっさいの物を共有にしていた。 + 使徒たちは主イエスの復活について、非常に力強くあかしをした。そして大きなめぐみが、彼ら一同に注がれた。 + 彼らの中に乏しい者は、ひとりもいなかった。地所や家屋を持っている人たちは、それを売り、売った物の代金をもってきて、 + 使徒たちの足もとに置いた。そしてそれぞれの必要に応じて、だれにでも分け与えられた。 + クプロ生れのレビ人で、使徒たちにバルナバ(「慰めの子」との意)と呼ばれていたヨセフは、 + 自分の所有する畑を売り、その代金をもってきて、使徒たちの足もとに置いた。 + + + ところが、アナニヤという人とその妻サッピラとは共に資産を売ったが、 + 共謀して、その代金をごまかし、一部だけを持ってきて、使徒たちの足もとに置いた。 + そこで、ペテロが言った、「アナニヤよ、どうしてあなたは、自分の心をサタンに奪われて、聖霊を欺き、地所の代金をごまかしたのか。 + 売らずに残しておけば、あなたのものであり、売ってしまっても、あなたの自由になったはずではないか。どうして、こんなことをする気になったのか。あなたは人を欺いたのではなくて、神を欺いたのだ」。 + アナニヤはこの言葉を聞いているうちに、倒れて息が絶えた。このことを伝え聞いた人々は、みな非常なおそれを感じた。 + それから、若者たちが立って、その死体を包み、運び出して葬った。 + 三時間ばかりたってから、たまたま彼の妻が、この出来事を知らずに、はいってきた。 + そこで、ペテロが彼女にむかって言った、「あの地所は、これこれの値段で売ったのか。そのとおりか」。彼女は「そうです、その値段です」と答えた。 + ペテロは言った、「あなたがたふたりが、心を合わせて主の御霊を試みるとは、何事であるか。見よ、あなたの夫を葬った人たちの足が、そこの門口にきている。あなたも運び出されるであろう」。 + すると女は、たちまち彼の足もとに倒れて、息が絶えた。そこに若者たちがはいってきて、女が死んでしまっているのを見、それを運び出してその夫のそばに葬った。 + 教会全体ならびにこれを伝え聞いた人たちは、みな非常なおそれを感じた。 + そのころ、多くのしるしと奇跡とが、次々に使徒たちの手により人々の中で行われた。そして、一同は心を一つにして、ソロモンの廊に集まっていた。 + ほかの者たちは、だれひとり、その交わりに入ろうとはしなかったが、民衆は彼らを尊敬していた。 + しかし、主を信じて仲間に加わる者が、男女とも、ますます多くなってきた。 + ついには、病人を大通りに運び出し、寝台や寝床の上に置いて、ペテロが通るとき、彼の影なりと、そのうちのだれかにかかるようにしたほどであった。 + またエルサレム附近の町々からも、大ぜいの人が、病人や汚れた霊に苦しめられている人たちを引き連れて、集まってきたが、その全部の者が、ひとり残らずいやされた。 + そこで、大祭司とその仲間の者、すなわち、サドカイ派の人たちが、みな嫉妬の念に満たされて立ちあがり、 + 使徒たちに手をかけて捕え、公共の留置場に入れた。 + ところが夜、主の使が獄の戸を開き、彼らを連れ出して言った、 + 「さあ行きなさい。そして、宮の庭に立ち、この命の言葉を漏れなく、人々に語りなさい」。 + 彼らはこれを聞き、夜明けごろ宮にはいって教えはじめた。一方では、大祭司とその仲間の者とが、集まってきて、議会とイスラエル人の長老一同とを召集し、使徒たちを引き出してこさせるために、人を獄につかわした。 + そこで、下役どもが行って見ると、使徒たちが獄にいないので、引き返して報告した、 + 「獄には、しっかりと錠がかけてあり、戸口には、番人が立っていました。ところが、あけて見たら、中にはだれもいませんでした」。 + 宮守がしらと祭司長たちとは、この報告を聞いて、これは、いったい、どんな事になるのだろうと、あわて惑っていた。 + そこへ、ある人がきて知らせた、「行ってごらんなさい。あなたがたが獄に入れたあの人たちが、宮の庭に立って、民衆を教えています」。 + そこで宮守がしらが、下役どもと一緒に出かけて行って、使徒たちを連れてきた。しかし、人々に石で打ち殺されるのを恐れて、手荒なことはせず、 + 彼らを連れてきて、議会の中に立たせた。すると、大祭司が問うて + 言った、「あの名を使って教えてはならないと、きびしく命じておいたではないか。それだのに、なんという事だ。エルサレム中にあなたがたの教を、はんらんさせている。あなたがたは確かに、あの人の血の責任をわたしたちに負わせようと、たくらんでいるのだ」。 + これに対して、ペテロをはじめ使徒たちは言った、「人間に従うよりは、神に従うべきである。 + わたしたちの先祖の神は、あなたがたが木にかけて殺したイエスをよみがえらせ、 + そして、イスラエルを悔い改めさせてこれに罪のゆるしを与えるために、このイエスを導き手とし救主として、ご自身の右に上げられたのである。 + わたしたちはこれらの事の証人である。神がご自身に従う者に賜わった聖霊もまた、その証人である」。 + これを聞いた者たちは、激しい怒りのあまり、使徒たちを殺そうと思った。 + ところが、国民全体に尊敬されていた律法学者ガマリエルというパリサイ人が、議会で立って、使徒たちをしばらくのあいだ外に出すように要求してから、 + 一同にむかって言った、「イスラエルの諸君、あの人たちをどう扱うか、よく気をつけるがよい。 + 先ごろ、チゥダが起って、自分を何か偉い者のように言いふらしたため、彼に従った男の数が、四百人ほどもあったが、結局、彼は殺されてしまい、従った者もみな四散して、全く跡方もなくなっている。 + そののち、人口調査の時に、ガリラヤ人ユダが民衆を率いて反乱を起したが、この人も滅び、従った者もみな散らされてしまった。 + そこで、この際、諸君に申し上げる。あの人たちから手を引いて、そのなすままにしておきなさい。その企てや、しわざが、人間から出たものなら、自滅するだろう。 + しかし、もし神から出たものなら、あの人たちを滅ぼすことはできまい。まかり違えば、諸君は神を敵にまわすことになるかも知れない」。そこで彼らはその勧告にしたがい、 + 使徒たちを呼び入れて、むち打ったのち、今後イエスの名によって語ることは相成らぬと言いわたして、ゆるしてやった。 + 使徒たちは、御名のために恥を加えられるに足る者とされたことを喜びながら、議会から出てきた。 + そして、毎日、宮や家で、イエスがキリストであることを、引きつづき教えたり宣べ伝えたりした。 + + + そのころ、弟子の数がふえてくるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちから、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して、自分たちのやもめらが、日々の配給で、おろそかにされがちだと、苦情を申し立てた。 + そこで、十二使徒は弟子全体を呼び集めて言った、「わたしたちが神の言をさしおいて、食卓のことに携わるのはおもしろくない。 + そこで、兄弟たちよ、あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判のよい人たち七人を捜し出してほしい。その人たちにこの仕事をまかせ、 + わたしたちは、もっぱら祈と御言のご用に当ることにしよう」。 + この提案は会衆一同の賛成するところとなった。そして信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ、それからピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、およびアンテオケの改宗者ニコラオを選び出して、 + 使徒たちの前に立たせた。すると、使徒たちは祈って手を彼らの上においた。 + こうして神の言は、ますますひろまり、エルサレムにおける弟子の数が、非常にふえていき、祭司たちも多数、信仰を受けいれるようになった。 + さて、ステパノは恵みと力とに満ちて、民衆の中で、めざましい奇跡としるしとを行っていた。 + すると、いわゆる「リベルテン」の会堂に属する人々、クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤからきた人々などが立って、ステパノと議論したが、 + 彼は知恵と御霊とで語っていたので、それに対抗できなかった。 + そこで、彼らは人々をそそのかして、「わたしたちは、彼がモーセと神とを汚す言葉を吐くのを聞いた」と言わせた。 + その上、民衆や長老たちや律法学者たちを煽動し、彼を襲って捕えさせ、議会にひっぱってこさせた。 + それから、偽りの証人たちを立てて言わせた、「この人は、この聖所と律法とに逆らう言葉を吐いて、どうしても、やめようとはしません。 + 『あのナザレ人イエスは、この聖所を打ちこわし、モーセがわたしたちに伝えた慣例を変えてしまうだろう』などと、彼が言うのを、わたしたちは聞きました」。 + 議会で席についていた人たちは皆、ステパノに目を注いだが、彼の顔は、ちょうど天使の顔のように見えた。 + + + 大祭司は「そのとおりか」と尋ねた。 + そこで、ステパノが言った、「兄弟たち、父たちよ、お聞き下さい。わたしたちの父祖アブラハムが、カランに住む前、まだメソポタミヤにいたとき、栄光の神が彼に現れて + 仰せになった、『あなたの土地と親族から離れて、あなたにさし示す地に行きなさい』。 + そこで、アブラハムはカルデヤ人の地を出て、カランに住んだ。そして、彼の父が死んだのち、神は彼をそこから、今あなたがたの住んでいるこの地に移住させたが、 + そこでは、遺産となるものは何一つ、一歩の幅の土地すらも、与えられなかった。ただ、その地を所領として授けようとの約束を、彼と、そして彼にはまだ子がなかったのに、その子孫とに与えられたのである。 + 神はこう仰せになった、『彼の子孫は他国に身を寄せるであろう。そして、そこで四百年のあいだ、奴隷にされて虐待を受けるであろう』。 + それから、さらに仰せになった、『彼らを奴隷にする国民を、わたしはさばくであろう。その後、彼らはそこからのがれ出て、この場所でわたしを礼拝するであろう』。 + そして、神はアブラハムに、割礼の契約をお与えになった。こうして、彼はイサクの父となり、これに八日目に割礼を施し、それから、イサクはヤコブの父となり、ヤコブは十二人の族長たちの父となった。 + 族長たちは、ヨセフをねたんで、エジプトに売りとばした。しかし、神は彼と共にいまして、 + あらゆる苦難から彼を救い出し、エジプト王パロの前で恵みを与え、知恵をあらわさせた。そこで、パロは彼を宰相の任につかせ、エジプトならびに王家全体の支配に当らせた。 + 時に、エジプトとカナンとの全土にわたって、ききんが起り、大きな苦難が襲ってきて、わたしたちの先祖たちは、食物が得られなくなった。 + ヤコブは、エジプトには食糧があると聞いて、初めに先祖たちをつかわしたが、 + 二回目の時に、ヨセフが兄弟たちに、自分の身の上を打ち明けたので、彼の親族関係がパロに知れてきた。 + ヨセフは使をやって、父ヤコブと七十五人にのぼる親族一同とを招いた。 + こうして、ヤコブはエジプトに下り、彼自身も先祖たちもそこで死に、 + それから彼らは、シケムに移されて、かねてアブラハムがいくらかの金を出してこの地のハモルの子らから買っておいた墓に、葬られた。 + 神がアブラハムに対して立てられた約束の時期が近づくにつれ、民はふえてエジプト全土にひろがった。 + やがて、ヨセフのことを知らない別な王が、エジプトに起った。 + この王は、わたしたちの同族に対し策略をめぐらして、先祖たちを虐待し、その幼な子らを生かしておかないように捨てさせた。 + モーセが生れたのは、ちょうどこのころのことである。彼はまれに見る美しい子であった。三か月の間は、父の家で育てられたが、 + そののち捨てられたのを、パロの娘が拾いあげて、自分の子として育てた。 + モーセはエジプト人のあらゆる学問を教え込まれ、言葉にもわざにも、力があった。 + 四十歳になった時、モーセは自分の兄弟であるイスラエル人たちのために尽すことを、思い立った。 + ところが、そのひとりがいじめられているのを見て、これをかばい、虐待されているその人のために、相手のエジプト人を撃って仕返しをした。 + 彼は、自分の手によって神が兄弟たちを救って下さることを、みんなが悟るものと思っていたが、実際はそれを悟らなかったのである。 + 翌日モーセは、彼らが争い合っているところに現れ、仲裁しようとして言った、『まて、君たちは兄弟同志ではないか。どうして互に傷つけ合っているのか』。 + すると、仲間をいじめていた者が、モーセを突き飛ばして言った、『だれが、君をわれわれの支配者や裁判人にしたのか。 + 君は、きのう、エジプト人を殺したように、わたしも殺そうと思っているのか』。 + モーセは、この言葉を聞いて逃げ、ミデアンの地に身を寄せ、そこで男の子ふたりをもうけた。 + 四十年たった時、シナイ山の荒野において、御使が柴の燃える炎の中でモーセに現れた。 + 彼はこの光景を見て不思議に思い、それを見きわめるために近寄ったところ、主の声が聞えてきた、 + 『わたしは、あなたの先祖たちの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である』。モーセは恐れおののいて、もうそれを見る勇気もなくなった。 + すると、主が彼に言われた、『あなたの足から、くつを脱ぎなさい。あなたの立っているこの場所は、聖なる地である。 + わたしは、エジプトにいるわたしの民が虐待されている有様を確かに見とどけ、その苦悩のうめき声を聞いたので、彼らを救い出すために下ってきたのである。さあ、今あなたをエジプトにつかわそう』。 + こうして、『だれが、君を支配者や裁判人にしたのか』と言って排斥されたこのモーセを、神は、柴の中で彼に現れた御使の手によって、支配者、解放者として、おつかわしになったのである。 + この人が、人々を導き出して、エジプトの地においても、紅海においても、また四十年のあいだ荒野においても、奇跡としるしとを行ったのである。 + この人が、イスラエル人たちに、『神はわたしをお立てになったように、あなたがたの兄弟たちの中から、ひとりの預言者をお立てになるであろう』と言ったモーセである。 + この人が、シナイ山で、彼に語りかけた御使や先祖たちと共に、荒野における集会にいて、生ける御言葉を授かり、それをあなたがたに伝えたのである。 + ところが、先祖たちは彼に従おうとはせず、かえって彼を退け、心の中でエジプトにあこがれて、 + 『わたしたちを導いてくれる神々を造って下さい。わたしたちをエジプトの地から導いてきたあのモーセがどうなったのか、わかりませんから』とアロンに言った。 + そのころ、彼らは子牛の像を造り、その偶像に供え物をささげ、自分たちの手で造ったものを祭ってうち興じていた。 + そこで、神は顔をそむけ、彼らを天の星を拝むままに任せられた。預言者の書にこう書いてあるとおりである、『イスラエルの家よ、四十年のあいだ荒野にいた時に、いけにえと供え物とを、わたしにささげたことがあったか。 + あなたがたは、モロクの幕屋やロンパの星の神を、かつぎ回った。それらは、拝むために自分で造った偶像に過ぎぬ。だからわたしは、あなたがたをバビロンのかなたへ、移してしまうであろう』。 + わたしたちの先祖には、荒野にあかしの幕屋があった。それは、見たままの型にしたがって造るようにと、モーセに語ったかたのご命令どおりに造ったものである。 + この幕屋は、わたしたちの先祖が、ヨシュアに率いられ、神によって諸民族を彼らの前から追い払い、その所領をのり取ったときに、そこに持ち込まれ、次々に受け継がれて、ダビデの時代に及んだものである。 + ダビデは、神の恵みをこうむり、そして、ヤコブの神のために宮を造営したいと願った。 + けれども、じっさいにその宮を建てたのは、ソロモンであった。 + しかし、いと高き者は、手で造った家の内にはお住みにならない。預言者が言っているとおりである、 + 『主が仰せられる、どんな家をわたしのために建てるのか。わたしのいこいの場所は、どれか。天はわたしの王座、地はわたしの足台である。 + これは皆わたしの手が造ったものではないか』。 + ああ、強情で、心にも耳にも割礼のない人たちよ。あなたがたは、いつも聖霊に逆らっている。それは、あなたがたの先祖たちと同じである。 + いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、ひとりでもいたか。彼らは正しいかたの来ることを予告した人たちを殺し、今やあなたがたは、その正しいかたを裏切る者、また殺す者となった。 + あなたがたは、御使たちによって伝えられた律法を受けたのに、それを守ることをしなかった」。 + 人々はこれを聞いて、心の底から激しく怒り、ステパノにむかって、歯ぎしりをした。 + しかし、彼は聖霊に満たされて、天を見つめていると、神の栄光が現れ、イエスが神の右に立っておられるのが見えた。 + そこで、彼は「ああ、天が開けて、人の子が神の右に立っておいでになるのが見える」と言った。 + 人々は大声で叫びながら、耳をおおい、ステパノを目がけて、いっせいに殺到し、 + 彼を市外に引き出して、石で打った。これに立ち合った人たちは、自分の上着を脱いで、サウロという若者の足もとに置いた。 + こうして、彼らがステパノに石を投げつけている間、ステパノは祈りつづけて言った、「主イエスよ、わたしの霊をお受け下さい」。 + そして、ひざまずいて、大声で叫んだ、「主よ、どうぞ、この罪を彼らに負わせないで下さい」。こう言って、彼は眠りについた。 + + + サウロは、ステパノを殺すことに賛成していた。その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起り、使徒以外の者はことごとく、ユダヤとサマリヤとの地方に散らされて行った。 + 信仰深い人たちはステパノを葬り、彼のために胸を打って、非常に悲しんだ。 + ところが、サウロは家々に押し入って、男や女を引きずり出し、次々に獄に渡して、教会を荒し回った。 + さて、散らされて行った人たちは、御言を宣べ伝えながら、めぐり歩いた。 + ピリポはサマリヤの町に下って行き、人々にキリストを宣べはじめた。 + 群衆はピリポの話を聞き、その行っていたしるしを見て、こぞって彼の語ることに耳を傾けた。 + 汚れた霊につかれた多くの人々からは、その霊が大声でわめきながら出て行くし、また、多くの中風をわずらっている者や、足のきかない者がいやされたからである。 + それで、この町では人々が、大変なよろこびかたであった。 + さて、この町に以前からシモンという人がいた。彼は魔術を行ってサマリヤの人たちを驚かし、自分をさも偉い者のように言いふらしていた。 + それで、小さい者から大きい者にいたるまで皆、彼について行き、「この人こそは『大能』と呼ばれる神の力である」と言っていた。 + 彼らがこの人について行ったのは、ながい間その魔術に驚かされていたためであった。 + ところが、ピリポが神の国とイエス・キリストの名について宣べ伝えるに及んで、男も女も信じて、ぞくぞくとバプテスマを受けた。 + シモン自身も信じて、バプテスマを受け、それから、引きつづきピリポについて行った。そして、数々のしるしやめざましい奇跡が行われるのを見て、驚いていた。 + エルサレムにいる使徒たちは、サマリヤの人々が、神の言を受け入れたと聞いて、ペテロとヨハネとを、そこにつかわした。 + ふたりはサマリヤに下って行って、みんなが聖霊を受けるようにと、彼らのために祈った。 + それは、彼らはただ主イエスの名によってバプテスマを受けていただけで、聖霊はまだだれにも下っていなかったからである。 + そこで、ふたりが手を彼らの上においたところ、彼らは聖霊を受けた。 + シモンは、使徒たちが手をおいたために、御霊が人々に授けられたのを見て、金をさし出し、 + 「わたしが手をおけばだれにでも聖霊が授けられるように、その力をわたしにも下さい」と言った。 + そこで、ペテロが彼に言った、「おまえの金は、おまえもろとも、うせてしまえ。神の賜物が、金で得られるなどと思っているのか。 + おまえの心が神の前に正しくないから、おまえは、とうてい、この事にあずかることができない。 + だから、この悪事を悔いて、主に祈れ。そうすればあるいはそんな思いを心にいだいたことが、ゆるされるかも知れない。 + おまえには、まだ苦い胆汁があり、不義のなわ目がからみついている。それが、わたしにわかっている」。 + シモンはこれを聞いて言った、「仰せのような事が、わたしの身に起らないように、どうぞ、わたしのために主に祈って下さい」。 + 使徒たちは力強くあかしをなし、また主の言を語った後、サマリヤ人の多くの村々に福音を宣べ伝えて、エルサレムに帰った。 + しかし、主の使がピリポにむかって言った、「立って南方に行き、エルサレムからガザへ下る道に出なさい」(このガザは、今は荒れはてている)。 + そこで、彼は立って出かけた。すると、ちょうど、エチオピヤ人の女王カンダケの高官で、女王の財宝全部を管理していた宦官であるエチオピヤ人が、礼拝のためエルサレムに上り、 + その帰途についていたところであった。彼は自分の馬車に乗って、預言者イザヤの書を読んでいた。 + 御霊がピリポに「進み寄って、あの馬車に並んで行きなさい」と言った。 + そこでピリポが駆けて行くと、預言者イザヤの書を読んでいるその人の声が聞えたので、「あなたは、読んでいることが、おわかりですか」と尋ねた。 + 彼は「だれかが、手びきをしてくれなければ、どうしてわかりましょう」と答えた。そして、馬車に乗って一緒にすわるようにと、ピリポにすすめた。 + 彼が読んでいた聖書の箇所は、これであった、「彼は、ほふり場に引かれて行く羊のように、また、黙々として、毛を刈る者の前に立つ小羊のように、口を開かない。 + 彼は、いやしめられて、そのさばきも行われなかった。だれが、彼の子孫のことを語ることができようか、彼の命が地上から取り去られているからには」。 + 宦官はピリポにむかって言った、「お尋ねしますが、ここで預言者はだれのことを言っているのですか。自分のことですか、それとも、だれかほかの人のことですか」。 + そこでピリポは口を開き、この聖句から説き起して、イエスのことを宣べ伝えた。 + 道を進んで行くうちに、水のある所にきたので、宦官が言った、「ここに水があります。わたしがバプテスマを受けるのに、なんのさしつかえがありますか」。〔 + これに対して、ピリポは、「あなたがまごころから信じるなら、受けてさしつかえはありません」と言った。すると、彼は「わたしは、イエス・キリストを神の子と信じます」と答えた。〕 + そこで車をとめさせ、ピリポと宦官と、ふたりとも、水の中に降りて行き、ピリポが宦官にバプテスマを授けた。 + ふたりが水から上がると、主の霊がピリポをさらって行ったので、宦官はもう彼を見ることができなかった。宦官はよろこびながら旅をつづけた。 + その後、ピリポはアゾトに姿をあらわして、町々をめぐり歩き、いたるところで福音を宣べ伝えて、ついにカイザリヤに着いた。 + + + さてサウロは、なおも主の弟子たちに対する脅迫、殺害の息をはずませながら、大祭司のところに行って、 + ダマスコの諸会堂あての添書を求めた。それは、この道の者を見つけ次第、男女の別なく縛りあげて、エルサレムにひっぱって来るためであった。 + ところが、道を急いでダマスコの近くにきたとき、突然、天から光がさして、彼をめぐり照した。 + 彼は地に倒れたが、その時「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」と呼びかける声を聞いた。 + そこで彼は「主よ、あなたは、どなたですか」と尋ねた。すると答があった、「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 + さあ立って、町にはいって行きなさい。そうすれば、そこであなたのなすべき事が告げられるであろう」。 + サウロの同行者たちは物も言えずに立っていて、声だけは聞えたが、だれも見えなかった。 + サウロは地から起き上がって目を開いてみたが、何も見えなかった。そこで人々は、彼の手を引いてダマスコへ連れて行った。 + 彼は三日間、目が見えず、また食べることも飲むこともしなかった。 + さて、ダマスコにアナニヤというひとりの弟子がいた。この人に主が幻の中に現れて、「アナニヤよ」とお呼びになった。彼は「主よ、わたしでございます」と答えた。 + そこで主が彼に言われた、「立って、『真すぐ』という名の路地に行き、ユダの家でサウロというタルソ人を尋ねなさい。彼はいま祈っている。 + 彼はアナニヤという人がはいってきて、手を自分の上において再び見えるようにしてくれるのを、幻で見たのである」。 + アナニヤは答えた、「主よ、あの人がエルサレムで、どんなにひどい事をあなたの聖徒たちにしたかについては、多くの人たちから聞いています。 + そして彼はここでも、御名をとなえる者たちをみな捕縛する権を、祭司長たちから得てきているのです」。 + しかし、主は仰せになった、「さあ、行きなさい。あの人は、異邦人たち、王たち、またイスラエルの子らにも、わたしの名を伝える器として、わたしが選んだ者である。 + わたしの名のために彼がどんなに苦しまなければならないかを、彼に知らせよう」。 + そこでアナニヤは、出かけて行ってその家にはいり、手をサウロの上において言った、「兄弟サウロよ、あなたが来る途中で現れた主イエスは、あなたが再び見えるようになるため、そして聖霊に満たされるために、わたしをここにおつかわしになったのです」。 + するとたちどころに、サウロの目から、うろこのようなものが落ちて、元どおり見えるようになった。そこで彼は立ってバプテスマを受け、 + また食事をとって元気を取りもどした。サウロは、ダマスコにいる弟子たちと共に数日間を過ごしてから、 + ただちに諸会堂でイエスのことを宣べ伝え、このイエスこそ神の子であると説きはじめた。 + これを聞いた人たちはみな非常に驚いて言った、「あれは、エルサレムでこの名をとなえる者たちを苦しめた男ではないか。その上ここにやってきたのも、彼らを縛りあげて、祭司長たちのところへひっぱって行くためではなかったか」。 + しかし、サウロはますます力が加わり、このイエスがキリストであることを論証して、ダマスコに住むユダヤ人たちを言い伏せた。 + 相当の日数がたったころ、ユダヤ人たちはサウロを殺す相談をした。 + ところが、その陰謀が彼の知るところとなった。彼らはサウロを殺そうとして、夜昼、町の門を見守っていたのである。 + そこで彼の弟子たちが、夜の間に彼をかごに乗せて、町の城壁づたいにつりおろした。 + サウロはエルサレムに着いて、弟子たちの仲間に加わろうと努めたが、みんなの者は彼を弟子だとは信じないで、恐れていた。 + ところが、バルナバは彼の世話をして使徒たちのところへ連れて行き、途中で主が彼に現れて語りかけたことや、彼がダマスコでイエスの名で大胆に宣べ伝えた次第を、彼らに説明して聞かせた。 + それ以来、彼は使徒たちの仲間に加わり、エルサレムに出入りし、主の名によって大胆に語り、 + ギリシヤ語を使うユダヤ人たちとしばしば語り合い、また論じ合った。しかし、彼らは彼を殺そうとねらっていた。 + 兄弟たちはそれと知って、彼をカイザリヤに連れてくだり、タルソへ送り出した。 + こうして教会は、ユダヤ、ガリラヤ、サマリヤ全地方にわたって平安を保ち、基礎がかたまり、主をおそれ聖霊にはげまされて歩み、次第に信徒の数を増して行った。 + ペテロは方々をめぐり歩いたが、ルダに住む聖徒たちのところへも下って行った。 + そして、そこで、八年間も床についているアイネヤという人に会った。この人は中風であった。 + ペテロが彼に言った、「アイネヤよ、イエス・キリストがあなたをいやして下さるのだ。起きなさい。そして床を取りあげなさい」。すると、彼はただちに起きあがった。 + ルダとサロンに住む人たちは、みなそれを見て、主に帰依した。 + ヨッパにタビタ(これを訳すと、ドルカス、すなわち、かもしか)という女弟子がいた。数々のよい働きや施しをしていた婦人であった。 + ところが、そのころ病気になって死んだので、人々はそのからだを洗って、屋上の間に安置した。 + ルダはヨッパに近かったので、弟子たちはペテロがルダにきていると聞き、ふたりの者を彼のもとにやって、「どうぞ、早くこちらにおいで下さい」と頼んだ。 + そこでペテロは立って、ふたりの者に連れられてきた。彼が着くとすぐ、屋上の間に案内された。すると、やもめたちがみんな彼のそばに寄ってきて、ドルカスが生前つくった下着や上着の数々を、泣きながら見せるのであった。 + ペテロはみんなの者を外に出し、ひざまずいて祈った。それから死体の方に向いて、「タビタよ、起きなさい」と言った。すると彼女は目をあけ、ペテロを見て起きなおった。 + ペテロは彼女に手をかして立たせた。それから、聖徒たちや、やもめたちを呼び入れて、彼女が生きかえっているのを見せた。 + このことがヨッパ中に知れわたり、多くの人々が主を信じた。 + ペテロは、皮なめしシモンという人の家に泊まり、しばらくの間ヨッパに滞在した。 + + + さて、カイザリヤにコルネリオという名の人がいた。イタリヤ隊と呼ばれた部隊の百卒長で、 + 信心深く、家族一同と共に神を敬い、民に数々の施しをなし、絶えず神に祈をしていた。 + ある日の午後三時ごろ、神の使が彼のところにきて、「コルネリオよ」と呼ぶのを、幻ではっきり見た。 + 彼は御使を見つめていたが、恐ろしくなって、「主よ、なんでございますか」と言った。すると御使が言った、「あなたの祈や施しは神のみ前にとどいて、おぼえられている。 + ついては今、ヨッパに人をやって、ペテロと呼ばれるシモンという人を招きなさい。 + この人は、海べに家をもつ皮なめしシモンという者の客となっている」。 + このお告げをした御使が立ち去ったのち、コルネリオは、僕ふたりと、部下の中で信心深い兵卒ひとりとを呼び、 + いっさいの事を説明して聞かせ、ヨッパへ送り出した。 + 翌日、この三人が旅をつづけて町の近くにきたころ、ペテロは祈をするため屋上にのぼった。時は昼の十二時ごろであった。 + 彼は空腹をおぼえて、何か食べたいと思った。そして、人々が食事の用意をしている間に、夢心地になった。 + すると、天が開け、大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、地上に降りて来るのを見た。 + その中には、地上の四つ足や這うもの、また空の鳥など、各種の生きものがはいっていた。 + そして声が彼に聞えてきた、「ペテロよ。立って、それらをほふって食べなさい」。 + ペテロは言った、「主よ、それはできません。わたしは今までに、清くないもの、汚れたものは、何一つ食べたことがありません」。 + すると、声が二度目にかかってきた、「神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない」。 + こんなことが三度もあってから、その入れ物はすぐ天に引き上げられた。 + ペテロが、いま見た幻はなんの事だろうかと、ひとり思案にくれていると、ちょうどその時、コルネリオから送られた人たちが、シモンの家を尋ね当てて、その門口に立っていた。 + そして声をかけて、「ペテロと呼ばれるシモンというかたが、こちらにお泊まりではございませんか」と尋ねた。 + ペテロはなおも幻について、思いめぐらしていると、御霊が言った、「ごらんなさい、三人の人たちが、あなたを尋ねてきている。 + さあ、立って下に降り、ためらわないで、彼らと一緒に出かけるがよい。わたしが彼らをよこしたのである」。 + そこでペテロは、その人たちのところに降りて行って言った、「わたしがお尋ねのペテロです。どんなご用でおいでになったのですか」。 + 彼らは答えた、「正しい人で、神を敬い、ユダヤの全国民に好感を持たれている百卒長コルネリオが、あなたを家に招いてお話を伺うようにとのお告げを、聖なる御使から受けましたので、参りました」。 + そこで、ペテロは、彼らを迎えて泊まらせた。翌日、ペテロは立って、彼らと連れだって出発した。ヨッパの兄弟たち数人も一緒に行った。 + その次の日に、一行はカイザリヤに着いた。コルネリオは親族や親しい友人たちを呼び集めて、待っていた。 + ペテロがいよいよ到着すると、コルネリオは出迎えて、彼の足もとにひれ伏して拝した。 + するとペテロは、彼を引き起して言った、「お立ちなさい。わたしも同じ人間です」。 + それから共に話しながら、へやにはいって行くと、そこには、すでに大ぜいの人が集まっていた。 + ペテロは彼らに言った、「あなたがたが知っているとおり、ユダヤ人が他国の人と交際したり、出入りしたりすることは、禁じられています。ところが、神は、どんな人間をも清くないとか、汚れているとか言ってはならないと、わたしにお示しになりました。 + お招きにあずかった時、少しもためらわずに参ったのは、そのためなのです。そこで伺いますが、どういうわけで、わたしを招いてくださったのですか」。 + これに対してコルネリオが答えた、「四日前、ちょうどこの時刻に、わたしが自宅で午後三時の祈をしていますと、突然、輝いた衣を着た人が、前に立って申しました、 + 『コルネリオよ、あなたの祈は聞きいれられ、あなたの施しは神のみ前におぼえられている。 + そこでヨッパに人を送ってペテロと呼ばれるシモンを招きなさい。その人は皮なめしシモンの海沿いの家に泊まっている』。 + それで、早速あなたをお呼びしたのです。ようこそおいで下さいました。今わたしたちは、主があなたにお告げになったことを残らず伺おうとして、みな神のみ前にまかり出ているのです」。 + そこでペテロは口を開いて言った、「神は人をかたよりみないかたで、 + 神を敬い義を行う者はどの国民でも受けいれて下さることが、ほんとうによくわかってきました。 + あなたがたは、神がすべての者の主なるイエス・キリストによって平和の福音を宣べ伝えて、イスラエルの子らにお送り下さった御言をご存じでしょう。 + それは、ヨハネがバプテスマを説いた後、ガリラヤから始まってユダヤ全土にひろまった福音を述べたものです。 + 神はナザレのイエスに聖霊と力とを注がれました。このイエスは、神が共におられるので、よい働きをしながら、また悪魔に押えつけられている人々をことごとくいやしながら、巡回されました。 + わたしたちは、イエスがこうしてユダヤ人の地やエルサレムでなさったすべてのことの証人であります。人々はこのイエスを木にかけて殺したのです。 + しかし神はイエスを三日目によみがえらせ、 + 全部の人々にではなかったが、わたしたち証人としてあらかじめ選ばれた者たちに現れるようにして下さいました。わたしたちは、イエスが死人の中から復活された後、共に飲食しました。 + それから、イエスご自身が生者と死者との審判者として神に定められたかたであることを、人々に宣べ伝え、またあかしするようにと、神はわたしたちにお命じになったのです。 + 預言者たちもみな、イエスを信じる者はことごとく、その名によって罪のゆるしが受けられると、あかしをしています」。 + ペテロがこれらの言葉をまだ語り終えないうちに、それを聞いていたみんなの人たちに、聖霊がくだった。 + 割礼を受けている信者で、ペテロについてきた人たちは、異邦人たちにも聖霊の賜物が注がれたのを見て、驚いた。 + それは、彼らが異言を語って神をさんびしているのを聞いたからである。そこで、ペテロが言い出した、 + 「この人たちがわたしたちと同じように聖霊を受けたからには、彼らに水でバプテスマを授けるのを、だれがこばみ得ようか」。 + こう言って、ペテロはその人々に命じて、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けさせた。それから、彼らはペテロに願って、なお数日のあいだ滞在してもらった。 + + + さて、異邦人たちも神の言を受けいれたということが、使徒たちやユダヤにいる兄弟たちに聞えてきた。 + そこでペテロがエルサレムに上ったとき、割礼を重んじる者たちが彼をとがめて言った、 + 「あなたは、割礼のない人たちのところに行って、食事を共にしたということだが」。 + そこでペテロは口を開いて、順序正しく説明して言った、 + 「わたしがヨッパの町で祈っていると、夢心地になって幻を見た。大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、天から降りてきて、わたしのところにとどいた。 + 注意して見つめていると、地上の四つ足、野の獣、這うもの、空の鳥などが、はいっていた。 + それから声がして、『ペテロよ、立って、それらをほふって食べなさい』と、わたしに言うのが聞えた。 + わたしは言った、『主よ、それはできません。わたしは今までに、清くないものや汚れたものを口に入れたことが一度もございません』。 + すると、二度目に天から声がかかってきた、『神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない』。 + こんなことが三度もあってから、全部のものがまた天に引き上げられてしまった。 + ちょうどその時、カイザリヤからつかわされてきた三人の人が、わたしたちの泊まっていた家に着いた。 + 御霊がわたしに、ためらわずに彼らと共に行けと言ったので、ここにいる六人の兄弟たちも、わたしと一緒に出かけて行き、一同がその人の家にはいった。 + すると彼はわたしたちに、御使が彼の家に現れて、『ヨッパに人をやって、ペテロと呼ばれるシモンを招きなさい。 + この人は、あなたとあなたの全家族とが救われる言葉を語って下さるであろう』と告げた次第を、話してくれた。 + そこでわたしが語り出したところ、聖霊が、ちょうど最初わたしたちの上にくだったと同じように、彼らの上にくだった。 + その時わたしは、主が『ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは聖霊によってバプテスマを受けるであろう』と仰せになった言葉を思い出した。 + このように、わたしたちが主イエス・キリストを信じた時に下さったのと同じ賜物を、神が彼らにもお与えになったとすれば、わたしのような者が、どうして神を妨げることができようか」。 + 人々はこれを聞いて黙ってしまった。それから神をさんびして、「それでは神は、異邦人にも命にいたる悔改めをお与えになったのだ」と言った。 + さて、ステパノのことで起った迫害のために散らされた人々は、ピニケ、クプロ、アンテオケまでも進んで行ったが、ユダヤ人以外の者には、だれにも御言を語っていなかった。 + ところが、その中に数人のクプロ人とクレネ人がいて、アンテオケに行ってからギリシヤ人にも呼びかけ、主イエスを宣べ伝えていた。 + そして、主のみ手が彼らと共にあったため、信じて主に帰依するものの数が多かった。 + このうわさがエルサレムにある教会に伝わってきたので、教会はバルナバをアンテオケにつかわした。 + 彼は、そこに着いて、神のめぐみを見てよろこび、主に対する信仰を揺るがない心で持ちつづけるようにと、みんなの者を励ました。 + 彼は聖霊と信仰とに満ちた立派な人であったからである。こうして主に加わる人々が、大ぜいになった。 + そこでバルナバはサウロを捜しにタルソへ出かけて行き、 + 彼を見つけたうえ、アンテオケに連れて帰った。ふたりは、まる一年、ともどもに教会で集まりをし、大ぜいの人々を教えた。このアンテオケで初めて、弟子たちがクリスチャンと呼ばれるようになった。 + そのころ、預言者たちがエルサレムからアンテオケにくだってきた。 + その中のひとりであるアガボという者が立って、世界中に大ききんが起るだろうと、御霊によって預言したところ、果してそれがクラウデオ帝の時に起った。 + そこで弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに援助を送ることに決めた。 + そして、それをバルナバとサウロとの手に託して、長老たちに送りとどけた。 + + + そのころ、ヘロデ王は教会のある者たちに圧迫の手をのばし、 + ヨハネの兄弟ヤコブをつるぎで切り殺した。 + そして、それがユダヤ人たちの意にかなったのを見て、さらにペテロをも捕えにかかった。それは除酵祭の時のことであった。 + ヘロデはペテロを捕えて獄に投じ、四人一組の兵卒四組に引き渡して、見張りをさせておいた。過越の祭のあとで、彼を民衆の前に引き出すつもりであったのである。 + こうして、ペテロは獄に入れられていた。教会では、彼のために熱心な祈が神にささげられた。 + ヘロデが彼を引き出そうとしていたその夜、ペテロは二重の鎖につながれ、ふたりの兵卒の間に置かれて眠っていた。番兵たちは戸口で獄を見張っていた。 + すると、突然、主の使がそばに立ち、光が獄内を照した。そして御使はペテロのわき腹をつついて起し、「早く起きあがりなさい」と言った。すると鎖が彼の両手から、はずれ落ちた。 + 御使が「帯をしめ、くつをはきなさい」と言ったので、彼はそのとおりにした。それから「上着を着て、ついてきなさい」と言われたので、 + ペテロはついて出て行った。彼には御使のしわざが現実のこととは考えられず、ただ幻を見ているように思われた。 + 彼らは第一、第二の衛所を通りすぎて、町に抜ける鉄門のところに来ると、それがひとりでに開いたので、そこを出て一つの通路に進んだとたんに、御使は彼を離れ去った。 + その時ペテロはわれにかえって言った、「今はじめて、ほんとうのことがわかった。主が御使をつかわして、ヘロデの手から、またユダヤ人たちの待ちもうけていたあらゆる災から、わたしを救い出して下さったのだ」。 + ペテロはこうとわかってから、マルコと呼ばれているヨハネの母マリヤの家に行った。その家には大ぜいの人が集まって祈っていた。 + 彼が門の戸をたたいたところ、ロダという女中が取次ぎに出てきたが、 + ペテロの声だとわかると、喜びのあまり、門をあけもしないで家に駆け込み、ペテロが門口に立っていると報告した。 + 人々は「あなたは気が狂っている」と言ったが、彼女は自分の言うことに間違いはないと、言い張った。そこで彼らは「それでは、ペテロの御使だろう」と言った。 + しかし、ペテロが門をたたきつづけるので、彼らがあけると、そこにペテロがいたのを見て驚いた。 + ペテロは手を振って彼らを静め、主が獄から彼を連れ出して下さった次第を説明し、「このことを、ヤコブやほかの兄弟たちに伝えて下さい」と言い残して、どこかほかの所へ出て行った。 + 夜が明けると、兵卒たちの間に、ペテロはいったいどうなったのだろうと、大へんな騒ぎが起った。 + ヘロデはペテロを捜しても見つからないので、番兵たちを取り調べたうえ、彼らを死刑に処するように命じ、そして、ユダヤからカイザリヤにくだって行って、そこに滞在した。 + さて、ツロとシドンとの人々は、ヘロデの怒りに触ていたので、一同うちそろって王をおとずれ、王の侍従官ブラストに取りいって、和解かたを依頼した。彼らの地方が、王の国から食糧を得ていたからである。 + 定められた日に、ヘロデは王服をまとって王座にすわり、彼らにむかって演説をした。 + 集まった人々は、「これは神の声だ、人間の声ではない」と叫びつづけた。 + するとたちまち、主の使が彼を打った。神に栄光を帰することをしなかったからである。彼は虫にかまれて息が絶えてしまった。 + こうして、主の言はますます盛んにひろまって行った。 + バルナバとサウロとは、その任務を果したのち、マルコと呼ばれていたヨハネを連れて、エルサレムから帰ってきた。 + + + さて、アンテオケにある教会には、バルナバ、ニゲルと呼ばれるシメオン、クレネ人ルキオ、領主ヘロデの乳兄弟マナエン、およびサウロなどの預言者や教師がいた。 + 一同が主に礼拝をささげ、断食をしていると、聖霊が「さあ、バルナバとサウロとを、わたしのために聖別して、彼らに授けておいた仕事に当らせなさい」と告げた。 + そこで一同は、断食と祈とをして、手をふたりの上においた後、出発させた。 + ふたりは聖霊に送り出されて、セルキヤにくだり、そこから舟でクプロに渡った。 + そしてサラミスに着くと、ユダヤ人の諸会堂で神の言を宣べはじめた。彼らはヨハネを助け手として連れていた。 + 島全体を巡回して、パポスまで行ったところ、そこでユダヤ人の魔術師、バルイエスというにせ預言者に出会った。 + 彼は地方総督セルギオ・パウロのところに出入りをしていた。この総督は賢明な人であって、バルナバとサウロとを招いて、神の言を聞こうとした。 + ところが魔術師エルマ(彼の名は「魔術師」との意)は、総督を信仰からそらそうとして、しきりにふたりの邪魔をした。 + サウロ、またの名はパウロ、は聖霊に満たされ、彼をにらみつけて + 言った、「ああ、あらゆる偽りと邪悪とでかたまっている悪魔の子よ、すべて正しいものの敵よ。主のまっすぐな道を曲げることを止めないのか。 + 見よ、主のみ手がおまえの上に及んでいる。おまえは盲になって、当分、日の光が見えなくなるのだ」。たちまち、かすみとやみとが彼にかかったため、彼は手さぐりしながら、手を引いてくれる人を捜しまわった。 + 総督はこの出来事を見て、主の教にすっかり驚き、そして信じた。 + パウロとその一行は、パポスから船出して、パンフリヤのペルガに渡った。ここでヨハネは一行から身を引いて、エルサレムに帰ってしまった。 + しかしふたりは、ペルガからさらに進んで、ピシデヤのアンテオケに行き、安息日に会堂にはいって席に着いた。 + 律法と預言書の朗読があったのち、会堂司たちが彼らのところに人をつかわして、「兄弟たちよ、もしあなたがたのうち、どなたか、この人々に何か奨励の言葉がありましたら、どうぞお話し下さい」と言わせた。 + そこでパウロが立ちあがり、手を振りながら言った。「イスラエルの人たち、ならびに神を敬うかたがたよ、お聞き下さい。 + この民イスラエルの神は、わたしたちの先祖を選び、エジプトの地に滞在中、この民を大いなるものとし、み腕を高くさし上げて、彼らをその地から導き出された。 + そして約四十年にわたって、荒野で彼らをはぐくみ、 + カナンの地では七つの異民族を打ち滅ぼし、その地を彼らに譲り与えられた。 + それらのことが約四百五十年の年月にわたった。その後、神はさばき人たちをおつかわしになり、預言者サムエルの時に及んだ。 + その時、人々が王を要求したので、神はベニヤミン族の人、キスの子サウロを四十年間、彼らにおつかわしになった。 + それから神はサウロを退け、ダビデを立てて王とされたが、彼についてあかしをして、『わたしはエッサイの子ダビデを見つけた。彼はわたしの心にかなった人で、わたしの思うところを、ことごとく実行してくれるであろう』と言われた。 + 神は約束にしたがって、このダビデの子孫の中から救主イエスをイスラエルに送られたが、 + そのこられる前に、ヨハネがイスラエルのすべての民に悔改めのバプテスマを、あらかじめ宣べ伝えていた。 + ヨハネはその一生の行程を終ろうとするに当って言った、『わたしは、あなたがたが考えているような者ではない。しかし、わたしのあとから来るかたがいる。わたしはそのくつを脱がせてあげる値うちもない』。 + 兄弟たち、アブラハムの子孫のかたがた、ならびに皆さんの中の神を敬う人たちよ。この救の言葉はわたしたちに送られたのである。 + エルサレムに住む人々やその指導者たちは、イエスを認めずに刑に処し、それによって、安息日ごとに読む預言者の言葉が成就した。 + また、なんら死に当る理由が見いだせなかったのに、ピラトに強要してイエスを殺してしまった。 + そして、イエスについて書いてあることを、皆なし遂げてから、人々はイエスを木から取りおろして墓に葬った。 + しかし、神はイエスを死人の中から、よみがえらせたのである。 + イエスは、ガリラヤからエルサレムへ一緒に上った人たちに、幾日ものあいだ現れ、そして、彼らは今や、人々に対してイエスの証人となっている。 + わたしたちは、神が先祖たちに対してなされた約束を、ここに宣べ伝えているのである。 + 神は、イエスをよみがえらせて、わたしたち子孫にこの約束を、お果しになった。それは詩篇の第二篇にも、『あなたこそは、わたしの子。きょう、わたしはあなたを生んだ』と書いてあるとおりである。 + また、神がイエスを死人の中からよみがえらせて、いつまでも朽ち果てることのないものとされたことについては、『わたしは、ダビデに約束した確かな聖なる祝福を、あなたがたに授けよう』と言われた。 + だから、ほかの箇所でもこう言っておられる、『あなたの聖者が朽ち果てるようなことは、お許しにならないであろう』。 + 事実、ダビデは、その時代の人々に神のみ旨にしたがって仕えたが、やがて眠りにつき、先祖たちの中に加えられて、ついに朽ち果ててしまった。 + しかし、神がよみがえらせたかたは、朽ち果てることがなかったのである。 + だから、兄弟たちよ、この事を承知しておくがよい。すなわち、このイエスによる罪のゆるしの福音が、今やあなたがたに宣べ伝えられている。そして、モーセの律法では義とされることができなかったすべての事についても、 + 信じる者はもれなく、イエスによって義とされるのである。 + だから預言者たちの書にかいてある次のようなことが、あなたがたの身に起らないように気をつけなさい。 + 『見よ、侮る者たちよ。驚け、そして滅び去れ。わたしは、あなたがたの時代に一つの事をする。それは、人がどんなに説明して聞かせても、あなたがたのとうてい信じないような事なのである』」。 + ふたりが会堂を出る時、人々は次の安息日にも、これと同じ話をしてくれるようにと、しきりに願った。 + そして集会が終ってからも、大ぜいのユダヤ人や信心深い改宗者たちが、パウロとバルナバとについてきたので、ふたりは、彼らが引きつづき神のめぐみにとどまっているようにと、説きすすめた。 + 次の安息日には、ほとんど全市をあげて、神の言を聞きに集まってきた。 + するとユダヤ人たちは、その群衆を見てねたましく思い、パウロの語ることに口ぎたなく反対した。 + パウロとバルナバとは大胆に語った、「神の言は、まず、あなたがたに語り伝えられなければならなかった。しかし、あなたがたはそれを退け、自分自身を永遠の命にふさわしからぬ者にしてしまったから、さあ、わたしたちはこれから方向をかえて、異邦人たちの方に行くのだ。 + 主はわたしたちに、こう命じておられる、『わたしは、あなたを立てて異邦人の光とした。あなたが地の果までも救をもたらすためである』」。 + 異邦人たちはこれを聞いてよろこび、主の御言をほめたたえてやまなかった。そして、永遠の命にあずかるように定められていた者は、みな信じた。 + こうして、主の御言はこの地方全体にひろまって行った。 + ところが、ユダヤ人たちは、信心深い貴婦人たちや町の有力者たちを煽動して、パウロとバルナバを迫害させ、ふたりをその地方から追い出させた。 + ふたりは、彼らに向けて足のちりを払い落して、イコニオムへ行った。 + 弟子たちは、ますます喜びと聖霊とに満たされていた。 + + + ふたりは、イコニオムでも同じようにユダヤ人の会堂にはいって語った結果、ユダヤ人やギリシヤ人が大ぜい信じた。 + ところが、信じなかったユダヤ人たちは異邦人たちをそそのかして、兄弟たちに対して悪意をいだかせた。 + それにもかかわらず、ふたりは長い期間をそこで過ごして、大胆に主のことを語った。主は、彼らの手によってしるしと奇跡とを行わせ、そのめぐみの言葉をあかしされた。 + そこで町の人々が二派に分れ、ある人たちはユダヤ人の側につき、ある人たちは使徒の側についた。 + その時、異邦人やユダヤ人が役人たちと一緒になって反対運動を起し、使徒たちをはずかしめ、石で打とうとしたので、 + ふたりはそれと気づいて、ルカオニヤの町々、ルステラ、デルベおよびその附近の地へのがれ、 + そこで引きつづき福音を伝えた。 + ところが、ルステラに足のきかない人が、すわっていた。彼は生れながらの足なえで、歩いた経験が全くなかった。 + この人がパウロの語るのを聞いていたが、パウロは彼をじっと見て、いやされるほどの信仰が彼にあるのを認め、 + 大声で「自分の足で、まっすぐに立ちなさい」と言った。すると彼は踊り上がって歩き出した。 + 群衆はパウロのしたことを見て、声を張りあげ、ルカオニヤの地方語で、「神々が人間の姿をとって、わたしたちのところにお下りになったのだ」と叫んだ。 + 彼らはバルナバをゼウスと呼び、パウロはおもに語る人なので、彼をヘルメスと呼んだ。 + そして、郊外にあるゼウス神殿の祭司が、群衆と共に、ふたりに犠牲をささげようと思って、雄牛数頭と花輪とを門前に持ってきた。 + ふたりの使徒バルナバとパウロとは、これを聞いて自分の上着を引き裂き、群衆の中に飛び込んで行き、叫んで + 言った、「皆さん、なぜこんな事をするのか。わたしたちとても、あなたがたと同じような人間である。そして、あなたがたがこのような愚にもつかぬものを捨てて、天と地と海と、その中のすべてのものをお造りになった生ける神に立ち帰るようにと、福音を説いているものである。 + 神は過ぎ去った時代には、すべての国々の人が、それぞれの道を行くままにしておかれたが、 + それでも、ご自分のことをあかししないでおられたわけではない。すなわち、あなたがたのために天から雨を降らせ、実りの季節を与え、食物と喜びとで、あなたがたの心を満たすなど、いろいろのめぐみをお与えになっているのである」。 + こう言って、ふたりは、やっとのことで、群衆が自分たちに犠牲をささげるのを、思い止まらせた。 + ところが、あるユダヤ人たちはアンテオケやイコニオムから押しかけてきて、群衆を仲間に引き入れたうえ、パウロを石で打ち、死んでしまったと思って、彼を町の外に引きずり出した。 + しかし、弟子たちがパウロを取り囲んでいる間に、彼は起きあがって町にはいって行った。そして翌日には、バルナバと一緒にデルベにむかって出かけた。 + その町で福音を伝えて、大ぜいの人を弟子とした後、ルステラ、イコニオム、アンテオケの町々に帰って行き、 + 弟子たちを力づけ、信仰を持ちつづけるようにと奨励し、「わたしたちが神の国にはいるのには、多くの苦難を経なければならない」と語った。 + また教会ごとに彼らのために長老たちを任命し、断食をして祈り、彼らをその信じている主にゆだねた。 + それから、ふたりはピシデヤを通過してパンフリヤにきたが、 + ペルガで御言を語った後、アタリヤにくだり、 + そこから舟でアンテオケに帰った。彼らが今なし終った働きのために、神の祝福を受けて送り出されたのは、このアンテオケからであった。 + 彼らは到着早々、教会の人々を呼び集めて、神が彼らと共にいてして下さった数々のこと、また信仰の門を異邦人に開いて下さったことなどを、報告した。 + そして、ふたりはしばらくの間、弟子たちと一緒に過ごした。 + + + さて、ある人たちがユダヤから下ってきて、兄弟たちに「あなたがたも、モーセの慣例にしたがって割礼を受けなければ、救われない」と、説いていた。 + そこで、パウロやバルナバと彼らとの間に、少なからぬ紛糾と争論とが生じたので、パウロ、バルナバそのほか数人の者がエルサレムに上り、使徒たちや長老たちと、この問題について協議することになった。 + 彼らは教会の人々に見送られ、ピニケ、サマリヤをとおって、道すがら、異邦人たちの改宗の模様をくわしく説明し、すべての兄弟たちを大いに喜ばせた。 + エルサレムに着くと、彼らは教会と使徒たち、長老たちに迎えられて、神が彼らと共にいてなされたことを、ことごとく報告した。 + ところが、パリサイ派から信仰にはいってきた人たちが立って、「異邦人にも割礼を施し、またモーセの律法を守らせるべきである」と主張した。 + そこで、使徒たちや長老たちが、この問題について審議するために集まった。 + 激しい争論があった後、ペテロが立って言った、「兄弟たちよ、ご承知のとおり、異邦人がわたしの口から福音の言葉を聞いて信じるようにと、神は初めのころに、諸君の中からわたしをお選びになったのである。 + そして、人の心をご存じである神は、聖霊をわれわれに賜わったと同様に彼らにも賜わって、彼らに対してあかしをなし、 + また、その信仰によって彼らの心をきよめ、われわれと彼らとの間に、なんの分けへだてもなさらなかった。 + しかるに、諸君はなぜ、今われわれの先祖もわれわれ自身も、負いきれなかったくびきをあの弟子たちの首にかけて、神を試みるのか。 + 確かに、主イエスのめぐみによって、われわれは救われるのだと信じるが、彼らとても同様である」。 + すると、全会衆は黙ってしまった。それから、バルナバとパウロとが、彼らをとおして異邦人の間に神が行われた数々のしるしと奇跡のことを、説明するのを聞いた。 + ふたりが語り終えた後、ヤコブはそれに応じて述べた、「兄弟たちよ、わたしの意見を聞いていただきたい。 + 神が初めに異邦人たちを顧みて、その中から御名を負う民を選び出された次第は、シメオンがすでに説明した。 + 預言者たちの言葉も、それと一致している。すなわち、こう書いてある、 + 『その後、わたしは帰ってきて、倒れたダビデの幕屋を建てかえ、くずれた箇所を修理し、それを立て直そう。 + 残っている人々も、わたしの名を唱えているすべての異邦人も、主を尋ね求めるようになるためである。 + 世の初めからこれらの事を知らせておられる主が、こう仰せになった』。 + そこで、わたしの意見では、異邦人の中から神に帰依している人たちに、わずらいをかけてはいけない。 + ただ、偶像に供えて汚れた物と、不品行と、絞め殺したものと、血とを、避けるようにと、彼らに書き送ることにしたい。 + 古い時代から、どの町にもモーセの律法を宣べ伝える者がいて、安息日ごとにそれを諸会堂で朗読するならわしであるから」。 + そこで、使徒たちや長老たちは、全教会と協議した末、お互の中から人々を選んで、パウロやバルナバと共に、アンテオケに派遣することに決めた。選ばれたのは、バルサバというユダとシラスとであったが、いずれも兄弟たちの間で重んじられていた人たちであった。 + この人たちに託された書面はこうである。「あなたがたの兄弟である使徒および長老たちから、アンテオケ、シリヤ、キリキヤにいる異邦人の兄弟がたに、あいさつを送る。 + こちらから行ったある者たちが、わたしたちからの指示もないのに、いろいろなことを言って、あなたがたを騒がせ、あなたがたの心を乱したと伝え聞いた。 + そこで、わたしたちは人々を選んで、愛するバルナバおよびパウロと共に、あなたがたのもとに派遣することに、衆議一決した。 + このふたりは、われらの主イエス・キリストの名のために、その命を投げ出した人々であるが、 + 彼らと共に、ユダとシラスとを派遣する次第である。この人たちは、あなたがたに、同じ趣旨のことを、口頭でも伝えるであろう。 + すなわち、聖霊とわたしたちとは、次の必要事項のほかは、どんな負担をも、あなたがたに負わせないことに決めた。 + それは、偶像に供えたものと、血と、絞め殺したものと、不品行とを、避けるということである。これらのものから遠ざかっておれば、それでよろしい。以上」。 + さて、一行は人々に見送られて、アンテオケに下って行き、会衆を集めて、その書面を手渡した。 + 人々はそれを読んで、その勧めの言葉をよろこんだ。 + ユダとシラスとは共に預言者であったので、多くの言葉をもって兄弟たちを励まし、また力づけた。 + ふたりは、しばらくの時を、そこで過ごした後、兄弟たちから、旅の平安を祈られて、見送りを受け、自分らを派遣した人々のところに帰って行った。〔 + しかし、シラスだけは、引きつづきとどまることにした。〕 + パウロとバルナバとはアンテオケに滞在をつづけて、ほかの多くの人たちと共に、主の言葉を教えかつ宣べ伝えた。 + 幾日かの後、パウロはバルナバに言った、「さあ、前に主の言葉を伝えたすべての町々にいる兄弟たちを、また訪問して、みんながどうしているかを見てこようではないか」。 + そこで、バルナバはマルコというヨハネも一緒に連れて行くつもりでいた。 + しかし、パウロは、前にパンフリヤで一行から離れて、働きを共にしなかったような者は、連れて行かないがよいと考えた。 + こうして激論が起り、その結果ふたりは互に別れ別れになり、バルナバはマルコを連れてクプロに渡って行き、 + パウロはシラスを選び、兄弟たちから主の恵みにゆだねられて、出発した。 + そしてパウロは、シリヤ、キリキヤの地方をとおって、諸教会を力づけた。 + + + それから、彼はデルベに行き、次にルステラに行った。そこにテモテという名の弟子がいた。信者のユダヤ婦人を母とし、ギリシヤ人を父としており、 + ルステラとイコニオムの兄弟たちの間で、評判のよい人物であった。 + パウロはこのテモテを連れて行きたかったので、その地方にいるユダヤ人の手前、まず彼に割礼を受けさせた。彼の父がギリシヤ人であることは、みんな知っていたからである。 + それから彼らは通る町々で、エルサレムの使徒たちや長老たちの取り決めた事項を守るようにと、人々にそれを渡した。 + こうして、諸教会はその信仰を強められ、日ごとに数を増していった。 + それから彼らは、アジヤで御言を語ることを聖霊に禁じられたので、フルギヤ・ガラテヤ地方をとおって行った。 + そして、ムシヤのあたりにきてから、ビテニヤに進んで行こうとしたところ、イエスの御霊がこれを許さなかった。 + それで、ムシヤを通過して、トロアスに下って行った。 + ここで夜、パウロは一つの幻を見た。ひとりのマケドニヤ人が立って、「マケドニヤに渡ってきて、わたしたちを助けて下さい」と、彼に懇願するのであった。 + パウロがこの幻を見た時、これは彼らに福音を伝えるために、神がわたしたちをお招きになったのだと確信して、わたしたちは、ただちにマケドニヤに渡って行くことにした。 + そこで、わたしたちはトロアスから船出して、サモトラケに直航し、翌日ネアポリスに着いた。 + そこからピリピへ行った。これはマケドニヤのこの地方第一の町で、植民都市であった。わたしたちは、この町に数日間滞在した。 + ある安息日に、わたしたちは町の門を出て、祈り場があると思って、川のほとりに行った。そして、そこにすわり、集まってきた婦人たちに話をした。 + ところが、テアテラ市の紫布の商人で、神を敬うルデヤという婦人が聞いていた。主は彼女の心を開いて、パウロの語ることに耳を傾けさせた。 + そして、この婦人もその家族も、共にバプテスマを受けたが、その時、彼女は「もし、わたしを主を信じる者とお思いでしたら、どうぞ、わたしの家にきて泊まって下さい」と懇望し、しいてわたしたちをつれて行った。 + ある時、わたしたちが、祈り場に行く途中、占いの霊につかれた女奴隷に出会った。彼女は占いをして、その主人たちに多くの利益を得させていた者である。 + この女が、パウロやわたしたちのあとを追ってきては、「この人たちは、いと高き神の僕たちで、あなたがたに救の道を伝えるかただ」と、叫び出すのであった。 + そして、そんなことを幾日間もつづけていた。パウロは困りはてて、その霊にむかい「イエス・キリストの名によって命じる。その女から出て行け」と言った。すると、その瞬間に霊が女から出て行った。 + 彼女の主人たちは、自分らの利益を得る望みが絶えたのを見て、パウロとシラスとを捕え、役人に引き渡すため広場に引きずって行った。 + それから、ふたりを長官たちの前に引き出して訴えた、「この人たちはユダヤ人でありまして、わたしたちの町をかき乱し、 + わたしたちローマ人が、採用も実行もしてはならない風習を宣伝しているのです」。 + 群衆もいっせいに立って、ふたりを責めたてたので、長官たちはふたりの上着をはぎ取り、むちで打つことを命じた。 + それで、ふたりに何度もむちを加えさせたのち、獄に入れ、獄吏にしっかり番をするようにと命じた。 + 獄吏はこの厳命を受けたので、ふたりを奥の獄屋に入れ、その足に足かせをしっかとかけておいた。 + 真夜中ごろ、パウロとシラスとは、神に祈り、さんびを歌いつづけたが、囚人たちは耳をすまして聞きいっていた。 + ところが突然、大地震が起って、獄の土台が揺れ動き、戸は全部たちまち開いて、みんなの者の鎖が解けてしまった。 + 獄吏は目をさまし、獄の戸が開いてしまっているのを見て、囚人たちが逃げ出したものと思い、つるぎを抜いて自殺しかけた。 + そこでパウロは大声をあげて言った、「自害してはいけない。われわれは皆ひとり残らず、ここにいる」。 + すると、獄吏は、あかりを手に入れた上、獄に駆け込んできて、おののきながらパウロとシラスの前にひれ伏した。 + それから、ふたりを外に連れ出して言った、「先生がた、わたしは救われるために、何をすべきでしょうか」。 + ふたりが言った、「主イエスを信じなさい。そうしたら、あなたもあなたの家族も救われます」。 + それから、彼とその家族一同とに、神の言を語って聞かせた。 + 彼は真夜中にもかかわらず、ふたりを引き取って、その打ち傷を洗ってやった。そして、その場で自分も家族も、ひとり残らずバプテスマを受け、 + さらに、ふたりを自分の家に案内して食事のもてなしをし、神を信じる者となったことを、全家族と共に心から喜んだ。 + 夜が明けると、長官たちは警吏らをつかわして、「あの人たちを釈放せよ」と言わせた。 + そこで、獄吏はこの言葉をパウロに伝えて言った、「長官たちが、あなたがたを釈放させるようにと、使をよこしました。さあ、出てきて、無事にお帰りなさい」。 + ところが、パウロは警吏らに言った、「彼らは、ローマ人であるわれわれを、裁判にかけもせずに、公衆の前でむち打ったあげく、獄に入れてしまった。しかるに今になって、ひそかに、われわれを出そうとするのか。それは、いけない。彼ら自身がここにきて、われわれを連れ出すべきである」。 + 警吏らはこの言葉を長官たちに報告した。すると長官たちは、ふたりがローマ人だと聞いて恐れ、 + 自分でやってきてわびた上、ふたりを獄から連れ出し、町から立ち去るようにと頼んだ。 + ふたりは獄を出て、ルデヤの家に行った。そして、兄弟たちに会って勧めをなし、それから出かけた。 + + + 一行は、アムピポリスとアポロニヤとをとおって、テサロニケに行った。ここにはユダヤ人の会堂があった。 + パウロは例によって、その会堂にはいって行って、三つの安息日にわたり、聖書に基いて彼らと論じ、 + キリストは必ず苦難を受け、そして死人の中からよみがえるべきこと、また「わたしがあなたがたに伝えているこのイエスこそは、キリストである」とのことを、説明もし論証もした。 + ある人たちは納得がいって、パウロとシラスにしたがった。その中には、信心深いギリシヤ人が多数あり、貴婦人たちも少なくなかった。 + ところが、ユダヤ人たちは、それをねたんで、町をぶらついているならず者らを集めて暴動を起し、町を騒がせた。それからヤソンの家を襲い、ふたりを民衆の前にひっぱり出そうと、しきりに捜した。 + しかし、ふたりが見つからないので、ヤソンと兄弟たち数人を、市の当局者のところに引きずって行き、叫んで言った、「天下をかき回してきたこの人たちが、ここにもはいり込んでいます。 + その人たちをヤソンが自分の家に迎え入れました。この連中は、みなカイザルの詔勅にそむいて行動し、イエスという別の王がいるなどと言っています」。 + これを聞いて、群衆と市の当局者は不安に感じた。 + そして、ヤソンやほかの者たちから、保証金を取った上、彼らを釈放した。 + そこで、兄弟たちはただちに、パウロとシラスとを、夜の間にベレヤへ送り出した。ふたりはベレヤに到着すると、ユダヤ人の会堂に行った。 + ここにいるユダヤ人はテサロニケの者たちよりも素直であって、心から教を受けいれ、果してそのとおりかどうかを知ろうとして、日々聖書を調べていた。 + そういうわけで、彼らのうちの多くの者が信者になった。また、ギリシヤの貴婦人や男子で信じた者も、少なくなかった。 + テサロニケのユダヤ人たちは、パウロがベレヤでも神の言を伝えていることを知り、そこにも押しかけてきて、群衆を煽動して騒がせた。 + そこで、兄弟たちは、ただちにパウロを送り出して、海べまで行かせ、シラスとテモテとはベレヤに居残った。 + パウロを案内した人たちは、彼をアテネまで連れて行き、テモテとシラスとになるべく早く来るようにとのパウロの伝言を受けて、帰った。 + さて、パウロはアテネで彼らを待っている間に、市内に偶像がおびただしくあるのを見て、心に憤りを感じた。 + そこで彼は、会堂ではユダヤ人や信心深い人たちと論じ、広場では毎日そこで出会う人々を相手に論じた。 + また、エピクロス派やストア派の哲学者数人も、パウロと議論を戦わせていたが、その中のある者たちが言った、「このおしゃべりは、いったい、何を言おうとしているのか」。また、ほかの者たちは、「あれは、異国の神々を伝えようとしているらしい」と言った。パウロが、イエスと復活とを、宣べ伝えていたからであった。 + そこで、彼らはパウロをアレオパゴスの評議所に連れて行って、「君の語っている新しい教がどんなものか、知らせてもらえまいか。 + 君がなんだか珍らしいことをわれわれに聞かせているので、それがなんの事なのか知りたいと思うのだ」と言った。 + いったい、アテネ人もそこに滞在している外国人もみな、何か耳新しいことを話したり聞いたりすることのみに、時を過ごしていたのである。 + そこでパウロは、アレオパゴスの評議所のまん中に立って言った。「アテネの人たちよ、あなたがたは、あらゆる点において、すこぶる宗教心に富んでおられると、わたしは見ている。 + 実は、わたしが道を通りながら、あなたがたの拝むいろいろなものを、よく見ているうちに、『知られない神に』と刻まれた祭壇もあるのに気がついた。そこで、あなたがたが知らずに拝んでいるものを、いま知らせてあげよう。 + この世界と、その中にある万物とを造った神は、天地の主であるのだから、手で造った宮などにはお住みにならない。 + また、何か不足でもしておるかのように、人の手によって仕えられる必要もない。神は、すべての人々に命と息と万物とを与え、 + また、ひとりの人から、あらゆる民族を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに時代を区分し、国土の境界を定めて下さったのである。 + こうして、人々が熱心に追い求めて捜しさえすれば、神を見いだせるようにして下さった。事実、神はわれわれひとりびとりから遠く離れておいでになるのではない。 + われわれは神のうちに生き、動き、存在しているからである。あなたがたのある詩人たちも言ったように、『われわれも、確かにその子孫である』。 + このように、われわれは神の子孫なのであるから、神たる者を、人間の技巧や空想で金や銀や石などに彫り付けたものと同じと、見なすべきではない。 + 神は、このような無知の時代を、これまでは見過ごしにされていたが、今はどこにおる人でも、みな悔い改めなければならないことを命じておられる。 + 神は、義をもってこの世界をさばくためその日を定め、お選びになったかたによってそれをなし遂げようとされている。すなわち、このかたを死人の中からよみがえらせ、その確証をすべての人に示されたのである」。 + 死人のよみがえりのことを聞くと、ある者たちはあざ笑い、またある者たちは、「この事については、いずれまた聞くことにする」と言った。 + こうして、パウロは彼らの中から出て行った。 + しかし、彼にしたがって信じた者も、幾人かあった。その中には、アレオパゴスの裁判人デオヌシオとダマリスという女、また、その他の人々もいた。 + + + その後、パウロはアテネを去ってコリントへ行った。 + そこで、アクラというポント生れのユダヤ人と、その妻プリスキラとに出会った。クラウデオ帝が、すべてのユダヤ人をローマから退去させるようにと、命令したため、彼らは近ごろイタリヤから出てきたのである。 + パウロは彼らのところに行ったが、互に同業であったので、その家に住み込んで、一緒に仕事をした。天幕造りがその職業であった。 + パウロは安息日ごとに会堂で論じては、ユダヤ人やギリシヤ人の説得に努めた。 + シラスとテモテが、マケドニヤから下ってきてからは、パウロは御言を伝えることに専念し、イエスがキリストであることを、ユダヤ人たちに力強くあかしした。 + しかし、彼らがこれに反抗してののしり続けたので、パウロは自分の上着を振りはらって、彼らに言った、「あなたがたの血は、あなたがた自身にかえれ。わたしには責任がない。今からわたしは異邦人の方に行く」。 + こう言って、彼はそこを去り、テテオ・ユストという神を敬う人の家に行った。その家は会堂と隣り合っていた。 + 会堂司クリスポは、その家族一同と共に主を信じた。また多くのコリント人も、パウロの話を聞いて信じ、ぞくぞくとバプテスマを受けた。 + すると、ある夜、幻のうちに主がパウロに言われた、「恐れるな。語りつづけよ、黙っているな。 + あなたには、わたしがついている。だれもあなたを襲って、危害を加えるようなことはない。この町には、わたしの民が大ぜいいる」。 + パウロは一年六か月の間ここに腰をすえて、神の言を彼らの間に教えつづけた。 + ところが、ガリオがアカヤの総督であった時、ユダヤ人たちは一緒になってパウロを襲い、彼を法廷にひっぱって行って訴えた、 + 「この人は、律法にそむいて神を拝むように、人々をそそのかしています」。 + パウロが口を開こうとすると、ガリオはユダヤ人たちに言った、「ユダヤ人諸君、何か不法行為とか、悪質の犯罪とかのことなら、わたしは当然、諸君の訴えを取り上げもしようが、 + これは諸君の言葉や名称や律法に関する問題なのだから、諸君みずから始末するがよかろう。わたしはそんな事の裁判人にはなりたくない」。 + こう言って、彼らを法廷から追いはらった。 + そこで、みんなの者は、会堂司ソステネを引き捕え、法廷の前で打ちたたいた。ガリオはそれに対して、そ知らぬ顔をしていた。 + さてパウロは、なお幾日ものあいだ滞在した後、兄弟たちに別れを告げて、シリヤへ向け出帆した。プリスキラとアクラも同行した。パウロは、かねてから、ある誓願を立てていたので、ケンクレヤで頭をそった。 + 一行がエペソに着くと、パウロはふたりをそこに残しておき、自分だけ会堂にはいって、ユダヤ人たちと論じた。 + 人々は、パウロにもっと長いあいだ滞在するように願ったが、彼は聞きいれないで、 + 「神のみこころなら、またあなたがたのところに帰ってこよう」と言って、別れを告げ、エペソから船出した。 + それから、カイザリヤで上陸してエルサレムに上り、教会にあいさつしてから、アンテオケに下って行った。 + そこにしばらくいてから、彼はまた出かけ、ガラテヤおよびフルギヤの地方を歴訪して、すべての弟子たちを力づけた。 + さて、アレキサンデリヤ生れで、聖書に精通し、しかも、雄弁なアポロというユダヤ人が、エペソにきた。 + この人は主の道に通じており、また、霊に燃えてイエスのことを詳しく語ったり教えたりしていたが、ただヨハネのバプテスマしか知っていなかった。 + 彼は会堂で大胆に語り始めた。それをプリスキラとアクラとが聞いて、彼を招きいれ、さらに詳しく神の道を解き聞かせた。 + それから、アポロがアカヤに渡りたいと思っていたので、兄弟たちは彼を励まし、先方の弟子たちに、彼をよく迎えるようにと、手紙を書き送った。彼は到着して、すでにめぐみによって信者になっていた人たちに、大いに力になった。 + 彼はイエスがキリストであることを、聖書に基いて示し、公然と、ユダヤ人たちを激しい語調で論破したからである。 + + + アポロがコリントにいた時、パウロは奥地をとおってエペソにきた。そして、ある弟子たちに出会って、 + 彼らに「あなたがたは、信仰にはいった時に、聖霊を受けたのか」と尋ねたところ、「いいえ、聖霊なるものがあることさえ、聞いたことがありません」と答えた。 + 「では、だれの名によってバプテスマを受けたのか」と彼がきくと、彼らは「ヨハネの名によるバプテスマを受けました」と答えた。 + そこで、パウロが言った、「ヨハネは悔改めのバプテスマを授けたが、それによって、自分のあとに来るかた、すなわち、イエスを信じるように、人々に勧めたのである」。 + 人々はこれを聞いて、主イエスの名によるバプテスマを受けた。 + そして、パウロが彼らの上に手をおくと、聖霊が彼らにくだり、それから彼らは異言を語ったり、預言をしたりし出した。 + その人たちはみんなで十二人ほどであった。 + それから、パウロは会堂にはいって、三か月のあいだ、大胆に神の国について論じ、また勧めをした。 + ところが、ある人たちは心をかたくなにして、信じようとせず、会衆の前でこの道をあしざまに言ったので、彼は弟子たちを引き連れて、その人たちから離れ、ツラノの講堂で毎日論じた。 + それが二年間も続いたので、アジヤに住んでいる者は、ユダヤ人もギリシヤ人も皆、主の言を聞いた。 + 神は、パウロの手によって、異常な力あるわざを次々になされた。 + たとえば、人々が、彼の身につけている手ぬぐいや前掛けを取って病人にあてると、その病気が除かれ、悪霊が出て行くのであった。 + そこで、ユダヤ人のまじない師で、遍歴している者たちが、悪霊につかれている者にむかって、主イエスの名をとなえ、「パウロの宣べ伝えているイエスによって命じる。出て行け」と、ためしに言ってみた。 + ユダヤの祭司長スケワという者の七人のむすこたちも、そんなことをしていた。 + すると悪霊がこれに対して言った、「イエスなら自分は知っている。パウロもわかっている。だが、おまえたちは、いったい何者だ」。 + そして、悪霊につかれている人が、彼らに飛びかかり、みんなを押えつけて負かしたので、彼らは傷を負ったまま裸になって、その家を逃げ出した。 + このことがエペソに住むすべてのユダヤ人やギリシヤ人に知れわたって、みんな恐怖に襲われ、そして、主イエスの名があがめられた。 + また信者になった者が大ぜいきて、自分の行為を打ちあけて告白した。 + それから、魔術を行っていた多くの者が、魔術の本を持ち出してきては、みんなの前で焼き捨てた。その値段を総計したところ、銀五万にも上ることがわかった。 + このようにして、主の言はますます盛んにひろまり、また力を増し加えていった。 + これらの事があった後、パウロは御霊に感じて、マケドニヤ、アカヤをとおって、エルサレムへ行く決心をした。そして言った、「わたしは、そこに行ったのち、ぜひローマをも見なければならない」。 + そこで、自分に仕えている者の中から、テモテとエラストとのふたりを、まずマケドニヤに送り出し、パウロ自身は、なおしばらくアジヤにとどまった。 + そのころ、この道について容易ならぬ騒動が起った。 + そのいきさつは、こうである。デメテリオという銀細工人が、銀でアルテミス神殿の模型を造って、職人たちに少なからぬ利益を得させていた。 + この男がその職人たちや、同類の仕事をしていた者たちを集めて言った、「諸君、われわれがこの仕事で、金もうけをしていることは、ご承知のとおりだ。 + しかるに、諸君の見聞きしているように、あのパウロが、手で造られたものは神様ではないなどと言って、エペソばかりか、ほとんどアジヤ全体にわたって、大ぜいの人々を説きつけて誤らせた。 + これでは、お互の仕事に悪評が立つおそれがあるばかりか、大女神アルテミスの宮も軽んじられ、ひいては全アジヤ、いや全世界が拝んでいるこの大女神のご威光さえも、消えてしまいそうである」。 + これを聞くと、人々は怒りに燃え、大声で「大いなるかな、エペソ人のアルテミス」と叫びつづけた。 + そして、町中が大混乱に陥り、人々はパウロの道連れであるマケドニヤ人ガイオとアリスタルコとを捕えて、いっせいに劇場へなだれ込んだ。 + パウロは群衆の中にはいって行こうとしたが、弟子たちがそれをさせなかった。 + アジヤ州の議員で、パウロの友人であった人たちも、彼に使をよこして、劇場にはいって行かないようにと、しきりに頼んだ。 + 中では、集会が混乱に陥ってしまって、ある者はこのことを、ほかの者はあのことを、どなりつづけていたので、大多数の者は、なんのために集まったのかも、わからないでいた。 + そこで、ユダヤ人たちが、前に押し出したアレキサンデルなる者を、群衆の中のある人たちが促したため、彼は手を振って、人々に弁明を試みようとした。 + ところが、彼がユダヤ人だとわかると、みんなの者がいっせいに「大いなるかな、エペソ人のアルテミス」と二時間ばかりも叫びつづけた。 + ついに、市の書記役が群衆を押し静めて言った、「エペソの諸君、エペソ市が大女神アルテミスと、天くだったご神体との守護役であることを知らない者が、ひとりでもいるだろうか。 + これは否定のできない事実であるから、諸君はよろしく静かにしているべきで、乱暴な行動は、いっさいしてはならない。 + 諸君はこの人たちをここにひっぱってきたが、彼らは宮を荒す者でも、われわれの女神をそしる者でもない。 + だから、もしデメテリオなりその職人仲間なりが、だれかに対して訴え事があるなら、裁判の日はあるし、総督もいるのだから、それぞれ訴え出るがよい。 + しかし、何かもっと要求したい事があれば、それは正式の議会で解決してもらうべきだ。 + きょうの事件については、この騒ぎを弁護できるような理由が全くないのだから、われわれは治安をみだす罪に問われるおそれがある」。 + こう言って、彼はこの集会を解散させた。 + + + 騒ぎがやんだ後、パウロは弟子たちを呼び集めて激励を与えた上、別れのあいさつを述べ、マケドニヤへ向かって出発した。 + そして、その地方をとおり、多くの言葉で人々を励ましたのち、ギリシヤにきた。 + 彼はそこで三か月を過ごした。それからシリヤへ向かって、船出しようとしていた矢先、彼に対するユダヤ人の陰謀が起ったので、マケドニヤを経由して帰ることに決した。 + プロの子であるエペソ人ソパテロ、テサロニケ人アリスタルコとセクンド、デルベ人ガイオ、それからテモテ、またアジヤ人テキコとトロピモがパウロの同行者であった。 + この人たちは先発して、トロアスでわたしたちを待っていた。 + わたしたちは、除酵祭が終ったのちに、ピリピから出帆し、五日かかってトロアスに到着して、彼らと落ち合い、そこに七日間滞在した。 + 週の初めの日に、わたしたちがパンをさくために集まった時、パウロは翌日出発することにしていたので、しきりに人々と語り合い、夜中まで語りつづけた。 + わたしたちが集まっていた屋上の間には、あかりがたくさんともしてあった。 + ユテコという若者が窓に腰をかけていたところ、パウロの話がながながと続くので、ひどく眠けがさしてきて、とうとうぐっすり寝入ってしまい、三階から下に落ちた。抱き起してみたら、もう死んでいた。 + そこでパウロは降りてきて、若者の上に身をかがめ、彼を抱きあげて、「騒ぐことはない。まだ命がある」と言った。 + そして、また上がって行って、パンをさいて食べてから、明けがたまで長いあいだ人々と語り合って、ついに出発した。 + 人々は生きかえった若者を連れかえり、ひとかたならず慰められた。 + さて、わたしたちは先に舟に乗り込み、アソスへ向かって出帆した。そこからパウロを舟に乗せて行くことにしていた。彼だけは陸路をとることに決めていたからである。 + パウロがアソスで、わたしたちと落ち合った時、わたしたちは彼を舟に乗せてミテレネに行った。 + そこから出帆して、翌日キヨスの沖合にいたり、次の日にサモスに寄り、その翌日ミレトに着いた。 + それは、パウロがアジヤで時間をとられないため、エペソには寄らないで続航することに決めていたからである。彼は、できればペンテコステの日には、エルサレムに着いていたかったので、旅を急いだわけである。 + そこでパウロは、ミレトからエペソに使をやって、教会の長老たちを呼び寄せた。 + そして、彼のところに寄り集まってきた時、彼らに言った。「わたしが、アジヤの地に足を踏み入れた最初の日以来、いつもあなたがたとどんなふうに過ごしてきたか、よくご存じである。 + すなわち、謙遜の限りをつくし、涙を流し、ユダヤ人の陰謀によってわたしの身に及んだ数々の試練の中にあって、主に仕えてきた。 + また、あなたがたの益になることは、公衆の前でも、また家々でも、すべてあますところなく話して聞かせ、また教え、 + ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神に対する悔改めと、わたしたちの主イエスに対する信仰とを、強く勧めてきたのである。 + 今や、わたしは御霊に迫られてエルサレムへ行く。あの都で、どんな事がわたしの身にふりかかって来るか、わたしにはわからない。 + ただ、聖霊が至るところの町々で、わたしにはっきり告げているのは、投獄と患難とが、わたしを待ちうけているということだ。 + しかし、わたしは自分の行程を走り終え、主イエスから賜わった、神のめぐみの福音をあかしする任務を果し得さえしたら、このいのちは自分にとって、少しも惜しいとは思わない。 + わたしはいま信じている、あなたがたの間を歩き回って御国を宣べ伝えたこのわたしの顔を、みんなが今後二度と見ることはあるまい。 + だから、きょう、この日にあなたがたに断言しておく。わたしは、すべての人の血について、なんら責任がない。 + 神のみ旨を皆あますところなく、あなたがたに伝えておいたからである。 + どうか、あなたがた自身に気をつけ、また、すべての群れに気をくばっていただきたい。聖霊は、神が御子の血であがない取られた神の教会を牧させるために、あなたがたをその群れの監督者にお立てになったのである。 + わたしが去った後、狂暴なおおかみが、あなたがたの中にはいり込んできて、容赦なく群れを荒すようになることを、わたしは知っている。 + また、あなたがた自身の中からも、いろいろ曲ったことを言って、弟子たちを自分の方に、ひっぱり込もうとする者らが起るであろう。 + だから、目をさましていなさい。そして、わたしが三年の間、夜も昼も涙をもって、あなたがたひとりびとりを絶えずさとしてきたことを、忘れないでほしい。 + 今わたしは、主とその恵みの言とに、あなたがたをゆだねる。御言には、あなたがたの徳をたて、聖別されたすべての人々と共に、御国をつがせる力がある。 + わたしは、人の金や銀や衣服をほしがったことはない。 + あなたがた自身が知っているとおり、わたしのこの両手は、自分の生活のためにも、また一緒にいた人たちのためにも、働いてきたのだ。 + わたしは、あなたがたもこのように働いて、弱い者を助けなければならないこと、また『受けるよりは与える方が、さいわいである』と言われた主イエスの言葉を記憶しているべきことを、万事について教え示したのである」。 + こう言って、パウロは一同と共にひざまずいて祈った。 + みんなの者は、はげしく泣き悲しみ、パウロの首を抱いて、幾度も接吻し、 + もう二度と自分の顔を見ることはあるまいと彼が言ったので、特に心を痛めた。それから彼を舟まで見送った。 + + + さて、わたしたちは人々と別れて船出してから、コスに直航し、次の日はロドスに、そこからパタラに着いた。 + ここでピニケ行きの舟を見つけたので、それに乗り込んで出帆した。 + やがてクプロが見えてきたが、それを左手にして通りすぎ、シリヤへ航行をつづけ、ツロに入港した。ここで積荷が陸上げされることになっていたからである。 + わたしたちは、弟子たちを捜し出して、そこに七日間泊まった。ところが彼らは、御霊の示しを受けて、エルサレムには上って行かないようにと、しきりにパウロに注意した。 + しかし、滞在期間が終った時、わたしたちはまた旅立つことにしたので、みんなの者は、妻や子供を引き連れて、町はずれまで、わたしたちを見送りにきてくれた。そこで、共に海岸にひざまずいて祈り、 + 互に別れを告げた。それから、わたしたちは舟に乗り込み、彼らはそれぞれ自分の家に帰った。 + わたしたちは、ツロからの航行を終ってトレマイに着き、そこの兄弟たちにあいさつをし、彼らのところに一日滞在した。 + 翌日そこをたって、カイザリヤに着き、かの七人のひとりである伝道者ピリポの家に行き、そこに泊まった。 + この人に四人の娘があったが、いずれも処女であって、預言をしていた。 + 幾日か滞在している間に、アガボという預言者がユダヤから下ってきた。 + そして、わたしたちのところにきて、パウロの帯を取り、それで自分の手足を縛って言った、「聖霊がこうお告げになっている、『この帯の持ち主を、ユダヤ人たちがエルサレムでこのように縛って、異邦人の手に渡すであろう』」。 + わたしたちはこれを聞いて、土地の人たちと一緒になって、エルサレムには上って行かないようにと、パウロに願い続けた。 + その時パウロは答えた、「あなたがたは、泣いたり、わたしの心をくじいたりして、いったい、どうしようとするのか。わたしは、主イエスの名のためなら、エルサレムで縛られるだけでなく、死ぬことをも覚悟しているのだ」。 + こうして、パウロが勧告を聞きいれてくれないので、わたしたちは「主のみこころが行われますように」と言っただけで、それ以上、何も言わなかった。 + 数日後、わたしたちは旅装を整えてエルサレムへ上って行った。 + カイザリヤの弟子たちも数人、わたしたちと同行して、古くからの弟子であるクプロ人マナソンの家に案内してくれた。わたしたちはその家に泊まることになっていたのである。 + わたしたちがエルサレムに到着すると、兄弟たちは喜んで迎えてくれた。 + 翌日パウロはわたしたちを連れて、ヤコブを訪問しに行った。そこに長老たちがみな集まっていた。 + パウロは彼らにあいさつをした後、神が自分の働きをとおして、異邦人の間になさった事どもを一々説明した。 + 一同はこれを聞いて神をほめたたえ、そして彼に言った、「兄弟よ、ご承知のように、ユダヤ人の中で信者になった者が、数万にものぼっているが、みんな律法に熱心な人たちである。 + ところが、彼らが伝え聞いているところによれば、あなたは異邦人の中にいるユダヤ人一同に対して、子供に割礼を施すな、またユダヤの慣例にしたがうなと言って、モーセにそむくことを教えている、ということである。 + どうしたらよいか。あなたがここにきていることは、彼らもきっと聞き込むに違いない。 + ついては、今わたしたちが言うとおりのことをしなさい。わたしたちの中に、誓願を立てている者が四人いる。 + この人たちを連れて行って、彼らと共にきよめを行い、また彼らの頭をそる費用を引き受けてやりなさい。そうすれば、あなたについて、うわさされていることは、根も葉もないことで、あなたは律法を守って、正しい生活をしていることが、みんなにわかるであろう。 + 異邦人で信者になった人たちには、すでに手紙で、偶像に供えたものと、血と、絞め殺したものと、不品行とを、慎むようにとの決議が、わたしたちから知らせてある」。 + そこでパウロは、その次の日に四人の者を連れて、彼らと共にきよめを受けてから宮にはいった。そしてきよめの期間が終って、ひとりびとりのために供え物をささげる時を報告しておいた。 + 七日の期間が終ろうとしていた時、アジヤからきたユダヤ人たちが、宮の内でパウロを見かけて、群衆全体を煽動しはじめ、パウロに手をかけて叫び立てた、 + 「イスラエルの人々よ、加勢にきてくれ。この人は、いたるところで民と律法とこの場所にそむくことを、みんなに教えている。その上に、ギリシヤ人を宮の内に連れ込んで、この神聖な場所を汚したのだ」。 + 彼らは、前にエペソ人トロピモが、パウロと一緒に町を歩いていたのを見かけて、その人をパウロが宮の内に連れ込んだのだと思ったのである。 + そこで、市全体が騒ぎ出し、民衆が駆け集まってきて、パウロを捕え、宮の外に引きずり出した。そして、すぐそのあとに宮の門が閉ざされた。 + 彼らがパウロを殺そうとしていた時に、エルサレム全体が混乱状態に陥っているとの情報が、守備隊の千卒長にとどいた。 + そこで、彼はさっそく、兵卒や百卒長たちを率いて、その場に駆けつけた。人々は千卒長や兵卒たちを見て、パウロを打ちたたくのをやめた。 + 千卒長は近寄ってきてパウロを捕え、彼を二重の鎖で縛っておくように命じた上、パウロは何者か、また何をしたのか、と尋ねた。 + しかし、群衆がそれぞれ違ったことを叫びつづけるため、騒がしくて、確かなことがわからないので、彼はパウロを兵営に連れて行くように命じた。 + パウロが階段にさしかかった時には、群衆の暴行を避けるため、兵卒たちにかつがれて行くという始末であった。 + 大ぜいの民衆が「あれをやっつけてしまえ」と叫びながら、ついてきたからである。 + パウロが兵営の中に連れて行かれようとした時、千卒長に、「ひと言あなたにお話してもよろしいですか」と尋ねると、千卒長が言った、「おまえはギリシヤ語が話せるのか。 + では、もしかおまえは、先ごろ反乱を起した後、四千人の刺客を引き連れて荒野へ逃げて行ったあのエジプト人ではないのか」。 + パウロは答えた、「わたしはタルソ生れのユダヤ人で、キリキヤのれっきとした都市の市民です。お願いですが、民衆に話をさせて下さい」。 + 千卒長が許してくれたので、パウロは階段の上に立ち、民衆にむかって手を振った。すると、一同がすっかり静粛になったので、パウロはヘブル語で話し出した。 + + + 「兄弟たち、父たちよ、いま申し上げるわたしの弁明を聞いていただきたい」。 + パウロが、ヘブル語でこう語りかけるのを聞いて、人々はますます静粛になった。 + そこで彼は言葉をついで言った、「わたしはキリキヤのタルソで生れたユダヤ人であるが、この都で育てられ、ガマリエルのひざもとで先祖伝来の律法について、きびしい薫陶を受け、今日の皆さんと同じく神に対して熱心な者であった。 + そして、この道を迫害し、男であれ女であれ、縛りあげて獄に投じ、彼らを死に至らせた。 + このことは、大祭司も長老たち一同も、証明するところである。さらにわたしは、この人たちからダマスコの同志たちへあてた手紙をもらって、その地にいる者たちを縛りあげ、エルサレムにひっぱってきて、処罰するため、出かけて行った。 + 旅をつづけてダマスコの近くにきた時に、真昼ごろ、突然、つよい光が天からわたしをめぐり照した。 + わたしは地に倒れた。そして、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか』と、呼びかける声を聞いた。 + これに対してわたしは、『主よ、あなたはどなたですか』と言った。すると、その声が、『わたしは、あなたが迫害しているナザレ人イエスである』と答えた。 + わたしと一緒にいた者たちは、その光は見たが、わたしに語りかけたかたの声は聞かなかった。 + わたしが『主よ、わたしは何をしたらよいでしょうか』と尋ねたところ、主は言われた、『起きあがってダマスコに行きなさい。そうすれば、あなたがするように決めてある事が、すべてそこで告げられるであろう』。 + わたしは、光の輝きで目がくらみ、何も見えなくなっていたので、連れの者たちに手を引かれながら、ダマスコに行った。 + すると、律法に忠実で、ダマスコ在住のユダヤ人全体に評判のよいアナニヤという人が、 + わたしのところにきて、そばに立ち、『兄弟サウロよ、見えるようになりなさい』と言った。するとその瞬間に、わたしの目が開いて、彼の姿が見えた。 + 彼は言った、『わたしたちの先祖の神が、あなたを選んでみ旨を知らせ、かの義人を見させ、その口から声をお聞かせになった。 + それはあなたが、その見聞きした事につき、すべての人に対して、彼の証人になるためである。 + そこで今、なんのためらうことがあろうか。すぐ立って、み名をとなえてバプテスマを受け、あなたの罪を洗い落しなさい』。 + それからわたしは、エルサレムに帰って宮で祈っているうちに、夢うつつになり、 + 主にまみえたが、主は言われた、『急いで、すぐにエルサレムを出て行きなさい。わたしについてのあなたのあかしを、人々が受けいれないから』。 + そこで、わたしが言った、『主よ、彼らは、わたしがいたるところの会堂で、あなたを信じる人々を獄に投じたり、むち打ったりしていたことを、知っています。 + また、あなたの証人ステパノの血が流された時も、わたしは立ち合っていてそれに賛成し、また彼を殺した人たちの上着の番をしていたのです』。 + すると、主がわたしに言われた、『行きなさい。わたしが、あなたを遠く異邦の民へつかわすのだ』」。 + 彼の言葉をここまで聞いていた人々は、このとき、声を張りあげて言った、「こんな男は地上から取り除いてしまえ。生かしおくべきではない」。 + 人々がこうわめき立てて、空中に上着を投げ、ちりをまき散らす始末であったので、 + 千卒長はパウロを兵営に引き入れるように命じ、どういうわけで、彼に対してこんなにわめき立てているのかを確かめるため、彼をむちの拷問にかけて、取り調べるように言いわたした。 + 彼らがむちを当てるため、彼を縛りつけていた時、パウロはそばに立っている百卒長に言った、「ローマの市民たる者を、裁判にかけもしないで、むち打ってよいのか」。 + 百卒長はこれを聞き、千卒長のところに行って報告し、そして言った、「どうなさいますか。あの人はローマの市民なのです」。 + そこで、千卒長がパウロのところにきて言った、「わたしに言ってくれ。あなたはローマの市民なのか」。パウロは「そうです」と言った。 + これに対して千卒長が言った、「わたしはこの市民権を、多額の金で買い取ったのだ」。するとパウロは言った、「わたしは生れながらの市民です」。 + そこで、パウロを取り調べようとしていた人たちは、ただちに彼から身を引いた。千卒長も、パウロがローマの市民であること、また、そういう人を縛っていたことがわかって、恐れた。 + 翌日、彼は、ユダヤ人がなぜパウロを訴え出たのか、その真相を知ろうと思って彼を解いてやり、同時に祭司長たちと全議会とを召集させ、そこに彼を引き出して、彼らの前に立たせた。 + + + パウロは議会を見つめて言った、「兄弟たちよ、わたしは今日まで、神の前に、ひたすら明らかな良心にしたがって行動してきた」。 + すると、大祭司アナニヤが、パウロのそばに立っている者たちに、彼の口を打てと命じた。 + そのとき、パウロはアナニヤにむかって言った、「白く塗られた壁よ、神があなたを打つであろう。あなたは、律法にしたがって、わたしをさばくために座についているのに、律法にそむいて、わたしを打つことを命じるのか」。 + すると、そばに立っている者たちが言った、「神の大祭司に対して無礼なことを言うのか」。 + パウロは言った、「兄弟たちよ、彼が大祭司だとは知らなかった。聖書に『民のかしらを悪く言ってはいけない』と、書いてあるのだった」。 + パウロは、議員の一部がサドカイ人であり、一部はパリサイ人であるのを見て、議会の中で声を高めて言った、「兄弟たちよ、わたしはパリサイ人であり、パリサイ人の子である。わたしは、死人の復活の望みをいだいていることで、裁判を受けているのである」。 + 彼がこう言ったところ、パリサイ人とサドカイ人との間に争論が生じ、会衆が相分れた。 + 元来、サドカイ人は、復活とか天使とか霊とかは、いっさい存在しないと言い、パリサイ人は、それらは、みな存在すると主張している。 + そこで、大騒ぎとなった。パリサイ派のある律法学者たちが立って、強く主張して言った、「われわれは、この人には何も悪いことがないと思う。あるいは、霊か天使かが、彼に告げたのかも知れない」。 + こうして、争論が激しくなったので、千卒長は、パウロが彼らに引き裂かれるのを気づかって、兵卒どもに、降りて行ってパウロを彼らの中から力づくで引き出し、兵営に連れて来るように、命じた。 + その夜、主がパウロに臨んで言われた、「しっかりせよ。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなくてはならない」。 + 夜が明けると、ユダヤ人らは申し合わせをして、パウロを殺すまでは飲食をいっさい断つと、誓い合った。 + この陰謀に加わった者は、四十人あまりであった。 + 彼らは、祭司長たちや長老たちのところに行って、こう言った。「われわれは、パウロを殺すまでは何も食べないと、堅く誓い合いました。 + ついては、あなたがたは議会と組んで、彼のことでなお詳しく取調べをするように見せかけ、パウロをあなたがたのところに連れ出すように、千卒長に頼んで下さい。われわれとしては、パウロがそこにこないうちに殺してしまう手はずをしています」。 + ところが、パウロの姉妹の子が、この待伏せのことを耳にし、兵営にはいって行って、パウロにそれを知らせた。 + そこでパウロは、百卒長のひとりを呼んで言った、「この若者を千卒長のところに連れて行ってください。何か報告することがあるようですから」。 + この百卒長は若者を連れて行き、千卒長に引きあわせて言った、「囚人のパウロが、この若者があなたに話したいことがあるので、あなたのところに連れて行ってくれるようにと、わたしを呼んで頼みました」。 + そこで千卒長は、若者の手を取り、人のいないところへ連れて行って尋ねた、「わたしに話したいことというのは、何か」。 + 若者が言った、「ユダヤ人たちが、パウロのことをもっと詳しく取調べをすると見せかけて、あす議会に彼を連れ出すように、あなたに頼むことに決めています。 + どうぞ、彼らの頼みを取り上げないで下さい。四十人あまりの者が、パウロを待伏せしているのです。彼らは、パウロを殺すまでは飲食をいっさい断つと、堅く誓い合っています。そして、いま手はずをととのえて、あなたの許可を待っているところなのです」。 + そこで千卒長は、「このことをわたしに知らせたことは、だれにも口外するな」と命じて、若者を帰した。 + それから彼は、百卒長ふたりを呼んで言った、「歩兵二百名、騎兵七十名、槍兵二百名を、カイザリヤに向け出発できるように、今夜九時までに用意せよ。 + また、パウロを乗せるために馬を用意して、彼を総督ペリクスのもとへ無事に連れて行け」。 + さらに彼は、次のような文面の手紙を書いた。 + 「クラウデオ・ルシヤ、つつしんで総督ペリクス閣下の平安を祈ります。 + 本人のパウロが、ユダヤ人らに捕えられ、まさに殺されようとしていたのを、彼のローマ市民であることを知ったので、わたしは兵卒たちを率いて行って、彼を救い出しました。 + それから、彼が訴えられた理由を知ろうと思い、彼を議会に連れて行きました。 + ところが、彼はユダヤ人の律法の問題で訴えられたものであり、なんら死刑または投獄に当る罪のないことがわかりました。 + しかし、この人に対して陰謀がめぐらされているとの報告がありましたので、わたしは取りあえず、彼を閣下のもとにお送りすることにし、訴える者たちには、閣下の前で、彼に対する申立てをするようにと、命じておきました」。 + そこで歩兵たちは、命じられたとおりパウロを引き取って、夜の間にアンテパトリスまで連れて行き、 + 翌日は、騎兵たちにパウロを護送させることにして、兵営に帰って行った。 + 騎兵たちは、カイザリヤに着くと、手紙を総督に手渡し、さらにパウロを彼に引きあわせた。 + 総督は手紙を読んでから、パウロに、どの州の者かと尋ね、キリキヤの出だと知って、 + 「訴え人たちがきた時に、おまえを調べることにする」と言った。そして、ヘロデの官邸に彼を守っておくように命じた。 + + + 五日の後、大祭司アナニヤは、長老数名と、テルトロという弁護人とを連れて下り、総督にパウロを訴え出た。 + パウロが呼び出されたので、テルトロは論告を始めた。「ペリクス閣下、わたしたちが、閣下のお陰でじゅうぶんに平和を楽しみ、またこの国が、ご配慮によって、 + あらゆる方面に、またいたるところで改善されていることは、わたしたちの感謝してやまないところであります。 + しかし、ご迷惑をかけないように、くどくどと述べずに、手短かに申し上げますから、どうぞ、忍んでお聞き取りのほど、お願いいたします。 + さて、この男は、疫病のような人間で、世界中のすべてのユダヤ人の中に騒ぎを起している者であり、また、ナザレ人らの異端のかしらであります。 + この者が宮までも汚そうとしていたので、わたしたちは彼を捕縛したのです。〔そして、律法にしたがって、さばこうとしていたところ、 + 千卒長ルシヤが干渉して、彼を無理にわたしたちの手から引き離してしまい、 + 彼を訴えた人たちには、閣下のところに来るようにと命じました。〕それで、閣下ご自身でお調べになれば、わたしたちが彼を訴え出た理由が、全部おわかりになるでしょう」。 + ユダヤ人たちも、この訴えに同調して、全くそのとおりだと言った。 + そこで、総督が合図をして発言を促したので、パウロは答弁して言った。「閣下が、多年にわたり、この国民の裁判をつかさどっておられることを、よく承知していますので、わたしは喜んで、自分のことを弁明いたします。 + お調べになればわかるはずですが、わたしが礼拝をしにエルサレムに上ってから、まだ十二日そこそこにしかなりません。 + そして、宮の内でも、会堂内でも、あるいは市内でも、わたしがだれかと争論したり、群衆を煽動したりするのを見たものはありませんし、 + 今わたしを訴え出ていることについて、閣下の前に、その証拠をあげうるものはありません。 + ただ、わたしはこの事は認めます。わたしは、彼らが異端だとしている道にしたがって、わたしたちの先祖の神に仕え、律法の教えるところ、また預言者の書に書いてあることを、ことごとく信じ、 + また、正しい者も正しくない者も、やがてよみがえるとの希望を、神を仰いでいだいているものです。この希望は、彼ら自身も持っているのです。 + わたしはまた、神に対しまた人に対して、良心に責められることのないように、常に努めています。 + さてわたしは、幾年ぶりかに帰ってきて、同胞に施しをし、また、供え物をしていました。 + そのとき、彼らはわたしが宮できよめを行っているのを見ただけであって、群衆もいず、騒動もなかったのです。 + ところが、アジヤからきた数人のユダヤ人が――彼らが、わたしに対して、何かとがめ立てをすることがあったなら、よろしく閣下の前にきて、訴えるべきでした。 + あるいは、何かわたしに不正なことがあったなら、わたしが議会の前に立っていた時、彼らみずから、それを指摘すべきでした。 + ただ、わたしは、彼らの中に立って、『わたしは、死人のよみがえりのことで、きょう、あなたがたの前でさばきを受けているのだ』と叫んだだけのことです」。 + ここでペリクスは、この道のことを相当わきまえていたので、「千卒長ルシヤが下って来るのを待って、おまえたちの事件を判決することにする」と言って、裁判を延期した。 + そして百卒長に、パウロを監禁するように、しかし彼を寛大に取り扱い、友人らが世話をするのを止めないようにと、命じた。 + 数日たってから、ペリクスは、ユダヤ人である妻ドルシラと一緒にきて、パウロを呼び出し、キリスト・イエスに対する信仰のことを、彼から聞いた。 + そこで、パウロが、正義、節制、未来の審判などについて論じていると、ペリクスは不安を感じてきて、言った、「きょうはこれで帰るがよい。また、よい機会を得たら、呼び出すことにする」。 + 彼は、それと同時に、パウロから金をもらいたい下ごころがあったので、たびたびパウロを呼び出しては語り合った。 + さて、二か年たった時、ポルキオ・フェストが、ペリクスと交代して任についた。ペリクスは、ユダヤ人の歓心を買おうと思って、パウロを監禁したままにしておいた。 + + + さて、フェストは、任地に着いてから三日の後、カイザリヤからエルサレムに上ったところ、 + 祭司長たちやユダヤ人の重立った者たちが、パウロを訴え出て、 + 彼をエルサレムに呼び出すよう取り計らっていただきたいと、しきりに願った。彼らは途中で待ち伏せして、彼を殺す考えであった。 + ところがフェストは、パウロがカイザリヤに監禁してあり、自分もすぐそこへ帰ることになっていると答え、 + そして言った、「では、もしあの男に何か不都合なことがあるなら、おまえたちのうちの有力者らが、わたしと一緒に下って行って、訴えるがよかろう」。 + フェストは、彼らのあいだに八日か十日ほど滞在した後、カイザリヤに下って行き、その翌日、裁判の席について、パウロを引き出すように命じた。 + パウロが姿をあらわすと、エルサレムから下ってきたユダヤ人たちが、彼を取りかこみ、彼に対してさまざまの重い罪状を申し立てたが、いずれもその証拠をあげることはできなかった。 + パウロは「わたしは、ユダヤ人の律法に対しても、宮に対しても、またカイザルに対しても、なんら罪を犯したことはない」と弁明した。 + ところが、フェストはユダヤ人の歓心を買おうと思って、パウロにむかって言った、「おまえはエルサレムに上り、この事件に関し、わたしからそこで裁判を受けることを承知するか」。 + パウロは言った、「わたしは今、カイザルの法廷に立っています。わたしはこの法廷で裁判されるべきです。よくご承知のとおり、わたしはユダヤ人たちに、何も悪いことをしてはいません。 + もしわたしが悪いことをし、死に当るようなことをしているのなら、死を免れようとはしません。しかし、もし彼らの訴えることに、なんの根拠もないとすれば、だれもわたしを彼らに引き渡す権利はありません。わたしはカイザルに上訴します」。 + そこでフェストは、陪席の者たちと協議したうえ答えた、「おまえはカイザルに上訴を申し出た。カイザルのところに行くがよい」。 + 数日たった後、アグリッパ王とベルニケとが、フェストに敬意を表するため、カイザリヤにきた。 + ふたりは、そこに何日間も滞在していたので、フェストは、パウロのことを王に話して言った、「ここに、ペリクスが囚人として残して行ったひとりの男がいる。 + わたしがエルサレムに行った時、この男のことを、祭司長たちやユダヤ人の長老たちが、わたしに報告し、彼を罪に定めるようにと要求した。 + そこでわたしは、彼らに答えた、『訴えられた者が、訴えた者の前に立って、告訴に対し弁明する機会を与えられない前に、その人を見放してしまうのは、ローマ人の慣例にはないことである』。 + それで、彼らがここに集まってきた時、わたしは時をうつさず、次の日に裁判の席について、その男を引き出させた。 + 訴えた者たちは立ち上がったが、わたしが推測していたような悪事は、彼について何一つ申し立てはしなかった。 + ただ、彼と争い合っているのは、彼ら自身の宗教に関し、また、死んでしまったのに生きているとパウロが主張しているイエスなる者に関する問題に過ぎない。 + これらの問題を、どう取り扱ってよいかわからなかったので、わたしは彼に、『エルサレムに行って、これらの問題について、そこでさばいてもらいたくはないか』と尋ねてみた。 + ところがパウロは、皇帝の判決を受ける時まで、このまま自分をとどめておいてほしいと言うので、カイザルに彼を送りとどける時までとどめておくようにと、命じておいた」。 + そこで、アグリッパがフェストに「わたしも、その人の言い分を聞いて見たい」と言ったので、フェストは、「では、あす彼から聞きとるようにしてあげよう」と答えた。 + 翌日、アグリッパとベルニケとは、大いに威儀をととのえて、千卒長たちや市の重立った人たちと共に、引見所にはいってきた。すると、フェストの命によって、パウロがそこに引き出された。 + そこで、フェストが言った、「アグリッパ王、ならびにご臨席の諸君。ごらんになっているこの人物は、ユダヤ人たちがこぞって、エルサレムにおいても、また、この地においても、これ以上、生かしておくべきでないと叫んで、わたしに訴え出ている者である。 + しかし、彼は死に当ることは何もしていないと、わたしは見ているのだが、彼自身が皇帝に上訴すると言い出したので、彼をそちらへ送ることに決めた。 + ところが、彼について、主君に書きおくる確かなものが何もないので、わたしは、彼を諸君の前に、特に、アグリッパ王よ、あなたの前に引き出して、取調べをしたのち、上書すべき材料を得ようと思う。 + 囚人を送るのに、その告訴の理由を示さないということは、不合理だと思えるからである」。 + + + アグリッパはパウロに、「おまえ自身のことを話してもよい」と言った。そこでパウロは、手をさし伸べて、弁明をし始めた。 + 「アグリッパ王よ、ユダヤ人たちから訴えられているすべての事に関して、きょう、あなたの前で弁明することになったのは、わたしのしあわせに思うところであります。 + あなたは、ユダヤ人のあらゆる慣例や問題を、よく知り抜いておられるかたですから、わたしの申すことを、寛大なお心で聞いていただきたいのです。 + さて、わたしは若い時代には、初めから自国民の中で、またエルサレムで過ごしたのですが、そのころのわたしの生活ぶりは、ユダヤ人がみんなよく知っているところです。 + 彼らはわたしを初めから知っているので、証言しようと思えばできるのですが、わたしは、わたしたちの宗教の最も厳格な派にしたがって、パリサイ人としての生活をしていたのです。 + 今わたしは、神がわたしたちの先祖に約束なさった希望をいだいているために、裁判を受けているのであります。 + わたしたちの十二の部族は、夜昼、熱心に神に仕えて、その約束を得ようと望んでいるのです。王よ、この希望のために、わたしはユダヤ人から訴えられています。 + 神が死人をよみがえらせるということが、あなたがたには、どうして信じられないことと思えるのでしょうか。 + わたし自身も、以前には、ナザレ人イエスの名に逆らって反対の行動をすべきだと、思っていました。 + そしてわたしは、それをエルサレムで敢行し、祭司長たちから権限を与えられて、多くの聖徒たちを獄に閉じ込め、彼らが殺される時には、それに賛成の意を表しました。 + それから、いたるところの会堂で、しばしば彼らを罰して、無理やりに神をけがす言葉を言わせようとし、彼らに対してひどく荒れ狂い、ついに外国の町々にまで、迫害の手をのばすに至りました。 + こうして、わたしは、祭司長たちから権限と委任とを受けて、ダマスコに行ったのですが、 + 王よ、その途中、真昼に、光が天からさして来るのを見ました。それは、太陽よりも、もっと光り輝いて、わたしと同行者たちとをめぐり照しました。 + わたしたちはみな地に倒れましたが、その時ヘブル語でわたしにこう呼びかける声を聞きました、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか。とげのあるむちをければ、傷を負うだけである』。 + そこで、わたしが『主よ、あなたはどなたですか』と尋ねると、主は言われた、『わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 + さあ、起きあがって、自分の足で立ちなさい。わたしがあなたに現れたのは、あなたがわたしに会った事と、あなたに現れて示そうとしている事とをあかしし、これを伝える務に、あなたを任じるためである。 + わたしは、この国民と異邦人との中から、あなたを救い出し、あらためてあなたを彼らにつかわすが、 + それは、彼らの目を開き、彼らをやみから光へ、悪魔の支配から神のみもとへ帰らせ、また、彼らが罪のゆるしを得、わたしを信じる信仰によって、聖別された人々に加わるためである』。 + それですから、アグリッパ王よ、わたしは天よりの啓示にそむかず、 + まず初めにダマスコにいる人々に、それからエルサレムにいる人々、さらにユダヤ全土、ならびに異邦人たちに、悔い改めて神に立ち帰り、悔改めにふさわしいわざを行うようにと、説き勧めました。 + そのために、ユダヤ人は、わたしを宮で引き捕えて殺そうとしたのです。 + しかし、わたしは今日に至るまで神の加護を受け、このように立って、小さい者にも大きい者にもあかしをなし、預言者たちやモーセが、今後起るべきだと語ったことを、そのまま述べてきました。 + すなわち、キリストが苦難を受けること、また、死人の中から最初によみがえって、この国民と異邦人とに、光を宣べ伝えるに至ることを、あかししたのです」。 + パウロがこのように弁明をしていると、フェストは大声で言った、「パウロよ、おまえは気が狂っている。博学が、おまえを狂わせている」。 + パウロが言った、「フェスト閣下よ、わたしは気が狂ってはいません。わたしは、まじめな真実の言葉を語っているだけです。 + 王はこれらのことをよく知っておられるので、王に対しても、率直に申し上げているのです。それは、片すみで行われたのではないのですから、一つとして、王が見のがされたことはないと信じます。 + アグリッパ王よ、あなたは預言者を信じますか。信じておられると思います」。 + アグリッパがパウロに言った、「おまえは少し説いただけで、わたしをクリスチャンにしようとしている」。 + パウロが言った、「説くことが少しであろうと、多くであろうと、わたしが神に祈るのは、ただあなただけでなく、きょう、わたしの言葉を聞いた人もみな、わたしのようになって下さることです。このような鎖は別ですが」。 + それから、王も総督もベルニケも、また列席の人々も、みな立ちあがった。 + 退場してから、互に語り合って言った、「あの人は、死や投獄に当るようなことをしてはいない」。 + そして、アグリッパがフェストに言った、「あの人は、カイザルに上訴していなかったら、ゆるされたであろうに」。 + + + さて、わたしたちが、舟でイタリヤに行くことが決まった時、パウロとそのほか数人の囚人とは、近衛隊の百卒長ユリアスに託された。 + そしてわたしたちは、アジヤ沿岸の各所に寄港することになっているアドラミテオの舟に乗り込んで、出帆した。テサロニケのマケドニヤ人アリスタルコも同行した。 + 次の日、シドンに入港したが、ユリアスは、パウロを親切に取り扱い、友人をおとずれてかんたいを受けることを、許した。 + それからわたしたちは、ここから船出したが、逆風にあったので、クプロの島かげを航行し、 + キリキヤとパンフリヤの沖を過ぎて、ルキヤのミラに入港した。 + そこに、イタリヤ行きのアレキサンドリヤの舟があったので、百卒長は、わたしたちをその舟に乗り込ませた。 + 幾日ものあいだ、舟の進みがおそくて、わたしたちは、かろうじてクニドの沖合にきたが、風がわたしたちの行く手をはばむので、サルモネの沖、クレテの島かげを航行し、 + その岸に沿って進み、かろうじて「良き港」と呼ばれる所に着いた。その近くにラサヤの町があった。 + 長い時が経過し、断食期も過ぎてしまい、すでに航海が危険な季節になったので、パウロは人々に警告して言った、 + 「皆さん、わたしの見るところでは、この航海では、積荷や船体ばかりでなく、われわれの生命にも、危害と大きな損失が及ぶであろう」。 + しかし百卒長は、パウロの意見よりも、船長や船主の方を信頼した。 + なお、この港は冬を過ごすのに適しないので、大多数の者は、ここから出て、できればなんとかして、南西と北西とに面しているクレテのピニクス港に行って、そこで冬を過ごしたいと主張した。 + 時に、南風が静かに吹いてきたので、彼らは、この時とばかりにいかりを上げて、クレテの岸に沿って航行した。 + すると間もなく、ユーラクロンと呼ばれる暴風が、島から吹きおろしてきた。 + そのために、舟が流されて風に逆らうことができないので、わたしたちは吹き流されるままに任せた。 + それから、クラウダという小島の陰に、はいり込んだので、わたしたちは、やっとのことで小舟を処置することができ、 + それを舟に引き上げてから、綱で船体を巻きつけた。また、スルテスの洲に乗り上げるのを恐れ、帆をおろして流れるままにした。 + わたしたちは、暴風にひどく悩まされつづけたので、次の日に、人々は積荷を捨てはじめ、 + 三日目には、船具までも、てずから投げすてた。 + 幾日ものあいだ、太陽も星も見えず、暴風は激しく吹きすさぶので、わたしたちの助かる最後の望みもなくなった。 + みんなの者は、長いあいだ食事もしないでいたが、その時、パウロが彼らの中に立って言った、「皆さん、あなたがたが、わたしの忠告を聞きいれて、クレテから出なかったら、このような危害や損失を被らなくてすんだはずであった。 + だが、この際、お勧めする。元気を出しなさい。舟が失われるだけで、あなたがたの中で生命を失うものは、ひとりもいないであろう。 + 昨夜、わたしが仕え、また拝んでいる神からの御使が、わたしのそばに立って言った、 + 『パウロよ、恐れるな。あなたは必ずカイザルの前に立たなければならない。たしかに神は、あなたと同船の者を、ことごとくあなたに賜わっている』。 + だから、皆さん、元気を出しなさい。万事はわたしに告げられたとおりに成って行くと、わたしは、神かけて信じている。 + われわれは、どこかの島に打ちあげられるに相違ない」。 + わたしたちがアドリヤ海に漂ってから十四日目の夜になった時、真夜中ごろ、水夫らはどこかの陸地に近づいたように感じた。 + そこで、水の深さを測ってみたところ、二十ひろであることがわかった。それから少し進んで、もう一度測ってみたら、十五ひろであった。 + わたしたちが、万一暗礁に乗り上げては大変だと、人々は気づかって、ともから四つのいかりを投げおろし、夜の明けるのを待ちわびていた。 + その時、水夫らが舟から逃げ出そうと思って、へさきからいかりを投げおろすと見せかけ、小舟を海におろしていたので、 + パウロは、百卒長や兵卒たちに言った、「あの人たちが、舟に残っていなければ、あなたがたは助からない」。 + そこで兵卒たちは、小舟の綱を断ち切って、その流れて行くままに任せた。 + 夜が明けかけたころ、パウロは一同の者に、食事をするように勧めて言った、「あなたがたが食事もせずに、見張りを続けてから、何も食べないで、きょうが十四日目に当る。 + だから、いま食事を取ることをお勧めする。それが、あなたがたを救うことになるのだから。たしかに髪の毛ひとすじでも、あなたがたの頭から失われることはないであろう」。 + 彼はこう言って、パンを取り、みんなの前で神に感謝し、それをさいて食べはじめた。 + そこで、みんなの者も元気づいて食事をした。 + 舟にいたわたしたちは、合わせて二百七十六人であった。 + みんなの者は、じゅうぶんに食事をした後、穀物を海に投げすてて舟を軽くした。 + 夜が明けて、どこの土地かよくわからなかったが、砂浜のある入江が見えたので、できれば、それに舟を乗り入れようということになった。 + そこで、いかりを切り離して海に捨て、同時にかじの綱をゆるめ、風に前の帆をあげて、砂浜にむかって進んだ。 + ところが、潮流の流れ合う所に突き進んだため、舟を浅瀬に乗りあげてしまって、へさきがめり込んで動かなくなり、ともの方は激浪のためにこわされた。 + 兵卒たちは、囚人らが泳いで逃げるおそれがあるので、殺してしまおうと図ったが、 + 百卒長は、パウロを救いたいと思うところから、その意図をしりぞけ、泳げる者はまず海に飛び込んで陸に行き、 + その他の者は、板や舟の破片に乗って行くように命じた。こうして、全部の者が上陸して救われたのであった。 + + + わたしたちが、こうして救われてからわかったが、これはマルタと呼ばれる島であった。 + 土地の人々は、わたしたちに並々ならぬ親切をあらわしてくれた。すなわち、降りしきる雨や寒さをしのぐために、火をたいてわたしたち一同をねぎらってくれたのである。 + そのとき、パウロはひとかかえの柴をたばねて火にくべたところ、熱気のためにまむしが出てきて、彼の手にかみついた。 + 土地の人々は、この生きものがパウロの手からぶら下がっているのを見て、互に言った、「この人は、きっと人殺しに違いない。海からはのがれたが、ディケーの神様が彼を生かしてはおかないのだ」。 + ところがパウロは、まむしを火の中に振り落して、なんの害も被らなかった。 + 彼らは、彼が間もなくはれ上がるか、あるいは、たちまち倒れて死ぬだろうと、様子をうかがっていた。しかし、長い間うかがっていても、彼の身になんの変ったことも起らないのを見て、彼らは考えを変えて、「この人は神様だ」と言い出した。 + さて、その場所の近くに、島の首長、ポプリオという人の所有地があった。彼は、そこにわたしたちを招待して、三日のあいだ親切にもてなしてくれた。 + たまたま、ポプリオの父が赤痢をわずらい、高熱で床についていた。そこでパウロは、その人のところにはいって行って祈り、手を彼の上においていやしてやった。 + このことがあってから、ほかに病気をしている島の人たちが、ぞくぞくとやってきて、みないやされた。 + 彼らはわたしたちを非常に尊敬し、出帆の時には、必要な品々を持ってきてくれた。 + 三か月たった後、わたしたちは、この島に冬ごもりをしていたデオスクリの船飾りのあるアレキサンドリヤの舟で、出帆した。 + そして、シラクサに寄港して三日のあいだ停泊し、 + そこから進んでレギオンに行った。それから一日おいて、南風が吹いてきたのに乗じ、ふつか目にポテオリに着いた。 + そこで兄弟たちに会い、勧められるまま、彼らのところに七日間も滞在した。それからわたしたちは、ついにローマに到着した。 + ところが、兄弟たちは、わたしたちのことを聞いて、アピオ・ポロおよびトレス・タベルネまで出迎えてくれた。パウロは彼らに会って、神に感謝し勇み立った。 + わたしたちがローマに着いた後、パウロは、ひとりの番兵をつけられ、ひとりで住むことを許された。 + 三日たってから、パウロは、重立ったユダヤ人たちを招いた。みんなの者が集まったとき、彼らに言った、「兄弟たちよ、わたしは、わが国民に対しても、あるいは先祖伝来の慣例に対しても、何一つそむく行為がなかったのに、エルサレムで囚人としてローマ人たちの手に引き渡された。 + 彼らはわたしを取り調べた結果、なんら死に当る罪状もないので、わたしを釈放しようと思ったのであるが、 + ユダヤ人たちがこれに反対したため、わたしはやむを得ず、カイザルに上訴するに至ったのである。しかしわたしは、わが同胞を訴えようなどとしているのではない。 + こういうわけで、あなたがたに会って語り合いたいと願っていた。事実、わたしは、イスラエルのいだいている希望のゆえに、この鎖につながれているのである」。 + そこで彼らは、パウロに言った、「わたしたちは、ユダヤ人たちから、あなたについて、なんの文書も受け取っていないし、また、兄弟たちの中からここにきて、あなたについて不利な報告をしたり、悪口を言ったりした者もなかった。 + わたしたちは、あなたの考えていることを、直接あなたから聞くのが、正しいことだと思っている。実は、この宗派については、いたるところで反対のあることが、わたしたちの耳にもはいっている」。 + そこで、日を定めて、大ぜいの人が、パウロの宿につめかけてきたので、朝から晩まで、パウロは語り続け、神の国のことをあかしし、またモーセの律法や預言者の書を引いて、イエスについて彼らの説得につとめた。 + ある者はパウロの言うことを受けいれ、ある者は信じようともしなかった。 + 互に意見が合わなくて、みんなの者が帰ろうとしていた時、パウロはひとこと述べて言った、「聖霊はよくも預言者イザヤによって、あなたがたの先祖に語ったものである。 + 『この民に行って言え、あなたがたは聞くには聞くが、決して悟らない。見るには見るが、決して認めない。 + この民の心は鈍くなり、その耳は聞えにくく、その目は閉じている。それは、彼らが目で見ず、耳で聞かず、心で悟らず、悔い改めていやされることがないためである』。 + そこで、あなたがたは知っておくがよい。神のこの救の言葉は、異邦人に送られたのだ。彼らは、これに聞きしたがうであろう」。〔 + パウロがこれらのことを述べ終ると、ユダヤ人らは、互に論じ合いながら帰って行った。〕 + パウロは、自分の借りた家に満二年のあいだ住んで、たずねて来る人々をみな迎え入れ、 + はばからず、また妨げられることもなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えつづけた。 + +
+
+ + キリスト・イエスの僕、神の福音のために選び別たれ、召されて使徒となったパウロから―― + この福音は、神が、預言者たちにより、聖書の中で、あらかじめ約束されたものであって、 + 御子に関するものである。御子は、肉によればダビデの子孫から生れ、 + 聖なる霊によれば、死人からの復活により、御力をもって神の御子と定められた。これがわたしたちの主イエス・キリストである。 + わたしたちは、その御名のために、すべての異邦人を信仰の従順に至らせるようにと、彼によって恵みと使徒の務とを受けたのであり、 + あなたがたもまた、彼らの中にあって、召されてイエス・キリストに属する者となったのである―― + ローマにいる、神に愛され、召された聖徒一同へ。わたしたちの父なる神および主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + まず第一に、わたしは、あなたがたの信仰が全世界に言い伝えられていることを、イエス・キリストによって、あなたがた一同のために、わたしの神に感謝する。 + + わたしは、祈のたびごとに、絶えずあなたがたを覚え、いつかは御旨にかなって道が開かれ、どうにかして、あなたがたの所に行けるようにと願っている。このことについて、わたしのためにあかしをして下さるのは、わたしが霊により、御子の福音を宣べ伝えて仕えている神である。 + わたしは、あなたがたに会うことを熱望している。あなたがたに霊の賜物を幾分でも分け与えて、力づけたいからである。 + それは、あなたがたの中にいて、あなたがたとわたしとのお互の信仰によって、共に励まし合うためにほかならない。 + 兄弟たちよ。このことを知らずにいてもらいたくない。わたしはほかの異邦人の間で得たように、あなたがたの間でも幾分かの実を得るために、あなたがたの所に行こうとしばしば企てたが、今まで妨げられてきた。 + わたしには、ギリシヤ人にも未開の人にも、賢い者にも無知な者にも、果すべき責任がある。 + そこで、わたしとしての切なる願いは、ローマにいるあなたがたにも、福音を宣べ伝えることなのである。 + わたしは福音を恥としない。それは、ユダヤ人をはじめ、ギリシヤ人にも、すべて信じる者に、救を得させる神の力である。 + 神の義は、その福音の中に啓示され、信仰に始まり信仰に至らせる。これは、「信仰による義人は生きる」と書いてあるとおりである。 + 神の怒りは、不義をもって真理をはばもうとする人間のあらゆる不信心と不義とに対して、天から啓示される。 + なぜなら、神について知りうる事がらは、彼らには明らかであり、神がそれを彼らに明らかにされたのである。 + 神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性とは、天地創造このかた、被造物において知られていて、明らかに認められるからである。したがって、彼らには弁解の余地がない。 + なぜなら、彼らは神を知っていながら、神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなったからである。 + 彼らは自ら知者と称しながら、愚かになり、 + 不朽の神の栄光を変えて、朽ちる人間や鳥や獣や這うものの像に似せたのである。 + ゆえに、神は、彼らが心の欲情にかられ、自分のからだを互にはずかしめて、汚すままに任せられた。 + 彼らは神の真理を変えて虚偽とし、創造者の代りに被造物を拝み、これに仕えたのである。創造者こそ永遠にほむべきものである、アァメン。 + それゆえ、神は彼らを恥ずべき情欲に任せられた。すなわち、彼らの中の女は、その自然の関係を不自然なものに代え、 + 男もまた同じように女との自然の関係を捨てて、互にその情欲の炎を燃やし、男は男に対して恥ずべきことをなし、そしてその乱行の当然の報いを、身に受けたのである。 + そして、彼らは神を認めることを正しいとしなかったので、神は彼らを正しからぬ思いにわたし、なすべからざる事をなすに任せられた。 + すなわち、彼らは、あらゆる不義と悪と貪欲と悪意とにあふれ、ねたみと殺意と争いと詐欺と悪念とに満ち、また、ざん言する者、 + そしる者、神を憎む者、不遜な者、高慢な者、大言壮語する者、悪事をたくらむ者、親に逆らう者となり、 + 無知、不誠実、無情、無慈悲な者となっている。 + 彼らは、こうした事を行う者どもが死に価するという神の定めをよく知りながら、自らそれを行うばかりではなく、それを行う者どもを是認さえしている。 + + + だから、ああ、すべて人をさばく者よ。あなたには弁解の余地がない。あなたは、他人をさばくことによって、自分自身を罪に定めている。さばくあなたも、同じことを行っているからである。 + わたしたちは、神のさばきが、このような事を行う者どもの上に正しく下ることを、知っている。 + ああ、このような事を行う者どもをさばきながら、しかも自ら同じことを行う人よ。あなたは、神のさばきをのがれうると思うのか。 + それとも、神の慈愛があなたを悔改めに導くことも知らないで、その慈愛と忍耐と寛容との富を軽んじるのか。 + あなたのかたくなな、悔改めのない心のゆえに、あなたは、神の正しいさばきの現れる怒りの日のために神の怒りを、自分の身に積んでいるのである。 + 神は、おのおのに、そのわざにしたがって報いられる。 + すなわち、一方では、耐え忍んで善を行って、光栄とほまれと朽ちぬものとを求める人に、永遠のいのちが与えられ、 + 他方では、党派心をいだき、真理に従わないで不義に従う人に、怒りと激しい憤りとが加えられる。 + 悪を行うすべての人には、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、患難と苦悩とが与えられ、 + 善を行うすべての人には、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、光栄とほまれと平安とが与えられる。 + なぜなら、神には、かたより見ることがないからである。 + そのわけは、律法なしに罪を犯した者は、また律法なしに滅び、律法のもとで罪を犯した者は、律法によってさばかれる。 + なぜなら、律法を聞く者が、神の前に義なるものではなく、律法を行う者が、義とされるからである。 + すなわち、律法を持たない異邦人が、自然のままで、律法の命じる事を行うなら、たとい律法を持たなくても、彼らにとっては自分自身が律法なのである。 + 彼らは律法の要求がその心にしるされていることを現し、そのことを彼らの良心も共にあかしをして、その判断が互にあるいは訴え、あるいは弁明し合うのである。 + そして、これらのことは、わたしの福音によれば、神がキリスト・イエスによって人々の隠れた事がらをさばかれるその日に、明らかにされるであろう。 + もしあなたが、自らユダヤ人と称し、律法に安んじ、神を誇とし、 + 御旨を知り、律法に教えられて、なすべきことをわきまえており、 + + さらに、知識と真理とが律法の中に形をとっているとして、自ら盲人の手引き、やみにおる者の光、愚かな者の導き手、幼な子の教師をもって任じているのなら、 + なぜ、人を教えて自分を教えないのか。盗むなと人に説いて、自らは盗むのか。 + 姦淫するなと言って、自らは姦淫するのか。偶像を忌みきらいながら、自らは宮の物をかすめるのか。 + 律法を誇としながら、自らは律法に違反して、神を侮っているのか。 + 聖書に書いてあるとおり、「神の御名は、あなたがたのゆえに、異邦人の間で汚されている」。 + もし、あなたが律法を行うなら、なるほど、割礼は役に立とう。しかし、もし律法を犯すなら、あなたの割礼は無割礼となってしまう。 + だから、もし無割礼の者が律法の規定を守るなら、その無割礼は割礼と見なされるではないか。 + かつ、生れながら無割礼の者であって律法を全うする者は、律法の文字と割礼とを持ちながら律法を犯しているあなたを、さばくのである。 + というのは、外見上のユダヤ人がユダヤ人ではなく、また、外見上の肉における割礼が割礼でもない。 + かえって、隠れたユダヤ人がユダヤ人であり、また、文字によらず霊による心の割礼こそ割礼であって、そのほまれは人からではなく、神から来るのである。 + + + では、ユダヤ人のすぐれている点は何か。また割礼の益は何か。 + それは、いろいろの点で数多くある。まず第一に、神の言が彼らにゆだねられたことである。 + すると、どうなるのか。もし、彼らのうちに不真実の者があったとしたら、その不真実によって、神の真実は無になるであろうか。 + 断じてそうではない。あらゆる人を偽り者としても、神を真実なものとすべきである。それは、「あなたが言葉を述べるときは、義とせられ、あなたがさばきを受けるとき、勝利を得るため」と書いてあるとおりである。 + しかし、もしわたしたちの不義が、神の義を明らかにするとしたら、なんと言うべきか。怒りを下す神は、不義であると言うのか(これは人間的な言い方ではある)。 + 断じてそうではない。もしそうであったら、神はこの世を、どうさばかれるだろうか。 + しかし、もし神の真実が、わたしの偽りによりいっそう明らかにされて、神の栄光となるなら、どうして、わたしはなおも罪人としてさばかれるのだろうか。 + むしろ、「善をきたらせるために、わたしたちは悪をしようではないか」(わたしたちがそう言っていると、ある人々はそしっている)。彼らが罰せられるのは当然である。 + すると、どうなるのか。わたしたちには何かまさったところがあるのか。絶対にない。ユダヤ人もギリシヤ人も、ことごとく罪の下にあることを、わたしたちはすでに指摘した。 + 次のように書いてある、「義人はいない、ひとりもいない。 + 悟りのある人はいない、神を求める人はいない。 + すべての人は迷い出て、ことごとく無益なものになっている。善を行う者はいない、ひとりもいない。 + 彼らののどは、開いた墓であり、彼らは、その舌で人を欺き、彼らのくちびるには、まむしの毒があり、 + 彼らの口は、のろいと苦い言葉とで満ちている。 + 彼らの足は、血を流すのに速く、 + 彼らの道には、破壊と悲惨とがある。 + そして、彼らは平和の道を知らない。 + 彼らの目の前には、神に対する恐れがない」。 + さて、わたしたちが知っているように、すべて律法の言うところは、律法のもとにある者たちに対して語られている。それは、すべての口がふさがれ、全世界が神のさばきに服するためである。 + なぜなら、律法を行うことによっては、すべての人間は神の前に義とせられないからである。律法によっては、罪の自覚が生じるのみである。 + しかし今や、神の義が、律法とは別に、しかも律法と預言者とによってあかしされて、現された。 + それは、イエス・キリストを信じる信仰による神の義であって、すべて信じる人に与えられるものである。そこにはなんらの差別もない。 + すなわち、すべての人は罪を犯したため、神の栄光を受けられなくなっており、 + 彼らは、価なしに、神の恵みにより、キリスト・イエスによるあがないによって義とされるのである。 + 神はこのキリストを立てて、その血による、信仰をもって受くべきあがないの供え物とされた。それは神の義を示すためであった。すなわち、今までに犯された罪を、神は忍耐をもって見のがしておられたが、 + それは、今の時に、神の義を示すためであった。こうして、神みずからが義となり、さらに、イエスを信じる者を義とされるのである。 + すると、どこにわたしたちの誇があるのか。全くない。なんの法則によってか。行いの法則によってか。そうではなく、信仰の法則によってである。 + わたしたちは、こう思う。人が義とされるのは、律法の行いによるのではなく、信仰によるのである。 + それとも、神はユダヤ人だけの神であろうか。また、異邦人の神であるのではないか。確かに、異邦人の神でもある。 + まことに、神は唯一であって、割礼のある者を信仰によって義とし、また、無割礼の者をも信仰のゆえに義とされるのである。 + すると、信仰のゆえに、わたしたちは律法を無効にするのであるか。断じてそうではない。かえって、それによって律法を確立するのである。 + + + それでは、肉によるわたしたちの先祖アブラハムの場合については、なんと言ったらよいか。 + もしアブラハムが、その行いによって義とされたのであれば、彼は誇ることができよう。しかし、神のみまえでは、できない。 + なぜなら、聖書はなんと言っているか、「アブラハムは神を信じた。それによって、彼は義と認められた」とある。 + いったい、働く人に対する報酬は、恩恵としてではなく、当然の支払いとして認められる。 + しかし、働きはなくても、不信心な者を義とするかたを信じる人は、その信仰が義と認められるのである。 + ダビデもまた、行いがなくても神に義と認められた人の幸福について、次のように言っている、 + 「不法をゆるされ、罪をおおわれた人たちは、さいわいである。 + 罪を主に認められない人は、さいわいである」。 + さて、この幸福は、割礼の者だけが受けるのか。それとも、無割礼の者にも及ぶのか。わたしたちは言う、「アブラハムには、その信仰が義と認められた」のである。 + それでは、どういう場合にそう認められたのか。割礼を受けてからか、それとも受ける前か。割礼を受けてからではなく、無割礼の時であった。 + そして、アブラハムは割礼というしるしを受けたが、それは、無割礼のままで信仰によって受けた義の証印であって、彼が、無割礼のままで信じて義とされるに至るすべての人の父となり、 + かつ、割礼の者の父となるためなのである。割礼の者というのは、割礼を受けた者ばかりではなく、われらの父アブラハムが無割礼の時に持っていた信仰の足跡を踏む人々をもさすのである。 + なぜなら、世界を相続させるとの約束が、アブラハムとその子孫とに対してなされたのは、律法によるのではなく、信仰の義によるからである。 + もし、律法に立つ人々が相続人であるとすれば、信仰はむなしくなり、約束もまた無効になってしまう。 + いったい、律法は怒りを招くものであって、律法のないところには違反なるものはない。 + このようなわけで、すべては信仰によるのである。それは恵みによるのであって、すべての子孫に、すなわち、律法に立つ者だけにではなく、アブラハムの信仰に従う者にも、この約束が保証されるのである。アブラハムは、神の前で、わたしたちすべての者の父であって、 + 「わたしは、あなたを立てて多くの国民の父とした」と書いてあるとおりである。彼はこの神、すなわち、死人を生かし、無から有を呼び出される神を信じたのである。 + 彼は望み得ないのに、なおも望みつつ信じた。そのために、「あなたの子孫はこうなるであろう」と言われているとおり、多くの国民の父となったのである。 + すなわち、およそ百歳となって、彼自身のからだが死んだ状態であり、また、サラの胎が不妊であるのを認めながらも、なお彼の信仰は弱らなかった。 + 彼は、神の約束を不信仰のゆえに疑うようなことはせず、かえって信仰によって強められ、栄光を神に帰し、 + 神はその約束されたことを、また成就することができると確信した。 + だから、彼は義と認められたのである。 + しかし「義と認められた」と書いてあるのは、アブラハムのためだけではなく、 + わたしたちのためでもあって、わたしたちの主イエスを死人の中からよみがえらせたかたを信じるわたしたちも、義と認められるのである。 + 主は、わたしたちの罪過のために死に渡され、わたしたちが義とされるために、よみがえらされたのである。 + + + このように、わたしたちは、信仰によって義とされたのだから、わたしたちの主イエス・キリストにより、神に対して平和を得ている。 + わたしたちは、さらに彼により、いま立っているこの恵みに信仰によって導き入れられ、そして、神の栄光にあずかる希望をもって喜んでいる。 + それだけではなく、患難をも喜んでいる。なぜなら、患難は忍耐を生み出し、 + 忍耐は錬達を生み出し、錬達は希望を生み出すことを、知っているからである。 + そして、希望は失望に終ることはない。なぜなら、わたしたちに賜わっている聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからである。 + わたしたちがまだ弱かったころ、キリストは、時いたって、不信心な者たちのために死んで下さったのである。 + 正しい人のために死ぬ者は、ほとんどいないであろう。善人のためには、進んで死ぬ者もあるいはいるであろう。 + しかし、まだ罪人であった時、わたしたちのためにキリストが死んで下さったことによって、神はわたしたちに対する愛を示されたのである。 + わたしたちは、キリストの血によって今は義とされているのだから、なおさら、彼によって神の怒りから救われるであろう。 + もし、わたしたちが敵であった時でさえ、御子の死によって神との和解を受けたとすれば、和解を受けている今は、なおさら、彼のいのちによって救われるであろう。 + そればかりではなく、わたしたちは、今や和解を得させて下さったわたしたちの主イエス・キリストによって、神を喜ぶのである。 + このようなわけで、ひとりの人によって、罪がこの世にはいり、また罪によって死がはいってきたように、こうして、すべての人が罪を犯したので、死が全人類にはいり込んだのである。 + というのは、律法以前にも罪は世にあったが、律法がなければ、罪は罪として認められないのである。 + しかし、アダムからモーセまでの間においても、アダムの違反と同じような罪を犯さなかった者も、死の支配を免れなかった。このアダムは、きたるべき者の型である。 + しかし、恵みの賜物は罪過の場合とは異なっている。すなわち、もしひとりの罪過のために多くの人が死んだとすれば、まして、神の恵みと、ひとりの人イエス・キリストの恵みによる賜物とは、さらに豊かに多くの人々に満ちあふれたはずではないか。 + かつ、この賜物は、ひとりの犯した罪の結果とは異なっている。なぜなら、さばきの場合は、ひとりの罪過から、罪に定めることになったが、恵みの場合には、多くの人の罪過から、義とする結果になるからである。 + もし、ひとりの罪過によって、そのひとりをとおして死が支配するに至ったとすれば、まして、あふれるばかりの恵みと義の賜物とを受けている者たちは、ひとりのイエス・キリストをとおし、いのちにあって、さらに力強く支配するはずではないか。 + このようなわけで、ひとりの罪過によってすべての人が罪に定められたように、ひとりの義なる行為によって、いのちを得させる義がすべての人に及ぶのである。 + すなわち、ひとりの人の不従順によって、多くの人が罪人とされたと同じように、ひとりの従順によって、多くの人が義人とされるのである。 + 律法がはいり込んできたのは、罪過の増し加わるためである。しかし、罪の増し加わったところには、恵みもますます満ちあふれた。 + それは、罪が死によって支配するに至ったように、恵みもまた義によって支配し、わたしたちの主イエス・キリストにより、永遠のいのちを得させるためである。 + + + では、わたしたちは、なんと言おうか。恵みが増し加わるために、罪にとどまるべきであろうか。 + 断じてそうではない。罪に対して死んだわたしたちが、どうして、なお、その中に生きておれるだろうか。 + それとも、あなたがたは知らないのか。キリスト・イエスにあずかるバプテスマを受けたわたしたちは、彼の死にあずかるバプテスマを受けたのである。 + すなわち、わたしたちは、その死にあずかるバプテスマによって、彼と共に葬られたのである。それは、キリストが父の栄光によって、死人の中からよみがえらされたように、わたしたちもまた、新しいいのちに生きるためである。 + もしわたしたちが、彼に結びついてその死の様にひとしくなるなら、さらに、彼の復活の様にもひとしくなるであろう。 + わたしたちは、この事を知っている。わたしたちの内の古き人はキリストと共に十字架につけられた。それは、この罪のからだが滅び、わたしたちがもはや、罪の奴隷となることがないためである。 + それは、すでに死んだ者は、罪から解放されているからである。 + もしわたしたちが、キリストと共に死んだなら、また彼と共に生きることを信じる。 + キリストは死人の中からよみがえらされて、もはや死ぬことがなく、死はもはや彼を支配しないことを、知っているからである。 + なぜなら、キリストが死んだのは、ただ一度罪に対して死んだのであり、キリストが生きるのは、神に生きるのだからである。 + このように、あなたがた自身も、罪に対して死んだ者であり、キリスト・イエスにあって神に生きている者であることを、認むべきである。 + だから、あなたがたの死ぬべきからだを罪の支配にゆだねて、その情欲に従わせることをせず、 + また、あなたがたの肢体を不義の武器として罪にささげてはならない。むしろ、死人の中から生かされた者として、自分自身を神にささげ、自分の肢体を義の武器として神にささげるがよい。 + なぜなら、あなたがたは律法の下にあるのではなく、恵みの下にあるので、罪に支配されることはないからである。 + それでは、どうなのか。律法の下にではなく、恵みの下にあるからといって、わたしたちは罪を犯すべきであろうか。断じてそうではない。 + あなたがたは知らないのか。あなたがた自身が、だれかの僕になって服従するなら、あなたがたは自分の服従するその者の僕であって、死に至る罪の僕ともなり、あるいは、義にいたる従順の僕ともなるのである。 + しかし、神は感謝すべきかな。あなたがたは罪の僕であったが、伝えられた教の基準に心から服従して、 + 罪から解放され、義の僕となった。 + わたしは人間的な言い方をするが、それは、あなたがたの肉の弱さのゆえである。あなたがたは、かつて自分の肢体を汚れと不法との僕としてささげて不法に陥ったように、今や自分の肢体を義の僕としてささげて、きよくならねばならない。 + あなたがたが罪の僕であった時は、義とは縁のない者であった。 + その時あなたがたは、どんな実を結んだのか。それは、今では恥とするようなものであった。それらのものの終極は、死である。 + しかし今や、あなたがたは罪から解放されて神に仕え、きよきに至る実を結んでいる。その終極は永遠のいのちである。 + 罪の支払う報酬は死である。しかし神の賜物は、わたしたちの主キリスト・イエスにおける永遠のいのちである。 + + + それとも、兄弟たちよ。あなたがたは知らないのか。わたしは律法を知っている人々に語るのであるが、律法は人をその生きている期間だけ支配するものである。 + すなわち、夫のある女は、夫が生きている間は、律法によって彼につながれている。しかし、夫が死ねば、夫の律法から解放される。 + であるから、夫の生存中に他の男に行けば、その女は淫婦と呼ばれるが、もし夫が死ねば、その律法から解かれるので、他の男に行っても、淫婦とはならない。 + わたしの兄弟たちよ。このように、あなたがたも、キリストのからだをとおして、律法に対して死んだのである。それは、あなたがたが他の人、すなわち、死人の中からよみがえられたかたのものとなり、こうして、わたしたちが神のために実を結ぶに至るためなのである。 + というのは、わたしたちが肉にあった時には、律法による罪の欲情が、死のために実を結ばせようとして、わたしたちの肢体のうちに働いていた。 + しかし今は、わたしたちをつないでいたものに対して死んだので、わたしたちは律法から解放され、その結果、古い文字によってではなく、新しい霊によって仕えているのである。 + それでは、わたしたちは、なんと言おうか。律法は罪なのか。断じてそうではない。しかし、律法によらなければ、わたしは罪を知らなかったであろう。すなわち、もし律法が「むさぼるな」と言わなかったら、わたしはむさぼりなるものを知らなかったであろう。 + しかるに、罪は戒めによって機会を捕え、わたしの内に働いて、あらゆるむさぼりを起させた。すなわち、律法がなかったら、罪は死んでいるのである。 + わたしはかつては、律法なしに生きていたが、戒めが来るに及んで、罪は生き返り、 + わたしは死んだ。そして、いのちに導くべき戒めそのものが、かえってわたしを死に導いて行くことがわかった。 + なぜなら、罪は戒めによって機会を捕え、わたしを欺き、戒めによってわたしを殺したからである。 + このようなわけで、律法そのものは聖なるものであり、戒めも聖であって、正しく、かつ善なるものである。 + では、善なるものが、わたしにとって死となったのか。断じてそうではない。それはむしろ、罪の罪たることが現れるための、罪のしわざである。すなわち、罪は、戒めによって、はなはだしく悪性なものとなるために、善なるものによってわたしを死に至らせたのである。 + わたしたちは、律法は霊的なものであると知っている。しかし、わたしは肉につける者であって、罪の下に売られているのである。 + わたしは自分のしていることが、わからない。なぜなら、わたしは自分の欲する事は行わず、かえって自分の憎む事をしているからである。 + もし、自分の欲しない事をしているとすれば、わたしは律法が良いものであることを承認していることになる。 + そこで、この事をしているのは、もはやわたしではなく、わたしの内に宿っている罪である。 + わたしの内に、すなわち、わたしの肉の内には、善なるものが宿っていないことを、わたしは知っている。なぜなら、善をしようとする意志は、自分にあるが、それをする力がないからである。 + すなわち、わたしの欲している善はしないで、欲していない悪は、これを行っている。 + もし、欲しないことをしているとすれば、それをしているのは、もはやわたしではなく、わたしの内に宿っている罪である。 + そこで、善をしようと欲しているわたしに、悪がはいり込んでいるという法則があるのを見る。 + すなわち、わたしは、内なる人としては神の律法を喜んでいるが、 + わたしの肢体には別の律法があって、わたしの心の法則に対して戦いをいどみ、そして、肢体に存在する罪の法則の中に、わたしをとりこにしているのを見る。 + わたしは、なんというみじめな人間なのだろう。だれが、この死のからだから、わたしを救ってくれるだろうか。 + わたしたちの主イエス・キリストによって、神は感謝すべきかな。このようにして、わたし自身は、心では神の律法に仕えているが、肉では罪の律法に仕えているのである。 + + + こういうわけで、今やキリスト・イエスにある者は罪に定められることがない。 + なぜなら、キリスト・イエスにあるいのちの御霊の法則は、罪と死との法則からあなたを解放したからである。 + 律法が肉により無力になっているためになし得なかった事を、神はなし遂げて下さった。すなわち、御子を、罪の肉の様で罪のためにつかわし、肉において罪を罰せられたのである。 + これは律法の要求が、肉によらず霊によって歩くわたしたちにおいて、満たされるためである。 + なぜなら、肉に従う者は肉のことを思い、霊に従う者は霊のことを思うからである。 + 肉の思いは死であるが、霊の思いは、いのちと平安とである。 + なぜなら、肉の思いは神に敵するからである。すなわち、それは神の律法に従わず、否、従い得ないのである。 + また、肉にある者は、神を喜ばせることができない。 + しかし、神の御霊があなたがたの内に宿っているなら、あなたがたは肉におるのではなく、霊におるのである。もし、キリストの霊を持たない人がいるなら、その人はキリストのものではない。 + もし、キリストがあなたがたの内におられるなら、からだは罪のゆえに死んでいても、霊は義のゆえに生きているのである。 + もし、イエスを死人の中からよみがえらせたかたの御霊が、あなたがたの内に宿っているなら、キリスト・イエスを死人の中からよみがえらせたかたは、あなたがたの内に宿っている御霊によって、あなたがたの死ぬべきからだをも、生かしてくださるであろう。 + それゆえに、兄弟たちよ。わたしたちは、果すべき責任を負っている者であるが、肉に従って生きる責任を肉に対して負っているのではない。 + なぜなら、もし、肉に従って生きるなら、あなたがたは死ぬ外はないからである。しかし、霊によってからだの働きを殺すなら、あなたがたは生きるであろう。 + すべて神の御霊に導かれている者は、すなわち、神の子である。 + あなたがたは再び恐れをいだかせる奴隷の霊を受けたのではなく、子たる身分を授ける霊を受けたのである。その霊によって、わたしたちは「アバ、父よ」と呼ぶのである。 + 御霊みずから、わたしたちの霊と共に、わたしたちが神の子であることをあかしして下さる。 + もし子であれば、相続人でもある。神の相続人であって、キリストと栄光を共にするために苦難をも共にしている以上、キリストと共同の相続人なのである。 + わたしは思う。今のこの時の苦しみは、やがてわたしたちに現されようとする栄光に比べると、言うに足りない。 + 被造物は、実に、切なる思いで神の子たちの出現を待ち望んでいる。 + なぜなら、被造物が虚無に服したのは、自分の意志によるのではなく、服従させたかたによるのであり、 + かつ、被造物自身にも、滅びのなわめから解放されて、神の子たちの栄光の自由に入る望みが残されているからである。 + 実に、被造物全体が、今に至るまで、共にうめき共に産みの苦しみを続けていることを、わたしたちは知っている。 + それだけではなく、御霊の最初の実を持っているわたしたち自身も、心の内でうめきながら、子たる身分を授けられること、すなわち、からだのあがなわれることを待ち望んでいる。 + わたしたちは、この望みによって救われているのである。しかし、目に見える望みは望みではない。なぜなら、現に見ている事を、どうして、なお望む人があろうか。 + もし、わたしたちが見ないことを望むなら、わたしたちは忍耐して、それを待ち望むのである。 + 御霊もまた同じように、弱いわたしたちを助けて下さる。なぜなら、わたしたちはどう祈ったらよいかわからないが、御霊みずから、言葉にあらわせない切なるうめきをもって、わたしたちのためにとりなして下さるからである。 + そして、人の心を探り知るかたは、御霊の思うところがなんであるかを知っておられる。なぜなら、御霊は、聖徒のために、神の御旨にかなうとりなしをして下さるからである。 + 神は、神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って召された者たちと共に働いて、万事を益となるようにして下さることを、わたしたちは知っている。 + 神はあらかじめ知っておられる者たちを、更に御子のかたちに似たものとしようとして、あらかじめ定めて下さった。それは、御子を多くの兄弟の中で長子とならせるためであった。 + そして、あらかじめ定めた者たちを更に召し、召した者たちを更に義とし、義とした者たちには、更に栄光を与えて下さったのである。 + それでは、これらの事について、なんと言おうか。もし、神がわたしたちの味方であるなら、だれがわたしたちに敵し得ようか。 + ご自身の御子をさえ惜しまないで、わたしたちすべての者のために死に渡されたかたが、どうして、御子のみならず万物をも賜わらないことがあろうか。 + だれが、神の選ばれた者たちを訴えるのか。神は彼らを義とされるのである。 + だれが、わたしたちを罪に定めるのか。キリスト・イエスは、死んで、否、よみがえって、神の右に座し、また、わたしたちのためにとりなして下さるのである。 + だれが、キリストの愛からわたしたちを離れさせるのか。患難か、苦悩か、迫害か、飢えか、裸か、危難か、剣か。 + 「わたしたちはあなたのために終日、死に定められており、ほふられる羊のように見られている」と書いてあるとおりである。 + しかし、わたしたちを愛して下さったかたによって、わたしたちは、これらすべての事において勝ち得て余りがある。 + わたしは確信する。死も生も、天使も支配者も、現在のものも将来のものも、力あるものも、 + 高いものも深いものも、その他どんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスにおける神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのである。 + + + わたしはキリストにあって真実を語る。偽りは言わない。わたしの良心も聖霊によって、わたしにこうあかしをしている。 + すなわち、わたしに大きな悲しみがあり、わたしの心に絶えざる痛みがある。 + 実際、わたしの兄弟、肉による同族のためなら、わたしのこの身がのろわれて、キリストから離されてもいとわない。 + 彼らはイスラエル人であって、子たる身分を授けられることも、栄光も、もろもろの契約も、律法を授けられることも、礼拝も、数々の約束も彼らのもの、 + また父祖たちも彼らのものであり、肉によればキリストもまた彼らから出られたのである。万物の上にいます神は、永遠にほむべきかな、アァメン。 + しかし、神の言が無効になったというわけではない。なぜなら、イスラエルから出た者が全部イスラエルなのではなく、 + また、アブラハムの子孫だからといって、その全部が子であるのではないからである。かえって「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるであろう」。 + すなわち、肉の子がそのまま神の子なのではなく、むしろ約束の子が子孫として認められるのである。 + 約束の言葉はこうである。「来年の今ごろ、わたしはまた来る。そして、サラに男子が与えられるであろう」。 + そればかりではなく、ひとりの人、すなわち、わたしたちの父祖イサクによって受胎したリベカの場合も、また同様である。 + まだ子供らが生れもせず、善も悪もしない先に、神の選びの計画が、 + わざによらず、召したかたによって行われるために、「兄は弟に仕えるであろう」と、彼女に仰せられたのである。 + 「わたしはヤコブを愛しエサウを憎んだ」と書いてあるとおりである。 + では、わたしたちはなんと言おうか。神の側に不正があるのか。断じてそうではない。 + 神はモーセに言われた、「わたしは自分のあわれもうとする者をあわれみ、いつくしもうとする者を、いつくしむ」。 + ゆえに、それは人間の意志や努力によるのではなく、ただ神のあわれみによるのである。 + 聖書はパロにこう言っている、「わたしがあなたを立てたのは、この事のためである。すなわち、あなたによってわたしの力をあらわし、また、わたしの名が全世界に言いひろめられるためである」。 + だから、神はそのあわれもうと思う者をあわれみ、かたくなにしようと思う者を、かたくなになさるのである。 + そこで、あなたは言うであろう、「なぜ神は、なおも人を責められるのか。だれが、神の意図に逆らい得ようか」。 + ああ人よ。あなたは、神に言い逆らうとは、いったい、何者なのか。造られたものが造った者に向かって、「なぜ、わたしをこのように造ったのか」と言うことがあろうか。 + 陶器を造る者は、同じ土くれから、一つを尊い器に、他を卑しい器に造りあげる権能がないのであろうか。 + もし、神が怒りをあらわし、かつ、ご自身の力を知らせようと思われつつも、滅びることになっている怒りの器を、大いなる寛容をもって忍ばれたとすれば、 + かつ、栄光にあずからせるために、あらかじめ用意されたあわれみの器にご自身の栄光の富を知らせようとされたとすれば、どうであろうか。 + 神は、このあわれみの器として、またわたしたちをも、ユダヤ人の中からだけではなく、異邦人の中からも召されたのである。 + それは、ホセアの書でも言われているとおりである、「わたしは、わたしの民でない者を、わたしの民と呼び、愛されなかった者を、愛される者と呼ぶであろう。 + あなたがたはわたしの民ではないと、彼らに言ったその場所で、彼らは生ける神の子らであると、呼ばれるであろう」。 + また、イザヤはイスラエルについて叫んでいる、「たとい、イスラエルの子らの数は、浜の砂のようであっても、救われるのは、残された者だけであろう。 + 主は、御言をきびしくまたすみやかに、地上になしとげられるであろう」。 + さらに、イザヤは預言した、「もし、万軍の主がわたしたちに子孫を残されなかったなら、わたしたちはソドムのようになり、ゴモラと同じようになったであろう」。 + では、わたしたちはなんと言おうか。義を追い求めなかった異邦人は、義、すなわち、信仰による義を得た。 + しかし、義の律法を追い求めていたイスラエルは、その律法に達しなかった。 + なぜであるか。信仰によらないで、行いによって得られるかのように、追い求めたからである。彼らは、つまずきの石につまずいたのである。 + 「見よ、わたしはシオンに、つまずきの石、さまたげの岩を置く。それにより頼む者は、失望に終ることがない」と書いてあるとおりである。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + そこで、わたしは問う、「神はその民を捨てたのであろうか」。断じてそうではない。わたしもイスラエル人であり、アブラハムの子孫、ベニヤミン族の者である。 + 神は、あらかじめ知っておられたその民を、捨てることはされなかった。聖書がエリヤについてなんと言っているか、あなたがたは知らないのか。すなわち、彼はイスラエルを神に訴えてこう言った。 + 「主よ、彼らはあなたの預言者たちを殺し、あなたの祭壇をこぼち、そして、わたしひとりが取り残されたのに、彼らはわたしのいのちをも求めています」。 + しかし、彼に対する御告げはなんであったか、「バアルにひざをかがめなかった七千人を、わたしのために残しておいた」。 + それと同じように、今の時にも、恵みの選びによって残された者がいる。 + しかし、恵みによるのであれば、もはや行いによるのではない。そうでないと、恵みはもはや恵みでなくなるからである。 + では、どうなるのか。イスラエルはその追い求めているものを得ないで、ただ選ばれた者が、それを得た。そして、他の者たちはかたくなになった。 + 「神は、彼らに鈍い心と、見えない目と、聞えない耳とを与えて、きょう、この日に及んでいる」と書いてあるとおりである。 + ダビデもまた言っている、「彼らの食卓は、彼らのわなとなれ、網となれ、つまずきとなれ、報復となれ。 + 彼らの目は、くらんで見えなくなれ、彼らの背は、いつまでも曲っておれ」。 + そこで、わたしは問う、「彼らがつまずいたのは、倒れるためであったのか」。断じてそうではない。かえって、彼らの罪過によって、救が異邦人に及び、それによってイスラエルを奮起させるためである。 + しかし、もし、彼らの罪過が世の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となったとすれば、まして彼らが全部救われたなら、どんなにかすばらしいことであろう。 + そこでわたしは、あなたがた異邦人に言う。わたし自身は異邦人の使徒なのであるから、わたしの務を光栄とし、 + どうにかしてわたしの骨肉を奮起させ、彼らの幾人かを救おうと願っている。 + もし彼らの捨てられたことが世の和解となったとすれば、彼らの受けいれられることは、死人の中から生き返ることではないか。 + もし、麦粉の初穂がきよければ、そのかたまりもきよい。もし根がきよければ、その枝もきよい。 + しかし、もしある枝が切り去られて、野生のオリブであるあなたがそれにつがれ、オリブの根の豊かな養分にあずかっているとすれば、 + あなたはその枝に対して誇ってはならない。たとえ誇るとしても、あなたが根をささえているのではなく、根があなたをささえているのである。 + すると、あなたは、「枝が切り去られたのは、わたしがつがれるためであった」と言うであろう。 + まさに、そのとおりである。彼らは不信仰のゆえに切り去られ、あなたは信仰のゆえに立っているのである。高ぶった思いをいだかないで、むしろ恐れなさい。 + もし神が元木の枝を惜しまなかったとすれば、あなたを惜しむようなことはないであろう。 + 神の慈愛と峻厳とを見よ。神の峻厳は倒れた者たちに向けられ、神の慈愛は、もしあなたがその慈愛にとどまっているなら、あなたに向けられる。そうでないと、あなたも切り取られるであろう。 + しかし彼らも、不信仰を続けなければ、つがれるであろう。神には彼らを再びつぐ力がある。 + なぜなら、もしあなたが自然のままの野生のオリブから切り取られ、自然の性質に反して良いオリブにつがれたとすれば、まして、これら自然のままの良い枝は、もっとたやすく、元のオリブにつがれないであろうか。 + 兄弟たちよ。あなたがたが知者だと自負することのないために、この奥義を知らないでいてもらいたくない。一部のイスラエル人がかたくなになったのは、異邦人が全部救われるに至る時までのことであって、 + こうして、イスラエル人は、すべて救われるであろう。すなわち、次のように書いてある、「救う者がシオンからきて、ヤコブから不信心を追い払うであろう。 + そして、これが、彼らの罪を除き去る時に、彼らに対して立てるわたしの契約である」。 + 福音について言えば、彼らは、あなたがたのゆえに、神の敵とされているが、選びについて言えば、父祖たちのゆえに、神に愛せられる者である。 + 神の賜物と召しとは、変えられることがない。 + あなたがたが、かつては神に不従順であったが、今は彼らの不従順によってあわれみを受けたように、 + 彼らも今は不従順になっているが、それは、あなたがたの受けたあわれみによって、彼ら自身も今あわれみを受けるためなのである。 + すなわち、神はすべての人をあわれむために、すべての人を不従順のなかに閉じ込めたのである。 + ああ深いかな、神の知恵と知識との富は。そのさばきは窮めがたく、その道は測りがたい。 + 「だれが、主の心を知っていたか。だれが、主の計画にあずかったか。 + また、だれが、まず主に与えて、その報いを受けるであろうか」。 + 万物は、神からいで、神によって成り、神に帰するのである。栄光がとこしえに神にあるように、アァメン。 + + + 兄弟たちよ。そういうわけで、神のあわれみによってあなたがたに勧める。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、生きた、聖なる供え物としてささげなさい。それが、あなたがたのなすべき霊的な礼拝である。 + あなたがたは、この世と妥協してはならない。むしろ、心を新たにすることによって、造りかえられ、何が神の御旨であるか、何が善であって、神に喜ばれ、かつ全きことであるかを、わきまえ知るべきである。 + わたしは、自分に与えられた恵みによって、あなたがたひとりびとりに言う。思うべき限度を越えて思いあがることなく、むしろ、神が各自に分け与えられた信仰の量りにしたがって、慎み深く思うべきである。 + なぜなら、一つのからだにたくさんの肢体があるが、それらの肢体がみな同じ働きをしてはいないように、 + わたしたちも数は多いが、キリストにあって一つのからだであり、また各自は互に肢体だからである。 + このように、わたしたちは与えられた恵みによって、それぞれ異なった賜物を持っているので、もし、それが預言であれば、信仰の程度に応じて預言をし、 + 奉仕であれば奉仕をし、また教える者であれば教え、 + 勧めをする者であれば勧め、寄附する者は惜しみなく寄附し、指導する者は熱心に指導し、慈善をする者は快く慈善をすべきである。 + 愛には偽りがあってはならない。悪は憎み退け、善には親しみ結び、 + 兄弟の愛をもって互にいつくしみ、進んで互に尊敬し合いなさい。 + 熱心で、うむことなく、霊に燃え、主に仕え、 + 望みをいだいて喜び、患難に耐え、常に祈りなさい。 + 貧しい聖徒を助け、努めて旅人をもてなしなさい。 + あなたがたを迫害する者を祝福しなさい。祝福して、のろってはならない。 + 喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい。 + 互に思うことをひとつにし、高ぶった思いをいだかず、かえって低い者たちと交わるがよい。自分が知者だと思いあがってはならない。 + だれに対しても悪をもって悪に報いず、すべての人に対して善を図りなさい。 + あなたがたは、できる限りすべての人と平和に過ごしなさい。 + 愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と書いてあるからである。 + むしろ、「もしあなたの敵が飢えるなら、彼に食わせ、かわくなら、彼に飲ませなさい。そうすることによって、あなたは彼の頭に燃えさかる炭火を積むことになるのである」。 + 悪に負けてはいけない。かえって、善をもって悪に勝ちなさい。 + + + すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。なぜなら、神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである。 + したがって、権威に逆らう者は、神の定めにそむく者である。そむく者は、自分の身にさばきを招くことになる。 + いったい、支配者たちは、善事をする者には恐怖でなく、悪事をする者にこそ恐怖である。あなたは権威を恐れないことを願うのか。それでは、善事をするがよい。そうすれば、彼からほめられるであろう。 + 彼は、あなたに益を与えるための神の僕なのである。しかし、もしあなたが悪事をすれば、恐れなければならない。彼はいたずらに剣を帯びているのではない。彼は神の僕であって、悪事を行う者に対しては、怒りをもって報いるからである。 + だから、ただ怒りをのがれるためだけではなく、良心のためにも従うべきである。 + あなたがたが貢を納めるのも、また同じ理由からである。彼らは神に仕える者として、もっぱらこの務に携わっているのである。 + あなたがたは、彼らすべてに対して、義務を果しなさい。すなわち、貢を納むべき者には貢を納め、税を納むべき者には税を納め、恐るべき者は恐れ、敬うべき者は敬いなさい。 + 互に愛し合うことの外は、何人にも借りがあってはならない。人を愛する者は、律法を全うするのである。 + 「姦淫するな、殺すな、盗むな、むさぼるな」など、そのほかに、どんな戒めがあっても、結局「自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ」というこの言葉に帰する。 + 愛は隣り人に害を加えることはない。だから、愛は律法を完成するものである。 + なお、あなたがたは時を知っているのだから、特に、この事を励まねばならない。すなわち、あなたがたの眠りからさめるべき時が、すでにきている。なぜなら今は、わたしたちの救が、初め信じた時よりも、もっと近づいているからである。 + 夜はふけ、日が近づいている。それだから、わたしたちは、やみのわざを捨てて、光の武具を着けようではないか。 + そして、宴楽と泥酔、淫乱と好色、争いとねたみを捨てて、昼歩くように、つつましく歩こうではないか。 + あなたがたは、主イエス・キリストを着なさい。肉の欲を満たすことに心を向けてはならない。 + + + 信仰の弱い者を受けいれなさい。ただ、意見を批評するためであってはならない。 + ある人は、何を食べてもさしつかえないと信じているが、弱い人は野菜だけを食べる。 + 食べる者は食べない者を軽んじてはならず、食べない者も食べる者をさばいてはならない。神は彼を受けいれて下さったのであるから。 + 他人の僕をさばくあなたは、いったい、何者であるか。彼が立つのも倒れるのも、その主人によるのである。しかし、彼は立つようになる。主は彼を立たせることができるからである。 + また、ある人は、この日がかの日よりも大事であると考え、ほかの人はどの日も同じだと考える。各自はそれぞれ心の中で、確信を持っておるべきである。 + 日を重んじる者は、主のために重んじる。また食べる者も主のために食べる。神に感謝して食べるからである。食べない者も主のために食べない。そして、神に感謝する。 + すなわち、わたしたちのうち、だれひとり自分のために生きる者はなく、だれひとり自分のために死ぬ者はない。 + わたしたちは、生きるのも主のために生き、死ぬのも主のために死ぬ。だから、生きるにしても死ぬにしても、わたしたちは主のものなのである。 + なぜなら、キリストは、死者と生者との主となるために、死んで生き返られたからである。 + それだのに、あなたは、なぜ兄弟をさばくのか。あなたは、なぜ兄弟を軽んじるのか。わたしたちはみな、神のさばきの座の前に立つのである。 + すなわち、「主が言われる。わたしは生きている。すべてのひざは、わたしに対してかがみ、すべての舌は、神にさんびをささげるであろう」と書いてある。 + だから、わたしたちひとりびとりは、神に対して自分の言いひらきをすべきである。 + それゆえ、今後わたしたちは、互にさばき合うことをやめよう。むしろ、あなたがたは、妨げとなる物や、つまずきとなる物を兄弟の前に置かないことに、決めるがよい。 + わたしは、主イエスにあって知りかつ確信している。それ自体、汚れているものは一つもない。ただ、それが汚れていると考える人にだけ、汚れているのである。 + もし食物のゆえに兄弟を苦しめるなら、あなたは、もはや愛によって歩いているのではない。あなたの食物によって、兄弟を滅ぼしてはならない。キリストは彼のためにも、死なれたのである。 + それだから、あなたがたにとって良い事が、そしりの種にならぬようにしなさい。 + 神の国は飲食ではなく、義と、平和と、聖霊における喜びとである。 + こうしてキリストに仕える者は、神に喜ばれ、かつ、人にも受けいれられるのである。 + こういうわけで、平和に役立つことや、互の徳を高めることを、追い求めようではないか。 + 食物のことで、神のみわざを破壊してはならない。すべての物はきよい。ただ、それを食べて人をつまずかせる者には、悪となる。 + 肉を食わず、酒を飲まず、そのほか兄弟をつまずかせないのは、良いことである。 + あなたの持っている信仰を、神のみまえに、自分自身に持っていなさい。自ら良いと定めたことについて、やましいと思わない人は、さいわいである。 + しかし、疑いながら食べる者は、信仰によらないから、罪に定められる。すべて信仰によらないことは、罪である。 + + + わたしたち強い者は、強くない者たちの弱さをになうべきであって、自分だけを喜ばせることをしてはならない。 + わたしたちひとりびとりは、隣り人の徳を高めるために、その益を図って彼らを喜ばすべきである。 + キリストさえ、ご自身を喜ばせることはなさらなかった。むしろ「あなたをそしる者のそしりが、わたしに降りかかった」と書いてあるとおりであった。 + これまでに書かれた事がらは、すべてわたしたちの教のために書かれたのであって、それは聖書の与える忍耐と慰めとによって、望みをいだかせるためである。 + どうか、忍耐と慰めとの神が、あなたがたに、キリスト・イエスにならって互に同じ思いをいだかせ、 + こうして、心を一つにし、声を合わせて、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神をあがめさせて下さるように。 + こういうわけで、キリストもわたしたちを受けいれて下さったように、あなたがたも互に受けいれて、神の栄光をあらわすべきである。 + わたしは言う、キリストは神の真実を明らかにするために、割礼のある者の僕となられた。それは父祖たちの受けた約束を保証すると共に、 + 異邦人もあわれみを受けて神をあがめるようになるためである、「それゆえ、わたしは、異邦人の中であなたにさんびをささげ、また、御名をほめ歌う」と書いてあるとおりである。 + また、こう言っている、「異邦人よ、主の民と共に喜べ」。 + また、「すべての異邦人よ、主をほめまつれ。もろもろの民よ、主をほめたたえよ」。 + またイザヤは言っている、「エッサイの根から芽が出て、異邦人を治めるために立ち上がる者が来る。異邦人は彼に望みをおくであろう」。 + どうか、望みの神が、信仰から来るあらゆる喜びと平安とを、あなたがたに満たし、聖霊の力によって、あなたがたを、望みにあふれさせて下さるように。 + さて、わたしの兄弟たちよ。あなたがた自身が、善意にあふれ、あらゆる知恵に満たされ、そして互に訓戒し合う力のあることを、わたしは堅く信じている。 + しかし、わたしはあなたがたの記憶を新たにするために、ところどころ、かなり思いきって書いた。それは、神からわたしに賜わった恵みによって、書いたのである。 + このように恵みを受けたのは、わたしが異邦人のためにキリスト・イエスに仕える者となり、神の福音のために祭司の役を勤め、こうして異邦人を、聖霊によってきよめられた、御旨にかなうささげ物とするためである。 + だから、わたしは神への奉仕については、キリスト・イエスにあって誇りうるのである。 + わたしは、異邦人を従順にするために、キリストがわたしを用いて、言葉とわざ、 + しるしと不思議との力、聖霊の力によって、働かせて下さったことの外には、あえて何も語ろうとは思わない。こうして、わたしはエルサレムから始まり、巡りめぐってイルリコに至るまで、キリストの福音を満たしてきた。 + その際、わたしの切に望んだところは、他人の土台の上に建てることをしないで、キリストの御名がまだ唱えられていない所に福音を宣べ伝えることであった。 + すなわち、「彼のことを宣べ伝えられていなかった人々が見、聞いていなかった人々が悟るであろう」と書いてあるとおりである。 + こういうわけで、わたしはあなたがたの所に行くことを、たびたび妨げられてきた。 + しかし今では、この地方にはもはや働く余地がなく、かつイスパニヤに赴く場合、あなたがたの所に行くことを、多年、熱望していたので、―― + その途中あなたがたに会い、まず幾分でもわたしの願いがあなたがたによって満たされたら、あなたがたに送られてそこへ行くことを、望んでいるのである。 + しかし今の場合、聖徒たちに仕えるために、わたしはエルサレムに行こうとしている。 + なぜなら、マケドニヤとアカヤとの人々は、エルサレムにおる聖徒の中の貧しい人々を援助することに賛成したからである。 + たしかに、彼らは賛成した。しかし同時に、彼らはかの人々に負債がある。というのは、もし異邦人が彼らの霊の物にあずかったとすれば、肉の物をもって彼らに仕えるのは、当然だからである。 + そこでわたしは、この仕事を済ませて彼らにこの実を手渡した後、あなたがたの所をとおって、イスパニヤに行こうと思う。 + そしてあなたがたの所に行く時には、キリストの満ちあふれる祝福をもって行くことと、信じている。 + 兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストにより、かつ御霊の愛によって、あなたがたにお願いする。どうか、共に力をつくして、わたしのために神に祈ってほしい。 + すなわち、わたしがユダヤにおる不信の徒から救われ、そしてエルサレムに対するわたしの奉仕が聖徒たちに受けいれられるものとなるように、 + また、神の御旨により、喜びをもってあなたがたの所に行き、共になぐさめ合うことができるように祈ってもらいたい。 + どうか、平和の神があなたがた一同と共にいますように、アァメン。 + + + ケンクレヤにある教会の執事、わたしたちの姉妹フィベを、あなたがたに紹介する。 + どうか、聖徒たるにふさわしく、主にあって彼女を迎え、そして、彼女があなたがたにしてもらいたいことがあれば、何事でも、助けてあげてほしい。彼女は多くの人の援助者であり、またわたし自身の援助者でもあった。 + キリスト・イエスにあるわたしの同労者プリスカとアクラとに、よろしく言ってほしい。 + 彼らは、わたしのいのちを救うために、自分の首をさえ差し出してくれたのである。彼らに対しては、わたしだけではなく、異邦人のすべての教会も、感謝している。 + また、彼らの家の教会にも、よろしく。わたしの愛するエパネトに、よろしく言ってほしい。彼は、キリストにささげられたアジヤの初穂である。 + あなたがたのために一方ならず労苦したマリヤに、よろしく言ってほしい。 + わたしの同族であって、わたしと一緒に投獄されたことのあるアンデロニコとユニアスとに、よろしく。彼らは使徒たちの間で評判がよく、かつ、わたしよりも先にキリストを信じた人々である。 + 主にあって愛するアムプリアトに、よろしく。 + キリストにあるわたしたちの同労者ウルバノと、愛するスタキスとに、よろしく。 + キリストにあって錬達なアペレに、よろしく。アリストブロの家の人たちに、よろしく。 + 同族のヘロデオンに、よろしく。ナルキソの家の、主にある人たちに、よろしく。 + 主にあって労苦しているツルパナとツルポサとに、よろしく。主にあって一方ならず労苦した愛するペルシスに、よろしく。 + 主にあって選ばれたルポスと、彼の母とに、よろしく。彼の母は、わたしの母でもある。 + アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマスおよび彼らと一緒にいる兄弟たちに、よろしく。 + ピロロゴとユリヤとに、またネレオとその姉妹とに、オルンパに、また彼らと一緒にいるすべての聖徒たちに、よろしく言ってほしい。 + きよい接吻をもって、互にあいさつをかわしなさい。キリストのすべての教会から、あなたがたによろしく。 + さて兄弟たちよ。あなたがたに勧告する。あなたがたが学んだ教にそむいて分裂を引き起し、つまずきを与える人々を警戒し、かつ彼らから遠ざかるがよい。 + なぜなら、こうした人々は、わたしたちの主キリストに仕えないで、自分の腹に仕え、そして甘言と美辞とをもって、純朴な人々の心を欺く者どもだからである。 + あなたがたの従順は、すべての人々の耳に達しており、それをあなたがたのために喜んでいる。しかし、わたしの願うところは、あなたがたが善にさとく、悪には、うとくあってほしいことである。 + 平和の神は、サタンをすみやかにあなたがたの足の下に踏み砕くであろう。どうか、わたしたちの主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。 + わたしの同労者テモテおよび同族のルキオ、ヤソン、ソシパテロから、あなたがたによろしく。 + (この手紙を筆記したわたしテルテオも、主にあってあなたがたにあいさつの言葉をおくる。) + わたしと全教会との家主ガイオから、あなたがたによろしく。市の会計係エラストと兄弟クワルトから、あなたがたによろしく。〔 + わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にあるように、アァメン。〕 + + 願わくは、わたしの福音とイエス・キリストの宣教とにより、かつ、長き世々にわたって、隠されていたが、今やあらわされ、預言の書をとおして、永遠の神の命令に従い、信仰の従順に至らせるために、もろもろの国人に告げ知らされた奥義の啓示によって、あなたがたを力づけることのできるかた、 + すなわち、唯一の知恵深き神に、イエス・キリストにより、栄光が永遠より永遠にあるように、アァメン。 + +
+
+ + 神の御旨により召されてキリスト・イエスの使徒となったパウロと、兄弟ソステネから、 + コリントにある神の教会、すなわち、わたしたちの主イエス・キリストの御名を至る所で呼び求めているすべての人々と共に、キリスト・イエスにあってきよめられ、聖徒として召されたかたがたへ。このキリストは、わたしたちの主であり、また彼らの主であられる。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしは、あなたがたがキリスト・イエスにあって与えられた神の恵みを思って、いつも神に感謝している。 + あなたがたはキリストにあって、すべてのことに、すなわち、すべての言葉にもすべての知識にも恵まれ、 + キリストのためのあかしが、あなたがたのうちに確かなものとされ、 + こうして、あなたがたは恵みの賜物にいささかも欠けることがなく、わたしたちの主イエス・キリストの現れるのを待ち望んでいる。 + 主もまた、あなたがたを最後まで堅くささえて、わたしたちの主イエス・キリストの日に、責められるところのない者にして下さるであろう。 + 神は真実なかたである。あなたがたは神によって召され、御子、わたしたちの主イエス・キリストとの交わりに、はいらせていただいたのである。 + さて兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの名によって、あなたがたに勧める。みな語ることを一つにし、お互の間に分争がないようにし、同じ心、同じ思いになって、堅く結び合っていてほしい。 + わたしの兄弟たちよ。実は、クロエの家の者たちから、あなたがたの間に争いがあると聞かされている。 + はっきり言うと、あなたがたがそれぞれ、「わたしはパウロにつく」「わたしはアポロに」「わたしはケパに」「わたしはキリストに」と言い合っていることである。 + キリストは、いくつにも分けられたのか。パウロは、あなたがたのために十字架につけられたことがあるのか。それとも、あなたがたは、パウロの名によってバプテスマを受けたのか。 + わたしは感謝しているが、クリスポとガイオ以外には、あなたがたのうちのだれにも、バプテスマを授けたことがない。 + それはあなたがたがわたしの名によってバプテスマを受けたのだと、だれにも言われることのないためである。 + もっとも、ステパナの家の者たちには、バプテスマを授けたことがある。しかし、そのほかには、だれにも授けた覚えがない。 + いったい、キリストがわたしをつかわされたのは、バプテスマを授けるためではなく、福音を宣べ伝えるためであり、しかも知恵の言葉を用いずに宣べ伝えるためであった。それは、キリストの十字架が無力なものになってしまわないためなのである。 + 十字架の言は、滅び行く者には愚かであるが、救にあずかるわたしたちには、神の力である。 + すなわち、聖書に、「わたしは知者の知恵を滅ぼし、賢い者の賢さをむなしいものにする」と書いてある。 + 知者はどこにいるか。学者はどこにいるか。この世の論者はどこにいるか。神はこの世の知恵を、愚かにされたではないか。 + この世は、自分の知恵によって神を認めるに至らなかった。それは、神の知恵にかなっている。そこで神は、宣教の愚かさによって、信じる者を救うこととされたのである。 + ユダヤ人はしるしを請い、ギリシヤ人は知恵を求める。 + しかしわたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝える。このキリストは、ユダヤ人にはつまずかせるもの、異邦人には愚かなものであるが、 + 召された者自身にとっては、ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神の力、神の知恵たるキリストなのである。 + 神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからである。 + 兄弟たちよ。あなたがたが召された時のことを考えてみるがよい。人間的には、知恵のある者が多くはなく、権力のある者も多くはなく、身分の高い者も多くはいない。 + それだのに神は、知者をはずかしめるために、この世の愚かな者を選び、強い者をはずかしめるために、この世の弱い者を選び、 + 有力な者を無力な者にするために、この世で身分の低い者や軽んじられている者、すなわち、無きに等しい者を、あえて選ばれたのである。 + それは、どんな人間でも、神のみまえに誇ることがないためである。 + あなたがたがキリスト・イエスにあるのは、神によるのである。キリストは神に立てられて、わたしたちの知恵となり、義と聖とあがないとになられたのである。 + それは、「誇る者は主を誇れ」と書いてあるとおりである。 + + + 兄弟たちよ。わたしもまた、あなたがたの所に行ったとき、神のあかしを宣べ伝えるのに、すぐれた言葉や知恵を用いなかった。 + なぜなら、わたしはイエス・キリスト、しかも十字架につけられたキリスト以外のことは、あなたがたの間では何も知るまいと、決心したからである。 + わたしがあなたがたの所に行った時には、弱くかつ恐れ、ひどく不安であった。 + そして、わたしの言葉もわたしの宣教も、巧みな知恵の言葉によらないで、霊と力との証明によったのである。 + それは、あなたがたの信仰が人の知恵によらないで、神の力によるものとなるためであった。 + しかしわたしたちは、円熟している者の間では、知恵を語る。この知恵は、この世の者の知恵ではなく、この世の滅び行く支配者たちの知恵でもない。 + むしろ、わたしたちが語るのは、隠された奥義としての神の知恵である。それは神が、わたしたちの受ける栄光のために、世の始まらぬ先から、あらかじめ定めておかれたものである。 + この世の支配者たちのうちで、この知恵を知っていた者は、ひとりもいなかった。もし知っていたなら、栄光の主を十字架につけはしなかったであろう。 + しかし、聖書に書いてあるとおり、「目がまだ見ず、耳がまだ聞かず、人の心に思い浮びもしなかったことを、神は、ご自分を愛する者たちのために備えられた」のである。 + そして、それを神は、御霊によってわたしたちに啓示して下さったのである。御霊はすべてのものをきわめ、神の深みまでもきわめるのだからである。 + いったい、人間の思いは、その内にある人間の霊以外に、だれが知っていようか。それと同じように神の思いも、神の御霊以外には、知るものはない。 + ところが、わたしたちが受けたのは、この世の霊ではなく、神からの霊である。それによって、神から賜わった恵みを悟るためである。 + この賜物について語るにも、わたしたちは人間の知恵が教える言葉を用いないで、御霊の教える言葉を用い、霊によって霊のことを解釈するのである。 + 生れながらの人は、神の御霊の賜物を受けいれない。それは彼には愚かなものだからである。また、御霊によって判断されるべきであるから、彼はそれを理解することができない。 + しかし、霊の人は、すべてのものを判断するが、自分自身はだれからも判断されることはない。 + 「だれが主の思いを知って、彼を教えることができようか」。しかし、わたしたちはキリストの思いを持っている。 + + + 兄弟たちよ。わたしはあなたがたには、霊の人に対するように話すことができず、むしろ、肉に属する者、すなわち、キリストにある幼な子に話すように話した。 + あなたがたに乳を飲ませて、堅い食物は与えなかった。食べる力が、まだあなたがたになかったからである。今になってもその力がない。 + あなたがたはまだ、肉の人だからである。あなたがたの間に、ねたみや争いがあるのは、あなたがたが肉の人であって、普通の人間のように歩いているためではないか。 + すなわち、ある人は「わたしはパウロに」と言い、ほかの人は「わたしはアポロに」と言っているようでは、あなたがたは普通の人間ではないか。 + アポロは、いったい、何者か。また、パウロは何者か。あなたがたを信仰に導いた人にすぎない。しかもそれぞれ、主から与えられた分に応じて仕えているのである。 + わたしは植え、アポロは水をそそいだ。しかし成長させて下さるのは、神である。 + だから、植える者も水をそそぐ者も、ともに取るに足りない。大事なのは、成長させて下さる神のみである。 + 植える者と水をそそぐ者とは一つであって、それぞれその働きに応じて報酬を得るであろう。 + わたしたちは神の同労者である。あなたがたは神の畑であり、神の建物である。 + 神から賜わった恵みによって、わたしは熟練した建築師のように、土台をすえた。そして他の人がその上に家を建てるのである。しかし、どういうふうに建てるか、それぞれ気をつけるがよい。 + なぜなら、すでにすえられている土台以外のものをすえることは、だれにもできない。そして、この土台はイエス・キリストである。 + この土台の上に、だれかが金、銀、宝石、木、草、または、わらを用いて建てるならば、 + それぞれの仕事は、はっきりとわかってくる。すなわち、かの日は火の中に現れて、それを明らかにし、またその火は、それぞれの仕事がどんなものであるかを、ためすであろう。 + もしある人の建てた仕事がそのまま残れば、その人は報酬を受けるが、 + その仕事が焼けてしまえば、損失を被るであろう。しかし彼自身は、火の中をくぐってきた者のようにではあるが、救われるであろう。 + あなたがたは神の宮であって、神の御霊が自分のうちに宿っていることを知らないのか。 + もし人が、神の宮を破壊するなら、神はその人を滅ぼすであろう。なぜなら、神の宮は聖なるものであり、そして、あなたがたはその宮なのだからである。 + だれも自分を欺いてはならない。もしあなたがたのうちに、自分がこの世の知者だと思う人がいるなら、その人は知者になるために愚かになるがよい。 + なぜなら、この世の知恵は、神の前では愚かなものだからである。「神は、知者たちをその悪知恵によって捕える」と書いてあり、 + 更にまた、「主は、知者たちの論議のむなしいことをご存じである」と書いてある。 + だから、だれも人間を誇ってはいけない。すべては、あなたがたのものなのである。 + パウロも、アポロも、ケパも、世界も、生も、死も、現在のものも、将来のものも、ことごとく、あなたがたのものである。 + そして、あなたがたはキリストのもの、キリストは神のものである。 + + + このようなわけだから、人はわたしたちを、キリストに仕える者、神の奥義を管理している者と見るがよい。 + この場合、管理者に要求されているのは、忠実であることである。 + わたしはあなたがたにさばかれたり、人間の裁判にかけられたりしても、なんら意に介しない。いや、わたしは自分をさばくこともしない。 + わたしは自ら省みて、なんらやましいことはないが、それで義とされているわけではない。わたしをさばくかたは、主である。 + だから、主がこられるまでは、何事についても、先走りをしてさばいてはいけない。主は暗い中に隠れていることを明るみに出し、心の中で企てられていることを、あらわにされるであろう。その時には、神からそれぞれほまれを受けるであろう。 + 兄弟たちよ。これらのことをわたし自身とアポロとに当てはめて言って聞かせたが、それはあなたがたが、わたしたちを例にとって、「しるされている定めを越えない」ことを学び、ひとりの人をあがめ、ほかの人を見さげて高ぶることのないためである。 + いったい、あなたを偉くしているのは、だれなのか。あなたの持っているもので、もらっていないものがあるか。もしもらっているなら、なぜもらっていないもののように誇るのか。 + あなたがたは、すでに満腹しているのだ。すでに富み栄えているのだ。わたしたちを差しおいて、王になっているのだ。ああ、王になっていてくれたらと思う。そうであったなら、わたしたちも、あなたがたと共に王になれたであろう。 + わたしはこう考える。神はわたしたち使徒を死刑囚のように、最後に出場する者として引き出し、こうしてわたしたちは、全世界に、天使にも人々にも見せ物にされたのだ。 + わたしたちはキリストのゆえに愚かな者となり、あなたがたはキリストにあって賢い者となっている。わたしたちは弱いが、あなたがたは強い。あなたがたは尊ばれ、わたしたちは卑しめられている。 + 今の今まで、わたしたちは飢え、かわき、裸にされ、打たれ、宿なしであり、 + 苦労して自分の手で働いている。はずかしめられては祝福し、迫害されては耐え忍び、 + ののしられては優しい言葉をかけている。わたしたちは今に至るまで、この世のちりのように、人間のくずのようにされている。 + わたしがこのようなことを書くのは、あなたがたをはずかしめるためではなく、むしろ、わたしの愛児としてさとすためである。 + たといあなたがたに、キリストにある養育掛が一万人あったとしても、父が多くあるのではない。キリスト・イエスにあって、福音によりあなたがたを生んだのは、わたしなのである。 + そこで、あなたがたに勧める。わたしにならう者となりなさい。 + このことのために、わたしは主にあって愛する忠実なわたしの子テモテを、あなたがたの所につかわした。彼は、キリスト・イエスにおけるわたしの生活のしかたを、わたしが至る所の教会で教えているとおりに、あなたがたに思い起させてくれるであろう。 + しかしある人々は、わたしがあなたがたの所に来ることはあるまいとみて、高ぶっているということである。 + しかし主のみこころであれば、わたしはすぐにでもあなたがたの所に行って、高ぶっている者たちの言葉ではなく、その力を見せてもらおう。 + 神の国は言葉ではなく、力である。 + あなたがたは、どちらを望むのか。わたしがむちをもって、あなたがたの所に行くことか、それとも、愛と柔和な心とをもって行くことであるか。 + + + 現に聞くところによると、あなたがたの間に不品行な者があり、しかもその不品行は、異邦人の間にもないほどのもので、ある人がその父の妻と一緒に住んでいるということである。 + それだのに、なお、あなたがたは高ぶっている。むしろ、そんな行いをしている者が、あなたがたの中から除かれねばならないことを思って、悲しむべきではないか。 + しかし、わたし自身としては、からだは離れていても、霊では一緒にいて、その場にいる者のように、そんな行いをした者を、すでにさばいてしまっている。 + すなわち、主イエスの名によって、あなたがたもわたしの霊も共に、わたしたちの主イエスの権威のもとに集まって、 + 彼の肉が滅ぼされても、その霊が主のさばきの日に救われるように、彼をサタンに引き渡してしまったのである。 + あなたがたが誇っているのは、よろしくない。あなたがたは、少しのパン種が粉のかたまり全体をふくらませることを、知らないのか。 + 新しい粉のかたまりになるために、古いパン種を取り除きなさい。あなたがたは、事実パン種のない者なのだから。わたしたちの過越の小羊であるキリストは、すでにほふられたのだ。 + ゆえに、わたしたちは、古いパン種や、また悪意と邪悪とのパン種を用いずに、パン種のはいっていない純粋で真実なパンをもって、祭をしようではないか。 + わたしは前の手紙で、不品行な者たちと交際してはいけないと書いたが、 + それは、この世の不品行な者、貪欲な者、略奪をする者、偶像礼拝をする者などと全然交際してはいけないと、言ったのではない。もしそうだとしたら、あなたがたはこの世から出て行かねばならないことになる。 + しかし、わたしが実際に書いたのは、兄弟と呼ばれる人で、不品行な者、貪欲な者、偶像礼拝をする者、人をそしる者、酒に酔う者、略奪をする者があれば、そんな人と交際をしてはいけない、食事を共にしてもいけない、ということであった。 + 外の人たちをさばくのは、わたしのすることであろうか。あなたがたのさばくべき者は、内の人たちではないか。外の人たちは、神がさばくのである。 + その悪人を、あなたがたの中から除いてしまいなさい。 + + + あなたがたの中のひとりが、仲間の者と何か争いを起した場合、それを聖徒に訴えないで、正しくない者に訴え出るようなことをするのか。 + それとも、聖徒は世をさばくものであることを、あなたがたは知らないのか。そして、世があなたがたによってさばかれるべきであるのに、きわめて小さい事件でもさばく力がないのか。 + あなたがたは知らないのか、わたしたちは御使をさえさばく者である。ましてこの世の事件などは、いうまでもないではないか。 + それだのに、この世の事件が起ると、教会で軽んじられている人たちを、裁判の席につかせるのか。 + わたしがこう言うのは、あなたがたをはずかしめるためである。いったい、あなたがたの中には、兄弟の間の争いを仲裁することができるほどの知者は、ひとりもいないのか。 + しかるに、兄弟が兄弟を訴え、しかもそれを不信者の前に持ち出すのか。 + そもそも、互に訴え合うこと自体が、すでにあなたがたの敗北なのだ。なぜ、むしろ不義を受けないのか。なぜ、むしろだまされていないのか。 + しかるに、あなたがたは不義を働き、だまし取り、しかも兄弟に対してそうしているのである。 + それとも、正しくない者が神の国をつぐことはないのを、知らないのか。まちがってはいけない。不品行な者、偶像を礼拝する者、姦淫をする者、男娼となる者、男色をする者、盗む者、 + 貪欲な者、酒に酔う者、そしる者、略奪する者は、いずれも神の国をつぐことはないのである。 + あなたがたの中には、以前はそんな人もいた。しかし、あなたがたは、主イエス・キリストの名によって、またわたしたちの神の霊によって、洗われ、きよめられ、義とされたのである。 + すべてのことは、わたしに許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは、わたしに許されている。しかし、わたしは何ものにも支配されることはない。 + 食物は腹のため、腹は食物のためである。しかし神は、それもこれも滅ぼすであろう。からだは不品行のためではなく、主のためであり、主はからだのためである。 + そして、神は主をよみがえらせたが、その力で、わたしたちをもよみがえらせて下さるであろう。 + あなたがたは自分のからだがキリストの肢体であることを、知らないのか。それだのに、キリストの肢体を取って遊女の肢体としてよいのか。断じていけない。 + それとも、遊女につく者はそれと一つのからだになることを、知らないのか。「ふたりの者は一体となるべきである」とあるからである。 + しかし主につく者は、主と一つの霊になるのである。 + 不品行を避けなさい。人の犯すすべての罪は、からだの外にある。しかし不品行をする者は、自分のからだに対して罪を犯すのである。 + あなたがたは知らないのか。自分のからだは、神から受けて自分の内に宿っている聖霊の宮であって、あなたがたは、もはや自分自身のものではないのである。 + あなたがたは、代価を払って買いとられたのだ。それだから、自分のからだをもって、神の栄光をあらわしなさい。 + + + さて、あなたがたが書いてよこした事について答えると、男子は婦人にふれないがよい。 + しかし、不品行に陥ることのないために、男子はそれぞれ自分の妻を持ち、婦人もそれぞれ自分の夫を持つがよい。 + 夫は妻にその分を果し、妻も同様に夫にその分を果すべきである。 + 妻は自分のからだを自由にすることはできない。それができるのは夫である。夫も同様に自分のからだを自由にすることはできない。それができるのは妻である。 + 互に拒んではいけない。ただし、合意の上で祈に専心するために、しばらく相別れ、それからまた一緒になることは、さしつかえない。そうでないと、自制力のないのに乗じて、サタンがあなたがたを誘惑するかも知れない。 + 以上のことは、譲歩のつもりで言うのであって、命令するのではない。 + わたしとしては、みんなの者がわたし自身のようになってほしい。しかし、ひとりびとり神からそれぞれの賜物をいただいていて、ある人はこうしており、他の人はそうしている。 + 次に、未婚者たちとやもめたちとに言うが、わたしのように、ひとりでおれば、それがいちばんよい。 + しかし、もし自制することができないなら、結婚するがよい。情の燃えるよりは、結婚する方が、よいからである。 + 更に、結婚している者たちに命じる。命じるのは、わたしではなく主であるが、妻は夫から別れてはいけない。 + (しかし、万一別れているなら、結婚しないでいるか、それとも夫と和解するかしなさい)。また夫も妻と離婚してはならない。 + そのほかの人々に言う。これを言うのは、主ではなく、わたしである。ある兄弟に不信者の妻があり、そして共にいることを喜んでいる場合には、離婚してはいけない。 + また、ある婦人の夫が不信者であり、そして共にいることを喜んでいる場合には、離婚してはいけない。 + なぜなら、不信者の夫は妻によってきよめられており、また、不信者の妻も夫によってきよめられているからである。もしそうでなければ、あなたがたの子は汚れていることになるが、実際はきよいではないか。 + しかし、もし不信者の方が離れて行くのなら、離れるままにしておくがよい。兄弟も姉妹も、こうした場合には、束縛されてはいない。神は、あなたがたを平和に暮させるために、召されたのである。 + なぜなら、妻よ、あなたが夫を救いうるかどうか、どうしてわかるか。また、夫よ、あなたも妻を救いうるかどうか、どうしてわかるか。 + ただ、各自は、主から賜わった分に応じ、また神に召されたままの状態にしたがって、歩むべきである。これが、すべての教会に対してわたしの命じるところである。 + 召されたとき割礼を受けていたら、その跡をなくそうとしないがよい。また、召されたとき割礼を受けていなかったら、割礼を受けようとしないがよい。 + 割礼があってもなくても、それは問題ではない。大事なのは、ただ神の戒めを守ることである。 + 各自は、召されたままの状態にとどまっているべきである。 + 召されたとき奴隷であっても、それを気にしないがよい。しかし、もし自由の身になりうるなら、むしろ自由になりなさい。 + 主にあって召された奴隷は、主によって自由人とされた者であり、また、召された自由人はキリストの奴隷なのである。 + あなたがたは、代価を払って買いとられたのだ。人の奴隷となってはいけない。 + 兄弟たちよ。各自は、その召されたままの状態で、神のみまえにいるべきである。 + おとめのことについては、わたしは主の命令を受けてはいないが、主のあわれみにより信任を受けている者として、意見を述べよう。 + わたしはこう考える。現在迫っている危機のゆえに、人は現状にとどまっているがよい。 + もし妻に結ばれているなら、解こうとするな。妻に結ばれていないなら、妻を迎えようとするな。 + しかし、たとい結婚しても、罪を犯すのではない。また、おとめが結婚しても、罪を犯すのではない。ただ、それらの人々はその身に苦難を受けるであろう。わたしは、あなたがたを、それからのがれさせたいのだ。 + 兄弟たちよ。わたしの言うことを聞いてほしい。時は縮まっている。今からは妻のある者はないもののように、 + 泣く者は泣かないもののように、喜ぶ者は喜ばないもののように、買う者は持たないもののように、 + 世と交渉のある者は、それに深入りしないようにすべきである。なぜなら、この世の有様は過ぎ去るからである。 + わたしはあなたがたが、思い煩わないようにしていてほしい。未婚の男子は主のことに心をくばって、どうかして主を喜ばせようとするが、 + 結婚している男子はこの世のことに心をくばって、どうかして妻を喜ばせようとして、その心が分れるのである。 + 未婚の婦人とおとめとは、主のことに心をくばって、身も魂もきよくなろうとするが、結婚した婦人はこの世のことに心をくばって、どうかして夫を喜ばせようとする。 + わたしがこう言うのは、あなたがたの利益になると思うからであって、あなたがたを束縛するためではない。そうではなく、正しい生活を送って、余念なく主に奉仕させたいからである。 + もしある人が、相手のおとめに対して、情熱をいだくようになった場合、それは適当でないと思いつつも、やむを得なければ、望みどおりにしてもよい。それは罪を犯すことではない。ふたりは結婚するがよい。 + しかし、彼が心の内で堅く決心していて、無理をしないで自分の思いを制することができ、その上で、相手のおとめをそのままにしておこうと、心の中で決めたなら、そうしてもよい。 + だから、相手のおとめと結婚することはさしつかえないが、結婚しない方がもっとよい。 + 妻は夫が生きている間は、その夫につながれている。夫が死ねば、望む人と結婚してもさしつかえないが、それは主にある者とに限る。 + しかし、わたしの意見では、そのままでいたなら、もっと幸福である。わたしも神の霊を受けていると思う。 + + + 偶像への供え物について答えると、「わたしたちはみな知識を持っている」ことは、わかっている。しかし、知識は人を誇らせ、愛は人の徳を高める。 + もし人が、自分は何か知っていると思うなら、その人は、知らなければならないほどの事すら、まだ知っていない。 + しかし、人が神を愛するなら、その人は神に知られているのである。 + さて、偶像への供え物を食べることについては、わたしたちは、偶像なるものは実際は世に存在しないこと、また、唯一の神のほかには神がないことを、知っている。 + というのは、たとい神々といわれるものが、あるいは天に、あるいは地にあるとしても、そして、多くの神、多くの主があるようではあるが、 + わたしたちには、父なる唯一の神のみがいますのである。万物はこの神から出て、わたしたちもこの神に帰する。また、唯一の主イエス・キリストのみがいますのである。万物はこの主により、わたしたちもこの主によっている。 + しかし、この知識をすべての人が持っているのではない。ある人々は、偶像についての、これまでの習慣上、偶像への供え物として、それを食べるが、彼らの良心が、弱いために汚されるのである。 + 食物は、わたしたちを神に導くものではない。食べなくても損はないし、食べても益にはならない。 + しかし、あなたがたのこの自由が、弱い者たちのつまずきにならないように、気をつけなさい。 + なぜなら、ある人が、知識のあるあなたが偶像の宮で食事をしているのを見た場合、その人の良心が弱いため、それに「教育されて」、偶像への供え物を食べるようにならないだろうか。 + するとその弱い人は、あなたの知識によって滅びることになる。この弱い兄弟のためにも、キリストは死なれたのである。 + このようにあなたがたが、兄弟たちに対して罪を犯し、その弱い良心を痛めるのは、キリストに対して罪を犯すことなのである。 + だから、もし食物がわたしの兄弟をつまずかせるなら、兄弟をつまずかせないために、わたしは永久に、断じて肉を食べることはしない。 + + + わたしは自由な者ではないか。使徒ではないか。わたしたちの主イエスを見たではないか。あなたがたは、主にあるわたしの働きの実ではないか。 + わたしは、ほかの人に対しては使徒でないとしても、あなたがたには使徒である。あなたがたが主にあることは、わたしの使徒職の印なのである。 + わたしの批判者たちに対する弁明は、これである。 + わたしたちには、飲み食いをする権利がないのか。 + わたしたちには、ほかの使徒たちや主の兄弟たちやケパのように、信者である妻を連れて歩く権利がないのか。 + それとも、わたしとバルナバとだけには、労働をせずにいる権利がないのか。 + いったい、自分で費用を出して軍隊に加わる者があろうか。ぶどう畑を作っていて、その実を食べない者があろうか。また、羊を飼っていて、その乳を飲まない者があろうか。 + わたしは、人間の考えでこう言うのではない。律法もまた、そのように言っているではないか。 + すなわち、モーセの律法に、「穀物をこなしている牛に、くつこをかけてはならない」と書いてある。神は、牛のことを心にかけておられるのだろうか。 + それとも、もっぱら、わたしたちのために言っておられるのか。もちろん、それはわたしたちのためにしるされたのである。すなわち、耕す者は望みをもって耕し、穀物をこなす者は、その分け前をもらう望みをもってこなすのである。 + もしわたしたちが、あなたがたのために霊のものをまいたのなら、肉のものをあなたがたから刈りとるのは、行き過ぎだろうか。 + もしほかの人々が、あなたがたに対するこの権利にあずかっているとすれば、わたしたちはなおさらのことではないか。しかしわたしたちは、この権利を利用せず、かえってキリストの福音の妨げにならないようにと、すべてのことを忍んでいる。 + あなたがたは、宮仕えをしている人たちは宮から下がる物を食べ、祭壇に奉仕している人たちは祭壇の供え物の分け前にあずかることを、知らないのか。 + それと同様に、主は、福音を宣べ伝えている者たちが福音によって生活すべきことを、定められたのである。 + しかしわたしは、これらの権利を一つも利用しなかった。また、自分がそうしてもらいたいから、このように書くのではない。そうされるよりは、死ぬ方がましである。わたしのこの誇は、何者にも奪い去られてはならないのだ。 + わたしが福音を宣べ伝えても、それは誇にはならない。なぜなら、わたしは、そうせずにはおれないからである。もし福音を宣べ伝えないなら、わたしはわざわいである。 + 進んでそれをすれば、報酬を受けるであろう。しかし、進んでしないとしても、それは、わたしにゆだねられた務なのである。 + それでは、その報酬はなんであるか。福音を宣べ伝えるのにそれを無代価で提供し、わたしが宣教者として持つ権利を利用しないことである。 + わたしは、すべての人に対して自由であるが、できるだけ多くの人を得るために、自ら進んですべての人の奴隷になった。 + ユダヤ人には、ユダヤ人のようになった。ユダヤ人を得るためである。律法の下にある人には、わたし自身は律法の下にはないが、律法の下にある者のようになった。律法の下にある人を得るためである。 + 律法のない人には――わたしは神の律法の外にあるのではなく、キリストの律法の中にあるのだが――律法のない人のようになった。律法のない人を得るためである。 + 弱い人には弱い者になった。弱い人を得るためである。すべての人に対しては、すべての人のようになった。なんとかして幾人かを救うためである。 + 福音のために、わたしはどんな事でもする。わたしも共に福音にあずかるためである。 + あなたがたは知らないのか。競技場で走る者は、みな走りはするが、賞を得る者はひとりだけである。あなたがたも、賞を得るように走りなさい。 + しかし、すべて競技をする者は、何ごとにも節制をする。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするが、わたしたちは朽ちない冠を得るためにそうするのである。 + そこで、わたしは目標のはっきりしないような走り方をせず、空を打つような拳闘はしない。 + すなわち、自分のからだを打ちたたいて服従させるのである。そうしないと、ほかの人に宣べ伝えておきながら、自分は失格者になるかも知れない。 + + + 兄弟たちよ。このことを知らずにいてもらいたくない。わたしたちの先祖はみな雲の下におり、みな海を通り、 + みな雲の中、海の中で、モーセにつくバプテスマを受けた。 + また、みな同じ霊の食物を食べ、 + みな同じ霊の飲み物を飲んだ。すなわち、彼らについてきた霊の岩から飲んだのであるが、この岩はキリストにほかならない。 + しかし、彼らの中の大多数は、神のみこころにかなわなかったので、荒野で滅ぼされてしまった。 + これらの出来事は、わたしたちに対する警告であって、彼らが悪をむさぼったように、わたしたちも悪をむさぼることのないためなのである。 + だから、彼らの中のある者たちのように、偶像礼拝者になってはならない。すなわち、「民は座して飲み食いをし、また立って踊り戯れた」と書いてある。 + また、ある者たちがしたように、わたしたちは不品行をしてはならない。不品行をしたため倒された者が、一日に二万三千人もあった。 + また、ある者たちがしたように、わたしたちは主を試みてはならない。主を試みた者は、へびに殺された。 + また、ある者たちがつぶやいたように、つぶやいてはならない。つぶやいた者は、「死の使」に滅ぼされた。 + これらの事が彼らに起ったのは、他に対する警告としてであって、それが書かれたのは、世の終りに臨んでいるわたしたちに対する訓戒のためである。 + だから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけるがよい。 + あなたがたの会った試錬で、世の常でないものはない。神は真実である。あなたがたを耐えられないような試錬に会わせることはないばかりか、試錬と同時に、それに耐えられるように、のがれる道も備えて下さるのである。 + それだから、愛する者たちよ。偶像礼拝を避けなさい。 + 賢明なあなたがたに訴える。わたしの言うことを、自ら判断してみるがよい。 + わたしたちが祝福する祝福の杯、それはキリストの血にあずかることではないか。わたしたちがさくパン、それはキリストのからだにあずかることではないか。 + パンが一つであるから、わたしたちは多くいても、一つのからだなのである。みんなの者が一つのパンを共にいただくからである。 + 肉によるイスラエルを見るがよい。供え物を食べる人たちは、祭壇にあずかるのではないか。 + すると、なんと言ったらよいか。偶像にささげる供え物は、何か意味があるのか。また、偶像は何かほんとうにあるものか。 + そうではない。人々が供える物は、悪霊ども、すなわち、神ならぬ者に供えるのである。わたしは、あなたがたが悪霊の仲間になることを望まない。 + 主の杯と悪霊どもの杯とを、同時に飲むことはできない。主の食卓と悪霊どもの食卓とに、同時にあずかることはできない。 + それとも、わたしたちは主のねたみを起そうとするのか。わたしたちは、主よりも強いのだろうか。 + すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが人の徳を高めるのではない。 + だれでも、自分の益を求めないで、ほかの人の益を求めるべきである。 + すべて市場で売られている物は、いちいち良心に問うことをしないで、食べるがよい。 + 地とそれに満ちている物とは、主のものだからである。 + もしあなたがたが、不信者のだれかに招かれて、そこに行こうと思う場合、自分の前に出される物はなんでも、いちいち良心に問うことをしないで、食べるがよい。 + しかし、だれかがあなたがたに、これはささげ物の肉だと言ったなら、それを知らせてくれた人のために、また良心のために、食べないがよい。 + 良心と言ったのは、自分の良心ではなく、他人の良心のことである。なぜなら、わたしの自由が、どうして他人の良心によって左右されることがあろうか。 + もしわたしが感謝して食べる場合、その感謝する物について、どうして人のそしりを受けるわけがあろうか。 + だから、飲むにも食べるにも、また何事をするにも、すべて神の栄光のためにすべきである。 + ユダヤ人にもギリシヤ人にも神の教会にも、つまずきになってはいけない。 + わたしもまた、何事にもすべての人に喜ばれるように努め、多くの人が救われるために、自分の益ではなく彼らの益を求めている。 + + + わたしがキリストにならう者であるように、あなたがたもわたしにならう者になりなさい。 + あなたがたが、何かにつけわたしを覚えていて、あなたがたに伝えたとおりに言伝えを守っているので、わたしは満足に思う。 + しかし、あなたがたに知っていてもらいたい。すべての男のかしらはキリストであり、女のかしらは男であり、キリストのかしらは神である。 + 祈をしたり預言をしたりする時、かしらに物をかぶる男は、そのかしらをはずかしめる者である。 + 祈をしたり預言をしたりする時、かしらにおおいをかけない女は、そのかしらをはずかしめる者である。それは、髪をそったのとまったく同じだからである。 + もし女がおおいをかけないなら、髪を切ってしまうがよい。髪を切ったりそったりするのが、女にとって恥ずべきことであるなら、おおいをかけるべきである。 + 男は、神のかたちであり栄光であるから、かしらに物をかぶるべきではない。女は、また男の光栄である。 + なぜなら、男が女から出たのではなく、女が男から出たのだからである。 + また、男は女のために造られたのではなく、女が男のために造られたのである。 + それだから、女は、かしらに権威のしるしをかぶるべきである。それは天使たちのためでもある。 + ただ、主にあっては、男なしには女はないし、女なしには男はない。 + それは、女が男から出たように、男もまた女から生れたからである。そして、すべてのものは神から出たのである。 + あなたがた自身で判断してみるがよい。女がおおいをかけずに神に祈るのは、ふさわしいことだろうか。 + 自然そのものが教えているではないか。男に長い髪があれば彼の恥になり、 + 女に長い髪があれば彼女の光栄になるのである。長い髪はおおいの代りに女に与えられているものだからである。 + しかし、だれかがそれに反対の意見を持っていても、そんな風習はわたしたちにはなく、神の諸教会にもない。 + ところで、次のことを命じるについては、あなたがたをほめるわけにはいかない。というのは、あなたがたの集まりが利益にならないで、かえって損失になっているからである。 + まず、あなたがたが教会に集まる時、お互の間に分争があることを、わたしは耳にしており、そしていくぶんか、それを信じている。 + たしかに、あなたがたの中でほんとうの者が明らかにされるためには、分派もなければなるまい。 + そこで、あなたがたが一緒に集まるとき、主の晩餐を守ることができないでいる。 + というのは、食事の際、各自が自分の晩餐をかってに先に食べるので、飢えている人があるかと思えば、酔っている人がある始末である。 + あなたがたには、飲み食いをする家がないのか。それとも、神の教会を軽んじ、貧しい人々をはずかしめるのか。わたしはあなたがたに対して、なんと言おうか。あなたがたを、ほめようか。この事では、ほめるわけにはいかない。 + わたしは、主から受けたことを、また、あなたがたに伝えたのである。すなわち、主イエスは、渡される夜、パンをとり、 + 感謝してこれをさき、そして言われた、「これはあなたがたのための、わたしのからだである。わたしを記念するため、このように行いなさい」。 + 食事ののち、杯をも同じようにして言われた、「この杯は、わたしの血による新しい契約である。飲むたびに、わたしの記念として、このように行いなさい」。 + だから、あなたがたは、このパンを食し、この杯を飲むごとに、それによって、主がこられる時に至るまで、主の死を告げ知らせるのである。 + だから、ふさわしくないままでパンを食し主の杯を飲む者は、主のからだと血とを犯すのである。 + だれでもまず自分を吟味し、それからパンを食べ杯を飲むべきである。 + 主のからだをわきまえないで飲み食いする者は、その飲み食いによって自分にさばきを招くからである。 + あなたがたの中に、弱い者や病人が大ぜいおり、また眠った者も少なくないのは、そのためである。 + しかし、自分をよくわきまえておくならば、わたしたちはさばかれることはないであろう。 + しかし、さばかれるとすれば、それは、この世と共に罪に定められないために、主の懲らしめを受けることなのである。 + それだから、兄弟たちよ。食事のために集まる時には、互に待ち合わせなさい。 + もし空腹であったら、さばきを受けに集まることにならないため、家で食べるがよい。そのほかの事は、わたしが行った時に、定めることにしよう。 + + + 兄弟たちよ。霊の賜物については、次のことを知らずにいてもらいたくない。 + あなたがたがまだ異邦人であった時、誘われるまま、物の言えない偶像のところに引かれて行ったことは、あなたがたの承知しているとおりである。 + そこで、あなたがたに言っておくが、神の霊によって語る者はだれも「イエスはのろわれよ」とは言わないし、また、聖霊によらなければ、だれも「イエスは主である」と言うことができない。 + 霊の賜物は種々あるが、御霊は同じである。 + 務は種々あるが、主は同じである。 + 働きは種々あるが、すべてのものの中に働いてすべてのことをなさる神は、同じである。 + 各自が御霊の現れを賜わっているのは、全体の益になるためである。 + すなわち、ある人には御霊によって知恵の言葉が与えられ、ほかの人には、同じ御霊によって知識の言、 + またほかの人には、同じ御霊によって信仰、またほかの人には、一つの御霊によっていやしの賜物、 + またほかの人には力あるわざ、またほかの人には預言、またほかの人には霊を見わける力、またほかの人には種々の異言、またほかの人には異言を解く力が、与えられている。 + すべてこれらのものは、一つの同じ御霊の働きであって、御霊は思いのままに、それらを各自に分け与えられるのである。 + からだが一つであっても肢体は多くあり、また、からだのすべての肢体が多くあっても、からだは一つであるように、キリストの場合も同様である。 + なぜなら、わたしたちは皆、ユダヤ人もギリシヤ人も、奴隷も自由人も、一つの御霊によって、一つのからだとなるようにバプテスマを受け、そして皆一つの御霊を飲んだからである。 + 実際、からだは一つの肢体だけではなく、多くのものからできている。 + もし足が、わたしは手ではないから、からだに属していないと言っても、それで、からだに属さないわけではない。 + また、もし耳が、わたしは目ではないから、からだに属していないと言っても、それで、からだに属さないわけではない。 + もしからだ全体が目だとすれば、どこで聞くのか。もし、からだ全体が耳だとすれば、どこでかぐのか。 + そこで神は御旨のままに、肢体をそれぞれ、からだに備えられたのである。 + もし、すべてのものが一つの肢体なら、どこにからだがあるのか。 + ところが実際、肢体は多くあるが、からだは一つなのである。 + 目は手にむかって、「おまえはいらない」とは言えず、また頭は足にむかって、「おまえはいらない」とも言えない。 + そうではなく、むしろ、からだのうちで他よりも弱く見える肢体が、かえって必要なのであり、 + からだのうちで、他よりも見劣りがすると思えるところに、ものを着せていっそう見よくする。麗しくない部分はいっそう麗しくするが、 + 麗しい部分はそうする必要がない。神は劣っている部分をいっそう見よくして、からだに調和をお与えになったのである。 + それは、からだの中に分裂がなく、それぞれの肢体が互にいたわり合うためなのである。 + もし一つの肢体が悩めば、ほかの肢体もみな共に悩み、一つの肢体が尊ばれると、ほかの肢体もみな共に喜ぶ。 + あなたがたはキリストのからだであり、ひとりびとりはその肢体である。 + そして、神は教会の中で、人々を立てて、第一に使徒、第二に預言者、第三に教師とし、次に力あるわざを行う者、次にいやしの賜物を持つ者、また補助者、管理者、種々の異言を語る者をおかれた。 + みんなが使徒だろうか。みんなが預言者だろうか。みんなが教師だろうか。みんなが力あるわざを行う者だろうか。 + みんながいやしの賜物を持っているのだろうか。みんなが異言を語るのだろうか。みんなが異言を解くのだろうか。 + だが、あなたがたは、更に大いなる賜物を得ようと熱心に努めなさい。そこで、わたしは最もすぐれた道をあなたがたに示そう。 + + + たといわたしが、人々の言葉や御使たちの言葉を語っても、もし愛がなければ、わたしは、やかましい鐘や騒がしい鐃鉢と同じである。 + たといまた、わたしに預言をする力があり、あらゆる奥義とあらゆる知識とに通じていても、また、山を移すほどの強い信仰があっても、もし愛がなければ、わたしは無に等しい。 + たといまた、わたしが自分の全財産を人に施しても、また、自分のからだを焼かれるために渡しても、もし愛がなければ、いっさいは無益である。 + 愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。愛は高ぶらない、誇らない、 + 不作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。 + 不義を喜ばないで真理を喜ぶ。 + そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。 + 愛はいつまでも絶えることがない。しかし、預言はすたれ、異言はやみ、知識はすたれるであろう。 + なぜなら、わたしたちの知るところは一部分であり、預言するところも一部分にすぎない。 + 全きものが来る時には、部分的なものはすたれる。 + わたしたちが幼な子であった時には、幼な子らしく語り、幼な子らしく感じ、また、幼な子らしく考えていた。しかし、おとなとなった今は、幼な子らしいことを捨ててしまった。 + わたしたちは、今は、鏡に映して見るようにおぼろげに見ている。しかしその時には、顔と顔とを合わせて、見るであろう。わたしの知るところは、今は一部分にすぎない。しかしその時には、わたしが完全に知られているように、完全に知るであろう。 + このように、いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。このうちで最も大いなるものは、愛である。 + + + 愛を追い求めなさい。また、霊の賜物を、ことに預言することを、熱心に求めなさい。 + 異言を語る者は、人にむかって語るのではなく、神にむかって語るのである。それはだれにもわからない。彼はただ、霊によって奥義を語っているだけである。 + しかし預言をする者は、人に語ってその徳を高め、彼を励まし、慰めるのである。 + 異言を語る者は自分だけの徳を高めるが、預言をする者は教会の徳を高める。 + わたしは実際、あなたがたがひとり残らず異言を語ることを望むが、特に預言をしてもらいたい。教会の徳を高めるように異言を解かない限り、異言を語る者よりも、預言をする者の方がまさっている。 + だから、兄弟たちよ。たといわたしがあなたがたの所に行って異言を語るとしても、啓示か知識か預言か教かを語らなければ、あなたがたに、なんの役に立つだろうか。 + また、笛や立琴のような楽器でも、もしその音に変化がなければ、何を吹いているのか、弾いているのか、どうして知ることができようか。 + また、もしラッパがはっきりした音を出さないなら、だれが戦闘の準備をするだろうか。 + それと同様に、もしあなたがたが異言ではっきりしない言葉を語れば、どうしてその語ることがわかるだろうか。それでは、空にむかって語っていることになる。 + 世には多種多様の言葉があるだろうが、意味のないものは一つもない。 + もしその言葉の意味がわからないなら、語っている人にとっては、わたしは異国人であり、語っている人も、わたしにとっては異国人である。 + だから、あなたがたも、霊の賜物を熱心に求めている以上は、教会の徳を高めるために、それを豊かにいただくように励むがよい。 + このようなわけであるから、異言を語る者は、自分でそれを解くことができるように祈りなさい。 + もしわたしが異言をもって祈るなら、わたしの霊は祈るが、知性は実を結ばないからである。 + すると、どうしたらよいのか。わたしは霊で祈ると共に、知性でも祈ろう。霊でさんびを歌うと共に、知性でも歌おう。 + そうでないと、もしあなたが霊で祝福の言葉を唱えても、初心者の席にいる者は、あなたの感謝に対して、どうしてアァメンと言えようか。あなたが何を言っているのか、彼には通じない。 + 感謝するのは結構だが、それで、ほかの人の徳を高めることにはならない。 + わたしは、あなたがたのうちのだれよりも多く異言が語れることを、神に感謝する。 + しかし教会では、一万の言葉を異言で語るよりも、ほかの人たちをも教えるために、むしろ五つの言葉を知性によって語る方が願わしい。 + 兄弟たちよ。物の考えかたでは、子供となってはいけない。悪事については幼な子となるのはよいが、考えかたでは、おとなとなりなさい。 + 律法にこう書いてある、「わたしは、異国の舌と異国のくちびるとで、この民に語るが、それでも、彼らはわたしに耳を傾けない、と主が仰せになる」。 + このように、異言は信者のためではなく未信者のためのしるしであるが、預言は未信者のためではなく信者のためのしるしである。 + もし全教会が一緒に集まって、全員が異言を語っているところに、初心者か不信者かがはいってきたら、彼らはあなたがたを気違いだと言うだろう。 + しかし、全員が預言をしているところに、不信者か初心者がはいってきたら、彼の良心はみんなの者に責められ、みんなの者にさばかれ、 + その心の秘密があばかれ、その結果、ひれ伏して神を拝み、「まことに、神があなたがたのうちにいます」と告白するに至るであろう。 + すると、兄弟たちよ。どうしたらよいのか。あなたがたが一緒に集まる時、各自はさんびを歌い、教をなし、啓示を告げ、異言を語り、それを解くのであるが、すべては徳を高めるためにすべきである。 + もし異言を語る者があれば、ふたりか、多くて三人の者が、順々に語り、そして、ひとりがそれを解くべきである。 + もし解く者がいない時には、教会では黙っていて、自分に対しまた神に対して語っているべきである。 + 預言をする者の場合にも、ふたりか三人かが語り、ほかの者はそれを吟味すべきである。 + しかし、席にいる他の者が啓示を受けた場合には、初めの者は黙るがよい。 + あなたがたは、みんなが学びみんなが勧めを受けるために、ひとりずつ残らず預言をすることができるのだから。 + かつ、預言者の霊は預言者に服従するものである。 + 神は無秩序の神ではなく、平和の神である。聖徒たちのすべての教会で行われているように、 + 婦人たちは教会では黙っていなければならない。彼らは語ることが許されていない。だから、律法も命じているように、服従すべきである。 + もし何か学びたいことがあれば、家で自分の夫に尋ねるがよい。教会で語るのは、婦人にとっては恥ずべきことである。 + それとも、神の言はあなたがたのところから出たのか。あるいは、あなたがただけにきたのか。 + もしある人が、自分は預言者か霊の人であると思っているなら、わたしがあなたがたに書いていることは、主の命令だと認めるべきである。 + もしそれを無視する者があれば、その人もまた無視される。 + わたしの兄弟たちよ。このようなわけだから、預言することを熱心に求めなさい。また、異言を語ることを妨げてはならない。 + しかし、すべてのことを適宜に、かつ秩序を正して行うがよい。 + + + 兄弟たちよ。わたしが以前あなたがたに伝えた福音、あなたがたが受けいれ、それによって立ってきたあの福音を、思い起してもらいたい。 + もしあなたがたが、いたずらに信じないで、わたしの宣べ伝えたとおりの言葉を固く守っておれば、この福音によって救われるのである。 + わたしが最も大事なこととしてあなたがたに伝えたのは、わたし自身も受けたことであった。すなわちキリストが、聖書に書いてあるとおり、わたしたちの罪のために死んだこと、 + そして葬られたこと、聖書に書いてあるとおり、三日目によみがえったこと、 + ケパに現れ、次に、十二人に現れたことである。 + そののち、五百人以上の兄弟たちに、同時に現れた。その中にはすでに眠った者たちもいるが、大多数はいまなお生存している。 + そののち、ヤコブに現れ、次に、すべての使徒たちに現れ、 + そして最後に、いわば、月足らずに生れたようなわたしにも、現れたのである。 + 実際わたしは、神の教会を迫害したのであるから、使徒たちの中でいちばん小さい者であって、使徒と呼ばれる値うちのない者である。 + しかし、神の恵みによって、わたしは今日あるを得ているのである。そして、わたしに賜わった神の恵みはむだにならず、むしろ、わたしは彼らの中のだれよりも多く働いてきた。しかしそれは、わたし自身ではなく、わたしと共にあった神の恵みである。 + とにかく、わたしにせよ彼らにせよ、そのように、わたしたちは宣べ伝えており、そのように、あなたがたは信じたのである。 + さて、キリストは死人の中からよみがえったのだと宣べ伝えられているのに、あなたがたの中のある者が、死人の復活などはないと言っているのは、どうしたことか。 + もし死人の復活がないならば、キリストもよみがえらなかったであろう。 + もしキリストがよみがえらなかったとしたら、わたしたちの宣教はむなしく、あなたがたの信仰もまたむなしい。 + すると、わたしたちは神にそむく偽証人にさえなるわけだ。なぜなら、万一死人がよみがえらないとしたら、わたしたちは神が実際よみがえらせなかったはずのキリストを、よみがえらせたと言って、神に反するあかしを立てたことになるからである。 + もし死人がよみがえらないなら、キリストもよみがえらなかったであろう。 + もしキリストがよみがえらなかったとすれば、あなたがたの信仰は空虚なものとなり、あなたがたは、いまなお罪の中にいることになろう。 + そうだとすると、キリストにあって眠った者たちは、滅んでしまったのである。 + もしわたしたちが、この世の生活でキリストにあって単なる望みをいだいているだけだとすれば、わたしたちは、すべての人の中で最もあわれむべき存在となる。 + しかし事実、キリストは眠っている者の初穂として、死人の中からよみがえったのである。 + それは、死がひとりの人によってきたのだから、死人の復活もまた、ひとりの人によってこなければならない。 + アダムにあってすべての人が死んでいるのと同じように、キリストにあってすべての人が生かされるのである。 + ただ、各自はそれぞれの順序に従わねばならない。最初はキリスト、次に、主の来臨に際してキリストに属する者たち、 + それから終末となって、その時に、キリストはすべての君たち、すべての権威と権力とを打ち滅ぼして、国を父なる神に渡されるのである。 + なぜなら、キリストはあらゆる敵をその足もとに置く時までは、支配を続けることになっているからである。 + 最後の敵として滅ぼされるのが、死である。 + 「神は万物を彼の足もとに従わせた」からである。ところが、万物を従わせたと言われる時、万物を従わせたかたがそれに含まれていないことは、明らかである。 + そして、万物が神に従う時には、御子自身もまた、万物を従わせたそのかたに従うであろう。それは、神がすべての者にあって、すべてとなられるためである。 + そうでないとすれば、死者のためにバプテスマを受ける人々は、なぜそれをするのだろうか。もし死者が全くよみがえらないとすれば、なぜ人々が死者のためにバプテスマを受けるのか。 + また、なんのために、わたしたちはいつも危険を冒しているのか。 + 兄弟たちよ。わたしたちの主キリスト・イエスにあって、わたしがあなたがたにつき持っている誇にかけて言うが、わたしは日々死んでいるのである。 + もし、わたしが人間の考えによってエペソで獣と戦ったとすれば、それはなんの役に立つのか。もし死人がよみがえらないのなら、「わたしたちは飲み食いしようではないか。あすもわからぬいのちなのだ」。 + まちがってはいけない。「悪い交わりは、良いならわしをそこなう」。 + 目ざめて身を正し、罪を犯さないようにしなさい。あなたがたのうちには、神について無知な人々がいる。あなたがたをはずかしめるために、わたしはこう言うのだ。 + しかし、ある人は言うだろう。「どんなふうにして、死人がよみがえるのか。どんなからだをして来るのか」。 + おろかな人である。あなたのまくものは、死ななければ、生かされないではないか。 + また、あなたのまくのは、やがて成るべきからだをまくのではない。麦であっても、ほかの種であっても、ただの種粒にすぎない。 + ところが、神はみこころのままに、これにからだを与え、その一つ一つの種にそれぞれのからだをお与えになる。 + すべての肉が、同じ肉なのではない。人の肉があり、獣の肉があり、鳥の肉があり、魚の肉がある。 + 天に属するからだもあれば、地に属するからだもある。天に属するものの栄光は、地に属するものの栄光と違っている。 + 日の栄光があり、月の栄光があり、星の栄光がある。また、この星とあの星との間に、栄光の差がある。 + 死人の復活も、また同様である。朽ちるものでまかれ、朽ちないものによみがえり、 + 卑しいものでまかれ、栄光あるものによみがえり、弱いものでまかれ、強いものによみがえり、 + 肉のからだでまかれ、霊のからだによみがえるのである。肉のからだがあるのだから、霊のからだもあるわけである。 + 聖書に「最初の人アダムは生きたものとなった」と書いてあるとおりである。しかし最後のアダムは命を与える霊となった。 + 最初にあったのは、霊のものではなく肉のものであって、その後に霊のものが来るのである。 + 第一の人は地から出て土に属し、第二の人は天から来る。 + この土に属する人に、土に属している人々は等しく、この天に属する人に、天に属している人々は等しいのである。 + すなわち、わたしたちは、土に属している形をとっているのと同様に、また天に属している形をとるであろう。 + 兄弟たちよ。わたしはこの事を言っておく。肉と血とは神の国を継ぐことができないし、朽ちるものは朽ちないものを継ぐことがない。 + ここで、あなたがたに奥義を告げよう。わたしたちすべては、眠り続けるのではない。終りのラッパの響きと共に、またたく間に、一瞬にして変えられる。 + というのは、ラッパが響いて、死人は朽ちない者によみがえらされ、わたしたちは変えられるのである。 + なぜなら、この朽ちるものは必ず朽ちないものを着、この死ぬものは必ず死なないものを着ることになるからである。 + この朽ちるものが朽ちないものを着、この死ぬものが死なないものを着るとき、聖書に書いてある言葉が成就するのである。 + 「死は勝利にのまれてしまった。死よ、おまえの勝利は、どこにあるのか。死よ、おまえのとげは、どこにあるのか」。 + 死のとげは罪である。罪の力は律法である。 + しかし感謝すべきことには、神はわたしたちの主イエス・キリストによって、わたしたちに勝利を賜わったのである。 + だから、愛する兄弟たちよ。堅く立って動かされず、いつも全力を注いで主のわざに励みなさい。主にあっては、あなたがたの労苦がむだになることはないと、あなたがたは知っているからである。 + + + 聖徒たちへの献金については、わたしはガラテヤの諸教会に命じておいたが、あなたがたもそのとおりにしなさい。 + 一週の初めの日ごとに、あなたがたはそれぞれ、いくらでも収入に応じて手もとにたくわえておき、わたしが着いた時になって初めて集めることのないようにしなさい。 + わたしが到着したら、あなたがたが選んだ人々に手紙をつけ、あなたがたの贈り物を持たせて、エルサレムに送り出すことにしよう。 + もしわたしも行く方がよければ、一緒に行くことになろう。 + わたしは、マケドニヤを通過してから、あなたがたのところに行くことになろう。マケドニヤは通過するだけだが、 + あなたがたの所では、たぶん滞在するようになり、あるいは冬を過ごすかも知れない。そうなれば、わたしがどこへゆくにしても、あなたがたに送ってもらえるだろう。 + わたしは今、あなたがたに旅のついでに会うことは好まない。もし主のお許しがあれば、しばらくあなたがたの所に滞在したいと望んでいる。 + しかし五旬節までは、エペソに滞在するつもりだ。というのは、有力な働きの門がわたしのために大きく開かれているし、 + また敵対する者も多いからである。 + もしテモテが着いたら、あなたがたの所で不安なしに過ごせるようにしてあげてほしい。彼はわたしと同様に、主のご用にあたっているのだから。 + だれも彼を軽んじてはいけない。そして、わたしの所に来るように、どうか彼を安らかに送り出してほしい。わたしは彼が兄弟たちと一緒に来るのを待っている。 + 兄弟アポロについては、兄弟たちと一緒にあなたがたの所に行くように、たびたび勧めてみた。しかし彼には、今行く意志は、全くない。適当な機会があれば、行くだろう。 + 目をさましていなさい。信仰に立ちなさい。男らしく、強くあってほしい。 + いっさいのことを、愛をもって行いなさい。 + 兄弟たちよ。あなたがたに勧める。あなたがたが知っているように、ステパナの家はアカヤの初穂であって、彼らは身をもって聖徒に奉仕してくれた。 + どうか、このような人々と、またすべて彼らと共に働き共に労する人々とに、従ってほしい。 + わたしは、ステパナとポルトナトとアカイコとがきてくれたのを喜んでいる。彼らはあなたがたの足りない所を満たし、 + わたしの心とあなたがたの心とを、安らかにしてくれた。こうした人々は、重んじなければならない。 + アジヤの諸教会から、あなたがたによろしく。アクラとプリスカとその家の教会から、主にあって心からよろしく。 + すべての兄弟たちから、よろしく。あなたがたも互に、きよい接吻をもってあいさつをかわしなさい。 + ここでパウロが、手ずからあいさつをしるす。 + もし主を愛さない者があれば、のろわれよ。マラナ・タ(われらの主よ、きたりませ)。 + 主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。 + わたしの愛が、キリスト・イエスにあって、あなたがた一同と共にあるように。 + +
+
+ + 神の御旨によりキリスト・イエスの使徒となったパウロと、兄弟テモテとから、コリントにある神の教会、ならびにアカヤ全土にいるすべての聖徒たちへ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神、あわれみ深き父、慰めに満ちたる神。 + 神は、いかなる患難の中にいる時でもわたしたちを慰めて下さり、また、わたしたち自身も、神に慰めていただくその慰めをもって、あらゆる患難の中にある人々を慰めることができるようにして下さるのである。 + それは、キリストの苦難がわたしたちに満ちあふれているように、わたしたちの受ける慰めもまた、キリストによって満ちあふれているからである。 + わたしたちが患難に会うなら、それはあなたがたの慰めと救とのためであり、慰めを受けるなら、それはあなたがたの慰めのためであって、その慰めは、わたしたちが受けているのと同じ苦難に耐えさせる力となるのである。 + だから、あなたがたに対していだいているわたしたちの望みは、動くことがない。あなたがたが、わたしたちと共に苦難にあずかっているように、慰めにも共にあずかっていることを知っているからである。 + 兄弟たちよ。わたしたちがアジヤで会った患難を、知らずにいてもらいたくない。わたしたちは極度に、耐えられないほど圧迫されて、生きる望みをさえ失ってしまい、 + 心のうちで死を覚悟し、自分自身を頼みとしないで、死人をよみがえらせて下さる神を頼みとするに至った。 + 神はこのような死の危険から、わたしたちを救い出して下さった、また救い出して下さるであろう。わたしたちは、神が今後も救い出して下さることを望んでいる。 + そして、あなたがたもまた祈をもって、ともどもに、わたしたちを助けてくれるであろう。これは多くの人々の願いによりわたしたちに賜わった恵みについて、多くの人が感謝をささげるようになるためである。 + さて、わたしたちがこの世で、ことにあなたがたに対し、人間の知恵によってではなく神の恵みによって、神の神聖と真実とによって行動してきたことは、実にわたしたちの誇であって、良心のあかしするところである。 + わたしたちが書いていることは、あなたがたが読んで理解できないことではない。それを完全に理解してくれるように、わたしは希望する。 + すでにある程度わたしたちを理解してくれているとおり、わたしたちの主イエスの日には、あなたがたがわたしたちの誇であるように、わたしたちもあなたがたの誇なのである。 + この確信をもって、わたしたちはもう一度恵みを得させたいので、まずあなたがたの所に行き、 + それからそちらを通ってマケドニヤにおもむき、そして再びマケドニヤからあなたがたの所に帰り、あなたがたの見送りを受けてユダヤに行く計画を立てたのである。 + この計画を立てたのは、軽率なことであったであろうか。それとも、自分の計画を肉の思いによって計画したため、わたしの「しかり、しかり」が同時に「否、否」であったのだろうか。 + 神の真実にかけて言うが、あなたがたに対するわたしの言葉は、「しかり」と同時に「否」というようなものではない。 + なぜなら、わたしたち、すなわち、わたしとシルワノとテモテとが、あなたがたに宣べ伝えた神の子キリスト・イエスは、「しかり」となると同時に「否」となったのではない。そうではなく、「しかり」がイエスにおいて実現されたのである。 + なぜなら、神の約束はことごとく、彼において「しかり」となったからである。だから、わたしたちは、彼によって「アァメン」と唱えて、神に栄光を帰するのである。 + あなたがたと共にわたしたちを、キリストのうちに堅くささえ、油をそそいで下さったのは、神である。 + 神はまた、わたしたちに証印をおし、その保証として、わたしたちの心に御霊を賜わったのである。 + わたしは自分の魂をかけ、神を証人に呼び求めて言うが、わたしがコリントに行かないでいるのは、あなたがたに対して寛大でありたいためである。 + わたしたちは、あなたがたの信仰を支配する者ではなく、あなたがたの喜びのために共に働いている者にすぎない。あなたがたは、信仰に堅く立っているからである。 + + + そこでわたしは、あなたがたの所に再び悲しみをもって行くことはすまいと、決心したのである。 + もしあなたがたを悲しませるとすれば、わたしが悲しませているその人以外に、だれがわたしを喜ばせてくれるのか。 + このような事を書いたのは、わたしが行く時、わたしを喜ばせてくれるはずの人々から、悲しい思いをさせられたくないためである。わたし自身の喜びはあなたがた全体の喜びであることを、あなたがたすべてについて確信しているからである。 + わたしは大きな患難と心の憂いの中から、多くの涙をもってあなたがたに書きおくった。それは、あなたがたを悲しませるためではなく、あなたがたに対してあふれるばかりにいだいているわたしの愛を、知ってもらうためであった。 + しかし、もしだれかが人を悲しませたとすれば、それはわたしを悲しませたのではなく、控え目に言うが、ある程度、あなたがた一同を悲しませたのである。 + その人にとっては、多数の者から受けたあの処罰でもう十分なのだから、 + あなたがたはむしろ彼をゆるし、また慰めてやるべきである。そうしないと、その人はますます深い悲しみに沈むかも知れない。 + そこでわたしは、彼に対して愛を示すように、あなたがたに勧める。 + わたしが書きおくったのも、あなたがたがすべての事について従順であるかどうかを、ためすためにほかならなかった。 + もしあなたがたが、何かのことについて人をゆるすなら、わたしもまたゆるそう。そして、もしわたしが何かのことでゆるしたとすれば、それは、あなたがたのためにキリストのみまえでゆるしたのである。 + そうするのは、サタンに欺かれることのないためである。わたしたちは、彼の策略を知らないわけではない。 + さて、キリストの福音のためにトロアスに行ったとき、わたしのために主の門が開かれたにもかかわらず、 + 兄弟テトスに会えなかったので、わたしは気が気でなく、人々に別れて、マケドニヤに出かけて行った。 + しかるに、神は感謝すべきかな。神はいつもわたしたちをキリストの凱旋に伴い行き、わたしたちをとおしてキリストを知る知識のかおりを、至る所に放って下さるのである。 + わたしたちは、救われる者にとっても滅びる者にとっても、神に対するキリストのかおりである。 + 後者にとっては、死から死に至らせるかおりであり、前者にとっては、いのちからいのちに至らせるかおりである。いったい、このような任務に、だれが耐え得ようか。 + しかし、わたしたちは、多くの人のように神の言を売物にせず、真心をこめて、神につかわされた者として神のみまえで、キリストにあって語るのである。 + + + わたしたちは、またもや、自己推薦をし始めているのだろうか。それとも、ある人々のように、あなたがたにあてた、あるいは、あなたがたからの推薦状が必要なのだろうか。 + わたしたちの推薦状は、あなたがたなのである。それは、わたしたちの心にしるされていて、すべての人に知られ、かつ読まれている。 + そして、あなたがたは自分自身が、わたしたちから送られたキリストの手紙であって、墨によらず生ける神の霊によって書かれ、石の板にではなく人の心の板に書かれたものであることを、はっきりとあらわしている。 + こうした確信を、わたしたちはキリストにより神に対していだいている。 + もちろん、自分自身で事を定める力が自分にある、と言うのではない。わたしたちのこうした力は、神からきている。 + 神はわたしたちに力を与えて、新しい契約に仕える者とされたのである。それは、文字に仕える者ではなく、霊に仕える者である。文字は人を殺し、霊は人を生かす。 + もし石に彫りつけた文字による死の務が栄光のうちに行われ、そのためイスラエルの子らは、モーセの顔の消え去るべき栄光のゆえに、その顔を見つめることができなかったとすれば、 + まして霊の務は、はるかに栄光あるものではなかろうか。 + もし罪を宣告する務が栄光あるものだとすれば、義を宣告する務は、はるかに栄光に満ちたものである。 + そして、すでに栄光を受けたものも、この場合、はるかにまさった栄光のまえに、その栄光を失ったのである。 + もし消え去るべきものが栄光をもって現れたのなら、まして永存すべきものは、もっと栄光のあるべきものである。 + こうした望みをいだいているので、わたしたちは思いきって大胆に語り、 + そしてモーセが、消え去っていくものの最後をイスラエルの子らに見られまいとして、顔におおいをかけたようなことはしない。 + 実際、彼らの思いは鈍くなっていた。今日に至るまで、彼らが古い契約を朗読する場合、その同じおおいが取り去られないままで残っている。それは、キリストにあってはじめて取り除かれるのである。 + 今日に至るもなお、モーセの書が朗読されるたびに、おおいが彼らの心にかかっている。 + しかし主に向く時には、そのおおいは取り除かれる。 + 主は霊である。そして、主の霊のあるところには、自由がある。 + わたしたちはみな、顔おおいなしに、主の栄光を鏡に映すように見つつ、栄光から栄光へと、主と同じ姿に変えられていく。これは霊なる主の働きによるのである。 + + + このようにわたしたちは、あわれみを受けてこの務についているのだから、落胆せずに、 + 恥ずべき隠れたことを捨て去り、悪巧みによって歩かず、神の言を曲げず、真理を明らかにし、神のみまえに、すべての人の良心に自分を推薦するのである。 + もしわたしたちの福音がおおわれているなら、滅びる者どもにとっておおわれているのである。 + 彼らの場合、この世の神が不信の者たちの思いをくらませて、神のかたちであるキリストの栄光の福音の輝きを、見えなくしているのである。 + しかし、わたしたちは自分自身を宣べ伝えるのではなく、主なるキリスト・イエスを宣べ伝える。わたしたち自身は、ただイエスのために働くあなたがたの僕にすぎない。 + 「やみの中から光が照りいでよ」と仰せになった神は、キリストの顔に輝く神の栄光の知識を明らかにするために、わたしたちの心を照して下さったのである。 + しかしわたしたちは、この宝を土の器の中に持っている。その測り知れない力は神のものであって、わたしたちから出たものでないことが、あらわれるためである。 + わたしたちは、四方から患難を受けても窮しない。途方にくれても行き詰まらない。 + 迫害に会っても見捨てられない。倒されても滅びない。 + いつもイエスの死をこの身に負うている。それはまた、イエスのいのちが、この身に現れるためである。 + わたしたち生きている者は、イエスのために絶えず死に渡されているのである。それはイエスのいのちが、わたしたちの死ぬべき肉体に現れるためである。 + こうして、死はわたしたちのうちに働き、いのちはあなたがたのうちに働くのである。 + 「わたしは信じた。それゆえに語った」としるしてあるとおり、それと同じ信仰の霊を持っているので、わたしたちも信じている。それゆえに語るのである。 + それは、主イエスをよみがえらせたかたが、わたしたちをもイエスと共によみがえらせ、そして、あなたがたと共にみまえに立たせて下さることを、知っているからである。 + すべてのことは、あなたがたの益であって、恵みがますます多くの人に増し加わるにつれ、感謝が満ちあふれて、神の栄光となるのである。 + だから、わたしたちは落胆しない。たといわたしたちの外なる人は滅びても、内なる人は日ごとに新しくされていく。 + なぜなら、このしばらくの軽い患難は働いて、永遠の重い栄光を、あふれるばかりにわたしたちに得させるからである。 + わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えないものは永遠につづくのである。 + + + わたしたちの住んでいる地上の幕屋がこわれると、神からいただく建物、すなわち天にある、人の手によらない永遠の家が備えてあることを、わたしたちは知っている。 + そして、天から賜わるそのすみかを、上に着ようと切に望みながら、この幕屋の中で苦しみもだえている。 + それを着たなら、裸のままではいないことになろう。 + この幕屋の中にいるわたしたちは、重荷を負って苦しみもだえている。それを脱ごうと願うからではなく、その上に着ようと願うからであり、それによって、死ぬべきものがいのちにのまれてしまうためである。 + わたしたちを、この事にかなう者にして下さったのは、神である。そして、神はその保証として御霊をわたしたちに賜わったのである。 + だから、わたしたちはいつも心強い。そして、肉体を宿としている間は主から離れていることを、よく知っている。 + わたしたちは、見えるものによらないで、信仰によって歩いているのである。 + それで、わたしたちは心強い。そして、むしろ肉体から離れて主と共に住むことが、願わしいと思っている。 + そういうわけだから、肉体を宿としているにしても、それから離れているにしても、ただ主に喜ばれる者となるのが、心からの願いである。 + なぜなら、わたしたちは皆、キリストのさばきの座の前にあらわれ、善であれ悪であれ、自分の行ったことに応じて、それぞれ報いを受けねばならないからである。 + このようにわたしたちは、主の恐るべきことを知っているので、人々に説き勧める。わたしたちのことは、神のみまえには明らかになっている。さらに、あなたがたの良心にも明らかになるようにと望む。 + わたしたちは、あなたがたに対して、またもや自己推薦をしようとするのではない。ただわたしたちを誇る機会を、あなたがたに持たせ、心を誇るのではなくうわべだけを誇る人々に答えうるようにさせたいのである。 + もしわたしたちが、気が狂っているのなら、それは神のためであり、気が確かであるのなら、それはあなたがたのためである。 + なぜなら、キリストの愛がわたしたちに強く迫っているからである。わたしたちはこう考えている。ひとりの人がすべての人のために死んだ以上、すべての人が死んだのである。 + そして、彼がすべての人のために死んだのは、生きている者がもはや自分のためにではなく、自分のために死んでよみがえったかたのために、生きるためである。 + それだから、わたしたちは今後、だれをも肉によって知ることはすまい。かつてはキリストを肉によって知っていたとしても、今はもうそのような知り方をすまい。 + だれでもキリストにあるならば、その人は新しく造られた者である。古いものは過ぎ去った、見よ、すべてが新しくなったのである。 + しかし、すべてこれらの事は、神から出ている。神はキリストによって、わたしたちをご自分に和解させ、かつ和解の務をわたしたちに授けて下さった。 + すなわち、神はキリストにおいて世をご自分に和解させ、その罪過の責任をこれに負わせることをしないで、わたしたちに和解の福音をゆだねられたのである。 + 神がわたしたちをとおして勧めをなさるのであるから、わたしたちはキリストの使者なのである。そこで、キリストに代って願う、神の和解を受けなさい。 + 神はわたしたちの罪のために、罪を知らないかたを罪とされた。それは、わたしたちが、彼にあって神の義となるためなのである。 + + + わたしたちはまた、神と共に働く者として、あなたがたに勧める。神の恵みをいたずらに受けてはならない。 + 神はこう言われる、「わたしは、恵みの時にあなたの願いを聞きいれ、救の日にあなたを助けた」。見よ、今は恵みの時、見よ、今は救の日である。 + この務がそしりを招かないために、わたしたちはどんな事にも、人につまずきを与えないようにし、 + かえって、あらゆる場合に、神の僕として、自分を人々にあらわしている。すなわち、極度の忍苦にも、患難にも、危機にも、行き詰まりにも、 + むち打たれることにも、入獄にも、騒乱にも、労苦にも、徹夜にも、飢餓にも、 + 真実と知識と寛容と、慈愛と聖霊と偽りのない愛と、 + 真理の言葉と神の力とにより、左右に持っている義の武器により、 + ほめられても、そしられても、悪評を受けても、好評を博しても、神の僕として自分をあらわしている。わたしたちは、人を惑わしているようであるが、しかも真実であり、 + 人に知られていないようであるが、認められ、死にかかっているようであるが、見よ、生きており、懲らしめられているようであるが、殺されず、 + 悲しんでいるようであるが、常に喜んでおり、貧しいようであるが、多くの人を富ませ、何も持たないようであるが、すべての物を持っている。 + コリントの人々よ。あなたがたに向かってわたしたちの口は開かれており、わたしたちの心は広くなっている。 + あなたがたは、わたしたちに心をせばめられていたのではなく、自分で心をせばめていたのだ。 + わたしは子供たちに対するように言うが、どうかあなたがたの方でも心を広くして、わたしに応じてほしい。 + 不信者と、つり合わないくびきを共にするな。義と不義となんの係わりがあるか。光とやみとなんの交わりがあるか。 + キリストとベリアルとなんの調和があるか。信仰と不信仰となんの関係があるか。 + 神の宮と偶像となんの一致があるか。わたしたちは、生ける神の宮である。神がこう仰せになっている、「わたしは彼らの間に住み、かつ出入りをするであろう。そして、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となるであろう」。 + だから、「彼らの間から出て行き、彼らと分離せよ、と主は言われる。そして、汚れたものに触てはならない。触なければ、わたしはあなたがたを受けいれよう。 + そしてわたしは、あなたがたの父となり、あなたがたは、わたしのむすこ、むすめとなるであろう。全能の主が、こう言われる」。 + + + 愛する者たちよ。わたしたちは、このような約束を与えられているのだから、肉と霊とのいっさいの汚れから自分をきよめ、神をおそれて全く清くなろうではないか。 + どうか、わたしたちに心を開いてほしい。わたしたちは、だれにも不義をしたことがなく、だれをも破滅におとしいれたことがなく、だれからもだまし取ったことがない。 + わたしは、責めるつもりでこう言うのではない。前にも言ったように、あなたがたはわたしの心のうちにいて、わたしたちと生死を共にしているのである。 + わたしはあなたがたを大いに信頼し、大いに誇っている。また、あふれるばかり慰めを受け、あらゆる患難の中にあって喜びに満ちあふれている。 + さて、マケドニヤに着いたとき、わたしたちの身に少しの休みもなく、さまざまの患難に会い、外には戦い、内には恐れがあった。 + しかるに、うちしおれている者を慰める神は、テトスの到来によって、わたしたちを慰めて下さった。 + ただ彼の到来によるばかりではなく、彼があなたがたから受けたその慰めをもって、慰めて下さった。すなわち、あなたがたがわたしを慕っていること、嘆いていること、またわたしに対して熱心であることを知らせてくれたので、わたしの喜びはいよいよ増し加わったのである。 + そこで、たとい、あの手紙であなたがたを悲しませたとしても、わたしはそれを悔いていない。あの手紙がしばらくの間ではあるが、あなたがたを悲しませたのを見て悔いたとしても、 + 今は喜んでいる。それは、あなたがたが悲しんだからではなく、悲しんで悔い改めるに至ったからである。あなたがたがそのように悲しんだのは、神のみこころに添うたことであって、わたしたちからはなんの損害も受けなかったのである。 + 神のみこころに添うた悲しみは、悔いのない救を得させる悔改めに導き、この世の悲しみは死をきたらせる。 + 見よ、神のみこころに添うたその悲しみが、どんなにか熱情をあなたがたに起させたことか。また、弁明、義憤、恐れ、愛慕、熱意、それから処罰に至らせたことか。あなたがたはあの問題については、すべての点において潔白であることを証明したのである。 + だから、わたしがあなたがたに書きおくったのは、不義をした人のためでも、不義を受けた人のためでもなく、わたしたちに対するあなたがたの熱情が、神の前にあなたがたの間で明らかになるためである。 + こういうわけで、わたしたちは慰められたのである。これらの慰めの上にテトスの喜びが加わって、わたしたちはなおいっそう喜んだ。彼があなたがた一同によって安心させられたからである。 + そして、わたしは彼に対してあなたがたのことを少しく誇ったが、それはわたしの恥にならないですんだ。あなたがたにいっさいのことを真実に語ったように、テトスに対して誇ったことも真実となってきたのである。 + また彼は、あなたがた一同が従順であって、おそれおののきつつ自分を迎えてくれたことを思い出して、ますます心をあなたがたの方に寄せている。 + わたしは、あなたがたに全く信頼することができて、喜んでいる。 + + + 兄弟たちよ。わたしたちはここで、マケドニヤの諸教会に与えられた神の恵みを、あなたがたに知らせよう。 + すなわち、彼らは、患難のために激しい試錬をうけたが、その満ちあふれる喜びは、極度の貧しさにもかかわらず、あふれ出て惜しみなく施す富となったのである。 + わたしはあかしするが、彼らは力に応じて、否、力以上に施しをした。すなわち、自ら進んで、 + 聖徒たちへの奉仕に加わる恵みにあずかりたいと、わたしたちに熱心に願い出て、 + わたしたちの希望どおりにしたばかりか、自分自身をまず、神のみこころにしたがって、主にささげ、また、わたしたちにもささげたのである。 + そこで、この募金をテトスがあなたがたの所で、すでに始めた以上、またそれを完成するようにと、わたしたちは彼に勧めたのである。 + さて、あなたがたがあらゆる事がらについて富んでいるように、すなわち、信仰にも言葉にも知識にも、あらゆる熱情にも、また、あなたがたに対するわたしたちの愛にも富んでいるように、この恵みのわざにも富んでほしい。 + こう言っても、わたしは命令するのではない。ただ、他の人たちの熱情によって、あなたがたの愛の純真さをためそうとするのである。 + あなたがたは、わたしたちの主イエス・キリストの恵みを知っている。すなわち、主は富んでおられたのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、あなたがたが、彼の貧しさによって富む者になるためである。 + そこで、わたしは、この恵みのわざについて意見を述べよう。それがあなたがたの益になるからである。あなたがたはこの事を、昨年以来、他に先んじて実行したばかりではなく、それを願っていた。 + だから今、それをやりとげなさい。あなたがたが心から願っているように、持っているところに応じて、それをやりとげなさい。 + もし心から願ってそうするなら、持たないところによらず、持っているところによって、神に受けいれられるのである。 + それは、ほかの人々に楽をさせて、あなたがたに苦労をさせようとするのではなく、持ち物を等しくするためである。 + すなわち、今の場合は、あなたがたの余裕があの人たちの欠乏を補い、後には、彼らの余裕があなたがたの欠乏を補い、こうして等しくなるようにするのである。 + それは「多く得た者も余ることがなく、少ししか得なかった者も足りないことはなかった」と書いてあるとおりである。 + わたしがあなたがたに対して持っている同じ熱情を、テトスの心にも与えて下さった神に感謝する。 + 彼はわたしの勧めを受けいれ、そして更に熱心になって、自分から進んであなたがたのところに行った。 + わたしたちはまた、テトスと一緒に、ひとりの兄弟を送る。この兄弟が福音宣伝の上で得たほまれは、すべての教会に聞えているが、 + そのうえ、彼は、主ご自身の栄光があらわれるため、また、わたしたちの好意を示すために、骨を折って贈り物を集めているわたしたちの同伴者として、諸教会から選ばれたのである。 + そうしたのは、わたしたちが集めているこの寄附金のことについて、人にかれこれ言われるのを避けるためである。 + わたしたちは、主のみまえばかりではなく、人の前でも公正であるように、気を配っているのである。 + また、もうひとりの兄弟を彼らと一緒に送る。わたしたちは、多くの事について彼が熱心であったことを、たびたび認めた。彼は今、あなたがたを非常に信頼して、ますます熱心になっている。 + テトスについて言えば、彼はわたしの仲間であり、あなたがたに対するわたしの協力者である。この兄弟たちについて言えば、彼らは諸教会の使者、キリストの栄光である。 + だから、あなたがたの愛と、また、あなたがたについてわたしたちがいだいている誇とが、真実であることを、諸教会の前で彼らにあかししていただきたい。 + + + 聖徒たちに対する援助については、いまさら、あなたがたに書きおくる必要はない。 + わたしは、あなたがたの好意を知っており、そのために、あなたがたのことをマケドニヤの人々に誇って、アカヤでは昨年以来、すでに準備をしているのだと言った。そして、あなたがたの熱心は、多くの人を奮起させたのである。 + わたしが兄弟たちを送ることにしたのは、あなたがたについてわたしたちの誇ったことが、この場合むなしくならないで、わたしが言ったとおり準備していてもらいたいからである。 + そうでないと、万一マケドニヤ人がわたしと一緒に行って、準備ができていないのを見たら、あなたがたはもちろん、わたしたちも、かように信じきっていただけに、恥をかくことになろう。 + だから、わたしは兄弟たちを促して、あなたがたの所へ先に行かせ、以前あなたがたが約束していた贈り物の準備をさせておくことが必要だと思った。それをしぶりながらではなく、心をこめて用意していてほしい。 + わたしの考えはこうである。少ししかまかない者は、少ししか刈り取らず、豊かにまく者は、豊かに刈り取ることになる。 + 各自は惜しむ心からでなく、また、しいられてでもなく、自ら心で決めたとおりにすべきである。神は喜んで施す人を愛して下さるのである。 + 神はあなたがたにあらゆる恵みを豊かに与え、あなたがたを常にすべてのことに満ち足らせ、すべての良いわざに富ませる力のあるかたなのである。 + 「彼は貧しい人たちに散らして与えた。その義は永遠に続くであろう」と書いてあるとおりである。 + 種まく人に種と食べるためのパンとを備えて下さるかたは、あなたがたにも種を備え、それをふやし、そしてあなたがたの義の実を増して下さるのである。 + こうして、あなたがたはすべてのことに豊かになって、惜しみなく施し、その施しはわたしたちの手によって行われ、神に感謝するに至るのである。 + なぜなら、この援助の働きは、聖徒たちの欠乏を補えだけではなく、神に対する多くの感謝によってますます豊かになるからである。 + すなわち、この援助を行った結果として、あなたがたがキリストの福音の告白に対して従順であることや、彼らにも、すべての人にも、惜しみなく施しをしていることがわかってきて、彼らは神に栄光を帰し、 + そして、あなたがたに賜わったきわめて豊かな神の恵みのゆえに、あなたがたを慕い、あなたがたのために祈るのである。 + 言いつくせない賜物のゆえに、神に感謝する。 + + + さて、「あなたがたの間にいて面と向かってはおとなしいが、離れていると、気が強くなる」このパウロが、キリストの優しさ、寛大さをもって、あなたがたに勧める。 + わたしたちを肉に従って歩いているかのように思っている人々に対しては、わたしは勇敢に行動するつもりであるが、あなたがたの所では、どうか、そのような思いきったことをしないですむようでありたい。 + わたしたちは、肉にあって歩いてはいるが、肉に従って戦っているのではない。 + わたしたちの戦いの武器は、肉のものではなく、神のためには要塞をも破壊するほどの力あるものである。わたしたちはさまざまな議論を破り、 + 神の知恵に逆らって立てられたあらゆる障害物を打ちこわし、すべての思いをとりこにしてキリストに服従させ、 + そして、あなたがたが完全に服従した時、すべて不従順な者を処罰しようと、用意しているのである。 + あなたがたは、うわべの事だけを見ている。もしある人が、キリストに属する者だと自任しているなら、その人はもう一度よく反省すべきである。その人がキリストに属する者であるように、わたしたちもそうである。 + たとい、あなたがたを倒すためではなく高めるために主からわたしたちに賜わった権威について、わたしがやや誇りすぎたとしても、恥にはなるまい。 + ただ、わたしは、手紙であなたがたをおどしているのだと、思われたくはない。 + 人は言う、「彼の手紙は重味があって力強いが、会って見ると外見は弱々しく、話はつまらない」。 + そういう人は心得ているがよい。わたしたちは、離れていて書きおくる手紙の言葉どおりに、一緒にいる時でも同じようにふるまうのである。 + わたしたちは、自己推薦をするような人々と自分を同列においたり比較したりはしない。彼らは仲間同志で互にはかり合ったり、互に比べ合ったりしているが、知恵のないしわざである。 + しかし、わたしたちは限度をこえて誇るようなことはしない。むしろ、神が割り当てて下さった地域の限度内で誇るにすぎない。わたしはその限度にしたがって、あなたがたの所まで行ったのである。 + わたしたちは、あなたがたの所まで行けない者であるかのように、むりに手を延ばしているのではない。事実、わたしたちが最初にキリストの福音を携えて、あなたがたの所までも行ったのである。 + わたしたちは限度をこえて、他人の働きを誇るようなことはしない。ただ、あなたがたの信仰が成長するにつれて、わたしたちの働きの範囲があなたがたの中でますます大きくなることを望んでいる。 + こうして、わたしたちはほかの人の地域ですでになされていることを誇ることはせずに、あなたがたを越えたさきざきにまで、福音を宣べ伝えたい。 + 誇る者は主を誇るべきである。 + 自分で自分を推薦する人ではなく、主に推薦される人こそ、確かな人なのである。 + + + わたしが少しばかり愚かなことを言うのを、どうか、忍んでほしい。もちろん忍んでくれるのだ。 + わたしは神の熱情をもって、あなたがたを熱愛している。あなたがたを、きよいおとめとして、ただひとりの男子キリストにささげるために、婚約させたのである。 + ただ恐れるのは、エバがへびの悪巧みで誘惑されたように、あなたがたの思いが汚されて、キリストに対する純情と貞操とを失いはしないかということである。 + というのは、もしある人がきて、わたしたちが宣べ伝えもしなかったような異なるイエスを宣べ伝え、あるいは、あなたがたが受けたことのない違った霊を受け、あるいは、受けいれたことのない違った福音を聞く場合に、あなたがたはよくもそれを忍んでいる。 + 事実、わたしは、あの大使徒たちにいささかも劣ってはいないと思う。 + たとい弁舌はつたなくても、知識はそうでない。わたしは、事ごとに、いろいろの場合に、あなたがたに対してそれを明らかにした。 + それとも、あなたがたを高めるために自分を低くして、神の福音を価なしにあなたがたに宣べ伝えたことが、罪になるのだろうか。 + わたしは他の諸教会をかすめたと言われながら得た金で、あなたがたに奉仕し、 + あなたがたの所にいて貧乏をした時にも、だれにも負担をかけたことはなかった。わたしの欠乏は、マケドニヤからきた兄弟たちが、補ってくれた。こうして、わたしはすべての事につき、あなたがたに重荷を負わせまいと努めてきたし、今後も努めよう。 + わたしの内にあるキリストの真実にかけて言う、この誇がアカヤ地方で封じられるようなことは、決してない。 + なぜであるか。わたしがあなたがたを愛していないからか。それは、神がご存じである。 + しかし、わたしは、現在していることを今後もしていこう。それは、わたしたちと同じように誇りうる立ち場を得ようと機会をねらっている者どもから、その機会を断ち切ってしまうためである。 + こういう人々はにせ使徒、人をだます働き人であって、キリストの使徒に擬装しているにすぎないからである。 + しかし、驚くには及ばない。サタンも光の天使に擬装するのだから。 + だから、たといサタンの手下どもが、義の奉仕者のように擬装したとしても、不思議ではない。彼らの最期は、そのしわざに合ったものとなろう。 + 繰り返して言うが、だれも、わたしを愚か者と思わないでほしい。もしそう思うなら、愚か者あつかいにされてもよいから、わたしにも、少し誇らせてほしい。 + いま言うことは、主によって言うのではなく、愚か者のように、自分の誇とするところを信じきって言うのである。 + 多くの人が肉によって誇っているから、わたしも誇ろう。 + あなたがたは賢い人たちなのだから、喜んで愚か者を忍んでくれるだろう。 + 実際、あなたがたは奴隷にされても、食い倒されても、略奪されても、いばられても、顔をたたかれても、それを忍んでいる。 + 言うのも恥ずかしいことだが、わたしたちは弱すぎたのだ。もしある人があえて誇るなら、わたしは愚か者になって言うが、わたしもあえて誇ろう。 + 彼らはヘブル人なのか。わたしもそうである。彼らはイスラエル人なのか。わたしもそうである。彼らはアブラハムの子孫なのか。わたしもそうである。 + 彼らはキリストの僕なのか。わたしは気が狂ったようになって言う、わたしは彼ら以上にそうである。苦労したことはもっと多く、投獄されたことももっと多く、むち打たれたことは、はるかにおびただしく、死に面したこともしばしばあった。 + ユダヤ人から四十に一つ足りないむちを受けたことが五度、 + ローマ人にむちで打たれたことが三度、石で打たれたことが一度、難船したことが三度、そして、一昼夜、海の上を漂ったこともある。 + 幾たびも旅をし、川の難、盗賊の難、同国民の難、異邦人の難、都会の難、荒野の難、海上の難、にせ兄弟の難に会い、 + 労し苦しみ、たびたび眠られぬ夜を過ごし、飢えかわき、しばしば食物がなく、寒さに凍え、裸でいたこともあった。 + なおいろいろの事があった外に、日々わたしに迫って来る諸教会の心配ごとがある。 + だれかが弱っているのに、わたしも弱らないでおれようか。だれかが罪を犯しているのに、わたしの心が燃えないでおれようか。 + もし誇らねばならないのなら、わたしは自分の弱さを誇ろう。 + 永遠にほむべき、主イエス・キリストの父なる神は、わたしが偽りを言っていないことを、ご存じである。 + ダマスコでアレタ王の代官が、わたしを捕えるためにダマスコ人の町を監視したことがあったが、 + その時わたしは窓から町の城壁づたいに、かごでつり降ろされて、彼の手からのがれた。 + + + わたしは誇らざるを得ないので、無益ではあろうが、主のまぼろしと啓示とについて語ろう。 + わたしはキリストにあるひとりの人を知っている。この人は十四年前に第三の天にまで引き上げられた――それが、からだのままであったか、わたしは知らない。からだを離れてであったか、それも知らない。神がご存じである。 + この人が――それが、からだのままであったか、からだを離れてであったか、わたしは知らない。神がご存じである―― + パラダイスに引き上げられ、そして口に言い表わせない、人間が語ってはならない言葉を聞いたのを、わたしは知っている。 + わたしはこういう人について誇ろう。しかし、わたし自身については、自分の弱さ以外には誇ることをすまい。 + もっとも、わたしが誇ろうとすれば、ほんとうの事を言うのだから、愚か者にはならないだろう。しかし、それはさし控えよう。わたしがすぐれた啓示を受けているので、わたしについて見たり聞いたりしている以上に、人に買いかぶられるかも知れないから。 + そこで、高慢にならないように、わたしの肉体に一つのとげが与えられた。それは、高慢にならないように、わたしを打つサタンの使なのである。 + このことについて、わたしは彼を離れ去らせて下さるようにと、三度も主に祈った。 + ところが、主が言われた、「わたしの恵みはあなたに対して十分である。わたしの力は弱いところに完全にあらわれる」。それだから、キリストの力がわたしに宿るように、むしろ、喜んで自分の弱さを誇ろう。 + だから、わたしはキリストのためならば、弱さと、侮辱と、危機と、迫害と、行き詰まりとに甘んじよう。なぜなら、わたしが弱い時にこそ、わたしは強いからである。 + わたしは愚か者となった。あなたがたが、むりにわたしをそうしてしまったのだ。実際は、あなたがたから推薦されるべきであった。というのは、たといわたしは取るに足りない者だとしても、あの大使徒たちにはなんら劣るところがないからである。 + わたしは、使徒たるの実を、しるしと奇跡と力あるわざとにより、忍耐をつくして、あなたがたの間であらわしてきた。 + いったい、あなたがたが他の教会よりも劣っている点は何か。ただ、このわたしがあなたがたに負担をかけなかったことだけではないか。この不義は、どうか、ゆるしてもらいたい。 + さて、わたしは今、三度目にあなたがたの所に行く用意をしている。しかし、負担はかけないつもりである。わたしの求めているのは、あなたがたの持ち物ではなく、あなたがた自身なのだから。いったい、子供は親のために財をたくわえて置く必要はなく、親が子供のためにたくわえて置くべきである。 + そこでわたしは、あなたがたの魂のためには、大いに喜んで費用を使い、また、わたし自身をも使いつくそう。わたしがあなたがたを愛すれば愛するほど、あなたがたからますます愛されなくなるのであろうか。 + わたしは、あなたがたに重荷を負わせなかったとしても、悪がしこくて、あなたがたからだまし取ったのだと、人は言う。 + わたしは、あなたがたにつかわした人たちのうちのだれかをとおして、あなたがたからむさぼり取っただろうか。 + わたしは、テトスに勧めてそちらに行かせ、また、かの兄弟を同行させた。テトスは、あなたがたからむさぼり取ったことがあろうか。わたしたちは、みな同じ心で歩いたではないか。同じ足並みで歩いたではないか。 + あなたがたは、わたしたちがあなたがたに対して弁明をしているのだと、今までずっと思ってきたであろう。しかし、わたしたちは、神のみまえでキリストにあって語っているのである。愛する者たちよ。これらすべてのことは、あなたがたの徳を高めるためなのである。 + わたしは、こんな心配をしている。わたしが行ってみると、もしかしたら、あなたがたがわたしの願っているような者ではなく、わたしも、あなたがたの願っているような者でないことになりはすまいか。もしかしたら、争い、ねたみ、怒り、党派心、そしり、ざんげん、高慢、騒乱などがありはすまいか。 + わたしが再びそちらに行った場合、わたしの神が、あなたがたの前でわたしに恥をかかせ、その上、多くの人が前に罪を犯していながら、その汚れと不品行と好色とを悔い改めていないので、わたしを悲しませることになりはすまいか。 + + + わたしは今、三度目にあなたがたの所に行こうとしている。すべての事がらは、ふたりか三人の証人の証言によって確定する。 + わたしは、前に罪を犯した者たちやその他のすべての人々に、二度目に滞在していたとき警告しておいたが、離れている今またあらかじめ言っておく。今度行った時には、決して容赦はしない。 + なぜなら、あなたがたが、キリストのわたしにあって語っておられるという証拠を求めているからである。キリストは、あなたがたに対して弱くはなく、あなたがたのうちにあって強い。 + すなわち、キリストは弱さのゆえに十字架につけられたが、神の力によって生きておられるのである。このように、わたしたちもキリストにあって弱い者であるが、あなたがたに対しては、神の力によって、キリストと共に生きるのである。 + あなたがたは、はたして信仰があるかどうか、自分を反省し、自分を吟味するがよい。それとも、イエス・キリストがあなたがたのうちにおられることを、悟らないのか。もし悟らなければ、あなたがたは、にせものとして見捨てられる。 + しかしわたしは、自分たちが見捨てられた者ではないことを、知っていてもらいたい。 + わたしたちは、あなたがたがどんな悪をも行わないようにと、神に祈る。それは、自分たちがほんとうの者であることを見せるためではなく、たといわたしたちが見捨てられた者のようになっても、あなたがたに良い行いをしてもらいたいためである。 + わたしたちは、真理に逆らっては何をする力もなく、真理にしたがえば力がある。 + わたしたちは、自分は弱くても、あなたがたが強ければ、それを喜ぶ。わたしたちが特に祈るのは、あなたがたが完全に良くなってくれることである。 + こういうわけで、離れていて以上のようなことを書いたのは、わたしがあなたがたの所に行ったとき、倒すためではなく高めるために主が授けて下さった権威を用いて、きびしい処置をする必要がないようにしたいためである。 + 最後に、兄弟たちよ。いつも喜びなさい。全き者となりなさい。互に励まし合いなさい。思いを一つにしなさい。平和に過ごしなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいて下さるであろう。 + きよい接吻をもって互にあいさつをかわしなさい。聖徒たち一同が、あなたがたによろしく。 + 主イエス・キリストの恵みと、神の愛と、聖霊の交わりとが、あなたがた一同と共にあるように。 + + +
+
+ + 人々からでもなく、人によってでもなく、イエス・キリストと彼を死人の中からよみがえらせた父なる神とによって立てられた使徒パウロ、 + ならびにわたしと共にいる兄弟たち一同から、ガラテヤの諸教会へ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + キリストは、わたしたちの父なる神の御旨に従い、わたしたちを今の悪の世から救い出そうとして、ご自身をわたしたちの罪のためにささげられたのである。 + 栄光が世々限りなく神にあるように、アァメン。 + あなたがたがこんなにも早く、あなたがたをキリストの恵みの内へお招きになったかたから離れて、違った福音に落ちていくことが、わたしには不思議でならない。 + それは福音というべきものではなく、ただ、ある種の人々があなたがたをかき乱し、キリストの福音を曲げようとしているだけのことである。 + しかし、たといわたしたちであろうと、天からの御使であろうと、わたしたちが宣べ伝えた福音に反することをあなたがたに宣べ伝えるなら、その人はのろわるべきである。 + わたしたちが前に言っておいたように、今わたしは重ねて言う。もしある人が、あなたがたの受けいれた福音に反することを宣べ伝えているなら、その人はのろわるべきである。 + 今わたしは、人に喜ばれようとしているのか、それとも、神に喜ばれようとしているのか。あるいは、人の歓心を買おうと努めているのか。もし、今もなお人の歓心を買おうとしているとすれば、わたしはキリストの僕ではあるまい。 + 兄弟たちよ。あなたがたに、はっきり言っておく。わたしが宣べ伝えた福音は人間によるものではない。 + わたしは、それを人間から受けたのでも教えられたのでもなく、ただイエス・キリストの啓示によったのである。 + ユダヤ教を信じていたころのわたしの行動については、あなたがたはすでによく聞いている。すなわち、わたしは激しく神の教会を迫害し、また荒しまわっていた。 + そして、同国人の中でわたしと同年輩の多くの者にまさってユダヤ教に精進し、先祖たちの言伝えに対して、だれよりもはるかに熱心であった。 + ところが、母の胎内にある時からわたしを聖別し、み恵みをもってわたしをお召しになったかたが、 + 異邦人の間に宣べ伝えさせるために、御子をわたしの内に啓示して下さった時、わたしは直ちに、血肉に相談もせず、 + また先輩の使徒たちに会うためにエルサレムにも上らず、アラビヤに出て行った。それから再びダマスコに帰った。 + その後三年たってから、わたしはケパをたずねてエルサレムに上り、彼のもとに十五日間、滞在した。 + しかし、主の兄弟ヤコブ以外には、ほかのどの使徒にも会わなかった。 + ここに書いていることは、神のみまえで言うが、決して偽りではない。 + その後、わたしはシリヤとキリキヤとの地方に行った。 + しかし、キリストにあるユダヤの諸教会には、顔を知られていなかった。 + ただ彼らは、「かつて自分たちを迫害した者が、以前には撲滅しようとしていたその信仰を、今は宣べ伝えている」と聞き、 + わたしのことで、神をほめたたえた。 + + + その後十四年たってから、わたしはバルナバと一緒に、テトスをも連れて、再びエルサレムに上った。 + そこに上ったのは、啓示によってである。そして、わたしが異邦人の間に宣べ伝えている福音を、人々に示し、「重だった人たち」には個人的に示した。それは、わたしが現に走っており、またすでに走ってきたことが、むだにならないためである。 + しかし、わたしが連れていたテトスでさえ、ギリシヤ人であったのに、割礼をしいられなかった。 + それは、忍び込んできたにせ兄弟らがいたので――彼らが忍び込んできたのは、キリスト・イエスにあって持っているわたしたちの自由をねらって、わたしたちを奴隷にするためであった。 + わたしたちは、福音の真理があなたがたのもとに常にとどまっているように、瞬時も彼らの強要に屈服しなかった。 + そして、かの「重だった人たち」からは――彼らがどんな人であったにしても、それは、わたしには全く問題ではない。神は人を分け隔てなさらないのだから――事実、かの「重だった人たち」は、わたしに何も加えることをしなかった。 + それどころか、彼らは、ペテロが割礼の者への福音をゆだねられているように、わたしには無割礼の者への福音がゆだねられていることを認め、 + (というのは、ペテロに働きかけて割礼の者への使徒の務につかせたかたは、わたしにも働きかけて、異邦人につかわして下さったからである)、 + かつ、わたしに賜わった恵みを知って、柱として重んじられているヤコブとケパとヨハネとは、わたしとバルナバとに、交わりの手を差し伸べた。そこで、わたしたちは異邦人に行き、彼らは割礼の者に行くことになったのである。 + ただ一つ、わたしたちが貧しい人々をかえりみるようにとのことであったが、わたしはもとより、この事のためにも大いに努めてきたのである。 + ところが、ケパがアンテオケにきたとき、彼に非難すべきことがあったので、わたしは面とむかって彼をなじった。 + というのは、ヤコブのもとからある人々が来るまでは、彼は異邦人と食を共にしていたのに、彼らがきてからは、割礼の者どもを恐れ、しだいに身を引いて離れて行ったからである。 + そして、ほかのユダヤ人たちも彼と共に偽善の行為をし、バルナバまでがそのような偽善に引きずり込まれた。 + 彼らが福音の真理に従ってまっすぐに歩いていないのを見て、わたしは衆人の面前でケパに言った、「あなたは、ユダヤ人であるのに、自分自身はユダヤ人のように生活しないで、異邦人のように生活していながら、どうして異邦人にユダヤ人のようになることをしいるのか」。 + わたしたちは生れながらのユダヤ人であって、異邦人なる罪人ではないが、 + 人の義とされるのは律法の行いによるのではなく、ただキリスト・イエスを信じる信仰によることを認めて、わたしたちもキリスト・イエスを信じたのである。それは、律法の行いによるのではなく、キリストを信じる信仰によって義とされるためである。なぜなら、律法の行いによっては、だれひとり義とされることがないからである。 + しかし、キリストにあって義とされることを求めることによって、わたしたち自身が罪人であるとされるのなら、キリストは罪に仕える者なのであろうか。断じてそうではない。 + もしわたしが、いったん打ちこわしたものを、再び建てるとすれば、それこそ、自分が違反者であることを表明することになる。 + わたしは、神に生きるために、律法によって律法に死んだ。わたしはキリストと共に十字架につけられた。 + 生きているのは、もはや、わたしではない。キリストが、わたしのうちに生きておられるのである。しかし、わたしがいま肉にあって生きているのは、わたしを愛し、わたしのためにご自身をささげられた神の御子を信じる信仰によって、生きているのである。 + わたしは、神の恵みを無にはしない。もし、義が律法によって得られるとすれば、キリストの死はむだであったことになる。 + + + ああ、物わかりのわるいガラテヤ人よ。十字架につけられたイエス・キリストが、あなたがたの目の前に描き出されたのに、いったい、だれがあなたがたを惑わしたのか。 + わたしは、ただこの一つの事を、あなたがたに聞いてみたい。あなたがたが御霊を受けたのは、律法を行ったからか、それとも、聞いて信じたからか。 + あなたがたは、そんなに物わかりがわるいのか。御霊で始めたのに、今になって肉で仕上げるというのか。 + あれほどの大きな経験をしたことは、むだであったのか。まさか、むだではあるまい。 + すると、あなたがたに御霊を賜い、力あるわざをあなたがたの間でなされたのは、律法を行ったからか、それとも、聞いて信じたからか。 + このように、アブラハムは「神を信じた。それによって、彼は義と認められた」のである。 + だから、信仰による者こそアブラハムの子であることを、知るべきである。 + 聖書は、神が異邦人を信仰によって義とされることを、あらかじめ知って、アブラハムに、「あなたによって、すべての国民は祝福されるであろう」との良い知らせを、予告したのである。 + このように、信仰による者は、信仰の人アブラハムと共に、祝福を受けるのである。 + いったい、律法の行いによる者は、皆のろいの下にある。「律法の書に書いてあるいっさいのことを守らず、これを行わない者は、皆のろわれる」と書いてあるからである。 + そこで、律法によっては、神のみまえに義とされる者はひとりもないことが、明らかである。なぜなら、「信仰による義人は生きる」からである。 + 律法は信仰に基いているものではない。かえって、「律法を行う者は律法によって生きる」のである。 + キリストは、わたしたちのためにのろいとなって、わたしたちを律法ののろいからあがない出して下さった。聖書に、「木にかけられる者は、すべてのろわれる」と書いてある。 + それは、アブラハムの受けた祝福が、イエス・キリストにあって異邦人に及ぶためであり、約束された御霊を、わたしたちが信仰によって受けるためである。 + 兄弟たちよ。世のならわしを例にとって言おう。人間の遺言でさえ、いったん作成されたら、これを無効にしたり、これに付け加えたりすることは、だれにもできない。 + さて、約束は、アブラハムと彼の子孫とに対してなされたのである。それは、多数をさして「子孫たちとに」と言わずに、ひとりをさして「あなたの子孫とに」と言っている。これは、キリストのことである。 + わたしの言う意味は、こうである。神によってあらかじめ立てられた契約が、四百三十年の後にできた律法によって破棄されて、その約束がむなしくなるようなことはない。 + もし相続が、律法に基いてなされるとすれば、もはや約束に基いたものではない。ところが事実、神は約束によって、相続の恵みをアブラハムに賜わったのである。 + それでは、律法はなんであるか。それは違反を促すため、あとから加えられたのであって、約束されていた子孫が来るまで存続するだけのものであり、かつ、天使たちをとおし、仲介者の手によって制定されたものにすぎない。 + 仲介者なるものは、一方だけに属する者ではない。しかし、神はひとりである。 + では、律法は神の約束と相いれないものか。断じてそうではない。もし人を生かす力のある律法が与えられていたとすれば、義はたしかに律法によって実現されたであろう。 + しかし、約束が、信じる人々にイエス・キリストに対する信仰によって与えられるために、聖書はすべての人を罪の下に閉じ込めたのである。 + しかし、信仰が現れる前には、わたしたちは律法の下で監視されており、やがて啓示される信仰の時まで閉じ込められていた。 + このようにして律法は、信仰によって義とされるために、わたしたちをキリストに連れて行く養育掛となったのである。 + しかし、いったん信仰が現れた以上、わたしたちは、もはや養育掛のもとにはいない。 + あなたがたはみな、キリスト・イエスにある信仰によって、神の子なのである。 + キリストに合うバプテスマを受けたあなたがたは、皆キリストを着たのである。 + もはや、ユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自由人もなく、男も女もない。あなたがたは皆、キリスト・イエスにあって一つだからである。 + もしキリストのものであるなら、あなたがたはアブラハムの子孫であり、約束による相続人なのである。 + + + わたしの言う意味は、こうである。相続人が子供である間は、全財産の持ち主でありながら、僕となんの差別もなく、 + 父親の定めた時期までは、管理人や後見人の監督の下に置かれているのである。 + それと同じく、わたしたちも子供であった時には、いわゆるこの世のもろもろの霊力の下に、縛られていた者であった。 + しかし、時の満ちるに及んで、神は御子を女から生れさせ、律法の下に生れさせて、おつかわしになった。 + それは、律法の下にある者をあがない出すため、わたしたちに子たる身分を授けるためであった。 + このように、あなたがたは子であるのだから、神はわたしたちの心の中に、「アバ、父よ」と呼ぶ御子の霊を送って下さったのである。 + したがって、あなたがたはもはや僕ではなく、子である。子である以上、また神による相続人である。 + 神を知らなかった当時、あなたがたは、本来神ならぬ神々の奴隷になっていた。 + しかし、今では神を知っているのに、否、むしろ神に知られているのに、どうして、あの無力で貧弱な、もろもろの霊力に逆もどりして、またもや、新たにその奴隷になろうとするのか。 + あなたがたは、日や月や季節や年などを守っている。 + わたしは、あなたがたのために努力してきたことが、あるいは、むだになったのではないかと、あなたがたのことが心配でならない。 + 兄弟たちよ。お願いする。どうか、わたしのようになってほしい。わたしも、あなたがたのようになったのだから。あなたがたは、一度もわたしに対して不都合なことをしたことはない。 + あなたがたも知っているとおり、最初わたしがあなたがたに福音を伝えたのは、わたしの肉体が弱っていたためであった。 + そして、わたしの肉体にはあなたがたにとって試錬となるものがあったのに、それを卑しめもせず、またきらいもせず、かえってわたしを、神の使かキリスト・イエスかでもあるように、迎えてくれた。 + その時のあなたがたの感激は、今どこにあるのか。はっきり言うが、あなたがたは、できることなら、自分の目をえぐり出してでも、わたしにくれたかったのだ。 + それだのに、真理を語ったために、わたしはあなたがたの敵になったのか。 + 彼らがあなたがたに対して熱心なのは、善意からではない。むしろ、自分らに熱心にならせるために、あなたがたをわたしから引き離そうとしているのである。 + わたしがあなたがたの所にいる時だけでなく、いつも、良いことについて熱心に慕われるのは、良いことである。 + ああ、わたしの幼な子たちよ。あなたがたの内にキリストの形ができるまでは、わたしは、またもや、あなたがたのために産みの苦しみをする。 + できることなら、わたしは今あなたがたの所にいて、語調を変えて話してみたい。わたしは、あなたがたのことで、途方にくれている。 + 律法の下にとどまっていたいと思う人たちよ。わたしに答えなさい。あなたがたは律法の言うところを聞かないのか。 + そのしるすところによると、アブラハムにふたりの子があったが、ひとりは女奴隷から、ひとりは自由の女から生れた。 + 女奴隷の子は肉によって生れたのであり、自由の女の子は約束によって生れたのであった。 + さて、この物語は比喩としてみられる。すなわち、この女たちは二つの契約をさす。そのひとりはシナイ山から出て、奴隷となる者を産む。ハガルがそれである。 + ハガルといえば、アラビヤではシナイ山のことで、今のエルサレムに当る。なぜなら、それは子たちと共に、奴隷となっているからである。 + しかし、上なるエルサレムは、自由の女であって、わたしたちの母をさす。 + すなわち、こう書いてある、「喜べ、不妊の女よ。声をあげて喜べ、産みの苦しみを知らない女よ。ひとり者となっている女は多くの子を産み、その数は、夫ある女の子らよりも多い」。 + 兄弟たちよ。あなたがたは、イサクのように、約束の子である。 + しかし、その当時、肉によって生れた者が、霊によって生れた者を迫害したように、今でも同様である。 + しかし、聖書はなんと言っているか。「女奴隷とその子とを追い出せ。女奴隷の子は、自由の女の子と共に相続をしてはならない」とある。 + だから、兄弟たちよ。わたしたちは女奴隷の子ではなく、自由の女の子なのである。 + + + 自由を得させるために、キリストはわたしたちを解放して下さったのである。だから、堅く立って、二度と奴隷のくびきにつながれてはならない。 + 見よ、このパウロがあなたがたに言う。もし割礼を受けるなら、キリストはあなたがたに用のないものになろう。 + 割礼を受けようとするすべての人たちに、もう一度言っておく。そういう人たちは、律法の全部を行う義務がある。 + 律法によって義とされようとするあなたがたは、キリストから離れてしまっている。恵みから落ちている。 + わたしたちは、御霊の助けにより、信仰によって義とされる望みを強くいだいている。 + キリスト・イエスにあっては、割礼があってもなくても、問題ではない。尊いのは、愛によって働く信仰だけである。 + あなたがたはよく走り続けてきたのに、だれが邪魔をして、真理にそむかせたのか。 + そのような勧誘は、あなたがたを召されたかたから出たものではない。 + 少しのパン種でも、粉のかたまり全体をふくらませる。 + あなたがたはいささかもわたしと違った思いをいだくことはないと、主にあって信頼している。しかし、あなたがたを動揺させている者は、それがだれであろうと、さばきを受けるであろう。 + 兄弟たちよ。わたしがもし今でも割礼を宣べ伝えていたら、どうして、いまなお迫害されるはずがあろうか。そうしていたら、十字架のつまずきは、なくなっているであろう。 + あなたがたの煽動者どもは、自ら不具になるがよかろう。 + 兄弟たちよ。あなたがたが召されたのは、実に、自由を得るためである。ただ、その自由を、肉の働く機会としないで、愛をもって互に仕えなさい。 + 律法の全体は、「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」というこの一句に尽きるからである。 + 気をつけるがよい。もし互にかみ合い、食い合っているなら、あなたがたは互に滅ぼされてしまうだろう。 + わたしは命じる、御霊によって歩きなさい。そうすれば、決して肉の欲を満たすことはない。 + なぜなら、肉の欲するところは御霊に反し、また御霊の欲するところは肉に反するからである。こうして、二つのものは互に相さからい、その結果、あなたがたは自分でしようと思うことを、することができないようになる。 + もしあなたがたが御霊に導かれるなら、律法の下にはいない。 + 肉の働きは明白である。すなわち、不品行、汚れ、好色、 + 偶像礼拝、まじない、敵意、争い、そねみ、怒り、党派心、分裂、分派、 + ねたみ、泥酔、宴楽、および、そのたぐいである。わたしは以前も言ったように、今も前もって言っておく。このようなことを行う者は、神の国をつぐことがない。 + しかし、御霊の実は、愛、喜び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、 + 柔和、自制であって、これらを否定する律法はない。 + キリスト・イエスに属する者は、自分の肉を、その情と欲と共に十字架につけてしまったのである。 + もしわたしたちが御霊によって生きるのなら、また御霊によって進もうではないか。 + 互にいどみ合い、互にねたみ合って、虚栄に生きてはならない。 + + + 兄弟たちよ。もしもある人が罪過に陥っていることがわかったなら、霊の人であるあなたがたは、柔和な心をもって、その人を正しなさい。それと同時に、もしか自分自身も誘惑に陥ることがありはしないかと、反省しなさい。 + 互に重荷を負い合いなさい。そうすれば、あなたがたはキリストの律法を全うするであろう。 + もしある人が、事実そうでないのに、自分が何か偉い者であるように思っているとすれば、その人は自分を欺いているのである。 + ひとりびとり、自分の行いを検討してみるがよい。そうすれば、自分だけには誇ることができても、ほかの人には誇れなくなるであろう。 + 人はそれぞれ、自分自身の重荷を負うべきである。 + 御言を教えてもらう人は、教える人と、すべて良いものを分け合いなさい。 + まちがってはいけない、神は侮られるようなかたではない。人は自分のまいたものを、刈り取ることになる。 + すなわち、自分の肉にまく者は、肉から滅びを刈り取り、霊にまく者は、霊から永遠のいのちを刈り取るであろう。 + わたしたちは、善を行うことに、うみ疲れてはならない。たゆまないでいると、時が来れば刈り取るようになる。 + だから、機会のあるごとに、だれに対しても、とくに信仰の仲間に対して、善を行おうではないか。 + ごらんなさい。わたし自身いま筆をとって、こんなに大きい字で、あなたがたに書いていることを。 + いったい、肉において見えを飾ろうとする者たちは、キリスト・イエスの十字架のゆえに、迫害を受けたくないばかりに、あなたがたにしいて割礼を受けさせようとする。 + 事実、割礼のあるもの自身が律法を守らず、ただ、あなたがたの肉について誇りたいために、割礼を受けさせようとしているのである。 + しかし、わたし自身には、わたしたちの主イエス・キリストの十字架以外に、誇とするものは、断じてあってはならない。この十字架につけられて、この世はわたしに対して死に、わたしもこの世に対して死んでしまったのである。 + 割礼のあるなしは問題ではなく、ただ、新しく造られることこそ、重要なのである。 + この法則に従って進む人々の上に、平和とあわれみとがあるように。また、神のイスラエルの上にあるように。 + だれも今後は、わたしに煩いをかけないでほしい。わたしは、イエスの焼き印を身に帯びているのだから。 + 兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように、アァメン。 + +
+
+ + 神の御旨によるキリスト・イエスの使徒パウロから、エペソにいる、キリスト・イエスにあって忠実な聖徒たちへ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神。神はキリストにあって、天上で霊のもろもろの祝福をもって、わたしたちを祝福し、 + みまえにきよく傷のない者となるようにと、天地の造られる前から、キリストにあってわたしたちを選び、 + わたしたちに、イエス・キリストによって神の子たる身分を授けるようにと、御旨のよしとするところに従い、愛のうちにあらかじめ定めて下さったのである。 + これは、その愛する御子によって賜わった栄光ある恵みを、わたしたちがほめたたえるためである。 + わたしたちは、御子にあって、神の豊かな恵みのゆえに、その血によるあがない、すなわち、罪過のゆるしを受けたのである。 + 神はその恵みをさらに増し加えて、あらゆる知恵と悟りとをわたしたちに賜わり、 + 御旨の奥義を、自らあらかじめ定められた計画に従って、わたしたちに示して下さったのである。 + それは、時の満ちるに及んで実現されるご計画にほかならない。それによって、神は天にあるもの地にあるものを、ことごとく、キリストにあって一つに帰せしめようとされたのである。 + わたしたちは、御旨の欲するままにすべての事をなさるかたの目的の下に、キリストにあってあらかじめ定められ、神の民として選ばれたのである。 + それは、早くからキリストに望みをおいているわたしたちが、神の栄光をほめたたえる者となるためである。 + あなたがたもまた、キリストにあって、真理の言葉、すなわち、あなたがたの救の福音を聞き、また、彼を信じた結果、約束された聖霊の証印をおされたのである。 + この聖霊は、わたしたちが神の国をつぐことの保証であって、やがて神につける者が全くあがなわれ、神の栄光をほめたたえるに至るためである。 + こういうわけで、わたしも、主イエスに対するあなたがたの信仰と、すべての聖徒に対する愛とを耳にし、 + わたしの祈のたびごとにあなたがたを覚えて、絶えずあなたがたのために感謝している。 + どうか、わたしたちの主イエス・キリストの神、栄光の父が、知恵と啓示との霊をあなたがたに賜わって神を認めさせ、 + あなたがたの心の目を明らかにして下さるように、そして、あなたがたが神に召されていだいている望みがどんなものであるか、聖徒たちがつぐべき神の国がいかに栄光に富んだものであるか、 + また、神の力強い活動によって働く力が、わたしたち信じる者にとっていかに絶大なものであるかを、あなたがたが知るに至るように、と祈っている。 + 神はその力をキリストのうちに働かせて、彼を死人の中からよみがえらせ、天上においてご自分の右に座せしめ、 + 彼を、すべての支配、権威、権力、権勢の上におき、また、この世ばかりでなくきたるべき世においても唱えられる、あらゆる名の上におかれたのである。 + そして、万物をキリストの足の下に従わせ、彼を万物の上にかしらとして教会に与えられた。 + この教会はキリストのからだであって、すべてのものを、すべてのもののうちに満たしているかたが、満ちみちているものに、ほかならない。 + + + さてあなたがたは、先には自分の罪過と罪とによって死んでいた者であって、 + かつてはそれらの中で、この世のならわしに従い、空中の権をもつ君、すなわち、不従順の子らの中に今も働いている霊に従って、歩いていたのである。 + また、わたしたちもみな、かつては彼らの中にいて、肉の欲に従って日を過ごし、肉とその思いとの欲するままを行い、ほかの人々と同じく、生れながらの怒りの子であった。 + しかるに、あわれみに富む神は、わたしたちを愛して下さったその大きな愛をもって、 + 罪過によって死んでいたわたしたちを、キリストと共に生かし――あなたがたの救われたのは、恵みによるのである―― + キリスト・イエスにあって、共によみがえらせ、共に天上で座につかせて下さったのである。 + それは、キリスト・イエスにあってわたしたちに賜わった慈愛による神の恵みの絶大な富を、きたるべき世々に示すためであった。 + あなたがたの救われたのは、実に、恵みにより、信仰によるのである。それは、あなたがた自身から出たものではなく、神の賜物である。 + 決して行いによるのではない。それは、だれも誇ることがないためなのである。 + わたしたちは神の作品であって、良い行いをするように、キリスト・イエスにあって造られたのである。神は、わたしたちが、良い行いをして日を過ごすようにと、あらかじめ備えて下さったのである。 + だから、記憶しておきなさい。あなたがたは以前には、肉によれば異邦人であって、手で行った肉の割礼ある者と称せられる人々からは、無割礼の者と呼ばれており、 + またその当時は、キリストを知らず、イスラエルの国籍がなく、約束されたいろいろの契約に縁がなく、この世の中で希望もなく神もない者であった。 + ところが、あなたがたは、このように以前は遠く離れていたが、今ではキリスト・イエスにあって、キリストの血によって近いものとなったのである。 + キリストはわたしたちの平和であって、二つのものを一つにし、敵意という隔ての中垣を取り除き、ご自分の肉によって、 + 数々の規定から成っている戒めの律法を廃棄したのである。それは、彼にあって、二つのものをひとりの新しい人に造りかえて平和をきたらせ、 + 十字架によって、二つのものを一つのからだとして神と和解させ、敵意を十字架にかけて滅ぼしてしまったのである。 + それから彼は、こられた上で、遠く離れているあなたがたに平和を宣べ伝え、また近くにいる者たちにも平和を宣べ伝えられたのである。 + というのは、彼によって、わたしたち両方の者が一つの御霊の中にあって、父のみもとに近づくことができるからである。 + そこであなたがたは、もはや異国人でも宿り人でもなく、聖徒たちと同じ国籍の者であり、神の家族なのである。 + またあなたがたは、使徒たちや預言者たちという土台の上に建てられたものであって、キリスト・イエスご自身が隅のかしら石である。 + このキリストにあって、建物全体が組み合わされ、主にある聖なる宮に成長し、 + そしてあなたがたも、主にあって共に建てられて、霊なる神のすまいとなるのである。 + + + こういうわけで、あなたがた異邦人のためにキリスト・イエスの囚人となっているこのパウロ―― + わたしがあなたがたのために神から賜わった恵みの務について、あなたがたはたしかに聞いたであろう。 + すなわち、すでに簡単に書きおくったように、わたしは啓示によって奥義を知らされたのである。 + あなたがたはそれを読めば、キリストの奥義をわたしがどう理解しているかがわかる。 + この奥義は、いまは、御霊によって彼の聖なる使徒たちと預言者たちとに啓示されているが、前の時代には、人の子らに対して、そのように知らされてはいなかったのである。 + それは、異邦人が、福音によりキリスト・イエスにあって、わたしたちと共に神の国をつぐ者となり、共に一つのからだとなり、共に約束にあずかる者となることである。 + わたしは、神の力がわたしに働いて、自分に与えられた神の恵みの賜物により、福音の僕とされたのである。 + すなわち、聖徒たちのうちで最も小さい者であるわたしにこの恵みが与えられたが、それは、キリストの無尽蔵の富を異邦人に宣べ伝え、 + 更にまた、万物の造り主である神の中に世々隠されていた奥義にあずかる務がどんなものであるかを、明らかに示すためである。 + それは今、天上にあるもろもろの支配や権威が、教会をとおして、神の多種多様な知恵を知るに至るためであって、 + わたしたちの主キリスト・イエスにあって実現された神の永遠の目的にそうものである。 + この主キリストにあって、わたしたちは、彼に対する信仰によって、確信をもって大胆に神に近づくことができるのである。 + だから、あなたがたのためにわたしが受けている患難を見て、落胆しないでいてもらいたい。わたしの患難は、あなたがたの光栄なのである。 + こういうわけで、わたしはひざをかがめて、 + 天上にあり地上にあって「父」と呼ばれているあらゆるものの源なる父に祈る。 + どうか父が、その栄光の富にしたがい、御霊により、力をもってあなたがたの内なる人を強くして下さるように、 + また、信仰によって、キリストがあなたがたの心のうちに住み、あなたがたが愛に根ざし愛を基として生活することにより、 + すべての聖徒と共に、その広さ、長さ、高さ、深さを理解することができ、 + また人知をはるかに越えたキリストの愛を知って、神に満ちているもののすべてをもって、あなたがたが満たされるように、と祈る。 + どうか、わたしたちのうちに働く力によって、わたしたちが求めまた思うところのいっさいを、はるかに越えてかなえて下さることができるかたに、 + 教会により、また、キリスト・イエスによって、栄光が世々限りなくあるように、アァメン。 + + + さて、主にある囚人であるわたしは、あなたがたに勧める。あなたがたが召されたその召しにふさわしく歩き、 + できる限り謙虚で、かつ柔和であり、寛容を示し、愛をもって互に忍びあい、 + 平和のきずなで結ばれて、聖霊による一致を守り続けるように努めなさい。 + からだは一つ、御霊も一つである。あなたがたが召されたのは、一つの望みを目ざして召されたのと同様である。 + 主は一つ、信仰は一つ、バプテスマは一つ。 + すべてのものの上にあり、すべてのものを貫き、すべてのものの内にいます、すべてのものの父なる神は一つである。 + しかし、キリストから賜わる賜物のはかりに従って、わたしたちひとりびとりに、恵みが与えられている。 + そこで、こう言われている、「彼は高いところに上った時、とりこを捕えて引き行き、人々に賜物を分け与えた」。 + さて「上った」と言う以上、また地下の低い底にも降りてこられたわけではないか。 + 降りてこられた者自身は、同時に、あらゆるものに満ちるために、もろもろの天の上にまで上られたかたなのである。 + そして彼は、ある人を使徒とし、ある人を預言者とし、ある人を伝道者とし、ある人を牧師、教師として、お立てになった。 + それは、聖徒たちをととのえて奉仕のわざをさせ、キリストのからだを建てさせ、 + わたしたちすべての者が、神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致とに到達し、全き人となり、ついに、キリストの満ちみちた徳の高さにまで至るためである。 + こうして、わたしたちはもはや子供ではないので、だまし惑わす策略により、人々の悪巧みによって起る様々な教の風に吹きまわされたり、もてあそばれたりすることがなく、 + 愛にあって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達するのである。 + また、キリストを基として、全身はすべての節々の助けにより、しっかりと組み合わされ結び合わされ、それぞれの部分は分に応じて働き、からだを成長させ、愛のうちに育てられていくのである。 + そこで、わたしは主にあっておごそかに勧める。あなたがたは今後、異邦人がむなしい心で歩いているように歩いてはならない。 + 彼らの知力は暗くなり、その内なる無知と心の硬化とにより、神のいのちから遠く離れ、 + 自ら無感覚になって、ほしいままにあらゆる不潔な行いをして、放縦に身をゆだねている。 + しかしあなたがたは、そのようにキリストに学んだのではなかった。 + あなたがたはたしかに彼に聞き、彼にあって教えられて、イエスにある真理をそのまま学んだはずである。 + すなわち、あなたがたは、以前の生活に属する、情欲に迷って滅び行く古き人を脱ぎ捨て、 + 心の深みまで新たにされて、 + 真の義と聖とをそなえた神にかたどって造られた新しき人を着るべきである。 + こういうわけだから、あなたがたは偽りを捨てて、おのおの隣り人に対して、真実を語りなさい。わたしたちは、お互に肢体なのであるから。 + 怒ることがあっても、罪を犯してはならない。憤ったままで、日が暮れるようであってはならない。 + また、悪魔に機会を与えてはいけない。 + 盗んだ者は、今後、盗んではならない。むしろ、貧しい人々に分け与えるようになるために、自分の手で正当な働きをしなさい。 + 悪い言葉をいっさい、あなたがたの口から出してはいけない。必要があれば、人の徳を高めるのに役立つような言葉を語って、聞いている者の益になるようにしなさい。 + 神の聖霊を悲しませてはいけない。あなたがたは、あがないの日のために、聖霊の証印を受けたのである。 + すべての無慈悲、憤り、怒り、騒ぎ、そしり、また、いっさいの悪意を捨て去りなさい。 + 互に情深く、あわれみ深い者となり、神がキリストにあってあなたがたをゆるして下さったように、あなたがたも互にゆるし合いなさい。 + + + こうして、あなたがたは、神に愛されている子供として、神にならう者になりなさい。 + また愛のうちを歩きなさい。キリストもあなたがたを愛して下さって、わたしたちのために、ご自身を、神へのかんばしいかおりのささげ物、また、いけにえとしてささげられたのである。 + また、不品行といろいろな汚れや貪欲などを、聖徒にふさわしく、あなたがたの間では、口にすることさえしてはならない。 + また、卑しい言葉と愚かな話やみだらな冗談を避けなさい。これらは、よろしくない事である。それよりは、むしろ感謝をささげなさい。 + あなたがたは、よく知っておかねばならない。すべて不品行な者、汚れたことをする者、貪欲な者、すなわち、偶像を礼拝する者は、キリストと神との国をつぐことができない。 + あなたがたは、だれにも不誠実な言葉でだまされてはいけない。これらのことから、神の怒りは不従順の子らに下るのである。 + だから、彼らの仲間になってはいけない。 + あなたがたは、以前はやみであったが、今は主にあって光となっている。光の子らしく歩きなさい―― + 光はあらゆる善意と正義と真実との実を結ばせるものである―― + 主に喜ばれるものがなんであるかを、わきまえ知りなさい。 + 実を結ばないやみのわざに加わらないで、むしろ、それを指摘してやりなさい。 + 彼らが隠れて行っていることは、口にするだけでも恥ずかしい事である。 + しかし、光にさらされる時、すべてのものは、明らかになる。 + 明らかにされたものは皆、光となるのである。だから、こう書いてある、「眠っている者よ、起きなさい。死人のなかから、立ち上がりなさい。そうすれば、キリストがあなたを照すであろう」。 + そこで、あなたがたの歩きかたによく注意して、賢くない者のようにではなく、賢い者のように歩き、 + 今の時を生かして用いなさい。今は悪い時代なのである。 + だから、愚かな者にならないで、主の御旨がなんであるかを悟りなさい。 + 酒に酔ってはいけない。それは乱行のもとである。むしろ御霊に満たされて、 + 詩とさんびと霊の歌とをもって語り合い、主にむかって心からさんびの歌をうたいなさい。 + そしてすべてのことにつき、いつも、わたしたちの主イエス・キリストの御名によって、父なる神に感謝し、 + キリストに対する恐れの心をもって、互に仕え合うべきである。 + 妻たる者よ。主に仕えるように自分の夫に仕えなさい。 + キリストが教会のかしらであって、自らは、からだなる教会の救主であられるように、夫は妻のかしらである。 + そして教会がキリストに仕えるように、妻もすべてのことにおいて、夫に仕えるべきである。 + 夫たる者よ。キリストが教会を愛してそのためにご自身をささげられたように、妻を愛しなさい。 + キリストがそうなさったのは、水で洗うことにより、言葉によって、教会をきよめて聖なるものとするためであり、 + また、しみも、しわも、そのたぐいのものがいっさいなく、清くて傷のない栄光の姿の教会を、ご自分に迎えるためである。 + それと同じく、夫も自分の妻を、自分のからだのように愛さねばならない。自分の妻を愛する者は、自分自身を愛するのである。 + 自分自身を憎んだ者は、いまだかつて、ひとりもいない。かえって、キリストが教会になさったようにして、おのれを育て養うのが常である。 + わたしたちは、キリストのからだの肢体なのである。 + 「それゆえに、人は父母を離れてその妻と結ばれ、ふたりの者は一体となるべきである」。 + この奥義は大きい。それは、キリストと教会とをさしている。 + いずれにしても、あなたがたは、それぞれ、自分の妻を自分自身のように愛しなさい。妻もまた夫を敬いなさい。 + + + 子たる者よ。主にあって両親に従いなさい。これは正しいことである。 + 「あなたの父と母とを敬え」。これが第一の戒めであって、次の約束がそれについている、 + 「そうすれば、あなたは幸福になり、地上でながく生きながらえるであろう」。 + 父たる者よ。子供をおこらせないで、主の薫陶と訓戒とによって、彼らを育てなさい。 + 僕たる者よ。キリストに従うように、恐れおののきつつ、真心をこめて、肉による主人に従いなさい。 + 人にへつらおうとして目先だけの勤めをするのでなく、キリストの僕として心から神の御旨を行い、 + 人にではなく主に仕えるように、快く仕えなさい。 + あなたがたが知っているとおり、だれでも良いことを行えば、僕であれ、自由人であれ、それに相当する報いを、それぞれ主から受けるであろう。 + 主人たる者よ。僕たちに対して、同様にしなさい。おどすことを、してはならない。あなたがたが知っているとおり、彼らとあなたがたとの主は天にいますのであり、かつ人をかたより見ることをなさらないのである。 + 最後に言う。主にあって、その偉大な力によって、強くなりなさい。 + 悪魔の策略に対抗して立ちうるために、神の武具で身を固めなさい。 + わたしたちの戦いは、血肉に対するものではなく、もろもろの支配と、権威と、やみの世の主権者、また天上にいる悪の霊に対する戦いである。 + それだから、悪しき日にあたって、よく抵抗し、完全に勝ち抜いて、堅く立ちうるために、神の武具を身につけなさい。 + すなわち、立って真理の帯を腰にしめ、正義の胸当を胸につけ、 + 平和の福音の備えを足にはき、 + その上に、信仰のたてを手に取りなさい。それをもって、悪しき者の放つ火の矢を消すことができるであろう。 + また、救のかぶとをかぶり、御霊の剣、すなわち、神の言を取りなさい。 + 絶えず祈と願いをし、どんな時でも御霊によって祈り、そのために目をさましてうむことがなく、すべての聖徒のために祈りつづけなさい。 + また、わたしが口を開くときに語るべき言葉を賜わり、大胆に福音の奥義を明らかに示しうるように、わたしのためにも祈ってほしい。 + わたしはこの福音のための使節であり、そして鎖につながれているのであるが、つながれていても、語るべき時には大胆に語れるように祈ってほしい。 + わたしがどういう様子か、何をしているかを、あなたがたに知ってもらうために、主にあって忠実に仕えている愛する兄弟テキコが、いっさいの事を報告するであろう。 + 彼をあなたがたのもとに送るのは、あなたがたがわたしたちの様子を知り、また彼によって心に励ましを受けるようになるためなのである。 + 父なる神とわたしたちの主イエス・キリストから平安ならびに信仰に伴う愛が、兄弟たちにあるように。 + 変らない真実をもって、わたしたちの主イエス・キリストを愛するすべての人々に、恵みがあるように。 + +
+
+ + キリスト・イエスの僕たち、パウロとテモテから、ピリピにいる、キリスト・イエスにあるすべての聖徒たち、ならびに監督たちと執事たちへ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしはあなたがたを思うたびごとに、わたしの神に感謝し、 + あなたがた一同のために祈るとき、いつも喜びをもって祈り、 + あなたがたが最初の日から今日に至るまで、福音にあずかっていることを感謝している。 + そして、あなたがたのうちに良いわざを始められたかたが、キリスト・イエスの日までにそれを完成して下さるにちがいないと、確信している。 + わたしが、あなたがた一同のために、そう考えるのは当然である。それは、わたしが獄に捕われている時にも、福音を弁明し立証する時にも、あなたがたをみな、共に恵みにあずかる者として、わたしの心に深く留めているからである。 + わたしがキリスト・イエスの熱愛をもって、どんなに深くあなたがた一同を思っていることか、それを証明して下さるかたは神である。 + わたしはこう祈る。あなたがたの愛が、深い知識において、するどい感覚において、いよいよ増し加わり、 + それによって、あなたがたが、何が重要であるかを判別することができ、キリストの日に備えて、純真で責められるところのないものとなり、 + イエス・キリストによる義の実に満たされて、神の栄光とほまれとをあらわすに至るように。 + さて、兄弟たちよ。わたしの身に起った事が、むしろ福音の前進に役立つようになったことを、あなたがたに知ってもらいたい。 + すなわち、わたしが獄に捕われているのはキリストのためであることが、兵営全体にもそのほかのすべての人々にも明らかになり、 + そして兄弟たちのうち多くの者は、わたしの入獄によって主にある確信を得、恐れることなく、ますます勇敢に、神の言を語るようになった。 + 一方では、ねたみや闘争心からキリストを宣べ伝える者がおり、他方では善意からそうする者がいる。 + 後者は、わたしが福音を弁明するために立てられていることを知り、愛の心でキリストを伝え、 + 前者は、わたしの入獄の苦しみに更に患難を加えようと思って、純真な心からではなく、党派心からそうしている。 + すると、どうなのか。見えからであるにしても、真実からであるにしても、要するに、伝えられているのはキリストなのだから、わたしはそれを喜んでいるし、また喜ぶであろう。 + なぜなら、あなたがたの祈と、イエス・キリストの霊の助けとによって、この事がついには、わたしの救となることを知っているからである。 + そこで、わたしが切実な思いで待ち望むことは、わたしが、どんなことがあっても恥じることなく、かえって、いつものように今も、大胆に語ることによって、生きるにも死ぬにも、わたしの身によってキリストがあがめられることである。 + わたしにとっては、生きることはキリストであり、死ぬことは益である。 + しかし、肉体において生きていることが、わたしにとっては実り多い働きになるのだとすれば、どちらを選んだらよいか、わたしにはわからない。 + わたしは、これら二つのものの間に板ばさみになっている。わたしの願いを言えば、この世を去ってキリストと共にいることであり、実は、その方がはるかに望ましい。 + しかし、肉体にとどまっていることは、あなたがたのためには、さらに必要である。 + こう確信しているので、わたしは生きながらえて、あなたがた一同のところにとどまり、あなたがたの信仰を進ませ、その喜びを得させようと思う。 + そうなれば、わたしが再びあなたがたのところに行くので、あなたがたはわたしによってキリスト・イエスにある誇を増すことになろう。 + ただ、あなたがたはキリストの福音にふさわしく生活しなさい。そして、わたしが行ってあなたがたに会うにしても、離れているにしても、あなたがたが一つの霊によって堅く立ち、一つ心になって福音の信仰のために力を合わせて戦い、 + かつ、何事についても、敵対する者どもにろうばいさせられないでいる様子を、聞かせてほしい。このことは、彼らには滅びのしるし、あなたがたには救のしるしであって、それは神から来るのである。 + あなたがたはキリストのために、ただ彼を信じることだけではなく、彼のために苦しむことをも賜わっている。 + あなたがたは、さきにわたしについて見、今またわたしについて聞いているのと同じ苦闘を、続けているのである。 + + + そこで、あなたがたに、キリストによる勧め、愛の励まし、御霊の交わり、熱愛とあわれみとが、いくらかでもあるなら、 + どうか同じ思いとなり、同じ愛の心を持ち、心を合わせ、一つ思いになって、わたしの喜びを満たしてほしい。 + 何事も党派心や虚栄からするのでなく、へりくだった心をもって互に人を自分よりすぐれた者としなさい。 + おのおの、自分のことばかりでなく、他人のことも考えなさい。 + キリスト・イエスにあっていだいているのと同じ思いを、あなたがたの間でも互に生かしなさい。 + キリストは、神のかたちであられたが、神と等しくあることを固守すべき事とは思わず、 + かえって、おのれをむなしうして僕のかたちをとり、人間の姿になられた。その有様は人と異ならず、 + おのれを低くして、死に至るまで、しかも十字架の死に至るまで従順であられた。 + それゆえに、神は彼を高く引き上げ、すべての名にまさる名を彼に賜わった。 + それは、イエスの御名によって、天上のもの、地上のもの、地下のものなど、あらゆるものがひざをかがめ、 + また、あらゆる舌が、「イエス・キリストは主である」と告白して、栄光を父なる神に帰するためである。 + わたしの愛する者たちよ。そういうわけだから、あなたがたがいつも従順であったように、わたしが一緒にいる時だけでなく、いない今は、いっそう従順でいて、恐れおののいて自分の救の達成に努めなさい。 + あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起させ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである。 + すべてのことを、つぶやかず疑わないでしなさい。 + それは、あなたがたが責められるところのない純真な者となり、曲った邪悪な時代のただ中にあって、傷のない神の子となるためである。あなたがたは、いのちの言葉を堅く持って、彼らの間で星のようにこの世に輝いている。 + このようにして、キリストの日に、わたしは自分の走ったことがむだでなく、労したこともむだではなかったと誇ることができる。 + そして、たとい、あなたがたの信仰の供え物をささげる祭壇に、わたしの血をそそぐことがあっても、わたしは喜ぼう。あなたがた一同と共に喜ぼう。 + 同じように、あなたがたも喜びなさい。わたしと共に喜びなさい。 + さて、わたしは、まもなくテモテをあなたがたのところに送りたいと、主イエスにあって願っている。それは、あなたがたの様子を知って、わたしも力づけられたいからである。 + テモテのような心で、親身になってあなたがたのことを心配している者は、ほかにひとりもない。 + 人はみな、自分のことを求めるだけで、キリスト・イエスのことは求めていない。 + しかし、テモテの錬達ぶりは、あなたがたの知っているとおりである。すなわち、子が父に対するようにして、わたしと一緒に福音に仕えてきたのである。 + そこで、この人を、わたしの成行きがわかりしだい、すぐにでも、そちらへ送りたいと願っている。 + わたし自身もまもなく行けるものと、主にあって確信している。 + しかし、さしあたり、わたしの同労者で戦友である兄弟、また、あなたがたの使者としてわたしの窮乏を補ってくれたエパフロデトを、あなたがたのもとに送り返すことが必要だと思っている。 + 彼は、あなたがた一同にしきりに会いたがっているからである。その上、自分の病気のことがあなたがたに聞えたので、彼は心苦しく思っている。 + 彼は実に、ひん死の病気にかかったが、神は彼をあわれんで下さった。彼ばかりではなく、わたしをもあわれんで下さったので、わたしは悲しみに悲しみを重ねないですんだのである。 + そこで、大急ぎで彼を送り返す。これで、あなたがたは彼と再び会って喜び、わたしもまた、心配を和らげることができよう。 + こういうわけだから、大いに喜んで、主にあって彼を迎えてほしい。また、こうした人々は尊重せねばならない。 + 彼は、わたしに対してあなたがたが奉仕のできなかった分を補おうとして、キリストのわざのために命をかけ、死ぬばかりになったのである。 + + + 最後に、わたしの兄弟たちよ。主にあって喜びなさい。さきに書いたのと同じことをここで繰り返すが、それは、わたしには煩らわしいことではなく、あなたがたには安全なことになる。 + あの犬どもを警戒しなさい。悪い働き人たちを警戒しなさい。肉に割礼の傷をつけている人たちを警戒しなさい。 + 神の霊によって礼拝をし、キリスト・イエスを誇とし、肉を頼みとしないわたしたちこそ、割礼の者である。 + もとより、肉の頼みなら、わたしにも無くはない。もし、だれかほかの人が肉を頼みとしていると言うなら、わたしはそれをもっと頼みとしている。 + わたしは八日目に割礼を受けた者、イスラエルの民族に属する者、ベニヤミン族の出身、ヘブル人の中のヘブル人、律法の上ではパリサイ人、 + 熱心の点では教会の迫害者、律法の義については落ち度のない者である。 + しかし、わたしにとって益であったこれらのものを、キリストのゆえに損と思うようになった。 + わたしは、更に進んで、わたしの主キリスト・イエスを知る知識の絶大な価値のゆえに、いっさいのものを損と思っている。キリストのゆえに、わたしはすべてを失ったが、それらのものを、ふん土のように思っている。それは、わたしがキリストを得るためであり、 + 律法による自分の義ではなく、キリストを信じる信仰による義、すなわち、信仰に基く神からの義を受けて、キリストのうちに自分を見いだすようになるためである。 + すなわち、キリストとその復活の力とを知り、その苦難にあずかって、その死のさまとひとしくなり、 + なんとかして死人のうちからの復活に達したいのである。 + わたしがすでにそれを得たとか、すでに完全な者になっているとか言うのではなく、ただ捕えようとして追い求めているのである。そうするのは、キリスト・イエスによって捕えられているからである。 + 兄弟たちよ。わたしはすでに捕えたとは思っていない。ただこの一事を努めている。すなわち、後のものを忘れ、前のものに向かってからだを伸ばしつつ、 + 目標を目ざして走り、キリスト・イエスにおいて上に召して下さる神の賞与を得ようと努めているのである。 + だから、わたしたちの中で全き人たちは、そのように考えるべきである。しかし、あなたがたが違った考えを持っているなら、神はそのことも示して下さるであろう。 + ただ、わたしたちは、達し得たところに従って進むべきである。 + 兄弟たちよ。どうか、わたしにならう者となってほしい。また、あなたがたの模範にされているわたしたちにならって歩く人たちに、目をとめなさい。 + わたしがそう言うのは、キリストの十字架に敵対して歩いている者が多いからである。わたしは、彼らのことをしばしばあなたがたに話したが、今また涙を流して語る。 + 彼らの最後は滅びである。彼らの神はその腹、彼らの栄光はその恥、彼らの思いは地上のことである。 + しかし、わたしたちの国籍は天にある。そこから、救主、主イエス・キリストのこられるのを、わたしたちは待ち望んでいる。 + 彼は、万物をご自身に従わせうる力の働きによって、わたしたちの卑しいからだを、ご自身の栄光のからだと同じかたちに変えて下さるであろう。 + + + だから、わたしの愛し慕っている兄弟たちよ。わたしの喜びであり冠である愛する者たちよ。このように、主にあって堅く立ちなさい。 + わたしはユウオデヤに勧め、またスントケに勧める。どうか、主にあって一つ思いになってほしい。 + ついては、真実な協力者よ。あなたにお願いする。このふたりの女を助けてあげなさい。彼らは、「いのちの書」に名を書きとめられているクレメンスや、その他の同労者たちと協力して、福音のためにわたしと共に戦ってくれた女たちである。 + あなたがたは、主にあっていつも喜びなさい。繰り返して言うが、喜びなさい。 + あなたがたの寛容を、みんなの人に示しなさい。主は近い。 + 何事も思い煩ってはならない。ただ、事ごとに、感謝をもって祈と願いとをささげ、あなたがたの求めるところを神に申し上げるがよい。 + そうすれば、人知ではとうてい測り知ることのできない神の平安が、あなたがたの心と思いとを、キリスト・イエスにあって守るであろう。 + 最後に、兄弟たちよ。すべて真実なこと、すべて尊ぶべきこと、すべて正しいこと、すべて純真なこと、すべて愛すべきこと、すべてほまれあること、また徳といわれるもの、称賛に値するものがあれば、それらのものを心にとめなさい。 + あなたがたが、わたしから学んだこと、受けたこと、聞いたこと、見たことは、これを実行しなさい。そうすれば、平和の神が、あなたがたと共にいますであろう。 + さて、わたしが主にあって大いに喜んでいるのは、わたしを思う心が、あなたがたに今またついに芽ばえてきたことである。実は、あなたがたは、わたしのことを心にかけてくれてはいたが、よい機会がなかったのである。 + わたしは乏しいから、こう言うのではない。わたしは、どんな境遇にあっても、足ることを学んだ。 + わたしは貧に処する道を知っており、富におる道も知っている。わたしは、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、ありとあらゆる境遇に処する秘けつを心得ている。 + わたしを強くして下さるかたによって、何事でもすることができる。 + しかし、あなたがたは、よくもわたしと患難を共にしてくれた。 + ピリピの人たちよ。あなたがたも知っているとおり、わたしが福音を宣伝し始めたころ、マケドニヤから出かけて行った時、物のやりとりをしてわたしの働きに参加した教会は、あなたがたのほかには全く無かった。 + またテサロニケでも、一再ならず、物を送ってわたしの欠乏を補ってくれた。 + わたしは、贈り物を求めているのではない。わたしの求めているのは、あなたがたの勘定をふやしていく果実なのである。 + わたしは、すべての物を受けてあり余るほどである。エパフロデトから、あなたがたの贈り物をいただいて、飽き足りている。それは、かんばしいかおりであり、神の喜んで受けて下さる供え物である。 + わたしの神は、ご自身の栄光の富の中から、あなたがたのいっさいの必要を、キリスト・イエスにあって満たして下さるであろう。 + わたしたちの父なる神に、栄光が世々限りなくあるように、アァメン。 + キリスト・イエスにある聖徒のひとりびとりに、よろしく。わたしと一緒にいる兄弟たちから、あなたがたによろしく。 + すべての聖徒たちから、特にカイザルの家の者たちから、よろしく。 + 主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように。 + +
+
+ + 神の御旨によるキリスト・イエスの使徒パウロと兄弟テモテから、 + コロサイにいる、キリストにある聖徒たち、忠実な兄弟たちへ。わたしたちの父なる神から、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしたちは、いつもあなたがたのために祈り、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神に感謝している。 + これは、キリスト・イエスに対するあなたがたの信仰と、すべての聖徒に対していだいているあなたがたの愛とを、耳にしたからである。 + この愛は、あなたがたのために天にたくわえられている望みに基くものであり、その望みについては、あなたがたはすでに、あなたがたのところまで伝えられた福音の真理の言葉によって聞いている。 + そして、この福音は、世界中いたる所でそうであるように、あなたがたのところでも、これを聞いて神の恵みを知ったとき以来、実を結んで成長しているのである。 + あなたがたはこの福音を、わたしたちと同じ僕である、愛するエペフラスから学んだのであった。彼はあなたがたのためのキリストの忠実な奉仕者であって、 + あなたがたが御霊によっていだいている愛を、わたしたちに知らせてくれたのである。 + そういうわけで、これらの事を耳にして以来、わたしたちも絶えずあなたがたのために祈り求めているのは、あなたがたがあらゆる霊的な知恵と理解力とをもって、神の御旨を深く知り、 + 主のみこころにかなった生活をして真に主を喜ばせ、あらゆる良いわざを行って実を結び、神を知る知識をいよいよ増し加えるに至ることである。 + 更にまた祈るのは、あなたがたが、神の栄光の勢いにしたがって賜わるすべての力によって強くされ、何事も喜んで耐えかつ忍び、 + 光のうちにある聖徒たちの特権にあずかるに足る者とならせて下さった父なる神に、感謝することである。 + 神は、わたしたちをやみの力から救い出して、その愛する御子の支配下に移して下さった。 + わたしたちは、この御子によってあがない、すなわち、罪のゆるしを受けているのである。 + 御子は、見えない神のかたちであって、すべての造られたものに先だって生れたかたである。 + 万物は、天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、位も主権も、支配も権威も、みな御子にあって造られたからである。これらいっさいのものは、御子によって造られ、御子のために造られたのである。 + 彼は万物よりも先にあり、万物は彼にあって成り立っている。 + そして自らは、そのからだなる教会のかしらである。彼は初めの者であり、死人の中から最初に生れたかたである。それは、ご自身がすべてのことにおいて第一の者となるためである。 + 神は、御旨によって、御子のうちにすべての満ちみちた徳を宿らせ、 + そして、その十字架の血によって平和をつくり、万物、すなわち、地にあるもの、天にあるものを、ことごとく、彼によってご自分と和解させて下さったのである。 + あなたがたも、かつては悪い行いをして神から離れ、心の中で神に敵対していた。 + しかし今では、御子はその肉のからだにより、その死をとおして、あなたがたを神と和解させ、あなたがたを聖なる、傷のない、責められるところのない者として、みまえに立たせて下さったのである。 + ただし、あなたがたは、ゆるぐことがなく、しっかりと信仰にふみとどまり、すでに聞いている福音の望みから移り行くことのないようにすべきである。この福音は、天の下にあるすべての造られたものに対して宣べ伝えられたものであって、それにこのパウロが奉仕しているのである。 + 今わたしは、あなたがたのための苦難を喜んで受けており、キリストのからだなる教会のために、キリストの苦しみのなお足りないところを、わたしの肉体をもって補っている。 + わたしは、神の言を告げひろめる務を、あなたがたのために神から与えられているが、そのために教会に奉仕する者になっているのである。 + その言の奥義は、代々にわたってこの世から隠されていたが、今や神の聖徒たちに明らかにされたのである。 + 神は彼らに、異邦人の受くべきこの奥義が、いかに栄光に富んだものであるかを、知らせようとされたのである。この奥義は、あなたがたのうちにいますキリストであり、栄光の望みである。 + わたしたちはこのキリストを宣べ伝え、知恵をつくしてすべての人を訓戒し、また、すべての人を教えている。それは、彼らがキリストにあって全き者として立つようになるためである。 + わたしはこのために、わたしのうちに力強く働いておられるかたの力により、苦闘しながら努力しているのである。 + + + わたしが、あなたがたとラオデキヤにいる人たちのため、また、直接にはまだ会ったことのない人々のために、どんなに苦闘しているか、わかってもらいたい。 + それは彼らが、心を励まされ、愛によって結び合わされ、豊かな理解力を十分に与えられ、神の奥義なるキリストを知るに至るためである。 + キリストのうちには、知恵と知識との宝が、いっさい隠されている。 + わたしがこう言うのは、あなたがたが、だれにも巧みな言葉で迷わされることのないためである。 + たとい、わたしは肉体においては離れていても、霊においてはあなたがたと一緒にいて、あなたがたの秩序正しい様子とキリストに対するあなたがたの強固な信仰とを見て、喜んでいる。 + このように、あなたがたは主キリスト・イエスを受けいれたのだから、彼にあって歩きなさい。 + また、彼に根ざし、彼にあって建てられ、そして教えられたように、信仰が確立されて、あふれるばかり感謝しなさい。 + あなたがたは、むなしいだましごとの哲学で、人のとりこにされないように、気をつけなさい。それはキリストに従わず、世のもろもろの霊力に従う人間の言伝えに基くものにすぎない。 + キリストにこそ、満ちみちているいっさいの神の徳が、かたちをとって宿っており、 + そしてあなたがたは、キリストにあって、それに満たされているのである。彼はすべての支配と権威とのかしらであり、 + あなたがたはまた、彼にあって、手によらない割礼、すなわち、キリストの割礼を受けて、肉のからだを脱ぎ捨てたのである。 + あなたがたはバプテスマを受けて彼と共に葬られ、同時に、彼を死人の中からよみがえらせた神の力を信じる信仰によって、彼と共によみがえらされたのである。 + あなたがたは、先には罪の中にあり、かつ肉の割礼がないままで死んでいた者であるが、神は、あなたがたをキリストと共に生かし、わたしたちのいっさいの罪をゆるして下さった。 + 神は、わたしたちを責めて不利におとしいれる証書を、その規定もろともぬり消し、これを取り除いて、十字架につけてしまわれた。 + そして、もろもろの支配と権威との武装を解除し、キリストにあって凱旋し、彼らをその行列に加えて、さらしものとされたのである。 + だから、あなたがたは、食物と飲み物とにつき、あるいは祭や新月や安息日などについて、だれにも批評されてはならない。 + これらは、きたるべきものの影であって、その本体はキリストにある。 + あなたがたは、わざとらしい謙そんと天使礼拝とにおぼれている人々から、いろいろと悪評されてはならない。彼らは幻を見たことを重んじ、肉の思いによっていたずらに誇るだけで、 + キリストなるかしらに、しっかりと着くことをしない。このかしらから出て、からだ全体は、節と節、筋と筋とによって強められ結び合わされ、神に育てられて成長していくのである。 + もしあなたがたが、キリストと共に死んで世のもろもろの霊力から離れたのなら、なぜ、なおこの世に生きているもののように、 + 「さわるな、味わうな、触れるな」などという規定に縛られているのか。 + これらは皆、使えば尽きてしまうもの、人間の規定や教によっているものである。 + これらのことは、ひとりよがりの礼拝とわざとらしい謙そんと、からだの苦行とをともなうので、知恵のあるしわざらしく見えるが、実は、ほしいままな肉欲を防ぐのに、なんの役にも立つものではない。 + + + このように、あなたがたはキリストと共によみがえらされたのだから、上にあるものを求めなさい。そこではキリストが神の右に座しておられるのである。 + あなたがたは上にあるものを思うべきであって、地上のものに心を引かれてはならない。 + あなたがたはすでに死んだものであって、あなたがたのいのちは、キリストと共に神のうちに隠されているのである。 + わたしたちのいのちなるキリストが現れる時には、あなたがたも、キリストと共に栄光のうちに現れるであろう。 + だから、地上の肢体、すなわち、不品行、汚れ、情欲、悪欲、また貪欲を殺してしまいなさい。貪欲は偶像礼拝にほかならない。 + これらのことのために、神の怒りが下るのである。 + あなたがたも、以前これらのうちに日を過ごしていた時には、これらのことをして歩いていた。 + しかし今は、これらいっさいのことを捨て、怒り、憤り、悪意、そしり、口から出る恥ずべき言葉を、捨ててしまいなさい。 + 互にうそを言ってはならない。あなたがたは、古き人をその行いと一緒に脱ぎ捨て、 + 造り主のかたちに従って新しくされ、真の知識に至る新しき人を着たのである。 + そこには、もはやギリシヤ人とユダヤ人、割礼と無割礼、未開の人、スクテヤ人、奴隷、自由人の差別はない。キリストがすべてであり、すべてのもののうちにいますのである。 + だから、あなたがたは、神に選ばれた者、聖なる、愛されている者であるから、あわれみの心、慈愛、謙そん、柔和、寛容を身に着けなさい。 + 互に忍びあい、もし互に責むべきことがあれば、ゆるし合いなさい。主もあなたがたをゆるして下さったのだから、そのように、あなたがたもゆるし合いなさい。 + これらいっさいのものの上に、愛を加えなさい。愛は、すべてを完全に結ぶ帯である。 + キリストの平和が、あなたがたの心を支配するようにしなさい。あなたがたが召されて一体となったのは、このためでもある。いつも感謝していなさい。 + キリストの言葉を、あなたがたのうちに豊かに宿らせなさい。そして、知恵をつくして互に教えまた訓戒し、詩とさんびと霊の歌とによって、感謝して心から神をほめたたえなさい。 + そして、あなたのすることはすべて、言葉によるとわざによるとを問わず、いっさい主イエスの名によってなし、彼によって父なる神に感謝しなさい。 + 妻たる者よ、夫に仕えなさい。それが、主にある者にふさわしいことである。 + 夫たる者よ、妻を愛しなさい。つらくあたってはいけない。 + 子たる者よ、何事についても両親に従いなさい。これが主に喜ばれることである。 + 父たる者よ、子供をいらだたせてはいけない。心がいじけるかも知れないから。 + 僕たる者よ、何事についても、肉による主人に従いなさい。人にへつらおうとして、目先だけの勤めをするのではなく、真心をこめて主を恐れつつ、従いなさい。 + 何をするにも、人に対してではなく、主に対してするように、心から働きなさい。 + あなたがたが知っているとおり、あなたがたは御国をつぐことを、報いとして主から受けるであろう。あなたがたは、主キリストに仕えているのである。 + 不正を行う者は、自分の行った不正に対して報いを受けるであろう。それには差別扱いはない。 + + + 主人たる者よ、僕を正しく公平に扱いなさい。あなたがたにも主が天にいますことが、わかっているのだから。 + 目をさまして、感謝のうちに祈り、ひたすら祈り続けなさい。 + 同時にわたしたちのためにも、神が御言のために門を開いて下さって、わたしたちがキリストの奥義を語れるように(わたしは、実は、そのために獄につながれているのである)、 + また、わたしが語るべきことをはっきりと語れるように、祈ってほしい。 + 今の時を生かして用い、そとの人に対して賢く行動しなさい。 + いつも、塩で味つけられた、やさしい言葉を使いなさい。そうすれば、ひとりびとりに対してどう答えるべきか、わかるであろう。 + わたしの様子については、主にあって共に僕であり、また忠実に仕えている愛する兄弟テキコが、あなたがたにいっさいのことを報告するであろう。 + わたしが彼をあなたがたのもとに送るのは、わたしたちの様子を知り、また彼によって心に励ましを受けるためなのである。 + あなたがたのひとり、忠実な愛する兄弟オネシモをも、彼と共に送る。彼らはあなたがたに、こちらのいっさいの事情を知らせるであろう。 + わたしと一緒に捕われの身となっているアリスタルコと、バルナバのいとこマルコとが、あなたがたによろしくと言っている。このマルコについては、もし彼があなたがたのもとに行くなら、迎えてやるようにとのさしずを、あなたがたはすでに受けているはずである。 + また、ユストと呼ばれているイエスからもよろしく。割礼の者の中で、この三人だけが神の国のために働く同労者であって、わたしの慰めとなった者である。 + あなたがたのうちのひとり、キリスト・イエスの僕エパフラスから、よろしく。彼はいつも、祈のうちであなたがたを覚え、あなたがたが全き人となり、神の御旨をことごとく確信して立つようにと、熱心に祈っている。 + わたしは、彼があなたがたのため、またラオデキヤとヒエラポリスの人々のために、ひじょうに心労していることを、証言する。 + 愛する医者ルカとデマスとが、あなたがたによろしく。 + ラオデキヤの兄弟たちに、またヌンパとその家にある教会とに、よろしく。 + この手紙があなたがたの所で朗読されたら、ラオデキヤの教会でも朗読されるように、取り計らってほしい。またラオデキヤからまわって来る手紙を、あなたがたも朗読してほしい。 + アルキポに、「主にあって受けた務をよく果すように」と伝えてほしい。 + パウロ自身が、手ずからこのあいさつを書く。わたしが獄につながれていることを、覚えていてほしい。恵みが、あなたがたと共にあるように。 + +
+
+ + パウロとシルワノとテモテから、父なる神と主イエス・キリストとにあるテサロニケ人たちの教会へ。恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしたちは祈の時にあなたがたを覚え、あなたがた一同のことを、いつも神に感謝し、 + あなたがたの信仰の働きと、愛の労苦と、わたしたちの主イエス・キリストに対する望みの忍耐とを、わたしたちの父なる神のみまえに、絶えず思い起している。 + 神に愛されている兄弟たちよ。わたしたちは、あなたがたが神に選ばれていることを知っている。 + なぜなら、わたしたちの福音があなたがたに伝えられたとき、それは言葉だけによらず、力と聖霊と強い確信とによったからである。わたしたちが、あなたがたの間で、みんなのためにどんなことをしたか、あなたがたの知っているとおりである。 + そしてあなたがたは、多くの患難の中で、聖霊による喜びをもって御言を受けいれ、わたしたちと主とにならう者となり、 + こうして、マケドニヤとアカヤとにいる信者全体の模範になった。 + すなわち、主の言葉はあなたがたから出て、ただマケドニヤとアカヤとに響きわたっているばかりではなく、至るところで、神に対するあなたがたの信仰のことが言いひろめられたので、これについては何も述べる必要はないほどである。 + わたしたちが、どんなにしてあなたがたの所にはいって行ったか、また、あなたがたが、どんなにして偶像を捨てて神に立ち帰り、生けるまことの神に仕えるようになり、 + そして、死人の中からよみがえった神の御子、すなわち、わたしたちをきたるべき怒りから救い出して下さるイエスが、天から下ってこられるのを待つようになったかを、彼ら自身が言いひろめているのである。 + + + 兄弟たちよ。あなたがた自身が知っているとおり、わたしたちがあなたがたの所にはいって行ったことは、むだではなかった。 + それどころか、あなたがたが知っているように、わたしたちは、先にピリピで苦しめられ、はずかしめられたにもかかわらず、わたしたちの神に勇気を与えられて、激しい苦闘のうちに神の福音をあなたがたに語ったのである。 + いったい、わたしたちの宣教は、迷いや汚れた心から出たものでもなく、だましごとでもない。 + かえって、わたしたちは神の信任を受けて福音を託されたので、人間に喜ばれるためではなく、わたしたちの心を見分ける神に喜ばれるように、福音を語るのである。 + わたしたちは、あなたがたが知っているように、決してへつらいの言葉を用いたこともなく、口実を設けて、むさぼったこともない。それは、神があかしして下さる。 + また、わたしたちは、キリストの使徒として重んじられることができたのであるが、あなたがたからにもせよ、ほかの人々からにもせよ、人間からの栄誉を求めることはしなかった。 + むしろ、あなたがたの間で、ちょうど母がその子供を育てるように、やさしくふるまった。 + このように、あなたがたを慕わしく思っていたので、ただ神の福音ばかりではなく、自分のいのちまでもあなたがたに与えたいと願ったほどに、あなたがたを愛したのである。 + 兄弟たちよ。あなたがたはわたしたちの労苦と努力とを記憶していることであろう。すなわち、あなたがたのだれにも負担をかけまいと思って、日夜はたらきながら、あなたがたに神の福音を宣べ伝えた。 + あなたがたもあかしし、神もあかしして下さるように、わたしたちはあなたがた信者の前で、信心深く、正しく、責められるところがないように、生活をしたのである。 + そして、あなたがたも知っているとおり、父がその子に対してするように、あなたがたのひとりびとりに対して、 + 御国とその栄光とに召して下さった神のみこころにかなって歩くようにと、勧め、励まし、また、さとしたのである。 + これらのことを考えて、わたしたちがまた絶えず神に感謝しているのは、あなたがたがわたしたちの説いた神の言を聞いた時に、それを人間の言葉としてではなく、神の言として――事実そのとおりであるが――受けいれてくれたことである。そして、この神の言は、信じるあなたがたのうちに働いているのである。 + 兄弟たちよ。あなたがたは、ユダヤの、キリスト・イエスにある神の諸教会にならう者となった。すなわち、彼らがユダヤ人たちから苦しめられたと同じように、あなたがたもまた同国人から苦しめられた。 + ユダヤ人たちは主イエスと預言者たちとを殺し、わたしたちを迫害し、神を喜ばせず、すべての人に逆らい、 + わたしたちが異邦人に救の言を語るのを妨げて、絶えず自分の罪を満たしている。そこで、神の怒りは最も激しく彼らに臨むに至ったのである。 + 兄弟たちよ。わたしたちは、しばらくの間、あなたがたから引き離されていたので――心においてではなく、からだだけではあるが――なおさら、あなたがたの顔を見たいと切にこいねがった。 + だから、わたしたちは、あなたがたの所に行こうとした。ことに、このパウロは、一再ならず行こうとしたのである。それだのに、わたしたちはサタンに妨げられた。 + 実際、わたしたちの主イエスの来臨にあたって、わたしたちの望みと喜びと誇の冠となるべき者は、あなたがたを外にして、だれがあるだろうか。 + あなたがたこそ、実にわたしたちのほまれであり、喜びである。 + + + そこで、わたしたちはこれ以上耐えられなくなって、わたしたちだけがアテネに留まることに定め、 + わたしたちの兄弟で、キリストの福音における神の同労者テモテをつかわした。それは、あなたがたの信仰を強め、 + このような患難の中にあって、動揺する者がひとりもないように励ますためであった。あなたがたの知っているとおり、わたしたちは患難に会うように定められているのである。 + そして、あなたがたの所にいたとき、わたしたちがやがて患難に会うことをあらかじめ言っておいたが、あなたがたの知っているように、今そのとおりになったのである。 + そこで、わたしはこれ以上耐えられなくなって、もしや「試みる者」があなたがたを試み、そのためにわたしたちの労苦がむだになりはしないかと気づかって、あなたがたの信仰を知るために、彼をつかわしたのである。 + ところが今テモテが、あなたがたの所からわたしたちのもとに帰ってきて、あなたがたの信仰と愛とについて知らせ、また、あなたがたがいつもわたしたちのことを覚え、わたしたちがあなたがたに会いたく思っていると同じように、わたしたちにしきりに会いたがっているという吉報をもたらした。 + 兄弟たちよ。それによって、わたしたちはあらゆる苦難と患難との中にありながら、あなたがたの信仰によって慰められた。 + なぜなら、あなたがたが主にあって堅く立ってくれるなら、わたしたちはいま生きることになるからである。 + ほんとうに、わたしたちの神のみまえで、あなたがたのことで喜ぶ大きな喜びのために、どんな感謝を神にささげたらよいだろうか。 + わたしたちは、あなたがたの顔を見、あなたがたの信仰の足りないところを補いたいと、日夜しきりに願っているのである。 + どうか、わたしたちの父なる神ご自身と、わたしたちの主イエスとが、あなたがたのところへ行く道を、わたしたちに開いて下さるように。 + どうか、主が、あなたがた相互の愛とすべての人に対する愛とを、わたしたちがあなたがたを愛する愛と同じように、増し加えて豊かにして下さるように。 + そして、どうか、わたしたちの主イエスが、そのすべての聖なる者と共にこられる時、神のみまえに、あなたがたの心を強め、清く、責められるところのない者にして下さるように。 + + + 最後に、兄弟たちよ。わたしたちは主イエスにあってあなたがたに願いかつ勧める。あなたがたが、どのように歩いて神を喜ばすべきかをわたしたちから学んだように、また、いま歩いているとおりに、ますます歩き続けなさい。 + わたしたちがどういう教を主イエスによって与えたか、あなたがたはよく知っている。 + 神のみこころは、あなたがたが清くなることである。すなわち、不品行を慎み、 + 各自、気をつけて自分のからだを清く尊く保ち、 + 神を知らない異邦人のように情欲をほしいままにせず、 + また、このようなことで兄弟を踏みつけたり、だましたりしてはならない。前にもあなたがたにきびしく警告しておいたように、主はこれらすべてのことについて、報いをなさるからである。 + 神がわたしたちを召されたのは、汚れたことをするためではなく、清くなるためである。 + こういうわけであるから、これらの警告を拒む者は、人を拒むのではなく、聖霊をあなたがたの心に賜わる神を拒むのである。 + 兄弟愛については、今さら書きおくる必要はない。あなたがたは、互に愛し合うように神に直接教えられており、 + また、事実マケドニヤ全土にいるすべての兄弟に対して、それを実行しているのだから。しかし、兄弟たちよ。あなたがたに勧める。ますます、そうしてほしい。 + そして、あなたがたに命じておいたように、つとめて落ち着いた生活をし、自分の仕事に身をいれ、手ずから働きなさい。 + そうすれば、外部の人々に対して品位を保ち、まただれの世話にもならずに、生活できるであろう。 + 兄弟たちよ。眠っている人々については、無知でいてもらいたくない。望みを持たない外の人々のように、あなたがたが悲しむことのないためである。 + わたしたちが信じているように、イエスが死んで復活されたからには、同様に神はイエスにあって眠っている人々をも、イエスと一緒に導き出して下さるであろう。 + わたしたちは主の言葉によって言うが、生きながらえて主の来臨の時まで残るわたしたちが、眠った人々より先になることは、決してないであろう。 + すなわち、主ご自身が天使のかしらの声と神のラッパの鳴り響くうちに、合図の声で、天から下ってこられる。その時、キリストにあって死んだ人々が、まず最初によみがえり、 + それから生き残っているわたしたちが、彼らと共に雲に包まれて引き上げられ、空中で主に会い、こうして、いつも主と共にいるであろう。 + だから、あなたがたは、これらの言葉をもって互に慰め合いなさい。 + + + 兄弟たちよ。その時期と場合とについては、書きおくる必要はない。 + あなたがた自身がよく知っているとおり、主の日は盗人が夜くるように来る。 + 人々が平和だ無事だと言っているその矢先に、ちょうど妊婦に産みの苦しみが臨むように、突如として滅びが彼らをおそって来る。そして、それからのがれることは決してできない。 + しかし兄弟たちよ。あなたがたは暗やみの中にいないのだから、その日が、盗人のようにあなたがたを不意に襲うことはないであろう。 + あなたがたはみな光の子であり、昼の子なのである。わたしたちは、夜の者でもやみの者でもない。 + だから、ほかの人々のように眠っていないで、目をさまして慎んでいよう。 + 眠る者は夜眠り、酔う者は夜酔うのである。 + しかし、わたしたちは昼の者なのだから、信仰と愛との胸当を身につけ、救の望みのかぶとをかぶって、慎んでいよう。 + 神は、わたしたちを怒りにあわせるように定められたのではなく、わたしたちの主イエス・キリストによって救を得るように定められたのである。 + キリストがわたしたちのために死なれたのは、さめていても眠っていても、わたしたちが主と共に生きるためである。 + だから、あなたがたは、今しているように、互に慰め合い、相互の徳を高めなさい。 + 兄弟たちよ。わたしたちはお願いする。どうか、あなたがたの間で労し、主にあってあなたがたを指導し、かつ訓戒している人々を重んじ、 + 彼らの働きを思って、特に愛し敬いなさい。互に平和に過ごしなさい。 + 兄弟たちよ。あなたがたにお勧めする。怠惰な者を戒め、小心な者を励まし、弱い者を助け、すべての人に対して寛容でありなさい。 + だれも悪をもって悪に報いないように心がけ、お互に、またみんなに対して、いつも善を追い求めなさい。 + いつも喜んでいなさい。 + 絶えず祈りなさい。 + すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに求めておられることである。 + 御霊を消してはいけない。 + 預言を軽んじてはならない。 + すべてのものを識別して、良いものを守り、 + あらゆる種類の悪から遠ざかりなさい。 + どうか、平和の神ご自身が、あなたがたを全くきよめて下さるように。また、あなたがたの霊と心とからだとを完全に守って、わたしたちの主イエス・キリストの来臨のときに、責められるところのない者にして下さるように。 + あなたがたを召されたかたは真実であられるから、このことをして下さるであろう。 + 兄弟たちよ。わたしたちのためにも、祈ってほしい。 + すべての兄弟たちに、きよい接吻をもって、よろしく伝えてほしい。 + わたしは主によって命じる。この手紙を、みんなの兄弟に読み聞かせなさい。 + わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたと共にあるように。 + +
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+ + パウロとシルワノとテモテから、わたしたちの父なる神と主イエス・キリストとにあるテサロニケ人たちの教会へ。 + 父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + 兄弟たちよ。わたしたちは、いつもあなたがたのことを神に感謝せずにはおられない。またそうするのが当然である。それは、あなたがたの信仰が大いに成長し、あなたがたひとりびとりの愛が、お互の間に増し加わっているからである。 + そのために、わたしたち自身は、あなたがたがいま受けているあらゆる迫害と患難とのただ中で示している忍耐と信仰とにつき、神の諸教会に対してあなたがたを誇としている。 + これは、あなたがたを、神の国にふさわしい者にしようとする神のさばきが正しいことを、証拠だてるものである。その神の国のために、あなたがたも苦しんでいるのである。 + すなわち、あなたがたを悩ます者には患難をもって報い、悩まされているあなたがたには、わたしたちと共に、休息をもって報いて下さるのが、神にとって正しいことだからである。 + それは、主イエスが炎の中で力ある天使たちを率いて天から現れる時に実現する。 + その時、主は神を認めない者たちや、わたしたちの主イエスの福音に聞き従わない者たちに報復し、 + そして、彼らは主のみ顔とその力の栄光から退けられて、永遠の滅びに至る刑罰を受けるであろう。 + その日に、イエスは下ってこられ、聖徒たちの中であがめられ、すべて信じる者たちの間で驚嘆されるであろう――わたしたちのこのあかしは、あなたがたによって信じられているのである。 + このためにまた、わたしたちは、わたしたちの神があなたがたを召しにかなう者となし、善に対するあらゆる願いと信仰の働きとを力強く満たして下さるようにと、あなたがたのために絶えず祈っている。 + それは、わたしたちの神と主イエス・キリストとの恵みによって、わたしたちの主イエスの御名があなたがたの間であがめられ、あなたがたも主にあって栄光を受けるためである。 + + + さて兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの来臨と、わたしたちがみもとに集められることとについて、あなたがたにお願いすることがある。 + 霊により、あるいは言葉により、あるいはわたしたちから出たという手紙によって、主の日はすでにきたとふれまわる者があっても、すぐさま心を動かされたり、あわてたりしてはいけない。 + だれがどんな事をしても、それにだまされてはならない。まず背教のことが起り、不法の者、すなわち、滅びの子が現れるにちがいない。 + 彼は、すべて神と呼ばれたり拝まれたりするものに反抗して立ち上がり、自ら神の宮に座して、自分は神だと宣言する。 + わたしがまだあなたがたの所にいた時、これらの事をくり返して言ったのを思い出さないのか。 + そして、あなたがたが知っているとおり、彼が自分に定められた時になってから現れるように、いま彼を阻止しているものがある。 + 不法の秘密の力が、すでに働いているのである。ただそれは、いま阻止している者が取り除かれる時までのことである。 + その時になると、不法の者が現れる。この者を、主イエスは口の息をもって殺し、来臨の輝きによって滅ぼすであろう。 + 不法の者が来るのは、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力と、しるしと、不思議と、 + また、あらゆる不義の惑わしとを、滅ぶべき者どもに対して行うためである。彼らが滅びるのは、自分らの救となるべき真理に対する愛を受けいれなかった報いである。 + そこで神は、彼らが偽りを信じるように、迷わす力を送り、 + こうして、真理を信じないで不義を喜んでいたすべての人を、さばくのである。 + しかし、主に愛されている兄弟たちよ。わたしたちはいつもあなたがたのことを、神に感謝せずにはおられない。それは、神があなたがたを初めから選んで、御霊によるきよめと、真理に対する信仰とによって、救を得させようとし、 + そのために、わたしたちの福音によりあなたがたを召して、わたしたちの主イエス・キリストの栄光にあずからせて下さるからである。 + そこで、兄弟たちよ。堅く立って、わたしたちの言葉や手紙で教えられた言伝えを、しっかりと守り続けなさい。 + どうか、わたしたちの主イエス・キリストご自身と、わたしたちを愛し、恵みをもって永遠の慰めと確かな望みとを賜わるわたしたちの父なる神とが、 + あなたがたの心を励まし、あなたがたを強めて、すべての良いわざを行い、正しい言葉を語る者として下さるように。 + + + 最後に、兄弟たちよ。わたしたちのために祈ってほしい。どうか主の言葉が、あなたがたの所と同じように、ここでも早く広まり、また、あがめられるように。 + また、どうか、わたしたちが不都合な悪人から救われるように。事実、すべての人が信仰を持っているわけではない。 + しかし、主は真実なかたであるから、あなたがたを強め、悪しき者から守って下さるであろう。 + わたしたちが命じる事を、あなたがたは現に実行しており、また、実行するであろうと、わたしたちは、主にあって確信している。 + どうか、主があなたがたの心を導いて、神の愛とキリストの忍耐とを持たせて下さるように。 + 兄弟たちよ。主イエス・キリストの名によってあなたがたに命じる。怠惰な生活をして、わたしたちから受けた言伝えに従わないすべての兄弟たちから、遠ざかりなさい。 + わたしたちに、どうならうべきであるかは、あなたがた自身が知っているはずである。あなたがたの所にいた時には、わたしたちは怠惰な生活をしなかったし、 + 人からパンをもらって食べることもしなかった。それどころか、あなたがたのだれにも負担をかけまいと、日夜、労苦し努力して働き続けた。 + それは、わたしたちにその権利がないからではなく、ただわたしたちにあなたがたが見習うように、身をもって模範を示したのである。 + また、あなたがたの所にいた時に、「働こうとしない者は、食べることもしてはならない」と命じておいた。 + ところが、聞くところによると、あなたがたのうちのある者は怠惰な生活を送り、働かないで、ただいたずらに動きまわっているとのことである。 + こうした人々に対しては、静かに働いて自分で得たパンを食べるように、主イエス・キリストによって命じまた勧める。 + 兄弟たちよ。あなたがたは、たゆまずに良い働きをしなさい。 + もしこの手紙にしるしたわたしたちの言葉に聞き従わない人があれば、そのような人には注意をして、交際しないがよい。彼が自ら恥じるようになるためである。 + しかし、彼を敵のように思わないで、兄弟として訓戒しなさい。 + どうか、平和の主ご自身が、いついかなる場合にも、あなたがたに平和を与えて下さるように。主があなたがた一同と共におられるように。 + ここでパウロ自身が、手ずからあいさつを書く。これは、わたしのどの手紙にも書く印である。わたしは、このように書く。 + どうか、わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にあるように。 + +
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+ + わたしたちの救主なる神と、わたしたちの望みであるキリスト・イエスとの任命によるキリスト・イエスの使徒パウロから、 + 信仰によるわたしの真実な子テモテへ。父なる神とわたしたちの主キリスト・イエスから、恵みとあわれみと平安とが、あなたにあるように。 + わたしがマケドニヤに向かって出発する際、頼んでおいたように、あなたはエペソにとどまっていて、ある人々に、違った教を説くことをせず、 + 作り話やはてしのない系図などに気をとられることもないように、命じなさい。そのようなことは信仰による神の務を果すものではなく、むしろ論議を引き起させるだけのものである。 + わたしのこの命令は、清い心と正しい良心と偽りのない信仰とから出てくる愛を目標としている。 + ある人々はこれらのものからそれて空論に走り、 + 律法の教師たることを志していながら、自分の言っていることも主張していることも、わからないでいる。 + わたしたちが知っているとおり、律法なるものは、法に従って用いるなら、良いものである。 + すなわち、律法は正しい人のために定められたのではなく、不法な者と法に服さない者、不信心な者と罪ある者、神聖を汚す者と俗悪な者、父を殺す者と母を殺す者、人を殺す者、 + 不品行な者、男色をする者、誘かいする者、偽る者、偽り誓う者、そのほか健全な教にもとることがあれば、そのために定められていることを認むべきである。 + これは、祝福に満ちた神の栄光の福音が示すところであって、わたしはこの福音をゆだねられているのである。 + わたしは、自分を強くして下さったわたしたちの主キリスト・イエスに感謝する。主はわたしを忠実な者と見て、この務に任じて下さったのである。 + わたしは以前には、神をそしる者、迫害する者、不遜な者であった。しかしわたしは、これらの事を、信仰がなかったとき、無知なためにしたのだから、あわれみをこうむったのである。 + その上、わたしたちの主の恵みが、キリスト・イエスにある信仰と愛とに伴い、ますます増し加わってきた。 + 「キリスト・イエスは、罪人を救うためにこの世にきて下さった」という言葉は、確実で、そのまま受けいれるに足るものである。わたしは、その罪人のかしらなのである。 + しかし、わたしがあわれみをこうむったのは、キリスト・イエスが、まずわたしに対して限りない寛容を示し、そして、わたしが今後、彼を信じて永遠のいのちを受ける者の模範となるためである。 + 世々の支配者、不朽にして見えざる唯一の神に、世々限りなく、ほまれと栄光とがあるように、アァメン。 + わたしの子テモテよ。以前あなたに対してなされた数々の預言の言葉に従って、この命令を与える。あなたは、これらの言葉に励まされて、信仰と正しい良心とを保ちながら、りっぱに戦いぬきなさい。 + ある人々は、正しい良心を捨てたため、信仰の破船に会った。 + その中に、ヒメナオとアレキサンデルとがいる。わたしは、神を汚さないことを学ばせるため、このふたりをサタンの手に渡したのである。 + + + そこで、まず第一に勧める。すべての人のために、王たちと上に立っているすべての人々のために、願いと、祈と、とりなしと、感謝とをささげなさい。 + それはわたしたちが、安らかで静かな一生を、真に信心深くまた謹厳に過ごすためである。 + これは、わたしたちの救主である神のみまえに良いことであり、また、みこころにかなうことである。 + 神は、すべての人が救われて、真理を悟るに至ることを望んでおられる。 + 神は唯一であり、神と人との間の仲保者もただひとりであって、それは人なるキリスト・イエスである。 + 彼は、すべての人のあがないとしてご自身をささげられたが、それは、定められた時になされたあかしにほかならない。 + そのために、わたしは立てられて宣教者、使徒となり(わたしは真実を言っている、偽ってはいない)、また異邦人に信仰と真理とを教える教師となったのである。 + 男は、怒ったり争ったりしないで、どんな場所でも、きよい手をあげて祈ってほしい。 + また、女はつつましい身なりをし、適度に慎み深く身を飾るべきであって、髪を編んだり、金や真珠をつけたり、高価な着物を着たりしてはいけない。 + むしろ、良いわざをもって飾りとすることが、信仰を言いあらわしている女に似つかわしい。 + 女は静かにしていて、万事につけ従順に教を学ぶがよい。 + 女が教えたり、男の上に立ったりすることを、わたしは許さない。むしろ、静かにしているべきである。 + なぜなら、アダムがさきに造られ、それからエバが造られたからである。 + またアダムは惑わされなかったが、女は惑わされて、あやまちを犯した。 + しかし、女が慎み深く、信仰と愛と清さとを持ち続けるなら、子を産むことによって救われるであろう。 + + + 「もし人が監督の職を望むなら、それは良い仕事を願うことである」とは正しい言葉である。 + さて、監督は、非難のない人で、ひとりの妻の夫であり、自らを制し、慎み深く、礼儀正しく、旅人をもてなし、よく教えることができ、 + 酒を好まず、乱暴でなく、寛容であって、人と争わず、金に淡泊で、 + 自分の家をよく治め、謹厳であって、子供たちを従順な者に育てている人でなければならない。 + 自分の家を治めることも心得ていない人が、どうして神の教会を預かることができようか。 + 彼はまた、信者になって間もないものであってはならない。そうであると、高慢になって、悪魔と同じ審判を受けるかも知れない。 + さらにまた、教会外の人々にもよく思われている人でなければならない。そうでないと、そしりを受け、悪魔のわなにかかるであろう。 + それと同様に、執事も謹厳であって、二枚舌を使わず、大酒を飲まず、利をむさぼらず、 + きよい良心をもって、信仰の奥義を保っていなければならない。 + 彼らはまず調べられて、不都合なことがなかったなら、それから執事の職につかすべきである。 + 女たちも、同様に謹厳で、他人をそしらず、自らを制し、すべてのことに忠実でなければならない。 + 執事はひとりの妻の夫であって、子供と自分の家とをよく治める者でなければならない。 + 執事の職をよくつとめた者は、良い地位を得、さらにキリスト・イエスを信じる信仰による、大いなる確信を得るであろう。 + わたしは、あなたの所にすぐ行きたいと望みながら、この手紙を書いている。 + 万一わたしが遅れる場合には、神の家でいかに生活すべきかを、あなたに知ってもらいたいからである。神の家というのは、生ける神の教会のことであって、それは真理の柱、真理の基礎なのである。 + 確かに偉大なのは、この信心の奥義である、「キリストは肉において現れ、霊において義とせられ、御使たちに見られ、諸国民の間に伝えられ、世界の中で信じられ、栄光のうちに天に上げられた」。 + + + しかし、御霊は明らかに告げて言う。後の時になると、ある人々は、惑わす霊と悪霊の教とに気をとられて、信仰から離れ去るであろう。 + それは、良心に焼き印をおされている偽り者の偽善のしわざである。 + これらの偽り者どもは、結婚を禁じたり、食物を断つことを命じたりする。しかし食物は、信仰があり真理を認める者が、感謝して受けるようにと、神の造られたものである。 + 神の造られたものは、みな良いものであって、感謝して受けるなら、何ひとつ捨てるべきものはない。 + それらは、神の言と祈とによって、きよめられるからである。 + これらのことを兄弟たちに教えるなら、あなたは、信仰の言葉とあなたの従ってきた良い教の言葉とに養われて、キリスト・イエスのよい奉仕者になるであろう。 + しかし、俗悪で愚にもつかない作り話は避けなさい。信心のために自分を訓練しなさい。 + からだの訓練は少しは益するところがあるが、信心は、今のいのちと後の世のいのちとが約束されてあるので、万事に益となる。 + これは確実で、そのまま受けいれるに足る言葉である。 + わたしたちは、このために労し苦しんでいる。それは、すべての人の救主、特に信じる者たちの救主なる生ける神に、望みを置いてきたからである。 + これらの事を命じ、また教えなさい。 + あなたは、年が若いために人に軽んじられてはならない。むしろ、言葉にも、行状にも、愛にも、信仰にも、純潔にも、信者の模範になりなさい。 + わたしがそちらに行く時まで、聖書を朗読することと、勧めをすることと、教えることとに心を用いなさい。 + 長老の按手を受けた時、預言によってあなたに与えられて内に持っている恵みの賜物を、軽視してはならない。 + すべての事にあなたの進歩があらわれるため、これらの事を実行し、それを励みなさい。 + 自分のことと教のこととに気をつけ、それらを常に努めなさい。そうすれば、あなたは、自分自身とあなたの教を聞く者たちとを、救うことになる。 + + + 老人をとがめてはいけない。むしろ父親に対するように、話してあげなさい。若い男には兄弟に対するように、 + 年とった女には母親に対するように、若い女には、真に純潔な思いをもって、姉妹に対するように、勧告しなさい。 + やもめについては、真にたよりのないやもめたちを、よくしてあげなさい。 + やもめに子か孫かがある場合には、これらの者に、まず自分の家で孝養をつくし、親の恩に報いることを学ばせるべきである。それが、神のみこころにかなうことなのである。 + 真にたよりのない、ひとり暮しのやもめは、望みを神において、日夜、たえず願いと祈とに専心するが、 + これに反して、みだらな生活をしているやもめは、生けるしかばねにすぎない。 + これらのことを命じて、彼女たちを非難のない者としなさい。 + もしある人が、その親族を、ことに自分の家族をかえりみない場合には、その信仰を捨てたことになるのであって、不信者以上にわるい。 + やもめとして登録さるべき者は、六十歳以下のものではなくて、ひとりの夫の妻であった者、 + また子女をよく養育し、旅人をもてなし、聖徒の足を洗い、困っている人を助け、種々の善行に努めるなど、そのよいわざでひろく認められている者でなければならない。 + 若いやもめは除外すべきである。彼女たちがキリストにそむいて気ままになると、結婚をしたがるようになり、 + 初めの誓いを無視したという非難を受けねばならないからである。 + その上、彼女たちはなまけていて、家々を遊び歩くことをおぼえ、なまけるばかりか、むだごとをしゃべって、いたずらに動きまわり、口にしてはならないことを言う。 + そういうわけだから、若いやもめは結婚して子を産み、家をおさめ、そして、反対者にそしられるすきを作らないようにしてほしい。 + 彼女たちのうちには、サタンのあとを追って道を踏みはずした者もある。 + 女の信者が家にやもめを持っている場合には、自分でそのやもめの世話をしてあげなさい。教会のやっかいになってはいけない。教会は、真にたよりのないやもめの世話をしなければならない。 + よい指導をしている長老、特に宣教と教とのために労している長老は、二倍の尊敬を受けるにふさわしい者である。 + 聖書は、「穀物をこなしている牛に、くつこをかけてはならない」また「働き人がその報酬を受けるのは当然である」と言っている。 + 長老に対する訴訟は、ふたりか三人の証人がない場合には、受理してはならない。 + 罪を犯した者に対しては、ほかの人々も恐れをいだくに至るために、すべての人の前でその罪をとがむべきである。 + わたしは、神とキリスト・イエスと選ばれた御使たちとの前で、おごそかにあなたに命じる。これらのことを偏見なしに守り、何事についても、不公平な仕方をしてはならない。 + 軽々しく人に手をおいてはならない。また、ほかの人の罪に加わってはいけない。自分をきよく守りなさい。 + (これからは、水ばかりを飲まないで、胃のため、また、たびたびのいたみを和らげるために、少量のぶどう酒を用いなさい。) + ある人の罪は明白であって、すぐ裁判にかけられるが、ほかの人の罪は、あとになってわかって来る。 + それと同じく、良いわざもすぐ明らかになり、そうならない場合でも、隠れていることはあり得ない。 + + + くびきの下にある奴隷はすべて、自分の主人を、真に尊敬すべき者として仰ぐべきである。それは、神の御名と教とが、そしりを受けないためである。 + 信者である主人を持っている者たちは、その主人が兄弟であるというので軽視してはならない。むしろ、ますます励んで仕えるべきである。その益を受ける主人は、信者であり愛されている人だからである。あなたは、これらの事を教えかつ勧めなさい。 + もし違ったことを教えて、わたしたちの主イエス・キリストの健全な言葉、ならびに信心にかなう教に同意しないような者があれば、 + 彼は高慢であって、何も知らず、ただ論議と言葉の争いとに病みついている者である。そこから、ねたみ、争い、そしり、さいぎの心が生じ、 + また知性が腐って、真理にそむき、信心を利得と心得る者どもの間に、はてしのないいがみ合いが起るのである。 + しかし、信心があって足ることを知るのは、大きな利得である。 + わたしたちは、何ひとつ持たないでこの世にきた。また、何ひとつ持たないでこの世を去って行く。 + ただ衣食があれば、それで足れりとすべきである。 + 富むことを願い求める者は、誘惑と、わなとに陥り、また、人を滅びと破壊とに沈ませる、無分別な恐ろしいさまざまの情欲に陥るのである。 + 金銭を愛することは、すべての悪の根である。ある人々は欲ばって金銭を求めたため、信仰から迷い出て、多くの苦痛をもって自分自身を刺しとおした。 + しかし、神の人よ。あなたはこれらの事を避けなさい。そして、義と信心と信仰と愛と忍耐と柔和とを追い求めなさい。 + 信仰の戦いをりっぱに戦いぬいて、永遠のいのちを獲得しなさい。あなたは、そのために召され、多くの証人の前で、りっぱなあかしをしたのである。 + わたしはすべてのものを生かして下さる神のみまえと、またポンテオ・ピラトの面前でりっぱなあかしをなさったキリスト・イエスのみまえで、あなたに命じる。 + わたしたちの主イエス・キリストの出現まで、その戒めを汚すことがなく、また、それを非難のないように守りなさい。 + 時がくれば、祝福に満ちた、ただひとりの力あるかた、もろもろの王の王、もろもろの主の主が、キリストを出現させて下さるであろう。 + 神はただひとり不死を保ち、近づきがたい光の中に住み、人間の中でだれも見た者がなく、見ることもできないかたである。ほまれと永遠の支配とが、神にあるように、アァメン。 + この世で富んでいる者たちに、命じなさい。高慢にならず、たよりにならない富に望みをおかず、むしろ、わたしたちにすべての物を豊かに備えて楽しませて下さる神に、のぞみをおくように、 + また、良い行いをし、良いわざに富み、惜しみなく施し、人に分け与えることを喜び、 + こうして、真のいのちを得るために、未来に備えてよい土台を自分のために築き上げるように、命じなさい。 + テモテよ。あなたにゆだねられていることを守りなさい。そして、俗悪なむだ話と、偽りの「知識」による反対論とを避けなさい。 + ある人々はそれに熱中して、信仰からそれてしまったのである。恵みが、あなたがたと共にあるように。 + +
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+ + 神の御旨により、キリスト・イエスにあるいのちの約束によって立てられたキリスト・イエスの使徒パウロから、 + 愛する子テモテへ。父なる神とわたしたちの主キリスト・イエスから、恵みとあわれみと平安とが、あなたにあるように。 + わたしは、日夜、祈の中で、絶えずあなたのことを思い出しては、きよい良心をもって先祖以来つかえている神に感謝している。 + わたしは、あなたの涙をおぼえており、あなたに会って喜びで満たされたいと、切に願っている。 + また、あなたがいだいている偽りのない信仰を思い起している。この信仰は、まずあなたの祖母ロイスとあなたの母ユニケとに宿ったものであったが、今あなたにも宿っていると、わたしは確信している。 + こういうわけで、あなたに注意したい。わたしの按手によって内にいただいた神の賜物を、再び燃えたたせなさい。 + というのは、神がわたしたちに下さったのは、臆する霊ではなく、力と愛と慎みとの霊なのである。 + だから、あなたは、わたしたちの主のあかしをすることや、わたしが主の囚人であることを、決して恥ずかしく思ってはならない。むしろ、神の力にささえられて、福音のために、わたしと苦しみを共にしてほしい。 + 神はわたしたちを救い、聖なる招きをもって召して下さったのであるが、それは、わたしたちのわざによるのではなく、神ご自身の計画に基き、また、永遠の昔にキリスト・イエスにあってわたしたちに賜わっていた恵み、 + そして今や、わたしたちの救主キリスト・イエスの出現によって明らかにされた恵みによるのである。キリストは死を滅ぼし、福音によっていのちと不死とを明らかに示されたのである。 + わたしは、この福音のために立てられて、その宣教者、使徒、教師になった。 + そのためにまた、わたしはこのような苦しみを受けているが、それを恥としない。なぜなら、わたしは自分の信じてきたかたを知っており、またそのかたは、わたしにゆだねられているものを、かの日に至るまで守って下さることができると、確信しているからである。 + あなたは、キリスト・イエスに対する信仰と愛とをもって、わたしから聞いた健全な言葉を模範にしなさい。 + そして、あなたにゆだねられている尊いものを、わたしたちの内に宿っている聖霊によって守りなさい。 + あなたの知っているように、アジヤにいる者たちは、皆わたしから離れて行った。その中には、フゲロとヘルモゲネもいる。 + どうか、主が、オネシポロの家にあわれみをたれて下さるように。彼はたびたび、わたしを慰めてくれ、またわたしの鎖を恥とも思わないで、 + ローマに着いた時には、熱心にわたしを捜しまわった末、尋ね出してくれたのである。 + どうか、主がかの日に、あわれみを彼に賜わるように。――彼がエペソで、どれほどわたしに仕えてくれたかは、だれよりもあなたがよく知っている。 + + + そこで、わたしの子よ。あなたはキリスト・イエスにある恵みによって、強くなりなさい。 + そして、あなたが多くの証人の前でわたしから聞いたことを、さらにほかの者たちにも教えることのできるような忠実な人々に、ゆだねなさい。 + キリスト・イエスの良い兵卒として、わたしと苦しみを共にしてほしい。 + 兵役に服している者は、日常生活の事に煩わされてはいない。ただ、兵を募った司令官を喜ばせようと努める。 + また、競技をするにしても、規定に従って競技をしなければ、栄冠は得られない。 + 労苦をする農夫が、だれよりも先に、生産物の分配にあずかるべきである。 + わたしの言うことを、よく考えてみなさい。主は、それを十分に理解する力をあなたに賜わるであろう。 + ダビデの子孫として生れ、死人のうちからよみがえったイエス・キリストを、いつも思っていなさい。これがわたしの福音である。 + この福音のために、わたしは悪者のように苦しめられ、ついに鎖につながれるに至った。しかし、神の言はつながれてはいない。 + それだから、わたしは選ばれた人たちのために、いっさいのことを耐え忍ぶのである。それは、彼らもキリスト・イエスによる救を受け、また、それと共に永遠の栄光を受けるためである。 + 次の言葉は確実である。「もしわたしたちが、彼と共に死んだなら、また彼と共に生きるであろう。 + もし耐え忍ぶなら、彼と共に支配者となるであろう。もし彼を否むなら、彼もわたしたちを否むであろう。 + たとい、わたしたちは不真実であっても、彼は常に真実である。彼は自分を偽ることが、できないのである」。 + あなたは、これらのことを彼らに思い出させて、なんの益もなく、聞いている人々を破滅におとしいれるだけである言葉の争いをしないように、神のみまえでおごそかに命じなさい。 + あなたは真理の言葉を正しく教え、恥じるところのない錬達した働き人になって、神に自分をささげるように努めはげみなさい。 + 俗悪なむだ話を避けなさい。それによって人々は、ますます不信心に落ちていき、 + 彼らの言葉は、がんのように腐れひろがるであろう。その中にはヒメナオとピレトとがいる。 + 彼らは真理からはずれ、復活はすでに済んでしまったと言い、そして、ある人々の信仰をくつがえしている。 + しかし、神のゆるがない土台はすえられていて、それに次の句が証印として、しるされている。「主は自分の者たちを知る」。また「主の名を呼ぶ者は、すべて不義から離れよ」。 + 大きな家には、金や銀の器ばかりではなく、木や土の器もあり、そして、あるものは尊いことに用いられ、あるものは卑しいことに用いられる。 + もし人が卑しいものを取り去って自分をきよめるなら、彼は尊いきよめられた器となって、主人に役立つものとなり、すべての良いわざに間に合うようになる。 + そこで、あなたは若い時の情欲を避けなさい。そして、きよい心をもって主を呼び求める人々と共に、義と信仰と愛と平和とを追い求めなさい。 + 愚かで無知な論議をやめなさい。それは、あなたが知っているとおり、ただ争いに終るだけである。 + 主の僕たる者は争ってはならない。だれに対しても親切であって、よく教え、よく忍び、 + 反対する者を柔和な心で教え導くべきである。おそらく神は、彼らに悔改めの心を与えて、真理を知らせ、 + 一度は悪魔に捕えられてその欲するままになっていても、目ざめて彼のわなからのがれさせて下さるであろう。 + + + しかし、このことは知っておかねばならない。終りの時には、苦難の時代が来る。 + その時、人々は自分を愛する者、金を愛する者、大言壮語する者、高慢な者、神をそしる者、親に逆らう者、恩を知らぬ者、神聖を汚す者、 + 無情な者、融和しない者、そしる者、無節制な者、粗暴な者、善を好まない者、 + 裏切り者、乱暴者、高言をする者、神よりも快楽を愛する者、 + 信心深い様子をしながらその実を捨てる者となるであろう。こうした人々を避けなさい。 + 彼らの中には、人の家にもぐり込み、そして、さまざまの欲に心を奪われて、多くの罪を積み重ねている愚かな女どもを、とりこにしている者がある。 + 彼女たちは、常に学んではいるが、いつになっても真理の知識に達することができない。 + ちょうど、ヤンネとヤンブレとがモーセに逆らったように、こうした人々も真理に逆らうのである。彼らは知性の腐った、信仰の失格者である。 + しかし、彼らはそのまま進んでいけるはずがない。彼らの愚かさは、あのふたりの場合と同じように、多くの人に知れて来るであろう。 + しかしあなたは、わたしの教、歩み、こころざし、信仰、寛容、愛、忍耐、 + それから、わたしがアンテオケ、イコニオム、ルステラで受けた数々の迫害、苦難に、よくも続いてきてくれた。そのひどい迫害にわたしは耐えてきたが、主はそれらいっさいのことから、救い出して下さったのである。 + いったい、キリスト・イエスにあって信心深く生きようとする者は、みな、迫害を受ける。 + 悪人と詐欺師とは人を惑わし人に惑わされて、悪から悪へと落ちていく。 + しかし、あなたは、自分が学んで確信しているところに、いつもとどまっていなさい。あなたは、それをだれから学んだか知っており、 + また幼い時から、聖書に親しみ、それが、キリスト・イエスに対する信仰によって救に至る知恵を、あなたに与えうる書物であることを知っている。 + 聖書は、すべて神の霊感を受けて書かれたものであって、人を教え、戒め、正しくし、義に導くのに有益である。 + それによって、神の人が、あらゆる良いわざに対して十分な準備ができて、完全にととのえられた者になるのである。 + + + 神のみまえと、生きている者と死んだ者とをさばくべきキリスト・イエスのみまえで、キリストの出現とその御国とを思い、おごそかに命じる。 + 御言を宣べ伝えなさい。時が良くても悪くても、それを励み、あくまでも寛容な心でよく教えて、責め、戒め、勧めなさい。 + 人々が健全な教に耐えられなくなり、耳ざわりのよい話をしてもらおうとして、自分勝手な好みにまかせて教師たちを寄せ集め、 + そして、真理からは耳をそむけて、作り話の方にそれていく時が来るであろう。 + しかし、あなたは、何事にも慎み、苦難を忍び、伝道者のわざをなし、自分の務を全うしなさい。 + わたしは、すでに自身を犠牲としてささげている。わたしが世を去るべき時はきた。 + わたしは戦いをりっぱに戦いぬき、走るべき行程を走りつくし、信仰を守りとおした。 + 今や、義の冠がわたしを待っているばかりである。かの日には、公平な審判者である主が、それを授けて下さるであろう。わたしばかりではなく、主の出現を心から待ち望んでいたすべての人にも授けて下さるであろう。 + わたしの所に、急いで早くきてほしい。 + デマスはこの世を愛し、わたしを捨ててテサロニケに行ってしまい、クレスケンスはガラテヤに、テトスはダルマテヤに行った。 + ただルカだけが、わたしのもとにいる。マルコを連れて、一緒にきなさい。彼はわたしの務のために役に立つから。 + わたしはテキコをエペソにつかわした。 + あなたが来るときに、トロアスのカルポの所に残しておいた上着を持ってきてほしい。また書物も、特に、羊皮紙のを持ってきてもらいたい。 + 銅細工人のアレキサンデルが、わたしを大いに苦しめた。主はそのしわざに対して、彼に報いなさるだろう。 + あなたも、彼を警戒しなさい。彼は、わたしたちの言うことに強く反対したのだから。 + わたしの第一回の弁明の際には、わたしに味方をする者はひとりもなく、みなわたしを捨てて行った。どうか、彼らが、そのために責められることがないように。 + しかし、わたしが御言を余すところなく宣べ伝えて、すべての異邦人に聞かせるように、主はわたしを助け、力づけて下さった。そして、わたしは、ししの口から救い出されたのである。 + 主はわたしを、すべての悪のわざから助け出し、天にある御国に救い入れて下さるであろう。栄光が永遠から永遠にわたって主にあるように、アァメン。 + プリスカとアクラとに、またオネシポロの家に、よろしく伝えてほしい。 + エラストはコリントにとどまっており、トロピモは病気なので、ミレトに残してきた。 + 冬になる前に、急いできてほしい。ユブロ、プデス、リノス、クラウデヤならびにすべての兄弟たちから、あなたによろしく。 + 主が、あなたの霊と共にいますように。恵みが、あなたがたと共にあるように。 + +
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+ + 神の僕、イエス・キリストの使徒パウロから――わたしが使徒とされたのは、神に選ばれた者たちの信仰を強め、また、信心にかなう真理の知識を彼らに得させるためであり、 + 偽りのない神が永遠の昔に約束された永遠のいのちの望みに基くのである。 + 神は、定められた時に及んで、御言を宣教によって明らかにされたが、わたしは、わたしたちの救主なる神の任命によって、この宣教をゆだねられたのである―― + 信仰を同じうするわたしの真実の子テトスへ。父なる神とわたしたちの救主キリスト・イエスから、恵みと平安とが、あなたにあるように。 + あなたをクレテにおいてきたのは、わたしがあなたに命じておいたように、そこにし残してあることを整理してもらい、また、町々に長老を立ててもらうためにほかならない。 + 長老は、責められる点がなく、ひとりの妻の夫であって、その子たちも不品行のうわさをたてられず、親不孝をしない信者でなくてはならない。 + 監督たる者は、神に仕える者として、責められる点がなく、わがままでなく、軽々しく怒らず、酒を好まず、乱暴でなく、利をむさぼらず、 + かえって、旅人をもてなし、善を愛し、慎み深く、正しく、信仰深く、自制する者であり、 + 教にかなった信頼すべき言葉を守る人でなければならない。それは、彼が健全な教によって人をさとし、また、反対者の誤りを指摘することができるためである。 + 実は、法に服さない者、空論に走る者、人の心を惑わす者が多くおり、とくに、割礼のある者の中に多い。 + 彼らの口を封ずべきである。彼らは恥ずべき利のために、教えてはならないことを教えて、数々の家庭を破壊してしまっている。 + クレテ人のうちのある預言者が「クレテ人は、いつもうそつき、たちの悪いけもの、なまけ者の食いしんぼう」と言っているが、 + この非難はあたっている。だから、彼らをきびしく責めて、その信仰を健全なものにし、 + ユダヤ人の作り話や、真理からそれていった人々の定めなどに、気をとられることがないようにさせなさい。 + きよい人には、すべてのものがきよい。しかし、汚れている不信仰な人には、きよいものは一つもなく、その知性も良心も汚れてしまっている。 + 彼らは神を知っていると、口では言うが、行いではそれを否定している。彼らは忌まわしい者、また不従順な者であって、いっさいの良いわざに関しては、失格者である。 + + + しかし、あなたは、健全な教にかなうことを語りなさい。 + 老人たちには自らを制し、謹厳で、慎み深くし、また、信仰と愛と忍耐とにおいて健全であるように勧め、 + 年老いた女たちにも、同じように、たち居ふるまいをうやうやしくし、人をそしったり大酒の奴隷になったりせず、良いことを教える者となるように、勧めなさい。 + そうすれば、彼女たちは、若い女たちに、夫を愛し、子供を愛し、 + 慎み深く、純潔で、家事に努め、善良で、自分の夫に従順であるように教えることになり、したがって、神の言がそしりを受けないようになるであろう。 + 若い男にも、同じく、万事につけ慎み深くあるように、勧めなさい。 + あなた自身を良いわざの模範として示し、人を教える場合には、清廉と謹厳とをもってし、 + 非難のない健全な言葉を用いなさい。そうすれば、反対者も、わたしたちについてなんの悪口も言えなくなり、自ら恥じいるであろう。 + 奴隷には、万事につけその主人に服従して、喜ばれるようになり、反抗をせず、 + 盗みをせず、どこまでも心をこめた真実を示すようにと、勧めなさい。そうすれば、彼らは万事につけ、わたしたちの救主なる神の教を飾ることになろう。 + すべての人を救う神の恵みが現れた。 + そして、わたしたちを導き、不信心とこの世の情欲とを捨てて、慎み深く、正しく、信心深くこの世で生活し、 + 祝福に満ちた望み、すなわち、大いなる神、わたしたちの救主キリスト・イエスの栄光の出現を待ち望むようにと、教えている。 + このキリストが、わたしたちのためにご自身をささげられたのは、わたしたちをすべての不法からあがない出して、良いわざに熱心な選びの民を、ご自身のものとして聖別するためにほかならない。 + あなたは、権威をもってこれらのことを語り、勧め、また責めなさい。だれにも軽んじられてはならない。 + + + あなたは彼らに勧めて、支配者、権威ある者に服し、これに従い、いつでも良いわざをする用意があり、 + だれをもそしらず、争わず、寛容であって、すべての人に対してどこまでも柔和な態度を示すべきことを、思い出させなさい。 + わたしたちも以前には、無分別で、不従順な、迷っていた者であって、さまざまの情欲と快楽との奴隷になり、悪意とねたみとで日を過ごし、人に憎まれ、互に憎み合っていた。 + ところが、わたしたちの救主なる神の慈悲と博愛とが現れたとき、 + わたしたちの行った義のわざによってではなく、ただ神のあわれみによって、再生の洗いを受け、聖霊により新たにされて、わたしたちは救われたのである。 + この聖霊は、わたしたちの救主イエス・キリストをとおして、わたしたちの上に豊かに注がれた。 + これは、わたしたちが、キリストの恵みによって義とされ、永遠のいのちを望むことによって、御国をつぐ者となるためである。 + この言葉は確実である。わたしは、あなたがそれらのことを主張するのを願っている。それは、神を信じている者たちが、努めて良いわざを励むことを心がけるようになるためである。これは良いことであって、人々の益となる。 + しかし、愚かな議論と、系図と、争いと、律法についての論争とを、避けなさい。それらは無益かつ空虚なことである。 + 異端者は、一、二度、訓戒を加えた上で退けなさい。 + たしかに、こういう人たちは、邪道に陥り、自ら悪と知りつつも、罪を犯しているからである。 + わたしがアルテマスかテキコかをあなたのところに送ったなら、急いでニコポリにいるわたしの所にきなさい。わたしは、そこで冬を過ごすことにした。 + 法学者ゼナスと、アポロとを、急いで旅につかせ、不自由のないようにしてあげなさい。 + わたしたちの仲間も、さし迫った必要に備えて、努めて良いわざを励み、実を結ばぬ者とならないように、心がけるべきである。 + わたしと共にいる一同の者から、あなたによろしく。わたしたちを愛している信徒たちに、よろしく。恵みが、あなたがた一同と共にあるように。 + +
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+ + キリスト・イエスの囚人パウロと兄弟テモテから、わたしたちの愛する同労者ピレモン、 + 姉妹アピヤ、わたしたちの戦友アルキポ、ならびに、あなたの家にある教会へ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしは、祈の時にあなたをおぼえて、いつもわたしの神に感謝している。 + それは、主イエスに対し、また、すべての聖徒に対するあなたの愛と信仰とについて、聞いているからである。 + どうか、あなたの信仰の交わりが強められて、わたしたちの間でキリストのためになされているすべての良いことが、知られて来るようになってほしい。 + 兄弟よ。わたしは、あなたの愛によって多くの喜びと慰めとを与えられた。聖徒たちの心が、あなたによって力づけられたからである。 + こういうわけで、わたしは、キリストにあってあなたのなすべき事を、きわめて率直に指示してもよいと思うが、 + むしろ、愛のゆえにお願いする。すでに老年になり、今またキリスト・イエスの囚人となっているこのパウロが、 + 捕われの身で産んだわたしの子供オネシモについて、あなたにお願いする。 + 彼は以前は、あなたにとって無益な者であったが、今は、あなたにも、わたしにも、有益な者になった。 + 彼をあなたのもとに送りかえす。彼はわたしの心である。 + わたしは彼を身近に引きとめておいて、わたしが福音のために捕われている間、あなたに代って仕えてもらいたかったのである。 + しかし、わたしは、あなたの承諾なしには何もしたくない。あなたが強制されて良い行いをするのではなく、自発的にすることを願っている。 + 彼がしばらくの間あなたから離れていたのは、あなたが彼をいつまでも留めておくためであったかも知れない。 + しかも、もはや奴隷としてではなく、奴隷以上のもの、愛する兄弟としてである。とりわけ、わたしにとってそうであるが、ましてあなたにとっては、肉においても、主にあっても、それ以上であろう。 + そこで、もしわたしをあなたの信仰の友と思ってくれるなら、わたし同様に彼を受けいれてほしい。 + もし、彼があなたに何か不都合なことをしたか、あるいは、何か負債があれば、それをわたしの借りにしておいてほしい。 + このパウロが手ずからしるす、わたしがそれを返済する。この際、あなたが、あなた自身をわたしに負うていることについては、何も言うまい。 + 兄弟よ。わたしはあなたから、主にあって何か益を得たいものである。わたしの心を、主にあって力づけてもらいたい。 + わたしはあなたの従順を堅く信じて、この手紙を書く。あなたは、確かにわたしが言う以上のことをしてくれるだろう。 + ついでにお願いするが、わたしのために宿を用意しておいてほしい。あなたがたの祈によって、あなたがたの所に行かせてもらえるように望んでいるのだから。 + キリスト・イエスにあって、わたしと共に捕われの身になっているエパフラスから、あなたによろしく。 + わたしの同労者たち、マルコ、アリスタルコ、デマス、ルカからも、よろしく。 + 主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように。 + +
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+ + 神は、むかしは、預言者たちにより、いろいろな時に、いろいろな方法で、先祖たちに語られたが、 + この終りの時には、御子によって、わたしたちに語られたのである。神は御子を万物の相続者と定め、また、御子によって、もろもろの世界を造られた。 + 御子は神の栄光の輝きであり、神の本質の真の姿であって、その力ある言葉をもって万物を保っておられる。そして罪のきよめのわざをなし終えてから、いと高き所にいます大能者の右に、座につかれたのである。 + 御子は、その受け継がれた名が御使たちの名にまさっているので、彼らよりもすぐれた者となられた。 + いったい、神は御使たちのだれに対して、「あなたこそは、わたしの子。きょう、わたしはあなたを生んだ」と言い、さらにまた、「わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となるであろう」と言われたことがあるか。 + さらにまた、神は、その長子を世界に導き入れるに当って、「神の御使たちはことごとく、彼を拝すべきである」と言われた。 + また、御使たちについては、「神は、御使たちを風とし、ご自分に仕える者たちを炎とされる」と言われているが、 + 御子については、「神よ、あなたの御座は、世々限りなく続き、あなたの支配のつえは、公平のつえである。 + あなたは義を愛し、不法を憎まれた。それゆえに、神、あなたの神は、喜びのあぶらを、あなたの友に注ぐよりも多く、あなたに注がれた」と言い、 + さらに、「主よ、あなたは初めに、地の基をおすえになった。もろもろの天も、み手のわざである。 + これらのものは滅びてしまうが、あなたは、いつまでもいますかたである。すべてのものは衣のように古び、 + それらをあなたは、外套のように巻かれる。これらのものは、衣のように変るが、あなたは、いつも変ることがなく、あなたのよわいは、尽きることがない」とも言われている。 + 神は、御使たちのだれに対して、「あなたの敵を、あなたの足台とするときまでは、わたしの右に座していなさい」と言われたことがあるか。 + 御使たちはすべて仕える霊であって、救を受け継ぐべき人々に奉仕するため、つかわされたものではないか。 + + + こういうわけだから、わたしたちは聞かされていることを、いっそう強く心に留めねばならない。そうでないと、おし流されてしまう。 + というのは、御使たちをとおして語られた御言が効力を持ち、あらゆる罪過と不従順とに対して正当な報いが加えられたとすれば、 + わたしたちは、こんなに尊い救をなおざりにしては、どうして報いをのがれることができようか。この救は、初め主によって語られたものであって、聞いた人々からわたしたちにあかしされ、 + さらに神も、しるしと不思議とさまざまな力あるわざとにより、また、御旨に従い聖霊を各自に賜うことによって、あかしをされたのである。 + いったい、神は、わたしたちがここで語っているきたるべき世界を、御使たちに服従させることは、なさらなかった。 + 聖書はある箇所で、こうあかししている、「人間が何者だから、これを御心に留められるのだろうか。人の子が何者だから、これをかえりみられるのだろうか。 + あなたは、しばらくの間、彼を御使たちよりも低い者となし、栄光とほまれとを冠として彼に与え、 + 万物をその足の下に服従させて下さった」。「万物を彼に服従させて下さった」という以上、服従しないものは、何ひとつ残されていないはずである。しかし、今もなお万物が彼に服従している事実を、わたしたちは見ていない。 + ただ、「しばらくの間、御使たちよりも低い者とされた」イエスが、死の苦しみのゆえに、栄光とほまれとを冠として与えられたのを見る。それは、彼が神の恵みによって、すべての人のために死を味わわれるためであった。 + なぜなら、万物の帰すべきかた、万物を造られたかたが、多くの子らを栄光に導くのに、彼らの救の君を、苦難をとおして全うされたのは、彼にふさわしいことであったからである。 + 実に、きよめるかたも、きよめられる者たちも、皆ひとりのかたから出ている。それゆえに主は、彼らを兄弟と呼ぶことを恥とされない。 + すなわち、「わたしは、御名をわたしの兄弟たちに告げ知らせ、教会の中で、あなたをほめ歌おう」と言い、 + また、「わたしは、彼により頼む」、また、「見よ、わたしと、神がわたしに賜わった子らとは」と言われた。 + このように、子たちは血と肉とに共にあずかっているので、イエスもまた同様に、それらをそなえておられる。それは、死の力を持つ者、すなわち悪魔を、ご自分の死によって滅ぼし、 + 死の恐怖のために一生涯、奴隷となっていた者たちを、解き放つためである。 + 確かに、彼は天使たちを助けることはしないで、アブラハムの子孫を助けられた。 + そこで、イエスは、神のみまえにあわれみ深い忠実な大祭司となって、民の罪をあがなうために、あらゆる点において兄弟たちと同じようにならねばならなかった。 + 主ご自身、試錬を受けて苦しまれたからこそ、試錬の中にある者たちを助けることができるのである。 + + + そこで、天の召しにあずかっている聖なる兄弟たちよ。あなたがたは、わたしたちが告白する信仰の使者また大祭司なるイエスを、思いみるべきである。 + 彼は、モーセが神の家の全体に対して忠実であったように、自分を立てたかたに対して忠実であられた。 + おおよそ、家を造る者が家そのものよりもさらに尊ばれるように、彼は、モーセ以上に、大いなる光栄を受けるにふさわしい者とされたのである。 + 家はすべて、だれかによって造られるものであるが、すべてのものを造られたかたは、神である。 + さて、モーセは、後に語らるべき事がらについてあかしをするために、仕える者として、神の家の全体に対して忠実であったが、 + キリストは御子として、神の家を治めるのに忠実であられたのである。もしわたしたちが、望みの確信と誇とを最後までしっかりと持ち続けるなら、わたしたちは神の家なのである。 + だから、聖霊が言っているように、「きょう、あなたがたがみ声を聞いたなら、 + 荒野における試錬の日に、神にそむいた時のように、あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない。 + あなたがたの先祖たちは、そこでわたしを試みためし、 + しかも、四十年の間わたしのわざを見たのである。だから、わたしはその時代の人々に対して、いきどおって言った、彼らの心は、いつも迷っており、彼らは、わたしの道を認めなかった。 + そこで、わたしは怒って、彼らをわたしの安息にはいらせることはしない、と誓った」。 + 兄弟たちよ。気をつけなさい。あなたがたの中には、あるいは、不信仰な悪い心をいだいて、生ける神から離れ去る者があるかも知れない。 + あなたがたの中に、罪の惑わしに陥って、心をかたくなにする者がないように、「きょう」といううちに、日々、互に励まし合いなさい。 + もし最初の確信を、最後までしっかりと持ち続けるならば、わたしたちはキリストにあずかる者となるのである。 + それについて、こう言われている、「きょう、み声を聞いたなら、神にそむいた時のように、あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない」。 + すると、聞いたのにそむいたのは、だれであったのか。モーセに率いられて、エジプトから出て行ったすべての人々ではなかったか。 + また、四十年の間、神がいきどおられたのはだれに対してであったか。罪を犯して、その死かばねを荒野にさらした者たちに対してではなかったか。 + また、神が、わたしの安息に、はいらせることはしない、と誓われたのは、だれに向かってであったか。不従順な者に向かってではなかったか。 + こうして、彼らがはいることのできなかったのは、不信仰のゆえであることがわかる。 + + + それだから、神の安息にはいるべき約束が、まだ存続しているにかかわらず、万一にも、はいりそこなう者が、あなたがたの中から出ることがないように、注意しようではないか。 + というのは、彼らと同じく、わたしたちにも福音が伝えられているのである。しかし、その聞いた御言は、彼らには無益であった。それが、聞いた者たちに、信仰によって結びつけられなかったからである。 + ところが、わたしたち信じている者は、安息にはいることができる。それは、「わたしが怒って、彼らをわたしの安息に、はいらせることはしないと、誓ったように」と言われているとおりである。しかも、みわざは世の初めに、でき上がっていた。 + すなわち、聖書のある箇所で、七日目のことについて、「神は、七日目にすべてのわざをやめて休まれた」と言われており、 + またここで、「彼らをわたしの安息に、はいらせることはしない」と言われている。 + そこで、その安息にはいる機会が、人々になお残されているのであり、しかも、初めに福音を伝えられた人々は、不従順のゆえに、はいることをしなかったのであるから、 + 神は、あらためて、ある日を「きょう」として定め、長く時がたってから、先に引用したとおり、「きょう、み声を聞いたなら、あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない」とダビデをとおして言われたのである。 + もしヨシュアが彼らを休ませていたとすれば、神はあとになって、ほかの日のことについて語られたはずはない。 + こういうわけで、安息日の休みが、神の民のためにまだ残されているのである。 + なぜなら、神の安息にはいった者は、神がみわざをやめて休まれたように、自分もわざを休んだからである。 + したがって、わたしたちは、この安息にはいるように努力しようではないか。そうでないと、同じような不従順の悪例にならって、落ちて行く者が出るかもしれない。 + というのは、神の言は生きていて、力があり、もろ刃のつるぎよりも鋭くて、精神と霊魂と、関節と骨髄とを切り離すまでに刺しとおして、心の思いと志とを見分けることができる。 + そして、神のみまえには、あらわでない被造物はひとつもなく、すべてのものは、神の目には裸であり、あらわにされているのである。この神に対して、わたしたちは言い開きをしなくてはならない。 + さて、わたしたちには、もろもろの天をとおって行かれた大祭司なる神の子イエスがいますのであるから、わたしたちの告白する信仰をかたく守ろうではないか。 + この大祭司は、わたしたちの弱さを思いやることのできないようなかたではない。罪は犯されなかったが、すべてのことについて、わたしたちと同じように試錬に会われたのである。 + だから、わたしたちは、あわれみを受け、また、恵みにあずかって時機を得た助けを受けるために、はばかることなく恵みの御座に近づこうではないか。 + + + 大祭司なるものはすべて、人間の中から選ばれて、罪のために供え物といけにえとをささげるように、人々のために神に仕える役に任じられた者である。 + 彼は自分自身、弱さを身に負うているので、無知な迷っている人々を、思いやることができると共に、 + その弱さのゆえに、民のためだけではなく自分自身のためにも、罪についてささげものをしなければならないのである。 + かつ、だれもこの栄誉ある務を自分で得るのではなく、アロンの場合のように、神の召しによって受けるのである。 + 同様に、キリストもまた、大祭司の栄誉を自分で得たのではなく、「あなたこそは、わたしの子。きょう、わたしはあなたを生んだ」と言われたかたから、お受けになったのである。 + また、ほかの箇所でこう言われている、「あなたこそは、永遠に、メルキゼデクに等しい祭司である」。 + キリストは、その肉の生活の時には、激しい叫びと涙とをもって、ご自分を死から救う力のあるかたに、祈と願いとをささげ、そして、その深い信仰のゆえに聞きいれられたのである。 + 彼は御子であられたにもかかわらず、さまざまの苦しみによって従順を学び、 + そして、全き者とされたので、彼に従順であるすべての人に対して、永遠の救の源となり、 + 神によって、メルキゼデクに等しい大祭司と、となえられたのである。 + このことについては、言いたいことがたくさんあるが、あなたがたの耳が鈍くなっているので、それを説き明かすことはむずかしい。 + あなたがたは、久しい以前からすでに教師となっているはずなのに、もう一度神の言の初歩を、人から手ほどきしてもらわねばならない始末である。あなたがたは堅い食物ではなく、乳を必要としている。 + すべて乳を飲んでいる者は、幼な子なのだから、義の言葉を味わうことができない。 + しかし、堅い食物は、善悪を見わける感覚を実際に働かせて訓練された成人のとるべきものである。 + + + そういうわけだから、わたしたちは、キリストの教の初歩をあとにして、完成を目ざして進もうではないか。今さら、死んだ行いの悔改めと神への信仰、 + 洗いごとについての教と按手、死人の復活と永遠のさばき、などの基本の教をくりかえし学ぶことをやめようではないか。 + 神の許しを得て、そうすることにしよう。 + いったん、光を受けて天よりの賜物を味わい、聖霊にあずかる者となり、 + また、神の良きみ言葉と、きたるべき世の力とを味わった者たちが、 + そののち堕落した場合には、またもや神の御子を、自ら十字架につけて、さらしものにするわけであるから、ふたたび悔改めにたち帰ることは不可能である。 + たとえば、土地が、その上にたびたび降る雨を吸い込で、耕す人々に役立つ作物を育てるなら、神の祝福にあずかる。 + しかし、いばらやあざみをはえさせるなら、それは無用になり、やがてのろわれ、ついには焼かれてしまう。 + しかし、愛する者たちよ。こうは言うものの、わたしたちは、救にかかわる更に良いことがあるのを、あなたがたについて確信している。 + 神は不義なかたではないから、あなたがたの働きや、あなたがたがかつて聖徒に仕え、今もなお仕えて、御名のために示してくれた愛を、お忘れになることはない。 + わたしたちは、あなたがたがひとり残らず、最後まで望みを持ちつづけるためにも、同じ熱意を示し、 + 怠ることがなく、信仰と忍耐とをもって約束のものを受け継ぐ人々に見習う者となるように、と願ってやまない。 + さて、神がアブラハムに対して約束されたとき、さして誓うのに、ご自分よりも上のものがないので、ご自分をさして誓って、 + 「わたしは、必ずあなたを祝福し、必ずあなたの子孫をふやす」と言われた。 + このようにして、アブラハムは忍耐強く待ったので、約束のものを得たのである。 + いったい、人間は自分より上のものをさして誓うのであり、そして、その誓いはすべての反対論を封じる保証となるのである。 + そこで、神は、約束のものを受け継ぐ人々に、ご計画の不変であることを、いっそうはっきり示そうと思われ、誓いによって保証されたのである。 + それは、偽ることのあり得ない神に立てられた二つの不変の事がらによって、前におかれている望みを捕えようとして世をのがれてきたわたしたちが、力強い励ましを受けるためである。 + この望みは、わたしたちにとって、いわば、たましいを安全にし不動にする錨であり、かつ「幕の内」にはいり行かせるものである。 + その幕の内に、イエスは、永遠にメルキゼデクに等しい大祭司として、わたしたちのためにさきがけとなって、はいられたのである。 + + + このメルキゼデクはサレムの王であり、いと高き神の祭司であったが、王たちを撃破して帰るアブラハムを迎えて祝福し、 + それに対して、アブラハムは彼にすべての物の十分の一を分け与えたのである。その名の意味は、第一に義の王、次にまたサレムの王、すなわち平和の王である。 + 彼には父がなく、母がなく、系図がなく、生涯の初めもなく、生命の終りもなく、神の子のようであって、いつまでも祭司なのである。 + そこで、族長のアブラハムが最もよいぶんどり品の十分の一を与えたのだから、この人がどんなにすぐれた人物であったかが、あなたがたにわかるであろう。 + さて、レビの子のうちで祭司の務をしている者たちは、兄弟である民から、同じくアブラハムの子孫であるにもかかわらず、十分の一を取るように、律法によって命じられている。 + ところが、彼らの血統に属さないこの人が、アブラハムから十分の一を受けとり、約束を受けている者を祝福したのである。 + 言うまでもなく、小なる者が大なる者から祝福を受けるのである。 + その上、一方では死ぬべき人間が、十分の一を受けているが、他方では「彼は生きている者」とあかしされた人が、それを受けている。 + そこで、十分の一を受けるべきレビでさえも、アブラハムを通じて十分の一を納めた、と言える。 + なぜなら、メルキゼデクがアブラハムを迎えた時には、レビはまだこの父祖の腰の中にいたからである。 + もし全うされることがレビ系の祭司制によって可能であったら――民は祭司制の下に律法を与えられたのであるが――なんの必要があって、なお、「アロンに等しい」と呼ばれない、別な「メルキゼデクに等しい」祭司が立てられるのであるか。 + 祭司制に変更があれば、律法にも必ず変更があるはずである。 + さて、これらのことは、いまだかつて祭壇に奉仕したことのない、他の部族に関して言われているのである。 + というのは、わたしたちの主がユダ族の中から出られたことは、明らかであるが、モーセは、この部族について、祭司に関することでは、ひとことも言っていない。 + そしてこの事は、メルキゼデクと同様な、ほかの祭司が立てられたことによって、ますます明白になる。 + 彼は、肉につける戒めの律法によらないで、朽ちることのないいのちの力によって立てられたのである。 + それについては、聖書に「あなたこそは、永遠に、メルキゼデクに等しい祭司である」とあかしされている。 + このようにして、一方では、前の戒めが弱くかつ無益であったために無効になると共に、 + (律法は、何事をも全うし得なかったからである)、他方では、さらにすぐれた望みが現れてきて、わたしたちを神に近づかせるのである。 + その上に、このことは誓いをもってなされた。人々は、誓いをしないで祭司とされるのであるが、 + この人の場合は、次のような誓いをもってされたのである。すなわち、彼について、こう言われている、「主は誓われたが、心を変えることをされなかった。あなたこそは、永遠に祭司である」。 + このようにして、イエスは更にすぐれた契約の保証となられたのである。 + かつ、死ということがあるために、務を続けることができないので、多くの人々が祭司に立てられるのである。 + しかし彼は、永遠にいますかたであるので、変らない祭司の務を持ちつづけておられるのである。 + そこでまた、彼は、いつも生きていて彼らのためにとりなしておられるので、彼によって神に来る人々を、いつも救うことができるのである。 + このように、聖にして、悪も汚れもなく、罪人とは区別され、かつ、もろもろの天よりも高くされている大祭司こそ、わたしたちにとってふさわしいかたである。 + 彼は、ほかの大祭司のように、まず自分の罪のため、次に民の罪のために、日々、いけにえをささげる必要はない。なぜなら、自分をささげて、一度だけ、それをされたからである。 + 律法は、弱さを身に負う人間を立てて大祭司とするが、律法の後にきた誓いの御言は、永遠に全うされた御子を立てて、大祭司としたのである。 + + + 以上述べたことの要点は、このような大祭司がわたしたちのためにおられ、天にあって大能者の御座の右に座し、 + 人間によらず主によって設けられた真の幕屋なる聖所で仕えておられる、ということである。 + おおよそ、大祭司が立てられるのは、供え物やいけにえをささげるためにほかならない。したがって、この大祭司もまた、何かささぐべき物を持っておられねばならない。 + そこで、もし彼が地上におられたなら、律法にしたがって供え物をささげる祭司たちが、現にいるのだから、彼は祭司ではあり得なかったであろう。 + 彼らは、天にある聖所のひな型と影とに仕えている者にすぎない。それについては、モーセが幕屋を建てようとしたとき、御告げを受け、「山で示された型どおりに、注意してそのいっさいを作りなさい」と言われたのである。 + ところがキリストは、はるかにすぐれた務を得られたのである。それは、さらにまさった約束に基いて立てられた、さらにまさった契約の仲保者となられたことによる。 + もし初めの契約に欠けたところがなかったなら、あとのものが立てられる余地はなかったであろう。 + ところが、神は彼らを責めて言われた、「主は言われる、見よ、わたしがイスラエルの家およびユダの家と、新しい契約を結ぶ日が来る。 + それは、わたしが彼らの先祖たちの手をとって、エジプトの地から導き出した日に、彼らと結んだ契約のようなものではない。彼らがわたしの契約にとどまることをしないので、わたしも彼らをかえりみなかったからであると、主が言われる。 + わたしが、それらの日の後、イスラエルの家と立てようとする契約はこれである、と主が言われる。すなわち、わたしの律法を彼らの思いの中に入れ、彼らの心に書きつけよう。こうして、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となるであろう。 + 彼らは、それぞれ、その同胞に、また、それぞれ、その兄弟に、主を知れ、と言って教えることはなくなる。なぜなら、大なる者から小なる者に至るまで、彼らはことごとく、わたしを知るようになるからである。 + わたしは、彼らの不義をあわれみ、もはや、彼らの罪を思い出すことはしない」。 + 神は、「新しい」と言われたことによって、初めの契約を古いとされたのである。年を経て古びたものは、やがて消えていく。 + + + さて、初めの契約にも、礼拝についてのさまざまな規定と、地上の聖所とがあった。 + すなわち、まず幕屋が設けられ、その前の場所には燭台と机と供えのパンとが置かれていた。これが、聖所と呼ばれた。 + また第二の幕の後に、別の場所があり、それは至聖所と呼ばれた。 + そこには金の香壇と全面金でおおわれた契約の箱とが置かれ、その中にはマナのはいっている金のつぼと、芽を出したアロンのつえと、契約の石板とが入れてあり、 + 箱の上には栄光に輝くケルビムがあって、贖罪所をおおっていた。これらのことについては、今ここで、いちいち述べることができない。 + これらのものが、以上のように整えられた上で、祭司たちは常に幕屋の前の場所にはいって礼拝をするのであるが、 + 幕屋の奥には大祭司が年に一度だけはいるのであり、しかも自分自身と民とのあやまちのためにささげる血をたずさえないで行くことはない。 + それによって聖霊は、前方の幕屋が存在している限り、聖所にはいる道はまだ開かれていないことを、明らかに示している。 + この幕屋というのは今の時代に対する比喩である。すなわち、供え物やいけにえはささげられるが、儀式にたずさわる者の良心を全うすることはできない。 + それらは、ただ食物と飲み物と種々の洗いごとに関する行事であって、改革の時まで課せられている肉の規定にすぎない。 + しかしキリストがすでに現れた祝福の大祭司としてこられたとき、手で造られず、この世界に属さない、さらに大きく、完全な幕屋をとおり、 + かつ、やぎと子牛との血によらず、ご自身の血によって、一度だけ聖所にはいられ、それによって永遠のあがないを全うされたのである。 + もし、やぎや雄牛の血や雌牛の灰が、汚れた人たちの上にまきかけられて、肉体をきよめ聖別するとすれば、 + 永遠の聖霊によって、ご自身を傷なき者として神にささげられたキリストの血は、なおさら、わたしたちの良心をきよめて死んだわざを取り除き、生ける神に仕える者としないであろうか。 + それだから、キリストは新しい契約の仲保者なのである。それは、彼が初めの契約のもとで犯した罪過をあがなうために死なれた結果、召された者たちが、約束された永遠の国を受け継ぐためにほかならない。 + いったい、遺言には、遺言者の死の証明が必要である。 + 遺言は死によってのみその効力を生じ、遺言者が生きている間は、効力がない。 + だから、初めの契約も、血を流すことなしに成立したのではない。 + すなわち、モーセが、律法に従ってすべての戒めを民全体に宣言したとき、水と赤色の羊毛とヒソプとの外に、子牛とやぎとの血を取って、契約書と民全体とにふりかけ、 + そして、「これは、神があなたがたに対して立てられた契約の血である」と言った。 + 彼はまた、幕屋と儀式用の器具いっさいにも、同様に血をふりかけた。 + こうして、ほとんどすべての物が、律法に従い、血によってきよめられたのである。血を流すことなしには、罪のゆるしはあり得ない。 + このように、天にあるもののひな型は、これらのものできよめられる必要があるが、天にあるものは、これらより更にすぐれたいけにえで、きよめられねばならない。 + ところが、キリストは、ほんとうのものの模型にすぎない、手で造った聖所にはいらないで、上なる天にはいり、今やわたしたちのために神のみまえに出て下さったのである。 + 大祭司は、年ごとに、自分以外のものの血をたずさえて聖所にはいるが、キリストは、そのように、たびたびご自身をささげられるのではなかった。 + もしそうだとすれば、世の初めから、たびたび苦難を受けねばならなかったであろう。しかし事実、ご自身をいけにえとしてささげて罪を取り除くために、世の終りに、一度だけ現れたのである。 + そして、一度だけ死ぬことと、死んだ後さばきを受けることとが、人間に定まっているように、 + キリストもまた、多くの人の罪を負うために、一度だけご自身をささげられた後、彼を待ち望んでいる人々に、罪を負うためではなしに二度目に現れて、救を与えられるのである。 + + + いったい、律法はきたるべき良いことの影をやどすにすぎず、そのものの真のかたちをそなえているものではないから、年ごとに引きつづきささげられる同じようないけにえによっても、みまえに近づいて来る者たちを、全うすることはできないのである。 + もしできたとすれば、儀式にたずさわる者たちは、一度きよめられた以上、もはや罪の自覚がなくなるのであるから、ささげ物をすることがやんだはずではあるまいか。 + しかし実際は、年ごとに、いけにえによって罪の思い出がよみがえって来るのである。 + なぜなら、雄牛ややぎなどの血は、罪を除き去ることができないからである。 + それだから、キリストがこの世にこられたとき、次のように言われた、「あなたは、いけにえやささげ物を望まれないで、わたしのために、からだを備えて下さった。 + あなたは燔祭や罪祭を好まれなかった。 + その時、わたしは言った、『神よ、わたしにつき、巻物の書物に書いてあるとおり、見よ、御旨を行うためにまいりました』」。 + ここで、初めに、「あなたは、いけにえとささげ物と燔祭と罪祭と(すなわち、律法に従ってささげられるもの)を望まれず、好まれもしなかった」とあり、 + 次に、「見よ、わたしは御旨を行うためにまいりました」とある。すなわち、彼は、後のものを立てるために、初めのものを廃止されたのである。 + この御旨に基きただ一度イエス・キリストのからだがささげられたことによって、わたしたちはきよめられたのである。 + こうして、すべての祭司は立って日ごとに儀式を行い、たびたび同じようないけにえをささげるが、それらは決して罪を除き去ることはできない。 + しかるに、キリストは多くの罪のために一つの永遠のいけにえをささげた後、神の右に座し、 + それから、敵をその足台とするときまで、待っておられる。 + 彼は一つのささげ物によって、きよめられた者たちを永遠に全うされたのである。 + 聖霊もまた、わたしたちにあかしをして、 + 「わたしが、それらの日の後、彼らに対して立てようとする契約はこれであると、主が言われる。わたしの律法を彼らの心に与え、彼らの思いのうちに書きつけよう」と言い、 + さらに、「もはや、彼らの罪と彼らの不法とを、思い出すことはしない」と述べている。 + これらのことに対するゆるしがある以上、罪のためのささげ物は、もはやあり得ない。 + 兄弟たちよ。こういうわけで、わたしたちはイエスの血によって、はばかることなく聖所にはいることができ、 + 彼の肉体なる幕をとおり、わたしたちのために開いて下さった新しい生きた道をとおって、はいって行くことができるのであり、 + さらに、神の家を治める大いなる祭司があるのだから、 + 心はすすがれて良心のとがめを去り、からだは清い水で洗われ、まごころをもって信仰の確信に満たされつつ、みまえに近づこうではないか。 + また、約束をして下さったのは忠実なかたであるから、わたしたちの告白する望みを、動くことなくしっかりと持ち続け、 + 愛と善行とを励むように互に努め、 + ある人たちがいつもしているように、集会をやめることはしないで互に励まし、かの日が近づいているのを見て、ますます、そうしようではないか。 + もしわたしたちが、真理の知識を受けたのちにもなお、ことさらに罪を犯しつづけるなら、罪のためのいけにえは、もはやあり得ない。 + ただ、さばきと、逆らう者たちを焼きつくす激しい火とを、恐れつつ待つことだけがある。 + モーセの律法を無視する者が、あわれみを受けることなしに、二、三の人の証言に基いて死刑に処せられるとすれば、 + 神の子を踏みつけ、自分がきよめられた契約の血を汚れたものとし、さらに恵みの御霊を侮る者は、どんなにか重い刑罰に価することであろう。 + 「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と言われ、また「主はその民をさばかれる」と言われたかたを、わたしたちは知っている。 + 生ける神のみ手のうちに落ちるのは、恐ろしいことである。 + あなたがたは、光に照されたのち、苦しい大きな戦いによく耐えた初めのころのことを、思い出してほしい。 + そしられ苦しめられて見せ物にされたこともあれば、このようなめに会った人々の仲間にされたこともあった。 + さらに獄に入れられた人々を思いやり、また、もっとまさった永遠の宝を持っていることを知って、自分の財産が奪われても喜んでそれを忍んだ。 + だから、あなたがたは自分の持っている確信を放棄してはいけない。その確信には大きな報いが伴っているのである。 + 神の御旨を行って約束のものを受けるため、あなたがたに必要なのは、忍耐である。 + 「もうしばらくすれば、きたるべきかたがお見えになる。遅くなることはない。 + わが義人は、信仰によって生きる。もし信仰を捨てるなら、わたしのたましいはこれを喜ばない」。 + しかしわたしたちは、信仰を捨てて滅びる者ではなく、信仰に立って、いのちを得る者である。 + + + さて、信仰とは、望んでいる事がらを確信し、まだ見ていない事実を確認することである。 + 昔の人たちは、この信仰のゆえに賞賛された。 + 信仰によって、わたしたちは、この世界が神の言葉で造られたのであり、したがって、見えるものは現れているものから出てきたのでないことを、悟るのである。 + 信仰によって、アベルはカインよりもまさったいけにえを神にささげ、信仰によって義なる者と認められた。神が、彼の供え物をよしとされたからである。彼は死んだが、信仰によって今もなお語っている。 + 信仰によって、エノクは死を見ないように天に移された。神がお移しになったので、彼は見えなくなった。彼が移される前に、神に喜ばれた者と、あかしされていたからである。 + 信仰がなくては、神に喜ばれることはできない。なぜなら、神に来る者は、神のいますことと、ご自身を求める者に報いて下さることとを、必ず信じるはずだからである。 + 信仰によって、ノアはまだ見ていない事がらについて御告げを受け、恐れかしこみつつ、その家族を救うために箱舟を造り、その信仰によって世の罪をさばき、そして、信仰による義を受け継ぐ者となった。 + 信仰によって、アブラハムは、受け継ぐべき地に出て行けとの召しをこうむった時、それに従い、行く先を知らないで出て行った。 + 信仰によって、他国にいるようにして約束の地に宿り、同じ約束を継ぐイサク、ヤコブと共に、幕屋に住んだ。 + 彼は、ゆるがぬ土台の上に建てられた都を、待ち望んでいたのである。その都をもくろみ、また建てたのは、神である。 + 信仰によって、サラもまた、年老いていたが、種を宿す力を与えられた。約束をなさったかたは真実であると、信じていたからである。 + このようにして、ひとりの死んだと同様な人から、天の星のように、海べの数えがたい砂のように、おびただしい人が生れてきたのである。 + これらの人はみな、信仰をいだいて死んだ。まだ約束のものは受けていなかったが、はるかにそれを望み見て喜び、そして、地上では旅人であり寄留者であることを、自ら言いあらわした。 + そう言いあらわすことによって、彼らがふるさとを求めていることを示している。 + もしその出てきた所のことを考えていたなら、帰る機会はあったであろう。 + しかし実際、彼らが望んでいたのは、もっと良い、天にあるふるさとであった。だから神は、彼らの神と呼ばれても、それを恥とはされなかった。事実、神は彼らのために、都を用意されていたのである。 + 信仰によって、アブラハムは、試錬を受けたとき、イサクをささげた。すなわち、約束を受けていた彼が、そのひとり子をささげたのである。 + この子については、「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるであろう」と言われていたのであった。 + 彼は、神が死人の中から人をよみがえらせる力がある、と信じていたのである。だから彼は、いわば、イサクを生きかえして渡されたわけである。 + 信仰によって、イサクは、きたるべきことについて、ヤコブとエサウとを祝福した。 + 信仰によって、ヤコブは死のまぎわに、ヨセフの子らをひとりびとり祝福し、そしてそのつえのかしらによりかかって礼拝した。 + 信仰によって、ヨセフはその臨終に、イスラエルの子らの出て行くことを思い、自分の骨のことについてさしずした。 + 信仰によって、モーセの生れたとき、両親は、三か月のあいだ彼を隠した。それは、彼らが子供のうるわしいのを見たからである。彼らはまた、王の命令をも恐れなかった。 + 信仰によって、モーセは、成人したとき、パロの娘の子と言われることを拒み、 + 罪のはかない歓楽にふけるよりは、むしろ神の民と共に虐待されることを選び、 + キリストのゆえに受けるそしりを、エジプトの宝にまさる富と考えた。それは、彼が報いを望み見ていたからである。 + 信仰によって、彼は王の憤りをも恐れず、エジプトを立ち去った。彼は、見えないかたを見ているようにして、忍びとおした。 + 信仰によって、滅ぼす者が、長子らに手を下すことのないように、彼は過越を行い血を塗った。 + 信仰によって、人々は紅海をかわいた土地をとおるように渡ったが、同じことを企てたエジプト人はおぼれ死んだ。 + 信仰によって、エリコの城壁は、七日にわたってまわったために、くずれおちた。 + 信仰によって、遊女ラハブは、探りにきた者たちをおだやかに迎えたので、不従順な者どもと一緒に滅びることはなかった。 + このほか、何を言おうか。もしギデオン、バラク、サムソン、エフタ、ダビデ、サムエル及び預言者たちについて語り出すなら、時間が足りないであろう。 + 彼らは信仰によって、国々を征服し、義を行い、約束のものを受け、ししの口をふさぎ、 + 火の勢いを消し、つるぎの刃をのがれ、弱いものは強くされ、戦いの勇者となり、他国の軍を退かせた。 + 女たちは、その死者たちをよみがえらさせてもらった。ほかの者は、更にまさったいのちによみがえるために、拷問の苦しみに甘んじ、放免されることを願わなかった。 + なおほかの者たちは、あざけられ、むち打たれ、しばり上げられ、投獄されるほどのめに会った。 + あるいは、石で打たれ、さいなまれ、のこぎりで引かれ、つるぎで切り殺され、羊の皮や、やぎの皮を着て歩きまわり、無一物になり、悩まされ、苦しめられ、 + (この世は彼らの住む所ではなかった)、荒野と山の中と岩の穴と土の穴とを、さまよい続けた。 + さて、これらの人々はみな、信仰によってあかしされたが、約束のものは受けなかった。 + 神はわたしたちのために、さらに良いものをあらかじめ備えて下さっているので、わたしたちをほかにしては彼らが全うされることはない。 + + + こういうわけで、わたしたちは、このような多くの証人に雲のように囲まれているのであるから、いっさいの重荷と、からみつく罪とをかなぐり捨てて、わたしたちの参加すべき競走を、耐え忍んで走りぬこうではないか。 + 信仰の導き手であり、またその完成者であるイエスを仰ぎ見つつ、走ろうではないか。彼は、自分の前におかれている喜びのゆえに、恥をもいとわないで十字架を忍び、神の御座の右に座するに至ったのである。 + あなたがたは、弱り果てて意気そそうしないために、罪人らのこのような反抗を耐え忍んだかたのことを、思いみるべきである。 + あなたがたは、罪と取り組んで戦う時、まだ血を流すほどの抵抗をしたことがない。 + また子たちに対するように、あなたがたに語られたこの勧めの言葉を忘れている、「わたしの子よ、主の訓練を軽んじてはいけない。主に責められるとき、弱り果ててはならない。 + 主は愛する者を訓練し、受けいれるすべての子を、むち打たれるのである」。 + あなたがたは訓練として耐え忍びなさい。神はあなたがたを、子として取り扱っておられるのである。いったい、父に訓練されない子があるだろうか。 + だれでも受ける訓練が、あなたがたに与えられないとすれば、それこそ、あなたがたは私生子であって、ほんとうの子ではない。 + その上、肉親の父はわたしたちを訓練するのに、なお彼をうやまうとすれば、なおさら、わたしたちは、たましいの父に服従して、真に生きるべきではないか。 + 肉親の父は、しばらくの間、自分の考えに従って訓練を与えるが、たましいの父は、わたしたちの益のため、そのきよさにあずからせるために、そうされるのである。 + すべての訓練は、当座は、喜ばしいものとは思われず、むしろ悲しいものと思われる。しかし後になれば、それによって鍛えられる者に、平安な義の実を結ばせるようになる。 + それだから、あなたがたのなえた手と、弱くなっているひざとを、まっすぐにしなさい。 + また、足のなえている者が踏みはずすことなく、むしろいやされるように、あなたがたの足のために、まっすぐな道をつくりなさい。 + すべての人と相和し、また、自らきよくなるように努めなさい。きよくならなければ、だれも主を見ることはできない。 + 気をつけて、神の恵みからもれることがないように、また、苦い根がはえ出て、あなたがたを悩まし、それによって多くの人が汚されることのないようにしなさい。 + また、一杯の食のために長子の権利を売ったエサウのように、不品行な俗悪な者にならないようにしなさい。 + あなたがたの知っているように、彼はその後、祝福を受け継ごうと願ったけれども、捨てられてしまい、涙を流してそれを求めたが、悔改めの機会を得なかったのである。 + あなたがたが近づいているのは、手で触れることができ、火が燃え、黒雲や暗やみやあらしにつつまれ、 + また、ラッパの響や、聞いた者たちがそれ以上、耳にしたくないと願ったような言葉がひびいてきた山ではない。 + そこでは、彼らは、「けものであっても、山に触たら、石で打ち殺されてしまえ」という命令の言葉に、耐えることができなかったのである。 + その光景が恐ろしかったのでモーセさえも、「わたしは恐ろしさのあまり、おののいている」と言ったほどである。 + しかしあなたがたが近づいているのは、シオンの山、生ける神の都、天にあるエルサレム、無数の天使の祝会、 + 天に登録されている長子たちの教会、万民の審判者なる神、全うされた義人の霊、 + 新しい契約の仲保者イエス、ならびに、アベルの血よりも力強く語るそそがれた血である。 + あなたがたは、語っておられるかたを拒むことがないように、注意しなさい。もし地上で御旨を告げた者を拒んだ人々が、罰をのがれることができなかったなら、天から告げ示すかたを退けるわたしたちは、なおさらそうなるのではないか。 + あの時には、御声が地を震わせた。しかし今は、約束して言われた、「わたしはもう一度、地ばかりでなく天をも震わそう」。 + この「もう一度」という言葉は、震われないものが残るために、震われるものが、造られたものとして取り除かれることを示している。 + このように、わたしたちは震われない国を受けているのだから、感謝をしようではないか。そして感謝しつつ、恐れかしこみ、神に喜ばれるように、仕えていこう。 + わたしたちの神は、実に、焼きつくす火である。 + + + 兄弟愛を続けなさい。 + 旅人をもてなすことを忘れてはならない。このようにして、ある人々は、気づかないで御使たちをもてなした。 + 獄につながれている人たちを、自分も一緒につながれている心持で思いやりなさい。また、自分も同じ肉体にある者だから、苦しめられている人たちのことを、心にとめなさい。 + すべての人は、結婚を重んずべきである。また寝床を汚してはならない。神は、不品行な者や姦淫をする者をさばかれる。 + 金銭を愛することをしないで、自分の持っているもので満足しなさい。主は、「わたしは、決してあなたを離れず、あなたを捨てない」と言われた。 + だから、わたしたちは、はばからずに言おう、「主はわたしの助け主である。わたしには恐れはない。人は、わたしに何ができようか」。 + 神の言をあなたがたに語った指導者たちのことを、いつも思い起しなさい。彼らの生活の最後を見て、その信仰にならいなさい。 + イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも変ることがない。 + さまざまな違った教によって、迷わされてはならない。食物によらず、恵みによって、心を強くするがよい。食物によって歩いた者は、益を得ることがなかった。 + わたしたちには一つの祭壇がある。幕屋で仕えている者たちは、その祭壇の食物をたべる権利はない。 + なぜなら、大祭司によって罪のためにささげられるけものの血は、聖所のなかに携えて行かれるが、そのからだは、営所の外で焼かれてしまうからである。 + だから、イエスもまた、ご自分の血で民をきよめるために、門の外で苦難を受けられたのである。 + したがって、わたしたちも、彼のはずかしめを身に負い、営所の外に出て、みもとに行こうではないか。 + この地上には、永遠の都はない。きたらんとする都こそ、わたしたちの求めているものである。 + だから、わたしたちはイエスによって、さんびのいけにえ、すなわち、彼の御名をたたえるくちびるの実を、たえず神にささげようではないか。 + そして、善を行うことと施しをすることとを、忘れてはいけない。神は、このようないけにえを喜ばれる。 + あなたがたの指導者たちの言うことを聞きいれて、従いなさい。彼らは、神に言いひらきをすべき者として、あなたがたのたましいのために、目をさましている。彼らが嘆かないで、喜んでこのことをするようにしなさい。そうでないと、あなたがたの益にならない。 + わたしたちのために、祈ってほしい。わたしたちは明らかな良心を持っていると信じており、何事についても、正しく行動しようと願っている。 + わたしがあなたがたの所に早く帰れるため、祈ってくれるように、特にお願いする。 + 永遠の契約の血による羊の大牧者、わたしたちの主イエスを、死人の中から引き上げられた平和の神が、 + イエス・キリストによって、みこころにかなうことをわたしたちにして下さり、あなたがたが御旨を行うために、すべての良きものを備えて下さるようにこい願う。栄光が、世々限りなく神にあるように、アァメン。 + 兄弟たちよ。どうかわたしの勧めの言葉を受けいれてほしい。わたしは、ただ手みじかに書いたのだから。 + わたしたちの兄弟テモテがゆるされたことを、お知らせする。もし彼が早く来れば、彼と一緒にわたしはあなたがたに会えるだろう。 + あなたがたの指導者一同と聖徒たち一同に、よろしく伝えてほしい。イタリヤからきた人々から、あなたがたによろしく。 + 恵みが、あなたがた一同にあるように。 + +
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+ + 神と主イエス・キリストとの僕ヤコブから、離散している十二部族の人々へ、あいさつをおくる。 + わたしの兄弟たちよ。あなたがたが、いろいろな試錬に会った場合、それをむしろ非常に喜ばしいことと思いなさい。 + あなたがたの知っているとおり、信仰がためされることによって、忍耐が生み出されるからである。 + だから、なんら欠点のない、完全な、でき上がった人となるように、その忍耐力を十分に働かせるがよい。 + あなたがたのうち、知恵に不足している者があれば、その人は、とがめもせずに惜しみなくすべての人に与える神に、願い求めるがよい。そうすれば、与えられるであろう。 + ただ、疑わないで、信仰をもって願い求めなさい。疑う人は、風の吹くままに揺れ動く海の波に似ている。 + そういう人は、主から何かをいただけるもののように思うべきではない。 + そんな人間は、二心の者であって、そのすべての行動に安定がない。 + 低い身分の兄弟は、自分が高くされたことを喜びなさい。 + また、富んでいる者は、自分が低くされたことを喜ぶがよい。富んでいる者は、草花のように過ぎ去るからである。 + たとえば、太陽が上って熱風をおくると、草を枯らす。そしてその花は落ち、その美しい姿は消えうせてしまう。それと同じように、富んでいる者も、その一生の旅なかばで没落するであろう。 + 試錬を耐え忍ぶ人は、さいわいである。それを忍びとおしたなら、神を愛する者たちに約束されたいのちの冠を受けるであろう。 + だれでも誘惑に会う場合、「この誘惑は、神からきたものだ」と言ってはならない。神は悪の誘惑に陥るようなかたではなく、また自ら進んで人を誘惑することもなさらない。 + 人が誘惑に陥るのは、それぞれ、欲に引かれ、さそわれるからである。 + 欲がはらんで罪を生み、罪が熟して死を生み出す。 + 愛する兄弟たちよ。思い違いをしてはいけない。 + あらゆる良い贈り物、あらゆる完全な賜物は、上から、光の父から下って来る。父には、変化とか回転の影とかいうものはない。 + 父は、わたしたちを、いわば被造物の初穂とするために、真理の言葉によって御旨のままに、生み出して下さったのである。 + 愛する兄弟たちよ。このことを知っておきなさい。人はすべて、聞くに早く、語るにおそく、怒るにおそくあるべきである。 + 人の怒りは、神の義を全うするものではないからである。 + だから、すべての汚れや、はなはだしい悪を捨て去って、心に植えつけられている御言を、すなおに受け入れなさい。御言には、あなたがたのたましいを救う力がある。 + そして、御言を行う人になりなさい。おのれを欺いて、ただ聞くだけの者となってはいけない。 + おおよそ御言を聞くだけで行わない人は、ちょうど、自分の生れつきの顔を鏡に映して見る人のようである。 + 彼は自分を映して見てそこから立ち去ると、そのとたんに、自分の姿がどんなであったかを忘れてしまう。 + これに反して、完全な自由の律法を一心に見つめてたゆまない人は、聞いて忘れてしまう人ではなくて、実際に行う人である。こういう人は、その行いによって祝福される。 + もし人が信心深い者だと自任しながら、舌を制することをせず、自分の心を欺いているならば、その人の信心はむなしいものである。 + 父なる神のみまえに清く汚れのない信心とは、困っている孤児や、やもめを見舞い、自らは世の汚れに染まずに、身を清く保つことにほかならない。 + + + わたしの兄弟たちよ。わたしたちの栄光の主イエス・キリストへの信仰を守るのに、分け隔てをしてはならない。 + たとえば、あなたがたの会堂に、金の指輪をはめ、りっぱな着物を着た人がはいって来ると同時に、みすぼらしい着物を着た貧しい人がはいってきたとする。 + その際、りっぱな着物を着た人に対しては、うやうやしく「どうぞ、こちらの良い席にお掛け下さい」と言い、貧しい人には、「あなたは、そこに立っていなさい。それとも、わたしの足もとにすわっているがよい」と言ったとしたら、 + あなたがたは、自分たちの間で差別立てをし、よからぬ考えで人をさばく者になったわけではないか。 + 愛する兄弟たちよ。よく聞きなさい。神は、この世の貧しい人たちを選んで信仰に富ませ、神を愛する者たちに約束された御国の相続者とされたではないか。 + しかるに、あなたがたは貧しい人をはずかしめたのである。あなたがたをしいたげ、裁判所に引きずり込むのは、富んでいる者たちではないか。 + あなたがたに対して唱えられた尊い御名を汚すのは、実に彼らではないか。 + しかし、もしあなたがたが、「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」という聖書の言葉に従って、このきわめて尊い律法を守るならば、それは良いことである。 + しかし、もし分け隔てをするならば、あなたがたは罪を犯すことになり、律法によって違反者として宣告される。 + なぜなら、律法をことごとく守ったとしても、その一つの点にでも落ち度があれば、全体を犯したことになるからである。 + たとえば、「姦淫するな」と言われたかたは、また「殺すな」とも仰せになった。そこで、たとい姦淫はしなくても、人殺しをすれば、律法の違反者になったことになる。 + だから、自由の律法によってさばかるべき者らしく語り、かつ行いなさい。 + あわれみを行わなかった者に対しては、仮借のないさばきが下される。あわれみは、さばきにうち勝つ。 + わたしの兄弟たちよ。ある人が自分には信仰があると称していても、もし行いがなかったら、なんの役に立つか。その信仰は彼を救うことができるか。 + ある兄弟または姉妹が裸でいて、その日の食物にもこと欠いている場合、 + あなたがたのうち、だれかが、「安らかに行きなさい。暖まって、食べ飽きなさい」と言うだけで、そのからだに必要なものを何ひとつ与えなかったとしたら、なんの役に立つか。 + 信仰も、それと同様に、行いを伴わなければ、それだけでは死んだものである。 + しかし、「ある人には信仰があり、またほかの人には行いがある」と言う者があろう。それなら、行いのないあなたの信仰なるものを見せてほしい。そうしたら、わたしの行いによって信仰を見せてあげよう。 + あなたは、神はただひとりであると信じているのか。それは結構である。悪霊どもでさえ、信じておののいている。 + ああ、愚かな人よ。行いを伴わない信仰のむなしいことを知りたいのか。 + わたしたちの父祖アブラハムは、その子イサクを祭壇にささげた時、行いによって義とされたのではなかったか。 + あなたが知っているとおり、彼においては、信仰が行いと共に働き、その行いによって信仰が全うされ、 + こうして、「アブラハムは神を信じた。それによって、彼は義と認められた」という聖書の言葉が成就し、そして、彼は「神の友」と唱えられたのである。 + これでわかるように、人が義とされるのは、行いによるのであって、信仰だけによるのではない。 + 同じように、かの遊女ラハブでさえも、使者たちをもてなし、彼らを別な道から送り出した時、行いによって義とされたではないか。 + 霊魂のないからだが死んだものであると同様に、行いのない信仰も死んだものなのである。 + + + わたしの兄弟たちよ。あなたがたのうち多くの者は、教師にならないがよい。わたしたち教師が、他の人たちよりも、もっときびしいさばきを受けることが、よくわかっているからである。 + わたしたちは皆、多くのあやまちを犯すものである。もし、言葉の上であやまちのない人があれば、そういう人は、全身をも制御することのできる完全な人である。 + 馬を御するために、その口にくつわをはめるなら、その全身を引きまわすことができる。 + また船を見るがよい。船体が非常に大きく、また激しい風に吹きまくられても、ごく小さなかじ一つで、操縦者の思いのままに運転される。 + それと同じく、舌は小さな器官ではあるが、よく大言壮語する。見よ、ごく小さな火でも、非常に大きな森を燃やすではないか。 + 舌は火である。不義の世界である。舌は、わたしたちの器官の一つとしてそなえられたものであるが、全身を汚し、生存の車輪を燃やし、自らは地獄の火で焼かれる。 + あらゆる種類の獣、鳥、這うもの、海の生物は、すべて人類に制せられるし、また制せられてきた。 + ところが、舌を制しうる人は、ひとりもいない。それは、制しにくい悪であって、死の毒に満ちている。 + わたしたちは、この舌で父なる主をさんびし、また、その同じ舌で、神にかたどって造られた人間をのろっている。 + 同じ口から、さんびとのろいとが出て来る。わたしの兄弟たちよ。このような事は、あるべきでない。 + 泉が、甘い水と苦い水とを、同じ穴からふき出すことがあろうか。 + わたしの兄弟たちよ。いちじくの木がオリブの実を結び、ぶどうの木がいちじくの実を結ぶことができようか。塩水も、甘い水を出すことはできない。 + あなたがたのうちで、知恵があり物わかりのよい人は、だれであるか。その人は、知恵にかなう柔和な行いをしていることを、よい生活によって示すがよい。 + しかし、もしあなたがたの心の中に、苦々しいねたみや党派心をいだいているのなら、誇り高ぶってはならない。また、真理にそむいて偽ってはならない。 + そのような知恵は、上から下ってきたものではなくて、地につくもの、肉に属するもの、悪魔的なものである。 + ねたみと党派心とのあるところには、混乱とあらゆる忌むべき行為とがある。 + しかし上からの知恵は、第一に清く、次に平和、寛容、温順であり、あわれみと良い実とに満ち、かたより見ず、偽りがない。 + 義の実は、平和を造り出す人たちによって、平和のうちにまかれるものである。 + + + あなたがたの中の戦いや争いは、いったい、どこから起るのか。それはほかではない。あなたがたの肢体の中で相戦う欲情からではないか。 + あなたがたは、むさぼるが得られない。そこで人殺しをする。熱望するが手に入れることができない。そこで争い戦う。あなたがたは、求めないから得られないのだ。 + 求めても与えられないのは、快楽のために使おうとして、悪い求め方をするからだ。 + 不貞のやからよ。世を友とするのは、神への敵対であることを、知らないか。おおよそ世の友となろうと思う者は、自らを神の敵とするのである。 + それとも、「神は、わたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに愛しておられる」と聖書に書いてあるのは、むなしい言葉だと思うのか。 + しかし神は、いや増しに恵みを賜う。であるから、「神は高ぶる者をしりぞけ、へりくだる者に恵みを賜う」とある。 + そういうわけだから、神に従いなさい。そして、悪魔に立ちむかいなさい。そうすれば、彼はあなたがたから逃げ去るであろう。 + 神に近づきなさい。そうすれば、神はあなたがたに近づいて下さるであろう。罪人どもよ、手をきよめよ。二心の者どもよ、心を清くせよ。 + 苦しめ、悲しめ、泣け。あなたがたの笑いを悲しみに、喜びを憂いに変えよ。 + 主のみまえにへりくだれ。そうすれば、主は、あなたがたを高くして下さるであろう。 + 兄弟たちよ。互に悪口を言い合ってはならない。兄弟の悪口を言ったり、自分の兄弟をさばいたりする者は、律法をそしり、律法をさばくやからである。もしあなたが律法をさばくなら、律法の実行者ではなくて、その審判者なのである。 + しかし、立法者であり審判者であるかたは、ただひとりであって、救うことも滅ぼすこともできるのである。しかるに、隣り人をさばくあなたは、いったい、何者であるか。 + よく聞きなさい。「きょうか、あす、これこれの町へ行き、そこに一か年滞在し、商売をして一もうけしよう」と言う者たちよ。 + あなたがたは、あすのこともわからぬ身なのだ。あなたがたのいのちは、どんなものであるか。あなたがたは、しばしの間あらわれて、たちまち消え行く霧にすぎない。 + むしろ、あなたがたは「主のみこころであれば、わたしは生きながらえもし、あの事この事もしよう」と言うべきである。 + ところが、あなたがたは誇り高ぶっている。このような高慢は、すべて悪である。 + 人が、なすべき善を知りながら行わなければ、それは彼にとって罪である。 + + + 富んでいる人たちよ。よく聞きなさい。あなたがたは、自分の身に降りかかろうとしているわざわいを思って、泣き叫ぶがよい。 + あなたがたの富は朽ち果て、着物はむしばまれ、 + 金銀はさびている。そして、そのさびの毒は、あなたがたの罪を責め、あなたがたの肉を火のように食いつくすであろう。あなたがたは、終りの時にいるのに、なお宝をたくわえている。 + 見よ、あなたがたが労働者たちに畑の刈入れをさせながら、支払わずにいる賃銀が、叫んでいる。そして、刈入れをした人たちの叫び声が、すでに万軍の主の耳に達している。 + あなたがたは、地上でおごり暮し、快楽にふけり、「ほふらるる日」のために、おのが心を肥やしている。 + そして、義人を罪に定め、これを殺した。しかも彼は、あなたがたに抵抗しない。 + だから、兄弟たちよ。主の来臨の時まで耐え忍びなさい。見よ、農夫は、地の尊い実りを、前の雨と後の雨とがあるまで、耐え忍んで待っている。 + あなたがたも、主の来臨が近づいているから、耐え忍びなさい。心を強くしていなさい。 + 兄弟たちよ。互に不平を言い合ってはならない。さばきを受けるかも知れないから。見よ、さばき主が、すでに戸口に立っておられる。 + 兄弟たちよ。苦しみを耐え忍ぶことについては、主の御名によって語った預言者たちを模範にするがよい。 + 忍び抜いた人たちはさいわいであると、わたしたちは思う。あなたがたは、ヨブの忍耐のことを聞いている。また、主が彼になさったことの結末を見て、主がいかに慈愛とあわれみとに富んだかたであるかが、わかるはずである。 + さて、わたしの兄弟たちよ。何はともあれ、誓いをしてはならない。天をさしても、地をさしても、あるいは、そのほかのどんな誓いによっても、いっさい誓ってはならない。むしろ、「しかり」を「しかり」とし、「否」を「否」としなさい。そうしないと、あなたがたは、さばきを受けることになる。 + あなたがたの中に、苦しんでいる者があるか。その人は、祈るがよい。喜んでいる者があるか。その人は、さんびするがよい。 + あなたがたの中に、病んでいる者があるか。その人は、教会の長老たちを招き、主の御名によって、オリブ油を注いで祈ってもらうがよい。 + 信仰による祈は、病んでいる人を救い、そして、主はその人を立ちあがらせて下さる。かつ、その人が罪を犯していたなら、それもゆるされる。 + だから、互に罪を告白し合い、また、いやされるようにお互のために祈りなさい。義人の祈は、大いに力があり、効果のあるものである。 + エリヤは、わたしたちと同じ人間であったが、雨が降らないようにと祈をささげたところ、三年六か月のあいだ、地上に雨が降らなかった。 + それから、ふたたび祈ったところ、天は雨を降らせ、地はその実をみのらせた。 + わたしの兄弟たちよ。あなたがたのうち、真理の道から踏み迷う者があり、だれかが彼を引きもどすなら、 + かように罪人を迷いの道から引きもどす人は、そのたましいを死から救い出し、かつ、多くの罪をおおうものであることを、知るべきである。 + +
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+ + イエス・キリストの使徒ペテロから、ポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤおよびビテニヤに離散し寄留している人たち、 + すなわち、イエス・キリストに従い、かつ、その血のそそぎを受けるために、父なる神の予知されたところによって選ばれ、御霊のきよめにあずかっている人たちへ。恵みと平安とが、あなたがたに豊かに加わるように。 + ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神。神は、その豊かなあわれみにより、イエス・キリストを死人の中からよみがえらせ、それにより、わたしたちを新たに生れさせて生ける望みをいだかせ、 + あなたがたのために天にたくわえてある、朽ちず汚れず、しぼむことのない資産を受け継ぐ者として下さったのである。 + あなたがたは、終りの時に啓示さるべき救にあずかるために、信仰により神の御力に守られているのである。 + そのことを思って、今しばらくのあいだは、さまざまな試錬で悩まねばならないかも知れないが、あなたがたは大いに喜んでいる。 + こうして、あなたがたの信仰はためされて、火で精錬されても朽ちる外はない金よりもはるかに尊いことが明らかにされ、イエス・キリストの現れるとき、さんびと栄光とほまれとに変るであろう。 + あなたがたは、イエス・キリストを見たことはないが、彼を愛している。現在、見てはいないけれども、信じて、言葉につくせない、輝きにみちた喜びにあふれている。 + それは、信仰の結果なるたましいの救を得ているからである。 + この救については、あなたがたに対する恵みのことを預言した預言者たちも、たずね求め、かつ、つぶさに調べた。 + 彼らは、自分たちのうちにいますキリストの霊が、キリストの苦難とそれに続く栄光とを、あらかじめあかしした時、それは、いつの時、どんな場合をさしたのかを、調べたのである。 + そして、それらについて調べたのは、自分たちのためではなくて、あなたがたのための奉仕であることを示された。それらの事は、天からつかわされた聖霊に感じて福音をあなたがたに宣べ伝えた人々によって、今や、あなたがたに告げ知らされたのであるが、これは、御使たちも、うかがい見たいと願っている事である。 + それだから、心の腰に帯を締め、身を慎み、イエス・キリストの現れる時に与えられる恵みを、いささかも疑わずに待ち望んでいなさい。 + 従順な子供として、無知であった時代の欲情に従わず、 + むしろ、あなたがたを召して下さった聖なるかたにならって、あなたがた自身も、あらゆる行いにおいて聖なる者となりなさい。 + 聖書に、「わたしが聖なる者であるから、あなたがたも聖なる者になるべきである」と書いてあるからである。 + あなたがたは、人をそれぞれのしわざに応じて、公平にさばくかたを、父と呼んでいるからには、地上に宿っている間を、おそれの心をもって過ごすべきである。 + あなたがたのよく知っているとおり、あなたがたが先祖伝来の空疎な生活からあがない出されたのは、銀や金のような朽ちる物によったのではなく、 + きずも、しみもない小羊のようなキリストの尊い血によったのである。 + キリストは、天地が造られる前から、あらかじめ知られていたのであるが、この終りの時に至って、あなたがたのために現れたのである。 + あなたがたは、このキリストによって、彼を死人の中からよみがえらせて、栄光をお与えになった神を信じる者となったのであり、したがって、あなたがたの信仰と望みとは、神にかかっているのである。 + あなたがたは、真理に従うことによって、たましいをきよめ、偽りのない兄弟愛をいだくに至ったのであるから、互に心から熱く愛し合いなさい。 + あなたがたが新たに生れたのは、朽ちる種からではなく、朽ちない種から、すなわち、神の変ることのない生ける御言によったのである。 + 「人はみな草のごとく、その栄華はみな草の花に似ている。草は枯れ、花は散る。 + しかし、主の言葉は、とこしえに残る」。これが、あなたがたに宣べ伝えられた御言葉である。 + + + だから、あらゆる悪意、あらゆる偽り、偽善、そねみ、いっさいの悪口を捨てて、 + 今生れたばかりの乳飲み子のように、混じりけのない霊の乳を慕い求めなさい。それによっておい育ち、救に入るようになるためである。 + あなたがたは、主が恵み深いかたであることを、すでに味わい知ったはずである。 + 主は、人には捨てられたが、神にとっては選ばれた尊い生ける石である。 + この主のみもとにきて、あなたがたも、それぞれ生ける石となって、霊の家に築き上げられ、聖なる祭司となって、イエス・キリストにより、神によろこばれる霊のいけにえを、ささげなさい。 + 聖書にこう書いてある、「見よ、わたしはシオンに、選ばれた尊い石、隅のかしら石を置く。それにより頼む者は、決して、失望に終ることがない」。 + この石は、より頼んでいるあなたがたには尊いものであるが、不信仰な人々には「家造りらの捨てた石で、隅のかしら石となったもの」、 + また「つまずきの石、妨げの岩」である。しかし、彼らがつまずくのは、御言に従わないからであって、彼らは、実は、そうなるように定められていたのである。 + しかし、あなたがたは、選ばれた種族、祭司の国、聖なる国民、神につける民である。それによって、暗やみから驚くべきみ光に招き入れて下さったかたのみわざを、あなたがたが語り伝えるためである。 + あなたがたは、以前は神の民でなかったが、いまは神の民であり、以前は、あわれみを受けたことのない者であったが、いまは、あわれみを受けた者となっている。 + 愛する者たちよ。あなたがたに勧める。あなたがたは、この世の旅人であり寄留者であるから、たましいに戦いをいどむ肉の欲を避けなさい。 + 異邦人の中にあって、りっぱな行いをしなさい。そうすれば、彼らは、あなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなたがたのりっぱなわざを見て、かえって、おとずれの日に神をあがめるようになろう。 + あなたがたは、すべて人の立てた制度に、主のゆえに従いなさい。主権者としての王であろうと、 + あるいは、悪を行う者を罰し善を行う者を賞するために、王からつかわされた長官であろうと、これに従いなさい。 + 善を行うことによって、愚かな人々の無知な発言を封じるのは、神の御旨なのである。 + 自由人にふさわしく行動しなさい。ただし、自由をば悪を行う口実として用いず、神の僕にふさわしく行動しなさい。 + すべての人をうやまい、兄弟たちを愛し、神をおそれ、王を尊びなさい。 + 僕たる者よ。心からのおそれをもって、主人に仕えなさい。善良で寛容な主人だけにでなく、気むずかしい主人にも、そうしなさい。 + もしだれかが、不当な苦しみを受けても、神を仰いでその苦痛を耐え忍ぶなら、それはよみせられることである。 + 悪いことをして打ちたたかれ、それを忍んだとしても、なんの手柄になるのか。しかし善を行って苦しみを受け、しかもそれを耐え忍んでいるとすれば、これこそ神によみせられることである。 + あなたがたは、実に、そうするようにと召されたのである。キリストも、あなたがたのために苦しみを受け、御足の跡を踏み従うようにと、模範を残されたのである。 + キリストは罪を犯さず、その口には偽りがなかった。 + ののしられても、ののしりかえさず、苦しめられても、おびやかすことをせず、正しいさばきをするかたに、いっさいをゆだねておられた。 + さらに、わたしたちが罪に死に、義に生きるために、十字架にかかって、わたしたちの罪をご自分の身に負われた。その傷によって、あなたがたは、いやされたのである。 + あなたがたは、羊のようにさ迷っていたが、今は、たましいの牧者であり監督であるかたのもとに、たち帰ったのである。 + + + 同じように、妻たる者よ。夫に仕えなさい。そうすれば、たとい御言に従わない夫であっても、 + あなたがたのうやうやしく清い行いを見て、その妻の無言の行いによって、救に入れられるようになるであろう。 + あなたがたは、髪を編み、金の飾りをつけ、服装をととのえるような外面の飾りではなく、 + かくれた内なる人、柔和で、しとやかな霊という朽ちることのない飾りを、身につけるべきである。これこそ、神のみまえに、きわめて尊いものである。 + むかし、神を仰ぎ望んでいた聖なる女たちも、このように身を飾って、その夫に仕えたのである。 + たとえば、サラはアブラハムに仕えて、彼を主と呼んだ。あなたがたも、何事にもおびえ臆することなく善を行えば、サラの娘たちとなるのである。 + 夫たる者よ。あなたがたも同じように、女は自分よりも弱い器であることを認めて、知識に従って妻と共に住み、いのちの恵みを共どもに受け継ぐ者として、尊びなさい。それは、あなたがたの祈が妨げられないためである。 + 最後に言う。あなたがたは皆、心をひとつにし、同情し合い、兄弟愛をもち、あわれみ深くあり、謙虚でありなさい。 + 悪をもって悪に報いず、悪口をもって悪口に報いず、かえって、祝福をもって報いなさい。あなたがたが召されたのは、祝福を受け継ぐためなのである。 + 「いのちを愛し、さいわいな日々を過ごそうと願う人は、舌を制して悪を言わず、くちびるを閉じて偽りを語らず、 + 悪を避けて善を行い、平和を求めて、これを追え。 + 主の目は義人たちに注がれ、主の耳は彼らの祈にかたむく。しかし主の御顔は、悪を行う者に対して向かう」。 + そこで、もしあなたがたが善に熱心であれば、だれが、あなたがたに危害を加えようか。 + しかし、万一義のために苦しむようなことがあっても、あなたがたはさいわいである。彼らを恐れたり、心を乱したりしてはならない。 + ただ、心の中でキリストを主とあがめなさい。また、あなたがたのうちにある望みについて説明を求める人には、いつでも弁明のできる用意をしていなさい。 + しかし、やさしく、慎み深く、明らかな良心をもって、弁明しなさい。そうすれば、あなたがたがキリストにあって営んでいる良い生活をそしる人々も、そのようにののしったことを恥じいるであろう。 + 善をおこなって苦しむことは――それが神の御旨であれば――悪をおこなって苦しむよりも、まさっている。 + キリストも、あなたがたを神に近づけようとして、自らは義なるかたであるのに、不義なる人々のために、ひとたび罪のゆえに死なれた。ただし、肉においては殺されたが、霊においては生かされたのである。 + こうして、彼は獄に捕われている霊どものところに下って行き、宣べ伝えることをされた。 + これらの霊というのは、むかしノアの箱舟が造られていた間、神が寛容をもって待っておられたのに従わなかった者どものことである。その箱舟に乗り込み、水を経て救われたのは、わずかに八名だけであった。 + この水はバプテスマを象徴するものであって、今やあなたがたをも救うのである。それは、イエス・キリストの復活によるのであって、からだの汚れを除くことではなく、明らかな良心を神に願い求めることである。 + キリストは天に上って神の右に座し、天使たちともろもろの権威、権力を従えておられるのである。 + + + このように、キリストは肉において苦しまれたのであるから、あなたがたも同じ覚悟で心の武装をしなさい。肉において苦しんだ人は、それによって罪からのがれたのである。 + それは、肉における残りの生涯を、もはや人間の欲情によらず、神の御旨によって過ごすためである。 + 過ぎ去った時代には、あなたがたは、異邦人の好みにまかせて、好色、欲情、酔酒、宴楽、暴飲、気ままな偶像礼拝などにふけってきたが、もうそれで十分であろう。 + 今はあなたがたが、そうした度を過ごした乱行に加わらないので、彼らは驚きあやしみ、かつ、ののしっている。 + 彼らは、やがて生ける者と死ねる者とをさばくかたに、申し開きをしなくてはならない。 + 死人にさえ福音が宣べ伝えられたのは、彼らは肉においては人間としてさばきを受けるが、霊においては神に従って生きるようになるためである。 + 万物の終りが近づいている。だから、心を確かにし、身を慎んで、努めて祈りなさい。 + 何よりもまず、互の愛を熱く保ちなさい。愛は多くの罪をおおうものである。 + 不平を言わずに、互にもてなし合いなさい。 + あなたがたは、それぞれ賜物をいただいているのだから、神のさまざまな恵みの良き管理人として、それをお互のために役立てるべきである。 + 語る者は、神の御言を語る者にふさわしく語り、奉仕する者は、神から賜わる力による者にふさわしく奉仕すべきである。それは、すべてのことにおいてイエス・キリストによって、神があがめられるためである。栄光と力とが世々限りなく、彼にあるように、アァメン。 + 愛する者たちよ。あなたがたを試みるために降りかかって来る火のような試錬を、何か思いがけないことが起ったかのように驚きあやしむことなく、 + むしろ、キリストの苦しみにあずかればあずかるほど、喜ぶがよい。それは、キリストの栄光が現れる際に、よろこびにあふれるためである。 + キリストの名のためにそしられるなら、あなたがたはさいわいである。その時には、栄光の霊、神の霊が、あなたがたに宿るからである。 + あなたがたのうち、だれも、人殺し、盗人、悪を行う者、あるいは、他人に干渉する者として苦しみに会うことのないようにしなさい。 + しかし、クリスチャンとして苦しみを受けるのであれば、恥じることはない。かえって、この名によって神をあがめなさい。 + さばきが神の家から始められる時がきた。それが、わたしたちからまず始められるとしたら、神の福音に従わない人々の行く末は、どんなであろうか。 + また義人でさえ、かろうじて救われるのだとすれば、不信なる者や罪人は、どうなるであろうか。 + だから、神の御旨に従って苦しみを受ける人々は、善をおこない、そして、真実であられる創造者に、自分のたましいをゆだねるがよい。 + + + そこで、あなたがたのうちの長老たちに勧める。わたしも、長老のひとりで、キリストの苦難についての証人であり、また、やがて現れようとする栄光にあずかる者である。 + あなたがたにゆだねられている神の羊の群れを牧しなさい。しいられてするのではなく、神に従って自ら進んでなし、恥ずべき利得のためではなく、本心から、それをしなさい。 + また、ゆだねられた者たちの上に権力をふるうことをしないで、むしろ、群れの模範となるべきである。 + そうすれば、大牧者が現れる時には、しぼむことのない栄光の冠を受けるであろう。 + 同じように、若い人たちよ。長老たちに従いなさい。また、みな互に謙遜を身につけなさい。神は高ぶる者をしりぞけ、へりくだる者に恵みを賜うからである。 + だから、あなたがたは、神の力強い御手の下に、自らを低くしなさい。時が来れば神はあなたがたを高くして下さるであろう。 + 神はあなたがたをかえりみていて下さるのであるから、自分の思いわずらいを、いっさい神にゆだねるがよい。 + 身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたけるししのように、食いつくすべきものを求めて歩き回っている。 + この悪魔にむかい、信仰にかたく立って、抵抗しなさい。あなたがたのよく知っているとおり、全世界にいるあなたがたの兄弟たちも、同じような苦しみの数々に会っているのである。 + あなたがたをキリストにある永遠の栄光に招き入れて下さったあふるる恵みの神は、しばらくの苦しみの後、あなたがたをいやし、強め、力づけ、不動のものとして下さるであろう。 + どうか、力が世々限りなく、神にあるように、アァメン。 + わたしは、忠実な兄弟として信頼しているシルワノの手によって、この短い手紙をあなたがたにおくり、勧めをし、また、これが神のまことの恵みであることをあかしした。この恵みのうちに、かたく立っていなさい。 + あなたがたと共に選ばれてバビロンにある教会、ならびに、わたしの子マルコから、あなたがたによろしく。 + 愛の接吻をもって互にあいさつをかわしなさい。キリストにあるあなたがた一同に、平安があるように。 + +
+
+ + イエス・キリストの僕また使徒であるシメオン・ペテロから、わたしたちの神と救主イエス・キリストとの義によって、わたしたちと同じ尊い信仰を授かった人々へ。 + 神とわたしたちの主イエスとを知ることによって、恵みと平安とが、あなたがたに豊かに加わるように。 + いのちと信心とにかかわるすべてのことは、主イエスの神聖な力によって、わたしたちに与えられている。それは、ご自身の栄光と徳とによって、わたしたちを召されたかたを知る知識によるのである。 + また、それらのものによって、尊く、大いなる約束が、わたしたちに与えられている。それは、あなたがたが、世にある欲のために滅びることを免れ、神の性質にあずかる者となるためである。 + それだから、あなたがたは、力の限りをつくして、あなたがたの信仰に徳を加え、徳に知識を、 + 知識に節制を、節制に忍耐を、忍耐に信心を、 + 信心に兄弟愛を、兄弟愛に愛を加えなさい。 + これらのものがあなたがたに備わって、いよいよ豊かになるならば、わたしたちの主イエス・キリストを知る知識について、あなたがたは、怠る者、実を結ばない者となることはないであろう。 + これらのものを備えていない者は、盲人であり、近視の者であり、自分の以前の罪がきよめられたことを忘れている者である。 + 兄弟たちよ。それだから、ますます励んで、あなたがたの受けた召しと選びとを、確かなものにしなさい。そうすれば、決してあやまちに陥ることはない。 + こうして、わたしたちの主また救主イエス・キリストの永遠の国に入る恵みが、あなたがたに豊かに与えられるからである。 + それだから、あなたがたは既にこれらのことを知っており、また、いま持っている真理に堅く立ってはいるが、わたしは、これらのことをいつも、あなたがたに思い起させたいのである。 + わたしがこの幕屋にいる間、あなたがたに思い起させて、奮い立たせることが適当と思う。 + それは、わたしたちの主イエス・キリストもわたしに示して下さったように、わたしのこの幕屋を脱ぎ去る時が間近であることを知っているからである。 + わたしが世を去った後にも、これらのことを、あなたがたにいつも思い出させるように努めよう。 + わたしたちの主イエス・キリストの力と来臨とを、あなたがたに知らせた時、わたしたちは、巧みな作り話を用いることはしなかった。わたしたちが、そのご威光の目撃者なのだからである。 + イエスは父なる神からほまれと栄光とをお受けになったが、その時、おごそかな栄光の中から次のようなみ声がかかったのである、「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 + わたしたちもイエスと共に聖なる山にいて、天から出たこの声を聞いたのである。 + こうして、預言の言葉は、わたしたちにいっそう確実なものになった。あなたがたも、夜が明け、明星がのぼって、あなたがたの心の中を照すまで、この預言の言葉を暗やみに輝くともしびとして、それに目をとめているがよい。 + 聖書の預言はすべて、自分勝手に解釈すべきでないことを、まず第一に知るべきである。 + なぜなら、預言は決して人間の意志から出たものではなく、人々が聖霊に感じ、神によって語ったものだからである。 + + + しかし、民の間に、にせ預言者が起ったことがあるが、それと同じく、あなたがたの間にも、にせ教師が現れるであろう。彼らは、滅びに至らせる異端をひそかに持ち込み、自分たちをあがなって下さった主を否定して、すみやかな滅亡を自分の身に招いている。 + また、大ぜいの人が彼らの放縦を見習い、そのために、真理の道がそしりを受けるに至るのである。 + 彼らは、貪欲のために、甘言をもってあなたがたをあざむき、利をむさぼるであろう。彼らに対するさばきは昔から猶予なく行われ、彼らの滅亡も滞ることはない。 + 神は、罪を犯した御使たちを許しておかないで、彼らを下界におとしいれ、さばきの時まで暗やみの穴に閉じ込めておかれた。 + また、古い世界をそのままにしておかないで、その不信仰な世界に洪水をきたらせ、ただ、義の宣伝者ノアたち八人の者だけを保護された。 + また、ソドムとゴモラの町々を灰に帰せしめて破滅に処し、不信仰に走ろうとする人々の見せしめとし、 + ただ、非道の者どもの放縦な行いによってなやまされていた義人ロトだけを救い出された。 + (この義人は、彼らの間に住み、彼らの不法の行いを日々見聞きして、その正しい心を痛めていたのである。) + こういうわけで、主は、信心深い者を試錬の中から救い出し、また、不義な者ども、 + 特に、汚れた情欲におぼれ肉にしたがって歩み、また、権威ある者を軽んじる人々を罰して、さばきの日まで閉じ込めておくべきことを、よくご存じなのである。こういう人々は、大胆不敵なわがまま者であって、栄光ある者たちをそしってはばかるところがない。 + しかし、御使たちは、勢いにおいても力においても、彼らにまさっているにかかわらず、彼らを主のみまえに訴えそしることはしない。 + これらの者は、捕えられ、ほふられるために生れてきた、分別のない動物のようなもので、自分が知りもしないことをそしり、その不義の報いとして罰を受け、必ず滅ぼされてしまうのである。 + 彼らは、真昼でさえ酒食を楽しみ、あなたがたと宴会に同席して、だましごとにふけっている。彼らは、しみであり、きずである。 + その目は淫行を追い、罪を犯して飽くことを知らない。彼らは心の定まらない者を誘惑し、その心は貪欲に慣れ、のろいの子となっている。 + 彼らは正しい道からはずれて迷いに陥り、ベオルの子バラムの道に従った。バラムは不義の実を愛し、 + そのために、自分のあやまちに対するとがめを受けた。ものを言わないろばが、人間の声でものを言い、この預言者の狂気じみたふるまいをはばんだのである。 + この人々は、いわば、水のない井戸、突風に吹きはらわれる霧であって、彼らには暗やみが用意されている。 + 彼らはむなしい誇を語り、迷いの中に生きている人々の間から、かろうじてのがれてきた者たちを、肉欲と色情とによって誘惑し、 + この人々に自由を与えると約束しながら、彼ら自身は滅亡の奴隷になっている。おおよそ、人は征服者の奴隷となるものである。 + 彼らが、主また救主なるイエス・キリストを知ることにより、この世の汚れからのがれた後、またそれに巻き込まれて征服されるならば、彼らの後の状態は初めよりも、もっと悪くなる。 + 義の道を心得ていながら、自分に授けられた聖なる戒めにそむくよりは、むしろ義の道を知らなかった方がよい。 + ことわざに、「犬は自分の吐いた物に帰り、豚は洗われても、また、どろの中にころがって行く」とあるが、彼らの身に起ったことは、そのとおりである。 + + + 愛する者たちよ。わたしは今この第二の手紙をあなたがたに書きおくり、これらの手紙によって記憶を呼び起し、あなたがたの純真な心を奮い立たせようとした。 + それは、聖なる預言者たちがあらかじめ語った言葉と、あなたがたの使徒たちが伝えた主なる救主の戒めとを、思い出させるためである。 + まず次のことを知るべきである。終りの時にあざける者たちが、あざけりながら出てきて、自分の欲情のままに生活し、 + 「主の来臨の約束はどうなったのか。先祖たちが眠りについてから、すべてのものは天地創造の初めからそのままであって、変ってはいない」と言うであろう。 + すなわち、彼らはこのことを認めようとはしない。古い昔に天が存在し、地は神の言によって、水がもとになり、また、水によって成ったのであるが、 + その時の世界は、御言により水でおおわれて滅んでしまった。 + しかし、今の天と地とは、同じ御言によって保存され、不信仰な人々がさばかれ、滅ぼさるべき日に火で焼かれる時まで、そのまま保たれているのである。 + 愛する者たちよ。この一事を忘れてはならない。主にあっては、一日は千年のようであり、千年は一日のようである。 + ある人々がおそいと思っているように、主は約束の実行をおそくしておられるのではない。ただ、ひとりも滅びることがなく、すべての者が悔改めに至ることを望み、あなたがたに対してながく忍耐しておられるのである。 + しかし、主の日は盗人のように襲って来る。その日には、天は大音響をたてて消え去り、天体は焼けてくずれ、地とその上に造り出されたものも、みな焼きつくされるであろう。 + このように、これらはみなくずれ落ちていくものであるから、神の日の到来を熱心に待ち望んでいるあなたがたは、 + 極力、きよく信心深い行いをしていなければならない。その日には、天は燃えくずれ、天体は焼けうせてしまう。 + しかし、わたしたちは、神の約束に従って、義の住む新しい天と新しい地とを待ち望んでいる。 + 愛する者たちよ。それだから、この日を待っているあなたがたは、しみもなくきずもなく、安らかな心で、神のみまえに出られるように励みなさい。 + また、わたしたちの主の寛容は救のためであると思いなさい。このことは、わたしたちの愛する兄弟パウロが、彼に与えられた知恵によって、あなたがたに書きおくったとおりである。 + 彼は、どの手紙にもこれらのことを述べている。その手紙の中には、ところどころ、わかりにくい箇所もあって、無学で心の定まらない者たちは、ほかの聖書についてもしているように、無理な解釈をほどこして、自分の滅亡を招いている。 + 愛する者たちよ。それだから、あなたがたはかねてから心がけているように、非道の者の惑わしに誘い込まれて、あなたがた自身の確信を失うことのないように心がけなさい。 + そして、わたしたちの主また救主イエス・キリストの恵みと知識とにおいて、ますます豊かになりなさい。栄光が、今も、また永遠の日に至るまでも、主にあるように、アァメン。 + +
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+ + 初めからあったもの、わたしたちが聞いたもの、目で見たもの、よく見て手でさわったもの、すなわち、いのちの言について―― + このいのちが現れたので、この永遠のいのちをわたしたちは見て、そのあかしをし、かつ、あなたがたに告げ知らせるのである。この永遠のいのちは、父と共にいましたが、今やわたしたちに現れたものである―― + すなわち、わたしたちが見たもの、聞いたものを、あなたがたにも告げ知らせる。それは、あなたがたも、わたしたちの交わりにあずかるようになるためである。わたしたちの交わりとは、父ならびに御子イエス・キリストとの交わりのことである。 + これを書きおくるのは、わたしたちの喜びが満ちあふれるためである。 + わたしたちがイエスから聞いて、あなたがたに伝えるおとずれは、こうである。神は光であって、神には少しの暗いところもない。 + 神と交わりをしていると言いながら、もし、やみの中を歩いているなら、わたしたちは偽っているのであって、真理を行っているのではない。 + しかし、神が光の中にいますように、わたしたちも光の中を歩くならば、わたしたちは互に交わりをもち、そして、御子イエスの血が、すべての罪からわたしたちをきよめるのである。 + もし、罪がないと言うなら、それは自分を欺くことであって、真理はわたしたちのうちにない。 + もし、わたしたちが自分の罪を告白するならば、神は真実で正しいかたであるから、その罪をゆるし、すべての不義からわたしたちをきよめて下さる。 + もし、罪を犯したことがないと言うなら、それは神を偽り者とするのであって、神の言はわたしたちのうちにない。 + + + わたしの子たちよ。これらのことを書きおくるのは、あなたがたが罪を犯さないようになるためである。もし、罪を犯す者があれば、父のみもとには、わたしたちのために助け主、すなわち、義なるイエス・キリストがおられる。 + 彼は、わたしたちの罪のための、あがないの供え物である。ただ、わたしたちの罪のためばかりではなく、全世界の罪のためである。 + もし、わたしたちが彼の戒めを守るならば、それによって彼を知っていることを悟るのである。 + 「彼を知っている」と言いながら、その戒めを守らない者は、偽り者であって、真理はその人のうちにない。 + しかし、彼の御言を守る者があれば、その人のうちに、神の愛が真に全うされるのである。それによって、わたしたちが彼にあることを知るのである。 + 「彼におる」と言う者は、彼が歩かれたように、その人自身も歩くべきである。 + 愛する者たちよ。わたしがあなたがたに書きおくるのは、新しい戒めではなく、あなたがたが初めから受けていた古い戒めである。その古い戒めとは、あなたがたがすでに聞いた御言である。 + しかも、新しい戒めを、あなたがたに書きおくるのである。そして、それは、彼にとってもあなたがたにとっても、真理なのである。なぜなら、やみは過ぎ去り、まことの光がすでに輝いているからである。 + 「光の中にいる」と言いながら、その兄弟を憎む者は、今なお、やみの中にいるのである。 + 兄弟を愛する者は、光におるのであって、つまずくことはない。 + 兄弟を憎む者は、やみの中におり、やみの中を歩くのであって、自分ではどこへ行くのかわからない。やみが彼の目を見えなくしたからである。 + 子たちよ。あなたがたにこれを書きおくるのは、御名のゆえに、あなたがたの多くの罪がゆるされたからである。 + 父たちよ。あなたがたに書きおくるのは、あなたがたが、初めからいますかたを知ったからである。若者たちよ。あなたがたに書きおくるのは、あなたがたが、悪しき者にうち勝ったからである。 + 子供たちよ。あなたがたに書きおくったのは、あなたがたが父を知ったからである。父たちよ。あなたがたに書きおくったのは、あなたがたが、初めからいますかたを知ったからである。若者たちよ。あなたがたに書きおくったのは、あなたがたが強い者であり、神の言があなたがたに宿り、そして、あなたがたが悪しき者にうち勝ったからである。 + 世と世にあるものとを、愛してはいけない。もし、世を愛する者があれば、父の愛は彼のうちにない。 + すべて世にあるもの、すなわち、肉の欲、目の欲、持ち物の誇は、父から出たものではなく、世から出たものである。 + 世と世の欲とは過ぎ去る。しかし、神の御旨を行う者は、永遠にながらえる。 + 子供たちよ。今は終りの時である。あなたがたがかねて反キリストが来ると聞いていたように、今や多くの反キリストが現れてきた。それによって今が終りの時であることを知る。 + 彼らはわたしたちから出て行った。しかし、彼らはわたしたちに属する者ではなかったのである。もし属する者であったなら、わたしたちと一緒にとどまっていたであろう。しかし、出て行ったのは、元来、彼らがみなわたしたちに属さない者であることが、明らかにされるためである。 + しかし、あなたがたは聖なる者に油を注がれているので、あなたがたすべてが、そのことを知っている。 + わたしが書きおくったのは、あなたがたが真理を知らないからではなく、それを知っているからであり、また、すべての偽りは真理から出るものでないことを、知っているからである。 + 偽り者とは、だれであるか。イエスのキリストであることを否定する者ではないか。父と御子とを否定する者は、反キリストである。 + 御子を否定する者は父を持たず、御子を告白する者は、また父をも持つのである。 + 初めから聞いたことが、あなたがたのうちに、とどまるようにしなさい。初めから聞いたことが、あなたがたのうちにとどまっておれば、あなたがたも御子と父とのうちに、とどまることになる。 + これが、彼自らわたしたちに約束された約束であって、すなわち、永遠のいのちである。 + わたしは、あなたがたを惑わす者たちについて、これらのことを書きおくった。 + あなたがたのうちには、キリストからいただいた油がとどまっているので、だれにも教えてもらう必要はない。この油が、すべてのことをあなたがたに教える。それはまことであって、偽りではないから、その油が教えたように、あなたがたは彼のうちにとどまっていなさい。 + そこで、子たちよ。キリストのうちにとどまっていなさい。それは、彼が現れる時に、確信を持ち、その来臨に際して、みまえに恥じいることがないためである。 + 彼の義なるかたであることがわかれば、義を行う者はみな彼から生れたものであることを、知るであろう。 + + + わたしたちが神の子と呼ばれるためには、どんなに大きな愛を父から賜わったことか、よく考えてみなさい。わたしたちは、すでに神の子なのである。世がわたしたちを知らないのは、父を知らなかったからである。 + 愛する者たちよ。わたしたちは今や神の子である。しかし、わたしたちがどうなるのか、まだ明らかではない。彼が現れる時、わたしたちは、自分たちが彼に似るものとなることを知っている。そのまことの御姿を見るからである。 + 彼についてこの望みをいだいている者は皆、彼がきよくあられるように、自らをきよくする。 + すべて罪を犯す者は、不法を行う者である。罪は不法である。 + あなたがたが知っているとおり、彼は罪をとり除くために現れたのであって、彼にはなんらの罪がない。 + すべて彼におる者は、罪を犯さない。すべて罪を犯す者は彼を見たこともなく、知ったこともない者である。 + 子たちよ。だれにも惑わされてはならない。彼が義人であると同様に、義を行う者は義人である。 + 罪を犯す者は、悪魔から出た者である。悪魔は初めから罪を犯しているからである。神の子が現れたのは、悪魔のわざを滅ぼしてしまうためである。 + すべて神から生れた者は、罪を犯さない。神の種が、その人のうちにとどまっているからである。また、その人は、神から生れた者であるから、罪を犯すことができない。 + 神の子と悪魔の子との区別は、これによって明らかである。すなわち、すべて義を行わない者は、神から出た者ではない。兄弟を愛さない者も、同様である。 + わたしたちは互に愛し合うべきである。これが、あなたがたの初めから聞いていたおとずれである。 + カインのようになってはいけない。彼は悪しき者から出て、その兄弟を殺したのである。なぜ兄弟を殺したのか。彼のわざが悪く、その兄弟のわざは正しかったからである。 + 兄弟たちよ。世があなたがたを憎んでも、驚くには及ばない。 + わたしたちは、兄弟を愛しているので、死からいのちへ移ってきたことを、知っている。愛さない者は、死のうちにとどまっている。 + あなたがたが知っているとおり、すべて兄弟を憎む者は人殺しであり、人殺しはすべて、そのうちに永遠のいのちをとどめてはいない。 + 主は、わたしたちのためにいのちを捨てて下さった。それによって、わたしたちは愛ということを知った。それゆえに、わたしたちもまた、兄弟のためにいのちを捨てるべきである。 + 世の富を持っていながら、兄弟が困っているのを見て、あわれみの心を閉じる者には、どうして神の愛が、彼のうちにあろうか。 + 子たちよ。わたしたちは言葉や口先だけで愛するのではなく、行いと真実とをもって愛し合おうではないか。 + それによって、わたしたちが真理から出たものであることがわかる。そして、神のみまえに心を安んじていよう。 + なぜなら、たといわたしたちの心に責められるようなことがあっても、神はわたしたちの心よりも大いなるかたであって、すべてをご存じだからである。 + 愛する者たちよ。もし心に責められるようなことがなければ、わたしたちは神に対して確信を持つことができる。 + そして、願い求めるものは、なんでもいただけるのである。それは、わたしたちが神の戒めを守り、みこころにかなうことを、行っているからである。 + その戒めというのは、神の子イエス・キリストの御名を信じ、わたしたちに命じられたように、互に愛し合うべきことである。 + 神の戒めを守る人は、神におり、神もまたその人にいます。そして、神がわたしたちのうちにいますことは、神がわたしたちに賜わった御霊によって知るのである。 + + + 愛する者たちよ。すべての霊を信じることはしないで、それらの霊が神から出たものであるかどうか、ためしなさい。多くのにせ預言者が世に出てきているからである。 + あなたがたは、こうして神の霊を知るのである。すなわち、イエス・キリストが肉体をとってこられたことを告白する霊は、すべて神から出ているものであり、 + イエスを告白しない霊は、すべて神から出ているものではない。これは、反キリストの霊である。あなたがたは、それが来るとかねて聞いていたが、今やすでに世にきている。 + 子たちよ。あなたがたは神から出た者であって、彼らにうち勝ったのである。あなたがたのうちにいますのは、世にある者よりも大いなる者なのである。 + 彼らは世から出たものである。だから、彼らは世のことを語り、世も彼らの言うことを聞くのである。 + しかし、わたしたちは神から出たものである。神を知っている者は、わたしたちの言うことを聞き、神から出ない者は、わたしたちの言うことを聞かない。これによって、わたしたちは、真理の霊と迷いの霊との区別を知るのである。 + 愛する者たちよ。わたしたちは互に愛し合おうではないか。愛は、神から出たものなのである。すべて愛する者は、神から生れた者であって、神を知っている。 + 愛さない者は、神を知らない。神は愛である。 + 神はそのひとり子を世につかわし、彼によってわたしたちを生きるようにして下さった。それによって、わたしたちに対する神の愛が明らかにされたのである。 + わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して下さって、わたしたちの罪のためにあがないの供え物として、御子をおつかわしになった。ここに愛がある。 + 愛する者たちよ。神がこのようにわたしたちを愛して下さったのであるから、わたしたちも互に愛し合うべきである。 + 神を見た者は、まだひとりもいない。もしわたしたちが互に愛し合うなら、神はわたしたちのうちにいまし、神の愛がわたしたちのうちに全うされるのである。 + 神が御霊をわたしたちに賜わったことによって、わたしたちが神におり、神がわたしたちにいますことを知る。 + わたしたちは、父が御子を世の救主としておつかわしになったのを見て、そのあかしをするのである。 + もし人が、イエスを神の子と告白すれば、神はその人のうちにいまし、その人は神のうちにいるのである。 + わたしたちは、神がわたしたちに対して持っておられる愛を知り、かつ信じている。神は愛である。愛のうちにいる者は、神におり、神も彼にいます。 + わたしたちもこの世にあって彼のように生きているので、さばきの日に確信を持って立つことができる。そのことによって、愛がわたしたちに全うされているのである。 + 愛には恐れがない。完全な愛は恐れをとり除く。恐れには懲らしめが伴い、かつ恐れる者には、愛が全うされていないからである。 + わたしたちが愛し合うのは、神がまずわたしたちを愛して下さったからである。 + 「神を愛している」と言いながら兄弟を憎む者は、偽り者である。現に見ている兄弟を愛さない者は、目に見えない神を愛することはできない。 + 神を愛する者は、兄弟をも愛すべきである。この戒めを、わたしたちは神から授かっている。 + + + すべてイエスのキリストであることを信じる者は、神から生れた者である。すべて生んで下さったかたを愛する者は、そのかたから生れた者をも愛するのである。 + 神を愛してその戒めを行えば、それによってわたしたちは、神の子たちを愛していることを知るのである。 + 神を愛するとは、すなわち、その戒めを守ることである。そして、その戒めはむずかしいものではない。 + なぜなら、すべて神から生れた者は、世に勝つからである。そして、わたしたちの信仰こそ、世に勝たしめた勝利の力である。 + 世に勝つ者はだれか。イエスを神の子と信じる者ではないか。 + このイエス・キリストは、水と血とをとおってこられたかたである。水によるだけではなく、水と血とによってこられたのである。そのあかしをするものは、御霊である。御霊は真理だからである。 + あかしをするものが、三つある。 + 御霊と水と血とである。そして、この三つのものは一致する。 + わたしたちは人間のあかしを受けいれるが、しかし、神のあかしはさらにまさっている。神のあかしというのは、すなわち、御子について立てられたあかしである。 + 神の子を信じる者は、自分のうちにこのあかしを持っている。神を信じない者は、神を偽り者とする。神が御子についてあかしせられたそのあかしを、信じていないからである。 + そのあかしとは、神が永遠のいのちをわたしたちに賜わり、かつ、そのいのちが御子のうちにあるということである。 + 御子を持つ者はいのちを持ち、神の御子を持たない者はいのちを持っていない。 + これらのことをあなたがたに書きおくったのは、神の子の御名を信じるあなたがたに、永遠のいのちを持っていることを、悟らせるためである。 + わたしたちが神に対していだいている確信は、こうである。すなわち、わたしたちが何事でも神の御旨に従って願い求めるなら、神はそれを聞きいれて下さるということである。 + そして、わたしたちが願い求めることは、なんでも聞きいれて下さるとわかれば、神に願い求めたことはすでにかなえられたことを、知るのである。 + もしだれかが死に至ることのない罪を犯している兄弟を見たら、神に願い求めなさい。そうすれば神は、死に至ることのない罪を犯している人々には、いのちを賜わるであろう。死に至る罪がある。これについては、願い求めよ、とは言わない。 + 不義はすべて、罪である。しかし、死に至ることのない罪もある。 + すべて神から生れた者は罪を犯さないことを、わたしたちは知っている。神から生れたかたが彼を守っていて下さるので、悪しき者が手を触れるようなことはない。 + また、わたしたちは神から出た者であり、全世界は悪しき者の配下にあることを、知っている。 + さらに、神の子がきて、真実なかたを知る知力をわたしたちに授けて下さったことも、知っている。そして、わたしたちは、真実なかたにおり、御子イエス・キリストにおるのである。このかたは真実な神であり、永遠のいのちである。 + 子たちよ。気をつけて、偶像を避けなさい。 + +
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+ + 長老のわたしから、真実に愛している選ばれた婦人とその子たちへ。あなたがたを愛しているのは、わたしだけではなく、真理を知っている者はみなそうである。 + それは、わたしたちのうちにあり、また永遠に共にあるべき真理によるのである。 + 父なる神および父の御子イエス・キリストから、恵みとあわれみと平安とが、真理と愛のうちにあって、わたしたちと共にあるように。 + あなたの子供たちのうちで、わたしたちが父から受けた戒めどおりに、真理のうちを歩いている者があるのを見て、わたしは非常に喜んでいる。 + 婦人よ。ここにお願いしたいことがある。それは、新しい戒めを書くわけではなく、初めから持っていた戒めなのであるが、わたしたちは、みんな互に愛し合おうではないか。 + 父の戒めどおりに歩くことが、すなわち、愛であり、あなたがたが初めから聞いてきたとおりに愛のうちを歩くことが、すなわち、戒めなのである。 + なぜなら、イエス・キリストが肉体をとってこられたことを告白しないで人を惑わす者が、多く世にはいってきたからである。そういう者は、惑わす者であり、反キリストである。 + よく注意して、わたしたちの働いて得た成果を失うことがなく、豊かな報いを受けられるようにしなさい。 + すべてキリストの教をとおり過ごして、それにとどまらない者は、神を持っていないのである。その教にとどまっている者は、父を持ち、また御子をも持つ。 + この教を持たずにあなたがたのところに来る者があれば、その人を家に入れることも、あいさつすることもしてはいけない。 + そのような人にあいさつする者は、その悪い行いにあずかることになるからである。 + あなたがたに書きおくることはたくさんあるが、紙と墨とで書くことはすまい。むしろ、あなたがたのところに行き、直接はなし合って、共に喜びに満ちあふれたいものである。 + 選ばれたあなたの姉妹の子供たちが、あなたによろしく。 + +
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+ + 長老のわたしから、真実に愛している親愛なるガイオへ。 + 愛する者よ。あなたのたましいがいつも恵まれていると同じく、あなたがすべてのことに恵まれ、またすこやかであるようにと、わたしは祈っている。 + 兄弟たちがきて、あなたが真理に生きていることを、あかししてくれたので、ひじょうに喜んでいる。事実、あなたは真理のうちを歩いているのである。 + わたしの子供たちが真理のうちを歩いていることを聞く以上に、大きい喜びはない。 + 愛する者よ。あなたが、兄弟たち、しかも旅先にある者につくしていることは、みな真実なわざである。 + 彼らは、諸教会で、あなたの愛についてあかしをした。それらの人々を、神のみこころにかなうように送り出してくれたら、それは願わしいことである。 + 彼らは、御名のために旅立った者であって、異邦人からは何も受けていない。 + それだから、わたしたちは、真理のための同労者となるように、こういう人々を助けねばならない。 + わたしは少しばかり教会に書きおくっておいたが、みんなのかしらになりたがっているデオテレペスが、わたしたちを受けいれてくれない。 + だから、わたしがそちらへ行った時、彼のしわざを指摘しようと思う。彼は口ぎたなくわたしたちをののしり、そればかりか、兄弟たちを受けいれようともせず、受けいれようとする人たちを妨げて、教会から追い出している。 + 愛する者よ。悪にならわないで、善にならいなさい。善を行う者は神から出た者であり、悪を行う者は神を見たことのない者である。 + デメテリオについては、あらゆる人も、また真理そのものも、証明している。わたしたちも証明している。そして、あなたが知っているとおり、わたしたちの証明は真実である。 + あなたに書きおくりたいことはたくさんあるが、墨と筆とで書くことはすまい。 + すぐにでもあなたに会って、直接はなし合いたいものである。 平安が、あなたにあるように。友人たちから、あなたによろしく。友人たちひとりびとりに、よろしく。 + +
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+ + イエス・キリストの僕またヤコブの兄弟であるユダから、父なる神に愛され、イエス・キリストに守られている召された人々へ。 + あわれみと平安と愛とが、あなたがたに豊かに加わるように。 + 愛する者たちよ。わたしたちが共にあずかっている救について、あなたがたに書きおくりたいと心から願っていたので、聖徒たちによって、ひとたび伝えられた信仰のために戦うことを勧めるように、手紙をおくる必要を感じるに至った。 + そのわけは、不信仰な人々がしのび込んできて、わたしたちの神の恵みを放縦な生活に変え、唯一の君であり、わたしたちの主であるイエス・キリストを否定しているからである。彼らは、このようなさばきを受けることに、昔から予告されているのである。 + あなたがたはみな、じゅうぶんに知っていることではあるが、主が民をエジプトの地から救い出して後、不信仰な者を滅ぼされたことを、思い起してもらいたい。 + 主は、自分たちの地位を守ろうとはせず、そのおるべき所を捨て去った御使たちを、大いなる日のさばきのために、永久にしばりつけたまま、暗やみの中に閉じ込めておかれた。 + ソドム、ゴモラも、まわりの町々も、同様であって、同じように淫行にふけり、不自然な肉欲に走ったので、永遠の火の刑罰を受け、人々の見せしめにされている。 + しかし、これと同じように、これらの人々は、夢に迷わされて肉を汚し、権威ある者たちを軽んじ、栄光ある者たちをそしっている。 + 御使のかしらミカエルは、モーセの死体について悪魔と論じ争った時、相手をののしりさばくことはあえてせず、ただ、「主がおまえを戒めて下さるように」と言っただけであった。 + しかし、この人々は自分が知りもしないことをそしり、また、分別のない動物のように、ただ本能的な知識にあやまられて、自らの滅亡を招いている。 + 彼らはわざわいである。彼らはカインの道を行き、利のためにバラムの惑わしに迷い入り、コラのような反逆をして滅んでしまうのである。 + 彼らは、あなたがたの愛餐に加わるが、それを汚し、無遠慮に宴会に同席して、自分の腹を肥やしている。彼らは、いわば、風に吹きまわされる水なき雲、実らない枯れ果てて、抜き捨てられた秋の木、 + 自分の恥をあわにして出す海の荒波、さまよう星である。彼らには、まっくらなやみが永久に用意されている。 + アダムから七代目にあたるエノクも彼らについて預言して言った、「見よ、主は無数の聖徒たちを率いてこられた。 + それは、すべての者にさばきを行うためであり、また、不信心な者が、信仰を無視して犯したすべての不信心なしわざと、さらに、不信心な罪人が主にそむいて語ったすべての暴言とを責めるためである」。 + 彼らは不平をならべ、不満を鳴らす者であり、自分の欲のままに生活し、その口は大言を吐き、利のために人にへつらう者である。 + 愛する者たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの使徒たちが予告した言葉を思い出しなさい。 + 彼らはあなたがたにこう言った、「終りの時に、あざける者たちがあらわれて、自分の不信心な欲のままに生活するであろう」。 + 彼らは分派をつくる者、肉に属する者、御霊を持たない者たちである。 + しかし、愛する者たちよ。あなたがたは、最も神聖な信仰の上に自らを築き上げ、聖霊によって祈り、 + 神の愛の中に自らを保ち、永遠のいのちを目あてとして、わたしたちの主イエス・キリストのあわれみを待ち望みなさい。 + 疑いをいだく人々があれば、彼らをあわれみ、 + 火の中から引き出して救ってやりなさい。また、そのほかの人たちを、おそれの心をもってあわれみなさい。しかし、肉に汚れた者に対しては、その下着さえも忌みきらいなさい。 + あなたがたを守ってつまずかない者とし、また、その栄光のまえに傷なき者として、喜びのうちに立たせて下さるかた、 + すなわち、わたしたちの救主なる唯一の神に、栄光、大能、力、権威が、わたしたちの主イエス・キリストによって、世々の初めにも、今も、また、世々限りなく、あるように、アァメン。 + +
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+ + イエス・キリストの黙示。この黙示は、神が、すぐにも起るべきことをその僕たちに示すためキリストに与え、そして、キリストが、御使をつかわして、僕ヨハネに伝えられたものである。 + ヨハネは、神の言とイエス・キリストのあかしと、すなわち、自分が見たすべてのことをあかしした。 + この預言の言葉を朗読する者と、これを聞いて、その中に書かれていることを守る者たちとは、さいわいである。時が近づいているからである。 + ヨハネからアジヤにある七つの教会へ。今いまし、昔いまし、やがてきたるべきかたから、また、その御座の前にある七つの霊から、 + また、忠実な証人、死人の中から最初に生れた者、地上の諸王の支配者であるイエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。わたしたちを愛し、その血によってわたしたちを罪から解放し、 + わたしたちを、その父なる神のために、御国の民とし、祭司として下さったかたに、世々限りなく栄光と権力とがあるように、アァメン。 + 見よ、彼は、雲に乗ってこられる。すべての人の目、ことに、彼を刺しとおした者たちは、彼を仰ぎ見るであろう。また地上の諸族はみな、彼のゆえに胸を打って嘆くであろう。しかり、アァメン。 + 今いまし、昔いまし、やがてきたるべき者、全能者にして主なる神が仰せになる、「わたしはアルパであり、オメガである」。 + あなたがたの兄弟であり、共にイエスの苦難と御国と忍耐とにあずかっている、わたしヨハネは、神の言とイエスのあかしとのゆえに、パトモスという島にいた。 + ところが、わたしは、主の日に御霊に感じた。そして、わたしのうしろの方で、ラッパのような大きな声がするのを聞いた。 + その声はこう言った、「あなたが見ていることを書きものにして、それをエペソ、スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、ヒラデルヒヤ、ラオデキヤにある七つの教会に送りなさい」。 + そこでわたしは、わたしに呼びかけたその声を見ようとしてふりむいた。ふりむくと、七つの金の燭台が目についた。 + それらの燭台の間に、足までたれた上着を着、胸に金の帯をしめている人の子のような者がいた。 + そのかしらと髪の毛とは、雪のように白い羊毛に似て真白であり、目は燃える炎のようであった。 + その足は、炉で精錬されて光り輝くしんちゅうのようであり、声は大水のとどろきのようであった。 + その右手に七つの星を持ち、口からは、鋭いもろ刃のつるぎがつき出ており、顔は、強く照り輝く太陽のようであった。 + わたしは彼を見たとき、その足もとに倒れて死人のようになった。すると、彼は右手をわたしの上において言った、「恐れるな。わたしは初めであり、終りであり、 + また、生きている者である。わたしは死んだことはあるが、見よ、世々限りなく生きている者である。そして、死と黄泉とのかぎを持っている。 + そこで、あなたの見たこと、現在のこと、今後起ろうとすることを、書きとめなさい。 + あなたがわたしの右手に見た七つの星と、七つの金の燭台との奥義は、こうである。すなわち、七つの星は七つの教会の御使であり、七つの燭台は七つの教会である。 + + + エペソにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『右の手に七つの星を持つ者、七つの金の燭台の間を歩く者が、次のように言われる。 + わたしは、あなたのわざと労苦と忍耐とを知っている。また、あなたが、悪い者たちをゆるしておくことができず、使徒と自称してはいるが、その実、使徒でない者たちをためしてみて、にせ者であると見抜いたことも、知っている。 + あなたは忍耐をし続け、わたしの名のために忍びとおして、弱り果てることがなかった。 + しかし、あなたに対して責むべきことがある。あなたは初めの愛から離れてしまった。 + そこで、あなたはどこから落ちたかを思い起し、悔い改めて初めのわざを行いなさい。もし、そうしないで悔い改めなければ、わたしはあなたのところにきて、あなたの燭台をその場所から取りのけよう。 + しかし、こういうことはある、あなたはニコライ宗の人々のわざを憎んでおり、わたしもそれを憎んでいる。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者には、神のパラダイスにあるいのちの木の実を食べることをゆるそう』。 + スミルナにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『初めであり、終りである者、死んだことはあるが生き返った者が、次のように言われる。 + わたしは、あなたの苦難や、貧しさを知っている(しかし実際は、あなたは富んでいるのだ)。また、ユダヤ人と自称してはいるが、その実ユダヤ人でなくてサタンの会堂に属する者たちにそしられていることも、わたしは知っている。 + あなたの受けようとする苦しみを恐れてはならない。見よ、悪魔が、あなたがたのうちのある者をためすために、獄に入れようとしている。あなたがたは十日の間、苦難にあうであろう。死に至るまで忠実であれ。そうすれば、いのちの冠を与えよう。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者は、第二の死によって滅ぼされることはない』。 + ペルガモにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『鋭いもろ刃のつるぎを持っているかたが、次のように言われる。 + わたしはあなたの住んでいる所を知っている。そこにはサタンの座がある。あなたは、わたしの名を堅く持ちつづけ、わたしの忠実な証人アンテパスがサタンの住んでいるあなたがたの所で殺された時でさえ、わたしに対する信仰を捨てなかった。 + しかし、あなたに対して責むべきことが、少しばかりある。あなたがたの中には、現にバラムの教を奉じている者がある。バラムは、バラクに教え込み、イスラエルの子らの前に、つまずきになるものを置かせて、偶像にささげたものを食べさせ、また不品行をさせたのである。 + 同じように、あなたがたの中には、ニコライ宗の教を奉じている者もいる。 + だから、悔い改めなさい。そうしないと、わたしはすぐにあなたのところに行き、わたしの口のつるぎをもって彼らと戦おう。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者には、隠されているマナを与えよう。また、白い石を与えよう。この石の上には、これを受ける者のほかだれも知らない新しい名が書いてある』。 + テアテラにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『燃える炎のような目と光り輝くしんちゅうのような足とを持った神の子が、次のように言われる。 + わたしは、あなたのわざと、あなたの愛と信仰と奉仕と忍耐とを知っている。また、あなたの後のわざが、初めのよりもまさっていることを知っている。 + しかし、あなたに対して責むべきことがある。あなたは、あのイゼベルという女を、そのなすがままにさせている。この女は女預言者と自称し、わたしの僕たちを教え、惑わして、不品行をさせ、偶像にささげたものを食べさせている。 + わたしは、この女に悔い改めるおりを与えたが、悔い改めてその不品行をやめようとはしない。 + 見よ、わたしはこの女を病の床に投げ入れる。この女と姦淫する者をも、悔い改めて彼女のわざから離れなければ、大きな患難の中に投げ入れる。 + また、この女の子供たちをも打ち殺そう。こうしてすべての教会は、わたしが人の心の奥底までも探り知る者であることを悟るであろう。そしてわたしは、あなたがたひとりびとりのわざに応じて報いよう。 + また、テアテラにいるほかの人たちで、まだあの女の教を受けておらず、サタンの、いわゆる「深み」を知らないあなたがたに言う。わたしは別にほかの重荷を、あなたがたに負わせることはしない。 + ただ、わたしが来る時まで、自分の持っているものを堅く保っていなさい。 + 勝利を得る者、わたしのわざを最後まで持ち続ける者には、諸国民を支配する権威を授ける。 + 彼は鉄のつえをもって、ちょうど土の器を砕くように、彼らを治めるであろう。それは、わたし自身が父から権威を受けて治めるのと同様である。 + わたしはまた、彼に明けの明星を与える。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。 + + + サルデスにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『神の七つの霊と七つの星とを持つかたが、次のように言われる。わたしはあなたのわざを知っている。すなわち、あなたは、生きているというのは名だけで、実は死んでいる。 + 目をさましていて、死にかけている残りの者たちを力づけなさい。わたしは、あなたのわざが、わたしの神のみまえに完全であるとは見ていない。 + だから、あなたが、どのようにして受けたか、また聞いたかを思い起して、それを守りとおし、かつ悔い改めなさい。もし目をさましていないなら、わたしは盗人のように来るであろう。どんな時にあなたのところに来るか、あなたには決してわからない。 + しかし、サルデスにはその衣を汚さない人が、数人いる。彼らは白い衣を着て、わたしと共に歩みを続けるであろう。彼らは、それにふさわしい者である。 + 勝利を得る者は、このように白い衣を着せられるのである。わたしは、その名をいのちの書から消すようなことを、決してしない。また、わたしの父と御使たちの前で、その名を言いあらわそう。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。 + ヒラデルヒヤにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『聖なる者、まことなる者、ダビデのかぎを持つ者、開けばだれにも閉じられることがなく、閉じればだれにも開かれることのない者が、次のように言われる。 + わたしは、あなたのわざを知っている。見よ、わたしは、あなたの前に、だれも閉じることのできない門を開いておいた。なぜなら、あなたには少ししか力がなかったにもかかわらず、わたしの言葉を守り、わたしの名を否まなかったからである。 + 見よ、サタンの会堂に属する者、すなわち、ユダヤ人と自称してはいるが、その実ユダヤ人でなくて、偽る者たちに、こうしよう。見よ、彼らがあなたの足もとにきて平伏するようにし、そして、わたしがあなたを愛していることを、彼らに知らせよう。 + 忍耐についてのわたしの言葉をあなたが守ったから、わたしも、地上に住む者たちをためすために、全世界に臨もうとしている試錬の時に、あなたを防ぎ守ろう。 + わたしは、すぐに来る。あなたの冠がだれにも奪われないように、自分の持っているものを堅く守っていなさい。 + 勝利を得る者を、わたしの神の聖所における柱にしよう。彼は決して二度と外へ出ることはない。そして彼の上に、わたしの神の御名と、わたしの神の都、すなわち、天とわたしの神のみもとから下ってくる新しいエルサレムの名と、わたしの新しい名とを、書きつけよう。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。 + ラオデキヤにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『アァメンたる者、忠実な、まことの証人、神に造られたものの根源であるかたが、次のように言われる。 + わたしはあなたのわざを知っている。あなたは冷たくもなく、熱くもない。むしろ、冷たいか熱いかであってほしい。 + このように、熱くもなく、冷たくもなく、なまぬるいので、あなたを口から吐き出そう。 + あなたは、自分は富んでいる、豊かになった、なんの不自由もないと言っているが、実は、あなた自身がみじめな者、あわれむべき者、貧しい者、目の見えない者、裸な者であることに気がついていない。 + そこで、あなたに勧める。富む者となるために、わたしから火で精錬された金を買い、また、あなたの裸の恥をさらさないため身に着けるように、白い衣を買いなさい。また、見えるようになるため、目にぬる目薬を買いなさい。 + すべてわたしの愛している者を、わたしはしかったり、懲らしめたりする。だから、熱心になって悔い改めなさい。 + 見よ、わたしは戸の外に立って、たたいている。だれでもわたしの声を聞いて戸をあけるなら、わたしはその中にはいって彼と食を共にし、彼もまたわたしと食を共にするであろう。 + 勝利を得る者には、わたしと共にわたしの座につかせよう。それはちょうど、わたしが勝利を得てわたしの父と共にその御座についたのと同様である。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』」。 + + + その後、わたしが見ていると、見よ、開いた門が天にあった。そして、さきにラッパのような声でわたしに呼びかけるのを聞いた初めの声が、「ここに上ってきなさい。そうしたら、これから後に起るべきことを、見せてあげよう」と言った。 + すると、たちまち、わたしは御霊に感じた。見よ、御座が天に設けられており、その御座にいますかたがあった。 + その座にいますかたは、碧玉や赤めのうのように見え、また、御座のまわりには、緑玉のように見えるにじが現れていた。 + また、御座のまわりには二十四の座があって、二十四人の長老が白い衣を身にまとい、頭に金の冠をかぶって、それらの座についていた。 + 御座からは、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴とが、発していた。また、七つのともし火が、御座の前で燃えていた。これらは、神の七つの霊である。 + 御座の前は、水晶に似たガラスの海のようであった。御座のそば近くそのまわりには、四つの生き物がいたが、その前にも後にも、一面に目がついていた。 + 第一の生き物はししのようであり、第二の生き物は雄牛のようであり、第三の生き物は人のような顔をしており、第四の生き物は飛ぶわしのようであった。 + この四つの生き物には、それぞれ六つの翼があり、その翼のまわりも内側も目で満ちていた。そして、昼も夜も、絶え間なくこう叫びつづけていた、「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、全能者にして主なる神。昔いまし、今いまし、やがてきたるべき者」。 + これらの生き物が、御座にいまし、かつ、世々限りなく生きておられるかたに、栄光とほまれとを帰し、また、感謝をささげている時、 + 二十四人の長老は、御座にいますかたのみまえにひれ伏し、世々限りなく生きておられるかたを拝み、彼らの冠を御座のまえに、投げ出して言った、 + 「われらの主なる神よ、あなたこそは、栄光とほまれと力とを受けるにふさわしいかた。あなたは万物を造られました。御旨によって、万物は存在し、また造られたのであります」。 + + + わたしはまた、御座にいますかたの右の手に、巻物があるのを見た。その内側にも外側にも字が書いてあって、七つの封印で封じてあった。 + また、ひとりの強い御使が、大声で、「その巻物を開き、封印をとくのにふさわしい者は、だれか」と呼ばわっているのを見た。 + しかし、天にも地にも地の下にも、この巻物を開いて、それを見ることのできる者は、ひとりもいなかった。 + 巻物を開いてそれを見るのにふさわしい者が見当らないので、わたしは激しく泣いていた。 + すると、長老のひとりがわたしに言った、「泣くな。見よ、ユダ族のしし、ダビデの若枝であるかたが、勝利を得たので、その巻物を開き七つの封印を解くことができる」。 + わたしはまた、御座と四つの生き物との間、長老たちの間に、ほふられたとみえる小羊が立っているのを見た。それに七つの角と七つの目とがあった。これらの目は、全世界につかわされた、神の七つの霊である。 + 小羊は進み出て、御座にいますかたの右の手から、巻物を受けとった。 + 巻物を受けとった時、四つの生き物と二十四人の長老とは、おのおの、立琴と、香の満ちている金の鉢とを手に持って、小羊の前にひれ伏した。この香は聖徒の祈である。 + 彼らは新しい歌を歌って言った、「あなたこそは、その巻物を受けとり、封印を解くにふさわしいかたであります。あなたはほふられ、その血によって、神のために、あらゆる部族、国語、民族、国民の中から人々をあがない、 + わたしたちの神のために、彼らを御国の民とし、祭司となさいました。彼らは地上を支配するに至るでしょう」。 + さらに見ていると、御座と生き物と長老たちとのまわりに、多くの御使たちの声が上がるのを聞いた。その数は万の幾万倍、千の幾千倍もあって、 + 大声で叫んでいた、「ほふられた小羊こそは、力と、富と、知恵と、勢いと、ほまれと、栄光と、さんびとを受けるにふさわしい」。 + またわたしは、天と地、地の下と海の中にあるすべての造られたもの、そして、それらの中にあるすべてのものの言う声を聞いた、「御座にいますかたと小羊とに、さんびと、ほまれと、栄光と、権力とが、世々限りなくあるように」。 + 四つの生き物はアァメンと唱え、長老たちはひれ伏して礼拝した。 + + + 小羊がその七つの封印の一つを解いた時、わたしが見ていると、四つの生き物の一つが、雷のような声で「きたれ」と呼ぶのを聞いた。 + そして見ていると、見よ、白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上にもなお勝利を得ようとして出かけた。 + 小羊が第二の封印を解いた時、第二の生き物が「きたれ」と言うのを、わたしは聞いた。 + すると今度は、赤い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、人々が互に殺し合うようになるために、地上から平和を奪い取ることを許され、また、大きなつるぎを与えられた。 + また、第三の封印を解いた時、第三の生き物が「きたれ」と言うのを、わたしは聞いた。そこで見ていると、見よ、黒い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、はかりを手に持っていた。 + すると、わたしは四つの生き物の間から出て来ると思われる声が、こう言うのを聞いた、「小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デナリ。オリブ油とぶどう酒とを、そこなうな」。 + 小羊が第四の封印を解いた時、第四の生き物が「きたれ」と言う声を、わたしは聞いた。 + そこで見ていると、見よ、青白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者の名は「死」と言い、それに黄泉が従っていた。彼らには、地の四分の一を支配する権威、および、つるぎと、ききんと、死と、地の獣らとによって人を殺す権威とが、与えられた。 + 小羊が第五の封印を解いた時、神の言のゆえに、また、そのあかしを立てたために、殺された人々の霊魂が、祭壇の下にいるのを、わたしは見た。 + 彼らは大声で叫んで言った、「聖なる、まことなる主よ。いつまであなたは、さばくことをなさらず、また地に住む者に対して、わたしたちの血の報復をなさらないのですか」。 + すると、彼らのひとりびとりに白い衣が与えられ、それから、「彼らと同じく殺されようとする僕仲間や兄弟たちの数が満ちるまで、もうしばらくの間、休んでいるように」と言い渡された。 + 小羊が第六の封印を解いた時、わたしが見ていると、大地震が起って、太陽は毛織の荒布のように黒くなり、月は全面、血のようになり、 + 天の星は、いちじくのまだ青い実が大風に揺られて振り落されるように、地に落ちた。 + 天は巻物が巻かれるように消えていき、すべての山と島とはその場所から移されてしまった。 + 地の王たち、高官、千卒長、富める者、勇者、奴隷、自由人らはみな、ほら穴や山の岩かげに、身をかくした。 + そして、山と岩とにむかって言った、「さあ、われわれをおおって、御座にいますかたの御顔と小羊の怒りとから、かくまってくれ。 + 御怒りの大いなる日が、すでにきたのだ。だれが、その前に立つことができようか」。 + + + この後、わたしは四人の御使が地の四すみに立っているのを見た。彼らは地の四方の風をひき止めて、地にも海にもすべての木にも、吹きつけないようにしていた。 + また、もうひとりの御使が、生ける神の印を持って、日の出る方から上って来るのを見た。彼は地と海とをそこなう権威を授かっている四人の御使にむかって、大声で叫んで言った、 + 「わたしたちの神の僕らの額に、わたしたちが印をおしてしまうまでは、地と海と木とをそこなってはならない」。 + わたしは印をおされた者の数を聞いたが、イスラエルの子らのすべての部族のうち、印をおされた者は十四万四千人であった。 + ユダの部族のうち、一万二千人が印をおされ、ルベンの部族のうち、一万二千人、ガドの部族のうち、一万二千人、 + アセルの部族のうち、一万二千人、ナフタリの部族のうち、一万二千人、マナセの部族のうち、一万二千人、 + シメオンの部族のうち、一万二千人、レビの部族のうち、一万二千人、イサカルの部族のうち、一万二千人、 + ゼブルンの部族のうち、一万二千人、ヨセフの部族のうち、一万二千人、ベニヤミンの部族のうち、一万二千人が印をおされた。 + その後、わたしが見ていると、見よ、あらゆる国民、部族、民族、国語のうちから、数えきれないほどの大ぜいの群衆が、白い衣を身にまとい、しゅろの枝を手に持って、御座と小羊との前に立ち、 + 大声で叫んで言った、「救は、御座にいますわれらの神と小羊からきたる」。 + 御使たちはみな、御座と長老たちと四つの生き物とのまわりに立っていたが、御座の前にひれ伏し、神を拝して言った、 + 「アァメン、さんび、栄光、知恵、感謝、ほまれ、力、勢いが、世々限りなく、われらの神にあるように、アァメン」。 + 長老たちのひとりが、わたしにむかって言った、「この白い衣を身にまとっている人々は、だれか。また、どこからきたのか」。 + わたしは彼に答えた、「わたしの主よ、それはあなたがご存じです」。すると、彼はわたしに言った、「彼らは大きな患難をとおってきた人たちであって、その衣を小羊の血で洗い、それを白くしたのである。 + それだから彼らは、神の御座の前におり、昼も夜もその聖所で神に仕えているのである。御座にいますかたは、彼らの上に幕屋を張って共に住まわれるであろう。 + 彼らは、もはや飢えることがなく、かわくこともない。太陽も炎暑も、彼らを侵すことはない。 + 御座の正面にいます小羊は彼らの牧者となって、いのちの水の泉に導いて下さるであろう。また神は、彼らの目から涙をことごとくぬぐいとって下さるであろう」。 + + + 小羊が第七の封印を解いた時、半時間ばかり天に静けさがあった。 + それからわたしは、神のみまえに立っている七人の御使を見た。そして、七つのラッパが彼らに与えられた。 + また、別の御使が出てきて、金の香炉を手に持って祭壇の前に立った。たくさんの香が彼に与えられていたが、これは、すべての聖徒の祈に加えて、御座の前の金の祭壇の上にささげるためのものであった。 + 香の煙は、御使の手から、聖徒たちの祈と共に神のみまえに立ちのぼった。 + 御使はその香炉をとり、これに祭壇の火を満たして、地に投げつけた。すると、多くの雷鳴と、もろもろの声と、いなずまと、地震とが起った。 + そこで、七つのラッパを持っている七人の御使が、それを吹く用意をした。 + 第一の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、血のまじった雹と火とがあらわれて、地上に降ってきた。そして、地の三分の一が焼け、木の三分の一が焼け、また、すべての青草も焼けてしまった。 + 第二の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えさかっている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして、海の三分の一は血となり、 + 海の中の造られた生き物の三分の一は死に、舟の三分の一がこわされてしまった。 + 第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。 + この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ。 + 第四の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、太陽の三分の一と、月の三分の一と、星の三分の一とが打たれて、これらのものの三分の一は暗くなり、昼の三分の一は明るくなくなり、夜も同じようになった。 + また、わたしが見ていると、一羽のわしが中空を飛び、大きな声でこう言うのを聞いた、「ああ、わざわいだ、わざわいだ、地に住む人々は、わざわいだ。なお三人の御使がラッパを吹き鳴らそうとしている」。 + + + 第五の御使が、ラッパを吹き鳴らした。するとわたしは、一つの星が天から地に落ちて来るのを見た。この星に、底知れぬ所の穴を開くかぎが与えられた。 + そして、この底知れぬ所の穴が開かれた。すると、その穴から煙が大きな炉の煙のように立ちのぼり、その穴の煙で、太陽も空気も暗くなった。 + その煙の中から、いなごが地上に出てきたが、地のさそりが持っているような力が、彼らに与えられた。 + 彼らは、地の草やすべての青草、またすべての木をそこなってはならないが、額に神の印がない人たちには害を加えてもよいと、言い渡された。 + 彼らは、人間を殺すことはしないで、五か月のあいだ苦しめることだけが許された。彼らの与える苦痛は、人がさそりにさされる時のような苦痛であった。 + その時には、人々は死を求めても与えられず、死にたいと願っても、死は逃げて行くのである。 + これらのいなごは、出陣の用意のととのえられた馬によく似ており、その頭には金の冠のようなものをつけ、その顔は人間の顔のようであり、 + また、そのかみの毛は女のかみのようであり、その歯はししの歯のようであった。 + また、鉄の胸当のような胸当をつけており、その羽の音は、馬に引かれて戦場に急ぐ多くの戦車の響きのようであった。 + その上、さそりのような尾と針とを持っている。その尾には、五か月のあいだ人間をそこなう力がある。 + 彼らは、底知れぬ所の使を王にいただいており、その名をヘブル語でアバドンと言い、ギリシヤ語ではアポルオンと言う。 + 第一のわざわいは、過ぎ去った。見よ、この後、なお二つのわざわいが来る。 + 第六の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、一つの声が、神のみまえにある金の祭壇の四つの角から出て、 + ラッパを持っている第六の御使にこう呼びかけるのを、わたしは聞いた。「大ユウフラテ川のほとりにつながれている四人の御使を、解いてやれ」。 + すると、その時、その日、その月、その年に備えておかれた四人の御使が、人間の三分の一を殺すために、解き放たれた。 + 騎兵隊の数は二億であった。わたしはその数を聞いた。 + そして、まぼろしの中で、それらの馬とそれに乗っている者たちとを見ると、乗っている者たちは、火の色と青玉色と硫黄の色の胸当をつけていた。そして、それらの馬の頭はししの頭のようであって、その口から火と煙と硫黄とが、出ていた。 + この三つの災害、すなわち、彼らの口から出て来る火と煙と硫黄とによって、人間の三分の一は殺されてしまった。 + 馬の力はその口と尾とにある。その尾はへびに似ていて、それに頭があり、その頭で人に害を加えるのである。 + これらの災害で殺されずに残った人々は、自分の手で造ったものについて、悔い改めようとせず、また悪霊のたぐいや、金、銀、銅、石、木で造られ、見ることも聞くことも歩くこともできない偶像を礼拝して、やめようともしなかった。 + また、彼らは、その犯した殺人や、まじないや、不品行や、盗みを悔い改めようとしなかった。 + + + わたしは、もうひとりの強い御使が、雲に包まれて、天から降りて来るのを見た。その頭に、にじをいただき、その顔は太陽のようで、その足は火の柱のようであった。 + 彼は、開かれた小さな巻物を手に持っていた。そして、右足を海の上に、左足を地の上に踏みおろして、 + ししがほえるように大声で叫んだ。彼が叫ぶと、七つの雷がおのおのその声を発した。 + 七つの雷が声を発した時、わたしはそれを書きとめようとした。すると、天から声があって、「七つの雷の語ったことを封印せよ。それを書きとめるな」と言うのを聞いた。 + それから、海と地の上に立っているのをわたしが見たあの御使は、天にむけて右手を上げ、 + 天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを造り、世々限りなく生きておられるかたをさして誓った、「もう時がない。 + 第七の御使が吹き鳴らすラッパの音がする時には、神がその僕、預言者たちにお告げになったとおり、神の奥義は成就される」。 + すると、前に天から聞えてきた声が、またわたしに語って言った、「さあ行って、海と地との上に立っている御使の手に開かれている巻物を、受け取りなさい」。 + そこで、わたしはその御使のもとに行って、「その小さな巻物を下さい」と言った。すると、彼は言った、「取って、それを食べてしまいなさい。あなたの腹には苦いが、口には蜜のように甘い」。 + わたしは御使の手からその小さな巻物を受け取って食べてしまった。すると、わたしの口には蜜のように甘かったが、それを食べたら、腹が苦くなった。 + その時、「あなたは、もう一度、多くの民族、国民、国語、王たちについて、預言せねばならない」と言う声がした。 + + + それから、わたしはつえのような測りざおを与えられて、こう命じられた、「さあ立って、神の聖所と祭壇と、そこで礼拝している人々とを、測りなさい。 + 聖所の外の庭はそのままにしておきなさい。それを測ってはならない。そこは異邦人に与えられた所だから。彼らは、四十二か月の間この聖なる都を踏みにじるであろう。 + そしてわたしは、わたしのふたりの証人に、荒布を着て、千二百六十日のあいだ預言することを許そう」。 + 彼らは、全地の主のみまえに立っている二本のオリブの木、また、二つの燭台である。 + もし彼らに害を加えようとする者があれば、彼らの口から火が出て、その敵を滅ぼすであろう。もし彼らに害を加えようとする者があれば、その者はこのように殺されねばならない。 + 預言をしている期間、彼らは、天を閉じて雨を降らせないようにする力を持っている。さらにまた、水を血に変え、何度でも思うままに、あらゆる災害で地を打つ力を持っている。 + そして、彼らがそのあかしを終えると、底知れぬ所からのぼって来る獣が、彼らと戦って打ち勝ち、彼らを殺す。 + 彼らの死体はソドムや、エジプトにたとえられている大いなる都の大通りにさらされる。彼らの主も、この都で十字架につけられたのである。 + いろいろな民族、部族、国語、国民に属する人々が、三日半の間、彼らの死体をながめるが、その死体を墓に納めることは許さない。 + 地に住む人々は、彼らのことで喜び楽しみ、互に贈り物をしあう。このふたりの預言者は、地に住む者たちを悩ましたからである。 + 三日半の後、いのちの息が、神から出て彼らの中にはいり、そして、彼らが立ち上がったので、それを見た人々は非常な恐怖に襲われた。 + その時、天から大きな声がして、「ここに上ってきなさい」と言うのを、彼らは聞いた。そして、彼らは雲に乗って天に上った。彼らの敵はそれを見た。 + この時、大地震が起って、都の十分の一は倒れ、その地震で七千人が死に、生き残った人々は驚き恐れて、天の神に栄光を帰した。 + 第二のわざわいは、過ぎ去った。見よ、第三のわざわいがすぐに来る。 + 第七の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、大きな声々が天に起って言った、「この世の国は、われらの主とそのキリストとの国となった。主は世々限りなく支配なさるであろう」。 + そして、神のみまえで座についている二十四人の長老は、ひれ伏し、神を拝して言った、 + 「今いまし、昔いませる、全能者にして主なる神よ。大いなる御力をふるって支配なさったことを、感謝します。 + 諸国民は怒り狂いましたが、あなたも怒りをあらわされました。そして、死人をさばき、あなたの僕なる預言者、聖徒、小さき者も、大いなる者も、すべて御名をおそれる者たちに報いを与え、また、地を滅ぼす者どもを滅ぼして下さる時がきました」。 + そして、天にある神の聖所が開けて、聖所の中に契約の箱が見えた。また、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴と、地震とが起り、大粒の雹が降った。 + + + また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。 + この女は子を宿しており、産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいた。 + また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。 + その尾は天の星の三分の一を掃き寄せ、それらを地に投げ落した。龍は子を産もうとしている女の前に立ち、生れたなら、その子を食い尽そうとかまえていた。 + 女は男の子を産んだが、彼は鉄のつえをもってすべての国民を治めるべき者である。この子は、神のみもとに、その御座のところに、引き上げられた。 + 女は荒野へ逃げて行った。そこには、彼女が千二百六十日のあいだ養われるように、神の用意された場所があった。 + さて、天では戦いが起った。ミカエルとその御使たちとが、龍と戦ったのである。龍もその使たちも応戦したが、 + 勝てなかった。そして、もはや天には彼らのおる所がなくなった。 + この巨大な龍、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わす年を経たへびは、地に投げ落され、その使たちも、もろともに投げ落された。 + その時わたしは、大きな声が天でこう言うのを聞いた、「今や、われらの神の救と力と国と、神のキリストの権威とは、現れた。われらの兄弟らを訴える者、夜昼われらの神のみまえで彼らを訴える者は、投げ落された。 + 兄弟たちは、小羊の血と彼らのあかしの言葉とによって、彼にうち勝ち、死に至るまでもそのいのちを惜しまなかった。 + それゆえに、天とその中に住む者たちよ、大いに喜べ。しかし、地と海よ、おまえたちはわざわいである。悪魔が、自分の時が短いのを知り、激しい怒りをもって、おまえたちのところに下ってきたからである」。 + 龍は、自分が地上に投げ落されたと知ると、男子を産んだ女を追いかけた。 + しかし、女は自分の場所である荒野に飛んで行くために、大きなわしの二つの翼を与えられた。そしてそこでへびからのがれて、一年、二年、また、半年の間、養われることになっていた。 + へびは女の後に水を川のように、口から吐き出して、女をおし流そうとした。 + しかし、地は女を助けた。すなわち、地はその口を開いて、龍が口から吐き出した川を飲みほした。 + 龍は、女に対して怒りを発し、女の残りの子ら、すなわち、神の戒めを守り、イエスのあかしを持っている者たちに対して、戦いをいどむために、出て行った。 そして、海の砂の上に立った。 + + + わたしはまた、一匹の獣が海から上って来るのを見た。それには角が十本、頭が七つあり、それらの角には十の冠があって、頭には神を汚す名がついていた。 + わたしの見たこの獣はひょうに似ており、その足はくまの足のようで、その口はししの口のようであった。龍は自分の力と位と大いなる権威とを、この獣に与えた。 + その頭の一つが、死ぬほどの傷を受けたが、その致命的な傷もなおってしまった。そこで、全地の人々は驚きおそれて、その獣に従い、 + また、龍がその権威を獣に与えたので、人々は龍を拝み、さらに、その獣を拝んで言った、「だれが、この獣に匹敵し得ようか。だれが、これと戦うことができようか」。 + この獣には、また、大言を吐き汚しごとを語る口が与えられ、四十二か月のあいだ活動する権威が与えられた。 + そこで、彼は口を開いて神を汚し、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちとを汚した。 + そして彼は、聖徒に戦いをいどんでこれに勝つことを許され、さらに、すべての部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。 + 地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、その名を世の初めからしるされていない者はみな、この獣を拝むであろう。 + 耳のある者は、聞くがよい。 + とりこになるべき者は、とりこになっていく。つるぎで殺す者は、自らもつるぎで殺されねばならない。ここに、聖徒たちの忍耐と信仰とがある。 + わたしはまた、ほかの獣が地から上って来るのを見た。それには小羊のような角が二つあって、龍のように物を言った。 + そして、先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷がいやされた先の獣を拝ませた。 + また、大いなるしるしを行って、人々の前で火を天から地に降らせることさえした。 + さらに、先の獣の前で行うのを許されたしるしで、地に住む人々を惑わし、かつ、つるぎの傷を受けてもなお生きている先の獣の像を造ることを、地に住む人々に命じた。 + それから、その獣の像に息を吹き込んで、その獣の像が物を言うことさえできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。 + また、小さき者にも、大いなる者にも、富める者にも、貧しき者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々に、その右の手あるいは額に刻印を押させ、 + この刻印のない者はみな、物を買うことも売ることもできないようにした。この刻印は、その獣の名、または、その名の数字のことである。 + ここに、知恵が必要である。思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは、人間をさすものである。そして、その数字は六百六十六である。 + + + なお、わたしが見ていると、見よ、小羊がシオンの山に立っていた。また、十四万四千の人々が小羊と共におり、その額に小羊の名とその父の名とが書かれていた。 + またわたしは、大水のとどろきのような、激しい雷鳴のような声が、天から出るのを聞いた。わたしの聞いたその声は、琴をひく人が立琴をひく音のようでもあった。 + 彼らは、御座の前、四つの生き物と長老たちとの前で、新しい歌を歌った。この歌は、地からあがなわれた十四万四千人のほかは、だれも学ぶことができなかった。 + 彼らは、女にふれたことのない者である。彼らは、純潔な者である。そして、小羊の行く所へは、どこへでもついて行く。彼らは、神と小羊とにささげられる初穂として、人間の中からあがなわれた者である。 + 彼らの口には偽りがなく、彼らは傷のない者であった。 + わたしは、もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に宣べ伝えるために、永遠の福音をたずさえてきて、 + 大声で言った、「神をおそれ、神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを、伏し拝め」。 + また、ほかの第二の御使が、続いてきて言った、「倒れた、大いなるバビロンは倒れた。その不品行に対する激しい怒りのぶどう酒を、あらゆる国民に飲ませた者」。 + ほかの第三の御使が彼らに続いてきて、大声で言った、「おおよそ、獣とその像とを拝み、額や手に刻印を受ける者は、 + 神の怒りの杯に混ぜものなしに盛られた、神の激しい怒りのぶどう酒を飲み、聖なる御使たちと小羊との前で、火と硫黄とで苦しめられる。 + その苦しみの煙は世々限りなく立ちのぼり、そして、獣とその像とを拝む者、また、だれでもその名の刻印を受けている者は、昼も夜も休みが得られない。 + ここに、神の戒めを守り、イエスを信じる信仰を持ちつづける聖徒の忍耐がある」。 + またわたしは、天からの声がこう言うのを聞いた、「書きしるせ、『今から後、主にあって死ぬ死人はさいわいである』」。御霊も言う、「しかり、彼らはその労苦を解かれて休み、そのわざは彼らについていく」。 + また見ていると、見よ、白い雲があって、その雲の上に人の子のような者が座しており、頭には金の冠をいただき、手には鋭いかまを持っていた。 + すると、もうひとりの御使が聖所から出てきて、雲の上に座している者にむかって大声で叫んだ、「かまを入れて刈り取りなさい。地の穀物は全く実り、刈り取るべき時がきた」。 + 雲の上に座している者は、そのかまを地に投げ入れた。すると、地のものが刈り取られた。 + また、もうひとりの御使が、天の聖所から出てきたが、彼もまた鋭いかまを持っていた。 + さらに、もうひとりの御使で、火を支配する権威を持っている者が、祭壇から出てきて、鋭いかまを持つ御使にむかい、大声で言った、「その鋭いかまを地に入れて、地のぶどうのふさを刈り集めなさい。ぶどうの実がすでに熟しているから」。 + そこで、御使はそのかまを地に投げ入れて、地のぶどうを刈り集め、神の激しい怒りの大きな酒ぶねに投げ込んだ。 + そして、その酒ぶねが都の外で踏まれた。すると、血が酒ぶねから流れ出て、馬のくつわにとどくほどになり、一千六百丁にわたってひろがった。 + + + またわたしは、天に大いなる驚くべきほかのしるしを見た。七人の御使が、最後の七つの災害を携えていた。これらの災害で神の激しい怒りがその頂点に達するのである。 + またわたしは、火のまじったガラスの海のようなものを見た。そして、このガラスの海のそばに、獣とその像とその名の数字とにうち勝った人々が、神の立琴を手にして立っているのを見た。 + 彼らは、神の僕モーセの歌と小羊の歌とを歌って言った、「全能者にして主なる神よ。あなたのみわざは、大いなる、また驚くべきものであります。万民の王よ、あなたの道は正しく、かつ真実であります。 + 主よ、あなたをおそれず、御名をほめたたえない者が、ありましょうか。あなただけが聖なるかたであり、あらゆる国民はきて、あなたを伏し拝むでしょう。あなたの正しいさばきが、あらわれるに至ったからであります」。 + その後、わたしが見ていると、天にある、あかしの幕屋の聖所が開かれ、 + その聖所から、七つの災害を携えている七人の御使が、汚れのない、光り輝く亜麻布を身にまとい、金の帯を胸にしめて、出てきた。 + そして、四つの生き物の一つが、世々限りなく生きておられる神の激しい怒りの満ちた七つの金の鉢を、七人の御使に渡した。 + すると、聖所は神の栄光とその力とから立ちのぼる煙で満たされ、七人の御使の七つの災害が終ってしまうまでは、だれも聖所にはいることができなかった。 + + + それから、大きな声が聖所から出て、七人の御使にむかい、「さあ行って、神の激しい怒りの七つの鉢を、地に傾けよ」と言うのを聞いた。 + そして、第一の者が出て行って、その鉢を地に傾けた。すると、獣の刻印を持つ人々と、その像を拝む人々とのからだに、ひどい悪性のでき物ができた。 + 第二の者が、その鉢を海に傾けた。すると、海は死人の血のようになって、その中の生き物がみな死んでしまった。 + 第三の者がその鉢を川と水の源とに傾けた。すると、みな血になった。 + それから、水をつかさどる御使がこう言うのを、聞いた、「今いまし、昔いませる聖なる者よ。このようにお定めになったあなたは、正しいかたであります。 + 聖徒と預言者との血を流した者たちに、血をお飲ませになりましたが、それは当然のことであります」。 + わたしはまた祭壇がこう言うのを聞いた、「全能者にして主なる神よ。しかり、あなたのさばきは真実で、かつ正しいさばきであります」。 + 第四の者が、その鉢を太陽に傾けた。すると、太陽は火で人々を焼くことを許された。 + 人々は、激しい炎熱で焼かれたが、これらの災害を支配する神の御名を汚し、悔い改めて神に栄光を帰することをしなかった。 + 第五の者が、その鉢を獣の座に傾けた。すると、獣の国は暗くなり、人々は苦痛のあまり舌をかみ、 + その苦痛とでき物とのゆえに、天の神をのろった。そして、自分の行いを悔い改めなかった。 + 第六の者が、その鉢を大ユウフラテ川に傾けた。すると、その水は、日の出る方から来る王たちに対し道を備えるために、かれてしまった。 + また見ると、龍の口から、獣の口から、にせ預言者の口から、かえるのような三つの汚れた霊が出てきた。 + これらは、しるしを行う悪霊の霊であって、全世界の王たちのところに行き、彼らを召集したが、それは、全能なる神の大いなる日に、戦いをするためであった。 + (見よ、わたしは盗人のように来る。裸のままで歩かないように、また、裸の恥を見られないように、目をさまし着物を身に着けている者は、さいわいである。) + 三つの霊は、ヘブル語でハルマゲドンという所に、王たちを召集した。 + 第七の者が、その鉢を空中に傾けた。すると、大きな声が聖所の中から、御座から出て、「事はすでに成った」と言った。 + すると、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴とが起り、また激しい地震があった。それは人間が地上にあらわれて以来、かつてなかったようなもので、それほどに激しい地震であった。 + 大いなる都は三つに裂かれ、諸国民の町々は倒れた。神は大いなるバビロンを思い起し、これに神の激しい怒りのぶどう酒の杯を与えられた。 + 島々はみな逃げ去り、山々は見えなくなった。 + また一タラントの重さほどの大きな雹が、天から人々の上に降ってきた。人々は、この雹の災害のゆえに神をのろった。その災害が、非常に大きかったからである。 + + + それから、七つの鉢を持つ七人の御使のひとりがきて、わたしに語って言った、「さあ、きなさい。多くの水の上にすわっている大淫婦に対するさばきを、見せよう。 + 地の王たちはこの女と姦淫を行い、地に住む人々はこの女の姦淫のぶどう酒に酔いしれている」。 + 御使は、わたしを御霊に感じたまま、荒野へ連れて行った。わたしは、そこでひとりの女が赤い獣に乗っているのを見た。その獣は神を汚すかずかずの名でおおわれ、また、それに七つの頭と十の角とがあった。 + この女は紫と赤の衣をまとい、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものと自分の姦淫の汚れとで満ちている金の杯を手に持ち、 + その額には、一つの名がしるされていた。それは奥義であって、「大いなるバビロン、淫婦どもと地の憎むべきものらとの母」というのであった。 + わたしは、この女が聖徒の血とイエスの証人の血に酔いしれているのを見た。この女を見た時、わたしは非常に驚きあやしんだ。 + すると、御使はわたしに言った、「なぜそんなに驚くのか。この女の奥義と、女を乗せている七つの頭と十の角のある獣の奥義とを、話してあげよう。 + あなたの見た獣は、昔はいたが、今はおらず、そして、やがて底知れぬ所から上ってきて、ついには滅びに至るものである。地に住む者のうち、世の初めからいのちの書に名をしるされていない者たちは、この獣が、昔はいたが今はおらず、やがて来るのを見て、驚きあやしむであろう。 + ここに、知恵のある心が必要である。七つの頭は、この女のすわっている七つの山であり、また、七人の王のことである。 + そのうちの五人はすでに倒れ、ひとりは今おり、もうひとりは、まだきていない。それが来れば、しばらくの間だけおることになっている。 + 昔はいたが今はいないという獣は、すなわち第八のものであるが、またそれは、かの七人の中のひとりであって、ついには滅びに至るものである。 + あなたの見た十の角は、十人の王のことであって、彼らはまだ国を受けてはいないが、獣と共に、一時だけ王としての権威を受ける。 + 彼らは心をひとつにしている。そして、自分たちの力と権威とを獣に与える。 + 彼らは小羊に戦いをいどんでくるが、小羊は、主の主、王の王であるから、彼らにうち勝つ。また、小羊と共にいる召された、選ばれた、忠実な者たちも、勝利を得る」。 + 御使はまた、わたしに言った、「あなたの見た水、すなわち、淫婦のすわっている所は、あらゆる民族、群衆、国民、国語である。 + あなたの見た十の角と獣とは、この淫婦を憎み、みじめな者にし、裸にし、彼女の肉を食い、火で焼き尽すであろう。 + 神は、御言が成就する時まで、彼らの心の中に、御旨を行い、思いをひとつにし、彼らの支配権を獣に与える思いを持つようにされたからである。 + あなたの見たかの女は、地の王たちを支配する大いなる都のことである」。 + + + この後、わたしは、もうひとりの御使が、大いなる権威を持って、天から降りて来るのを見た。地は彼の栄光によって明るくされた。 + 彼は力強い声で叫んで言った、「倒れた、大いなるバビロンは倒れた。そして、それは悪魔の住む所、あらゆる汚れた霊の巣くつ、また、あらゆる汚れた憎むべき鳥の巣くつとなった。 + すべての国民は、彼女の姦淫に対する激しい怒りのぶどう酒を飲み、地の王たちは彼女と姦淫を行い、地上の商人たちは、彼女の極度のぜいたくによって富を得たからである」。 + わたしはまた、もうひとつの声が天から出るのを聞いた、「わたしの民よ。彼女から離れ去って、その罪にあずからないようにし、その災害に巻き込まれないようにせよ。 + 彼女の罪は積り積って天に達しており、神はその不義の行いを覚えておられる。 + 彼女がしたとおりに彼女にし返し、そのしわざに応じて二倍に報復をし、彼女が混ぜて入れた杯の中に、その倍の量を、入れてやれ。 + 彼女が自ら高ぶり、ぜいたくをほしいままにしたので、それに対して、同じほどの苦しみと悲しみとを味わわせてやれ。彼女は心の中で『わたしは女王の位についている者であって、やもめではないのだから、悲しみを知らない』と言っている。 + それゆえ、さまざまの災害が、死と悲しみとききんとが、一日のうちに彼女を襲い、そして、彼女は火で焼かれてしまう。彼女をさばく主なる神は、力強いかたなのである。 + 彼女と姦淫を行い、ぜいたくをほしいままにしていた地の王たちは、彼女が焼かれる火の煙を見て、彼女のために胸を打って泣き悲しみ、 + 彼女の苦しみに恐れをいだき、遠くに立って言うであろう、『ああ、わざわいだ、大いなる都、不落の都、バビロンは、わざわいだ。おまえに対するさばきは、一瞬にしてきた』。 + また、地の商人たちも彼女のために泣き悲しむ。もはや、彼らの商品を買う者が、ひとりもないからである。 + その商品は、金、銀、宝石、真珠、麻布、紫布、絹、緋布、各種の香木、各種の象牙細工、高価な木材、銅、鉄、大理石などの器、 + 肉桂、香料、香、におい油、乳香、ぶどう酒、オリブ油、麦粉、麦、牛、羊、馬、車、奴隷、そして人身などである。 + おまえの心の喜びであったくだものはなくなり、あらゆるはでな、はなやかな物はおまえから消え去った。それらのものはもはや見られない。 + これらの品々を売って、彼女から富を得た商人は、彼女の苦しみに恐れをいだいて遠くに立ち、泣き悲しんで言う、 + 『ああ、わざわいだ、麻布と紫布と緋布をまとい、金や宝石や真珠で身を飾っていた大いなる都は、わざわいだ。 + これほどの富が、一瞬にして無に帰してしまうとは』。また、すべての船長、航海者、水夫、すべて海で働いている人たちは、遠くに立ち、 + 彼女が焼かれる火の煙を見て、叫んで言う、『これほどの大いなる都は、どこにあろう』。 + 彼らは頭にちりをかぶり、泣き悲しんで叫ぶ、『ああ、わざわいだ、この大いなる都は、わざわいだ。そのおごりによって、海に舟を持つすべての人が富を得ていたのに、この都も一瞬にして無に帰してしまった』。 + 天よ、聖徒たちよ、使徒たちよ、預言者たちよ。この都について大いに喜べ。神は、あなたがたのために、この都をさばかれたのである」。 + すると、ひとりの力強い御使が、大きなひきうすのような石を持ちあげ、それを海に投げ込んで言った、「大いなる都バビロンは、このように激しく打ち倒され、そして、全く姿を消してしまう。 + また、おまえの中では、立琴をひく者、歌を歌う者、笛を吹く者、ラッパを吹き鳴らす者の楽の音は全く聞かれず、あらゆる仕事の職人たちも全く姿を消し、また、ひきうすの音も、全く聞かれない。 + また、おまえの中では、あかりもともされず、花婿、花嫁の声も聞かれない。というのは、おまえの商人たちは地上で勢力を張る者となり、すべての国民はおまえのまじないでだまされ、 + また、預言者や聖徒の血、さらに、地上で殺されたすべての者の血が、この都で流されたからである」。 + + + この後、わたしは天の大群衆が大声で唱えるような声を聞いた、「ハレルヤ、救と栄光と力とは、われらの神のものであり、 + そのさばきは、真実で正しい。神は、姦淫で地を汚した大淫婦をさばき、神の僕たちの血の報復を彼女になさったからである」。 + 再び声があって、「ハレルヤ、彼女が焼かれる火の煙は、世々限りなく立ちのぼる」と言った。 + すると、二十四人の長老と四つの生き物とがひれ伏し、御座にいます神を拝して言った、「アァメン、ハレルヤ」。 + その時、御座から声が出て言った、「すべての神の僕たちよ、神をおそれる者たちよ。小さき者も大いなる者も、共に、われらの神をさんびせよ」。 + わたしはまた、大群衆の声、多くの水の音、また激しい雷鳴のようなものを聞いた。それはこう言った、「ハレルヤ、全能者にして主なるわれらの神は、王なる支配者であられる。 + わたしたちは喜び楽しみ、神をあがめまつろう。小羊の婚姻の時がきて、花嫁はその用意をしたからである。 + 彼女は、光り輝く、汚れのない麻布の衣を着ることを許された。この麻布の衣は、聖徒たちの正しい行いである」。 + それから、御使はわたしに言った、「書きしるせ。小羊の婚宴に招かれた者は、さいわいである」。またわたしに言った、「これらは、神の真実の言葉である」。 + そこで、わたしは彼の足もとにひれ伏して、彼を拝そうとした。すると、彼は言った、「そのようなことをしてはいけない。わたしは、あなたと同じ僕仲間であり、またイエスのあかしびとであるあなたの兄弟たちと同じ僕仲間である。ただ神だけを拝しなさい。イエスのあかしは、すなわち預言の霊である」。 + またわたしが見ていると、天が開かれ、見よ、そこに白い馬がいた。それに乗っているかたは、「忠実で真実な者」と呼ばれ、義によってさばき、また、戦うかたである。 + その目は燃える炎であり、その頭には多くの冠があった。また、彼以外にはだれも知らない名がその身にしるされていた。 + 彼は血染めの衣をまとい、その名は「神の言」と呼ばれた。 + そして、天の軍勢が、純白で、汚れのない麻布の衣を着て、白い馬に乗り、彼に従った。 + その口からは、諸国民を打つために、鋭いつるぎが出ていた。彼は、鉄のつえをもって諸国民を治め、また、全能者なる神の激しい怒りの酒ぶねを踏む。 + その着物にも、そのももにも、「王の王、主の主」という名がしるされていた。 + また見ていると、ひとりの御使が太陽の中に立っていた。彼は、中空を飛んでいるすべての鳥にむかって、大声で叫んだ、「さあ、神の大宴会に集まってこい。 + そして、王たちの肉、将軍の肉、勇者の肉、馬の肉、馬に乗っている者の肉、また、すべての自由人と奴隷との肉、小さき者と大いなる者との肉をくらえ」。 + なお見ていると、獣と地の王たちと彼らの軍勢とが集まり、馬に乗っているかたとその軍勢とに対して、戦いをいどんだ。 + しかし、獣は捕えられ、また、この獣の前でしるしを行って、獣の刻印を受けた者とその像を拝む者とを惑わしたにせ預言者も、獣と共に捕えられた。そして、この両者とも、生きながら、硫黄の燃えている火の池に投げ込まれた。 + それ以外の者たちは、馬に乗っておられるかたの口から出るつるぎで切り殺され、その肉を、すべての鳥が飽きるまで食べた。 + + + またわたしが見ていると、ひとりの御使が、底知れぬ所のかぎと大きな鎖とを手に持って、天から降りてきた。 + 彼は、悪魔でありサタンである龍、すなわち、かの年を経たへびを捕えて千年の間つなぎおき、 + そして、底知れぬ所に投げ込み、入口を閉じてその上に封印し、千年の期間が終るまで、諸国民を惑わすことがないようにしておいた。その後、しばらくの間だけ解放されることになっていた。 + また見ていると、かず多くの座があり、その上に人々がすわっていた。そして、彼らにさばきの権が与えられていた。また、イエスのあかしをし神の言を伝えたために首を切られた人々の霊がそこにおり、また、獣をもその像をも拝まず、その刻印を額や手に受けることをしなかった人々がいた。彼らは生きかえって、キリストと共に千年の間、支配した。 + (それ以外の死人は、千年の期間が終るまで生きかえらなかった。)これが第一の復活である。 + この第一の復活にあずかる者は、さいわいな者であり、また聖なる者である。この人たちに対しては、第二の死はなんの力もない。彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストと共に千年の間、支配する。 + 千年の期間が終ると、サタンはその獄から解放される。 + そして、出て行き、地の四方にいる諸国民、すなわちゴグ、マゴグを惑わし、彼らを戦いのために召集する。その数は、海の砂のように多い。 + 彼らは地上の広い所に上ってきて、聖徒たちの陣営と愛されていた都とを包囲した。すると、天から火が下ってきて、彼らを焼き尽した。 + そして、彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄との池に投げ込まれた。そこには、獣もにせ預言者もいて、彼らは世々限りなく日夜、苦しめられるのである。 + また見ていると、大きな白い御座があり、そこにいますかたがあった。天も地も御顔の前から逃げ去って、あとかたもなくなった。 + また、死んでいた者が、大いなる者も小さき者も共に、御座の前に立っているのが見えた。かずかずの書物が開かれたが、もう一つの書物が開かれた。これはいのちの書であった。死人はそのしわざに応じ、この書物に書かれていることにしたがって、さばかれた。 + 海はその中にいる死人を出し、死も黄泉もその中にいる死人を出し、そして、おのおのそのしわざに応じて、さばきを受けた。 + それから、死も黄泉も火の池に投げ込まれた。この火の池が第二の死である。 + このいのちの書に名がしるされていない者はみな、火の池に投げ込まれた。 + + + わたしはまた、新しい天と新しい地とを見た。先の天と地とは消え去り、海もなくなってしまった。 + また、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために着飾った花嫁のように用意をととのえて、神のもとを出て、天から下って来るのを見た。 + また、御座から大きな声が叫ぶのを聞いた、「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となり、神自ら人と共にいまして、 + 人の目から涙を全くぬぐいとって下さる。もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが、すでに過ぎ去ったからである」。 + すると、御座にいますかたが言われた、「見よ、わたしはすべてのものを新たにする」。また言われた、「書きしるせ。これらの言葉は、信ずべきであり、まことである」。 + そして、わたしに仰せられた、「事はすでに成った。わたしは、アルパでありオメガである。初めであり終りである。かわいている者には、いのちの水の泉から価なしに飲ませよう。 + 勝利を得る者は、これらのものを受け継ぐであろう。わたしは彼の神となり、彼はわたしの子となる。 + しかし、おくびょうな者、信じない者、忌むべき者、人殺し、姦淫を行う者、まじないをする者、偶像を拝む者、すべて偽りを言う者には、火と硫黄の燃えている池が、彼らの受くべき報いである。これが第二の死である」。 + 最後の七つの災害が満ちている七つの鉢を持っていた七人の御使のひとりがきて、わたしに語って言った、「さあ、きなさい。小羊の妻なる花嫁を見せよう」。 + この御使は、わたしを御霊に感じたまま、大きな高い山に連れて行き、聖都エルサレムが、神の栄光のうちに、神のみもとを出て天から下って来るのを見せてくれた。 + その都の輝きは、高価な宝石のようであり、透明な碧玉のようであった。 + それには大きな、高い城壁があって、十二の門があり、それらの門には、十二の御使がおり、イスラエルの子らの十二部族の名が、それに書いてあった。 + 東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西に三つの門があった。 + また都の城壁には十二の土台があり、それには小羊の十二使徒の十二の名が書いてあった。 + わたしに語っていた者は、都とその門と城壁とを測るために、金の測りざおを持っていた。 + 都は方形であって、その長さと幅とは同じである。彼がその測りざおで都を測ると、一万二千丁であった。長さと幅と高さとは、いずれも同じである。 + また城壁を測ると、百四十四キュビトであった。これは人間の、すなわち、御使の尺度によるのである。 + 城壁は碧玉で築かれ、都はすきとおったガラスのような純金で造られていた。 + 都の城壁の土台は、さまざまな宝石で飾られていた。第一の土台は碧玉、第二はサファイヤ、第三はめのう、第四は緑玉、 + 第五は縞めのう、第六は赤めのう、第七はかんらん石、第八は緑柱石、第九は黄玉石、第十はひすい、第十一は青玉、第十二は紫水晶であった。 + 十二の門は十二の真珠であり、門はそれぞれ一つの真珠で造られ、都の大通りは、すきとおったガラスのような純金であった。 + わたしは、この都の中には聖所を見なかった。全能者にして主なる神と小羊とが、その聖所なのである。 + 都は、日や月がそれを照す必要がない。神の栄光が都を明るくし、小羊が都のあかりだからである。 + 諸国民は都の光の中を歩き、地の王たちは、自分たちの光栄をそこに携えて来る。 + 都の門は、終日、閉ざされることはない。そこには夜がないからである。 + 人々は、諸国民の光栄とほまれとをそこに携えて来る。 + しかし、汚れた者や、忌むべきこと及び偽りを行う者は、その中に決してはいれない。はいれる者は、小羊のいのちの書に名をしるされている者だけである。 + + + 御使はまた、水晶のように輝いているいのちの水の川をわたしに見せてくれた。この川は、神と小羊との御座から出て、 + 都の大通りの中央を流れている。川の両側にはいのちの木があって、十二種の実を結び、その実は毎月みのり、その木の葉は諸国民をいやす。 + のろわるべきものは、もはや何ひとつない。神と小羊との御座は都の中にあり、その僕たちは彼を礼拝し、 + 御顔を仰ぎ見るのである。彼らの額には、御名がしるされている。 + 夜は、もはやない。あかりも太陽の光も、いらない。主なる神が彼らを照し、そして、彼らは世々限りなく支配する。 + 彼はまた、わたしに言った、「これらの言葉は信ずべきであり、まことである。預言者たちのたましいの神なる主は、すぐにも起るべきことをその僕たちに示そうとして、御使をつかわされたのである。 + 見よ、わたしは、すぐに来る。この書の預言の言葉を守る者は、さいわいである」。 + これらのことを見聞きした者は、このヨハネである。わたしが見聞きした時、それらのことを示してくれた御使の足もとにひれ伏して拝そうとすると、 + 彼は言った、「そのようなことをしてはいけない。わたしは、あなたや、あなたの兄弟である預言者たちや、この書の言葉を守る者たちと、同じ僕仲間である。ただ神だけを拝しなさい」。 + またわたしに言った、「この書の預言の言葉を封じてはならない。時が近づいているからである。 + 不義な者はさらに不義を行い、汚れた者はさらに汚れたことを行い、義なる者はさらに義を行い、聖なる者はさらに聖なることを行うままにさせよ」。 + 「見よ、わたしはすぐに来る。報いを携えてきて、それぞれのしわざに応じて報いよう。 + わたしはアルパであり、オメガである。最初の者であり、最後の者である。初めであり、終りである。 + いのちの木にあずかる特権を与えられ、また門をとおって都にはいるために、自分の着物を洗う者たちは、さいわいである。 + 犬ども、まじないをする者、姦淫を行う者、人殺し、偶像を拝む者、また、偽りを好みかつこれを行う者はみな、外に出されている。 + わたしイエスは、使をつかわして、諸教会のために、これらのことをあなたがたにあかしした。わたしは、ダビデの若枝また子孫であり、輝く明けの明星である」。 + 御霊も花嫁も共に言った、「きたりませ」。また、聞く者も「きたりませ」と言いなさい。かわいている者はここに来るがよい。いのちの水がほしい者は、価なしにそれを受けるがよい。 + この書の預言の言葉を聞くすべての人々に対して、わたしは警告する。もしこれに書き加える者があれば、神はその人に、この書に書かれている災害を加えられる。 + また、もしこの預言の書の言葉をとり除く者があれば、神はその人の受くべき分を、この書に書かれているいのちの木と聖なる都から、とり除かれる。 + これらのことをあかしするかたが仰せになる、「しかり、わたしはすぐに来る」。アァメン、主イエスよ、きたりませ。 + 主イエスの恵みが、一同の者と共にあるように。 + +
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+ + 2026-08-31 +

OSIS 2.1.1 version

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+ + Japanese Bible (日本語聖書 口語訳) + Japan Bible Society + + + 1955 + Japanese Colloquial Bible (口語訳聖書 1954/1955) + Japan Bible Society + Bible + nvi + + ja + + + Public Domain + + Bible + +
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+ + はじめに神は天と地とを創造された。 + 地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。 + 神は「光あれ」と言われた。すると光があった。 + 神はその光を見て、良しとされた。神はその光とやみとを分けられた。 + 神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。夕となり、また朝となった。第一日である。 + 神はまた言われた、「水の間におおぞらがあって、水と水とを分けよ」。 + そのようになった。神はおおぞらを造って、おおぞらの下の水とおおぞらの上の水とを分けられた。 + 神はそのおおぞらを天と名づけられた。夕となり、また朝となった。第二日である。 + 神はまた言われた、「天の下の水は一つ所に集まり、かわいた地が現れよ」。そのようになった。 + 神はそのかわいた地を陸と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。神は見て、良しとされた。 + 神はまた言われた、「地は青草と、種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ果樹とを地の上にはえさせよ」。そのようになった。 + 地は青草と、種類にしたがって種をもつ草と、種類にしたがって種のある実を結ぶ木とをはえさせた。神は見て、良しとされた。 + 夕となり、また朝となった。第三日である。 + 神はまた言われた、「天のおおぞらに光があって昼と夜とを分け、しるしのため、季節のため、日のため、年のためになり、 + 天のおおぞらにあって地を照らす光となれ」。そのようになった。 + 神は二つの大きな光を造り、大きい光に昼をつかさどらせ、小さい光に夜をつかさどらせ、また星を造られた。 + 神はこれらを天のおおぞらに置いて地を照らさせ、 + 昼と夜とをつかさどらせ、光とやみとを分けさせられた。神は見て、良しとされた。 + 夕となり、また朝となった。第四日である。 + 神はまた言われた、「水は生き物の群れで満ち、鳥は地の上、天のおおぞらを飛べ」。 + 神は海の大いなる獣と、水に群がるすべての動く生き物とを、種類にしたがって創造し、また翼のあるすべての鳥を、種類にしたがって創造された。神は見て、良しとされた。 + 神はこれらを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、海の水に満ちよ、また鳥は地にふえよ」。 + 夕となり、また朝となった。第五日である。 + 神はまた言われた、「地は生き物を種類にしたがっていだせ。家畜と、這うものと、地の獣とを種類にしたがっていだせ」。そのようになった。 + 神は地の獣を種類にしたがい、家畜を種類にしたがい、また地に這うすべての物を種類にしたがって造られた。神は見て、良しとされた。 + 神はまた言われた、「われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを治めさせよう」。 + 神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。 + 神は彼らを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」。 + 神はまた言われた、「わたしは全地のおもてにある種をもつすべての草と、種のある実を結ぶすべての木とをあなたがたに与える。これはあなたがたの食物となるであろう。 + また地のすべての獣、空のすべての鳥、地を這うすべてのもの、すなわち命あるものには、食物としてすべての青草を与える」。そのようになった。 + 神が造ったすべての物を見られたところ、それは、はなはだ良かった。夕となり、また朝となった。第六日である。 + + + こうして天と地と、その万象とが完成した。 + 神は第七日にその作業を終えられた。すなわち、そのすべての作業を終って第七日に休まれた。 + 神はその第七日を祝福して、これを聖別された。神がこの日に、そのすべての創造のわざを終って休まれたからである。 + これが天地創造の由来である。主なる神が地と天とを造られた時、 + 地にはまだ野の木もなく、また野の草もはえていなかった。主なる神が地に雨を降らせず、また土を耕す人もなかったからである。 + しかし地から泉がわきあがって土の全面を潤していた。 + 主なる神は土のちりで人を造り、命の息をその鼻に吹きいれられた。そこで人は生きた者となった。 + 主なる神は東のかた、エデンに一つの園を設けて、その造った人をそこに置かれた。 + また主なる神は、見て美しく、食べるに良いすべての木を土からはえさせ、更に園の中央に命の木と、善悪を知る木とをはえさせられた。 + また一つの川がエデンから流れ出て園を潤し、そこから分れて四つの川となった。 + その第一の名はピソンといい、金のあるハビラの全地をめぐるもので、 + その地の金は良く、またそこはブドラクと、しまめのうとを産した。 + 第二の川の名はギホンといい、クシの全地をめぐるもの。 + 第三の川の名はヒデケルといい、アッスリヤの東を流れるもの。第四の川はユフラテである。 + 主なる神は人を連れて行ってエデンの園に置き、これを耕させ、これを守らせられた。 + 主なる神はその人に命じて言われた、「あなたは園のどの木からでも心のままに取って食べてよろしい。 + しかし善悪を知る木からは取って食べてはならない。それを取って食べると、きっと死ぬであろう」。 + また主なる神は言われた、「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」。 + そして主なる神は野のすべての獣と、空のすべての鳥とを土で造り、人のところへ連れてきて、彼がそれにどんな名をつけるかを見られた。人がすべて生き物に与える名は、その名となるのであった。 + それで人は、すべての家畜と、空の鳥と、野のすべての獣とに名をつけたが、人にはふさわしい助け手が見つからなかった。 + そこで主なる神は人を深く眠らせ、眠った時に、そのあばら骨の一つを取って、その所を肉でふさがれた。 + 主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を造り、人のところへ連れてこられた。 + そのとき、人は言った。「これこそ、ついにわたしの骨の骨、わたしの肉の肉。男から取ったものだから、これを女と名づけよう」。 + それで人はその父と母を離れて、妻と結び合い、一体となるのである。 + 人とその妻とは、ふたりとも裸であったが、恥ずかしいとは思わなかった。 + + + さて主なる神が造られた野の生き物のうちで、へびが最も狡猾であった。へびは女に言った、「園にあるどの木からも取って食べるなと、ほんとうに神が言われたのですか」。 + 女はへびに言った、「わたしたちは園の木の実を食べることは許されていますが、 + ただ園の中央にある木の実については、これを取って食べるな、これに触れるな、死んではいけないからと、神は言われました」。 + へびは女に言った、「あなたがたは決して死ぬことはないでしょう。 + それを食べると、あなたがたの目が開け、神のように善悪を知る者となることを、神は知っておられるのです」。 + 女がその木を見ると、それは食べるに良く、目には美しく、賢くなるには好ましいと思われたから、その実を取って食べ、また共にいた夫にも与えたので、彼も食べた。 + すると、ふたりの目が開け、自分たちの裸であることがわかったので、いちじくの葉をつづり合わせて、腰に巻いた。 + 彼らは、日の涼しい風の吹くころ、園の中に主なる神の歩まれる音を聞いた。そこで、人とその妻とは主なる神の顔を避けて、園の木の間に身を隠した。 + 主なる神は人に呼びかけて言われた、「あなたはどこにいるのか」。 + 彼は答えた、「園の中であなたの歩まれる音を聞き、わたしは裸だったので、恐れて身を隠したのです」。 + 神は言われた、「あなたが裸であるのを、だれが知らせたのか。食べるなと、命じておいた木から、あなたは取って食べたのか」。 + 人は答えた、「わたしと一緒にしてくださったあの女が、木から取ってくれたので、わたしは食べたのです」。 + そこで主なる神は女に言われた、「あなたは、なんということをしたのです」。女は答えた、「へびがわたしをだましたのです。それでわたしは食べました」。 + 主なる神はへびに言われた、「おまえは、この事を、したので、すべての家畜、野のすべての獣のうち、最ものろわれる。おまえは腹で、這いあるき、一生、ちりを食べるであろう。 + わたしは恨みをおく、おまえと女とのあいだに、おまえのすえと女のすえとの間に。彼はおまえのかしらを砕き、おまえは彼のかかとを砕くであろう」。 + つぎに女に言われた、「わたしはあなたの産みの苦しみを大いに増す。あなたは苦しんで子を産む。それでもなお、あなたは夫を慕い、彼はあなたを治めるであろう」。 + 更に人に言われた、「あなたが妻の言葉を聞いて、食べるなと、わたしが命じた木から取って食べたので、地はあなたのためにのろわれ、あなたは一生、苦しんで地から食物を取る。 + 地はあなたのために、いばらとあざみとを生じ、あなたは野の草を食べるであろう。 + あなたは顔に汗してパンを食べ、ついに土に帰る、あなたは土から取られたのだから。あなたは、ちりだから、ちりに帰る」。 + さて、人はその妻の名をエバと名づけた。彼女がすべて生きた者の母だからである。 + 主なる神は人とその妻とのために皮の着物を造って、彼らに着せられた。 + 主なる神は言われた、「見よ、人はわれわれのひとりのようになり、善悪を知るものとなった。彼は手を伸べ、命の木からも取って食べ、永久に生きるかも知れない」。 + そこで主なる神は彼をエデンの園から追い出して、人が造られたその土を耕させられた。 + 神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、命の木の道を守らせられた。 + + + 人はその妻エバを知った。彼女はみごもり、カインを産んで言った、「わたしは主によって、ひとりの人を得た」。 + 彼女はまた、その弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。 + 日がたって、カインは地の産物を持ってきて、主に供え物とした。 + アベルもまた、その群れのういごと肥えたものとを持ってきた。主はアベルとその供え物とを顧みられた。 + しかしカインとその供え物とは顧みられなかったので、カインは大いに憤って、顔を伏せた。 + そこで主はカインに言われた、「なぜあなたは憤るのですか、なぜ顔を伏せるのですか。 + 正しい事をしているのでしたら、顔をあげたらよいでしょう。もし正しい事をしていないのでしたら、罪が門口に待ち伏せています。それはあなたを慕い求めますが、あなたはそれを治めなければなりません」。 + カインは弟アベルに言った、「さあ、野原へ行こう」。彼らが野にいたとき、カインは弟アベルに立ちかかって、これを殺した。 + 主はカインに言われた、「弟アベルは、どこにいますか」。カインは答えた、「知りません。わたしが弟の番人でしょうか」。 + 主は言われた、「あなたは何をしたのです。あなたの弟の血の声が土の中からわたしに叫んでいます。 + 今あなたはのろわれてこの土地を離れなければなりません。この土地が口をあけて、あなたの手から弟の血を受けたからです。 + あなたが土地を耕しても、土地は、もはやあなたのために実を結びません。あなたは地上の放浪者となるでしょう」。 + カインは主に言った、「わたしの罰は重くて負いきれません。 + あなたは、きょう、わたしを地のおもてから追放されました。わたしはあなたを離れて、地上の放浪者とならねばなりません。わたしを見付ける人はだれでもわたしを殺すでしょう」。 + 主はカインに言われた、「いや、そうではない。だれでもカインを殺す者は七倍の復讐を受けるでしょう」。そして主はカインを見付ける者が、だれも彼を打ち殺すことのないように、彼に一つのしるしをつけられた。 + カインは主の前を去って、エデンの東、ノドの地に住んだ。 + カインはその妻を知った。彼女はみごもってエノクを産んだ。カインは町を建て、その町の名をその子の名にしたがって、エノクと名づけた。 + エノクにはイラデが生れた。イラデの子はメホヤエル、メホヤエルの子はメトサエル、メトサエルの子はレメクである。 + レメクはふたりの妻をめとった。ひとりの名はアダといい、ひとりの名はチラといった。 + アダはヤバルを産んだ。彼は天幕に住んで、家畜を飼う者の先祖となった。 + その弟の名はユバルといった。彼は琴や笛を執るすべての者の先祖となった。 + チラもまたトバルカインを産んだ。彼は青銅や鉄のすべての刃物を鍛える者となった。トバルカインの妹をナアマといった。 + レメクはその妻たちに言った、「アダとチラよ、わたしの声を聞け、レメクの妻たちよ、わたしの言葉に耳を傾けよ。わたしは受ける傷のために、人を殺し、受ける打ち傷のために、わたしは若者を殺す。 + カインのための復讐が七倍ならば、レメクのための復讐は七十七倍」。 + アダムはまたその妻を知った。彼女は男の子を産み、その名をセツと名づけて言った、「カインがアベルを殺したので、神はアベルの代りに、ひとりの子をわたしに授けられました」。 + セツにもまた男の子が生れた。彼はその名をエノスと名づけた。この時、人々は主の名を呼び始めた。 + + + アダムの系図は次のとおりである。神が人を創造された時、神をかたどって造り、 + 彼らを男と女とに創造された。彼らが創造された時、神は彼らを祝福して、その名をアダムと名づけられた。 + アダムは百三十歳になって、自分にかたどり、自分のかたちのような男の子を生み、その名をセツと名づけた。 + アダムがセツを生んで後、生きた年は八百年であって、ほかに男子と女子を生んだ。 + アダムの生きた年は合わせて九百三十歳であった。そして彼は死んだ。 + セツは百五歳になって、エノスを生んだ。 + セツはエノスを生んだ後、八百七年生きて、男子と女子を生んだ。 + セツの年は合わせて九百十二歳であった。そして彼は死んだ。 + エノスは九十歳になって、カイナンを生んだ。 + エノスはカイナンを生んだ後、八百十五年生きて、男子と女子を生んだ。 + エノスの年は合わせて九百五歳であった。そして彼は死んだ。 + カイナンは七十歳になって、マハラレルを生んだ。 + カイナンはマハラレルを生んだ後、八百四十年生きて、男子と女子を生んだ。 + カイナンの年は合わせて九百十歳であった。そして彼は死んだ。 + マハラレルは六十五歳になって、ヤレドを生んだ。 + マハラレルはヤレドを生んだ後、八百三十年生きて、男子と女子を生んだ。 + マハラレルの年は合わせて八百九十五歳であった。そして彼は死んだ。 + ヤレドは百六十二歳になって、エノクを生んだ。 + ヤレドはエノクを生んだ後、八百年生きて、男子と女子を生んだ。 + ヤレドの年は合わせて九百六十二歳であった。そして彼は死んだ。 + エノクは六十五歳になって、メトセラを生んだ。 + エノクはメトセラを生んだ後、三百年、神とともに歩み、男子と女子を生んだ。 + エノクの年は合わせて三百六十五歳であった。 + エノクは神とともに歩み、神が彼を取られたので、いなくなった。 + メトセラは百八十七歳になって、レメクを生んだ。 + メトセラはレメクを生んだ後、七百八十二年生きて、男子と女子を生んだ。 + メトセラの年は合わせて九百六十九歳であった。そして彼は死んだ。 + レメクは百八十二歳になって、男の子を生み、 + 「この子こそ、主が地をのろわれたため、骨折り働くわれわれを慰めるもの」と言って、その名をノアと名づけた。 + レメクはノアを生んだ後、五百九十五年生きて、男子と女子を生んだ。 + レメクの年は合わせて七百七十七歳であった。そして彼は死んだ。 + ノアは五百歳になって、セム、ハム、ヤペテを生んだ。 + + + 人が地のおもてにふえ始めて、娘たちが彼らに生れた時、 + 神の子たちは人の娘たちの美しいのを見て、自分の好む者を妻にめとった。 + そこで主は言われた、「わたしの霊はながく人の中にとどまらない。彼は肉にすぎないのだ。しかし、彼の年は百二十年であろう」。 + そのころ、またその後にも、地にネピリムがいた。これは神の子たちが人の娘たちのところにはいって、娘たちに産ませたものである。彼らは昔の勇士であり、有名な人々であった。 + 主は人の悪が地にはびこり、すべてその心に思いはかることが、いつも悪い事ばかりであるのを見られた。 + 主は地の上に人を造ったのを悔いて、心を痛め、 + 「わたしが創造した人を地のおもてからぬぐい去ろう。人も獣も、這うものも、空の鳥までも。わたしは、これらを造ったことを悔いる」と言われた。 + しかし、ノアは主の前に恵みを得た。 + ノアの系図は次のとおりである。ノアはその時代の人々の中で正しく、かつ全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。 + ノアはセム、ハム、ヤペテの三人の子を生んだ。 + 時に世は神の前に乱れて、暴虐が地に満ちた。 + 神が地を見られると、それは乱れていた。すべての人が地の上でその道を乱したからである。 + そこで神はノアに言われた、「わたしは、すべての人を絶やそうと決心した。彼らは地を暴虐で満たしたから、わたしは彼らを地とともに滅ぼそう。 + あなたは、いとすぎの木で箱舟を造り、箱舟の中にへやを設け、アスファルトでそのうちそとを塗りなさい。 + その造り方は次のとおりである。すなわち箱舟の長さは三百キュビト、幅は五十キュビト、高さは三十キュビトとし、 + 箱舟に屋根を造り、上へ一キュビトにそれを仕上げ、また箱舟の戸口をその横に設けて、一階と二階と三階のある箱舟を造りなさい。 + わたしは地の上に洪水を送って、命の息のある肉なるものを、みな天の下から滅ぼし去る。地にあるものは、みな死に絶えるであろう。 + ただし、わたしはあなたと契約を結ぼう。あなたは子らと、妻と、子らの妻たちと共に箱舟にはいりなさい。 + またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二つずつを箱舟に入れて、あなたと共にその命を保たせなさい。それらは雄と雌とでなければならない。 + すなわち、鳥はその種類にしたがい獣はその種類にしたがい、また地のすべての這うものも、その種類にしたがって、それぞれ二つずつ、あなたのところに入れて、命を保たせなさい。 + また、すべての食物となるものをとって、あなたのところにたくわえ、あなたとこれらのものとの食物としなさい」。 + ノアはすべて神の命じられたようにした。 + + + 主はノアに言われた、「あなたと家族とはみな箱舟にはいりなさい。あなたがこの時代の人々の中で、わたしの前に正しい人であるとわたしは認めたからである。 + あなたはすべての清い獣の中から雄と雌とを七つずつ取り、清くない獣の中から雄と雌とを二つずつ取り、 + また空の鳥の中から雄と雌とを七つずつ取って、その種類が全地のおもてに生き残るようにしなさい。 + 七日の後、わたしは四十日四十夜、地に雨を降らせて、わたしの造ったすべての生き物を、地のおもてからぬぐい去ります」。 + ノアはすべて主が命じられたようにした。 + さて洪水が地に起った時、ノアは六百歳であった。 + ノアは子らと、妻と、子らの妻たちと共に洪水を避けて箱舟にはいった。 + また清い獣と、清くない獣と、鳥と、地に這うすべてのものとの、 + 雄と雌とが、二つずつノアのもとにきて、神がノアに命じられたように箱舟にはいった。 + こうして七日の後、洪水が地に起った。 + それはノアの六百歳の二月十七日であって、その日に大いなる淵の源は、ことごとく破れ、天の窓が開けて、 + 雨は四十日四十夜、地に降り注いだ。 + その同じ日に、ノアと、ノアの子セム、ハム、ヤペテと、ノアの妻と、その子らの三人の妻とは共に箱舟にはいった。 + またすべての種類の獣も、すべての種類の家畜も、地のすべての種類の這うものも、すべての種類の鳥も、すべての翼あるものも、皆はいった。 + すなわち命の息のあるすべての肉なるものが、二つずつノアのもとにきて、箱舟にはいった。 + そのはいったものは、すべて肉なるものの雄と雌とであって、神が彼に命じられたようにはいった。そこで主は彼のうしろの戸を閉ざされた。 + 洪水は四十日のあいだ地上にあった。水が増して箱舟を浮べたので、箱舟は地から高く上がった。 + また水がみなぎり、地に増したので、箱舟は水のおもてに漂った。 + 水はまた、ますます地にみなぎり、天の下の高い山々は皆おおわれた。 + 水はその上、さらに十五キュビトみなぎって、山々は全くおおわれた。 + 地の上に動くすべて肉なるものは、鳥も家畜も獣も、地に群がるすべての這うものも、すべての人もみな滅びた。 + すなわち鼻に命の息のあるすべてのもの、陸にいたすべてのものは死んだ。 + 地のおもてにいたすべての生き物は、人も家畜も、這うものも、空の鳥もみな地からぬぐい去られて、ただノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。 + 水は百五十日のあいだ地上にみなぎった。 + + + 神はノアと、箱舟の中にいたすべての生き物と、すべての家畜とを心にとめられた。神が風を地の上に吹かせられたので、水は退いた。 + また淵の源と、天の窓とは閉ざされて、天から雨が降らなくなった。 + それで水はしだいに地の上から引いて、百五十日の後には水が減り、 + 箱舟は七月十七日にアララテの山にとどまった。 + 水はしだいに減って、十月になり、十月一日に山々の頂が現れた。 + 四十日たって、ノアはその造った箱舟の窓を開いて、 + からすを放ったところ、からすは地の上から水がかわききるまで、あちらこちらへ飛びまわった。 + ノアはまた地のおもてから、水がひいたかどうかを見ようと、彼の所から、はとを放ったが、 + はとは足の裏をとどめる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰ってきた。水がまだ全地のおもてにあったからである。彼は手を伸べて、これを捕え、箱舟の中の彼のもとに引き入れた。 + それから七日待って再びはとを箱舟から放った。 + はとは夕方になって彼のもとに帰ってきた。見ると、そのくちばしには、オリブの若葉があった。ノアは地から水がひいたのを知った。 + さらに七日待ってまた、はとを放ったところ、もはや彼のもとには帰ってこなかった。 + 六百一歳の一月一日になって、地の上の水はかれた。ノアが箱舟のおおいを取り除いて見ると、土のおもては、かわいていた。 + 二月二十七日になって、地は全くかわいた。 + この時、神はノアに言われた、 + 「あなたは妻と、子らと、子らの妻たちと共に箱舟を出なさい。 + あなたは、共にいる肉なるすべての生き物、すなわち鳥と家畜と、地のすべての這うものとを連れて出て、これらのものが地に群がり、地の上にふえ広がるようにしなさい」。 + ノアは共にいた子らと、妻と、子らの妻たちとを連れて出た。 + またすべての獣、すべての這うもの、すべての鳥、すべて地の上に動くものは皆、種類にしたがって箱舟を出た。 + ノアは主に祭壇を築いて、すべての清い獣と、すべての清い鳥とのうちから取って、燔祭を祭壇の上にささげた。 + 主はその香ばしいかおりをかいで、心に言われた、「わたしはもはや二度と人のゆえに地をのろわない。人が心に思い図ることは、幼い時から悪いからである。わたしは、このたびしたように、もう二度と、すべての生きたものを滅ぼさない。 + 地のある限り、種まきの時も、刈入れの時も、暑さ寒さも、夏冬も、昼も夜もやむことはないであろう」。 + + + 神はノアとその子らとを祝福して彼らに言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ。 + 地のすべての獣、空のすべての鳥、地に這うすべてのもの、海のすべての魚は恐れおののいて、あなたがたの支配に服し、 + すべて生きて動くものはあなたがたの食物となるであろう。さきに青草をあなたがたに与えたように、わたしはこれらのものを皆あなたがたに与える。 + しかし肉を、その命である血のままで、食べてはならない。 + あなたがたの命の血を流すものには、わたしは必ず報復するであろう。いかなる獣にも報復する。兄弟である人にも、わたしは人の命のために、報復するであろう。 + 人の血を流すものは、人に血を流される、神が自分のかたちに人を造られたゆえに。 + あなたがたは、生めよ、ふえよ、地に群がり、地の上にふえよ」。 + 神はノアおよび共にいる子らに言われた、 + 「わたしはあなたがた及びあなたがたの後の子孫と契約を立てる。 + またあなたがたと共にいるすべての生き物、あなたがたと共にいる鳥、家畜、地のすべての獣、すなわち、すべて箱舟から出たものは、地のすべての獣にいたるまで、わたしはそれと契約を立てよう。 + わたしがあなたがたと立てるこの契約により、すべて肉なる者は、もはや洪水によって滅ぼされることはなく、また地を滅ぼす洪水は、再び起らないであろう」。 + さらに神は言われた、「これはわたしと、あなたがた及びあなたがたと共にいるすべての生き物との間に代々かぎりなく、わたしが立てる契約のしるしである。 + すなわち、わたしは雲の中に、にじを置く。これがわたしと地との間の契約のしるしとなる。 + わたしが雲を地の上に起すとき、にじは雲の中に現れる。 + こうして、わたしは、わたしとあなたがた、及びすべて肉なるあらゆる生き物との間に立てた契約を思いおこすゆえ、水はふたたび、すべて肉なる者を滅ぼす洪水とはならない。 + にじが雲の中に現れるとき、わたしはこれを見て、神が地上にあるすべて肉なるあらゆる生き物との間に立てた永遠の契約を思いおこすであろう」。 + そして神はノアに言われた、「これがわたしと地にあるすべて肉なるものとの間に、わたしが立てた契約のしるしである」。 + 箱舟から出たノアの子らはセム、ハム、ヤペテであった。ハムはカナンの父である。 + この三人はノアの子らで、全地の民は彼らから出て、広がったのである。 + さてノアは農夫となり、ぶどう畑をつくり始めたが、 + 彼はぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。 + カナンの父ハムは父の裸を見て、外にいるふたりの兄弟に告げた。 + セムとヤペテとは着物を取って、肩にかけ、うしろ向きに歩み寄って、父の裸をおおい、顔をそむけて父の裸を見なかった。 + やがてノアは酔いがさめて、末の子が彼にした事を知ったとき、 + 彼は言った、「カナンはのろわれよ。彼はしもべのしもべとなって、その兄弟たちに仕える」。 + また言った、「セムの神、主はほむべきかな、カナンはそのしもべとなれ。 + 神はヤペテを大いならしめ、セムの天幕に彼を住まわせられるように。カナンはそのしもべとなれ」。 + ノアは洪水の後、なお三百五十年生きた。 + ノアの年は合わせて九百五十歳であった。そして彼は死んだ。 + + + ノアの子セム、ハム、ヤペテの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに子が生れた。 + ヤペテの子孫はゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メセク、テラスであった。 + ゴメルの子孫はアシケナズ、リパテ、トガルマ。 + ヤワンの子孫はエリシャ、タルシシ、キッテム、ドダニムであった。 + これらから海沿いの地の国民が分れて、おのおのその土地におり、その言語にしたがい、その氏族にしたがって、その国々に住んだ。 + ハムの子孫はクシ、ミツライム、プテ、カナンであった。 + クシの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカであり、ラアマの子孫はシバとデダンであった。 + クシの子はニムロデであって、このニムロデは世の権力者となった最初の人である。 + 彼は主の前に力ある狩猟者であった。これから「主の前に力ある狩猟者ニムロデのごとし」ということわざが起った。 + 彼の国は最初シナルの地にあるバベル、エレク、アカデ、カルネであった。 + 彼はその地からアッスリヤに出て、ニネベ、レホボテイリ、カラ、 + およびニネベとカラとの間にある大いなる町レセンを建てた。 + ミツライムからルデ族、アナミ族、レハビ族、ナフト族、 + パテロス族、カスル族、カフトリ族が出た。カフトリ族からペリシテ族が出た。 + カナンからその長子シドンが出て、またヘテが出た。 + その他エブスびと、アモリびと、ギルガシびと、 + ヒビびと、アルキびと、セニびと、 + アルワデびと、ゼマリびと、ハマテびとが出た。後になってカナンびとの氏族がひろがった。 + カナンびとの境はシドンからゲラルを経てガザに至り、ソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムを経て、レシャに及んだ。 + これらはハムの子孫であって、その氏族とその言語とにしたがって、その土地と、その国々にいた。 + セムにも子が生れた。セムはエベルのすべての子孫の先祖であって、ヤペテの兄であった。 + セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラムであった。 + アラムの子孫はウヅ、ホル、ゲテル、マシであった。 + アルパクサデの子はシラ、シラの子はエベルである。 + エベルにふたりの子が生れた。そのひとりの名をペレグといった。これは彼の代に地の民が分れたからである。その弟の名をヨクタンといった。 + ヨクタンにアルモダデ、シャレフ、ハザルマウテ、エラ、 + ハドラム、ウザル、デクラ、 + オバル、アビマエル、シバ、 + オフル、ハビラ、ヨバブが生れた。これらは皆ヨクタンの子であった。 + 彼らが住んだ所はメシャから東の山地セパルに及んだ。 + これらはセムの子孫であって、その氏族とその言語とにしたがって、その土地と、その国々にいた。 + これらはノアの子らの氏族であって、血統にしたがって国々に住んでいたが、洪水の後、これらから地上の諸国民が分れたのである。 + + + 全地は同じ発音、同じ言葉であった。 + 時に人々は東に移り、シナルの地に平野を得て、そこに住んだ。 + 彼らは互に言った、「さあ、れんがを造って、よく焼こう」。こうして彼らは石の代りに、れんがを得、しっくいの代りに、アスファルトを得た。 + 彼らはまた言った、「さあ、町と塔とを建てて、その頂を天に届かせよう。そしてわれわれは名を上げて、全地のおもてに散るのを免れよう」。 + 時に主は下って、人の子たちの建てる町と塔とを見て、 + 言われた、「民は一つで、みな同じ言葉である。彼らはすでにこの事をしはじめた。彼らがしようとする事は、もはや何事もとどめ得ないであろう。 + さあ、われわれは下って行って、そこで彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」。 + こうして主が彼らをそこから全地のおもてに散らされたので、彼らは町を建てるのをやめた。 + これによってその町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を乱されたからである。主はそこから彼らを全地のおもてに散らされた。 + セムの系図は次のとおりである。セムは百歳になって洪水の二年の後にアルパクサデを生んだ。 + セムはアルパクサデを生んで後、五百年生きて、男子と女子を生んだ。 + アルパクサデは三十五歳になってシラを生んだ。 + アルパクサデはシラを生んで後、四百三年生きて、男子と女子を生んだ。 + シラは三十歳になってエベルを生んだ。 + シラはエベルを生んで後、四百三年生きて、男子と女子を生んだ。 + エベルは三十四歳になってペレグを生んだ。 + エベルはペレグを生んで後、四百三十年生きて、男子と女子を生んだ。 + ペレグは三十歳になってリウを生んだ。 + ペレグはリウを生んで後、二百九年生きて、男子と女子を生んだ。 + リウは三十二歳になってセルグを生んだ。 + リウはセルグを生んで後、二百七年生きて、男子と女子を生んだ。 + セルグは三十歳になってナホルを生んだ。 + セルグはナホルを生んで後、二百年生きて、男子と女子を生んだ。 + ナホルは二十九歳になってテラを生んだ。 + ナホルはテラを生んで後、百十九年生きて、男子と女子を生んだ。 + テラは七十歳になってアブラム、ナホルおよびハランを生んだ。 + テラの系図は次のとおりである。テラはアブラム、ナホルおよびハランを生み、ハランはロトを生んだ。 + ハランは父テラにさきだって、その生れた地、カルデヤのウルで死んだ。 + アブラムとナホルは妻をめとった。アブラムの妻の名はサライといい、ナホルの妻の名はミルカといってハランの娘である。ハランはミルカの父、またイスカの父である。 + サライはうまずめで、子がなかった。 + テラはその子アブラムと、ハランの子である孫ロトと、子アブラムの妻である嫁サライとを連れて、カナンの地へ行こうとカルデヤのウルを出たが、ハランに着いてそこに住んだ。 + テラの年は二百五歳であった。テラはハランで死んだ。 + + + 時に主はアブラムに言われた、「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい。 + わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大きくしよう。あなたは祝福の基となるであろう。 + あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地のすべてのやからは、あなたによって祝福される」。 + アブラムは主が言われたようにいで立った。ロトも彼と共に行った。アブラムはハランを出たとき七十五歳であった。 + アブラムは妻サライと、弟の子ロトと、集めたすべての財産と、ハランで獲た人々とを携えてカナンに行こうとしていで立ち、カナンの地にきた。 + アブラムはその地を通ってシケムの所、モレのテレビンの木のもとに着いた。そのころカナンびとがその地にいた。 + 時に主はアブラムに現れて言われた、「わたしはあなたの子孫にこの地を与えます」。アブラムは彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。 + 彼はそこからベテルの東の山に移って天幕を張った。西にはベテル、東にはアイがあった。そこに彼は主のために祭壇を築いて、主の名を呼んだ。 + アブラムはなお進んでネゲブに移った。 + さて、その地にききんがあったのでアブラムはエジプトに寄留しようと、そこに下った。ききんがその地に激しかったからである。 + エジプトにはいろうとして、そこに近づいたとき、彼は妻サライに言った、「わたしはあなたが美しい女であるのを知っています。 + それでエジプトびとがあなたを見る時、これは彼の妻であると言ってわたしを殺し、あなたを生かしておくでしょう。 + どうかあなたは、わたしの妹だと言ってください。そうすればわたしはあなたのおかげで無事であり、わたしの命はあなたによって助かるでしょう」。 + アブラムがエジプトにはいった時エジプトびとはこの女を見て、たいそう美しい人であるとし、 + またパロの高官たちも彼女を見てパロの前でほめたので、女はパロの家に召し入れられた。 + パロは彼女のゆえにアブラムを厚くもてなしたので、アブラムは多くの羊、牛、雌雄のろば、男女の奴隷および、らくだを得た。 + ところで主はアブラムの妻サライのゆえに、激しい疫病をパロとその家に下された。 + パロはアブラムを召し寄せて言った、「あなたはわたしになんという事をしたのですか。なぜ彼女が妻であるのをわたしに告げなかったのですか。 + あなたはなぜ、彼女はわたしの妹ですと言ったのですか。わたしは彼女を妻にしようとしていました。さあ、あなたの妻はここにいます。連れて行ってください」。 + パロは彼の事について人々に命じ、彼とその妻およびそのすべての持ち物を送り去らせた。 + + + アブラムは妻とすべての持ち物を携え、エジプトを出て、ネゲブに上った。ロトも彼と共に上った。 + アブラムは家畜と金銀に非常に富んでいた。 + 彼はネゲブから旅路を進めてベテルに向かい、ベテルとアイの間の、さきに天幕を張った所に行った。 + すなわち彼が初めに築いた祭壇の所に行き、その所でアブラムは主の名を呼んだ。 + アブラムと共に行ったロトも羊、牛および天幕を持っていた。 + その地は彼らをささえて共に住ませることができなかった。彼らの財産が多かったため、共に住めなかったのである。 + アブラムの家畜の牧者たちとロトの家畜の牧者たちの間に争いがあった。そのころカナンびととペリジびとがその地に住んでいた。 + アブラムはロトに言った、「わたしたちは身内の者です。わたしとあなたの間にも、わたしの牧者たちとあなたの牧者たちの間にも争いがないようにしましょう。 + 全地はあなたの前にあるではありませんか。どうかわたしと別れてください。あなたが左に行けばわたしは右に行きます。あなたが右に行けばわたしは左に行きましょう」。 + ロトが目を上げてヨルダンの低地をあまねく見わたすと、主がソドムとゴモラを滅ぼされる前であったから、ゾアルまで主の園のように、またエジプトの地のように、すみずみまでよく潤っていた。 + そこでロトはヨルダンの低地をことごとく選びとって東に移った。こうして彼らは互に別れた。 + アブラムはカナンの地に住んだが、ロトは低地の町々に住み、天幕をソドムに移した。 + ソドムの人々はわるく、主に対して、はなはだしい罪びとであった。 + ロトがアブラムに別れた後に、主はアブラムに言われた、「目をあげてあなたのいる所から北、南、東、西を見わたしなさい。 + すべてあなたが見わたす地は、永久にあなたとあなたの子孫に与えます。 + わたしはあなたの子孫を地のちりのように多くします。もし人が地のちりを数えることができるなら、あなたの子孫も数えられることができましょう。 + あなたは立って、その地をたてよこに行き巡りなさい。わたしはそれをあなたに与えます」。 + アブラムは天幕を移してヘブロンにあるマムレのテレビンの木のかたわらに住み、その所で主に祭壇を築いた。 + + + シナルの王アムラペル、エラサルの王アリオク、エラムの王ケダラオメルおよびゴイムの王テダルの世に、 + これらの王はソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデマの王シナブ、ゼボイムの王セメベル、およびベラすなわちゾアルの王と戦った。 + これら五人の王はみな同盟してシデムの谷、すなわち塩の海に向かって行った。 + すなわち彼らは十二年の間ケダラオメルに仕えたが、十三年目にそむいたので、 + 十四年目にケダラオメルは彼と連合した王たちと共にきて、アシタロテ・カルナイムでレパイムびとを、ハムでズジびとを、シャベ・キリアタイムでエミびとを撃ち、 + セイルの山地でホリびとを撃って、荒野のほとりにあるエル・パランに及んだ。 + 彼らは引き返してエン・ミシパテすなわちカデシへ行って、アマレクびとの国をことごとく撃ち、またハザゾン・タマルに住むアモリびとをも撃った。 + そこでソドムの王、ゴモラの王、アデマの王、ゼボイムの王およびベラすなわちゾアルの王は出てシデムの谷で彼らに向かい、戦いの陣をしいた。 + すなわちエラムの王ケダラオメル、ゴイムの王テダル、シナルの王アムラペル、エラサルの王アリオクの四人の王に対する五人の王であった。 + シデムの谷にはアスファルトの穴が多かったので、ソドムの王とゴモラの王は逃げてそこに落ちたが、残りの者は山にのがれた。 + そこで彼らはソドムとゴモラの財産と食料とをことごとく奪って去り、 + またソドムに住んでいたアブラムの弟の子ロトとその財産を奪って去った。 + 時に、ひとりの人がのがれてきて、ヘブルびとアブラムに告げた。この時アブラムはエシコルの兄弟、またアネルの兄弟であるアモリびとマムレのテレビンの木のかたわらに住んでいた。彼らはアブラムと同盟していた。 + アブラムは身内の者が捕虜になったのを聞き、訓練した家の子三百十八人を引き連れてダンまで追って行き、 + そのしもべたちを分けて、夜かれらを攻め、これを撃ってダマスコの北、ホバまで彼らを追った。 + そして彼はすべての財産を取り返し、また身内の者ロトとその財産および女たちと民とを取り返した。 + アブラムがケダラオメルとその連合の王たちを撃ち破って帰った時、ソドムの王はシャベの谷、すなわち王の谷に出て彼を迎えた。 + その時、サレムの王メルキゼデクはパンとぶどう酒とを持ってきた。彼はいと高き神の祭司である。 + 彼はアブラムを祝福して言った、「願わくは天地の主なるいと高き神が、アブラムを祝福されるように。 + 願わくはあなたの敵をあなたの手に渡されたいと高き神があがめられるように」。アブラムは彼にすべての物の十分の一を贈った。 + 時にソドムの王はアブラムに言った、「わたしには人をください。財産はあなたが取りなさい」。 + アブラムはソドムの王に言った、「天地の主なるいと高き神、主に手をあげて、わたしは誓います。 + わたしは糸一本でも、くつひも一本でも、あなたのものは何にも受けません。アブラムを富ませたのはわたしだと、あなたが言わないように。 + ただし若者たちがすでに食べた物は別です。そしてわたしと共に行った人々アネルとエシコルとマムレとにはその分を取らせなさい」。 + + + これらの事の後、主の言葉が幻のうちにアブラムに臨んだ、「アブラムよ恐れてはならない、わたしはあなたの盾である。あなたの受ける報いは、はなはだ大きいであろう」。 + アブラムは言った、「主なる神よ、わたしには子がなく、わたしの家を継ぐ者はダマスコのエリエゼルであるのに、あなたはわたしに何をくださろうとするのですか」。 + アブラムはまた言った、「あなたはわたしに子を賜わらないので、わたしの家に生れたしもべが、あとつぎとなるでしょう」。 + この時、主の言葉が彼に臨んだ、「この者はあなたのあとつぎとなるべきではありません。あなたの身から出る者があとつぎとなるべきです」。 + そして主は彼を外に連れ出して言われた、「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみなさい」。また彼に言われた、「あなたの子孫はあのようになるでしょう」。 + アブラムは主を信じた。主はこれを彼の義と認められた。 + また主は彼に言われた、「わたしはこの地をあなたに与えて、これを継がせようと、あなたをカルデヤのウルから導き出した主です」。 + 彼は言った、「主なる神よ、わたしがこれを継ぐのをどうして知ることができますか」。 + 主は彼に言われた、「三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山ばとと、家ばとのひなとをわたしの所に連れてきなさい」。 + 彼はこれらをみな連れてきて、二つに裂き、裂いたものを互に向かい合わせて置いた。ただし、鳥は裂かなかった。 + 荒い鳥が死体の上に降りるとき、アブラムはこれを追い払った。 + 日の入るころ、アブラムが深い眠りにおそわれた時、大きな恐ろしい暗やみが彼に臨んだ。 + 時に主はアブラムに言われた、「あなたはよく心にとめておきなさい。あなたの子孫は他の国に旅びととなって、その人々に仕え、その人々は彼らを四百年の間、悩ますでしょう。 + しかし、わたしは彼らが仕えたその国民をさばきます。その後かれらは多くの財産を携えて出て来るでしょう。 + あなたは安らかに先祖のもとに行きます。そして高齢に達して葬られるでしょう。 + 四代目になって彼らはここに帰って来るでしょう。アモリびとの悪がまだ満ちないからです」。 + やがて日は入り、暗やみになった時、煙の立つかまど、炎の出るたいまつが、裂いたものの間を通り過ぎた。 + その日、主はアブラムと契約を結んで言われた、「わたしはこの地をあなたの子孫に与える。エジプトの川から、かの大川ユフラテまで。 + すなわちケニびと、ケニジびと、カドモニびと、 + ヘテびと、ペリジびと、レパイムびと、 + アモリびと、カナンびと、ギルガシびと、エブスびとの地を与える」。 + + + アブラムの妻サライは子を産まなかった。彼女にひとりのつかえめがあった。エジプトの女で名をハガルといった。 + サライはアブラムに言った、「主はわたしに子をお授けになりません。どうぞ、わたしのつかえめの所におはいりください。彼女によってわたしは子をもつことになるでしょう」。アブラムはサライの言葉を聞きいれた。 + アブラムの妻サライはそのつかえめエジプトの女ハガルをとって、夫アブラムに妻として与えた。これはアブラムがカナンの地に十年住んだ後であった。 + 彼はハガルの所にはいり、ハガルは子をはらんだ。彼女は自分のはらんだのを見て、女主人を見下げるようになった。 + そこでサライはアブラムに言った、「わたしが受けた害はあなたの責任です。わたしのつかえめをあなたのふところに与えたのに、彼女は自分のはらんだのを見て、わたしを見下さげます。どうか、主があなたとわたしの間をおさばきになるように」。 + アブラムはサライに言った、「あなたのつかえめはあなたの手のうちにある。あなたの好きなように彼女にしなさい」。そしてサライが彼女を苦しめたので、彼女はサライの顔を避けて逃げた。 + 主の使は荒野にある泉のほとり、すなわちシュルの道にある泉のほとりで、彼女に会い、 + そして言った、「サライのつかえめハガルよ、あなたはどこからきたのですか、またどこへ行くのですか」。彼女は言った、「わたしは女主人サライの顔を避けて逃げているのです」。 + 主の使は彼女に言った、「あなたは女主人のもとに帰って、その手に身を任せなさい」。 + 主の使はまた彼女に言った、「わたしは大いにあなたの子孫を増して、数えきれないほどに多くしましょう」。 + 主の使はまた彼女に言った、「あなたは、みごもっています。あなたは男の子を産むでしょう。名をイシマエルと名づけなさい。主があなたの苦しみを聞かれたのです。 + 彼は野ろばのような人となり、その手はすべての人に逆らい、すべての人の手は彼に逆らい、彼はすべての兄弟に敵して住むでしょう」。 + そこで、ハガルは自分に語られた主の名を呼んで、「あなたはエル・ロイです」と言った。彼女が「ここでも、わたしを見ていられるかたのうしろを拝めたのか」と言ったことによる。 + それでその井戸は「ベエル・ラハイ・ロイ」と呼ばれた。これはカデシとベレデの間にある。 + ハガルはアブラムに男の子を産んだ。アブラムはハガルが産んだ子の名をイシマエルと名づけた。 + ハガルがイシマエルをアブラムに産んだ時、アブラムは八十六歳であった。 + + + アブラムの九十九歳の時、主はアブラムに現れて言われた、「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前に歩み、全き者であれ。 + わたしはあなたと契約を結び、大いにあなたの子孫を増すであろう」。 + アブラムは、ひれ伏した。神はまた彼に言われた、 + 「わたしはあなたと契約を結ぶ。あなたは多くの国民の父となるであろう。 + あなたの名は、もはやアブラムとは言われず、あなたの名はアブラハムと呼ばれるであろう。わたしはあなたを多くの国民の父とするからである。 + わたしはあなたに多くの子孫を得させ、国々の民をあなたから起そう。また、王たちもあなたから出るであろう。 + わたしはあなた及び後の代々の子孫と契約を立てて、永遠の契約とし、あなたと後の子孫との神となるであろう。 + わたしはあなたと後の子孫とにあなたの宿っているこの地、すなわちカナンの全地を永久の所有として与える。そしてわたしは彼らの神となるであろう」。 + 神はまたアブラハムに言われた、「あなたと後の子孫とは共に代々わたしの契約を守らなければならない。あなたがたのうち + 男子はみな割礼をうけなければならない。これはわたしとあなたがた及び後の子孫との間のわたしの契約であって、あなたがたの守るべきものである。 + あなたがたは前の皮に割礼を受けなければならない。それがわたしとあなたがたとの間の契約のしるしとなるであろう。 + あなたがたのうちの男子はみな代々、家に生れた者も、また異邦人から銀で買い取った、あなたの子孫でない者も、生れて八日目に割礼を受けなければならない。 + あなたの家に生れた者も、あなたが銀で買い取った者も必ず割礼を受けなければならない。こうしてわたしの契約はあなたがたの身にあって永遠の契約となるであろう。 + 割礼を受けない男子、すなわち前の皮を切らない者はわたしの契約を破るゆえ、その人は民のうちから断たれるであろう」。 + 神はまたアブラハムに言われた、「あなたの妻サライは、もはや名をサライといわず、名をサラと言いなさい。 + わたしは彼女を祝福し、また彼女によって、あなたにひとりの男の子を授けよう。わたしは彼女を祝福し、彼女を国々の民の母としよう。彼女から、もろもろの民の王たちが出るであろう」。 + アブラハムはひれ伏して笑い、心の中で言った、「百歳の者にどうして子が生れよう。サラはまた九十歳にもなって、どうして産むことができようか」。 + そしてアブラハムは神に言った、「どうかイシマエルがあなたの前に生きながらえますように」。 + 神は言われた、「いや、あなたの妻サラはあなたに男の子を産むでしょう。名をイサクと名づけなさい。わたしは彼と契約を立てて、後の子孫のために永遠の契約としよう。 + またイシマエルについてはあなたの願いを聞いた。わたしは彼を祝福して多くの子孫を得させ、大いにそれを増すであろう。彼は十二人の君たちを生むであろう。わたしは彼を大いなる国民としよう。 + しかしわたしは来年の今ごろサラがあなたに産むイサクと、わたしの契約を立てるであろう」。 + 神はアブラハムと語り終え、彼を離れて、のぼられた。 + アブラハムは神が自分に言われたように、この日その子イシマエルと、すべて家に生れた者およびすべて銀で買い取った者、すなわちアブラハムの家の人々のうち、すべての男子を連れてきて、前の皮に割礼を施した。 + アブラハムが前の皮に割礼を受けた時は九十九歳、 + その子イシマエルが前の皮に割礼を受けた時は十三歳であった。 + この日アブラハムとその子イシマエルは割礼を受けた。 + またその家の人々は家に生れた者も、銀で異邦人から買い取った者も皆、彼と共に割礼を受けた。 + + + 主はマムレのテレビンの木のかたわらでアブラハムに現れられた。それは昼の暑いころで、彼は天幕の入口にすわっていたが、 + 目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。彼はこれを見て、天幕の入口から走って行って彼らを迎え、地に身をかがめて、 + 言った、「わが主よ、もしわたしがあなたの前に恵みを得ているなら、どうぞしもべを通り過ごさないでください。 + 水をすこし取ってこさせますから、あなたがたは足を洗って、この木の下でお休みください。 + わたしは一口のパンを取ってきます。元気をつけて、それからお出かけください。せっかくしもべの所においでになったのですから」。彼らは言った、「お言葉どおりにしてください」。 + そこでアブラハムは急いで天幕に入り、サラの所に行って言った、「急いで細かい麦粉三セヤをとり、こねてパンを造りなさい」。 + アブラハムは牛の群れに走って行き、柔らかな良い子牛を取って若者に渡したので、急いで調理した。 + そしてアブラハムは凝乳と牛乳および子牛の調理したものを取って、彼らの前に供え、木の下で彼らのかたわらに立って給仕し、彼らは食事した。 + 彼らはアブラハムに言った、「あなたの妻サラはどこにおられますか」。彼は言った、「天幕の中です」。 + そのひとりが言った、「来年の春、わたしはかならずあなたの所に帰ってきましょう。その時、あなたの妻サラには男の子が生れているでしょう」。サラはうしろの方の天幕の入口で聞いていた。 + さてアブラハムとサラとは年がすすみ、老人となり、サラは女の月のものが、すでに止まっていた。 + それでサラは心の中で笑って言った、「わたしは衰え、主人もまた老人であるのに、わたしに楽しみなどありえようか」。 + 主はアブラハムに言われた、「なぜサラは、わたしは老人であるのに、どうして子を産むことができようかと言って笑ったのか。 + 主にとって不可能なことがありましょうか。来年の春、定めの時に、わたしはあなたの所に帰ってきます。そのときサラには男の子が生れているでしょう」。 + サラは恐れたので、これを打ち消して言った、「わたしは笑いません」。主は言われた、「いや、あなたは笑いました」。 + その人々はそこを立ってソドムの方に向かったので、アブラハムは彼らを見送って共に行った。 + 時に主は言われた、「わたしのしようとする事をアブラハムに隠してよいであろうか。 + アブラハムは必ず大きな強い国民となって、地のすべての民がみな、彼によって祝福を受けるのではないか。 + わたしは彼が後の子らと家族とに命じて主の道を守らせ、正義と公道とを行わせるために彼を知ったのである。これは主がかつてアブラハムについて言った事を彼の上に臨ませるためである」。 + 主はまた言われた、「ソドムとゴモラの叫びは大きく、またその罪は非常に重いので、 + わたしはいま下って、わたしに届いた叫びのとおりに、すべて彼らがおこなっているかどうかを見て、それを知ろう」。 + その人々はそこから身を巡らしてソドムの方に行ったが、アブラハムはなお、主の前に立っていた。 + アブラハムは近寄って言った、「まことにあなたは正しい者を、悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。 + たとい、あの町に五十人の正しい者があっても、あなたはなお、その所を滅ぼし、その中にいる五十人の正しい者のためにこれをゆるされないのですか。 + 正しい者と悪い者とを一緒に殺すようなことを、あなたは決してなさらないでしょう。正しい者と悪い者とを同じようにすることも、あなたは決してなさらないでしょう。全地をさばく者は公義を行うべきではありませんか」。 + 主は言われた、「もしソドムで町の中に五十人の正しい者があったら、その人々のためにその所をすべてゆるそう」。 + アブラハムは答えて言った、「わたしはちり灰に過ぎませんが、あえてわが主に申します。 + もし五十人の正しい者のうち五人欠けたなら、その五人欠けたために町を全く滅ぼされますか」。主は言われた、「もしそこに四十五人いたら、滅ぼさないであろう」。 + アブラハムはまた重ねて主に言った、「もしそこに四十人いたら」。主は言われた、「その四十人のために、これをしないであろう」。 + アブラハムは言った、「わが主よ、どうかお怒りにならぬよう。わたしは申します。もしそこに三十人いたら」。主は言われた、「そこに三十人いたら、これをしないであろう」。 + アブラハムは言った、「いまわたしはあえてわが主に申します。もしそこに二十人いたら」。主は言われた、「わたしはその二十人のために滅ぼさないであろう」。 + アブラハムは言った、「わが主よ、どうかお怒りにならぬよう。わたしはいま一度申します、もしそこに十人いたら」。主は言われた、「わたしはその十人のために滅ぼさないであろう」。 + 主はアブラハムと語り終り、去って行かれた。アブラハムは自分の所に帰った。 + + + そのふたりのみ使は夕暮にソドムに着いた。そのときロトはソドムの門にすわっていた。ロトは彼らを見て、立って迎え、地に伏して、 + 言った、「わが主よ、どうぞしもべの家に立寄って足を洗い、お泊まりください。そして朝早く起きてお立ちください」。彼らは言った、「いや、われわれは広場で夜を過ごします」。 + しかしロトがしいて勧めたので、彼らはついに彼の所に寄り、家にはいった。ロトは彼らのためにふるまいを設け、種入れぬパンを焼いて食べさせた。 + ところが彼らの寝ないうちに、ソドムの町の人々は、若い者も老人も、民がみな四方からきて、その家を囲み、 + ロトに叫んで言った、「今夜おまえの所にきた人々はどこにいるか。それをここに出しなさい。われわれは彼らを知るであろう」。 + ロトは入口におる彼らの所に出て行き、うしろの戸を閉じて、 + 言った、「兄弟たちよ、どうか悪い事はしないでください。 + わたしにまだ男を知らない娘がふたりあります。わたしはこれをあなたがたに、さし出しますから、好きなようにしてください。ただ、わたしの屋根の下にはいったこの人たちには、何もしないでください」。 + 彼らは言った、「退け」。また言った、「この男は渡ってきたよそ者であるのに、いつも、さばきびとになろうとする。それで、われわれは彼らに加えるよりも、おまえに多くの害を加えよう」。彼らはロトの身に激しく迫り、進み寄って戸を破ろうとした。 + その時、かのふたりは手を伸べてロトを家の内に引き入れ、戸を閉じた。 + そして家の入口におる人々を、老若の別なく打って目をくらましたので、彼らは入口を捜すのに疲れた。 + ふたりはロトに言った、「ほかにあなたの身内の者がここにおりますか。あなたのむこ、むすこ、娘およびこの町におるあなたの身内の者を、皆ここから連れ出しなさい。 + われわれがこの所を滅ぼそうとしているからです。人々の叫びが主の前に大きくなり、主はこの所を滅ぼすために、われわれをつかわされたのです」。 + そこでロトは出て行って、その娘たちをめとるむこたちに告げて言った、「立ってこの所から出なさい。主がこの町を滅ぼされます」。しかしそれはむこたちには戯むれごとに思えた。 + 夜が明けて、み使たちはロトを促して言った 「立って、ここにいるあなたの妻とふたりの娘とを連れ出しなさい。そうしなければ、あなたもこの町の不義のために滅ぼされるでしょう」。 + 彼はためらっていたが、主は彼にあわれみを施されたので、かのふたりは彼の手と、その妻の手と、ふたりの娘の手を取って連れ出し、町の外に置いた。 + 彼らを外に連れ出した時そのひとりは言った、「のがれて、自分の命を救いなさい。うしろをふりかえって見てはならない。低地にはどこにも立ち止まってはならない。山にのがれなさい。そうしなければ、あなたは滅びます」。 + ロトは彼らに言った、「わが主よ、どうか、そうさせないでください。 + しもべはすでにあなたの前に恵みを得ました。あなたはわたしの命を救って、大いなるいつくしみを施されました。しかしわたしは山まではのがれる事ができません。災が身に追い迫ってわたしは死ぬでしょう。 + あの町をごらんなさい。逃げていくのに近く、また小さい町です。どうかわたしをそこにのがれさせてください。それは小さいではありませんか。そうすればわたしの命は助かるでしょう」。 + み使は彼に言った、「わたしはこの事でもあなたの願いをいれて、あなたの言うその町は滅ぼしません。 + 急いでそこへのがれなさい。あなたがそこに着くまでは、わたしは何事もすることができません」。これによって、その町の名はゾアルと呼ばれた。 + ロトがゾアルに着いた時、日は地の上にのぼった。 + 主は硫黄と火とを主の所すなわち天からソドムとゴモラの上に降らせて、 + これらの町と、すべての低地と、その町々のすべての住民と、その地にはえている物を、ことごとく滅ぼされた。 + しかしロトの妻はうしろを顧みたので塩の柱になった。 + アブラハムは朝早く起き、さきに主の前に立った所に行って、 + ソドムとゴモラの方、および低地の全面をながめると、その地の煙が、かまどの煙のように立ちのぼっていた。 + こうして神が低地の町々をこぼたれた時、すなわちロトの住んでいた町々を滅ぼされた時、神はアブラハムを覚えて、その滅びの中からロトを救い出された。 + ロトはゾアルを出て上り、ふたりの娘と共に山に住んだ。ゾアルに住むのを恐れたからである。彼はふたりの娘と共に、ほら穴の中に住んだ。 + 時に姉が妹に言った、「わたしたちの父は老い、またこの地には世のならわしのように、わたしたちの所に来る男はいません。 + さあ、父に酒を飲ませ、共に寝て、父によって子を残しましょう」。 + 彼女たちはその夜、父に酒を飲ませ、姉がはいって父と共に寝た。ロトは娘が寝たのも、起きたのも知らなかった。 + あくる日、姉は妹に言った、「わたしは昨夜、父と寝ました。わたしたちは今夜もまた父に酒を飲ませましょう。そしてあなたがはいって共に寝なさい。わたしたちは父によって子を残しましょう」。 + 彼らはその夜もまた父に酒を飲ませ、妹が行って父と共に寝た。ロトは娘の寝たのも、起きたのも知らなかった。 + こうしてロトのふたりの娘たちは父によってはらんだ。 + 姉娘は子を産み、その名をモアブと名づけた。これは今のモアブびとの先祖である。 + 妹もまた子を産んで、その名をベニアンミと名づけた。これは今のアンモンびとの先祖である。 + + + アブラハムはそこからネゲブの地に移って、カデシとシュルの間に住んだ。彼がゲラルにとどまっていた時、 + アブラハムは妻サラのことを、「これはわたしの妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは、人をつかわしてサラを召し入れた。 + ところが神は夜の夢にアビメレクに臨んで言われた、「あなたは召し入れたあの女のゆえに死なねばならない。彼女は夫のある身である」。 + アビメレクはまだ彼女に近づいていなかったので言った、「主よ、あなたは正しい民でも殺されるのですか。 + 彼はわたしに、これはわたしの妹ですと言ったではありませんか。また彼女も自分で、彼はわたしの兄ですと言いました。わたしは心も清く、手もいさぎよく、このことをしました」。 + 神はまた夢で彼に言われた、「そうです、あなたが清い心をもってこのことをしたのを知っていたから、わたしもあなたを守って、わたしに対して罪を犯させず、彼女にふれることを許さなかったのです。 + いま彼の妻を返しなさい。彼は預言者ですから、あなたのために祈って、命を保たせるでしょう。もし返さないなら、あなたも身内の者もみな必ず死ぬと知らなければなりません」。 + そこでアビメレクは朝早く起き、しもべたちをことごとく召し集めて、これらの事をみな語り聞かせたので、人々は非常に恐れた。 + そしてアビメレクはアブラハムを召して言った、「あなたはわれわれに何をするのですか。あなたに対してわたしがどんな罪を犯したために、あなたはわたしとわたしの国とに、大きな罪を負わせるのですか。あなたはしてはならぬことをわたしにしたのです」。 + アビメレクはまたアブラハムに言った、「あなたはなんと思って、この事をしたのですか」。 + アブラハムは言った、「この所には神を恐れるということが、まったくないので、わたしの妻のゆえに人々がわたしを殺すと思ったからです。 + また彼女はほんとうにわたしの妹なのです。わたしの父の娘ですが、母の娘ではありません。そして、わたしの妻になったのです。 + 神がわたしに父の家を離れて、行き巡らせた時、わたしは彼女に、あなたはわたしたちの行くさきざきでわたしを兄であると言ってください。これはあなたがわたしに施す恵みであると言いました」。 + そこでアビメレクは羊、牛および男女の奴隷を取ってアブラハムに与え、その妻サラを彼に返した。 + そしてアビメレクは言った、「わたしの地はあなたの前にあります。あなたの好きな所に住みなさい」。 + またサラに言った、「わたしはあなたの兄に銀千シケルを与えました。これはあなたの身に起ったすべての事について、あなたに償いをするものです。こうしてすべての人にあなたは正しいと認められます」。 + そこでアブラハムは神に祈った。神はアビメレクとその妻および、はしためたちをいやされたので、彼らは子を産むようになった。 + これは主がさきにアブラハムの妻サラのゆえに、アビメレクの家のすべての者の胎を、かたく閉ざされたからである。 + + + 主は、さきに言われたようにサラを顧み、告げられたようにサラに行われた。 + サラはみごもり、神がアブラハムに告げられた時になって、年老いたアブラハムに男の子を産んだ。 + アブラハムは生れた子、サラが産んだ男の子の名をイサクと名づけた。 + アブラハムは神が命じられたように八日目にその子イサクに割礼を施した。 + アブラハムはその子イサクが生れた時百歳であった。 + そしてサラは言った、「神はわたしを笑わせてくださった。聞く者は皆わたしのことで笑うでしょう」。 + また言った、「サラが子に乳を飲ませるだろうと、だれがアブラハムに言い得たであろう。それなのに、わたしは彼が年とってから、子を産んだ」。 + さて、おさなごは育って乳離れした。イサクが乳離れした日にアブラハムは盛んなふるまいを設けた。 + サラはエジプトの女ハガルのアブラハムに産んだ子が、自分の子イサクと遊ぶのを見て、 + アブラハムに言った、「このはしためとその子を追い出してください。このはしための子はわたしの子イサクと共に、世継となるべき者ではありません」。 + この事で、アブラハムはその子のために非常に心配した。 + 神はアブラハムに言われた、「あのわらべのため、またあなたのはしためのために心配することはない。サラがあなたに言うことはすべて聞きいれなさい。イサクに生れる者が、あなたの子孫と唱えられるからです。 + しかし、はしための子もあなたの子ですから、これをも、一つの国民とします」。 + そこでアブラハムは明くる朝はやく起きて、パンと水の皮袋とを取り、ハガルに与えて、肩に負わせ、その子を連れて去らせた。ハガルは去ってベエルシバの荒野にさまよった。 + やがて皮袋の水が尽きたので、彼女はその子を木の下におき、 + 「わたしはこの子の死ぬのを見るに忍びない」と言って、矢の届くほど離れて行き、子供の方に向いてすわった。彼女が子供の方に向いてすわったとき、子供は声をあげて泣いた。 + 神はわらべの声を聞かれ、神の使は天からハガルを呼んで言った、「ハガルよ、どうしたのか。恐れてはいけない。神はあそこにいるわらべの声を聞かれた。 + 立って行き、わらべを取り上げてあなたの手に抱きなさい。わたしは彼を大いなる国民とするであろう」。 + 神がハガルの目を開かれたので、彼女は水の井戸のあるのを見た。彼女は行って皮袋に水を満たし、わらべに飲ませた。 + 神はわらべと共にいまし、わらべは成長した。彼は荒野に住んで弓を射る者となった。 + 彼はパランの荒野に住んだ。母は彼のためにエジプトの国から妻を迎えた。 + そのころアビメレクとその軍勢の長ピコルはアブラハムに言った、「あなたが何事をなさっても、神はあなたと共におられる。 + それゆえ、今ここでわたしをも、わたしの子をも、孫をも欺かないと、神をさしてわたしに誓ってください。わたしがあなたに親切にしたように、あなたもわたしと、このあなたの寄留の地とに、しなければなりません」。 + アブラハムは言った、「わたしは誓います」。 + アブラハムはアビメレクの家来たちが、水の井戸を奪い取ったことについてアビメルクを責めた。 + しかしアビメレクは言った、「だれがこの事をしたかわたしは知りません。あなたもわたしに告げたことはなく、わたしもきょうまで聞きませんでした」。 + そこでアブラハムは羊と牛とを取ってアビメレクに与え、ふたりは契約を結んだ。 + アブラハムが雌の小羊七頭を分けて置いたところ、 + アビメレクはアブラハムに言った、「あなたがこれらの雌の小羊七頭を分けて置いたのは、なんのためですか」。 + アブラハムは言った、「あなたはわたしの手からこれらの雌の小羊七頭を受け取って、わたしがこの井戸を掘ったことの証拠としてください」。 + これによってその所をベエルシバと名づけた。彼らがふたりそこで誓いをしたからである。 + このように彼らはベエルシバで契約を結び、アビメレクとその軍勢の長ピコルは立ってペリシテの地に帰った。 + アブラハムはベエルシバに一本のぎょりゅうの木を植え、その所で永遠の神、主の名を呼んだ。 + こうしてアブラハムは長い間ペリシテびとの地にとどまった。 + + + これらの事の後、神はアブラハムを試みて彼に言われた、「アブラハムよ」。彼は言った、「ここにおります」。 + 神は言われた、「あなたの子、あなたの愛するひとり子イサクを連れてモリヤの地に行き、わたしが示す山で彼を燔祭としてささげなさい」。 + アブラハムは朝はやく起きて、ろばにくらを置き、ふたりの若者と、その子イサクとを連れ、また燔祭のたきぎを割り、立って神が示された所に出かけた。 + 三日目に、アブラハムは目をあげて、はるかにその場所を見た。 + そこでアブラハムは若者たちに言った、「あなたがたは、ろばと一緒にここにいなさい。わたしとわらべは向こうへ行って礼拝し、そののち、あなたがたの所に帰ってきます」。 + アブラハムは燔祭のたきぎを取って、その子イサクに負わせ、手に火と刃物とを執って、ふたり一緒に行った。 + やがてイサクは父アブラハムに言った、「父よ」。彼は答えた、「子よ、わたしはここにいます」。イサクは言った、「火とたきぎとはありますが、燔祭の小羊はどこにありますか」。 + アブラハムは言った、「子よ、神みずから燔祭の小羊を備えてくださるであろう」。こうしてふたりは一緒に行った。 + 彼らが神の示された場所にきたとき、アブラハムはそこに祭壇を築き、たきぎを並べ、その子イサクを縛って祭壇のたきぎの上に載せた。 + そしてアブラハムが手を差し伸べ、刃物を執ってその子を殺そうとした時、 + 主の使が天から彼を呼んで言った、「アブラハムよ、アブラハムよ」。彼は答えた、「はい、ここにおります」。 + み使が言った、「わらべを手にかけてはならない。また何も彼にしてはならない。あなたの子、あなたのひとり子をさえ、わたしのために惜しまないので、あなたが神を恐れる者であることをわたしは今知った」。 + この時アブラハムが目をあげて見ると、うしろに、角をやぶに掛けている一頭の雄羊がいた。アブラハムは行ってその雄羊を捕え、それをその子のかわりに燔祭としてささげた。 + それでアブラハムはその所の名をアドナイ・エレと呼んだ。これにより、人々は今日もなお「主の山に備えあり」と言う。 + 主の使は再び天からアブラハムを呼んで、 + 言った、「主は言われた、『わたしは自分をさして誓う。あなたがこの事をし、あなたの子、あなたのひとり子をも惜しまなかったので、 + わたしは大いにあなたを祝福し、大いにあなたの子孫をふやして、天の星のように、浜べの砂のようにする。あなたの子孫は敵の門を打ち取り、 + また地のもろもろの国民はあなたの子孫によって祝福を得るであろう。あなたがわたしの言葉に従ったからである』」。 + アブラハムは若者たちの所に帰り、みな立って、共にベエルシバへ行った。そしてアブラハムはベエルシバに住んだ。 + これらの事の後、ある人がアブラハムに告げて言った、「ミルカもまたあなたの兄弟ナホルに子どもを産みました。 + 長男はウヅ、弟はブズ、次はアラムの父ケムエル、 + 次はケセデ、ハゾ、ピルダシ、エデラフ、ベトエルです」。 + ベトエルの子はリベカであって、これら八人はミルカがアブラハムの兄弟ナホルに産んだのである。 + ナホルのそばめで、名をルマという女もまたテバ、ガハム、タハシおよびマアカを産んだ。 + + + サラの一生は百二十七年であった。これがサラの生きながらえた年である。 + サラはカナンの地のキリアテ・アルバすなわちヘブロンで死んだ。アブラハムは中にはいってサラのために悲しみ泣いた。 + アブラハムは死人のそばから立って、ヘテの人々に言った、 + 「わたしはあなたがたのうちの旅の者で寄留者ですが、わたしの死人を出して葬るため、あなたがたのうちにわたしの所有として一つの墓地をください」。 + ヘテの人々はアブラハムに答えて言った、 + 「わが主よ、お聞きなさい。あなたはわれわれのうちにおられて、神のような主君です。われわれの墓地の最も良い所にあなたの死人を葬りなさい。その墓地を拒んで、あなたにその死人を葬らせない者はわれわれのうちには、ひとりもないでしょう」。 + アブラハムは立ちあがり、その地の民ヘテの人々に礼をして、 + 彼らに言った、「もしわたしの死人を葬るのに同意されるなら、わたしの願いをいれて、わたしのためにゾハルの子エフロンに頼み、 + 彼が持っている畑の端のマクペラのほら穴をじゅうぶんな代価でわたしに与え、あなたがたのうちに墓地を持たせてください」。 + 時にエフロンはヘテの人々のうちにすわっていた。そこでヘテびとエフロンはヘテの人々、すなわちすべてその町の門にはいる人々の聞いているところで、アブラハムに答えて言った、 + 「いいえ、わが主よ、お聞きなさい。わたしはあの畑をあなたにさしあげます。またその中にあるほら穴もさしあげます。わたしの民の人々の前で、それをさしあげます。あなたの死人を葬りなさい」。 + アブラハムはその地の民の前で礼をし、 + その地の民の聞いているところでエフロンに言った、「あなたがそれを承諾されるなら、お聞きなさい。わたしはその畑の代価を払います。お受け取りください。わたしの死人をそこに葬りましょう」。 + エフロンはアブラハムに答えて言った、 + 「わが主よ、お聞きなさい。あの地は銀四百シケルですが、これはわたしとあなたの間で、なにほどのことでしょう。あなたの死人を葬りなさい」。 + そこでアブラハムはエフロンの言葉にしたがい、エフロンがヘテの人々の聞いているところで言った銀、すなわち商人の通用銀四百シケルを量ってエフロンに与えた。 + こうしてマムレの前のマクペラにあるエフロンの畑は、畑も、その中のほら穴も、畑の中およびその周囲の境にあるすべての木も皆、 + ヘテの人々の前、すなわちその町の門にはいるすべての人々の前で、アブラハムの所有と決まった。 + その後、アブラハムはその妻サラをカナンの地にあるマムレ、すなわちヘブロンの前のマクペラの畑のほら穴に葬った。 + このように畑とその中にあるほら穴とはヘテの人々によってアブラハムの所有の墓地と定められた。 + + + アブラハムは年が進んで老人となった。主はすべての事にアブラハムを恵まれた。 + さてアブラハムは所有のすべてを管理させていた家の年長のしもべに言った、「あなたの手をわたしのももの下に入れなさい。 + わたしはあなたに天地の神、主をさして誓わせる。あなたはわたしが今一緒に住んでいるカナンびとのうちから、娘をわたしの子の妻にめとってはならない。 + あなたはわたしの国へ行き、親族の所へ行って、わたしの子イサクのために妻をめとらなければならない」。 + しもべは彼に言った、「もしその女がわたしについてこの地に来ることを好まない時は、わたしはあなたの子をあなたの出身地に連れ帰るべきでしょうか」。 + アブラハムは彼に言った、「わたしの子は決して向こうへ連れ帰ってはならない。 + 天の神、主はわたしを父の家、親族の地から導き出してわたしに語り、わたしに誓って、おまえの子孫にこの地を与えると言われた。主は、み使をあなたの前につかわされるであろう。あなたはあそこからわたしの子に妻をめとらねばならない。 + けれどもその女があなたについて来ることを好まないなら、あなたはこの誓いを解かれる。ただわたしの子を向こうへ連れ帰ってはならない」。 + そこでしもべは手を主人アブラハムのももの下に入れ、この事について彼に誓った。 + しもべは主人のらくだのうちから十頭のらくだを取って出かけた。すなわち主人のさまざまの良い物を携え、立ってアラム・ナハライムにむかい、ナホルの町へ行った。 + 彼はらくだを町の外の、水の井戸のそばに伏させた。時は夕暮で、女たちが水をくみに出る時刻であった。 + 彼は言った、「主人アブラハムの神、主よ、どうか、きょう、わたしにしあわせを授け、主人アブラハムに恵みを施してください。 + わたしは泉のそばに立っています。町の人々の娘たちが水をくみに出てきたとき、 + 娘に向かって『お願いです、あなたの水がめを傾けてわたしに飲ませてください』と言い、娘が答えて、『お飲みください。あなたのらくだにも飲ませましょう』と言ったなら、その者こそ、あなたがしもべイサクのために定められた者ということにしてください。わたしはこれによって、あなたがわたしの主人に恵みを施されることを知りましょう」。 + 彼がまだ言い終らないうちに、アブラハムの兄弟ナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘リベカが、水がめを肩に載せて出てきた。 + その娘は非常に美しく、男を知らぬ処女であった。彼女が泉に降りて、水がめを満たし、上がってきた時、 + しもべは走り寄って、彼女に会って言った、「お願いです。あなたの水がめの水を少し飲ませてください」。 + すると彼女は「わが主よ、お飲みください」と言って、急いで水がめを自分の手に取りおろして彼に飲ませた。 + 飲ませ終って、彼女は言った、「あなたのらくだもみな飲み終るまで、わたしは水をくみましょう」。 + 彼女は急いでかめの水を水ぶねにあけ、再び水をくみに井戸に走って行って、すべてのらくだのために水をくんだ。 + その間その人は主が彼の旅の祝福されるか、どうかを知ろうと、黙って彼女を見つめていた。 + らくだが飲み終ったとき、その人は重さ半シケルの金の鼻輪一つと、重さ十シケルの金の腕輪二つを取って、 + 言った、「あなたはだれの娘か、わたしに話してください。あなたの父の家にわたしどもの泊まる場所がありましょうか」。 + 彼女は彼に言った、「わたしはナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘です」。 + また彼に言った、「わたしどもには、わらも、飼葉もたくさんあります。また泊まる場所もあります」。 + その人は頭を下げ、主を拝して、 + 言った、「主人アブラハムの神、主はほむべきかな。主はわたしの主人にいつくしみと、まこととを惜しまれなかった。そして主は旅にあるわたしを主人の兄弟の家に導かれた」。 + 娘は走って行って、母の家のものにこれらの事を告げた。 + リベカにひとりの兄があって、名をラバンといった。ラバンは泉のそばにいるその人の所へ走って行った。 + 彼は鼻輪と妹の手にある腕輪とを見、また妹リベカが「その人はわたしにこう言った」というのを聞いて、その人の所へ行ってみると、その人は泉のほとりで、らくだのそばに立っていた。 + そこでその人に言った、「主に祝福された人よ、おはいりください。なぜ外に立っておられますか。わたしは家を準備し、らくだのためにも場所を準備しておきました」。 + その人は家にはいった。ラバンはらくだの荷を解いて、わらと飼葉をらくだに与え、また水を与えてその人の足と、その従者たちの足を洗わせた。 + そして彼の前に食物を供えたが、彼は言った、「わたしは用向きを話すまでは食べません」。ラバンは言った、「お話しください」。 + そこで彼は言った、「わたしはアブラハムのしもべです。 + 主はわたしの主人を大いに祝福して、大いなる者とされました。主はまた彼に羊、牛、銀、金、男女の奴隷、らくだ、ろばを与えられました。 + 主人の妻サラは年老いてから、主人に男の子を産みました。主人はその所有を皆これに与えました。 + ところで主人はわたしに誓わせて言いました、『わたしの住んでいる地のカナンびとの娘を、わたしの子の妻にめとってはならない。 + おまえはわたしの父の家、親族の所へ行って、わたしの子に妻をめとらなければならない』。 + わたしは主人に言いました、『もしその女がわたしについてこない時はどういたしましょうか』。 + 主人はわたしに言いました、『わたしの仕えている主は、み使をおまえと一緒につかわして、おまえの旅にさいわいを与えられるであろう。おまえはわたしの親族、わたしの父の家からわたしの子に妻をめとらなければならない。 + そのとき、おまえはわたしにした誓いから解かれるであろう。またおまえがわたしの親族に行く時、彼らがおまえにその娘を与えないなら、おまえはわたしにした誓いから解かれるであろう』。 + わたしはきょう、泉のところにきて言いました、『主人アブラハムの神、主よ、どうか今わたしのゆく道にさいわいを与えてください。 + わたしはこの泉のそばに立っていますが、水をくみに出てくる娘に向かって、「お願いです。あなたの水がめの水を少し飲ませてください」と言い、 + 「お飲みください。あなたのらくだのためにも、くみましょう」とわたしに言うなら、その娘こそ、主がわたしの主人の子のために定められた女ということにしてください』。 + わたしが心のうちでそう言い終らないうちに、リベカが水がめを肩に載せて出てきて、水をくみに泉に降りたので、わたしは『お願いです、飲ませてください』と言いますと、 + 彼女は急いで水がめを肩からおろし、『お飲みください。わたしはあなたのらくだにも飲ませましょう』と言いました。それでわたしは飲みましたが、彼女はらくだにも飲ませました。 + わたしは彼女に尋ねて、『あなたはだれの娘ですか』と言いますと、『ナホルとその妻ミルカの子ベトエルの娘です』と答えました。そこでわたしは彼女の鼻に鼻輪をつけ、手に腕輪をつけました。 + そしてわたしは頭をさげて主を拝し、主人アブラハムの神、主をほめたたえました。主は主人の兄弟の娘を子にめとらせようと、わたしを正しい道に導かれたからです。 + あなたがたが、もしわたしの主人にいつくしみと、まことを尽そうと思われるなら、そうとわたしにお話しください。そうでなければ、そうでないとお話しください。それによってわたしは右か左に決めましょう」。 + ラバンとベトエルは答えて言った、「この事は主から出たことですから、わたしどもはあなたによしあしを言うことができません。 + リベカがここにおりますから連れて行って、主が言われたように、あなたの主人の子の妻にしてください」。 + アブラハムのしもべは彼らの言葉を聞いて、地に伏し、主を拝した。 + そしてしもべは銀の飾りと、金の飾り、および衣服を取り出してリベカに与え、その兄と母とにも価の高い品々を与えた。 + 彼と従者たちは飲み食いして宿ったが、あくる朝彼らが起きた時、しもべは言った、「わたしを主人のもとに帰らせてください」。 + リベカの兄と母とは言った、「娘は数日、少なくとも十日、わたしどもと共にいて、それから行かせましょう」。 + しもべは彼らに言った、「主はわたしの道にさいわいを与えられましたから、わたしを引きとめずに、主人のもとに帰らせてください」。 + 彼らは言った、「娘を呼んで聞いてみましょう」。 + 彼らはリベカを呼んで言った、「あなたはこの人と一緒に行きますか」。彼女は言った、「行きます」。 + そこで彼らは妹リベカと、そのうばと、アブラハムのしもべと、その従者とを送り去らせた。 + 彼らはリベカを祝福して彼女に言った、「妹よ、あなたは、ちよろずの人の母となれ。あなたの子孫はその敵の門を打ち取れ」。 + リベカは立って侍女たちと共にらくだに乗り、その人に従って行った。しもべはリベカを連れて立ち去った。 + さてイサクはベエル・ラハイ・ロイからきて、ネゲブの地に住んでいた。 + イサクは夕暮、野に出て歩いていたが、目をあげて、らくだの来るのを見た。 + リベカは目をあげてイサクを見、らくだからおりて、 + しもべに言った、「わたしたちに向かって、野を歩いて来るあの人はだれでしょう」。しもべは言った、「あれはわたしの主人です」。するとリベカは、被衣で身をおおった。 + しもべは自分がしたことのすべてをイサクに話した。 + イサクはリベカを天幕に連れて行き、リベカをめとって妻とし、彼女を愛した。こうしてイサクは母の死後、慰めを得た。 + + + アブラハムは再び妻をめとった。名をケトラという。 + 彼女はジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデアン、イシバクおよびシュワを産んだ。 + ヨクシャンの子はシバとデダン。デダンの子孫はアシュリびと、レトシびと、レウミびとである。 + ミデアンの子孫はエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダアであって、これらは皆ケトラの子孫であった。 + アブラハムはその所有をことごとくイサクに与えた。 + またそのそばめたちの子らにもアブラハムは物を与え、なお生きている間に彼らをその子イサクから離して、東の方、東の国に移らせた。 + アブラハムの生きながらえた年は百七十五年である。 + アブラハムは高齢に達し、老人となり、年が満ちて息絶え、死んでその民に加えられた。 + その子イサクとイシマエルは彼をヘテびとゾハルの子エフロンの畑にあるマクペラのほら穴に葬った。これはマムレの向かいにあり、 + アブラハムがヘテの人々から、買い取った畑であって、そこにアブラハムとその妻サラが葬られた。 + アブラハムが死んだ後、神はその子イサクを祝福された。イサクはベエル・ラハイ・ロイのほとりに住んだ。 + サラのつかえめエジプトびとハガルがアブラハムに産んだアブラハムの子イシマエルの系図は次のとおりである。 + イシマエルの子らの名を世代にしたがって、その名をいえば次のとおりである。すなわちイシマエルの長子はネバヨテ、次はケダル、アデビエル、ミブサム、 + ミシマ、ドマ、マッサ、 + ハダデ、テマ、エトル、ネフシ、ケデマ。 + これはイシマエルの子らであり、村と宿営とによる名であって、その氏族による十二人の君たちである。 + イシマエルのよわいは百三十七年である。彼は息絶えて死に、その民に加えられた。 + イシマエルの子らはハビラからエジプトの東、シュルまでの間に住んで、アシュルに及んだ。イシマエルはすべての兄弟の東に住んだ。 + アブラハムの子イサクの系図は次のとおりである。アブラハムの子はイサクであって、 + イサクは四十歳の時、パダンアラムのアラムびとベトエルの娘で、アラムびとラバンの妹リベカを妻にめとった。 + イサクは妻が子を産まなかったので、妻のために主に祈り願った。主はその願いを聞かれ、妻リベカはみごもった。 + ところがその子らが胎内で押し合ったので、リベカは言った、「こんなことでは、わたしはどうなるでしょう」。彼女は行って主に尋ねた。 + 主は彼女に言われた、「二つの国民があなたの胎内にあり、二つの民があなたの腹から別れて出る。一つの民は他の民よりも強く、兄は弟に仕えるであろう」。 + 彼女の出産の日がきたとき、胎内にはふたごがあった。 + さきに出たのは赤くて全身毛ごろものようであった。それで名をエサウと名づけた。 + その後に弟が出た。その手はエサウのかかとをつかんでいた。それで名をヤコブと名づけた。リベカが彼らを産んだ時、イサクは六十歳であった。 + さてその子らは成長し、エサウは巧みな狩猟者となり、野の人となったが、ヤコブは穏やかな人で、天幕に住んでいた。 + イサクは、しかの肉が好きだったので、エサウを愛したが、リベカはヤコブを愛した。 + ある日ヤコブが、あつものを煮ていた時、エサウは飢え疲れて野から帰ってきた。 + エサウはヤコブに言った、「わたしは飢え疲れた。お願いだ。赤いもの、その赤いものをわたしに食べさせてくれ」。彼が名をエドムと呼ばれたのはこのためである。 + ヤコブは言った、「まずあなたの長子の特権をわたしに売りなさい」。 + エサウは言った、「わたしは死にそうだ。長子の特権などわたしに何になろう」。 + ヤコブはまた言った、「まずわたしに誓いなさい」。彼は誓って長子の特権をヤコブに売った。 + そこでヤコブはパンとレンズ豆のあつものとをエサウに与えたので、彼は飲み食いして、立ち去った。このようにしてエサウは長子の特権を軽んじた。 + + + アブラハムの時にあった初めのききんのほか、またききんがその国にあったので、イサクはゲラルにいるペリシテびとの王アビメレクの所へ行った。 + その時、主は彼に現れて言われた、「エジプトへ下ってはならない。わたしがあなたに示す地にとどまりなさい。 + あなたがこの地にとどまるなら、わたしはあなたと共にいて、あなたを祝福し、これらの国をことごとくあなたと、あなたの子孫とに与え、わたしがあなたの父アブラハムに誓った誓いを果そう。 + またわたしはあなたの子孫を増して天の星のようにし、あなたの子孫にこれらの地をみな与えよう。そして地のすべての国民はあなたの子孫によって祝福をえるであろう。 + アブラハムがわたしの言葉にしたがってわたしのさとしと、いましめと、さだめと、おきてとを守ったからである」。 + こうしてイサクはゲラルに住んだ。 + その所の人々が彼の妻のことを尋ねたとき、「彼女はわたしの妹です」と彼は言った。リベカは美しかったので、その所の人々がリベカのゆえに自分を殺すかもしれないと思って、「わたしの妻です」と言うのを恐れたからである。 + イサクは長らくそこにいたが、ある日ペリシテびとの王アビメレクは窓から外をながめていて、イサクがその妻リベカと戯れているのを見た。 + そこでアビメレクはイサクを召して言った、「彼女は確かにあなたの妻です。あなたはどうして『彼女はわたしの妹です』と言われたのですか」。イサクは彼に言った、「わたしは彼女のゆえに殺されるかもしれないと思ったからです」。 + アビメレクは言った、「あなたはどうしてこんな事をわれわれにされたのですか。民のひとりが軽々しくあなたの妻と寝るような事があれば、その時あなたはわれわれに罪を負わせるでしょう」。 + それでアビメレクはすべての民に命じて言った、「この人、またはその妻にさわる者は必ず死ななければならない」。 + イサクはその地に種をまいて、その年に百倍の収穫を得た。このように主が彼を祝福されたので、 + 彼は富み、またますます栄えて非常に裕福になり、 + 羊の群れ、牛の群れ及び多くのしもべを持つようになったので、ペリシテびとは彼をねたんだ。 + またペリシテびとは彼の父アブラハムの時に、父のしもべたちが掘ったすべての井戸をふさぎ、土で埋めた。 + アビメレクはイサクに言った、「あなたはわれわれよりも、はるかに強くなられたから、われわれの所を去ってください」。 + イサクはそこを去り、ゲラルの谷に天幕を張ってその所に住んだ。 + そしてイサクは父アブラハムの時に人々の掘った水の井戸を再び掘った。アブラハムの死後、ペリシテびとがふさいだからである。イサクは父がつけた名にしたがってそれらに名をつけた。 + しかしイサクのしもべたちが谷の中を掘って、そこにわき出る水の井戸を見つけたとき、 + ゲラルの羊飼たちは、「この水はわれわれのものだ」と言って、イサクの羊飼たちと争ったので、イサクはその井戸の名をエセクと名づけた。彼らが彼と争ったからである。 + 彼らはまた一つの井戸を掘ったが、これをも争ったので、名をシテナと名づけた。 + イサクはそこから移ってまた一つの井戸を掘ったが、彼らはこれを争わなかったので、その名をレホボテと名づけて言った、「いま主がわれわれの場所を広げられたから、われわれはこの地にふえるであろう」。 + 彼はそこからベエルシバに上った。 + その夜、主は彼に現れて言われた、「わたしはあなたの父アブラハムの神である。あなたは恐れてはならない。わたしはあなたと共におって、あなたを祝福し、わたしのしもべアブラハムのゆえにあなたの子孫を増すであろう」。 + それで彼はその所に祭壇を築いて、主の名を呼び、そこに天幕を張った。またイサクのしもべたちはそこに一つの井戸を掘った。 + 時にアビメレクがその友アホザテと、軍勢の長ピコルと共にゲラルからイサクのもとにきたので、 + イサクは彼らに言った、「あなたがたはわたしを憎んで、あなたがたの中からわたしを追い出されたのに、どうしてわたしの所にこられたのですか」。 + 彼らは言った、「われわれは主があなたと共におられるのを、はっきり見ましたので、いまわれわれの間、すなわちわれわれとあなたとの間に一つの誓いを立てて、あなたと契約を結ぼうと思います。 + われわれはあなたに害を加えたことはなく、ただ良い事だけをして、安らかに去らせたのですから、あなたはわれわれに悪い事をしてはなりません。まことにあなたは主に祝福されたかたです」。 + そこでイサクは彼らのためにふるまいを設けた。彼らは飲み食いし、 + あくる朝、はやく起きて互に誓った。こうしてイサクは彼らを去らせたので、彼らはイサクのもとから穏やかに去った。 + その日、イサクのしもべたちがきて、自分たちが掘った井戸について彼に告げて言った、「わたしたちは水を見つけました」。 + イサクはそれをシバと名づけた。これによってその町の名は今日にいたるまでベエルシバといわれている。 + エサウは四十歳の時、ヘテびとベエリの娘ユデテとヘテびとエロンの娘バスマテとを妻にめとった。 + 彼女たちはイサクとリベカにとって心の痛みとなった。 + + + イサクは年老い、目がかすんで見えなくなった時、長子エサウを呼んで言った、「子よ」。彼は答えて言った、「ここにおります」。 + イサクは言った。「わたしは年老いて、いつ死ぬかも知れない。 + それであなたの武器、弓矢をもって野に出かけ、わたしのために、しかの肉をとってきて、 + わたしの好きなおいしい食べ物を作り、持ってきて食べさせよ。わたしは死ぬ前にあなたを祝福しよう」。 + イサクがその子エサウに語るのをリベカは聞いていた。やがてエサウが、しかの肉を獲ようと野に出かけたとき、 + リベカはその子ヤコブに言った、「わたしは聞いていましたが、父は兄エサウに、 + 『わたしのために、しかの肉をとってきて、おいしい食べ物を作り、わたしに食べさせよ。わたしは死ぬ前に、主の前であなたを祝福しよう』と言いました。 + それで、子よ、わたしの言葉にしたがい、わたしの言うとおりにしなさい。 + 群れの所へ行って、そこからやぎの子の良いのを二頭わたしの所に取ってきなさい。わたしはそれで父のために、父の好きなおいしい食べ物を作りましょう。 + あなたはそれを持って行って父に食べさせなさい。父は死ぬ前にあなたを祝福するでしょう」。 + ヤコブは母リベカに言った、「兄エサウは毛深い人ですが、わたしはなめらかです。 + おそらく父はわたしにさわってみるでしょう。そうすればわたしは父を欺く者と思われ、祝福を受けず、かえってのろいを受けるでしょう」。 + 母は彼に言った、「子よ、あなたがうけるのろいはわたしが受けます。ただ、わたしの言葉に従い、行って取ってきなさい」。 + そこで彼は行ってやぎの子を取り、母の所に持ってきたので、母は父の好きなおいしい食べ物を作った。 + リベカは家にあった長子エサウの晴着を取って、弟ヤコブに着せ、 + また子やぎの皮を手と首のなめらかな所とにつけさせ、 + 彼女が作ったおいしい食べ物とパンとをその子ヤコブの手にわたした。 + そこでヤコブは父の所へ行って言った、「父よ」。すると父は言った、「わたしはここにいる。子よ、あなたはだれか」。 + ヤコブは父に言った、「長子エサウです。あなたがわたしに言われたとおりにいたしました。どうぞ起きて、すわってわたしのしかの肉を食べ、あなたみずからわたしを祝福してください」。 + イサクはその子に言った、「子よ、どうしてあなたはこんなに早く手に入れたのか」。彼は言った、「あなたの神、主がわたしにしあわせを授けられたからです」。 + イサクはヤコブに言った、「子よ、近寄りなさい。わたしは、さわってみて、あなたが確かにわが子エサウであるかどうかをみよう」。 + ヤコブが、父イサクに近寄ったので、イサクは彼にさわってみて言った、「声はヤコブの声だが、手はエサウの手だ」。 + ヤコブの手が兄エサウの手のように毛深かったため、イサクはヤコブを見わけることができなかったので、彼を祝福した。 + イサクは言った、「あなたは確かにわが子エサウですか」。彼は言った、「そうです」。 + イサクは言った、「わたしの所へ持ってきなさい。わが子のしかの肉を食べて、わたしみずから、あなたを祝福しよう」。ヤコブがそれを彼の所に持ってきたので、彼は食べた。またぶどう酒を持ってきたので、彼は飲んだ。 + そして父イサクは彼に言った、「子よ、さあ、近寄ってわたしに口づけしなさい」。 + 彼が近寄って口づけした時、イサクはその着物のかおりをかぎ、彼を祝福して言った、「ああ、わが子のかおりは、主が祝福された野のかおりのようだ。 + どうか神が、天の露と、地の肥えたところと、多くの穀物と、新しいぶどう酒とをあなたに賜わるように。 + もろもろの民はあなたに仕え、もろもろの国はあなたに身をかがめる。あなたは兄弟たちの主となり、あなたの母の子らは、あなたに身をかがめるであろう。あなたをのろう者はのろわれ、あなたを祝福する者は祝福される」。 + イサクがヤコブを祝福し終って、ヤコブが父イサクの前から出て行くとすぐ、兄エサウが狩から帰ってきた。 + 彼もまたおいしい食べ物を作って、父の所に持ってきて、言った、「父よ、起きてあなたの子のしかの肉を食べ、あなたみずから、わたしを祝福してください」。 + 父イサクは彼に言った、「あなたは、だれか」。彼は言った、「わたしはあなたの子、長子エサウです」。 + イサクは激しくふるえて言った、「それでは、あのしかの肉を取って、わたしに持ってきた者はだれか。わたしはあなたが来る前に、みんな食べて彼を祝福した。ゆえに彼が祝福を得るであろう」。 + エサウは父の言葉を聞いた時、大声をあげ、激しく叫んで、父に言った、「父よ、わたしを、わたしをも祝福してください」。 + イサクは言った、「あなたの弟が偽ってやってきて、あなたの祝福を奪ってしまった」。 + エサウは言った、「よくもヤコブと名づけたものだ。彼は二度までもわたしをおしのけた。さきには、わたしの長子の特権を奪い、こんどはわたしの祝福を奪った」。また言った、「あなたはわたしのために祝福を残しておかれませんでしたか」。 + イサクは答えてエサウに言った、「わたしは彼をあなたの主人とし、兄弟たちを皆しもべとして彼に与え、また穀物とぶどう酒を彼に授けた。わが子よ、今となっては、あなたのために何ができようか」。 + エサウは父に言った、「父よ、あなたの祝福はただ一つだけですか。父よ、わたしを、わたしをも祝福してください」。エサウは声をあげて泣いた。 + 父イサクは答えて彼に言った、「あなたのすみかは地の肥えた所から離れ、また上なる天の露から離れるであろう。 + あなたはつるぎをもって世を渡り、あなたの弟に仕えるであろう。しかし、あなたが勇み立つ時、首から、そのくびきを振り落すであろう」。 + こうしてエサウは父がヤコブに与えた祝福のゆえにヤコブを憎んだ。エサウは心の内で言った、「父の喪の日も遠くはないであろう。その時、弟ヤコブを殺そう」。 + しかしリベカは長子エサウのこの言葉を人づてに聞いたので、人をやり、弟ヤコブを呼んで言った、「兄エサウはあなたを殺そうと考えて、みずから慰めています。 + 子よ、今わたしの言葉に従って、すぐハランにいるわたしの兄ラバンのもとにのがれ、 + あなたの兄の怒りが解けるまで、しばらく彼の所にいなさい。 + 兄の憤りが解けて、あなたのした事を兄が忘れるようになったならば、わたしは人をやって、あなたをそこから迎えましょう。どうして、わたしは一日のうちにあなたがたふたりを失ってよいでしょうか」。 + リベカはイサクに言った、「わたしはヘテびとの娘どものことで、生きているのがいやになりました。もしヤコブがこの地の、あの娘どものようなヘテびとの娘を妻にめとるなら、わたしは生きていて、何になりましょう」。 + + + イサクはヤコブを呼んで、これを祝福し、命じて言った、「あなたはカナンの娘を妻にめとってはならない。 + 立ってパダンアラムへ行き、あなたの母の父ベトエルの家に行って、そこであなたの母の兄ラバンの娘を妻にめとりなさい。 + 全能の神が、あなたを祝福し、多くの子を得させ、かつふえさせて、多くの国民とし、 + またアブラハムの祝福をあなたと子孫とに与えて、神がアブラハムに授けられたあなたの寄留の地を継がせてくださるように」。 + こうしてイサクはヤコブを送り出した。ヤコブはパダンアラムに向かい、アラムびとベトエルの子で、ヤコブとエサウとの母リベカの兄ラバンのもとへ行った。 + さてエサウは、イサクがヤコブを祝福して、パダンアラムにつかわし、そこから妻をめとらせようとしたこと、彼を祝福し、命じて「あなたはカナンの娘を妻にめとってはならない」と言ったこと、 + そしてヤコブが父母の言葉に従って、パダンアラムへ行ったことを知ったとき、 + 彼はカナンの娘が父イサクの心にかなわないのを見た。 + そこでエサウはイシマエルの所に行き、すでにある妻たちのほかにアブラハムの子イシマエルの娘で、ネバヨテの妹マハラテを妻にめとった。 + さてヤコブはベエルシバを立って、ハランへ向かったが、 + 一つの所に着いた時、日が暮れたので、そこに一夜を過ごし、その所の石を取ってまくらとし、そこに伏して寝た。 + 時に彼は夢をみた。一つのはしごが地の上に立っていて、その頂は天に達し、神の使たちがそれを上り下りしているのを見た。 + そして主は彼のそばに立って言われた、「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。あなたが伏している地を、あなたと子孫とに与えよう。 + あなたの子孫は地のちりのように多くなって、西、東、北、南にひろがり、地の諸族はあなたと子孫とによって祝福をうけるであろう。 + わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰るであろう。わたしは決してあなたを捨てず、あなたに語った事を行うであろう」。 + ヤコブは眠りからさめて言った、「まことに主がこの所におられるのに、わたしは知らなかった」。 + そして彼は恐れて言った、「これはなんという恐るべき所だろう。これは神の家である。これは天の門だ」。 + ヤコブは朝はやく起きて、まくらとしていた石を取り、それを立てて柱とし、その頂に油を注いで、 + その所の名をベテルと名づけた。その町の名は初めはルズといった。 + ヤコブは誓いを立てて言った、「神がわたしと共にいまし、わたしの行くこの道でわたしを守り、食べるパンと着る着物を賜い、 + 安らかに父の家に帰らせてくださるなら、主をわたしの神といたしましょう。 + またわたしが柱に立てたこの石を神の家といたしましょう。そしてあなたがくださるすべての物の十分の一を、わたしは必ずあなたにささげます」。 + + + ヤコブはその旅を続けて東の民の地へ行った。 + 見ると野に一つの井戸があって、そのかたわらに羊の三つの群れが伏していた。人々はその井戸から群れに水を飲ませるのであったが、井戸の口には大きな石があった。 + 群れが皆そこに集まると、人々は井戸の口から石をころがして羊に水を飲ませ、その石をまた井戸の口の元のところに返しておくのである。 + ヤコブは人々に言った、「兄弟たちよ、あなたがたはどこからこられたのですか」。彼らは言った、「わたしたちはハランからです」。 + ヤコブは彼らに言った、「あなたがたはナホルの子ラバンを知っていますか」。彼らは言った、「知っています」。 + ヤコブはまた彼らに言った、「彼は無事ですか」。彼らは言った、「無事です。御覧なさい。彼の娘ラケルはいま羊と一緒にここへきます」。 + ヤコブは言った、「日はまだ高いし、家畜を集める時でもない。あなたがたは羊に水を飲ませてから、また行って飼いなさい」。 + 彼らは言った、「わたしたちはそれはできないのです。群れがみな集まった上で、井戸の口から石をころがし、それから羊に水を飲ませるのです」。 + ヤコブがなお彼らと語っている時に、ラケルは父の羊と一緒にきた。彼女は羊を飼っていたからである。 + ヤコブは母の兄ラバンの娘ラケルと母の兄ラバンの羊とを見た。そしてヤコブは進み寄って井戸の口から石をころがし、母の兄ラバンの羊に水を飲ませた。 + ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。 + ヤコブはラケルに、自分がラケルの父のおいであり、リベカの子であることを告げたので、彼女は走って行って父に話した。 + ラバンは妹の子ヤコブがきたという知らせを聞くとすぐ、走って行ってヤコブを迎え、これを抱いて口づけし、家に連れてきた。そこでヤコブはすべての事をラバンに話した。 + ラバンは彼に言った、「あなたはほんとうにわたしの骨肉です」。ヤコブは一か月の間彼と共にいた。 + 時にラバンはヤコブに言った、「あなたはわたしのおいだからといって、ただでわたしのために働くこともないでしょう。どんな報酬を望みますか、わたしに言ってください」。 + さてラバンにはふたりの娘があった。姉の名はレアといい、妹の名はラケルといった。 + レアは目が弱かったが、ラケルは美しくて愛らしかった。 + ヤコブはラケルを愛したので、「わたしは、あなたの妹娘ラケルのために七年あなたに仕えましょう」と言った。 + ラバンは言った、「彼女を他人にやるよりもあなたにやる方がよい。わたしと一緒にいなさい」。 + こうして、ヤコブは七年の間ラケルのために働いたが、彼女を愛したので、ただ数日のように思われた。 + ヤコブはラバンに言った、「期日が満ちたから、わたしの妻を与えて、妻の所にはいらせてください」。 + そこでラバンはその所の人々をみな集めて、ふるまいを設けた。 + 夕暮となったとき、娘レアをヤコブのもとに連れてきたので、ヤコブは彼女の所にはいった。 + ラバンはまた自分のつかえめジルパを娘レアにつかえめとして与えた。 + 朝になって、見ると、それはレアであったので、ヤコブはラバンに言った、「あなたはどうしてこんな事をわたしにされたのですか。わたしはラケルのために働いたのではありませんか。どうしてあなたはわたしを欺いたのですか」。 + ラバンは言った、「妹を姉より先にとつがせる事はわれわれの国ではしません。 + まずこの娘のために一週間を過ごしなさい。そうすればあの娘もあなたにあげよう。あなたは、そのため更に七年わたしに仕えなければならない」。 + ヤコブはそのとおりにして、その一週間が終ったので、ラバンは娘ラケルをも妻として彼に与えた。 + ラバンはまた自分のつかえめビルハを娘ラケルにつかえめとして与えた。 + ヤコブはまたラケルの所にはいった。彼はレアよりもラケルを愛して、更に七年ラバンに仕えた。 + 主はレアがきらわれるのを見て、その胎を開かれたが、ラケルは、みごもらなかった。 + レアは、みごもって子を産み、名をルベンと名づけて、言った、「主がわたしの悩みを顧みられたから、今は夫もわたしを愛するだろう」。 + 彼女はまた、みごもって子を産み、「主はわたしが嫌われるのをお聞きになって、わたしにこの子をも賜わった」と言って、名をシメオンと名づけた。 + 彼女はまた、みごもって子を産み、「わたしは彼に三人の子を産んだから、こんどこそは夫もわたしに親しむだろう」と言って、名をレビと名づけた。 + 彼女はまた、みごもって子を産み、「わたしは今、主をほめたたえる」と言って名をユダと名づけた。そこで彼女の、子を産むことはやんだ。 + + + ラケルは自分がヤコブに子を産まないのを知った時、姉をねたんでヤコブに言った、「わたしに子どもをください。さもないと、わたしは死にます」。 + ヤコブはラケルに向かい怒って言った、「あなたの胎に子どもをやどらせないのは神です。わたしが神に代ることができようか」。 + ラケルは言った、「わたしのつかえめビルハがいます。彼女の所におはいりなさい。彼女が子を産んで、わたしのひざに置きます。そうすれば、わたしもまた彼女によって子を持つでしょう」。 + ラケルはつかえめビルハを彼に与えて、妻とさせたので、ヤコブは彼女の所にはいった。 + ビルハは、みごもってヤコブに子を産んだ。 + そこでラケルは、「神はわたしの訴えに答え、またわたしの声を聞いて、わたしに子を賜わった」と言って、名をダンと名づけた。 + ラケルのつかえめビルハはまた、みごもって第二の子をヤコブに産んだ。 + そこでラケルは、「わたしは激しい争いで、姉と争って勝った」と言って、名をナフタリと名づけた。 + さてレアは自分が子を産むことのやんだのを見たとき、つかえめジルパを取り、妻としてヤコブに与えた。 + レアのつかえめジルパはヤコブに子を産んだ。 + そこでレアは、「幸運がきた」と言って、名をガドと名づけた。 + レアのつかえめジルパは第二の子をヤコブに産んだ。 + そこでレアは、「わたしは、しあわせです。娘たちはわたしをしあわせな者と言うでしょう」と言って、名をアセルと名づけた。 + さてルベンは麦刈りの日に野に出て、野で恋なすびを見つけ、それを母レアのもとに持ってきた。ラケルはレアに言った、「あなたの子の恋なすびをどうぞわたしにください」。 + レアはラケルに言った、「あなたがわたしの夫を取ったのは小さな事でしょうか。その上、あなたはまたわたしの子の恋なすびをも取ろうとするのですか」。ラケルは言った、「それではあなたの子の恋なすびに換えて、今夜彼をあなたと共に寝させましょう」。 + 夕方になって、ヤコブが野から帰ってきたので、レアは彼を出迎えて言った、「わたしの子の恋なすびをもって、わたしがあなたを雇ったのですから、あなたはわたしの所に、はいらなければなりません」。ヤコブはその夜レアと共に寝た。 + 神はレアの願いを聞かれたので、彼女はみごもって五番目の子をヤコブに産んだ。 + そこでレアは、「わたしがつかえめを夫に与えたから、神がわたしにその価を賜わったのです」と言って、名をイッサカルと名づけた。 + レアはまた、みごもって六番目の子をヤコブに産んだ。 + そこでレアは、「神はわたしに良い賜物をたまわった。わたしは六人の子を夫に産んだから、今こそ彼はわたしと一緒に住むでしょう」と言って、その名をゼブルンと名づけた。 + その後、彼女はひとりの娘を産んで、名をデナと名づけた。 + 次に神はラケルを心にとめられ、彼女の願いを聞き、その胎を開かれたので、 + 彼女は、みごもって男の子を産み、「神はわたしの恥をすすいでくださった」と言って、 + 名をヨセフと名づけ、「主がわたしに、なおひとりの子を加えられるように」と言った。 + ラケルがヨセフを産んだ時、ヤコブはラバンに言った、「わたしを去らせて、わたしの故郷、わたしの国へ行かせてください。 + あなたに仕えて得たわたしの妻子を、わたしに与えて行かせてください。わたしがあなたのために働いた骨折りは、あなたがごぞんじです」。 + ラバンは彼に言った、「もし、あなたの心にかなうなら、とどまってください。わたしは主があなたのゆえに、わたしを恵まれるしるしを見ました」。 + また言った、「あなたの報酬を申し出てください。わたしはそれを払います」。 + ヤコブは彼に言った、「わたしがどのようにあなたに仕えたか、またどのようにあなたの家畜を飼ったかは、あなたがごぞんじです。 + わたしが来る前には、あなたの持っておられたものはわずかでしたが、ふえて多くなりました。主はわたしの行く所どこでも、あなたを恵まれました。しかし、いつになったらわたしも自分の家を成すようになるでしょうか」。 + 彼は言った、「何をあなたにあげようか」。ヤコブは言った、「なにもわたしにくださるに及びません。もしあなたが、わたしのためにこの一つの事をしてくださるなら、わたしは今一度あなたの群れを飼い、守りましょう。 + わたしはきょう、あなたの群れをみな回ってみて、その中からすべてぶちとまだらの羊、およびすべて黒い小羊と、やぎの中のまだらのものと、ぶちのものとを移しますが、これをわたしの報酬としましょう。 + あとで、あなたがきて、あなたの前でわたしの報酬をしらべる時、わたしの正しい事が証明されるでしょう。もしも、やぎの中にぶちのないもの、まだらでないものがあったり、小羊の中に黒くないものがあれば、それはみなわたしが盗んだものとなるでしょう」。 + ラバンは言った、「よろしい。あなたの言われるとおりにしましょう」。 + そこでラバンはその日、雄やぎのしまのあるもの、まだらのもの、すべて雌やぎのぶちのもの、まだらのもの、すべて白みをおびているもの、またすべて小羊の中の黒いものを移して子らの手にわたし、 + ヤコブとの間に三日路の隔たりを設けた。ヤコブはラバンの残りの群れを飼った。 + ヤコブは、はこやなぎと、あめんどうと、すずかけの木のなまの枝を取り、皮をはいでそれに白い筋をつくり、枝の白い所を表わし、 + 皮をはいだ枝を、群れがきて水を飲む鉢、すなわち水ぶねの中に、群れに向かわせて置いた。群れは水を飲みにきた時に、はらんだ。 + すなわち群れは枝の前で、はらんで、しまのあるもの、ぶちのもの、まだらのものを産んだ。 + ヤコブはその小羊を別においた。彼はまた群れの顔をラバンの群れのしまのあるものと、すべて黒いものとに向かわせた。そして自分の群れを別にまとめておいて、ラバンの群れには、入れなかった。 + また群れの強いものが発情した時には、ヤコブは水ぶねの中に、その群れの目の前に、かの枝を置いて、枝の間で、はらませた。 + けれども群れの弱いものの時には、それを置かなかった。こうして弱いものはラバンのものとなり、強いものはヤコブのものとなったので、 + この人は大いに富み、多くの群れと、男女の奴隷、およびらくだ、ろばを持つようになった。 + + + さてヤコブはラバンの子らが、「ヤコブはわれわれの父の物をことごとく奪い、父の物によってあのすべての富を獲たのだ」と言っているのを聞いた。 + またヤコブがラバンの顔を見るのに、それは自分に対して以前のようではなかった。 + 主はヤコブに言われた、「あなたの先祖の国へ帰り、親族のもとに行きなさい。わたしはあなたと共にいるであろう」。 + そこでヤコブは人をやって、ラケルとレアとを、野にいる自分の群れのところに招き、 + 彼女らに言った、「わたしがあなたがたの父の顔を見るのに、わたしに対して以前のようではない。しかし、わたしの父の神はわたしと共におられる。 + あなたがたが知っているように、わたしは力のかぎり、あなたがたの父に仕えてきた。 + しかし、あなたがたの父はわたしを欺いて、十度もわたしの報酬を変えた。けれども神は彼がわたしに害を加えることをお許しにならなかった。 + もし彼が、『ぶちのものはあなたの報酬だ』と言えば、群れは皆ぶちのものを産んだ。もし彼が、『しまのあるものはあなたの報酬だ』と言えば、群れは皆しまのあるものを産んだ。 + こうして神はあなたがたの父の家畜をとってわたしに与えられた。 + また群れが発情した時、わたしが夢に目をあげて見ると、群れの上に乗っている雄やぎは皆しまのあるもの、ぶちのもの、霜ふりのものであった。 + その時、神の使が夢の中でわたしに言った、『ヤコブよ』。わたしは答えた、『ここにおります』。 + 神の使は言った、『目を上げて見てごらん。群れの上に乗っている雄やぎは皆しまのあるもの、ぶちのもの、霜ふりのものです。わたしはラバンがあなたにしたことをみな見ています。 + わたしはベテルの神です。かつてあなたはあそこで柱に油を注いで、わたしに誓いを立てましたが、いま立ってこの地を出て、あなたの生れた国へ帰りなさい』」。 + ラケルとレアは答えて言った、「わたしたちの父の家に、なおわたしたちの受くべき分、また嗣業がありましょうか。 + わたしたちは父に他人のように思われているではありませんか。彼はわたしたちを売ったばかりでなく、わたしたちのその金をさえ使い果たしたのです。 + 神がわたしたちの父から取りあげられた富は、みなわたしたちとわたしたちの子どものものです。だから何事でも神があなたにお告げになった事をしてください」。 + そこでヤコブは立って、子らと妻たちをらくだに乗せ、 + またすべての家畜、すなわち彼がパダンアラムで獲た家畜と、すべての財産を携えて、カナンの地におる父イサクのもとへ赴いた。 + その時ラバンは羊の毛を切るために出ていたので、ラケルは父の所有のテラピムを盗み出した。 + またヤコブはアラムびとラバンを欺き、自分の逃げ去るのを彼に告げなかった。 + こうして彼はすべての持ち物を携えて逃げ、立って川を渡り、ギレアデの山地へ向かった。 + 三日目になって、ヤコブの逃げ去ったことが、ラバンに聞えたので、 + 彼は一族を率いて、七日の間そのあとを追い、ギレアデの山地で追いついた。 + しかし、神は夜の夢にアラムびとラバンに現れて言われた、「あなたは心してヤコブに、よしあしを言ってはなりません」。 + ラバンはついにヤコブに追いついたが、ヤコブが山に天幕を張っていたので、ラバンも一族と共にギレアデの山に天幕を張った。 + ラバンはヤコブに言った、「あなたはなんという事をしたのですか。あなたはわたしを欺いてわたしの娘たちをいくさのとりこのように引いて行きました。 + なぜあなたはわたしに告げずに、ひそかに逃げ去ってわたしを欺いたのですか。わたしは手鼓や琴で喜び歌ってあなたを送りだそうとしていたのに。 + なぜわたしの孫や娘にわたしが口づけするのを許さなかったのですか。あなたは愚かな事をしました。 + わたしはあなたがたに害を加える力をもっているが、あなたがたの父の神が昨夜わたしに告げて、『おまえは心して、ヤコブによしあしを言うな』と言われました。 + 今あなたが逃げ出したのは父の家が非常に恋しくなったからでしょうが、なぜあなたはわたしの神を盗んだのですか」。 + ヤコブはラバンに答えた、「たぶんあなたが娘たちをわたしから奪いとるだろうと思ってわたしは恐れたからです。 + だれの所にでもあなたの神が見つかったら、その者を生かしてはおきません。何かあなたの物がわたしのところにあるか、われわれの一族の前で、調べてみて、それをお取りください」。ラケルが神を盗んだことをヤコブは知らなかったからである。 + そこでラバンはヤコブの天幕にはいり、またレアの天幕にはいり、更にふたりのはしための天幕にはいってみたが、見つからなかったので、レアの天幕を出てラケルの天幕にはいった。 + しかし、ラケルはすでにテラピムを取って、らくだのくらの下に入れ、その上にすわっていたので、ラバンは、くまなく天幕の中を捜したが、見つからなかった。 + その時ラケルは父に言った、「わたしは女の常のことがあって、あなたの前に立ち上がることができません。わが主よ、どうかお怒りにならぬよう」。彼は捜したがテラピムは見つからなかった。 + そこでヤコブは怒ってラバンを責めた。そしてヤコブはラバンに言った、「わたしにどんなあやまちがあり、どんな罪があって、あなたはわたしのあとを激しく追ったのですか。 + あなたはわたしの物をことごとく探られたが、何かあなたの家の物が見つかりましたか。それを、ここに、わたしの一族と、あなたの一族の前に置いて、われわれふたりの間をさばかせましょう。 + わたしはこの二十年、あなたと一緒にいましたが、その間あなたの雌羊も雌やぎも子を産みそこねたことはなく、またわたしはあなたの群れの雄羊を食べたこともありませんでした。 + また野獣が、かみ裂いたものは、あなたのもとに持ってこないで、自分でそれを償いました。また昼盗まれたものも、夜盗まれたものも、あなたはわたしにその償いを求められました。 + わたしのことを言えば、昼は暑さに、夜は寒さに悩まされて、眠ることもできませんでした。 + わたしはこの二十年あなたの家族のひとりでありました。わたしはあなたのふたりの娘のために十四年、またあなたの群れのために六年、あなたに仕えましたが、あなたは十度もわたしの報酬を変えられました。 + もし、わたしの父の神、アブラハムの神、イサクのかしこむ者がわたしと共におられなかったなら、あなたはきっとわたしを、から手で去らせたでしょう。神はわたしの悩みと、わたしの労苦とを顧みられて昨夜あなたを戒められたのです」。 + ラバンは答えてヤコブに言った、「娘たちはわたしの娘、子どもたちはわたしの孫です。また群れはわたしの群れ、あなたの見るものはみなわたしのものです。これらのわたしの娘たちのため、また彼らが産んだ子どもたちのため、きょうわたしは何をすることができましょうか。 + さあ、それではわたしとあなたと契約を結んで、これをわたしとあなたとの間の証拠としましょう」。 + そこでヤコブは石を取り、それを立てて柱とした。 + ヤコブはまた一族の者に言った、「石を集めてください」。彼らは石を取って、一つの石塚を造った。こうして彼らはその石塚のかたわらで食事をした。 + ラバンはこれをエガル・サハドタと名づけ、ヤコブはこれをガルエドと名づけた。 + そしてラバンは言った、「この石塚はきょうわたしとあなたとの間の証拠となります」。それでその名はガルエドと呼ばれた。 + またミズパとも呼ばれた。彼がこう言ったからである、「われわれが互に別れたのちも、どうか主がわたしとあなたとの間を見守られるように。 + もしあなたがわたしの娘を虐待したり、わたしの娘のほかに妻をめとることがあれば、たといそこにだれひとりいなくても、神はわたしとあなたとの間の証人でいらせられる」。 + 更にラバンはヤコブに言った、「あなたとわたしとの間にわたしが建てたこの石塚をごらんなさい、この柱をごらんなさい。 + この石塚を越えてわたしがあなたに害を加えず、またこの石塚とこの柱を越えてあなたがわたしに害を加えないように、どうかこの石塚があかしとなり、この柱があかしとなるように。 + どうかアブラハムの神、ナホルの神、彼らの父の神がわれわれの間をさばかれるように」。ヤコブは父イサクのかしこむ者によって誓った。 + そしてヤコブは山で犠牲をささげ、一族を招いて、食事をした。彼らは食事をして山に宿った。 + あくる朝ラバンは早く起き、孫と娘たちに口づけして彼らを祝福し、去って家に帰った。 + + + さて、ヤコブが旅路に進んだとき、神の使たちが彼に会った。 + ヤコブは彼らを見て、「これは神の陣営です」と言って、その所の名をマハナイムと名づけた。 + ヤコブはセイルの地、エドムの野に住む兄エサウのもとに、さきだって使者をつかわした。 + すなわちそれに命じて言った、「あなたがたはわたしの主人エサウにこう言いなさい、『あなたのしもべヤコブはこう言いました。わたしはラバンのもとに寄留して今までとどまりました。 + わたしは牛、ろば、羊、男女の奴隷を持っています。それでわが主に申し上げて、あなたの前に恵みを得ようと人をつかわしたのです』」。 + 使者はヤコブのもとに帰って言った、「わたしたちはあなたの兄エサウのもとへ行きました。彼もまたあなたを迎えようと四百人を率いてきます」。 + そこでヤコブは大いに恐れ、苦しみ、共にいる民および羊、牛、らくだを二つの組に分けて、 + 言った、「たとい、エサウがきて、一つの組を撃っても、残りの組はのがれるであろう」。 + ヤコブはまた言った、「父アブラハムの神、父イサクの神よ、かつてわたしに『おまえの国へ帰り、おまえの親族に行け。わたしはおまえを恵もう』と言われた主よ、 + あなたがしもべに施されたすべての恵みとまことをわたしは受けるに足りない者です。わたしは、つえのほか何も持たないでこのヨルダンを渡りましたが、今は二つの組にもなりました。 + どうぞ、兄エサウの手からわたしをお救いください。わたしは彼がきて、わたしを撃ち、母や子供たちにまで及ぶのを恐れます。 + あなたは、かつて、『わたしは必ずおまえを恵み、おまえの子孫を海の砂の数えがたいほど多くしよう』と言われました」。 + 彼はその夜そこに宿り、持ち物のうちから兄エサウへの贈り物を選んだ。 + すなわち雌やぎ二百、雄やぎ二十、雌羊二百、雄羊二十、 + 乳らくだ三十とその子、雌牛四十、雄牛十、雌ろば二十、雄ろば十。 + 彼はこれらをそれぞれの群れに分けて、しもべたちの手にわたし、しもべたちに言った、「あなたがたはわたしの先に進みなさい、そして群れと群れとの間には隔たりをおきなさい」。 + また先頭の者に命じて言った、「もし、兄エサウがあなたに会って『だれのしもべで、どこへ行くのか。あなたの前にあるこれらのものはだれの物か』と尋ねたら、 + 『あなたのしもべヤコブの物で、わが主エサウにおくる贈り物です。彼もわたしたちのうしろにおります』と言いなさい」。 + 彼は第二の者にも、第三の者にも、また群れ群れについて行くすべての者にも命じて言った、「あなたがたがエサウに会うときは、同じように彼に告げて、 + 『あなたのしもべヤコブもわれわれのうしろにおります』と言いなさい」。ヤコブは、「わたしがさきに送る贈り物をもってまず彼をなだめ、それから、彼の顔を見よう。そうすれば、彼はわたしを迎えてくれるであろう」と思ったからである。 + こうして贈り物は彼に先立って渡り、彼はその夜、宿営にやどった。 + 彼はその夜起きて、ふたりの妻とふたりのつかえめと十一人の子どもとを連れてヤボクの渡しをわたった。 + すなわち彼らを導いて川を渡らせ、また彼の持ち物を渡らせた。 + ヤコブはひとりあとに残ったが、ひとりの人が、夜明けまで彼と組打ちした。 + ところでその人はヤコブに勝てないのを見て、ヤコブのもものつがいにさわったので、ヤコブのもものつがいが、その人と組打ちするあいだにはずれた。 + その人は言った、「夜が明けるからわたしを去らせてください」。ヤコブは答えた、「わたしを祝福してくださらないなら、あなたを去らせません」。 + その人は彼に言った、「あなたの名はなんと言いますか」。彼は答えた、「ヤコブです」。 + その人は言った、「あなたはもはや名をヤコブと言わず、イスラエルと言いなさい。あなたが神と人とに、力を争って勝ったからです」。 + ヤコブは尋ねて言った、「どうかわたしにあなたの名を知らせてください」。するとその人は、「なぜあなたはわたしの名をきくのですか」と言ったが、その所で彼を祝福した。 + そこでヤコブはその所の名をペニエルと名づけて言った、「わたしは顔と顔をあわせて神を見たが、なお生きている」。 + こうして彼がペニエルを過ぎる時、日は彼の上にのぼったが、彼はそのもものゆえにびっこを引いていた。 + そのため、イスラエルの子らは今日まで、もものつがいの上にある腰の筋を食べない。かの人がヤコブのもものつがい、すなわち腰の筋にさわったからである。 + + + さてヤコブは目をあげ、エサウが四百人を率いて来るのを見た。そこで彼は子供たちを分けてレアとラケルとふたりのつかえめとにわたし、 + つかえめとその子供たちをまっ先に置き、レアとその子供たちを次に置き、ラケルとヨセフを最後に置いて、 + みずから彼らの前に進み、七たび身を地にかがめて、兄に近づいた。 + するとエサウは走ってきて迎え、彼を抱き、そのくびをかかえて口づけし、共に泣いた。 + エサウは目をあげて女と子供たちを見て言った、「あなたと一緒にいるこれらの者はだれですか」。ヤコブは言った、「神がしもべに授けられた子供たちです」。 + そこでつかえめたちはその子供たちと共に近寄ってお辞儀した。 + レアもまたその子供たちと共に近寄ってお辞儀し、それからヨセフとラケルが近寄ってお辞儀した。 + するとエサウは言った、「わたしが出会ったあのすべての群れはどうしたのですか」。ヤコブは言った、「わが主の前に恵みを得るためです」。 + エサウは言った、「弟よ、わたしはじゅうぶんもっている。あなたの物はあなたのものにしなさい」。 + ヤコブは言った、「いいえ、もしわたしがあなたの前に恵みを得るなら、どうか、わたしの手から贈り物を受けてください。あなたが喜んでわたしを迎えてくださるので、あなたの顔を見て、神の顔を見るように思います。 + どうかわたしが持ってきた贈り物を受けてください。神がわたしを恵まれたので、わたしはじゅうぶんもっていますから」。こうして彼がしいたので、彼は受け取った。 + そしてエサウは言った、「さあ、立って行こう。わたしが先に行く」。 + ヤコブは彼に言った、「ごぞんじのように、子供たちは、かよわく、また乳を飲ませている羊や牛をわたしが世話をしています。もし一日でも歩かせ過ぎたら群れはみな死んでしまいます。 + わが主よ、どうか、しもべの先においでください。わたしはわたしの前にいる家畜と子供たちの歩みに合わせて、ゆっくり歩いて行き、セイルでわが主と一緒になりましょう」。 + エサウは言った、「それならわたしが連れている者どものうち幾人かをあなたのもとに残しましょう」。ヤコブは言った、「いいえ、それには及びません。わが主の前に恵みを得させてください」。 + その日エサウはセイルへの帰途についた。 + ヤコブは立ってスコテに行き、自分のために家を建て、また家畜のために小屋を造った。これによってその所の名はスコテと呼ばれている。 + こうしてヤコブはパダンアラムからきて、無事カナンの地のシケムの町に着き、町の前に宿営した。 + 彼は天幕を張った野の一部をシケムの父ハモルの子らの手から百ケシタで買い取り、 + そこに祭壇を建てて、これをエル・エロヘ・イスラエルと名づけた。 + + + レアがヤコブに産んだ娘デナはその地の女たちに会おうと出かけて行ったが、 + その地のつかさ、ヒビびとハモルの子シケムが彼女を見て、引き入れ、これと寝てはずかしめた。 + 彼は深くヤコブの娘デナを慕い、この娘を愛して、ねんごろに娘に語った。 + シケムは父ハモルに言った、「この娘をわたしの妻にめとってください」。 + さてヤコブはシケムが、娘デナを汚したことを聞いたけれども、その子らが家畜を連れて野にいたので、彼らの帰るまで黙っていた。 + シケムの父ハモルはヤコブと話し合おうと、ヤコブの所に出てきた。 + ヤコブの子らは野から帰り、この事を聞いて、悲しみ、かつ非常に怒った。シケムがヤコブの娘と寝て、イスラエルに愚かなことをしたためで、こんなことは、してはならぬ事だからである。 + ハモルは彼らと語って言った、「わたしの子シケムはあなたがたの娘を心に慕っています。どうか彼女を彼の妻にください。 + あなたがたはわたしたちと婚姻し、あなたがたの娘をわたしたちに与え、わたしたちの娘をあなたがたにめとってください。 + こうしてあなたがたとわたしたちとは一緒に住みましょう。地はあなたがたの前にあります。ここに住んで取引し、ここで財産を獲なさい」。 + シケムはまたデナの父と兄弟たちとに言った、「あなたがたの前に恵みを得させてください。あなたがたがわたしに言われるものは、なんでもさしあげましょう。 + たくさんの結納金と贈り物とをお求めになっても、あなたがたの言われるとおりさしあげます。ただこの娘はわたしの妻にください」。 + しかし、ヤコブの子らはシケムが彼らの妹デナを汚したので、シケムとその父ハモルに偽って答え、 + 彼らに言った、「われわれは割礼を受けない者に妹をやる事はできません。それはわれわれの恥とするところですから。 + ただ、こうなさればわれわれはあなたがたに同意します。もしあなたがたのうち男子がみな割礼を受けて、われわれのようになるなら、 + われわれの娘をあなたがたに与え、あなたがたの娘をわれわれにめとりましょう。そしてわれわれはあなたがたと一緒に住んで一つの民となりましょう。 + けれども、もしあなたがたがわれわれに聞かず、割礼を受けないなら、われわれは娘を連れて行きます」。 + 彼らの言葉がハモルとハモルの子シケムとの心にかなったので、 + 若者は、ためらわずにこの事をした。彼がヤコブの娘を愛したからである。また彼は父の家のうちで一番重んじられた者であった。 + そこでハモルとその子シケムとは町の門に行き、町の人々に語って言った、 + 「この人々はわれわれと親しいから、この地に住まわせて、ここで取引をさせよう。地は広く、彼らをいれるにじゅうぶんである。そしてわれわれは彼らの娘を妻にめとり、われわれの娘を彼らに与えよう。 + 彼らが割礼を受けているように、もしわれわれのうちの男子が皆、割礼を受けるなら、ただこの事だけで、この人々はわれわれに同意し、われわれと一緒に住んで一つの民となるのだ。 + そうすれば彼らの家畜と財産とすべての獣とは、われわれのものとなるではないか。ただわれわれが彼らに同意すれば、彼らはわれわれと一緒に住むであろう」。 + そこで町の門に出入りする者はみなハモルとその子シケムとに聞き従って、町の門に出入りするすべての男子は割礼を受けた。 + 三日目になって彼らが痛みを覚えている時、ヤコブのふたりの子、すなわちデナの兄弟シメオンとレビとは、おのおのつるぎを取って、不意に町を襲い、男子をことごとく殺し、 + またつるぎの刃にかけてハモルとその子シケムとを殺し、シケムの家からデナを連れ出した。 + そしてヤコブの子らは殺された人々をはぎ、町をかすめた。彼らが妹を汚したからである。 + すなわち羊、牛、ろば及び町にあるものと、野にあるもの、 + 並びにすべての貨財を奪い、その子女と妻たちを皆とりこにし、家の中にある物をことごとくかすめた。 + そこでヤコブはシメオンとレビとに言った、「あなたがたはわたしをこの地の住民、カナンびととペリジびとに忌みきらわせ、わたしに迷惑をかけた。わたしは、人数が少ないから、彼らが集まってわたしを攻め撃つならば、わたしも家族も滅ぼされるであろう」。 + 彼らは言った、「わたしたちの妹を遊女のように彼が扱ってよいのですか」。 + + + ときに神はヤコブに言われた、「あなたは立ってベテルに上り、そこに住んで、あなたがさきに兄エサウの顔を避けてのがれる時、あなたに現れた神に祭壇を造りなさい」。 + ヤコブは、その家族および共にいるすべての者に言った、「あなたがたのうちにある異なる神々を捨て、身を清めて着物を着替えなさい。 + われわれは立ってベテルに上り、その所でわたしの苦難の日にわたしにこたえ、かつわたしの行く道で共におられた神に祭壇を造ろう」。 + そこで彼らは持っている異なる神々と、耳につけている耳輪をことごとくヤコブに与えたので、ヤコブはこれをシケムのほとりにあるテレビンの木の下に埋めた。 + そして彼らは、いで立ったが、大いなる恐れが周囲の町々に起ったので、ヤコブの子らのあとを追う者はなかった。 + こうしてヤコブは共にいたすべての人々と一緒にカナンの地にあるルズ、すなわちベテルにきた。 + 彼はそこに祭壇を築き、その所をエル・ベテルと名づけた。彼が兄の顔を避けてのがれる時、神がそこで彼に現れたからである。 + 時にリベカのうばデボラが死んで、ベテルのしもの、かしの木の下に葬られた。これによってその木の名をアロン・バクテと呼ばれた。 + さてヤコブがパダンアラムから帰ってきた時、神は再び彼に現れて彼を祝福された。 + 神は彼に言われた、「あなたの名はヤコブである。しかしあなたの名をもはやヤコブと呼んではならない。あなたの名をイスラエルとしなさい」。こうして彼をイスラエルと名づけられた。 + 神はまた彼に言われた、「わたしは全能の神である。あなたは生めよ、またふえよ。一つの国民、また多くの国民があなたから出て、王たちがあなたの身から出るであろう。 + わたしはアブラハムとイサクとに与えた地を、あなたに与えよう。またあなたの後の子孫にその地を与えよう」。 + 神は彼と語っておられたその場所から彼を離れてのぼられた。 + そこでヤコブは神が自分と語られたその場所に、一本の石の柱を立て、その上に灌祭をささげ、また油を注いだ。 + そしてヤコブは神が自分と語られたその場所をベテルと名づけた。 + こうして彼らはベテルを立ったが、エフラタに行き着くまでに、なお隔たりのある所でラケルは産気づき、その産は重かった。 + その難産に当って、産婆は彼女に言った、「心配することはありません。今度も男の子です」。 + 彼女は死にのぞみ、魂の去ろうとする時、子の名をベノニと呼んだ。しかし、父はこれをベニヤミンと名づけた。 + ラケルは死んでエフラタ、すなわちベツレヘムの道に葬られた。 + ヤコブはその墓に柱を立てた。これはラケルの墓の柱であって、今日に至っている。 + イスラエルはまた、いで立ってミグダル・エダルの向こうに天幕を張った。 + イスラエルがその地に住んでいた時、ルベンは父のそばめビルハのところへ行って、これと寝た。イスラエルはこれを聞いた。さてヤコブの子らは十二人であった。 + すなわちレアの子らはヤコブの長子ルベンとシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。 + ラケルの子らはヨセフとベニヤミン。 + ラケルのつかえめビルハの子らはダンとナフタリ。 + レアのつかえめジルパの子らはガドとアセル。これらはヤコブの子らであって、パダンアラムで彼に生れた者である。 + ヤコブはキリアテ・アルバ、すなわちヘブロンのマムレにいる父イサクのもとへ行った。ここはアブラハムとイサクとが寄留した所である。 + イサクの年は百八十歳であった。 + イサクは年老い、日満ちて息絶え、死んで、その民に加えられた。その子エサウとヤコブとは、これを葬った。 + + + エサウ、すなわちエドムの系図は次のとおりである。 + エサウはカナンの娘たちのうちから妻をめとった。すなわちヘテびとエロンの娘アダと、ヒビびとヂベオンの子アナの娘アホリバマとである。 + また、イシマエルの娘ネバヨテの妹バスマテをめとった。 + アダはエリパズをエサウに産み、バスマテはリウエルを産み、 + アホリバマはエウシ、ヤラム、コラを産んだ。これらはエサウの子であって、カナンの地で彼に生れた者である。 + エサウは妻と子と娘と家のすべての人、家畜とすべての獣、またカナンの地で獲たすべての財産を携え、兄弟ヤコブを離れてほかの地へ行った。 + 彼らの財産が多くて、一緒にいることができなかったからである。すなわち彼らが寄留した地は彼らの家畜のゆえに、彼らをささえることができなかったのである。 + こうしてエサウはセイルの山地に住んだ。エサウはすなわちエドムである。 + セイルの山地におったエドムびとの先祖エサウの系図は次のとおりである。 + エサウの子らの名は次のとおりである。すなわちエサウの妻アダの子はエリパズ。エサウの妻バスマテの子はリウエル。 + エリパズの子らはテマン、オマル、ゼポ、ガタム、ケナズである。 + テムナはエサウの子エリパズのそばめで、アマレクをエリパズに産んだ。これらはエサウの妻アダの子らである。 + リウエルの子らは次のとおりである。すなわちナハテ、ゼラ、シャンマ、ミザであって、これらはエサウの妻バスマテの子らである。 + ヂベオンの子アナの娘で、エサウの妻アホリバマの子らは次のとおりである。すなわち彼女はエウシ、ヤラム、コラをエサウに産んだ。 + エサウの子らの中で、族長たる者は次のとおりである。すなわちエサウの長子エリパズの子らはテマンの族長、オマルの族長、ゼポの族長、ケナズの族長、 + コラの族長、ガタムの族長、アマレクの族長である。これらはエリパズから出た族長で、エドムの地におった。これらはアダの子らである。 + エサウの子リウエルの子らは次のとおりである。すなわちナハテの族長、ゼラの族長、シャンマの族長、ミザの族長。これらはリウエルから出た族長で、エドムの地におった。これらはエサウの妻バスマテの子らである。 + エサウの妻アホリバマの子らは次のとおりである。すなわちエウシの族長、ヤラムの族長、コラの族長。これらはアナの娘で、エサウの妻アホリバマから出た族長である。 + これらはエサウすなわちエドムの子らで、族長たる者である。 + この地の住民ホリびとセイルの子らは次のとおりである。すなわちロタン、ショバル、ヂベオン、アナ、 + デション、エゼル、デシャン。これらはセイルの子ホリびとから出た族長で、エドムの地におった。 + ロタンの子らはホリ、ヘマムであり、ロタンの妹はテムナであった。 + ショバルの子らは次のとおりである。すなわちアルワン、マナハテ、エバル、シポ、オナム。 + ヂベオンの子らは次のとおりである。すなわちアヤとアナ。このアナは父ヂベオンのろばを飼っていた時、荒野で温泉を発見した者である。 + アナの子らは次のとおりである。すなわちデションとアホリバマ。アホリバマはアナの娘である。 + デションの子らは次のとおりである。すなわちヘムダン、エシバン、イテラン、ケラン。 + エゼルの子らは次のとおりである。すなわちビルハン、ザワン、アカン。 + デシャンの子らは次のとおりである。すなわちウズとアラン。 + ホリびとから出た族長は次のとおりである。すなわちロタンの族長、ショバルの族長、ヂベオンの族長、アナの族長、 + デションの族長、エゼルの族長、デシャンの族長。これらはホリびとから出た族長であって、その氏族に従ってセイルの地におった者である。 + イスラエルの人々を治める王がまだなかった時、エドムの地を治めた王たちは次のとおりである。 + ベオルの子ベラはエドムを治め、その都の名はデナバであった。 + ベラが死んで、ボズラのゼラの子ヨバブがこれに代って王となった。 + ヨバブが死んで、テマンびとの地のホシャムがこれに代って王となった。 + ホシャムが死んで、ベダデの子ハダデがこれに代って王となった。彼はモアブの野でミデアンを撃った者である。その都の名はアビテであった。 + ハダデが死んで、マスレカのサムラがこれに代って王となった。 + サムラが死んでユフラテ川のほとりにあるレホボテのサウルがこれに代って王となった。 + サウルが死んでアクボルの子バアル・ハナンがこれに代って王となった。 + アクボルの子バアル・ハナンが死んで、ハダルがこれに代って王となった。その都の名はパウであった。その妻の名はメヘタベルといって、メザハブの娘マテレデの娘であった。 + エサウから出た族長の名は、その氏族と住所と名に従って言えば次のとおりである。すなわちテムナの族長、アルワの族長、エテテの族長、 + アホリバマの族長、エラの族長、ピノンの族長、 + ケナズの族長、テマンの族長、ミブザルの族長、 + マグデエルの族長、イラムの族長。これらはエドムの族長たちであって、その領地内の住所に従っていったものである。エドムびとの先祖はエサウである。 + + + ヤコブは父の寄留の地、すなわちカナンの地に住んだ。 + ヤコブの子孫は次のとおりである。ヨセフは十七歳の時、兄弟たちと共に羊の群れを飼っていた。彼はまだ子供で、父の妻たちビルハとジルパとの子らと共にいたが、ヨセフは彼らの悪いうわさを父に告げた。 + ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。 + 兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった。 + ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。 + ヨセフは彼らに言った、「どうぞわたしが見た夢を聞いてください。 + わたしたちが畑の中で束を結わえていたとき、わたしの束が起きて立つと、あなたがたの束がまわりにきて、わたしの束を拝みました」。 + すると兄弟たちは彼に向かって、「あなたはほんとうにわたしたちの王になるのか。あなたは実際わたしたちを治めるのか」と言って、彼の夢とその言葉のゆえにますます彼を憎んだ。 + ヨセフはまた一つの夢を見て、それを兄弟たちに語って言った、「わたしはまた夢を見ました。日と月と十一の星とがわたしを拝みました」。 + 彼はこれを父と兄弟たちに語ったので、父は彼をとがめて言った、「あなたが見たその夢はどういうのか。ほんとうにわたしとあなたの母と、兄弟たちとが行って地に伏し、あなたを拝むのか」。 + 兄弟たちは彼をねたんだ。しかし父はこの言葉を心にとめた。 + さて兄弟たちがシケムに行って、父の羊の群れを飼っていたとき、 + イスラエルはヨセフに言った、「あなたの兄弟たちはシケムで羊を飼っているではないか。さあ、あなたを彼らの所へつかわそう」。ヨセフは父に言った、「はい、行きます」。 + 父は彼に言った、「どうか、行って、あなたの兄弟たちは無事であるか、また群れは無事であるか見てきて、わたしに知らせてください」。父が彼をヘブロンの谷からつかわしたので、彼はシケムに行った。 + ひとりの人が彼に会い、彼が野をさまよっていたので、その人は彼に尋ねて言った、「あなたは何を捜しているのですか」。 + 彼は言った、「兄弟たちを捜しているのです。彼らが、どこで羊を飼っているのか、どうぞわたしに知らせてください」。 + その人は言った、「彼らはここを去りました。彼らが『ドタンへ行こう』と言うのをわたしは聞きました」。そこでヨセフは兄弟たちのあとを追って行って、ドタンで彼らに会った。 + ヨセフが彼らに近づかないうちに、彼らははるかにヨセフを見て、これを殺そうと計り、 + 互に言った、「あの夢見る者がやって来る。 + さあ、彼を殺して穴に投げ入れ、悪い獣が彼を食ったと言おう。そして彼の夢がどうなるか見よう」。 + ルベンはこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から救い出そうとして言った、「われわれは彼の命を取ってはならない」。 + ルベンはまた彼らに言った、「血を流してはいけない。彼を荒野のこの穴に投げ入れよう。彼に手をくだしてはならない」。これはヨセフを彼らの手から救いだして父に返すためであった。 + さて、ヨセフが兄弟たちのもとへ行くと、彼らはヨセフの着物、彼が着ていた長そでの着物をはぎとり、 + 彼を捕えて穴に投げ入れた。その穴はからで、その中に水はなかった。 + こうして彼らはすわってパンを食べた。時に彼らが目をあげて見ると、イシマエルびとの隊商が、らくだに香料と、乳香と、もつやくとを負わせてエジプトへ下り行こうとギレアデからやってきた。 + そこでユダは兄弟たちに言った、「われわれが弟を殺し、その血を隠して何の益があろう。 + さあ、われわれは彼をイシマエルびとに売ろう。彼はわれわれの兄弟、われわれの肉身だから、彼に手を下してはならない」。兄弟たちはこれを聞き入れた。 + 時にミデアンびとの商人たちが通りかかったので、彼らはヨセフを穴から引き上げ、銀二十シケルでヨセフをイシマエルびとに売った。彼らはヨセフをエジプトへ連れて行った。 + さてルベンは穴に帰って見たが、ヨセフが穴の中にいなかったので、彼は衣服を裂き、 + 兄弟たちのもとに帰って言った、「あの子はいない。ああ、わたしはどこへ行くことができよう」。 + 彼らはヨセフの着物を取り、雄やぎを殺して、着物をその血に浸し、 + その長そでの着物を父に持ち帰って言った、「わたしたちはこれを見つけましたが、これはあなたの子の着物か、どうか見さだめてください」。 + 父はこれを見さだめて言った、「わが子の着物だ。悪い獣が彼を食ったのだ。確かにヨセフはかみ裂かれたのだ」。 + そこでヤコブは衣服を裂き、荒布を腰にまとって、長い間その子のために嘆いた。 + 子らと娘らとは皆立って彼を慰めようとしたが、彼は慰められるのを拒んで言った、「いや、わたしは嘆きながら陰府に下って、わが子のもとへ行こう」。こうして父は彼のために泣いた。 + さて、かのミデアンびとらはエジプトでパロの役人、侍衛長ポテパルにヨセフを売った。 + + + そのころユダは兄弟たちを離れて下り、アドラムびとで、名をヒラという者の所へ行った。 + ユダはその所で、名をシュアというカナンびとの娘を見て、これをめとり、その所にはいった。 + 彼女はみごもって男の子を産んだので、ユダは名をエルと名づけた。 + 彼女は再びみごもって男の子を産み、名をオナンと名づけた。 + また重ねて、男の子を産み、名をシラと名づけた。彼女はこの男の子を産んだとき、クジブにおった。 + ユダは長子エルのために、名をタマルという妻を迎えた。 + しかしユダの長子エルは主の前に悪い者であったので、主は彼を殺された。 + そこでユダはオナンに言った、「兄の妻の所にはいって、彼女をめとり、兄に子供を得させなさい」。 + しかしオナンはその子が自分のものとならないのを知っていたので、兄の妻の所にはいった時、兄に子を得させないために地に洩らした。 + 彼のした事は主の前に悪かったので、主は彼をも殺された。 + そこでユダはその子の妻タマルに言った、「わたしの子シラが成人するまで、寡婦のままで、あなたの父の家にいなさい」。彼は、シラもまた兄弟たちのように死ぬかもしれないと、思ったからである。それでタマルは行って父の家におった。 + 日がたってシュアの娘ユダの妻は死んだ。その後、ユダは喪を終ってその友アドラムびとヒラと共にテムナに上り、自分の羊の毛を切る者のところへ行った。 + 時に、ひとりの人がタマルに告げて、「あなたのしゅうとが羊の毛を切るためにテムナに上って来る」と言ったので、 + 彼女は寡婦の衣服を脱ぎすて、被衣で身をおおい隠して、テムナへ行く道のかたわらにあるエナイムの入口にすわっていた。彼女はシラが成人したのに、自分がその妻にされないのを知ったからである。 + ユダは彼女を見たとき、彼女が顔をおおっていたため、遊女だと思い、 + 道のかたわらで彼女に向かって言った、「さあ、あなたの所にはいらせておくれ」。彼はこの女がわが子の妻であることを知らなかったからである。彼女は言った、「わたしの所にはいるため、何をくださいますか」。 + ユダは言った、「群れのうちのやぎの子をあなたにあげよう」。彼女は言った、「それをくださるまで、しるしをわたしにくださいますか」。 + ユダは言った、「どんなしるしをあげようか」。彼女は言った、「あなたの印と紐と、あなたの手にあるつえとを」。彼はこれらを与えて彼女の所にはいった。彼女はユダによってみごもった。 + 彼女は起きて去り、被衣を脱いで寡婦の衣服を着た。 + やがてユダはその女からしるしを取りもどそうと、その友アドラムびとに託してやぎの子を送ったけれども、その女を見いだせなかった。 + そこで彼はその所の人々に尋ねて言った、「エナイムで道のかたわらにいた遊女はどこにいますか」。彼らは言った、「ここには遊女はいません」。 + 彼はユダのもとに帰って言った、「わたしは彼女を見いだせませんでした。またその所の人々は、『ここには遊女はいない』と言いました」。 + そこでユダは言った、「女に持たせておこう。わたしたちは恥をかくといけないから。とにかく、わたしはこのやぎの子を送ったが、あなたは彼女を見いだせなかったのだ」。 + ところが三月ほどたって、ひとりの人がユダに言った、「あなたの嫁タマルは姦淫しました。そのうえ、彼女は姦淫によってみごもりました」。ユダは言った、「彼女を引き出して焼いてしまえ」。 + 彼女は引き出された時、そのしゅうとに人をつかわして言った、「わたしはこれをもっている人によって、みごもりました」。彼女はまた言った、「どうか、この印と、紐と、つえとはだれのものか、見定めてください」。 + ユダはこれを見定めて言った、「彼女はわたしよりも正しい。わたしが彼女をわが子シラに与えなかったためである」。彼は再び彼女を知らなかった。 + さて彼女の出産の時がきたが、胎内には、ふたごがあった。 + 出産の時に、ひとりの子が手を出したので、産婆は、「これがさきに出た」と言い、緋の糸を取って、その手に結んだ。 + そして、その子が手をひっこめると、その弟が出たので、「どうしてあなたは自分で破って出るのか」と言った。これによって名はペレヅと呼ばれた。 + その後、手に緋の糸のある兄が出たので、名はゼラと呼ばれた。 + + + さてヨセフは連れられてエジプトに下ったが、パロの役人で侍衛長であったエジプトびとポテパルは、彼をそこに連れ下ったイシマエルびとらの手から買い取った。 + 主がヨセフと共におられたので、彼は幸運な者となり、その主人エジプトびとの家におった。 + その主人は主が彼とともにおられることと、主が彼の手のすることをすべて栄えさせられるのを見た。 + そこで、ヨセフは彼の前に恵みを得、そのそば近く仕えた。彼はヨセフに家をつかさどらせ、持ち物をみな彼の手にゆだねた。 + 彼がヨセフに家とすべての持ち物をつかさどらせた時から、主はヨセフのゆえにそのエジプトびとの家を恵まれたので、主の恵みは彼の家と畑とにあるすべての持ち物に及んだ。 + そこで彼は持ち物をみなヨセフの手にゆだねて、自分が食べる物のほかは、何をも顧みなかった。さてヨセフは姿がよく、顔が美しかった。 + これらの事の後、主人の妻はヨセフに目をつけて言った、「わたしと寝なさい」。 + ヨセフは拒んで、主人の妻に言った、「御主人はわたしがいるので家の中の何をも顧みず、その持ち物をみなわたしの手にゆだねられました。 + この家にはわたしよりも大いなる者はありません。また御主人はあなたを除いては、何をもわたしに禁じられませんでした。あなたが御主人の妻であるからです。どうしてわたしはこの大きな悪をおこなって、神に罪を犯すことができましょう」。 + 彼女は毎日ヨセフに言い寄ったけれども、ヨセフは聞きいれず、彼女と寝なかった。また共にいなかった。 + ある日ヨセフが務をするために家にはいった時、家の者がひとりもそこにいなかったので、 + 彼女はヨセフの着物を捕えて、「わたしと寝なさい」と言った。ヨセフは着物を彼女の手に残して外にのがれ出た。 + 彼女はヨセフが着物を自分の手に残して外にのがれたのを見て、 + その家の者どもを呼び、彼らに告げて言った、「主人がわたしたちの所に連れてきたヘブルびとは、わたしたちに戯れます。彼はわたしと寝ようとして、わたしの所にはいったので、わたしは大声で叫びました。 + 彼はわたしが声をあげて叫ぶのを聞くと、着物をわたしの所に残して外にのがれ出ました」。 + 彼女はその着物をかたわらに置いて、主人の帰って来るのを待った。 + そして彼女は次のように主人に告げた、「あなたがわたしたちに連れてこられたヘブルのしもべはわたしに戯れようとして、わたしの所にはいってきました。 + わたしが声をあげて叫んだので、彼は着物をわたしの所に残して外にのがれました」。 + 主人はその妻が「あなたのしもべは、わたしにこんな事をした」と告げる言葉を聞いて、激しく怒った。 + そしてヨセフの主人は彼を捕えて、王の囚人をつなぐ獄屋に投げ入れた。こうしてヨセフは獄屋の中におったが、 + 主はヨセフと共におられて彼にいつくしみを垂れ、獄屋番の恵みをうけさせられた。 + 獄屋番は獄屋におるすべての囚人をヨセフの手にゆだねたので、彼はそこでするすべての事をおこなった。 + 獄屋番は彼の手にゆだねた事はいっさい顧みなかった。主がヨセフと共におられたからである。主は彼のなす事を栄えさせられた。 + + + これらの事の後、エジプト王の給仕役と料理役とがその主君エジプト王に罪を犯した。 + パロはふたりの役人、すなわち給仕役の長と料理役の長に向かって憤り、 + 侍衛長の家の監禁所、すなわちヨセフがつながれている獄屋に入れた。 + 侍衛長はヨセフに命じて彼らと共におらせたので、ヨセフは彼らに仕えた。こうして彼らは監禁所で幾日かを過ごした。 + さて獄屋につながれたエジプト王の給仕役と料理役のふたりは一夜のうちにそれぞれ意味のある夢を見た。 + ヨセフが朝、彼らのところへ行って見ると、彼らは悲しみに沈んでいた。 + そこでヨセフは自分と一緒に主人の家の監禁所にいるパロの役人たちに尋ねて言った、「どうして、きょう、あなたがたの顔色が悪いのですか」。 + 彼らは言った、「わたしたちは夢を見ましたが、解いてくれる者がいません」。ヨセフは彼らに言った、「解くことは神によるのではありませんか。どうぞ、わたしに話してください」。 + 給仕役の長はその夢をヨセフに話して言った、「わたしが見た夢で、わたしの前に一本のぶどうの木がありました。 + そのぶどうの木に三つの枝があって、芽を出し、花が咲き、ぶどうのふさが熟しました。 + 時にわたしの手に、パロの杯があって、わたしはそのぶどうを取り、それをパロの杯にしぼり、その杯をパロの手にささげました」。 + ヨセフは言った、「その解き明かしはこうです。三つの枝は三日です。 + 今から三日のうちにパロはあなたの頭を上げて、あなたを元の役目に返すでしょう。あなたはさきに給仕役だった時にされたように、パロの手に杯をささげられるでしょう。 + それで、あなたがしあわせになられたら、わたしを覚えていて、どうかわたしに恵みを施し、わたしの事をパロに話して、この家からわたしを出してください。 + わたしは、実はヘブルびとの地からさらわれてきた者です。またここでもわたしは地下の獄屋に入れられるような事はしなかったのです」。 + 料理役の長はその解き明かしの良かったのを見て、ヨセフに言った、「わたしも夢を見たが、白いパンのかごが三つ、わたしの頭の上にあった。 + 一番上のかごには料理役がパロのために作ったさまざまの食物があったが、鳥がわたしの頭の上のかごからそれを食べていた」。 + ヨセフは答えて言った、「その解き明かしはこうです。三つのかごは三日です。 + 今から三日のうちにパロはあなたの頭を上げ離して、あなたを木に掛けるでしょう。そして鳥があなたの肉を食い取るでしょう」。 + さて三日目はパロの誕生日であったので、パロはすべての家来のためにふるまいを設け、家来のうちの給仕役の長の頭と、料理役の長の頭を上げた。 + すなわちパロは給仕役の長を給仕役の職に返したので、彼はパロの手に杯をささげた。 + しかしパロは料理役の長を木に掛けた。ヨセフが彼らに解き明かしたとおりである。 + ところが、給仕役の長はヨセフを思い出さず、忘れてしまった。 + + + 二年の後パロは夢を見た。夢に、彼はナイル川のほとりに立っていた。 + すると、その川から美しい、肥え太った七頭の雌牛が上がってきて葦を食っていた。 + その後、また醜い、やせ細った他の七頭の雌牛が川から上がってきて、川の岸にいた雌牛のそばに立ち、 + その醜い、やせ細った雌牛が、あの美しい、肥えた七頭の雌牛を食いつくした。ここでパロは目が覚めた。 + 彼はまた眠って、再び夢を見た。夢に、一本の茎に太った良い七つの穂が出てきた。 + その後また、やせて、東風に焼けた七つの穂が出てきて、 + そのやせた穂が、あの太って実った七つの穂をのみつくした。ここでパロは目が覚めたが、それは夢であった。 + 朝になって、パロは心が騒ぎ、人をつかわして、エジプトのすべての魔術師とすべての知者とを呼び寄せ、彼らに夢を告げたが、これをパロに解き明かしうる者がなかった。 + そのとき給仕役の長はパロに告げて言った、「わたしはきょう、自分のあやまちを思い出しました。 + かつてパロがしもべらに向かって憤り、わたしと料理役の長とを侍衛長の家の監禁所にお入れになった時、 + わたしも彼も一夜のうちに夢を見、それぞれ意味のある夢を見ましたが、 + そこに侍衛長のしもべで、ひとりの若いヘブルびとがわれわれと共にいたので、彼に話したところ、彼はわれわれの夢を解き明かし、その夢によって、それぞれ解き明かしをしました。 + そして彼が解き明かしたとおりになって、パロはわたしを職に返し、彼を木に掛けられました」。 + そこでパロは人をつかわしてヨセフを呼んだ。人々は急いで彼を地下の獄屋から出した。ヨセフは、ひげをそり、着物を着替えてパロのもとに行った。 + パロはヨセフに言った、「わたしは夢を見たが、これを解き明かす者がない。聞くところによると、あなたは夢を聞いて、解き明かしができるそうだ」。 + ヨセフはパロに答えて言った、「いいえ、わたしではありません。神がパロに平安をお告げになりましょう」。 + パロはヨセフに言った、「夢にわたしは川の岸に立っていた。 + その川から肥え太った、美しい七頭の雌牛が上がってきて葦を食っていた。 + その後、弱く、非常に醜い、やせ細った他の七頭の雌牛がまた上がってきた。わたしはエジプト全国で、このような醜いものをまだ見たことがない。 + ところがそのやせた醜い雌牛が、初めの七頭の肥えた雌牛を食いつくしたが、 + 腹にはいっても、腹にはいった事が知れず、やはり初めのように醜かった。ここでわたしは目が覚めた。 + わたしはまた夢をみた。一本の茎に七つの実った良い穂が出てきた。 + その後、やせ衰えて、東風に焼けた七つの穂が出てきたが、 + そのやせた穂が、あの七つの良い穂をのみつくした。わたしは魔術師に話したが、わたしにそのわけを示しうる者はなかった」。 + ヨセフはパロに言った、「パロの夢は一つです。神がこれからしようとすることをパロに示されたのです。 + 七頭の良い雌牛は七年です。七つの良い穂も七年で、夢は一つです。 + あとに続いて、上がってきた七頭のやせた醜い雌牛は七年で、東風に焼けた実の入らない七つの穂は七年のききんです。 + わたしがパロに申し上げたように、神がこれからしようとすることをパロに示されたのです。 + エジプト全国に七年の大豊作があり、 + その後七年のききんが起り、その豊作はみなエジプトの国で忘れられて、そのききんは国を滅ぼすでしょう。 + 後に来るそのききんが、非常に激しいから、その豊作は国のうちで記憶されなくなるでしょう。 + パロが二度重ねて夢を見られたのは、この事が神によって定められ、神がすみやかにこれをされるからです。 + それゆえパロは今、さとく、かつ賢い人を尋ね出してエジプトの国を治めさせなさい。 + パロはこうして国中に監督を置き、その七年の豊作のうちに、エジプトの国の産物の五分の一を取り、 + 続いて来る良い年々のすべての食糧を彼らに集めさせ、穀物を食糧として、パロの手で町々にたくわえ守らせなさい。 + こうすれば食糧は、エジプトの国に臨む七年のききんに備えて、この国のためにたくわえとなり、この国はききんによって滅びることがないでしょう」。 + この事はパロとそのすべての家来たちの目にかなった。 + そこでパロは家来たちに言った、「われわれは神の霊をもつこのような人を、ほかに見いだし得ようか」。 + またパロはヨセフに言った、「神がこれを皆あなたに示された。あなたのようにさとく賢い者はない。 + あなたはわたしの家を治めてください。わたしの民はみなあなたの言葉に従うでしょう。わたしはただ王の位でだけあなたにまさる」。 + パロは更にヨセフに言った、「わたしはあなたをエジプト全国のつかさとする」。 + そしてパロは指輪を手からはずして、ヨセフの手にはめ、亜麻布の衣服を着せ、金の鎖をくびにかけ、 + 自分の第二の車に彼を乗せ、「ひざまずけ」とその前に呼ばわらせ、こうして彼をエジプト全国のつかさとした。 + ついでパロはヨセフに言った、「わたしはパロである。あなたの許しがなければエジプト全国で、だれも手足を上げることはできない」。 + パロはヨセフの名をザフナテ・パネアと呼び、オンの祭司ポテペラの娘アセナテを妻として彼に与えた。ヨセフはエジプトの国を巡った。 + ヨセフがエジプトの王パロの前に立った時は三十歳であった。ヨセフはパロの前を出て、エジプト全国をあまねく巡った。 + さて七年の豊作のうちに地は豊かに物を産した。 + そこでヨセフはエジプトの国にできたその七年間の食糧をことごとく集め、その食糧を町々に納めさせた。すなわち町の周囲にある畑の食糧をその町の中に納めさせた。 + ヨセフは穀物を海の砂のように、非常に多くたくわえ、量りきれなくなったので、ついに量ることをやめた。 + ききんの年の来る前にヨセフにふたりの子が生れた。これらはオンの祭司ポテペラの娘アセナテが産んだのである。 + ヨセフは長子の名をマナセと名づけて言った、「神がわたしにすべての苦難と父の家のすべての事を忘れさせられた」。 + また次の子の名をエフライムと名づけて言った、「神がわたしを悩みの地で豊かにせられた」。 + エジプトの国にあった七年の豊作が終り、 + ヨセフの言ったように七年のききんが始まった。そのききんはすべての国にあったが、エジプト全国には食物があった。 + やがてエジプト全国が飢えた時、民はパロに食物を叫び求めた。そこでパロはすべてのエジプトびとに言った、「ヨセフのもとに行き、彼の言うようにせよ」。 + ききんが地の全面にあったので、ヨセフはすべての穀倉を開いて、エジプトびとに売った。ききんはますますエジプトの国に激しくなった。 + ききんが全地に激しくなったので、諸国の人々がエジプトのヨセフのもとに穀物を買うためにきた。 + + + ヤコブはエジプトに穀物があると知って、むすこたちに言った、「あなたがたはなぜ顔を見合わせているのですか」。 + また言った、「エジプトに穀物があるということだが、あなたがたはそこへ下って行って、そこから、われわれのため穀物を買ってきなさい。そうすれば、われわれは生きながらえて、死を免れるであろう」。 + そこでヨセフの十人の兄弟は穀物を買うためにエジプトへ下った。 + しかし、ヤコブはヨセフの弟ベニヤミンを兄弟たちと一緒にやらなかった。彼が災に会うのを恐れたからである。 + こうしてイスラエルの子らは穀物を買おうと人々に交じってやってきた。カナンの地にききんがあったからである。 + ときにヨセフは国のつかさであって、国のすべての民に穀物を売ることをしていた。ヨセフの兄弟たちはきて、地にひれ伏し、彼を拝した。 + ヨセフは兄弟たちを見て、それと知ったが、彼らに向かっては知らぬ者のようにし、荒々しく語った。すなわち彼らに言った、「あなたがたはどこからきたのか」。彼らは答えた、「食糧を買うためにカナンの地からきました」。 + ヨセフは、兄弟たちであるのを知っていたが、彼らはヨセフとは知らなかった。 + ヨセフはかつて彼らについて見た夢を思い出して、彼らに言った、「あなたがたは回し者で、この国のすきをうかがうためにきたのです」。 + 彼らはヨセフに答えた、「いいえ、わが主よ、しもべらはただ食糧を買うためにきたのです。 + われわれは皆、ひとりの人の子で、真実な者です。しもべらは回し者ではありません」。 + ヨセフは彼らに言った、「いや、あなたがたはこの国のすきをうかがうためにきたのです」。 + 彼らは言った、「しもべらは十二人兄弟で、カナンの地にいるひとりの人の子です。末の弟は今、父と一緒にいますが、他のひとりはいなくなりました」。 + ヨセフは彼らに言った、「わたしが言ったとおり、あなたがたは回し者です。 + あなたがたをこうしてためしてみよう。パロのいのちにかけて誓います。末の弟がここにこなければ、あなたがたはここを出ることはできません。 + あなたがたのひとりをやって弟を連れてこさせなさい。それまであなたがたをつないでおいて、あなたがたに誠実があるかどうか、あなたがたの言葉をためしてみよう。パロのいのちにかけて誓います。あなたがたは確かに回し者です」。 + ヨセフは彼らをみな一緒に三日の間、監禁所に入れた。 + 三日目にヨセフは彼らに言った、「こうすればあなたがたは助かるでしょう。わたしは神を恐れます。 + もしあなたがたが真実な者なら、兄弟のひとりをあなたがたのいる監禁所に残し、あなたがたは穀物を携えて行って、家族の飢えを救いなさい。 + そして末の弟をわたしのもとに連れてきなさい。そうすればあなたがたの言葉のほんとうであることがわかって、死を免れるでしょう」。彼らはそのようにした。 + 彼らは互に言った、「確かにわれわれは弟の事で罪がある。彼がしきりに願った時、その心の苦しみを見ながら、われわれは聞き入れなかった。それでこの苦しみに会うのだ」。 + ルベンが彼らに答えて言った、「わたしはあなたがたに、この子供に罪を犯すなと言ったではないか。それにもかかわらず、あなたがたは聞き入れなかった。それで彼の血の報いを受けるのです」。 + 彼らはヨセフが聞きわけているのを知らなかった。相互の間に通訳者がいたからである。 + ヨセフは彼らを離れて行って泣き、また帰ってきて彼らと語り、そのひとりシメオンを捕えて、彼らの目の前で縛った。 + そしてヨセフは人々に命じて、彼らの袋に穀物を満たし、めいめいの銀を袋に返し、道中の食料を与えさせた。ヨセフはこのように彼らにした。 + 彼らは穀物をろばに負わせてそこを去った。 + そのひとりが宿で、ろばに飼葉をやるため袋をあけて見ると、袋の口に自分の銀があった。 + 彼は兄弟たちに言った、「わたしの銀は返してある。しかも見よ、それは袋の中にある」。そこで彼らは非常に驚き、互に震えながら言った、「神がわれわれにされたこのことは何事だろう」。 + こうして彼らはカナンの地にいる父ヤコブのもとに帰り、その身に起った事をことごとく告げて言った、 + 「あの国の君は、われわれに荒々しく語り、国をうかがう回し者だと言いました。 + われわれは彼に答えました、『われわれは真実な者であって回し者ではない。 + われわれは十二人兄弟で、同じ父の子である。ひとりはいなくなり、末の弟は今父と共にカナンの地にいる』。 + その国の君であるその人はわれわれに言いました、『わたしはこうしてあなたがたの真実な者であるのを知ろう。あなたがたは兄弟のひとりをわたしのもとに残し、穀物を携えて行って、家族の飢えを救いなさい。 + そして末の弟をわたしのもとに連れてきなさい。そうすればあなたがたが回し者ではなく、真実な者であるのを知って、あなたがたの兄弟を返し、この国であなたがたに取引させましょう』」。 + 彼らが袋のものを出して見ると、めいめいの金包みが袋の中にあったので、彼らも父も金包みを見て恐れた。 + 父ヤコブは彼らに言った、「あなたがたはわたしに子を失わせた。ヨセフはいなくなり、シメオンもいなくなった。今度はベニヤミンをも取り去る。これらはみなわたしの身にふりかかって来るのだ」。 + ルベンは父に言った、「もしわたしが彼をあなたのもとに連れて帰らなかったら、わたしのふたりの子を殺してください。ただ彼をわたしの手にまかせてください。わたしはきっと、あなたのもとに彼を連れて帰ります」。 + ヤコブは言った、「わたしの子はあなたがたと共に下って行ってはならない。彼の兄は死に、ただひとり彼が残っているのだから。もしあなたがたの行く道で彼が災に会えば、あなたがたは、しらがのわたしを悲しんで陰府に下らせるであろう」。 + + + ききんはその地に激しかった。 + 彼らがエジプトから携えてきた穀物を食い尽した時、父は彼らに言った、「また行って、われわれのために少しの食糧を買ってきなさい」。 + ユダは父に答えて言った、「あの人はわれわれをきびしく戒めて、弟が一緒でなければ、わたしの顔を見てはならないと言いました。 + もしあなたが弟をわれわれと一緒にやってくださるなら、われわれは下って行って、あなたのために食糧を買ってきましょう。 + しかし、もし彼をやられないなら、われわれは下って行きません。あの人がわれわれに、弟が一緒でなければわたしの顔を見てはならないと言ったのですから」。 + イスラエルは言った、「なぜ、もうひとりの弟があるとあの人に言って、わたしを苦しめるのか」。 + 彼らは言った、「あの人がわれわれと一族とのことを問いただして、父はまだ生きているか、もうひとりの弟があるかと言ったので、問われるままに答えましたが、その人が、弟を連れてこいと言おうとは、どうして知ることができたでしょう」。 + ユダは父イスラエルに言った、「あの子をわたしと一緒にやってくだされば、われわれは立って行きましょう。そしてわれわれもあなたも、われわれの子供らも生きながらえ、死を免れましょう。 + わたしが彼の身を請け合います。わたしの手から彼を求めなさい。もしわたしが彼をあなたのもとに連れ帰って、あなたの前に置かなかったら、わたしはあなたに対して永久に罪を負いましょう。 + もしわれわれがこんなにためらわなかったら、今ごろは二度も行ってきたでしょう」。 + 父イスラエルは彼らに言った、「それではこうしなさい。この国の名産を器に入れ、携え下ってその人に贈り物にしなさい。すなわち少しの乳香、少しの蜜、香料、もつやく、ふすだしう、あめんどう。 + そしてその上に、倍額の銀を手に持って行きなさい。また袋の口に返してあった銀は持って行って返しなさい。たぶんそれは誤りであったのでしょう。 + 弟も連れ、立って、またその人の所へ行きなさい。 + どうか全能の神がその人の前であなたがたをあわれみ、もうひとりの兄弟とベニヤミンとを、返させてくださるように。もしわたしが子を失わなければならないのなら、失ってもよい」。 + そこでその人々は贈り物を取り、また倍額の銀を携え、ベニヤミンを連れ、立ってエジプトへ下り、ヨセフの前に立った。 + ヨセフはベニヤミンが彼らと共にいるのを見て、家づかさに言った、「この人々を家に連れて行き、獣をほふって、したくするように。この人々は昼、わたしと一緒に食事をします」。 + その人はヨセフの言ったようにして、この人々をヨセフの家へ連れて行った。 + ところがこの人々はヨセフの家へ連れて行かれたので恐れて言った、「初めの時に袋に返してあったあの銀のゆえに、われわれを引き入れたのです。そしてわれわれを襲い、攻め、捕えて奴隷とし、われわれのろばをも奪うのです」。 + 彼らはヨセフの家づかさに近づいて、家の入口で、言った、 + 「ああ、わが主よ、われわれは最初、食糧を買うために下ってきたのです。 + ところが宿に行って袋をあけて見ると、めいめいの銀は袋の口にあって、銀の重さは元のままでした。それでわれわれはそれを持って参りました。 + そして食糧を買うために、ほかの銀をも持って下ってきました。われわれの銀を袋に入れた者が、だれであるかは分りません」。 + 彼は言った、「安心しなさい。恐れてはいけません。その宝はあなたがたの神、あなたがたの父の神が、あなたがたの袋に入れてあなたがたに賜わったのです。あなたがたの銀はわたしが受け取りました」。そして彼はシメオンを彼らの所へ連れてきた。 + こうしてその人はこの人々をヨセフの家へ導き、水を与えて足を洗わせ、また、ろばに飼葉を与えた。 + 彼らはその所で食事をするのだと聞き、贈り物を整えて、昼にヨセフの来るのを待った。 + さてヨセフが家に帰ってきたので、彼らはその家に携えてきた贈り物をヨセフにささげ、地に伏して、彼を拝した。 + ヨセフは彼らの安否を問うて言った、「あなたがたの父、あなたがたがさきに話していたその老人は無事ですか。なお生きながらえておられますか」。 + 彼らは答えた、「あなたのしもべ、われわれの父は無事で、なお生きながらえています」。そして彼らは、頭をさげて拝した。 + ヨセフは目をあげて同じ母の子である弟ベニヤミンを見て言った、「これはあなたがたが前にわたしに話した末の弟ですか」。また言った、「わが子よ、どうか神があなたを恵まれるように」。 + ヨセフは弟なつかしさに心がせまり、急いで泣く場所をたずね、へやにはいって泣いた。 + やがて彼は顔を洗って出てきた。そして自分を制して言った、「食事にしよう」。 + そこでヨセフはヨセフ、彼らは彼ら、陪食のエジプトびとはエジプトびと、と別々に席に着いた。エジプトびとはヘブルびとと共に食事することができなかった。それはエジプトびとの忌むところであったからである。 + こうして彼らはヨセフの前に、長子は長子として、弟は弟としてすわらせられたので、その人々は互に驚いた。 + またヨセフの前から、めいめいの分が運ばれたが、ベニヤミンの分は他のいずれの者の分よりも五倍多かった。こうして彼らは飲み、ヨセフと共に楽しんだ。 + + + さてヨセフは家づかさに命じて言った、「この人々の袋に、運べるだけ多くの食糧を満たし、めいめいの銀を袋の口に入れておきなさい。 + またわたしの杯、銀の杯をあの年下の者の袋の口に、穀物の代金と共に入れておきなさい」。家づかさはヨセフの言葉のとおりにした。 + 夜が明けると、その人々と、ろばとは送り出されたが、 + 町を出て、まだ遠くへ行かないうちに、ヨセフは家づかさに言った、「立って、あの人々のあとを追いなさい。追いついて、彼らに言いなさい、『あなたがたはなぜ悪をもって善に報いるのですか。なぜわたしの銀の杯を盗んだのですか。 + これはわたしの主人が飲む時に使い、またいつも占いに用いるものではありませんか。あなたがたのした事は悪いことです』」。 + 家づかさが彼らに追いついて、これらの言葉を彼らに告げたとき、 + 彼らは言った、「わが主は、どうしてそのようなことを言われるのですか。しもべらは決してそのようなことはいたしません。 + 袋の口で見つけた銀でさえ、カナンの地からあなたの所に持ち帰ったほどです。どうして、われわれは御主人の家から銀や金を盗みましょう。 + しもべらのうちのだれの所でそれが見つかっても、その者は死に、またわれわれはわが主の奴隷となりましょう」。 + 家づかさは言った、「それではあなたがたの言葉のようにしよう。杯の見つかった者はわたしの奴隷とならなければならない。ほかの者は無罪です」。 + そこで彼らは、めいめい急いで袋を地におろし、ひとりひとりその袋を開いた。 + 家づかさは年上から捜し始めて年下に終ったが、杯はベニヤミンの袋の中にあった。 + そこで彼らは衣服を裂き、おのおの、ろばに荷を負わせて町に引き返した。 + ユダと兄弟たちとは、ヨセフの家にはいったが、ヨセフがなおそこにいたので、彼らはその前で地にひれ伏した。 + ヨセフは彼らに言った、「あなたがたのこのしわざは何事ですか。わたしのような人は、必ず占い当てることを知らないのですか」。 + ユダは言った、「われわれはわが主に何を言い、何を述べ得ましょう。どうしてわれわれは身の潔白をあらわし得ましょう。神がしもべらの罪をあばかれました。われわれと、杯を持っていた者とは共にわが主の奴隷となりましょう」。 + ヨセフは言った、「わたしは決してそのようなことはしない。杯を持っている者だけがわたしの奴隷とならなければならない。ほかの者は安全に父のもとへ上って行きなさい」。 + この時ユダは彼に近づいて言った、「ああ、わが主よ、どうぞわが主の耳にひとこと言わせてください。しもべをおこらないでください。あなたはパロのようなかたです。 + わが主はしもべらに尋ねて、『父があるか、また弟があるか』と言われたので、 + われわれはわが主に言いました、『われわれには老齢の父があり、また年寄り子の弟があります。その兄は死んで、同じ母の子で残っているのは、ただこれだけですから父はこれを愛しています』。 + その時あなたはしもべらに言われました、『その者をわたしの所へ連れてきなさい。わたしはこの目で彼を見よう』。 + われわれはわが主に言いました。『その子供は父を離れることができません。もし父を離れたら父は死ぬでしょう』。 + しかし、あなたはしもべらに言われました、『末の弟が一緒に下ってこなければ、おまえたちは再びわたしの顔を見ることはできない』。 + それであなたのしもべである父のもとに上って、わが主の言葉を彼に告げました。 + ところで、父が『おまえたちは再び行って、われわれのために少しの食糧を買ってくるように』と言ったので、 + われわれは言いました、『われわれは下って行けません。もし末の弟が一緒であれば行きましょう。末の弟が一緒でなければ、あの人の顔を見ることができません』。 + あなたのしもべである父は言いました、『おまえたちの知っているとおり、妻はわたしにふたりの子を産んだ。 + ひとりは外へ出たが、きっと裂き殺されたのだと思う。わたしは今になっても彼を見ない。 + もしおまえたちがこの子をもわたしから取って行って、彼が災に会えば、おまえたちは、しらがのわたしを悲しんで陰府に下らせるであろう』。 + わたしがあなたのしもべである父のもとに帰って行くとき、もしこの子供が一緒にいなかったら、どうなるでしょう。父の魂は子供の魂に結ばれているのです。 + この子供がわれわれと一緒にいないのを見たら、父は死ぬでしょう。そうすればしもべらは、あなたのしもべであるしらがの父を悲しんで陰府に下らせることになるでしょう。 + しもべは父にこの子供の身を請け合って『もしわたしがこの子をあなたのもとに連れ帰らなかったら、わたしは父に対して永久に罪を負いましょう』と言ったのです。 + どうか、しもべをこの子供の代りに、わが主の奴隷としてとどまらせ、この子供を兄弟たちと一緒に上り行かせてください、 + この子供を連れずに、どうしてわたしは父のもとに上り行くことができましょう。父が災に会うのを見るに忍びません」。 + + + そこでヨセフはそばに立っているすべての人の前で、自分を制しきれなくなったので、「人は皆ここから出てください」と呼ばわった。それゆえヨセフが兄弟たちに自分のことを明かした時、ひとりも彼のそばに立っている者はなかった。 + ヨセフは声をあげて泣いた。エジプトびとはこれを聞き、パロの家もこれを聞いた。 + ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしはヨセフです。父はまだ生きながらえていますか」。兄弟たちは答えることができなかった。彼らは驚き恐れたからである。 + ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしに近寄ってください」。彼らが近寄ったので彼は言った、「わたしはあなたがたの弟ヨセフです。あなたがたがエジプトに売った者です。 + しかしわたしをここに売ったのを嘆くことも、悔むこともいりません。神は命を救うために、あなたがたよりさきにわたしをつかわされたのです。 + この二年の間、国中にききんがあったが、なお五年の間は耕すことも刈り入れることもないでしょう。 + 神は、あなたがたのすえを地に残すため、また大いなる救をもってあなたがたの命を助けるために、わたしをあなたがたよりさきにつかわされたのです。 + それゆえわたしをここにつかわしたのはあなたがたではなく、神です。神はわたしをパロの父とし、その全家の主とし、またエジプト全国のつかさとされました。 + あなたがたは父のもとに急ぎ上って言いなさい、『あなたの子ヨセフが、こう言いました。神がわたしをエジプト全国の主とされたから、ためらわずにわたしの所へ下ってきなさい。 + あなたはゴセンの地に住み、あなたも、あなたの子らも、孫たちも、羊も牛も、その他のものもみな、わたしの近くにおらせます。 + ききんはなお五年つづきますから、あなたも、家族も、その他のものも、みな困らないように、わたしはそこで養いましょう』。 + あなたがたと弟ベニヤミンが目に見るとおり、あなたがたに口ら語っているのはこのわたしです。 + あなたがたはエジプトでの、わたしのいっさいの栄えと、あなたがたが見るいっさいの事をわたしの父に告げ、急いでわたしの父をここへ連れ下りなさい」。 + そしてヨセフは弟ベニヤミンのくびを抱いて泣き、ベニヤミンも彼のくびを抱いて泣いた。 + またヨセフはすべての兄弟たちに口づけし、彼らを抱いて泣いた。そして後、兄弟たちは彼と語った。 + 時に、「ヨセフの兄弟たちがきた」と言ううわさがパロの家に聞えたので、パロとその家来たちとは喜んだ。 + パロはヨセフに言った、「兄弟たちに言いなさい、『あなたがたは、こうしなさい。獣に荷を負わせてカナンの地へ行き、 + 父と家族とを連れてわたしのもとへきなさい。わたしはあなたがたに、エジプトの地の良い物を与えます。あなたがたは、この国の最も良いものを食べるでしょう』。 + また彼らに命じなさい、『あなたがたは、こうしなさい。幼な子たちと妻たちのためにエジプトの地から車をもって行き、父を連れてきなさい。 + 家財に心を引かれてはなりません。エジプト全国の良い物は、あなたがたのものだからです』」。 + イスラエルの子らはそのようにした。ヨセフはパロの命に従って彼らに車を与え、また途中の食料をも与えた。 + まためいめいに晴着を与えたが、ベニヤミンには銀三百シケルと晴着五着とを与えた。 + また彼は父に次のようなものを贈った。すなわちエジプトの良い物を負わせたろば十頭と、穀物、パン及び父の道中の食料を負わせた雌ろば十頭。 + こうしてヨセフは兄弟たちを送り去らせ、彼らに言った、「途中で争ってはなりません」。 + 彼らはエジプトから上ってカナンの地に入り、父ヤコブのもとへ行って、 + 彼に言った、「ヨセフはなお生きていてエジプト全国のつかさです」。ヤコブは気が遠くなった。彼らの言うことが信じられなかったからである。 + そこで彼らはヨセフが語った言葉を残らず彼に告げた。父ヤコブはヨセフが自分を乗せるために送った車を見て元気づいた。 + そしてイスラエルは言った、「満足だ。わが子ヨセフがまだ生きている。わたしは死ぬ前に行って彼を見よう」。 + + + イスラエルはその持ち物をことごとく携えて旅立ち、ベエルシバに行って、父イサクの神に犠牲をささげた。 + この時、神は夜の幻のうちにイスラエルに語って言われた、「ヤコブよ、ヤコブよ」。彼は言った、「ここにいます」。 + 神は言われた、「わたしは神、あなたの父の神である。エジプトに下るのを恐れてはならない。わたしはあそこであなたを大いなる国民にする。 + わたしはあなたと一緒にエジプトに下り、また必ずあなたを導き上るであろう。ヨセフが手ずからあなたの目を閉じるであろう」。 + そしてヤコブはベエルシバを立った。イスラエルの子らはヤコブを乗せるためにパロの送った車に、父ヤコブと幼な子たちと妻たちを乗せ、 + またその家畜とカナンの地で得た財産を携え、ヤコブとその子孫は皆ともにエジプトへ行った。 + こうしてヤコブはその子と、孫および娘と孫娘などその子孫をみな連れて、エジプトへ行った。 + イスラエルの子らでエジプトへ行った者の名は次のとおりである。すなわちヤコブとその子らであるが、ヤコブの長子はルベン。 + ルベンの子らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミ。 + シメオンの子らはエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハル及びカナンの女の産んだ子シャウル。 + レビの子らはゲルション、コハテ、メラリ。 + ユダの子らはエル、オナン、シラ、ペレヅ、ゼラ。エルとオナンはカナンの地で死んだ。ペレヅの子らはヘヅロンとハムル。 + イッサカルの子らはトラ、プワ、ヨブ、シムロン。 + ゼブルンの子らはセレデ、エロン、ヤリエル。 + これらと娘デナとはレアがパダンアラムでヤコブに産んだ子らである。その子らと娘らは合わせて三十三人。 + ガドの子らはゼポン、ハギ、シュニ、エヅボン、エリ、アロデ、アレリ。 + アセルの子らはエムナ、イシワ、イスイ、ベリアおよび妹サラ。ベリアの子らはヘベルとマルキエル。 + これらはラバンが娘レアに与えたジルパの子らである。彼女はこれらをヤコブに産んだ。合わせて十六人。 + ヤコブの妻ラケルの子らはヨセフとベニヤミンとである。 + エジプトの国でヨセフにマナセとエフライムとが生れた。これはオンの祭司ポテペラの娘アセナテが彼に産んだ者である。 + ベニヤミンの子らはベラ、ベケル、アシベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシ、ムッピム、ホパム、アルデ。 + これらはラケルがヤコブに産んだ子らである。合わせて十四人。 + ダンの子はホシム。 + ナフタリの子らはヤジエル、グニ、エゼル、シレム。 + これらはラバンが娘ラケルに与えたビルハの子らである。彼女はこれらをヤコブに産んだ。合わせて七人。 + ヤコブと共にエジプトへ行ったすべての者、すなわち彼の身から出た者はヤコブの子らの妻をのぞいて、合わせて六十六人であった。 + エジプトでヨセフに生れた子がふたりあった。エジプトへ行ったヤコブの家の者は合わせて七十人であった。 + さてヤコブはユダをさきにヨセフにつかわして、ゴセンで会おうと言わせた。そして彼らはゴセンの地へ行った。 + ヨセフは車を整えて、父イスラエルを迎えるためにゴセンに上り、父に会い、そのくびを抱き、くびをかかえて久しく泣いた。 + 時に、イスラエルはヨセフに言った、「あなたがなお生きていて、わたしはあなたの顔を見たので今は死んでもよい」。 + ヨセフは兄弟たちと父の家族とに言った、「わたしは上ってパロに言おう、『カナンの地にいたわたしの兄弟たちと父の家族とがわたしの所へきました。 + この者らは羊を飼う者、家畜の牧者で、その羊、牛および持ち物をみな携えてきました』。 + もしパロがあなたがたを召して、『あなたがたの職業は何か』と言われたら、 + 『しもべらは幼い時から、ずっと家畜の牧者です。われわれも、われわれの先祖もそうです』と言いなさい。そうすればあなたがたはゴセンの地に住むことができましょう。羊飼はすべて、エジプトびとの忌む者だからです」。 + + + ヨセフは行って、パロに言った、「わたしの父と兄弟たち、その羊、牛およびすべての持ち物がカナンの地からきて、今ゴセンの地におります」。 + そしてその兄弟のうちの五人を連れて行って、パロに会わせた。 + パロはヨセフの兄弟たちに言った、「あなたがたの職業は何か」。彼らはパロに言った、「しもべらは羊を飼う者です。われわれも、われわれの先祖もそうです」。 + 彼らはまたパロに言った、「この国に寄留しようとしてきました。カナンの地はききんが激しく、しもべらの群れのための牧草がないのです。どうかしもべらをゴセンの地に住ませてください」。 + パロはヨセフに言った、「あなたの父と兄弟たちとがあなたのところにきた。 + エジプトの地はあなたの前にある。地の最も良い所にあなたの父と兄弟たちとを住ませなさい。ゴセンの地に彼らを住ませなさい。もしあなたが彼らのうちに有能な者があるのを知っているなら、その者にわたしの家畜をつかさどらせなさい」。 + そこでヨセフは父ヤコブを導いてパロの前に立たせた。ヤコブはパロを祝福した。 + パロはヤコブに言った、「あなたの年はいくつか」。 + ヤコブはパロに言った、「わたしの旅路のとしつきは、百三十年です。わたしのよわいの日はわずかで、ふしあわせで、わたしの先祖たちのよわいの日と旅路の日には及びません」。 + ヤコブはパロを祝福し、パロの前を去った。 + ヨセフはパロの命じたように、父と兄弟たちとのすまいを定め、彼らにエジプトの国で最も良い地、ラメセスの地を所有として与えた。 + またヨセフは父と兄弟たちと父の全家とに、家族の数にしたがい、食物を与えて養った。 + さて、ききんが非常に激しかったので、全地に食物がなく、エジプトの国もカナンの国も、ききんのために衰えた。 + それでヨセフは人々が買った穀物の代金としてエジプトの国とカナンの国にあった銀をみな集め、その銀をパロの家に納めた。 + こうしてエジプトの国とカナンの国に銀が尽きたとき、エジプトびとはみなヨセフのもとにきて言った、「食物をください。銀が尽きたからとて、どうしてあなたの前で死んでよいでしょう」。 + ヨセフは言った、「あなたがたの家畜を出しなさい。銀が尽きたのなら、あなたがたの家畜と引き替えで食物をわたそう」。 + 彼らはヨセフの所へ家畜をひいてきたので、ヨセフは馬と羊の群れと牛の群れ及びろばと引き替えで、食物を彼らにわたした。こうして彼はその年、すべての家畜と引き替えた食物で彼らを養った。 + やがてその年は暮れ、次の年、人々はまたヨセフの所へきて言った、「わが主には何事も隠しません。われわれの銀は尽き、獣の群れもわが主のものになって、われわれのからだと田地のほかはわが主の前に何も残っていません。 + われわれはどうして田地と一緒に、あなたの目の前で滅んでよいでしょう。われわれと田地とを食物と引き替えで買ってください。われわれは田地と一緒にパロの奴隷となりましょう。また種をください。そうすればわれわれは生きながらえ、死を免れて、田地も荒れないでしょう」。 + そこでヨセフはエジプトの田地をみなパロのために買い取った。ききんがエジプトびとに、きびしかったので、めいめいその田畑を売ったからである。こうして地はパロのものとなった。 + そしてヨセフはエジプトの国境のこの端からかの端まで民を奴隷とした。 + ただ祭司の田地は買い取らなかった。祭司にはパロの給与があって、パロが与える給与で生活していたので、その田地を売らなかったからである。 + ヨセフは民に言った、「わたしはきょう、あなたがたとその田地とを買い取って、パロのものとした。あなたがたに種をあげるから地にまきなさい。 + 収穫の時は、その五分の一をパロに納め、五分の四を自分のものとして田畑の種とし、自分と家族の食糧とし、また子供の食糧としなさい」。 + 彼らは言った、「あなたはわれわれの命をお救いくださった。どうかわが主の前に恵みを得させてください。われわれはパロの奴隷になりましょう」。 + ヨセフはエジプトの田地について、収穫の五分の一をパロに納めることをおきてとしたが、それは今日に及んでいる。ただし祭司の田地だけはパロのものとならなかった。 + さてイスラエルはエジプトの国でゴセンの地に住み、そこで財産を得、子を生み、大いにふえた。 + ヤコブはエジプトの国で十七年生きながらえた。ヤコブのよわいの日は百四十七年であった。 + イスラエルは死ぬ時が近づいたので、その子ヨセフを呼んで言った、「もしわたしがあなたの前に恵みを得るなら、どうか手をわたしのももの下に入れて誓い、親切と誠実とをもってわたしを取り扱ってください。どうかわたしをエジプトには葬らないでください。 + わたしが先祖たちと共に眠るときには、わたしをエジプトから運び出して先祖たちの墓に葬ってください」。ヨセフは言った、「あなたの言われたようにいたします」。 + ヤコブがまた、「わたしに誓ってください」と言ったので、彼は誓った。イスラエルは床のかしらで拝んだ。 + + + これらの事の後に、「あなたの父は、いま病気です」とヨセフに告げる者があったので、彼はふたりの子、マナセとエフライムとを連れて行った。 + 時に人がヤコブに告げて、「あなたの子ヨセフがあなたのもとにきました」と言ったので、イスラエルは努めて床の上にすわった。 + そしてヤコブはヨセフに言った、「先に全能の神がカナンの地ルズでわたしに現れ、わたしを祝福して、 + 言われた、『わたしはおまえに多くの子を得させ、おまえをふやし、おまえを多くの国民としよう。また、この地をおまえの後の子孫に与えて永久の所有とさせる』。 + エジプトにいるあなたの所にわたしが来る前に、エジプトの国で生れたあなたのふたりの子はいまわたしの子とします。すなわちエフライムとマナセとはルベンとシメオンと同じようにわたしの子とします。 + ただし彼らの後にあなたに生れた子らはあなたのものとなります。しかし、その嗣業はその兄弟の名で呼ばれるでしょう。 + わたしがパダンから帰って来る途中ラケルはカナンの地で死に、わたしは悲しんだ。そこはエフラタに行くまでには、なお隔たりがあった。わたしはエフラタ、すなわちベツレヘムへ行く道のかたわらに彼女を葬った」。 + ところで、イスラエルはヨセフの子らを見て言った、「これはだれですか」。 + ヨセフは父に言った、「神がここでわたしにくださった子どもです」。父は言った、「彼らをわたしの所に連れてきて、わたしに祝福させてください」。 + イスラエルの目は老齢のゆえに、かすんで見えなかったが、ヨセフが彼らを父の所に近寄らせたので、父は彼らに口づけし、彼らを抱いた。 + そしてイスラエルはヨセフに言った、「あなたの顔が見られようとは思わなかったのに、神はあなたの子らをもわたしに見させてくださった」。 + そこでヨセフは彼らをヤコブのひざの間から取り出し、地に伏して拝した。 + ヨセフはエフライムを右の手に取ってイスラエルの左の手に向かわせ、マナセを左の手に取ってイスラエルの右の手に向かわせ、ふたりを近寄らせた。 + すると、イスラエルは右の手を伸べて弟エフライムの頭に置き、左の手をマナセの頭に置いた。マナセは長子であるが、ことさらそのように手を置いたのである。 + そしてヨセフを祝福して言った、「わが先祖アブラハムとイサクの仕えた神、生れてからきょうまでわたしを養われた神、 + すべての災からわたしをあがなわれたみ使よ、この子供たちを祝福してください。またわが名と先祖アブラハムとイサクの名とが、彼らによって唱えられますように、また彼らが地の上にふえひろがりますように」。 + ヨセフは父が右の手をエフライムの頭に置いているのを見て不満に思い、父の手を取ってエフライムの頭からマナセの頭へ移そうとした。 + そしてヨセフは父に言った、「父よ、そうではありません。こちらが長子です。その頭に右の手を置いてください」。 + 父は拒んで言った、「わかっている。子よ、わたしにはわかっている。彼もまた一つの民となり、また大いなる者となるであろう。しかし弟は彼よりも大いなる者となり、その子孫は多くの国民となるであろう」。 + こうして彼はこの日、彼らを祝福して言った、「あなたを指して、イスラエルは、人を祝福して言うであろう、『神があなたをエフライムのごとく、またマナセのごとくにせられるように』」。このように、彼はエフライムをマナセの先に立てた。 + イスラエルはまたヨセフに言った、「わたしはやがて死にます。しかし、神はあなたがたと共におられて、あなたがたを先祖の国に導き返されるであろう。 + なおわたしは一つの分を兄弟よりも多くあなたに与える。これはわたしがつるぎと弓とを持ってアモリびとの手から取ったものである」。 + + + ヤコブはその子らを呼んで言った、「集まりなさい。後の日に、あなたがたの上に起ることを、告げましょう、 + ヤコブの子らよ、集まって聞け。父イスラエルのことばを聞け。 + ルベンよ、あなたはわが長子、わが勢い、わが力のはじめ、威光のすぐれた者、権力のすぐれた者。 + しかし、沸き立つ水のようだから、もはや、すぐれた者ではあり得ない。あなたは父の床に上って汚した。ああ、あなたはわが寝床に上った。 + シメオンとレビとは兄弟。彼らのつるぎは暴虐の武器。 + わが魂よ、彼らの会議に臨むな。わが栄えよ、彼らのつどいに連なるな。彼らは怒りに任せて人を殺し、ほしいままに雄牛の足の筋を切った。 + 彼らの怒りは、激しいゆえにのろわれ、彼らの憤りは、はなはだしいゆえにのろわれる。わたしは彼らをヤコブのうちに分け、イスラエルのうちに散らそう。 + ユダよ、兄弟たちはあなたをほめる。あなたの手は敵のくびを押え、父の子らはあなたの前に身をかがめるであろう。 + ユダは、ししの子。わが子よ、あなたは獲物をもって上って来る。彼は雄じしのようにうずくまり、雌じしのように身を伏せる。だれがこれを起すことができよう。 + つえはユダを離れず、立法者のつえはその足の間を離れることなく、シロの来る時までに及ぶであろう。もろもろの民は彼に従う。 + 彼はそのろばの子をぶどうの木につなぎ、その雌ろばの子を良きぶどうの木につなぐ。彼はその衣服をぶどう酒で洗い、その着物をぶどうの汁で洗うであろう。 + その目はぶどう酒によって赤く、その歯は乳によって白い。 + ゼブルンは海べに住み、舟の泊まる港となって、その境はシドンに及ぶであろう。 + イッサカルはたくましいろば、彼は羊のおりの間に伏している。 + 彼は定住の地を見て良しとし、その国を見て楽しとした。彼はその肩を下げてにない、奴隷となって追い使われる。 + ダンはおのれの民をさばくであろう、イスラエルのほかの部族のように。 + ダンは道のかたわらのへび、道のほとりのまむし。馬のかかとをかんで、乗る者をうしろに落すであろう。 + 主よ、わたしはあなたの救を待ち望む。 + ガドには略奪者が迫る。しかし彼はかえって敵のかかとに迫るであろう。 + アセルはその食物がゆたかで、王の美味をいだすであろう。 + ナフタリは放たれた雌じか、彼は美しい子じかを生むであろう。 + ヨセフは実を結ぶ若木、泉のほとりの実を結ぶ若木。その枝は、かきねを越えるであろう。 + 射る者は彼を激しく攻め、彼を射、彼をいたく悩ました。 + しかし彼の弓はなお強く、彼の腕は素早い。これはヤコブの全能者の手により、イスラエルの岩なる牧者の名により、 + あなたを助ける父の神により、また上なる天の祝福、下に横たわる淵の祝福、乳ぶさと胎の祝福をもって、あなたを恵まれる全能者による。 + あなたの父の祝福は永遠の山の祝福にまさり、永久の丘の賜物にまさる。これらの祝福はヨセフのかしらに帰し、その兄弟たちの君たる者の頭の頂に帰する。 + ベニヤミンはかき裂くおおかみ、朝にその獲物を食らい、夕にその分捕物を分けるであろう」。 + すべてこれらはイスラエルの十二の部族である。そしてこれは彼らの父が彼らに語り、彼らを祝福したもので、彼は祝福すべきところに従って、彼らおのおのを祝福した。 + 彼はまた彼らに命じて言った、「わたしはわが民に加えられようとしている。あなたがたはヘテびとエフロンの畑にあるほら穴に、わたしの先祖たちと共にわたしを葬ってください。 + そのほら穴はカナンの地のマムレの東にあるマクペラの畑にあり、アブラハムがヘテびとエフロンから畑と共に買い取り、所有の墓地としたもので、 + そこにアブラハムと妻サラとが葬られ、イサクと妻リベカもそこに葬られたが、わたしはまたそこにレアを葬った。 + あの畑とその中にあるほら穴とはヘテの人々から買ったものです」。 + こうしてヤコブは子らに命じ終って、足を床におさめ、息絶えて、その民に加えられた。 + + + ヨセフは父の顔に伏して泣き、口づけした。 + そしてヨセフは彼のしもべである医者たちに、父に薬を塗ることを命じたので、医者たちはイスラエルに薬を塗った。 + このために四十日を費した。薬を塗るにはこれほどの日数を要するのである。エジプトびとは七十日の間、彼のために泣いた。 + 彼のために泣く日が過ぎて、ヨセフはパロの家の者に言った、「今もしわたしがあなたがたの前に恵みを得るなら、どうかパロに伝えてください。 + 『わたしの父はわたしに誓わせて言いました「わたしはやがて死にます。カナンの地に、わたしが掘って置いた墓に葬ってください」。それで、どうかわたしを上って行かせ、父を葬らせてください。そうすれば、わたしはまた帰ってきます』」。 + パロは言った、「あなたの父があなたに誓わせたように上って行って彼を葬りなさい」。 + そこでヨセフは父を葬るために上って行った。彼と共に上った者はパロのもろもろの家来たち、パロの家の長老たち、エジプトの国のもろもろの長老たち、 + ヨセフの全家とその兄弟たち及びその父の家族であった。ただ子供と羊と牛はゴセンの地に残した。 + また戦車と騎兵も彼と共に上ったので、その行列はたいそう盛んであった。 + 彼らはヨルダンの向こうのアタデの打ち場に行き着いて、そこで大いに嘆き、非常に悲しんだ。そしてヨセフは七日の間父のために嘆いた。 + その地の住民、カナンびとがアタデの打ち場の嘆きを見て、「これはエジプトびとの大いなる嘆きだ」と言ったので、その所の名はアベル・ミツライムと呼ばれた。これはヨルダンの向こうにある。 + ヤコブの子らは命じられたようにヤコブにおこなった。 + すなわちその子らは彼をカナンの地へ運んで行って、マクペラの畑のほら穴に葬った。このほら穴はマムレの東にあって、アブラハムがヘテびとエフロンから畑と共に買って、所有の墓地としたものである。 + ヨセフは父を葬った後、その兄弟たち及びすべて父を葬るために一緒に上った者と共にエジプトに帰った。 + ヨセフの兄弟たちは父の死んだのを見て言った、「ヨセフはことによるとわれわれを憎んで、われわれが彼にしたすべての悪に、仕返しするに違いない」。 + そこで彼らはことづけしてヨセフに言った、「あなたの父は死ぬ前に命じて言われました、 + 『おまえたちはヨセフに言いなさい、「あなたの兄弟たちはあなたに悪をおこなったが、どうかそのとがと罪をゆるしてやってください」』。今どうかあなたの父の神に仕えるしもべらのとがをゆるしてください」。ヨセフはこの言葉を聞いて泣いた。 + やがて兄弟たちもきて、彼の前に伏して言った、「このとおり、わたしたちはあなたのしもべです」。 + ヨセフは彼らに言った、「恐れることはいりません。わたしが神に代ることができましょうか。 + あなたがたはわたしに対して悪をたくらんだが、神はそれを良きに変らせて、今日のように多くの民の命を救おうと計らわれました。 + それゆえ恐れることはいりません。わたしはあなたがたとあなたがたの子供たちを養いましょう」。彼は彼らを慰めて、親切に語った。 + このようにしてヨセフは父の家族と共にエジプトに住んだ。そしてヨセフは百十年生きながらえた。 + ヨセフはエフライムの三代の子孫を見た。マナセの子マキルの子らも生れてヨセフのひざの上に置かれた。 + ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしはやがて死にます。神は必ずあなたがたを顧みて、この国から連れ出し、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地に導き上られるでしょう」。 + さらにヨセフは、「神は必ずあなたがたを顧みられる。その時、あなたがたはわたしの骨をここから携え上りなさい」と言ってイスラエルの子らに誓わせた。 + こうしてヨセフは百十歳で死んだ。彼らはこれに薬を塗り、棺に納めて、エジプトに置いた。 + +
+
+ + さて、ヤコブと共に、おのおのその家族を伴って、エジプトへ行ったイスラエルの子らの名は次のとおりである。 + すなわちルベン、シメオン、レビ、ユダ、 + イッサカル、ゼブルン、ベニヤミン、 + ダン、ナフタリ、ガド、アセルであった。 + ヤコブの腰から出たものは、合わせて七十人。ヨセフはすでにエジプトにいた。 + そして、ヨセフは死に、兄弟たちも、その時代の人々もみな死んだ。 + けれどもイスラエルの子孫は多くの子を生み、ますますふえ、はなはだ強くなって、国に満ちるようになった。 + ここに、ヨセフのことを知らない新しい王が、エジプトに起った。 + 彼はその民に言った、「見よ、イスラエルびとなるこの民は、われわれにとって、あまりにも多く、また強すぎる。 + さあ、われわれは、抜かりなく彼らを取り扱おう。彼らが多くなり、戦いの起るとき、敵に味方して、われわれと戦い、ついにこの国から逃げ去ることのないようにしよう」。 + そこでエジプトびとは彼らの上に監督をおき、重い労役をもって彼らを苦しめた。彼らはパロのために倉庫の町ピトムとラメセスを建てた。 + しかしイスラエルの人々が苦しめられるにしたがって、いよいよふえひろがるので、彼らはイスラエルの人々のゆえに恐れをなした。 + エジプトびとはイスラエルの人々をきびしく使い、 + つらい務をもってその生活を苦しめた。すなわち、しっくいこね、れんが作り、および田畑のあらゆる務に当らせたが、そのすべての労役はきびしかった。 + またエジプトの王は、ヘブルの女のために取上げをする助産婦でひとりは名をシフラといい、他のひとりは名をプアという者にさとして、 + 言った、「ヘブルの女のために助産をするとき、産み台の上を見て、もし男の子ならばそれを殺し、女の子ならば生かしておきなさい」。 + しかし助産婦たちは神をおそれ、エジプトの王が彼らに命じたようにはせず、男の子を生かしておいた。 + エジプトの王は助産婦たちを召して言った、「あなたがたはなぜこのようなことをして、男の子を生かしておいたのか」。 + 助産婦たちはパロに言った、「ヘブルの女はエジプトの女とは違い、彼女たちは健やかで助産婦が行く前に産んでしまいます」。 + それで神は助産婦たちに恵みをほどこされた。そして民はふえ、非常に強くなった。 + 助産婦たちは神をおそれたので、神は彼女たちの家を栄えさせられた。 + そこでパロはそのすべての民に命じて言った、「ヘブルびとに男の子が生れたならば、みなナイル川に投げこめ。しかし女の子はみな生かしておけ」。 + + + さて、レビの家のひとりの人が行ってレビの娘をめとった。 + 女はみごもって、男の子を産んだが、その麗しいのを見て、三月のあいだ隠していた。 + しかし、もう隠しきれなくなったので、パピルスで編んだかごを取り、それにアスファルトと樹脂とを塗って、子をその中に入れ、これをナイル川の岸の葦の中においた。 + その姉は、彼がどうされるかを知ろうと、遠く離れて立っていた。 + ときにパロの娘が身を洗おうと、川に降りてきた。侍女たちは川べを歩いていたが、彼女は、葦の中にかごのあるのを見て、つかえめをやり、それを取ってこさせ、 + あけて見ると子供がいた。見よ、幼な子は泣いていた。彼女はかわいそうに思って言った、「これはヘブルびとの子供です」。 + そのとき幼な子の姉はパロの娘に言った、「わたしが行ってヘブルの女のうちから、あなたのために、この子に乳を飲ませるうばを呼んでまいりましょうか」。 + パロの娘が「行ってきてください」と言うと、少女は行ってその子の母を呼んできた。 + パロの娘は彼女に言った、「この子を連れて行って、わたしに代り、乳を飲ませてください。わたしはその報酬をさしあげます」。女はその子を引き取って、これに乳を与えた。 + その子が成長したので、彼女はこれをパロの娘のところに連れて行った。そして彼はその子となった。彼女はその名をモーセと名づけて言った、「水の中からわたしが引き出したからです」。 + モーセが成長して後、ある日のこと、同胞の所に出て行って、そのはげしい労役を見た。彼はひとりのエジプトびとが、同胞のひとりであるヘブルびとを打つのを見たので、 + 左右を見まわし、人のいないのを見て、そのエジプトびとを打ち殺し、これを砂の中に隠した。 + 次の日また出て行って、ふたりのヘブルびとが互に争っているのを見、悪い方の男に言った、「あなたはなぜ、あなたの友を打つのですか」。 + 彼は言った、「だれがあなたを立てて、われわれのつかさ、また裁判人としたのですか。エジプトびとを殺したように、あなたはわたしを殺そうと思うのですか」。モーセは恐れた。そしてあの事がきっと知れたのだと思った。 + パロはこの事を聞いて、モーセを殺そうとした。しかしモーセはパロの前をのがれて、ミデヤンの地に行き、井戸のかたわらに座していた。 + さて、ミデヤンの祭司に七人の娘があった。彼女たちはきて水をくみ、水槽にみたして父の羊の群れに飲ませようとしたが、 + 羊飼たちがきて彼女らを追い払ったので、モーセは立ち上がって彼女たちを助け、その羊の群れに水を飲ませた。 + 彼女たちが父リウエルのところに帰った時、父は言った、「きょうは、どうして、こんなに早く帰ってきたのか」。 + 彼女たちは言った、「ひとりのエジプトびとが、わたしたちを羊飼たちの手から助け出し、そのうえ、水をたくさんくんで、羊の群れに飲ませてくれたのです」。 + 彼は娘たちに言った、「そのかたはどこにおられるか。なぜ、そのかたをおいてきたのか。呼んできて、食事をさしあげなさい」。 + モーセがこの人と共におることを好んだので、彼は娘のチッポラを妻としてモーセに与えた。 + 彼女が男の子を産んだので、モーセはその名をゲルショムと名づけた。「わたしは外国に寄留者となっている」と言ったからである。 + 多くの日を経て、エジプトの王は死んだ。イスラエルの人々は、その苦役の務のゆえにうめき、また叫んだが、その苦役のゆえの叫びは神に届いた。 + 神は彼らのうめきを聞き、神はアブラハム、イサク、ヤコブとの契約を覚え、 + 神はイスラエルの人々を顧み、神は彼らをしろしめされた。 + + + モーセは妻の父、ミデヤンの祭司エテロの羊の群れを飼っていたが、その群れを荒野の奥に導いて、神の山ホレブにきた。 + ときに主の使は、しばの中の炎のうちに彼に現れた。彼が見ると、しばは火に燃えているのに、そのしばはなくならなかった。 + モーセは言った、「行ってこの大きな見ものを見、なぜしばが燃えてしまわないかを知ろう」。 + 主は彼がきて見定ようとするのを見、神はしばの中から彼を呼んで、「モーセよ、モーセよ」と言われた。彼は「ここにいます」と言った。 + 神は言われた、「ここに近づいてはいけない。足からくつを脱ぎなさい。あなたが立っているその場所は聖なる地だからである」。 + また言われた、「わたしは、あなたの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」。モーセは神を見ることを恐れたので顔を隠した。 + 主はまた言われた、「わたしは、エジプトにいるわたしの民の悩みを、つぶさに見、また追い使う者のゆえに彼らの叫ぶのを聞いた。わたしは彼らの苦しみを知っている。 + わたしは下って、彼らをエジプトびとの手から救い出し、これをかの地から導き上って、良い広い地、乳と蜜の流れる地、すなわちカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのおる所に至らせようとしている。 + いまイスラエルの人々の叫びがわたしに届いた。わたしはまたエジプトびとが彼らをしえたげる、そのしえたげを見た。 + さあ、わたしは、あなたをパロにつかわして、わたしの民、イスラエルの人々をエジプトから導き出させよう」。 + モーセは神に言った、「わたしは、いったい何者でしょう。わたしがパロのところへ行って、イスラエルの人々をエジプトから導き出すのでしょうか」。 + 神は言われた、「わたしは必ずあなたと共にいる。これが、わたしのあなたをつかわしたしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたがたはこの山で神に仕えるであろう」。 + モーセは神に言った、「わたしがイスラエルの人々のところへ行って、彼らに『あなたがたの先祖の神が、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と言うとき、彼らが『その名はなんというのですか』とわたしに聞くならば、なんと答えましょうか」。 + 神はモーセに言われた、「わたしは、有って有る者」。また言われた、「イスラエルの人々にこう言いなさい、『「わたしは有る」というかたが、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と」。 + 神はまたモーセに言われた、「イスラエルの人々にこう言いなさい『あなたがたの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主が、わたしをあなたがたのところへつかわされました』と。これは永遠にわたしの名、これは世々のわたしの呼び名である。 + あなたは行って、イスラエルの長老たちを集めて言いなさい、『あなたがたの先祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である主は、わたしに現れて言われました、「わたしはあなたがたを顧み、あなたがたがエジプトでされている事を確かに見た。 + それでわたしはあなたがたを、エジプトの悩みから導き出して、カナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの地、乳と蜜の流れる地へ携え上ろうと決心した」と』。 + 彼らはあなたの声に聞き従うであろう。あなたはイスラエルの長老たちと一緒にエジプトの王のところへ行って言いなさい、『ヘブルびとの神、主がわたしたちに現れられました。それで、わたしたちを、三日の道のりほど荒野に行かせて、わたしたちの神、主に犠牲をささげることを許してください』と。 + しかし、エジプトの王は強い手をもって迫らなければ、あなたがたを行かせないのをわたしは知っている。 + それで、わたしは手を伸べて、エジプトのうちに行おうとする、さまざまの不思議をもってエジプトを打とう。その後に彼はあなたがたを去らせるであろう。 + わたしはこの民にエジプトびとの好意を得させる。あなたがたは去るときに、むなし手で去ってはならない。 + 女はみな、その隣の女と、家に宿っている女に、銀の飾り、金の飾り、また衣服を求めなさい。そしてこれらを、あなたがたのむすこ、娘に着けさせなさい。このようにエジプトびとのものを奪い取りなさい」。 + + + モーセは言った、「しかし、彼らはわたしを信ぜず、またわたしの声に聞き従わないで言うでしょう、『主はあなたに現れなかった』と」。 + 主は彼に言われた、「あなたの手にあるそれは何か」。彼は言った、「つえです」。 + また言われた、「それを地に投げなさい」。彼がそれを地に投げると、へびになったので、モーセはその前から身を避けた。 + 主はモーセに言われた、「あなたの手を伸ばして、その尾を取りなさい。――そこで手を伸ばしてそれを取ると、手のなかでつえとなった。―― + これは、彼らの先祖たちの神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主が、あなたに現れたのを、彼らに信じさせるためである」。 + 主はまた彼に言われた、「あなたの手をふところに入れなさい」。彼が手をふところに入れ、それを出すと、手は、らい病にかかって、雪のように白くなっていた。 + 主は言われた、「手をふところにもどしなさい」。彼は手をふところにもどし、それをふところから出して見ると、回復して、もとの肉のようになっていた。 + 主は言われた、「彼らがもしあなたを信ぜず、また初めのしるしを認めないならば、後のしるしは信じるであろう。 + 彼らがもしこの二つのしるしをも信ぜず、あなたの声に聞き従わないならば、あなたはナイル川の水を取って、かわいた地に注ぎなさい。あなたがナイル川から取った水は、かわいた地で血となるであろう」。 + モーセは主に言った、「ああ主よ、わたしは以前にも、またあなたが、しもべに語られてから後も、言葉の人ではありません。わたしは口も重く、舌も重いのです」。 + 主は彼に言われた、「だれが人に口を授けたのか。おし、耳しい、目あき、目しいにだれがするのか。主なるわたしではないか。 + それゆえ行きなさい。わたしはあなたの口と共にあって、あなたの言うべきことを教えるであろう」。 + モーセは言った、「ああ、主よ、どうか、ほかの適当な人をおつかわしください」。 + そこで、主はモーセにむかって怒りを発して言われた、「あなたの兄弟レビびとアロンがいるではないか。わたしは彼が言葉にすぐれているのを知っている。見よ、彼はあなたに会おうとして出てきている。彼はあなたを見て心に喜ぶであろう。 + あなたは彼に語って言葉をその口に授けなさい。わたしはあなたの口と共にあり、彼の口と共にあって、あなたがたのなすべきことを教え、 + 彼はあなたに代って民に語るであろう。彼はあなたの口となり、あなたは彼のために、神に代るであろう。 + あなたはそのつえを手に執り、それをもって、しるしを行いなさい」。 + モーセは妻の父エテロのところに帰って彼に言った、「どうかわたしを、エジプトにいる身うちの者のところに帰らせ、彼らがまだ生きながらえているか、どうかを見させてください」。エテロはモーセに言った、「安んじて行きなさい」。 + 主はミデヤンでモーセに言われた、「エジプトに帰って行きなさい。あなたの命を求めた人々はみな死んだ」。 + そこでモーセは妻と子供たちをとり、ろばに乗せて、エジプトの地に帰った。モーセは手に神のつえを執った。 + 主はモーセに言われた、「あなたがエジプトに帰ったとき、わたしがあなたの手に授けた不思議を、みなパロの前で行いなさい。しかし、わたしが彼の心をかたくなにするので、彼は民を去らせないであろう。 + あなたはパロに言いなさい、『主はこう仰せられる。イスラエルはわたしの子、わたしの長子である。 + わたしはあなたに言う。わたしの子を去らせて、わたしに仕えさせなさい。もし彼を去らせるのを拒むならば、わたしはあなたの子、あなたの長子を殺すであろう』と」。 + さてモーセが途中で宿っている時、主は彼に会って彼を殺そうとされた。 + その時チッポラは火打ち石の小刀を取って、その男の子の前の皮を切り、それをモーセの足につけて言った、「あなたはまことに、わたしにとって血の花婿です」。 + そこで、主はモーセをゆるされた。この時「血の花婿です」とチッポラが言ったのは割礼のゆえである。 + 主はアロンに言われた、「荒野に行ってモーセに会いなさい」。彼は行って神の山でモーセに会い、これに口づけした。 + モーセは自分をつかわされた主のすべての言葉と、命じられたすべてのしるしをアロンに告げた。 + そこでモーセとアロンは行ってイスラエルの人々の長老たちをみな集めた。 + そしてアロンは主がモーセに語られた言葉を、ことごとく告げた。また彼は民の前でしるしを行ったので、 + 民は信じた。彼らは主がイスラエルの人々を顧み、その苦しみを見られたのを聞き、伏して礼拝した。 + + + その後、モーセとアロンは行ってパロに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、『わたしの民を去らせ、荒野で、わたしのために祭をさせなさい』と」。 + パロは言った、「主とはいったい何者か。わたしがその声に聞き従ってイスラエルを去らせなければならないのか。わたしは主を知らない。またイスラエルを去らせはしない」。 + 彼らは言った、「ヘブルびとの神がわたしたちに現れました。どうか、わたしたちを三日の道のりほど荒野に行かせ、わたしたちの神、主に犠牲をささげさせてください。そうしなければ主は疫病か、つるぎをもって、わたしたちを悩まされるからです」。 + エジプトの王は彼らに言った、「モーセとアロンよ、あなたがたは、なぜ民に働きをやめさせようとするのか。自分の労役につくがよい」。 + パロはまた言った、「見よ、今や土民の数は多い。しかも、あなたがたは彼らに労役を休ませようとするのか」。 + その日、パロは民を追い使う者と、民のかしらたちに命じて言った、 + 「あなたがたは、れんがを作るためのわらを、もはや、今までのように、この民に与えてはならない。彼らに自分で行って、わらを集めさせなさい。 + また前に作っていた、れんがの数どおりに彼らに作らせ、それを減らしてはならない。彼らはなまけ者だ。それだから、彼らは叫んで、『行ってわたしたちの神に犠牲をささげさせよ』と言うのだ。 + この人々の労役を重くして、働かせ、偽りの言葉に心を寄せさせぬようにしなさい」。 + そこで民を追い使う者たちと、民のかしらたちは出て行って、民に言った、「パロはこう仰せられる、『あなたがたに、わらは与えない。 + 自分で行って、見つかる所から、わらを取って来るがよい。しかし働きは少しも減らしてはならない』と」。 + そこで民はエジプトの全地に散って、わらのかわりに、刈り株を集めた。 + 追い使う者たちは、彼らをせき立てて言った、「わらがあった時と同じように、あなたがたの働きの、日ごとの分を仕上げなければならない」。 + パロの追い使う者たちがイスラエルの人々の上に立てたかしらたちは、打たれて、「なぜ、あなたがたは、れんが作りの仕事を、きょうも、前のように仕上げないのか」と言われた。 + そこで、イスラエルの人々のかしらたちはパロのところに行き、叫んで言った、「あなたはなぜ、しもべどもにこんなことをなさるのですか。 + しもべどもは、わらを与えられず、しかも彼らはわたしたちに、『れんがは作れ』と言うのです。その上、しもべどもは打たれています。罪はあなたの民にあるのです」。 + パロは言った、「あなたがたは、なまけ者だ、なまけ者だ。それだから、『行って、主に犠牲をささげさせよ』と言うのだ。 + さあ、行って働きなさい。わらは与えないが、なおあなたがたは定めた数のれんがを納めなければならない」。 + イスラエルの人々のかしらたちは、「れんがの日ごとの分を減らしてはならない」と言われたので、悪い事態になったことを知った。 + 彼らがパロを離れて出てきた時、彼らに会おうとして立っていたモーセとアロンに会ったので、 + 彼らに言った、「主があなたがたをごらんになって、さばかれますように。あなたがたは、わたしたちをパロとその家来たちにきらわせ、つるぎを彼らの手に渡して、殺させようとしておられるのです」。 + モーセは主のもとに帰って言った、「主よ、あなたは、なぜこの民をひどい目にあわされるのですか。なんのためにわたしをつかわされたのですか。 + わたしがパロのもとに行って、あなたの名によって語ってからこのかた、彼はこの民をひどい目にあわせるばかりです。また、あなたは、すこしもあなたの民を救おうとなさいません」。 + + + 主はモーセに言われた、「今、あなたは、わたしがパロに何をしようとしているかを見るであろう。すなわちパロは強い手にしいられて、彼らを去らせるであろう。否、彼は強い手にしいられて、彼らを国から追い出すであろう」。 + 神はモーセに言われた、「わたしは主である。 + わたしはアブラハム、イサク、ヤコブには全能の神として現れたが、主という名では、自分を彼らに知らせなかった。 + わたしはまたカナンの地、すなわち彼らが寄留したその寄留の地を、彼らに与えるという契約を彼らと立てた。 + わたしはまた、エジプトびとが奴隷としているイスラエルの人々のうめきを聞いて、わたしの契約を思い出した。 + それゆえ、イスラエルの人々に言いなさい、『わたしは主である。わたしはあなたがたをエジプトびとの労役の下から導き出し、奴隷の務から救い、また伸べた腕と大いなるさばきをもって、あなたがたをあがなうであろう。 + わたしはあなたがたを取ってわたしの民とし、わたしはあなたがたの神となる。わたしがエジプトびとの労役の下からあなたがたを導き出すあなたがたの神、主であることを、あなたがたは知るであろう。 + わたしはアブラハム、イサク、ヤコブに与えると手を挙げて誓ったその地にあなたがたをはいらせ、それを所有として、与えるであろう。わたしは主である』と」。 + モーセはこのようにイスラエルの人々に語ったが、彼らは心の痛みと、きびしい奴隷の務のゆえに、モーセに聞き従わなかった。 + さて主はモーセに言われた、 + 「エジプトの王パロのところに行って、彼がイスラエルの人々をその国から去らせるように話しなさい」。 + モーセは主にむかって言った、「イスラエルの人々でさえ、わたしの言うことを聞かなかったのに、どうして、くちびるに割礼のないわたしの言うことを、パロが聞き入れましょうか」。 + しかし、主はモーセとアロンに語って、イスラエルの人々と、エジプトの王パロのもとに行かせ、イスラエルの人々をエジプトの地から導き出せと命じられた。 + 彼らの先祖の家の首長たちは次のとおりである。すなわちイスラエルの長子ルベンの子らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミで、これらはルベンの一族である。 + シメオンの子らはエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハル、およびカナンの女から生れたシャウルで、これらはシメオンの一族である。 + レビの子らの名は、その世代に従えば、ゲルション、コハテ、メラリで、レビの一生は百三十七年であった。 + ゲルションの子らの一族はリブニとシメイである。 + コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルで、コハテの一生は百三十三年であった。 + メラリの子らはマヘリとムシである。これらはその世代によるレビの一族である。 + アムラムは父の妹ヨケベデを妻としたが、彼女はアロンとモーセを彼に産んだ。アムラムの一生は百三十七年であった。 + イヅハルの子らはコラ、ネペグ、ジクリである。 + ウジエルの子らはミサエル、エルザパン、シテリである。 + アロンはナションの姉妹、アミナダブの娘エリセバを妻とした。エリセバは彼にナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルを産んだ。 + コラの子らはアッシル、エルカナ、アビアサフで、これらはコラびとの一族である。 + アロンの子エレアザルはプテエルの娘のひとりを妻とした。彼女はピネハスを彼に産んだ。これらは、その一族によるレビびとの先祖の家の首長たちである。 + 主が、「イスラエルの人々をその軍団に従って、エジプトの地から導き出しなさい」と言われたのは、このアロンとモーセである。 + 彼らはイスラエルの人々をエジプトから導き出すことについて、エジプトの王パロに語ったもので、すなわちこのモーセとアロンである。 + 主がエジプトの地でモーセに語られた日に、 + 主はモーセに言われた、「わたしは主である。わたしがあなたに語ることは、みなエジプトの王パロに語りなさい」。 + しかしモーセは主にむかって言った、「ごらんのとおり、わたしは、くちびるに割礼のない者です。パロがどうしてわたしの言うことを聞きいれましょうか」。 + + + 主はモーセに言われた、「見よ、わたしはあなたをパロに対して神のごときものとする。あなたの兄弟アロンはあなたの預言者となるであろう。 + あなたはわたしが命じることを、ことごとく彼に告げなければならない。そしてあなたの兄弟アロンはパロに告げて、イスラエルの人々をその国から去らせるようにさせなければならない。 + しかし、わたしはパロの心をかたくなにするので、わたしのしるしと不思議をエジプトの国に多く行っても、 + パロはあなたがたの言うことを聞かないであろう。それでわたしは手をエジプトの上に加え、大いなるさばきをくだして、わたしの軍団、わたしの民イスラエルの人々を、エジプトの国から導き出すであろう。 + わたしが手をエジプトの上にさし伸べて、イスラエルの人々を彼らのうちから導き出す時、エジプトびとはわたしが主であることを知るようになるであろう」。 + モーセとアロンはそのように行った。すなわち主が彼らに命じられたように行った。 + 彼らがパロと語った時、モーセは八十歳、アロンは八十三歳であった。 + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「パロがあなたがたに、『不思議をおこなって証拠を示せ』と言う時、あなたはアロンに言いなさい、『あなたのつえを取って、パロの前に投げなさい』と。するとそれはへびになるであろう」。 + それで、モーセとアロンはパロのところに行き、主の命じられたとおりにおこなった。すなわちアロンはそのつえを、パロとその家来たちの前に投げると、それはへびになった。 + そこでパロもまた知者と魔法使を召し寄せた。これらのエジプトの魔術師らもまた、その秘術をもって同じように行った。 + すなわち彼らは、おのおのそのつえを投げたが、それらはへびになった。しかし、アロンのつえは彼らのつえを、のみつくした。 + けれども、パロの心はかたくなになって、主の言われたように、彼らの言うことを聞かなかった。 + 主はモーセに言われた、「パロの心はかたくなで、彼は民を去らせることを拒んでいる。 + あなたは、あすの朝、パロのところに行きなさい。見よ、彼は水のところに出ている。あなたは、へびに変ったあのつえを手に執り、ナイル川の岸に立って彼に会い、 + そして彼に言いなさい、『ヘブルびとの神、主がわたしをあなたにつかわして言われます、「わたしの民を去らせ、荒野で、わたしに仕えるようにさせよ」と。しかし今もなお、あなたが聞きいれようとされないので、 + 主はこう仰せられます、「これによってわたしが主であることを、あなたは知るでしょう。見よ、わたしが手にあるつえでナイル川の水を打つと、それは血に変るであろう。 + そして川の魚は死に、川は臭くなり、エジプトびとは川の水を飲むことをいとうであろう」』と」。 + 主はまたモーセに言われた、「あなたはアロンに言いなさい、『あなたのつえを執って、手をエジプトの水の上、川の上、流れの上、池の上、またそのすべての水たまりの上にさし伸べて、それを血にならせなさい。エジプト全国にわたって、木の器、石の器にも、血があるようになるでしょう』と」。 + モーセとアロンは主の命じられたようにおこなった。すなわち、彼はパロとその家来たちの目の前で、つえをあげてナイル川の水を打つと、川の水は、ことごとく血に変った。 + それで川の魚は死に、川は臭くなり、エジプトびとは川の水を飲むことができなくなった。そしてエジプト全国にわたって血があった。 + エジプトの魔術師らも秘術をもって同じようにおこなった。しかし、主の言われたように、パロの心はかたくなになり、彼らの言うことを聞かなかった。 + パロは身をめぐらして家に入り、またこのことをも心に留めなかった。 + すべてのエジプトびとはナイル川の水が飲めなかったので、飲む水を得ようと、川のまわりを掘った。 + 主がナイル川を打たれてのち七日を経た。 + + + 主はモーセに言われた、「あなたはパロのところに行って言いなさい、『主はこう仰せられます、「わたしの民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + しかし、去らせることを拒むならば、見よ、わたしは、かえるをもって、あなたの領土を、ことごとく撃つであろう。 + ナイル川にかえるが群がり、のぼって、あなたの家、あなたの寝室にはいり、寝台にのぼり、あなたの家来と民の家にはいり、またあなたのかまどや、こね鉢にはいり、 + あなたと、あなたの民と、すべての家来のからだに、はい上がるであろう」と』」。 + 主はモーセに言われた、「あなたはアロンに言いなさい、『つえを持って、手を川の上、流れの上、、池の上にさし伸べ、かえるをエジプトの地にのぼらせなさい』と」。 + アロンが手をエジプトの水の上にさし伸べたので、かえるはのぼってエジプトの地をおおった。 + 魔術師らも秘術をもって同じように行い、かえるをエジプトの地にのぼらせた。 + パロはモーセとアロンを召して言った、「かえるをわたしと、わたしの民から取り去るように主に願ってください。そのときわたしはこの民を去らせて、主に犠牲をささげさせるでしょう」。 + モーセはパロに言った、「あなたと、あなたの家来と、あなたの民のために、わたしがいつ願って、このかえるを、あなたとあなたの家から断って、ナイル川だけにとどまらせるべきか、きめてください」。 + パロは言った、「明日」。モーセは言った、「仰せのとおりになって、わたしたちの神、主に並ぶもののないことを、あなたが知られますように。 + そして、かえるはあなたと、あなたの家と、あなたの家来と、あなたの民を離れてナイル川にだけとどまるでしょう」。 + こうしてモーセとアロンはパロを離れて出た。モーセは主がパロにつかわされたかえるの事について、主に呼び求めたので、 + 主はモーセのことばのようにされ、かえるは家から、庭から、また畑から死に絶えた。 + これをひと山ひと山に積んだので、地は臭くなった。 + ところがパロは息つくひまのできたのを見て、主が言われたように、その心をかたくなにして彼らの言うことを聞かなかった。 + 主はモーセに言われた、「あなたはアロンに言いなさい、『あなたのつえをさし伸べて地のちりを打ち、それをエジプトの全国にわたって、ぶよとならせなさい』と」。 + 彼らはそのように行った。すなわちアロンはそのつえをとって手をさし伸べ、地のちりを打ったので、ぶよは人と家畜についた。すなわち、地のちりはみなエジプトの全国にわたって、ぶよとなった。 + 魔術師らも秘術をもって同じように行い、ぶよを出そうとしたが、彼らにはできなかった。ぶよが人と家畜についたので、 + 魔術師らはパロに言った、「これは神の指です」。しかし主の言われたように、パロの心はかたくなになって、彼らのいうことを聞かなかった。 + 主はモーセに言われた、「あなたは朝早く起きてパロの前に立ちなさい。ちょうど彼は水のところに出ているから彼に言いなさい、『主はこう仰せられる、「わたしの民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + あなたがわたしの民を去らせないならば、わたしは、あなたとあなたの家来と、あなたの民とあなたの家とに、あぶの群れをつかわすであろう。エジプトびとの家々は、あぶの群れで満ち、彼らの踏む地もまた、そうなるであろう。 + その日わたしは、わたしの民の住むゴセンの地を区別して、そこにあぶの群れを入れないであろう。国の中でわたしが主であることをあなたが知るためである。 + わたしはわたしの民とあなたの民の間に区別をおく。このしるしは、あす起るであろう」と』」。 + 主はそのようにされたので、おびただしいあぶが、パロの家と、その家来の家と、エジプトの全国にはいってきて、地はあぶの群れのために害をうけた。 + そこで、パロはモーセとアロンを召して言った、「あなたがたは行ってこの国の内で、あなたがたの神に犠牲をささげなさい」。 + モーセは言った、「そうすることはできません。わたしたちはエジプトびとの忌むものを犠牲として、わたしたちの神、主にささげるからです。もし、エジプトびとの目の前で、彼らの忌むものを犠牲にささげるならば、彼らはわたしたちを石で打たないでしょうか。 + わたしたちは三日の道のりほど、荒野にはいって、わたしたちの神、主に犠牲をささげ、主がわたしたちに命じられるようにしなければなりません」。 + パロは言った、「わたしはあなたがたを去らせ、荒野で、あなたがたの神、主に犠牲をささげさせよう。ただあまり遠くへ行ってはならない。わたしのために祈願しなさい」。 + モーセは言った、「わたしはあなたのもとから出て行って主に祈願しましょう。あすあぶの群れがパロと、その家来と、その民から離れるでしょう。ただパロはまた欺いて、民が主に犠牲をささげに行くのをとめないようにしてください」。 + こうしてモーセはパロのもとを出て、主に祈願したので、 + 主はモーセの言葉のようにされた。すなわち、あぶの群れをパロと、その家来と、その民から取り去られたので、一つも残らなかった。 + しかしパロはこんどもまた、その心をかたくなにして民を去らせなかった。 + + + 主はモーセに言われた、「パロのもとに行って、彼に言いなさい、『ヘブルびとの神、主はこう仰せられる、「わたしの民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + あなたがもし彼らを去らせることを拒んで、なお彼らを留めおくならば、 + 主の手は最も激しい疫病をもって、野にいるあなたの家畜、すなわち馬、ろば、らくだ、牛、羊の上に臨むであろう。 + しかし、主はイスラエルの家畜と、エジプトの家畜を区別され、すべてイスラエルの人々に属するものには一頭も死ぬものがないであろう」と』」。 + 主は、また、時を定めて仰せられた、「あす、主はこのことを国に行うであろう」。 + あくる日、主はこのことを行われたので、エジプトびとの家畜はみな死んだ。しかし、イスラエルの人々の家畜は一頭も死ななかった。 + パロは人をつかわして見させたが、イスラエルの家畜は一頭も死んでいなかった。それでもパロの心はかたくなで、民を去らせなかった。 + 主はモーセとアロンに言われた、「あなたがたは、かまどのすすを両手いっぱい取り、それをモーセはパロの目の前で天にむかって、まき散らしなさい。 + それはエジプトの全国にわたって、細かいちりとなり、エジプト全国で人と獣に付いて、うみの出るはれものとなるであろう」。 + そこで彼らは、かまどのすすを取ってパロの前に立ち、モーセは天にむかってこれをまき散らしたので、人と獣に付いて、うみの出るはれものとなった。 + 魔術師らは、はれもののためにモーセの前に立つことができなかった。はれものが魔術師らと、すべてのエジプトびとに生じたからである。 + しかし、主はパロの心をかたくなにされたので、彼は主がモーセに語られたように、彼らの言うことを聞かなかった。 + 主はまたモーセに言われた、「朝早く起き、パロの前に立って、彼に言いなさい、『ヘブルびとの神、主はこう仰せられる、「わたしの民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + わたしは、こんどは、もろもろの災を、あなたと、あなたの家来と、あなたの民にくだし、わたしに並ぶものが全地にないことを知らせるであろう。 + わたしがもし、手をさし伸べ、疫病をもって、あなたと、あなたの民を打っていたならば、あなたは地から断ち滅ぼされていたであろう。 + しかし、わたしがあなたをながらえさせたのは、あなたにわたしの力を見させるため、そして、わたしの名が全地に宣べ伝えられるためにほかならない。 + それに、あなたはなお、わたしの民にむかって、おのれを高くし、彼らを去らせようとしない。 + ゆえに、あすの今ごろ、わたしは恐ろしく大きな雹を降らせるであろう。それはエジプトの国が始まった日から今まで、かつてなかったほどのものである。 + それゆえ、いま、人をやって、あなたの家畜と、あなたが野にもっているすべてのものを、のがれさせなさい。人も獣も、すべて野にあって家に帰らないものは降る雹に打たれて死ぬであろう」と』」。 + パロの家来のうち、主の言葉をおそれる者は、そのしもべと家畜を家にのがれさせたが、 + 主の言葉を意にとめないものは、そのしもべと家畜を野に残しておいた。 + 主はモーセに言われた、「あなたの手を天にむかってさし伸べ、エジプトの全国にわたって、エジプトの地にいる人と獣と畑のすべての青物の上に雹を降らせなさい」。 + モーセが天にむかってつえをさし伸べると、主は雷と雹をおくられ、火は地にむかって、はせ下った。こうして主は、雹をエジプトの地に降らされた。 + そして雹が降り、雹の間に火がひらめき渡った。雹は恐ろしく大きく、エジプト全国には、国をなしてこのかた、かつてないものであった。 + 雹はエジプト全国にわたって、すべて畑にいる人と獣を打った。雹はまた畑のすべての青物を打ち、野のもろもろの木を折り砕いた。 + ただイスラエルの人々のいたゴセンの地には、雹が降らなかった。 + そこで、パロは人をつかわし、モーセとアロンを召して言った、「わたしはこんどは罪を犯した。主は正しく、わたしと、わたしの民は悪い。 + 主に祈願してください。この雷と雹はもうじゅうぶんです。わたしはあなたがたを去らせます。もはやとどまらなくてもよろしい」。 + モーセは彼に言った、「わたしは町を出ると、すぐ、主にむかってわたしの手を伸べひろげます。すると雷はやみ、雹はもはや降らなくなり、あなたは、地が主のものであることを知られましょう。 + しかし、あなたとあなたの家来たちは、なお、神なる主を恐れないことを、わたしは知っています」。 + ――亜麻と大麦は打ち倒された。大麦は穂を出し、亜麻は花が咲いていたからである。 + 小麦とスペルタ麦はおくてであるため打ち倒されなかった。―― + モーセはパロのもとを去り、町を出て、主にむかって手を伸べひろげたので、雷と雹はやみ、雨は地に降らなくなった。 + ところがパロは雨と雹と雷がやんだのを見て、またも罪を犯し、心をかたくなにした。彼も家来も、そうであった。 + すなわちパロは心をかたくなにし、主がモーセによって語られたように、イスラエルの人々を去らせなかった。 + + + そこで、主はモーセに言われた、「パロのもとに行きなさい。わたしは彼の心とその家来たちの心をかたくなにした。これは、わたしがこれらのしるしを、彼らの中に行うためである。 + また、わたしがエジプトびとをあしらったこと、また彼らの中にわたしが行ったしるしを、あなたがたが、子や孫の耳に語り伝えるためである。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るであろう」。 + モーセとアロンはパロのもとに行って彼に言った、「ヘブルびとの神、主はこう仰せられる、『いつまで、あなたは、わたしに屈伏することを拒むのですか。民を去らせて、わたしに仕えさせなさい。 + もし、わたしの民を去らせることを拒むならば、見よ、あす、わたしはいなごを、あなたの領土にはいらせるであろう。 + それは地のおもてをおおい、人が地を見ることもできないほどになるであろう。そして雹を免れて、残されているものを食い尽し、野にはえているあなたがたの木をみな食い尽すであろう。 + またそれはあなたの家とあなたのすべての家来の家、および、すべてのエジプトびとの家に満ちるであろう。このようなことは、あなたの父たちも、また、祖父たちも、彼らが地上にあった日から今日に至るまで、かつて見たことのないものである』と」。そして彼は身をめぐらして、パロのもとを出て行った。 + パロの家来たちは王に言った、「いつまで、この人はわれわれのわなとなるのでしょう。この人々を去らせ、彼らの神なる主に仕えさせては、どうでしょう。エジプトが滅びてしまうことに、まだ気づかれないのですか」。 + そこで、モーセとアロンは、また、パロのもとに召し出された。パロは彼らに言った、「行って、あなたがたの神、主に仕えなさい。しかし、行くものはだれだれか」。 + モーセは言った、「わたしたちは幼い者も、老いた者も行きます。むすこも娘も携え、羊も牛も連れて行きます。わたしたちは主の祭を執り行わなければならないのですから」。 + パロは彼らに言った、「万一、わたしが、あなたがたに子供を連れてまで去らせるようなことがあれば、主があなたがたと共にいますがよい。あなたがたは悪いたくらみをしている。 + それはいけない。あなたがたは男だけ行って主に仕えるがよい。それが、あなたがたの要求であった」。彼らは、ついにパロの前から追い出された。 + 主はモーセに言われた、「あなたの手をエジプトの地の上にさし伸べて、エジプトの地にいなごをのぼらせ、地のすべての青物、すなわち、雹が打ち残したものを、ことごとく食べさせなさい」。 + そこでモーセはエジプトの地の上に、つえをさし伸べたので、主は終日、終夜、東風を地に吹かせられた。朝となって、東風は、いなごを運んできた。 + いなごはエジプト全国にのぞみ、エジプトの全領土にとどまり、その数がはなはだ多く、このようないなごは前にもなく、また後にもないであろう。 + いなごは地の全面をおおったので、地は暗くなった。そして地のすべての青物と、雹の打ち残した木の実を、ことごとく食べたので、エジプト全国にわたって、木にも畑の青物にも、緑の物とては何も残らなかった。 + そこで、パロは、急いでモーセとアロンを召して言った、「わたしは、あなたがたの神、主に対し、また、あなたがたに対して罪を犯しました。 + それで、どうか、もう一度だけ、わたしの罪をゆるしてください。そしてあなたがたの神、主に祈願して、ただ、この死をわたしから離れさせてください」。 + そこで彼はパロのところから出て、主に祈願したので、 + 主は、はなはだ強い西風に変らせ、いなごを吹き上げて、これを紅海に追いやられたので、エジプト全土には一つのいなごも残らなかった。 + しかし、主がパロの心をかたくなにされたので、彼はイスラエルの人々を去らせなかった。 + 主はまたモーセに言われた、「天にむかってあなたの手をさし伸べ、エジプトの国に、くらやみをこさせなさい。そのくらやみは、さわれるほどである」。 + モーセが天にむかって手をさし伸べたので、濃いくらやみは、エジプト全国に臨み三日に及んだ。 + 三日の間、人々は互に見ることもできず、まただれもその所から立つ者もなかった。しかし、イスラエルの人々には、みな、その住む所に光があった。 + そこでパロはモーセを召して言った、「あなたがたは行って主に仕えなさい。あなたがたの子供も連れて行ってもよろしい。ただ、あなたがたの羊と牛は残して置きなさい」。 + しかし、モーセは言った、「あなたは、また、わたしたちの神、主にささげる犠牲と燔祭の物をも、わたしたちにくださらなければなりません。 + わたしたちは家畜も連れて行きます。ひずめ一つも残しません。わたしたちは、そのうちから取って、わたしたちの神、主に仕えねばなりません。またわたしたちは、その場所に行くまでは、何をもって、主に仕えるべきかを知らないからです」。 + けれども、主がパロの心をかたくなにされたので、パロは彼らを去らせようとしなかった。 + それでパロはモーセに言った、「わたしの所から去りなさい。心して、わたしの顔は二度と見てはならない。わたしの顔を見る日には、あなたの命はないであろう」。 + モーセは言った、「よくぞ仰せられました。わたしは、二度と、あなたの顔を見ないでしょう」。 + + + 主はモーセに言われた、「わたしは、なお一つの災を、パロとエジプトの上にくだし、その後、彼はあなたがたをここから去らせるであろう。彼が去らせるとき、彼はあなたがたを、ことごとくここから追い出すであろう。 + あなたは民の耳に語って、男は隣の男から、女は隣の女から、それぞれ銀の飾り、金の飾りを請い求めさせなさい」。 + 主は民にエジプトびとの好意を得させられた。またモーセその人は、エジプトの国で、パロの家来たちの目と民の目とに、はなはだ大いなるものと見えた。 + モーセは言った、「主はこう仰せられる、『真夜中ごろ、わたしはエジプトの中へ出て行くであろう。 + エジプトの国のうちのういごは、位に座するパロのういごをはじめ、ひきうすの後にいる、はしためのういごに至るまで、みな死に、また家畜のういごもみな死ぬであろう。 + そしてエジプト全国に大いなる叫びが起るであろう。このようなことはかつてなく、また、ふたたびないであろう』と。 + しかし、すべて、イスラエルの人々にむかっては、人にむかっても、獣にむかっても、犬さえその舌を鳴らさないであろう。これによって主がエジプトびととイスラエルびととの間の区別をされるのを、あなたがたは知るであろう。 + これらのあなたの家来たちは、みな、わたしのもとに下ってきて、ひれ伏して言うであろう、『あなたもあなたに従う民もみな出て行ってください』と。その後、わたしは出て行きます」。彼は激しく怒ってパロのもとから出て行った。 + 主はモーセに言われた、「パロはあなたがたの言うことを聞かないであろう。それゆえ、わたしはエジプトの国に不思議を増し加えるであろう」。 + モーセとアロンは、すべてこれらの不思議をパロの前に行ったが、主がパロの心をかたくなにされたので、彼はイスラエルの人々をその国から去らせなかった。 + + + 主はエジプトの国で、モーセとアロンに告げて言われた、 + 「この月をあなたがたの初めの月とし、これを年の正月としなさい。 + あなたがたはイスラエルの全会衆に言いなさい、『この月の十日におのおの、その父の家ごとに小羊を取らなければならない。すなわち、一家族に小羊一頭を取らなければならない。 + もし家族が少なくて一頭の小羊を食べきれないときは、家のすぐ隣の人と共に、人数に従って一頭を取り、おのおの食べるところに応じて、小羊を見計らわなければならない。 + 小羊は傷のないもので、一歳の雄でなければならない。羊またはやぎのうちから、これを取らなければならない。 + そしてこの月の十四日まで、これを守って置き、イスラエルの会衆はみな、夕暮にこれをほふり、 + その血を取り、小羊を食する家の入口の二つの柱と、かもいにそれを塗らなければならない。 + そしてその夜、その肉を火に焼いて食べ、種入れぬパンと苦菜を添えて食べなければならない。 + 生でも、水で煮ても、食べてはならない。火に焼いて、その頭を足と内臓と共に食べなければならない。 + 朝までそれを残しておいてはならない。朝まで残るものは火で焼きつくさなければならない。 + あなたがたは、こうして、それを食べなければならない。すなわち腰を引きからげ、足にくつをはき、手につえを取って、急いでそれを食べなければならない。これは主の過越である。 + その夜わたしはエジプトの国を巡って、エジプトの国におる人と獣との、すべてのういごを打ち、またエジプトのすべての神々に審判を行うであろう。わたしは主である。 + その血はあなたがたのおる家々で、あなたがたのために、しるしとなり、わたしはその血を見て、あなたがたの所を過ぎ越すであろう。わたしがエジプトの国を撃つ時、災が臨んで、あなたがたを滅ぼすことはないであろう。 + この日はあなたがたに記念となり、あなたがたは主の祭としてこれを守り、代々、永久の定めとしてこれを守らなければならない。 + 七日の間あなたがたは種入れぬパンを食べなければならない。その初めの日に家からパン種を取り除かなければならない。第一日から第七日までに、種を入れたパンを食べる人はみなイスラエルから断たれるであろう。 + かつ、あなたがたは第一日に聖会を、また第七日に聖会を開かなければならない。これらの日には、なんの仕事もしてはならない。ただ、おのおのの食べものだけは作ることができる。 + あなたがたは、種入れぬパンの祭を守らなければならない。ちょうど、この日、わたしがあなたがたの軍勢をエジプトの国から導き出したからである。それゆえ、あなたがたは代々、永久の定めとして、その日を守らなければならない。 + 正月に、その月の十四日の夕方に、あなたがたは種入れぬパンを食べ、その月の二十一日の夕方まで続けなければならない。 + 七日の間、家にパン種を置いてはならない。種を入れたものを食べる者は、寄留の他国人であれ、国に生れた者であれ、すべて、イスラエルの会衆から断たれるであろう。 + あなたがたは種を入れたものは何も食べてはならない。すべてあなたがたのすまいにおいて種入れぬパンを食べなければならない』」。 + そこでモーセはイスラエルの長老をみな呼び寄せて言った、「あなたがたは急いで家族ごとに一つの小羊を取り、その過越の獣をほふらなければならない。 + また一束のヒソプを取って鉢の血に浸し、鉢の血を、かもいと入口の二つの柱につけなければならない。朝まであなたがたは、ひとりも家の戸の外に出てはならない。 + 主が行き巡ってエジプトびとを撃たれるとき、かもいと入口の二つの柱にある血を見て、主はその入口を過ぎ越し、滅ぼす者が、あなたがたの家にはいって、撃つのを許されないであろう。 + あなたがたはこの事を、あなたと子孫のための定めとして、永久に守らなければならない。 + あなたがたは、主が約束されたように、あなたがたに賜る地に至るとき、この儀式を守らなければならない。 + もし、あなたがたの子供たちが『この儀式はどんな意味ですか』と問うならば、 + あなたがたは言いなさい、『これは主の過越の犠牲である。エジプトびとを撃たれたとき、エジプトにいたイスラエルの人々の家を過ぎ越して、われわれの家を救われたのである』」。民はこのとき、伏して礼拝した。 + イスラエルの人々は行ってそのようにした。すなわち主がモーセとアロンに命じられたようにした。 + 夜中になって主はエジプトの国の、すべてのういご、すなわち位に座するパロのういごから、地下のひとやにおる捕虜のういごにいたるまで、また、すべての家畜のういごを撃たれた。 + それでパロとその家来およびエジプトびとはみな夜のうちに起きあがり、エジプトに大いなる叫びがあった。死人のない家がなかったからである。 + そこでパロは夜のうちにモーセとアロンを呼び寄せて言った、「あなたがたとイスラエルの人々は立って、わたしの民の中から出て行くがよい。そしてあなたがたの言うように、行って主に仕えなさい。 + あなたがたの言うように羊と牛とを取って行きなさい。また、わたしを祝福しなさい」。 + こうしてエジプトびとは民をせき立てて、すみやかに国を去らせようとした。彼らは「われわれはみな死ぬ」と思ったからである。 + 民はまだパン種を入れない練り粉を、こばちのまま着物に包んで肩に負った。 + そしてイスラエルの人々はモーセの言葉のようにして、エジプトびとから銀の飾り、金の飾り、また衣服を請い求めた。 + 主は民にエジプトびとの情を得させ、彼らの請い求めたものを与えさせられた。こうして彼らはエジプトびとのものを奪い取った。 + さて、イスラエルの人々はラメセスを出立してスコテに向かった。女と子供を除いて徒歩の男子は約六十万人であった。 + また多くの入り混じった群衆および羊、牛など非常に多くの家畜も彼らと共に上った。 + そして彼らはエジプトから携えて出た練り粉をもって、種入れぬパンの菓子を焼いた。まだパン種を入れていなかったからである。それは彼らがエジプトから追い出されて滞ることができず、また、何の食料をも整えていなかったからである。 + イスラエルの人々がエジプトに住んでいた間は、四百三十年であった。 + 四百三十年の終りとなって、ちょうどその日に、主の全軍はエジプトの国を出た。 + これは彼らをエジプトの国から導き出すために主が寝ずの番をされた夜であった。ゆえにこの夜、すべてのイスラエルの人々は代々、主のために寝ずの番をしなければならない。 + 主はモーセとアロンとに言われた、「過越の祭の定めは次のとおりである。すなわち、異邦人はだれもこれを食べてはならない。 + しかし、おのおのが金で買ったしもべは、これに割礼を行ってのち、これを食べさせることができる。 + 仮ずまいの者と、雇人とは、これを食べてはならない。 + ひとつの家でこれを食べなければならない。その肉を少しも家の外に持ち出してはならない。また、その骨を折ってはならない。 + イスラエルの全会衆はこれを守らなければならない。 + 寄留の外国人があなたのもとにとどまっていて、主に過越の祭を守ろうとするときは、その男子はみな割礼を受けてのち、近づいてこれを守ることができる。そうすれば彼は国に生れた者のようになるであろう。しかし、無割礼の者はだれもこれを食べてはならない。 + この律法は国に生れたものにも、あなたがたのうちに寄留している外国人にも同一である」。 + イスラエルの人々は、みなこのようにし、主がモーセとアロンに命じられたようにした。 + ちょうどその日に、主はイスラエルの人々を、その軍団に従ってエジプトの国から導き出された。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々のうちで、すべてのういご、すなわちすべて初めに胎を開いたものを、人であれ、獣であれ、みな、わたしのために聖別しなければならない。それはわたしのものである」。 + モーセは民に言った、「あなたがたは、エジプトから、奴隷の家から出るこの日を覚えなさい。主が強い手をもって、あなたがたをここから導き出されるからである。種を入れたパンを食べてはならない。 + あなたがたはアビブの月のこの日に出るのである。 + 主があなたに与えると、あなたの先祖たちに誓われたカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ヒビびと、エブスびとの地、乳と蜜との流れる地に、導き入れられる時、あなたはこの月にこの儀式を守らなければならない。 + 七日のあいだ種入れぬパンを食べ、七日目には主に祭をしなければならない。 + 種入れぬパンを七日のあいだ食べなければならない。種を入れたパンをあなたの所に置いてはならない。また、あなたの地区のどこでも、あなたの所にパン種を置いてはならない。 + その日、あなたの子に告げて言いなさい、『これはわたしがエジプトから出るときに、主がわたしになされたことのためである』。 + そして、これを、手につけて、しるしとし、目の間に置いて記念とし、主の律法をあなたの口に置かなければならない。主が強い手をもって、あなたをエジプトから導き出されるからである。 + それゆえ、あなたはこの定めを年々その期節に守らなければならない。 + 主があなたとあなたの先祖たちに誓われたように、あなたをカナンびとの地に導いて、それをあなたに賜わる時、 + あなたは、すべて初めに胎を開いた者、およびあなたの家畜の産むういごは、ことごとく主にささげなければならない。すなわち、それらの男性のものは主に帰せしめなければならない。 + また、すべて、ろばの、初めて胎を開いたものは、小羊をもって、あがなわなければならない。もし、あがなわないならば、その首を折らなければならない。あなたの子らのうち、すべて、男のういごは、あがなわなければならない。 + 後になって、あなたの子が『これはどんな意味ですか』と問うならば、これに言わなければならない、『主が強い手をもって、われわれをエジプトから、奴隷の家から導き出された。 + そのときパロが、かたくなで、われわれを去らせなかったため、主はエジプトの国のういごを、人のういごも家畜のういごも、ことごとく殺された。それゆえ、初めて胎を開く男性のものはみな、主に犠牲としてささげるが、わたしの子供のうちのういごは、すべてあがなうのである』。 + そして、これを手につけて、しるしとし、目の間に置いて覚えとしなければならない。主が強い手をもって、われわれをエジプトから導き出されたからである」。 + さて、パロが民を去らせた時、ペリシテびとの国の道は近かったが、神は彼らをそれに導かれなかった。民が戦いを見れば悔いてエジプトに帰るであろうと、神は思われたからである。 + 神は紅海に沿う荒野の道に、民を回らされた。イスラエルの人々は武装してエジプトの国を出て、上った。 + そのときモーセはヨセフの遺骸を携えていた。ヨセフが、「神は必ずあなたがたを顧みられるであろう。そのとき、あなたがたは、わたしの遺骸を携えて、ここから上って行かなければならない」と言って、イスラエルの人々に固く誓わせたからである。 + こうして彼らは更にスコテから進んで、荒野の端にあるエタムに宿営した。 + 主は彼らの前に行かれ、昼は雲の柱をもって彼らを導き、夜は火の柱をもって彼らを照し、昼も夜も彼らを進み行かせられた。 + 昼は雲の柱、夜は火の柱が、民の前から離れなかった。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げ、引き返して、ミグドルと海との間にあるピハヒロテの前、バアルゼポンの前に宿営させなさい。あなたがたはそれにむかって、海のかたわらに宿営しなければならない。 + パロはイスラエルの人々について、『彼らはその地で迷っている。荒野は彼らを閉じ込めてしまった』と言うであろう。 + わたしがパロの心をかたくなにするから、パロは彼らのあとを追うであろう。わたしはパロとそのすべての軍勢を破って誉を得、エジプトびとにわたしが主であることを知らせるであろう」。彼らはそのようにした。 + 民の逃げ去ったことが、エジプトの王に伝えられたので、パロとその家来たちとは、民に対する考えを変えて言った、「われわれはなぜこのようにイスラエルを去らせて、われわれに仕えさせないようにしたのであろう」。 + それでパロは戦車を整え、みずからその民を率い、 + また、えり抜きの戦車六百と、エジプトのすべての戦車およびすべての指揮者たちを率いた。 + 主がエジプトの王パロの心をかたくなにされたので、彼はイスラエルの人々のあとを追った。イスラエルの人々は意気揚々と出たのである。 + エジプトびとは彼らのあとを追い、パロのすべての馬と戦車およびその騎兵と軍勢とは、バアルゼポンの前にあるピハヒロテのあたりで、海のかたわらに宿営している彼らに追いついた。 + パロが近寄った時、イスラエルの人々は目を上げてエジプトびとが彼らのあとに進んできているのを見て、非常に恐れた。そしてイスラエルの人々は主にむかって叫び、 + かつモーセに言った、「エジプトに墓がないので、荒野で死なせるために、わたしたちを携え出したのですか。なぜわたしたちをエジプトから導き出して、こんなにするのですか。 + わたしたちがエジプトであなたに告げて、『わたしたちを捨てておいて、エジプトびとに仕えさせてください』と言ったのは、このことではありませんか。荒野で死ぬよりもエジプトびとに仕える方が、わたしたちにはよかったのです」。 + モーセは民に言った、「あなたがたは恐れてはならない。かたく立って、主がきょう、あなたがたのためになされる救を見なさい。きょう、あなたがたはエジプトびとを見るが、もはや永久に、二度と彼らを見ないであろう。 + 主があなたがたのために戦われるから、あなたがたは黙していなさい」。 + 主はモーセに言われた、「あなたは、なぜわたしにむかって叫ぶのか。イスラエルの人々に語って彼らを進み行かせなさい。 + あなたはつえを上げ、手を海の上にさし伸べてそれを分け、イスラエルの人々に海の中のかわいた地を行かせなさい。 + わたしがエジプトびとの心をかたくなにするから、彼らはそのあとを追ってはいるであろう。こうしてわたしはパロとそのすべての軍勢および戦車と騎兵とを打ち破って誉を得よう。 + わたしがパロとその戦車とその騎兵とを打ち破って誉を得るとき、エジプトびとはわたしが主であることを知るであろう」。 + このとき、イスラエルの部隊の前に行く神の使は移って彼らのうしろに行った。雲の柱も彼らの前から移って彼らのうしろに立ち、 + エジプトびとの部隊とイスラエルびとの部隊との間にきたので、そこに雲とやみがあり夜もすがら、かれとこれと近づくことなく、夜がすぎた。 + モーセが手を海の上にさし伸べたので、主は夜もすがら強い東風をもって海を退かせ、海を陸地とされ、水は分かれた。 + イスラエルの人々は海の中のかわいた地を行ったが、水は彼らの右と左に、かきとなった。 + エジプトびとは追ってきて、パロのすべての馬と戦車と騎兵とは、彼らのあとについて海の中にはいった。 + 暁の更に、主は火と雲の柱のうちからエジプトびとの軍勢を見おろして、エジプトびとの軍勢を乱し、 + その戦車の輪をきしらせて、進むのに重くされたので、エジプトびとは言った、「われわれはイスラエルを離れて逃げよう。主が彼らのためにエジプトびとと戦う」。 + そのとき主はモーセに言われた、「あなたの手を海の上にさし伸べて、水をエジプトびとと、その戦車と騎兵との上に流れ返らせなさい」。 + モーセが手を海の上にさし伸べると、夜明けになって海はいつもの流れに返り、エジプトびとはこれにむかって逃げたが、主はエジプトびとを海の中に投げ込まれた。 + 水は流れ返り、イスラエルのあとを追って海にはいった戦車と騎兵およびパロのすべての軍勢をおおい、ひとりも残らなかった。 + しかし、イスラエルの人々は海の中のかわいた地を行ったが、水は彼らの右と左に、かきとなった。 + このように、主はこの日イスラエルをエジプトびとの手から救われた。イスラエルはエジプトびとが海べに死んでいるのを見た。 + イスラエルはまた、主がエジプトびとに行われた大いなるみわざを見た。それで民は主を恐れ、主とそのしもべモーセとを信じた。 + + + そこでモーセとイスラエルの人々は、この歌を主にむかって歌った。彼らは歌って言った、「主にむかってわたしは歌おう、彼は輝かしくも勝ちを得られた、彼は馬と乗り手を海に投げ込まれた。 + 主はわたしの力また歌、わたしの救となられた、彼こそわたしの神、わたしは彼をたたえる、彼はわたしの父の神、わたしは彼をあがめる。 + 主はいくさびと、その名は主。 + 彼はパロの戦車とその軍勢とを海に投げ込まれた、そのすぐれた指揮者たちは紅海に沈んだ。 + 大水は彼らをおおい、彼らは石のように淵に下った。 + 主よ、あなたの右の手は力をもって栄光にかがやく、主よ、あなたの右の手は敵を打ち砕く。 + あなたは大いなる威光をもって、あなたに立ちむかう者を打ち破られた。あなたが怒りを発せられると、彼らは、わらのように焼きつくされた。 + あなたの鼻の息によって水は積みかさなり、流れは堤となって立ち、大水は海のもなかに凝り固まった。 + 敵は言った、『わたしは追い行き、追い着いて、分捕物を分かち取ろう、わたしの欲望を彼らによって満たそう、つるぎを抜こう、わたしの手は彼らを滅ぼそう』。 + あなたが息を吹かれると、海は彼らをおおい、彼らは鉛のように、大水の中に沈んだ。 + 主よ、神々のうち、だれがあなたに比べられようか、だれがあなたのように、聖にして栄えあるもの、ほむべくして恐るべきもの、くすしきわざを行うものであろうか。 + あなたが右の手を伸べられると、地は彼らをのんだ。 + あなたは、あがなわれた民を恵みをもって導き、み力をもって、あなたの聖なるすまいに伴われた。 + もろもろの民は聞いて震え、ペリシテの住民は苦しみに襲われた。 + エドムの族長らは、おどろき、モアブの首長らは、わななき、カナンの住民は、みな溶け去った。 + 恐れと、おののきとは彼らに臨み、み腕の大いなるゆえに、彼らは石のように黙した、主よ、あなたの民の通りすぎるまで、あなたが買いとられた民の通りすぎるまで。 + あなたは彼らを導いて、あなたの嗣業の山に植えられる。主よ、これこそあなたのすまいとして、みずから造られた所、主よ、み手によって建てられた聖所。 + 主は永遠に統べ治められる」。 + パロの馬が、その戦車および騎兵と共に海にはいると、主は海の水を彼らの上に流れ返らされたが、イスラエルの人々は海の中のかわいた地を行った。 + そのとき、アロンの姉、女預言者ミリアムはタンバリンを手に取り、女たちも皆タンバリンを取って、踊りながら、そのあとに従って出てきた。 + そこでミリアムは彼らに和して歌った、「主にむかって歌え、彼は輝かしくも勝ちを得られた、彼は馬と乗り手を海に投げ込まれた」。 + さて、モーセはイスラエルを紅海から旅立たせた。彼らはシュルの荒野に入り、三日のあいだ荒野を歩いたが、水を得なかった。 + 彼らはメラに着いたが、メラの水は苦くて飲むことができなかった。それで、その所の名はメラと呼ばれた。 + ときに、民はモーセにつぶやいて言った、「わたしたちは何を飲むのですか」。 + モーセは主に叫んだ。主は彼に一本の木を示されたので、それを水に投げ入れると、水は甘くなった。その所で主は民のために定めと、おきてを立てられ、彼らを試みて、 + 言われた、「あなたが、もしあなたの神、主の声に良く聞き従い、その目に正しいと見られることを行い、その戒めに耳を傾け、すべての定めを守るならば、わたしは、かつてエジプトびとに下した病を一つもあなたに下さないであろう。わたしは主であって、あなたをいやすものである」。 + こうして彼らはエリムに着いた。そこには水の泉十二と、なつめやしの木七十本があった。その所で彼らは水のほとりに宿営した。 + + + イスラエルの人々の全会衆はエリムを出発し、エジプトの地を出て二か月目の十五日に、エリムとシナイとの間にあるシンの荒野にきたが、 + その荒野でイスラエルの人々の全会衆は、モーセとアロンにつぶやいた。 + イスラエルの人々は彼らに言った、「われわれはエジプトの地で、肉のなべのかたわらに座し、飽きるほどパンを食べていた時に、主の手にかかって死んでいたら良かった。あなたがたは、われわれをこの荒野に導き出して、全会衆を餓死させようとしている」。 + そのとき主はモーセに言われた、「見よ、わたしはあなたがたのために、天からパンを降らせよう。民は出て日々の分を日ごとに集めなければならない。こうして彼らがわたしの律法に従うかどうかを試みよう。 + 六日目には、彼らが取り入れたものを調理すると、それは日ごとに集めるものの二倍あるであろう」。 + モーセとアロンは、イスラエルのすべての人々に言った、「夕暮には、あなたがたは、エジプトの地からあなたがたを導き出されたのが、主であることを知るであろう。 + また、朝には、あなたがたは主の栄光を見るであろう。主はあなたがたが主にむかってつぶやくのを聞かれたからである。あなたがたは、いったいわれわれを何者として、われわれにむかってつぶやくのか」。 + モーセはまた言った、「主は夕暮にはあなたがたに肉を与えて食べさせ、朝にはパンを与えて飽き足らせられるであろう。主はあなたがたが、主にむかってつぶやくつぶやきを聞かれたからである。いったいわれわれは何者なのか。あなたがたのつぶやくのは、われわれにむかってでなく、主にむかってである」。 + モーセはアロンに言った、「イスラエルの人々の全会衆に言いなさい、『あなたがたは主の前に近づきなさい。主があなたがたのつぶやきを聞かれたからである』と」。 + それでアロンがイスラエルの人々の全会衆に語ったとき、彼らが荒野の方を望むと、見よ、主の栄光が雲のうちに現れていた。 + 主はモーセに言われた、 + 「わたしはイスラエルの人々のつぶやきを聞いた。彼らに言いなさい、『あなたがたは夕には肉を食べ、朝にはパンに飽き足りるであろう。そうしてわたしがあなたがたの神、主であることを知るであろう』と」。 + 夕べになると、うずらが飛んできて宿営をおおった。また、朝になると、宿営の周囲に露が降りた。 + その降りた露がかわくと、荒野の面には、薄いうろこのようなものがあり、ちょうど地に結ぶ薄い霜のようであった。 + イスラエルの人々はそれを見て互に言った、「これはなんであろう」。彼らはそれがなんであるのか知らなかったからである。モーセは彼らに言った、「これは主があなたがたの食物として賜わるパンである。 + 主が命じられるのはこうである、『あなたがたは、おのおのその食べるところに従ってそれを集め、あなたがたの人数に従って、ひとり一オメルずつ、おのおのその天幕におるもののためにそれを取りなさい』と」。 + イスラエルの人々はそのようにして、ある者は多く、ある者は少なく集めた。 + しかし、オメルでそれを計ってみると、多く集めた者にも余らず、少なく集めた者にも不足しなかった。おのおのその食べるところに従って集めていた。 + モーセは彼らに言った、「だれも朝までそれを残しておいてはならない」。 + しかし彼らはモーセに聞き従わないで、ある者は朝までそれを残しておいたが、虫がついて臭くなった。モーセは彼らにむかって怒った。 + 彼らは、おのおのその食べるところに従って、朝ごとにそれを集めたが、日が熱くなるとそれは溶けた。 + 六日目には、彼らは二倍のパン、すなわちひとりに二オメルを集めた。そこで、会衆の長たちは皆きて、モーセに告げたが、 + モーセは彼らに言った、「主の語られたのはこうである、『あすは主の聖安息日で休みである。きょう、焼こうとするものを焼き、煮ようとするものを煮なさい。残ったものはみな朝までたくわえて保存しなさい』と」。 + 彼らはモーセの命じたように、それを朝まで保存したが、臭くならず、また虫もつかなかった。 + モーセは言った、「きょう、それを食べなさい。きょうは主の安息日であるから、きょうは野でそれを獲られないであろう。 + 六日の間はそれを集めなければならない。七日目は安息日であるから、その日には無いであろう」。 + ところが民のうちには、七日目に出て集めようとした者があったが、獲られなかった。 + そこで主はモーセに言われた、「あなたがたは、いつまでわたしの戒めと、律法とを守ることを拒むのか。 + 見よ、主はあなたがたに安息日を与えられた。ゆえに六日目には、ふつか分のパンをあなたがたに賜わるのである。おのおのその所にとどまり、七日目にはその所から出てはならない」。 + こうして民は七日目に休んだ。 + イスラエルの家はその物の名をマナと呼んだ。それはコエンドロの実のようで白く、その味は蜜を入れたせんべいのようであった。 + モーセは言った、「主の命じられることはこうである、『それを一オメルあなたがたの子孫のためにたくわえておきなさい。それはわたしが、あなたがたをエジプトの地から導き出した時、荒野であなたがたに食べさせたパンを彼らに見させるためである』と」。 + そしてモーセはアロンに言った「一つのつぼを取り、マナ一オメルをその中に入れ、それを主の前に置いて、子孫のためにたくわえなさい」。 + そこで主がモーセに命じられたように、アロンはそれをあかしの箱の前に置いてたくわえた。 + イスラエルの人々は人の住む地に着くまで四十年の間マナを食べた。すなわち、彼らはカナンの地の境に至るまでマナを食べた。 + 一オメルは一エパの十分の一である。 + + + イスラエルの人々の全会衆は、主の命に従って、シンの荒野を出発し、旅路を重ねて、レピデムに宿営したが、そこには民の飲む水がなかった。 + それで、民はモーセと争って言った、「わたしたちに飲む水をください」。モーセは彼らに言った、「あなたがたはなぜわたしと争うのか、なぜ主を試みるのか」。 + 民はその所で水にかわき、モーセにつぶやいて言った、「あなたはなぜわたしたちをエジプトから導き出して、わたしたちを、子供や家畜と一緒に、かわきによって死なせようとするのですか」。 + このときモーセは主に叫んで言った、「わたしはこの民をどうすればよいのでしょう。彼らは、今にも、わたしを石で打ち殺そうとしています」。 + 主はモーセに言われた、「あなたは民の前に進み行き、イスラエルの長老たちを伴い、あなたがナイル川を打った、つえを手に取って行きなさい。 + 見よ、わたしはホレブの岩の上であなたの前に立つであろう。あなたは岩を打ちなさい。水がそれから出て、民はそれを飲むことができる」。モーセはイスラエルの長老たちの目の前で、そのように行った。 + そして彼はその所の名をマッサ、またメリバと呼んだ。これはイスラエルの人々が争ったゆえ、また彼らが「主はわたしたちのうちにおられるかどうか」と言って主を試みたからである。 + ときにアマレクがきて、イスラエルとレピデムで戦った。 + モーセはヨシュアに言った、「われわれのために人を選び、出てアマレクと戦いなさい。わたしはあす神のつえを手に取って、丘の頂に立つであろう」。 + ヨシュアはモーセが彼に言ったようにし、アマレクと戦った。モーセとアロンおよびホルは丘の頂に登った。 + モーセが手を上げているとイスラエルは勝ち、手を下げるとアマレクが勝った。 + しかしモーセの手が重くなったので、アロンとホルが石を取って、モーセの足もとに置くと、彼はその上に座した。そしてひとりはこちらに、ひとりはあちらにいて、モーセの手をささえたので、彼の手は日没までさがらなかった。 + ヨシュアは、つるぎにかけてアマレクとその民を打ち敗った。 + 主はモーセに言われた、「これを書物にしるして記念とし、それをヨシュアの耳に入れなさい。わたしは天が下からアマレクの記憶を完全に消し去るであろう」。 + モーセは一つの祭壇を築いてその名を「主はわが旗」と呼んだ。 + そしてモーセは言った、「主の旗にむかって手を上げる、主は世々アマレクと戦われる」。 + + + さて、モーセのしゅうと、ミデアンの祭司エテロは、神がモーセと、み民イスラエルとにされたすべての事、主がイスラエルをエジプトから導き出されたことを聞いた。 + それでモーセのしゅうと、エテロは、さきに送り返されていたモーセの妻チッポラと、 + そのふたりの子とを連れてきた。そのひとりの名はゲルショムといった。モーセが、「わたしは外国で寄留者となっている」と言ったからである。 + ほかのひとりの名はエリエゼルといった。「わたしの父の神はわたしの助けであって、パロのつるぎからわたしを救われた」と言ったからである。 + こうしてモーセのしゅうと、エテロは、モーセの妻子を伴って、荒野に行き、神の山に宿営しているモーセの所にきた。 + その時、ある人がモーセに言った、「ごらんなさい。あなたのしゅうと、エテロは、あなたの妻とそのふたりの子を連れて、あなたの所にこられます」。 + そこでモーセはしゅうとを出迎えて、身をかがめ、彼に口づけして、互に安否を問い、共に天幕にはいった。 + そしてモーセは、主がイスラエルのために、パロとエジプトびととにされたすべての事、道で出会ったすべての苦しみ、また主が彼らを救われたことを、しゅうとに物語ったので、 + エテロは主がイスラエルをエジプトびとの手から救い出して、もろもろの恵みを賜わったことを喜んだ。 + そしてエテロは言った、「主はほむべきかな。主はあなたがたをエジプトびとの手と、パロの手から救い出し、民をエジプトびとの手の下から救い出された。 + 今こそわたしは知った。実に彼らはイスラエルびとにむかって高慢にふるまったが、主はあらゆる神々にまさって大いにいますことを」。 + そしてモーセのしゅうとエテロは燔祭と犠牲を神に供え、アロンとイスラエルの長老たちもみなきて、モーセのしゅうとと共に神の前で食事をした。 + あくる日モーセは座して民をさばいたが、民は朝から晩まで、モーセのまわりに立っていた。 + モーセのしゅうとは、彼がすべて民にしていることを見て、言った、「あなたが民にしているこのことはなんですか。あなたひとりが座し、民はみな朝から晩まで、あなたのまわりに立っているのはなぜですか」。 + モーセはしゅうとに言った、「民が神に伺おうとして、わたしの所に来るからです。 + 彼らは事があれば、わたしの所にきます。わたしは相互の間をさばいて、神の定めと判決を知らせるのです」。 + モーセのしゅうとは彼に言った、「あなたのしていることは良くない。 + あなたも、あなたと一緒にいるこの民も、必ず疲れ果てるであろう。このことはあなたに重過ぎるから、ひとりですることができない。 + 今わたしの言うことを聞きなさい。わたしはあなたに助言する。どうか神があなたと共にいますように。あなたは民のために神の前にいて、事件を神に述べなさい。 + あなたは彼らに定めと判決を教え、彼らの歩むべき道と、なすべき事を彼らに知らせなさい。 + また、すべての民のうちから、有能な人で、神を恐れ、誠実で不義の利を憎む人を選び、それを民の上に立てて、千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長としなさい。 + 平素は彼らに民をさばかせ、大事件はすべてあなたの所に持ってこさせ、小事件はすべて彼らにさばかせなさい。こうしてあなたを身軽にし、あなたと共に彼らに、荷を負わせなさい。 + あなたが、もしこの事を行い、神もまたあなたに命じられるならば、あなたは耐えることができ、この民もまた、みな安んじてその所に帰ることができよう」。 + モーセはしゅうとの言葉に従い、すべて言われたようにした。 + すなわち、モーセはすべてのイスラエルのうちから有能な人を選んで、民の上に長として立て、千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長とした。 + 平素は彼らが民をさばき、むずかしい事件はモーセに持ってきたが、小さい事件はすべて彼らみずからさばいた。 + こうしてモーセはしゅうとを送り返したので、その国に帰って行った。 + + + イスラエルの人々は、エジプトの地を出て後三月目のその日に、シナイの荒野にはいった。 + すなわち彼らはレピデムを出立してシナイの荒野に入り、荒野に宿営した。イスラエルはその所で山の前に宿営した。 + さて、モーセが神のもとに登ると、主は山から彼を呼んで言われた、「このように、ヤコブの家に言い、イスラエルの人々に告げなさい、 + 『あなたがたは、わたしがエジプトびとにした事と、あなたがたを鷲の翼に載せてわたしの所にこさせたことを見た。 + それで、もしあなたがたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るならば、あなたがたはすべての民にまさって、わたしの宝となるであろう。全地はわたしの所有だからである。 + あなたがたはわたしに対して祭司の国となり、また聖なる民となるであろう』。これがあなたのイスラエルの人々に語るべき言葉である」。 + それでモーセは行って民の長老たちを呼び、主が命じられたこれらの言葉を、すべてその前に述べたので、 + 民はみな共に答えて言った、「われわれは主が言われたことを、みな行います」。モーセは民の言葉を主に告げた。 + 主はモーセに言われた、「見よ、わたしは濃い雲のうちにあって、あなたに臨むであろう。それはわたしがあなたと語るのを民に聞かせて、彼らに長くあなたを信じさせるためである」。モーセは民の言葉を主に告げた。 + 主はモーセに言われた、「あなたは民のところに行って、きょうとあす、彼らをきよめ、彼らにその衣服を洗わせ、 + 三日目までに備えさせなさい。三日目に主が、すべての民の目の前で、シナイ山に下るからである。 + あなたは民のために、周囲に境を設けて言いなさい、『あなたがたは注意して、山に上らず、また、その境界に触れないようにしなさい。山に触れる者は必ず殺されるであろう。 + 手をそれに触れてはならない。触れる者は必ず石で打ち殺されるか、射殺されるであろう。獣でも人でも生きることはできない』。ラッパが長く響いた時、彼らは山に登ることができる」と。 + そこでモーセは山から民のところに下り、民をきよめた。彼らはその衣服を洗った。 + モーセは民に言った、「三日目までに備えをしなさい。女に近づいてはならない」。 + 三日目の朝となって、かみなりと、いなずまと厚い雲とが、山の上にあり、ラッパの音が、はなはだ高く響いたので、宿営におる民はみな震えた。 + モーセが民を神に会わせるために、宿営から導き出したので、彼らは山のふもとに立った。 + シナイ山は全山煙った。主が火のなかにあって、その上に下られたからである。その煙は、かまどの煙のように立ち上り、全山はげしく震えた。 + ラッパの音が、いよいよ高くなったとき、モーセは語り、神は、かみなりをもって、彼に答えられた。 + 主はシナイ山の頂に下られた。そして主がモーセを山の頂に召されたので、モーセは登った。 + 主はモーセに言われた、「下って行って民を戒めなさい。民が押し破って、主のところにきて、見ようとし、多くのものが死ぬことのないようにするためである。 + 主に近づく祭司たちにもまた、その身をきよめさせなさい。主が彼らを打つことのないようにするためである」。 + モーセは主に言った、「民はシナイ山に登ることはできないでしょう。あなたがわたしたちを戒めて『山のまわりに境を設け、それをきよめよ』と言われたからです」。 + 主は彼に言われた、「行け、下れ。そしてあなたはアロンと共に登ってきなさい。ただし、祭司たちと民とが、押し破って主のところに登ることのないようにしなさい。主が彼らを打つことのないようにするためである」。 + モーセは民の所に下って行って彼らに告げた。 + + + 神はこのすべての言葉を語って言われた。 + 「わたしはあなたの神、主であって、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である。 + あなたはわたしのほかに、なにものをも神としてはならない。 + あなたは自分のために、刻んだ像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水のなかにあるものの、どんな形をも造ってはならない。 + それにひれ伏してはならない。それに仕えてはならない。あなたの神、主であるわたしは、ねたむ神であるから、わたしを憎むものは、父の罪を子に報いて、三四代に及ぼし、 + わたしを愛し、わたしの戒めを守るものには、恵みを施して、千代に至るであろう。 + あなたは、あなたの神、主の名を、みだりに唱えてはならない。主は、み名をみだりに唱えるものを、罰しないでは置かないであろう。 + 安息日を覚えて、これを聖とせよ。 + 六日のあいだ働いてあなたのすべてのわざをせよ。 + 七日目はあなたの神、主の安息であるから、なんのわざをもしてはならない。あなたもあなたのむすこ、娘、しもべ、はしため、家畜、またあなたの門のうちにいる他国の人もそうである。 + 主は六日のうちに、天と地と海と、その中のすべてのものを造って、七日目に休まれたからである。それで主は安息日を祝福して聖とされた。 + あなたの父と母を敬え。これは、あなたの神、主が賜わる地で、あなたが長く生きるためである。 + あなたは殺してはならない。 + あなたは姦淫してはならない。 + あなたは盗んではならない。 + あなたは隣人について、偽証してはならない。 + あなたは隣人の家をむさぼってはならない。隣人の妻、しもべ、はしため、牛、ろば、またすべて隣人のものをむさぼってはならない」。 + 民は皆、かみなりと、いなずまと、ラッパの音と、山の煙っているのとを見た。民は恐れおののき、遠く離れて立った。 + 彼らはモーセに言った、「あなたがわたしたちに語ってください。わたしたちは聞き従います。神がわたしたちに語られぬようにしてください。それでなければ、わたしたちは死ぬでしょう」。 + モーセは民に言った、「恐れてはならない。神はあなたがたを試みるため、またその恐れをあなたがたの目の前において、あなたがたが罪を犯さないようにするために臨まれたのである」。 + そこで、民は遠く離れて立ったが、モーセは神のおられる濃い雲に近づいて行った。 + 主はモーセに言われた、「あなたはイスラエルの人々にこう言いなさい、『あなたがたは、わたしが天からあなたがたと語るのを見た。 + あなたがたはわたしと並べて、何をも造ってはならない。銀の神々も、金の神々も、あなたがたのために、造ってはならない。 + あなたはわたしのために土の祭壇を築き、その上にあなたの燔祭、酬恩祭、羊、牛をささげなければならない。わたしの名を覚えさせるすべての所で、わたしはあなたに臨んで、あなたを祝福するであろう。 + あなたがもしわたしに石の祭壇を造るならば、切り石で築いてはならない。あなたがもし、のみをそれに当てるならば、それをけがすからである。 + あなたは階段によって、わたしの祭壇に登ってはならない。あなたの隠し所が、その上にあらわれることのないようにするためである』。 + + + これはあなたが彼らの前に示すべきおきてである。 + あなたがヘブルびとである奴隷を買う時は、六年のあいだ仕えさせ、七年目には無償で自由の身として去らせなければならない。 + 彼がもし独身できたならば、独身で去らなければならない。もし妻を持っていたならば、その妻は彼と共に去らなければならない。 + もしその主人が彼に妻を与えて、彼に男の子また女の子を産んだならば、妻とその子供は主人のものとなり、彼は独身で去らなければならない。 + 奴隷がもし『わたしは、わたしの主人と、わたしの妻と子供を愛します。わたしは自由の身となって去ることを好みません』と明言するならば、 + その主人は彼を神のもとに連れて行き、戸あるいは柱のところに連れて行って、主人は、きりで彼の耳を刺し通さなければならない。そうすれば彼はいつまでもこれに仕えるであろう。 + もし人がその娘を女奴隷として売るならば、その娘は男奴隷が去るように去ってはならない。 + 彼女がもし彼女を自分のものと定めた主人の気にいらない時は、その主人は彼女が、あがなわれることを、これに許さなければならない。彼はこれを欺いたのであるから、これを他国の民に売る権利はない。 + 彼がもし彼女を自分の子のものと定めるならば、これを娘のように扱わなければならない。 + 彼が、たとい、ほかに女をめとることがあっても、前の女に食物と衣服を与えることと、その夫婦の道とを絶えさせてはならない。 + 彼がもしこの三つを行わないならば、彼女は金を償わずに去ることができる。 + 人を撃って死なせた者は、必ず殺されなければならない。 + しかし、人がたくむことをしないのに、神が彼の手に人をわたされることのある時は、わたしはあなたのために一つの所を定めよう。彼はその所へのがれることができる。 + しかし人がもし、ことさらにその隣人を欺いて殺す時は、その者をわたしの祭壇からでも、捕えて行って殺さなければならない。 + 自分の父または母を撃つ者は、必ず殺されなければならない。 + 人をかどわかした者は、これを売っていても、なお彼の手にあっても、必ず殺されなければならない。 + 自分の父または母をのろう者は、必ず殺されなければならない。 + 人が互に争い、そのひとりが石または、こぶしで相手を撃った時、これが死なないで床につき、 + 再び起きあがって、つえにすがり、外を歩くようになるならば、これを撃った者は、ゆるされるであろう。ただその仕事を休んだ損失を償い、かつこれにじゅうぶん治療させなければならない。 + もし人がつえをもって、自分の男奴隷または女奴隷を撃ち、その手の下に死ぬならば、必ず罰せられなければならない。 + しかし、彼がもし一日か、ふつか生き延びるならば、その人は罰せられない。奴隷は彼の財産だからである。 + もし人が互に争って、身ごもった女を撃ち、これに流産させるならば、ほかの害がなくとも、彼は必ずその女の夫の求める罰金を課せられ、裁判人の定めるとおりに支払わなければならない。 + しかし、ほかの害がある時は、命には命、 + 目には目、歯には歯、手には手、足には足、 + 焼き傷には焼き傷、傷には傷、打ち傷には打ち傷をもって償わなければならない。 + もし人が自分の男奴隷の片目、または女奴隷の片目を撃ち、これをつぶすならば、その目のためにこれを自由の身として去らせなければならない。 + また、もしその男奴隷の一本の歯、またはその女奴隷の一本の歯を撃ち落すならば、その歯のためにこれを自由の身として去らせなければならない。 + もし牛が男または女を突いて殺すならば、その牛は必ず石で撃ち殺されなければならない。その肉は食べてはならない。しかし、その牛の持ち主は罪がない。 + 牛がもし以前から突く癖があって、その持ち主が注意されても、これを守りおかなかったために、男または女を殺したならば、その牛は石で撃ち殺され、その持ち主もまた殺されなければならない。 + 彼がもし、あがないの金を課せられたならば、すべて課せられたほどのものを、命の償いに支払わなければならない。 + 男の子を突いても、女の子を突いても、この定めに従って処置されなければならない。 + 牛がもし男奴隷または女奴隷を突くならば、その主人に銀三十シケルを支払わなければならない。またその牛は石で撃ち殺されなければならない。 + もし人が穴をあけたままに置き、あるいは穴を掘ってこれにおおいをしないために、牛または、ろばがこれに落ち込むことがあれば、 + 穴の持ち主はこれを償い、金をその持ち主に支払わなければならない。しかし、その死んだ獣は彼のものとなるであろう。 + ある人の牛が、もし他人の牛を突いて殺すならば、彼らはその生きている牛を売って、その価を分け、またその死んだものをも分けなければならない。 + あるいはその牛が以前から突く癖のあることが知られているのに、その持ち主がこれを守りおかなかったならば、その人は必ずその牛のために牛をもって償わなければならない。しかし、その死んだ獣は彼のものとなるであろう。 + + + もし人が牛または羊を盗んで、これを殺し、あるいはこれを売るならば、彼は一頭の牛のために五頭の牛をもって、一頭の羊のために四頭の羊をもって償わなければならない。 + もし盗びとが穴をあけてはいるのを見て、これを撃って殺したときは、その人には血を流した罪はない。 + 彼は必ず償わなければならない。もし彼に何もない時は、彼はその盗んだ物のために身を売られるであろう。 しかし日がのぼって後ならば、その人に血を流した罪がある。 + もしその盗んだ物がなお生きて、彼の手もとにあれば、それは牛、ろば、羊のいずれにせよ、これを二倍にして償わなければならない。 + もし人が畑またはぶどう畑のものを食わせ、その家畜を放って他人の畑のものを食わせた時は、自分の畑の最も良い物と、ぶどう畑の最も良い物をもって、これを償わなければならない。 + もし火が出て、いばらに移り、積みあげた麦束、または立穂、または畑を焼いたならば、その火を燃やした者は、必ずこれを償わなければならない。 + もし人が金銭または物品の保管を隣人に託し、それが隣人の家から盗まれた時、その盗びとが見つけられたならば、これを二倍にして償わせなければならない。 + もし盗びとが見つけられなければ、家の主人を神の前に連れてきて、彼が隣人の持ち物に手をかけたかどうかを、確かめなければならない。 + 牛であれ、ろばであれ、羊であれ、衣服であれ、あるいはどんな失った物であれ、それについて言い争いが起り『これがそれです』と言う者があれば、その双方の言い分を、神の前に持ち出さなければならない。そして神が有罪と定められる者は、それを二倍にしてその相手に償わなければならない。 + もし人が、ろば、または牛、または羊、またはどんな家畜でも、それを隣人に預けて、それが死ぬか、傷つくか、あるいは奪い去られても、それを見た者がなければ、 + 双方の間に、隣人の持ち物に手をかけなかったという誓いが、主の前になされなければならない。そうすれば、持ち主はこれを受け入れ、隣人は償うに及ばない。 + けれども、それがまさしく自分の所から盗まれた時は、その持ち主に償わなければならない。 + もしそれが裂き殺された時は、それを証拠として持って来るならば、その裂き殺されたものは償うに及ばない。 + もし人が隣人から家畜を借りて、それが傷つき、または死ぬ場合、その持ち主がそれと共にいない時は、必ずこれを償わなければならない。 + もしその持ち主がそれと共におれば、それを償うに及ばない。もしそれが賃借りしたものならば、その借賃をそれに当てなければならない。 + もし人がまだ婚約しない処女を誘って、これと寝たならば、彼は必ずこれに花嫁料を払って、妻としなければならない。 + もしその父がこれをその人に与えることをかたく拒むならば、彼は処女の花嫁料に当るほどの金を払わなければならない。 + 魔法使の女は、これを生かしておいてはならない。 + すべて獣を犯す者は、必ず殺されなければならない。 + 主のほか、他の神々に犠牲をささげる者は、断ち滅ぼされなければならない。 + あなたは寄留の他国人を苦しめてはならない。また、これをしえたげてはならない。あなたがたも、かつてエジプトの国で、寄留の他国人であったからである。 + あなたがたはすべて寡婦、または孤児を悩ましてはならない。 + もしあなたが彼らを悩まして、彼らがわたしにむかって叫ぶならば、わたしは必ずその叫びを聞くであろう。 + そしてわたしの怒りは燃えたち、つるぎをもってあなたがたを殺すであろう。あなたがたの妻は寡婦となり、あなたがたの子供たちは孤児となるであろう。 + あなたが、共におるわたしの民の貧しい者に金を貸す時は、これに対して金貸しのようになってはならない。これから利子を取ってはならない。 + もし隣人の上着を質に取るならば、日の入るまでにそれを返さなければならない。 + これは彼の身をおおう、ただ一つの物、彼の膚のための着物だからである。彼は何を着て寝ることができよう。彼がわたしにむかって叫ぶならば、わたしはこれに聞くであろう。わたしはあわれみ深いからである。 + あなたは神をののしってはならない。また民の司をのろってはならない。 + あなたの豊かな穀物と、あふれる酒とをささげるに、ためらってはならない。あなたのういごを、わたしにささげなければならない。 + あなたはまた、あなたの牛と羊をも同様にしなければならない。七日の間その母と共に置いて、八日目にそれをわたしに、ささげなければならない。 + あなたがたは、わたしに対して聖なる民とならなければならない。あなたがたは、野で裂き殺されたものの肉を食べてはならない。それは犬に投げ与えなければならない。 + + + あなたは偽りのうわさを言いふらしてはならない。あなたは悪人と手を携えて、悪意のある証人になってはならない。 + あなたは多数に従って悪をおこなってはならない。あなたは訴訟において、多数に従って片寄り、正義を曲げるような証言をしてはならない。 + また貧しい人をその訴訟において、曲げてかばってはならない。 + もし、あなたが敵の牛または、ろばの迷っているのに会う時は、必ずこれを彼の所に連れて行って、帰さなければならない。 + もしあなたを憎む者のろばが、その荷物の下に倒れ伏しているのを見る時は、これを見捨てて置かないように気をつけ、必ずその人に手を貸して、これを起さなければならない。 + あなたは貧しい者の訴訟において、裁判を曲げてはならない。 + あなたは偽り事に遠ざからなければならない。あなたは罪のない者と正しい者とを殺してはならない。わたしは悪人を義とすることはないからである。 + あなたは賄賂を取ってはならない。賄賂は人の目をくらまし、正しい者の事件をも曲げさせるからである。 + あなたは寄留の他国人をしえたげてはならない。あなたがたはエジプトの国で寄留の他国人であったので、寄留の他国人の心を知っているからである。 + あなたは六年のあいだ、地に種をまき、その産物を取り入れることができる。 + しかし、七年目には、これを休ませて、耕さずに置かなければならない。そうすれば、あなたの民の貧しい者がこれを食べ、その残りは野の獣が食べることができる。あなたのぶどう畑も、オリブ畑も同様にしなければならない。 + あなたは六日のあいだ、仕事をし、七日目には休まなければならない。これはあなたの牛および、ろばが休みを得、またあなたのはしための子および寄留の他国人を休ませるためである。 + わたしが、あなたがたに言ったすべての事に心を留めなさい。他の神々の名を唱えてはならない。また、これをあなたのくちびるから聞えさせてはならない。 + あなたは年に三度、わたしのために祭を行わなければならない。 + あなたは種入れぬパンの祭を守らなければならない。わたしが、あなたに命じたように、アビブの月の定めの時に七日のあいだ、種入れぬパンを食べなければならない。それはその月にあなたがエジプトから出たからである。だれも、むなし手でわたしの前に出てはならない。 + また、あなたが畑にまいて獲た物の勤労の初穂をささげる刈入れの祭と、あなたの勤労の実を畑から取り入れる年の終りに、取入れの祭を行わなければならない。 + 男子はみな、年に三度、主なる神の前に出なければならない。 + あなたはわたしの犠牲の血を、種を入れたパンと共にささげてはならない。また、わたしの祭の脂肪を翌朝まで残して置いてはならない。 + あなたの土地の初穂の最も良い物を、あなたの神、主の家に携えてこなければならない。あなたは子やぎを、その母の乳で煮てはならない。 + 見よ、わたしは使をあなたの前につかわし、あなたを道で守らせ、わたしが備えた所に導かせるであろう。 + あなたはその前に慎み、その言葉に聞き従い、彼にそむいてはならない。わたしの名が彼のうちにあるゆえに、彼はあなたがたのとがをゆるさないであろう。 + しかし、もしあなたが彼の声によく聞き従い、すべてわたしが語ることを行うならば、わたしはあなたの敵を敵とし、あなたのあだをあだとするであろう。 + わたしの使はあなたの前に行って、あなたをアモリびと、ヘテびと、ペリジびと、カナンびと、ヒビびと、およびエブスびとの所に導き、わたしは彼らを滅ぼすであろう。 + あなたは彼らの神々を拝んではならない。これに仕えてはならない。また彼らのおこないにならってはならない。あなたは彼らを全く打ち倒し、その石の柱を打ち砕かなければならない。 + あなたがたの神、主に仕えなければならない。そうすれば、わたしはあなたがたのパンと水を祝し、あなたがたのうちから病を除き去るであろう。 + あなたの国のうちには流産する女もなく、不妊の女もなく、わたしはあなたの日の数を満ち足らせるであろう。 + わたしはあなたの先に、わたしの恐れをつかわし、あなたが行く所の民を、ことごとく打ち敗り、すべての敵に、その背をあなたの方へ向けさせるであろう。 + わたしはまた、くまばちをあなたの先につかわすであろう。これはヒビびと、カナンびと、およびヘテびとをあなたの前から追い払うであろう。 + しかし、わたしは彼らを一年のうちには、あなたの前から追い払わないであろう。土地が荒れすたれ、野の獣が増して、あなたを害することのないためである。 + わたしは徐々に彼らをあなたの前から追い払うであろう。あなたは、ついにふえひろがって、この地を継ぐようになるであろう。 + わたしは紅海からペリシテびとの海に至るまでと、荒野からユフラテ川に至るまでを、あなたの領域とし、この地に住んでいる者をあなたの手にわたすであろう。あなたは彼らをあなたの前から追い払うであろう。 + あなたは彼ら、および彼らの神々と契約を結んではならない。 + 彼らはあなたの国に住んではならない。彼らがあなたをいざなって、わたしに対して罪を犯させることのないためである。もし、あなたが彼らの神に仕えるならば、それは必ずあなたのわなとなるであろう」。 + + + また、モーセに言われた、「あなたはアロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十人の長老たちと共に、主のもとにのぼってきなさい。そしてあなたがたは遠く離れて礼拝しなさい。 + ただモーセひとりが主に近づき、他の者は近づいてはならない。また、民も彼と共にのぼってはならない」。 + モーセはきて、主のすべての言葉と、すべてのおきてとを民に告げた。民はみな同音に答えて言った、「わたしたちは主の仰せられた言葉を皆、行います」。 + そしてモーセは主の言葉を、ことごとく書きしるし、朝はやく起きて山のふもとに祭壇を築き、イスラエルの十二部族に従って十二の柱を建て、 + イスラエルの人々のうちの若者たちをつかわして、主に燔祭をささげさせ、また酬恩祭として雄牛をささげさせた。 + その時モーセはその血の半ばを取って、鉢に入れ、また、その血の半ばを祭壇に注ぎかけた。 + そして契約の書を取って、これを民に読み聞かせた。すると、彼らは答えて言った、「わたしたちは主が仰せられたことを皆、従順に行います」。 + そこでモーセはその血を取って、民に注ぎかけ、そして言った、「見よ、これは主がこれらのすべての言葉に基いて、あなたがたと結ばれる契約の血である」。 + こうしてモーセはアロン、ナダブ、アビウおよびイスラエルの七十人の長老たちと共にのぼって行った。 + そして、彼らがイスラエルの神を見ると、その足の下にはサファイアの敷石のごとき物があり、澄み渡るおおぞらのようであった。 + 神はイスラエルの人々の指導者たちを手にかけられなかったので、彼らは神を見て、飲み食いした。 + ときに主はモーセに言われた、「山に登り、わたしの所にきて、そこにいなさい。彼らを教えるために、わたしが律法と戒めとを書きしるした石の板をあなたに授けるであろう」。 + そこでモーセは従者ヨシュアと共に立ちあがり、モーセは神の山に登った。 + 彼は長老たちに言った、「わたしたちがあなたがたの所に帰って来るまで、ここで待っていなさい。見よ、アロンとホルとが、あなたがたと共にいるから、事ある者は、だれでも彼らの所へ行きなさい」。 + こうしてモーセは山に登ったが、雲は山をおおっていた。 + 主の栄光がシナイ山の上にとどまり、雲は六日のあいだ、山をおおっていたが、七日目に主は雲の中からモーセを呼ばれた。 + 主の栄光は山の頂で、燃える火のようにイスラエルの人々の目に見えたが、 + モーセは雲の中にはいって、山に登った。そしてモーセは四十日四十夜、山にいた。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げて、わたしのためにささげ物を携えてこさせなさい。すべて、心から喜んでする者から、わたしにささげる物を受け取りなさい。 + あなたがたが彼らから受け取るべきささげ物はこれである。すなわち金、銀、青銅、 + 青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸、やぎの毛糸、 + あかね染の雄羊の皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、 + ともし油、注ぎ油と香ばしい薫香のための香料、 + 縞めのう、エポデと胸当にはめる宝石。 + また、彼らにわたしのために聖所を造らせなさい。わたしが彼らのうちに住むためである。 + すべてあなたに示す幕屋の型および、そのもろもろの器の型に従って、これを造らなければならない。 + 彼らはアカシヤ材で箱を造らなければならない。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト半。 + あなたは純金でこれをおおわなければならない。すなわち内外ともにこれをおおい、その上の周囲に金の飾り縁を造らなければならない。 + また金の環四つを鋳て、その四すみに取り付けなければならない。すなわち二つの環をこちら側に、二つの環をあちら側に付けなければならない。 + またアカシヤ材のさおを造り、金でこれをおおわなければならない。 + そしてそのさおを箱の側面の環に通し、それで箱をかつがなければならない。 + さおは箱の環に差して置き、それを抜き放してはならない。 + そしてその箱に、わたしがあなたに与えるあかしの板を納めなければならない。 + また純金の贖罪所を造らなければならない。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半。 + また二つの金のケルビムを造らなければならない。これを打物造りとし、贖罪所の両端に置かなければならない。 + 一つのケルブをこの端に、一つのケルブをかの端に造り、ケルビムを贖罪所の一部としてその両端に造らなければならない。 + ケルビムは翼を高く伸べ、その翼をもって贖罪所をおおい、顔は互にむかい合い、ケルビムの顔は贖罪所にむかわなければならない。 + あなたは贖罪所を箱の上に置き、箱の中にはわたしが授けるあかしの板を納めなければならない。 + その所でわたしはあなたに会い、贖罪所の上から、あかしの箱の上にある二つのケルビムの間から、イスラエルの人々のために、わたしが命じようとするもろもろの事を、あなたに語るであろう。 + あなたはまたアカシヤ材の机を造らなければならない。長さは二キュビト、幅は一キュビト、高さは一キュビト半。 + 純金でこれをおおい、周囲に金の飾り縁を造り、 + またその周囲に手幅の棧を造り、その棧の周囲に金の飾り縁を造らなければならない。 + また、そのために金の環四つを造り、その四つの足のすみ四か所にその環を取り付けなければならない。 + 環は棧のわきに付けて、机をかつぐさおを入れる所としなければならない。 + またアカシヤ材のさおを造り、金でこれをおおい、それをもって、机をかつがなければならない。 + また、その皿、乳香を盛る杯および灌祭を注ぐための瓶と鉢を造り、これらは純金で造らなければならない。 + そして机の上には供えのパンを置いて、常にわたしの前にあるようにしなければならない。 + また純金の燭台を造らなければならない。燭台は打物造りとし、その台、幹、萼、節、花を一つに連ならせなければならない。 + また六つの枝をそのわきから出させ、燭台の三つの枝をこの側から、燭台の三つの枝をかの側から出させなければならない。 + あめんどうの花の形をした三つの萼が、それぞれ節と花をもって一つの枝にあり、また、あめんどうの花の形をした三つの萼が、それぞれ節と花をもってほかの枝にあるようにし、燭台から出る六つの枝を、みなそのようにしなければならない。 + また、燭台の幹には、あめんどうの花の形をした四つの萼を付け、その萼にはそれぞれ節と花をもたせなさい。 + すなわち二つの枝の下に一つの節を取り付け、次の二つの枝の下に一つの節を取り付け、更に次の二つの枝の下に一つの節を取り付け、燭台の幹から出る六つの枝に、みなそのようにしなければならない。 + それらの節と枝を一つに連ね、ことごとく純金の打物造りにしなければならない。 + また、それのともしび皿を七つ造り、そのともしび皿に火をともして、その前方を照させなければならない。 + その芯切りばさみと、芯取り皿は純金で造らなければならない。 + すなわち純金一タラントで燭台と、これらのもろもろの器とが造られなければならない。 + そしてあなたが山で示された型に従い、注意してこれを造らなければならない。 + + + あなたはまた十枚の幕をもって幕屋を造らなければならない。すなわち亜麻の撚糸、青糸、紫糸、緋糸で幕を作り、巧みなわざをもって、それにケルビムを織り出さなければならない。 + 幕の長さは、おのおの二十八キュビト、幕の幅は、おのおの四キュビトで、幕は皆同じ寸法でなければならない。 + その幕五枚を互に連ね合わせ、また他の五枚の幕をも互に連ね合わせなければならない。 + その一連の端にある幕の縁に青色の乳をつけ、また他の一連の端にある幕の縁にもそのようにしなければならない。 + あなたは、その一枚の幕に乳五十をつけ、また他の一連の幕の端にも乳五十をつけ、その乳を互に相向かわせなければならない。 + あなたはまた金の輪五十を作り、その輪で幕を互に連ね合わせて一つの幕屋にしなければならない。 + また幕屋をおおう天幕のためにやぎの毛糸で幕を作らなければならない。すなわち幕十一枚を作り、 + その一枚の幕の長さは三十キュビト、その一枚の幕の幅は四キュビトで、その十一枚の幕は同じ寸法でなければならない。 + そして、その幕五枚を一つに連ね合わせ、またその幕六枚を一つに連ね合わせて、その六枚目の幕を天幕の前で折り重ねなければならない。 + またその一連の端にある幕の縁に乳五十をつけ、他の一連の幕の縁にも乳五十をつけなさい。 + そして青銅の輪五十を作り、その輪を乳に掛け、その天幕を連ね合わせて一つにし、 + その天幕の幕の残りの垂れる部分、すなわちその残りの半幕を幕屋のうしろに垂れさせなければならない。 + そして天幕の幕のたけで余るものの、こちらのキュビトと、あちらのキュビトとは、幕屋をおおうように、その両側のこちらとあちらとに垂れさせなければならない。 + また、あかね染めの雄羊の皮で天幕のおおいと、じゅごんの皮でその上にかけるおおいとを造らなければならない。 + あなたは幕屋のために、アカシヤ材で立枠を造らなければならない。 + 枠の長さを十キュビト、枠の幅を一キュビト半とし、 + 枠ごとに二つの柄を造って、かれとこれとを食い合わさせ、幕屋のすべての枠にこのようにしなければならない。 + あなたは幕屋のために枠を造り、南側のために枠二十とし、 + その二十の枠の下に銀の座四十を造って、この枠の下に、その二つの柄のために二つの座を置き、かの枠の下にもその二つの柄のために二つの座を置かなければならない。 + また幕屋の他の側、すなわち北側のためにも枠二十を造り、 + その銀の座四十を造って、この枠の下に、二つの座を置き、かの枠の下にも二つの座を置かなければならない。 + また幕屋のうしろ、すなわち西側のために枠六つを造り、 + 幕屋のうしろの二つのすみのために枠二つを造らなければならない。 + これらは下で重なり合い、同じくその頂でも第一の環まで重なり合うようにし、その二つともそのようにしなければならない。それらは二つのすみのために設けるものである。 + こうしてその枠は八つ、その銀の座は十六、この枠の下に二つの座、かの枠の下にも二つの座を置かなければならない。 + またアカシヤ材で横木を造らなければならない。すなわち幕屋のこの側の枠のために五つ、 + また幕屋のかの側の枠のために横木五つ、幕屋のうしろの西側の枠のために横木五つを造り、 + 枠のまん中にある中央の横木は端から端まで通るようにしなければならない。 + そしてその枠を金でおおい、また横木を通すその環を金で造り、また、その横木を金でおおわなければならない。 + こうしてあなたは山で示された様式に従って幕屋を建てなければならない。 + また青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で垂幕を作り、巧みなわざをもって、それにケルビムを織り出さなければならない。 + そして金でおおった四つのアカシヤ材の柱の金の鉤にこれを掛け、その柱は四つの銀の座の上にすえなければならない。 + その垂幕の輪を鉤に掛け、その垂幕の内にあかしの箱を納めなさい。その垂幕はあなたがたのために聖所と至聖所とを隔て分けるであろう。 + また至聖所にあるあかしの箱の上に贖罪所を置かなければならない。 + そしてその垂幕の外に机を置き、幕屋の南側に、机に向かい合わせて燭台を置かなければならない。ただし机は北側に置かなければならない。 + あなたはまた天幕の入口のために青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、色とりどりに織ったとばりを作らなければならない。 + あなたはそのとばりのためにアカシヤ材の柱五つを造り、これを金でおおい、その鉤を金で造り、またその柱のために青銅の座五つを鋳て造らなければならない。 + + + あなたはまたアカシヤ材で祭壇を造らなければならない。長さ五キュビト、幅五キュビトの四角で、高さは三キュビトである。 + その四すみの上にその一部としてそれの角を造り、青銅で祭壇をおおわなければならない。 + また灰を取るつぼ、十能、鉢、肉叉、火皿を造り、その器はみな青銅で造らなければならない。 + また祭壇のために青銅の網細工の格子を造り、その四すみで、網の上に青銅の環を四つ取り付けなければならない。 + その網を祭壇の出張りの下に取り付け、これを祭壇の高さの半ばに達するようにしなければならない。 + また祭壇のために、さおを造らなければならない。すなわちアカシヤ材で、さおを造り、青銅で、これをおおわなければならない。 + そのさおを環に通し、さおを祭壇の両側にして、これをかつがなければならない。 + 祭壇は板で空洞に造り、山で示されたように、これを造らなければならない。 + あなたはまた幕屋の庭を造り、両側では庭のために長さ百キュビトの亜麻の撚糸のあげばりを設け、その一方に当てなければならない。 + その柱は二十、その柱の二十の座は青銅にし、その柱の鉤と桁とは銀にしなければならない。 + また同じく北側のために、長さ百キュビトのあげばりを設けなければならない。その柱は二十、その柱の二十の座は青銅にし、その柱の鉤と桁とは銀にしなければならない。 + また庭の西側の幅のために五十キュビトのあげばりを設けなければならない。その柱は十、その座も十。 + また東側でも庭の幅を五十キュビトにしなければならない。 + そしてその一方に十五キュビトのあげばりを設けなければならない。その柱は三つ、その座も三つ。 + また他の一方にも十五キュビトのあげばりを設けなければならない。その柱は三つ、その座も三つ。 + 庭の門のために青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、色とりどりに織った長さ二十キュビトのとばりを設けなければならない。その柱は四つ、その座も四つ。 + 庭の周囲の柱はみな銀の桁でつなぎ、その鉤は銀、その座は青銅にしなければならない。 + 庭の長さは百キュビト、その幅は五十キュビト、その高さは五キュビトで、亜麻の撚糸の布を掛けめぐらし、その座を青銅にしなければならない。 + すべて幕屋に用いるもろもろの器、およびそのすべての釘、また庭のすべての釘は青銅で造らなければならない。 + あなたはまたイスラエルの人々に命じて、オリブをつぶして採った純粋の油を、ともし火のために持ってこさせ、絶えずともし火をともさなければならない。 + アロンとその子たちとは、会見の幕屋の中のあかしの箱の前にある垂幕の外で、夕から朝まで主の前に、そのともし火を整えなければならない。これはイスラエルの人々の守るべき世々変らざる定めでなければならない。 + + + またイスラエルの人々のうちから、あなたの兄弟アロンとその子たち、すなわちアロンとアロンの子ナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルとをあなたのもとにこさせ、祭司としてわたしに仕えさせ、 + またあなたの兄弟アロンのために聖なる衣服を作って、彼に栄えと麗しきをもたせなければならない。 + あなたはすべて心に知恵ある者、すなわち、わたしが知恵の霊を満たした者たちに語って、アロンの衣服を作らせ、アロンを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせなければならない。 + 彼らの作るべき衣服は次のとおりである。すなわち胸当、エポデ、衣、市松模様の服、帽子、帯である。彼らはあなたの兄弟アロンとその子たちとのために聖なる衣服を作り、祭司としてわたしに仕えさせなければならない。 + 彼らは金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸を受け取らなければならない。 + そして彼らは金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸を用い、巧みなわざをもってエポデを作らなければならない。 + これに二つの肩ひもを付け、その両端を、これに付けなければならない。 + エポデの上で、これをつかねる帯は、同じきれでエポデの作りのように、金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で作らなければならない。 + あなたは二つの縞めのうを取って、その上にイスラエルの子たちの名を刻まなければならない。 + すなわち、その名六つを一つの石に、残りの名六つを他の石に、彼らの生れた順に刻まなければならない。 + 宝石に彫刻する人が印を彫刻するように、イスラエルの子たちの名をその二つの石に刻み、それを金の編細工にはめ、 + この二つの石をエポデの肩ひもにつけて、イスラエルの子たちの記念の石としなければならない。こうしてアロンは主の前でその両肩に彼らの名を負うて記念としなければならない。 + あなたはまた金の編細工を作らなければならない。 + そして二つの純金の鎖を、ひも細工にねじて作り、そのひもの鎖をかの編細工につけなければならない。 + あなたはまたさばきの胸当を巧みなわざをもって作り、これをエポデの作りのように作らなければならない。すなわち金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、これを作らなければならない。 + これは二つに折って四角にし、長さは一指当り、幅も一指当りとしなければならない。 + またその中に宝石を四列にはめ込まなければならない。すなわち紅玉髄、貴かんらん石、水晶の列を第一列とし、 + 第二列は、ざくろ石、るり、赤縞めのう。 + 第三列は黄水晶、めのう、紫水晶。 + 第四列は黄碧玉、縞めのう、碧玉であって、これらを金の編細工の中にはめ込まなければならない。 + その宝石はイスラエルの子らの名に従い、その名とひとしく十二とし、おのおの印の彫刻のように十二の部族のためにその名を刻まなければならない。 + またひも細工にねじた純金の鎖を胸当につけなければならない。 + また、胸当のために金の環二つを作り、胸当の両端にその二つの環をつけ、 + かの二筋の金のひもを胸当の端の二つの環につけなければならない。 + ただし、その二筋のひもの他の両端をかの二つの編細工につけ、エポデの肩ひもにつけて、前にくるようにしなければならない。 + あなたはまた二つの金の環を作って、これを胸当の両端につけなければならない。すなわちエポデに接する内側の縁にこれをつけなければならない。 + また二つの金の環を作って、これをエポデの二つの肩ひもの下の部分につけ、前の方で、そのつなぎ目に近く、エポデの帯の上の方にあるようにしなければならない。 + 胸当は青ひもをもって、その環をエポデの環に結びつけ、エポデの帯の上の方にあるようにしなければならない。こうして胸当がエポデから離れないようにしなければならない。 + アロンが聖所にはいる時は、さばきの胸当にあるイスラエルの子たちの名をその胸に置き、主の前に常に覚えとしなければならない。 + あなたはさばきの胸当にウリムとトンミムを入れて、アロンが主の前にいたる時、その胸の上にあるようにしなければならない。こうしてアロンは主の前に常にイスラエルの子たちのさばきを、その胸に置かなければならない。 + あなたはまた、エポデに属する上服をすべて青地で作らなければならない。 + 頭を通す口を、そのまん中に設け、その口の周囲には、よろいのえりのように織物の縁をつけて、ほころびないようにし、 + そのすそには青糸、紫糸、緋糸で、ざくろを作り、そのすその周囲につけ、また周囲に金の鈴をざくろの間々につけなければならない。 + すなわち金の鈴にざくろ、また金の鈴にざくろと、上服のすその周囲につけなければならない。 + アロンは務の時、これを着なければならない。彼が聖所にはいって主の前にいたる時、また出る時、その音が聞えて、彼は死を免れるであろう。 + あなたはまた純金の板を造り、印の彫刻のように、その上に『主に聖なる者』と刻み、 + これを青ひもで帽子に付け、それが帽子の前の方に来るようにしなければならない。 + これはアロンの額にあり、そしてアロンはイスラエルの人々がささげる聖なる物、すなわち彼らのもろもろの聖なる供え物についての罪の責めを負うであろう。これは主の前にそれらの受けいれられるため、常にアロンの額になければならない。 + あなたは亜麻糸で市松模様に下服を織り、亜麻布で、ずきんを作り、また、帯を色とりどりに織って作らなければならない。 + あなたはまたアロンの子たちのために下服を作り、彼らのために帯を作り、彼らのために、ずきんを作って、彼らに栄えと麗しきをもたせなければならない。 + そしてあなたはこれをあなたの兄弟アロンおよび彼と共にいるその子たちに着せ、彼らに油を注ぎ、彼らを職に任じ、彼らを聖別し、祭司として、わたしに仕えさせなければならない。 + また、彼らのために、その隠し所をおおう亜麻布のしたばきを作り、腰からももに届くようにしなければならない。 + アロンとその子たちは会見の幕屋にはいる時、あるいは聖所で務をするために祭壇に近づく時に、これを着なければならない。そうすれば、彼らは罪を得て死ぬことはないであろう。これは彼と彼の後の子孫とのための永久の定めでなければならない。 + + + あなたは彼らを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせるために、次の事を彼らにしなければならない。すなわち若い雄牛一頭と、きずのない雄羊二頭とを取り、 + また種入れぬパンと、油を混ぜた種入れぬ菓子と、油を塗った種入れぬせんべいとを取りなさい。これらは小麦粉で作らなければならない。 + そしてこれを一つのかごに入れ、そのかごに入れたまま、かの一頭の雄牛および二頭の雄羊と共に携えてこなければならない。 + あなたはまたアロンとその子たちを会見の幕屋の入口に連れてきて、水で彼らを洗い清め、 + また衣服を取り、下服とエポデに属する上服と、エポデと胸当とをアロンに着せ、エポデの帯を締めさせなければならない。 + そして彼の頭に帽子をかぶらせ、その帽子の上にかの聖なる冠をいただかせ、 + 注ぎ油を取って彼の頭にかけ、彼に油注ぎをしなければならない。 + あなたはまた彼の子たちを連れてきて下服を着せ、 + 彼ら、すなわちアロンとその子たちに帯を締めさせ、ずきんをかぶらせなければならない。祭司の職は永久の定めによって彼らに帰するであろう。あなたはこうして、アロンとその子たちを職に任じなければならない。 + あなたは会見の幕屋の前に雄牛を引いてきて、アロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置かなければならない。 + そして会見の幕屋の入口で、主の前にその雄牛をほふり、 + その雄牛の血を取り、指をもって、これを祭壇の角につけ、その残りの血を祭壇の基に注ぎかけなさい。 + また、その内臓をおおうすべての脂肪と肝臓の小葉と、二つの腎臓と、その上の脂肪とを取って、これを祭壇の上で焼かなければならない。 + ただし、その雄牛の肉と皮と汚物とは、宿営の外で火で焼き捨てなければならない。これは罪祭である。 + あなたはまた、かの雄羊の一頭を取り、そしてアロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置かなければならない。 + あなたはその雄羊をほふり、その血を取って、祭壇の四つの側面に注ぎかけなければならない。 + またその雄羊を切り裂き、その内臓と、その足とを洗って、これをその肉の切れ、および頭と共に置き、 + その雄羊をみな祭壇の上で焼かなければならない。これは主にささげる燔祭である。すなわち、これは香ばしいかおりであって、主にささげる火祭である。 + あなたはまた雄羊の他の一頭を取り、アロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置かなければならない。 + そしてあなたはその雄羊をほふり、その血を取って、アロンの右の耳たぶと、その子たちの右の耳たぶとにつけ、また彼らの右の手の親指と、右の足の親指とにつけ、その残りの血を祭壇の四つの側面に注ぎかけなければならない。 + また祭壇の上の血および注ぎ油を取って、アロンとその衣服、およびその子たちと、その子たちの衣服とに注がなければならない。彼とその衣服、およびその子らと、その衣服とは聖別されるであろう。 + あなたはまた、その雄羊の脂肪、脂尾、内臓をおおう脂肪、肝臓の小葉、二つの腎臓、その上の脂肪、および右のももを取らなければならない。これは任職の雄羊である。 + また主の前にある種入れぬパンのかごの中からパン一個と、油菓子一個と、せんべい一個とを取り、 + これをみなアロンの手と、その子たちの手に置き、これを主の前に揺り動かして、揺祭としなければならない。 + そしてあなたはこれを彼らの手から受け取り、燔祭に加えて祭壇の上で焼き、主の前に香ばしいかおりとしなければならない。これは主にささげる火祭である。 + あなたはまた、アロンの任職の雄羊の胸を取り、これを主の前に揺り動かして、揺祭としなければならない。これはあなたの受ける分となるであろう。 + あなたはアロンとその子たちの任職の雄羊の胸ともも、すなわち揺り動かした揺祭の胸と、ささげたももとを聖別しなければならない。 + これはイスラエルの人々から永久に、アロンとその子たちの受くべきささげ物であって、イスラエルの人々の酬恩祭の犠牲の中から受くべきもの、すなわち主にささげるささげ物である。 + アロンの聖なる衣服は彼の後の子孫に帰すべきである。彼らはこれを着て、油注がれ、職に任ぜられなければならない。 + その子たちのうち、彼に代って祭司となり、聖所で仕えるために会見の幕屋にはいる者は、七日の間これを着なければならない。 + あなたは任職の雄羊を取り、聖なる場所でその肉を煮なければならない。 + アロンとその子たちは会見の幕屋の入口で、その雄羊の肉と、かごの中のパンとを食べなければならない。 + 彼らを職に任じ、聖別するため、あがないに用いたこれらのものを、彼らは食べなければならない。他の人はこれを食べてはならない。これは聖なる物だからである。 + もし任職の肉、あるいはパンのうち、朝まで残るものがあれば、その残りは火で焼かなければならない。これは聖なる物だから食べてはならない。 + あなたはわたしがすべて命じるように、アロンとその子たちにしなければならない。すなわち彼らのために七日のあいだ、任職の式を行わなければならない。 + あなたは毎日、あがないのために、罪祭の雄牛一頭をささげなければならない。また祭壇のために、あがないをなす時、そのために罪祭をささげ、また、これに油を注いで聖別しなさい。 + あなたは七日の間、祭壇のために、あがないをして、これを聖別しなければならない。こうして祭壇は、いと聖なる物となり、すべて祭壇に触れる者は聖となるであろう。 + あなたが祭壇の上にささぐべき物は次のとおりである。すなわち当歳の小羊二頭を毎日絶やすことなくささげなければならない。 + その一頭の小羊は朝にこれをささげ、他の一頭の小羊は夕にこれをささげなければならない。 + 一頭の小羊には、つぶして取った油一ヒンの四分の一をまぜた麦粉十分の一エパを添え、また灌祭として、ぶどう酒一ヒンの四分の一を添えなければならない。 + 他の一頭の小羊は夕にこれをささげ、朝の素祭および灌祭と同じものをこれに添えてささげ、香ばしいかおりのために主にささげる火祭としなければならない。 + これはあなたがたが代々会見の幕屋の入口で、主の前に絶やすことなく、ささぐべき燔祭である。わたしはその所であなたに会い、あなたと語るであろう。 + また、その所でわたしはイスラエルの人々に会うであろう。幕屋はわたしの栄光によって聖別されるであろう。 + わたしは会見の幕屋と祭壇とを聖別するであろう。またアロンとその子たちを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせるであろう。 + わたしはイスラエルの人々のうちに住んで、彼らの神となるであろう。 + わたしが彼らのうちに住むために、彼らをエジプトの国から導き出した彼らの神、主であることを彼らは知るであろう。わたしは彼らの神、主である。 + + + あなたはまた香をたく祭壇を造らなければならない。アカシヤ材でこれを造り、 + 長さ一キュビト、幅一キュビトの四角にし、高さ二キュビトで、これにその一部として角をつけなければならない。 + その頂、その四つの側面、およびその角を純金でおおい、その周囲に金の飾り縁を造り、 + また、その両側に、飾り縁の下に金の環二つをこれのために造らなければならない。すなわち、その二つの側にこれを造らなければならない。これはそれをかつぐさおを通すところである。 + そのさおはアカシヤ材で造り、金でおおわなければならない。 + あなたはそれを、あかしの箱の前にある垂幕の前に置いて、わたしがあなたと会うあかしの箱の上にある贖罪所に向かわせなければならない。 + アロンはその上で香ばしい薫香をたかなければならない。朝ごとに、ともしびを整える時、これをたかなければならない。 + アロンはまた夕べにともしびをともす時にも、これをたかなければならない。これは主の前にあなたがたが代々に絶やすことなく、ささぐべき薫香である。 + あなたがたはその上で異なる香をささげてはならない。燔祭をも素祭をもその上でささげてはならない。また、その上に灌祭を注いではならない。 + アロンは年に一度その角に血をつけてあがないをしなければならない。すなわち、あがないの罪祭の血をもって代々にわたり、年に一度これがために、あがないをしなければならない。これは主に最も聖なるものである」。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたがイスラエルの人々の数の総計をとるに当り、おのおのその数えられる時、その命のあがないを主にささげなければならない。これは数えられる時、彼らのうちに災の起らないためである。 + すべて数に入る者は聖所のシケルで、半シケルを払わなければならない。一シケルは二十ゲラであって、おのおの半シケルを主にささげ物としなければならない。 + すべて数に入る二十歳以上の者は、主にささげ物をしなければならない。 + あなたがたの命をあがなうために、主にささげ物をする時、富める者も半シケルより多く出してはならず、貧しい者もそれより少なく出してはならない。 + あなたはイスラエルの人々から、あがないの銀を取って、これを会見の幕屋の用に当てなければならない。これは主の前にイスラエルの人々のため記念となって、あなたがたの命をあがなうであろう」。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたはまた洗うために洗盤と、その台を青銅で造り、それを会見の幕屋と祭壇との間に置いて、その中に水を入れ、 + アロンとその子たちは、それで手と足とを洗わなければならない。 + 彼らは会見の幕屋にはいる時、水で洗って、死なないようにしなければならない。また祭壇に近づいて、その務をなし、火祭を主にささげる時にも、そうしなければならない。 + すなわち、その手、その足を洗って、死なないようにしなければならない。これは彼とその子孫の代々にわたる永久の定めでなければならない」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたはまた最も良い香料を取りなさい。すなわち液体の没薬五百シケル、香ばしい肉桂をその半ば、すなわち二百五十シケル、におい菖蒲二百五十シケル、 + 桂枝五百シケルを聖所のシケルで取り、また、オリブの油一ヒンを取りなさい。 + あなたはこれを聖なる注ぎ油、すなわち香油を造るわざにしたがい、まぜ合わせて、におい油に造らなければならない。これは聖なる注ぎ油である。 + あなたはこの油を会見の幕屋と、あかしの箱とに注ぎ、 + 机と、そのもろもろの器、燭台と、そのもろもろの器、香の祭壇、 + 燔祭の祭壇と、そのもろもろの器、洗盤と、その台とに油を注ぎ、 + これらをきよめて最も聖なる物としなければならない。すべてこれに触れる者は聖となるであろう。 + あなたはアロンとその子たちに油を注いで、彼らを聖別し、祭司としてわたしに仕えさせなければならない。 + そしてあなたはイスラエルの人々に言わなければならない、『これはあなたがたの代々にわたる、わたしの聖なる注ぎ油であって、 + 常の人の身にこれを注いではならない。またこの割合をもって、これと等しいものを造ってはならない。これは聖なるものであるから、あなたがたにとっても聖なる物でなければならない。 + すべてこれと等しい物を造る者、あるいはこれを祭司以外の人につける者は、民のうちから断たれるであろう』」。 + 主はまた、モーセに言われた、「あなたは香料、すなわち蘇合香、シケレテ香、楓子香、純粋の乳香の香料を取りなさい。おのおの同じ量でなければならない。 + あなたはこれをもって香、すなわち香料をつくるわざにしたがって薫香を造り、塩を加え、純にして聖なる物としなさい。 + また、その幾ぶんを細かに砕き、わたしがあなたと会う会見の幕屋にある、あかしの箱の前にこれを供えなければならない。これはあなたがたに最も聖なるものである。 + あなたが造る香の同じ割合をもって、それを自分のために造ってはならない。これはあなたにとって主に聖なるものでなければならない。 + すべてこれと等しいものを造って、これをかぐ者は民のうちから断たれるであろう」。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「見よ、わたしはユダの部族に属するホルの子なるウリの子ベザレルを名ざして召し、 + これに神の霊を満たして、知恵と悟りと知識と諸種の工作に長ぜしめ、 + 工夫を凝らして金、銀、青銅の細工をさせ、 + また宝石を切りはめ、木を彫刻するなど、諸種の工作をさせるであろう。 + 見よ、わたしはまたダンの部族に属するアヒサマクの子アホリアブを彼と共ならせ、そしてすべて賢い者の心に知恵を授け、わたしがあなたに命じたものを、ことごとく彼らに造らせるであろう。 + すなわち会見の幕屋、あかしの箱、その上にある贖罪所、幕屋のもろもろの器、 + 机とその器、純金の燭台と、そのもろもろの器、香の祭壇、 + 燔祭の祭壇とそのもろもろの器、洗盤とその台、 + 編物の服、すなわち祭司の務をするための祭司アロンの聖なる服、およびその子たちの服、 + 注ぎ油、聖所のための香ばしい香などを、すべてわたしがあなたに命じたように造らせるであろう」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたはイスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたは必ずわたしの安息日を守らなければならない。これはわたしとあなたがたとの間の、代々にわたるしるしであって、わたしがあなたがたを聖別する主であることを、知らせるためのものである。 + それゆえ、あなたがたは安息日を守らなければならない。これはあなたがたに聖なる日である。すべてこれを汚す者は必ず殺され、すべてこの日に仕事をする者は、民のうちから断たれるであろう。 + 六日のあいだは仕事をしなさい。七日目は全き休みの安息日で、主のために聖である。すべて安息日に仕事をする者は必ず殺されるであろう。 + ゆえに、イスラエルの人々は安息日を覚え、永遠の契約として、代々安息日を守らなければならない。 + これは永遠にわたしとイスラエルの人々との間のしるしである。それは主が六日のあいだに天地を造り、七日目に休み、かつ、いこわれたからである』」。 + 主はシナイ山でモーセに語り終えられたとき、あかしの板二枚、すなわち神が指をもって書かれた石の板をモーセに授けられた。 + + + 民はモーセが山を下ることのおそいのを見て、アロンのもとに集まって彼に言った、「さあ、わたしたちに先立って行く神を、わたしたちのために造ってください。わたしたちをエジプトの国から導きのぼった人、あのモーセはどうなったのかわからないからです」。 + アロンは彼らに言った、「あなたがたの妻、むすこ、娘らの金の耳輪をはずしてわたしに持ってきなさい」。 + そこで民は皆その金の耳輪をはずしてアロンのもとに持ってきた。 + アロンがこれを彼らの手から受け取り、工具で型を造り、鋳て子牛としたので、彼らは言った、「イスラエルよ、これはあなたをエジプトの国から導きのぼったあなたの神である」。 + アロンはこれを見て、その前に祭壇を築いた。そしてアロンは布告して言った、「あすは主の祭である」。 + そこで人々はあくる朝早く起きて燔祭をささげ、酬恩祭を供えた。民は座して食い飲みし、立って戯れた。 + 主はモーセに言われた、「急いで下りなさい。あなたがエジプトの国から導きのぼったあなたの民は悪いことをした。 + 彼らは早くもわたしが命じた道を離れ、自分のために鋳物の子牛を造り、これを拝み、これに犠牲をささげて、『イスラエルよ、これはあなたをエジプトの国から導きのぼったあなたの神である』と言っている」。 + 主はまたモーセに言われた、「わたしはこの民を見た。これはかたくなな民である。 + それで、わたしをとめるな。わたしの怒りは彼らにむかって燃え、彼らを滅ぼしつくすであろう。しかし、わたしはあなたを大いなる国民とするであろう」。 + モーセはその神、主をなだめて言った、「主よ、大いなる力と強き手をもって、エジプトの国から導き出されたあなたの民にむかって、なぜあなたの怒りが燃えるのでしょうか。 + どうしてエジプトびとに『彼は悪意をもって彼らを導き出し、彼らを山地で殺し、地の面から断ち滅ぼすのだ』と言わせてよいでしょうか。どうかあなたの激しい怒りをやめ、あなたの民に下そうとされるこの災を思い直し、 + あなたのしもべアブラハム、イサク、イスラエルに、あなたが御自身をさして誓い、『わたしは天の星のように、あなたがたの子孫を増し、わたしが約束したこの地を皆あなたがたの子孫に与えて、長くこれを所有させるであろう』と彼らに仰せられたことを覚えてください」。 + それで、主はその民に下すと言われた災について思い直された。 + モーセは身を転じて山を下った。彼の手には、かの二枚のあかしの板があった。板はその両面に文字があった。すなわち、この面にも、かの面にも文字があった。 + その板は神の作、その文字は神の文字であって、板に彫ったものである。 + ヨシュアは民の呼ばわる声を聞いて、モーセに言った、「宿営の中に戦いの声がします」。 + しかし、モーセは言った、「勝どきの声でなく、敗北の叫び声でもない。わたしの聞くのは歌の声である」。 + モーセが宿営に近づくと、子牛と踊りとを見たので、彼は怒りに燃え、手からかの板を投げうち、これを山のふもとで砕いた。 + また彼らが造った子牛を取って火に焼き、こなごなに砕き、これを水の上にまいて、イスラエルの人々に飲ませた。 + モーセはアロンに言った、「この民があなたに何をしたので、あなたは彼らに大いなる罪を犯させたのですか」。 + アロンは言った、「わが主よ、激しく怒らないでください。この民の悪いのは、あなたがごぞんじです。 + 彼らはわたしに言いました、『わたしたちに先立って行く神を、わたしたちのために造ってください。わたしたちをエジプトの国から導きのぼった人、あのモーセは、どうなったのかわからないからです』。 + そこでわたしは『だれでも、金を持っている者は、それを取りはずしなさい』と彼らに言いました。彼らがそれをわたしに渡したので、わたしがこれを火に投げ入れると、この子牛が出てきたのです」。 + モーセは民がほしいままにふるまったのを見た。アロンは彼らがほしいままにふるまうに任せ、敵の中に物笑いとなったからである。 + モーセは宿営の門に立って言った、「すべて主につく者はわたしのもとにきなさい」。レビの子たちはみな彼のもとに集まった。 + そこでモーセは彼らに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、『あなたがたは、おのおの腰につるぎを帯び、宿営の中を門から門へ行き巡って、おのおのその兄弟、その友、その隣人を殺せ』」。 + レビの子たちはモーセの言葉どおりにしたので、その日、民のうち、おおよそ三千人が倒れた。 + そこで、モーセは言った、「あなたがたは、おのおのその子、その兄弟に逆らって、きょう、主に身をささげた。それで主は、きょう、あなたがたに祝福を与えられるであろう」。 + あくる日、モーセは民に言った、「あなたがたは大いなる罪を犯した。それで今、わたしは主のもとに上って行く。あなたがたの罪を償うことが、できるかも知れない」。 + モーセは主のもとに帰って、そして言った、「ああ、この民は大いなる罪を犯し、自分のために金の神を造りました。 + 今もしあなたが、彼らの罪をゆるされますならば――。しかし、もしかなわなければ、どうぞあなたが書きしるされたふみから、わたしの名を消し去ってください」。 + 主はモーセに言われた、「すべてわたしに罪を犯した者は、これをわたしのふみから消し去るであろう。 + しかし、今あなたは行って、わたしがあなたに告げたところに民を導きなさい。見よ、わたしの使はあなたに先立って行くであろう。ただし刑罰の日に、わたしは彼らの罪を罰するであろう」。 + そして主は民を撃たれた。彼らが子牛を造ったからである。それはアロンが造ったのである。 + + + さて、主はモーセに言われた、「あなたと、あなたがエジプトの国から導きのぼった民とは、ここを立ってわたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓って、『これをあなたの子孫に与える』と言った地にのぼりなさい。 + わたしはひとりの使をつかわしてあなたに先立たせ、カナンびと、アモリびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとを追い払うであろう。 + あなたがたは乳と蜜の流れる地にのぼりなさい。しかし、あなたがたは、かたくなな民であるから、わたしが道であなたがたを滅ぼすことのないように、あなたがたのうちにあって一緒にはのぼらないであろう」。 + 民はこの悪い知らせを聞いて憂い、ひとりもその飾りを身に着ける者はなかった。 + 主はモーセに言われた、「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたは、かたくなな民である。もしわたしが一刻でも、あなたがたのうちにあって、一緒にのぼって行くならば、あなたがたを滅ぼすであろう。ゆえに、今、あなたがたの飾りを身から取り去りなさい。そうすればわたしはあなたがたになすべきことを知るであろう』」。 + それで、イスラエルの人々はホレブ山以来その飾りを取り除いていた。 + モーセは幕屋を取って、これを宿営の外に、宿営を離れて張り、これを会見の幕屋と名づけた。すべて主に伺い事のある者は出て、宿営の外にある会見の幕屋に行った。 + モーセが出て、幕屋に行く時には、民はみな立ちあがり、モーセが幕屋にはいるまで、おのおのその天幕の入口に立って彼を見送った。 + モーセが幕屋にはいると、雲の柱が下って幕屋の入口に立った。そして主はモーセと語られた。 + 民はみな幕屋の入口に雲の柱が立つのを見ると、立っておのおの自分の天幕の入口で礼拝した。 + 人がその友と語るように、主はモーセと顔を合わせて語られた。こうしてモーセは宿営に帰ったが、その従者なる若者、ヌンの子ヨシュアは幕屋を離れなかった。 + モーセは主に言った、「ごらんください。あなたは『この民を導きのぼれ』とわたしに言いながら、わたしと一緒につかわされる者を知らせてくださいません。しかも、あなたはかつて『わたしはお前を選んだ。お前はまたわたしの前に恵みを得た』と仰せになりました。 + それで今、わたしがもし、あなたの前に恵みを得ますならば、どうか、あなたの道を示し、あなたをわたしに知らせ、あなたの前に恵みを得させてください。また、この国民があなたの民であることを覚えてください」。 + 主は言われた「わたし自身が一緒に行くであろう。そしてあなたに安息を与えるであろう」。 + モーセは主に言った「もしあなた自身が一緒に行かれないならば、わたしたちをここからのぼらせないでください。 + わたしとあなたの民とが、あなたの前に恵みを得ることは、何によって知られましょうか。それはあなたがわたしたちと一緒に行かれて、わたしとあなたの民とが、地の面にある諸民と異なるものになるからではありませんか」。 + 主はモーセに言われた、「あなたはわたしの前に恵みを得、またわたしは名をもってあなたを知るから、あなたの言ったこの事をもするであろう」。 + モーセは言った、「どうぞ、あなたの栄光をわたしにお示しください」。 + 主は言われた、「わたしはわたしのもろもろの善をあなたの前に通らせ、主の名をあなたの前にのべるであろう。わたしは恵もうとする者を恵み、あわれもうとする者をあわれむ」。 + また言われた、「しかし、あなたはわたしの顔を見ることはできない。わたしを見て、なお生きている人はないからである」。 + そして主は言われた、「見よ、わたしのかたわらに一つの所がある。あなたは岩の上に立ちなさい。 + わたしの栄光がそこを通り過ぎるとき、わたしはあなたを岩の裂け目に入れて、わたしが通り過ぎるまで、手であなたをおおうであろう。 + そしてわたしが手をのけるとき、あなたはわたしのうしろを見るが、わたしの顔は見ないであろう」。 + + + 主はモーセに言われた、「あなたは前のような石の板二枚を、切って造りなさい。わたしはあなたが砕いた初めの板にあった言葉を、その板に書くであろう。 + あなたは朝までに備えをし、朝のうちにシナイ山に登って、山の頂でわたしの前に立ちなさい。 + だれもあなたと共に登ってはならない。また、だれも山の中にいてはならない。また山の前で羊や牛を飼っていてはならない」。 + そこでモーセは前のような石の板二枚を、切って造り、朝早く起きて、主が彼に命じられたようにシナイ山に登った。彼はその手に石の板二枚をとった。 + ときに主は雲の中にあって下り、彼と共にそこに立って主の名を宣べられた。 + 主は彼の前を過ぎて宣べられた。「主、主、あわれみあり、恵みあり、怒ることおそく、いつくしみと、まこととの豊かなる神、 + いつくしみを千代までも施し、悪と、とがと、罪とをゆるす者、しかし、罰すべき者をば決してゆるさず、父の罪を子に報い、子の子に報いて、三、四代におよぼす者」。 + モーセは急ぎ地に伏して拝し、 + そして言った、「ああ主よ、わたしがもし、あなたの前に恵みを得ますならば、かたくなな民ですけれども、どうか主がわたしたちのうちにあって一緒に行ってください。そしてわたしたちの悪と罪とをゆるし、わたしたちをあなたのものとしてください」。 + 主は言われた、「見よ、わたしは契約を結ぶ。わたしは地のいずこにも、いかなる民のうちにも、いまだ行われたことのない不思議を、あなたのすべての民の前に行うであろう。あなたが共に住む民はみな、主のわざを見るであろう。わたしがあなたのためになそうとすることは、恐るべきものだからである。 + わたしが、きょう、あなたに命じることを守りなさい。見よ、わたしはアモリびと、カナンびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとを、あなたの前から追い払うであろう。 + あなたが行く国に住んでいる者と、契約を結ばないように、気をつけなければならない。おそらく彼らはあなたのうちにあって、わなとなるであろう。 + むしろあなたがたは、彼らの祭壇を倒し、石の柱を砕き、アシラ像を切り倒さなければならない。 + あなたは他の神を拝んではならない。主はその名を『ねたみ』と言って、ねたむ神だからである。 + おそらくあなたはその国に住む者と契約を結び、彼らの神々を慕って姦淫を行い、その神々に犠牲をささげ、招かれて彼らの犠牲を食べ、 + またその娘たちを、あなたのむすこたちにめとり、その娘たちが自分たちの神々を慕って姦淫を行い、また、あなたのむすこたちをして、彼らの神々を慕わせ、姦淫を行わせるに至るであろう。 + あなたは自分のために鋳物の神々を造ってはならない。 + あなたは種入れぬパンの祭を守らなければならない。すなわち、わたしがあなたに命じたように、アビブの月の定めの時に、七日のあいだ、種入れぬパンを食べなければならない。あなたがアビブの月にエジプトを出たからである。 + すべて初めに生れる者は、わたしのものである。すべてあなたの家畜のういごの雄は、牛も羊もそうである。 + ただし、ろばのういごは小羊であがなわなければならない。もしあがなわないならば、その首を折らなければならない。あなたのむすこのうちのういごは、みなあがなわなければならない。むなし手でわたしの前に出てはならない。 + あなたは六日のあいだ働き、七日目には休まなければならない。耕し時にも、刈入れ時にも休まなければならない。 + あなたは七週の祭、すなわち小麦刈りの初穂の祭を行わなければならない。また年の終りに取り入れの祭を行わなければならない。 + 年に三度、男子はみな主なる神、イスラエルの神の前に出なければならない。 + わたしは国々の民をあなたの前から追い払って、あなたの境を広くするであろう。あなたが年に三度のぼって、あなたの神、主の前に出る時には、だれもあなたの国を侵すことはないであろう。 + あなたは犠牲の血を、種を入れたパンと共に供えてはならない。また過越の祭の犠牲を、翌朝まで残して置いてはならない。 + あなたの土地の初穂の最も良いものを、あなたの神、主の家に携えてこなければならない。あなたは子やぎをその母の乳で煮てはならない」。 + また主はモーセに言われた、「これらの言葉を書きしるしなさい。わたしはこれらの言葉に基いて、あなたおよびイスラエルと契約を結んだからである」。 + モーセは主と共に、四十日四十夜、そこにいたが、パンも食べず、水も飲まなかった。そして彼は契約の言葉、十誡を板の上に書いた。 + モーセはそのあかしの板二枚を手にして、シナイ山から下ったが、その山を下ったとき、モーセは、さきに主と語ったゆえに、顔の皮が光を放っているのを知らなかった。 + アロンとイスラエルの人々とがみな、モーセを見ると、彼の顔の皮が光を放っていたので、彼らは恐れてこれに近づかなかった。 + モーセは彼らを呼んだ。アロンと会衆のかしらたちとがみな、モーセのもとに帰ってきたので、モーセは彼らと語った。 + その後、イスラエルの人々がみな近よったので、モーセは主がシナイ山で彼に語られたことを、ことごとく彼らにさとした。 + モーセは彼らと語り終えた時、顔おおいを顔に当てた。 + しかしモーセは主の前に行って主と語る時は、出るまで顔おおいを取り除いていた。そして出て来ると、その命じられた事をイスラエルの人人に告げた。 + イスラエルの人々はモーセの顔を見ると、モーセの顔の皮が光を放っていた。モーセは行って主と語るまで、また顔おおいを顔に当てた。 + + + モーセはイスラエルの人々の全会衆を集めて言った、「これは主が行えと命じられた言葉である。 + 六日の間は仕事をしなさい。七日目はあなたがたの聖日で、主の全き休みの安息日であるから、この日に仕事をする者はだれでも殺されなければならない。 + 安息日にはあなたがたのすまいのどこでも火をたいてはならない」。 + モーセはイスラエルの人々の全会衆に言った、「これは主が命じられたことである。 + あなたがたの持ち物のうちから、主にささげる物を取りなさい。すべて、心から喜んでする者は、主にささげる物を持ってきなさい。すなわち金、銀、青銅。 + 青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸、やぎの毛糸。 + あかね染めの雄羊の皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、 + ともし油、注ぎ油と香ばしい薫香とのための香料、 + 縞めのう、エポデと胸当とにはめる宝石。 + すべてあなたがたのうち、心に知恵ある者はきて、主の命じられたものをみな造りなさい。 + すなわち幕屋、その天幕と、そのおおい、その鉤と、その枠、その横木、その柱と、その座、 + 箱と、そのさお、贖罪所、隔ての垂幕、 + 机と、そのさお、およびそのもろもろの器、供えのパン、 + また、ともしびのための燭台と、その器、ともしび皿と、ともし油、 + 香の祭壇と、そのさお、注ぎ油、香ばしい薫香、幕屋の入口のとばり、 + 燔祭の祭壇およびその青銅の網、そのさおと、そのもろもろの器、洗盤と、その台、 + 庭のあげばり、その柱とその座、庭の門のとばり、 + 幕屋の釘、庭の釘およびそのひも、 + 聖所における務のための編物の服、すなわち祭司の務をなすための祭司アロンの聖なる服およびその子たちの服」。 + イスラエルの人々の全会衆はモーセの前を去り、 + すべて心に感じた者、すべて心から喜んでする者は、会見の幕屋の作業と、そのもろもろの奉仕と、聖なる服とのために、主にささげる物を携えてきた。 + すなわち、すべて心から喜んでする男女は、鼻輪、耳輪、指輪、首飾り、およびすべての金の飾りを携えてきた。すべて金のささげ物を主にささげる者はそのようにした。 + すべて青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸、やぎの毛糸、あかね染めの雄羊の皮、じゅごんの皮を持っている者は、それを携えてきた。 + すべて銀、青銅のささげ物をささげることのできる者は、それを主にささげる物として携えてきた。また、すべて組立ての工事に用いるアカシヤ材を持っている者は、それを携えてきた。 + また、すべて心に知恵ある女たちは、その手をもって紡ぎ、その紡いだ青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸を携えてきた。 + すべて知恵があって、心に感じた女たちは、やぎの毛を紡いだ。 + また、かしらたちは縞めのう、およびエポデと胸当にはめる宝石を携えてきた。 + また、ともしびと、注ぎ油と、香ばしい薫香のための香料と、油とを携えてきた。 + このようにイスラエルの人々は自発のささげ物を主に携えてきた。すなわち主がモーセによって、なせと命じられたすべての工作のために、物を携えてこようと、心から喜んでする男女はみな、そのようにした。 + モーセはイスラエルの人々に言った、「見よ、主はユダの部族に属するホルの子なるウリの子ベザレルを名ざして召し、 + 彼に神の霊を満たして、知恵と悟りと知識と諸種の工作に長ぜしめ、 + 工夫を凝らして金、銀、青銅の細工をさせ、 + また宝石を切りはめ、木を彫刻するなど、諸種の工作をさせ、 + また人を教えうる力を、彼の心に授けられた。彼とダンの部族に属するアヒサマクの子アホリアブとが、それである。 + 主は彼らに知恵の心を満たして、諸種の工作をさせられた。すなわち彫刻、浮き織および青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸の縫取り、また機織など諸種の工作をさせ、工夫を凝らして巧みなわざをさせられた。 + + + ベザレルとアホリアブおよびすべて心に知恵ある者、すなわち主が知恵と悟りとを授けて、聖所の組立ての諸種の工事を、いかになすかを知らせられた者は、すべて主が命じられたようにしなければならない」。 + そこで、モーセはベザレルとアホリアブおよびすべて心に知恵ある者、すなわち、その心に主が知恵を授けられた者、またきて、その工事をなそうと心に望むすべての者を召し寄せた。 + 彼らは聖所の組立ての工事をするために、イスラエルの人々が携えてきたもろもろのささげ物を、モーセから受け取ったが、民はなおも朝ごとに、自発のささげ物を彼のもとに携えてきた。 + そこで聖所のもろもろの工事をする賢い人々はみな、おのおのしていた工事をやめて、 + モーセに言った「民があまりに多く携えて来るので、主がせよと命じられた組立ての工事には余ります」。 + モーセは命令を発し、宿営中にふれさせて言った、「男も女も、もはや聖所のために、ささげ物をするに及ばない」。それで民は携えて来ることをやめた。 + 材料はすべての工事をするのにじゅうぶんで、かつ余るからである。 + すべて工作をする者のうちの心に知恵ある者は、十枚の幕で幕屋を造った。すなわち亜麻の撚糸、青糸、紫糸、緋糸で造り、巧みなわざをもって、それにケルビムを織り出した。 + 幕の長さは、おのおの二十八キュビト、幕の幅は、おのおの四キュビトで、幕はみな同じ寸法である。 + その幕五枚を互に連ね合わせ、また他の五枚の幕をも互に連ね合わせ、 + その一連の端にある幕の縁に青色の乳をつけ、他の一連の端にある幕の縁にも、そのようにした。 + その一枚の幕に乳五十をつけ、他の一連の幕の端にも、乳五十をつけた。その乳を互に相向かわせた。 + そして金の輪五十を作り、その輪で、幕を互に連ね合わせたので、一つの幕屋になった。 + また、やぎの毛糸で幕を作り、幕屋をおおう天幕にした。すなわち幕十一枚を作った。 + おのおのの幕の長さは三十キュビト、おのおのの幕の幅は四キュビトで、その十一枚の幕は同じ寸法である。 + そして、その幕五枚を一つに連ね合わせ、また、その幕六枚を一つに連ね合わせ、 + その一連の端にある幕の縁に、乳五十をつけ、他の一連の幕の縁にも、乳五十をつけた。 + そして、青銅の輪五十を作り、その天幕を連ね合わせて一つにした。 + また、あかね染めの雄羊の皮で、天幕のおおいと、じゅごんの皮で、その上にかけるおおいとを作った。 + また幕屋のためにアカシヤ材をもって、立枠を造った。 + 枠の長さは十キュビト、枠の幅は、おのおの一キュビト半とし、 + 枠ごとに二つの柄を造って、かれとこれとをくい合わせ、幕屋のすべての枠にこのようにした。 + 幕屋のために枠を造った。すなわち南側のために枠二十を造った。 + その二十の枠の下に銀の座四十を造って、この枠の下に、その二つの柄のために二つの座を置き、かの枠の下にも、その二つの柄のために二つの座を置いた。 + また幕屋の他の側、すなわち北側のためにも枠二十を造った。 + その銀の座四十を造って、この枠の下にも二つの座を置き、かの枠の下にも二つの座を置いた。 + また幕屋のうしろ、西側のために枠六つを造り、 + 幕屋のうしろの二つのすみのために枠二つを造った。 + これらは、下で重なり合い、同じくその頂でも第一の環まで重なり合うようにし、その二つとも二つのすみのために、そのように造った。 + こうして、その枠は八つ、その銀の座は十六、おのおのの枠の下に、二つずつ座があった。 + またアカシヤ材の横木を造った。すなわち幕屋のこの側の枠のために五つ、 + また幕屋のかの側の枠のために横木五つ、幕屋のうしろの西側の枠のために横木五つを造った。 + 枠のまん中にある中央の横木は、端から端まで通るようにした。 + そして、その枠を金でおおい、また横木を通すその環を金で造り、またその横木を金でおおった。 + また青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、垂幕を作り、巧みなわざをもって、それにケルビムを織り出した。 + また、これがためにアカシヤ材の柱四本を作り、金でこれをおおい、その鉤を金にし、その柱のために銀の座四つを鋳た。 + また幕屋の入口のために青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、色とりどりに織ったとばりを作った。 + その柱五本と、その鉤とを造り、その柱の頭と桁とを金でおおった。ただし、その五つの座は青銅であった。 + + + ベザレルはアカシヤ材の箱を造った。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト半である。 + 純金で、内そとをおおい、その周囲に金の飾り縁を造った。 + また金の環四つを鋳て、その四すみに取りつけた。すなわち二つの環をこちら側に、二つの環をあちら側に取りつけた。 + またアカシヤ材のさおを造り、金でこれをおおい、 + そのさおを箱の側面の環に通して、箱をかつぐようにした。 + また純金で贖罪所を造った。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半である。 + また金で、二つのケルビムを造った。すなわち、これを打物造りとし、贖罪所の両端に置いた。 + 一つのケルブをこの端に、一つのケルブをかの端に置いた。すなわちケルビムを贖罪所の一部として、その両端に造った。 + ケルビムは翼を高く伸べ、その翼で贖罪所をおおい、顔は互に向かい合った。すなわちケルビムの顔は贖罪所に向かっていた。 + またアカシヤ材で、机を造った。長さは二キュビト、幅は一キュビト、高さは一キュビト半である。 + 純金でこれをおおい、その周囲に金の飾り縁を造った。 + またその周囲に手幅の棧を造り、その周囲の棧に金の飾り縁を造った。 + またこれがために金の環四つを鋳て、その四つの足のすみ四か所にその環を取りつけた。 + その環は棧のわきにあって、机をかつぐさおを入れる所とした。 + またアカシヤ材で、机をかつぐさおを造り、金でこれをおおった。 + また机の上の器、すなわちその皿、乳香を盛る杯および灌祭を注ぐための鉢と瓶とを純金で造った。 + また純金の燭台を造った。すなわち打物造りで燭台を造り、その台、幹、萼、節、花を一つに連ねた。 + また六つの枝をそのわきから出させた。すなわち燭台の三つの枝をこの側から、燭台の三つの枝をかの側から出させた。 + あめんどうの花の形をした三つの萼が、節と花とをもって、この枝にあり、また、あめんどうの花の形をした三つの萼が、節と花とをもって、かの枝にあり、燭台から出る六つの枝をみなそのようにした。 + また燭台の幹には、あめんどうの花の形をした四つの萼を、その節と花とをもたせて取りつけた。 + また二つの枝の下に一つの節を取りつけ、次の二つの枝の下に一つの節を取りつけ、さらに次の二つの枝の下に一つの節を取りつけ、燭台の幹から出る六つの枝に、みなそのようにした。 + それらの節と枝を一つに連ね、ことごとく純金の打物造りとした。 + また、それのともしび皿七つと、その芯切りばさみと、芯取り皿とを純金で造った。 + すなわち純金一タラントをもって、燭台とそのすべての器とを造った。 + またアカシヤ材で香の祭壇を造った。長さ一キュビト、幅一キュビトの四角にし、高さ二キュビトで、これにその一部として角をつけた。 + そして、その頂、その周囲の側面、その角を純金でおおい、その周囲に金の飾り縁を造った。 + また、その両側に、飾り縁の下に金の環二つを、そのために造った。すなわちその二つの側にこれを造った。これはそれをかつぐさおを通す所である。 + そのさおはアカシヤ材で造り、金でこれをおおった。 + また香料を造るわざにしたがって、聖なる注ぎ油と純粋の香料の薫香とを造った。 + + + またアカシヤ材で燔祭の祭壇を造った。長さ五キュビト、幅五キュビトの四角で、高さは三キュビトである。 + その四すみの上に、その一部とし、それの角を造り、青銅で祭壇をおおった。 + また祭壇のもろもろの器、すなわち、つぼ、十能、鉢、肉叉、火皿を造った。そのすべての器を青銅で造った。 + また祭壇のために、青銅の網細工の格子を造り、これを祭壇の出張りの下に取りつけて、祭壇の高さの半ばに達するようにした。 + また青銅の格子の四すみのために、環四つを鋳て、さおを通す所とした。 + アカシヤ材で、そのさおを造り、青銅でこれをおおい、 + そのさおを祭壇の両側にある環に通して、それをかつぐようにした。祭壇は板をもって、空洞に造った。 + また洗盤と、その台を青銅で造った。すなわち会見の幕屋の入口で務をなす女たちの鏡をもって造った。 + また庭を造った。その南側のために百キュビトの亜麻の撚糸の庭のあげばりを設けた。 + その柱は二十、その柱の二十の座は青銅で、その柱の鉤と桁は銀とした。 + また北側のためにも百キュビトのあげばりを設けた。その柱二十、その柱の二十の座は青銅で、その柱の鉤と桁は銀とした。 + また西側のために、五十キュビトのあげばりを設けた。その柱は十、その座も十で、その柱の鉤と桁は銀とした。 + また東側のためにも、五十キュビトのあげばりを設けた。 + その一方に十五キュビトのあげばりを設けた。その柱は三つ、その座も三つ。 + また他の一方にも、同じようにした。すなわち庭の門のこなたかなたともに、十五キュビトのあげばりを設けた。その柱は三つ、その座も三つ。 + 庭の周囲のあげばりはみな亜麻の撚糸である。 + 柱の座は青銅、柱の鉤と桁とは銀、柱の頭のおおいも銀である。庭の柱はみな銀の桁で連ねた。 + 庭の門のとばりは青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、色とりどりに織ったものであった。長さは二十キュビト、幅なる高さは五キュビトで、庭のあげばりと等しかった。 + その柱は四つ、その座も四つで、ともに青銅。その鉤は銀、柱の頭のおおいと桁は銀である。 + ただし、幕屋および、その周囲の庭の釘はみな青銅であった。 + 幕屋、すなわちあかしの幕屋に用いた物の総計は次のとおりである。すなわちモーセの命に従い、祭司アロンの子イタマルがレビびとを用いて量ったものである。 + ユダの部族に属するホルの子なるウリの子ベザレルは、主がモーセに命じられた事をことごとくした。 + ダンの部族に属するアヒサマクの子アホリアブは彼と共にあって彫刻、浮き織をなし、また青糸、紫糸、緋糸、亜麻糸で、縫取りをする者であった。 + 聖所のもろもろの工作に用いたすべての金、すなわち、ささげ物なる金は聖所のシケルで、二十九タラント七百三十シケルであった。 + 会衆のうちの数えられた者のささげた銀は聖所のシケルで、百タラント千七百七十五シケルであった。 + これはひとり当り一ベカ、すなわち聖所のシケルの半シケルであって、すべて二十歳以上で数えられた者が六十万三千五百五十人であったからである。 + 聖所の座と垂幕の座とを鋳るために用いた銀は百タラントであった。すなわち百座につき百タラント、一座につき一タラントである。 + また千七百七十五シケルで柱の鉤を造り、また柱の頭をおおい、柱のために桁を造った。 + ささげ物なる青銅は七十タラント二千四百シケルであった。 + これを用いて会見の幕屋の入口の座、青銅の祭壇と、それにつく青銅の格子、および祭壇のもろもろの器を造った。 + また庭の周囲の座、庭の門の座、および幕屋のもろもろの釘と、庭の周囲のもろもろの釘を造った。 + + + 彼らは青糸、紫糸、緋糸で、聖所の務のための編物の服を作った。またアロンのために聖なる服を作った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸でエポデを作った。 + また金を打ち延べて板とし、これを切って糸とし、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸に交えて、巧みな細工とした。 + また、これがために肩ひもを作ってこれにつけ、その両端でこれにつけた。 + エポデの上で、これをつかねる帯は、同じきれで、同じように、金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で作った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また、縞めのうを細工して、金糸の編細工にはめ、これに印を彫刻するように、イスラエルの子たちの名を刻み、 + これをエポデの肩ひもにつけて、イスラエルの子たちの記念の石とした。主がモーセに命じられたとおりである。 + また胸当を巧みなわざをもって、エポデの作りのように作った。すなわち金糸、青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で作った。 + 胸当は二つに折って四角にした。すなわち二つに折って、長さを一指当りとし、幅も一指当りとした。 + その中に宝石四列をはめた。すなわち、紅玉髄、貴かんらん石、水晶の列を第一列とし、 + 第二列は、ざくろ石、るり、赤縞めのう、 + 第三列は黄水晶、めのう、紫水晶、 + 第四列は黄碧玉、縞めのう、碧玉であって、これらを金の編細工の中にはめ込んだ。 + その宝石はイスラエルの子たちの名にしたがい、その名と等しく十二とし、おのおの印の彫刻のように、十二部族のためにその名を刻んだ。 + またひも細工にねじた純金のくさりを胸当につけた。 + また金の二つの編細工と、二つの金の環とを作り、その二つの環を胸当の両端につけた。 + かの二筋の金のひもを胸当の端の二つの環につけた。 + ただし、その二筋のひもの他の両端を、かの二つの編細工につけ、エポデの肩ひもにつけて前にくるようにした。 + また二つの金の環を作って、これを胸当の両端につけた。すなわちエポデに接する内側の縁にこれをつけた。 + また金の環二つを作って、これをエポデの二つの肩ひもの下の部分につけ、前の方で、そのつなぎ目に近く、エポデの帯の上の方にくるようにした。 + 胸当は青ひもをもって、その環をエポデの環に結びつけ、エポデの帯の上の方にくるようにした。こうして、胸当がエポデから離れないようにした。主がモーセに命じられたとおりである。 + またエポデに属する上服は、すべて青地の織物で作った。 + 上服の口はそのまん中にあって、その口の周囲には、よろいのえりのように縁をつけて、ほころびないようにした。 + 上服のすそには青糸、紫糸、緋糸、亜麻の撚糸で、ざくろを作りつけ、 + また純金で鈴を作り、その鈴を上服のすその周囲の、ざくろとざくろとの間につけた。 + すなわち鈴にざくろ、鈴にざくろと、務の上服のすその周囲につけた。主がモーセに命じられたとおりである。 + またアロンとその子たちのために、亜麻糸で織った下服を作り、 + 亜麻布で帽子を作り、亜麻布で麗しい頭布を作り、亜麻の撚糸の布で、下ばきを作り、 + 亜麻の撚糸および青糸、紫糸、緋糸で、色とりどりに織った帯を作った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また純金をもって、聖なる冠の前板を作り、印の彫刻のように、その上に「主に聖なる者」という文字を書き、 + これに青ひもをつけて、それを帽子の上に結びつけた。主がモーセに命じられたとおりである。 + こうして会見の天幕なる幕屋の、もろもろの工事が終った。イスラエルの人々はすべて主がモーセに命じられたようにおこなった。 + 彼らは幕屋と天幕およびそのもろもろの器をモーセのもとに携えてきた。すなわち、その鉤、その枠、その横木、その柱、その座、 + あかね染めの雄羊の皮のおおい、じゅごんの皮のおおい、隔ての垂幕、 + あかしの箱と、そのさお、贖罪所、 + 机と、そのもろもろの器、供えのパン、 + 純金の燭台と、そのともしび皿、すなわち列に並べるともしび皿と、そのもろもろの器、およびそのともし油、 + 金の祭壇、注ぎ油、香ばしい薫香、幕屋の入口のとばり、 + 青銅の祭壇、その青銅の格子と、そのさお、およびそのもろもろの器、洗盤とその台、 + 庭のあげばり、その柱とその座、庭の門のとばり、そのひもとその釘、また会見の天幕の幕屋に用いるもろもろの器、 + 聖所で務をなす編物の服、すなわち祭司の務をなすための祭司アロンの聖なる服およびその子たちの服。 + イスラエルの人々は、すべて主がモーセに命じられたように、そのすべての工事をした。 + モーセがそのすべての工事を見ると、彼らは主が命じられたとおりに、それをなしとげていたので、モーセは彼らを祝福した。 + + + 主はモーセに言われた。 + 「正月の元日にあなたは会見の天幕なる幕屋を建てなければならない。 + そして、その中にあかしの箱を置き、垂幕で、箱を隔て隠し、 + また、机を携え入れ、それに並べるものを並べ、燭台を携え入れて、そのともしびをともさなければならない。 + あなたはまた金の香の祭壇を、あかしの箱の前にすえ、とばりを幕屋の入口にかけなければならない。 + また燔祭の祭壇を会見の天幕なる幕屋の入口の前にすえ、 + 洗盤を会見の天幕と祭壇との間にすえて、これに水を入れなければならない。 + また周囲に庭を設け、庭の門にとばりをかけなければならない。 + そして注ぎ油をとって、幕屋とその中のすべてのものに注ぎ、それとそのもろもろの器とを聖別しなければならない、こうして、それは聖となるであろう。 + あなたはまた燔祭の祭壇と、そのすべての器に油を注いで、その祭壇を聖別しなければならない。こうして祭壇は、いと聖なるものとなるであろう。 + また洗盤と、その台とに油を注いで、これを聖別し、 + アロンとその子たちを会見の幕屋の入口に連れてきて、水で彼らを洗い、 + アロンに聖なる服を着せ、これに油を注いで聖別し、祭司の務をさせなければならない。 + また彼の子たちを連れてきて、これに服を着せ、 + その父に油を注いだように、彼らにも油を注いで、祭司の務をさせなければならない。彼らが油そそがれることは、代々ながく祭司職のためになすべきことである」。 + モーセはそのように行った。すなわち主が彼に命じられたように行った。 + 第二年の正月になって、その月の元日に幕屋は建った。 + すなわちモーセは幕屋を建て、その座をすえ、その枠を立て、その横木をさし込み、その柱を立て、 + 幕屋の上に天幕をひろげ、その上に天幕のおおいをかけた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまたあかしの板をとって箱に納め、さおを箱につけ、贖罪所を箱の上に置き、 + 箱を幕屋に携え入れ、隔ての垂幕をかけて、あかしの箱を隠した。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた会見の天幕なる幕屋の内部の北側、垂幕の外に机をすえ、 + その上にパンを列に並べて、主の前に供えた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた会見の天幕なる幕屋の内部の南側に、机にむかい合わせて燭台をすえ、 + 主の前にともしびをともした。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼は会見の幕屋の中、垂幕の前に金の祭壇をすえ、 + その上に香ばしい薫香をたいた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた幕屋の入口にとばりをかけ、 + 燔祭の祭壇を会見の天幕なる幕屋の入口にすえ、その上に燔祭と素祭をささげた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた会見の天幕と祭壇との間に洗盤を置き、洗うためにそれに水を入れた。 + モーセとアロンおよびその子たちは、それで手と足を洗った。 + すなわち会見の天幕にはいるとき、また祭壇に近づくとき、そこで洗った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また幕屋と祭壇の周囲に庭を設け、庭の門にとばりをかけた。このようにしてモーセはその工事を終えた。 + そのとき、雲は会見の天幕をおおい、主の栄光が幕屋に満ちた。 + モーセは会見の幕屋に、はいることができなかった。雲がその上にとどまり、主の栄光が幕屋に満ちていたからである。 + 雲が幕屋の上からのぼる時、イスラエルの人々は道に進んだ。彼らはその旅路において常にそうした。 + しかし、雲がのぼらない時は、そののぼる日まで道に進まなかった。 + すなわちイスラエルの家のすべての者の前に、昼は幕屋の上に主の雲があり、夜は雲の中に火があった。彼らの旅路において常にそうであった。 + +
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+ + 主はモーセを呼び、会見の幕屋からこれに告げて言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたのうちだれでも家畜の供え物を主にささげるときは、牛または羊を供え物としてささげなければならない。 + もしその供え物が牛の燔祭であるならば、雄牛の全きものをささげなければならない。会見の幕屋の入口で、主の前に受け入れられるように、これをささげなければならない。 + 彼はその燔祭の獣の頭に手を置かなければならない。そうすれば受け入れられて、彼のためにあがないとなるであろう。 + 彼は主の前でその子牛をほふり、アロンの子なる祭司たちは、その血を携えてきて、会見の幕屋の入口にある祭壇の周囲に、その血を注ぎかけなければならない。 + 彼はまたその燔祭の獣の皮をはぎ、節々に切り分かたなければならない。 + 祭司アロンの子たちは祭壇の上に火を置き、その火の上にたきぎを並べ、 + アロンの子なる祭司たちはその切り分けたものを、頭および脂肪と共に、祭壇の上にある火の上のたきぎの上に並べなければならない。 + その内臓と足とは水で洗わなければならない。こうして祭司はそのすべてを祭壇の上で焼いて燔祭としなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + もしその燔祭の供え物が群れの羊または、やぎであるならば、雄の全きものをささげなければならない。 + 彼は祭壇の北側で、主の前にこれをほふり、アロンの子なる祭司たちは、その血を祭壇の周囲に注ぎかけなければならない。 + 彼はまたこれを節々に切り分かち、祭司はこれを頭および脂肪と共に、祭壇の上にある火の上のたきぎの上に並べなければならない。 + その内臓と足とは水で洗わなければならない。こうして祭司はそのすべてを祭壇の上で焼いて燔祭としなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + もし主にささげる供え物が、鳥の燔祭であるならば、山ばと、または家ばとのひなを、その供え物としてささげなければならない。 + 祭司はこれを祭壇に携えて行き、その首を摘み破り、祭壇の上で焼かなければならない。その血は絞り出して祭壇の側面に塗らなければならない。 + またその餌袋は羽と共に除いて、祭壇の東の方にある灰捨場に捨てなければならない。 + これは、その翼を握って裂かなければならない。ただし引き離してはならない。祭司はこれを祭壇の上で、火の上のたきぎの上で燔祭として焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + + + 人が素祭の供え物を主にささげるときは、その供え物は麦粉でなければならない。その上に油を注ぎ、またその上に乳香を添え、 + これをアロンの子なる祭司たちのもとに携えて行かなければならない。祭司はその麦粉とその油の一握りを乳香の全部と共に取り、これを記念の分として、祭壇の上で焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + 素祭の残りはアロンとその子らのものになる。これは主の火祭のいと聖なる物である。 + あなたが、もし天火で焼いたものを素祭としてささげるならば、それは麦粉に油を混ぜて作った種入れぬ菓子、または油を塗った種入れぬ煎餅でなければならない。 + あなたの供え物が、もし、平鍋で焼いた素祭であるならば、それは麦粉に油を混ぜて作った種入れぬものでなければならない。 + あなたはそれを細かく砕き、その上に油を注がなければならない。これは素祭である。 + あなたの供え物が、もし深鍋で煮た素祭であるならば、麦粉に油を混ぜて作らなければならない。 + あなたはこれらの物で作った素祭を、主に携えて行かなければならない。それを祭司に渡すならば、祭司はそれを祭壇に携えて行き、 + その素祭のうちから記念の分を取って、祭壇の上で焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + 素祭の残りはアロンとその子らのものになる。これは、主の火祭のいと聖なる物である。 + あなたがたが主にささげる素祭は、すべて種を入れて作ってはならない。パン種も蜜も、すべて主にささげる火祭として焼いてはならないからである。 + ただし、初穂の供え物としては、これらを主にささげることができる。しかし香ばしいかおりとして祭壇にささげてはならない。 + あなたの素祭の供え物は、すべて塩をもって味をつけなければならない。あなたの素祭に、あなたの神の契約の塩を欠いてはならない。すべて、あなたの供え物は、塩を添えてささげなければならない。 + もしあなたが初穂の素祭を主にささげるならば、火で穂を焼いたもの、新穀の砕いたものを、あなたの初穂の素祭としてささげなければならない。 + あなたはそれに油を加え、その上に乳香を置かなければならない。これは素祭である。 + 祭司は、その砕いた物およびその油のうちから記念の分を取って、乳香の全部と共に焼かなければならない。これは主にささげる火祭である。 + + + もし彼の供え物が酬恩祭の犠牲であって、牛をささげるのであれば、雌雄いずれであっても、全きものを主の前にささげなければならない。 + 彼はその供え物の頭に手を置き、会見の幕屋の入口で、これをほふらなければならない。そしてアロンの子なる祭司たちは、その血を祭壇の周囲に注ぎかけなければならない。 + 彼はまたその酬恩祭の犠牲のうちから火祭を主にささげなければならない。すなわち内臓をおおう脂肪と、内臓の上のすべての脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、ならびに腎臓と共にとられる肝臓の上の小葉である。 + そしてアロンの子たちは祭壇の上で、火の上のたきぎの上に置いた燔祭の上で、これを焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる香ばしいかおりである。 + もし彼の供え物が主にささげる酬恩祭の犠牲で、それが羊であるならば、雌雄いずれであっても、全きものをささげなければならない。 + もし小羊を供え物としてささげるならば、それを主の前に連れてきて、 + その供え物の頭に手を置き、それを会見の幕屋の前で、ほふらなければならない。そしてアロンの子たちはその血を祭壇の周囲に注ぎかけなければならない。 + 彼はその酬恩祭の犠牲のうちから、火祭を主にささげなければならない。すなわちその脂肪、背骨に接して切り取る脂尾の全部、内臓をおおう脂肪と内臓の上のすべての脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、ならびに腎臓と共に取られる肝臓の上の小葉である。 + 祭司はこれを祭壇の上で焼かなければならない。これは火祭であって、主にささげる食物である。 + もし彼の供え物が、やぎであるならば、それを主の前に連れてきて、 + その頭に手を置き、それを会見の幕屋の前で、ほふらなければならない。そしてアロンの子たちは、その血を祭壇の周囲に注ぎかけなければならない。 + 彼はまたそのうちから供え物を取り、火祭として主にささげなければならない。すなわち内臓をおおう脂肪と内臓の上のすべての脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、ならびに腎臓と共に取られる肝臓の上の小葉である。 + 祭司はこれを祭壇の上で焼かなければならない。これは火祭としてささげる食物であって、香ばしいかおりである。脂肪はみな主に帰すべきものである。 + あなたがたは脂肪と血とをいっさい食べてはならない。これはあなたがたが、すべてその住む所で、代々守るべき永久の定めである』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『もし人があやまって罪を犯し、主のいましめにそむいて、してはならないことの一つをした時は次のようにしなければならない。 + すなわち、油注がれた祭司が罪を犯して、とがを民に及ぼすならば、彼はその犯した罪のために雄の全き子牛を罪祭として主にささげなければならない。 + その子牛を会見の幕屋の入口に連れてきて主の前に至り、その子牛の頭に手を置き、その子牛を主の前で、ほふらなければならない。 + 油注がれた祭司は、その子牛の血を取って、それを会見の幕屋に携え入り、 + そして祭司は指をその血に浸して、聖所の垂幕の前で主の前にその血を七たび注がなければならない。 + 祭司はまたその血を取り、主の前で会見の幕屋の中にある香ばしい薫香の祭壇の角に、それを塗らなければならない。その子牛の血の残りはことごとく会見の幕屋の入口にある燔祭の祭壇のもとに注がなければならない。 + またその罪祭の子牛から、すべての脂肪を取らなければならない。すなわち内臓をおおう脂肪と内臓の上のすべての脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、ならびに腎臓と共に取られる肝臓の上の小葉である。 + これを取るには酬恩祭の犠牲の雄牛から取るのと同じようにしなければならない。そして祭司はそれを燔祭の祭壇の上で焼かなければならない。 + その子牛の皮とそのすべての肉、およびその頭と足と内臓と汚物など、 + すべてその子牛の残りは、これを宿営の外の、清い場所なる灰捨場に携え出し、火をもってこれをたきぎの上で焼き捨てなければならない。すなわちこれは灰捨場で焼き捨てらるべきである。 + もしイスラエルの全会衆があやまちを犯し、そのことが会衆の目に隠れていても、主のいましめにそむいて、してはならないことの一つをなして、とがを得たならば、 + その犯した罪が現れた時、会衆は雄の子牛を罪祭としてささげなければならない。すなわちそれを会見の幕屋の前に連れてきて、 + 会衆の長老たちは、主の前でその子牛の頭に手を置き、その子牛を主の前で、ほふらなければならない。 + そして、油注がれた祭司は、その子牛の血を会見の幕屋に携え入り、 + 祭司は指をその血に浸し、垂幕の前で主の前に七たび注がなければならない。 + またその血を取って、会見の幕屋の中の主の前にある祭壇の角に、それを塗らなければならない。その血の残りはことごとく会見の幕屋の入口にある燔祭の祭壇のもとに注がなければならない。 + またそのすべての脂肪を取って祭壇の上で焼かなければならない。 + すなわち祭司は罪祭の雄牛にしたように、この雄牛にも、しなければならない。こうして、祭司が彼らのためにあがないをするならば、彼らはゆるされるであろう。 + そして、彼はその雄牛を宿営の外に携え出し、はじめの雄牛を焼き捨てたように、これを焼き捨てなければならない。これは会衆の罪祭である。 + またつかさたる者が罪を犯し、あやまって、その神、主のいましめにそむき、してはならないことの一つをして、とがを得、 + もしその犯した罪を知るようになったときは、供え物として雄やぎの全きものを連れてきて、 + そのやぎの頭に手を置き、燔祭をほふる場所で、主の前にこれをほふらなければならない。これは罪祭である。 + 祭司は指でその罪祭の血を取り、燔祭の祭壇の角にそれを塗り、残りの血は燔祭の祭壇のもとに注がなければならない。 + また、そのすべての脂肪は、酬恩祭の犠牲の脂肪と同じように、祭壇の上で焼かなければならない。こうして、祭司が彼のためにその罪のあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + また一般の人がもしあやまって罪を犯し、主のいましめにそむいて、してはならないことの一つをして、とがを得、 + その犯した罪を知るようになったときは、その犯した罪のために供え物として雌やぎの全きものを連れてきて、 + その罪祭の頭に手を置き、燔祭をほふる場所で、その罪祭をほふらなければならない。 + そして祭司は指でその血を取り、燔祭の祭壇の角にこれを塗り、残りの血をことごとく祭壇のもとに注がなければならない。 + またそのすべての脂肪は酬恩祭の犠牲から脂肪を取るのと同じように取り、これを祭壇の上で焼いて主にささげる香ばしいかおりとしなければならない。こうして祭司が彼のためにあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + もし小羊を罪祭のために供え物として連れてくるならば、雌の全きものを連れてこなければならない。 + その罪祭の頭に手を置き、燔祭をほふる場所で、これをほふり、罪祭としなければならない。 + そして祭司は指でその罪祭の血を取り、燔祭の祭壇の角にそれを塗り、残りの血はことごとく祭壇のもとに注がなければならない。 + またそのすべての脂肪は酬恩祭の犠牲から小羊の脂肪を取るのと同じように取り、祭司はこれを主にささげる火祭のように祭壇の上で焼かなければならない。こうして祭司が彼の犯した罪のためにあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + + + もし人が証人に立ち、誓いの声を聞きながら、その見たこと、知っていることを言わないで、罪を犯すならば、彼はそのとがを負わなければならない。 + また、もし人が汚れた野獣の死体、汚れた家畜の死体、汚れた這うものの死体など、すべて汚れたものに触れるならば、そのことに気づかなくても、彼は汚れたものとなって、とがを得る。 + また、もし彼が人の汚れに触れるならば、その人の汚れが、どのような汚れであれ、それに気づかなくても、彼がこれを知るようになった時は、とがを得る。 + また、もし人がみだりにくちびるで誓い、悪をなそう、または善をなそうと言うならば、その人が誓ってみだりに言ったことは、それがどんなことであれ、それに気づかなくても、彼がこれを知るようになった時は、これらの一つについて、とがを得る。 + もしこれらの一つについて、とがを得たときは、その罪を犯したことを告白し、 + その犯した罪のために償いとして、雌の家畜、すなわち雌の小羊または雌やぎを主のもとに連れてきて、罪祭としなければならない。こうして祭司は彼のために罪のあがないをするであろう。 + もし小羊に手のとどかない時は、山ばと二羽か、家ばとのひな二羽かを、彼が犯した罪のために償いとして主に携えてきて、一羽を罪祭に、一羽を燔祭にしなければならない。 + すなわち、これらを祭司に携えてきて、祭司はその罪祭のものを先にささげなければならない。すなわち、その頭を首の根のところで、摘み破らなければならない。ただし、切り離してはならない。 + そしてその罪祭の血を祭壇の側面に注ぎ、残りの血は祭壇のもとに絞り出さなければならない。これは罪祭である。 + また第二のものは、定めにしたがって燔祭としなければならない。こうして、祭司が彼のためにその犯した罪のあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + もし二羽の山ばとにも、二羽の家ばとのひなにも、手の届かないときは、彼の犯した罪のために、供え物として麦粉十分の一エパを携えてきて、これを罪祭としなければならない。ただし、その上に油をかけてはならない。またその上に乳香を添えてはならない。これは罪祭だからである。 + 彼はこれを祭司のもとに携えて行き、祭司は一握りを取って、記念の分とし、これを主にささげる火祭のように、祭壇の上で焼かなければならない。これは罪祭である。 + こうして、祭司が彼のため、すなわち、彼がこれらの一つを犯した罪のために、あがないをするならば、彼はゆるされるであろう。そしてその残りは素祭と同じく、祭司に帰するであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「もし人が不正をなし、あやまって主の聖なる物について罪を犯したときは、その償いとして、あなたの値積りにしたがい、聖所のシケルで、銀数シケルに当る雄羊の全きものを、群れのうちから取り、それを主に携えてきて、愆祭としなければならない。 + そしてその聖なる物について犯した罪のために償いをし、またその五分の一をこれに加えて、祭司に渡さなければならない。こうして祭司がその愆祭の雄羊をもって、彼のためにあがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + また人がもし罪を犯し、主のいましめにそむいて、してはならないことの一つをしたときは、たといそれを知らなくても、彼は罪を得、そのとがを負わなければならない。 + 彼はあなたの値積りにしたがって、雄羊の全きものを群れのうちから取り、愆祭としてこれを祭司のもとに携えてこなければならない。こうして、祭司が彼のために、すなわち彼が知らないで、しかもあやまって犯した過失のために、あがないをするならば、彼はゆるされるであろう。 + これは愆祭である。彼は確かに主の前にとがを得たからである」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「もし人が罪を犯し、主に対して不正をなしたとき、すなわち預かり物、手にした質草、またはかすめた物について、その隣人を欺き、あるいはその隣人をしえたげ、 + あるいは落し物を拾い、それについて欺き、偽って誓うなど、すべて人がそれをなして罪となることの一つについて、 + 罪を犯し、とがを得たならば、彼はそのかすめた物、しえたげて取った物、預かった物、拾った落し物、 + または偽り誓ったすべての物を返さなければならない。すなわち残りなく償い、更にその五分の一をこれに加え、彼が愆祭をささげる日に、これをその元の持ち主に渡さなければならない。 + 彼はその償いとして、あなたの値積りにしたがい、雄羊の全きものを、群れの中から取り、これを祭司のもとに携えてきて、愆祭として主にささげなければならない。 + こうして、祭司が主の前で彼のためにあがないをするならば、彼はそのいずれを行ってとがを得てもゆるされるであろう」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちに命じて言いなさい、『燔祭のおきては次のとおりである。燔祭は祭壇の炉の上に、朝まで夜もすがらあるようにし、そこに祭壇の火を燃え続かせなければならない。 + 祭司は亜麻布の服を着、亜麻布のももひきを身につけ、祭壇の上で火に焼けた燔祭の灰を取って、これを祭壇のそばに置き、 + その衣服を脱ぎ、ほかの衣服を着て、その灰を宿営の外の清い場所に携え出さなければならない。 + 祭壇の上の火は、そこに燃え続かせ、それを消してはならない。祭司は朝ごとに、たきぎをその上に燃やし、燔祭をその上に並べ、また酬恩祭の脂肪をその上で焼かなければならない。 + 火は絶えず祭壇の上に燃え続かせ、これを消してはならない。 + 素祭のおきては次のとおりである。アロンの子たちはそれを祭壇の前で主の前にささげなければならない。 + すなわち素祭の麦粉一握りとその油を、素祭の上にある全部の乳香と共に取って、祭壇の上で焼き、香ばしいかおりとし、記念の分として主にささげなければならない。 + その残りはアロンとその子たちが食べなければならない。すなわち、種を入れずに聖なる所で食べなければならない。会見の幕屋の庭でこれを食べなければならない。 + これは種を入れて焼いてはならない。わたしはこれをわたしの火祭のうちから彼らの分として与える。これは罪祭および愆祭と同様に、いと聖なるものである。 + アロンの子たちのうち、すべての男子はこれを食べることができる。これは主にささげる火祭のうちから、あなたがたが代々永久に受けるように定められた分である。すべてこれに触れるものは聖となるであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちが、アロンの油注がれる日に、主にささぐべき供え物は次のとおりである。すなわち麦粉十分の一エパを、絶えずささげる素祭とし、半ばは朝に、半ばは夕にささげなければならない。 + それは油をよく混ぜて平鍋で焼き、それを携えてきて、細かく砕いた素祭とし、香ばしいかおりとして、主にささげなければならない。 + 彼の子たちのうち、油注がれて彼についで祭司となる者は、これをささげなければならない。これは永久に主に帰する分として、全く焼きつくすべきものである。 + すべて祭司の素祭は全く焼きつくすべきものであって、これを食べてはならない」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちに言いなさい、『罪祭のおきては次のとおりである。罪祭は燔祭をほふる場所で、主の前にほふらなければならない。これはいと聖なる物である。 + 罪のためにこれをささげる祭司が、これを食べなければならない。すなわち会見の幕屋の庭の聖なる所で、これを食べなければならない。 + すべてその肉に触れる者は聖となるであろう。もしその血が衣服にかかったならば、そのかかったものは聖なる所で洗わなければならない。 + またそれを煮た土の器は砕かなければならない。もし青銅の器で煮たのであれば、それはみがいて、水で洗わなければならない。 + 祭司たちのうちのすべての男子は、これを食べることができる。これはいと聖なるものである。 + しかし、その血を会見の幕屋に携えていって、聖所であがないに用いた罪祭は食べてはならない。これは火で焼き捨てなければならない。 + + + 愆祭のおきては次のとおりである。それはいと聖なる物である。 + 愆祭は燔祭をほふる場所でほふらなければならない。そして祭司はその血を祭壇の周囲に注ぎかけ、 + そのすべての脂肪をささげなければならない。すなわち脂尾、内臓をおおう脂肪、 + 二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪、腎臓と共に取られる肝臓の上の小葉である。 + 祭司はこれを祭壇の上で焼いて、主に火祭としなければならない。これは愆祭である。 + 祭司たちのうちのすべての男子は、これを食べることができる。これは聖なる所で食べなければならない。これはいと聖なる物である。 + 罪祭も愆祭も、そのおきては一つであって、異なるところはない。これは、あがないをなす祭司に帰する。 + 人が携えてくる燔祭をささげる祭司、その祭司に、そのささげる燔祭のものの皮は帰する。 + すべて天火で焼いた素祭、またすべて深鍋または平鍋で作ったものは、これをささげる祭司に帰する。 + すべて素祭は、油を混ぜたものも、かわいたものも、アロンのすべての子たちにひとしく帰する。 + 主にささぐべき酬恩祭の犠牲のおきては次のとおりである。 + もしこれを感謝のためにささげるのであれば、油を混ぜた種入れぬ菓子と、油を塗った種入れぬ煎餅と、よく混ぜた麦粉に油を混ぜて作った菓子とを、感謝の犠牲に合わせてささげなければならない。 + また種を入れたパンの菓子をその感謝のための酬恩祭の犠牲に合わせ、供え物としてささげなければならない。 + すなわちこのすべての供え物のうちから、菓子一つずつを取って主にささげなければならない。これは酬恩祭の血を注ぎかける祭司に帰する。 + その感謝のための酬恩祭の犠牲の肉は、その供え物をささげた日のうちに食べなければならない。少しでも明くる朝まで残して置いてはならない。 + しかし、その供え物の犠牲がもし誓願の供え物、または自発の供え物であるならば、その犠牲をささげた日のうちにそれを食べ、その残りはまた明くる日に食べることができる。 + ただし、その犠牲の肉の残りは三日目には火で焼き捨てなければならない。 + もしその酬恩祭の犠牲の肉を三日目に少しでも食べるならば、それは受け入れられず、また供え物と見なされず、かえって忌むべき物となるであろう。そしてそれを食べる者はとがを負わなければならない。 + その肉がもし汚れた物に触れるならば、それを食べることなく、火で焼き捨てなければならない。犠牲の肉はすべて清い者がこれを食べることができる。 + もし人がその身に汚れがあるのに、主にささげた酬恩祭の犠牲の肉を食べるならば、その人は民のうちから断たれるであろう。 + また人がもしすべて汚れたもの、すなわち人の汚れ、あるいは汚れた獣、あるいは汚れた這うものに触れながら、主にささげた酬恩祭の犠牲の肉を食べるならば、その人は民のうちから断たれるであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたは、すべて牛、羊、やぎの脂肪を食べてはならない。 + 自然に死んだ獣の脂肪および裂き殺された獣の脂肪は、さまざまのことに使ってもよい。しかし、それは決して食べてはならない。 + だれでも火祭として主にささげる獣の脂肪を食べるならば、これを食べる人は民のうちから断たれるであろう。 + またあなたがたはすべてその住む所で、鳥にせよ、獣にせよ、すべてその血を食べてはならない。 + だれでもすべて血を食べるならば、その人は民のうちから断たれるであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『酬恩祭の犠牲を主にささげる者は、その酬恩祭の犠牲のうちから、その供え物を主に携えてこなければならない。 + 主の火祭は手ずからこれを携えてこなければならない。すなわちその脂肪と胸とを携えてきて、その胸を主の前に揺り動かして、揺祭としなければならない。 + そして祭司はその脂肪を祭壇の上で焼かなければならない。その胸はアロンとその子たちに帰する。 + あなたがたの酬恩祭の犠牲のうちから、その右のももを挙祭として、祭司に与えなければならない。 + アロンの子たちのうち、酬恩祭の血と脂肪とをささげる者は、その右のももを自分の分として、獲るであろう。 + わたしはイスラエルの人々の酬恩祭の犠牲のうちから、その揺祭の胸と挙祭のももを取って、祭司アロンとその子たちに与え、これをイスラエルの人々から永久に彼らの受くべき分とする。 + これは主の火祭のうちから、アロンの受ける分と、その子たちの受ける分とであって、祭司の職をなすため、彼らが主にささげられた日に定められたのである。 + すなわち、これは彼らに油を注ぐ日に、イスラエルの人々が彼らに与えるように、主が命じられたものであって、代々永久に受くべき分である』」。 + これは燔祭、素祭、罪祭、愆祭、任職祭、酬恩祭の犠牲のおきてである。 + すなわち、主がシナイの荒野においてイスラエルの人々にその供え物を主にささげることを命じられた日に、シナイ山でモーセに命じられたものである。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたはアロンとその子たち、およびその衣服、注ぎ油、罪祭の雄牛、雄羊二頭、種入れぬパン一かごを取り、 + また全会衆を会見の幕屋の入口に集めなさい」。 + モーセは主が命じられたようにした。そして会衆は会見の幕屋の入口に集まった。 + そこでモーセは会衆にむかって言った、「これは主があなたがたにせよと命じられたことである」。 + そしてモーセはアロンとその子たちを連れてきて、水で彼らを洗い清め、 + アロンに服を着させ、帯をしめさせ、衣をまとわせ、エポデを着けさせ、エポデの帯をしめさせ、それをもってエポデを身に結いつけ、 + また胸当を着けさせ、その胸当にウリムとトンミムを入れ、 + その頭に帽子をかぶらせ、その帽子の前に金の板、すなわち聖なる冠をつけさせた。主がモーセに命じられたとおりである。 + モーセはまた注ぎ油を取り、幕屋とそのうちのすべての物に油を注いでこれを聖別し、 + かつ、それを七たび祭壇に注ぎ、祭壇とそのもろもろの器、洗盤とその台に油を注いでこれを聖別し、 + また注ぎ油をアロンの頭に注ぎ、彼に油を注いでこれを聖別した。 + モーセはまたアロンの子たちを連れてきて、服を彼らに着させ、帯を彼らにしめさせ、頭巾を頭に巻かせた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた罪祭の雄牛を連れてこさせ、アロンとその子たちは、その罪祭の雄牛の頭に手を置いた。 + モーセはこれをほふり、その血を取り、指をもってその血を祭壇の四すみの角につけて祭壇を清め、また残りの血を祭壇のもとに注いで、これを聖別し、これがためにあがないをした。 + モーセはまたその内臓の上のすべての脂肪、肝臓の小葉、二つの腎臓とその脂肪とを取り、これを祭壇の上で焼いた。 + ただし、その雄牛の皮と肉と汚物は宿営の外で、火をもって焼き捨てた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまた燔祭の雄羊を連れてこさせ、アロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置いた。 + モーセはこれをほふって、その血を祭壇の周囲に注ぎかけた。 + そして、モーセはその雄羊を節々に切り分かち、その頭と切り分けたものと脂肪とを焼いた。 + またモーセは水でその内臓と足とを洗い、その雄羊をことごとく祭壇の上で焼いた。これは香ばしいかおりのための燔祭であって、主にささげる火祭である。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼はまたほかの雄羊、すなわち任職の雄羊を連れてこさせ、アロンとその子たちは、その雄羊の頭に手を置いた。 + モーセはこれをほふり、その血を取って、アロンの右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指とにつけた。 + またモーセはアロンの子たちを連れてきて、その血を彼らの右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指とにつけた。そしてモーセはその残りの血を、祭壇の周囲に注ぎかけた。 + 彼はまたその脂肪、すなわち脂尾、内臓の上のすべての脂肪、肝臓の小葉、二つの腎臓とその脂肪、ならびにその右のももを取り、 + また主の前にある種入れぬパンのかごから種入れぬ菓子一つと、油を入れたパンの菓子一つと、煎餅一つとを取って、かの脂肪と右のももとの上に載せ、 + これをすべてアロンの手と、その子たちの手に渡し、主の前に揺り動かさせて揺祭とした。 + そしてモーセはこれを彼らの手から取り、祭壇の上で燔祭と共に焼いた。これは香ばしいかおりとする任職の供え物であって、主にささげる火祭である。 + そしてモーセはその胸を取り、主の前にこれを揺り動かして揺祭とした。これは任職の雄羊のうちモーセに帰すべき分であった。主がモーセに命じられたとおりである。 + モーセはまた注ぎ油と祭壇の上の血とを取り、これをアロンとその服、またその子たちとその服とに注いで、アロンとその服、およびその子たちと、その服とを聖別した。 + モーセはまたアロンとその子たちに言った、「会見の幕屋の入口でその肉を煮なさい。そして任職祭のかごの中のパンと共に、それをその所で食べなさい。これは『アロンとその子たちが食べなければならない、と言え』とわたしが命じられたとおりである。 + あなたがたはその肉とパンとの残ったものを火で焼き捨てなければならない。 + あなたがたはその任職祭の終る日まで七日の間、会見の幕屋の入口から出てはならない。あなたがたの任職は七日を要するからである。 + きょう行ったように、あなたがたのために、あがないをせよ、と主はお命じになった。 + あなたがたは会見の幕屋の入口に七日の間、日夜とどまり、主の仰せを守って、死ぬことのないようにしなければならない。わたしはそのように命じられたからである」。 + アロンとその子たちは主がモーセによってお命じになったことを、ことごとく行った。 + + + 八日目になって、モーセはアロンとその子たち、およびイスラエルの長老たちを呼び寄せ、 + アロンに言った、「あなたは雄の子牛の全きものを罪祭のために取り、また雄羊の全きものを燔祭のために取って、主の前にささげなさい。 + あなたはまたイスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたは雄やぎを罪祭のために取り、また一歳の全き子牛と小羊とを燔祭のために取りなさい、 + また主の前にささげる酬恩祭のために雄牛と雄羊とを取り、また油を混ぜた素祭を取りなさい。主がきょうあなたがたに現れたもうからである』」。 + 彼らはモーセが命じたものを会見の幕屋の前に携えてきた。会衆がみな近づいて主の前に立ったので、 + モーセは言った、「これは主があなたがたに、せよと命じられたことである。こうして主の栄光はあなたがたに現れるであろう」。 + モーセはまたアロンに言った、「あなたは祭壇に近づき、あなたの罪祭と燔祭をささげて、あなたのため、また民のためにあがないをし、また民の供え物をささげて、彼らのためにあがないをし、すべて主がお命じになったようにしなさい」。 + そこでアロンは祭壇に近づき、自分のための罪祭の子牛をほふった。 + そしてアロンの子たちは、その血を彼のもとに携えてきたので、彼は指をその血に浸し、それを祭壇の角につけ、残りの血を祭壇のもとに注ぎ、 + また罪祭の脂肪と腎臓と肝臓の小葉とを祭壇の上で焼いた。主がモーセに命じられたとおりである。 + またその肉と皮とは宿営の外で火をもって焼き捨てた。 + 彼はまた燔祭の獣をほふり、アロンの子たちがその血を彼に渡したので、これを祭壇の周囲に注ぎかけた。 + 彼らがまた燔祭のもの、すなわち、その切り分けたものと頭とを彼に渡したので、彼はこれを祭壇の上で焼いた。 + またその内臓と足とを洗い、祭壇の上で燔祭と共にこれを焼いた。 + 彼はまた民の供え物をささげた。すなわち、民のための罪祭のやぎを取ってこれをほふり、前のようにこれを罪のためにささげた。 + また燔祭をささげた。すなわち、これを定めのようにささげた。 + また素祭をささげ、そのうちから一握りを取り、朝の燔祭に加えて、これを祭壇の上で焼いた。 + 彼はまた民のためにささげる酬恩祭の犠牲の雄牛と雄羊とをほふり、アロンの子たちが、その血を彼に渡したので、彼はこれを祭壇の周囲に注ぎかけた。 + またその雄牛と雄羊との脂肪、すなわち、脂尾、内臓をおおうもの、腎臓、肝臓の小葉。 + これらの脂肪を彼らはその胸の上に載せて携えてきたので、彼はその脂肪を祭壇の上で焼いた。 + その胸と右のももとは、アロンが主の前に揺り動かして揺祭とした。モーセが命じたとおりである。 + アロンは民にむかって手をあげて、彼らを祝福し、罪祭、燔祭、酬恩祭をささげ終って降りた。 + モーセとアロンは会見の幕屋に入り、また出てきて民を祝福した。そして主の栄光はすべての民に現れ、 + 主の前から火が出て、祭壇の上の燔祭と脂肪とを焼きつくした。民はみな、これを見て喜びよばわり、そしてひれ伏した。 + + + さてアロンの子ナダブとアビフとは、おのおのその香炉を取って火をこれに入れ、薫香をその上に盛って、異火を主の前にささげた。これは主の命令に反することであったので、 + 主の前から火が出て彼らを焼き滅ぼし、彼らは主の前に死んだ。 + その時モーセはアロンに言った、「主は、こう仰せられた。すなわち『わたしは、わたしに近づく者のうちに、わたしの聖なることを示し、すべての民の前に栄光を現すであろう』」。アロンは黙していた。 + モーセはアロンの叔父ウジエルの子ミシヤエルとエルザパンとを呼び寄せて彼らに言った、「近寄って、あなたがたの兄弟たちを聖所の前から、宿営の外に運び出しなさい」。 + 彼らは近寄って、彼らをその服のまま宿営の外に運び出し、モーセの言ったようにした。 + モーセはまたアロンおよびその子エレアザルとイタマルとに言った、「あなたがたは髪の毛を乱し、また衣服を裂いてはならない。あなたがたが死ぬことのないため、また主の怒りが、すべての会衆に及ぶことのないためである。ただし、あなたがたの兄弟イスラエルの全家は、主が火をもって焼き滅ぼしたもうたことを嘆いてもよい。 + また、あなたがたは死ぬことのないように、会見の幕屋の入口から外へ出てはならない。あなたがたの上に主の注ぎ油があるからである」。彼らはモーセの言葉のとおりにした。 + 主はアロンに言われた、 + 「あなたも、あなたの子たちも会見の幕屋にはいる時には、死ぬことのないように、ぶどう酒と濃い酒を飲んではならない。これはあなたがたが代々永く守るべき定めとしなければならない。 + これはあなたがたが聖なるものと俗なるもの、汚れたものと清いものとの区別をすることができるため、 + また主がモーセによって語られたすべての定めを、イスラエルの人々に教えることができるためである」。 + モーセはまたアロンおよびその残っている子エレアザルとイタマルとに言った、「あなたがたは主の火祭のうちから素祭の残りを取り、パン種を入れずに、これを祭壇のかたわらで食べなさい。これはいと聖なる物である。 + これは主の火祭のうちからあなたの受ける分、またあなたの子たちの受ける分であるから、あなたがたはこれを聖なる所で食べなければならない。わたしはこのように命じられたのである。 + また揺り動かした胸とささげたももとは、あなたとあなたのむすこ、娘たちがこれを清い所で食べなければならない。これはイスラエルの人々の酬恩祭の犠牲の中からあなたの分、あなたの子たちの分として与えられるものだからである。 + 彼らはそのささげたももと揺り動かした胸とを、火祭の脂肪と共に携えてきて、これを主の前に揺り動かして揺祭としなければならない。これは主がお命じになったように、長く受くべき分としてあなたと、あなたの子たちとに帰するであろう」。 + さてモーセは罪祭のやぎを、ていねいに捜したが、見よ、それがすでに焼かれていたので、彼は残っているアロンの子エレアザルとイタマルとにむかい、怒って言った、 + 「あなたがたは、なぜ罪祭のものを聖なる所で食べなかったのか。これはいと聖なる物であって、あなたがたが会衆の罪を負って、彼らのために主の前にあがないをするため、あなたがたに賜わった物である。 + 見よ、その血は聖所の中に携え入れなかった。その肉はわたしが命じたように、あなたがたは必ずそれを聖なる所で食べるべきであった」。 + アロンはモーセに言った、「見よ、きょう、彼らはその罪祭と燔祭とを主の前にささげたが、このような事がわたしに臨んだ。もしわたしが、きょう罪祭のものを食べたとしたら、主はこれを良しとせられたであろうか」。 + モーセはこれを聞いて良しとした。 + + + 主はまたモーセとアロンに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『地にあるすべての獣のうち、あなたがたの食べることができる動物は次のとおりである。 + 獣のうち、すべてひずめの分かれたもの、すなわち、ひずめの全く切れたもの、反芻するものは、これを食べることができる。 + ただし、反芻するもの、またはひずめの分かれたもののうち、次のものは食べてはならない。すなわち、らくだ、これは、反芻するけれども、ひずめが分かれていないから、あなたがたには汚れたものである。 + 岩たぬき、これは、反芻するけれども、ひずめが分かれていないから、あなたがたには汚れたものである。 + 野うさぎ、これは、反芻するけれども、ひずめが分かれていないから、あなたがたには汚れたものである。 + 豚、これは、ひずめが分かれており、ひずめが全く切れているけれども、反芻することをしないから、あなたがたには汚れたものである。 + あなたがたは、これらのものの肉を食べてはならない。またその死体に触れてはならない。これらは、あなたがたには汚れたものである。 + 水の中にいるすべてのもののうち、あなたがたの食べることができるものは次のとおりである。すなわち、海でも、川でも、すべて水の中にいるもので、ひれと、うろこのあるものは、これを食べることができる。 + すべて水に群がるもの、またすべての水の中にいる生き物のうち、すなわち、すべて海、また川にいて、ひれとうろこのないものは、あなたがたに忌むべきものである。 + これらはあなたがたに忌むべきものであるから、あなたがたはその肉を食べてはならない。またその死体は忌むべきものとしなければならない。 + すべて水の中にいて、ひれも、うろこもないものは、あなたがたに忌むべきものである。 + 鳥のうち、次のものは、あなたがたに忌むべきものとして、食べてはならない。それらは忌むべきものである。すなわち、はげわし、ひげはげわし、みさご、 + とび、はやぶさの類、 + もろもろのからすの類、 + だちょう、よたか、かもめ、たかの類、 + ふくろう、う、みみずく、 + むらさきばん、ペリカン、はげたか、 + こうのとり、さぎの類、やつがしら、こうもり。 + また羽があって四つの足で歩くすべての這うものは、あなたがたに忌むべきものである。 + ただし、羽があって四つの足で歩くすべての這うもののうち、その足のうえに、跳ね足があり、それで地の上をはねるものは食べることができる。 + すなわち、そのうち次のものは食べることができる。移住いなごの類、遍歴いなごの類、大いなごの類、小いなごの類である。 + しかし、羽があって四つの足で歩く、そのほかのすべての這うものは、あなたがたに忌むべきものである。 + あなたがたは次の場合に汚れたものとなる。すなわち、すべてこれらのものの死体に触れる者は夕まで汚れる。 + すべてこれらのものの死体を運ぶ者は、その衣服を洗わなければならない。彼は夕まで汚れる。 + すべて、ひずめの分かれた獣で、その切れ目の切れていないもの、また、反芻することをしないものは、あなたがたに汚れたものである。すべて、これに触れる者は汚れる。 + すべて四つの足で歩く獣のうち、その足の裏のふくらみで歩くものは皆あなたがたに汚れたものである。すべてその死体に触れる者は夕まで汚れる。 + その死体を運ぶ者は、その衣服を洗わなければならない。彼は夕まで汚れる。これは、あなたがたに汚れたものである。 + 地にはう這うもののうち、次のものはあなたがたに汚れたものである。すなわち、もぐらねずみ、とびねずみ、とげ尾とかげの類、 + やもり、大とかげ、とかげ、すなとかげ、カメレオン。 + もろもろの這うもののうち、これらはあなたがたに汚れたものである。すべてそれらのものが死んで、それに触れる者は夕まで汚れる。 + またそれらのものが死んで、それが落ちかかった物はすべて汚れる。木の器であれ、衣服であれ、皮であれ、袋であれ、およそ仕事に使う器はそれを水に入れなければならない。それは夕まで汚れているが、そののち清くなる。 + またそれらのものが、土の器の中に落ちたならば、その中にあるものは皆汚れる。あなたがたはその器をこわさなければならない。 + またすべてその中にある食物で、水分のあるものは汚れる。またすべてそのような器の中にある飲み物も皆汚れる。 + またそれらのものの死体が落ちかかったならば、その物はすべて汚れる。天火であれ、かまどであれ、それをこわさなければならない。これらは汚れたもので、あなたがたに汚れたものとなる。 + ただし、泉、あるいは水の集まった水たまりは汚れない。しかし、その死体に触れる者は汚れる。 + それらのものの死体が、まく種の上に落ちても、それは汚れない。 + ただし、種の上に水がかかっていて、その上にそれらのものの死体が、落ちるならば、それはあなたがたに汚れたものとなる。 + あなたがたの食べる獣が死んだ時、その死体に触れる者は夕まで汚れる。 + その死体を食べる者は、その衣服を洗わなければならない。夕まで汚れる。その死体を運ぶ者も、その衣服を洗わなければならない。夕まで汚れる。 + すべて地にはう這うものは忌むべきものである。これを食べてはならない。 + すべて腹ばい行くもの、四つ足で歩くもの、あるいは多くの足をもつもの、すなわち、すべて地にはう這うものは、あなたがたはこれを食べてはならない。それらは忌むべきものだからである。 + あなたがたはすべて這うものによって、あなたがたの身を忌むべきものとしてはならない。また、これをもって身を汚し、あるいはこれによって汚されてはならない。 + わたしはあなたがたの神、主であるから、あなたがたはおのれを聖別し、聖なる者とならなければならない。わたしは聖なる者である。地にはう這うものによって、あなたがたの身を汚してはならない。 + わたしはあなたがたの神となるため、あなたがたをエジプトの国から導き上った主である。わたしは聖なる者であるから、あなたがたは聖なる者とならなければならない』」。 + これは獣と鳥と、水の中に動くすべての生き物と、地に這うすべてのものに関するおきてであって、 + 汚れたものと清いもの、食べられる生き物と、食べられない生き物とを区別するものである。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『女がもし身ごもって男の子を産めば、七日のあいだ汚れる。すなわち、月のさわりの日かずほど汚れるであろう。 + 八日目にはその子の前の皮に割礼を施さなければならない。 + その女はなお、血の清めに三十三日を経なければならない。その清めの日の満ちるまでは、聖なる物に触れてはならない。また聖なる所にはいってはならない。 + もし女の子を産めば、二週間、月のさわりと同じように汚れる。その女はなお、血の清めに六十六日を経なければならない。 + 男の子または女の子についての清めの日が満ちるとき、女は燔祭のために一歳の小羊、罪祭のために家ばとのひな、あるいは山ばとを、会見の幕屋の入口の、祭司のもとに、携えてこなければならない。 + 祭司はこれを主の前にささげて、その女のために、あがないをしなければならない。こうして女はその出血の汚れが清まるであろう。これは男の子または女の子を産んだ女のためのおきてである。 + もしその女が小羊に手の届かないときは、山ばと二羽か、家ばとのひな二羽かを取って、一つを燔祭、一つを罪祭とし、祭司はその女のために、あがないをしなければならない。こうして女は清まるであろう』」。 + + + 主はまたモーセとアロンに言われた、 + 「人がその身の皮に腫、あるいは吹出物、あるいは光る所ができ、これがその身の皮にらい病の患部のようになるならば、その人を祭司アロンまたは、祭司なるアロンの子たちのひとりのもとに、連れて行かなければならない。 + 祭司はその身の皮の患部を見、その患部の毛がもし白く変り、かつ患部が、その身の皮よりも深く見えるならば、それはらい病の患部である。祭司は彼を見て、これを汚れた者としなければならない。 + もしまたその身の皮の光る所が白くて、皮よりも深く見えず、また毛も白く変っていないならば、祭司はその患者を七日のあいだ留め置かなければならない。 + 七日目に祭司はこれを見て、もし患部の様子に変りがなく、また患部が皮に広がっていないならば、祭司はその人をさらに七日のあいだ留め置かなければならない。 + 七日目に祭司は再びその人を見て、患部がもし薄らぎ、また患部が皮に広がっていないならば、祭司はこれを清い者としなければならない。これは吹出物である。その人は衣服を洗わなければならない。そして清くなるであろう。 + しかし、その人が祭司に見せて清い者とされた後に、その吹出物が皮に広くひろがるならば、再び祭司にその身を見せなければならない。 + 祭司はこれを見て、その吹出物が皮に広がっているならば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。これはらい病である。 + もし人にらい病の患部があるならば、その人を祭司のもとに連れて行かなければならない。 + 祭司がこれを見て、その皮に白い腫があり、その毛も白く変り、かつその腫に生きた生肉が見えるならば、 + これは古いらい病がその身の皮にあるのであるから、祭司はその人を汚れた者としなければならない。その人は汚れた者であるから、これを留め置くに及ばない。 + もしらい病が広く皮に出て、そのらい病が、その患者の皮を頭から足まで、ことごとくおおい、祭司の見るところすべてに及んでおれば、 + 祭司はこれを見、もしらい病がその身をことごとくおおっておれば、その患者を清い者としなければならない。それはことごとく白く変ったから、彼は清い者である。 + しかし、もし生肉がその人に現れておれば、汚れた者である。 + 祭司はその生肉を見て、その人を汚れた者としなければならない。生肉は汚れたものであって、それはらい病である。 + もしまたその生肉が再び白く変るならば、その人は祭司のもとに行かなければならない。 + 祭司はその人を見て、もしその患部が白く変っておれば、祭司はその患者を清い者としなければならない。その人は清い者である。 + また身の皮に腫物があったが、直って、 + その腫物の場所に白い腫、または赤みをおびた白い光る所があれば、これを祭司に見せなければならない。 + 祭司はこれを見て、もし皮よりも低く見え、その毛が白く変っていれば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。それは腫物に起ったらい病の患部だからである。 + しかし、祭司がこれを見て、もしその所に白い毛がなく、また皮よりも低い所がなく、かえって薄らいでいるならば、祭司はその人を七日のあいだ留め置かなければならない。 + そしてもし皮に広くひろがっているならば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。それは患部だからである。 + しかし、その光る所がもしその所にとどまって広がらなければ、それは腫物の跡である。祭司はその人を清い者としなければならない。 + また身の皮にやけどがあって、そのやけどの生きた肉がもし赤みをおびた白、または、ただ白くて光る所となるならば、 + 祭司はこれを見なければならない。そしてもし、その光る所にある毛が白く変って、そこが皮よりも深く見えるならば、これはやけどに生じたらい病である。祭司はその人を汚れた者としなければならない。これはらい病の患部だからである。 + けれども祭司がこれを見て、その光る所に白い毛がなく、また皮よりも低い所がなく、かえって薄らいでいるならば、祭司はその人を七日のあいだ留め置き、 + 七日目に祭司は彼を見なければならない。もし皮に広くひろがっているならば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。これはらい病の患部だからである。 + もしその光る所が、その所にとどまって、皮に広がらずに、かえって薄らいでいるならば、これはやけどの腫である。祭司はその人を清い者としなければならない。これはやけどの跡だからである。 + 男あるいは女がもし、頭またはあごに患部が生じたならば、 + 祭司はその患部を見なければならない。もしそれが皮よりも深く見え、またそこに黄色の細い毛があるならば、祭司はその人を汚れた者としなければならない。それはかいせんであって、頭またはあごのらい病だからである。 + また祭司がそのかいせんの患部を見て、もしそれが皮よりも深く見えず、またそこに黒い毛がないならば、祭司はそのかいせんの患者を七日のあいだ留め置き、 + 七日目に祭司はその患部を見なければならない。そのかいせんがもし広がらず、またそこに黄色の毛がなく、そのかいせんが皮よりも深く見えないならば、 + その人は身をそらなければならない。ただし、そのかいせんをそってはならない。祭司はそのかいせんのある者をさらに七日のあいだ留め置き、 + 七日目に祭司はそのかいせんを見なければならない。もしそのかいせんが皮に広がらず、またそれが皮よりも深く見えないならば、祭司はその人を清い者としなければならない。その人はまたその衣服を洗わなければならない。そして清くなるであろう。 + しかし、もし彼が清い者とされた後に、そのかいせんが、皮に広くひろがるならば、 + 祭司はその人を見なければならない。もしそのかいせんが皮に広がっているならば、祭司は黄色の毛を捜すまでもなく、その人は汚れた者である。 + しかし、もしそのかいせんの様子に変りなく、そこに黒い毛が生じているならば、そのかいせんは直ったので、その人は清い。祭司はその人を清い者としなければならない。 + また男あるいは女がもし、その身の皮に光る所、すなわち白い光る所があるならば、 + 祭司はこれを見なければならない。もしその身の皮の光る所が、鈍い白であるならば、これはただ白せんがその皮に生じたのであって、その人は清い。 + 人がもしその頭から毛が抜け落ちても、それがはげならば清い。 + もしその額の毛が抜け落ちても、それが額のはげならば清い。 + けれども、もしそのはげ頭または、はげ額に赤みをおびた白い患部があるならば、それはそのはげ頭または、はげ額にらい病が発したのである。 + 祭司はこれを見なければならない。もしそのはげ頭または、はげ額の患部の腫が白く赤みをおびて、身の皮にらい病があらわれているならば、 + その人はらい病に冒された者であって、汚れた者である。祭司はその人を確かに汚れた者としなければならない。患部が頭にあるからである。 + 患部のあるらい病人は、その衣服を裂き、その頭を現し、その口ひげをおおって『汚れた者、汚れた者』と呼ばわらなければならない。 + その患部が身にある日の間は汚れた者としなければならない。その人は汚れた者であるから、離れて住まなければならない。すなわち、そのすまいは宿営の外でなければならない。 + また衣服にらい病の患部が生じた時は、それが羊毛の衣服であれ、亜麻の衣服であれ、 + あるいは亜麻または羊毛の縦糸であれ、横糸であれ、あるいは皮であれ、皮で作ったどのような物であれ、 + もしその衣服あるいは皮、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいは皮で作ったどのような物であれ、その患部が青みをおびているか、あるいは赤みをおびているならば、これはらい病の患部である。これを祭司に見せなければならない。 + 祭司はその患部を見て、その患部のある物を七日のあいだ留め置き、 + 七日目に患部を見て、もしその衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいは皮、またどのように用いられている皮であれ、患部が広がっているならば、その患部は悪性のらい病であって、それは汚れた物である。 + 彼はその患部のある衣服、あるいは羊毛、または亜麻の縦糸、または横糸、あるいはすべて皮で作った物を焼かなければならない。これは悪性のらい病であるから、その物を火で焼かなければならない。 + しかし、祭司がこれを見て、もし患部がその衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいはすべて皮で作った物に広がっていないならば、 + 祭司は命じて、その患部のある物を洗わせ、さらに七日の間これを留め置かなければならない。 + そしてその患部を洗った後、祭司はそれを見て、もし患部の色が変らなければ、患部が広がらなくても、それは汚れた物である。それが表にあっても裏にあっても腐れであるから、それを火で焼かなければならない。 + しかし、祭司がこれを見て、それを洗った後に、その患部が薄らいだならば、その衣服、あるいは皮、あるいは縦糸、あるいは横糸から、それを切り取らなければならない。 + しかし、なおその衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいはすべて皮で作った物にそれが現れれば、それは再発したのである。その患部のある物を火で焼かなければならない。 + また洗った衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいはすべて皮で作った物から、患部が消え去るならば、再びそれを洗わなければならない。そうすれば清くなるであろう」。 + これは羊毛または亜麻の衣服、あるいは縦糸、あるいは横糸、あるいはすべて皮で作った物に生じるらい病の患部について、それを清い物とし、または汚れた物とするためのおきてである。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「らい病人が清い者とされる時のおきては次のとおりである。すなわち、その人を祭司のもとに連れて行き、 + 祭司は宿営の外に出て行って、その人を見、もしらい病の患部がいえているならば、 + 祭司は命じてその清められる者のために、生きている清い小鳥二羽と、香柏の木と、緋の糸と、ヒソプとを取ってこさせ、 + 祭司はまた命じて、その小鳥の一羽を、流れ水を盛った土の器の上で殺させ、 + そして生きている小鳥を、香柏の木と、緋の糸と、ヒソプと共に取って、これをかの流れ水を盛った土の器の上で殺した小鳥の血に、その生きている小鳥と共に浸し、 + これをらい病から清められる者に七たび注いで、その人を清い者とし、その生きている小鳥は野に放たなければならない。 + 清められる者はその衣服を洗い、毛をことごとくそり落し、水に身をすすいで清くなり、その後、宿営にはいることができる。ただし七日の間はその天幕の外にいなければならない。 + そして七日目に毛をことごとくそらなければならい。頭の毛も、ひげも、まゆも、ことごとくそらなければならない。彼はその衣服を洗い、水に身をすすいで清くなるであろう。 + 八日目にその人は雄の小羊の全きもの二頭と、一歳の雌の小羊の全きもの一頭とを取り、また麦粉十分の三エパに油を混ぜた素祭と、油一ログとを取らなければならない。 + 清めをなす祭司は、清められる人とこれらの物とを、会見の幕屋の入口で主の前に置き、 + 祭司は、かの雄の小羊一頭を取って、これを一ログの油と共に愆祭としてささげ、またこれを主の前に揺り動かして揺祭としなければならない。 + この雄の小羊は罪祭および燔祭をほふる場所、すなわち聖なる所で、これをほふらなければならない。愆祭は罪祭と同じく、祭司に帰するものであって、いと聖なる物である。 + そして祭司はその愆祭の血を取り、これを清められる者の右の耳たぶと、右の手の親指と、右の足の親指とにつけなければならない。 + 祭司はまた一ログの油を取って、これを自分の左の手のひらに注ぎ、 + そして祭司は右の指を左の手のひらにある油に浸し、その指をもって、その油を七たび主の前に注がなければならない。 + 祭司は手のひらにある油の残りを、清められる者の右の耳たぶと、右の手の親指と、右の足の親指とに、さきにつけた愆祭の血の上につけなければならない。 + そして祭司は手のひらになお残っている油を、清められる者の頭につけ、主の前で、その人のためにあがないをしなければならない。 + また祭司は罪祭をささげて、汚れのゆえに、清められねばならぬ者のためにあがないをし、その後、燔祭のものをほふらなければならない。 + そして祭司は燔祭と素祭とを祭壇の上にささげ、その人のために、あがないをしなければならない。こうしてその人は清くなるであろう。 + その人がもし貧しくて、それに手の届かない時は、自分のあがないのために揺り動かす愆祭として、雄の小羊一頭を取り、また素祭として油を混ぜた麦粉十分の一エパと、油一ログとを取り、 + さらにその手の届く山ばと二羽、または家ばとのひな二羽を取らなければならない。その一つは罪祭のため、他の一つは燔祭のためである。 + そして八日目に、その清めのために会見の幕屋の入口におる祭司のもと、主の前にこれを携えて行かなければならない。 + 祭司はその愆祭の雄の小羊と、一ログの油とを取り、これを主の前に揺り動かして揺祭としなければならない。 + そして祭司は愆祭の雄の小羊をほふり、その愆祭の血を取って、これを清められる者の右の耳たぶと、右の手の親指と、右の足の親指とにつけなければならない。 + また祭司はその油を自分の左の手のひらに注ぎ、 + 祭司はその右の指をもって、左の手のひらにある油を、七たび主の前に注がなければならない。 + また祭司はその手のひらにある油を、清められる者の右の耳たぶと、右の手の親指と、右の足の親指とに、すなわち、愆祭の血をつけたところにつけなければならない。 + また祭司は手のひらに残っている油を、清められる者の頭につけ、主の前で、その人のために、あがないをしなければならない。 + その人はその手の届く山ばと一羽、または家ばとのひな一羽をささげなければならない。 + すなわち、その手の届くものの一つを罪祭とし、他の一つを燔祭として素祭と共にささげなければならない。こうして祭司は清められる者のために、主の前にあがないをするであろう。 + これはらい病の患者で、その清めに必要なものに、手の届かない者のためのおきてである」。 + 主はまたモーセとアロンに言われた、 + 「あなたがたに所有として与えるカナンの地に、あなたがたがはいる時、その所有の地において、家にわたしがらい病の患部を生じさせることがあれば、 + その家の持ち主はきて、祭司に告げ、『患部のようなものが、わたしの家にあります』と言わなければならない。 + 祭司は命じて、祭司がその患部を見に行く前に、その家をあけさせ、その家にあるすべての物が汚されないようにし、その後、祭司は、はいってその家を見なければならない。 + その患部を見て、もしその患部が家の壁にあって、青または赤のくぼみをもち、それが壁よりも低く見えるならば、 + 祭司はその家を出て、家の入口にいたり、七日の間その家を閉鎖しなければならない。 + 祭司は七日目に、またきてそれを見、その患部がもし家の壁に広がっているならば、 + 祭司は命じて、その患部のある石を取り出し、町の外の汚れた物を捨てる場所に捨てさせ、 + またその家の内側のまわりを削らせ、その削ったしっくいを町の外の汚れた物を捨てる場所に捨てさせ、 + ほかの石を取って、元の石のところに入れさせ、またほかのしっくいを取って、家を塗らせなければならない。 + このように石を取り出し、家を削り、塗りかえた後に、その患部がもし再び家に出るならば、 + 祭司はまたきて見なければならない。患部がもし家に広がっているならば、これは家にある悪性のらい病であって、これは汚れた物である。 + その家は、こぼち、その石、その木、その家のしっくいは、ことごとく町の外の汚れた物を捨てる場所に運び出さなければならない。 + その家が閉鎖されている日の間に、これにはいる者は夕まで汚れるであろう。 + その家に寝る者はその衣服を洗わなければならない。その家で食する者も、その衣服を洗わなければならない。 + しかし、祭司がはいって見て、もし家を塗りかえた後に、その患部が家に広がっていなければ、これはその患部がいえたのであるから、祭司はその家を清いものとしなければならない。 + また彼はその家を清めるために、小鳥二羽と、香柏の木と、緋の糸と、ヒソプとを取り、 + その小鳥の一羽を流れ水を盛った土の器の上で殺し、 + 香柏の木と、ヒソプと、緋の糸と、生きている小鳥とを取って、その殺した小鳥の血と流れ水に浸し、これを七たび家に注がなければならない。 + こうして祭司は小鳥の血と流れ水と、生きている小鳥と、香柏の木と、ヒソプと、緋の糸とをもって家を清め、 + その生きている小鳥は町の外の野に放して、その家のために、あがないをしなければならない。こうして、それは清くなるであろう」。 + これはらい病のすべての患部、かいせん、 + および衣服と家のらい病、 + ならびに腫と、吹出物と、光る所とに関するおきてであって、 + いつそれが汚れているか、いつそれが清いかを教えるものである。これがらい病に関するおきてである。 + + + 主はまた、モーセとアロンに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『だれでもその肉に流出があれば、その流出は汚れである。 + その流出による汚れは次のとおりである。すなわち、その肉の流出が続いていても、あるいは、その肉の流出が止まっていても、共に汚れである。 + 流出ある者の寝た床はすべて汚れる。またその人のすわった物はすべて汚れるであろう。 + その床に触れる者は、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者のすわった物の上にすわる者は、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者の肉に触れる者は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者のつばきが、清い者にかかったならば、その人は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者の乗った鞍はすべて汚れる。 + また彼の下になった物に触れる者は、すべて夕まで汚れるであろう。またそれらの物を運ぶ者は、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者が、水で手を洗わずに人に触れるならば、その人は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + 流出ある者が触れた土の器は砕かなければならない。木の器はすべて水で洗わなければならない。 + 流出ある者の流出がやんで清くなるならば、清めのために七日を数え、その衣服を洗い、流れ水に身をすすがなければならない。そうして清くなるであろう。 + 八日目に、山ばと二羽、または家ばとのひな二羽を取って、会見の幕屋の入口に行き、主の前に出て、それを祭司に渡さなければならない。 + 祭司はその一つを罪祭とし、他の一つを燔祭としてささげなければならない。こうして祭司はその人のため、その流出のために主の前に、あがないをするであろう。 + 人がもし精を漏らすことがあれば、その全身を水にすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + すべて精のついた衣服および皮で作った物は水で洗わなければならない。これは夕まで汚れるであろう。 + 男がもし女と寝て精を漏らすことがあれば、彼らは共に水に身をすすがなければならない。彼らは夕まで汚れるであろう。 + また女に流出があって、その身の流出がもし血であるならば、その女は七日のあいだ不浄である。すべてその女に触れる者は夕まで汚れるであろう。 + その不浄の間に、その女の寝た物はすべて汚れる。またその女のすわった物も、すべて汚れるであろう。 + すべてその女の床に触れる者は、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + すべてその女のすわった物に触れる者は皆その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + またその女が床の上、またはすわる物の上におる時、それに触れるならば、その人は夕まで汚れるであろう。 + 男がもし、その女と寝て、その不浄を身にうけるならば、彼は七日のあいだ汚れるであろう。また彼の寝た床はすべて汚れるであろう。 + 女にもし、その不浄の時のほかに、多くの日にわたって血の流出があるか、あるいはその不浄の時を越して流出があれば、その汚れの流出の日の間は、すべてその不浄の時と同じように、その女は汚れた者である。 + その流出の日の間に、その女の寝た床は、すべてその女の不浄の時の床と同じようになる。すべてその女のすわった物は、不浄の汚れのように汚れるであろう。 + すべてこれらの物に触れる人は汚れる。その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れるであろう。 + しかし、その女の流出がやんで、清くなるならば、自分のために、なお七日を数えなければならない。そして後、清くなるであろう。 + その女は八日目に山ばと二羽、または家ばとのひな二羽を自分のために取り、それを会見の幕屋の入口におる祭司のもとに携えて行かなければならない。 + 祭司はその一つを罪祭とし、他の一つを燔祭としてささげなければならない。こうして祭司はその女のため、その汚れの流出のために主の前に、あがないをするであろう。 + このようにしてあなたがたは、イスラエルの人々を汚れから離さなければならない。これは彼らのうちにあるわたしの幕屋を彼らが汚し、その汚れのために死ぬことのないためである』」。 + これは流出ある者、精を漏らして汚れる者、 + 不浄をわずらう女、ならびに男あるいは女の流出ある者、および不浄の女と寝る者に関するおきてである。 + + + アロンのふたりの子が、主の前に近づいて死んだ後、 + 主はモーセに言われた、「あなたの兄弟アロンに告げて、彼が時をわかたず、垂幕の内なる聖所に入り、箱の上なる贖罪所の前に行かぬようにさせなさい。彼が死を免れるためである。なぜなら、わたしは雲の中にあって贖罪所の上に現れるからである。 + アロンが聖所に、はいるには、次のようにしなければならない。すなわち雄の子牛を罪祭のために取り、雄羊を燔祭のために取り、 + 聖なる亜麻布の服を着、亜麻布のももひきをその身にまとい、亜麻布の帯をしめ、亜麻布の帽子をかぶらなければならない。これらは聖なる衣服である。彼は水に身をすすいで、これを着なければならない。 + またイスラエルの人々の会衆から雄やぎ二頭を罪祭のために取り、雄羊一頭を燔祭のために取らなければならない。 + そしてアロンは自分のための罪祭の雄牛をささげて、自分と自分の家族のために、あがないをしなければならない。 + アロンはまた二頭のやぎを取り、それを会見の幕屋の入口で主の前に立たせ、 + その二頭のやぎのために、くじを引かなければならない。すなわち一つのくじは主のため、一つのくじはアザゼルのためである。 + そしてアロンは主のためのくじに当ったやぎをささげて、これを罪祭としなければならない。 + しかし、アザゼルのためのくじに当ったやぎは、主の前に生かしておき、これをもって、あがないをなし、これをアザゼルのために、荒野に送らなければならない。 + すなわち、アロンは自分のための罪祭の雄牛をささげて、自分と自分の家族のために、あがないをしなければならない。彼は自分のための罪祭の雄牛をほふり、 + 主の前の祭壇から炭火を満たした香炉と、細かくひいた香ばしい薫香を両手いっぱい取って、これを垂幕の内に携え入り、 + 主の前で薫香をその火にくべ、薫香の雲に、あかしの箱の上なる贖罪所をおおわせなければならない。こうして、彼は死を免れるであろう。 + 彼はまたその雄牛の血を取り、指をもってこれを贖罪所の東の面に注ぎ、また指をもってその血を贖罪所の前に、七たび注がなければならない。 + また民のための罪祭のやぎをほふり、その血を垂幕の内に携え入り、その血をかの雄牛の血のように、贖罪所の上と、贖罪所の前に注ぎ、 + イスラエルの人々の汚れと、そのとが、すなわち、彼らのもろもろの罪のゆえに、聖所のためにあがないをしなければならない。また彼らの汚れのうちに、彼らと共にある会見の幕屋のためにも、そのようにしなければならない。 + 彼が聖所であがないをするために、はいった時は、自分と自分の家族と、イスラエルの全会衆とのために、あがないをなし終えて出るまで、だれも会見の幕屋の内にいてはならない。 + そして彼は主の前の祭壇のもとに出てきて、これがために、あがないをしなければならない、すなわち、かの雄牛の血と、やぎの血とを取って祭壇の四すみの角につけ、 + また指をもって七たびその血をその上に注ぎ、イスラエルの人々の汚れを除いてこれを清くし、聖別しなければならない。 + こうして聖所と会見の幕屋と祭壇とのために、あがないをなし終えたとき、かの生きているやぎを引いてこなければならない。 + そしてアロンは、その生きているやぎの頭に両手をおき、イスラエルの人々のもろもろの悪と、もろもろのとが、すなわち、彼らのもろもろの罪をその上に告白して、これをやぎの頭にのせ、定めておいた人の手によって、これを荒野に送らなければならない。 + こうしてやぎは彼らのもろもろの悪をになって、人里離れた地に行くであろう。すなわち、そのやぎを荒野に送らなければならない。 + そして、アロンは会見の幕屋に入り、聖所に入る時に着た亜麻布の衣服を脱いで、そこに置き、 + 聖なる所で水に身をすすぎ、他の衣服を着、出てきて、自分の燔祭と民の燔祭とをささげて、自分のため、また民のために、あがないをしなければならない。 + また罪祭の脂肪を祭壇の上で焼かなければならない。 + かのやぎをアザゼルに送った者は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。その後、宿営に入ることができる。 + 聖所で、あがないをするために、その血を携え入れられた罪祭の雄牛と、罪祭のやぎとは、宿営の外に携え出し、その皮と肉と汚物とは、火で焼き捨てなければならない。 + これを焼く者は衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。その後、宿営に入ることができる。 + これはあなたがたが永久に守るべき定めである。すなわち、七月になって、その月の十日に、あなたがたは身を悩まし、何の仕事もしてはならない。この国に生れた者も、あなたがたのうちに宿っている寄留者も、そうしなければならない。 + この日にあなたがたのため、あなたがたを清めるために、あがないがなされ、あなたがたは主の前に、もろもろの罪が清められるからである。 + これはあなたがたの全き休みの安息日であって、あなたがたは身を悩まさなければならない。これは永久に守るべき定めである。 + 油を注がれ、父に代って祭司の職に任じられる祭司は、亜麻布の衣服、すなわち、聖なる衣服を着て、あがないをしなければならない。 + 彼は至聖所のために、あがないをなし、また会見の幕屋のためと、祭壇のために、あがないをなし、また祭司たちのためと、民の全会衆のために、あがないをしなければならない。 + これはあなたがたの永久に守るべき定めであって、イスラエルの人々のもろもろの罪のために、年に一度あがないをするものである」。彼は主がモーセに命じられたとおりにおこなった。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たち、およびイスラエルのすべての人々に言いなさい、『主が命じられることはこれである。すなわち + イスラエルの家のだれでも、牛、羊あるいは、やぎを宿営の内でほふり、または宿営の外でほふり、 + それを会見の幕屋の入口に携えてきて主の幕屋の前で、供え物として主にささげないならば、その人は血を流した者とみなされる。彼は血を流したゆえ、その民のうちから断たれるであろう。 + これはイスラエルの人々に、彼らが野のおもてでほふるのを常としていた犠牲を主のもとにひいてこさせ、会見の幕屋の入口におる祭司のもとにきて、これを主にささげる酬恩祭の犠牲としてほふらせるためである。 + 祭司はその血を会見の幕屋の入口にある主の祭壇に注ぎかけ、またその脂肪を焼いて香ばしいかおりとし、主にささげなければならない。 + 彼らが慕って姦淫をおこなったみだらな神に、再び犠牲をささげてはならない。これは彼らが代々ながく守るべき定めである』。 + あなたはまた彼らに言いなさい、『イスラエルの家の者、またはあなたがたのうちに宿る寄留者のだれでも、燔祭あるいは犠牲をささげるのに、 + これを会見の幕屋の入口に携えてきて、主にささげないならば、その人は、その民のうちから断たれるであろう。 + イスラエルの家の者、またはあなたがたのうちに宿る寄留者のだれでも、血を食べるならば、わたしはその血を食べる人に敵して、わたしの顔を向け、これをその民のうちから断つであろう。 + 肉の命は血にあるからである。あなたがたの魂のために祭壇の上で、あがないをするため、わたしはこれをあなたがたに与えた。血は命であるゆえに、あがなうことができるからである。 + このゆえに、わたしはイスラエルの人々に言った。あなたがたのうち、だれも血を食べてはならない。またあなたがたのうちに宿る寄留者も血を食べてはならない。 + イスラエルの人々のうち、またあなたがたのうちに宿る寄留者のうち、だれでも、食べてもよい獣あるいは鳥を狩り獲た者は、その血を注ぎ出し、土でこれをおおわなければならない。 + すべて肉の命は、その血と一つだからである。それで、わたしはイスラエルの人々に言った。あなたがたは、どんな肉の血も食べてはならない。すべて肉の命はその血だからである。すべて血を食べる者は断たれるであろう。 + 自然に死んだもの、または裂き殺されたものを食べる人は、国に生れた者であれ、寄留者であれ、その衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼は夕まで汚れているが、その後、清くなるであろう。 + もし、洗わず、また身をすすがないならば、彼はその罪を負わなければならない』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたの住んでいたエジプトの国の習慣を見習ってはならない。またわたしがあなたがたを導き入れるカナンの国の習慣を見習ってはならない。また彼らの定めに歩んではならない。 + わたしのおきてを行い、わたしの定めを守り、それに歩まなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたはわたしの定めとわたしのおきてを守らなければならない。もし人が、これを行うならば、これによって生きるであろう。わたしは主である。 + あなたがたは、だれも、その肉親の者に近づいて、これを犯してはならない。わたしは主である。 + あなたの母を犯してはならない。それはあなたの父をはずかしめることだからである。彼女はあなたの母であるから、これを犯してはならない。 + あなたの父の妻を犯してはならない。それはあなたの父をはずかしめることだからである。 + あなたの姉妹、すなわちあなたの父の娘にせよ、母の娘にせよ、家に生れたのと、よそに生れたのとを問わず、これを犯してはならない。 + あなたのむすこの娘、あるいは、あなたの娘の娘を犯してはならない。それはあなた自身をはずかしめることだからである。 + あなたの父の妻があなたの父によって産んだ娘は、あなたの姉妹であるから、これを犯してはならない。 + あなたの父の姉妹を犯してはならない。彼女はあなたの父の肉親だからである。 + またあなたの母の姉妹を犯してはならない。彼女はあなたの母の肉親だからである。 + あなたの父の兄弟の妻を犯し、父の兄弟をはずかしめてはならない。彼女はあなたのおばだからである。 + あなたの嫁を犯してはならない。彼女はあなたのむすこの妻であるから、これを犯してはならない。 + あなたの兄弟の妻を犯してはならない。それはあなたの兄弟をはずかしめることだからである。 + あなたは女とその娘とを一緒に犯してはならない。またその女のむすこの娘、またはその娘の娘を取って、これを犯してはならない。彼らはあなたの肉親であるから、これは悪事である。 + あなたは妻のなお生きているうちにその姉妹を取って、同じく妻となし、これを犯してはならない。 + あなたは月のさわりの不浄にある女に近づいて、これを犯してはならない。 + 隣の妻と交わり、彼女によって身を汚してはならない。 + あなたの子どもをモレクにささげてはならない。またあなたの神の名を汚してはならない。わたしは主である。 + あなたは女と寝るように男と寝てはならない。これは憎むべきことである。 + あなたは獣と交わり、これによって身を汚してはならない。また女も獣の前に立って、これと交わってはならない。これは道にはずれたことである。 + あなたがたはこれらのもろもろの事によって身を汚してはならない。わたしがあなたがたの前から追い払う国々の人は、これらのもろもろの事によって汚れ、 + その地もまた汚れている。ゆえに、わたしはその悪のためにこれを罰し、その地もまたその住民を吐き出すのである。 + ゆえに、あなたがたはわたしの定めとわたしのおきてを守り、これらのもろもろの憎むべき事の一つでも行ってはならない。国に生れた者も、あなたがたのうちに宿っている寄留者もそうである。 + あなたがたの先にいたこの地の人々は、これらのもろもろの憎むべき事を行ったので、その地も汚れたからである。 + これは、あなたがたがこの地を汚して、この地があなたがたの先にいた民を吐き出したように、あなたがたをも吐き出すことのないためである。 + これらのもろもろの憎むべき事の一つでも行う者があれば、これを行う人は、だれでもその民のうちから断たれるであろう。 + それゆえに、あなたがたはわたしの言いつけを守り、先に行われたこれらの憎むべき風習の一つをも行ってはならない。またこれによって身を汚してはならない。わたしはあなたがたの神、主である』」。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々の全会衆に言いなさい、『あなたがたの神、主なるわたしは、聖であるから、あなたがたも聖でなければならない。 + あなたがたは、おのおのその母とその父とをおそれなければならない。またわたしの安息日を守らなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + むなしい神々に心を寄せてはならない。また自分のために神々を鋳て造ってはならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + 酬恩祭の犠牲を主にささげるときは、あなたがたが受け入れられるように、それをささげなければならない。 + それは、ささげた日と、その翌日とに食べ、三日目まで残ったものは、それを火で焼かなければならない。 + もし三日目に、少しでも食べるならば、それは忌むべきものとなって、あなたは受け入れられないであろう。 + それを食べる者は、主の聖なる物を汚すので、そのとがを負わなければならない。その人は民のうちから断たれるであろう。 + あなたがたの地の実のりを刈り入れるときは、畑のすみずみまで刈りつくしてはならない。またあなたの刈入れの落ち穂を拾ってはならない。 + あなたのぶどう畑の実を取りつくしてはならない。またあなたのぶどう畑に落ちた実を拾ってはならない。貧しい者と寄留者とのために、これを残しておかなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは盗んではならない。欺いてはならない。互に偽ってはならない。 + わたしの名により偽り誓って、あなたがたの神の名を汚してはならない。わたしは主である。 + あなたの隣人をしえたげてはならない。また、かすめてはならない。日雇人の賃銀を明くる朝まで、あなたのもとにとどめておいてはならない。 + 耳しいを、のろってはならない。目しいの前につまずく物を置いてはならない。あなたの神を恐れなければならない。わたしは主である。 + さばきをするとき、不正を行ってはならない。貧しい者を片よってかばい、力ある者を曲げて助けてはならない。ただ正義をもって隣人をさばかなければならない。 + 民のうちを行き巡って、人の悪口を言いふらしてはならない。あなたの隣人の血にかかわる偽証をしてはならない。わたしは主である。 + あなたは心に兄弟を憎んではならない。あなたの隣人をねんごろにいさめて、彼のゆえに罪を身に負ってはならない。 + あなたはあだを返してはならない。あなたの民の人々に恨みをいだいてはならない。あなた自身のようにあなたの隣人を愛さなければならない。わたしは主である。 + あなたがたはわたしの定めを守らなければならない。あなたの家畜に異なった種をかけてはならない。あなたの畑に二種の種をまいてはならない。二種の糸の混ぜ織りの衣服を身につけてはならない。 + だれでも、人と婚約のある女奴隷で、まだあがなわれず、自由を与えられていない者と寝て交わったならば、彼らふたりは罰を受ける。しかし、殺されることはない。彼女は自由の女ではないからである。 + しかし、その男は愆祭を主に携えてこなければならない。すなわち、愆祭の雄羊を、会見の幕屋の入口に連れてこなければならない。 + そして、祭司は彼の犯した罪のためにその愆祭の雄羊をもって、主の前に彼のために、あがないをするであろう。こうして彼の犯した罪はゆるされるであろう。 + あなたがたが、かの地にはいって、もろもろのくだものの木を植えるときは、その実はまだ割礼をうけないものと、見なさなければならない。すなわち、それは三年の間あなたがたには、割礼のないものであって、食べてはならない。 + 四年目には、そのすべての実を聖なる物とし、それをさんびの供え物として主にささげなければならない。 + しかし五年目には、あなたがたはその実を食べることができるであろう。こうするならば、それはあなたがたのために、多くの実を結ぶであろう。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは何をも血のままで食べてはならない。また占いをしてはならない。魔法を行ってはならない。 + あなたがたのびんの毛を切ってはならない。ひげの両端をそこなってはならない。 + 死人のために身を傷つけてはならない。また身に入墨をしてはならない。わたしは主である。 + あなたの娘に遊女のわざをさせて、これを汚してはならない。これはみだらな事が国に行われ、悪事が地に満ちないためである。 + あなたがたはわたしの安息日を守り、わたしの聖所を敬わなければならない。わたしは主である。 + あなたがたは口寄せ、または占い師のもとにおもむいてはならない。彼らに問うて汚されてはならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたは白髪の人の前では、起立しなければならない。また老人を敬い、あなたの神を恐れなければならない。わたしは主である。 + もし他国人があなたがたの国に寄留して共にいるならば、これをしえたげてはならない。 + あなたがたと共にいる寄留の他国人を、あなたがたと同じ国に生れた者のようにし、あなた自身のようにこれを愛さなければならない。あなたがたもかつてエジプトの国で他国人であったからである。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは、さばきにおいても、物差しにおいても、はかりにおいても、ますにおいても、不正を行ってはならない。 + あなたがたは正しいてんびん、正しいおもり石、正しいエパ、正しいヒンを使わなければならない。わたしは、あなたがたをエジプトの国から導き出したあなたがたの神、主である。 + あなたがたはわたしのすべての定めと、わたしのすべてのおきてを守って、これを行わなければならない。わたしは主である』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『イスラエルの人々のうち、またイスラエルのうちに寄留する他国人のうち、だれでもその子供をモレクにささげる者は、必ず殺されなければならない。すなわち、国の民は彼を石で撃たなければならない。 + わたしは顔をその人に向け、彼を民のうちから断つであろう。彼がその子供をモレクにささげてわたしの聖所を汚し、またわたしの聖なる名を汚したからである。 + その人が子供をモレクにささげるとき、国の民がもしことさらに、この事に目をおおい、これを殺さないならば、 + わたし自身、顔をその人とその家族とに向け、彼および彼に見ならってモレクを慕い、これと姦淫する者を、すべて民のうちから断つであろう。 + もし口寄せ、または占い師のもとにおもむき、彼らを慕って姦淫する者があれば、わたしは顔をその人に向け、これを民のうちから断つであろう。 + ゆえにあなたがたは、みずからを聖別し、聖なる者とならなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたはわたしの定めを守って、これを行わなければならない。わたしはあなたがたを聖別する主である。 + だれでも父または母をのろう者は、必ず殺されなければならない。彼が父または母をのろったので、その血は彼に帰するであろう。 + 人の妻と姦淫する者、すなわち隣人の妻と姦淫する者があれば、その姦夫、姦婦は共に必ず殺されなければならない。 + その父の妻と寝る者は、その父をはずかしめる者である。彼らはふたりとも必ず殺されなければならない。その血は彼らに帰するであろう。 + 子の妻と寝る者は、ふたり共に必ず殺されなければならない。彼らは道ならぬことをしたので、その血は彼らに帰するであろう。 + 女と寝るように男と寝る者は、ふたりとも憎むべき事をしたので、必ず殺されなければならない。その血は彼らに帰するであろう。 + 女をその母と一緒にめとるならば、これは悪事であって、彼も、女たちも火に焼かれなければならない。このような悪事をあなたがたのうちになくするためである。 + 男がもし、獣と寝るならば彼は必ず殺されなければならない。あなたがたはまた、その獣を殺さなければならない。 + 女がもし、獣に近づいて、これと寝るならば、あなたは、その女と獣とを殺さなければならない。彼らは必ず殺さるべきである。その血は彼らに帰するであろう。 + 人がもし、その姉妹、すなわち父の娘、あるいは母の娘に近づいて、その姉妹のはだを見、女はその兄弟のはだを見るならば、これは恥ずべき事である。彼らは、その民の人々の目の前で、断たれなければならない。彼は、その姉妹を犯したのであるから、その罪を負わなければならない。 + 人がもし、月のさわりのある女と寝て、そのはだを現すならば、男は女の源を現し、女は自分の血の源を現したのであるから、ふたり共にその民のうちから断たれなければならない。 + あなたの母の姉妹、またはあなたの父の姉妹を犯してはならない。これは、自分の肉親の者を犯すことであるから、彼らはその罪を負わなければならない。 + 人がもし、そのおばと寝るならば、これはおじをはずかしめることであるから、彼らはその罪を負い、子なくして死ぬであろう。 + 人がもし、その兄弟の妻を取るならば、これは汚らわしいことである。彼はその兄弟をはずかしめたのであるから、彼らは子なき者となるであろう。 + あなたがたはわたしの定めとおきてとをことごとく守って、これを行わなければならない。そうすれば、わたしがあなたがたを住まわせようと導いて行く地は、あなたがたを吐き出さぬであろう。 + あなたがたの前からわたしが追い払う国びとの風習に、あなたがたは歩んではならない。彼らは、このもろもろのことをしたから、わたしは彼らを憎むのである。 + わたしはあなたがたに言った、「あなたがたは、彼らの地を獲るであろう。わたしはこれをあなたがたに与えて、これを獲させるであろう。これは乳と蜜との流れる地である」。わたしはあなたがたを他の民から区別したあなたがたの神、主である。 + あなたがたは清い獣と汚れた獣、汚れた鳥と清い鳥を区別しなければならない。わたしがあなたがたのために汚れたものとして区別した獣、または鳥またはすべて地を這うものによって、あなたがたの身を忌むべきものとしてはならない。 + あなたがたはわたしに対して聖なる者でなければならない。主なるわたしは聖なる者で、あなたがたをわたしのものにしようと、他の民から区別したからである。 + 男または女で、口寄せ、または占いをする者は、必ず殺されなければならない。すなわち、石で撃ち殺さなければならない。その血は彼らに帰するであろう』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、「アロンの子なる祭司たちに告げて言いなさい、『民のうちの死人のために、身を汚す者があってはならない。 + ただし、近親の者、すなわち、父、母、むすこ、娘、兄弟のため、 + また彼の近親で、まだ夫のない処女なる姉妹のためには、その身を汚してもよい。 + しかし、夫にとついだ姉妹のためには、身を汚してはならない。 + 彼らは頭の頂をそってはならない。ひげの両端をそり落してはならない。また身に傷をつけてはならない。 + 彼らは神に対して聖でなければならない。また神の名を汚してはならない。彼らは主の火祭、すなわち、神の食物をささげる者であるから、聖でなければならない。 + 彼らは遊女や汚れた女をめとってはならない。また夫に出された女をめとってはならない。祭司は神に対して聖なる者だからである。 + あなたは彼を聖としなければならない。彼はあなたの神の食物をささげる者だからである。彼はあなたにとって聖なる者でなければならない。あなたがたを聖とする主、すなわち、わたしは聖なる者だからである。 + 祭司の娘である者が、淫行をなして、その身を汚すならば、その父を汚すのであるから、彼女を火で焼かなければならない。 + その兄弟のうち、頭に注ぎ油を注がれ、職に任ぜられて、その衣服をつけ、大祭司となった者は、その髪の毛を乱してはならない。またその衣服を裂いてはならない。 + 死人のところに、はいってはならない。また父のためにも母のためにも身を汚してはならない。 + また聖所から出てはならない。神の聖所を汚してはならない。その神の注ぎ油による聖別が、彼の上にあるからである。わたしは主である。 + 彼は処女を妻にめとらなければならない。 + 寡婦、出された女、汚れた女、遊女などをめとってはならない。ただ、自分の民のうちの処女を、妻にめとらなければならない。 + そうすれば、彼は民のうちに、自分の子孫を汚すことはない。わたしは彼を聖別する主だからである』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンに告げて言いなさい、『あなたの代々の子孫で、だれでも身にきずのある者は近寄って、神の食物をささげてはならない。 + すべて、その身にきずのある者は近寄ってはならない。すなわち、目しい、足なえ、鼻のかけた者、手足の不つりあいの者、 + 足の折れた者、手の折れた者、 + せむし、こびと、目にきずのある者、かいせんの者、かさぶたのある者、こうがんのつぶれた者などである。 + すべて祭司アロンの子孫のうち、身にきずのある者は近寄って、主の火祭をささげてはならない。彼は身にきずがあるから、神の食物をささげるために、近寄ってはならない。 + 彼は神の食物の聖なる物も、最も聖なる物も食べることができる。 + ただし、垂幕に近づいてはならない。また祭壇に近寄ってはならない。身にきずがあるからである。彼はわたしの聖所を汚してはならない。わたしはそれを聖別する主である』」。 + モーセはこれをアロンとその子ら及びイスラエルのすべての人々に告げた。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちに告げて、イスラエルの人々の聖なる物、すなわち、彼らがわたしにささげる物をみだりに用いて、わたしの聖なる名を汚さないようにさせなさい。わたしは主である。 + 彼らに言いなさい、『あなたがたの代々の子孫のうち、だれでも、イスラエルの人々が主にささげる聖なる物に、汚れた身をもって近づく者があれば、その人はわたしの前から断たれるであろう。わたしは主である。 + アロンの子孫のうち、だれでも、らい病の者、また流出ある者は清くなるまで、聖なる物を食べてはならない。また、すべて死体によって汚れた物に触れた者、精を漏らした者、 + または、すべて人を汚す這うものに触れた者、または、どのような汚れにせよ、人を汚れさせる人に触れた者、 + このようなものに触れた人は夕まで汚れるであろう。彼はその身を水にすすがないならば、聖なる物を食べてはならない。 + 日が入れば、彼は清くなるであろう。そののち、聖なる物を食べることができる。それは彼の食物だからである。 + 自然に死んだもの、または裂き殺されたものを食べ、それによって身を汚してはならない。わたしは主である。 + それゆえに、彼らはわたしの言いつけを守らなければならない。彼らがこれを汚し、これがために、罪を獲て死ぬことのないためである。わたしは彼らを聖別する主である。 + すべて一般の人は聖なる物を食べてはならない。祭司の同居人や雇人も聖なる物を食べてはならない。 + しかし、祭司が金をもって人を買った時は、その者はこれを食べることができる。またその家に生れた者も祭司の食物を食べることができる。 + もし祭司の娘が一般の人にとついだならば、彼女は聖なる供え物を食べてはならない。 + もし祭司の娘が、寡婦となり、または出されて、子供もなく、その父の家に帰り、娘の時のようであれば、その父の食物を食べることができる。ただし、一般の人は、すべてこれを食べてはならない。 + もし人があやまって聖なる物を食べるならば、それにその五分の一を加え、聖なる物としてこれを祭司に渡さなければならない。 + 祭司はイスラエルの人々が、主にささげる聖なる物を汚してはならない。 + 人々が聖なる物を食べて、その罪のとがを負わないようにさせなければならない。わたしは彼らを聖別する主である』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たち、およびイスラエルのすべての人々に言いなさい、『イスラエルの家の者、またはイスラエルにおる他国人のうちのだれでも、誓願の供え物、または自発の供え物を燔祭として主にささげようとするならば、 + あなたがたの受け入れられるように牛、羊、あるいはやぎの雄の全きものをささげなければならない。 + すべてきずのあるものはささげてはならない。それはあなたがたのために、受け入れられないからである。 + もし人が特別の誓願をなすため、または自発の供え物のために、牛または羊を酬恩祭の犠牲として、主にささげようとするならば、その受け入れられるために、それは全きものでなければならない。それには、どんなきずもあってはならない。 + すなわち獣のうちで、めくらのもの、折れた所のあるもの、切り取った所のあるもの、うみの出る者、かいせんの者、かさぶたのある者など、あなたがたは、このようなものを主にささげてはならない。また祭壇の上に、これらを火祭として、主にささげてはならない。 + 牛あるいは羊で、足の長すぎる者、または短すぎる者は、あなたがたが自発の供え物とすることはできるが、誓願の供え物としては受け入れられないであろう。 + あなたがたは、こうがんの破れたもの、つぶれたもの、裂けたもの、または切り取られたものを、主にささげてはならない。またあなたがたの国のうちで、このようなことを、行ってはならない。 + また、あなたがたは異邦人の手からこれらのものを受けて、あなたがたの神の食物としてささげてはならない。これらのものには欠点があり、きずがあって、あなたがたのために受け入れられないからである』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「牛、または羊、またはやぎが生れたならば、これを七日の間その母親のもとに置かなければならない。八日目からは主にささげる火祭として受け入れられるであろう。 + あなたがたは雌牛または雌羊をその子と同じ日にほふってはならない。 + あなたがたが感謝の犠牲を主にささげるときは、あなたがたの受け入れられるようにささげなければならない。 + これはその日のうちに食べなければならない。明くる日まで残しておいてはならない。わたしは主である。 + あなたがたはわたしの戒めを守り、これを行わなければならない。わたしは主である。 + あなたがたはわたしの聖なる名を汚してはならない。かえって、わたしはイスラエルの人々のうちに聖とされなければならない。わたしはあなたがたを聖別する主である。 + あなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの国から導き出した者である。わたしは主である」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたが、ふれ示して聖会とすべき主の定めの祭は次のとおりである。これらはわたしの定めの祭である。 + 六日の間は仕事をしなければならない。第七日は全き休みの安息日であり、聖会である。どのような仕事もしてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて守るべき主の安息日である。 + その時々に、あなたがたが、ふれ示すべき主の定めの祭なる聖会は次のとおりである。 + 正月の十四日の夕は主の過越の祭である。 + またその月の十五日は主の種入れぬパンの祭である。あなたがたは七日の間は種入れぬパンを食べなければならない。 + その初めの日に聖会を開かなければならない。どんな労働もしてはならない。 + あなたがたは七日の間、主に火祭をささげなければならない。第七日には、また聖会を開き、どのような労働もしてはならない』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『わたしが与える地にはいって穀物を刈り入れるとき、あなたがたは穀物の初穂の束を、祭司のところへ携えてこなければならない。 + 彼はあなたがたの受け入れられるように、その束を主の前に揺り動かすであろう。すなわち、祭司は安息日の翌日に、これを揺り動かすであろう。 + またその束を揺り動かす日に、一歳の雄の小羊の全きものを燔祭として主にささげなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉十分の二エパを用い、これを主にささげて火祭とし、香ばしいかおりとしなければならない。またその灌祭には、ぶどう酒一ヒンの四分の一を用いなければならない。 + あなたがたの神にこの供え物をささげるその日まで、あなたがたはパンも、焼麦も、新穀も食べてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて、代々ながく守るべき定めである。 + また安息日の翌日、すなわち、揺祭の束をささげた日から満七週を数えなければならない。 + すなわち、第七の安息日の翌日までに、五十日を数えて、新穀の素祭を主にささげなければならない。 + またあなたがたのすまいから、十分の二エパの麦粉に種を入れて焼いたパン二個を携えてきて揺祭としなければならない。これは初穂として主にささげるものである。 + あなたがたはまたパンのほかに、一歳の全き小羊七頭と、若き雄牛一頭と、雄羊二頭をささげなければならない。すなわち、これらをその素祭および灌祭とともに主にささげて燔祭としなければならない。これは火祭であって、主に香ばしいかおりとなるであろう。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげ、一歳の小羊二頭を酬恩祭の犠牲としてささげなければならない。 + そして祭司はその初穂のパンと共に、この二頭の小羊を主の前に揺祭として揺り動かさなければならない。これらは主にささげる聖なる物であって、祭司に帰するであろう。 + あなたがたは、その日にふれ示して、聖会を開かなければならない。どのような労働もしてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて、代々ながく守るべき定めである。 + あなたがたの地の穀物を刈り入れるときは、その刈入れにあたって、畑のすみずみまで刈りつくしてはならない。またあなたの穀物の落ち穂を拾ってはならない。貧しい者と寄留者のために、それを残しておかなければならない。わたしはあなたがたの神、主である』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『七月一日をあなたがたの安息の日とし、ラッパを吹き鳴らして記念する聖会としなければならない。 + どのような労働もしてはならない。しかし、主に火祭をささげなければならない』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「特にその七月の十日は贖罪の日である。あなたがたは聖会を開き、身を悩まし、主に火祭をささげなければならない。 + その日には、どのような仕事もしてはならない。これはあなたがたのために、あなたがたの神、主の前にあがないをなすべき贖罪の日だからである。 + すべてその日に身を悩まさない者は、民のうちから断たれるであろう。 + またすべてその日にどのような仕事をしても、その人をわたしは民のうちから滅ぼし去るであろう。 + あなたがたはどのような仕事もしてはならない。これはあなたがたのすべてのすまいにおいて、代々ながく守るべき定めである。 + これはあなたがたの全き休みの安息日である。あなたがたは身を悩まさなければならない。またその月の九日の夕には、その夕から次の夕まで安息を守らなければならない」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『その七月の十五日は仮庵の祭である。七日の間、主の前にそれを守らなければならない。 + 初めの日に聖会を開かなければならない。どのような労働もしてはならない。 + また七日の間、主に火祭をささげなければならない。八日目には聖会を開き、主に火祭をささげなければならない。これは聖会の日であるから、どのような労働もしてはならない。 + これらは主の定めの祭であって、あなたがたがふれ示して聖会とし、主に火祭すなわち、燔祭、素祭、犠牲および灌祭を、そのささぐべき日にささげなければならない。 + このほかに主の安息日があり、またほかに、あなたがたのささげ物があり、またほかに、あなたがたのもろもろの誓願の供え物があり、またそのほかに、あなたがたのもろもろの自発の供え物がある。これらは皆あなたがたが主にささげるものである。 + あなたがたが、地の産物を集め終ったときは、七月の十五日から七日のあいだ、主の祭を守らなければならない。すなわち、初めの日にも安息をし、八日目にも安息をしなければならない。 + 初めの日に、美しい木の実と、なつめやしの枝と、茂った木の枝と、谷のはこやなぎの枝を取って、七日の間あなたがたの神、主の前に楽しまなければならない。 + あなたがたは年に七日の間、主にこの祭を守らなければならない。これはあなたがたの代々ながく守るべき定めであって、七月にこれを守らなければならない。 + あなたがたは七日の間、仮庵に住み、イスラエルで生れた者はみな仮庵に住まなければならない。 + これはわたしがイスラエルの人々をエジプトの国から導き出したとき、彼らを仮庵に住まわせた事を、あなたがたの代々の子孫に知らせるためである。わたしはあなたがたの神、主である』」。 + モーセは主の定めの祭をイスラエルの人々に告げた。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて、オリブを砕いて採った純粋の油を、ともしびのためにあなたの所へ持ってこさせ、絶えずともしびをともさせなさい。 + すなわち、アロンは会見の幕屋のうちのあかしの垂幕の外で、夕から朝まで絶えず、そのともしびを主の前に整えなければならない。これはあなたがたが代々ながく守るべき定めである。 + 彼は純金の燭台の上に、そのともしびを絶えず主の前に整えなければならない。 + あなたは麦粉を取り、それで十二個の菓子を焼かなければならない。菓子一個に麦粉十分の二エパを用いなければならない。 + そしてそれを主の前の純金の机の上に、ひと重ね六個ずつ、ふた重ねにして置かなければならない。 + あなたはまた、おのおのの重ねの上に、純粋の乳香を置いて、そのパンの記念の分とし、主にささげて火祭としなければならない。 + 安息日ごとに絶えず、これを主の前に整えなければならない。これはイスラエルの人々のささぐべきものであって、永遠の契約である。 + これはアロンとその子たちに帰する。彼らはこれを聖なる所で食べなければならない。これはいと聖なる物であって、主の火祭のうち彼に帰すべき永久の分である」。 + イスラエルの女を母とし、エジプトびとを父とするひとりの者が、イスラエルの人々のうちに出てきて、そのイスラエルの女の産んだ子と、ひとりのイスラエルびとが宿営の中で争いをし、 + そのイスラエルの女の産んだ子が主の名を汚して、のろったので、人々は彼をモーセのもとに連れてきた。その母はダンの部族のデブリの娘で、名をシロミテといった。 + 人々は彼を閉じ込めて置いて、主の示しを受けるのを待っていた。 + 時に主はモーセに言われた、 + 「あの、のろいごとを言った者を宿営の外に引き出し、それを聞いた者に、みな手を彼の頭に置かせ、全会衆に彼を石で撃たせなさい。 + あなたはまたイスラエルの人々に言いなさい、『だれでも、その神をのろう者は、その罪を負わなければならない。 + 主の名を汚す者は必ず殺されるであろう。全会衆は必ず彼を石で撃たなければならない。他国の者でも、この国に生れた者でも、主の名を汚すときは殺されなければならない。 + だれでも、人を撃ち殺した者は、必ず殺されなければならない。 + 獣を撃ち殺した者は、獣をもってその獣を償わなければならない。 + もし人が隣人に傷を負わせるなら、その人は自分がしたように自分にされなければならない。 + すなわち、骨折には骨折、目には目、歯には歯をもって、人に傷を負わせたように、自分にもされなければならない。 + 獣を撃ち殺した者はそれを償い、人を撃ち殺した者は殺されなければならない。 + 他国の者にも、この国に生れた者にも、あなたがたは同一のおきてを用いなければならない。わたしはあなたがたの神、主だからである』」。 + モーセがイスラエルの人々に向かい、「あの、のろいごとを言った者を宿営の外に引き出し、石で撃て」と命じたので、イスラエルの人々は、主がモーセに命じられたようにした。 + + + 主はシナイ山で、モーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『わたしが与える地に、あなたがたがはいったときは、その地にも、主に向かって安息を守らせなければならない。 + 六年の間あなたは畑に種をまき、また六年の間ぶどう畑の枝を刈り込み、その実を集めることができる。 + しかし、七年目には、地に全き休みの安息を与えなければならない。これは、主に向かって守る安息である。あなたは畑に種をまいてはならない。また、ぶどう畑の枝を刈り込んではならない。 + あなたの穀物の自然に生えたものは刈り取ってはならない。また、あなたのぶどうの枝の手入れをしないで結んだ実は摘んではならない。これは地のために全き休みの年だからである。 + 安息の年の地の産物は、あなたがたの食物となるであろう。すなわち、あなたと、男女の奴隷と、雇人と、あなたの所に宿っている他国人と、 + あなたの家畜と、あなたの国のうちの獣とのために、その産物はみな、食物となるであろう。 + あなたは安息の年を七たび、すなわち、七年を七回数えなければならない。安息の年七たびの年数は四十九年である。 + 七月の十日にあなたはラッパの音を響き渡らせなければならない。すなわち、贖罪の日にあなたがたは全国にラッパを響き渡らせなければならない。 + その五十年目を聖別して、国中のすべての住民に自由をふれ示さなければならない。この年はあなたがたにはヨベルの年であって、あなたがたは、おのおのその所有の地に帰り、おのおのその家族に帰らなければならない。 + その五十年目はあなたがたにはヨベルの年である。種をまいてはならない。また自然に生えたものは刈り取ってはならない。手入れをしないで結んだぶどうの実は摘んではならない。 + この年はヨベルの年であって、あなたがたに聖であるからである。あなたがたは畑に自然にできた物を食べなければならない。 + このヨベルの年には、おのおのその所有の地に帰らなければならない。 + あなたの隣人に物を売り、また隣人から物を買うときは、互に欺いてはならない。 + ヨベルの後の年の数にしたがって、あなたは隣人から買い、彼もまた畑の産物の年数にしたがって、あなたに売らなければならない。 + 年の数の多い時は、その値を増し、年の数の少ない時は、値を減らさなければならない。彼があなたに売るのは産物の数だからである。 + あなたがたは互に欺いてはならない。あなたの神を恐れなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたはわたしの定めを行い、またわたしのおきてを守って、これを行わなければならない。そうすれば、あなたがたは安らかにその地に住むことができるであろう。 + 地はその実を結び、あなたがたは飽きるまでそれを食べ、安らかにそこに住むことができるであろう。 + 「七年目に種をまくことができず、また産物を集めることができないならば、わたしたちは何を食べようか」とあなたがたは言うのか。 + わたしは命じて六年目に、あなたがたに祝福をくだし、三か年分の産物を実らせるであろう。 + あなたがたは八年目に種をまく時には、なお古い産物を食べているであろう。九年目にその産物のできるまで、あなたがたは古いものを食べることができるであろう。 + 地は永代には売ってはならない。地はわたしのものだからである。あなたがたはわたしと共にいる寄留者、また旅びとである。 + あなたがたの所有としたどのような土地でも、その土地の買いもどしに応じなければならない。 + あなたの兄弟が落ちぶれてその所有の地を売った時は、彼の近親者がきて、兄弟の売ったものを買いもどさなければならない。 + たといその人に、それを買いもどしてくれる人がいなくても、その人が富み、自分でそれを買いもどすことができるようになったならば、 + それを売ってからの年を数えて残りの分を買い手に返さなければならない。そうすればその人はその所有の地に帰ることができる。 + しかし、もしそれを買いもどすことができないならば、その売った物はヨベルの年まで買い主の手にあり、ヨベルにはもどされて、その人はその所有の地に帰ることができるであろう。 + 人が城壁のある町の住宅を売った時は、売ってから満一年の間は、それを買いもどすことができる。その間は彼に買いもどすことを許さなければならない。 + 満一年のうちに、それを買いもどさない時は、城壁のある町の内のその家は永代にそれを買った人のものと定まって、代々の所有となり、ヨベルの年にももどされないであろう。 + しかし、周囲に城壁のない村々の家は、その地方の畑に附属するものとみなされ、買いもどすことができ、またヨベルの年には、もどされるであろう。 + レビびとの町々、すなわち、彼らの所有の町々の家は、レビびとはいつでも買いもどすことができる。 + レビびとのひとりが、それを買いもどさない時は、その所有の町にある売った家はヨベルの年にはもどされるであろう。レビびとの町々の家はイスラエルの人々のうちに彼らがもっている所有だからである。 + ただし、彼らの町々の周囲の放牧地は売ってはならない。それは彼らの永久の所有だからである。 + あなたの兄弟が落ちぶれ、暮して行けない時は、彼を助け、寄留者または旅びとのようにして、あなたと共に生きながらえさせなければならない。 + 彼から利子も利息も取ってはならない。あなたの神を恐れ、あなたの兄弟をあなたと共に生きながらえさせなければならない。 + あなたは利子を取って彼に金を貸してはならない。また利益をえるために食物を貸してはならない。 + わたしはあなたがたの神、主であって、カナンの地をあなたがたに与え、かつあなたがたの神となるためにあなたがたをエジプトの国から導き出した者である。 + あなたの兄弟が落ちぶれて、あなたに身を売るときは、奴隷のように働かせてはならない。 + 彼を雇人のように、また旅びとのようにしてあなたの所におらせ、ヨベルの年まであなたの所で勤めさせなさい。 + その時には、彼は子供たちと共にあなたの所から出て、その一族のもとに帰り、先祖の所有の地にもどるであろう。 + 彼らはエジプトの国からわたしが導き出したわたしのしもべであるから、身を売って奴隷となってはならない。 + あなたは彼をきびしく使ってはならない。あなたの神を恐れなければならない。 + あなたがもつ奴隷は男女ともにあなたの周囲の異邦人のうちから買わなければならない。すなわち、彼らのうちから男女の奴隷を買うべきである。 + また、あなたがたのうちに宿っている旅びとの子供のうちからも買うことができる。また彼らのうちあなたがたの国で生れて、あなたがたと共におる人々の家族からも買うことができる。そして彼らはあなたがたの所有となるであろう。 + あなたがたは彼らを獲て、あなたがたの後の子孫に所有として継がせることができる。すなわち、彼らは長くあなたがたの奴隷となるであろう。しかし、あなたがたの兄弟であるイスラエルの人々をあなたがたは互にきびしく使ってはならない。 + あなたと共にいる寄留者または旅びとが富み、そのかたわらにいるあなたの兄弟が落ちぶれて、あなたと共にいるその寄留者、旅びと、または寄留者の一族のひとりに身を売った場合、 + 身を売った後でも彼を買いもどすことができる。その兄弟のひとりが彼を買いもどさなければならない。 + あるいは、おじ、または、おじの子が彼を買いもどさなければならない。あるいは一族の近親の者が、彼を買いもどさなければならない。あるいは自分に富ができたならば、自分で買いもどさなければならない。 + その時、彼は自分の身を売った年からヨベルの年までを、その買い主と共に数え、その年数によって、身の代金を決めなければならない。その年数は雇われた年数として数えなければならない。 + なお残りの年が多い時は、その年数にしたがい、買われた金額に照して、あがないの金を払わなければならない。 + またヨベルの年までに残りの年が少なければ、その人と共に計算し、その年数にしたがって、あがないの金を払わなければならない。 + 彼は年々雇われる人のように扱われなければならない。あなたの目の前で彼をきびしく使わせてはならない。 + もし彼がこのようにしてあがなわれないならば、ヨベルの年に彼は子供と共に出て行くことができる。 + イスラエルの人々は、わたしのしもべだからである。彼らはわたしがエジプトの国から導き出したわたしのしもべである。わたしはあなたがたの神、主である。 + + + あなたがたは自分のために、偶像を造ってはならない。また刻んだ像も石の柱も立ててはならない。またあなたがたの地に石像を立てて、それを拝んではならない。わたしはあなたがたの神、主だからである。 + あなたがたはわたしの安息日を守り、またわたしの聖所を敬わなければならない。わたしは主である。 + もしあなたがたがわたしの定めに歩み、わたしの戒めを守って、これを行うならば、 + わたしはその季節季節に、雨をあなたがたに与えるであろう。地は産物を出し、畑の木々は実を結ぶであろう。 + あなたがたの麦打ちは、ぶどうの取入れの時まで続き、ぶどうの取入れは、種まきの時まで続くであろう。あなたがたは飽きるほどパンを食べ、またあなたがたの地に安らかに住むであろう。 + わたしが国に平和を与えるから、あなたがたは安らかに寝ることができ、あなたがたを恐れさすものはないであろう。わたしはまた国のうちから悪い獣を絶やすであろう。つるぎがあなたがたの国を行き巡ることはないであろう。 + あなたがたは敵を追うであろう。彼らは、あなたがたのつるぎに倒れるであろう。 + あなたがたの五人は百人を追い、百人は万人を追い、あなたがたの敵はつるぎに倒れるであろう。 + わたしはあなたがたを顧み、多くの子を獲させ、あなたがたを増し、あなたがたと結んだ契約を固めるであろう。 + あなたがたは古い穀物を食べている間に、また新しいものを獲て、その古いものを捨てるようになるであろう。 + わたしは幕屋をあなたがたのうちに建て、心にあなたがたを忌みきらわないであろう。 + わたしはあなたがたのうちに歩み、あなたがたの神となり、あなたがたはわたしの民となるであろう。 + わたしはあなたがたの神、主であって、あなたがたをエジプトの国から導き出して、奴隷の身分から解き放った者である。わたしはあなたがたのくびきの横木を砕いて、まっすぐに立って歩けるようにしたのである。 + しかし、あなたがたがもしわたしに聞き従わず、またこのすべての戒めを守らず、 + わたしの定めを軽んじ、心にわたしのおきてを忌みきらって、わたしのすべての戒めを守らず、わたしの契約を破るならば、 + わたしはあなたがたにこのようにするであろう。すなわち、あなたがたの上に恐怖を臨ませ、肺病と熱病をもって、あなたがたの目を見えなくし、命をやせ衰えさせるであろう。あなたがたが種をまいてもむだである。敵がそれを食べるであろう。 + わたしは顔をあなたがたにむけて攻め、あなたがたは敵の前に撃ちひしがれるであろう。またあなたがたの憎む者があなたがたを治めるであろう。あなたがたは追う者もないのに逃げるであろう。 + それでもなお、あなたがたがわたしに聞き従わないならば、わたしはあなたがたの罪を七倍重く罰するであろう。 + わたしはあなたがたの誇とする力を砕き、あなたがたの天を鉄のようにし、あなたがたの地を青銅のようにするであろう。 + あなたがたの力は、むだに費されるであろう。すなわち、地は産物をいださず、国のうちの木々は実を結ばないであろう。 + もしあなたがたがわたしに逆らって歩み、わたしに聞き従わないならば、わたしはあなたがたの罪に従って七倍の災をあなたがたに下すであろう。 + わたしはまた野獣をあなたがたのうちに送るであろう。それはあなたがたの子供を奪い、また家畜を滅ぼし、あなたがたの数を少なくするであろう。あなたがたの大路は荒れ果てるであろう。 + もしあなたがたがこれらの懲しめを受けてもなお改めず、わたしに逆らって歩むならば、 + わたしもまたあなたがたに逆らって歩み、あなたがたの罪を七倍重く罰するであろう。 + わたしはあなたがたの上につるぎを臨ませ、違約の恨みを報いるであろう。あなたがたが町々に集まる時は、あなたがたのうちに疫病を送り、あなたがたは敵の手にわたされるであろう。 + わたしがあなたがたのつえとするパンを砕くとき、十人の女が一つのかまどでパンを焼き、それをはかりにかけてあなたがたに渡すであろう。あなたがたは食べても満たされないであろう。 + それでもなお、あなたがたがわたしに聞き従わず、わたしに逆らって歩むならば、 + わたしもあなたがたに逆らい、怒りをもって歩み、あなたがたの罪を七倍重く罰するであろう。 + あなたがたは自分のむすこの肉を食べ、また自分の娘の肉を食べるであろう。 + わたしはあなたがたの高き所をこぼち、香の祭壇を倒し、偶像の死体の上に、あなたがたの死体を投げ捨てて、わたしは心にあなたがたを忌みきらうであろう。 + わたしはまたあなたがたの町々を荒れ地とし、あなたがたの聖所を荒らすであろう。またわたしはあなたがたのささげる香ばしいかおりをかがないであろう。 + わたしがその地を荒らすゆえ、そこに住むあなたがたの敵はそれを見て驚くであろう。 + わたしはあなたがたを国々の間に散らし、つるぎを抜いて、あなたがたの後を追うであろう。あなたがたの地は荒れ果て、あなたがたの町々は荒れ地となるであろう。 + こうしてその地が荒れ果てて、あなたがたは敵の国にある間、地は安息を楽しむであろう。すなわち、その時、地は休みを得て、安息を楽しむであろう。 + それは荒れ果てている日の間、休むであろう。あなたがたがそこに住んでいる間、あなたがたの安息のときに休みを得なかったものである。 + またあなたがたのうちの残っている者の心に、敵の国でわたしは恐れをいだかせるであろう。彼らは木の葉の動く音にも驚いて逃げ、つるぎを避けて逃げる者のように逃げて、追う者もないのにころび倒れるであろう。 + 彼らは追う者もないのに、つるぎをのがれる者のように折り重なって、つまずき倒れるであろう。あなたがたは敵の前に立つことができないであろう。 + あなたがたは国々のうちにあって滅びうせ、あなたがたの敵の地はあなたがたをのみつくすであろう。 + あなたがたのうちの残っている者は、あなたがたの敵の地で自分の罪のゆえにやせ衰え、また先祖たちの罪のゆえに彼らと同じようにやせ衰えるであろう。 + しかし、彼らがもし、自分の罪と、先祖たちの罪、すなわち、わたしに反逆し、またわたしに逆らって歩んだことを告白するならば、 + たといわたしが彼らに逆らって歩み、彼らを敵の国に引いて行っても、もし彼らの無割礼の心が砕かれ、あまんじて罪の罰を受けるならば、 + そのときわたしはヤコブと結んだ契約を思い起し、またイサクと結んだ契約およびアブラハムと結んだ契約を思い起し、またその地を思い起すであろう。 + しかし、彼らが地を離れて地が荒れ果てている間、地はその安息を楽しむであろう。彼らはまた、あまんじて罪の罰を受けるであろう。彼らがわたしのおきてを軽んじ、心にわたしの定めを忌みきらったからである。 + それにもかかわらず、なおわたしは彼らが敵の国におるとき、彼らを捨てず、また忌みきらわず、彼らを滅ぼし尽さず、彼らと結んだわたしの契約を破ることをしないであろう。わたしは彼らの神、主だからである。 + わたしは彼らの先祖たちと結んだ契約を彼らのために思い起すであろう。彼らはわたしがその神となるために国々の人の目の前で、エジプトの地から導き出した者である。わたしは主である』」。 + これらは主が、シナイ山で、自分とイスラエルの人々との間に、モーセによって立てられた定めと、おきてと、律法である。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『人があなたの値積りに従って主に身をささげる誓願をする時は、 + あなたの値積りは、二十歳から六十歳までの男には、その値積りを聖所のシケルに従って銀五十シケルとし、 + 女には、その値積りは三十シケルとしなければならない。 + また五歳から二十歳までは、男にはその値積りを二十シケルとし、女には十シケルとしなければならない。 + 一か月から五歳までは、男にはその値積りを銀五シケルとし、女にはその値積りを銀三シケルとしなければならない。 + また六十歳以上は、男にはその値積りを十五シケルとし、女には十シケルとしなければならない。 + もしその人が貧しくて、あなたの値積りに応じることができないならば、祭司の前に立ち、祭司の値積りを受けなければならない。祭司はその誓願者の力に従って値積らなければならない。 + 主に供え物とすることができる家畜で、人が主にささげるものはすべて聖なる物となる。 + ほかのものをそれに代用してはならない。良い物を悪い物に、悪い物を良い物に取り換えてはならない。もし家畜と家畜とを取り換えるならば、その物も、それと取り換えた物も共に聖なる物となるであろう。 + もしそれが汚れた家畜で、主に供え物としてささげられないものであるならば、その人はその家畜を祭司の前に引いてこなければならない。 + 祭司はその良い悪いに従って、それを値積らなければならない。それは祭司が値積るとおりになるであろう。 + もしその人が、それをあがなおうとするならば、その値積りにその五分の一を加えなければならない。 + もし人が自分の家を主に聖なる物としてささげるときは、祭司はその良い悪いに従って、それを値積らなければならない。それは祭司が値積ったとおりになるであろう。 + もしその家をささげる人が、それをあがなおうとするならば、その値積りの金に、その五分の一を加えなければならない。そうすれば、それは彼のものとなるであろう。 + もし人が相続した畑の一部を主にささげるときは、あなたはそこにまく種の多少に応じて、値積らなければならない。すなわち、大麦一ホメルの種を銀五十シケルに値積らなければならない。 + もしその畑をヨベルの年からささげるのであれば、その価はあなたの値積りのとおりになるであろう。 + もしその畑をヨベルの年の後にささげるのであれば、祭司はヨベルの年までに残っている年の数に従ってその金を数え、それをあなたの値積りからさし引かなければならない。 + もしまた、その畑をささげる人が、それをあがなおうとするならば、あなたの値積りの金にその五分の一を加えなければならない。そうすれば、それは彼のものと決まるであろう。 + しかし、もしその畑をあがなわず、またそれを他の人に売るならば、それはもはやあがなうことができないであろう。 + その畑は、ヨベルの年になって期限が切れるならば、奉納の畑と同じく、主の聖なる物となり、祭司の所有となるであろう。 + もしまた相続した畑の一部でなく、買った畑を主にささげる時は、 + 祭司は値積りしてヨベルの年までの金を数えなければならない。その人はその値積りの金をその日に主にささげて、聖なる物としなければならない。 + ヨベルの年にその畑は売り主であるその地の相続者に返るであろう。 + すべてあなたの値積りは聖所のシケルによってしなければならない。二十ゲラを一シケルとする。 + しかし、家畜のういごは、ういごとしてすでに主のものだから、だれもこれをささげてはならない。牛でも羊でも、それは主のものである。 + もし汚れた家畜であるならば、あなたの値積りにその五分の一を加えて、その人はこれをあがなわなければならない。もしあがなわないならば、それを値積りに従って売らなければならない。 + ただし、人が自分の持っているもののうちから奉納物として主にささげたものは、人であっても、家畜であっても、また相続の畑であっても、いっさいこれを売ってはならない。またあがなってはならない。奉納物はすべて主に属するいと聖なる物である。 + またすべて人のうちから奉納物としてささげられた人は、あがなってはならない。彼は必ず殺されなければならない。 + 地の十分の一は地の産物であれ、木の実であれ、すべて主のものであって、主に聖なる物である。 + もし人がその十分の一をあがなおうとする時は、それにその五分の一を加えなければならない。 + 牛または羊の十分の一については、すべて牧者のつえの下を十番目に通るものは、主に聖なる物である。 + その良い悪いを問うてはならない。またそれを取り換えてはならない。もし取り換えたならば、それと、その取り換えたものとは、共に聖なる物となるであろう。それをあがなうことはできない』」。 + これらは主が、シナイ山で、イスラエルの人々のために、モーセに命じられた戒めである。 + +
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+ + エジプトの国を出た次の年の二月一日に、主はシナイの荒野において、会見の幕屋で、モーセに言われた、 + 「あなたがたは、イスラエルの人々の全会衆を、その氏族により、その父祖の家によって調査し、そのすべての男子の名の数を、ひとりびとり数えて、その総数を得なさい。 + イスラエルのうちで、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者を、あなたとアロンとは、その部隊にしたがって数えなければならない。 + また、すべての部族は、おのおの父祖の家の長たるものを、ひとりずつ出して、あなたがたと協力させなければならない。 + すなわち、あなたがたに協力すべき人々の名は、次のとおりである。ルベンからはシデウルの子エリヅル。 + シメオンからはツリシャダイの子シルミエル。 + ユダからはアミナダブの子ナション。 + イッサカルからはツアルの子ネタニエル。 + ゼブルンからはヘロンの子エリアブ。 + ヨセフの子たちのうち、エフライムからはアミホデの子エリシャマ、マナセからはパダヅルの子ガマリエル。 + ベニヤミンからはギデオニの子アビダン。 + ダンからはアミシャダイの子アヒエゼル。 + アセルからはオクランの子パギエル。 + ガドからはデウエルの子エリアサフ。 + ナフタリからはエナンの子アヒラ」。 + これらは会衆のうちから選び出された人々で、その父祖の部族のつかさたち、またイスラエルの氏族のかしらたちである。 + こうして、モーセとアロンが、ここに名を掲げた人々を引き連れて、 + 二月一日に会衆をことごとく集めたので、彼らはその氏族により、その父祖の家により、その名の数にしたがって二十歳以上のものが、ひとりびとり登録した。 + 主が命じられたように、モーセはシナイの荒野で彼らを数えた。 + すなわち、イスラエルの長子ルベンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の男子の名の数を、ひとりびとり得たが、 + ルベンの部族のうちで、数えられたものは四万六千五百人であった。 + またシメオンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の男子の名の数を、ひとりびとり得たが、 + シメオンの部族のうちで、数えられたものは五万九千三百人であった。 + またガドの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ガドの部族のうちで、数えられたものは四万五千六百五十人であった。 + ユダの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ユダの部族のうちで、数えられたものは七万四千六百人であった。 + イッサカルの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + イッサカルの部族のうちで、数えられたものは五万四千四百人であった。 + ゼブルンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ゼブルンの部族のうちで、数えられたものは五万七千四百人であった。 + ヨセフの子たちのうち、エフライムの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + エフライムの部族のうちで、数えられたものは四万五百人であった。 + マナセの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + マナセの部族のうちで、数えられたものは三万二千二百人であった。 + ベニヤミンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ベニヤミンの部族のうちで、数えられたものは三万五千四百人であった。 + ダンの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ダンの部族のうちで、数えられたものは六万二千七百人であった。 + アセルの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + アセルの部族のうちで、数えられたものは四万一千五百人であった。 + ナフタリの子たちから生れたものを、その氏族により、その父祖の家によって調べ、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者の名の数を得たが、 + ナフタリの部族のうちで、数えられたものは、五万三千四百人であった。 + これらが数えられた人々であって、モーセとアロンとイスラエルのつかさたちとが数えた人々である。そのつかさたちは十二人であって、おのおのその父祖の家のために出たものである。 + そしてイスラエルの人々のうち、その父祖の家にしたがって数えられた者は、すべてイスラエルのうち、戦争に出ることのできる二十歳以上の者であって、 + その数えられた者は合わせて六十万三千五百五十人であった。 + しかし、レビびとは、その父祖の部族にしたがって、そのうちに数えられなかった。 + すなわち、主はモーセに言われた、 + 「あなたはレビの部族だけは数えてはならない。またその総数をイスラエルの人々のうちに数えあげてはならない。 + あなたはレビびとに、あかしの幕屋と、そのもろもろの器と、それに附属するもろもろの物を管理させなさい。彼らは幕屋と、そのもろもろの器とを持ち運び、またそこで務をし、幕屋のまわりに宿営しなければならない。 + 幕屋が進む時は、レビびとがこれを取りくずし、幕屋を張る時は、レビびとがこれを組み立てなければならない。ほかの人がこれに近づく時は殺されるであろう。 + イスラエルの人々はその部隊にしたがって、おのおのその宿営に、おのおのその旗のもとにその天幕を張らなければならない。 + しかし、レビびとは、あかしの幕屋のまわりに宿営しなければならない。そうすれば、主の怒りはイスラエルの人々の会衆の上に臨むことがないであろう。レビびとは、あかしの幕屋の務を守らなければならない」。 + イスラエルの人々はこのようにして、すべて主がモーセに命じられたように行った。 + + + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「イスラエルの人々は、おのおのその部隊の旗のもとに、その父祖の家の旗印にしたがって宿営しなければならない。また会見の幕屋のまわりに、それに向かって宿営しなければならない。 + すなわち、日の出る方、東に宿営するものは、ユダの宿営の旗につく者であって、その部隊にしたがって宿営し、アミナダブの子ナションが、ユダの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は七万四千六百人である。 + そのかたわらに宿営する者はイッサカルの部族で、ツアルの子ネタニエルが、イッサカルの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は五万四千四百人である。 + 次はゼブルンの部族で、ヘロンの子エリアブが、ゼブルンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は五万七千四百人である。 + ユダの宿営の、その部隊にしたがって数えられた者は、合わせて十八万六千四百人である。これらの者は、まっ先に進まなければならない。 + 南の方では、ルベンの宿営の旗につく者が、その部隊にしたがっており、シデウルの子エリヅルが、ルベンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は四万六千五百人である。 + そのかたわらに宿営する者はシメオンの部族で、ツリシャダイの子シルミエルが、シメオンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は五万九千三百人である。 + 次はガドの部族で、デウエルの子エリアサフが、ガドの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は四万五千六百五十人である。 + ルベンの宿営の、その部隊にしたがって数えられた者は、合わせて十五万一千四百五十人である。これらの者は二番目に進まなければならない。 + その次に会見の幕屋を、レビびとの宿営とともに、もろもろの宿営の中央にして進まなければならない。彼らは宿営するのと同じように、おのおのその位置で、その旗にしたがって進まなければならない。 + 西の方では、エフライムの宿営の旗につく者が、その部隊にしたがっており、アミホデの子エリシャマが、エフライムの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は四万五百人である。 + そのかたわらにマナセの部族がおって、パダヅルの子ガマリエルが、マナセの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は三万二千二百人である。 + 次にベニヤミンの部族がおって、ギデオニの子アビダンが、ベニヤミンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は三万五千四百人である。 + エフライムの宿営の、その部隊にしたがって数えられた者は、合わせて十万八千百人である。これらの者は三番目に進まなければならない。 + 北の方では、ダンの宿営の旗につく者が、その部隊にしたがっており、アミシャダイの子アヒエゼルが、ダンの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は六万二千七百人である。 + そのかたわらに宿営する者は、アセルの部族であって、オクランの子パギエルが、アセルの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は四万一千五百人である。 + 次にナフタリの部族がおって、エナンの子アヒラが、ナフタリの子たちのつかさとなるであろう。 + その部隊、すなわち、数えられた者は五万三千四百人である。 + ダンの宿営の、数えられた者は合わせて十五万七千六百人である。これらの者はその旗にしたがって、最後に進まなければならない」。 + これがイスラエルの人々の、その父祖の家にしたがって数えられた人々である。もろもろの宿営の、その部隊にしたがって数えられた者は合わせて六十万三千五百五十人であった。 + しかし、レビびとはイスラエルの人々のうちに数えられなかった。主がモーセに命じられたとおりである。 + イスラエルの人々は、すべて主がモーセに命じられたとおりに行い、その旗にしたがって宿営し、おのおのその氏族に従い、その父祖の家に従って進んだ。 + + + 主がシナイ山で、モーセと語られた時の、アロンとモーセの一族は、次のとおりであった。 + アロンの子たちの名は、次のとおりである。長子はナダブ、次はアビウ、エレアザル、イタマル。 + これがアロンの子たちの名であって、彼らはみな油を注がれ、祭司の職に任じられて祭司となった。 + ナダブとアビウとは、シナイの荒野において、異火を主の前にささげたので、主の前で死んだ。彼らには子供がなかった。そしてエレアザルとイタマルとが、父アロンの前で祭司の務をした。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「レビの部族を召し寄せ、祭司アロンの前に立って仕えさせなさい。 + 彼らは会見の幕屋の前にあって、アロンと全会衆のために、その務をし、幕屋の働きをしなければならない。 + すなわち、彼らは会見の幕屋の、すべての器をまもり、イスラエルの人々のために務をし、幕屋の働きをしなければならない。 + あなたはレビびとを、アロンとその子たちとに、与えなければならない。彼らはイスラエルの人々のうちから、全くアロンに与えられたものである。 + あなたはアロンとその子たちとを立てて、祭司の職を守らせなければならない。ほかの人で近づくものは殺されるであろう」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「わたしは、イスラエルの人々のうちの初めに生れたすべてのういごの代りに、レビびとをイスラエルの人々のうちから取るであろう。レビびとは、わたしのものとなるであろう。 + ういごはすべてわたしのものだからである。わたしは、エジプトの国において、すべてのういごを撃ち殺した日に、イスラエルのういごを、人も獣も、ことごとく聖別して、わたしに帰せしめた。彼らはわたしのものとなるであろう。わたしは主である」。 + 主はまたシナイの荒野でモーセに言われた、 + 「あなたはレビの子たちを、その父祖の家により、その氏族によって数えなさい。すなわち、一か月以上の男子を数えなければならない」。 + それでモーセは主の言葉にしたがって、命じられたとおりに、それを数えた。 + レビの子たちの名は次のとおりである。すなわち、ゲルション、コハテ、メラリ。 + ゲルションの子たちの名は、その氏族によれば次のとおりである。すなわち、リブニ、シメイ。 + コハテの子たちは、その氏族によれば、アムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエル。 + メラリの子たちは、その氏族によれば、マヘリ、ムシ。これらはその父祖の家によるレビの氏族である。 + ゲルションからリブニびとの氏族と、シメイびとの氏族とが出た。これらはゲルションびとの氏族である。 + その数えられた者、すなわち、一か月以上の男子の数は合わせて七千五百人であった。 + ゲルションびとの氏族は幕屋の後方、すなわち、西の方に宿営し、 + ラエルの子エリアサフが、ゲルションびとの父祖の家のつかさとなるであろう。 + 会見の幕屋の、ゲルションの子たちの務は、幕屋、天幕とそのおおい、会見の幕屋の入口のとばり、 + 庭のあげばり、幕屋と祭壇のまわりの庭の入口のとばり、そのひも、およびすべてそれに用いる物を守ることである。 + また、コハテからアムラムびとの氏族、イヅハルびとの氏族、ヘブロンびとの氏族、ウジエルびとの氏族が出た。これらはコハテびとの氏族である。 + 一か月以上の男子の数は、合わせて八千六百人であって、聖所の務を守る者たちである。 + コハテの子たちの氏族は、幕屋の南の方に宿営し、 + ウジエルの子エリザパンが、コハテびとの氏族の父祖の家のつかさとなるであろう。 + 彼らの務は、契約の箱、机、燭台、二つの祭壇、聖所の務に用いる器、とばり、およびすべてそれに用いる物を守ることである。 + 祭司アロンの子エレアザルが、レビびとのつかさたちの長となり、聖所の務を守るものたちを監督するであろう。 + メラリからマヘリびとの氏族と、ムシびとの氏族とが出た。これらはメラリの氏族である。 + その数えられた者、すなわち、一か月以上の男子の数は、合わせて六千二百人であった。 + アビハイルの子ツリエルが、メラリの氏族の父祖の家のつかさとなるであろう。彼らは幕屋の北の方に宿営しなければならない。 + メラリの子たちが、その務として管理すべきものは、幕屋の枠、その横木、その柱、その座、そのすべての器、およびそれに用いるすべての物、 + ならびに庭のまわりの柱とその座、その釘、およびそのひもである。 + また幕屋の前、その東の方、すなわち、会見の幕屋の東の方に宿営する者は、モーセとアロン、およびアロンの子たちであって、イスラエルの人々の務に代って、聖所の務を守るものである。ほかの人で近づく者は殺されるであろう。 + モーセとアロンとが、主の言葉にしたがって数えたレビびとで、その氏族によって数えられた者、一か月以上の男子は、合わせて二万二千人であった。 + 主はまたモーセに言われた、「あなたは、イスラエルの人々のうち、すべてういごである男子の一か月以上のものを数えて、その名の数を調べなさい。 + また主なるわたしのために、イスラエルの人々のうちの、すべてのういごの代りにレビびとを取り、またイスラエルの人々の家畜のうちの、すべてのういごの代りに、レビびとの家畜を取りなさい」。 + そこでモーセは主の命じられたように、イスラエルの人々のうちの、すべてのういごを数えた。 + その数えられたういごの男子、すべて一か月以上の者は、その名の数によると二万二千二百七十三人であった。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたはイスラエルの人々のうちの、すべてのういごの代りに、レビびとを取り、また彼らの家畜の代りに、レビびとの家畜を取りなさい。レビびとはわたしのものとなる。わたしは主である。 + またイスラエルの人々のういごは、レビびとの数を二百七十三人超過しているから、そのあがないのために、 + そのあたまかずによって、ひとりごとに銀五シケルを取らなければならない。すなわち、聖所のシケルにしたがって、それを取らなければならない。一シケルは二十ゲラである。 + あなたは、その超過した者をあがなう金を、アロンと、その子たちに渡さなければならない」。 + そこでモーセは、レビびとによってあがなわれた者を超過した人々から、あがないの金を取った。 + すなわち、モーセは、イスラエルの人々のういごから、聖所のシケルにしたがって千三百六十五シケルの銀を取り、 + そのあがないの金を、主の言葉にしたがって、アロンとその子たちに渡した。主がモーセに命じられたとおりである。 + + + 主はまたモーセとアロンに言われた、 + 「レビの子たちのうちから、コハテの子たちの総数を、その氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えなさい。 + コハテの子たちの、会見の幕屋の務は、いと聖なる物にかかわるものであって、次のとおりである。 + すなわち、宿営の進む時に、アロンとその子たちとは、まず、はいって、隔ての垂幕を取りおろし、それをもって、あかしの箱をおおい、 + その上に、じゅごんの皮のおおいを施し、またその上に総青色の布をうちかけ、環にさおをさし入れる。 + また供えのパンの机の上には、青色の布をうちかけ、その上に、さら、乳香を盛る杯、鉢、および灌祭の瓶を並べ、また絶やさず供えるパンを置き、 + 緋色の布をその上にうちかけ、じゅごんの皮のおおいをもって、これをおおい、さおをさし入れる。 + また青色の布を取って、燭台とそのともし火ざら、芯切りばさみ、芯取りざら、およびそれに用いるもろもろの油の器をおおい、 + じゅごんの皮のおおいのうちに、燭台とそのもろもろの器をいれて、担架に載せる。 + また、金の祭壇の上に青色の布をうちかけ、じゅごんの皮のおおいで、これをおおい、そのさおをさし入れる。 + また聖所の務に用いる務の器をみな取り、青色の布に包み、じゅごんの皮のおおいで、これをおおって、担架に載せる。 + また祭壇の灰を取り去って、紫の布をその祭壇の上にうちかけ、 + その上に、務をするのに用いるもろもろの器、すなわち、火ざら、肉さし、十能、鉢、および祭壇のすべての器を載せ、またその上に、じゅごんの皮のおおいをうちかけ、そしてさおをさし入れる。 + 宿営の進むとき、アロンとその子たちとが、聖所と聖所のすべての器をおおうことを終ったならば、その後コハテの子たちは、それを運ぶために、はいってこなければならない。しかし、彼らは聖なる物に触れてはならない。触れると死ぬであろう。会見の幕屋のうちの、これらの物は、コハテの子たちが運ぶものである。 + 祭司アロンの子エレアザルは、ともし油、香ばしい薫香、絶やさず供える素祭および注ぎ油をつかさどり、また幕屋の全体と、そのうちにあるすべての聖なる物、およびその所のもろもろの器をつかさどらなければならない」。 + 主はまた、モーセとアロンに言われた、 + 「あなたがたはコハテびとの一族を、レビびとのうちから絶えさせてはならない。 + 彼らがいと聖なる物に近づく時、死なないで、命を保つために、このようにしなさい、すなわち、アロンとその子たちが、まず、はいり、彼らをおのおのその働きにつかせ、そのになうべきものを取らせなさい。 + しかし、彼らは、はいって、ひと目でも聖なる物を見てはならない。見るならば死ぬであろう」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたはまたゲルションの子たちの総数を、その父祖の家により、その氏族にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えなさい。 + ゲルションびとの氏族の務として働くことと、運ぶ物とは次のとおりである。 + すなわち、彼らは幕屋の幕、会見の幕屋およびそのおおいと、その上のじゅごんの皮のおおい、ならびに会見の幕屋の入口のとばりを運び、 + また庭のあげばり、および幕屋と祭壇のまわりの庭の門の入口のとばりと、そのひも、ならびにそれに用いるすべての器を運ばなければならない。そして彼らはすべてこれらのものについての働きをしなければならない。 + ゲルションびとの子たちのすべての務、すなわち、その運ぶことと、働くこととは、すべてアロンとその子たちの命に従わなければならない。あなたがたは彼らにすべてその運ぶべき物を定めて、これを守らせなければならない。 + これはすなわちゲルションびとの子たちの氏族が、会見の幕屋でする働きであって、彼らの務は祭司アロンの子イタマルの指揮のもとにおかなければならない。 + メラリの子たちをもまたあなたはその氏族により、その祖父の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋の働きをすることのできる者を、ことごとく数えなさい。 + 彼らが会見の幕屋でするすべての務にしたがって、その運ぶ責任のある物は次のとおりである。すなわち、幕屋の枠、その横木、その柱、その座、 + 庭のまわりの柱、その座、その釘、そのひも、またそのすべての器、およびそれに用いるすべてのものである。あなたがたは彼らが運ぶ責任のある器を、その名によって割り当てなければならない。 + これはすなわちメラリの子たちの氏族の働きであって、彼らは祭司アロンの子イタマルの指揮のもとに、会見の幕屋で、このすべての働きをしなければならない」。 + そこでモーセとアロン、および会衆のつかさたちは、コハテの子たちをその氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えたが、 + その氏族にしたがって数えられた者は二千七百五十人であった。 + これはすなわち、コハテびとの氏族の数えられた者で、すべて会見の幕屋で働くことのできる者であった。モーセとアロンが、主のモーセによって命じられたところにしたがって数えたのである。 + またゲルションの子たちを、その氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えたが、 + その氏族により、その父祖の家にしたがって数えられた者は二千六百三十人であった。 + これはすなわち、ゲルションの子たちの氏族の数えられた者で、すべて会見の幕屋で働くことのできる者であった。モーセとアロンが、主の命にしたがって数えたのである。 + またメラリの子たちの氏族を、その氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、務につき、会見の幕屋で働くことのできる者を、ことごとく数えたが、 + その氏族にしたがって数えられた者は三千二百人であった。 + これはすなわち、メラリの子たちの氏族の数えられた者で、モーセとアロンが、主のモーセによって命じられたところにしたがって数えたのである。 + モーセとアロン、およびイスラエルのつかさたちは、レビびとを、その氏族により、その父祖の家にしたがって調べ、 + 三十歳以上五十歳以下で、会見の幕屋にはいって務の働きをし、また、運ぶ働きをする者を、ことごとく数えたが、 + その数えられた者は八千五百八十人であった。 + 彼らは主の命により、モーセによって任じられ、おのおのその働きにつき、かつその運ぶところを受け持った。こうして彼らは主のモーセに命じられたように数えられたのである。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて、らい病人、流出のある者、死体にふれて汚れた者を、ことごとく宿営の外に出させなさい。 + 男でも女でも、あなたがたは彼らを宿営の外に出してそこにおらせ、彼らに宿営を汚させてはならない。わたしがその中に住んでいるからである」。 + イスラエルの人々はそのようにして、彼らを宿営の外に出した。すなわち、主がモーセに言われたようにイスラエルの人々は行った。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げなさい、『男または女が、もし人の犯す罪をおかして、主に罪を得、その人がとがある者となる時は、 + その犯した罪を告白し、その物の価にその五分の一を加えて、彼がとがを犯した相手方に渡し、そのとがをことごとく償わなければならない。 + しかし、もし、そのとがの償いを受け取るべき親族も、その人にない時は、主にそのとがの償いをして、これを祭司に帰せしめなければならない。なお、このほか、そのあがないをするために用いた贖罪の雄羊も、祭司に帰せしめなければならない。 + イスラエルの人々が、祭司のもとに携えて来るすべての聖なるささげ物は、みな祭司に帰せしめなければならない。 + すべて人の聖なるささげ物は祭司に帰し、すべて人が祭司に与える物は祭司に帰するであろう』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げなさい、『もし人の妻たる者が、道ならぬ事をして、その夫に罪を犯し、 + 人が彼女と寝たのに、その事が夫の目に隠れて現れず、彼女はその身を汚したけれども、それに対する証人もなく、彼女もまたその時に捕えられなかった場合、 + すなわち、妻が身を汚したために、夫が疑いの心を起して妻を疑うことがあり、または妻が身を汚した事がないのに、夫が疑いの心を起して妻を疑うことがあれば、 + 夫は妻を祭司のもとに伴い、彼女のために大麦の粉一エパの十分の一を供え物として携えてこなければならない。ただし、その上に油を注いではならない。また乳香を加えてはならない。これは疑いの供え物、覚えの供え物であって罪を覚えさせるものだからである。 + 祭司はその女を近く進ませ、主の前に立たせなければならない。 + 祭司はまた土の器に聖なる水を入れ、幕屋のゆかのちりを取ってその水に入れ、 + その女を主の前に立たせ、女にその髪の毛をほどかせ、覚えの供え物すなわち、疑いの供え物を、その手に持たせなければならない。そして祭司は、のろいの苦い水を手に取り、 + 女に誓わせて、これに言わなければならない、「もし人があなたと寝たことがなく、またあなたが、夫のもとにあって、道ならぬ事をして汚れたことがなければ、のろいの苦い水も、あなたに害を与えないであろう。 + しかし、あなたが、もし夫のもとにあって、道ならぬことをして身を汚し、あなたの夫でない人が、あなたと寝たことがあるならば、―― + 祭司はその女に、のろいの誓いをもって誓わせ、その女に言わなければならない。――主はあなたのももをやせさせ、あなたの腹をふくれさせて、あなたを民のうちの、のろいとし、また、ののしりとされるように。 + また、のろいの水が、あなたの腹にはいってあなたの腹をふくれさせ、あなたのももをやせさせるように」。その時、女は「アァメン、アァメン」と言わなければならない。 + 祭司は、こののろいを書き物に書きしるし、それを苦い水に洗い落し、 + 女にそののろいの水を飲ませなければならない。そののろいの水は彼女のうちにはいって苦くなるであろう。 + そして祭司はその女の手から疑いの供え物を取り、その供え物を主の前に揺り動かして、それを祭壇に持ってこなければならない。 + 祭司はその供え物のうちから、覚えの分、一握りを取って、それを祭壇で焼き、その後、女にその水を飲ませなければならない。 + その水を女に飲ませる時、もしその女が身を汚し、夫に罪を犯した事があれば、そののろいの水は女のうちにはいって苦くなり、その腹はふくれ、ももはやせて、その女は民のうちののろいとなるであろう。 + しかし、もし女が身を汚した事がなく、清いならば、害を受けないで、子を産むことができるであろう。 + これは疑いのある時のおきてである。妻たる者が夫のもとにあって、道ならぬ事をして身を汚した時、 + または夫たる者が疑いの心を起して、妻を疑う時、彼はその女を主の前に立たせ、祭司はこのおきてを、ことごとく彼女に行わなければならない。 + こうするならば、夫は罪がなく、妻は罪を負うであろう』」。 + + + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『男または女が、特に誓いを立て、ナジルびととなる誓願をして、身を主に聖別する時は、 + ぶどう酒と濃い酒を断ち、ぶどう酒の酢となったもの、濃い酒の酢となったものを飲まず、また、ぶどうの汁を飲まず、また生でも干したものでも、ぶどうを食べてはならない。 + ナジルびとである間は、すべて、ぶどうの木からできるものは、種も皮も食べてはならない。 + また、ナジルびとたる誓願を立てている間は、すべて、かみそりを頭に当ててはならない。身を主に聖別した日数の満ちるまで、彼は聖なるものであるから、髪の毛をのばしておかなければならない。 + 身を主に聖別している間は、すべて死体に近づいてはならない。 + 父母、兄弟、姉妹が死んだ時でも、そのために身を汚してはならない。神に聖別したしるしが、頭にあるからである。 + 彼はナジルびとである間は、すべて主の聖なる者である。 + もし人がはからずも彼のかたわらに死んで、彼の聖別した頭を汚したならば、彼は身を清める日に、頭をそらなければならない。すなわち、七日目にそれをそらなければならない。 + そして八日目に山ばと二羽、または家ばとのひな二羽を携えて、会見の幕屋の入口におる祭司の所に行かなければならない。 + 祭司はその一羽を罪祭に、一羽を燔祭にささげて、彼が死体によって得た罪を彼のためにあがない、その日に彼の頭を聖別しなければならない。 + 彼はまたナジルびとたる日の数を、改めて主に聖別し、一歳の雄の小羊を携えてきて、愆祭としなければならない。それ以前の日は、彼がその聖別を汚したので、無効になるであろう。 + これがナジルびとの律法である。聖別の日数が満ちた時は、その人を会見の幕屋の入口に連れてこなければならない。 + そしてその人は供え物を主にささげなければならない。すなわち、一歳の雄の小羊の全きもの一頭を燔祭とし、一歳の雌の小羊の全きもの一頭を罪祭とし、雄羊の全きもの一頭を酬恩祭とし、 + また種入れぬパンの一かご、油を混ぜて作った麦粉の菓子、油を塗った種入れぬ煎餅、および素祭と灌祭を携えてこなければならない。 + 祭司はこれを主の前に携えてきて、その罪祭と燔祭とをささげ、 + また雄羊を種入れぬパンの一かごと共に、酬恩祭の犠牲として、主にささげなければならない。祭司はまたその素祭と灌祭をもささげなければならない。 + そのナジルびとは会見の幕屋の入口で、聖別した頭をそり、その聖別した頭の髪を取って、これを酬恩祭の犠牲の下にある火の上に置かなければならない。 + 祭司はその雄羊の肩の煮えたものと、かごから取った種入れぬ菓子一つと、種入れぬ煎餅一つを取って、これをナジルびとが、その聖別した頭をそった後、その手に授け、 + 祭司は主の前でこれを揺り動かして揺祭としなければならない。これは聖なる物であって、その揺り動かした胸と、ささげたももと共に、祭司に帰するであろう。こうして後、そのナジルびとは、ぶどう酒を飲むことができる。 + これは誓願をするナジルびとと、そのナジルびとたる事のために、主にささげる彼の供え物についての律法である。このほかにその力の及ぶ物をささげることができる。すなわち、彼はその誓う誓願のように、ナジルびとの律法にしたがって行わなければならない』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「アロンとその子たちに言いなさい、『あなたがたはイスラエルの人々を祝福してこのように言わなければならない。 + 「願わくは主があなたを祝福し、あなたを守られるように。 + 願わくは主がみ顔をもってあなたを照し、あなたを恵まれるように。 + 願わくは主がみ顔をあなたに向け、あなたに平安を賜わるように」』。 + こうして彼らがイスラエルの人々のために、わたしの名を唱えるならば、わたしは彼らを祝福するであろう」。 + + + モーセが幕屋を建て終り、これに油を注いで聖別し、またそのすべての器、およびその祭壇と、そのすべての器に油を注いで、これを聖別した日に、 + イスラエルのつかさたち、すなわち、その父祖の家の長たちは、ささげ物をした。彼らは各部族のつかさたちであって、その数えられた人々をつかさどる者どもであった。 + 彼らはその供え物を、主の前に携えてきたが、おおいのある車六両と雄牛十二頭であった。つかさふたりに車一両、ひとりに雄牛一頭である。彼らはこれを幕屋の前に引いてきた。 + その時、主はモーセに言われた、 + 「あなたはこれを会見の幕屋の務に用いるために、彼らから受け取って、レビびとに、おのおのその務にしたがって、渡さなければならない」。 + そこでモーセはその車と雄牛を受け取って、これをレビびとに渡した。 + すなわち、ゲルションの子たちには、その務にしたがって、車二両と雄牛四頭を渡し、 + メラリの子たちには、その務にしたがって車四両と雄牛八頭を渡し、祭司アロンの子イタマルに、これを監督させた。 + しかし、コハテの子たちには、何をも渡さなかった。彼らの務は聖なる物を、肩にになって運ぶことであったからである。 + つかさたちは、また祭壇に油を注ぐ日に、祭壇奉納の供え物を携えてきて、その供え物を祭壇の前にささげた。 + 主はモーセに言われた、「つかさたちは一日にひとりずつ、祭壇奉納の供え物をささげなければならない」。 + 第一日に供え物をささげた者は、ユダの部族のアミナダブの子ナションであった。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ。これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはアミナダブの子ナションの供え物であった。 + 第二日にはイッサカルのつかさ、ツアルの子ネタニエルがささげ物をした。 + そのささげた供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはツアルの子ネタニエルの供え物であった。 + 第三日にはゼブルンの子たちのつかさ、ヘロンの子エリアブ。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはヘロンの子エリアブの供え物であった。 + 第四日にはルベンの子たちのつかさ、シデウルの子エリヅル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはシデウルの子エリヅルの供え物であった。 + 第五日にはシメオンの子たちのつかさ、ツリシャダイの子シルミエル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはツリシャダイの子シルミエルの供え物であった。 + 第六日にはガドの子たちのつかさ、デウエルの子エリアサフ。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはデウエルの子エリアサフの供え物であった。 + 第七日にはエフライムの子たちのつかさ、アミホデの子エリシャマ。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはアミホデの子エリシャマの供え物であった。 + 第八日にはマナセの子たちのつかさ、パダヅルの子ガマリエル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはパダヅルの子ガマリエルの供え物であった。 + 第九日にはベニヤミンの子らのつかさ、ギデオニの子アビダン。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはギデオニの子アビダンの供え物であった。 + 第十日にはダンの子たちのつかさ、アミシャダイの子アヒエゼル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはアミシャダイの子アヒエゼルの供え物であった。 + 第十一日にはアセルの子たちのつかさ、オクランの子パギエル。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはオクランの子パギエルの供え物であった。 + 第十二日にはナフタリの子たちのつかさ、エナンの子アヒラ。 + その供え物は銀のさら一つ、その重さは百三十シケル、銀の鉢一つ、これは七十シケル、共に聖所のシケルによる。この二つには素祭に使う油を混ぜた麦粉を満たしていた。 + また十シケルの金の杯一つ、これには薫香を満たしていた。 + また燔祭に使う若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊一頭。 + 罪祭に使う雄やぎ一頭。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛二頭。雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の小羊五頭であって、これはエナンの子アヒラの供え物であった。 + 以上は祭壇に油を注ぐ日に、イスラエルのつかさたちが、祭壇を奉納する供え物として、ささげたものである。すなわち、銀のさら十二、銀の鉢十二、金の杯十二。 + 銀のさらはそれぞれ百三十シケル、鉢はそれぞれ七十シケル、聖所のシケルによれば、この銀の器は合わせて二千四百シケル。 + また薫香の満ちている十二の金の杯は、聖所のシケルによれば、それぞれ十シケル、その杯の金は合わせて百二十シケルであった。 + また燔祭に使う雄牛は合わせて十二、雄羊は十二、一歳の雄の小羊は十二、このほかにその素祭のものがあった。また罪祭に使う雄やぎは十二。 + 酬恩祭の犠牲に使う雄牛は合わせて二十四、雄羊は六十、雄やぎは六十、一歳の雄の小羊は六十であって、これは祭壇に油を注いだ後に、祭壇奉納の供え物としてささげたものである。 + さてモーセは主と語るために、会見の幕屋にはいって、あかしの箱の上の、贖罪所の上、二つのケルビムの間から自分に語られる声を聞いた。すなわち、主は彼に語られた。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「アロンに言いなさい、『あなたがともし火をともす時は、七つのともし火で燭台の前方を照すようにしなさい』」。 + アロンはそのようにした。すなわち、主がモーセに命じられたように、燭台の前方を照すように、ともし火をともした。 + 燭台の造りは次のとおりである。それは金の打ち物で、その台もその花も共に打物造りであった。モーセは主に示された型にしたがって、そのようにその燭台を造った。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「レビびとをイスラエルの人々のうちから取って、彼らを清めなさい。 + あなたはこのようにして彼らを清めなければならない。すなわち、罪を清める水を彼らに注ぎかけ、彼らに全身をそらせ、衣服を洗わせて、身を清めさせ、 + そして彼らに若い雄牛一頭と、油を混ぜた麦粉の素祭とを取らせなさい。あなたはまた、ほかに若い雄牛を罪祭のために取らなければならない。 + そして、あなたはレビびとを会見の幕屋の前に連れてきて、イスラエルの人々の全会衆を集め、 + レビびとを主の前に進ませ、イスラエルの人々をして、手をレビびとの上に置かせなければならない。 + そしてアロンは、レビびとをイスラエルの人々のささげる揺祭として、主の前にささげなければならない。これは彼らに主の務をさせるためである。 + それからあなたはレビびとをして、手をかの雄牛の頭の上に置かせ、その一つを罪祭とし、一つを燔祭として主にささげ、レビびとのために罪のあがないをしなければならない。 + あなたはレビびとを、アロンとその子たちの前に立たせ、これを揺祭として主にささげなければならない。 + こうして、あなたはレビびとをイスラエルの人々のうちから分かち、レビびとをわたしのものとしなければならない。 + こうして後レビびとは会見の幕屋にはいって務につくことができる。あなたは彼らを清め、彼らをささげて揺祭としなければならない。 + 彼らはイスラエルの人々のうちから、全くわたしにささげられたものだからである。イスラエルの人々のうちの初めに生れた者、すなわち、すべてのういごの代りに、わたしは彼らを取ってわたしのものとした。 + イスラエルの人々のうちのういごは、人も獣も、みなわたしのものだからである。わたしはエジプトの地で、すべてのういごを撃ち殺した日に、彼らを聖別してわたしのものとした。 + それでわたしはイスラエルの人々のうちの、すべてのういごの代りにレビびとを取った。 + わたしはイスラエルの人々のうちからレビびとを取って、アロンとその子たちに与え、彼らに会見の幕屋で、イスラエルの人々に代って務をさせ、またイスラエルの人々のために罪のあがないをさせるであろう。これはイスラエルの人々が、聖所に近づいて、イスラエルの人々のうちに災の起ることのないようにするためである」。 + モーセとアロン、およびイスラエルの人々の全会衆は、すべて主がレビびとの事につき、モーセに命じられた所にしたがって、レビびとに行った、すなわち、イスラエルの人々は、そのように彼らに行った。 + そこでレビびとは身を清め、その衣服を洗った。アロンは彼らを主の前にささげて揺祭とした。アロンはまた彼らのために、罪のあがないをして彼らを清めた。 + こうして後、レビびとは会見の幕屋にはいって、アロンとその子たちに仕えて務をした。すなわち、彼らはレビびとの事について、主がモーセに命じられた所にしたがって、そのように彼らに行った。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「レビびとは次のようにしなければならない。すなわち、二十五歳以上の者は務につき、会見の幕屋の働きをしなければならない。 + しかし、五十歳からは務の働きを退き、重ねて務をしてはならない。 + ただ、会見の幕屋でその兄弟たちの務の助けをすることができる。しかし、務をしてはならない。あなたがレビびとにその務をさせるには、このようにしなければならない」。 + + + エジプトの国を出た次の年の正月、主はシナイの荒野でモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に、過越の祭を定めの時に行わせなさい。 + この月の十四日の夕暮、定めの時に、それを行わなければならない。あなたがたは、そのすべての定めと、そのすべてのおきてにしたがって、それを行わなければならない」。 + そこでモーセがイスラエルの人々に、過越の祭を行わなければならないと言ったので、 + 彼らは正月の十四日の夕暮、シナイの荒野で過越の祭を行った。すなわち、イスラエルの人々は、すべて主がモーセに命じられたようにおこなった。 + ところが人の死体に触れて身を汚したために、その日に過越の祭を行うことのできない人々があって、その日モーセとアロンの前にきて、 + その人々は彼に言った、「わたしたちは人の死体に触れて身を汚しましたが、なぜその定めの時に、イスラエルの人々と共に、主に供え物をささげることができないのですか」。 + モーセは彼らに言った、「しばらく待て。主があなたがたについて、どう仰せになるかを聞こう」。 + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたのうち、また、あなたがたの子孫のうち、死体に触れて身を汚した人も、遠い旅路にある人も、なお、過越の祭を主に対して行うことができるであろう。 + すなわち、二月の十四日の夕暮、それを行い、種入れぬパンと苦菜を添えて、それを食べなければならない。 + これを少しでも朝まで残しておいてはならない。またその骨は一本でも折ってはならない。過越の祭のすべての定めにしたがってこれを行わなければならない。 + しかし、その身は清く、旅に出てもいないのに、過越の祭を行わないときは、その人は民のうちから断たれるであろう。このような人は、定めの時に主の供え物をささげないゆえ、その罪を負わなければならない。 + もし他国の人が、あなたがたのうちに寄留していて、主に対して過越の祭を行おうとするならば、過越の祭の定めにより、そのおきてにしたがって、これを行わなければならない。あなたがたは他国の人にも、自国の人にも、同一の定めを用いなければならない』」。 + 幕屋を建てた日に、雲は幕屋をおおった。すれはすなわち、あかしの幕屋であって、夕には、幕屋の上に、雲は火のように見えて、朝にまで及んだ。 + 常にそうであって、昼は雲がそれをおおい、夜は火のように見えた。 + 雲が幕屋を離れてのぼる時は、イスラエルの人々は、ただちに道に進んだ。また雲がとどまる所に、イスラエルの人々は宿営した。 + すなわち、イスラエルの人々は、主の命によって道に進み、主の命によって宿営し、幕屋の上に雲がとどまっている間は、宿営していた。 + 幕屋の上に、日久しく雲のとどまる時は、イスラエルの人々は主の言いつけを守って、道に進まなかった。 + また幕屋の上に、雲のとどまる日の少ない時もあったが、彼らは、ただ主の命にしたがって宿営し、主の命にしたがって、道に進んだ。 + また雲は夕から朝まで、とどまることもあったが、朝になって、雲がのぼる時は、彼らは道に進んだ。また昼でも夜でも、雲がのぼる時は、彼らは道に進んだ。 + ふつかでも、一か月でも、あるいはそれ以上でも、幕屋の上に、雲がとどまっている間は、イスラエルの人々は宿営していて、道に進まなかったが、それがのぼると道に進んだ。 + すなわち、彼らは主の命にしたがって宿営し、主の命にしたがって道に進み、モーセによって、主が命じられたとおりに、主の言いつけを守った。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「銀のラッパを二本つくりなさい。すなわち、打物造りとし、それで会衆を呼び集め、また宿営を進ませなさい。 + この二つを吹くときは、全会衆が会見の幕屋の入口に、あなたの所に集まってこなければならない。 + もしその一つだけを吹くときは、イスラエルの氏族の長であるつかさたちが、あなたの所に集まってこなければならない。 + またあなたがたが警報を吹き鳴らす時は、東の方の宿営が、道に進まなければならない。 + 二度目の警報を吹き鳴らす時は、南の方の宿営が、道に進まなければならない。すべて道に進む時は、警報を吹き鳴らさなければならない。 + また会衆を集める時にも、ラッパを吹き鳴らすが、警報は吹き鳴らしてはならない。 + アロンの子である祭司たちが、ラッパを吹かなければならない。これはあなたがたが、代々ながく守るべき定めとしなければならない。 + また、あなたがたの国で、あなたがたをしえたげるあだとの戦いに出る時は、ラッパをもって、警報を吹き鳴らさなければならない。そうするならば、あなたがたは、あなたがたの神、主に覚えられて、あなたがたの敵から救われるであろう。 + また、あなたがたの喜びの日、あなたがたの祝いの時、および月々の第一日には、あなたがたの燔祭と酬恩祭の犠牲をささげるに当って、ラッパを吹き鳴らさなければならない。そうするならば、あなたがたの神は、それによって、あなたがたを覚えられるであろう。わたしはあなたがたの神、主である」。 + 第二年の二月二十日に、雲があかしの幕屋を離れてのぼったので、 + イスラエルの人々は、シナイの荒野を出て、その旅路に進んだが、パランの荒野に至って、雲はとどまった。 + こうして彼らは、主がモーセによって、命じられたところにしたがって、道に進むことを始めた。 + 先頭には、ユダの子たちの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。ユダの部隊の長はアミナダブの子ナション、 + イッサカルの子たちの部族の部隊の長はツアルの子ネタニエル、 + ゼブルンの子たちの部族の部隊の長はヘロンの子エリアブであった。 + そして幕屋は取りくずされ、ゲルションの子たち、およびメラリの子たちは幕屋を運び進んだ。 + 次にルベンの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。ルベンの部隊の長はシデウルの子エリヅル、 + シメオンの子たちの部族の部隊の長はツリシャダイの子シルミエル、 + ガドの子たちの部族の部隊の長はデウエルの子エリアサフであった。 + そしてコハテびとは聖なる物を運び進んだ。これが着くまでに、人々は幕屋を建て終るのである。 + 次にエフライムの子たちの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。エフライムの部隊の長はアミホデの子エリシャマ、 + マナセの子たちの部族の部隊の長はパダヅルの子ガマリエル、 + ベニヤミンの子たちの部族の部隊の長はギデオニの子アビダンであった。 + 次にダンの子たちの宿営の旗が、その部隊を従えて進んだ。この部隊はすべての宿営のしんがりであった。ダンの部隊の長はアミシャダイの子アヒエゼル、 + アセルの子たちの部族の部隊の長はオクランの子パギエル、 + ナフタリの子たちの部族の部隊の長はエナンの子アヒラであった。 + イスラエルの人々が、その道に進む時は、このように、その部隊に従って進んだ。 + さて、モーセは、妻の父、ミデヤンびとリウエルの子ホバブに言った、「わたしたちは、かつて主がおまえたちに与えると約束された所に向かって進んでいます。あなたも一緒においでください。あなたが幸福になられるようにいたしましょう。主がイスラエルに幸福を約束されたのですから」。 + 彼はモーセに言った、「わたしは行きません。わたしは国に帰って、親族のもとに行きます」。 + モーセはまた言った、「どうかわたしたちを見捨てないでください。あなたは、わたしたちが荒野のどこに宿営すべきかを御存じですから、わたしたちの目となってください。 + もしあなたが一緒においでくださるなら、主がわたしたちに賜わる幸福をあなたにも及ぼしましょう」。 + こうして彼らは主の山を去って、三日の行程を進んだ。主の契約の箱は、その三日の行程の間、彼らに先立って行き、彼らのために休む所を尋ねもとめた。 + 彼らが宿営を出て、道に進むとき、昼は主の雲が彼らの上にあった。 + 契約の箱の進むときモーセは言った、「主よ、立ちあがってください。あなたの敵は打ち散らされ、あなたを憎む者どもは、あなたの前から逃げ去りますように」。 + またそのとどまるとき、彼は言った、「主よ、帰ってきてください、イスラエルのちよろずの人に」。 + + + さて、民は災難に会っている人のように、主の耳につぶやいた。主はこれを聞いて怒りを発せられ、主の火が彼らのうちに燃えあがって、宿営の端を焼いた。 + そこで民はモーセにむかって叫んだ。モーセが主に祈ったので、その火はしずまった。 + 主の火が彼らのうちに燃えあがったことによって、その所の名はタベラと呼ばれた。 + また彼らのうちにいた多くの寄り集まりびとは欲心を起し、イスラエルの人々もまた再び泣いて言った、「ああ、肉が食べたい。 + われわれは思い起すが、エジプトでは、ただで、魚を食べた。きゅうりも、すいかも、にらも、たまねぎも、そして、にんにくも。 + しかし、いま、われわれの精根は尽きた。われわれの目の前には、このマナのほか何もない」。 + マナは、こえんどろの実のようで、色はブドラクの色のようであった。 + 民は歩きまわって、これを集め、ひきうすでひき、または、うすでつき、かまで煮て、これをもちとした。その味は油菓子の味のようであった。 + 夜、宿営の露がおりるとき、マナはそれと共に降った。 + モーセは、民が家ごとに、おのおのその天幕の入口で泣くのを聞いた。そこで主は激しく怒られ、またモーセは不快に思った。 + そして、モーセは主に言った、「あなたはなぜ、しもべに悪い仕打ちをされるのですか。どうしてわたしはあなたの前に恵みを得ないで、このすべての民の重荷を負わされるのですか。 + わたしがこのすべての民を、はらんだのですか。わたしがこれを生んだのですか。そうではないのに、あなたはなぜわたしに『養い親が乳児を抱くように、彼らをふところに抱いて、あなたが彼らの先祖たちに誓われた地に行け』と言われるのですか。 + わたしはどこから肉を獲て、このすべての民に与えることができましょうか。彼らは泣いて、『肉を食べさせよ』とわたしに言っているのです。 + わたしひとりでは、このすべての民を負うことができません。それはわたしには重過ぎます。 + もしわたしがあなたの前に恵みを得ますならば、わたしにこのような仕打ちをされるよりは、むしろ、ひと思いに殺し、このうえ苦しみに会わせないでください」。 + 主はモーセに言われた、「イスラエルの長老たちのうち、民の長老となり、つかさとなるべきことを、あなたが知っている者七十人をわたしのもとに集め、会見の幕屋に連れてきて、そこにあなたと共に立たせなさい。 + わたしは下って、その所で、あなたと語り、またわたしはあなたの上にある霊を、彼らにも分け与えるであろう。彼らはあなたと共に、民の重荷を負い、あなたが、ただひとりで、それを負うことのないようにするであろう。 + あなたはまた民に言いなさい、『あなたがたは身を清めて、あすを待ちなさい。あなたがたは肉を食べることができるであろう。あなたがたが泣いて主の耳に、わたしたちは肉が食べたい。エジプトにいた時は良かったと言ったからである。それゆえ、主はあなたがたに肉を与えて食べさせられるであろう。 + あなたがたがそれを食べるのは、一日や二日や五日や十日や二十日ではなく、 + 一か月に及び、ついにあなたがたの鼻から出るようになり、あなたがたは、それに飽き果てるであろう。それはあなたがたのうちにおられる主を軽んじて、その前に泣き、なぜ、わたしたちはエジプトから出てきたのだろうと言ったからである』」。 + モーセは言った、「わたしと共におる民は徒歩の男子だけでも六十万です。ところがあなたは、『わたしは彼らに肉を与えて一か月のあいだ食べさせよう』と言われます。 + 羊と牛の群れを彼らのためにほふって、彼らを飽きさせるというのですか。海のすべての魚を彼らのために集めて、彼らを飽きさせるというのですか」。 + 主はモーセに言われた、「主の手は短かろうか。あなたは、いま、わたしの言葉の成るかどうかを見るであろう」。 + この時モーセは出て、主の言葉を民に告げ、民の長老たち七十人を集めて、幕屋の周囲に立たせた。 + 主は雲のうちにあって下り、モーセと語られ、モーセの上にある霊を、その七十人の長老たちにも分け与えられた。その霊が彼らの上にとどまった時、彼らは預言した。ただし、その後は重ねて預言しなかった。 + その時ふたりの者が、宿営にとどまっていたが、ひとりの名はエルダデと言い、ひとりの名はメダデといった。彼らの上にも霊がとどまった。彼らは名をしるされた者であったが、幕屋に行かなかったので、宿営のうちで預言した。 + 時にひとりの若者が走ってきて、モーセに告げて言った、「エルダデとメダデとが宿営のうちで預言しています」。 + 若い時からモーセの従者であったヌンの子ヨシュアは答えて言った、「わが主、モーセよ、彼らをさし止めてください」。 + モーセは彼に言った、「あなたは、わたしのためを思って、ねたみを起しているのか。主の民がみな預言者となり、主がその霊を彼らに与えられることは、願わしいことだ」。 + こうしてモーセはイスラエルの長老たちと共に、宿営に引きあげた。 + さて、主のもとから風が起り、海の向こうから、うずらを運んできて、これを宿営の近くに落した。その落ちた範囲は、宿営の周囲で、こちら側も、おおよそ一日の行程、あちら側も、おおよそ一日の行程、地面から高さおおよそ二キュビトであった。 + そこで民は立ち上がってその日は終日、その夜は終夜、またその次の日も終日、うずらを集めたが、集める事の最も少ない者も、十ホメルほど集めた。彼らはみな、それを宿営の周囲に広げておいた。 + その肉がなお、彼らの歯の間にあって食べつくさないうちに、主は民にむかって怒りを発し、主は非常に激しい疫病をもって民を撃たれた。 + これによって、その所の名はキブロテ・ハッタワと呼ばれた。欲心を起した民を、そこに埋めたからである。 + キブロテ・ハッタワから、民はハゼロテに進み、ハゼロテにとどまった。 + + + モーセはクシの女をめとっていたが、そのクシの女をめとったゆえをもって、ミリアムとアロンはモーセを非難した。 + 彼らは言った、「主はただモーセによって語られるのか。われわれによっても語られるのではないのか」。主はこれを聞かれた。 + モーセはその人となり柔和なこと、地上のすべての人にまさっていた。 + そこで、主は突然モーセとアロン、およびミリアムにむかって「あなたがた三人、会見の幕屋に出てきなさい」と言われたので、彼ら三人は出てきたが、 + 主は雲の柱のうちにあって下り、幕屋の入口に立って、アロンとミリアムを呼ばれた。彼らふたりが進み出ると、 + 彼らに言われた、「あなたがたは、いま、わたしの言葉を聞きなさい。あなたがたのうちに、もし、預言者があるならば、主なるわたしは幻をもって、これにわたしを知らせ、また夢をもって、これと語るであろう。 + しかし、わたしのしもべモーセとは、そうではない。彼はわたしの全家に忠信なる者である。 + 彼とは、わたしは口ずから語り、明らかに言って、なぞを使わない。彼はまた主の形を見るのである。なぜ、あなたがたはわたしのしもべモーセを恐れず非難するのか」。 + 主は彼らにむかい怒りを発して去られた。 + 雲が幕屋の上を離れ去った時、ミリアムは、らい病となり、その身は雪のように白くなった。アロンがふり返ってミリアムを見ると、彼女はらい病になっていた。 + そこで、アロンはモーセに言った、「ああ、わが主よ、わたしたちは愚かなことをして罪を犯しました。どうぞ、その罰をわたしたちに受けさせないでください。 + どうぞ彼女を母の胎から肉が半ば滅びうせて出る死人のようにしないでください」。 + その時モーセは主に呼ばわって言った、「ああ、神よ、どうぞ彼女をいやしてください」。 + 主はモーセに言われた、「彼女の父が彼女の顔につばきしてさえ、彼女は七日のあいだ、恥じて身を隠すではないか。彼女を七日のあいだ、宿営の外で閉じこめておかなければならない。その後、連れもどしてもよい」。 + そこでミリアムは七日のあいだ、宿営の外で閉じこめられた。民はミリアムが連れもどされるまでは、道に進まなかった。 + その後、民はハゼロテを立って進み、パランの荒野に宿営した。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「人をつかわして、わたしがイスラエルの人々に与えるカナンの地を探らせなさい。すなわち、その父祖の部族ごとに、すべて彼らのうちのつかさたる者ひとりずつをつかわしなさい」。 + モーセは主の命にしたがって、パランの荒野から彼らをつかわした。その人々はみなイスラエルの人々のかしらたちであった。 + 彼らの名は次のとおりである。ルベンの部族ではザックルの子シャンマ、 + シメオンの部族ではホリの子シャパテ、 + ユダの部族ではエフンネの子カレブ、 + イッサカルの部族ではヨセフの子イガル、 + エフライムの部族ではヌンの子ホセア、 + ベニヤミンの部族ではラフの子パルテ、 + ゼブルンの部族ではソデの子ガデエル、 + ヨセフの部族すなわち、マナセの部族ではスシの子ガデ、 + ダンの部族ではゲマリの子アンミエル、 + アセルの部族ではミカエルの子セトル、 + ナフタリの部族ではワフシの子ナヘビ、 + ガドの部族ではマキの子ギウエル。 + 以上はモーセがその地を探らせるためにつかわした人々の名である。そしてモーセはヌンの子ホセアをヨシュアと名づけた。 + モーセは彼らをつかわし、カナンの地を探らせようとして、これに言った、「あなたがたはネゲブに行って、山に登り、 + その地の様子を見、そこに住む民は、強いか弱いか、少ないか多いか、 + また彼らの住んでいる地は、良いか悪いか。人々の住んでいる町々は、天幕か、城壁のある町か、 + その地は、肥えているか、やせているか、そこには、木があるかないかを見なさい。あなたがたは、勇んで行って、その地のくだものを取ってきなさい」。時は、ぶどうの熟し始める季節であった。 + そこで、彼らはのぼっていって、その地をチンの荒野からハマテの入口に近いレホブまで探った。 + 彼らはネゲブにのぼって、ヘブロンまで行った。そこにはアナクの子孫であるアヒマン、セシャイ、およびタルマイがいた。ヘブロンはエジプトのゾアンよりも七年前に建てられたものである。 + ついに彼らはエシコルの谷に行って、そこで一ふさのぶどうの枝を切り取り、これを棒をもって、ふたりでかつぎ、また、ざくろといちじくをも取った。 + イスラエルの人々が、そこで切り取ったぶどうの一ふさにちなんで、その所はエシコルの谷と呼ばれた。 + 四十日の後、彼らはその地を探り終って帰ってきた。 + そして、パランの荒野にあるカデシにいたモーセとアロン、およびイスラエルの人々の全会衆のもとに行って、彼らと全会衆とに復命し、その地のくだものを彼らに見せた。 + 彼らはモーセに言った、「わたしたちはあなたが、つかわした地へ行きました。そこはまことに乳と蜜の流れている地です。これはそのくだものです。 + しかし、その地に住む民は強く、その町々は堅固で非常に大きく、わたしたちはそこにアナクの子孫がいるのを見ました。 + またネゲブの地には、アマレクびとが住み、山地にはヘテびと、エブスびと、アモリびとが住み、海べとヨルダンの岸べには、カナンびとが住んでいます」。 + そのとき、カレブはモーセの前で、民をしずめて言った、「わたしたちはすぐにのぼって、攻め取りましょう。わたしたちは必ず勝つことができます」。 + しかし、彼とともにのぼって行った人々は言った、「わたしたちはその民のところへ攻めのぼることはできません。彼らはわたしたちよりも強いからです」。 + そして彼らはその探った地のことを、イスラエルの人々に悪く言いふらして言った、「わたしたちが行き巡って探った地は、そこに住む者を滅ぼす地です。またその所でわたしたちが見た民はみな背の高い人々です。 + わたしたちはまたそこで、ネピリムから出たアナクの子孫ネピリムを見ました。わたしたちには自分が、いなごのように思われ、また彼らにも、そう見えたに違いありません」。 + + + そこで、会衆はみな声をあげて叫び、民はその夜、泣き明かした。 + またイスラエルの人々はみなモーセとアロンにむかってつぶやき、全会衆は彼らに言った、「ああ、わたしたちはエジプトの国で死んでいたらよかったのに。この荒野で死んでいたらよかったのに。 + なにゆえ、主はわたしたちをこの地に連れてきて、つるぎに倒れさせ、またわたしたちの妻子をえじきとされるのであろうか。エジプトに帰る方が、むしろ良いではないか」。 + 彼らは互に言った、「わたしたちはひとりのかしらを立てて、エジプトに帰ろう」。 + そこで、モーセとアロンはイスラエルの人々の全会衆の前でひれふした。 + このとき、その地を探った者のうちのヌンの子ヨシュアとエフンネの子カレブは、その衣服を裂き、 + イスラエルの人々の全会衆に言った、「わたしたちが行き巡って探った地は非常に良い地です。 + もし、主が良しとされるならば、わたしたちをその地に導いて行って、それをわたしたちにくださるでしょう。それは乳と蜜の流れている地です。 + ただ、主にそむいてはなりません。またその地の民を恐れてはなりません。彼らはわたしたちの食い物にすぎません。彼らを守る者は取り除かれます。主がわたしたちと共におられますから、彼らを恐れてはなりません」。 + ところが会衆はみな石で彼らを撃ち殺そうとした。そのとき、主の栄光が、会見の幕屋からイスラエルのすべての人に現れた。 + 主はモーセに言われた、「この民はいつまでわたしを侮るのか。わたしがもろもろのしるしを彼らのうちに行ったのに、彼らはいつまでわたしを信じないのか。 + わたしは疫病をもって彼らを撃ち滅ぼし、あなたを彼らよりも大いなる強い国民としよう」。 + モーセは主に言った、「エジプトびとは、あなたが力をもって、この民を彼らのうちから導き出されたことを聞いて、 + この地の住民に告げるでしょう。彼らは、主なるあなたが、この民のうちにおられ、主なるあなたが、まのあたり現れ、あなたの雲が、彼らの上にとどまり、昼は雲の柱のうちに、夜は火の柱のうちにあって、彼らの前に行かれるのを聞いたのです。 + いま、もし、あなたがこの民をひとり残らず殺されるならば、あなたのことを聞いた国民は語って、 + 『主は与えると誓った地に、この民を導き入れることができなかったため、彼らを荒野で殺したのだ』と言うでしょう。 + どうぞ、あなたが約束されたように、いま主の大いなる力を現してください。 + あなたはかつて、『主は怒ることおそく、いつくしみに富み、罪ととがをゆるす者、しかし、罰すべき者は、決してゆるさず、父の罪を子に報いて、三、四代に及ぼす者である』と言われました。 + どうぞ、あなたの大いなるいつくしみによって、エジプトからこのかた、今にいたるまで、この民をゆるされたように、この民の罪をおゆるしください」。 + 主は言われた、「わたしはあなたの言葉のとおりにゆるそう。 + しかし、わたしは生きている。また主の栄光が、全世界に満ちている。 + わたしの栄光と、わたしがエジプトと荒野で行ったしるしを見ながら、このように十度もわたしを試みて、わたしの声に聞きしたがわなかった人々はひとりも、 + わたしがかつて彼らの先祖たちに与えると誓った地を見ないであろう。またわたしを侮った人々も、それを見ないであろう。 + ただし、わたしのしもべカレブは違った心をもっていて、わたしに完全に従ったので、わたしは彼が行ってきた地に彼を導き入れるであろう。彼の子孫はそれを所有するにいたるであろう。 + 谷にはアマレクびととカナンびとが住んでいるから、あなたがたは、あす、身をめぐらして紅海の道を荒野へ進みなさい」。 + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「わたしにむかってつぶやくこの悪い会衆をいつまで忍ぶことができようか。わたしはイスラエルの人々が、わたしにむかってつぶやくのを聞いた。 + あなたは彼らに言いなさい、『主は言われる、「わたしは生きている。あなたがたが、わたしの耳に語ったように、わたしはあなたがたにするであろう。 + あなたがたは死体となって、この荒野に倒れるであろう。あなたがたのうち、わたしにむかってつぶやいた者、すなわち、すべて数えられた二十歳以上の者はみな倒れるであろう。 + エフンネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアのほかは、わたしがかつて、あなたがたを住まわせようと、手をあげて誓った地に、はいることができないであろう。 + しかし、あなたがたが、えじきになるであろうと言ったあなたがたの子供は、わたしが導いて、はいるであろう。彼らはあなたがたが、いやしめた地を知るようになるであろう。 + しかしあなたがたは死体となってこの荒野に倒れるであろう。 + あなたがたの子たちは、あなたがたの死体が荒野に朽ち果てるまで四十年のあいだ、荒野で羊飼となり、あなたがたの不信の罪を負うであろう。 + あなたがたは、かの地を探った四十日の日数にしたがい、その一日を一年として、四十年のあいだ、自分の罪を負い、わたしがあなたがたを遠ざかったことを知るであろう」。 + 主なるわたしがこれを言う。わたしは必ずわたしに逆らって集まったこの悪い会衆に、これをことごとく行うであろう。彼らはこの荒野に朽ち、ここで死ぬであろう』」。 + こうして、モーセにつかわされ、かの地を探りに行き、帰ってきて、その地を悪く言い、全会衆を、モーセにむかって、つぶやかせた人々、 + すなわち、その地を悪く言いふらした人々は、疫病にかかって主の前に死んだが、 + その地を探りに行った人々のうち、ヌンの子ヨシュアと、エフンネの子カレブとは生き残った。 + モーセが、これらのことを、イスラエルのすべての人々に告げたとき、民は非常に悲しみ、 + 朝早く起きて山の頂きに登って言った、「わたしたちはここにいる。さあ、主が約束された所へ上って行こう。わたしたちは罪を犯したのだから」。 + モーセは言った、「あなたがたは、それをなし遂げることもできないのに、どうして、そのように主の命にそむくのか。 + あなたがたは上って行ってはならない。主があなたがたのうちにおられないから、あなたがたは敵の前に、撃ち破られるであろう。 + そこには、アマレクびとと、カナンびとがあなたがたの前にいるから、あなたがたは、つるぎに倒れるであろう。あなたがたがそむいて、主に従わなかったゆえ、主はあなたがたと共におられないからである」。 + しかし、彼らは、ほしいままに山の頂に登った。ただし、主の契約の箱と、モーセとは、宿営の中から出なかった。 + そこで、その山に住んでいたアマレクびとと、カナンびとが下ってきて、彼らを撃ち破り、ホルマまで追ってきた。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『あなたがたが、わたしの与えて住ませる地に行って、 + 主に火祭をささげる時、すなわち特別の誓願の供え物、あるいは自発の供え物、あるいは祝のときの供え物として、牛または羊を燔祭または犠牲としてささげ、主に香ばしいかおりとするとき、 + + その供え物を主にささげる者は、燔祭または犠牲と共に、小羊一頭ごとに、麦粉一エパの十分の一に、油一ヒンの四分の一を混ぜたものを、素祭としてささげ、ぶどう酒一ヒンの四分の一を、灌祭としてささげなければならない。 + もし、また雄羊を用いるときは、麦粉一エパの十分の二に、油一ヒンの三分の一を混ぜたものを、素祭としてささげ、 + また、ぶどう酒一ヒンの三分の一を、灌祭としてささげて、主に香ばしいかおりとしなければならない。 + またあなたが特別の誓願の供え物、あるいは酬恩祭を、主にささげる時、若い雄牛を、燔祭または犠牲とするならば、 + 麦粉一エパの十分の三に、油一ヒンの二分の一を混ぜたものを、素祭として、若い雄牛と共にささげ、 + また、ぶどう酒一ヒンの二分の一を、灌祭としてささげなければならない。これは火祭であって、主に香ばしいかおりとするものである。 + 雄牛、あるいは雄羊、あるいは小羊、あるいは子やぎは、一頭ごとに、このようにしなければならない。 + すなわち、あなたがたのささげる数にてらし、その数にしたがって、一頭ごとに、このようにしなければならない。 + すべて国に生れた者が、火祭をささげて、主に香ばしいかおりとするときは、このように、これらのことを行わなければならない。 + またあなたがたのうちに寄留している他国人、またはあなたがたのうちに、代々ながく住む者が、火祭をささげて、主に香ばしいかおりとしようとする時は、あなたがたがするように、その人もしなければならない。 + 会衆たる者は、あなたがたも、あなたがたのうちに寄留している他国人も、同一の定めに従わなければならない。これは、あなたがたが代々ながく守るべき定めである。他国の人も、主の前には、あなたがたと等しくなければならない。 + すなわち、あなたがたも、あなたがたのうちに寄留している他国人も、同一の律法、同一のおきてに従わなければならない』」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『わたしが導いて行く地に、あなたがたがはいって、 + その地の食物を食べるとき、あなたがたは、ささげ物を主にささげなければならない。 + すなわち、麦粉の初物で作った菓子を、ささげ物としなければならない。これを、打ち場からのささげ物のように、ささげなければならない。 + あなたがたは代々その麦粉の初物で、主にささげ物をしなければならない。 + あなたがたが、もしあやまって、主がモーセに告げられたこのすべての戒めを行わず、 + 主がモーセによって戒めを与えられた日からこのかた、代々にわたり、あなたがたに命じられたすべての事を行わないとき、 + すなわち、会衆が知らずに、あやまって犯した時は、全会衆は若い雄牛一頭を、燔祭としてささげ、主に香ばしいかおりとし、これに素祭と灌祭とを定めのように加え、また雄やぎ一頭を、罪祭としてささげなければならない。 + そして祭司は、イスラエルの人々の全会衆のために、罪のあがないをしなければならない。そうすれば、彼らはゆるされるであろう。それは過失だからである。彼らはその過失のために、その供え物として、火祭を主にささげ、また罪祭を主の前にささげなければならない。 + そうすれば、イスラエルの人々の全会衆はゆるされ、また彼らのうちに寄留している他国人も、ゆるされるであろう。民はみな過失を犯したからである。 + もし人があやまって罪を犯す時は、一歳の雌やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。 + そして祭司は、人があやまって罪を犯した時、そのあやまって罪を犯した人のために、主の前に罪のあがないをして、その罪をあがなわなければならない。そうすれば、彼はゆるされるであろう。 + イスラエルの人々のうちの、国に生れた者でも、そのうちに寄留している他国人でも、あやまって罪を犯す者には、あなたがたは同一の律法を用いなければならない。 + しかし、国に生れた者でも、他国の人でも、故意に罪を犯す者は主を汚すもので、その人は民のうちから断たれなければならない。 + 彼は主の言葉を侮り、その戒めを破ったのであるから、必ず断たれ、その罪を負わなければならない』」。 + イスラエルの人々が荒野におるとき、安息日にひとりの人が、たきぎを集めるのを見た。 + そのたきぎを集めるのを見た人々は、その人をモーセとアロン、および全会衆のもとに連れてきたが、 + どう取り扱うべきか、まだ示しを受けていなかったので、彼を閉じ込めておいた。 + そのとき、主はモーセに言われた、「その人は必ず殺されなければならない。全会衆は宿営の外で、彼を石で撃ち殺さなければならない」。 + そこで、全会衆は彼を宿営の外に連れ出し、彼を石で撃ち殺し、主がモーセに命じられたようにした。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて、代々その衣服のすその四すみにふさをつけ、そのふさを青ひもで、すその四すみにつけさせなさい。 + あなたがたが、そのふさを見て、主のもろもろの戒めを思い起して、それを行い、あなたがたが自分の心と、目の欲に従って、みだらな行いをしないためである。 + こうして、あなたがたは、わたしのもろもろの戒めを思い起して、それを行い、あなたがたの神に聖なる者とならなければならない。 + わたしはあなたがたの神、主であって、あなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの国から導き出した者である。わたしはあなたがたの神、主である」。 + + + ここに、レビの子コハテの子なるイヅハルの子コラと、ルベンの子なるエリアブの子ダタンおよびアビラムと、ルベンの子なるペレテの子オンとが相結び、 + イスラエルの人々のうち、会衆のうちから選ばれて、つかさとなった名のある人々二百五十人と共に立って、モーセに逆らった。 + 彼らは集まって、モーセとアロンとに逆らって言った、「あなたがたは、分を越えています。全会衆は、ことごとく聖なるものであって、主がそのうちにおられるのに、どうしてあなたがたは、主の会衆の上に立つのですか」。 + モーセはこれを聞いてひれ伏した。 + やがて彼はコラと、そのすべての仲間とに言った、「あす、主は、主につくものはだれ、聖なる者はだれであるかを示して、その人をみもとに近づけられるであろう。すなわち、その選んだ人を、みもとに近づけられるであろう。 + それで、次のようにしなさい。コラとそのすべての仲間とは、火ざらを取り、 + その中に火を入れ、それに薫香を盛って、あす、主の前に出なさい。その時、主が選ばれる人は聖なる者である。レビの子たちよ、あなたがたこそ、分を越えている」。 + モーセはまたコラに言った、「レビの子たちよ、聞きなさい。 + イスラエルの神はあなたがたをイスラエルの会衆のうちから分かち、主に近づかせて、主の幕屋の務をさせ、かつ会衆の前に立って仕えさせられる。これはあなたがたにとって、小さいことであろうか。 + 神はあなたとあなたの兄弟なるレビの子たちをみな近づけられた。あなたがたはなお、その上に祭司となることを求めるのか。 + あなたとあなたの仲間は、みなそのために集まって主に敵している。あなたがたはアロンをなんと思って、彼に対してつぶやくのか」。 + モーセは人をやって、エリアブの子ダタンとアビラムとを呼ばせたが、彼らは言った、「わたしたちは参りません。 + あなたは乳と蜜の流れる地から、わたしたちを導き出して、荒野でわたしたちを殺そうとしている。これは小さいことでしょうか。その上、あなたはわたしたちに君臨しようとしている。 + かつまた、あなたはわたしたちを、乳と蜜の流れる地に導いて行かず、畑と、ぶどう畑とを嗣業として与えもしない。これらの人々の目をくらまそうとするのですか。わたしたちは参りません」。 + モーセは大いに怒って、主に言った、「彼らの供え物を顧みないでください。わたしは彼らから、ろば一頭をも取ったことなく、また彼らのひとりをも害したことはありません」。 + そしてモーセはコラに言った、「あなたとあなたの仲間はみなアロンと一緒に、あす、主の前に出なさい。 + あなたがたは、おのおの火ざらを取って、それに薫香を盛り、おのおのその火ざらを主の前に携えて行きなさい。その火ざらは会わせて二百五十。あなたとアロンも、おのおの火ざらを携えて行きなさい」。 + 彼らは、おのおの火ざらを取り、火をその中に入れ、それに薫香を盛り、モーセとアロンも共に、会見の幕屋の入口に立った。 + そのとき、コラは会衆を、ことごとく会見の幕屋の入口に集めて、彼らふたりに逆らわせようとしたが、主の栄光は全会衆に現れた。 + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「あなたがたはこの会衆を離れなさい。わたしはただちに彼らを滅ぼすであろう」。 + 彼らふたりは、ひれ伏して言った、「神よ、すべての肉なる者の命の神よ、このひとりの人が、罪を犯したからといって、あなたは全会衆に対して怒られるのですか」。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたは会衆に告げて、コラとダタンとアビラムのすまいの周囲を去れと言いなさい」。 + モーセは立ってダタンとアビラムのもとに行ったが、イスラエルの長老たちも、彼に従って行った。 + モーセは会衆に言った、「どうぞ、あなたがたはこれらの悪い人々の天幕を離れてください。彼らのものには何にも触れてはならない。彼らのもろもろの罪によって、あなたがたも滅ぼされてはいけないから」。 + そこで人々はコラとダタンとアビラムのすまいの周囲を離れ去った。そして、ダタンとアビラムとは、妻、子、および幼児と一緒に出て、天幕の入口に立った。 + モーセは言った、「あなたがたは主がこれらのすべての事をさせるために、わたしをつかわされたこと、またわたしが、これを自分の心にしたがって行うものでないことを、次のことによって知るであろう。 + すなわち、もしこれらの人々が、普通の死に方で死に、普通の運命に会うのであれば、主がわたしをつかわされたのではない。 + しかし、主が新しい事をされ、地が口を開いて、これらの人々と、それに属する者とを、ことごとくのみつくして、生きながら陰府に下らせられるならば、あなたがたはこれらの人々が、主を侮ったのであることを知らなければならない」。 + モーセが、これらのすべての言葉を述べ終ったとき、彼らの下の土地が裂け、 + 地は口を開いて、彼らとその家族、ならびにコラに属するすべての人々と、すべての所有物をのみつくした。 + すなわち、彼らと、彼らに属するものは、皆生きながら陰府に下り、地はその上を閉じふさいで、彼らは会衆のうちから、断ち滅ぼされた。 + この時、その周囲にいたイスラエルの人々は、みな彼らの叫びを聞いて逃げ去り、「恐らく地はわたしたちをも、のみつくすであろう」と言った。 + また主のもとから火が出て、薫香を供える二百五十人をも焼きつくした。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたは祭司アロンの子エレアザルに告げて、その燃える火の中から、かの火ざらを取り出させ、その中の火を遠く広くまき散らさせなさい。それらの火ざらは聖となったから、 + 罪を犯して命を失った人々の、これらの火ざらを、広い延べ板として、祭壇のおおいとしなさい。これは主の前にささげられて、聖となったからである。こうして、これはイスラエルの人々に、しるしとなるであろう」。 + そこで祭司エレアザルは、かの焼き殺された人々が供えた青銅の火ざらを取り、これを広く打ち延ばして、祭壇のおおいとし、 + これをイスラエルの人々の記念の物とした。これはアロンの子孫でないほかの人が、主の前に近づいて、薫香をたくことのないようにするため、またその人がコラ、およびその仲間のようにならないためである。すなわち、主がモーセによってエレアザルに言われたとおりである。 + その翌日、イスラエルの人々の会衆は、みなモーセとアロンとにつぶやいて言った、「あなたがたは主の民を殺しました」。 + 会衆が集まって、モーセとアロンとに逆らったとき、会見の幕屋を望み見ると、雲がこれをおおい、主の栄光が現れていた。 + モーセとアロンとが、会見の幕屋の前に行くと、 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたがたはこの会衆を離れなさい。わたしはただちに彼らを滅ぼそう」。そこで彼らふたりは、ひれ伏した。 + モーセはアロンに言った、「あなたは火ざらを取って、それに祭壇から取った火を入れ、その上に薫香を盛り、急いでそれを会衆のもとに持って行って、彼らのために罪のあがないをしなさい。主が怒りを発せられ、疫病がすでに始まったからです」。 + そこで、アロンはモーセの言ったように、それを取って会衆の中に走って行ったが、疫病はすでに民のうちに始まっていたので、薫香をたいて、民のために罪のあがないをし、 + すでに死んだ者と、なお生きている者との間に立つと、疫病はやんだ。 + コラの事によって死んだ者のほかに、この疫病によって死んだ者は一万四千七百人であった。 + アロンは会見の幕屋の入口にいるモーセのもとに帰った。こうして疫病はやんだ。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に告げて、彼らのうちから、おのおのの父祖の家にしたがって、つえ一本ずつを取りなさい。すなわち、そのすべてのつかさたちから、父祖の家にしたがって、つえ十二本を取り、その人々の名を、おのおのそのつえに書きしるし、 + レビのつえにはアロンの名を書きしるしなさい。父祖の家のかしらは、おのおののつえ一本を出すのだからである。 + そして、これらのつえを、わたしがあなたがたに会う会見の幕屋の中の、あかしの箱の前に置きなさい。 + わたしの選んだ人のつえには、芽が出るであろう。こうして、わたしはイスラエルの人々が、あなたがたにむかって、つぶやくのをやめさせるであろう」。 + モーセが、このようにイスラエルの人々に語ったので、つかさたちはみな、その父祖の家にしたがって、おのおの、つえ一本ずつを彼に渡した。そのつえは合わせて十二本。アロンのつえも、そのつえのうちにあった。 + モーセは、それらのつえを、あかしの幕屋の中の、主の前に置いた。 + その翌日、モーセが、あかしの幕屋にはいって見ると、レビの家のために出したアロンのつえは芽をふき、つぼみを出し、花が咲いて、あめんどうの実を結んでいた。 + モーセがそれらのつえを、ことごとく主の前から、イスラエルのすべての人の所に持ち出したので、彼らは見て、おのおの自分のつえを取った。 + 主はモーセに言われた、「アロンのつえを、あかしの箱の前に持ち帰り、そこに保存して、そむく者どものために、しるしとしなさい。こうして、彼らのわたしに対するつぶやきをやめさせ、彼らの死ぬのをまぬかれさせなければならない」。 + モーセはそのようにして、主が彼に命じられたとおりに行った。 + イスラエルの人々は、モーセに言った、「ああ、わたしたちは死ぬ。破滅です、全滅です。 + 主の幕屋に近づく者が、みな死ぬのであれば、わたしたちは死に絶えるではありませんか」。 + + + そこで、主はアロンに言われた、「あなたとあなたの子たち、およびあなたの父祖の家の者は、聖所に関する罪を負わなければならない。また、あなたとあなたの子たちとは、祭司職に関する罪を負わなければならない。 + あなたはまた、あなたの兄弟なるレビの部族の者、すなわち、あなたの父祖の部族の者どもを、あなたに近づかせ、あなたに連なり、あなたに仕えさせなければならない。ただし、あなたとあなたの子たちとは、共にあかしの幕屋の前で仕えなければならない。 + 彼らは、あなたの務と、すべての幕屋の務とを守らなければならない。ただし、聖所の器と、祭壇とに近づいてはならない。彼らもあなたがたも、死ぬことのないためである。 + 彼らはあなたに連なって、会見の幕屋の務を守り、幕屋のもろもろの働きをしなければならない。ほかの者は、あなたがたに近づいてはならない。 + このように、あなたがたは、聖所の務と、祭壇の務とを守らなければならない。そうすれば、主の激しい怒りは、かさねてイスラエルの人々に臨まないであろう。 + わたしはあなたがたの兄弟たるレビびとを、イスラエルの人々のうちから取り、主のために、これを賜物として、あなたがたに与え、会見の幕屋の働きをさせる。 + あなたとあなたの子たちは共に祭司職を守って、祭壇と、垂幕のうちのすべての事を執り行い、共に勤めなければならない。わたしは祭司の職務を賜物として、あなたがたに与える。ほかの人で近づく者は殺されるであろう」。 + 主はまたアロンに言われた、「わたしはイスラエルの人々の、すべての聖なる供え物で、わたしにささげる物の一部をあなたに与える。すなわち、わたしはこれをあなたと、あなたの子たちに、その分け前として与え、永久に受くべき分とする。 + いと聖なる供え物のうち、火で焼かずに、あなたに帰すべきものは次のとおりである。すなわち、わたしにささげるすべての供え物、素祭、罪祭、愆祭はみな、いと聖なる物であって、あなたとあなたの子たちに帰するであろう。 + いと聖なる所で、それを食べなければならない。男子はみな、それを食べることができる。それはあなたに帰すべき聖なる物である。 + またあなたに帰すべきものはこれである。すなわち、イスラエルの人々のささげる供え物のうち、すべて揺祭とするものであって、これをあなたとあなたのむすこ娘に与えて、永久に受くべき分とする。あなたの家の者のうち、清い者はみな、これを食べることができる。 + すべて油の最もよい物、およびすべて新しいぶどう酒と、穀物の最も良い物など、人々が主にささげる初穂をあなたに与える。 + 国のすべての産物の初物で、人々が主のもとに携えてきたものは、あなたに帰するであろう。あなたの家の者のうち、清い者はみな、これを食べることができる。 + イスラエルのうちの奉納物はみな、あなたに帰する。 + すべて肉なる者のういごであって、主にささげられる者はみな、人でも獣でも、あなたに帰する。ただし、人のういごは必ずあがなわなければならない。また汚れた獣のういごも、あがなわなければならない。 + 人のういごは生後一か月で、あがなわなければならない。そのあがない金はあなたの値積りにより、聖所のシケルにしたがって、銀五シケルでなければならない。一シケルは二十ゲラである。 + しかし、牛のういご、羊のういご、やぎのういごは、あがなってはならない。これらは聖なるものである。その血を祭壇に注ぎかけ、その脂肪を焼いて火祭とし、香ばしいかおりとして、主にささげなければならない。 + その肉はあなたに帰する。それは揺祭の胸や右のももと同じく、あなたに帰する。 + イスラエルの人々が、主にささげる聖なる供え物はみな、あなたとあなたのむすこ娘とに与えて、永久に受ける分とする。これは主の前にあって、あなたとあなたの子孫とに対し、永遠に変らぬ塩の契約である」。 + 主はまたアロンに言われた、「あなたはイスラエルの人々の地のうちに、嗣業をもってはならない。また彼らのうちに、何の分をも持ってはならない。彼らのうちにあって、わたしがあなたの分であり、あなたの嗣業である。 + わたしはレビの子孫にはイスラエルにおいて、すべて十分の一を嗣業として与え、その働き、すなわち、会見の幕屋の働きに報いる。 + イスラエルの人々は、かさねて会見の幕屋に近づいてはならない。罪を得て死なないためである。 + レビびとだけが会見の幕屋の働きをしなければならない。彼らがその罪を負うであろう。彼らがイスラエルの人々のうちに、嗣業の地を持たないことをもって、あなたがたの代々ながく守るべき定めとしなければならない。 + わたしはイスラエルの人々が供え物として主にささげる十分の一を、レビびとに嗣業として与えた。それで『彼らはイスラエルの人々のうちに、嗣業の地を持ってはならない』と、わたしは彼らに言ったのである」。 + 主はモーセに言われた、 + 「レビびとに言いなさい、『わたしがイスラエルの人々から取って、嗣業として与える十分の一を受ける時、あなたがたはその十分の一の十分の一を、主にささげなければならない。 + あなたがたのささげ物は、打ち場からの穀物や、酒ぶねからのぶどう酒と同じように見なされるであろう。 + そのようにあなたがたもまた、イスラエルの人々から受けるすべての十分の一の物のうちから、主に供え物をささげ、主にささげたその供え物を、祭司アロンに与えなければならない。 + あなたがたの受けるすべての贈物のうちから、その良いところ、すなわち、聖なる部分を取って、ことごとく供え物として、主にささげなければならない』。 + あなたはまた彼らに言いなさい、『あなたがたが、そのうちから良いところを取ってささげる時、その残りの部分はレビびとには、打ち場の産物や、酒ぶねの産物と同じように見なされるであろう。 + あなたがたと、あなたがたの家族とは、どこでそれを食べてもよい。これは会見の幕屋であなたがたがする働きの報酬である。 + あなたがたが、その良いところをささげるときは、それによって、あなたがたは罪を負わないであろう。あなたがたはイスラエルの人々の聖なる供え物を汚してはならない。死をまぬかれるためである』」。 + + + 主はモーセとアロンに言われた、 + 「主の命じられた律法の定めは次のとおりである。すなわち『イスラエルの人々に告げて、完全で、傷がなく、まだくびきを負ったことのない赤い雌牛を、あなたのもとに引いてこさせ、 + これを祭司エレアザルにわたして、宿営の外にひき出させ、彼の前でこれをほふらせなければならない。 + そして祭司エレアザルは、指をもってその血を取り、会見の幕屋の表に向かって、その血を七たびふりかけなければならない。 + ついでその雌牛を自分の目の前で焼かせ、その皮と肉と血とは、その汚物と共に焼かなければならない。 + そして祭司は香柏の木と、ヒソプと、緋の糸とを取って雌牛の燃えているなかに投げ入れなければならない。 + そして祭司は衣服を洗い、水に身をすすいで後、宿営に、はいることができる。ただし祭司は夕まで汚れる。 + またその雌牛を焼いた者も水で衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。彼も夕まで汚れる。 + それから身の清い者がひとり、その雌牛の灰を集め、宿営の外の清い所にたくわえておかなければならない。これはイスラエルの人々の会衆のため、汚れを清める水をつくるために備えるものであって、罪を清めるものである。 + その雌牛の灰を集めた者は衣服を洗わなければならない。その人は夕まで汚れる。これはイスラエルの人々と、そのうちに宿っている他国人との、永久に守るべき定めとしなければならない。 + すべて人の死体に触れる者は、七日のあいだ汚れる。 + その人は三日目と七日目とに、この灰の水をもって身を清めなければならない。そうすれば清くなるであろう。しかし、もし三日目と七日目とに、身を清めないならば、清くならないであろう。 + すべて死人の死体に触れて、身を清めない者は主の幕屋を汚す者で、その人はイスラエルから断たれなければならない。汚れを清める水がその身に注ぎかけられないゆえ、その人は清くならず、その汚れは、なお、その身にあるからである。 + 人が天幕の中で死んだ時に用いる律法は次のとおりである。すなわち、すべてその天幕にはいった者、およびすべてその天幕にいた者は七日のあいだ汚れる。 + ふたで上をおおわない器はみな汚れる。 + つるぎで殺された者、または死んだ者、または人の骨、または墓などに、野外で触れる者は皆、七日のあいだ汚れる。 + 汚れた者があった時には、罪を清める焼いた雌牛の灰を取って器に入れ、流れの水をこれに加え、 + 身の清い者がひとりヒソプを取って、その水に浸し、これをその天幕と、すべての器と、そこにいた人々と、骨、あるいは殺された者、あるいは死んだ者、あるいは墓などに触れた者とにふりかけなければならない。 + すなわちその身の清い人は三日目と七日目とにその汚れたものに、それをふりかけなければならない。そして七日目にその人は身を清め、衣服を洗い、水に身をすすがなければならない。そうすれば夕になって清くなるであろう。 + しかし、汚れて身を清めない人は主の聖所を汚す者で、その人は会衆のうちから断たれなければならない。汚れを清める水がその身に注ぎかけられないゆえ、その人は汚れているからである。 + これは彼らの永久に守るべき定めとしなければならない。すなわち汚れを清める水をふりかけた者は衣服を洗わなければならない。また汚れを清める水に触れた者も夕まで汚れるであろう。 + すべて汚れた人の触れる物は汚れる。またそれに触れる人も夕まで汚れるであろう』」。 + + + イスラエルの人々の全会衆は正月になってチンの荒野にはいった。そして民はカデシにとどまったが、ミリアムがそこで死んだので、彼女をそこに葬った。 + そのころ会衆は水が得られなかったため、相集まってモーセとアロンに迫った。 + すなわち民はモーセと争って言った、「さきにわれわれの兄弟たちが主の前に死んだ時、われわれも死んでいたらよかったものを。 + なぜ、あなたがたは主の会衆をこの荒野に導いて、われわれと、われわれの家畜とを、ここで死なせようとするのですか。 + どうしてあなたがたはわれわれをエジプトから上らせて、この悪い所に導き入れたのですか。ここには種をまく所もなく、いちじくもなく、ぶどうもなく、ざくろもなく、また飲む水もありません」。 + そこでモーセとアロンは会衆の前を去り、会見の幕屋の入口へ行ってひれ伏した。すると主の栄光が彼らに現れ、 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたは、つえをとり、あなたの兄弟アロンと共に会衆を集め、その目の前で岩に命じて水を出させなさい。こうしてあなたは彼らのために岩から水を出して、会衆とその家畜に飲ませなさい」。 + モーセは命じられたように主の前にあるつえを取った。 + モーセはアロンと共に会衆を岩の前に集めて彼らに言った、「そむく人たちよ、聞きなさい。われわれがあなたがたのためにこの岩から水を出さなければならないのであろうか」。 + モーセは手をあげ、つえで岩を二度打つと、水がたくさんわき出たので、会衆とその家畜はともに飲んだ。 + そのとき主はモーセとアロンに言われた、「あなたがたはわたしを信じないで、イスラエルの人々の前にわたしの聖なることを現さなかったから、この会衆をわたしが彼らに与えた地に導き入れることができないであろう」。 + これがメリバの水であって、イスラエルの人々はここで主と争ったが、主は自分の聖なることを彼らのうちに現された。 + さて、モーセはカデシからエドムの王に使者をつかわして言った、「あなたの兄弟、イスラエルはこう申します、『あなたはわたしたちが遭遇したすべての患難をご存じです。 + わたしたちの先祖はエジプトに下って行って、わたしたちは年久しくエジプトに住んでいましたが、エジプトびとがわたしたちと、わたしたちの先祖を悩ましたので、 + わたしたちが主に呼ばわったとき、主はわたしたちの声を聞き、ひとりの天の使をつかわして、わたしたちをエジプトから導き出されました。わたしたちは今あなたの領地の端にあるカデシの町におります。 + どうぞ、わたしたちにあなたの国を通らせてください。わたしたちは畑もぶどう畑も通りません。また井戸の水も飲みません。ただ王の大路を通り、あなたの領地を過ぎるまでは右にも左にも曲りません』」。 + しかし、エドムはモーセに言った、「あなたはわたしの領地をとおってはなりません。さもないと、わたしはつるぎをもって出て、あなたに立ちむかうでしょう」。 + イスラエルの人々はエドムに言った、「わたしたちは大路を通ります。もしわたしたちとわたしたちの家畜とが、あなたの水を飲むことがあれば、その価を払います。わたしは徒歩で通るだけですから何事もないでしょう」。 + しかし、エドムは「あなたは通ることはなりません」と言って、多くの民と強い軍勢とを率い、出て、これに立ちむかってきた。 + このようにエドムはイスラエルに、その領地を通ることを拒んだので、イスラエルはエドムからほかに向かった。 + こうしてイスラエルの人々の全会衆はカデシから進んでホル山に着いた。 + 主はエドムの国境に近いホル山で、モーセとアロンに言われた、 + 「アロンはその民に連ならなければならない。彼はわたしがイスラエルの人々に与えた地に、はいることができない。これはメリバの水で、あなたがたがわたしの言葉にそむいたからである。 + あなたはアロンとその子エレアザルを連れてホル山に登り、 + アロンに衣服を脱がせて、それをその子エレアザルに着せなさい。アロンはそのところで死んで、その民に連なるであろう」。 + モーセは主が命じられたとおりにし、連れだって全会衆の目の前でホル山に登った。 + そしてモーセはアロンに衣服を脱がせ、それをその子エレアザルに着せた。アロンはその山の頂で死んだ。そしてモーセとエレアザルは山から下ったが、 + 全会衆がアロンの死んだのを見たとき、イスラエルの全家は三十日の間アロンのために泣いた。 + + + 時にネゲブに住んでいたカナンびとアラデの王は、イスラエルがアタリムの道をとおって来ると聞いて、イスラエルを攻撃し、そのうちの数人を捕虜にした。 + そこでイスラエルは主に誓いを立てて言った、「もし、あなたがこの民をわたしの手にわたしてくださるならば、わたしはその町々をことごとく滅ぼしましょう」。 + 主はイスラエルの言葉を聞きいれ、カナンびとをわたされたので、イスラエルはそのカナンびとと、その町々とをことごとく滅ぼした。それでその所の名はホルマと呼ばれた。 + 民はホル山から進み、紅海の道をとおって、エドムの地を回ろうとしたが、民はその道に堪えがたくなった。 + 民は神とモーセとにむかい、つぶやいて言った、「あなたがたはなぜわたしたちをエジプトから導き上って、荒野で死なせようとするのですか。ここには食物もなく、水もありません。わたしたちはこの粗悪な食物はいやになりました」。 + そこで主は、火のへびを民のうちに送られた。へびは民をかんだので、イスラエルの民のうち、多くのものが死んだ。 + 民はモーセのもとに行って言った、「わたしたちは主にむかい、またあなたにむかい、つぶやいて罪を犯しました。どうぞへびをわたしたちから取り去られるように主に祈ってください」。モーセは民のために祈った。 + そこで主はモーセに言われた、「火のへびを造って、それをさおの上に掛けなさい。すべてのかまれた者が仰いで、それを見るならば生きるであろう」。 + モーセは青銅で一つのへびを造り、それをさおの上に掛けて置いた。すべてへびにかまれた者はその青銅のへびを仰いで見て生きた。 + イスラエルの人々は道を進んでオボテに宿営した。 + またオボテから進んで東の方、モアブの前にある荒野において、イエアバリムに宿営した。 + またそこから進んでゼレデの谷に宿営し、 + さらにそこから進んでアルノン川のかなたに宿営した。アルノン川はアモリびとの境から延び広がる荒野を流れるもので、モアブとアモリびととの間にあって、モアブの境をなしていた。 + それゆえに、「主の戦いの書」にこう言われている。「スパのワヘブ、アルノンの谷々、 + 谷々の斜面、アルの町まで傾き、モアブの境に寄りかかる」。 + 彼らはそこからベエルへ進んで行った。これは主がモーセにむかって、「民を集めよ。わたしはかれらに水を与えるであろう」と言われた井戸である。 + その時イスラエルはこの歌をうたった。「井戸の水よ、わきあがれ、人々よ、この井戸のために歌え、 + 笏とつえとをもってつかさたちがこの井戸を掘り、民のおさたちがこれを掘った」。そして彼らは荒野からマッタナに進み、 + マッタナからナハリエルに、ナハリエルからバモテに、 + バモテからモアブの野にある谷に行き、荒野を見おろすピスガの頂に着いた。 + ここでイスラエルはアモリびとの王シホンに使者をつかわして言わせた、 + 「わたしにあなたの国を通らせてください。わたしたちは畑にもぶどう畑にも、はいりません。また井戸の水も飲みません。わたしたちはあなたの領地を通り過ぎるまで、ただ王の大路を通ります」。 + しかし、シホンはイスラエルに自分の領地を通ることを許さなかった。そしてシホンは民をことごとく集め、荒野に出て、イスラエルを攻めようとし、ヤハズにきてイスラエルと戦った。 + イスラエルは、やいばで彼を撃ちやぶり、アルノンからヤボクまで彼の地を占領し、アンモンびとの境に及んだ。ヤゼルはアンモンびとの境だからである。 + こうしてイスラエルはこれらの町々をことごとく取った。そしてイスラエルはアモリびとのすべての町々に住み、ヘシボンとそれに附属するすべての村々にいた。 + ヘシボンはアモリびとの王シホンの都であって、シホンはモアブの以前の王と戦って、彼の地をアルノンまで、ことごとくその手から奪い取ったのである。 + それゆえに歌にうたわれている。「人々よ、ヘシボンにきたれ、シホンの町を築き建てよ。 + ヘシボンから火が燃え出し、シホンの都から炎が出て、モアブのアルを焼き尽し、アルノンの高地の君たちを滅ぼしたからだ。 + モアブよ、お前はわざわいなるかな、ケモシの民よ、お前は滅ぼされるであろう。彼は、むすこらを逃げ去らせ、娘らをアモリびとの王シホンの捕虜とならせた。 + 彼らの子らは滅び去った、ヘシボンからデボンまで。われわれは荒した、火はついてメデバに及んだ」。 + こうしてイスラエルはアモリびとの地に住んだが、 + モーセはまた人をつかわしてヤゼルを探らせ、ついにその村々を取って、そこにいたアモリびとを追い出し、 + 転じてバシャンの道に上って行ったが、バシャンの王オグは、その民をことごとく率い、エデレイで戦おうとして出迎えた。 + 主はモーセに言われた、「彼を恐れてはならない。わたしは彼とその民とその地とを、ことごとくあなたの手にわたす。あなたはヘシボンに住んでいたアモリびとの王シホンにしたように彼にもするであろう」。 + そこで彼とその子とすべての民とを、ひとり残らず撃ち殺して、その地を占領した。 + + + さて、イスラエルの人々はまた道を進んで、エリコに近いヨルダンのかなたのモアブの平野に宿営した。 + チッポルの子バラクはイスラエルがアモリびとにしたすべての事を見たので、 + モアブは大いにイスラエルの民を恐れた。その数が多かったためである。モアブはイスラエルの人々をひじょうに恐れたので、 + ミデアンの長老たちに言った、「この群衆は牛が野の草をなめつくすように、われわれの周囲の物をみな、なめつくそうとしている」。チッポルの子バラクはこの時モアブの王であった。 + 彼はアンモンびとの国のユフラテ川のほとりにあるペトルに使者をつかわし、ベオルの子バラムを招こうとして言わせた、「エジプトから出てきた民があり、地のおもてをおおってわたしの前にいます。 + どうぞ今きてわたしのためにこの民をのろってください。彼らはわたしよりも強いのです。そうしてくだされば、われわれは彼らを撃って、この国から追い払うことができるかもしれません。あなたが祝福する者は祝福され、あなたがのろう者はのろわれることをわたしは知っています」。 + モアブの長老たちとミデアンの長老たちは占いの礼物を手にして出発し、バラムのもとへ行って、バラクの言葉を告げた。 + バラムは彼らに言った、「今夜ここに泊まりなさい。主がわたしに告げられるとおりに、あなたがたに返答しましょう」。それでモアブのつかさたちはバラムのもとにとどまった。 + ときに神はバラムに臨んで言われた、「あなたのところにいるこの人々はだれですか」。 + バラムは神に言った、「モアブの王チッポルの子バラクが、わたしに人をよこして言いました。 + 『エジプトから出てきた民があり、地のおもてをおおっています。どうぞ今きてわたしのために彼らをのろってください。そうすればわたしは戦って、彼らを追い払うことができるかもしれません』」。 + 神はバラムに言われた、「あなたは彼らと一緒に行ってはならない。またその民をのろってはならない。彼らは祝福された者だからである」。 + 明くる朝起きて、バラムはバラクのつかさたちに言った、「あなたがたは国にお帰りなさい。主はわたしがあなたがたと一緒に行くことを、お許しになりません」。 + モアブのつかさたちは立ってバラクのもとに行って言った、「バラムはわたしたちと一緒に来ることを承知しません」。 + バラクはまた前の者よりも身分の高いつかさたちを前よりも多くつかわした。 + 彼らはバラムのところへ行って言った、「チッポルの子バラクはこう申します、『どんな妨げをも顧みず、どうぞわたしのところへおいでください。 + わたしはあなたを大いに優遇します。そしてあなたがわたしに言われる事はなんでもいたします。どうぞきてわたしのためにこの民をのろってください』」。 + しかし、バラムはバラクの家来たちに答えた、「たといバラクがその家に満ちるほどの金銀をわたしに与えようとも、事の大小を問わず、わたしの神、主の言葉を越えては何もすることができません。 + それで、どうぞ、あなたがたも今夜ここにとどまって、主がこの上、わたしになんと仰せられるかを確かめさせてください」。 + 夜になり、神はバラムに臨んで言われた、「この人々はあなたを招きにきたのだから、立ってこの人々と一緒に行きなさい。ただしわたしが告げることだけを行わなければならない」。 + 明くる朝起きてバラムは、ろばにくらをおき、モアブのつかさたちと一緒に行った。 + しかるに神は彼が行ったために怒りを発せられ、主の使は彼を妨げようとして、道に立ちふさがっていた。バラムは、ろばに乗り、そのしもべふたりも彼と共にいたが、 + ろばは主の使が、手に抜き身のつるぎをもって、道に立ちふさがっているのを見、道をそれて畑にはいったので、バラムは、ろばを打って道に返そうとした。 + しかるに主の使はまたぶどう畑の間の狭い道に立ちふさがっていた。道の両側には石がきがあった。 + ろばは主の使を見て、石がきにすり寄り、バラムの足を石がきに押しつけたので、バラムは、また、ろばを打った。 + 主の使はまた先に進んで、狭い所に立ちふさがっていた。そこは右にも左にも、曲る道がなかったので、 + ろばは主の使を見てバラムの下に伏した。そこでバラムは怒りを発し、つえでろばを打った。 + すると、主が、ろばの口を開かれたので、ろばはバラムにむかって言った、「わたしがあなたに何をしたというのですか。あなたは三度もわたしを打ったのです」。 + バラムは、ろばに言った、「お前がわたしを侮ったからだ。わたしの手につるぎがあれば、いま、お前を殺してしまうのだが」。 + ろばはまたバラムに言った、「わたしはあなたが、きょうまで長いあいだ乗られたろばではありませんか。わたしはいつでも、あなたにこのようにしたでしょうか」。バラムは言った、「いや、しなかった」。 + このとき主がバラムの目を開かれたので、彼は主の使が手に抜き身のつるぎをもって、道に立ちふさがっているのを見て、頭を垂れてひれ伏した。 + 主の使は彼に言った、「なぜあなたは三度もろばを打ったのか。あなたが誤って道を行くので、わたしはあなたを妨げようとして出てきたのだ。 + ろばはわたしを見て三度も身を巡らしてわたしを避けた。もし、ろばが身を巡らしてわたしを避けなかったなら、わたしはきっと今あなたを殺して、ろばを生かしておいたであろう」。 + バラムは主の使に言った、「わたしは罪を犯しました。あなたがわたしをとどめようとして、道に立ちふさがっておられるのを、わたしは知りませんでした。それで今、もし、お気に召さないのであれば、わたしは帰りましょう」。 + 主の使はバラムに言った、「この人々と一緒に行きなさい。ただし、わたしが告げることのみを述べなければならない」。こうしてバラムはバラクのつかさたちと一緒に行った。 + さて、バラクはバラムがきたと聞いて、国境のアルノン川のほとり、国境の一端にあるモアブの町まで出て行って迎えた。 + そしてバラクはバラムに言った、「わたしは人をつかわしてあなたを招いたではありませんか。あなたはなぜわたしのところへきませんでしたか。わたしは実際あなたを優遇することができないでしょうか」。 + バラムはバラクに言った、「ごらんなさい。わたしはあなたのところにきています。しかし、今、何事かをみずから言うことができましょうか。わたしはただ神がわたしの口に授けられることを述べなければなりません」。 + こうしてバラムはバラクと一緒に行き、キリアテ・ホゾテにきたとき、 + バラクは牛と羊とをほふって、バラムおよび彼と共にいたバラムを連れてきたつかさたちに贈った。 + 明くる朝バラクはバラムを伴ってバモテバアルにのぼり、そこからイスラエルの民の宿営の一端をながめさせた。 + + + バラムはバラクに言った、「わたしのために、ここに七つの祭壇を築き、七頭の雄牛と七頭の雄羊とを整えなさい」。 + バラクはバラムの言ったとおりにした。そしてバラクとバラムとは、その祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。 + バラムはバラクに言った、「あなたは燔祭のかたわらに立っていてください。その間にわたしは行ってきます。主はたぶんわたしに会ってくださるでしょう。そして、主がわたしに示される事はなんでもあなたに告げましょう」。こうして彼は一つのはげ山に登った。 + 神がバラムに会われたので、バラムは神に言った、「わたしは七つの祭壇を設け、祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげました」。 + 主はバラムの口に言葉を授けて言われた、「バラクのもとに帰ってこう言いなさい」。 + 彼がバラクのもとに帰ってみると、バラクはモアブのすべてのつかさたちと共に燔祭のかたわらに立っていた。 + バラムはこの託宣を述べた。「バラクはわたしをアラムから招き寄せ、モアブの王はわたしを東の山から招き寄せて言う、『きてわたしのためにヤコブをのろえ、きてイスラエルをのろえ』と。 + 神ののろわない者を、わたしがどうしてのろえよう。主ののろわない者を、わたしがどうしてのろえよう。 + 岩の頂からながめ、丘の上から見たが、これはひとり離れて住む民、もろもろの国民のうちに並ぶものはない。 + だれがヤコブの群衆を数え、イスラエルの無数の民を数え得よう。わたしは義人のように死に、わたしの終りは彼らの終りのようでありたい」。 + そこでバラクはバラムに言った、「あなたはわたしに何をするのですか。わたしは敵をのろうために、あなたを招いたのに、あなたはかえって敵を祝福するばかりです」。 + バラムは答えた、「わたしは、主がわたしの口に授けられる事だけを語るように注意すべきではないでしょうか」。 + バラクは彼に言った、「わたしと一緒にほかのところへ行って、そこから彼らをごらんください。あなたはただ彼らの一端を見るだけで、全体を見ることはできないでしょうが、そこからわたしのために彼らをのろってください」。 + そして彼はバラムを連れてゾピムの野に行き、ピスガの頂に登って、そこに七つの祭壇を築き、祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。 + ときにはバラムはバラクに言った、「あなたはここで、燔祭のかたわらに立っていてください。わたしは向こうへ行って、主に伺いますから」。 + 主はバラムに臨み、言葉を口に授けて言われた、「バラクのもとに帰ってこう言いなさい」。 + 彼がバラクのところへ行って見ると、バラクは燔祭のかたわらに立ち、モアブのつかさたちも共にいた。バラクはバラムに言った、「主はなんと言われましたか」。 + そこでバラムはまたこの託宣を述べた。「バラクよ、立って聞け、チッポルの子よ、わたしに耳を傾けよ。 + 神は人のように偽ることはなく、また人の子のように悔いることもない。言ったことで、行わないことがあろうか、語ったことで、しとげないことがあろうか。 + 祝福せよとの命をわたしはうけた、すでに神が祝福されたものを、わたしは変えることができない。 + だれもヤコブのうちに災のあるのを見ない、またイスラエルのうちに悩みのあるのを見ない。彼らの神、主が共にいまし、王をたたえる声がその中に聞える。 + 神は彼らをエジプトから導き出された、彼らは野牛の角のようだ。 + ヤコブには魔術がなく、イスラエルには占いがない。神がそのなすところを時に応じてヤコブに告げ、イスラエルに示されるからだ。 + 見よ、この民は雌じしのように立ち上がり、雄じしのように身を起す。これはその獲物を食らい、その殺した者の血を飲むまでは身を横たえない」。 + バラクはバラムに言った、「あなたは彼らをのろうことも祝福することも、やめてください」。 + バラムは答えてバラクに言った、「主の言われることは、なんでもしなければならないと、わたしはあなたに告げませんでしたか」。 + バラクはバラムに言った、「どうぞ、おいでください。わたしはあなたをほかの所へお連れしましょう。神はあなたがそこからわたしのために彼らをのろうことを許されるかもしれません」。 + そしてバラクはバラムを連れて、荒野を見おろすペオルの頂に行った。 + バラムはバラクに言った、「わたしのためにここに七つの祭壇を築き、雄牛七頭と、雄羊七頭とを整えなさい」。 + バラクはバラムの言ったとおりにし、その祭壇ごとに雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。 + + + バラムはイスラエルを祝福することが主の心にかなうのを見たので、今度はいつものように行って魔術を求めることをせず、顔を荒野にむけ、 + 目を上げて、イスラエルがそれぞれ部族にしたがって宿営しているのを見た。その時、神の霊が臨んだので、 + 彼はこの託宣を述べた。「ベオルの子バラムの言葉、目を閉じた人の言葉、 + 神の言葉を聞く者、全能者の幻を見る者、倒れ伏して、目の開かれた者の言葉。 + ヤコブよ、あなたの天幕は麗しい、イスラエルよ、あなたのすまいは、麗しい。 + それは遠くひろがる谷々のよう、川べの園のよう、主が植えられた沈香樹のよう、流れのほとりの香柏のようだ。 + 水は彼らのかめからあふれ、彼らの種は水の潤いに育つであろう。彼らの王はアガグよりも高くなり、彼らの国はあがめられるであろう。 + 神は彼らをエジプトから導き出された、彼らは野牛の角のようだ。彼らは敵なる国々の民を滅ぼし、その骨を砕き、矢をもって突き通すであろう。 + 彼らは雄じしのように身をかがめ、雌じしのように伏している。だれが彼らを起しえよう。あなたを祝福する者は祝福され、あなたをのろう者はのろわれるであろう」。 + そこでバラクはバラムにむかって怒りを発し、手を打ち鳴らした。そしてバラクはバラムに言った、「敵をのろうために招いたのに、あなたはかえって三度までも彼らを祝福した。 + それで今あなたは急いで自分のところへ帰ってください。わたしはあなたを大いに優遇しようと思った。しかし、主はその優遇をあなたに得させないようにされました」。 + バラムはバラクに言った、「わたしはあなたがつかわされた使者たちに言ったではありませんか、 + 『たといバラクがその家に満ちるほどの金銀をわたしに与えようとも、主の言葉を越えて心のままに善も悪も行うことはできません。わたしは主の言われることを述べるだけです』。 + わたしは今わたしの民のところへ帰って行きます。それでわたしはこの民が後の日にあなたの民にどんなことをするかをお知らせしましょう」。 + そしてこの託宣を述べた。「ベオルの子バラムの言葉、目を閉じた人の言葉。 + 神の言葉を聞く者、いと高き者の知識をもつ者、全能者の幻を見、倒れ伏して、目の開かれた者の言葉。 + わたしは彼を見る、しかし今ではない。わたしは彼を望み見る、しかし近くではない。ヤコブから一つの星が出、イスラエルから一本のつえが起り、モアブのこめかみと、セツのすべての子らの脳天を撃つであろう。 + 敵のエドムは領地となり、セイルもまた領地となるであろう。そしてイスラエルは勝利を得るであろう。 + 権を執る者がヤコブから出、生き残った者を町から断ち滅ぼすであろう」。 + バラムはまたアマレクを望み見て、この託宣を述べた。「アマレクは諸国民のうちの最初のもの、しかし、ついに滅び去るであろう」。 + またケニびとを望み見てこの託宣を述べた。「お前のすみかは堅固だ、岩に、お前は巣をつくっている。 + しかし、カインは滅ぼされるであろう。アシュルはいつまでお前を捕虜とするであろうか」。 + 彼はまたこの託宣を述べた。「ああ、神が定められた以上、だれが生き延びることができよう。 + キッテムの海岸から舟がきて、アシュルを攻めなやまし、エベルを攻めなやますであろう。そして彼もまたついに滅び去るであろう」。 + こうしてバラムは立ち上がって、自分のところへ帰っていった。バラクもまた立ち去った。 + + + イスラエルはシッテムにとどまっていたが、民はモアブの娘たちと、みだらな事をし始めた。 + その娘たちが神々に犠牲をささげる時に民を招くと、民は一緒にそれを食べ、娘たちの神々を拝んだ。 + イスラエルはこうしてペオルのバアルにつきしたがったので、主はイスラエルにむかって怒りを発せられた。 + そして主はモーセに言われた、「民の首領をことごとく捕え、日のあるうちにその人々を主の前で処刑しなさい。そうすれば主の怒りはイスラエルを離れるであろう」。 + モーセはイスラエルのさばきびとたちにむかって言った、「あなたがたはおのおの、配下の者どもでペオルのバアルにつきしたがったものを殺しなさい」。 + モーセとイスラエルの人々の全会衆とが会見の幕屋の入口で泣いていた時、彼らの目の前で、ひとりのイスラエルびとが、その兄弟たちの中に、ひとりのミデアンの女を連れてきた。 + 祭司アロンの子なるエレアザルの子ピネハスはこれを見て、会衆のうちから立ち上がり、やりを手に執り、 + そのイスラエルの人の後を追って、奥の間に入り、そのイスラエルの人を突き、またその女の腹を突き通して、ふたりを殺した。こうして疫病がイスラエルの人々に及ぶのがやんだ。 + しかし、その疫病で死んだ者は二万四千人であった。 + 主はモーセに言われた、 + 「祭司アロンの子なるエレアザルの子ピネハスは自分のことのように、わたしの憤激をイスラエルの人々のうちに表わし、わたしの怒りをそのうちから取り去ったので、わたしは憤激して、イスラエルの人々を滅ぼすことをしなかった。 + このゆえにあなたは言いなさい、『わたしは平和の契約を彼に授ける。 + これは彼とその後の子孫に永遠の祭司職の契約となるであろう。彼はその神のために熱心であって、イスラエルの人々のために罪のあがないをしたからである』と」。 + ミデアンの女と共に殺されたイスラエルの人の名はジムリといい、サルの子で、シメオンびとのうちの一族のつかさであった。 + またその殺されたミデアンの女の名はコズビといい、ツルの娘であった。ツルはミデアンの民の一族のかしらであった。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「ミデアンびとを打ち悩ましなさい。 + 彼らはたくらみをもって、あなたがたを悩まし、ペオルの事と、彼らの姉妹、ミデアンのつかさの娘コズビ、すなわちペオルの事により、疫病の起った日に殺された女の事とによって、あなたがたを惑わしたからである」。 + + + 疫病の後、主はモーセと祭司アロンの子エレアザルとに言われた、 + 「イスラエルの人々の全会衆の総数をその父祖の家にしたがって調べ、イスラエルにおいて、すべて戦争に出ることのできる二十歳以上の者を数えなさい」。 + そこでモーセと祭司エレアザルとは、エリコに近いヨルダンのほとりにあるモアブの平野で彼らに言った、 + 「主がモーセに命じられたように、あなたがたのうちの二十歳以上の者を数えなさい」。エジプトの地から出てきたイスラエルの人々は次のとおりである。 + ルベンはイスラエルの長子である。ルベンの子孫は、ヘノクからヘノクびとの氏族が出、パルからパルびとの氏族が出、 + ヘヅロンからヘヅロンびとの氏族が出、カルミからカルミびとの氏族が出た。 + これらはルベンびとの氏族であって、数えられた者は四万三千七百三十人であった。 + またパルの子はエリアブ。 + エリアブの子はネムエル、ダタン、アビラムである。このダタンとアビラムとは会衆のうちから選び出された者で、コラのともがらと共にモーセとアロンとに逆らって主と争った時、 + 地は口を開いて彼らとコラとをのみ、その仲間は死んだ。その時二百五十人が火に焼き滅ぼされて、戒めの鏡となった。 + ただし、コラの子たちは死ななかった。 + シメオンの子孫は、その氏族によれば、ネムエルからネムエルびとの氏族が出、ヤミンからヤミンびとの氏族が出、ヤキンからヤキンびとの氏族が出、 + ゼラからゼラびとの氏族が出、シャウルからシャウルびとの氏族が出た。 + これらはシメオンびとの氏族であって、数えられた者は二万二千二百人であった。 + ガドの子孫は、その氏族によれば、ゼポンからゼポンびとの氏族が出、ハギからハギびとの氏族が出、シュニからシュニびとの氏族が出、 + オズニからオズニびとの氏族が出、エリからエリびとの氏族が出、 + アロドからアロドびとの氏族が出、アレリからアレリびとの氏族が出た。 + これらはガドの子孫の氏族であって、数えられた者は四万五百人であった。 + ユダの子らはエルとオナンとであって、エルとオナンとはカナンの地で死んだ。 + ユダの子孫は、その氏族によれば、シラからシラびとの氏族が出、ペレヅからペレヅびとの氏族が出、ゼラからゼラびとの氏族が出た。 + ペレヅの子孫は、ヘヅロンからヘヅロンびとの氏族が出、ハムルからハムルびとの氏族が出た。 + これらはユダの氏族であって、数えられた者は七万六千五百人であった。 + イッサカルの子孫は、その氏族によれば、トラからトラびとの氏族が出、プワからプワびとの氏族が出、 + ヤシュブからヤシュブびとの氏族が出、シムロンからシムロンびとの氏族が出た。 + これらはイッサカルの氏族であって、数えられた者は六万四千三百人であった。 + ゼブルンの子孫は、その氏族によれば、セレデからセレデびとの氏族が出、エロンからエロンびとの氏族が出、ヤリエルからヤリエルびとの氏族が出た。 + これらはゼブルンびとの氏族であって、数えられた者は六万五百人であった。 + ヨセフの子らは、その氏族によれば、マナセとエフライムとであって、 + マナセの子孫は、マキルからマキルびとの氏族が出た。マキルからギレアデが生れ、ギレアデからギレアデびとの氏族が出た。 + ギレアデの子孫は次のとおりである。イエゼルからイエゼルびとの氏族が出、ヘレクからヘレクびとの氏族が出、 + アスリエルからアスリエルびとの氏族が出、シケムからシケムびとの氏族が出、 + セミダからセミダびとの氏族が出、ヘペルからヘペルびとの氏族が出た。 + ヘペルの子ゼロペハデには男の子がなく、ただ女の子のみで、ゼロペハデの女の子の名はマアラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといった。 + これらはマナセの氏族であって、数えられた者は五万二千七百人であった。 + エフライムの子孫は、その氏族によれば、次のとおりである。シュテラからはシュテラびとの氏族が出、ベケルからベケルびとの氏族が出、タハンからタハンびとの氏族が出た。 + またシュテラの子孫は次のとおりである。すなわちエランからエランびとの氏族が出た。 + これらはエフライムの子孫の氏族であって、数えられた者は三万二千五百人であった。以上はヨセフの子孫で、その氏族によるものである。 + ベニヤミンの子孫は、その氏族によれば、ベラからベラびとの氏族が出、アシベルからアシベルびとの氏族が出、アヒラムからアヒラムびとの氏族が出、 + シュパムからシュパムびとの氏族が出、ホパムからホパムびとの氏族が出た。 + ベラの子はアルデとナアマンとであって、アルデからアルデびとの氏族が出、ナアマンからナアマンびとの氏族が出た。 + これらはベニヤミンの子孫であって、その氏族によれば数えられた者は四万五千六百人であった。 + ダンの子孫は、その氏族によれば、次のとおりである。シュハムからシュハムびとの氏族が出た。これらはダンの氏族であって、その氏族によるものである。 + シュハムびとのすべての氏族のうち、数えられた者は六万四千四百人であった。 + アセルの子孫は、その氏族によれば、エムナからエムナびとの氏族が出、エスイからエスイびとの氏族が出、ベリアからベリアびとの氏族が出た。 + ベリアの子孫のうちヘベルからヘベルびとの氏族が出、マルキエルからマルキエルびとの氏族が出た。 + アセルの娘の名はサラといった。 + これらはアセルの子孫の氏族であって、数えられた者は五万三千四百人であった。 + ナフタリの子孫は、その氏族によれば、ヤジエルからヤジエルびとの氏族が出、グニからグニびとの氏族が出、 + エゼルからエゼルびとの氏族が出、シレムからシレムびとの氏族が出た。 + これらはナフタリの氏族であって、その氏族により、数えられた者は四万五千四百人であった。 + これらはイスラエルの子孫の数えられた者であって、六十万一千百三十人であった。 + 主はモーセに言われた、 + 「これらの人々に、その名の数にしたがって地を分け与え、嗣業とさせなさい。 + 大きい部族には多くの嗣業を与え、小さい部族には少しの嗣業を与えなさい。すなわち数えられた数にしたがって、おのおのの部族にその嗣業を与えなければならない。 + ただし地は、くじをもって分け、その父祖の部族の名にしたがって、それを継がなければならない。 + すなわち、くじをもってその嗣業を大きいものと、小さいものとに分けなければならない」。 + レビびとのその氏族にしたがって数えられた者は次のとおりである。ゲルションからゲルションびとの氏族が出、コハテからコハテびとの氏族が出、メラリからメラリびとの氏族が出た。 + レビの氏族は次のとおりである。すなわちリブニびとの氏族、ヘブロンびとの氏族、マヘリびとの氏族、ムシびとの氏族、コラびとの氏族であって、コハテからアムラムが生れた。 + アムラムの妻の名はヨケベデといって、レビの娘である。彼女はエジプトでレビに生れた者であるが、アムラムにとついで、アロンとモーセおよびその姉妹ミリアムを産んだ。 + アロンにはナダブ、アビウ、エレアザルおよびイタマルが生れた。 + ナダブとアビウは異火を主の前にささげた時に死んだ。 + その数えられた一か月以上のすべての男子は二万三千人であった。彼らはイスラエルの人々のうちに嗣業を与えられなかったため、イスラエルの人々のうちに数えられなかった者である。 + これらはモーセと祭司エレアザルが、エリコに近いヨルダンのほとりにあるモアブの平野で数えたイスラエルの人々の数である。 + ただしそのうちには、モーセと祭司アロンがシナイの荒野でイスラエルの人々を数えた時に数えられた者はひとりもなかった。 + それは主がかつて彼らについて「彼らは必ず荒野で死ぬであろう」と言われたからである。それで彼らのうちエフンネの子カレブとヌンの子ヨシュアのほか、ひとりも残った者はなかった。 + + + さて、ヨセフの子マナセの氏族のうちのヘペルの子、ゼロペハデの娘たちが訴えてきた。ヘペルはギレアデの子、ギレアデはマキルの子、マキルはマナセの子である。その娘たちは名をマアラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといったが、 + 彼らは会見の幕屋の入口でモーセと、祭司エレアザルと、つかさたちと全会衆との前に立って言った、 + 「わたしたちの父は荒野で死にました。彼は、コラの仲間となって主に逆らった者どもの仲間のうちには加わりませんでした。彼は自分の罪によって死んだのですが、男の子がありませんでした。 + 男の子がないからといって、どうしてわたしたちの父の名がその氏族のうちから削られなければならないのでしょうか。わたしたちの父の兄弟と同じように、わたしたちにも所有地を与えてください」。 + モーセがその事を主の前に述べると、 + 主はモーセに言われた、 + 「ゼロペハデの娘たちの言うことは正しい。あなたは必ず彼らの父の兄弟たちと同じように、彼らにも嗣業の所有地を与えなければならない。すなわち、その父の嗣業を彼らに渡さなければならない。 + あなたはイスラエルの人々に言いなさい、『もし人が死んで、男の子がない時は、その嗣業を娘に渡さなければならない。 + もしまた娘もない時は、その嗣業を兄弟に与えなければならない。 + もし兄弟もない時は、その嗣業を父の兄弟に与えなければならない。 + もしまた父に兄弟がない時は、その氏族のうちで彼に最も近い親族にその嗣業を与えて所有させなければならない』。主がモーセに命じられたようにイスラエルの人々は、これをおきての定めとしなければならない」。 + 主はモーセに言われた、「このアバリムの山に登って、わたしがイスラエルの人々に与える地を見なさい。 + あなたはそれを見てから、兄弟アロンのようにその民に加えられるであろう。 + これは会衆がチンの荒野で逆らい争った時、あなたがたはわたしの命にそむき、あの水のかたわらで彼らの目の前にわたしの聖なることを現さなかったからである」。これはチンの荒野にあるカデシのメリバの水である。 + モーセは主に言った、 + 「すべての肉なるものの命の神、主よ、どうぞ、この会衆の上にひとりの人を立て、 + 彼らの前に出入りし、彼らを導き出し、彼らを導き入れる者とし、主の会衆を牧者のない羊のようにしないでください」。 + 主はモーセに言われた、「神の霊のやどっているヌンの子ヨシュアを選び、あなたの手をその上におき、 + 彼を祭司エレアザルと全会衆の前に立たせて、彼らの前で職に任じなさい。 + そして彼にあなたの権威を分け与え、イスラエルの人々の全会衆を彼に従わせなさい。 + 彼は祭司エレアザルの前に立ち、エレアザルは彼のためにウリムをもって、主の前に判断を求めなければならない。ヨシュアとイスラエルの人々の全会衆とはエレアザルの言葉に従っていで、エレアザルの言葉に従ってはいらなければならない」。 + そこでモーセは主が命じられたようにし、ヨシュアを選んで、祭司エレアザルと全会衆の前に立たせ、 + 彼の上に手をおき、主がモーセによって語られたとおりに彼を任命した。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて言いなさい、『あなたがたは香ばしいかおりとしてわたしにささげる火祭、すなわち、わたしの供え物、わたしの食物を定めの時にわたしにささげることを怠ってはならない』。 + また彼らに言いなさい、『あなたがたが主にささぐべき火祭はこれである。すなわち一歳の雄の全き小羊二頭を毎日ささげて常燔祭としなければならない。 + すなわち一頭の小羊を朝にささげ、一頭の小羊を夕にささげなければならない。 + また麦粉一エパの十分の一に、砕いて取った油一ヒンの四分の一を混ぜて素祭としなければならない。 + これはシナイ山で定められた常燔祭であって、主に香ばしいかおりとしてささげる火祭である。 + またその灌祭は小羊一頭について一ヒンの四分の一をささげなければならない。すなわち聖所において主のために濃い酒をそそいで灌祭としなければならない。 + 夕には他の一頭の小羊をささげなければならない。その素祭と灌祭とは朝のものと同じようにし、その小羊を火祭としてささげ、主に香ばしいかおりとしなければならない。 + また安息日には一歳の雄の全き小羊二頭と、麦粉一エパの十分の二に油を混ぜた素祭と、その灌祭とをささげなければならない。 + これは安息日ごとの燔祭であって、常燔祭とその灌祭とに加えらるべきものである。 + またあなたがたは月々の第一日に燔祭を主にささげなければならない。すなわち若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の全き小羊七頭をささげ、 + 雄牛一頭には麦粉一エパの十分の三に油を混ぜたものを素祭とし、雄羊一頭には麦粉一エパの十分の二に油を混ぜたものを素祭とし、 + 小羊一頭には麦粉十分の一に油を混ぜたものを素祭とし、これを香ばしいかおりの燔祭として主のために火祭としなければならない。 + またその灌祭は雄牛一頭についてぶどう酒一ヒンの二分の一、雄羊一頭について一ヒンの三分の一、小羊一頭について一ヒンの四分の一をささげなければならない。これは年の月々を通じて、新月ごとにささぐべき燔祭である。 + また常燔祭とその灌祭とのほかに、雄やぎ一頭を罪祭として主にささげなければならない。 + 正月の十四日は主の過越の祭である。 + またその月の十五日は祭日としなければならない。七日のあいだ種入れぬパンを食べなければならない。 + その初めの日には聖会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。 + あなたがたは火祭として主に燔祭をささげなければならない。すなわち若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊七頭をささげなければならない。これらはみな全きものでなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち雄牛一頭につき麦粉一エパの十分の三、雄羊一頭につき十分の二をささげ、 + また七頭の小羊にはその一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげ、あなたがたのために罪のあがないをしなければならない。 + あなたがたは朝にささげる常燔祭の燔祭のほかに、これらをささげなければならない。 + このようにあなたがたは七日のあいだ毎日、火祭の食物をささげて、主に香ばしいかおりとしなければならない。これは常燔祭とその灌祭とのほかにささぐべきものである。 + そして第七日に、あなたがたは聖会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。 + あなたがたは七週の祭、すなわち新しい素祭を主にささげる初穂の日にも聖会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。 + あなたがたは燔祭をささげて、主に香ばしいかおりとしなければならない。すなわち若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊七頭をささげなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち雄牛一頭につき一エパの十分の三、雄羊一頭につき十分の二をささげ、 + また七頭の小羊には一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭をささげてあなたがたのために罪のあがないをしなければならない。 + あなたがたは常燔祭とその素祭とその灌祭とのほかに、これらをささげなければならない。これらはみな、全きものでなければならない。 + + + 七月には、その月の第一日に聖会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。これはあなたがたがラッパを吹く日である。 + あなたがたは燔祭をささげて、主に香ばしいかおりとしなければならない。すなわち若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の全き小羊七頭をささげなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち雄牛一頭について一エパの十分の三、雄羊一頭について十分の二をささげ、 + また七頭の小羊には一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげ、あなたがたのために罪のあがないをしなければならない。 + これは新月の燔祭とその素祭、常燔祭とその素祭、および灌祭のほかのものであって、これらのものの定めにしたがい、香ばしいかおりとして、主に火祭としなければならない。 + またその七月の十日に聖会を開き、かつあなたがたの身を悩まさなければならない。なんの仕事もしてはならない。 + あなたがたは主に燔祭をささげて、香ばしいかおりとしなければならない。すなわち若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の小羊七頭をささげなければならない。これらはみな全きものでなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち雄牛一頭につき一エパの十分の三、雄羊一頭につき十分の二をささげ、 + また七頭の小羊には一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは贖罪の罪祭と常燔祭とその素祭、および灌祭のほかのものである。 + 七月の十五日に聖会を開かなければならない。なんの労役もしてはならない。七日のあいだ主のために祭をしなければならない。 + あなたがたは燔祭をささげて、主に香ばしいかおりの火祭としなければならない。すなわち若い雄牛十三頭、雄羊二頭、一歳の雄の小羊十四頭をささげなければならない。これらはみな全きものでなければならない。 + その素祭には油を混ぜた麦粉をささげなければならない。すなわち十三頭の雄牛には一頭ごとに十分の三、その二頭の雄羊には一頭ごとに十分の二をささげ、 + その十四頭の小羊には一頭ごとに十分の一をささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第二日には若い雄牛十二頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とはその数にしたがって、定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第三日には雄牛十一頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第四日には雄牛十頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第五日には雄牛九頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第六日には雄牛八頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第七日には雄牛七頭、雄羊二頭、一歳の雄の全き小羊十四頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + 第八日にはまた集会を開かなければならない。なんの労役をもしてはならない。 + あなたがたは燔祭をささげて主に香ばしいかおりの火祭としなければならない。すなわち雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の全き小羊七頭をささげなければならない。 + その雄牛と雄羊と小羊とのための素祭と灌祭とは、その数にしたがって定めのようにささげなければならない。 + また雄やぎ一頭を罪祭としてささげなければならない。これらは常燔祭とその素祭および灌祭のほかのものである。 + あなたがたは定めの祭の時に、これらのものを主にささげなければならない。これらはあなたがたの誓願、または自発の供え物としてささげる燔祭、素祭、灌祭および酬恩祭のほかのものである』」。 + モーセは主が命じられた事をことごとくイスラエルの人々に告げた。 + + + モーセはイスラエルの人々の部族のかしらたちに言った、「これは主が命じられた事である。 + もし人が主に誓願をかけ、またはその身に物断ちをしようと誓いをするならば、その言葉を破ってはならない。口で言ったとおりにすべて行わなければならない。 + またもし女がまだ若く、父の家にいて、主に誓願をかけ、またはその身に物断ちをしようとする時、 + 父が彼女の誓願、または彼女の身に断った物断ちのことを聞いて、彼女に何も言わないならば、彼女はすべて誓願を行い、またその身に断った物断ちをすべて守らなければならない。 + しかし、彼女の父がそれを聞いた日に、それを承認しない時は、彼女はその誓願、またはその身に断った物断ちをすべてやめることができる。父が承認しないのであるから、主は彼女をゆるされるであろう。 + またもし夫のある身で、みずから誓願をかけ、またはその身に物断ちをしようと、軽々しく口で言った場合、 + 夫がそれを聞き、それを聞いた日に彼女に何も言わないならば、彼女はその誓願を行い、その身に断った物断ちを守らなければならない。 + しかし、もし夫がそれを聞いた日に、それを承認しないならば、夫はその女がかけた誓願、またはその身に物断ちをしようと、軽々しく口に言ったことをやめさせることができる。主はその女をゆるされるであろう。 + しかし、寡婦あるいは離縁された女の誓願、すべてその身に断った物断ちは、それを守らなければならない。 + もし女が夫の家で誓願をかけ、またはその身に物断ちをしようと誓った時、 + 夫がそれを聞いて、彼女に何も言わず、またそれに反対しないならば、その誓願はすべて行わなければならない。またその身に断った物断ちはすべて守らなければならない。 + しかし、もし夫がそれを聞いた日にそれを認めないならば、彼女の誓願、または身の物断ちについて、彼女が口で言った事は、すべてやめることができる。夫がそれを認めなかったのだから、主はその女をゆるされるであろう。 + すべての誓願およびすべてその身を悩ます物断ちの誓約は、夫がそれを守らせることができ、または夫がそれをやめさせることができる。 + もし夫が彼女に何も言わずに日を送るならば、彼は妻がした誓願、または物断ちをすべて認めたのである。彼はそれを聞いた日に妻に何も言わなかったのだから、それを認めたのである。 + しかし、もし夫がそれを聞き、あとになって、それを認めないならば、彼は妻の罪を負わなければならない」。 + これらは主がモーセに命じられた定めであって、夫と妻との間、および父とまだ若くて父の家にいる娘との間に関するものである。 + + + さて主はモーセに言われた、 + 「ミデアンびとにイスラエルの人々のあだを報いなさい。その後、あなたはあなたの民に加えられるであろう」。 + モーセは民に言った、「あなたがたのうちから人を選んで戦いのために武装させ、ミデアンびとを攻めて、主のためミデアンびとに復讐しなさい。 + すなわちイスラエルのすべての部族から、部族ごとに千人ずつを戦いに送り出さなければならない」。 + そこでイスラエルの部族のうちから部族ごとに千人ずつを選び、一万二千人を得て、戦いのために武装させた。 + モーセは各部族から千人ずつを戦いにつかわし、また祭司エレアザルの子ピネハスに、聖なる器と吹き鳴らすラッパとを執らせて、共に戦いにつかわした。 + 彼らは主がモーセに命じられたようにミデアンびとと戦って、その男子をみな殺した。 + その殺した者のほかにまたミデアンの王五人を殺した。その名はエビ、レケム、ツル、フル、レバである。またベオルの子バラムをも、つるぎにかけて殺した。 + またイスラエルの人々はミデアンの女たちとその子供たちを捕虜にし、その家畜と、羊の群れと、貨財とをことごとく奪い取り、 + そのすまいのある町々と、その部落とを、ことごとく火で焼いた。 + こうして彼らはすべて奪ったものと、かすめたものとは人をも家畜をも取り、 + その生けどった者と、かすめたものと、奪ったものとを携えて、エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野の宿営におるモーセと祭司エレアザルとイスラエルの人々の会衆のもとへもどってきた。 + ときにモーセと祭司エレアザルと会衆のつかさたちはみな宿営の外に出て迎えたが、 + モーセは軍勢の将たち、すなわち戦場から帰ってきた千人の長たちと、百人の長たちに対して怒った。 + モーセは彼らに言った、「あなたがたは女たちをみな生かしておいたのか。 + 彼らはバラムのはかりごとによって、イスラエルの人々に、ペオルのことで主に罪を犯させ、ついに主の会衆のうちに疫病を起すに至った。 + それで今、この子供たちのうちの男の子をみな殺し、また男と寝て、男を知った女をみな殺しなさい。 + ただし、まだ男と寝ず、男を知らない娘はすべてあなたがたのために生かしておきなさい。 + そしてあなたがたは七日のあいだ宿営の外にとどまりなさい。あなたがたのうちすべて人を殺した者、およびすべて殺された者に触れた者は、あなたがた自身も、あなたがたの捕虜も共に、三日目と七日目とに身を清めなければならない。 + またすべての衣服と、すべての皮の器と、すべてやぎの毛で作ったものと、すべての木の器とを清めなければならない」。 + 祭司エレアザルは戦いに出たいくさびとたちに言った、「これは主がモーセに命じられた律法の定めである。 + 金、銀、青銅、鉄、すず、鉛など、 + すべて火に耐える物は火の中を通さなければならない。そうすれば清くなるであろう。なおその上、汚れを清める水で、清めなければならない。しかし、すべて火に耐えないものは水の中を通さなければならない。 + あなたがたは七日目に衣服を洗わなければならない。そして清くなり、その後宿営にはいることができる」。 + 主はモーセに言われた、 + 「あなたと祭司エレアザルおよび会衆の氏族のかしらたちは、その生けどった人と家畜の獲物の総数を調べ、 + その獲物を戦いに出た勇士と、全会衆とに折半しなさい。 + そして戦いに出たいくさびとに、人または牛、またはろば、または羊を、おのおの五百ごとに一つを取り、みつぎとして主にささげさせなさい。 + すなわち彼らが受ける半分のなかから、それを取り、主にささげる物として祭司エレアザルに渡しなさい。 + またイスラエルの人々が受ける半分のなかから、その獲た人または牛、またはろば、または羊などの家畜を、おのおの五十ごとに一つを取り、主の幕屋の務をするレビびとに与えなさい」。 + モーセと祭司エレアザルとは主がモーセに命じられたとおりに行った。 + そこでその獲物、すなわち、いくさびとたちが奪い取ったものの残りは羊六十七万五千、 + 牛七万二千、 + ろば六万一千、 + 人三万二千、これはみな男と寝ず、男を知らない女であった。 + そしてその半分、すなわち戦いに出た者の分は羊三十三万七千五百、 + 主にみつぎとした羊は六百七十五。 + 牛は三万六千、そのうちから主にみつぎとしたものは七十二。 + ろばは三万五百、そのうちから主にみつぎとしたものは六十一。 + 人は一万六千、そのうちから主にみつぎとしたものは三十二人であった。 + モーセはそのみつぎを主にささげる物として祭司エレアザルに渡した。主がモーセに命じられたとおりである。 + モーセが戦いに出た人々とは別にイスラエルの人々に与えた半分、 + すなわち会衆の受けた半分は羊三十三万七千五百、 + 牛三万六千、 + ろば三万五百、 + 人一万六千であって、 + モーセはイスラエルの人々の受けた半分のなかから、人および獣をおのおの五十ごとに一つを取って、主の幕屋の務をするレビびとに与えた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 時に軍勢の将であったものども、すなわち千人の長たちと百人の長たちとがモーセのところにきて、 + モーセに言った、「しもべらは、指揮下のいくさびとを数えましたが、われわれのうち、ひとりも欠けた者はありませんでした。 + それで、われわれは、おのおの手に入れた金の飾り物、すなわち腕飾り、腕輪、指輪、耳輪、首飾りなどを主に携えてきて供え物とし、主の前にわれわれの命のあがないをしようと思います」。 + モーセと祭司エレアザルとは、彼らから細工を施した金の飾り物を受け取った。 + 千人の長たちと百人の長たちとが、主にささげものとした金は合わせて一万六千七百五十シケル。 + いくさびとは、おのおの自分のぶんどり物を獲た。 + モーセと祭司エレアザルとは、千人の長たちと百人の長たちとから、その金を受け取り、それを携えて会見の幕屋に入り、主の前に置いてイスラエルの人々のために記念とした。 + + + ルベンの子孫とガドの子孫とは非常に多くの家畜の群れを持っていた。彼らがヤゼルの地と、ギレアデの地とを見ると、そこは家畜を飼うのに適していたので、 + ガドの子孫とルベンの子孫とがきて、モーセと、祭司エレアザルと、会衆のつかさたちとに言った、 + 「アタロテ、デボン、ヤゼル、ニムラ、ヘシボン、エレアレ、シバム、ネボ、ベオン、 + すなわち主がイスラエルの会衆の前に撃ち滅ぼされた国は、家畜を飼うのに適した地ですが、しもべらは家畜を持っています」。 + 彼らはまた言った、「それでもし、あなたの恵みを得られますなら、どうぞこの地をしもべらの領地にして、われわれにヨルダンを渡らせないでください」。 + モーセはガドの子孫とルベンの子孫とに言った、「あなたがたは兄弟が戦いに行くのに、ここにすわっていようというのか。 + どうしてあなたがたはイスラエルの人々の心をくじいて、主が彼らに与えられる地に渡ることができないようにするのか。 + あなたがたの先祖も、わたしがカデシ・バルネアから、その地を見るためにつかわした時に、同じようなことをした。 + すなわち彼らはエシコルの谷に行って、その地を見たとき、イスラエルの人々の心をくじいて、主が与えられる地に行くことができないようにした。 + そこでその時、主は怒りを発し、誓って言われた、 + 『エジプトから出てきた人々で二十歳以上の者はひとりもわたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓った地を見ることはできない。彼らはわたしに従わなかったからである。 + ただケニズびとエフンネの子カレブとヌンの子ヨシュアとはそうではない。このふたりは全く主に従ったからである』。 + 主はこのようにイスラエルにむかって怒りを発し、彼らを四十年のあいだ荒野にさまよわされたので、主の前に悪を行ったその世代の人々は、ついにみな滅びた。 + あなたがたはその父に代って立った罪びとのやからであって、主のイスラエルに対する激しい怒りをさらに増そうとしている。 + あなたがたがもしそむいて主に従わないならば、主はまたこの民を荒野にすておかれるであろう。そうすればあなたがたはこの民をことごとく滅ぼすに至るであろう」。 + 彼らはモーセのところへ進み寄って言った、「われわれはこの所に、群れのために羊のおりを建て、また子供たちのために町々を建てようと思います。 + しかし、われわれは武装してイスラエルの人々の前に進み、彼らをその所へ導いて行きましょう。ただわれわれの子供たちは、この地の住民の害をのがれるため、堅固な町々に住ませておかなければなりません。 + われわれはイスラエルの人々が、おのおのその嗣業を受けるまでは、家に帰りません。 + またわれわれはヨルダンのかなたで彼らとともには嗣業を受けません。われわれはヨルダンのこなた、すなわち東の方で嗣業を受けるからです」。 + モーセは彼らに言った、「もし、あなたがたがそのようにし、みな武装して主の前に行って戦い、 + みな武装して主の前に行ってヨルダン川を渡り、主がその敵を自分の前から追い払われて、 + この国が主の前に征服されて後、帰ってくるならば、あなたがたは主の前にも、イスラエルの前にも、とがめはないであろう。そしてこの地は主の前にあなたがたの所有となるであろう。 + しかし、そうしないならば、あなたがたは主にむかって罪を犯した者となり、その罪は必ず身に及ぶことを知らなければならない。 + あなたがたは子供たちのために町々を建て、羊のために、おりを建てなさい。しかし、あなたがたは約束したことは行わなければならない」。 + ガドの子孫とルベンの子孫とは、モーセに言った、「しもべらはあなたの命じられたとおりにいたします。 + われわれの子供たちと妻と羊と、すべての家畜とは、このギレアデの町々に残します。 + しかし、しもべらはみな武装して、あなたの言われるとおり、主の前に渡って行って戦います」。 + モーセは彼らのことについて、祭司エレアザルと、ヌンの子ヨシュアと、イスラエルの人々の部族のうちの氏族のかしらたちとに命じた。 + そしてモーセは彼らに言った、「ガドの子孫と、ルベンの子孫とが、おのおの武装してあなたがたと一緒にヨルダンを渡り、主の前に戦って、その地をあなたがたが征服するならば、あなたがたは彼らにギレアデの地を領地として与えなければならない。 + しかし、もし彼らが武装してあなたがたと一緒に渡って行かないならば、彼らはカナンの地であなたがたのうちに領地を獲なければならない」。 + ガドの子孫と、ルベンの子孫とは答えて言った、「しもべらは主が言われたとおりにいたします。 + われわれは武装して、主の前にカナンの地へ渡って行きますが、ヨルダンのこなたで、われわれの嗣業をもつことにします」。 + そこでモーセはガドの子孫と、ルベンの子孫と、ヨセフの子マナセの部族の半ばとに、アモリびとの王シホンの国と、バシャンの王オグの国とを与えた。すなわち、その国およびその領内の町々とその町々の周囲の地とを与えた。 + こうしてガドの子孫は、デボン、アタロテ、アロエル、 + アテロテ・ショパン、ヤゼル、ヨグベハ、 + ベテニムラ、ベテハランなどの堅固な町々を建て、羊のおりを建てた。 + またルベンの子孫は、ヘシボン、エレアレ、キリヤタイム、 + および後に名を改めたネボと、バアル・メオンの町を建て、またシブマの町を建てた。彼らは建てた町々に新しい名を与えた。 + またマナセの子マキルの子孫はギレアデに行って、そこを取り、その住民アモリびとを追い払ったので、 + モーセはギレアデをマナセの子マキルに与えてそこに住まわせた。 + またマナセの子ヤイルは行って村々を取り、それをハオテヤイルと名づけた。 + またノバは行ってケナテとその村々を取り、自分の名にしたがって、それをノバと名づけた。 + + + イスラエルの人々が、モーセとアロンとに導かれ、その部隊に従って、エジプトの国を出てから経た旅路は次のとおりである。 + モーセは主の命により、その旅路にしたがって宿駅を書きとめた。その宿駅にしたがえば旅路は次のとおりである。 + 彼らは正月の十五日にラメセスを出立した。すなわち過越の翌日イスラエルの人々は、すべてのエジプトびとの目の前を意気揚々と出立した。 + その時エジプトびとは、主に撃ち殺されたすべてのういごを葬っていた。主はまた彼らの神々にも罰を加えられた。 + こうしてイスラエルの人々はラメセスを出立してスコテに宿営し、 + スコテを出立して荒野の端にあるエタムに宿営し、 + エタムを出立してバアル・ゼポンの前にあるピハヒロテに引き返してミグドルの前に宿営し、 + ピハヒロテを出立して、海のなかをとおって荒野に入り、エタムの荒野を三日路ほど行って、メラに宿営し、 + メラを出立し、エリムに行って宿営した。エリムには水の泉十二と、なつめやし七十本とがあった。 + エリムを出立して紅海のほとりに宿営し、 + 紅海を出立してシンの荒野に宿営し、 + シンの荒野を出立してドフカに宿営し、 + ドフカを出立してアルシに宿営し、 + アルシを出立してレピデムに宿営した。そこには民の飲む水がなかった。 + レピデムを出立してシナイの荒野に宿営し、 + シナイの荒野を出立してキブロテ・ハッタワに宿営し、 + キブロテ・ハッタワを出立してハゼロテに宿営し、 + ハゼロテを出立してリテマに宿営し、 + リテマを出立してリンモン・パレツに宿営し、 + リンモン・パレツを出立してリブナに宿営し、 + リブナを出立してリッサに宿営し、 + リッサを出立してケヘラタに宿営し、 + ケヘラタを出立してシャペル山に宿営し、 + シャペル山を出立してハラダに宿営し、 + ハラダを出立してマケロテに宿営し、 + マケロテを出立してタハテに宿営し、 + タハテを出立してテラに宿営し、 + テラを出立してミテカに宿営し、 + ミテカを出立してハシモナに宿営し、 + ハシモナを出立してモセラに宿営し、 + モセラを出立してベネヤカンに宿営し、 + ベネヤカンを出立してホル・ハギデガデに宿営し、 + ホル・ハギデガデを出立してヨテバタに宿営し、 + ヨテバタを出立してアブロナに宿営し、 + アブロナを出立してエジオン・ゲベルに宿営し、 + エジオン・ゲベルを出立してチンの荒野すなわちカデシに宿営し、 + カデシを出立してエドムの国の端にあるホル山に宿営した。 + イスラエルの人々がエジプトの国を出て四十年目の五月一日に、祭司アロンは主の命によりホル山に登って、その所で死んだ。 + アロンはホル山で死んだとき百二十三歳であった。 + カナンの地のネゲブに住んでいたカナンびとアラデの王は、イスラエルの人々の来るのを聞いた。 + ついで、ホル山を出立してザルモナに宿営し、 + ザルモナを出立してプノンに宿営し、 + プノンを出立してオボテに宿営し、 + オボテを出立してモアブの境にあるイエ・アバリムに宿営し、 + イエ・アバリムを出立してデボン・ガドに宿営し、 + デボン・ガドを出立してアルモン・デブラタイムに宿営し、 + アルモン・デブラタイムを出立してネボの前にあるアバリムの山に宿営し、 + アバリムの山を出立してエリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野に宿営した。 + すなわちヨルダンのほとりのモアブの平野で、ベテエシモテとアベル・シッテムとの間に宿営した。 + エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野で、主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい。あなたがたがヨルダンを渡ってカナンの地にはいるときは、 + その地の住民をことごとくあなたがたの前から追い払い、すべての石像をこぼち、すべての鋳像をこぼち、すべての高き所を破壊しなければならない。 + またあなたがたはその地の民を追い払って、そこに住まなければならない。わたしがその地をあなたがたの所有として与えたからである。 + あなたがたは、おのおの氏族ごとにくじを引き、その地を分けて嗣業としなければならない。大きい部族には多くの嗣業を与え、小さい部族には少しの嗣業を与えなければならない。そのくじの当った所がその所有となるであろう。あなたがたは父祖の部族にしたがって、それを継がなければならない。 + しかし、その地の住民をあなたがたの前から追い払わないならば、その残して置いた者はあなたがたの目にとげとなり、あなたがたの脇にいばらとなり、あなたがたの住む国において、あなたがたを悩ますであろう。 + また、わたしは彼らにしようと思ったとおりに、あなたがたにするであろう」。 + + + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて言いなさい。あなたがたがカナンの地にはいるとき、あなたがたの嗣業となるべき地はカナンの地で、その全域は次のとおりである。 + 南の方はエドムに接するチンの荒野に始まり、南の境は、東は塩の海の端に始まる。 + その境はアクラビムの坂の南を巡ってチンに向かい、カデシ・バルネアの南に至り、ハザル・アダルに進み、アズモンに及ぶ。 + その境はまたアズモンから転じてエジプトの川に至り、海に及んで尽きる。 + 西の境はおおうみとその沿岸で、これがあなたがたの西の境である。 + あなたがたの北の境は次のとおりである。すなわちおおうみからホル山まで線を引き、 + ホル山からハマテの入口まで線を引き、その境をゼダデに至らせ、 + またその境はジフロンに進み、ハザル・エノンに至って尽きる。これがあなたがたの北の境である。 + あなたがたの東の境は、ハザル・エノンからシパムまで線を引き、 + またその境はアインの東の方で、シパムからリブラに下り、またその境は下ってキンネレテの海の東の斜面に至り、 + またその境はヨルダンに下り、塩の海に至って尽きる。あなたがたの国の周囲の境は以上のとおりである」。 + モーセはイスラエルの人々に命じて言った、「これはあなたがたが、くじによって継ぐべき地である。主はこれを九つの部族と半部族とに与えよと命じられた。 + それはルベンの子孫の部族とガドの子孫の部族とが共に父祖の家にしたがって、すでにその嗣業を受け、またマナセの半部族もその嗣業を受けていたからである。 + この二つの部族と半部族とはエリコに近いヨルダンのかなた、すなわち東の方、日の出る方で、その嗣業を受けた」。 + 主はまたモーセに言われた、 + 「あなたがたに、嗣業として地を分け与える人々の名は次のとおりである。すなわち祭司エレアザルと、ヌンの子ヨシュアとである。 + あなたがたはまた、おのおの部族から、つかさひとりずつを選んで、地を分け与えさせなければならない。 + その人々の名は次のとおりである。すなわちユダの部族ではエフンネの子カレブ、 + シメオンの子孫の部族ではアミホデの子サムエル、 + ベニヤミンの部族ではキスロンの子エリダデ、 + ダンの子孫の部族ではヨグリの子つかさブッキ、 + ヨセフの子孫、すなわちマナセの部族ではエポデの子つかさハニエル、 + エフライムの子孫の部族ではシフタンの子つかさケムエル、 + ゼブルンの子孫の部族ではパルナクの子つかさエリザパン、 + イッサカルの子孫の部族ではアザンの子つかさパルテエル、 + アセルの子孫の部族ではシロミの子つかさアヒウデ、 + ナフタリの子孫の部族では、アミホデの子つかさパダヘル。 + カナンの地でイスラエルの人々に嗣業を分け与えることを主が命じられた人々は以上のとおりである」。 + + + エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野で、主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に命じて、その獲た嗣業のうちから、レビびとに住むべき町々を与えさせなさい。また、あなたがたは、その町々の周囲の放牧地をレビびとに与えなければならない。 + その町々は彼らの住む所、その放牧地は彼らの家畜と群れ、およびすべての獣のためである。 + あなたがたがレビびとに与える町々の放牧地は、町の石がきから一千キュビトの周囲としなければならない。 + あなたがたは町の外で東側に二千キュビト、南側に二千キュビト、西側に二千キュビト、北側に二千キュビトを計り、町はその中央にしなければならない。彼らの町の放牧地はこのようにしなければならない。 + あなたがたがレビびとに与える町々は六つで、のがれの町とし、人を殺した者がのがれる所としなければならない。なおこのほかに四十二の町を与えなければならない。 + すなわちあなたがたがレビびとに与える町は合わせて四十八で、これをその放牧地と共に与えなければならない。 + あなたがたがイスラエルの人々の所有のうちからレビびとに町々を与えるには、大きい部族からは多く取り、小さい部族からは少なく取り、おのおの受ける嗣業にしたがって、その町々をレビびとに与えなければならない」。 + 主はモーセに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい。あなたがたがヨルダンを渡ってカナンの地にはいるときは、 + あなたがたのために町を選んで、のがれの町とし、あやまって人を殺した者を、そこにのがれさせなければならない。 + これはあなたがたが復讐する者を避けてのがれる町であって、人を殺した者が会衆の前に立って、さばきを受けないうちに、殺されることのないためである。 + あなたがたが与える町々のうち、六つをのがれの町としなければならない。 + すなわちヨルダンのかなたで三つの町を与え、カナンの地で三つの町を与えて、のがれの町としなければならない。 + これらの六つの町は、イスラエルの人々と、他国の人および寄留者のために、のがれの場所としなければならない。すべてあやまって人を殺した者が、そこにのがれるためである。 + もし人が鉄の器で、人を打って死なせたならば、その人は故殺人である。故殺人は必ず殺されなければならない。 + またもし人を殺せるほどの石を取って、人を打って死なせたならば、その人は故殺人である。故殺人は必ず殺されなければならない。 + あるいは人を殺せるほどの木の器を取って、人を打って死なせたならば、その人は故殺人である。故殺人は必ず殺されなければならない。 + 血の復讐をする者は、自分でその故殺人を殺すことができる。すなわち彼に出会うとき、彼を殺すことができる。 + またもし恨みのために人を突き、あるいは故意に人に物を投げつけて死なせ、 + あるいは恨みによって手で人を打って死なせたならば、その打った者は必ず殺されなければならない。彼は故殺人だからである。血の復讐をする者は、その故殺人に出会うとき殺すことができる。 + しかし、もし恨みもないのに思わず人を突き、または、なにごころなく人に物を投げつけ、 + あるいは人のいるのも見ずに、人を殺せるほどの石を投げつけて死なせた場合、その人がその敵でもなく、また害を加えようとしたのでもない時は、 + 会衆はこれらのおきてによって、その人を殺した者と、血の復讐をする者との間をさばかなければならない。 + すなわち会衆はその人を殺した者を血の復讐をする者の手から救い出して、逃げて行ったのがれの町に返さなければならない。その者は聖なる油を注がれた大祭司の死ぬまで、そこにいなければならない。 + しかし、もし人を殺した者が、その逃げて行ったのがれの町の境を出た場合、 + 血の復讐をする者は、のがれの町の境の外で、これに出会い、血の復讐をする者が、その人を殺した者を殺しても、彼には血を流した罪はない。 + 彼は大祭司の死ぬまで、そののがれの町におるべきものだからである。大祭司の死んだ後は、人を殺した者は自分の所有の地にかえることができる。 + これらのことはすべてあなたがたの住む所で、代々あなたがたのためのおきての定めとしなければならない。 + 人を殺した者、すなわち故殺人はすべて証人の証言にしたがって殺されなければならない。しかし、だれもただひとりの証言によって殺されることはない。 + あなたがたは死に当る罪を犯した故殺人の命のあがないしろを取ってはならない。彼は必ず殺されなければならない。 + また、のがれの町にのがれた者のために、あがないしろを取って大祭司の死ぬ前に彼を自分の地に帰り住まわせてはならない。 + あなたがたはそのおる所の地を汚してはならない。流血は地を汚すからである。地の上に流された血は、それを流した者の血によらなければあがなうことができない。 + あなたがたは、その住む所の地、すなわちわたしのおる地を汚してはならない。主なるわたしがイスラエルの人々のうちに住んでいるからである」。 + + + ヨセフの子孫の氏族のうち、マナセの子マキルの子であるギレアデの子らの氏族のかしらたちがきて、モーセとイスラエルの人々のかしらであるつかさたちとの前で語って、 + 言った、「イスラエルの人々に、その嗣業の地をくじによって与えることを主はあなたに命じられ、あなたもまた、われわれの兄弟ゼロペハデの嗣業を、その娘たちに与えるよう、主によって命じられました。 + その娘たちがもし、イスラエルの人々のうちの他の部族のむすこたちにとつぐならば、彼女たちの嗣業は、われわれの父祖の嗣業のうちから取り除かれて、そのとつぐ部族の嗣業に加えられるでしょう。こうしてそれはわれわれの嗣業の分から取り除かれるでしょう。 + そしてイスラエルの人々のヨベルの年がきた時、彼女たちの嗣業は、そのとついだ部族の嗣業に加えられるでしょう。こうして彼女たちの嗣業は、われわれの父祖の部族の嗣業のうちから取り除かれるでしょう」。 + モーセは主の言葉にしたがって、イスラエルの人々に命じて言った、「ヨセフの子孫の部族の言うところは正しい。 + ゼロペハデの娘たちについて、主が命じられたことはこうである。すなわち『彼女たちはその心にかなう者にとついでもよいが、ただその父祖の部族の一族にのみ、とつがなければならない。 + そうすればイスラエルの人々の嗣業は、部族から部族に移るようなことはないであろう。イスラエルの人々は、おのおのその父祖の部族の嗣業をかたく保つべきだからである。 + イスラエルの人々の部族のうち、嗣業をもっている娘はみな、その父の部族に属する一族にとつがなければならない。そうすればイスラエルの人々は、おのおのその父祖の嗣業を保つことができる。 + こうして嗣業は一つの部族から他の部族に移ることはなかろう。イスラエルの人々の部族はおのおのその嗣業をかたく保つべきだからである』」。 + そこでゼロペハデの娘たちは、主がモーセに命じられたようにした。 + すなわちゼロペハデの娘たち、マアラ、テルザ、ホグラ、ミルカおよびノアは、その父の兄弟のむすこたちにとついだ。 + 彼女たちはヨセフの子マナセのむすこたちの一族にとついだので、その嗣業はその父の一族の属する部族にとどまった。 + これらはエリコに近いヨルダンのほとりのモアブの平野で、主がモーセによってイスラエルの人々に命じられた命令とおきてである。 + +
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+ + これはヨルダンの向こうの荒野、パランと、トペル、ラバン、ハゼロテ、デザハブとの間の、スフの前にあるアラバにおいて、モーセがイスラエルのすべての人に告げた言葉である。 + ホレブからセイル山の道を経て、カデシ・バルネアに達するには、十一日の道のりである。 + 第四十年の十一月となり、その月の一日に、モーセはイスラエルの人々にむかって、主が彼らのため彼に授けられた命令を、ことごとく告げた。 + これはモーセがヘシボンに住んでいたアモリびとの王シホン、およびアシタロテとエデレイとに住んでいたバシャンの王オグを殺した後であった。 + すなわちモーセはヨルダンの向こうのモアブの地で、みずから、この律法の説明に当った、そして言った、 + 「われわれの神、主はホレブにおいて、われわれに言われた、『あなたがたはすでに久しく、この山にとどまっていたが、 + 身をめぐらして道に進み、アモリびとの山地に行き、その近隣のすべての所、アラバ、山地、低地、ネゲブ、海べ、カナンびとの地、またレバノンに行き、大川ユフラテにまで行きなさい。 + 見よ、わたしはこの地をあなたがたの前に置いた。この地にはいって、それを自分のものとしなさい。これは主が、あなたがたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓って、彼らとその後の子孫に与えると言われた所である』。 + あの時、わたしはあなたがたに言った、『わたしはひとりであなたがたを負うことができない。 + あなたがたの神、主はあなたがたを多くされたので、あなたがたは、きょう、空の星のように多い。 + ――どうぞ、あなたがたの先祖の神、主があなたがたを、今あるより千倍も多くし、またあなたがたに約束されたように、あなたがたを恵んでくださるように。―― + わたしひとりで、どうして、あなたがたを負い、あなたがたの重荷と、あなたがたの争いを処理することができようか。 + あなたがたは、おのおの部族ごとに、知恵があり、知識があって、人に知られている人々を選び出しなさい。わたしはその人々を、あなたがたのかしらとするであろう』。 + その時、あなたがたはわたしに答えた、『あなたがしようと言われることは良いことです』。 + そこで、わたしは、あなたがたのうちから、知恵があり、人に知られている人々を取って、あなたがたのかしらとした。すなわち千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長とし、また、あなたがたの部族のつかさびととした。 + また、あのとき、わたしはあなたがたのさばきびとたちに命じて言った、『あなたがたは、兄弟たちの間の訴えを聞き、人とその兄弟、または寄留の他国人との間を、正しくさばかなければならない。 + あなたがたは、さばきをする時、人を片寄り見てはならない。小さい者にも大いなる者にも聞かなければならない。人の顔を恐れてはならない。さばきは神の事だからである。あなたがたで決めるのにむずかしい事は、わたしのところに持ってこなければならない。わたしはそれを聞くであろう』。 + わたしはまた、あの時、あなたがたがしなければならないことを、ことごとく命じた。 + われわれの神、主が命じられたように、われわれは、ホレブを出立して、あなたがたが見た、あの大きな恐ろしい荒野を通り、アモリびとの山地へ行く道によって、カデシ・バルネアにきた。 + その時わたしはあなたがたに言った、『あなたがたは、われわれの神、主がお与えになるアモリびとの山地に着いた。 + 見よ、あなたの神、主はこの地をあなたの前に置かれた。あなたの先祖の神、主が告げられたように、上って行って、これを自分のものとしなさい。恐れてはならない。おののいてはならない』。 + あなたがたは皆わたしに近寄って言った、『われわれは人をさきにつかわして、その地を探らせ、どの道から上るべきか、どの町々に入るべきかを、復命させましょう』。 + このことは良いと思ったので、わたしはあなたがたのうち、おのおのの部族から、ひとりずつ十二人の者を選んだ。 + 彼らは身をめぐらして、山地に上って行き、エシコルの谷へ行ってそれを探り、 + その地のくだものを手に取って、われわれのところに持って下り、復命して言った、『われわれの神、主が賜わる地は良い地です』。 + しかし、あなたがたは上って行くことを好まないで、あなたがたの神、主の命令にそむいた。 + そして天幕でつぶやいて言った。『主はわれわれを憎んでアモリびとの手に渡し、滅ぼそうとしてエジプトの国から導き出されたのだ。 + われわれはどこへ上って行くのか。兄弟たちは、「その民はわれわれよりも大きくて、背も高い。町々は大きく、その石がきは天に届いている。われわれは、またアナクびとの子孫をその所で見た」と言って、われわれの心をくじいた』。 + その時、わたしはあなたがたに言った、『彼らをこわがってはならない。また恐れてはならない。 + 先に立って行かれるあなたがたの神、主はエジプトにおいて、あなたがたの目の前で、すべてのことを行われたように、あなたがたのために戦われるであろう。 + あなたがたはまた荒野で、あなたの神、主が、人のその子を抱くように、あなたを抱かれるのを見た。あなたがたが、この所に来るまで、その道すがら、いつもそうであった』。 + このように言っても、あなたがたはなお、あなたがたの神、主を信じなかった。 + 主は道々あなたがたの先に立って行き、あなたがたが宿営する場所を捜し、夜は火のうちにあり、昼は雲のうちにあって、あなたがたに行くべき道を示された。 + 主は、あなたがたの言葉を聞いて怒り、誓って言われた、 + 『この悪い世代の人々のうちには、わたしが、あなたがたの先祖たちに与えると誓ったあの良い地を見る者は、ひとりもないであろう。 + ただエフンネの子カレブだけはそれを見ることができるであろう。彼が踏んだ地を、わたしは彼とその子孫に与えるであろう。彼が全く主に従ったからである』。 + 主はまた、あなたがたのゆえに、わたしをも怒って言われた、『おまえもまた、そこにはいることができないであろう。 + おまえに仕えているヌンの子ヨシュアが、そこにはいるであろう。彼を力づけよ。彼はイスラエルにそれを獲させるであろう。 + またあなたがたが、かすめられるであろうと言ったあなたがたのおさなごたち、およびその日にまだ善悪をわきまえないあなたがたの子供たちが、そこにはいるであろう。わたしはそれを彼らに与える。彼らはそれを所有とするであろう。 + あなたがたは身をめぐらし、紅海の道によって、荒野に進んで行きなさい』。 + しかし、あなたがたはわたしに答えて言った、『われわれは主にむかって罪を犯しました。われわれの神、主が命じられたように、われわれは上って行って戦いましょう』。そして、おのおの武器を身に帯びて、かるがるしく山地へ上って行こうとした。 + その時、主はわたしに言われた、『彼らに言いなさい、「あなたがたは上って行ってはならない。また戦ってはならない。わたしはあなたがたのうちにいない。おそらく、あなたがたは敵に撃ち敗られるであろう」』。 + このようにわたしが告げたのに、あなたがたは聞かないで主の命令にそむき、ほしいままに山地へ上って行ったが、 + その山地に住んでいるアモリびとが、あなたがたに向かって出てきて、はちが追うように、あなたがたを追いかけ、セイルで撃ち敗って、ホルマにまで及んだ。 + あなたがたは帰ってきて、主の前で泣いたが、主はあなたがたの声を聞かず、あなたがたに耳を傾けられなかった。 + こうしてあなたがたは、日久しくカデシにとどまった。あなたがたのそこにとどまった日数のとおりである。 + + + それから、われわれは身をめぐらし、主がわたしに告げられたように、紅海の方に向かって荒野に進み入り、日久しくセイル山を行きめぐっていたが、 + 主はわたしに言われた、 + 『あなたがたは既に久しくこの山を行きめぐっているが、身をめぐらして北に進みなさい。 + おまえはまた民に命じて言え、「あなたがたは、エサウの子孫、すなわちセイルに住んでいるあなたがたの兄弟の領内を通ろうとしている。彼らはあなたがたを恐れるであろう。それゆえ、あなたがたはみずから深く慎み、 + 彼らと争ってはならない。彼らの地は、足の裏で踏むほどでも、あなたがたに与えないであろう。わたしがセイル山をエサウに与えて、領地とさせたからである。 + あなたがたは彼らから金で食物を買って食べ、また金で水を買って飲まなければならない。 + あなたの神、主が、あなたのするすべての事において、あなたを恵み、あなたがこの大いなる荒野を通るのを、見守られたからである。あなたの神、主がこの四十年の間、あなたと共におられたので、あなたは何も乏しいことがなかった」』。 + こうしてわれわれは、エサウの子孫でセイルに住んでいる兄弟を離れ、アラバの道を避け、エラテとエジオン・ゲベルを離れて進んだ。われわれは転じて、モアブの荒野の方に向かって進んだ。 + その時、主はわたしに言われた、『モアブを敵視してはならない。またそれと争い戦ってはならない。彼らの地は、領地としてあなたに与えない。ロトの子孫にアルを与えて、領地とさせたからである。 + (むかし、エミびとがこの所に住んでいた。この民は大いなる民であって、数も多く、アナクびとのように背も高く、 + またアナクびとと同じくレパイムであると、みなされていたが、モアブびとは、これをエミびとと呼んでいた。 + ホリびとも、むかしはセイルに住んでいたが、エサウの子孫がこれを追い払い、これを滅ぼし、彼らに代ってそこに住んだ。主が賜わった所有の地に、イスラエルがおこなったのと同じである。) + あなたがたは、いま、立ちあがってゼレデ川を渡りなさい』。そこでわれわれはゼレデ川を渡った。 + カデシ・バルネアを出てこのかた、ゼレデ川を渡るまでの間の日は三十八年であって、その世代のいくさびとはみな死に絶えて、宿営のうちにいなくなった。主が彼らに誓われたとおりである。 + まことに主の手が彼らを攻め、宿営のうちから滅ぼし去られたので、彼らはついに死に絶えた。 + いくさびとがみな民のうちから死に絶えたとき、 + 主はわたしに言われた、 + 『おまえは、きょう、モアブの領地アルを通ろうとしている。 + アンモンの子孫に近づく時、おまえは彼らを敵視してはならない。また争ってはならない。わたしはアンモンの子孫の地を領地として、おまえに与えない。それをロトの子孫に領地として与えたからである。 + (これもまたレパイムの国とみなされた。むかし、レパイムがここに住んでいたからである。しかし、アンモンびとは彼らをザムズミびとと呼んだ。 + この民は大いなる民であって数も多く、アナクびとのように背も高かったが、主はアンモンびとの前から、これを滅ぼされ、アンモンびとがこれを追い払って、彼らに代ってそこに住んだ。 + この事は、セイルに住んでいるエサウの子孫のためにその前から、ホリびとを滅ぼされたのと同じである。彼らはホリびとを追い払い、これに代って今日までそこに住んでいる。 + またカフトルから出たカフトルびとは、ガザにまで及ぶ村々に住んでいたアビびとを滅ぼして、これに代ってそこに住んでいる。) + あなたがたは立ちあがり、進んでアルノン川を渡りなさい。わたしはヘシボンの王アモリびとシホンとその国とを、おまえの手に渡した。それを征服し始めよ。彼と争って戦え。 + きょうから、わたしは全天下の民に、おまえをおびえ恐れさせるであろう。彼らはおまえのうわさを聞いて震え、おまえのために苦しむであろう』。 + そこでわたしは、ケデモテの荒野から、ヘシボンの王シホンに使者をつかわし、平和の言葉を述べさせた。 + 『あなたの国を通らせてください。わたしは大路をとおっていきます、右にも左にも曲りません。 + 金で食物を売ってわたしに食べさせ、金をとって水を与えてわたしに飲ませてください。徒歩で通らせてくださるだけでよいのです。 + セイルに住むエサウの子孫と、アルに住むモアブびとが、わたしにしたようにしてください。そうすれば、わたしはヨルダンを渡って、われわれの神、主が賜わる地に行きます』。 + しかし、ヘシボンの王シホンは、われわれを通らせるのを好まなかった。あなたの神、主が彼をあなたの手に渡すため、その気を強くし、その心をかたくなにされたからである。今日見るとおりである。 + 時に主はわたしに言われた、『わたしはシホンと、その地とを、おまえに渡し始めた。おまえはそれを征服しはじめ、その地を自分のものとせよ』。 + そこでシホンは、われわれを攻めようとして、その民をことごとく率い、出てきてヤハズで戦ったが、 + われわれの神、主が彼を渡されたので、われわれは彼とその子らと、そのすべての民とを撃ち殺した。 + その時、われわれは彼のすべての町を取り、そのすべての町の男、女および子供を全く滅ぼして、ひとりをも残さなかった。 + ただその家畜は、われわれが取った町々のぶんどり物と共に、われわれが獲て自分の物とした。 + アルノンの谷のほとりにあるアロエルおよび谷の中にある町からギレアデに至るまで、われわれが攻めて取れなかった町は一つもなかった。われわれの神、主がことごとくわれわれに渡されたのである。 + ただアンモンの子孫の地、すなわちヤボク川の全岸、および山地の町々、またすべてわれわれの神、主が禁じられた所には近寄らなかった。 + + + そしてわれわれは身をめぐらして、バシャンの道を上って行ったが、バシャンの王オグは、われわれを迎え撃とうとして、その民をことごとく率い、出てきてエデレイで戦った。 + 時に主はわたしに言われた、『彼を恐れてはならない。わたしは彼と、そのすべての民と、その地をおまえの手に渡している。おまえはヘシボンに住んでいたアモリびとの王シホンにしたように、彼にするであろう』。 + こうしてわれわれの神、主はバシャンの王オグと、そのすべての民を、われわれの手に渡されたので、われわれはこれを撃ち殺して、ひとりをも残さなかった。 + その時、われわれは彼の町々を、ことごとく取った。われわれが取らなかった町は一つもなかった。取った町は六十。アルゴブの全地方であって、バシャンにおけるオグの国である。 + これらは皆、高い石がきがあり、門があり、貫の木のある堅固な町であった。このほかに石がきのない町は、非常に多かった。 + われわれはヘシボンの王シホンにしたように、これらを全く滅ぼし、そのすべての町の男、女および子供をことごとく滅ぼした。 + ただし、そのすべての家畜と、その町々からのぶんどり物とは、われわれが獲て自分の物とした。 + その時われわれはヨルダンの向こう側にいるアモリびとのふたりの王の手から、アルノン川からヘルモン山までの地を取った。 + (シドンびとはヘルモンをシリオンと呼び、アモリびとはこれをセニルと呼んでいる。) + すなわち高原のすべての町、ギレアデの全地、バシャンの全地、サルカおよびエデレイまで、バシャンにあるオグの国の町々をことごとく取った。 + (バシャンの王オグはレパイムのただひとりの生存者であった。彼の寝台は鉄の寝台であった。これは今なおアンモンびとのラバにあるではないか。これは普通のキュビト尺で、長さ九キュビト、幅四キュビトである。) + その時われわれは、この地を獲た。そしてわたしはアルノン川のほとりのアロエルから始まる地と、ギレアデの山地の半ばと、その町々とは、ルベンびとと、ガドびととに与えた。 + わたしはまたギレアデの残りの地と、オグの国であったバシャンの全地とは、マナセの半部族に与えた。すなわちアルゴブの全地方である。(そのバシャンの全地はレパイムの国と唱えられる。 + マナセの子ヤイルは、アルゴブの全地方を取って、ゲシュルびとと、マアカびとの境にまで達し、自分の名にしたがって、バシャンをハボテ・ヤイルと名づけた。この名は今日にまでおよんでいる。) + またわたしはマキルにはギレアデを与えた。 + ルベンびとと、ガドびととには、ギレアデからアルノン川までを与え、その川のまん中をもって境とし、またアンモンびとの境であるヤボク川にまで達せしめた。 + またヨルダンを境として、キンネレテからアラバの海すなわち塩の海まで、アラバをこれに与えて、東の方ピスガのふもとに達せしめた。 + その時わたしはあなたがたに命じて言った、『あなたがたの神、主はこの地をあなたがたに与えて、これを獲させられるから、あなたがた勇士はみな武装して、兄弟であるイスラエルの人々に先立って、渡って行かなければならない。 + ただし、あなたがたの妻と、子供と、家畜とは、わたしが与えた町々にとどまらなければならない。(わたしはあなたがたが多くの家畜を持っているのを知っている。) + 主がすでにあなたがたに与えられたように、あなたがたの兄弟にも安息を与えられて、彼らもまたヨルダンの向こう側で、あなたがたの神、主が与えられる地を獲るようになったならば、あなたがたはおのおのわたしがあなたがたに与えた領地に帰ることができる』。 + その時わたしはヨシュアに命じて言った、『あなたの目はあなたがたの神、主がこのふたりの王に行われたすべてのことを見た。主はまたあなたが渡って行くもろもろの国にも、同じように行われるであろう。 + 彼らを恐れてはならない。あなたがたの神、主があなたがたのために戦われるからである』。 + その時わたしは主に願って言った、 + 『主なる神よ、あなたの大いなる事と、あなたの強い手とを、たった今、しもべに示し始められました。天にも地にも、あなたのようなわざをなし、あなたのような力あるわざのできる神が、ほかにありましょうか。 + どうぞ、わたしにヨルダンを渡って行かせ、その向こう側の良い地、あの良い山地、およびレバノンを見ることのできるようにしてください』。 + しかし主はあなたがたのゆえにわたしを怒り、わたしに聞かれなかった。そして主はわたしに言われた、『おまえはもはや足りている。この事については、重ねてわたしに言ってはならない。 + おまえはピスガの頂に登り、目をあげて西、北、南、東を望み見よ。おまえはこのヨルダンを渡ることができないからである。 + しかし、おまえはヨシュアに命じ、彼を励まし、彼を強くせよ。彼はこの民に先立って渡って行き、彼らにおまえの見る地を継がせるであろう』。 + こうしてわれわれはベテペオルに対する谷にとどまっていた。 + + + イスラエルよ、いま、わたしがあなたがたに教える定めと、おきてとを聞いて、これを行いなさい。そうすれば、あなたがたは生きることができ、あなたがたの先祖の神、主が賜わる地にはいって、それを自分のものとすることができよう。 + わたしがあなたがたに命じる言葉に付け加えてはならない。また減らしてはならない。わたしが命じるあなたがたの神、主の命令を守ることのできるためである。 + あなたがたの目は、主がバアル・ペオルで行われたことを見た。ペオルのバアルに従った人々は、あなたの神、主がことごとく、あなたのうちから滅ぼしつくされたのである。 + しかし、あなたがたの神、主につき従ったあなたがたは皆、きょう、生きながらえている。 + わたしはわたしの神、主が命じられたとおりに、定めと、おきてとを、あなたがたに教える。あなたがたがはいって、自分のものとする地において、そのように行うためである。 + あなたがたは、これを守って行わなければならない。これは、もろもろの民にあなたがたの知恵、また知識を示す事である。彼らは、このもろもろの定めを聞いて、『この大いなる国民は、まことに知恵あり、知識ある民である』と言うであろう。 + われわれの神、主は、われわれが呼び求める時、つねにわれわれに近くおられる。いずれの大いなる国民に、このように近くおる神があるであろうか。 + また、いずれの大いなる国民に、きょう、わたしがあなたがたの前に立てるこのすべての律法のような正しい定めと、おきてとがあるであろうか。 + ただあなたはみずから慎み、またあなた自身をよく守りなさい。そして目に見たことを忘れず、生きながらえている間、それらの事をあなたの心から離してはならない。またそれらのことを、あなたの子孫に知らせなければならない。 + あなたがホレブにおいて、あなたの神、主の前に立った日に、主はわたしに言われた、『民をわたしのもとに集めよ。わたしは彼らにわたしの言葉を聞かせ、地上に生きながらえる間、彼らにわたしを恐れることを学ばせ、またその子供を教えることのできるようにさせよう』。 + そこであなたがたは近づいて、山のふもとに立ったが、山は火で焼けて、その炎は中天に達し、暗黒と雲と濃い雲とがあった。 + 時に主は火の中から、あなたがたに語られたが、あなたがたは言葉の声を聞いたけれども、声ばかりで、なんの形も見なかった。 + 主はその契約を述べて、それを行うように、あなたがたに命じられた。それはすなわち十誡であって、主はそれを二枚の石の板に書きしるされた。 + その時、主はわたしに命じて、あなたがたに定めと、おきてとを教えさせられた。あなたがたが渡って行って自分のものとする地で、行わせるためであった。 + それゆえ、あなたがたはみずから深く慎まなければならない。ホレブで主が火の中からあなたがたに語られた日に、あなたがたはなんの形も見なかった。 + それであなたがたは道を誤って、自分のために、どんな形の刻んだ像をも造ってはならない。男または女の像を造ってはならない。 + すなわち地の上におるもろもろの獣の像、空を飛ぶもろもろの鳥の像、 + 地に這うもろもろの物の像、地の下の水の中におるもろもろの魚の像を造ってはならない。 + あなたはまた目を上げて天を望み、日、月、星すなわちすべて天の万象を見、誘惑されてそれを拝み、それに仕えてはならない。それらのものは、あなたの神、主が全天下の万民に分けられたものである。 + しかし、主はあなたがたを取って、鉄の炉すなわちエジプトから導き出し、自分の所有の民とされた。きょう、見るとおりである。 + ところで主はあなたがたのゆえに、わたしを怒り、わたしがヨルダンを渡って行くことができないことと、あなたの神、主が嗣業としてあなたに賜わる良い地にはいることができないこととを誓われた。 + わたしはこの地で死ぬ。ヨルダンを渡って行くことはできない。しかしあなたがたは渡って行って、あの良い地を獲るであろう。 + あなたがたは慎み、あなたがたの神、主があなたがたと結ばれた契約を忘れて、あなたの神、主が禁じられたどんな形の刻んだ像をも造ってはならない。 + あなたの神、主は焼きつくす火、ねたむ神である。 + あなたがたが子を生み、孫を得、長くその地におるうちに、道を誤って、すべて何かの形に刻んだ像を造り、あなたの神、主の目の前に悪をなして、その憤りを引き起すことがあれば、 + わたしは、きょう、天と地を呼んであなたがたに対してあかしとする。あなたがたはヨルダンを渡って行って獲る地から、たちまち全滅するであろう。あなたがたはその所で長く命を保つことができず、全く滅ぼされるであろう。 + 主はあなたがたを国々に散らされるであろう。そして主があなたがたを追いやられる国民のうちに、あなたがたの残る者の数は少ないであろう。 + その所であなたがたは人が手で作った、見ることも、聞くことも、食べることも、かぐこともない木や石の神々に仕えるであろう。 + しかし、その所からあなたの神、主を求め、もし心をつくし、精神をつくして、主を求めるならば、あなたは主に会うであろう。 + 後の日になって、あなたがなやみにあい、これらのすべての事が、あなたに臨むとき、もしあなたの神、主に立ち帰ってその声に聞きしたがうならば、 + あなたの神、主はいつくしみの深い神であるから、あなたを捨てず、あなたを滅ぼさず、またあなたの先祖に誓った契約を忘れられないであろう。 + 試みにあなたの前に過ぎ去った日について問え。神が地上に人を造られた日からこのかた、天のこの端から、かの端までに、かつてこのように大いなる事があったであろうか。このようなことを聞いたことがあったであろうか。 + 火の中から語られる神の声をあなたが聞いたように、聞いてなお生きていた民がかつてあったであろうか。 + あるいはまた、あなたがたの神、主がエジプトにおいて、あなたがたの目の前に、あなたがたのためにもろもろの事をなされたように、試みと、しるしと、不思議と、戦いと、強い手と、伸ばした腕と、大いなる恐るべき事とをもって臨み、一つの国民を他の国民のうちから引き出して、自分の民とされた神が、かつてあったであろうか。 + あなたにこの事を示したのは、主こそ神であって、ほかに神のないことを知らせるためであった。 + あなたを訓練するために、主は天からその声を聞かせ、地上では、またその大いなる火を示された。あなたはその言葉が火の中から出るのを聞いた。 + 主はあなたの先祖たちを愛されたので、その後の子孫を選び、大いなる力をもって、みずからあなたをエジプトから導き出し、 + あなたよりも大きく、かつ強いもろもろの国民を、あなたの前から追い払い、あなたをその地に導き入れて、これを嗣業としてあなたに与えようとされること、今日見るとおりである。 + それゆえ、あなたは、きょう知って、心にとめなければならない。上は天、下は地において、主こそ神にいまし、ほかに神のないことを。 + あなたは、きょう、わたしが命じる主の定めと命令とを守らなければならない。そうすれば、あなたとあなたの後の子孫はさいわいを得、あなたの神、主が永久にあなたに賜わる地において、長く命を保つことができるであろう」。 + それからモーセはヨルダンの向こう側、東の方に三つの町々を指定した。 + 過去の恨みによるのではなく、あやまって隣人を殺した者をそこにのがれさせ、その町の一つにのがれて、命を全うさせるためであった。 + すなわちルベンびとのためには荒野の中の高地にあるベゼルを、ガドびとのためにはギレアデのラモテを、マナセびとのためにはバシャンのゴランを定めた。 + モーセがイスラエルの人々の前に示した律法はこれである。 + イスラエルの人々がエジプトから出たとき、モーセが彼らに述べたあかしと、定めと、おきてとはこれである。 + すなわちヨルダンの向こう側、アモリびとの王シホンの国のベテペオルに対する谷においてこれを述べた。シホンはヘシボンに住んでいたが、モーセとイスラエルの人々が、エジプトを出てきた時、これを撃ち敗って、 + その国を獲、またバシャンの王オグの国を獲た。このふたりはアモリびとの王であって、ヨルダンの向こう側、東の方におった。 + 彼らの獲た地はアルノン川のほとりにあるアロエルからシリオン山すなわちヘルモンに及び、 + ヨルダンの東側のアラバの全部をかねて、アラバの海に達し、ピスガのふもとに及んだ。 + + + さてモーセはイスラエルのすべての人を召し寄せて言った、「イスラエルよ、きょう、わたしがあなたがたの耳に語る定めと、おきてを聞き、これを学び、これを守って行え。 + われわれの神、主はホレブで、われわれと契約を結ばれた。 + 主はこの契約をわれわれの先祖たちとは結ばず、きょう、ここに生きながらえているわれわれすべての者と結ばれた。 + 主は山で火の中から、あなたがたと顔を合わせて語られた。 + その時、わたしは主とあなたがたとの間に立って主の言葉をあなたがたに伝えた。あなたがたは火のゆえに恐れて山に登ることができなかったからである。主は言われた、 + 『わたしはあなたの神、主であって、あなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出した者である。 + あなたはわたしのほかに何ものをも神としてはならない。 + あなたは自分のために刻んだ像を造ってはならない。上は天にあるもの、下は地にあるもの、また地の下の水の中にあるものの、どのような形をも造ってはならない。 + それを拝んではならない。またそれに仕えてはならない。あなたの神、主であるわたしは、ねたむ神であるから、わたしを憎むものには、父の罪を子に報いて三、四代に及ぼし、 + わたしを愛し、わたしの戒めを守る者には恵みを施して千代に至るであろう。 + あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。主はその名をみだりに唱える者を罰しないではおかないであろう。 + 安息日を守ってこれを聖とし、あなたの神、主があなたに命じられたようにせよ。 + 六日のあいだ働いて、あなたのすべてのわざをしなければならない。 + 七日目はあなたの神、主の安息であるから、なんのわざをもしてはならない。あなたも、あなたのむすこ、娘、しもべ、はしため、牛、ろば、もろもろの家畜も、あなたの門のうちにおる他国の人も同じである。こうしてあなたのしもべ、はしためを、あなたと同じように休ませなければならない。 + あなたはかつてエジプトの地で奴隷であったが、あなたの神、主が強い手と、伸ばした腕とをもって、そこからあなたを導き出されたことを覚えなければならない。それゆえ、あなたの神、主は安息日を守ることを命じられるのである。 + あなたの神、主が命じられたように、あなたの父と母とを敬え。あなたの神、主が賜わる地で、あなたが長く命を保ち、さいわいを得ることのできるためである。 + あなたは殺してはならない。 + あなたは姦淫してはならない。 + あなたは盗んではならない。 + あなたは隣人について偽証してはならない。 + あなたは隣人の妻をむさぼってはならない。また隣人の家、畑、しもべ、はしため、牛、ろば、またすべて隣人のものをほしがってはならない』。 + 主はこれらの言葉を山で火の中、雲の中、濃い雲の中から、大いなる声をもって、あなたがたの全会衆にお告げになったが、このほかのことは言われず、二枚の石の板にこれを書きしるして、わたしに授けられた。 + 時に山は火で燃えていたが、あなたがたが暗黒のうちから聞える声を聞くに及んで、あなたがたの部族のすべてのかしらと長老たちは、わたしに近寄って、 + 言った、『われわれの神、主がその栄光と、その大いなることとを、われわれに示されて、われわれは火の中から出るその声を聞きました。きょう、われわれは神が人と語られ、しかもなおその人が生きているのを見ました。 + われわれはなぜ死ななければならないでしょうか。この大いなる火はわれわれを焼き滅ぼそうとしています。もしこの上なおわれわれの神、主の声を聞くならば、われわれは死んでしまうでしょう。 + およそ肉なる者のうち、だれが、火の中から語られる生ける神の声を、われわれのように聞いてなお生きている者がありましょうか。 + あなたはどうぞ近く進んで行って、われわれの神、主が言われることをみな聞き、われわれの神、主があなたにお告げになることをすべてわれわれに告げてください。われわれは聞いて行います』。 + あなたがたがわたしに語っている時、主はあなたがたの言葉を聞いて、わたしに言われた、『わたしはこの民がおまえに語っている言葉を聞いた。彼らの言ったことはみな良い。 + ただ願わしいことは、彼らがつねにこのような心をもってわたしを恐れ、わたしのすべての命令を守って、彼らもその子孫も永久にさいわいを得るにいたることである。 + おまえは行って彼らに、「あなたがたはおのおのその天幕に帰れ」と言え。 + しかし、おまえはこの所でわたしのそばに立て。わたしはすべての命令と、定めと、おきてとをおまえに告げ示すであろう。おまえはこれを彼らに教え、わたしが彼らに与えて獲させる地において、これを行わせなければならない』。 + それゆえ、あなたがたの神、主が命じられたとおりに、慎んで行わなければならない。そして左にも右にも曲ってはならない。 + あなたがたの神、主が命じられた道に歩まなければならない。そうすればあなたがたは生きることができ、かつさいわいを得て、あなたがたの獲る地において、長く命を保つことができるであろう。 + + + これはあなたがたの神、主があなたがたに教えよと命じられた命令と、定めと、おきてであって、あなたがたは渡って行って獲る地で、これを行わなければならない。 + これはあなたが子や孫と共に、あなたの生きながらえる日の間、つねにあなたの神、主を恐れて、わたしが命じるもろもろの定めと、命令とを守らせるため、またあなたが長く命を保つことのできるためである。 + それゆえ、イスラエルよ、聞いて、それを守り行え。そうすれば、あなたはさいわいを得、あなたの先祖の神、主があなたに言われたように、乳と蜜の流れる国で、あなたの数は大いに増すであろう。 + イスラエルよ聞け。われわれの神、主は唯一の主である。 + あなたは心をつくし、精神をつくし、力をつくして、あなたの神、主を愛さなければならない。 + きょう、わたしがあなたに命じるこれらの言葉をあなたの心に留め、 + 努めてこれをあなたの子らに教え、あなたが家に座している時も、道を歩く時も、寝る時も、起きる時も、これについて語らなければならない。 + またあなたはこれをあなたの手につけてしるしとし、あなたの目の間に置いて覚えとし、 + またあなたの家の入口の柱と、あなたの門とに書きしるさなければならない。 + あなたの神、主は、あなたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに向かって、あなたに与えると誓われた地に、あなたをはいらせられる時、あなたが建てたものでない大きな美しい町々を得させ、 + あなたが満たしたものでないもろもろの良い物を満たした家を得させ、あなたが掘ったものでない掘り井戸を得させ、あなたが植えたものでないぶどう畑とオリブの畑とを得させられるであろう。あなたは食べて飽きるであろう。 + その時、あなたはみずから慎み、エジプトの地、奴隷の家から導き出された主を忘れてはならない。 + あなたの神、主を恐れてこれに仕え、その名をさして誓わなければならない。 + あなたがたは他の神々すなわち周囲の民の神々に従ってはならない。 + あなたのうちにおられるあなたの神、主はねたむ神であるから、おそらく、あなたに向かって怒りを発し、地のおもてからあなたを滅ぼし去られるであろう。 + あなたがたがマッサでしたように、あなたがたの神、主を試みてはならない。 + あなたがたの神、主があなたがたに命じられた命令と、あかしと、定めとを、努めて守らなければならない。 + あなたは主が見て正しいとし、良いとされることを行わなければならない。そうすれば、あなたはさいわいを得、かつ主があなたの先祖に誓われた、あの良い地にはいって、自分のものとすることができるであろう。 + また主が仰せられたように、あなたの敵を皆あなたの前から追い払われるであろう。 + 後の日となって、あなたの子があなたに問うて言うであろう、『われわれの神、主があなたがたに命じられたこのあかしと、定めと、おきてとは、なんのためですか』。 + その時あなたはその子に言わなければならない。『われわれはエジプトでパロの奴隷であったが、主は強い手をもって、われわれをエジプトから導き出された。 + 主はわれわれの目の前で、大きな恐ろしいしるしと不思議とをエジプトと、パロとその全家とに示され、 + われわれをそこから導き出し、かつてわれわれの先祖に誓われた地にはいらせ、それをわれわれに賜わった。 + そして主はこのすべての定めを行えと、われわれに命じられた。これはわれわれの神、主を恐れて、われわれが、つねにさいわいであり、また今日のように、主がわれわれを守って命を保たせるためである。 + もしわれわれが、命じられたとおりに、このすべての命令をわれわれの神、主の前に守って行うならば、それはわれわれの義となるであろう』。 + + + あなたの神、主が、あなたの行って取る地にあなたを導き入れ、多くの国々の民、ヘテびと、ギルガシびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、およびエブスびと、すなわちあなたよりも数多く、また力のある七つの民を、あなたの前から追いはらわれる時、 + すなわちあなたの神、主が彼らをあなたに渡して、これを撃たせられる時は、あなたは彼らを全く滅ぼさなければならない。彼らとなんの契約をもしてはならない。彼らに何のあわれみをも示してはならない。 + また彼らと婚姻をしてはならない。あなたの娘を彼のむすこに与えてはならない。かれの娘をあなたのむすこにめとってはならない。 + それは彼らがあなたのむすこを惑わしてわたしに従わせず、ほかの神々に仕えさせ、そのため主はあなたがたにむかって怒りを発し、すみやかにあなたがたを滅ぼされることとなるからである。 + むしろ、あなたがたはこのように彼らに行わなければならない。すなわち彼らの祭壇をこぼち、その石の柱を撃ち砕き、そのアシラ像を切り倒し、その刻んだ像を火で焼かなければならない。 + あなたはあなたの神、主の聖なる民である。あなたの神、主は地のおもてのすべての民のうちからあなたを選んで、自分の宝の民とされた。 + 主があなたがたを愛し、あなたがたを選ばれたのは、あなたがたがどの国民よりも数が多かったからではない。あなたがたはよろずの民のうち、もっとも数の少ないものであった。 + ただ主があなたがたを愛し、またあなたがたの先祖に誓われた誓いを守ろうとして、主は強い手をもってあなたがたを導き出し、奴隷の家から、エジプトの王パロの手から、あがない出されたのである。 + それゆえあなたは知らなければならない。あなたの神、主は神にましまし、真実の神にましまして、彼を愛し、その命令を守る者には、契約を守り、恵みを施して千代に及び、 + また彼を憎む者には、めいめいに報いて滅ぼされることを。主は自分を憎む者には猶予することなく、めいめいに報いられる。 + それゆえ、きょうわたしがあなたに命じる命令と、定めと、おきてとを守って、これを行わなければならない。 + あなたがたがこれらのおきてを聞いて守り行うならば、あなたの神、主はあなたの先祖たちに誓われた契約を守り、いつくしみを施されるであろう。 + あなたを愛し、あなたを祝福し、あなたの数を増し、あなたに与えると先祖たちに誓われた地で、あなたの子女を祝福し、あなたの地の産物、穀物、酒、油、また牛の子、羊の子を増されるであろう。 + あなたは万民にまさって祝福されるであろう。あなたのうち、男も女も子のないものはなく、またあなたの家畜にも子のないものはないであろう。 + 主はまたすべての病をあなたから取り去り、あなたの知っている、あのエジプトの悪疫にかからせず、ただあなたを憎むすべての者にそれを臨ませられるであろう。 + あなたの神、主があなたに渡される国民を滅ぼしつくし、彼らを見てあわれんではならない。また彼らの神々に仕えてはならない。それがあなたのわなとなるからである。 + あなたは心のうちで『これらの国民はわたしよりも多いから、どうしてこれを追い払うことができようか』と言うのか。 + 彼らを恐れてはならない。あなたの神、主がパロと、すべてのエジプトびととにされたことを、よく覚えなさい。 + すなわち、あなたが目で見た大いなる試みと、しるしと、不思議と、強い手と、伸ばした腕とを覚えなさい。あなたの神、主はこれらをもって、あなたを導き出されたのである。またそのように、あなたの神、主はあなたが恐れているすべての民にされるであろう。 + あなたの神、主はまた、くまばちを彼らのうちに送って、なお残っている者と逃げ隠れている者を滅ぼしつくされるであろう。 + あなたは彼らを恐れてはならない。あなたの神、主である大いなる恐るべき神があなたのうちにおられるからである。 + あなたの神、主はこれらの国民を徐々にあなたの前から追い払われるであろう。あなたはすみやかに彼らを滅ぼしつくしてはならない。そうでなければ、野の獣が増してあなたを害するであろう。 + しかし、あなたの神、主は彼らをあなたに渡し、大いなる混乱におとしいれて、ついに滅ぼされるであろう。 + また彼らの王たちをあなたの手に渡されるであろう。あなたは彼らの名を天の下から消し去るであろう。あなたに立ちむかうものはなく、あなたはついに彼らを滅ぼすにいたるであろう。 + あなたは彼らの神々の彫像を火に焼かなければならない。それに着せた銀または金をむさぼってはならない。これを取って自分のものにしてはならない。そうでなければ、あなたはこれによって、わなにかかるであろう。これはあなたの神が忌みきらわれるものだからである。 + あなたは忌むべきものを家に持ちこんで、それと同じようにあなた自身も、のろわれたものとなってはならない。あなたはそれを全く忌みきらわなければならない。それはのろわれたものだからである。 + + + わたしが、きょう、命じるこのすべての命令を、あなたがたは守って行わなければならない。そうすればあなたがたは生きることができ、かつふえ増し、主があなたがたの先祖に誓われた地にはいって、それを自分のものとすることができるであろう。 + あなたの神、主がこの四十年の間、荒野であなたを導かれたそのすべての道を覚えなければならない。それはあなたを苦しめて、あなたを試み、あなたの心のうちを知り、あなたがその命令を守るか、どうかを知るためであった。 + それで主はあなたを苦しめ、あなたを飢えさせ、あなたも知らず、あなたの先祖たちも知らなかったマナをもって、あなたを養われた。人はパンだけでは生きず、人は主の口から出るすべてのことばによって生きることをあなたに知らせるためであった。 + この四十年の間、あなたの着物はすり切れず、あなたの足は、はれなかった。 + あなたはまた人がその子を訓練するように、あなたの神、主もあなたを訓練されることを心にとめなければならない。 + あなたの神、主の命令を守り、その道に歩んで、彼を恐れなければならない。 + それはあなたの神、主があなたを良い地に導き入れられるからである。そこは谷にも山にもわき出る水の流れ、泉、および淵のある地、 + 小麦、大麦、ぶどう、いちじく及びざくろのある地、油のオリブの木、および蜜のある地、 + あなたが食べる食物に欠けることなく、なんの乏しいこともない地である。その地の石は鉄であって、その山からは銅を掘り取ることができる。 + あなたは食べて飽き、あなたの神、主がその良い地を賜わったことを感謝するであろう。 + あなたは、きょう、わたしが命じる主の命令と、おきてと、定めとを守らず、あなたの神、主を忘れることのないように慎まなければならない。 + あなたは食べて飽き、麗しい家を建てて住み、 + また牛や羊がふえ、金銀が増し、持ち物がみな増し加わるとき、 + おそらく心にたかぶり、あなたの神、主を忘れるであろう。主はあなたをエジプトの地、奴隷の家から導き出し、 + あなたを導いて、あの大きな恐ろしい荒野、すなわち火のへびや、さそりがいて、水のない、かわいた地を通り、あなたのために堅い岩から水を出し、 + 先祖たちも知らなかったマナを荒野であなたに食べさせられた。それはあなたを苦しめ、あなたを試みて、ついにはあなたをさいわいにするためであった。 + あなたは心のうちに『自分の力と自分の手の働きで、わたしはこの富を得た』と言ってはならない。 + あなたはあなたの神、主を覚えなければならない。主はあなたの先祖たちに誓われた契約を今日のように行うために、あなたに富を得る力を与えられるからである。 + もしあなたの神、主を忘れて他の神々に従い、これに仕え、これを拝むならば、――わたしは、きょう、あなたがたに警告する。――あなたがたはきっと滅びるであろう。 + 主があなたがたの前から滅ぼし去られる国々の民のように、あなたがたも滅びるであろう。あなたがたの神、主の声に従わないからである。 + + + イスラエルよ、聞きなさい。あなたは、きょう、ヨルダンを渡って行って、あなたよりも大きく、かつ強い国々を取ろうとしている。その町々は大きく、石がきは天に達している。 + その民は、あなたの知っているアナクびとの子孫であって、大きく、また背が高い。あなたはまた『アナクの子孫の前に、だれが立つことができようか』と人の言うのを聞いた。 + それゆえ、あなたは、きょう、あなたの神、主は焼きつくす火であって、あなたの前に進まれることを知らなければならない。主は彼らを滅ぼし、彼らをあなたの前に屈伏させられるであろう。主があなたに言われたように、彼らを追い払い、すみやかに滅ぼさなければならない。 + あなたの神、主があなたの前から彼らを追い払われた後に、あなたは心のなかで『わたしが正しいから主はわたしをこの地に導き入れてこれを獲させられた』と言ってはならない。この国々の民が悪いから、主はこれをあなたの前から追い払われるのである。 + あなたが行ってその地を獲るのは、あなたが正しいからではなく、またあなたの心がまっすぐだからでもない。この国々の民が悪いから、あなたの神、主は彼らをあなたの前から追い払われるのである。これは主があなたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓われた言葉を行われるためである。 + それであなたは、あなたの神、主があなたにこの良い地を与えてこれを得させられるのは、あなたが正しいからではないことを知らなければならない。あなたは強情な民である。 + あなたは荒野であなたの神、主を怒らせたことを覚え、それを忘れてはならない。あなたがたはエジプトの地を出た日からこの所に来るまで、いつも主にそむいた。 + またホレブにおいてさえ、あなたがたが主を怒らせたので、主は怒ってあなたがたを滅ぼそうとされた。 + わたしが石の板すなわち主があなたがたと結ばれた契約の板を受けるために山に登った時、わたしは四十日四十夜、山にいて、パンも食べず水も飲まなかった。 + 主は神の指をもって書きしるした石の板二枚をわたしに授けられた。その上には、集会の日に主が山で火の中から、あなたがたに告げられた言葉が、ことごとく書いてあった。 + すなわち四十日四十夜が終った時、主はわたしにその契約の板である石の板二枚を授け、 + そして主はわたしに言われた、『おまえは立って、すみやかにこの所から降りなさい。おまえがエジプトから導き出した民は悪を行ったからである。彼らはわたしが命じた道を早くも離れて、鋳た像を自分たちのために造った』。 + 主はまたわたしに言われた、『この民を見るのに、これは強情な民である。 + わたしを止めるな。わたしは彼らを滅ぼし、彼らの名を天の下から消し去り、おまえを彼らよりも強く、かつ大いなる国民としよう』。 + そこでわたしは身をめぐらして山を降りたが、山は火で焼けていた。契約の板二枚はわたしの両手にあった。 + そしてわたしが見ると、あなたがたは、あなたがたの神、主にむかって罪を犯し、自分たちのために鋳物の子牛を造って、主が命じられた道を早くも離れたので、 + わたしはその二枚の板をつかんで、両手から投げ出し、あなたがたの目の前でこれを砕いた。 + そしてわたしは前のように四十日四十夜、主の前にひれ伏し、パンも食べず、水も飲まなかった。これはあなたがたが主の目の前に悪をおこない、罪を犯して主を怒らせたすべての罪によるのである。 + 主は怒りを発し、憤りを起し、あなたがたを怒って滅ぼそうとされたので、わたしは恐れたが、その時もまた主はわたしの願いを聞かれた。 + 主はまた、はなはだしくアロンを怒って、彼を滅ぼそうとされたが、わたしはその時もまたアロンのために祈った。 + わたしはあなたがたが造って罪を得た子牛を取り、それを火で焼き、それを撃ち砕き、よくひいて細かいちりとし、そのちりを山から流れ下る谷川に投げ捨てた。 + あなたがたはタベラ、マッサおよびキブロテ・ハッタワにおいてもまた主を怒らせた。 + また主はカデシ・バルネアから、あなたがたをつかわそうとされた時、『上って行って、わたしが与える地を占領せよ』と言われた。ところが、あなたがたはあなたがたの神、主の命令にそむき、彼を信ぜず、また彼の声に聞き従わなかった。 + わたしがあなたがたを知ったその日からこのかた、あなたがたはいつも主にそむいた。 + そしてわたしは、さきにひれ伏したように、四十日四十夜、主の前にひれ伏した。主があなたがたを滅ぼすと言われたからである。 + わたしは主に祈って言った、『主なる神よ、あなたが大いなる力をもってあがない、強い手をもってエジプトから導き出されたあなたの民、あなたの嗣業を滅ぼさないでください。 + あなたのしもべアブラハム、イサク、ヤコブを覚えてください。この民の強情と悪と罪とに目をとめないでください。 + あなたがわれわれを導き出された国の人はおそらく、「主は、約束した地に彼らを導き入れることができず、また彼らを憎んだので、彼らを導き出して荒野で殺したのだ」と言うでしょう。 + しかし彼らは、あなたの民、あなたの嗣業であって、あなたが大いなる力と伸ばした腕とをもって導き出されたのです』。 + + + その時、主はわたしに言われた、『おまえは、前のような石の板二枚を切って作り、山に登って、わたしのもとにきなさい。また木の箱一つを作りなさい。 + さきにおまえが砕いた二枚の板に書いてあった言葉を、わたしはその板に書きしるそう。おまえはそれをその箱におさめなければならない』。 + そこでわたしはアカシヤ材の箱一つを作り、また前のような石の板二枚を切って作り、その二枚の板を手に持って山に登った。 + 主はかつて、かの集会の日に山で火の中からあなたがたに告げられた十誡を書きしるされたように、その板に書きしるし、それを主はわたしに授けられた。 + それでわたしは身をめぐらして山から降り、その板を、わたしが作った箱におさめた。今なおその中にある。主がわたしに命じられたとおりである。 + (こうしてイスラエルの人々はベエロテ・ベネ・ヤカンを出立してモセラに着いた。アロンはその所で死んでそこに葬られ、その子エレアザルが彼に代って祭司となった。 + またそこを出立してグデゴダに至り、グデゴダを出立してヨテバタに着いた。この地には多くの水の流れがあった。 + その時、主はレビの部族を選んで、主の契約の箱をかつぎ、主の前に立って仕え、また主の名をもって祝福することをさせられた。この事は今日に及んでいる。 + そのためレビは兄弟たちと一緒には分け前がなく、嗣業もない。あなたの神、主が彼に言われたとおり、主みずからが彼の嗣業であった。) + わたしは前の時のように四十日四十夜、山におったが、主はその時にもわたしの願いを聞かれた。主はあなたを滅ぼすことを望まれなかった。 + そして主はわたしに『おまえは立ちあがり、民に先立って進み行き、わたしが彼らに与えると、その先祖に誓った地に彼らをはいらせ、それを取らせよ』と言われた。 + イスラエルよ、今、あなたの神、主があなたに求められる事はなんであるか。ただこれだけである。すなわちあなたの神、主を恐れ、そのすべての道に歩んで、彼を愛し、心をつくし、精神をつくしてあなたの神、主に仕え、 + また、わたしがきょうあなたに命じる主の命令と定めとを守って、さいわいを得ることである。 + 見よ、天と、もろもろの天の天、および地と、地にあるものとはみな、あなたの神、主のものである。 + そうであるのに、主はただあなたの先祖たちを喜び愛し、その後の子孫であるあなたがたを万民のうちから選ばれた。今日見るとおりである。 + それゆえ、あなたがたは心に割礼をおこない、もはや強情であってはならない。 + あなたがたの神である主は、神の神、主の主、大いにして力ある恐るべき神にましまし、人をかたより見ず、また、まいないを取らず、 + みなし子とやもめのために正しいさばきを行い、また寄留の他国人を愛して、食物と着物を与えられるからである。 + それゆえ、あなたがたは寄留の他国人を愛しなさい。あなたがたもエジプトの国で寄留の他国人であった。 + あなたの神、主を恐れ、彼に仕え、彼に従い、その名をさして誓わなければならない。 + 彼はあなたのさんびすべきもの、またあなたの神であって、あなたが目に見たこれらの大いなる恐るべき事を、あなたのために行われた。 + あなたの先祖たちは、わずか七十人でエジプトに下ったが、いま、あなたの神、主はあなたを天の星のように多くされた。 + + + それゆえ、あなたの神、主を愛し、常にそのさとしと、定めと、おきてと、戒めとを守らなければならない。 + あなたがたは、きょう、次のことを知らなければならない。わたしが語るのは、あなたがたの子供たちに対してではない。彼らはあなたがたの神、主の訓練と、主の大いなる事と、その強い手と、伸べた腕とを知らず、また見なかった。 + また彼らは主がエジプトで、エジプト王パロとその全国に対して行われたしるしと、わざ、 + また主がエジプトの軍勢とその馬と戦車とに行われた事、すなわち彼らがあなたがたのあとを追ってきた時に、紅海の水を彼らの上にあふれさせ、彼らを滅ぼされて、今日に至った事、 + またあなたがたがこの所に来るまで、主が荒野で、あなたがたに行われた事、 + およびルベンの子のエリアブの子、ダタンとアビラムとにされた事、すなわちイスラエルのすべての人々の中で、地が口を開き、彼らと、その家族と、天幕と、彼らに従うすべてのものを、のみつくした事などを彼らは知らず、また見なかった。 + しかし、あなたがたは主が行われたこれらの大いなる事を、ことごとく目に見たのである。 + ゆえに、わたしが、きょう、あなたがたに命じる戒めを、ことごとく守らなければならない。そうすればあなたがたは強くなり、渡って行って取ろうとする地にはいって、それを取ることができ、 + かつ、主が先祖たちに誓って彼らとその子孫とに与えようと言われた地、乳と蜜の流れる国において、長く生きることができるであろう。 + あなたがたが行って取ろうとする地は、あなたがたが出てきたエジプトの地のようではない。あそこでは、青物畑でするように、あなたがたは種をまき、足でそれに水を注いだ。 + しかし、あなたがたが渡って行って取る地は、山と谷の多い地で、天から降る雨で潤っている。 + その地は、あなたの神、主が顧みられる所で、年の始めから年の終りまで、あなたの神、主の目が常にその上にある。 + もし、きょう、あなたがたに命じるわたしの命令によく聞き従って、あなたがたの神、主を愛し、心をつくし、精神をつくして仕えるならば、 + 主はあなたがたの地に雨を、秋の雨、春の雨ともに、時にしたがって降らせ、穀物と、ぶどう酒と、油を取り入れさせ、 + また家畜のために野に草を生えさせられるであろう。あなたは飽きるほど食べることができるであろう。 + あなたがたは心が迷い、離れ去って、他の神々に仕え、それを拝むことのないよう、慎まなければならない。 + おそらく主はあなたがたにむかい怒りを発して、天を閉ざされるであろう。そのため雨は降らず、地は産物を出さず、あなたがたは主が賜わる良い地から、すみやかに滅びうせるであろう。 + それゆえ、これらのわたしの言葉を心と魂におさめ、またそれを手につけて、しるしとし、目の間に置いて覚えとし、 + これを子供たちに教え、家に座している時も、道を歩く時も、寝る時も、起きる時も、それについて語り、 + また家の入口の柱と、門にそれを書きしるさなければならない。 + そうすれば、主が先祖たちに与えようと誓われた地に、あなたがたの住む日数およびあなたがたの子供たちの住む日数は、天が地をおおう日数のように多いであろう。 + もしわたしがあなたがたに命じるこのすべての命令をよく守って行い、あなたがたの神、主を愛し、そのすべての道に歩み、主につき従うならば、 + 主はこの国々の民を皆、あなたがたの前から追い払われ、あなたがたはあなたがたよりも大きく、かつ強い国々を取るに至るであろう。 + あなたがたが足の裏で踏む所は皆、あなたがたのものとなり、あなたがたの領域は荒野からレバノンに及び、また大川ユフラテから西の海に及ぶであろう。 + だれもあなたがたに立ち向かうことのできる者はないであろう。あなたがたの神、主は、かつて言われたように、あなたがたの踏み入る地の人々が、あなたがたを恐れおののくようにされるであろう。 + 見よ、わたしは、きょう、あなたがたの前に祝福と、のろいとを置く。 + もし、きょう、わたしがあなたがたに命じるあなたがたの神、主の命令に聞き従うならば、祝福を受けるであろう。 + もしあなたがたの神、主の命令に聞き従わず、わたしが、きょう、あなたがたに命じる道を離れ、あなたがたの知らなかった他の神々に従うならば、のろいを受けるであろう。 + あなたの神、主が、あなたの行って占領する地にあなたを導き入れられる時、あなたはゲリジム山に祝福を置き、エバル山にのろいを置かなければならない。 + これらの山はヨルダンの向こう側、アラバに住んでいるカナンびとの地で、日の入る方の道の西側にあり、ギルガルに向かいあって、モレのテレビンの木の近くにあるではないか。 + あなたがたはヨルダンを渡り、あなたがたの神、主が賜わる地にはいって、それを占領しようとしている。あなたがたはそれを占領して、そこに住むであろう。 + それゆえ、わたしが、きょう、あなたがたに授ける定めと、おきてをことごとく守って行わなければならない。 + + + これはあなたの先祖たちの神、主が所有として賜わる地で、あなたがたが世に生きながらえている間、守り行わなければならない定めと、おきてである。 + あなたがたの追い払う国々の民が、その神々に仕えた所は、高い山にあるものも、丘にあるものも、青木の下にあるものも、ことごとくこわし、 + その祭壇をこぼち、柱を砕き、アシラ像を火で焼き、また刻んだ神々の像を切り倒して、その名をその所から消し去らなければならない。 + ただし、あなたがたの神、主にはそのようにしてはならない。 + あなたがたの神、主がその名を置くために、あなたがたの全部族のうちから選ばれる場所、すなわち主のすまいを尋ね求めて、そこに行き、 + あなたがたの燔祭と、犠牲と、十分の一と、ささげ物と、誓願の供え物と、自発の供え物および牛、羊のういごをそこに携えて行って、 + そこであなたがたの神、主の前で食べ、あなたがたも、家族も皆、手を労して獲るすべての物を喜び楽しまなければならない。これはあなたの神、主の恵みによって獲るものだからである。 + そこでは、われわれがきょうここでしているように、めいめいで正しいと思うようにふるまってはならない。 + あなたがたはまだ、あなたがたの神、主から賜わる安息と嗣業の地に、はいっていないのである。 + しかし、あなたがたがヨルダンを渡り、あなたがたの神、主が嗣業として賜わる地に住むようになり、さらに主があなたがたの周囲の敵をことごとく除いて、安息を与え、あなたがたが安らかに住むようになる時、 + あなたがたの神、主はその名を置くために、一つの場所を選ばれるであろう。あなたがたはそこにわたしの命じる物をすべて携えて行かなければならない。すなわち、あなたがたの燔祭と、犠牲と、十分の一と、ささげ物およびあなたがたが主に誓ったすべての誓願の供え物とを携えて行かなければならない。 + そしてあなたがたのむすこ、娘、しもべ、はしためと共にあなたがたの神、主の前に喜び楽しまなければならない。また町の内におるレビびととも、そうしなければならない。彼はあなたがたのうちに分け前がなく、嗣業を持たないからである。 + 慎んで、すべてあなたがよいと思う場所で、みだりに燔祭をささげないようにしなければならない。 + ただあなたの部族の一つのうちに、主が選ばれるその場所で、燔祭をささげ、またわたしが命じるすべての事をしなければならない。 + しかし、あなたの神、主が賜わる恵みにしたがって、すべて心に好む獣を、どの町ででも殺して、その肉を食べることができる。すなわち、かもしかや雄じかの肉と同様にそれを、汚れた人も、清い人も、食べることができる。 + ただし、その血は食べてはならない。水のようにそれを地に注がなければならない。 + あなたの穀物と、ぶどう酒と、油との十分の一および牛、羊のういご、ならびにあなたが立てる誓願の供え物と、自発の供え物およびささげ物は、町の内で食べることはできない。 + あなたの神、主が選ばれる場所で、あなたの神、主の前でそれを食べなければならない。すなわちあなたのむすこ、娘、しもべ、はしため、および町の内におるレビびとと共にそれを食べ、手を労して獲るすべての物を、あなたの神、主の前に喜び楽しまなければならない。 + 慎んで、あなたが世に生きながらえている間、レビびとを捨てないようにしなければならない。 + あなたの神、主が約束されたように、あなたの領域を広くされるとき、あなたは肉を食べたいと願って、『わたしは肉を食べよう』と言うであろう。その時、あなたはほしいだけ肉を食べることができる。 + もしあなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所が、遠く離れているならば、わたしが命じるように、主が賜わる牛、羊をほふり、門の内で、ほしいだけ食べることができる。 + かもしかや、雄じかを食べるように、それを食べることができる。すなわち汚れた人も、清い人も一様にそれを食べることができる。 + ただ堅く慎んで、その血を食べないようにしなければならない。血は命だからである。その命を肉と一緒に食べてはならない。 + あなたはそれを食べてはならない。水のようにそれを地に注がなければならない。 + あなたはそれを食べてはならない。こうして、主が正しいと見られる事を行うならば、あなたにも後の子孫にも、さいわいがあるであろう。 + ただあなたのささげる聖なる物と、誓願の物とは、主が選ばれる場所へ携えて行かなければならない。 + そして燔祭をささげる時は、肉と血とをあなたの神、主の祭壇の上にささげなければならない。犠牲をささげる時は、血をあなたの神、主の祭壇にそそぎかけ、肉はみずから食べることができる。 + あなたはわたしが命じるこれらの事を、ことごとく聞いて守らなければならない。こうしてあなたの神、主が見て良いとし、正しいとされる事を行うならば、あなたにも後の子孫にも、長くさいわいがあるであろう。 + あなたの神、主が、あなたの行って追い払おうとする国々の民を、あなたの前から断ち滅ぼされ、あなたがついにその国々を獲て、その地に住むようになる時、 + あなたはみずから慎み、彼らがあなたの前から滅ぼされた後、彼らにならって、わなにかかってはならない。また彼らの神々を尋ね求めて、『これらの国々の民はどのようにその神々に仕えたのか、わたしもそのようにしよう』と言ってはならない。 + あなたの神、主に対しては、そのようにしてはならない。彼らは主の憎まれるもろもろの忌むべき事を、その神々にむかって行い、むすこ、娘をさえ火に焼いて、神々にささげたからである。 + あなたがたはわたしが命じるこのすべての事を守って行わなければならない。これにつけ加えてはならない。また減らしてはならない。 + + + あなたがたのうちに預言者または夢みる者が起って、しるしや奇跡を示し、 + あなたに告げるそのしるしや奇跡が実現して、あなたがこれまで知らなかった『ほかの神々に、われわれは従い仕えよう』と言っても、 + あなたはその預言者または夢みる者の言葉に聞き従ってはならない。あなたがたの神、主はあなたがたが心をつくし、精神をつくして、あなたがたの神、主を愛するか、どうかを知ろうと、このようにあなたがたを試みられるからである。 + あなたがたの神、主に従って歩み、彼を恐れ、その戒めを守り、その言葉に聞き従い、彼に仕え、彼につき従わなければならない。 + その預言者または夢みる者を殺さなければならない。あなたがたをエジプトの国から導き出し、奴隷の家からあがなわれたあなたがたの神、主にあなたがたをそむかせ、あなたの神、主が歩めと命じられた道を離れさせようとして語るゆえである。こうしてあなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + 同じ母に生れたあなたの兄弟、またはあなたのむすこ、娘、またはあなたのふところの妻、またはあなたと身命を共にする友が、ひそかに誘って『われわれは行って他の神々に仕えよう』と言うかも知れない。これはあなたも先祖たちも知らなかった神々、 + すなわち地のこのはてから、地のかのはてまで、あるいは近く、あるいは遠く、あなたの周囲にある民の神々である。 + しかし、あなたはその人に従ってはならない。その人の言うことを聞いてはならない。その人をあわれんではならない。その人を惜しんではならない。その人をかばってはならない。 + 必ず彼を殺さなければならない。彼を殺すには、あなたがまず彼に手を下し、その後、民がみな手を下さなければならない。 + 彼はエジプトの国、奴隷の家からあなたを導き出されたあなたの神、主からあなたを離れさせようとしたのであるから、あなたは石をもって彼を撃ち殺さなければならない。 + そうすればイスラエルは皆聞いて恐れ、重ねてこのような悪い事を、あなたがたのうちに行わないであろう。 + あなたの神、主があなたに与えて住まわせられる町の一つで、 + よこしまな人々があなたがたのうちに起って、あなたがたの知らなかった『ほかの神々に、われわれは行って仕えよう』と言って、その町に住む人々を誘惑したことを聞くならば、 + あなたはそれを尋ね、探り、よく問いたださなければならない。そして、そのような憎むべき事があなたがたのうちに行われた事が、真実で、確かならば、 + あなたは必ず、その町に住む者をつるぎの刃にかけて撃ち殺し、その町と、そのうちにおるすべての者、およびその家畜をつるぎの刃にかけて、ことごとく滅ぼさなければならない。 + またそのすべてのぶんどり物は、町の広場の中央に集め、火をもってその町と、すべてのぶんどり物とを、ことごとく焼いて、あなたの神、主にささげなければならない。これはながく荒塚となって、再び建て直されないであろう。 + そののろわれた物は一つもあなたの手に留めおいてはならない。主が激しい怒りをやめ、あなたに慈悲を施して、あなたをあわれみ、先祖たちに誓われたように、あなたの数を多くされるためである。 + あなたの神、主の言葉に聞き従い、わたしが、きょう、命じるすべての戒めを守り、あなたの神、主が正しいと見られる事を行うならば、このようになるであろう。 + + + あなたがたはあなたがたの神、主の子供である。死んだ人のために自分の身に傷をつけてはならない。また額の髪をそってはならない。 + あなたはあなたの神、主の聖なる民だからである。主は地のおもてのすべての民のうちからあなたを選んで、自分の宝の民とされた。 + 忌むべき物は、どんなものでも食べてはならない。 + あなたがたの食べることができる獣は次のとおりである。すなわち牛、羊、やぎ、 + 雄じか、かもしか、こじか、野やぎ、くじか、おおじか、野羊など、 + 獣のうち、すべて、ひずめの分れたもの、ひずめが二つに切れたもので、反芻するものは食べることができる。 + ただし、反芻するものと、ひずめの分れたもののうち、次のものは食べてはならない。すなわち、らくだ、野うさぎ、および岩だぬき、これらは反芻するけれども、ひずめが分れていないから汚れたものである。 + また豚、これは、ひずめが分れているけれども、反芻しないから、汚れたものである。その肉を食べてはならない。またその死体に触れてはならない。 + 水の中にいるすべての物のうち、次のものは食べることができる。すなわち、すべて、ひれと、うろこのあるものは、食べることができる。 + すべて、ひれと、うろこのないものは、食べてはならない。これは汚れたものである。 + すべて清い鳥は食べることができる。 + ただし、次のものは食べてはならない。すなわち、はげわし、ひげはげわし、みさご、 + 黒とび、はやぶさ、とびの類。 + 各種のからすの類。 + だちょう、夜たか、かもめ、たかの類。 + ふくろう、みみずく、むらさきばん、 + ペリカン、はげたか、う、 + こうのとり、さぎの類。やつがしら、こうもり。 + またすべて羽があって這うものは汚れたものである。それを食べてはならない。 + すべて翼のある清いものは食べることができる。 + すべて自然に死んだものは食べてはならない。町の内におる寄留の他国人に、それを与えて食べさせることができる。またそれを外国人に売ってもよい。あなたはあなたの神、主の聖なる民だからである。子やぎをその母の乳で煮てはならない。 + あなたは毎年、畑に種をまいて獲るすべての産物の十分の一を必ず取り分けなければならない。 + そしてあなたの神、主の前、すなわち主がその名を置くために選ばれる場所で、穀物と、ぶどう酒と、油との十分の一と、牛、羊のういごを食べ、こうして常にあなたの神、主を恐れることを学ばなければならない。 + ただし、その道があまりに遠く、あなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所が、非常に遠く離れていて、あなたの神、主があなたを恵まれるとき、それを携えて行くことができないならば、 + あなたはその物を金に換え、その金を包んで手に取り、あなたの神、主が選ばれる場所に行き、 + その金をすべてあなたの好む物に換えなければならない。すなわち牛、羊、ぶどう酒、濃い酒など、すべてあなたの欲する物に換え、その所であなたの神、主の前でそれを食べ、家族と共に楽しまなければならない。 + 町の内におるレビびとを捨ててはならない。彼はあなたがたのうちに分がなく、嗣業を持たない者だからである。 + 三年の終りごとに、その年の産物の十分の一を、ことごとく持ち出して、町の内にたくわえ、 + あなたがたのうちに分け前がなく、嗣業を持たないレビびと、および町の内におる寄留の他国人と、孤児と、寡婦を呼んで、それを食べさせ、満足させなければならない。そうすれば、あなたの神、主はあなたが手で行うすべての事にあなたを祝福されるであろう。 + + + あなたは七年の終りごとに、ゆるしを行わなければならない。 + そのゆるしのしかたは次のとおりである。すべてその隣人に貸した貸主はそれをゆるさなければならない。その隣人または兄弟にそれを督促してはならない。主のゆるしが、ふれ示されたからである。 + 外国人にはそれを督促することができるが、あなたの兄弟に貸した物はゆるさなければならない。 + しかしあなたがたのうちに貧しい者はなくなるであろう。(あなたの神、主が嗣業として与えられる地で、あなたを祝福されるからである。) + ただ、あなたの神、主の言葉に聞き従って、わたしが、きょう、あなたに命じることの戒めを、ことごとく守り行うとき、そのようになるであろう。 + あなたの神、主が約束されたようにあなたを祝福されるから、あなたは多くの国びとに貸すようになり、借りることはないであろう。またあなたは多くの国びとを治めるようになり、彼らがあなたを治めることはないであろう。 + あなたの神、主が賜わる地で、もしあなたの兄弟で貧しい者がひとりでも、町の内におるならば、その貧しい兄弟にむかって、心をかたくなにしてはならない。また手を閉じてはならない。 + 必ず彼に手を開いて、その必要とする物を貸し与え、乏しいのを補わなければならない。 + あなたは心に邪念を起し、『第七年のゆるしの年が近づいた』と言って、貧しい兄弟に対し、物を惜しんで、何も与えないことのないように慎まなければならない。その人があなたを主に訴えるならば、あなたは罪を得るであろう。 + あなたは心から彼に与えなければならない。彼に与える時は惜しんではならない。あなたの神、主はこの事のために、あなたをすべての事業と、手のすべての働きにおいて祝福されるからである。 + 貧しい者はいつまでも国のうちに絶えることがないから、わたしは命じて言う、『あなたは必ず国のうちにいるあなたの兄弟の乏しい者と、貧しい者とに、手を開かなければならない』。 + もしあなたの兄弟であるヘブルの男、またはヘブルの女が、あなたのところに売られてきて、六年仕えたならば、第七年には彼に自由を与えて去らせなければならない。 + 彼に自由を与えて去らせる時は、から手で去らせてはならない。 + 群れと、打ち場と、酒ぶねのうちから取って、惜しみなく彼に与えなければならない。すなわちあなたの神、主があなたを恵まれたように、彼に与えなければならない。 + あなたはかつてエジプトの国で奴隷であったが、あなたの神、主があなたをあがない出された事を記憶しなければならない。このゆえにわたしは、きょう、この事を命じる。 + しかしその人があなたと、あなたの家族を愛し、あなたと一緒にいることを望み、『わたしはあなたを離れて去りたくありません』と言うならば、 + あなたは、きりを取って彼の耳を戸に刺さなければならない。そうすれば、彼はいつまでもあなたの奴隷となるであろう。女奴隷にもそうしなければならない。 + 彼に自由を与えて去らせる時には、快く去らせなければならない。彼が六年間、賃銀を取る雇人の二倍あなたに仕えて働いたからである。あなたがそうするならば、あなたの神、主はあなたが行うすべての事にあなたを祝福されるであろう。 + 牛、羊の産む雄のういごは皆あなたの神、主に聖別しなければならない。牛のういごを用いてなんの仕事をもしてはならない。また羊のういごの毛を切ってはならない。 + あなたの神、主が選ばれる所で、主の前にあなたは家族と共に年ごとにそれを食べなければならない。 + しかし、その獣がもし傷のあるもの、すなわち足なえまたは、めくらなど、すべて悪い傷のあるものである時は、あなたの神、主にそれを犠牲としてささげてはならない。 + 町の内でそれを食べなければならない。汚れた人も、清い人も、かもしかや、雄じかと同様にそれを食べることができる。 + ただし、その血は食べてはならない。水のようにそれを地にそそがなければならない。 + + + あなたはアビブの月を守って、あなたの神、主のために過越の祭を行わなければならない。アビブの月に、あなたの神、主が夜の間にあなたをエジプトから導き出されたからである。 + 主がその名を置くために選ばれる場所で、羊または牛をあなたの神、主に過越の犠牲としてほふらなければならない。 + 種を入れたパンをそれと共に食べてはならない。七日のあいだ、種入れぬパンすなわち悩みのパンを、それと共に食べなければならない。あなたがエジプトの国から出るとき、急いで出たからである。こうして世に生きながらえる日の間、エジプトの国から出てきた日を常に覚えなければならない。 + その七日の間は、国の内どこにもパン種があってはならない。また初めの日の夕暮にほふるものの肉を、翌朝まで残しておいてはならない。 + あなたの神、主が賜わる町の内で、過越の犠牲をほふってはならない。 + ただあなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所で、夕暮の日の入るころ、あなたがエジプトから出た時刻に、過越の犠牲をほふらなければならない。 + そしてあなたの神、主が選ばれる場所で、それを焼いて食べ、朝になって天幕に帰らなければならない。 + 六日のあいだ種入れぬパンを食べ、七日目にあなたの神、主のために聖会を開かなければならない。なんの仕事もしてはならない。 + また七週間を数えなければならない。すなわち穀物に、かまを入れ始める時から七週間を数え始めなければならない。 + そしてあなたの神、主のために七週の祭を行い、あなたの神、主が賜わる祝福にしたがって、力に応じ、自発の供え物をささげなければならない。 + こうしてあなたはむすこ、娘、しもべ、はしためおよび町の内におるレビびと、ならびにあなたがたのうちにおる寄留の他国人と孤児と寡婦と共に、あなたの神、主がその名を置くために選ばれる場所で、あなたの神、主の前に喜び楽しまなければならない。 + あなたはかつてエジプトで奴隷であったことを覚え、これらの定めを守り行わなければならない。 + 打ち場と、酒ぶねから取入れをしたとき、七日のあいだ仮庵の祭を行わなければならない。 + その祭の時には、あなたはむすこ、娘、しもべ、はしためおよび町の内におるレビびと、寄留の他国人、孤児、寡婦と共に喜び楽しまなければならない。 + 主が選ばれる場所で七日の間、あなたの神、主のために祭を行わなければならない。あなたの神、主はすべての産物と、手のすべてのわざとにおいて、あなたを祝福されるから、あなたは大いに喜び楽しまなければならない。 + あなたのうちの男子は皆あなたの神、主が選ばれる場所で、年に三度、すなわち種入れぬパンの祭と、七週の祭と、仮庵の祭に、主の前に出なければならない。ただし、から手で主の前に出てはならない。 + あなたの神、主が賜わる祝福にしたがい、おのおの力に応じて、ささげ物をしなければならない。 + あなたの神、主が賜わるすべての町々の内に、部族にしたがって、さばきびとと、つかさびととを、立てなければならない。そして彼らは正しいさばきをもって民をさばかなければならない。 + あなたはさばきを曲げてはならない。人をかたより見てはならない。また賄賂を取ってはならない。賄賂は賢い者の目をくらまし、正しい者の事件を曲げるからである。 + ただ公義をのみ求めなければならない。そうすればあなたは生きながらえて、あなたの神、主が賜わる地を所有するにいたるであろう。 + あなたの神、主のために築く祭壇のかたわらに、アシラの木像をも立ててはならない。 + またあなたの神、主が憎まれる柱を立ててはならない。 + + + すべて傷があり、欠けた所のある牛または羊はあなたの神、主にささげてはならない。そのようなものはあなたの神、主の忌みきらわれるものだからである。 + あなたの神、主が賜わる町で、あなたがたのうちに、もし男子または女子があなたの神、主の前に悪事をおこなって、契約にそむき、 + 行って他の神々に仕え、それを拝み、わたしの禁じる、日や月やその他の天の万象を拝むことがあり、 + その事を知らせる者があって、あなたがそれを聞くならば、あなたはそれをよく調べなければならない。そしてその事が真実であり、そのような憎むべき事が確かにイスラエルのうちに行われていたならば、 + あなたはその悪事をおこなった男子または女子を町の門にひき出し、その男子または女子を石で撃ち殺さなければならない。 + ふたりの証人または三人の証人の証言によって殺すべき者を殺さなければならない。ただひとりの証人の証言によって殺してはならない。 + そのような者を殺すには、証人がまず手を下し、それから民が皆、手を下さなければならない。こうしてあなたのうちから悪を除き去らなければならない。 + 町の内に訴え事が起り、その事件がもし血を流す事、または権利を争う事、または人を撃った事などであって、あなたが、さばきかねるものである時は、立ってあなたの神、主が選ばれる場所にのぼり、 + レビびとである祭司と、その時の裁判人とに行って尋ねなければならない。彼らはあなたに判決の言葉を告げるであろう。 + あなたは、主が選ばれるその場所で、彼らが告げる言葉に従っておこない、すべて彼らが教えるように守り行わなければならない。 + すなわち彼らが教える律法と、彼らが告げる判決とに従って行わなければならない。彼らが告げる言葉にそむいて、右にも左にもかたよってはならない。 + もし人がほしいままにふるまい、あなたの神、主の前に立って仕える祭司または裁判人に聞き従わないならば、その人を殺して、イスラエルのうちから悪を除かなければならない。 + そうすれば民は皆、聞いて恐れ、重ねてほしいままにふるまうことをしないであろう。 + あなたの神、主が賜わる地に行き、それを獲てそこに住むようになる時、もしあなたが『わたしも周囲のすべての国びとのように、わたしの上に王を立てよう』と言うならば、 + 必ずあなたの神、主が選ばれる者を、あなたの上に立てて王としなければならない。同胞のひとりを、あなたの上に立てて王としなければならない。同胞でない外国人をあなたの上に立ててはならない。 + 王となる人は自分のために馬を多く獲ようとしてはならない。また馬を多く獲るために民をエジプトに帰らせてはならない。主はあなたがたにむかって、『この後かさねてこの道に帰ってはならない』と仰せられたからである。 + また妻を多く持って心を、迷わしてはならない。また自分のために金銀を多くたくわえてはならない。 + 彼が国の王位につくようになったら、レビびとである祭司の保管する書物から、この律法の写しを一つの書物に書きしるさせ、 + 世に生きながらえる日の間、常にそれを自分のもとに置いて読み、こうしてその神、主を恐れることを学び、この律法のすべての言葉と、これらの定めとを守って行わなければならない。 + そうすれば彼の心が同胞を見くだして、高ぶることなく、また戒めを離れて、右にも左にも曲ることなく、その子孫と共にイスラエルにおいて、長くその位にとどまることができるであろう。 + + + レビびとである祭司すなわちレビの全部族はイスラエルのうちに、分も嗣業も持たない。彼らは主にささげられる火祭の物と、その他のささげ物とを食べなければならない。 + 彼らはその兄弟のうちに嗣業を持たない。かつて彼らに約束されたとおり主が彼らの嗣業である。 + 祭司が民から受ける分は次のとおりである。すなわち犠牲をささげる者は、牛でも、羊でも、その肩と、両方のほおと、胃とを祭司に与えなければならない。 + また穀物と、ぶどう酒と、油の初物および羊の毛の初物をも彼に与えなければならない。 + あなたの神、主がすべての部族のうちから彼を選び出して、彼とその子孫を長く主の名によって立って仕えさせられるからである。 + レビびとはイスラエルの全地のうち、どこにいる者でも、彼が宿っている町を出て、主が選ばれる場所に行くならば、 + 彼は主の前に立っているすべての兄弟レビびとと同じように、その神、主の名によって仕えることができる。 + 彼が食べる分は彼らと同じである。ただし彼はこのほかに父の遺産を売って獲た物を持つことができる。 + あなたの神、主が賜わる地にはいったならば、その国々の民の憎むべき事を習いおこなってはならない。 + あなたがたのうちに、自分のむすこ、娘を火に焼いてささげる者があってはならない。また占いをする者、卜者、易者、魔法使、 + 呪文を唱える者、口寄せ、かんなぎ、死人に問うことをする者があってはならない。 + 主はすべてこれらの事をする者を憎まれるからである。そしてこれらの憎むべき事のゆえにあなたの神、主は彼らをあなたの前から追い払われるのである。 + あなたの神、主の前にあなたは全き者でなければならない。 + あなたが追い払うかの国々の民は卜者、占いをする者に聞き従うからである。しかし、あなたには、あなたの神、主はそうする事を許されない。 + あなたの神、主はあなたのうちから、あなたの同胞のうちから、わたしのようなひとりの預言者をあなたのために起されるであろう。あなたがたは彼に聞き従わなければならない。 + これはあなたが集会の日にホレブであなたの神、主に求めたことである。すなわちあなたは『わたしが死ぬことのないようにわたしの神、主の声を二度とわたしに聞かせないでください。またこの大いなる火を二度と見させないでください』と言った。 + 主はわたしに言われた、『彼らが言ったことは正しい。 + わたしは彼らの同胞のうちから、おまえのようなひとりの預言者を彼らのために起して、わたしの言葉をその口に授けよう。彼はわたしが命じることを、ことごとく彼らに告げるであろう。 + 彼がわたしの名によって、わたしの言葉を語るのに、もしこれに聞き従わない者があるならば、わたしはそれを罰するであろう。 + ただし預言者が、わたしが語れと命じないことを、わたしの名によってほしいままに語り、あるいは他の神々の名によって語るならば、その預言者は殺さなければならない』。 + あなたは心のうちに『われわれは、その言葉が主の言われたものでないと、どうして知り得ようか』と言うであろう。 + もし預言者があって、主の名によって語っても、その言葉が成就せず、またその事が起らない時は、それは主が語られた言葉ではなく、その預言者がほしいままに語ったのである。その預言者を恐れるに及ばない。 + + + あなたの神、主が国々の民を滅ぼしつくして、あなたの神、主がその地を賜わり、あなたがそれを獲て、その町々と、その家々に住むようになる時は、 + あなたの神、主が与えて獲させられる地のうちに、三つの町をあなたのために指定しなければならない。 + そしてそこに行く道を備え、またあなたの神、主があなたに継がせられる地の領域を三区に分け、すべて人を殺した者をそこにのがれさせなければならない。 + 人を殺した者がそこにのがれて、命を全うすべき場合は次のとおりである。すなわち以前から憎むこともないのに、知らないでその隣人を殺した場合、 + たとえば人が木を切ろうとして、隣人と一緒に林に入り、手におのを取って、木を切り倒そうと撃ちおろすとき、その頭が柄から抜け、隣人にあたって、死なせたような場合がそれである。そういう人はこれらの町の一つにのがれて、命を全うすることができる。 + そうしなければ、復讐する者が怒って、その殺した者を追いかけ、道が長いために、ついに追いついて殺すであろう。しかし、その人は以前から彼を憎んでいた者でないから、殺される理由はない。 + それでわたしはあなたに命じて『三つの町をあなたのために指定しなければならない』と言ったのである。 + あなたの神、主が先祖たちに誓われたように、あなたの領域を広め、先祖たちに与えると言われた地を、ことごとく賜わる時、―― + わたしが、きょう、命じるこのすべての戒めを守って、それをおこない、あなたの神、主を愛して、常にその道に歩む時――あなたはこれら三つの町のほかに、また三つの町をあなたのために増し加えなければならない。 + これはあなたの神、主が与えて嗣業とされる地のうちで、罪のない者の血が流されないようにするためである。そうしなければ、その血を流したとがは、あなたに帰するであろう。 + しかし、もし人が隣人を憎んでそれをつけねらい、立ちかかってその人を撃ち殺し、そしてこれらの町の一つにのがれるならば、 + その町の長老たちは人をつかわして彼をそこから引いてこさせ、復讐する者にわたして殺させなければならない。 + 彼をあわれんではならない。罪のない者の血を流したとがを、イスラエルから除かなければならない。そうすればあなたにさいわいがあるであろう。 + あなたの神、主が与えて獲させられる地で、あなたが継ぐ嗣業において、先祖の定めたあなたの隣人の土地の境を移してはならない。 + どんな不正であれ、どんなとがであれ、すべて人の犯す罪は、ただひとりの証人によって定めてはならない。ふたりの証人の証言により、または三人の証人の証言によって、その事を定めなければならない。 + もし悪意のある証人が起って、人に対して悪い証言をすることがあれば、 + その相争うふたりの者は主の前に行って、その時の祭司と裁判人の前に立たなければならない。 + その時、裁判人は詳細にそれを調べなければならない。そしてその証人がもし偽りの証人であって、兄弟にむかって偽りの証言をした者であるならば、 + あなたがたは彼が兄弟にしようとしたことを彼に行い、こうしてあなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + そうすれば他の人たちは聞いて恐れ、その後ふたたびそのような悪をあなたがたのうちに行わないであろう。 + あわれんではならない。命には命、目には目、歯には歯、手には手、足には足をもって償わせなければならない。 + + + あなたが敵と戦うために出る時、馬と戦車と、あなたよりも大ぜいの軍隊を見ても、彼らを恐れてはならない。あなたをエジプトの国から導きのぼられたあなたの神、主が共におられるからである。 + あなたがたが戦いに臨むとき、祭司は進み出て民に告げて、 + 彼らに言わなければならない、『イスラエルよ聞け。あなたがたは、きょう、敵と戦おうとしている。気おくれしてはならない。恐れてはならない。あわててはならない。彼らに驚いてはならない。 + あなたがたの神、主が共に行かれ、あなたがたのために敵と戦って、あなたがたを救われるからである』。 + 次につかさたちは民に告げて言わなければならない。『新しい家を建てて、まだそれをささげていない者があれば、その人を家に帰らせなければならない。そうしなければ、彼が戦いに死んだとき、ほかの人がそれをささげるようになるであろう。 + ぶどう畑を作って、まだその実を食べていない者があれば、その人を家に帰らせなければならない。そうしなければ彼が戦いに死んだとき、ほかの人がそれを食べるようになるであろう。 + 女と婚約して、まだその女をめとっていない者があれば、その人を家に帰らせなければならない。そうしなければ彼が戦いに死んだとき、ほかの人が彼女をめとるようになるであろう』。 + つかさたちは、また民に告げて言わなければならない。『恐れて気おくれする者があるならば、その人を家に帰らせなければならない。そうしなければ、兄弟たちの心が彼の心のようにくじけるであろう』。 + つかさたちがこのように民に告げ終ったならば、軍勢のかしらたちを立てて民を率いさせなければならない。 + 一つの町へ進んで行って、それを攻めようとする時は、まず穏やかに降服することを勧めなければならない。 + もしその町が穏やかに降服しようと答えて、門を開くならば、そこにいるすべての民に、みつぎを納めさせ、あなたに仕えさせなければならない。 + もし穏やかに降服せず、戦おうとするならば、あなたはそれを攻めなければならない。 + そしてあなたの神、主がそれをあなたの手にわたされる時、つるぎをもってそのうちの男をみな撃ち殺さなければならない。 + ただし女、子供、家畜およびすべて町のうちにあるもの、すなわちぶんどり物は皆、戦利品として取ることができる。また敵からぶんどった物はあなたの神、主が賜わったものだから、あなたはそれを用いることができる。 + 遠く離れている町々、すなわちこれらの国々に属さない町々には、すべてこのようにしなければならない。 + ただし、あなたの神、主が嗣業として与えられるこれらの民の町々では、息のある者をひとりも生かしておいてはならない。 + すなわちヘテびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとはみな滅ぼして、あなたの神、主が命じられたとおりにしなければならない。 + これは彼らがその神々を拝んでおこなったすべての憎むべき事を、あなたがたに教えて、それを行わせ、あなたがたの神、主に罪を犯させることのないためである。 + 長く町を攻め囲んで、それを取ろうとする時でも、おのをふるって、そこの木を切り枯らしてはならない。それはあなたの食となるものだから、切り倒してはならない。あなたは田野の木までも、人のように攻めなければならないであろうか。 + ただし実を結ばない木とわかっている木は切り倒して、あなたと戦っている町にむかい、それをもってとりでを築き、陥落するまで、それを攻めることができる。 + + + あなたの神、主が与えて獲させられる地で、殺されて野に倒れている人があって、だれが殺したのかわからない時は、 + 長老たちと、さばきびとたちが出てきて、その殺された者のある所から、周囲の町々までの距離をはからなければならない。 + そしてその殺された者のある所に最も近い町の長老たちは、まだ使わない、まだくびきを負わせて引いたことのない若い雌牛をとり、 + その町の長老たちはその雌牛を、耕すことも、種まくこともしない、絶えず水の流れている谷へ引いていって、その谷で雌牛のくびを折らなければならない。 + その時レビの子孫である祭司たちは、そこに進み出なければならない。彼らはあなたの神、主が自分に仕えさせ、また主の名によって祝福させるために選ばれた者で、すべての論争と、すべての暴行は彼らの言葉によって解決されるからである。 + そしてその殺された者のある所に最も近い町の長老たちは皆、彼らが谷でくびを折った雌牛の上で手を洗い、 + 証言して言わなければならない、『われわれの手はこの血を流さず、われわれの目もそれを見なかった。 + 主よ、あなたがあがなわれた民イスラエルをおゆるしください。罪のない者の血を流したとがを、あなたの民イスラエルのうちにとどめないでください。そして血を流したとがをおゆるしください』。 + このようにして、あなたは主が正しいと見られる事をおこない、罪のない者の血を流したとがを、あなたがたのうちから除き去らなければならない。 + あなたが出て敵と戦う際、あなたの神、主がそれをあなたの手にわたされ、あなたがそれを捕虜とした時、 + もし捕虜のうちに美しい女のあるのを見て、それを好み、妻にめとろうとするならば、 + その女をあなたの家に連れて帰らなければならない。女は髪をそり、つめを切り、 + また捕虜の着物を脱ぎすてて、あなたの家におり、自分の父母のために一か月のあいだ嘆かなければならない。そして後、あなたは彼女の所にはいって、その夫となり、彼女を妻とすることができる。 + その後あなたがもし彼女を好まなくなったならば、彼女を自由に去らせなければならない。決して金で売ってはならない。あなたはすでに彼女をはずかしめたのだから、彼女を奴隷のようにあしらってはならない。 + 人がふたりの妻をもち、そのひとりは愛する者、ひとりは気にいらない者であって、その愛する者と気にいらない者のふたりが、ともに男の子を産み、もしその長子が、気にいらない女の産んだ者である時は、 + その子たちに自分の財産を継がせる時、気にいらない女の産んだ長子をさしおいて、愛する女の産んだ子を長子とすることはできない。 + 必ずその気にいらない者の産んだ子が長子であることを認め、自分の財産を分ける時には、これに二倍の分け前を与えなければならない。これは自分の力の初めであって、長子の特権を持っているからである。 + もし、わがままで、手に負えない子があって、父の言葉にも、母の言葉にも従わず、父母がこれを懲らしてもきかない時は、 + その父母はこれを捕えて、その町の門に行き、町の長老たちの前に出し、 + 町の長老たちに言わなければならない、『わたしたちのこの子はわがままで、手に負えません。わたしたちの言葉に従わず、身持ちが悪く、大酒飲みです』。 + そのとき、町の人は皆、彼を石で撃ち殺し、あなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。そうすれば、イスラエルは皆聞いて恐れるであろう。 + もし人が死にあたる罪を犯して殺され、あなたがそれを木の上にかける時は、 + 翌朝までその死体を木の上に留めておいてはならない。必ずそれをその日のうちに埋めなければならない。木にかけられた者は神にのろわれた者だからである。あなたの神、主が嗣業として賜わる地を汚してはならない。 + + + あなたの兄弟の牛、または羊の迷っているのを見て、それを見捨てておいてはならない。必ずそれを兄弟のところへ連れて帰らなければならない。 + もしその兄弟が近くの者でなく、知らない人であるならば、それを自分の家にひいてきて、あなたのところにおき、その兄弟が尋ねてきた時に、それを彼に返さなければならない。 + あなたの兄弟のろばの場合も、そうしなければならない。着物の場合も、そうしなければならない。またすべてあなたの兄弟の失った物を見つけた場合も、そうしなければならない。それを見捨てておくことはできない。 + あなたの兄弟のろばまたは牛が道に倒れているのを見て、見捨てておいてはならない。必ずそれを助け起さなければならない。 + 女は男の着物を着てはならない。また男は女の着物を着てはならない。あなたの神、主はそのような事をする者を忌みきらわれるからである。 + もしあなたが道で、木の上、または地面に鳥の巣のあるのを見つけ、その中に雛または卵があって、母鳥がその雛または卵を抱いているならば、母鳥を雛と一緒に取ってはならない。 + 必ず母鳥を去らせ、ただ雛だけを取らなければならない。そうすればあなたはさいわいを得、長く生きながらえることができるであろう。 + 新しい家を建てる時は、屋根に欄干を設けなければならない。それは人が屋根から落ちて、血のとがをあなたの家に帰することのないようにするためである。 + ぶどう畑に二種の種を混ぜてまいてはならない。そうすればあなたがまいた種から産する物も、ぶどう畑から出る物も、みな忌むべき物となるであろう。 + 牛と、ろばとを組み合わせて耕してはならない。 + 羊毛と亜麻糸を混ぜて織った着物を着てはならない。 + 身にまとう上着の四すみに、ふさをつけなければならない。 + もし人が妻をめとり、妻のところにはいって後、その女をきらい、 + 『わたしはこの女をめとって近づいた時、彼女に処女の証拠を見なかった』と言って虚偽の非難をもって、その女に悪名を負わせるならば、 + その女の父と母は、彼女の処女の証拠を取って、門におる町の長老たちに差し出し、 + そして彼女の父は長老たちに言わなければならない。『わたしはこの人に娘を与えて妻にさせましたが、この人は娘をきらい、 + 虚偽の非難をもって、「わたしはあなたの娘に処女の証拠を見なかった」と言います。しかし、これがわたしの娘の処女の証拠です』と言って、その父母はかの布を町の長老たちの前にひろげなければならない。 + その時、町の長老たちは、その人を捕えて撃ち懲らし、 + また銀百シケルの罰金を課し、それを女の父に与えなければならない。彼はイスラエルの処女に悪名を負わせたからである。彼はその女を妻とし、一生その女を出すことはできない。 + しかし、この非難が真実であって、その女に処女の証拠が見られない時は、 + その女を父の家の入口にひき出し、町の人々は彼女を石で撃ち殺さなければならない。彼女は父の家で、みだらな事をおこない、イスラエルのうちに愚かな事をしたからである。あなたはこうしてあなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + もし夫のある女と寝ている男を見つけたならば、その女と寝た男およびその女を一緒に殺し、こうしてイスラエルのうちから悪を除き去らなければならない。 + もし処女である女が、人と婚約した後、他の男が町の内でその女に会い、これを犯したならば、 + あなたがたはそのふたりを町の門にひき出して、石で撃ち殺さなければならない。これはその女が町の内におりながら叫ばなかったからであり、またその男は隣人の妻をはずかしめたからである。あなたはこうしてあなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + しかし、男が、人と婚約した女に野で会い、その女を捕えてこれを犯したならば、その男だけを殺さなければならない。 + その女には何もしてはならない。女には死にあたる罪がない。人がその隣人に立ちむかって、それを殺したと同じ事件だからである。 + これは男が野で女に会ったので、人と婚約したその女が叫んだけれども、救う者がなかったのである。 + まだ人と婚約しない処女である女に、男が会い、これを捕えて犯し、ふたりが見つけられたならば、 + 女を犯した男は女の父に銀五十シケルを与えて、女を自分の妻としなければならない。彼はその女をはずかしめたゆえに、一生その女を出すことはできない。 + だれも父の妻をめとってはならない。父の妻と寝てはならない。 + + + すべて去勢した男子は主の会衆に加わってはならない。 + 私生児は主の会衆に加わってはならない。その子孫は十代までも主の会衆に加わってはならない。 + アンモンびととモアブびとは主の会衆に加わってはならない。彼らの子孫は十代までも、いつまでも主の会衆に加わってはならない。 + これはあなたがたがエジプトから出てきた時に、彼らがパンと水を携えてあなたがたを道に迎えず、アラム・ナハライムのペトルからベオルの子バラムを雇って、あなたをのろわせようとしたからである。 + しかし、あなたの神、主はバラムの言うことを聞こうともせず、あなたの神、主はあなたのために、そののろいを変えて、祝福とされた。あなたの神、主があなたを愛されたからである。 + あなたは一生いつまでも彼らのために平安をも、幸福をも求めてはならない。 + あなたはエドムびとを憎んではならない。彼はあなたの兄弟だからである。またエジプトびとを憎んではならない。あなたはかつてその国の寄留者であったからである。 + そして彼らが産んだ子どもは三代目には、主の会衆に加わることができる。 + 敵を攻めるために出て陣営におる時は、すべての汚れた物を避けなければならない。 + あなたがたのうちに、夜の思いがけない事によって身の汚れた人があるならば、陣営の外に出なければならない。陣営の内に、はいってはならない。 + しかし、夕方になって、水で身を洗い、日が没して後、陣営の内に、はいることができる。 + あなたはまた陣営の外に一つの所を設けておいて、用をたす時、そこに出て行かなければならない。 + また武器と共に、くわを備え、外に出て、かがむ時、それをもって土を掘り、向きをかえて、出た物をおおわなければならない。 + あなたの神、主があなたを救い、敵をあなたにわたそうと、陣営の中を歩まれるからである。ゆえに陣営は聖なる所として保たなければならない。主があなたのうちにきたない物のあるのを見て、離れ去られることのないためである。 + 主人を避けて、あなたのところに逃げてきた奴隷を、その主人にわたしてはならない。 + その者をあなたがたのうちに、あなたと共におらせ、町の一つのうち、彼が好んで選ぶ場所に住ませなければならない。彼を虐待してはならない。 + イスラエルの女子は神殿娼婦となってはならない。またイスラエルの男子は神殿男娼となってはならない。 + 娼婦の得た価または男娼の価をあなたの神、主の家に携えて行って、どんな誓願にも用いてはならない。これはともにあなたの神、主の憎まれるものだからである。 + 兄弟に利息を取って貸してはならない。金銭の利息、食物の利息などすべて貸して利息のつく物の利息を取ってはならない。 + 外国人には利息を取って貸してもよい。ただ兄弟には利息を取って貸してはならない。これはあなたが、はいって取る地で、あなたの神、主がすべてあなたのする事に祝福を与えられるためである。 + あなたの神、主に誓願をかける時、それを果すことを怠ってはならない。あなたの神、主は必ずそれをあなたに求められるからである。それを怠るときは罪を得るであろう。 + しかし、あなたが誓願をかけないならば、罪を得ることはない。 + あなたが口で言った事は守って行わなければならない。あなたが口で約束した事は、あなたの神、主にあなたが自発的に誓願したのだからである。 + あなたが隣人のぶどう畑にはいる時、そのぶどうを心にまかせて飽きるほど食べてもよい。しかし、あなたの器の中に取り入れてはならない。 + あなたが隣人の麦畑にはいる時、手でその穂を摘んで食べてもよい。しかし、あなたの隣人の麦畑にかまを入れてはならない。 + + + 人が妻をめとって、結婚したのちに、その女に恥ずべきことのあるのを見て、好まなくなったならば、離縁状を書いて彼女の手に渡し、家を去らせなければならない。 + 女がその家を出てのち、行って、ほかの人にとつぎ、 + 後の夫も彼女をきらって、離縁状を書き、その手に渡して家を去らせるか、または妻にめとった後の夫が死んだときは、 + 彼女はすでに身を汚したのちであるから、彼女を去らせた先の夫は、ふたたび彼女を妻にめとることはできない。これは主の前に憎むべき事だからである。あなたの神、主が嗣業としてあなたに与えられる地に罪を負わせてはならない。 + 人が新たに妻をめとった時は、戦争に出してはならない。また何の務もこれに負わせてはならない。その人は一年の間、束縛なく家にいて、そのめとった妻を慰めなければならない。 + ひきうす、またはその上石を質にとってはならない。これは命をつなぐものを質にとることだからである。 + イスラエルの人々のうちの同胞のひとりをかどわかして、これを奴隷のようにあしらい、またはこれを売る者を見つけたならば、そのかどわかした者を殺して、あなたがたのうちから悪を除き去らなければならない。 + らい病の起った時は気をつけて、すべてレビびとたる祭司が教えることを、よく守って行わなければならない。すなわちわたしが彼らに命じたように、あなたがたはそれを守って行わなければならない。 + あなたがたがエジプトから出てきたとき、道であなたの神、主がミリアムにされたことを記憶しなければならない。 + あなたが隣人に物を貸すときは、自分でその家にはいって、質物を取ってはならない。 + あなたは外に立っていて、借りた人が質物を外にいるあなたのところへ持ち出さなければならない。 + もしその人が貧しい人である時は、あなたはその質物を留めおいて寝てはならない。 + その質物は日の入るまでに、必ず返さなければならない。そうすれば彼は自分の上着をかけて寝ることができて、あなたを祝福するであろう。それはあなたの神、主の前にあなたの義となるであろう。 + 貧しく乏しい雇人は、同胞であれ、またはあなたの国で、町のうちに寄留している他国人であれ、それを虐待してはならない。 + 賃銀はその日のうちに払い、それを日の入るまで延ばしてはならない。彼は貧しい者で、その心をこれにかけているからである。そうしなければ彼はあなたを主に訴えて、あなたは罪を得るであろう。 + 父は子のゆえに殺さるべきではない。子は父のゆえに殺さるべきではない。おのおの自分の罪のゆえに殺さるべきである。 + 寄留の他国人または孤児のさばきを曲げてはならない。寡婦の着物を質に取ってはならない。 + あなたはかつてエジプトで奴隷であったが、あなたの神、主がそこからあなたを救い出されたことを記憶しなければならない。それでわたしはあなたにこの事をせよと命じるのである。 + あなたが畑で穀物を刈る時、もしその一束を畑におき忘れたならば、それを取りに引き返してはならない。それは寄留の他国人と孤児と寡婦に取らせなければならない。そうすればあなたの神、主はすべてあなたがする事において、あなたを祝福されるであろう。 + あなたがオリブの実をうち落すときは、ふたたびその枝を捜してはならない。それを寄留の他国人と孤児と寡婦に取らせなければならない。 + またぶどう畑のぶどうを摘み取るときは、その残ったものを、ふたたび捜してはならない。それを寄留の他国人と孤児と寡婦に取らせなければならない。 + あなたはかつてエジプトの国で奴隷であったことを記憶しなければならない。それでわたしはあなたにこの事をせよと命じるのである。 + + + 人と人との間に争い事があって、さばきを求めてきたならば、さばきびとはこれをさばいて、正しい者を正しいとし、悪い者を悪いとしなければならない。 + その悪い者が、むち打つべき者であるならば、さばきびとは彼を伏させ、自分の前で、その罪にしたがい、数えて彼をむち打たせなければならない。 + 彼をむち打つには四十を越えてはならない。もしそれを越えて、それよりも多くむちを打つときは、あなたの兄弟はあなたの目の前で、はずかしめられることになるであろう。 + 脱穀をする牛にくつこを掛けてはならない。 + 兄弟が一緒に住んでいて、そのうちのひとりが死んで子のない時は、その死んだ者の妻は出て、他人にとついではならない。その夫の兄弟が彼女の所にはいり、めとって妻とし、夫の兄弟としての道を彼女につくさなければならない。 + そしてその女が初めに産む男の子に、死んだ兄弟の名を継がせ、その名をイスラエルのうちに絶やさないようにしなければならない。 + しかしその人が兄弟の妻をめとるのを好まないならば、その兄弟の妻は町の門へ行って、長老たちに言わなければならない、『わたしの夫の兄弟はその兄弟の名をイスラエルのうちに残すのを拒んで、夫の兄弟としての道をつくすことを好みません』。 + そのとき町の長老たちは彼を呼び寄せて、さとさなければならない。もし彼が固執して、『わたしは彼女をめとることを好みません』と言うならば、 + その兄弟の妻は長老たちの目の前で、彼のそばに行き、その足のくつを脱がせ、その顔につばきして、答えて言わなければならない。『兄弟の家をたてない者には、このようにすべきです』。 + そして彼の家の名は、くつを脱がされた者の家と、イスラエルのうちで呼ばれるであろう。 + ふたりの人が互に争うときに、そのひとりの人の妻が、打つ者の手から夫を救おうとして近づき、手を伸べて、その人の隠し所をつかまえるならば、 + その女の手を切り落さなければならない。あわれみをかけてはならない。 + あなたの袋に大小二種の重り石を入れておいてはならない。 + あなたの家に大小二種のますをおいてはならない。 + 不足のない正しい重り石を持ち、また不足のない正しいますを持たなければならない。そうすればあなたの神、主が賜わる地で、あなたは長く命を保つことができるであろう。 + すべてこのような不正をする者を、あなたの神、主が憎まれるからである。 + あなたがエジプトから出てきた時、道でアマレクびとがあなたにしたことを記憶しなければならない。 + すなわち彼らは道であなたに出会い、あなたがうみ疲れている時、うしろについてきていたすべての弱っている者を攻め撃った。このように彼らは神を恐れなかった。 + それで、あなたの神、主が嗣業として賜わる地で、あなたの神、主があなたの周囲のすべての敵を征服して、あなたに安息を与えられる時、あなたはアマレクの名を天の下から消し去らなければならない。この事を忘れてはならない。 + + + あなたの神、主が嗣業として賜わる国にはいって、それを所有し、そこに住む時は、 + あなたの神、主が賜わる国にできる、地のすべての実の初物を取ってかごに入れ、あなたの神、主がその名を置くために選ばれる所へ携えて行かなければならない。 + そしてその時の祭司の所へ行って彼に言わなければならない、『きょう、あなたの神、主にわたしは申します。主がわれわれに与えると先祖たちに誓われた国に、わたしははいることができました』。 + そのとき祭司はあなたの手からそのかごを受け取ってあなたの神、主の祭壇の前に置かなければならない。 + そして、あなたはあなたの神、主の前に述べて言わなければならない、『わたしの先祖は、さすらいの一アラムびとでありましたが、わずかの人を連れてエジプトへ下って行って、その所に寄留し、ついにそこで大きく、強い、人数の多い国民になりました。 + ところがエジプトびとはわれわれをしえたげ、また悩まして、つらい労役を負わせましたが、 + われわれが先祖たちの神、主に叫んだので、主はわれわれの声を聞き、われわれの悩みと、骨折りと、しえたげとを顧み、 + 主は強い手と、伸べた腕と、大いなる恐るべき事と、しるしと、不思議とをもって、われわれをエジプトから導き出し、 + われわれをこの所へ連れてきて、乳と蜜の流れるこの地をわれわれに賜わりました。 + 主よ、ごらんください。あなたがわたしに賜わった地の実の初物を、いま携えてきました』。そしてあなたはそれをあなたの神、主の前に置いて、あなたの神、主の前に礼拝し、 + あなたの神、主があなたとあなたの家とに賜わったすべての良い物をもって、レビびとおよびあなたのなかにいる寄留の他国人と共に喜び楽しまなければならない。 + 第三年すなわち十分の一を納める年に、あなたがすべての産物の十分の一を納め終って、それをレビびとと寄留の他国人と孤児と寡婦とに与え、町のうちで彼らに飽きるほど食べさせた時、 + あなたの神、主の前で言わなければならない、『わたしはその聖なる物を家から取り出し、またレビびとと寄留の他国人と孤児と寡婦とにそれを与え、すべてあなたが命じられた命令のとおりにいたしました。わたしはあなたの命令にそむかず、またそれを忘れませんでした。 + わたしはその聖なる物を喪のうちで食べたことがなく、また汚れた身でそれを取り出したことがなく、また死人にそれを供えたことがありませんでした。わたしはわたしの神、主の声に聞き従い、すべてあなたがわたしに命じられたとおりにいたしました。 + あなたの聖なるすみかである天からみそなわして、あなたの民イスラエルと、あなたがわれわれに与えられた地とを祝福してください。これはあなたがわれわれの先祖に誓われた乳と蜜の流れる地です』。 + きょう、あなたの神、主はこれらの定めと、おきてとを行うことをあなたに命じられる。それゆえ、あなたは心をつくし、精神をつくしてそれを守り行わなければならない。 + きょう、あなたは主をあなたの神とし、かつその道に歩み、定めと、戒めと、おきてとを守り、その声に聞き従うことを明言した。 + そして、主は先に約束されたように、きょう、あなたを自分の宝の民とされること、また、あなたがそのすべての命令を守るべきことを明言された。 + 主は誉と良き名と栄えとをあなたに与えて、主の造られたすべての国民にまさるものとされるであろう。あなたは主が言われたように、あなたの神、主の聖なる民となるであろう」。 + + + モーセとイスラエルの長老たちとは民に命じて言った、「わたしが、きょう、あなたがたに命じるすべての戒めを守りなさい。 + あなたがたがヨルダンを渡ってあなたの神、主が賜わる国にはいる時、あなたは大きな石数個を立てて、それにしっくいを塗り、 + そしてあなたが渡って、あなたの先祖たちの神、主が約束されたようにあなたの神、主が賜わる地、すなわち乳と蜜の流れる地にはいる時、この律法のすべての言葉をその上に書きしるさなければならない。 + すなわち、あなたがたが、ヨルダンを渡ったならば、わたしが、きょう、あなたがたに命じるそれらの石をエバル山に立て、それにしっくいを塗らなければならない。 + またそこにあなたの神、主のために、祭壇、すなわち石の祭壇を築かなければならない。鉄の器を石に当てず、 + 自然のままの石であなたの神、主のために祭壇を築き、その上であなたの神、主に燔祭をささげなければならない。 + また酬恩祭の犠牲をささげて、その所で食べ、あなたの神、主の前で喜び楽しまなければならない。 + あなたはこの律法のすべての言葉をその石の上に明らかに書きしるさなければならない」。 + またモーセとレビびとたる祭司たちとは、イスラエルのすべての人々に言った、「イスラエルよ、静かに聞きなさい。あなたは、きょう、あなたの神、主の民となった。 + それゆえ、あなたの神、主の声に聞き従い、わたしが、きょう、命じる戒めと定めとを行わなければならない」。 + その日またモーセは民に命じて言った、 + 「あなたがたがヨルダンを渡った時、次の人たちはゲリジム山に立って民を祝福しなければならない。すなわちシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフおよびベニヤミン。 + また次の人たちはエバル山に立ってのろわなければならない。すなわちルベン、ガド、アセル、ゼブルン、ダンおよびナフタリ。 + そしてレビびとは大声でイスラエルのすべての人々に告げて言わなければならない。 + 『工人の手の作である刻んだ像、または鋳た像は、主が憎まれるものであるから、それを造って、ひそかに安置する者はのろわれる』。民は、みな答えてアァメンと言わなければならない。 + 『父や母を軽んずる者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『隣人との土地の境を移す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『盲人を道に迷わす者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『寄留の他国人や孤児、寡婦のさばきを曲げる者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『父の妻を犯す者は、父を恥ずかしめるのであるからのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『すべて獣を犯す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『父の娘、または母の娘である自分の姉妹を犯す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『妻の母を犯す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『ひそかに隣人を撃ち殺す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『まいないを取って罪なき者を殺す者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + 『この律法の言葉を守り行わない者はのろわれる』。民はみなアァメンと言わなければならない。 + + + もしあなたが、あなたの神、主の声によく聞き従い、わたしが、きょう、命じるすべての戒めを守り行うならば、あなたの神、主はあなたを地のもろもろの国民の上に立たせられるであろう。 + もし、あなたがあなたの神、主の声に聞き従うならば、このもろもろの祝福はあなたに臨み、あなたに及ぶであろう。 + あなたは町の内でも祝福され、畑でも祝福されるであろう。 + またあなたの身から生れるもの、地に産する物、家畜の産むもの、すなわち牛の子、羊の子は祝福されるであろう。 + またあなたのかごと、こねばちは祝福されるであろう。 + あなたは、はいるにも祝福され、出るにも祝福されるであろう。 + 敵が起ってあなたを攻める時は、主はあなたにそれを撃ち敗らせられるであろう。彼らは一つの道から攻めて来るが、あなたの前で七つの道から逃げ去るであろう。 + 主は命じて祝福をあなたの倉と、あなたの手のすべてのわざにくだし、あなたの神、主が賜わる地であなたを祝福されるであろう。 + もし、あなたの神、主の戒めを守り、その道を歩むならば、主は誓われたようにあなたを立てて、その聖なる民とされるであろう。 + そうすれば地のすべての民は皆あなたが主の名をもって唱えられるのを見てあなたを恐れるであろう。 + 主があなたに与えると先祖に誓われた地で、主は良い物、すなわちあなたの身から生れる者、家畜の産むもの、地に産する物を豊かにされるであろう。 + 主はその宝の蔵である天をあなたのために開いて、雨を季節にしたがってあなたの地に降らせ、あなたの手のすべてのわざを祝福されるであろう。あなたは多くの国民に貸すようになり、借りることはないであろう。 + 主はあなたをかしらとならせ、尾とはならせられないであろう。あなたはただ栄えて衰えることはないであろう。きょう、わたしが命じるあなたの神、主の戒めに聞き従って、これを守り行うならば、あなたは必ずこのようになるであろう。 + きょう、わたしが命じるこのすべての言葉を離れて右または左に曲り、他の神々に従い、それに仕えてはならない。 + しかし、あなたの神、主の声に聞き従わず、きょう、わたしが命じるすべての戒めと定めとを守り行わないならば、このもろもろののろいがあなたに臨み、あなたに及ぶであろう。 + あなたは町のうちでものろわれ、畑でものろわれ、 + あなたのかごも、こねばちものろわれ、 + あなたの身から生れるもの、地に産する物、牛の子、羊の子ものろわれるであろう。 + あなたは、はいるにものろわれ、出るにものろわれるであろう。 + 主はあなたが手をくだすすべての働きにのろいと、混乱と、懲しめとを送られ、あなたはついに滅び、すみやかにうせ果てるであろう。これはあなたが悪をおこなってわたしを捨てたからである。 + 主は疫病をあなたの身につかせ、あなたが行って取る地から、ついにあなたを断ち滅ぼされるであろう。 + 主はまた肺病と熱病と炎症と間けつ熱と、かんばつと、立ち枯れと、腐り穂とをもってあなたを撃たれるであろう。これらのものはあなたを追い、ついにあなたを滅ぼすであろう。 + あなたの頭の上の天は青銅となり、あなたの下の地は鉄となるであろう。 + 主はあなたの地の雨を、ちりと、ほこりに変らせ、それが天からあなたの上にくだって、ついにあなたを滅ぼすであろう。 + 主はあなたを敵の前で敗れさせられるであろう。あなたは一つの道から彼らを攻めて行くが、彼らの前で七つの道から逃げ去るであろう。そしてあなたは地のもろもろの国に恐るべき見せしめとなるであろう。 + またあなたの死体は空のもろもろの鳥と、地の獣とのえじきとなり、しかもそれを追い払う者はないであろう。 + 主はエジプトの腫物と潰瘍と壊血病とひぜんとをもってあなたを撃たれ、あなたはいやされることはないであろう。 + また主はあなたを撃って気を狂わせ、目を見えなくし、心を混乱させられるであろう。 + あなたは盲人が暗やみに手探りするように、真昼にも手探りするであろう。あなたは行く道で栄えることがなく、ただ常にしえたげられ、かすめられるだけで、あなたを救う者はないであろう。 + あなたは妻をめとっても、ほかの人が彼女と寝るであろう。家を建てても、その中に住まないであろう。ぶどう畑を作っても、その実を摘み取ることがないであろう。 + あなたの牛が目の前でほふられても、あなたはそれを食べることができず、あなたのろばが目の前で奪われても、返されないであろう。あなたの羊が敵のものになっても、それを救ってあなたに返す者はないであろう。 + あなたのむすこや娘は他国民にわたされる。あなたの目はそれを見、終日、彼らを慕って衰えるが、あなたは手を施すすべもないであろう。 + あなたの地の産物およびあなたの労して獲た物はみなあなたの知らない民が食べるであろう。あなたは、ただ常にしえたげられ、苦しめられるのみであろう。 + こうしてあなたは目に見る事柄によって、気が狂うにいたるであろう。 + 主はあなたのひざと、はぎとに悪い、いやし得ない腫物を生じさせて、足の裏から頭の頂にまで及ぼされるであろう。 + 主はあなたとあなたが立てた王とを携えて、あなたもあなたの先祖も知らない国に移されるであろう。あなたはそこで木や石で造ったほかの神々に仕えるであろう。 + あなたは主があなたを追いやられるもろもろの民のなかで驚きとなり、ことわざとなり、笑い草となるであろう。 + あなたが多くの種を畑に携えて出ても、その収穫は少ないであろう。いなごがそれを食いつくすからである。 + あなたがぶどう畑を作り、それにつちかっても、そのぶどう酒を飲むことができず、その実を集めることもないであろう。虫がそれを食べるからである。 + あなたの国にはあまねくオリブの木があるであろう。しかし、あなたはその油を身に塗ることができないであろう。その実がみな落ちてしまうからである。 + むすこや、娘があなたに生れても、あなたのものにならないであろう。彼らは捕えられて行くからである。 + あなたのもろもろの木、および地の産物は、いなごが取って食べるであろう。 + あなたのうちに寄留する他国人は、ますます高くなり、あなたの上に出て、あなたはますます低くなるであろう。 + 彼はあなたに貸し、あなたは彼に貸すことができない。彼はかしらとなり、あなたは尾となるであろう。 + このもろもろののろいが、あなたに臨み、あなたを追い、ついに追いついて、あなたを滅ぼすであろう。これはあなたの神、主の声に聞き従わず、あなたに命じられた戒めと定めとを、あなたが守らなかったからである。 + これらの事は長くあなたとあなたの子孫のうえにあって、しるしとなり、また不思議となるであろう。 + あなたがすべての物に豊かになり、あなたの神、主に心から喜び楽しんで仕えないので、 + あなたは飢え、かわき、裸になり、すべての物に乏しくなって、主があなたにつかわされる敵に仕えるであろう。敵は鉄のくびきをあなたのくびにかけ、ついにあなたを滅ぼすであろう。 + すなわち主は遠い所から、地のはてから一つの民を、はげたかが飛びかけるように、あなたに攻めきたらせられるであろう。これはあなたがその言葉を知らない民、 + 顔の恐ろしい民であって、彼らは老人の身を顧みず、幼い者をあわれまず、 + あなたの家畜が産むものや、地の産物を食って、あなたを滅ぼし、穀物をも、酒をも、油をも、牛の子をも、羊の子をも、あなたの所に残さず、ついにあなたを全く滅ぼすであろう。 + その民は全国ですべての町を攻め囲み、ついにあなたが頼みとする、堅固な高い石がきをことごとく撃ちくずし、あなたの神、主が賜わった国のうちのすべての町々を攻め囲むであろう。 + あなたは敵に囲まれ、激しく攻めなやまされて、ついにあなたの神、主が賜わったあなたの身から生れた者、むすこ、娘の肉を食べるに至るであろう。 + あなたがたのうちのやさしい、温和な男でさえも、自分の兄弟、自分のふところの妻、最後に残っている子供にも食物を惜しんで与えず、 + 自分が自分の子供を食べ、その肉を少しでも、この人々のだれにも与えようとはしないであろう。これは敵があなたのすべての町々を囲み、激しく攻め悩まして、何をもその人に残さないからである。 + またあなたがたのうちのやさしい、柔和な女、すなわち柔和で、やさしく、足の裏を土に付けようともしない者でも、自分のふところの夫や、むすこ、娘にもかくして、 + 自分の足の間からでる後産や、自分の産む子をひそかに食べるであろう。敵があなたの町々を囲み、激しく攻めなやまして、すべての物が欠乏するからである。 + もしあなたが、この書物にしるされているこの律法のすべての言葉を守り行わず、あなたの神、主というこの栄えある恐るべき名を恐れないならば、 + 主はあなたとその子孫の上に激しい災を下されるであろう。その災はきびしく、かつ久しく、その病気は重く、かつ久しいであろう。 + 主はまた、あなたが恐れた病気、すなわちエジプトのもろもろの病気を再び臨ませて、あなたの身につかせられるであろう。 + またこの律法の書にのせてないもろもろの病気と、もろもろの災とを、主はあなたが滅びるまで、あなたの上に下されるであろう。 + あなたがたは天の星のように多かったが、あなたの神、主の声に聞き従わなかったから、残る者が少なくなるであろう。 + さきに主があなたがたを良くあしらい、あなたがたを多くするのを喜ばれたように、主は今あなたがたを滅ぼし絶やすのを喜ばれるであろう。あなたがたは、はいって取る地から抜き去られるであろう。 + 主は地のこのはてから、かのはてまでのもろもろの民のうちにあなたがたを散らされるであろう。その所で、あなたもあなたの先祖たちも知らなかった木や石で造ったほかの神々にあなたは仕えるであろう。 + その国々の民のうちであなたは安きを得ず、また足の裏を休める所も得られないであろう。主はその所で、あなたの心をおののかせ、目を衰えさせ、精神を打ちしおれさせられるであろう。 + あなたの命は細い糸にかかっているようになり、夜昼恐れおののいて、その命もおぼつかなく思うであろう。 + あなたが心にいだく恐れと、目に見るものによって、朝には『ああ夕であればよいのに』と言い、夕には『ああ朝であればよいのに』と言うであろう。 + 主はあなたを舟に乗せ、かつてわたしがあなたに告げて、『あなたは再びこれを見ることはない』と言った道によって、あなたをエジプトへ連れもどされるであろう。あなたがたはそこで男女の奴隷として敵に売られるが、だれも買う者はないであろう」。 + + + これは主がモーセに命じて、モアブの地でイスラエルの人々と結ばせられた契約の言葉であって、ホレブで彼らと結ばれた契約のほかのものである。 + モーセはイスラエルのすべての人を呼び集めて言った、「あなたがたは主がエジプトの地で、パロと、そのすべての家来と、その全地とにせられたすべての事をまのあたり見た。 + すなわちその大きな試みと、しるしと、大きな不思議とをまのあたり見たのである。 + しかし、今日まで主はあなたがたの心に悟らせず、目に見させず、耳に聞かせられなかった。 + わたしは四十年の間、あなたがたを導いて荒野を通らせたが、あなたがたの身につけた着物は古びず、足のくつは古びなかった。 + あなたがたはまたパンも食べず、ぶどう酒も濃い酒も飲まなかった。こうしてあなたがたは、わたしがあなたがたの神、主であることを知るに至った。 + あなたがたがこの所にきたとき、ヘシボンの王シホンと、バシャンの王オグがわれわれを迎えて戦ったが、われわれは彼らを撃ち敗って、 + その地を取り、これをルベンびとと、ガドびとと、マナセびとの半ばとに、嗣業として与えた。 + それゆえ、あなたがたはこの契約の言葉を守って、それを行わなければならない。そうすればあなたがたのするすべての事は栄えるであろう。 + あなたがたは皆、きょう、あなたがたの神、主の前に立っている。すなわちあなたがたの部族のかしらたち、長老たち、つかさたちなど、イスラエルのすべての人々、 + あなたがたの小さい者たちも、妻たちも、宿営のうちに寄留している他国人も、あなたのために、たきぎを割る者も、水をくむ者も、みな主の前に立って、 + あなたの神、主が、きょう、あなたと結ばれるあなたの神、主の契約と誓いとに、はいろうとしている。 + これは主がさきにあなたに約束されたように、またあなたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓われたように、きょう、あなたを立てて自分の民とし、またみずからあなたの神となられるためである。 + わたしはただあなたがたとだけ、この契約と誓いとを結ぶのではない。 + きょう、ここで、われわれの神、主の前にわれわれと共に立っている者ならびに、きょう、ここにわれわれと共にいない者とも結ぶのである。 + われわれがどのようにエジプトの国に住んでいたか、どのように国々の民の中を通ってきたか、それはあなたがたが知っている。 + またあなたがたは木や石や銀や金で造った憎むべき物と偶像とが、彼らのうちにあるのを見た。 + それゆえ、あなたがたのうちに、きょう、その心にわれわれの神、主を離れてそれらの国民の神々に行って仕える男や女、氏族や部族があってはならない。またあなたがたのうちに、毒草や、にがよもぎを生ずる根があってはならない。 + そのような人はこの誓いの言葉を聞いても、心に自分を祝福して『心をかたくなにして歩んでもわたしには平安がある』と言うであろう。そうすれば潤った者も、かわいた者もひとしく滅びるであろう。 + 主はそのような人をゆるすことを好まれない。かえって主はその人に怒りとねたみを発し、この書物にしるされたすべてののろいを彼の上に加え、主はついにその人の名を天の下から消し去られるであろう。 + 主はイスラエルのすべての部族のうちからその人を区別して災をくだし、この律法の書にしるされた契約の中のもろもろののろいのようにされるであろう。 + 後の代の人、すなわちあなたがたののちに起るあなたがたの子孫および遠い国から来る外国人は、この地の災を見、主がこの地にくだされた病気を見て言うであろう。 + ――全地は硫黄となり、塩となり、焼け土となって、種もまかれず、実も結ばず、なんの草も生じなくなって、むかし主が怒りと憤りをもって滅ぼされたソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムの破滅のようである。―― + すなわち、もろもろの国民は言うであろう、『なぜ、主はこの地にこのようなことをされたのか。この激しい大いなる怒りは何ゆえか』。 + そのとき人々は言うであろう、『彼らはその先祖の神、主がエジプトの国から彼らを導き出して彼らと結ばれた契約をすて、 + 行って彼らの知らない、また授からない、ほかの神々に仕えて、それを拝んだからである。 + それゆえ主はこの地にむかって怒りを発し、この書物にしるされたもろもろののろいをこれにくだし、 + そして主は怒りと、はげしい怒りと大いなる憤りとをもって彼らをこの地から抜き取って、ほかの国に投げやられた。今日見るとおりである』。 + 隠れた事はわれわれの神、主に属するものである。しかし表わされたことは長くわれわれとわれわれの子孫に属し、われわれにこの律法のすべての言葉を行わせるのである。 + + + わたしがあなたがたの前に述べたこのもろもろの祝福と、のろいの事があなたに臨み、あなたがあなたの神、主に追いやられたもろもろの国民のなかでこの事を心に考えて、 + あなたもあなたの子供も共にあなたの神、主に立ち帰り、わたしが、きょう、命じるすべてのことにおいて、心をつくし、精神をつくして、主の声に聞き従うならば、 + あなたの神、主はあなたを再び栄えさせ、あなたをあわれみ、あなたの神、主はあなたを散らされた国々から再び集められるであろう。 + たといあなたが天のはてに追いやられても、あなたの神、主はそこからあなたを集め、そこからあなたを連れ帰られるであろう。 + あなたの神、主はあなたの先祖が所有した地にあなたを帰らせ、あなたはそれを所有するに至るであろう。主はまたあなたを栄えさせ、数を増して先祖たちよりも多くされるであろう。 + そしてあなたの神、主はあなたの心とあなたの子孫の心に割礼を施し、あなたをして、心をつくし、精神をつくしてあなたの神、主を愛させ、こうしてあなたに命を得させられるであろう。 + あなたの神、主はまた、あなたを迫害する敵と、あなたを憎む者とに、このもろもろののろいをこうむらせられるであろう。 + しかし、あなたは再び主の声に聞き従い、わたしが、きょう、あなたに命じるすべての戒めを守るであろう。 + そうすればあなたの神、主はあなたのするすべてのことと、あなたの身から生れる者と、家畜の産むものと、地に産する物を豊かに与えて、あなたを栄えさせられるであろう。すなわち主はあなたの先祖たちを喜ばれたように再びあなたを喜んで、あなたを栄えさせられるであろう。 + これはあなたが、あなたの神、主の声に聞きしたがい、この律法の書にしるされた戒めと定めとを守り、心をつくし、精神をつくしてあなたの神、主に帰するからである。 + わたしが、きょう、あなたに命じるこの戒めは、むずかしいものではなく、また遠いものでもない。 + これは天にあるのではないから、『だれがわれわれのために天に上り、それをわれわれのところへ持ってきて、われわれに聞かせ、行わせるであろうか』と言うに及ばない。 + またこれは海のかなたにあるのではないから、『だれがわれわれのために海を渡って行き、それをわれわれのところへ携えてきて、われわれに聞かせ、行わせるであろうか』と言うに及ばない。 + この言葉はあなたに、はなはだ近くあってあなたの口にあり、またあなたの心にあるから、あなたはこれを行うことができる。 + 見よ、わたしは、きょう、命とさいわい、および死と災をあなたの前に置いた。 + すなわちわたしは、きょう、あなたにあなたの神、主を愛し、その道に歩み、その戒めと定めと、おきてとを守ることを命じる。それに従うならば、あなたは生きながらえ、その数は多くなるであろう。またあなたの神、主はあなたが行って取る地であなたを祝福されるであろう。 + しかし、もしあなたが心をそむけて聞き従わず、誘われて他の神々を拝み、それに仕えるならば、 + わたしは、きょう、あなたがたに告げる。あなたがたは必ず滅びるであろう。あなたがたはヨルダンを渡り、はいって行って取る地でながく命を保つことができないであろう。 + わたしは、きょう、天と地を呼んであなたがたに対する証人とする。わたしは命と死および祝福とのろいをあなたの前に置いた。あなたは命を選ばなければならない。そうすればあなたとあなたの子孫は生きながらえることができるであろう。 + すなわちあなたの神、主を愛して、その声を聞き、主につき従わなければならない。そうすればあなたは命を得、かつ長く命を保つことができ、主が先祖アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われた地に住むことができるであろう」。 + + + そこでモーセは続いてこの言葉をイスラエルのすべての人に告げて、 + 彼らに言った、「わたしは、きょう、すでに百二十歳になり、もはや出入りすることはできない。また主はわたしに『おまえはこのヨルダンを渡ることはできない』と言われた。 + あなたの神、主はみずからあなたに先立って渡り、あなたの前から、これらの国々の民を滅ぼし去って、あなたにこれを獲させられるであろう。また主がかつて言われたように、ヨシュアはあなたを率いて渡るであろう。 + 主がさきにアモリびとの王シホンとオグおよびその地にされたように、彼らにもおこなって彼らを滅ぼされるであろう。 + 主は彼らをあなたがたに渡されるから、あなたがたはわたしが命じたすべての命令のとおりに彼らに行わなければならない。 + あなたがたは強く、かつ勇ましくなければならない。彼らを恐れ、おののいてはならない。あなたの神、主があなたと共に行かれるからである。主は決してあなたを見放さず、またあなたを見捨てられないであろう」。 + モーセはヨシュアを呼び、イスラエルのすべての人の目の前で彼に言った、「あなたはこの民と共に行き、主が彼らの先祖たちに与えると誓われた地に入るのであるから、あなたは強く、かつ勇ましくなければならない。あなたは彼らにそれを獲させるであろう。 + 主はみずからあなたに先立って行き、またあなたと共におり、あなたを見放さず、見捨てられないであろう。恐れてはならない、おののいてはならない」。 + モーセはこの律法を書いて、主の契約の箱をかつぐレビの子孫である祭司およびイスラエルのすべての長老たちに授けた。 + そしてモーセは彼らに命じて言った、「七年の終りごとに、すなわち、ゆるしの年の定めの時になり、かりいおの祭に、 + イスラエルのすべての人があなたの神、主の前に出るため、主の選ばれる場所に来るとき、あなたはイスラエルのすべての人の前でこの律法を読んで聞かせなければならない。 + すなわち男、女、子供およびあなたの町のうちに寄留している他国人など民を集め、彼らにこれを聞かせ、かつ学ばせなければならない。そうすれば彼らはあなたがたの神、主を恐れてこの律法の言葉を、ことごとく守り行うであろう。 + また彼らの子供たちでこれを知らない者も聞いて、あなたがたの神、主を恐れることを学ぶであろう。あなたがたがヨルダンを渡って行って取る地にながらえる日のあいだ常にそうしなければならない」。 + 主はまたモーセに言われた、「あなたの死ぬ日が近づいている。ヨシュアを召して共に会見の幕屋に立ちなさい。わたしは彼に務を命じるであろう」。モーセとヨシュアが行って会見の幕屋に立つと、 + 主は幕屋で雲の柱のうちに現れられた。その雲の柱は幕屋の入口のかたわらにとどまった。 + 主はモーセに言われた、「あなたはまもなく眠って先祖たちと一緒になるであろう。そのときこの民はたちあがり、はいって行く地の異なる神々を慕って姦淫を行い、わたしを捨て、わたしが彼らと結んだ契約を破るであろう。 + その日には、わたしは彼らにむかって怒りを発し、彼らを捨て、わたしの顔を彼らに隠すゆえに、彼らは滅ぼしつくされ、多くの災と悩みが彼らに臨むであろう。そこでその日、彼らは言うであろう、『これらの災がわれわれに臨むのは、われわれの神がわれわれのうちにおられないからではないか』。 + しかも彼らがほかの神々に帰して、もろもろの悪を行うゆえに、わたしはその日には必ずわたしの顔を隠すであろう。 + それであなたがたは今、この歌を書きしるし、イスラエルの人々に教えてその口に唱えさせ、この歌をイスラエルの人々に対するわたしのあかしとならせなさい。 + わたしが彼らの先祖たちに誓った、乳と蜜の流れる地に彼らを導き入れる時、彼らは食べて飽き、肥え太るに及んで、ほかの神々に帰し、それに仕えて、わたしを軽んじ、わたしの契約を破るであろう。 + こうして多くの災と悩みとが彼らに臨む時、この歌は彼らに対して、あかしとなるであろう。(それはこの歌が彼らの子孫の口にあって、彼らはそれを忘れないからである。)わたしが誓った地に彼らを導き入れる前、すでに彼らが思いはかっている事をわたしは知っているからである」。 + モーセはその日、この歌を書いてイスラエルの人々に教えた。 + 主はヌンの子ヨシュアに命じて言われた、「あなたはイスラエルの人々をわたしが彼らに誓った地に導き入れなければならない。それゆえ強くかつ勇ましくあれ。わたしはあなたと共にいるであろう」。 + モーセがこの律法の言葉を、ことごとく書物に書き終った時、 + モーセは主の契約の箱をかつぐレビびとに命じて言った、 + 「この律法の書をとって、あなたがたの神、主の契約の箱のかたわらに置き、その所であなたにむかってあかしをするものとしなさい。 + わたしはあなたのそむくことと、かたくななこととを知っている。きょう、わたしが生きながらえて、あなたがたと一緒にいる間ですら、あなたがたは主にそむいた。ましてわたしが死んだあとはどんなであろう。 + あなたがたの部族のすべての長老たちと、つかさたちをわたしのもとに集めなさい。わたしはこれらの言葉を彼らに語り聞かせ、天と地とを呼んで彼らにむかってあかしさせよう。 + わたしは知っている。わたしが死んだのち、あなたがたは必ず悪い事をして、わたしが命じた道を離れる。そして後の日に災があなたがたに臨むであろう。これは主の悪と見られることを行い、あなたがたのすることをもって主を怒らせるからである」。 + そしてモーセはイスラエルの全会衆に次の歌の言葉を、ことごとく語り聞かせた。 + + + 「天よ、耳を傾けよ、わたしは語る、地よ、わたしの口の言葉を聞け。 + わたしの教は雨のように降りそそぎ、わたしの言葉は露のようにしたたるであろう。若草の上に降る小雨のように、青草の上にくだる夕立ちのように。 + わたしは主の名をのべよう、われわれの神に栄光を帰せよ。 + 主は岩であって、そのみわざは全く、その道はみな正しい。主は真実なる神であって、偽りなく、義であって、正である。 + 彼らは主にむかって悪を行い、そのきずのゆえに、もはや主の子らではなく、よこしまで、曲ったやからである。 + 愚かな知恵のない民よ、あなたがたはこのようにして主に報いるのか。主はあなたを生み、あなたを造り、あなたを堅く立てられたあなたの父ではないか。 + いにしえの日を覚え、代々の年を思え。あなたの父に問え、彼はあなたに告げるであろう。長老たちに問え、彼らはあなたに語るであろう。 + いと高き者は人の子らを分け、諸国民にその嗣業を与えられたとき、イスラエルの子らの数に照して、もろもろの民の境を定められた。 + 主の分はその民であって、ヤコブはその定められた嗣業である。 + 主はこれを荒野の地で見いだし、獣のほえる荒れ地で会い、これを巡り囲んでいたわり、目のひとみのように守られた。 + わしがその巣のひなを呼び起し、その子の上に舞いかけり、その羽をひろげて彼らをのせ、そのつばさの上にこれを負うように、 + 主はただひとりで彼を導かれて、ほかの神々はあずからなかった。 + 主は彼に地の高き所を乗り通らせ、田畑の産物を食わせ、岩の中から蜜を吸わせ、堅い岩から油を吸わせ、 + 牛の凝乳、羊の乳、小羊と雄羊の脂肪、バシャンの牛と雄やぎ、小麦の良い物を食わせられた。またあなたはぶどうのしるのあわ立つ酒を飲んだ。 + しかるにエシュルンは肥え太って、足でけった。あなたは肥え太って、つややかになり、自分を造った神を捨て、救の岩を侮った。 + 彼らはほかの神々に仕えて、主のねたみを起し、憎むべきおこないをもって主の怒りをひき起した。 + 彼らは神でもない悪霊に犠牲をささげた。それは彼らがかつて知らなかった神々、近ごろ出た新しい神々、先祖たちの恐れることもしなかった者である。 + あなたは自分を生んだ岩を軽んじ、自分を造った神を忘れた。 + 主はこれを見、そのむすこ、娘を怒ってそれを捨てられた。 + そして言われた、『わたしはわたしの顔を彼らに隠そう。わたしは彼らの終りがどうなるかを見よう。彼らはそむき、もとるやから、真実のない子らである。 + 彼らは神でもない者をもって、わたしにねたみを起させ、偶像をもって、わたしを怒らせた。それゆえ、わたしは民ともいえない者をもって、彼らにねたみを起させ、愚かな民をもって、彼らを怒らせるであろう。 + わたしの怒りによって、火は燃えいで、陰府の深みにまで燃え行き、地とその産物とを焼きつくし、山々の基を燃やすであろう。 + わたしは彼らの上に災を積みかさね、わたしの矢を彼らにむかって射つくすであろう。 + 彼らは飢えて、やせ衰え、熱病と悪い疫病によって滅びるであろう。わたしは彼らを獣の歯にかからせ、地に這うものの毒にあたらせるであろう。 + 外にはつるぎ、内には恐れがあって、若き男も若き女も、乳のみ子も、しらがの人も滅びるであろう。 + わたしはまさに言おうとした、「彼らを遠く散らし、彼らの事を人々が記憶しないようにしよう」。 + しかし、わたしは敵が誇るのを恐れる。あだびとはまちがえて言うであろう、「われわれの手が勝ちをえたのだ。これはみな主がされたことではない」』。 + 彼らは思慮の欠けた民、そのうちには知識がない。 + もし、彼らに知恵があれば、これをさとり、その身の終りをわきまえたであろうに。 + 彼らの岩が彼らを売らず、主が彼らをわたされなかったならば、どうして、ひとりで千人を追い、ふたりで万人を敗ることができたであろう。 + 彼らの岩はわれらの岩に及ばない。われらの敵もこれを認めている。 + 彼らのぶどうの木は、ソドムのぶどうの木から出たもの、またゴモラの野から出たもの、そのぶどうは毒ぶどう、そのふさは苦い。 + そのぶどう酒はへびの毒のよう、まむしの恐ろしい毒のようである。 + これはわたしのもとにたくわえられ、わたしの倉に封じ込められているではないか。 + 彼らの足がすべるとき、わたしはあだを返し、報いをするであろう。彼らの災の日は近く、彼らの破滅は、すみやかに来るであろう。 + 主はついにその民をさばき、そのしもべらにあわれみを加えられるであろう。これは彼らの力がうせ去り、つながれた者もつながれない者も、もはやいなくなったのを、主が見られるからである。 + そのとき主は言われるであろう、『彼らの神々はどこにいるか、彼らの頼みとした岩はどこにあるか。 + 彼らの犠牲のあぶらを食い、灌祭の酒を飲んだ者はどこにいるか。立ちあがってあなたがたを助けさせよ、あなたがたを守らせよ。 + 今見よ、わたしこそは彼である。わたしのほかに神はない。わたしは殺し、また生かし、傷つけ、またいやす。わたしの手から救い出しうるものはない。 + わたしは天にむかい手をあげて誓う、「わたしは永遠に生きる。 + わたしがきらめくつるぎをとぎ、手にさばきを握るとき、わたしは敵にあだを返し、わたしを憎む者に報復するであろう。 + わたしの矢を血に酔わせ、わたしのつるぎに肉を食わせるであろう。殺された者と捕えられた者の血を飲ませ、敵の長髪の頭の肉を食わせるであろう」』。 + 国々の民よ、主の民のために喜び歌え。主はそのしもべの血のために報復し、その敵にあだを返し、その民の地の汚れを清められるからである」。 + モーセとヌンの子ヨシュアは共に行って、この歌の言葉を、ことごとく民に読み聞かせた。 + モーセはこの言葉を、ことごとくイスラエルのすべての人に告げ終って、 + 彼らに言った、「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命じるこのすべての言葉を心におさめ、子供たちにもこの律法のすべての言葉を守り行うことを命じなければならない。 + この言葉はあなたがたにとって、むなしい言葉ではない。これはあなたがたのいのちである。この言葉により、あなたがたはヨルダンを渡って行って取る地で、長く命を保つことができるであろう」。 + この日、主はモーセに言われた、 + 「あなたはエリコに対するモアブの地にあるアバリム山すなわちネボ山に登り、わたしがイスラエルの人々に与えて獲させるカナンの地を見渡たせ。 + あなたは登って行くその山で死に、あなたの民に連なるであろう。あなたの兄弟アロンがホル山で死んでその民に連なったようになるであろう。 + これはあなたがたがチンの荒野にあるメリバテ・カデシの水のほとりで、イスラエルの人々のうちでわたしにそむき、イスラエルの人々のうちでわたしを聖なるものとして敬わなかったからである。 + それであなたはわたしがイスラエルの人々に与える地を、目の前に見るであろう。しかし、その地に、はいることはできない」。 + + + 神の人モーセは死ぬ前にイスラエルの人々を祝福した。祝福の言葉は次のとおりである。 + 「主はシナイからこられ、セイルからわれわれにむかってのぼられ、パランの山から光を放たれ、ちよろずの聖者の中からこられた。その右の手には燃える火があった。 + まことに主はその民を愛される。すべて主に聖別されたものは、み手のうちにある。彼らはあなたの足もとに座して、教をうける。 + モーセはわれわれに律法を授けて、ヤコブの会衆の所有とさせた。 + 民のかしらたちが集まり、イスラエルの部族がみな集まった時、主はエシュルンのうちに王となられた」。 + 「ルベンは生きる、死にはしない。しかし、その人数は少なくなるであろう」。 + ユダについては、こう言った、「主よ、ユダの声を聞いて、彼をその民に導きかえしてください。み手をもって、彼のために戦ってください。彼を助けて、敵に当らせてください」。 + レビについては言った、「あなたのトンミムをレビに与えてください。ウリムをあなたに仕える人に与えてください。かつてあなたはマッサで彼を試み、メリバの水のほとりで彼と争われた。 + 彼はその父、その母について言った、『わたしは彼らを顧みない』。彼は自分の兄弟をも認めず、自分の子供をも顧みなかった。彼らはあなたの言葉にしたがい、あなたの契約を守ったからである。 + 彼らはあなたのおきてをヤコブに教え、あなたの律法をイスラエルに教え、薫香をあなたの前に供え、燔祭を祭壇の上にささげる。 + 主よ、彼の力を祝福し、彼の手のわざを喜び受けてください。彼に逆らう者と、彼を憎む者との腰を打ち砕いて、立ち上がることのできないようにしてください」。 + ベニヤミンについては言った、「主に愛される者、彼は安らかに主のそばにおり、主は終日、彼を守り、その肩の間にすまいを営まれるであろう」。 + ヨセフについては言った、「どうぞ主が彼の地を祝福されるように。上なる天の賜物と露、下に横たわる淵の賜物、 + 日によって産する尊い賜物、月によって生ずる尊い賜物、 + いにしえの山々の産する賜物、とこしえの丘の尊い賜物、 + 地とそれに満ちる尊い賜物、しばの中におられた者の恵みが、ヨセフの頭に臨み、その兄弟たちの君たる者の頭の頂にくだるように。 + 彼の牛のういごは威厳があり、その角は野牛の角のよう、これをもって国々の民をことごとく突き倒し、地のはてにまで及ぶ。このような者はエフライムに幾万とあり、またこのような者はマナセに幾千とある」。 + ゼブルンについては言った、「ゼブルンよ、あなたは外に出て楽しみを得よ。イッサカルよ、あなたは天幕にいて楽しみを得よ。 + 彼らは国々の民を山に招き、その所で正しい犠牲をささげるであろう。彼らは海の富を吸い、砂に隠れた宝を取るからである」。 + ガドについては言った、「ガドを大きくする者は、ほむべきかな。ガドは、ししのように伏し、腕や頭の頂をかき裂くであろう。 + 彼は初穂の地を自分のために選んだ。そこには将軍の分も取り置かれていた。彼は民のかしらたちと共にきて、イスラエルと共に主の正義と審判とを行った」。 + ダンについては言った、「ダンはししの子であって、バシャンからおどりでる」。 + ナフタリについては言った、「ナフタリよ、あなたは恵みに満たされ、主の祝福に満ちて、湖とその南の地を所有する」。 + アセルについては言った、「アセルは他の子らにまさって祝福される。彼はその兄弟たちに愛せられ、その足を油にひたすことができるように。 + あなたの貫の木は鉄と青銅、あなたの力はあなたの年と共に続くであろう」。 + 「エシュルンよ、神に並ぶ者はほかにない。あなたを助けるために天に乗り、威光をもって空を通られる。 + とこしえにいます神はあなたのすみかであり、下には永遠の腕がある。敵をあなたの前から追い払って、『滅ぼせ』と言われた。 + イスラエルは安らかに住み、ヤコブの泉は穀物とぶどう酒の地に、ひとりいるであろう。また天は露をくだすであろう。 + イスラエルよ、あなたはしあわせである。だれがあなたのように、主に救われた民があるであろうか。主はあなたを助ける盾、あなたの威光のつるぎ、あなたの敵はあなたにへつらい服し、あなたは彼らの高き所を踏み進むであろう」。 + + + モーセはモアブの平野からネボ山に登り、エリコの向かいのピスガの頂へ行った。そこで主は彼にギレアデの全地をダンまで示し、 + ナフタリの全部、エフライムとマナセの地およびユダの全地を西の海まで示し、 + ネゲブと低地、すなわち、しゅろの町エリコの谷をゾアルまで示された。 + そして主は彼に言われた、「わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに、これをあなたの子孫に与えると言って誓った地はこれである。わたしはこれをあなたの目に見せるが、あなたはそこへ渡って行くことはできない」。 + こうして主のしもべモーセは主の言葉のとおりにモアブの地で死んだ。 + 主は彼をベテペオルに対するモアブの地の谷に葬られたが、今日までその墓を知る人はない。 + モーセは死んだ時、百二十歳であったが、目はかすまず、気力は衰えていなかった。 + イスラエルの人々はモアブの平野で三十日の間モーセのために泣いた。そしてモーセのために泣き悲しむ日はついに終った。 + ヌンの子ヨシュアは知恵の霊に満ちた人であった。モーセが彼の上に手を置いたからである。イスラエルの人々は彼に聞き従い、主がモーセに命じられたとおりにおこなった。 + イスラエルには、こののちモーセのような預言者は起らなかった。モーセは主が顔を合わせて知られた者であった。 + 主はエジプトの地で彼をパロとそのすべての家来およびその全地につかわして、もろもろのしるしと不思議を行わせられた。 + モーセはイスラエルのすべての人の前で大いなる力をあらわし、大いなる恐るべき事をおこなった。 + +
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+ + 主のしもべモーセが死んだ後、主はモーセの従者、ヌンの子ヨシュアに言われた、 + 「わたしのしもべモーセは死んだ。それゆえ、今あなたと、このすべての民とは、共に立って、このヨルダンを渡り、わたしがイスラエルの人々に与える地に行きなさい。 + あなたがたが、足の裏で踏む所はみな、わたしがモーセに約束したように、あなたがたに与えるであろう。 + あなたがたの領域は、荒野からレバノンに及び、また大川ユフラテからヘテびとの全地にわたり、日の入る方の大海に達するであろう。 + あなたが生きながらえる日の間、あなたに当ることのできる者は、ひとりもないであろう。わたしは、モーセと共にいたように、あなたと共におるであろう。わたしはあなたを見放すことも、見捨ることもしない。 + 強く、また雄々しくあれ。あなたはこの民に、わたしが彼らに与えると、その先祖たちに誓った地を獲させなければならない。 + ただ強く、また雄々しくあって、わたしのしもべモーセがあなたに命じた律法をことごとく守って行い、これを離れて右にも左にも曲ってはならない。それはすべてあなたが行くところで、勝利を得るためである。 + この律法の書をあなたの口から離すことなく、昼も夜もそれを思い、そのうちにしるされていることを、ことごとく守って行わなければならない。そうするならば、あなたの道は栄え、あなたは勝利を得るであろう。 + わたしはあなたに命じたではないか。強く、また雄々しくあれ。あなたがどこへ行くにも、あなたの神、主が共におられるゆえ、恐れてはならない、おののいてはならない」。 + そこでヨシュアは民のつかさたちに命じて言った、 + 「宿営のなかを巡って民に命じて言いなさい、『糧食の備えをしなさい。三日のうちに、あなたがたはこのヨルダンを渡って、あなたがたの神、主があなたがたに与えて獲させようとされる地を獲るために、進み行かなければならないからである』」。 + ヨシュアはまたルベンびと、ガドびと、およびマナセの半部族に言った、 + 「主のしもべモーセがあなたがたに命じて、『あなたがたの神、主はあなたがたのために安息の場所を備え、この地をあなたがたに賜わるであろう』と言った言葉を記憶しなさい。 + あなたがたの妻子と家畜とは、モーセがあなたがたに与えたヨルダンのこちら側の地にとどまらなければならない。しかし、あなたがたのうちの勇士はみな武装して、兄弟たちの先に立って渡り、これを助けなければならない。 + そして主があなたがたに賜わったように、あなたがたの兄弟たちにも安息を賜わり、彼らもあなたがたの神、主が賜わる地を獲るようになるならば、あなたがたは、主のしもべモーセから与えられた、ヨルダンのこちら側、日の出の方にある、あなたがたの所有の地に帰って、それを保つことができるであろう」。 + 彼らはヨシュアに答えた、「あなたがわれわれに命じられたことをみな行います。あなたがつかわされる所へは、どこへでも行きます。 + われわれはすべてのことをモーセに聞き従ったように、あなたに聞き従います。ただ、どうぞ、あなたの神、主がモーセと共におられたように、あなたと共におられますように。 + だれであっても、あなたの命令にそむき、あなたの命じられる言葉に聞き従わないものがあれば、生かしてはおきません。ただ、強く、また雄々しくあってください」。 + + + ヌンの子ヨシュアは、シッテムから、ひそかにふたりの斥候をつかわして彼らに言った、「行って、その地、特にエリコを探りなさい」。彼らは行って、名をラハブという遊女の家にはいり、そこに泊まったが、 + エリコの王に、「イスラエルの人々のうちの数名の者が今夜この地を探るために、はいってきました」と言う者があったので、 + エリコの王は人をやってラハブに言った、「あなたの所にきて、あなたの家にはいった人々をここへ出しなさい。彼らはこの国のすべてを探るためにきたのです」。 + しかし、女はすでにそのふたりの人を入れて彼らを隠していた。そして彼女は言った、「確かにその人々はわたしの所にきました。しかし、わたしはその人々がどこからきたのか知りませんでしたが、 + たそがれ時、門の閉じるころに、その人々は出て行きました。どこへ行ったのかわたしは知りません。急いであとを追いなさい。追いつけるでしょう」。 + その実、彼女はすでに彼らを連れて屋根にのぼり、屋上に並べてあった亜麻の茎の中に彼らを隠していたのである。 + そこでその人々は彼らのあとを追ってヨルダンの道を進み、渡し場へ向かった。あとを追う者が出て行くとすぐ門は閉ざされた。 + ふたりの人がまだ寝ないうち、ラハブは屋上にのぼって彼らの所にきた。 + そして彼らに言った、「主がこの地をあなたがたに賜わったこと、わたしたちがあなたがたをひじょうに恐れていること、そしてこの地の民がみなあなたがたの前に震えおののいていることをわたしは知っています。 + あなたがたがエジプトから出てこられた時、主があなたがたの前で紅海の水を干されたこと、およびあなたがたが、ヨルダンの向こう側にいたアモリびとのふたりの王シホンとオグにされたこと、すなわちふたりを、全滅されたことを、わたしたちは聞いたからです。 + わたしたちはそれを聞くと、心は消え、あなたがたのゆえに人々は全く勇気を失ってしまいました。あなたがたの神、主は上の天にも、下の地にも、神でいらせられるからです。 + それで、どうか、わたしがあなたがたを親切に扱ったように、あなたがたも、わたしの父の家を親切に扱われることをいま主をさして誓い、確かなしるしをください。 + そしてわたしの父母、兄弟、姉妹およびすべて彼らに属するものを生きながらえさせ、わたしたちの命を救って、死を免れさせてください」。 + ふたりの人は彼女に言った、「もしあなたがたが、われわれのこのことを他に漏らさないならば、われわれは命にかけて、あなたがたを救います。また主がわれわれにこの地を賜わる時、あなたがたを親切に扱い、真実をつくしましょう」。 + そこでラハブは綱をもって彼らを窓からつりおろした。その家が町の城壁の上に建っていて、彼女はその城壁の上に住んでいたからである。 + ラハブは彼らに言った、「追手に会わないように、あなたがたは山へ行って、三日の間そこに身を隠し、追手の帰って行くのを待って、それから去って行きなさい」。 + ふたりの人は彼女に言った、「あなたがわれわれに誓わせたこの誓いについて、われわれは罪を犯しません。 + われわれがこの地に討ち入る時、わたしたちをつりおろした窓に、この赤い糸のひもを結びつけ、またあなたの父母、兄弟、およびあなたの父の家族をみなあなたの家に集めなさい。 + ひとりでも家の戸口から外へ出て、血を流されることがあれば、その責めはその人自身のこうべに帰すでしょう。われわれに罪はありません。しかしあなたの家の中にいる人に手をかけて血を流すことがあれば、その責めはわれわれのこうべに帰すでしょう。 + またあなたが、われわれのこのことを他に漏らすならば、あなたがわれわれに誓わせた誓いについては、われわれに罪はありません」。 + ラハブは言った、「あなたがたの仰せのとおりにいたしましょう」。こうして彼らを送り出したので、彼らは去った。そして彼女は赤いひもを窓に結んだ。 + 彼らは立ち去って山にはいり、追手が帰るのを待って、三日の間そこにとどまった。追手は彼らをあまねく道に捜したが、ついに見つけることができなかった。 + こうしてふたりの人はまた山を下り、川を渡って、ヌンの子ヨシュアのもとにきて、その身に起ったことをつぶさに述べた。 + そしてヨシュアに言った、「ほんとうに主はこの国をことごとくわれわれの手にお与えになりました。この国の住民はみなわれわれの前に震えおののいています」。 + + + ヨシュアは朝早く起き、イスラエルの人々すべてとともにシッテムを出立して、ヨルダンに行き、それを渡らずに、そこに宿った。 + 三日の後、つかさたちは宿営の中を行き巡り、 + 民に命じて言った、「レビびとである祭司たちが、あなたがたの神、主の契約の箱をかきあげるのを見るならば、あなたがたはその所を出立して、そのあとに従わなければならない。 + そうすれば、あなたがたは行くべき道を知ることができるであろう。あなたがたは前にこの道をとおったことがないからである。しかし、あなたがたと箱との間には、おおよそ二千キュビトの距離をおかなければならない。それに近づいてはならない」。 + ヨシュアはまた民に言った、「あなたがたは身を清めなさい。あす、主があなたがたのうちに不思議を行われるからである」。 + ヨシュアは祭司たちに言った、「契約の箱をかき、民に先立って渡りなさい」。そこで彼らは契約の箱をかき、民に先立って進んだ。 + 主はヨシュアに言われた、「きょうからわたしはすべてのイスラエルの前にあなたを尊い者とするであろう。こうしてわたしがモーセと共にいたように、あなたとともにおることを彼らに知らせるであろう。 + あなたは契約の箱をかく祭司たちに命じて言わなければならない、『あなたがたは、ヨルダンの水ぎわへ行くと、すぐ、ヨルダンの中に立ちとどまらなければならない』」。 + ヨシュアはイスラエルの人々に言った、「あなたがたはここに近づいて、あなたがたの神、主の言葉を聞きなさい」。 + そしてヨシュアは言った、「生ける神があなたがたのうちにおいでになり、あなたがたの前から、カナンびと、ヘテびと、ヒビびと、ペリジびと、ギルガシびと、アモリびと、エブスびとを、必ず追い払われることを、次のことによって、あなたがたは知るであろう。 + ごらんなさい。全地の主の契約の箱は、あなたがたに先立ってヨルダンを渡ろうとしている。 + それゆえ、今、イスラエルの部族のうちから、部族ごとにひとりずつ、合わせて十二人を選びなさい。 + 全地の主なる神の箱をかく祭司たちの足の裏が、ヨルダンの水の中に踏みとどまる時、ヨルダンの水は流れをせきとめられ、上から流れくだる水はとどまって、うず高くなるであろう」。 + こうして民はヨルダンを渡ろうとして天幕をいで立ち、祭司たちは契約の箱をかき、民に先立って行ったが、 + 箱をかく者がヨルダンにきて、箱をかく祭司たちの足が水ぎわにひたると同時に、――ヨルダンは刈入れの間中、岸一面にあふれるのであるが、―― + 上から流れくだる水はとどまって、はるか遠くのザレタンのかたわらにある町アダムのあたりで、うず高く立ち、アラバの海すなわち塩の海の方に流れくだる水は全くせきとめられたので、民はエリコに向かって渡った。 + すべてのイスラエルが、かわいた地を渡って行く間、主の契約の箱をかく祭司たちは、ヨルダンの中のかわいた地に立っていた。そしてついに民はみなヨルダンを渡り終った。 + + + 民が皆、ヨルダンを渡り終った時、主はヨシュアに言われた、 + 「民のうちから、部族ごとにひとりずつ、合わせて十二人を選び、 + 彼らに命じて言いなさい、『ヨルダンの中で祭司たちが足を踏みとどめたその所から、石十二を取り、それを携えて渡り、今夜あなたがたが宿る場所にすえなさい』」。 + そこでヨシュアはイスラエルの人々のうちから、部族ごとに、ひとりずつ、かねて定めておいた十二人の者を召し寄せ、 + ヨシュアは彼らに言った、「あなたがたの神、主の契約の箱の前に立って行き、ヨルダンの中に進み入り、イスラエルの人々の部族の数にしたがって、おのおの石一つを取り上げ、肩にのせて運びなさい。 + これはあなたがたのうちに、しるしとなるであろう。後の日になって、あなたがたの子どもたちが、『これらの石は、どうしたわけですか』と問うならば、 + その時あなたがたは彼らに、むかしヨルダンの水が、主の契約の箱の前で、せきとめられたこと、すなわちその箱がヨルダンを渡った時、ヨルダンの水が、せきとめられたことを告げなければならない。こうして、それらの石は永久にイスラエルの人々の記念となるであろう」。 + イスラエルの人々はヨシュアが命じたようにし、主がヨシュアに言われたように、イスラエルの人々の部族の数にしたがって、ヨルダンの中から十二の石を取り、それを携えて渡り、彼らの宿る場所へ行って、そこにすえた。 + ヨシュアはまたヨルダンの中で、契約の箱をかく祭司たちが、足を踏みとどめた所に、十二の石を立てたが、今日まで、そこに残っている。 + 箱をかく祭司たちは、主がヨシュアに命じて、民に告げさせられた事が、すべて行われてしまうまで、ヨルダンの中に立っていた。すべてモーセがヨシュアに命じたとおりである。民は急いで渡った。 + 民がみな渡り終った時、主の箱と祭司たちとは、民の見る前で渡った。 + ルベンの子孫とガドの子孫、およびマナセの部族の半ばは、モーセが彼らに命じていたように武装して、イスラエルの人々に先立って渡り、 + 戦いのために武装したおおよそ四万の者が戦うため、主の前に渡って、エリコの平野に着いた。 + この日、主はイスラエルのすべての人の前にヨシュアを尊い者とされたので、彼らはみなモーセを敬ったように、ヨシュアを一生のあいだ敬った。 + 主はヨシュアに言われた、 + 「あかしの箱をかく祭司たちに命じて、ヨルダンから上がってこさせなさい」。 + ヨシュアは祭司たちに命じて言った、「ヨルダンから上がってきなさい」。 + 主の契約の箱をかく祭司たちはヨルダンの中から上がってきたが、祭司たちの足の裏がかわいた地にあがると同時に、ヨルダンの水はもとの所に流れかえって、以前のように、その岸にことごとくあふれた。 + 民は正月の十日に、ヨルダンから上がってきて、エリコの東の境にあるギルガルに宿営した。 + そしてヨシュアは、人々がヨルダンから取ってきた十二の石をギルガルに立て、 + イスラエルの人々に言った、「後の日にあなたがたの子どもたちが、その父に『これらの石は、どうしたわけですか』とたずねたならば、 + 『むかしイスラエルがこのヨルダンを、かわいた地にされて渡ったのだ』と言って、その子どもたちに知らせなければならない。 + すなわちあなたがたの神、主はヨルダンの水を、あなたがたのために干しからして、あなたがたを渡らせてくださった。それはあたかも、あなたがたの神、主が、われわれのために紅海を干しからして、われわれを渡らせてくださったのと同じである。 + このようにされたのは、地のすべての民に、主の手に力のあることを知らせ、あなたがたの神、主をつねに恐れさせるためである」。 + + + ヨルダンの向こう側、すなわち西の方におるアモリびとの王たちと、海べにおるカナンびとの王たちとは皆、主がイスラエルの人々の前で、ヨルダンの水を干しからして、彼らを渡らせられたと聞いて、イスラエルの人々のゆえに、心は消え、彼らのうちに、もはや元気もなくなった。 + その時、主はヨシュアに言われた、「火打石の小刀を造り、重ねてまたイスラエルの人々に割礼を行いなさい」。 + そこでヨシュアは火打石の小刀を造り、陽皮の丘で、イスラエルの人々に割礼を行った。 + ヨシュアが人々に割礼を行った理由はこうである。エジプトから出てきた民のうちの、すべての男子、すなわち、いくさびとたちは皆、エジプトを出た後、途中、荒野で死んだが、 + その出てきた民は皆、割礼を受けた者であった。しかし、エジプトを出た後に、途中、荒野で生まれた民は、みな割礼を受けていなかった。 + イスラエルの人々は四十年の間、荒野を歩いていて、そのエジプトから出てきた民、すなわち、いくさびとたちは、みな死に絶えた。これは彼らが主の声に聞き従わなかったので、主は彼らの先祖たちに誓って、われわれに与えると仰せられた地、乳と蜜の流れる地を、彼らに見させないと誓われたからである。 + ヨシュアが割礼を行ったのは、この人々についで起されたその子どもたちであった。彼らは途中で割礼を受けていなかったので、無割礼の者であったからである。 + すべての民に割礼を行うことが終ったので、民は宿営のうちの自分の所にとどまって傷の直るのを待った。 + その時、主はヨシュアに言われた、「きょう、わたしはエジプトのはずかしめを、あなたがたからころがし去った」。それでその所の名は、今日までギルガルと呼ばれている。 + イスラエルの人々はギルガルに宿営していたが、その月の十四日の夕暮、エリコの平野で過越の祭を行った。 + そして過越の祭の翌日、その地の穀物、すなわち種入れぬパンおよびいり麦を、その日に食べたが、 + その地の穀物を食べた翌日から、マナの降ることはやみ、イスラエルの人々は、もはやマナを獲なかった。その年はカナンの地の産物を食べた。 + ヨシュアがエリコの近くにいたとき、目を上げて見ると、ひとりの人が抜き身のつるぎを手に持ち、こちらに向かって立っていたので、ヨシュアはその人のところへ行って言った、「あなたはわれわれを助けるのですか。それともわれわれの敵を助けるのですか」。 + 彼は言った、「いや、わたしは主の軍勢の将として今きたのだ」。ヨシュアは地にひれ伏し拝して言った、「わが主は何をしもべに告げようとされるのですか」。 + すると主の軍勢の将はヨシュアに言った、「あなたの足のくつを脱ぎなさい。あなたが立っている所は聖なる所である」。ヨシュアはそのようにした。 + + + さてエリコは、イスラエルの人々のゆえに、かたく閉ざして、出入りするものがなかった。 + 主はヨシュアに言われた、「見よ、わたしはエリコと、その王および大勇士を、あなたの手にわたしている。 + あなたがた、いくさびとはみな、町を巡って、町の周囲を一度回らなければならない。六日の間そのようにしなければならない。 + 七人の祭司たちは、おのおの雄羊の角のラッパを携えて、箱に先立たなければならない。そして七日目には七度町を巡り、祭司たちはラッパを吹き鳴らさなければならない。 + そして祭司たちが雄羊の角を長く吹き鳴らし、そのラッパの音が、あなたがたに聞える時、民はみな大声に呼ばわり、叫ばなければならない。そうすれば、町の周囲の石がきは、くずれ落ち、民はみなただちに進んで、攻め上ることができる」。 + ヌンの子ヨシュアは祭司たちを召して言った、「あなたがたは契約の箱をかき、七人の祭司たちは雄羊の角のラッパ七本を携えて、主の箱に先立たなければならない」。 + そして民に言った、「あなたがたは進んで行って町を巡りなさい。武装した者は主の箱に先立って進まなければならない」。 + ヨシュアが民に命じたように、七人の祭司たちは、雄羊の角のラッパ七本を携えて、主に先立って進み、ラッパを吹き鳴らした。主の契約の箱はそのあとに従った。 + 武装した者はラッパを吹き鳴らす祭司たちに先立って行き、しんがりは箱に従った。ラッパは絶え間なく鳴り響いた。 + しかし、ヨシュアは民に命じて言った、「あなたがたは呼ばわってはならない。あなたがたの声を聞えさせてはならない。また口から言葉を出してはならない。ただ、わたしが呼ばわれと命じる日に、あなたがたは呼ばわらなければならない」。 + こうして主の箱を持って、町を巡らせ、その周囲を一度回らせた。人々は宿営に帰り、夜を宿営で過ごした。 + 翌朝ヨシュアは早く起き、祭司たちは主の箱をかき、 + 七人の祭司たちは、雄羊の角のラッパ七本を携えて、主の箱に先立ち、絶えず、ラッパを吹き鳴らして進み、武装した者はこれに先立って行き、しんがりは主の箱に従った。ラッパは絶え間なく鳴り響いた。 + その次の日にも、町の周囲を一度巡って宿営に帰った。六日の間そのようにした。 + 七日目には、夜明けに、早く起き、同じようにして、町を七度めぐった。町を七度めぐったのはこの日だけであった。 + 七度目に、祭司たちがラッパを吹いた時、ヨシュアは民に言った、「呼ばわりなさい。主はこの町をあなたがたに賜わった。 + この町と、その中のすべてのものは、主への奉納物として滅ぼされなければならない。ただし遊女ラハブと、その家に共におる者はみな生かしておかなければならない。われわれが送った使者たちをかくまったからである。 + また、あなたがたは、奉納物に手を触れてはならない。奉納に当り、その奉納物をみずから取って、イスラエルの宿営を、滅ぼさるべきものとし、それを悩ますことのないためである。 + ただし、銀と金、青銅と鉄の器は、みな主に聖なる物であるから、主の倉に携え入れなければならない」。 + そこで民は呼ばわり、祭司たちはラッパを吹き鳴らした。民はラッパの音を聞くと同時に、みな大声をあげて呼ばわったので、石がきはくずれ落ちた。そこで民はみな、すぐに上って町にはいり、町を攻め取った。 + そして町にあるものは、男も、女も、若い者も、老いた者も、また牛、羊、ろばをも、ことごとくつるぎにかけて滅ぼした。 + その時ヨシュアは、この地を探ったふたりの人に言った、「あの遊女の家にはいって、その女と彼女に属するすべてのものを連れ出し、彼女に誓ったようにしなさい」。 + 斥候となったその若い人たちははいって、ラハブとその父母、兄弟、そのほか彼女に属するすべてのものを連れ出し、その親族をみな連れ出して、イスラエルの宿営の外に置いた。 + そして火で町とその中のすべてのものを焼いた。ただ、銀と金、青銅と鉄の器は、主の家の倉に納めた。 + しかし、遊女ラハブとその父の家の一族と彼女に属するすべてのものとは、ヨシュアが生かしておいたので、ラハブは今日までイスラエルのうちに住んでいる。これはヨシュアがエリコを探らせるためにつかわした使者たちをかくまったためである。 + ヨシュアは、その時、人々に誓いを立てて言った、「おおよそ立って、このエリコの町を再建する人は、主の前にのろわれるであろう。その礎をすえる人は長子を失い、その門を建てる人は末の子を失うであろう」。 + 主はヨシュアと共におられ、ヨシュアの名声は、あまねくその地に広がった。 + + + しかし、イスラエルの人々は奉納物について罪を犯した。すなわちユダの部族のうちの、ゼラの子ザブデの子であるカルミの子アカンが奉納物を取ったのである。それで主はイスラエルの人々にむかって怒りを発せられた。 + ヨシュアはエリコから人々をつかわし、ベテルの東、ベテアベンの近くにあるアイに行かせようとして、その人々に言った、「上って行って、かの地を探ってきなさい」。人々は上って行って、アイを探ったが、 + ヨシュアのもとに帰ってきて言った、「民をことごとく行かせるには及びません。ただ二、三千人を上らせて、アイを撃たせなさい。彼らは少ないのですから、民をことごとくあそこへやってほねおりをさせるには及びません」。 + そこで民のうち、おおよそ三千人がそこに上ったが、ついにアイの人々の前から逃げ出した。 + アイの人々は彼らのうち、おおよそ三十六人を殺し、更に彼らを門の前からシバリムまで追って、下り坂で彼らを殺したので、民の心は消えて水のようになった。 + そのためヨシュアは衣服を裂き、イスラエルの長老たちと共に、主の箱の前で、夕方まで地にひれ伏し、ちりをかぶった。 + ヨシュアは言った、「ああ、主なる神よ、あなたはなにゆえ、この民にヨルダンを渡らせ、われわれをアモリびとの手に渡して滅ぼさせられるのですか。われわれはヨルダンの向こうに、安んじてとどまればよかったのです。 + ああ、主よ。イスラエルがすでに敵に背をむけた今となって、わたしはまた何を言い得ましょう。 + カナンびと、およびこの地に住むすべてのものは、これを聞いて、われわれを攻めかこみ、われわれの名を地から断ち去ってしまうでしょう。それであなたは、あなたの大いなる名のために、何をしようとされるのですか」。 + 主はヨシュアに言われた、「立ちなさい。あなたはどうして、そのようにひれ伏しているのか。 + イスラエルは罪を犯し、わたしが彼らに命じておいた契約を破った。彼らは奉納物を取り、盗み、かつ偽って、それを自分の所有物のうちに入れた。 + それでイスラエルの人々は敵に当ることができず、敵に背をむけた。彼らも滅ぼされるべきものとなったからである。あなたがたが、その滅ぼされるべきものを、あなたがたのうちから滅ぼし去るのでなければ、わたしはもはやあなたがたとは共にいないであろう。 + 立って、民を清めて言いなさい、『あなたがたは身を清めて、あすのために備えなさい。イスラエルの神、主はこう仰せられる、「イスラエルよ、あなたがたのうちに、滅ぼされるべきものがある。その滅ぼされるべきものを、あなたがたのうちから除き去るまでは、敵に当ることはできないであろう」。 + それゆえ、あすの朝、あなたがたは部族ごとに進み出なければならない。そして主がくじを当てられる部族は、氏族ごとに進みいで、主がくじを当てられる氏族は、家族ごとに進みいで、主がくじを当てられる家族は、男ひとりびとり進み出なければならない。 + そしてその滅ぼされるべきものを持っていて、くじを当てられた者は、その持ち物全部と共に、火で焼かれなければならない。主の契約を破りイスラエルのうちに愚かなことを行ったからである』」。 + こうしてヨシュアは朝早く起き、イスラエルを部族ごとに進み出させたところ、ユダの部族がくじに当り、 + ユダのもろもろの氏族を進み出させたところ、ゼラびとの氏族が、くじに当った。ゼラびとの氏族を家族ごとに進み出させたところ、ザブデの家族が、くじに当った。 + ザブデの家族を男ひとりびとり進み出させたところ、アカンがくじに当った。アカンはユダの部族のうちの、ゼラの子、ザブデの子なるカルミの子である。 + その時ヨシュアはアカンに言った、「わが子よ、イスラエルの神、主に栄光を帰し、また主をさんびし、あなたのしたことを今わたしに告げなさい。わたしに隠してはならない」。 + アカンはヨシュアに答えた、「ほんとうにわたしはイスラエルの神、主に対して罪を犯しました。わたしがしたのはこうです。 + わたしはぶんどり物のうちに、シナルの美しい外套一枚と銀二百シケルと、目方五十シケルの金の延べ棒一本のあるのを見て、ほしくなり、それを取りました。わたしの天幕の中に、地に隠してあります。銀はその下にあります」。 + そこでヨシュアは使者たちをつかわした。使者たちが天幕に走っていって見ると、それは彼の天幕に隠してあって、銀もその下にあった。 + 彼らはそれを天幕の中から取り出して、ヨシュアとイスラエルのすべての人々の所に携えてきたので、それを主の前に置いた。 + ヨシュアはすべてのイスラエルびとと共に、ゼラの子アカンを捕え、かの銀と外套と金の延べ棒、および彼のむすこ、娘、牛、ろば、羊、天幕など、彼の持ち物をことごとく取って、アコルの谷へ引いていった。 + そしてヨシュアは言った、「なぜあなたはわれわれを悩ましたのか。主は、きょう、あなたを悩まされるであろう」。やがてすべてのイスラエルびとは石で彼を撃ち殺し、また彼の家族をも石で撃ち殺し、火をもって焼いた。 + そしてアカンの上に石塚を大きく積み上げたが、それは今日まで残っている。そして主は激しい怒りをやめられたが、このことによって、その所の名は今日までアコルの谷と呼ばれている。 + + + 主はヨシュアに言われた、「恐れてはならない、おののいてはならない。いくさびとを皆、率い、立って、アイに攻め上りなさい。わたしはアイの王とその民、その町、その地をあなたの手に授ける。 + あなたは、さきにエリコとその王にしたとおり、アイとその王とにしなければならない。ただし、ぶんどり物と家畜とは戦利品としてあなたがたのものとすることができるであろう。あなたはまず、町のうしろに伏兵を置きなさい」。 + ヨシュアは立って、すべてのいくさびとと共に、アイに攻め上ろうとして、まず大勇士三万人を選び、それを夜のうちにつかわした。 + ヨシュアは彼らに命じて言った、「あなたがたは町に向かって、町のうしろに伏せていなければならない。町を遠く離れないで、みな備えをしていなければならない。 + わたしとわたしに従う民とは皆共に、町に攻め寄せよう。そして彼らが前のようにわれわれにむかって出てくるとき、われわれは彼らの前から逃げるであろう。 + そうすれば彼らはわれわれを追って出てくるであろうから、われわれはついに彼らを町からおびき出すことができる。彼らは言うであろう、『この人々はまた前のように、われわれの前から逃げていく』。こうしてわれわれは彼らの前から逃げるであろう。 + その時、あなたがたは伏せている所から立ち上がって、町を取らなければならない。あなたがたの神、主がそれをあなたがたの手に与えられるからである。 + あなたがたが、町を取ったならば、町に火を放ち、主が命じられたようにしなければならない。わたしはこう、あなたがたに命じるのである」。 + そうしてヨシュアが彼らをつかわしたので、彼らはアイの西方、ベテルとアイの間の待ち伏せする場所に行って身を伏せた。ヨシュアはその夜、民の中に宿った。 + ヨシュアは明くる朝、早く起きて、民を集め、イスラエルの長老たちと共に、民に先立って、アイに上っていった。 + 彼と共にいたいくさびとたちもみな上っていって、町の前に近づき、アイの北に陣を取った。彼らとアイの間には、一つの谷があった。 + ヨシュアはおおよそ五千人をとって、町の西方、ベテルとアイの間に、伏せておいた。 + こうして民の主力を町の北におき、しんがりを町の西においた。ヨシュアはその夜、谷の中で宿った。 + アイの王はこれを見て、すべての民と共に、急いで、早く起き、アラバに行く下り坂に進み出て、イスラエルと戦った。しかし、王は町のうしろに、すきをうかがう伏兵のおることを知らなかった。 + ヨシュアはイスラエルのすべての人々と共に、彼らに打ち破られたふりをして、荒野の方向へ逃げだしたので、 + その町の民はみな呼ばわり集まって彼らのあとを追い、ヨシュアのあとを追って町からおびき出され、 + アイにもベテルにも残っているものはひとりもなく、みな出てイスラエルのあとを追い、町を開け放して、イスラエルのあとを追った。 + その時、主はヨシュアに言われた、「あなたの手にあるなげやりを、アイの方にさし伸べなさい。わたしはその町をあなたの手に与えるであろう」。そこでヨシュアが手にしていたなげやりを、アイの方にさし伸べると、 + 伏兵はたちまちその場所から立ち上がり、ヨシュアが手をのべると同時に、走って町に入り、それを取って、ただちに町に火をかけた。 + それでアイの人々が、うしろをふり返って見ると、町の焼ける煙が天に立ちのぼっていたので、こちらへもあちらへも逃げるすべがなかった。荒野へ逃げていった民も身をかえして、追ってきた者に迫った。 + ヨシュアとすべてのイスラエルびとは、伏兵が町を取り、町の焼ける煙が立ち上るのを見て、身をかえしてアイの人々を撃った。 + また町を取ったものは町を出て彼らに向かったので、彼らは、こちらとあちらとからイスラエルの中にはさまれた。こうしてイスラエルびとが彼らを撃ったので、生き残ったもの、逃げおおせたものは、ひとりもなかった。 + そしてアイの王を生けどりにして、ヨシュアのもとへ連れてきた。 + イスラエルびとは、荒野に追撃してきたアイの住民をことごとく野で殺し、つるぎをもってひとりも残さず撃ち倒してのち、皆アイに帰り、つるぎをもってその町を撃ち滅ぼした。 + その日アイの人々はことごとく倒れた。その数は男女あわせて一万二千人であった。 + ヨシュアはアイの住民をことごとく滅ぼしつくすまでは、なげやりをさし伸べた手を引っこめなかった。 + ただし、その町の家畜および、ぶんどり品はイスラエルびとが自分たちの戦利品として取った。主がヨシュアに命じられた言葉にしたがったのである。 + こうしてヨシュアはアイを焼いて、永久に荒塚としたが、それは今日まで荒れ地となっている。 + ヨシュアはまた、アイの王を夕方まで木に掛けてさらし、日の入るころ、命じて、その死体を木から取りおろし、町の門の入口に投げすて、その上に石の大塚を積み上げさせたが、それは今日まで残っている。 + そしてヨシュアはエバル山にイスラエルの神、主のために一つの祭壇を築いた。 + これは主のしもべモーセがイスラエルの人々に命じたことにもとづき、モーセの律法の書にしるされているように、鉄の道具を当てない自然のままの石の祭壇であって、人々はその上で、主に燔祭をささげ、酬恩祭を供えた。 + その所で、ヨシュアはまたモーセの書きしるした律法を、イスラエルの人々の前で、石に書き写した。 + こうしてすべてのイスラエルびとは、本国人も、寄留の他国人も、長老、つかさびと、さばきびとと共に、主の契約の箱をかくレビびとである祭司たちの前で、箱のこなたとかなたに分れて、半ばはゲリジム山の前に、半ばはエバル山の前に立った。これは主のしもべモーセがさきに命じたように、イスラエルの民を祝福するためであった。 + そして後、ヨシュアはすべての律法の書にしるされている所にしたがって、祝福と、のろいとに関する律法の言葉をことごとく読んだ。 + モーセが命じたすべての言葉のうち、ヨシュアがイスラエルの全会衆および女と子どもたち、ならびにイスラエルのうちに住む寄留の他国人の前で、読まなかったものは一つもなかった。 + + + さて、ヨルダンの西側の、山地、平地、およびレバノンまでの大海の沿岸に住むもろもろの王たち、すなわちヘテびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの王たちは、これを聞いて、 + 心を合わせ、相集まって、ヨシュアおよびイスラエルと戦おうとした。 + しかし、ギベオンの住民たちは、ヨシュアがエリコとアイにおこなったことを聞いて、 + 自分たちも策略をめぐらし、行って食料品を準備し、古びた袋と、古びて破れたのを繕ったぶどう酒の皮袋とを、ろばに負わせ、 + 繕った古ぐつを足にはき、古びた着物を身につけた。彼らの食料のパンは、みなかわいて、砕けていた。 + 彼らはギルガルの陣営のヨシュアの所にきて、彼とイスラエルの人々に言った、「われわれは遠い国からまいりました。それで今われわれと契約を結んでください」。 + しかし、イスラエルの人々はそのヒビびとたちに言った、「あなたがたはわれわれのうちに住んでいるのかも知れないから、われわれはどうしてあなたがたと契約が結べましょう」。 + 彼らはヨシュアに言った、「われわれはあなたのしもべです」。ヨシュアは彼らに言った、「あなたがたはだれですか。どこからきたのですか」。 + 彼らはヨシュアに言った、「しもべどもはあなたの神、主の名のゆえに、ひじょうに遠い国からまいりました。われわれは主の名声、および主がエジプトで行われたすべての事を聞き、 + また主がヨルダンの向こう側にいたアモリびとのふたりの王、すなわちヘシボンの王シホン、およびアシタロテにおったバシャンの王オグに行われたすべてのことを聞いたからです。 + それで、われわれの長老たち、および国の住民はみなわれわれに言いました、『おまえたちは旅路の食料を手に携えていって、彼らに会って言いなさい、「われわれはあなたがたのしもべです。それで今われわれと契約を結んでください」』。 + ここにあるこのパンは、あなたがたの所に来るため、われわれが出立する日に、おのおの家から、まだあたたかなのを旅の食料として準備したのですが、今はもうかわいて砕けています。 + またぶどう酒を満たしたこれらの皮袋も、新しかったのですが、破れました。われわれのこの着物も、くつも、旅路がひじょうに長かったので、古びてしまいました」。 + そこでイスラエルの人々は彼らの食料品を共に食べ、主のさしずを求めようとはしなかった。 + そしてヨシュアは彼らと和を講じ、契約を結んで、彼らを生かしておいた。会衆の長たちは彼らに誓いを立てた。 + 契約を結んで三日の後に、彼らはその人々が近くの人々で、自分たちのうちに住んでいるということを聞いた。 + イスラエルの人々は進んで、三日目にその町々に着いた。その町々とは、ギベオン、ケピラ、ベエロテおよびキリアテ・ヤリムであった。 + ところで会衆の長たちが、すでにイスラエルの神、主をさして彼らに誓いを立てていたので、イスラエルの人々は彼らを殺さなかった。そこで会衆はみな、長たちにむかってつぶやいた。 + しかし、長たちは皆、全会衆に言った、「われわれはイスラエルの神、主をさして彼らに誓った。それゆえ今、彼らに触れてはならない。 + われわれは、こうして彼らを生かしておこう。そうすれば、われわれが彼らに立てた誓いのゆえに、怒りがわれわれに臨むことはないであろう」。 + 長たちはまた人々に「彼らを生かしておこう」と言ったので、彼らはついに、全会衆のために、たきぎを切り、水をくむものとなった。長たちが彼らに言ったとおりである。 + ヨシュアは彼らを呼び寄せて言った、「あなたがたは、われわれのうちに住みながら、なぜ『われわれはあなたがたからは遠く離れている』と言って、われわれをだましたのか。 + それであなたがたは今のろわれ、奴隷となってわたしの神の家のために、たきぎを切り、水をくむものが、絶えずあなたがたのうちから出るであろう」。 + 彼らはヨシュアに答えて言った、「あなたの神、主がそのしもべモーセに、この地をことごとくあなたがたに与え、この地に住む民をことごとくあなたがたの前から滅ぼし去るようにと、お命じになったことを、しもべどもは明らかに伝え聞きましたので、あなたがたのゆえに、命が危いと、われわれは非常に恐れて、このことをしたのです。 + われわれは、今、あなたの手のうちにあります。われわれにあなたがして良いと思い、正しいと思うことをしてください」。 + そこでヨシュアは、彼らにそのようにし、彼らをイスラエルの人々の手から救って殺させなかった。 + しかし、ヨシュアは、その日、彼らを、会衆のため、また主の祭壇のため、主が選ばれる場所で、たきぎを切り、水をくむ者とした。これは今日までつづいている。 + + + エルサレムの王アドニゼデクは、ヨシュアがアイを攻め取って、それを全く滅ぼし、さきにエリコとその王とにしたように、アイとその王にもしたこと、またギベオンの住民が、イスラエルと和を講じて、そのうちにおることを聞き、 + 大いに恐れた。それは、ギベオンが大きな町であって、王の都にもひとしいものであり、またアイより大きくて、そのうちの人々が、すべて強かったからである。 + それでエルサレムの王アドニゼデクは、ヘブロンの王ホハム、ヤルムテの王ピラム、ラキシの王ヤピア、およびエグロンの王デビルに人をつかわして言った、 + 「わたしの所に上ってきて、わたしを助けてください。われわれはギベオンを撃ちましょう。ギベオンはヨシュアおよびイスラエルの人々と和を講じたからです」。 + アモリびとの五人の王、すなわちエルサレムの王、ヘブロンの王、ヤルムテの王、ラキシの王、およびエグロンの王は兵を集め、そのすべての軍勢を率いて上ってきて、ギベオンに向かって陣を取り、それを攻めて戦った。 + ギベオンの人々は、ギルガルの陣営に人をつかわし、ヨシュアに言った、「あなたの手を引かないで、しもべどもを助けてください。早く、われわれの所に上ってきて、われわれを救い、助けてください。山地に住むアモリびとの王たちがみな集まって、われわれを攻めるからです」。 + そこでヨシュアはすべてのいくさびとと、すべての大勇士を率いて、ギルガルから上って行った。 + その時、主はヨシュアに言われた、「彼らを恐れてはならない。わたしが彼らをあなたの手にわたしたからである。彼らのうちには、あなたに当ることのできるものは、ひとりもないであろう」。 + ヨシュアは、ギルガルから、よもすがら進みのぼって、にわかに彼らに攻めよせたところ、 + 主は彼らを、イスラエルの前に、恐れあわてさせられたので、イスラエルはギベオンで彼らをおびただしく撃ち殺し、ベテホロンの上り坂をとおって逃げる彼らを、アゼカとマッケダまで追撃した。 + 彼らがイスラエルの前から逃げ走って、ベテホロンの下り坂をおりていた時、主は天から彼らの上に大石を降らし、アゼカにいたるまでもそうされたので、多くの人々が死んだ。イスラエルの人々がつるぎをもって殺したものよりも、雹に打たれて死んだもののほうが多かった。 + 主がアモリびとをイスラエルの人々にわたされた日に、ヨシュアはイスラエルの人々の前で主にむかって言った、「日よ、ギベオンの上にとどまれ、月よ、アヤロンの谷にやすらえ」。 + 民がその敵を撃ち破るまで、日はとどまり、月は動かなかった。これはヤシャルの書にしるされているではないか。日が天の中空にとどまって、急いで没しなかったこと、おおよそ一日であった。 + これより先にも、あとにも、主がこのように人の言葉を聞きいれられた日は一日もなかった。主がイスラエルのために戦われたからである。 + こうしてヨシュアはイスラエルのすべての人と共にギルガルの陣営に帰った。 + かの五人の王たちは逃げて行って、マッケダのほら穴に隠れたが、 + 五人の王たちがマッケダのほら穴にかくれているのが見つかったと、ヨシュアに告げる者があったので、 + ヨシュアは言った、「ほら穴の口に大石をころがし、そのそばに人を置いて、守らせなさい。 + ただし、あなたがたは、そこにとどまらないで、敵のあとを追い、そのしんがりを撃ち、彼らをその町にはいらせてはならない。あなたがたの神、主が彼らをあなたがたの手に渡されたからである」。 + ヨシュアとイスラエルの人々は、大いに彼らを撃ち殺し、ついに彼らを滅ぼしつくしたが、彼らのうちのがれて生き残った者どもは、堅固な町々に逃げこんだので、 + 民はみな安らかにマッケダの陣営のヨシュアのもとに帰ってきたが、イスラエルの人々にむかって舌を鳴らす者はひとりもなかった。 + その時ヨシュアは言った、「ほら穴の口を開いて、ほら穴から、かの五人の王たちを、わたしのもとにひき出しなさい」。 + やがて、そのようにして、かの五人の王たち、すなわち、エルサレムの王、ヘブロンの王、ヤルムテの王、ラキシの王、およびエグロンの王を、ほら穴から彼のもとにひき出した。 + この王たちをヨシュアのもとにひき出した時、ヨシュアはイスラエルのすべての人々を呼び寄せ、自分と共に行ったいくさびとの長たちに言った、「近寄って、この王たちのくびに足をかけなさい」。そこで近寄って、その王たちのくびに足をかけたので、 + ヨシュアは彼らに言った、「恐れおののいてはならない。強くまた雄々しくあれ。あなたがたが攻めて戦うすべての敵には、主がこのようにされるのである」。 + そして後ヨシュアは彼らを撃って死なせ、五本の木にかけて、夕暮れまで木の上にさらして置いたが、 + 日の入るころになって、ヨシュアが命じたので、これを木からおろし、彼らが隠れていたほら穴に投げ入れ、ほら穴の口に大石を置いた。これは今日まで残っている。 + その日ヨシュアはマッケダを取り、つるぎをもって、それと、その王とを撃ち、その中のすべての人を、ことごとく滅ぼして、ひとりも残さず、エリコの王にしたように、マッケダの王にもした。 + こうしてヨシュアはイスラエルのすべての人を率いて、マッケダからリブナに進み、リブナを攻めて戦った。 + 主が、それと、その王をも、イスラエルの手に渡されたので、つるぎをもって、それと、その中のすべての人を撃ち滅ぼして、ひとりもその中に残さず、エリコの王にしたように、その王にもした。 + ヨシュアはまたイスラエルのすべての人を率いて、リブナからラキシに進み、これに向かって陣をしき、攻め戦った。 + 主がラキシをイスラエルの手に渡されたので、ふつか目にこれを取り、つるぎをもって、それと、その中のすべての人を撃ち滅ぼした。すべてリブナにしたとおりであった。 + その時、ゲゼルの王ホラムが、ラキシを助けるために上ってきたので、ヨシュアは彼と、その民とを撃ち滅ぼして、ついにひとりも残さなかった。 + ヨシュアはまたイスラエルのすべての人を率いて、ラキシからエグロンに進み、これに向かって陣をしき、攻め戦った。 + その日これを取り、つるぎをもって、これを撃ち、その中のすべての人を、ことごとくその日に滅ぼした。すべてラキシにしたとおりであった。 + ヨシュアはまたイスラエルのすべての人を率いて、エグロンからヘブロンに進み上り、これを攻めて戦い、 + それを取って、それと、その王、およびそのすべての町々と、その中のすべての人を、つるぎをもって撃ち滅ぼし、ひとりも残さなかった。すべてエグロンにしたとおりであった。すなわち、それとその中のすべての人を、ことごとく滅ぼした。 + またヨシュアはイスラエルのすべての人を率いて、デビルへひきかえし、これを攻めて戦い、 + それと、その王、およびそのすべての町々を取り、つるぎをもってそれを撃ち、その中のすべての人を、ことごとく滅ぼし、ひとりも残さなかった。彼がデビルと、その王にしたことは、ヘブロンにしたとおりであり、またリブナと、その王にしたとおりであった。 + こうしてヨシュアはその地の全部、すなわち、山地、ネゲブ、平地、および山腹の地と、そのすべての王たちを撃ち滅ぼして、ひとりも残さず、すべて息のあるものは、ことごとく滅ぼした。イスラエルの神、主が命じられたとおりであった。 + ヨシュアはカデシ・バルネアからガザまでの国々、およびゴセンの全地を撃ち滅ぼして、ギベオンにまで及んだ。 + イスラエルの神、主がイスラエルのために戦われたので、ヨシュアはこれらすべての王たちと、その地をいちどきに取った。 + そしてヨシュアはイスラエルのすべての人を率いて、ギルガルの陣営に帰った。 + + + ハゾルの王ヤビンは、これを聞いて、マドンの王ヨバブ、シムロンの王、およびアクサフの王、 + また北の山地、キンネロテの南のアラバ、平地、西の方のドルの高地におる王たち、 + すなわち、東西のカナンびと、アモリびと、ヘテびと、ペリジびと、山地のエブスびと、ミヅパの地にあるヘルモンのふもとのヒビびとに使者をつかわした。 + そして彼らは、そのすべての軍勢を率いて出てきた。その大軍は浜べの砂のように数多く、馬と戦車も、ひじょうに多かった。 + これらの王たちはみな軍を集め、進んできて、共にメロムの水のほとりに陣をしき、イスラエルと戦おうとした。 + その時、主はヨシュアに言われた、「彼らのゆえに恐れてはならない。あすの今ごろ、わたしは彼らを皆イスラエルに渡して、ことごとく殺させるであろう。あなたは彼らの馬の足の筋を切り、戦車を火で焼かなければならない」。 + そこでヨシュアは、すべてのいくさびとを率いて、にわかにメロムの水のほとりにおし寄せ、彼らを襲った。 + 主は彼らをイスラエルの手に渡されたので、これを撃ち破り、大シドンおよびミスレポテ・マイムまで、これを追撃し、東の方では、ミヅパの谷まで彼らを追い、ついにひとりも残さず撃ちとった。 + ヨシュアは主が命じられたとおりに彼らに行い、彼らの馬の足の筋を切り、戦車を火で焼いた。 + その時、ヨシュアはひきかえして、ハゾルを取り、つるぎをもって、その王を撃った。ハゾルは昔、これらすべての国々の盟主であったからである。 + 彼らはつるぎをもって、その中のすべての人を撃ち、ことごとくそれを滅ぼし、息のあるものは、ひとりも残さなかった。そして火をもってハゾルを焼いた。 + ヨシュアはこれらの王たちのすべての町々、およびその諸王を取り、つるぎをもって、これを撃ち、ことごとく滅ぼした。主のしもべモーセが命じたとおりであった。 + ただし、丘の上に立っている町々をイスラエルは焼かなかった。ヨシュアはただハゾルだけを焼いた。 + これらの町のすべてのぶんどり物と家畜とは、イスラエルの人々が戦利品として取ったが、人はみなつるぎをもって、滅ぼし尽し、息のあるものは、ひとりも残さなかった。 + 主がそのしもべモーセに命じられたように、モーセはヨシュアに命じたが、ヨシュアはそのとおりにおこなった。すべて主がモーセに命じられたことで、ヨシュアが行わなかったことは一つもなかった。 + こうしてヨシュアはその全地、すなわち、山地、ネゲブの全地、ゴセンの全地、平地、アラバならびにイスラエルの山地と平地を取り、 + セイルへ上って行く道のハラク山から、ヘルモン山のふもとのレバノンの谷にあるバアルガデまでを獲た。そしてそれらの王たちを、ことごとく捕えて、撃ち殺した。 + ヨシュアはこれらすべての王たちと、長いあいだ戦った。 + ギベオンの住民ヒビびとのほかには、イスラエルの人々と和を講じた町は一つもなかった。町々はみな戦争をして、攻め取ったものであった。 + 彼らが心をかたくなにして、イスラエルに攻めよせたのは、もともと主がそうさせられたので、彼らがのろわれた者となり、あわれみを受けず、ことごとく滅ぼされるためであった。主がモーセに命じられたとおりである。 + その時、ヨシュアはまた行って、山地、ヘブロン、デビル、アナブ、ユダのすべての山地、イスラエルのすべての山地から、アナクびとを断ち、彼らの町々をも共に滅ぼした。 + それでイスラエルの人々の地に、アナクびとは、ひとりもいなくなった。ただガサ、ガテ、アシドドには、少し残っているだけであった。 + こうしてヨシュアはその地を、ことごとく取った。すべて主がモーセに告げられたとおりである。そしてヨシュアはイスラエルの部族にそれぞれの分を与えて、嗣業とさせた。こうしてその地に戦争はやんだ。 + + + さてヨルダンの向こう側、日の出の方で、アルノンの谷からヘルモン山まで、および東アラバの全土のうちで、イスラエルの人々が撃ち滅ぼして地を取った国の王たちは、次のとおりである。 + まず、アモリびとの王シホン。彼はヘシボンに住み、その領地は、アルノンの谷のほとりにあるアロエル、および谷の中の町から、ギレアデの半ばを占めて、アンモンびととの境であるヤボク川に達し、 + 東の方ではアラバをキンネレテの湖まで占め、またアラバの海すなわち塩の海の東におよび、ベテエシモテの道を経て、南はピスガの山のふもとに達した。 + 次にレパイムの生き残りのひとりであったバシャンの王オグ。彼はアシタロテとエデレイとに住み、 + ヘルモン山、サレカ、およびバシャンの全土を領したので、ゲシュルびと、およびマアカびとと境を接し、またギレアデの半ばを領したので、ヘシボンの王シホンと境を接していた。 + 主のしもべモーセと、イスラエルの人々とが、彼らを撃ち滅ぼし、そして主のしもべモーセは、これらの地を、ルベンびと、ガドびと、およびマナセの半部族に与えて所有とさせた。 + ヨルダンのこちら側、西の方にあって、レバノンの谷にあるバアルガデから、セイルへ上って行く道のハラク山までの間で、ヨシュアと、イスラエルの人々とが、撃ち滅ぼした国の王たちは、次のとおりである。ヨシュアは彼らの地をイスラエルの部族に、それぞれの分を与えて嗣業とさせた。 + これは、山地、平地、アラバ、山腹、荒野、およびネゲブであって、ヘテびと、アモリびと、カナンびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの所領であった。 + エリコの王ひとり。ベテルのほとりのアイの王ひとり。 + エルサレムの王ひとり。ヘブロンの王ひとり。 + ヤルムテの王ひとり。ラキシの王ひとり。 + エグロンの王ひとり。ゲゼルの王ひとり。 + デビルの王ひとり。ゲデルの王ひとり。 + ホルマの王ひとり。アラデの王ひとり。 + リブナの王ひとり。アドラムの王ひとり。 + マッケダの王ひとり。ベテルの王ひとり。 + タップアの王ひとり。ヘペルの王ひとり。 + アペクの王ひとり。シャロンの王ひとり。 + マドンの王ひとり。ハゾルの王ひとり。 + シムロン・メロンの王ひとり。アクサフの王ひとり。 + タアナクの王ひとり。メギドの王ひとり。 + ケデシの王ひとり。カルメルのヨクネアムの王ひとり。 + ドルの高地におるドルの王ひとり。ガリラヤのゴイイムの王ひとり。 + テルザの王ひとり。合わせて三十一王である。 + + + さてヨシュアは年が進んで老いたが、主は彼に言われた、「あなたは年が進んで老いたが、取るべき地は、なお多く残っている。 + その残っている地は、次のとおりである。ペリシテびとの全地域、ゲシュルびとの全土、 + エジプトの東のシホルから北にのびて、カナンびとに属するといわれるエクロンの境までの地、ペリシテびとの五人の君たちの地、すなわち、ガザ、アシドド、アシケロン、ガテ、およびエクロン。 + 南のアビびとの地、カナンびとの全地、シドンびとに属するメアラからアモリびとの境にあるアペクまでの部分。 + またヘルモン山のふもとのバアルガデからハマテの入口に至るゲバルびとの地、およびレバノンの東の全土。 + レバノンからミスレポテ・マイムまでの山地のすべての民、すなわちシドンびとの全土。わたしはみずから彼らをイスラエルの人々の前から追い払うであろう。わたしが命じたように、あなたはその地をイスラエルに分け与えて、嗣業とさせなければならない。 + すなわち、その地を九つの部族と、マナセの半部族とに分け与えて、嗣業とさせなければならない」。 + マナセの他の半部族と共に、ルベンびとと、ガドびととは、ヨルダンの向こう側、東の方で、その嗣業をモーセから受けた。主のしもべモーセが、彼らに与えたのは、 + アルノンの谷のほとりにあるアロエル、および谷の中にある町から、デボンとメデバの間にある高原のすべての地。 + ヘシボンで世を治めた、アモリびとの王シホンのすべての町々を含めて、アンモンの人々の境までの地。 + ギレアデと、ゲシュルびと、ならびにマアカびとの領地、ヘルモン山の全土、サルカまでのバシャン全体。 + アシタロテとエデレイで世を治めたバシャンの王オグの全国。オグはレパイムの生き残りであった。モーセはこれらを撃って、追い払った。 + ただし、イスラエルの人々は、ゲシュルびとと、マアカびとを追い払わなかった。ゲシュルびとと、マアカびとは、今日までイスラエルのうちに住んでいる。 + ただレビの部族には、ヨシュアはなんの嗣業をも与えなかった。イスラエルの神、主の火祭が彼らの嗣業であるからである。主がヨシュアに言われたとおりである。 + モーセはルベンびとの部族に、その家族にしたがって嗣業を与えたが、 + その領域はアルノンの谷のほとりにあるアロエル、および谷の中にある町からメデバのほとりのすべての高原、 + ヘシボンおよびその高原のすべての町々、デボン、バモテ・バアル、ベテ・バアル・メオン、 + ヤハヅ、ケデモテ、メパアテ、 + キリアタイム、シブマ、谷の中の山にあるゼレテ・シャハル、 + ベテペオル、ピスガの山腹、ベテエシモテ、 + すなわち高原のすべての町々と、ヘシボンで世を治めたアモリびとの王シホンの全国に及んだ。モーセはシホンを、ミデアンのつかさたちエビ、レケム、ツル、ホルおよびレバと共に撃ち殺した。これらはみなシホンの諸侯であって、その地に住んでいた者である。 + イスラエルの人々はまたベオルの子、占い師バラムをもつるぎにかけて、そのほかに殺した者どもと共に殺した。 + ルベンびとの領域はヨルダンを境とした。これはルベンびとが、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と村々とを含む。 + モーセはまたガドの部族、ガドの子孫にも、その家族にしたがって、嗣業を与えたが、 + その領域はヤゼル、ギレアデのすべての町々、アンモンびとの地の半ばで、ラバの東のアロエルまでの地。 + ヘシボンからラマテ・ミゾパまでの地、およびベトニム、マハナイムからデビルの境までの地。 + 谷の中ではベテハラム、ベテニムラ、スコテ、およびザポンなど、ヘシボンの王シホンの国の残りの部分。ヨルダンを境として、ヨルダンの東側、キンネレテの湖の南の端までの地。 + これはガドびとが、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と村々とを含む。 + モーセはまたマナセの半部族にも、嗣業を与えたが、それはマナセの半部族が、その家族にしたがって与えられたものである。 + その領域はマハナイムからバシャンの全土に及び、バシャンの王オグの全国、バシャンにあるヤイルのすべての町々、すなわちその六十の町。 + またギレアデの半ば、バシャンのオグの国の町であるアシタロテとエデレイ。これらはマナセの子マキルの子孫に与えられた。すなわちマキルの子孫の半ばが、その家族にしたがって、それを獲た。 + これらはヨルダンの向こう側、エリコの東のモアブの平野で、モーセが分け与えた嗣業である。 + ただし、レビの部族には、モーセはなんの嗣業をも与えなかった。イスラエルの神、主がその嗣業だからである。主がモーセに言われたとおりである。 + + + イスラエルの人々が、カナンの地で受けた嗣業の地は、次のとおりである。すなわち、祭司エレアザル、ヌンの子ヨシュア、およびイスラエルの人々の部族の首長たちが、これを彼らに分かち、 + 主がモーセによって命じられたように、くじによって、これを九つの部族と、半ばの部族とに、嗣業として与えた。 + これはヨルダンの向こう側で、モーセがすでに他の二つの部族と、半ばの部族とに、嗣業を与えていたからである。ただしレビびとには、彼らの中で嗣業を与えず、 + ヨセフの子孫が、マナセと、エフライムの二つの部族となったからである。レビびとには土地の分け前を与えず、ただ、その住むべき町々および、家畜と持ち物とを置くための放牧地を与えたばかりであった。 + イスラエルの人々は、主がモーセに命じられたようにおこなって、その地を分けた。 + 時に、ユダの人々がギルガルのヨシュアの所にきて、ケニズびとエフンネの子カレブが、ヨシュアに言った、「主がカデシ・バルネアで、あなたとわたしとについて、神の人モーセに言われたことを、あなたはごぞんじです。 + 主のしもべモーセが、この地を探るために、わたしをカデシ・バルネアからつかわした時、わたしは四十歳でした。そしてわたしは、自分の信ずるところを復命しました。 + しかし、共に上って行った兄弟たちは、民の心をくじいてしまいましたが、わたしは全くわが神、主に従いました。 + その日モーセは誓って、言いました、『おまえの足で踏んだ地は、かならず長くおまえと子孫との嗣業となるであろう。おまえが全くわが神、主に従ったからである』。 + 主がこの言葉をモーセに語られた時からこのかた、イスラエルが荒野に歩んだ四十五年の間、主は言われたように、わたしを生きながらえさせてくださいました。わたしは今日すでに八十五歳ですが、 + 今もなお、モーセがわたしをつかわした日のように、健やかです。わたしの今の力は、あの時の力に劣らず、どんな働きにも、戦いにも堪えることができます。 + それで主があの日語られたこの山地を、どうか今、わたしにください。あの日あなたも聞いたように、そこにはアナキびとがいて、その町々は大きく堅固です。しかし、主がわたしと共におられて、わたしはついには、主が言われたように、彼らを追い払うことができるでしょう」。 + そこでヨシュアはエフンネの子カレブを祝福し、ヘブロンを彼に与えて嗣業とさせた。 + こうしてヘブロンは、ケニズびとエフンネの子カレブの嗣業となって、今日に至っている。彼が全くイスラエルの神、主に従ったからである。 + ヘブロンの名は、もとはキリアテ・アルバといった。アルバは、アナキびとのうちの、最も大いなる人であった。こうしてこの地に戦争はやんだ。 + + + ユダの人々の部族が、その家族にしたがって、くじで獲た地は、南の方では、エドムの境に達し、南のはてにあるチンの荒野に及んでいた。 + その南の境は、塩の海の南の端の、入海から起り、 + アクラビムの坂の南に出てチンに進み、カデシ・バルネアの南から上って、ヘヅロンに進み、アダルに上っていって、カルカに回り、 + アヅモンに進んで、エジプトの川に達し、その境は海に至って尽きる。これが彼らの南の境である。 + 東の境は塩の海であって、ヨルダンの川口に達する。北の方の境は、ヨルダンの川口の、入海から起り、 + 上ってベテホグラに行き、ベテアラバの北を過ぎ、上ってルベンびとボハンの石に達し、 + またアコルの谷からデビルに上って、北におもむき、川の南にあるアドミムの坂に対するギルガルに向かって進み、エンシメシの水に達し、エンロゲルに至って尽きる。 + またその境はベンヒンノムの谷に沿って、エブスびとの地、すなわちエルサレムの南のわきに上り、ヒンノムの谷の西にある山の頂に上る。これはレパイムの谷の北の果にあるものである。 + その境は、この山の頂からネフトアの水の源に至り、その所からエフロン山の町々に及び、その境は曲ってバアラに達する。これは、すなわちキリアテ・ヤリムである。 + その境は、バアラから西に回って、セイル山に及び、ヤリム山、すなわちケサロンの北のわきを経て、ベテシメシに下り、テムナに進み、 + エクロンの北の丘のわきに出て、シッケロンに曲り、バアラ山に進み、ヤブネルに達し、海に至って尽きる。 + また西の境は大海であって、海岸を境とした。これがユダの人々の、その家族にしたがって獲た地の四方の境である。 + ヨシュアは、主に命じられたように、エフンネの子カレブに、ユダの人々のうちで、キリアテ・アルバ、すなわちヘブロンを与えて、その分とさせた。アルバはアナクの父であった。 + カレブはその所から、アナクの子三人を追い払った。すなわち、セシャイ、アヒマン、およびタルマイであって、アナクから出たものである。 + そして彼はこの所からデビルに住む民の所に攻め上った。デビルの名は、もとはキリアテ・セペルといった。 + カレブは言った、「キリアテ・セペルを撃って、これを取る者には、わたしの娘アクサを妻として与えるであろう」。 + ケナズの子で、カレブの弟オテニエルがそれを取ったので、カレブは娘アクサを、妻として彼に与えた。 + 彼女がとつぐ時、畑を父に求めるようにと、オテニエルに勧められた。そして彼女が、ろばから降りたので、カレブは彼女に、何を望むのかとたずねた。 + 彼女は答えて言った、「わたしに贈り物をください。あなたはネゲブの地に、わたしをやられるのですから、泉をもください」。カレブは彼女に上の泉と下の泉とを与えた。 + ユダの人々の部族が、その家族にしたがって獲た嗣業は、次のとおりである。 + ユダの人々の部族が、南でエドムの境の方にもっていた遠くの町々は、カブジエル、エデル、ヤグル、 + キナ、デモナ、アダダ、 + ケデシ、ハゾル、イテナン、 + ジフ、テレム、ベアロテ、 + ハゾル・ハダッタ、ケリオテ・ヘヅロンすなわちハゾル、 + アマム、シマ、モラダ、 + ハザルガダ、ヘシモン、ベテペレテ、 + ハザル・シュアル、ベエルシバ、ビジョテヤ、 + バアラ、イイム、エゼム、 + エルトラデ、ケシル、ホルマ、 + チクラグ、マデマンナ、サンサンナ、 + レバオテ、シルヒム、アイン、リンモン。これらの町は合わせて二十九、ならびにそれに属する村々。 + 平地では、エシタオル、ゾラ、アシナ、 + ザノア、エンガンニム、タップア、エナム、 + ヤルムテ、アドラム、ソコ、アゼカ、 + シャアライム、アデタイム、ゲデラ、ゲデロタイム。すなわち十四の町々と、それに属する村々。 + ゼナン、ハダシャ、ミグダルガデ、 + デラン、ミヅパ、ヨクテル、 + ラキシ、ボヅカテ、エグロン、 + カボン、ラマム、キテリシ、 + ゲデロテ、ベテダゴン、ナアマ、マッケダ。すなわち十六の町々と、それに属する村々。 + またリブナ、エテル、アシャン、 + イフタ、アシナ、ネジブ、 + ケイラ、アクジブ、マレシャ。すなわち九つの町々と、それに属する村々。 + エクロンと、その町々、および村々。 + エクロンから海まで、すべてアシドドのほとりにある町々、およびそれに属する村々。 + アシドドとその町々および村々。ガザとその町々および村々。エジプトの川と大海の海岸までが、その境であった。 + 山地では、シャミル、ヤッテル、ソコ、 + ダンナ、キリアテ・サンナすなわちデビル、 + アナブ、エシテモ、アニム、 + ゴセン、ホロン、ギロ。すなわち十一の町々と、それに属する村々。 + アラブ、ドマ、エシャン、 + ヤニム、ベテタップア、アペカ、 + ホムタ、キリアテ・アルバすなわちヘブロン、ヂオル。すなわち九つの町々と、それに属する村々。 + マオン、カルメル、ジフ、ユッタ、 + エズレル、ヨクデアム、ザノア、 + カイン、ギベア、テムナ。すなわち十の町々と、それに属する村々。 + ハルホル、ベテズル、ゲドル、 + マアラテ、ベテアノテ、エルテコン。すなわち六つの町々と、それに属する村々。 + キリアテ・バアルすなわちキリアテ・ヤリム、ラバ。これらの二つの町とそれに属する村々。 + 荒野では、ベテアラバ、ミデン、セカカ、 + ニブシャン、塩の町、エンゲデ。すなわち六つの町々と、それに属する村々。 + しかし、ユダの人々は、エルサレムの住民エブスびとを追い払うことができなかった。それでエブスびとは今日まで、ユダの人々と共にエルサレムに住んでいる。 + + + ヨセフの子孫が、くじによって獲た地の境は、エリコのほとりのヨルダン、すなわちエリコの水の東から起って、荒野に延び、エリコから山地に上っている荒野を経て、ベテルに至り、 + ベテルからルズにおもむき、アルキびとの領地であるアタロテに進み、 + 西に下ってヤフレテびとの領地に達し、下ベテホロンの地域に及び、ゲゼルに達し、海に至って尽きる。 + こうしてヨセフの子孫のマナセと、エフライムとは、その嗣業を受けた。 + エフライムの子孫が、その家族にしたがって獲た地の境は、次のとおりである。彼らの嗣業の東の境は、アタロテ・アダルであって、上ベテホロンに達し、 + その境は、その所から海に及ぶ。北にはミクメタテがあり、東ではその境はタアナテシロで曲り、進んでヤノアの東に至り、 + ヤノアからアタロテとナアラに下り、エリコに達し、ヨルダンに至って尽きる。 + タップアからその境は西に進んで、カナの川に達し、海に至って尽きる。これはエフライムの子孫の部族が、その家族にしたがって獲た嗣業である。 + このほかにマナセの子孫の嗣業のうちにも、エフライムの子孫のために分け与えられた町々があって、そのすべての町々と、それに属する村々を獲た。 + ただし、ゲゼルに住むカナンびとを、追い払わなかったので、カナンびとは今日までエフライムの中に住み、奴隷となって追い使われている。 + + + マナセの部族が、くじによって獲た地は、次のとおりである。マナセはヨセフの長子であった。マナセの長子で、ギレアデの父であるマキルは、軍人であったので、ギレアデとバシャンを獲た。 + マナセの部族の他のものにも、その家族にしたがって、地を与えたが、それは、アビエゼル、ヘレク、アスリエル、シケム、ヘペル、セミダで、これらはヨセフの子マナセの男の子孫であって、その家族にしたがって、あげたものである。 + しかし、マナセの子マキル、その子ギレアデ、その子ヘペル、その子であったゼロペハデには、女の子だけで、男の子がなかった。女の子たちの名は、マヘラ、ノア、ホグラ、ミルカ、テルザといった。 + 彼女たちは、祭司エレアザル、ヌンの子ヨシュアおよび、つかさたちの前に進み出て、「わたしたちの兄弟と同じように、わたしたちにも、嗣業を与えよと、主はモーセに命じおきになりました」と言ったので、ヨシュアは主の命にしたがって、彼らの父の兄弟たちと同じように、彼女たちにも嗣業を与えた。 + こうしてマナセはヨルダンの向こう側で、ギレアデとバシャンの地のほかに、なお十の部分を獲た。 + マナセの娘たちが、男の子らと共に、嗣業を獲たからである。ギレアデの地は、そのほかのマナセの子孫に分け与えられた。 + マナセの獲た地の境は、アセルからシケムの東のミクメタテに及び、その境は南に延びて、エンタップアの住民に達する。 + タップアの地はマナセに属していたが、マナセの境にあるタップアの町は、エフライムの子孫に属していた。 + またその境はカナの川に下って、川の南に至る。そこの町々はマナセの町々の中にあって、エフライムに属した。マナセの境は、川の北に沿って進み、海に達して尽きる。 + その川の南の地は、エフライムに属し、北はマナセに属する。海がその境となる。マナセは北はアセルに接し、東はイッサカルに接する。 + マナセはまたイッサカルとアセルの中に、ベテシャンとその村々、イブレアムとその村々、ドルの住民とその村々、エンドルの住民とその村々、タアナクの住民とその村々、メギドの住民とその村々を獲た。このうち第三のものは高地である。 + しかし、マナセの子孫は、これらの町々を取ることができなかったので、カナンびとは長くこの地に住み続けようとした。 + しかし、イスラエルの人々が強くなるにしたがって、カナンびとを使役するようになり、ことごとく追い払うことはしなかった。 + ヨセフの子孫はヨシュアに言った、「主が今まで、わたしを祝福されたので、わたしは数の多い民となったのに、あなたはなぜ、わたしの嗣業として、ただ一つのくじ、一つの分だけを、くださったのですか」。 + ヨシュアは彼らに言った、「もしあなたが数の多い民ならば、林に上っていって、そこで、ペリジびとやレパイムびとの地を自分で切り開くがよい。エフライムの山地が、あなたがたには狭いのだから」。 + ヨセフの子孫は答えた、「山地はわたしどもに十分ではありません。かつまた平地におるカナンびとは、ベテシャンとその村々におるものも、エズレルの谷におるものも、みな鉄の戦車を持っています」。 + ヨシュアはまたヨセフの家、すなわちエフライムとマナセに言った、「あなたは数の多い民で、大きな力をもっています。それでただ一つのくじでは足りません。 + 山地をもあなたのものとしなければなりません。それは林ではあるが、切り開いて、向こうの端まで、自分のものとしなければなりません。カナンびとは鉄の戦車があって、強くはあるが、あなたはそれを追い払うことができます」。 + + + そこでイスラエルの人々の全会衆は、その地を征服したので、シロに集まり、そこに会見の幕屋を立てた。 + その時、イスラエルの人々のうちに、まだ嗣業を分かち取らない部族が、七つ残っていたので、 + ヨシュアはイスラエルの人々に言った、「あなたがたは、先祖の神、主が、あなたがたに与えられた地を取りに行くのを、いつまで怠っているのですか。 + 部族ごとに三人ずつを出しなさい。わたしはその人々をつかわしましょう。彼らは立っていって、その地を行き巡り、おのおのの嗣業のために、それを図面にして、わたしのところへ持ってこなければならない。 + 彼らはその地を七つの部分に分けなければならない。ユダは南のその領地にとどまり、ヨセフの家は北のその領地にとどまらなければならない。 + あなたがたは、その地を七つに分けて、図面にし、それをここに、わたしのところへ持ってこなければならない。わたしはここで、われわれの神、主の前に、あなたがたのために、くじを引くであろう。 + レビびとは、あなたがたのうちに何の分をも持たない。主の祭司たることが、彼らの嗣業だからである。またガドとルベンとマナセの半部族とは、ヨルダンの向こう側、東の方で、すでにその嗣業を受けた。それは主のしもべモーセが、彼らに与えたものである」。 + そこでその人々は立って行った。その地の図面を作るために出て行く人々に、ヨシュアは命じて言った、「あなたがたは行って、その地を行き巡り、それを図面にして、わたしのところに持って帰りなさい。わたしはシロで、主の前に、あなたがたのために、ここでくじを引きましょう」。 + こうしてその人々は行って、その地を経めぐり、町々にしたがって、それを七つの部分とし、図面にして、書物に書きしるし、シロの宿営におるヨシュアのもとへ持ってきた。 + ヨシュアはシロで、彼らのために主の前に、くじを引いた。そしてヨシュアはその所で、イスラエルの人々に、それぞれの分として、地を分け与えた。 + まずベニヤミンの子孫の部族のために、その家族にしたがって、くじを引いた。そしてそのくじによって獲た領地は、ユダの子孫と、ヨセフの子孫との間にあった。 + すなわち、その北の方の境は、ヨルダンに始まり、エリコの北のわきに上り、また西の方の山地をとおって上り、ベテアベンの荒野に達して尽きる。 + そこから、その境はルズに進み、ルズの南のわきに至る。ルズはベテルである。ついでその境は下ベテホロンの南の山にあるアタロテ・アダルに下り、 + 西の方では、ベテホロンの南にある山から南に曲り、ユダの子孫の町キリアテ・バアルに至って尽きる。キリアテ・バアルはキリアテ・ヤリムである。これが西の方の境であった。 + また南の方は、キリアテ・ヤリムの端に始まり、その境はそこからエフロンにおもむき、ネフトアの水の源に至り、 + ついでその境は、レパイムの谷の北の端にあるベンヒンノムの谷を見おろす山の端に下り、進んでエブスびとのわきの南、ヒンノムの谷に下り、また下ってエンロゲルに至り、 + 北に曲ってエンシメシにおもむき、アドミムの坂に対するゲリロテにおもむき、ルベンびとボハンの石に下り、 + ベテアラバのわきを北に進んで、アラバに下り、 + その境は、ベテホグラの北のわきに進み、ヨルダンの南端で、塩の海の北の入海に至って尽きる。これが南の境である。 + ヨルダンは東の方の境となっていた。これがベニヤミンの子孫の、その家族にしたがって獲た嗣業の四方の境である。 + ベニヤミンの子孫の部族が、その家族にしたがって獲た町々は、エリコ、ベテホグラ、エメクケジツ、 + ベテアラバ、ゼマライム、ベテル、 + アビム、パラ、オフラ、 + ケパル・アンモニ、オフニ、ゲバ。すなわち十二の町々と、それに属する村々。 + またギベオン、ラマ、ベエロテ、 + ミヅパ、ケピラ、モザ、 + レケム、イルピエル、タララ、 + ゼラ、エレフ、エブスすなわちエルサレム、ギベア、キリアテ・ヤリム。すなわち十四の町々と、それに属する村々。これがベニヤミンの子孫の、その家族にしたがって獲た嗣業である。 + + + 次にシメオンのため、すなわちシメオンの子孫の部族のために、その家族にしたがって、くじを引いた。その嗣業はユダの子孫の嗣業のうちにあった。 + その嗣業として獲たものは、ベエルシバ、すなわちシバ、モラダ、 + ハザル・シュアル、バラ、エゼム、 + エルトラデ、ベトル、ホルマ、 + チクラグ、ベテ・マルカボテ、ハザルスサ、 + ベテレバオテ、シャルヘン。すなわち十三の町々と、それに属する村々。 + またアイン、リンモン、エテル、アシャン。すなわち四つの町々と、それに属する村々。 + およびこれらの町の周囲にあって、バアラテ・ベエル、すなわちネゲブのラマに至るまでのすべての村々。これがシメオンの子孫の部族の、その家族にしたがって獲た嗣業である。 + シメオンの子孫の嗣業は、ユダの子孫の領域のうちにあった。これはユダの子孫の分が大きかったので、シメオンの子孫が、その嗣業を彼らの嗣業の中に獲たからである。 + 第三にゼブルンの子孫のために、その家族にしたがって、くじを引いた。その嗣業の領域はサリデに及び、 + その境は西に上って、マララに至り、ダバセテに達し、ヨクネアムの東にある川に達し、 + サリデから、東の方、日の出の方に曲り、キスロテ・タボルの境に至り、ダベラテに出て、ヤピアに上り、 + そこから東の方、日の出の方に進んで、ガテヘペルとイッタ・カジンに至り、リンモンに進んで、ネアの方に曲る。 + 北ではその境はハンナトンに回り、イフタエルの谷に至って尽きる。 + そしてカッタテ、ナハラル、シムロン、イダラ、ベツレヘムなど十二の町々と、それに属する村々があった。 + これがゼブルンの子孫の、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + 第四にイッサカル、すなわちイッサカルの子孫のために、その家族にしたがって、くじを引いた。 + その領域には、エズレル、ケスロテ、シュネム、 + ハパライム、シオン、アナハラテ、 + ラビテ、キション、エベツ、 + レメテ、エンガンニム、エンハダ、ベテパッゼズがあり、 + その境はタボル、シャハヂマ、ベテシメシに達し、その境はヨルダンに至って尽きる。十六の町々と、それに属する村々があった。 + これがイッサカルの子孫の部族の、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + 第五に、アセルの子孫の部族のために、その家族にしたがって、くじを引いた。 + その領域には、ヘルカテ、ハリ、ベテン、アクサフ、 + アランメレク、アマデ、ミシャルがあり、その境は西では、カルメルとシホル・リブナテに達し、 + それから東に折れて、ベテダゴンに至り、北の方ゼブルンと、イプタエルの谷に達し、ベテエメクおよびネイエルに至り、北はカブルにいで、 + 更にエブロン、レホブ、ハンモン、カナを経て、大シドンに及び、 + それから、その境はラマに曲り、堅固な町ツロに至る。またその境はホサに曲り、海に至って尽きる。そして、マハラブ、アクジブ、 + ウンマ、アペク、レホブなど、二十二の町々と、それに属する村々があった。 + これがアセルの子孫の部族の、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + 第六に、ナフタリの子孫のために、その家族にしたがって、くじを引いた。 + その境はヘレフから、すなわちザアナニイムのかしの木から起り、アダミ・ネケブおよび、ヤブネルを経て、ラクムに至り、ヨルダンに至って尽きる。 + そしてその境は西に向かって、アズノテ・タボルに至り、そこからホッコクに出る。南はゼブルンに接し、西はアセルに接し、東はヨルダンのユダに達する。 + その堅固な町々は、ヂデム、ゼル、ハンマテ、ラッカテ、キンネレテ、 + アダマ、ラマ、ハゾル、 + ケデシ、エデレイ、エンハゾル、 + イロン、ミグダルエル、ホレム、ベテアナテ、ベテシメシなどで、十九の町々と、それに属する村々があった。 + これがナフタリの子孫の部族が、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + 第七に、ダンの子孫の部族のために、その家族にしたがって、くじを引いた。 + その嗣業の領域には、ゾラ、エシタオル、イルシメシ、 + シャラビム、アヤロン、イテラ、 + エロン、テムナ、エクロン、 + エルテケ、ギベトン、バアラテ、 + エホデ、ベネベラク、ガテリンモン、 + メヤルコン、ラッコン、およびヨッパと相対する地域があった。 + ただし、ダンの子孫の領域は、彼らのために小さかったので、ダンの子孫は、上って行き、レセムを攻めてそれを取り、つるぎにかけて撃ち滅ぼし、それを獲てそこに住み、先祖ダンの名にしたがって、レセムをダンと名づけた。 + これがダンの子孫の部族の、その家族にしたがって獲た嗣業であって、その町々と、それに属する村々とである。 + こうして国の各地域を嗣業として分け与えることを終ったとき、イスラエルの人々は、自分たちのうちに、一つの嗣業を、ヌンの子ヨシュアに与えた。 + すなわち、主の命に従って、彼が求めた町を与えたが、それはエフライムの山地にあるテムナテ・セラであって、彼はその町を建てなおして、そこに住んだ。 + これらは、祭司エレアザル、ヌンの子ヨシュア、およびイスラエルの子孫の部族の族長たちが、シロにおいて会見の幕屋の入口で、主の前に、くじを引いて分け与えた嗣業である。こうして地を分けることを終った。 + + + そこで主はヨシュアに言われた、 + 「イスラエルの人々に言いなさい、『先にわたしがモーセによって言っておいた、のがれの町を選び定め、 + あやまって、知らずに人を殺した者を、そこへのがれさせなさい。これはあなたがたが、あだを討つ者をさけて、のがれる場所となるでしょう。 + その人は、これらの町の一つにのがれて行って、町の門の入口に立ち、その町の長老たちに、そのわけを述べなければならない。そうすれば、彼らはその人を町に受け入れて、場所を与え、共に住ませるであろう。 + たとい、あだを討つ者が追ってきても、人を殺したその者を、その手に渡してはならない。彼はあやまって隣人を殺したのであって、もとからそれを憎んでいたのではないからである。 + その人は、会衆の前に立って、さばきを受けるまで、あるいはその時の大祭司が死ぬまで、その町に住まなければならない。そして後、彼は自分の町、自分の家に帰って行って、逃げ出してきたその町に住むことができる』」。 + そこで、ナフタリの山地にあるガリラヤのケデシ、エフライムの山地にあるシケム、およびユダの山地にあるキリアテ・アルバすなわちヘブロンを、これがために選び分かち、 + またヨルダンの向こう側、エリコの東の方では、ルベンの部族のうちから、高原の荒野にあるベゼル、ガドの部族のうちから、ギレアデのラモテ、マナセの部族のうちから、バシャンのゴランを選び定めた。 + これらは、イスラエルのすべての人々、およびそのうちに寄留する他国人のために設けられた町々であって、すべて、あやまって人を殺した者を、そこにのがれさせ、会衆の前に立たないうちに、あだを討つ者の手にかかって死ぬことのないようにするためである。 + + + 時にレビの族長たちは、祭司エレアザル、ヌンの子ヨシュアおよびイスラエルの部族の族長たちのもとにきて、 + カナンの地のシロで彼らに言った、「主はかつて、われわれに住むべき町々を与えることと、それに属する放牧地を、家畜のために与えることを、モーセによって命じられました」。 + それでイスラエルの人々は、主の命にしたがって、自分たちの嗣業のうちから、次の町々と、その放牧地とを、レビびとに与えた。 + まずコハテびとの氏族のために、くじを引いた。祭司アロンの子孫であるこれらのレビびとは、くじによって、ユダの部族、シメオンの部族、およびベニヤミンの部族のうちから、十三の町を獲た。 + その他のコハテびとは、くじによって、エフライムの部族の氏族、ダンの部族、およびマナセの半部族のうちから、十の町を獲た。 + またゲルションびとは、くじによって、イッサカルの部族の氏族、アセルの部族、ナフタリの部族、およびバシャンにあるマナセの半部族のうちから、十三の町を獲た。 + またメラリびとは、その氏族にしたがって、ルベンの部族、ガドの部族、およびゼブルンの部族のうちから、十二の町を獲た。 + イスラエルの人々は、主がモーセによって命じられたとおりに、これらの町と、その放牧地とを、くじによって、レビびとに与えた。 + まずユダの部族と、シメオンの部族のうちから、次に名をあげる町々を与えた。 + これらはレビびとに属するコハテびとの氏族の一つである、アロンの子孫に与えられた。最初のくじが彼らに当ったからである。 + すなわちユダの山地にあるキリアテ・アルバすなわちヘブロンおよびその周囲の放牧地を彼らに与えた。このアルバはアナクの父であった。 + ただし、この町の畑と、それに属する村々とは、すでにエフンネの子カレブが、それを受けて所有していた。 + 祭司アロンの子孫に与えたのは、人を殺した者の、のがれる町であるヘブロンとその放牧地、リブナとその放牧地、 + ヤッテルとその放牧地、エシテモアとその放牧地、 + ホロンとその放牧地、デビルとその放牧地、 + アインとその放牧地、ユッタとその放牧地、ベテシメシとその放牧地など、九つの町であって、この二つの部族のうちから分け与えたものである。 + またベニヤミンの部族のうちから、ギベオンとその放牧地、ゲバとその放牧地、 + アナトテとその放牧地、アルモンとその放牧地など、四つの町を与えた。 + アロンの子孫である祭司たちの町は、合わせて十三であって、それに属する放牧地があった。 + その他のコハテびとであるレビびとの氏族は、くじによって、エフライムの部族のうちから町を獲た。 + すなわち、その町は、人を殺したものの、のがれる町であるエフライムの山地のシケムとその放牧地、ゲゼルとその放牧地、 + キブザイムとその放牧地、ベテホロンとその放牧地など、四つの町である。 + またダンの部族のうちから分け与えた町は、エルテケとその放牧地、ギベトンとその放牧地、 + アヤロンとその放牧地、ガテリンモンとその放牧地など、四つの町である。 + またマナセの半部族のうちから分け与えた町は、タアナクとその放牧地、およびガテリンモンとその放牧地など、二つの町である。 + その他のコハテびとの氏族の町は、合わせて十であって、それに属する放牧地があった。 + ゲルションびとであるレビびとの氏族の一つに与えられた町は、マナセの半部族のうちからは、人を殺した者の、のがれる町であるバシャンのゴランとその放牧地、およびベエシテラとその放牧地など、二つの町である。 + イッサカルの部族のうちからは、キションとその放牧地、ダベラテとその放牧地、 + ヤルムテとその放牧地、エンガンニムとその放牧地など、四つの町である。 + アセルの部族のうちからは、ミシャルとその放牧地、アブドンとその放牧地、 + ヘルカテとその放牧地、レホブとその放牧地など、四つの町である。 + ナフタリの部族のうちからは、人を殺した者の、のがれる町であるガリラヤのケデシとその放牧地、ハンモテ・ドルとその放牧地、カルタンとその放牧地など、三つの町である。 + ゲルションびとが、その氏族にしたがって獲た町は、合わせて十三の町であって、それに属する放牧地があった。 + その他のレビびとである、メラリびとの氏族に与えられた町は、ゼブルンの部族のうちからは、ヨクネアムとその放牧地、カルタとその放牧地、 + デムナとその放牧地、ナハラルとその放牧地など、四つの町である。 + ルベンの部族のうちからは、ベゼルとその放牧地、ヤハヅとその放牧地、 + ケデモテとその放牧地、メパアテとその放牧地など、四つの町である。 + ガドの部族のうちからは、人を殺した者の、のがれる町であるギレアデのラモテとその放牧地、マハナイムとその放牧地、 + ヘシボンとその放牧地、ヤゼルとその放牧地など、合わせて四つの町である。 + これらはみな、ほかのレビびとであるメラリびとが、その氏族にしたがって、くじをもって獲た町であって、合わせて十二であった。 + イスラエルの人々の所有のうちに、レビびとが持った町々は、合わせて四十八であって、それに属する放牧地があった。 + これらの町々は、それぞれその周囲に放牧地があった。これらの町々はみなそうであった。 + このように、主が、イスラエルに与えると、その先祖たちに誓われた地を、ことごとく与えられたので、彼らはそれを獲て、そこに住んだ。 + 主は彼らの先祖たちに誓われたように、四方に安息を賜わったので、すべての敵のうち、ひとりも彼らに手向かう者はなかった。主が敵をことごとく彼らの手に渡されたからである。 + 主がイスラエルの家に約束されたすべての良いことは、一つとしてたがわず、みな実現した。 + + + 時にヨシュアは、ルベンびと、ガドびと、およびマナセの部族の半ばを呼び集めて、 + 言った、「あなたがたは主のしもべモーセが命じたことを、ことごとく守り、またわたしの命じたすべての事にも、わたしの言葉に聞きしたがいました。 + 今日まで長い年月の間、あなたがたの兄弟たちを捨てず、あなたがたの神、主の命令を、よく守ってきました。 + 今はすでに、あなたがたの神、主が、あなたがたの兄弟たちに、先に約束されたとおり、安息を賜わるようになりました。それで、あなたがたは身を返して、主のしもべモーセが、あなたがたに与えたヨルダンの向こう側の所有の地に行き、自分たちの天幕に帰りなさい。 + ただ主のしもべモーセが、あなたがたに命じた戒めと、律法とを慎んで行い、あなたがたの神、主を愛し、そのすべての道に歩み、その命令を守って、主につき従い、心をつくし、精神をつくして、主に仕えなさい」。 + そしてヨシュアが彼らを祝福して去らせたので、彼らはその天幕に帰った。 + マナセの部族の半ばには、すでにモーセがバシャンで所有地を与えたが、他の半ばには、ヨシュアがヨルダンのこちら側、西の方で、その兄弟たちのうちに、所有地を与えた。ヨシュアは、彼らをその天幕に送りかえす時、彼らを祝福して、 + 言った、「あなたがたは多くの貨財と、おびただしい数の家畜と、金、銀、青銅、鉄、および多くの衣服を持って天幕に帰り、敵から獲たぶんどり物を兄弟たちに分けなさい」。 + こうしてルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの部族の半ばは、主がモーセによって命じられたように、すでに自分の所有地となっているギレアデの地に行こうと、カナンの地のシロで、イスラエルの人々と別れて帰って行った。 + ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの部族の半ばが、カナンの地のヨルダンのほとりにきた時、その所で、ヨルダンの岸べに一つの祭壇を築いた。それは大きくて遠くから見える祭壇であった。 + イスラエルの人々は、「ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの部族の半ばが、カナンの地の国境、ヨルダンのほとりのイスラエルの人々に属する方で、一つの祭壇を築いた」といううわさを聞いた。 + イスラエルの人々が、それを聞くとひとしく、イスラエルの人々の全会衆はシロに集まって、彼らの所に攻め上ろうとした。 + そしてイスラエルの人々は、祭司エレアザルの子ピネハスをギレアデの地のルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの半部族の所につかわし、 + イスラエルの各部族のうちから、父祖の家のつかさ、ひとりずつをあげて、合わせて十人のつかさたちを、彼と共に行かせた。これらはみなイスラエルの氏族のうちで、父祖の家のかしらたる人々であった。 + 彼らはギレアデの地に行き、ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの半部族に語って言った、 + 「主の全会衆はこう言います、『あなたがたがイスラエルの神にむかって、とがを犯し、今日、ひるがえって主に従うことをやめ、自分のために一つの祭壇を築いて、今日、主にそむこうとするのは何事か。 + ペオルで犯した罪で、なお足りないとするのか。それがために主の会衆に災が下ったが、われわれは今日もなお、その罪から清められていない。 + しかもあなたがたは、今日、ひるがえって主に従うことをやめようとするのか。あなたがたが、きょう、主にそむくならば、あす、主はイスラエルの全会衆にむかって怒られるであろう。 + もしあなたがたの所有の地が清くないのであれば、主の幕屋の立っている主の所有の地に渡ってきて、われわれのうちに、所有の地を獲なさい。ただ、われわれの神、主の祭壇のほかに、自分のために祭壇を築いて、主にそむき、またわれわれをそむく者とならせないでください。 + ゼラの子アカンは、のろわれた物について、とがを犯し、それがためイスラエルの全会衆に、怒りが臨んだではないか。またその罪によって滅びた者は、彼ひとりではなかった』」。 + その時、ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの半部族は、イスラエルの氏族のかしらたちに答えて言った、 + 「力ある者、神、主。力ある者、神、主。主は知ろしめす。イスラエルもまた知らなければならない。もしそれがそむくことであり、あるいは主に罪を犯すことであるならば、きょう、われわれをゆるさないでください。 + われわれが祭壇を築いたことが、もし主に従うことをやめるためであり、またその上に、燔祭、素祭をささげるためであり、あるいはまたその上に、酬恩祭の犠牲をささげるためであったならば、主みずから、その罪を問いただしてください。 + しかし、われわれは次のことを考えてしたのです。すなわち、のちの日になって、あなたがたの子孫が、われわれの子孫にむかって言うことがあるかも知れません、『あなたがたは、イスラエルの神、主と、なんの関係があるのですか。 + ルベンの子孫と、ガドの子孫よ、主は、あなたがたと、われわれとの間に、ヨルダンを境とされました。あなたがたは主の民の特権がありません』。こう言って、あなたがたの子孫が、われわれの子孫に、主を拝むことをやめさせるかも知れないので、 + われわれは言いました、『さあ、われわれは一つの祭壇を築こう。燔祭のためではなく、また犠牲のためでもなく、 + ただあなたがたと、われわれとの間、およびわれわれの後の子孫の間に、証拠とならせて、われわれが、燔祭と犠牲、および酬恩祭をもって、主の前で、主につとめをするためである。こうすれば、のちの日になって、あなたがたの子孫が、われわれの子孫に、「あなたがたは主の民の特権がありません」とは言わないであろう』。 + またわれわれは言いました、『のちの日に、われわれ、またわれわれの子孫が、もしそのようなことを言われるならば、その時、われわれは言おう、「われわれの先祖が造った主の祭壇の型をごらんなさい。これは燔祭のためではなく、また犠牲のためでもなく、あなたがたと、われわれとの間の証拠である」。 + 主にそむき、ひるがえって今日、主に従うことをやめて、われわれの神、主の幕屋の前にある祭壇のほかに、燔祭、素祭、または犠牲をささげるための祭壇を築くようなことは、決していたしません』」。 + 祭司ピネハス、および会衆のつかさたち、すなわち彼と共に行ったイスラエルの氏族のかしらたちは、ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの子孫が語った言葉を聞いて、それを良しとした。 + そして祭司エレアザルの子ピネハスは、ルベンの子孫、ガドの子孫、およびマナセの子孫に言った、「今日、われわれは、主がわれわれのうちにいますことを知った。あなたがたが、主にむかって、このとがを犯さなかったからである。あなたがたは今、イスラエルの人々を、主の手から救い出したのです」。 + こうして祭司エレアザルの子ピネハスと、つかさたちは、ルベンの子孫、およびガドの子孫に別れて、ギレアデの地からカナンの地に帰り、イスラエルの人々のところに行って復命したので、 + イスラエルの人々はそれを良しとした。そしてイスラエルの人々は神をほめたたえ、ルベンの子孫、およびガドの子孫の住んでいる国を滅ぼすために攻め上ろうとは、もはや言わなかった。 + ルベンの子孫とガドの子孫は、その祭壇を「あかし」と名づけて言った、「これは、われわれの間にあって、主が神にいますというあかしをするものである」。 + + + 主がイスラエルの周囲の敵を、ことごとく除いて、イスラエルに安息を賜わってのち、久しくたち、ヨシュアも年が進んで老いた。 + ヨシュアはイスラエルのすべての人、その長老、かしらたち、さばきびと、つかさびとたちを呼び集めて言った、「わたしは年も進んで老人となった。 + あなたがたは、すでにあなたがたの神、主が、このもろもろの国びとに行われたすべてのことを見た。あなたがたのために戦われたのは、あなたがたの神、主である。 + 見よ、わたしはヨルダンから、日の入る方、大海までの、このもろもろの残っている国々と、すでにわたしが滅ぼし去ったすべての国々を、くじをもって、あなたがたに分け与え、あなたがたの各部族の嗣業とさせた。 + あなたがたの前から、その国民を打ち払い、あなたがたの目の前から追い払われるのは、あなたがたの神、主である。そしてあなたがたの神、主が約束されたように、あなたがたは彼らの地を獲るであろう。 + それゆえ、あなたがたは堅く立って、モーセの律法の書にしるされていることを、ことごとく守って行わなければならない。それを離れて右にも左にも曲ってはならない。 + あなたがたのうちに残っている、これらの国民と交じってはならない。彼らの神々の名を唱えてはならない。それをさして誓ってはならない。またそれに仕え、それを拝んではならない。 + ただ、今日までしてきたように、あなたがたの神、主につき従わなければならない。 + 主が大いなる強き国民を、あなたがたの前から追い払われた。あなたがたには今日まで、立ち向かうことのできる者は、ひとりもなかった。 + あなたがたのひとりは、千人を追い払うことができるであろう。あなたがたの神、主が約束されたように、みずからあなたがたのために戦われるからである。 + それゆえ、あなたがたは深く慎んで、あなたがたの神、主を愛さなければならない。 + しかし、あなたがたがもしひるがえって、これらの国民の、生き残って、あなたがたの中にとどまる者どもと親しくなり、これと婚姻し、ゆききするならば、 + あなたがたは、しかと知らなければならない。あなたがたの神、主は、もはや、これらの国民をあなたがたの前から、追い払うことをされないであろう。彼らは、かえって、あなたがたのわなとなり、網となり、あなたがたのわきに、むちとなり、あなたがたの目に、とげとなって、あなたがたはついに、あなたがたの神、主が賜わったこの良い地から、滅びうせるであろう。 + 見よ、今日、わたしは世の人のみな行く道を行こうとする。あなたがたがみな、心のうちにまた、肝に銘じて知っているように、あなたがたの神、主が、あなたがたについて約束されたもろもろの良いことで、一つも欠けたものはなかった。みなあなたがたに臨んで、一つも欠けたものはなかった。 + しかし、あなたがたの神、主があなたがたについて約束された、もろもろの良いことが、あなたがたに臨んだように、主はまた、もろもろの悪いことをあなたがたに下して、あなたがたの神、主が賜わったこの良い地から、ついに、あなたがたを滅ぼし断たれるであろう。 + もし、あなたがたの神、主が命じられたその契約を犯し、行って他の神々に仕え、それを拝むならば、主はあなたがたにむかって怒りを発し、あなたがたは、主が賜わった良い地から、すみやかに滅びうせるであろう」。 + + + ヨシュアは、イスラエルのすべての部族をシケムに集め、イスラエルの長老、かしら、さばきびと、つかさたちを召し寄せて、共に神の前に進み出た。 + そしてヨシュアはすべての民に言った、「イスラエルの神、主は、こう仰せられる、『あなたがたの先祖たち、すなわちアブラハムの父、ナホルの父テラは、昔、ユフラテ川の向こうに住み、みな、ほかの神々に仕えていたが、 + わたしは、あなたがたの先祖アブラハムを、川の向こうから連れ出して、カナンの全地を導き通り、その子孫を増した。わたしは彼にイサクを与え、 + イサクにヤコブとエサウを与え、エサウにはセイルの山地を与えて、所有とさせたが、ヤコブとその子供たちはエジプトに下った。 + わたしはモーセとアロンをつかわし、またエジプトのうちに不思議をおこなって、これに災を下し、その後あなたがたを導き出した。 + わたしはあなたがたの父たちを、エジプトから導き出し、あなたがたが海にきたとき、エジプトびとは、戦車と騎兵とをもって、あなたがたの父たちを紅海に追ってきた。 + そのとき、あなたがたの父たちが主に呼ばわったので、主は暗やみをあなたがたとエジプトびととの間に置き、海を彼らの上に傾けて彼らをおおわれた。あなたがたは、わたしがエジプトでしたことを目で見た。そして長い間、荒野に住んでいた。 + わたしはまたヨルダンの向こう側に住んでいたアモリびとの地に、あなたがたを導き入れた。彼らはあなたがたと戦ったので、わたしは彼らをあなたがたの手に渡して、彼らの地を獲させ、彼らをあなたがたの前から滅ぼし去った。 + ついで、モアブの王チッポルの子バラクが立って、イスラエルに敵し、人をつかわし、ベオルの子バラムを招き、あなたがたをのろわせようとしたが、 + わたしがバラムに聞こうとしなかったので、彼は、かえって、あなたがたを祝福した。こうしてわたしは彼の手からあなたがたを救い出した。 + そしてあなたがたは、ヨルダンを渡って、エリコにきたが、エリコの人々はあなたがたと戦い、アモリびと、ペリジびと、カナンびと、ヘテびと、ギルガシびと、ヒビびと、およびエブスびとも、あなたがたと戦ったが、わたしは彼らをあなたがたの手に渡した。 + わたしは、あなたがたの前に、くまばちを送って、あのアモリびとのふたりの王を、あなたがたの前から追い払った。これはあなたがたのつるぎ、または、あなたがたの弓によってではなかった。 + そしてわたしは、あなたがたが自分で労しなかった地を、あなたがたに与え、あなたがたが建てなかった町を、あなたがたに与えた。そしてあなたがたはいまその所に住んでいる。あなたがたはまた自分で作らなかったぶどう畑と、オリブ畑の実を食べている』。 + それゆえ、いま、あなたがたは主を恐れ、まことと、まごころと、真実とをもって、主に仕え、あなたがたの先祖が、川の向こう、およびエジプトで仕えた他の神々を除き去って、主に仕えなさい。 + もしあなたがたが主に仕えることを、こころよしとしないのならば、あなたがたの先祖が、川の向こうで仕えた神々でも、または、いまあなたがたの住む地のアモリびとの神々でも、あなたがたの仕える者を、きょう、選びなさい。ただし、わたしとわたしの家とは共に主に仕えます」。 + その時、民は答えて言った、「主を捨てて、他の神々に仕えるなど、われわれは決していたしません。 + われわれの神、主がみずからわれわれと、われわれの先祖とを、エジプトの地、奴隷の家から導き上り、またわれわれの目の前で、あの大いなるしるしを行い、われわれの行くすべての道で守り、われわれが通ったすべての国民の中でわれわれを守られたからです。 + 主はまた、この地に住んでいたアモリびとなど、すべての民を、われわれの前から追い払われました。それゆえ、われわれも主に仕えます。主はわれわれの神だからです」。 + しかし、ヨシュアは民に言った、「あなたがたは主に仕えることはできないであろう。主は聖なる神であり、ねたむ神であって、あなたがたの罪、あなたがたのとがを、ゆるされないからである。 + もしあなたがたが主を捨てて、異なる神々に仕えるならば、あなたがたにさいわいを下されたのちにも、ひるがえってあなたがたに災をくだし、あなたがたを滅ぼしつくされるであろう」。 + 民はヨシュアに言った、「いいえ、われわれは主に仕えます」。 + そこでヨシュアは民に言った、「あなたがたは主を選んで、主に仕えると言った。あなたがたみずからその証人である」。彼らは言った、「われわれは証人です」。 + ヨシュアはまた言った、「それならば、あなたがたのうちにある、異なる神々を除き去り、イスラエルの神、主に、心を傾けなさい」。 + 民はヨシュアに言った、「われわれの神、主に、われわれは仕え、その声に聞きしたがいます」。 + こうしてヨシュアは、その日、民と契約をむすび、シケムにおいて、定めと、おきてを、彼らのために設けた。 + ヨシュアはこれらの言葉を神の律法の書にしるし、大きな石を取って、その所で、主の聖所にあるかしの木の下にそれを立て、 + ヨシュアは、すべての民に言った、「見よ、この石はわれわれのあかしとなるであろう。主がわれわれに語られたすべての言葉を、聞いたからである。それゆえ、あなたがたが自分の神を捨てることのないために、この石が、あなたがたのあかしとなるであろう」。 + こうしてヨシュアは民を、おのおのその嗣業の地に帰し去らせた。 + これらの事の後、主のしもべ、ヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ、 + 人々は彼をその嗣業の地のうちのテムナテ・セラに葬った。テムナテ・セラは、エフライムの山地で、ガアシ山の北にある。 + イスラエルはヨシュアの世にある日の間、また主がイスラエルのために行われたもろもろのことを知っていて、ヨシュアのあとに生き残った長老たちが世にある日の間、つねに主に仕えた。 + イスラエルの人々が、エジプトから携え上ったヨセフの骨は、むかしヤコブが銀百枚で、シケムの父ハモルの子らから買い取ったシケムのうちの地所の一部に葬られた。これはヨセフの子孫の嗣業となった。 + アロンの子エレアザルも死んだ。人々は彼を、その子ピネハスに与えられた町で、エフライムの山地にあるギベアに葬った。 + +
+
+ + ヨシュアが死んだ後、イスラエルの人々は主に問うて言った、「わたしたちのうち、だれが先に攻め上って、カナンびとと戦いましょうか」。 + 主は言われた、「ユダが上るべきである。わたしはこの国を彼の手にわたした」。 + ユダはその兄弟シメオンに言った、「わたしと一緒に、わたしに割り当てられた領地へ上って行って、カナンびとと戦ってください。そうすればわたしもあなたと一緒に、あなたに割り当てられた領地へ行きましょう」。そこでシメオンは彼と一緒に行った。 + ユダが上って行くと、主は彼らの手にカナンびととペリジびととをわたされたので、彼らはベゼクで一万人を撃ち破り、 + またベゼクでアドニベゼクに会い、彼と戦ってカナンびととペリジびととを撃ち破った。 + アドニベゼクは逃げたが、彼らはそのあとを追って彼を捕え、その手足の親指を切り放った。 + アドニベゼクは言った、「かつて七十人の王たちが手足の親指を切られて、わたしの食卓の下で、くずを拾ったことがあったが、神はわたしがしたように、わたしに報いられたのだ」。人々は彼をエルサレムへ連れて行ったが、彼はそこで死んだ。 + ユダの人々はエルサレムを攻めて、これを取り、つるぎをもってこれを撃ち、町に火を放った。 + その後、ユダの人々は山地とネゲブと平地に住んでいるカナンびとと戦うために下ったが、 + ユダはまずヘブロンに住んでいるカナンびとを攻めて、セシャイとアヒマンとタルマイを撃ち破った。ヘブロンのもとの名はキリアテ・アルバであった。 + またそこから進んでデビルの住民を攻めた。(デビルのもとの名はキリアテ・セペルであった。) + 時にカレブは言った、「キリアテ・セペルを撃って、これを取る者には、わたしの娘アクサを妻として与えるであろう」。 + カレブの弟ケナズの子オテニエルがそれを取ったので、カレブは娘アクサを妻として彼に与えた。 + アクサは行くとき彼女の父に畑を求めることを夫にすすめられたので、アクサがろばから降りると、カレブは彼女に言った、「あなたは何を望むのか」。 + アクサは彼に言った、「わたしに贈り物をください。あなたはわたしをネゲブの地へやられるのですから、泉をもください」。それでカレブは上の泉と下の泉とを彼女に与えた。 + モーセのしゅうとであるケニびとの子孫はユダの人々と共に、しゅろの町からアラドに近いネゲブにあるユダの野に上ってきて、アマレクびとと共に住んだ。 + そしてユダはその兄弟シメオンと共に行って、ゼパテに住んでいたカナンびとを撃ち、それをことごとく滅ぼした。これによってその町の名はホルマと呼ばれた。 + ユダはまたガザとその地域、アシケロンとその地域、エクロンとその地域を取った。 + 主がユダと共におられたので、ユダはついに山地を手に入れたが、平地に住んでいた民は鉄の戦車をもっていたので、これを追い出すことができなかった。 + 人々はモーセがかつて言ったように、ヘブロンをカレブに与えたので、カレブはその所からアナクの三人の子を追い出した。 + ベニヤミンの人々はエルサレムに住んでいたエブスびとを追い出さなかったので、エブスびとは今日までベニヤミンの人々と共にエルサレムに住んでいる。 + ヨセフの一族はまたベテルに攻め上ったが、主は彼らと共におられた。 + すなわちヨセフの一族は人をやってベテルを探らせた。この町のもとの名はルズであった。 + その斥候たちは町から出てきた人を見て、言った、「どうぞこの町にはいる道を教えてください。そうすればわたしたちはあなたに恵みを施しましょう」。 + 彼が町にはいる道を教えたので、彼らはつるぎをもって町を撃った。しかし、かの人とその家族は自由に去らせた。 + その人はヘテびとの地に行って町を建て、それをルズと名づけた。これは今日までその名である。 + マナセはベテシャンとその村里の住民、タアナクとその村里の住民、ドルとその村里の住民、イブレアムとその村里の住民、メギドとその村里の住民を追い出さなかったので、カナンびとは引き続いてその地に住んでいたが、 + イスラエルは強くなったとき、カナンびとを強制労働に服させ、彼らをことごとくは追い出さなかった。 + またエフライムはゲゼルに住んでいたカナンびとを追い出さなかったので、カナンびとはゲゼルにおいて彼らのうちに住んでいた。 + ゼブルンはキテロンの住民およびナハラルの住民を追い出さなかったので、カナンびとは彼らのうちに住んで強制労働に服した。 + アセルはアッコの住民およびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブの住民を追い出さなかったので、 + アセルびとは、その地の住民であるカナンびとのうちに住んでいた。彼らが追い出さなかったからである。 + ナフタリはベテシメシの住民およびベテアナテの住民を追い出さずに、その地の住民であるカナンびとのうちに住んでいた。しかしベテシメシとベテアナテの住民は、ついに彼らの強制労働に服した。 + アモリびとはダンの人々を山地に追い込んで平地に下ることを許さなかった。 + アモリびとは引き続いてハルヘレス、アヤロン、シャラビムに住んでいたが、ヨセフの一族の手が強くなったので、彼らは強制労働に服した。 + アモリびとの境はアクラビムの坂からセラを経て上の方に及んだ。 + + + 主の使がギルガルからボキムに上って言った、「わたしはあなたがたをエジプトから上らせて、あなたがたの先祖に誓った地に連れてきて、言った、『わたしはあなたと結んだ契約を決して破ることはない。 + あなたがたはこの国の住民と契約を結んではならない。彼らの祭壇をこぼたなければならない』と。しかし、あなたがたはわたしの命令に従わなかった。あなたがたは、なんということをしたのか。 + それでわたしは言う、『わたしはあなたがたの前から彼らを追い払わないであろう。彼らはかえってあなたがたの敵となり、彼らの神々はあなたがたのわなとなるであろう』と」。 + 主の使がこれらの言葉をイスラエルのすべての人々に告げたので、民は声をあげて泣いた。 + それでその所の名をボキムと呼んだ。そして彼らはその所で主に犠牲をささげた。 + ヨシュアが民を去らせたので、イスラエルの人々はおのおのその領地へ行って土地を獲た。 + 民はヨシュアの在世中も、またヨシュアのあとに生き残った長老たち、すなわち主がかつてイスラエルのために行われたすべての大いなるわざを見た人々の在世中も主に仕えた。 + こうして主のしもべヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ。 + 人々は彼をエフライムの山地のガアシ山の北のテムナテ・ヘレスにある彼の領地内に葬った。 + そしてその時代の者もまたことごとくその先祖たちのもとにあつめられた。その後ほかの時代が起ったが、これは主を知らず、また主がイスラエルのために行われたわざをも知らなかった。 + イスラエルの人々は主の前に悪を行い、もろもろのバアルに仕え、 + かつてエジプトの地から彼らを導き出された先祖たちの神、主を捨てて、ほかの神々すなわち周囲にある国民の神々に従い、それにひざまずいて、主の怒りをひき起した。 + すなわち彼らは主を捨てて、バアルとアシタロテに仕えたので、 + 主の怒りがイスラエルに対して燃え、かすめ奪う者の手にわたして、かすめ奪わせ、かつ周囲のもろもろの敵の手に売られたので、彼らは再びその敵に立ち向かうことができなかった。 + 彼らがどこへ行っても、主の手は彼らに災をした。これは主がかつて言われ、また主が彼らに誓われたとおりで、彼らはひどく悩んだ。 + その時、主はさばきづかさを起して、彼らをかすめ奪う者の手から救い出された。 + しかし彼らはそのさばきづかさにも従わず、かえってほかの神々を慕ってそれと姦淫を行い、それにひざまずき、先祖たちが主の命令に従って歩んだ道を、いちはやく離れ去って、そのようには行わなかった。 + 主が彼らのためにさばきづかさを起されたとき、そのさばきづかさの在世中、主はさばきづかさと共におられて、彼らを敵の手から救い出された。これは彼らが自分をしえたげ悩ました者のゆえに、うめき悲しんだので、主が彼らをあわれまれたからである。 + しかしさばきづかさが死ぬと、彼らはそむいて、先祖たちにまさって悪を行い、ほかの神々に従ってそれに仕え、それにひざまずいてそのおこないをやめず、かたくなな道を離れなかった。 + それで主はイスラエルに対し激しく怒って言われた、「この民はわたしがかつて先祖たちに命じた契約を犯し、わたしの命令に従わないゆえ、 + わたしもまたヨシュアが死んだときに残しておいた国民を、この後、彼らの前から追い払わないであろう。 + これはイスラエルが、先祖たちの守ったように主の道を守ってそれに歩むかどうかをわたしが試みるためである」。 + それゆえ主はこれらの国民を急いで追い払わずに残しておいて、ヨシュアの手にわたされなかったのである。 + + + すべてカナンのもろもろの戦争を知らないイスラエルの人々を試みるために、主が残しておかれた国民は次のとおりである。 + これはただイスラエルの代々の子孫、特にまだ戦争を知らないものに、それを教え知らせるためである。 + すなわちペリシテびとの五人の君たちと、すべてのカナンびとと、シドンびとおよびレバノン山に住んで、バアル・ヘルモン山からハマテの入口までを占めていたヒビびとなどであって、 + これらをもってイスラエルを試み、主がモーセによって先祖たちに命じられた命令に、彼らが従うかどうかを知ろうとされたのである。 + しかるにイスラエルの人々はカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのうちに住んで、 + 彼らの娘を妻にめとり、また自分たちの娘を彼らのむすこに与えて、彼らの神々に仕えた。 + こうしてイスラエルの人々は主の前に悪を行い、自分たちの神、主を忘れて、バアルおよびアシラに仕えた。 + そこで主はイスラエルに対して激しく怒り、彼らをメソポタミヤの王クシャン・リシャタイムの手に売りわたされたので、イスラエルの人々は八年の間、クシャン・リシャタイムに仕えた。 + しかし、イスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主はイスラエルの人々のために、ひとりの救助者を起して彼らを救われた。すなわちカレブの弟、ケナズの子オテニエルである。 + 主の霊がオテニエルに臨んだので、彼はイスラエルをさばいた。彼が戦いに出ると、主はメソポタミヤの王クシャン・リシャタイムをその手にわたされたので、オテニエルの手はクシャン・リシャタイムに勝ち、 + 国は四十年のあいだ太平であった。ケナズの子オテニエルはついに死んだ。 + イスラエルの人々はまた主の前に悪をおこなった。すなわち彼らが主の前に悪をおこなったので、主はモアブの王エグロンを強めて、イスラエルに敵対させられた。 + エグロンはアンモンおよびアマレクの人々を集め、きてイスラエルを撃ち、しゅろの町を占領した。 + こうしてイスラエルの人々は十八年の間モアブの王エグロンに仕えた。 + しかしイスラエルの人々が主に呼ばわったとき、主は彼らのために、ひとりの救助者を起された。すなわちベニヤミンびと、ゲラの子、左ききのエホデである。イスラエルの人々は彼によってモアブの王エグロンに、みつぎ物を送った。 + エホデは長さ一キュビトのもろ刃のつるぎを作らせ、それを衣の下、右のももの上に帯びて、 + モアブの王エグロンにみつぎ物をもってきた。エグロンは非常に肥えた人であった。 + エホデがみつぎ物をささげ終ったとき、彼はみつぎ物をになってきた民を帰らせ、 + かれ自身はギルガルに近い石像のある所から引きかえして言った、「王よ、わたしはあなたに申しあげる機密をもっています」。そこで王は「さがっておれ」と言ったので、かたわらに立っている者は皆出て行った。 + エホデが王のところにはいって来ると、王はひとりで涼みの高殿に座していたので、エホデが「わたしは神の命によってあなたに申しあげることがあります」と言うと、王は座から立ちあがった。 + そのときエホデは左の手を伸ばし、右のももからつるぎをとって王の腹を刺した。 + つるぎのつかも刃と共にはいったが、つるぎを腹から抜き出さなかったので、脂肪が刃をふさいだ。そして汚物が出た。 + エホデは廊下に出て、王のおる高殿の戸を閉じ、錠をおろした。 + 彼が出た後、王のしもべどもがきて、高殿の戸に錠のおろされてあるのを見て、「王はきっと涼み殿のへやで足をおおっておられるのだ」と思った。 + しもべどもは長いあいだ待っていたが、王がなお高殿の戸を開かないので、心配してかぎをとって開いて見ると、王は床にたおれて死んでいた。 + エホデは彼らのためらうまに、のがれて石像のある所を過ぎ、セイラに逃げていった。 + 彼が行ってエフライムの山地にラッパを吹き鳴らしたので、イスラエルの人々は彼と共に山地から下ってエホデに従った。 + エホデは彼らに言った、「わたしについてきなさい。主はあなたがたの敵モアブびとをあなたがたの手にわたされます」。そこで彼らはエホデに従って下り、ヨルダンの渡し場をおさえ、モアブびとをひとりも渡らせなかった。 + そのとき彼らはモアブびとおおよそ一万人を殺した。これはいずれも肥え太った勇士であって、ひとりも、のがれた者がなかった。 + こうしてモアブはその日イスラエルの手に服し、国は八十年のあいだ太平であった。 + エホデの後、アナテの子シャムガルが起り、牛のむちをもってペリシテびと六百人を殺した。この人もまたイスラエルを救った。 + + + エホデが死んだ後、イスラエルの人々がまた主の前に悪をおこなったので、 + 主は、ハゾルで世を治めていたカナンの王ヤビンの手に彼らを売りわたされた。ヤビンの軍勢の長はハロセテ・ゴイムに住んでいたシセラであった。 + 彼は鉄の戦車九百両をもち、二十年の間イスラエルの人々を激しくしえたげたので、イスラエルの人々は主に向かって呼ばわった。 + そのころラピドテの妻、女預言者デボラがイスラエルをさばいていた。 + 彼女はエフライムの山地のラマとベテルの間にあるデボラのしゅろの木の下に座し、イスラエルの人々は彼女のもとに上ってきて、さばきをうけた。 + デボラは人をつかわして、ナフタリのケデシからアビノアムの子バラクを招いて言った、「イスラエルの神、主はあなたに、こう命じられるではありませんか、『ナフタリの部族とゼブルンの部族から一万人を率い、行って、タボル山に陣をしけ。 + わたしはヤビンの軍勢の長シセラとその戦車と軍隊とをキション川に引き寄せて、あなたに出あわせ、彼をあなたの手にわたすであろう』」。 + バラクは彼女に言った、「あなたがもし一緒に行ってくだされば、わたしは行きます。しかし、一緒に行ってくださらないならば、行きません」。 + デボラは言った、「必ずあなたと一緒に行きます。しかしあなたは今行く道では誉を得ないでしょう。主はシセラを女の手にわたされるからです」。デボラは立ってバラクと一緒にケデシに行った。 + バラクはゼブルンとナフタリをケデシに呼び集め、一万人を従えて上った。デボラも彼と共に上った。 + 時にケニびとヘベルはモーセのしゅうとホバブの子孫であるケニびとから分れて、ケデシに近いザアナイムのかしの木までも遠く行って天幕を張っていた。 + アビノアムの子バラクがタボル山に上ったと、人々がシセラに告げたので、 + シセラは自分の戦車の全部すなわち鉄の戦車九百両と、自分と共におるすべての民をハロセテ・ゴイムからキション川に呼び集めた。 + デボラはバラクに言った、「さあ、立ちあがりなさい。きょうは主がシセラをあなたの手にわたされる日です。主はあなたに先立って出られるではありませんか」。そこでバラクは一万人を従えてタボル山から下った。 + 主はつるぎをもってシセラとすべての戦車および軍勢をことごとくバラクの前に撃ち敗られたので、シセラは戦車から飛びおり、徒歩で逃げ去った。 + バラクは戦車と軍勢とを追撃してハロセテ・ゴイムまで行った。シセラの軍勢はことごとくつるぎにたおれて、残ったものはひとりもなかった。 + しかしシセラは徒歩で逃げ去って、ケニびとヘベルの妻ヤエルの天幕に行った。ハゾルの王ヤビンとケニびとヘベルの家とは互にむつまじかったからである。 + ヤエルは出てきてシセラを迎え、彼に言った、「おはいりください。主よ、どうぞうちへおはいりください。恐れるにはおよびません」。シセラが天幕にはいったので、ヤエルは毛布をもって彼をおおった。 + シセラはヤエルに言った、「どうぞ、わたしに水を少し飲ませてください。のどがかわきましたから」。ヤエルは乳の皮袋を開いて彼に飲ませ、また彼をおおった。 + シセラはまたヤエルに言った、「天幕の入口に立っていてください。もし人がきて、あなたに『だれか、ここにおりますか』と問うならば『おりません』と答えてください」。 + しかし彼が疲れて熟睡したとき、ヘベルの妻ヤエルは天幕のくぎを取り、手に槌を携えて彼に忍び寄り、こめかみにくぎを打ち込んで地に刺し通したので、彼は息絶えて死んだ。 + バラクがシセラを追ってきたとき、ヤエルは彼を出迎えて言った、「おいでなさい。あなたが求めている人をお見せしましょう」。彼がヤエルの天幕にはいって見ると、シセラはこめかみにくぎを打たれて倒れて死んでいた。 + こうしてその日、神はカナンの王ヤビンをイスラエルの人々の前に撃ち敗られた。 + そしてイスラエルの人々の手はますますカナンびとの王ヤビンの上に重くなって、ついにカナンの王ヤビンを滅ぼすに至った。 + + + その日デボラとアビノアムの子バラクは歌って言った。 + 「イスラエルの指導者たちは先に立ち、民は喜び勇んで進み出た。主をさんびせよ。 + もろもろの王よ聞け、もろもろの君よ、耳を傾けよ。わたしは主に向かって歌おう、わたしはイスラエルの神、主をほめたたえよう。 + 主よ、あなたがセイルを出、エドムの地から進まれたとき、地は震い、天はしたたり、雲は水をしたたらせた。 + もろもろの山は主の前に揺り動き、シナイの主、すなわちイスラエルの神、主の前に揺り動いた。 + アナテの子シャムガルのとき、ヤエルの時には隊商は絶え、旅人はわき道をとおった。 + イスラエルには農民が絶え、かれらは絶え果てたが、デボラよ、ついにあなたは立ちあがり、立ってイスラエルの母となった。 + 人々が新しい神々を選んだとき、戦いは門に及んだ。イスラエルの四万人のうちに、盾あるいは槍の見られたことがあったか。 + わたしの心は民のうちの喜び勇んで進み出たイスラエルのつかさたちと共にある。主をさんびせよ。 + 茶色のろばに乗るもの、毛氈の上にすわるもの、および道を歩むものよ、共に歌え。 + 楽人の調べは水くむ所に聞える。かれらはそこで主の救を唱え、イスラエルの農民の救を唱えている。その時、主の民は門に下って行った。 + 起きよ、起きよ、デボラ。起きよ、起きよ、歌をうたえ。立てよ、バラク、とりこを捕えよ、アビノアムの子よ。 + その時、残った者は尊い者のように下って行き、主の民は勇士のように下って行った。 + 彼らはエフライムから出て谷に進み、兄弟ベニヤミンはあなたの民のうちにある。マキルからはつかさたちが下って行き、ゼブルンからは指揮を執るものが下って行った。 + イッサカルの君たちはデボラと共におり、イッサカルはバラクと同じく、直ちにそのあとについて谷に突進した。しかしルベンの氏族は大いに思案した。 + なぜ、あなたは、おりの間にとどまって、羊の群れに笛吹くのを聞いているのか。ルベンの氏族は大いに思案した。 + ギレアデはヨルダンの向こうにとどまっていた。なぜ、ダンは舟のかたわらにとどまったか。アセルは浜べに座し、その波止場のかたわらにとどまっていた。 + ゼブルンは命をすてて、死を恐れぬ民である。野の高い所におるナフタリもまたそうであった。 + もろもろの王たちはきて戦った。その時カナンの王たちは、メギドの水のほとりのタアナクで戦った。彼らは一片の銀をも獲なかった。 + もろもろの星は天より戦い、その軌道をはなれてシセラと戦った。 + キションの川は彼らを押し流した、激しく流れる川、キションの川。わが魂よ、勇ましく進め。 + その時、軍馬ははせ駆けり、馬のひずめは地を踏みならした。 + 主の使は言った、『メロズをのろえ、激しくその民をのろえ、彼らはきて主を助けず、主を助けて勇士を攻めなかったからである』。 + ケニびとヘベルの妻ヤエルは、女のうちの最も恵まれた者、天幕に住む女のうち最も恵まれた者である。 + シセラが水を求めると、ヤエルは乳を与えた。すなわち貴重な鉢に凝乳を盛ってささげた。 + ヤエルはくぎに手をかけ、右手に重い槌をとって、シセラを打ち、その頭を砕き、粉々にして、そのこめかみを打ち貫いた。 + シセラはヤエルの足もとにかがんで倒れ伏し、その足もとにかがんで倒れ、そのかがんだ所に倒れて死んだ。 + シセラの母は窓からながめ、格子窓から叫んで言った、『どうして彼の車の来るのがおそいのか、どうして彼の車の歩みがはかどらないのか』。 + その侍女たちの賢い者は答え、母またみずからおのれに答えて言った、 + 『彼らは獲物を得て、それを分けているのではないか、人ごとにひとり、ふたりのおなごを取り、シセラの獲物は色染めの衣、縫い取りした色染めの衣の獲物であろう。すなわち縫い取りした色染めの衣二つを、獲物としてそのくびにまとうであろう』。 + 主よ、あなたの敵はみなこのように滅び、あなたを愛する者を太陽の勢いよく上るようにしてください」。こうして後、国は四十年のあいだ太平であった。 + + + イスラエルの人々はまた主の前に悪をおこなったので、主は彼らを七年の間ミデアンびとの手にわたされた。 + ミデアンびとの手はイスラエルに勝った。イスラエルの人々はミデアンびとのゆえに、山にある岩屋と、ほら穴と要害とを自分たちのために造った。 + イスラエルびとが種をまいた時には、いつもミデアンびと、アマレクびとおよび東方の民が上ってきてイスラエルびとを襲い、 + イスラエルびとに向かって陣を取り、地の産物を荒してガザの附近にまで及び、イスラエルのうちに命をつなぐべき物を残さず、羊も牛もろばも残さなかった。 + 彼らが家畜と天幕を携えて、いなごのように多く上ってきたからである。すなわち彼らとそのらくだは無数であって、彼らは国を荒すためにはいってきたのであった。 + こうしてイスラエルはミデアンびとのために非常に衰え、イスラエルの人々は主に呼ばわった。 + イスラエルの人々がミデアンびとのゆえに、主に呼ばわったとき、 + 主はひとりの預言者をイスラエルの人々につかわして彼らに言われた、「イスラエルの神、主はこう言われる、『わたしはかつてあなたがたをエジプトから導き上り、あなたがたを奴隷の家から携え出し、 + エジプトびとの手およびすべてあなたがたをしえたげる者の手から救い出し、あなたがたの前から彼らを追い払って、その国をあなたがたに与えた。 + そしてあなたがたに言った、「わたしはあなたがたの神、主である。あなたがたが住んでいる国のアモリびとの神々を恐れてはならない」と。しかし、あなたがたはわたしの言葉に従わなかった』」。 + さて主の使がきて、アビエゼルびとヨアシに属するオフラにあるテレビンの木の下に座した。時にヨアシの子ギデオンはミデアンびとの目を避けるために酒ぶねの中で麦を打っていたが、 + 主の使は彼に現れて言った、「大勇士よ、主はあなたと共におられます」。 + ギデオンは言った、「ああ、君よ、主がわたしたちと共におられるならば、どうしてこれらの事がわたしたちに臨んだのでしょう。わたしたちの先祖が『主はわれわれをエジプトから導き上られたではないか』といって、わたしたちに告げたそのすべての不思議なみわざはどこにありますか。今、主はわたしたちを捨てて、ミデアンびとの手にわたされました」。 + 主はふり向いて彼に言われた、「あなたはこのあなたの力をもって行って、ミデアンびとの手からイスラエルを救い出しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか」。 + ギデオンは主に言った、「ああ主よ、わたしはどうしてイスラエルを救うことができましょうか。わたしの氏族はマナセのうちで最も弱いものです。わたしはまたわたしの父の家族のうちで最も小さいものです」。 + 主は言われた、「しかし、わたしがあなたと共におるから、ひとりを撃つようにミデアンびとを撃つことができるでしょう」。 + ギデオンはまた主に言った、「わたしがもしあなたの前に恵みを得ていますならば、どうぞ、わたしと語るのがあなたであるというしるしを見せてください。 + どうぞ、わたしが供え物を携えてあなたのもとにもどってきて、あなたの前に供えるまで、ここを去らないでください」。主は言われた、「わたしはあなたがもどって来るまで待ちましょう」。 + そこでギデオンは自分の家に行って、やぎの子を整え、一エパの粉で種入れぬパンをつくり、肉をかごに入れ、あつものをつぼに盛り、テレビンの木の下におる彼のもとに持ってきて、それを供えた。 + 神の使は彼に言った、「肉と種入れぬパンをとって、この岩の上に置き、それにあつものを注ぎなさい」。彼はそのようにした。 + すると主の使が手にもっていたつえの先を出して、肉と種入れぬパンに触れると、岩から火が燃えあがって、肉と種入れぬパンとを焼きつくした。そして主の使は去って見えなくなった。 + ギデオンはその人が主の使であったことをさとって言った、「ああ主なる神よ、どうなることでしょう。わたしは顔をあわせて主の使を見たのですから」。 + 主は彼に言われた、「安心せよ、恐れるな。あなたは死ぬことはない」。 + そこでギデオンは主のために祭壇をそこに築いて、それを「主は平安」と名づけた。これは今日までアビエゼルびとのオフラにある。 + その夜、主はギデオンに言われた、「あなたの父の雄牛と七歳の第二の雄牛とを取り、あなたの父のもっているバアルの祭壇を打ちこわし、そのかたわらにあるアシラ像を切り倒し、 + あなたの神、主のために、このとりでの頂に、石を並べて祭壇を築き、第二の雄牛を取り、あなたが切り倒したアシラの木をもって燔祭をささげなさい」。 + ギデオンはしもべ十人を連れて、主が言われたとおりにおこなった。ただし彼は父の家族のもの、および町の人々を恐れたので、昼それを行うことができず、夜それを行った。 + 町の人々が朝早く起きて見ると、バアルの祭壇は打ちこわされ、そのかたわらのアシラ像は切り倒され、新たに築いた祭壇の上に、第二の雄牛がささげられてあった。 + そこで彼らは互に「これはだれのしわざか」と言って問い尋ねたすえ、「これはヨアシの子ギデオンのしわざだ」と言った。 + 町の人々はヨアシに言った、「あなたのむすこを引き出して殺しなさい。彼はバアルの祭壇を打ちこわしそのかたわらにあったアシラ像を切り倒したのです」。 + しかしヨアシは自分に向かって立っているすべての者に言った、「あなたがたはバアルのために言い争うのですか。あるいは彼を弁護しようとなさるのですか。バアルのために言い争う者は、あすの朝までに殺されるでしょう。バアルがもし神であるならば、自分の祭壇が打ちこわされたのだから、彼みずから言い争うべきです」。 + そこでその日、「自分の祭壇が打ちこわされたのだから、バアルみずからその人と言い争うべきです」と言ったので、ギデオンはエルバアルと呼ばれた。 + 時にミデアンびと、アマレクびとおよび東方の民がみな集まってヨルダン川を渡り、エズレルの谷に陣を取ったが、 + 主の霊がギデオンに臨み、ギデオンがラッパを吹いたので、アビエゼルびとは集まって彼に従った。 + 次に彼があまねくマナセに使者をつかわしたので、マナセびともまた集まって彼に従った。彼がまたアセル、ゼブルンおよびナフタリに使者をつかわすと、その人々も上って彼を迎えた。 + ギデオンは神に言った、「あなたがかつて言われたように、わたしの手によってイスラエルを救おうとされるならば、 + わたしは羊の毛一頭分を打ち場に置きますから、露がその羊の毛の上にだけあって、地がすべてかわいているようにしてください。これによってわたしは、あなたがかつて言われたように、わたしの手によってイスラエルをお救いになることを知るでしょう」。 + すなわちそのようになった。彼が翌朝早く起きて、羊の毛をかき寄せ、その毛から露を絞ると、鉢に満ちるほどの水が出た。 + ギデオンは神に言った、「わたしをお怒りにならないように願います。わたしにもう一度だけ言わせてください。どうぞ、もう一度だけ羊の毛をもってためさせてください。どうぞ、羊の毛だけをかわかして、地にはことごとく露があるようにしてください」。 + 神はその夜、そうされた。すなわち羊の毛だけかわいて、地にはすべて露があった。 + + + さてエルバアルと呼ばれるギデオンおよび彼と共にいたすべての民は朝早く起き、ハロデの泉のほとりに陣を取った。ミデアンびとの陣は彼らの北の方にあり、モレの丘に沿って谷の中にあった。 + 主はギデオンに言われた、「あなたと共におる民はあまりに多い。ゆえにわたしは彼らの手にミデアンびとをわたさない。おそらくイスラエルはわたしに向かってみずから誇り、『わたしは自身の手で自分を救ったのだ』と言うであろう。 + それゆえ、民の耳に触れ示して、『だれでも恐れおののく者は帰れ』と言いなさい」。こうしてギデオンは彼らを試みたので、民のうち帰った者は二万二千人あり、残った者は一万人であった。 + 主はまたギデオンに言われた、「民はまだ多い。彼らを導いて水ぎわに下りなさい。わたしはそこで、あなたのために彼らを試みよう。わたしがあなたに告げて『この人はあなたと共に行くべきだ』と言う者は、あなたと共に行くべきである。またわたしがあなたに告げて『この人はあなたと共に行ってはならない』と言う者は、だれも行ってはならない」。 + そこでギデオンが民を導いて水ぎわに下ると、主は彼に言われた、「すべて犬のなめるように舌をもって水をなめる者はそれを別にしておきなさい。またすべてひざを折り、かがんで水を飲む者もそうしなさい」。 + そして手を口にあてて水をなめた者の数は三百人であった。残りの民はみなひざを折り、かがんで水を飲んだ。 + 主はギデオンに言われた、「わたしは水をなめた三百人の者をもって、あなたがたを救い、ミデアンびとをあなたの手にわたそう。残りの民はおのおのその家に帰らせなさい」。 + そこで彼はかの三百人を留めおき、残りのイスラエルびとの手から、つぼとラッパを取り、民をおのおのその天幕に帰らせた。時にミデアンびとの陣は下の谷の中にあった。 + その夜、主はギデオンに言われた、「立てよ、下っていって敵陣に攻め入れ。わたしはそれをあなたの手にわたす。 + もしあなたが下って行くことを恐れるならば、あなたのしもべプラと共に敵陣に下っていって、 + 彼らの言うところを聞け。そうすればあなたの手が強くなって、敵陣に攻め下ることができるであろう」。ギデオンがしもべプラと共に下って、敵陣にある兵隊たちの前哨地点に行ってみると、 + ミデアンびと、アマレクびとおよびすべての東方の民はいなごのように数多く谷に沿って伏していた。そのらくだは海べの砂のように多くて数えきれなかった。 + ギデオンがそこへ行ったとき、ある人がその仲間に夢を語っていた。その人は言った、「わたしは夢を見た。大麦のパン一つがミデアンの陣中にころがってきて、天幕に達し、それを打ち倒し、くつがえしたので、天幕は倒れ伏した」。 + 仲間は答えて言った、「それはイスラエルの人、ヨアシの子ギデオンのつるぎにちがいない。神はミデアンとすべての軍勢を彼の手にわたされるのだ」。 + ギデオンは夢の物語とその解き明かしとを聞いたので、礼拝し、イスラエルの陣営に帰り、そして言った、「立てよ、主はミデアンの軍勢をあなたがたの手にわたされる」。 + そして彼は三百人を三組に分け、手に手にラッパと、からつぼとを取らせ、つぼの中にたいまつをともさせ、 + 彼らに言った、「わたしを見て、わたしのするようにしなさい。わたしが敵陣のはずれに達したとき、あなたがたもわたしのするようにしなさい。 + わたしと共におる者がみなラッパを吹くと、あなたがたもまたすべての陣営の四方でラッパを吹き、『主のためだ、ギデオンのためだ』と言いなさい」。 + こうしてギデオンと、彼と共にいた百人の者が、中更の初めに敵陣のはずれに行ってみると、ちょうど番兵を交代した時であったので、彼らはラッパを吹き、手に携えていたつぼを打ち砕いた。 + すなわち三組の者がラッパを吹き、つぼを打ち砕き、左の手にはたいまつをとり、右の手にはラッパを持ってそれを吹き、「主のためのつるぎ、ギデオンのためのつるぎ」と叫んだ。 + そしておのおのその持ち場に立ち、敵陣を取り囲んだので、敵軍はみな走り、大声をあげて逃げ去った。 + 三百人のものがラッパを吹くと、主は敵軍をしてみな互に同志打ちさせられたので、敵軍はゼレラの方、ベテシッタおよびアベルメホラの境、タバテの近くまで逃げ去った。 + イスラエルの人々はナフタリ、アセルおよび全マナセから集まってきて、ミデアンびとを追撃した。 + ギデオンは使者をあまねくエフライムの山地につかわし、「下ってきて、ミデアンびとを攻め、ベタバラに至るまでの流れを取り、またヨルダンをも取れ」と言わせた。そこでエフライムの人々はみな集まってきて、ベタバラに至るまでの流れを取り、またヨルダンをも取った。 + 彼らはまたミデアンびとのふたりの君オレブとゼエブを捕え、オレブをオレブ岩のほとりで殺し、ゼエブをゼエブの酒ぶねのほとりで殺した。またミデアンびとを追撃し、オレブとゼエブの首を携えてヨルダンの向こうのギデオンのもとへ行った。 + + + エフライムの人々はギデオンに向かい「あなたが、ミデアンびとと戦うために行かれたとき、われわれを呼ばれなかったが、どうしてそういうことをされたのですか」と言って激しく彼を責めた。 + ギデオンは彼らに言った、「今わたしのした事は、あなたがたのした事と比べものになりましょうか。エフライムの拾い集めた取り残りのぶどうはアビエゼルの収穫したぶどうにもまさるではありませんか。 + 神はミデアンの君オレブとゼエブをあなたがたの手にわたされました。わたしのなし得た事は、あなたがたのした事と比べものになりましょうか」。ギデオンがこの言葉を述べると、彼らの憤りは解けた。 + ギデオンは自分に従っていた三百人と共にヨルダンに行ってこれを渡り、疲れながらもなお追撃したが、 + 彼はスコテの人々に言った、「どうぞわたしに従っている民にパンを与えてください。彼らが疲れているのに、わたしはミデアンの王ゼバとザルムンナを追撃しているのですから」。 + スコテのつかさたちは言った、「ゼバとザルムンナは、すでにあなたの手のうちにあるのですか。われわれはどうしてあなたの軍勢にパンを与えねばならないのですか」。 + ギデオンは言った、「それならば主がわたしの手にゼバとザルムンナをわたされるとき、わたしは野のいばらと、おどろをもって、あなたがたの肉を打つであろう」。 + そしてギデオンはそこからペヌエルに上り、同じことをペヌエルの人々に述べると、彼らもスコテの人々が答えたように答えたので、 + ペヌエルの人々に言った、「わたしが安らかに帰ってきたとき、このやぐらを打ちこわすであろう」。 + さてゼバとザルムンナは軍勢おおよそ一万五千人を率いて、カルコルにいた。これは皆、東方の民の全軍のうち生き残ったもので、戦死した者は、つるぎを帯びているものが十二万人あった。 + ギデオンはノバとヨグベハの東の隊商の道を上って、敵軍の油断しているところを撃った。 + ゼバとザルムンナは逃げたが、ギデオンは追撃して、ミデアンのふたりの王ゼバとザルムンナを捕え、その軍勢をことごとく撃ち敗った。 + こうしてヨアシの子ギデオンはヘレスの坂をとおって戦いから帰り、 + スコテの若者ひとりを捕えて、尋ねたところ、彼はスコテのつかさたち及び長老たち七十七人の名をギデオンのために書きしるした。 + ギデオンはスコテの人々のところへ行って言った、「あなたがたがかつて『ゼバとザルムンナはすでにあなたの手のうちにあるのか。われわれはどうしてあなたの疲れた人々にパンを与えねばならないのか』と言って、わたしをののしったそのゼバとザルムンナを見なさい」。 + そして彼は、その町の長老たちを捕え、野のいばらと、おどろとを取り、それをもってスコテの人々を懲らし、 + またペヌエルのやぐらを打ちこわして町の人々を殺した。 + そしてギデオンはゼバとザルムンナに言った、「あなたがたがタボルで殺したのは、どんな人々であったか」。彼らは答えた、「彼らはあなたに似てみな王子のように見えました」。 + ギデオンは言った、「彼らはわたしの兄弟、わたしの母の子たちだ。主は生きておられる。もしあなたがたが彼らを生かしておいたならば、わたしはあなたがたを殺さないのだが」。 + そして長子エテルに言った、「立って、彼らを殺しなさい」。しかしその若者はなお年が若かったので、恐れてつるぎを抜かなかった。 + そこでゼバとザルムンナは言った、「あなた自身が立って、わたしたちを撃ってください。人によってそれぞれ力も違いますから」。ギデオンは立ちあがってゼバとザルムンナを殺し、彼らのらくだの首に掛けてあった月形の飾りを取った。 + イスラエルの人々はギデオンに言った、「あなたはミデアンの手からわれわれを救われたのですから、あなたも、あなたの子も孫もわれわれを治めてください」。 + ギデオンは彼らに言った、「わたしはあなたがたを治めることはいたしません。またわたしの子もあなたがたを治めてはなりません。主があなたがたを治められます」。 + ギデオンはまた彼らに言った、「わたしはあなたがたに一つの願いがあります。あなたがたのぶんどった耳輪をめいめいわたしにください」。ミデアンびとはイシマエルびとであったゆえに、金の耳輪を持っていたからである。 + 彼らは答えた、「わたしどもは喜んでそれをさしあげます」。そして衣をひろげ、めいめいぶんどった耳輪をその中に投げ入れた。 + こうしてギデオンが求めて得た金の耳輪の重さは一千七百金シケルであった。ほかに月形の飾りと耳飾りと、ミデアンの王たちの着た紫の衣およびらくだの首に掛けた首飾りなどもあった。 + ギデオンはそれをもって一つのエポデを作り、それを自分の町オフラに置いた。イスラエルは皆それを慕って姦淫をおこなった。それはギデオンとその家にとって、わなとなった。 + このようにしてミデアンはイスラエルの人々に征服されて、再びその頭をあげることができなかった。そして国はギデオンの世にあるうち、四十年のあいだ太平であった。 + ヨアシの子エルバアルは行って自分の家に住んだ。 + ギデオンは多くの妻をもっていたので、自分の子供だけで七十人あった。 + シケムにいた彼のめかけがまたひとりの子を産んだので、アビメレクと名づけた。 + ヨアシの子ギデオンは高齢に達して死に、アビエゼルびとのオフラにある父ヨアシの墓に葬られた。 + ギデオンが死ぬと、イスラエルの人々はまたバアルを慕って、これと姦淫を行い、バアル・ベリテを自分たちの神とした。 + すなわちイスラエルの人々は周囲のもろもろの敵の手から自分たちを救われた彼らの神、主を覚えず、 + またエルバアルすなわちギデオンがイスラエルのためにしたもろもろの善行に応じて彼の家族に親切をつくすこともしなかった。 + + + さてエルバアルの子アビメレクはシケムに行き、母の身内の人たちのもとに行って、彼らと母の父の家の一族とに言った、 + 「どうぞ、シケムのすべての人々の耳に告げてください、『エルバアルのすべての子七十人であなたがたを治めるのと、ただひとりであなたがたを治めるのと、どちらがよいか。わたしがあなたがたの骨肉であることを覚えてください』と」。 + そこで母の身内の人たちがアビメレクに代ってこれらの言葉をことごとくシケムのすべての人々の耳に告げると、彼らは心をアビメレクに傾け、「彼はわれわれの兄弟だ」と言って、 + バアル・ベリテの宮から銀七十シケルを取って彼に与えた。アビメレクはそれをもって、やくざのならず者を雇って自分に従わせ、 + オフラにある父の家に行って、エルバアルの子で、自分の兄弟である七十人を、一つの石の上で殺した。ただしエルバアルの末の子ヨタムは身を隠したので生き残った。 + そこでシケムのすべての人々とベテミロのすべての人々は集まり、行ってシケムにある石の柱のかたわらのテレビンの木のもとで、アビメレクを立てて王とした。 + このことをヨタムに告げる者があったので、ヨタムは行ってゲリジム山の頂に立ち、大声に叫んで彼らに言った、「シケムの人々よ、わたしに聞きなさい。そうすれば神はあなたがたに聞かれるでしょう。 + ある時、もろもろの木が自分たちの上に王を立てようと出て行ってオリブの木に言った、『わたしたちの王になってください』。 + しかしオリブの木は彼らに言った、『わたしはどうして神と人とをあがめるために用いられるわたしの油を捨てて行って、もろもろの木を治めることができましょう』。 + もろもろの木はまたいちじくの木に言った、『きてわたしたちの王になってください』。 + しかしいちじくの木は彼らに言った、『わたしはどうしてわたしの甘味と、わたしの良い果実とを捨てて行って、もろもろの木を治めることができましょう』。 + もろもろの木はまたぶどうの木に言った、『きてわたしたちの王になってください』。 + しかし、ぶどうの木は彼らに言った、『わたしはどうして神と人とを喜ばせるわたしのぶどう酒を捨てて行って、もろもろの木を治めることができましょう』。 + そこですべての木はいばらに言った、『きてわたしたちの王になってください』。 + いばらはもろもろの木に言った、『あなたがたが真実にわたしを立てて王にするならば、きてわたしの陰に難を避けなさい。そうしなければ、いばらから火が出てレバノンの香柏を焼きつくすでしょう』。 + あなたがたがアビメレクを立てて王にしたことは、真実と敬意とをもってしたものですか。あなたがたはエルバアルとその家をよく扱い、彼のおこないに応じてしたのですか。 + わたしの父はあなたがたのために戦い、自分の命を投げ出して、あなたがたをミデアンの手から救い出したのに、 + あなたがたは、きょう、わたしの父の家に反抗して起り、その子七十人を一つの石の上で殺し、その腰元の子アビメレクをあなたがたの身内の者であるゆえに立てて、シケムの人々の王にしました。 + あなたがたが、きょう、エルバアルとその家になされたことが真実と敬意をもってしたものであるならば、アビメレクのために喜びなさい。彼もまたあなたがたのために喜ぶでしょう。 + しかし、そうでなければ、アビメレクから火が出て、シケムの人々とベテミロとを焼きつくし、またシケムの人々とベテミロからも火が出てアビメレクを焼きつくすでしょう」。 + こうしてヨタムは走って逃げ去り、ベエルに行き、兄弟アビメレクの顔をさけてそこに住んだ。 + アビメレクは三年の間イスラエルを治めたが、 + 神はアビメレクとシケムの人々の間に悪霊をおくられたので、シケムの人々はアビメレクを欺くようになった。 + これはエルバアルの七十人の子が受けた暴虐と彼らの血が、彼らを殺した兄弟アビメレクの上と、彼の手を強めてその兄弟を殺させたシケムの人々の上とに報いとなってきたのである。 + シケムの人々は彼に敵して待ち伏せする者を山々の頂におき、すべてその道を通り過ぎる者を略奪させた。このことがアビメレクに告げ知らされた。 + さてエベデの子ガアルはその身内の人々と一緒にシケムに移住したが、シケムの人々は彼を信用した。 + 人々は畑に出てぶどうを取り入れ、それを踏み絞って祭をし、神の宮に行って飲み食いしてアビメレクをのろった。 + そしてエベデの子ガアルは言った、「アビメレクは何ものか。シケムのわれわれは何ものなれば彼に仕えなければならないのか。エルバアルの子とその役人ゼブルはシケムの先祖ハモルの一族に仕えたではないか。われわれはどうして彼に仕えなければならないのか。 + ああ、この民がわたしの手の下にあったらよいのだが。そうすればわたしはアビメレクをやめさせ、アビメレクに向かって『おまえの軍勢を増して出てこい』と言うであろう」。 + 町のつかさゼブルはエベデの子ガアルの言葉を聞いて怒りを発し、 + 使者をアルマにおるアビメレクにつかわして言わせた、「エベデの子ガアルとその身内の人々がシケムにきて、町を騒がせ、あなたにそむかせようとしています。 + それであなたと、あなたと共におる人々が夜のうちに行って、野に身を伏せ、 + 朝になって、日ののぼるとき、早く起き出て町を襲うならば、ガアルと、彼と共におる民は出てきて、あなたに抵抗するでしょう。その時あなたは機を得て、彼らを撃つことができるでしょう」。 + アビメレクと、彼と共にいたすべての民は夜のうちに起き出て、四組に分れ、身を伏せてシケムをうかがった。 + エベデの子ガアルが出て、町の門の入口に立ったとき、アビメレクと、彼と共にいた民が身を伏せていたところから立ちあがったので、 + ガアルは民を見てゼブルに言った、「ごらんなさい。民が山々の頂からおりてきます」。ゼブルは彼に言った、「あなたは山々の影を人のように見るのです」。 + ガアルは再び言った、「ごらんなさい。民が国の中央部からおりてきます。一組は占い師のテレビンの木の方からきます」。 + ゼブルは彼に言った、「あなたがかつて『アビメレクは何ものか。われわれは何ものなれば彼に仕えなければならないのか』と言ったあなたの口は今どこにありますか。これはあなたが侮った民ではありませんか。今、出て彼らと戦いなさい」。 + そこでガアルはシケムの人々を率い、出てアビメレクと戦ったが、 + アビメレクは彼を追ったので、ガアルは彼の前から逃げた。そして傷つき倒れる者が多く、門の入口にまで及んだ。 + こうしてアビメレクは引き続いてアルマにいたが、ゼブルはガアルとその身内の人々を追い出してシケムにおらせなかった。 + 翌日、民が畑に出ると、そのことがアビメレクに聞えた。 + アビメレクは自分の民を率い、それを三組に分け、野に身を伏せて、うかがっていると、民が町から出てきたので、たちあがってこれを撃った。 + アビメレクと、彼と共にいた組の者は襲って行って、町の門の入口に立ち、他の二組は野にいたすべてのものを襲って、それを殺した。 + アビメレクはその日、終日、町を攻め、ついに町を取って、そのうちの民を殺し、町を破壊して、塩をまいた。 + シケムのやぐらの人々は皆これを聞いて、エルベリテの宮の塔にはいった。 + シケムのやぐらの人々が皆集まったことがアビメレクに聞えたので、 + アビメレクは自分と一緒にいた民をことごとく率いてザルモン山にのぼり、アビメレクは手におのを取って、木の枝を切り落し、それを取りあげて自分の肩にのせ、一緒にいた民にむかって言った、「あなたがたはわたしがしたことを見たとおりに急いでしなさい」。 + そこで民もまた皆おのおのその枝を切り落し、アビメレクに従って行って、枝を塔によせかけ、塔に火をつけて彼らを攻めた。こうしてシケムのやぐらの人々もまたことごとく死んだ。男女おおよそ一千人であった。 + ついでアビメレクはテベツに行き、テベツに向かって陣を張り、これを攻め取ったが、 + 町の中に一つの堅固なやぐらがあって、すべての男女すなわち町の人々が皆そこに逃げ込み、あとを閉ざして、やぐらの屋根に上ったので、 + アビメレクはやぐらのもとに押し寄せてこれを攻め、やぐらの入口に近づいて、火をつけて焼こうとしたとき、 + ひとりの女がアビメレクの頭に、うすの上石を投げて、その頭骸骨を砕いた。 + アビメレクは自分の武器を持つ若者を急ぎ呼んで言った、「つるぎを抜いてわたしを殺せ。さもないと人々はわたしを、女に殺されたのだと言うであろう」。その若者が彼を刺し通したので彼は死んだ。 + イスラエルの人々はアビメレクの死んだのを見て、おのおの去って家に帰った。 + このように神はアビメレクがその兄弟七十人を殺して、自分の父に対して犯した悪に報いられた。 + また神はシケムの人々のすべての悪を彼らのこうべに報いられた。こうしてエルバアルの子ヨタムののろいが、彼らに臨んだのである。 + + + アビメレクの後、イッサカルの人で、ドドの子であるプワの子トラが起ってイスラエルを救った。彼はエフライムの山地のシャミルに住み、 + 二十三年の間イスラエルをさばいたが、ついに死んでシャミルに葬られた。 + 彼の後にギレアデびとヤイルが起って二十二年の間イスラエルをさばいた。 + 彼に三十人の子があった。彼らは三十頭のろばに乗り、また三十の町をもっていた。ギレアデの地で今日まで、ハボテ・ヤイルと呼ばれているものがそれである。 + ヤイルは死んで、カモンに葬られた。 + イスラエルの人々は再び主の前に悪を行い、バアルとアシタロテおよびスリヤの神々、シドンの神々、モアブの神々、アンモンびとの神々、ペリシテびとの神々に仕え、主を捨ててこれに仕えなかった。 + 主はイスラエルに対して怒りを発し、彼らをペリシテびとの手およびアンモンびとの手に売りわたされたので、 + 彼らはその年イスラエルの人々をしえたげ悩ました。すなわち彼らはヨルダンの向こうのギレアデにあるアモリびとの地にいたすべてのイスラエルびとを十八年のあいだ悩ました。 + またアンモンの人々がユダとベニヤミンとエフライムの氏族を攻めるためにヨルダンを渡ってきたので、イスラエルは非常に悩まされた。 + そこでイスラエルの人々は主に呼ばわって言った、「わたしたちはわたしたちの神を捨ててバアルに仕え、あなたに罪を犯しました」。 + 主はイスラエルの人々に言われた、「わたしはかつてエジプトびと、アモリびと、アンモンびと、ペリシテびとからあなたがたを救い出したではないか。 + またシドンびと、アマレクびとおよびマオンびとがあなたがたをしえたげた時、わたしに呼ばわったので、あなたがたを彼らの手から救い出した。 + しかしあなたがたはわたしを捨てて、ほかの神々に仕えた。それゆえ、わたしはかさねてあなたがたを救わないであろう。 + あなたがたが選んだ神々に行って呼ばわり、あなたがたの悩みの時、彼らにあなたがたを救わせるがよい」。 + イスラエルの人々は主に言った、「わたしたちは罪を犯しました。なんでもあなたが良いと思われることをしてください。ただどうぞ、きょう、わたしたちを救ってください」。 + そうして彼らは自分たちのうちから異なる神々を取り除いて、主に仕えた。それで主の心はイスラエルの悩みを見るに忍びなくなった。 + 時にアンモンの人々は召集されてギレアデに陣を取ったが、イスラエルの人々は集まってミヅパに陣を取った。 + その時、民とギレアデの君たちとは互に言った、「だれがアンモンの人々に向かって戦いを始めるか。その人はギレアデのすべての民のかしらとなるであろう」。 + + + さてギレアデびとエフタは強い勇士であったが遊女の子で、エフタの父はギレアデであった。 + ギレアデの妻も子供を産んだが、その妻の子供たちが成長したとき、彼らはエフタを追い出して彼に言った、「あなたはほかの女の産んだ子だから、わたしたちの父の家を継ぐことはできません」。 + それでエフタはその兄弟たちのもとから逃げ去って、トブの地に住んでいると、やくざ者がエフタのもとに集まってきて、彼と一緒に出かけて略奪を事としていた。 + 日がたって後、アンモンの人々はイスラエルと戦うことになり、 + アンモンの人々がイスラエルと戦ったとき、ギレアデの長老たちは行ってエフタをトブの地から連れてこようとして、 + エフタに言った、「きて、わたしたちの大将になってください。そうすればわたしたちはアンモンの人々と戦うことができます」。 + エフタはギレアデの長老たちに言った、「あなたがたはわたしを憎んで、わたしの父の家から追い出したではありませんか。しかるに今あなたがたが困っている時とはいえ、わたしのところに来るとはどういうわけですか」。 + ギレアデの長老たちはエフタに言った、「それでわたしたちは今、あなたに帰ったのです。どうぞ、わたしたちと一緒に行って、アンモンの人々と戦ってください。そしてわたしたちとギレアデに住んでいるすべてのものとのかしらになってください」。 + エフタはギレアデの長老たちに言った、「もしあなたがたが、わたしをつれて帰って、アンモンの人々と戦わせるとき、主が彼らをわたしにわたされるならば、わたしはあなたがたのかしらとなりましょう」。 + ギレアデの長老たちはエフタに言った、「主はあなたとわたしたちの間の証人です。わたしたちは必ずあなたの言われるとおりにしましょう」。 + そこでエフタはギレアデの長老たちと一緒に行った。民は彼を立てて自分たちのかしらとし、大将とした。それでエフタはミヅパで、自分の言葉をことごとく主の前に述べた。 + かくてエフタはアンモンの人々の王に使者をつかわして言った、「あなたはわたしとなんのかかわりがあって、わたしのところへ攻めてきて、わたしの国と戦おうとするのですか」。 + アンモンの人々の王はエフタの使者に答えた、「昔、イスラエルがエジプトから上ってきたとき、アルノンからヤボクに及び、またヨルダンに及ぶわたしの国を奪い取ったからです。それゆえ今、穏やかにそれを返しなさい」。 + エフタはまた使者をアンモンの人々の王につかわして、 + 言わせた、「エフタはこう申します、『イスラエルはモアブの地も、またアンモンの人々の地も取りませんでした。 + イスラエルはエジプトから上ってきたとき、荒野をとおって紅海にいたり、カデシにきました。 + そしてイスラエルは使者をエドムの王につかわして「どうぞ、われわれにあなたの国を通らせてください」と言わせましたが、エドムの王は聞きいれませんでした。また同じように人をモアブの王につかわしたが、彼も承諾しなかったので、イスラエルはカデシにとどまりました。 + それから荒野をとおって、エドムの地とモアブの地を回り、モアブの地の東部に達し、アルノンの向こうに宿営しましたがモアブの領域には、はいりませんでした。アルノンはモアブの境だからです。 + 次にイスラエルはヘシボンの王すなわちアモリびとの王シホンに使者をつかわし、シホンに向かって「どうぞ、われわれにあなたの国をとおって、われわれの目的地へ行かせてください」と言わせました。 + ところがシホンはイスラエルを信ぜず、その領域を通らせないばかりか、かえってすべての民を集めてヤハヅに陣を取り、イスラエルと戦いましたが、 + イスラエルの神、主はシホンとそのすべての民をイスラエルの手にわたされたので、イスラエルは彼らを撃ち破って、その土地に住んでいたアモリびとの地をことごとく占領し、 + アルノンからヤボクまでと、荒野からヨルダンまで、アモリびとの領域をことごとく占領しました。 + このようにイスラエルの神、主はその民イスラエルの前からアモリびとを追い払われたのに、あなたはそれを取ろうとするのですか。 + あなたは、あなたの神ケモシがあなたに取らせるものを取らないのですか。われわれはわれわれの神、主がわれわれの前から追い払われたものの土地を取るのです。 + あなたはモアブの王チッポルの子バラクにまさる者ですか。バラクはかつてイスラエルと争ったことがありますか。かつて彼らと戦ったことがありますか。 + イスラエルはヘシボンとその村里に住み、またアロエルとその村里およびアルノンの岸に沿うすべての町々に住むこと三百年になりますが、あなたがたはどうしてその間にそれを取りもどさなかったのですか。 + わたしはあなたに何も悪い事をしたこともないのに、あなたはわたしと戦って、わたしに害を加えようとします。審判者であられる主よ、どうぞ、きょう、イスラエルの人々とアンモンの人々との間をおさばきください』」。 + しかしアンモンの人々の王はエフタが言いつかわした言葉をききいれなかった。 + 時に主の霊がエフタに臨み、エフタはギレアデおよびマナセをとおって、ギレアデのミヅパに行き、ギレアデのミヅパから進んでアンモンの人々のところに行った。 + エフタは主に誓願を立てて言った、「もしあなたがアンモンの人々をわたしの手にわたされるならば、 + わたしがアンモンの人々に勝って帰るときに、わたしの家の戸口から出てきて、わたしを迎えるものはだれでも主のものとし、その者を燔祭としてささげましょう」。 + エフタはアンモンの人々のところに進んで行って、彼らと戦ったが、主は彼らをエフタの手にわたされたので、 + アロエルからミンニテの附近まで、二十の町を撃ち敗り、アベル・ケラミムに至るまで、非常に多くの人を殺した。こうしてアンモンの人々はイスラエルの人々の前に攻め伏せられた。 + やがてエフタはミヅパに帰り、自分の家に来ると、彼の娘が鼓をもち、舞い踊って彼を出迎えた。彼女はエフタのひとり子で、ほかに男子も女子もなかった。 + エフタは彼女を見ると、衣を裂いて言った、「ああ、娘よ、あなたは全くわたしを打ちのめした。わたしを悩ますものとなった。わたしが主に誓ったのだから改めることはできないのだ」。 + 娘は言った、「父よ、あなたは主に誓われたのですから、主があなたのために、あなたの敵アンモンの人々に報復された今、あなたが言われたとおりにわたしにしてください」。 + 娘はまた父に言った、「どうぞ、この事をわたしにさせてください。すなわち二か月の間わたしをゆるし、友だちと一緒に行って、山々をゆきめぐり、わたしの処女であることを嘆かせてください」。 + エフタは「行きなさい」と言って、彼女を二か月の間、出してやった。彼女は友だちと一緒に行って、山の上で自分の処女であることを嘆いたが、 + 二か月の後、父のもとに帰ってきたので、父は誓った誓願のとおりに彼女におこなった。彼女はついに男を知らなかった。 + これによって年々イスラエルの娘たちは行って、年に四日ほどギレアデびとエフタの娘のために嘆くことがイスラエルのならわしとなった。 + + + エフライムの人々は集まってザポンに行き、エフタに言った、「なぜあなたは進んで行ってアンモンの人々と戦いながら、われわれを招いて一緒に行かせませんでしたか。われわれはあなたの家に火をつけてあなたを一緒に焼いてしまいます」。 + エフタは彼らに言った、「かつてわたしとわたしの民がアンモンの人々と大いに争ったとき、あなたがたを呼んだが、あなたがたはわたしを彼らの手から救ってくれませんでした。 + あなたがたが救ってくれないのを見たから、わたしは命がけでアンモンの人々のところへ攻めて行きますと、主は彼らをわたしの手にわたされたのです。どうしてあなたがたは、きょう、わたしのところに上ってきて、わたしと戦おうとするのですか」。 + そこでエフタはギレアデの人々をことごとく集めてエフライムと戦い、ギレアデの人々はエフライムを撃ち破った。これはエフライムが「ギレアデびとよ、あなたがたはエフライムとマナセのうちにいるエフライムの落人だ」と言ったからである。 + そしてギレアデびとはエフライムに渡るヨルダンの渡し場を押えたので、エフライムの落人が「渡らせてください」と言うとき、ギレアデの人々は「あなたはエフライムびとですか」と問い、その人がもし「そうではありません」と言うならば、 + またその人に「では『シボレテ』と言ってごらんなさい」と言い、その人がそれを正しく発音することができないで「セボレテ」と言うときは、その人を捕えて、ヨルダンの渡し場で殺した。その時エフライムびとの倒れたものは四万二千人であった。 + エフタは六年の間イスラエルをさばいた。ギレアデびとエフタはついに死んで、ギレアデの自分の町に葬られた。 + 彼の後にベツレヘムのイブザンがイスラエルをさばいた。 + 彼に三十人のむすこがあった。また三十人の娘があったが、それを自分の氏族以外の者にとつがせ、むすこたちのためには三十人の娘をほかからめとった。彼は七年の間イスラエルをさばいた。 + イブザンはついに死んで、ベツレヘムに葬られた。 + 彼の後にゼブルンびとエロンがイスラエルをさばいた。彼は十年の間イスラエルをさばいた。 + ゼブルンびとエロンはついに死んで、ゼブルンの地のアヤロンに葬られた。 + 彼の後にピラトンびとヒレルの子アブドンがイスラエルをさばいた。 + 彼に四十人のむすこ及び三十人の孫があり、七十頭のろばに乗った。彼は八年の間イスラエルをさばいた。 + ピラトンびとヒレルの子アブドンはついに死んで、エフライムの地のアマレクびとの山地にあるピラトンに葬られた。 + + + イスラエルの人々がまた主の前に悪を行ったので、主は彼らを四十年の間ペリシテびとの手にわたされた。 + ここにダンびとの氏族の者で、名をマノアというゾラの人があった。その妻はうまずめで、子を産んだことがなかった。 + 主の使がその女に現れて言った、「あなたはうまずめで、子を産んだことがありません。しかし、あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。 + それであなたは気をつけて、ぶどう酒または濃い酒を飲んではなりません。またすべて汚れたものを食べてはなりません。 + あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。その頭にかみそりをあててはなりません。その子は生れた時から神にささげられたナジルびとです。彼はペリシテびとの手からイスラエルを救い始めるでしょう」。 + そこでその女はきて夫に言った、「神の人がわたしのところにきました。その顔かたちは神の使の顔かたちのようで、たいそう恐ろしゅうございました。わたしはその人が、どこからきたのか尋ねませんでしたが、その人もわたしに名を告げませんでした。 + しかしその人はわたしに『あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。それであなたはぶどう酒または濃い酒を飲んではなりません。またすべて汚れたものを食べてはなりません。その子は生れた時から死ぬ日まで神にささげられたナジルびとです』と申しました」。 + そこでマノアは主に願い求めて言った、「ああ、主よ、どうぞ、あなたがさきにつかわされた神の人をもう一度わたしたちに臨ませて、わたしたちがその生れる子になすべきことを教えさせてください」。 + 神がマノアの願いを聞かれたので、神の使は女が畑に座していた時、ふたたび彼女に臨んだ。しかし夫マノアは一緒にいなかった。 + 女は急ぎ走って行って夫に言った、「さきごろ、わたしに臨まれた人がまたわたしに現れました」。 + マノアは立って妻のあとについて行き、その人のもとに行って言った、「あなたはかつてこの女にお告げになったおかたですか」。その人は言った、「そうです」。 + マノアは言った、「あなたの言われたことが事実となったとき、その子の育て方およびこれになすべき事はなんでしょうか」。 + 主の使はマノアに言った、「わたしがさきに女に言ったことは皆、守らせなければなりません。 + すなわちぶどうの木から産するものはすべて食べてはなりません。またぶどう酒と濃い酒を飲んではなりません。またすべて汚れたものを食べてはなりません。わたしが彼女に命じたことは皆、守らせなければなりません」。 + マノアは主の使に言った、「どうぞ、わたしたちに、あなたを引き留めさせ、あなたのために子やぎを備えさせてください」。 + 主の使はマノアに言った、「あなたがわたしを引き留めても、わたしはあなたの食物をたべません。しかしあなたが燔祭を備えようとなさるのであれば、主にそれをささげなさい」。マノアは彼が主の使であるのを知らなかったからである。 + マノアは主の使に言った、「あなたの名はなんといいますか。あなたの言われたことが事実となったとき、わたしたちはあなたをあがめましょう」。 + 主の使は彼に言った、「わたしの名は不思議です。どうしてあなたはそれをたずねるのですか」。 + そこでマノアは子やぎと素祭とをとり、岩の上でそれを主にささげた。主は不思議なことをされ、マノアとその妻はそれを見た。 + すなわち炎が祭壇から天にあがったとき、主の使は祭壇の炎のうちにあってのぼった。マノアとその妻は見て、地にひれ伏した。 + 主の使はふたたびマノアとその妻に現れなかった。その時マノアは彼が主の使であることを知った。 + マノアは妻に向かって言った、「わたしたちは神を見たから、きっと死ぬであろう」。 + 妻は彼に言った、「主がもし、わたしたちを殺そうと思われたのならば、わたしたちの手から燔祭と素祭をおうけにならなかったでしょう。またこれらのすべての事をわたしたちにお示しになるはずはなく、また今わたしたちにこのような事をお告げにならなかったでしょう」。 + やがて女は男の子を産んで、その名をサムソンと呼んだ。その子は成長し、主は彼を恵まれた。 + 主の霊はゾラとエシタオルの間のマハネダンにおいて初めて彼を感動させた。 + + + サムソンはテムナに下って行き、ペリシテびとの娘で、テムナに住むひとりの女を見た。 + 彼は帰ってきて父母に言った、「わたしはペリシテびとの娘で、テムナに住むひとりの女を見ました。彼女をめとってわたしの妻にしてください」。 + 父母は言った、「あなたが行って、割礼をうけないペリシテびとのうちから妻を迎えようとするのは、身内の娘たちのうちに、あるいはわたしたちのすべての民のうちに女がないためなのですか」。しかしサムソンは父に言った、「彼女をわたしにめとってください。彼女はわたしの心にかないますから」。 + 父母はこの事が主から出たものであることを知らなかった。サムソンはペリシテびとを攻めようと、おりをうかがっていたからである。そのころペリシテびとはイスラエルを治めていた。 + かくてサムソンは父母と共にテムナに下って行った。彼がテムナのぶどう畑に着くと、一頭の若いししがほえたけって彼に向かってきた。 + 時に主の霊が激しく彼に臨んだので、彼はあたかも子やぎを裂くようにそのししを裂いたが、手にはなんの武器も持っていなかった。しかしサムソンはそのしたことを父にも母にも告げなかった。 + サムソンは下って行って女と話し合ったが、女はサムソンの心にかなった。 + 日がたって後、サムソンは彼女をめとろうとして帰ったが、道を転じて、かのししのしかばねを見ると、ししのからだに、はちの群れと、蜜があった。 + 彼はそれをかきあつめ、手にとって歩きながら食べ、父母のもとに帰って、彼らに与えたので、彼らもそれを食べた。しかし、ししのからだからその蜜をかきあつめたことは彼らに告げなかった。 + そこで父が下って、女のもとに行ったので、サムソンはそこにふるまいを設けた。そうすることは花婿のならわしであったからである。 + 人々はサムソンを見ると、三十人の客を連れてきて、同席させた。 + サムソンは彼らに言った、「わたしはあなたがたに一つのなぞを出しましょう。あなたがたがもし七日のふるまいのうちにそれを解いて、わたしに告げることができたなら、わたしはあなたがたに亜麻の着物三十と、晴れ着三十をさしあげましょう。 + しかしあなたがたが、それをわたしに告げることができなければ、亜麻の着物三十と晴れ着三十をわたしにくれなければなりません」。彼らはサムソンに言った、「なぞを出しなさい。わたしたちはそれを聞きましょう」。 + サムソンは彼らに言った、「食らう者から食い物が出、強い者から甘い物が出た」。彼らは三日のあいだなぞを解くことができなかった。 + 四日目になって、彼らはサムソンの妻に言った、「あなたの夫を説きすすめて、なぞをわたしたちに明かすようにしてください。そうしなければ、わたしたちは火をつけてあなたとあなたの父の家を焼いてしまいます。あなたはわたしたちの物を取るために、わたしたちを招いたのですか」。 + そこでサムソンの妻はサムソンの前に泣いて言った、「あなたはただわたしを憎むだけで、愛してくれません。あなたはわたしの国の人々になぞを出して、それをわたしに解き明かしませんでした」。サムソンは彼女に言った、「わたしは自分の父にも母にも解き明かさなかった。どうしてあなたに解き明かせよう」。 + 彼女は七日のふるまいの間、彼の前に泣いていたが、七日目になって、サムソンはついに彼女に解き明かした。ひどく彼に迫ったからである。そこで彼女はなぞを自分の国の人々にあかした。 + 七日目になって、日の没する前に町の人々はサムソンに言った、「蜜より甘いものに何があろう。ししより強いものに何があろう」。サムソンは彼らに言った、「わたしの若い雌牛で耕さなかったなら、わたしのなぞは解けなかった」。 + この時、主の霊が激しくサムソンに臨んだので、サムソンはアシケロンに下って行って、その町の者三十人を殺し、彼らからはぎ取って、かのなぞを解いた人々に、その晴れ着を与え、激しく怒って父の家に帰った。 + サムソンの妻は花婿付添人であった客の妻となった。 + + + 日がたって後、麦刈の時にサムソンは子やぎを携えて妻をおとずれ、「へやにはいって、妻に会いましょう」と言ったが、妻の父ははいることを許さなかった。 + そして父は言った、「あなたが確かに彼女をきらったに相違ないと思ったので、わたしは彼女をあなたの客であった者にやりました。彼女の妹は彼女よりもきれいではありませんか。どうぞ、彼女の代りに妹をめとってください」。 + サムソンは彼らに言った、「今度はわたしがペリシテびとに害を加えても、彼らのことでは、わたしに罪がない」。 + そこでサムソンは行って、きつね三百匹を捕え、たいまつをとり、尾と尾をあわせて、その二つの尾の間に一つのたいまつを結びつけ、 + たいまつに火をつけて、そのきつねをペリシテびとのまだ刈らない麦の中に放し入れ、そのたばね積んだものと、まだ刈らないものとを焼き、オリブ畑をも焼いた。 + ペリシテびとは言った、「これはだれのしわざか」。人々は言った、「テムナびとの婿サムソンだ。そのしゅうとがサムソンの妻を取り返して、その客であった者に与えたからだ」。そこでペリシテびとは上ってきて彼女とその父の家を火で焼き払った。 + サムソンは彼らに言った、「あなたがたがそんなことをするならば、わたしはあなたがたに仕返しせずにはおかない」。 + そしてサムソンは彼らを、さんざんに撃って大ぜい殺した。こうしてサムソンは下って行って、エタムの岩の裂け目に住んでいた。 + そこでペリシテびとは上ってきて、ユダに陣を取り、レヒを攻めたので、 + ユダの人々は言った、「あなたがたはどうしてわれわれのところに攻めのぼってきたのですか」。彼らは言った、「われわれはサムソンを縛り、彼がわれわれにしたように、彼にするために上ってきたのです」。 + そこでユダの人々三千人がエタムの岩の裂け目に下って行って、サムソンに言った、「ペリシテびとはわれわれの支配者であることをあなたは知らないのですか。あなたはどうしてわれわれにこんな事をしたのですか」。サムソンは彼らに言った、「彼らがわたしにしたように、わたしは彼らにしたのです」。 + 彼らはまたサムソンに言った、「われわれはあなたを縛って、ペリシテびとの手にわたすために下ってきたのです」。サムソンは彼らに言った、「あなたがた自身はわたしを撃たないということを誓いなさい」。 + 彼らはサムソンに言った、「いや、われわれはただ、あなたを縛って、ペリシテびとの手にわたすだけです。決してあなたを殺しません」。彼らは二本の新しい綱をもって彼を縛って、岩からひきあげた。 + サムソンがレヒにきたとき、ペリシテびとは声をあげて、彼に近づいた。その時、主の霊が激しく彼に臨んだので、彼の腕にかかっていた綱は火に焼けた亜麻のようになって、そのなわめが手から解けて落ちた。 + 彼はろばの新しいあご骨一つを見つけたので、手を伸べて取り、それをもって一千人を打ち殺した。 + そしてサムソンは言った、「ろばのあご骨をもって山また山を築き、ろばのあご骨をもって一千人を打ち殺した」。 + 彼は言い終ると、その手からあご骨を投げすてた。これがためにその所は「あご骨の丘」と呼ばれた。 + 時に彼はひどくかわきを覚えたので、主に呼ばわって言った、「あなたはしもべの手をもって、この大きな救を施されたのに、わたしは今、かわいて死に、割礼をうけないものの手に陥ろうとしています」。 + そこで神はレヒにあるくぼんだ所を裂かれたので、そこから水が流れ出た。サムソンがそれを飲むと彼の霊はもとにかえって元気づいた。それでその名を「呼ばわった者の泉」と呼んだ。これは今日までレヒにある。 + サムソンはペリシテびとの時代に二十年の間イスラエルをさばいた。 + + + サムソンはガザへ行って、そこでひとりの遊女を見、その女のところにはいった。 + 「サムソンがここにきた」と、ガザの人々に告げるものがあったので、ガザの人々はその所を取り囲み、夜通し町の門で待ち伏せし、「われわれは朝まで待って彼を殺そう」と言って、夜通し静かにしていた。 + サムソンは夜中まで寝たが、夜中に起きて、町の門のとびらと二つの門柱に手をかけて、貫の木もろともに引き抜き、肩に載せて、ヘブロンの向かいにある山の頂に運んで行った。 + この後、サムソンはソレクの谷にいるデリラという女を愛した。 + ペリシテびとの君たちはその女のところにきて言った、「あなたはサムソンを説きすすめて、彼の大力はどこにあるのか、またわれわれはどうすれば彼に勝って、彼を縛り苦しめることができるかを見つけなさい。そうすればわれわれはおのおの銀千百枚ずつをあなたにさしあげましょう」。 + そこでデリラはサムソンに言った、「あなたの大力はどこにあるのか、またどうすればあなたを縛って苦しめることができるか、どうぞわたしに聞かせてください」。 + サムソンは女に言った、「人々がもし、かわいたことのない七本の新しい弓弦をもってわたしを縛るなら、わたしは弱くなってほかの人のようになるでしょう」。 + そこでペリシテびとの君たちが、かわいたことのない七本の新しい弓弦を女に持ってきたので、女はそれをもってサムソンを縛った。 + 女はかねて奥のへやに人を忍ばせておいて、サムソンに言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。しかしサムソンはその弓弦を、あたかも亜麻糸が火にあって断たれるように断ち切った。こうして彼の力の秘密は知れなかった。 + デリラはサムソンに言った、「あなたはわたしを欺いて、うそを言いました。どうしたらあなたを縛ることができるか、どうぞ今わたしに聞かせてください」。 + サムソンは女に言った、「もし人々がまだ用いたことのない新しい綱をもって、わたしを縛るなら、弱くなってほかの人のようになるでしょう」。 + そこでデリラは新しい綱をとり、それをもって彼を縛り、そして彼に言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。時に人々は奥のへやに忍んでいたが、サムソンはその綱を糸のように腕から断ち落した。 + そこでデリラはサムソンに言った、「あなたは今まで、わたしを欺いて、うそを言いましたが、どうしたらあなたを縛ることができるか、わたしに聞かせてください」。彼は女に言った、「あなたがもし、わたしの髪の毛七ふさを機の縦糸と一緒に織って、くぎでそれを留めておくならば、わたしは弱くなってほかの人のようになるでしょう」。そこで彼が眠ったとき、デリラはサムソンの髪の毛、七ふさをとって、それを機の縦糸に織り込み、 + くぎでそれを留めておいて、彼に言った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」。しかしサムソンは目をさまして、くぎと機と縦糸とを引き抜いた。 + そこで女はサムソンに言った、「あなたの心がわたしを離れているのに、どうして『おまえを愛する』と言うことができますか。あなたはすでに三度もわたしを欺き、あなたの大力がどこにあるかをわたしに告げませんでした」。 + 女は毎日その言葉をもって彼に迫り促したので、彼の魂は死ぬばかりに苦しんだ。 + 彼はついにその心をことごとく打ち明けて女に言った、「わたしの頭にはかみそりを当てたことがありません。わたしは生れた時から神にささげられたナジルびとだからです。もし髪をそり落されたなら、わたしの力は去って弱くなり、ほかの人のようになるでしょう」。 + デリラはサムソンがその心をことごとく打ち明けたのを見、人をつかわしてペリシテびとの君たちを呼んで言った、「サムソンはその心をことごとくわたしに打ち明けましたから、今度こそ上っておいでなさい」。そこでペリシテびとの君たちは、銀を携えて女のもとに上ってきた。 + 女は自分のひざの上にサムソンを眠らせ、人を呼んで髪の毛、七ふさをそり落させ、彼を苦しめ始めたが、その力は彼を去っていた。 + そして女が「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに迫っています」と言ったので、彼は目をさまして言った、「わたしはいつものように出て行って、からだをゆすろう」。彼は主が自分を去られたことを知らなかった。 + そこでペリシテびとは彼を捕えて、両眼をえぐり、ガザに引いて行って、青銅の足かせをかけて彼をつないだ。こうしてサムソンは獄屋の中で、うすをひいていたが、 + その髪の毛はそり落された後、ふたたび伸び始めた。 + さてペリシテびとの君たちは、彼らの神ダゴンに大いなる犠牲をささげて祝をしようと、共に集まって言った、「われわれの神は、敵サムソンをわれわれの手にわたされた」。 + 民はサムソンを見て、自分たちの神をほめたたえて言った、「われわれの神は、われわれの国を荒し、われわれを多く殺した敵をわれわれの手にわたされた」。 + 彼らはまた心に喜んで言った、「サムソンを呼んで、われわれのために戯れ事をさせよう」。彼らは獄屋からサムソンを呼び出して、彼らの前に戯れ事をさせた。彼らがサムソンを柱のあいだに立たせると、 + サムソンは自分の手をひいている若者に言った、「わたしの手を放して、この家をささえている柱をさぐらせ、それに寄りかからせてください」。 + その家には男女が満ち、ペリシテびとの君たちも皆そこにいた。また屋根の上には三千人ばかりの男女がいて、サムソンの戯れ事をするのを見ていた。 + サムソンは主に呼ばわって言った、「ああ、主なる神よ、どうぞ、わたしを覚えてください。ああ、神よ、どうぞもう一度、わたしを強くして、わたしの二つの目の一つのためにでもペリシテびとにあだを報いさせてください」。 + そしてサムソンは、その家をささえている二つの中柱の一つを右の手に、一つを左の手にかかえて、身をそれに寄せ、 + 「わたしはペリシテびとと共に死のう」と言って、力をこめて身をかがめると、家はその中にいた君たちと、すべての民の上に倒れた。こうしてサムソンが死ぬときに殺したものは、生きているときに殺したものよりも多かった。 + やがて彼の身内の人たちおよび父の家族の者がみな下ってきて、彼を引き取り、携え上って、ゾラとエシタオルの間にある父マノアの墓に葬った。サムソンがイスラエルをさばいたのは二十年であった。 + + + ここにエフライムの山地の人で、名をミカと呼ぶものがあった。 + 彼は母に言った、「あなたはかつて銀千百枚を取られたので、それをのろい、わたしにも話されましたが、その銀はわたしが持っています。わたしがそれを取ったのです」。母は言った、「どうぞ主がわが子を祝福されますように」。 + そして彼が銀千百枚を母に返したので、母は言った、「わたしはわたしの子のために一つの刻んだ像と、一つの鋳た像を造るためにその銀をわたしの手から主に献納します。それで今それをあなたに返しましょう」。 + ミカがその銀を母に返したので、母はその銀二百枚をとって、それを銀細工人に与え、一つの刻んだ像と、一つの鋳た像を造らせた。その像はミカの家にあった。 + このミカという人は神の宮をもち、エポデとテラピムを造り、その子のひとりを立てて、自分の祭司とした。 + そのころイスラエルには王がなかったので、人々はおのおの自分たちの目に正しいと思うことを行った。 + さてここにユダの氏族のもので、ユダのベツレヘムからきたひとりの若者があった。彼はレビびとであって、そこに寄留していたのである。 + この人は自分の住むべきところを尋ねて、ユダのベツレヘムの町を去り、旅してエフライムの山地のミカの家にきた。 + ミカは彼に言った、「あなたはどこからおいでになりましたか」。彼は言った、「わたしはユダのベツレヘムのレビびとですが、住むべきところを尋ねて旅をしているのです」。 + ミカは言った、「わたしと一緒にいて、わたしのために父とも祭司ともなってください。そうすれば年に銀十枚と衣服ひとそろいと食物とをさしあげましょう」。 + レビびとはついにその人と一緒に住むことを承諾した。そしてその若者は彼の子のひとりのようになった。 + ミカはレビびとであるこの若者を立てて自分の祭司としたので、彼はミカの家にいた。 + それでミカは言った、「今わたしはレビびとを祭司に持つようになったので、主がわたしをお恵みくださることがわかりました」。 + + + そのころイスラエルには王がなかった。そのころダンびとの部族はイスラエルの部族のうちにあって、その日までまだ嗣業の地を得なかったので自分たちの住むべき嗣業の地を求めていた。 + それでダンの人々は自分の部族の総勢のうちから、勇者五人をゾラとエシタオルからつかわして土地をうかがい探らせた。すなわち彼らに言った、「行って土地を探ってきなさい」。彼らはエフライムの山地に行き、ミカの家に着いて、そこに宿ろうとした。 + 彼らがミカの家に近づいたとき、レビびとである若者の声を聞きわけたので、身をめぐらしてそこにはいって彼に言った、「だれがあなたをここに連れてきたのですか。あなたはここで何をしているのですか。ここになんの用があるのですか」。 + 若者は彼らに言った、「ミカが、かようかようにしてわたしを雇ったので、わたしはその祭司となったのです」。 + 彼らは言った、「どうぞ、神に伺って、われわれが行く道にしあわせがあるかどうかを知らせてください」。 + その祭司は彼らに言った、「安心して行きなさい。あなたがたが行く道は主が見守っておられます」。 + そこで五人の者は去ってライシに行き、そこにいる民を見ると、彼らは安らかに住まい、その穏やかで安らかなことシドンびとのようであって、この国には一つとして欠けたものがなく、富を持ち、またシドンびとと遠く離れており、ほかの民と交わることがなかった。 + かくて彼らがゾラとエシタオルにおる兄弟たちのもとに帰ってくると、兄弟たちは彼らに言った、「いかがでしたか」。 + 彼らは言った、「立って彼らのところに攻め上りましょう。われわれはかの地を見たが、非常に豊かです。あなたがたはなぜじっとしているのですか。ためらわずに進んで行って、かの地を取りなさい。 + あなたがたが行けば、安らかにおる民の所に行くでしょう。その地は広く、神はそれをあなたがたの手に賜わるのです。そこには地にあるもの一つとして欠けているものはありません」。 + そこでダンの氏族のもの六百人が武器を帯びて、ゾラとエシタオルを出発し、 + 上って行ってユダのキリアテ・ヤリムに陣を張った。このゆえに、その所は今日までマハネダンと呼ばれる。それはキリアテ・ヤリムの西にある。 + 彼らはそこからエフライムの山地に進み、ミカの家に着いた。 + かのライシの国をうかがいに行った五人の者はその兄弟たちに言った、「あなたがたはこれらの家にエポデとテラピムと刻んだ像と鋳た像のあるのを知っていますか。それであなたがたは今、なすべきことを決めなさい」。 + そこで彼らはその方へ身をめぐらして、かのレビびとの若者の家すなわちミカの家に行って、彼に安否を問うた。 + しかし武器を帯びた六百人のダンの人々は門の入口に立っていた。 + かの土地をうかがいに行った五人の者は上って行って、そこにはいり、刻んだ像とエポデとテラピムと鋳た像とを取ったが、祭司は武器を帯びた六百人の者と共に門の入口に立っていた。 + 彼らがミカの家にはいって刻んだ像とエポデとテラピムと鋳た像とを取った時、祭司は彼らに言った、「あなたがたは何をなさいますか」。 + 彼らは言った、「黙りなさい。あなたの手を口にあてて、われわれと一緒にきて、われわれのために父とも祭司ともなりなさい。ひとりの家の祭司であるのと、イスラエルの一部族、一氏族の祭司であるのと、どちらがよいですか」。 + 祭司は喜んで、エポデとテラピムと刻んだ像とを取り、民のなかに加わった。 + かくて彼らは身をめぐらして去り、その子供たちと家畜と貨財をさきにたてて進んだが、 + ミカの家をはるかに離れたとき、ミカは家に近い家の人々を集め、ダンの人々に追いつき、 + ダンの人々を呼んだので、彼らはふり向いてミカに言った、「あなたがそのように仲間を連れてきたのは、どうしたのですか」。 + 彼は言った、「あなたがたが、わたしの造った神々および祭司を奪い去ったので、わたしに何が残っていますか。しかるにあなたがたがわたしに向かって『どうしたのですか』と言われるとは何事ですか」。 + ダンの人々は彼に言った、「あなたは大きな声を出さないがよい。気の荒い連中があなたに撃ちかかって、あなたは自分の命と家族の命を失うようになるでしょう」。 + こうしてダンの人々は去って行ったが、ミカは彼らの強いのを見て、くびすをかえして自分の家に帰った。 + さて彼らはミカが造った物と、ミカと共にいた祭司とを奪ってライシにおもむき、穏やかで、安らかな民のところへ行って、つるぎをもって彼らを撃ち、火をつけてその町を焼いたが、 + シドンを遠く離れており、ほかの民との交わりがなかったので、それを救うものがなかった。その町はベテレホブに属する谷にあった。彼らは町を建てなおしてそこに住み、 + イスラエルに生れた先祖ダンの名にしたがって、その町の名をダンと名づけた。その町の名はもとはライシであった。 + そしてダンの人々は刻んだ像を自分たちのために安置し、モーセの孫すなわちゲルショムの子ヨナタンとその子孫がダンびとの部族の祭司となって、国が捕囚となる日にまで及んだ。 + 神の家がシロにあったあいだ、常に彼らはミカが造ったその刻んだ像を飾って置いた。 + + + そのころ、イスラエルに王がなかった時、エフライムの山地の奥にひとりのレビびとが寄留していた。彼はユダのベツレヘムからひとりの女を迎えて、めかけとしていたが、 + そのめかけは怒って、彼のところを去り、ユダのベツレヘムの父の家に帰って、そこに四か月ばかり過ごした。 + そこで夫は彼女をなだめて連れ帰ろうと、しもべと二頭のろばを従え、立って彼女のあとを追って行った。彼が女の父の家に着いた時、娘の父は彼を見て、喜んで迎えた。 + 娘の父であるしゅうとが引き留めたので、彼は三日共におり、みな飲み食いしてそこに宿った。 + 四日目に彼らは朝はやく起き、彼が立ち去ろうとしたので、娘の父は婿に言った、「少し食事をして元気をつけ、それから出かけなさい」。 + そこでふたりは座して共に飲み食いしたが、娘の父はその人に言った、「どうぞもう一晩泊まって楽しく過ごしなさい」。 + その人は立って去ろうとしたが、しゅうとがしいたので、ついにまたそこに宿った。 + 五日目になって、朝はやく起きて去ろうとしたが、娘の父は言った、「どうぞ、元気をつけて、日が傾くまでとどまりなさい」。そこで彼らふたりは食事をした。 + その人がついにめかけおよびしもべと共に去ろうとして立ちあがったとき、娘の父であるしゅうとは彼に言った、「日も暮れようとしている。どうぞもう一晩泊まりなさい。日は傾いた。ここに宿って楽しく過ごしなさい。そしてあしたの朝はやく起きて出立し、家に帰りなさい」。 + しかし、その人は泊まることを好まないので、立って去り、エブスすなわちエルサレムの向かいに着いた。くらをおいた二頭のろばと彼のめかけも一緒であった。 + 彼らがエブスに近づいたとき、日はすでに没したので、しもべは主人に言った、「さあ、われわれは道を転じてエブスびとのこの町にはいって、そこに宿りましょう」。 + 主人は彼に言った、「われわれは道を転じて、イスラエルの人々の町でない外国人の町に、はいってはならない。ギベアまで行こう」。 + 彼はまたしもべに言った、「さあ、われわれはギベアかラマか、そのうちの一つに着いてそこに宿ろう」。 + 彼らは進んで行ったが、ベニヤミンに属するギベアの近くで日が暮れたので、 + ギベアへ行って宿ろうと、そこに道を転じ、町にはいって、その広場に座した。だれも彼らを家に迎えて泊めてくれる者がなかったからである。 + 時にひとりの老人が夕暮に畑の仕事から帰ってきた。この人はエフライムの山地の者で、ギベアに寄留していたのである。ただしこの所の人々はベニヤミンびとであった。 + 彼は目をあげて、町の広場に旅人のおるのを見た。老人は言った、「あなたはどこへ行かれるのですか。どこからおいでになりましたか」。 + その人は言った、「われわれはユダのベツレヘムから、エフライムの山地の奥へ行くものです。わたしはあそこの者で、ユダのベツレヘムへ行き、今わたしの家に帰るところですが、だれもわたしを家に泊めてくれる者がありません。 + われわれには、ろばのわらも飼葉もあり、またわたしと、はしためと、しもべと共にいる若者との食物も酒もあって、何も欠けているものはありません」。 + 老人は言った、「安心しなさい。あなたの必要なものはなんでも備えましょう。ただ広場で夜を過ごしてはなりません」。 + そして彼を家に連れていって、ろばに飼葉を与えた。彼らは足を洗って飲み食いした。 + 彼らが楽しく過ごしていた時、町の人々の悪い者どもがその家を取り囲み、戸を打ちたたいて、家のあるじである老人に言った、「あなたの家にきた人を出しなさい。われわれはその者を知るであろう」。 + しかし家のあるじは彼らのところに出ていって言った、「いいえ、兄弟たちよ、どうぞ、そんな悪いことをしないでください。この人はすでにわたしの家にはいったのだから、そんなつまらない事をしないでください。 + ここに処女であるわたしの娘と、この人のめかけがいます。今それを出しますから、それをはずかしめ、あなたがたの好きなようにしなさい。しかしこの人にはそのようなつまらない事をしないでください」。 + しかし人々が聞きいれなかったので、その人は自分のめかけをとって彼らのところに出した。彼らはその女を犯して朝まで終夜はずかしめ、日ののぼるころになって放し帰らせた。 + 朝になって女は自分の主人を宿してくれた人の家の戸口にきて倒れ伏し、夜のあけるまでに及んだ。 + 彼女の主人は朝起きて家の戸を開き、出て旅立とうとすると、そのめかけである女が家の戸口に、手を敷居にかけて倒れていた。 + 彼は女に向かって、「起きよ、行こう」と言ったけれども、なんの答もなかった。そこでその人は女をろばに乗せ、立って自分の家におもむいたが、 + その家に着いたとき、刀を執り、めかけを捕えて、そのからだを十二切れに断ち切り、それをイスラエルの全領域にあまねく送った。 + それを見たものはみな言った、「イスラエルの人々がエジプトの地から上ってきた日から今日まで、このような事は起ったこともなく、また見たこともない。この事をよく考え、協議して言うことを決めよ」。 + + + そこでイスラエルの人々は、ダンからベエルシバまで、またギレアデの地からもみな出てきて、その会衆はひとりのようにミヅパで主のもとに集まった。 + 民の首領たち、すなわちイスラエルのすべての部族の首領たちは、みずから神の民の集合に出た。つるぎを帯びている歩兵が四十万人あった。 + ベニヤミンの人々は、イスラエルの人々がミヅパに上ったことを聞いた。イスラエルの人々は言った、「どうして、この悪事が起ったのか、われわれに話してください」。 + 殺された女の夫であるレビびとは答えて言った、「わたしは、めかけと一緒にベニヤミンに属するギベアへ行って宿りましたが、 + ギベアの人々は立ってわたしを攻め、夜の間に、わたしのおる家を取り囲んで、わたしを殺そうと企て、ついにわたしのめかけをはずかしめて、死なせました。 + それでわたしはめかけを捕えて断ち切り、それをイスラエルの嗣業のすべての地方にあまねく送りました。彼らがイスラエルにおいて憎むべきみだらなことを行ったからです。 + イスラエルの人々よ、あなたがたは皆自分の意見と考えをここに述べてください」。 + 民は皆ひとりのように立って言った、「われわれはだれも自分の天幕に行きません。まただれも自分の家に帰りません。 + われわれが今ギベアに対してしようとする事はこれです。われわれはくじを引いて、ギベアに攻めのぼりましょう。 + すなわちイスラエルのすべての部族から百人について十人、千人について百人、万人について千人を選んで、民の糧食をとらせ、民はベニヤミンのギベアに行って、ベニヤミンびとがイスラエルにおいておこなったすべてのみだらな事に対して、報復しましょう」。 + こうしてイスラエルの人々は皆集まり、一致結束して町を攻めようとした。 + イスラエルのもろもろの部族は人々をあまねくベニヤミンの部族のうちにつかわして言わせた、「あなたがたのうちに起ったこの事は、なんたる悪事でしょうか。 + それで今ギベアにいるあの悪い人々をわたしなさい。われわれは彼らを殺して、イスラエルから悪を除き去りましょう」。しかしベニヤミンの人々はその兄弟であるイスラエルの人々の言葉を聞きいれなかった。 + かえってベニヤミンの人々は町々からギベアに集まり、出てイスラエルの人々と戦おうとした。 + その日、町々から集まったベニヤミンの人々はつるぎを帯びている者二万六千人あり、ほかにギベアの住民で集まった精兵が七百人あった。 + このすべての民のうちに左ききの精兵が七百人あって、いずれも一本の毛すじをねらって石を投げても、はずれることがなかった。 + イスラエルの人々の集まった者はベニヤミンを除いて、つるぎを帯びている者四十万人あり、いずれも軍人であった。 + イスラエルの人々は立ちあがってベテルにのぼり、神に尋ねた、「われわれのうち、いずれがさきにのぼって、ベニヤミンの人々と戦いましょうか」。主は言われた、「ユダがさきに」。 + そこでイスラエルの人々は、朝起きて、ギベアに対し陣を取った。 + すなわちイスラエルの人々はベニヤミンと戦うために出て行って、ギベアで彼らに対して戦いの備えをしたが、 + ベニヤミンの人々はギベアから出てきて、その日イスラエルの人々のうち二万二千人を地に撃ち倒した。 + しかしイスラエルの民の人々は奮いたって初めの日に備えをした所にふたたび戦いの備えをした。 + そしてイスラエルの人々は上って行って主の前に夕暮まで泣き、主に尋ねた、「われわれは再びわれわれの兄弟であるベニヤミンの人々と戦いを交えるべきでしょうか」。主は言われた、「攻めのぼれ」。 + そこでイスラエルの人々は、次の日またベニヤミンの人々の所に攻めよせたが、 + ベニヤミンは次の日またギベアから出て、これを迎え、ふたたびイスラエルの人々のうち一万八千人を地に撃ち倒した。これらは皆つるぎを帯びている者であった。 + これがためにイスラエルのすべての人々すなわち全軍はベテルに上って行って泣き、その所で主の前に座して、その日夕暮まで断食し、燔祭と酬恩祭を主の前にささげた。 + そしてイスラエルの人々は主に尋ね、――そのころ神の契約の箱はそこにあって、 + アロンの子エレアザルの子であるピネハスが、それに仕えていた――そして言った、「われわれはなおふたたび出て、われわれの兄弟であるベニヤミンの人々と戦うべきでしょうか。あるいはやめるべきでしょうか」。主は言われた、「のぼれ。わたしはあす彼らをあなたがたの手にわたすであろう」。 + そこでイスラエルはギベアの周囲に伏兵を置き、 + そしてイスラエルの人々は三日目にまたベニヤミンの人々のところに攻めのぼり、前のようにギベアに対して備えをした。 + ベニヤミンの人々は出て、民を迎えたが、ついに町からおびき出されたので、彼らは前のように大路で民を撃ちはじめ、また野でイスラエルの人を三十人ばかり殺した。その大路は、一つはベテルに至り、一つはギベアに至るものであった。 + ベニヤミンの人々は言った、「彼らは初めのように、われわれの前に撃ち破られる」。しかしイスラエルの人々は言った、「われわれは逃げて、彼らを町から大路におびき出そう」。 + そしてイスラエルの人々は皆その所から立ってバアル・タマルに備えをした。その間に待ち伏せていたイスラエルの人々がその所から、すなわちゲバの西から現れ出た。 + すなわちイスラエルの全軍のうちから精兵一万人がきて、ギベアを襲い、その戦いは激しかった。しかしベニヤミンの人々は災の自分たちに迫っているのを知らなかった。 + 主がイスラエルの前にベニヤミンを撃ち敗られたので、イスラエルの人々は、その日ベニヤミンびと二万五千一百人を殺した。これらは皆つるぎを帯びている者であった。 + こうしてベニヤミンの人々は自分たちの撃ち敗られたのを見た。そこでイスラエルの人々はギベアに対して設けた伏兵をたのんで、ベニヤミンびとを避けて退いた。 + 伏兵は急いでギベアに突き入り、進んでつるぎをもって町をことごとく撃った。 + イスラエルの人々と伏兵の間に定めた合図は、町から大いなるのろしがあがるとき、 + イスラエルの人々が戦いに転じることであった。さてベニヤミンは初めイスラエルの人々を撃って三十人ばかりを殺したので言った、「まことに彼らは最初の戦いのようにわれわれの前に撃ち敗られる」。 + しかし、のろしが煙の柱となって町からのぼりはじめたので、ベニヤミンの人々がうしろを見ると、町はみな煙となって天にのぼっていた。 + その時イスラエルの人々が向きを変えたので、ベニヤミンの人々は災が自分たちに迫ったのを見て、うろたえ、 + イスラエルの人々の前から身をめぐらして荒野の方に向かったが、戦いが彼らに追い迫り、町から出てきた者どもは、彼らを中にはさんで殺した。 + すなわちイスラエルの人々はベニヤミンの人々を切り倒し、追い撃ち、踏みにじって、ノハから東の方ギベアの向かいにまで及んだ。 + ベニヤミンの倒れた者は一万八千人で、みな勇士であった。 + 彼らは身をめぐらして荒野の方、リンモンの岩まで逃げたが、イスラエルの人々は大路でそのうち五千人を切り倒し、なおも追撃してギドムに至り、そのうちの二千人を殺した。 + こうしてその日ベニヤミンの倒れた者はつるぎを帯びている者合わせて二万五千人で、みな勇士であった。 + しかし六百人の者は身をめぐらして荒野の方、リンモンの岩まで逃げて、四か月の間リンモンの岩に住んだ。 + そこでイスラエルの人々はまた身をかえしてベニヤミンの人々を攻め、つるぎをもって人も獣もすべて見つけたものを撃ち殺し、また見つけたすべての町に火をかけた。 + + + かつてイスラエルの人々はミヅパで、「われわれのうちひとりもその娘をベニヤミンびとの妻として与える者があってはならない」と言って誓ったので、 + 民はベテルに行って、そこで夕暮まで神の前に座し、声をあげて激しく泣いて、 + 言った、「イスラエルの神、主よ、どうしてイスラエルにこのような事が起って、今日イスラエルに一つの部族が欠けるようになったのですか」。 + 翌日、民は早く起きて、そこに祭壇を築き、燔祭と酬恩祭をささげた。 + そしてイスラエルの人々は言った、「イスラエルのすべての部族のうちで集会に上って、主のもとに行かなかった者はだれか」。これは彼らがミヅパにのぼって、主のもとに行かない者のことについて大いなる誓いを立てて、「その人は必ず殺されなければならない」と言ったからである。 + しかしイスラエルの人々は兄弟ベニヤミンをあわれんで言った、「今日イスラエルに一つの部族が絶えた。 + われわれは主をさして、われわれの娘を彼らに妻として与えないと誓ったので、かの残った者どもに妻をめとらせるにはどうしたらよいであろうか」。 + 彼らはまた言った、「イスラエルの部族のうちで、ミヅパにのぼって主のもとに行かなかったのはどの部族か」。ところがヤベシ・ギレアデからはひとりも陣営にきて集会に臨んだ者がなかった。 + すなわち民を集めて見ると、ヤベシ・ギレアデの住民はひとりもそこにいなかった。 + そこで会衆は勇士一万二千人をかしこにつかわし、これに命じて言った、「ヤベシ・ギレアデに行って、その住民を、女、子供もろともつるぎをもって撃て。 + そしてこのようにしなければならない。すなわち男および男と寝た女はことごとく滅ぼさなければならない」。 + こうして彼らはヤベシ・ギレアデの住民のうちで四百人の若い処女を獲た。これはまだ男と寝たことがなく、男を知らない者である。彼らはこれをカナンの地にあるシロの陣営に連れてきた。 + そこで全会衆は人をつかわして、リンモンの岩におるベニヤミンの人々に平和を告げた。 + ベニヤミンの人々がその時、帰ってきたので、彼らはヤベシ・ギレアデの女のうちから生かしておいた女をこれに与えたが、なお足りなかった。 + こうして民は、主がイスラエルの部族のうちに欠陥をつくられたことのために、ベニヤミンをあわれんだ。 + 会衆の長老たちは言った、「ベニヤミンの女が絶えたので、かの残りの者どもに妻をめとらせるにはどうしたらよいでしょうか」。 + 彼らはまた言った、「イスラエルから一つの部族が消えうせないためにベニヤミンのうちの残りの者どもに、あとつぎがなければならない。 + しかし、われわれの娘を彼らの妻に与えることはできない。イスラエルの人々が『ベニヤミンに妻を与える者はのろわれる』と言って誓ったからである」。 + それで彼らは言った、「年々シロに主の祭がある」。シロはベテルの北にあって、ベテルからシケムにのぼる大路の東、レバナの南にある。 + そして彼らはベニヤミンの人々に命じて言った、「あなたがたは行って、ぶどう畑に待ち伏せして、 + うかがいなさい。もしシロの娘たちが踊りを踊りに出てきたならば、ぶどう畑から出て、シロの娘たちのうちから、めいめい自分の妻をとって、ベニヤミンの地に連れて行きなさい。 + もしその父あるいは兄弟がきて、われわれに訴えるならば、われわれは彼らに、『われわれのために彼らをゆるしてください。戦争のときにわれわれは、彼らおのおのに妻をとってやらなかったし、またあなたがたも彼らに与えなかったからです。もし与えたならば、あなたがたは罪を犯したことになるからでした』と言いましょう」。 + ベニヤミンの人々はそのように行い、踊っている者どものうちから自分たちの数にしたがって妻を取り、それを連れて領地に帰り、町々を建てなおして、そこに住んだ。 + こうしてイスラエルの人々は、その時そこを去って、おのおのその部族および氏族に帰った。すなわちそこを立って、おのおのその嗣業の地に帰った。 + そのころ、イスラエルには王がなかったので、おのおの自分の目に正しいと見るところをおこなった。 + +
+
+ + さばきづかさが世を治めているころ、国に飢きんがあったので、ひとりの人がその妻とふたりの男の子を連れてユダのベツレヘムを去り、モアブの地へ行ってそこに滞在した。 + その人の名はエリメレク、妻の名はナオミ、ふたりの男の子の名はマロンとキリオンといい、ユダのベツレヘムのエフラタびとであった。彼らはモアブの地へ行って、そこにおったが、 + ナオミの夫エリメレクは死んで、ナオミとふたりの男の子が残された。 + ふたりの男の子はそれぞれモアブの女を妻に迎えた。そのひとりの名はオルパといい、ひとりの名はルツといった。彼らはそこに十年ほど住んでいたが、 + マロンとキリオンのふたりもまた死んだ。こうしてナオミはふたりの子と夫とに先だたれた。 + その時、ナオミはモアブの地で、主がその民を顧みて、すでに食物をお与えになっていることを聞いたので、その嫁と共に立って、モアブの地からふるさとへ帰ろうとした。 + そこで彼女は今いる所を出立し、ユダの地へ帰ろうと、ふたりの嫁を連れて道に進んだ。 + しかしナオミはふたりの嫁に言った、「あなたがたは、それぞれ自分の母の家に帰って行きなさい。あなたがたが、死んだふたりの子とわたしに親切をつくしたように、どうぞ、主があなたがたに、いつくしみを賜わりますよう。 + どうぞ、主があなたがたに夫を与え、夫の家で、それぞれ身の落ち着き所を得させられるように」。こう言って、ふたりの嫁に口づけしたので、彼らは声をあげて泣き、 + ナオミに言った、「いいえ、わたしたちは一緒にあなたの民のところへ帰ります」。 + しかしナオミは言った、「娘たちよ、帰って行きなさい。どうして、わたしと一緒に行こうというのですか。あなたがたの夫となる子がまだわたしの胎内にいると思うのですか。 + 娘たちよ、帰って行きなさい。わたしは年をとっているので、夫をもつことはできません。たとい、わたしが今夜、夫をもち、また子を産む望みがあるとしても、 + そのためにあなたがたは、子どもの成長するまで待っているつもりなのですか。あなたがたは、そのために夫をもたずにいるつもりなのですか。娘たちよ、それはいけません。主の手がわたしに臨み、わたしを責められたことで、あなたがたのために、わたしは非常に心を痛めているのです」。 + 彼らはまた声をあげて泣いた。そしてオルパはそのしゅうとめに口づけしたが、ルツはしゅうとめを離れなかった。 + そこでナオミは言った、「ごらんなさい。あなたの相嫁は自分の民と自分の神々のもとへ帰って行きました。あなたも相嫁のあとについて帰りなさい」。 + しかしルツは言った、「あなたを捨て、あなたを離れて帰ることをわたしに勧めないでください。わたしはあなたの行かれる所へ行き、またあなたの宿られる所に宿ります。あなたの民はわたしの民、あなたの神はわたしの神です。 + あなたの死なれる所でわたしも死んで、そのかたわらに葬られます。もし死に別れでなく、わたしがあなたと別れるならば、主よ、どうぞわたしをいくえにも罰してください」。 + ナオミはルツが自分と一緒に行こうと、固く決心しているのを見たので、そのうえ言うことをやめた。 + そしてふたりは旅をつづけて、ついにベツレヘムに着いた。彼らがベツレヘムに着いたとき、町はこぞって彼らのために騒ぎたち、女たちは言った、「これはナオミですか」。 + ナオミは彼らに言った、「わたしをナオミ(楽しみ)と呼ばずに、マラ(苦しみ)と呼んでください。なぜなら全能者がわたしをひどく苦しめられたからです。 + わたしは出て行くときは豊かでありましたが、主はわたしをから手で帰されました。主がわたしを悩まし、全能者がわたしに災をくだされたのに、どうしてわたしをナオミと呼ぶのですか」。 + こうしてナオミは、モアブの地から帰った嫁、モアブの女ルツと一緒に帰ってきて、大麦刈の初めにベツレヘムに着いた。 + + + さてナオミには、夫エリメレクの一族で、非常に裕福なひとりの親戚があって、その名をボアズといった。 + モアブの女ルツはナオミに言った、「どうぞ、わたしを畑に行かせてください。だれか親切な人が見当るならば、わたしはその方のあとについて落ち穂を拾います」。ナオミが彼女に「娘よ、行きなさい」と言ったので、 + ルツは行って、刈る人たちのあとに従い、畑で落ち穂を拾ったが、彼女ははからずもエリメレクの一族であるボアズの畑の部分にきた。 + その時ボアズは、ベツレヘムからきて、刈る者どもに言った、「主があなたがたと共におられますように」。彼らは答えた、「主があなたを祝福されますように」。 + ボアズは刈る人たちを監督しているしもべに言った、「これはだれの娘ですか」。 + 刈る人たちを監督しているしもべは答えた、「あれはモアブの女で、モアブの地からナオミと一緒に帰ってきたのですが、 + 彼女は『どうぞ、わたしに、刈る人たちのあとについて、束のあいだで、落ち穂を拾い集めさせてください』と言いました。そして彼女は朝早くきて、今まで働いて、少しのあいだも休みませんでした」。 + ボアズはルツに言った、「娘よ、お聞きなさい。ほかの畑に穂を拾いに行ってはいけません。またここを去ってはなりません。わたしのところで働く女たちを離れないで、ここにいなさい。 + 人々が刈りとっている畑に目をとめて、そのあとについて行きなさい。わたしは若者たちに命じて、あなたのじゃまをしないようにと、言っておいたではありませんか。あなたがかわく時には水がめのところへ行って、若者たちのくんだのを飲みなさい」。 + 彼女は地に伏して拝し、彼に言った、「どうしてあなたは、わたしのような外国人を顧みて、親切にしてくださるのですか」。 + ボアズは答えて彼女に言った、「あなたの夫が死んでこのかた、あなたがしゅうとめにつくしたこと、また自分の父母と生れた国を離れて、かつて知らなかった民のところにきたことは皆わたしに聞えました。 + どうぞ、主があなたのしたことに報いられるように。どうぞ、イスラエルの神、主、すなわちあなたがその翼の下に身を寄せようとしてきた主からじゅうぶんの報いを得られるように」。 + 彼女は言った、「わが主よ、まことにありがとうございます。わたしはあなたのはしためのひとりにも及ばないのに、あなたはこんなにわたしを慰め、はしためにねんごろに語られました」。 + 食事の時、ボアズは彼女に言った、「ここへきて、パンを食べ、あなたの食べる物を酢に浸しなさい」。彼女が刈る人々のかたわらにすわったので、ボアズは焼麦を彼女に与えた。彼女は飽きるほど食べて残した。 + そして彼女がまた穂を拾おうと立ちあがったとき、ボアズは若者たちに命じて言った、「彼女には束の間でも穂を拾わせなさい。とがめてはならない。 + また彼女のために束からわざと抜き落しておいて拾わせなさい。しかってはならない」。 + こうして彼女は夕暮まで畑で落ち穂を拾った。そして拾った穂を打つと、大麦は一エパほどあった。 + 彼女はそれを携えて町にはいり、しゅうとめにその拾ったものを見せ、かつ食べ飽きて、残して持ちかえったものを取り出して与えた。 + しゅうとめは彼女に言った、「あなたは、きょう、どこで穂を拾いましたか。どこで働きましたか。あなたをそのように顧みてくださったかたに、どうか祝福があるように」。そこで彼女は自分がだれの所で働いたかを、しゅうとめに告げて、「わたしが、きょう働いたのはボアズという名の人の所です」と言った。 + ナオミは嫁に言った、「生きている者をも、死んだ者をも、顧みて、いつくしみを賜わる主が、どうぞその人を祝福されますように」。ナオミはまた彼女に言った、「その人はわたしたちの縁者で、最も近い親戚のひとりです」。 + モアブの女ルツは言った、「その人はまたわたしに『あなたはわたしのところの刈入れが全部終るまで、わたしのしもべたちのそばについていなさい』と言いました」。 + ナオミは嫁ルツに言った、「娘よ、その人のところで働く女たちと一緒に出かけるのはけっこうです。そうすればほかの畑で人にいじめられるのを免れるでしょう」。 + それで彼女はボアズのところで働く女たちのそばについていて穂を拾い、大麦刈と小麦刈の終るまでそうした。こうして彼女はしゅうとめと一緒に暮した。 + + + 時にしゅうとめナオミは彼女に言った、「娘よ、わたしはあなたの落ち着き所を求めて、あなたをしあわせにすべきではないでしょうか。 + あなたが一緒に働いた女たちの主人ボアズはわたしたちの親戚ではありませんか。彼は今夜、打ち場で大麦をあおぎ分けます。 + それであなたは身を洗って油をぬり、晴れ着をまとって打ち場に下って行きなさい。ただ、あなたはその人が飲み食いを終るまで、その人に知られてはなりません。 + そしてその人が寝る時、その寝る場所を見定め、はいって行って、その足の所をまくって、そこに寝なさい。彼はあなたのすべきことを知らせるでしょう」。 + ルツはしゅうとめに言った、「あなたのおっしゃることを皆いたしましょう」。 + こうして彼女は打ち場に下り、すべてしゅうとめが命じたとおりにした。 + ボアズは飲み食いして、心をたのしませたあとで、麦を積んである場所のかたわらへ行って寝た。そこで彼女はひそかに行き、ボアズの足の所をまくって、そこに寝た。 + 夜中になって、その人は驚き、起きかえって見ると、ひとりの女が足のところに寝ていたので、 + 「あなたはだれですか」と言うと、彼女は答えた、「わたしはあなたのはしためルツです。あなたのすそで、はしためをおおってください。あなたは最も近い親戚です」。 + ボアズは言った、「娘よ、どうぞ、主があなたを祝福されるように。あなたは貧富にかかわらず若い人に従い行くことはせず、あなたが最後に示したこの親切は、さきに示した親切にまさっています。 + それで、娘よ、あなたは恐れるにおよびません。あなたが求めることは皆、あなたのためにいたしましょう。わたしの町の人々は皆、あなたがりっぱな女であることを知っているからです。 + たしかにわたしは近い親戚ではありますが、わたしよりも、もっと近い親戚があります。 + 今夜はここにとどまりなさい。朝になって、もしその人が、あなたのために親戚の義務をつくすならば、よろしい、その人にさせなさい。しかし主は生きておられます。その人が、あなたのために親戚の義務をつくすことを好まないならば、わたしはあなたのために親戚の義務をつくしましょう。朝までここにおやすみなさい」。 + ルツは朝まで彼の足のところに寝たが、だれかれの見分け難いころに起きあがった。それはボアズが「この女の打ち場にきたことが人に知られてはならない」と言ったからである。 + そしてボアズは言った、「あなたの着る外套を持ってきて、それを広げなさい」。彼女がそれを広げると、ボアズは大麦六オメルをはかって彼女に負わせた。彼女は町に帰り、 + しゅうとめのところへ行くと、しゅうとめは言った、「娘よ、どうでしたか」。そこでルツはその人が彼女にしたことをことごとく告げて、 + 言った、「あのかたはわたしに向かって、から手で、しゅうとめのところへ帰ってはならないと言って、この大麦六オメルをわたしにくださいました」。 + しゅうとめは言った、「娘よ、この事がどうなるかわかるまでお待ちなさい。あの人は、きょう、その事を決定しなければ落ち着かないでしょう」。 + + + ボアズは町の門のところへ上っていって、そこにすわった。すると、さきにボアズが言った親戚の人が通り過ぎようとしたので、ボアズはその人に言った、「友よ、こちらへきて、ここにおすわりください」。彼はきてすわった。 + ボアズはまた町の長老十人を招いて言った、「ここにおすわりください」。彼らがすわった時、 + ボアズは親戚の人に言った、「モアブの地から帰ってきたナオミは、われわれの親族エリメレクの地所を売ろうとしています。 + それでわたしはそのことをあなたに知らせて、ここにすわっている人々と、民の長老たちの前で、それを買いなさいと、あなたに言おうと思いました。もし、あなたが、それをあがなおうと思われるならば、あがなってください。しかし、あなたがそれをあがなわないならば、わたしにそう言って知らせてください。それをあがなう人は、あなたのほかにはなく、わたしはあなたの次ですから」。彼は言った、「わたしがあがないましょう」。 + そこでボアズは言った、「あなたがナオミの手からその地所を買う時には、死んだ者の妻であったモアブの女ルツをも買って、死んだ者の名を起してその嗣業を伝えなければなりません」。 + その親戚の人は言った、「それでは、わたしにはあがなうことができません。そんなことをすれば自分の嗣業をそこないます。あなたがわたしに代って、自分であがなってください。わたしはあがなうことができませんから」。 + むかしイスラエルでは、物をあがなう事と、権利の譲渡について、万事を決定する時のならわしはこうであった。すなわち、その人は、自分のくつを脱いで、相手の人に渡した。これがイスラエルでの証明の方法であった。 + そこで親戚の人がボアズにむかい「あなたが自分であがないなさい」と言って、そのくつを脱いだので、 + ボアズは長老たちとすべての民に言った、「あなたがたは、きょう、わたしがエリメレクのすべての物およびキリオンとマロンのすべての物をナオミの手から買いとった事の証人です。 + またわたしはマロンの妻であったモアブの女ルツをも買って、わたしの妻としました。これはあの死んだ者の名を起してその嗣業を伝え、死んだ者の名がその一族から、またその郷里の門から断絶しないようにするためです。きょうあなたがたは、その証人です」。 + すると門にいたすべての民と長老たちは言った、「わたしたちは証人です。どうぞ、主があなたの家にはいる女を、イスラエルの家をたてたラケルとレアのふたりのようにされますよう。どうぞ、あなたがエフラタで富を得、ベツレヘムで名を揚げられますように。 + どうぞ、主がこの若い女によってあなたに賜わる子供により、あなたの家が、かのタマルがユダに産んだペレヅの家のようになりますように」。 + こうしてボアズはルツをめとって妻とし、彼女のところにはいった。主は彼女をみごもらせられたので、彼女はひとりの男の子を産んだ。 + そのとき、女たちはナオミに言った、「主はほむべきかな、主はあなたを見捨てずに、きょう、あなたにひとりの近親をお授けになりました。どうぞ、その子の名がイスラエルのうちに高く揚げられますように。 + 彼はあなたのいのちを新たにし、あなたの老年を養う者となるでしょう。あなたを愛するあなたの嫁、七人のむすこにもまさる彼女が彼を産んだのですから」。 + そこでナオミはその子をとり、ふところに置いて、養い育てた。 + 近所の女たちは「ナオミに男の子が生れた」と言って、彼に名をつけ、その名をオベデと呼んだ。彼はダビデの父であるエッサイの父となった。 + さてペレヅの子孫は次のとおりである。ペレヅからヘヅロンが生れ、 + ヘヅロンからラムが生れ、ラムからアミナダブが生れ、 + アミナダブからナションが生れ、ナションからサルモンが生れ、 + サルモンからボアズが生れ、ボアズからオベデが生れ、 + オベデからエッサイが生れ、エッサイからダビデが生れた。 + +
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+ + エフライムの山地のラマタイム・ゾピムに、エルカナという名の人があった。エフライムびとで、エロハムの子であった。エロハムはエリウの子、エリウはトフの子、トフはツフの子である。 + エルカナには、ふたりの妻があって、ひとりの名はハンナといい、ひとりの名はペニンナといった。ペニンナには子どもがあったが、ハンナには子どもがなかった。 + この人は年ごとに、その町からシロに上っていって、万軍の主を拝し、主に犠牲をささげるのを常とした。シロには、エリのふたりの子、ホフニとピネハスとがいて、主に仕える祭司であった。 + エルカナは、犠牲をささげる日、妻ペニンナとそのむすこ娘にはみな、その分け前を与えた。 + エルカナはハンナを愛していたが、彼女には、ただ一つの分け前を与えるだけであった。主がその胎を閉ざされたからである。 + また彼女を憎んでいる他の妻は、ひどく彼女を悩まして、主がその胎を閉ざされたことを恨ませようとした。 + こうして年は暮れ、年は明けたが、ハンナが主の宮に上るごとに、ペニンナは彼女を悩ましたので、ハンナは泣いて食べることもしなかった。 + 夫エルカナは彼女に言った、「ハンナよ、なぜ泣くのか。なぜ食べないのか。どうして心に悲しむのか。わたしはあなたにとって十人の子どもよりもまさっているではないか」。 + シロで彼らが飲み食いしたのち、ハンナは立ちあがった。その時、祭司エリは主の神殿の柱のかたわらの座にすわっていた。 + ハンナは心に深く悲しみ、主に祈って、はげしく泣いた。 + そして誓いを立てて言った、「万軍の主よ、まことに、はしための悩みをかえりみ、わたしを覚え、はしためを忘れずに、はしために男の子を賜わりますなら、わたしはその子を一生のあいだ主にささげ、かみそりをその頭にあてません」。 + 彼女が主の前で長く祈っていたので、エリは彼女の口に目をとめた。 + ハンナは心のうちで物を言っていたので、くちびるが動くだけで、声は聞えなかった。それゆえエリは、酔っているのだと思って、 + 彼女に言った、「いつまで酔っているのか。酔いをさましなさい」。 + しかしハンナは答えた、「いいえ、わが主よ。わたしは不幸な女です。ぶどう酒も濃い酒も飲んだのではありません。ただ主の前に心を注ぎ出していたのです。 + はしためを、悪い女と思わないでください。積る憂いと悩みのゆえに、わたしは今まで物を言っていたのです」。 + そこでエリは答えた、「安心して行きなさい。どうかイスラエルの神があなたの求める願いを聞きとどけられるように」。 + 彼女は言った、「どうぞ、はしためにも、あなたの前に恵みを得させてください」。こうして、その女は去って食事し、その顔は、もはや悲しげではなくなった。 + 彼らは朝早く起きて、主の前に礼拝し、そして、ラマにある家に帰って行った。エルカナは妻ハンナを知り、主が彼女を顧みられたので、 + 彼女はみごもり、その時が巡ってきて、男の子を産み、「わたしがこの子を主に求めたからだ」といって、その名をサムエルと名づけた。 + エルカナその人とその家族とはみな上っていって、年ごとの犠牲と、誓いの供え物とをささげた。 + しかしハンナは上って行かず、夫に言った、「わたしはこの子が乳離れしてから、主の前に連れていって、いつまでも、そこにおらせましょう」。 + 夫エルカナは彼女に言った、「あなたが良いと思うようにして、この子の乳離れするまで待ちなさい。ただどうか主がその言われたことを実現してくださるように」。こうしてその女はとどまって、その子に乳をのませ、乳離れするのを待っていたが、 + 乳離れした時、三歳の雄牛一頭、麦粉一エパ、ぶどう酒のはいった皮袋一つを取り、その子を連れて、シロにある主の宮に行った。その子はなお幼かった。 + そして彼らはその牛を殺し、子供をエリのもとへ連れて行った。 + ハンナは言った、「わが君よ、あなたは生きておられます。わたしは、かつてここに立って、あなたの前で、主に祈った女です。 + この子を与えてくださいと、わたしは祈りましたが、主はわたしの求めた願いを聞きとどけられました。 + それゆえ、わたしもこの子を主にささげます。この子は一生のあいだ主にささげたものです」。そして彼らはそこで主を礼拝した。 + + + ハンナは祈って言った、「わたしの心は主によって喜び、わたしの力は主によって強められた、わたしの口は敵をあざ笑う、あなたの救によってわたしは楽しむからである。 + 主のように聖なるものはない、あなたのほかには、だれもない、われわれの神のような岩はない。 + あなたがたは重ねて高慢に語ってはならない、たかぶりの言葉を口にすることをやめよ。主はすべてを知る神であって、もろもろのおこないは主によって量られる。 + 勇士の弓は折れ、弱き者は力を帯びる。 + 飽き足りた者は食のために雇われ、飢えたものは、もはや飢えることがない。うまずめは七人の子を産み、多くの子をもつ女は孤独となる。 + 主は殺し、また生かし、陰府にくだし、また上げられる。 + 主は貧しくし、また富ませ、低くし、また高くされる。 + 貧しい者を、ちりのなかから立ちあがらせ、乏しい者を、あくたのなかから引き上げて、王侯と共にすわらせ、栄誉の位を継がせられる。地の柱は主のものであって、その柱の上に、世界をすえられたからである。 + 主はその聖徒たちの足を守られる、しかし悪いものどもは暗黒のうちに滅びる。人は力をもって勝つことができないからである。 + 主と争うものは粉々に砕かれるであろう、主は彼らにむかって天から雷をとどろかし、地のはてまでもさばき、王に力を与え、油そそがれた者の力を強くされるであろう」。 + エルカナはラマにある家に帰ったが、幼な子は祭司エリの前にいて主に仕えた。 + さて、エリの子らは、よこしまな人々で、主を恐れなかった。 + 民のささげ物についての祭司のならわしはこうである。人が犠牲をささげる時、その肉を煮る間に、祭司のしもべは、みつまたの肉刺しを手に持ってきて、 + それをかま、またはなべ、またはおおがま、または鉢に突きいれ、肉刺しの引き上げるものは祭司がみな自分のものとした。彼らはシロで、そこに来るすべてのイスラエルの人に、このようにした。 + 人々が脂肪を焼く前にもまた、祭司のしもべがきて、犠牲をささげる人に言うのであった、「祭司のために焼く肉を与えよ。祭司はあなたから煮た肉を受けない。生の肉がよい」。 + その人が、「まず脂肪を焼かせましょう。その後ほしいだけ取ってください」と言うと、しもべは、「いや、今もらいたい。くれないなら、わたしは力づくで、それを取ろう」と言う。 + このように、その若者たちの罪は、主の前に非常に大きかった。この人々が主の供え物を軽んじたからである。 + サムエルはまだ幼く、身に亜麻布のエポデを着けて、主の前に仕えていた。 + 母は彼のために小さい上着を作り、年ごとに、夫と共にその年の犠牲をささげるために上る時、それを持ってきた。 + エリはいつもエルカナとその妻を祝福して言った、「この女が主にささげた者のかわりに、主がこの女によってあなたに子を与えられるように」。そして彼らはその家に帰るのを常とした。 + こうして主がハンナを顧みられたので、ハンナはみごもって、三人の男の子とふたりの女の子を産んだ。わらべサムエルは主の前で育った。 + エリはひじょうに年をとった。そしてその子らがイスラエルの人々にしたいろいろのことを聞き、また会見の幕屋の入口で勤めていた女たちと寝たことを聞いて、 + 彼らに言った、「なにゆえ、そのようなことをするのか。わたしはこのすべての民から、あなたがたの悪いおこないのことを聞く。 + わが子らよ、それはいけない。わたしの聞く、主の民の言いふらしている風説は良くない。 + もし人が人に対して罪を犯すならば、神が仲裁されるであろう。しかし人が主に対して罪を犯すならば、だれが、そのとりなしをすることができようか」。しかし彼らは父の言うことに耳を傾けようともしなかった。主が彼らを殺そうとされたからである。 + わらべサムエルは育っていき、主にも、人々にも、ますます愛せられた。 + このとき、ひとりの神の人が、エリのもとにきて言った、「主はかく仰せられる、『あなたの先祖の家がエジプトでパロの家の奴隷であったとき、わたしはその先祖の家に自らを現した。 + そしてイスラエルのすべての部族のうちからそれを選び出して、わたしの祭司とし、わたしの祭壇に上って、香をたかせ、わたしの前でエポデを着けさせ、また、イスラエルの人々の火祭をことごとくあなたの先祖の家に与えた。 + それにどうしてあなたがたは、わたしが命じた犠牲と供え物をむさぼりの目をもって見るのか。またなにゆえ、わたしよりも自分の子らを尊び、わたしの民イスラエルのささげるもろもろの供え物の、最も良き部分をもって自分を肥やすのか』。 + それゆえイスラエルの神、主は仰せられる、『わたしはかつて、「あなたの家とあなたの父の家とは、永久にわたしの前に歩むであろう」と言った』。しかし今、主は仰せられる、『決してそうはしない。わたしを尊ぶ者を、わたしは尊び、わたしを卑しめる者は、軽んぜられるであろう。 + 見よ、日が来るであろう。その日、わたしはあなたの力と、あなたの父の家の力を断ち、あなたの家に年老いた者をなくするであろう。 + そのとき、あなたは災のうちにあって、イスラエルに与えられるもろもろの繁栄を、ねたみ見るであろう。あなたの家には永久に年老いた者がいなくなるであろう。 + しかしあなたの一族のひとりを、わたしの祭壇から断たないであろう。彼は残されてその目を泣きはらし、心を痛めるであろう。またあなたの家に生れ出るものは、みなつるぎに死ぬであろう。 + あなたのふたりの子ホフニとピネハスの身に起ることが、あなたのためにそのしるしとなるであろう。すなわちそのふたりは共に同じ日に死ぬであろう。 + わたしは自分のために、ひとりの忠実な祭司を起す。その人はわたしの心と思いとに従って行うであろう。わたしはその家を確立しよう。その人はわたしが油そそいだ者の前につねに歩むであろう。 + そしてあなたの家で生き残っている人々はみなきて、彼に一枚の銀と一個のパンを請い求め、「どうぞ、わたしを祭司の職の一つに任じ、一口のパンでも食べることができるようにしてください」と言うであろう』」。 + + + わらべサムエルは、エリの前で、主に仕えていた。そのころ、主の言葉はまれで、黙示も常ではなかった。 + さてエリは、しだいに目がかすんで、見ることができなくなり、そのとき自分のへやで寝ていた。 + 神のともしびはまだ消えず、サムエルが神の箱のある主の神殿に寝ていた時、 + 主は「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれた。彼は「はい、ここにおります」と言って、 + エリの所へ走っていって言った、「あなたがお呼びになりました。わたしは、ここにおります」。しかしエリは言った、「わたしは呼ばない。帰って寝なさい」。彼は行って寝た。 + 主はまたかさねて「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれた。サムエルは起きてエリのもとへ行って言った、「あなたがお呼びになりました。わたしは、ここにおります」。エリは言った、「子よ、わたしは呼ばない。もう一度寝なさい」。 + サムエルはまだ主を知らず、主の言葉がまだ彼に現されなかった。 + 主はまた三度目にサムエルを呼ばれたので、サムエルは起きてエリのもとへ行って言った、「あなたがお呼びになりました。わたしは、ここにおります」。その時、エリは主がわらべを呼ばれたのであることを悟った。 + そしてエリはサムエルに言った、「行って寝なさい。もしあなたを呼ばれたら、『しもべは聞きます。主よ、お話しください』と言いなさい」。サムエルは行って自分の所で寝た。 + 主はきて立ち、前のように、「サムエルよ、サムエルよ」と呼ばれたので、サムエルは言った、「しもべは聞きます。お話しください」。 + その時、主はサムエルに言われた、「見よ、わたしはイスラエルのうちに一つの事をする。それを聞く者はみな、耳が二つとも鳴るであろう。 + その日には、わたしが、かつてエリの家について話したことを、はじめから終りまでことごとく、エリに行うであろう。 + わたしはエリに、彼が知っている悪事のゆえに、その家を永久に罰することを告げる。その子らが神をけがしているのに、彼がそれをとめなかったからである。 + それゆえ、わたしはエリの家に誓う。エリの家の悪は、犠牲や供え物をもってしても、永久にあがなわれないであろう」。 + サムエルは朝まで寝て、主の宮の戸をあけたが、サムエルはその幻のことをエリに語るのを恐れた。 + しかしエリはサムエルを呼んで言った、「わが子サムエルよ」。サムエルは言った、「はい、ここにおります」。 + エリは言った、「何事をお告げになったのか。隠さず話してください。もしお告げになったことを一つでも隠して、わたしに言わないならば、どうぞ神があなたを罰し、さらに重く罰せられるように」。 + そこでサムエルは、その事をことごとく話して、何も彼に隠さなかった。エリは言った、「それは主である。どうぞ主が、良いと思うことを行われるように」。 + サムエルは育っていった。主が彼と共におられて、その言葉を一つも地に落ちないようにされたので、 + ダンからベエルシバまで、イスラエルのすべての人は、サムエルが主の預言者と定められたことを知った。 + 主はふたたびシロで現れられた。すなわち主はシロで、主の言葉によって、サムエルに自らを現された。こうしてサムエルの言葉は、あまねくイスラエルの人々に及んだ。 + + + イスラエルびとは出てペリシテびとと戦おうとして、エベネゼルのほとりに陣をしき、ペリシテびとはアペクに陣をしいた。 + ペリシテびとはイスラエルびとにむかって陣備えをしたが、戦うに及んで、イスラエルびとはペリシテびとの前に敗れ、ペリシテびとは戦場において、おおよそ四千人を殺した。 + 民が陣営に退いた時、イスラエルの長老たちは言った、「なにゆえ、主はきょう、ペリシテびとの前にわれわれを敗られたのか。シロへ行って主の契約の箱をここへ携えてくることにしよう。そして主をわれわれのうちに迎えて、敵の手から救っていただこう」。 + そこで民は人をシロにつかわし、ケルビムの上に座しておられる万軍の主の契約の箱を、そこから携えてこさせた。その時エリのふたりの子、ホフニとピネハスは神の契約の箱と共に、その所にいた。 + 主の契約の箱が陣営についた時、イスラエルびとはみな大声で叫んだので、地は鳴り響いた。 + ペリシテびとは、その叫び声を聞いて言った、「ヘブルびとの陣営の、この大きな叫び声は何事か」。そして主の箱が、陣営に着いたことを知った時、 + ペリシテびとは恐れて言った、「神々が陣営にきたのだ」。彼らはまた言った、「ああ、われわれはわざわいである。このようなことは今までなかった。 + ああ、われわれはわざわいである。だれがわれわれをこれらの強い神々の手から救い出すことができようか。これらの神々は、もろもろの災をもってエジプトびとを荒野で撃ったのだ。 + ペリシテびとよ、勇気を出して男らしくせよ。ヘブルびとがあなたがたに仕えたように、あなたがたが彼らに仕えることのないために、男らしく戦え」。 + こうしてペリシテびとが戦ったので、イスラエルびとは敗れて、おのおのその家に逃げて帰った。戦死者はひじょうに多く、イスラエルの歩兵で倒れたものは三万であった。 + また神の箱は奪われ、エリのふたりの子、ホフニとピネハスは殺された。 + その日ひとりのベニヤミンびとが、衣服を裂き、頭に土をかぶって、戦場から走ってシロにきた。 + 彼が着いたとき、エリは道のかたわらにある自分の座にすわって待ちかまえていた。その心に神の箱の事を気づかっていたからである。その人が町にはいって、情報をつたえたので、町はこぞって叫んだ。 + エリはその叫び声を聞いて言った、「この騒ぎ声は何か」。その人は急いでエリの所へきてエリに告げた。 + その時エリは九十八歳で、その目は固まって見ることができなかった。 + その人はエリに言った、「わたしは戦場からきたものです。きょう戦場からのがれたのです」。エリは言った、「わが子よ、様子はどうであったか」。 + しらせをもたらしたその人は答えて言った、「イスラエルびとは、ペリシテびとの前から逃げ、民のうちにはまた多くの戦死者があり、あなたのふたりの子、ホフニとピネハスも死に、神の箱は奪われました」。 + 彼が神の箱のことを言ったとき、エリはその座から、あおむけに門のかたわらに落ち、首を折って死んだ。老いて身が重かったからである。彼のイスラエルをさばいたのは四十年であった。 + 彼の嫁、ピネハスの妻はみごもって出産の時が近づいていたが、神の箱が奪われたこと、しゅうとと夫が死んだというしらせを聞いたとき、陣痛が起り身をかがめて子を産んだ。 + 彼女が死にかかっている時、世話をしていた女が彼女に言った、「恐れることはありません。男の子が生れました」。しかし彼女は答えもせず、また顧みもしなかった。 + ただ彼女は「栄光はイスラエルを去った」と言って、その子をイカボデと名づけた。これは神の箱の奪われたこと、また彼女のしゅうとと夫のことによるのである。 + 彼女はまた、「栄光はイスラエルを去った。神の箱が奪われたからです」と言った。 + + + ペリシテびとは神の箱をぶんどって、エベネゼルからアシドドに運んできた。 + そしてペリシテびとはその神の箱を取ってダゴンの宮に運びこみ、ダゴンのかたわらに置いた。 + アシドドの人々が、次の日、早く起きて見ると、ダゴンが主の箱の前に、うつむきに地に倒れていたので、彼らはダゴンを起して、それをもとの所に置いた。 + その次の朝また早く起きて見ると、ダゴンはまた、主の箱の前に、うつむきに地に倒れていた。そしてダゴンの頭と両手とは切れて離れ、しきいの上にあり、ダゴンはただ胴体だけとなっていた。 + それゆえダゴンの祭司たちやダゴンの宮にはいる人々は、だれも今日にいたるまで、アシドドのダゴンのしきいを踏まない。 + そして主の手はアシドドびとの上にきびしく臨み、主は腫物をもってアシドドとその領域の人々を恐れさせ、また悩まされた。 + アシドドの人々は、このありさまを見て言った、「イスラエルの神の箱を、われわれの所に、とどめ置いてはならない。その神の手が、われわれと、われわれの神ダゴンの上にきびしく臨むからである」。 + そこで彼らは人をつかわして、ペリシテびとの君たちを集めて言った、「イスラエルの神の箱をどうしましょう」。彼らは言った、「イスラエルの神の箱はガテに移そう」。人々はイスラエルの神の箱をそこに移した。 + 彼らがそれを移すと、主の手がその町に臨み、非常な騒ぎが起った。そして老若を問わず町の人々を撃たれたので、彼らの身に腫物ができた。 + そこで人々は神の箱をエクロンに送ったが、神の箱がエクロンに着いた時、エクロンの人々は叫んで言った、「彼らがイスラエルの神の箱をわれわれの所に移したのは、われわれと民を滅ぼすためである」。 + そこで彼らは人をつかわして、ペリシテびとの君たちをみな集めて言った、「イスラエルの神の箱を送り出して、もとの所に返し、われわれと民を滅ぼすことのないようにしよう」。恐ろしい騒ぎが町中に起っていたからである。そこには神の手が非常にきびしく臨んでいたので、 + 死なない人は腫物をもって撃たれ、町の叫びは天に達した。 + + + 主の箱は七か月の間ペリシテびとの地にあった。 + ペリシテびとは、祭司や占い師を呼んで言った、「イスラエルの神の箱をどうしましょうか。どのようにして、それをもとの所へ送り返せばよいか告げてください」。 + 彼らは言った、「イスラエルの神の箱を送り返す時には、それをむなしく返してはならない。必ず彼にとがの供え物をもって償いをしなければならない。そうすれば、あなたがたはいやされ、また彼の手がなぜあなたがたを離れないかを知ることができるであろう」。 + 人々は言った、「われわれが償うとがの供え物には何をしましょうか」。彼らは答えた、「ペリシテびとの君たちの数にしたがって、金の腫物五つと金のねずみ五つである。あなたがたすべてと、君たちに臨んだ災は一つだからである。 + それゆえ、あなたがたの腫物の像と、地を荒すねずみの像を造り、イスラエルの神に栄光を帰するならば、たぶん彼は、あなたがた、およびあなたがたの神々と、あなたがたの地に、その手を加えることを軽くされるであろう。 + なにゆえ、あなたがたはエジプトびととパロがその心をかたくなにしたように、自分の心をかたくなにするのか。神が彼らを悩ましたので、彼らは民を行かせ、民は去ったではないか。 + それゆえ今、新しい車一両を造り、まだくびきを付けたことのない乳牛二頭をとり、その牛を車につなぎ、そのおのおのの子牛を乳牛から離して家に連れ帰り、 + 主の箱をとって、それをその車に載せ、あなたがたがとがの供え物として彼に償う金の作り物を一つの箱におさめてそのかたわらに置き、それを送って去らせなさい。 + そして見ていて、それが自分の領地へ行く道を、ベテシメシへ上るならば、この大いなる災を、われわれに下したのは彼である。しかし、そうしない時は、われわれを撃ったのは彼の手ではなく、その事の偶然であったことを知るであろう」。 + 人々はそのようにした。すなわち、彼らは二頭の乳牛をとって、これを車につなぎ、そのおのおのの子牛を家に閉じこめ、 + 主の箱、および金のねずみと、腫物の像をおさめた箱とを車に載せた。 + すると雌牛はまっすぐにベテシメシの方向へ、ひとすじに大路を歩み、鳴きながら進んでいって、右にも左にも曲らなかった。ペリシテびとの君たちは、ベテシメシの境までそのあとについていった。 + 時にベテシメシの人々は谷で小麦を刈り入れていたが、目をあげて、その箱を見、それを迎えて喜んだ。 + 車はベテシメシびとヨシュアの畑にはいって、そこにとどまった。その所に大きな石があった。人々は車の木を割り、その雌牛を燔祭として主にささげた。 + レビびとは主の箱と、そのかたわらの、金の作り物をおさめた箱を取りおろし、それを大石の上に置いた。そしてベテシメシの人々は、その日、主に燔祭を供え、犠牲をささげた。 + ペリシテびとの五人の君たちはこれを見て、その日、エクロンに帰った。 + ペリシテびとが、とがの供え物として、主に償いをした金の腫物は、次のとおりである。すなわちアシドドのために一つ、ガザのために一つ、アシケロンのために一つ、ガテのために一つ、エクロンのために一つであった。 + また金のねずみは、城壁をめぐらした町から城壁のない村里にいたるまで、すべて五人の君たちに属するペリシテびとの町の数にしたがって造った。主の箱をおろした所のかたわらにあった大石は、今日にいたるまで、ベテシメシびとヨシュアの畑にあって、あかしとなっている。 + ベテシメシの人々で主の箱の中を見たものがあったので、主はこれを撃たれた。すなわち民のうち七十人を撃たれた。主が民を撃って多くの者を殺されたので、民はなげき悲しんだ。 + ベテシメシの人々は言った、「だれが、この聖なる神、主の前に立つことができようか。主はわれわれを離れてだれの所へ上って行かれたらよいのか」。 + そして彼らは、使者をキリアテ・ヤリムの人々につかわして言った、「ペリシテびとが主の箱を返したから、下ってきて、それをあなたがたの所へ携え上ってください」。 + + + キリアテ・ヤリムの人々は、きて、主の箱を携え上り、丘の上のアビナダブの家に持ってきて、その子エレアザルを聖別して、主の箱を守らせた。 + その箱は久しくキリアテ・ヤリムにとどまって、二十年を経た。イスラエルの全家は主を慕って嘆いた。 + その時サムエルはイスラエルの全家に告げていった、「もし、あなたがたが一心に主に立ち返るのであれば、ほかの神々とアシタロテを、あなたがたのうちから捨て去り、心を主に向け、主にのみ仕えなければならない。そうすれば、主はあなたがたをペリシテびとの手から救い出されるであろう」。 + そこでイスラエルの人々はバアルとアシタロテを捨て去り、ただ主にのみ仕えた。 + サムエルはまた言った、「イスラエルびとを、ことごとくミヅパに集めなさい。わたしはあなたがたのために主に祈りましょう」。 + 人々はミヅパに集まり、水をくんでそれを主の前に注ぎ、その日、断食してその所で言った、「われわれは主に対して罪を犯した」。サムエルはミヅパでイスラエルの人々をさばいた。 + イスラエルの人々のミヅパに集まったことがペリシテびとに聞えたので、ペリシテびとの君たちは、イスラエルに攻め上ってきた。イスラエルの人々はそれを聞いて、ペリシテびとを恐れた。 + そしてイスラエルの人々はサムエルに言った、「われわれのため、われわれの神、主に叫ぶことを、やめないでください。そうすれば主がペリシテびとの手からわれわれを救い出されるでしょう」。 + そこでサムエルは乳を飲む小羊一頭をとり、これを全き燔祭として主にささげた。そしてサムエルはイスラエルのために主に叫んだので、主はこれに答えられた。 + サムエルが燔祭をささげていた時、ペリシテびとはイスラエルと戦おうとして近づいてきた。しかし主はその日、大いなる雷をペリシテびとの上にとどろかせて、彼らを乱されたので、彼らはイスラエルびとの前に敗れて逃げた。 + イスラエルの人々はミヅパを出てペリシテびとを追い、これを撃って、ベテカルの下まで行った。 + その時サムエルは一つの石をとってミヅパとエシャナの間にすえ、「主は今に至るまでわれわれを助けられた」と言って、その名をエベネゼルと名づけた。 + こうしてペリシテびとは征服され、ふたたびイスラエルの領地に、はいらなかった。サムエルの一生の間、主の手が、ペリシテびとを防いだ。 + ペリシテびとがイスラエルから取った町々は、エクロンからガテまで、イスラエルにかえり、イスラエルはその周囲の地をもペリシテびとの手から取りかえした。またイスラエルとアモリびととの間には平和があった。 + サムエルは一生の間イスラエルをさばいた。 + 年ごとにサムエルはベテルとギルガル、およびミヅパを巡って、その所々でイスラエルをさばき、 + ラマに帰った。そこに彼の家があったからである。その所でも彼はイスラエルをさばき、またそこで主に祭壇を築いた。 + + + サムエルは年老いて、その子らをイスラエルのさばきづかさとした。 + 長子の名はヨエルといい、次の子の名はアビヤと言った。彼らはベエルシバでさばきづかさであった。 + しかしその子らは父の道を歩まないで、利にむかい、まいないを取って、さばきを曲げた。 + この時、イスラエルの長老たちはみな集まってラマにおるサムエルのもとにきて、 + 言った、「あなたは年老い、あなたの子たちはあなたの道を歩まない。今ほかの国々のように、われわれをさばく王を、われわれのために立ててください」。 + しかし彼らが、「われわれをさばく王を、われわれに与えよ」と言うのを聞いて、サムエルは喜ばなかった。そしてサムエルが主に祈ると、 + 主はサムエルに言われた、「民が、すべてあなたに言う所の声に聞き従いなさい。彼らが捨てるのはあなたではなく、わたしを捨てて、彼らの上にわたしが王であることを認めないのである。 + 彼らは、わたしがエジプトから連れ上った日から、きょうまで、わたしを捨ててほかの神々に仕え、さまざまの事をわたしにしたように、あなたにもしているのである。 + 今その声に聞き従いなさい。ただし、深く彼らを戒めて、彼らを治める王のならわしを彼らに示さなければならない」。 + サムエルは王を立てることを求める民に主の言葉をことごとく告げて、 + 言った、「あなたがたを治める王のならわしは次のとおりである。彼はあなたがたのむすこを取って、戦車隊に入れ、騎兵とし、自分の戦車の前に走らせるであろう。 + 彼はまたそれを千人の長、五十人の長に任じ、またその地を耕させ、その作物を刈らせ、またその武器と戦車の装備を造らせるであろう。 + また、あなたがたの娘を取って、香をつくる者とし、料理をする者とし、パンを焼く者とするであろう。 + また、あなたがたの畑とぶどう畑とオリブ畑の最も良い物を取って、その家来に与え、 + あなたがたの穀物と、ぶどう畑の、十分の一を取って、その役人と家来に与え、 + また、あなたがたの男女の奴隷および、あなたがたの最も良い牛とろばを取って、自分のために働かせ、 + また、あなたがたの羊の十分の一を取り、あなたがたは、その奴隷となるであろう。 + そしてその日あなたがたは自分のために選んだ王のゆえに呼ばわるであろう。しかし主はその日にあなたがたに答えられないであろう」。 + ところが民はサムエルの声に聞き従うことを拒んで言った、「いいえ、われわれを治める王がなければならない。 + われわれも他の国々のようになり、王がわれわれをさばき、われわれを率いて、われわれの戦いにたたかうのである」。 + サムエルは民の言葉をことごとく聞いて、それを主の耳に告げた。 + 主はサムエルに言われた、「彼らの声に聞き従い、彼らのために王を立てよ」。サムエルはイスラエルの人々に言った、「あなたがたは、めいめいその町に帰りなさい」。 + + + さて、ベニヤミンの人で、キシという名の裕福な人があった。キシはアビエルの子、アビエルはゼロルの子、ゼロルはベコラテの子、ベコラテはアピヤの子、アピヤはベニヤミンびとである。 + キシにはサウルという名の子があった。若くて麗しく、イスラエルの人々のうちに彼よりも麗しい人はなく、民のだれよりも肩から上、背が高かった。 + サウルの父キシの数頭のろばがいなくなった。そこでキシは、その子サウルに言った、「しもべをひとり連れて、立って行き、ろばを捜してきなさい」。 + そこでふたりはエフライムの山地を通りすぎ、シャリシャの地を通り過ぎたけれども見当らず、シャリムの地を通り過ぎたけれどもおらず、ベニヤミンの地を通り過ぎたけれども見当らなかった。 + 彼らがツフの地にきた時、サウルは連れてきたしもべに言った、「さあ、帰ろう。父は、ろばのことよりも、われわれのことを心配するだろう」。 + ところが、しもべは言った、「この町には神の人がおられます。尊い人で、その言われることはみなそのとおりになります。その所へ行きましょう。われわれの出てきた旅のことについて何か示されるでしょう」。 + サウルはしもべに言った、「しかし行くのであれば、その人に何を贈ろうか。袋のパンはもはや、なくなり、神の人に持っていく贈り物がない。何かありますか」。 + しもべは、またサウルに答えた、「わたしの手に四分の一シケルの銀があります。わたしはこれを、神の人に与えて、われわれの道を示してもらいましょう」。 + ――昔イスラエルでは、神に問うために行く時には、こう言った、「さあ、われわれは先見者のところへ行こう」。今の預言者は、昔は先見者といわれていたのである。―― + サウルはそのしもべに言った、「それは良い。さあ、行こう」。こうして彼らは、神の人のいるその町へ行った。 + 彼らは町へ行く坂を上っている時、水をくむために出てくるおとめたちに出会ったので、彼らに言った、「先見者はここにおられますか」。 + おとめたちは答えた、「おられます。ごらんなさい、この先です。急いで行きなさい。民がきょう高き所で犠牲をささげるので、たった今、町にこられたところです。 + あなたがたは、町にはいるとすぐ、あのかたが高き所に上って食事される前に会えるでしょう。民はそのかたがこられるまでは食事をしません。あのかたが犠牲を祝福されてから、招かれた人々が食事をするのです。さあ、上っていきなさい。すぐに会えるでしょう」。 + こうして彼らは町に上っていった。そして町の中に、はいろうとした時、サムエルは高き所に上るため彼らのほうに向かって出てきた。 + さてサウルが来る一日前に、主はサムエルの耳に告げて言われた、 + 「あすの今ごろ、あなたの所に、ベニヤミンの地から、ひとりの人をつかわすであろう。あなたはその人に油を注いで、わたしの民イスラエルの君としなさい。彼はわたしの民をペリシテびとの手から救い出すであろう。わたしの民の叫びがわたしに届き、わたしがその悩みを顧みるからである」。 + サムエルがサウルを見た時、主は言われた、「見よ、わたしの言ったのはこの人である。この人がわたしの民を治めるであろう」。 + そのときサウルは、門の中でサムエルに近づいて言った、「先見者の家はどこですか。どうか教えてください」。 + サムエルはサウルに答えた、「わたしがその先見者です。わたしの前に行って、高き所に上りなさい。あなたがたは、きょう、わたしと一緒に食事しなさい。わたしはあすの朝あなたを帰らせ、あなたの心にあることをみな示しましょう。 + 三日前に、いなくなったあなたのろばは、もはや見つかったので心にかけなくてもよろしい。しかしイスラエルのすべての望ましきものはだれのものですか。それはあなたのもの、あなたの父の家のすべての人のものではありませんか」。 + サウルは答えた、「わたしはイスラエルのうちの最も小さい部族のベニヤミンびとであって、わたしの一族はまたベニヤミンのどの一族よりも卑しいものではありませんか。どうしてあなたは、そのようなことをわたしに言われるのですか」。 + サムエルはサウルとそのしもべを導いて、へやにはいり、招かれた三十人ほどのうちの上座にすわらせた。 + そしてサムエルは料理人に言った、「あなたに渡して、取りのけておくようにと言っておいた分を持ってきなさい」。 + 料理人は、ももとその上の部分を取り上げて、それをサウルの前に置いた。そしてサムエルは言った、「ごらんなさい。取っておいた物が、あなたの前に置かれています。召しあがってください。あなたが客人たちと一緒に食事ができるように、この時まで、あなたのために取っておいたものです」。こうしてサウルはその日サムエルと一緒に食事をした。 + そして彼らが高き所を下って町にはいった時、サウルのために屋上に床が設けられ、彼はその上に身を横たえて寝た。 + そして夜明けになって、サムエルは屋上のサウルに呼ばわって言った、「起きなさい。あなたをお送りします」。サウルは起き上がった。そしてサウルとサムエルのふたりは、共に外に出た。 + 彼らが町はずれに下った時、サムエルはサウルに言った、「あなたのしもべに先に行くように言いなさい。しもべが先に行ったら、あなたは、しばらくここに立ちとどまってください。神の言葉を知らせましょう」。 + + + その時サムエルは油のびんを取って、サウルの頭に注ぎ、彼に口づけして言った、「主はあなたに油を注いで、その民イスラエルの君とされたではありませんか。あなたは主の民を治め、周囲の敵の手から彼らを救わなければならない。主があなたに油を注いで、その嗣業の君とされたことの、しるしは次のとおりです。 + あなたがきょう、わたしを離れて、去って行くとき、ベニヤミンの領地のゼルザにあるラケルの墓のかたわらで、ふたりの人に会うでしょう。そして彼らはあなたに言います、『あなたが捜しに行かれたろばは見つかりました。いま父上は、ろばよりもあなたがたの事を心配して、「わが子のことは、どうしよう」と言っておられます』。 + あなたが、そこからなお進んで、タボルのかしの木の所へ行くと、そこでベテルに上って神を拝もうとする三人の者に会うでしょう。ひとりは三頭の子やぎを連れ、ひとりは三つのパンを携え、ひとりは、ぶどう酒のはいった皮袋一つを携えている。 + 彼らはあなたにあいさつし、二つのパンをくれるでしょう。あなたはそれを、その手から受けなければならない。 + その後、あなたは神のギベアへ行く。そこはペリシテびとの守備兵のいる所である。あなたはその所へ行って、町にはいる時、立琴、手鼓、笛、琴を執る人々を先に行かせて、預言しながら高き所から降りてくる一群の預言者に会うでしょう。 + その時、主の霊があなたの上にもはげしく下って、あなたは彼らと一緒に預言し、変って新しい人となるでしょう。 + これらのしるしが、あなたの身に起ったならば、あなたは手当たりしだいになんでもしなさい。神があなたと一緒におられるからです。 + あなたはわたしに先立ってギルガルに下らなければならない。わたしはあなたのもとに下っていって、燔祭を供え、酬恩祭をささげるでしょう。わたしがあなたのもとに行って、あなたのしなければならない事をあなたに示すまで、七日のあいだ待たなければならない」。 + サウルが背をかえしてサムエルを離れたとき、神は彼に新しい心を与えられた。これらのしるしは皆その日に起った。 + 彼らはギベアにきた時、預言者の一群に出会った。そして神の霊が、はげしくサウルの上に下り、彼は彼らのうちにいて預言した。 + もとからサウルを知っていた人々はみな、サウルが預言者たちと共に預言するのを見て互に言った、「キシの子に何事が起ったのか。サウルもまた預言者たちのうちにいるのか」。 + その所のひとりの者が答えた、「彼らの父はだれなのか」。それで「サウルもまた預言者たちのうちにいるのか」というのが、ことわざとなった。 + サウルは預言することを終えて、高き所へ行った。 + サウルのおじが、サウルとそのしもべとに言った、「あなたがたは、どこへ行ったのか」。サウルは言った、「ろばを捜しにいったのですが、どこにもいないので、サムエルのもとに行きました」。 + サウルのおじは言った、「サムエルが、どんなことを言ったか、どうぞ話してください」。 + サウルはおじに言った、「ろばが見つかったと、はっきり、わたしたちに言いました」。しかしサムエルが言った王国のことについて、おじには何も告げなかった。 + さて、サムエルは民をミヅパで主の前に集め、 + イスラエルの人々に言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられる、『わたしはイスラエルをエジプトから導き出し、あなたがたをエジプトびとの手、およびすべてあなたがたをしえたげる王国の手から救い出した』。 + しかしあなたがたは、きょう、あなたがたをその悩みと苦しみの中から救われるあなたがたの神を捨て、その上、『いいえ、われわれの上に王を立てよ』と言う。それゆえ今、あなたがたは、部族にしたがい、また氏族にしたがって、主の前に出なさい」。 + こうしてサムエルがイスラエルのすべての部族を呼び寄せた時、ベニヤミンの部族が、くじに当った。 + またベニヤミンの部族をその氏族にしたがって呼び寄せた時、マテリの氏族が、くじに当り、マテリの氏族を人ごとに呼び寄せた時、キシの子サウルが、くじに当った。しかし人々が彼を捜した時、見つからなかった。 + そこでまた主に「その人はここにきているのですか」と問うと、主は言われた、「彼は荷物の間に隠れている」。 + 人々は走って行って、彼をそこから連れてきた。彼は民の中に立ったが、肩から上は、民のどの人よりも高かった。 + サムエルはすべての民に言った、「主が選ばれた人をごらんなさい。民のうちに彼のような人はないではありませんか」。民はみな「王万歳」と叫んだ。 + その時サムエルは王国のならわしを民に語り、それを書にしるして、主の前におさめた。こうしてサムエルはすべての民をそれぞれ家に帰らせた。 + サウルもまたギベアにある彼の家に帰った。そして神にその心を動かされた勇士たちも彼と共に行った。 + しかし、よこしまな人々は「この男がどうしてわれわれを救うことができよう」と言って、彼を軽んじ、贈り物をしなかった。しかしサウルは黙っていた。 + + + アンモンびとナハシは上ってきて、ヤベシ・ギレアデを攻め囲んだ。ヤベシの人々はナハシに言った、「われわれと契約を結びなさい。そうすればわれわれはあなたに仕えます」。 + しかしアンモンびとナハシは彼らに言った、「次の条件であなたがたと契約を結ぼう。すなわち、わたしが、あなたがたすべての右の目をえぐり取って、全イスラエルをはずかしめるということだ」。 + ヤベシの長老たちは彼に言った、「われわれに七日の猶予を与え、イスラエルの全領土に使者を送ることを許してください。そしてもしわれわれを救う者がない時は降伏します」。 + こうして使者が、サウルのギベアにきて、この事を民の耳に告げたので、民はみな声をあげて泣いた。 + その時サウルは畑から牛のあとについてきた。そしてサウルは言った、「民が泣いているのは、どうしたのか」。人々は彼にヤベシの人々の事を告げた。 + サウルがこの言葉を聞いた時、神の霊が激しく彼の上に臨んだので、彼の怒りははなはだしく燃えた。 + 彼は一くびきの牛をとり、それを切り裂き、使者の手によってイスラエルの全領土に送って言わせた、「だれであってもサウルとサムエルとに従って出ない者は、その牛がこのようにされるであろう」。民は主を恐れて、ひとりのように出てきた。 + サウルはベゼクでそれを数えたが、イスラエルの人々は三十万、ユダの人々は三万であった。 + そして人々は、きた使者たちに言った、「ヤベシ・ギレアデの人にこう言いなさい、『あす、日の暑くなるころ、あなたがたは救を得るであろう』と」。使者が帰って、ヤベシの人々に告げたので、彼らは喜んだ。 + そこでヤベシの人々は言った、「あす、われわれは降伏します。なんでも、あなたがたが良いと思うことを、われわれにしてください」。 + 明くる日、サウルは民を三つの部隊に分け、あかつきに敵の陣営に攻め入り、日の暑くなるころまで、アンモンびとを殺した。生き残った者はちりぢりになって、ふたり一緒にいるものはなかった。 + その時、民はサムエルに言った、「さきに、『サウルがどうしてわれわれを治めることができようか』と言ったものはだれでしょうか。その人々を引き出してください。われわれはその人々を殺します」。 + しかしサウルは言った、「主はきょう、イスラエルに救を施されたのですから、きょうは人を殺してはなりません」。 + そこでサムエルは民に言った、「さあ、ギルガルへ行って、あそこで王国を一新しよう」。 + こうして民はみなギルガルへ行って、その所で主の前にサウルを王とし、酬恩祭を主の前にささげ、サウルとイスラエルの人々は皆、その所で大いに祝った。 + + + サムエルはイスラエルの人々に言った、「見よ、わたしは、あなたがたの言葉に聞き従って、あなたがたの上に王を立てた。 + 見よ王は今、あなたがたの前に歩む。わたしは年老いて髪は白くなった。わたしの子らもあなたがたと共にいる。わたしは若い時から、きょうまで、あなたがたの前に歩んだ。 + わたしはここにいる。主の前と、その油そそがれた者の前に、わたしを訴えよ。わたしが、だれの牛を取ったか。だれのろばを取ったか。だれを欺いたか。だれをしえたげたか。だれの手から、まいないを取って、自分の目をくらましたか。もしそのようなことがあれば、わたしはそれを、あなたがたに償おう」。 + 彼らは言った、「あなたは、われわれを欺いたことも、しえたげたこともありません。また人の手から何も取ったことはありません」。 + サムエルは彼らに言った、「あなたがたが、わたしの手のうちに、なんの不正をも見いださないことを、主はあなたがたにあかしされる。その油そそがれた者も、きょうそれをあかしする」。彼らは言った、「あかしされます」。 + サムエルは民に言った、「モーセとアロンを立てて、あなたがたの先祖をエジプトの地から導き出された主が証人です。 + それゆえ、あなたがたは今、立ちなさい。わたしは主が、あなたがたとあなたがたの先祖のために行われたすべての救のわざについて、主の前に、あなたがたと論じよう。 + ヤコブがエジプトに行って、エジプトびとが、彼らを、しえたげた時、あなたがたの先祖は主に呼ばわったので、主はモーセとアロンをつかわされた。そこで彼らは、あなたがたの先祖をエジプトから導き出して、この所に住まわせた。 + しかし、彼らがその神、主を忘れたので、主は彼らをハゾルの王ヤビンの軍の長シセラの手に渡し、またペリシテびとの手とモアブの王の手にわたされた。そこで彼らがイスラエルを攻めたので、 + 民は主に呼ばわって言った、『われわれは主を捨て、バアルとアシタロテに仕えて、罪を犯しました。今、われわれを敵の手から救い出してください。われわれはあなたに仕えます』。 + 主はエルバアルとバラクとエフタとサムエルをつかわして、あなたがたを周囲の敵の手から救い出されたので、あなたがたは安らかに住むことができた。 + ところが、アンモンびとの王ナハシが攻めてくるのを見たとき、あなたがたの神、主があなたがたの王であるのに、あなたがたはわたしに、『いいえ、われわれを治める王がなければならない』と言った。 + それゆえ、今あなたがたの選んだ王、あなたがたが求めた王を見なさい。主はあなたがたの上に王を立てられた。 + もし、あなたがたが主を恐れ、主に仕えて、その声に聞き従い、主の戒めにそむかず、あなたがたも、あなたがたを治める王も共に、あなたがたの神、主に従うならば、それで良い。 + しかし、もしあなたがたが主の声に聞き従わず、主の戒めにそむくならば、主の手は、あなたがたとあなたがたの王を攻めるであろう。 + それゆえ、今、あなたがたは立って、主が、あなたがたの目の前で行われる、この大いなる事を見なさい。 + きょうは小麦刈の時ではないか。わたしは主に呼ばわるであろう。そのとき主は雷と雨を下して、あなたがたが王を求めて、主の前に犯した罪の大いなることを見させ、また知らせられるであろう」。 + そしてサムエルが主に呼ばわったので、主はその日、雷と雨を下された。民は皆ひじょうに主とサムエルとを恐れた。 + 民はみなサムエルに言った、「しもべらのために、あなたの神、主に祈って、われわれの死なないようにしてください。われわれは、もろもろの罪を犯した上に、また王を求めて、悪を加えました」。 + サムエルは民に言った、「恐れることはない。あなたがたは、このすべての悪をおこなった。しかし主に従うことをやめず、心をつくして主に仕えなさい。 + むなしい物に迷って行ってはならない。それは、あなたがたを助けることも救うこともできないむなしいものだからである。 + 主は、その大いなる名のゆえに、その民を捨てられないであろう。主が、あなたがたを自分の民とすることを良しとされるからである。 + また、わたしは、あなたがたのために祈ることをやめて主に罪を犯すことは、けっしてしないであろう。わたしはまた良い、正しい道を、あなたがたに教えるであろう。 + あなたがたは、ただ主を恐れ、心をつくして、誠実に主に仕えなければならない。そして主がどんなに大きいことをあなたがたのためにされたかを考えなければならない。 + しかし、あなたがたが、なおも悪を行うならば、あなたがたも、あなたがたの王も、共に滅ぼされるであろう」。 + + + サウルは三十歳で王の位につき、二年イスラエルを治めた。 + さてサウルはイスラエルびと三千を選んだ。二千はサウルと共にミクマシ、およびベテルの山地におり、一千はヨナタンと共にベニヤミンのギベアにいた。サウルはその他の民を、おのおの、その天幕に帰らせた。 + ヨナタンは、ゲバにあるペリシテびとの守備兵を敗った。ペリシテびとはそのことを聞いた。そこで、サウルは国中に、あまねく角笛を吹きならして言わせた、「ヘブルびとよ、聞け」。 + イスラエルの人は皆、サウルがペリシテびとの守備兵を敗ったこと、そしてイスラエルがペリシテびとに憎まれるようになったことを聞いた。こうして民は召されて、ギルガルのサウルのもとに集まった。 + ペリシテびとはイスラエルと戦うために集まった。戦車三千、騎兵六千、民は浜べの砂のように多かった。彼らは上ってきて、ベテアベンの東のミクマシに陣を張った。 + イスラエルびとは、ひどく圧迫され、味方が危くなったのを見て、ほら穴に、縦穴に、岩に、墓に、ため池に身を隠した。 + また、あるヘブルびとはヨルダンを渡って、ガドとギレアデの地へ行った。しかしサウルはなおギルガルにいて、民はみな、ふるえながら彼に従った。 + サウルは、サムエルが定めたように、七日のあいだ待ったが、サムエルがギルガルにこなかったので、民は彼を離れて散って行った。 + そこでサウルは言った、「燔祭と酬恩祭をわたしの所に持ってきなさい」。こうして彼は燔祭をささげた。 + その燔祭をささげ終ると、サムエルがきた。サウルはあいさつをしようと、彼を迎えに出た。 + その時サムエルは言った、「あなたは何をしたのですか」。サウルは言った、「民はわたしを離れて散って行き、あなたは定まった日のうちにこられないのに、ペリシテびとがミクマシに集まったのを見たので、 + わたしは、ペリシテびとが今にも、ギルガルに下ってきて、わたしを襲うかも知れないのに、わたしはまだ主の恵みを求めることをしていないと思い、やむを得ず燔祭をささげました」。 + サムエルはサウルに言った、「あなたは愚かなことをした。あなたは、あなたの神、主の命じられた命令を守らなかった。もし守ったならば、主は今あなたの王国を長くイスラエルの上に確保されたであろう。 + しかし今は、あなたの王国は続かないであろう。主は自分の心にかなう人を求めて、その人に民の君となることを命じられた。あなたが主の命じられた事を守らなかったからである」。 + こうしてサムエルは立って、ギルガルからベニヤミンのギベアに上っていった。サウルは共にいる民を数えてみたが、おおよそ六百人あった。 + サウルとその子ヨナタン、ならびに、共にいる民は、ベニヤミンのゲバにおり、ペリシテびとはミクマシに陣を張っていた。 + そしてペリシテびとの陣から三つの部隊にわかれた略奪隊が出てきて、一部隊はオフラの方に向かって、シュアルの地に行き、 + 一部隊はベテホロンの方に向かい、一部隊は荒野の方のゼボイムの谷を見おろす境の方に向かった。 + そのころ、イスラエルの地にはどこにも鉄工がいなかった。ペリシテびとが「ヘブルびとはつるぎも、やりも造ってはならない」と言ったからである。 + ただしイスラエルの人は皆、そのすきざき、くわ、おの、かまに刃をつけるときは、ペリシテびとの所へ下って行った。 + すきざきと、くわのための料金は一ピムであり、おのに刃をつけるのと、とげのあるむちを直すのは三分の一シケルであった。 + それでこの戦いの日には、サウルおよびヨナタンと共にいた民の手には、つるぎもやりもなく、ただサウルとその子ヨナタンとがそれを持っていた。 + ペリシテびとの先陣はミクマシの渡りに進み出た。 + + + ある日、サウルの子ヨナタンは、その武器を執る若者に「さあ、われわれは向こう側の、ペリシテびとの先陣へ渡って行こう」と言った。しかしヨナタンは父には告げなかった。 + サウルはギベアのはずれで、ミグロンにある、ざくろの木の下にとどまっていたが、共にいた民はおおよそ六百人であった。 + またアヒヤはエポデを身に着けて共にいた。アヒヤはアヒトブの子、アヒトブはイカボデの兄弟、イカボデはピネハスの子、ピネハスはシロにおいて主の祭司であったエリの子である。民はヨナタンが出かけることを知らなかった。 + ヨナタンがペリシテびとの先陣に渡って行こうとする渡りには、一方に険しい岩があり、他方にも険しい岩があり、一方の名をボゼヅといい、他方の名をセネといった。 + 岩の一つはミクマシの前にあって北にあり、一つはゲバの前にあって南にあった。 + ヨナタンはその武器を執る若者に言った、「さあ、われわれは、この割礼なき者どもの先陣へ渡って行こう。主がわれわれのために何か行われるであろう。多くの人をもって救うのも、少ない人をもって救うのも、主にとっては、なんの妨げもないからである」。 + 武器を執る者は彼に言った、「あなたの望みどおりにしなさい。わたしは一緒にいます。わたしはあなたと同じ心です」。 + ヨナタンはまた言った、「われわれは、あの人々の所に渡っていって、彼らに身を現そう。 + そして、もし彼らがわれわれに、『こちらから行くまで待て』と言うならば、われわれはその場にとどまり、彼らの所に上っていかないであろう。 + しかし、もし彼らが『われわれのところへ上ってこい』と言うならば、われわれは上って行こう。主が彼らをわれわれの手に渡されるからである。これをもってしるしとしよう」。 + こうしてふたりはペリシテびとの先陣に、その身を現したので、ペリシテびとは言った、「見よ、ヘブルびとが、隠れていた穴から出てくる」。 + 先陣の人々はヨナタンと、その武器を執る者に叫んで言った、「われわれのところに上ってこい。目に、もの見せてくれよう」。ヨナタンは、その武器を執る者に言った、「わたしのあとについて上ってきなさい。主は彼らをイスラエルの手に渡されたのだ」。 + そしてヨナタンはよじ登り、武器を執る者もそのあとについて登った。ペリシテびとはヨナタンの前に倒れた。武器を執る者も、あとについていってペリシテびとを殺した。 + ヨナタンとその武器を執る者とが、手始めに殺したものは、おおよそ二十人であって、このことは一くびきの牛の耕す畑のおおよそ半分の内で行われた。 + そして陣営にいる者、野にいるもの、およびすべての民は恐怖に襲われ、先陣のもの、および略奪隊までも、恐れおののいた。また地は震い動き、非常に大きな恐怖となった。 + ベニヤミンのギベアにいたサウルの番兵たちが見ると、ペリシテびとの群衆はくずれて右往左往していた。 + その時サウルは、共にいる民に言った、「人数を調べて、われわれのうちのだれが出て行ったかを見よ」。人数を調べたところ、ヨナタンとその武器を執る者とがそこにいなかった。 + サウルはアヒヤに言った、「エポデをここに持ってきなさい」。その時、アヒヤはイスラエルの人々の前でエポデを身に着けていたからである。 + サウルが祭司に語っている間にも、ペリシテびとの陣営の騒ぎはますます大きくなったので、サウルは祭司に言った、「手を引きなさい」。 + こうしてサウルおよび共にいる民は皆、集まって戦いに出た。ペリシテびとはつるぎをもって同志打ちしたので、非常に大きな混乱となった。 + また先にペリシテびとと共にいて、彼らと共に陣営にきていたヘブルびとたちも、翻ってサウルおよびヨナタンと共にいるイスラエルびとにつくようになった。 + またエフライムの山地に身を隠していたイスラエルびとたちも皆、ペリシテびとが逃げると聞いて、彼らもまた戦いに出て、それを追撃した。 + こうして主はその日イスラエルを救われた。そして戦いはベテアベンに移った。 + しかしその日イスラエルの人々は苦しんだ。これはサウルが民に誓わせて「夕方まで、わたしが敵にあだを返すまで、食物を食べる者は、のろわれる」と言ったからである。それゆえ民のうちには、ひとりも食物を口にしたものはなかった。 + ところで、民がみな森の中にはいると、地のおもてに蜜があった。 + 民は森にはいった時、蜜のしたたっているのを見た。しかしだれもそれを手に取って口につけるものがなかった。民が誓いを恐れたからである。 + しかしヨナタンは、父が民に誓わせたことを聞かなかったので、手を伸べてつえの先を蜜ばちの巣に浸し、手に取って口につけた。すると彼は目がはっきりした。 + その時、民のひとりが言った、「あなたの父は、かたく民に誓わせて『きょう、食物を食べる者は、のろわれる』と言われました。それで民は疲れているのです」。 + ヨナタンは言った、「父は国を悩ませました。ごらんなさい。この蜜をすこしなめたばかりで、わたしの目がこんなに、はっきりしたではありませんか。 + まして、民がきょう敵からぶんどった物を、じゅうぶん食べていたならば、さらに多くのペリシテびとを殺していたでしょうに」。 + その日イスラエルびとは、ペリシテびとを撃って、ミクマシからアヤロンに及んだ。そして民は、ひじょうに疲れたので、 + ぶんどり物に、はせかかって、羊、牛、子牛を取って、それを地の上に殺し、血のままでそれを食べた。 + 人々はサウルに言った、「民は血のままで食べて、主に罪を犯しています」。サウルは言った、「あなたがたはそむいている。この所へ、わたしのもとに大きな石をころがしてきなさい」。 + サウルはまた言った、「あなたがたは分れて、民の中にはいって、彼らに言いなさい、『おのおの牛または、羊を引いてきてここでほふって食べなさい。血のままで食べて、主に罪を犯してはならない』」。そこで民は皆、その夜、おのおの牛を引いてきて、それを、その所でほふった。 + こうしてサウルは主に一つの祭壇を築いた。これはサウルが主のために築いた最初の祭壇である。 + サウルは言った、「われわれは夜のうちにペリシテびとを追って下り、夜明けまで彼らをかすめて、ひとりも残らぬようにしよう」。人々は言った、「良いと思われることを、なんでもしてください」。しかし祭司は言った、「われわれは、ここで、神に尋ねましょう」。 + そこでサウルは神に伺った、「わたしはペリシテびとを追って下るべきでしょうか。あなたは彼らをイスラエルの手に渡されるでしょうか」。しかし神はその日は答えられなかった。 + そこでサウルは言った、「民の長たちよ、みなこの所に近よりなさい。あなたがたは、よく見きわめて、きょうのこの罪が起きたわけを知らなければならない。 + イスラエルを救う主は生きておられる。たとい、それがわたしの子ヨナタンであっても、必ず死ななければならない」。しかし民のうちにはひとりも、これに答えるものがいなかった。 + サウルはイスラエルのすべての人に言った、「あなたがたは向こう側にいなさい。わたしとわたしの子ヨナタンはこちら側にいましょう」。民はサウルに言った、「良いと思われることをしてください」。 + そこでサウルは言った、「イスラエルの神、主よ、あなたはきょう、なにゆえしもべに答えられなかったのですか。もしこの罪がわたしにあるか、またはわたしの子ヨナタンにあるのでしたら、イスラエルの神、主よ、ウリムをお与えください。しかし、もしこの罪が、あなたの民イスラエルにあるのでしたらトンミムをお与えください」。こうしてヨナタンとサウルとが、くじに当り、民はのがれた。 + サウルは言った、「わたしか、わたしの子ヨナタンかを決めるために、くじを引きなさい」。くじはヨナタンに当った。 + サウルはヨナタンに言った、「あなたがしたことを、わたしに言いなさい」。ヨナタンは言った、「わたしは確かに手にあったつえの先に少しばかりの蜜をつけて、なめました。わたしはここにいます。死は覚悟しています」。 + サウルは言った、「神がわたしをいくえにも罰してくださるように。ヨナタンよ、あなたは必ず死ななければならない」。 + その時、民はサウルに言った、「イスラエルのうちにこの大いなる勝利をもたらしたヨナタンが死ななければならないのですか。決してそうではありません。主は生きておられます。ヨナタンの髪の毛一すじも地に落してはなりません。彼は神と共にきょう働いたのです」。こうして民はヨナタンを救ったので彼は死を免れた。 + サウルはペリシテびとを追うことをやめて引きあげ、ペリシテびとはその国へ帰った。 + サウルはイスラエルの王となって、周囲のもろもろの敵、すなわちモアブ、アンモンの人々、エドム、ゾバの王たちおよびペリシテびとと戦い、すべて向かう所で勝利を得た。 + サウルは勇ましく働き、アマレクびとを撃って、イスラエルびとを略奪者の手から救い出した。 + さて、サウルのむすこたちはヨナタン、エスイ、およびマルキシュアである。ふたりの娘の名は次のとおりである。すなわち姉の名はメラブ、妹の名はミカルである。 + サウルの妻の名はアヒノアムといい、アヒマアズの娘である。また軍の長の名はアブネルといい、サウルのおじネルの子である。 + サウルの父キシとアブネルの父ネルとは、アビエルの子である。 + サウルの一生の間、ペリシテびとと激しい戦いがあった。サウルは力の強い人や勇気のある人を見るごとに、それを召しかかえた。 + + + さて、サムエルはサウルに言った、「主は、わたしをつかわし、あなたに油をそそいで、その民イスラエルの王とされました。それゆえ、今、主の言葉を聞きなさい。 + 万軍の主は、こう仰せられる、『わたしは、アマレクがイスラエルにした事、すなわちイスラエルがエジプトから上ってきた時、その途中で敵対したことについて彼らを罰するであろう。 + 今、行ってアマレクを撃ち、そのすべての持ち物を滅ぼしつくせ。彼らをゆるすな。男も女も、幼な子も乳飲み子も、牛も羊も、らくだも、ろばも皆、殺せ』」。 + サウルは民を呼び集め、テライムで人数を調べたところ、歩兵は二十万、ユダの人は一万であった。 + そしてサウルはアマレクの町へ行って、谷に兵を伏せた。 + サウルはケニびとに言った、「さあ、あなたがたはアマレクびとを離れて、下っていってください。彼らと一緒にあなたがたを滅ぼすようなことがあってはならない。あなたがたは、イスラエルの人々がエジプトから上ってきた時、親切にしてくれたのですから」。そこでケニびとはアマレクびとを離れて行った。 + サウルはアマレクびとを撃って、ハビラからエジプトの東にあるシュルにまで及んだ。 + そしてアマレクびとの王アガグをいけどり、つるぎをもってその民をことごとく滅ぼした。 + しかしサウルと民はアガグをゆるし、また羊と牛の最も良いもの、肥えたものならびに小羊と、すべての良いものを残し、それらを滅ぼし尽すことを好まず、ただ値うちのない、つまらない物を滅ぼし尽した。 + その時、主の言葉がサムエルに臨んだ、 + 「わたしはサウルを王としたことを悔いる。彼がそむいて、わたしに従わず、わたしの言葉を行わなかったからである」。サムエルは怒って、夜通し、主に呼ばわった。 + そして朝サウルに会うため、早く起きたが、サムエルに告げる人があった、「サウルはカルメルにきて、自分のために戦勝記念碑を建て、身をかえして進み、ギルガルへ下って行きました」。 + サムエルがサウルのもとへ来ると、サウルは彼に言った、「どうぞ、主があなたを祝福されますように。わたしは主の言葉を実行しました」。 + サムエルは言った、「それならば、わたしの耳にはいる、この羊の声と、わたしの聞く牛の声は、いったい、なんですか」。 + サウルは言った、「人々がアマレクびとの所から引いてきたのです。民は、あなたの神、主にささげるために、羊と牛の最も良いものを残したのです。そのほかは、われわれが滅ぼし尽しました」。 + サムエルはサウルに言った、「おやめなさい。昨夜、主がわたしに言われたことを、あなたに告げましょう」。サウルは彼に言った、「言ってください」。 + サムエルは言った、「たとい、自分では小さいと思っても、あなたはイスラエルの諸部族の長ではありませんか。主はあなたに油を注いでイスラエルの王とされた。 + そして主はあなたに使命を授け、つかわして言われた、『行って、罪びとなるアマレクびとを滅ぼし尽せ。彼らを皆殺しにするまで戦え』。 + それであるのに、どうしてあなたは主の声に聞き従わないで、ぶんどり物にとびかかり、主の目の前に悪をおこなったのですか」。 + サウルはサムエルに言った、「わたしは主の声に聞き従い、主がつかわされた使命を帯びて行き、アマレクの王アガグを連れてきて、アマレクびとを滅ぼし尽しました。 + しかし民は滅ぼし尽すべきもののうち最も良いものを、ギルガルで、あなたの神、主にささげるため、ぶんどり物のうちから羊と牛を取りました」。 + サムエルは言った、「主はそのみ言葉に聞き従う事を喜ばれるように、燔祭や犠牲を喜ばれるであろうか。見よ、従うことは犠牲にまさり、聞くことは雄羊の脂肪にまさる。 + そむくことは占いの罪に等しく、強情は偶像礼拝の罪に等しいからである。あなたが主のことばを捨てたので、主もまたあなたを捨てて、王の位から退けられた」。 + サウルはサムエルに言った、「わたしは主の命令とあなたの言葉にそむいて罪を犯しました。民を恐れて、その声に聞き従ったからです。 + どうぞ、今わたしの罪をゆるし、わたしと一緒に帰って、主を拝ませてください」。 + サムエルはサウルに言った、「あなたと一緒に帰りません。あなたが主の言葉を捨てたので、主もあなたを捨てて、イスラエルの王位から退けられたからです」。 + こうしてサムエルが去ろうとして身をかえした時、サウルがサムエルの上着のすそを捕えたので、それは裂けた。 + サムエルは彼に言った、「主はきょう、あなたからイスラエルの王国を裂き、もっと良いあなたの隣人に与えられた。 + またイスラエルの栄光は偽ることもなく、悔いることもない。彼は人ではないから悔いることはない」。 + サウルは言った、「わたしは罪を犯しましたが、どうぞ、民の長老たち、およびイスラエルの前で、わたしを尊び、わたしと一緒に帰って、あなたの神、主を拝ませてください」。 + そこでサムエルはサウルのあとについて帰った。そしてサウルは主を拝んだ。 + 時にサムエルは言った、「わたしの所にアマレクびとの王アガグを引いてきなさい」。アガグはうれしそうにサムエルの所にきた。アガグは「死の苦しみはきっと過ぎ去ったのだ」と思った。 + サムエルは言った、「あなたのつるぎは多くの女に子供を失わせた。そのようにあなたの母も女のうちで最も無惨に子供を失う者となるであろう」。サムエルはギルガルで主の前に、アガグを寸断した。 + そしてサムエルはラマに行き、サウルは故郷のギベアに上って、その家に帰った。 + サムエルは死ぬ日まで、二度とサウルを見なかった。しかしサムエルはサウルのために悲しんだ。また主はサウルをイスラエルの王としたことを悔いられた。 + + + さて主はサムエルに言われた、「わたしがすでにサウルを捨てて、イスラエルの王位から退けたのに、あなたはいつまで彼のために悲しむのか。角に油を満たし、それをもって行きなさい。あなたをベツレヘムびとエッサイのもとにつかわします。わたしはその子たちのうちにひとりの王を捜し得たからである」。 + サムエルは言った、「どうしてわたしは行くことができましょう。サウルがそれを聞けば、わたしを殺すでしょう」。主は言われた、「一頭の子牛を引いていって、『主に犠牲をささげるためにきました』と言いなさい。 + そしてエッサイを犠牲の場所に呼びなさい。その時わたしはあなたのすることを示します。わたしがあなたに告げる人に油を注がなければならない」。 + サムエルは主が命じられたようにして、ベツレヘムへ行った。町の長老たちは、恐れながら出て、彼を迎え、「穏やかな事のためにこられたのですか」と言った。 + サムエルは言った、「穏やかな事のためです。わたしは主に犠牲をささげるためにきました。身をきよめて、犠牲の場所にわたしと共にきてください」。そしてサムエルはエッサイとその子たちをきよめて犠牲の場に招いた。 + 彼らがきた時、サムエルはエリアブを見て、「自分の前にいるこの人こそ、主が油をそそがれる人だ」と思った。 + しかし主はサムエルに言われた、「顔かたちや身のたけを見てはならない。わたしはすでにその人を捨てた。わたしが見るところは人とは異なる。人は外の顔かたちを見、主は心を見る」。 + そこでエッサイはアビナダブを呼んでサムエルの前を通らせた。サムエルは言った、「主が選ばれたのはこの人でもない」。 + エッサイはシャンマを通らせたが、サムエルは言った、「主が選ばれたのはこの人でもない」。 + エッサイは七人の子にサムエルの前を通らせたが、サムエルはエッサイに言った、「主が選ばれたのはこの人たちではない」。 + サムエルはエッサイに言った、「あなたのむすこたちは皆ここにいますか」。彼は言った、「まだ末の子が残っていますが羊を飼っています」。サムエルはエッサイに言った、「人をやって彼を連れてきなさい。彼がここに来るまで、われわれは食卓につきません」。 + そこで人をやって彼をつれてきた。彼は血色のよい、目のきれいな、姿の美しい人であった。主は言われた、「立ってこれに油をそそげ。これがその人である」。 + サムエルは油の角をとって、その兄弟たちの中で、彼に油をそそいだ。この日からのち、主の霊は、はげしくダビデの上に臨んだ。そしてサムエルは立ってラマへ行った。 + さて主の霊はサウルを離れ、主から来る悪霊が彼を悩ました。 + サウルの家来たちは彼に言った、「ごらんなさい。神から来る悪霊があなたを悩ましているのです。 + どうぞ、われわれの主君が、あなたの前に仕えている家来たちに命じて、じょうずに琴をひく者ひとりを捜させてください。神から来る悪霊があなたに臨む時、彼が手で琴をひくならば、あなたは良くなられるでしょう」。 + そこでサウルは家来たちに言った、「じょうずに琴をひく者を捜して、わたしのもとに連れてきなさい」。 + その時、ひとりの若者がこたえた、「わたしはベツレヘムびとエッサイの子を見ましたが、琴がじょうずで、勇気もあり、いくさびとで、弁舌にひいで、姿の美しい人です。また主が彼と共におられます」。 + そこでサウルはエッサイのもとに使者をつかわして言った、「羊を飼っているあなたの子ダビデをわたしのもとによこしなさい」。 + エッサイは、ろばにパンを負わせ、皮袋にいれたぶどう酒一袋と、やぎの子とを取って、その子ダビデの手によってサウルに送った。 + ダビデはサウルのもとにきて、彼に仕えた。サウルはひじょうにこれを愛して、その武器を執る者とした。 + またサウルは人をつかわしてエッサイに言った、「ダビデをわたしに仕えさせてください。彼はわたしの心にかないました」。 + 神から出る悪霊がサウルに臨む時、ダビデは琴をとり、手でそれをひくと、サウルは気が静まり、良くなって、悪霊は彼を離れた。 + + + さてペリシテびとは、軍を集めて戦おうとし、ユダに属するソコに集まって、ソコとアゼカの間にあるエペス・ダミムに陣取った。 + サウルとイスラエルの人々は集まってエラの谷に陣取り、ペリシテびとに対して戦列をしいた。 + ペリシテびとは向こうの山の上に立ち、イスラエルはこちらの山の上に立った。その間に谷があった。 + 時に、ペリシテびとの陣から、ガテのゴリアテという名の、戦いをいどむ者が出てきた。身のたけは六キュビト半。 + 頭には青銅のかぶとを頂き、身には、うろことじのよろいを着ていた。そのよろいは青銅で重さ五千シケル。 + また足には青銅のすね当を着け、肩には青銅の投げやりを背負っていた。 + 手に持っているやりの柄は、機の巻棒のようであり、やりの穂の鉄は六百シケルであった。彼の前には、盾を執る者が進んだ。 + ゴリアテは立ってイスラエルの戦列に向かって叫んだ、「なにゆえ戦列をつくって出てきたのか。わたしはペリシテびと、おまえたちはサウルの家来ではないか。おまえたちから、ひとりを選んで、わたしのところへ下ってこさせよ。 + もしその人が戦ってわたしを殺すことができたら、われわれはおまえたちの家来となる。しかしわたしが勝ってその人を殺したら、おまえたちは、われわれの家来になって仕えなければならない」。 + またこのペリシテびとは言った、「わたしは、きょうイスラエルの戦列にいどむ。ひとりを出して、わたしと戦わせよ」。 + サウルとイスラエルのすべての人は、ペリシテびとのこの言葉を聞いて驚き、ひじょうに恐れた。 + さて、ダビデはユダのベツレヘムにいたエフラタびとエッサイという名の人の子で、この人に八人の子があったが、サウルの世には年が進んで、すでに年老いていた。 + エッサイの子らのうち、上の三人はサウルに従って戦争に出た。その戦いに出た三人の子の名は、長子をエリアブといい、次をアビナダブといい、第三をシャンマと言った。 + ダビデは末の子であって、兄三人はサウルにしたがった。 + ダビデはサウルの所から行ったりきたりして、ベツレヘムで父の羊を飼っていた。 + あのペリシテびとは四十日の間、朝夕出てきて、彼らの前に立った。 + 時に、エッサイはその子ダビデに言った、「兄たちのため、このいり麦一エパと、この十個のパンをとって、急いで陣営にいる兄の所へ持っていきなさい。 + またこの十の乾酪を取って、千人の長にもって行き、兄たちの安否を見とどけて、そのしるしをもらってきなさい」。 + さてサウルと彼らおよびイスラエルのすべての人は、エラの谷でペリシテびとと戦っていた。 + ダビデは朝はやく起きて、羊を番人に託し、エッサイが命じたように食料品を携えて行った。彼が陣営に着いた時、軍勢は、ときの声をあげて戦線に出ようとしていた。 + そしてイスラエルとペリシテびととは戦列を敷いて、軍と軍と向き合った。 + ダビデは荷物をおろして、荷物を守る者にあずけ、戦列の方へ走って、兄たちの所へ行き、彼らの安否を尋ねた。 + 兄たちと語っている時、ペリシテびとの戦列から、ガテのペリシテびとで、名をゴリアテという、あの戦いをいどむ者が上ってきて、前と同じ言葉を言ったので、ダビデはそれを聞いた。 + イスラエルのすべての人は、その人を見て、避けて逃げ、ひじょうに恐れた。 + イスラエルの人々はまた言った、「あなたがたは、あの上ってきた人を見たか。確かにイスラエルにいどむために上ってきたのだ。彼を殺す人は、王が大いなる富を与えて富ませ、その娘を与え、その父の家にはイスラエルのうちで税を免れさせるであろう」。 + ダビデはかたわらに立っている人々に言った、「このペリシテびとを殺し、イスラエルの恥をすすぐ人には、どうされるのですか。この割礼なきペリシテびとは何者なので、生ける神の軍をいどむのか」。 + 民は前と同じように、「彼を殺す人にはこうされるであろう」と答えた。 + 上の兄エリアブはダビデが人々と語るのを聞いて、ダビデに向かい怒りを発して言った、「なんのために下ってきたのか。野にいるわずかの羊はだれに託したのか。あなたのわがままと悪い心はわかっている。戦いを見るために下ってきたのだ」。 + ダビデは言った、「わたしが今、何をしたというのですか。ただひと言いっただけではありませんか」。 + またふり向いて、ほかの人に前のように語ったところ、民はまた同じように答えた。 + 人々はダビデの語った言葉を聞いて、それをサウルに告げたので、サウルは彼を呼び寄せた。 + ダビデはサウルに言った、「だれも彼のゆえに気を落してはなりません。しもべが行ってあのペリシテびとと戦いましょう」。 + サウルはダビデに言った、「行って、あのペリシテびとと戦うことはできない。あなたは年少だが、彼は若い時からの軍人だからです」。 + しかしダビデはサウルに言った、「しもべは父の羊を飼っていたのですが、しし、あるいはくまがきて、群れの小羊を取った時、 + わたしはそのあとを追って、これを撃ち、小羊をその口から救いだしました。その獣がわたしにとびかかってきた時は、ひげをつかまえて、それを撃ち殺しました。 + しもべはすでに、ししと、くまを殺しました。この割礼なきペリシテびとも、生ける神の軍をいどんだのですから、あの獣の一頭のようになるでしょう」。 + ダビデはまた言った、「ししのつめ、くまのつめからわたしを救い出された主は、またわたしを、このペリシテびとの手から救い出されるでしょう」。サウルはダビデに言った、「行きなさい。どうぞ主があなたと共におられるように」。 + そしてサウルは自分のいくさ衣をダビデに着せ、青銅のかぶとを、その頭にかぶらせ、また、うろことじのよろいを身にまとわせた。 + ダビデは、いくさ衣の上に、つるぎを帯びて行こうとしたが、できなかった。それに慣れていなかったからである。そこでダビデはサウルに言った、「わたしはこれらのものを着けていくことはできません。慣れていないからです」。 + ダビデはそれらを脱ぎすて、手につえをとり、谷間からなめらかな石五個を選びとって自分の持っている羊飼の袋に入れ、手に石投げを執って、あのペリシテびとに近づいた。 + そのペリシテびとは進んできてダビデに近づいた。そのたてを執る者が彼の前にいた。 + ペリシテびとは見まわしてダビデを見、これを侮った。まだ若くて血色がよく、姿が美しかったからである。 + ペリシテびとはダビデに言った、「つえを持って、向かってくるが、わたしは犬なのか」。ペリシテびとは、また神々の名によってダビデをのろった。 + ペリシテびとはダビデに言った、「さあ、向かってこい。おまえの肉を、空の鳥、野の獣のえじきにしてくれよう」。 + ダビデはペリシテびとに言った、「おまえはつるぎと、やりと、投げやりを持って、わたしに向かってくるが、わたしは万軍の主の名、すなわち、おまえがいどんだ、イスラエルの軍の神の名によって、おまえに立ち向かう。 + きょう、主は、おまえをわたしの手にわたされるであろう。わたしは、おまえを撃って、首をはね、ペリシテびとの軍勢の死かばねを、きょう、空の鳥、地の野獣のえじきにし、イスラエルに、神がおられることを全地に知らせよう。 + またこの全会衆も、主は救を施すのに、つるぎとやりを用いられないことを知るであろう。この戦いは主の戦いであって、主がわれわれの手におまえたちを渡されるからである」。 + そのペリシテびとが立ち上がり、近づいてきてダビデに立ち向かったので、ダビデは急ぎ戦線に走り出て、ペリシテびとに立ち向かった。 + ダビデは手を袋に入れて、その中から一つの石を取り、石投げで投げて、ペリシテびとの額を撃ったので、石はその額に突き入り、うつむきに地に倒れた。 + こうしてダビデは石投げと石をもってペリシテびとに勝ち、ペリシテびとを撃って、これを殺した。ダビデの手につるぎがなかったので、 + ダビデは走りよってペリシテびとの上に乗り、そのつるぎを取って、さやから抜きはなし、それをもって彼を殺し、その首をはねた。ペリシテの人々は、その勇士が死んだのを見て逃げた。 + イスラエルとユダの人々は立ちあがり、ときをあげて、ペリシテびとを追撃し、ガテおよびエクロンの門にまで及んだ。そのためペリシテびとの負傷者は、シャライムからガテおよびエクロンに行く道の上に倒れた。 + イスラエルの人々はペリシテびとの追撃を終えて帰り、その陣営を略奪した。 + ダビデは、あのペリシテびとの首を取ってエルサレムへ持って行ったが、その武器は自分の天幕に置いた。 + サウルはダビデがあのペリシテびとに向かって出ていくのを見て、軍の長アブネルに言った、「アブネルよ、この若者はだれの子か」。アブネルは言った、「王よ、あなたのいのちにかけて誓います。わたしは知らないのです」。 + 王は言った、「この若者がだれの子か、尋ねてみよ」。 + ダビデが、あのペリシテびとを殺して帰ってきた時、アブネルは、ペリシテびとの首を手に持っている彼を、サウルの前に連れて行った。 + サウルは彼に言った、「若者よ、あなたはだれの子か」。ダビデは答えた、「あなたのしもべ、ベツレヘムびとエッサイの子です」。 + + + ダビデがサウルに語り終えた時、ヨナタンの心はダビデの心に結びつき、ヨナタンは自分の命のようにダビデを愛した。 + この日、サウルはダビデを召しかかえて、父の家に帰らせなかった。 + ヨナタンとダビデとは契約を結んだ。ヨナタンが自分の命のようにダビデを愛したからである。 + ヨナタンは自分が着ていた上着を脱いでダビデに与えた。また、そのいくさ衣、およびつるぎも弓も帯も、そのようにした。 + ダビデはどこでもサウルがつかわす所に出て行って、てがらを立てたので、サウルは彼を兵の隊長とした。それはすべての民の心にかない、またサウルの家来たちの心にもかなった。 + 人々が引き揚げてきた時、すなわちダビデが、かのペリシテびとを殺して帰った時、女たちはイスラエルの町々から出てきて、手鼓と祝い歌と三糸の琴をもって、歌いつ舞いつ、サウル王を迎えた。 + 女たちは踊りながら互に歌いかわした、「サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した」。 + サウルは、ひじょうに怒り、この言葉に気を悪くして言った、「ダビデには万と言い、わたしには千と言う。この上、彼に与えるものは、国のほかないではないか」。 + サウルは、この日からのちダビデをうかがった。 + 次の日、神から来る悪霊がサウルにはげしく臨んで、サウルが家の中で狂いわめいたので、ダビデは、いつものように、手で琴をひいた。その時、サウルの手にやりがあったので、 + サウルは「ダビデを壁に刺し通そう」と思って、そのやりをふり上げた。しかしダビデは二度身をかわしてサウルを避けた。 + 主がサウルを離れて、ダビデと共におられたので、サウルはダビデを恐れた。 + それゆえサウルは、ダビデを遠ざけて、千人の長としたので、ダビデは民の先に立って出入りした。 + またダビデは、すべてそのすることに、てがらを立てた。主が共におられたからである。 + サウルはダビデが大きなてがらを立てるのを見て彼を恐れたが、 + イスラエルとユダのすべての人はダビデを愛した。彼が民の先に立って出入りしたからである。 + その時サウルはダビデに言った、「わたしの長女メラブを、あなたに妻として与えよう。ただ、あなたはわたしのために勇ましく、主の戦いを戦いなさい」。サウルは「自分の手で彼を殺さないで、ペリシテびとの手で殺そう」と思ったからである。 + ダビデはサウルに言った、「わたしは何者なのでしょう。わたしの親族、わたしの父の一族はイスラエルのうちで何者なのでしょう。そのわたしが、どうして王のむこになることができましょう」。 + しかしサウルの娘メラブは、ダビデにとつぐべき時になって、メホラびとアデリエルに妻として与えられた。 + サウルの娘ミカルはダビデを愛した。人々がそれをサウルに告げたとき、サウルはその事を喜んだ。 + サウルは「ミカルを彼に与えて、彼を欺く手だてとし、ペリシテびとの手で彼を殺そう」と思ったので、サウルはふたたびダビデに言った、「あなたを、きょう、わたしのむこにします」。 + そしてサウルは家来たちに命じた、「ひそかにダビデに言いなさい、『王はあなたが気に入り、王の家来たちも皆あなたを愛しています。それゆえ王のむこになりなさい』」。 + そこでサウルの家来たちはこの言葉をダビデの耳に語ったので、ダビデは言った、「わたしのような貧しく、卑しい者が、王のむこになることは、あなたがたには、たやすいことと思われますか」。 + サウルの家来たちはサウルに、「ダビデはこう言った」と告げた。 + サウルは言った、「あなたがたはダビデにこう言いなさい、『王はなにも結納を望まれない。ただペリシテびとの陽の皮一百を獲て、王のあだを討つことを望まれる』」。これはサウルが、ダビデをペリシテびとの手によって倒そうと思ったからである。 + サウルの家来たちが、この言葉をダビデに告げた時、ダビデは王のむこになることを良しとした。そして定めた日がまだこないうちに、 + ダビデは従者をつれて、立って行き、ペリシテびと二百人を殺して、その陽の皮を携え帰り、王のむこになるために、それをことごとく王にささげた。そこでサウルは娘ミカルを彼に妻として与えた。 + しかしサウルは見て、主がダビデと共におられること、またイスラエルのすべての人がダビデを愛するのを知った時、 + サウルは、ますますダビデを恐れた。こうしてサウルは絶えずダビデに敵した。 + さてペリシテびとの君たちが攻めてきたが、ダビデは、彼らが攻めてくるごとに、サウルのどの家来よりも多くのてがらを立てたので、その名はひじょうに尊敬された。 + + + サウルはその子ヨナタンおよびすべての家来たちにダビデを殺すようにと言った。しかしサウルの子ヨナタンは深くダビデを愛していた。 + ヨナタンはダビデに言った、「父サウルはあなたを殺そうとしています。それゆえあすの朝、気をつけて、わからない場所に身を隠していてください。 + わたしは出て行って、あなたがいる野原で父のかたわらに立ち、父にあなたのことを話しましょう。そして、何かわたしにわかれば、あなたに告げましょう」。 + ヨナタンは父サウルにダビデのことをほめて言った、「王よ、どうか家来ダビデに対して罪を犯さないでください。彼は、あなたに罪を犯さず、また彼のしたことは、あなたのためになることでした。 + 彼は命をかけて、あのペリシテびとを殺し、主はイスラエルの人々に大いなる勝利を与えられたのです。あなたはそれを見て喜ばれました。それであるのに、どうしてゆえなくダビデを殺し、罪なき者の血を流して罪を犯そうとされるのですか」。 + サウルはヨナタンの言葉を聞きいれた。そしてサウルは誓った、「主は生きておられる。わたしは決して彼を殺さない」。 + ヨナタンはダビデを呼んでこれらのことをみなダビデに告げた。そしてヨナタンがダビデをサウルのもとに連れてきたので、ダビデは、もとのようにサウルの前にいた。 + ところがまた戦争がおこって、ダビデは出てペリシテびとと戦い、大いに彼らを殺したので、彼らはその前から逃げ去った。 + さてサウルが家にいて手にやりを持ってすわっていた時、主から来る悪霊がサウルに臨んだので、ダビデは琴をひいていたが、 + サウルはそのやりをもってダビデを壁に刺し通そうとした。しかし彼はサウルの前に身をかわしたので、やりは壁につきささった。そしてダビデは逃げ去った。 + その夜、サウルはダビデの家に使者たちをつかわして見張りをさせ、朝になって彼を殺させようとした。しかしダビデの妻ミカルはダビデに言った、「もし今夜のうちに、あなたが自分の命を救わないならば、あすは殺されるでしょう」。 + そしてミカルがダビデを窓からつりおろしたので、彼は逃げ去った。 + ミカルは一つの像をとって、寝床の上に横たえ、その頭にやぎの毛の網をかけ、着物をもってそれをおおった。 + サウルはダビデを捕えるため使者たちをつかわしたが、彼女は言った、「あの人は病気です」。 + そこでサウルは、ダビデを見させようと使者たちをつかわして言った、「彼を寝床のまま、わたしの所に連れてきなさい。わたしが彼を殺そう」。 + 使者たちがはいって見ると、寝床には像が横たえてあって、その頭には、やぎの毛の網がかけてあった。 + サウルはミカルに言った、「あなたはどうして、このようにわたしを欺いて、わたしの敵を逃がしたのか」。ミカルはサウルに答えた、「あの人はわたしに『逃がしてくれ。さもないと、おまえを殺す』と言いました」。 + ダビデは逃げ去り、ラマにいるサムエルのもとへ行って、サウルが自分にしたすべてのことを彼に告げた。そしてダビデとサムエルは行ってナヨテに住んだ。 + ある人がサウルに「ダビデはラマのナヨテにいます」と告げたので、 + サウルは、ダビデを捕えるために、使者たちをつかわした。彼らは預言者の一群が預言していて、サムエルが、そのうちの、かしらとなって立っているのを見たが、その時、神の霊はサウルの使者たちにも臨んで、彼らもまた預言した。 + サウルは、このことを聞いて、他の使者たちをつかわしたが、彼らもまた預言した。サウルは三たび使者たちをつかわしたが、彼らもまた預言した。 + そこでサウルはみずからラマに行き、セクの大井戸に着いた時、問うて言った、「サムエルとダビデは、どこにおるか」。ひとりの人が答えた、「彼らはラマのナヨテにいます」。 + そこでサウルはそこからラマのナヨテに行ったが、神の霊はまた彼にも臨んで、彼はラマのナヨテに着くまで歩きながら預言した。 + そして彼もまた着物を脱いで、同じようにサムエルの前で預言し、一日一夜、裸で倒れ伏していた。人々が「サウルもまた預言者たちのうちにいるのか」というのはこのためである。 + + + ダビデはラマのナヨテから逃げてきて、ヨナタンに言った、「わたしが何をし、どのような悪いことがあり、あなたの父の前にどんな罪を犯したので、わたしを殺そうとされるのでしょうか」。 + ヨナタンは彼に言った、「決して殺されることはありません。父は事の大小を問わず、わたしに告げないですることはありません。どうして父がわたしにその事を隠しましょう。そのようなことはありません」。 + しかしダビデは答えた、「あなたの父は、わたしがあなたの好意をえていることをよく知っておられます。それで『ヨナタンが悲しむことのないように、これを知らせないでおこう』と思っておられるのです。しかし、主は生きておられ、あなたの魂は生きています。わたしと死との間は、ただ一歩です」。 + ヨナタンはダビデに言った、「あなたが言われることはなんでもします」。 + ダビデはヨナタンに言った、「あすは、ついたちですから、わたしは王と一緒に食事をしなければなりません。しかしわたしを行かせて三日目の夕方まで、野原に隠れることを許してください。 + もしあなたの父がわたしのことを尋ねられるならば、その時、言ってください、『ダビデはふるさとの町ベツレヘムへ急いで行くことを許してくださいと、しきりにわたしに求めました。そこで全家の年祭があるからです』。 + もし彼が「良し」と言われるなら、しもべは安全ですが、怒られるなら、わたしに害を加える決心でおられるのを知ってください。 + あなたは、主の前で、しもべと契約を結んでくださいました。それでどうぞしもべにいつくしみを施してください。しかし、もしわたしに悪いことがあるならば、あなた自らわたしを殺してください。どうしてあなたの父のもとへわたしを引いていかなければならないでしょう」。 + ヨナタンは言った、「そのようなことは決してありません。父があなたに害を加える決心をしていることがわたしにわかっているならば、わたしはそれをあなたに告げないでおきましょうか」。 + ダビデはヨナタンに言った、「あなたの父が荒々しくあなたに答えられる時、だれがわたしに告げるでしょうか」。 + ヨナタンはダビデに言った、「さあ、野原へ出ていこう」。こうしてふたりは野原へ出て行った。 + そしてヨナタンはダビデに言った、「イスラエルの神、主が、証人です。明日か明後日の今ごろ、わたしが父の心を探って、父がダビデに対して良いのを見ながら、人をつかわしてあなたに知らせないようなことをするでしょうか。 + しかし、もし父があなたに害を加えようと思っているのに、それをあなたに知らせず、あなたを逃がして、安全に去らせないならば、主よ、どうぞ幾重にも、このヨナタンを罰してください。どうぞ主が父と共におられたように、あなたと共におられますように。 + もしわたしがなお生きながらえているならば、主のいつくしみをわたしに施し、死を免れさせてください。 + またわたしの家をも、長くあなたのいつくしみにあずからせてください。主がダビデの敵をことごとく地のおもてから断ち滅ぼされる時、 + ヨナタンの名をダビデの家から絶やさないでください。どうぞ主がダビデの敵に、あだを返されるように」。 + そしてヨナタンは重ねてダビデに誓わせた。彼を愛したからである。ヨナタンは自分の命のように彼を愛していた。 + ヨナタンはダビデに言った、「あすはついたちです。あなたの席があいているので、どうしたのかと尋ねられるでしょう。 + 三日目には、きびしく尋ねられるでしょうから、先にあなたが隠れた場所へ行って、向こうの石塚のかたわらにいてください。 + わたしは的を射るようにして、矢を三本、そのそばに放ちます。 + そして、『行って矢を捜してきなさい』と言って子供をつかわしましょう。わたしが子供に、『矢は手前にある。それを取ってきなさい』と言うならば、その時あなたはきてください。主が生きておられるように、あなたは安全で、何も危険がないからです。 + しかしわたしがその子供に、『矢は向こうにある』と言うならば、その時、あなたは去って行きなさい。主があなたを去らせられるのです。 + あなたとわたしとで話しあった事については、主が常にあなたとわたしとの間におられます」。 + そこでダビデは野原に身を隠した。さて、ついたちになったので、王は食事をするため席に着いた。 + 王はいつものように壁寄りに席に着き、ヨナタンはその向かい側の席に着き、アブネルはサウルの横の席に着いたが、ダビデの場所にはだれもいなかった。 + ところがその日サウルは何も言わなかった、「彼に何か起って汚れたのだろう。きっと汚れたのにちがいない」と思ったからである。 + しかし、ふつか目すなわち、ついたちの明くる日も、ダビデの場所はあいていたので、サウルは、その子ヨナタンに言った、「どうしてエッサイの子は、きのうもきょうも食事にこないのか」。 + ヨナタンはサウルに答えた、「ダビデは、ベツレヘムへ行くことを許してくださいと、しきりにわたしに求めました。 + 彼は言いました、『わたしに行かせてください。われわれの一族が町で祭をするので、兄がわたしに来るようにと命じました。それでもし、あなたの前に恵みを得ますならば、どうぞ、わたしに行くことを許し、兄弟たちに会わせてください』。それで彼は王の食卓にこなかったのです」。 + その時サウルはヨナタンにむかって怒りを発し、彼に言った、「あなたは心の曲った、そむく女の産んだ子だ。あなたがエッサイの子を選んで、自分の身をはずかしめ、また母の身をはずかしめていることをわたしが知らないと思うのか。 + エッサイの子がこの世に生きながらえている間は、あなたも、あなたの王国も堅く立っていくことはできない。それゆえ今、人をつかわして、彼をわたしのもとに連れてこさせなさい。彼は必ず死ななければならない」。 + ヨナタンは父サウルに答えた、「どうして彼は殺されなければならないのですか。彼は何をしたのですか」。 + ところがサウルはヨナタンを撃とうとして、やりを彼に向かって振り上げたので、ヨナタンは父がダビデを殺そうと、心に決めているのを知った。 + ヨナタンは激しく怒って席を立ち、その月のふつかには食事をしなかった。父がダビデをはずかしめたので、ダビデのために憂えたからである。 + あくる朝、ヨナタンは、ひとりの小さい子供を連れて、ダビデと打ち合わせたように野原に出て行った。 + そしてその子供に言った、「走って行って、わたしの射る矢を捜しなさい」。子供が走って行く間に、ヨナタンは矢を彼の前の方に放った。 + そして子供が、ヨナタンの放った矢のところへ行った時、ヨナタンは子供のうしろから呼ばわって、「矢は向こうにあるではないか」と言った。 + ヨナタンはまた、その子供のうしろから呼ばわって言った、「早くせよ、急げ。とどまるな」。その子供は矢を拾い集めて主人ヨナタンのもとにきた。 + しかし子供は何も知らず、ヨナタンとダビデだけがそのことを知っていた。 + ヨナタンは自分の武器をその子供に渡して言った、「あなたはこれを町へ運んで行きなさい」。 + 子供が行ってしまうとダビデは石塚のかたわらをはなれて立ちいで、地にひれ伏して三度敬礼した。そして、ふたりは互に口づけし、互に泣いた。やがてダビデは心が落ち着いた。 + その時ヨナタンはダビデに言った、「無事に行きなさい。われわれふたりは、『主が常にわたしとあなたの間におられ、また、わたしの子孫とあなたの子孫の間におられる』と言って、主の名をさして誓ったのです」。こうしてダビデは立ち去り、ヨナタンは町にはいった。 + + + ダビデはノブに行き、祭司アヒメレクのところへ行った。アヒメレクはおののきながらダビデを迎えて言った、「どうしてあなたはひとりですか。だれも供がいないのですか」。 + ダビデは祭司アヒメレクに言った、「王がわたしに一つの事を命じて、『わたしがおまえをつかわしてさせる事、またわたしが命じたことについては、何をも人に知らせてはならない』と言われました。そこでわたしは、ある場所に若者たちを待たせてあります。 + ところで今あなたの手もとにパン五個でもあれば、それをわたしにください。なければなんでも、あるものをください」。 + 祭司はダビデに答えて言った、「常のパンはわたしの手もとにありません。ただその若者たちが女を慎んでさえいたのでしたら、聖別したパンがあります」。 + ダビデは祭司に答えた、「わたしが戦いに出るいつもの時のように、われわれはたしかに女たちを近づけていません。若者たちの器は、常の旅であったとしても、清いのです。まして、きょう、彼らの器は清くないでしょうか」。 + そこで祭司は彼に聖別したパンを与えた。その所に、供えのパンのほかにパンがなく、このパンは、これを取り下げる日に、あたたかいパンと置きかえるため、主の前から取り下さげたものである。 + その日、その所に、サウルのしもべのひとりが、主の前に留め置かれていた。その名はドエグといい、エドムびとであって、サウルの牧者の長であった。 + ダビデはまたアヒメレクに言った、「ここに、あなたの手もとに、やりかつるぎがありませんか。王の事が急を要したので、わたしはつるぎも武器も持ってこなかったのです」。 + 祭司は言った、「あなたがエラの谷で殺したペリシテびとゴリアテのつるぎが、布に包んでエポデのうしろにあります。もしあなたがこれを取ろうとおもわれるなら、お取りください。ここにはそのほかにはありません」。ダビデは言った、「それにまさるものはありません。それをわたしにください」。 + ダビデはその日サウルを恐れて、立ってガテの王アキシのところへ逃げて行った。 + アキシの家来たちはアキシに言った、「これはあの国の王ダビデではありませんか。人々が踊りながら、互に歌いかわして、『サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した』と言ったのは、この人のことではありませんか」。 + ダビデは、これらの言葉を心におき、ガテの王アキシを、ひじょうに恐れたので、 + 人々の前で、わざと挙動を変え、捕えられて気違いのふりをし、門のとびらを打ちたたき、よだれを流して、ひげに伝わらせた。 + アキシは家来たちに言った、「あなたがたの見るように、この人は気違いだ。どうして彼をわたしの所へ連れてきたのか。 + わたしに気違いが必要なのか。この者を連れてきて、わたしの前で狂わせようというのか。この者をわたしの家へ入れようとするのか」。 + + + こうしてダビデはその所を去り、アドラムのほら穴へのがれた。彼の兄弟たちと父の家の者は皆、これを聞き、その所に下って彼のもとにきた。 + また、しえたげられている人々、負債のある人々、心に不満のある人々も皆、彼のもとに集まってきて、彼はその長となった。おおよそ四百人の人々が彼と共にあった。 + ダビデはそこからモアブのミヅパへ行き、モアブの王に言った、「神がわたしのためにどんなことをされるかわかるまで、どうぞわたしの父母をあなたの所におらせてください」。 + そして彼はモアブの王に彼らを託したので、彼らはダビデが要害におる間、王の所におった。 + さて、預言者ガドはダビデに言った、「要害にとどまっていないで、去ってユダの地へ行きなさい」。そこでダビデは去って、ハレテの森へ行った。 + サウルは、ダビデおよび彼と共にいる人々が見つかったということを聞いた。サウルはギベアで、やりを手にもって、丘のぎょりゅうの木の下にすわっており、家来たちはみなそのまわりに立っていた。 + サウルはまわりに立っている家来たちに言った、「あなたがたベニヤミンびとは聞きなさい。エッサイの子もまた、あなたがたおのおのに畑やぶどう畑を与え、おのおのを千人の長、百人の長にするであろうか。 + あなたがたは皆共にはかってわたしに敵した。わたしの子がエッサイの子と契約を結んでも、それをわたしに告げるものはなく、またあなたがたのうち、ひとりもわたしのために憂えず、きょうのように、わたしの子がわたしのしもべをそそのかしてわたしに逆らわせ、道で彼がわたしを待ち伏せするようになっても、わたしに告げる者はない」。 + その時エドムびとドエグは、サウルの家来たちのそばに立っていたが、答えて言った、「わたしはエッサイの子がノブにいるアヒトブの子アヒメレクの所にきたのを見ました。 + アヒメレクは彼のために主に問い、また彼に食物を与え、ペリシテびとゴリアテのつるぎを与えました」。 + そこで王は人をつかわして、アヒトブの子祭司アヒメレクとその父の家のすべての者、すなわちノブの祭司たちを召したので、みな王の所にきた。 + サウルは言った、「アヒトブの子よ、聞きなさい」。彼は答えた、「わが主よ、わたしはここにおります」。 + サウルは彼に言った、「どうしてあなたはエッサイの子と共にはかってわたしに敵し、彼にパンとつるぎを与え、彼のために神に問い、きょうのように彼をわたしに逆らって立たせ、道で待ち伏せさせるのか」。 + アヒメレクは王に答えて言った、「あなたの家来のうち、ダビデのように忠義な者がほかにありますか。彼は王の娘婿であり、近衛兵の長であって、あなたの家で尊ばれる人ではありませんか。 + 彼のために神に問うたのは、きょう初めてでしょうか。いいえ、決してそうではありません。王よ、どうぞ、しもべと父の全家に罪を負わせないでください。しもべは、これについては、事の大小を問わず、何をも知らなかったのです」。 + 王は言った、「アヒメレクよ、あなたは必ず殺されなければならない。あなたの父の全家も同じである」。 + そして王はまわりに立っている近衛の兵に言った、「身をひるがえして、主の祭司たちを殺しなさい。彼らもダビデと協力していて、ダビデの逃げたのを知りながら、それをわたしに告げなかったからです」。ところが王の家来たちは主の祭司たちを殺すために手を下そうとはしなかった。 + そこで王はドエグに言った、「あなたが身をひるがえして、祭司たちを殺しなさい」。エドムびとドエグは身をひるがえして祭司たちを撃ち、その日亜麻布のエポデを身につけている者八十五人を殺した。 + 彼はまた、つるぎをもって祭司の町ノブを撃ち、つるぎをもって男、女、幼な子、乳飲み子、牛、ろば、羊を殺した。 + しかしアヒトブの子アヒメレクの子たちのひとりで、名をアビヤタルという人は、のがれてダビデの所に走った。 + そしてアビヤタルは、サウルが主の祭司たちを殺したことをダビデに告げたので、 + ダビデはアビヤタルに言った、「あの日、エドムびとドエグがあそこにいたので、わたしは彼がきっとサウルに告げるであろうと思った。わたしがあなたの父の家の人々の命を失わせるもととなったのです。 + あなたはわたしの所にとどまってください。恐れることはありません。あなたの命を求める者は、わたしの命をも求めているのです。わたしの所におられるならば、あなたは安全でしょう」。 + + + さて人々はダビデに告げて言った、「ペリシテびとがケイラを攻めて、打ち場の穀物をかすめています」。 + そこでダビデは主に問うて言った、「わたしが行って、このペリシテびとを撃ちましょうか」。主はダビデに言われた、「行ってペリシテびとを撃ち、ケイラを救いなさい」。 + しかしダビデの従者たちは彼に言った、「われわれは、ユダのここにおってさえ、恐れているのに、ましてケイラへ行って、ペリシテびとの軍に当ることができましょうか」。 + ダビデが重ねて主に問うたところ、主は彼に答えて言われた、「立って、ケイラへ下りなさい。わたしはペリシテびとをあなたの手に渡します」。 + ダビデとその従者たちはケイラへ行って、ペリシテびとと戦い、彼らの家畜を奪いとり、彼らを多く撃ち殺した。こうしてダビデはケイラの住民を救った。 + アヒメレクの子アビヤタルは、ケイラにいるダビデのもとにのがれてきた時、手にエポデをもって下ってきた。 + さてダビデのケイラにきたことがサウルに聞えたので、サウルは言った、「神はわたしの手に彼をわたされた。彼は門と貫の木のある町にはいって、自分で身を閉じこめたからである」。 + そこでサウルはすべての民を戦いに呼び集めて、ケイラに下り、ダビデとその従者を攻め囲もうとした。 + ダビデはサウルが自分に害を加えようとしているのを知って、祭司アビヤタルに言った、「エポデを持ってきてください」。 + そしてダビデは言った、「イスラエルの神、主よ、しもべはサウルがケイラにきて、わたしのために、この町を滅ぼそうとしていることを確かに聞きました。 + ケイラの人々はわたしを彼の手に渡すでしょうか。しもべの聞いたように、サウルは下ってくるでしょうか。イスラエルの神、主よ、どうぞ、しもべに告げてください」。主は言われた、「彼は下って来る」。 + ダビデは言った、「ケイラの人々はわたしと従者たちをサウルの手にわたすでしょうか」。主は言われた、「彼らはあなたがたを渡すであろう」。 + そこでダビデとその六百人ほどの従者たちは立って、ケイラを去り、いずこともなくさまよった。ダビデのケイラから逃げ去ったことがサウルに聞えたので、サウルは戦いに出ることをやめた。 + ダビデは荒野にある要害におり、またジフの荒野の山地におった。サウルは日々に彼を尋ね求めたが、神は彼をその手に渡されなかった。 + さてダビデはサウルが自分の命を求めて出てきたので恐れた。その時ダビデはジフの荒野のホレシにいたが、 + サウルの子ヨナタンは立って、ホレシにいるダビデのもとに行き、神によって彼を力づけた。 + そしてヨナタンは彼に言った、「恐れるにはおよびません。父サウルの手はあなたに届かないでしょう。あなたはイスラエルの王となり、わたしはあなたの次となるでしょう。このことは父サウルも知っています」。 + こうして彼らふたりは主の前で契約を結び、ダビデはホレシにとどまり、ヨナタンは家に帰った。 + その時ジフびとはギベアにいるサウルのもとに上って行き、そして言った、「ダビデは、荒野の南にあるハキラの丘の上のホレシの要害に隠れて、われわれと共にいるではありませんか。 + それゆえ王よ、あなたが下って行こうという望みのとおり、いま下ってきてください。われわれは彼を王の手に渡します」。 + サウルは言った、「あなたがたはわたしに同情を寄せてくれたのです。どうぞ主があなたがたを祝福されるように。 + あなたがたは行って、なお確かめてください。彼のよく行く所とだれがそこで彼を見たかを見きわめてください。人の語るところによると、彼はひじょうに悪賢いそうだ。 + それで、あなたがたは彼が隠れる隠れ場所をみな見きわめ、確かな知らせをもってわたしの所に帰ってきなさい。その時わたしはあなたがたと共に行きます。もし彼がこの地にいるならば、わたしはユダの氏族をあまねく尋ねて彼を捜しだします」。 + 彼らは立って、サウルに先立ってジフへ行った。さてダビデとその従者たちは荒野の南のアラバにあるマオンの荒野にいた。 + そしてサウルとその従者たちはきて彼を捜した。人々がこれをダビデに告げたので、ダビデはマオンの荒野にある岩の所へ下って行った。サウルはこれを聞いて、マオンの荒野にきてダビデを追った。 + サウルは山のこちら側を行き、ダビデとその従者たちとは山のむこう側を行った。そしてダビデは急いでサウルからのがれようとした。サウルとその従者たちが、ダビデとその従者たちを囲んで捕えようとしたからである。 + その時、サウルの所に、ひとりの使者がきて言った、「ペリシテびとが国を侵しています。急いできてください」。 + そこでサウルはダビデを追うことをやめて帰り、行ってペリシテびとに当った。それで人々は、その所を「のがれの岩」と名づけた。 + ダビデはそこから上ってエンゲデの要害にいた。 + + + サウルがペリシテびとを追うことをやめて帰ってきたとき、人々は彼に告げて言った、「ダビデはエンゲデの野にいます」。 + そこでサウルは、全イスラエルから選んだ三千の人を率い、ダビデとその従者たちとを捜すため、「やぎの岩」の前へ出かけた。 + 途中、羊のおりの所にきたが、そこに、ほら穴があり、サウルは足をおおうために、その中にはいった。その時、ダビデとその従者たちは、ほら穴の奥にいた。 + ダビデの従者たちは彼に言った、「主があなたに告げて、『わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。あなたは自分の良いと思うことを彼にすることができる』と言われた日がきたのです」。そこでダビデは立って、ひそかに、サウルの上着のすそを切った。 + しかし後になって、ダビデはサウルの上着のすそを切ったことに、心の責めを感じた。 + ダビデは従者たちに言った、「主が油を注がれたわが君に、わたしがこの事をするのを主は禁じられる。彼は主が油を注がれた者であるから、彼に敵して、わたしの手をのべるのは良くない」。 + ダビデはこれらの言葉をもって従者たちを差し止め、サウルを撃つことを許さなかった。サウルは立って、ほら穴を去り、道を進んだ。 + ダビデもまた、そのあとから立ち、ほら穴を出て、サウルのうしろから呼ばわって、「わが君、王よ」と言った。サウルがうしろをふり向いた時、ダビデは地にひれ伏して拝した。 + そしてダビデはサウルに言った、「どうして、あなたは『ダビデがあなたを害しようとしている』という人々の言葉を聞かれるのですか。 + あなたは、この日、自分の目で、主があなたをきょう、ほら穴の中でわたしの手に渡されたのをごらんになりました。人々はわたしにあなたを殺すことを勧めたのですが、わたしは殺しませんでした。『わが君は主が油を注がれた方であるから、これに敵して手をのべることはしない』とわたしは言いました。 + わが父よ、ごらんなさい。あなたの上着のすそは、わたしの手にあります。わたしがあなたの上着のすそを切り、しかも、あなたを殺さなかったことによって、あなたは、わたしの手に悪も、とがもないことを見て知られるでしょう。あなたはわたしの命を取ろうと、ねらっておられますが、わたしはあなたに対して罪をおかしたことはないのです。 + どうぞ主がわたしとあなたの間をさばかれますように。また主がわたしのために、あなたに報いられますように。しかし、わたしはあなたに手をくだすことをしないでしょう。 + 昔から、ことわざに言っているように、『悪は悪人から出る』。しかし、わたしはあなたに手をくだすことをしないでしょう。 + イスラエルの王は、だれを追って出てこられたのですか。あなたは、だれを追っておられるのですか。死んだ犬を追っておられるのです。一匹の蚤を追っておられるのです。 + どうぞ主がさばきびととなって、わたしとあなたの間をさばき、かつ見て、わたしの訴えを聞き、わたしをあなたの手から救い出してくださるように」。 + ダビデがこれらの言葉をサウルに語り終ったとき、サウルは言った、「わが子ダビデよ、これは、あなたの声であるか」。そしてサウルは声をあげて泣いた。 + サウルはまたダビデに言った、「あなたはわたしよりも正しい。わたしがあなたに悪を報いたのに、あなたはわたしに善を報いる。 + きょう、あなたはいかに良くわたしをあつかったかを明らかにしました。すなわち主がわたしをあなたの手にわたされたのに、あなたはわたしを殺さなかったのです。 + 人は敵に会ったとき、敵を無事に去らせるでしょうか。あなたが、きょう、わたしにした事のゆえに、どうぞ主があなたに良い報いを与えられるように。 + 今わたしは、あなたがかならず王となることを知りました。またイスラエルの王国が、あなたの手によって堅く立つことを知りました。 + それゆえ、あなたはわたしのあとに、わたしの子孫を断たず、またわたしの父の家から、わたしの名を滅ぼし去らないと、いま主をさして、わたしに誓ってください」。 + そこでダビデはサウルに、そのように誓った。そしてサウルは家に帰り、ダビデとその従者たちは要害にのぼって行った。 + + + さてサムエルが死んだので、イスラエルの人々はみな集まって、彼のためにひじょうに悲しみ、ラマにあるその家に彼を葬った。そしてダビデは立ってパランの荒野に下って行った。 + マオンに、ひとりの人があって、カルメルにその所有があり、ひじょうに裕福で、羊三千頭、やぎ一千頭を持っていた。彼はカルメルで羊の毛を切っていた。 + その人の名はナバルといい、妻の名はアビガイルといった。アビガイルは賢くて美しかったが、その夫は剛情で、粗暴であった。彼はカレブびとであった。 + ダビデは荒野にいて、ナバルがその羊の毛を切っていることを聞いたので、 + 十人の若者をつかわし、その若者たちに言った、「カルメルに上って行ってナバルの所へ行き、わたしの名をもって彼にあいさつし、 + 彼にこう言いなさい、『どうぞあなたに平安があるように。あなたの家に平安があるように。またあなたのすべての持ち物に平安があるように。 + わたしはあなたが羊の毛を切っておられることを聞きました。あなたの羊飼たちはわれわれと一緒にいたのですが、われわれは彼らを少しも害しませんでした。また彼らはカルメルにいる間に、何ひとつ失ったことはありません。 + あなたの若者たちに聞いてみられるならば、わかります。それゆえ、わたしの若者たちに、あなたの好意を示してください。われわれは祝の日にきたのです。どうぞ、あなたの手もとにあるものを、贈り物として、しもべどもとあなたの子ダビデにください』」。 + ダビデの若者たちは行って、ダビデの名をもって、これらの言葉をナバルに語り、そして待っていた。 + ナバルはダビデの若者たちに答えて言った、「ダビデとはだれか。エッサイの子とはだれか。このごろは、主人を捨てて逃げるしもべが多い。 + どうしてわたしのパンと水、またわたしの羊の毛を切る人々のためにほふった肉をとって、どこからきたのかわからない人々に与えることができようか」。 + ダビデの若者たちは、そこを去り、帰ってきて、彼にこのすべての事を告げた。 + そこでダビデは従者たちに言った、「おのおの、つるぎを帯びなさい」。彼らはおのおのつるぎを帯び、ダビデもまたつるぎを帯びた。そしておおよそ四百人がダビデに従って上っていき、二百人は荷物のところにとどまった。 + ところで、ひとりの若者がナバルの妻アビガイルに言った、「ダビデが荒野から使者をつかわして、主人にあいさつをしたのに、主人はその使者たちをののしられました。 + しかし、あの人々はわれわれに大へんよくしてくれて、われわれは少しも害を受けず、またわれわれが野にいた時、彼らと共にいた間は、何ひとつ失ったことはありませんでした。 + われわれが羊を飼って彼らと共にいる間、彼らは夜も昼もわれわれのかきとなってくれました。 + それで、あなたは今それを知って、自分のすることを考えてください。主人とその一家に災が起きるからです。しかも主人はよこしまな人で、話しかけることもできません」。 + その時、アビガイルは急いでパン二百、ぶどう酒の皮袋二つ、調理した羊五頭、いり麦五セア、ほしぶどう百ふさ、ほしいちじくのかたまり二百を取って、ろばにのせ、 + 若者たちに言った、「わたしのさきに進みなさい。わたしはあなたがたのうしろに、ついて行きます」。しかし彼女は夫ナバルには告げなかった。 + アビガイルが、ろばに乗って山陰を下ってきた時、ダビデと従者たちは彼女の方に向かって降りてきたので、彼女はその人々に出会った。 + さて、ダビデはさきにこう言った、「わたしはこの人が荒野で持っている物をみな守って、その人に属する物を何ひとつなくならないようにしたが、それは全くむだであった。彼はわたしのした親切に悪をもって報いた。 + もしわたしがあすの朝まで、ナバルに属するすべての者のうち、ひとりの男でも残しておくならば、神が幾重にもダビデを罰してくださるように」。 + アビガイルはダビデを見て、急いで、ろばを降り、ダビデの前で地にひれ伏し、 + その足もとに伏して言った、「わが君よ、このとがをわたしだけに負わせてください。しかしどうぞ、はしために、あなたの耳に語ることを許し、はしための言葉をお聞きください。 + わが君よ、どうぞ、このよこしまな人ナバルのことを気にかけないでください。あの人はその名のとおりです。名はナバルで、愚かな者です。あなたのはしためであるわたしは、わが君なるあなたがつかわされた若者たちを見なかったのです。 + それゆえ今、わが君よ、主は生きておられます。またあなたは生きておられます。主は、あなたがきて血を流し、また手ずから、あだを報いるのをとどめられました。どうぞ今、あなたの敵、およびわが君に害を加えようとする者は、ナバルのごとくになりますように。 + 今、あなたのつかえめが、わが君に携えてきた贈り物を、わが君に従う若者たちに与えてください。 + どうぞ、はしためのとがを許してください。主は必ずわが君のために確かな家を造られるでしょう。わが君が主のいくさを戦い、またこの世に生きながらえられる間、あなたのうちに悪いことが見いだされないからです。 + たとい人が立ってあなたを追い、あなたの命を求めても、わが君の命は、生きている者の束にたばねられて、あなたの神、主のもとに守られるでしょう。しかし主はあなたの敵の命を、石投げの中から投げるように、投げ捨てられるでしょう。 + そして主があなたについて語られたすべての良いことをわが君に行い、あなたをイスラエルのつかさに任じられる時、 + あなたが、ゆえなく血を流し、またわが君がみずからあだを報いたと言うことで、それがあなたのつまずきとなり、またわが君の心の責めとなることのないようにしてください。主がわが君を良くせられる時、このはしためを思いだしてください」。 + ダビデはアビガイルに言った、「きょう、あなたをつかわして、わたしを迎えさせられたイスラエルの神、主はほむべきかな。 + あなたの知恵はほむべきかな。またあなたはほむべきかな。あなたは、きょう、わたしがきて血を流し、手ずからあだを報いることをとどめられたのです。 + わたしがあなたを害することをとどめられたイスラエルの神、主はまことに生きておられる。もしあなたが急いでわたしに会いにこなかったならば、あすの朝までには、ナバルのところに、ひとりの男も残らなかったでしょう」。 + ダビデはアビガイルが携えてきた物をその手から受けて、彼女に言った、「あなたは無事にのぼって、家に帰りなさい。わたしはあなたの声を聞きいれ、あなたの願いを許します」。 + こうしてアビガイルはナバルのもとにきたが、見よ、彼はその家で、王の酒宴のような酒宴を開いていた。ナバルは心に楽しみ、ひじょうに酔っていたので、アビガイルは明くる朝まで事の大小を問わず何をも彼に告げなかった。 + 朝になってナバルの酔いがさめたとき、その妻が彼にこれらの事を告げると、彼の心はそのうちに死んで、彼は石のようになった。 + 十日ばかりして主がナバルを撃たれたので彼は死んだ。 + ダビデはナバルが死んだと聞いて言った、「主はほむべきかな。主はわたしがナバルの手から受けた侮辱に報いて、しもべが悪をおこなわないようにされた。主はナバルの悪行をそのこうべに報いられたのだ」。ダビデはアビガイルを妻にめとろうと、人をつかわして彼女に申し込んだ。 + ダビデのしもべたちはカルメルにいるアビガイルの所にきて、彼女に言った、「ダビデはあなたを妻にめとろうと、われわれをあなたの所へつかわしたのです」。 + アビガイルは立ち、地にひれ伏し拝して言った、「はしためは、わが君のしもべたちの足を洗うつかえめです」。 + アビガイルは急いで立ち、ろばに乗って、五人の侍女たちを連れ、ダビデの使者たちに従って行き、ダビデの妻となった。 + ダビデはまたエズレルのアヒノアムをめとった。彼女たちはふたりともダビデの妻となった。 + ところでサウルはその娘、ダビデの妻ミカルを、ガリムの人であるライシの子パルテに与えた。 + + + そのころジフびとがギベアにおるサウルのもとにきて言った、「ダビデは荒野の前にあるハキラの山に隠れているではありませんか」。 + サウルは立って、ジフの荒野でダビデを捜すために、イスラエルのうちから選んだ三千人をひき連れて、ジフの荒野に下った。 + サウルは荒野の前の道のかたわらにあるハキラの山に陣を取った。ダビデは荒野にとどまっていたが、サウルが自分のあとを追って荒野にきたのを見て、 + 斥候を出し、サウルが確かにきたのを知った。 + そしてダビデは立って、サウルが陣を取っている所へ行って、サウルとその軍の長、ネルの子アブネルの寝ている場所を見た。サウルは陣所のうちに寝ていて、民はその周囲に宿営していた。 + ダビデは、ヘテびとアヒメレク、およびゼルヤの子で、ヨアブの兄弟であるアビシャイに言った、「だれがわたしと共にサウルの陣に下って行くか」。アビシャイは言った、「わたしが一緒に下って行きます」。 + こうしてダビデとアビシャイとが夜、民のところへ行ってみると、サウルは陣所のうちに身を横たえて寝ており、そのやりは枕もとに地に突きさしてあった。そしてアブネルと民らとはその周囲に寝ていた。 + アビシャイはダビデに言った、「神はきょう敵をあなたの手に渡されました。どうぞわたしに、彼のやりをもってひと突きで彼を地に刺しとおさせてください。ふたたび突くには及びません」。 + しかしダビデはアビシャイに言った、「彼を殺してはならない。主が油を注がれた者に向かって、手をのべ、罪を得ない者があろうか」。 + ダビデはまた言った、「主は生きておられる。主が彼を撃たれるであろう。あるいは彼の死ぬ日が来るであろう。あるいは戦いに下って行って滅びるであろう。 + 主が油を注がれた者に向かって、わたしが手をのべることを主は禁じられる。しかし今、そのまくらもとにあるやりと水のびんを取りなさい。そしてわれわれは去ろう」。 + こうしてダビデはサウルの枕もとから、やりと水のびんを取って彼らは去ったが、だれもそれを見ず、だれも知らず、また、だれも目をさまさず、みな眠っていた。主が彼らを深く眠らされたからである。 + ダビデは向こう側に渡って行って、遠く離れて山の頂に立った。彼らの間の隔たりは大きかった。 + ダビデは民とネルの子アブネルに呼ばわって言った、「アブネルよ、あなたは答えないのか」。アブネルは答えて言った、「王を呼んでいるあなたはだれか」。 + ダビデはアブネルに言った、「あなたは男ではないか。イスラエルのうちに、あなたに及ぶ人があろうか。それであるのに、どうしてあなたは主君である王を守らなかったのか。民のひとりが、あなたの主君である王を殺そうとして、はいりこんだではないか。 + あなたがしたこの事は良くない。主は生きておられる。あなたがたは、まさに死に値する。主が油をそそがれた、あなたの主君を守らなかったからだ。いま王のやりがどこにあるか。その枕もとにあった水のびんがどこにあるかを見なさい」。 + サウルはダビデの声を聞きわけて言った、「わが子ダビデよ、これはあなたの声か」。ダビデは言った、「王、わが君よ、わたしの声です」。 + ダビデはまた言った、「わが君はどうしてしもべのあとを追われるのですか。わたしが何をしたのですか。わたしの手になんのわるいことがあるのですか。 + 王、わが君よ、どうぞ、今しもべの言葉を聞いてください。もし主があなたを動かして、わたしの敵とされたのであれば、どうぞ主が供え物を受けて和らいでくださるように。もし、それが人であるならば、どうぞその人々が主の前にのろいを受けるように。彼らが『おまえは行って他の神々に仕えなさい』と言って、きょう、わたしを追い出し、主の嗣業にあずかることができないようにしたからです。 + それゆえ今、主の前を離れて、わたしの血が地に落ちることのないようにしてください。イスラエルの王は、人が山で、しゃこを追うように、わたしの命を取ろうとして出てこられたのです」。 + その時、サウルは言った、「わたしは罪を犯した。わが子ダビデよ、帰ってきてください。きょう、わたしの命があなたの目に尊く見られたゆえ、わたしは、もはやあなたに害を加えないであろう。わたしは愚かなことをして、非常なまちがいをした」。 + ダビデは答えた、「王のやりは、ここにあります。ひとりの若者に渡ってこさせ、これを持ちかえらせてください。 + 主は人おのおのにその義と真実とに従って報いられます。主がきょう、あなたをわたしの手に渡されたのに、わたしは主が油を注がれた者に向かって、手をのべることをしなかったのです。 + きょう、わたしがあなたの命を重んじたように、どうぞ主がわたしの命を重んじて、もろもろの苦難から救い出してくださるように」。 + サウルはダビデに言った、「わが子ダビデよ、あなたはほむべきかな。あなたは多くの事をおこなって、それをなし遂げるであろう」。こうしてダビデはその道を行き、サウルは自分の所へ帰った。 + + + ダビデは心のうちに言った、「わたしは、いつかはサウルの手にかかって滅ぼされるであろう。早くペリシテびとの地へのがれるほかはない。そうすればサウルはこの上イスラエルの地にわたしをくまなく捜すことはやめ、わたしは彼の手からのがれることができるであろう」。 + こうしてダビデは、共にいた六百人と一緒に、立ってガテの王マオクの子アキシの所へ行った。 + ダビデと従者たちは、おのおのその家族とともに、ガテでアキシと共に住んだ。ダビデはそのふたりの妻、すなわちエズレルの女アヒノアムと、カルメルの女でナバルの妻であったアビガイルと共におった。 + ダビデがガテにのがれたことがサウルに聞えたので、サウルはもはや彼を捜さなかった。 + さてダビデはアキシに言った、「もしわたしがあなたの前に恵みを得るならば、どうぞ、いなかにある町のうちで一つの場所をわたしに与えてそこに住まわせてください。どうしてしもべがあなたと共に王の町に住むことができましょうか」。 + アキシはその日チクラグを彼に与えた。こうしてチクラグは今日にいたるまでユダの王に属している。 + ダビデがペリシテびとの国に住んだ日の数は一年と四か月であった。 + さてダビデは従者と共にのぼって、ゲシュルびと、ゲゼルびとおよびアマレクびとを襲った。これらは昔からシュルに至るまでの地の住民であって、エジプトに至るまでの地に住んでいた。 + ダビデはその地を撃って、男も女も生かしおかず、羊と牛とろばとらくだと衣服とを取って、アキシのもとに帰ってきた。 + アキシが「あなたはきょうどこを襲いましたか」と尋ねると、ダビデは、その時々、「ユダのネゲブです」、「エラメルびとのネゲブです」「ケニびとのネゲブです」と言った。 + ダビデは男も女も生かしおかず、ひとりをもガテに引いて行かなかった。それはダビデが、「恐らくは、彼らが、『ダビデはこうした』と言って、われわれのことを告げるであろう」と思ったからである。ダビデはペリシテびとのいなかに住んでいる間はこうするのが常であった。 + アキシはダビデを信じて言った、「彼は自分を全くその民イスラエルに憎まれるようにした。それゆえ彼は永久にわたしのしもべとなるであろう」。 + + + そのころ、ペリシテびとがイスラエルと戦おうとして、いくさのために軍勢を集めたので、アキシはダビデに言った、「あなたは、しかと承知してください。あなたとあなたの従者たちとは、わたしと共に出て、軍勢に加わらなければなりません」。 + ダビデはアキシに言った、「よろしい、あなたはしもべが何をするかを知られるでしょう」。アキシはダビデに言った、「よろしい、あなたを終身わたしの護衛の長としよう」。 + さてサムエルはすでに死んで、イスラエルのすべての人は彼のために悲しみ、その町ラマに葬った。また先にサウルは口寄せや占い師をその地から追放した。 + ペリシテびとが集まってきてシュネムに陣を取ったので、サウルはイスラエルのすべての人を集めて、ギルボアに陣を取った。 + サウルはペリシテびとの軍勢を見て恐れ、その心はいたくおののいた。 + そこでサウルは主に伺いをたてたが、主は夢によっても、ウリムによっても、預言者によっても彼に答えられなかった。 + サウルはしもべたちに言った、「わたしのために、口寄せの女を捜し出しなさい。わたしは行ってその女に尋ねよう」。しもべたちは彼に言った、「見よ、エンドルにひとりの口寄せがいます」。 + サウルは姿を変えてほかの着物をまとい、ふたりの従者を伴って行き、夜の間に、その女の所にきた。そしてサウルは言った、「わたしのために口寄せの術を行って、わたしがあなたに告げる人を呼び起してください」。 + 女は彼に言った、「あなたはサウルがしたことをごぞんじでしょう。彼は口寄せや占い師をその国から断ち滅ぼしました。どうしてあなたは、わたしの命にわなをかけて、わたしを死なせようとするのですか」。 + サウルは主をさして彼女に誓って言った、「主は生きておられる。この事のためにあなたが罰を受けることはないでしょう」。 + 女は言った、「あなたのためにだれを呼び起しましょうか」。サウルは言った、「サムエルを呼び起してください」。 + 女はサムエルを見た時、大声で叫んだ。そしてその女はサウルに言った、「どうしてあなたはわたしを欺かれたのですか。あなたはサウルです」。 + 王は彼女に言った、「恐れることはない。あなたには何が見えるのですか」。女はサウルに言った、「神のようなかたが地からのぼられるのが見えます」。 + サウルは彼女に言った、「その人はどんな様子をしていますか」。彼女は言った、「ひとりの老人がのぼってこられます。その人は上着をまとっておられます」。サウルはその人がサムエルであるのを知り、地にひれ伏して拝した。 + サムエルはサウルに言った、「なぜ、わたしを呼び起して、わたしを煩わすのか」。サウルは言った、「わたしは、ひじょうに悩んでいます。ペリシテびとがわたしに向かっていくさを起し、神はわたしを離れて、預言者によっても、夢によっても、もはやわたしに答えられないのです。それで、わたしのすべきことを知るために、あなたを呼びました」。 + サムエルは言った、「主があなたを離れて、あなたの敵となられたのに、どうしてあなたはわたしに問うのですか。 + 主は、わたしによって語られたとおりにあなたに行われた。主は王国を、あなたの手から裂きはなして、あなたの隣人であるダビデに与えられた。 + あなたは主の声に聞き従わず、主の激しい怒りに従って、アマレクびとを撃ち滅ぼさなかったゆえに、主はこの事を、この日、あなたに行われたのである。 + 主はまたイスラエルをも、あなたと共に、ペリシテびとの手に渡されるであろう。あすは、あなたもあなたの子らもわたしと一緒になるであろう。また主はイスラエルの軍勢をもペリシテびとの手に渡される」。 + そのときサウルは、ただちに、地に伸び、倒れ、サムエルの言葉のために、ひじょうに恐れ、またその力はうせてしまった。その一日一夜、食物をとっていなかったからである。 + 女はサウルのもとにきて、彼のおののいているのを見て言った、「あなたのつかえめは、あなたの声に聞き従い、わたしの命をかけて、あなたの言われた言葉に従いました。 + それゆえ今あなたも、つかえめの声に聞き従い、一口のパンをあなたの前にそなえさせてください。あなたはそれをめしあがって力をつけ、道を行ってください」。 + ところがサウルは断って言った、「わたしは食べません」。しかし彼のしもべたちも、その女もしいてすすめたので、サウルはその言葉を聞きいれ、地から起きあがり、床の上にすわった。 + その女は家に肥えた子牛があったので、急いでそれをほふり、また麦粉をとり、こねて、種入れぬパンを焼き、 + サウルとそのしもべたちの前に持ってきたので、彼らは食べた。そして彼らは立ち上がって、その夜のうちに去った。 + + + さてペリシテびとは、その軍勢をことごとくアペクに集めた。イスラエルびとはエズレルにある泉のかたわらに陣を取った。 + ペリシテびとの君たちは、あるいは百人、あるいは千人を率いて進み、ダビデとその従者たちはアキシと共に、しんがりになって進んだ。 + その時、ペリシテびとの君たちは言った、「これらのヘブルびとはここで何をしているのか」。アキシはペリシテびとたちに言った、「これはイスラエルの王サウルのしもべダビデではないか。彼はこの日ごろ、この年ごろ、わたしと共にいたが、逃げ落ちてきた日からきょうまで、わたしは彼にあやまちがあったのを見たことがない」。 + しかしペリシテびとの君たちは彼に向かって怒った。そしてペリシテびとの君たちは彼に言った、「この人を帰らせて、あなたが彼を置いたもとの所へ行かせなさい。われわれと一緒に彼を戦いに下らせてはならない。戦いの時、彼がわれわれの敵となるかも知れないからである。この者は何をもってその主君とやわらぐことができようか。ここにいる人々の首をもってするほかはあるまい。 + これは、かつて人々が踊りのうちに歌いかわして、『サウルは千を撃ち殺し、ダビデは万を撃ち殺した』と言った、あのダビデではないか」。 + そこでアキシはダビデを呼んで言った、「主は生きておられる。あなたは正しい人である。あなたがわたしと一緒に戦いに出入りすることをわたしは良いと思っている。それはあなたがわたしの所にきた日からこの日まで、わたしは、あなたに悪い事があったのを見たことがないからである。しかしペリシテびとの君たちはあなたを良く言わない。 + それゆえ今安らかに帰って行きなさい。彼らが悪いと思うことはしないがよかろう」。 + ダビデはアキシに言った、「しかしわたしが何をしたというのですか。わたしがあなたに仕えはじめた日からこの日までに、あなたはしもべの身に何を見られたので、わたしは行って、わたしの主君である王の敵と戦うことができないのですか」。 + アキシはダビデに答えた、「わたしは見て、あなたが神の使のようにりっぱな人であることを知っている。しかし、ペリシテびとの君たちは、『われわれと一緒に彼を戦いに上らせてはならない』と言っている。 + それで、あなたは、一緒にきたあなたの主君のしもべたちと共に朝早く起きなさい。そして朝早く起き、夜が明けてから去りなさい」。 + こうしてダビデとその従者たちとは共にペリシテびとの地へ帰ろうと、朝早く起きて出立したが、ペリシテびとはエズレルへ上って行った。 + + + さてダビデとその従者たちが三日目にチクラグにきた時、アマレクびとはすでにネゲブとチクラグを襲っていた。彼らはチクラグを撃ち、火をはなってこれを焼き、 + その中にいた女たちおよびすべての者を捕虜にし、小さい者をも大きい者をも、ひとりも殺さずに、引いて、その道に行った。 + ダビデと従者たちはその町にきて、町が火で焼かれ、その妻とむすこ娘らは捕虜となったのを見た。 + ダビデおよび彼と共にいた民は声をあげて泣き、ついに泣く力もなくなった。 + ダビデのふたりの妻すなわちエズレルの女アヒノアムと、カルメルびとナバルの妻であったアビガイルも捕虜になった。 + その時、ダビデはひじょうに悩んだ。それは民がみなおのおのそのむすこ娘のために心を痛めたため、ダビデを石で撃とうと言ったからである。しかしダビデはその神、主によって自分を力づけた。 + ダビデはアヒメレクの子、祭司アビヤタルに、「エポデをわたしのところに持ってきなさい」と言ったので、アビヤタルは、エポデをダビデのところに持ってきた。 + ダビデは主に伺いをたてて言った、「わたしはこの軍隊のあとを追うべきですか。わたしはそれに追いつくことができましょうか」。主は彼に言われた、「追いなさい。あなたは必ず追いついて、確かに救い出すことができるであろう」。 + そこでダビデは、一緒にいた六百人の者と共に出立してベソル川へ行ったが、あとに残る者はそこにとどまった。 + すなわちダビデは四百人と共に追撃をつづけたが、疲れてベソル川を渡れない者二百人はとどまった。 + 彼らは野で、ひとりのエジプトびとを見て、それをダビデのもとに引いてきて、パンを食べさせ、水を飲ませた。 + また彼らはほしいちじくのかたまり一つと、ほしぶどう二ふさを彼に与えた。彼は食べて元気を回復した。彼は三日三夜、パンを食べず、水を飲んでいなかったからである。 + ダビデは彼に言った、「あなたはだれのものか。どこからきたのか」。彼は言った、「わたしはエジプトの若者で、アマレクびとの奴隷です。三日前にわたしが病気になったので、主人はわたしを捨てて行きました。 + わたしどもは、ケレテびとのネゲブと、ユダに属する地と、カレブのネゲブを襲い、また火でチクラグを焼きはらいました」。 + ダビデは彼に言った、「あなたはその軍隊のところへわたしを導き下ってくれるか」。彼は言った、「あなたはわたしを殺さないこと、またわたしを主人の手に渡さないことを、神をさしてわたしに誓ってください。そうすればあなたをその軍隊のところへ導き下りましょう」。 + 彼はダビデを導き下ったが、見よ、彼らはペリシテびとの地とユダの地から奪い取ったさまざまの多くのぶんどり物のゆえに、食い飲み、かつ踊りながら、地のおもてにあまねく散りひろがっていた。 + ダビデは夕ぐれから翌日の夕方まで、彼らを撃ったので、らくだに乗って逃げた四百人の若者たちのほかには、ひとりものがれた者はなかった。 + こうしてダビデはアマレクびとが奪い取ったものをみな取りもどした。またダビデはそのふたりの妻を救い出した。 + そして彼らに属するものは、小さいものも大きいものも、むすこも娘もぶんどり物も、アマレクびとが奪い去った物は何をも失わないで、ダビデがみな取りもどした。 + ダビデはまたすべての羊と牛を取った。人々はこれらの家畜を彼の前に追って行きながら、「これはダビデのぶんどり物だ」と言った。 + そしてダビデが、あの疲れてダビデについて行くことができずに、ベソル川のほとりにとどまっていた二百人の者のところへきた時、彼らは出てきてダビデを迎え、またダビデと共にいる民を迎えた。ダビデは民に近づいてその安否を問うた。 + そのときダビデと共に行った人々のうちで、悪く、かつよこしまな者どもはみな言った、「彼らはわれわれと共に行かなかったのだから、われわれはその人々にわれわれの取りもどしたぶんどり物を分け与えることはできない。ただおのおのにその妻子を与えて、連れて行かせましょう」。 + しかしダビデは言った、「兄弟たちよ、主はわれわれを守って、攻めてきた軍隊をわれわれの手に渡された。その主が賜わったものを、あなたがたはそのようにしてはならない。 + だれがこの事について、あなたがたに聞き従いますか。戦いに下って行った者の分け前と、荷物のかたわらにとどまっていた者の分け前を同様にしなければならない。彼らはひとしく分け前を受けるべきである」。 + この日以来、ダビデはこれをイスラエルの定めとし、おきてとして今日に及んでいる。 + ダビデはチクラグにきて、そのぶんどり物の一部をユダの長老である友人たちにおくって言った、「これは主の敵から取ったぶんどり物のうちからあなたがたにおくる贈り物である」。 + そのおくり先は、ベテルにいる人々、ネゲブのラモテにいる人々、ヤッテルにいる人々、 + アロエルにいる人々、シフモテにいる人々、エシテモアにいる人々、ラカルにいる人々、 + エラメルびとの町々にいる人々、ケニびとの町々にいる人々、 + ホルマにいる人々、ボラシャンにいる人々、アタクにいる人々、 + ヘブロンにいる人々、およびダビデとその従者たちが、さまよい歩いたすべての所にいる人々であった。 + + + さてペリシテびとはイスラエルと戦った。イスラエルの人々はペリシテびとの前から逃げ、多くの者は傷ついてギルボア山にたおれた。 + ペリシテびとはサウルとその子らに攻め寄り、そしてペリシテびとはサウルの子ヨナタン、アビナダブ、およびマルキシュアを殺した。 + 戦いは激しくサウルに迫り、弓を射る者どもがサウルを見つけて、彼を射たので、サウルは射る者たちにひどい傷を負わされた。 + そこでサウルはその武器を執る者に言った、「つるぎを抜き、それをもってわたしを刺せ。さもないと、これらの無割礼の者どもがきて、わたしを刺し、わたしをなぶり殺しにするであろう」。しかしその武器を執る者は、ひじょうに恐れて、それに応じなかったので、サウルは、つるぎを執って、その上に伏した。 + 武器を執る者はサウルが死んだのを見て、自分もまたつるぎの上に伏して、彼と共に死んだ。 + こうしてサウルとその三人の子たち、およびサウルの武器を執る者、ならびにその従者たちは皆、この日共に死んだ。 + イスラエルの人々で、谷の向こう側、およびヨルダンの向こう側にいる者が、イスラエルの人々の逃げるのを見、またサウルとその子たちの死んだのを見て町々を捨てて逃げたので、ペリシテびとはきてその中に住んだ。 + あくる日、ペリシテびとは殺された者から、はぎ取るためにきたが、サウルとその三人の子たちがギルボア山にたおれているのを見つけた。 + 彼らはサウルの首を切り、そのよろいをはぎ取り、ペリシテびとの全地に人をつかわして、この良い知らせを、その偶像と民とに伝えさせた。 + また彼らは、そのよろいをアシタロテの神殿に置き、彼のからだをベテシャンの城壁にくぎづけにした。 + ヤベシ・ギレアデの住民たちは、ペリシテびとがサウルにした事を聞いて、 + 勇士たちはみな立ち、夜もすがら行って、サウルのからだと、その子たちのからだをベテシャンの城壁から取りおろし、ヤベシにきて、これをそこで焼き、 + その骨を取って、ヤベシのぎょりゅうの木の下に葬り、七日の間、断食した。 + +
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+ + サウルが死んだ後、ダビデはアマレクびとを撃って帰り、ふつかの間チクラグにとどまっていたが、 + 三日目となって、ひとりの人が、その着物を裂き、頭に土をかぶって、サウルの陣営からきた。そしてダビデのもとにきて、地に伏して拝した。 + ダビデは彼に言った、「あなたはどこからきたのか」。彼はダビデに言った、「わたしはイスラエルの陣営から、のがれてきたのです」。 + ダビデは彼に言った、「様子はどうであったか話しなさい」。彼は答えた、「民は戦いから逃げ、民の多くは倒れて死に、サウルとその子ヨナタンもまた死にました」。 + ダビデは自分と話している若者に言った、「あなたはサウルとその子ヨナタンが死んだのを、どうして知ったのか」。 + 彼に話している若者は言った、「わたしは、はからずも、ギルボア山にいましたが、サウルはそのやりによりかかっており、戦車と騎兵とが彼に攻め寄ろうとしていました。 + その時、彼はうしろを振り向いてわたしを見、わたしを呼びましたので、『ここにいます』とわたしは答えました。 + 彼は『おまえはだれか』と言いましたので、『アマレクびとです』と答えました。 + 彼はまたわたしに言いました、『そばにきて殺してください。わたしは苦しみに耐えない。まだ命があるからです』。 + そこで、わたしはそのそばにいって彼を殺しました。彼がすでに倒れて、生きることのできないのを知ったからです。そしてわたしは彼の頭にあった冠と、腕につけていた腕輪とを取って、それをわが主のもとに携えてきたのです」。 + そのときダビデは自分の着物をつかんでそれを裂き、彼と共にいた人々も皆同じようにした。 + 彼らはサウルのため、またその子ヨナタンのため、また主の民のため、またイスラエルの家のために悲しみ泣いて、夕暮まで食を断った。それは彼らがつるぎに倒れたからである。 + ダビデは自分と話していた若者に言った、「あなたはどこの人ですか」。彼は言った、「アマレクびとで、寄留の他国人の子です」。 + ダビデはまた彼に言った、「どうしてあなたは手を伸べて主の油を注がれた者を殺すことを恐れなかったのですか」。 + ダビデはひとりの若者を呼び、「近寄って彼を撃て」と言った。そこで彼を撃ったので死んだ。 + ダビデは彼に言った、「あなたの流した血の責めはあなたに帰する。あなたが自分の口から、『わたしは主の油を注がれた者を殺した』と言って、自身にむかって証拠を立てたからである」。 + ダビデはこの悲しみの歌をもって、サウルとその子ヨナタンのために哀悼した。―― + これは、ユダの人々に教えるための弓の歌で、ヤシャルの書にしるされている。――彼は言った、 + 「イスラエルよ、あなたの栄光は、あなたの高き所で殺された。ああ、勇士たちは、ついに倒れた。 + ガテにこの事を告げてはいけない。アシケロンのちまたに伝えてはならない。おそらくはペリシテびとの娘たちが喜び、割礼なき者の娘たちが勝ちほこるであろう。 + ギルボアの山よ、露はおまえの上におりるな。死の野よ、雨もおまえの上に降るな。その所に勇士たちの盾は捨てられ、サウルの盾は油を塗らずに捨てられた。 + 殺した者の血を飲まずには、ヨナタンの弓は退かず、勇士の脂肪を食べないでは、サウルのつるぎは、むなしくは帰らなかった。 + サウルとヨナタンとは、愛され、かつ喜ばれた。彼らは生きるにも、死ぬにも離れず、わしよりも早く、ししよりも強かった。 + イスラエルの娘たちよ、サウルのために泣け。彼は緋色の着物をもって、はなやかにあなたがたを装い、あなたがたの着物に金の飾りをつけた。 + ああ、勇士たちは戦いのさなかに倒れた。ヨナタンは、あなたの高き所で殺された。 + わが兄弟ヨナタンよ、あなたのためわたしは悲しむ。あなたはわたしにとって、いとも楽しい者であった。あなたがわたしを愛するのは世の常のようでなく、女の愛にもまさっていた。 + ああ、勇士たちは倒れた。戦いの器はうせた」。 + + + この後、ダビデは主に問うて言った、「わたしはユダの一つの町に上るべきでしょうか」。主は彼に言われた、「上りなさい」。ダビデは言った、「どこへ上るべきでしょうか」。主は言われた、「ヘブロンへ」。 + そこでダビデはその所へ上った。彼のふたりの妻、エズレルの女アヒノアムと、カルメルびとナバルの妻であったアビガイルも上った。 + ダビデはまた自分と共にいた人々を、皆その家族と共に連れて上った。そして彼らはヘブロンの町々に住んだ。 + 時にユダの人々がきて、その所でダビデに油を注ぎ、ユダの家の王とした。人々がダビデに告げて、「サウルを葬ったのはヤベシ・ギレアデの人々である」と言ったので、 + ダビデは使者をヤベシ・ギレアデの人々につかわして彼らに言った、「あなたがたは、主君サウルにこの忠誠をあらわして彼を葬った。どうぞ主があなたがたを祝福されるように。 + どうぞ主がいまあなたがたに、いつくしみと真実を示されるように。あなたがたが、この事をしたので、わたしもまたあなたがたに好意を示すであろう。 + 今あなたがたは手を強くし、雄々しくあれ。あなたがたの主君サウルは死に、ユダの家がわたしに油を注いで、彼らの王としたからである」。 + さてサウルの軍の長、ネルの子アブネルは、さきにサウルの子イシボセテを取り、マハナイムに連れて渡り、 + 彼をギレアデ、アシュルびと、エズレル、エフライム、ベニヤミンおよび全イスラエルの王とした。 + サウルの子イシボセテはイスラエルの王となった時、四十歳であって、二年の間、世を治めたが、ユダの家はダビデに従った。 + ダビデがヘブロンにいてユダの家の王であった日数は七年と六か月であった。 + ネルの子アブネル、およびサウルの子イシボセテの家来たちはマハナイムを出てギベオンへ行った。 + ゼルヤの子ヨアブとダビデの家来たちも出ていって、ギベオンの池のそばで彼らと出会い、一方は池のこちら側に、一方は池のあちら側にすわった。 + アブネルはヨアブに言った、「さあ、若者たちを立たせて、われわれの前で勝負をさせよう」。ヨアブは言った、「彼らを立たせよう」。 + こうしてサウルの子イシボセテとベニヤミンびととのために十二人、およびダビデの家来たち十二人を数えて出した。彼らは立って進み、 + おのおの相手の頭を捕え、つるぎを相手のわき腹に刺し、こうして彼らは共に倒れた。それゆえ、その所はヘルカテ・ハヅリムと呼ばれた。それはギベオンにある。 + その日、戦いはひじょうに激しく、アブネルとイスラエルの人々はダビデの家来たちの前に敗れた。 + その所にゼルヤの三人の子、ヨアブ、アビシャイ、およびアサヘルがいたが、アサヘルは足の早いこと、野のかもしかのようであった。 + アサヘルはアブネルのあとを追っていったが、行くのに右にも左にも曲ることなく、アブネルのあとに走った。 + アブネルは後をふりむいて言った、「あなたはアサヘルであったか」。アサヘルは答えた、「わたしです」。 + アブネルは彼に言った、「右か左に曲って、若者のひとりを捕え、そのよろいを奪いなさい」。しかしアサヘルはアブネルを追うことをやめず、ほかに向かおうともしなかった。 + アブネルはふたたびアサヘルに言った、「わたしを追うことをやめて、ほかに向かいなさい。あなたを地に撃ち倒すことなど、どうしてわたしにできようか。それをすれば、わたしは、どうしてあなたの兄ヨアブに顔を合わせることができようか」。 + それでもなお彼は、ほかに向かうことを拒んだので、アブネルは、やりの石突きで彼の腹を突いたので、やりはその背中に出た。彼はそこに倒れて、その場で死んだ。そしてアサヘルが倒れて死んでいる場所に来る者は皆立ちとどまった。 + しかしヨアブとアビシャイとは、なおアブネルのあとを追ったが、彼らがギベオンの荒野の道のほとり、ギアの前にあるアンマの山にきた時、日は暮れた。 + ベニヤミンの人々はアブネルのあとについてきて、集まり、一隊となって、一つの山の頂に立った。 + その時アブネルはヨアブに呼ばわって言った、「いつまでもつるぎをもって滅ぼそうとするのか。あなたはその結果の悲惨なのを知らないのか。いつまで民にその兄弟を追うことをやめよと命じないのか」。 + ヨアブは言った、「神は生きておられる。もしあなたが言いださなかったならば、民はおのおのその兄弟を追わずに、朝のうちに去っていたであろう」。 + こうしてヨアブは角笛を吹いたので、民はみな立ちとどまって、もはやイスラエルのあとを追わず、また重ねて戦わなかった。 + アブネルとその従者たちは、夜もすがら、アラバを通って行き、ヨルダンを渡り、昼まで行進を続けてマハナイムに着いた。 + ヨアブはアブネルを追うことをやめて帰り、民をみな集めたが、ダビデの家来たち十九人とアサヘルとが見当らなかった。 + しかし、ダビデの家来たちは、アブネルの従者であるベニヤミンの人々三百六十人を撃ち殺した。 + 人々はアサヘルを取り上げてベツレヘムにあるその父の墓に葬った。ヨアブとその従者たちは、夜もすがら行って、夜明けにヘブロンに着いた。 + + + サウルの家とダビデの家との間の戦争は久しく続き、ダビデはますます強くなり、サウルの家はますます弱くなった。 + ヘブロンでダビデに男の子が生れた。彼の長子はエズレルの女アヒノアムの産んだアムノン、 + その次はカルメルびとナバルの妻であったアビガイルの産んだキレアブ、第三はゲシュルの王タルマイの娘マアカの子アブサロム、 + 第四はハギテの子アドニヤ、第五はアビタルの子シパテヤ、 + 第六はダビデの妻エグラの産んだイテレアム。これらの子がヘブロンでダビデに生れた。 + サウルの家とダビデの家とが戦いを続けている間に、アブネルはサウルの家で、強くなってきた。 + さてサウルには、ひとりのそばめがあった。その名をリヅパといい、アヤの娘であったが、イシボセテはアブネルに言った、「あなたはなぜわたしの父のそばめのところにはいったのですか」。 + アブネルはイシボセテの言葉を聞き、非常に怒って言った、「わたしはユダの犬のかしらですか。わたしはきょう、あなたの父サウルの家と、その兄弟と、その友人とに忠誠をあらわして、あなたをダビデの手に渡すことをしなかったのに、あなたはきょう、女の事のあやまちを挙げてわたしを責められる。 + 主がダビデに誓われたことを、わたしが彼のためになし遂げないならば、神がアブネルをいくえにも罰しられるように。 + すなわち王国をサウルの家から移し、ダビデの位をダンからベエルシバに至るまで、イスラエルとユダの上に立たせられるであろう」。 + イシボセテはアブネルを恐れたので、ひと言も彼に答えることができなかった。 + アブネルはヘブロンにいるダビデのもとに使者をつかわして言った、「国はだれのものですか。わたしと契約を結びなさい。わたしはあなたに力添えして、イスラエルをことごとくあなたのものにしましょう」。 + ダビデは言った、「よろしい。わたしは、あなたと契約を結びましょう。ただし一つの事をあなたに求めます。あなたがきてわたしの顔を見るとき、まずサウルの娘ミカルを連れて来るのでなければ、わたしの顔を見ることはできません」。 + それからダビデは使者をサウルの子イシボセテにつかわして言った、「ペリシテびとの陽の皮一百をもってめとったわたしの妻ミカルを引き渡しなさい」。 + そこでイシボセテは人をやって彼女をその夫、ライシの子パルテエルから取ったので、 + その夫は彼女と共に行き、泣きながら彼女のあとについて、バホリムまで行ったが、アブネルが彼に「帰って行け」と言ったので彼は帰った。 + アブネルはイスラエルの長老たちと協議して言った、「あなたがたは以前からダビデをあなたがたの王とすることを求めていましたが、 + 今それをしなさい。主がダビデについて、『わたしのしもべダビデの手によって、わたしの民イスラエルをペリシテびとの手、およびもろもろの敵の手から救い出すであろう』と言われたからです」。 + アブネルはまたベニヤミンにも語った。そしてアブネルは、イスラエルとベニヤミンの全家が良いと思うことをみな、ヘブロンでダビデに告げようとして出発した。 + アブネルが二十人を従えてヘブロンにいるダビデのもとに行った時、ダビデはアブネルと彼に従っている従者たちのために酒宴を設けた。 + アブネルはダビデに言った、「わたしは立って行き、イスラエルをことごとく、わが主、王のもとに集めて、あなたと契約を結ばせ、あなたの望むものをことごとく治められるようにいたしましょう」。こうしてダビデはアブネルを送り帰らせたので彼は安全に去って行った。 + ちょうどその時、ダビデの家来たちはヨアブと共に多くのぶんどり物を携えて略奪から帰ってきた。しかしアブネルはヘブロンのダビデのもとにはいなかった。ダビデが彼を帰らせて彼が安全に去ったからである。 + ヨアブおよび彼と共にいた軍勢がみな帰ってきたとき、人々はヨアブに言った、「ネルの子アブネルが王のもとにきたが、王が彼を帰らせたので彼は安全に去った」。 + そこでヨアブは王のもとに行って言った、「あなたは何をなさったのですか。アブネルがあなたの所にきたのに、あなたはどうして、彼を返し去らせられたのですか。 + ネルの子アブネルがあなたを欺くためにきたこと、そしてあなたの出入りを知り、またあなたのなさっていることを、ことごとく知るためにきたことをあなたはごぞんじです」。 + ヨアブはダビデの所から出てきて、使者をつかわし、アブネルを追わせたので、彼らはシラの井戸から彼を連れて帰った。しかしダビデはその事を知らなかった。 + アブネルがヘブロンに帰ってきたとき、ヨアブはひそかに語ろうといって彼を門のうちに連れて行き、その所で彼の腹を刺して死なせ、自分の兄弟アサヘルの血を報いた。 + その後ダビデはこの事を聞いて言った、「わたしとわたしの王国とは、ネルの子アブネルの血に関して、主の前に永久に罪はない。 + どうぞ、その罪がヨアブの頭と、その父の全家に帰するように。またヨアブの家には流出を病む者、らい病人、つえにたよる者、つるぎに倒れる者、または食物の乏しい者が絶えないように」。 + こうしてヨアブとその弟アビシャイとはアブネルを殺したが、それは彼がギベオンの戦いで彼らの兄弟アサヘルを殺したためであった。 + ダビデはヨアブおよび自分と共にいるすべての民に言った、「あなたがたは着物を裂き、荒布をまとい、アブネルの前に嘆きながら行きなさい」。そしてダビデ王はその棺のあとに従った。 + 人々はアブネルをヘブロンに葬った。王はアブネルの墓で声をあげて泣き、民もみな泣いた。 + 王はアブネルのために悲しみの歌を作って言った、「愚かな人の死ぬように、アブネルがどうして死んだのか。 + あなたの手は縛られず、足には足かせもかけられないのに、悪人の前に倒れる人のように、あなたは倒れた」。そして民は皆、ふたたび彼のために泣いた。 + 民はみなきて、日のあるうちに、ダビデにパンを食べさせようとしたが、ダビデは誓って言った、「もしわたしが日の入る前に、パンでも、ほかのものでも味わうならば、神がわたしをいくえにも罰しられるように」。 + 民はみなそれを見て満足した。すべて王のすることは民を満足させた。 + その日すべての民およびイスラエルは皆、ネルの子アブネルを殺したのは、王の意思によるものでないことを知った。 + 王はその家来たちに言った、「この日イスラエルで、ひとりの偉大なる将軍が倒れたのをあなたがたは知らないのか。 + わたしは油を注がれた王であるけれども、今日なお弱い。ゼルヤの子であるこれらの人々はわたしの手におえない。どうぞ主が悪を行う者に、その悪にしたがって報いられるように」。 + + + サウルの子イシボセテは、アブネルがヘブロンで死んだことを聞いて、その力を失い、イスラエルは皆あわてた。 + サウルの子イシボセテにはふたりの略奪隊の隊長があった。ひとりの名はバアナ、他のひとりの名はレカブといって、ベニヤミンの子孫であるベロテびとリンモンの子たちであった。(それはベロテもまたベニヤミンのうちに数えられているからである。 + ベロテびとはギッタイムに逃げていって、今日までその所に寄留している)。 + さてサウルの子ヨナタンに足のなえた子がひとりあった。エズレルからサウルとヨナタンの事の知らせがきた時、彼は五歳であった。うばが彼を抱いて逃げたが、急いで逃げる時、その子は落ちて足なえとなった。その名はメピボセテといった。 + ベロテびとリンモンの子たち、レカブとバアナとは出立して、日の暑いころイシボセテの家にきたが、イシボセテは昼寝をしていた。 + 家の門を守る女は麦をあおぎ分けていたが、眠くなって寝てしまった。そこでレカブとその兄弟バアナは、ひそかに中にはいった。 + 彼らが家にはいった時、イシボセテは寝室で床の上に寝ていたので、彼らはそれを撃って殺し、その首をはね、その首を取って、よもすがらアラバの道を行き、 + イシボセテの首をヘブロンにいるダビデのもとに携えて行って王に言った、「あなたの命を求めたあなたの敵サウルの子イシボセテの首です。主はきょう、わが君、王のためにサウルとそのすえとに報復されました」。 + ダビデはベロテびとリンモンの子レカブとその兄弟バアナに答えた、「わたしの命を、もろもろの苦難から救われた主は生きておられる。 + わたしはかつて、人がわたしに告げて、『見よ、サウルは死んだ』と言って、みずから良いおとずれを伝える者と思っていた者を捕えてチクラグで殺し、そのおとずれに報いたのだ。 + 悪人が正しい人をその家の床の上で殺したときは、なおさらのことだ。今わたしが、彼の血を流した罪を報い、あなたがたを、この地から絶ち滅ぼさないでおくであろうか」。 + そしてダビデは若者たちに命じたので、若者たちは彼らを殺し、その手足を切り離し、ヘブロンの池のほとりで木に掛けた。人々はイシボセテの首を持って行って、ヘブロンにあるアブネルの墓に葬った。 + + + イスラエルのすべての部族はヘブロンにいるダビデのもとにきて言った、「われわれは、あなたの骨肉です。 + 先にサウルがわれわれの王であった時にも、あなたはイスラエルを率いて出入りされました。そして主はあなたに、『あなたはわたしの民イスラエルを牧するであろう。またあなたはイスラエルの君となるであろう』と言われました」。 + このようにイスラエルの長老たちが皆、ヘブロンにいる王のもとにきたので、ダビデ王はヘブロンで主の前に彼らと契約を結んだ。そして彼らはダビデに油を注いでイスラエルの王とした。 + ダビデは王となったとき三十歳で、四十年の間、世を治めた。 + すなわちヘブロンで七年六か月ユダを治め、またエルサレムで三十三年、全イスラエルとユダを治めた。 + 王とその従者たちとはエルサレムへ行って、その地の住民エブスびとを攻めた。エブスびとはダビデに言った、「あなたはけっして、ここに攻め入ることはできない。かえって、めしいや足なえでも、あなたを追い払うであろう」。彼らが「ダビデはここに攻め入ることはできない」と思ったからである。 + ところがダビデはシオンの要害を取った。これがダビデの町である。 + その日ダビデは、「だれでもエブスびとを撃とうとする人は、水をくみ上げる縦穴を上って行って、ダビデが心に憎んでいる足なえやめしいを撃て」と言った。それゆえに人々は、「めしいや足なえは、宮にはいってはならない」と言いならわしている。 + ダビデはその要害に住んで、これをダビデの町と名づけた。またダビデはミロから内の周囲に城壁を築いた。 + こうしてダビデはますます大いなる者となり、かつ万軍の神、主が彼と共におられた。 + ツロの王ヒラムはダビデに使者をつかわして、香柏および大工と石工を送った。彼らはダビデのために家を建てた。 + そしてダビデは主が自分を堅く立ててイスラエルの王とされたこと、主がその民イスラエルのためにその王国を興されたことを悟った。 + ダビデはヘブロンからきて後、さらにエルサレムで妻とそばめを入れたので、むすこと娘がまたダビデに生れた。 + エルサレムで彼に生れた者の名は次のとおりである。シャンムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、 + イブハル、エリシュア、ネペグ、ヤピア、 + エリシャマ、エリアダ、およびエリペレテ。 + さてペリシテびとは、ダビデが油を注がれてイスラエルの王になったことを聞き、みな上ってきてダビデを捜したが、ダビデはそれを聞いて要害に下って行った。 + ペリシテびとはきて、レパイムの谷に広がっていた。 + ダビデは主に問うて言った、「ペリシテびとに向かって上るべきでしょうか。あなたは彼らをわたしの手に渡されるでしょうか」。主はダビデに言われた、「上るがよい。わたしはかならずペリシテびとをあなたの手に渡すであろう」。 + そこでダビデはバアル・ペラジムへ行って、彼らをその所で撃ち破り、そして言った、「主は、破り出る水のように、敵をわたしの前に破られた」。それゆえにその所の名はバアル・ペラジムと呼ばれている。 + ペリシテびとはその所に彼らの偶像を捨てて行ったので、ダビデとその従者たちはそれを運び去った。 + ペリシテびとが、ふたたび上ってきて、レパイムの谷に広がったので、 + ダビデは主に問うたが、主は言われた、「上ってはならない。彼らのうしろに回り、バルサムの木の前から彼らを襲いなさい。 + バルサムの木の上に行進の音が聞えたならば、あなたは奮い立たなければならない。その時、主があなたの前に出て、ペリシテびとの軍勢を撃たれるからである」。 + ダビデは、主が命じられたようにして、ペリシテびとを撃ち、ゲバからゲゼルに及んだ。 + + + ダビデは再びイスラエルのえり抜きの者三万人をことごとく集めた。 + そしてダビデは立って、自分と共にいるすべての民と共にバアレ・ユダへ行って、神の箱をそこからかき上ろうとした。この箱はケルビムの上に座しておられる万軍の主の名をもって呼ばれている。 + 彼らは神の箱を新しい車に載せて、山の上にあるアビナダブの家から運び出した。 + アビナダブの子たち、ウザとアヒオとが神の箱を載せた新しい車を指揮し、ウザは神の箱のかたわらに沿い、アヒオは箱の前に進んだ。 + ダビデとイスラエルの全家は琴と立琴と手鼓と鈴とシンバルとをもって歌をうたい、力をきわめて、主の前に踊った。 + 彼らがナコンの打ち場にきた時、ウザは神の箱に手を伸べて、それを押えた。牛がつまずいたからである。 + すると主はウザに向かって怒りを発し、彼が手を箱に伸べたので、彼をその場で撃たれた。彼は神の箱のかたわらで死んだ。 + 主がウザを撃たれたので、ダビデは怒った。その所は今日までペレヅ・ウザと呼ばれている。 + その日ダビデは主を恐れて言った、「どうして主の箱がわたしの所に来ることができようか」。 + ダビデは主の箱をダビデの町に入れることを好まず、これを移してガテびとオベデエドムの家に運ばせた。 + 神の箱はガテびとオベデエドムの家に三か月とどまった。主はオベデエドムとその全家を祝福された。 + しかしダビデ王は、「主が神の箱のゆえに、オベデエドムの家とそのすべての所有を祝福されている」と聞き、ダビデは行って、喜びをもって、神の箱をオベデエドムの家からダビデの町にかき上った。 + 主の箱をかく者が六歩進んだ時、ダビデは牛と肥えた物を犠牲としてささげた。 + そしてダビデは力をきわめて、主の箱の前で踊った。その時ダビデは亜麻布のエポデをつけていた。 + こうしてダビデとイスラエルの全家とは、喜びの叫びと角笛の音をもって、神の箱をかき上った。 + 主の箱がダビデの町にはいった時、サウルの娘ミカルは窓からながめ、ダビデ王が主の前に舞い踊るのを見て、心のうちにダビデをさげすんだ。 + 人々は主の箱をかき入れて、ダビデがそのために張った天幕の中のその場所に置いた。そしてダビデは燔祭と酬恩祭を主の前にささげた。 + ダビデは燔祭と酬恩祭をささげ終った時、万軍の主の名によって民を祝福した。 + そしてすべての民、イスラエルの全民衆に、男にも女にも、おのおのパンの菓子一個、肉一きれ、ほしぶどう一かたまりを分け与えた。こうして民はみなおのおのその家に帰った。 + ダビデが家族を祝福しようとして帰ってきた時、サウルの娘ミカルはダビデを出迎えて言った、「きょうイスラエルの王はなんと威厳のあったことでしょう。いたずら者が、恥も知らず、その身を現すように、きょう家来たちのはしためらの前に自分の身を現されました」。 + ダビデはミカルに言った、「あなたの父よりも、またその全家よりも、むしろわたしを選んで、主の民イスラエルの君とせられた主の前に踊ったのだ。わたしはまた主の前に踊るであろう。 + わたしはこれよりももっと軽んじられるようにしよう。そしてあなたの目には卑しめられるであろう。しかしわたしは、あなたがさきに言った、はしためたちに誉を得るであろう」。 + こうしてサウルの娘ミカルは死ぬ日まで子供がなかった。 + + + さて、王が自分の家に住み、また主が周囲の敵をことごとく打ち退けて彼に安息を賜わった時、 + 王は預言者ナタンに言った、「見よ、今わたしは、香柏の家に住んでいるが、神の箱はなお幕屋のうちにある」。 + ナタンは王に言った、「主があなたと共におられますから、行って、すべてあなたの心にあるところを行いなさい」。 + その夜、主の言葉がナタンに臨んで言った、 + 「行って、わたしのしもべダビデに言いなさい、『主はこう仰せられる。あなたはわたしの住む家を建てようとするのか。 + わたしはイスラエルの人々をエジプトから導き出した日から今日まで、家に住まわず、天幕をすまいとして歩んできた。 + わたしがイスラエルのすべての人々と共に歩んだすべての所で、わたしがわたしの民イスラエルを牧することを命じたイスラエルのさばきづかさのひとりに、ひと言でも「どうしてあなたがたはわたしのために香柏の家を建てないのか」と、言ったことがあるであろうか』。 + それゆえ、今あなたは、わたしのしもべダビデにこう言いなさい、『万軍の主はこう仰せられる。わたしはあなたを牧場から、羊に従っている所から取って、わたしの民イスラエルの君とし、 + あなたがどこへ行くにも、あなたと共におり、あなたのすべての敵をあなたの前から断ち去った。わたしはまた地上の大いなる者の名のような大いなる名をあなたに得させよう。 + そしてわたしの民イスラエルのために一つの所を定めて、彼らを植えつけ、彼らを自分の所に住ませ、重ねて動くことのないようにするであろう。 + また前のように、わたしがわたしの民イスラエルの上にさばきづかさを立てた日からこのかたのように、悪人が重ねてこれを悩ますことはない。わたしはあなたのもろもろの敵を打ち退けて、あなたに安息を与えるであろう。主はまた「あなたのために家を造る」と仰せられる。 + あなたが日が満ちて、先祖たちと共に眠る時、わたしはあなたの身から出る子を、あなたのあとに立てて、その王国を堅くするであろう。 + 彼はわたしの名のために家を建てる。わたしは長くその国の位を堅くしよう。 + わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となるであろう。もし彼が罪を犯すならば、わたしは人のつえと人の子のむちをもって彼を懲らす。 + しかしわたしはわたしのいつくしみを、わたしがあなたの前から除いたサウルから取り去ったように、彼からは取り去らない。 + あなたの家と王国はわたしの前に長く保つであろう。あなたの位は長く堅うせられる』」。 + ナタンはすべてこれらの言葉のように、またすべてこの幻のようにダビデに語った。 + その時ダビデ王は、はいって主の前に座して言った、「主なる神よ、わたしがだれ、わたしの家が何であるので、あなたはこれまでわたしを導かれたのですか。 + 主なる神よ、これはなおあなたの目には小さい事です。主なる神よ、あなたはまたしもべの家の、はるか後の事を語って、きたるべき代々のことを示されました。 + ダビデはこの上なにをあなたに申しあげることができましょう。主なる神よ、あなたはしもべを知っておられるのです。 + あなたの約束のゆえに、またあなたの心に従って、あなたはこのもろもろの大いなる事を行い、しもべにそれを知らせられました。 + 主なる神よ、あなたは偉大です。それは、われわれがすべて耳に聞いたところによれば、あなたのような者はなく、またあなたのほかに神はないからです。 + 地のどの国民が、あなたの民イスラエルのようでありましょうか。これは神が行って、自分のためにあがなって民とし、自らの名をあげられたもの、また彼らのために大いなる恐るべきことをなし、その民の前から国びととその神々とを追い出されたものです。 + そしてあなたの民イスラエルを永遠にあなたの民として、自分のために、定められました。主よ、あなたは彼らの神となられたのです。 + 主なる神よ、今あなたが、しもべとしもべの家とについて語られた言葉を長く堅うして、あなたの言われたとおりにしてください。 + そうすれば、あなたの名はとこしえにあがめられて、『万軍の主はイスラエルの神である』と言われ、あなたのしもべダビデの家は、あなたの前に堅く立つことができましょう。 + 万軍の主、イスラエルの神よ、あなたはしもべに示して、『おまえのために家を建てよう』と言われました。それゆえ、しもべはこの祈をあなたにささげる勇気を得たのです。 + 主なる神よ、あなたは神にましまし、あなたの言葉は真実です。あなたはこの良き事をしもべに約束されました。 + どうぞ今、しもべの家を祝福し、あなたの前に長くつづかせてくださるように。主なる神よ、あなたがそれを言われたのです。どうぞあなたの祝福によって、しもべの家がながく祝福されますように」。 + + + この後ダビデはペリシテびとを撃って、これを征服した。ダビデはまたペリシテびとの手からメテグ・アンマを取った。 + 彼はまたモアブを撃ち、彼らを地に伏させ、なわをもって彼らを測った。すなわち二筋のなわをもって殺すべき者を測り、一筋のなわをもって生かしておく者を測った。そしてモアブびとは、ダビデのしもべとなって、みつぎを納めた。 + ダビデはまたレホブの子であるゾバの王ハダデゼルが、ユフラテ川のほとりにその勢力を回復しようとして行くところを撃った。 + そしてダビデは彼から騎兵千七百人、歩兵二万人を取った。ダビデはまた一百の戦車の馬を残して、そのほかの戦車の馬はみなその足の筋を切った。 + ダマスコのスリヤびとが、ゾバの王ハダデゼルを助けるためにきたので、ダビデはスリヤびと二万二千人を殺した。 + そしてダビデはダマスコのスリヤに守備隊を置いた。スリヤびとは、ダビデのしもべとなって、みつぎを納めた。主はダビデにすべてその行く所で勝利を与えられた。 + ダビデはハダデゼルのしもべらが持っていた金の盾を奪って、エルサレムに持ってきた。 + ダビデ王はまたハダデゼルの町、ベタとベロタイから、ひじょうに多くの青銅を取った。 + 時にハマテの王トイは、ダビデがハダデゼルのすべての軍勢を撃ち破ったことを聞き、 + その子ヨラムをダビデ王のもとにつかわして、彼にあいさつし、かつ祝を述べさせた。ハダデゼルはかつてしばしばトイと戦いを交えたが、ダビデがハダデゼルと戦ってこれを撃ち破ったからである。ヨラムが銀の器と金の器と青銅の器を携えてきたので、 + ダビデ王は征服したすべての国民から取ってささげた金銀と共にこれらをも主にささげた。 + すなわちエドム、モアブ、アンモンの人々、ペリシテびと、アマレクから獲た物、およびゾバの王レホブの子ハダデゼルから獲たぶんどり物と共にこれをささげた。 + こうしてダビデは名声を得た。彼は帰ってきてから塩の谷でエドムびと一万八千人を撃ち殺した。 + そしてエドムに守備隊を置いた。すなわちエドムの全地に守備隊を置き、エドムびとは皆ダビデのしもべとなった。主はダビデにすべてその行く所で勝利を与えられた。 + こうしてダビデはイスラエルの全地を治め、そのすべての民に正義と公平を行った。 + ゼルヤの子ヨアブは軍の長、アヒルデの子ヨシャパテは史官、 + アヒトブの子ザドクとアビヤタルの子アヒメレクは祭司、セラヤは書記官、 + エホヤダの子ベナヤはケレテびととペレテびとの長、ダビデの子たちは祭司であった。 + + + 時にダビデは言った、「サウルの家の人で、なお残っている者があるか。わたしはヨナタンのために、その人に恵みを施そう」。 + さて、サウルの家にヂバという名のしもべがあったが、人々が彼をダビデのもとに呼び寄せたので、王は彼に言った、「あなたがヂバか」。彼は言った、「しもべがそうです」。 + 王は言った、「サウルの家の人がまだ残っていませんか。わたしはその人に神の恵みを施そうと思う」。ヂバは王に言った、「ヨナタンの子がまだおります。あしなえです」。 + 王は彼に言った、「その人はどこにいるのか」。ヂバは王に言った、「彼はロ・デバルのアンミエルの子マキルの家におります」。 + ダビデ王は人をつかわして、ロ・デバルのアンミエルの子マキルの家から、彼を連れてこさせた。 + サウルの子ヨナタンの子であるメピボセテはダビデのもとにきて、ひれ伏して拝した。ダビデが、「メピボセテよ」と言ったので、彼は、「しもべは、ここにおります」と答えた。 + ダビデは彼に言った、「恐れることはない。わたしはかならずあなたの父ヨナタンのためにあなたに恵みを施しましょう。あなたの父サウルの地をみなあなたに返します。またあなたは常にわたしの食卓で食事をしなさい」。 + 彼は拝して言った、「あなたは、しもべを何とおぼしめして、死んだ犬のようなわたしを顧みられるのですか」。 + 王はサウルのしもべヂバを呼んで言った、「すべてサウルとその家に属する物を皆、わたしはあなたの主人の子に与えた。 + あなたと、あなたの子たちと、しもべたちとは、彼のために地を耕して、あなたの主人の子が食べる食物を取り入れなければならない。しかしあなたの主人の子メピボセテはいつもわたしの食卓で食事をするであろう」。ヂバには十五人の男の子と二十人のしもべがあった。 + ヂバは王に言った、「すべて王わが主君がしもべに命じられるとおりに、しもべはいたしましょう」。こうしてメピボセテは王の子のひとりのようにダビデの食卓で食事をした。 + メピボセテには小さい子があって、名をミカといった。そしてヂバの家に住んでいる者はみなメピボセテのしもべとなった。 + メピボセテはエルサレムに住んだ。彼がいつも王の食卓で食事をしたからである。彼は両足ともに、なえていた。 + + + この後アンモンの人々の王が死んで、その子ハヌンがこれに代って王となった。 + そのときダビデは言った、「わたしはナハシの子ハヌンに、その父がわたしに恵みを施したように、恵みを施そう」。そしてダビデは彼を、その父のゆえに慰めようと、しもべをつかわした。ダビデのしもべたちはアンモンの人々の地に行ったが、 + アンモンの人々のつかさたちはその主君ハヌンに言った、「ダビデが慰める者をあなたのもとにつかわしたのは彼があなたの父を尊ぶためだと思われますか。ダビデがあなたのもとに、しもべたちをつかわしたのは、この町をうかがい、それを探って、滅ぼすためではありませんか」。 + そこでハヌンはダビデのしもべたちを捕え、おのおの、ひげの半ばをそり落し、その着物を中ほどから断ち切り腰の所までにして、彼らを帰らせた。 + 人々がこれをダビデに告げたので、ダビデは人をつかわして彼らを迎えさせた。その人々はひじょうに恥じたからである。そこで王は言った、「ひげがのびるまでエリコにとどまって、その後、帰りなさい」。 + アンモンの人々は自分たちがダビデに憎まれていることがわかったので、人をつかわして、ベテ・レホブのスリヤびととゾバのスリヤびととの歩兵二万人およびマアカの王とその一千人、トブの人一万二千人を雇い入れた。 + ダビデはそれを聞いて、ヨアブと勇士の全軍をつかわしたので、 + アンモンの人々は出て、門の入口に戦いの備えをした。ゾバとレホブとのスリヤびと、およびトブとマアカの人々は別に野にいた。 + ヨアブは戦いが前後から自分に迫ってくるのを見て、イスラエルのえり抜きの兵士のうちから選んで、これをスリヤびとに対して備え、 + そのほかの民を自分の兄弟アビシャイの手にわたして、アンモンの人々に対して備えさせ、 + そして言った、「もしスリヤびとがわたしに手ごわいときは、わたしを助けてください。もしアンモンの人々があなたに手ごわいときは、行ってあなたを助けましょう。 + 勇ましくしてください。われわれの民のため、われわれの神の町々のため、勇ましくしましょう。どうぞ主が良いと思われることをされるように」。 + ヨアブが自分と一緒にいる民と共に、スリヤびとに向かって戦おうとして近づいたとき、スリヤびとは彼の前から逃げた。 + アンモンの人々はスリヤびとが逃げるのを見て、彼らもまたアビシャイの前から逃げて町にはいった。そこでヨアブはアンモンの人々を撃つことをやめてエルサレムに帰った。 + しかしスリヤびとは自分たちのイスラエルに打ち敗られたのを見て、共に集まった。 + そしてハダデゼルは人をつかわし、ユフラテ川の向こう側にいるスリヤびとを率いてヘラムにこさせた。ハダデゼルの軍の長ショバクがこれを率いた。 + この事がダビデに聞えたので、彼はイスラエルをことごとく集め、ヨルダンを渡ってヘラムにきた。スリヤびとはダビデに向かって備えをして彼と戦った。 + しかしスリヤびとがイスラエルの前から逃げたので、ダビデはスリヤびとの戦車の兵七百、騎兵四万を殺し、またその軍の長ショバクを撃ったので、彼はその所で死んだ。 + ハダデゼルの家来であった王たちはみな、自分たちがイスラエルに打ち敗られたのを見て、イスラエルと和を講じ、これに仕えた。こうしてスリヤびとは恐れて再びアンモンの人々を助けることをしなかった。 + + + 春になって、王たちが戦いに出るに及んで、ダビデはヨアブおよび自分と共にいる家来たち、並びにイスラエルの全軍をつかわした。彼らはアンモンの人々を滅ぼし、ラバを包囲した。しかしダビデはエルサレムにとどまっていた。 + さて、ある日の夕暮、ダビデは床から起き出て、王の家の屋上を歩いていたが、屋上から、ひとりの女がからだを洗っているのを見た。その女は非常に美しかった。 + ダビデは人をつかわしてその女のことを探らせたが、ある人は言った、「これはエリアムの娘で、ヘテびとウリヤの妻バテシバではありませんか」。 + そこでダビデは使者をつかわして、その女を連れてきた。女は彼の所にきて、彼はその女と寝た。(女は身の汚れを清めていたのである。)こうして女はその家に帰った。 + 女は妊娠したので、人をつかわしてダビデに告げて言った、「わたしは子をはらみました」。 + そこでダビデはヨアブに、「ヘテびとウリヤをわたしの所につかわせ」と言ってやったので、ヨアブはウリヤをダビデの所につかわした。 + ウリヤがダビデの所にきたので、ダビデは、ヨアブはどうしているか、民はどうしているか、戦いはうまくいっているかとたずねた。 + そしてダビデはウリヤに言った、「あなたの家に行って、足を洗いなさい」。ウリヤは王の家を出ていったが、王の贈り物が彼の後に従った。 + しかしウリヤは王の家の入口で主君の家来たちと共に寝て、自分の家に帰らなかった。 + 人々がダビデに、「ウリヤは自分の家に帰りませんでした」と告げたので、ダビデはウリヤに言った、「旅から帰ってきたのではないか。どうして家に帰らなかったのか」。 + ウリヤはダビデに言った、「神の箱も、イスラエルも、ユダも、小屋の中に住み、わたしの主人ヨアブと、わが主君の家来たちが野のおもてに陣を取っているのに、わたしはどうして家に帰って食い飲みし、妻と寝ることができましょう。あなたは生きておられます。あなたの魂は生きています。わたしはこの事をいたしません」。 + ダビデはウリヤに言った、「きょうも、ここにとどまりなさい。わたしはあす、あなたを去らせましょう」。そこでウリヤはその日と次の日エルサレムにとどまった。 + ダビデは彼を招いて自分の前で食い飲みさせ、彼を酔わせた。夕暮になって彼は出ていって、その床に、主君の家来たちと共に寝た。そして自分の家には下って行かなかった。 + 朝になってダビデはヨアブにあてた手紙を書き、ウリヤの手に託してそれを送った。 + 彼はその手紙に、「あなたがたはウリヤを激しい戦いの最前線に出し、彼の後から退いて、彼を討死させよ」と書いた。 + ヨアブは町を囲んでいたので、勇士たちがいると知っていた場所にウリヤを置いた。 + 町の人々が出てきてヨアブと戦ったので、民のうち、ダビデの家来たちにも、倒れるものがあり、ヘテびとウリヤも死んだ。 + ヨアブは人をつかわして戦いのことをつぶさにダビデに告げた。 + ヨアブはその使者に命じて言った、「あなたが戦いのことをつぶさに王に語り終ったとき、 + もし王が怒りを起して、『あなたがたはなぜ戦おうとしてそんなに町に近づいたのか。彼らが城壁の上から射るのを知らなかったのか。 + エルベセテの子アビメレクを撃ったのはだれか。ひとりの女が城壁の上から石うすの上石を投げて彼をテベツで殺したのではなかったか。あなたがたはなぜそんなに城壁に近づいたのか』と言われたならば、その時あなたは、『あなたのしもべ、ヘテびとウリヤもまた死にました』と言いなさい」。 + こうして使者は行き、ダビデのもとにきて、ヨアブが言いつかわしたことをことごとく告げた。 + 使者はダビデに言った、「敵はわれわれよりも有利な位置を占め、出てきてわれわれを野で攻めましたが、われわれは町の入口まで彼らを追い返しました。 + その時、射手どもは城壁からあなたの家来たちを射ましたので、王の家来のある者は死に、また、あなたの家来ヘテびとウリヤも死にました」。 + ダビデは使者に言った、「あなたはヨアブにこう言いなさい、『この事で心配することはない。つるぎはこれをも彼をも同じく滅ぼすからである。強く町を攻めて戦い、それを攻め落しなさい』と。そしてヨアブを励ましなさい」。 + ウリヤの妻は夫ウリヤが死んだことを聞いて、夫のために悲しんだ。 + その喪が過ぎた時、ダビデは人をつかわして彼女を自分の家に召し入れた。彼女は彼の妻となって男の子を産んだ。しかしダビデがしたこの事は主を怒らせた。 + + + 主はナタンをダビデにつかわされたので、彼はダビデの所にきて言った、「ある町にふたりの人があって、ひとりは富み、ひとりは貧しかった。 + 富んでいる人は非常に多くの羊と牛を持っていたが、 + 貧しい人は自分が買った一頭の小さい雌の小羊のほかは何も持っていなかった。彼がそれを育てたので、その小羊は彼および彼の子供たちと共に成長し、彼の食物を食べ、彼のわんから飲み、彼のふところで寝て、彼にとっては娘のようであった。 + 時に、ひとりの旅びとが、その富んでいる人のもとにきたが、自分の羊または牛のうちから一頭を取って、自分の所にきた旅びとのために調理することを惜しみ、その貧しい人の小羊を取って、これを自分の所にきた人のために調理した」。 + ダビデはその人の事をひじょうに怒ってナタンに言った、「主は生きておられる。この事をしたその人は死ぬべきである。 + かつその人はこの事をしたため、またあわれまなかったため、その小羊を四倍にして償わなければならない」。 + ナタンはダビデに言った、「あなたがその人です。イスラエルの神、主はこう仰せられる、『わたしはあなたに油を注いでイスラエルの王とし、あなたをサウルの手から救いだし、 + あなたに主人の家を与え、主人の妻たちをあなたのふところに与え、またイスラエルとユダの家をあなたに与えた。もし少なかったならば、わたしはもっと多くのものをあなたに増し加えたであろう。 + どうしてあなたは主の言葉を軽んじ、その目の前に悪事をおこなったのですか。あなたはつるぎをもってヘテびとウリヤを殺し、その妻をとって自分の妻とした。すなわちアンモンの人々のつるぎをもって彼を殺した。 + あなたがわたしを軽んじてヘテびとウリヤの妻をとり、自分の妻としたので、つるぎはいつまでもあなたの家を離れないであろう』。 + 主はこう仰せられる、『見よ、わたしはあなたの家からあなたの上に災を起すであろう。わたしはあなたの目の前であなたの妻たちを取って、隣びとに与えるであろう。その人はこの太陽の前で妻たちと一緒に寝るであろう。 + あなたはひそかにそれをしたが、わたしは全イスラエルの前と、太陽の前にこの事をするのである』」。 + ダビデはナタンに言った、「わたしは主に罪をおかしました」。ナタンはダビデに言った、「主もまたあなたの罪を除かれました。あなたは死ぬことはないでしょう。 + しかしあなたはこの行いによって大いに主を侮ったので、あなたに生れる子供はかならず死ぬでしょう」。 + こうしてナタンは家に帰った。さて主は、ウリヤの妻がダビデに産んだ子を撃たれたので、病気になった。 + ダビデはその子のために神に嘆願した。すなわちダビデは断食して、へやにはいり終夜地に伏した。 + ダビデの家の長老たちは、彼のかたわらに立って彼を地から起そうとしたが、彼は起きようとはせず、また彼らと一緒に食事をしなかった。 + 七日目にその子は死んだ。ダビデの家来たちはその子が死んだことをダビデに告げるのを恐れた。それは彼らが、「見よ、子のなお生きている間に、われわれが彼に語ったのに彼はその言葉を聞きいれなかった。どうして彼にその子の死んだことを告げることができようか。彼は自らを害するかも知れない」と思ったからである。 + しかしダビデは、家来たちが互にささやき合うのを見て、その子の死んだのを悟り、家来たちに言った、「子は死んだのか」。彼らは言った、「死なれました」。 + そこで、ダビデは地から起き上がり、身を洗い、油をぬり、その着物を替えて、主の家にはいって拝した。そののち自分の家に行き、求めて自分のために食物を備えさせて食べた。 + 家来たちは彼に言った、「あなたのなさったこの事はなんでしょうか。あなたは子の生きている間はその子のために断食して泣かれました。しかし子が死ぬと、あなたは起きて食事をなさいました」。 + ダビデは言った、「子の生きている間に、わたしが断食して泣いたのは、『主がわたしをあわれんで、この子を生かしてくださるかも知れない』と思ったからです。 + しかし今は死んだので、わたしはどうして断食しなければならないでしょうか。わたしは再び彼をかえらせることができますか。わたしは彼の所に行くでしょうが、彼はわたしの所に帰ってこないでしょう」。 + ダビデは妻バテシバを慰め、彼女の所にはいって、彼女と共に寝たので、彼女は男の子を産んだ。ダビデはその名をソロモンと名づけた。主はこれを愛された。 + そして預言者ナタンをつかわし、命じてその名をエデデアと呼ばせられた。 + さてヨアブはアンモンの人々のラバを攻めて王の町を取った。 + ヨアブは使者をダビデにつかわして言った、「わたしはラバを攻めて水の町を取りました。 + あなたは今、残りの民を集め、この町に向かって陣をしき、これを取りなさい。わたしがこの町を取って、人がわたしの名をもって、これを呼ぶようにならないためです」。 + そこでダビデは民をことごとく集めてラバへ行き、攻めてこれを取った。 + そしてダビデは彼らの王の冠をその頭から取りはなした。それは金で重さは一タラントであった。宝石がはめてあり、それをダビデの頭に置いた。ダビデはその町からぶんどり物を非常に多く持ち出した。 + またダビデはそのうちの民を引き出して、彼らをのこぎりや、鉄のつるはし、鉄のおのを使う仕事につかせ、また、れんが造りの労役につかせた。彼はアンモンの人々のすべての町にこのようにした。そしてダビデと民とは皆エルサレムに帰った。 + + + さてダビデの子アブサロムには名をタマルという美しい妹があったが、その後ダビデの子アムノンはこれを恋した。 + アムノンは妹タマルのために悩んでついにわずらった。それはタマルが処女であって、アムノンは彼女に何事もすることができないと思ったからである。 + ところがアムノンにはひとりの友だちがあった。名をヨナダブといい、ダビデの兄弟シメアの子である。ヨナダブはひじょうに賢い人であった。 + 彼はアムノンに言った、「王子よ、あなたは、どうして朝ごとに、そんなにやせ衰えるのですか。わたしに話さないのですか」。アムノンは彼に言った、「わたしは兄弟アブサロムの妹タマルを恋しているのです」。 + ヨナダブは彼に言った、「あなたは病と偽り、寝床に横たわって、あなたの父がきてあなたを見るとき彼に言いなさい、『どうぞ、わたしの妹タマルをこさせ、わたしの所に食物を運ばせてください。そして彼女がわたしの目の前で食物をととのえ、彼女の手からわたしが食べることのできるようにさせてください』」。 + そこでアムノンは横になって病と偽ったが、王がきて彼を見た時、アムノンは王に言った、「どうぞわたしの妹タマルをこさせ、わたしの目の前で二つの菓子を作らせて、彼女の手からわたしが食べることのできるようにしてください」。 + ダビデはタマルの家に人をつかわして言わせた、「あなたの兄アムノンの家へ行って、彼のために食物をととのえなさい」。 + そこでタマルはその兄アムノンの家へ行ったところ、アムノンは寝ていた。タマルは粉を取って、これをこね、彼の目の前で、菓子を作り、その菓子を焼き、 + なべを取って彼の前にそれをあけた。しかし彼は食べることを拒んだ。そしてアムノンは、「みな、わたしを離れて出てください」と言ったので、皆、彼を離れて出た。 + アムノンはタマルに言った、「食物を寝室に持ってきてください。わたしはあなたの手から食べます」。そこでタマルは自分の作った菓子をとって、寝室にはいり兄アムノンの所へ持っていった。 + タマルが彼に食べさせようとして近くに持って行った時、彼はタマルを捕えて彼女に言った、「妹よ、来て、わたしと寝なさい」。 + タマルは言った、「いいえ、兄上よ、わたしをはずかしめてはなりません。このようなことはイスラエルでは行われません。この愚かなことをしてはなりません。 + わたしの恥をわたしはどこへ持って行くことができましょう。あなたはイスラエルの愚か者のひとりとなるでしょう。それゆえ、どうぞ王に話してください。王がわたしをあなたに与えないことはないでしょう」。 + しかしアムノンは彼女の言うことを聞こうともせず、タマルよりも強かったので、タマルをはずかしめてこれと共に寝た。 + それからアムノンは、ひじょうに深くタマルを憎むようになった。彼女を憎む憎しみは、彼女を恋した恋よりも大きかった。アムノンは彼女に言った、「立って、行きなさい」。 + タマルはアムノンに言った、「いいえ、兄上よ、わたしを返すことは、あなたがさきにわたしになさった事よりも大きい悪です」。しかしアムノンは彼女の言うことを聞こうともせず、 + 彼に仕えている若者を呼んで言った、「この女をわたしの所から外におくり出し、そのあとに戸を閉ざすがよい」。 + この時、タマルは長そでの着物を着ていた。昔、王の姫たちの処女である者はこのような着物を着たからである。アムノンのしもべは彼女を外に出して、そのあとに戸を閉ざした。 + タマルは灰を頭にかぶり、着ていた長そでの着物を裂き、手を頭にのせて、叫びながら去って行った。 + 兄アブサロムは彼女に言った、「兄アムノンがあなたと一緒にいたのか。しかし妹よ、今は黙っていなさい。彼はあなたの兄です。この事を心にとめなくてよろしい」。こうしてタマルは兄アブサロムの家に寂しく住んでいた。 + ダビデ王はこれらの事をことごとく聞いて、ひじょうに怒った。 + アブサロムはアムノンに良いことも悪いことも語ることをしなかった。それはアムノンがアブサロムの妹タマルをはずかしめたので、アブサロムが彼を憎んでいたからである。 + 満二年の後、アブサロムはエフライムの近くにあるバアル・ハゾルで羊の毛を切らせていた時、王の子たちをことごとく招いた。 + そしてアブサロムは王のもとにきて言った、「見よ、しもべは羊の毛を切らせております。どうぞ王も王の家来たちも、しもべと共にきてください」。 + 王はアブサロムに言った、「いいえ、わが子よ、われわれが皆行ってはならない。あなたの重荷になるといけないから」。アブサロムはダビデにしいて願った。しかしダビデは行くことを承知せず彼に祝福を与えた。 + そこでアブサロムは言った、「それでは、どうぞわたしの兄アムノンをわれわれと共に行かせてください」。王は彼に言った、「どうして彼があなたと共に行かなければならないのか」。 + しかしアブサロムは彼にしいて願ったので、ついにアムノンと王の子たちを皆、アブサロムと共に行かせた。 + そこでアブサロムは若者たちに命じて言った、「アムノンが酒を飲んで、心楽しくなった時を見すまし、わたしがあなたがたに、『アムノンを撃て』と言う時、彼を殺しなさい。恐れることはない。わたしが命じるのではないか。雄々しくしなさい。勇ましくしなさい」。 + アブサロムの若者たちはアブサロムの命じたようにアムノンにおこなったので、王の子たちは皆立って、おのおのその騾馬に乗って逃げた。 + 彼らがまだ着かないうちに、「アブサロムは王の子たちをことごとく殺して、ひとりも残っている者がない」という知らせがダビデに達したので、 + 王は立ち、その着物を裂いて、地に伏した。そのかたわらに立っていた家来たちも皆その着物を裂いた。 + しかしダビデの兄弟シメアの子ヨナダブは言った、「わが主よ、王の子たちである若者たちがみな殺されたと、お考えになってはなりません。アムノンだけが死んだのです。これは彼がアブサロムの妹タマルをはずかしめた日から、アブサロムの命によって定められていたことなのです。 + それゆえ、わが主、王よ、王の子たちが皆死んだと思って、この事を心にとめられてはなりません。アムノンだけが死んだのです」。 + アブサロムはのがれた。時に見張りをしていた若者が目をあげて見ると、山のかたわらのホロナイムの道から多くの民の来るのが見えた。 + ヨナダブは王に言った、「見よ、王の子たちがきました。しもべの言ったとおりです」。 + 彼が語ることを終った時、王の子たちはきて声をあげて泣いた。王もその家来たちも皆、非常にはげしく泣いた。 + しかしアブサロムはのがれて、ゲシュルの王アミホデの子タルマイのもとに行った。ダビデは日々その子のために悲しんだ。 + アブサロムはのがれてゲシュルに行き、三年の間そこにいた。 + 王は心に、アブサロムに会うことを、せつに望んだ。アムノンは死んでしまい、ダビデが彼のことはあきらめていたからである。 + + + ゼルヤの子ヨアブは王の心がアブサロムに向かっているのを知った。 + そこでヨアブはテコアに人をつかわして、そこからひとりの賢い女を連れてこさせ、その女に言った、「あなたは悲しみのうちにある人をよそおって、喪服を着、油を身に塗らず、死んだ人のために長いあいだ悲しんでいる女のように、よそおって、 + 王のもとに行き、しかじかと彼に語りなさい」。こうしてヨアブはその言葉を彼女の口に授けた。 + テコアの女は王のもとに行き、地に伏して拝し、「王よ、お助けください」と言った。 + 王は女に言った、「どうしたのか」。女は言った、「まことにわたしは寡婦でありまして、夫は死にました。 + つかえめにはふたりの子どもがあり、ふたりは野で争いましたが、だれも彼らを引き分ける者がなかったので、ひとりはついに他の者を撃って殺しました。 + すると全家族がつかえめに逆らい立って、『兄弟を撃ち殺した者を引き渡たすがよい。われわれは彼が殺したその兄弟の命のために彼を殺そう』と言い、彼らは世継をも殺そうとしました。こうして彼らは残っているわたしの炭火を消して、わたしの夫の名をも、跡継をも、地のおもてにとどめないようにしようとしています」。 + 王は女に言った、「家に帰りなさい。わたしはあなたのことについて命令を下します」。 + テコアの女は王に言った、「わが主、王よ、わたしとわたしの父の家にその罪を帰してください。どうぞ王と王の位には罪がありませんように」。 + 王は言った、「もしあなたに何か言う者があれば、わたしの所に連れてきなさい。そうすれば、その人は重ねてあなたに触れることはないでしょう」。 + 女は言った、「どうぞ王が、あなたの神、主をおぼえて、血の報復をする者に重ねて滅ぼすことをさせず、わたしの子の殺されることのないようにしてください」。王は言った、「主は生きておられる。あなたの子の髪の毛一筋も地に落ちることはないでしょう」。 + 女は言った、「どうぞ、つかえめにひと言、わが主、王に言わせてください」。ダビデは言った、「言いなさい」。 + 女は言った、「あなたは、それならばどうして、神の民に向かってこのような事を図られたのですか。王は今この事を言われたことによって自分を罪ある者とされています。それは王が追放された者を帰らせられないからです。 + わたしたちはみな死ななければなりません。地にこぼれた水の再び集めることのできないのと同じです。しかし神は、追放された者が捨てられないように、てだてを設ける人の命を取ることはなさいません。 + わたしがこの事を王、わが主に言おうとして来たのは、わたしが民を恐れたからです。つかえめは、こう思ったのです、『王に申し上げよう。王は、はしための願いのようにしてくださるかもしれない。 + 王は聞いてくださる。わたしとわたしの子を共に滅ぼして神の嗣業から離れさせようとする人の手から、はしためを救い出してくださるのだから』。 + つかえめはまた、こう思ったのです、『王、わが主の言葉はわたしを安心させるであろう』と。それは王、わが主は神の使のように善と悪を聞きわけられるからです。どうぞあなたの神、主があなたと共におられますように」。 + 王は女に答えて言った、「わたしが問うことに隠さず答えてください」。女は言った、「王、わが主よ、どうぞ言ってください」。 + 王は言った、「このすべての事において、ヨアブの手があなたと共にありますか」。女は答えた、「あなたはたしかに生きておられます。王、わが主よ、すべて王、わが主の言われた事から人は右にも左にも曲ることはできません。わたしに命じたのは、あなたのしもべヨアブです。彼がつかえめの口に、これらの言葉をことごとく授けたのです。 + 事のなりゆきを変えるため、あなたのしもべヨアブがこの事をしたのです。わが君には神の使の知恵のような知恵があって、地の上のすべてのことを知っておられます」。 + そこで王はヨアブに言った、「この事を許す。行って、若者アブサロムを連れ帰るがよい」。 + ヨアブは地にひれ伏して拝し、王を祝福した。そしてヨアブは言った、「わが主、王よ、王がしもべの願いを許されたので、きょうしもべは、あなたの前に恵みを得たことを知りました」。 + そこでヨアブは立ってゲシュルに行き、アブサロムをエルサレムに連れてきた。 + 王は言った、「彼を自分の家に引きこもらせるがよい。わたしの顔を見てはならない」。こうしてアブサロムは自分の家に引きこもり、王の顔を見なかった。 + さて全イスラエルのうちにアブサロムのように、美しさのためほめられた人はなかった。その足の裏から頭の頂まで彼には傷がなかった。 + アブサロムがその頭を刈る時、その髪の毛をはかったが、王のはかりで二百シケルあった。毎年の終りにそれを刈るのを常とした。それが重くなると、彼はそれを刈ったのである。 + アブサロムに三人のむすこと、タマルという名のひとりの娘が生れた。タマルは美しい女であった。 + こうしてアブサロムは満二年の間エルサレムに住んだが、王の顔を見なかった。 + そこでアブサロムはヨアブを王のもとにつかわそうとして、ヨアブの所に人をつかわしたが、ヨアブは彼の所にこようとはしなかった。彼は再び人をつかわしたがヨアブはこようとはしなかった。 + そこでアブサロムはその家来に言った、「ヨアブの畑はわたしの畑の隣にあって、そこに大麦がある。行ってそれに火を放ちなさい」。アブサロムの家来たちはその畑に火を放った。 + ヨアブは立ってアブサロムの家にきて彼に言った、「どうしてあなたの家来たちはわたしの畑に火を放ったのですか」。 + アブサロムはヨアブに言った、「わたしはあなたに人をつかわして、ここへ来るようにと言ったのです。あなたを王のもとにつかわし、『なんのためにわたしはゲシュルからきたのですか。なおあそこにいたならば良かったでしょうに』と言わせようとしたのです。それゆえ今わたしに王の顔を見させてください。もしわたしに罪があるなら王にわたしを殺させてください」。 + そこでヨアブは王のもとへ行って告げたので、王はアブサロムを召しよせた。彼は王のもとにきて、王の前に地にひれ伏して拝した。王はアブサロムに口づけした。 + + + この後、アブサロムは自分のために戦車と馬、および自分の前に駆ける者五十人を備えた。 + アブサロムは早く起きて門の道のかたわらに立つのを常とした。人が訴えがあって王に裁判を求めに来ると、アブサロムはその人を呼んで言った、「あなたはどの町の者ですか」。その人が「しもべはイスラエルのこれこれの部族のものです」と言うと、 + アブサロムはその人に言った、「見よ、あなたの要求は良く、また正しい。しかしあなたのことを聞くべき人は王がまだ立てていない」。 + アブサロムはまた言った、「ああ、わたしがこの地のさばきびとであったならばよいのに。そうすれば訴え、または申立てのあるものは、皆わたしの所にきて、わたしはこれに公平なさばきを行うことができるのだが」。 + そして人が彼に敬礼しようとして近づくと、彼は手を伸べ、その人を抱きかかえて口づけした。 + アブサロムは王にさばきを求めて来るすべてのイスラエルびとにこのようにした。こうしてアブサロムはイスラエルの人々の心を自分のものとした。 + そして四年の終りに、アブサロムは王に言った、「どうぞわたしを行かせ、ヘブロンで、かつて主に立てた誓いを果させてください。 + それは、しもべがスリヤのゲシュルにいた時、誓いを立てて、『もし主がほんとうにわたしをエルサレムに連れ帰ってくださるならば、わたしは主に礼拝をささげます』と言ったからです」。 + 王が彼に、「安らかに行きなさい」と言ったので、彼は立ってヘブロンへ行った。 + そしてアブサロムは密使をイスラエルのすべての部族のうちにつかわして言った、「ラッパの響きを聞くならば、『アブサロムがヘブロンで王となった』と言いなさい」。 + 二百人の招かれた者がエルサレムからアブサロムと共に行った。彼らは何心なく行き、何事をも知らなかった。 + アブサロムは犠牲をささげている間に人をつかわして、ダビデの議官ギロびとアヒトペルを、その町ギロから呼び寄せた。徒党は強く、民はしだいにアブサロムに加わった。 + ひとりの使者がダビデのところにきて、「イスラエルの人々の心はアブサロムに従いました」と言った。 + ダビデは、自分と一緒にエルサレムにいるすべての家来に言った、「立て、われわれは逃げよう。そうしなければアブサロムの前からのがれることはできなくなるであろう。急いで行くがよい。さもないと、彼らが急ぎ追いついて、われわれに害をこうむらせ、つるぎをもって町を撃つであろう」。 + 王のしもべたちは王に言った、「しもべたちは、わが主君、王の選ばれる所をすべて行います」。 + こうして王は出て行き、その全家は彼に従った。王は十人のめかけを残して家を守らせた。 + 王は出て行き、民はみな彼に従った。彼らは町はずれの家にとどまった。 + 彼のしもべたちは皆、彼のかたわらを進み、すべてのケレテびとと、すべてのペレテびと、および彼に従ってガテからきた六百人のガテびとは皆、王の前に進んだ。 + 時に王はガテびとイッタイに言った、「どうしてあなたもまた、われわれと共に行くのですか。あなたは帰って王と共にいなさい。あなたは外国人で、また自分の国から追放された者だからです。 + あなたは、きのう来たばかりです。わたしは自分の行く所を知らずに行くのに、どうしてきょう、あなたを、われわれと共にさまよわせてよいでしょう。あなたは帰りなさい。あなたの兄弟たちも連れて帰りなさい。どうぞ主が恵みと真実をあなたに示してくださるように」。 + しかしイッタイは王に答えた、「主は生きておられる。わが君、王は生きておられる。わが君、王のおられる所に、死ぬも生きるも、しもべもまたそこにおります」。 + ダビデはイッタイに言った、「では進んで行きなさい」。そこでガテびとイッタイは進み、また彼のすべての従者および彼と共にいた子どもたちも皆、進んだ。 + 国中みな大声で泣いた。民はみな進んだ。王もまたキデロンの谷を渡って進み、民は皆進んで荒野の方に向かった。 + そしてアビヤタルも上ってきた。見よ、ザドクおよび彼と共にいるすべてのレビびともまた、神の契約の箱をかいてきた。彼らは神の箱をおろして、民がことごとく町を出てしまうのを待った。 + そこで王はザドクに言った、「神の箱を町にかきもどすがよい。もしわたしが主の前に恵みを得るならば、主はわたしを連れ帰って、わたしにその箱とそのすまいとを見させてくださるであろう。 + しかしもし主が、『わたしはおまえを喜ばない』とそう言われるのであれば、どうぞ主が良しと思われることをわたしにしてくださるように。わたしはここにおります」。 + 王はまた祭司ザドクに言った、「見よ、あなたもアビヤタルも、ふたりの子たち、すなわちあなたの子アヒマアズとアビヤタルの子ヨナタンを連れて、安らかに町に帰りなさい。 + わたしはあなたがたから言葉があって知らせをうけるまで、荒野の渡し場にとどまります」。 + そこでザドクとアビヤタルは神の箱をエルサレムにかきもどり、そこにとどまった。 + ダビデはオリブ山の坂道を登ったが、登る時に泣き、その頭をおおい、はだしで行った。彼と共にいる民もみな頭をおおって登り、泣きながら登った。 + 時に、「アヒトペルがアブサロムと共謀した者のうちにいる」とダビデに告げる人があったのでダビデは言った、「主よ、どうぞアヒトペルの計略を愚かなものにしてください」。 + ダビデが山の頂にある神を礼拝する場所にきた時、見よ、アルキびとホシャイはその上着を裂き、頭に土をかぶり、来てダビデを迎えた。 + ダビデは彼に言った、「もしあなたがわたしと共に進むならば、わたしの重荷となるであろう。 + しかしもしあなたが町に帰ってアブサロムに向かい、『王よ、わたしはあなたのしもべとなります。わたしがこれまで、あなたの父のしもべであったように、わたしは今あなたのしもべとなります』と言うならば、あなたはわたしのためにアヒトペルの計略を破ることができるであろう。 + 祭司たち、ザドクとアビヤタルとは、あなたと共にあそこにいるではないか。それゆえ、あなたは王の家から聞くことをことごとく祭司たち、ザドクとアビヤタルとに告げなさい。 + あそこには彼らと共にそのふたりの子たち、すなわちザドクの子アヒマアズとアビヤタルの子ヨナタンとがいる。あなたがたは聞いたことをことごとく彼らの手によってわたしに通報しなさい」。 + そこでダビデの友ホシャイは町にはいった。その時アブサロムはすでにエルサレムにはいっていた。 + + + ダビデが山の頂を過ぎて、すこし行った時、メピボセテのしもべヂバは、くらを置いた二頭のろばを引き、その上にパン二百個、干ぶどう百ふさ、夏のくだもの一百、ぶどう酒一袋を載せてきてダビデを迎えた。 + 王はヂバに言った、「あなたはどうしてこれらのものを持ってきたのですか」。ヂバは答えた、「ろばは王の家族が乗るため、パンと夏のくだものは若者たちが食べるため、ぶどう酒は荒野で弱った者が飲むためです」。 + 王は言った、「あなたの主人の子はどこにおるのですか」。ヂバは王に言った、「エルサレムにとどまっています。彼は、『イスラエルの家はきょう、わたしの父の国をわたしに返すであろう』と思ったのです」。 + 王はヂバに言った、「見よ、メピボセテのものはことごとくあなたのものです」。ヂバは言った、「わたしは敬意を表します。わが主、王よ、あなたの前にいつまでも恵みを得させてください」。 + ダビデ王がバホリムにきた時、サウルの家の一族の者がひとりそこから出てきた。その名をシメイといい、ゲラの子である。彼は出てきながら絶えずのろった。 + そして彼はダビデとダビデ王のもろもろの家来に向かって石を投げた。その時、民と勇士たちはみな王の左右にいた。 + シメイはのろう時にこう言った、「血を流す人よ、よこしまな人よ、立ち去れ、立ち去れ。 + あなたが代って王となったサウルの家の血をすべて主があなたに報いられたのだ。主は王国をあなたの子アブサロムの手に渡された。見よ、あなたは血を流す人だから、災に会うのだ」。 + 時にゼルヤの子アビシャイは王に言った、「この死んだ犬がどうしてわが主、王をのろってよかろうか。わたしに、行って彼の首を取らせてください」。 + しかし王は言った、「ゼルヤの子たちよ、あなたがたと、なんのかかわりがあるのか。彼がのろうのは、主が彼に、『ダビデをのろえ』と言われたからであるならば、だれが、『あなたはどうしてこういうことをするのか』と言ってよいであろうか」。 + ダビデはまたアビシャイと自分のすべての家来とに言った、「わたしの身から出たわが子がわたしの命を求めている。今、このベニヤミンびととしてはなおさらだ。彼を許してのろわせておきなさい。主が彼に命じられたのだ。 + 主はわたしの悩みを顧みてくださるかもしれない。また主はきょう彼ののろいにかえて、わたしに善を報いてくださるかも知れない」。 + こうしてダビデとその従者たちとは道を行ったが、シメイはダビデに並んで向かいの山の中腹を行き、行きながらのろい、また彼に向かって石や、ちりを投げつけた。 + 王および共にいる民はみな疲れてヨルダンに着き、彼はその所で息をついだ。 + さてアブサロムとすべての民、イスラエルの人々はエルサレムにきた。アヒトペルもアブサロムと共にいた。 + ダビデの友であるアルキびとホシャイがアブサロムのもとにきた時、ホシャイはアブサロムに「王万歳、王万歳」と言った。 + アブサロムはホシャイに言った、「これはあなたがその友に示す真実なのか。あなたはどうしてあなたの友と一緒に行かなかったのか」。 + ホシャイはアブサロムに言った、「いいえ、主とこの民とイスラエルのすべての人々が選んだ者にわたしは属し、かつその人と一緒におります。 + かつまたわたしはだれに仕えるべきですか。その子の前に仕えるべきではありませんか。あなたの父の前に仕えたように、わたしはあなたの前に仕えます」。 + そこでアブサロムはアヒトペルに言った、「あなたがたは、われわれがどうしたらよいのか、計りごとを述べなさい」。 + アヒトペルはアブサロムに言った、「あなたの父が家を守るために残された、めかけたちの所にはいりなさい。そうすればイスラエルは皆あなたが父上に憎まれることを聞くでしょう。そしてあなたと一緒にいる者の手は強くなるでしょう」。 + こうして彼らがアブサロムのために屋上に天幕を張ったので、アブサロムは全イスラエルの目の前で父のめかけたちの所にはいった。 + そのころアヒトペルが授ける計りごとは人が神のみ告げを伺うようであった。アヒトペルの計りごとは皆ダビデにもアブサロムにも共にそのように思われた。 + + + 時にアヒトペルはアブサロムに言った、「わたしに一万二千の人を選び出させてください。わたしは立って、今夜ダビデのあとを追い、 + 彼が疲れて手が弱くなっているところを襲って、彼をあわてさせましょう。そして彼と共にいる民がみな逃げるとき、わたしは王ひとりを撃ち取り、 + すべての民を花嫁がその夫のもとに帰るようにあなたに帰らせましょう。あなたが求めておられるのはただひとりの命だけですから、民はみな穏やかになるでしょう」。 + この言葉はアブサロムとイスラエルのすべての長老の心にかなった。 + そこでアブサロムは言った、「アルキびとホシャイをも呼びよせなさい。われわれは彼の言うことを聞きましょう」。 + ホシャイがアブサロムのもとにきた時、アブサロムは彼に言った、「アヒトペルはこのように言った。われわれは彼の言葉のように行うべきか。いけないのであれば、言いなさい」。 + ホシャイはアブサロムに言った、「このたびアヒトペルが授けた計りごとは良くありません」。 + ホシャイはまた言った、「ごぞんじのように、あなたの父とその従者たちとは勇士です。その上彼らは、野で子を奪われた熊のように、ひどく怒っています。また、あなたの父はいくさびとですから、民と共に宿らないでしょう。 + 彼は今でも穴の中か、どこかほかの所にかくれています。もし民のうちの幾人かが手始めに倒れるならば、それを聞く者はだれでも、『アブサロムに従う民のうちに戦死者があった』と言うでしょう。 + そうすれば、ししの心のような心のある勇ましい人であっても、恐れて消え去ってしまうでしょう。それはイスラエルのすべての人が、あなたの父の勇士であること、また彼と共にいる者が、勇ましい人々であることを知っているからです。 + ところでわたしの計りごとは、イスラエルをダンからベエルシバまで、海べの砂のように多くあなたのもとに集めて、あなたみずから戦いに臨むことです。 + こうしてわれわれは彼の見つかる場所で彼を襲い、つゆが地におりるように彼の上に下る。そして彼および彼と共にいるすべての人をひとりも残さないでしょう。 + もし彼がいずれかの町に退くならば、全イスラエルはその町になわをかけ、われわれはそれを谷に引き倒して、そこに一つの小石も見られないようにするでしょう」。 + アブサロムとイスラエルの人々はみな、「アルキびとホシャイの計りごとは、アヒトペルの計りごとよりもよい」と言った。それは主がアブサロムに災を下そうとして、アヒトペルの良い計りごとを破ることを定められたからである。 + そこでホシャイは祭司たち、ザドクとアビヤタルとに言った、「アヒトペルはアブサロムとイスラエルの長老たちのためにこういう計りごとをした。またわたしはこういう計りごとをした。 + それゆえ、あなたがたはすみやかに人をつかわしてダビデに告げ、『今夜、荒野の渡し場に宿らないで、必ず渡って行きなさい。さもないと王および共にいる民はみな、滅ぼされるでしょう』と言いなさい」。 + 時に、ヨナタンとアヒマアズはエンロゲルで待っていた。ひとりのつかえめが行って彼らに告げ、彼らは行ってダビデ王に告げるのが常であった。それは彼らが町にはいるのを見られないようにするためである。 + ところがひとりの若者が彼らを見てアブサロムに告げたので、彼らふたりは急いで去り、バホリムの、あるひとりの人の家にきた。その人の庭に井戸があって、彼らはその中に下ったので、 + 女はおおいを取ってきて井戸の口の上にひろげ、麦をその上にまき散らした。それゆえその事は何も知れなかった。 + アブサロムのしもべたちはその女の家にきて言った、「アヒマアズとヨナタンはどこにいますか」。女は彼らに言った、「あの人々は小川を渡って行きました」。彼らは尋ねたが見当らなかったのでエルサレムに帰った。 + 彼らが去った後、人々は井戸から上り、行ってダビデ王に告げた。すなわち彼らはダビデに言った、「立って、すみやかに川を渡りなさい。アヒトペルがあなたがたに対してこういう計りごとをしたからです」。 + そこでダビデは立って、共にいるすべての民と一緒にヨルダンを渡った。夜明けには、ヨルダンを渡らない者はひとりもなかった。 + アヒトペルは、自分の計りごとが行われないのを見て、ろばにくらを置き、立って自分の町に行き、その家に帰った。そして家の人に遺言してみずからくびれて死に、その父の墓に葬られた。 + ダビデはマハナイムにきた。またアブサロムは自分と共にいるイスラエルのすべての人々と一緒にヨルダンを渡った。 + アブサロムはアマサをヨアブの代りに軍の長とした。アマサはかのナハシの娘でヨアブの母ゼルヤの妹であるアビガルをめとったイシマエルびと、名はイトラという人の子である。 + そしてイスラエルとアブサロムはギレアデの地に陣取った。 + ダビデがマハナイムにきた時、アンモンの人々のうちのラバのナハシの子ショビと、ロ・デバルのアンミエルの子マキル、およびロゲリムのギレアデびとバルジライは、 + 寝床と鉢、土器、小麦、大麦、粉、いり麦、豆、レンズ豆、 + 蜜、凝乳、羊、乾酪をダビデおよび共にいる民が食べるために持ってきた。それは彼らが、「民は荒野で飢え疲れかわいている」と思ったからである。 + + + さてダビデは自分と共にいる民を調べて、その上に千人の長、百人の長を立てた。 + そしてダビデは民をつかわし、三分の一をヨアブの手に、三分の一をゼルヤの子ヨアブの兄弟アビシャイの手に、三分の一をガテびとイッタイの手にあずけた。こうして王は民に言った、「わたしもまた必ずあなたがたと一緒に出ます」。 + しかし民は言った、「あなたは出てはなりません。それはわれわれがどんなに逃げても、彼らはわれわれに心をとめず、われわれの半ばが死んでも、われわれに心をとめないからです。しかしあなたはわれわれの一万に等しいのです。それゆえあなたは町の中からわれわれを助けてくださる方がよろしい」。 + 王は彼らに言った、「あなたがたの最も良いと思うことをわたしはしましょう」。こうして王は門のかたわらに立ち、民は皆あるいは百人、あるいは千人となって出て行った。 + 王はヨアブ、アビシャイおよびイッタイに命じて、「わたしのため、若者アブサロムをおだやかに扱うように」と言った。王がアブサロムの事についてすべての長たちに命じている時、民は皆聞いていた。 + こうして民はイスラエルに向かって野に出て行き、エフライムの森で戦ったが、 + イスラエルの民はその所でダビデの家来たちの前に敗れた。その日その所に戦死者が多く、二万に及んだ。 + そして戦いはあまねくその地のおもてに広がった。この日、森の滅ぼした者は、つるぎの滅ぼした者よりも多かった。 + さてアブサロムはダビデの家来たちに行き会った。その時アブサロムは騾馬に乗っていたが、騾馬は大きいかしの木の、茂った枝の下を通ったので、アブサロムの頭がそのかしの木にかかって、彼は天地の間につりさがった。騾馬は彼を捨てて過ぎて行った。 + ひとりの人がそれを見てヨアブに告げて言った、「わたしはアブサロムが、かしの木にかかっているのを見ました」。 + ヨアブはそれを告げた人に言った、「あなたはそれを見たというのか。それなら、どうしてあなたは彼をその所で、地に撃ち落さなかったのか。わたしはあなたに銀十シケルと帯一筋を与えたであろうに」。 + その人はヨアブに言った、「たといわたしの手に銀千シケルを受けても、手を出して王の子に敵することはしません。王はわれわれが聞いているところで、あなたとアビシャイとイッタイに、『わたしのため若者アブサロムを保護せよ』と命じられたからです。 + もしわたしがそむいて彼の命をそこなったのであれば、何事も王に隠れることはありませんから、あなたはみずから立ってわたしを責められたでしょう」。 + そこで、ヨアブは「こうしてあなたと共にとどまってはおられない」と言って、手に三筋の投げやりを取り、あのかしの木にかかって、なお生きているアブサロムの心臓にこれを突き通した。 + ヨアブの武器を執る十人の若者たちは取り巻いて、アブサロムを撃ち殺した。 + こうしてヨアブがラッパを吹いたので、民はイスラエルのあとを追うことをやめて帰った。ヨアブが民を引きとめたからである。 + 人々はアブサロムを取って、森の中の大きな穴に投げいれ、その上にひじょうに大きい石塚を積み上げた。そしてイスラエルはみなおのおのその天幕に逃げ帰った。 + さてアブサロムは生きている間に、王の谷に自分のために一つの柱を建てた。それは彼が、「わたしは自分の名を伝える子がない」と思ったからである。彼はその柱に自分の名をつけた。その柱は今日までアブサロムの碑ととなえられている。 + さてザドクの子アヒマアズは言った、「わたしは走って行って、主が王を敵の手から救い出されたおとずれを王に伝えましょう」。 + ヨアブは彼に言った、「きょうは、おとずれを伝えてはならない。おとずれを伝えるのは、ほかの日にしなさい。きょうは王の子が死んだので、おとずれを伝えてはならない」。 + ヨアブはクシびとに言った、「行って、あなたの見た事を王に告げなさい」。クシびとはヨアブに礼をして走って行った。 + ザドクの子アヒマアズは重ねてヨアブに言った、「何事があろうとも、わたしにもクシびとのあとから走って行かせてください」。ヨアブは言った、「子よ、おとずれの報いを得られないのに、どうしてあなたは走って行こうとするのか」。 + 彼は言った、「何事があろうとも、わたしは走って行きます」。ヨアブは彼に言った、「走って行きなさい」。そこでアヒマアズは低地の道を走って行き、クシびとを追い越した。 + 時にダビデは二つの門の間にすわっていた。そして見張りの者が城壁の門の屋根にのぼり、目をあげて見ていると、ただひとりで走ってくる者があった。 + 見張りの者が呼ばわって王に告げたので、王は言った、「もしひとりならば、その口におとずれがあるであろう」。その人は急いできて近づいた。 + 見張りの者は、ほかにまたひとり走ってくるのを見たので、門の方に呼ばわって言った、「見よ、ほかにただひとりで走って来る者があります」。王は言った、「彼もまたおとずれを持ってくるのだ」。 + 見張りの者は言った、「まっ先に走って来る人はザドクの子アヒマアズのようです」。王は言った、「彼は良い人だ。良いおとずれを持ってくるであろう」。 + 時にアヒマアズは呼ばわって王に言った、「平安でいらせられますように」。そして王の前に地にひれ伏して言った、「あなたの神、主はほむべきかな。主は王、わが君に敵して手をあげた人々を引き渡されました」。 + 王は言った、「若者アブサロムは平安ですか」。アヒマアズは答えた、「ヨアブがしもべをつかわす時、わたしは大きな騒ぎを見ましたが、何事であったか知りません」。 + 王は言った、「わきへ行って、そこに立っていなさい」。彼はわきへ行って立った。 + その時クシびとがきた。そしてそのクシびとは言った、「わが君、王が良いおとずれをお受けくださるよう。主はきょう、すべてあなたに敵して立った者どもの手から、あなたを救い出されたのです」。 + 王はクシびとに言った、「若者アブサロムは平安ですか」。クシびとは答えた、「王、わが君の敵、およびすべてあなたに敵して立ち、害をしようとする者は、あの若者のようになりますように」。 + 王はひじょうに悲しみ、門の上のへやに上って泣いた。彼は行きながらこのように言った、「わが子アブサロムよ。わが子、わが子アブサロムよ。ああ、わたしが代って死ねばよかったのに。アブサロム、わが子よ、わが子よ」。 + + + 時にヨアブに告げる者があって、「見よ、王はアブサロムのために泣き悲しんでいる」と言った。 + こうしてその日の勝利はすべての民の悲しみとなった。それはその日、民が、「王はその子のために悲しんでいる」と人の言うのを聞いたからである。 + そして民はその日、戦いに逃げて恥じている民がひそかに、はいるように、ひそかに町にはいった。 + 王は顔をおおった。そして王は大声に叫んで、「わが子アブサロムよ。アブサロム、わが子よ、わが子よ」と言った。 + 時にヨアブは家にはいり、王のもとにきて言った、「あなたは、きょう、あなたの命と、あなたのむすこ娘たちの命、およびあなたの妻たちの命と、めかけたちの命を救ったすべての家来の顔をはずかしめられました。 + それはあなたが自分を憎む者を愛し、自分を愛する者を憎まれるからです。あなたは、きょう、軍の長たちをも、しもべたちをも顧みないことを示されました。きょう、わたしは知りました。もし、アブサロムが生きていて、われわれが皆きょう死んでいたら、あなたの目にかなったでしょう。 + 今立って出て行って、しもべたちにねんごろに語ってください。わたしは主をさして誓います。もしあなたが出られないならば、今夜あなたと共にとどまる者はひとりもないでしょう。これはあなたが若い時から今までにこうむられたすべての災よりも、あなたにとって悪いでしょう」。 + そこで王は立って門のうちの座についた。人々はすべての民に、「見よ、王は門に座している」と告げたので、民はみな王の前にきた。さてイスラエルはおのおのその天幕に逃げ帰った。 + そしてイスラエルのもろもろの部族の中で民はみな争って言った、「王はわれわれを敵の手から救い出し、またわれわれをペリシテびとの手から助け出された。しかし今はアブサロムのために国のそとに逃げておられる。 + またわれわれが油を注いで、われわれの上に立てたアブサロムは戦いで死んだ。それであるのに、どうしてあなたがたは王を導きかえることについて、何をも言わないのか」。 + ダビデ王は祭司たちザドクとアビヤタルとに人をつかわして言った、「ユダの長老たちに言いなさい、『全イスラエルの言葉が王に達したのに、どうしてあなたがたは王をその家に導きかえる最後の者となるのですか。 + あなたがたはわたしの兄弟、わたしの骨肉です。それにどうして王を導きかえる最後の者となるのですか』。 + またアマサに言いなさい、『あなたはわたしの骨肉ではありませんか。これから後あなたをヨアブに代えて、わたしの軍の長とします。もしそうしないときは、神が幾重にもわたしを罰してくださるように』」。 + こうしてダビデはユダのすべての人の心を、ひとりのように自分に傾けさせたので、彼らは王に、「どうぞあなたも、すべての家来たちも帰ってきてください」と言いおくった。 + そこで王は帰ってきてヨルダンまで来ると、ユダの人人は王を迎えるためギルガルにきて、王にヨルダンを渡らせた。 + バホリムのベニヤミンびと、ゲラの子シメイは、急いでユダの人々と共に下ってきて、ダビデ王を迎えた。 + 一千人のベニヤミンびとが彼と共にいた。またサウルの家のしもべヂバもその十五人のむすこと、二十人のしもべを従えて、王の前にヨルダンに駆け下った。 + そして王の家族を渡し、王の心にかなうことをしようと渡し場を渡った。ゲラの子シメイはヨルダンを渡ろうとする時、王の前にひれ伏し、 + 王に言った、「どうぞわが君が、罪をわたしに帰しられないように。またわが君、王のエルサレムを出られた日に、しもべがおこなった悪い事を思い出されないように。どうぞ王がそれを心に留められないように。 + しもべは自分が罪を犯したことを知っています。それゆえ、見よ、わたしはきょう、ヨセフの全家のまっ先に下ってきて、わが主、王を迎えるのです」。 + ゼルヤの子アビシャイは答えて言った、「シメイは主が油を注がれた者をのろったので、そのために殺されるべきではありませんか」。 + ダビデは言った、「あなたがたゼルヤの子たちよ、あなたがたとなにのかかわりがあって、あなたがたはきょうわたしに敵対するのか。きょう、イスラエルのうちで人を殺して良かろうか。わたしが、きょうイスラエルの王となったことを、どうして自分で知らないことがあろうか」。 + こうして王はシメイに、「あなたを殺さない」と言って、王は彼に誓った。 + サウルの子メピボセテは下ってきて王を迎えた。彼は王が去った日から安らかに帰る日まで、その足を飾らず、そのひげを整えず、またその着物を洗わなかった。 + 彼がエルサレムからきて王を迎えた時、王は彼に言った、「メピボセテよ、あなたはどうしてわたしと共に行かなかったのか」。 + 彼は答えた、「わが主、王よ、わたしの家来がわたしを欺いたのです。しもべは彼に、『わたしのために、ろばにくらを置け。わたしはそれに乗って王と共に行く』と言ったのです。しもべは足なえだからです。 + ところが彼はしもべのことをわが主、王の前に、あしざまに言ったのです。しかし、わが主、王は神の使のようでいらせられます。それで、あなたの良いと思われることをしてください。 + わたしの父の全家はわが主、王の前にはみな死んだ人にすぎないのに、あなたはしもべを、あなたの食卓で食事をする人々のうちに置かれました。わたしになんの権利があって、重ねて王に訴えることができましょう」。 + 王は彼に言った、「あなたはどうしてなおも自分のことを言うのですか。わたしは決めました。あなたとヂバとはその土地を分けなさい」。 + メピボセテは王に言った、「わが主、王が安らかに家に帰られたのですから、彼にそれをみな取らせてください」。 + さてギレアデびとバルジライはロゲリムから下ってきて、ヨルダンで王を見送るため、王と共にヨルダンに進んだ。 + バルジライは、ひじょうに年老いた人で八十{歳であった。彼はまた、ひじょうに裕福な人であったので、王がマハナイムにとどまっている間、王を養った。 + 王はバルジライに言った、「わたしと一緒に渡って行きなさい。わたしはエルサレムであなたをわたしと共におらせて養いましょう」。 + バルジライは王に言った、「わたしは、なお何年いきながらえるので、王と共にエルサレムに上るのですか。 + わたしは今日八十歳です。わたしに、良いこと悪いことがわきまえられるでしょうか。しもべは食べるもの、飲むものを味わうことができましょうか。わたしは歌う男や歌う女の声をまだ聞くことができましょうか。それであるのに、しもべはどうしてなおわが主、王の重荷となってよろしいでしょうか。 + しもべは王と共にヨルダンを渡って、ただ少し行きましょう。どうして王はこのような報いをわたしに報いられなければならないのでしょうか。 + どうぞしもべを帰らせてください。わたしは自分の町で、父母の墓の近くで死にます。ただし、あなたのしもべキムハムがここにおります。わが主、王と共に彼を渡って行かせてください。またあなたが良いと思われる事を彼にしてください」。 + 王は答えた、「キムハムはわたしと共に渡って行かせます。わたしは、あなたが良いと思われる事を彼にしましょう。またあなたが望まれることはみな、あなたのためにいたします」。 + こうして民はみなヨルダンを渡った。王は渡った時、バルジライに口づけして、祝福したので、彼は自分の家に帰っていった。 + 王はギルガルに進んだ。キムハムも彼と共に進んだ。ユダの民はみな王を送り、イスラエルの民の半ばもまたそうした。 + さてイスラエルの人々はみな王の所にきて、王に言った、「われわれの兄弟であるユダの人々は、何ゆえにあなたを盗み去って、王とその家族、およびダビデに伴っているすべての従者にヨルダンを渡らせたのですか」。 + ユダの人々はみなイスラエルの人々に答えた、「王はわれわれの近親だからです。あなたがたはどうしてこの事で怒られるのですか。われわれが少しでも王の物を食べたことがありますか。王が何か賜物をわれわれに与えたことがありますか」。 + イスラエルの人々はユダの人々に答えた、「われわれは王のうちに十の分を持っています。またダビデのうちにもわれわれはあなたがたよりも多くを持っています。それであるのに、どうしてあなたがたはわれわれを軽んじたのですか。われらの王を導き帰ろうと最初に言ったのはわれわれではないのですか」。しかしユダの人々の言葉はイスラエルの人々の言葉よりも激しかった。 + + + さて、その所にひとりのよこしまな人があって、名をシバといった。ビクリの子で、ベニヤミンびとであった。彼はラッパを吹いて言った、「われわれはダビデのうちに分がない。またエッサイの子のうちに嗣業を持たない。イスラエルよ、おのおのその天幕に帰りなさい」。 + そこでイスラエルの人々は皆ダビデに従う事をやめて、ビクリの子シバに従った。しかしユダの人々はその王につき従って、ヨルダンからエルサレムへ行った。 + ダビデはエルサレムの自分の家にきた。そして王は家を守るために残しておいた十人のめかけたちを取って、一つの家に入れて守り、また養ったが、彼女たちの所には、はいらなかった。彼女たちは死ぬ日まで閉じこめられ一生、寡婦としてすごした。 + 王はアマサに言った、「わたしのため三日のうちにユダの人々を呼び集めて、ここにきなさい」。 + アマサはユダを呼び集めるために行ったが、彼は定められた時よりもおくれた。 + ダビデはアビシャイに言った、「ビクリの子シバは今われわれにアブサロムよりも多くの害をするであろう。あなたの主君の家来たちを率いて、彼のあとを追いなさい。さもないと彼は堅固な町々を獲て、われわれを悩ますであろう」。 + こうしてヨアブとケレテびととペレテびと、およびすべての勇士はアビシャイに従って出た。すなわち彼らはエルサレムを出て、ビクリの子シバのあとを追った。 + 彼らがギベオンにある大石のところにいた時、アマサがきて彼らに会った。時にヨアブは軍服を着て、帯をしめ、その上にさやに納めたつるぎを腰に結んで帯びていたが、彼が進み出た時つるぎは抜け落ちた。 + ヨアブはアマサに、「兄弟よ、あなたは安らかですか」と言って、ヨアブは右の手をもってアマサのひげを捕えて彼に口づけしようとしたが、 + アマサはヨアブの手につるぎがあることに気づかなかったので、ヨアブはそれをもってアマサの腹部を刺して、そのはらわたを地に流し出し、重ねて撃つこともなく彼を殺した。こうしてヨアブとその兄弟アビシャイはビクリの子シバのあとを追った。 + 時にヨアブの若者のひとりがアマサのかたわらに立って言った、「ヨアブに味方する者、ダビデにつく者はヨアブのあとに従いなさい」。 + アマサは血に染んで大路の中にころがっていたので、そのそばに来る者はみな彼を見て立ちどまった。この人は民がみな立ちどまるのを見て、アマサを大路から畑に移し、衣服をその上にかけた。 + アマサが大路から移されたので、民は皆ヨアブに従って進み、ビクリの子シバのあとを追った。 + シバはイスラエルのすべての部族のうちを通ってベテマアカのアベルにきた。ビクリびとは皆、集まってきて彼に従った。 + そこでヨアブと共にいたすべての人々がきて、彼をベテマアカのアベルに囲み、町に向かって土塁を築いた。それはとりでに向かって立てられた。こうして彼らは城壁をくずそうとしてこれを撃った。 + その時、ひとりの賢い女が町から呼ばわった、「あなたがたは聞きなさい。あなたがたは聞きなさい。ヨアブに、『ここにきてください。わたしはあなたに言うことがあります』と言ってください」。 + 彼がその女に近寄ると、女は「あなたがヨアブですか」と言った。彼は「そうです」と答えた。すると女は彼に「はしための言葉をお聞きください」と言ったので、「聞きましょう」と彼は言った。 + そこで女は言った、「昔、人々はいつも、『アベルで尋ねなさい』と言って、事を定めました。 + わたしはイスラエルのうちの平和な、忠誠な者です。そうであるのに、あなたはイスラエルのうちで母ともいうべき町を滅ぼそうとしておられます。どうして主の嗣業を、のみ尽そうとされるのですか」。 + ヨアブは答えた、「いいえ、決してそうではなく、わたしが、のみ尽したり、滅ぼしたりすることはありません。 + 事実はそうではなく、エフライムの山地の人ビクリの子、名をシバという者が手をあげて王ダビデにそむいたのです。あなたがたが彼ひとりを渡すならば、わたしはこの町を去ります」。女はヨアブに言った、「彼の首は城壁の上からあなたの所へ投げられるでしょう」。 + こうしてこの女が知恵をもって、すべての民の所に行ったので、彼らはビクリの子シバの首をはねてヨアブの所へ投げ出した。そこでヨアブはラッパを吹きならしたので、人々は散って町を去り、おのおの家に帰った。ヨアブはエルサレムにいる王のもとに帰った。 + ヨアブはイスラエルの全軍の長であった。エホヤダの子ベナヤはケレテびと、およびペレテびとの長、 + アドラムは徴募人の長、アヒルデの子ヨシャパテは史官、 + シワは書記官、ザドクとアビヤタルとは祭司。 + またヤイルびとイラはダビデの祭司であった。 + + + ダビデの世に、年また年と三年、ききんがあったので、ダビデが主に尋ねたところ、主は言われた、「サウルとその家とに、血を流した罪がある。それはかつて彼がギベオンびとを殺したためである」。 + そこで王はギベオンびとを召しよせた。ギベオンびとはイスラエルの子孫ではなく、アモリびとの残りであって、イスラエルの人々は彼らと誓いを立てて、その命を助けた。ところがサウルはイスラエルとユダの人々のために熱心であったので、彼らを殺そうとしたのである。 + それでダビデはギベオンびとに言った、「わたしはあなたがたのために、何をすればよいのですか。どんな償いをすれば、あなたがたは主の嗣業を祝福するのですか」。 + ギベオンびとは彼に言った、「これはわれわれと、サウルまたはその家との間の金銀の問題ではありません。またイスラエルのうちのひとりでも、われわれが殺そうというのでもありません」。ダビデは言った、「わたしがあなたがたのために何をすればよいと言うのですか」。 + かれらは王に言った、「われわれを滅ぼした人、われわれを滅ぼしてイスラエルの領域のどこにもおらせないようにと、たくらんだ人、 + その人の子孫七人を引き渡してください。われわれは主の山にあるギベオンで、彼らを主の前に木にかけましょう」。王は言った、「引き渡しましょう」。 + しかし王はサウルの子ヨナタンの子であるメピボセテを惜しんだ。彼らの間、すなわちダビデとサウルの子ヨナタンとの間に、主をさして立てた誓いがあったからである。 + 王はアヤの娘リヅパがサウルに産んだふたりの子アルモニとメピボセテ、およびサウルの娘メラブがメホラびとバルジライの子アデリエルに産んだ五人の子を取って、 + 彼らをギベオンびとの手に引き渡したので、ギベオンびとは彼らを山で主の前に木にかけた。彼ら七人は共に倒れた。彼らは刈入れの初めの日、すなわち大麦刈りの初めに殺された。 + アヤの娘リヅパは荒布をとって、それを自分のために岩の上に敷き、刈入れの初めから、その人々の死体の上に天から雨が降るまで、昼は空の鳥が死体の上にこないようにし、夜は野の獣を近寄らせなかった。 + アヤの娘でサウルのめかけであったリヅパのしたことがダビデに聞えたので、 + ダビデは行ってサウルの骨とその子ヨナタンの骨を、ヤベシギレアデの人々の所から取ってきた。これはペリシテびとがサウルをギルボアで殺した日に、木にかけたベテシャンの広場から、彼らが盗んでいたものである。 + ダビデはそこからサウルの骨と、その子ヨナタンの骨を携えて上った。また人々はそのかけられた者どもの骨を集めた。 + こうして彼らはサウルとその子ヨナタンの骨を、ベニヤミンの地のゼラにあるその父キシの墓に葬り、すべて王の命じたようにした。この後、神はその地のために、祈を聞かれた。 + ペリシテびとはまたイスラエルと戦争をした。ダビデはその家来たちと共に下ってペリシテびとと戦ったが、ダビデは疲れていた。 + 時にイシビベノブはダビデを殺そうと思った。イシビベノブは巨人の子孫で、そのやりは青銅で重さ三百シケルあり、彼は新しいつるぎを帯びていた。 + しかしゼルヤの子アビシャイはダビデを助けて、そのペリシテびとを撃ち殺した。そこでダビデの従者たちは彼に誓って言った、「あなたはわれわれと共に、重ねて戦争に出てはなりません。さもないと、あなたはイスラエルのともし火を消すでしょう」。 + この後、再びゴブでペリシテびととの戦いがあった。時にホシャびとシベカイは巨人の子孫のひとりサフを殺した。 + ここにまたゴブで、ペリシテびととの戦いがあったが、そこではベツレヘムびとヤレオレギムの子エルハナンは、ガテびとゴリアテを殺した。そのやりの柄は機の巻棒のようであった。 + またガテで再び戦いがあったが、そこにひとりの背の高い人があり、その手の指と足の指は六本ずつで、その数は合わせて二十四本であった。彼もまた巨人から生れた者であった。 + 彼はイスラエルをののしったので、ダビデの兄弟シメアの子ヨナタンが彼を殺した。 + これらの四人はガテで巨人から生れた者であったが、ダビデの手とその家来たちの手に倒れた。 + + + ダビデは主がもろもろの敵の手とサウルの手から、自分を救い出された日に、この歌の言葉を主に向かって述べ、 + 彼は言った、「主はわが岩、わが城、わたしを救う者、 + わが神、わが岩。わたしは彼に寄り頼む。わが盾、わが救の角、わが高きやぐら、わが避け所、わが救主。あなたはわたしを暴虐から救われる。 + わたしは、ほめまつるべき主に呼ばわって、わたしの敵から救われる。 + 死の波はわたしをとりまき、滅びの大水はわたしを襲った。 + 陰府の綱はわたしをとりかこみ、死のわなはわたしに、たち向かった。 + 苦難のうちにわたしは主を呼び、またわが神に呼ばわった。主がその宮からわたしの声を聞かれて、わたしの叫びはその耳にとどいた。 + その時地は震いうごき、天の基はゆるぎふるえた。彼が怒られたからである。 + 煙はその鼻からたち上り、火はその口から出て焼きつくし、白熱の炭は彼から燃え出た。 + 彼は天を低くして下られ、暗やみが彼の足の下にあった。 + 彼はケルブに乗って飛び、風の翼に乗ってあらわれた。 + 彼はその周囲に幕屋として、やみと濃き雲と水の集まりとを置かれた。 + そのみ前の輝きから炭火が燃え出た。 + 主は天から雷をとどろかせ、いと高き者は声を出された。 + 彼はまた矢を放って彼らを散らし、いなずまを放って彼らを撃ち破られた。 + 主のとがめと、その鼻のいぶきとによって、海の底はあらわれ、世界の基が、あらわになった。 + 彼は高き所から手を伸べてわたしを捕え、大水の中からわたしを引き上げ、 + わたしの強い敵と、わたしを憎む者とからわたしを救われた。彼らはわたしにとって、あまりにも強かったからだ。 + 彼らはわたしの災の日にわたしに、たち向かった。しかし主はわたしの支柱となられた。 + 彼はまたわたしを広い所へ引きだされ、わたしを喜ばれて、救ってくださった。 + 主はわたしの義にしたがってわたしに報い、わたしの手の清きにしたがってわたしに報いかえされた。 + それは、わたしが主の道を守り、悪を行わず、わが神から離れたことがないからである。 + そのすべてのおきてはわたしの前にあって、わたしはその、み定めを離れたことがない。 + わたしは主の前に欠けた所なく、自らを守って罪を犯さなかった。 + それゆえ、主はわたしの義にしたがい、その目のまえにわたしの清きにしたがって、わたしに報いられた。 + 忠実な者には、あなたは忠実な者となり、欠けた所のない人には、あなたは欠けた所のない者となり、 + 清い者には、あなたは清い者となり、まがった者には、かたいぢな者となられる。 + あなたはへりくだる民を救われる、しかしあなたの目は高ぶる者を見てこれをひくくせられる。 + まことに、主よ、あなたはわたしのともし火、わが神はわたしのやみを照される。 + まことに、あなたによってわたしは敵軍をふみ滅ぼし、わが神によって石がきをとび越えることができる。 + この神こそ、その道は非のうちどころなく、主の約束は真実である。彼はすべて彼に寄り頼む者の盾である。 + 主のほかに、だれが神か、われらの神のほか、だれが岩であるか。 + この神こそわたしの堅固な避け所であり、わたしの道を安全にされた。 + わたしの足をめじかの足のようにして、わたしを高い所に安全に立たせ、 + わたしの手を戦いに慣らされたので、わたしの腕は青銅の弓を引くことができる。 + あなたはその救の盾をわたしに与え、あなたの助けは、わたしを大いなる者とされた。 + あなたはわたしが歩く広い場所を与えられたので、わたしの足はすべらなかった。 + わたしは敵を追って、これを滅ぼし、これを絶やすまでは帰らなかった。 + わたしは彼らを絶やし、彼らを砕いたので彼らは立つことができず、わたしの足もとに倒れた。 + あなたは戦いのために、わたしに力を帯びさせわたしを攻める者をわたしの下にかがませられた。 + あなたによって、敵はそのうしろをわたしに向けたので、わたしを憎む者をわたしは滅ぼした。 + 彼らは見まわしたが、救う者はいなかった。彼らは主に叫んだが、彼らには答えられなかった。 + わたしは彼らを地のちりのように細かに打ちくだき、ちまたのどろのように、踏みにじった。 + あなたはわたしを国々の民との争いから救い出し、わたしをもろもろの国民のかしらとされた。わたしの知らなかった民がわたしに仕えた。 + 異国の人たちはきてわたしにこび、わたしの事を聞くとすぐわたしに従った。 + 異国の人たちは、うちしおれてその城からふるえながら出てきた。 + 主は生きておられる。わが岩はほむべきかな。わが神、わが救の岩はあがむべきかな。 + この神はわたしのために、あだを報い、もろもろの民をわたしの下に置かれた。 + またわたしを敵から救い出し、あだの上にわたしをあげ、暴虐の人々からわたしを救い出された。 + それゆえ、主よ、わたしはもろもろの国民の中で、あなたをたたえ、あなたの、み名をほめ歌うであろう。 + 主はその王に大いなる勝利を与え、油を注がれた者に、ダビデとその子孫とに、とこしえに、いつくしみを施される」。 + + + これはダビデの最後の言葉である。エッサイの子ダビデの託宣、すなわち高く挙げられた人、ヤコブの神に油を注がれた人、イスラエルの良き歌びとの託宣。 + 「主の霊はわたしによって語る、その言葉はわたしの舌の上にある。 + イスラエルの神は語られた、イスラエルの岩はわたしに言われた、『人を正しく治める者、神を恐れて、治める者は、 + 朝の光のように、雲のない朝に、輝きでる太陽のように、地に若草を芽ばえさせる雨のように人に臨む』。 + まことに、わが家はそのように、神と共にあるではないか。それは、神が、よろず備わって確かなとこしえの契約をわたしと結ばれたからだ。どうして彼はわたしの救と願いを、皆なしとげられぬことがあろうか。 + しかし、よこしまな人は、いばらのようで、手をもって取ることができないゆえ、みな共に捨てられるであろう。 + これに触れようとする人は鉄や、やりの柄をもって武装する、彼らはことごとく火で焼かれるであろう」。 + ダビデの勇士たちの名は次のとおりである。タクモンびとヨセブ・バッセベテはかの三人のうちの長であったが、彼はいちじに八百人に向かって、やりをふるい、それを殺した。 + 彼の次はアホアびとドドの子エレアザルであって、三勇士のひとりである。彼は、戦おうとしてそこに集まったペリシテびとに向かって戦いをいどみ、イスラエルの人々が退いた時、ダビデと共にいたが、 + 立ってペリシテびとを撃ち、ついに手が疲れ、手がつるぎに着いて離れないほどになった。その日、主は大いなる勝利を与えられた。民は彼のあとに帰ってきて、ただ殺された者をはぎ取るばかりであった。 + 彼の次はハラルびとアゲの子シャンマであった。ある時、ペリシテびとはレヒに集まった。そこに一面にレンズ豆を作った地所があった。民はペリシテびとの前から逃げたが、 + 彼はその地所の中に立って、これを防ぎ、ペリシテびとを殺した。そして主は大いなる救を与えられた。 + 三十人の長たちのうちの三人は下って行って刈入れのころに、アドラムのほら穴にいるダビデのもとにきた。時にペリシテびとの一隊はレパイムの谷に陣を取っていた。 + その時ダビデは要害におり、ペリシテびとの先陣はベツレヘムにあったが、 + ダビデは、せつに望んで、「だれかベツレヘムの門のかたわらにある井戸の水をわたしに飲ませてくれるとよいのだが」と言った。 + そこでその三人の勇士たちはペリシテびとの陣を突き通って、ベツレヘムの門のかたわらにある井戸の水を汲み取って、ダビデのもとに携えてきた。しかしダビデはそれを飲もうとはせず、主の前にそれを注いで、 + 言った、「主よ、わたしは断じて飲むことをいたしません。いのちをかけて行った人々の血を、どうしてわたしは飲むことができましょう」。こうして彼はそれを飲もうとはしなかった。三勇士はこれらのことを行った。 + ゼルヤの子ヨアブの兄弟アビシャイは三十人の長であった。彼は三百人に向かって、やりをふるい、それを殺した。そして、彼は三人と共に名を得た。 + 彼は三十人のうち最も尊ばれた者で、彼らの長となった。しかし、かの三人には及ばなかった。 + エホヤダの子ベナヤはカブジエル出身の勇士であって、多くのてがらを立てた。彼はモアブのアリエルのふたりの子を撃ち殺した。彼はまた雪の日に下っていって、穴の中でししを撃ち殺した。 + 彼はまた姿のうるわしいエジプトびとを撃ち殺した。そのエジプトびとは手にやりを持っていたが、ベナヤはつえをとってその所に下っていき、エジプトびとの手からやりをもぎとって、そのやりをもって殺した。 + エホヤダの子ベナヤはこれらの事をして三勇士と共に名を得た。 + 彼は三十人のうちに有名であったが、かの三人には及ばなかった。ダビデは彼を侍衛の長とした。 + 三十人のうちにあったのは、ヨアブの兄弟アサヘル。ベツレヘム出身のドドの子エルハナン。 + ハロデ出身のシャンマ。ハロデ出身のエリカ。 + パルテびとヘレヅ。テコア出身のイッケシの子イラ。 + アナトテ出身のアビエゼル。ホシャびとメブンナイ。 + アホアびとザルモン。ネトパ出身のマハライ。 + ネトパ出身のバアナの子ヘレブ。ベニヤミンびとのギベアから出たリバイの子イッタイ。 + ピラトンのベナヤ。ガアシの谷出身のヒダイ。 + アルバテびとアビアルボン。バホリム出身のアズマウテ。 + シャルボン出身のエリヤバ。ヤセンの子たち。ヨナタン。 + ハラルびとシャンマ。ハラルびとシャラルの子アヒアム。 + マアカ出身のアハスバイの子エリペレテ。ギロ出身のアヒトペルの子エリアム。 + カルメル出身のヘヅロ。アルバびとパアライ。 + ゾバ出身のナタンの子イガル。ガドびとバニ。 + アンモンびとゼレク。ゼルヤの子ヨアブの武器を執る者、ベエロテ出身のナハライ。 + イテルびとイラ。イテルびとガレブ。 + ヘテびとウリヤ。合わせて三十七人である。 + + + 主は再びイスラエルに向かって怒りを発し、ダビデを感動して彼らに逆らわせ、「行ってイスラエルとユダとを数えよ」と言われた。 + そこで王はヨアブおよびヨアブと共にいる軍の長たちに言った、「イスラエルのすべての部族のうちを、ダンからベエルシバまで行き巡って民を数え、わたしに民の数を知らせなさい」。 + ヨアブは王に言った、「どうぞあなたの神、主が、民を今よりも百倍に増してくださいますように。そして王、わが主がまのあたり、それを見られますように。しかし王、わが主は何ゆえにこの事を喜ばれるのですか」。 + しかし王の言葉がヨアブと軍の長たちとに勝ったので、ヨアブと軍の長たちとは王の前を退き、イスラエルの民を数えるために出て行った。 + 彼らはヨルダンを渡り、アロエルから、すなわち谷の中にある町から始めて、ガドに向かい、ヤゼルに進んだ。 + それからギレアデに行き、またヘテびとの地にあるカデシに行き、それからダンに至り、ダンからシドンにまわり、 + またツロの要害に行き、ヒビびと、およびカナンびとのすべての町に行き、ユダのネゲブに出てベエルシバへ行った。 + こうして彼らは国をあまねく行き巡って、九か月と二十日を経てエルサレムにきた。 + そしてヨアブは民の総数を王に告げた。すなわちイスラエルには、つるぎを抜く勇士たちが八十万あった。ただしユダの人々は五十万であった。 + しかしダビデは民を数えた後、心に責められた。そこでダビデは主に言った、「わたしはこれをおこなって大きな罪を犯しました。しかし主よ、今どうぞしもべの罪を取り去ってください。わたしはひじょうに愚かなことをいたしました」。 + ダビデが朝起きたとき、主の言葉はダビデの先見者である預言者ガデに臨んで言った、 + 「行ってダビデに言いなさい、『主はこう仰せられる、「わたしは三つのことを示す。あなたはその一つを選ぶがよい。わたしはそれをあなたに行うであろう」と』」。 + ガデはダビデのもとにきて、彼に言った、「あなたの国に三年のききんをこさせようか。あなたが敵に追われて三か月敵の前に逃げるようにしようか。それとも、あなたの国に三日の疫病をおくろうか。あなたは考えて、わたしがどの答を、わたしをつかわされた方になすべきかを決めなさい」。 + ダビデはガデに言った、「わたしはひじょうに悩んでいますが、主のあわれみは大きいゆえ、われわれを主の手に陥らせてください。わたしを人の手には陥らせないでください」。 + そこで主は朝から定めの時まで疫病をイスラエルに下された。ダンからベエルシバまでに民の死んだ者は七万人あった。 + 天の使が手をエルサレムに伸べてこれを滅ぼそうとしたが、主はこの害悪を悔い、民を滅ぼしている天の使に言われた、「もはや、じゅうぶんである。今あなたの手をとどめるがよい」。その時、主の使はエブスびとアラウナの打ち場のかたわらにいた。 + ダビデは民を撃っている天の使を見た時、主に言った、「わたしは罪を犯しました。わたしは悪を行いました。しかしこれらの羊たちは何をしたのですか。どうぞあなたの手をわたしとわたしの父の家に向けてください」。 + その日ガデはダビデのところにきて彼に言った、「上って行ってエブスびとアラウナの打ち場で主に祭壇を建てなさい」。 + ダビデはガデの言葉に従い、主の命じられたように上って行った。 + アラウナは見おろして、王とそのしもべたちが自分の方に進んでくるのを見たので、アラウナは出てきて王の前に地にひれ伏して拝した。 + そしてアラウナは言った、「どうして王わが主は、しもべの所にこられましたか」。ダビデは言った、「あなたから打ち場を買い取り、主に祭壇を築いて民に下る災をとどめるためです」。 + アラウナはダビデに言った、「どうぞ王、わが主のよいと思われる物を取ってささげてください。燔祭にする牛もあります。たきぎにする打穀機も牛のくびきもあります。 + 王よ、アラウナはこれをことごとく王にささげます」。アラウナはまた王に、「あなたの神、主があなたを受けいれられますように」と言った。 + しかし王はアラウナに言った、「いいえ、代価を支払ってそれをあなたから買い取ります。わたしは費用をかけずに燔祭をわたしの神、主にささげることはしません」。こうしてダビデは銀五十シケルで打ち場と牛とを買い取った。 + ダビデはその所で主に祭壇を築き、燔祭と酬恩祭をささげた。そこで主はその地のために祈を聞かれたので、災がイスラエルに下ることはとどまった。 + +
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+ + ダビデ王は年がすすんで老い、夜着を着せても暖まらなかったので、 + その家来たちは彼に言った、「王わが主のために、ひとりの若いおとめを捜し求めて王にはべらせ、王の付添いとし、あなたのふところに寝て、王わが主を暖めさせましょう」。 + そして彼らはあまねくイスラエルの領土に美しいおとめを捜し求めて、シュナミびとアビシャグを得、王のもとに連れてきた。 + おとめは非常に美しく、王の付添いとなって王に仕えたが、王は彼女を知ることがなかった。 + さてハギテの子アドニヤは高ぶって、「わたしは王となろう」と言い、自分のために戦車と騎兵および自分の前に駆ける者五十人を備えた。 + 彼の父は彼が生れてこのかた一度も「なぜ、そのような事をするのか」と言って彼をたしなめたことがなかった。アドニヤもまた非常に姿の良い人であって、アブサロムの次に生れた者である。 + 彼がゼルヤの子ヨアブと祭司アビヤタルとに相談したので、彼らはアドニヤに従って彼を助けた。 + しかし祭司ザドクと、エホヤダの子ベナヤと、預言者ナタンおよびシメイとレイ、ならびにダビデの勇士たちはアドニヤに従わなかった。 + アドニヤはエンロゲルのほとりにある「へびの石」のかたわらで、羊と牛と肥えた家畜をほふって、王の子である自分の兄弟たち、および王の家来であるユダの人々をことごとく招いた。 + しかし預言者ナタンと、ベナヤと、勇士たちと、自分の兄弟ソロモンとは招かなかった。 + 時にナタンはソロモンの母バテシバに言った、「ハギテの子アドニヤが王となったのをお聞きになりませんでしたか。われわれの主ダビデはそれをごぞんじないのです。 + それでいま、あなたに計りごとを授けて、あなたの命と、あなたの子ソロモンの命を救うようにいたしましょう。 + あなたはすぐダビデ王のところへ行って、『王わが主よ、あなたは、はしために誓って、おまえの子ソロモンが、わたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろうと言われたではありませんか。そうであるのに、どうしてアドニヤが王となったのですか』と言いなさい。 + あなたがなお王と話しておられる間に、わたしもまた、あなたのあとから、はいって行って、あなたの言葉を確認しましょう」。 + そこでバテシバは寝室にはいって王の所へ行った。(王は非常に老いて、シュナミびとアビシャグが王に仕えていた)。 + バテシバは身をかがめて王を拝した。王は言った、「何の用か」。 + 彼女は王に言った、「わが主よ、あなたは、あなたの神、主をさして、はしために誓い、『おまえの子ソロモンがわたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろう』と言われました。 + そうであるのに、ごらんなさい、今アドニヤが王となりました。王わが主よ、あなたはそれをごぞんじないのです。 + 彼は牛と肥えた家畜と羊をたくさんほふって、王の子たち、および祭司アビヤタルと、軍の長ヨアブを招きましたが、あなたのしもべソロモンは招きませんでした。 + 王わが主よ、イスラエルのすべての目はあなたに注がれ、だれがあなたに次いで、王わが主の位に座すべきかを告げられるのを望んでいます。 + 王わが主が先祖と共に眠られるとき、わたしと、わたしの子ソロモンは謀叛人とみなされるでしょう」。 + バテシバがなお王と話しているうちに、預言者ナタンがはいってきた。 + 人々は王に告げて、「預言者ナタンがここにおります」と言った。彼は王の前にはいり、地に伏して王を拝した。 + そしてナタンは言った、「王わが主よ、あなたは、『アドニヤがわたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろう』と仰せられましたか。 + 彼はきょう下っていって、牛と、肥えた家畜と羊をたくさんほふって、王の子たちと、軍の長ヨアブと、祭司アビヤタルを招きました。彼らはアドニヤの前で食い飲みして、『アドニヤ万歳』と言いました。 + しかし、あなたのしもべであるわたしと、祭司ザドクと、エホヤダの子ベナヤと、あなたのしもべソロモンを招きませんでした。 + この事は王わが主がさせられた事ですか。あなたはしもべたちに、だれがあなたに次いで王わが主の位に座すべきかを告げられませんでした」。 + ダビデ王は答えて言った、「バテシバをわたしのところに呼びなさい」。彼女は王の前にはいってきて、王の前に立った。 + すると王は誓って言った、「わたしの命をすべての苦難から救われた主は生きておられる。 + わたしがイスラエルの神、主をさしてあなたに誓い、『あなたの子ソロモンがわたしに次いで王となり、わたしに代って、わたしの位に座するであろう』と言ったように、わたしはきょう、そのようにしよう」。 + そこでバテシバは身をかがめ、地に伏して王を拝し、「わが主ダビデ王が、とこしえに生きながらえられますように」と言った。 + ダビデは言った、「祭司ザドクと、預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤをわたしの所に呼びなさい」。やがて彼らは王の前にきた。 + 王は彼らに言った、「あなたがたの主君の家来たちを連れ、わが子ソロモンをわたしの騾馬に乗せ、彼を導いてギホンに下り、 + その所で祭司ザドクと預言者ナタンは彼に油を注いでイスラエルの王としなさい。そしてラッパを吹いて、『ソロモン王万歳』と言いなさい。 + それから、あなたがたは彼に従って上ってきなさい。彼はきて、わたしの位に座し、わたしに代って王となるであろう。わたしは彼を立ててイスラエルとユダの上に主君とする」。 + エホヤダの子ベナヤは王に答えて言った、「アァメン、願わくは、王わが主君の神、主もまたそう仰せられますように。 + 願わくは、主が王わが主君と共におられたように、ソロモンと共におられて、その位をわが主君ダビデ王の位よりも大きくせられますように」。 + そこで祭司ザドクと預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとは下って行って、ソロモンをダビデ王の騾馬に乗せ、彼をギホンに導いて行った。 + 祭司ザドクは幕屋から油の角を取ってきて、ソロモンに油を注いだ。そしてラッパを吹き鳴らし、民は皆「ソロモン王万歳」と言った。 + 民はみな彼に従って上り、笛を吹いて大いに喜び祝った。地は彼らの声で裂けるばかりであった。 + アドニヤおよび彼と共にいた客たちは皆食事を終ったとき、これを聞いた。ヨアブはラッパの音を聞いて言った、「町の中のあの騒ぎは何か」。 + 彼の言葉のなお終らないうちに、そこへ祭司アビヤタルの子ヨナタンがきたので、アドニヤは彼に言った、「はいりなさい。あなたは勇敢な人で、よい知らせを持ってきたのでしょう」。 + ヨナタンは答えてアドニヤに言った、「いいえ、主君ダビデ王はソロモンを王とせられました。 + 王は祭司ザドクと預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとをソロモンと共につかわされたので、彼らはソロモンを王の騾馬に乗せて行き、 + 祭司ザドクと預言者ナタンはギホンで彼に油を注いで王としました。そして彼らがそこから喜んで上って来るので、町が騒がしいのです。あなたが聞いた声はそれなのです。 + こうしてソロモンは王の位に座し、 + かつ王の家来たちがきて、主君ダビデ王に祝いを述べて、『願わくは、あなたの神がソロモンの名をあなたの名よりも高くし、彼の位をあなたの位よりも大きくされますように』と言いました。そして王は床の上で拝されました。 + 王はまたこう言われました、『イスラエルの神、主はほむべきかな。主はきょう、わたしの位に座するひとりの子を与えて、これをわたしに見せてくださった』と」。 + その時アドニヤと共にいた客はみな驚き、立っておのおの自分の道に去って行った。 + そしてアドニヤはソロモンを恐れ、立って行って祭壇の角をつかんだ。 + ある人がこれをソロモンに告げて言った、「アドニヤはソロモンを恐れ、今彼は祭壇の角をつかんで、『どうぞ、ソロモン王がきょう、つるぎをもってしもべを殺さないとわたしに誓ってくださるように』と言っています」。 + ソロモンは言った、「もし彼がよい人となるならば、その髪の毛ひとすじも地に落ちることはなかろう。しかし彼のうちに悪のあることがわかるならば、彼は死ななければならない」。 + ソロモンは人をつかわして彼を祭壇からつれて下らせた。彼がきてソロモンを拝したので、ソロモンは彼に「家に帰りなさい」と言った。 + + + ダビデの死ぬ日が近づいたので、彼はその子ソロモンに命じて言った、 + 「わたしは世のすべての人の行く道を行こうとしている。あなたは強く、男らしくなければならない。 + あなたの神、主のさとしを守り、その道に歩み、その定めと戒めと、おきてとあかしとを、モーセの律法にしるされているとおりに守らなければならない。そうすれば、あなたがするすべての事と、あなたの向かうすべての所で、あなたは栄えるであろう。 + また主がさきにわたしについて語って『もしおまえの子たちが、その道を慎み、心をつくし、精神をつくして真実をもって、わたしの前に歩むならば、おまえに次いでイスラエルの位にのぼる人が、欠けることはなかろう』と言われた言葉を確実にされるであろう。 + またあなたはゼルヤの子ヨアブがわたしにした事、すなわち彼がイスラエルのふたりの軍の長ネルの子アブネルと、エテルの子アマサにした事を知っている。彼はこのふたりを殺して、戦争で流した地を太平の時に報い、罪のない者の血をわたしの腰のまわりの帯と、わたしの足のくつにつけた。 + それゆえ、あなたの知恵にしたがって事を行い、彼のしらがを安らかに陰府に下らせてはならない。 + ただしギレアデびとバルジライの子らには恵みを施し、彼らをあなたの食卓で食事する人々のうちに加えなさい。彼らはわたしがあなたの兄弟アブサロムを避けて逃げた時、わたしを迎えてくれたからである。 + またバホリムのベニヤミンびとゲラの子シメイがあなたと共にいる。彼はわたしがマハナイムへ行った時、激しいのろいの言葉をもってわたしをのろった。しかし彼がヨルダンへ下ってきて、わたしを迎えたので、わたしは主をさして彼に誓い、『わたしはつるぎをもってあなたを殺さない』と言った。 + しかし彼を罪のない者としてはならない。あなたは知恵のある人であるから、彼になすべき事を知っている。あなたは彼のしらがを血に染めて陰府に下らせなければならない」。 + ダビデはその先祖と共に眠って、ダビデの町に葬られた。 + ダビデがイスラエルを治めた日数は四十年であった。すなわちヘブロンで七年、エルサレムで三十三年、王であった。 + このようにしてソロモンは父ダビデの位に座し、国は堅く定まった。 + さて、ハギテの子アドニヤがソロモンの母バテシバのところへきたので、バテシバは言った、「あなたは穏やかな事のためにきたのですか」。彼は言った、「穏やかな事のためです」。 + 彼はまた言った、「あなたに申しあげる事があります」。バテシバは言った、「言いなさい」。 + 彼は言った、「ごぞんじのように、国はわたしのもので、イスラエルの人は皆わたしが王になるものと期待していました。しかし国は転じて、わたしの兄弟のものとなりました。彼のものとなったのは、主から出たことです。 + 今わたしはあなたに一つのお願いがあります。断らないでください」。バテシバは彼に言った、「言いなさい」。 + 彼は言った、「どうかソロモン王に請うて、――王はあなたに断るようなことはないでしょうから――シュナミびとアビシャグをわたしに与えて妻にさせてください」。 + バテシバは言った、「よろしい。わたしはあなたのために王に話しましょう」。 + バテシバはアドニヤのためにソロモン王に話すため、王のもとへ行った。王は立って迎え、彼女を拝して王座に着き、王母のために座を設けさせたので、彼女は王の右に座した。 + そこでバテシバは言った、「あなたに一つの小さいお願いがあります。お断りにならないでください」。王は彼女に言った、「母上よ、あなたの願いを言ってください。わたしは断らないでしょう」。 + 彼女は言った、「どうぞ、シュナミびとアビシャグをあなたの兄弟アドニヤに与えて、妻にさせてください」。 + ソロモン王は答えて母に言った、「どうしてアドニヤのためにシュナミびとアビシャグを求められるのですか。彼のためには国をも求めなさい。彼はわたしの兄で、彼の味方には祭司アビヤタルとゼルヤの子ヨアブがいるのですから」。 + そしてソロモン王は主をさして誓って言った、「もしアドニヤがこの言葉によって自分の命を失うのでなければ、どんなにでもわたしを罰してください。 + わたしを立てて、父ダビデの位にのぼらせ、主が約束されたように、わたしに一家を与えてくださった主は生きておられる。アドニヤはきょう殺されなければならない」。 + ソロモン王はエホヤダの子ベナヤをつかわしたので、彼はアドニヤを撃って殺した。 + 王はまた祭司アビヤタルに言った、「あなたの領地アナトテへ行きなさい。あなたは死に当る者ですが、さきにわたしの父ダビデの前に神、主の箱をかつぎ、またすべてわたしの父が受けた苦しみを、あなたも共に苦しんだので、わたしは、きょうは、あなたを殺しません」。 + そしてソロモンはアビヤタルを主の祭司職から追放した。こうして主がシロでエリの家について言われた主の言葉が成就した。 + さてこの知らせがヨアブに達したので、ヨアブは主の幕屋にのがれて、祭壇の角をつかんだ。ヨアブはアブサロムを支持しなかったけれども、アドニヤを支持したからである。 + ヨアブが主の幕屋にのがれて、祭壇のかたわらにいることを、ソロモン王に告げる者があったので、ソロモン王はエホヤダの子ベナヤをつかわし、「行って彼を撃て」と言った。 + ベナヤは主の幕屋へ行って彼に言った、「王はあなたに、出て来るようにと申されます」。しかし彼は言った、「いや、わたしはここで死にます」。ベナヤは王に復命して言った、「ヨアブはこう申しました。またわたしにこう答えました」。 + そこで王はベナヤに言った、「彼が言うようにし、彼を撃ち殺して葬り、ヨアブがゆえなく流した血のとがをわたしと、わたしの父の家から除き去りなさい。 + 主はまたヨアブが血を流した行為を、彼自身のこうべに報いられるであろう。これは彼が自分よりも正しいすぐれたふたりの人、すなわちイスラエルの軍の長ネルの子アブネルと、ユダの軍の長エテルの子アマサを、つるぎをもって撃ち殺し、わたしの父ダビデのあずかり知らない事をしたからである。 + それゆえ、彼らの血は永遠にヨアブのこうべと、その子孫のこうべに帰すであろう。しかしダビデと、その子孫と、その家と、その位とには、主から賜わる平安が永久にあるであろう」。 + そこでエホヤダの子ベナヤは上っていって、彼を撃ち殺した。彼は荒野にある自分の家に葬られた。 + 王はエホヤダの子ベナヤを、ヨアブに代って軍の長とした。王はまた祭司ザドクをアビヤタルに代らせた。 + また王は人をつかわし、シメイを召して言った、「あなたはエルサレムのうちに、自分のために家を建てて、そこに住み、そこからどこへも出てはならない。 + あなたが出て、キデロン川を渡る日には必ず殺されることを、しかと知らなければならない。あなたの血はあなたのこうべに帰すであろう」。 + シメイは王に言った、「お言葉は結構です。王、わが主の仰せられるとおりに、しもべはいたしましょう」。こうしてシメイは久しくエルサレムに住んだ。 + ところが三年の後、シメイのふたりの奴隷が、ガテの王マアカの子アキシのところへ逃げ去った。人々がシメイに告げて、「ごらんなさい、あなたの奴隷はガテにいます」と言ったので、 + シメイは立って、ろばにくらを置き、ガテのアキシのところへ行って、その奴隷を尋ねた。すなわちシメイは行ってその奴隷をガテから連れてきたが、 + シメイがエルサレムからガテへ行って帰ったことがソロモン王に聞えたので、 + 王は人をつかわし、シメイを召して言った、「わたしはあなたに主をさして誓わせ、かつおごそかにあなたを戒めて、『あなたが出て、どこかへ行く日には、必ず殺されることを、しかと知らなければならない』と言ったではないか。そしてあなたは、わたしに『お言葉は結構です。従います』と言った。 + ところで、あなたはなぜ主に対する誓いと、わたしが命じた命令を守らなかったのか」。 + 王はまたシメイに言った、「あなたは自分の心に、あなたがわたしの父ダビデにしたもろもろの悪を知っている。主はあなたの悪をあなたのこうべに報いられるであろう。 + しかしソロモン王は祝福をうけ、ダビデの位は永久に主の前に堅く立つであろう」。 + 王がエホヤダの子ベナヤに命じたので、彼は出ていってシメイを撃ち殺した。こうして国はソロモンの手に堅く立った。 + + + ソロモン王はエジプトの王パロと縁を結び、パロの娘をめとってダビデの町に連れてきて、自分の家と、主の宮と、エルサレムの周囲の城壁を建て終るまでそこにおらせた。 + そのころまで主の名のために建てた宮がなかったので、民は高き所で犠牲をささげていた。 + ソロモンは主を愛し、父ダビデの定めに歩んだが、ただ彼は高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + ある日、王はギベオンへ行って、そこで犠牲をささげようとした。それが主要な高き所であったからである。ソロモンは一千の燔祭をその祭壇にささげた。 + ギベオンで主は夜の夢にソロモンに現れて言われた、「あなたに何を与えようか、求めなさい」。 + ソロモンは言った、「あなたのしもべであるわたしの父ダビデがあなたに対して誠実と公義と真心とをもって、あなたの前に歩んだので、あなたは大いなるいつくしみを彼に示されました。またあなたは彼のために、この大いなるいつくしみをたくわえて、今日、彼の位に座する子を授けられました。 + わが神、主よ、あなたはこのしもべを、わたしの父ダビデに代って王とならせられました。しかし、わたしは小さい子供であって、出入りすることを知りません。 + かつ、しもべはあなたが選ばれた、あなたの民、すなわちその数が多くて、数えることも、調べることもできないほどのおびただしい民の中におります。 + それゆえ、聞きわける心をしもべに与えて、あなたの民をさばかせ、わたしに善悪をわきまえることを得させてください。だれが、あなたのこの大いなる民をさばくことができましょう」。 + ソロモンはこの事を求めたので、そのことが主のみこころにかなった。 + そこで神は彼に言われた、「あなたはこの事を求めて、自分のために長命を求めず、また自分のために富を求めず、また自分の敵の命をも求めず、ただ訴えをききわける知恵を求めたゆえに、 + 見よ、わたしはあなたの言葉にしたがって、賢い、英明な心を与える。あなたの先にはあなたに並ぶ者がなく、あなたの後にもあなたに並ぶ者は起らないであろう。 + わたしはまたあなたの求めないもの、すなわち富と誉をもあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちのうちにあなたに並ぶ者はないであろう。 + もしあなたが、あなたの父ダビデの歩んだように、わたしの道に歩んで、わたしの定めと命令とを守るならば、わたしはあなたの日を長くするであろう」。 + ソロモンが目をさましてみると、それは夢であった。そこで彼はエルサレムへ行き、主の契約の箱の前に立って燔祭と酬恩祭をささげ、すべての家来のために祝宴を設けた。 + さて、ふたりの遊女が王のところにきて、王の前に立った。 + ひとりの女は言った、「ああ、わが主よ、この女とわたしとはひとつの家に住んでいますが、わたしはこの女と一緒に家にいる時、子を産みました。 + ところがわたしの産んだ後、三日目にこの女もまた子を産みました。そしてわたしたちは一緒にいましたが、家にはほかにだれもわたしたちと共にいた者はなく、ただわたしたちふたりだけでした。 + ところがこの女は自分の子の上に伏したので、夜のうちにその子は死にました。 + 彼女は夜中に起きて、はしための眠っている間に、わたしの子をわたしのかたわらから取って、自分のふところに寝かせ、自分の死んだ子をわたしのふところに寝かせました。 + わたしは朝、子に乳を飲ませようとして起きて見ると死んでいました。しかし朝になってよく見ると、それはわたしが産んだ子ではありませんでした」。 + ほかの女は言った、「いいえ、生きているのがわたしの子です。死んだのはあなたの子です」。初めの女は言った、「いいえ、死んだのがあなたの子です。生きているのはわたしの子です」。彼らはこのように王の前に言い合った。 + この時、王は言った、「ひとりは『この生きているのがわたしの子で、死んだのがあなたの子だ』と言い、またひとりは『いいえ、死んだのがあなたの子で、生きているのはわたしの子だ』と言う」。 + そこで王は「刀を持ってきなさい」と言ったので、刀を王の前に持ってきた。 + 王は言った、「生きている子を二つに分けて、半分をこちらに、半分をあちらに与えよ」。 + すると生きている子の母である女は、その子のために心がやけるようになって、王に言った、「ああ、わが主よ、生きている子を彼女に与えてください。決してそれを殺さないでください」。しかしほかのひとりは言った、「それをわたしのものにも、あなたのものにもしないで、分けてください」。 + すると王は答えて言った、「生きている子を初めの女に与えよ。決して殺してはならない。彼女はその母なのだ」。 + イスラエルは皆王が与えた判決を聞いて王を恐れた。神の知恵が彼のうちにあって、さばきをするのを見たからである。 + + + ソロモン王はイスラエルの全地の王であった。 + 彼の高官たちは次のとおりである。ザドクの子アザリヤは祭司。 + シシャの子エリホレフとアヒヤは書記官。アヒルデの子ヨシャバテは史官。 + エホヤダの子ベナヤは軍の長。ザドクとアビヤタルは祭司。 + ナタンの子アザリヤは代官の長。ナタンの子ザブデは祭司で、王の友であった。 + アヒシャルは宮内卿。アブダの子アドニラムは徴募の長であった。 + ソロモンはまたイスラエルの全地に十二人の代官を置いた。その人々は王とその家のために食物を備えた。すなわちおのおの一年に一月ずつ食物を備えるのであった。 + その名は次のとおりである。エフライムの山地にはベンホル。 + マカヅと、シャラビムと、ベテシメシと、エロン・ベテハナンにはベンデケル。 + アルボテにはベンヘセデ、(彼はソコとヘペルの全地を担当した)。 + ドルの高地の全部にはベン・アビナダブ、(彼はソロモンの娘タパテを妻とした)。 + アヒルデの子バアナはタアナクとメギドと、エズレルの下、ザレタンのかたわらにあるベテシャンの全地を担当して、ベテシャンからアベル・メホラに至り、ヨクメアムの向こうにまで及んだ。 + ラモテ・ギレアデにはベンゲベル、(彼はギレアデにあるマナセの子ヤイルの村々を担当し、またバシャンにあるアルゴブの地方の城壁と青銅の貫の木のある大きな町六十を担当した)。 + マハナイムにはイドの子アヒナダブ。 + ナフタリにはアヒマアズ、(彼もソロモンの娘バスマテを妻にめとった)。 + アセルとベアロテにはホシャイの子バアナ。 + イッサカルにはパルアの子ヨシャパテ。 + ベニヤミンにはエラの子シメイ。 + アモリびとの王シホンの地およびバシャンの王オグの地なるギレアデの地にはウリの子ゲベル。彼はその地のただひとりの代官であった。 + ユダとイスラエルの人々は多くて、海べの砂のようであったが、彼らは飲み食いして楽しんだ。 + ソロモンはユフラテ川からペリシテびとの地と、エジプトの境に至るまでの諸国を治めたので、皆みつぎ物を携えてきて、ソロモンの一生のあいだ仕えた。 + さてソロモンの一日の食物は細かい麦粉三十コル、荒い麦粉六十コル、 + 肥えた牛十頭、牧場の牛二十頭、羊百頭で、そのほかに雄じか、かもしか、こじか、および肥えた鳥があった。 + これはソロモンがユフラテ川の西の地方をテフサからガザまで、ことごとく治めたからである。すなわち彼はユフラテ川の西の諸王をことごとく治め、周囲至る所に平安を得た。 + ソロモンの一生の間、ユダとイスラエルはダンからベエルシバに至るまで、安らかにおのおの自分たちのぶどうの木の下と、いちじくの木の下に住んだ。 + ソロモンはまた戦車の馬の、うまや四千と、騎兵一万二千を持っていた。 + そしてそれらの代官たちはおのおの当番の月にソロモン王のため、およびすべてソロモン王の食卓に連なる者のために、食物を備えて欠けることのないようにした。 + また彼らはおのおのその割当にしたがって馬および早馬に食わせる大麦とわらを、その馬のいる所に持ってきた。 + 神はソロモンに非常に多くの知恵と悟りを授け、また海べの砂原のように広い心を授けられた。 + ソロモンの知恵は東の人々の知恵とエジプトのすべての知恵にまさった。 + 彼はすべての人よりも賢く、エズラびとエタンよりも、またマホルの子ヘマン、カルコル、ダルダよりも賢く、その名声は周囲のすべての国々に聞えた。 + 彼はまた箴言三千を説いた。またその歌は一千五首あった。 + 彼はまた草木のことを論じてレバノンの香柏から石がきにはえるヒソプにまで及んだ。彼はまた獣と鳥と這うものと魚のことを論じた。 + 諸国の人々はソロモンの知恵を聞くためにきた。地の諸王はソロモンの知恵を聞いて人をつかわした。 + + + さてツロの王ヒラムは、ソロモンが油を注がれ、その父に代って、王となったのを聞いて、家来をソロモンにつかわした。ヒラムは常にダビデを愛したからである。 + そこでソロモンはヒラムに人をつかわして言った、 + 「あなたの知られるとおり、父ダビデはその周囲にあった敵との戦いのゆえに、彼の神、主の名のために宮を建てることができず、主が彼らをその足の裏の下に置かれるのを待ちました。 + ところが今わが神、主はわたしに四方の太平を賜わって、敵もなく、災もなくなったので、 + 主が父ダビデに『おまえに代って、おまえの位に、わたしがつかせるおまえの子、その人がわが名のために宮を建てるであろう』と言われたように、わが神、主の名のために宮を建てようと思います。 + それゆえ、あなたは命令を下して、レバノンの香柏をわたしのために切り出させてください。わたしのしもべたちをあなたのしもべたちと一緒に働かせます。またわたしはすべてあなたのおっしゃるとおり、あなたのしもべたちの賃銀をあなたに払います。あなたの知られるとおり、わたしたちのうちにはシドンびとのように木を切るに巧みな人がないからです」。 + ヒラムはソロモンの言葉を聞いて大いに喜び、「きょう、主はあがむべきかな。主はこのおびただしい民を治める賢い子をダビデに賜わった」と言った。 + そしてヒラムはソロモンに人をつかわして言った、「わたしはあなたが申しおくられたことを聞きました。香柏の材木と、いとすぎの材木については、すべてお望みのようにいたします。 + わたしのしもべどもにそれをレバノンから海に運びおろさせましょう。わたしはそれをいかだに組んで、海路、あなたの指示される場所まで送り、そこでそれをくずしましょう。あなたはそれを受け取ってください。また、あなたはわたしの家のために食物を供給して、わたしの望みをかなえてください」。 + こうしてヒラムはソロモンにすべて望みのように香柏の材木と、いとすぎの材木を与えた。 + またソロモンはヒラムにその家の食物として小麦二万コルを与え、またオリブをつぶして取った油二万コルを与えた。このようにソロモンは年々ヒラムに与えた。 + 主は約束されたようにソロモンに知恵を賜わった。またヒラムとソロモンの間は平和であって、彼らふたりは条約を結んだ。 + ソロモン王はイスラエルの全地から強制的に労働者を徴募した。その徴募人員は三万人であった。 + ソロモンは彼らを一か月交代に一万人ずつレバノンにつかわした。すなわち一か月レバノンに、二か月家にあり、アドニラムは徴募の監督であった。 + ソロモンにはまた荷を負う者が七万人、山で石を切る者が八万人あった。 + ほかにソロモンには工事を監督する上役の官吏が三千三百人あって、工事に働く民を監督した。 + 王は命じて大きい高価な石を切り出させ、切り石をもって宮の基をすえさせた。 + こうしてソロモンの建築者と、ヒラムの建築者およびゲバルびとは石を切り、材木と石とを宮を建てるために備えた。 + + + イスラエルの人々がエジプトの地を出て後四百八十年、ソロモンがイスラエルの王となって第四年のジフの月すなわち二月に、ソロモンは主のために宮を建てることを始めた。 + ソロモン王が主のために建てた宮は長さ六十キュビト、幅二十キュビト、高さ三十キュビトであった。 + 宮の拝殿の前の廊は宮の幅にしたがって長さ二十キュビト、その幅は宮の前で十キュビトであった。 + 彼は宮に、内側の広い枠の窓を造った。 + また宮の壁につけて周囲に脇屋を設け、宮の壁すなわち拝殿と本殿の壁の周囲に建てめぐらし、宮の周囲に脇間があるようにした。 + 下の脇間は広さ五キュビト、中の広さ六キュビト、第三のは広さ七キュビトであった。宮の外側には壁に段を造って、梁を宮の壁の中に差し込まないようにした。 + 宮は建てる時に、石切り場で切り整えた石をもって造ったので、建てている間は宮のうちには、つちも、おのも、その他の鉄器もその音が聞えなかった。 + 下の脇間の入口は宮の右側にあり、回り階段によって中の脇間に、中の脇間から第三の脇間にのぼった。 + こうして彼は宮を建て終り、香柏のたるきと板をもって宮の天井を造った。 + また宮につけて、おのおの高さ五キュビトの脇間のある脇屋を建てめぐらし、香柏の材木をもって宮に接続させた。 + そこで主の言葉がソロモンに臨んだ、 + 「あなたが建てるこの宮については、もしあなたがわたしの定めに歩み、おきてを行い、すべての戒めを守り、それに従って歩むならば、わたしはあなたの父ダビデに約束したことを成就する。 + そしてわたしはイスラエルの人々のうちに住み、わたしの民イスラエルを捨てることはない」。 + こうしてソロモンは宮を建て終った。 + 彼は香柏の板をもって宮の壁の内側を張った。すなわち宮の床から天井のたるきまで香柏の板で張った。また、いとすぎの板をもって宮の床を張った。 + また宮の奥に二十キュビトの室を床から天井のたるきまで香柏の板をもって造った。すなわち宮の内に至聖所としての本堂を造った。 + 宮すなわち本殿の前にある拝殿は長さ四十キュビトであった。 + 宮の内側の香柏の板は、ひさごの形と、咲いた花を浮彫りにしたもので、みな香柏の板で、石は見えなかった。 + そして主の契約の箱を置くために、宮の内の奥に本殿を設けた。 + 本殿は長さ二十キュビト、幅二十キュビト、高さ二十キュビトであって、純金でこれをおおった。また香柏の祭壇を造った。 + ソロモンは純金をもって宮の内側をおおい、本殿の前に金の鎖をもって隔てを造り、金をもってこれをおおった。 + また金をもって残らず宮をおおい、ついに宮を飾ることをことごとく終えた。また本殿に属する祭壇をことごとく金でおおった。 + 本殿のうちにオリブの木をもって二つのケルビムを造った。その高さはおのおの十キュビト。 + そのケルブの一つの翼の長さは五キュビト、またそのケルブの他の翼の長さも五キュビトであった。一つの翼の端から他の翼の端までは十キュビトあった。 + 他のケルブも十キュビトであって、二つのケルビムは同じ寸法、同じ形であった。 + このケルブの高さは十キュビト、かのケルブの高さも同じであった。 + ソロモンは宮のうちの奥にケルビムをすえた。ケルビムの翼を伸ばしたところ、このケルブの翼はこの壁に達し、かのケルブの翼はかの壁に達し、他の二つの翼は宮の中で互に触れ合った。 + 彼は金をもってそのケルビムをおおった。 + 彼は宮の周囲の壁に、内外の室とも皆ケルビムと、しゅろの木と、咲いた花の形の彫り物を刻み、 + 宮の床は、内外の室とも金でおおった。 + 本殿の入口にはオリブの木のとびらを造った。そのとびらの上のかまちと脇柱とで五辺形をなしていた。 + その二つのとびらもオリブの木であって、ソロモンはその上にケルビムと、しゅろの木と、咲いた花の形を刻み、金をもっておおった。すなわちケルビムと、しゅろの木の上に金を着せた。 + こうしてソロモンはまた拝殿の入口のためにオリブの木で四角の形に脇柱を造った。 + その二つのとびらはいとすぎであって、一つのとびらは二つにたたむ折り戸であり、他のとびらも二つにたたむ折り戸であった。 + ソロモンはその上にケルビムと、しゅろの木と、咲いた花を刻み、金をもって彫り物の上を形どおりにおおった。 + また切り石三かさねと、香柏の角材ひとかさねとをもって内庭を造った。 + 第四年のジフの月に主の宮の基をすえ、 + 第十一年のブルの月すなわち八月に、宮のすべての部分が設計どおりに完成した。ソロモンはこれを建てるのに七年を要した。 + + + またソロモンは自分の家を建てたが、十三年かかってその家を全部建て終った。 + 彼はレバノンの森の家を建てた。長さ百キュビト、幅五十キュビト、高さ三十キュビトで、三列の香柏の柱があり、その柱の上に香柏の梁があった。 + 四十五本の柱の上にある室は香柏の板でおおった。柱は各列十五本あった。 + また窓わくが三列あって、窓と窓と三段に向かい合っていた。 + 戸口と窓はみな四角の枠をもち、窓と窓と三段に向かい合った。 + また柱の広間を造った。長さ五十キュビト、幅三十キュビトであった。柱の前に一つの広間があり、その玄関に柱とひさしがあった。 + またソロモンはみずから審判をするために玉座の広間、すなわち審判の広間を造った。床からたるきまで香柏をもっておおった。 + ソロモンが住んだ宮殿はその広間のうしろの他の庭にあって、その造作は同じであった。ソロモンはまた彼がめとったパロの娘のために家を建てたが、その広間と同じであった。 + これらはみな内外とも、土台から軒まで、また主の宮の庭から大庭まで、寸法に合わせて切った石、すなわち、のこぎりでひいた高価な石で造られた。 + また土台は高価な石、大きな石、すなわち八キュビトの石、十キュビトの石であった。 + その上には寸法に合わせて切った高価な石と香柏とがあった。 + また大庭の周囲には三かさねの切り石と、一かさねの香柏の角材があった。主の宮の内庭と宮殿の広間の庭の場合と同じである。 + ソロモン王は人をつかわしてツロからヒラムを呼んできた。 + 彼はナフタリの部族の寡婦の子であって、その父はツロの人で、青銅の細工人であった。ヒラムは青銅のいろいろな細工をする知恵と悟りと知識に満ちた者であったが、ソロモン王のところにきて、そのすべての細工をした。 + 彼は青銅の柱二本を鋳た。一本の柱の高さは十八キュビト、そのまわりは綱をもって測ると十二キュビトあり、指四本の厚さで空洞であった。他の柱も同じである。 + また青銅を溶かして柱頭二つを造り、柱の頂にすえた。その一つの柱頭の高さは五キュビト、他の柱頭の高さも五キュビトであった。 + 柱の頂にある柱頭のために鎖に編んだ飾りひもで市松模様の網細工二つを造った。すなわちこの柱頭のために一つ、かの柱頭のために一つを造った。 + またざくろを造った。すなわち二並びのざくろを一つの網細工の上のまわりに造って、柱の頂にある柱頭を巻いた。他の柱頭にも同じようにした。 + この廊の柱の頂にある柱頭の上に四キュビトのゆりの花の細工があった。 + 二つの柱の上端の丸い突出部の上にある網細工の柱頭の周囲には、おのおの二百のざくろが二並びになっていた。 + この柱を神殿の廊に立てた。すなわち南に柱を立てて、その名をヤキンと名づけ、北に柱を立てて、その名をボアズと名づけた。 + その柱の頂にはゆりの花の細工があった。こうしてその柱の造作ができあがった。 + また海を鋳て造った。縁から縁まで十キュビトであって、周囲は円形をなし、高さ五キュビトで、その周囲は綱をもって測ると三十キュビトであった。 + その縁の下には三十キュビトの周囲をめぐるひさごがあって、海の周囲を囲んでいた。そのひさごは二並びで、海を鋳る時に鋳たものである。 + その海は十二の牛の上に置かれ、その三つは北に向かい、三つは西に向かい、三つは南に向かい、三つは東に向かっていた。海はその上に置かれ、牛のうしろは皆内に向かっていた。 + 海の厚さは手の幅で、その縁は杯の縁のように、ゆりの花に似せて造られた。海には水が二千バテはいった。 + また青銅の台を十個造った。台は長さ四キュビト、幅四キュビト、高さ三キュビトであった。 + その台の構造は次のとおりである。台には鏡板があり、鏡板は枠の中にあった。 + 枠の中にある鏡板には、ししと牛とケルビムとがあり、また、ししと牛の上と下にある枠の斜面には花飾りが細工してあった。 + また台にはおのおの四つの青銅の車輪と、青銅の車軸があり、その四すみには洗盤のささえがあった。そのささえは、おのおの花飾りのかたわらに鋳て造りつけてあった。 + その口は一キュビト上に突き出て、台の頂の内にあり、その口は丸く、台座のように造られ、深さ一キュビト半であった。またその口には彫り物があった。その鏡板は四角で、丸くなかった。 + 四つの車輪は鏡板の下にあり、車軸は台に取り付けてあり、車輪の高さはおのおの一キュビト半であった。 + 車輪の構造は戦車の車輪の構造と同じで、その車軸と縁と輻と轂とはみな鋳物であった。 + おのおのの台の四すみに四つのささえがあり、そのささえは台の一部をなしていた。 + 台の上には高さ半キュビトの丸い帯輪があった。そして台の上にあるその支柱と鏡板とはその一部をなしていた。 + その支柱の表面と鏡板にはそれぞれの場所に、ケルビムと、ししと、しゅろを刻み、またその周囲に花飾りを施した。 + このようにして十個の台を造った。それはみな同じ鋳方、同じ寸法、同じ形であった。 + また青銅の洗盤を十個造った。洗盤はおのおの四十バテの水がはいり、洗盤はおのおの四キュビトであった。十個の台の上にはおのおの一つずつの洗盤があった。 + その台の五個を宮の南の方に、五個を宮の北の方に置き、宮の東南の方に海をすえた。 + ヒラムはまたつぼと十能と鉢を造った。こうしてヒラムはソロモン王のために主の宮のすべての細工をなし終えた。 + すなわち二本の柱と、その柱の頂にある柱頭の二つの玉と、柱の頂にある柱頭の二つの玉をおおう二つの網細工と、 + その二つの網細工のためのざくろ四百。このざくろは一つの網細工に、二並びにつけて、柱の頂にある柱頭の二つの玉を巻いた。 + また十個の台と、その台の上の十個の洗盤と、 + 一つの海と、その海の下の十二の牛とであった。 + さてつぼと十能と鉢、すなわちヒラムがソロモン王のために造った主の宮のこれらの器はみな光のある青銅であった。 + 王はヨルダンの低地で、スコテとザレタンの間の粘土の地でこれらを鋳た。 + ソロモンはその器が非常に多かったので、皆それをはからずにおいた。その青銅の重さは、はかり得なかった。 + またソロモンは主の宮にあるもろもろの器を造った。すなわち金の祭壇と、供えのパンを載せる金の机、 + および純金の燭台。この燭台は本殿の前に、五つは南に、五つは北にあった。また金の花と、ともしび皿と、心かきと、 + 純金の皿と、心切りばさみと、鉢と、香の杯と、心取り皿と、至聖所である宮の奥のとびらのためおよび、宮の拝殿のとびらのために、金のひじつぼを造った。 + こうしてソロモン王が主の宮のために造るすべての細工は終った。そしてソロモンは父ダビデがささげた物、すなわち金銀および器物を携え入り、主の宮の宝蔵の中にたくわえた。 + + + ソロモンは主の契約の箱をダビデの町、すなわちシオンからかつぎ上ろうとして、イスラエルの長老たちと、すべての部族のかしらたちと、イスラエルの人々の氏族の長たちをエルサレムでソロモン王のもとに召し集めた。 + イスラエルの人は皆エタニムの月すなわち七月の祭にソロモン王のもとに集まった。 + イスラエルの長老たちが皆来たので、祭司たちは箱を取りあげた。 + そして彼らは主の箱と、会見の幕屋と、幕屋にあるすべての聖なる器をかつぎ上った。すなわち祭司とレビびとがこれらの物をかつぎ上った。 + ソロモン王および彼のもとに集まったイスラエルの会衆は皆彼と共に箱の前で、羊と牛をささげたが、その数が多くて調べることも数えることもできなかった。 + 祭司たちは主の契約の箱をその場所にかつぎ入れた。すなわち宮の本殿である至聖所のうちのケルビムの翼の下に置いた。 + ケルビムは翼を箱の所に伸べていたので、ケルビムは上から箱とそのさおをおおった。 + さおは長かったので、さおの端が本殿の前の聖所から見えた。しかし外には見えなかった。そのさおは今日までそこにある。 + 箱の内には二つの石の板のほか何もなかった。これはイスラエルの人々がエジプトの地から出たとき、主が彼らと契約を結ばれたときに、モーセがホレブで、それに納めたものである。 + そして祭司たちが聖所から出たとき、雲が主の宮に満ちたので、 + 祭司たちは雲のために立って仕えることができなかった。主の栄光が主の宮に満ちたからである。 + そこでソロモンは言った、「主は日を天に置かれた。しかも主は自ら濃き雲の中に住まおうと言われた。 + わたしはあなたのために高き家、とこしえのみすまいを建てた」。 + 王は身をめぐらして、イスラエルのすべての会衆を祝福した。その時イスラエルのすべての会衆は立っていた。 + 彼は言った、「イスラエルの神、主はほむべきかな。主はその口をもってわたしの父ダビデに約束されたことを、その手をもってなし遂げられた。主は言われた、 + 『わが民イスラエルをエジプトから導き出した日から、わたしはわたしの名を置くべき宮を建てるために、イスラエルのもろもろの部族のうちから、どの町をも選んだことがなかった。ただダビデを選んで、わが民イスラエルの上に立たせた』と。 + イスラエルの神、主の名のために宮を建てることは、わたしの父ダビデの心にあった。 + しかし主はわたしの父ダビデに言われた、『わたしの名のために宮を建てることはあなたの心にあった。あなたの心にこの事のあったのは結構である。 + けれどもあなたはその宮を建ててはならない。あなたの身から出るあなたの子がわたしの名のために宮を建てるであろう』と。 + そして主はその言われた言葉を行われた。すなわちわたしは父ダビデに代って立ち、主が言われたように、イスラエルの位に座し、イスラエルの神、主の名のために宮を建てた。 + わたしはまたそこに主の契約を納めた箱のために一つの場所を設けた。その契約は主がわれわれの先祖をエジプトの地から導き出された時に、彼らと結ばれたものである」。 + ソロモンはイスラエルの全会衆の前で、主の祭壇の前に立ち、手を天に伸べて、 + 言った、「イスラエルの神、主よ、上の天にも、下の地にも、あなたのような神はありません。あなたは契約を守られ、心をつくしてあなたの前に歩むあなたのしもべらに、いつくしみを施し、 + あなたのしもべであるわたしの父ダビデに約束されたことを守られました。あなたが口をもって約束されたことを、手をもってなし遂げられたことは、今日見るとおりであります。 + それゆえ、イスラエルの神、主よ、あなたのしもべであるわたしの父ダビデに、あなたが約束して『おまえがわたしの前に歩んだように、おまえの子孫が、その道を慎んで、わたしの前に歩むならば、おまえにはイスラエルの位に座する人が、わたしの前に欠けることはないであろう』と言われたことを、ダビデのために守ってください。 + イスラエルの神よ、どうぞ、あなたのしもべであるわたしの父ダビデに言われた言葉を確認してください。 + しかし神は、はたして地上に住まわれるでしょうか。見よ、天も、いと高き天もあなたをいれることはできません。ましてわたしの建てたこの宮はなおさらです。 + しかしわが神、主よ、しもべの祈と願いを顧みて、しもべがきょう、あなたの前にささげる叫びと祈をお聞きください。 + あなたが『わたしの名をそこに置く』と言われた所、すなわち、この宮に向かって夜昼あなたの目をお開きください。しもべがこの所に向かって祈る祈をお聞きください。 + しもべと、あなたの民イスラエルがこの所に向かって祈る時に、その願いをお聞きください。あなたのすみかである天で聞き、聞いておゆるしください。 + もし人がその隣り人に対して罪を犯し、誓いをすることを求められる時、来てこの宮であなたの祭壇の前に誓うならば、 + あなたは天で聞いて行い、あなたのしもべらをさばき、悪人を罰して、そのおこないの報いをそのこうべに帰し、義人を義として、その義にしたがって、その人に報いてください。 + もしあなたの民イスラエルが、あなたに対して罪を犯したために敵の前に敗れた時、あなたに立ち返って、あなたの名をあがめ、この宮であなたに祈り願うならば、 + あなたは天にあって聞き、あなたの民イスラエルの罪をゆるして、あなたが彼らの先祖に賜わった地に彼らを帰らせてください。 + もし彼らがあなたに罪を犯したために、天が閉ざされて雨がなく、あなたが彼らを苦しめられる時、彼らがこの所に向かって祈り、あなたの名をあがめ、その罪を離れるならば、 + あなたは天で聞き、あなたのしもべ、あなたの民イスラエルの罪をゆるし、彼らに歩むべき良い道を教えて、あなたが、あなたの民に嗣業として与えられた地に雨を降らせてください。 + もし国にききんがあるか、もしくは疫病、立ち枯れ、腐り穂、いなご、青虫があるか、もしくは敵のために町の中に攻め囲まれることがあるか、どんな災害、どんな病気があっても、 + もし、だれでも、あなたの民イスラエルがみな、おのおのその心の悩みを知って、この宮に向かい、手を伸べるならば、どんな祈、どんな願いでも、 + あなたは、あなたのすみかである天で聞いてゆるし、かつ行い、おのおのの人に、その心を知っておられるゆえ、そのすべての道にしたがって報いてください。ただ、あなただけ、すべての人の心を知っておられるからです。 + あなたが、われわれの先祖に賜わった地に、彼らの生きながらえる日の間、常にあなたを恐れさせてください。 + またあなたの民イスラエルの者でなく、あなたの名のために遠い国から来る異邦人が、 + ――それは彼らがあなたの大いなる名と、強い手と、伸べた腕とについて聞き及ぶからです、――もしきて、この宮に向かって祈るならば、 + あなたは、あなたのすみかである天で聞き、すべて異邦人があなたに呼び求めることをかなえさせてください。そうすれば、地のすべての民は、あなたの民イスラエルのように、あなたの名を知り、あなたを恐れ、またわたしが建てたこの宮があなたの名によって呼ばれることを知るにいたるでしょう。 + あなたの民が敵と戦うために、あなたがつかわされる道を通って出て行くとき、もし彼らがあなたの選ばれた町、わたしがあなたの名のために建てた宮の方に向かって、主に祈るならば、 + あなたは天で、彼らの祈と願いを聞いて彼らをお助けください。 + 彼らがあなたに対して罪を犯すことがあって、――人は罪を犯さない者はないのです、――あなたが彼らを怒り、彼らを敵にわたし、敵が彼らを捕虜として遠近にかかわらず、敵の地に引いて行く時、 + もし彼らが捕われていった地で、みずから省みて悔い、自分を捕えていった者の地で、あなたに願い、『われわれは罪を犯しました、そむいて悪を行いました』と言い、 + 自分を捕えていった敵の地で、心をつくし、精神をつくしてあなたに立ち返り、あなたが彼らの先祖に与えられた地、あなたが選ばれた町、わたしがあなたの名のために建てた宮の方に向かって、あなたに祈るならば、 + あなたのすみかである天で、彼らの祈と願いを聞いて、彼らを助け、 + あなたの民が、あなたに対して犯した罪と、あなたに対して行ったすべてのあやまちをゆるし、彼らを捕えていった者の前で、彼らにあわれみを得させ、その人々が彼らをあわれむようにしてください。 + (彼らはあなたがエジプトから、鉄のかまどの中から導き出されたあなたの民、あなたの嗣業であるからです)。 + どうぞ、しもべの願いと、あなたの民イスラエルの願いに、あなたの目を開き、すべてあなたに呼び求める時、彼らの願いをお聞きください。 + あなたは彼らを地のすべての民のうちから区別して、あなたの嗣業とされたからです。主なる神よ、あなたがわれわれの先祖をエジプトから導き出された時、モーセによって言われたとおりです」。 + ソロモンはこの祈と願いをことごとく主にささげ終ると、それまで天に向かって手を伸べ、ひざまずいていた主の祭壇の前から立ちあがり、 + 立って大声でイスラエルの全会衆を祝福して言った、 + 「主はほむべきかな。主はすべて約束されたように、その民イスラエルに太平を賜わった。そのしもべモーセによって仰せられたその良き約束は皆一つもたがわなかった。 + われわれの神がわれわれの先祖と共におられたように、われわれと共におられるように。われわれを離れず、またわれわれを見捨てられないように。 + われわれの心を主に傾けて、主のすべての道に歩ませ、われわれの先祖に命じられた戒めと定めと、おきてとを守らせられるように。 + 主の前にわたしが述べたこれらの願いの言葉が、日夜われわれの神、主に覚えられるように。そして主は日々の事に、しもべを助け、主の民イスラエルを助けられるように。 + そうすれば、地のすべての民は主が神であることと、他に神のないことを知るに至るであろう。 + それゆえ、あなたがたは、今日のようにわれわれの神、主に対して、心は全く真実であり、主の定めに歩み、主の戒めを守らなければならない」。 + そして王および王と共にいるすべてのイスラエルびとは主の前に犠牲をささげた。 + ソロモンは酬恩祭として牛二万二千頭、羊十二万頭を主にささげた。こうして王とイスラエルの人々は皆主の宮を奉献した。 + その日、王は主の宮の前にある庭の中を聖別し、その所で燔祭と素祭と酬恩祭の脂肪をささげた。これは主の前にある青銅の祭壇が素祭と酬恩祭の脂肪とを受けるに足りなかったからである。 + その時ソロモンは七日の間われわれの神、主の前に祭を行った。ハマテの入口からエジプトの川に至るまでのすべてのイスラエルびとの大いなる会衆が彼と共にいた。 + 八日目にソロモンは民を帰らせた。民は王を祝福し、主がそのしもべダビデと、その民イスラエルとに施されたもろもろの恵みを喜び、心に楽しんでその天幕に帰って行った。 + + + ソロモンが主の宮と王の宮殿およびソロモンが建てようと望んだすべてのものを建て終った時、 + 主はかつてギベオンでソロモンに現れられたように再び現れて、 + 彼に言われた、「あなたが、わたしの前に願った祈と願いとを聞いた。わたしはあなたが建てたこの宮を聖別して、わたしの名を永久にそこに置く。わたしの目と、わたしの心は常にそこにあるであろう。 + あなたがもし、あなたの父ダビデが歩んだように全き心をもって正しくわたしの前に歩み、すべてわたしが命じたようにおこなって、わたしの定めと、おきてとを守るならば、 + わたしは、あなたの父ダビデに約束して『イスラエルの王位にのぼる人があなたに欠けることはないであろう』と言ったように、あなたのイスラエルに王たる位をながく確保するであろう。 + しかし、あなたがた、またはあなたがたの子孫がそむいてわたしに従わず、わたしがあなたがたの前に置いた戒めと定めとを守らず、他の神々に行って、それに仕え、それを拝むならば、 + わたしはイスラエルを、わたしが与えた地のおもてから断つであろう。またわたしの名のために聖別した宮をわたしの前から投げすてるであろう。そしてイスラエルはもろもろの民のうちにことわざとなり、笑い草となるであろう。 + かつ、この宮は荒塚となり、そのかたわらを過ぎる者は皆驚き、うそぶいて『なにゆえ、主はこの地と、この宮とにこのようにされたのか』と言うであろう。 + その時人々は答えて『彼らは自分の先祖をエジプトの地から導き出した彼らの神、主を捨てて、他の神々につき従い、それを拝み、それに仕えたために、主はこのすべての災を彼らの上に下したのである』と言うであろう」。 + ソロモンは二十年を経て二つの家すなわち主の宮と王の宮殿とを建て終った時、 + ツロの王ヒラムがソロモンの望みに任せて香柏と、いとすぎと、金とを供給したので、ソロモン王はガリラヤの地の町二十をヒラムに与えた。 + しかしヒラムがツロから来て、ソロモンが彼に与えた町々を見たとき、それらは彼の気にいらなかったので、 + 彼は、「兄弟よ、あなたがくださったこれらの町々は、いったいなんですか」と言った。それで、そこは今日までカブルの地と呼ばれている。 + ヒラムはかつて金百二十タラントを王に贈った。 + ソロモン王が強制的に労働者を徴募したのはこうである。すなわち主の宮と自分の宮殿と、ミロとエルサレムの城壁と、ハゾルとメギドとゲゼルを建てるためであった。 + (エジプトの王パロはかつて上ってきて、ゲゼルを取り、火でこれを焼き、その町に住んでいたカナンびとを殺し、これをソロモンの妻である自分の娘に与えて婚姻の贈り物としたので、 + ソロモンはそのゲゼルを建て直した)。また下ベテホロンと、 + バアラテとユダの国の荒野にあるタマル、 + およびソロモンが持っていた倉庫の町々、戦車の町々、騎兵の町々ならびにソロモンがエルサレム、レバノンおよびそのすべての領地において建てようと望んだものをことごとく建てるためであった。 + すべてイスラエルの子孫でないアモリびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残った者、 + その地にあって彼らのあとに残った子孫すなわちイスラエルの人々の滅ぼしつくすことのできなかった者を、ソロモンは強制的に奴隷として徴募をおこない、今日に至っている。 + しかしイスラエルの人々をソロモンはひとりも奴隷としなかった。彼らは軍人、また彼の役人、司令官、指揮官、戦車隊長、騎兵隊長であったからである。 + ソロモンの工事を監督する上役の官吏は五百五十人であって、工事に働く民を治めた。 + パロの娘はダビデの町から上って、ソロモンが彼女のために建てた家に住んだ。その時ソロモンはミロを建てた。 + ソロモンは主のために築いた祭壇の上に年に三度燔祭と酬恩祭をささげ、また主の前に香をたいた。こうしてソロモンは宮を完成した。 + ソロモン王はエドムの地、紅海の岸のエラテに近いエジオン・ゲベルで数隻の船を造った。 + ヒラムは海の事を知っている船員であるそのしもべをソロモンのしもべと共にその船でつかわした。 + 彼らはオフルへ行って、そこから金四百二十タラントを取って、ソロモン王の所にもってきた。 + + + シバの女王は主の名にかかわるソロモンの名声を聞いたので、難問をもってソロモンを試みようとたずねてきた。 + 彼女は多くの従者を連れ、香料と、たくさんの金と宝石とをらくだに負わせてエルサレムにきた。彼女はソロモンのもとにきて、その心にあることをことごとく彼に告げたが、 + ソロモンはそのすべての問に答えた。王が知らないで彼女に説明のできないことは一つもなかった。 + シバの女王はソロモンのもろもろの知恵と、ソロモンが建てた宮殿、 + その食卓の食物と、列座の家来たちと、その侍臣たちの伺候ぶり、彼らの服装と、彼の給仕たち、および彼が主の宮でささげる燔祭を見て、全く気を奪われてしまった。 + 彼女は王に言った、「わたしが国であなたの事と、あなたの知恵について聞いたことは真実でありました。 + しかしわたしがきて、目に見るまでは、その言葉を信じませんでしたが、今見るとその半分もわたしは知らされていなかったのです。あなたの知恵と繁栄はわたしが聞いたうわさにまさっています。 + あなたの奥方たちはさいわいです。常にあなたの前に立って、あなたの知恵を聞く家来たちはさいわいです。 + あなたの神、主はほむべきかな。主はあなたを喜び、あなたをイスラエルの位にのぼらせられました。主は永久にイスラエルを愛せられるゆえ、あなたを王として公道と正義とを行わせられるのです」。 + そして彼女は金百二十タラントおよび多くの香料と宝石とを王に贈った。シバの女王がソロモン王に贈ったような多くの香料は再びこなかった。 + オフルから金を載せてきたヒラムの船は、またオフルからたくさんのびゃくだんの木と宝石とを運んできたので、 + 王はびゃくだんの木をもって主の宮と王の宮殿のために壁柱を造り、また歌う人々のために琴と立琴とを造った。このようなびゃくだんの木は、かつてきたこともなく、また今日まで見たこともなかった。 + ソロモン王はその豊かなのにしたがってシバの女王に贈り物をしたほかに、彼女の望みにまかせて、すべてその求める物を贈った。そして彼女はその家来たちと共に自分の国へ帰っていった。 + さて一年の間にソロモンのところに、はいってきた金の目方は六百六十六タラントであった。 + そのほかに貿易商および商人の取引、ならびにアラビヤの諸王と国の代官たちからも、はいってきた。 + ソロモン王は延金の大盾二百を造った。その大盾にはおのおの六百シケルの金を用いた。 + また延金の小盾三百を造った。その小盾にはおのおの三ミナの金を用いた。王はこれらをレバノンの森の家に置いた。 + 王はまた大きな象牙の玉座を造り、純金をもってこれをおおった。 + その玉座に六つの段があり、玉座の後に子牛の頭があり、座席の両側にひじ掛けがあって、ひじ掛けのわきに二つのししが立っていた。 + また六つの段のおのおのの両側に十二のししが立っていた。このような物はどこの国でも造られたことがなかった。 + ソロモン王が飲むときに用いた器は皆金であった。またレバノンの森の家の器も皆純金であって、銀のものはなかった。銀はソロモンの世には顧みられなかった。 + これは王が海にタルシシの船隊を所有して、ヒラムの船隊と一緒に航海させ、タルシシの船隊に三年に一度、金、銀、象牙、さる、くじゃくを載せてこさせたからである。 + このようにソロモン王は富も知恵も、地のすべての王にまさっていたので、 + 全地の人々は神がソロモンの心に授けられた知恵を聞こうとしてソロモンに謁見を求めた。 + 人々はおのおの贈り物を携えてきた。すなわち銀の器、金の器、衣服、没薬、香料、馬、騾馬など年々定まっていた。 + ソロモンは戦車と騎兵とを集めたが、戦車一千四百両、騎兵一万二千あった。ソロモンはこれを戦車の町とエルサレムの王のもとに置いた。 + 王はエルサレムで、銀を石のように用い、香柏を平地にあるいちじく桑のように多く用いた。 + ソロモンが馬を輸入したのはエジプトとクエからであった。すなわち王の貿易商はクエから代価を払って受け取ってきた。 + エジプトから輸入される戦車一両は銀六百シケル、馬は百五十シケルであった。このようにして、これらのものが王の貿易商によって、ヘテびとのすべての王たちおよびスリヤの王たちに輸出された。 + + + ソロモン王は多くの外国の女を愛した。すなわちパロの娘、モアブびと、アンモンびと、エドムびと、シドンびと、ヘテびとの女を愛した。 + 主はかつてこれらの国民について、イスラエルの人々に言われた、「あなたがたは彼らと交わってはならない。彼らもまたあなたがたと交わってはならない。彼らは必ずあなたがたの心を転じて彼らの神々に従わせるからである」。しかしソロモンは彼らを愛して離れなかった。 + 彼には王妃としての妻七百人、そばめ三百人があった。その妻たちが彼の心を転じたのである。 + ソロモンが年老いた時、その妻たちが彼の心を転じて他の神々に従わせたので、彼の心は父ダビデの心のようには、その神、主に真実でなかった。 + これはソロモンがシドンびとの女神アシタロテに従い、アンモンびとの神である憎むべき者ミルコムに従ったからである。 + このようにソロモンは主の目の前に悪を行い、父ダビデのように全くは主に従わなかった。 + そしてソロモンはモアブの神である憎むべき者ケモシのために、またアンモンの人々の神である憎むべき者モレクのためにエルサレムの東の山に高き所を築いた。 + 彼はまた外国のすべての妻たちのためにもそうしたので、彼女たちはその神々に香をたき、犠牲をささげた。 + このようにソロモンの心が転じて、イスラエルの神、主を離れたため、主は彼を怒られた。すなわち主がかつて二度彼に現れ、 + この事について彼に、他の神々に従ってはならないと命じられたのに、彼は主の命じられたことを守らなかったからである。 + それゆえ、主はソロモンに言われた、「これがあなたの本心であり、わたしが命じた契約と定めとを守らなかったので、わたしは必ずあなたから国を裂き離して、それをあなたの家来に与える。 + しかしあなたの父ダビデのために、あなたの世にはそれをしないが、あなたの子の手からそれを裂き離す。 + ただし、わたしは国をことごとくは裂き離さず、わたしのしもべダビデのために、またわたしが選んだエルサレムのために一つの部族をあなたの子に与えるであろう」。 + こうして主はエドムびとハダデを起して、ソロモンの敵とされた。彼はエドムの王家の者であった。 + さきにダビデはエドムにいたが、軍の長ヨアブが上っていって、戦死した者を葬り、エドムの男子をことごとく打ち殺した時、 + (ヨアブはイスラエルの人々と共に六か月そこにとどまって、エドムの男子をことごとく断った)。 + ハダデはその父のしもべである数人のエドムびとと共に逃げてエジプトへ行こうとした。その時ハダデはまだ少年であった。 + 彼らがミデアンを立ってパランへ行き、パランから人々を伴ってエジプトへ行き、エジプトの王パロのところへ行くと、パロは彼に家を与え、食糧を定め、かつ土地を与えた。 + ハダデは大いにパロの心にかなったので、パロは自分の妻の妹すなわち王妃タペネスの妹を妻として彼に与えた。 + タペネスの妹は彼に男の子ゲヌバテを産んだので、タペネスはその子をパロの家のうちで乳離れさせた。ゲヌバテはパロの家で、パロの子どもたちと一緒にいた。 + さてハダデはエジプトで、ダビデがその先祖と共に眠ったことと、軍の長ヨアブが死んだことを聞いたので、ハダデはパロに言った、「わたしを去らせて、国へ帰らせてください」。 + パロは彼に言った、「わたしと共にいて、なんの不足があって国へ帰ることを求めるのですか」。彼は言った、「ただ、わたしを帰らせてください」。 + 神はまたエリアダの子レゾンを起してソロモンの敵とされた。彼はその主人ゾバの王ハダデゼルのもとを逃げ去った者であった。 + ダビデがゾバの人々を殺した後、彼は人々を自分のまわりに集めて略奪隊の首領となった。彼らはダマスコへ行って、そこに住み、ダマスコで彼を王とした。 + 彼はソロモンの一生の間、イスラエルの敵となって、ハダデがしたように害をなし、イスラエルを憎んでスリヤを治めた。 + ゼレダのエフライムびとネバテの子ヤラベアムはソロモンの家来であったが、その母の名はゼルヤといって寡婦であった。彼もまたその手をあげて王に敵した。 + 彼が手をあげて、王に敵した事情はこうである。ソロモンはミロを築き、父ダビデの町の破れ口をふさいでいた。 + ヤラベアムは非常に手腕のある人であったが、ソロモンはこの若者がよく働くのを見て、彼にヨセフの家のすべての強制労働の監督をさせた。 + そのころ、ヤラベアムがエルサレムを出たとき、シロびとである預言者アヒヤが道で彼に会った。アヒヤは新しい着物を着ていた。そして彼らふたりだけが野にいた。 + アヒヤは着ている着物をつかんで、それを十二切れに裂き、 + ヤラベアムに言った、「あなたは十切れを取りなさい。イスラエルの神、主はこう言われる、『見よ、わたしは国をソロモンの手から裂き離して、あなたに十部族を与えよう。 + (ただし彼はわたしのしもべダビデのために、またわたしがイスラエルのすべての部族のうちから選んだ町エルサレムのために、一つの部族をもつであろう)。 + それは彼がわたしを捨てて、シドンびとの女神アシタロテと、モアブの神ケモシと、アンモンの人々の神ミルコムを拝み、父ダビデのように、わたしの道に歩んで、わたしの目にかなう事を行い、わたしの定めと、おきてを守ることをしなかったからである。 + しかし、わたしは国をことごとくは彼の手から取らない。わたしが選んだ、わたしのしもべダビデが、わたしの命令と定めとを守ったので、わたしは彼のためにソロモンを一生の間、君としよう。 + そして、わたしはその子の手から国を取って、その十部族をあなたに与える。 + その子には一つの部族を与えて、わたしの名を置くために選んだ町エルサレムで、わたしのしもべダビデに、わたしの前に常に一つのともしびを保たせるであろう。 + わたしがあなたを選び、あなたはすべて心の望むところを治めて、イスラエルの上に王となるであろう。 + もし、あなたが、わたしの命じるすべての事を聞いて、わたしの道に歩み、わたしの目にかなう事を行い、わたしのしもべダビデがしたように、わたしの定めと戒めとを守るならば、わたしはあなたと共にいて、わたしがダビデのために建てたように、あなたのために堅固な家を建てて、イスラエルをあなたに与えよう。 + わたしはこのためにダビデの子孫を苦しめる。しかし永久にではない』」。 + ソロモンはヤラベアムを殺そうとしたが、ヤラベアムは立ってエジプトにのがれ、エジプト王シシャクのところへ行って、ソロモンの死ぬまでエジプトにいた。 + ソロモンのそのほかの事績と、彼がしたすべての事およびその知恵は、ソロモンの事績の書にしるされているではないか。 + ソロモンがエルサレムでイスラエルの全地を治めた日は四十年であった。 + ソロモンはその先祖と共に眠って、父ダビデの町に葬られ、その子レハベアムが代って王となった。 + + + レハベアムはシケムへ行った。すべてのイスラエルびとが彼を王にしようとシケムへ行ったからである。 + ネバテの子ヤラベアムはソロモンを避けてエジプトにのがれ、なおそこにいたが、これを聞いてエジプトから帰ったので、 + 人々は人をつかわして彼を招いた。そしてヤラベアムとイスラエルの会衆は皆レハベアムの所にきて言った、 + 「父上はわれわれのくびきを重くされましたが、今父上のきびしい使役と、父上がわれわれに負わせられた重いくびきとを軽くしてください。そうすればわれわれはあなたに仕えます」。 + レハベアムは彼らに言った、「去って、三日過ぎてから、またわたしのところにきなさい」。それで民は立ち去った。 + レハベアム王は父ソロモンの存命中ソロモンに仕えた老人たちに相談して言った、「この民にどう返答すればよいと思いますか」。 + 彼らはレハベアムに言った、「もし、あなたが、きょう、この民のしもべとなって彼らに仕え、彼らに答えるとき、ねんごろに語られるならば、彼らは永久にあなたのしもべとなるでしょう」。 + しかし彼は老人たちが与えた勧めを捨てて、自分と一緒に大きくなって自分に仕えている若者たちに相談して、 + 彼らに言った、「この民がわたしにむかって『あなたの父がわれわれに負わせたくびきを軽くしてください』というのに、われわれはなんと返答すればよいと思いますか」。 + 彼と一緒に大きくなった若者たちは彼に言った、「あなたにむかって『父上はわれわれのくびきを重くされましたが、あなたは、それをわれわれのために軽くしてください』と言うこの民に、こう言いなさい、『わたしの小指は父の腰よりも太い。 + 父はあなたがたに重いくびきを負わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを懲らそう』と」。 + さてヤラベアムと民は皆、王が「三日目に再びわたしのところに来るように」と言ったとおりに、三日目にレハベアムのところにきた。 + 王は荒々しく民に答え、老人たちが与えた勧めを捨てて、 + 若者たちの勧めに従い、彼らに告げて言った、「父はあなたがたのくびきを重くしたが、わたしはあなたがたのくびきを、さらに重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを懲らそう」。 + このように王は民の言うことを聞きいれなかった。これはかつて主がシロびとアヒヤによって、ネバテの子ヤラベアムに言われた言葉を成就するために、主が仕向けられた事であった。 + イスラエルの人々は皆、王が自分たちの言うことを聞きいれないのを見たので、民は王に答えて言った、「われわれはダビデのうちに何の分があろうか、エッサイの子のうちに嗣業がない。イスラエルよ、あなたがたの天幕へ帰れ。ダビデよ、今自分の家の事を見よ」。そしてイスラエルはその天幕へ去っていった。 + しかしレハベアムはユダの町々に住んでいるイスラエルの人々を治めた。 + レハベアム王は徴募の監督であったアドラムをつかわしたが、イスラエルが皆、彼を石で撃ち殺したので、レハベアム王は急いで車に乗り、エルサレムへ逃げた。 + こうしてイスラエルはダビデの家にそむいて今日に至った。 + イスラエルは皆ヤラベアムの帰ってきたのを聞き、人をつかわして彼を集会に招き、イスラエルの全家の上に王とした。ユダの部族のほかはダビデの家に従う者がなかった。 + ソロモンの子レハベアムはエルサレムに来て、ユダの全家とベニヤミンの部族の者、すなわちえり抜きの軍人十八万を集め、国を取りもどすために、イスラエルの家と戦おうとしたが、 + 神の言葉が神の人シマヤに臨んだ、 + 「ソロモンの子であるユダの王レハベアム、およびユダとベニヤミンの全家、ならびにそのほかの民に言いなさい、 + 『主はこう仰せられる。あなたがたは上っていってはならない。あなたがたの兄弟であるイスラエルの人々と戦ってはならない。おのおの家に帰りなさい。この事はわたしから出たのである』」。それで彼らは主の言葉をきき、主の言葉に従って帰っていった。 + ヤラベアムはエフライムの山地にシケムを建てて、そこに住んだ。彼はまたそこから出てペヌエルを建てた。 + しかしヤラベアムはその心のうちに言った、「国は今ダビデの家にもどるであろう。 + もしこの民がエルサレムにある主の宮に犠牲をささげるために上るならば、この民の心はユダの王である彼らの主君レハベアムに帰り、わたしを殺して、ユダの王レハベアムに帰るであろう」。 + そこで王は相談して、二つの金の子牛を造り、民に言った、「あなたがたはもはやエルサレムに上るには、およばない。イスラエルよ、あなたがたをエジプトの国から導き上ったあなたがたの神を見よ」。 + そして彼は一つをベテルにすえ、一つをダンに置いた。 + この事は罪となった。民がベテルへ行って一つを礼拝し、ダンへ行って一つを礼拝したからである。 + 彼はまた高き所に家を造り、レビの子孫でない一般の民を祭司に任命した。 + またヤラベアムはユダで行う祭と同じ祭を八月の十五日に定め、そして祭壇に上った。彼はベテルでそのように行い、彼が造った子牛に犠牲をささげた。また自分の造った高き所の祭司をベテルに立てた。 + こうして彼はベテルに造った祭壇に八月の十五日に上った。これは彼が自分で勝手に考えついた月であった。そして彼はイスラエルの人々のために祭を定め、祭壇に上って香をたいた。 + + + 見よ、神の人が主の命によってユダからベテルにきた。その時ヤラベアムは祭壇の上に立って香をたいていた。 + 神の人は祭壇にむかい主の命によって呼ばわって言った、「祭壇よ、祭壇よ、主はこう仰せられる、『見よ、ダビデの家にひとりの子が生れる。その名をヨシヤという。彼はおまえの上で香をたく高き所の祭司らを、おまえの上にささげる。また人の骨がおまえの上で焼かれる』」。 + その日、彼はまた一つのしるしを示して言った、「主の言われたしるしはこれである、『見よ、祭壇は裂け、その上にある灰はこぼれ出るであろう』」。 + ヤラベアム王は、神の人がベテルにある祭壇にむかって呼ばわる言葉を聞いた時、祭壇から手を伸ばして、「彼を捕えよ」と言ったが、彼にむかって伸ばした手が枯れて、ひっ込めることができなかった。 + そして神の人が主の言葉をもって示したしるしのように祭壇は裂け、灰は祭壇からこぼれ出た。 + 王は神の人に言った、「あなたの神、主に願い、わたしのために祈って、わたしの手をもとに返らせてください」。神の人が主に願ったので、王の手はもとに返って、前のようになった。 + そこで王は神の人に言った、「わたしと一緒に家にきて、身を休めなさい。あなたに謝礼をさしあげましょう」。 + 神の人は王に言った、「たとい、あなたの家の半ばをくださっても、わたしはあなたと一緒にまいりません。またこの所では、パンも食べず水も飲みません。 + 主の言葉によってわたしは、『パンを食べてはならない、水を飲んではならない。また来た道から帰ってはならない』と命じられているからです」。 + こうして彼はほかの道を行き、ベテルに来た道からは帰らなかった。 + さてベテルにひとりの年老いた預言者が住んでいたが、そのむすこたちがきて、その日神の人がベテルでした事どもを彼に話した。また神の人が王に言った言葉をもその父に話した。 + 父が彼らに「その人はどの道を行ったか」と聞いたので、むすこたちはユダからきた神の人の行った道を父に示した。 + 父はむすこたちに言った、「わたしのためにろばにくらを置きなさい」。彼らがろばにくらを置いたので、彼はそれに乗り、 + 神の人のあとを追って行き、かしの木の下にすわっているのを見て、その人に言った、「あなたはユダからこられた神の人ですか」。その人は言った、「そうです」。 + そこで彼はその人に言った、「わたしと一緒に家にきてパンを食べてください」。 + その人は言った、「わたしはあなたと一緒に引き返すことはできません。あなたと一緒に行くことはできません。またわたしはこの所であなたと一緒にパンも食べず水も飲みません。 + 主の言葉によってわたしは、『その所でパンを食べてはならない、水を飲んではならない。また来た道から帰ってはならない』と言われているからです」。 + 彼はその人に言った、「わたしもあなたと同じ預言者ですが、天の使が主の命によってわたしに告げて、『その人を一緒に家につれ帰り、パンを食べさせ、水を飲ませよ』と言いました」。これは彼がその人を欺いたのである。 + そこでその人は彼と一緒に引き返し、その家でパンを食べ、水を飲んだ。 + 彼らが食卓についていたとき、主の言葉が、その人をつれて帰った預言者に臨んだので、 + 彼はユダからきた神の人にむかい呼ばわって言った、「主はこう仰せられます、『あなたが主の言葉にそむき、あなたの神、主がお命じになった命令を守らず、 + 引き返して、主があなたに、パンを食べてはならない、水を飲んではならない、と言われた場所でパンを食べ、水を飲んだゆえ、あなたの死体はあなたの先祖の墓に行かないであろう』」。 + そしてその人がパンを食べ、水を飲んだ後、彼はその人のため、すなわちつれ帰った預言者のためにろばにくらを置いた。 + こうしてその人は立ち去ったが、道でししが彼に会って彼を殺した。そしてその死体は道に捨てられ、ろばはそのかたわらに立ち、ししもまた死体のかたわらに立っていた。 + 人々はそこをとおって、道に捨てられている死体と、死体のかたわらに立っているししを見て、かの老預言者の住んでいる町にきてそれを話した。 + その人を道からつれて帰った預言者はそれを聞いて言った、「それは主の言葉にそむいた神の人だ。主が彼に言われた言葉のように、主は彼をししにわたされ、ししが彼を裂き殺したのだ」。 + そしてむすこたちに言った、「わたしのためにろばにくらを置きなさい」。彼らがくらを置いたので、 + 彼は行って、死体が道に捨てられ、ろばとししが死体のかたわらに立っているのを見た。ししはその死体を食べず、ろばも裂いていなかった。 + そこで預言者は神の人の死体を取りあげ、それをろばに載せて町に持ち帰り、悲しんでそれを葬った。 + すなわちその死体を自分の墓に納め、皆これがために「ああ、わが兄弟よ」と言って悲しんだ。 + 彼はそれを葬って後、むすこたちに言った、「わたしが死んだ時は、神の人を葬った墓に葬り、わたしの骨を彼の骨のかたわらに納めなさい。 + 彼が主の命によって、ベテルにある祭壇にむかい、またサマリヤの町々にある高き所のすべての家にむかって呼ばわった言葉は必ず成就するのです」。 + この事の後も、ヤラベアムはその悪い道を離れて立ち返ることをせず、また一般の民を、高き所の祭司に任命した。すなわち、だれでも好む者は、それを立てて高き所の祭司とした。 + この事はヤラベアムの家の罪となって、ついにこれを地のおもてから断ち滅ぼすようになった。 + + + そのころヤラベアムの子アビヤが病気になったので、 + ヤラベアムは妻に言った、「立って姿を変え、ヤラベアムの妻であることの知られないようにしてシロへ行きなさい。わたしがこの民の王となることを、わたしに告げた預言者アヒヤがそこにいます。 + パン十個と菓子数個および、みつ一びんを携えて彼のところへ行きなさい。彼はこの子がどうなるかをあなたに告げるでしょう」。 + ヤラベアムの妻はそのようにして、立ってシロへ行き、アヒヤの家に着いたが、アヒヤは年老いたため、目がかすんで見ることができなかった。 + しかし主はアヒヤに言われた、「ヤラベアムの妻が子供の事をあなたに尋ねるために来る。子供は病気だ。あなたは彼女にこうこう言わなければならない」。彼女は来るとき、他人を装っていた。 + しかし彼女が戸口にはいってきたとき、アヒヤはその足音を聞いて言った、「ヤラベアムの妻よ、はいりなさい。なぜ、他人を装うのですか。わたしはあなたにきびしい事を告げるよう、命じられています。 + 行ってヤラベアムに言いなさい、『イスラエルの神、主はこう仰せられる、「わたしはあなたを民のうちからあげ、わたしの民イスラエルの上に立てて君とし、 + 国をダビデの家から裂き離して、それをあなたに与えたのに、あなたはわたしのしもべダビデが、わたしの命令を守って一心にわたしに従い、ただわたしの目にかなった事のみを行ったようにではなく、 + あなたよりも先にいたすべての者にまさって悪をなし、行って自分のために他の神々と鋳た像を造り、わたしを怒らせ、わたしをうしろに捨て去った。 + それゆえ、見よ、わたしはヤラベアムの家に災を下し、ヤラベアムに属する男は、イスラエルについて、つながれた者も、自由な者もことごとく断ち、人があくたを残りなく焼きつくすように、ヤラベアムの家を全く断ち滅ぼすであろう。 + ヤラベアムに属する者は、町で死ぬ者を犬が食べ、野で死ぬ者を空の鳥が食べるであろう。主がこれを言われるのである」』。 + あなたは立って、家へ帰りなさい。あなたの足が町にはいる時に、子どもは死にます。 + そしてイスラエルは皆、彼のために悲しんで彼を葬るでしょう。ヤラベアムに属する者は、ただ彼だけ墓に葬られるでしょう。ヤラベアムの家のうちで、彼はイスラエルの神、主にむかって良い思いをいだいていたからです。 + 主はイスラエルの上にひとりの王を起されます。彼はその日ヤラベアムの家を断つでしょう。 + その後主はイスラエルを撃って、水に揺らぐ葦のようにし、イスラエルを、その先祖に賜わったこの良い地から抜き去って、ユフラテ川の向こうに散らされるでしょう。彼らがアシラ像を造って主を怒らせたからです。 + 主はヤラベアムの罪のゆえに、すなわち彼がみずから犯し、またイスラエルに犯させたその罪のゆえにイスラエルを捨てられるでしょう」。 + ヤラベアムの妻は立って去り、テルザへ行って、家の敷居をまたいだ時、子どもは死んだ。 + イスラエルは皆彼を葬り、彼のために悲しんだ。主がそのしもべ預言者アヒヤによって言われた言葉のとおりである。 + ヤラベアムのその他の事績、彼がどのように戦い、どのように世を治めたかは、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + ヤラベアムが世を治めた日は二十二年であった。彼はその先祖と共に眠って、その子ナダブが代って王となった。 + ソロモンの子レハベアムはユダで世を治めた。レハベアムは王となったとき四十一歳であったが、主がその名を置くために、イスラエルのすべての部族のうちから選ばれた町エルサレムで、十七年世を治めた。その母の名はナアマといってアンモンびとであった。 + ユダの人々はその先祖の行ったすべての事にまさって、主の目の前に悪を行い、その犯した罪によって主の怒りを引き起した。 + 彼らもすべての高い丘の上と、すべての青木の下に、高き所と石の柱とアシラ像とを建てたからである。 + その国にはまた神殿男娼たちがいた。彼らは主がイスラエルの人々の前から追い払われた国民のすべての憎むべき事をならい行った。 + レハベアムの王の第五年にエジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上ってきて、 + 主の宮の宝物と、王の宮殿の宝物を奪い去った。彼はそれをことごとく奪い去り、またソロモンの造った金の盾をみな奪い去った。 + レハベアムはその代りに青銅の盾を造って、王の宮殿の門を守る侍衛長の手にわたした。 + 王が主の宮にはいるごとに、侍衛はそれを携え、また、それを侍衛のへやへ持ち帰った。 + レハベアムのその他の事績と、彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + レハベアムとヤラベアムの間には絶えず戦争があった。 + レハベアムはその先祖と共に眠って先祖と共にダビデの町に葬られた。その母の名はナアマといってアンモンびとであった。その子アビヤムが代って王となった。 + + + ネバテの子ヤラベアム王の第十八年にアビヤムがユダの王となり、 + エルサレムで三年世を治めた。その母の名はマアカといって、アブサロムの娘であった。 + 彼はその父が先に行ったもろもろの罪をおこない、その心は父ダビデの心のようにその神、主に対して全く真実ではなかった。 + それにもかかわらず、その神、主はダビデのために、エルサレムにおいて彼に一つのともしびを与え、その子を彼のあとに立てて、エルサレムを固められた。 + それはダビデがヘテびとウリヤの事のほか、一生の間、主の目にかなう事を行い、主が命じられたすべての事に、そむかなかったからである。 + レハベアムとヤラベアムの間には一生の間、戦争があった。 + アビヤムのその他の行為と、彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。アビヤムとヤラベアムの間にも戦争があった。 + アビヤムはその先祖と共に眠って、ダビデの町に葬られ、その子アサが代って王となった。 + イスラエルの王ヤラベアムの第二十年にアサはユダの王となり、 + エルサレムで四十一年世を治めた。その母の名はマアカといってアブサロムの娘であった。 + アサはその父ダビデがしたように主の目にかなう事をし、 + 神殿男娼を国から追い出し、先祖たちの造ったもろもろの偶像を除いた。 + 彼はまたその母マアカが、アシラのために憎むべき像を造らせたので、彼女を太后の位から退けた。そしてアサはその憎むべき像を切り倒してキデロンの谷で焼き捨てた。 + ただし高き所は除かなかった。けれどもアサの心は一生の間、主に対して全く真実であった。 + 彼は父の献納した物と自分の献納した物、金銀および器物を主の宮に携え入れた。 + アサとイスラエルの王バアシャの間には一生の間、戦争があった。 + イスラエルの王バアシャはユダに攻め上り、ユダの王アサの所に、だれをも出入りさせないためにラマを築いた。 + そこでアサは主の宮の宝蔵と、王の宮殿の宝蔵に残っている金銀をことごとく取って、これを家来たちの手にわたし、そしてアサ王は彼らをダマスコに住んでいるスリヤの王、ヘジョンの子タブリモンの子であるベネハダデにつかわして言わせた、 + 「わたしの父とあなたの父との間に結ばれていたように、わたしとあなたの間に同盟を結びましょう。わたしはあなたに金銀の贈り物をさしあげます。行って、あなたとイスラエルの王バアシャとの同盟を破棄し、彼をわたしの所から撤退させてください」。 + ベネハダデはアサ王の言うことを聞き、自分の軍勢の長たちをつかわしてイスラエルの町々を攻め、イヨンとダンとアベル・ベテ・マアカおよびキンネレテの全地と、ナフタリの全地を撃った。 + バアシャはこれを聞き、ラマを築くことをやめて、テルザにとどまった。 + そこでアサ王はユダ全国に布告を発した。ひとりも免れる者はなかった。すなわちバアシャがラマを築くために用いた石と材木を運びこさせ、アサ王はそれを用いて、ベニヤミンのゲバとミヅパを築いた。 + アサのその他の事績とそのすべての勲功と、彼がしたすべての事および彼が建てた町々は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。彼は老年になって足を病んだ。 + アサはその先祖と共に眠って、父ダビデの町に先祖と共に葬られ、その子ヨシャパテが代って王となった。 + ユダの王アサの第二年にヤラベアムの子ナダブがイスラエルの王となって、二年イスラエルを治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、その父の道に歩み、父がイスラエルに犯させた罪をおこなった。 + イッサカルの家のアヒヤの子バアシャは彼に対してむほんを企て、ペリシテびとに属するギベトンで彼を撃った。これはナダブとイスラエルが皆ギベトンを囲んでいたからである。 + こうしてユダの王アサの第三年にバアシャは彼を殺し、彼に代って王となった。 + 彼は王となるとすぐヤラベアムの全家を撃ち、息のある者をひとりもヤラベアムの家に残さず、ことごとく滅ぼした。主がそのしもべシロびとアヒヤによって言われた言葉のとおりであって、 + これはヤラベアムがみずから犯し、またイスラエルに犯させた罪のため、また彼がイスラエルの神、主を怒らせたその怒りによるのであった。 + ナダブのその他の事績と、彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + アサとイスラエルの王バアシャの間には一生の間戦争があった。 + ユダの王アサの第三年にアヒヤの子バアシャはテルザでイスラエルの全地の王となって、二十四年世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、ヤラベアムの道に歩み、ヤラベアムがイスラエルに犯させた罪をおこなった。 + + + そこで主の言葉がハナニの子エヒウに臨み、バアシャを責めて言った、 + 「わたしはあなたをちりの中からあげて、わたしの民イスラエルの上に君としたが、あなたはヤラベアムの道に歩み、わたしの民イスラエルに罪を犯させ、その罪をもってわたしを怒らせた。 + それでわたしは、バアシャとその家を全く滅ぼし去り、あなたの家をネバテの子ヤラベアムの家のようにする。 + バアシャに属する者で、町で死ぬ者は犬が食べ、彼に属する者で、野で死ぬ者は空の鳥が食べるであろう」。 + バアシャのその他の事績と、彼がした事と、その勲功とは、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + バアシャはその先祖と共に眠って、テルザに葬られ、その子エラが代って王となった。 + 主の言葉はまたハナニの子預言者エヒウによって臨み、バアシャとその家を責めた。これは彼が主の目の前に、もろもろの悪を行い、その手のわざをもって主を怒らせ、ヤラベアムの家にならったためであり、また彼がヤラベアムの家を滅ぼしたためであった。 + ユダの王アサの第二十六年にバアシャの子エラはテルザでイスラエルの王となり、二年世を治めた。 + 彼がテルザにいて、テルザの宮殿のつかさアルザの家で酒を飲んで酔った時、その家来で戦車隊の半ばを指揮していたジムリが、彼にそむいた。 + そしてユダの王アサの第二十七年にジムリは、はいってきて彼を撃ち殺し、彼に代って王となった。 + ジムリは王となって、位についた時、バアシャの全家を殺し、その親族または友だちの男子は、ひとりも残さなかった。 + こうしてジムリはバアシャの全家を滅ぼした。主が預言者エヒウによってバアシャを責めて言われた言葉のとおりである。 + これはバアシャのもろもろの罪と、その子エラの罪のためであって、彼らが罪を犯し、またイスラエルに罪を犯させ、彼らの偶像をもってイスラエルの神、主を怒らせたからである。 + エラのその他の事績と、彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ユダの王アサの第二十七年にジムリはテルザで七日の間、世を治めた。民はペリシテびとに属するギベトンにむかって陣取っていたが、 + その陣取っていた民が「ジムリはむほんを起して王を殺した」と人のいうのを聞いたので、イスラエルは皆その日陣営で、軍の長オムリをイスラエルの王とした。 + そこでオムリはイスラエルの人々と共にギベトンから上ってテルザを囲んだ。 + ジムリはその町の陥るのを見て、王の宮殿の天守にはいり、王の宮殿に火をかけてその中で死んだ。 + これは彼が犯した罪のためであって、彼が主の目の前に悪を行い、ヤラベアムの道に歩み、ヤラベアムがイスラエルに犯させたその罪を行ったからである。 + ジムリのその他の事績と、彼が企てた陰謀は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + その時イスラエルの民は二つに分れ、民の半ばはギナテの子テブニに従って、これを王としようとし、半ばはオムリに従った。 + しかしオムリに従った民はギナテの子テブニに従った民に勝って、テブニは死に、オムリが王となった。 + ユダの王アサの第三十一年にオムリはイスラエルの王となって十二年世を治めた。彼はテルザで六年王であった。 + 彼は銀二タラントでセメルからサマリヤの山を買い、その上に町を建て、その建てた町の名をその山の持ち主であったセメルの名に従ってサマリヤと呼んだ。 + オムリは主の目の前に悪を行い、彼よりも先にいたすべての者にまさって悪い事をした。 + 彼はネバテの子ヤラベアムのすべての道に歩み、ヤラベアムがイスラエルに罪を犯させ、彼らの偶像をもってイスラエルの神、主を怒らせたその罪を行った。 + オムリが行ったその他の事績と、彼があらわした勲功とは、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + オムリはその先祖と共に眠って、サマリヤに葬られ、その子アハブが代って王となった。 + ユダの王アサの第三十八年にオムリの子アハブがイスラエルの王となった。オムリの子アハブはサマリヤで二十二年イスラエルを治めた。 + オムリの子アハブは彼よりも先にいたすべての者にまさって、主の目の前に悪を行った。 + 彼はネバテの子ヤラベアムの罪を行うことを、軽い事とし、シドンびとの王エテバアルの娘イゼベルを妻にめとり、行ってバアルに仕え、これを拝んだ。 + 彼はサマリヤに建てたバアルの宮に、バアルのために祭壇を築いた。 + アハブはまたアシラ像を造った。アハブは彼よりも先にいたイスラエルのすべての王にまさってイスラエルの神、主を怒らせることを行った。 + 彼の代にベテルびとヒエルはエリコを建てた。彼はその基をすえる時に長子アビラムを失い、その門を立てる時に末の子セグブを失った。主がヌンの子ヨシュアによって言われた言葉のとおりである。 + + + ギレアデのテシベに住むテシベびとエリヤはアハブに言った、「わたしの仕えているイスラエルの神、主は生きておられます。わたしの言葉のないうちは、数年雨も露もないでしょう」。 + 主の言葉がエリヤに臨んだ、 + 「ここを去って東におもむき、ヨルダンの東にあるケリテ川のほとりに身を隠しなさい。 + そしてその川の水を飲みなさい。わたしはからすに命じて、そこであなたを養わせよう」。 + エリヤは行って、主の言葉のとおりにした。すなわち行って、ヨルダンの東にあるケリテ川のほとりに住んだ。 + すると、からすが朝ごとに彼の所にパンと肉を運び、また夕ごとにパンと肉を運んできた。そして彼はその川の水を飲んだ。 + しかし国に雨がなかったので、しばらくしてその川はかれた。 + その時、主の言葉が彼に臨んで言った、 + 「立ってシドンに属するザレパテへ行って、そこに住みなさい。わたしはそのところのやもめ女に命じてあなたを養わせよう」。 + そこで彼は立ってザレパテへ行ったが、町の門に着いたとき、ひとりのやもめ女が、その所でたきぎを拾っていた。彼はその女に声をかけて言った、「器に水を少し持ってきて、わたしに飲ませてください」。 + 彼女が行って、それを持ってこようとした時、彼は彼女を呼んで言った、「手に一口のパンを持ってきてください」。 + 彼女は言った、「あなたの神、主は生きておられます。わたしにはパンはありません。ただ、かめに一握りの粉と、びんに少しの油があるだけです。今わたしはたきぎ二、三本を拾い、うちへ帰って、わたしと子供のためにそれを調理し、それを食べて死のうとしているのです」。 + エリヤは彼女に言った、「恐れるにはおよばない。行って、あなたが言ったとおりにしなさい。しかしまず、それでわたしのために小さいパンを、一つ作って持ってきなさい。その後、あなたと、あなたの子供のために作りなさい。 + 『主が雨を地のおもてに降らす日まで、かめの粉は尽きず、びんの油は絶えない』とイスラエルの神、主が言われるからです」。 + 彼女は行って、エリヤが言ったとおりにした。彼女と彼および彼女の家族は久しく食べた。 + 主がエリヤによって言われた言葉のように、かめの粉は尽きず、びんの油は絶えなかった。 + これらの事の後、その家の主婦であるこの女の男の子が病気になった。その病気はたいそう重く、息が絶えたので、 + 彼女はエリヤに言った、「神の人よ、あなたはわたしに、何の恨みがあるのですか。あなたはわたしの罪を思い出させるため、またわたしの子を死なせるためにおいでになったのですか」。 + エリヤは彼女に言った、「子をわたしによこしなさい」。そして彼女のふところから子供を取り、自分のいる屋上のへやへかかえて上り、自分の寝台に寝かせ、 + 主に呼ばわって言った、「わが神、主よ、あなたはわたしが宿っている家のやもめにさえ災をくだして、子供を殺されるのですか」。 + そして三度その子供の上に身を伸ばし、主に呼ばわって言った、「わが神、主よ、この子供の魂をもとに帰らせてください」。 + 主はエリヤの声を聞きいれられたので、その子供の魂はもとに帰って、彼は生きかえった。 + エリヤはその子供を取って屋上のへやから家の中につれて降り、その母にわたして言った、「ごらんなさい。あなたの子は生きかえりました」。 + 女はエリヤに言った、「今わたしはあなたが神の人であることと、あなたの口にある主の言葉が真実であることを知りました」。 + + + 多くの日を経て、三年目に主の言葉がエリヤに臨んだ、「行って、あなたの身をアハブに示しなさい。わたしは雨を地に降らせる」。 + エリヤはその身をアハブに示そうとして行った。その時、サマリヤにききんが激しかった。 + アハブは家づかさオバデヤを召した。(オバデヤは深く主を恐れる人で、 + イゼベルが主の預言者を断ち滅ぼした時、オバデヤは百人の預言者を救い出して五十人ずつほら穴に隠し、パンと水をもって彼らを養った)。 + アハブはオバデヤに言った、「国中のすべての水の源と、すべての川に行ってみるがよい。馬と騾馬を生かしておくための草があるかもしれない。そうすれば、われわれは家畜をいくぶんでも失わずにすむであろう」。 + 彼らは行き巡る地をふたりで分け、アハブはひとりでこの道を行き、オバデヤはひとりで他の道を行った。 + オバデヤが道を進んでいた時、エリヤが彼に会った。彼はエリヤを認めて伏して言った、「わが主エリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。 + エリヤは彼に言った、「そうです。行って、あなたの主人に、エリヤはここにいると告げなさい」。 + 彼は言った、「わたしにどんな罪があって、あなたはしもべをアハブの手にわたして殺そうとされるのですか。 + あなたの神、主は生きておられます。わたしの主人があなたを尋ねるために、人をつかわさない民はなく、国もありません。そしてエリヤはいないと言う時は、その国、その民に、あなたが見つからないという誓いをさせるのです。 + あなたは今『行って、エリヤはここにいると主人に告げよ』と言われます。 + しかしわたしがあなたを離れて行くと、主の霊はあなたを、わたしの知らない所へ連れて行くでしょう。わたしが行ってアハブに告げ、彼があなたを見つけることができなければ、彼はわたしを殺すでしょう。しかし、しもべは幼い時から主を恐れている者です。 + イゼベルが主の預言者を殺した時に、わたしがした事、すなわち、わたしが主の預言者のうち百人を五十人ずつほら穴に隠して、パンと水をもって養った事を、わが主は聞かれませんでしたか。 + ところが今あなたは『行って、エリヤはここにいると主人に告げよ』と言われます。そのようなことをすれば彼はわたしを殺すでしょう」。 + エリヤは言った、「わたしの仕える万軍の主は生きておられる。わたしは必ず、きょう、わたしの身を彼に示すであろう」。 + オバデヤは行ってアハブに会い、彼に告げたので、アハブはエリヤに会おうとして行った。 + アハブはエリヤを見たとき、彼に言った、「イスラエルを悩ます者よ、あなたはここにいるのですか」。 + 彼は答えた、「わたしがイスラエルを悩ますのではありません。あなたと、あなたの父の家が悩ましたのです。あなたがたが主の命令を捨て、バアルに従ったためです。 + それで今、人をつかわしてイスラエルのすべての人およびバアルの預言者四百五十人、ならびにアシラの預言者四百人、イゼベルの食卓で食事する者たちをカルメル山に集めて、わたしの所にこさせなさい」。 + そこでアハブはイスラエルのすべての人に人をつかわして、預言者たちをカルメル山に集めた。 + そのときエリヤはすべての民に近づいて言った、「あなたがたはいつまで二つのものの間に迷っているのですか。主が神ならばそれに従いなさい。しかしバアルが神ならば、それに従いなさい」。民はひと言も彼に答えなかった。 + エリヤは民に言った、「わたしはただひとり残った主の預言者です。しかしバアルの預言者は四百五十人あります。 + われわれに二頭の牛をください。そして一頭の牛を彼らに選ばせ、それを切り裂いて、たきぎの上に載せ、それに火をつけずにおかせなさい。わたしも一頭の牛を整え、それをたきぎの上に載せて火をつけずにおきましょう。 + こうしてあなたがたはあなたがたの神の名を呼びなさい。わたしは主の名を呼びましょう。そして火をもって答える神を神としましょう」。民は皆答えて「それがよかろう」と言った。 + そこでエリヤはバアルの預言者たちに言った、「あなたがたは大ぜいだから初めに一頭の牛を選んで、それを整え、あなたがたの神の名を呼びなさい。ただし火をつけてはなりません」。 + 彼らは与えられた牛を取って整え、朝から昼までバアルの名を呼んで「バアルよ、答えてください」と言った。しかしなんの声もなく、また答える者もなかったので、彼らは自分たちの造った祭壇のまわりに踊った。 + 昼になってエリヤは彼らをあざけって言った、「彼は神だから、大声をあげて呼びなさい。彼は考えにふけっているのか、よそへ行ったのか、旅に出たのか、または眠っていて起されなければならないのか」。 + そこで彼らは大声に呼ばわり、彼らのならわしに従って、刀とやりで身を傷つけ、血をその身に流すに至った。 + こうして昼が過ぎても彼らはなお叫び続けて、夕の供え物をささげる時にまで及んだ。しかしなんの声もなく、答える者もなく、また顧みる者もなかった。 + その時エリヤはすべての民にむかって「わたしに近寄りなさい」と言ったので、民は皆彼に近寄った。彼はこわれている主の祭壇を繕った。 + そしてエリヤは昔、主の言葉がヤコブに臨んで、「イスラエルをあなたの名とせよ」と言われたヤコブの子らの部族の数にしたがって十二の石を取り、 + その石で主の名によって祭壇を築き、祭壇の周囲に種二セヤをいれるほどの大きさの、みぞを作った。 + また、たきぎを並べ、牛を切り裂いてたきぎの上に載せて言った、「四つのかめに水を満たし、それを燔祭とたきぎの上に注げ」。 + また言った、「それを二度せよ」。二度それをすると、また言った、「三度それをせよ」。三度それをした。 + 水は祭壇の周囲に流れた。またみぞにも水を満たした。 + 夕の供え物をささげる時になって、預言者エリヤは近寄って言った、「アブラハム、イサク、ヤコブの神、主よ、イスラエルでは、あなたが神であること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉に従ってこのすべての事を行ったことを、今日知らせてください。 + 主よ、わたしに答えてください、わたしに答えてください。主よ、この民にあなたが神であること、またあなたが彼らの心を翻されたのであることを知らせてください」。 + そのとき主の火が下って燔祭と、たきぎと、石と、ちりとを焼きつくし、またみぞの水をなめつくした。 + 民は皆見て、ひれ伏して言った、「主が神である。主が神である」。 + エリヤは彼らに言った、「バアルの預言者を捕えよ。そのひとりも逃がしてはならない」。そこで彼らを捕えたので、エリヤは彼らをキション川に連れくだって、そこで彼らを殺した。 + エリヤはアハブに言った、「大雨の音がするから、上って行って、食い飲みしなさい」。 + アハブは食い飲みするために上っていった。しかしエリヤはカルメルの頂に登り、地に伏して顔をひざの間に入れていたが、 + 彼はしもべに言った、「上っていって海の方を見なさい」。彼は上っていって、見て、「何もありません」と言ったので、エリヤは「もう一度行きなさい」と言って七度に及んだ。 + 七度目にしもべは言った、「海から人の手ほどの小さな雲が起っています」。エリヤは言った、「上っていって、『雨にとどめられないように車を整えて下れ』とアハブに言いなさい」。 + すると間もなく、雲と風が起り、空が黒くなって大雨が降ってきた。アハブは車に乗ってエズレルへ行った。 + また主の手がエリヤに臨んだので、彼は腰をからげ、エズレルの入口までアハブの前に走っていった。 + + + アハブはエリヤのしたすべての事、また彼がすべての預言者を刀で殺したことをイゼベルに告げたので、 + イゼベルは使者をエリヤにつかわして言った、「もしわたしが、あすの今ごろ、あなたの命をあの人々のひとりの命のようにしていないならば、神々がどんなにでも、わたしを罰してくださるように」。 + そこでエリヤは恐れて、自分の命を救うために立って逃げ、ユダに属するベエルシバへ行って、しもべをそこに残し、 + 自分は一日の道のりほど荒野にはいって行って、れだまの木の下に座し、自分の死を求めて言った、「主よ、もはや、じゅうぶんです。今わたしの命を取ってください。わたしは先祖にまさる者ではありません」。 + 彼はれだまの木の下に伏して眠ったが、天の使が彼にさわり、「起きて食べなさい」と言ったので、 + 起きて見ると、頭のそばに、焼け石の上で焼いたパン一個と、一びんの水があった。彼は食べ、かつ飲んでまた寝た。 + 主の使は再びきて、彼にさわって言った、「起きて食べなさい。道が遠くて耐えられないでしょうから」。 + 彼は起きて食べ、かつ飲み、その食物で力づいて四十日四十夜行って、神の山ホレブに着いた。 + その所で彼はほら穴にはいって、そこに宿ったが、主の言葉が彼に臨んで、彼に言われた、「エリヤよ、あなたはここで何をしているのか」。 + 彼は言った、「わたしは万軍の神、主のために非常に熱心でありました。イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、刀をもってあなたの預言者たちを殺したのです。ただわたしだけ残りましたが、彼らはわたしの命を取ろうとしています」。 + 主は言われた、「出て、山の上で主の前に、立ちなさい」。その時主は通り過ぎられ、主の前に大きな強い風が吹き、山を裂き、岩を砕いた。しかし主は風の中におられなかった。風の後に地震があったが、地震の中にも主はおられなかった。 + 地震の後に火があったが、火の中にも主はおられなかった。火の後に静かな細い声が聞えた。 + エリヤはそれを聞いて顔を外套に包み、出てほら穴の口に立つと、彼に語る声が聞えた、「エリヤよ、あなたはここで何をしているのか」。 + 彼は言った、「わたしは万軍の神、主のために非常に熱心でありました。イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、刀であなたの預言者たちを殺したからです。ただわたしだけ残りましたが、彼らはわたしの命を取ろうとしています」。 + 主は彼に言われた、「あなたの道を帰って行って、ダマスコの荒野におもむき、ダマスコに着いて、ハザエルに油を注ぎ、スリヤの王としなさい。 + またニムシの子エヒウに油を注いでイスラエルの王としなさい。またアベルメホラのシャパテの子エリシャに油を注いで、あなたに代って預言者としなさい。 + ハザエルのつるぎをのがれる者をエヒウが殺し、エヒウのつるぎをのがれる者をエリシャが殺すであろう。 + また、わたしはイスラエルのうちに七千人を残すであろう。皆バアルにひざをかがめず、それに口づけしない者である」。 + さてエリヤはそこを去って行って、シャパテの子エリシャに会った。彼は十二くびきの牛を前に行かせ、自分は十二番目のくびきと共にいて耕していた。エリヤは彼のかたわらを通り過ぎて外套を彼の上にかけた。 + エリシャは牛を捨て、エリヤのあとに走ってきて言った、「わたしの父母に口づけさせてください。そして後あなたに従いましょう」。エリヤは彼に言った、「行ってきなさい。わたしはあなたに何をしましたか」。 + エリシャは彼を離れて帰り、ひとくびきの牛を取って殺し、牛のくびきを燃やしてその肉を煮、それを民に与えて食べさせ、立って行ってエリヤに従い、彼に仕えた。 + + + スリヤの王ベネハダデはその軍勢をことごとく集めた。三十二人の王が彼と共におり、また馬と戦車もあった。彼は上ってサマリヤを囲み、これを攻めた。 + また彼は町に使者をつかわし、イスラエルの王アハブに言った、「ベネハダデはこう申します、 + 『あなたの金銀はわたしのもの、またあなたの妻たちと子供たちの最も美しい者もわたしのものです』」。 + イスラエルの王は答えた、「王、わが主よ、仰せのとおり、わたしと、わたしの持ち物は皆あなたのものです」。 + 使者は再びきて言った、「ベネハダデはこう申します、『わたしはさきに人をつかわして、あなたの金銀、妻子を引きわたせと言いました。 + しかし、あすの今ごろ、しもべたちをあなたにつかわします。彼らはあなたの家と、あなたの家来の家を探って、すべて彼らの気にいる物を手に入れて奪い去るでしょう』」。 + そこでイスラエルの王は国の長老をことごとく召して言った、「よく注意して、この人が無理な事を求めているのを知りなさい。彼は人をつかわして、わたしの妻子と金銀を求めたが、わたしはそれを拒まなかった」。 + すべての長老および民は皆彼に言った、「聞いてはなりません。承諾してはなりません」。 + それで彼はベネハダデの使者に言った、「王、わが主に告げなさい。『あなたが初めに要求されたことは皆いたしましょう。しかし今度の事はできません』」。使者は去って復命した。 + ベネハダデは彼に人をつかわして言った、「もしサマリヤのちりが、わたしに従うすべての民の手を満たすに足りるならば、神々がどんなにでも、わたしを罰してくださるように」。 + イスラエルの王は答えた、「『武具を帯びる者は、それを脱ぐ者のように誇ってはならない』と告げなさい」。 + ベネハダデは仮小屋で、王たちと酒を飲んでいたが、この事を聞いて、その家来たちに言った、「戦いの備えをせよ」。彼らは町にむかって戦いの備えをした。 + この時ひとりの預言者がイスラエルの王アハブのもとにきて言った、「主はこう仰せられる、『あなたはこの大軍を見たか。わたしはきょう、これをあなたの手にわたす。あなたは、わたしが主であることを、知るようになるであろう』」。 + アハブは言った、「だれにさせましょうか」。彼は言った、「主はこう仰せられる、『地方の代官の家来たちにさせよ』」。アハブは言った、「だれが戦いを始めましょうか」。彼は答えた、「あなたです」。 + そこでアハブは地方の代官の家来たちを調べたところ二百三十二人あった。次にすべての民、すなわちイスラエルのすべての人を調べたところ七千人あった。 + 彼らは昼ごろ出ていったが、ベネハダデは仮小屋で、味方の三十二人の王たちと共に酒を飲んで酔っていた。 + 地方の代官の家来たちが先に出ていった。ベネハダデは斥候をつかわしたが、彼らは「サマリヤから人々が出てきた」と報告したので、 + 彼は言った、「和解のために出てきたのであっても、生どりにせよ。また戦いのために出てきたのであっても、生どりにせよ」。 + 地方の代官の家来たちと、それに従う軍勢が町から出ていって、 + おのおのその相手を撃ち殺したので、スリヤびとは逃げた。イスラエルはこれを追ったが、スリヤの王ベネハダデは馬に乗り、騎兵を従えてのがれた。 + イスラエルの王は出ていって、馬と戦車をぶんどり、また大いにスリヤびとを撃ち殺した。 + 時に、かの預言者がイスラエルの王のもとにきて言った、「行って、力を養い、なすべき事をよく考えなさい。来年の春にはスリヤの王が、あなたのところに攻め上ってくるからです」。 + スリヤの王の家来たちは王に言った、「彼らの神々は山の神ですから彼らがわれわれよりも強かったのです。もしわれわれが平地で戦うならば、必ず彼らよりも強いでしょう。 + それでこうしなさい。王たちをおのおのその地位から退かせ、総督を置いてそれに代らせなさい。 + またあなたが失った軍勢に等しい軍勢を集め、馬は馬、戦車は戦車をもって補いなさい。こうしてわれわれが平地で戦うならば必ず彼らよりも強いでしょう」。彼はその言葉を聞きいれて、そのようにした。 + 春になって、ベネハダデはスリヤびとを集めて、イスラエルと戦うために、アペクに上ってきた。 + イスラエルの人々は召集され、糧食を受けて彼らを迎え撃つために出かけた。イスラエルの人々はやぎの二つの小さい群れのように彼らの前に陣取ったが、スリヤびとはその地に満ちていた。 + その時神の人がきて、イスラエルの王に言った、「主はこう仰せられる、『スリヤびとが、主は山の神であって、谷の神ではないと言っているから、わたしはこのすべての大軍をあなたの手にわたす。あなたは、わたしが主であることを知るようになるであろう』」。 + 彼らは七日の間、互にむかいあって陣取り、七日目になって戦いを交えたが、イスラエルの人々は一日にスリヤびとの歩兵十万人を殺した。 + そのほかの者はアペクの町に逃げこんだが、城壁がくずれて、その残った二万七千人の上に倒れた。ベネハダデは逃げて町に入り、奥の間にはいった。 + 家来たちは彼に言った、「イスラエルの家の王たちはあわれみ深い王であると聞いています。それでわれわれの腰に荒布をつけ、くびになわをかけて、イスラエルの王の所へ行かせてください。たぶん彼はあなたの命を助けるでしょう」。 + そこで彼らは荒布を腰にまき、なわをくびにかけてイスラエルの王の所へ行って言った、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの命を助けてください』と申しています」。アハブは言った、「彼はまだ生きているのですか。彼はわたしの兄弟です」。 + その人々はこれを吉兆としてすみやかに彼の言葉をうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟です」と言ったので、彼は言った、「行って彼をつれてきなさい」。それでベネハダデは彼の所に出てきたので、彼はこれを自分の車に乗せた。 + ベネハダデは彼に言った、「わたしの父が、あなたの父上から取った町々は返します。またわたしの父がサマリヤに造ったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場を設けなさい」。アハブは言った、「わたしはこの契約をもってあなたを帰らせましょう」。こうしてアハブは彼と契約を結び、彼を帰らせた。 + さて預言者のともがらのひとりが主の言葉に従ってその仲間に言った、「どうぞ、わたしを撃ってください」。しかしその人は撃つことを拒んだので、 + 彼はその人に言った、「あなたは主の言葉に聞き従わないゆえ、わたしを離れて行くとすぐ、ししがあなたを殺すでしょう」。その人が彼のそばを離れて行くとすぐ、ししが彼に会って彼を殺した。 + 彼はまたほかの人に会って言った、「どうぞ、わたしを撃ってください」。するとその人は彼を撃ち、撃って傷つけた。 + こうしてその預言者は行って、道のかたわらで王を待ち、目にほうたいを当てて姿を変えていた。 + 王が通り過ぎる時、王に呼ばわって言った、「しもべはいくさの中に出て行きましたが、ある軍人が、ひとりの人をわたしの所につれてきて言いました、『この人を守っていなさい。もし彼がいなくなれば、あなたの命を彼の命に代えるか、または銀一タラントを払わなければならない』。 + ところが、しもべはあちらこちらと忙しくしていたので、ついに彼はいなくなりました」。イスラエルの王は彼に言った、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分でそれを定めたのです」。 + そこで彼が急いで目のほうたいを取り除いたので、イスラエルの王はそれが預言者のひとりであることを知った。 + 彼は王に言った、「主はこう仰せられる、『わたしが滅ぼそうと定めた人を、あなたは自分の手から放して行かせたので、あなたの命は彼の命に代り、あなたの民は彼の民に代るであろう』と」。 + イスラエルの王は悲しみ、かつ怒って自分の家におもむき、サマリヤに帰った。 + + + さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう畑をもっていたが、サマリヤの王アハブの宮殿のかたわらにあったので、 + アハブはナボテに言った、「あなたのぶどう畑はわたしの家の近くにあるので、わたしに譲って青物畑にさせてください。その代り、わたしはそれよりも良いぶどう畑をあなたにあげましょう。もしお望みならば、その価を金でさしあげましょう」。 + ナボテはアハブに言った、「わたしは先祖の嗣業をあなたに譲ることを断じていたしません」。 + アハブはエズレルびとナボテが言った言葉を聞いて、悲しみ、かつ怒って家にはいった。ナボテが「わたしは先祖の嗣業をあなたに譲りません」と言ったからである。アハブは床に伏し、顔をそむけて食事をしなかった。 + 妻イゼベルは彼の所にきて、言った、「あなたは何をそんなに悲しんで、食事をなさらないのですか」。 + 彼は彼女に言った、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう畑を金で譲ってください。もし望むならば、その代りに、ほかのぶどう畑をあげよう』と言ったが、彼は答えて『わたしはぶどう畑を譲りません』と言ったからだ」。 + 妻イゼベルは彼に言った、「あなたが今イスラエルを治めているのですか。起きて食事をし、元気を出してください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう畑をあなたにあげます」。 + 彼女はアハブの名で手紙を書き、彼の印をおして、ナボテと同じように、その町に住んでいる長老たちと身分の尊い人々に、その手紙を送った。 + 彼女はその手紙に書きしるした、「断食を布告して、ナボテを民のうちの高い所にすわらせ、 + またふたりのよこしまな者を彼の前にすわらせ、そして彼を訴えて、『あなたは神と王とをのろった』と言わせなさい。こうして彼を引き出し、石で撃ち殺しなさい」。 + その町の人々、すなわち、その町に住んでいる長老たちおよび身分の尊い人々は、イゼベルが言いつかわしたようにした。彼女が彼らに送った手紙に書きしるされていたように、 + 彼らは断食を布告して、ナボテを民のうちの高い所にすわらせた。 + そしてふたりのよこしまな者がはいってきて、その前にすわり、そのよこしまな者たちが民の前でナボテを訴えて、「ナボテは神と王とをのろった」と言った。そこで人々は彼を町の外に引き出し、石で撃ち殺した。 + そして人々はイゼベルに「ナボテは石で撃ち殺された」と言い送った。 + イゼベルはナボテが石で撃ち殺されたのを聞くとすぐ、アハブに言った、「立って、あのエズレルびとナボテが、あなたに金で譲ることを拒んだぶどう畑を取りなさい。ナボテは生きていません。死んだのです」。 + アハブはナボテの死んだのを聞くとすぐ、立って、エズレルびとナボテのぶどう畑を取るために、そこへ下っていった。 + そのとき、主の言葉がテシベびとエリヤに臨んだ、 + 「立って、下って行き、サマリヤにいるイスラエルの王アハブに会いなさい。彼はナボテのぶどう畑を取ろうとしてそこへ下っている。 + あなたは彼に言わなければならない、『主はこう仰せられる、あなたは殺したのか、また取ったのか』と。また彼に言いなさい、『主はこう仰せられる、犬がナボテの血をなめた場所で、犬があなたの血をなめるであろう』」。 + アハブはエリヤに言った、「わが敵よ、ついに、わたしを見つけたのか」。彼は言った、「見つけました。あなたが主の目の前に悪を行うことに身をゆだねたゆえ、 + わたしはあなたに災を下し、あなたを全く滅ぼし、アハブに属する男は、イスラエルにいてつながれた者も、自由な者もことごとく断ち、 + またあなたの家をネバテの子ヤラベアムの家のようにし、アヒヤの子バアシャの家のようにするでしょう。これはあなたがわたしを怒らせた怒りのゆえ、またイスラエルに罪を犯させたゆえです。 + イゼベルについて、主はまた言われました、『犬がエズレルの地域でイゼベルを食うであろう』と。 + アハブに属する者は、町で死ぬ者を犬が食い、野で死ぬ者を空の鳥が食うでしょう」。 + アハブのように主の目の前に悪を行うことに身をゆだねた者はなかった。その妻イゼベルが彼をそそのかしたのである。 + 彼は主がイスラエルの人々の前から追い払われたアモリびとがしたように偶像に従って、はなはだ憎むべき事を行った。 + アハブはこれらの言葉を聞いた時、衣を裂き、荒布を身にまとい、食を断ち、荒布に伏し、打ちしおれて歩いた。 + この時、主の言葉がテシベびとエリヤに臨んだ、 + 「アハブがわたしの前にへりくだっているのを見たか。彼がわたしの前にへりくだっているゆえ、わたしは彼の世には災を下さない。その子の世に災をその家に下すであろう」。 + + + スリヤとイスラエルの間に戦争がなくて三年を経た。 + しかし三年目にユダの王ヨシャパテがイスラエルの王の所へ下っていったので、 + イスラエルの王はその家来たちに言った、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有であることを知っていますか。しかもなおわれわれはスリヤの王の手からそれを取らずに黙っているのです」。 + 彼はヨシャパテに言った、「ラモテ・ギレアデで戦うためにわたしと一緒に行かれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの王に言った、「わたしはあなたと一つです。わたしの民はあなたの民と一つです。わたしの馬はあなたの馬と一つです」。 + ヨシャパテはまたイスラエルの王に言った、「まず、主の言葉を伺いなさい」。 + そこでイスラエルの王は預言者四百人ばかりを集めて、彼らに言った、「わたしはラモテ・ギレアデに戦いに行くべきでしょうか、あるいは控えるべきでしょうか」。彼らは言った、「上っていきなさい。主はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + ヨシャパテは言った、「ここには、われわれの問うべき主の預言者がほかにいませんか」。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「われわれが主に問うことのできる人が、まだひとりいます。イムラの子ミカヤです。彼はわたしについて良い事を預言せず、ただ悪い事だけを預言するので、わたしは彼を憎んでいます」。ヨシャパテは言った、「王よ、そう言わないでください」。 + そこでイスラエルの王は役人を呼んで、「急いでイムラの子ミカヤを連れてきなさい」と言った。 + さてイスラエルの王およびユダの王ヨシャパテは王の服を着て、サマリヤの門の入口の広場に、おのおのその王座にすわり、預言者たちは皆その前で預言していた。 + ケナアナの子ゼデキヤは鉄の角を造って言った、「主はこう仰せられます、『あなたはこれらの角をもってスリヤびとを突いて彼らを滅ぼしなさい』」。 + 預言者たちは皆そのように預言して言った、「ラモテ・ギレアデに上っていって勝利を得なさい。主はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + さてミカヤを呼びにいった使者は彼に言った、「預言者たちは一致して王に良い事を言いました。どうぞ、あなたも、彼らのひとりの言葉のようにして、良い事を言ってください」。 + ミカヤは言った、「主は生きておられます。主がわたしに言われる事を申しましょう」。 + 彼が王の所へ行くと、王は彼に言った、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦いに行くべきでしょうか、あるいは控えるべきでしょうか」。彼は王に言った、「上っていって勝利を得なさい。主はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + しかし王は彼に言った、「幾たびあなたを誓わせたら、あなたは主の名をもって、ただ真実のみをわたしに告げるでしょうか」。 + 彼は言った、「わたしはイスラエルが皆、牧者のない羊のように、山に散っているのを見ました。すると主は『これらの者は飼主がいない。彼らをそれぞれ安らかに、その家に帰らせよ』と言われました」。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「彼がわたしについて良い事を預言せず、ただ悪い事だけを預言すると、あなたに告げたではありませんか」。 + ミカヤは言った、「それゆえ主の言葉を聞きなさい。わたしは主がその玉座にすわり、天の万軍がそのかたわらに、右左に立っているのを見たが、 + 主は『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに上らせ、彼を倒れさせるであろうか』と言われました。するとひとりはこの事を言い、ひとりはほかの事を言いました。 + その時一つの霊が進み出て、主の前に立ち、『わたしが彼をいざないましょう』と言いました。 + 主は『どのような方法でするのか』と言われたので、彼は『わたしが出て行って、偽りを言う霊となって、すべての預言者の口に宿りましょう』と言いました。そこで主は『おまえは彼をいざなって、それを成し遂げるであろう。出て行って、そうしなさい』と言われました。 + それで主は偽りを言う霊をあなたのすべての預言者の口に入れ、また主はあなたの身に起る災を告げられたのです」。 + するとケナアナの子ゼデキヤは近寄って、ミカヤのほおを打って言った、「どのようにして主の霊がわたしを離れて、あなたに語りましたか」。 + ミカヤは言った、「あなたが奥の間にはいって身を隠すその日に、わかるでしょう」。 + イスラエルの王は言った、「ミカヤを捕え、町のつかさアモンと、王の子ヨアシの所へ引いて帰って、 + 言いなさい、『王がこう言います、この者を獄屋に入れ、わずかのパンと水をもって彼を養い、わたしが勝利を得て帰ってくるのを待て』」。 + ミカヤは言った、「もしあなたが勝利を得て帰ってこられるならば、主がわたしによって語られなかったのです」。また彼は言った、「あなたがた、すべての民よ、聞きなさい」。 + こうしてイスラエルの王とユダの王ヨシャパテはラモテ・ギレアデに上っていった。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「わたしは姿を変えて、戦いに行きます。あなたは王の服を着けなさい」。イスラエルの王は姿を変えて戦いに行った。 + さて、スリヤの王は、その戦車長三十二人に命じて言った、「あなたがたは、小さい者とも大きい者とも戦わないで、ただイスラエルの王とだけ戦いなさい」。 + 戦車長らはヨシャパテを見たとき、これはきっとイスラエルの王だと思ったので、身をめぐらして、これと戦おうとすると、ヨシャパテは呼ばわった。 + 戦車長らは彼がイスラエルの王でないのを見たので、彼を追うことをやめて引き返した。 + しかし、ひとりの人が何心なく弓をひいて、イスラエルの王の胸当と草摺の間を射たので、彼はその戦車の御者に言った、「わたしは傷を受けた。戦車をめぐらして、わたしを戦場から運び出せ」。 + その日戦いは激しくなった。王は戦車の中にささえられて立ち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮になって死んだ。傷の血は戦車の底に流れた。 + 日の没するころ、軍勢の中に呼ばわる声がした、「めいめいその町へ、めいめいその国へ帰れ」。 + 王は死んで、サマリヤへ携え行かれた。人々は王をサマリヤに葬った。 + またその戦車をサマリヤの池で洗ったが、犬がその血をなめた。また遊女がそこで身を洗った。主が言われた言葉のとおりである。 + アハブのそのほかの事績と、彼がしたすべての事と、その建てた象牙の家と、その建てたすべての町は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + こうしてアハブはその先祖と共に眠って、その子アハジヤが代って王となった。 + アサの子ヨシャパテはイスラエルの王アハブの第四年にユダの王となった。 + ヨシャパテは王となった時、三十五歳であったが、エルサレムで二十五年世を治めた。その母の名はアズバといい、シルヒの娘であった。 + ヨシャパテは父アサのすべての道に歩み、それを離れることなく、主の目にかなう事をした。ただし高き所は除かなかったので、民はなお高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + ヨシャパテはまたイスラエルの王と、よしみを結んだ。 + ヨシャパテのその他の事績と、彼があらわした勲功およびその戦争については、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + 彼は父アサの世になお残っていた神殿男娼たちを国のうちから追い払った。 + そのころエドムには王がなく、代官が王であった。 + ヨシャパテはタルシシの船を造って、金を獲るためにオフルに行かせようとしたが、その船はエジオン・ゲベルで難破したため、ついに行かなかった。 + そこでアハブの子アハジヤはヨシャパテに「わたしの家来をあなたの家来と一緒に船で行かせなさい」と言ったが、ヨシャパテは承知しなかった。 + ヨシャパテはその先祖と共に眠って、父ダビデの町に先祖と共に葬られ、その子ヨラムが代って王となった。 + アハブの子アハジヤはユダの王ヨシャパテの第十七年にサマリヤでイスラエルの王となり、二年イスラエルを治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、その父の道と、その母の道、およびかのイスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの道に歩み、 + バアルに仕えて、それを拝み、イスラエルの神、主を怒らせた。すべて彼の父がしたとおりであった。 + +
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+ + アハブが死んだ後、モアブはイスラエルにそむいた。 + さてアハジヤはサマリヤにある高殿のらんかんから落ちて病気になったので、使者をつかわし、「行ってエクロンの神バアル・ゼブブに、この病気がなおるかどうかを尋ねよ」と命じた。 + 時に、主の使はテシベびとエリヤに言った、「立って、上って行き、サマリヤの王の使者に会って言いなさい、『あなたがたがエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようとして行くのは、イスラエルに神がないためか』。 + それゆえ主はこう仰せられる、『あなたは、登った寝台から降りることなく、必ず死ぬであろう』」。そこでエリヤは上って行った。 + 使者たちがアハジヤのもとに帰ってきたので、アハジヤは彼らに言った、「なぜ帰ってきたのか」。 + 彼らは言った、「ひとりの人が上ってきて、われわれに会って言いました、『おまえたちをつかわした王の所へ帰って言いなさい。主はこう仰せられる、あなたがエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようとして人をつかわすのは、イスラエルに神がないためなのか。それゆえあなたは、登った寝台から降りることなく、必ず死ぬであろう』」。 + アハジヤは彼らに言った、「上ってきて、あなたがたに会って、これらの事を告げた人はどんな人であったか」。 + 彼らは答えた、「その人は毛ごろもを着て、腰に皮の帯を締めていました」。彼は言った、「その人はテシべびとエリヤだ」。 + そこで王は五十人の長を、部下の五十人と共にエリヤの所へつかわした。彼がエリヤの所へ上っていくと、エリヤは山の頂にすわっていたので、エリヤに言った、「神の人よ、王があなたに、下って来るようにと言われます」。 + しかしエリヤは五十人の長に答えた、「わたしがもし神の人であるならば、火が天から下って、あなたと部下の五十人とを焼き尽すでしょう」。そのように火が天から下って、彼と部下の五十人とを焼き尽した。 + 王はまた他の五十人の長を、部下の五十人と共にエリヤにつかわした。彼は上っていってエリヤに言った、「神の人よ、王がこう命じられます、『すみやかに下ってきなさい』」。 + しかしエリヤは彼らに答えた、「わたしがもし神の人であるならば、火が天から下って、あなたと部下の五十人とを焼き尽すでしょう」。そのように神の火が天から下って、彼と部下の五十人とを焼き尽した。 + 王はまた第三の五十人の長を部下の五十人と共につかわした。第三の五十人の長は上っていって、エリヤの前にひざまずき、彼に願って言った、「神の人よ、どうぞ、わたしの命と、あなたのしもべであるこの五十人の命をあなたの目に尊いものとみなしてください。 + ごらんなさい、火が天からくだって、さきの五十人の長ふたりと、その部下の五十人ずつとを焼き尽しました。しかし今わたしの命をあなたの目に尊いものとみなしてください」。 + その時、主の使はエリヤに言った、「彼と共に下りなさい。彼を恐れてはならない」。そこでエリヤは立って、彼と共に下り、王のもとへ行って、 + 王に言った、「主はこう仰せられます、『あなたはエクロンの神バアル・ゼブブに尋ねようと使者をつかわしたが、それはイスラエルに、その言葉を求むべき神がないためであるか。それゆえあなたは、登った寝台から降りることなく、必ず死ぬであろう』」。 + 彼はエリヤが言った主の言葉のとおりに死んだが、彼に子がなかったので、その兄弟ヨラムが彼に代って王となった。これはユダの王ヨシャパテの子ヨラムの第二年である。 + アハジヤのその他の事績は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + + + 主がつむじ風をもってエリヤを天に上らせようとされた時、エリヤはエリシャと共にギルガルを出て行った。 + エリヤはエリシャに言った、「どうぞ、ここにとどまってください。主はわたしをベテルにつかわされるのですから」。しかしエリシャは言った、「主は生きておられます。またあなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そして彼らはベテルへ下った。 + ベテルにいる預言者のともがらが、エリシャのもとに出てきて彼に言った、「主がきょう、あなたの師事する主人をあなたから取られるのを知っていますか」。彼は言った、「はい、知っています。あなたがたは黙っていてください」。 + エリヤは彼に言った、「エリシャよ、どうぞ、ここにとどまってください。主はわたしをエリコにつかわされるのですから」。しかしエリシャは言った、「主は生きておられます。またあなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そして彼らはエリコへ行った。 + エリコにいた預言者のともがらが、エリシャのもとにきて彼に言った、「主がきょう、あなたの師事する主人をあなたから取られるのを知っていますか」。彼は言った、「はい、知っています。あなたがたは黙っていてください」。 + エリヤはまた彼に言った、「どうぞ、ここにとどまってください。主はわたしをヨルダンにつかわされるのですから」。しかし彼は言った、「主は生きておられます。またあなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そしてふたりは進んで行った。 + 預言者のともがら五十人も行って、彼らにむかって、はるかに離れて立っていた。彼らふたりは、ヨルダンのほとりに立ったが、 + エリヤは外套を取り、それを巻いて水を打つと、水が左右に分れたので、ふたりはかわいた土の上を渡ることができた。 + 彼らが渡ったとき、エリヤはエリシャに言った、「わたしが取られて、あなたを離れる前に、あなたのしてほしい事を求めなさい」。エリシャは言った、「どうぞ、あなたの霊の二つの分をわたしに継がせてください」。 + エリヤは言った、「あなたはむずかしい事を求める。あなたがもし、わたしが取られて、あなたを離れるのを見るならば、そのようになるであろう。しかし見ないならば、そのようにはならない」。 + 彼らが進みながら語っていた時、火の車と火の馬があらわれて、ふたりを隔てた。そしてエリヤはつむじ風に乗って天にのぼった。 + エリシャはこれを見て「わが父よ、わが父よ、イスラエルの戦車よ、その騎兵よ」と叫んだが、再び彼を見なかった。そこでエリシャは自分の着物をつかんで、それを二つに裂き、 + またエリヤの身から落ちた外套を取り上げ、帰ってきてヨルダンの岸に立った。 + そしてエリヤの身から落ちたその外套を取って水を打ち、「エリヤの神、主はどこにおられますか」と言い、彼が水を打つと、水は左右に分れたので、エリシャは渡った。 + エリコにいる預言者のともがらは彼の近づいて来るのを見て、「エリヤの霊がエリシャの上にとどまっている」と言った。そして彼らは来て彼を迎え、その前に地に伏して、 + 彼に言った、「しもべらの所に力の強い者が五十人います。どうぞ彼らをつかわして、あなたの主人を尋ねさせてください。主の霊が彼を引きあげて、彼を山か谷に投げたのかも知れません」。エリシャは「つかわしてはならない」と言ったが、 + 彼の恥じるまで、しいたので、彼は「つかわしなさい」と言った。それで彼らは五十人の者をつかわし、三日の間尋ねたが、彼を見いださなかった。 + エリシャのなおエリコにとどまっている時、彼らが帰ってきたので、エリシャは彼らに言った、「わたしは、あなたがたに、行ってはならないと告げたではないか」。 + 町の人々はエリシャに言った、「見られるとおり、この町の場所は良いが水が悪いので、この地は流産を起すのです」。 + エリシャは言った、「新しい皿に塩を盛って、わたしに持ってきなさい」。彼らは持ってきた。 + エリシャは水の源へ出て行って、塩をそこに投げ入れて言った、「主はこう仰せられる、『わたしはこの水を良い水にした。もはやここには死も流産も起らないであろう』」。 + こうしてその水はエリシャの言ったとおりに良い水になって今日に至っている。 + 彼はそこからベテルへ上ったが、上って行く途中、小さい子供らが町から出てきて彼をあざけり、彼にむかって「はげ頭よ、のぼれ。はげ頭よ、のぼれ」と言ったので、 + 彼はふり返って彼らを見、主の名をもって彼らをのろった。すると林の中から二頭の雌ぐまが出てきて、その子供らのうち四十二人を裂いた。 + 彼はそこからカルメル山へ行き、そこからサマリヤに帰った。 + + + ユダの王ヨシャパテの第十八年にアハブの子ヨラムはサマリヤでイスラエルの王となり、十二年世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪をおこなったが、その父母のようではなかった。彼がその父の造ったバアルの石柱を除いたからである。 + しかし彼はイスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪につき従って、それを離れなかった。 + モアブの王メシャは羊の飼育者で、十万の小羊と、十万の雄羊の毛とを年々イスラエルの王に納めていたが、 + アハブが死んだ後、モアブの王はイスラエルの王にそむいた。 + そこでヨラム王はその時サマリヤを出て、イスラエルびとをことごとく集め、 + また、人をユダの王ヨシャパテにつかわし、「モアブの王はわたしにそむきました。あなたはモアブと戦うために、わたしと一緒に行かれませんか」と言わせた。彼は言った、「行きましょう。わたしはあなたと一つです。わたしの民はあなたの民と一つです。わたしの馬はあなたの馬と一つです」。 + 彼はまた言った、「われわれはどの道を上るのですか」。ヨラムは答えた、「エドムの荒野の道を上りましょう」。 + こうしてイスラエルの王はユダの王およびエドムの王と共に出て行った。しかし彼らは回り道をして、七日の間進んだが、軍勢とそれに従う家畜の飲む水がなかったので、 + イスラエルの王は言った、「ああ、主は、この三人の王をモアブの手に渡そうとして召し集められたのだ」。 + ヨシャパテは言った、「われわれが主に問うことのできる主の預言者はここにいませんか」。イスラエルの王のひとりの家来が答えた、「エリヤの手に水を注いだシャパテの子エリシャがここにいます」。 + ヨシャパテは言った、「主の言葉が彼にあります」。そこでイスラエルの王とヨシャパテとエドムの王とは彼のもとへ下っていった。 + エリシャはイスラエルの王に言った、「わたしはあなたとなんのかかわりがありますか。あなたの父上の預言者たちと母上の預言者たちの所へ行きなさい」。イスラエルの王は彼に言った、「いいえ、主がこの三人の王をモアブの手に渡そうとして召し集められたのです」。 + エリシャは言った、「わたしの仕える万軍の主は生きておられます。わたしはユダの王ヨシャパテのためにするのでなければ、あなたを顧み、あなたに会うことはしないのだが、 + いま楽人をわたしの所に連れてきなさい」。そこで楽人が楽を奏すると、主の手が彼に臨んで、 + 彼は言った、「主はこう仰せられる、『わたしはこの谷を水たまりで満たそう』。 + これは主がこう仰せられるからである、『あなたがたは風も雨も見ないのに、この谷に水が満ちて、あなたがたと、その家畜および獣が飲むであろう』。 + これは主の目には小さい事である。主はモアブびとをも、あなたがたの手に渡される。 + そしてあなたがたはすべての堅固な町と、すべての良い町を撃ち、すべての良い木を切り倒し、すべての水の井戸をふさぎ、石をもって地のすべての良い所を荒すであろう」。 + あくる朝になって、供え物をささげる時に、水がエドムの方から流れてきて、水は国に満ちた。 + さてモアブびとは皆、王たちが自分たちを攻めるために上ってきたのを聞いたので、よろいを着ることのできる者を、老いも若きもことごとく召集して、国境に配置したが、 + 朝はやく起きて、太陽がのぼって水を照したとき、モアブびとは目の前に血のように赤い水を見たので、 + 彼らは言った、「これは血だ、きっと王たちが互に戦って殺し合ったのだ。だから、モアブよ、ぶんどりに行きなさい」。 + しかしモアブびとがイスラエルの陣営に行くと、イスラエルびとは立ちあがってモアブびとを撃ったので、彼らはイスラエルの前から逃げ去った。イスラエルびとは進んで、モアブびとを撃ち、その国にはいって、 + 町々を滅ぼし、おのおの石を一つずつ、地のすべての良い所に投げて、これに満たし、水の井戸をことごとくふさぎ、良い木をことごとく切り倒して、ただキル・ハラセテはその名を残すのみとなったが、石を投げる者がこれを囲んで撃ち滅ぼした。 + モアブの王は戦いがあまりに激しく、当りがたいのを見て、つるぎを抜く者七百人を率い、エドムの王の所に突き入ろうとしたが、果さなかったので、 + 自分の位を継ぐべきその長子をとって城壁の上で燔祭としてささげた。その時イスラエルに大いなる憤りが臨んだので、彼らは彼をすてて自分の国に帰った。 + + + 預言者のともがらの、ひとりの妻がエリシャに呼ばわって言った、「あなたのしもべであるわたしの夫が死にました。ごぞんじのように、あなたのしもべは主を恐れる者でありましたが、今、債主がきて、わたしのふたりの子供を取って奴隷にしようとしているのです」。 + エリシャは彼女に言った、「あなたのために何をしましょうか。あなたの家にどんな物があるか、言いなさい」。彼女は言った、「一びんの油のほかは、はしための家に何もありません」。 + 彼は言った、「ほかへ行って、隣の人々から器を借りなさい。あいた器を借りなさい。少しばかりではいけません。 + そして内にはいって、あなたの子供たちと一緒に戸の内に閉じこもり、そのすべての器に油をついで、いっぱいになったとき、一つずつそれを取りのけておきなさい」。 + 彼女は彼を離れて去り、子供たちと一緒に戸の内に閉じこもり、子供たちの持って来る器に油をついだ。 + 油が満ちたとき、彼女は子供に「もっと器を持ってきなさい」と言ったが、子供が「器はもうありません」と言ったので、油はとまった。 + そこで彼女は神の人のところにきて告げたので、彼は言った、「行って、その油を売って負債を払いなさい。あなたと、あなたの子供たちはその残りで暮すことができます」。 + ある日エリシャはシュネムへ行ったが、そこにひとりの裕福な婦人がいて、しきりに彼に食事をすすめたので、彼はそこを通るごとに、そこに寄って食事をした。 + その女は夫に言った、「いつもわたしたちの所を通るあの人は確かに神の聖なる人です。 + わたしたちは屋上に壁のある一つの小さいへやを造り、そこに寝台と机といすと燭台とを彼のために備えましょう。そうすれば彼がわたしたちの所に来るとき、そこに、はいることができます」。 + さて、ある日エリシャはそこにきて、そのへやにはいり、そこに休んだが、 + 彼はそのしもべゲハジに「このシュネムの女を呼んできなさい」と言った。彼がその女を呼ぶと、彼女はきてエリシャの前に立ったので、 + エリシャはゲハジに言った、「彼女に言いなさい、『あなたはこんなにねんごろに、わたしたちのために心を用いられたが、あなたのためには何をしたらよいでしょうか。王または軍勢の長にあなたの事をよろしく頼むことをお望みですか』」。彼女は答えて言った、「わたしは自分の民のうちに住んでいます」。 + エリシャは言った、「それでは彼女のために何をしようか」。ゲハジは言った、「彼女には子供がなく、その夫は老いています」。 + するとエリシャが「彼女を呼びなさい」と言ったので、彼女を呼ぶと、来て戸口に立った。 + エリシャは言った、「来年の今ごろ、あなたはひとりの子を抱くでしょう」。彼女は言った、「いいえ、わが主よ、神の人よ、はしためを欺かないでください」。 + しかし女はついに身ごもって、エリシャが彼女に言ったように、次の年のそのころに子を産んだ。 + その子が成長して、ある日、刈入れびとの所へ出ていって、父のもとへ行ったが、 + 父にむかって「頭が、頭が」と言ったので、父はしもべに「彼を母のもとへ背負っていきなさい」と言った。 + 彼を背負って母のもとへ行くと、昼まで母のひざの上にすわっていたが、ついに死んだ。 + 母は上がっていって、これを神の人の寝台の上に置き、戸を閉じて出てきた。 + そして夫を呼んで言った、「どうぞ、しもべひとりと、ろば一頭をわたしにかしてください。急いで神の人の所へ行って、また帰ってきます」。 + 夫は言った、「どうしてきょう彼の所へ行こうとするのか。きょうは、ついたちでもなく、安息日でもない」。彼女は言った、「よろしいのです」。 + そして彼女はろばにくらを置いて、しもべに言った、「速く駆けさせなさい。わたしが命じる時でなければ、歩調をゆるめてはなりません」。 + こうして彼女は出発してカルメル山へ行き、神の人の所へ行った。神の人は彼女の近づいてくるのを見て、しもべゲハジに言った、「向こうから、あのシュネムの女が来る。 + すぐ走って行って、彼女を迎えて言いなさい、『あなたは無事ですか。あなたの夫は無事ですか。あなたの子供は無事ですか』」。彼女は答えた、「無事です」。 + ところが彼女は山にきて、神の人の所へくるとエリシャの足にすがりついた。ゲハジが彼女を追いのけようと近よった時、神の人は言った、「かまわずにおきなさい。彼女は心に苦しみがあるのだから。主はそれを隠して、まだわたしにお告げにならないのだ」。 + そこで彼女は言った、「わたしがあなたに子を求めましたか。わたしを欺かないでくださいと言ったではありませんか」。 + エリシャはゲハジに言った、「腰をひきからげ、わたしのつえを手に持って行きなさい。だれに会っても、あいさつしてはならない。またあなたにあいさつする者があっても、それに答えてはならない。わたしのつえを子供の顔の上に置きなさい」。 + 子供の母は言った、「主は生きておられます。あなたも生きておられます。わたしはあなたを離れません」。そこでエリシャはついに立ちあがって彼女のあとについて行った。 + ゲハジは彼らの先に行って、つえを子供の顔の上に置いたが、なんの声もなく、生きかえったしるしもなかったので、帰ってきてエリシャに会い、彼に告げて「子供はまだ目をさましません」と言った。 + エリシャが家にはいって見ると、子供は死んで、寝台の上に横たわっていたので、 + 彼ははいって戸を閉じ、彼らふたりだけ内にいて主に祈った。 + そしてエリシャが上がって子供の上に伏し、自分の口を子供の口の上に、自分の目を子供の目の上に、自分の両手を子供の両手の上にあて、その身を子供の上に伸ばしたとき、子供のからだは暖かになった。 + こうしてエリシャは再び起きあがって、家の中をあちらこちらと歩み、また上がって、その身を子供の上に伸ばすと、子供は七たびくしゃみをして目を開いた。 + エリシャはただちにゲハジを呼んで、「あのシュネムの女を呼べ」と言ったので、彼女を呼んだ。彼女がはいってくるとエリシャは言った、「あなたの子供をつれて行きなさい」。 + 彼女ははいってきて、エリシャの足もとに伏し、地に身をかがめた。そしてその子供を取りあげて出ていった。 + エリシャはギルガルに帰ったが、その地にききんがあった。預言者のともがらが彼の前に座していたので、エリシャはそのしもべに言った、「大きなかまをすえて、預言者のともがらのために野菜の煮物をつくりなさい」。 + 彼らのうちのひとりが畑に出ていって青物をつんだが、つる草のあるのを見て、その野うりを一包つんできて、煮物のかまの中に切り込んだ。彼らはそれが何であるかを知らなかったからである。 + やがてこれを盛って人々に食べさせようとしたが、彼らがその煮物を食べようとした時、叫んで、「ああ神の人よ、かまの中に、たべると死ぬものがはいっています」と言って、食べることができなかったので、 + エリシャは「それでは粉を持って来なさい」と言って、それをかまに投げ入れ、「盛って人々に食べさせなさい」と言った。かまの中には、なんの毒物もなくなった。 + その時、バアル・シャリシャから人がきて、初穂のパンと、大麦のパン二十個と、新穀一袋とを神の人のもとに持ってきたので、エリシャは「人々に与えて食べさせなさい」と言ったが、 + その召使は言った、「どうしてこれを百人の前に供えるのですか」。しかし彼は言った、「人々に与えて食べさせなさい。主はこう言われる、『彼らは食べてなお余すであろう』」。 + そこで彼はそれを彼らの前に供えたので、彼らは食べてなお余した。主の言葉のとおりであった。 + + + スリヤ王の軍勢の長ナアマンはその主君に重んじられた有力な人であった。主がかつて彼を用いてスリヤに勝利を得させられたからである。彼は大勇士であったが、らい病をわずらっていた。 + さきにスリヤびとが略奪隊を組んで出てきたとき、イスラエルの地からひとりの少女を捕えて行った。彼女はナアマンの妻に仕えたが、 + その女主人にむかって、「ああ、御主人がサマリヤにいる預言者と共におられたらよかったでしょうに。彼はそのらい病をいやしたことでしょう」と言ったので、 + ナアマンは行って、その主君に、「イスラエルの地からきた娘がこういう事を言いました」と告げると、 + スリヤ王は言った、「それでは行きなさい。わたしはイスラエルの王に手紙を書きましょう」。そこで彼は銀十タラントと、金六千シケルと、晴れ着十着を携えて行った。 + 彼がイスラエルの王に持って行った手紙には、「この手紙があなたにとどいたならば、わたしの家来ナアマンを、あなたにつかわしたことと御承知ください。あなたに彼のらい病をいやしていただくためです」とあった。 + イスラエルの王はその手紙を読んだ時、衣を裂いて言った、「わたしは殺したり、生かしたりすることのできる神であろうか。どうしてこの人は、らい病人をわたしにつかわして、それをいやせと言うのか。あなたがたは、彼がわたしに争いをしかけているのを知って警戒するがよい」。 + 神の人エリシャは、イスラエルの王がその衣を裂いたことを聞き、王に人をつかわして言った、「どうしてあなたは衣を裂いたのですか。彼をわたしのもとにこさせなさい。そうすれば彼はイスラエルに預言者のあることを知るようになるでしょう」。 + そこでナアマンは馬と車とを従えてきて、エリシャの家の入口に立った。 + するとエリシャは彼に使者をつかわして言った、「あなたはヨルダンへ行って七たび身を洗いなさい。そうすれば、あなたの肉はもとにかえって清くなるでしょう」。 + しかしナアマンは怒って去り、そして言った、「わたしは、彼がきっとわたしのもとに出てきて立ち、その神、主の名を呼んで、その箇所の上に手を動かして、らい病をいやすのだろうと思った。 + ダマスコの川アバナとパルパルはイスラエルのすべての川水にまさるではないか。わたしはこれらの川に身を洗って清まることができないのであろうか」。こうして彼は身をめぐらし、怒って去った。 + その時、しもべたちは彼に近よって言った、「わが父よ、預言者があなたに、何か大きな事をせよと命じても、あなたはそれをなさらなかったでしょうか。まして彼はあなたに『身を洗って清くなれ』と言うだけではありませんか」。 + そこでナアマンは下って行って、神の人の言葉のように七たびヨルダンに身を浸すと、その肉がもとにかえって幼な子の肉のようになり、清くなった。 + 彼はすべての従者を連れて神の人のもとに帰ってきて、その前に立って言った、「わたしは今、イスラエルのほか、全地のどこにも神のおられないことを知りました。それゆえ、どうぞ、しもべの贈り物を受けてください」。 + エリシャは言った、「わたしの仕える主は生きておられる。わたしは何も受けません」。彼はしいて受けさせようとしたが、それを拒んだ。 + そこでナアマンは言った、「もしお受けにならないのであれば、どうぞ騾馬に二駄の土をしもべにください。これから後しもべは、他の神には燔祭も犠牲もささげず、ただ主にのみささげます。 + どうぞ主がこの事を、しもべにおゆるしくださるように。すなわち、わたしの主君がリンモンの宮にはいって、そこで礼拝するとき、わたしの手によりかかることがあり、またわたしもリンモンの宮で身をかがめることがありましょう。わたしがリンモンの宮で身をかがめる時、どうぞ主がその事を、しもべにおゆるしくださるように」。 + エリシャは彼に言った、「安んじて行きなさい」。ナアマンがエリシャを離れて少し行ったとき、 + 神の人エリシャのしもべゲハジは言った、「主人はこのスリヤびとナアマンをいたわって、彼が携えてきた物を受けなかった。主は生きておられる。わたしは彼のあとを追いかけて、彼から少し、物を受けよう」。 + そしてゲハジはナアマンのあとを追ったが、ナアマンは自分のあとから彼が走ってくるのを見て、車から降り、彼を迎えて、「変った事があるのですか」と言うと、 + 彼は言った、「無事です。主人がわたしをつかわして言わせます、『ただいまエフライムの山地から、預言者のともがらのふたりの若者が、わたしのもとに来ましたので、どうぞ彼らに銀一タラントと晴れ着二着を与えてください』」。 + ナアマンは、「どうぞ二タラントを受けてください」と言って彼にしい、銀二タラントを二つの袋に入れ、晴れ着二着を添えて、自分のふたりのしもべに渡したので、彼らはそれを負ってゲハジの先に立って進んだが、 + 彼は丘にきたとき、それを彼らの手から受け取って家のうちにおさめ、人々を送りかえしたので、彼らは去った。 + 彼がはいって主人の前に立つと、エリシャは彼に言った、「ゲハジよ、どこへ行ってきたのか」。彼は言った、「しもべはどこへも行きません」。 + エリシャは言った、「あの人が車をはなれて、あなたを迎えたとき、わたしの心はあなたと一緒にそこにいたではないか。今は金を受け、着物を受け、オリブ畑、ぶどう畑、羊、牛、しもべ、はしためを受ける時であろうか。 + それゆえ、ナアマンのらい病はあなたに着き、ながくあなたの子孫に及ぶであろう」。彼がエリシャの前を出ていくとき、らい病が発して雪のように白くなっていた。 + + + さて預言者のともがらはエリシャに言った、「わたしたちがあなたと共に住んでいる所は狭くなりましたので、 + わたしたちをヨルダンに行かせ、そこからめいめい一本ずつ材木を取ってきて、わたしたちの住む場所を造らせてください」。エリシャは言った、「行きなさい」。 + 時にそのひとりが、「どうぞあなたも、しもべらと一緒に行ってください」と言ったので、エリシャは「行きましょう」と答えた。 + そしてエリシャは彼らと一緒に行った。彼らはヨルダンへ行って木を切り倒したが、 + ひとりが材木を切り倒しているとき、おのの頭が水の中に落ちたので、彼は叫んで言った。「ああ、わが主よ。これは借りたものです」。 + 神の人は言った、「それはどこに落ちたのか」。彼がその場所を知らせると、エリシャは一本の枝を切り落し、そこに投げ入れて、そのおのの頭を浮ばせ、 + 「それを取りあげよ」と言ったので、その人は手を伸べてそれを取った。 + かつてスリヤの王がイスラエルと戦っていたとき、家来たちと評議して「しかじかの所にわたしの陣を張ろう」と言うと、 + 神の人はイスラエルの王に「あなたは用心して、この所をとおってはなりません。スリヤびとがそこに下ってきますから」と言い送った。 + それでイスラエルの王は神の人が自分に告げてくれた所に人をつかわし、警戒したので、その所でみずからを防ぎえたことは一、二回にとどまらなかった。 + スリヤの王はこの事のために心を悩まし、家来たちを召して言った、「われわれのうち、だれがイスラエルの王と通じているのか、わたしに告げる者はないか」。 + ひとりの家来が言った、「王、わが主よ、だれも通じている者はいません。ただイスラエルの預言者エリシャが、あなたが寝室で語られる言葉でもイスラエルの王に告げるのです」。 + 王は言った、「彼がどこにいるか行って捜しなさい。わたしは人をやって彼を捕えよう」。時に「彼はドタンにいる」と王に告げる者があったので、 + 王はそこに馬と戦車および大軍をつかわした。彼らは夜のうちに来て、その町を囲んだ。 + 神の人の召使が朝早く起きて出て見ると、軍勢が馬と戦車をもって町を囲んでいたので、その若者はエリシャに言った、「ああ、わが主よ、わたしたちはどうしましょうか」。 + エリシャは言った、「恐れることはない。われわれと共にいる者は彼らと共にいる者よりも多いのだから」。 + そしてエリシャが祈って「主よ、どうぞ、彼の目を開いて見させてください」と言うと、主はその若者の目を開かれたので、彼が見ると、火の馬と火の戦車が山に満ちてエリシャのまわりにあった。 + スリヤびとがエリシャの所に下ってきた時、エリシャは主に祈って言った、「どうぞ、この人々の目をくらましてください」。するとエリシャの言葉のとおりに彼らの目をくらまされた。 + そこでエリシャは彼らに「これはその道ではない。これはその町でもない。わたしについてきなさい。わたしはあなたがたを、あなたがたの尋ねる人の所へ連れて行きましょう」と言って、彼らをサマリヤへ連れて行った。 + 彼らがサマリヤにはいったとき、エリシャは言った、「主よ、この人々の目を開いて見させてください」。主は彼らの目を開かれたので、彼らが見ると、見よ、彼らはサマリヤのうちに来ていた。 + イスラエルの王は彼らを見て、エリシャに言った、「わが父よ、彼らを撃ち殺しましょうか。彼らを撃ち殺しましょうか」。 + エリシャは答えた、「撃ち殺してはならない。あなたはつるぎと弓をもって、捕虜にした者どもを撃ち殺すでしょうか。パンと水を彼らの前に供えて食い飲みさせ、その主君のもとへ行かせなさい」。 + そこで王は彼らのために盛んなふるまいを設けた。彼らが食い飲みを終ると彼らを去らせたので、その主君の所へ帰った。スリヤの略奪隊は再びイスラエルの地にこなかった。 + この後スリヤの王ベネハダデはその全軍を集め、上ってきてサマリヤを攻め囲んだので、 + サマリヤに激しいききんが起った。すなわち彼らがこれを攻め囲んだので、ついに、ろばの頭一つが銀八十シケルで売られ、はとのふん一カブの四分の一が銀五シケルで売られるようになった。 + イスラエルの王が城壁の上をとおっていた時、ひとりの女が彼に呼ばわって、「わが主、王よ、助けてください」と言ったので、 + 彼は言った、「もし主があなたを助けられないならば、何をもってわたしがあなたを助けることができよう。打ち場の物をもってか、酒ぶねの物をもってか」。 + そして王は女に尋ねた、「何事なのですか」。彼女は答えた、「この女はわたしにむかって『あなたの子をください。わたしたちは、きょうそれを食べ、あす、わたしの子を食べましょう』と言いました。 + それでわたしたちは、まずわたしの子を煮て食べましたが、次の日わたしが彼女にむかって『あなたの子をください。わたしたちはそれを食べましょう』と言いますと、彼女はその子を隠しました」。 + 王はその女の言葉を聞いて、衣を裂き、――王は城壁の上をとおっていたが、民が見ると、その身に荒布を着けていた―― + そして王は言った「きょう、シャパテの子エリシャの首がその肩の上にすわっているならば、神がどんなにでもわたしを罰してくださるように」。 + さてエリシャはその家に座していたが、長老たちもきて彼と共に座した。王は自分の所から人をつかわしたが、エリシャはその使者がまだ着かないうちに長老たちに言った、「あなたがたは、この人を殺す者がわたしの首を取るために、人をつかわすのを見ますか。その使者がきたならば、戸を閉じて、内に入れてはなりません。彼のうしろに、その主君の足音がするではありませんか」。 + 彼がなお彼らと語っているうちに、王は彼のもとに下ってきて言った、「この災は主から出たのです。わたしはどうしてこの上、主を待たなければならないでしょうか」。 + + + エリシャは言った、「主の言葉を聞きなさい。主はこう仰せられる、『あすの今ごろサマリヤの門で、麦粉一セアを一シケルで売り、大麦二セアを一シケルで売るようになるであろう』」。 + 時にひとりの副官すなわち王がその人の手によりかかっていた者が神の人に答えて言った、「たとい主が天に窓を開かれても、そんな事がありえましょうか」。エリシャは言った、「あなたは自分の目をもってそれを見るであろう。しかしそれを食べることはなかろう」。 + さて町の門の入口に四人のらい病人がいたが、彼らは互に言った、「われわれはどうしてここに座して死を待たねばならないのか。 + われわれがもし町にはいろうといえば、町には食物が尽きているから、われわれはそこで死ぬであろう。しかしここに座していても死ぬのだ。いっその事、われわれはスリヤびとの陣営へ逃げて行こう。もし彼らがわれわれを生かしておいてくれるならば、助かるが、たといわれわれを殺しても死ぬばかりだ」。 + そこで彼らはスリヤびとの陣営へ行こうと、たそがれに立ちあがったが、スリヤびとの陣営のほとりに行って見ると、そこにはだれもいなかった。 + これは主がスリヤびとの軍勢に戦車の音、馬の音、大軍の音を聞かせられたので、彼らは互に「見よ、イスラエルの王がわれわれを攻めるために、ヘテびとの王たちおよびエジプトの王たちを雇ってきて、われわれを襲うのだ」と言って、 + たそがれに立って逃げ、その天幕と、馬と、ろばを捨て、陣営をそのままにしておいて、命を全うしようと逃げたからである。 + そこでらい病人たちは陣営のほとりに行き、一つの天幕にはいって食い飲みし、そこから金銀、衣服を持ち出してそれを隠し、また来て、他の天幕に入り、そこからも持ち出してそれを隠した。 + そして彼らは互に言った、「われわれのしている事はよくない。きょうは良いおとずれのある日であるのに、黙っていて、夜明けまで待つならば、われわれは罰をこうむるであろう。さあ、われわれは行って王の家族に告げよう」。 + そこで彼らは来て、町の門を守る者を呼んで言った、「わたしたちがスリヤびとの陣営に行って見ると、そこにはだれの姿も見えず、また人声もなく、ただ、馬とろばがつないであり、天幕はそのままでした」。 + そこで門を守る者は呼ばわって、それを王の家族のうちに知らせた。 + 王は夜のうちに起きて、家来たちに言った、「スリヤびとがわれわれに対して図っている事をあなたがたに告げよう。彼らは、われわれの飢えているのを知って、陣営を出て野に隠れ、『イスラエルびとが町を出たら、いけどりにして、町に押し入ろう』と考えているのだ」。 + 家来のひとりが答えて言った、「人々に、ここに残っている馬のうち五頭を連れてこさせてください。ここに残っているこれらの人々は、すでに滅びうせたイスラエルの全群衆と同じ運命にあうのですから。わたしたちは人をやってうかがわせましょう」。 + そこで彼らはふたりの騎兵を選んだ。王はそれをつかわし、「行って見よ」と言って、スリヤびとの軍勢のあとをつけさせたので、 + 彼らはそのあとを追ってヨルダンまで行ったが、道にはすべて、スリヤびとがあわてて逃げる時に捨てていった衣服と武器が散らばっていた。その使者は帰ってきて、これを王に告げた。 + そこで民が出ていって、スリヤびとの陣営をかすめたので、麦粉一セアは一シケルで売られ、大麦二セアは一シケルで売られ、主の言葉のとおりになった。 + 王は自分がその人の手によりかかっていた、あの副官を立てて門を管理させたが、民は門で彼を踏みつけたので、彼は死んだ。すなわち、王が神の人のところに下ってきた時、神の人が言ったとおりであった。 + これは神の人が王にむかって、「あすの今ごろ、サマリヤの門で大麦二セアを一シケルで売り、麦粉一セアを一シケルで売るようになるであろう」と言ったときに、 + その副官が神の人に答えて、「たとい主が天に窓を開かれても、そんな事がありえようか」と言ったからである。そのとき神の人は「あなたは自分の目をもってそれを見るであろう。しかしそれを食べることはなかろう」と言ったが、 + これはそのとおり彼に臨んだ。すなわち民が門で彼を踏みつけたので彼は死んだ。 + + + エリシャはかつて、その子を生きかえらせてやった女に言ったことがある。「あなたは、ここを立って、あなたの家族と共に行き、寄留しようと思う所に寄留しなさい。主がききんを呼び下されたので、七年の間それがこの地に臨むから」。 + そこで女は立って神の人の言葉のようにし、その家族と共に行ってペリシテびとの地に七年寄留した。 + 七年たって後、女はペリシテびとの地から帰ってきて、自分の家と畑のために王に訴えようと出ていった。 + 時に王は神の人のしもべゲハジにむかって「エリシャがしたもろもろの大きな事をわたしに話してください」と言って、彼と物語っていた。 + すなわちエリシャが死人を生きかえらせた事を、ゲハジが王と物語っていたとき、その子を生きかえらせてもらった女が、自分の家と畑のために王に訴えてきたので、ゲハジは言った、「わが主、王よ、これがその女です。またこれがその子で、エリシャが生きかえらせたのです」。 + 王がその女に尋ねると、彼女は王に話したので、王は彼女のためにひとりの役人に命じて言った、「すべて彼女に属する物、ならびに彼女がこの地を去った日から今までのその畑の産物をことごとく彼女に返しなさい」。 + さてエリシャはダマスコに来た。時にスリヤの王ベネハダデは病気であったが、「神の人がここに来た」と告げる者があったので、 + 王はハザエルに言った、「贈り物を携えて行って神の人を迎え、彼によって主に『わたしのこの病気はなおりましょうか』と言って尋ねなさい」。 + そこでハザエルは彼を迎えようと、ダマスコのもろもろの良い物をらくだ四十頭に載せ、贈り物として携え行き、エリシャの前に立って言った、「あなたの子、スリヤの王ベネハダデがわたしをあなたにつかわして、『わたしのこの病気はなおりましょうか』と言わせています」。 + エリシャは彼に言った、「行って彼に『あなたは必ずなおります』と告げなさい。ただし主はわたしに、彼が必ず死ぬことを示されました」。 + そして神の人がひとみを定めて彼の恥じるまでに見つめ、やがて泣き出したので、 + ハザエルは言った、「わが主よ、どうして泣かれるのですか」。エリシャは答えた、「わたしはあなたがイスラエルの人々にしようとする害悪を知っているからです。すなわち、あなたは彼らの城に火をかけ、つるぎをもって若者を殺し、幼な子を投げうち、妊娠の女を引き裂くでしょう」。 + ハザエルは言った、「しもべは一匹の犬にすぎないのに、どうしてそんな大きな事をすることができましょう」。エリシャは言った、「主がわたしに示されました。あなたはスリヤの王となるでしょう」。 + 彼がエリシャのもとを去って、主君のところへ行くと、「エリシャはあなたになんと言ったか」と尋ねられたので、「あなたが必ずなおるでしょうと、彼はわたしに告げました」と答えた。 + しかし翌日になってハザエルは布を取って水に浸し、それをもって王の顔をおおったので、王は死んだ。ハザエルは彼に代って王となった。 + イスラエルの王アハブの子ヨラムの第五年に、ユダの王ヨシャパテの子ヨラムが位についた。 + 彼は王となったとき三十二歳で、八年の間エルサレムで世を治めた。 + 彼はアハブの家がしたようにイスラエルの王たちの道に歩んだ。アハブの娘が彼の妻であったからである。彼は主の目の前に悪をおこなったが、 + 主はしもべダビデのためにユダを滅ぼすことを好まれなかった。すなわち主は彼とその子孫に常にともしびを与えると、彼に約束されたからである。 + ヨラムの世にエドムがそむいてユダの支配を脱し、みずから王を立てたので、 + ヨラムはすべての戦車を従えてザイルにわたって行き、その戦車の指揮官たちと共に、夜のうちに立ちあがって、彼を包囲しているエドムびとを撃った。しかしヨラムの軍隊は天幕に逃げ帰った。 + エドムはこのようにそむいてユダの支配を脱し、今日に至っている。リブナもまた同時にそむいた。 + ヨラムのその他の事績および彼がしたすべての事は、ユダの歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨラムはその先祖たちと共に眠って、ダビデの町にその先祖たちと共に葬られ、その子アハジヤが代って王となった。 + イスラエルの王アハブの子ヨラムの第十二年にユダの王ヨラムの子アハジヤが位についた。 + アハジヤは王となったとき二十二歳で、エルサレムで一年世を治めた。その母は名をアタリヤと言って、イスラエルの王オムリの孫娘であった。 + アハジヤはまたアハブの家の道に歩み、アハブの家がしたように主の目の前に悪をおこなった。彼はアハブの家の婿であったからである。 + 彼はアハブの子ヨラムと共に行って、スリヤの王ハザエルとラモテ・ギレアデで戦ったが、スリヤびとらはヨラムに傷を負わせた。 + ヨラム王はそのスリヤの王ハザエルと戦うときにラマでスリヤびとに負わされた傷をいやすため、エズレルに帰ったが、ユダの王ヨラムの子アハジヤはアハブの子ヨラムが病んでいたので、エズレルに下って彼をおとずれた。 + + + 時に預言者エリシャは預言者のともがらのひとりを呼んで言った、「腰をひきからげ、この油のびんを携えて、ラモテ・ギレアデへ行きなさい。 + そこに着いたならば、ニムシの子ヨシャパテの子であるエヒウを尋ね出し、内にはいって彼をその同僚たちのうちから立たせて、奥の間に連れて行き、 + 油のびんを取って、その頭に注ぎ、『主はこう仰せられる、わたしはあなたに油を注いでイスラエルの王とする』と言い、そして戸をあけて逃げ去りなさい。とどまってはならない」。 + そこで預言者であるその若者はラモテ・ギレアデへ行ったが、 + 来て見ると、軍勢の長たちが会議中であったので、彼は「将軍よ、わたしはあなたに申しあげる事があります」と言うと、エヒウが答えて、「われわれすべてのうちの、だれにですか」と言ったので、彼は「将軍よ、あなたにです」と言った。 + するとエヒウが立ちあがって家にはいったので、若者はその頭に油を注いで彼に言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられます、『わたしはあなたに油を注いで、主の民イスラエルの王とする。 + あなたは主君アハブの家を撃ち滅ぼさなければならない。それによってわたしは、わたしのしもべである預言者たちの血と、主のすべてのしもべたちの血をイゼベルに報いる。 + アハブの全家は滅びるであろう。アハブに属する男は、イスラエルにいて、つながれた者も、自由な者も、ことごとくわたしは断ち、 + アハブの家をネバテの子ヤラベアムのようにし、アヒヤの子バアシャの家のようにする。 + 犬がイズレルの地域でイゼベルを食い、彼女を葬る者はないであろう』」。そして彼は戸をあけて逃げ去った。 + やがてエヒウが主君の家来たちの所へ出て来ると、彼らはエヒウに言った、「変った事はありませんか。あの気違いは、なんのためにあなたの所にきたのですか」。エヒウは彼らに言った、「あなたがたは、あの人を知っています。またその言う事も知っています」。 + 彼らは言った、「それは違います。どうぞわれわれに話してください」。そこでエヒウは言った、「彼はこうこう、わたしに告げて言いました、『主はこう仰せられる、わたしはあなたに油を注いで、イスラエルの王とする』」。 + すると彼らは急いで、おのおの衣服をとり、それを階段の上のエヒウの下に敷き、ラッパを吹いて「エヒウは王である」と言った。 + こうしてニムシの子であるヨシャパテの子エヒウはヨラムにそむいた。(ヨラムはイスラエルをことごとく率いて、ラモテ・ギレアデでスリヤの王ハザエルを防いだが、 + ヨラム王はスリヤの王ハザエルと戦った時に、スリヤびとに負わされた傷をいやすため、エズレルに帰っていた。)エヒウは言った、「もしこれがあなたがたの本心であるならば、ひとりもこの町から忍び出て、これをエズレルに告げてはならない」。 + そしてエヒウは車に乗ってエズレルへ行った。ヨラムがそこに伏していたからである。またユダの王アハジヤはヨラムを見舞うために下っていた。 + さてエズレルのやぐらに、ひとりの物見が立っていたが、エヒウの群衆が来るのを見て、「群衆が見える」と言ったので、ヨラムは言った、「ひとりを馬に乗せてつかわし、それに会わせて『平安ですか』と言わせなさい」。 + そこでひとりが馬に乗って行き、彼に会って言った、「王はこう仰せられます、『平安ですか』」。エヒウ言った、「あなたは平安となんの関係がありますか。わたしのあとについてきなさい」。物見はまた告げて言った、「使者は彼らの所へ行きましたが、帰ってきません」。 + そこで再び人を馬でつかわしたので、彼らの所へ行って言った、「王はこう仰せられます、『平安ですか』」。エヒウは答えて言った、「あなたは平安となんの関係がありますか。わたしのあとについてきなさい」。 + 物見はまた告げて言った、「彼も、彼らの所へ行きましたが帰ってきません。あの車の操縦はニムシの子エヒウの操縦するのに似て、猛烈な勢いで操縦して来ます」。 + そこでヨラムが「車を用意せよ」と言ったので、車を用意すると、イスラエルの王ヨラムと、ユダの王アハジヤは、おのおのその車で出て行った。すなわちエヒウに会うために出ていって、エズレルびとナボテの地所で彼に会った。 + ヨラムはエヒウを見て言った、「エヒウよ、平安ですか」。エヒウは答えた、「あなたの母イゼベルの姦淫と魔術とが、こんなに多いのに、どうして平安でありえましょうか」。 + その時ヨラムは車をめぐらして逃げ、アハジヤにむかって、「アハジヤよ、反逆です」と言うと、 + エヒウは手に弓をひきしぼって、ヨラムの両肩の間を射たので、矢は彼の心臓を貫き、彼は車の中に倒れた。 + エヒウはその副官ビデカルに言った、「彼を取りあげて、エズレルびとナボテの畑に投げ捨てなさい。かつて、わたしとあなたと、ふたり共に乗って、彼の父アハブに従ったとき、主が彼について、この預言をされたことを記憶しなさい。 + すなわち主は言われた、『まことに、わたしはきのうナボテの血と、その子らの血を見た』。また主は言われた、『わたしはこの地所であなたに報復する』と。それゆえ彼を取りあげて、その地所に投げすて、主の言葉のようにしなさい」。 + ユダの王アハジヤはこれを見てベテハガンの方へ逃げたが、エヒウはそのあとを追い、「彼をも撃て」と言ったので、イブレアムのほとりのグルの坂で車の中の彼を撃った。彼はメギドまで逃げていって、そこで死んだ。 + その家来たちは彼を車に載せてエルサレムに運び、ダビデの町で彼の墓にその先祖たちと共に葬った。 + アハブの子ヨラムの第十一年にアハジヤはユダの王となったのである。 + エヒウがエズレルにきた時、イゼベルはそれを聞いて、その目を塗り、髪を飾って窓から望み見たが、 + エヒウが門にはいってきたので、「主君を殺したジムリよ、無事ですか」と言った。 + するとエヒウは顔をあげて窓にむかい、「だれか、わたしに味方する者があるか。だれかあるか」と言うと、二、三人の宦官がエヒウを望み見たので、 + エヒウは「彼女を投げ落せ」と言った。彼らは彼女を投げ落したので、その血が壁と馬とにはねかかった。そして馬は彼女を踏みつけた。 + エヒウは内にはいって食い飲みし、そして言った、「あののろわれた女を見、彼女を葬りなさい。彼女は王の娘なのだ」。 + しかし彼らが彼女を葬ろうとして行って見ると、頭蓋骨と、足と、たなごころのほか何もなかったので、 + 帰って、彼に告げると、彼は言った、「これは主が、そのしもべ、テシベびとエリヤによってお告げになった言葉である。すなわち『エズレルの地で犬がイゼベルの肉を食うであろう。 + イゼベルの死体はエズレルの地で、糞土のように野のおもてに捨てられて、だれも、これはイゼベルだ、と言うことができないであろう』」。 + + + アハブはサマリヤに七十人の子供があった。エヒウは手紙をしたためてサマリヤに送り、町のつかさたちと、長老たちと、アハブの子供の守役たちとに伝えて言った、 + 「あなたがたの主君の子供たちがあなたがたと共におり、また戦車も馬も、堅固な町も武器もあるのだから、この手紙があなたがたのもとに届いたならば、すぐ、 + あなたがたは主君の子供たちのうち最もすぐれた、最も適当な者を選んで、その父の位にすえ、主君の家のために戦いなさい」。 + 彼らは大いに恐れて言った、「ふたりの王たちがすでに彼に当ることができなかったのに、われわれがどうして当ることができよう」。 + そこで宮廷のつかさ、町のつかさ、長老たちと守役たちはエヒウに人をつかわして言った、「わたしたちは、あなたのしもべです。すべてあなたが命じられる事をいたします。わたしたちは王を立てることを好みません。あなたがよいと思われることをしてください」。 + そこでエヒウは再び彼らに手紙を書き送って言った、「もしあなたがたが、わたしに味方し、わたしに従おうとするならば、あなたがたの主君の子供たちの首を取って、あすの今ごろエズレルにいるわたしのもとに持ってきなさい」。そのころ、王の子供たち七十人は彼らを育てていた町のおもだった人々と共にいた。 + 彼らはその手紙を受け取ると、王の子供たちを捕えて、その七十人をことごとく殺し、その首をかごにつめて、エズレルにいるエヒウのもとに送った。 + 使者が来て、エヒウに告げ、「人々が王の子供たちの首を持ってきました」と言うと、「あくる朝までそれを門の入口に、ふた山に積んでおけ」と言った。 + 朝になると、彼は出て行って立ち、すべての民に言った、「あなたがたは正しい。主君にそむいて彼を殺したのはわたしです。しかしこのすべての者どもを殺したのはだれですか。 + これであなたがたは、主がアハブの家について告げられた主の言葉は一つも地に落ちないことを知りなさい。主は、そのしもべエリヤによってお告げになった事をなし遂げられたのです」。 + こうしてエヒウは、アハブの家に属する者でエズレルに残っている者をことごとく殺し、またそのすべてのおもだった者、その親しい者およびその祭司たちを殺して、彼に属する者はひとりも残さなかった。 + さてエヒウは立ってサマリヤへ行ったが、途中、牧者の集まり場で、 + ユダの王アハジヤの身内の人々に会い、「あなたがたはどなたですか」と言うと、「わたしたちはアハジヤの身内の者ですが、王の子供たちと、王母の子供たちの安否を問うために下ってきたのです」と答えたので、 + エヒウは「彼らをいけどれ」と命じた。そこで彼らをいけどって、集まり場の穴のかたわらで彼ら四十二人をことごとく殺し、ひとりをも残さなかった。 + エヒウはそこを立って行ったが、自分を迎えにきたレカブの子ヨナダブに会ったので、彼にあいさつして、「あなたの心は、わたしがあなたに対するように真実ですか」と言うと、ヨナダブは「真実です」と答えた。するとエヒウは「それならば、あなたの手をわたしに伸べなさい」と言ったので、その手を伸べると、彼を引いて自分の車に上らせ、 + 「わたしと一緒にきて、わたしが主に熱心なのを見なさい」と言った。そして彼を自分の車に乗せ、 + サマリヤへ行って、アハブに属する者で、サマリヤに残っている者をことごとく殺して、その一族を滅ぼした。主がエリヤにお告げになった言葉のとおりである。 + 次いでエヒウは民をことごとく集めて彼らに言った、「アハブは少しばかりバアルに仕えたが、エヒウは大いにこれに仕えるであろう。 + それゆえ、今バアルのすべての預言者、すべての礼拝者、すべての祭司をわたしのもとに召しなさい。ひとりもこない者のないようにしなさい。わたしは大いなる犠牲をバアルにささげようとしている。すべてこない者は生かしておかない」。しかしエヒウはバアルの礼拝者たちを滅ぼすために偽ってこうしたのである。 + そしてエヒウは「バアルのために聖会を催しなさい」と命じたので、彼らはこれを布告した。 + エヒウはあまねくイスラエルに人をつかわしたので、バアルの礼拝者たちはことごとく来た。こないで残った者はひとりもなかった。彼らはバアルの宮にはいったので、バアルの宮は端から端までいっぱいになった。 + その時エヒウは衣装をつかさどる者に「祭服を取り出してバアルのすべての礼拝者に与えよ」と言ったので、彼らのために祭服を取り出した。 + そしてエヒウはレカブの子ヨナダブと共にバアルの宮に入り、バアルの礼拝者たちに言った、「調べてみて、ここにはただバアルの礼拝者のみで、主のしもべはひとりも、あなたがたのうちにいないようにしなさい」。 + こうして彼は犠牲と燔祭とをささげるためにはいった。さてエヒウは八十人の者を外に置いて言った、「わたしがあなたがたの手に渡す者をひとりでも逃す者は、自分の命をもってその人の命に換えなければならない」。 + こうして燔祭をささげることが終ったとき、エヒウはその侍衛と将校たちに言った、「はいって彼らを殺せ。ひとりも逃がしてはならない」。侍衛と将校たちはつるぎをもって彼らを撃ち殺し、それを投げ出して、バアルの宮の本殿に入り、 + バアルの宮にある柱の像を取り出して、それを焼いた。 + また彼らはバアルの石柱をこわし、バアルの宮をこわして、かわやとしたが今日まで残っている。 + このようにエヒウはイスラエルのうちからバアルを一掃した。 + しかしエヒウはイスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪、すなわちベテルとダンにある金の子牛に仕えることをやめなかった。 + 主はエヒウに言われた、「あなたはわたしの目にかなう事を行うにあたって、よくそれを行い、またわたしの心にあるすべての事をアハブの家にしたので、あなたの子孫は四代までイスラエルの位に座するであろう」。 + しかしエヒウはイスラエルの神、主の律法を心をつくして守り行おうとはせず、イスラエルに罪を犯させたヤラベアムの罪を離れなかった。 + この時にあたって、主はイスラエルの領地を切り取ることを始められた。すなわちハザエルはイスラエルのすべての領域を侵し、 + ヨルダンの東で、ギレアデの全地、カドびと、ルベンびと、マナセびとの地を侵し、アルノン川のほとりにあるアロエルからギレアデとバシャンに及んだ。 + エヒウのその他の事績と、彼がしたすべての事およびその武勇は、ことごとくイスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + エヒウはその先祖たちと共に眠ったので、彼をサマリヤに葬った。その子エホアハズが代って王となった。 + エヒウがサマリヤでイスラエルを治めたのは二十八年であった。 + + + さてアハジヤの母アタリヤはその子の死んだのを見て、立って王の一族をことごとく滅ぼしたが、 + ヨラム王の娘で、アハジヤの姉妹であるエホシバはアハジヤの子ヨアシを、殺されようとしている王の子たちのうちから盗み取り、彼とそのうばとを寝室に入れて、アタリヤに隠したので、彼はついに殺されなかった。 + ヨアシはうばと共に六年の間、主の宮に隠れていたが、その間アタリヤが国を治めた。 + 第七年になってエホヤダは人をつかわして、カリびとと近衛兵との大将たちを招きよせ、主の宮にいる自分のもとにこさせ、彼らと契約を結び、主の宮で彼らに誓いをさせて王の子を見せ、 + 命じて言った、「あなたがたのする事はこれです、すなわち、安息日に非番となって王の家を守るあなたがたの三分の一は、 + 宮殿を守らなければならない。(他の三分の一はスルの門におり、三分の一は近衛兵のうしろの門におる)。 + すべて安息日に当番で主の宮を守るあなたがたの二つの部隊は、 + おのおのの武器を手に取って王のまわりに立たなければならない。すべて列に近よる者は殺されなければならない。あなたがたは王が出る時にも、はいる時にも王と共にいなければならない」。 + そこでその大将たちは祭司エホヤダがすべて命じたとおりにおこなった。すなわち彼らはおのおの安息日に非番となる者と、安息日に当番となる者とを率いて祭司エホヤダのもとにきたので、 + 祭司は主の宮にあるダビデ王のやりと盾を大将たちに渡した。 + 近衛兵はおのおの手に武器をとって主の宮の南側から北側まで、祭壇と宮を取り巻いて立った。 + そこでエホヤダは王の子をつれ出して冠をいただかせ、律法の書を渡し、彼を王と宣言して油を注いだので、人々は手を打って「王万歳」と言った。 + アタリヤは近衛兵と民の声を聞いて、主の宮に入り、民のところへ行って、 + 見ると、王は慣例にしたがって柱のかたわらに立ち、王のかたわらには大将たちとラッパ手たちが立ち、また国の民は皆喜んでラッパを吹いていたので、アタリヤはその衣を裂いて、「反逆です、反逆です」と叫んだ。 + その時祭司エホヤダは軍勢を指揮していた大将たちに命じて、「彼女を列の間をとおって出て行かせ、彼女に従う者をつるぎをもって殺しなさい」と言った。これは祭司がさきに「彼女を主の宮で殺してはならない」と言ったからである。 + そこで彼らは彼女を捕え、王の家の馬道へ連れて行ったが、彼女はついにそこで殺された。 + かくてエホヤダは主と王および民との間に、皆主の民となるという契約を立てさせ、また王と民との間にもそれを立てさせた。 + そこで国の民は皆バアルの宮に行って、これをこわし、その祭壇とその像を打ち砕き、バアルの祭司マッタンをその祭壇の前で殺した。そして祭司は主の宮に管理人を置いた。 + 次いでエホヤダは大将たちと、カリびとと、近衛兵と国のすべての民を率いて、主の宮から王を導き下り、近衛兵の門の道から王の家に入り、王の位に座せしめた。 + こうして国の民は皆喜び、町はアタリヤが王の家でつるぎをもって殺されてのち、おだやかになった。 + ヨアシは位についた時七歳であった。 + + + ヨアシはエヒウの第七年に位につき、エルサレムで四十年の間、世を治めた。その母はベエルシバの出身で、名をヂビアといった。 + ヨアシは一生の間、主の目にかなう事をおこなった。祭司エホヤダが彼を教えたからである。 + しかし高き所は除かなかったので、民はなおその高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + ヨアシは祭司たちに言った、「すべて主の宮に聖別してささげる銀、すなわちおのおのが課せられて、割当にしたがって人々の出す銀、および人々が心から願って主の宮の持ってくる銀は、 + これを祭司たちがおのおのその知る人から受け取り、どこでも主の宮に破れの見える時は、それをもってその破れを繕わなければならない」。 + ところがヨアシ王の二十三年に至るまで、祭司たちは主の宮の破れを繕わなかった。 + それで、ヨアシ王は祭司エホヤダおよび他の祭司たちを召して言った、「なぜ、あなたがたは主の宮の破れを繕わないのか。あなたがたはもはや知人から銀を受けてはならない。主の宮の破れを繕うためにそれを渡しなさい」。 + 祭司たちは重ねて民から銀を受けない事と、主の宮の破れを繕わない事とに同意した。 + そこで祭司エホヤダは一つの箱を取り、そのふたに穴をあけて、それを主の宮の入口の右側、祭壇のかたわらに置いた。そして門を守る祭司たちは主の宮にはいってくる銀をことごとくその中に入れた。 + こうしてその箱の中に銀が多くなったのを見ると、王の書記官と大祭司が上ってきて、主の宮にある銀を数えて袋に詰めた。 + そしてその数えた銀を、工事をつかさどる主の宮の監督者の手にわたしたので、彼らはそれを主の宮に働く木工と建築師に払い、 + 石工および石切りに払い、またそれをもって主の宮の破れを繕う材木と切り石を買い、主の宮を繕うために用いるすべての物のために費した。 + ただし、主の宮にはいってくるその銀をもって主の宮のために銀のたらい、心切りばさみ、鉢、ラッパ、金の器、銀の器などを造ることはしなかった。 + ただこれを工事をする者に渡して、それで主の宮を繕わせた。 + またその銀を渡して工事をする者に払わせた人々と計算することはしなかった。彼らは正直に事をおこなったからである。 + 愆祭の銀と罪祭の銀は主の宮に、はいらないで、祭司に帰した。 + そのころ、スリヤの王ハザエルが上ってきて、ガテを攻めてこれを取った。そしてハザエルがエルサレムに攻め上ろうとして、その顔を向けたとき、 + ユダの王ヨアシはその先祖、ユダの王ヨシャパテ、ヨラム、アハジヤが聖別してささげたすべての物、およびヨアシ自身が聖別してささげた物、ならびに主の宮の倉と、主の宮にある金をことごとく取って、スリヤ王のハザエルに贈ったので、ハザエルはエルサレムを離れ去った。 + ヨアシのその他の事績および彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨアシの家来たちは立って徒党を結び、シラに下る道にあるミロの家でヨアシを殺した。 + すなわちその家来シメアテの子ヨザカルと、ショメルの子ヨザバデが彼を撃って殺し、彼をその先祖と同じく、ダビデの町に葬った。その子アマジヤが代って王となった。 + + + ユダの王アハジヤの子ヨアシの第二十三年にエヒウの子エホアハズはサマリヤでイスラエルの王となり、十七年世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を行いつづけて、それを離れなかった。 + そこで主はイスラエルに対して怒りを発し、エホアハズの治世の間、絶えずイスラエルをスリヤの王ハザエルの手にわたし、またハザエルの子ベネハダデの手にわたされた。 + しかしエホアハズが主に願い求めたので、主はついにこれを聞きいれられた。スリヤの王によって悩まされたイスラエルの悩みを見られたからである。 + それで主がひとりの救助者をイスラエルに賜わったので、イスラエルの人々はスリヤびとの手をのがれ、前のように自分たちの天幕に住むようになった。 + それにもかかわらず、彼らはイスラエルに罪を犯させたヤラベアムの家の罪を離れず、それを行いつづけた。またアシラの像もサマリヤに立ったままであった。 + さきにスリヤの王が彼らを滅ぼし、踏み砕くちりのようにしたのでエホアハズの軍勢で残ったものは、ただ騎兵五十人、戦車十両、歩兵一万人のみであった。 + エホアハズその他の事績と、彼がしたすべての事およびその武勇は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + エホアハズは先祖たちと共に眠ったので、彼をサマリヤに葬った。その子ヨアシが代って王となった。 + ユダの王ヨアシの第三十七年に、エホアハズの子ヨアシはサマリヤでイスラエルの王となり、十六年世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムのもろもろの罪を離れず、それに歩んだ。 + ヨアシのその他の事績と、彼がしたすべての事およびユダの王アマジヤと戦ったその武勇は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨアシは先祖たちと共に眠って、ヤラベアムがその位に座した。そしてヨアシはイスラエルの王たちと同じくサマリヤに葬られた。 + さてエリシャは死ぬ病気にかかっていたが、イスラエルの王ヨアシは下ってきて彼の顔の上に涙を流し、「わが父よ、わが父よ、イスラエルの戦車よ、その騎兵よ」と言った。 + エリシャは彼に「弓と矢を取りなさい」と言ったので、弓と矢を取った。 + エリシャはまたイスラエルの王に「弓に手をかけなさい」と言ったので、手をかけた。するとエリシャは自分の手を王の手の上におき、 + 「東向きの窓をあけなさい」と言ったので、それをあけると、エリシャはまた「射なさい」と言った。彼が射ると、エリシャは言った、「主の救の矢、スリヤに対する救の矢。あなたはアペクでスリヤびとを撃ち破り、彼らを滅ぼしつくすであろう」。 + エリシャはまた「矢を取りなさい」と言ったので、それを取った。エリシャはまたイスラエルの王に「それをもって地を射なさい」と言ったので、三度射てやめた。 + すると神の人は怒って言った、「あなたは五度も六度も射るべきであった。そうしたならば、あなたはスリヤを撃ち破り、それを滅ぼしつくすことができたであろう。しかし今あなたはそうしなかったので、スリヤを撃ち破ることはただ三度だけであろう」。 + こうしてエリシャは死んで葬られた。さてモアブの略奪隊は年が改まるごとに、国にはいって来るのを常とした。 + 時に、ひとりの人を葬ろうとする者があったが、略奪隊を見たので、その人をエリシャの墓に投げ入れて去った。その人はエリシャの骨に触れるとすぐ生きかえって立ちあがった。 + スリヤの王ハザエルはエホアハズの一生の間、イスラエルを悩ましたが、 + 主はアブラハム、イサク、ヤコブと結ばれた契約のゆえにイスラエルを恵み、これをあわれみ、これを顧みて滅ぼすことを好まず、なおこれをみ前から捨てられなかった。 + スリヤの王ハザエルはついに死んで、その子ベネハダデが代って王となった。 + そこでエホアハズの子ヨアシは、父エホアハズがハザエルに攻め取られた町々を、ハザエルの子ベネハダデの手から取り返した。すなわちヨアシは三度彼を撃ち破って、イスラエルの町々を取り返した。 + + + イスラエルの王エホアハズの子ヨアシの第二年に、ユダの王ヨアシの子アマジヤが王となった。 + 彼は王となった時二十五歳で、二十九年の間エルサレムで世を治めた。その母はエルサレムの出身で、名をエホアダンといった。 + アマジヤは主の目にかなう事をおこなったが、先祖ダビデのようではなかった。彼はすべての事を父ヨアシがおこなったようにおこなった。 + ただし高き所は除かなかったので、民はなおその高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + 彼は国が彼の手のうちに強くなった時、父ヨアシ王を殺害した家来たちを殺したが、 + その殺害者の子供たちは殺さなかった。これはモーセの律法の書にしるされている所に従ったのであって、そこに主は命じて「父は子のゆえに殺さるべきではない。子は父のゆえに殺さるべきではない。おのおの自分の罪のゆえに殺さるべきである」と言われている。 + アマジヤはまた塩の谷でエドムびと一万人を殺した。またセラを攻め取って、その名をヨクテルと名づけたが、今日までそのとおりである。 + そこでアマジヤがエヒウの子エホアハズの子であるイスラエルの王ヨアシに使者をつかわして、「さあ、われわれは互に顔を合わせよう」と言わせたので、 + イスラエルの王ヨアシはユダの王アマジヤに言い送った、「かつてレバノンのいばらがレバノンの香柏に、『あなたの娘をわたしのむすこの妻にください』と言い送ったことがあったが、レバノンの野獣がとおって、そのいばらを踏み倒した。 + あなたは大いにエドムを撃って、心にたかぶっているが、その栄誉に満足して家にとどまりなさい。何ゆえ、あなたは災をひき起して、自分もユダも共に滅びるような事をするのですか」。 + しかしアマジヤが聞きいれなかったので、イスラエルの王ヨアシは上ってきた。そこで彼とユダの王アマジヤはユダのベテシメシで互に顔をあわせたが、 + ユダはイスラエルに敗られて、おのおのその天幕に逃げ帰った。 + イスラエルの王ヨアシはアハジヤの子ヨアシの子であるユダの王アマジヤをベテシメシで捕え、エルサレムにきて、エルサレムの城壁をエフライムの門から隅の門まで、おおよそ四百キュビトにわたってこわし、 + また主の宮と王の家の倉にある金銀およびもろもろの器をことごとく取り、かつ人質をとってサマリヤに帰った。 + ヨアシのその他の事績と、その武勇および彼がユダの王アマジヤと戦った事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨアシはその先祖たちと共に眠って、イスラエルの王たちと共にサマリヤに葬られ、その子ヤラベアムが代って王となった。 + ヨアシの子であるユダの王アマジヤは、エホアハズの子であるイスラエルの王ヨアシが死んで後、なお十五年生きながらえた。 + アマジヤのその他の事績は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + 時に人々がエルサレムで徒党を結び、彼に敵対したので、彼はラキシに逃げていったが、その人々はラキシに人をつかわして彼をそこで殺させた。 + 人々は彼を馬に載せて運んできて、エルサレムで彼を先祖たちと共にダビデの町に葬った。 + そしてユダの民は皆アザリヤを父アマジヤの代りに王とした。時に年十六歳であった。 + 彼はエラテの町を建てて、これをユダに復帰させた。これはかの王がその先祖たちと共に眠った後であった。 + ユダの王ヨアシの子アマジヤの第十五年に、イスラエルの王ヨアシの子ヤラべアムがサマリヤで王となって四十一年の間、世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を離れなかった。 + 彼はハマテの入口からアラバの海まで、イスラエルの領域を回復した。イスラエルの神、主がガテヘペルのアミッタイの子である、そのしもべ預言者ヨナによって言われた言葉のとおりである。 + 主はイスラエルの悩みの非常に激しいのを見られた。そこにはつながれた者も、自由な者もいなくなり、またイスラエルを助ける者もいなかった。 + しかし主はイスラエルの名を天が下から消し去ろうとは言われなかった。そして彼らをヨアシの子ヤラベアムの手によって救われた。 + ヤラベアムのその他の事績と、彼がしたすべての事およびその武勇、すなわち彼が戦争をした事および、かつてユダに属していたダマスコとハマテを、イスラエルに復帰させた事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヤラベアムはその先祖であるイスラエルの王たちと共に眠って、その子ゼカリヤが代って王となった。 + + + イスラエルの王ヤラベアムの第二十七年に、ユダの王アマジヤの子アザリヤが王となった。 + 彼が王となった時は十六歳で、五十二年の間エルサレムで世を治めた。その母はエルサレムの出身で、名をエコリアといった。 + 彼は主の目にかなう事を行い、すべての事を父アマジヤが行ったようにおこなった。 + ただし高き所は除かなかったので、民はなおその高き所で犠牲をささげ、香をたいた。 + 主が王を撃たれたので、その死ぬ日まで、らい病人となって、離れ家に住んだ。王の子ヨタムが家の事を管理し、国の民をさばいた。 + アザリヤのその他の事績と、彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + アザリヤはその先祖たちと共に眠ったので、彼をダビデの町にその先祖たちと共に葬った。その子ヨタムが代って王となった。 + ユダの王アザリヤの第三十八年にヤラベアムの子ゼカリヤがサマリヤでイスラエルの王となり、六か月世を治めた。 + 彼はその先祖たちがおこなったように主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を離れなかった。 + ヤベシの子シャルムが徒党を結んで彼に敵し、イブレアムで彼を撃ち殺し、彼に代って王となった。 + ゼカリヤのその他の事績は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + 主はかつてエヒウに、「あなたの子孫は四代までイスラエルの位に座するであろう」と告げられたが、はたしてそのとおりになった。 + ヤベシの子シャルムはユダの王ウジヤの第三十九年に王となり、サマリヤで一か月世を治めた。 + 時にガデの子メナヘムがテルザからサマリヤに上ってきて、ヤベシの子シャルムをサマリヤで撃ち殺し、彼に代って王となった。 + シャルムのその他の事績と、彼が徒党を結んだ事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + その時メナヘムはテルザから進んでいって、タップアと、そのうちにいるすべての者、およびその領域を撃った。すなわち彼らが彼のために開かなかったので、これを撃って、そのうちの妊娠の女をことごとく引き裂いた。 + ユダの王アザリヤの第三十九年に、ガデの子メナヘムはイスラエルの王となり、サマリヤで十年の間、世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を一生の間、離れなかった。 + 時にアッスリヤの王プルが国に攻めてきたので、メナヘムは銀一千タラントをプルに与えた。これは彼がプルの助けを得て、国を自分の手のうちに強くするためであった。 + すなわちメナヘムはその銀をイスラエルのすべての富める者に課し、その人々におのおの銀五十シケルを出させてアッスリヤの王に与えた。こうしてアッスリヤの王は国にとどまらないで帰っていった。 + メナヘムのその他の事績と彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + メナヘムは先祖たちと共に眠り、その子ペカヒヤが代って王となった。 + メナヘムの子ペカヒヤはユダの王アザリヤの第五十年に、サマリヤでイスラエルの王となり、二年の間、世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯せたネバテの子ヤラベアムの罪を離れなかった。 + 時に彼の副官であったレマリヤのペカが、ギレアデびと五十人と共に徒党を結んで彼に敵し、サマリヤの、王の宮殿の天守で彼を撃ち殺した。すなわちペカは彼を殺し、彼に代って王となった。 + ペカヒヤのその他の事績と彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + レマリヤの子ペカはユダの王アザリヤの第五十二年に、サマリヤでイスラエルの王となり、二十年の間、世を治めた。 + 彼は主の目の前に悪をおこない、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムの罪を離れなかった。 + イスラエルの王ペカの世に、アッスリヤの王テグラテピレセルが来て、イヨン、アベル・ベテマアカ、ヤノア、ケデシ、ハゾル、ギレアデ、ガリラヤ、ナフタリの全地を取り、人々をアッスリヤへ捕え移した。 + 時にエラの子ホセアは徒党を結んで、レマリヤの子ペカに敵し、彼を撃ち殺し、彼に代って王となった。これはウジヤの子ヨタムの第二十年であった。 + ペカのその他の事績と彼がしたすべての事は、イスラエルの王の歴代志の書にしるされている。 + レマリヤの子イスラエルの王ペカの第二年に、ユダの王ウジヤの子ヨタムが王となった。 + 彼は王となった時二十五歳であったが、エルサレムで十六年の間、世を治めた。母はザドクの娘で、名をエルシャといった。 + 彼は主の目にかなう事を行い、すべて父ウジヤの行ったようにおこなった。 + ただし高き所は除かなかったので、民はなおその高き所で犠牲をささげ、香をたいた。彼は主の宮の上の門を建てた。 + ヨタムのその他の事績と彼がしたすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + そのころ、主はスリヤの王レヂンとレマリヤの子ペカをユダに攻めこさせられた。 + ヨタムは先祖たちと共に眠って、その先祖ダビデの町に先祖たちと共に葬られ、その子アハズが代って王となった。 + + + レマリヤの子ペカの第十七年にユダの王ヨタムの子アハズが王となった。 + アハズは王となった時二十歳で、エルサレムで十六年の間、世を治めたが、その神、主の目にかなう事を先祖ダビデのようには行わなかった。 + 彼はイスラエルの王たちの道に歩み、また主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人の憎むべきおこないにしたがって、自分の子を火に焼いてささげ物とした。 + かつ彼は高き所、また丘の上、すべての青木の下で犠牲をささげ、香をたいた。 + そのころ、スリヤの王レヂンおよびレマリヤの子であるイスラエルの王ペカがエルサレムに攻め上って、アハズを囲んだが、勝つことができなかった。 + その時エドムの王はエラテを回復してエドムの所領とし、ユダの人々をエラテから追い出した。そしてエドムびとがエラテにきて、そこに住み、今日に至っている。 + そこでアハズは使者をアッスリヤの王テグラテピレセルにつかわして言わせた、「わたしはあなたのしもべ、あなたの子です。スリヤの王とイスラエルの王がわたしを攻め囲んでいます。どうぞ上ってきて、彼らの手からわたしを救い出してください」。 + そしてアハズは主の宮と王の家の倉にある金と銀をとり、これを贈り物としてアッスリヤの王におくったので、 + アッスリヤの王は彼の願いを聞きいれた。すなわちアッスリヤの王はダマスコに攻め上って、これを取り、その民をキルに捕え移し、またレヂンを殺した。 + アハズ王はアッスリヤの王テグラテピレセルに会おうとダマスコへ行ったが、ダマスコにある祭壇を見たので、アハズ王はその祭壇の作りにしたがって、その詳しい図面と、ひな型とを作って、祭司ウリヤに送った。 + そこで祭司ウリヤはアハズ王がダマスコから送ったものにしたがって祭壇を建てた。すなわち祭司ウリヤはアハズ王がダマスコから帰るまでにそのとおりに作った。 + 王はダマスコから帰ってきて、その祭壇を見、祭壇に近づいてその上に登り、 + 燔祭と素祭を焼き、灌祭を注ぎ、酬恩祭の血を祭壇にそそぎかけた。 + 彼はまた主の前にあった青銅の祭壇を宮の前から移した。すなわちそれを新しい祭壇と主の宮の間から移して、新しい祭壇の北の方にすえた。 + そしてアハズ王は祭司ウリヤに命じて言った、「朝の燔祭と夕の素祭および王の燔祭とその素祭、ならびに国中の民の燔祭とその素祭および灌祭は、この大きな祭壇の上で焼きなさい。また燔祭の血と犠牲の血はすべてこれにそそぎかけなさい。あの青銅の祭壇をわたしは伺いを立てるのに用いよう」。 + 祭司ウリヤはアハズ王がすべて命じたとおりにおこなった。 + またアハズ王は台の鏡板を切り取って、洗盤をその上から移し、また海をその下にある青銅の牛の上からおろして、石の座の上にすえ、 + また宮のうちに造られていた安息日用のおおいのある道、および王の用いる外の入口をアッスリヤの王のために主の宮から除いた。 + アハズのその他の事績は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + アハズは先祖たちと共に眠って、ダビデの町にその先祖たちと共に葬られ、その子ヒゼキヤが代って王となった。 + + + ユダの王アハズの第十二年にエラの子ホセアが王となり、サマリヤで九年の間、イスラエルを治めた。 + 彼は主の目の前に悪を行ったが、彼以前のイスラエルの王たちのようではなかった。 + アッスリヤの王シャルマネセルが攻め上ったので、ホセアは彼に隷属して、みつぎを納めたが、 + アッスリヤの王はホセアがついに自分にそむいたのを知った。それはホセアが使者をエジプトの王ソにつかわし、また年々納めていたみつぎを、アッスリヤの王に納めなかったからである。そこでアッスリヤの王は彼を監禁し、獄屋につないだ。 + そしてアッスリヤの王は攻め上って国中を侵し、サマリヤに上ってきて三年の間、これを攻め囲んだ。 + ホセアの第九年になって、アッスリヤの王はついにサマリヤを取り、イスラエルの人々をアッスリヤに捕えていって、ハラと、ゴザンの川ハボルのほとりと、メデアの町々においた。 + この事が起ったのは、イスラエルの人々が、自分たちをエジプトの地から導き上って、エジプトの王パロの手をのがれさせられたその神、主にむかって罪を犯し、他の神々を敬い、 + 主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人のならわしに従って歩み、またイスラエルの王たちが定めたならわしに従って歩んだからである。 + イスラエルの人々はその神、主にむかって正らぬ事をひそかに行い、見張台から堅固な町に至るまで、すべての町々に高き所を建て、 + またすべての高い丘の上、すべての青木の下に石の柱とアシラ像を立て、 + 主が彼らの前から捕え移された異邦人がしたように、すべての高き所で香をたき、悪事を行って、主を怒らせた。 + また主が彼らに「あなたがたはこの事をしてはならない」と言われたのに偶像に仕えた。 + 主はすべての預言者、すべての先見者によってイスラエルとユダを戒め、「翻って、あなたがたの悪い道を離れ、わたしがあなたがたの先祖たちに命じ、またわたしのしもべである預言者たちによってあなたがたに伝えたすべての律法のとおりに、わたしの戒めと定めとを守れ」と仰せられたが、 + 彼らは聞きいれず、彼らの先祖たちがその神、主を信じないで、強情であったように、彼らは強情であった。 + そして彼らは主の定めを捨て、主が彼らの先祖たちと結ばれた契約を破り、また彼らに与えられた警告を軽んじ、かつむなしい偶像に従ってむなしくなり、また周囲の異邦人に従った。これは主が、彼らのようにおこなってはならないと彼らに命じられたものである。 + 彼らはその神、主のすべての戒めを捨て、自分のために二つの子牛の像を鋳て造り、またアシラ像を造り、天の万象を拝み、かつバアルに仕え、 + またそのむすこ、娘を火に焼いてささげ物とし、占いおよびまじないをなし、主の目の前に悪をおこなうことに身をゆだねて、主を怒らせた。 + それゆえ、主は大いにイスラエルを怒り、彼らをみ前から除かれたので、ユダの部族のほか残った者はなかった。 + ところがユダもまたその神、主の戒めを守らず、イスラエルが定めたならわしに歩んだので、 + 主はイスラエルの子孫をことごとく捨て、彼らを苦しめ、彼らを略奪者の手にわたして、ついに彼らをみ前から打ちすてられた。 + 主はイスラエルをダビデの家から裂き離されたので、イスラエルはネバテの子ヤラベアムを王としたが、ヤラベアムはイスラエルに、主に従うことをやめさせ、大きな罪を犯させた。 + イスラエルの人々がヤラベアムのおこなったすべての罪をおこない続けて、それを離れなかったので、 + ついに主はそのしもべである預言者たちによって言われたように、イスラエルをみ前から除き去られた。こうしてイスラエルは自分の国からアッスリヤに移されて今日に至っている。 + かくてアッスリヤの王はバビロン、クタ、アワ、ハマテおよびセパルワイムから人々をつれてきて、これをイスラエルの人々の代りにサマリヤの町々におらせたので、その人々はサマリヤを領有して、その町々に住んだ。 + 彼らがそこに住み始めた時、主を敬うことをしなかったので、主は彼らのうちにししを送り、ししは彼らのうちの数人を殺した。 + そこで人々はアッスリヤの王に告げて言った、「あなたが移してサマリヤの町々におらせられたあの国々の民は、その地の神のおきてを知らないゆえに、その神は彼らのうちにししを送り、ししは彼らを殺した。これは彼らが、その地の神のおきてを知らないためです」。 + アッスリヤの王は命じて言った、「あなたがたがあそこから移した祭司のひとりをあそこへ連れて行きなさい。彼をあそこへやって住まわせ、その国の神のおきてをその人々に教えさせなさい」。 + そこでサマリヤから移された祭司のひとりが来てベテルに住み、どのように主を敬うべきかを彼らに教えた。 + しかしその民はおのおの自分の神々を造って、それをサマリヤびとが造った高き所の家に安置した。民は皆住んでいる町々でそのようにおこなった。 + すなわちバビロンの人々はスコテ・ベノテを造り、クタの人々はネルガルを造り、ハマテの人々はアシマを造り、 + アワの人々はニブハズとタルタクを造り、セパルワイムびとはその子を火に焼いて、セパルワイムの神アデランメレクおよびアナンメレクにささげた。 + 彼はまた主を敬い、自分たちのうちから一般の民を立てて高き所の祭司としたので、その人々は高き所の家で勤めをした。 + このように彼らは主を敬ったが、また彼らが出てきた国々のならわしにしたがって、自分たちの神々にも仕えた。 + 今日に至るまで彼らは先のならわしにしたがっておこなっている。彼らは主を敬わず、また主がイスラエルと名づけられたヤコブの子孫に命じられた定めにも、おきてにも、律法にも、戒めにも従わない。 + 主はかつて彼らと契約を結び、彼らに命じて言われた、「あなたがたは他の神々を敬ってはならない。また彼らを拝み、彼らに仕え、彼らに犠牲をささげてはならない。 + ただ大きな力と伸べた腕とをもって、あなたがたをエジプトの地から導き上った主をのみ敬い、これを拝み、これに犠牲をささげなければならない。 + またあなたがたのために書きしるされた定めと、おきてと、律法と、戒めとを、慎んで常に守らなければならない。他の神々を敬ってはならない。 + わたしがあなたがたと結んだ契約を忘れてはならない。また他の神々を敬ってはならない。 + ただあなたがたの神、主を敬わなければならない。主はあなたがたをそのすべての敵の手から救い出されるであろう」。 + しかし彼らは聞きいれず、かえって先のならわしにしたがっておこなった。 + このように、これらの民は主を敬い、またその刻んだ像にも仕えたが、その子たちも、孫たちも同様であって、彼らはその先祖がおこなったように今日までおこなっている。 + + + イスラエルの王エラの子ホセアの第三年にユダの王アハズの子ヒゼキヤが王となった。 + 彼は王となった時二十五歳で、エルサレムで二十九年の間、世を治めた。その母はゼカリヤの娘で、名をアビといった。 + ヒゼキヤはすべて先祖ダビデがおこなったように主の目にかなう事を行い、 + 高き所を除き、石柱をこわし、アシラ像を切り倒し、モーセの造った青銅のへびを打ち砕いた。イスラエルの人々はこの時までそのへびに向かって香をたいていたからである。人々はこれをネホシタンと呼んだ。 + ヒゼキヤはイスラエルの神、主に信頼した。そのために彼のあとにも彼の先にも、ユダのすべての王のうちに彼に及ぶ者はなかった。 + すなわち彼は固く主に従って離れることなく、主がモーセに命じられた命令を守った。 + 主が彼と共におられたので、すべて彼が出て戦うところで功をあらわした。彼はアッスリヤの王にそむいて、彼に仕えなかった。 + 彼はペリシテびとを撃ち敗って、ガザとその領域にまで達し、見張台から堅固な町にまで及んだ。 + ヒゼキヤ王の第四年すなわちイスラエルの王エラの子ホセアの第七年に、アッスリヤの王シャルマネセルはサマリヤに攻め上って、これを囲んだが、 + 三年の後ついにこれを取った。サマリヤが取られたのはヒゼキヤの第六年で、それはイスラエルの王ホセアの第九年であった。 + アッスリヤの王はイスラエルの人々をアッスリヤに捕えていって、ハラと、ゴザンの川ハボルのほとりと、メデアの町々に置いた。 + これは彼らがその神、主の言葉にしたがわず、その契約を破り、主のしもべモーセの命じたすべての事に耳を傾けず、また行わなかったからである。 + ヒゼキヤ王の第十四年にアッスリヤの王セナケリブが攻め上ってユダのすべての堅固な町々を取ったので、 + ユダの王ヒゼキヤは人をラキシにつかわしてアッスリヤの王に言った、「わたしは罪を犯しました。どうぞ引き上げてください。わたしに課せられることはなんでもいたします」。アッスリヤの王は銀三百タラントと金三十タラントをユダの王ヒゼキヤに課した。 + ヒゼキヤは主の宮と王の家の倉とにある銀をことごとく彼に与えた。 + この時ユダの王ヒゼキヤはまた主の神殿の戸および柱から自分が着せた金をはぎ取って、アッスリヤの王に与えた。 + アッスリヤの王はまたタルタン、ラブサリスおよびラブシャケを、ラキシから大軍を率いてエルサレムにいるヒゼキヤ王のもとにつかわした。彼らは上ってエルサレムに来た。彼らはエルサレムに着くと、布さらし場に行く大路に沿っている上の池の水道のかたわらへ行って、そこに立った。 + そして彼らが王を呼んだので、ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナ、およびアサフの子である史官ヨアが彼らのところに出てきた。 + ラブシャケは彼らに言った、「ヒゼキヤに言いなさい、『大王、アッスリヤの王はこう仰せられる。あなたが頼みとする者は何か。 + 口先だけの言葉が戦争をする計略と力だと考えるのか。あなたは今だれにたよって、わたしにそむいたのか。 + 今あなたは、あの折れかけている葦のつえ、エジプトを頼みとしているが、それは人がよりかかる時、その人の手を刺し通すであろう。エジプトの王パロはすべて寄り頼む者にそのようにする。 + しかしあなたがもし「われわれは、われわれの神、主を頼む」とわたしに言うのであれば、その神はヒゼキヤがユダとエルサレムに告げて、「あなたがたはエルサレムで、この祭壇の前に礼拝しなければならない」と言って、その高き所と祭壇とを除いた者ではないか。 + さあ、わたしの主君アッスリヤの王とかけをせよ。もしあなたの方に乗る人があるならば、わたしは馬二千頭を与えよう。 + あなたはエジプトを頼み、戦車と騎兵を請い求めているが、わたしの主君の家来のうちの最も小さい一隊長でさえ、どうして撃退することができようか。 + わたしがこの所を滅ぼすために上ってきたのは、主の許しなしにしたことであろうか。主がわたしにこの地に攻め上ってこれを滅ぼせと言われたのだ』」。 + その時ヒルキヤの子エリアキムおよびセブナとヨアはラブシャケに言った、「どうぞ、アラム語でしもべどもに話してください。わたしたちは、それがわかるからです。城壁の上にいる民の聞いているところで、わたしたちにユダヤの言葉で話さないでください」。 + しかしラブシャケは彼らに言った、「わたしの主君は、あなたの主君とあなたにだけでなく、城壁の上に座している人々にも、この言葉を告げるためにわたしをつかわしたのではないか。彼らも、あなたがたと共に自分の糞尿を食い飲みするに至るであろう」。 + そしてラブシャケは立ちあがり、ユダヤの言葉で大声に呼ばわって言った。「大王、アッスリヤの王の言葉を聞け。 + 王はこう仰せられる、『あなたがたはヒゼキヤに欺かれてはならない。彼はあなたがたをわたしの手から救いだすことはできない。 + ヒゼキヤが「主は必ずわれわれを救い出される。この町はアッスリヤ王の手に陥ることはない」と言っても、あなたがたは主を頼みとしてはならない』。 + あなたがたはヒゼキヤの言葉を聞いてはならない。アッスリヤの王はこう仰せられる、『あなたがたはわたしと和解して、わたしに降服せよ。そうすればあなたがたはおのおの自分のぶどうの実を食べ、おのおの自分のいちじくの実を食べ、おのおの自分の井戸の水を飲むことができるであろう。 + やがてわたしが来て、あなたがたを一つの国へ連れて行く。それはあなたがたの国のように穀物とぶどう酒のある地、パンとぶどう畑のある地、オリブの木と蜜のある地である。あなたがたは生きながらえることができ、死ぬことはない。ヒゼキヤが「主はわれわれを救われる」と言って、あなたがたを惑わしても彼に聞いてはならない。 + 諸国民の神々のうち、どの神がその国をアッスリヤの王の手から救ったか。 + ハマテやアルパデの神々はどこにいるのか。セパルワイム、ヘナおよびイワの神々はどこにいるのか。彼らはサマリヤをわたしの手から救い出したか。 + 国々のすべての神々のうち、その国をわたしの手から救い出した者があったか。主がどうしてエルサレムをわたしの手から救い出すことができよう』」。 + しかし民は黙して、ひと言も彼に答えなかった。王が命じて「彼に答えてはならない」と言っておいたからである。 + こうしてヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナ、およびアサフの子である史官ヨアは衣を裂き、ヒゼキヤのもとに来て、ラブシャケの言葉を彼に告げた。 + + + ヒゼキヤ王はこれを聞いて、衣を裂き、荒布を身にまとって主に宮に入り、 + 宮内卿エリアキムと書記官セブナおよび祭司のうちの年長者たちに荒布をまとわせて、アモツの子預言者イザヤのもとにつかわした。 + 彼らはイザヤに言った、「ヒゼキヤはこう申されます、『きょうは悩みと、懲しめと、はずかしめの日です。胎児がまさに生れようとして、これを産み出す力がないのです。 + あなたの神、主はラブシャケがその主君アッスリヤの王につかわされて、生ける神をそしったもろもろの言葉を聞かれたかもしれません。そしてあなたの神、主はその聞いた言葉をとがめられるかもしれません。それゆえ、この残っている者のために祈をささげてください』」。 + ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、 + イザヤは彼らに言った、「あなたがたの主君にこう言いなさい、『主はこう仰せられる、アッスリヤの王の家来たちが、わたしをそしった言葉を聞いて恐れるには及ばない。 + 見よ、わたしは一つの霊を彼らのうちに送って、一つのうわさを聞かせ、彼を自分の国へ帰らせて、自分の国でつるぎに倒れさせるであろう』」。 + ラブシャケは引き返して、アッスリヤの王がリブナを攻めているところへ行った。彼が王のラキシを去ったことを聞いたからである。 + この時アッスリヤの王はエチオピヤの王テルハカについて、「彼はあなたと戦うために出てきた」と人々がいうのを聞いたので、再び使者をヒゼキヤにつかわして言った、 + 「ユダの王ヒゼキヤにこう言いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言うあなたの信頼する神に欺かれてはならない。 + あなたはアッスリヤの王たちがもろもろの国々にした事、彼らを全く滅ぼした事を聞いている。どうしてあなたが救われることができようか。 + わたしの父たちはゴザン、ハラン、レゼフ、およびテラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々は彼らを救ったか。 + ハマテの王、アルパデの王、セパルワイムの町の王、ヘナの王およびイワの王はどこにいるのか』」。 + ヒゼキヤは使者の手から手紙を受け取ってそれを読み、主の宮にのぼっていって、主の前にそれをひろげ、 + そしてヒゼキヤは主の前に祈って言った、「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、主よ、地のすべての国のうちで、ただあなただけが神でいらせられます。あなたは天と地を造られました。 + 主よ、耳を傾けて聞いてください。主よ、目を開いてごらんください。セナケリブが生ける神をそしるために書き送った言葉をお聞きください。 + 主よ、まことにアッスリヤの王たちはもろもろの民とその国々を滅ぼし、 + またその神々を火に投げ入れました。それらは神ではなく、人の手の作ったもので、木や石だから滅ぼされたのです。 + われわれの神、主よ、どうぞ、今われわれを彼の手から救い出してください。そうすれば地の国々は皆、主であるあなただけが神でいらせられることを知るようになるでしょう」。 + その時アモツの子イザヤは人をつかわしてヒゼキヤに言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられる、『アッスリヤの王セナケリブについてあなたがわたしに祈ったことは聞いた』。 + 主が彼について語られた言葉はこうである、『処女であるシオンの娘はあなたを侮り、あなたをあざける。エルサレムの娘はあなたのうしろで頭を振る。 + あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。あなたはだれにむかって声をあげ、目を高くあげたのか。イスラエルの聖者にむかってしたのだ。 + あなたは使者をもって主をそしって言った、「わたしは多くの戦車をひきいて山々の頂にのぼり、レバノンの奥に行き、たけの高い香柏と最も良いいとすぎを切り倒し、またその果の野営地に行き、その密林にはいった。 + わたしは井戸を掘って外国の水を飲んだ。わたしは足の裏で、エジプトのすべての川を踏みからした」。 + あなたは聞かなかったか、昔わたしがこれを定めたことを。堅固な町々をあなたが荒塚とすることも、いにしえの日からわたしが計画して今これをおこなうのだ。 + そのうちに住む民は力弱くおののき、恥をいだいて、野の草のように、青菜のようになり、育たないで枯れる屋根の草のようになった。 + わたしはあなたのすわること、出入りすること、わたしにむかって怒り叫んだことをも知っている。 + あなたがわたしにむかって怒り叫んだことと、あなたの高慢がわたしの耳にはいったため、わたしはあなたの鼻に輪をつけ、あなたの口にくつわをはめて、あなたをもときた道へ引きもどすであろう』。 + 『あなたに与えるしるしはこれである。すなわち、ことしは落ち穂からはえたものを食べ、二年目にはまたその落ち穂からはえたものを食べ、三年目には種をまき、刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べるであろう。 + ユダの家ののがれて残る者は再び下に根を張り、上に実を結ぶであろう。 + すなわち残る者がエルサレムから出てき、のがれた者がシオンの山から出て来るであろう。主の熱心がこれをされるであろう』。 + それゆえ、主はアッスリヤの王について、こう仰せられる、『彼はこの町にこない、またここに矢を放たない、盾をもってその前に来ることなく、また塁を築いてこれを攻めることはない。 + 彼は来た道を帰って、この町に、はいることはない。主がこれを言う。 + わたしは自分のため、またわたしのしもべダビデのためにこの町を守って、これを救うであろう』」。 + その夜、主の使が出て、アッスリヤの陣営で十八万五千人を撃ち殺した。人々が朝早く起きて見ると、彼らは皆、死体となっていた。 + アッスリヤの王セナケリブは立ち去り、帰って行ってニネベにいたが、 + その神ニスロクの神殿で礼拝していた時、その子アデランメレクとシャレゼルが、つるぎをもって彼を殺し、ともにアララテの地へ逃げて行った。そこでその子エサルハドンが代って王となった。 + + + そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。アモツの子預言者イザヤは彼のところにきて言った、「主はこう仰せられます、『家の人に遺言をなさい。あなたは死にます。生きながらえることはできません』」。 + そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて主に祈って言った、 + 「ああ主よ、わたしが真実を真心をもってあなたの前に歩み、あなたの目にかなうことをおこなったのをどうぞ思い起してください」。そしてヒゼキヤは激しく泣いた。 + イザヤがまだ中庭を出ないうちに主の言葉が彼に臨んだ、 + 「引き返して、わたしの民の君ヒゼキヤに言いなさい、『あなたの父ダビデの神、主はこう仰せられる、わたしはあなたの祈を聞き、あなたの涙を見た。見よ、わたしはあなたをいやす。三日目にはあなたは主の宮に上るであろう。 + かつ、わたしはあなたのよわいを十五年増す。わたしはあなたと、この町とをアッスリヤの王の手から救い、わたしの名のため、またわたしのしもべダビデのためにこの町を守るであろう』」。 + そしてイザヤは言った、「干しいちじくのひとかたまりを持ってきて、それを腫物につけさせなさい。そうすれば直るでしょう」。 + ヒゼキヤはイザヤに言った、「主がわたしをいやされる事と、三日目にわたしが主の家に上ることについて、どんなしるしがありましょうか」。 + イザヤは言った、「主が約束されたことを行われることについては、主からこのしるしを得られるでしょう。すなわち日影が十度進むか、あるいは十度退くかです」。 + ヒゼキヤは答えた、「日影が十度進むことはたやすい事です。むしろ日影を十度退かせてください」。 + そこで預言者イザヤが主に呼ばわると、アハズの日時計の上に進んだ日影を、十度退かせられた。 + そのころ、バラダンの子であるバビロンの王メロダクバラダンは、手紙と贈り物を持たせて使節をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが病んでいることを聞いたからである。 + ヒゼキヤは彼らを喜び迎えて、宝物の蔵、金銀、香料、貴重な油および武器倉、ならびにその倉庫にあるすべての物を彼らに見せた。家にある物も、国にある物も、ヒゼキヤが彼らに見せない物は一つもなかった。 + その時、預言者イザヤはヒゼキヤ王のもとにきて言った、「あの人々は何を言いましたか。どこからきたのですか」。ヒゼキヤは言った、「彼らは遠い国から、バビロンからきたのです」。 + イザヤは言った、「彼らはあなたの家で何を見ましたか」。ヒゼキヤは答えて言った、「わたしの家にある物を皆見ました。わたしの倉庫のうちには、わたしが彼らに見せない物は一つもありません」。 + そこでイザヤはヒゼキヤに言った、「主の言葉を聞きなさい、 + 『主は言われる、見よ、すべてあなたの家にある物、および、あなたの先祖たちが今日までに積みたくわえた物の、バビロンに運び去られる日が来る。何も残るものはないであろう。 + また、あなたの身から出るあなたの子たちも連れ去られ、バビロンの王の宮殿で宦官となるであろう』」。 + ヒゼキヤはイザヤに言った、「あなたが言われた主の言葉は結構です」。彼は「せめて自分が世にあるあいだ、平和と安全があれば良いことではなかろうか」と思ったからである。 + ヒゼキヤのその他の事績とその武勇および、彼が貯水池と水道を作って、町に水を引いた事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヒゼキヤはその先祖たちと共に眠って、その子マナセが代って王となった。 + + + マナセは十二歳で王となり、五十五年の間、エルサレムで世を治めた。母の名はヘフジバといった。 + マナセは主がイスラエルの人々の前から追い払われた国々の民の憎むべきおこないにならって、主の目の前に悪をおこなった。 + 彼は父ヒゼキヤがこわした高き所を建て直し、またイスラエルの王アハブがしたようにバアルのために祭壇を築き、アシラ像を造り、かつ天の万象を拝んで、これに仕えた。 + また主の宮のうちに数個の祭壇を築いた。これは主が「わたしの名をエルサレムに置こう」と言われたその宮である。 + 彼はまた主の宮の二つの庭に天の万象のために祭壇を築いた。 + またその子を火に焼いてささげ物とし、占いをし、魔術を行い、口寄せと魔法使を用い、主の目の前に多くの悪を行って、主の怒りを引き起した。 + 彼はまたアシラの彫像を作って主の宮に置いた。主はこの宮についてダビデとその子ソロモンに言われたことがある、「わたしはこの宮と、わたしがイスラエルのすべての部族のうちから選んだエルサレムとに、わたしの名を永遠に置く。 + もし、彼らがわたしが命じたすべての事、およびわたしのしもべモーセが命じたすべての律法を守り行うならば、イスラエルの足を、わたしが彼らの先祖たちに与えた地から、重ねて迷い出させないであろう」。 + しかし彼らは聞きいれなかった。マナセが人々をいざなって悪を行ったことは、主がイスラエルの人々の前に滅ぼされた国々の民よりもはなはだしかった。 + そこで主はそのしもべである預言者たちによって言われた、 + 「ユダの王マナセがこれらの憎むべき事を行い、彼の先にあったアモリびとの行ったすべての事よりも悪い事を行い、またその偶像をもってユダに罪を犯させたので、 + イスラエルの神、主はこう仰せられる、見よ、わたしはエルサレムとユダに災をくだそうとしている。これを聞く者は、その耳が二つながら鳴るであろう。 + わたしはサマリヤをはかった測りなわと、アハブの家に用いた下げ振りをエルサレムにほどこし、人が皿をぬぐい、これをぬぐって伏せるように、エルサレムをぬぐい去る。 + わたしは、わたしの嗣業の民の残りを捨て、彼らを敵の手に渡す。彼らはもろもろの敵のえじきとなり、略奪にあうであろう。 + これは彼らの先祖たちがエジプトを出た日から今日に至るまで、彼らがわたしの目の前に悪を行って、わたしを怒らせたためである」。 + マナセはまた主の目の前に悪を行って、ユダに罪を犯させたその罪のほかに、罪なき者の血を多く流して、エルサレムのこの果から、かの果にまで満たした。 + マナセのその他の事績と、彼がおこなったすべての事およびその犯した罪は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + マナセは先祖たちと共に眠って、その家の園すなわちウザの園に葬られ、その子アモンが代って王となった。 + アモンは王となった時二十二歳であって、エルサレムで二年の間、世を治めた。母はヨテバのハルツの娘で、名をメシュレメテといった。 + アモンはその父マナセのおこなったように、主の目の前に悪を行った。 + すなわち彼はすべてその父の歩んだ道に歩み、父の仕えた偶像に仕えて、これを拝み、 + 先祖たちの神、主を捨てて、主の道に歩まなかった。 + アモンの家来たちはついに彼に敵して徒党を結び、王をその家で殺したが、 + 国の民は、アモン王に敵して徒党を結んだ者をことごとく撃ち殺した。そして国の民はアモンの子ヨシヤを王としてアモンに代らせた。 + アモンのその他の事績は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + アモンはウザの園にある墓に葬られ、その子ヨシヤが代って王となった。 + + + ヨシヤは八歳で王となり、エルサレムで三十一年の間、世を治めた。母はボヅカテのアダヤの娘で、名をエデダといった。 + ヨシヤは主の目にかなう事を行い、先祖ダビデの道に歩んで右にも左にも曲らなかった。 + ヨシヤ王の第十八年に王はメシュラムの子アザリヤの子である書記官シャパンを主の宮につかわして言った、 + 「大祭司ヒルキヤのもとへのぼって行って、主に宮にはいってきた銀、すなわち門を守る者が民から集めたものの総額を彼に数えさせ、 + それを工事をつかさどる主の宮の監督者の手に渡させ、彼らから主の宮で工事をする者にそれを渡して、宮の破れを繕わせなさい。 + すなわち木工と建築師と石工にそれを渡し、また宮を繕う材木と切り石を買わせなさい。 + ただし彼らは正直に事を行うから、彼らに渡した銀については彼らと計算するに及ばない」。 + その時大祭司ヒルキヤは書記官シャパンに言った、「わたしは主の宮で律法の書を見つけました」。そしてヒルキヤがその書物をシャパンに渡したので、彼はそれを読んだ。 + 書記官シャパンは王のもとへ行き、王に報告して言った、「しもべどもは宮にあった銀を皆出して、それを工事をつかさどる主の宮の監督者の手に渡しました」。 + 書記官シャパンはまた王に告げて「祭司ヒルキヤはわたしに一つの書物を渡しました」と言い、それを王の前で読んだ。 + 王はその律法の書の言葉を聞くと、その衣を裂いた。 + そして王は祭司ヒルキヤと、シャパンの子アヒカムと、ミカヤの子アクボルと、書記官シャパンと、王の大臣アサヤとに命じて言った、 + 「あなたがたは行って、この見つかった書物の言葉について、わたしのため、民のため、またユダ全国のために主に尋ねなさい。われわれの先祖たちがこの書物の言葉に聞き従わず、すべてわれわれについてしるされている事を行わなかったために、主はわれわれにむかって、大いなる怒りを発しておられるからです」。 + そこで祭司ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シャパンおよびアサヤはシャルムの妻である女預言者ホルダのもとへ行った。シャルムはハルハスの子であるテクワの子で、衣装べやを守る者であった。その時ホルダはエルサレムの下町に住んでいた。彼らがホルダに告げたので、 + ホルダは彼らに言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられます、『あなたがたをわたしにつかわした人に言いなさい。 + 主はこう言われます、見よ、わたしはユダの王が読んだあの書物のすべての言葉にしたがって、災をこの所と、ここに住んでいる民に下そうとしている。 + 彼らがわたしを捨てて他の神々に香をたき、自分たちの手で作ったもろもろの物をもって、わたしを怒らせたからである。それゆえ、わたしはこの所にむかって怒りの火を発する。これは消えることがないであろう』。 + ただし主に尋ねるために、あなたがたをつかわしたユダの王にはこう言いなさい、『あなたが聞いた言葉についてイスラエルの神、主はこう仰せられます、 + あなたは、わたしがこの所と、ここに住んでいる民にむかって、これは荒れ地となり、のろいとなるであろうと言うのを聞いた時、心に悔い、主の前にへりくだり、衣を裂いてわたしの前に泣いたゆえ、わたしもまたあなたの言うことを聞いたのであると主は言われる。 + それゆえ、見よ、わたしはあなたを先祖たちのもとに集める。あなたは安らかに墓に集められ、わたしがこの所に下すもろもろの災を目に見ることはないであろう』」。彼らはこの言葉を王に持ち帰った。 + + + そこで王は人をつかわしてユダとエルサレムの長老たちをことごとく集めた。 + そして王はユダのもろもろの人々と、エルサレムのすべての住民および祭司、預言者ならびに大小のすべての民を従えて主の宮にのぼり、主の宮で見つかった契約の書の言葉をことごとく彼らに読み聞かせた。 + 次いで王は柱のかたわらに立って、主の前に契約を立て、主に従って歩み、心をつくし精神をつくして、主の戒めと、あかしと、定めとを守り、この書物にしるされているこの契約の言葉を行うことを誓った。民は皆その契約に加わった。 + こうして王は大祭司ヒルキヤと、それに次ぐ祭司たちおよび門を守る者どもに命じて、主の神殿からバアルとアシラと天の万象とのために作ったもろもろの器を取り出させ、エルサレムの外のキデロンの野でそれを焼き、その灰をベテルに持って行かせた。 + また、ユダの町々とエルサレムの周囲にある高き所で香をたくためにユダの王たちが任命した祭司たちを廃し、またバアルと日と月と星宿と天の万象とに香をたく者どもをも廃した。 + 彼はまた主の宮からアシラ像を取り出し、エルサレムの外のキデロン川に持って行って、キデロン川でそれを焼き、それを打ち砕いて粉とし、その粉を民の墓に投げすてた。 + また主の宮にあった神殿男娼の家をこわした。そこは女たちがアシラ像のために掛け幕を織る所であった。 + 彼はまたユダの町々から祭司をことごとく召しよせ、また祭司が香をたいたゲバからベエルシバまでの高き所を汚し、また門にある高き所をこわした。これらの高き所は町のつかさヨシュアの門の入口にあり、町の門にはいる人の左にあった。 + 高き所の祭司たちはエルサレムで主の祭壇にのぼることをしなかったが、その兄弟たちのうちにあって種入れぬパンを食べた。 + 王はまた、だれもそのむすこ娘を火に焼いて、モレクにささげ物とすることのないように、ベンヒンノムの谷にあるトペテを汚した。 + またユダの王たちが太陽にささげて主の宮の門に置いた馬を、境内にある侍従ナタンメレクのへやのかたわらに移し、太陽の車を火で焼いた。 + また王はユダの王たちがアハズの高殿の屋上に造った祭壇と、マナセが主の宮の二つの庭に造った祭壇とをこわして、それを打ち砕き、砕けたものをキデロン川に投げすてた。 + また王はイスラエルの王ソロモンが昔シドンびとの憎むべき者アシタロテと、モアブびとの憎むべき者ケモシと、アンモンの人々の憎むべき者ミルコムのためにエルサレムの東、滅亡の山の南に築いた高き所を汚した。 + またもろもろの石柱を打ち砕き、アシラ像を切り倒し、人の骨をもってその所を満たした。 + また、ベテルにある祭壇と、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤラベアムが造った高き所、すなわちその祭壇と高き所とを彼はこわし、その石を打ち砕いて粉とし、かつアシラ像を焼いた。 + そしてヨシヤは身をめぐらして山に墓のあるのを見、人をつかわしてその墓から骨を取らせ、それをその祭壇の上で焼いて、それを汚した。昔、神の人が主の言葉としてこの事を呼ばわり告げたが、そのとおりになった。 + その時ヨシヤは「あそこに見える石碑は何か」と尋ねた。町の人々が彼に「あれはあなたがベテルの祭壇に対して行われたこれらの事を、ユダからきて預言した神の人の墓です」と言ったので、 + 彼は言った、「そのままにして置きなさい。だれもその骨を移してはならない」。それでその骨と、サマリヤからきた預言者の骨には手をつけなかった。 + またイスラエルの王たちがサマリヤの町々に造って、主を怒らせた高き所の家も皆ヨシヤは取り除いて、彼がすべてベテルに行ったようにこれに行った。 + 彼はまた、そこにあった高き所の祭司たちを皆祭壇の上で殺し、人の骨を祭壇の上で焼いた。こうして彼はエルサレムに帰った。 + そして王はすべての民に命じて、「あなたがたはこの契約の書にしるされているように、あなたがたの神、主に過越の祭を執り行いなさい」と言った。 + さばきづかさがイスラエルをさばいた日からこのかた、またイスラエルの王たちとユダの王たちの世にも、このような過越の祭を執り行ったことはなかったが、 + ヨシヤ王の第十八年に、エルサレムでこの過越の祭を主に執り行ったのである。 + ヨシヤはまた祭司ヒルキヤが主の宮で見つけた書物にしるされている律法の言葉を確実に行うために、口寄せと占い師と、テラピムと偶像およびユダの地とエルサレムに見られるもろもろの憎むべき者を取り除いた。 + ヨシヤのように心をつくし、精神をつくし、力をつくしてモーセのすべての律法にしたがい、主に寄り頼んだ王はヨシヤの先にはなく、またその後にも彼のような者は起らなかった。 + けれども主はなおユダにむかって発せられた激しい大いなる怒りをやめられなかった。これはマナセがもろもろの腹だたしい行いをもって主を怒らせたためである。 + それゆえ主は言われた、「わたしはイスラエルを移したように、ユダをもわたしの目の前から移し、わたしが選んだこのエルサレムの町と、わたしの名をそこに置こうと言ったこの宮とを捨てるであろう」。 + ヨシヤのその他の事績と、彼が行ったすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + ヨシヤの世にエジプトの王パロ・ネコが、アッスリヤの王のところへ行こうと、ユフラテ川をさして上ってきたので、ヨシヤ王は彼を迎え撃とうと出て行ったが、パロ・ネコは彼を見るや、メギドにおいて彼を殺した。 + その家来たちは彼の死体を車に載せ、メギドからエルサレムに運んで彼の墓に葬った。国の民はヨシヤの子エホアハズを立て、彼に油を注ぎ、王として父に代らせた。 + エホアハズは王となった時二十三歳で、エルサレムで三か月の間、世を治めた。母はリブナのエレミヤの娘で、名をハムタルといった。 + エホアハズは先祖たちがすべて行ったように主の目の前に悪を行ったが、 + パロ・ネコは彼をハマテの地のリブラにつないで置いて、エルサレムで世を治めることができないようにした。また銀百タラントと金一タラントのみつぎを国に課した。 + そしてパロ・ネコはヨシヤの子エリアキムを父ヨシヤに代って王とならせ、名をエホヤキムと改め、エホアハズをエジプトへ引いて行った。エホアハズはエジプトへ行ってそこで死んだ。 + エホヤキムは金銀をパロに送った。しかし彼はパロの命に従って金を送るために国に税を課し、国の民おのおのからその課税にしたがって金銀をきびしく取り立てて、それをパロ・ネコに送った。 + エホヤキムは二十五歳で王となり、エルサレムで十一年の間、世を治めた。母はルマのペダヤの娘で、名をゼビダといった。 + エホヤキムは先祖たちがすべて行ったように主の目の前に悪を行った。 + + + エホヤキムの世にバビロンの王ネブカデネザルが上ってきたので、エホヤキムは彼に隷属して三年を経たが、ついに翻って彼にそむいた。 + 主はカルデヤびとの略奪隊、スリヤびとの略奪隊、モアブびとの略奪隊、アンモンびとの略奪隊をつかわしてエホヤキムを攻められた。すなわちユダを攻め、これを滅ぼすために彼らをつかわされた。主がそのしもべである預言者たちによって語られた言葉のとおりである。 + これは全く主の命によってユダに臨んだもので、ユダを主の目の前から払い除くためであった。すなわちマナセがすべておこなったその罪のため、 + また彼が罪なき人の血を流し、罪なき人の血をエルサレムに満たしたためであって、主はその罪をゆるそうとはされなかった。 + エホヤキムのその他の事績と、彼がおこなったすべての事は、ユダの王の歴代志の書にしるされているではないか。 + エホヤキムは先祖たちとともに眠り、その子エホヤキンが代って王となった。 + エジプトの王は再びその国から出てこなかった。バビロンの王がエジプトの川からユフラテ川まで、すべてエジプトの王に属するものを取ったからである。 + エホヤキンは王となった時十八歳で、エルサレムで三か月の間、世を治めた。母はエルサレムのエルナタンの娘で、名をネホシタといった。 + エホヤキンはすべてその父がおこなったように主の目の前に悪を行った。 + そのころ、バビロンの王ネブカデネザルの家来たちはエルサレムに攻め上って、町を囲んだ。 + その家来たちが町を囲んでいたとき、バビロンの王ネブカデネザルもまた町に攻めてきた。 + ユダの王エホヤキンはその母、その家来、そのつかさたち、および侍従たちと共に出て、バビロンの王に降服したので、バビロンの王は彼を捕虜とした。これはネブカデネザルの治世の第八年であった。 + 彼はまた主の宮のもろもろの宝物および王の家の宝物をことごとく持ち出し、イスラエルの王ソロモンが造って主の神殿に置いたもろもろの金の器を切りこわした。主が言われたとおりである。 + 彼はまたエルサレムのすべての市民、およびすべてのつかさとすべての勇士、ならびにすべての木工と鍛冶一万人を捕えて行った。残った者は国の民の貧しい者のみであった。 + さらに彼はエホヤキンをバビロンに捕えて行き、また王の母、王の妻たち、および侍従と国のうちのおもな人々をも、エルサレムからバビロンへ捕えて行った。 + またバビロンの王はすべて勇敢な者七千人、木工と鍛冶一千人ならびに強くて良く戦う者をみな捕えてバビロンへ連れて行った。 + そしてバビロンの王はエホヤキンの父の兄弟マッタニヤを王としてエホヤキンに代え、名をゼデキヤと改めた。 + ゼデキヤは二十一歳で王となり、エルサレムで十一年の間、世を治めた。母はリブナのエレミヤの娘で、名をハムタルといった。 + ゼデキヤはすべてエホヤキムがおこなったように主の目の前に悪を行った。 + エルサレムとユダにこのような事の起ったのは主の怒りによるので、主はついに彼らをみ前から払いすてられた。さてゼデキヤはバビロンの王にそむいた。 + + + そこでゼデキヤの治世の第九年の十月十日に、バビロンの王ネブカデネザルはもろもろの軍勢を率い、エルサレムにきて、これにむかって陣を張り、周囲にとりでを築いてこれを攻めた。 + こうして町は囲まれて、ゼデキヤ王の第十一年にまで及んだが、 + その四月九日になって、町のうちにききんが激しくなり、その地の民に食物がなくなった。 + 町の一角がついに破れたので、王はすべての兵士とともに、王の園のかたわらにある二つの城壁のあいだの門の道から夜のうちに逃げ出して、カルデヤびとが町を囲んでいる間に、アラバの方へ落ち延びた。 + しかしカルデヤびとの軍勢は王を追い、エリコの平地で彼に追いついた。彼の軍勢はみな彼を離れて散り去ったので、 + カルデヤびとは王を捕え、彼をリブラにいるバビロンの王のもとへ引いていって彼の罪を定め、 + ゼデキヤの子たちをゼデキヤの目の前で殺し、ゼデキヤの目をえぐり、足かせをかけてバビロンへ連れて行った。 + バビロンの王ネブカデネザルの第十九年の五月七日に、バビロンの王の臣、侍衛の長ネブザラダンがエルサレムにきて、 + 主の宮と王の家とエルサレムのすべての家を焼いた。すなわち火をもってすべての大きな家を焼いた。 + また侍衛の長と共にいたカルデヤびとのすべての軍勢はエルサレムの周囲の城壁を破壊した。 + そして侍衛の長ネブザラダンは、町に残された民およびバビロン王に降服した者と残りの群衆を捕え移した。 + ただし侍衛の長はその地の貧しい者を残して、ぶどうを作る者とし、農夫とした。 + カルデヤびとはまた主の宮の青銅の柱と、主の宮の洗盤の台と、青銅の海を砕いて、その青銅をバビロンに運び、 + またつぼと、十能と、心切りばさみと、香を盛る皿およびすべて神殿の務に用いる青銅の器、 + また心取り皿と鉢を取り去った。侍衛の長はまた金で作った物と銀で作った物を取り去った。 + ソロモンが主の宮のために造った二つの柱と、一つの海と洗盤の台など、これらのもろもろの器の青銅の重さは量ることができなかった。 + 一つの柱の高さは十八キュビトで、その上に青銅の柱頭があり、柱頭の高さは三キュビトで、柱頭の周囲に網細工とざくろがあって、みな青銅であった。他の柱もその網細工もこれと同じであった。 + 侍衛の長は祭司長セラヤと次席の祭司ゼパニヤと三人の門を守る者を捕え、 + また兵士をつかさどるひとりの役人と、王の前にはべる者のうち、町で見つかった者五人と、その地の民を募った軍勢の長の書記官と、町で見つかったその地の民六十人を町から捕え去った。 + 侍衛の長ネブザラダンは彼らを捕えて、リブラにいるバビロンの王のもとへ連れて行ったので、 + バビロンの王はハマテの地のリブラで彼らを撃ち殺した。このようにしてユダはその地から捕え移された。 + さてバビロンの王ネブカデネザルはユダの地に残してとどまらせた民の上に、シャパンの子アヒカムの子であるゲダリヤを立てて総督とした。 + 時に軍勢の長たちおよびその部下の人々は、バビロンの王がゲダリヤを総督としたことを聞いて、ミヅパにいるゲダリヤのもとにきた。すなわちネタニヤの子イシマエル、カレヤの子ヨハナン、ネトパびとタンホメテの子セラヤ、マアカびとの子ヤザニヤおよびその部下の人々がゲダリヤのもとにきた。 + ゲダリヤは彼らとその部下の人々に誓って言った、「あなたがたはカルデヤびとのしもべとなることを恐れてはならない。この地に住んで、バビロンの王に仕えなさい。そうすればあなたがたは幸福を得るでしょう」。 + ところが七月になって、王の血統のエリシャマの子であるネタニヤの子イシマエルは十人の者と共にきて、ゲダリヤを撃ち殺し、また彼と共にミヅパにいたユダヤ人と、カルデヤびとを殺した。 + そのため、大小の民および軍勢の長たちは、みな立ってエジプトへ行った。彼らはカルデヤびとを恐れたからである。 + ユダの王エホヤキンが捕え移されて後三十七年の十二月二十七日、すなわちバビロンの王エビルメロダクの治世の第一年に、王はユダの王エホヤキンを獄屋から出して + ねんごろに彼を慰め、その位を彼と共にバビロンにいる王たちの位よりも高くした。 + こうしてエホヤキンはその獄屋の衣を脱ぎ、一生の間、常に王の前で食事した。 + 彼は一生の間、たえず日々の分を王から賜わって、その食物とした。 + +
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+ + アダム、セツ、エノス、 + ケナン、マハラレル、ヤレド、 + エノク、メトセラ、ラメク、 + ノア、セム、ハム、ヤペテ。 + ヤペテの子らはゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メセク、テラス。 + ゴメルの子らはアシケナズ、デパテ、トガルマ。 + ヤワンの子らはエリシャ、タルシシ、キッテム、ロダニム。 + ハムの子らはクシ、エジプト、プテ、カナン。 + クシの子らはセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サブテカ。ラアマの子らはシバとデダン。 + クシはニムロデを生んだ。ニムロデは初めて世の権力ある者となった。 + エジプトはルデびと、アナムびと、レハブびと、ナフトびと、 + パテロスびと、カスルびと、カフトルびとを生んだ。カフトルびとからペリシテびとが出た。 + カナンは長子シドンとヘテを生んだ。 + またエブスびと、アモリびと、ギルガシびと、 + ヒビびと、アルキびと、セニびと、 + アルワデびと、ゼマリびと、ハマテびとを生んだ。 + セムの子らはエラム、アシュル、アルパクサデ、ルデ、アラム、ウズ、ホル、ゲテル、メセクである。 + アルパクサデはシラを生み、シラはエベルを生んだ。 + エベルにふたりの子が生れた。ひとりの名はペレグ――彼の代に地の民が散り分れたからである――その弟の名はヨクタンといった。 + ヨクタンはアルモダデ、シャレフ、ハザル・マウテ、エラ、 + ハドラム、ウザル、デクラ、 + エバル、アビマエル、シバ、 + オフル、ハビラ、ヨバブを生んだ。これらはみなヨクタンの子である。 + セム、アルパクサデ、シラ、 + エベル、ペレグ、リウ、 + セルグ、ナホル、テラ、 + アブラムすなわちアブラハムである。 + アブラハムの子らはイサクとイシマエルである。 + 彼らの子孫は次のとおりである。イシマエルの長子はネバヨテ、次はケダル、アデビエル、ミブサム、 + ミシマ、ドマ、マッサ、ハダデ、テマ、 + エトル、ネフシ、ケデマ。これらはイシマエルの子孫である。 + アブラハムのそばめケトラの子孫は次のとおりである。彼女はジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデアン、イシバク、シュワを産んだ。ヨクシャンの子らはシバとデダンである。 + ミデアンの子らはエパ、エペル、ヘノク、アビダ、エルダア。これらはみなケトラの子孫である。 + アブラハムはイサクを生んだ。イサクの子らはエサウとイスラエル。 + エサウの子らはエリパズ、リウエル、エウシ、ヤラム、コラ。 + エリパズの子らはテマン、オマル、ゼピ、ガタム、ケナズ、テムナ、アマレク。 + リウエルの子らはナハテ、ゼラ、シャンマ、ミッザ。 + セイルの子らはロタン、ショバル、ヂベオン、アナ、デション、エゼル、デシャン。 + ロタンの子らはホリとホマム。ロタンの妹はテムナ。 + ショバルの子らはアルヤン、マナハテ、エバル、シピ、オナム。ヂベオンの子らはアヤとアナ。 + アナの子はデション。デションの子らはハムラン、エシバン、イテラン、ケラン。 + エゼルの子らはビルハン、ザワン、ヤカン。デシャンの子らはウズとアラン。 + イスラエルの人々を治める王がまだなかった時、エドムの地を治めた王たちは次のとおりである。ベオルの子ベラ。その都の名はデナバといった。 + ベラが死んで、ボズラのゼラの子ヨバブが代って王となった。 + ヨバブが死んで、テマンびとの地のホシャムが代って王となった。 + ホシャムが死んで、ベダテの子ハダデが代って王となった。彼はモアブの野でミデアンを撃った。彼の都の名はアビテといった。 + ハダデが死んで、マスレカのサムラが代って王となった。 + サムラが死んで、ユフラテ川のほとりのレホボテのサウルが代って王となった。 + サウルが死んで、アクボルの子バアル・ハナンが代って王となった。 + バアル・ハナンが死んで、ハダデが代って王となった。彼の都の名はパイといった。彼の妻はマテレデの娘であって、名をメヘタベルといった。マテレデはメザハブの娘である。 + ハダデも死んだ。エドムの族長は、テムナ侯、アルヤ侯、エテテ侯、 + アホリバマ侯、エラ侯、ピノン侯、 + ケナズ侯、テマン侯、ミブザル侯、 + マグデエル侯、イラム侯。これらはエドムの族長である。 + + + イスラエルの子らは次のとおりである。ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン、 + ダン、ヨセフ、ベニヤミン、ナフタリ、ガド、アセル。 + ユダの子らはエル、オナン、シラである。この三人はカナンの女バテシュアがユダによって産んだ者である。ユダの長子エルは主の前に悪を行ったので、主は彼を殺された。 + ユダの嫁タマルはユダによってペレヅとゼラを産んだ。ユダの子らは合わせて五人である。 + ペレヅの子らはヘヅロンとハムル。 + ゼラの子らはジムリ、エタン、ヘマン、カルコル、ダラで、合わせて五人である。 + カルミの子はアカル。アカルは奉納物について罪を犯し、イスラエルを悩ました者である。 + エタンの子はアザリヤである。 + ヘヅロンに生れた子らはエラメル、ラム、ケルバイである。 + ラムはアミナダブを生み、アミナダブはユダの子孫のつかさナションを生んだ。 + ナションはサルマを生み、サルマはボアズを生み、 + ボアズはオベデを生み、オベデはエッサイを生んだ。 + エッサイは長子エリアブ、次にアビナダブ、第三にシメア、 + 第四にネタンエル、第五にラダイ、 + 第六にオゼム、第七にダビデを生んだ。 + 彼らの姉妹はゼルヤとアビガイルである。ゼルヤの産んだ子はアビシャイ、ヨアブ、アサヘルの三人である。 + アビガイルはアマサを産んだ。アマサの父はイシマエルびとエテルである。 + ヘヅロンの子カレブはその妻アズバおよびエリオテによって子をもうけた。その子らはエシル、ショバブ、アルドンである。 + カレブはアズバが死んだのでエフラタをめとった。エフラタはカレブによってホルを産んだ。 + ホルはウリを生み、ウリはベザレルを生んだ。 + そののちヘヅロンはギレアデの父マキルの娘の所にはいった。彼が彼女をめとったときは六十歳であった。彼女はヘヅロンによってセグブを産んだ。 + セグブはヤイルを生んだ。ヤイルはギレアデの地に二十三の町をもっていた。 + しかしゲシュルとアラムは彼らからハボテ・ヤイルおよびケナテとその村里など合わせて六十の町を取った。これらはみなギレアデの父マキルの子孫であった。 + ヘヅロンが死んだのち、カレブは父ヘヅロンの妻エフラタの所にはいった。彼女は彼にテコアの父アシュルを産んだ。 + ヘヅロンの長子エラメルの子らは長子ラム、次はブナ、オレン、オゼム、アヒヤである。 + エラメルはまたほかの妻をもっていた。名をアタラといって、オナムの母である。 + エラメルの長子ラムの子らはマアツ、ヤミン、エケルである。 + オナムの子らはシャンマイとヤダである。シャンマイの子らはナダブとアビシュルである。 + アビシュルの妻の名はアビハイルといって、アバンとモリデを産んだ。 + ナダブの子らはセレデとアッパイムである。セレデは子をもたずに死んだ。 + アッパイムの子はイシ、イシの子はセシャン、セシャンの子はアヘライである。 + シャンマイの兄弟ヤダの子らはエテルとヨナタンである。エテルは子をもたずに死んだ。 + ヨナタンの子らはペレテとザザである。以上はエラメルの子孫である。 + セシャンには男の子はなく、ただ女の子のみであったが、彼はヤルハと呼ぶエジプトびとの奴隷をもっていたので、 + セシャンは娘を奴隷ヤルハに与えてその妻とさせた。彼女はヤルハによってアッタイを産んだ。 + アッタイはナタンを生み、ナタンはザバデを生み、 + ザバデはエフラルを生み、エフラルはオベデを生み、 + オベデはエヒウを生み、エヒウはアザリヤを生み、 + アザリヤはヘレヅを生み、ヘレヅはエレアサを生み、 + エレアサはシスマイを生み、シスマイはシャルムを生み、 + シャルムはエカミヤを生み、エカミヤはエリシャマを生んだ。 + エラメルの兄弟であるカレブの子らは長子をマレシャといってジフの父である。マレシャの子はヘブロン。 + ヘブロンの子らはコラ、タップア、レケム、シマである。 + シマはラハムを生んだ。ラハムはヨルカムの父である。またレケムはシャンマイを生んだ。 + シャンマイの子はマオン。マオンはベテヅルの父である。 + カレブのそばめエパはハラン、モザ、ガゼズを産んだ。ハランはガゼズを生んだ。 + エダイの子らはレゲム、ヨタム、ゲシャン、ペレテ、エパ、シャフである。 + カレブのそばめマアカはシベルとテルハナを産み、 + またマデマンナの父シャフおよびマクベナとギベアの父シワを産んだ。カレブの娘はアクサである。 + これらはカレブの子孫であった。エフラタの長子ホルの子らはキリアテ・ヤリムの父ショバル、 + ベツレヘムの父サルマおよびベテガデルの父ハレフである。 + キリアテ・ヤリムの父ショバル子らはハロエとメヌコテびとの半ばである。 + キリアテ・ヤリムの氏族はイテルびと、プテびと、シュマびと、ミシラびとであって、これらからザレアびとおよびエシタオルびとが出た。 + サルマの子らはベツレヘム、ネトパびと、アタロテ・ベテ・ヨアブ、マナハテびとの半ばおよびゾリびとである。 + またヤベヅに住んでいた書記の氏族テラテびと、シメアテびと、スカテびとである。これらはケニびとであってレカブの家の先祖ハマテから出た者である。 + + + ヘブロンで生れたダビデの子らは次のとおりである。長子はアムノンでエズレルびとアヒノアムから生れ、次はダニエルでカルメルびとアビガイルから生れ、 + 第三はアブサロムでゲシュルの王タルマイの娘マアカの産んだ子、第四はアドニヤでハギテの産んだ子、 + 第五はシパテヤでアビタルから生れ、第六はイテレアムで、彼の妻エグラから生れた。 + この六人はヘブロンで彼に生れた。ダビデがそこで王となっていたのは七年六か月、エルサレムで王となっていたのは三十三年であった。 + エルサレムで生れたものは次のとおりである。すなわちシメア、ショバブ、ナタン、ソロモン。この四人はアンミエルの娘バテシュアから生れた。 + またイブハル、エリシャマ、エリペレテ、 + ノガ、ネペグ、ヤピア、 + エリシャマ、エリアダ、エリペレテの九人、 + これらはみなダビデの子である。このほかに、そばめどもの産んだ子らがあり、タマルは彼らの姉妹であった。 + ソロモンの子はレハベアム、その子はアビヤ、その子はアサ、その子はヨシャパテ、 + その子はヨラム、その子はアハジヤ、その子はヨアシ、 + その子はアマジヤ、その子はアザリヤ、その子はヨタム、 + その子はアハズ、その子はヒゼキヤ、その子はマナセ、 + その子はアモン、その子はヨシヤ、 + ヨシヤの子らは長子ヨハナン、次はエホヤキム、第三はゼデキヤ、第四はシャルムである。 + エホヤキムの子孫はその子はエコニア、その子はゼデキヤである。 + 捕虜となったエコニヤの子らはその子シャルテル、 + マルキラム、ペダヤ、セナザル、エカミア、ホシャマ、ネダビヤである。 + ペダヤの子らはゼルバベルとシメイである。ゼルバベルの子らはメシュラムとハナニヤ。シロミテは彼らの姉妹である。 + またハシュバ、オヘル、ベレキヤ、ハサデヤ、ユサブ・ヘセデの五人がある。 + ハナニヤの子らはペラテヤとエシャヤ、その子レパヤ、その子アルナン、その子オバデヤ、その子シカニヤである。 + シカニヤの子らはシマヤ。シマヤの子らはハットシ、イガル、バリア、ネアリヤ、シャパテの六人である。 + ネアリヤの子らはエリオエナイ、ヒゼキヤ、アズリカムの三人である。 + エリオエナイの子らはホダヤ、エリアシブ、ペラヤ、アックブ、ヨハナン、デラヤ、アナニの七人である。 + + + ユダの子らはペレヅ、ヘヅロン、カルミ、ホル、ショバルである。 + ショバルの子レアヤはヤハテを生み、ヤハテはアホマイとラハデを生んだ。これらはザレアびとの一族である。 + エタムの子らはエズレル、イシマおよびイデバシ、彼らの姉妹の名はハゼレルポニである。 + ゲドルの父はペヌエル、ホシャの父はエゼルである。これらはベツレヘムの父エフラタの長子ホルの子らである。 + テコアの父アシュルにはふたりの妻ヘラとナアラとがあった。 + ナアラはアシュルによってアホザム、ヘペル、テメニおよびアハシタリを産んだ。これらはナアラの子である。 + ヘラの子らはゼレテ、エゾアル、エテナンである。 + コヅはアヌブとゾベバを生んだ。またハルムの子アハルヘルの氏族も彼から出た。 + ヤベヅはその兄弟のうちで最も尊ばれた者であった。その母が「わたしは苦しんでこの子を産んだから」と言ってその名をヤベヅと名づけたのである。 + ヤベヅはイスラエルの神に呼ばわって言った、「どうか、あなたが豊かにわたしを恵み、わたしの国境を広げ、あなたの手がわたしとともにあって、わたしを災から免れさせ、苦しみをうけさせられないように」。神は彼の求めるところをゆるされた。 + シュワの兄弟ケルブはメヒルを生んだ。メヒルはエシトンの父、 + エシトンはベテラパ、パセアおよびイルナハシの父テヒンナを生んだ。これらはレカの人々である。 + ケナズの子らはオテニエルとセラヤ。オテニエルの子らはハタテとメオノタイ。 + メオノタイはオフラを生み、セラヤはゲハラシムの父ヨアブを生んだ。彼らは工人であったのでゲハラシムと呼ばれたのである。 + エフンネの子カレブの子らはイル、エラおよびナアム。エラの子はケナズ。 + エハレレルの子らはジフ、ジバ、テリア、アサレルである。 + エズラの子らはエテル、メレデ、エペル、ヤロン。次のものはメレデがめとったパロの娘ビテヤの子らである。すなわち彼女はみごもってミリアム、シャンマイおよびイシバを産んだ。イシバはエシテモアの父である。 + 彼の妻はユダヤ人で、ゲドルの父エレデとソコの父ヘベルとザノアの父エクテエルを産んだ。 + ナハムの姉妹であるホデヤの妻の子らはガルムびとケイラの父およびマアカびとエシテモアである。 + シモンの子らはアムノン、リンナ、ベネハナン、テロンである。イシの子らはゾヘテとベネゾヘテである。 + ユダの子シラの子らはレカの父エル、マレシャの父ラダおよびベテアシベアの亜麻布織の家の一族、 + ならびにモアブを治めてレヘムに帰ったヨキム、コゼバの人々、ヨアシおよびサラフである。その記録は古い。 + これらの者は陶器を造る人で、ネタイムおよびゲデラに住み、王の用をするため、王とともに、そこに住んだ。 + シメオンの子らはネムエル、ヤミン、ヤリブ、ゼラ、シャウル。 + シャウルの子はシャルム、その子はミブサム、その子はミシマ。 + ミシマの子孫は、その子はハムエル、その子はザックル、その子はシメイ。 + シメイには男の子十六人、女の子六人あったが、その兄弟たちには多くの子はなかった。またその氏族の者はすべてユダの子孫ほどにはふえなかった。 + 彼らの住んだ所はベエルシバ、モラダ、ハザル・シュアル、 + ビルハ、エゼム、トラデ、 + ベトエル、ホルマ、チクラグ、 + ベテ・マルカボテ、ハザル・スシム、ベテ・ビリ、およびシャライムである。これらはダビデの世に至るまで彼らの町であった。 + その村里はエタム、アイン、リンモン、トケン、アシャンの五つの町である。 + またこれらの町々の周囲に多くの村があって、バアルまでおよんだ。彼らのすみかは以上のとおりで、彼らはおのおの系図をもっていた。 + メショバブ、ヤムレク、アマジヤの子ヨシャ、 + ヨエル、アシエルのひこ、セラヤの孫、ヨシビアの子エヒウ。 + エリオエナイ、ヤコバ、エショハヤ、アサヤ、アデエル、エシミエル、ベナヤ、 + およびシピの子ジザ。シピはアロンの子、アロンはエダヤの子、エダヤはシムリの子、シムリはシマヤの子である。 + ここに名をあげた者どもはその氏族の長であって、それらの氏族は大いにふえ広がった。 + 彼らは群れのために牧場を求めてゲドルの入口に行き、谷の東の方まで進み、 + ついに豊かな良い牧場を見いだした。その地は広く穏やかで、安らかであった。その地の前の住民はハムびとであったからである。 + これらの名をしるした者どもはユダの王ヒゼキヤの世に行って、彼らの天幕と、そこにいたメウニびとを撃ち破り、彼らをことごとく滅ぼして今日に至っている。そこには、群れのための牧場があったので、彼らはそこに住んだ。 + またシメオンびとのうちの五百人はイシの子らペラテヤ、ネアリヤ、レパヤ、ウジエルをかしらとしてセイル山に行き、 + アマレクびとで、のがれて残っていた者を撃ち滅ぼして、今日までそこに住んでいる。 + + + イスラエルの長子ルベンの子らは次のとおりである。――ルベンは長子であったが父の床を汚したので、長子の権はイスラエルの子ヨセフの子らに与えられた。それで長子の権による系図にしるされていない。 + またユダは兄弟たちにまさる者となり、その中から君たる者がでたが長子の権はヨセフのものとなったのである。―― + すなわちイスラエルの長子ルベンの子らはハノク、パル、ヘヅロン、カルミ。 + ヨエルの子らはその子はシマヤ、その子はゴグ、その子はシメイ、 + その子はミカ、その子はレアヤ、その子はバアル、 + その子はベエラである。このベエラはアッスリヤの王テルガテ・ピルネセルが捕え移した者である。彼はルベンびとのつかさであった。 + 彼の兄弟たちは、その氏族により、その歴代の系図によれば、かしらエイエルおよびゼカリヤ、 + ベラなどである。ベラはアザズの子、シマの孫、ヨエルのひこである。彼はアロエルに住み、ネボおよびバアル・メオンまで及んでいたが、 + ギレアデの地で彼の家畜がふえ増したので、彼は東の方ユフラテ川のこなたの荒野の入口にまで住んだ。 + またサウルの時、彼らはハガルびとと戦って、これを撃ち倒し、ギレアデの東の全部にわたって彼らの天幕に住んだ。 + ガドの子孫はこれと相対してバシャンの地に住み、サルカまで及んでいた。 + そのかしらはヨエル、次はシャパム、ヤアナイ、シャパテで、ともにバシャンに住んだ。 + 彼らの兄弟たちは、その氏族によればミカエル、メシュラム、シバ、ヨライ、ヤカン、ジア、エベルの七人である。 + これらはホリの子アビハイルの子らである。ホリはヤロアの子、ヤロアはギレアデの子、ギレアデはミカエルの子、ミカエルはエシサイの子、エシサイはヤドの子、ヤドはブズの子である。 + アヒはアブデルの子、アブデルはグニの子、グニはその氏族の長である。 + 彼らはギレアデとバシャンとその村里とシャロンのすべての放牧地に住んで、その四方の境にまで及んでいた。 + これらはみなユダの王ヨタムの世とイスラエルの王ヤラベアムの世に系図にのせられた。 + ルベンびとと、ガドびとと、マナセの半部族には出て戦いうる者四万四千七百六十人あり、皆勇士で、盾とつるぎをとり、弓をひき、戦いに巧みな人々であった。 + 彼らはハガルびとおよびエトル、ネフシ、ノダブなどと戦ったが、 + 助けを得てこれを攻めたので、ハガルびとおよびこれとともにいた者は皆、彼らの手にわたされた。これは彼らが戦いにあたって神に呼ばわり、神に寄り頼んだので神はその願いを聞かれたからである。 + 彼らはその家畜を奪い取ったが、らくだ五万、羊二十五万、ろば二千あり、また人は十万人あった。 + これはその戦いが神によったので、多くの者が殺されて倒れたからである。そして彼らは捕え移される時まで、これに代ってその所に住んだ。 + マナセの半部族の人々はこの地に住み、ふえ広がって、ついにバシャンからバアル・ヘルモン、セニルおよびヘルモン山にまで及んだ。 + その氏族の長たちは次のとおりである。すなわち、エペル、イシ、エリエル、アズリエル、エレミヤ、ホダヤ、ヤデエル。これらは皆その氏族の長で名高い大勇士であった。 + 彼らは先祖たちの神にむかって罪を犯し、神が、かつて彼らの前から滅ぼされた国の民の神々を慕って、これと姦淫したので、 + イスラエルの神は、アッスリヤの王プルの心を奮い起し、またアッスリヤの王テルガテ・ピルネセルの心を奮い起されたので、彼はついにルベンびとと、ガドびとと、マナセの半部族を捕えて行き、ハウラとハボルとハラとゴザン川のほとりに移して今日に至っている。 + + + レビの子らはゲルション、コハテ、メラリ。 + コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエル。 + アムラムの子らはアロン、モーセ、ミリアム。アロンの子らはナダブ、アビウ、エレアザル、イタマル。 + エレアザルはピネハスを生み、ピネハスはアビシュアを生み、 + アビシュアはブッキを生み、ブッキはウジを生み、 + ウジはゼラヒヤを生み、ゼラヒヤはメラヨテを生み、 + メラヨテはアマリヤを生み、アマリヤはアヒトブを生み、 + アヒトブはザドクを生み、ザドクはアヒマアズを生み、 + アヒマアズはアザリヤを生み、アザリヤはヨナハンを生み、 + ヨナハンはアザリヤを生んだ。このアザリヤはソロモンがエルサレムに建てた宮で祭司の務をした者である。 + アザリヤはアマリヤを生み、アマリヤはアヒトブを生み、 + アヒトブはザトクを生み、ザトクはシャルムを生み、 + シャルムはヒルキヤを生み、ヒルキヤはアザリヤを生み、 + アザリヤはセラヤを生み、セラヤはヨザダクを生んだ。 + ヨザダクは主がネブカデネザルの手によってユダとエルサレムの人を捕え移された時に捕えられて行った。 + レビの子らはゲルション、コハテおよびメラリ。 + ゲルションの子らの名はリブニとシメイ。 + コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルである。 + メラリの子らはマヘリとムシ。これらはレビびとのその家筋による氏族である。 + ゲルションの子はリブニ、その子はヤハテ、その子はジンマ、 + その子はヨア、その子はイド、その子はゼラ、その子はヤテライ。 + コハテの子はアミナダブ、その子はコラ、その子はアシル、 + その子はエルカナ、その子はエビアサフ、その子はアシル、 + その子はタハテ、その子はウリエル、その子はウジヤ、その子はシャウル。 + エルカナの子らはアマサイとアヒモテ、 + その子はエルカナ、その子はゾパイ、その子はナハテ、 + その子はエリアブ、その子はエロハム、その子はエルカナ。 + サムエルの子らは、長子はヨエル、次はアビヤ。 + メラリの子はマヘリ、その子はリブニ、その子はシメイ、その子はウザ、 + その子はシメア、その子はハギヤ、その子はアサヤである。 + 契約の箱を安置したのち、ダビデが主の宮で歌をうたう事をつかさどらせた人々は次のとおりである。 + 彼らは会見の幕屋の前で歌をもって仕えたが、ソロモンがエルサレムに主の宮を建ててからは、一定の秩序に従って務を行った。 + その務をしたもの、およびその子らは次のとおりである。コハテびとの子らのうちヘマンは歌をうたう者、ヘマンはヨエルの子、ヨエルはサムエルの子、 + サムエルはエルカナの子、エルカナはエロハムの子、エロハムはエリエルの子、エリエルはトアの子、 + トアはヅフの子、ヅフはエルカナの子、エルカナはマハテの子、マハテはアマサイの子、 + アマサイはエルカナの子、エルカナはヨエルの子、ヨエルはアザリヤの子、アザリヤはゼパニヤの子、 + ゼパニヤはタハテの子、タハテはアシルの子、アシルはエビアサフの子、エビアサフはコラの子、 + コラはイヅハルの子、イヅハルはコハテの子、コハテはレビの子、レビはイスラエルの子である。 + ヘマンの兄弟アサフはヘマンの右に立った。アサフはベレキヤの子、ベレキヤはシメアの子、 + シメアはミカエルの子、ミカエルはバアセヤの子、バアセヤはマルキヤの子、 + マルキヤはエテニの子、エテニはゼラの子、ゼラはアダヤの子、 + アダヤはエタンの子、エタンはジンマの子、ジンマはシメイの子、 + シメイはヤハテの子、ヤハテはゲルションの子、ゲルションはレビの子である。 + また彼らの兄弟であるメラリの子らが左に立った。そのうちのエタンはキシの子、キシはアブデの子、アブデはマルクの子、 + マルクはハシャビヤの子、ハシャビヤはアマジヤの子、アマジヤはヒルキヤの子、 + ヒルキヤはアムジの子、アムジはバニの子、バニはセメルの子、 + セメルはマヘリの子、マヘリはムシの子、ムシはメラリの子、メラリはレビの子である。 + 彼らの兄弟であるレビびとたちは、神の宮の幕屋のもろもろの務に任じられた。 + アロンとその子らは燔祭の壇と香の祭壇の上にささげることをなし、また至聖所のすべてのわざをなし、かつイスラエルのためにあがないをなした。すべて神のしもべモーセの命じたとおりである。 + アロンの子孫は次のとおりである。アロンの子はエレアザル、その子はピネハス、その子はアビシュア、 + その子はブッキ、その子はウジ、その子はゼラヒヤ、 + その子はメラヨテ、その子はアマリヤ、その子はアヒトブ、 + その子はザドク、その子はアヒマアズである。 + アロンの子孫の住む所はその境のうちにある宿営によっていえば次のとおりである。まずコハテびとの氏族がくじによって得たところ、 + すなわち彼らが与えられたところは、ユダの地にあるヘブロンとその周囲の放牧地である。 + ただし、その町の田畑とその村々は、エフンネの子カレブに与えられた。 + そしてアロンの子孫に与えられたものは、のがれの町であるヘブロンおよびリブナとその放牧地、ヤッテルおよびエシテモアとその放牧地、 + ヒレンとその放牧地、デビルとその放牧地、 + アシャンとその放牧地、ベテシメシとその放牧地である。 + またベニヤミンの部族のうちからはゲバとその放牧地、アレメテとその放牧地、アナトテとその放牧地を与えられた。彼らの町は、すべてその氏族のうちに十三あった。 + またコハテの子孫の残りの者は部族の氏族のうちからと、半部族すなわちマナセの半部族のうちからくじによって十の町を与えられた。 + またゲルションの子孫はその氏族によってイッサカルの部族、アセルの部族、ナフタリの部族、およびバシャンのマナセの部族のうちから十三の町が与えられた。 + メラリの子孫はその氏族によってルベンの部族、ガドの部族、およびゼブルンの部族のうちからくじによって十二の町が与えられた。 + このようにイスラエルの人々はレビびとに町々とその放牧地とを与えた。 + すなわちユダの子孫の部族とシメオンの部族の子孫と、ベニヤミンの子孫の部族のうちからここに名をあげたこれらの町をくじによって与えた。 + コハテの子孫の氏族はまたエフライムの部族のうちからも町々を獲てその領地とした。 + すなわち彼らが与えられた、のがれの町はエフライムの山地にあるシケムとその放牧地、ゲゼルとその放牧地、 + ヨクメアムとその放牧地、ベテホロンとその放牧地、 + アヤロンとその放牧地、ガテリンモンとその放牧地である。 + またマナセの半部族のうちからは、アネルとその放牧地およびビレアムとその放牧地を、コハテの子孫の氏族の残りのものに与えた。 + ゲルションの子孫に与えられたものはマナセの半部族のうちからはバシャンのゴランとその放牧地、アシタロテとその放牧地。 + イッサカルの部族のうちからはケデシとその放牧地、ダベラテとその放牧地、 + ラモテとその放牧地、アネムとその放牧地。 + アセルの部族のうちからはマシャルとその放牧地、アブドンとその放牧地、 + ホコクとその放牧地、レホブとその放牧地。 + ナフタリの部族のうちからはガリラヤのケデシとその放牧地、ハンモンとその放牧地、キリアタイムとその放牧地である。 + このほかのもの、すなわちメラリの子孫に与えられたものはゼブルンの部族のうちからリンモンとその放牧地、タボルとその放牧地、 + エリコに近いヨルダンのかなた、すなわちヨルダンの東ではルベンの部族のうちからは荒野のベゼルとその放牧地、ヤザとその放牧地、 + ケデモテとその放牧地、メパアテとその放牧地。 + ガドの部族のうちからはギレアデのラモテとその放牧地、マハナイムとその放牧地、 + ヘシボンとその放牧地、ヤゼルとその放牧地である。 + + + イッサカルの子らはトラ、プワ、ヤシュブ、シムロムの四人。 + トラの子らはウジ、レパヤ、エリエル、ヤマイ、エブサム、サムエル。これは皆トラの子で、その氏族の長である。その子孫の大勇士たる者はダビデの世にはその数二万二千六百人であった。 + ウジの子はイズラヒヤ、イズラヒヤの子らはミカエル、オバデヤ、ヨエル、イシアの五人で、みな長たる者であった。 + その子孫のうちに、その氏族に従えば軍勢の士卒三万六千人あった。これは彼らが妻子を多くもっていたからである。 + イッサカルのすべての氏族のうちの兄弟たちで系図によって数えられた大勇士は合わせて八万七千人あった。 + ベニヤミンの子らはベラ、ベケル、エデアエルの三人。 + ベラの子らはエヅボン、ウジ、ウジエル、エレモテ、イリの五人で、皆その氏族の長である。その系図によって数えられた大勇士は二万二千三十四人あった。 + ベケルの子らはゼミラ、ヨアシ、エリエゼル、エリオエナイ、オムリ、エレモテ、アビヤ、アナトテ、アラメテで皆ベケルの子らである。 + その子孫のうち、その氏族の長として系図によって数えられた大勇士は二万二百人あった。 + エデアエルの子はビルハン。ビルハンの子らはエウシ、ベニヤミン、エホデ、ケナアナ、ゼタン、タルシシ、アヒシャハル。 + 皆エデアエルの子らで氏族の長であった。その子孫のうちには、いくさに出てよく戦う大勇士が一万七千二百人あった。 + またイルの子らはシュパムとホパム。アヘルの子はホシムである。 + ナフタリの子らはヤハジエル、グニ、エゼル、シャルムで皆ビルハの産んだ子である。 + マナセの子らはそのそばめであるスリヤの女の産んだアスリエル。彼女はまたギレアデの父マキルを産んだ。 + マキルはホパムとシュパムの妹マアカという者を妻にめとった。二番目の子はゼロペハデという。ゼロペハデには女の子だけがあった。 + マキルの妻マアカは男の子を産んで名をペレシと名づけた。その弟の名はシャレシ。シャレシの子らはウラムとラケムである。 + ウラムの子はベダン。これらはマナセの子マキルの子であるギレアデの子らである。 + その妹ハンモレケテはイシホデ、アビエゼル、マヘラを産んだ。 + セミダの子らはアヒアン、シケム、リキ、アニアムである。 + エフライムの子はシュテラ、その子はベレデ、その子はタハテ、その子はエラダ、その子はタハテ、 + その子はザバデ、その子はシュテラである。エゼルとエレアデはガテの土人らに殺された。これは彼らが下って行ってその家畜を奪おうとしたからである。 + 父エフライムが日久しくこのために悲しんだので、その兄弟たちが来て彼を慰めた。 + そののち、エフライムは妻のところにはいった。妻ははらんで男の子を産み、その名をベリアと名づけた。その家に災があったからである。 + エフライムの娘セラは上と下のベテホロンおよびウゼン・セラを建てた。 + ベリアの子はレパ、その子はレセフ、その子はテラ、その子はタハン、 + その子はラダン、その子はアミホデ、その子はエリシャマ、 + その子はヌン、その子はヨシュア。 + エフライムの子孫の領地と住所はベテルとその村々、また東の方ではナアラン、西の方ではゲゼルとその村々、またシケムとその村々、アワとその村々。 + またマナセの子孫の国境に沿って、ベテシャンとその村々、タアナクとその村々、メギドンとその村々、ドルとその村々で、イスラエルの子ヨセフの子孫はこれらの所に住んだ。 + アセルの子らはイムナ、イシワ、エスイ、ベリアおよびその姉妹セラ。 + ベリアの子らはヘベルとマルキエル。マルキエルはビルザヒテの父である。 + ヘベルはヤフレテ、ショメル、ホタムおよびその姉妹シュアを生んだ。 + ヤフレテの子らはパサク、ビムハル、アシワテ。これらはヤレフテの子らである。 + 彼の兄弟ショメルの子らはロガ、ホバおよびアラム。 + ショメルの兄弟ヘレムの子らはゾパ、イムナ、シレシ、アマル。 + ゾパの子らはスア、ハルネペル、シュアル、ベリ、イムラ、 + ベゼル、ホド、シャンマ、シルシャ、イテラン、ベエラ。 + エテルの子らはエフンネ、ピスパおよびアラ。 + ウラの子らはアラ、ハニエル、およびリヂア。 + これらは皆アセルの子孫であって、その氏族の長、えりぬきの大勇士、つかさたちのかしらであった。その系図によって数えられた者で、いくさに出てよく戦う者の数は二万六千人であった。 + + + ベニヤミンの生んだ者は長子はベラ、その次はアシベル、第三はアハラ、 + 第四はノハ、第五はラパ。 + ベラの子らはアダル、ゲラ、アビウデ、 + アビシュア、ナアマン、アホア、 + ゲラ、シフパム、ヒラム。 + エホデの子らは次のとおりである。(これらはゲバの住民の氏族の長であって、マナハテに捕え移されたものである。) + すなわちナアマン、アヒヤ、ゲラすなわちヘグラム。ゲラはウザとアヒフデの父であった。 + シャハライムは妻ホシムとバアラを離別してのち、モアブの国で子らをもうけた。 + 彼が妻ホデシによってもうけた子らはヨバブ、ヂビア、メシャ、マルカム、 + エウヅ、シャキヤ、ミルマ。これらはその子らであって氏族の長である。 + 彼はまたホシムによってアビトブとエルパアルをもうけた。 + エルパアルの子らはエベル、ミシャムおよびセメド。彼はオノとロドとその村々を建てた者である。 + またベリアとシマがあった。(これはアヤロンの住民の氏族の長であって、ガテの住民を追い払ったものである。) + またアヒオ、シャシャク、エレモテ。 + ゼバデヤ、アラデ、アデル、 + ミカエル、イシパおよびヨハはベリアの子らであった。 + ゼバデヤ、メシュラム、ヘゼキ、ヘベル、 + イシメライ、エズリアおよびヨバブはエルパアルの子らであった。 + ヤキン、ジクリ、ザベデ、 + エリエナイ、チルタイ、エリエル、 + アダヤ、ベラヤおよびシムラテはシマの子らであった。 + イシパン、ヘベル、エリエル、 + アブドン、ジクリ、ハナン、 + ハナニヤ、エラム、アントテヤ、 + イペデヤおよびペヌエルはシャシャクの子らであった。 + シャムセライ、シハリア、アタリヤ、 + ヤレシャ、エリヤおよびジクリはエロハムの子らであった。 + これらは歴代の氏族の長であり、またかしらであって、エルサレムに住んだ。 + ギベオンの父エイエルはギベオンに住み、その妻の名はマアカといった。 + その長子はアブドンで、次はツル、キシ、バアル、ナダブ、 + ゲドル、アヒオ、ザケル、 + およびミクロテ。ミクロテはシメアを生んだ。これらもまた兄弟たちと向かいあってエルサレムに住んだ。 + ネルはキシを生み、キシはサウルを生み、サウルはヨナタン、マルキシュア、アビナダブ、エシバアルを生んだ。 + ヨナタンの子はメリバアルで、メリバアルはミカエルを生んだ。 + ミカの子らはピトン、メレク、タレア、アハズである。 + アハズはエホアダを生み、エホアダはアレメテ、アズマウテ、ジムリを生み、ジムリはモザを生み、 + モザはビネアを生んだ。ビネアの子はラパ、ラパの子はエレアサ、エレアサの子はアゼルである。 + アゼルには六人の子があり、その名はアズリカム、ボケル、イシマエル、シャリヤ、オバデヤ、ハナンで、皆アゼルの子である。 + その兄弟エセクの子らは、長子はウラム、次はエウシ、第三はエリペレテである。 + ウラムの子らは大勇士で、よく弓を射る者であった。彼は多くの子と孫をもち、百五十人もあった。これらは皆ベニヤミンの子孫である。 + + + このようにすべてのイスラエルびとは系図によって数えられた。これらはイスラエルの列王紀にしるされている。ユダはその不信のゆえにバビロンに捕囚となった。 + その領地の町々に最初に住んだものはイスラエルびと、祭司、レビびとおよび宮に仕えるしもべたちであった。 + またエルサレムにはユダの子孫、ベニヤミンの子孫およびエフライムとマナセの子孫が住んでいた。 + すなわちユダの子ペレヅの子孫のうちではアミホデの子ウタイ。アミホデはオムリの子、オムリはイムリの子、イムリはバニの子である。 + シロびとのうちでは長子アサヤとそのほかの子たち。 + ゼラの子孫のうちではユエルとその兄弟六百九十人。 + ベニヤミンの子孫のうちではハセヌアの子ホダビヤの子であるメシュラムの子サル、 + エロハムの子イブニヤ、ミクリの子であるウジの子エラおよびイブニヤの子リウエルの子であるシパテヤの子メシュラム、 + ならびに彼らの兄弟たちで、その系図によれば合わせて九百五十六人。これらの人々は皆その氏族の長であった。 + 祭司のうちではエダヤ、ヨアリブ、ヤキン、 + およびヒルキヤの子アザリヤ、ヒルキヤはメシュラムの子、メシュラムはザドクの子、ザドクはメラヨテの子、メラヨテはアヒトブの子である。アザリヤは神の宮のつかさである。 + またエロハムの子アダヤ、エロハムはパシュルの子、パシュルはマルキヤの子である。またアデエルの子はマアセヤ、アデエルはヤゼラの子、ヤゼラはメシュラムの子、メシュラムはメシレモテの子、メシレモテはインメルの子である。 + そのほかに彼らの兄弟たちもあった。これらはその氏族の長で、合わせて一千七百六十人、みな神の宮の務をするのに、はなはだ力のある人々であった。 + レビびとのうちではハシュブの子シマヤ、ハシュブはアズリカムの子、アズリカムはハシャビヤの子で、これらはメラリの子孫である。 + またバクバッカル、ヘレシ、ガラル、およびアサフの子ジクリの子であるミカの子マッタニヤ、 + ならびにエドトンの子ガラルの子であるシマヤの子オバデヤおよびエルカナの子であるアサの子ベレキヤ、エルカナはネトパびとの村里に住んだ者である。 + 門を守るものはシャルム、アックブ、タルモン、アヒマンおよびその兄弟たちで、シャルムはその長であった。 + 彼は今日まで東の方にある王の門を守っている。これらはレビの子孫で営の門を守る者である。 + コラの子エビヤサフの子であるコレの子シャルムおよびその氏族の兄弟たちなどのコラびとは幕屋のもろもろの門を守る務をつかさどった。その先祖たちは主の営をつかさどり、その入口を守る者であった。 + エレアザルの子ピネハスが、むかし彼らのつかさであった。主は彼とともにおられた。 + メシレミヤの子ゼカリヤは会見の幕屋の門を守る者であった。 + これらは皆選ばれて門を守る者で、合わせて二百十二人あった。彼らはその村々で系図によって数えられた者で、ダビデと先見者サムエルが彼らを職に任じたのである。 + こうして彼らとその子孫は監守人として、主の家である幕屋の家の門をつかさどった。 + 門を守る者は東西南北の四方にいた。 + またその村々にいる兄弟たちは七日ごとに代り、来て彼らを助けた。 + 門を守る者の長である四人のレビびとは神の家のもろもろの室と宝とをつかさどった。 + 彼らは神の家を守る身であるから、そのまわりに宿った。そして朝ごとにこれを開くことをした。 + そのうちに務の器をつかさどる者があった。彼らはその数を調べて携え入り、またその数を調べて携え出した。 + またそのほかの品、すべての聖なる器および麦粉、ぶどう酒、油、乳香、香料をつかさどる者があった。 + また祭司のともがらのうちに香料を混ぜる者があった。 + コラびとシャルムの長子でレビびとのひとりであるマタテヤはせんべいを造る勤めをつかさどった。 + またコハテびとの子孫であるその兄弟たちのうちに供えのパンをつかさどって、安息日ごとにこれを整える者どもがあった。 + レビびとの氏族の長であるこれらの者は歌うたう者であって、宮のもろもろの室に住み、ほかの務はしなかった。彼らは日夜自分の務に従ったからである。 + これらはレビびとの歴代の氏族の長であって、かしらたる人々であった。彼らはエルサレムに住んだ。 + ギベオンの父エヒエルはギベオンに住んでいた。その妻の名はマアカといった。 + 彼の長子はアブドン、次はツル、キシ、バアル、ネル、ナダブ、 + ゲドル、アヒオ、ゼカリヤ、ミクロテである。 + ミクロテはシメアムを生んだ。彼らもその兄弟たちとともにエルサレムに住んで、その兄弟たちと向かいあっていた。 + ネルはキシを生み、キシはサウルを生み、サウルはヨナタン、マルキシュア、アビナダブ、エシバアルを生んだ。 + ヨナタンの子はメリバアルで、メリバアルはミカを生んだ。 + ミカの子らはピトン、メレク、タレアおよびアハズである。 + アハズはヤラを生み、ヤラはアレメテ、アズマウテおよびジムリを生み、ジムリはモザを生み、 + モザはビネアを生んだ。ビネアの子はレパヤ、その子はエレアサ、その子はアゼルである。 + アゼルに六人の男の子があった。その名はアズリカム、ボケル、イシマエル、シャリヤ、オバデヤ、ハナン。これらはみなアゼルの子らであった。 + + + さてペリシテびとはイスラエルと戦ったが、イスラエルの人々がペリシテびとの前から逃げ、ギルボア山で殺されて倒れたので、 + ペリシテびとはサウルとその子たちのあとを追い、サウルの子ヨナタン、アビナダブおよびマルキシュアを殺した。 + 戦いは激しくサウルにおし迫り、射手の者どもがついにサウルを見つけたので、彼は射手の者どもに傷を負わされた。 + そこでサウルはその武器を執る者に言った、「つるぎを抜き、それをもってわたしを刺せ。さもないと、これらの割礼なき者が来て、わたしをはずかしめるであろう」。しかしその武器を執る者がいたく恐れて聞きいれなかったので、サウルはつるぎをとってその上に伏した。 + 武器を執る者はサウルの死んだのを見て、自分もまたつるぎの上に伏して死んだ。 + こうしてサウルと三人の子らおよびその家族は皆ともに死んだ。 + 谷にいたイスラエルの人々は皆彼らの逃げるのを見、またサウルとその子らの死んだのを見て、町々をすてて逃げたので、ペリシテびとが来てそのうちに住んだ。 + あくる日ペリシテびとは殺された者から、はぎ取るために来て、サウルとその子らのギルボア山に倒れているのを見、 + サウルをはいでその首と、よろいかぶとを取り、ペリシテびとの国の四方に人をつかわして、この良き知らせをその偶像と民に告げさせた。 + そしてサウルのよろいかぶとを彼らの神の家に置き、首をダゴンの神殿にくぎづけにした。 + しかしヤベシ・ギレアデの人々は皆ペリシテびとがサウルにしたことを聞いたので、 + 勇士たちが皆立ち上がり、サウルのからだとその子らのからだをとって、これをヤベシに持って来て、ヤベシのかしの木の下にその骨を葬り、七日の間、断食した。 + こうしてサウルは主にむかって犯した罪のために死んだ。すなわち彼は主の言葉を守らず、また口寄せに問うことをして、 + 主に問うことをしなかった。それで主は彼を殺し、その国を移してエッサイの子ダビデに与えられた。 + + + ここにイスラエルの人は皆ヘブロンにいるダビデのもとに集まって来て言った、「われわれは、あなたの骨肉です。 + 先にサウルが王であった時にも、あなたはイスラエルを率いて出入りされました。そしてあなたの神、主はあなたに『あなたはわが民イスラエルを牧する者となり、わが民イスラエルの君となるであろう』と言われました」。 + このようにイスラエルの長老が皆ヘブロンにいる王のもとに来たので、ダビデはヘブロンで主の前に彼らと契約を結んだ。そして彼らは、サムエルによって語られた主の言葉に従ってダビデに油を注ぎ、イスラエルの王とした。 + ダビデとすべてのイスラエルはエルサレムへ行った。エルサレムはすなわちエブスであって、そこにはその地の住民であるエブスびとがいた。 + エブスの住民はダビデに言った、「あなたはここにはいってはならない」。しかし、ダビデはシオンの要害を取った。これがすなわちダビデの町である。 + この時ダビデは言った、「だれでも第一にエブスびとを撃つ者を、かしらとし、将とする」。ゼルヤの子ヨアブが第一にのぼっていったので、かしらとなった。 + そしてダビデがその要害に住んだので人々はこれをダビデの町と名づけた。 + ダビデはまたその町の周囲すなわちミロから四方に石がきを築き、ヨアブは町のほかの部分を繕った。 + こうしてダビデはますます大いなる者となった。万軍の主が彼とともにおられたからである。 + ダビデの勇士のおもなものは次のとおりである。彼らはイスラエルのすべての人とともにダビデに力をそえて国を得させ、主がイスラエルについて言われた言葉にしたがって、彼を王とした人々である。 + ダビデの勇士の数は次のとおりである。すなわち三人の長であるハクモニびとの子ヤショベアム、彼はやりをふるって三百人に向かい、一度にこれを殺した者である。 + 彼の次はアホアびとドドの子エレアザルで、三勇士のひとりである。 + 彼はダビデとともにパスダミムにいたが、ペリシテびとがそこに集まって来て戦った。そこに一面に大麦のはえた地所があった。民はペリシテびとの前から逃げた。 + しかし彼は地所の中に立ってこれを防ぎ、ペリシテびとを殺した。そして主は大いなる勝利を与えて彼らを救われた。 + 三十人の長たちのうちの三人は下っていってアドラムのほらあなの岩の所にいるダビデのもとへ行った。時にペリシテびとの軍勢はレパイムの谷に陣を取っていた。 + その時ダビデは要害におり、ペリシテびとの先陣はベツレヘムにあったが、 + ダビデはせつに望んで、「だれかベツレヘムの門のかたわらにある井戸の水をわたしに飲ませてくれるとよいのだが」と言った。 + そこでその三人はペリシテびとの陣を突き通って、ベツレヘムの門のかたわらにある井戸の水をくみ取って、ダビデのもとに携えて来た。しかしダビデはそれを飲もうとはせず、それを主の前に注いで、 + 言った、「わが神よ、わたしは断じてこれをいたしません。命をかけて行ったこの人たちの血をどうしてわたしは飲むことができましょう。彼らは命をかけてこの水をとって来たのです」。それゆえ、ダビデはこの水を飲もうとはしなかった。三勇士はこのことをおこなった。 + ヨアブの兄弟アビシャイは三十人の長であった。彼はやりをふるって三百人に立ち向かい、これを殺して三人のほかに名を得た。 + 彼は三十人のうち、最も尊ばれた者で、彼らのかしらとなった。しかし、かの三人には及ばなかった。 + エホヤダの子ベナヤは、カブジエル出身の勇士であって、多くのてがらを立てた。彼はモアブのアリエルのふたりの子を撃ち殺した。彼はまた雪の日に下っていって、穴の中でししを撃ち殺した。 + 彼はまた身のたけ五キュビトばかりのエジプトびとを撃ち殺した。そのエジプトびとは手に機の巻棒ほどのやりを持っていたが、ベナヤはつえをとって彼の所へ下って行き、エジプトびとの手から、やりをもぎとり、そのやりをもって彼を殺した。 + エホヤダの子ベナヤは、これらの事を行って三勇士のほかに名を得た。 + 彼は三十人のうちに有名であったが、かの三人には及ばなかった。ダビデは彼を侍衛の長とした。 + 軍団のうちの勇士はヨアブの兄弟アサヘル。ベツレヘム出身のドドの子エルハナン。 + ハロデ出身のシャンマ。ペロンびとヘレヅ。 + テコア出身のイッケシの子イラ。アナトテ出身のアビエゼル。 + ホシャテびとシベカイ。アホアびとイライ。 + ネトパ出身のマハライ。ネトパ出身のバアナの子ヘレデ。 + ベニヤミンびとのギベアから出たリバイの子イタイ。ピラトンのベナヤ。 + ガアシの谷のホライ。アルバテびとアビエル。 + バハルム出身のアズマウテ。シャルボン出身のエリヤバ。 + ギゾンびとハセム。ハラルびとシャゲの子ヨナタン。 + ハラルびとサカルの子アヒアム。ウルの子エリパル。 + メケラテびとヘペル。ペロンびとアヒヤ。 + カルメル出身のヘズロ。エズバイの子ナアライ。 + ナタンの兄弟ヨエル。ハグリの子ミブハル。 + アンモンびとゼレク。ゼルヤの子ヨアブの武器を執るもの、ベエロテ出身のナハライ。 + イテルびとイラ。イテルびとガレブ。 + ヘテびとウリヤ。アハライの子ザバデ。 + ルベンびとシザの子アデナ。彼はルベンびとの長であって、三十人を率いた。 + またマアカの子ハナン。ミテニびとヨシャパテ。 + アシテラテびとウジヤ。アロエルびとホタムの子らシャマとエイエル。 + テジびとシムリの子エデアエルおよびその兄弟ヨハ。 + マハブびとエリエル。エルナアムの子らエリバイおよびヨシャビヤ。モアブびとイテマ。 + エリエル、オベデおよびメゾバびとヤシエルである。 + + + ダビデがキシの子サウルにしりぞけられて、なおチクラグにいた時、次の人々が彼のもとに来た。彼らはダビデを助けて戦った勇士たちのうちにあり、 + 弓をよくする者、左右いずれの手をもってもよく矢を射、石を投げる者で、ともにベニヤミンびとで、サウルの同族である。 + そのかしらはアヒエゼル、次はヨアシで、ともにギベア出身のシマアの子たちである。またエジエルとペレテで、ともにアズマウテの子たちである。またベラカおよびアナトテ出身のエヒウ。 + またギベオン出身のイシマヤ、彼は三十人のうちの勇士で、その三十人の長である。またエレミヤ、ヤハジエル、ヨハナン、ゲデラ出身のヨザバデ、 + エルザイ、エリモテ、ベアリヤ、シマリヤ、ハリフびとシパテヤ、 + エルカナ、イシア、アザリエル、ヨエゼル、ヤショベアムで、これらはコラびとである。 + またゲドルのエロハムの子たちであるヨエラおよびゼバデヤである。 + ガドびとのうちから荒野の要害に来て、ダビデについた者は皆勇士で、よく戦う軍人、よく盾とやりをつかう者、その顔はししの顔のようで、その速いことは山にいるしかのようであった。 + 彼らのかしらはエゼル、次はオバデヤ、第三はエリアブ、 + 第四はミシマンナ、第五はエレミヤ、 + 第六はアッタイ、第七はエリエル、 + 第八はヨナハン、第九はエルザバデ、 + 第十はエレミヤ、第十一はマクバナイである。 + これらはガドの子孫で軍勢の長たる者、その最も小さい者でも百人に当り、その最も大いなる者は千人に当った。 + 正月、ヨルダンがその全岸にあふれたとき、彼らはこれを渡って、谷々にいる者をことごとく東に西に逃げ走らせた。 + ベニヤミンとユダの子孫のうちの人々が要害に来て、ダビデについた。 + ダビデは出て彼らを迎えて言った、「あなたがたが好意をもって、わたしを助けるために来たのならば、わたしの心もあなたがたと、ひとつになりましょう。しかし、わたしの手になんの悪事もないのに、もしあなたがたが、わたしを欺いて、敵に渡すためであるならば、われわれの先祖の神がどうぞみそなわして、あなたがたを責められますように」。 + 時に霊が三十人の長アマサイに臨み、アマサイは言った、「ダビデよ、われわれはあなたのもの。エッサイの子よ、われわれはあなたと共にある。平安あれ、あなたに平安あれ。あなたを助ける者に平安あれ。あなたの神があなたを助けられる」。そこでダビデは彼らを受けいれて部隊の長とした。 + さきにダビデがペリシテびとと共にサウルと戦おうと攻めて来たとき、マナセびと数人がダビデについた。(ただしダビデはついにペリシテびとを助けなかった。それはペリシテびとの君たちが相はかって、「彼はわれわれの首をとって、その主君サウルのもとに帰るであろう」と言って、彼を去らせたからである。) + ダビデがチクラグへ行ったとき、マナセびとアデナ、ヨザバデ、エデアエル、ミカエル、ヨザバデ、エリウ、ヂルタイが彼についた。皆マナセびとの千人の長であった。 + 彼らはダビデを助けて敵軍に当った。彼らは皆大勇士で軍勢の長であった。 + ダビデを助ける者が日に日に加わって、ついに大軍となり、神の軍勢のようになった。 + 主の言葉に従い、サウルの国をダビデに与えようとして、ヘブロンにいるダビデのもとに来た武装した軍隊の数は、次のとおりである。 + ユダの子孫で盾とやりをとり、武装した者六千八百人、 + シメオンの子孫で、よく戦う勇士七千百人、 + レビの子孫からは四千六百人。 + エホヤダはアロンの家のつかさで、彼に属する者は三千七百人。 + ザドクは年若い勇士で、彼の氏族から出た将軍は二十二人。 + サウルの同族、ベニヤミンの子孫からは三千人、ベニヤミンびとの多くはなおサウルの家に忠義をつくしていた。 + エフライムの子孫からは二万八百人、皆勇士で、その氏族の名ある人々であった。 + マナセの半部族からは一万八千人、皆ダビデを王に立てようとして上って来て、名をつらねた者である。 + イッサカルの子孫からはよく時勢に通じ、イスラエルのなすべきことをわきまえた人々が来た。その長たる者が二百人あって、その兄弟たちは皆その指揮に従った。 + ゼブルンからは五万人、皆訓練を経た軍隊で、もろもろの武具で身をよろい、一心にダビデを助けた者である。 + ナフタリからは将たる者一千人および盾とやりをとってこれに従う者三万七千人。 + ダンびとからは武装した者二万八千六百人。 + アセルからは戦いの備えをした熟練の者四万人。 + またヨルダンのかなたルベンびと、ガドびと、マナセの半部族からはもろもろの武具で身をよろった者十二万人であった。 + すべてこれらの戦いの備えをしたいくさびとらは真心をもってヘブロンに来て、ダビデを全イスラエルの王にしようとした。このほかのイスラエルびともまた、心をひとつにしてダビデを王にしようとした。 + 彼らはヘブロンにダビデとともに三日いて、食い飲みした。その兄弟たちは彼らのために備えをしたからである。 + また彼らに近い人々はイッサカル、ゼブルン、ナフタリなどの遠い所の者まで、ろば、らくだ、騾馬、牛などに食物を負わせて来た。すなわち麦粉の食物、干いちじく、干ぶどう、ぶどう酒、油、牛、羊などを多く携えて来た。これはイスラエルに喜びがあったからである。 + + + ここにダビデは千人の長、百人の長などの諸将と相はかり、 + そしてダビデはイスラエルの全会衆に言った、「もし、このことをあなたがたがよしとし、われわれの神、主がこれを許されるならば、われわれは、イスラエルの各地に残っているわれわれの兄弟ならびに、放牧地の付いている町々にいる祭司とレビびとに、使をつかわし、われわれの所に呼び集めましょう。 + また神の箱をわれわれの所に移しましょう。われわれはサウルの世にはこれをおろそかにしたからです」。 + 会衆は一同「そうしましょう」と言った。このことがすべての民の目に正しかったからである。 + そこでダビデはキリアテ・ヤリムから神の箱を運んでくるため、エジプトのシホルからハマテの入口までのイスラエルをことごとく呼び集めた。 + そしてダビデとすべてのイスラエルはバアラすなわちユダのキリアテ・ヤリムに上り、ケルビムの上に座しておられる主の名をもって呼ばれている神の箱をそこからかき上ろうと、 + 神の箱を新しい車にのせて、アビナダブの家からひきだし、ウザとアヒヨがその車を御した。 + ダビデおよびすべてのイスラエルは歌と琴と立琴と、手鼓と、シンバルと、ラッパをもって、力をきわめて神の前に踊った。 + 彼らがキドンの打ち場に来た時、ウザは手を伸べて箱を押えた。牛がつまずいたからである。 + ウザが手を箱につけたことによって、主は彼に向かって怒りを発し、彼を撃たれたので、彼はその所で神の前に死んだ。 + 主がウザを撃たれたので、ダビデは怒った。その所は今日までペレヅ・ウザと呼ばれている。 + その日ダビデは神を恐れて言った、「どうして神の箱を、わたしの所へかいて行けようか」。 + それでダビデはその箱を自分の所ダビデの町へは移さず、これを転じてガテびとオベデ・エドムの家に運ばせた。 + 神の箱は三か月の間、オベデ・エドムの家に、その家族とともにとどまった。主はオベデ・エドムの家族とそのすべての持ち物を祝福された。 + + + ツロの王ヒラムはダビデに使者をつかわし、彼のために家を建てさせようと香柏および石工と木工を送った。 + ダビデは主が自分を堅く立ててイスラエルの王とされたことと、その民イスラエルのために彼の国を大いに興されたことを悟った。 + ダビデはエルサレムでまた妻たちをめとった。そしてダビデにまたむすこ、娘が生れた。 + 彼がエルサレムで得た子たちの名は次のとおりである。すなわちシャンマ、ショバブ、、ナタン、ソロモン、 + イブハル、エリシュア、エルペレテ、 + ノガ、ネペグ、ヤピア、 + エリシャマ、ベエリアダ、エリペレテである。 + さてペリシテびとはダビデが油を注がれて全イスラエルの王になったことを聞いたので、ペリシテびとはみな上ってきてダビデを捜した。ダビデはこれを聞いてこれに当ろうと出ていったが、 + ペリシテびとはすでに来て、レパイムの谷を侵した。 + ダビデは神に問うて言った、「ペリシテびとに向かって上るべきでしょうか。あなたは彼らをわたしの手にわたされるでしょうか」。主はダビデに言われた、「上りなさい。わたしは彼らをあなたの手にわたそう」。 + そこで彼はバアル・ペラジムへ上っていった。その所でダビデは彼らを打ち敗り、そして言った、「神は破り出る水のように、わたしの手で敵を破られた」。それゆえ、その所の名はバアル・ペラジムと呼ばれている。 + 彼らが自分たちの神をそこに残して退いたので、ダビデは命じてこれを火で焼かせた。 + ペリシテびとは再び谷を侵した。 + ダビデが再び神に問うたので神は言われた、「あなたは彼らを追って上ってはならない。遠回りしてバルサムの木の前から彼らを襲いなさい。 + バルサムの木の上に行進の音が聞えたならば、あなたは行って戦いなさい。神があなたの前に出てペリシテびとの軍勢を撃たれるからです」。 + ダビデは神が命じられたようにして、ペリシテびとの軍勢を撃ち破り、ギベオンからゲゼルに及んだ。 + そこでダビデの名はすべての国々に聞えわたり、主はすべての国びとに彼を恐れさせられた。 + + + ダビデはダビデの町のうちに自分のために家を建て、また神の箱のために所を備え、これがために幕屋を張った。 + ダビデは言った、「神の箱をかくべき者はただレビびとのみである。主が主の箱をかかせ、また主に長く仕えさせるために彼らを選ばれたからである」。 + ダビデは主の箱をこれがために備えた所にかき上るため、イスラエルをことごとくエルサレムに集めた。 + ダビデはまたアロンの子孫とレビびとを集めた。 + すなわち、コハテの子孫のうちからはウリエルを長としてその兄弟百二十人、 + メラリの子孫のうちからはアサヤを長としてその兄弟二百二十人、 + ゲルショムの子孫のうちからはヨエルを長としてその兄弟百三十人、 + エリザパンの子孫のうちからはシマヤを長としてその兄弟二百人、 + ヘブロンの子孫のうちからはエリエルを長としてその兄弟八十人、 + ウジエルの子孫のうちからはアミナダブを長としてその兄弟百十二人である。 + ダビデは祭司ザドクとアビヤタル、およびレビびとウリエル、アサヤ、ヨエル、シマヤ、エリエル、アミナダブを召し、 + 彼らに言った、「あなたがたはレビびとの氏族の長である。あなたがたとあなたがたの兄弟はともに身を清め、イスラエルの神、主の箱をわたしがそのために備えた所にかき上りなさい。 + さきにこれをかいた者があなたがたでなかったので、われわれの神、主はわれわれを撃たれました。これはわれわれがその定めにしたがってそれを扱わなかったからです」。 + そこで祭司たちとレビびとたちはイスラエルの神、主の箱をかき上るために身を清め、 + レビびとたちはモーセが主の言葉にしたがって命じたように、神の箱をさおをもって肩にになった。 + ダビデはまたレビびとの長たちに、その兄弟たちを選んで歌うたう者となし、立琴と琴とシンバルなどの楽器を打ちはやし、喜びの声をあげることを命じた。 + そこでレビびとはヨエルの子ヘマンと、その兄弟ベレキヤの子アサフおよびメラリの子孫である彼らの兄弟クシャヤの子エタンを選んだ。 + またこれに次ぐその兄弟たちがこれと共にいた。すなわちゼカリヤ、ヤジエル、セミラモテ、エイエル、ウンニ、エリアブ、ベナヤ、マアセヤ、マッタテヤ、エリペレホ、ミクネヤおよび門を守る者オベデ・エドムとエイエル。 + 歌うたう者ヘマン、アサフおよびエタンは青銅のシンバルを打ちはやす者であった。 + ゼカリヤ、アジエル、セミラモテ、エイエル、ウンニ、エリアブ、マアセヤ、ベナヤはアラモテにしたがって立琴を奏する者であった。 + しかしマッタテヤ、エリペレホ、ミクネヤ、オベデ・エドム、エイエル、アザジヤはセミニテにしたがって琴をもって指揮する者であった。 + ケナニヤはレビびとの楽長で、音楽に通じていたので、これを指揮した。 + ベレキヤとエルカナは箱のために門を守る者であった。 + 祭司シバニヤ、ヨシャパテ、ネタネル、アマサイ、ゼカリヤ、ベナヤ、エリエゼルらは神の箱の前でラッパを吹き、オベデ・エドムとエヒアは箱のために門を守る者であった。 + ダビデとイスラエルの長老たちおよび千人の長たちは行って、オベデ・エドムの家から主の契約の箱を喜び勇んでかき上った。 + 神が主の契約の箱をかくレビびとを助けられたので、彼らは雄牛七頭、雄羊七頭をささげた。 + ダビデは亜麻布の衣服を着ていた。箱をかくすべてのレビびとは、歌うたう者、音楽をつかさどるケナニヤも同様である。ダビデはまた亜麻布のエポデを着ていた。 + こうしてイスラエルは皆、声をあげ、角笛を吹きならし、ラッパと、シンバルと、立琴と琴をもって打ちはやして主の契約の箱をかき上った。 + 主の契約の箱がダビデの町にはいったとき、サウルの娘ミカルが窓からながめ、ダビデ王の舞い踊るのを見て、心のうちに彼をいやしめた。 + + + 人々は神の箱をかき入れて、ダビデがそのために張った幕屋のうちに置き、そして燔祭と酬恩祭を神の前にささげた。 + ダビデは燔祭と酬恩祭をささげ終えたとき、主の名をもって民を祝福し、 + イスラエルの人々に男にも女にもおのおのパン一つ、肉一切れ、干ぶどう一かたまりを分け与えた。 + ダビデはまたレビびとのうちから主の箱の前に仕える者を立てて、イスラエルの神、主をあがめ、感謝し、ほめたたえさせた。 + 楽長はアサフ、その次はゼカリヤ、エイエル、セミラモテ、エヒエル、マッタテヤ、エリアブ、ベナヤ、オベデ・エドム、エイエルで、彼らは立琴と琴を弾じ、アサフはシンバルを打ち鳴らし、 + 祭司ベナヤとヤハジエルは神の契約の箱の前でつねにラッパを吹いた。 + その日ダビデは初めてアサフと彼の兄弟たちを立てて、主に感謝をささげさせた。 + 主に感謝し、そのみ名を呼び、そのみわざをもろもろの民の中に知らせよ。 + 主にむかって歌え、主をほめ歌え。そのもろもろのくすしきみわざを語れ。 + その聖なるみ名を誇れ。どうか主を求める者の心が喜ぶように。 + 主とそのみ力とを求めよ。つねにそのみ顔をたずねよ。 + + そのしもべアブラハムのすえよ、その選ばれたヤコブの子らよ。主のなされたくすしきみわざと、その奇跡と、そのみ口のさばきとを心にとめよ。 + 彼はわれわれの神、主にいます。そのさばきは全地にある。 + 主はとこしえにその契約をみこころにとめられる。これはよろずよに命じられたみ言葉であって、 + アブラハムと結ばれた契約、イサクに誓われた約束である。 + 主はこれを堅く立ててヤコブのために定めとし、イスラエルのためにとこしえの契約として、 + 言われた、「あなたにカナンの地を与えて、あなたがたの受ける嗣業の分け前とする」と。 + その時、彼らの数は少なくて、数えるに足らず、かの国で旅びととなり、 + 国から国へ行き、この国からほかの民へ行った。 + 主は人の彼らをしえたげるのをゆるされず、彼らのために王たちを懲しめて、 + 言われた、「わが油そそがれた者たちにさわってはならない。わが預言者たちに害を加えてはならない」と。 + 全地よ、主に向かって歌え。日ごとにその救を宣べ伝えよ。 + もろもろの国の中にその栄光をあらわし、もろもろの民の中にくすしきみわざをあらわせ。 + 主は大いなるかたにいまして、いとほめたたうべき者、もろもろの神にまさって、恐るべき者だからである。 + もろもろの民のすべての神はむなしい。しかし主は天を造られた。 + 誉と威厳とはそのみ前にあり、力と喜びとはその聖所にある。 + もろもろの民のやからよ、主に帰せよ、栄光と力とを主に帰せよ。 + そのみ名にふさわしい栄光を主に帰せよ。供え物を携えて主のみ前にきたれ。聖なる装いをして主を拝め。 + 全地よ、そのみ前におののけ。世界は堅く立って、動かされることはない。 + 天は喜び、地はたのしみ、もろもろの国民の中に言え、「主は王であられる」と。 + 海とその中に満つるものとは鳴りどよめき、田畑とその中のすべての物は喜べ。 + そのとき林のもろもろの木も主のみ前に喜び歌う。主は地をさばくためにこられるからである。 + 主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 + また言え、「われわれの救の神よ、われわれを救い、もろもろの国民の中からわれわれを集めてお救いください。そうすればあなたの聖なるみ名に感謝し、あなたの誉を誇るでしょう。 + イスラエルの神、主は、とこしえからとこしえまでほむべきかな」と。その時すべての民は「アァメン」と言って主をほめたたえた。 + ダビデはアサフとその兄弟たちを主の契約の箱の前にとめおいて、常に箱の前に仕え、日々のわざを行わせた。 + オベデ・エドムとその兄弟たちは合わせて六十八人である。またエドトンの子オベデ・エドムおよびホサは門守であった。 + 祭司ザドクとその兄弟である祭司たちはギベオンにある高き所で主の幕屋の前に仕え、 + 主がイスラエルに命じられた律法にしるされたすべてのことにしたがって燔祭の壇の上に朝夕たえず燔祭を主にささげた。 + また彼らとともにヘマン、エドトンおよびほかの選ばれて名をしるされた者どもがいて、主のいつくしみの世々限りなきことについて主に感謝した。 + すなわちヘマンおよびエドトンは彼らとともにいて、ラッパ、シンバルおよびその他の聖歌のための楽器をとって音楽を奏し、エドトンの子らは門を守った。 + こうして民は皆おのおの家に帰り、ダビデはその家族を祝福するために帰って行った。 + + + さてダビデは自分の家に住むようになったとき、預言者ナタンに言った、「見よ、わたしは香柏の家に住んでいるが、主の契約の箱は天幕のうちにある」。 + ナタンはダビデに言った、「神があなたとともにおられるから、すべてあなたの心にあるところを行いなさい」。 + その夜、神の言葉がナタンに臨んで言った、 + 「行ってわたしのしもべダビデに告げよ、『主はこう言われる、わたしの住む家を建ててはならない。 + わたしはイスラエルを導き上った日から今日まで、家に住まわず、天幕から天幕に、幕屋から幕屋に移ったのである。 + わたしがすべてのイスラエルと共に歩んだすべての所で、わたしの民を牧することを命じたイスラエルのさばきづかさのひとりに、ひと言でも、「どうしてあなたがたは、わたしのために香柏の家を建てないのか」と言ったことがあるだろうか』と。 + それゆえ今あなたは、わたしのしもべダビデにこう言いなさい、『万軍の主はこう仰せられる、「わたしはあなたを牧場から、羊に従っている所から取って、わたしの民イスラエルの君とし、 + あなたがどこへ行くにもあなたと共におり、あなたのすべての敵をあなたの前から断ち去った。わたしはまた地の上の大いなる者の名のような名をあなたに得させよう。 + そしてわたしはわが民イスラエルのために一つの所を定めて、彼らを植えつけ、彼らを自分の所に住ませ、重ねて動くことのないようにしよう。 + また前のように、すなわちわたしがわが民イスラエルの上にさばきづかさを立てた時からこのかたのように、悪い人が重ねてこれを荒すことはないであろう。わたしはまたあなたのもろもろの敵を征服する。かつわたしは主があなたのために家を建てられることを告げる。 + あなたの日が満ち、あなたの先祖たちの所へ行かねばならぬとき、わたしはあなたの子、すなわちあなたの子らのひとりを、あなたのあとに立てて、その王国を堅くする。 + 彼はわたしのために家を建てるであろう。わたしは長く彼の位を堅くする。 + わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。わたしは、わたしのいつくしみを、あなたのさきにあった者から取り去ったように、彼からは取り去らない。 + かえって、わたしは彼を長くわたしの家に、わたしの王国にすえおく。彼の位はとこしえに堅く立つであろう』」。 + ナタンはすべてこれらの言葉のように、またすべてこの幻のようにダビデに語った。 + そこで、ダビデ王は、はいって主の前に座して言った、「主なる神よ、わたしがだれ、わたしの家がなんであるので、あなたはこれまでわたしを導かれたのですか。 + 神よ、これはあなたの目には小さな事です。主なる神よ、あなたはしもべの家について、はるか後の事を語って、きたるべき代々のことを示されました。 + しもべの名誉については、ダビデはこの上あなたに何を申しあげることができましょう。あなたはしもべを知っておられるからです。 + 主よ、あなたはしもべのために、またあなたの心にしたがって、このもろもろの大いなる事をなし、すべての大いなる事を知らされました。 + 主よ、われわれがすべて耳に聞いた所によれば、あなたのようなものはなく、またあなたのほかに神はありません。 + また地上のどの国民が、あなたの民イスラエルのようでありましょうか。これは神が行って、自分のためにあがなって民とし、エジプトからあなたがあがない出されたあなたの民の前から国々の民を追い払い、大いなる恐るべき事を行って、名を得られたものではありませんか。 + あなたはあなたの民イスラエルを長くあなたの民とされました。主よ、あなたは彼らの神となられたのです。 + それゆえ主よ、あなたがしもべと、しもべの家について語られた言葉を長く堅くして、あなたの言われたとおりにしてください。 + そうすればあなたの名はとこしえに堅くされ、あがめられて、『イスラエルの神、万軍の主はイスラエルの神である』と言われ、またあなたのしもべダビデの家はあなたの前に堅く立つことができるでしょう。 + わが神よ、あなたは彼のために家を建てると、しもべに示されました。それゆえ、しもべはあなたの前に祈る勇気を得ました。 + 主よ、あなたは神にいまし、この良き事をしもべに約束されました。 + それゆえどうぞいま、しもべの家を祝福し、あなたの前に長く続かせてくださるように。主よ、あなたの祝福されるものは長く祝福を受けるからです」。 + + + この後ダビデはペリシテびとを撃ってこれを征服し、ペリシテびとの手からガテとその村々を取った。 + 彼はまたモアブを撃った。モアブびとはダビデのしもべとなって、みつぎを納めた。 + ダビデはまた、ハマテのゾバの王ハダデゼルがユフラテ川のほとりに、その記念碑を建てようとして行ったとき彼を撃った。 + そしてダビデは彼から戦車一千、騎兵七千人、歩兵二万人を取った。ダビデは一百の戦車の馬を残して、そのほかの戦車の馬はみなその足の筋を切った。 + その時ダマスコのスリヤびとがゾバの王ハダデゼルを助けるために来たので、ダビデはそのスリヤびと二万二千人を殺した。 + そしてダビデはダマスコのスリヤに守備隊を置いた。スリヤびとはみつぎを納めてダビデのしもべとなった。主はダビデにすべてその行く所で勝利を与えられた。 + ダビデはハダデゼルのしもべらが持っていた金の盾を奪って、エルサレムに持ってきた。 + またハダデゼルの町テブハテとクンからダビデは非常に多くの青銅を取った。ソロモンはそれを用いて青銅の海、柱および青銅の器を造った。 + 時にハマテの王トイはダビデがゾバの王ハダデゼルのすべての軍勢を撃ち破ったことを聞き、 + その子ハドラムをダビデ王につかわして、彼にあいさつさせ、かつ祝を述べさせた。ハダデゼルはかつてしばしばトイと戦いを交えたが、ダビデはハダデゼルと戦って、これを撃ち破ったからである。ハドラムは金、銀および青銅のさまざまの器を贈ったので、 + ダビデ王はこれをエドム、モアブ、アンモンの人々、ペリシテびと、アマクレなどの諸国民のうちから取ってきた金銀とともに、主にささげた。 + ゼルヤの子アビシャイは塩の谷で、エドムびと一万八千を撃ち殺した。 + ダビデはエドムに守備隊を置き、エドムびとは皆ダビデのしもべとなった。主はダビデにすべてその行く所で勝利を与えられた。 + こうしてダビデはイスラエルの全地を治め、そのすべての民に公道と正義を行った。 + ゼルヤの子ヨアブは軍の長、アヒルデの子ヨシャパテは史官、 + アヒトブの子ザドクとアビヤタルの子アビメレクは祭司、シャウシャは書記官、 + エホヤダの子ベナヤはケレテびととペレテびとの長、ダビデの子たちは王のかたわらにはべる大臣であった。 + + + この後アンモンの人々の王ナハシが死んで、その子がこれに代って王となった。 + そのときダビデは言った、「わたしはナハシの子ハヌンに、彼の父がわたしに恵みを施したように、恵みを施そう」。そしてダビデは彼をその父のゆえに慰めようとして使者をつかわした。ダビデのしもべたちはハヌンを慰めるためアンモンの人々の地に来たが、 + アンモンの人々のつかさたちはハヌンに言った、「ダビデが慰める者をあなたのもとにつかわしたことによって、あなたは彼があなたの父を尊ぶのだと思われますか。彼のしもべたちが来たのは、この国をうかがい、探って滅ぼすためではありませんか」。 + そこでハヌンはダビデのしもべたちを捕えて、そのひげをそり落し、その着物を中ほどから断ち切って腰の所までにして彼らを帰してやった。 + ある人々が来て、この人たちのされたことをダビデに告げたので、彼は人をつかわして、彼らを迎えさせた。その人々が非常に恥じたからである。そこで王は言った、「ひげがのびるまでエリコにとどまって、その後帰りなさい」。 + アンモンの人々は自分たちがダビデに憎まれることをしたとわかったので、ハヌンおよびアンモンの人々は銀千タラントを送ってメソポタミヤとアラム・マアカ、およびゾバから戦車と騎兵を雇い入れた。 + すなわち戦車三万二千およびマアカの王とその軍隊を雇い入れたので、彼らは来てメデバの前に陣を張った。そこでアンモンの人々は町々から寄り集まって、戦いに出動した。 + ダビデはこれを聞いてヨアブと勇士の全軍をつかわしたので、 + アンモンの人々は出て来て町の入口に戦いの備えをした。また助けに来た王たちは別に野にいた。 + 時にヨアブは戦いが前後から自分に向かっているのを見て、イスラエルのえり抜きの兵士のうちから選んで、これをスリヤびとに対して備え、 + そのほかの民を自分の兄弟アビシャイの手にわたして、アンモンの人々に対して備えさせ、 + そして言った、「もしスリヤびとがわたしに手ごわいときは、わたしを助けてください。もしアンモンの人々があなたに手ごわいときは、あなたを助けましょう。 + 勇ましくしてください。われわれの民のためと、われわれの神の町々のために、勇ましくしましょう。どうか、主が良いと思われることをされるように」。 + こうしてヨアブが自分と一緒にいる民と共にスリヤびとに向かって戦おうとして近づいたとき、スリヤびとは彼の前から逃げた。 + アンモンの人々はスリヤびとの逃げるのを見て、彼らもまたヨアブの兄弟アビシャイの前から逃げて町にはいった。そこでヨアブはエルサレムに帰った。 + しかしスリヤびとは自分たちがイスラエルの前に打ち敗られたのを見て、使者をつかわし、ハダデゼルの軍の長ショパクの率いるユフラテ川の向こう側にいるスリヤびとを引き出した。 + この事がダビデに聞えたので、彼はイスラエルをことごとく集め、ヨルダンを渡り、彼らの所に来て、これに向かって戦いの備えをした。ダビデがこのようにスリヤびとに対して戦いの備えをしたとき、彼はダビデと戦った。 + しかしスリヤびとがイスラエルの前から逃げたので、ダビデはスリヤびとの戦車の兵七千、歩兵四万を殺し、また軍の長ショパクをも殺した。 + ハダデゼルのしもべたちは味方の者がイスラエルに打ち敗られたのを見て、ダビデと和を講じ、彼に仕えた。スリヤびとは再びアンモンびとを助けることをしなかった。 + + + 春になって、王たちが戦いに出るに及んで、ヨアブは軍勢を率いてアンモンびとの地を荒し、行ってラバを包囲した。しかしダビデはエルサレムにとどまった。ヨアブはラバを撃って、これを滅ぼした。 + そしてダビデは彼らの王の冠をその頭から取りはなした。その金の重さを量ってみると一タラント、またその中に宝石があった。これをダビデの頭に置いた。ダビデはまたその町のぶんどり物を非常に多く持ち出した。 + また彼はそのうちの民を引き出して、これをのこぎりと、鉄のつるはしと、おのを使う仕事につかせた。ダビデはアンモンびとのすべての町々にこのように行った。そしてダビデと民とは皆エルサレムに帰った。 + この後ゲゼルでペリシテびとと戦いが起った。その時ホシャびとシベカイが巨人の子孫のひとりシパイを殺した。かれらはついに征服された。 + ここにまたペリシテびとと戦いがあったが、ヤイルの子エルハナンはガテびとゴリアテの兄弟ラミを殺した。そのやりの柄は機の巻棒のようであった。 + またガテに戦いがあったが、そこにひとりの背の高い人がいた。その手の指と足の指は六本ずつで、合わせて二十四本あった。彼もまた巨人から生れた者であった。 + 彼はイスラエルをののしったので、ダビデの兄弟シメアの子ヨナタンがこれを殺した。 + これらはガテで巨人から生れた者であったが、ダビデの手とその家来たちの手に倒れた。 + + + 時にサタンが起ってイスラエルに敵し、ダビデを動かしてイスラエルを数えさせようとした。 + ダビデはヨアブと軍の将校たちに言った、「あなたがたは行って、ベエルシバからダンまでのイスラエルを数え、その数を調べてわたしに知らせなさい」。 + ヨアブは言った、「それがどのくらいあっても、どうか主がその民を百倍に増されるように。しかし王わが主よ、彼らは皆あなたのしもべではありませんか。どうしてわが主はこの事を求められるのですか。どうしてイスラエルに罪を得させられるのですか」。 + しかし王の言葉がヨアブに勝ったので、ヨアブは出て行って、イスラエルをあまねく行き巡り、エルサレムに帰って来た。 + そしてヨアブは民の総数をダビデに告げた。すなわちイスラエルにはつるぎを抜く者が百十万人、ユダにはつるぎを抜く者が四十七万人あった。 + しかしヨアブは王の命令を快しとしなかったので、レビとベニヤミンとはその中に数えなかった。 + この事が神の目に悪かったので、神はイスラエルを撃たれた。 + そこでダビデは神に言った、「わたしはこの事を行って大いに罪を犯しました。しかし今どうか、しもべの罪を除いてください。わたしは非常に愚かなことをいたしました」。 + 主はダビデの先見者ガデに告げて言われた、 + 「行ってダビデに言いなさい、『主はこう仰せられる、わたしは三つの事を示す。あなたはその一つを選びなさい。わたしはそれをあなたに行おう』と」。 + ガデはダビデのもとに来て言った、「主はこう仰せられます、『あなたは選びなさい。 + すなわち三年のききんか、あるいは三月の間、あなたのあだの前に敗れて、敵のつるぎに追いつかれるか、あるいは三日の間、主のつるぎすなわち疫病がこの国にあって、主の使がイスラエルの全領域にわたって滅ぼすことをするか』。いま、わたしがどういう答をわたしをつかわしたものになすべきか決めなさい」。 + ダビデはガデに言った、「わたしは非常に悩んでいるが、主のあわれみは大きいゆえ、わたしを主の手に陥らせてください。しかしわたしを人の手に陥らせないでください」。 + そこで主はイスラエルに疫病を下されたので、イスラエルびとのうち七万人が倒れた。 + 神はまたみ使をエルサレムにつかわして、これを滅ぼそうとされたが、み使がまさに滅ぼそうとしたとき、主は見られて、この災を悔い、その滅ぼすみ使に言われた、「もうじゅうぶんだ。今あなたの手をとどめよ」。そのとき主の使はエブスびとオルナンの打ち場のかたわらに立っていた。 + ダビデが目をあげて見ると、主の使が地と天の間に立って、手に抜いたつるぎをもち、エルサレムの上にさし伸べていたので、ダビデと長老たちは荒布を着て、ひれ伏した。 + そしてダビデは神に言った、「民を数えよと命じたのはわたしではありませんか。罪を犯し、悪い事をしたのはわたしです。しかしこれらの羊は何をしましたか。わが神、主よ、どうぞあなたの手をわたしと、わたしの父の家にむけてください。しかし災をあなたの民に下さないでください」。 + 時に主の使はガデに命じ、ダビデが上って行って、エブスびとオルナンの打ち場で主のために一つの祭壇を築くように告げさせた。 + そこでダビデはガデが主の名をもって告げた言葉に従って上って行った。 + そのときオルナンは麦を打っていたが、ふりかえってみ使を見たので、ともにいた彼の四人の子は身をかくした。 + ダビデがオルナンに近づくと、オルナンは目を上げてダビデを見、打ち場から出て来て地にひれ伏してダビデを拝した。 + ダビデはオルナンに言った、「この打ち場の所をわたしに与えなさい。わたしは災が民に下るのをとどめるため、そこに主のために一つの祭壇を築きます。あなたは、そのじゅうぶんな価をとってこれをわたしに与えなさい」。 + オルナンはダビデに言った、「どうぞこれをお取りなさい。そして王わが主の良しと見られるところを行いなさい。わたしは牛を燔祭のために、打穀機をたきぎのために、麦を素祭のためにささげます。わたしは皆これをささげます」。 + ダビデ王はオルナンに言った、「いいえ、わたしはじゅうぶんな代価を払ってこれを買います。わたしは主のためにあなたのものを取ることをしません。また、費えなしに燔祭をささげることをいたしません」。 + それでダビデはその所のために金六百シケルをはかって、オルナンに払った。 + こうしてダビデは主のために、その所に一つの祭壇を築き、燔祭と酬恩祭をささげて、主を呼んだ。主は燔祭の祭壇の上に天から火を下して答えられた。 + また主がみ使に命じられたので、彼はつるぎをさやにおさめた。 + その時ダビデは主がエブスびとオルナンの打ち場で自分に答えられたのを見たので、その所で犠牲をささげた。 + モーセが荒野で造った主の幕屋と燔祭の祭壇とは、その時ギベオンの高き所にあったからである。 + しかしダビデはその前へ行って神に求めることができなかった。彼が主の使のつるぎを恐れたからである。 + + + それでダビデは言った、「主なる神の家はこれである、イスラエルのための燔祭の祭壇はこれである」と。 + ダビデは命じてイスラエルの地にいる他国人を集めさせ、また神の家を建てるのに用いる石を切るために石工を定めた。 + ダビデはまた門のとびらのくぎ、およびかすがいに用いる鉄をおびただしく備えた。また青銅を量ることもできないほどおびただしく備えた。 + また香柏を数えきれぬほど備えた。これはシドンびととツロの人々がおびただしく香柏をダビデの所に持って来たからである。 + ダビデは言った、「わが子ソロモンは若く、かつ経験がない。また主のために建てる家はきわめて壮大で、万国に名を得、栄えを得るものでなければならない。それゆえ、わたしはその準備をしておこう」と。こうしてダビデは死ぬ前に多くの物資を準備した。 + そして彼はその子ソロモンを召して、イスラエルの神、主のために家を建てることを命じた。 + すなわちダビデはソロモンに言った、「わが子よ、わたしはわが神、主の名のために家を建てようと志していた。 + ところが主の言葉がわたしに臨んで言われた、『おまえは多くの血を流し、大いなる戦争をした。おまえはわたしの前で多くの血を地に流したから、わが名のために家を建ててはならない。 + 見よ、男の子がおまえに生れる。彼は平和の人である。わたしは彼に平安を与えて、周囲のもろもろの敵に煩わされないようにしよう。彼の名はソロモンと呼ばれ、彼の世にわたしはイスラエルに平安と静穏とを与える。 + 彼はわが名のために家を建てるであろう。彼はわが子となり、わたしは彼の父となる。わたしは彼の王位をながくイスラエルの上に堅くするであろう』。 + それでわが子よ、どうか主があなたと共にいまし、あなたを栄えさせて、主があなたについて言われたように、あなたの神、主の家を建てさせてくださるように。 + ただ、どうか主があなたに分別と知恵を賜い、あなたをイスラエルの上に立たせられるとき、あなたの神、主の律法を、あなたに守らせてくださるように。 + あなたがもし、主がイスラエルについてモーセに命じられた定めとおきてとを慎んで守るならば、あなたは栄えるであろう。心を強くし、勇め。恐れてはならない、おののいてはならない。 + 見よ、わたしは苦難のうちにあって主の家のために金十万タラント、銀百万タラントを備え、また青銅と鉄を量ることもできないほどおびただしく備えた。また材木と石をも備えた。あなたはまたこれに加えなければならない。 + あなたにはまた多数の職人、すなわち石や木を切り刻む者、工作に巧みな各種の者がある。 + 金、銀、青銅、鉄もおびただしくある。たって行いなさい。どうか主があなたと共におられるように」。 + ダビデはまたイスラエルのすべてのつかさたちにその子ソロモンを助けるように命じて言った、 + 「あなたがたの神、主はあなたがたとともにおられるではないか。四方に泰平を賜わったではないか。主はこの地の民をわたしの手にわたされたので、この地は主の前とその民の前に服している。 + それであなたがたは心をつくし、精神をつくしてあなたがたの神、主を求めなさい。たって主なる神の聖所を建て、主の名のために建てるその家に、主の契約の箱と神の聖なるもろもろの器を携え入れなさい」。 + + + ダビデは老い、その日が満ちたので、その子ソロモンをイスラエルの王とした。 + ダビデはイスラエルのすべてのつかさおよび祭司とレビびとを集めた。 + レビびとの三十歳以上のものを数えると、その男の数が三万八千人あった。 + ダビデは言った、「そのうち二万四千人は主の家の仕事をつかさどり、六千人はつかさびと、およびさばきびととなり、 + 四千人は門を守る者となり、また四千人はさんびのためにわたしの造った楽器で主をたたえよ」。 + そしてダビデは彼らをレビの子らにしたがってゲルション、コハテ、メラリの組に分けた。 + ゲルションの子らはラダンとシメイ。 + ラダンの子らは、かしらのエヒエルとゼタムとヨエルの三人。 + シメイの子らはシロミテ、ハジエル、ハランの三人。これらはラダンの氏族の長であった。 + シメイの子らはヤハテ、ジナ、エウシ、ベリアの四人。皆シメイの子で、 + ヤハテはかしら、ジザはその次、エウシとベリアは子が多くなかったので、ともに数えられて一つの氏族となった。 + コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロン、ウジエルの四人。 + アムラムの子らはアロンとモーセである。アロンはその子らとともに、ながくいと聖なるものを聖別するために分かたれて、主の前に香をたき、主に仕え、常に主の名をもって祝福することをなした。 + 神の人モーセの子らはレビの部族のうちに数えられた。 + モーセの子らはゲルションとエリエゼル。 + ゲルションの子らは、かしらはシブエル。 + エリエゼルの子らは、かしらはレハビヤ。エリエゼルにはこのほかに子がなかった。しかしレハビヤの子らは非常に多かった。 + イヅハルの子らは、かしらはシロミテ。 + ヘブロンの子らは長子はエリヤ、次はアマリヤ、第三はヤハジエル、第四はエカメアム。 + ウジエルの子らは、かしらはミカ、次はイシアである。 + メラリの子らはマヘリとムシ。マヘリの子らはエレアザルとキシ。 + エレアザルは男の子がなくて死に、ただ娘たちだけであったが、キシの子であるその身内の男たちが彼女たちをめとった。 + ムシの子らはマヘリ、エデル、エレモテの三人である。 + これらはその氏族によるレビの子孫であって、その人数が数えられ、その名がしるされて、主の家の務をなした二十歳以上の者で、氏族の長であった。 + ダビデは言った、「イスラエルの神、主はその民に平安を与え、ながくエルサレムに住まわれる。 + レビびとは重ねて幕屋およびその勤めの器物をかつぐことはない。 + ――ダビデの最後の言葉によって、レビびとは二十歳以上の者が数えられた―― + 彼らの務はアロンの子孫を助けて主の家の働きをし、庭とへやの仕事およびすべての聖なるものを清めること、そのほか、すべて神の家の働きをすることである。 + また供えのパン、素祭の麦粉、種入れぬ菓子、焼いた供え物、油をまぜた供え物をつかさどり、またすべて分量および大きさを量ることをつかさどり、 + また朝ごとに立って主に感謝し、さんびし、夕にもまたそのようにし、 + また安息日と新月と祭日に、主にもろもろの燔祭をささげるときは、絶えず主の前にその命じられた数にしたがってささげなければならない。 + このようにして彼らは会見の幕屋と聖所の務を守り、主の家の働きのためにその兄弟であるアロンの子らに仕えなければならない」。 + + + アロンの子孫の組は次のとおりである。すなわちアロンの子らはナダブ、アビウ、エレアザル、イタマル。 + ナダブとアビウはその父に先だって死に、子がなかったので、エレアザルとイタマルが祭司となった。 + ダビデはエレアザルの子孫ザドクとイタマルの子孫アヒメレクの助けによって彼らを分けて、それぞれの勤めにつけた。 + エレアザルの子孫のうちにはイタマルの子孫のうちよりも長たる人々が多かった。それでエレアザルの子孫で氏族の長である十六人と、イタマルの子孫で氏族の長である者八人にこれを分けた。 + このように彼らは皆ひとしく、くじによって分けられた。聖所のつかさ、および神のつかさは、ともにエレアザルの子孫とイタマルの子孫から出たからである。 + レビびとネタネルの子である書記シマヤは、王とつかさたちと祭司ザドクとアビヤタルの子アヒメレクと祭司およびレビびとの氏族の長たちの前で、これを書きしるした。すなわちエレアザルのために氏族一つを取れば、イタマルのためにも一つを取った。 + 第一のくじはヨアリブに当り、第二はエダヤに当り、 + 第三はハリムに、第四はセオリムに、 + 第五はマルキヤに、第六はミヤミンに、 + 第七はハッコヅに、第八はアビヤに、 + 第九はエシュアに、第十はシカニヤに、 + 第十一はエリアシブに、第十二はヤキムに、 + 第十三はホッパに、第十四はエシバブに、 + 第十五はビルガに、第十六はインメルに、 + 第十七はヘジルに、第十八はハピセツに、 + 第十九はペタヒヤに、第二十はエゼキエルに、 + 第二十一はヤキンに、第二十二はガムルに、 + 第二十三はデラヤに、第二十四はマアジヤに当った。 + これは、彼らの先祖アロンによって設けられた定めにしたがい、主の家にはいって務をなす順序であって、イスラエルの神、主の彼に命じられたとおりである。 + このほかのレビの子孫は次のとおりである。すなわちアムラムの子らのうちではシュバエル。シュバエルの子らのうちではエデヤ。 + レハビヤについては、レハビヤの子らのうちでは長子イシア。 + イヅハリびとのうちではシロミテ。シロミテの子らのうちではヤハテ。 + ヘブロンの子らは長子はエリヤ、次はアマリヤ、第三はヤハジエル、第四はエカメアム。 + ウジエルの子らのうちではミカ。ミカの子らのうちではシャミル。 + ミカの兄弟はイシア。イシアの子らのうちではゼカリヤ。 + メラリの子らはマヘリとムシ。ヤジアの子らはベノ。 + メラリの子孫のヤジアから出た者はベノ、ショハム、ザックル、イブリ。 + マヘリからエレアザルが出た。彼には子がなかった。 + キシについては、キシの子はエラメル。 + ムシの子らはマヘリ、エデル、エリモテ。これらはレビびとの子孫で、その氏族によっていった者である。 + これらの者もまた氏族の兄もその弟も同様に、ダビデ王と、ザドクと、アヒメレクと、祭司およびレビびとの氏族の長たちの前で、アロンの子孫であるその兄弟たちのようにくじを引いた。 + + + ダビデと軍の長たちはまたアサフ、ヘマンおよびエドトンの子らを勤めのために分かち、琴と、立琴と、シンバルをもって預言する者にした。その勤めをなした人々の数は次のとおりである。 + アサフの子たちはザックル、ヨセフ、ネタニヤ、アサレラであって、アサフの指揮のもとに王の命によって預言した者である。 + エドトンについては、エドトンの子たちはゲダリヤ、ゼリ、エサヤ、ハシャビヤ、マッタテヤの六人で、琴をもって主に感謝し、かつほめたたえて預言したその父エドトンの指揮の下にあった。 + ヘマンについては、ヘマンの子たちはブッキヤ、マッタニヤ、ウジエル、シブエル、エレモテ、ハナニヤ、ハナニ、エリアタ、ギダルテ、ロマムテ・エゼル、ヨシベカシャ、マロテ、ホテル、マハジオテである。 + これらは皆、神がご自身の約束にしたがって高くされた王の先見者ヘマンの子たちであった。神はヘマンに男の子十四人、女の子三人を与えられた。 + これらの者は皆その父の指揮の下にあって、主の宮で歌をうたい、シンバルと立琴と琴をもって神の宮の務をした。アサフ、エドトンおよびヘマンは王の命の下にあった。 + 彼らおよび主に歌をうたうことのために訓練され、すべて熟練した兄弟たちの数は二百八十八人であった。 + 彼らは小なる者も、大なる者も、教師も生徒も皆ひとしくその務のためにくじを引いた。 + 第一のくじはアサフのためにヨセフに当り、第二はゲダリヤに当った。彼とその兄弟たちおよびその子たち、合わせて十二人。 + 第三はザックルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第四はイヅリに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第五はネタニヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第六はブッキヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第七はアサレラに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第八はエサヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第九はマッタニヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十はシメイに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十一はアザリエルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十二はハシャビヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十三はシュバエルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十四はマッタテヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十五はエレモテに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十六はハナニヤに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十七はヨシベカシャに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十八はハナニに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第十九はマロテに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十はエリアタに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十一はホテルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十二はギダルテに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十三はマハジオテに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人。 + 第二十四はロマムテ・エゼルに当った。その子たちおよびその兄弟たち、合わせて十二人であった。 + + + 門を守る者の組は次のとおりである。すなわちコラびとのうちでは、アサフの子孫のうちのコレの子メシレミヤ。 + メシレミヤの子たちは、長子はゼカリヤ、次はエデアエル、第三はゼバデヤ、第四はヤテニエル、 + 第五はエラム、第六はヨハナン、第七はエリヨエナイである。 + オベデ・エドムの子たちは、長子はシマヤ、次はヨザバデ、第三はヨア、第四はサカル、第五はネタネル、 + 第六はアンミエル、第七はイッサカル、第八はピウレタイである。神が彼を祝福されたからである。 + 彼の子シマヤにも数人の子が生れ、有能な人々であったので、その父の家を治める者となった。 + すなわちシマヤの子たちはオテニ、レパエル、オベデ、エルザバデで、エルザバデの兄弟エリウとセマキヤは力ある人々であった。 + これらは皆オベデ・エドムの子孫である。彼らはその子たちおよびその兄弟たちと共にその勤めに適した力ある人々で、合わせて六十二人、みなオベデ・エドムに属する者である。 + メシレミヤにも子たちと兄弟たち合わせて十八人あって、皆力ある人々であった。 + メラリの子孫ホサにも子たちがあった。そのかしらはシムリ、これは長子ではなかったが、父はこれをかしらにしたのであった。 + 次はヒルキヤ、第三はテバリヤ、第四はゼカリヤである。ホサの子たちと兄弟たちは合わせて十三人である。 + これらは門を守る者の組の長たる人々であって、その兄弟たちと同様に務をなして、主の宮に仕えた。 + 彼らはそれぞれ門のために小なる者も、大なる者も等しく、その氏族にしたがってくじを引いた。 + 東の門のくじはシレミヤに当った。また彼の子で思慮深い議士ゼカリヤのためにくじを引いたが、北の門のくじがこれに当った。 + オベデ・エドムには南の門のくじ、その子たちには倉のくじ、 + シュパムとホサには西の門のくじが当った。これは坂の大路にあるシャレケテの門のかたわらにあった。守る者と守る者とが相対していた。 + 東の方には毎日六人、北の方には毎日四人、南の方には毎日四人、倉には二人と二人、 + 西の方パルバルには大路に四人、パルバルに二人。 + 門を守る者の組は以上のとおりで、コラの子孫とメラリの子孫であった。 + レビびとのうちアヒヤは神の宮の倉および聖なる物の倉をつかさどった。 + ラダンの子孫すなわちラダンから出たゲルションびとの子孫で、ゲルションびとの氏族の長はエヒエリである。 + エヒエリ、ゼタムおよびその兄弟ヨエルの子たちは主の宮の倉をつかさどった。 + アムラムびと、イヅハルびと、ヘブロンびと、ウジエルびとのうちでは次のとおりであった。 + すなわちモーセの子ゲルショムの子シブエルは倉のつかさであった。 + その兄弟でエリエゼルから出た者は、その子はレハビヤ、その子はエサヤ、その子はヨラム、その子はジクリ、その子はシロミテである。 + このシロミテとその兄弟たちはすべての聖なる物の倉をつかさどった。これはダビデ王と、氏族の長と、千人の長と、百人の長と、軍の長たちのささげたものである。 + すなわち彼らが戦いで獲たぶんどり物のうちから主の宮の修繕のためにささげたものである。 + またすべて先見者サムエル、キシの子サウル、ネルの子アブネル、ゼルヤの子ヨアブなどがささげた物。すべてこれらのささげ物はシロミテとその兄弟たちが管理した。 + イヅハルびとのうちでは、ケナニヤとその子たちが、つかさおよびさばきびととしてイスラエルの外事のために選ばれた。 + ヘブロンびとのうちでは、ハシャビヤおよびその兄弟など勇士千七百人があって、ヨルダンのこなた、すなわち西の方でイスラエルの監督となり、主のすべての事を行い、王に奉仕した。 + ヘブロンびとのうちでは、系図と氏族によってエリヤがヘブロンびとの長であったが、ダビデの治世の第四十年に彼らを尋ね求め、ギレアデのヤゼルで彼らのうちから大勇士を得た。 + ダビデ王は彼とその兄弟など氏族の長たち二千七百人の勇士をルベンびと、ガドびと、マナセびとの半部族の監督となし、すべて神につける事と王の事とをつかさどらせた。 + + + イスラエルの子孫のうちで氏族の長、千人の長、百人の長、およびつかさたちは年のすべての月の間、月ごとに交替して組のすべての事をなして王に仕えたが、その数にしたがえば各組二万四千人あった。 + まず第一の組すなわち正月の分はザブデエルの子ヤショベアムがこれを率いた。その組には二万四千人あった。 + 彼はペレヅの子孫で、正月の軍団のすべての将たちのかしらであった。 + 二月の組はアホアびとドダイがこれを率いた。その組には二万四千人あった。 + 三月の第三の将は祭司エホヤダの子ベナヤが長であって、その組には二万四千人あった。 + このベナヤはかの三十人のうちの勇士であって三十人を率い、その子アミザバデがその組にあった。 + 四月の第四の将はヨアブの兄弟アサヘルであって、その子ゼバデヤがこれに次いだ。その組には二万四千人あった。 + 五月の第五の将はイズラヒびとシャンモテであって、その組には二万四千人あった。 + 六月の第六の将はテコアびとイッケシの子イラであって、その組には二万四千人あった。 + 七月の第七の将はエフライムの子孫であるペロンびとヘレヅであって、その組には二万四千人あった。 + 八月の第八の将はゼラびとの子孫であるホシャびとシベカイであって、その組には二万四千人あった。 + 九月の第九の将はベニヤミンの子孫であるアナトテびとアビエゼルであって、その組には二万四千人あった。 + 十月の第十の将はゼラびとの子孫であるネトパびとマハライであって、その組には二万四千人あった。 + 十一月の第十一の将はエフライムの子孫であるピラトンびとベナヤであって、その組には二万四千人あった。 + 十二月の第十二の将はオテニエルの子孫であるネトパびとヘルダイであって、その組には二万四千人あった。 + なおイスラエルの部族を治める者たちは次のとおりである。ルベンびとのつかさはヂクリの子エリエゼル。シメオンびとのつかさはマアカの子シパテヤ。 + レビびとのつかさはケムエルの子ハシャビヤ。アロンびとのつかさはザドク。 + ユダのつかさはダビデの兄弟のひとりエリウ。イッサカルのつかさはミカエルの子オムリ。 + ゼブルンのつかさはオバデヤの子イシマヤ。ナフタリのつかさはアズリエルの子エレモテ。 + エフライムの子孫のつかさはアザジヤの子ホセア。マナセの半部族のつかさはペダヤの子ヨエル。 + ギレアデにあるマナセの半部族のつかさはゼカリヤの子イド。ベニヤミンのつかさはアブネルの子ヤシエル。 + ダンのつかさはエロハムの子アザリエル。これらはイスラエルの部族のつかさたちであった。 + しかしダビデは二十歳以下の者は数えなかった。主がかつてイスラエルを天の星のように多くすると言われたからである。 + ゼルヤの子ヨアブは数え始めたが、これをなし終えなかった。その数えることによって怒りがイスラエルの上に臨んだ。またその数はダビデ王の歴代志に載せなかった。 + アデエルの子アズマウテは王の倉をつかさどり、ウジヤの子ヨナタンは田野、町々、村々、もろもろの塔にある倉をつかさどり、 + ケルブの子エズリは地を耕す農夫をつかさどり、 + ラマテびとシメイはぶどう畑をつかさどり、シプミびとザブデはぶどう畑から取ったぶどう酒の倉をつかさどり、 + ゲデルびとバアル・ハナンは平野のオリブの木といちじく桑の木をつかさどり、ヨアシは油の倉をつかさどり、 + シャロンびとシテライはシャロンで飼う牛の群れをつかさどり、アデライの子シャパテはもろもろの谷におる牛の群れをつかさどり、 + イシマエルびとオビルはらくだをつかさどり、メロノテびとエデヤはろばをつかさどり、 + ハガルびとヤジズは羊の群れをつかさどった。彼らは皆ダビデ王の財産のつかさであった。 + またダビデのおじヨナタンは議官で、知恵ある人であり、学者であった。また彼とハクモニの子エヒエルは王の子たちの補佐であった。 + アヒトペルは王の議官。アルキびとホシャイは王の友であった。 + アヒトペルに次ぐ者はベナヤの子エホヤダおよびアビヤタル。王の軍の長はヨアブであった。 + + + ダビデはイスラエルのすべての長官、すなわち部族の長、王に仕えた組の長、千人の長、百人の長、王とその子たちのすべての財産および家畜のつかさ、宦官、有力者、勇士などをことごとくエルサレムに召し集めた。 + そしてダビデ王はその足で立ち上がって言った、「わが兄弟たち、わが民よ、わたしに聞きなさい。わたしは主の契約の箱のため、われわれの神の足台のために安住の家を建てようとの志をもち、すでにこれを建てる準備をした。 + しかし神はわたしに言われた、『おまえはわが名のために家を建ててはならない。おまえは軍人であって、多くの血を流したからである』と。 + それにもかかわらず、イスラエルの神、主はわたしの父の全家のうちからわたしを選んで長くイスラエルの王とせられた。すなわちユダを選んでかしらとし、ユダの家のうちで、わたしの父の家を選び、わたしの父の子らのうちで、わたしを喜び、全イスラエルの王とせられた。 + そして主はわたしに多くの子を賜わり、そのすべての子らのうちからわが子ソロモンを選び、これを主の国の位にすわらせて、イスラエルを治めさせようとせられた。 + 主はまたわたしに言われた、『おまえの子ソロモンがわが家およびわが庭を造るであろう。わたしは彼を選んでわが子となしたからである。わたしは彼の父となる。 + 彼がもし今日のように、わが戒めとわがおきてを固く守って行うならば、わたしはその国をいつまでも堅くするであろう』と。 + それゆえいま、主の会衆なる全イスラエルの目の前およびわれわれの神の聞かれる所であなたがたに勧める。あなたがたはその神、主のすべての戒めを守り、これを求めなさい。そうすればあなたがたはこの良き地を所有し、これをあなたがたの後の子孫に長く嗣業として伝えることができる。 + わが子ソロモンよ、あなたの父の神を知り、全き心をもって喜び勇んで彼に仕えなさい。主はすべての心を探り、すべての思いを悟られるからである。あなたがもし彼を求めるならば会うことができる。しかしあなたがもしかれを捨てるならば彼は長くあなたを捨てられるであろう。 + それであなたは慎みなさい。主はあなたを選んで聖所とすべき家を建てさせようとされるのだから心を強くしてこれを行いなさい」。 + こうしてダビデは神殿の廊およびその家、その倉、その上の室、その内の室、贖罪所の室などの計画をその子ソロモンに授け、 + またその心にあったすべてのもの、すなわち主の宮の庭、周囲のすべての室、神の家の倉、ささげ物の倉などの計画を授け、 + また祭司およびレビびとの組と、主の宮のもろもろの務の仕事と、主の宮のもろもろの勤めの器物について授け、 + またもろもろの勤めに用いるすべての金の器を造る金の目方、およびもろもろの勤めに用いる銀の器の目方を定めた。 + すなわち金の燭台と、そのともしび皿の目方、おのおのの燭台と、そのともしび皿の金の目方を定め、また銀の燭台についてもおのおのの燭台の用法にしたがって燭台と、そのともしび皿の銀の目方を定めた。 + また供えのパンの机については、そのおのおのの机のために金の目方を定め、また銀の机のためにも銀を定め、 + また肉さし、鉢、かめに用いる純金の目方を定め、金の大杯についてもおのおのの目方を定め、銀の大杯についてもおのおのの目方を定め、 + また香の祭壇のために精金の目方を定め、また翼を伸べて主の契約の箱をおおっているケルビムの金の車のひな型の金を定めた。 + ダビデはすべての工作が計画にしたがってなされるため、これについて主の手によって書かれたものにより、これをことごとく明らかにした。 + ダビデはその子ソロモンに言った、「あなたは心を強くし、勇んでこれを行いなさい。恐れてはならない。おののいてはならない。主なる神、わたしの神があなたとともにおられるからである。主はあなたを離れず、あなたを捨てず、ついに主の宮の務のすべての工事をなし終えさせられるでしょう。 + 見よ、神の宮のすべての務のためには祭司とレビびとの組がある。またもろもろの勤めのためにすべての仕事を喜んでする巧みな者が皆あなたと共にある。またつかさたちおよびすべての民もあなたの命じるところをことごとく行うでしょう」。 + + + ダビデ王はまた全会衆に言った、「わが子ソロモンは神がただひとりを選ばれた者であるが、まだ若くて経験がなく、この事業は大きい。この宮は人のためではなく、主なる神のためだからである。 + そこでわたしは力をつくして神の宮のために備えた。すなわち金の物を造るために金、銀の物のために銀、青銅の物のために青銅、鉄の物のために鉄、木の物のために木を備えた。その他縞めのう、はめ石、アンチモニイ、色のついた石、さまざまの宝石、大理石などおびただしい。 + なおわたしはわが神の宮に熱心なるがゆえに、聖なる家のために備えたすべての物に加えて、わたしの持っている金銀の財宝をわが神の宮にささげる。 + すなわちオフルの金三千タラント、精銀七千タラントをそのもろもろの建物の壁をおおうためにささげる。 + 金は金の物のために、銀は銀の物のために、すべて工人によって造られるもののために用いる。だれかきょう、主にその身をささげる者のように喜んでささげ物をするだろうか」。 + そこで氏族の長たち、イスラエルの部族のつかさたち、千人の長、百人の長および王の工事をつかさどる者たちは喜んでささげ物をした。 + こうして彼らは神の宮の務のために金五千タラント一万ダリク、銀一万タラント、青銅一万八千タラント、鉄十万タラントをささげた。 + 宝石を持っている者はそれをゲルションびとエヒエルの手によって神の宮の倉に納めた。 + 彼らがこのように真心からみずから進んで主にささげたので、民はそのみずから進んでささげたのを喜んだ。ダビデ王もまた大いに喜んだ。 + そこでダビデは全会衆の前で主をほめたたえた。ダビデは言った、「われわれの先祖イスラエルの神、主よ、あなたはとこしえにほむべきかたです。 + 主よ、大いなることと、力と、栄光と、勝利と、威光とはあなたのものです。天にあるもの、地にあるものも皆あなたのものです。主よ、国もまたあなたのものです。あなたは万有のかしらとして、あがめられます。 + 富と誉とはあなたから出ます。あなたは万有をつかさどられます。あなたの手には勢いと力があります。あなたの手はすべてのものを大いならしめ、強くされます。 + われわれの神よ、われわれは、いま、あなたに感謝し、あなたの光栄ある名をたたえます。 + しかしわれわれがこのように喜んでささげることができても、わたしは何者でしょう。わたしの民は何でしょう。すべての物はあなたから出ます。われわれはあなたから受けて、あなたにささげたのです。 + われわれはあなたの前ではすべての先祖たちのように、旅びとです、寄留者です。われわれの世にある日は影のようで、長くとどまることはできません。 + われわれの神、主よ、あなたの聖なる名のために、あなたに家を建てようとしてわれわれが備えたこの多くの物は皆あなたの手から出たもの、また皆あなたのものです。 + わが神よ、あなたは心をためし、また正直を喜ばれることを、わたしは知っています。わたしは正しい心で、このすべての物を喜んでささげました。今わたしはまた、ここにおるあなたの民が喜んで、みずから進んであなたにささげ物をするのを見ました。 + われわれの先祖アブラハム、イサク、イスラエルの神、主よ、あなたの民の心にこの意志と精神とをいつまでも保たせ、その心をあなたに向けさせてください。 + またわが子ソロモンに心をつくしてあなたの命令と、あなたのあかしと、あなたのさだめとを守らせて、これをことごとく行わせ、わたしが備えをした宮を建てさせてください」。 + そしてダビデが全会衆にむかって、「あなたがたの神、主をほめたたえよ」と言ったので、全会衆は先祖たちの神、主をほめたたえ、伏して主を拝し、王に敬礼した。 + そしてその翌日彼らは全イスラエルのために主に犠牲をささげた。すなわち燔祭として雄牛一千、雄羊一千、小羊一千をその灌祭と共に主にささげ、おびただしい犠牲をささげた。 + そしてその日、彼らは大いなる喜びをもって主の前に食い飲みした。彼らはさらに改めてダビデの子ソロモンを王となし、これに油を注いで主の君となし、またザドクを祭司とした。 + こうしてソロモンはその父ダビデに代り、王として主の位に座した。彼は栄え、イスラエルは皆彼に従った。 + またすべてのつかさたち、勇士たち、およびダビデ王の王子たちも皆ソロモン王に忠誠を誓った。 + 主は全イスラエルの目の前でソロモンを非常に大いならしめ、彼より前のイスラエルのどの王も得たことのない王威を彼に与えられた。 + このようにエッサイの子ダビデは全イスラエルを治めた。 + 彼がイスラエルを治めた期間は四十年であった。すなわちヘブロンで七年世を治め、エルサレムで三十三年世を治めた。 + 彼は高齢に達し、年も富も誉も満ち足りて死んだ。その子ソロモンが彼に代って王となった。 + ダビデ王の始終の行為は、先見者サムエルの書、預言者ナタンの書および先見者ガドの書にしるされている。 + そのうちには彼のすべての政と、その力および彼とイスラエルと他のすべての国々に臨んだ事どもをしるしている。 + +
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+ + ダビデの子ソロモンはその国に自分の地位を確立した。その神、主が共にいまして彼を非常に大いなる者にされた。 + ソロモンはすべてのイスラエルびと、すなわち千人の長、百人の長、さばきびとおよびイスラエルの全地のすべてのつかさ、氏族のかしらたちに告げた。 + そしてソロモンとイスラエルの全会衆はともにギベオンにある高き所へ行った。主のしもべモーセが荒野で造った神の会見の幕屋がそこにあったからである。 + (しかし神の箱はダビデがすでにキリアテ・ヤリムから、これのために備えた所に運び上らせてあった。ダビデはさきに、エルサレムでこれのために天幕を張って置いたからである。) + またホルの子であるウリの子ベザレルが造った青銅の祭壇がその所の主の幕屋の前にあり、ソロモンおよび会衆は主に求めた。 + ソロモンはそこに上って行って、会見の幕屋のうちにある主の前の青銅の祭壇に燔祭一千をささげた。 + その夜、神はソロモンに現れて言われた、「あなたに何を与えようか、求めなさい」。 + ソロモンは神に言った、「あなたはわたしの父ダビデに大いなるいつくしみを示し、またわたしを彼に代って王とされました。 + 主なる神よ、どうぞわが父ダビデに約束された事を果してください。あなたは地のちりのような多くの民の上にわたしを立てて王とされたからです。 + この民の前に出入りすることのできるように今わたしに知恵と知識とを与えてください。だれがこのような大いなるあなたの民をさばくことができましょうか」。 + 神はソロモンに言われた、「この事があなたの心にあって、富をも、宝をも、誉をも、またあなたを憎む者の命をも求めず、また長命をも求めず、ただわたしがあなたを立てて王としたわたしの民をさばくために知恵と知識とを自分のために求めたので、 + 知恵と知識とはあなたに与えられている。わたしはまたあなたの前の王たちの、まだ得たことのないほどの富と宝と誉とをあなたに与えよう。あなたの後の者も、このようなものを得ないでしょう」。 + それからソロモンはギベオンの高き所を去り、会見の幕屋の前を去って、エルサレムに帰り、イスラエルを治めた。 + ソロモンは戦車と騎兵とを集めたが、戦車一千四百両、騎兵一万二千人あった。ソロモンはこれを戦車の町々と、エルサレムの王のもととに置いた。 + 王は銀と金を石のようにエルサレムに多くし、香柏を平野のいちじく桑のように多くした。 + ソロモンが馬を輸入したのはエジプトとクエからであった。すなわち王の貿易商人がクエから代価を払って受け取って来た。 + 彼らはエジプトから戦車一両を銀六百シケルで輸入し、馬一頭を銀百五十で輸入した。同じようにこれらのものが彼らによってヘテびとのすべての王たち、およびスリヤの王たちにも輸出された。 + + + さてソロモンは主の名のために一つの宮を建て、また自分のために一つの王宮を建てようと思った。 + そしてソロモンは荷を負う者七万人、山で石を切り出す者八万人、これらを監督する者三千六百人を数え出した。 + ソロモンはまずツロのヒラムに人をつかわして言わせた、「あなたはわたしの父ダビデに、その住むべき家を建てるために香柏を送られました。どうぞ彼にされたように、わたしにもして下さい。 + 見よ、わたしはわが神、主の名のために一つの家を建て、これを聖別して彼にささげ、彼の前にこうばしい香をたき、常供のパンを供え、また燔祭を安息日、新月、およびわれらの神、主の定めの祭に朝夕ささげ、これをイスラエルのながく守るべき定めにしようとしています。 + またわたしの建てる家は大きな家です。われらの神はすべての神よりも大いなる神だからです。 + しかし、天も、諸天の天も彼を入れることができないのに、だれが彼のために家を建てることができましょうか。わたしは何者ですか、彼のために家を建てるというのも、ただ彼の前に香をたく所に、ほかならないのです。 + それで、どうぞ金、銀、青銅、鉄の細工および紫糸、緋糸、青糸の織物にくわしく、また彫刻の術に巧みな工人ひとりをわたしに送って、父ダビデが備えておいたユダとエルサレムのわたしの工人たちと一緒に働かせてください。 + またどうぞレバノンから香柏、いとすぎ、びゃくだんを送ってください。わたしはあなたのしもべたちがレバノンで木を切ることをよくわきまえているのを知っています。わたしのしもべたちも、あなたのしもべたちと一緒に働かせ、 + わたしのためにたくさんの材木を備えさせてください。わたしの建てる家は非常に広大なものですから。 + わたしは木を切るあなたのしもべたちに砕いた小麦二万コル、大麦二万コル、ぶどう酒二万バテ、油二万バテを与えます」。 + そこでツロの王ヒラムは手紙をソロモンに送って答えた、「主はその民を愛するゆえに、あなたを彼らの王とされました」。 + ヒラムはまた言った、「天地を造られたイスラエルの神、主はほむべきかな。彼はダビデ王に賢い子を与え、これに分別と知恵を授けて、主のために宮を建て、また自分のために、王宮を建てることをさせられた。 + いまわたしは達人ヒラムという知恵のある工人をつかわします。 + 彼はダンの子孫である女を母とし、ツロの人を父とし、金銀、青銅、鉄、石、木の細工および紫糸、青糸、亜麻糸、緋糸の織物にくわしく、またよくもろもろの彫刻をし、意匠を凝らしてもろもろの工作をします。彼を用いてあなたの工人およびあなたの父、わが主ダビデの工人と一緒に働かせなさい。 + それでいまわが主の言われた小麦、大麦、油およびぶどう酒をそのしもべどもに送ってください。 + あなたの求められる材木はレバノンから切りだし、いかだに組んで、海からヨッパに送ります。あなたはそれをエルサレムに運び上げなさい」。 + そこでソロモンはその父ダビデが数えたようにイスラエルの国にいるすべての他国人を数えたが、合わせて十五万三千六百人あった。 + 彼はその七万人を荷を負う者とし、八万人を山で木や石を切る者とし、三千六百人を民を働かせる監督者とした。 + + + ソロモンはエルサレムのモリアの山に主の宮を建てることを始めた。そこは父ダビデに主が現れられた所、すなわちエブスびとオルナンの打ち場にダビデが備えた所である。 + ソロモンが宮を建て始めたのは、その治世の四年の二月であった。 + ソロモンの建てた神の宮の基の寸法は次のとおりである。すなわち昔の尺度によれば長さ六十キュビト、幅二十キュビト、 + 宮の前の廊は宮の幅に従って長さ二十キュビト高さ百二十キュビトで、その内部は純金でおおった。 + またその拝殿はいとすぎの板で張り、精金をもってこれをおおい、その上にしゅろと鎖の形を施した。 + また宝石をはめ込んで宮を飾った。その金はパルワイムの金であった。 + 彼はまた金をもってその宮、すなわち、梁、敷居、壁および戸をおおい、壁の上にケルビムを彫りつけた。 + 彼はまた至聖所を造った。その長さは宮の長さにしたがって二十キュビト、幅も二十キュビトである。彼は精金六百タラントをもってこれをおおった。 + その釘の金の重さは五十シケルであった。彼はまた階上の室も金でおおった。 + 彼は至聖所に木を刻んだケルビムの像を二つ造り、これを金でおおった。 + ケルビムの翼の長さは合わせて二十キュビトあった。すなわち一つのケルブの一つの翼は五キュビトで、宮の壁に届き、ほかの翼も五キュビトで、他のケルブの翼に届き、 + 他のケルブの一つの翼も五キュビトで、宮の壁に届き、ほかの翼も五キュビトで、先のケルブの翼に接していた。 + これらのケルビムの翼は広げると二十キュビトあった。かれらは共に足で立ち、その顔は拝殿に向かっていた。 + ソロモンはまた青糸、紫糸、緋糸および亜麻糸で垂幕を造り、その上にケルビムの縫い取りを施した。 + 彼は宮の前に柱を二本造った。その高さは三十五キュビト、おのおのの柱の頂に五キュビトの柱頭を造った。 + 彼は首飾のような鎖を造って、柱の頂につけ、ざくろ百を造ってその鎖の上につけた。 + 彼はこの柱を神殿の前に、一本を南の方に、一本を北の方に立て、南の方のをヤキンと名づけ、北の方のをボアズと名づけた。 + + + ソロモンはまた青銅の祭壇を造った。その長さ二十キュビト、幅二十キュビト、高さ十キュビトである。 + 彼はまた海を鋳て造った。縁から縁まで十キュビトであって、周囲は円形をなし、高さ五キュビトで、その周囲は綱をもって測ると三十キュビトあった。 + 海の下には三十キュビトの周囲をめぐるひさごの形があって、海の周囲を囲んでいた。そのひさごは二並びで、海を鋳る時に鋳たものである。 + その海は十二の牛の上に置かれ、その三つは北に向かい、三つは西に向かい、三つは南に向かい、三つは東に向かっていた。海はその上に置かれ、牛のうしろはみな内に向かっていた。 + 海の厚さは手の幅で、その縁は杯の縁のように、ゆりの花に似せて造られた。海には水を三千バテ入れることができた。 + 彼はまた物を洗うために洗盤十個を造って、五個を南側に、五個を北側に置いた。その中で燔祭に用いるものを洗った。しかし海は祭司がその中で身を洗うためであった。 + 彼はまた金の燭台十個をその定めに従って造り、拝殿の中の南側に五個、北側に五個を置き、 + また机十個を造り、神殿の中の南側に五個、北側に五個を置き、また金の鉢百を造った。 + 彼はまた祭司の庭と大庭および庭の戸を造り、その戸を青銅でおおった。 + 彼は海を宮の東南のすみにすえた。 + ヒラムはまたつぼと十能と鉢とを造った。こうしてヒラムはソロモン王のため、神の宮の工事を終えた。 + すなわち二本の柱と玉と、柱の頂にある二つの柱頭と、柱の頂にある柱頭の二つの玉をおおう二つの網細工と、 + その二つの網細工のためのざくろ四百、このざくろはおのおの網細工に二並びにつけて、柱の頂にある柱頭の二つの玉を巻いていた。 + 彼はまた台と台の上の洗盤と、 + 一つの海とその下の十二の牛を造った。 + つぼ、十能、肉さしなどすべてこれらの器物を、達人ヒラムはソロモン王のため、主の宮のために、光のある青銅で造った。 + 王はヨルダンの低地で、スコテとゼレダの間の粘土の地でこれを鋳た。 + このようにソロモンはこれらのすべての器物を非常に多く造ったので、その青銅の重量は、量ることができなかった。 + こうしてソロモンは神の宮のすべての器物を造った。すなわち金の祭壇と、供えのパンを載せる机、 + また定めのように本殿の前で火をともす純金の燭台と、そのともしび皿を造った。 + その花、ともしび皿、心かきは精金であった。 + また心切りばさみ、鉢、香の杯、心取り皿は純金であった。また宮の戸、すなわち至聖所の内部の戸および拝殿の戸のひじつぼは金であった。 + + + こうしてソロモンは主の宮のためにしたすべての工事を終った。そしてソロモンは父ダビデがささげた物、すなわち金銀およびもろもろの器物を携えて行って神の宮の宝蔵に納めた。 + ソロモンは主の契約の箱をダビデの町シオンからかつぎ上ろうとして、イスラエルの長老たちと、すべての部族のかしらたちと、イスラエルの人々の氏族の長たちをエルサレムに召し集めた。 + イスラエルの人々は皆七月の祭に王のもとに集まった。 + イスラエルの長老たちが皆きたので、レビびとたちは箱を取り上げた。 + 彼らは箱と、会見の幕屋と、幕屋にあるすべて聖なる器をかつぎ上った。すなわち祭司とレビびとがこれらの物をかつぎ上った。 + ソロモン王および彼のもとに集まったイスラエルの会衆は皆箱の前で羊と牛をささげたが、その数が多くて、調べることも数えることもできなかった。 + こうして祭司たちは主の契約の箱をその場所にかつぎ入れ、宮の本殿である至聖所のうちのケルビムの翼の下に置いた。 + ケルビムは翼を箱の所の上に伸べていたので、ケルビムは上から箱とそのさおをおおった。 + さおは長かったので、さおの端が本殿の前の聖所から見えた。しかし外部には見えなかった。さおは今日までそこにある。 + 箱の内には二枚の板のほか何もなかった。これはイスラエルの人々がエジプトから出て来たとき、主が彼らと契約を結ばれ、モーセがホレブでそれを納めたものである。 + そして祭司たちが聖所から出たとき(ここにいた祭司たちは皆、その組の順にかかわらず身を清めた。 + またレビびとの歌うたう者、すなわちアサフ、ヘマン、エドトンおよび彼らの子たちと兄弟たちはみな亜麻布を着、シンバルと、立琴と、琴をとって祭壇の東に立ち、百二十人の祭司は彼らと一緒に立ってラッパを吹いた。 + ラッパ吹く者と歌うたう者とは、ひとりのように声を合わせて主をほめ、感謝した)、そして彼らがラッパと、シンバルとその他の楽器をもって声をふりあげ、主をほめて「主は恵みあり、そのあわれみはとこしえに絶えることがない」と言ったとき、雲はその宮すなわち主の宮に満ちた。 + 祭司たちは雲のゆえに立って勤めをすることができなかった。主の栄光が神の宮に満ちたからである。 + + + そこでソロモンは言った、「主はみずから濃き雲の中に住まおうと言われた。 + しかしわたしはあなたのために高き家、とこしえのみすまいを建てた」。 + そして王は顔をふり向けてイスラエルの全会衆を祝福した。その時イスラエルの全会衆は立っていた。 + 彼は言った、「イスラエルの神、主はほむべきかな。主は口をもってわが父ダビデに約束されたことを、その手をもってなし遂げられた。すなわち主は言われた、 + 『わが民をエジプトの地から導き出した日から、わたしはわが名を置くべき家を建てるために、イスラエルのもろもろの部族のうちから、どの町をも選んだことがなく、また他のだれをもわが民イスラエルの君として選んだことがない。 + わが名を置くために、ただエルサレムだけを選び、またわが民イスラエルを治めさせるために、ただダビデだけを選んだ』。 + イスラエルの神、主の名のために家を建てることは、父ダビデの心にあった。 + しかし主は父ダビデに言われた、『わたしの名のために家を建てることはあなたの心にあった。あなたの心にこの事のあったのは結構である。 + しかしあなたはその家を建ててはならない。あなたの腰から出るあなたの子がわたしの名のために家を建てるであろう』。 + そして主はそう言われた言葉を行われた。すなわちわたしは父ダビデに代って立ち、主が言われたように、イスラエルの位に座し、イスラエルの神、主の名のために家を建てた。 + わたしはまた、主がイスラエルの人々と結ばれた主の契約を入れた箱をそこに納めた」。 + ソロモンはイスラエルの全会衆の前、主の祭壇の前に立って、手を伸べた。 + ソロモンはさきに長さ五キュビト、幅五キュビト、高さ三キュビトの青銅の台を造って、庭のまん中にすえて置いたので、彼はその上に立ち、イスラエルの全会衆の前でひざをかがめ、その手を天に伸べて、 + 言った、「イスラエルの神、主よ、天にも地にも、あなたのような神はありません。あなたは契約を守られ、心をつくしてあなたの前に歩むあなたのしもべらに、いつくしみを施し、 + あなたのしもべ、わたしの父ダビデに約束されたことを守られました。あなたが口をもって約束されたことを、手をもってなし遂げられたことは、今日見るとおりであります。 + それゆえ、イスラエルの神、主よ、あなたのしもべ、わたしの父ダビデに、あなたが約束して、『おまえがわたしの前に歩んだように、おまえの子孫がその道を慎んで、わたしのおきてに歩むならば、おまえにはイスラエルの位に座する人がわたしの前に欠けることはない』と言われたことを、ダビデのためにお守りください。 + それゆえ、イスラエルの神、主よ、どうぞ、あなたのしもべダビデに言われた言葉を確認してください。 + しかし神は、はたして人と共に地上に住まわれるでしょうか。見よ、天も、いと高き天もあなたをいれることはできません。わたしの建てたこの家などなおさらです。 + しかしわが神、主よ、しもべの祈と願いを顧みて、しもべがあなたの前にささげる叫びと祈をお聞きください。 + どうぞ、あなたの目を昼も夜もこの家に、すなわち、あなたの名をそこに置くと言われた所に向かってお開きください。どうぞ、しもべがこの所に向かってささげる祈をお聞きください。 + どうぞ、しもべと、あなたの民イスラエルがこの所に向かって祈る時に、その願いをお聞きください。あなたのすみかである天から聞き、聞いておゆるしください。 + もし人がその隣り人に対して罪を犯し、誓いをすることを求められるとき、来てこの宮で、あなたの祭壇の前に誓うならば、 + あなたは天から聞いて、行い、あなたのしもべらをさばき、悪人に報いをなして、その行いの報いをそのこうべに帰し、義人を義として、その義にしたがってその人に報いてください。 + もしあなたの民イスラエルが、あなたに対して罪を犯したために、敵の前に敗れた時、あなたに立ち返って、あなたの名をあがめ、この宮であなたの前に祈り願うならば、 + あなたは天から聞き、あなたの民イスラエルの罪をゆるして、あなたが彼らとその先祖に与えられた地に彼らを帰らせてください。 + もし彼らがあなたに罪を犯したために、天が閉ざされて、雨がなく、あなたが彼らを苦しめられるとき、彼らがこの所に向かって祈り、あなたの名をあがめ、その罪を離れるならば、 + あなたは天にあって聞き、あなたのしもべ、あなたの民イスラエルの罪をゆるして、彼らに歩むべき良い道を教え、あなたの民に嗣業として賜わった地に雨を降らせてください。 + もし国にききんがあるか、もしくは疫病、立ち枯れ、腐り穂、いなご、青虫があるか、または敵のために町の門の中に攻め囲まれることがあるか、どんな災害、どんな病気があっても、 + もし、ひとりか、あるいはあなたの民イスラエルが皆おのおのその心の悩みを知って、この宮に向かい、手を伸べるならば、どんな祈、どんな願いでも、 + あなたはそのすみかである天から聞いてゆるし、おのおのの人に、その心を知っておられるゆえ、そのすべての道にしたがって報いてください。ただあなただけがすべての人の心を知っておられるからです。 + あなたがわれわれの先祖たちに賜わった地に、彼らの生きながらえる日の間、常にあなたを恐れさせ、あなたの道に歩ませてください。 + またあなたの民イスラエルの者でなく、他国人で、あなたの大いなる名と、強い手と、伸べた腕のために遠い国から来て、この宮に向かって祈るならば、 + あなたは、あなたのすみかである天から聞き、すべて他国人があなたに呼び求めるようにしてください。そうすれば地のすべての民はあなたの民イスラエルのように、あなたの名を知り、あなたを恐れ、またわたしが建てたこの宮が、あなたの名によって呼ばれることを知るにいたるでしょう。 + あなたの民が敵と戦うために、あなたがつかわされる道によって出るとき、もし彼らがあなたの選ばれたこの町と、わたしがあなたの名のために建てたこの宮に向かってあなたに祈るならば、 + あなたは天から彼らの祈と願いとを聞いて彼らをお助けください。 + 彼らがあなたに対して罪を犯すことがあって、――罪を犯さない人はないゆえ、――あなたが彼らを怒って、敵にわたし、敵が彼らを捕虜として遠い地あるいは近い地に引いて行くとき、 + もし、彼らが捕われて行った地で、みずから省みて悔い、その捕われの地であなたに願い、『われわれは罪を犯し、よこしまな事をし、悪を行いました』と言い、 + その捕われの地で心をつくし、精神をつくしてあなたに立ち返り、あなたが彼らの先祖に与えられた地、あなたが選ばれた町、わたしがあなたの名のために建てたこの宮に向かって祈るならば、 + あなたのすみかである天から、彼らの祈と願いとを聞いて彼らを助け、あなたに向かって罪を犯したあなたの民をおゆるしください。 + わが神よ、どうぞ、この所でささげる祈にあなたの目を開き、あなたの耳を傾けてください。 + 主なる神よ、今あなたと、あなたの力の箱が立って、あなたの安息所におはいりください。主なる神よ、どうぞあなたの祭司たちに救の衣を着せ、あなたの聖徒たちに恵みを喜ばせてください。 + 主なる神よ、どうぞあなたの油そそがれた者の顔を退けないでください。あなたのしもべダビデに示されたいつくしみを覚えて下さい」。 + + + ソロモンが祈り終ったとき、天から火が下って燔祭と犠牲を焼き、主の栄光が宮に満ちた。 + 主の栄光が主の宮に満ちたので、祭司たちは主の宮に、はいることができなかった。 + イスラエルの人々はみな火が下ったのを見、また主の栄光が宮に臨んだのを見て、敷石の上で地にひれ伏して拝し、主に感謝して言った、「主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」。 + そして王と民は皆主の前に犠牲をささげた。 + ソロモン王のささげた犠牲は、牛二万二千頭、羊十二万頭であった。こうして王と民は皆神の宮をささげた。 + 祭司はその持ち場に立ち、レビびとも主の楽器をとって立った。その楽器はダビデ王が主に感謝するために造ったもので、ダビデが彼らの手によってさんびをささげるとき、「そのいつくしみは、とこしえに絶えることがない」ととなえさせたものである。祭司は彼らの前でラッパを吹き、すべてのイスラエルびとは立っていた。 + ソロモンはまた主の宮の前にある庭の中を聖別し、その所で、燔祭と酬恩祭のあぶらをささげた。これはソロモンが造った青銅の祭壇が、その燔祭と素祭とあぶらとを載せるに足りなかったからである。 + その時ソロモンは七日の間祭を行った。ハマテの入口からエジプトの川に至るまでのすべてのイスラエルびとが彼と共にあり、非常に大きな会衆であった。 + そして八日目に聖会を開いた。彼らは七日の間、祭壇奉献の礼を行い、七日の間祭を行ったが、 + 七月二十三日に至ってソロモンは民をその天幕に帰らせた。皆主がダビデ、ソロモンおよびその民イスラエルに施された恵みのために喜び、かつ心に楽しんで去った。 + こうしてソロモンは主の家と王の家とを造り終えた。すなわち彼は主の家と自分の家について、しようと計画したすべての事を首尾よくなし遂げた。 + 時に主は夜ソロモンに現れて言われた、「わたしはあなたの祈を聞き、この所をわたしのために選んで、犠牲をささげる家とした。 + わたしが天を閉じて雨をなくし、またはわたしがいなごに命じて地の物を食わせ、または疫病を民の中に送るとき、 + わたしの名をもってとなえられるわたしの民が、もしへりくだり、祈って、わたしの顔を求め、その悪い道を離れるならば、わたしは天から聞いて、その罪をゆるし、その地をいやす。 + 今この所にささげられる祈にわたしの目を開き、耳を傾ける。 + 今わたしはわたしの名をながくここにとどめるために、この宮を選び、かつ聖別した。わたしの目とわたしの心は常にここにある。 + あなたがもし父ダビデの歩んだようにわたしの前に歩み、わたしが命じたとおりにすべて行って、わたしの定めとおきてとを守るならば、 + わたしはあなたの父ダビデに契約して『イスラエルを治める人はあなたに欠けることがない』と言ったとおりに、あなたの王の位を堅くする。 + しかし、あなたがたがもし翻って、わたしがあなたがたの前に置いた定めと戒めとを捨て、行って他の神々に仕え、それを拝むならば、 + わたしはあなたがたをわたしの与えた地から抜き去り、またわたしの名のために聖別したこの宮をわたしの前から投げ捨てて、もろもろの民のうちにことわざとし、笑い草とする。 + またこの宮は高いけれども、ついには、そのかたわらを過ぎる者は皆驚いて、『何ゆえ主はこの地と、この宮とにこのようにされたのか』と言うであろう。 + その時、人々は答えて『彼らはその先祖たちをエジプトの地から導き出した彼らの神、主を捨てて、他の神々につき従い、それを拝み、それに仕えたために、主はこのすべての災を彼らの上に下したのである』と言うであろう」。 + + + ソロモンは二十年を経て、主の家と自分の家とを建て終った。 + またソロモンはヒラムから送られた町々を建て直して、そこにイスラエルの人々を住ませた。 + ソロモンはまたハマテ・ゾバを攻めて、これを取った。 + 彼はまた荒野にタデモルを建て、もろもろの倉の町をハマテに建てた。 + また城壁、門、貫の木のある堅固な町、上ベテホロンと下ベテホロンを建てた。 + ソロモンはまたバアラテと自分のもっていたすべての倉の町と、すべての戦車の町と、騎兵の町、ならびにエルサレム、レバノンおよび自分の治める全地方に建てようと望んだものを、ことごとく建てた。 + すべてイスラエルの子孫でないヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの残った民、 + その地にあって彼らのあとに残ったその子孫、すなわちイスラエルの子孫が滅ぼし尽さなかった民に、ソロモンは強制徴募をおこなって今日に及んでいる。 + しかし、イスラエルの人々をソロモンはその工事のためには、ひとりも奴隷としなかった。彼らは兵士となり、将校となり、戦車と、騎兵の長となった。 + これらはソロモン王のおもな官吏で、二百五十人あり、民を治めた。 + ソロモンはパロの娘をダビデの町から連れ上って、彼女のために建てた家に入れて言った、「主の箱を迎えた所は神聖であるから、わたしの妻はイスラエルの王ダビデの家に住んではならない」。 + ソロモンは廊の前に築いておいた主の祭壇の上で主に燔祭をささげた。 + すなわちモーセの命令に従って、毎日定めのようにささげ、安息日、新月および年に三度の祭、すなわち種入れぬパンの祭、七週の祭、仮庵の祭にこれをささげた。 + ソロモンは、その父ダビデのおきてに従って、祭司の組を定めてその職に任じ、またレビびとをその勤めに任じて、毎日定めのように祭司の前でさんびと奉仕をさせ、また門を守る者に、その組にしたがって、もろもろの門を守らせた。これは神の人ダビデがこのように命じたからである。 + 祭司とレビびとはすべての事につき、また倉の事について、王の命令にそむかなかった。 + このようにソロモンは、主の宮の基をすえた日からこれをなし終えたときまで、その工事の準備をことごとくなしたので、主の宮は完成した。 + それからソロモンはエドムの地の海べにあるエジオン・ゲベルおよびエロテへ行った。 + 時にヒラムはそのしもべどもの手によって船団を彼に送り、また海の事になれたしもべどもをつかわしたので、彼らはソロモンのしもべらと共にオフルへ行き、そこから金四百五十タラントを取って、これをソロモン王のもとに携えてきた。 + + + シバの女王はソロモンの名声を聞いたので、難問をもってソロモンを試みようと、非常に多くの従者を連れ、香料と非常にたくさんの金と宝石とをらくだに負わせて、エルサレムのソロモンのもとに来て、その心にあることをことごとく彼に告げた。 + ソロモンは彼女のすべての問に答えた。ソロモンが知らないで彼女に説明のできないことは一つもなかった。 + シバの女王はソロモンの知恵と、彼が建てた家を見、 + またその食卓の食物と、列座の家来たちと、その侍臣たちの伺候振りと彼らの服装、および彼の給仕たちとその服装、ならびに彼が主の宮でささげる燔祭を見て、全く気を奪われてしまった。 + 彼女は王に言った、「わたしが国であなたの事と、あなたの知恵について聞いたうわさは真実でした。 + しかしわたしは来て目に見るまでは、そのうわさを信じませんでしたが、今見ると、あなたの知恵の大いなることはその半分もわたしに知らされませんでした。あなたはわたしの聞いたうわさにまさっています。 + あなたの奥方たちはさいわいです。常にあなたの前に立って、あなたの知恵を聞くこのあなたの家来たちはさいわいです。 + あなたの神、主はほむべきかな。主はあなたを喜び、あなたをその位につかせ、あなたの神、主のために王とされました。あなたの神はイスラエルを愛して、とこしえにこれを堅くするために、あなたをその王とされ、公道と正義を行われるのです」。 + そして彼女は金百二十タラント、および非常に多くの香料と宝石とを王に贈った。シバの女王がソロモンに贈ったような香料は、いまだかつてなかった。 + オフルから金を携えて来たヒラムのしもべたちとソロモンのしもべたちはまた、びゃくだんの木と宝石をも携えて来た。 + 王はそのびゃくだんの木で、主の宮と王の家とに階段を造り、また歌うたう者のために琴と立琴を造った。このようなものはかつてユダの地で見たことがなかった。 + ソロモン王は、シバの女王が贈った物に報いたほかに、彼女の望みにまかせて、すべてその求めるものを贈った。そして彼女はその家来たちと共に自分の国へ帰って行った。 + さて一年の間にソロモンの所にはいって来た金の目方は六百六十六タラントであった。 + このほかに貿易商および商人の携えて来たものがあった。またアラビヤのすべての王たちおよび国の代官たちも金銀をソロモンに携えてきた。 + ソロモン王は延金の大盾二百を造った。その大盾にはおのおの六百シケルの延金を用いた。 + また延金の小盾三百を造った。小盾にはおのおの三百シケルの金を用いた。王はこれらをレバノンの森の家に置いた。 + 王はまた大きな象牙の玉座を造り、純金でこれをおおった。 + その玉座には六つの段があり、また金の足台があって共に玉座につらなり、その座する所の両方に、ひじかけがあって、ひじかけのわきに二つのししが立っていた。 + また十二のししが六つの段のおのおのの両側に立っていた。このような物はどこの国でも造られたことがなかった。 + ソロモン王が飲むときに用いた器はみな金であった。またレバノンの森の家の器もみな純金であって、銀はソロモンの世には尊ばれなかった。 + これは王の船がヒラムのしもべたちを乗せてタルシシへ行き、三年ごとに一度、そのタルシシの船が金、銀、象牙、さる、くじゃくを載せて来たからである。 + このようにソロモン王は富と知恵において、地のすべての王にまさっていたので、 + 地のすべての王は神がソロモンの心に授けられた知恵を聞こうとしてソロモンに謁見を求めた。 + 人々はおのおの贈り物を携えてきた。すなわち銀の器、金の器、衣服、没薬、香料、馬、騾馬など年々定まっていた。 + ソロモンは馬と戦車のために馬屋四千と騎兵一万二千を持ち、これを戦車の町に置き、またエルサレムの王のもとに置いた。 + 彼はユフラテ川からペリシテびとの地と、エジプトの境に至るまでのすべての王を治めた。 + 王はまた銀を石のようにエルサレムに多くし、香柏を平野のいちじく桑のように多くした。 + また人々はエジプトおよび諸国から馬をソロモンのために輸入した。 + ソロモンのそのほかの始終の行為は、預言者ナタンの書と、シロびとアヒヤの預言と、先見者イドがネバテの子ヤラベアムについて述べた黙示のなかに、しるされているではないか。 + ソロモンはエルサレムで四十年の間イスラエルの全地を治めた。 + ソロモンはその先祖たちと共に眠って、父ダビデの町に葬られ、その子レハベアムが代って王となった。 + + + レハベアムはシケムへ行った。すべてのイスラエルびとが彼を王にしようとシケムへ行ったからである。 + ネバテの子ヤラベアムは、ソロモンを避けてエジプトにのがれていたが、これを聞いてエジプトから帰ったので、 + 人々は人をつかわして彼を招いた。そこでヤラベアムとすべてのイスラエルは来て、レハベアムに言った、 + 「あなたの父は、われわれのくびきを重くしましたが、今あなたの父のきびしい使役と、あなたの父が、われわれに負わせた重いくびきを軽くしてください。そうすればわたしたちはあなたに仕えましょう」。 + レハベアムは彼らに答えた、「三日の後、またわたしの所に来なさい」。それで民は去った。 + レハベアム王は父ソロモンの存命中ソロモンに仕えた長老たちに相談して言った、「あなたがたはこの民にどう返答すればよいと思いますか」。 + 彼らはレハベアムに言った、「あなたがもしこの民を親切にあつかい、彼らを喜ばせ、ねんごろに語られるならば彼らは長くあなたのしもべとなるでしょう」。 + しかし彼は長老たちが与えた勧めをすてて、自分と一緒に大きくなって自分に仕えている若者たちに相談して、 + 彼らに言った、「あなたがたは、この民がわたしに向かって、『あなたの父上が、われわれに負わせたくびきを軽くしてください』と言うのに、われわれはなんと返答すればよいと思いますか」。 + 彼と一緒に大きくなった若者たちは彼に言った、「あなたに向かって、『あなたの父は、われわれのくびきを重くしたが、あなたは、それをわれわれのために軽くしてください』と言ったこの民に、こう言いなさい、『わたしの小指は父の腰よりも太い、 + 父はあなたがたに重いくびきを負わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりであなたがたを懲らそう』」。 + さてヤラベアムと民は皆、王が「三日目にわたしのところに来なさい」と言ったとおりに、三日目にレハベアムのところへ行った。 + 王は荒々しく彼らに答えた。すなわちレハベアム王は長老たちの勧めをすて、 + 若者たちの勧めに従い、彼らに告げて言った、「父はあなたがたのくびきを重くしたが、わたしは更にこれを重くしよう。父はむちであなたがたを懲らしたが、わたしはさそりであなたがたを懲らそう」。 + このように王は民の言うことを聞きいれなかった。これは主が、かつてシロびとアヒヤによって、ネバテの子ヤラベアムに言われた言葉を成就するために、神がなされたのであった。 + イスラエルの人々は皆、王が自分たちの言うことを聞きいれないのを見たので、民は王に答えて言った、「われわれはダビデのうちに何の分があろうか。われわれはエッサイの子のうちに嗣業がない。イスラエルよ、めいめいの天幕に帰れ。ダビデよ、今あなたの家を見よ」。そしてイスラエルは皆彼らの天幕へ去って行った。 + しかしレハベアムはユダの町々に住んでいるイスラエルの人々を治めた。 + レハベアム王は徴募人の監督であったアドラムをつかわしたが、イスラエルの人々が石で彼を撃ち殺したので、レハベアム王は急いで車に乗り、エルサレムに逃げた。 + こうしてイスラエルはダビデの家にそむいて今日に至った。 + + + レハベアムはエルサレムに来て、ユダとベニヤミンの家の者、すなわち、えり抜きの軍人十八万人を集め、国を取りもどすためにイスラエルと戦おうとしたが、 + 主の言葉が神の人シマヤに臨んで言った、 + 「ソロモンの子、ユダの王レハベアムおよびユダとベニヤミンにいるすべてのイスラエルの人々に言いなさい、 + 『主はこう仰せられる、あなたがたは上ってはならない。あなたがたの兄弟と戦ってはならない。おのおの自分の家に帰りなさい。この事はわたしから出たのである』」。それで人々は主の言葉を聞き、ヤラベアムを攻めに行くのをやめて帰った。 + レハベアムはエルサレムに住んで、ユダに防衛の町々を建てた。 + すなわちベツレヘム、エタム、テコア、 + ベテズル、ソコ、アドラム、 + ガテ、マレシャ、ジフ、 + アドライム、ラキシ、アゼカ、 + ゾラ、アヤロン、およびヘブロン。これらはユダとベニヤミンにあって要害の町々である。 + 彼はその要害を堅固にし、これに軍長を置き、糧食と油とぶどう酒をたくわえ、 + またそのすべての町に盾とやりを備えて、これを非常に強化し、そしてユダとベニヤミンを確保した。 + イスラエルの全地の祭司とレビびとは四方の境から来てレハベアムに身を寄せた。 + すなわちレビびとは自分の放牧地と領地を離れてユダとエルサレムに来た。これはヤラベアムとその子らが彼らを排斥して、主の前に祭司の務をさせなかったためである。 + ヤラベアムは高き所と、みだらな神と、自分で造った子牛のために自分の祭司を立てた。 + またイスラエルのすべての部族のうちで、すべてその心を傾けて、イスラエルの神、主を求める者は先祖の神、主に犠牲をささげるために、レビびとに従ってエルサレムに来た。 + このように彼らはユダの国を堅くし、ソロモンの子レハベアムを三年の間強くした。彼らは三年の間ダビデとソロモンの道に歩んだからである。 + レハベアムはダビデの子エレモテの娘マハラテを妻にめとった。マハラテはエッサイの子エリアブの娘アビハイルが産んだ者である。 + 彼女はエウシ、シマリヤおよびザハムの三子を産んだ。 + 彼はまた彼女の後にアブサロムの娘マアカをめとった。マアカはアビヤ、アッタイ、ジザおよびシロミテを産んだ。 + レハベアムはアブサロムの娘マアカをすべての妻とそばめにまさって愛した。彼は妻十八人、そばめ六十人をめとって、男の子二十八人と女の子六十人をもうけた。 + レハベアムはマアカの子アビヤを立ててかしらとし、その兄弟の長とした。彼はアビヤを王にしようと思ったからである。 + それで王は賢くとり行い、そのむすこたちをことごとく、ユダとベニヤミンの全地方にあるすべての要害の町に散在させ、彼らに糧食を多く与え、また多くの妻を得させた。 + + + レハベアムはその国が堅く立ち、強くなるに及んで、主のおきてを捨てた。イスラエルも皆彼にならった。 + 彼らがこのように主に向かって罪を犯したので、レハベアム王の五年にエジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上ってきた。 + その戦車は一千二百、騎兵は六万、また彼に従ってエジプトから来た民、すなわちリビアびと、スキびと、エチオピヤびとは無数であった。 + シシャクはユダの要害の町々を取り、エルサレムに迫って来た。 + そこで預言者シマヤは、レハベアムおよびシシャクのゆえに、エルサレムに集まったユダのつかさたちのもとにきて言った、「主はこう仰せられる、『あなたがたはわたしを捨てたので、わたしもあなたがたを捨ててシシャクにわたした』と」。 + そこでイスラエルのつかさたち、および王はへりくだって、「主は正しい」と言った。 + 主は彼らのへりくだるのを見られたので、主の言葉がシマヤにのぞんで言った、「彼らがへりくだったから、わたしは彼らを滅ぼさないで、間もなく救を施す。わたしはシシャクの手によって、怒りをエルサレムに注ぐことをしない。 + しかし彼らはシシャクのしもべになる。これは彼らがわたしに仕えることと、国々の王たちに仕えることとの相違を知るためである」。 + エジプトの王シシャクはエルサレムに攻めのぼって、主の宮の宝物と、王の家の宝物とを奪い去った。すなわちそれらをことごとく奪い去り、またソロモンの造った金の盾をも奪い去った。 + それでレハベアム王は、その代りに青銅の盾を造って、王の家の門を守る侍衛長たちの手に渡した。 + 王が主の宮にはいるごとに侍衛は来て、これを負い、またこれを侍衛のへやへ持って帰った。 + レハベアムがへりくだったので主の怒りは彼を離れ、彼をことごとく滅ぼそうとはされなかった。またユダの事情もよくなった。 + レハベアム王はエルサレムで自分の地位を確立し、世を治めた。すなわちレハベアムは四十一歳のとき位につき、十七年の間エルサレムで世を治めた。エルサレムは主がその名を置くためにイスラエルのすべての部族のうちから選ばれた町である。彼の母はアンモンの女で、名をナアマといった。 + レハベアムは主を求めることに心を傾けないで、悪い事を行った。 + レハベアムの始終の行為は、預言者シマヤおよび先見者イドの書にしるされているではないか。レハベアムとヤラベアムとの間には絶えず戦争があった。 + レハベアムはその先祖たちと共に眠って、ダビデの町に葬られ、その子アビヤが彼に代って王となった。 + + + ヤラベアム王の第十八年にアビヤがユダの王となった。 + 彼は三年の間エルサレムで世を治めた。彼の母はギベアのウリエルの娘で、名をミカヤといった。 + ここにアビヤとヤラベアムとの間に戦争が起り、アビヤは四十万の精兵から成る勇敢な軍勢をもって戦いにいで、ヤラベアムも大勇士から成る八十万の精兵をもって、これに向かって戦いの備えをした。 + 時にアビヤはエフライムの山地にあるゼマライム山の上に立って言った、「ヤラベアムおよびイスラエルの人々よ皆聞け。 + あなたがたはイスラエルの神、主が塩の契約をもってイスラエルの国をながくダビデとその子孫に賜わったことを知らないのか。 + ところがダビデの子ソロモンの家来であるネバテの子ヤラベアムが起って、その主君にそむき、 + また卑しい無頼のともがらが集まって彼にくみし、ソロモンの子レハベアムに敵したが、レハベアムは若く、かつ意志が弱くてこれに当ることができなかった。 + 今また、あなたがたは大軍をたのみ、またヤラベアムが造って、あなたがたの神とした金の子牛をたのんで、ダビデの子孫の手にある主の国に敵対しようとしている。 + またあなたがたはアロンの子孫である主の祭司とレビびととを追いだして、他の国々の民がするように祭司を立てたではないか。すなわちだれでも若い雄牛一頭、雄羊七頭を携えてきて、自分を聖別する者は皆あの神でない者の祭司とすることができた。 + しかしわれわれにおいては、主がわれわれの神であって、われわれは彼を捨てない。また主に仕える祭司はアロンの子孫であり、働きをなす者はレビびとである。 + 彼らは朝ごと夕ごとに主に燔祭と、こうばしい香をささげ、供えのパンを純金の机の上に供え、また金の燭台とそのともしび皿を整えて、夕ごとにともすのである。このようにわれわれはわれわれの神、主の務を守っているが、あなたがたは彼を捨てた。 + 見よ、神はみずからわれわれと共におられて、われわれのかしらとなられ、また、その祭司たちはラッパを吹きならして、あなたがたを攻める。イスラエルの人々よ、あなたがたの先祖の神、主に敵して戦ってはならない。あなたがたは成功しない」。 + ヤラベアムは伏兵を彼らのうしろに回らせたので、彼の軍隊はユダの前にあり、伏兵は彼らのうしろにあった。 + ユダはうしろを見ると、敵が前とうしろとにあったので、主に向かって呼ばわり、祭司たちはラッパを吹いた。 + そこでユダの人々はときの声をあげた。ユダの人々がときの声をあげると、神はヤラベアムとイスラエルの人々をアビヤとユダの前に打ち敗られたので、 + イスラエルの人々はユダの前から逃げた。神が彼らをユダの手に渡されたので、 + アビヤとその民は、彼らをおびただしく撃ち殺した。イスラエルの殺されて倒れた者は五十万人、皆精兵であった。 + このように、この時イスラエルの人々は打ち負かされ、ユダの人々は勝を得た。彼らがその先祖の神、主を頼んだからである。 + アビヤはヤラベアムを追撃して数個の町を彼から取った。すなわちベテルとその村里、エシャナとその村里、エフロンとその村里である。 + ヤラベアムは、アビヤの世には再び力を得ることができず、主に撃たれて死んだ。 + しかしアビヤは強くなり、妻十四人をめとり、むすこ二十二人、むすめ十六人をもうけた。 + アビヤのその他の行為すなわちその行動と言葉は、預言者イドの注釈にしるされている。 + + + アビヤはその先祖たちと共に眠って、ダビデの町に葬られ、その子アサが代って王となった。アサの治世に国は十年の間、穏やかであった。 + アサはその神、主の目に良しと見え、また正しと見えることを行った。 + 彼は異なる祭壇と、もろもろの高き所を取り除き、石柱をこわし、アシラ像を切り倒し、 + ユダに命じてその先祖たちの神、主を求めさせ、おきてと戒めとを行わせ、 + ユダのすべての町々から、高き所と香の祭壇とを取り除いた。そして国は彼のもとに穏やかであった。 + 彼は国が穏やかであったので、要害の町数個をユダに建てた。また主が彼に平安を賜わったので、この年ごろ戦争がなかった。 + 彼はユダに言った、「われわれはこれらの町を建て、その周囲に石がきを築き、やぐらを建て、門と貫の木を設けよう。われわれがわれわれの神、主を求めたので、この国はなおわれわれのものであり、われわれが彼を求めたので、四方において、われわれに平安を賜わった」。こうして彼らは滞りなく建て終った。 + アサの軍隊はユダから出た者三十万人あって、盾とやりをとり、ベニヤミンから出た者二十八万人あって、小盾をとり、弓を引いた。これはみな大勇士であった。 + エチオピヤびとゼラが、百万の軍隊と三百の戦車を率いて、マレシャまで攻めてきた。 + アサは出て、これを迎え、マレシャのゼパタの谷に戦いの備えをした。 + 時にアサはその神、主に向かって呼ばわって言った、「主よ、力のある者を助けることも、力のない者を助けることも、あなたにおいては異なることはありません。われわれの神、主よ、われわれをお助けください。われわれはあなたに寄り頼み、あなたの名によってこの大軍に当ります。主よ、あなたはわれわれの神です。どうぞ人をあなたに勝たせないでください」。 + そこで主はアサの前とユダの前でエチオピヤびとを撃ち敗られたので、エチオピヤびとは逃げ去った。 + アサと彼に従う民は彼らをゲラルまで追撃したので、エチオピヤびとは倒れて、生き残った者はひとりもなかった。主と主の軍勢の前に撃ち破られたからである。ユダの人々の得たぶんどり物は非常に多かった。 + 彼らはまた、ゲラルの周囲の町々をことごとく撃ち破った。主の恐れが彼らの上に臨んだからである。そして彼らはそのすべての町をかすめ奪った。その内に多くの物があったからである。 + また家畜をもっている者の天幕を襲い、多くの羊とらくだを奪い取って、エルサレムに帰った。 + + + 時に神の霊がオデデの子アザリヤに臨んだので、 + 彼は出ていってアサを迎え、これに言った、「アサおよびユダとベニヤミンの人々よ、わたしに聞きなさい。あなたがたが主と共におる間は、主もあなたがたと共におられます。あなたがたが、もし彼を求めるならば、彼に会うでしょう。しかし、彼を捨てるならば、彼もあなたがたを捨てられるでしょう。 + そもそも、イスラエルには長い間、まことの神がなく、教をなす祭司もなく、律法もなかった。 + しかし、悩みの時、彼らがイスラエルの神、主に立ち返り、彼を求めたので彼に会った。 + そのころは、出る者にも入る者にも、平安がなく、大いなる騒乱が国々のすべての住民を悩ました。 + 国は国に、町は町に撃ち砕かれた。神がもろもろの悩みをもって彼らを苦しめられたからです。 + しかしあなたがたは勇気を出しなさい。手を弱くしてはならない。あなたがたのわざには報いがあるからです」。 + アサはこれらの言葉すなわちオデデの子アザリヤの預言を聞いて勇気を得、憎むべき偶像をユダとベニヤミンの全地から除き、また彼がエフライムの山地で得た町々から除き、主の宮の廊の前にあった主の祭壇を再興した。 + 彼はまたユダとベニヤミンの人々およびエフライム、マナセ、シメオンから来て、彼らの間に寄留していた者を集めた。その神、主がアサと共におられるのを見て、イスラエルからアサのもとに下った者が多くあったからである。 + 彼らはアサの治世の十五年の三月にエルサレムに集まり、 + 携えてきたぶんどり物のうちから牛七百頭、羊七千頭をその日主にささげた。 + そして彼らは契約を結び、心をつくし、精神をつくして先祖の神、主を求めることと、 + すべてイスラエルの神、主を求めない者は老幼男女の別なく殺さるべきことを約した。 + そして彼らは大声をあげて叫び、ラッパを吹き、角笛を鳴らして、主に誓いを立てた。 + ユダは皆その誓いを喜んだ。彼らは心をつくして誓いを立て、精神をつくして主を求めたので、主は彼らに会い、四方で彼らに安息を賜わった。 + アサ王の母マアカがアシラのために憎むべき像を造ったので、アサは彼女をおとして太后とせず、その憎むべき像を切り倒して粉々に砕き、キデロン川でそれを焼いた。 + ただし高き所はイスラエルから除かなかったが、アサの心は一生の間、正しかった。 + 彼はまた、その父のささげた物および自分のささげた物、すなわち銀、金並びに器物などを主の宮に携え入れた。 + そしてアサの治世の三十五年までは再び戦争がなかった。 + + + アサの治世の三十六年にイスラエルの王バアシャはユダに攻め上り、ユダの王アサの所にだれをも出入りさせないためにラマを築いた。 + そこでアサは主の宮と王の家の宝蔵から金銀を取り出し、ダマスコに住んでいるスリヤの王ベネハダデに贈って言った、 + 「わたしの父とあなたの父の間のように、わたしとあなたの間に同盟を結びましょう。わたしはあなたに金銀を贈ります。行って、あなたとイスラエルの王バアシャとの同盟を破り、彼をわたしから撤退させてください」。 + ベネハダデはアサ王の言うことを聞き、自分の軍勢の長たちをつかわしてイスラエルの町々を攻め、イヨンとダンとアベル・マイムおよびナフタリのすべての倉の町を撃った。 + バアシャはこれを聞いて、ラマを築くことをやめ、その工事を廃した。 + そこでアサ王はユダの全国の人々を引き連れ、バアシャがラマを建てるために用いた石と木材を運んでこさせ、それをもってゲバとミヅパを建てた。 + そのころ先見者ハナニがユダの王アサのもとに来て言った、「あなたがスリヤの王に寄り頼んで、あなたの神、主に寄り頼まなかったので、スリヤ王の軍勢はあなたの手からのがれてしまった。 + かのエチオピヤびとと、リビアびとは大軍で、その戦車と騎兵は、はなはだ多かったではないか。しかしあなたが主に寄り頼んだので、主は彼らをあなたの手に渡された。 + 主の目はあまねく全地を行きめぐり、自分に向かって心を全うする者のために力をあらわされる。今度の事では、あなたは愚かな事をした。ゆえにこの後、あなたに戦争が臨むであろう」。 + するとアサはその先見者を怒って、獄屋に入れた。この事のために激しく彼を怒ったからである。アサはまたそのころ民のある者をしえたげた。 + 見よ、アサの始終の行為は、ユダとイスラエルの列王の書にしるされている。 + アサはその治世の三十九年に足を病み、その病は激しくなったが、その病の時にも、主を求めないで医者を求めた。 + アサは先祖たちと共に眠り、その治世の四十一年に死んだ。 + 人々は彼が自分のためにダビデの町に掘っておいた墓に葬り、製香の術をもって造った様々の香料を満たした床に横たえ、彼のためにおびただしく香をたいた。 + + + アサの子ヨシャパテがアサに代って王となり、イスラエルに向かって自分を強くし、 + ユダのすべての堅固な町々に軍隊を置き、またユダの地およびその父アサが取ったエフライムの町々に守備隊を置いた。 + 主はヨシャパテと共におられた。彼がその父ダビデの最初の道に歩んで、バアルに求めず、 + その父の神に求めて、その戒めに歩み、イスラエルの行いにならわなかったからである。 + それゆえ、主は国を彼の手に堅く立てられ、またユダの人々は皆ヨシャパテに贈り物を持ってきた。彼は大いなる富と誉とを得た。 + そこで彼は主の道に心を励まし、さらに高き所とアシラ像とをユダから除いた。 + 彼はまたその治世の三年に、つかさたちベネハイル、オバデヤ、ゼカリヤ、ネタンエルおよびミカヤをつかわしてユダの町々で教えさせ、 + また彼らと共にレビびとのうちからシマヤ、ネタニヤ、ゼバデヤ、アサヘル、セミラモテ、ヨナタン、アドニヤ、トビヤ、トバドニヤをつかわし、またこれらのレビびとと共に祭司エリシャマとヨラムをもつかわした。 + 彼らは主の律法の書を携えて、ユダで教をなし、またユダの町々をことごとく巡回して、民の間に教をなした。 + そこでユダの周囲の国々は皆主を恐れ、ヨシャパテと戦うことをしなかった。 + また、ペリシテびとのうちで贈り物や、みつぎの銀をヨシャパテの所に持ってくる者があり、またアラビヤびとは雄羊七千七百頭、雄やぎ七千七百頭を彼に持ってきた。 + こうしてヨシャパテはますます大いになり、ユダに要害および倉の町を建て、 + ユダの町々に多くの軍需品を持ち、またエルサレムに大勇士である軍人たちを持っていた。 + 彼らをその氏族によって数えれば次のとおりである。すなわちユダから出た千人の長のうちでは、アデナという軍長と彼に従う大勇士三十万人、 + その次は軍長ヨハナンと彼に従う者二十八万人、 + その次は喜んでその身を主にささげた者ジクリの子アマジヤと彼に従う大勇士二十万人。 + ベニヤミンから出た者のうちでは、エリアダという大勇士と彼に従う弓および盾を持つ者二十万人、 + その次はヨザバデと彼に従う戦いの備えある者十八万人である。 + これらは皆王に仕える者たちで、このほかにまたユダ全国の堅固な町々に、王が駐在させた者があった。 + + + ヨシャパテは大いなる富と誉とをもち、アハブと縁を結んだ。 + 彼は数年の後、サマリヤに下って、アハブをおとずれた。アハブは彼と彼に従ってきた民のために羊と牛を多くほふり、ラモテ・ギレアデに一緒に攻め上ることを彼にすすめた。 + イスラエルの王アハブはユダの王ヨシャパテに言った、「あなたはわたしと一緒にラモテ・ギレアデに攻めて行きますか」。ヨシャパテは答えた、「わたしはあなたと一つです、わたしの民はあなたの民と一つです。わたしはあなたと一緒に戦いに臨みましょう」。 + ヨシャパテはまたイスラエルの王に言った、「まず主の言葉を求めなさい」。 + そこでイスラエルの王は預言者四百人を集めて彼らに言った、「われわれはラモテ・ギレアデに、戦いに行くべきか、あるいは控えるべきか」。彼らは言った、「上って行きなさい。神はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + ヨシャパテは言った、「ほかにわれわれが問うべき主の預言者はここにいませんか」。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「ほかになおひとりいます。われわれはこの人によって主に問うことができますが、彼はわたしについて良い事を預言したことがなく、常に悪いことだけを預言するので、わたしは彼を憎みます。その者はイムラの子ミカヤです」。ヨシャパテは言った、「王よ、そうは言わないでください」。 + そこでイスラエルの王はひとりの役人を呼んで、「イムラの子ミカヤを急いで連れてきなさい」と言った。 + さてイスラエルの王およびユダの王ヨシャパテは王の衣を着て、サマリヤの門の入口の広場におのおのその玉座に座し、預言者たちは皆その前で預言していた。 + ケナアナの子ゼデキヤは鉄の角を造って言った、「主はこう仰せられます、『あなたはこれらの角をもってスリヤびとを突いて滅ぼし尽しなさい』」。 + 預言者たちは皆そのように預言して言った、「ラモテ・ギレアデに上っていって勝利を得なさい。主はそれを王の手にわたされるでしょう」。 + さてミカヤを呼びに行った使者は彼に言った、「預言者たちは一致して王に良い事を言いました。どうぞ、あなたの言葉も、彼らのひとりの言葉のようにし、良い事を言ってください」。 + ミカヤは言った、「主は生きておられる。わが神の言われることをわたしは申します」。 + 彼が王の所へ行くと、王は彼に言った、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに戦いに行くべきか、あるいは控えるべきか」。彼は言った、「上って行って勝利を得なさい。彼らはあなたの手にわたされるでしょう」。 + しかし王は彼に言った、「幾たびあなたを誓わせたら、あなたは主の名をもって、ただ真実のみをわたしに告げるだろうか」。 + 彼は言った、「わたしはイスラエルが皆牧者のない羊のように山に散っているのを見ました。すると主は『これらの者は主人をもっていない。彼らをそれぞれ安らかに、その家に帰らせよ』と言われました」。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「わたしはあなたに、彼はわたしについて良い事を預言せず、ただ悪い事だけを預言すると告げたではありませんか」。 + ミカヤは言った、「それだから主の言葉を聞きなさい。わたしは主がその玉座に座し、天の万軍がその右左に立っているのを見たが、 + 主は、『だれがイスラエルの王アハブをいざなって、ラモテ・ギレアデに上らせ、彼を倒れさせるであろうか』と言われた。するとひとりは、こうしようと言い、ひとりは、ああしようと言った。 + その時一つの霊が進み出て、主の前に立ち、『わたしが彼をいざないましょう』と言ったので、主は彼に『何をもってするか』と言われた。 + 彼は『わたしが出て行って、偽りを言う霊となって、すべての預言者の口に宿りましょう』と言った。そこで主は『おまえは彼をいざなって、それをなし遂げるであろう。出て行って、そうしなさい』と言われた。 + それゆえ、主は偽りを言う霊をこの預言者たちの口に入れ、また主はあなたについて災を告げられたのです」。 + するとケナアナの子ゼデキヤが近寄ってミカヤのほおを打って言った、「主の霊がどの道からわたしを離れて行って、あなたに語りましたか」。 + ミカヤは言った、「あなたが奥の間にはいって身を隠す日に見るでしょう」。 + イスラエルの王は言った、「ミカヤを捕え、町のつかさアモンと王の子ヨアシの所へ引いて行って、 + 言いなさい、『王はこう言う、この者を獄屋に入れ、少しばかりのパンと水をもって彼を養い、わたしが勝利を得て帰ってくるのを待て』と」。 + ミカヤは言った、「あなたがもし勝利を得て帰るならば、主はわたしによって語られなかったのです」。また彼は言った、「あなたがたすべての民よ、聞きなさい」。 + こうしてイスラエルの王とユダの王ヨシャパテは、ラモテ・ギレアデに上った。 + イスラエルの王はヨシャパテに言った、「わたしは姿を変えて戦いに行きましょう。しかしあなたは王の衣を着けなさい」。イスラエルの王は姿を変えて戦いに行った。 + さて、スリヤの王は、その戦車隊長たちに命じて言った、「あなたがたは小さい者とも、大きい者とも戦ってはならない。ただイスラエルの王とのみ戦いなさい」。 + 戦車隊長らはヨシャパテを見たとき、これはきっとイスラエルの王だと思ったので、身を巡らしてこれと戦おうとした。しかしヨシャパテが呼ばわったので、主はこれを助けられた。すなわち神は敵を彼から離れさせられた。 + 戦車隊長らは彼がイスラエルの王でないのを見たので、彼を追うことをやめて引き返した。 + しかし、ひとりの人が、なにごころなく弓を引いて、イスラエルの王の胸当と、くさずりの間を射たので、彼はその車の御者に言った、「わたしは傷を受けたから、車をめぐらして、わたしを軍中から運び出せ」。 + その日戦いは激しくなった。イスラエルの王は車の中に自分をささえて立ち、夕暮までスリヤびとに向かっていたが、日の入るころになって死んだ。 + + + ユダの王ヨシャパテは、つつがなくエルサレムの自分の家に帰った。 + そのとき、先見者ハナニの子エヒウが出てヨシャパテを迎えて言った、「あなたは悪人を助け、主を憎む者を愛してよいのですか。それゆえ怒りが主の前から出て、あなたの上に臨みます。 + しかしあなたには、なお良い事もあります。あなたはアシラ像を国の中から除き、心を傾けて神を求められました」。 + ヨシャパテはエルサレムに住んでいたが、また出て、ベエルシバからエフライムの山地まで民の中を巡り、先祖たちの神、主に彼らを導き返した。 + 彼はまたユダの国中、すべての堅固な町ごとに裁判人を置いた。 + そして裁判人たちに言った、「あなたがたは自分のする事に気をつけなさい。あなたがたは人のために裁判するのではなく、主のためにするのです。あなたがたが裁判する時には、主はあなたがたと共におられます。 + だからあなたがたは主を恐れ、慎んで行いなさい。われわれの神、主には不義がなく、人をかたより見ることなく、まいないを取ることもないからです」。 + ヨシャパテはまたレビびと、祭司、およびイスラエルの氏族の長たちを選んでエルサレムに置き、主のために裁判を行い、争議の解決に当らせた。彼らはエルサレムに居住した。 + ヨシャパテは彼らに命じて言った、「あなたがたは主を恐れ、真実と真心とをもって行わなければならない。 + すべてその町々に住んでいるあなたがたの兄弟たちから、血を流した事または律法と戒め、定めとおきてなどの事について訴えてきたならば、彼らをさとして、主の前に罪を犯させず、怒りがあなたがたと、あなたがたの兄弟たちに臨まないようにしなさい。そのようにすれば、あなたがたは罪を犯すことがないでしょう。 + 見よ、祭司長アマリヤは、あなたがたの上にいて、主の事をすべてつかさどり、イシマエルの子、ユダの家のつかさゼバデヤは王の事をすべてつかさどり、またレビびとはあなたがたの前にあって役人となります。雄々しく行動しなさい。主は正直な人と共におられます」。 + + + この後モアブびと、アンモンびとおよびメウニびとらがヨシャパテと戦おうと攻めてきた。 + その時ある人がきて、ヨシャパテに告げて言った、「海のかなたのエドムから大軍があなたに攻めて来ます。見よ、彼らはハザゾン・タマル(すなわちエンゲデ)にいます」。 + そこでヨシャパテは恐れ、主に顔を向けて助けを求め、ユダ全国に断食をふれさせた。 + それでユダはこぞって集まり、主の助けを求めた。すなわちユダのすべての町から人々が来て主を求めた。 + そこでヨシャパテは主の宮の新しい庭の前で、ユダとエルサレムの会衆の中に立って、 + 言った、「われわれの先祖の神、主よ、あなたは天にいます神ではありませんか。異邦人のすべての国を治められるではありませんか。あなたの手には力があり、勢いがあって、あなたに逆らいうる者はありません。 + われわれの神よ、あなたはこの国の民をあなたの民イスラエルの前から追い払って、あなたの友アブラハムの子孫に、これを永遠に与えられたではありませんか。 + 彼らはここに住み、あなたの名のためにここに聖所を建てて言いました、 + 『つるぎ、審判、疫病、ききんなどの災がわれわれに臨む時、われわれはこの宮の前に立って、あなたの前におり、その悩みの中であなたに呼ばわります。すると、あなたは聞いて助けられます。あなたの名はこの宮にあるからです』と。 + 今アンモン、モアブ、およびセイル山の人々をごらんなさい。昔イスラエルがエジプトの国から出てきた時、あなたはイスラエルに彼らを侵すことをゆるされなかったので、イスラエルは彼らを離れて、滅ぼしませんでした。 + 彼らがわれわれに報いるところをごらんください。彼らは来て、あなたがわれわれに賜わったあなたの領地からわれわれを追い払おうとしています。 + われわれの神よ、あなたは彼らをさばかれないのですか。われわれはこのように攻めて来る大軍に当る力がなく、またいかになすべきかを知りません。ただ、あなたを仰ぎ望むのみです」。 + ユダの人々はその幼な子、その妻、および子供たちと共に皆主の前に立っていた。 + その時主の霊が会衆の中でアサフの子孫であるレビびとヤハジエルに臨んだ。ヤハジエルはゼカリヤの子、ゼカリヤはベナヤの子、ベナヤはエイエルの子、エイエルはマッタニヤの子である。 + ヤハジエルは言った、「ユダの人々、エルサレムの住民、およびヨシャパテ王よ、聞きなさい。主はあなたがたにこう仰せられる、『この大軍のために恐れてはならない。おののいてはならない。これはあなたがたの戦いではなく、主の戦いだからである。 + あす、彼らの所へ攻め下りなさい。見よ、彼らはヂヅの坂から上って来る。あなたがたはエルエルの野の東、谷の端でこれに会うであろう。 + この戦いには、あなたがたは戦うに及ばない。ユダおよびエルサレムよ、あなたがたは進み出て立ち、あなたがたと共におられる主の勝利を見なさい。恐れてはならない。おののいてはならない。あす、彼らの所に攻めて行きなさい。主はあなたがたと共におられるからである』」。 + ヨシャパテは地にひれ伏した。ユダの人々およびエルサレムの民も主の前に伏して、主を拝した。 + その時コハテびとの子孫、およびコラびとの子孫であるレビびとが立ち上がり、大声をあげてイスラエルの神、主をさんびした。 + 彼らは朝早く起きてテコアの野に出て行った。その出て行くとき、ヨシャパテは立って言った、「ユダの人々およびエルサレムの民よ、わたしに聞きなさい。あなたがたの神、主を信じなさい。そうすればあなたがたは堅く立つことができる。主の預言者を信じなさい。そうすればあなたがたは成功するでしょう」。 + 彼はまた民と相談して人々を任命し、聖なる飾りを着けて軍勢の前に進ませ、主に向かって歌をうたい、かつさんびさせ、「主に感謝せよ、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と言わせた。 + そして彼らが歌をうたい、さんびし始めた時、主は伏兵を設け、かのユダに攻めてきたアンモン、モアブ、セイル山の人々に向かわせられたので、彼らは打ち敗られた。 + すなわちアンモンとモアブの人々は立ち上がって、セイル山の民に敵し、彼らを殺して全く滅ぼしたが、セイルの民を殺し尽すに及んで、彼らもおのおの互に助けて滅ぼしあった。 + ユダの人々は野の物見やぐらへ行って、かの群衆を見たが、地に倒れた死体だけであって、ひとりものがれた者はなかった。 + それでヨシャパテとその民は彼らの物を奪うために来て見ると、多数の家畜、財宝、衣服および宝石などおびただしくあったので、おのおのそれをはぎ取ったが、運びきれないほどたくさんで、かすめ取るに三日もかかった。それほど物が多かったのである。 + 四日目に彼らはベラカの谷に集まり、その所で主を祝福した。それでその所の名を今日までベラカの谷と呼んでいる。 + そしてユダとエルサレムの人々は皆ヨシャパテを先に立て、喜んでエルサレムに帰ってきた。主が彼らにその敵のことによって喜びを与えられたからである。 + すなわち彼らは立琴、琴およびラッパをもってエルサレムの主の宮に来た。 + そしてもろもろの国の民は主がイスラエルの敵と戦われたことを聞いて神を恐れた。 + こうして神が四方に安息を賜わったので、ヨシャパテの国は穏やかであった。 + このようにヨシャパテはユダを治めた。彼は三十五歳の時、王となり、二十五年の間エルサレムで世を治めた。彼の母の名はアズバといってシルヒの娘である。 + ヨシャパテは父アサの道を歩んでそれを離れず、主の目に正しいと見られることを行った。 + しかし高き所は除かず、また民はその先祖の神に心を傾けなかった。 + ヨシャパテのその他の始終の行為は、ハナニの子エヒウの書にしるされ、イスラエルの列王の書に載せられてある。 + この後ユダの王ヨシャパテはイスラエルの王アハジヤと相結んだ。アハジヤは悪を行った。 + ヨシャパテはタルシシへ行く船を造るためにアハジヤと相結び、エジオン・ゲベルで一緒に船数隻を造った。 + その時マレシャのドダワの子エリエゼルはヨシャパテに向かって預言し、「あなたはアハジヤと相結んだので、主はあなたの造った物をこわされます」と言ったが、その船は難破して、タルシシへ行くことができなかった。 + + + ヨシャパテは先祖たちと共に眠り、先祖たちと共にダビデの町に葬られ、その子ヨラムが代って王となった。 + ヨシャパテの子であるその兄弟たちはアザリヤ、エヒエル、ゼカリヤ、アザリヤ、ミカエルおよびシパテヤで、皆ユダの王ヨシャパテの子たちであった。 + その父は彼らに金、銀、宝物の賜物を多く与え、またユダの要害の町々を与えたが、ヨラムは長子なので、国はヨラムに与えた。 + ヨラムはその父の位に登って強くなった時、その兄弟たちをことごとくつるぎにかけて殺し、またユダのつかさたち数人を殺した。 + ヨラムは位についた時三十二歳で、エルサレムで八年の間世を治めた。 + 彼はアハブの家がしたようにイスラエルの王たちの道に歩んだ。アハブの娘を妻としたからである。このように彼は主の目の前に悪をおこなったが、 + 主はさきにダビデと結ばれた契約のゆえに、また彼とその子孫とにながく、ともしびを与えると約束されたことによって、ダビデの家を滅ぼすことを好まれなかった。 + ヨラムの世にエドムがそむいて、ユダの支配を脱し、みずから王を立てたので、 + ヨラムはその将校たち、およびすべての戦車を従えて渡って行き、夜のうちに立ち上がって、自分を包囲しているエドムびととその戦車の隊長たちを撃った。 + エドムはこのようにそむいてユダの支配を脱し、今日に至っている。そのころリブナもまたそむいてユダの支配を脱した。ヨラムが先祖たちの神、主を捨てたからである。 + 彼はまたユダの山地に高き所を造って、エルサレムの民に姦淫を行わせ、ユダを惑わした。 + その時預言者エリヤから次のような一通の手紙がヨラムのもとに来た、「あなたの先祖ダビデの神、主はこう仰せられる、『あなたは父ヨシャパテの道に歩まず、またユダの王アサの道に歩まないで、 + イスラエルの王たちの道に歩み、ユダとエルサレムの民に、かのアハブの家がイスラエルに姦淫を行わせたように、姦淫を行わせ、またあなたの父の家の者で、あなたにまさっているあなたの兄弟たちを殺したゆえ、 + 主は大いなる災をもってあなたの民と子供と妻たちと、すべての所有を撃たれる。 + あなたはまた内臓の病気にかかって大病になり、それが日に日に重くなって、ついに内臓が出るようになる』」。 + その時、主はヨラムに対してエチオピヤびとの近くに住んでいるペリシテびととアラビヤびとの霊を振り起されたので、 + 彼らはユダに攻め上って、これを侵し、王の家にある貨財をことごとく奪い去り、またヨラムの子供と妻たちをも奪い去ったので、末の子エホアハズのほかには、ひとりも残った者がなかった。 + このもろもろの事の後、主は彼を撃って内臓にいえがたい病気を起させられた。 + 時がたって、二年の終りになり、その内臓が病気のために出て、重い病苦によって死んだ。民は彼の先祖のために香をたいたように、彼のために香をたかなかった。 + ヨラムはその位についた時三十二歳で、八年の間エルサレムで世を治め、ついに死んだ。ひとりも彼を惜しむ者がなかった。人々は彼をダビデの町に葬ったが、王たちの墓にではなかった。 + + + エルサレムの民はヨラムの末の子アハジヤを彼の代りに王とした。かつてアラビヤびとと一緒に陣営に攻めてきた一隊の者が上の子たちをことごとく殺したので、ユダの王ヨラムの子アハジヤが王となったのである。 + アハジヤは王となった時四十二歳で、エルサレムで一年の間世を治めた。その母はオムリの娘で名をアタリヤといった。 + アハジヤもまたアハブの家の道に歩んだ。その母が彼の相談相手となって悪を行わせたからである。 + 彼はまたアハブの家がしたように主の目の前に悪を行った。すなわちその父が死んだ後、アハブの家の者がその相談役となったので、彼はついに自分を滅ぼすに至った。 + アハジヤはまた彼らの勧めに従って、イスラエルの王アハブの子ヨラムと共にラモテ・ギレアデへ行き、スリヤの王ハザエルと戦ったが、スリヤびとはヨラムに傷を負わせた。 + そこでヨラムはスリヤの王ハザエルと戦った時、ラマで負ったその傷をいやすためにエズレルに帰った。ユダの王ヨラムの子アハジヤはアハブの子ヨラムが病気なのでエズレルに下ってこれを見舞った。 + アハジヤがヨラムを見舞に行ったことによって滅びに至ったのは神によって定められたことである。すなわち彼がそこに着いた時、ヨラムと一緒に出て、ニムシの子エヒウを迎えた。エヒウは主がアハブの家を断ち滅ぼすために油を注がれた者である。 + エヒウはアハブの家を罰するにあたって、ユダのつかさたち、およびアハジヤの兄弟たちの子らがアハジヤに仕えているのを見たので、彼らをも殺した。 + アハジヤはサマリヤに隠れていたが、エヒウが彼を捜し求めたので、人々は彼を捕え、エヒウのもとに引いてきて、彼を殺した。ただし「彼は心をつくして主を求めたヨシャパテの子である」と人々は言ったのでこれを葬った。こうしてアハジヤの家には国を統べ治めうる者がなくなった。 + アハジヤの母アタリヤは自分の子の死んだのを見て、立ってユダの家の王子をことごとく滅ぼしたが、 + 王の娘エホシバはアハジヤの子ヨアシを王の子たちの殺される者のうちから盗み取り、彼とそのうばを寝室においた。こうしてエホシバがヨアシをアタリヤから隠したので、アタリヤはヨアシを殺さなかった。エホシバはヨラム王の娘、またアハジヤの妹で、祭司エホヤダの妻である。 + こうしてヨアシは神の宮に隠れて彼らと共におること六年、その間アタリヤが国を治めた。 + + + 第七年になって、エホヤダは勇気をだしてエロハムの子アザリヤ、ヨハナンの子イシマエル、オベデの子アザリヤ、アダヤの子マアセヤ、ジクリの子エリシャパテなどの百人の長たちを招いて契約を結ばせた。 + そこで彼らはユダを行きめぐって、ユダのすべての町からレビびとを集め、またイスラエルの氏族の長たちを集めて、エルサレムに来た。 + そしてその会衆は皆神の宮で王と契約を結んだ。その時エホヤダは彼らに言った、「主がダビデの子孫のことについて言われたように、王の子が位につくべきです。 + あなたがたのなすべき事はこれです。すなわちあなたがた祭司およびレビびとの安息日にはいって来る者の、三分の一は門を守る者となり、 + 三分の一は王の家におり、三分の一は礎の門におり、民は皆、主の宮の庭にいなさい。 + 祭司と、勤めをするレビびとのほかは、だれも主の宮に、はいってはならない。彼らは聖なる者であるから、はいることができる。民は皆、主の命令を守らなければならない。 + レビびとはめいめい手に武器をとって王のまわりに立たなければならない。宮にはいる者をすべて殺しなさい。あなたがたは王がはいる時にも出る時にも、王と共にいなさい」。 + そこでレビびとおよびユダの人々は、祭司エホヤダがすべて命じたように行い、めいめいその組の者で、安息日にはいって来るべき者と、安息日に出て行くべき者を率いていた。祭司エホヤダが組の者を去らせなかったからである。 + また祭司エホヤダは、神の宮にあるダビデ王のやりおよび大盾、小盾を百人の長たちに渡し、 + また王を守るために、すべての民にめいめい手に武器をとらせ、宮の南側から北側にわたって、祭壇と宮に沿って立たせた。 + こうして王の子を連れ出して、これに冠をいただかせ、あかしの書を渡して王となし、エホヤダおよびその子たちが彼に油を注いだ。そして「王万歳」と言った。 + アタリヤは民の走りながら王をほめる声を聞いたので、主の宮に入り、民の所へ行って、 + 見ると、王は入口で柱のかたわらに立ち、王のかたわらには将軍たちとラッパ手が立っており、また国の民は皆喜んでラッパを吹き、歌をうたう者は楽器をもってさんびしていたので、アタリヤは衣を裂いて「反逆だ、反逆だ」と叫んだ。 + その時エホヤダは軍勢を統率する百人の長たちを呼び出し、「列の間から彼女を連れ出せ、彼女に従う者をつるぎで殺せ」と言った。祭司が彼女を主の宮で殺してはならないと言ったからである。 + そこで人々は彼女に手をかけ、王の家の馬の門の入口まで連れて行き、その所で彼女を殺した。 + エホヤダは自分とすべての民と王との間に、彼らは皆、主の民となるとの契約を結んだ。 + そこですべての民はバアルの家に行って、それをこわし、その祭壇とその像とを打ち砕き、バアルの祭司マッタンを祭壇の前で殺した。 + エホヤダはまた主の宮の守衛を、祭司とレビびとの指揮のもとに置いた。このレビびとは昔ダビデがモーセの律法にしるされているように、喜びと歌とをもって主に燔祭をささげるために、主の宮に配置したものであって、今そのダビデの例にならったものである。 + 彼はまた主の宮のもろもろの門に門衛を置き、汚れた者は何によって汚れた者でも、はいらせないようにした。 + こうしてエホヤダは百人の長たち、貴族たち、民のつかさたちおよび国のすべての民を率いて、主の宮から王を連れ下り、上の門から王の家に進み、王を国の位につかせた。 + 国の民は皆喜んだ。町はアタリヤがつるぎで殺された後、穏やかであった。 + + + ヨアシは位についた時七歳で、エルサレムで四十年の間、世を治めた。彼の母はベエルシバから出た者で名をヂビアといった。 + ヨアシは祭司エホヤダの世にある日の間は常に主の良しと見られることを行った。 + エホヤダは彼のためにふたりの妻をめとり、彼に男子と女子が生れた。 + この後ヨアシは主の宮を修繕しようと志して、 + 祭司とレビびとを集めて言った、「ユダの町々へ行って、あなたがたの神の宮を年々修繕する資金をすべてのイスラエルびとから集めなさい。その事を急いでしなさい」。ところがレビびとはこれを急いでしなかった。 + それで王はかしらであるエホヤダを召して言った、「あなたはなぜレビびとに求めて、主のしもべモーセがあかしの幕屋のためにイスラエルの会衆に課した税金をユダとエルサレムから取り立てさせないのか」。 + かの悪い女アタリヤの子らが神の宮に侵入して主の宮のもろもろの奉納物をとり、バアルのために用いたからである。 + そこで王は命じて一個の箱を造らせ、これを主の宮の門の外に置き、 + ユダとエルサレムにふれて、神のしもべモーセが荒野でイスラエルに課した税金を主のために持ってこさせた。 + すべてのつかさたちおよびすべての民は皆喜んでその税金を持って来て、その箱に投げ入れたので、ついに箱はいっぱいになった。 + レビびとはその箱に金が多くあるのを見て、王の役人の所へ持って行くと、王の書記と祭司長の下役とが来て、その箱を傾け、これを取ってもとの所に返した。彼らは日々このようにして金をおびただしく集めた。 + 王とエホヤダはこれを主の宮の工事をなす者に渡し、石工および木工を雇って、主の宮を修繕させ、また鉄工および青銅工を雇って、主の宮を修復させた。 + 工人たちは働いたので、修復の工事は彼らの手によってはかどり、神の宮を、もとの状態に復し、これを堅固にした。 + それをなし終ったとき、余った金を王とエホヤダの前に持って来たので、それをもって主の宮のために器物を造った。すなわち勤めの器、燔祭の器、香の皿、および金銀の器を造った。エホヤダの世にある日の間は、絶えず主の宮で燔祭をささげた。 + しかしエホヤダは年老い、日が満ちて死んだ。その死んだ時は百三十歳であった。 + 人々は彼をダビデの町で王たちの中に葬った。彼はイスラエルにおいて神とその宮とに良い事を行ったからである。 + エホヤダの死んだ後、ユダのつかさたちが来て、うやうやしく王に敬意を表した。王は彼らに聞き従った。 + 彼らはその先祖の神、主の宮を捨てて、アシラ像および偶像に仕えたので、そのとがのために、怒りがユダとエルサレムに臨んだ。 + 主は彼らをご自分に引き返そうとして、預言者たちをつかわし、彼らにむかってあかしをさせられたが、耳を傾けなかった。 + そこで神の霊が祭司エホヤダの子ゼカリヤに臨んだので、彼は民の前に立ち上がって言った、「神はこう仰せられる、『あなたがたが主の戒めを犯して、災を招くのはどういうわけであるか。あなたがたが主を捨てたために、主もあなたがたを捨てられたのである』」。 + しかし人々は彼を害しようと計り、王の命によって、石をもって彼を主の宮の庭で撃ち殺した。 + このようにヨアシ王はゼカリヤの父エホヤダが自分に施した恵みを思わず、その子を殺した。ゼカリヤは死ぬ時、「どうぞ主がこれをみそなわして罰せられるように」と言った。 + 年の終りになって、スリヤの軍勢はヨアシにむかって攻め上り、ユダとエルサレムに来て、民のつかさたちをことごとく民のうちから滅ぼし、そのぶんどり物を皆ダマスコの王に送った。 + この時スリヤの軍勢は少数で来たのであるが、主は大軍を彼らの手に渡された。これは彼らがその先祖の神、主を捨てたためである。このように彼らはヨアシを罰した。 + スリヤ軍はヨアシに大傷を負わせて捨て去ったが、ヨアシの家来たちは祭司エホヤダの子の血のために、党を結んで彼にそむき、彼を床の上に殺して、死なせた。人々は彼をダビデの町に葬ったが、王の墓には葬らなかった。 + 党を結んで彼にそむいた者は、アンモンの女シメアテの子ザバデおよびモアブの女シムリテの子ヨザバデであった。 + ヨアシの子らのこと、ヨアシに対する多くの預言および神の宮の修理の事などは、列王の書の注釈にしるされている。ヨアシの子アマジヤが彼に代って王となった。 + + + アマジヤは王となった時二十五歳で、二十九年の間エルサレムで世を治めた。その母はエルサレムの者で、名をエホアダンといった。 + アマジヤは主の良しと見られることを行ったが、全き心をもってではなかった。 + 彼は、国が彼の手のうちに強くなったとき、父ヨアシ王を殺害した家来たちを殺した。 + しかしその子供たちは殺さなかった。これはモーセの律法の書にしるされている所に従ったのであって、そこに主は命じて、「父は子のゆえに殺されるべきではない。子は父のゆえに殺されるべきではない。おのおの自分の罪のゆえに殺されるべきである」と言われている。 + アマジヤはユダの人々を集め、その氏族に従って、千人の長に付属させ、または百人の長に付属させた。ユダとベニヤミンのすべてに行った。そして二十歳以上の者を数えたところ、やりと盾をとって戦いに臨みうる精兵三十万人を得た。 + 彼はまた銀百タラントをもってイスラエルから大勇士十万人を雇った。 + その時、神の人が彼の所に来て言った、「王よ、イスラエルの軍勢をあなたと共に行かせてはいけません。主はイスラエルびと、すなわちエフライムのすべての人々とは共におられないからです。 + もしあなたがこのような方法で戦いに強くなろうと思うならば、神はあなたを敵の前に倒されるでしょう。神には助ける力があり、また倒す力があるからです」。 + アマジヤは神の人に言った、「それではわたしがイスラエルの軍隊に与えた百タラントをどうしましょうか」。神の人は答えた、「主はそれよりも多いものをあなたにお与えになることができます」。 + そこでアマジヤはエフライムから来て自分に加わった軍隊を分離して帰らせたので、彼らはユダに対して激しい怒りを発し、火のように怒って自分の所に帰った。 + しかしアマジヤは勇気を出し、その民を率いて塩の谷へ行き、セイルびと一万人を撃ち殺した。 + またユダの人々はこのほかに一万人をいけどり、岩の頂に引いて行って岩の頂から彼らを投げ落したので、皆こなごなに砕けた。 + ところがアマジヤが自分と共に戦いに行かせないで帰してやった兵卒らが、サマリヤからベテホロンまでの、ユダの町々を襲って三千人を殺し、多くの物を奪い取った。 + アマジヤはエドムびとを殺して帰った時、セイルびとの神々を携えてきて、これを安置して自分の神とし、これを礼拝し、これにささげ物をなした。 + それゆえ、主はアマジヤに向かって怒りを発し、預言者を彼につかわして言わせられた、「かの民の神々は自分の民をあなたの手から救うことができなかったのに、あなたはどうしてそれを求めたのか」。 + 彼がこう王に語ると、王は彼に、「われわれはあなたを王の顧問にしたのですか。やめなさい。あなたはどうして殺されようとするのですか」と言ったので、預言者はやめて言った、「あなたはこの事を行って、わたしのいさめを聞きいれないゆえ、神はあなたを滅ぼそうと定められたことをわたしは知っています」。 + そこでユダの王アマジヤは協議の結果、人をエヒウの子エホアハズの子であるイスラエルの王ヨアシにつかわし、「さあ、われわれは互に顔をあわせよう」と言わせたところ、 + イスラエルの王ヨアシはユダの王アマジヤに言い送った、「レバノンのいばらが、かつてレバノンの香柏に、『あなたの娘をわたしのむすこの妻に与えよ』と言い送ったところが、レバノンの野獣が通りかかって、そのいばらを踏み倒した。 + あなたは『見よ、わたしはエドムを撃ち破った』と言って心に誇り高ぶっている。しかしあなたは自分の家にとどまっていなさい。どうしてあなたは災を引き起して、自分もユダも共に滅びようとするのか」。 + しかしアマジヤは聞きいれなかった。これは神から出たのであって、彼らがエドムの神々を求めたので神は彼らを敵の手に渡されるためである。 + そこでイスラエルの王ヨアシは上って来て、ユダのベテシメシでユダの王アマジヤと顔を合わせたが、 + ユダはイスラエルに撃ち破られ、おのおのその天幕に逃げ帰った。 + その時イスラエルの王ヨアシはエホアハズの子ヨアシの子であるユダの王アマジヤをベテシメシで捕えて、エルサレムに引いて行き、エルサレムの城壁をエフライム門から、隅の門まで四百キュビトほどをこわし、 + また神の宮のうちで、オベデエドムが守っていたすべての金銀およびもろもろの器物ならびに王の家の財宝を奪い、また人質をとって、サマリヤに帰った。 + ユダの王ヨアシの子アマジヤはイスラエルの王エホアハズの子ヨアシが死んで後なお十五年生きながらえた。 + アマジヤのその他の始終の行為は、ユダとイスラエルの列王の書にしるされているではないか。 + アマジヤがそむいて、主に従わなくなった時から、人々はエルサレムにおいて党を結び、彼に敵したので、彼はラキシに逃げて行ったが、その人々はラキシに人をやって、彼をその所で殺させた。 + 人々はこれを馬に負わせて持ってきて、ユダの町でその先祖たちと共にこれを葬った。 + + + そこでユダの民は皆ウジヤをとって王となし、その父アマジヤに代らせた。時に十六歳であった。 + 彼はエラテを建てて、これをふたたびユダのものにした。これはかの王がその先祖たちと共に眠った後であった。 + ウジヤは王となった時十六歳で、エルサレムで五十二年の間世を治めた。その母はエルサレムの者で名をエコリヤといった。 + ウジヤは父アマジヤがしたように、すべて主の良しと見られることを行った。 + 彼は神を恐れることを自分に教えたゼカリヤの世にある日の間、神を求めることに努めた。彼が主を求めた間、神は彼を栄えさせられた。 + 彼は出てペリシテびとと戦い、ガテの城壁、ヤブネの城壁およびアシドドの城壁をくずし、アシドドの地とペリシテびとのなかに町を建てた。 + 神は彼を助けてペリシテびとと、グルバアルに住むアラビヤびとおよびメウニびとを攻め撃たせられた。 + アンモンびとはウジヤにみつぎを納めた。ウジヤは非常に強くなったので、その名はエジプトの入口までも広まった。 + ウジヤはまたエルサレムの隅の門、谷の門および城壁の曲りかどにやぐらを建てて、これを堅固にした。 + 彼はまた荒野にやぐらを建て、また多くの水ためを掘った。彼は平野にも平地にもたくさんの家畜をもっていたからである。彼はまた農事を好んだので、山々および肥えた畑には農夫とぶどうをつくる者をもっていた。 + ウジヤはまたよく戦う一軍団を持っていた。彼らは書記エイエルと、つかさマアセヤによって調べた数に従って組々に分れ、皆王の軍長のひとりハナニヤの指揮下にあった。 + その氏族の長である大勇士の数は合わせて二千六百人であった。 + その指揮下にある軍勢は三十万七千五百人で、皆大いなる力をもって戦い、王を助けて敵に当った。 + ウジヤはその全軍のために盾、やり、かぶと、よろい、弓および石投げの石を備えた。 + 彼はまたエルサレムで技術者の考案した機械を造って、これをやぐらおよび城壁のすみずみにすえ、これをもって矢および大石を射出した。こうして彼の名声は遠くまで広まった。彼が驚くほど神の助けを得て強くなったからである。 + ところが彼は強くなるに及んで、その心に高ぶり、ついに自分を滅ぼすに至った。すなわち彼はその神、主にむかって罪を犯し、主の宮にはいって香の祭壇の上に香をたこうとした。 + その時、祭司アザリヤは主の祭司である勇士八十人を率いて、彼のあとに従ってはいり、 + ウジヤ王を引き止めて言った、「ウジヤよ、主に香をたくことはあなたのなすべきことではなく、ただアロンの子孫で、香をたくために清められた祭司たちのすることです。すぐ聖所から出なさい。あなたは罪を犯しました。あなたは主なる神から栄えを得ることはできません」。 + するとウジヤは怒りを発し、香炉を手にとって香をたこうとしたが、彼が祭司に向かって怒りを発している間に、らい病がその額に起った。時に彼は主の宮で祭司たちの前、香の祭壇のかたわらにいた。 + 祭司の長アザリヤおよびすべての祭司たちが彼を見ると、彼の額にらい病が生じていたので、急いで彼をそこから追い出した。彼自身もまた主に撃たれたことを知って、急いで出て行った。 + ウジヤ王は、死ぬ日までらい病人であった。彼はらい病人であったので、離れ殿に住んだ。主の宮から断たれたからである。その子ヨタムが王の家をつかさどり、国の民を治めた。 + ウジヤのその他の始終の行為は、アモツの子預言者イザヤがこれを書きしるした。 + ウジヤは先祖たちと共に眠ったので、人々は「彼はらい病人である」と言って、王たちの墓に連なる墓地に、その先祖たちと共に葬った。その子ヨタムが彼に代って王となった。 + + + ヨタムは王となった時二十五歳で、十六年の間エルサレムで世を治めた。その母はザドクの娘で名をエルシャといった。 + ヨタムはその父ウジヤがしたように主の良しと見られることをした。しかし主の宮には、はいらなかった。民はなお悪を行った。 + 彼は主の宮の上の門を建て、オペルの石がきを多く築き増し、 + またユダの山地に数個の町を建て、林の間に城とやぐらを築いた。 + 彼はアンモンびとの王と戦ってこれに勝った。その年アンモンの人々は銀百タラント、小麦一万コル、大麦一万コルを彼に贈った。アンモンの人々は第二年にも第三年にも同じように彼に納めた。 + ヨタムはその神、主の前にその行いを堅くしたので力ある者となった。 + ヨタムのその他の行為、そのすべての戦いおよびその行いなどは、イスラエルとユダの列王の書にしるされている。 + 彼は王となった時、二十五歳で、十六年の間エルサレムで世を治めた。 + ヨタムはその先祖と共に眠ったので、ダビデの町に葬られ、その子アハズが彼に代って王となった。 + + + アハズは王となった時二十歳で、十六年の間エルサレムで世を治めたが、その父ダビデとは違って、主の良しと見られることを行わず、 + イスラエルの王たちの道に歩み、またもろもろのバアルのために鋳た像を造り、 + ベンヒンノムの谷で香をたき、その子らを火に焼いて供え物とするなど、主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人の憎むべき行いにならい、 + また高き所の上、丘の上、すべての青木の下で犠牲をささげ、香をたいた。 + それゆえ、その神、主は彼をスリヤの王の手に渡されたので、スリヤびとは彼を撃ち破り、その民を多く捕虜として、ダマスコに引いて行った。彼はまたイスラエルの王の手にも渡されたので、イスラエルの王も彼を撃ち破って大いに殺した。 + すなわちレマリヤの子ペカはユダで一日のうちに十二万人を殺した。皆勇士であった。これは彼らがその先祖の神、主を捨てたためである。 + その時、エフライムの勇士ジクリという者が王の子マアセヤ、宮内大臣アズリカムおよび王に次ぐ人エルカナを殺した。 + イスラエルの人々はついにその兄弟のうちから婦人ならびに男子、女子など二十万人を捕虜にし、また多くのぶんどり物をとり、そのぶんどり物をサマリヤに持って行った。 + その時そこに名をオデデという主の預言者があって、サマリヤに帰って来た軍勢の前に進み出て言った、「見よ、あなたがたの先祖の神、主はユダを怒って、これをあなたがたの手に渡されたが、あなたがたは天に達するほどの怒りをもってこれを殺した。 + そればかりでなく、あなたがたは今、ユダとエルサレムの人々を従わせて、自分の男女の奴隷にしようと思っている。しかしあなたがた自身もまた、あなたがたの神、主に罪を犯しているではないか。 + いまわたしに聞き、あなたがたがその兄弟のうちから捕えて来た捕虜を放ち帰らせなさい。主の激しい怒りがあなたがたの上に臨んでいるからです」。 + そこでエフライムびとのおもなる人々、すなわちヨハナンの子アザリヤ、メシレモテの子ベレキヤ、シャルムの子ヒゼキヤ、ハデライの子アマサらもまた、戦争から帰った者どもに向かって立ちあがり、 + 彼らに言った、「捕虜をここに引き入れてはならない。あなたがたはわたしどもに主に対するとがを得させて、さらにわれわれの罪とがを増し加えようとしている。われわれのとがは大きく、激しい怒りがイスラエルの上に臨んでいるからです」。 + そこで兵卒どもがその捕虜とぶんどり物をつかさたちと全会衆の前に捨てておいたので、 + 前に名をあげた人々が立って捕虜を受け取り、ぶんどり物のうちから衣服をとって、裸の者に着せ、また、くつをはかせ、食い飲みさせ、油を注ぎなどし、その弱い者を皆ろばに乗せ、こうして彼らをしゅろの町エリコに連れて行って、その兄弟たちに渡し、そしてサマリヤに帰って来た。 + その時アハズ王は人をアッスリヤの王につかわして助けを求めさせた。 + エドムびとが再び侵入してユダを撃ち、民を捕え去ったからである。 + ペリシテびともまた平野の町々およびユダのネゲブの町々を侵して、ベテシメシ、アヤロン、ゲデロテおよびソコとその村里、テムナとその村里、ギムゾとその村里を取って、そこに住んだ。 + これはイスラエルの王アハズのゆえに、主がユダを低くされたのであって、彼がユダのうちにみだらなことを行い、主に向かって大いに罪を犯したからである。 + アッスリヤの王テルガデ・ピルネセルは彼の所に来たが、彼に力を添えないで、かえって彼を悩ました。 + アハズは主の宮と王の家、およびつかさたちの家の物を取ってアッスリヤの王に与えたが、それはアハズの助けにはならなかった。 + このアハズ王はその悩みの時にあたって、ますます主に罪を犯した。 + すなわち、彼は自分を撃ったダマスコの神々に、犠牲をささげて言った、「スリヤの王たちの神々はその王たちを助けるから、わたしもそれに犠牲をささげよう。そうすれば彼らはわたしを助けるであろう」と。しかし、彼らはかえってアハズとイスラエル全国とを倒す者となった。 + アハズは神の宮の器物を集めて、神の宮の器物を切り破り、主の宮の戸を閉じ、エルサレムのすべてのすみずみに祭壇を造り、 + ユダのすべての町々に高き所を造って、他の神々に香をたきなどして、先祖の神、主の怒りを引き起した。 + アハズのその他の始終の行為およびそのすべての行動は、ユダとイスラエルの列王の書にしるされている。 + アハズはその先祖たちと共に眠ったので、エルサレムの町にこれを葬った。しかし、イスラエルの王たちの墓には持って行かなかった。その子ヒゼキヤが彼に代って王となった。 + + + ヒゼキヤは王となった時二十五歳で、二十九年の間エルサレムで世を治めた。その母はアビヤと言って、ゼカリヤの娘である。 + ヒゼキヤは父ダビデがすべてなしたように主の良しと見られることをした。 + 彼はその治世の第一年の一月に主の宮の戸を開き、かつこれを繕った。 + 彼は祭司とレビびとを連れていって、東の広場に集め、 + 彼らに言った、「レビびとよ、聞きなさい。あなたがたは今、身を清めて、あなたがたの先祖の神、主の宮を清め、聖所から汚れを除き去りなさい。 + われわれの先祖は罪を犯し、われわれの神、主の悪と見られることを行って、主を捨て、主のすまいに顔をそむけ、うしろを向けた。 + また廊の戸を閉じ、ともしびを消し、聖所でイスラエルの神に香をたかず、燔祭をささげなかった。 + それゆえ、主の怒りはユダとエルサレムに臨み、あなたがたが目に見るように、主は彼らを恐れと驚きと物笑いにされた。 + 見よ、われわれの父たちはつるぎにたおれ、われわれのむすこたち、むすめたち、妻たちはこれがために捕虜となった。 + 今わたしは、イスラエルの神、主と契約を結ぶ志をもっている。そうすればその激しい怒りは、われわれを離れるであろう。 + わが子らよ、今は怠ってはならない。主はあなたがたを選んで、主の前に立って仕えさせ、ご自分に仕える者となし、また香をたく者とされたからである」。 + そこでレビびとは立ち上がった。すなわちコハテびとの子孫のうちでは、アマサイの子マハテおよびアザリヤの子ヨエル。メラリの子孫では、アブデの子キシおよびエハレレルの子アザリヤ。ゲルションびとのうちでは、ジンマの子ヨアおよびヨアの子エデン。 + エリザパンの子孫のうちでは、シムリとエイエル。アサフの子孫のうちでは、ゼカリヤとマッタニヤ。 + ヘマンの子孫のうちでは、エヒエルとシメイ。エドトンの子孫のうちでは、シマヤとウジエルである。 + 彼らはその兄弟たちを集めて身を清め、主の言葉による王の命令に従って、主の宮を清めるためにはいって来た。 + 祭司たちが主の宮の奥にはいってこれを清め、主の宮にあった汚れた物をことごとく主の宮の庭に運び出すと、レビびとはそれを受けて外に出し、キデロン川に持って行った。 + 彼らは正月の元日に清めることを始めて、その月の八日に主の宮の廊に達した。それから主の宮を清めるのに八日を費し、正月の十六日にこれを終った。 + そこで彼らはヒゼキヤ王の所へ行って言った、「われわれは主の宮をことごとく清め、また燔祭の壇とそのすべての器物、および供えのパンの机とそのすべての器物とを清めました。 + またアハズ王がその治世に罪を犯して捨てたすべての器物をも整えて清めました。それらは主の祭壇の前にあります」。 + そこでヒゼキヤ王は朝早く起きいで、町のつかさたちを集めて、主の宮に上って行き、 + 雄牛七頭、雄羊七頭、小羊七頭、雄やぎ七頭を引いてこさせ、国と聖所とユダのためにこれを罪祭とし、アロンの子孫である祭司たちに命じてこれを主の祭壇の上にささげさせた。 + すなわち、雄牛をほふると、祭司たちはその血を受けて祭壇にふりかけ、また雄羊をほふると、その血を祭壇にふりかけ、また小羊をほふると、その血を祭壇にふりかけた。 + そして罪祭の雄やぎを王と会衆の前に引いて来たので、彼らはその上に手を置いた。 + そして祭司たちはこれをほふり、その血を罪祭として祭壇の上にささげてイスラエル全国のためにあがないをした。これは王がイスラエル全国のために燔祭および罪祭をささげることを命じたためである。 + 王はまたレビびとを主の宮に置き、ダビデおよび王の先見者ガドと預言者ナタンの命令に従って、これにシンバル、立琴および琴をとらせた。これは主がその預言者によって命じられたところである。 + こうしてレビびとはダビデの楽器をとり、祭司はラッパをとって立った。 + そこでヒゼキヤは燔祭を祭壇の上にささげることを命じた。燔祭をささげ始めた時、主の歌をうたい、ラッパを吹き、イスラエルの王ダビデの楽器をならし始めた。 + そして会衆は皆礼拝し、歌うたう者は歌をうたい、ラッパ手はラッパを吹き鳴らし、燔祭が終るまですべてこのようであったが、 + ささげる事が終ると、王および彼と共にいた者はみな身をかがめて礼拝した。 + またヒゼキヤ王およびつかさたちはレビびとに命じて、ダビデと先見者アサフの言葉をもって主をさんびさせた。彼らは喜んでさんびし、頭をさげて礼拝した。 + その時、ヒゼキヤは言った、「あなたがたはすでに主に仕えるために身を清めたのであるから、進みよって、主の宮に犠牲と感謝の供え物を携えて来なさい」と。そこで会衆は犠牲と感謝の供え物を携えて来た。また志ある者は皆燔祭を携えて来た。 + 会衆の携えて来た燔祭の数は雄牛七十頭、雄羊百頭、小羊二百頭、これらは皆主に燔祭としてささげるものであった。 + また奉納物は牛六百頭、小羊三千頭であった。 + ところが祭司が少なくてその燔祭の物の皮を、はぎつくすことができなかったので、その兄弟であるレビびとがこれを助けて、そのわざをなし終え、その間に他の祭司たちは身を清めた。これはレビびとが祭司たちよりも、身を清めることに、きちょうめんであったからである。 + このほかおびただしい燔祭があり、また、酬恩祭の脂肪および燔祭の灌祭もあった。こうして、主の宮の勤めは回復された。 + この事は、にわかになされたけれども、神がこのように民のために備えをされたので、ヒゼキヤおよびすべての民は喜んだ。 + + + ヒゼキヤはイスラエルとユダにあまねく人をつかわし、また手紙をエフライムとマナセに書き送り、エルサレムにある主の宮に来て、イスラエルの神、主に過越の祭を行うように勧めた。 + 王はすでにつかさたちおよびエルサレムにおる全会衆に計って、二月に過越の祭を行うことを定めた。 + ――これは身を清めた祭司の数が足らず、民もまた、エルサレムに集まらなかったので、正月にこれを行うことができなかったからである―― + この事が、王にも全会衆にも良かったので、 + この事を定めて、ベエルシバからダンまでイスラエルにあまねくふれ示し、エルサレムに来て、イスラエルの神、主に過越の祭を行うことを勧めた。これはしるされているように、これを行う者が多くなかったゆえである。 + そこで飛脚たちは、王とそのつかさたちから受けた手紙をもって、イスラエルとユダをあまねく行き巡り、王の命を伝えて言った、「イスラエルの人々よ、あなたがたはアブラハム、イサク、イスラエルの神、主に立ち返りなさい。そうすれば主は、アッスリヤの王たちの手からのがれた残りのあなたがたに、帰られるでしょう。 + あなたがたの父たちおよび兄弟たちのようになってはならない。彼らはその先祖たちの神、主にむかって罪を犯したので、あなたがたの見るように主は彼らを滅びに渡されたのです。 + あなたがたの父たちのように強情にならないで、主に帰服し、主がとこしえに聖別された聖所に入り、あなたがたの神、主に仕えなさい。そうすれば、その激しい怒りがあなたがたを離れるでしょう。 + もしあなたがたが主に立ち返るならば、あなたがたの兄弟および子供は、これを捕えていった者の前にあわれみを得て、この国に帰ることができるでしょう。あなたがたの神、主は恵みあり、あわれみある方であられるゆえ、あなたがたが彼に立ち返るならば、顔をあなたがたにそむけられることはありません」。 + このように飛脚たちは、エフライムとマナセの国にはいって、町から町に行き巡り、ついに、ゼブルンまで行ったが、人々はこれをあざけり笑った。 + ただしアセル、マナセ、ゼブルンのうちには身を低くして、エルサレムにきた人々もあった。 + またユダにおいては神の手が人々に一つ心を与えて、王とつかさたちが主の言葉によって命じたことを行わせた。 + こうして二月になって、多くの民は、種入れぬパンの祭を行うためエルサレムに集まったが、非常に大きな会衆であった。 + 彼らは立ってエルサレムにあるもろもろの祭壇を取り除き、またすべての香をたく祭壇を取り除いてキデロン川に投げすて、 + 二月の十四日に過越の小羊をほふった。そこで祭司たちおよびレビびとはみずから恥じ、身を清めて主の宮に燔祭を携えて来た。 + 彼らは神の人モーセの律法に従い、いつものようにその所に立ち、祭司たちは、レビびとの手から血を受けて注いだ。 + 時に、会衆のうちにまだ身を清めていない者が多かったので、レビびとはその清くないすべての人々に代って過越の小羊をほふり、主に清めてささげた。 + 多くの民すなわちエフライム、マナセ、イッサカル、ゼブルンからきた多くの者はまだ身を清めていないのに、書きしるされたとおりにしないで過越の物を食べた。それでヒゼキヤは、彼らのために祈って言った、「恵みふかき主よ、彼らをゆるしてください。 + 彼らは聖所の清めの規定どおりにしなかったけれども、その心を傾けて神を求め、その先祖の神、主を求めたのです」。 + 主はヒゼキヤに聞いて、民をいやされた。 + そこでエルサレムに来ていたイスラエルの人々は大いなる喜びをいだいて、七日のあいだ種入れぬパンの祭を行った。またレビびとと祭司たちは日々に主をさんびし、力をつくして主をたたえた。 + そしてヒゼキヤは主の勤めによく通じているすべてのレビびとを深くねぎらった。こうして人々は酬恩祭の犠牲をささげ、その先祖の神、主に感謝して、七日のあいだ祭の供え物を食べた。 + なお全会衆は相はかって、さらに七日のあいだ祭を守ることを定め、喜びをもってまた七日のあいだ守った。 + 時にユダの王ヒゼキヤは雄牛一千頭、羊七千頭を会衆に贈り、また、つかさたちは雄牛一千頭、羊一万頭を会衆に贈った。祭司もまた多く身を清めた。 + ユダの全会衆および祭司、レビびと、ならびにイスラエルからきた全会衆、およびイスラエルの地からきた他国人と、ユダに住む他国人は皆喜んだ。 + このようにエルサレムに大いなる喜びがあった。イスラエルの王ダビデの子ソロモンの時からこのかた、このような事はエルサレムになかった。 + このとき祭司たちとレビびとは立って、民を祝福したが、その声は聞かれ、その祈は主の聖なるすみかである天に達した。 + + + この事がすべて終った時、そこにいたイスラエルびとは皆、ユダの町々に出て行って、石柱を砕き、アシラ像を切り倒し、ユダとベニヤミンの全地、およびエフライムとマナセにある高き所と祭壇とを取りこわし、ついにこれをことごとく破壊した。そしてイスラエルの人々はおのおのその町々、その所領に帰った。 + ヒゼキヤは祭司およびレビびとの班を定め、班ごとにおのおのその勤めに従って、祭司とレビびとに燔祭と酬恩祭をささげさせ、主の営の門で勤めをし、感謝をし、さんびをさせた。 + また燔祭のために自分の財産のうちから王の分を出した。すなわち朝夕の燔祭および安息日、新月、定めの祭などの燔祭のために出して、主の律法にしるされているとおりにした。 + またエルサレムに住む民に、祭司とレビびとにその分を与えることを命じた。これは彼らをして主の律法に身をゆだねさせるためである。 + その命令が伝わるやいなや、イスラエルの人々は穀物、酒、油、蜜ならびに畑のもろもろの産物の初物を多くささげ、またすべての物の十分の一をおびただしく携えて来た。 + ユダの町々に住んでいたイスラエルとユダの人々もまた牛、羊の十分の一ならびにその神、主にささげられた奉納物を携えて来て、これを積み重ねた。 + 三月にこれを積み重ねることを始め、七月にこれを終った。 + ヒゼキヤおよびつかさたちは来て、その積み重ねた物を見、主とその民イスラエルを祝福した。 + そしてヒゼキヤがその積み重ねた物について祭司およびレビびとに問い尋ねた時、 + ザドクの家から出た祭司の長アザリヤは彼に答えて言った、「民が主の宮に供え物を携えて来ることを始めてからこのかた、われわれは飽きるほど食べたが、たくさん残りました。主がその民を恵まれたからです。それでわれわれは、このように多くの残った物をもっているのです」。 + そこでヒゼキヤは主の宮のうちに室を設けることを命じたので、彼らはこれを設け、 + その供え物の十分の一および奉納物を忠実に携え入れた。これをつかさどる者のかしらはレビびとコナニヤで、その兄弟シメイは彼に次ぐ者となり、 + エヒエル、アザジヤ、ナハテ、アサヘル、エレモテ、ヨザバデ、エリエル、イスマキヤ、マハテ、ベナヤらは、ヒゼキヤ王および神の宮のつかさアザリヤの任命によって、コナニヤおよびその兄弟シメイを助けて、その監督者となった。 + 東の門を守る者レビびとイムナの子コレは、神にささげる自発のささげ物をつかさどり、主の供え物および最も聖なる物を分配した。 + 彼を助ける者はエデン、ミニヤミン、エシュア、シマヤ、アマリヤおよびシカニヤで、皆祭司の町々でその兄弟たちに、班によって、老若ひとしく忠実に分配した。 + ただしすべて登録された三歳以上の男子で主の宮に入り、その班に従って日々の職分をつくし、その受持の勤めをなす者は除かれた。 + 祭司の登録はその氏族によってなされ、二十歳以上のレビびとの登録はその班により、その受持にしたがってなされた。 + また祭司はその幼な子、その妻、そのむすこ、その娘、全会衆と共に登録した。彼らは忠実に身を聖なる事にささげたからである。 + また町々の放牧地におるアロンの子孫である祭司たちのためには、町ごとに人を名ざし選んで、祭司のうちのすべての男およびレビびとのうちの登録されたすべての者に、その分を与えさせた。 + ヒゼキヤはユダ全国にこのようにし、良い事、正しい事、忠実な事をその神、主の前に行った。 + 彼がその神を求めるために神の宮の務につき、律法につき、戒めについて始めたわざは、ことごとく心をつくして行い、これをなし遂げた。 + + + ヒゼキヤがこれらの事を忠実に行った後、アッスリヤの王セナケリブが来てユダに侵入し、堅固な町々に向かって陣を張り、これを攻め取ろうとした。 + ヒゼキヤはセナケリブが来て、エルサレムを攻めようとするのを見たので、 + そのつかさたちおよび勇士たちと相談して、町の外にある泉の水を、ふさごうとした。彼らはこれを助けた。 + 多くの民は集まって、すべての泉および国の中を流れる谷川をふさいで言った、「アッスリヤの王たちがきて、多くの水を得られるようなことをしておいていいだろうか」。 + ヒゼキヤはまた勇気を出して、破れた城壁をことごとく築き直して、その上にやぐらを建て、その外にまた城壁を巡らし、ダビデの町のミロを堅固にし、武器および盾を多く造り、 + 軍長を民の上に置き、町の門の広場に民を集めて、これを励まして言った、 + 「心を強くし、勇みたちなさい。アッスリヤの王をも、彼と共にいるすべての群衆をも恐れてはならない。おののいてはならない。われわれと共におる者は彼らと共におる者よりも大いなる者だからである。 + 彼と共におる者は肉の腕である。しかしわれわれと共におる者はわれわれの神、主であって、われわれを助け、われわれに代って戦われる」。民はユダの王ヒゼキヤの言葉に安心した。 + この後アッスリヤの王セナケリブはその全軍をもってラキシを囲んでいたが、その家来をエルサレムにつかわして、ユダの王ヒゼキヤおよびエルサレムにいるすべてのユダの人に告げさせて言った、 + 「アッスリヤの王セナケリブはこう言います、『あなたがたは何を頼んでエルサレムにこもっているのか。 + ヒゼキヤは「われわれの神、主がアッスリヤの王の手から、われわれを救ってくださる」と言って、あなたがたをそそのかし、飢えと、かわきをもって、あなたがたを死なせようとしているのではないか。 + このヒゼキヤは主のもろもろの高き所と祭壇を取り除き、ユダとエルサレムに命じて、「あなたがたはただ一つの祭壇の前で礼拝し、その上に犠牲をささげなければならない」と言った者ではないか。 + あなたがたは、わたしおよびわたしの先祖たちが、他の国々のすべての民にしたことを知らないのか。それらの国々の民の神々は、少しでもその国を、わたしの手から救い出すことができたか。 + わたしの先祖たちが滅ぼし尽したそれらの国民のもろもろの神のうち、だれか自分の民をわたしの手から救い出すことのできたものがあるか。それで、どうしてあなたがたの神が、あなたがたをわたしの手から救い出すことができよう。 + それゆえ、あなたがたはヒゼキヤに欺かれてはならない。そそのかされてはならない。また彼を信じてはならない。いずれの民、いずれの国の神もその民をわたしの手、または、わたしの先祖の手から救いだすことができなかったのだから、ましてあなたがたの神が、どうしてわたしの手からあなたがたを救いだすことができようか』」。 + セナケリブの家来は、このほかにも多く主なる神、およびそのしもべヒゼキヤをそしった。 + セナケリブはまた手紙を書き送って、イスラエルの神、主をあざけり、かつそしって言った、「諸国の民の神々が、その民をわたしの手から救い出さなかったように、ヒゼキヤの神も、その民をわたしの手から救い出さないであろう」と。 + そして彼らは大声をあげ、ユダヤの言葉をもって、城壁の上にいるエルサレムの民に向かって叫び、これをおどし、かつおびやかした。彼らは町を取るためである。 + このように彼らがエルサレムの神について語ること、人の手のわざである地上の民の神々について語るようであった。 + そこでヒゼキヤ王およびアモツの子預言者イザヤは共に祈って、天に呼ばわったので、 + 主はひとりのみ使をつかわして、アッスリヤ王の陣営にいるすべての大勇士と将官、軍長らを滅ぼされた。それで王は赤面して自分の国に帰ったが、その神の家にはいった時、その子のひとりが、つるぎをもって彼をその所で殺した。 + このように主は、ヒゼキヤとエルサレムの住民をアッスリヤの王セナケリブの手およびすべての敵の手から救い出し、いたる所で彼らを守られた。 + そこで多くの人々はささげ物をエルサレムに携えてきて主にささげ、また宝物をユダの王ヒゼキヤに贈った。この後ヒゼキヤは万国の民に尊ばれた。 + そのころ、ヒゼキヤは病んで死ぬばかりであったが、主に祈ったので、主はこれに答えて、しるしを賜わった。 + しかしヒゼキヤはその受けた恵みに報いることをせず、その心が高ぶったので、怒りが彼とユダおよびエルサレムに臨もうとしたが、 + ヒゼキヤはその心の高ぶりを悔いてへりくだり、またエルサレムの住民も同様にしたので、主の怒りは、ヒゼキヤの世には彼らに臨まなかった。 + ヒゼキヤは富と栄誉をきわめ、宝蔵を造って、金、銀、宝石、香料、盾および各種の尊い器物をおさめ、 + また倉庫を造って穀物、酒、油などの産物をおさめ、小屋を造って種々の家畜を置き、おりを造って羊の群れを置き、 + また多数の町を設け、かつ羊と牛をおびただしく所有した。神が非常に多くの貨財を彼に賜わったからである。 + このヒゼキヤはまたギホンの水の上の源をふさいで、これをダビデの町の西の方にまっすぐに引き下した。このようにヒゼキヤはそのすべてのわざをなし遂げた。 + しかしバビロンの君たちが使者をつかわして、この国にあった、しるしについて尋ねさせた時には、神は彼を試みて、彼の心にあることを、ことごとく知るために彼を捨て置かれた。 + ヒゼキヤのその他の行為およびその徳行は、アモツの子預言者イザヤの黙示とユダとイスラエルの列王の書にしるされている。 + ヒゼキヤはその先祖たちと共に眠ったので、ダビデの子孫の墓のうちの高い所に葬られた。ユダの人々およびエルサレムの住民は皆その死に当って彼に敬意を表した。その子マナセが彼に代って王となった。 + + + マナセは十二歳で王となり、五十五年の間エルサレムで世を治めた。 + 彼は主がイスラエルの人々の前から追い払われた国々の民の憎むべき行いに見ならって、主の目の前に悪を行った。 + すなわち、その父ヒゼキヤがこわした高き所を再び築き、またもろもろのバアルのために祭壇を設け、アシラ像を造り、天の万象を拝んで、これに仕え、 + また主が「わが名は永遠にエルサレムにある」と言われた主の宮のうちに数個の祭壇を築き、 + 主の宮の二つの庭に天の万象のために祭壇を築いた。 + 彼はまたベンヒンノムの谷でその子供を火に焼いて供え物とし、占いをし、魔法をつかい、まじないを行い、口寄せと、占い師を任用するなど、主の前に多くの悪を行って、その怒りをひき起した。 + 彼はまた刻んだ偶像を造って神の宮に安置した。神はこの宮についてダビデとその子ソロモンに言われたことがある、「わたしはこの宮と、わたしがイスラエルのすべての部族のうちから選んだエルサレムとに、わたしの名を永遠に置く。 + 彼らがもし、わたしがすべて命じた事、すなわち、モーセが伝えたすべての律法と定めとおきてとを慎んで行うならば、わたしがあなたがたの先祖のために定めた地から、重ねてイスラエルの足を移すことをしない」と。 + マナセはこのようにユダとエルサレムの住民を迷わせ、主がイスラエルの人々の前に滅ぼされた国々の民にもまさって悪を行わせた。 + 主はマナセおよびその民に告げられたが、彼らは心に留めなかった。 + それゆえ、主はアッスリヤの王の軍勢の諸将をこれに攻めこさせられたので、彼らはマナセをかぎで捕え、青銅のかせにつないで、バビロンに引いて行った。 + 彼は悩みにあうに及んで、その神、主に願い求め、その先祖の神の前に大いに身を低くして、 + 神に祈ったので、神はその祈を受けいれ、その願いを聞き、彼をエルサレムに連れ帰って、再び国に臨ませられた。これによってマナセは主こそ、まことに神にいますことを知った。 + この後、彼はダビデの町の外の石がきをギホンの西の方の谷のうちに築き、魚の門の入口にまで及ぼし、またオペルに石がきをめぐらして、非常に高くこれを築き上げ、ユダのすべての堅固な町に軍長を置き、 + また主の宮から、異邦の神々および偶像を取り除き、主の宮の山とエルサレムに自分で築いたすべての祭壇を取り除いて、町の外に投げ捨て、 + 主の祭壇を築き直して、酬恩祭および感謝の犠牲を、その上にささげ、ユダに命じてイスラエルの神、主に仕えさせた。 + しかし民は、なお高き所で犠牲をささげた。ただしその神、主にのみささげた。 + マナセのそのほかの行為、その神にささげた祈、およびイスラエルの神、主の名をもって彼に告げた先見者たちの言葉は、イスラエルの列王の記録のうちにしるされている。 + またその祈と、祈の聞かれた事、そのもろもろの罪と、とが、その身を低くする前に高き所を築いて、アシラ像および刻んだ像を立てた場所などは、先見者の記録のうちにしるされている。 + マナセはその先祖たちと共に眠ったので、その家に葬られた。その子アモンが彼に代って王となった。 + アモンは王となった時二十二歳で、二年の間エルサレムで世を治めた。 + 彼はその父マナセのしたように主の前に悪を行った。すなわちアモンはその父マナセが造ったもろもろの刻んだ像に犠牲をささげて、これに仕え、 + その父マナセが身を低くしたように主の前に身を低くしなかった。かえってこのアモンは、いよいよそのとがを増した。 + その家来たちは党を結んで彼にそむき、彼をその家で殺した。 + しかし国の民は、党を結んでアモン王にそむいた者どもをことごとく撃ち殺した。そして国の民はその子ヨシヤを王となして、そのあとを継がせた。 + + + ヨシヤは八歳のとき王となり、エルサレムで三十一年の間世を治めた。 + 彼は主の良しと見られることをなし、その父ダビデの道を歩んで、右にも左にも曲らなかった。 + 彼はまだ若かったが、その治世の第八年に父ダビデの神を求めることを始め、その十二年には高き所、アシラ像、刻んだ像、鋳た像などを除いて、ユダとエルサレムを清めることを始め、 + もろもろのバアルの祭壇を、自分の前で打ちこわさせ、その上に立っていた香の祭壇を切り倒し、アシラ像、刻んだ像、鋳た像を打ち砕いて粉々にし、これらの像に犠牲をささげた者どもの墓の上にそれをまき散らし、 + 祭司らの骨をそのもろもろの祭壇の上で焼き、こうしてユダとエルサレムを清めた。 + またマナセ、エフライム、シメオンおよびナフタリの荒れた町々にもこのようにし、 + もろもろの祭壇をこわし、アシラ像およびもろもろの刻んだ像を粉々に打ち砕き、イスラエル全国の香の祭壇をことごとく切り倒して、エルサレムに帰った。 + ヨシヤはその治世の十八年に、国と宮とを清めた時、その神、主の宮を繕わせようと、アザリヤの子シャパン、町のつかさマアセヤおよびヨアハズの子史官ヨアをつかわした。 + 彼らは大祭司ヒルキヤのもとへ行って、神の宮にはいった金を渡した。これは門を守るレビびとがマナセ、エフライムおよびその他のすべてのイスラエル、ならびにユダとベニヤミンのすべての人、およびエルサレムの住民の手から集めたものである。 + 彼らはこれを主の宮を監督する職工らの手に渡したので、主の宮で働く職工らは、これを宮を繕い直すために支払った。 + すなわち、大工および建築者にこれを渡して、ユダの王たちが破った建物のために、切り石および骨組の材木を買わせ、梁材を整えさせた。 + その人々は忠実に仕事をした。その監督者はメラリの子孫であるレビびとヤハテとオバデヤ、およびコハテびとの子孫であるゼカリヤとメシュラムであって、工事をつかさどった。また楽器に巧みなレビびとがこれに伴った。 + 彼らはまた荷を負う者を監督し、様々の仕事に働くすべての者をつかさどった。また他のレビびとは書記となり、役人となり、また門衛となった。 + さて彼らが主の宮にはいった金を取りだした時、祭司ヒルキヤはモーセの伝えた主の律法の書を発見した。 + そこでヒルキヤは書記官シャパンに言った、「わたしは主の宮で律法の書を発見しました」と。そしてヒルキヤはその書をシャパンに渡した。 + シャパンはその書を王のもとに持って行き、さらに王に復命して言った、「しもべらはゆだねられた事をことごとくなし、 + 主の宮にあった金をあけて、監督者の手および職工の手に渡しました」。 + 書記官シャパンはまた王に告げて、「祭司ヒルキヤはわたしに一つの書物を渡しました」と言い、シャパンはそれを王の前で読んだ。 + 王はその律法の言葉を聞いて衣を裂いた。 + そして王はヒルキヤおよびシャパンの子アヒカムとミカの子アブドンと書記官シャパンと王の家来アサヤとに命じて言った、 + 「あなたがたは行って、この発見された書物の言葉についてわたしのために、またイスラエルとユダの残りの者のために主に問いなさい。われわれの先祖たちが主の言葉を守らず、すべてこの書物にしるされていることを行わなかったので、主はわれわれに大いなる怒りを注がれるからです」。 + そこでヒルキヤおよび王のつかわした人々は、シャルムの妻である女預言者ホルダのもとへ行った。シャルムはハスラの子であるトクハテの子で、衣装を守る者である。時にホルダは、エルサレムの第二区に住んでいた。彼らはホルダにその趣意を語ったので、 + ホルダは彼らに言った、「イスラエルの神、主はこう仰せられます、『あなたがたをわたしにつかわした人に告げなさい。 + 主はこう仰せられます。見よ、わたしはユダの王の前で読んだ書物にしるされているもろもろののろい、すなわち災をこの所と、ここに住む者に下す。 + 彼らはわたしを捨てて、他の神々に香をたき、自分の手で造ったもろもろの物をもって、わたしの怒りを引き起そうとしたからである。それゆえ、わたしの怒りは、この所に注がれて消えない。 + しかしあなたがたをつかわして、主に問わせるユダの王にはこう言いなさい。イスラエルの神、主はこう仰せられる。あなたが聞いた言葉については、 + この所と、ここに住む者を責める神の言葉を、あなたが聞いた時、心に悔い、神の前に身をひくくし、わたしの前にへりくだり、衣を裂いて、わたしの前に泣いたので、わたしもまた、あなたに聞いた、と主は言われる。 + 見よ、わたしはあなたを先祖たちのもとに集める。あなたは安らかにあなたの墓に集められる。あなたはわたしがこの所と、ここに住む者に下すもろもろの災を目に見ることがない』と」。彼らは王に復命した。 + そこで王は人をつかわしてユダとエルサレムの長老をことごとく集め、 + そして王は主の宮に上って行った。ユダのすべての人々、エルサレムの住民、祭司、レビびと、およびすべての民は、老いた者も若い者もことごとく彼に従った。そこで王は主の宮で発見した契約の書の言葉を、ことごとく彼らの耳に読み聞かせ、 + そして王は自分の所に立って、主の前に契約を立て、主に従って歩み、心をつくし、精神をつくして、その戒めと、あかしと定めとをまもり、この書にしるされた契約の言葉を行おうと言い、 + エルサレムおよびベニヤミンの人々を皆これに加わらせた。エルサレムの住民は先祖の神であるその神の契約にしたがって行った。 + ヨシヤはイスラエルの人々に属するすべての地から、憎むべきものをことごとく取り除き、イスラエルにいるすべての人をその神、主に仕えさせた。ヨシヤが世にある日の間は、彼らは先祖の神、主に従って離れなかった。 + + + ヨシヤはエルサレムで主に過越の祭を行った。すなわち正月の十四日に過越の小羊をほふらせ、 + 祭司にその職務をとり行わせ、彼らを励まして主の宮の務をさせ、 + また主の聖なる者となってすべてのイスラエルびとを教えるレビびとに言った、「あなたがたはイスラエルの王ダビデの子ソロモンの建てた宮に、聖なる箱を置きなさい。再びこれを肩にになうに及ばない。あなたがたの神、主およびその民イスラエルに仕えなさい。 + あなたがたはイスラエルの王ダビデの書、およびその子ソロモンの書に基いて氏族にしたがい、その班によって、みずから備えをなし、 + あなたがたの兄弟である民の人々の氏族の区分にしたがって聖所に立ち、このためにレビびとの氏族の分が欠けることのないようにしなさい。 + あなたがたは過越の小羊をほふり、身を清め、あなたがたの兄弟のために備えをし、モーセが伝えた主の言葉にしたがって行いなさい」。 + ヨシヤは、小羊および子やぎを民の人々に贈った。これは皆その所にいるすべての人のための過越の供え物であって、その数三万、また雄牛三千を贈った。それらは王の所有から出したのである。 + そのつかさたちも民と祭司とレビびとに真心から贈った。また神の宮のつかさたちヒルキヤ、ゼカリヤ、エヒエルも小羊と子やぎ二千六百頭、牛三百頭を祭司に与えて過越の供え物とした。 + またレビびとの長である人々すなわちコナニヤおよびその兄弟シマヤ、ネタンエルならびにハシャビヤ、エイエル、ヨザバデなども小羊と子やぎ五千頭、牛五百頭をレビびとに贈って過越の供え物とした。 + このように勤めのことが備わったので、王の命に従って祭司たちはその持ち場に立ち、レビびとはその班に従って仕え、 + やがて過越の小羊がほふられたので、祭司はその血を受け取って注いだ。レビびとはその皮をはいだ。 + それから燔祭の物をとり分け、それを民の人々の氏族の区分に従って渡し、主にささげさせた。これはモーセの書にしるされたとおりである。また牛をもこのようにした。 + そして定めに従って過越の小羊を火であぶり、その他の聖なる供え物を深なべ、かま、浅なべなどに煮て、急いですべての民の人々にくばった。 + その後、彼らは自分のためと、祭司たちのために備えをした。アロンの子孫である祭司たちは、燔祭と脂肪をささげるのに忙しくて、夜になったからである。それでレビびとは自分たちのためと、アロンの子孫である祭司たちのために備えたのである。 + アサフの子孫である歌うたう者たちは、ダビデ、アサフ、ヘマンおよび王の先見者エドトンの命に従ってその持ち場におり、門衛たちはおのおの門にいて、その職務を離れるに及ばなかった。兄弟であるレビびとが彼らのために備えたからである。 + このようにその日、主の勤めの事がことごとく備わったので、ヨシヤ王の命に従って過越の祭を行い、主の祭壇に燔祭をささげた。 + ここに来ていたイスラエルの人々は、そのとき過越の祭を行い、また七日の間、種入れぬパンの祭を行った。 + 預言者サムエルの日からこのかた、イスラエルでこのような過越の祭を行ったことはなかった。またイスラエルの諸王のうちには、ヨシヤが、祭司、レビびと、ならびにそこに来たユダとイスラエルのすべての人々、およびエルサレムの住民と共に行ったような過越の祭を行った者はひとりもなかった。 + この過越の祭はヨシヤの治世の第十八年に行われた。 + このようにヨシヤが宮を整えた後、エジプトの王ネコはユフラテ川のほとりにあるカルケミシで戦うために上ってきたので、ヨシヤはこれを防ごうと出て行った。 + しかしネコは彼に使者をつかわして言った、「ユダの王よ、われわれはお互に何のあずかるところがありますか。わたしはきょう、あなたを攻めようとして来たのではありません。わたしの敵の家を攻めようとして来たのです。神がわたしに命じて急がせています。わたしと共におられる神に逆らうことをやめなさい。そうしないと、神はあなたを滅ぼされるでしょう」。 + しかしヨシヤは引き返すことを好まず、かえって彼と戦うために、姿を変え、神の口から出たネコの言葉を聞きいれず、行ってメギドの谷で戦ったが、 + 射手の者どもがヨシヤを射あてたので、王はその家来たちに、「わたしを助け出せ。わたしはひどく傷ついた」と言った。 + そこで家来たちは彼を車から助け出し、王のもっていた第二の車に乗せてエルサレムにつれて行ったが、ついに死んだので、その先祖の墓にこれを葬った。そしてユダとエルサレムは皆ヨシヤのために悲しんだ。 + 時にエレミヤはヨシヤのために哀歌を作った。歌うたう男、歌うたう女は今日に至るまで、その哀歌のうちにヨシヤのことを述べ、イスラエルのうちにこれを例とした。これは哀歌のうちにしるされている。 + ヨシヤのその他の行為、主の律法にしるされた所に従って行った徳行、 + およびその始終の行いなどは、イスラエルとユダの列王の書にしるされている。 + + + 国の民はヨシヤの子エホアハズを立て、エルサレムでその父に代って王とならせた。 + エホアハズは王となった時二十三歳で、エルサレムで三月の間、世を治めたが、 + エジプトの王はエルサレムで彼を廃し、かつ銀百タラント、金一タラントの罰金を国に課した。 + そしてエジプト王は彼の兄弟エリアキムをユダとエルサレムの王とし、その名をエホヤキムと改め、その兄弟エホアハズを捕えてエジプトへ引いて行った。 + エホヤキムは王となった時二十五歳で、十一年の間エルサレムで世を治めた。彼はその神、主の前に悪を行った。 + 時に、バビロンの王ネブカデネザルが彼の所に攻め上り、彼をバビロンに引いて行こうとして、かせにつないだ。 + ネブカデネザルはまた主の宮の器物をバビロンに運んで行って、バビロンにあるその宮殿にそれをおさめた。 + エホヤキムのその他の行為、その行った憎むべき事および彼がひそかに行った事などは、イスラエルとユダの列王の書にしるされている。その子エホヤキンが彼に代って王となった。 + エホヤキンは王となった時八歳で、エルサレムで三月と十日の間、世を治め、主の前に悪を行った。 + 年が改まり春になって、ネブカデネザル王は人をつかわして、彼を主の宮の尊い器物と共にバビロンに連れて行かせ、その兄弟ゼデキヤをユダとエルサレムの王とした。 + ゼデキヤは王となった時二十一歳で、十一年の間エルサレムで世を治めた。 + 彼はその神、主の前に悪を行い、主の言葉を伝える預言者エレミヤの前に、身をひくくしなかった。 + 彼はまた、彼に神をさして誓わせたネブカデネザル王にもそむいた。彼は強情で、その心をかたくなにして、イスラエルの神、主に立ち返らなかった。 + 祭司のかしらたちおよび民らもまた、すべて異邦人のもろもろの憎むべき行為にならって、はなはだしく罪を犯し、主がエルサレムに聖別しておかれた主の宮を汚した。 + その先祖の神、主はその民と、すみかをあわれむがゆえに、しきりに、その使者を彼らにつかわされたが、 + 彼らが神の使者たちをあざけり、その言葉を軽んじ、その預言者たちをののしったので、主の怒りがその民に向かって起り、ついに救うことができないようになった。 + そこで主はカルデヤびとの王を彼らに攻めこさせられたので、彼はその聖所の家でつるぎをもって若者たちを殺し、若者をも、処女をも、老人をも、しらがの者をもあわれまなかった。主は彼らをことごとく彼の手に渡された。 + 彼は神の宮のもろもろの大小の器物、主の宮の貨財、王とそのつかさたちの貨財など、すべてこれをバビロンに携えて行き、 + 神の宮を焼き、エルサレムの城壁をくずし、そのうちの宮殿をことごとく火で焼き、そのうちの尊い器物をことごとくこわした。 + 彼はまたつるぎをのがれた者どもを、バビロンに捕えて行って、彼とその子らの家来となし、ペルシャの国の興るまで、そうして置いた。 + これはエレミヤの口によって伝えられた主の言葉の成就するためであった。こうして国はついにその安息をうけた。すなわちこれはその荒れている間、安息して、ついに七十年が満ちた。 + ペルシャ王クロスの元年に当り、主はエレミヤの口によって伝えた主の言葉を成就するため、ペルシャ王クロスの霊を感動されたので、王はあまねく国中にふれ示し、またそれを書き示して言った、 + 「ペルシャの王クロスはこう言う、『天の神、主は地上の国々をことごとくわたしに賜わって、主の宮をユダにあるエルサレムに建てることをわたしに命じられた。あなたがたのうち、その民である者は皆、その神、主の助けを得て上って行きなさい』」。 + +
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+ + ペルシャ王クロスの元年に、主はさきにエレミヤの口によって伝えられた主の言葉を成就するため、ペルシャ王クロスの心を感動されたので、王は全国に布告を発し、また詔書をもって告げて言った、 + 「ペルシャ王クロスはこのように言う、天の神、主は地上の国々をことごとくわたしに下さって、主の宮をユダにあるエルサレムに建てることをわたしに命じられた。 + あなたがたのうち、その民である者は皆その神の助けを得て、ユダにあるエルサレムに上って行き、イスラエルの神、主の宮を復興せよ。彼はエルサレムにいます神である。 + すべて生き残って、どこに宿っている者でも、その所の人々は金、銀、貨財、家畜をもって助け、そのほかにまたエルサレムにある神の宮のために真心よりの供え物をささげよ」。 + そこでユダとベニヤミンの氏族の長、祭司およびレビびとなど、すべて神にその心を感動された者は、エルサレムにある主の宮を復興するために上って行こうと立ち上がった。 + その周囲の人々は皆、銀の器、金、貨財、家畜および宝物を与えて彼らを力づけ、そのほかにまた、もろもろの物を惜しげなくささげた。 + クロス王はまたネブカデネザルが、さきにエルサレムから携え出して自分の神の宮に納めた主の宮の器を取り出した。 + すなわちペルシャ王クロスは倉づかさミテレダテの手によってこれを取り出して、ユダのつかさセシバザルに数え渡した。 + その数は次のとおりである。金のたらい一千、銀のたらい一千、香炉二十九、 + 金の鉢三十、銀の鉢二千四百十、その他の器一千、 + 金銀の器は合わせて五千四百六十九あったが、セシバザルは捕囚を連れてバビロンからエルサレムに上った時、これらのものをことごとく携えて上った。 + + + バビロンの王ネブカデネザルに捕えられて、バビロンに移された者のうち、捕囚をゆるされてエルサレムおよびユダに上って、おのおの自分の町に帰ったこの州の人々は次のとおりである。 + 彼らはゼルバベル、エシュア、ネヘミヤ、セラヤ、レエラヤ、モルデカイ、ビルシャン、ミスパル、ビグワイ、レホム、バアナと共に帰ってきた。そのイスラエルの民の人数は次のとおりである。 + パロシの子孫は二千百七十二人、 + シパテヤの子孫は三百七十二人、 + アラの子孫は七百七十五人、 + パハテ・モアブの子孫すなわちエシュアとヨアブの子孫は二千八百十二人、 + エラムの子孫は一千二百五十四人、 + ザットの子孫は九百四十五人、 + ザッカイの子孫は七百六十人、 + バニの子孫は六百四十二人、 + ベバイの子孫は六百二十三人、 + アズガデの子孫は一千二百二十二人、 + アドニカムの子孫は六百六十六人、 + ビグワイの子孫は二千五十六人、 + アデンの子孫は四百五十四人、 + アテルの子孫すなわちヒゼキヤの子孫は九十八人、 + ベザイの子孫は三百二十三人、 + ヨラの子孫は百十二人、 + ハシュムの子孫は二百二十三人、 + ギバルの子孫は九十五人、 + ベツレヘムの子孫は百二十三人、 + ネトパの人々は五十六人、 + アナトテの人々は百二十八人、 + アズマウテの子孫は四十二人、 + キリアテ・ヤリム、ケピラおよびベエロテの子孫は七百四十三人、 + ラマおよびゲバの子孫は六百二十一人、 + ミクマシの人々は百二十二人、 + ベテルおよびアイの人々は二百二十三人、 + ネボの子孫は五十二人、 + マグビシの子孫は百五十六人、 + 他のエラムの子孫は一千二百五十四人、 + ハリムの子孫は三百二十人、 + ロド、ハデデおよびオノの子孫は七百二十五人、 + エリコの子孫は三百四十五人、 + セナアの子孫は三千六百三十人。 + 祭司は、エシュアの家のエダヤの子孫九百七十三人、 + インメルの子孫一千五十二人、 + パシュルの子孫一千二百四十七人、 + ハリムの子孫一千十七人。 + レビびとは、ホダヤの子孫すなわちエシュアとカデミエルの子孫七十四人。 + 歌うたう者は、アサフの子孫百二十八人。 + 門衛の子孫は、シャルムの子孫、アテルの子孫、タルモンの子孫、アックブの子孫、ハテタの子孫、ショバイの子孫合わせて百三十九人。 + 宮に仕えるしもべたちは、ヂハの子孫、ハスパの子孫、タバオテの子孫、 + ケロスの子孫、シアハの子孫、パドンの子孫、 + レバナの子孫、ハガバの子孫、アックブの子孫、 + ハガブの子孫、シャルマイの子孫、ハナンの子孫、 + ギデルの子孫、ガハルの子孫、レアヤの子孫、 + レヂンの子孫、ネコダの子孫、ガザムの子孫、 + ウザの子孫、パセアの子孫、ベサイの子孫、 + アスナの子孫、メウニムの子孫、ネフシムの子孫、 + バクブクの子孫、ハクパの子孫、ハルホルの子孫、 + バヅリテの子孫、メヒダの子孫、ハルシャの子孫、 + バルコスの子孫、シセラの子孫、テマの子孫、 + ネヂアの子孫、ハテパの子孫である。 + ソロモンのしもべたちの子孫は、ソタイの子孫、ハッソペレテの子孫、ペリダの子孫、 + ヤアラの子孫、ダルコンの子孫、ギデルの子孫、 + シパテヤの子孫、ハッテルの子孫、ポケレテ・ハッゼバイムの子孫、アミの子孫。 + 宮に仕えるしもべたちとソロモンのしもべたちの子孫とは合わせて三百九十二人。 + 次にあげる人々はテル・メラ、テル・ハレサ、ケルブ、アダンおよびインメルから上って来た者であったが、彼らはその氏族とその血統とを示して、そのイスラエルの者であることを明らかにすることができなかった。 + すなわちデラヤの子孫、トビヤの子孫、ネコダの子孫で合わせて六百五十二人。 + 祭司の子孫のうちにはハバヤの子孫、ハッコヅの子孫、バルジライの子孫があった。バルジライはギレアデびとバルジライの娘たちのうちから妻をめとったので、その名で呼ばれることになった。 + これらの者は系譜に載った者たちのうちに自分の名を尋ねたが見いだされなかったので、汚れた者として、祭司の職から除かれた。 + 総督は彼らに告げて、ウリムとトンミムを身につける祭司の興るまでは、いと聖なる物を食べてはならないと言った。 + 会衆は合わせて四万二千三百六十人であった。 + このほかに、しもべおよびはしため合わせて七千三百三十七人、また歌うたう男女二百人あった。 + その馬は七百三十六頭、その騾馬は二百四十五頭、 + そのらくだは四百三十五頭、そのろばは六千七百二十頭あった。 + 氏族の長数人はエルサレムにある主の宮の所にきた時、神の宮をもとの所に建てるために真心よりの供え物をささげた。 + すなわち、その力に従って工事のために倉に納めたものは、金六万一千ダリク、銀五千ミナ、祭司の衣服百かさねであった。 + 祭司、レビびと、および民のある者はエルサレムおよびその近郊に住み、歌うたう者、門衛および宮に仕えるしもべたちはその町々に住み、一般のイスラエルびとは自分たちの町々に住んだ。 + + + こうしてイスラエルの人々はその町々に住んでいたが、七月になって、民はひとりのようにエルサレムに集まった。 + そこでヨザダクの子エシュアとその仲間の祭司たち、およびシャルテルの子ゼルバベルとその兄弟たちは立って、イスラエルの神の祭壇を築いた。これは神の人モーセの律法にしるされたところに従って、その上に燔祭をささげるためであった。 + 彼らは国々の民を恐れていたので、祭壇をもとの所に設けた。そしてその上で燔祭を主にささげ、朝夕それをささげた。 + また、しるされたところに従って仮庵の祭を行い、おきてに従って、毎日ささぐべき数のとおりに、日々の燔祭をささげた。 + そしてその後は常燔祭、新月と主のすべて定められた祭とにささげる供え物および各自が主にささげる真心よりの供え物をささげた。 + すなわち七月一日から燔祭を主にささげることを始めたが、主の宮の基礎はまだすえられてなかった。 + そこで石工と木工に金を渡し、またシドンとツロの人々に食い物、飲み物および油を与えて、ペルシャ王クロスから得た許可に従って、レバノンからヨッパの海に香柏を運ばせた。 + さてエルサレムの神の宮に帰った次の年の二月に、シャルテルの子ゼルバベルとヨザダクの子エシュアはその兄弟である他の祭司、レビびとおよび捕囚からエルサレムに帰って来たすべての人々と共に工事を始め、二十歳以上のレビびとを立てて、主の宮の工事を監督させた。 + そこでユダの子孫であるエシュアとその子らおよびその兄弟、カデミエルとその子らは共に立って、神の宮で工事をなす者を監督した。ヘナダデの子らおよびレビびとの子らと、その兄弟たちもまた一緒であった。 + こうして建築者が主の宮の基礎をすえた時、祭司たちは礼服をつけてラッパをとり、アサフの子らであるレビびとはシンバルをとり、イスラエルの王ダビデの指令に従って主をさんびした。 + 彼らは互に歌いあって主をほめ、かつ感謝し、「主はめぐみ深く、そのいつくしみはとこしえにイスラエルに絶えることがない」と言った。そして民はみな主をさんびするとき、大声をあげて叫んだ。主の宮の基礎がすえられたからである。 + しかし祭司、レビびと、氏族の長である多くの人々のうちに、もとの宮を見た老人たちがあったが、今この宮の基礎のすえられるのを見た時、大声をあげて泣いた。また喜びのために声をあげて叫ぶ者も多かった。 + それで、人々は民の喜び叫ぶ声と、民の泣く声とを聞きわけることができなかった。民が大声に叫んだので、その声が遠くまで聞えたからである。 + + + ユダとベニヤミンの敵である者たちは捕囚から帰ってきた人々が、イスラエルの神、主のために神殿を建てていることを聞き、 + ゼルバベルと氏族の長たちのもとに来て言った、「われわれも、あなたがたと一緒にこれを建てさせてください。われわれはあなたがたと同じく、あなたがたの神を礼拝します。アッスリヤの王エサル・ハドンがわれわれをここにつれて来た日からこのかた、われわれは彼に犠牲をささげてきました」。 + しかしゼルバベル、エシュアおよびその他のイスラエルの氏族の長たちは、彼らに言った、「あなたがたは、われわれの神に宮を建てることにあずかってはなりません。ペルシャの王クロス王がわれわれに命じたように、われわれだけで、イスラエルの神、主のために建てるのです」。 + そこでその地の民はユダの民の手を弱らせて、その建築を妨げ、 + その企てを破るために役人を買収して彼らに敵せしめ、ペルシャ王クロスの代からペルシャ王ダリヨスの治世にまで及んだ。 + アハスエロスの治世、すなわちその治世の初めに、彼らはユダとエルサレムの住民を訴える告訴状を書いた。 + またアルタシャスタの世にビシラム、ミテレダテ、タビエルおよびその他の同僚も、ペルシャ王アルタシャスタに手紙を書いた。その手紙の文はアラム語で書かれて訳されていた。 + 長官レホムと書記官シムシャイはアルタシャスタ王にエルサレムを訴えて次のような手紙をしたためた。 + すなわち長官レホムと書記官シムシャイおよびその他の同僚、すなわち裁判官、知事、役人、ペルシャ人、エレクの人々、バビロン人、スサの人々すなわちエラムびと、 + およびその他の民すなわち大いなる尊いオスナパルが、移してサマリヤの町々および川向こうのその他の地に住ませた者どもが、 + 送った手紙の写しはこれである。――「アルタシャスタ王へ、川向こうのあなたのしもべども、あいさつを申し上げます。 + 王よ、ご承知ください。あなたのもとから、わたしたちの所に上って来たユダヤ人らはエルサレムに来て、かのそむいた悪い町を建て直し、その城壁を築きあげ、その基礎をつくろっています。 + 王よ、いまご承知ください。もしこの町を建て、城壁を築きあげるならば、彼らはみつぎ、関税、税金を納めなくなります。そうすれば王の収入が減るでしょう。 + われわれは王宮の塩をはむ者ですから、王の不名誉を見るに忍びないので、人をつかわして王にお聞かせするのです。 + 歴代の記録をお調べください。その記録の書において、この町はそむいた町で、諸王と諸州に害を及ぼしたものであることを見、その中に古来、むほんの行われたことを知られるでしょう。この町が滅ぼされたのはこれがためなのです。 + われわれは王にお知らせいたします。もしこの町が建てられ、城壁が築きあげられたなら、王は川向こうの領地を失うに至るでしょう」。 + 王は返書を送って言った、「長官レホム、書記官シムシャイ、その他サマリヤおよび川向こうのほかの所に住んでいる同僚に、あいさつをする。いま、 + あなたがたがわれわれに送った手紙を、わたしの前に明らかに読ませた。 + わたしは命令を下して調査させたところ、この町は古来、諸王にそむいた事、その中に反乱、むほんのあったことを見いだした。 + またエルサレムには大いなる王たちがあって、川向こうの地をことごとく治め、みつぎ、関税、税金を納めさせたこともあった。 + それであなたがたは命令を伝えて、その人々をとどめ、わたしの命令の下るまで、この町を建てさせてはならない。 + あなたがたは慎んでこのことについて怠ることのないようにしなさい。どうして損害を増して、王に害を及ぼしてよかろうか」。 + アルタシャスタ王の手紙の写しがレホムおよび書記官シムシャイとその同僚の前に読み上げられたので、彼らは急いでエルサレムのユダヤ人のもとにおもむき、腕力と権力とをもって彼らをやめさせた。 + それでエルサレムにある神の宮の工事は中止された。すなわちペルシャ王ダリヨスの治世の二年まで中止された。 + + + さて預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤのふたりの預言者は、ユダとエルサレムにいるユダヤ人に向かって、彼らの上にいますイスラエルの神の名によって預言した。 + そこでシャルテルの子ゼルバベルおよびヨザダクの子エシュアは立ちあがって、エルサレムにある神の宮を建て始めた。神の預言者たちも、彼らと共にいて彼らを助けた。 + その時、川向こうの州の知事タテナイおよびセタル・ボズナイとその同僚は彼らの所に来てこう言った、「だれがあなたがたにこの宮を建て、この城壁を築きあげることを命じたのか」。 + また「この建物を建てている人々の名はなんというのか」と尋ねた。 + しかしユダヤ人の長老たちの上には、神の目が注がれていたので、彼らはこれをやめさせることができず、その事をダリヨスに奏して、その返答の来るのを待った。 + 川向こうの州の知事タテナイおよびセタル・ボズナイとその同僚である川向こうの州の知事たちが、ダリヨス王に送った手紙の写しは次のとおりである。 + すなわち、彼らが王に送った手紙には、次のようにしるされてあった。「願わくはダリヨス王に全き平安があるように。 + 王に次のことをお知らせいたします。すなわち、われわれがユダヤ州へ行き、かの大いなる神の宮へ行って見たところ、それは大きな石をもって建てられ、材木を組んで壁をつくり、その工事は勤勉に行われ、彼らの手によって大いにはかどっています。 + そこでわれわれはその長老たちに尋ねてこう言いました、『だれがあなたがたにこの宮を建て、この城壁を築きあげることを命じたのか』と。 + われわれはまた彼らのかしらたる人々の名を書きしるして、あなたにお知らせするために、その名を尋ねました。 + すると、彼らはわれわれに答えてこう言いました、『われわれは天地の神のしもべであって、年久しい昔に建てられた宮を、再び建てるのです。これはもと、イスラエルの大いなる王の建てあげたものですが、 + われわれの先祖たちが、天の神の怒りを引き起したため、神は彼らを、カルデヤびとバビロンの王ネブカデネザルの手に渡されたので、彼はこの宮をこわし、民をバビロンに捕えて行きました。 + ところがバビロンの王クロスの元年に、クロス王は神のこの宮を再び建てることの命令を下されました。 + またクロス王は先にネブカデネザルが、エルサレムの宮からバビロンの神殿に移した神の宮の金銀の器を、バビロンの神殿から取り出して、彼が総督に任じたセシバザルという名の者に渡して、 + 彼に言われました、「これらの器を携えて行って、エルサレムにある宮に納め、神の宮をもとの所に建てよ」と。 + そこでこのセシバザルは来てエルサレムにある神の宮の基礎をすえました。その時から今に至るまで、建築を続けていますが、まだ完成しないのです』と。 + それで今、もし王がよしと見られるならば、バビロンにある王の宝庫を調べて、エルサレムの神のこの宮を建てることの命令が、はたしてクロス王から出ているかどうかを確かめ、この事についての王のお考えをわれわれに伝えてください」。 + + + そこでダリヨス王は命を下して、バビロンのうちで、古文書をおさめてある書庫を調べさせたところ、 + メデヤ州の都エクバタナで、一つの巻物を見いだした。そのうちにこうしるされてある。「記録。 + クロス王の元年にクロス王は命を下した、『エルサレムにある神の宮については、犠牲をささげ、燔祭を供える所の宮を建て、その宮の高さを六十キュビトにし、その幅を六十キュビトにせよ。 + 大いなる石の層を三段にし、木の層を一段にせよ。その費用は王の家から与えられる。 + またネブカデネザルが、エルサレムの宮からバビロンに移した神の宮の金銀の器物は、これをかえして、エルサレムにある宮のもとの所に持って行き、これを神の宮に納めよ』」。 + 「それで川向こうの州の知事タテナイおよびセタル・ボズナイとその同僚である川向こうの州の知事たちよ、あなたがたはこれに遠ざかり、 + 神のこの宮の工事を彼らに任せ、ユダヤ人の知事とユダヤ人の長老たちに、神のこの宮をもとの所に建てさせよ。 + わたしはまた命を下し、神のこの宮を建てることについて、あなたがたがこれらのユダヤ人の長老たちになすべき事を示す。王の財産、すなわち川向こうの州から納めるみつぎの中から、その費用をじゅうぶんそれらの人々に与えて、その工事を滞らないようにせよ。 + またその必要とするもの、すなわち天の神にささげる燔祭の子牛、雄羊および小羊ならびに麦、塩、酒、油などエルサレムにいる祭司たちの求めにしたがって、日々怠りなく彼らに与え、 + 彼らにこうばしい犠牲を天の神にささげさせ、王と王子たちの長寿を祈らせよ。 + わたしはまた命を下す。だれでもこの命ずる所を改める者があるならば、その家の梁は抜き取られ、彼はその上にくぎづけにされ、その家はまた、これがために汚物の山とされるであろう。 + これを改めようとする者、あるいはエルサレムにある神のこの宮を滅ぼそうとして手を出す王あるいは民は、かしこにその名をとどめられる神よ、願わくはこれを倒されるように。われダリヨスは命を下す。心してこれを行え」。 + ダリヨス王がこう言い送ったので、川向こうの州の知事タテナイおよびセタル・ボズナイとその同僚たちは心してこれを行った。 + そしてユダヤ人の長老たちは、預言者ハガイおよびイドの子ゼカリヤの預言によって建て、これをなし遂げた。彼らはイスラエルの神の命令により、またクロス、ダリヨスおよびペルシャ王アルタシャスタの命によって、これを建て終った。 + この宮はダリヨス王の治世の六年アダルの月の三日に完成した。 + そこでイスラエルの人々、祭司たち、レビびとおよびその他の捕囚から帰った人々は、喜んで神のこの宮の奉献式を行った。 + すなわち神のこの宮の奉献式において、雄牛一百頭、雄羊二百頭、小羊四百頭をささげ、またイスラエルの部族の数にしたがって、雄やぎ十二頭をささげて、すべてのイスラエルびとのための罪祭とした。 + またモーセの書にしるされてあるように祭司を組別により、レビびとを班別によって立て、エルサレムで神に仕えさせた。 + こうして捕囚から帰って来た人々は、正月の十四日に過越の祭を行った。 + すなわち祭司、レビびとたちは共に身を清めて皆清くなり、すべて捕囚から帰って来た人々のため、その兄弟である祭司たちのため、また彼ら自身のために過越の小羊をほふった。 + そして捕囚から帰って来たイスラエルの人々、およびその地の異邦人の汚れを捨てて彼らに連なり、イスラエルの神、主を拝しようとする者はすべてこれを食べ、 + 喜んで七日の間、種入れぬパンの祭を行った。これは主が彼らを喜ばせ、またアッスリヤの王の心を彼らに向かわせ、彼にイスラエルの神にいます神の宮の工事を助けさせられたからである。 + + + これらの事の後ペルシャ王アルタシャスタの治世にエズラという者があった。エズラはセラヤの子、セラヤはアザリヤの子、アザリヤはヒルキヤの子、 + ヒルキヤはシャルムの子、シャルムはザドクの子、ザドクはアヒトブの子、 + アヒトブはアマリヤの子、アマリヤはアザリヤの子、アザリヤはメラヨテの子、 + メラヨテはゼラヒヤの子、ゼラヒヤはウジの子、ウジはブッキの子、 + ブッキはアビシュアの子、アビシュアはピネハスの子、ピネハスはエレアザルの子、エレアザルは祭司長アロンの子である。 + このエズラはバビロンから上って来た。彼はイスラエルの神、主がお授けになったモーセの律法に精通した学者であった。その神、主の手が彼の上にあったので、その求めることを王はことごとく許した。 + アルタシャスタ王の七年にまたイスラエルの人々および祭司、レビびと、歌うたう者、門衛、宮に仕えるしもべなどエルサレムに上った。 + そして王の七年の五月にエズラはエルサレムに来た。 + すなわち正月の一日にバビロンを出立して、五月一日にエルサレムに着いた。その神の恵みの手が彼の上にあったからである。 + エズラは心をこめて主の律法を調べ、これを行い、かつイスラエルのうちに定めとおきてとを教えた。 + 主の戒めの言葉、およびイスラエルに賜わった定めに通じた学者で、祭司であるエズラにアルタシャスタ王の与えた手紙の写しは、次のとおりである。 + 「諸王の王アルタシャスタ、天の神の律法の学者である祭司エズラに送る。今、 + わたしは命を下す。わが国のうちにいるイスラエルの民およびその祭司、レビびとのうち、すべてエルサレムへ行こうと望む者は皆、あなたと共に行くことができる。 + あなたは、自分の手にあるあなたの神の律法に照して、ユダとエルサレムの事情を調べるために、王および七人の議官によってつかわされるのである。 + かつあなたは王およびその議官らが、エルサレムにいますイスラエルの神に真心からささげる銀と金を携え、 + またバビロン全州であなたが獲るすべての金銀、および民と祭司とが、エルサレムにあるその神の宮のために、真心からささげた供え物を携えて行く。 + それであなたはその金をもって雄牛、雄羊、小羊およびその素祭と灌祭の品々を気をつけて買い、エルサレムにあるあなたがたの神の宮の祭壇の上に、これをささげなければならない。 + また、あなたとあなたの兄弟たちが、その余った金銀でしようと思うよい事があるならば、あなたがたの神のみ旨に従ってそれを行え。 + またあなたの神の宮の勤め事のためにあなたが与えられた器は、エルサレムの神の前に納めよ。 + そのほかあなたの神の宮のために用うべき必要なものがあれば、それを王の倉から出して用いよ。 + われ、アルタシャスタ王は川向こうの州のすべての倉づかさに命を下して言う、『天の神の律法の学者である祭司エズラがあなたがたに求める事は、すべてこれを心して行え。 + すなわち銀は百タラントまで、小麦は百コルまで、ぶどう酒は百バテまで、油は百バテまで、塩は制限なく与えよ。 + 天の神の宮のために、天の神の命じるところは、すべて正しくこれを行え。そうしないと神の怒りが、王と王の子らの国に臨むであろう』。 + われわれは、またあなたがたに告げる、『祭司、レビびと、歌うたう者、門衛、宮に仕えるしもべ、および神のこの宮の仕えびとたちには、みつぎ、租税、税金を課してはならぬ』。 + エズラよ、あなたはあなたの手にある神の知恵によって、つかさおよび裁判人を立て、川向こうの州のすべての民、すなわちあなたの神の律法を知っている者たちを、ことごとくさばかせよ。あなたがたはまたこれを知らない者を教えよ。 + あなたの神の律法および王の律法を守らない者を、きびしくその罪に定めて、あるいは死刑に、あるいは追放に、あるいは財産没収に、あるいは投獄に処せよ」。 + われわれの先祖の神、主はほむべきかな。主はこのように、王の心に、エルサレムにある主の宮を飾る心を起させ、 + また王の前と、その議官の前と王の大臣の前で、わたしに恵みを得させられた。わたしはわが神、主の手がわたしの上にあるので力を得、イスラエルのうちから首領たる人々を集めて、わたしと共に上らせた。 + + + アルタシャスタ王の治世に、バビロンからわたしと一緒に上って来た者の氏族の長、およびその系譜は次のとおりである。 + ピネハスの子孫のうちではゲルショム。イタマルの子孫のうちではダニエル。ダビデの子孫のうちではシカニヤの子ハットシ。 + パロシの子孫のうちではゼカリヤおよび彼と共に系譜に載せられた男百五十人。 + パハテ・モアブの子孫のうちではゼラヒヤの子エリヨエナイおよび彼と共にある男二百人。 + ザッツの子孫のうちではヤハジエルの子シカニヤおよび彼と共にある男三百人。 + アデンの子孫のうちではヨナタンの子エベデおよび彼と共にある男五十人。 + エラムの子孫のうちではアタリヤの子エサヤおよび彼と共にある男七十人。 + シパテヤの子孫のうちではミカエルの子ゼバデヤおよび彼と共にある男八十人。 + ヨアブの子孫のうちではエヒエルの子オバデヤおよび彼と共にある男二百十八人。 + バニの子孫のうちではヨシピアの子シロミテおよび彼と共にある男百六十人。 + ベバイの子孫のうちではベバイの子ゼカリヤおよび彼と共にある男二十八人。 + アズガデの子孫のうちではハッカタンの子ヨハナンおよび彼と共にある男百十人。 + アドニカムの子孫のうちでは後に来た者どもで、その名はエリペレテ、ユエル、シマヤおよび彼らと共にある男六十人。 + ビグワイの子孫のうちではウタイとザックルおよび彼らと共にある男七十人である。 + わたしは彼らをアハワに流れる川のほとりに集めて、そこに三日のあいだ露営した。わたしは民と祭司とを調べたが、そこにはレビの子孫はひとりもいなかったので、 + 人をつかわしてエリエゼル、アリエル、シマヤ、エルナタン、ヤリブ、エルナタン、ナタン、ゼカリヤ、メシュラムという首長たる人々を招き、またヨヤリブ、およびエルナタンのような見識のある人々を招いた。 + そしてわたしはカシピアという所の首長イドのもとに彼らをつかわし、カシピアという所にいるイドと、その兄弟である宮に仕えるしもべたちに告ぐべき言葉を、彼らに授け、われわれの神の宮のために、仕え人をわれわれに連れて来いと言った。 + われわれの神がよくわれわれを助けられたので、彼らはイスラエルの子、レビの子、マヘリの子孫のうちの思慮深い人、すなわちセレビヤおよびその子らとその兄弟たち十八人を、われわれに連れて来、 + またハシャビヤおよび彼と共に、メラリの子孫のエサヤとその兄弟およびその子ら二十人、 + および宮に仕えるしもべ、すなわちダビデとそのつかさたちが、レビびとに仕えさせるために選んだ宮に仕えるしもべ二百二十人を連れてきた。これらの者は皆その名を言って記録された。 + そこでわたしは、かしこのアハワ川のほとりで断食を布告し、われわれの神の前で身をひくくし、われわれと、われわれの幼き者と、われわれのすべての貨財のために、正しい道を示されるように神に求めた。 + これは、われわれがさきに王に告げて、「われわれの神の手は、神を求めるすべての者の上にやさしく下り、その威力と怒りとはすべて神を捨てる者の上に下る」と言ったので、わたしは道中の敵に対して、われわれを守るべき歩兵と騎兵とを、王に頼むことを恥じたからである。 + そこでわれわれは断食して、このことをわれわれの神に求めたところ、神はその願いを聞きいれられた。 + わたしはおもだった祭司十二人すなわちセレビヤ、ハシャビヤおよびその兄弟十人を選び、 + 金銀および器物、すなわち王と、その議官と、その諸侯およびすべて在留のイスラエルびとが、われわれの神の宮のためにささげた奉納物を量って彼らに渡した。 + わたしが量って彼らの手に渡したものは、銀六百五十タラント、銀の器百タラント、金百タラントであった。 + また金の大杯が二十あって、一千ダリクに当る。また光り輝く青銅の器二個あって、その尊いこと金のようである。 + そしてわたしは彼らに言った、「あなたがたは主に聖別された者である。この器物も聖である。またこの金銀は、あなたがたの先祖の神、主にささげた真心よりの供え物である。 + あなたがたはエルサレムで、主の宮のへやの中で、祭司長、レビびとおよびイスラエルの氏族のかしらたちの前で、これを量るまで、見張り、かつ守りなさい」。 + そこで祭司およびレビびとたちは、その金銀および器物を、エルサレムにあるわれわれの神の宮に携えて行くため、その重さのものを受け取った。 + われわれは正月の十二日に、アハワ川を出立してエルサレムに向かったが、われわれの神の手は、われわれの上にあって、敵の手および道に待ち伏せする者の手から、われわれを救われた。 + われわれはエルサレムに着いて、三日そこにいたが、 + 四日目にわれわれの神の宮の内で、その金銀および器物を、ウリヤの子祭司メレモテの手に量って渡した。ピネハスの子エレアザルが彼と共にいた。またエシュアの子ヨザバデ、およびビンヌイの子ノアデヤのふたりのレビびとも、彼らと共にいた。 + すなわちそのすべての数と重さとを調べ、その重さは皆書きとめられた。 + そのとき捕囚の人々で捕囚から帰って来た者は、イスラエルの神に燔祭をささげた。すなわちイスラエル全体のために雄牛十二頭、雄羊九十六頭、小羊七十七頭をささげ、また罪祭として雄やぎ十二頭をささげた。これらはみな、主にささげた燔祭である。 + 彼らはまた王の命令書を、王の総督たち、および川向こうの州の知事たちに渡したので、彼らは民と神の宮とを援助した。 + + + これらの事がなされた後、つかさたちは、わたしのもとに来て言った、「イスラエルの民、祭司およびレビびとは諸国の民と離れないで、カナンびと、ヘテびと、ペリジびと、エブスびと、アンモンびと、モアブびと、エジプトびと、アモリびとなどの憎むべき事を行いました。 + すなわち、彼らの娘たちをみずからめとり、またそのむすこたちにめとったので、聖なる種が諸国の民とまじりました。そしてつかさたる者、長たる者が先だって、このとがを犯しました」。 + わたしはこの事を聞いた時、着物と上着とを裂き、髪の毛とひげを抜き、驚きあきれてすわった。 + イスラエルの神の言葉におののく者は皆、捕囚から帰って来た人々のとがのゆえに、わたしのもとに集まったが、わたしは夕の供え物の時まで、驚きあきれてすわった。 + 夕の供え物の時になって、わたしは断食から立ちあがり、着物と上着を裂いたまま、ひざをかがめて、わが神、主にむかって手をさし伸べて、 + 言った、「わが神よ、わたしはあなたにむかって顔を上げるのを恥じて、赤面します。われわれの不義は積って頭よりも高くなり、われわれのとがは重なって天に達したからです。 + われわれの先祖の日から今日まで、われわれは大いなるとがを負い、われわれの不義によって、われわれとわれわれの王たち、および祭司たちは国々の王たちの手にわたされ、つるぎにかけられ、捕え行かれ、かすめられ、恥をこうむりました。今日のとおりです。 + ところがいま、われわれの神、主は、しばし恵みを施して、のがれ残るべき者をわれわれのうちにおき、その聖所のうちに確かなよりどころを与え、こうしてわれわれの神はわれわれの目を明らかにし、われわれをその奴隷のうちにあって、少しく生き返らせられました。 + われわれは奴隷の身でありますが、その奴隷たる時にも神はわれわれを見捨てられず、かえってペルシャ王たちの目の前でいつくしみを施して、われわれを生き返らせ、われわれの神の宮を建てさせ、その破壊をつくろわせ、ユダとエルサレムでわれわれに保護を与えられました。 + われわれの神よ、この後、何を言うことができましょう。われわれは、あなたの戒めを捨てたからです。 + あなたはかつて、あなたのしもべである預言者たちによって命じて仰せられました、『おまえたちが行って獲ようとする地は、各地の民の汚れにより、その憎むべきわざによって汚れた地で、この果から、かの果まで、その汚れに満ちている。 + それでおまえたちの娘を、彼らのむすこに与えてはならない。彼らの娘を、おまえたちのむすこにめとってはならない。また永久に彼らの平安をも福祉をも求めてはならない。そうすればおまえたちは強くなり、その地の良き物を食べ、これを永久におまえたちの子孫に伝えて嗣業とさせることができる』と。 + われわれの悪い行いにより、大いなるとがによって、これらすべてのことが、すでにわれわれに臨みましたが、われわれの神なるあなたは、われわれの不義よりも軽い罰をくだして、このように残りの者を与えてくださったのを見ながら、 + われわれは再びあなたの命令を破って、これらの憎むべきわざを行う民と縁を結んでよいでしょうか。あなたはわれわれを怒って、ついに滅ぼし尽し、残る者も、のがれる者もないようにされるのではないでしょうか。 + ああ、イスラエルの神、主よ、あなたは正しくいらせられます。われわれはのがれて残ること今日のとおりです。われわれは、とがをもってあなたの前にあります。それゆえだれもあなたの前に立つことはできません」。 + + + エズラが神の宮の前に泣き伏して祈り、かつざんげしていた時、男、女および子供の大いなる群集がイスラエルのうちから彼のもとに集まってきた。民はいたく泣き悲しんだ。 + 時にエラムの子孫のうちのエヒエルの子シカニヤが、エズラに告げて言った、「われわれは神にむかって罪を犯し、この地の民から異邦の女をめとりました。しかし、このことについてはイスラエルに、今なお望みがあります。 + それでわれわれはわが主の教と、われわれの神の命令におののく人々の教とに従って、これらの妻ならびにその子供たちを、ことごとく追い出すという契約を、われわれの神に立てましょう。そして律法に従ってこれを行いましょう。 + 立ちあがってください、この事はあなたの仕事です。われわれはあなたを助けます。心を強くしてこれを行いなさい」。 + エズラは立って、おもだった祭司、レビびとおよびすべてのイスラエルびとに、この言葉のように行うことを誓わせたので、彼らは誓った。 + エズラは神の宮の前から出て、エリアシブの子ヨハナンのへやにはいったが、そこへ行っても彼はパンも食べず、水も飲まずに夜を過ごした。これは彼が、捕囚から帰った人々のとがを嘆いたからである。 + そしてユダおよびエルサレムにあまねく布告を出し、捕囚から帰ったすべての者に告げて、エルサレムに集まるべき事と、 + つかさおよび長老たちのさとしに従って、三日のうちにこない者はだれでもその財産はことごとく没収され、その人自身は捕われ人の会から破門されると言った。 + そこでユダとベニヤミンの人々は皆三日のうちにエルサレムに集まった。これは九月の二十日であった。すべての民は神の宮の前の広場に座して、このことのため、また大雨のために震えおののいていた。 + 時に祭司エズラは立って彼らに言った、「あなたがたは罪を犯し、異邦の女をめとって、イスラエルのとがを増した。 + それで今、あなたがたの先祖の神、主にざんげして、そのみ旨を行いなさい。あなたがたはこの地の民および異邦の女と離れなさい」。 + すると会衆は皆大声をあげて答えた、「あなたの言われたとおり、われわれは必ず行います。 + しかし民は多く、また大雨の季節ですから、外に立っていることはできません。またこれは一日やふつかの仕事ではありません。われわれはこの事について大いに罪を犯したからです。 + それでどうぞ、われわれのつかさたちは全会衆のために立ってください。われわれの町の内に、もし異邦の女をめとった者があるならば、みな定めの時にこさせなさい。またおのおのの町の長老および裁判人も、それと一緒にこさせなさい。そうすればこの事によるわれわれの神の激しい怒りは、ついにわれわれを離れるでしょう」。 + ところがアサヘルの子ヨナタンおよびテクワの子ヤハジアはこれに反対した。そしてメシュラムおよびレビびとシャベタイは彼らを支持した。 + そこで捕囚から帰って来た人々はこのように行った。すなわち祭司エズラは、氏族の長たちをその氏族にしたがい、おのおのその名をさして選んだ。彼らは十月の一日から座してこの事を調べ、 + 正月の一日になって、異邦の女をめとった人々をことごとく調べ終った。 + 祭司の子孫のうちで異邦の女をめとった事のあらわれた者は、ヨザダクの子エシュアの子ら、およびその兄弟たちのうちではマアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダリヤであった。 + 彼らはその妻を離縁しようという誓いをなし、すでに罪を犯したというので、そのとがのために雄羊一頭をささげた。 + インメルの子らのうちではハナニおよびゼバデヤ。 + ハリムの子らのうちではマアセヤ、エリヤ、シマヤ、エヒエル、ウジヤ。 + パシュルの子らのうちではエリオエナイ、マアセヤ、イシマエル、ネタンエル、ヨザバデ、エラサ。 + レビびとのうちではヨザバテ、シメイ、ケラヤ(すなわちケリタ)、ペタヒヤ、ユダ、エリエゼル。 + 歌うたう者のうちではエリアシブ。門衛のうちではシャルム、テレム、ウリ。 + イスラエルのうち、パロシの子らのうちではラミヤ、エジア、マルキヤ、ミヤミン、エレアザル、ハシャビヤ、ベナヤ。 + エラムの子らのうちではマッタニヤ、ゼカリヤ、エヒエル、アブデ、エレモテ、エリヤ。 + ザットの子らのうちではエリオエナイ、エリアシブ、マッタニヤ、エレモテ、ザバデ、アジザ。 + ベバイの子らのうちではヨハナン、ハナニヤ、ザバイ、アテライ。 + バニの子らのうちではメシュラム、マルク、アダヤ、ヤシュブ、シヤル、エレモテ。 + パハテ・モアブの子らのうちではアデナ、ケラル、ベナヤ、マアセヤ、マッタニヤ、ベザレル、ビンヌイ、マナセ。 + ハリムの子らのうちではエリエゼル、イシヤ、マルキヤ、シマヤ、シメオン、 + ベニヤミン、マルク、シマリヤ。 + ハシュムの子らのうちではマッテナイ、マッタタ、ザバデ、エリパレテ、エレマイ、マナセ、シメイ。 + バニの子らのうちではマアダイ、アムラム、ウエル、 + ベナヤ、ベデヤ、ケルヒ、 + ワニア、メレモテ、エリアシブ、 + マッタニヤ、マッテナイ、ヤアス。 + ビンヌイの子らのうちではシメイ、 + シレミヤ、ナタン、アダヤ、 + マクナデバイ、シャシャイ、シャライ、 + アザリエル、シレミヤ、シマリヤ、 + シャルム、アマリヤ、ヨセフ。 + ネボの子らではエイエル、マッタテヤ、ザバデ、ゼビナ、ヤッダイ、ヨエル、ベナヤ。 + これらの者は皆異邦の女をめとった者である。彼らはその女たちをその子供と共に離縁した。 + +
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+ + ハカリヤの子ネヘミヤの言葉。第二十年のキスレウの月に、わたしが首都スサにいた時、 + わたしの兄弟のひとりハナニが数人の者と共にユダから来たので、わたしは捕囚を免れて生き残ったユダヤ人の事およびエルサレムの事を尋ねた。 + 彼らはわたしに言った、「かの州で捕囚を免れて生き残った者は大いなる悩みと、はずかしめのうちにあり、エルサレムの城壁はくずされ、その門は火で焼かれたままであります」と。 + わたしはこれらの言葉を聞いた時、すわって泣き、数日のあいだ嘆き悲しみ、断食して天の神の前に祈って、 + 言った、「天の神、主、おのれを愛し、その戒めを守る者には契約を守り、いつくしみを施される大いなる恐るべき神よ、 + どうぞ耳を傾け、目を開いてしもべの祈を聞いてください。わたしは今、あなたのしもべであるイスラエルの子孫のために、昼も夜もみ前に祈り、われわれイスラエルの子孫が、あなたに対して犯した罪をざんげいたします。まことにわたしも、わたしの父の家も罪を犯しました。 + われわれはあなたに対して大いに悪い事を行い、あなたのしもべモーセに命じられた戒めをも、定めをも、おきてをも守りませんでした。 + どうぞ、あなたのしもべモーセに命じられた言葉を、思い起してください。すなわちあなたは言われました、『もしあなたがたが罪を犯すならば、わたしはあなたがたを、もろもろの民の間に散らす。 + しかし、あなたがたがわたしに立ち返り、わたしの戒めを守って、これを行うならば、たといあなたがたのうちの散らされた者が、天の果にいても、わたしはそこから彼らを集め、わたしの名を住まわせるために選んだ所に連れて来る』と。 + 彼らは、あなたが大いなる力と強い手をもって、あがなわれたあなたのしもべ、あなたの民です。 + 主よ、どうぞしもべの祈と、あなたの名を恐れることを喜ぶあなたのしもべらの祈に耳を傾けてください。どうぞ、きょう、しもべを恵み、この人の目の前であわれみを得させてください」。この時、わたしは王の給仕役であった。 + + + アルタシャスタ王の第二十年、ニサンの月に、王の前に酒が出た時、わたしは酒をついで王にささげた。これまでわたしは王の前で悲しげな顔をしていたことはなかった。 + 王はわたしに言われた、「あなたは病気でもないのにどうして悲しげな顔をしているのか。何か心に悲しみをもっているにちがいない」。そこでわたしは大いに恐れて、 + 王に申しあげた、「どうぞ王よ、長生きされますように。わたしの先祖の墳墓の地であるあの町は荒廃し、その門が火で焼かれたままであるのに、どうしてわたしは悲しげな顔をしないでいられましょうか」。 + 王はわたしにむかって、「それでは、あなたは何を願うのか」と言われたので、わたしは天の神に祈って、 + 王に申しあげた、「もし王がよしとされ、しもべがあなたの前に恵みを得ますならば、どうかわたしを、ユダにあるわたしの先祖の墳墓の町につかわして、それを再建させてください」。 + 時に王妃もかたわらに座していたが、王はわたしに言われた、「あなたの旅の期間はどれほどですか。いつごろ帰ってきますか」。こうして王がわたしをつかわすことをよしとされたので、わたしは期間を定めて王に申しあげた。 + わたしはまた王に申しあげた、「もし王がよしとされるならば、川向こうの州の知事たちに与える手紙をわたしに賜わり、わたしがユダに行きつくまで、彼らがわたしを通過させるようにしてください。 + また王の山林を管理するアサフに与える手紙をも賜わり、神殿に属する城の門を建てるため、また町の石がき、およびわたしの住むべき家を建てるために用いる材木をわたしに与えるようにしてください」。わたしの神がよくわたしを助けられたので、王はわたしの願いを許された。 + そこでわたしは川向こうの州の知事たちの所へ行って、王の手紙を渡した。なお王は軍の長および騎兵をわたしと共につかわした。 + ところがホロニびとサンバラテおよびアンモンびと奴隷トビヤはこれを聞き、イスラエルの子孫の福祉を求める人が来たというので、大いに感情を害した。 + わたしはエルサレムに着いて、そこに三日滞在した後、 + 夜中に起き出た。数人の者がわたしに伴ったが、わたしは、神がエルサレムのためになそうとして、わたしの心に入れられたことを、だれにも告げ知らせず、またわたしが乗った獣のほかには、獣をつれて行かなかった。 + わたしは夜中に出て谷の門を通り、龍の井戸および糞の門に行って、エルサレムのくずれた城壁や、火に焼かれた門を調査し、 + また泉の門および王の池に行ったが、わたしの乗っている獣の通るべき所もなかった。 + わたしはまたその夜のうちに谷に沿って上り、城壁を調査したうえ、身をめぐらして、谷の門を通って帰った。 + つかさたちは、わたしがどこへ行ったか、何をしたかを知らなかった。わたしはまたユダヤ人にも、祭司たちにも、尊い人たちにも、つかさたちにも、その他工事をする人々にもまだ知らせなかった。 + しかしわたしはついに彼らに言った、「あなたがたの見るとおり、われわれは難局にある。エルサレムは荒廃し、その門は火に焼かれた。さあ、われわれは再び世のはずかしめをうけることのないように、エルサレムの城壁を築こう」。 + そして、わたしの神がよくわたしを助けられたことを彼らに告げ、また王がわたしに語られた言葉をも告げたので、彼らは「さあ、立ち上がって築こう」と言い、奮い立って、この良きわざに着手しようとした。 + ところがホロニびとサンバラテ、アンモンびと奴隷トビヤおよびアラビヤびとガシムがこれを聞いて、われわれをあざけり、われわれを侮って言った、「あなたがたは何をするのか、王に反逆しようとするのか」。 + わたしは彼らに答えて言った、「天の神がわれわれを恵まれるので、そのしもべであるわれわれは奮い立って築くのである。しかしあなたがたはエルサレムに何の分もなく、権利もなく、記念もない」。 + + + かくて大祭司エリアシブは、その兄弟である祭司たちと共に立って羊の門を建て、これを聖別してそのとびらを設け、さらにこれを聖別して、ハンメアの望楼に及ぼし、またハナネルの望楼にまで及ぼした。 + 彼の次にはエリコの人々が建て、その次にはイムリの子ザックルが建てた。 + 魚の門はハッセナアの子らが建て、その梁を置き、そのとびらと横木と貫の木とを設けた。 + その次にハッコヅの子ウリヤの子メレモテが修理し、その次にメシザベルの子ベレキヤの子メシュラムが修理し、その次にバアナの子ザドクが修理した。 + その次にテコアびとらが修理したが、その貴人たちはその主の工事に服さなかった。 + 古い門はパセアの子ヨイアダおよびベソデヤの子メシュラムがこれを修理し、その梁を置き、そのとびらと横木と貫の木とを設けた。 + その次にギベオンびとメラテヤ、メロノテびとヤドン、および川向こうの州の知事の行政下にあるギベオンとミヅパの人々が修理した。 + その次にハルハヤの子ウジエルなどの金細工人が修理し、その次に製香者のひとりハナニヤが修理した。こうして彼らはエルサレムを城壁の広い所まで復旧した。 + その次にエルサレムの半区域の知事ホルの子レパヤが修理し、 + その次にハルマフの子エダヤが自分の家と向かい合っている所を修理し、その次にはハシャブニヤの子ハットシが修理した。 + ハリムの子マルキヤおよびバハテ・モアブの子ハシュブも他の部分および炉の望楼を修理した。 + その次にエルサレムの他の半区域の知事ハロヘシの子シャルムがその娘たちと共に修理した。 + 谷の門はハヌンがザノアの民と共にこれを修理し、これを建て直して、そのとびらと横木と貫の木とを設け、また糞の門まで城壁一千キュビトを修理した。 + 糞の門はベテ・ハケレムの区域の知事レカブの子マルキヤがこれを修理し、これを建て直して、そのとびらと横木と貫の木とを設けた。 + 泉の門はミヅパの区域の知事コロホゼの子シャルンがこれを修理し、これを建て直して、おおいを施し、そのとびらと横木と貫の木とを設けた。彼はまた王の園のほとりのシラの池に沿った石がきを修理して、ダビデの町から下る階段にまで及んだ。 + その後にベテズルの半区域の知事アズブクの子ネヘミヤが修理して、ダビデの墓と向かい合った所に及び、掘池と勇士の宅にまで及んだ。 + その後にバニの子レホムなどのレビびとが修理し、その次にケイラの半区域の知事ハシャビヤがその区域のために修理した。 + その後にケイラの半区域の知事ヘナダデの子バワイなどその兄弟たちが修理し、 + その次にエシュアの子でミヅパの知事であるエゼルが、城壁の曲りかどにある武器倉に上る所と向かい合った他の部分を修理し、 + その後にザバイの子バルクが、力をつくして城壁の曲りかどから大祭司エリアシブの家の門までの他の部分を修理し、 + その後にハッコヅの子ウリヤの子メレモテが、エリアシブの家の門からエリアシブの家の端までの他の部分を修理し、 + 彼の後に低地の人々である祭司たちが修理し、 + その後にベニヤミンおよびハシュブが、自分たちの家と向かい合っている所を修理し、その後にアナニヤの子マアセヤの子アザリヤが、自分の家の附近を修理し、 + その後にヘナダデの子ビンヌイが、アザリヤの家から城壁の曲りかど、およびすみまでの他の部分を修理した。 + ウザイの子パラルは、城壁の曲りかどと向かい合っている所、および監視の庭に近い王の上の家から突き出ている望楼と向かい合っている所を修理した。その後にパロシの子ペダヤ、 + およびオペルに住んでいる宮に仕えるしもべたちが、東の方の水の門と向かい合っている所、および突き出ている望楼と向かい合っている所まで修理した。 + その後にテコアびとが、突き出ている大望楼と向かい合っている他の部分を修理し、オペルの城壁にまで及んだ。 + 馬の門から上の方は祭司たちが、おのおの自分の家と向かい合っている所を修理した。 + その後にインメルの子ザドクが、自分の家と向かい合っている所を修理し、その後にシカニヤの子シマヤという東の門を守る者が修理し、 + その後にシレミヤの子ハナニヤおよびザラフの第六の子ハヌンが他の部分を修理し、その後にベレキヤの子メシュラムが、自分のへやと向かい合っている所を修理した。 + その後に金細工人のひとりマルキヤという者が、召集の門と向かい合っている所を修理して、すみの二階のへやに至り、宮に仕えるしもべたちおよび商人の家にまで及んだ。 + またすみの二階のへやと羊の門の間は金細工人と商人たちがこれを修理した。 + + + サンバラテはわれわれが城壁を築くのを聞いて怒り、大いに憤ってユダヤ人をあざけった。 + 彼はその兄弟たちおよびサマリヤの兵隊の前で語って言った、「この弱々しいユダヤ人は何をしているのか。自分で再興しようとするのか。犠牲をささげようとするのか。一日で事を終えようとするのか。塵塚の中の石はすでに焼けているのに、これを取りだして生かそうとするのか」。 + またアンモンびとトビヤは、彼のかたわらにいて言った、「そうだ、彼らの築いている城壁は、きつね一匹が上ってもくずれるであろう」と。 + 「われわれの神よ、聞いてください。われわれは侮られています。彼らのはずかしめを彼らのこうべに返し、彼らを捕囚の地でぶんどり物にしてください。 + 彼らのとがをおおわず、彼らの罪をみ前から消し去らないでください。彼らは築き建てる者の前であなたを怒らせたからです」。 + こうしてわれわれは城壁を築いたが、石がきはみな相連なって、その高さの半ばにまで達した。民が心をこめて働いたからである。 + ところがサンバラテ、トビヤ、アラビヤびと、アンモンびと、アシドドびとらは、エルサレムの城壁の修理が進展し、その破れ目もふさがり始めたと聞いて大いに怒り、 + 皆共に相はかり、エルサレムを攻めて、その中に混乱を起そうとした。 + そこでわれわれは神に祈り、また日夜見張りを置いて彼らに備えた。 + その時、ユダびとは言った、「荷を負う者の力は衰え、そのうえ、灰土がおびただしいので、われわれは城壁を築くことができない」。 + またわれわれの敵は言った、「彼らの知らないうちに、また見ないうちに、彼らの中にはいりこんで彼らを殺し、その工事をやめさせよう」。 + また彼らの近くに住んでいるユダヤ人たちはきて、十度もわれわれに言った、「彼らはその住んでいるすべての所からわれわれに攻め上るでしょう」と。 + そこでわたしは民につるぎ、やりおよび弓を持たせ、城壁の後の低い所、すなわち空地にその家族にしたがって立たせた。 + わたしは見めぐり、立って尊い人々、つかさたち、およびその他の民らに言った、「あなたがたは彼らを恐れてはならない。大いなる恐るべき主を覚え、あなたがたの兄弟、むすこ、娘、妻および家のために戦いなさい」。 + われわれの敵は自分たちの事が、われわれに悟られたことを聞き、また神が彼らの計りごとを破られたことを聞いたので、われわれはみな城壁に帰り、おのおのその工事を続けた。 + その日から後は、わたしのしもべの半数は工事に働き、半数はやり、盾、弓、よろいをもって武装した。そしてつかさたちは城壁を築いているユダの全家の後に立った。 + 荷を負い運ぶ者はおのおの片手で工事をなし、片手に武器を執った。 + 築き建てる者はおのおのその腰につるぎを帯びて築き建て、ラッパを吹く者はわたしのかたわらにいた。 + わたしは尊い人々、つかさたち、およびその他の民に言った、「工事は大きくかつ広がっているので、われわれは城壁の上で互に遠く離れている。 + どこででもラッパの音を聞いたなら、そこにいるわれわれの所に集まってほしい。われわれの神はわれわれのために戦われます」。 + このようにして、われわれは工事を進めたが、半数の者は夜明けから星の出る時まで、やりを執っていた。 + その時わたしはまた民に告げて、「おのおのそのしもべと共にエルサレムの内に宿り、夜はわれわれの護衛者となり、昼は工事をするように」と言った。 + そして、わたしも、わたしの兄弟たちも、わたしのしもべたちも、わたしを護衛する人々も、われわれのうちひとりも、その衣を脱がず、おのおの手に武器を執っていた。 + + + さて、ここに民がその妻と共に、その兄弟であるユダヤ人に向かって大いに叫び訴えることがあった。 + すなわち、ある人々は言った、「われわれはむすこ娘と共に大ぜいです。われわれは穀物を得て、食べて生きていかなければなりません」。 + またある人々は言った、「われわれは飢えのために、穀物を得ようと田畑も、ぶどう畑も、家も抵当に入れています」。 + ある人々は言った、「われわれは王の税金のために、われわれの田畑およびぶどう畑をもって金を借りました。 + 現にわれわれの肉はわれわれの兄弟の肉に等しく、われわれの子供も彼らの子供に等しいのに、見よ、われわれはむすこ娘を人の奴隷とするようにしいられています。われわれの娘のうちには、すでに人の奴隷になった者もありますが、われわれの田畑も、ぶどう畑も他人のものになっているので、われわれにはどうする力もありません」。 + わたしは彼らの叫びと、これらの言葉を聞いて大いに怒った。 + わたしはみずから考えたすえ、尊い人々およびつかさたちを責めて言った、「あなたがたはめいめいその兄弟から利息をとっている」。そしてわたしは彼らの事について大会を開き、 + 彼らに言った、「われわれは異邦人に売られたわれわれの兄弟ユダヤ人を、われわれの力にしたがってあがなった。しかるにあなたがたは自分の兄弟を売ろうとするのか。彼らはわれわれに売られるのか」。彼らは黙してひと言もいわなかった。 + わたしはまた言った、「あなたがたのする事はよくない。あなたがたは、われわれの敵である異邦人のそしりをやめさせるために、われわれの神を恐れつつ事をなすべきではないか。 + わたしもわたしの兄弟たちも、わたしのしもべたちも同じく金と穀物とを貸しているが、われわれはこの利息をやめよう。 + どうぞ、あなたがたは、きょうにも彼らの田畑、ぶどう畑、オリブ畑および家屋を彼らに返し、またあなたがたが彼らから取っていた金銭、穀物、ぶどう酒、油などの百分の一を返しなさい」。 + すると彼らは「われわれはそれを返します。彼らから何をも要求しません。あなたの言うようにします」と言った。そこでわたしは祭司たちを呼び、彼らにこの言葉のとおりに行うという誓いを立てさせた。 + わたしはまたわたしのふところを打ち払って言った、「この約束を実行しない者を、どうぞ神がこのように打ち払って、その家およびその仕事を離れさせられるように。その人はこのように打ち払われてむなしくなるように」。会衆はみな「アァメン」と言って、主をさんびした。そして民はこの約束のとおりに行った。 + またわたしは、ユダの地の総督に任ぜられた時から、すなわちアルタシャスタ王の第二十年から第三十二年まで、十二年の間、わたしもわたしの兄弟たちも、総督としての手当てを受けなかった。 + わたしより以前の総督らは民に重荷を負わせ、彼らから銀四十シケルのほかにパンとぶどう酒を取り、また彼らのしもべたちも民を圧迫した。しかしわたしは神を恐れるので、そのようなことはしなかった。 + わたしはかえって、この城壁の工事に身をゆだね、どんな土地をも買ったことはない。わたしのしもべたちは皆そこに集まって工事をした。 + またわたしの食卓にはユダヤ人と、つかさたち百五十人もあり、そのほかに、われわれの周囲の異邦人のうちからきた人々もあった。 + これがために一日に牛一頭、肥えた羊六頭を備え、また鶏をもわたしのために備え、十日ごとにたくさんのぶどう酒を備えたが、わたしはこの民の労役が重かったので、総督としての手当てを求めなかった。 + わが神よ、わたしがこの民のためにしたすべての事を覚えて、わたしをお恵みください。 + + + サンバラテ、トビヤ、アラビヤびとガシムおよびその他のわれわれの敵は、わたしが城壁を築き終って、一つの破れも残らないと聞いた。(しかしその時にはまだ門のとびらをつけていなかったのである。) + そこでサンバラテとガシムはわたしに使者をつかわして言った、「さあ、われわれはオノの平野にある一つの村で会見しよう」と。彼らはわたしに危害を加えようと考えていたのである。 + それでわたしは彼らに使者をつかわして言わせた、「わたしは大いなる工事をしているから下って行くことはできない。どうしてこの工事をさしおいて、あなたがたの所へ下って行き、その間、工事をやめることができようか」。 + 彼らは四度までこのようにわたしに人をつかわしたが、わたしは同じように彼らに答えた。 + ところが、サンバラテは五度目にそのしもべを前のようにわたしにつかわした。その手には開封の手紙を携えていた。 + その中に次のようにしるしてあった、「諸国民の間に言い伝えられ、またガシムも言っているが、あなたはユダヤ人と共に反乱を企て、これがために城壁を築いている。またその言うところによれば、あなたは彼らの王になろうとしている。 + またあなたは預言者を立てて、あなたのことをエルサレムにのべ伝えさせ、『ユダに王がある』と言わせているが、そのことはこの言葉のとおり王に聞えるでしょう。それゆえ、今おいでなさい。われわれは共に相談しましょう」。 + そこでわたしは彼に人をつかわして言わせた、「あなたの言うようなことはしていません。あなたはそれを自分の心から造り出したのです」と。 + 彼らはみな「彼らの手が弱って工事をやめるようになれば、工事は成就しないだろう」と考えて、われわれをおどそうとしたのである。しかし神よ、どうぞいまわたしの手を強めてください。 + さてわたしはメヘタベルの子デラヤの子シマヤの家に行ったところ、彼は閉じこもっていて言った、「われわれは神の宮すなわち神殿の中で会合し、神殿の戸を閉じておきましょう。彼らはあなたを殺そうとして来るからです。きっと夜のうちにあなたを殺そうとして来るでしょう」。 + わたしは言った、「わたしのような者がどうして逃げられよう。わたしのような者でだれが神殿にはいって命を全うすることができよう。わたしははいらない」。 + わたしは悟った。神が彼をつかわされたのではない。彼がわたしにむかってこの預言を伝えたのは、トビヤとサンバラテが彼を買収したためである。 + 彼が買収されたのはこの事のためである。すなわちわたしを恐れさせ、わたしにこのようにさせて、罪を犯させ、わたしに悪名をきせて侮辱するためであった。 + わが神よ、トビヤ、サンバラテおよび女預言者ノアデヤならびにその他の預言者など、すべてわたしを恐れさせようとする者たちをおぼえて、彼らが行ったこれらのわざに報いてください。 + こうして城壁は五十二日を経て、エルルの月の二十五日に完成した。 + われわれの敵が皆これを聞いた時、われわれの周囲の異邦人はみな恐れ、大いに面目を失った。彼らはこの工事が、われわれの神の助けによって成就したことを悟ったからである。 + またそのころ、ユダの尊い人々は多くの手紙をトビヤに送った。トビヤの手紙もまた彼らにきた。 + トビヤはアラの子シカニヤの婿であったので、ユダのうちの多くの者が彼と誓いを立てていたからである。トビヤの子ヨハナンもベレキヤの子メシュラムの娘を妻にめとった。 + 彼らはまたトビヤの善行をわたしの前に語り、またわたしの言葉を彼に伝えた。トビヤはたびたび手紙を送って、わたしを恐れさせようとした。 + + + 城壁が築かれて、とびらを設け、さらに門衛、歌うたう者およびレビびとを任命したので、 + わたしは、わたしの兄弟ハナニと、城のつかさハナニヤに命じて、エルサレムを治めさせた。彼は多くの者にまさって忠信な、神を恐れる者であったからである。 + わたしは彼らに言った、「日の暑くなるまではエルサレムのもろもろの門を開いてはならない。人々が立って守っている間に門を閉じさせ、貫の木を差せ。またエルサレムの住民の中から番兵を立てて、おのおのにその所を守らせ、またおのおのの家と向かい合う所を守らせよ」。 + 町は広くて大きかったが、その内の民は少なく、家々はまだ建てられていなかった。 + 時に神はわたしの心に、尊い人々、つかさおよび民を集めて、家系によってその名簿をしらべようとの思いを起された。わたしは最初に上って来た人々の系図を発見し、その中にこのようにしるしてあるのを見いだした。 + バビロンの王ネブカデネザルが捕え移した捕囚のうち、ゆるされてエルサレムおよびユダに上り、おのおの自分の町に帰ったこの州の人々は次のとおりである。 + 彼らはゼルバベル、エシュア、ネヘミヤ、アザリヤ、ラアミヤ、ナハマニ、モルデカイ、ビルシャン、ミスペレテ、ビグワイ、ネホム、バアナと一緒に帰ってきた者たちである。そのイスラエルの民の人数は次のとおりである。 + パロシの子孫は二千百七十二人。 + シパテヤの子孫は三百七十二人。 + アラの子孫は六百五十二人。 + パハテ・モアブの子孫すなわちエシュアとヨアブの子孫は二千八百十八人。 + エラムの子孫は一千二百五十四人。 + ザットの子孫は八百四十五人。 + ザッカイの子孫は七百六十人。 + ビンヌイの子孫は六百四十八人。 + ベバイの子孫は六百二十八人。 + アズガデの子孫は二千三百二十二人。 + アドニカムの子孫は六百六十七人。 + ビグワイの子孫は二千六十七人。 + アデンの子孫は六百五十五人。 + ヒゼキヤの家のアテルの子孫は九十八人。 + ハシュムの子孫は三百二十八人。 + ベザイの子孫は三百二十四人。 + ハリフの子孫は百十二人。 + ギベオンの子孫は九十五人。 + ベツレヘムおよびネトパの人々は百八十八人。 + アナトテの人々は百二十八人。 + ベテ・アズマウテの人々は四十二人。 + キリアテ・ヤリム、ケピラおよびベエロテの人々は七百四十三人。 + ラマおよびゲバの人々は六百二十一人。 + ミクマシの人々は百二十二人。 + ベテルおよびアイの人々は百二十三人。 + ほかのネボの人々は五十二人。 + ほかのエラムの子孫は一千二百五十四人。 + ハリムの子孫は三百二十人。 + エリコの人々は三百四十五人。 + ロド、ハデデおよびオノの人々は七百二十一人。 + セナアの子孫は三千九百三十人。 + 祭司では、エシュアの家のエダヤの子孫が九百七十三人。 + インメルの子孫が一千五十二人。 + パシュルの子孫が一千二百四十七人。 + ハリムの子孫が一千十七人。 + レビびとでは、エシュアの子孫すなわちホデワの子孫のうちのカデミエルの子孫が七十四人。 + 歌うたう者では、アサフの子孫が百四十八人。 + 門衛では、シャルムの子孫、アテルの子孫、タルモンの子孫、アックブの子孫、ハテタの子孫およびショバイの子孫合わせて百三十八人。 + 宮に仕えるしもべでは、ジハの子孫、ハスパの子孫、タバオテの子孫、 + ケロスの子孫、シアの子孫、パドンの子孫、 + レバナの子孫、ハガバの子孫、サルマイの子孫、 + ハナンの子孫、ギデルの子孫、ガハルの子孫、 + レアヤの子孫、レヂンの子孫、ネコダの子孫、 + ガザムの子孫、ウザの子孫、パセアの子孫、 + ベサイの子孫、メウニムの子孫、ネフセシムの子孫、 + バクブクの子孫、ハクパの子孫、ハルホルの子孫、 + バヅリテの子孫、メヒダの子孫、ハルシャの子孫、 + バルコスの子孫、シセラの子孫、テマの子孫、 + ネヂアの子孫およびハテパの子孫。 + ソロモンのしもべであった者たちの子孫では、ソタイの子孫、ソペレテの子孫、ペリダの子孫、 + ヤアラの子孫、ダルコンの子孫、ギデルの子孫、 + シパテヤの子孫、ハッテルの子孫、ポケレテ・ハッゼバイムの子孫、アモンの子孫。 + 宮に仕えるしもべたちとソロモンのしもべであった者たちの子孫とは合わせて三百九十二人。 + テルメラ、テルハレサ、ケルブ、アドンおよびインメルから上って来た者があったが、その氏族と、血統とを示して、イスラエルの者であることを明らかにすることができなかった。その人々は次のとおりである。 + すなわちデラヤの子孫、トビヤの子孫、ネコダの子孫であって、合わせて六百四十二人。 + また祭司のうちにホバヤの子孫、ハッコヅの子孫、バルジライの子孫がある。バルジライはギレアデびとバルジライの娘たちのうちから妻をめとったので、その名で呼ばれた。 + これらの者はこの系図に載った者のうちに、自分の籍をたずねたが、なかったので、汚れた者として祭司の職から除かれた。 + 総督は彼らに告げて、ウリムとトンミムを帯びる祭司の起るまでは、いと聖なる物を食べてはならぬと言った。 + 会衆は合わせて四万二千三百六十人であった。 + このほかに男女の奴隷が七千三百三十七人、歌うたう者が男女合わせて二百四十五人あった。 + その馬は七百三十六頭、その騾馬は二百四十五頭、 + そのらくだは四百三十五頭、そのろばは六千七百二十頭であった。 + 氏族の長のうち工事のためにささげ物をした人々があった。総督は金一千ダリク、鉢五十、祭司の衣服五百三十かさねを倉に納めた。 + また氏族の長のうちのある人々は金二万ダリク、銀二千二百ミナを工事のために倉に納めた。 + その他の民の納めたものは金二万ダリク、銀二千ミナ、祭司の衣服六十七かさねであった。 + こうして祭司、レビびと、門衛、歌うたう者、民のうちのある人々、宮に仕えるしもべたち、およびイスラエルびとは皆その町々に住んだ。イスラエルの人々はその町々に住んで七月になった。 + + + その時民は皆ひとりのようになって水の門の前の広場に集まり、主がイスラエルに与えられたモーセの律法の書を持って来るように、学者エズラに求めた。 + 祭司エズラは七月の一日に律法を携えて来て、男女の会衆およびすべて聞いて悟ることのできる人々の前にあらわれ、 + 水の門の前にある広場で、あけぼのから正午まで、男女および悟ることのできる人々の前でこれを読んだ。民はみな律法の書に耳を傾けた。 + 学者エズラはこの事のために、かねて設けた木の台の上に立ったが、彼のかたわらには右の方にマッタテヤ、シマ、アナヤ、ウリヤ、ヒルキヤおよびマアセヤが立ち、左の方にはペダヤ、ミサエル、マルキヤ、ハシュム、ハシバダナ、ゼカリヤおよびメシュラムが立った。 + エズラはすべての民の前にその書を開いた。彼はすべての民よりも高い所にいたからである。彼が書を開くと、すべての民は起立した。 + エズラは大いなる神、主をほめ、民は皆その手をあげて、「アァメン、アァメン」と言って答え、こうべをたれ、地にひれ伏して主を拝した。 + エシュア、バニ、セレビヤ、ヤミン、アックブ、シャベタイ、ホデヤ、マアセヤ、ケリタ、アザリヤ、ヨザバデ、ハナン、ペラヤおよびレビびとたちは民に律法を悟らせた。民はその所に立っていた。 + 彼らはその書、すなわち神の律法をめいりょうに読み、その意味を解き明かしてその読むところを悟らせた。 + 総督であるネヘミヤと、祭司であり、学者であるエズラと、民を教えるレビびとたちはすべての民に向かって「この日はあなたがたの神、主の聖なる日です。嘆いたり、泣いたりしてはならない」と言った。すべての民が律法の言葉を聞いて泣いたからである。 + そして彼らに言った、「あなたがたは去って、肥えたものを食べ、甘いものを飲みなさい。その備えのないものには分けてやりなさい。この日はわれわれの主の聖なる日です。憂えてはならない。主を喜ぶことはあなたがたの力です」。 + レビびともまたすべての民を静めて、「泣くことをやめなさい。この日は聖なる日です。憂えてはならない」と言った。 + すべての民は去って食い飲みし、また分け与えて、大いに喜んだ。これは彼らが読み聞かされた言葉を悟ったからである。 + 次の日、すべての民の氏族の長たち、祭司、レビびとらは律法の言葉を学ぶために学者エズラのもとに集まってきて、 + 律法のうちに主がモーセに命じられたこと、すなわちイスラエルの人々は七月の祭の間、仮庵の中に住むべきことがしるされているのを見いだした。 + またすべての町々およびエルサレムにのべ伝えて、「あなたがたは山に出て行って、オリブと野生のオリブ、ミルトス、なつめやし、および茂った木の枝を取ってきて、しるされてあるとおり、仮庵を造れ」と言ってあるのを見いだした。 + それで民は出て行って、それを持って帰り、おのおのその家の屋根の上、その庭、神の宮の庭、水の門の広場、エフライムの門の広場などに仮庵を造った。 + 捕囚から帰って来た会衆は皆仮庵を造って、仮庵に住んだ。ヌンの子ヨシュアの日からこの日まで、イスラエルの人々はこのように行ったことがなかった。それでその喜びは非常に大きかった。 + エズラは初めの日から終りの日まで、毎日神の律法の書を読んだ。人々は七日の間、祭を行い、八日目になって、おきてにしたがって聖会を開いた。 + + + その月の二十四日にイスラエルの人々は集まって断食し、荒布をまとい、土をかぶった。 + そしてイスラエルの子孫は、すべての異邦人を離れ、立って自分の罪と先祖の不義とをざんげした。 + 彼らはその所に立って、その日の四分の一をもってその神、主の律法の書を読み、他の四分の一をもってざんげをなし、その神、主を拝した。 + その時エシュア、バニ、カデミエル、シバニヤ、ブンニ、セレビヤ、バニ、ケナニらはレビびとの台の上に立ち、大声をあげて、その神、主に呼ばわった。 + それからまたエシュア、カデミエル、バニ、ハシャブニヤ、セレビヤ、ホデヤ、セバニヤ、ペタヒヤなどのレビびとは言った、「立ちあがって永遠から永遠にいますあなたがたの神、主をほめなさい。あなたの尊いみ名はほむべきかな。これはすべての祝福とさんびを越えるものです」。 + またエズラは言った、「あなたは、ただあなたのみ、主でいらせられます。あなたは天と諸天の天と、その万象、地とその上のすべてのもの、海とその中のすべてのものを造り、これをことごとく保たれます。天の万軍はあなたを拝します。 + あなたは主、神でいらせられます。あなたは昔アブラムを選んでカルデヤのウルから導き出し、彼にアブラハムという名を与え、 + 彼の心があなたの前に忠信なのを見られて、彼と契約を結び、その子孫にカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、エブスびとおよびギルガシびとの地を与えると言われたが、ついにあなたはその約束を成就されました。あなたは正しくいらせられるからです。 + あなたはわれわれの先祖がエジプトで苦難を受けるのを顧みられ、また紅海のほとりで呼ばわり叫ぶのを聞きいれられ、 + しるしと不思議とをあらわしてパロと、そのすべての家来と、その国のすべての民を攻められました。彼らがわれわれの先祖に対して、ごうまんにふるまったことを知られたからです。そしてあなたが名をあげられたこと今日のようです。 + あなたはまた彼らの前で海を分け、彼らに、かわいた地を踏んで海の中を通らせ、彼らを追う者を、石を大水に投げ入れるように淵に投げ入れ、 + 昼は雲の柱をもって彼らを導き、夜は火の柱をもってその行くべき道を照されました。 + あなたはまたシナイ山の上に下り、天から彼らと語り、正しいおきてと、まことの律法および良きさだめと戒めとを授け、 + あなたの聖なる安息日を彼らに示し、あなたのしもべモーセによって戒めと、さだめと、律法とを彼らに命じ、 + 天から食物を与えてその飢えをとどめ、岩から水を出してそのかわきを潤し、また、彼らに与えると誓われたその国にはいって、これを獲るように彼らに命じられました。 + しかし彼ら、すなわちわれわれの先祖はごうまんにふるまい、かたくなで、あなたの戒めに従わず、 + 従うことを拒み、あなたが彼らの中で行われた奇跡を心にとめず、かえってかたくなになり、みずからひとりのかしらを立てて、エジプトの奴隷の生活に帰ろうとしました。しかしあなたは罪をゆるす神、恵みあり、あわれみあり、怒ることおそく、いつくしみ豊かにましまして、彼らを捨てられませんでした。 + また彼らがみずから一つの鋳物の子牛を造って、『これはあなたがたをエジプトから導き上ったあなたがたの神である』と言って、大いに汚し事を行った時にも、 + あなたは大いなるあわれみをもって彼らを荒野に見捨てられず、昼は雲の柱を彼らの上から離さないで道々彼らを導き、夜は火の柱をもって彼らの行くべき道を照されました。 + またあなたは良きみたまを賜わって彼らを教え、あなたのマナを常に彼らの口に与え、また水を彼らに与えて、かわきをとどめ、 + 四十年の間彼らを荒野で養われたので、彼らはなんの欠けるところもなく、その衣服も古びず、その足もはれませんでした。 + そしてあなたは彼らに諸国、諸民を与えて、これをすべて分かち取らせられました。彼らはヘシボンの王シホンの領地、およびバシャンの王オグの領地を獲ました。 + また彼らの子孫を増して空の星のようにし、彼らの先祖たちに、はいって獲よと言われた地に彼らを導き入れられたので、 + その子孫は、はいってこの地を獲ました。あなたはまた、この地に住むカナンびとを彼らの前に征服し、その王たちおよびその地の民を彼らの手に渡して、意のままに扱わせられました。 + それで彼らは堅固な町々および肥えた地を取り、もろもろの良い物の満ちた家、掘池、ぶどう畑、オリブ畑および多くの果樹を獲、食べて飽き、肥え太り、あなたの大いなる恵みによって楽しみました。 + それにもかかわらず彼らは不従順で、あなたにそむき、あなたの律法を後に投げ捨て、彼らを戒めて、あなたに立ち返らせようとした預言者たちを殺し、大いに汚し事を行いました。 + そこであなたは彼らを敵の手に渡して苦しめられましたが、彼らがその苦難の時にあなたに呼ばわったので、あなたは天からこれを聞かれ、大いなるあわれみをもって彼らに救う者を与え、敵の手から救わせられました。 + ところが彼らは安息を得るやいなや、またあなたの前に悪事を行ったので、あなたは彼らを敵の手に捨て置いて、これに治めさせられましたが、彼らがまた立ち返ってあなたに呼ばわったので、あなたは天からこれを聞き、あわれみをもってしばしば彼らを救い出し、 + 彼らを戒めて、あなたの律法に引きもどそうとされました。けれども彼らはごうまんにふるまい、あなたの戒めに従わず、人がこれを行うならば、これによって生きるというあなたのおきてを破って罪を犯し、肩をそびやかし、かたくなになって、聞き従おうとはしませんでした。 + それでもあなたは年久しく彼らを忍び、あなたの預言者たちにより、あなたのみたまをもって彼らを戒められましたが、彼らは耳を傾けなかったので、彼らを国々の民の手に渡されました。 + しかしあなたは大いなるあわれみによって彼らを絶やさず、また彼らを捨てられませんでした。あなたは恵みあり、あわれみある神でいらせられるからです。 + それゆえ、われわれの神、契約を保ち、いつくしみを施される大いにして力強く、恐るべき神よ、アッスリヤの王たちの時から今日まで、われわれとわれわれの王たち、つかさたち、祭司たち、預言者たち、先祖たち、およびあなたのすべての民に臨んだもろもろの苦難を小さい事と見ないでください。 + われわれに臨んだすべての事について、あなたは正しいのです。あなたは誠実をもって行われたのに、われわれは悪を行ったのです。 + われわれの王たち、つかさたち、祭司たち、先祖たちはあなたの律法を行わず、あなたがお与えになった命令と戒めとに聞き従いませんでした。 + すなわち彼らはおのれの国におり、あなたが下さった大きな恵みのうちにおり、またあなたがお与えになった広い肥えた地におりながら、あなたに仕えず、また自分の悪いわざをやめることをしませんでした。 + われわれは今日奴隷です。あなたがわれわれの先祖に与えて、その実とその良き物とを食べさせようとされた地で、われわれは奴隷となっているのです。 + そしてこの地はわれわれの罪のゆえに、あなたがわれわれの上に立てられた王たちのために多くの産物を出しています。かつ彼らはわれわれの身をも、われわれの家畜をも意のままに左右することができるので、われわれは大いなる苦難のうちにあるのです」。 + このもろもろの事のためにわれわれは堅い契約を結んで、これを記録し、われわれのつかさたち、レビびとたち祭司たちはこれに印を押した。 + + + 印を押した者はハカリヤの子である総督ネヘミヤ、およびゼデキヤ、 + セラヤ、アザリヤ、エレミヤ、 + パシュル、アマリヤ、マルキヤ、 + ハットシ、シバニヤ、マルク、 + ハリム、メレモテ、オバデヤ、 + ダニエル、ギンネトン、バルク、 + メシュラム、アビヤ、ミヤミン、 + マアジヤ、ビルガイ、シマヤで、これらは祭司である。 + レビびとではアザニヤの子エシュア、ヘナダデの子らのうちのビンヌイ、カデミエル、 + およびその兄弟シバニヤ、ホデヤ、ケリタ、ペラヤ、ハナン、 + ミカ、レホブ、ハシャビヤ、 + ザックル、セレビヤ、シバニヤ、 + ホデヤ、バニ、ベニヌである。 + 民のかしらではパロシ、パハテ・モアブ、エラム、ザット、バニ、 + ブンニ、アズガデ、ベバイ、 + アドニヤ、ビグワイ、アデン、 + アテル、ヒゼキヤ、アズル、 + ホデヤ、ハシュム、ベザイ、 + ハリフ、アナトテ、ノバイ、 + マグピアシ、メシュラム、ヘジル、 + メシザベル、ザドク、ヤドア、 + ペラテヤ、ハナン、アナニヤ、 + ホセア、ハナニヤ、ハシュブ、 + ハロヘシ、ピルハ、ショベク、 + レホム、ハシャブナ、マアセヤ、 + アヒヤ、ハナン、アナン、 + マルク、ハリム、バアナである。 + その他の民、祭司、レビびと、門を守る者、歌うたう者、宮に仕えるしもべ、ならびにすべて国々の民と離れて神の律法に従った者およびその妻、むすこ、娘などすべて知識と悟りのある者は、 + その兄弟である尊い人々につき従い、神のしもべモーセによって授けられた神の律法に歩み、われわれの主、主のすべての戒めと、おきてと、定めとを守り行うために、のろいと誓いとに加わった。 + われわれはこの地の民らにわれわれの娘を与えず、われわれのむすこに彼らの娘をめとらない。 + またこの地の民らがたとい品物または穀物を安息日に携えて来て売ろうとしても、われわれは安息日または聖日にはそれを買わない。また七年ごとに耕作をやめ、すべての負債をゆるす。 + われわれはまたみずから規定を設けて、われわれの神の宮の用のために年々シケルの三分の一を出し、 + 供えのパン、常素祭、常燔祭のため、安息日、新月および定めの祭の供え物のため、聖なる物のため、イスラエルのあがないをなす罪祭、およびわれわれの神の宮のもろもろのわざのために用いることにした。 + またわれわれ祭司、レビびとおよび民はくじを引いて、律法にしるされてあるようにわれわれの神、主の祭壇の上にたくべきたきぎの供え物を、年々定められた時に氏族にしたがって、われわれの神の宮に納める者を定めた。 + またわれわれの土地の初なり、および各種の木の実の初なりを、年々主の宮に携えてくることを誓い、 + また律法にしるしてあるように、われわれの子どもおよび家畜のういご、およびわれわれの牛や羊のういごを、われわれの神の宮に携えてきて、われわれの神の宮に仕える祭司に渡し、 + われわれの麦粉の初物、われわれの供え物、各種の木の実、ぶどう酒および油を祭司のもとに携えて行って、われわれの神の宮のへやに納め、またわれわれの土地の産物の十分の一をレビびとに与えることにした。レビびとはわれわれのすべての農作をなす町において、その十分の一を受くべき者だからである。 + レビびとが十分の一を受ける時には、アロンの子孫である祭司が、そのレビびとと共にいなければならない。そしてまたレビびとはその十分の一の十分の一を、われわれの神の宮に携え上って、へやまたは倉に納めなければならない。 + すなわちイスラエルの人々およびレビの子孫は穀物、ぶどう酒、および油の供え物を携えて行って、聖所の器物および勤めをする祭司、門衛、歌うたう者たちのいるへやにこれを納めなければならない。こうしてわれわれは、われわれの神の宮をなおざりにしない。 + + + 民のつかさたちはエルサレムに住み、その他の民はくじを引いて、十人のうちからひとりずつを、聖都エルサレムに来て住ませ、九人を他の町々に住ませた。 + またすべてみずから進みでてエルサレムに住むことを申し出た人々は、民はこれを祝福した。 + さてエルサレムに住んだこの州の長たちは次のとおりである。ただしユダの町々ではおのおのその町々にある自分の所有地に住んだ。すなわちイスラエルびと、祭司、レビびと、宮に仕えるしもべ、およびソロモンのしもべであった者たちの子孫である。 + そしてエルサレムにはユダの子孫およびベニヤミンの子孫のうちのある者たちが住んだ。すなわちユダの子孫ではウジヤの子アタヤで、ウジヤはゼカリヤの子、ゼカリヤはアマリヤの子、アマリヤはシパテヤの子、シパテヤはマハラレルの子、マハラレルはペレヅの子孫である。 + またバルクの子マアセヤで、バルクはコロホゼの子、コロホゼはハザヤの子、ハザヤはアダヤの子、アダヤはヨヤリブの子、ヨヤリブはゼカリヤの子、ゼカリヤはシロニびとの子である。 + ペレヅの子孫でエルサレムに住んだ者は合わせて四百六十八人で、みな勇敢な人々である。 + ベニヤミンの子孫では次のとおりである。すなわちメシュラムの子サルで、メシュラムはヨエデの子、ヨエデはペダヤの子、ペダヤはコラヤの子、コラヤはマアセヤの子、マアセヤはイテエルの子、イテエルはエサヤの子である。 + その次はガバイおよびサライなどで合わせて九百二十八人。 + ジクリの子ヨエルが彼らの監督である。ハッセヌアの子ユダがその副官として町を治めた。 + 祭司ではヨヤリブの子エダヤ、ヤキン、 + および神の宮のつかさセラヤで、セラヤはヒルキヤの子、ヒルキヤはメシュラムの子、メシュラムはザドクの子、ザドクはメラヨテの子、メラヨテはアヒトブの子である。 + 宮の務をするその兄弟は八百二十二人あり、また、エロハムの子アダヤがある。エロハムはペラリヤの子、ペラリヤはアムジの子、アムジはゼカリヤの子、ゼカリヤはパシホルの子、パシホルはマルキヤの子である。 + アダヤの兄弟で、氏族の長たる者は二百四十二人あり、またアザリエルの子アマシサイがある。アザリエルはアハザイの子、アハザイはメシレモテの子、メシレモテはインメルの子である。 + その兄弟である勇士は百二十八人あり、その監督はハッゲドリムの子ザブデエルである。 + レビびとではハシュブの子シマヤで、ハシュブはアズリカムの子、アズリカムはハシャビヤの子、ハシャビヤはブンニの子である。 + またシャベタイおよびヨザバデがある。これらはレビびとのかしらであって、神の宮の外のわざをつかさどった。 + またミカの子マッタニヤがある。ミカはザブデの子、ザブデはアサフの子である。マッタニヤは祈の時に感謝の言葉を唱え始める者である。その兄弟のうちのバクブキヤは彼に次ぐ者であった。またシャンマの子アブダがある。シャンマはガラルの子、ガラルはエドトンの子である。 + 聖都におるレビびとは合わせて二百八十四人であった。 + 門衛では門を守るアックブ、タルモンおよびその兄弟たち合わせて百七十二人である。 + その他のイスラエルびと、祭司、レビびとたちは皆ユダのすべての町々にあって、おのおの自分の嗣業にとどまった。 + ただし宮に仕えるしもべたちはオペルに住み、ヂハおよびギシパが宮に仕えるしもべたちを監督していた。 + エルサレムにおるレビびとの監督はウジである。ウジはバニの子、バニはハシャビヤの子、ハシャビヤはマッタニヤの子、マッタニヤはミカの子である。ミカは歌うたう者なるアサフの子孫である。ウジは神の宮のわざを監督した。 + 彼らについては王からの命令があって、歌うたう者に日々の定まった分を与えさせた。 + またユダの子ゼラの子孫であるメシザベルの子ペタヒヤは王の手に属して民に関するすべての事を取り扱った。 + また村々とその田畑については、ユダの子孫の者はキリアテ・アルバとその村々、デボンとその村々、エカブジエルとその村々に住み、 + エシュア、モラダおよびベテペレテに住み、 + ハザル・シュアルおよびベエルシバとその村々に住み、 + チクラグおよびメコナとその村々に住み、 + エンリンモン、ザレア、ヤルムテに住み、 + ザノア、アドラムおよびそれらの村々、ラキシとその田野、アゼカとその村々に住んだ。こうして彼らはベエルシバからヒンノムの谷にまで宿営した。 + ベニヤミンの子孫はまたゲバからミクマシ、アヤおよびベテルとその村々に住み、 + アナトテ、ノブ、アナニヤ、 + ハゾル、ラマ、ギッタイム、 + ハデデ、ゼボイム、ネバラテ、 + ロド、オノ、工人の谷に住んだ。 + レビびとの組のユダにあるもののうちベニヤミンに合したものもあった。 + + + シャルテルの子ゼルバベルおよびエシュアと一緒に上ってきた祭司とレビびとは次のとおりである。すなわちセラヤ、エレミヤ、エズラ、 + アマリヤ、マルク、ハットシ、 + シカニヤ、レホム、メレモテ、 + イド、ギンネトイ、アビヤ、 + ミヤミン、マアデヤ、ビルガ、 + シマヤ、ヨヤリブ、エダヤ、 + サライ、アモク、ヒルキヤ、エダヤで、これらの者はエシュアの時代に祭司およびその兄弟らのかしらであった。 + レビびとではエシュア、ビンヌイ、カデミエル、セレビヤ、ユダ、マッタニヤで、マッタニヤはその兄弟らと共に感謝のことをつかさどった。 + また彼らの兄弟であるバグブキヤおよびウンノは彼らの向かいに立って勤めをした。 + エシュアの子はヨアキム、ヨアキムの子はエリアシブ、エリアシブの子はヨイアダ、 + ヨイアダの子はヨナタン、ヨナタンの子はヤドアである。 + ヨアキムの時代に祭司で氏族の長であった者はセラヤの氏族ではメラヤ、エレミヤの氏族ではハナニヤ、 + エズラの氏族ではメシュラム、アマリヤの氏族ではヨハナン、 + マルキの氏族ではヨナタン、シバニヤの氏族ではヨセフ、 + ハリムの氏族ではアデナ、メラヨテの氏族ではヘルカイ、 + イドの氏族ではゼカリヤ、ギンネトンの氏族ではメシュラム、 + アビヤの氏族ではジクリ、ミニヤミンの氏族、モアデヤの氏族ではピルタイ、 + ビルガの氏族ではシャンマ、シマヤの氏族ではヨナタン、 + ヨヤリブの氏族ではマッテナイ、エダヤの氏族ではウジ、 + サライの氏族ではカライ、アモクの氏族ではエベル、 + ヒルキヤの氏族ではハシャビヤ、エダヤの氏族ではネタンエルである。 + レビびとについては、エリアシブ、ヨイアダ、ヨハナンおよびヤドアの時代に、その氏族の長たちが登録された。また祭司たちもペルシャ王ダリヨスの治世まで登録された。 + レビの子孫で氏族の長たる者は、エリアシブの子ヨハナンの世まで歴代志の書にしるされている。 + レビびとのかしらはハシャビヤ、セレビヤおよびカデミエルの子エシュアであって、その兄弟たち相向かい合い、組と組と対応して神の人ダビデの命令に従い、さんびと感謝をささげた。 + マツタニヤ、バクブキヤ、オバデヤ、メシュラム、タルモンおよびアックブは門を守る者で門の内の倉を監督した。 + これらはヨザダクの子エシュアの子ヨアキムの時代、また総督ネヘミヤおよび学者である祭司エズラの時代にいた人々である。 + さてエルサレムの城壁の落成式に当って、レビびとを、そのすべての所から招いてエルサレムにこさせ、感謝と、歌と、シンバルと、立琴と、琴とをもって喜んで落成式を行おうとした。 + そこで、歌うたう人々はエルサレムの周囲の地方、ネトパびとの村々から集まってきた。 + またベテギルガルおよびゲバとアズマウテの地方からも集まってきた。この歌うたう者たちはエルサレムの周囲に自分の村々を建てていたからである。 + そして祭司とレビびとたちは身を清め、また民およびもろもろの門と城壁とを清めた。 + そこでわたしはユダのつかさたちを城壁の上にのぼらせ、また感謝する者の二つの大きな組を作って、行進させた。その一つは城壁の上を右に糞の門をさして進んだ。 + そのあとに従って進んだ者はホシャヤ、およびユダのつかさたちの半ば、 + ならびにアザリヤ、エズラ、メシュラム、 + ユダ、ベニヤミン、シマヤ、エレミヤであった。 + また数人の祭司がラッパをもって従った。すなわちヨナタンの子ゼカリヤ。ヨナタンはシマヤの子、シマヤはマッタニヤの子、マッタニヤはミカヤの子、ミカヤはザックルの子、ザックルはアサフの子である。 + またゼカリヤの兄弟たちシマヤ、アザリエル、ミラライ、ギラライ、マアイ、ネタンエル、ユダ、ハナニなどであって、神の人ダビデの楽器を持って従った。そして学者エズラは彼らの先に進んだ。 + 彼らは泉の門を経て、まっすぐに進み、城壁の上り口で、ダビデの町の階段から上り、ダビデの家の上を過ぎて東の方、水の門に至った。 + 他の一組の感謝する者は左に進んだ。わたしは民の半ばと共に彼らのあとに従った。そして城壁の上を行き、炉の望楼の上を過ぎて、城壁の広い所に至り、 + エフライムの門の上を通り、古い門を過ぎ、魚の門およびハナネルの望楼とハンメアの望楼を過ぎて、羊の門に至り、近衛の門に立ち止まった。 + こうして二組の感謝する者は神の宮にはいって立った。わたしもそこに立ち、つかさたちの半ばもわたしと共に立った。 + また祭司エリアキム、マアセヤ、ミニヤミン、ミカヤ、エリオエナイ、ゼカリヤ、ハナニヤらはラッパを持ち、 + マアセヤ、シマヤ、エレアザル、ウジ、ヨハナン、マルキヤ、エラムおよびエゼルも共にいた。そして歌うたう者たちは声高く歌った。エズラヒヤはその監督であった。 + こうして彼らはその日、大いなる犠牲をささげて喜んだ。神が彼らを大いに喜び楽しませられたからである。女子供までも喜んだ。それでエルサレムの喜びの声は遠くまで聞えた。 + その日、倉のもろもろのへやをつかさどる人々を選び、ささげ物、初物、十分の一など律法の定めるところの祭司およびレビびとの分を町々の田畑にしたがって取り集めて、へやに入れることをつかさどらせた。これは祭司およびレビびとの仕えるのを、ユダびとが喜んだからである。 + 彼らはダビデおよびその子ソロモンの命令に従って、神の勤めおよび清め事の勤めをした。歌うたう者および門を守る者もそのように行った。 + 昔ダビデおよびアサフの日には、歌うたう者のかしらがひとりいて、神にさんびと感謝をささげる事があった。 + またゼルバベルの日およびネヘミヤの日には、イスラエルびとはみな歌うたう者と門を守る者に日々の分を与え、またレビびとに物を聖別して与え、レビびとはまたこれを聖別してアロンの子孫に与えた。 + + + その日モーセの書を読んで民に聞かせたが、その中にアンモンびと、およびモアブびとは、いつまでも神の会に、はいってはならないとしるされているのを見いだした。 + これは彼らがかつて、パンと水をもってイスラエルの人々を迎えず、かえってこれをのろわせるためにバラムを雇ったからである。しかしわれわれの神はそののろいを変えて祝福とされた。 + 人々はこの律法を聞いた時、混血の民をことごとくイスラエルから分け離した。 + これより先、われわれの神の宮のへやをつかさどっていた祭司エリアシブは、トビヤと縁組したので、 + トビヤのために大きなへやを備えた。そのへやはもと、素祭の物、乳香、器物および規定によってレビびと、歌うたう者および門を守る者たちに与える穀物、ぶどう酒、油の十分の一、ならびに祭司のためのささげ物を置いた所である。 + その当時、わたしはエルサレムにいなかった。わたしはバビロンの王アルタシャスタの三十二年に王の所へ行ったが、しばらくたって王にいとまを請い、 + エルサレムに来て、エリアシブがトビヤのためにした悪事、すなわち彼のために神の宮の庭に一つのへやを備えたことを発見した。 + わたしは非常に怒り、トビヤの家の器物をことごとくそのへやから投げだし、 + 命じて、すべてのへやを清めさせ、そして神の宮の器物および素祭、乳香などを再びそこに携え入れた。 + わたしはまたレビびとがその受くべき分を与えられていなかったことを知った。これがためにその務をなすレビびとおよび歌うたう者たちは、おのおの自分の畑に逃げ帰った。 + それでわたしはつかさたちを責めて言った、「なぜ神の宮を捨てさせたのか」。そしてレビびとを招き集めて、その持ち場に復帰させた。 + そこでユダの人々は皆、穀物、ぶどう酒、油の十分の一を倉に携えてきた。 + わたしは祭司シレミヤ、学者ザドクおよびレビびとペダヤを倉のつかさとし、またマッタニヤの子ザックルの子ハナンをその助手として倉をつかさどらせた。彼らは忠実な者と思われたからである。彼らの任務は兄弟たちに分配する事であった。 + わが神よ、この事のためにわたしを覚えてください。わが神の宮とその勤めのためにわたしが行った良きわざをぬぐい去らないでください。 + そのころわたしはユダのうちで安息日に酒ぶねを踏む者、麦束を持ってきて、ろばに負わす者、またぶどう酒、ぶどう、いちじくおよびさまざまの荷を安息日にエルサレムに運び入れる者を見たので、わたしは彼らが食物を売っていたその日に彼らを戒めた。 + そこに住んでいたツロの人々もまた魚およびさまざまの品物を持ってきて、安息日にユダの人々に売り、エルサレムで商売した。 + そこでわたしはユダの尊い人々を責めて言った、「あなたがたはなぜこの悪事を行って、安息日を汚すのか。 + あなたがたの先祖も、このように行ったので、われわれの神はこのすべての災を、われわれとこの町に下されたではないか。ところがあなたがたは安息日を汚して、さらに大いなる怒りをイスラエルの上に招くのである」。 + そこで安息日の前に、エルサレムのもろもろの門が暗くなり始めた時、わたしは命じてそのとびらを閉じさせ、安息日が終るまでこれを開いてはならないと命じ、わたしのしもべ数人を門に置いて、安息日に荷を携え入れさせないようにした。 + これがために、商人およびさまざまの品物を売る者どもは一、二回エルサレムの外に宿った。 + わたしは彼らを戒めて言った、「あなたがたはなぜ城壁の前に宿るのか。もしあなたがたが重ねてそのようなことをするならば、わたしはあなたがたを処罰する」と。そのとき以来、彼らは安息日にはこなかった。 + わたしはまたレビびとに命じて、その身を清めさせ、来て門を守らせて、安息日を聖別した。わが神よ、わたしのためにまた、このことを覚え、あなたの大いなるいつくしみをもって、わたしをあわれんでください。 + そのころまた、わたしはアシドド、アンモン、モアブの女をめとったユダヤ人を見た。 + 彼らの子供の半分はアシドドの言葉を語って、ユダヤの言葉を語ることができず、おのおのその母親の出た民の言葉を語った。 + わたしは彼らを責め、またののしり、そのうちの数人を撃って、その毛を抜き、神の名をさして誓わせて言った、「あなたがたは彼らのむすこに自分の娘を与えてはならない。またあなたがたのむすこ、またはあなたがた自身のために彼らの娘をめとってはならない。 + イスラエルの王ソロモンはこれらのことによって罪を犯したではないか。彼のような王は多くの国民のうちにもなく、神に愛せられた者である。神は彼をイスラエル全国の王とせられた。ところが異邦の女たちは彼に罪を犯させた。 + それゆえあなたがたが異邦の女をめとり、このすべての大いなる悪を行って、われわれの神に罪を犯すのを、われわれは聞き流しにしておけようか」。 + 大祭司エリアシブの子ヨイアダのひとりの子はホロニびとサンバラテの婿であったので、わたしは彼をわたしのところから追い出した。 + わが神よ、彼らのことを覚えてください。彼らは祭司の職を汚し、また祭司およびレビびとの契約を汚しました。 + このように、わたしは彼らを清めて、異邦のものをことごとく捨てさせ、祭司およびレビびとの務を定めて、おのおのそのわざにつかせた。 + また定められた時に、たきぎの供え物をささげさせ、また初物をささげさせた。わが神よ、わたしを覚え、わたしをお恵みください。 + +
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+ + アハシュエロスすなわちインドからエチオピヤまで百二十七州を治めたアハシュエロスの世、 + アハシュエロス王が首都スサで、その国の位に座していたころ、 + その治世の第三年に、彼はその大臣および侍臣たちのために酒宴を設けた。ペルシャとメデアの将軍および貴族ならびに諸州の大臣たちがその前にいた。 + その時、王はその盛んな国の富と、その王威の輝きと、はなやかさを示して多くの日を重ね、百八十日に及んだ。 + これらの日が終った時、王は王の宮殿の園の庭で、首都スサにいる大小のすべての民のために七日の間、酒宴を設けた。 + そこには白綿布の垂幕と青色のとばりとがあって、紫色の細布のひもで銀の輪および大理石の柱につながれていた。また長いすは金銀で作られ、石膏と大理石と真珠貝および宝石の切りはめ細工の床の上に置かれていた。 + 酒は金の杯で賜わり、その杯はそれぞれ違ったもので、王の大きな度量にふさわしく、王の用いる酒を惜しみなく賜わった。 + その飲むことは法にかない、だれもしいられることはなかった。これは王が人々におのおの自分の好むようにさせよと宮廷のすべての役人に命じておいたからである。 + 王妃ワシテもまたアハシュエロス王に属する王宮の内で女たちのために酒宴を設けた。 + 七日目にアハシュエロス王は酒のために心が楽しくなり、王の前に仕える七人の侍従メホマン、ビズタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタルおよびカルカスに命じて、 + 王妃ワシテに王妃の冠をかぶらせて王の前にこさせよと言った。これは彼女が美しかったので、その美しさを民らと大臣たちに見せるためであった。 + ところが、王妃ワシテは侍従が伝えた王の命令に従って来ることを拒んだので、王は大いに憤り、その怒りが彼の内に燃えた。 + そこで王は時を知っている知者に言った、――王はすべて法律と審判に通じている者に相談するのを常とした。 + 時に王の次にいた人々はペルシャおよびメデアの七人の大臣カルシナ、セタル、アデマタ、タルシシ、メレス、マルセナ、メムカンであった。彼らは皆王の顔を見る者で、国の首位に座する人々であった―― + 「王妃ワシテは、アハシュエロス王が侍従をもって伝えた命令を行わないゆえ、法律に従って彼女にどうしたらよかろうか」。 + メムカンは王と大臣たちの前で言った、「王妃ワシテはただ王にむかって悪い事をしたばかりでなく、すべての大臣およびアハシュエロス王の各州のすべての民にむかってもしたのです。 + 王妃のこの行いはあまねくすべての女たちに聞えて、彼らはついにその目に夫を卑しめ、『アハシュエロス王は王妃ワシテに、彼の前に来るように命じたがこなかった』と言うでしょう。 + 王妃のこの行いを聞いたペルシャとメデアの大臣の夫人たちもまた、今日、王のすべての大臣たちにこのように言うでしょう。そうすれば必ず卑しめと怒りが多く起ります。 + もし王がよしとされるならば、ワシテはこの後、再びアハシュエロス王の前にきてはならないという王の命令を下し、これをペルシャとメデアの法律の中に書きいれて変ることのないようにし、そして王妃の位を彼女にまさる他の者に与えなさい。 + 王の下される詔がこの大きな国にあまねく告げ示されるとき、妻たる者はことごとく、その夫を高下の別なく共に敬うようになるでしょう」。 + 王と大臣たちはこの言葉をよしとしたので、王はメムカンの言葉のとおりに行った。 + 王は王の諸州にあまねく書を送り、各州にはその文字にしたがい、各民族にはその言語にしたがって書き送り、すべて男子たる者はその家の主となるべきこと、また自分の民の言語を用いて語るべきことをさとした。 + + + これらのことの後、アハシュエロス王の怒りがとけ、王はワシテおよび彼女のしたこと、また彼女に対して定めたことを思い起した。 + 時に王に仕える侍臣たちは言った、「美しい若い処女たちを王のために尋ね求めましょう。 + どうぞ王はこの国の各州において役人を選び、美しい若い処女をことごとく首都スサにある婦人の居室に集めさせ、婦人をつかさどる王の侍従ヘガイの管理のもとにおいて、化粧のための品々を彼らに与えてください。 + こうして御意にかなうおとめをとって、ワシテの代りに王妃としてください」。王はこの事をよしとし、そのように行った。 + さて首都スサにひとりのユダヤ人がいた。名をモルデカイといい、キシのひこ、シメイの孫、ヤイルの子で、ベニヤミンびとであった。 + 彼はバビロンの王ネブカデネザルが捕えていったユダの王エコニヤと共に捕えられていった捕虜のひとりで、エルサレムから捕え移された者である。 + 彼はそのおじの娘ハダッサすなわちエステルを養い育てた。彼女には父も母もなかったからである。このおとめは美しく、かわいらしかったが、その父母の死後、モルデカイは彼女を引きとって自分の娘としたのである。 + 王の命令と詔が伝えられ、多くのおとめが首都スサに集められて、ヘガイの管理のもとにおかれたとき、エステルもまた王宮に携え行かれ、婦人をつかさどるヘガイの管理のもとにおかれた。 + このおとめはヘガイの心にかなって、そのいつくしみを得た。すなわちヘガイはすみやかに彼女に化粧の品々および食物の分け前を与え、また宮中から七人のすぐれた侍女を選んで彼女に付き添わせ、彼女とその侍女たちを婦人の居室のうちの最も良い所に移した。 + エステルは自分の民のことをも、自分の同族のことをも人に知らせなかった。モルデカイがこれを知らすなと彼女に命じたからである。 + モルデカイはエステルの様子および彼女がどうしているかを知ろうと、毎日婦人の居室の庭の前を歩いた。 + おとめたちはおのおの婦人のための規定にしたがって十二か月を経て後、順番にアハシュエロス王の所へ行くのであった。これは彼らの化粧の期間として、没薬の油を用いること六か月、香料および婦人の化粧に使う品々を用いること六か月が定められていたからである。 + こうしておとめは王の所へ行くのであった。そしておとめが婦人の居室を出て王宮へ行く時には、すべてその望む物が与えられた。 + そして夕方行って、あくる朝第二の婦人の居室に帰り、そばめたちをつかさどる王の侍従シャシガズの管理に移された。王がその女を喜び、名ざして召すのでなければ、再び王の所へ行くことはなかった。 + さてモルデカイのおじアビハイルの娘、すなわちモルデカイが引きとって自分の娘としたエステルが王の所へ行く順番となったが、彼女は婦人をつかさどる王の侍従ヘガイが勧めた物のほか何をも求めなかった。エステルはすべて彼女を見る者に喜ばれた。 + エステルがアハシュエロス王に召されて王宮へ行ったのは、その治世の第七年の十月、すなわちテベテの月であった。 + 王はすべての婦人にまさってエステルを愛したので、彼女はすべての処女にまさって王の前に恵みといつくしみとを得た。王はついに王妃の冠を彼女の頭にいただかせ、ワシテに代って王妃とした。 + そして王は大いなる酒宴を催して、すべての大臣と侍臣をもてなした。エステルの酒宴がこれである。また諸州に免税を行い、王の大きな度量にしたがって贈り物を与えた。 + 二度目に処女たちが集められたとき、モルデカイは王の門にすわっていた。 + エステルはモルデカイが命じたように、まだ自分の同族のことをも自分の民のことをも人に知らせなかった。エステルはモルデカイの言葉に従うこと、彼に養い育てられた時と少しも変らなかった。 + そのころ、モルデカイが王の門にすわっていた時、王の侍従で、王のへやの戸を守る者のうちのビグタンとテレシのふたりが怒りのあまりアハシュエロス王を殺そうとねらっていたが、 + その事がモルデカイに知れたので、彼はこれを王妃エステルに告げ、エステルはこれをモルデカイの名をもって王に告げた。 + その事が調べられて、それに相違ないことがあらわれたので、彼らふたりは木にかけられた。この事は王の前で日誌の書にかきしるされた。 + + + これらの事の後、アハシュエロス王はアガグびとハンメダタの子ハマンを重んじ、これを昇進させて、自分と共にいるすべての大臣たちの上にその席を定めさせた。 + 王の門の内にいる王の侍臣たちは皆ひざまずいてハマンに敬礼した。これは王が彼についてこうすることを命じたからである。しかしモルデカイはひざまずかず、また敬礼しなかった。 + そこで王の門にいる王の侍臣たちはモルデカイにむかって、「あなたはどうして王の命令にそむくのか」と言った。 + 彼らは毎日モルデカイにこう言うけれども聞きいれなかったので、その事がゆるされるかどうかを見ようと、これをハマンに告げた。なぜならモルデカイはすでに自分のユダヤ人であることを彼らに語ったからである。 + ハマンはモルデカイのひざまずかず、また自分に敬礼しないのを見て怒りに満たされたが、 + ただモルデカイだけを殺すことを潔しとしなかった。彼らがモルデカイの属する民をハマンに知らせたので、ハマンはアハシュエロスの国のうちにいるすべてのユダヤ人、すなわちモルデカイの属する民をことごとく滅ぼそうと図った。 + アハシュエロス王の第十二年の正月すなわちニサンの月に、ハマンの前で、十二月すなわちアダルの月まで、一日一日のため、一月一月のために、プルすなわちくじを投げさせた。 + そしてハマンはアハシュエロス王に言った、「お国の各州にいる諸民のうちに、散らされて、別れ別れになっている一つの民がいます。その法律は他のすべての民のものと異なり、また彼らは王の法律を守りません。それゆえ彼らを許しておくことは王のためになりません。 + もし王がよしとされるならば、彼らを滅ぼせと詔をお書きください。そうすればわたしは王の事をつかさどる者たちの手に銀一万タラントを量りわたして、王の金庫に入れさせましょう」。 + そこで王は手から指輪をはずし、アガグびとハンメダタの子で、ユダヤ人の敵であるハマンにわたした。 + そして王はハマンに言った、「その銀はあなたに与える。その民もまたあなたに与えるから、よいと思うようにしなさい」。 + そこで正月の十三日に王の書記官が召し集められ、王の総督、各州の知事および諸民のつかさたちにハマンが命じたことをことごとく書きしるした。すなわち各州に送るものにはその文字を用い、諸民に送るものにはその言語を用い、おのおのアハシュエロス王の名をもってそれを書き、王の指輪をもってそれに印を押した。 + そして急使をもってその書を王の諸州に送り、十二月すなわちアダルの月の十三日に、一日のうちにすべてのユダヤ人を、若い者、老いた者、子供、女の別なく、ことごとく滅ぼし、殺し、絶やし、かつその貨財を奪い取れと命じた。 + この文書の写しを詔として各州に伝え、すべての民に公示して、その日のために備えさせようとした。 + 急使は王の命令により急いで出ていった。この詔は首都スサで発布された。時に王とハマンは座して酒を飲んでいたが、スサの都はあわて惑った。 + + + モルデカイはすべてこのなされたことを知ったとき、その衣を裂き、荒布をまとい、灰をかぶり、町の中へ行って大声をあげ、激しく叫んで、 + 王の門の入口まで行った。荒布をまとっては王の門の内にはいることができないからである。 + すべて王の命令と詔をうけ取った各州ではユダヤ人のうちに大いなる悲しみがあり、断食、嘆き、叫びが起り、また荒布をまとい、灰の上に座する者が多かった。 + エステルの侍女たちおよび侍従たちがきて、この事を告げたので、王妃は非常に悲しみ、モルデカイに着物を贈り、それを着せて、荒布を脱がせようとしたが受けなかった。 + そこでエステルは王の侍従のひとりで、王が自分にはべらせたハタクを召し、モルデカイのもとへ行って、それは何事であるか、何ゆえであるかを尋ねて来るようにと命じた。 + ハタクは出て、王の門の前にある町の広場にいるモルデカイのもとへ行くと、 + モルデカイは自分の身に起ったすべての事を彼に告げ、かつハマンがユダヤ人を滅ぼすことのために王の金庫に量り入れると約束した銀の正確な額を告げた。 + また彼らを滅ぼさせるために、スサで発布された詔書の写しを彼にわたし、それをエステルに見せ、かつ説きあかし、彼女が王のもとへ行ってその民のために王のあわれみを請い、王の前に願い求めるように彼女に言い伝えよと言った。 + ハタクが帰ってきてモルデカイの言葉をエステルに告げたので、 + エステルはハタクに命じ、モルデカイに言葉を伝えさせて言った、 + 「王の侍臣および王の諸州の民は皆、男でも女でも、すべて召されないのに内庭にはいって王のもとへ行く者は、必ず殺されなければならないという一つの法律のあることを知っています。ただし王がその者に金の笏を伸べれば生きることができるのです。しかしわたしはこの三十日の間、王のもとへ行くべき召をこうむらないのです」。 + エステルの言葉をモルデカイに告げたので、 + モルデカイは命じてエステルに答えさせて言った、「あなたは王宮にいるゆえ、すべてのユダヤ人と異なり、難を免れるだろうと思ってはならない。 + あなたがもし、このような時に黙っているならば、ほかの所から、助けと救がユダヤ人のために起るでしょう。しかし、あなたとあなたの父の家とは滅びるでしょう。あなたがこの国に迎えられたのは、このような時のためでなかったとだれが知りましょう」。 + そこでエステルは命じてモルデカイに答えさせた、 + 「あなたは行ってスサにいるすべてのユダヤ人を集め、わたしのために断食してください。三日のあいだ夜も昼も食い飲みしてはなりません。わたしとわたしの侍女たちも同様に断食しましょう。そしてわたしは法律にそむくことですが王のもとへ行きます。わたしがもし死なねばならないのなら、死にます」。 + モルデカイは行って、エステルがすべて自分に命じたとおりに行った。 + + + 三日目にエステルは王妃の服を着、王宮の内庭に入り、王の広間にむかって立った。王は王宮の玉座に座して王宮の入口にむかっていたが、 + 王妃エステルが庭に立っているのを見て彼女に恵みを示し、その手にある金の笏をエステルの方に伸ばしたので、エステルは進みよってその笏の頭にさわった。 + 王は彼女に言った、「王妃エステルよ、何を求めるのか。あなたの願いは何か。国の半ばでもあなたに与えよう」。 + エステルは言った、「もし王がよしとされるならば、きょうわたしが王のために設けた酒宴に、ハマンとご一緒にお臨みください」。 + そこで王は「ハマンを速く連れてきて、エステルの言うようにせよ」と言い、やがて王とハマンはエステルの設けた酒宴に臨んだ。 + 酒宴の時、王はエステルに言った、「あなたの求めることは何か。必ず聞かれる。あなたの願いは何か。国の半ばでも聞きとどけられる」。 + エステルは答えて言った、「わたしの求め、わたしの願いはこれです。 + もしわたしが王の目の前に恵みを得、また王がもしわたしの求めを許し、わたしの願いを聞きとどけるのをよしとされるならば、ハマンとご一緒に、あすまた、わたしが設けようとする酒宴に、お臨みください。わたしはあす王のお言葉どおりにいたしましょう」。 + こうしてハマンはその日、心に喜び楽しんで出てきたが、ハマンはモルデカイが王の門にいて、自分にむかって立ちあがりもせず、また身動きもしないのを見たので、モルデカイに対し怒りに満たされた。 + しかしハマンは耐え忍んで家に帰り、人をやってその友だちおよび妻ゼレシを呼んでこさせ、 + そしてハマンはその富の栄華と、そのむすこたちの多いことと、すべて王が自分を重んじられたこと、また王の大臣および侍臣たちにまさって自分を昇進させられたことを彼らに語った。 + ハマンはまた言った、「王妃エステルは酒宴を設けたが、わたしのほかはだれも王と共にこれに臨ませなかった。あすもまたわたしは王と共に王妃に招かれている。 + しかしユダヤ人モルデカイが王の門に座しているのを見る間は、これらの事もわたしには楽しくない」。 + その時、妻ゼレシとすべての友は彼に言った、「高さ五十キュビトの木を立てさせ、あすの朝、モルデカイをその上に掛けるように王に申し上げなさい。そして王と一緒に楽しんでその酒宴においでなさい」。ハマンはこの事をよしとして、その木を立てさせた。 + + + その夜、王は眠ることができなかったので、命じて日々の事をしるした記録の書を持ってこさせ、王の前で読ませたが、 + その中に、モルデカイがかつて王の侍従で、王のへやの戸を守る者のうちのビグタナとテレシのふたりが、アハシュエロス王を殺そうとねらっていることを告げた、としるされているのを見いだした。 + そこで王は言った、「この事のために、どんな栄誉と爵位をモルデカイに与えたか」。王に仕える侍臣たちは言った、「何も彼に与えていません」。 + 王は言った、「庭にいるのはだれか」。この時ハマンはモルデカイのために設けた木にモルデカイを掛けることを王に申し上げようと王宮の外庭にはいってきていた。 + 王の侍臣たちが「ハマンが庭に立っています」と王に言ったので、王は「ここへ、はいらせよ」と言った。 + やがてハマンがはいって来ると王は言った、「王が栄誉を与えようと思う人にはどうしたらよかろうか」。ハマンは心のうちに言った、「王はわたし以外にだれに栄誉を与えようと思われるだろうか」。 + ハマンは王に言った、「王が栄誉を与えようと思われる人のためには、 + 王の着られた衣服を持ってこさせ、また王の乗られた馬、すなわちその頭に王冠をいただいた馬をひいてこさせ、 + その衣服と馬とを王の最も尊い大臣のひとりの手にわたして、王が栄誉を与えようと思われる人にその衣服を着させ、またその人を馬に乗せ、町の広場を導いて通らせ、『王が栄誉を与えようと思う人にはこうするのだ』とその前に呼ばわらせなさい」。 + それで王はハマンに言った、「急いであなたが言ったように、その衣服と馬とを取り寄せ、王の門に座しているユダヤ人モルデカイにそうしなさい。あなたが言ったことを一つも欠いてはならない」。 + そこでハマンは衣服と馬とを取り寄せ、モルデカイにその衣服を着せ、彼を馬に乗せて町の広場を通らせ、その前に呼ばわって、「王が栄誉を与えようと思う人にはこうするのだ」と言った。 + こうしてモルデカイは王の門に帰ってきたが、ハマンは憂え悩み、頭をおおって急いで家に帰った。 + そしてハマンは自分の身に起った事をことごとくその妻ゼレシと友だちに告げた。するとその知者たちおよび妻ゼレシは彼に言った、「あのモルデカイ、すなわちあなたがその人の前に敗れ始めた者が、もしユダヤ人の子孫であるならば、あなたは彼に勝つことはできない。必ず彼の前に敗れるでしょう」。 + 彼らがなおハマンと話している時、王の侍従たちがきてハマンを促し、エステルが設けた酒宴に臨ませた。 + + + 王とハマンは王妃エステルの酒宴に臨んだ。 + このふつか目の酒宴に王はまたエステルに言った、「王妃エステルよ、あなたの求めることは何か。必ず聞かれる。あなたの願いは何か。国の半ばでも聞きとどけられる」。 + 王妃エステルは答えて言った、「王よ、もしわたしが王の目の前に恵みを得、また王がもしよしとされるならば、わたしの求めにしたがってわたしの命をわたしに与え、またわたしの願いにしたがってわたしの民をわたしに与えてください。 + わたしとわたしの民は売られて滅ぼされ、殺され、絶やされようとしています。もしわたしたちが男女の奴隷として売られただけなら、わたしは黙っていたでしょう。わたしたちの難儀は王の損失とは比較にならないからです」。 + アハシュエロス王は王妃エステルに言った、「そんな事をしようと心にたくらんでいる者はだれか。またどこにいるのか」。 + エステルは言った、「そのあだ、その敵はこの悪いハマンです」。そこでハマンは王と王妃の前に恐れおののいた。 + 王は怒って酒宴の席を立ち、宮殿の園へ行ったが、ハマンは残って王妃エステルに命ごいをした。彼は王が自分に害を加えようと定めたのを見たからである。 + 王が宮殿の園から酒宴の場所に帰ってみると、エステルのいた長いすの上にハマンが伏していたので、王は言った、「彼はまたわたしの家で、しかもわたしの前で王妃をはずかしめようとするのか」。この言葉が王の口から出たとき、人々は、ハマンの顔をおおった。 + その時、王に付き添っていたひとりの侍従ハルボナが「王のためによい事を告げたあのモルデカイのためにハマンが用意した高さ五十キュビトの木がハマンの家に立っています」と言ったので、王は「彼をそれに掛けよ」と言った。 + そこで人々はハマンをモルデカイのために備えてあったその木に掛けた。こうして王の怒りは和らいだ。 + + + その日アハシュエロス王は、ユダヤ人の敵ハマンの家を王妃エステルに与えた。モルデカイは王の前にきた。これはエステルが自分とモルデカイがどんな関係の者であるかを告げたからである。 + 王はハマンから取り返した自分の指輪をはずして、モルデカイに与えた。エステルはモルデカイにハマンの家を管理させた。 + エステルは再び王の前に奏し、その足もとにひれ伏して、アガグびとハマンの陰謀すなわち彼がユダヤ人に対して企てたその計画を除くことを涙ながらに請い求めた。 + 王はエステルにむかって金の笏を伸べたので、エステルは身を起して王の前に立ち、 + そして言った、「もし王がよしとされ、わたしが王の前に恵みを得、またこの事が王の前に正しいと見え、かつわたしが王の目にかなうならば、アガグびとハンメダタの子ハマンが王の諸州にいるユダヤ人を滅ぼそうとはかって書き送った書を取り消す旨を書かせてください。 + どうしてわたしは、わたしの民に臨もうとする災を、だまって見ていることができましょうか。どうしてわたしの同族の滅びるのを、だまって見ていることができましょうか」。 + アハシュエロス王は王妃エステルとユダヤ人モルデカイに言った、「ハマンがユダヤ人を殺そうとしたので、わたしはハマンの家をエステルに与え、またハマンを木に掛けさせた。 + あなたがたは自分たちの思うままに王の名をもってユダヤ人についての書をつくり、王の指輪をもってそれに印を押すがよい。王の名をもって書き、王の指輪をもって印を押した書はだれも取り消すことができない」。 + その時王の書記官が召し集められた。それは三月すなわちシワンの月の二十三日であった。そしてインドからエチオピヤまでの百二十七州にいる総督、諸州の知事および大臣たちに、モルデカイがユダヤ人について命じたとおりに書き送った。すなわち各州にはその文字を用い、各民族にはその言語を用いて書き送り、ユダヤ人に送るものにはその文字と言語とを用いた。 + その書はアハシュエロス王の名をもって書かれ、王の指輪をもって印を押し、王の御用馬として、そのうまやに育った早馬に乗る急使によって送られた。 + その中で、王はすべての町にいるユダヤ人に、彼らが相集まって自分たちの生命を保護し、自分たちを襲おうとする諸国、諸州のすべての武装した民を、その妻子もろともに滅ぼし、殺し、絶やし、かつその貨財を奪い取ることを許した。 + ただしこの事をアハシュエロス王の諸州において、十二月すなわちアダルの月の十三日に、一日のうちに行うことを命じた。 + この書いた物の写しを詔として各州に伝え、すべての民に公示して、ユダヤ人に、その日のために備えして、その敵にあだをかえさせようとした。 + 王の御用馬である早馬に乗った急使は、王の命によって急がされ、せきたてられて出て行った。この詔は首都スサで出された。 + モルデカイは青と白の朝服を着、大きな金の冠をいただき、紫色の細布の上着をまとって王の前から出て行った。スサの町中、声をあげて喜んだ。 + ユダヤ人には光と喜びと楽しみと誉があった。 + いずれの州でも、いずれの町でも、すべて王の命令と詔の伝達された所では、ユダヤ人は喜び楽しみ、酒宴を開いてこの日を祝日とした。そしてこの国の民のうち多くの者がユダヤ人となった。これはユダヤ人を恐れる心が彼らのうちに起ったからである。 + + + 十二月すなわちアダルの月の十三日、王の命令と詔の行われる時が近づいたとき、すなわちユダヤ人の敵が、ユダヤ人を打ち伏せようと望んでいたのに、かえってユダヤ人が自分たちを憎む者を打ち伏せることとなったその日に、 + ユダヤ人はアハシュエロス王の各州にある自分たちの町々に集まり、自分たちに害を加えようとする者を殺そうとしたが、だれもユダヤ人に逆らうことのできるものはなかった。すべての民がユダヤ人を恐れたからである。 + 諸州の大臣、総督、知事および王の事をつかさどる者は皆ユダヤ人を助けた。彼らはモルデカイを恐れたからである。 + モルデカイは王の家で大いなる者となり、その名声は各州に聞えわたった。この人モルデカイがますます勢力ある者となったからである。 + そこでユダヤ人はつるぎをもってすべての敵を撃って殺し、滅ぼし、自分たちを憎む者に対し心のままに行った。 + ユダヤ人はまた首都スサにおいても五百人を殺し、滅ぼした。 + またパルシャンダタ、ダルポン、アスパタ、 + ポラタ、アダリヤ、アリダタ、 + パルマシタ、アリサイ、アリダイ、ワエザタ、 + すなわちハンメダタの子で、ユダヤ人の敵であるハマンの十人の子をも殺した。しかし、そのぶんどり物には手をかけなかった。 + その日、首都スサで殺された者の数が王に報告されると、 + 王は王妃エステルに言った、「ユダヤ人は首都スサで五百人を殺し、またハマンの十人の子を殺した。王のその他の諸州ではどんなに彼らは殺したことであろう。さてあなたの求めることは何か。必ず聞かれる。更にあなたの願いは何か。必ず聞きとどけられる」。 + エステルは言った、「もし王がよしとされるならば、どうぞスサにいるユダヤ人にあすも、きょうの詔のように行うことをゆるしてください。かつハマンの十人の子を木に掛けさせてください」。 + 王はそうせよと命じたので、スサにおいて詔が出て、ハマンの十人の子は木に掛けられた。 + アダルの月の十四日にまたスサにいるユダヤ人が集まり、スサで三百人を殺した。しかし、そのぶんどり物には手をかけなかった。 + 王の諸州にいる他のユダヤ人もまた集まって、自分たちの生命を保護し、その敵に勝って平安を得、自分たちを憎む者七万五千人を殺した。しかし、そのぶんどり物には手をかけなかった。 + これはアダルの月の十三日であって、その十四日に休んで、その日を酒宴と喜びの日とした。 + しかしスサにいるユダヤ人は十三日と十四日に集まり、十五日に休んで、その日を酒宴と喜びの日とした。 + それゆえ村々のユダヤ人すなわち城壁のない町々に住む者はアダルの月の十四日を喜びの日、酒宴の日、祝日とし、互に食べ物を贈る日とした。 + モルデカイはこれらのことを書きしるしてアハシュエロス王の諸州にいるすべてのユダヤ人に、近い者にも遠い者にも書を送り、 + アダルの月の十四日と十五日とを年々祝うことを命じた。 + すなわちこの両日にユダヤ人がその敵に勝って平安を得、またこの月は彼らのために憂いから喜びに変り、悲しみから祝日に変ったので、これらを酒宴と喜びの日として、互に食べ物を贈り、貧しい者に施しをする日とせよとさとした。 + そこでユダヤ人は彼らがすでに始めたように、またモルデカイが彼らに書き送ったように、行うことを約束した。 + これはアガグびとハンメダタの子ハマン、すなわちすべてのユダヤ人の敵がユダヤ人を滅ぼそうとはかり、プルすなわちくじを投げて彼らを絶やし、滅ぼそうとしたが、 + エステルが王の前にきたとき、王は書を送って命じ、ハマンがユダヤ人に対して企てたその悪い計画をハマンの頭上に臨ませ、彼とその子らを木に掛けさせたからである。 + このゆえに、この両日をプルの名にしたがってプリムと名づけた。そしてこの書のすべての言葉により、またこの事について見たところ、自分たちの会ったところによって、 + ユダヤ人は相定め、年々その書かれているところにしたがい、その定められた時にしたがって、この両日を守り、自分たちと、その子孫およびすべて自分たちにつらなる者はこれを行い続けて廃することなく、 + この両日を、代々、家々、州々、町々において必ず覚えて守るべきものとし、これらのプリムの日がユダヤ人のうちに廃せられることのないようにし、またこの記念がその子孫の中に絶えることのないようにした。 + さらにアビハイルの娘である王妃エステルとユダヤ人モルデカイは、権威をもってこのプリムの第二の書を書き、それを確かめた。 + そしてアハシュエロスの国の百二十七州にいるすべてのユダヤ人に、平和と真実の言葉をもって書を送り、 + 断食と悲しみのことについて、ユダヤ人モルデカイと王妃エステルが、かつてユダヤ人に命じたように、またユダヤ人たちが、かつて自分たちとその子孫のために定めたように、プリムのこれらの日をその定めた時に守らせた。 + エステルの命令はプリムに関するこれらの事を確定した。またこれは書にしるされた。 + + + アハシュエロス王はその国および海に沿った国々にみつぎを課した。 + 彼の権力と勢力によるすべての事業、および王がモルデカイを高い地位にのぼらせた事の詳しい話はメデアとペルシャの王たちの日誌の書にしるされているではないか。 + ユダヤ人モルデカイはアハシュエロス王に次ぐ者となり、ユダヤ人の中にあって大いなる者となり、その多くの兄弟に喜ばれた。彼はその民の幸福を求め、すべての国民に平和を述べたからである。 + +
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+ + ウヅの地にヨブという名の人があった。そのひととなりは全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかった。 + 彼に男の子七人と女の子三人があり、 + その家畜は羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭で、しもべも非常に多く、この人は東の人々のうちで最も大いなる者であった。 + そのむすこたちは、めいめい自分の日に、自分の家でふるまいを設け、その三人の姉妹をも招いて一緒に食い飲みするのを常とした。 + そのふるまいの日がひとめぐり終るごとに、ヨブは彼らを呼び寄せて聖別し、朝早く起きて、彼らすべての数にしたがって燔祭をささげた。これはヨブが「わたしのむすこたちは、ことによったら罪を犯し、その心に神をのろったかもしれない」と思ったからである。ヨブはいつも、このように行った。 + ある日、神の子たちが来て、主の前に立った。サタンも来てその中にいた。 + 主は言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。 + 主はサタンに言われた、「あなたはわたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか」。 + サタンは主に答えて言った、「ヨブはいたずらに神を恐れましょうか。 + あなたは彼とその家およびすべての所有物のまわりにくまなく、まがきを設けられたではありませんか。あなたは彼の勤労を祝福されたので、その家畜は地にふえたのです。 + しかし今あなたの手を伸べて、彼のすべての所有物を撃ってごらんなさい。彼は必ずあなたの顔に向かって、あなたをのろうでしょう」。 + 主はサタンに言われた、「見よ、彼のすべての所有物をあなたの手にまかせる。ただ彼の身に手をつけてはならない」。サタンは主の前から出て行った。 + ある日ヨブのむすこ、娘たちが第一の兄の家で食事をし、酒を飲んでいたとき、 + 使者がヨブのもとに来て言った、「牛が耕し、ろばがそのかたわらで草を食っていると、 + シバびとが襲ってきて、これを奪い、つるぎをもってしもべたちを打ち殺しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。 + 彼がなお語っているうちに、またひとりが来て言った、「神の火が天から下って、羊およびしもべたちを焼き滅ぼしました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。 + 彼がなお語っているうちに、またひとりが来て言った、「カルデヤびとが三組に分れて来て、らくだを襲ってこれを奪い、つるぎをもってしもべたちを打ち殺しました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。 + 彼がなお語っているうちに、またひとりが来て言った、「あなたのむすこ、娘たちが第一の兄の家で食事をし、酒を飲んでいると、 + 荒野の方から大風が吹いてきて、家の四すみを撃ったので、あの若い人たちの上につぶれ落ちて、皆死にました。わたしはただひとりのがれて、あなたに告げるために来ました」。 + このときヨブは起き上がり、上着を裂き、頭をそり、地に伏して拝し、 + そして言った、「わたしは裸で母の胎を出た。また裸でかしこに帰ろう。主が与え、主が取られたのだ。主のみ名はほむべきかな」。 + すべてこの事においてヨブは罪を犯さず、また神に向かって愚かなことを言わなかった。 + + + ある日、また神の子たちが来て、主の前に立った。サタンもまたその中に来て、主の前に立った。 + 主はサタンに言われた、「あなたはどこから来たか」。サタンは主に答えて言った、「地を行きめぐり、あちらこちら歩いてきました」。 + 主はサタンに言われた、「あなたは、わたしのしもべヨブのように全く、かつ正しく、神を恐れ、悪に遠ざかる者の世にないことを気づいたか。あなたは、わたしを勧めて、ゆえなく彼を滅ぼそうとしたが、彼はなお堅く保って、おのれを全うした」。 + サタンは主に答えて言った、「皮には皮をもってします。人は自分の命のために、その持っているすべての物をも与えます。 + しかしいま、あなたの手を伸べて、彼の骨と肉とを撃ってごらんなさい。彼は必ずあなたの顔に向かって、あなたをのろうでしょう」。 + 主はサタンに言われた、「見よ、彼はあなたの手にある。ただ彼の命を助けよ」。 + サタンは主の前から出て行って、ヨブを撃ち、その足の裏から頭の頂まで、いやな腫物をもって彼を悩ました。 + ヨブは陶器の破片を取り、それで自分の身をかき、灰の中にすわった。 + 時にその妻は彼に言った、「あなたはなおも堅く保って、自分を全うするのですか。神をのろって死になさい」。 + しかしヨブは彼女に言った、「あなたの語ることは愚かな女の語るのと同じだ。われわれは神から幸をうけるのだから、災をも、うけるべきではないか」。すべてこの事においてヨブはそのくちびるをもって罪を犯さなかった。 + 時に、ヨブの三人の友がこのすべての災のヨブに臨んだのを聞いて、めいめい自分の所から尋ねて来た。すなわちテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルである。彼らはヨブをいたわり、慰めようとして、たがいに約束してきたのである。 + 彼らは目をあげて遠方から見たが、彼のヨブであることを認めがたいほどであったので、声をあげて泣き、めいめい自分の上着を裂き、天に向かって、ちりをうちあげ、自分たちの頭の上にまき散らした。 + こうして七日七夜、彼と共に地に座していて、ひと言も彼に話しかける者がなかった。彼の苦しみの非常に大きいのを見たからである。 + + + この後、ヨブは口を開いて、自分の生れた日をのろった。 + すなわちヨブは言った、 + 「わたしの生れた日は滅びうせよ。『男の子が、胎にやどった』と言った夜もそのようになれ。 + その日は暗くなるように。神が上からこれを顧みられないように。光がこれを照さないように。 + やみと暗黒がこれを取りもどすように。雲が、その上にとどまるように。日を暗くする者が、これを脅かすように。 + その夜は、暗やみが、これを捕えるように。年の日のうちに加わらないように。月の数にもはいらないように。 + また、その夜は、はらむことのないように。喜びの声がそのうちに聞かれないように。 + 日をのろう者が、これをのろうように。レビヤタンを奮い起すに巧みな者が、これをのろうように。 + その明けの星は暗くなるように。光を望んでも、得られないように。また、あけぼののまぶたを見ることのないように。 + これは、わたしの母の胎の戸を閉じず、また悩みをわたしの目に隠さなかったからである。 + なにゆえ、わたしは胎から出て、死ななかったのか。腹から出たとき息が絶えなかったのか。 + なにゆえ、ひざが、わたしを受けたのか。なにゆえ、乳ぶさがあって、わたしはそれを吸ったのか。 + そうしなかったならば、わたしは伏して休み、眠ったであろう。そうすればわたしは安んじており、 + 自分のために荒れ跡を築き直した地の王たち、参議たち、 + あるいは、こがねを持ち、しろがねを家に満たした君たちと一緒にいたであろう。 + なにゆえ、わたしは人知れずおりる胎児のごとく、光を見ないみどりごのようでなかったのか。 + かしこでは悪人も、あばれることをやめ、うみ疲れた者も、休みを得、 + 捕われ人も共に安らかにおり、追い使う者の声を聞かない。 + 小さい者も大きい者もそこにおり、奴隷も、その主人から解き放される。 + なにゆえ、悩む者に光を賜い、心の苦しむ者に命を賜わったのか。 + このような人は死を望んでも来ない、これを求めることは隠れた宝を掘るよりも、はなはだしい。 + 彼らは墓を見いだすとき、非常に喜び楽しむのだ。 + なにゆえ、その道の隠された人に、神が、まがきをめぐらされた人に、光を賜わるのか。 + わたしの嘆きはわが食物に代って来り、わたしのうめきは水のように流れ出る。 + わたしの恐れるものが、わたしに臨み、わたしの恐れおののくものが、わが身に及ぶ。 + わたしは安らかでなく、またおだやかでない。わたしは休みを得ない、ただ悩みのみが来る」。 + + + その時、テマンびとエリパズが答えて言った、 + 「もし人があなたにむかって意見を述べるならば、あなたは腹を立てるでしょうか。しかしだれが黙っておれましょう。 + 見よ、あなたは多くの人を教えさとし、衰えた手を強くした。 + あなたの言葉はつまずく者をたすけ起し、かよわいひざを強くした。 + ところが今、この事があなたに臨むと、あなたは耐え得ない。この事があなたに触れると、あなたはおじ惑う。 + あなたが神を恐れていることは、あなたのよりどころではないか。あなたの道の全きことは、あなたの望みではないか。 + 考えてみよ、だれが罪のないのに、滅ぼされた者があるか。どこに正しい者で、断ち滅ぼされた者があるか。 + わたしの見た所によれば、不義を耕し、害悪をまく者は、それを刈り取っている。 + 彼らは神のいぶきによって滅び、その怒りの息によって消えうせる。 + ししのほえる声、たけきししの声はともにやみ、若きししのきばは折られ、 + 雄じしは獲物を得ずに滅び、雌じしの子は散らされる。 + さて、わたしに、言葉がひそかに臨んだ、わたしの耳はそのささやきを聞いた。 + すなわち人の熟睡するころ、夜の幻によって思い乱れている時、 + 恐れがわたしに臨んだので、おののき、わたしの骨はことごとく震えた。 + 時に、霊があって、わたしの顔の前を過ぎたので、わたしの身の毛はよだった。 + そのものは立ちどまったが、わたしはその姿を見わけることができなかった。一つのかたちが、わたしの目の前にあった。わたしは静かな声を聞いた、 + 『人は神の前に正しくありえようか。人はその造り主の前に清くありえようか。 + 見よ、彼はそのしもべをさえ頼みとせず、その天使をも誤れる者とみなされる。 + まして、泥の家に住む者、ちりをその基とする者、しみのようにつぶされる者。 + 彼らは朝から夕までの間に打ち砕かれ、顧みる者もなく、永遠に滅びる。 + もしその天幕の綱が彼らのうちに取り去られるなら、ついに悟ることもなく、死にうせるではないか』。 + + + 試みに呼んでみよ、だれかあなたに答える者があるか。どの聖者にあなたは頼もうとするのか。 + 確かに、憤りは愚かな者を殺し、ねたみはあさはかな者を死なせる。 + わたしは愚かな者の根を張るのを見た、しかしわたしは、にわかにそのすみかをのろった。 + その子らは安きを得ず、町の門でしえたげられても、これを救う者がない。 + その収穫は飢えた人が食べ、いばらの中からさえ、これを奪う。また、かわいた者はその財産をあえぎ求める。 + 苦しみは、ちりから起るものでなく、悩みは土から生じるものでない。 + 人が生れて悩みを受けるのは、火の子が上に飛ぶにひとしい。 + しかし、わたしであるならば、神に求め、神に、わたしの事をまかせる。 + 彼は大いなる事をされるかたで、測り知れない、その不思議なみわざは数えがたい。 + 彼は地に雨を降らせ、野に水を送られる。 + 彼は低い者を高くあげ、悲しむ者を引き上げて、安全にされる。 + 彼は悪賢い者の計りごとを敗られる。それで何事もその手になし遂げることはできない。 + 彼は賢い者を、彼ら自身の悪巧みによって捕え、曲った者の計りごとをくつがえされる。 + 彼らは昼も、やみに会い、真昼にも、夜のように手探りする。 + 彼は貧しい者を彼らの口のつるぎから救い、また強い者の手から救われる。 + それゆえ乏しい者に望みがあり、不義はその口を閉じる。 + 見よ、神に戒められる人はさいわいだ。それゆえ全能者の懲しめを軽んじてはならない。 + 彼は傷つけ、また包み、撃ち、またその手をもっていやされる。 + 彼はあなたを六つの悩みから救い、七つのうちでも、災はあなたに触れることがない。 + ききんの時には、あなたをあがなって、死を免れさせ、いくさの時には、つるぎの力を免れさせられる。 + あなたは舌をもってむち打たれる時にも、おおい隠され、滅びが来る時でも、恐れることはない。 + あなたは滅びと、ききんとを笑い、地の獣をも恐れることはない。 + あなたは野の石と契約を結び、野の獣はあなたと和らぐからである。 + あなたは自分の天幕の安全なことを知り、自分の家畜のおりを見回っても、欠けた物がなく、 + また、あなたの子孫の多くなり、そのすえが地の草のようになるのを知るであろう。 + あなたは高齢に達して墓に入る、あたかも麦束をその季節になって打ち場に運びあげるようになるであろう。 + 見よ、われわれの尋ねきわめた所はこのとおりだ。あなたはこれを聞いて、みずから知るがよい」。 + + + ヨブは答えて言った、 + 「どうかわたしの憤りが正しく量られ、同時にわたしの災も、はかりにかけられるように。 + そうすれば、これは海の砂よりも重いに相違ない。それゆえ、わたしの言葉が軽率であったのだ。 + 全能者の矢が、わたしのうちにあり、わたしの霊はその毒を飲み、神の恐るべき軍勢が、わたしを襲い攻めている。 + 野ろばは、青草のあるのに鳴くであろうか。牛は飼葉の上でうなるであろうか。 + 味のない物は塩がなくて食べられようか。すべりひゆのしるは味があろうか。 + わたしの食欲はこれに触れることを拒む。これは、わたしのきらう食物のようだ。 + どうかわたしの求めるものが獲られるように。どうか神がわたしの望むものをくださるように。 + どうか神がわたしを打ち滅ぼすことをよしとし、み手を伸べてわたしを断たれるように。 + そうすれば、わたしはなお慰めを得、激しい苦しみの中にあっても喜ぶであろう。わたしは聖なる者の言葉を否んだことがないからだ。 + わたしにどんな力があって、なお待たねばならないのか。わたしにどんな終りがあるので、なお耐え忍ばねばならないのか。 + わたしの力は石の力のようであるのか。わたしの肉は青銅のようであるのか。 + まことに、わたしのうちに助けはなく、救われる望みは、わたしから追いやられた。 + その友に対するいつくしみをさし控える者は、全能者を恐れることをすてる。 + わが兄弟たちは谷川のように、過ぎ去る出水のように欺く。 + これは氷のために黒くなり、そのうちに雪が隠れる。 + これは暖かになると消え去り、暑くなるとその所からなくなる。 + 隊商はその道を転じ、むなしい所へ行って滅びる。 + テマの隊商はこれを望み、シバの旅びとはこれを慕う。 + 彼らはこれにたよったために失望し、そこに来てみて、あわてる。 + あなたがたは今わたしにはこのような者となった。あなたがたはわたしの災難を見て恐れた。 + わたしは言ったことがあるか、『わたしに与えよ』と、あるいは『あなたがたの財産のうちからわたしのために、まいないを贈れ』と、 + あるいは『あだの手からわたしを救い出せ』と、あるいは『しえたげる者の手からわたしをあがなえ』と。 + わたしに教えよ、そうすればわたしは黙るであろう。わたしの誤っている所をわたしに悟らせよ。 + 正しい言葉はいかに力のあるものか。しかしあなたがたの戒めは何を戒めるのか。 + あなたがたは言葉を戒めうると思うのか。望みの絶えた者の語ることは風のようなものだ。 + あなたがたは、みなしごのためにくじをひき、あなたがたの友をさえ売り買いするであろう。 + 今、どうぞわたしを見られよ、わたしはあなたがたの顔に向かって偽らない。 + どうぞ、思いなおせ、まちがってはならない。さらに思いなおせ、わたしの義は、なおわたしのうちにある。 + わたしの舌に不義があるか。わたしの口は災をわきまえることができぬであろうか。 + + + 地上の人には、激しい労務があるではないか。またその日は雇人の日のようではないか。 + 奴隷が夕暮を慕うように、雇人がその賃銀を望むように、 + わたしは、むなしい月を持たせられ、悩みの夜を与えられる。 + わたしは寝るときに言う、『いつ起きるだろうか』と。しかし夜は長く、暁までころびまわる。 + わたしの肉はうじと土くれとをまとい、わたしの皮は固まっては、またくずれる。 + わたしの日は機のひよりも速く、望みをもたずに消え去る。 + 記憶せよ、わたしの命は息にすぎないことを。わたしの目は再び幸を見ることがない。 + わたしを見る者の目は、かさねてわたしを見ることがなく、あなたがわたしに目を向けられても、わたしはいない。 + 雲が消えて、なくなるように、陰府に下る者は上がって来ることがない。 + 彼は再びその家に帰らず、彼の所も、もはや彼を認めない。 + それゆえ、わたしはわが口をおさえず、わたしの霊のもだえによって語り、わたしの魂の苦しさによって嘆く。 + わたしは海であるのか、龍であるのか、あなたはわたしの上に見張りを置かれる。 + 『わたしの床はわたしを慰め、わたしの寝床はわが嘆きを軽くする』とわたしが言うとき、 + あなたは夢をもってわたしを驚かし、幻をもってわたしを恐れさせられる。 + それゆえ、わたしは息の止まることを願い、わが骨よりもむしろ死を選ぶ。 + わたしは命をいとう。わたしは長く生きることを望まない。わたしに構わないでください。わたしの日は息にすぎないのだから。 + 人は何者なので、あなたはこれを大きなものとし、これにみ心をとめ、 + 朝ごとに、これを尋ね、絶え間なく、これを試みられるのか。 + いつまで、あなたはわたしに目を離さず、つばをのむまも、わたしを捨てておかれないのか。 + 人を監視される者よ、わたしが罪を犯したとて、あなたに何をなしえようか。なにゆえ、わたしをあなたの的とし、わたしをあなたの重荷とされるのか。 + なにゆえ、わたしのとがをゆるさず、わたしの不義を除かれないのか。わたしはいま土の中に横たわる。あなたがわたしを尋ねられても、わたしはいないでしょう」。 + + + 時にシュヒびとビルダデが答えて言った、 + 「いつまであなたは、そのような事を言うのか。あなたの口の言葉は荒い風ではないか。 + 神は公義を曲げられるであろうか。全能者は正義を曲げられるであろうか。 + あなたの子たちが彼に罪を犯したので、彼らをそのとがの手に渡されたのだ。 + あなたがもし神に求め、全能者に祈るならば、 + あなたがもし清く、正しくあるならば、彼は必ずあなたのために立って、あなたの正しいすみかを栄えさせられる。 + あなたの初めは小さくあっても、あなたの終りは非常に大きくなるであろう。 + 先の代の人に問うてみよ、先祖たちの尋ねきわめた事を学べ。 + われわれはただ、きのうからあった者で、何も知らない、われわれの世にある日は、影のようなものである。 + 彼らはあなたに教え、あなたに語り、その悟りから言葉を出さないであろうか。 + 紙草は泥のない所に生長することができようか。葦は水のない所におい茂ることができようか。 + これはなお青くて、まだ刈られないのに、すべての草に先だって枯れる。 + すべて神を忘れる者の道はこのとおりだ。神を信じない者の望みは滅びる。 + その頼むところは断たれ、その寄るところは、くもの巣のようだ。 + その家によりかかろうとすれば、家は立たず、それにすがろうとしても、それは耐えない。 + 彼は日の前に青々と茂り、その若枝を園にはびこらせ、 + その根を石塚にからませ、岩の間に生きていても、 + もしその所から取り除かれれば、その所は彼を拒んで言うであろう、『わたしはあなたを見たことがない』と。 + 見よ、これこそ彼の道の喜びである、そしてほかの者が地から生じるであろう。 + 見よ、神は全き人を捨てられない。また悪を行う者の手を支持されない。 + 彼は笑いをもってあなたの口を満たし、喜びの声をもってあなたのくちびるを満たされる。 + あなたを憎む者は恥を着せられ、悪しき者の天幕はなくなる」。 + + + ヨブは答えて言った、 + 「まことにわたしは、その事のそのとおりであることを知っている。しかし人はどうして神の前に正しくありえようか。 + よし彼と争おうとしても、千に一つも答えることができない。 + 彼は心賢く、力強くあられる。だれが彼にむかい、おのれをかたくなにして、栄えた者があるか。 + 彼は、山を移されるが、山は知らない。彼は怒りをもって、これらをくつがえされる。 + 彼が、地を震い動かしてその所を離れさせられると、その柱はゆらぐ。 + 彼が日に命じられると、日は出ない。彼はまた星を閉じこめられる。 + 彼はただひとり天を張り、海の波を踏まれた。 + 彼は北斗、オリオン、プレアデスおよび南の密室を造られた。 + 彼が大いなる事をされることは測りがたく、不思議な事をされることは数知れない。 + 見よ、彼がわたしのかたわらを通られても、わたしは彼を見ない。彼は進み行かれるが、わたしは彼を認めない。 + 見よ、彼が奪い去られるのに、だれが彼をはばむことができるか。だれが彼にむかって『あなたは何をするのか』と言うことができるか。 + 神はその怒りをやめられない。ラハブを助ける者どもは彼のもとにかがんだ。 + どうしてわたしは彼に答え、言葉を選んで、彼と議論することができよう。 + たといわたしは正しくても答えることができない。わたしを責められる者にあわれみを請わなければならない。 + たといわたしが呼ばわり、彼がわたしに答えられても、わたしの声に耳を傾けられたとは信じない。 + 彼は大風をもってわたしを撃ち砕き、ゆえなく、わたしに多くの傷を負わせ、 + わたしに息をつかせず、苦い物をもってわたしを満たされる。 + 力の争いであるならば、彼を見よ、さばきの事であるならば、だれが彼を呼び出すことができよう。 + たといわたしは正しくても、わたしの口はわたしを罪ある者とする。たといわたしは罪がなくても、彼はわたしを曲った者とする。 + わたしは罪がない、しかしわたしは自分を知らない。わたしは自分の命をいとう。 + 皆同一である。それゆえ、わたしは言う、『彼は罪のない者と、悪しき者とを共に滅ぼされるのだ』と。 + 災がにわかに人を殺すような事があると、彼は罪のない者の苦難をあざ笑われる。 + 世は悪人の手に渡されてある。彼はその裁判人の顔をおおわれる。もし彼でなければ、これはだれのしわざか。 + わたしの日は飛脚よりも速く、飛び去って幸を見ない。 + これは走ること葦舟のごとく、えじきに襲いかかる、わしのようだ。 + たといわたしは『わが嘆きを忘れ、憂い顔をかえて元気よくなろう』と言っても、 + わたしはわがもろもろの苦しみを恐れる。あなたがわたしを罪なき者とされないことをわたしは知っているからだ。 + わたしは罪ある者とされている。どうして、いたずらに労する必要があるか。 + たといわたしは雪で身を洗い、灰汁で手を清めても、 + あなたはわたしを、みぞの中に投げ込まれるので、わたしの着物も、わたしをいとうようになる。 + 神はわたしのように人ではないゆえ、わたしは彼に答えることができない。われわれは共にさばきに臨むことができない。 + われわれの間には、われわれふたりの上に手を置くべき仲裁者がない。 + どうか彼がそのつえをわたしから取り離し、その怒りをもって、わたしを恐れさせられないように。 + そうすれば、わたしは語って、彼を恐れることはない。わたしはみずからそのような者ではないからだ。 + + + わたしは自分の命をいとう。わたしは自分の嘆きを包まず言いあらわし、わが魂の苦しみによって語ろう。 + わたしは神に申そう、わたしを罪ある者とされないように。なぜわたしと争われるかを知らせてほしい。 + あなたはしえたげをなし、み手のわざを捨て、悪人の計画を照すことを良しとされるのか。 + あなたの持っておられるのは肉の目か、あなたは人が見るように見られるのか。 + あなたの日は人の日のごとく、あなたの年は人の年のようであるのか。 + あなたはなにゆえわたしのとがを尋ね、わたしの罪を調べられるのか。 + あなたはわたしの罪のないことを知っておられる。またあなたの手から救い出しうる者はない。 + あなたの手はわたしをかたどり、わたしを作った。ところが今あなたはかえって、わたしを滅ぼされる。 + どうぞ覚えてください、あなたは土くれをもってわたしを作られた事を。ところが、わたしをちりに返そうとされるのか。 + あなたはわたしを乳のように注ぎ、乾酪のように凝り固まらせたではないか。 + あなたは肉と皮とをわたしに着せ、骨と筋とをもってわたしを編み、 + 命といつくしみとをわたしに授け、わたしを顧みてわが霊を守られた。 + しかしあなたはこれらの事をみ心に秘めおかれた。この事があなたの心のうちにあった事をわたしは知っている。 + わたしがもし罪を犯せば、あなたはわたしに目をつけて、わたしを罪から解き放されない。 + わたしがもし悪ければわたしはわざわいだ。たといわたしが正しくても、わたしは頭を上げることができない。わたしは恥に満ち、悩みを見ているからだ。 + もし頭をあげれば、あなたは、ししのようにわたしを追い、わたしにむかって再びくすしき力をあらわされる。 + あなたは証人を入れ替えてわたしを攻め、わたしにむかってあなたの怒りを増し、新たに軍勢を出してわたしを攻められる。 + なにゆえあなたはわたしを胎から出されたか、わたしは息絶えて目に見られることなく、 + 胎から墓に運ばれて、初めからなかった者のようであったなら、よかったのに。 + わたしの命の日はいくばくもないではないか。どうぞ、しばしわたしを離れて、少しく慰めを得させられるように。 + わたしが行って、帰ることのないその前に、これを得させられるように。わたしは暗き地、暗黒の地へ行く。 + これは暗き地で、やみにひとしく、暗黒で秩序なく、光もやみのようだ」。 + + + そこでナアマびとゾパルは答えて言った、 + 「言葉が多ければ、答なしにすまされるだろうか。口の達者な人は義とされるだろうか。 + あなたのむなしい言葉は人を沈黙させるだろうか。あなたがあざけるとき、人はあなたを恥じさせないだろうか。 + あなたは言う、『わたしの教は正しい、わたしは神の目に潔い』と。 + どうぞ神が言葉を出し、あなたにむかってくちびるを開き、 + 知恵の秘密をあなたに示されるように。神はさまざまの知識をもたれるからである。それであなたは知るがよい、神はあなたの罪よりも軽くあなたを罰せられることを。 + あなたは神の深い事を窮めることができるか。全能者の限界を窮めることができるか。 + それは天よりも高い、あなたは何をなしうるか。それは陰府よりも深い、あなたは何を知りうるか。 + その量は地よりも長く、海よりも広い。 + 彼がもし行きめぐって人を捕え、さばきに召し集められるとき、だれが彼をはばむことができよう。 + 彼は卑しい人間を知っておられるからだ。彼は不義を見る時、これに心をとめられぬであろうか。 + しかし野ろばの子が人として生れるとき、愚かな者も悟りを得るであろう。 + もしあなたが心を正しくするならば、神に向かって手を伸べるであろう。 + もしあなたの手に不義があるなら、それを遠く去れ、あなたの天幕に悪を住まわせてはならない。 + そうすれば、あなたは恥じることなく顔をあげることができ、堅く立って、恐れることはない。 + あなたは苦しみを忘れ、あなたのこれを覚えることは、流れ去った水のようになる。 + そしてあなたの命は真昼よりも光り輝き、たとい暗くても朝のようになる。 + あなたは望みがあるゆえに安んじ、保護されて安らかにいこうことができる。 + あなたは伏してやすみ、あなたを恐れさせるものはない。多くの者はあなたの好意を求めるであろう。 + しかし悪しき者の目は衰える。彼らは逃げ場を失い、その望みは息の絶えるにひとしい」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「まことに、あなたがたのみ、人である、知恵はあなたがたと共に死ぬであろう。 + しかしわたしも、あなたがたと同様に悟りをもつ。わたしはあなたがたに劣らない。だれがこのような事を知らないだろうか。 + わたしは神に呼ばわって、聞かれた者であるのに、その友の物笑いとなっている。正しく全き人は物笑いとなる。 + 安らかな者の思いには、不幸な者に対する侮りがあって、足のすべる者を待っている。 + かすめ奪う者の天幕は栄え、神を怒らす者は安らかである。自分の手に神を携えている者も同様だ。 + しかし獣に問うてみよ、それはあなたに教える。空の鳥に問うてみよ、それはあなたに告げる。 + あるいは地の草や木に問うてみよ、彼らはあなたに教える。海の魚もまたあなたに示す。 + これらすべてのもののうち、いずれか主の手がこれをなしたことを知らぬ者があろうか。 + すべての生き物の命、およびすべての人の息は彼の手のうちにある。 + 口が食物を味わうように、耳は言葉をわきまえないであろうか。 + 老いた者には知恵があり、命の長い者には悟りがある。 + 知恵と力は神と共にあり、深慮と悟りも彼のものである。 + 彼が破壊すれば、再び建てることができない。彼が人を閉じ込めれば、開き出すことができない。 + 彼が水を止めれば、それはかれ、彼が水を出せば、地をくつがえす。 + 力と深き知恵は彼と共にあり、惑わされる者も惑わす者も彼のものである。 + 彼は議士たちを裸にして連れ行き、さばきびとらを愚かにし、 + 王たちのきずなを解き、彼らの腰に腰帯を巻き、 + 祭司たちを裸にして連れ行き、力ある者を滅ぼし、 + みずから頼む者たちの言葉を奪い、長老たちの分別を取り去り、 + 君たちの上に侮りを注ぎ、強い者たちの帯を解き、 + 暗やみの中から隠れた事どもをあらわし、暗黒を光に引き出し、 + 国々を大きくし、またこれを滅ぼし、国々を広くし、また捕え行き、 + 地の民の長たちの悟りを奪い、彼らを道なき荒野にさまよわせ、 + 光なき暗やみに手探りさせ、酔うた者のようによろめかせる。 + + + 見よ、わたしの目は、これをことごとく見た。わたしの耳はこれを聞いて悟った。 + あなたがたの知っている事は、わたしも知っている。わたしはあなたがたに劣らない。 + しかしわたしは全能者に物を言おう、わたしは神と論ずることを望む。 + あなたがたは偽りをもってうわべを繕う者、皆、無用の医師だ。 + どうか、あなたがたは全く沈黙するように。これがあなたがたの知恵であろう。 + 今、わたしの論ずることを聞くがよい。わたしの口で言い争うことに耳を傾けるがよい。 + あなたがたは神のために不義を言おうとするのか。また彼のために偽りを述べるのか。 + あなたがたは彼にひいきしようとするのか。神のために争おうとするのか。 + 神があなたがたを調べられるとき、あなたがたは無事だろうか。あなたがたは人を欺くように彼を欺くことができるか。 + あなたがたがもし、ひそかにひいきするならば、彼は必ずあなたがたを責められる。 + その威厳はあなたがたを恐れさせないであろうか。彼をおそれる恐れがあなたがたに臨まないであろうか。 + あなたがたの格言は灰のことわざだ。あなたがたの盾は土の盾だ。 + 黙して、わたしにかかわるな、わたしは話そう。何事でもわたしに来るなら、来るがよい。 + わたしはわが肉をわが歯に取り、わが命をわが手のうちに置く。 + 見よ、彼はわたしを殺すであろう。わたしは絶望だ。しかしなおわたしはわたしの道を彼の前に守り抜こう。 + これこそわたしの救となる。神を信じない者は、神の前に出ることができないからだ。 + あなたがたはよくわたしの言葉を聞き、わたしの述べる所を耳に入れよ。 + 見よ、わたしはすでにわたしの立ち場を言い並べた。わたしは義とされることをみずから知っている。 + だれかわたしと言い争う事のできる者があろうか。もしあるならば、わたしは黙して死ぬであろう。 + ただわたしに二つの事を許してください。そうすれば、わたしはあなたの顔をさけて隠れることはないでしょう。 + あなたの手をわたしから離してください。あなたの恐るべき事をもってわたしを恐れさせないでください。 + そしてお呼びください、わたしは答えます。わたしに物を言わせて、あなたご自身、わたしにお答えください。 + わたしのよこしまと、わたしの罪がどれほどあるか。わたしのとがと罪とをわたしに知らせてください。 + なにゆえ、あなたはみ顔をかくし、わたしをあなたの敵とされるのか。 + あなたは吹き回される木の葉をおどし、干あがったもみがらを追われるのか。 + あなたはわたしについて苦き事どもを書きしるし、わたしに若い時の罪を継がせ、 + わたしの足を足かせにはめ、わたしのすべての道をうかがい、わたしの足の周囲に限りをつけられる。 + このような人は腐れた物のように朽ち果て、虫に食われた衣服のようにすたれる。 + + + 女から生れる人は日が短く、悩みに満ちている。 + 彼は花のように咲き出て枯れ、影のように飛び去って、とどまらない。 + あなたはこのような者にさえ目を開き、あなたの前に引き出して、さばかれるであろうか。 + だれが汚れたもののうちから清いものを出すことができようか、ひとりもない。 + その日は定められ、その月の数もあなたと共にあり、あなたがその限りを定めて、越えることのできないようにされたのだから、 + 彼から目をはなし、手をひいてください。そうすれば彼は雇人のように、その日を楽しむことができるでしょう。 + 木には望みがある。たとい切られてもまた芽をだし、その若枝は絶えることがない。 + たといその根が地の中に老い、その幹が土の中に枯れても、 + なお水の潤いにあえば芽をふき、若木のように枝を出す。 + しかし人は死ねば消えうせる。息が絶えれば、どこにおるか。 + 水が湖から消え、川がかれて、かわくように、 + 人は伏して寝、また起きず、天のつきるまで、目ざめず、その眠りからさまされない。 + どうぞ、わたしを陰府にかくし、あなたの怒りのやむまで、潜ませ、わたしのために時を定めて、わたしを覚えてください。 + 人がもし死ねば、また生きるでしょうか。わたしはわが服役の諸日の間、わが解放の来るまで待つでしょう。 + あなたがお呼びになるとき、わたしは答えるでしょう。あなたはみ手のわざを顧みられるでしょう。 + その時あなたはわたしの歩みを数え、わたしの罪を見のがされるでしょう。 + わたしのとがは袋の中に封じられ、あなたはわたしの罪を塗りかくされるでしょう。 + しかし山は倒れてくずれ、岩もその所から移される。 + 水は石をうがち、大水は地のちりを洗い去る。このようにあなたは人の望みを断たれる。 + あなたはながく彼に勝って、彼を去り行かせ、彼の顔かたちを変らせて追いやられる。 + 彼の子らは尊くなっても、彼はそれを知らない、卑しくなっても、それを悟らない。 + ただおのが身に痛みを覚え、おのれのために嘆くのみである」。 + + + そこでテマンびとエリパズは答えて言った、 + 「知者はむなしき知識をもって答えるであろうか。東風をもってその腹を満たすであろうか。 + 役に立たない談話をもって論じるであろうか。無益な言葉をもって争うであろうか。 + ところがあなたは神を恐れることを捨て、神の前に祈る事をやめている。 + あなたの罪はあなたの口を教え、あなたは悪賢い人の舌を選び用いる。 + あなたの口みずからあなたの罪を定める、わたしではない。あなたのくちびるがあなたに逆らって証明する。 + あなたは最初に生れた人であるのか。山よりも先に生れたのか。 + あなたは神の会議にあずかったのか。あなたは知恵を独占しているのか。 + あなたが知るものはわれわれも知るではないか。あなたが悟るものはわれわれも悟るではないか。 + われわれの中にはしらがの人も、年老いた人もあって、あなたの父よりも年上だ。 + 神の慰めおよびあなたに対するやさしい言葉も、あなたにとって、あまりに小さいというのか。 + どうしてあなたの心は狂うのか。どうしてあなたの目はしばたたくのか。 + あなたが神にむかって気をいらだて、このような言葉をあなたの口から出すのはなぜか。 + 人はいかなる者か、どうしてこれは清くありえよう。女から生れた者は、どうして正しくありえよう。 + 見よ、神はその聖なる者にすら信を置かれない、もろもろの天も彼の目には清くない。 + まして憎むべき汚れた者、また不義を水のように飲む人においては。 + わたしはあなたに語ろう、聞くがよい。わたしは自分の見た事を述べよう。 + これは知者たちがその先祖からうけて、隠す所なく語り伝えたものである。 + 彼らにのみこの地は授けられて、他国人はその中に行き来したことがなかった。 + 悪しき人は一生の間、もだえ苦しむ。残酷な人には年の数が定められている。 + その耳には恐ろしい音が聞え、繁栄の時にも滅ぼす者が彼に臨む。 + 彼は、暗やみから帰りうるとは信ぜず、つるぎにねらわれる。 + 彼は食物はどこにあるかと言いつつさまよい、暗き日が手近に備えられてあるのを知る。 + 悩みと苦しみとが彼を恐れさせ、戦いの備えをした王のように彼に打ち勝つ。 + これは彼が神に逆らってその手を伸べ、全能者に逆らって高慢にふるまい、 + 盾の厚い面をもって強情に、彼にはせ向かうからだ。 + また彼は脂肪をもってその顔をおおい、その腰には脂肪の肉を集め、 + 滅ぼされた町々に住み、人の住まない家、荒塚となる所におるからだ。 + 彼は富める者とならず、その富はながく続かない、また地に根を張ることはない。 + 彼は暗やみからのがれることができない。炎はその若枝を枯らし、その花は風に吹き去られる。 + 彼をしてみずから欺いて、むなしい事にたよらせてはならない。その報いはむなしいからだ。 + 彼の時のこない前にその事がなし遂げられ、彼の枝は緑とならないであろう。 + 彼はぶどうの木のように、その熟さない実をふり落すであろう。またオリブの木のように、その花を落すであろう。 + 神を信じない者のやからは子なく、まいないによる天幕は火で焼き滅ぼされるからだ。 + 彼らは害悪をはらみ、不義を生み、その腹は偽りをつくる」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「わたしはこのような事を数多く聞いた。あなたがたは皆人を慰めようとして、かえって人を煩わす者だ。 + むなしき言葉に、はてしがあろうか。あなたは何に激して答をするのか。 + わたしもあなたがたのように語ることができる。もしあなたがたがわたしと代ったならば、わたしは言葉を練って、あなたがたを攻め、あなたがたに向かって頭を振ることができる。 + また口をもって、あなたがたを強くし、くちびるの慰めをもって、あなたがたの苦しみを和らげることができる。 + たといわたしは語っても、わたしの苦しみは和らげられない。たといわたしは忍んでも、どれほどそれがわたしを去るであろうか。 + まことに神は今わたしを疲れさせた。彼はわたしのやからをことごとく荒した。 + 彼はわたしを、しわ寄らせた。これがわたしに対する証拠である。またわたしのやせ衰えた姿が立って、わたしを攻め、わたしの顔にむかって証明する。 + 彼は怒ってわたしをかき裂き、わたしを憎み、わたしに向かって歯をかみ鳴らした。わたしの敵は目を鋭くして、わたしを攻める。 + 人々はわたしに向かって口を張り、侮ってわたしのほおを打ち、ともに集まってわたしを攻める。 + 神はわたしをよこしまな者に渡し、悪人の手に投げいれられる。 + わたしは安らかであったのに、彼はわたしを切り裂き、首を捕えて、わたしを打ち砕き、わたしを立てて的とされた。 + その射手はわたしを囲む。彼は無慈悲にもわたしの腰を射通し、わたしの肝を地に流れ出させられる。 + 彼はわたしを打ち破って、破れに破れを加え、勇士のようにわたしに、はせかかられる。 + わたしは荒布を膚に縫いつけ、わたしの角をちりに伏せた。 + わたしの顔は泣いて赤くなり、わたしのまぶたには深いやみがある。 + しかし、わたしの手には暴虐がなく、わたしの祈は清い。 + 地よ、わたしの血をおおってくれるな。わたしの叫びに、休む所を得させるな。 + 見よ、今でもわたしの証人は天にある。わたしのために保証してくれる者は高い所にある。 + わたしの友はわたしをあざける、しかしわたしの目は神に向かって涙を注ぐ。 + どうか彼が人のために神と弁論し、人とその友との間をさばいてくれるように。 + 数年過ぎ去れば、わたしは帰らぬ旅路に行くであろう。 + + + わが霊は破れ、わが日は尽き、墓はわたしを待っている。 + まことにあざける者どもはわたしのまわりにあり、わが目は常に彼らの侮りを見る。 + どうか、あなた自ら保証となられるように。ほかにだれがわたしのために保証となってくれる者があろうか。 + あなたは彼らの心を閉じて、悟ることのないようにされた。それゆえ、彼らに勝利を得させられるはずはない。 + 分け前を得るために友を訴えるものは、その子らの目がつぶれるであろう。 + 彼はわたしを民の笑い草とされた。わたしは顔につばきされる者となる。 + わが目は憂いによってかすみ、わがからだはすべて影のようだ。 + 正しい者はこれに驚き、罪なき者は神を信ぜぬ者に対して憤る。 + それでもなお正しい者はその道を堅く保ち、潔い手をもつ者はますます力を得る。 + しかし、あなたがたは皆再び来るがよい、わたしはあなたがたのうちに賢い者を見ないのだ。 + わが日は過ぎ去り、わが計りごとは敗れ、わが心の願いも敗れた。 + 彼らは夜を昼に変える。彼らは言う、『光が暗やみに近づいている』と。 + わたしがもし陰府をわたしの家として望み、暗やみに寝床をのべ、 + 穴に向かって『あなたはわたしの父である』と言い、うじに向かって『あなたはわたしの母、わたしの姉妹である』と言うならば、 + わたしの望みはどこにあるか、だれがわたしの望みを見ることができようか。 + これは下って陰府の関門にいたり、われわれは共にちりに下るであろうか」。 + + + そこでシュヒびとビルダデは答えて言った、 + 「あなたはいつまで言葉にわなを設けるのか。あなたはまず悟るがよい、それからわれわれは論じよう。 + なぜ、われわれは獣のように思われるのか。なぜ、あなたの目に愚かな者と見えるのか。 + 怒っておのが身を裂く者よ、あなたのために地は捨てられるだろうか。岩はその所から移されるだろうか。 + 悪しき者の光は消え、その火の炎は光を放たず、 + その天幕のうちの光は暗く、彼の上のともしびは消える。 + その力ある歩みはせばめられ、その計りごとは彼を倒す。 + 彼は自分の足で網にかかり、また落し穴の上を歩む。 + わなは彼のかかとを捕え、網わなは彼を捕える。 + 輪なわは彼を捕えるために地に隠され、張り網は彼を捕えるために道に設けられる。 + 恐ろしい事が四方にあって彼を恐れさせ、その歩みにしたがって彼を追う。 + その力は飢え、災は彼をつまずかすために備わっている。 + その皮膚は病によって食いつくされ、死のういごは彼の手足を食いつくす。 + 彼はその頼む所の天幕から引き離されて、恐れの王のもとに追いやられる。 + 彼に属さない者が彼の天幕に住み、硫黄が彼のすまいの上にまき散らされる。 + 下ではその根が枯れ、上ではその枝が切られる。 + 彼の形見は地から滅び、彼の名はちまたに消える。 + 彼は光からやみに追いやられ、世の中から追い出される。 + 彼はその民の中に子もなく、孫もなく、彼のすみかには、ひとりも生き残る者はない。 + 西の者は彼の日について驚き、東の者はおじ恐れる。 + まことに、悪しき者のすまいはこのようであり、神を知らない者の所はこのようである」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「あなたがたはいつまでわたしを悩まし、言葉をもってわたしを打ち砕くのか。 + あなたがたはすでに十度もわたしをはずかしめ、わたしを悪くあしらってもなお恥じないのか。 + たといわたしが、まことにあやまったとしても、そのあやまちは、わたし自身にとどまる。 + もしあなたがたが、まことにわたしに向かって高ぶり、わたしの恥を論じるならば、 + 『神がわたしをしえたげ、その網でわたしを囲まれたのだ』と知るべきだ。 + 見よ、わたしが『暴虐』と叫んでも答えられず、助けを呼び求めても、さばきはない。 + 彼はわたしの道にかきをめぐらして、越えることのできないようにし、わたしの行く道に暗やみを置かれた。 + 彼はわたしの栄えをわたしからはぎ取り、わたしのこうべから冠を奪い、 + 四方からわたしを取りこわして、うせさせ、わたしの望みを木のように抜き去り、 + わたしに向かって怒りを燃やし、わたしを敵のひとりのように思われた。 + その軍勢がいっせいに来て、塁を築いて攻め寄せ、わたしの天幕のまわりに陣を張った。 + 彼はわたしの兄弟たちをわたしから遠く離れさせられた。わたしを知る人々は全くわたしに疎遠になった。 + わたしの親類および親しい友はわたしを見捨て、 + わたしの家に宿る者はわたしを忘れ、わたしのはしためらはわたしを他人のように思い、わたしは彼らの目に他国人となった。 + わたしがしもべを呼んでも、彼は答えず、わたしは口をもって彼に請わなければならない。 + わたしの息はわが妻にいとわれ、わたしは同じ腹の子たちにきらわれる。 + わらべたちさえもわたしを侮り、わたしが起き上がれば、わたしをあざける。 + 親しい人々は皆わたしをいみきらい、わたしの愛した人々はわたしにそむいた。 + わたしの骨は皮と肉につき、わたしはわずかに歯の皮をもってのがれた。 + わが友よ、わたしをあわれめ、わたしをあわれめ、神のみ手がわたしを打ったからである。 + あなたがたは、なにゆえ神のようにわたしを責め、わたしの肉をもって満足しないのか。 + どうか、わたしの言葉が、書きとめられるように。どうか、わたしの言葉が、書物にしるされるように。 + 鉄の筆と鉛とをもって、ながく岩に刻みつけられるように。 + わたしは知る、わたしをあがなう者は生きておられる、後の日に彼は必ず地の上に立たれる。 + わたしの皮がこのように滅ぼされたのち、わたしは肉を離れて神を見るであろう。 + しかもわたしの味方として見るであろう。わたしの見る者はこれ以外のものではない。わたしの心はこれを望んでこがれる。 + あなたがたがもし『われわれはどうして彼を責めようか』と言い、また『事の根源は彼のうちに見いだされる』と言うならば、 + つるぎを恐れよ、怒りはつるぎの罰をきたらすからだ。これによって、あなたがたは、さばきのあることを知るであろう」。 + + + そこでナアマびとゾパルは答えて言った、 + 「これによって、わたしは答えようとの思いを起し、これがために心中しきりに騒ぎ立つ。 + わたしはわたしをはずかしめる非難を聞く、しかし、わたしの悟りの霊がわたしに答えさせる。 + あなたはこの事を知らないのか、昔から地の上に人の置かれてよりこのかた、 + 悪しき人の勝ち誇はしばらくであって、神を信じない者の楽しみはただつかのまであることを。 + たといその高さが天に達し、その頭が雲におよんでも、 + 彼はおのれの糞のように、とこしえに滅び、彼を見た者は言うであろう、『彼はどこにおるか』と。 + 彼は夢のように飛び去って、再び見ることはない。彼は夜の幻のように追い払われるであろう。 + 彼を見た目はかさねて彼を見ることがなく、彼のいた所も再び彼を見ることがなかろう。 + その子らは貧しい者に恵みを求め、その手は彼の貨財を償うであろう。 + その骨には若い力が満ちている、しかしそれは彼と共にちりに伏すであろう。 + たとい悪は彼の口に甘く、これを舌の裏にかくし、 + これを惜しんで捨てることなく、口の中に含んでいても、 + その食物は彼の腹の中で変り、彼の内で毒蛇の毒となる。 + 彼は貨財をのんでも、またそれを吐き出す、神がそれを彼の腹から押し出されるからだ。 + 彼は毒蛇の毒を吸い、まむしの舌は彼を殺すであろう。 + 彼は蜜と凝乳の流れる川々を見ることができない。 + 彼はほねおって獲たものを返して、それを食うことができない。その商いによって得た利益をもって楽しむことができない。 + 彼が貧しい者をしえたげ、これを捨てたからだ。彼は家を奪い取っても、それを建てることができない。 + 彼の欲張りは足ることを知らぬゆえ、その楽しむ何物をも救うことができないであろう。 + 彼が残して食べなかった物とては一つもない。それゆえ、その繁栄はながく続かないであろう。 + その力の満ちている時、彼は窮境に陥り、悩みの手がことごとく彼の上に臨むであろう。 + 彼がその腹を満たそうとすれば、神はその激しい怒りを送って、それを彼の上に降り注ぎ、彼の食物とされる。 + 彼は鉄の武器を免れても、青銅の矢は彼を射通すであろう。 + 彼がこれをその身から引き抜けば、きらめく矢じりがその肝から出てきて、恐れが彼の上に臨む。 + もろもろの暗黒が彼の宝物のためにたくわえられ、人が吹き起したものでない火が彼を焼きつくし、その天幕に残っている者を滅ぼすであろう。 + 天は彼の罪をあらわし、地は起って彼を攻めるであろう。 + その家の財産は奪い去られ、神の怒りの日に消えうせるであろう。 + これが悪しき人の神から受ける分、神によって定められた嗣業である」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「あなたがたはとくと、わたしの言葉を聞き、これをもって、あなたがたの慰めとするがよい。 + まずわたしをゆるして語らせなさい。わたしが語ったのち、あざけるのもよかろう。 + わたしのつぶやきは人に対してであろうか。わたしはどうして、いらだたないでいられようか。 + あなたがたはわたしを見て、驚き、手を口にあてるがよい。 + わたしはこれを思うと恐ろしくなって、からだがしきりに震えわななく。 + なにゆえ悪しき人が生きながらえ、老齢に達し、かつ力強くなるのか。 + その子らは彼らの前に堅く立ち、その子孫もその目の前に堅く立つ。 + その家は安らかで、恐れがなく、神のつえは彼らの上に臨むことがない。 + その雄牛は種を与えて、誤ることなく、その雌牛は子を産んで、そこなうことがない。 + 彼らはその小さい者どもを群れのように連れ出し、その子らは舞い踊る。 + 彼らは手鼓と琴に合わせて歌い、笛の音によって楽しみ、 + その日をさいわいに過ごし、安らかに陰府にくだる。 + 彼らは神に言う、『われわれを離れよ、われわれはあなたの道を知ることを好まない。 + 全能者は何者なので、われわれはこれに仕えねばならないのか。われわれはこれに祈っても、なんの益があるか』と。 + 見よ、彼らの繁栄は彼らの手にあるではないか。悪人の計りごとは、わたしの遠く及ぶ所でない。 + 悪人のともしびの消されること、幾たびあるか。その災の彼らの上に臨むこと、神がその怒りをもって苦しみを与えられること、幾たびあるか。 + 彼らが風の前のわらのようになること、あらしに吹き去られるもみがらのようになること、幾たびあるか。 + あなたがたは言う、『神は彼らの罪を積みたくわえて、その子らに報いられるのだ』と。どうかそれを彼ら自身に報いて、彼らにその罪を知らせられるように。 + すなわち彼ら自身の目にその滅びを見させ、全能者の怒りを彼らに飲ませられるように。 + その月の数のつきるとき、彼らはその後の家になんのかかわる所があろうか。 + 神は天にある者たちをさえ、さばかれるのに、だれが神に知識を教えることができようか。 + ある者は繁栄をきわめ、全く安らかに、かつおだやかに死に、 + そのからだには脂肪が満ち、その骨の髄は潤っている。 + ある者は心を苦しめて死に、なんの幸をも味わうことがない。 + 彼らはひとしくちりに伏し、うじにおおわれる。 + 見よ、わたしはあなたがたの思いを知り、わたしを害しようとするたくらみを知る。 + あなたがたは言う、『王侯の家はどこにあるか、悪人の住む天幕はどこにあるか』と。 + あなたがたは道行く人々に問わなかったか、彼らの証言を受け入れないのか。 + すなわち、災の日に悪人は免れ、激しい怒りの日に彼は救い出される。 + だれが彼に向かって、その道を告げ知らせる者があるか、だれが彼のした事を彼に報いる者があるか。 + 彼はかかれて墓に行き、塚の上で見張りされ、 + 谷の土くれも彼には快く、すべての人はそのあとに従う。彼の前に行った者も数えきれない。 + それで、あなたがたはどうしてむなしい事をもって、わたしを慰めようとするのか。あなたがたの答は偽り以外の何ものでもない」。 + + + そこでテマンびとエリパズは答えて言った、 + 「人は神を益することができるであろうか。賢い人も、ただ自身を益するのみである。 + あなたが正しくても、全能者になんの喜びがあろう。あなたが自分の道を全うしても、彼になんの利益があろう。 + 神はあなたが神を恐れることのゆえに、あなたを責め、あなたをさばかれるであろうか。 + あなたの悪は大きいではないか。あなたの罪は、はてしがない。 + あなたはゆえなく兄弟のものを質にとり、裸な者の着物をはぎ取り、 + 疲れた者に水を飲ませず、飢えた者に食物を与えなかった。 + 力ある人は土地を得、名ある人はそのうちに住んだ。 + あなたは、やもめをむなしく去らせた。みなしごの腕は折られた。 + それゆえ、わなはあなたをめぐり、恐怖は、にわかにあなたを驚かす。 + あなたの光は暗くされ、あなたは見ることができない。大水はあなたをおおうであろう。 + 神は天に高くおられるではないか。見よ、いと高き星を。いかに高いことよ。 + それであなたは言う、『神は何を知っておられるか。彼は黒雲を通して、さばくことができるのか。 + 濃い雲が彼をおおい隠すと、彼は見ることができない。彼は天の大空を歩まれるのだ』と。 + あなたは悪しき人々が踏んだいにしえの道を守ろうとするのか。 + 彼らは時がこないうちに取り去られ、その基は川のように押し流された。 + 彼らは神に言った、『われわれを離れてください』と、また『全能者はわれわれに何をなしえようか』と。 + しかし神は彼らの家を良い物で満たされた。ただし悪人の計りごとはわたしのくみする所ではない。 + 正しい者はこれを見て喜び、罪なき者は彼らをあざ笑って言う、 + 『まことにわれわれのあだは滅ぼされ、その残した物は火で焼き滅ぼされた』と。 + あなたは神と和らいで、平安を得るがよい。そうすれば幸福があなたに来るでしょう。 + どうか、彼の口から教を受け、その言葉をあなたの心におさめるように。 + あなたがもし全能者に立ち返って、おのれを低くし、あなたの天幕から不義を除き去り、 + こがねをちりの中に置き、オフルのこがねを谷川の石の中に置き、 + 全能者があなたのこがねとなり、あなたの貴重なしろがねとなるならば、 + その時、あなたは全能者を喜び、神に向かって顔をあげることができる。 + あなたが彼に祈るならば、彼はあなたに聞かれる。そしてあなたは自分の誓いを果す。 + あなたが事をなそうと定めるならば、あなたはその事を成就し、あなたの道には光が輝く。 + 彼は高ぶる者を低くされるが、へりくだる者を救われるからだ。 + 彼は罪のない者を救われる。あなたはその手の潔いことによって、救われるであろう」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「きょうもまた、わたしのつぶやきは激しく、彼の手はわたしの嘆きにかかわらず、重い。 + どうか、彼を尋ねてどこで会えるかを知り、そのみ座に至ることができるように。 + わたしは彼の前にわたしの訴えをならべ、口をきわめて論議するであろう。 + わたしは、わたしに答えられるみ言葉を知り、わたしに言われる所を悟ろう。 + 彼は大いなる力をもって、わたしと争われるであろうか、いな、かえってわたしを顧みられるであろう。 + かしこでは正しい人は彼と言い争うことができる。そうすれば、わたしはわたしをさばく者から永久に救われるであろう。 + 見よ、わたしが進んでも、彼を見ない。退いても、彼を認めることができない。 + 左の方に尋ねても、会うことができない。右の方に向かっても、見ることができない。 + しかし彼はわたしの歩む道を知っておられる。彼がわたしを試みられるとき、わたしは金のように出て来るであろう。 + わたしの足は彼の歩みに堅く従った。わたしは彼の道を守って離れなかった。 + わたしは彼のくちびるの命令にそむかず、その口の言葉をわたしの胸にたくわえた。 + しかし彼は変ることはない。だれが彼をひるがえすことができようか。彼はその心の欲するところを行われるのだ。 + 彼はわたしのために定めた事をなし遂げられる。そしてこのような事が多く彼の心にある。 + それゆえ、わたしは彼の前におののく。わたしは考えるとき、彼を恐れる。 + 神はわたしの心を弱くされた。全能者はわたしを恐れさせられた。 + わたしは、やみによって閉じこめられ、暗黒がわたしの顔をおおっている。 + + + なにゆえ、全能者はさばきの時を定めておかれないのか。なにゆえ、彼を知る者がその日を見ないのか。 + 世には地境を移す者、群れを奪ってそれを飼う者、 + みなしごのろばを追いやる者、やもめの牛を質に取る者、 + 貧しい者を道から押しのける者がある。世の弱い者は皆彼らをさけて身をかくす。 + 見よ、彼らは荒野におる野ろばのように出て働き、野で獲物を求めて、その子らの食物とする。 + 彼らは畑でそのまぐさを刈り、また悪人のぶどう畑で拾い集める。 + 彼らは着る物がなく、裸で夜を過ごし、寒さに身をおおうべき物もない。 + 彼らは山の雨にぬれ、しのぎ場もなく岩にすがる。 + (みなしごをその母のふところから奪い、貧しい者の幼な子を質にとる者がある。) + 彼らは着る物がなく、裸で歩き、飢えつつ麦束を運び、 + 悪人のオリブ並み木の中で油をしぼり、酒ぶねを踏んでも、かわきを覚える。 + 町の中から死のうめきが起り、傷ついた者の魂が助けを呼び求める。しかし神は彼らの祈を顧みられない。 + 光にそむく者たちがある。彼らは光の道を知らず、光の道にとどまらない。 + 人を殺す者は暗いうちに起き出て弱い者と貧しい者を殺し、夜は盗びととなる。 + 姦淫する者の目はたそがれを待って、『だれもわたしを見ていないだろう』と言い、顔におおう物を当てる。 + 彼らは暗やみで家をうがち、昼は閉じこもって光を知らない。 + 彼らには暗黒は朝である。彼らは暗黒の恐れを友とするからだ。 + あなたがたは言う、『彼らは水のおもてにすみやかに流れ去り、その受ける分は地でのろわれ、酒ぶねを踏む者はだれも彼らのぶどう畑の道に行かない。 + ひでりと熱さは雪水を奪い去る、陰府が罪を犯した者に対するも、これと同様だ。 + 町の広場は彼らを忘れ、彼らの名は覚えられることなく、不義は木の折られるように折られる』と。 + 彼らは子を産まぬうまずめをくらい、やもめをあわれむことをしない。 + しかし神はその力をもって、強い人々を生きながらえさせられる。彼らは生きる望みのない時にも起きあがる。 + 神が彼らに安全を与えられるので、彼らは安らかである。神の目は彼らの道の上にある。 + 彼らはしばし高められて、いなくなり、ぜにあおいのように枯れて消えうせ、麦の穂先のように切り取られる。 + もし、そうでないなら、だれがわたしにその偽りを証明し、わが言葉のむなしいことを示しうるだろうか」。 + + + そこでシュヒびとビルダデは答えて言った、 + 「大権と恐れとは神と共にある。彼は高き所で平和を施される。 + その軍勢は数えることができるか。何物かその光に浴さないものがあるか。 + それで人はどうして神の前に正しくありえようか。女から生れた者がどうして清くありえようか。 + 見よ、月さえも輝かず、星も彼の目には清くない。 + うじのような人、虫のような人の子はなおさらである」。 + + + そこでヨブは答えて言った、 + 「あなたは力のない者をどれほど助けたかしれない。気力のない腕をどれほど救ったかしれない。 + 知恵のない者をどれほど教えたかしれない。悟りをどれほど多く示したかしれない。 + あなたはだれの助けによって言葉をだしたのか。あなたから出たのはだれの霊なのか。 + 亡霊は水およびその中に住むものの下に震う。 + 神の前では陰府も裸である。滅びの穴もおおい隠すものはない。 + 彼は北の天を空間に張り、地を何もない所に掛けられる。 + 彼は水を濃い雲の中に包まれるが、その下の雲は裂けない。 + 彼は月のおもてをおおい隠して、雲をその上にのべ、 + 水のおもてに円を描いて、光とやみとの境とされた。 + 彼が戒めると、天の柱は震い、かつ驚く。 + 彼はその力をもって海を静め、その知恵をもってラハブを打ち砕き、 + その息をもって天を晴れわたらせ、その手をもって逃げるへびを突き通される。 + 見よ、これらはただ彼の道の端にすぎない。われわれが彼について聞く所はいかにかすかなささやきであろう。しかし、その力のとどろきに至っては、だれが悟ることができるか」。 + + + ヨブはまた言葉をついで言った、 + 「神は生きておられる。彼はわたしの義を奪い去られた。全能者はわたしの魂を悩まされた。 + わたしの息がわたしのうちにあり、神の息がわたしの鼻にある間、 + わたしのくちびるは不義を言わない、わたしの舌は偽りを語らない。 + わたしは断じて、あなたがたを正しいとは認めない。わたしは死ぬまで、潔白を主張してやめない。 + わたしは堅くわが義を保って捨てない。わたしは今まで一日も心に責められた事がない。 + どうか、わたしの敵は悪人のようになり、わたしに逆らう者は不義なる者のようになるように。 + 神が彼を断ち、その魂を抜きとられるとき、神を信じない者になんの望みがあろう。 + 災が彼に臨むとき、神はその叫びを聞かれるであろうか。 + 彼は全能者を喜ぶであろうか、常に神を呼ぶであろうか。 + わたしは神のみ手についてあなたがたに教え、全能者と共にあるものを隠すことをしない。 + 見よ、あなたがたは皆みずからこれを見た、それなのに、どうしてむなしい者となったのか。 + これは悪人の神から受ける分、圧制者の全能者から受ける嗣業である。 + その子らがふえればつるぎに渡され、その子孫は食物に飽きることがない。 + その生き残った者は疫病で死んで埋められ、そのやもめらは泣き悲しむことをしない。 + たとい彼は銀をちりのように積み、衣服を土のように備えても、 + その備えるものは正しい人がこれを着、その銀は罪なき者が分かち取るであろう。 + 彼の建てる家は、くもの巣のようであり、番人の造る小屋のようである。 + 彼は富める身で寝ても、再び富むことがなく、目を開けばその富はない。 + 恐ろしい事が大水のように彼を襲い、夜はつむじ風が彼を奪い去る。 + 東風が彼を揚げると、彼は去り、彼をその所から吹き払う。 + それは彼を投げつけて、あわれむことなく、彼はその力からのがれようと、もがく。 + それは彼に向かって手を鳴らし、あざけり笑って、その所から出て行かせる。 + + + しろがねには掘り出す穴があり、精錬するこがねには出どころがある。 + くろがねは土から取り、あかがねは石から溶かして取る。 + 人は暗やみを破り、いやはてまでも尋ねきわめて、暗やみおよび暗黒の中から鉱石を取る。 + 彼らは人の住む所を離れて縦穴をうがち、道行く人に忘れられ、人を離れて身をつりさげ、揺れ動く。 + 地はそこから食物を出す。その下は火でくつがえされるようにくつがえる。 + その石はサファイヤのある所、そこにはまた金塊がある。 + その道は猛禽も知らず、たかの目もこれを見ず、 + 猛獣もこれを踏まず、ししもこれを通らなかった。 + 人は堅い岩に手をくだして、山を根元からくつがえす。 + 彼は岩に坑道を掘り、その目はもろもろの尊い物を見る。 + 彼は水路をふさいで、漏れないようにし、隠れた物を光に取り出す。 + しかし知恵はどこに見いだされるか。悟りのある所はどこか。 + 人はそこに至る道を知らない、また生ける者の地でそれを獲ることができない。 + 淵は言う、『それはわたしのうちにない』と。また海は言う、『わたしのもとにない』と。 + 精金もこれと換えることはできない。銀も量ってその価とすることはできない。 + オフルの金をもってしても、その価を量ることはできない。尊い縞めのうも、サファイヤも同様である。 + こがねも、玻璃もこれに並ぶことができない。また精金の器物もこれと換えることができない。 + さんごも水晶も言うに足りない。知恵を得るのは真珠を得るのにまさる。 + エチオピヤのトパズもこれに並ぶことができない。純金をもってしても、その価を量ることはできない。 + それでは知恵はどこから来るか。悟りのある所はどこか。 + これはすべての生き物の目に隠され、空の鳥にも隠されている。 + 滅びも死も言う、『われわれはそのうわさを耳に聞いただけだ』。 + 神はこれに至る道を悟っておられる、彼はそのある所を知っておられる。 + 彼は地の果までもみそなわし、天が下を見きわめられるからだ。 + 彼が風に重さを与え、水をますで量られたとき、 + 彼が雨のために規定を設け、雷のひらめきのために道を設けられたとき、 + 彼は知恵を見て、これをあらわし、これを確かめ、これをきわめられた。 + そして人に言われた、『見よ、主を恐れることは知恵である、悪を離れることは悟りである』と」。 + + + ヨブはまた言葉をついで言った、 + 「ああ過ぎた年月のようであったらよいのだが、神がわたしを守ってくださった日のようであったらよいのだが。 + あの時には、彼のともしびがわたしの頭の上に輝き、彼の光によってわたしは暗やみを歩んだ。 + わたしの盛んな時のようであったならよいのだが。あの時には、神の親しみがわたしの天幕の上にあった。 + あの時には、全能者がなおわたしと共にいまし、わたしの子供たちもわたしの周囲にいた。 + あの時、わたしの足跡は乳で洗われ、岩もわたしのために油の流れを注ぎだした。 + あの時には、わたしは町の門に出て行き、わたしの座を広場に設けた。 + 若い者はわたしを見てしりぞき、老いた者は身をおこして立ち、 + 君たる者も物言うことをやめて、その口に手を当て、 + 尊い者も声をおさめて、その舌を上あごにつけた。 + 耳に聞いた者はわたしを祝福された者となし、目に見た者はこれをあかしした。 + これは助けを求める貧しい者を救い、また、みなしごおよび助ける人のない者を救ったからである。 + 今にも滅びようとした者の祝福がわたしに来た。わたしはまたやもめの心をして喜び歌わせた。 + わたしは正義を着、正義はわたしをおおった。わたしの公義は上着のごとく、また冠のようであった。 + わたしは目しいの目となり、足なえの足となり、 + 貧しい者の父となり、知らない人の訴えの理由を調べてやった。 + わたしはまた悪しき者のきばを折り、その歯の間から獲物を引き出した。 + その時、わたしは言った、『わたしは自分の巣の中で死に、わたしの日は砂のように多くなるであろう。 + わたしの根は水のほとりにはびこり、露は夜もすがらわたしの枝におくであろう。 + わたしの栄えはわたしと共に新しく、わたしの弓はわたしの手にいつも強い』と。 + 人々はわたしに聞いて待ち、黙して、わたしの教に従った。 + わたしが言った後は彼らは再び言わなかった。わたしの言葉は彼らの上に雨のように降りそそいだ。 + 彼らは雨を待つように、わたしを待ち望み、春の雨を仰ぐように口を開いて仰いだ。 + 彼らが希望を失った時にも、わたしは彼らにむかってほほえんだ。彼らはわたしの顔の光を除くことができなかった。 + わたしは彼らのために道を選び、そのかしらとして座し、軍中の王のようにしており、嘆く者を慰める人のようであった。 + + + しかし今はわたしよりも年若い者が、かえってわたしをあざ笑う。彼らの父はわたしが卑しめて、群れの犬と一緒にさえしなかった者だ。 + 彼らの手の力からわたしは何を得るであろうか、彼らはその気力がすでに衰えた人々だ。 + 彼らは乏しさと激しい飢えとによって、かわいた荒れ地をかむ。 + 彼らは、ぜにあおいおよび灌木の葉を摘み、れだまの根をもって身を暖める。 + 彼らは人々の中から追いだされ、盗びとを追うように、人々は彼らを追い呼ばわる。 + 彼らは急流の谷間に住み、土の穴または岩の穴におり、 + 灌木の中にいななき、いらくさの下に押し合う。 + 彼らは愚かな者の子、また卑しい者の子であって、国から追いだされた者だ。 + それなのに、わたしは今彼らの歌となり、彼らの笑い草となった。 + 彼らはわたしをいとい、遠くわたしをはなれ、わたしの顔につばきすることも、ためらわない。 + 神がわたしの綱を解いて、わたしを卑しめられたので、彼らもわたしの前に慎みを捨てた。 + このともがらはわたしの右に立ち上がり、わたしを追いのけ、わたしにむかって滅びの道を築く。 + 彼らはわたしの道をこわし、わたしの災を促す。これをさし止める者はない。 + 彼らは広い破れ口からはいるように進みきたり、破壊の中をおし寄せる。 + 恐ろしい事はわたしに臨み、わたしの誉は風のように吹き払われ、わたしの繁栄は雲のように消えうせた。 + 今は、わたしの魂はわたしの内にとけて流れ、悩みの日はわたしを捕えた。 + 夜はわたしの骨を激しく悩まし、わたしをかむ苦しみは、やむことがない。 + それは暴力をもって、わたしの着物を捕え、はだ着のえりのように、わたしをしめつける。 + 神がわたしを泥の中に投げ入れられたので、わたしはちり灰のようになった。 + わたしがあなたにむかって呼ばわっても、あなたは答えられない。わたしが立っていても、あなたは顧みられない。 + あなたは変って、わたしに無情な者となり、み手の力をもってわたしを攻め悩まされる。 + あなたはわたしを揚げて風の上に乗せ、大風のうなり声の中に、もませられる。 + わたしは知っている、あなたはわたしを死に帰らせ、すべての生き物の集まる家に帰らせられることを。 + さりながら荒塚の中にある者は、手を伸べないであろうか、災の中にある者は助けを呼び求めないであろうか。 + わたしは苦しい日を送る者のために泣かなかったか。わたしの魂は貧しい人のために悲しまなかったか。 + しかしわたしが幸を望んだのに災が来た。光を待ち望んだのにやみが来た。 + わたしのはらわたは沸きかえって、静まらない。悩みの日がわたしに近づいた。 + わたしは日の光によらずに黒くなって歩き、公会の中に立って助けを呼び求める。 + わたしは山犬の兄弟となり、だちょうの友となった。 + わたしの皮膚は黒くなって、はげ落ち、わたしの骨は熱さによって燃え、 + わたしの琴は悲しみの音となり、わたしの笛は泣く者の声となった。 + + + わたしは、わたしの目と契約を結んだ、どうして、おとめを慕うことができようか。 + もしそうすれば上から神の下される分はどんなであろうか。高き所から全能者の与えられる嗣業はどんなであろうか。 + 不義なる者には災が下らないであろうか。悪をなす者には災難が臨まないであろうか。 + 彼はわたしの道をみそなわし、わたしの歩みをことごとく数えられぬであろうか。 + もし、わたしがうそと共に歩み、わたしの足が偽りにむかって急いだことがあるなら、 + (正しいはかりをもってわたしを量れ、そうすれば神はわたしの潔白を知られるであろう。) + もしわたしの歩みが、道をはなれ、わたしの心がわたしの目にしたがって歩み、わたしの手に汚れがついていたなら、 + わたしのまいたのを他の人が食べ、わたしのために成長するものが、抜き取られてもかまわない。 + もし、わたしの心が、女に迷ったことがあるか、またわたしが隣り人の門で待ち伏せしたことがあるなら、 + わたしの妻が他の人のためにうすをひき、他の人が彼女の上に寝てもかまわない。 + これは重い罪であって、さばきびとに罰せられるべき悪事だからである。 + これは滅びに至るまでも焼きつくす火であって、わたしのすべての産業を根こそぎ焼くであろう。 + わたしのしもべ、また、はしためがわたしと言い争ったときに、わたしがもしその言い分を退けたことがあるなら、 + 神が立ち上がられるとき、わたしはどうしようか、神が尋ねられるとき、なんとお答えしようか。 + わたしを胎内に造られた者は、彼をも造られたのではないか。われわれを腹の内に形造られた者は、ただひとりではないか。 + わたしがもし貧しい者の願いを退け、やもめの目を衰えさせ、 + あるいはわたしひとりで食物を食べて、みなしごに食べさせなかったことがあるなら、 + (わたしは彼の幼い時から父のように彼を育て、またその母の胎を出たときから彼を導いた。) + もし着物がないために死のうとする者や、身をおおう物のない貧しい人をわたしが見た時に、 + その腰がわたしを祝福せず、また彼がわたしの羊の毛で暖まらなかったことがあるなら、 + もしわたしを助ける者が門におるのを見て、みなしごにむかってわたしの手を振り上げたことがあるなら、 + わたしの肩骨が、肩から落ち、わたしの腕が、つけ根から折れてもかまわない。 + わたしは神から出る災を恐れる、その威光の前には何事もなすことはできない。 + わたしがもし金をわが望みとし、精金をわが頼みと言ったことがあるなら、 + わたしがもしわが富の大いなる事と、わたしの手に多くの物を獲た事とを喜んだことがあるなら、 + わたしがもし日の輝くのを見、または月の照りわたって動くのを見た時、 + 心ひそかに迷って、手に口づけしたことがあるなら、 + これもまたさばきびとに罰せらるべき悪事だ。わたしは上なる神を欺いたからである。 + わたしがもしわたしを憎む者の滅びるのを喜び、または災が彼に臨んだとき、勝ち誇ったことがあるなら、 + (わたしはわが口に罪を犯させず、のろいをもって彼の命を求めたことはなかった。) + もし、わたしの天幕の人々で、『だれか彼の肉に飽きなかった者があるか』と、言わなかったことがあるなら、 + (他国人はちまたに宿らず、わたしはわが門を旅びとに開いた。) + わたしがもし人々の前にわたしのとがをおおい、わたしの悪事を胸の中に隠したことがあるなら、 + わたしが大衆を恐れ、宗族の侮りにおじて、口を閉じ、門を出なかったことがあるなら、 + ああ、わたしに聞いてくれる者があればよいのだが、(わたしのかきはんがここにある。どうか、全能者がわたしに答えられるように。)ああ、わたしの敵の書いた告訴状があればよいのだが。 + わたしは必ずこれを肩に負い、冠のようにこれをわが身に結び、 + わが歩みの数を彼に述べ、君たる者のようにして、彼に近づくであろう。 + もしわが田畑がわたしに向かって呼ばわり、そのうねみぞが共に泣き叫んだことがあるなら、 + もしわたしが金を払わないでその産物を食べ、その持ち主を死なせたことがあるなら、 + 小麦の代りに、いばらがはえ、大麦の代りに雑草がはえてもかまわない」。ヨブの言葉は終った。 + + + このようにヨブが自分の正しいことを主張したので、これら三人の者はヨブに答えるのをやめた。 + その時ラム族のブズびとバラケルの子エリフは怒りを起した。すなわちヨブが神よりも自分の正しいことを主張するので、彼はヨブに向かって怒りを起した。 + またヨブの三人の友がヨブを罪ありとしながら、答える言葉がなかったので、エリフは彼らにむかっても怒りを起した。 + エリフは彼らが皆、自分よりも年長者であったので、ヨブに物言うことをひかえて待っていたが、 + ここにエリフは三人の口に答える言葉のないのを見て怒りを起した。 + ブズびとバラケルの子エリフは答えて言った、「わたしは年若く、あなたがたは年老いている。それゆえ、わたしははばかって、わたしの意見を述べることをあえてしなかった。 + わたしは思った、『日を重ねた者が語るべきだ、年を積んだ者が知恵を教えるべきだ』と。 + しかし人のうちには霊があり、全能者の息が人に悟りを与える。 + 老いた者、必ずしも知恵があるのではなく、年とった者、必ずしも道理をわきまえるのではない。 + ゆえにわたしは言う、『わたしに聞け、わたしもまたわが意見を述べよう』。 + 見よ、わたしはあなたがたの言葉に期待し、その知恵ある言葉に耳を傾け、あなたがたが言うべき言葉を捜し出すのを待っていた。 + わたしはあなたがたに心をとめたが、あなたがたのうちにヨブを言いふせる者はひとりもなく、また彼の言葉に答える者はひとりもなかった。 + おそらくあなたがたは言うだろう、『われわれは知恵を見いだした、彼に勝つことのできるのは神だけで、人にはできない』と。 + 彼はその言葉をわたしに向けて言わなかった。わたしはあなたがたの言葉をもって彼に答えることはしない。 + 彼らは驚いて、もはや答えることをせず、彼らには、もはや言うべき言葉がない。 + 彼らは物言わず、立ちとどまって、もはや答えるところがないので、わたしはこれ以上待つ必要があろうか。 + わたしもまたわたしの分を答え、わたしの意見を述べよう。 + わたしには言葉が満ち、わたしのうちの霊がわたしに迫るからだ。 + 見よ、わたしの心は口を開かないぶどう酒のように、新しいぶどう酒の皮袋のように、今にも張りさけようとしている。 + わたしは語って、気を晴らし、くちびるを開いて答えよう。 + わたしはだれをもかたより見ることなく、また何人とにもへつらうことをしない。 + わたしはへつらうことを知らないからだ。もしへつらうならば、わたしの造り主は直ちにわたしを滅ぼされるであろう。 + + + だから、ヨブよ、今わたしの言うことを聞け、わたしのすべての言葉に耳を傾けよ。 + 見よ、わたしは口を開き、口の中の舌は物言う。 + わたしの言葉はわが心の正しきを語り、わたしのくちびるは真実をもってその知識を語る。 + 神の霊はわたしを造り、全能者の息はわたしを生かす。 + あなたがもしできるなら、わたしに答えよ、わたしの前に言葉を整えて、立て。 + 見よ、神に対しては、わたしもあなたと同様であり、わたしもまた土から取って造られた者だ。 + 見よ、わたしの威厳はあなたを恐れさせない、わたしの勢いはあなたを圧しない。 + 確かに、あなたはわたしの聞くところで言った、わたしはあなたの言葉の声を聞いた。 + あなたは言う、『わたしはいさぎよく、とがはない。わたしは清く、不義はない。 + 見よ、彼はわたしを攻める口実を見つけ、わたしを自分の敵とみなし、 + わたしの足をかせにはめ、わたしのすべての行いに目をとめられる』と。 + 見よ、わたしはあなたに答える、あなたはこの事において正しくない。神は人よりも大いなる者だ。 + あなたが『彼はわたしの言葉に少しも答えられない』といって、彼に向かって言い争うのは、どういうわけであるか。 + 神は一つの方法によって語られ、また二つの方法によって語られるのだが、人はそれを悟らないのだ。 + 人々が熟睡するとき、または床にまどろむとき、夢あるいは夜の幻のうちで、 + 彼は人々の耳を開き、警告をもって彼らを恐れさせ、 + こうして人にその悪しきわざを離れさせ、高ぶりを人から除き、 + その魂を守って、墓に至らせず、その命を守って、つるぎに滅びないようにされる。 + 人はまたその床の上で痛みによって懲らされ、その骨に戦いが絶えることなく、 + その命は、食物をいとい、その食欲は、おいしい食物をきらう。 + その肉はやせ落ちて見えず、その骨は見えなかったものまでもあらわになり、 + その魂は墓に近づき、その命は滅ぼす者に近づく。 + もしそこに彼のためにひとりの天使があり、千のうちのひとりであって、仲保となり、人にその正しい道を示すならば、 + 神は彼をあわれんで言われる、『彼を救って、墓に下ることを免れさせよ、わたしはすでにあがないしろを得た。 + 彼の肉を幼な子の肉よりもみずみずしくならせ、彼を若い時の元気に帰らせよ』と。 + その時、彼が神に祈るならば、神は彼を顧み、喜びをもって、み前にいたらせ、その救を人に告げ知らせられる。 + 彼は人々の前に歌って言う、『わたしは罪を犯し、正しい事を曲げた。しかしわたしに報復がなかった。 + 彼はわたしの魂をあがなって、墓に下らせられなかった。わたしの命は光を見ることができる』と。 + 見よ、神はこれらすべての事をふたたび、みたび人に行い、 + その魂を墓から引き返し、彼に命の光を見させられる。 + ヨブよ、耳を傾けてわたしに聞け、黙せよ、わたしは語ろう。 + あなたがもし言うべきことがあるなら、わたしに答えよ、語れ、わたしはあなたを正しい者にしようと望むからだ。 + もし語ることがないなら、わたしに聞け、黙せよ、わたしはあなたに知恵を教えよう」。 + + + エリフはまた答えて言った、 + 「あなたがた知恵ある人々よ、わたしの言葉を聞け、あなたがた知識ある人々よ、わたしに耳を傾けよ。 + 口が食物を味わうように、耳は言葉をわきまえるからだ。 + われわれは正しい事を選び、われわれの間に良い事の何であるかを明らかにしよう。 + ヨブは言った、『わたしは正しい、神はわたしの公義を奪われた。 + わたしは正しいにもかかわらず、偽る者とされた。わたしにはとががないけれども、わたしの矢傷はいえない』と。 + だれかヨブのような人があろう。彼はあざけりを水のように飲み、 + 悪をなす者どもと交わり、悪人と共に歩む。 + 彼は言った、『人は神と親しんでも、なんの益もない』と。 + それであなたがた理解ある人々よ、わたしに聞け、神は断じて悪を行うことなく、全能者は断じて不義を行うことはない。 + 神は人のわざにしたがってその身に報い、おのおのの道にしたがって、その身に振りかからせられる。 + まことに神は悪しき事を行われない。全能者はさばきをまげられない。 + だれかこの地を彼にゆだねた者があるか。だれか全世界を彼に負わせた者があるか。 + 神がもしその霊をご自分に取りもどし、その息をご自分に取りあつめられるならば、 + すべての肉は共に滅び、人はちりに帰るであろう。 + もし、あなたに悟りがあるならば、これを聞け、わたしの言うところに耳を傾けよ。 + 公義を憎む者は世を治めることができようか。正しく力ある者を、あなたは非難するであろうか。 + 王たる者に向かって『よこしまな者』と言い、つかさたる者に向かって、『悪しき者』と言うことができるであろうか。 + 神は君たる者をもかたより見られることなく、富める者を貧しき者にまさって顧みられることはない。彼らは皆み手のわざだからである。 + 彼らはまたたく間に死に、民は夜の間に振われて、消えうせ、力ある者も人手によらずに除かれる。 + 神の目が人の道の上にあって、そのすべての歩みを見られるからだ。 + 悪を行う者には身を隠すべき暗やみもなく、暗黒もない。 + 人がさばきのために神の前に出るとき、神は人のために時を定めておかれない。 + 彼は力ある者をも調べることなく打ち滅ぼし、他の人々を立てて、これに替えられる。 + このように、神は彼らのわざを知り、夜の間に彼らをくつがえされるので、彼らはやがて滅びる。 + 彼は人々の見る所で、彼らをその悪のために撃たれる。 + これは彼らがそむいて彼に従わず、その道を全く顧みないからだ。 + こうして彼らは貧しき者の叫びを彼のもとにいたらせ、悩める者の叫びを彼に聞かせる。 + 彼が黙っておられるとき、だれが非難することができようか。彼が顔を隠されるとき、だれが彼を見ることができようか。一国の上にも、一人の上にも同様だ。 + これは神を信じない者が世を治めることがなく、民をわなにかける事のないようにするためである。 + だれが神に向かって言ったか、『わたしは罪を犯さないのに、懲しめられた。 + わたしの見ないものをわたしに教えられたい。もしわたしが悪い事をしたなら、重ねてこれをしない』と。 + あなたが拒むゆえに、彼はあなたの好むように報いをされるであろうか。あなたみずから選ぶがよい、わたしはしない。あなたの知るところを言いなさい。 + 悟りある人々はわたしに言うだろう、わたしに聞くところの知恵ある人は言うだろう、 + 『ヨブの言うところは知識がなく、その言葉は悟りがない』と。 + どうかヨブが終りまで試みられるように、彼は悪人のように答えるからである。 + 彼は自分の罪に、とがを加え、われわれの中にあって手をうち、神に逆らって、その言葉をしげくする」。 + + + エリフはまた答えて言った、 + 「あなたはこれを正しいと思うのか、あなたは『神の前に自分は正しい』と言うのか。 + あなたは言う、『これはわたしになんの益があるか、罪を犯したのとくらべてなんのまさるところがあるか』と。 + わたしはあなたおよび、あなたと共にいるあなたの友人たちに答えよう。 + 天を仰ぎ見よ、あなたの上なる高き空を望み見よ。 + あなたが罪を犯しても、彼になんのさしさわりがあるか。あなたのとがが多くても、彼に何をなし得ようか。 + またあなたは正しくても、彼に何を与え得ようか。彼はあなたの手から何を受けられるであろうか。 + あなたの悪はただあなたのような人にかかわり、あなたの義はただ人の子にかかわるのみだ。 + しえたげの多いために叫び、力ある者の腕のゆえに呼ばわる人々がある。 + しかし、ひとりとして言う者はない、『わが造り主なる神はどこにおられるか、彼は夜の間に歌を与え、 + 地の獣よりも多く、われわれを教え、空の鳥よりも、われわれを賢くされる方である』と。 + 彼らが叫んでも答えられないのは、悪しき者の高ぶりによる。 + まことに神はむなしい叫びを聞かれない。また全能者はこれを顧みられない。 + あなたが彼を見ないと言う時はなおさらだ。さばきは神の前にある。あなたは彼を待つべきである。 + 今彼が怒りをもって罰せず、罪とがを深く心にとめられないゆえに + ヨブは口を開いてむなしい事を述べ、無知の言葉をしげくする」。 + + + エリフは重ねて言った、 + 「しばらく待て、わたしはあなたに示すことがある。なお神のために言うべき事がある。 + わたしは遠くからわが知識を取り、わが造り主に正義を帰する。 + まことにわたしの言葉は偽らない。知識の全き者があなたと共にいる。 + 見よ、神は力ある者であるが、何をも卑しめられない、その悟りの力は大きい。 + 彼は悪しき者を生かしておかれない、苦しむ者のためにさばきを行われる。 + 彼は正しい者から目を離さず、位にある王たちと共に、とこしえに、彼らをすわらせて、尊くされる。 + もし彼らが足かせにつながれ、悩みのなわに捕えられる時は、 + 彼らの行いと、とがと、その高ぶったふるまいを彼らに示し、 + 彼らの耳を開いて、教を聞かせ、悪を離れて帰ることを命じられる。 + もし彼らが聞いて彼に仕えるならば、彼らはその日を幸福に過ごし、その年を楽しく送るであろう。 + しかし彼らが聞かないならば、つるぎによって滅び、知識を得ないで死ぬであろう。 + 心に神を信じない者どもは怒りをたくわえ、神に縛られる時も、助けを呼び求めることをしない。 + 彼らは年若くして死に、その命は恥のうちに終る。 + 神は苦しむ者をその苦しみによって救い、彼らの耳を逆境によって開かれる。 + 神はまたあなたを悩みから、束縛のない広い所に誘い出された。そしてあなたの食卓に置かれた物はすべて肥えた物であった。 + しかしあなたは悪人のうくべきさばきをおのれに満たし、さばきと公義はあなたを捕えている。 + あなたは怒りに誘われて、あざけりに陥らぬように心せよ。あがないしろの大いなるがために、おのれを誤るな。 + あなたの叫びはあなたを守って、悩みを免れさせるであろうか、いかに力をつくしても役に立たない。 + 人々がその所から断たれるその夜を慕ってはならない。 + 慎んで悪に傾いてはならない。あなたは悩みよりもむしろこれを選んだからだ。 + 見よ、神はその力をもってあがめられる。だれか彼のように教える者があるか。 + だれか彼のためにその道を定めた者があるか。だれか『あなたは悪い事をした』と言いうる者があるか。 + 神のみわざをほめたたえる事を忘れてはならない。これは人々の歌いあがめるところである。 + すべての人はこれを仰ぎ見る。人は遠くからこれを見るにすぎない。 + 見よ、神は大いなる者にいまして、われわれは彼を知らない。その年の数も計り知ることができない。 + 彼は水のしたたりを引きあげ、その霧をしたたらせて雨とされる。 + 空はこれを降らせて、人の上に豊かに注ぐ。 + だれか雲の広がるわけと、その幕屋のとどろくわけとを悟ることができようか。 + 見よ、彼はその光をおのれのまわりにひろげ、また海の底をおおわれる。 + 彼はこれらをもって民をさばき、食物を豊かに賜い、 + いなずまをもってもろ手を包み、これに命じて敵を打たせられる。 + そのとどろきは、悪にむかって怒りに燃える彼を現す。 + + + これがためにわが心もまたわななき、その所からとび離れる。 + 聞け、神の声のとどろきを、またその口から出るささやきを。 + 彼はこれを天が下に放ち、その光を地のすみずみまで至らせられる。 + その後、声とどろき、彼はそのいかめしい声をもって鳴り渡られる。その声の聞える時、彼はいなずまを引きとめられない。 + 神はその驚くべき声をもって鳴り渡り、われわれの悟りえない大いなる事を行われる。 + 彼は雪に向かって『地に降れ』と命じ、夕立ちおよび雨に向かって『強く降れ』と命じられる。 + 彼はすべての人の手を封じられる。これはすべての人にみわざを知らせるためである。 + その時、獣は穴に入り、そのほらにとどまる。 + つむじ風はそのへやから、寒さは北風から来る。 + 神のいぶきによって氷が張り、広々とした水は凍る。 + 彼は濃い雲に水気を負わせ、雲はそのいなずまを散らす。 + これは彼の導きによってめぐる。彼の命じるところをことごとく世界のおもてに行うためである。 + 神がこれらをこさせるのは、懲しめのため、あるいはその地のため、あるいはいつくしみのためである。 + ヨブよ、これを聞け、立って神のくすしきみわざを考えよ。 + あなたは知っているか、神がいかにこれらに命じて、その雲の光を輝かされるかを。 + あなたは知っているか、雲のつりあいと、知識の全き者のくすしきみわざを。 + 南風によって地が穏やかになる時、あなたの着物が熱くなることを。 + あなたは鋳た鏡のように堅い大空を、彼のように張ることができるか。 + われわれが彼に言うべき事をわれわれに教えよ、われわれは暗くて、言葉をつらねることはできない。 + わたしは語ることがあると彼に告げることができようか、人は滅ぼされることを望むであろうか。 + 光が空に輝いているとき、風過ぎて空を清めると、人々はその光を見ることができない。 + 北から黄金のような輝きがでてくる。神には恐るべき威光がある。 + 全能者は――われわれはこれを見いだすことができない。彼は力と公義とにすぐれ、正義に満ちて、これを曲げることはない。 + それゆえ、人々は彼を恐れる。彼はみずから賢いと思う者を顧みられない」。 + + + この時、主はつむじ風の中からヨブに答えられた、 + 「無知の言葉をもって、神の計りごとを暗くするこの者はだれか。 + あなたは腰に帯して、男らしくせよ。わたしはあなたに尋ねる、わたしに答えよ。 + わたしが地の基をすえた時、どこにいたか。もしあなたが知っているなら言え。 + あなたがもし知っているなら、だれがその度量を定めたか。だれが測りなわを地の上に張ったか。 + その土台は何の上に置かれたか。その隅の石はだれがすえたか。 + かの時には明けの星は相共に歌い、神の子たちはみな喜び呼ばわった。 + 海の水が流れいで、胎内からわき出たとき、だれが戸をもって、これを閉じこめたか。 + あの時、わたしは雲をもって衣とし、黒雲をもってむつきとし、 + これがために境を定め、関および戸を設けて、 + 言った、『ここまで来てもよい、越えてはならぬ、おまえの高波はここにとどまるのだ』と。 + あなたは生れた日からこのかた朝に命じ、夜明けにその所を知らせ、 + これに地の縁をとらえさせ、悪人をその上から振り落させたことがあるか。 + 地は印せられた土のように変り、衣のようにいろどられる。 + 悪人はその光を奪われ、その高くあげた腕は折られる。 + あなたは海の源に行ったことがあるか。淵の底を歩いたことがあるか。 + 死の門はあなたのために開かれたか。あなたは暗黒の門を見たことがあるか。 + あなたは地の広さを見きわめたか。もしこれをことごとく知っているならば言え。 + 光のある所に至る道はいずれか。暗やみのある所はどこか。 + あなたはこれをその境に導くことができるか。その家路を知っているか。 + あなたは知っているだろう、あなたはかの時すでに生れており、またあなたの日数も多いのだから。 + あなたは雪の倉にはいったことがあるか。ひょうの倉を見たことがあるか。 + これらは悩みの時のため、いくさと戦いの日のため、わたしがたくわえて置いたものだ。 + 光の広がる道はどこか。東風の地に吹き渡る道はどこか。 + だれが大雨のために水路を切り開き、いかずちの光のために道を開き、 + 人なき地にも、人なき荒野にも雨を降らせ、 + 荒れすたれた地をあき足らせ、これに若草をはえさせるか。 + 雨に父があるか。露の玉はだれが生んだか。 + 氷はだれの胎から出たか。空の霜はだれが生んだか。 + 水は固まって石のようになり、淵のおもては凍る。 + あなたはプレアデスの鎖を結ぶことができるか。オリオンの綱を解くことができるか。 + あなたは十二宮をその時にしたがって引き出すことができるか。北斗とその子星を導くことができるか。 + あなたは天の法則を知っているか、そのおきてを地に施すことができるか。 + あなたは声を雲にあげ、多くの水にあなたをおおわせることができるか。 + あなたはいなずまをつかわして行かせ、『われわれはここにいる』と、あなたに言わせることができるか。 + 雲に知恵を置き、霧に悟りを与えたのはだれか。 + だれが知恵をもって雲を数えることができるか。だれが天の皮袋を傾けて、 + ちりを一つに流れ合させ、土くれを固まらせることができるか。 + あなたはししのために食物を狩り、子じしの食欲を満たすことができるか。 + 彼らがほら穴に伏し、林のなかに待ち伏せする時、あなたはこの事をなすことができるか。 + からすの子が神に向かって呼ばわり、食物がなくて、さまようとき、からすにえさを与える者はだれか。 + + + あなたは岩間のやぎが子を産むときを知っているか。あなたは雌じかが子を産むのを見たことがあるか。 + これらの妊娠の月を数えることができるか。これらが産む時を知っているか。 + これらは身をかがめて子を産み、そのはらみ子を産みいだす。 + その子は強くなって、野に育ち、出て行って、その親のもとに帰らない。 + だれが野ろばを放って、自由にしたか。だれが野ろばのつなぎを解いたか。 + わたしは荒野をその家として与え、荒れ地をそのすみかとして与えた。 + これは町の騒ぎをいやしめ、御者の呼ぶ声を聞きいれず、 + 山を牧場としてはせまわり、もろもろの青物を尋ね求める。 + 野牛は快くあなたに仕え、あなたの飼葉おけのかたわらにとどまるだろうか。 + あなたは野牛に手綱をつけてうねを歩かせることができるか、これはあなたに従って谷を耕すであろうか。 + その力が強いからとて、あなたはこれに頼むであろうか。またあなたの仕事をこれに任せるであろうか。 + あなたはこれにたよって、あなたの穀物を打ち場に運び帰らせるであろうか。 + だちょうは威勢よくその翼をふるう。しかしこれにはきれいな羽と羽毛があるか。 + これはその卵を土の中に捨て置き、これを砂のなかで暖め、 + 足でつぶされることも、野の獣に踏まれることも忘れている。 + これはその子に無情であって、あたかも自分の子でないようにし、その苦労のむなしくなるをも恐れない。 + これは神がこれに知恵を授けず、悟りを与えなかったゆえである。 + これがその身を起して走る時には、馬をも、その乗り手をもあざける。 + あなたは馬にその力を与えることができるか。力をもってその首を装うことができるか。 + あなたはこれをいなごのように、とばせることができるか。その鼻あらしの威力は恐ろしい。 + これは谷であがき、その力に誇り、みずから出ていって武器に向かう。 + これは恐れをあざ笑って、驚くことなく、つるぎをさけて退くことがない。 + 矢筒はその上に鳴り、やりと投げやりと、あいきらめく。 + これはたけりつ、狂いつ、地をひとのみにし、ラッパの音が鳴り渡っても、立ちどまることがない。 + これはラッパの鳴るごとにハアハアと言い、遠くから戦いをかぎつけ、隊長の大声およびときの声を聞き知る。 + たかが舞いあがり、その翼をのべて南に向かうのは、あなたの知恵によるのか、 + わしがかけのぼり、その巣を高い所につくるのは、あなたの命令によるのか。 + これは岩の上にすみかを構え、岩のとがり、または険しい所におり、 + そこから獲物をうかがう。その目の及ぶところは遠い。 + そのひなもまた血を吸う。おおよそ殺された者のある所には、これもそこにいる」。 + + + 主はまたヨブに答えて言われた、 + 「非難する者が全能者と争おうとするのか、神と論ずる者はこれに答えよ」。 + そこで、ヨブは主に答えて言った、 + 「見よ、わたしはまことに卑しい者です、なんとあなたに答えましょうか。ただ手を口に当てるのみです。 + わたしはすでに一度言いました、また言いません、すでに二度言いました、重ねて申しません」。 + 主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた、 + 「あなたは腰に帯して、男らしくせよ。わたしはあなたに尋ねる、わたしに答えよ。 + あなたはなお、わたしに責任を負わそうとするのか。あなたはわたしを非とし、自分を是としようとするのか。 + あなたは神のような腕を持っているのか、神のような声でとどろきわたることができるか。 + あなたは威光と尊厳とをもってその身を飾り、栄光と華麗とをもってその身を装ってみよ。 + あなたのあふるる怒りを漏らし、すべての高ぶる者を見て、これを低くせよ。 + すべての高ぶる者を見て、これをかがませ、また悪人をその所で踏みつけ、 + 彼らをともにちりの中にうずめ、その顔を隠れた所に閉じこめよ。 + そうすれば、わたしもまた、あなたをほめて、あなたの右の手はあなたを救うことができるとしよう。 + 河馬を見よ、これはあなたと同様にわたしが造ったもので、牛のように草を食う。 + 見よ、その力は腰にあり、その勢いは腹の筋にある。 + これはその尾を香柏のように動かし、そのももの筋は互にからみ合う。 + その骨は青銅の管のようで、その肋骨は鉄の棒のようだ。 + これは神のわざの第一のものであって、これを造った者がこれにつるぎを授けた。 + 山もこれがために食物をいだし、もろもろの野の獣もそこに遊ぶ。 + これは酸棗の木の下に伏し、葦の茂み、または沼に隠れている。 + 酸棗の木はその陰でこれをおおい、川の柳はこれをめぐり囲む。 + 見よ、たとい川が荒れても、これは驚かない。ヨルダンがその口に注ぎかかっても、これはあわてない。 + だれが、かぎでこれを捕えることができるか。だれが、わなでその鼻を貫くことができるか。 + + + あなたはつり針でわにをつり出すことができるか。糸でその舌を押えることができるか。 + あなたは葦のなわをその鼻に通すことができるか。つり針でそのあごを突き通すことができるか。 + これはしきりに、あなたに願い求めるであろうか。柔らかな言葉をあなたに語るであろうか。 + これはあなたと契約を結ぶであろうか。あなたはこれを取って、ながくあなたのしもべとすることができるであろうか。 + あなたは鳥と戯れるようにこれと戯れ、またあなたのおとめたちのために、これをつないでおくことができるであろうか。 + 商人の仲間はこれを商品として、小売商人の間に分けるであろうか。 + あなたは、もりでその皮を満たし、やすでその頭を突き通すことができるか。 + あなたの手をこれの上に置け、あなたは戦いを思い出して、再びこれをしないであろう。 + 見よ、その望みはむなしくなり、これを見てすら倒れる。 + あえてこれを激する勇気のある者はひとりもない。それで、だれがわたしの前に立つことができるか。 + だれが先にわたしに与えたので、わたしはこれに報いるのか。天が下にあるものは、ことごとくわたしのものだ。 + わたしはこれが全身と、その著しい力と、その美しい構造について黙っていることはできない。 + だれがその上着をはぐことができるか。だれがその二重のよろいの間にはいることができるか。 + だれがその顔の戸を開くことができるか。そのまわりの歯は恐ろしい。 + その背は盾の列でできていて、その堅く閉じたさまは密封したように、 + 相互に密接して、風もその間に、はいることができず、 + 互に相連なり、固く着いて離すことができない。 + これが、くしゃみすれば光を発し、その目はあけぼののまぶたに似ている。 + その口からは、たいまつが燃えいで、火花をいだす。 + その鼻の穴からは煙が出てきて、さながら煮え立つなべの水煙のごとく、燃える葦の煙のようだ。 + その息は炭火をおこし、その口からは炎が出る。 + その首には力が宿っていて、恐ろしさが、その前に踊っている。 + その肉片は密接に相連なり、固く身に着いて動かすことができない。 + その心臓は石のように堅く、うすの下石のように堅い。 + その身を起すときは勇士も恐れ、その衝撃によってあわて惑う。 + つるぎがこれを撃っても、きかない、やりも、矢も、もりも用をなさない。 + これは鉄を見ること、わらのように、青銅を見ること朽ち木のようである。 + 弓矢もこれを逃がすことができない。石投げの石もこれには、わらくずとなる。 + こん棒もわらくずのようにみなされ、投げやりの響きを、これはあざ笑う。 + その下腹は鋭いかわらのかけらのようで、麦こき板のようにその身を泥の上に伸ばす。 + これは淵をかなえのように沸きかえらせ、海を香油のなべのようにする。 + これは自分のあとに光る道を残し、淵をしらがのように思わせる。 + 地の上にはこれと並ぶものなく、これは恐れのない者に造られた。 + これはすべての高き者をさげすみ、すべての誇り高ぶる者の王である」。 + + + そこでヨブは主に答えて言った、 + 「わたしは知ります、あなたはすべての事をなすことができ、またいかなるおぼしめしでも、あなたにできないことはないことを。 + 『無知をもって神の計りごとをおおうこの者はだれか』。それゆえ、わたしはみずから悟らない事を言い、みずから知らない、測り難い事を述べました。 + 『聞け、わたしは語ろう、わたしはあなたに尋ねる、わたしに答えよ』。 + わたしはあなたの事を耳で聞いていましたが、今はわたしの目であなたを拝見いたします。 + それでわたしはみずから恨み、ちり灰の中で悔います」。 + 主はこれらの言葉をヨブに語られて後、テマンびとエリパズに言われた、「わたしの怒りはあなたとあなたのふたりの友に向かって燃える。あなたがたが、わたしのしもべヨブのように正しい事をわたしについて述べなかったからである。 + それで今、あなたがたは雄牛七頭、雄羊七頭を取って、わたしのしもべヨブの所へ行き、あなたがたのために燔祭をささげよ。わたしのしもべヨブはあなたがたのために祈るであろう。わたしは彼の祈を受けいれるによって、あなたがたの愚かを罰することをしない。あなたがたはわたしのしもべヨブのように正しい事をわたしについて述べなかったからである」。 + そこでテマンびとエリパズ、シュヒびとビルダデ、ナアマびとゾパルは行って、主が彼らに命じられたようにしたので、主はヨブの祈を受けいれられた。 + ヨブがその友人たちのために祈ったとき、主はヨブの繁栄をもとにかえし、そして主はヨブのすべての財産を二倍に増された。 + そこで彼のすべての兄弟、すべての姉妹、および彼の旧知の者どもことごとく彼のもとに来て、彼と共にその家で飲み食いし、かつ主が彼にくだされたすべての災について彼をいたわり、慰め、おのおの銀一ケシタと金の輪一つを彼に贈った。 + 主はヨブの終りを初めよりも多く恵まれた。彼は羊一万四千頭、らくだ六千頭、牛一千くびき、雌ろば一千頭をもった。 + また彼は男の子七人、女の子三人をもった。 + 彼はその第一の娘をエミマと名づけ、第二をケジアと名づけ、第三をケレン・ハップクと名づけた。 + 全国のうちでヨブの娘たちほど美しい女はなかった。父はその兄弟たちと同様に嗣業を彼らにも与えた。 + この後、ヨブは百四十年生きながらえて、その子とその孫と四代までを見た。 + ヨブは年老い、日満ちて死んだ。 + +
+
+ + 悪しき者のはかりごとに歩まず、罪びとの道に立たず、あざける者の座にすわらぬ人はさいわいである。 + このような人は主のおきてをよろこび、昼も夜もそのおきてを思う。 + このような人は流れのほとりに植えられた木の時が来ると実を結び、その葉もしぼまないように、そのなすところは皆栄える。 + 悪しき者はそうでない、風の吹き去るもみがらのようだ。 + それゆえ、悪しき者はさばきに耐えない。罪びとは正しい者のつどいに立つことができない。 + 主は正しい者の道を知られる。しかし、悪しき者の道は滅びる。 + + + なにゆえ、もろもろの国びとは騒ぎたち、もろもろの民はむなしい事をたくらむのか。 + 地のもろもろの王は立ち構え、もろもろのつかさはともに、はかり、主とその油そそがれた者とに逆らって言う、 + 「われらは彼らのかせをこわし、彼らのきずなを解き捨てるであろう」と。 + 天に座する者は笑い、主は彼らをあざけられるであろう。 + そして主は憤りをもって彼らに語り、激しい怒りをもって彼らを恐れ惑わせて言われる、 + 「わたしはわが王を聖なる山シオンに立てた」と。 + わたしは主の詔をのべよう。主はわたしに言われた、「おまえはわたしの子だ。きょう、わたしはおまえを生んだ。 + わたしに求めよ、わたしはもろもろの国を嗣業としておまえに与え、地のはてまでもおまえの所有として与える。 + おまえは鉄のつえをもって彼らを打ち破り、陶工の作る器物のように彼らを打ち砕くであろう」と。 + それゆえ、もろもろの王よ、賢くあれ、地のつかさらよ、戒めをうけよ。 + 恐れをもって主に仕え、おののきをもって + その足に口づけせよ。さもないと主は怒って、あなたがたを道で滅ぼされるであろう、その憤りがすみやかに燃えるからである。すべて主に寄り頼む者はさいわいである。 + + + 主よ、わたしに敵する者のいかに多いことでしょう。わたしに逆らって立つ者が多く、 + 「彼には神の助けがない」と、わたしについて言う者が多いのです。 [セラ + しかし主よ、あなたはわたしを囲む盾、わが栄え、わたしの頭を、もたげてくださるかたです。 + わたしが声をあげて主を呼ばわると、主は聖なる山からわたしに答えられる。 [セラ + わたしはふして眠り、また目をさます。主がわたしをささえられるからだ。 + わたしを囲んで立ち構えるちよろずの民をもわたしは恐れない。 + 主よ、お立ちください。わが神よ、わたしをお救いください。あなたはわたしのすべての敵のほおを打ち、悪しき者の歯を折られるのです。 + 救は主のものです。どうかあなたの祝福があなたの民の上にありますように。 [セラ + + + わたしの義を助け守られる神よ、わたしが呼ばわる時、お答えください。あなたはわたしが悩んでいた時、わたしをくつろがせてくださいました。わたしをあわれみ、わたしの祈をお聞きください。 + 人の子らよ、いつまでわたしの誉をはずかしめるのか。いつまでむなしい言葉を愛し、偽りを慕い求めるのか。 [セラ + しかしあなたがたは知るがよい、主は神を敬う人をご自分のために聖別されたことを。主はわたしが呼ばわる時におききくださる。 + あなたがたは怒っても、罪を犯してはならない。床の上で静かに自分の心に語りなさい。 [セラ + 義のいけにえをささげて主に寄り頼みなさい。 + 多くの人は言う、「どうか、わたしたちに良い事が見られるように。主よ、どうか、み顔の光をわたしたちの上に照されるように」と。 + あなたがわたしの心にお与えになった喜びは、穀物と、ぶどう酒の豊かな時の喜びにまさるものでした。 + わたしは安らかに伏し、また眠ります。主よ、わたしを安らかにおらせてくださるのは、ただあなただけです。 + + + 主よ、わたしの言葉に耳を傾け、わたしの嘆きに、み心をとめてください。 + わが王、わが神よ、わたしの叫びの声をお聞きください。わたしはあなたに祈っています。 + 主よ、朝ごとにあなたはわたしの声を聞かれます。わたしは朝ごとにあなたのためにいけにえを備えて待ち望みます。 + あなたは悪しき事を喜ばれる神ではない。悪人はあなたのもとに身を寄せることはできない。 + 高ぶる者はあなたの目の前に立つことはできない。あなたはすべて悪を行う者を憎まれる。 + あなたは偽りを言う者を滅ぼされる。主は血を流す者と、人をだます者を忌みきらわれる。 + しかし、わたしはあなたの豊かないつくしみによって、あなたの家に入り、聖なる宮にむかって、かしこみ伏し拝みます。 + 主よ、わたしのあだのゆえに、あなたの義をもってわたしを導き、わたしの前にあなたの道をまっすぐにしてください。 + 彼らの口には真実がなく、彼らの心には滅びがあり、そののどは開いた墓、その舌はへつらいを言うのです。 + 神よ、どうか彼らにその罪を負わせ、そのはかりごとによって、みずから倒れさせ、その多くのとがのゆえに彼らを追いだしてください。彼らはあなたにそむいたからです。 + しかし、すべてあなたに寄り頼む者を喜ばせ、とこしえに喜び呼ばわらせてください。また、み名を愛する者があなたによって喜びを得るように、彼らをお守りください。 + 主よ、あなたは正しい者を祝福し、盾をもってするように、恵みをもってこれをおおい守られます。 + + + 主よ、あなたの怒りをもって、わたしを責めず、あなたの激しい怒りをもって、わたしを懲しめないでください。 + 主よ、わたしをあわれんでください。わたしは弱り衰えています。主よ、わたしをいやしてください。わたしの骨は悩み苦しんでいます。 + わたしの魂もまたいたく悩み苦しんでいます。主よ、あなたはいつまでお怒りになるのですか。 + 主よ、かえりみて、わたしの命をお救いください。あなたのいつくしみにより、わたしをお助けください。 + 死においては、あなたを覚えるものはなく、陰府においては、だれがあなたをほめたたえることができましょうか。 + わたしは嘆きによって疲れ、夜ごとに涙をもって、わたしのふしどをただよわせ、わたしのしとねをぬらした。 + わたしの目は憂いによって衰え、もろもろのあだのゆえに弱くなった。 + すべて悪を行う者よ、わたしを離れ去れ。主はわたしの泣く声を聞かれた。 + 主はわたしの願いを聞かれた。主はわたしの祈をうけられる。 + わたしの敵は恥じて、いたく悩み苦しみ、彼らは退いて、たちどころに恥をうけるであろう。 + + + わが神、主よ、わたしはあなたに寄り頼みます。どうかすべての追い迫る者からわたしを救い、わたしをお助けください。 + さもないと彼らは、ししのように、わたしをかき裂き、助ける者の来ないうちに、引いて行くでしょう。 + わが神、主よ、もしわたしがこの事を行ったならば、もしわたしの手によこしまな事があるならば、 + もしわたしの友に悪をもって報いたことがあり、ゆえなく、敵のものを略奪したことがあるならば、 + 敵にわたしを追い捕えさせ、わたしの命を地に踏みにじらせ、わたしの魂をちりにゆだねさせてください。 [セラ + 主よ、怒りをもって立ち、わたしの敵の憤りにむかって立ちあがり、わたしのために目をさましてください。あなたはさばきを命じられました。 + もろもろの民をあなたのまわりにつどわせ、その上なる高みくらにおすわりください。 + 主はもろもろの民をさばかれます。主よ、わたしの義と、わたしにある誠実とに従って、わたしをさばいてください。 + どうか悪しき者の悪を断ち、正しき者を堅く立たせてください。義なる神よ、あなたは人の心と思いとを調べられます。 + わたしを守る盾は神である。神は心の直き者を救われる。 + 神は義なるさばきびと、日ごとに憤りを起される神である。 + もし人が悔い改めないならば、神はそのつるぎをとぎ、その弓を張って構え、 + また死に至らせる武器を備え、その矢を火矢とされる。 + 見よ、悪しき者は邪悪をはらみ、害毒をやどし、偽りを生む。 + 彼は穴を掘って、それを深くし、みずから作った穴に陥る。 + その害毒は自分のかしらに帰り、その強暴は自分のこうべに下る。 + わたしは主にむかって、その義にふさわしい感謝をささげ、いと高き者なる主の名をほめ歌うであろう。 + + + 主、われらの主よ、あなたの名は地にあまねく、いかに尊いことでしょう。あなたの栄光は天の上にあり、 + みどりごと、ちのみごとの口によって、ほめたたえられています。あなたは敵と恨みを晴らす者とを静めるため、あだに備えて、とりでを設けられました。 + わたしは、あなたの指のわざなる天を見、あなたが設けられた月と星とを見て思います。 + 人は何者なので、これをみ心にとめられるのですか、人の子は何者なので、これを顧みられるのですか。 + ただ少しく人を神よりも低く造って、栄えと誉とをこうむらせ、 + これにみ手のわざを治めさせ、よろずの物をその足の下におかれました。 + すべての羊と牛、また野の獣、 + 空の鳥と海の魚、海路を通うものまでも。 + 主、われらの主よ、あなたの名は地にあまねく、いかに尊いことでしょう。 + + + わたしは心をつくして主に感謝し、あなたのくすしきみわざをことごとく宣べ伝えます。 + いと高き者よ、あなたによってわたしは喜びかつ楽しみ、あなたの名をほめ歌います。 + わたしの敵は退くとき、つまずき倒れてあなたの前に滅びました。 + あなたがわたしの正しい訴えを助け守られたからです。あなたはみくらに座して、正しいさばきをされました。 + あなたはもろもろの国民を責め、悪しき者を滅ぼし、永久に彼らの名を消し去られました。 + 敵は絶えはてて、とこしえに滅び、あなたが滅ぼされたもろもろの町はその記憶さえ消えうせました。 + しかし主はとこしえに、み位に座し、さばきのために、みくらを設けられました。 + 主は正義をもって世界をさばき、公平をもってもろもろの民をさばかれます。 + 主はしえたげられる者のとりで、なやみの時のとりでです。 + み名を知る者はあなたに寄り頼みます。主よ、あなたを尋ね求める者をあなたは捨てられたことがないからです。 + シオンに住まわれる主にむかってほめうたい、そのみわざをもろもろの民のなかに宣べ伝えよ。 + 血を流す者にあだを報いられる主は彼らを心にとめ、苦しむ者の叫びをお忘れにならないからです。 + 主よ、わたしをあわれんでください。死の門からわたしを引きあげられる主よ、あだする者のわたしを悩ますのをみそなわしてください。 + そうすれば、わたしはあなたのすべての誉を述べ、シオンの娘の門で、あなたの救を喜ぶことができましょう。 + もろもろの国民は自分の作った穴に陥り、隠し設けた網に自分の足を捕えられる。 + 主はみずからを知らせ、さばきを行われた。悪しき者は自分の手で作ったわなに捕えられる。 [ヒガヨン、セラ + 悪しき者、また神を忘れるもろもろの国民は陰府へ去って行く。 + 貧しい者は常に忘れられるのではない。苦しむ者の望みはとこしえに滅びるのではない。 + 主よ、立ちあがってください。人に勝利を得させず、もろもろの国民に、み前でさばきを受けさせてください。 + 主よ、彼らに恐れを起させ、もろもろの国民に自分がただ、人であることを知らせてください。 [セラ + + + 主よ、なにゆえ遠く離れて立たれるのですか。なにゆえ悩みの時に身を隠されるのですか。 + 悪しき者は高ぶって貧しい者を激しく責めます。どうぞ彼らがその企てたはかりごとにみずから捕えられますように。 + 悪しき者は自分の心の願いを誇り、むさぼる者は主をのろい、かつ捨てる。 + 悪しき者は誇り顔をして、神を求めない。その思いに、すべて「神はない」という。 + 彼の道は常に栄え、あなたのさばきは彼を離れて高く、彼はそのすべてのあだを口先で吹く。 + 彼は心の内に言う、「わたしは動かされることはなく、世々わざわいにあうことがない」と。 + その口はのろいと、欺きと、しえたげとに満ち、その舌の下には害毒と不正とがある。 + 彼は村里の隠れ場におり、忍びやかな所で罪のない者を殺す。その目は寄るべなき者をうかがい、 + 隠れ場にひそむししのように、ひそかに待ち伏せする。彼は貧しい者を捕えようと待ち伏せし、貧しい者を網にひきいれて捕える。 + 寄るべなき者は彼の力によって打ちくじかれ、衰え、倒れる。 + 彼は心のうちに言う、「神は忘れた、神はその顔を隠した、神は絶えて見ることはなかろう」と。 + 主よ、立ちあがってください。神よ、み手をあげてください。苦しむ者を忘れないでください。 + なにゆえ、悪しき者は神を侮り、心のうちに「あなたはとがめることをしない」と言うのですか。 + あなたはみそなわし、悩みと苦しみとを見て、それをみ手に取られます。寄るべなき者はあなたに身をゆだねるのです。あなたはいつもみなしごを助けられました。 + 悪しき者と悪を行う者の腕を折り、その悪を一つも残さないまでに探り出してください。 + 主はとこしえに王でいらせられる。もろもろの国民は滅びて主の国から跡を断つでしょう。 + 主よ、あなたは柔和な者の願いを聞き、その心を強くし、耳を傾けて、 + みなしごと、しえたげられる者とのためにさばきを行われます。地に属する人は再び人を脅かすことはないでしょう。 + + + わたしは主に寄り頼む。なにゆえ、あなたがたはわたしにむかって言うのか、「鳥のように山にのがれよ。 + 見よ、悪しき者は、暗やみで、心の直き者を射ようと弓を張り、弦に矢をつがえている。 + 基が取りこわされるならば、正しい者は何をなし得ようか」と。 + 主はその聖なる宮にいまし、主のみくらは天にあり、その目は人の子らをみそなわし、そのまぶたは人の子らを調べられる。 + 主は正しき者をも、悪しき者をも調べ、そのみ心は乱暴を好む者を憎まれる。 + 主は悪しき者の上に炭火と硫黄とを降らせられる。燃える風は彼らがその杯にうくべきものである。 + 主は正しくいまして、正しい事を愛されるからである。直き者は主のみ顔を仰ぎ見るであろう。 + + + 主よ、お助けください。神を敬う人は絶え、忠信な者は人の子らのなかから消えうせました。 + 人はみなその隣り人に偽りを語り、へつらいのくちびると、ふたごころとをもって語る。 + 主はすべてのへつらいのくちびると、大きな事を語る舌とを断たれるように。 + 彼らは言う、「わたしたちは舌をもって勝を得よう、わたしたちのくちびるはわたしたちのものだ、だれがわたしたちの主人であるか」と。 + 主は言われる、「貧しい者がかすめられ、乏しい者が嘆くゆえに、わたしはいま立ちあがって、彼らをその慕い求める安全な所に置こう」と。 + 主のことばは清き言葉である。地に設けた炉で練り、七たびきよめた銀のようである。 + 主よ、われらを保ち、とこしえにこの人々から免れさせてください。 + 卑しい事が人の子のなかにあがめられている時、悪しき者はいたる所でほしいままに歩いています。 + + + 主よ、いつまでなのですか。とこしえにわたしをお忘れになるのですか。いつまで、み顔をわたしに隠されるのですか。 + いつまで、わたしは魂に痛みを負い、ひねもす心に悲しみをいだかなければならないのですか。いつまで敵はわたしの上にあがめられるのですか。 + わが神、主よ、みそなわして、わたしに答え、わたしの目を明らかにしてください。さもないと、わたしは死の眠りに陥り、 + わたしの敵は「わたしは敵に勝った」と言い、わたしのあだは、わたしの動かされることによって喜ぶでしょう。 + しかしわたしはあなたのいつくしみに信頼し、わたしの心はあなたの救を喜びます。 + 主は豊かにわたしをあしらわれたゆえ、わたしは主にむかって歌います。 + + + 愚かな者は心のうちに「神はない」と言う。彼らは腐れはて、憎むべき事をなし、善を行う者はない。 + 主は天から人の子らを見おろして、賢い者、神をたずね求める者があるかないかを見られた。 + 彼らはみな迷い、みなひとしく腐れた。善を行う者はない、ひとりもない。 + すべて悪を行う者は悟りがないのか。彼らは物食うようにわが民をくらい、また主を呼ぶことをしない。 + その時、彼らは大いに恐れた。神は正しい者のやからと共におられるからである。 + あなたがたは貧しい者の計画をはずかしめようとする。しかし主は彼の避け所である。 + どうか、シオンからイスラエルの救が出るように。主がその民の繁栄を回復されるとき、ヤコブは喜び、イスラエルは楽しむであろう。 + + + 主よ、あなたの幕屋にやどるべき者はだれですか、あなたの聖なる山に住むべき者はだれですか。 + 直く歩み、義を行い、心から真実を語る者、 + その舌をもってそしらず、その友に悪をなさず、隣り人に対するそしりを取りあげず、 + その目は神に捨てられた者を卑しめ、主を恐れる者を尊び、誓った事は自分の損害になっても変えることなく、 + 利息をとって金銭を貸すことなく、まいないを取って罪のない者の不利をはかることをしない人である。これらの事を行う者はとこしえに動かされることはない。 + + + 神よ、わたしをお守りください。わたしはあなたに寄り頼みます。 + わたしは主に言う、「あなたはわたしの主、あなたのほかにわたしの幸はない」と。 + 地にある聖徒は、すべてわたしの喜ぶすぐれた人々である。 + おおよそ、ほかの神を選ぶ者は悲しみを増す。わたしは彼らのささげる血の灌祭を注がず、その名を口にとなえることをしない。 + 主はわたしの嗣業、またわたしの杯にうくべきもの。あなたはわたしの分け前を守られる。 + 測りなわは、わたしのために好ましい所に落ちた。まことにわたしは良い嗣業を得た。 + わたしにさとしをさずけられる主をほめまつる。夜はまた、わたしの心がわたしを教える。 + わたしは常に主をわたしの前に置く。主がわたしの右にいますゆえ、わたしは動かされることはない。 + このゆえに、わたしの心は楽しみ、わたしの魂は喜ぶ。わたしの身もまた安らかである。 + あなたはわたしを陰府に捨ておかれず、あなたの聖者に墓を見させられないからである。 + あなたはいのちの道をわたしに示される。あなたの前には満ちあふれる喜びがあり、あなたの右には、とこしえにもろもろの楽しみがある。 + + + 主よ、正しい訴えを聞き、わたしの叫びにみ心をとめ、偽りのないくちびるから出るわたしの祈に耳を傾けてください。 + どうかわたしについての宣告がみ前から出て、あなたの目が公平をみられるように。 + あなたがわたしの心をためし、夜、わたしに臨み、わたしを試みられても、わたしのうちになんの悪い思いをも見いだされないでしょう。わたしの口も罪を犯しません。 + 人のおこないの事をいえば、あなたのくちびるの言葉によって、わたしは不法な者の道を避けました。 + わたしの歩みはあなたの道に堅く立ち、わたしの足はすべることがなかったのです。 + 神よ、わたしはあなたに呼ばわります。あなたはわたしに答えられます。どうか耳を傾けて、わたしの述べることをお聞きください。 + 寄り頼む者をそのあだから右の手で救われる者よ、あなたのいつくしみを驚くばかりにあらわし、 + ひとみのようにわたしを守り、みつばさの陰にわたしを隠し、 + わたしをしえたげる悪しき者から、わたしを囲む恐ろしい敵から、のがれさせてください。 + 彼らはその心を閉じて、あわれむことなく、その口をもって高ぶって語るのです。 + 彼らはわたしを追いつめ、わたしを囲み、わたしを地に投げ倒さんと、その目をそそぎます。 + 彼らはかき裂かんと、いらだつししのごとく、隠れた所にひそみ待つ子じしのようです。 + 主よ、立ちあがって、彼らに立ちむかい、彼らを倒してください。つるぎをもって悪しき者からわたしのいのちをお救いください。 + 主よ、み手をもって人々からわたしをお救いください。すなわち自分の分け前をこの世で受け、あなたの宝をもってその腹を満たされる世の人々からわたしをお救いください。彼らは多くの子に飽き足り、その富を幼な子に残すのです。 + しかしわたしは義にあって、み顔を見、目ざめる時、みかたちを見て、満ち足りるでしょう。 + + + わが力なる主よ、わたしはあなたを愛します。 + 主はわが岩、わが城、わたしを救う者、わが神、わが寄り頼む岩、わが盾、わが救の角、わが高きやぐらです。 + わたしはほめまつるべき主に呼ばわって、わたしの敵から救われるのです。 + 死の綱は、わたしを取り巻き、滅びの大水は、わたしを襲いました。 + 陰府の綱は、わたしを囲み、死のわなは、わたしに立ちむかいました。 + わたしは悩みのうちに主に呼ばわり、わが神に叫び求めました。主はその宮からわたしの声を聞かれ、主にさけぶわたしの叫びがその耳に達しました。 + そのとき地は揺れ動き、山々の基は震い動きました。主がお怒りになったからです。 + 煙はその鼻から立ちのぼり、火はその口から出て焼きつくし、炭はそれによって燃えあがりました。 + 主は天をたれて下られ、暗やみがその足の下にありました。 + 主はケルブに乗って飛び、風の翼をもってかけり、 + やみをおおいとして、自分のまわりに置き、水を含んだ暗い濃き雲をその幕屋とされました。 + そのみ前の輝きから濃き雲を破って、ひょうと燃える炭とが降ってきました。 + 主はまた天に雷をとどろかせ、いと高き者がみ声を出されると、ひょうと燃える炭とが降ってきました。 + 主は矢を放って彼らを散らし、いなずまをひらめかして彼らを打ち敗られました。 + 主よ、そのとき、あなたのとがめと、あなたの鼻のいぶきとによって、海の底はあらわれ、地の基があらわになったのです。 + 主は高い所からみ手を伸べて、わたしを捕え、大水からわたしを引きあげ、 + わたしの強い敵と、わたしを憎む者とからわたしを助け出されました。彼らはわたしにまさって強かったからです。 + 彼らはわたしの災の日にわたしを襲いました。しかし主はわたしのささえとなられました。 + 主はわたしを広い所につれ出し、わたしを喜ばれるがゆえに、わたしを助けられました。 + 主はわたしの義にしたがってわたしに報い、わたしの手の清きにしたがってわたしに報いかえされました。 + わたしは主の道を守り、悪意をもって、わが神を離れたことがなかったのです、 + そのすべてのおきてはわたしの前にあって、わたしはその定めを捨てたことがなかったのです。 + わたしは主の前に欠けたところがなく、自分を守って罪を犯しませんでした。 + このゆえに主はわたしの義にしたがい、その目の前にわたしの手の清きにしたがってわたしに報いられました。 + あなたはいつくしみある者には、いつくしみある者となり、欠けたところのない者には、欠けたところのない者となり、 + 清い者には、清い者となり、ひがんだ者には、ひがんだ者となられます。 + あなたは苦しんでいる民を救われますが、高ぶる目をひくくされるのです。 + あなたはわたしのともしびをともし、わが神、主はわたしのやみを照されます。 + まことに、わたしはあなたによって敵軍を打ち破り、わが神によって城壁をとび越えることができます。 + この神こそ、その道は完全であり、主の言葉は真実です。主はすべて寄り頼む者の盾です。 + 主のほかに、だれが神でしょうか。われらの神のほかに、だれが岩でしょうか。 + 神はわたしに力を帯びさせ、わたしの道を安全にされました。 + 神はわたしの足をめじかの足のようにされ、わたしを高い所に安全に立たせ、 + わたしの手を戦いに慣らされたので、わたしの腕は青銅の弓をもひくことができます。 + あなたはその救の盾をわたしに与え、あなたの右の手はわたしをささえ、あなたの助けはわたしを大いなる者とされました。 + あなたがわたしの歩む所を広くされたので、わたしの足はすべらなかったのです。 + わたしは敵を追って、これに追いつき、これを滅ぼしつくすまでは帰らなかったのです。 + わたしが彼らを突き通したので、彼らは立ちあがることができず、わたしの足もとに倒れました。 + あなたは戦いのためにわたしに力を帯びさせ、わたしに立ち向かう者らをわたしのもとに、かがませられました。 + あなたは敵にその後をわたしに向けさせられたので、わたしは自分を憎む者を滅ぼしました。 + 彼らは助けを叫び求めたが、救う者はなく、主にむかって叫んだけれども、彼らに答えられなかったのです。 + わたしは彼らを風の前のちりのように細かに砕き、ちまたの泥のように打ち捨てました。 + あなたは民の争いからわたしを救い、わたしをもろもろの国民のかしらとされました。わたしの知らなかった民がわたしに仕えました。 + 彼らはわたしの事を聞くと、ただちにわたしに従い、異邦の人々はきて、わたしにへつらいました。 + 異邦の人々は打ちしおれて、その城から震えながら出てきました。 + 主は生きておられます。わが岩はほむべきかな。わが救の神はあがむべきかな。 + 神はわたしにあだを報いさせ、もろもろの民をわたしのもとに従わせ、 + わたしの敵からわたしを救い出されました。まことに、あなたはわたしに逆らって起りたつ者の上にわたしをあげ、不法の人からわたしを救い出されました。 + このゆえに主よ、わたしはもろもろの国民のなかであなたをたたえ、あなたのみ名をほめ歌います。 + 主はその王に大いなる勝利を与え、その油そそがれた者に、ダビデとその子孫とに、とこしえにいつくしみを加えられるでしょう。 + + + もろもろの天は神の栄光をあらわし、大空はみ手のわざをしめす。 + この日は言葉をかの日につたえ、この夜は知識をかの夜につげる。 + 話すことなく、語ることなく、その声も聞えないのに、 + その響きは全地にあまねく、その言葉は世界のはてにまで及ぶ。神は日のために幕屋を天に設けられた。 + 日は花婿がその祝のへやから出てくるように、また勇士が競い走るように、その道を喜び走る。 + それは天のはてからのぼって、天のはてにまで、めぐって行く。その暖まりをこうむらないものはない。 + 主のおきては完全であって、魂を生きかえらせ、主のあかしは確かであって、無学な者を賢くする。 + 主のさとしは正しくて、心を喜ばせ、主の戒めはまじりなくて、眼を明らかにする。 + 主を恐れる道は清らかで、とこしえに絶えることがなく、主のさばきは真実であって、ことごとく正しい。 + これらは金よりも、多くの純金よりも慕わしく、また蜜よりも、蜂の巣のしたたりよりも甘い。 + あなたのしもべは、これらによって戒めをうける。これらを守れば、大いなる報いがある。 + だれが自分のあやまちを知ることができましようか。どうか、わたしを隠れたとがから解き放ってください。 + また、あなたのしもべを引きとめて、故意の罪を犯させず、これに支配されることのないようにしてください。そうすれば、わたしはあやまちのない者となって、大いなるとがを免れることができるでしょう。 + わが岩、わがあがないぬしなる主よ、どうか、わたしの口の言葉と、心の思いがあなたの前に喜ばれますように。 + + + 主が悩みの日にあなたに答え、ヤコブの神のみ名があなたを守られるように。 + 主が聖所から助けをあなたにおくり、シオンからあなたをささえ、 + あなたのもろもろの供え物をみ心にとめ、あなたの燔祭をうけられるように。 [セラ + 主があなたの心の願いをゆるし、あなたのはかりごとをことごとく遂げさせられるように。 + われらがあなたの勝利を喜びうたい、われらの神のみ名によって旗を揚げるように。主があなたの求めをすべて遂げさせられるように。 + 今わたしは知る、主はその油そそがれた者を助けられることを。主はその右の手による大いなる勝利をもってその聖なる天から彼に答えられるであろう。 + ある者は戦車を誇り、ある者は馬を誇る。しかしわれらは、われらの神、主のみ名を誇る。 + 彼らはかがみ、また倒れる。しかしわれらは起きて、まっすぐに立つ。 + 主よ、王に勝利をおさずけください。われらが呼ばわる時、われらにお答えください。 + + + 主よ、王はあなたの力によって喜び、あなたの助けによって、いかに大きな喜びをもつことでしょう。 + あなたは彼の心の願いをゆるし、そのくちびるの求めをいなまれなかった。 [セラ + あなたは大いなる恵みをもって彼を迎え、そのかしらに純金の冠をいただかせられる。 + 彼がいのちを求めると、あなたはそれを彼にさずけ、世々限りなくそのよわいを長くされた。 + あなたの助けによって彼の栄光は大きい。あなたは誉と威厳とを彼に与えられる。 + まことに、あなたは彼をとこしえに恵まれた者とし、み前に喜びをもって楽しませられる。 + 王は主に信頼するゆえ、いと高き者のいつくしみをこうむって、動かされることはない。 + あなたの手はもろもろの敵を尋ね出し、あなたの右の手はあなたを憎む者を尋ね出すであろう。 + あなたが怒る時、彼らを燃える炉のようにするであろう。主はみ怒りによって彼らをのみつくされる。火は彼らを食いつくすであろう。 + あなたは彼らのすえを地から断ち、彼らの種を人の子らの中から滅ぼすであろう。 + たとい彼らがあなたにむかって悪い事を企て、悪いはかりごとを思いめぐらしても、なし遂げることはできない。 + あなたは彼らを逃げ走らせ、あなたの弓弦を張って、彼らの顔をねらうであろう。 + 主よ、力をあらわして、みずからを高くしてください。われらはあなたの大能をうたい、かつほめたたえるでしょう。 + + + わが神、わが神、なにゆえわたしを捨てられるのですか。なにゆえ遠く離れてわたしを助けず、わたしの嘆きの言葉を聞かれないのですか。 + わが神よ、わたしが昼よばわっても、あなたは答えられず、夜よばわっても平安を得ません。 + しかしイスラエルのさんびの上に座しておられるあなたは聖なるおかたです。 + われらの先祖たちはあなたに信頼しました。彼らが信頼したので、あなたは彼らを助けられました。 + 彼らはあなたに呼ばわって救われ、あなたに信頼して恥をうけなかったのです。 + しかし、わたしは虫であって、人ではない。人にそしられ、民に侮られる。 + すべてわたしを見る者は、わたしをあざ笑い、くちびるを突き出し、かしらを振り動かして言う、 + 「彼は主に身をゆだねた、主に彼を助けさせよ。主は彼を喜ばれるゆえ、主に彼を救わせよ」と。 + しかし、あなたはわたしを生れさせ、母のふところにわたしを安らかに守られた方です。 + わたしは生れた時から、あなたにゆだねられました。母の胎を出てからこのかた、あなたはわたしの神でいらせられました。 + わたしを遠く離れないでください。悩みが近づき、助ける者がないのです。 + 多くの雄牛はわたしを取り巻き、バシャンの強い雄牛はわたしを囲み、 + かき裂き、ほえたけるししのように、わたしにむかって口を開く。 + わたしは水のように注ぎ出され、わたしの骨はことごとくはずれ、わたしの心臓は、ろうのように、胸のうちで溶けた。 + わたしの力は陶器の破片のようにかわき、わたしの舌はあごにつく。あなたはわたしを死のちりに伏させられる。 + まことに、犬はわたしをめぐり、悪を行う者の群れがわたしを囲んで、わたしの手と足を刺し貫いた。 + わたしは自分の骨をことごとく数えることができる。彼らは目をとめて、わたしを見る。 + 彼らは互にわたしの衣服を分け、わたしの着物をくじ引にする。 + しかし主よ、遠く離れないでください。わが力よ、速く来てわたしをお助けください。 + わたしの魂をつるぎから、わたしのいのちを犬の力から助け出してください。 + わたしをししの口から、苦しむわが魂を野牛の角から救い出してください。 + わたしはあなたのみ名を兄弟たちに告げ、会衆の中であなたをほめたたえるでしょう。 + 主を恐れる者よ、主をほめたたえよ。ヤコブのもろもろのすえよ、主をあがめよ。イスラエルのもろもろのすえよ、主をおじおそれよ。 + 主が苦しむ者の苦しみをかろんじ、いとわれず、またこれにみ顔を隠すことなく、その叫ぶときに聞かれたからである。 + 大いなる会衆の中で、わたしのさんびはあなたから出るのです。わたしは主を恐れる者の前で、わたしの誓いを果します。 + 貧しい者は食べて飽くことができ、主を尋ね求める者は主をほめたたえるでしょう。どうか、あなたがたの心がとこしえに生きるように。 + 地のはての者はみな思い出して、主に帰り、もろもろの国のやからはみな、み前に伏し拝むでしょう。 + 国は主のものであって、主はもろもろの国民を統べ治められます。 + 地の誇り高ぶる者はみな主を拝み、ちりに下る者も、おのれを生きながらえさせえない者も、みなそのみ前にひざまずくでしょう。 + 子々孫々、主に仕え、人々は主のことをきたるべき代まで語り伝え、 + 主がなされたその救を後に生れる民にのべ伝えるでしょう。 + + + 主はわたしの牧者であって、わたしには乏しいことがない。 + 主はわたしを緑の牧場に伏させ、いこいのみぎわに伴われる。 + 主はわたしの魂をいきかえらせ、み名のためにわたしを正しい道に導かれる。 + たといわたしは死の陰の谷を歩むとも、わざわいを恐れません。あなたがわたしと共におられるからです。あなたのむちと、あなたのつえはわたしを慰めます。 + あなたはわたしの敵の前で、わたしの前に宴を設け、わたしのこうべに油をそそがれる。わたしの杯はあふれます。 + わたしの生きているかぎりは必ず恵みといつくしみとが伴うでしょう。わたしはとこしえに主の宮に住むでしょう。 + + + 地と、それに満ちるもの、世界と、そのなかに住む者とは主のものである。 + 主はその基を大海のうえにすえ、大川のうえに定められた。 + 主の山に登るべき者はだれか。その聖所に立つべき者はだれか。 + 手が清く、心のいさぎよい者、その魂がむなしい事に望みをかけない者、偽って誓わない者こそ、その人である。 + このような人は主から祝福をうけ、その救の神から義をうける。 + これこそ主を慕う者のやから、ヤコブの神の、み顔を求める者のやからである。 [セラ + 門よ、こうべをあげよ。とこしえの戸よ、あがれ。栄光の王がはいられる。 + 栄光の王とはだれか。強く勇ましい主、戦いに勇ましい主である。 + 門よ、こうべをあげよ。とこしえの戸よ、あがれ。栄光の王がはいられる。 + この栄光の王とはだれか。万軍の主、これこそ栄光の王である。 [セラ + + + 主よ、わが魂はあなたを仰ぎ望みます。 + わが神よ、わたしはあなたに信頼します。どうか、わたしをはずかしめず、わたしの敵を勝ち誇らせないでください。 + すべてあなたを待ち望む者をはずかしめず、みだりに信義にそむく者をはずかしめてください。 + 主よ、あなたの大路をわたしに知らせ、あなたの道をわたしに教えてください。 + あなたのまことをもって、わたしを導き、わたしを教えてください。あなたはわが救の神です。わたしはひねもすあなたを待ち望みます。 + 主よ、あなたのあわれみと、いつくしみとを思い出してください。これはいにしえから絶えることがなかったのです。 + わたしの若き時の罪と、とがとを思い出さないでください。主よ、あなたの恵みのゆえに、あなたのいつくしみにしたがって、わたしを思い出してください。 + 主は恵みふかく、かつ正しくいらせられる。それゆえ、主は道を罪びとに教え、 + へりくだる者を公義に導き、へりくだる者にその道を教えられる。 + 主のすべての道はその契約とあかしとを守る者にはいつくしみであり、まことである。 + 主よ、み名のために、わたしの罪をおゆるしください。わたしの罪は大きいのです。 + 主を恐れる人はだれか。主はその選ぶべき道をその人に教えられる。 + 彼はみずからさいわいに住まい、そのすえは地を継ぐであろう。 + 主の親しみは主をおそれる者のためにあり、主はその契約を彼らに知らせられる。 + わたしの目は常に主に向かっている。主はわたしの足を網から取り出されるからである。 + わたしをかえりみ、わたしをあわれんでください。わたしはひとりわびしく苦しんでいるのです。 + わたしの心の悩みをゆるめ、わたしを苦しみから引き出してください。 + わたしの苦しみ悩みをかえりみ、わたしのすべての罪をおゆるしください。 + わたしの敵がいかに多く、かつ激しい憎しみをもってわたしを憎んでいるかをごらんください。 + わたしの魂を守り、わたしをお助けください。わたしをはずかしめないでください。わたしはあなたに寄り頼んでいます。 + どうか、誠実と潔白とが、わたしを守ってくれるように。わたしはあなたを待ち望んでいます。 + 神よ、イスラエルをあがない、すべての悩みから救いだしてください。 + + + 主よ、わたしをさばいてください。わたしは誠実に歩み、迷うことなく主に信頼しています。 + 主よ、わたしをためし、わたしを試み、わたしの心と思いとを練りきよめてください。 + あなたのいつくしみはわたしの目の前にあり、わたしはあなたのまことによって歩みました。 + わたしは偽る人々と共にすわらず、偽善者と交わらず、 + 悪を行う者のつどいを憎み、悪しき者と共にすわることをしません。 + 主よ、わたしは手を洗って、罪のないことを示し、あなたの祭壇をめぐって、 + 感謝の歌を声高くうたい、あなたのくすしきみわざをことごとくのべ伝えます。 + 主よ、わたしはあなたの住まわれる家と、あなたの栄光のとどまる所とを愛します。 + どうか、わたしを罪びとと共に、わたしのいのちを、血を流す人々と共に、取り去らないでください。 + 彼らの手には悪い企てがあり、彼らの右の手は、まいないで満ちています。 + しかしわたしは誠実に歩みます。わたしをあがない、わたしをあわれんでください。 + わたしの足は平らかな所に立っています。わたしは会衆のなかで主をたたえましょう。 + + + 主はわたしの光、わたしの救だ、わたしはだれを恐れよう。主はわたしの命のとりでだ。わたしはだれをおじ恐れよう。 + わたしのあだ、わたしの敵である悪を行う者どもが、襲ってきて、わたしをそしり、わたしを攻めるとき、彼らはつまずき倒れるであろう。 + たとい軍勢が陣営を張って、わたしを攻めても、わたしの心は恐れない。たといいくさが起って、わたしを攻めても、なおわたしはみずから頼むところがある。 + わたしは一つの事を主に願った、わたしはそれを求める。わたしの生きるかぎり、主の家に住んで、主のうるわしきを見、その宮で尋ねきわめることを。 + それは主が悩みの日に、その仮屋のうちにわたしを潜ませ、その幕屋の奥にわたしを隠し、岩の上にわたしを高く置かれるからである。 + 今わたしのこうべはわたしをめぐる敵の上に高くあげられる。それゆえ、わたしは主の幕屋で喜びの声をあげて、いけにえをささげ、歌って、主をほめたたえるであろう。 + 主よ、わたしが声をあげて呼ばわるとき、聞いて、わたしをあわれみ、わたしに答えてください。 + あなたは仰せられました、「わが顔をたずね求めよ」と。あなたにむかって、わたしの心は言います、「主よ、わたしはみ顔をたずね求めます」と。 + み顔をわたしに隠さないでください。怒ってあなたのしもべを退けないでください。あなたはわたしの助けです。わが救の神よ、わたしを追い出し、わたしを捨てないでください。 + たとい父母がわたしを捨てても、主がわたしを迎えられるでしょう。 + 主よ、あなたの道をわたしに教え、わたしのあだのゆえに、わたしを平らかな道に導いてください。 + わたしのあだの望むがままに、わたしを引き渡さないでください。偽りのあかしをする者がわたしに逆らって起り、暴言を吐くからです。 + わたしは信じます、生ける者の地でわたしは主の恵みを見ることを。 + 主を待ち望め、強く、かつ雄々しくあれ。主を待ち望め。 + + + 主よ、わたしはあなたにむかって呼ばわります。わが岩よ、わたしにむかって耳しいとならないでください。もしあなたが黙っておられるならば、おそらく、わたしは墓に下る者と等しくなるでしょう。 + わたしがあなたにむかって助けを求め、あなたの至聖所にむかって手をあげるとき、わたしの願いの声を聞いてください。 + 悪しき者および悪を行う者らと共にわたしを引き行かないでください。彼らはその隣り人とむつまじく語るけれども、その心には害悪をいだく者です。 + どうぞ、そのわざにしたがい、その悪しき行いにしたがって彼らに報い、その手のわざにしたがって彼らに報い、その受くべき罰を彼らに与えてください。 + 彼らは主のもろもろのみわざと、み手のわざとを顧みないゆえに、主は彼らを倒して、再び建てられることはない。 + 主はほむべきかな。主はわたしの願いの声を聞かれた。 + 主はわが力、わが盾。わたしの心は主に寄り頼む。わたしは助けを得たので、わたしの心は大いに喜び、歌をもって主をほめたたえる。 + 主はその民の力、その油そそがれた者の救のとりでである。 + どうぞ、あなたの民を救い、あなたの嗣業を恵み、彼らの牧者となって、とこしえに彼らをいだき導いてください。 + + + 神の子らよ、主に帰せよ、栄光と力とを主に帰せよ。 + み名の栄光を主に帰せよ、聖なる装いをもって主を拝め。 + 主のみ声は水の上にあり、栄光の神は雷をとどろかせ、主は大水の上におられる。 + 主のみ声は力があり、主のみ声は威厳がある。 + 主のみ声は香柏を折り砕き、主はレバノンの香柏を折り砕かれる。 + 主はレバノンを子牛のように踊らせ、シリオンを若い野牛のように踊らされる。 + 主のみ声は炎をひらめかす。 + 主のみ声は荒野を震わせ、主はカデシの荒野を震わされる。 + 主のみ声はかしの木を巻きあげ、また林を裸にする。その宮で、すべてのものは呼ばわって言う、「栄光」と。 + 主は洪水の上に座し、主はみくらに座して、とこしえに王であらせられる。 + 主はその民に力を与え、平安をもってその民を祝福されるであろう。 + + + 主よ、わたしはあなたをあがめます。あなたはわたしを引きあげ、敵がわたしの事によって喜ぶのを、ゆるされなかったからです。 + わが神、主よ、わたしがあなたにむかって助けを叫び求めると、あなたはわたしをいやしてくださいました。 + 主よ、あなたはわたしの魂を陰府からひきあげ、墓に下る者のうちから、わたしを生き返らせてくださいました。 + 主の聖徒よ、主をほめうたい、その聖なるみ名に感謝せよ。 + その怒りはただつかのまで、その恵みはいのちのかぎり長いからである。夜はよもすがら泣きかなしんでも、朝と共に喜びが来る。 + わたしは安らかな時に言った、「わたしは決して動かされることはない」と。 + 主よ、あなた恵みをもって、わたしをゆるがない山のように堅くされました。あなたがみ顔をかくされたので、わたしはおじ惑いました。 + 主よ、わたしはあなたに呼ばわりました。ひたすら主に請い願いました、 + 「わたしが墓に下るならば、わたしの死になんの益があるでしょうか。ちりはあなたをほめたたえるでしょうか。あなたのまことをのべ伝えるでしょうか。 + 主よ、聞いてください、わたしをあわれんでください。主よ、わたしの助けとなってください」と。 + あなたはわたしのために、嘆きを踊りにかえ、荒布を解き、喜びをわたしの帯とされました。 + これはわたしの魂があなたをほめたたえて、口をつぐむことのないためです。わが神、主よ、わたしはとこしえにあなたに感謝します。 + + + 主よ、わたしはあなたに寄り頼みます。とこしえにわたしをはずかしめず、あなたの義をもってわたしをお助けください。 + あなたの耳をわたしに傾けて、すみやかにわたしをお救いください。わたしのためにのがれの岩となり、わたしを救う堅固な城となってください。 + まことに、あなたはわたしの岩、わたしの城です。み名のためにわたしを引き、わたしを導き、 + わたしのためにひそかに設けた網からわたしを取り出してください。あなたはわたしの避け所です。 + わたしは、わが魂をみ手にゆだねます。主、まことの神よ、あなたはわたしをあがなわれました。 + あなたはむなしい偶像に心を寄せる者を憎まれます。しかしわたしは主に信頼し、 + あなたのいつくしみを喜び楽しみます。あなたがわたしの苦しみをかえりみ、わたしの悩みにみこころをとめ、 + わたしを敵の手にわたさず、わたしの足を広い所に立たせられたからです。 + 主よ、わたしをあわれんでください。わたしは悩み苦しんでいます。わたしの目は憂いによって衰え、わたしの魂も、からだもまた衰えました。 + わたしのいのちは悲しみによって消えゆき、わたしの年は嘆きによって消えさり、わたしの力は苦しみによって尽き、わたしの骨は枯れはてました。 + わたしはすべてのあだにそしられる者となり、隣り人には恐れられ、知り人には恐るべき者となり、ちまたでわたしを見る者は避けて逃げます。 + わたしは死んだ者のように人の心に忘れられ、破れた器のようになりました。 + まことに、わたしは多くの人のささやくのを聞きます、「至る所に恐るべきことがある」と。彼らはわたしに逆らってともに計り、わたしのいのちを取ろうと、たくらむのです。 + しかし、主よ、わたしはあなたに信頼して、言います、「あなたはわたしの神である」と。 + わたしの時はあなたのみ手にあります。わたしをわたしの敵の手と、わたしを責め立てる者から救い出してください。 + み顔をしもべの上に輝かせ、いつくしみをもってわたしをお救いください。 + 主よ、わたしはあなたに呼ばわります、わたしをはずかしめないでください。悪しき者に恥をうけさせ、彼らに声をあげさせずに陰府に行かせてください。 + 高ぶりと侮りとをもって正しい者をみだりにそしる偽りのくちびるをつぐませてください。 + あなたを恐れる者のためにたくわえ、あなたに寄り頼む者のために人の子らの前に施されたあなたの恵みはいかに大いなるものでしょう。 + あなたは彼らをみ前のひそかな所に隠して人々のはかりごとを免れさせ、また仮屋のうちに潜ませて舌の争いを避けさせられます。 + 主はほむべきかな、包囲された町のようにわたしが囲まれたとき、主は驚くばかりに、いつくしみをわたしに示された。 + わたしは驚きあわてて言った、「わたしはあなたの目の前から断たれた」と。しかしわたしがあなたに助けを呼び求めたとき、わたしの願いを聞きいれられた。 + すべての聖徒よ、主を愛せよ。主は真実な者を守られるが、おごりふるまう者にはしたたかに報いられる。 + すべて主を待ち望む者よ、強くあれ、心を雄々しくせよ。 + + + そのとががゆるされ、その罪がおおい消される者はさいわいである。 + 主によって不義を負わされず、その霊に偽りのない人はさいわいである。 + わたしが自分の罪を言いあらわさなかった時は、ひねもす苦しみうめいたので、わたしの骨はふるび衰えた。 + あなたのみ手が昼も夜も、わたしの上に重かったからである。わたしの力は、夏のひでりによってかれるように、かれ果てた。 [セラ + わたしは自分の罪をあなたに知らせ、自分の不義を隠さなかった。わたしは言った、「わたしのとがを主に告白しよう」と。その時あなたはわたしの犯した罪をゆるされた。 [セラ + このゆえに、すべて神を敬う者はあなたに祈る。大水の押し寄せる悩みの時にもその身に及ぶことはない。 + あなたはわたしの隠れ場であって、わたしを守って悩みを免れさせ、救をもってわたしを囲まれる。 [セラ + わたしはあなたを教え、あなたの行くべき道を示し、わたしの目をあなたにとめて、さとすであろう。 + あなたはさとりのない馬のようであってはならない。また騾馬のようであってはならない。彼らはくつわ、たづなをもっておさえられなければ、あなたに従わないであろう。 + 悪しき者は悲しみが多い。しかし主に信頼する者はいつくしみで囲まれる。 + 正しき者よ、主によって喜び楽しめ、すべて心の直き者よ、喜びの声を高くあげよ。 + + + 正しき者よ、主によって喜べ、さんびは直き者にふさわしい。 + 琴をもって主をさんびせよ、十弦の立琴をもって主をほめたたえよ。 + 新しい歌を主にむかって歌い、喜びの声をあげて巧みに琴をかきならせ。 + 主のみことばは直く、そのすべてのみわざは真実だからである。 + 主は正義と公平とを愛される。地は主のいつくしみで満ちている。 + もろもろの天は主のみことばによって造られ、天の万軍は主の口の息によって造られた。 + 主は海の水を水がめの中に集めるように集め、深い淵を倉におさめられた。 + 全地は主を恐れ、世に住むすべての者は主を恐れかしこめ。 + 主が仰せられると、そのようになり、命じられると、堅く立ったからである。 + 主はもろもろの国のはかりごとをむなしくし、もろもろの民の企てをくじかれる。 + 主のはかりごとはとこしえに立ち、そのみこころの思いは世々に立つ。 + 主をおのが神とする国はさいわいである。主がその嗣業として選ばれた民はさいわいである。 + 主は天から見おろされ、すべての人の子らを見、 + そのおられる所から地に住むすべての人をながめられる。 + 主はすべて彼らの心を造り、そのすべてのわざに心をとめられる。 + 王はその軍勢の多きによって救を得ない。勇士はその力の大いなるによって助けを得ない。 + 馬は勝利に頼みとならない。その大いなる力も人を助けることはできない。 + 見よ、主の目は主を恐れる者の上にあり、そのいつくしみを望む者の上にある。 + これは主が彼らの魂を死から救い、ききんの時にも生きながらえさせるためである。 + われらの魂は主を待ち望む。主はわれらの助け、われらの盾である。 + われらは主の聖なるみ名に信頼するがゆえに、われらの心は主にあって喜ぶ。 + 主よ、われらが待ち望むように、あなたのいつくしみをわれらの上にたれてください。 + + + わたしは常に主をほめまつる。そのさんびはわたしの口に絶えない。 + わが魂は主によって誇る。苦しむ者はこれを聞いて喜ぶであろう。 + わたしと共に主をあがめよ、われらは共にみ名をほめたたえよう。 + わたしが主に求めたとき、主はわたしに答え、すべての恐れからわたしを助け出された。 + 主を仰ぎ見て、光を得よ、そうすれば、あなたがたは、恥じて顔を赤くすることはない。 + この苦しむ者が呼ばわったとき、主は聞いて、すべての悩みから救い出された。 + 主の使は主を恐れる者のまわりに陣をしいて彼らを助けられる。 + 主の恵みふかきことを味わい知れ、主に寄り頼む人はさいわいである。 + 主の聖徒よ、主を恐れよ、主を恐れる者には乏しいことがないからである。 + 若きししは乏しくなって飢えることがある。しかし主を求める者は良き物に欠けることはない。 + 子らよ、来てわたしに聞け、わたしは主を恐るべきことをあなたがたに教えよう。 + さいわいを見ようとして、いのちを慕い、ながらえることを好む人はだれか。 + あなたの舌をおさえて悪を言わせず、あなたのくちびるをおさえて偽りを言わすな。 + 悪を離れて善をおこない、やわらぎを求めて、これを努めよ。 + 主の目は正しい人をかえりみ、その耳は彼らの叫びに傾く。 + 主のみ顔は悪を行う者にむかい、その記憶を地から断ち滅ぼされる。 + 正しい者が助けを叫び求めるとき、主は聞いて、彼らをそのすべての悩みから助け出される。 + 主は心の砕けた者に近く、たましいの悔いくずおれた者を救われる。 + 正しい者には災が多い。しかし、主はすべてその中から彼を助け出される。 + 主は彼の骨をことごとく守られる。その一つだに折られることはない。 + 悪は悪しき者を殺す。正しい者を憎む者は罪に定められる。 + 主はそのしもべらの命をあがなわれる。主に寄り頼む者はひとりだに罪に定められることはない。 + + + 主よ、わたしと争う者とあらそい、わたしと戦う者と戦ってください。 + 盾と大盾とを執って、わたしを助けるために立ちあがってください。 + やりと投げやりとを抜いて、わたしに追い迫る者に立ちむかい、「わたしはおまえの救である」と、わたしに言ってください。 + どうか、わたしの命を求める者をはずかしめ、いやしめ、わたしにむかって悪をたくらむ者を退け、あわてふためかせてください。 + 彼らを風の前のもみがらのようにし、主の使に彼らを追いやらせてください。 + 彼らの道を暗く、なめらかにし、主の使に彼らを追い行かせてください。 + 彼らはゆえなくわたしのために網を隠し、ゆえなくわたしのために穴を掘ったからです。 + 不意に滅びを彼らに臨ませ、みずから隠した網にとらえられ、彼らを滅びに陥らせてください。 + そのときわが魂は主によって喜び、その救をもって楽しむでしょう。 + わたしの骨はことごとく言うでしょう、「主よ、だれかあなたにたぐうべき者がありましょう。あなたは弱い者を強い者から助け出し、弱い者と貧しい者を、かすめ奪う者から助け出される方です」と。 + 悪意のある証人が起って、わたしの知らない事をわたしに尋ねる。 + 彼らは悪をもってわたしの善に報い、わが魂を寄るべなき者とした。 + しかし、わたしは彼らが病んだとき、荒布をまとい、断食してわが身を苦しめた。わたしは胸にこうべをたれて祈った、 + ちょうど、わが友、わが兄弟のために悲しんだかのように。わたしは母をいたむ者のように悲しみうなだれて歩きまわった。 + しかし彼らはわたしのつまずくとき、喜びつどい、ともに集まってわたしを責めた。わたしの知らない他国の者はわたしをののしってやめなかった。 + 彼らはますます、けがす言葉をもってあざけり、わたしにむかって歯をかみならした。 + 主よ、いつまであなたはながめておられますか、わたしを彼らの破壊から、わたしのいのちを若きししから救い出してください。 + わたしは大いなるつどいの中で、あなたに感謝し、多くの民の中で、あなたをほめたたえるでしょう。 + 偽ってわたしの敵となった者どものわたしについて喜ぶことを許さないでください。ゆえなく、わたしを憎む者どものたがいに目くばせすることを許さないでください。 + 彼らは平和を語らず、国のうちに穏やかに住む者にむかって欺きの言葉をたくらむからです。 + 彼らはわたしにむかって口をあけひろげ、「あはぁ、あはぁ、われらの目はそれを見た」と言います。 + 主よ、あなたはこれを見られました。もださないでください。主よ、わたしに遠ざからないでください。 + わが神、わが主よ、わがさばきのため、わが訴えのために奮いたち、目をさましてください。 + わが神、主よ、あなたの義にしたがってわたしをさばき、わたしの事について彼らを喜ばせないでください。 + 彼らにその心のうちで、「あはぁ、われらの願ったことが達せられた」と言わせないでください。また彼らに「われらは彼を滅ぼしつくした」と言わせないでください。 + わたしの災を喜ぶ者どもをともに恥じ、あわてふためかせてください。わたしにむかって誇りたかぶる者どもに恥と、はずかしめとを着せてください。 + わたしの義を喜ぶ者をば喜びの声をあげて喜ばせ、「そのしもべの幸福を喜ばれる主は大いなるかな」とつねに言わせてください。 + わたしの舌はひねもすあなたの義と、あなたの誉とを語るでしょう。 + + + とがは悪しき者にむかい、その心のうちに言う。その目の前に神を恐れる恐れはない。 + 彼は自分の不義があらわされないため、また憎まれないために、みずからその目でおもねる。 + その口の言葉はよこしまと欺きである。彼は知恵を得ることと、善を行う事とをやめた。 + 彼はその床の上でよこしまな事をたくらみ、よからぬ道に身をおいて、悪をきらわない。 + 主よ、あなたのいつくしみは天にまで及び、あなたのまことは雲にまで及ぶ。 + あなたの義は神の山のごとく、あなたのさばきは大きな淵のようだ。主よ、あなたは人と獣とを救われる。 + 神よ、あなたのいつくしみはいかに尊いことでしょう。人の子らはあなたの翼のかげに避け所を得、 + あなたの家の豊かなのによって飽き足りる。あなたはその楽しみの川の水を彼らに飲ませられる。 + いのちの泉はあなたのもとにあり、われらはあなたの光によって光を見る。 + どうか、あなたを知る者に絶えずいつくしみを施し、心の直き者に絶えず救を施してください。 + 高ぶる者の足がわたしを踏み、悪しき者の手がわたしを追い出すことをゆるさないでください。 + 悪を行う者はそこに倒れ、彼らは打ち伏せられて、起きあがることはできない。 + + + 悪をなす者のゆえに、心を悩ますな。不義を行う者のゆえに、ねたみを起すな。 + 彼らはやがて草のように衰え、青菜のようにしおれるからである。 + 主に信頼して善を行え。そうすればあなたはこの国に住んで、安きを得る。 + 主によって喜びをなせ。主はあなたの心の願いをかなえられる。 + あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ、主はそれをなしとげ、 + あなたの義を光のように明らかにし、あなたの正しいことを真昼のように明らかにされる。 + 主の前にもだし、耐え忍びて主を待ち望め。おのが道を歩んで栄える者のゆえに、悪いはかりごとを遂げる人のゆえに、心を悩ますな。 + 怒りをやめ、憤りを捨てよ。心を悩ますな、これはただ悪を行うに至るのみだ。 + 悪を行う者は断ち滅ぼされ、主を待ち望む者は国を継ぐからである。 + 悪しき者はただしばらくで、うせ去る。あなたは彼の所をつぶさに尋ねても彼はいない。 + しかし柔和な者は国を継ぎ、豊かな繁栄をたのしむことができる。 + 悪しき者は正しい者にむかってはかりごとをめぐらし、これにむかって歯がみする。 + しかし主は悪しき者を笑われる、彼の日の来るのを見られるからである。 + 悪しき者はつるぎを抜き、弓を張って、貧しい者と乏しい者とを倒し、直く歩む者を殺そうとする。 + しかしそのつるぎはおのが胸を刺し、その弓は折られる。 + 正しい人の持ち物の少ないのは、多くの悪しきの者の豊かなのにまさる。 + 悪しき者の腕は折られるが、主は正しい者を助けささえられるからである。 + 主は全き者のもろもろの日を知られる。彼らの嗣業はとこしえに続く。 + 彼らは災の時にも恥をこうむらず、ききんの日にも飽き足りる。 + しかし、悪しき者は滅び、主の敵は牧場の栄えの枯れるように消え、煙のように消えうせる。 + 悪しき者は物を借りて返すことをしない。しかし正しい人は寛大で、施し与える。 + 主に祝福された者は国を継ぎ、主にのろわれた者は断ち滅ぼされる。 + 人の歩みは主によって定められる。主はその行く道を喜ばれる。 + たといその人が倒れても、全く打ち伏せられることはない、主がその手を助けささえられるからである。 + わたしは、むかし年若かった時も、年老いた今も、正しい人が捨てられ、あるいはその子孫が食物を請いあるくのを見たことがない。 + 正しい人は常に寛大で、物を貸し与え、その子孫は祝福を得る。 + 悪をさけて、善を行え。そうすれば、あなたはとこしえに住むことができる。 + 主は公義を愛し、その聖徒を見捨てられないからである。正しい者はとこしえに助け守られる。しかし、悪しき者の子孫は断ち滅ぼされる。 + 正しい者は国を継ぎ、とこしえにその中に住むことができる。 + 正しい者の口は知恵を語り、その舌は公義を述べる。 + その心には神のおきてがあり、その歩みはすべることがない。 + 悪しき者は正しい人をうかがい、これを殺そうとはかる。 + 主は正しい人を悪しき者の手にゆだねられない、またさばかれる時、これを罪に定められることはない。 + 主を待ち望め、その道を守れ。そうすれば、主はあなたを上げて、国を継がせられる。あなたは悪しき者の断ち滅ぼされるのを見るであろう。 + わたしは悪しき者が勝ち誇って、レバノンの香柏のようにそびえたつのを見た。 + しかし、わたしが通り過ぎると、見よ、彼はいなかった。わたしは彼を尋ねたけれども見つからなかった。 + 全き人に目をそそぎ、直き人を見よ。おだやかな人には子孫がある。 + しかし罪を犯す者どもは共に滅ぼされ、悪しき者の子孫は断たれる。 + 正しい人の救は主から出る。主は彼らの悩みの時の避け所である。 + 主は彼らを助け、彼らを解き放ち、彼らを悪しき者どもから解き放って救われる。彼らは主に寄り頼むからである。 + + + 主よ、あなたの憤りをもってわたしを責めず、激しい怒りをもってわたしを懲らさないでください。 + あなたの矢がわたしに突き刺さり、あなたの手がわたしの上にくだりました。 + あなたの怒りによって、わたしの肉には全きところなく、わたしの罪によって、わたしの骨には健やかなところはありません。 + わたしの不義はわたしの頭を越え、重荷のように重くて負うことができません。 + わたしの愚かによって、わたしの傷は悪臭を放ち、腐れただれました。 + わたしは折れかがんで、いたくうなだれ、ひねもす悲しんで歩くのです。 + わたしの腰はことごとく焼け、わたしの肉には全きところがありません。 + わたしは衰えはて、いたく打ちひしがれ、わたしの心の激しい騒ぎによってうめき叫びます。 + 主よ、わたしのすべての願いはあなたに知られ、わたしの嘆きはあなたに隠れることはありません。 + わたしの胸は激しく打ち、わたしの力は衰え、わたしの目の光もまた、わたしを離れ去りました。 + わが友、わがともがらはわたしの災を見て離れて立ち、わが親族もまた遠く離れて立っています。 + わたしのいのちを求める者はわなを設け、わたしをそこなおうとする者は滅ぼすことを語り、ひねもす欺くことをはかるのです。 + しかしわたしは耳しいのように聞かず、おしのように口を開きません。 + まことに、わたしは聞かない人のごとく、議論を口にしない人のようです。 + しかし、主よ、わたしはあなたを待ち望みます。わが神、主よ、あなたこそわたしに答えられるのです。 + わたしは祈ります、「わが足のすべるとき、わたしにむかって高ぶる彼らにわたしのことによって喜ぶことをゆるさないでください」と。 + わたしは倒れるばかりになり、わたしの苦しみは常にわたしと共にあります。 + わたしは、みずから不義を言いあらわし、わが罪のために悲しみます。 + ゆえなく、わたしに敵する者は強く、偽ってわたしを憎む者は多いのです。 + 悪をもって善に報いる者は、わたしがよい事に従うがゆえに、わがあだとなります。 + 主よ、わたしを捨てないでください。わが神よ、わたしに遠ざからないでください。 + 主、わが救よ、すみやかにわたしをお助けください。 + + + わたしは言った、「舌をもって罪を犯さないために、わたしの道を慎み、悪しき者のわたしの前にある間はわたしの口にくつわをかけよう」と。 + わたしは黙して物言わず、むなしく沈黙を守った。しかし、わたしの悩みはさらにひどくなり、 + わたしの心はわたしのうちに熱し、思いつづけるほどに火が燃えたので、わたしは舌をもって語った。 + 「主よ、わが終りと、わが日の数のどれほどであるかをわたしに知らせ、わが命のいかにはかないかを知らせてください。 + 見よ、あなたはわたしの日をつかのまとされました。わたしの一生はあなたの前では無にひとしいのです。まことに、すべての人はその盛んな時でも息にすぎません。 [セラ + まことに人は影のように、さまよいます。まことに彼らはむなしい事のために騒ぎまわるのです。彼は積みたくわえるけれども、だれがそれを収めるかを知りません。 + 主よ、今わたしは何を待ち望みましょう。わたしの望みはあなたにあります。 + わたしをすべてのとがから助け出し、愚かな者にわたしをあざけらせないでください。 + わたしは黙して口を開きません。あなたがそれをなされたからです。 + あなたが下された災をわたしから取り去ってください。わたしはあなたのみ手に打ち懲らされることにより滅びるばかりです。 + あなたは罪を責めて人を懲らされるとき、その慕い喜ぶものを、しみが食うように、消し滅ぼされるのです。まことにすべての人は息にすぎません。 [セラ + 主よ、わたしの祈を聞き、わたしの叫びに耳を傾け、わたしの涙を見て、もださないでください。わたしはあなたに身を寄せる旅びと、わがすべての先祖たちのように寄留者です。 + わたしが去って、うせない前に、み顔をそむけて、わたしを喜ばせてください」。 + + + わたしは耐え忍んで主を待ち望んだ。主は耳を傾けて、わたしの叫びを聞かれた。 + 主はわたしを滅びの穴から、泥の沼から引きあげて、わたしの足を岩の上におき、わたしの歩みをたしかにされた。 + 主は新しい歌をわたしの口に授け、われらの神にささげるさんびの歌をわたしの口に授けられた。多くの人はこれを見て恐れ、かつ主に信頼するであろう。 + 主をおのが頼みとする人、高ぶる者にたよらず、偽りの神に迷う者にたよらない人はさいわいである。 + わが神、主よ、あなたのくすしきみわざと、われらを思うみおもいとは多くて、くらべうるものはない。わたしはこれを語り述べようとしても多くて数えることはできない。 + あなたはいけにえと供え物とを喜ばれない。あなたはわたしの耳を開かれた。あなたは燔祭と罪祭とを求められない。 + その時わたしは言った、「見よ、わたしはまいります。書の巻に、わたしのためにしるされています。 + わが神よ、わたしはみこころを行うことを喜びます。あなたのおきてはわたしの心のうちにあります」と。 + わたしは大いなる集会で、救についての喜びのおとずれを告げ示しました。見よ、わたしはくちびるを閉じませんでした。主よ、あなたはこれをご存じです。 + わたしはあなたの救を心のうちに隠しおかず、あなたのまことと救とを告げ示しました。わたしはあなたのいつくしみとまこととを大いなる集会に隠しませんでした。 + 主よ、あなたのあわれみをわたしに惜しまず、あなたのいつくしみとまこととをもって常にわたしをお守りください。 + 数えがたい災がわたしを囲み、わたしの不義がわたしに追い迫って、物見ることができないまでになりました。それはわたしの頭の毛よりも多く、わたしの心は消えうせるばかりになりました。 + 主よ、みこころならばわたしをお救いください。主よ、すみやかにわたしをお助けください。 + わたしのいのちを奪おうと尋ね求める者どもをことごとく恥じあわてさせてください。わたしのそこなわれることを願う者どもをうしろに退かせ、恥を負わせてください。 + わたしにむかって「あはぁ、あはぁ」と言う者どもを自分の恥によって恐れおののかせてください。 + しかし、すべてあなたを尋ね求める者はあなたによって喜び楽しむように。あなたの救を愛する者は常に「主は大いなるかな」ととなえるように。 + わたしは貧しく、かつ乏しい。しかし主はわたしをかえりみられます。あなたはわが助け、わが救主です。わが神よ、ためらわないでください。 + + + 貧しい者をかえりみる人はさいわいである。主はそのような人を悩みの日に救い出される。 + 主は彼を守って、生きながらえさせられる。彼はこの地にあって、さいわいな者と呼ばれる。あなたは彼をその敵の欲望にわたされない。 + 主は彼をその病の床でささえられる。あなたは彼の病む時、その病をことごとくいやされる。 + わたしは言った、「主よ、わたしをあわれみ、わたしをいやしてください。わたしはあなたにむかって罪を犯しました」と。 + わたしの敵はわたしをそしって言う、「いつ彼は死に、その名がほろびるであろうか」と。 + そのひとりがわたしを見ようとして来るとき、彼は偽りを語り、その心によこしまを集め、外に出てはそれを言いふらす。 + すべてわたしを憎む者はわたしについて共にささやき、わたしのために災を思いめぐらす。 + 彼らは言う、「彼に一つのたたりがつきまとったから、倒れ伏して再び起きあがらないであろう」と。 + わたしの信頼した親しい友、わたしのパンを食べた親しい友さえもわたしにそむいてくびすをあげた。 + しかし主よ、わたしをあわれみ、わたしを助け起してください。そうすればわたしは彼らに報い返すことができます。 + わたしの敵がわたしに打ち勝てないことによって、あなたがわたしを喜ばれることをわたしは知ります。 + あなたはわたしの全きによって、わたしをささえ、とこしえにみ前に置かれます。 + イスラエルの神、主はとこしえからとこしえまでほむべきかな。アァメン、アァメン。 + + + 神よ、しかが谷川を慕いあえぐように、わが魂もあなたを慕いあえぐ。 + わが魂はかわいているように神を慕い、いける神を慕う。いつ、わたしは行って神のみ顔を見ることができるだろうか。 + 人々がひねもすわたしにむかって「おまえの神はどこにいるのか」と言いつづける間はわたしの涙は昼も夜もわたしの食物であった。 + わたしはかつて祭を守る多くの人と共に群れをなして行き、喜びと感謝の歌をもって彼らを神の家に導いた。今これらの事を思い起して、わが魂をそそぎ出すのである。 + わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか。神を待ち望め。わたしはなおわが助け、わが神なる主をほめたたえるであろう。 + わが魂はわたしのうちにうなだれる。それで、わたしはヨルダンの地から、またヘルモンから、ミザルの山からあなたを思い起す。 + あなたの大滝の響きによって淵々呼びこたえ、あなたの波、あなたの大波はことごとくわたしの上を越えていった。 + 昼には、主はそのいつくしみをほどこし、夜には、その歌すなわちわがいのちの神にささげる祈がわたしと共にある。 + わたしはわが岩なる神に言う、「何ゆえわたしをお忘れになりましたか。何ゆえわたしは敵のしえたげによって悲しみ歩くのですか」と。 + わたしのあだは骨も砕けるばかりにわたしをののしり、ひねもすわたしにむかって「おまえの神はどこにいるのか」と言う。 + わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか。神を待ち望め。わたしはなおわが助け、わが神なる主をほめたたえるであろう。 + + + 神よ、わたしをさばき、神を恐れない民にむかって、わたしの訴えをあげつらい、たばかりをなすよこしまな人からわたしを助け出してください。 + あなたはわたしの寄り頼む神です。なぜわたしを捨てられたのですか。なぜわたしは敵のしえたげによって悲しみ歩くのですか。 + あなたの光とまこととを送ってわたしを導き、あなたの聖なる山と、あなたの住まわれる所にわたしをいたらせてください。 + その時わたしは神の祭壇へ行き、わたしの大きな喜びである神へ行きます。神よ、わが神よ、わたしは琴をもってあなたをほめたたえます。 + わが魂よ、何ゆえうなだれるのか。何ゆえわたしのうちに思いみだれるのか。神を待ち望め。わたしはなおわが助け、わが神なる主をほめたたえるであろう。 + + + 神よ、いにしえ、われらの先祖たちの日に、あなたがなされたみわざを彼らがわれらに語ったのを耳で聞きました。 + すなわちあなたはみ手をもって、もろもろの国民を追い払ってわれらの先祖たちを植え、またもろもろの民を悩まして、われらの先祖たちをふえ広がらせられました。 + 彼らは自分のつるぎによって国を獲たのでなく、また自分の腕によって勝利を得たのでもありません。ただあなたの右の手、あなたの腕、あなたのみ顔の光によるのでした。あなたが彼らを恵まれたからです。 + あなたはわが王、わが神、ヤコブのために勝利を定められる方です。 + われらはあなたによって、あだを押し倒し、われらに立ちむかう者を、み名によって踏みにじるのです。 + わたしは自分の弓を頼まず、わたしのつるぎもまた、わたしを救うことができないからです。 + しかしあなたはわれらをあだから救い、われらを憎む者をはずかしめられました。 + われらは常に神によって誇り、とこしえにあなたのみ名に感謝するでしょう。 [セラ + ところがあなたはわれらを捨てて恥を負わせ、われらの軍勢と共に出て行かれませんでした。 + あなたがわれらをあだの前から退かせられたので、われらの敵は心のままにかすめ奪いました。 + あなたはわれらをほふられる羊のようにし、またもろもろの国民のなかに散らされました。 + あなたはわずかの金であなたの民を売り、彼らのために高い価を求められませんでした。 + あなたはわれらを隣り人にそしらせ、われらをめぐる者どもに侮らせ、あざけらせられました。 + またもろもろの国民のなかにわれらを笑い草とし、もろもろの民のなかに笑い者とされました。 + わがはずかしめはひねもすわたしの前にあり、恥はわたしの顔をおおいました。 + これはそしる者と、ののしる者の言葉により、敵と、恨みを報いる者のゆえによるのです。 + これらの事が皆われらに臨みましたが、われらはあなたを忘れず、あなたの契約にそむくことがありませんでした。 + われらの心はたじろがず、またわれらの歩みはあなたの道を離れませんでした。 + それでもあなたは山犬の住む所でわれらを砕き、暗やみをもってわれらをおおわれました。 + われらがもしわれらの神の名を忘れ、ほかの神に手を伸べたことがあったならば、 + 神はこれを見あらわされないでしょうか。神は心の秘密をも知っておられるからです。 + ところがわれらはあなたのためにひねもす殺されて、ほふられる羊のようにみなされました。 + 主よ、起きてください。なぜ眠っておられるのですか。目をさましてください。われらをとこしえに捨てないでください。 + なぜあなたはみ顔を隠されるのですか。なぜわれらの悩みと、しえたげをお忘れになるのですか。 + まことにわれらの魂はかがんで、ちりに伏し、われらのからだは土につきました。 + 起きて、われらをお助けください。あなたのいつくしみのゆえに、われらをあがなってください。 + + + わたしの心はうるわしい言葉であふれる。わたしは王についてよんだわたしの詩を語る。わたしの舌はすみやかに物書く人の筆のようだ。 + あなたは人の子らにまさって麗しく、気品がそのくちびるに注がれている。このゆえに神はとこしえにあなたを祝福された。 + ますらおよ、光栄と威厳とをもって、つるぎを腰に帯びよ。 + 真理のため、また正義を守るために威厳をもって、勝利を得て乗り進め。あなたの右の手はあなたに恐るべきわざを教えるであろう。 + あなたの矢は鋭くて、王の敵の胸をつらぬき、もろもろの民はあなたのもとに倒れる。 + 神から賜わったあなたの位は永遠にかぎりなく続き、あなたの王のつえは公平のつえである。 + あなたは義を愛し、悪を憎む。このゆえに神、あなたの神は喜びの油をあなたのともがらにまさって、あなたに注がれた。 + あなたの衣はみな没薬、芦薈、肉桂で、よいかおりを放っている。琴の音は象牙の殿から出て、あなたを喜ばせる。 + あなたの愛する女たちのうちには王の娘たちがあり、王妃はオフルの金を飾って、あなたの右に立つ。 + 娘よ、聞け、かえりみて耳を傾けよ。あなたの民と、あなたの父の家とを忘れよ。 + 王はあなたのうるわしさを慕うであろう。彼はあなたの主であるから、彼を伏しおがめ。 + ツロの民は贈り物をもちきたり、民のうちの富める者もあなたの好意を請い求める。 + 王の娘は殿のうちで栄えをきわめ、こがねを織り込んだ衣を着飾っている。 + 彼女は縫い取りした衣を着て王のもとに導かれ、その供びとなるおとめらは彼女に従ってその行列にある。 + 彼らは喜びと楽しみとをもって導かれ行き、王の宮殿にはいる。 + あなたの子らは父祖に代って立ち、あなたは彼らを全地に君とするであろう。 + わたしはあなたの名をよろず代におぼえさせる。このゆえにもろもろの民は世々かぎりなくあなたをほめたたえるであろう。 + + + 神はわれらの避け所また力である。悩める時のいと近き助けである。 + このゆえに、たとい地は変り、山は海の真中に移るとも、われらは恐れない。 + たといその水は鳴りとどろき、あわだつとも、そのさわぎによって山は震え動くとも、われらは恐れない。 [セラ + 一つの川がある。その流れは神の都を喜ばせ、いと高き者の聖なるすまいを喜ばせる。 + 神がその中におられるので、都はゆるがない。神は朝はやく、これを助けられる。 + もろもろの民は騒ぎたち、もろもろの国は揺れ動く、神がその声を出されると地は溶ける。 + 万軍の主はわれらと共におられる、ヤコブの神はわれらの避け所である。 [セラ + 来て、主のみわざを見よ、主は驚くべきことを地に行われた。 + 主は地のはてまでも戦いをやめさせ、弓を折り、やりを断ち、戦車を火で焼かれる。 + 「静まって、わたしこそ神であることを知れ。わたしはもろもろの国民のうちにあがめられ、全地にあがめられる」。 + 万軍の主はわれらと共におられる、ヤコブの神はわれらの避け所である。 [セラ + + + もろもろの民よ、手をうち、喜びの声をあげ、神にむかって叫べ。 + いと高き主は恐るべく、全地をしろしめす大いなる王だからである。 + 主はもろもろの民をわれらに従わせ、もろもろの国をわれらの足の下に従わせられた。 + 主はその愛されたヤコブの誇をわれらの嗣業として、われらのために選ばれた。 [セラ + 神は喜び叫ぶ声と共にのぼり、主はラッパの声と共にのぼられた。 + 神をほめうたえよ、ほめうたえよ、われらの王をほめうたえよ、ほめうたえよ。 + 神は全地の王である。巧みな歌をもってほめうたえよ。 + 神はもろもろの国民を統べ治められる。神はその聖なるみくらに座せられる。 + もろもろの民の君たちはつどい来て、アブラハムの神の民となる。地のもろもろの盾は神のものである。神は大いにあがめられる。 + + + 主は大いなる神であって、われらの神の都、その聖なる山で、大いにほめたたえらるべき方である。 + シオンの山は北の端が高くて、うるわしく、全地の喜びであり、大いなる王の都である。 + そのもろもろの殿のうちに神はみずからを高きやぐらとして現された。 + 見よ、王らは相会して共に進んできたが、 + 彼らは都を見るや驚き、あわてふためき、急ぎ逃げ去った。 + おののきは彼らに臨み、その苦しみは産みの苦しみをする女のようであった。 + あなたは東風を起してタルシシの舟を破られた。 + さきにわれらが聞いたように、今われらは万軍の主の都、われらの神の都でこれを見ることができた。神はとこしえにこの都を堅くされる。 [セラ + 神よ、われらはあなたの宮のうちであなたのいつくしみを思いました。 + 神よ、あなたの誉は、あなたのみ名のように、地のはてにまで及びます。あなたの右の手は勝利で満ちています。 + あなたのさばきのゆえに、シオンの山を喜ばせ、ユダの娘を楽しませてください。 + シオンのまわりを歩き、あまねくめぐって、そのやぐらを数え、 + その城壁に心をとめ、そのもろもろの殿をしらべよ。これはあなたがたが後の代に語り伝えるためである。 + これこそ神であり、世々かぎりなくわれらの神であって、とこしえにわれらを導かれるであろう。 + + + もろもろの民よ、これを聞け、すべて世に住む者よ、耳を傾けよ。 + 低きも高きも、富めるも貧しきも、共に耳を傾けよ。 + わが口は知恵を語り、わが心は知識を思う。 + わたしは耳をたとえに傾け、琴を鳴らして、わたしのなぞを解き明かそう。 + わたしをしえたげる者の不義がわたしを取り囲む悩みの日に、どうして恐れなければならないのか。 + 彼らはおのが富をたのみ、そのたからの多いのを誇る人々である。 + まことに人はだれも自分をあがなうことはできない。そのいのちの価を神に払うことはできない。 + + とこしえに生きながらえて、墓を見ないためにそのいのちをあがなうには、あまりに価高くて、それを満足に払うことができないからである。 + まことに賢い人も死に、愚かな者も、獣のような者も、ひとしく滅んで、その富を他人に残すことは人の見るところである。 + たとい彼らはその地を自分の名をもって呼んでも、墓こそ彼らのとこしえのすまい、世々彼らのすみかである。 + 人は栄華のうちに長くとどまることはできない、滅びうせる獣にひとしい。 + これぞ自分をたのむ愚かな者どもの成りゆき、自分の分け前を喜ぶ者どもの果である。 [セラ + 彼らは陰府に定められた羊のように死が彼らを牧するであろう。彼らはまっすぐに墓に下り、そのかたちは消えうせ、陰府が彼らのすまいとなるであろう。 + しかし神はわたしを受けられるゆえ、わたしの魂を陰府の力からあがなわれる。 [セラ + 人が富を得るときも、その家の栄えが増し加わるときも、恐れてはならない。 + 彼が死ぬときは何ひとつ携え行くことができず、その栄えも彼に従って下って行くことはないからである。 + たとい彼が生きながらえる間、自分を幸福と思っても、またみずから幸な時に、人々から称賛されても、 + 彼はついにおのれの先祖の仲間に連なる。彼らは絶えて光を見ることがない。 + 人は栄華のうちに長くとどまることはできない。滅びうせる獣にひとしい。 + + + 全能者なる神、主は詔して、日の出るところから日の入るところまであまねく地に住む者を召し集められる。 + 神は麗しさのきわみであるシオンから光を放たれる。 + われらの神は来て、もだされない。み前には焼きつくす火があり、そのまわりには、はげしい暴風がある。 + 神はその民をさばくために、上なる天および地に呼ばわれる、 + 「いけにえをもってわたしと契約を結んだわが聖徒をわたしのもとに集めよ」と。 + 天は神の義をあらわす、神はみずから、さばきぬしだからである。 [セラ + 「わが民よ、聞け、わたしは言う。イスラエルよ、わたしはあなたにむかってあかしをなす。わたしは神、あなたの神である。 + わたしがあなたを責めるのは、あなたのいけにえのゆえではない。あなたの燔祭はいつもわたしの前にある。 + わたしはあなたの家から雄牛を取らない。またあなたのおりから雄やぎを取らない。 + 林のすべての獣はわたしのもの、丘の上の千々の家畜もわたしのものである。 + わたしは空の鳥をことごとく知っている。野に動くすべてのものはわたしのものである。 + たといわたしは飢えても、あなたに告げない、世界とその中に満ちるものとはわたしのものだからである。 + わたしは雄牛の肉を食べ、雄やぎの血を飲むだろうか。 + 感謝のいけにえを神にささげよ。あなたの誓いをいと高き者に果せ。 + 悩みの日にわたしを呼べ、わたしはあなたを助け、あなたはわたしをあがめるであろう」。 + しかし神は悪しき者に言われる、「あなたはなんの権利があってわたしの定めを述べ、わたしの契約を口にするのか。 + あなたは教を憎み、わたしの言葉を捨て去った。 + あなたは盗びとを見ればこれとむつみ、姦淫を行う者と交わる。 + あなたはその口を悪にわたし、あなたの舌はたばかりを仕組む。 + あなたは座してその兄弟をそしり、自分の母の子をののしる。 + あなたがこれらの事をしたのを、わたしが黙っていたので、あなたはわたしを全く自分とひとしい者と思った。しかしわたしはあなたを責め、あなたの目の前にその罪をならべる。 + 神を忘れる者よ、このことを思え。さもないとわたしはあなたをかき裂く。そのときだれも助ける者はないであろう。 + 感謝のいけにえをささげる者はわたしをあがめる。自分のおこないを慎む者にはわたしは神の救を示す」。 + + + 神よ、あなたのいつくしみによって、わたしをあわれみ、あなたの豊かなあわれみによって、わたしのもろもろのとがをぬぐい去ってください。 + わたしの不義をことごとく洗い去り、わたしの罪からわたしを清めてください。 + わたしは自分のとがを知っています。わたしの罪はいつもわたしの前にあります。 + わたしはあなたにむかい、ただあなたに罪を犯し、あなたの前に悪い事を行いました。それゆえ、あなたが宣告をお与えになるときは正しく、あなたが人をさばかれるときは誤りがありません。 + 見よ、わたしは不義のなかに生れました。わたしの母は罪のうちにわたしをみごもりました。 + 見よ、あなたは真実を心のうちに求められます。それゆえ、わたしの隠れた心に知恵を教えてください。 + ヒソプをもって、わたしを清めてください、わたしは清くなるでしょう。わたしを洗ってください、わたしは雪よりも白くなるでしょう。 + わたしに喜びと楽しみとを満たし、あなたが砕いた骨を喜ばせてください。 + み顔をわたしの罪から隠し、わたしの不義をことごとくぬぐい去ってください。 + 神よ、わたしのために清い心をつくり、わたしのうちに新しい、正しい霊を与えてください。 + わたしをみ前から捨てないでください。あなたの聖なる霊をわたしから取らないでください。 + あなたの救の喜びをわたしに返し、自由の霊をもって、わたしをささえてください。 + そうすればわたしは、とがを犯した者にあなたの道を教え、罪びとはあなたに帰ってくるでしょう。 + 神よ、わが救の神よ、血を流した罪からわたしを助け出してください。わたしの舌は声高らかにあなたの義を歌うでしょう。 + 主よ、わたしのくちびるを開いてください。わたしの口はあなたの誉をあらわすでしょう。 + あなたはいけにえを好まれません。たといわたしが燔祭をささげてもあなたは喜ばれないでしょう。 + 神の受けられるいけにえは砕けた魂です。神よ、あなたは砕けた悔いた心をかろしめられません。 + あなたのみこころにしたがってシオンに恵みを施し、エルサレムの城壁を築きなおしてください。 + その時あなたは義のいけにえと燔祭と、全き燔祭とを喜ばれるでしょう。その時あなたの祭壇に雄牛がささげられるでしょう。 + + + 力ある者よ、何ゆえあなたは神を敬う人に与えた災について誇るのか。あなたはひねもす人を滅ぼすことをたくらむ。 + 虚偽を行う者よ、あなたの舌は鋭いかみそりのようだ。 + あなたは善よりも悪を好み、まことを語るよりも偽りを語ることを好む。 [セラ + 欺きの舌よ、あなたはすべての滅ぼす言葉を好む。 + しかし神はとこしえにあなたを砕き、あなたを捕えて、その天幕から引き離し、生ける者の地から、あなたの根を絶やされる。 [セラ + 正しい者はこれを見て恐れ、彼を笑って言うであろう、 + 「神をおのが避け所とせず、その富の豊かなるを頼み、その宝に寄り頼む人を見よ」と。 + しかし、わたしは神の家にある緑のオリブの木のようだ。わたしは世々かぎりなく神のいつくしみを頼む。 + あなたがこの事をなされたので、わたしはとこしえに、あなたに感謝し、聖徒の前であなたのみ名をふれ示そう。これはよいことだからである。 + + + 愚かな者は心のうちに「神はない」と言う。彼らは腐れはて、憎むべき不義をおこなった。善を行う者はない。 + 神は天から人の子を見おろして、賢い者、神を尋ね求める者があるかないかを見られた。 + 彼らは皆そむき、みなひとしく堕落した。善を行う者はない、ひとりもない。 + 悪を行う者は悟りがないのか。彼らは物食うようにわが民を食らい、また神を呼ぶことをしない。 + 彼らは恐るべきことのない時に大いに恐れた。神はよこしまな者の骨を散らされるからである。神が彼らを捨てられるので、彼らは恥をこうむるであろう。 + どうか、シオンからイスラエルの救が出るように。神がその民の繁栄を回復される時、ヤコブは喜び、イスラエルは楽しむであろう。 + + + 神よ、み名によってわたしを救い、み力によってわたしをさばいてください。 + 神よ、わたしの祈をきき、わが口の言葉に耳を傾けてください。 + 高ぶる者がわたしに逆らって起り、あらぶる者がわたしのいのちを求めています。彼らは神をおのが前に置くことをしません。 [セラ + 見よ、神はわが助けぬし、主はわがいのちを守られるかたです。 + 神はわたしのあだに災をもって報いられるでしょう。あなたのまことをもって彼らを滅ぼしてください。 + わたしは喜んであなたにいけにえをささげます。主よ、わたしはみ名に感謝します。これはよい事だからです。 + あなたはすべての悩みからわたしを救い、わたしの目に敵の敗北を見させられたからです。 + + + 神よ、わたしの祈に耳を傾けてください。わたしの願いを避けて身を隠さないでください。 + わたしにみこころをとめ、わたしに答えてください。わたしは悩みによって弱りはて、 + 敵の声と、悪しき者のしえたげとによって気が狂いそうです。彼らはわたしに悩みを臨ませ、怒ってわたしを苦しめるからです。 + わたしの心はわがうちにもだえ苦しみ、死の恐れがわたしの上に落ちました。 + 恐れとおののきがわたしに臨み、はなはだしい恐れがわたしをおおいました。 + わたしは言います、「どうか、はとのように翼をもちたいものだ。そうすればわたしは飛び去って安きを得るであろう。 + わたしは遠くのがれ去って、野に宿ろう。 [セラ + わたしは急ぎ避難して、はやてとあらしをのがれよう」と。 + 主よ、彼らのはかりごとを打ち破ってください。彼らの舌を混乱させてください。わたしは町のうちに暴力と争いとを見るからです。 + 彼らは昼も夜も町の城壁の上を歩きめぐり、町のうちには害悪と悩みとがあります。 + また滅ぼす事が町のうちにあり、しえたげと欺きとはその市場を離れることがありません。 + わたしをののしる者は敵ではありません。もしそうであるならば忍ぶことができます。わたしにむかって高ぶる者はあだではありません。もしそうであるならば身を隠して彼を避けることができます。 + しかしそれはあなたです、わたしと同じ者、わたしの同僚、わたしの親しい友です。 + われらはたがいに楽しく語らい、つれだって神の宮に上りました。 + どうぞ、死を彼らに臨ませ、生きたままで陰府に下らせ、恐れをもって彼らを墓に去らせてください。 + しかしわたしが神に呼ばわれば、主はわたしを救われます。 + 夕べに、あしたに、真昼にわたしが嘆きうめけば、主はわたしの声を聞かれます。 + たといわたしを攻める者が多くとも、主はわたしがたたかう戦いからわたしを安らかに救い出されます。 + 昔からみくらに座しておられる神は聞いて彼らを悩まされるでしょう。 [セラ 彼らはおきてを守らず、神を恐れないからです。 + わたしの友はその親しき者に手を伸ばして、その契約を破った。 + その口は牛酪よりもなめらかだが、その心には戦いがある。その言葉は油よりもやわらかだが、それは抜いたつるぎである。 + あなたの荷を主にゆだねよ。主はあなたをささえられる。主は正しい人の動かされるのを決してゆるされない。 + しかし主よ、あなたは彼らを滅びの穴に投げ入れられます。血を流す者と欺く者とはおのが日の半ばも生きながらえることはできません。しかしわたしはあなたに寄り頼みます。 + + + 神よ、どうかわたしをあわれんでください。人々がわたしを踏みつけ、あだする人々がひねもすわたしをしえたげます。 + わたしの敵はひねもすわたしを踏みつけ、誇りたかぶって、わたしと戦う者が多いのです。 + わたしが恐れるときは、あなたに寄り頼みます。 + わたしは神によって、そのみ言葉をほめたたえます。わたしは神に信頼するゆえ、恐れることはありません。肉なる者はわたしに何をなし得ましょうか。 + 彼らはひねもすわたしの事を妨害し、その思いはことごとくわたしにわざわいします。 + 彼らは共に集まって身をひそめ、わたしの歩みに目をとめ、わたしのいのちをうかがい求めます。 + 神よ、彼らにその罪を報い、憤りをもってもろもろの民を倒してください。 + あなたはわたしのさすらいを数えられました。わたしの涙をあなたの皮袋にたくわえてください。これは皆あなたの書にしるされているではありませんか。 + わたしが呼び求める日に、わたしの敵は退きます。これによって神がわたしを守られることを知ります。 + わたしは神によってそのみ言葉をほめたたえ、主によってそのみ言葉をほめたたえます。 + わたしは神に信頼するゆえ、恐れることはありません。人はわたしに何をなし得ましょうか。 + 神よ、わたしがあなたに立てた誓いは果さなければなりません。わたしは感謝の供え物をあなたにささげます。 + あなたはわたしの魂を死から救い、わたしの足を守って倒れることなく、いのちの光のうちで神の前にわたしを歩ませられたからです。 + + + 神よ、わたしをあわれんでください。わたしをあわれんでください。わたしの魂はあなたに寄り頼みます。滅びのあらしの過ぎ去るまではあなたの翼の陰をわたしの避け所とします。 + わたしはいと高き神に呼ばわります。わたしのためにすべての事をなしとげられる神に呼ばわります。 + 神は天から送ってわたしを救い、わたしを踏みつける者をはずかしめられます。 [セラ すなわち神はそのいつくしみとまこととを送られるのです。 + わたしは人の子らをむさぼり食らうししの中に横たわっています。彼らの歯はほこ、また矢、彼らの舌は鋭いつるぎです。 + 神よ、みずからを天よりも高くし、みさかえを全地の上にあげてください。 + 彼らはわたしの足を捕えようと網を設けました。わたしの魂はうなだれました。彼らはわたしの前に穴を掘りました。しかし彼らはみずからその中に陥ったのです。 [セラ + 神よ、わたしの心は定まりました。わたしの心は定まりました。わたしは歌い、かつほめたたえます。 + わが魂よ、さめよ。立琴よ、琴よ、さめよ。わたしはしののめを呼びさまします。 + 主よ、わたしはもろもろの民の中であなたに感謝し、もろもろの国の中であなたをほめたたえます。 + あなたのいつくしみは大きく、天にまで及び、あなたのまことは雲にまで及びます。 + 神よ、みずからを天よりも高くし、みさかえを全地の上にあげてください。 + + + あなたがた力ある者よ、まことにあなたがたは正しい事を語り、公平をもって人の子らをさばくのか。 + 否、あなたがたは心のうちに悪い事をたくらみ、その手は地に暴虐を行う。 + 悪しき者は胎を出た時から、そむき去り、生れ出た時から、あやまちを犯し、偽りを語る。 + + 彼らはへびの毒のような毒をもち、魔法使または巧みに呪文を唱える者の声を聞かない耳をふさぐ耳しいのまむしのようである。 + 神よ、彼らの口の歯を折ってください。主よ、若いししのきばを抜き砕いてください。 + 彼らを流れゆく水のように消え去らせ、踏み倒される若草のように衰えさせてください。 + また溶けてどろどろになるかたつむりのように、時ならず生れた日を見ぬ子のようにしてください。 + あなたがたの釜がまだいばらの熱を感じない前に青いのも、燃えているのも共につむじ風に吹き払われるように彼らを吹き払ってください。 + 正しい者は復讐を見て喜び、その足を悪しき者の血で洗うであろう。 + そして人々は言うであろう、「まことに正しい者には報いがある。まことに地にさばきを行われる神がある」と。 + + + わが神よ、どうかわたしをわが敵から助け出し、わたしに逆らって起りたつ者からお守りください。 + 悪を行う者からわたしを助け出し、血を流す人からわたしをお救いください。 + 見よ、彼らはひそみかくれて、わたしの命をうかがい、力ある人々が共に集まってわたしを攻めます。主よ、わたしにとがも罪もなく、 + わたしにあやまちもないのに、彼らは走りまわって備えをします。わたしを助けるために目をさまして、ごらんください。 + 万軍の神、主よ、あなたはイスラエルの神です。目をさまして、もろもろの国民を罰し、悪をたくらむ者どもに、あわれみを施さないでください。 [セラ + 彼らは夕ごとに帰ってきて、犬のようにほえて町をあさりまわる。 + 見よ、彼らはその口をもってほえ叫び、そのくちびるをもってうなり、「だれが聞くものか」と言う。 + しかし、主よ、あなたは彼らを笑い、もろもろの国民をあざけり笑われる。 + わが力よ、わたしはあなたにむかってほめ歌います。神よ、あなたはわたしの高きやぐらです。 + わが神はそのいつくしみをもってわたしを迎えられる。わが神はわたしに敵の敗北を見させられる。 + どうぞ、わが民の忘れることのないために、彼らを殺さないでください。主、われらの盾よ、み力をもって彼らをよろめかせ、彼らを倒れさせないでください。 + 彼らの口の罪、そのくちびるの言葉のために彼らをその高ぶりに捕われさせてください。彼らが語るのろいと偽りのために + 憤りをもって彼らを滅ぼし、もはやながらえることのないまでに、彼らを滅ぼしてください。そうすれば地のはてまで、人々は神がヤコブを治められることを知るに至るでしょう。 [セラ + 彼らは夕ごとに帰ってきて、犬のようにほえて町をあさりまわる。 + 彼らは食い物のためにあるきまわり、飽くことを得なければ怒りうなる。 + しかし、わたしはあなたのみ力をうたい、朝には声をあげてみいつくしみを歌います。あなたはわたしの悩みの日にわが高きやぐらとなり、わたしの避け所となられたからです。 + わが力よ、わたしはあなたにむかってほめうたいます。神よ、あなたはわが高きやぐら、わたしにいつくしみを賜わる神であられるからです。 + + + 神よ、あなたはわれらを捨て、われらを打ち破られました。あなたは憤られました。再びわれらをかえしてください。 + あなたは国を震わせ、これを裂かれました。その破れをいやしてください。国が揺れ動くのです。 + あなたはその民に耐えがたい事をさせ、人をよろめかす酒をわれらに飲ませられました。 + あなたは弓の前からのがれた者を再び集めようとあなたを恐れる者のために一つの旗を立てられました。 [セラ + あなたの愛される者が助けを得るために、右の手をもって勝利を与え、われらに答えてください。 + 神はその聖所で言われた、「わたしは大いなる喜びをもってシケムを分かち、スコテの谷を分かち与えよう。 + ギレアデはわたしのもの、マナセもわたしのものである。エフライムはわたしのかぶと、ユダはわたしのつえである。 + モアブはわたしの足だらい、エドムにはわたしのくつを投げる。ペリシテについては、かちどきをあげる」と。 + だれがわたしを堅固な町に至らせるでしょうか。だれがわたしをエドムに導くでしょうか。 + 神よ、あなたはわれらを捨てられたではありませんか。神よ、あなたはわれらの軍勢と共に出て行かれません。 + われらに助けを与えて、あだにむかわせてください。人の助けはむなしいのです。 + われらは神によって勇ましく働きます。われらのあだを踏みにじる者は神だからです。 + + + 神よ、わたしの叫びを聞いてください。わたしの祈に耳を傾けてください。 + わが心のくずおれるとき、わたしは地のはてからあなたに呼ばわります。わたしを導いてわたしの及びがたいほどの高い岩にのぼらせてください。 + あなたはわたしの避け所、敵に対する堅固なやぐらです。 + わたしをとこしえにあなたの幕屋に住まわせ、あなたの翼の陰にのがれさせてください。 [セラ + 神よ、あなたはわたしのもろもろの誓いを聞き、み名を恐れる者に賜わる嗣業をわたしに与えられました。 + どうか王のいのちを延ばし、そのよわいをよろずよに至らせてください。 + 彼をとこしえに神の前に王たらしめ、いつくしみとまこととに命じて彼を守らせてください。 + そうすればわたしはとこしえにみ名をほめうたい、日ごとにわたしのもろもろの誓いを果すでしょう。 + + + わが魂はもだしてただ神をまつ。わが救は神から来る。 + 神こそわが岩、わが救、わが高きやぐらである。わたしはいたく動かされることはない。 + あなたがたは、いつまで人に押し迫るのか。あなたがたは皆、傾いた石がきのように、揺り動くまがきのように人を倒そうとするのか。 + 彼らは人を尊い地位から落そうとのみはかり、偽りを喜び、その口では祝福し、心のうちではのろうのである。 [セラ + わが魂はもだしてただ神をまつ。わが望みは神から来るからである。 + 神こそわが岩、わが救、わが高きやぐらである。わたしは動かされることはない。 + わが救とわが誉とは神にある。神はわが力の岩、わが避け所である。 + 民よ、いかなる時にも神に信頼せよ。そのみ前にあなたがたの心を注ぎ出せ。神はわれらの避け所である。 [セラ + 低い人はむなしく、高い人は偽りである。彼らをはかりにおけば、彼らは共に息よりも軽い。 + あなたがたは、しえたげにたよってはならない。かすめ奪うことに、むなしい望みをおいてはならない。富の増し加わるとき、これに心をかけてはならない。 + 神はひとたび言われた、わたしはふたたびこれを聞いた、力は神に属することを。 + 主よ、いつくしみもまたあなたに属することを。あなたは人おのおののわざにしたがって報いられるからである。 + + + 神よ、あなたはわたしの神、わたしは切にあなたをたずね求め、わが魂はあなたをかわき望む。水なき、かわき衰えた地にあるように、わが肉体はあなたを慕いこがれる。 + それでわたしはあなたの力と栄えとを見ようと、聖所にあって目をあなたに注いだ。 + あなたのいつくしみは、いのちにもまさるゆえ、わがくちびるはあなたをほめたたえる。 + わたしは生きながらえる間、あなたをほめ、手をあげて、み名を呼びまつる。 + + わたしが床の上であなたを思いだし、夜のふけるままにあなたを深く思うとき、わたしの魂は髄とあぶらとをもってもてなされるように飽き足り、わたしの口は喜びのくちびるをもってあなたをほめたたえる。 + あなたはわたしの助けとなられたゆえ、わたしはあなたの翼の陰で喜び歌う。 + わたしの魂はあなたにすがりつき、あなたの右の手はわたしをささえられる。 + しかしわたしの魂を滅ぼそうとたずね求める者は地の深き所に行き、 + つるぎの力にわたされ、山犬のえじきとなる。 + しかし王は神にあって喜び、神によって誓う者はみな誇ることができる。偽りを言う者の口はふさがれるからである。 + + + 神よ、わたしが嘆き訴えるとき、わたしの声をお聞きください。敵の恐れからわたしの命をお守りください。 + わたしを隠して、悪を行う者のひそかなはかりごとから免れさせ、不義を行う者のはかりごとから免れさせてください。 + 彼らはその舌をつるぎのようにとぎ、苦い言葉を矢のように放ち、 + 隠れた所から罪なき者を射ようとする。にわかに彼を射て恐れることがない。 + 彼らは悪い企てを固くたもち、共にはかり、ひそかにわなをかけて言う、「だれがわれらを見破ることができるか。 + だれがわれらの罪をたずね出すことができるか。われらは巧みに、はかりごとを考えめぐらしたのだ」と。人の内なる思いと心とは深い。 + しかし神は矢をもって彼らを射られる。彼らはにわかに傷をうけるであろう。 + 神は彼らの舌のゆえに彼らを滅ぼされる。彼らを見る者は皆そのこうべを振るであろう。 + その時すべての人は恐れ、神のみわざを宣べ伝え、そのなされた事を考えるであろう。 + 正しい人は主にあって喜び、かつ主に寄り頼む。すべて心の直き者は誇ることができる。 + + + 神よ、シオンにて、あなたをほめたたえることはふさわしいことである。人はあなたに誓いを果すであろう。 + + 祈を聞かれる方よ、すべての肉なる者は罪のゆえにあなたに来る。われらのとががわれらに打ち勝つとき、あなたはこれをゆるされる。 + あなたに選ばれ、あなたに近づけられて、あなたの大庭に住む人はさいわいである。われらはあなたの家、あなたの聖なる宮の恵みによって飽くことができる。 + われらの救の神よ、地のもろもろのはてと、遠き海の望みであるあなたは恐るべきわざにより、救をもってわれらに答えられる。 + あなたは大能を帯び、そのみ力によって、もろもろの山を堅く立たせられる。 + あなたは海の響き、大波の響き、もろもろの民の騒ぎを静められる。 + それゆえ、地のはてに住む人々も、あなたのもろもろのしるしを見て恐れる。あなたは朝と夕の出る所をして喜び歌わせられる。 + あなたは地に臨んで、これに水をそそぎ、これを大いに豊かにされる。神の川は水で満ちている。あなたはそのように備えして彼らに穀物を与えられる。 + あなたはその田みぞを豊かにうるおし、そのうねを整え、夕立ちをもってそれを柔らかにし、そのもえ出るのを祝福し、 + またその恵みをもって年の冠とされる。あなたの道にはあぶらがしたたる。 + 野の牧場はしたたり、小山は喜びをまとい、 + 牧場は羊の群れを着、もろもろの谷は穀物をもっておおわれ、彼らは喜び呼ばわって共に歌う。 + + + 全地よ、神にむかって喜び呼ばわれ。 + そのみ名の栄光を歌え。栄えあるさんびをささげよ。 + 神に告げよ。「あなたのもろもろのみわざは恐るべきかな。大いなるみ力によって、あなたの敵はみ前に屈服し、 + 全地はあなたを拝み、あなたをほめうたい、み名をほめうたうであろう」と。 [セラ + 来て、神のみわざを見よ。人の子らにむかってなされることは恐るべきかな。 + 神は海を変えて、かわいた地とされた。人々は徒歩で川を渡った。その所でわれらは神を喜んだ。 + 神は大能をもって、とこしえに統べ治め、その目はもろもろの国民を監視される。そむく者はみずからを高くしてはならない。 [セラ + もろもろの民よ、われらの神をほめよ。神をほめたたえる声を聞えさせよ。 + 神はわれらを生きながらえさせ、われらの足のすべるのをゆるされない。 + 神よ、あなたはわれらを試み、しろがねを練るように、われらを練られた。 + あなたはわれらを網にひきいれ、われらの腰に重き荷を置き、 + 人々にわれらの頭の上を乗り越えさせられた。われらは火の中、水の中を通った。しかしあなたはわれらを広い所に導き出された。 + わたしは燔祭をもってあなたの家に行き、わたしの誓いをあなたに果します。 + これはわたしが悩みにあったとき、わたしのくちびるの言い出したもの、わたしの口が約束したものです。 + わたしは肥えたものの燔祭を雄羊のいけにえの煙と共にあなたにささげ、雄牛と雄やぎとをささげます。 [セラ + すべて神を恐れる者よ、来て聞け。神がわたしのためになされたことを告げよう。 + わたしは声をあげて神に呼ばわり、わが舌をもって神をあがめた。 + もしわたしが心に不義をいだいていたならば、主はお聞きにならないであろう。 + しかし、まことに神はお聞きになり、わが祈の声にみこころをとめられた。 + 神はほむべきかな。神はわが祈をしりぞけず、そのいつくしみをわたしから取り去られなかった。 + + + どうか、神がわれらをあわれみ、われらを祝福し、そのみ顔をわれらの上に照されるように。 [セラ + これはあなたの道があまねく地に知られ、あなたの救の力がもろもろの国民のうちに知られるためです。 + 神よ、民らにあなたをほめたたえさせ、もろもろの民にあなたをほめたたえさせてください。 + もろもろの国民を楽しませ、また喜び歌わせてください。あなたは公平をもってもろもろの民をさばき、地の上なるもろもろの国民を導かれるからです。 [セラ + 神よ、民らにあなたをほめたたえさせ、もろもろの民にあなたをほめたたえさせてください。 + 地はその産物を出しました。神、われらの神はわれらを祝福されました。 + 神はわれらを祝福されました。地のもろもろのはてにことごとく神を恐れさせてください。 + + + 神よ、立ちあがって、その敵を散らし、神を憎む者をみ前から逃げ去らせてください。 + 煙の追いやられるように彼らを追いやり、ろうの火の前に溶けるように悪しき者を神の前に滅ぼしてください。 + しかし正しい者を喜ばせ、神の前に喜び踊らせ、喜び楽しませてください。 + 神にむかって歌え、そのみ名をほめうたえ。雲に乗られる者にむかって歌声をあげよ。その名は主、そのみ前に喜び踊れ。 + その聖なるすまいにおられる神はみなしごの父、やもめの保護者である。 + 神は寄るべなき者に住むべき家を与え、めしゅうどを解いて幸福に導かれる。しかしそむく者はかわいた地に住む。 + 神よ、あなたが民に先だち出て、荒野を進み行かれたとき、 [セラ + シナイの主なる神の前に、イスラエルの神なる神の前に、地は震い、天は雨を降らせました。 + 神よ、あなたは豊かな雨を降らせて、疲れ衰えたあなたの嗣業の地を回復され、 + あなたの群れは、そのうちにすまいを得ました。神よ、あなたは恵みをもって貧しい者のために備えられました。 + 主は命令を下される。おとずれを携えた女たちの大いなる群れは言う、 + 「もろもろの軍勢の王たちは逃げ去り、逃げ去った」と。家にとどまる女たちは獲物を分ける、 + たとい彼らは羊のおりの中にとどまるとも。はとの翼は、しろがねをもっておおわれ、その羽はきらめくこがねをもっておおわれる。 + 全能者がかしこで王たちを散らされたとき、ザルモンに雪が降った。 + 神の山、バシャンの山、峰かさなる山、バシャンの山よ。 + 峰かさなるもろもろの山よ、何ゆえ神がすまいにと望まれた山をねたみ見るのか。まことに主はとこしえにそこに住まわれる。 + 主は神のいくさ車幾千万をもって、シナイから聖所に来られた。 + あなたはとりこを率い、人々のうちから、またそむく者のうちから贈り物をうけて、高い山に登られた。主なる神がそこに住まわれるためである。 + 日々にわれらの荷を負われる主はほむべきかな。神はわれらの救である。 [セラ + われらの神は救の神である。死からのがれ得るのは主なる神による。 + 神はその敵のこうべを打ち砕き、おのがとがの中に歩む者の毛深い頭のいただきを打ち砕かれる。 + 主は言われた、「わたしはバシャンから彼らを携え帰り、海の深い所から彼らを携え帰る。 + あなたはその足を彼らの血に浸し、あなたの犬の舌はその分け前を敵から得るであろう」と。 + 神よ、人々はあなたのこうごうしい行列を見た。わが神、わが王の、聖所に進み行かれるのを見た。 + 歌う者は前に行き、琴をひく者はあとになり、おとめらはその間にあって手鼓を打って言う、 + 「大いなる集会で神をほめよ。イスラエルの源から出た者よ、主をほめまつれ」と。 + そこに彼らを導く年若いベニヤミンがおり、その群れの中にユダの君たちがおり、ゼブルンの君たち、ナフタリの君たちがいる。 + 神よ、あなたの大能を奮い起してください。われらのために事をなされた神よ、あなたの力をお示しください。 + エルサレムにあるあなたの宮のために、王たちはあなたに贈り物をささげるでしょう。 + 葦の中に住む獣、もろもろの民の子牛を率いる雄牛の群れをいましめてください。みつぎ物をむさぼる者たちを足の下に踏みつけ、戦いを好むもろもろの民を散らしてください。 + 青銅をエジプトから持ちきたらせ、エチオピヤには急いでその手を神に伸べさせてください。 + 地のもろもろの国よ、神にむかって歌え、主をほめうたえ。 [セラ + いにしえからの天の天に乗られる主にむかってほめうたえ。見よ、主はみ声を出し、力あるみ声を出される。 + 力を神に帰せよ。その威光はイスラエルの上にあり、その力は雲の中にある。 + 神はその聖所で恐るべく、イスラエルの神はその民に力と勢いとを与えられる。神はほむべきかな。 + + + 神よ、わたしをお救いください。大水が流れ来て、わたしの首にまで達しました。 + わたしは足がかりもない深い泥の中に沈みました。わたしは深い水に陥り、大水がわたしの上を流れ過ぎました。 + わたしは叫びによって疲れ、わたしののどはかわき、わたしの目は神を待ちわびて衰えました。 + ゆえなく、わたしを憎む者はわたしの頭の毛よりも多く、偽ってわたしの敵となり、わたしを滅ぼそうとする者は強いのです。わたしは盗まなかった物をも償わなければならないのですか。 + 神よ、あなたはわたしの愚かなことを知っておられます。わたしのもろもろのとがはあなたに隠れることはありません。 + 万軍の神、主よ、あなたを待ち望む者がわたしの事によって、はずかしめられることのないようにしてください。イスラエルの神よ、あなたを求める者がわたしの事によって、恥を負わせられることのないようにしてください。 + わたしはあなたのためにそしりを負い、恥がわたしの顔をおおったのです。 + わたしはわが兄弟には、知らぬ者となり、わが母の子らには、のけ者となりました。 + あなたの家を思う熱心がわたしを食いつくし、あなたをそしる者のそしりがわたしに及んだからです。 + わたしが断食をもってわたしの魂を悩ませば、かえってそれによってそしりをうけました。 + わたしが荒布を衣とすれば、かえって彼らのことわざとなりました。 + わたしは門に座する者の話題となり、酔いどれの歌となりました。 + しかし主よ、わたしはあなたに祈ります。神よ、恵みの時に、あなたのいつくしみの豊かなるにより、わたしにお答えください。 + あなたのまことの救により、わたしを泥の中に沈まぬよう助け出してください。わたしを憎む者から、また深い水からわたしを助け出してください。 + 大水がわたしの上を流れ過ぎることなく、淵がわたしをのむことなく、穴がその口をわたしの上に閉じることのないようにしてください。 + 主よ、あなたのいつくしみの深きにより、わたしにお答えください。あなたのあわれみの豊かなるにより、わたしを顧みてください。 + あなたの顔をしもべに隠さないでください。わたしは悩んでいるのです。すみやかにわたしにお答えください。 + わたしに近く寄って、わたしをあがない、わが敵のゆえにわたしをお救いください。 + あなたはわたしの受けるそしりと、恥と、はずかしめとを知っておられます。わたしのあだは皆あなたの前にあります。 + そしりがわたしの心を砕いたので、わたしは望みを失いました。わたしは同情する者を求めたけれども、ひとりもなく、慰める者を求めたけれども、ひとりも見ませんでした。 + 彼らはわたしの食物に毒を入れ、わたしのかわいた時に酢を飲ませました。 + 彼らの前の食卓を網とし、彼らが犠牲をささげる祭を、わなとしてください。 + 彼らの目を暗くして見えなくし、彼らの腰を常に震わせ、 + あなたの憤りを彼らの上にそそぎ、あなたの激しい怒りを彼らに追いつかせてください。 + 彼らの宿営を荒し、ひとりもその天幕に住まわせないでください。 + 彼らはあなたが撃たれた者を迫害し、あなたが傷つけられた者をさらに苦しめるからです。 + 彼らに、罰に罰を加え、あなたの赦免にあずからせないでください。 + 彼らをいのちの書から消し去って、義人のうちに記録されることのないようにしてください。 + しかしわたしは悩み苦しんでいます。神よ、あなたの救がわたしを高い所に置かれますように。 + わたしは歌をもって神の名をほめたたえ、感謝をもって神をあがめます。 + これは雄牛または角とひずめのある雄牛にまさって主を喜ばせるでしょう。 + へりくだる者は、これを見て喜べ。神を求める者よ、あなたがたの心を生きかえらせよ。 + 主は乏しい者に聞き、その捕われ人をかろしめられないからである。 + 天と地は主をほめたたえ、海とその中に動くあらゆるものは主をほめたたえよ。 + 神はシオンを救い、ユダの町々を建て直されるからである。そのしもべらはそこに住んでこれを所有し、 + そのしもべらの子孫はこれを継ぎ、み名を愛する者はその中に住むであろう。 + + + 神よ、みこころならばわたしをお救いください。主よ、すみやかにわたしをお助けください。 + わたしのいのちをたずね求める者どもを恥じあわてさせてください。わたしのそこなわれることを願う者どもをうしろに退かせ、恥を負わせてください。 + 「あはぁ、あはぁ」と言う者どもを自分の恥によって恐れおののかせてください。 + すべてあなたを尋ね求める者はあなたによって喜び楽しむように。あなたの救を愛する者はつねに「神は大いなるかな」ととなえるように。 + しかし、わたしは貧しく、かつ乏しい。神よ、急いでわたしに来てください。あなたはわが助け、わが救主です。主よ、ためらわないでください。 + + + 主よ、わたしはあなたに寄り頼む。とこしえにわたしをはずかしめないでください。 + あなたの義をもってわたしを助け、わたしを救い出してください。あなたの耳を傾けて、わたしをお救いください。 + わたしのためにのがれの岩となり、わたしを救う堅固な城となってください。あなたはわが岩、わが城だからです。 + わが神よ、悪しき者の手からわたしを救い、不義、残忍な人の支配から、わたしを救い出してください。 + 主なる神よ、あなたはわたしの若い時からのわたしの望み、わたしの頼みです。 + わたしは生れるときからあなたに寄り頼みました。あなたはわたしを母の胎から取り出されたかたです。わたしは常にあなたをほめたたえます。 + わたしは多くの人に怪しまれるような者となりました。しかしあなたはわたしの堅固な避け所です。 + わたしの口はひねもす、あなたをたたえるさんびと、頌栄とをもって満たされています。 + わたしが年老いた時、わたしを見離さないでください。わたしが力衰えた時、わたしを見捨てないでください。 + わたしの敵はわたしについて語り、わたしのいのちをうかがう者は共にはかって、 + 「神は彼を見捨てた。彼を助ける者がないから彼を追って捕えよ」と言います。 + 神よ、わたしに遠ざからないでください。わが神よ、すみやかに来てわたしを助けてください。 + わたしにあだする者を恥じさせ、滅ぼしてください。わたしをそこなわんとする者を、そしりと、はずかしめとをもっておおってください。 + しかしわたしは絶えず望みをいだいて、いよいよあなたをほめたたえるでしょう。 + わたしの口はひねもすあなたの義と、あなたの救とを語るでしょう。わたしはその数を知らないからです。 + わたしは主なる神の大能のみわざを携えゆき、ただあなたの義のみを、ほめたたえるでしょう。 + 神よ、あなたはわたしを若い時から教えられました。わたしはなお、あなたのくすしきみわざを宣べ伝えます。 + 神よ、わたしが年老いて、しらがとなるとも、あなたの力をきたらんとするすべての代に宣べ伝えるまで、わたしを見捨てないでください。 + 神よ、あなたの大能と義とは高い天にまで及ぶ。あなたは大いなる事をなされました。神よ、だれかあなたに等しい者があるでしょうか。 + あなたはわたしを多くの重い悩みにあわされましたが、再びわたしを生かし、地の深い所から引きあげられるでしょう。 + あなたはわたしの誉を増し、再びわたしを慰められるでしょう。 + わが神よ、わたしはまた立琴をもってあなたと、あなたのまこととをほめたたえます。イスラエルの聖者よ、わたしは琴をもってあなたをほめ歌います。 + わたしがあなたにむかってほめ歌うとき、わがくちびるは喜び呼ばわり、あなたがあがなわれたわが魂もまた喜び呼ばわるでしょう。 + わたしの舌もまたひねもすあなたの義を語るでしょう。わたしをそこなわんとした者が恥じあわてたからです。 + + + 神よ、あなたの公平を王に与え、あなたの義を王の子に与えてください。 + 彼は義をもってあなたの民をさばき、公平をもってあなたの貧しい者をさばくように。 + もろもろの山と丘とは義によって民に平和を与えるように。 + 彼は民の貧しい者の訴えを弁護し、乏しい者に救を与え、しえたげる者を打ち砕くように。 + 彼は日と月とのあらんかぎり、世々生きながらえるように。 + 彼は刈り取った牧草の上に降る雨のごとく、地を潤す夕立ちのごとく臨むように。 + 彼の世に義は栄え、平和は月のなくなるまで豊かであるように。 + 彼は海から海まで治め、川から地のはてまで治めるように。 + 彼のあだは彼の前にかがみ、彼の敵はちりをなめるように。 + タルシシおよび島々の王たちはみつぎを納め、シバとセバの王たちは贈り物を携えて来るように。 + もろもろの王は彼の前にひれ伏し、もろもろの国民は彼に仕えるように。 + 彼は乏しい者をその呼ばわる時に救い、貧しい者と、助けなき者とを救う。 + 彼は弱い者と乏しい者とをあわれみ、乏しい者のいのちを救い、 + 彼らのいのちを、しえたげと暴力とからあがなう。彼らの血は彼の目に尊い。 + 彼は生きながらえ、シバの黄金が彼にささげられ、彼のために絶えず祈がささげられ、ひねもす彼のために祝福が求められるように。 + 国のうちには穀物が豊かにみのり、その実はレバノンのように山々の頂に波打ち、人々は野の草のごとく町々に栄えるように。 + 彼の名はとこしえに続き、その名声は日のあらん限り、絶えることのないように。人々は彼によって祝福を得、もろもろの国民は彼をさいわいなる者ととなえるように。 + イスラエルの神、主はほむべきかな。ただ主のみ、くすしきみわざをなされる。 + その光栄ある名はとこしえにほむべきかな。全地はその栄光をもって満たされるように。アァメン、アァメン。 + エッサイの子ダビデの祈は終った。 + + + 神は正しい者にむかい、心の清い者にむかって、まことに恵みふかい。 + しかし、わたしは、わたしの足がつまずくばかり、わたしの歩みがすべるばかりであった。 + これはわたしが、悪しき者の栄えるのを見て、その高ぶる者をねたんだからである。 + 彼らには苦しみがなく、その身はすこやかで、つやがあり、 + ほかの人々のように悩むことがなく、ほかの人々のように打たれることはない。 + それゆえ高慢は彼らの首飾となり、暴力は衣のように彼らをおおっている。 + 彼らは肥え太って、その目はとびいで、その心は愚かな思いに満ちあふれている。 + 彼らはあざけり、悪意をもって語り、高ぶって、しえたげを語る。 + 彼らはその口を天にさからって置き、その舌は地をあるきまわる。 + それゆえ民は心を変えて彼らをほめたたえ、彼らのうちにあやまちを認めない。 + 彼らは言う、「神はどうして知り得ようか、いと高き者に知識があろうか」と。 + 見よ、これらは悪しき者であるのに、常に安らかで、その富が増し加わる。 + まことに、わたしはいたずらに心をきよめ、罪を犯すことなく手を洗った。 + わたしはひねもす打たれ、朝ごとに懲しめをうけた。 + もしわたしが「このような事を語ろう」と言ったなら、わたしはあなたの子らの代を誤らせたであろう。 + しかし、わたしがこれを知ろうと思いめぐらしたとき、これはわたしにめんどうな仕事のように思われた。 + わたしが神の聖所に行って、彼らの最後を悟り得たまではそうであった。 + まことにあなたは彼らをなめらかな所に置き、彼らを滅びに陥らせられる。 + なんと彼らはまたたくまに滅ぼされ、恐れをもって全く一掃されたことであろう。 + あなたが目をさまして彼らの影をかろしめられるとき、彼らは夢みた人の目をさました時のようである。 + わたしの魂が痛み、わたしの心が刺されたとき、 + わたしは愚かで悟りがなく、あなたに対しては獣のようであった。 + けれどもわたしは常にあなたと共にあり、あなたはわたしの右の手を保たれる。 + あなたはさとしをもってわたしを導き、その後わたしを受けて栄光にあずからせられる。 + わたしはあなたのほかに、だれを天にもち得よう。地にはあなたのほかに慕うものはない。 + わが身とわが心とは衰える。しかし神はとこしえにわが心の力、わが嗣業である。 + 見よ、あなたに遠い者は滅びる。あなたは、あなたにそむく者を滅ぼされる。 + しかし神に近くあることはわたしに良いことである。わたしは主なる神をわが避け所として、あなたのもろもろのみわざを宣べ伝えるであろう。 + + + 神よ、なぜ、われらをとこしえに捨てられるのですか。なぜ、あなたの牧の羊に怒りを燃やされるのですか。 + 昔あなたが手に入れられたあなたの公会、すなわち、あなたの嗣業の部族となすためにあがなわれたものを思い出してください。あなたが住まわれたシオンの山を思い出してください。 + とこしえの滅びの跡に、あなたの足を向けてください。敵は聖所で、すべての物を破壊しました。 + あなたのあだは聖所の中でほえさけび、彼らのしるしを立てて、しるしとしました。 + 彼らは上の入口では、おのをもって木の格子垣を切り倒しました。 + また彼らは手おのと鎚とをもって聖所の彫り物をことごとく打ち落しました。 + 彼らはあなたの聖所に火をかけ、み名のすみかをけがして、地に倒しました。 + 彼らは心のうちに言いました、「われらはことごとくこれを滅ぼそう」と。彼らは国のうちの神の会堂をことごとく焼きました。 + われらは自分たちのしるしを見ません。預言者も今はいません。そしていつまで続くのか、われらのうちには、知る者がありません。 + 神よ、あだはいつまであざけるでしょうか。敵はとこしえにあなたの名をののしるでしょうか。 + なぜあなたは手を引かれるのですか。なぜあなたは右の手をふところに入れておかれるのですか。 + 神はいにしえからわたしの王であって、救を世の中に行われた。 + あなたはみ力をもって海をわかち、水の上の龍の頭を砕かれた。 + あなたはレビヤタンの頭をくだき、これを野の獣に与えてえじきとされた。 + あなたは泉と流れとを開き、絶えず流れるもろもろの川をからされた。 + 昼はあなたのもの、夜もまたあなたのもの。あなたは光と太陽とを設けられた。 + あなたは地のもろもろの境を定め、夏と冬とを造られた。 + 主よ、敵はあなたをあざけり、愚かな民はあなたのみ名をののしります。この事を思い出してください。 + どうかあなたのはとの魂を野の獣にわたさないでください。貧しい者のいのちをとこしえに忘れないでください。 + あなたの契約をかえりみてください。地の暗い所は暴力のすまいで満ちています。 + しえたげられる者を恥じさせないでください。貧しい者と乏しい者とにみ名をほめたたえさせてください。 + 神よ、起きてあなたの訴えをあげつらい、愚かな者のひねもすあなたをあざけるのをみこころにとめてください。 + あなたのあだの叫びを忘れないでください。あなたの敵の絶えずあげる騒ぎを忘れないでください。 + + + 神よ、われらはあなたに感謝します。われらは感謝します。われらはあなたのみ名を呼び、あなたのくすしきみわざを語ります。 + 定まった時が来れば、わたしは公平をもってさばく。 + 地とすべてこれに住むものがよろめくとき、わたしはその柱を堅くする。 [セラ + わたしは、誇る者には「誇るな」と言い、悪しき者には「角をあげるな、 + 角を高くあげるな、高慢な態度をもって語るな」と言う。 + 上げることは東からでなく、西からでなく、また荒野からでもない。 + それはさばきを行われる神であって、神はこれを下げ、かれを上げられる。 + 主の手には杯があって、よく混ぜた酒があわだっている。主がこれを注ぎ出されると、地のすべての悪しき者はこれを一滴も残さずに飲みつくすであろう。 + しかしわたしはとこしえに喜び、ヤコブの神をほめうたいます。 + 悪しき者の角はことごとく切り離されるが正しい者の角はあげられるであろう。 + + + 神はユダに知られ、そのみ名はイスラエルにおいて偉大である。 + その幕屋はサレムにあり、そのすまいはシオンにある。 + かしこで神は弓の火矢を折り、盾とつるぎと戦いの武器をこわされた。 [セラ + あなたは永久の山々にまさって光栄あり、威厳がある。 + 雄々しい者はかすめられ、彼らは眠りに沈み、いくさびとは皆その手を施すことができなかった。 + ヤコブの神よ、あなたのとがめによって、乗り手と馬とは深い眠りに陥った。 + しかし、あなたこそは恐るべき方である。あなたが怒りを発せられるとき、だれがみ前に立つことができよう。 + + あなたは天からさばきを仰せられた。神が地のしえたげられた者を救うために、さばきに立たれたとき、地は恐れて、沈黙した。 [セラ + まことに人の怒りはあなたをほめたたえる。怒りの余りをあなたは帯とされる。 + あなたがたの神、主に誓いを立てて、それを償え。その周囲のすべての者は恐るべき主に贈り物をささげよ。 + 主はもろもろの君たちのいのちを断たれる。主は地の王たちの恐るべき者である。 + + + わたしは神にむかい声をあげて叫ぶ。わたしが神にむかって声をあげれば、神はわたしに聞かれる。 + わたしは悩みの日に主をたずね求め、夜はわが手を伸べてたゆむことなく、わが魂は慰められるのを拒む。 + わたしは神を思うとき、嘆き悲しみ、深く思うとき、わが魂は衰える。 [セラ + あなたはわたしのまぶたをささえて閉じさせず、わたしは物言うこともできないほどに悩む。 + わたしは昔の日を思い、いにしえの年を思う。 + わたしは夜、わが心と親しく語り、深く思うてわが魂を探り、言う、 + 「主はとこしえにわれらを捨てられるであろうか。ふたたび、めぐみを施されないであろうか。 + そのいつくしみはとこしえに絶え、その約束は世々ながくすたれるであろうか。 + 神は恵みを施すことを忘れ、怒りをもってそのあわれみを閉じられたであろうか」と。 [セラ + その時わたしは言う、「わたしの悲しみはいと高き者の右の手が変ったことである」と。 + わたしは主のみわざを思い起す。わたしは、いにしえからのあなたのくすしきみわざを思いいだす。 + わたしは、あなたのすべてのみわざを思い、あなたの力あるみわざを深く思う。 + 神よ、あなたの道は聖である。われらの神のように大いなる神はだれか。 + あなたは、くすしきみわざを行われる神である。あなたは、もろもろの民の間に、その大能をあらわし、 + その腕をもっておのれの民をあがない、ヤコブとヨセフの子らをあがなわれた。 [セラ + 神よ、大水はあなたを見た。大水はあなたを見ておののき、淵もまた震えた。 + 雲は水を注ぎいだし、空は雷をとどろかし、あなたの矢は四方にきらめいた。 + あなたの雷のとどろきは、つむじ風の中にあり、あなたのいなずまは世を照し、地は震い動いた。 + あなたの大路は海の中にあり、あなたの道は大水の中にあり、あなたの足跡はたずねえなかった。 + あなたは、その民をモーセとアロンの手によって羊の群れのように導かれた。 + + + わが民よ、わが教を聞き、わが口の言葉に耳を傾けよ。 + わたしは口を開いて、たとえを語り、いにしえからの、なぞを語ろう。 + これはわれらがさきに聞いて知ったこと、またわれらの先祖たちがわれらに語り伝えたことである。 + われらはこれを子孫に隠さず、主の光栄あるみわざと、その力と、主のなされたくすしきみわざとをきたるべき代に告げるであろう。 + 主はあかしをヤコブのうちにたて、おきてをイスラエルのうちに定めて、その子孫に教うべきことをわれらの先祖たちに命じられた。 + これは次の代に生れる子孫がこれを知り、みずから起って、そのまた子孫にこれを伝え、 + 彼らをして神に望みをおき、神のみわざを忘れず、その戒めを守らせるためである。 + またその先祖たちのようにかたくなで、そむく者のやからとなり、その心が定まりなく、その魂が神に忠実でないやからとならないためである。 + エフライムの人々は武装し、弓を携えたが、戦いの日に引き返した。 + 彼らは神の契約を守らず、そのおきてにしたがって歩むことを拒み、 + 神がなされた事と、彼らに示されたくすしきみわざとを忘れた。 + 神はエジプトの地と、ゾアンの野でくすしきみわざを彼らの先祖たちの前に行われた。 + 神は海を分けて彼らを通らせ、水を立たせて山のようにされた。 + 昼は雲をもって彼らを導き、夜は、よもすがら火の光をもって彼らを導かれた。 + 神は荒野で岩を裂き、淵から飲むように豊かに彼らに飲ませ、 + また岩から流れを引いて、川のように水を流れさせられた。 + ところが彼らはなお神にむかって罪をかさね、荒野でいと高き者にそむき、 + おのが欲のために食物を求めて、その心のうちに神を試みた。 + また彼らは神に逆らって言った、「神は荒野に宴を設けることができるだろうか。 + 見よ、神が岩を打たれると、水はほとばしりいで、流れがあふれた。神はまたパンを与えることができるだろうか。民のために肉を備えることができるだろうか」と。 + それゆえ、主は聞いて憤られた。火はヤコブにむかって燃えあがり、怒りはイスラエルにむかって立ちのぼった。 + これは彼らが神を信ぜず、その救の力を信用しなかったからである。 + しかし神は上なる大空に命じて天の戸を開き、 + 彼らの上にマナを降らせて食べさせ、天の穀物を彼らに与えられた。 + 人は天使のパンを食べた。神は彼らに食物をおくって飽き足らせられた。 + 神は天に東風を吹かせ、み力をもって南風を導かれた。 + 神は彼らの上に肉をちりのように降らせ、翼ある鳥を海の砂のように降らせて、 + その宿営のなか、そのすまいのまわりに落された。 + こうして彼らは食べて、飽き足ることができた。神が彼らにその望んだものを与えられたからである。 + ところが彼らがまだその欲を離れず、食物がなお口の中にあるうちに、 + 神の怒りが彼らにむかって立ちのぼり、彼らのうちの最も強い者を殺し、イスラエルのうちのえり抜きの者を打ち倒された。 + すべてこれらの事があったにもかかわらず、彼らはなお罪を犯し、そのくすしきみわざを信じなかった。 + それゆえ神は彼らの日を息のように消えさせ、彼らの年を恐れをもって過ごさせられた。 + 神が彼らを殺されたとき、彼らは神をたずね、悔いて神を熱心に求めた。 + こうして彼らは、神は彼らの岩、いと高き神は彼らのあがないぬしであることを思い出した。 + しかし彼らはその口をもって神にへつらい、その舌をもって神に偽りを言った。 + 彼らの心は神にむかって堅実でなく、神の契約に真実でなかった。 + しかし神はあわれみに富まれるので、彼らの不義をゆるして滅ぼさず、しばしばその怒りをおさえて、その憤りをことごとくふり起されなかった。 + また神は、彼らがただ肉であって、過ぎ去れば再び帰りこぬ風であることを思い出された。 + 幾たび彼らは野で神にそむき、荒野で神を悲しませたことであろうか。 + 彼らはかさねがさね神を試み、イスラエルの聖者を怒らせた。 + 彼らは神の力をも、神が彼らをあだからあがなわれた日をも思い出さなかった。 + 神はエジプトでもろもろのしるしをおこない、ゾアンの野でもろもろの奇跡をおこない、 + 彼らの川を血に変らせて、その流れを飲むことができないようにされた。 + 神ははえの群れを彼らのうちに送って彼らを食わせ、かえるを送って彼らを滅ぼされた。 + また神は彼らの作物を青虫にわたし、彼らの勤労の実をいなごにわたされた。 + 神はひょうをもって彼らのぶどうの木を枯らし、霜をもって彼らのいちじく桑の木を枯らされた。 + 神は彼らの家畜をひょうにわたし、彼らの群れを燃えるいなずまにわたされた。 + 神は彼らの上に激しい怒りと、憤りと、恨みと、悩みと、滅ぼす天使の群れとを放たれた。 + 神はその怒りのために道を設け、彼らの魂を死から免れさせず、そのいのちを疫病にわたされた。 + 神はエジプトですべてのういごを撃ち、ハムの天幕で彼らの力の初めの子を撃たれた。 + こうして神はおのれの民を羊のように引き出し、彼らを荒野で羊の群れのように導き、 + 彼らを安らかに導かれたので彼らは恐れることがなかった。しかし海は彼らの敵をのみつくした。 + 神は彼らをその聖地に伴い、その右の手をもって獲たこの山に伴いこられた。 + 神は彼らの前からもろもろの国民を追い出し、その地を分けて嗣業とし、イスラエルの諸族を彼らの天幕に住まわせられた。 + しかし彼らはいと高き神を試み、これにそむいて、そのもろもろのあかしを守らず、 + そむき去って、先祖たちのように真実を失い、狂った弓のようにねじれた。 + 彼らは高き所を設けて神を怒らせ、刻んだ像をもって神のねたみを起した。 + 神は聞いて大いに怒り、イスラエルを全くしりぞけられた。 + 神は人々のなかに設けた幕屋なるシロのすまいを捨て、 + その力をとりことならせ、その栄光をあだの手にわたされた。 + 神はその民をつるぎにわたし、その嗣業にむかって大いなる怒りをもらされた。 + 火は彼らの若者たちを焼きつくし、彼らのおとめたちは婚姻の歌を失い、 + 彼らの祭司たちはつるぎによって倒れ、彼らのやもめたちは嘆き悲しむことさえしなかった。 + そのとき主は眠った者のさめたように、勇士が酒によって叫ぶように目をさまして、 + そのあだを撃ち退け、とこしえの恥を彼らに負わせられた。 + 神はヨセフの天幕をしりぞけ、エフライムの部族を選ばず、 + ユダの部族を選び、神の愛するシオンの山を選ばれた。 + 神はその聖所を高い天のように建て、とこしえに基を定められた地のように建てられた。 + 神はそのしもべダビデを選んで、羊のおりから取り、 + 乳を与える雌羊の番をするところからつれて来て、その民ヤコブ、その嗣業イスラエルの牧者とされた。 + こうして彼は直き心をもって彼らを牧し、巧みな手をもって彼らを導いた。 + + + 神よ、もろもろの異邦人はあなたの嗣業の地を侵し、あなたの聖なる宮をけがし、エルサレムを荒塚としました。 + 彼らはあなたのしもべのしかばねを空の鳥に与えてえさとし、あなたの聖徒の肉を地の獣に与え、 + その血をエルサレムのまわりに水のように流し、これを葬る人がありませんでした。 + われらは隣り人にそしられ、まわりの人々に侮られ、あざけられる者となりました。 + 主よ、いつまでなのですか。とこしえにお怒りになられるのですか。あなたのねたみは火のように燃えるのですか。 + どうか、あなたを知らない異邦人と、あなたの名を呼ばない国々の上にあなたの怒りを注いでください。 + 彼らはヤコブを滅ぼし、そのすみかを荒したからです。 + われらの先祖たちの不義をみこころにとめられず、あわれみをもって、すみやかにわれらを迎えてください。われらは、はなはだしく低くされたからです。 + われらの救の神よ、み名の栄光のためにわれらを助け、み名のためにわれらを救い、われらの罪をおゆるしください。 + どうして異邦人は言うのでしょう、「彼らの神はどこにいるのか」と。あなたのしもべらの流された血の報いをわれらのまのあたりになして、異邦人に知らせてください。 + 捕われ人の嘆きをあなたのみ前にいたらせ、あなたの大いなる力により、死に定められた者を守りながらえさせてください。 + 主よ、われらの隣り人があなたをそしったそしりを七倍にして彼らのふところに報い返してください。 + そうすれば、あなたの民、あなたの牧の羊は、とこしえにあなたに感謝し、世々あなたをほめたたえるでしょう。 + + + イスラエルの牧者よ、羊の群れのようにヨセフを導かれる者よ、耳を傾けてください。ケルビムの上に座せられる者よ、光を放ってください。 + エフライム、ベニヤミン、マナセの前にあなたの力を振り起し、来て、われらをお救いください。 + 神よ、われらをもとに返し、み顔の光を照してください。そうすればわれらは救をえるでしょう。 + 万軍の神、主よ、いつまで、その民の祈にむかってお怒りになるのですか。 + あなたは涙のパンを彼らに食わせ、多くの涙を彼らに飲ませられました。 + あなたはわれらを隣り人のあざけりとし、われらの敵はたがいにあざわらいました。 + 万軍の神よ、われらをもとに返し、われらの救われるため、み顔の光を照してください。 + あなたは、ぶどうの木をエジプトから携え出し、もろもろの国民を追い出して、これを植えられました。 + あなたはこれがために地を開かれたので、深く根ざして、国にはびこりました。 + 山々はその影でおおわれ、神の香柏はその枝でおおわれました。 + これはその枝を海にまでのべ、その若枝を大川にまでのべました。 + あなたは何ゆえ、そのかきをくずして道ゆくすべての人にその実を摘み取らせられるのですか。 + 林のいのししはこれを荒し、野のすべての獣はこれを食べます。 + 万軍の神よ、再び天から見おろして、このぶどうの木をかえりみてください。 + あなたの右の手の植えられた幹と、みずからのために強くされた枝とをかえりみてください。 + 彼らは火をもってこれを焼き、これを切り倒しました。彼らをみ顔のとがめによって滅ぼしてください。 + しかしあなたの手をその右の手の人の上におき、みずからのために強くされた人の子の上においてください。 + そうすれば、われらはあなたを離れ退くことはありません。われらを生かしてください。われらはあなたのみ名を呼びます。 + 万軍の神、主よ、われらをもとに返し、み顔の光を照してください。そうすればわれらは救をえるでしょう。 + + + われらの力なる神にむかって高らかに歌え。ヤコブの神にむかって喜びの声をあげよ。 + 歌をうたい、鼓を打て。良い音の琴と立琴とをかきならせ。 + 新月と満月とわれらの祭の日とにラッパを吹きならせ。 + これはイスラエルの定め、ヤコブの神のおきてである。 + 神が出てエジプトの国を攻められたとき、ヨセフのなかにこれを立てて、あかしとされた。わたしはかしこでまだ知らなかった言葉を聞いた、 + 「わたしはあなたの肩から重荷をのぞき、あなたの手をかごから免れさせた。 + あなたが悩んだとき、呼ばわったのでわたしはあなたを救った。わたしは雷の隠れた所で、あなたに答え、メリバの水のほとりで、あなたを試みた。 [セラ + わが民よ、聞け、わたしはあなたに勧告する。イスラエルよ、あなたがわたしに聞き従うことを望む。 + あなたのうちに他の神があってはならない。あなたは外国の神を拝んではならない。 + わたしはエジプトの国から、あなたをつれ出したあなたの神、主である。あなたの口を広くあけよ、わたしはそれを満たそう。 + しかしわが民はわたしの声に聞き従わず、イスラエルはわたしを好まなかった。 + それゆえ、わたしは彼らをそのかたくなな心にまかせ、その思いのままに行くにまかせた。 + わたしはわが民のわたしに聞き従い、イスラエルのわが道に歩むことを欲する。 + わたしはすみやかに彼らの敵を従え、わが手を彼らのあだに向けよう。 + 主を憎む者も彼らに恐れ従い、彼らの時はとこしえに続くであろう。 + わたしは麦の最も良いものをもってあなたを養い、岩から出た蜜をもってあなたを飽かせるであろう」。 + + + 神は神の会議のなかに立たれる。神は神々のなかで、さばきを行われる。 + 「あなたがたはいつまで不正なさばきをなし、悪しき者に好意を示すのか。 [セラ + 弱い者と、みなしごとを公平に扱い、苦しむ者と乏しい者の権利を擁護せよ。 + 弱い者と貧しい者を救い、彼らを悪しき者の手から助け出せ」。 + 彼らは知ることなく、悟ることもなくて、暗き中をさまよう。地のもろもろの基はゆり動いた。 + わたしは言う、「あなたがたは神だ、あなたがたは皆いと高き者の子だ。 + しかし、あなたがたは人のように死に、もろもろの君のひとりのように倒れるであろう」。 + 神よ、起きて、地をさばいてください。すべての国民はあなたのものだからです。 + + + 神よ、沈黙を守らないでください。神よ、何も言わずに、黙っていないでください。 + 見よ、あなたの敵は騒ぎたち、あなたを憎む者は頭をあげました。 + 彼らはあなたの民にむかって巧みなはかりごとをめぐらし、あなたの保護される者にむかって相ともに計ります。 + 彼らは言います、「さあ、彼らを断ち滅ぼして国を立てさせず、イスラエルの名をふたたび思い出させないようにしよう」。 + 彼らは心をひとつにして共にはかり、あなたに逆らって契約を結びます。 + すなわちエドムの天幕に住む者とイシマエルびと、モアブとハガルびと、 + ゲバルとアンモンとアマレク、ペリシテとツロの住民などです。 + アッスリヤもまた彼らにくみしました。彼らはロトの子孫を助けました。 [セラ + あなたがミデアンにされたように、キション川でシセラとヤビンにされたように、彼らにしてください。 + 彼らはエンドルで滅ぼされ、地のために肥料となりました。 + 彼らの貴人をオレブとゼエブのように、そのすべての君たちをゼバとザルムンナのようにしてください。 + 彼らは言いました、「われらは神の牧場を獲て、われらの所有にしよう」と。 + わが神よ、彼らを巻きあげられるちりのように、風の前のもみがらのようにしてください。 + 林を焼く火のように、山を燃やす炎のように、 + あなたのはやてをもって彼らを追い、つむじかぜをもって彼らを恐れさせてください。 + 彼らの顔に恥を満たしてください。主よ、そうすれば彼らはあなたの名を求めるでしょう。 + 彼らをとこしえに恥じ恐れさせ、あわて惑って滅びうせさせてください。 + 主という名をおもちになるあなたのみ、全地をしろしめすいと高き者であることを彼らに知らせてください。 + + + 万軍の主よ、あなたのすまいはいかに麗しいことでしょう。 + わが魂は絶えいるばかりに主の大庭を慕い、わが心とわが身は生ける神にむかって喜び歌います。 + すずめがすみかを得、つばめがそのひなをいれる巣を得るように、万軍の主、わが王、わが神よ、あなたの祭壇のかたわらにわがすまいを得させてください。 + あなたの家に住み、常にあなたをほめたたえる人はさいわいです。 [セラ + その力があなたにあり、その心がシオンの大路にある人はさいわいです。 + 彼らはバカの谷を通っても、そこを泉のある所とします。また前の雨は池をもってそこをおおいます。 + 彼らは力から力に進み、シオンにおいて神々の神にまみえるでしょう。 + 万軍の神、主よ、わが祈をおききください。ヤコブの神よ、耳を傾けてください。 [セラ + 神よ、われらの盾をみそなわし、あなたの油そそがれた者の顔をかえりみてください。 + あなたの大庭にいる一日は、よそにいる千日にもまさるのです。わたしは悪の天幕にいるよりは、むしろ、わが神の家の門守となることを願います。 + 主なる神は日です、盾です。主は恵みと誉とを与え、直く歩む者に良い物を拒まれることはありません。 + 万軍の主よ、あなたに信頼する人はさいわいです。 + + + 主よ、あなたはみ国にめぐみを示し、ヤコブの繁栄を回復されました。 + あなたはその民の不義をゆるし、彼らの罪をことごとくおおわれました。 [セラ + あなたはすべての怒りを捨て、激しい憤りを遠ざけられました。 + われらの救の神よ、われらを回復し、われらに対するあなたの憤りをおやめください。 + あなたはとこしえにわれらを怒り、よろずよまで、あなたの怒りを延ばされるのですか。 + あなたの民が、あなたによって喜びを得るため、われらを再び生かされないのですか。 + 主よ、あなたのいつくしみをわれらに示し、あなたの救をわれらに与えてください。 + わたしは主なる神の語られることを聞きましょう。主はその民、その聖徒、ならびにその心を主に向ける者に、平和を語られるからです。 + まことに、その救は神を恐れる者に近く、その栄光はわれらの国にとどまるでしょう。 + いつくしみと、まこととは共に会い、義と平和とは互に口づけし、 + まことは地からはえ、義は天から見おろすでしょう。 + 主が良い物を与えられるので、われらの国はその産物を出し、 + 義は主のみ前に行き、その足跡を道とするでしょう。 + + + 主よ、あなたの耳を傾けて、わたしにお答えください。わたしは苦しみかつ乏しいからです。 + わたしのいのちをお守りください。わたしは神を敬う者だからです。あなたに信頼するあなたのしもべをお救いください。あなたはわたしの神です。 + 主よ、わたしをあわれんでください。わたしはひねもすあなたに呼ばわります。 + あなたのしもべの魂を喜ばせてください。主よ、わが魂はあなたを仰ぎ望みます。 + 主よ、あなたは恵みふかく、寛容であって、あなたに呼ばわるすべての者にいつくしみを豊かに施されます。 + 主よ、わたしの祈に耳を傾け、わたしの願いの声をお聞きください。 + わたしの悩みの日にわたしはあなたに呼ばわります。あなたはわたしに答えられるからです。 + 主よ、もろもろの神のうちにあなたに等しい者はなく、また、あなたのみわざに等しいものはありません。 + 主よ、あなたが造られたすべての国民はあなたの前に来て、伏し拝み、み名をあがめるでしょう。 + あなたは大いなる神で、くすしきみわざをなされます。ただあなたのみ、神でいらせられます。 + 主よ、あなたの道をわたしに教えてください。わたしはあなたの真理に歩みます。心をひとつにしてみ名を恐れさせてください。 + わが神、主よ、わたしは心をつくしてあなたに感謝し、とこしえに、み名をあがめるでしょう。 + わたしに示されたあなたのいつくしみは大きく、わが魂を陰府の深い所から助け出されたからです。 + 神よ、高ぶる者はわたしに逆らって起り、荒ぶる者の群れはわたしのいのちを求め、彼らは自分の前にあなたを置くことをしません。 + しかし主よ、あなたはあわれみと恵みに富み、怒りをおそくし、いつくしみと、まこととに豊かな神でいらせられます。 + わたしをかえりみ、わたしをあわれみ、あなたのしもべにみ力を与え、あなたのはしための子をお救いください。 + わたしに、あなたの恵みのしるしをあらわしてください。そうすれば、わたしを憎む者どもはわたしを見て恥じるでしょう。主よ、あなたはわたしを助け、わたしを慰められたからです。 + + + 主が基をすえられた都は聖なる山の上に立つ。 + 主はヤコブのすべてのすまいにまさって、シオンのもろもろの門を愛される。 + 神の都よ、あなたについて、もろもろの栄光ある事が語られる。 [セラ + わたしはラハブとバビロンをわたしを知る者のうちに挙げる。ペリシテ、ツロ、またエチオピヤを見よ。「この者はかしこに生れた」と言われる。 + しかしシオンについては「この者も、かの者もその中に生れた」と言われる。いと高き者みずからシオンを堅く立てられるからである。 + 主がもろもろの民を登録されるとき、「この者はかしこに生れた」としるされる。 [セラ + 歌う者と踊る者はみな言う、「わがもろもろの泉はあなたのうちにある」と。 + + + わが神、主よ、わたしは昼、助けを呼び求め、夜、み前に叫び求めます。 + わたしの祈をみ前にいたらせ、わたしの叫びに耳を傾けてください。 + わたしの魂は悩みに満ち、わたしのいのちは陰府に近づきます。 + わたしは穴に下る者のうちに数えられ、力のない人のようになりました。 + すなわち死人のうちに捨てられた者のように、墓に横たわる殺された者のように、あなたが再び心にとめられない者のようになりました。彼らはあなたのみ手から断ち滅ぼされた者です。 + あなたはわたしを深い穴、暗い所、深い淵に置かれました。 + あなたの怒りはわたしの上に重く、あなたはもろもろの波をもってわたしを苦しめられました。 [セラ + あなたはわが知り人をわたしから遠ざけ、わたしを彼らの忌みきらう者とされました。わたしは閉じこめられて、のがれることはできません。 + わたしの目は悲しみによって衰えました。主よ、わたしは日ごとにあなたを呼び、あなたにむかってわが両手を伸べました。 + あなたは死んだ者のために奇跡を行われるでしょうか。なき人のたましいは起きあがってあなたをほめたたえるでしょうか。 [セラ + あなたのいつくしみは墓のなかに、あなたのまことは滅びのなかに、宣べ伝えられるでしょうか。 + あなたの奇跡は暗やみに、あなたの義は忘れの国に知られるでしょうか。 + しかし主よ、わたしはあなたに呼ばわります。あしたに、わが祈をあなたのみ前にささげます。 + 主よ、なぜ、あなたはわたしを捨てられるのですか。なぜ、わたしにみ顔を隠されるのですか。 + わたしは若い時から苦しんで死ぬばかりです。あなたの脅しにあって衰えはてました。 + あなたの激しい怒りがわたしを襲い、あなたの恐ろしい脅しがわたしを滅ぼしました。 + これらの事がひねもす大水のようにわたしをめぐり、わたしを全く取り巻きました。 + あなたは愛する者と友とをわたしから遠ざけ、わたしの知り人を暗やみにおかれました。 + + + 主よ、わたしはとこしえにあなたのいつくしみを歌い、わたしの口をもってあなたのまことをよろずよに告げ知らせます。 + あなたのいつくしみはとこしえに堅く立ち、あなたのまことは天のようにゆるぐことはありません。 + あなたは言われました、「わたしはわたしの選んだ者と契約を結び、わたしのしもべダビデに誓った、 + 『わたしはあなたの子孫をとこしえに堅くし、あなたの王座を建てて、よろずよに至らせる』」。 [セラ + 主よ、もろもろの天にあなたのくすしきみわざをほめたたえさせ、聖なる者のつどいで、あなたのまことをほめたたえさせてください。 + 大空のうちに、だれか主と並ぶものがあるでしょうか。神の子らのうちに、だれか主のような者があるでしょうか。 + 主は聖なる者の会議において恐るべき神、そのまわりにあるすべての者にまさって大いなる恐るべき者です。 + 万軍の神、主よ、主よ、だれかあなたのように大能のある者があるでしょうか。あなたのまことは、あなたをめぐっています。 + あなたは海の荒れるのを治め、その波の起るとき、これを静められます。 + あなたはラハブを、殺された者のように打ち砕き、あなたの敵を力ある腕をもって散らされました。 + もろもろの天はあなたのもの、地もまたあなたのもの、世界とその中にあるものとはあなたがその基をおかれたものです。 + 北と南はあなたがこれを造られました。タボルとヘルモンは、み名を喜び歌います。 + あなたは大能の腕をもたれます。あなたの手は強く、あなたの右の手は高く、 + 義と公平はあなたのみくらの基、いつくしみと、まことはあなたの前に行きます。 + 祭の日の喜びの声を知る民はさいわいです。主よ、彼らはみ顔の光のなかを歩み、 + ひねもす、み名によって喜び、あなたの義をほめたたえます。 + あなたは彼らの力の栄光だからです。われらの角はあなたの恵みによって高くあげられるでしょう。 + われらの盾は主に属し、われらの王はイスラエルの聖者に属します。 + 昔あなたは幻をもってあなたの聖徒に告げて言われました、「わたしは勇士に栄冠を授け、民の中から選ばれた者を高くあげた。 + わたしはわがしもべダビデを得て、これにわが聖なる油をそそいだ。 + わが手は常に彼と共にあり、わが腕はまた彼を強くする。 + 敵は彼をだますことなく、悪しき者は彼を卑しめることはない。 + わたしは彼の前にもろもろのあだを打ち滅ぼし、彼を憎む者どもを打ち倒す。 + わがまことと、わがいつくしみは彼と共にあり、わが名によって彼の角は高くあげられる。 + わたしは彼の手を海の上におき、彼の右の手を川の上におく。 + 彼はわたしにむかい『あなたはわが父、わが神、わが救の岩』と呼ぶであろう。 + わたしはまた彼をわがういごとし、地の王たちのうちの最も高い者とする。 + わたしはとこしえに、わがいつくしみを彼のために保ち、わが契約は彼のために堅く立つ。 + わたしは彼の家系をとこしえに堅く定め、その位を天の日数のようにながらえさせる。 + もしその子孫がわがおきてを捨て、わがさばきに従って歩まないならば、 + もし彼らがわが定めを犯し、わが戒めを守らないならば、 + わたしはつえをもって彼らのとがを罰し、むちをもって彼らの不義を罰する。 + しかし、わたしはわがいつくしみを彼から取り去ることなく、わがまことにそむくことはない。 + わたしはわが契約を破ることなく、わがくちびるから出た言葉を変えることはない。 + わたしはひとたびわが聖によって誓った。わたしはダビデに偽りを言わない。 + 彼の家系はとこしえに続き、彼の位は太陽のように常にわたしの前にある。 + また月のようにとこしえに堅く定められ、大空の続くかぎり堅く立つ」。 [セラ + しかしあなたは、あなたの油そそがれた者を捨ててしりぞけ、彼に対して激しく怒られました。 + あなたはそのしもべとの契約を廃棄し、彼の冠を地になげうって、けがされました。 + あなたはその城壁をことごとくこわし、そのとりでを荒れすたれさせられました。 + そこを通り過ぎる者は皆彼をかすめ、彼はその隣り人のあざけりとなりました。 + あなたは彼のあだの右の手を高くあげ、そのもろもろの敵を喜ばせられました。 + まことに、あなたは彼のつるぎの刃をかえして、彼を戦いに立たせられなかったのです。 + あなたは彼の手から王のつえを取り去り、その王座を地に投げすてられました。 + あなたは彼の若き日をちぢめ、恥をもって彼をおおわれました。 [セラ + 主よ、いつまでなのですか。とこしえにお隠れになるのですか。あなたの怒りはいつまで火のように燃えるのですか。 + 主よ、人のいのちの、いかに短く、すべての人の子を、いかにはかなく造られたかを、みこころにとめてください。 + だれか生きて死を見ず、その魂を陰府の力から救いうるものがあるでしょうか。 [セラ + 主よ、あなたがまことをもってダビデに誓われた昔のいつくしみはどこにありますか。 + + 主よ、あなたのしもべがうけるはずかしめをみこころにとめてください。主よ、あなたのもろもろの敵はわたしをそしり、あなたの油そそがれた者の足跡をそしります。わたしはもろもろの民のそしりをわたしのふところにいだいているのです。 + 主はとこしえにほむべきかな。アァメン、アァメン。 + + + 主よ、あなたは世々われらのすみかでいらせられる。 + 山がまだ生れず、あなたがまだ地と世界とを造られなかったとき、とこしえからとこしえまで、あなたは神でいらせられる。 + あなたは人をちりに帰らせて言われます、「人の子よ、帰れ」と。 + あなたの目の前には千年も過ぎ去ればきのうのごとく、夜の間のひと時のようです。 + あなたは人を大水のように流れ去らせられます。彼らはひと夜の夢のごとく、あしたにもえでる青草のようです。 + あしたにもえでて、栄えるが、夕べには、しおれて枯れるのです。 + われらはあなたの怒りによって消えうせ、あなたの憤りによって滅び去るのです。 + あなたはわれらの不義をみ前におき、われらの隠れた罪をみ顔の光のなかにおかれました。 + われらのすべての日は、あなたの怒りによって過ぎ去り、われらの年の尽きるのは、ひと息のようです。 + われらのよわいは七十年にすぎません。あるいは健やかであっても八十年でしょう。しかしその一生はただ、ほねおりと悩みであって、その過ぎゆくことは速く、われらは飛び去るのです。 + だれがあなたの怒りの力を知るでしょうか。だれがあなたをおそれる恐れにしたがってあなたの憤りを知るでしょうか。 + われらにおのが日を数えることを教えて、知恵の心を得させてください。 + 主よ、み心を変えてください。いつまでお怒りになるのですか。あなたのしもべをあわれんでください。 + あしたに、あなたのいつくしみをもってわれらを飽き足らせ、世を終るまで喜び楽しませてください。 + あなたがわれらを苦しめられた多くの日と、われらが災にあった多くの年とに比べて、われらを楽しませてください。 + あなたのみわざを、あなたのしもべらに、あなたの栄光を、その子らにあらわしてください。 + われらの神、主の恵みを、われらの上にくだし、われらの手のわざを、われらの上に栄えさせてください。われらの手のわざを栄えさせてください。 + + + いと高き者のもとにある隠れ場に住む人、全能者の陰にやどる人は + 主に言うであろう、「わが避け所、わが城、わが信頼しまつるわが神」と。 + 主はあなたをかりゅうどのわなと、恐ろしい疫病から助け出されるからである。 + 主はその羽をもって、あなたをおおわれる。あなたはその翼の下に避け所を得るであろう。そのまことは大盾、また小盾である。 + あなたは夜の恐ろしい物をも、昼に飛んでくる矢をも恐れることはない。 + また暗やみに歩きまわる疫病をも、真昼に荒す滅びをも恐れることはない。 + たとい千人はあなたのかたわらに倒れ、万人はあなたの右に倒れても、その災はあなたに近づくことはない。 + あなたはただ、その目をもって見、悪しき者の報いを見るだけである。 + あなたは主を避け所とし、いと高き者をすまいとしたので、 + 災はあなたに臨まず、悩みはあなたの天幕に近づくことはない。 + これは主があなたのために天使たちに命じて、あなたの歩むすべての道であなたを守らせられるからである。 + 彼らはその手で、あなたをささえ、石に足を打ちつけることのないようにする。 + あなたはししと、まむしとを踏み、若いししと、へびとを足の下に踏みにじるであろう。 + 彼はわたしを愛して離れないゆえに、わたしは彼を助けよう。彼はわが名を知るゆえに、わたしは彼を守る。 + 彼がわたしを呼ぶとき、わたしは彼に答える。わたしは彼の悩みのときに、共にいて、彼を救い、彼に光栄を与えよう。 + わたしは長寿をもって彼を満ち足らせ、わが救を彼に示すであろう。 + + + いと高き者よ、主に感謝し、み名をほめたたえるのは、よいことです。 + あしたに、あなたのいつくしみをあらわし、夜な夜な、あなたのまことをあらわすために、 + 十弦の楽器と立琴を用い、琴のたえなる調べを用いるのは、よいことです。 + 主よ、あなたはみわざをもってわたしを楽しませられました。わたしはあなたのみ手のわざを喜び歌います。 + 主よ、あなたのみわざはいかに大いなることでしょう。あなたのもろもろの思いは、いとも深く、 + 鈍い者は知ることができず、愚かな者はこれを悟ることができません。 + たとい、悪しき者は草のようにもえいで、不義を行う者はことごとく栄えても、彼らはとこしえに滅びに定められているのです。 + しかし、主よ、あなたはとこしえに高き所にいらせられます。 + 主よ、あなたの敵、あなたの敵は滅び、不義を行う者はことごとく散らされるでしょう。 + しかし、あなたはわたしの角を野牛の角のように高くあげ、新しい油をわたしに注がれました。 + わたしの目はわが敵の没落を見、わたしの耳はわたしを攻める悪者どもの破滅を聞きました。 + 正しい者はなつめやしの木のように栄え、レバノンの香柏のように育ちます。 + 彼らは主の家に植えられ、われらの神の大庭に栄えます。 + 彼らは年老いてなお実を結び、いつも生気に満ち、青々として、 + 主の正しいことを示すでしょう。主はわが岩です。主には少しの不義もありません。 + + + 主は王となり、威光の衣をまとわれます。主は衣をまとい、力をもって帯とされます。まことに、世界は堅く立って、動かされることはありません。 + あなたの位はいにしえより堅く立ち、あなたはとこしえよりいらせられます。 + 主よ、大水は声をあげました。大水はその声をあげました。大水はそのとどろく声をあげます。 + 主は高き所にいらせられて、その勢いは多くの水のとどろきにまさり、海の大波にまさって盛んです。 + あなたのあかしはいとも確かです。主よ、聖なることはとこしえまでもあなたの家にふさわしいのです。 + + + あだを報いられる神、主よ、あだを報いられる神よ、光を放ってください。 + 地をさばかれる者よ、立って高ぶる者にその受くべき罰をお与えください。 + 主よ、悪しき者はいつまで、悪しき者はいつまで勝ち誇るでしょうか。 + 彼らは高慢な言葉を吐き散らし、すべて不義を行う者はみずから高ぶります。 + 主よ、彼らはあなたの民を打ち砕き、あなたの嗣業を苦しめます。 + 彼らはやもめと旅びとのいのちをうばい、みなしごを殺します。 + 彼らは言います、「主は見ない、ヤコブの神は悟らない」と。 + 民のうちの鈍き者よ、悟れ。愚かな者よ、いつ賢くなるだろうか。 + 耳を植えた者は聞くことをしないだろうか、目を造った者は見ることをしないだろうか。 + もろもろの国民を懲らす者は罰することをしないだろうか、人を教える者は知識をもたないだろうか。 + 主は人の思いの、むなしいことを知られる。 + 主よ、あなたによって懲らされる人、あなたのおきてを教えられる人はさいわいです。 + あなたはその人を災の日からのがれさせ、悪しき者のために穴が掘られるまでその人に平安を与えられます。 + 主はその民を捨てず、その嗣業を見捨てられないからです。 + さばきは正義に帰り、すべて心の正しい者はそれに従うでしょう。 + だれがわたしのために立ちあがって、悪しき者を責めるだろうか。だれがわたしのために立って、不義を行う者を責めるだろうか。 + もしも主がわたしを助けられなかったならば、わが魂はとくに音なき所に住んだであろう。 + しかし「わたしの足がすべる」と思ったとき、主よ、あなたのいつくしみはわたしをささえられました。 + わたしのうちに思い煩いの満ちるとき、あなたの慰めはわが魂を喜ばせます。 + 定めをもって危害をたくらむ悪しき支配者はあなたと親しむことができるでしょうか。 + 彼らは相結んで正しい人の魂を責め、罪のない者に死を宣告します。 + しかし主はわが高きやぐらとなり、わが神はわが避け所の岩となられました。 + 主は彼らの不義を彼らに報い、彼らをその悪のゆえに滅ぼされます。われらの神、主は彼らを滅ぼされます。 + + + さあ、われらは主にむかって歌い、われらの救の岩にむかって喜ばしい声をあげよう。 + われらは感謝をもって、み前に行き、主にむかい、さんびの歌をもって、喜ばしい声をあげよう。 + 主は大いなる神、すべての神にまさって大いなる王だからである。 + 地の深い所は主のみ手にあり、山々の頂もまた主のものである。 + 海は主のもの、主はこれを造られた。またそのみ手はかわいた地を造られた。 + さあ、われらは拝み、ひれ伏し、われらの造り主、主のみ前にひざまずこう。 + 主はわれらの神であり、われらはその牧の民、そのみ手の羊である。どうか、あなたがたは、きょう、そのみ声を聞くように。 + あなたがたは、メリバにいた時のように、また荒野のマッサにいた日のように、心をかたくなにしてはならない。 + あの時、あなたがたの先祖たちはわたしのわざを見たにもかかわらず、わたしを試み、わたしをためした。 + わたしは四十年の間、その代をきらって言った、「彼らは心の誤っている民であって、わたしの道を知らない」と。 + それゆえ、わたしは憤って、彼らはわが安息に入ることができないと誓った。 + + + 新しい歌を主にむかってうたえ。全地よ、主にむかってうたえ。 + 主にむかって歌い、そのみ名をほめよ。日ごとにその救を宣べ伝えよ。 + もろもろの国の中にその栄光をあらわし、もろもろの民の中にそのくすしきみわざをあらわせ。 + 主は大いなる神であって、いともほめたたうべきもの、もろもろの神にまさって恐るべき者である。 + もろもろの民のすべての神はむなしい。しかし主はもろもろの天を造られた。 + 誉と、威厳とはそのみ前にあり、力と、うるわしさとはその聖所にある。 + もろもろの民のやからよ、主に帰せよ、栄光と力とを主に帰せよ。 + そのみ名にふさわしい栄光を主に帰せよ。供え物を携えてその大庭にきたれ。 + 聖なる装いをして主を拝め、全地よ、そのみ前におののけ。 + もろもろの国民の中に言え、「主は王となられた。世界は堅く立って、動かされることはない。主は公平をもってもろもろの民をさばかれる」と。 + 天は喜び、地は楽しみ、海とその中に満ちるものとは鳴りどよめき、 + 田畑とその中のすべての物は大いに喜べ。そのとき、林のもろもろの木も主のみ前に喜び歌うであろう。 + 主は来られる、地をさばくために来られる。主は義をもって世界をさばき、まことをもってもろもろの民をさばかれる。 + + + 主は王となられた。地は楽しみ、海に沿った多くの国々は喜べ。 + 雲と暗やみとはそのまわりにあり、義と正とはそのみくらの基である。 + 火はそのみ前に行き、そのまわりのあだを焼きつくす。 + 主のいなずまは世界を照し、地は見ておののく。 + もろもろの山は主のみ前に、全地の主のみ前に、ろうのように溶けた。 + もろもろの天はその義をあらわし、よろずの民はその栄光を見た。 + すべて刻んだ像を拝む者、むなしい偶像をもってみずから誇る者ははずかしめをうける。もろもろの神は主のみ前にひれ伏す。 + 主よ、あなたのさばきのゆえに、シオンは聞いて喜び、ユダの娘たちは楽しむ。 + 主よ、あなたは全地の上にいまして、いと高く、もろもろの神にまさって大いにあがめられます。 + 主は悪を憎む者を愛し、その聖徒のいのちを守り、これを悪しき者の手から助け出される。 + 光は正しい人のために現れ、喜びは心の正しい者のためにあらわれる。 + 正しき人よ、主によって喜べ、その聖なるみ名に感謝せよ。 + + + 新しき歌を主にむかってうたえ。主はくすしきみわざをなされたからである。その右の手と聖なる腕とは、おのれのために勝利を得られた。 + 主はその勝利を知らせ、その義をもろもろの国民の前にあらわされた。 + 主はそのいつくしみと、まこととをイスラエルの家にむかって覚えられた。地のもろもろのはては、われらの神の勝利を見た。 + 全地よ、主にむかって喜ばしき声をあげよ。声を放って喜び歌え、ほめうたえ。 + 琴をもって主をほめうたえ。琴と歌の声をもってほめうたえ。 + ラッパと角笛の音をもって王なる主の前に喜ばしき声をあげよ。 + 海とその中に満ちるもの、世界とそのうちに住む者とは鳴りどよめけ。 + 大水はその手を打ち、もろもろの山は共に主のみ前に喜び歌え。 + 主は地をさばくために来られるからである。主は義をもって世界をさばき、公平をもってもろもろの民をさばかれる。 + + + 主は王となられた。もろもろの民はおののけ。主はケルビムの上に座せられる。地は震えよ。 + 主はシオンにおられて大いなる神、主はもろもろの民の上に高くいらせられる。 + 彼らはあなたの大いなる恐るべきみ名をほめたたえるであろう。主は聖でいらせられる。 + 大能の王であり、公義を愛する者であるあなたは堅く公平を立て、ヤコブの中に正と義とを行われた。 + われらの神、主をあがめ、その足台のもとで拝みまつれ。主は聖でいらせられる。 + その祭司の中にモーセとアロンとがあった。そのみ名を呼ぶ者の中にサムエルもあった。彼らが主に呼ばわると、主は答えられた。 + 主は雲の柱のうちで彼らに語られた。彼らはそのあかしと、彼らに賜わった定めとを守った。 + われらの神、主よ、あなたは彼らに答えられた。あなたは彼らにゆるしを与えられた神であったが、悪を行う者には報復された。 + われらの神、主をあがめ、その聖なる山で拝みまつれ。われらの神、主は聖でいらせられるからである。 + + + 全地よ、主にむかって喜ばしき声をあげよ。 + 喜びをもって主に仕えよ。歌いつつ、そのみ前にきたれ。 + 主こそ神であることを知れ。われらを造られたものは主であって、われらは主のものである。われらはその民、その牧の羊である。 + 感謝しつつ、その門に入り、ほめたたえつつ、その大庭に入れ。主に感謝し、そのみ名をほめまつれ。 + 主は恵みふかく、そのいつくしみはかぎりなく、そのまことはよろず代に及ぶからである。 + + + わたしはいつくしみと公義について歌います。主よ、わたしはあなたにむかって歌います。 + わたしは全き道に心をとめます。あなたはいつ、わたしに来られるでしょうか。わたしは直き心をもって、わが家のうちを歩みます。 + わたしは目の前に卑しい事を置きません。わたしはそむく者の行いを憎みます。それはわたしに付きまといません。 + ひがんだ心はわたしを離れるでしょう。わたしは悪い事を知りません。 + ひそかに、その隣り人をそしる者をわたしは滅ぼします。高ぶる目と高慢な心の人を耐え忍ぶ事はできません。 + わたしは国のうちの忠信な者に好意を寄せ、わたしと共に住まわせます。全き道を歩む者はわたしに仕えるでしょう。 + 欺くことをする者はわが家のうちに住むことができません。偽りを言う者はわが目の前に立つことができません。 + わたしは朝ごとに国の悪しき者をことごとく滅ぼし、不義を行う者をことごとく主の都から断ち除きます。 + + + 主よ、わたしの祈をお聞きください。わたしの叫びをみ前に至らせてください。 + わたしの悩みの日にみ顔を隠すことなく、あなたの耳をわたしに傾け、わが呼ばわる日に、すみやかにお答えください。 + わたしの日は煙のように消え、わたしの骨は炉のように燃えるからです。 + わたしの心は草のように撃たれて、しおれました。わたしはパンを食べることを忘れました。 + わが嘆きの声によってわたしの骨はわたしの肉に着きます。 + わたしは荒野のはげたかのごとく、荒れた跡のふくろうのようです。 + わたしは眠らずに屋根にひとりいるすずめのようです。 + わたしの敵はひねもす、わたしをそしり、わたしをあざける者はわが名によってのろいます。 + わたしは灰をパンのように食べ、わたしの飲み物に涙を交えました。 + これはあなたの憤りと怒りのゆえです。あなたはわたしをもたげて投げすてられました。 + わたしのよわいは夕暮の日影のようです。わたしは草のようにしおれました。 + しかし主よ、あなたはとこしえにみくらに座し、そのみ名はよろず代に及びます。 + あなたは立ってシオンをあわれまれるでしょう。これはシオンを恵まれる時であり、定まった時が来たからです。 + あなたのしもべはシオンの石をも喜び、そのちりをさえあわれむのです。 + もろもろの国民は主のみ名を恐れ、地のもろもろの王はあなたの栄光を恐れるでしょう。 + 主はシオンを築き、その栄光をもって現れ、 + 乏しい者の祈をかえりみ、彼らの願いをかろしめられないからです。 + きたるべき代のために、この事を書きしるしましょう。そうすれば新しく造られる民は、主をほめたたえるでしょう。 + 主はその聖なる高き所から見おろし、天から地を見られた。 + これは捕われ人の嘆きを聞き、死に定められた者を解き放ち、 + 人々がシオンで主のみ名をあらわし、エルサレムでその誉をあらわすためです。 + その時もろもろの民、もろもろの国はともに集まって、主に仕えるでしょう。 + 主はわたしの力を中途でくじき、わたしのよわいを短くされました。 + わたしは言いました、「わが神よ、どうか、わたしのよわいの半ばでわたしを取り去らないでください。あなたのよわいはよろず代に及びます」と。 + あなたはいにしえ、地の基をすえられました。天もまたあなたのみ手のわざです。 + これらは滅びるでしょう。しかしあなたは長らえられます。これらはみな衣のように古びるでしょう。あなたがこれらを上着のように替えられると、これらは過ぎ去ります。 + しかしあなたは変ることなく、あなたのよわいは終ることがありません。 + あなたのしもべの子らは安らかに住み、その子孫はあなたの前に堅く立てられるでしょう。 + + + わがたましいよ、主をほめよ。わがうちなるすべてのものよ、その聖なるみ名をほめよ。 + わがたましいよ、主をほめよ。そのすべてのめぐみを心にとめよ。 + 主はあなたのすべての不義をゆるし、あなたのすべての病をいやし、 + あなたのいのちを墓からあがないいだし、いつくしみと、あわれみとをあなたにこうむらせ、 + あなたの生きながらえるかぎり、良き物をもってあなたを飽き足らせられる。こうしてあなたは若返って、わしのように新たになる。 + 主はすべてしえたげられる者のために正義と公正とを行われる。 + 主はおのれの道をモーセに知らせ、おのれのしわざをイスラエルの人々に知らせられた。 + 主はあわれみに富み、めぐみふかく、怒ること遅く、いつくしみ豊かでいらせられる。 + 主は常に責めることをせず、また、とこしえに怒りをいだかれない。 + 主はわれらの罪にしたがってわれらをあしらわず、われらの不義にしたがって報いられない。 + 天が地よりも高いように、主がおのれを恐れる者に賜わるいつくしみは大きい、 + 東が西から遠いように、主はわれらのとがをわれらから遠ざけられる。 + 父がその子供をあわれむように、主はおのれを恐れる者をあわれまれる。 + 主はわれらの造られたさまを知り、われらのちりであることを覚えていられるからである。 + 人は、そのよわいは草のごとく、その栄えは野の花にひとしい。 + 風がその上を過ぎると、うせて跡なく、その場所にきいても、もはやそれを知らない。 + しかし主のいつくしみは、とこしえからとこしえまで、主を恐れる者の上にあり、その義は子らの子に及び、 + その契約を守り、その命令を心にとめて行う者にまで及ぶ。 + 主はその玉座を天に堅くすえられ、そのまつりごとはすべての物を統べ治める。 + 主の使たちよ、そのみ言葉の声を聞いて、これを行う勇士たちよ、主をほめまつれ。 + そのすべての万軍よ、そのみこころを行うしもべたちよ、主をほめよ。 + 主が造られたすべての物よ、そのまつりごとの下にあるすべての所で、主をほめよ。わがたましいよ、主をほめよ。 + + + わがたましいよ、主をほめよ。わが神、主よ、あなたはいとも大いにして誉と威厳とを着、 + 光を衣のようにまとい、天を幕のように張り、 + 水の上におのが高殿のうつばりをおき、雲をおのれのいくさ車とし、風の翼に乗りあるき、 + 風をおのれの使者とし、火と炎をおのれのしもべとされる。 + あなたは地をその基の上にすえて、とこしえに動くことのないようにされた。 + あなたはこれを衣でおおうように大水でおおわれた。水はたたえて山々の上を越えた。 + あなたのとがめによって水は退き、あなたの雷の声によって水は逃げ去った。 + 山は立ちあがり、谷はあなたが定められた所に沈んだ。 + あなたは水に境を定めて、これを越えさせず、再び地をおおうことのないようにされた。 + あなたは泉を谷にわき出させ、それを山々の間に流れさせ、 + 野のもろもろの獣に飲ませられる。野のろばもそのかわきをいやす。 + 空の鳥もそのほとりに住み、こずえの間にさえずり歌う。 + あなたはその高殿からもろもろの山に水を注がれる。地はあなたのみわざの実をもって満たされる。 + あなたは家畜のために草をはえさせ、また人のためにその栽培する植物を与えて、地から食物を出させられる。 + すなわち人の心を喜ばすぶどう酒、その顔をつややかにする油、人の心を強くするパンなどである。 + 主の木と、主がお植えになったレバノンの香柏とは豊かに潤され、 + 鳥はその中に巣をつくり、こうのとりはもみの木をそのすまいとする。 + 高き山はやぎのすまい、岩は岩だぬきの隠れる所である。 + あなたは月を造って季節を定められた。日はその入る時を知っている。 + あなたは暗やみを造って夜とされた。その時、林の獣は皆忍び出る。 + 若きししはほえてえさを求め、神に食物を求める。 + 日が出ると退いて、その穴に寝る。 + 人は出てわざにつき、その勤労は夕べに及ぶ。 + 主よ、あなたのみわざはいかに多いことであろう。あなたはこれらをみな知恵をもって造られた。地はあなたの造られたもので満ちている。 + かしこに大いなる広い海がある。その中に無数のもの、大小の生き物が満ちている。 + そこに舟が走り、あなたが造られたレビヤタンはその中に戯れる。 + 彼らは皆あなたが時にしたがって食物をお与えになるのを期待している。 + あなたがお与えになると、彼らはそれを集める。あなたが手を開かれると、彼らは良い物で満たされる。 + あなたがみ顔を隠されると、彼らはあわてふためく。あなたが彼らの息を取り去られると、彼らは死んでちりに帰る。 + あなたが霊を送られると、彼らは造られる。あなたは地のおもてを新たにされる。 + どうか、主の栄光がとこしえにあるように。主がそのみわざを喜ばれるように。 + 主が地を見られると、地は震い、山に触れられると、煙をいだす。 + わたしは生きるかぎり、主にむかって歌い、ながらえる間はわが神をほめ歌おう。 + どうか、わたしの思いが主に喜ばれるように。わたしは主によって喜ぶ。 + どうか、罪びとが地から断ち滅ぼされ、悪しき者が、もはや、いなくなるように。わがたましいよ、主をほめよ。主をほめたたえよ。 + + + 主に感謝し、そのみ名を呼び、そのみわざをもろもろの民のなかに知らせよ。 + 主にむかって歌え、主をほめうたえ、そのすべてのくすしきみわざを語れ。 + その聖なるみ名を誇れ。主を尋ね求める者の心を喜ばせよ。 + 主とそのみ力とを求めよ、つねにそのみ顔を尋ねよ。 + + そのしもべアブラハムの子孫よ、その選ばれた者であるヤコブの子らよ、主のなされたくすしきみわざと、その奇跡と、そのみ口のさばきとを心にとめよ。 + 彼はわれらの神、主でいらせられる。そのさばきは全地にある。 + 主はとこしえに、その契約をみこころにとめられる。これはよろず代に命じられたみ言葉であって、 + アブラハムと結ばれた契約、イサクに誓われた約束である。 + 主はこれを堅く立てて、ヤコブのために定めとし、イスラエルのために、とこしえの契約として + 言われた、「わたしはあなたにカナンの地を与えて、あなたがたの受ける嗣業の分け前とする」と。 + このとき彼らの数は少なくて、数えるに足らず、その所で旅びととなり、 + この国からかの国へ行き、この国から他の民へ行った。 + 主は人の彼らをしえたげるのをゆるさず、彼らのために王たちを懲しめて、 + 言われた、「わが油そそがれた者たちにさわってはならない、わが預言者たちに害を加えてはならない」と。 + 主はききんを地に招き、人のつえとするパンをことごとく砕かれた。 + また彼らの前にひとりをつかわされた。すなわち売られて奴隷となったヨセフである。 + 彼の足は足かせをもって痛められ、彼の首は鉄の首輪にはめられ、 + 彼の言葉の成る時まで、主のみ言葉が彼を試みた。 + 王は人をつかわして彼を解き放ち、民のつかさは彼に自由を与えた。 + 王はその家のつかさとしてその所有をことごとくつかさどらせ、 + その心のままに君たちを教えさせ、長老たちに知恵を授けさせた。 + その時イスラエルはエジプトにきたり、ヤコブはハムの地に寄留した。 + 主はその民を大いに増し加え、これをそのあだよりも強くされた。 + 主は人々の心をかえて、その民を憎ませ、そのしもべたちを悪賢く扱わせられた。 + 主はそのしもべモーセと、そのお選びになったアロンとをつかわされた。 + 彼らはハムの地で主のしるしと、奇跡とを彼らのうちにおこなった。 + 主は暗やみをつかわして地を暗くされた。しかし彼らはそのみ言葉に従わなかった。 + 主は彼らの水を血に変らせて、その魚を殺された。 + 彼らの国には、かえるが群がり、王の寝間にまではいった。 + 主が言われると、はえの群れがきたり、ぶよが国じゅうにあった。 + 主は雨にかえて、ひょうを彼らに与え、きらめくいなずまを彼らの国に放たれた。 + 主は彼らのぶどうの木と、いちじくの木とを撃ち、彼らの国のもろもろの木を折り砕かれた。 + 主が言われると、いなごがきたり、無数の若いいなごが来て、 + 彼らの国のすべての青物を食いつくし、その地の実を食いつくした。 + 主は彼らの国のすべてのういごを撃ち、彼らのすべての力の初めを撃たれた。 + そして金銀を携えてイスラエルを出て行かせられた。その部族のうちに、ひとりの倒れる者もなかった。 + エジプトは彼らの去るのを喜んだ。彼らに対する恐れが彼らに臨んだからである。 + 主は雲をひろげておおいとし、夜は火をもって照された。 + また彼らの求めによって、うずらを飛びきたらせ、天から、かてを豊かに彼らに与えられた。 + 主が岩を開かれると、水がほとばしり出て、かわいた地に川のように流れた。 + これは主がその聖なる約束と、そのしもべアブラハムを覚えられたからである。 + こうして主はその民を導いて喜びつつ出て行かせ、その選ばれた民を導いて歌いつつ出て行かせられた。 + 主はもろもろの国びとの地を彼らに与えられたので、彼らはもろもろの民の勤労の実を自分のものとした。 + これは彼らが主の定めを守り、そのおきてを行うためである。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 + だれが主の大能のみわざを語り、その誉をことごとく言いあらわすことができようか。 + 公正を守る人々、常に正義を行う人はさいわいである。 + 主よ、あなたがその民を恵まれるとき、わたしを覚えてください。あなたが彼らを救われるとき、わたしを助けてください。 + そうすれば、わたしはあなたの選ばれた者の繁栄を見、あなたの国民の喜びをよろこび、あなたの嗣業と共に誇ることができるでしょう。 + われらは先祖たちと同じく罪を犯した。われらは不義をなし、悪しきことを行った。 + われらの先祖たちはエジプトにいたとき、あなたのくすしきみわざに心を留めず、あなたのいつくしみの豊かなのを思わず、紅海で、いと高き神にそむいた。 + けれども主はその大能を知らせようと、み名のために彼らを救われた。 + 主は紅海をしかって、それをかわかし、彼らを導いて荒野を行くように、淵を通らせられた。 + こうして主は彼らをあだの手から救い、敵の力からあがなわれた。 + 水が彼らのあだをおおったので、そのうち、ひとりも生き残った者はなかった。 + このとき彼らはそのみ言葉を信じ、その誉を歌った。 + しかし彼らはまもなくそのみわざを忘れ、その勧めを待たず、 + 野でわがままな欲望を起し、荒野で神を試みた。 + 主は彼らにその求めるものを与えられたが、彼らのうちに病気を送って、やせ衰えさせられた。 + 人々が宿営のうちでモーセをねたみ、主の聖者アロンをねたんだとき、 + 地が開けてダタンを飲み、アビラムの仲間をおおった。 + 火はまたこの仲間のうちに燃え起り、炎は悪しき者を焼きつくした。 + 彼らはホレブで子牛を造り、鋳物の像を拝んだ。 + 彼らは神の栄光を草を食う牛の像と取り替えた。 + + 彼らは、エジプトで大いなる事をなし、ハムの地でくすしきみわざをなし、紅海のほとりで恐るべき事をなされた救主なる神を忘れた。 + それゆえ、主は彼らを滅ぼそうと言われた。しかし主のお選びになったモーセは破れ口で主のみ前に立ち、み怒りを引きかえして、滅びを免れさせた。 + 彼らは麗しい地を侮り、主の約束を信ぜず、 + またその天幕でつぶやき、主のみ声に聞き従わなかった。 + それゆえ、主はみ手をあげて、彼らに誓い、彼らを荒野で倒れさせ、 + またその子孫を、もろもろの国民のうちに追い散らし、もろもろの地に彼らをまき散らそうとされた。 + また彼らはペオルのバアルを慕って、死んだ者にささげた、いけにえを食べた。 + 彼らはそのおこないをもって主を怒らせたので、彼らのうちに疫病が起った。 + その時ピネハスが立って仲裁にはいったので、疫病はやんだ。 + これによってピネハスはよろず代まで、とこしえに義とされた。 + 彼らはまたメリバの水のほとりで主を怒らせたので、モーセは彼らのために災にあった。 + これは彼らが神の霊にそむいたとき、彼がそのくちびるで軽率なことを言ったからである。 + 彼らは主が命じられたもろもろの民を滅ぼさず、 + かえってもろもろの国民とまじってそのわざにならい、 + 自分たちのわなとなった偶像に仕えた。 + 彼らはそのむすこ、娘たちを悪霊にささげ、 + 罪のない血、すなわちカナンの偶像にささげたそのむすこ、娘たちの血を流した。こうして国は血で汚された。 + このように彼らはそのわざによっておのれを汚し、そのおこないによって姦淫をなした。 + それゆえ、主の怒りがその民にむかって燃え、その嗣業を憎んで、 + 彼らをもろもろの国民の手にわたされた。彼らはおのれを憎む者に治められ、 + その敵にしえたげられ、その力の下に征服された。 + 主はしばしば彼らを助けられたが、彼らははかりごとを設けてそむき、その不義によって低くされた。 + それにもかかわらず、主は彼らの叫びを聞かれたとき、その悩みをかえりみ、 + その契約を彼らのために思い出し、そのいつくしみの豊かなるにより、みこころを変えられ、 + 彼らをとりこにした者どもによって、あわれまれるようにされた。 + われらの神、主よ、われらを救って、もろもろの国民のなかから集めてください。われらはあなたの聖なるみ名に感謝し、あなたの誉を誇るでしょう。 + イスラエルの神、主はとこしえからとこしえまでほむべきかな。すべての民は「アァメン」ととなえよ。主をほめたたえよ。 + + + 「主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と、 + 主にあがなわれた者は言え。主は彼らを悩みからあがない、 + もろもろの国から、東、西、北、南から彼らを集められた。 + 彼らは人なき荒野にさまよい、住むべき町にいたる道を見いださなかった。 + 彼らは飢え、またかわき、その魂は彼らのうちに衰えた。 + 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから助け出し、 + 住むべき町に行き着くまで、まっすぐな道に導かれた。 + どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 + 主はかわいた魂を満ち足らせ、飢えた魂を良き物で満たされるからである。 + 暗黒と深いやみの中にいる者、苦しみと、くろがねに縛られた者、 + 彼らは神の言葉にそむき、いと高き者の勧めを軽んじたので、 + 主は重い労働をもって彼らの心を低くされた。彼らはつまずき倒れても、助ける者がなかった。 + 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い、 + 暗黒と深いやみから彼らを導き出して、そのかせをこわされた。 + どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 + 主は青銅のとびらをこわし、鉄の貫の木を断ち切られたからである。 + ある者はその罪に汚れた行いによって病み、その不義のゆえに悩んだ。 + 彼らはすべての食物をきらって、死の門に近づいた。 + 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い、 + そのみ言葉をつかわして、彼らをいやし、彼らを滅びから助け出された。 + どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 + 彼らが感謝のいけにえをささげ、喜びの歌をもって、そのみわざを言いあらわすように。 + 舟で海にくだり、大海で商売をする者は、 + 主のみわざを見、また深い所でそのくすしきみわざを見た。 + 主が命じられると暴風が起って、海の波をあげた。 + 彼らは天にのぼり、淵にくだり、悩みによってその勇気は溶け去り、 + 酔った人のようによろめき、よろめいて途方にくれる。 + 彼らはその悩みのうちに主に呼ばわったので、主は彼らをその悩みから救い出された。 + 主があらしを静められると、海の波は穏やかになった。 + こうして彼らは波の静まったのを喜び、主は彼らをその望む港へ導かれた。 + どうか、彼らが主のいつくしみと、人の子らになされたくすしきみわざとのために、主に感謝するように。 + 彼らが民の集会で主をあがめ、長老の会合で主をほめたたえるように。 + 主は川を野に変らせ、泉をかわいた地に変らせ、 + 肥えた地をそれに住む者の悪のゆえに塩地に変らせられる。 + 主は野を池に変らせ、かわいた地を泉に変らせ、 + 飢えた者をそこに住まわせられる。こうして彼らはその住むべき町を建て、 + 畑に種をまき、ぶどう畑を設けて多くの収穫を得た。 + 主が彼らを祝福されたので彼らは大いにふえ、その家畜の減るのをゆるされなかった。 + 彼らがしえたげと、悩みと、悲しみとによって減り、かつ卑しめられたとき、 + 主はもろもろの君に侮りをそそぎ、道なき荒れ地にさまよわせられた。 + しかし主は貧しい者を悩みのうちからあげて、その家族を羊の群れのようにされた。 + 正しい者はこれを見て喜び、もろもろの不義はその口を閉じた。 + すべて賢い者はこれらの事に心をよせ、主のいつくしみをさとるようにせよ。 + + + 神よ、わが心は定まりました。わが心は定まりました。わたしは歌い、かつほめたたえます。わが魂よ、さめよ。 + 立琴よ、琴よ、さめよ。わたしはしののめを呼びさまします。 + 主よ、わたしはもろもろの民の中であなたに感謝し、もろもろの国の中であなたをほめたたえます。 + あなたのいつくしみは大きく、天にまでおよびあなたのまことは雲にまで及ぶ。 + 神よ、みずからを天よりも高くし、みさかえを全地の上にあげてください。 + あなたの愛される者が助けを得るために、右のみ手をもって救をほどこし、わたしに答えてください。 + 神はその聖所で言われた、「わたしは大いなる喜びをもってシケムを分かち、スコテの谷を分かち与えよう。 + ギレアデはわたしのもの、マナセもわたしのものである。エフライムはわたしのかぶと、ユダはわたしのつえである。 + モアブはわたしの足だらい、エドムにはわたしのくつを投げる。ペリシテについては、かちどきをあげる」。 + だれがわたしを堅固な町に至らせるであろうか。だれがわたしをエドムに導くであろうか。 + 神よ、あなたはわれらを捨てられたではありませんか。神よ、あなたはわれらの軍勢と共に出て行かれません。 + われらに助けを与えて、あだにむかわせてください。人の助けはむなしいからです。 + われらは神によって勇ましく働きます。われらのあだを踏みにじる者は神だからです。 + + + わたしのほめたたえる神よ、もださないでください。 + 彼らは悪しき口と欺きの口をあけて、わたしにむかい、偽りの舌をもってわたしに語り、 + 恨みの言葉をもってわたしを囲み、ゆえなくわたしを攻めるのです。 + 彼らはわが愛にむくいて、わたしを非難します。しかしわたしは彼らのために祈ります。 + 彼らは悪をもってわが善に報い、恨みをもってわが愛に報いるのです。 + 彼の上に悪しき人を立て、訴える者に彼を訴えさせてください。 + 彼がさばかれるとき、彼を罪ある者とし、その祈を罪に変えてください。 + その日を少なくし、その財産をほかの人にとらせ、 + その子らをみなしごにし、その妻をやもめにしてください。 + その子らを放浪者として施しをこわせ、その荒れたすまいから追い出させてください。 + 彼が持っているすべての物を債主に奪わせ、その勤労の実をほかの人にかすめさせてください。 + 彼にいつくしみを施す者はひとりもなく、またそのみなしごをあわれむ者もなく、 + その子孫を絶えさせ、その名を次の代に消し去ってください。 + その父たちの不義は主のみ前に覚えられ、その母の罪を消し去らないでください。 + それらを常に主のみ前に置き、彼の記憶を地から断ってください。 + これは彼がいつくしみを施すことを思わず、かえって貧しい者、乏しい者を責め、心の痛める者を殺そうとしたからです。 + 彼はのろうことを好んだ。のろいを彼に臨ませてください。彼は恵むことを喜ばなかった。恵みを彼から遠ざけてください。 + 彼はのろいを衣のように着た。のろいを水のようにその身にしみこませ、油のようにその骨にしみこませてください。 + またそれを自分の着る着物のようにならせ、常に締める帯のようにならせてください。 + これがわたしを非難する者と、わたしに逆らって悪いことを言う者の主からうける報いとしてください。 + しかし、わが主なる神よ、あなたはみ名のために、わたしを顧みてください。あなたのいつくしみの深きにより、わたしをお助けください。 + わたしは貧しく、かつ乏しいのです。わたしの心はわがうちに傷ついています。 + わたしは夕日の影のように去りゆき、いなごのように追い払われます。 + わたしのひざは断食によってよろめき、わたしの肉はやせ衰え、 + わたしは彼らにそしられる者となりました。彼らはわたしを見ると、頭を振ります。 + わが神、主よ、わたしをお助けください。あなたのいつくしみにしたがって、わたしをお救いください。 + 主よ、これがあなたのみ手のわざであること、あなたがそれをなされたことを、彼らに知らせてください。 + 彼らはのろうけれども、あなたは祝福されます。わたしを攻める者をはずかしめ、あなたのしもべを喜ばせてください。 + わたしを非難する者にはずかしめを着せ、おのが恥を上着のようにまとわせてください。 + わたしはわが口をもって大いに主に感謝し、多くの人のなかで主をほめたたえます。 + 主は貧しい者の右に立って、死罪にさだめようとする者から彼を救われるからです。 + + + 主はわが主に言われる、「わたしがあなたのもろもろの敵をあなたの足台とするまで、わたしの右に座せよ」と。 + 主はあなたの力あるつえをシオンから出される。あなたはもろもろの敵のなかで治めよ。 + あなたの民は、あなたがその軍勢を聖なる山々に導く日に心から喜んでおのれをささげるであろう。あなたの若者は朝の胎から出る露のようにあなたに来るであろう。 + 主は誓いを立てて、み心を変えられることはない、「あなたはメルキゼデクの位にしたがってとこしえに祭司である」。 + 主はあなたの右におられて、その怒りの日に王たちを打ち破られる。 + 主はもろもろの国のなかでさばきを行い、しかばねをもって満たし、広い地を治める首領たちを打ち破られる。 + 彼は道のほとりの川からくんで飲み、それによって、そのこうべをあげるであろう。 + + + 主をほめたたえよ。わたしは正しい者のつどい、および公会で、心をつくして主に感謝する。 + 主のみわざは偉大である。すべてそのみわざを喜ぶ者によって尋ね窮められる。 + そのみわざは栄光と威厳とに満ち、その義はとこしえに、うせることがない。 + 主はそのくすしきみわざを記念させられた。主は恵みふかく、あわれみに満ちていられる。 + 主はおのれを恐れる者に食物を与え、その契約をとこしえに心にとめられる。 + 主はもろもろの国民の所領をその民に与えて、みわざの力をこれにあらわされた。 + そのみ手のわざは真実かつ公正であり、すべてのさとしは確かである。 + これらは世々かぎりなく堅く立ち、真実と正直とをもってなされた。 + 主はその民にあがないを施し、その契約をとこしえに立てられた。そのみ名は聖にして、おそれおおい。 + 主を恐れることは知恵のはじめである。これを行う者はみな良き悟りを得る。主の誉は、とこしえに、うせることはない。 + + + 主をほめたたえよ。主をおそれて、そのもろもろの戒めを大いに喜ぶ人はさいわいである。 + その子孫は地において強くなり、正しい者のやからは祝福を得る。 + 繁栄と富とはその家にあり、その義はとこしえに、うせることはない。 + 光は正しい者のために暗黒の中にもあらわれる。主は恵み深く、あわれみに満ち、正しくいらせられる。 + 恵みを施し、貸すことをなし、その事を正しく行う人はさいわいである。 + 正しい人は決して動かされることなく、とこしえに覚えられる。 + 彼は悪いおとずれを恐れず、その心は主に信頼してゆるがない。 + その心は落ち着いて恐れることなく、ついにそのあだについての願いを見る。 + 彼は惜しげなく施し、貧しい者に与えた。その義はとこしえに、うせることはない。その角は誉を得てあげられる。 + 悪しき者はこれを見て怒り、歯をかみならして溶け去る。悪しき者の願いは滅びる。 + + + 主をほめたたえよ。主のしもべたちよ、ほめたたえよ。主のみ名をほめたたえよ。 + 今より、とこしえに至るまで主のみ名はほむべきかな。 + 日のいずるところから日の入るところまで、主のみ名はほめたたえられる。 + 主はもろもろの国民の上に高くいらせられ、その栄光は天よりも高い。 + われらの神、主にくらぶべき者はだれか。主は高き所に座し、 + 遠く天と地とを見おろされる。 + 主は貧しい者をちりからあげ、乏しい者をあくたからあげて、 + もろもろの君たちと共にすわらせ、その民の君たちと共にすわらせられる。 + また子を産まぬ女に家庭を与え、多くの子供たちの喜ばしい母とされる。主をほめたたえよ。 + + + イスラエルがエジプトをいで、ヤコブの家が異言の民を離れたとき、 + ユダは主の聖所となり、イスラエルは主の所領となった。 + 海はこれを見て逃げ、ヨルダンはうしろに退き、 + 山は雄羊のように踊り、小山は小羊のように踊った。 + 海よ、おまえはどうして逃げるのか、ヨルダンよ、おまえはどうしてうしろに退くのか。 + 山よ、おまえたちはどうして雄羊のように踊るのか、小山よ、おまえたちはどうして小羊のように踊るのか。 + 地よ、主のみ前におののけ、ヤコブの神のみ前におののけ。 + 主は岩を池に変らせ、石を泉に変らせられた。 + + + 主よ、栄光をわれらにではなく、われらにではなく、あなたのいつくしみと、まこととのゆえに、ただ、み名にのみ帰してください。 + なにゆえ、もろもろの国民は言うのでしょう、「彼らの神はどこにいるのか」と。 + われらの神は天にいらせられる。神はみこころにかなうすべての事を行われる。 + 彼らの偶像はしろがねと、こがねで、人の手のわざである。 + それは口があっても語ることができない。目があっても見ることができない。 + 耳があっても聞くことができない。鼻があってもかぐことができない。 + 手があっても取ることができない。足があっても歩くことができない。また、のどから声を出すこともできない。 + これを造る者と、これに信頼する者とはみな、これと等しい者になる。 + イスラエルよ、主に信頼せよ。主は彼らの助け、また彼らの盾である。 + アロンの家よ、主に信頼せよ。主は彼らの助け、また彼らの盾である。 + 主を恐れる者よ、主に信頼せよ。主は彼らの助け、また彼らの盾である。 + 主はわれらをみこころにとめられた。主はわれらを恵み、イスラエルの家を恵み、アロンの家を恵み、 + また、小さい者も、大いなる者も、主を恐れる者を恵まれる。 + どうか、主があなたがたを増し加え、あなたがたと、あなたがたの子孫とを増し加えられるように。 + 天地を造られた主によってあなたがたが恵まれるように。 + 天は主の天である。しかし地は人の子らに与えられた。 + 死んだ者も、音なき所に下る者も、主をほめたたえることはない。 + しかし、われらは今より、とこしえに至るまで、主をほめまつるであろう。主をほめたたえよ。 + + + わたしは主を愛する。主はわが声と、わが願いとを聞かれたからである。 + 主はわたしに耳を傾けられたので、わたしは生きるかぎり主を呼びまつるであろう。 + 死の綱がわたしを取り巻き、陰府の苦しみがわたしを捕えた。わたしは悩みと悲しみにあった。 + その時わたしは主のみ名を呼んだ。「主よ、どうぞわたしをお救いください」と。 + 主は恵みふかく、正しくいらせられ、われらの神はあわれみに富まれる。 + 主は無学な者を守られる。わたしが低くされたとき、主はわたしを救われた。 + わが魂よ、おまえの平安に帰るがよい。主は豊かにおまえをあしらわれたからである。 + あなたはわたしの魂を死から、わたしの目を涙から、わたしの足をつまずきから助け出されました。 + わたしは生ける者の地で、主のみ前に歩みます。 + 「わたしは大いに悩んだ」と言った時にもなお信じた。 + わたしは驚きあわてたときに言った、「すべての人は当にならぬ者である」と。 + わたしに賜わったもろもろの恵みについて、どうして主に報いることができようか。 + わたしは救の杯をあげて、主のみ名を呼ぶ。 + わたしはすべての民の前で、主にわが誓いをつぐなおう。 + 主の聖徒の死はそのみ前において尊い。 + 主よ、わたしはあなたのしもべです。わたしはあなたのしもべ、あなたのはしための子です。あなたはわたしのなわめを解かれました。 + わたしは感謝のいけにえをあなたにささげて、主のみ名を呼びます。 + わたしはすべての民の前で主にわが誓いをつぐないます。 + エルサレムよ、あなたの中で、主の家の大庭の中で、これをつぐないます。主をほめたたえよ。 + + + もろもろの国よ、主をほめたたえよ。もろもろの民よ、主をたたえまつれ。 + われらに賜わるそのいつくしみは大きいからである。主のまことはとこしえに絶えることがない。主をほめたたえよ。 + + + 主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 + イスラエルは言え、「そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と。 + アロンの家は言え、「そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と。 + 主をおそれる者は言え、「そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と。 + わたしが悩みのなかから主を呼ぶと、主は答えて、わたしを広い所に置かれた。 + 主がわたしに味方されるので、恐れることはない。人はわたしに何をなし得ようか。 + 主はわたしに味方し、わたしを助けられるので、わたしを憎む者についての願いを見るであろう。 + 主に寄り頼むは人にたよるよりも良い。 + 主に寄り頼むはもろもろの君にたよるよりも良い。 + もろもろの国民はわたしを囲んだ。わたしは主のみ名によって彼らを滅ぼす。 + 彼らはわたしを囲んだ、わたしを囲んだ。わたしは主のみ名によって彼らを滅ぼす。 + 彼らは蜂のようにわたしを囲み、いばらの火のように燃えたった。わたしは主のみ名によって彼らを滅ぼす。 + わたしはひどく押されて倒れようとしたが、主はわたしを助けられた。 + 主はわが力、わが歌であって、わが救となられた。 + 聞け、勝利の喜ばしい歌が正しい者の天幕にある。「主の右の手は勇ましいはたらきをなし、 + 主の右の手は高くあがり、主の右の手は勇ましいはたらきをなす」。 + わたしは死ぬことなく、生きながらえて、主のみわざを物語るであろう。 + 主はいたくわたしを懲らされたが、死にはわたされなかった。 + わたしのために義の門を開け、わたしはその内にはいって、主に感謝しよう。 + これは主の門である。正しい者はその内にはいるであろう。 + わたしはあなたに感謝します。あなたがわたしに答えて、わが救となられたことを。 + 家造りらの捨てた石は隅のかしら石となった。 + これは主のなされた事でわれらの目には驚くべき事である。 + これは主が設けられた日であって、われらはこの日に喜び楽しむであろう。 + 主よ、どうぞわれらをお救いください。主よ、どうぞわれらを栄えさせてください。 + 主のみ名によってはいる者はさいわいである。われらは主の家からあなたをたたえます。 + 主は神であって、われらを照された。枝を携えて祭の行列を祭壇の角にまで進ませよ。 + あなたはわが神、わたしはあなたに感謝します。あなたはわが神、わたしはあなたをあがめます。 + 主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみはとこしえに絶えることがない。 + + + おのが道を全くして、主のおきてに歩む者はさいわいです。 + 主のもろもろのあかしを守り心をつくして主を尋ね求め、 + また悪を行わず、主の道に歩む者はさいわいです。 + あなたはさとしを命じて、ねんごろに守らせられます。 + どうかわたしの道を堅くして、あなたの定めを守らせてください。 + わたしは、あなたのもろもろの戒めに目をとめる時、恥じることはありません。 + わたしは、あなたの正しいおきてを学ぶとき、正しい心をもってあなたに感謝します。 + わたしはあなたの定めを守ります。わたしを全くお捨てにならないでください。 + 若い人はどうしておのが道を清く保つことができるでしょうか。み言葉にしたがって、それを守るよりほかにありません。 + わたしは心をつくしてあなたを尋ね求めます。わたしをあなたの戒めから迷い出させないでください。 + わたしはあなたにむかって罪を犯すことのないように、心のうちにみ言葉をたくわえました。 + あなたはほむべきかな、主よ、あなたの定めをわたしに教えてください。 + わたしはくちびるをもって、あなたの口から出るもろもろのおきてを言いあらわします。 + わたしは、もろもろのたからを喜ぶように、あなたのあかしの道を喜びます。 + わたしは、あなたのさとしを思い、あなたの道に目をとめます。 + わたしはあなたの定めを喜び、あなたのみ言葉を忘れません。 + あなたのしもべを豊かにあしらって、生きながらえさせ、み言葉を守らせてください。 + わたしの目を開いて、あなたのおきてのうちのくすしき事を見させてください。 + わたしはこの地にあっては寄留者です。あなたの戒めをわたしに隠さないでください。 + わが魂はつねにあなたのおきてを慕って、絶えいるばかりです。 + あなたは、あなたの戒めから迷い出る高ぶる者、のろわれた者を責められます。 + わたしはあなたのあかしを守りました。彼らのそしりと侮りとをわたしから取り去ってください。 + たといもろもろの君が座して、わたしをそこなおうと図っても、あなたのしもべは、あなたの定めを深く思います。 + あなたのあかしは、わたしを喜ばせ、わたしを教えさとすものです。 + わが魂はちりについています。み言葉に従って、わたしを生き返らせてください。 + わたしが自分の歩んだ道を語ったとき、あなたはわたしに答えられました。あなたの定めをわたしに教えてください。 + あなたのさとしの道をわたしにわきまえさせてください。わたしはあなたのくすしきみわざを深く思います。 + わが魂は悲しみによって溶け去ります。み言葉に従って、わたしを強くしてください。 + 偽りの道をわたしから遠ざけ、あなたのおきてをねんごろに教えてください。 + わたしは真実の道を選び、あなたのおきてをわたしの前に置きました。 + 主よ、わたしはあなたのあかしに堅く従っています。願わくは、わたしをはずかしめないでください。 + あなたがわたしの心を広くされるとき、わたしはあなたの戒めの道を走ります。 + 主よ、あなたの定めの道をわたしに教えてください。わたしは終りまでこれを守ります。 + わたしに知恵を与えてください。わたしはあなたのおきてを守り、心をつくしてこれに従います。 + わたしをあなたの戒めの道に導いてください。わたしはそれを喜ぶからです。 + わたしの心をあなたのあかしに傾けさせ、不正な利得に傾けさせないでください。 + わたしの目をほかにむけて、むなしいものを見させず、あなたの道をもって、わたしを生かしてください。 + あなたを恐れる者にかかわる約束をあなたのしもべに堅くしてください。 + わたしの恐れるそしりを除いてください。あなたのおきては正しいからです。 + 見よ、わたしはあなたのさとしを慕います。あなたの義をもって、わたしを生かしてください。 + 主よ、あなたの約束にしたがって、あなたのいつくしみと、あなたの救をわたしに臨ませてください。 + そうすれば、わたしをそしる者に、答えることができます。わたしはあなたのみ言葉に信頼するからです。 + またわたしの口から真理の言葉をことごとく除かないでください。わたしの望みはあなたのおきてにあるからです。 + わたしは絶えず、とこしえに、あなたのおきてを守ります。 + わたしはあなたのさとしを求めたので、自由に歩むことができます。 + わたしはまた王たちの前にあなたのあかしを語って恥じることはありません。 + わたしは、わたしの愛するあなたの戒めに自分の喜びを見いだすからです。 + わたしは、わたしの愛するあなたの戒めを尊び、あなたの定めを深く思います。 + どうか、あなたのしもべに言われたみ言葉を思い出してください。あなたはわたしにそれを望ませられました。 + あなたの約束はわたしを生かすので、わが悩みの時の慰めです。 + 高ぶる者は大いにわたしをあざ笑います。しかしわたしはあなたのおきてを離れません。 + 主よ、わたしはあなたの昔からのおきてを思い出して、みずから慰めます。 + あなたのおきてを捨てる悪しき者のゆえに、わたしは激しい憤りを起します。 + あなたの定めはわが旅の家で、わたしの歌となりました。 + 主よ、わたしは夜の間にあなたのみ名を思い出して、あなたのおきてを守ります。 + わたしはあなたのさとしを守ったことによって、この祝福がわたしに臨みました。 + 主はわたしの受くべき分です。わたしはあなたのみ言葉を守ることを約束します。 + わたしは心をつくして、あなたの恵みを請い求めます。あなたの約束にしたがって、わたしをお恵みください。 + わたしは、あなたの道を思うとき、足をかえして、あなたのあかしに向かいます。 + わたしはあなたの戒めを守るのに、すみやかで、ためらいません。 + たとい、悪しき者のなわがわたしを捕えても、わたしはあなたのおきてを忘れません。 + わたしはあなたの正しいおきてのゆえに夜半に起きて、あなたに感謝します。 + わたしは、すべてあなたを恐れる者、またあなたのさとしを守る者の仲間です。 + 主よ、地はあなたのいつくしみで満ちています。あなたの定めをわたしに教えてください。 + 主よ、あなたはみ言葉にしたがってしもべをよくあしらわれました。 + わたしに良い判断と知識とを教えてください。わたしはあなたの戒めを信じるからです。 + わたしは苦しまない前には迷いました。しかし今はみ言葉を守ります。 + あなたは善にして善を行われます。あなたの定めをわたしに教えてください。 + 高ぶる者は偽りをもってわたしをことごとくおおいます。しかしわたしは心をつくしてあなたのさとしを守ります。 + 彼らの心は肥え太って脂肪のようです。しかしわたしはあなたのおきてを喜びます。 + 苦しみにあったことは、わたしに良い事です。これによってわたしはあなたのおきてを学ぶことができました。 + あなたの口のおきては、わたしのためには幾千の金銀貨幣にもまさるのです。 + あなたのみ手はわたしを造り、わたしを形造りました。わたしに知恵を与えて、あなたの戒めを学ばせてください。 + あなたを恐れる者はわたしを見て喜ぶでしょう。わたしはみ言葉によって望みをいだいたからです。 + 主よ、わたしはあなたのさばきの正しく、また、あなたが真実をもってわたしを苦しめられたことを知っています。 + あなたがしもべに告げられた約束にしたがって、あなたのいつくしみをわが慰めとしてください。 + あなたのあわれみをわたしに臨ませ、わたしを生かしてください。あなたのおきてはわが喜びだからです。 + 高ぶる者に恥をこうむらせてください。彼らは偽りをもって、わたしをくつがえしたからです。しかしわたしはあなたのさとしを深く思います。 + あなたをおそれる者と、あなたのあかしを知る者とをわたしに帰らせてください。 + わたしの心を全くして、あなたの定めを守らせてください。そうすればわたしは恥をこうむることがありません。 + わが魂はあなたの救を慕って絶えいるばかりです。わたしはみ言葉によって望みをいだきます。 + わたしの目はあなたの約束を待つによって衰え、「いつ、あなたはわたしを慰められるのですか」と尋ねます。 + わたしは煙の中の皮袋のようになりましたが、なお、あなたの定めを忘れませんでした。 + あなたのしもべの日はどれほど続くでしょうか。いつあなたは、わたしを迫害する者をさばかれるでしょうか。 + 高ぶる者はわたしをおとしいれようと穴を掘りました。彼らはあなたのおきてに従わない人々です。 + あなたの戒めはみな真実です。彼らは偽りをもってわたしを迫害します。わたしをお助けください。 + 彼らはこの地において、ほとんどわたしを滅ぼしました。しかし、わたしはあなたのさとしを捨てませんでした。 + あなたのいつくしみにしたがってわたしを生かしてください。そうすればわたしはあなたの口から出るあかしを守ります。 + 主よ、あなたのみ言葉は天においてとこしえに堅く定まり、 + あなたのまことはよろずよに及びます。あなたが地を定められたので、地は堅く立っています。 + これらのものはあなたの仰せにより、堅く立って今日に至っています。よろずのものは皆あなたのしもべだからです。 + あなたのおきてがわが喜びとならなかったならば、わたしはついに悩みのうちに滅びたでしょう。 + わたしは常にあなたのさとしを忘れません。あなたはこれをもって、わたしを生かされたからです。 + わたしはあなたのものです。わたしをお救いください。わたしはあなたのさとしを求めました。 + 悪しき者はわたしを滅ぼそうと待ち伏せています。しかし、わたしはあなたのあかしを思います。 + わたしはすべての全きことに限りあることを見ました。しかしあなたの戒めは限りなく広いのです。 + いかにわたしはあなたのおきてを愛することでしょう。わたしはひねもすこれを深く思います。 + あなたの戒めは常にわたしと共にあるので、わたしをわが敵にまさって賢くします。 + わたしはあなたのあかしを深く思うので、わがすべての師にまさって知恵があります。 + わたしはあなたのさとしを守るので、老いた者にまさって事をわきまえます。 + わたしはみ言葉を守るために、わが足をとどめて、すべての悪い道に行かせません。 + あなたがわたしを教えられたので、わたしはあなたのおきてを離れません。 + あなたのみ言葉はいかにわがあごに甘いことでしょう。蜜にまさってわが口に甘いのです。 + わたしはあなたのさとしによって知恵を得ました。それゆえ、わたしは偽りのすべての道を憎みます。 + あなたのみ言葉はわが足のともしび、わが道の光です。 + わたしはあなたの正しいおきてを守ることを誓い、かつこれを実行しました。 + わたしはいたく苦しみました。主よ、み言葉に従って、わたしを生かしてください。 + 主よ、わがさんびの供え物をうけて、あなたのおきてを教えてください。 + わたしのいのちは常に危険にさらされています。しかし、わたしはあなたのおきてを忘れません。 + 悪しき者はわたしのためにわなを設けました。しかし、わたしはあなたのさとしから迷い出ません。 + あなたのあかしはとこしえにわが嗣業です。まことに、そのあかしはわが心の喜びです。 + わたしはあなたの定めを終りまで、とこしえに守ろうと心を傾けます。 + わたしは二心の者を憎みます。しかしあなたのおきてを愛します。 + あなたはわが隠れ場、わが盾です。わたしはみ言葉によって望みをいだきます。 + 悪をなす者よ、わたしを離れ去れ、わたしはわが神の戒めを守るのです。 + あなたの約束にしたがって、わたしをささえて、ながらえさせ、わが望みについて恥じることのないようにしてください。 + わたしをささえてください。そうすれば、わたしは安らかで、常にあなたの定めに心をそそぎます。 + すべてあなたの定めから迷い出る者をあなたは、かろしめられます。まことに、彼らの欺きはむなしいのです。 + あなたは地のすべての悪しき者を、金かすのようにみなされます。それゆえ、わたしはあなたのあかしを愛します。 + わが肉はあなたを恐れるので震えます。わたしはあなたのさばきを恐れます。 + わたしは正しく義にかなったことを行いました。わたしを捨てて、しえたげる者にゆだねないでください。 + しもべのために保証人となって、高ぶる者にわたしを、しえたげさせないでください。 + わが目はあなたの救と、あなたの正しい約束とを待ち望んで衰えます。 + あなたのいつくしみにしたがって、しもべをあしらい、あなたの定めを教えてください。 + わたしはあなたのしもべです。わたしに知恵を与えて、あなたのあかしを知らせてください。 + 彼らはあなたのおきてを破りました。今は主のはたらかれる時です。 + それゆえ、わたしは金よりも、純金よりもまさってあなたの戒めを愛します。 + それゆえ、わたしは、あなたのもろもろのさとしにしたがって、正しき道に歩み、すべての偽りの道を憎みます。 + あなたのあかしは驚くべきものです。それゆえ、わが魂はこれを守ります。 + み言葉が開けると光を放って、無学な者に知恵を与えます。 + わたしはあなたの戒めを慕うゆえに、口を広くあけてあえぎ求めました。 + み名を愛する者に常にされるように、わたしをかえりみ、わたしをあわれんでください。 + あなたの約束にしたがって、わが歩みを確かにし、すべての不義に支配されないようにしてください。 + わたしを人のしえたげからあがなってください。そうすればわたしは、あなたのさとしを守ります。 + み顔をしもべの上に照し、あなたの定めを教えてください。 + 人々があなたのおきてを守らないので、わが目の涙は川のように流れます。 + 主よ、あなたは正しく、あなたのさばきは正しいのです。 + あなたの正義と、この上ない真実とをもってあなたのあかしを命じられました。 + わたしのあだが、あなたのみ言葉を忘れるので、わが熱心はわたしを滅ぼすのです。 + あなたの約束はまことに確かです。あなたのしもべはこれを愛します。 + わたしは取るにたらない者で、人に侮られるけれども、なお、あなたのさとしを忘れません。 + あなたの義はとこしえに正しく、あなたのおきてはまことです。 + 悩みと苦しみがわたしに臨みました。しかしあなたの戒めはわたしの喜びです。 + あなたのあかしはとこしえに正しいのです。わたしに知恵を与えて、生きながらえさせてください。 + わたしは心をつくして呼ばわります。主よ、お答えください。わたしはあなたの定めを守ります。 + わたしはあなたに呼ばわります。わたしをお救いください。わたしはあなたのあかしを守ります。 + わたしは朝早く起き出て呼ばわります。わたしはみ言葉によって望みをいだくのです。 + わが目は夜警の交代する時に先だってさめ、あなたの約束を深く思います。 + あなたのいつくしみにしたがって、わが声を聞いてください。主よ、あなたの公義にしたがって、わたしを生かしてください。 + わたしをしえたげる者が悪いたくらみをもって近づいています。彼らはあなたのおきてを遠くはなれているのです。 + しかし主よ、あなたは近くいらせられます。あなたのもろもろの戒めはまことです。 + わたしは早くからあなたのあかしによって、あなたがこれをとこしえに立てられたことを知りました。 + わが悩みを見て、わたしをお救いください。わたしはあなたのおきてを忘れないからです。 + わが訴えを弁護して、わたしをあがない、あなたの約束にしたがって、わたしを生かしてください。 + 救は悪しき者を遠く離れている。彼らはあなたの定めを求めないからです。 + 主よ、あなたのあわれみは大きい。あなたの公義に従って、わたしを生かしてください。 + わたしをしえたげる者、わたしをあだする者は多い。しかしわたしは、あなたのあかしを離れません。 + 不信仰な者があなたのみ言葉を守らないので、わたしは彼らを見て、いとわしく思います。 + わたしがいかにあなたのさとしを愛するかをお察しください。主よ、あなたのいつくしみにしたがって、わたしを生かしてください。 + あなたのみ言葉の全体は真理です。あなたの正しいおきてのすべてはとこしえに絶えることはありません。 + もろもろの君はゆえなくわたしをしえたげます。しかしわが心はみ言葉をおそれます。 + わたしは大いなる獲物を得た者のようにあなたのみ言葉を喜びます。 + わたしは偽りを憎み、忌みきらいます。しかしあなたのおきてを愛します。 + わたしはあなたの正しいおきてのゆえに、一日に七たびあなたをほめたたえます。 + あなたのおきてを愛する者には大いなる平安があり、何ものも彼らをつまずかすことはできません。 + 主よ、わたしはあなたの救を望み、あなたの戒めをおこないます。 + わが魂は、あなたのあかしを守ります。わたしはいたくこれを愛します。 + わがすべての道があなたのみ前にあるので、わたしはあなたのさとしと、あかしとを守ります。 + 主よ、どうか、わが叫びをみ前にいたらせ、み言葉に従って、わたしに知恵をお与えください。 + わが願いをみ前にいたらせ、み言葉にしたがって、わたしをお助けください。 + あなたの定めをわたしに教えられるので、わがくちびるはさんびを唱えます。 + あなたのすべての戒めは正しいので、わが舌はみ言葉を歌います。 + わたしはあなたのさとしを選びました。あなたのみ手を、常にわが助けとしてください。 + 主よ、わたしはあなたの救を慕います。あなたのおきてはわたしの喜びです。 + わたしを生かして、あなたをほめたたえさせ、あなたのおきてを、わが助けとしてください。 + わたしは失われた羊のように迷い出ました。あなたのしもべを捜し出してください。わたしはあなたの戒めを忘れないからです。 + + + わたしが悩みのうちに、主に呼ばわると、主はわたしに答えられる。 + 「主よ、偽りのくちびるから、欺きの舌から、わたしを助け出してください」。 + 欺きの舌よ、おまえに何が与えられ、何が加えられるであろうか。 + ますらおの鋭い矢と、えにしだの熱い炭とである。 + わざわいなるかな、わたしはメセクにやどり、ケダルの天幕のなかに住んでいる。 + わたしは久しく平安を憎む者のなかに住んでいた。 + わたしは平安を願う、しかし、わたしが物言うとき、彼らは戦いを好む。 + + + わたしは山にむかって目をあげる。わが助けは、どこから来るであろうか。 + わが助けは、天と地を造られた主から来る。 + 主はあなたの足の動かされるのをゆるされない。あなたを守る者はまどろむことがない。 + 見よ、イスラエルを守る者はまどろむこともなく、眠ることもない。 + 主はあなたを守る者、主はあなたの右の手をおおう陰である。 + 昼は太陽があなたを撃つことなく、夜は月があなたを撃つことはない。 + 主はあなたを守って、すべての災を免れさせ、またあなたの命を守られる。 + 主は今からとこしえに至るまで、あなたの出ると入るとを守られるであろう。 + + + 人々がわたしにむかって「われらは主の家に行こう」と言ったとき、わたしは喜んだ。 + エルサレムよ、われらの足はあなたの門のうちに立っている。 + しげくつらなった町のように建てられているエルサレムよ、 + もろもろの部族すなわち主の部族が、そこに上って来て主のみ名に感謝することは、イスラエルのおきてである。 + そこにさばきの座、ダビデの家の王座が設けられてあった。 + エルサレムのために平安を祈れ、「エルサレムを愛する者は栄え、 + その城壁のうちに平安があり、もろもろの殿のうちに安全があるように」と。 + わが兄弟および友のために、わたしは「エルサレムのうちに平安があるように」と言い、 + われらの神、主の家のために、わたしはエルサレムのさいわいを求めるであろう。 + + + 天に座しておられる者よ、わたしはあなたにむかって目をあげます。 + 見よ、しもべがその主人の手に目をそそぎ、はしためがその主婦の手に目をそそぐように、われらはわれらの神、主に目をそそいで、われらをあわれまれるのを待ちます。 + 主よ、われらをあわれんでください。われらをあわれんでください。われらに侮りが満ちあふれています。 + 思い煩いのない者のあざけりと、高ぶる者の侮りとは、われらの魂に満ちあふれています。 + + + 今、イスラエルは言え、主がもしわれらの方におられなかったならば、 + 人々がわれらに逆らって立ちあがったとき、主がもしわれらの方におられなかったならば、 + 彼らの怒りがわれらにむかって燃えたったとき、彼らはわれらを生きているままで、のんだであろう。 + また大水はわれらを押し流し、激流はわれらの上を越え、 + さか巻く水はわれらの上を越えたであろう。 + 主はほむべきかな。主はわれらをえじきとして彼らの歯にわたされなかった。 + われらは野鳥を捕えるわなをのがれる鳥のようにのがれた。わなは破れてわれらはのがれた。 + われらの助けは天地を造られた主のみ名にある。 + + + 主に信頼する者は、動かされることなくて、とこしえにあるシオンの山のようである。 + 山々がエルサレムを囲んでいるように、主は今からとこしえにその民を囲まれる。 + これは悪しき者のつえが正しい者の所領にとどまることなく、正しい者がその手を不義に伸べることのないためである。 + 主よ、善良な人と、心の正しい人とに、さいわいを施してください。 + しかし転じて自分の曲った道に入る者を主は、悪を行う者と共に去らせられる。イスラエルの上に平安があるように。 + + + 主がシオンの繁栄を回復されたとき、われらは夢みる者のようであった。 + その時われらの口は笑いで満たされ、われらの舌は喜びの声で満たされた。その時「主は彼らのために大いなる事をなされた」と言った者が、もろもろの国民の中にあった。 + 主はわれらのために大いなる事をなされたので、われらは喜んだ。 + 主よ、どうか、われらの繁栄を、ネゲブの川のように回復してください。 + 涙をもって種まく者は、喜びの声をもって刈り取る。 + 種を携え、涙を流して出て行く者は、束を携え、喜びの声をあげて帰ってくるであろう。 + + + 主が家を建てられるのでなければ、建てる者の勤労はむなしい。主が町を守られるのでなければ、守る者のさめているのはむなしい。 + あなたがたが早く起き、おそく休み、辛苦のかてを食べることは、むなしいことである。主はその愛する者に、眠っている時にも、なくてならぬものを与えられるからである。 + 見よ、子供たちは神から賜わった嗣業であり、胎の実は報いの賜物である。 + 壮年の時の子供は勇士の手にある矢のようだ。 + 矢の満ちた矢筒を持つ人はさいわいである。彼は門で敵と物言うとき恥じることはない。 + + + すべて主をおそれ、主の道に歩む者はさいわいである。 + あなたは自分の手の勤労の実を食べ、幸福で、かつ安らかであろう。 + あなたの妻は家の奥にいて多くの実を結ぶぶどうの木のようであり、あなたの子供たちは食卓を囲んでオリブの若木のようである。 + 見よ、主をおそれる人は、このように祝福を得る。 + 主はシオンからあなたを祝福されるように。あなたは世にあるかぎりエルサレムの繁栄を見、 + またあなたの子らの子を見るであろう。どうぞ、イスラエルの上に平安があるように。 + + + 今イスラエルは言え、「彼らはわたしの若い時から、ひどくわたしを悩ました。 + 彼らはわたしの若い時から、ひどくわたしを悩ました。しかしわたしに勝つことができなかった。 + 耕す者はわたしの背の上をたがやして、そのうねみぞを長くした」と。 + 主は正しくいらせられ、悪しき者のなわを断ち切られた。 + シオンを憎む者はみな、恥を得て、退くように。 + 彼らを、育たないさきに枯れる屋根の草のようにしてください。 + これを刈る者はその手に満たず、これをたばねる者はそのふところに満たない。 + かたわらを過ぎる者は、「主の恵みがあなたの上にあるように。われらは主のみ名によってあなたがたを祝福する」と言わない。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + 主よ、悪しき人々からわたしを助け出し、わたしを守って、乱暴な人々からのがれさせてください。 + 彼らは心のうちに悪い事をはかり、絶えず戦いを起します。 + 彼らはへびのようにおのが舌を鋭くし、そのくちびるの下にはまむしの毒があります。 [セラ + 主よ、わたしを保って、悪しき人の手からのがれさせ、わたしを守って、わが足をつまずかせようとする乱暴な人々からのがれさせてください。 + 高ぶる者はわたしのためにわなを伏せ、綱をもって網を張り、道のほとりにわなを設けました。 [セラ + わたしは主に言います、「あなたはわが神です。主よ、わが願いの声に耳を傾けてください。 + わが救の力、主なる神よ、あなたは戦いの日に、わがこうべをおおわれました。 + 主よ、悪しき人の願いをゆるさないでください。その悪しき計画をとげさせないでください。 [セラ + わたしを囲む者がそのこうべをあげるとき、そのくちびるの害悪で彼らをおおってください。 + 燃える炭を彼らの上に落してください。彼らを穴に投げ入れ、再び上がることのできないようにしてください。 + 悪口を言う者を世に立たせないでください。乱暴な人をすみやかに災に追い捕えさせてください」。 + わたしは主が苦しむ者の訴えをたすけ、貧しい者のために正しいさばきを行われることを知っています。 + 正しい人は必ずみ名に感謝し、直き人はみ前に住むでしょう。 + + + 主よ、わたしはあなたに呼ばわります。すみやかにわたしをお助けください。わたしがあなたに呼ばわるとき、わが声に耳を傾けてください。 + わたしの祈を、み前にささげる薫香のようにみなし、わたしのあげる手を、夕べの供え物のようにみなしてください。 + 主よ、わが口に門守を置いて、わがくちびるの戸を守ってください。 + 悪しき事にわが心を傾けさせず、不義を行う人々と共に悪しきわざにあずからせないでください。また彼らのうまき物を食べさせないでください。 + 正しい者にいつくしみをもってわたしを打たせ、わたしを責めさせてください。しかし悪しき者の油をわがこうべにそそがせないでください。わが祈は絶えず彼らの悪しきわざに敵しているからです。 + 彼らはおのれを罪に定める者にわたされるとき、主のみ言葉のまことなることを学ぶでしょう。 + 人が岩を裂いて地の上に打ち砕くように、彼らの骨は陰府の口にまき散らされるでしょう。 + しかし主なる神よ、わが目はあなたに向かっています。わたしはあなたに寄り頼みます。わたしを助けるものもないままに捨ておかないでください。 + わたしを守って、彼らがわたしのために設けたわなと、悪を行う者のわなとをのがれさせてください。 + わたしがのがれると同時に、悪しき者をおのれの網に陥らせてください。 + + + わたしは声を出して主に呼ばわり、声を出して主に願い求めます。 + わたしはみ前にわが嘆きを注ぎ出し、み前にわが悩みをあらわします。 + わが霊のわがうちに消えうせようとする時も、あなたはわが道を知られます。彼らはわたしを捕えようとわたしの行く道にわなを隠しました。 + わたしは右の方に目を注いで見回したが、わたしに心をとめる者はひとりもありません。わたしには避け所がなく、わたしをかえりみる人はありません。 + 主よ、わたしはあなたに呼ばわります。わたしは言います、「あなたはわが避け所、生ける者の地でわたしの受くべき分です。 + どうか、わが叫びにみこころをとめてください。わたしは、はなはだしく低くされています。わたしを責める者から助け出してください。彼らはわたしにまさって強いのです。 + わたしをひとやから出し、み名に感謝させてください。あなたが豊かにわたしをあしらわれるので、正しい人々はわたしのまわりに集まるでしょう」。 + + + 主よ、わが祈を聞き、わが願いに耳を傾けてください。あなたの真実と、あなたの正義とをもって、わたしにお答えください。 + あなたのしもべのさばきにたずさわらないでください。生ける者はひとりもみ前に義とされないからです。 + 敵はわたしをせめ、わがいのちを地に踏みにじり、死んで久しく時を経た者のようにわたしを暗い所に住まわせました。 + それゆえ、わが霊はわがうちに消えうせようとし、わが心はわがうちに荒れさびれています。 + わたしはいにしえの日を思い出し、あなたが行われたすべての事を考え、あなたのみ手のわざを思います。 + わたしはあなたにむかって手を伸べ、わが魂は、かわききった地のようにあなたを慕います。 [セラ + 主よ、すみやかにわたしにお答えください。わが霊は衰えます。わたしにみ顔を隠さないでください。さもないと、わたしは穴にくだる者のようになるでしょう。 + あしたに、あなたのいつくしみを聞かせてください。わたしはあなたに信頼します。わが歩むべき道を教えてください。わが魂はあなたを仰ぎ望みます。 + 主よ、わたしをわが敵から助け出してください。わたしは避け所を得るためにあなたのもとにのがれました。 + あなたのみむねを行うことを教えてください。あなたはわが神です。恵みふかい、みたまをもってわたしを平らかな道に導いてください。 + 主よ、み名のために、わたしを生かし、あなたの義によって、わたしを悩みから救い出してください。 + また、あなたのいつくしみによって、わが敵を断ち、わがあだをことごとく滅ぼしてください。わたしはあなたのしもべです。 + + + わが岩なる主はほむべきかな。主は、いくさすることをわが手に教え、戦うことをわが指に教えられます。 + 主はわが岩、わが城、わが高きやぐら、わが救主、わが盾、わが寄り頼む者です。主はもろもろの民をおのれに従わせられます。 + 主よ、人は何ものなので、あなたはこれをかえりみ、人の子は何ものなので、これをみこころに、とめられるのですか。 + 人は息にひとしく、その日は過ぎゆく影にひとしいのです。 + 主よ、あなたの天を垂れてくだり、山に触れて煙を出させてください。 + いなずまを放って彼らを散らし、矢を放って彼らを打ち敗ってください。 + 高い所からみ手を伸べて、わたしを救い、大水から、異邦人の手からわたしを助け出してください。 + 彼らの口は偽りを言い、その右の手は偽りの右の手です。 + 神よ、わたしは新しい歌をあなたにむかって歌い、十弦の立琴にあわせてあなたをほめ歌います。 + あなたは王たちに勝利を与え、そのしもべダビデを救われます。 + わたしを残忍なつるぎから救い、異邦人の手から助け出してください。彼らの口は偽りを言い、その右の手は偽りの右の手です。 + われらのむすこたちはその若い時、よく育った草木のようです。われらの娘たちは宮の建物のために刻まれたすみの柱のようです。 + われらの倉は満ちて様々の物を備え、われらの羊は野でちよろずの子を産み、 + われらの家畜はみごもって子を産むに誤ることなく、われらのちまたには悩みの叫びがありません。 + このような祝福をもつ民はさいわいです。主をおのが神とする民はさいわいです。 + + + わが神、王よ、わたしはあなたをあがめ、世々かぎりなくみ名をほめまつります。 + わたしは日ごとにあなたをほめ、世々かぎりなくみ名をほめたたえます。 + 主は大いなる神で、大いにほめたたえらるべきです。その大いなることは測り知ることができません。 + この代はかの代にむかってあなたのみわざをほめたたえ、あなたの大能のはたらきを宣べ伝えるでしょう。 + わたしはあなたの威厳の光栄ある輝きと、あなたのくすしきみわざとを深く思います。 + 人々はあなたの恐るべきはたらきの勢いを語り、わたしはあなたの大いなることを宣べ伝えます。 + 彼らはあなたの豊かな恵みの思い出を言いあらわし、あなたの義を喜び歌うでしょう。 + 主は恵みふかく、あわれみに満ち、怒ることおそく、いつくしみ豊かです。 + 主はすべてのものに恵みがあり、そのあわれみはすべてのみわざの上にあります。 + 主よ、あなたのすべてのみわざはあなたに感謝し、あなたの聖徒はあなたをほめまつるでしょう。 + 彼らはみ国の栄光を語り、あなたのみ力を宣べ、 + あなたの大能のはたらきと、み国の光栄ある輝きとを人の子に知らせるでしょう。 + あなたの国はとこしえの国です。あなたのまつりごとはよろずよに絶えることはありません。 + 主はすべて倒れんとする者をささえ、すべてかがむ者を立たせられます。 + よろずのものの目はあなたを待ち望んでいます。あなたは時にしたがって彼らに食物を与えられます。 + あなたはみ手を開いて、すべての生けるものの願いを飽かせられます。 + 主はそのすべての道に正しく、そのすべてのみわざに恵みふかく、 + すべて主を呼ぶ者、誠をもって主を呼ぶ者に主は近いのです。 + 主はおのれを恐れる者の願いを満たし、またその叫びを聞いてこれを救われます。 + 主はおのれを愛する者をすべて守られるが、悪しき者をことごとく滅ぼされます。 + わが口は主の誉を語り、すべての肉なる者は世々かぎりなくその聖なるみ名をほめまつるでしょう。 + + + 主をほめたたえよ。わが魂よ、主をほめたたえよ。 + わたしは生けるかぎりは主をほめたたえ、ながらえる間は、わが神をほめうたおう。 + もろもろの君に信頼してはならない。人の子に信頼してはならない。彼らには助けがない。 + その息が出ていけば彼は土に帰る。その日には彼のもろもろの計画は滅びる。 + ヤコブの神をおのが助けとし、その望みをおのが神、主におく人はさいわいである。 + 主は天と地と、海と、その中にあるあらゆるものを造り、とこしえに真実を守り、 + しえたげられる者のためにさばきをおこない、飢えた者に食物を与えられる。主は捕われ人を解き放たれる。 + 主は盲人の目を開かれる。主はかがむ者を立たせられる。主は正しい者を愛される。 + 主は寄留の他国人を守り、みなしごと、やもめとをささえられる。しかし、悪しき者の道を滅びに至らせられる。 + 主はとこしえに統べ治められる。シオンよ、あなたの神はよろず代まで統べ治められる。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。われらの神をほめうたうことはよいことである。主は恵みふかい。さんびはふさわしいことである。 + 主はエルサレムを築き、イスラエルの追いやられた者を集められる。 + 主は心の打ち砕かれた者をいやし、その傷を包まれる。 + 主はもろもろの星の数を定め、すべてそれに名を与えられる。 + われらの主は大いなる神、力も豊かであって、その知恵ははかりがたい。 + 主はしえたげられた者をささえ、悪しき者を地に投げ捨てられる。 + 主に感謝して歌え、琴にあわせてわれらの神をほめうたえ。 + 主は雲をもって天をおおい、地のために雨を備え、もろもろの山に草をはえさせ、 + 食物を獣に与え、また鳴く小がらすに与えられる。 + 主は馬の力を喜ばれず、人の足をよみせられない。 + 主はおのれを恐れる者とそのいつくしみを望む者とをよみせられる。 + エルサレムよ、主をほめたたえよ。シオンよ、あなたの神をほめたたえよ。 + 主はあなたの門の貫の木を堅くし、あなたのうちにいる子らを祝福されるからである。 + 主はあなたの国境を安らかにし、最も良い麦をもってあなたを飽かせられる。 + 主はその戒めを地に下される。そのみ言葉はすみやかに走る。 + 主は雪を羊の毛のように降らせ、霜を灰のようにまかれる。 + 主は氷をパンくずのように投げうたれる。だれがその寒さに耐えることができましょうか。 + 主はみ言葉を下してこれを溶かし、その風を吹かせられると、もろもろの水は流れる。 + 主はそのみ言葉をヤコブに示し、そのもろもろの定めと、おきてとをイスラエルに示される。 + 主はいずれの国民をも、このようにはあしらわれなかった。彼らは主のもろもろのおきてを知らない。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。もろもろの天から主をほめたたえよ。もろもろの高き所で主をほめたたえよ。 + その天使よ、みな主をほめたたえよ。その万軍よ、みな主をほめたたえよ。 + 日よ、月よ、主をほめたたえよ。輝く星よ、みな主をほめたたえよ。 + いと高き天よ、天の上にある水よ、主をほめたたえよ。 + これらのものに主のみ名をほめたたえさせよ、これらは主が命じられると造られたからである。 + 主はこれらをとこしえに堅く定め、越えることのできないその境を定められた。 + 海の獣よ、すべての淵よ、地から主をほめたたえよ。 + 火よ、あられよ、雪よ、霜よ、み言葉を行うあらしよ、 + もろもろの山、すべての丘、実を結ぶ木、すべての香柏よ、 + 野の獣、すべての家畜、這うもの、翼ある鳥よ、 + 地の王たち、すべての民、君たち、地のすべてのつかさよ、 + 若い男子、若い女子、老いた人と幼い者よ、 + 彼らをして主のみ名をほめたたえさせよ。そのみ名は高く、たぐいなく、その栄光は地と天の上にあるからである。 + 主はその民のために一つの角をあげられた。これはすべての聖徒のほめたたえるもの、主に近いイスラエルの人々のほめたたえるものである。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。主にむかって新しい歌をうたえ。聖徒のつどいで、主の誉を歌え。 + イスラエルにその造り主を喜ばせ、シオンの子らにその王を喜ばせよ。 + 彼らに踊りをもって主のみ名をほめたたえさせ、鼓と琴とをもって主をほめ歌わせよ。 + 主はおのが民を喜び、へりくだる者を勝利をもって飾られるからである。 + 聖徒を栄光によって喜ばせ、その床の上で喜び歌わせよ。 + そののどには神をあがめる歌があり、その手にはもろ刃のつるぎがある。 + これはもろもろの国にあだを返し、もろもろの民を懲らし、 + 彼らの王たちを鎖で縛り、彼らの貴人たちを鉄のかせで縛りつけ、 + しるされたさばきを彼らに行うためである。これはそのすべての聖徒に与えられる誉である。主をほめたたえよ。 + + + 主をほめたたえよ。その聖所で神をほめたたえよ。その力のあらわれる大空で主をほめたたえよ。 + その大能のはたらきのゆえに主をほめたたえよ。そのすぐれて大いなることのゆえに主をほめたたえよ。 + ラッパの声をもって主をほめたたえよ。立琴と琴とをもって主をほめたたえよ。 + 鼓と踊りとをもって主をほめたたえよ。緒琴と笛とをもって主をほめたたえよ。 + 音の高いシンバルをもって主をほめたたえよ。鳴りひびくシンバルをもって主をほめたたえよ。 + 息のあるすべてのものに主をほめたたえさせよ。主をほめたたえよ。 + +
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+ + ダビデの子、イスラエルの王ソロモンの箴言。 + これは人に知恵と教訓とを知らせ、悟りの言葉をさとらせ、 + 賢い行いと、正義と公正と公平の教訓をうけさせ、 + 思慮のない者に悟りを与え、若い者に知識と慎みを得させるためである。 + 賢い者はこれを聞いて学に進み、さとい者は指導を得る。 + 人はこれによって箴言と、たとえと、賢い者の言葉と、そのなぞとを悟る。 + 主を恐れることは知識のはじめである、愚かな者は知恵と教訓を軽んじる。 + わが子よ、あなたは父の教訓を聞き、母の教を捨ててはならない。 + それらは、あなたの頭の麗しい冠となり、あなたの首の飾りとなるからである。 + わが子よ、悪者があなたを誘っても、それに従ってはならない。 + 彼らがあなたに向かって、「一緒に来なさい。われわれは待ち伏せして、人の血を流し、罪のない者を、ゆえなく伏してねらい、 + 陰府のように、彼らを生きたままで、のみ尽し、健やかな者を、墓に下る者のようにしよう。 + われわれは、さまざまの尊い貨財を得、奪い取った物で、われわれの家を満たそう。 + あなたもわれわれの仲間に加わりなさい、われわれは共に一つの金袋を持とう」と言っても、 + わが子よ、彼らの仲間になってはならない、あなたの足をとどめて、彼らの道に行ってはならない。 + 彼らの足は悪に走り、血を流すことに速いからだ。 + すべて鳥の目の前で網を張るのは、むだである。 + 彼らは自分の血を待ち伏せし、自分の命を伏してねらうのだ。 + すべて利をむさぼる者の道はこのようなものである。これはその持ち主の命を取り去るのだ。 + 知恵は、ちまたに呼ばわり、市場にその声をあげ、 + 城壁の頂で叫び、町の門の入口で語る。 + 「思慮のない者たちよ、あなたがたは、いつまで思慮のないことを好むのか。あざける者は、いつまで、あざけり楽しみ、愚かな者は、いつまで、知識を憎むのか。 + わたしの戒めに心をとめよ、見よ、わたしは自分の思いを、あなたがたに告げ、わたしの言葉を、あなたがたに知らせる。 + わたしは呼んだが、あなたがたは聞くことを拒み、手を伸べたが、顧みる者はなく、 + かえって、あなたがたはわたしのすべての勧めを捨て、わたしの戒めを受けなかったので、 + わたしもまた、あなたがたが災にあう時に、笑い、あなたがたが恐慌にあう時、あざけるであろう。 + これは恐慌が、あらしのようにあなたがたに臨み、災が、つむじ風のように臨み、悩みと悲しみとが、あなたがたに臨む時である。 + その時、彼らはわたしを呼ぶであろう、しかし、わたしは答えない。ひたすら、わたしを求めるであろう、しかし、わたしに会えない。 + 彼らは知識を憎み、主を恐れることを選ばず、 + わたしの勧めに従わず、すべての戒めを軽んじたゆえ、 + 自分の行いの実を食らい、自分の計りごとに飽きる。 + 思慮のない者の不従順はおのれを殺し、愚かな者の安楽はおのれを滅ぼす。 + しかし、わたしに聞き従う者は安らかに住まい、災に会う恐れもなく、安全である」。 + + + わが子よ、もしあなたがわたしの言葉を受け、わたしの戒めを、あなたの心におさめ、 + あなたの耳を知恵に傾け、あなたの心を悟りに向け、 + しかも、もし知識を呼び求め、悟りを得ようと、あなたの声をあげ、 + 銀を求めるように、これを求め、かくれた宝を尋ねるように、これを尋ねるならば、 + あなたは、主を恐れることを悟り、神を知ることができるようになる。 + これは、主が知恵を与え、知識と悟りとは、み口から出るからである。 + 彼は正しい人のために、確かな知恵をたくわえ、誠実に歩む者の盾となって、 + 公正の道を保ち、その聖徒たちの道筋を守られる。 + そのとき、あなたは、ついに正義と公正、公平とすべての良い道を悟る。 + これは知恵が、あなたの心にはいり、知識があなたの魂に楽しみとなるからである。 + 慎みはあなたを守り、悟りはあなたを保って、 + 悪の道からあなたを救い、偽りをいう者から救う。 + 彼らは正しい道を離れて、暗い道に歩み、 + 悪を行うことを楽しみ、悪人の偽りを喜び、 + その道は曲り、その行いは、よこしまである。 + 慎みと悟りはまたあなたを遊女から救い、言葉の巧みな、みだらな女から救う。 + 彼女は若い時の友を捨て、その神に契約したことを忘れている。 + その家は死に下り、その道は陰府におもむく。 + すべて彼女のもとへ行く者は、帰らない、また命の道にいたらない。 + こうして、あなたは善良な人々の道に歩み、正しい人々の道を守ることができる。 + 正しい人は地にながらえ、誠実な人は地にとどまる。 + しかし悪しき者は地から断ち滅ぼされ、不信実な者は地から抜き捨てられる。 + + + わが子よ、わたしの教を忘れず、わたしの戒めを心にとめよ。 + そうすれば、これはあなたの日を長くし、命の年を延べ、あなたに平安を増し加える。 + いつくしみと、まこととを捨ててはならない、それをあなたの首に結び、心の碑にしるせ。 + そうすれば、あなたは神と人との前に恵みと、誉とを得る。 + 心をつくして主に信頼せよ、自分の知識にたよってはならない。 + すべての道で主を認めよ、そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにされる。 + 自分を見て賢いと思ってはならない、主を恐れて、悪を離れよ。 + そうすれば、あなたの身を健やかにし、あなたの骨に元気を与える。 + あなたの財産と、すべての産物の初なりをもって主をあがめよ。 + そうすれば、あなたの倉は満ちて余り、あなたの酒ぶねは新しい酒であふれる。 + わが子よ、主の懲しめを軽んじてはならない、その戒めをきらってはならない。 + 主は、愛する者を、戒められるからである、あたかも父がその愛する子を戒めるように。 + 知恵を求めて得る人、悟りを得る人はさいわいである。 + 知恵によって得るものは、銀によって得るものにまさり、その利益は精金よりも良いからである。 + 知恵は宝石よりも尊く、あなたの望む何物も、これと比べるに足りない。 + その右の手には長寿があり、左の手には富と、誉がある。 + その道は楽しい道であり、その道筋はみな平安である。 + 知恵は、これを捕える者には命の木である、これをしっかり捕える人はさいわいである。 + 主は知恵をもって地の基をすえ、悟りをもって天を定められた。 + その知識によって海はわきいで、雲は露をそそぐ。 + わが子よ、確かな知恵と、慎みとを守って、それをあなたの目から離してはならない。 + それはあなたの魂の命となりあなたの首の飾りとなる。 + こうして、あなたは安らかに自分の道を行き、あなたの足はつまずくことがない。 + あなたは座しているとき、恐れることはなく、伏すとき、あなたの眠りはここちよい。 + あなたはにわかに起る恐怖を恐れることなく、悪しき者の滅びが来ても、それを恐れることはない。 + これは、主があなたの信頼する者であり、あなたの足を守って、わなに捕われさせられないからである。 + あなたの手に善をなす力があるならば、これをなすべき人になすことをさし控えてはならない。 + あなたが物を持っている時、その隣り人に向かい、「去って、また来なさい。あす、それをあげよう」と言ってはならない。 + あなたの隣り人がかたわらに安らかに住んでいる時、これに向かって、悪を計ってはならない。 + もし人があなたに悪を行ったのでなければ、ゆえなく、これと争ってはならない。 + 暴虐な人を、うらやんではならない、そのすべての道を選んではならない。 + よこしまな者は主に憎まれるからである、しかし、正しい者は主に信任される。 + 主の、のろいは悪しき者の家にある、しかし、正しい人のすまいは主に恵まれる。 + 彼はあざける者をあざけり、へりくだる者に恵みを与えられる。 + 知恵ある者は、誉を得る、しかし、愚かな者ははずかしめを得る。 + + + 子供らよ、父の教を聞き、悟りを得るために耳を傾けよ。 + わたしは、良い教訓を、あなたがたにさずける。わたしの教を捨ててはならない。 + わたしもわが父には子であり、わが母の目には、ひとりのいとし子であった。 + 父はわたしを教えて言った、「わたしの言葉を、心に留め、わたしの戒めを守って、命を得よ。 + それを忘れることなく、またわが口の言葉にそむいてはならない、知恵を得よ、悟りを得よ。 + 知恵を捨てるな、それはあなたを守る。それを愛せよ、それはあなたを保つ。 + 知恵の初めはこれである、知恵を得よ、あなたが何を得るにしても、悟りを得よ。 + それを尊べ、そうすれば、それはあなたを高くあげる、もしそれをいだくならば、それはあなたを尊くする。 + それはあなたの頭に麗しい飾りを置き、栄えの冠をあなたに与える」。 + わが子よ、聞け、わたしの言葉をうけいれよ、そうすれば、あなたの命の年は多くなる。 + わたしは知恵の道をあなたに教え、正しい道筋にあなたを導いた。 + あなたが歩くとき、その歩みは妨げられず、走る時にも、つまずくことはない。 + 教訓をかたくとらえて、離してはならない、それを守れ、それはあなたの命である。 + よこしまな者の道に、はいってはならない、悪しき者の道を歩んではならない。 + それを避けよ、通ってはならない、それを離れて進め。 + 彼らは悪を行わなければ眠ることができず、人をつまずかせなければ、寝ることができず、 + 不正のパンを食らい、暴虐の酒を飲むからである。 + 正しい者の道は、夜明けの光のようだ、いよいよ輝きを増して真昼となる。 + 悪しき人の道は暗やみのようだ、彼らは何につまずくかを知らない。 + わが子よ、わたしの言葉に心をとめ、わたしの語ることに耳を傾けよ。 + それを、あなたの目から離さず、あなたの心のうちに守れ。 + それは、これを得る者の命であり、またその全身を健やかにするからである。 + 油断することなく、あなたの心を守れ、命の泉は、これから流れ出るからである。 + 曲った言葉をあなたから捨てさり、よこしまな談話をあなたから遠ざけよ。 + あなたの目は、まっすぐに正面を見、あなたのまぶたはあなたの前を、まっすぐに見よ。 + あなたの足の道に気をつけよ、そうすれば、あなたのすべての道は安全である。 + 右にも左にも迷い出てはならない、あなたの足を悪から離れさせよ。 + + + わが子よ、わたしの知恵に心をとめ、わたしの悟りに耳をかたむけよ。 + これは、あなたが慎みを守り、あなたのくちびるに知識を保つためである。 + 遊女のくちびるは蜜をしたたらせ、その言葉は油よりもなめらかである。 + しかしついには、彼女はにがよもぎのように苦く、もろ刃のつるぎのように鋭くなる。 + その足は死に下り、その歩みは陰府の道におもむく。 + 彼女はいのちの道に心をとめず、その道は人を迷わすが、彼女はそれを知らない。 + 子供らよ、今わたしの言うことを聞け、わたしの口の言葉から、離れ去ってはならない。 + あなたの道を彼女から遠く離し、その家の門に近づいてはならない。 + おそらくはあなたの誉を他人にわたし、あなたの年を無慈悲な者にわたすに至る。 + おそらくは他人があなたの資産によって満たされ、あなたの労苦は他人の家に行く。 + そしてあなたの終りが来て、あなたの身と、からだが滅びるとき、泣き悲しんで、 + 言うであろう、「わたしは教訓をいとい、心に戒めを軽んじ、 + 教師の声に聞き従わず、わたしを教える者に耳を傾けず、 + 集まりの中、会衆のうちにあって、わたしは、破滅に陥りかけた」と。 + あなたは自分の水ためから水を飲み、自分の井戸から、わき出す水を飲むがよい。 + あなたの泉を、外にまきちらし、水の流れを、ちまたに流してよかろうか。 + それを自分だけのものとし、他人を共にあずからせてはならない。 + あなたの泉に祝福を受けさせ、あなたの若い時の妻を楽しめ。 + 彼女は愛らしい雌じか、美しいしかのようだ。いつも、その乳ぶさをもって満足し、その愛をもって常に喜べ。 + わが子よ、どうして遊女に迷い、みだらな女の胸をいだくのか。 + 人の道は主の目の前にあり、主はすべて、その行いを見守られる。 + 悪しき者は自分のとがに捕えられ、自分の罪のなわにつながれる。 + 彼は、教訓がないために死に、その愚かさの大きいことによって滅びる。 + + + わが子よ、あなたがもし隣り人のために保証人となり、他人のために手をうって誓ったならば、 + もしあなたのくちびるの言葉によって、わなにかかり、あなたの口の言葉によって捕えられたならば、 + わが子よ、その時はこうして、おのれを救え、あなたは隣り人の手に陥ったのだから。急いで行って、隣り人にひたすら求めよ。 + あなたの目を眠らせず、あなたのまぶたを、まどろませず、 + かもしかが、かりゅうどの手からのがれるように、鳥が鳥を取る者の手からのがれるように、おのれを救え。 + なまけ者よ、ありのところへ行き、そのすることを見て、知恵を得よ。 + ありは、かしらなく、つかさなく、王もないが、 + 夏のうちに食物をそなえ、刈入れの時に、かてを集める。 + なまけ者よ、いつまで寝ているのか、いつ目をさまして起きるのか。 + しばらく眠り、しばらくまどろみ、手をこまぬいて、またしばらく休む。 + それゆえ、貧しさは盗びとのようにあなたに来り、乏しさは、つわもののようにあなたに来る。 + よこしまな人、悪しき人は偽りの言葉をもって行きめぐり、 + 目でめくばせし、足で踏み鳴らし、指で示し、 + よこしまな心をもって悪を計り、絶えず争いをおこす。 + それゆえ、災は、にわかに彼に臨み、たちまちにして打ち敗られ、助かることはない。 + 主の憎まれるものが六つある、否、その心に、忌みきらわれるものが七つある。 + すなわち、高ぶる目、偽りを言う舌、罪なき人の血を流す手、 + 悪しき計りごとをめぐらす心、すみやかに悪に走る足、 + 偽りをのべる証人、また兄弟のうちに争いをおこす人がこれである。 + わが子よ、あなたの父の戒めを守り、あなたの母の教を捨てるな。 + つねに、これをあなたの心に結び、あなたの首のまわりにつけよ。 + これは、あなたが歩くとき、あなたを導き、あなたが寝るとき、あなたを守り、あなたが目ざめるとき、あなたと語る。 + 戒めはともしびである、教は光である、教訓の懲しめは命の道である。 + これは、あなたを守って、悪い女に近づかせず、みだらな女の、巧みな舌に惑わされぬようにする。 + 彼女の麗しさを心に慕ってはならない、そのまぶたに捕えられてはならない。 + 遊女は一塊のパンのために雇われる、しかし、みだらな女は人の尊い命を求める。 + 人は火を、そのふところにいだいてその着物が焼かれないであろうか。 + また人は、熱い火を踏んで、その足が、焼かれないであろうか。 + その隣の妻と不義を行う者も、それと同じだ。すべて彼女に触れる者は罰を免れることはできない。 + 盗びとが飢えたとき、その飢えを満たすために盗むならば、人は彼を軽んじないであろうか。 + もし捕えられたなら、その七倍を償い、その家の貨財を、ことごとく出さなければならない。 + 女と姦淫を行う者は思慮がない。これを行う者はおのれを滅ぼし、 + 傷と、はずかしめとを受けて、その恥をすすぐことができない。 + ねたみは、その夫を激しく怒らせるゆえ、恨みを報いるとき、容赦することはない。 + どのようなあがない物をも顧みず、多くの贈り物をしても、和らがない。 + + + わが子よ、わたしの言葉を守り、わたしの戒めをあなたの心にたくわえよ。 + わたしの戒めを守って命を得よ、わたしの教を守ること、ひとみを守るようにせよ。 + これをあなたの指にむすび、これをあなたの心の碑にしるせ。 + 知恵に向かって、「あなたはわが姉妹だ」と言い、悟りに向かっては、あなたの友と呼べ。 + そうすれば、これはあなたを守って遊女に迷わせず、言葉巧みな、みだらな女に近づかせない。 + わたしはわが家の窓により、格子窓から外をのぞいて、 + 思慮のない者のうちに、若い者のうちに、ひとりの知恵のない若者のいるのを見た。 + 彼はちまたを過ぎ、女の家に行く曲りかどに近づき、その家に行く道を、 + たそがれに、よいに、また夜中に、また暗やみに歩いていった。 + 見よ、遊女の装いをした陰険な女が彼に会う。 + この女は、騒がしくて、慎みなく、その足は自分の家にとどまらず、 + ある時はちまたにあり、ある時は市場にあり、すみずみに立って人をうかがう。 + この女は彼を捕えて口づけし、恥しらぬ顔で彼に言う、 + 「わたしは酬恩祭をささげなければならなかったが、きょう、その誓いを果しました。 + それでわたしはあなたを迎えようと出て、あなたを尋ね、あなたに会いました。 + わたしは床に美しい、しとねと、エジプトのあや布を敷き、 + 没薬、ろかい、桂皮をもってわたしの床をにおわせました。 + さあ、わたしたちは夜が明けるまで、情をつくし、愛をかわして楽しみましょう。 + 夫は家にいません、遠くへ旅立ち、 + 手に金袋を持って出ました。満月になるまでは帰りません」と。 + 女が多くの、なまめかしい言葉をもって彼を惑わし、巧みなくちびるをもって、いざなうと、 + 若い人は直ちに女に従った、あたかも牛が、ほふり場に行くように、雄じかが、すみやかに捕えられ、 + ついに、矢がその内臓を突き刺すように、鳥がすみやかに網にかかるように、彼は自分が命を失うようになることを知らない。 + 子供らよ、今わたしの言うことを聞き、わが口の言葉に耳を傾けよ。 + あなたの心を彼女の道に傾けてはならない、またその道に迷ってはならない。 + 彼女は多くの人を傷つけて倒した、まことに、彼女に殺された者は多い。 + その家は陰府へ行く道であって、死のへやへ下って行く。 + + + 知恵は呼ばわらないのか、悟りは声をあげないのか。 + これは道のほとりの高い所の頂、また、ちまたの中に立ち、 + 町の入口にあるもろもろの門のかたわら、正門の入口で呼ばわって言う、 + 「人々よ、わたしはあなたがたに呼ばわり、声をあげて人の子らを呼ぶ。 + 思慮のない者よ、悟りを得よ、愚かな者よ、知恵を得よ。 + 聞け、わたしは高貴な事を語り、わがくちびるは正しい事を語り出す。 + わが口は真実を述べ、わがくちびるは悪しき事を憎む。 + わが口の言葉はみな正しい、そのうちに偽りと、よこしまはない。 + これはみな、さとき者の明らかにするところ、知識を得る者の正しとするところである。 + あなたがたは銀を受けるよりも、わたしの教を受けよ、精金よりも、むしろ知識を得よ。 + 知恵は宝石にまさり、あなたがたの望むすべての物は、これと比べるにたりない。 + 知恵であるわたしは悟りをすみかとし、知識と慎みとをもつ。 + 主を恐れるとは悪を憎むことである。わたしは高ぶりと、おごりと、悪しき道と、偽りの言葉とを憎む。 + 計りごとと、確かな知恵とは、わたしにある、わたしには悟りがあり、わたしには力がある。 + わたしによって、王たる者は世を治め、君たる者は正しい定めを立てる。 + わたしによって、主たる者は支配し、つかさたる者は地を治める。 + わたしは、わたしを愛する者を愛する、わたしをせつに求める者は、わたしに出会う。 + 富と誉とはわたしにあり、すぐれた宝と繁栄もまたそうである。 + わたしの実は金よりも精金よりも良く、わたしの産物は精銀にまさる。 + わたしは正義の道、公正な道筋の中を歩み、 + わたしを愛する者に宝を得させ、またその倉を満ちさせる。 + 主が昔そのわざをなし始められるとき、そのわざの初めとして、わたしを造られた。 + いにしえ、地のなかった時、初めに、わたしは立てられた。 + まだ海もなく、また大いなる水の泉もなかった時、わたしはすでに生れ、 + 山もまだ定められず、丘もまだなかった時、わたしはすでに生れた。 + すなわち神がまだ地をも野をも、地のちりのもとをも造られなかった時である。 + 彼が天を造り、海のおもてに、大空を張られたとき、わたしはそこにあった。 + 彼が上に空を堅く立たせ、淵の泉をつよく定め、 + 海にその限界をたて、水にその岸を越えないようにし、また地の基を定められたとき、 + わたしは、そのかたわらにあって、名匠となり、日々に喜び、常にその前に楽しみ、 + その地で楽しみ、また世の人を喜んだ。 + それゆえ、子供らよ、今わたしの言うことを聞け、わたしの道を守る者はさいわいである。 + 教訓を聞いて、知恵を得よ、これを捨ててはならない。 + わたしの言うことを聞き、日々わたしの門のかたわらでうかがい、わたしの戸口の柱のわきで待つ人はさいわいである。 + それは、わたしを得る者は命を得、主から恵みを得るからである。 + わたしを失う者は自分の命をそこなう、すべてわたしを憎む者は死を愛する者である」。 + + + 知恵は自分の家を建て、その七つの柱を立て、 + 獣をほふり、酒を混ぜ合わせて、ふるまいを備え、 + はしためをつかわして、町の高い所で呼ばわり言わせた、 + 「思慮のない者よ、ここに来れ」と。また、知恵のない者に言う、 + 「来て、わたしのパンを食べ、わたしの混ぜ合わせた酒をのみ、 + 思慮のないわざを捨てて命を得、悟りの道を歩め」と。 + あざける者を戒める者は、自ら恥を得、悪しき者を責める者は自ら傷を受ける。 + あざける者を責めるな、おそらく彼はあなたを憎むであろう。知恵ある者を責めよ、彼はあなたを愛する。 + 知恵ある者に教訓を授けよ、彼はますます知恵を得る。正しい者を教えよ、彼は学に進む。 + 主を恐れることは知恵のもとである、聖なる者を知ることは、悟りである。 + わたしによって、あなたの日は多くなり、あなたの命の年は増す。 + もしあなたに知恵があるならば、あなた自身のために知恵があるのである。もしあなたがあざけるならば、あなたひとりがその責めを負うことになる。 + 愚かな女は、騒がしく、みだらで、恥を知らない。 + 彼女はその家の戸口に座し、町の高い所にある座にすわり、 + 道を急ぐ行き来の人を招いて言う、 + 「思慮のない者よ、ここに来れ」と。また知恵のない人に向かってこれに言う、 + 「盗んだ水は甘く、ひそかに食べるパンはうまい」と。 + しかしその人は、死の影がそこにあることを知らず、彼女の客は陰府の深みにおることを知らない。 + + + ソロモンの箴言。知恵ある子は父を喜ばせ、愚かな子は母の悲しみとなる。 + 不義の宝は益なく、正義は人を救い出して、死を免れさせる。 + 主は正しい人を飢えさせず、悪しき者の欲望をくじかれる。 + 手を動かすことを怠る者は貧しくなり、勤め働く者の手は富を得る。 + 夏のうちに集める者は賢い子であり、刈入れの時に眠る者は恥をきたらせる子である。 + 正しい者のこうべには祝福があり、悪しき者の口は暴虐を隠す。 + 正しい者の名はほめられ、悪しき者の名は朽ちる。 + 心のさとき者は戒めを受ける、むだ口をたたく愚かな者は滅ぼされる。 + まっすぐに歩む者の歩みは安全である、しかし、その道を曲げる者は災にあう。 + 目で、めくばせする者は憂いをおこし、あからさまに、戒める者は平和をきたらせる。 + 正しい者の口は命の泉である、悪しき者の口は暴虐を隠す。 + 憎しみは、争いを起し、愛はすべてのとがをおおう。 + さとき者のくちびるには知恵があり、知恵のない者の背にはむちがある。 + 知恵ある者は知識をたくわえる、愚かな者のむだ口は、今にも滅びをきたらせる。 + 富める者の宝は、その堅き城であり、貧しい者の乏しきは、その滅びである。 + 正しい者の受ける賃銀は命に導き、悪しき者の利得は罪に至る。 + 教訓を守る者は命の道にあり、懲しめを捨てる者は道をふみ迷う。 + 憎しみを隠す者には偽りのくちびるがあり、そしりを口に出す者は愚かな者である。 + 言葉が多ければ、とがを免れない、自分のくちびるを制する者は知恵がある。 + 正しい者の舌は精銀である、悪しき者の心は価値が少ない。 + 正しい者のくちびるは多くの人を養い、愚かな者は知恵がなくて死ぬ。 + 主の祝福は人を富ませる、主はこれになんの悲しみをも加えない。 + 愚かな者は、戯れ事のように悪を行う、さとき人には賢い行いが楽しみである。 + 悪しき者の恐れることは自分に来り、正しい者の願うことは与えられる。 + あらしが通りすぎる時、悪しき者は、もはや、いなくなり、正しい者は永久に堅く立てられる。 + なまけ者は、これをつかわす者にとっては、酢が歯をいため、煙が目を悩ますようなものだ。 + 主を恐れることは人の命の日を多くする、悪しき者の年は縮められる。 + 正しい者の望みは喜びに終り、悪しき者の望みは絶える。 + 主は、まっすぐに歩む者には城であり、悪を行う者には滅びである。 + 正しい者はいつまでも動かされることはない、悪しき者は、地に住むことができない。 + 正しい者の口は知恵をいだし、偽りの舌は抜かれる。 + 正しい者のくちびるは喜ばるべきことをわきまえ、悪しき者の口は偽りを語る。 + + + 偽りのはかりは主に憎まれ、正しいふんどうは彼に喜ばれる。 + 高ぶりが来れば、恥もまた来る、へりくだる者には知恵がある。 + 正しい者の誠実はその人を導き、不信実な者のよこしまはその人を滅ぼす。 + 宝は怒りの日に益なく、正義は人を救い出して、死を免れさせる。 + 誠実な者は、その正義によって、その道をまっすぐにせられ、悪しき者は、その悪によって倒れる。 + 正しい者はその正義によって救われ、不信実な者は自分の欲によって捕えられる。 + 悪しき者は死ぬとき、その望みは絶え、不信心な者の望みもまた絶える。 + 正しい者は、悩みから救われ、悪しき者は代ってそれに陥る。 + 不信心な者はその口をもって隣り人を滅ぼす、正しい者は知識によって救われる。 + 正しい者が、しあわせになれば、その町は喜び、悪しき者が滅びると、喜びの声がおこる。 + 町は正しい者の祝福によって、高くあげられ、悪しき者の口によって、滅ぼされる。 + 隣り人を侮る者は知恵がない、さとき人は口をつぐむ。 + 人のよしあしを言いあるく者は秘密をもらす、心の忠信なる者は事を隠す。 + 指導者がなければ民は倒れ、助言者が多ければ安全である。 + 他人のために保証をする者は苦しみをうけ、保証をきらう者は安全である。 + しとやかな女は、誉を得、強暴な男は富を得る。 + いつくしみある者はおのれ自身に益を得、残忍な者はおのれの身をそこなう。 + 悪しき者の得る報いはむなしく、正義を播く者は確かな報いを得る。 + 正義を堅く保つ者は命に至り、悪を追い求める者は死を招く。 + 心のねじけた者は主に憎まれ、まっすぐに道を歩む者は彼に喜ばれる。 + 確かに、悪人は罰を免れない、しかし正しい人は救を得る。 + 美しい女の慎みがないのは、金の輪の、ぶたの鼻にあるようだ。 + 正しい者の願いは、すべて良い結果を得、悪しき者の望みは怒りに至る。 + 施し散らして、なお富を増す人があり、与えるべきものを惜しんで、かえって貧しくなる者がある。 + 物惜しみしない者は富み、人を潤す者は自分も潤される。 + 穀物を、しまい込んで売らない者は民にのろわれる、それを売る者のこうべには祝福がある。 + 善を求める者は恵みを得る、悪を求める者には悪が来る。 + 自分の富を頼む者は衰える、正しい者は木の青葉のように栄える。 + 自分の家族を苦しめる者は風を所有とする、愚かな者は心のさとき者のしもべとなる。 + 正しい者の結ぶ実は命の木である、不法な者は人の命をとる。 + もし正しい者がこの世で罰せられるならば、悪しき者と罪びととは、なおさらである。 + + + 戒めを愛する人は知識を愛する、懲しめを憎む者は愚かである。 + 善人は主の恵みをうけ、悪い計りごとを設ける人は主に罰せられる。 + 人は悪をもって堅く立つことはできない、正しい人の根は動くことはない。 + 賢い妻はその夫の冠である、恥をこうむらせる妻は夫の骨に生じた腐れのようなものである。 + 正しい人の考えは公正である、悪しき者の計ることは偽りである。 + 悪しき者の言葉は、人の血を流そうとうかがう、正しい人の口は人を救う。 + 悪しき者は倒されて、うせ去る、正しい人の家は堅く立つ。 + 人はその悟りにしたがって、ほめられ、心のねじけた者は、卑しめられる。 + 身分の低い人でも自分で働く者は、みずから高ぶって食に乏しい者にまさる。 + 正しい人はその家畜の命を顧みる、悪しき者は残忍をもって、あわれみとする。 + 自分の田地を耕す者は食糧に飽きる、無益な事に従う者は知恵がない。 + 悪しき者の堅固なやぐらは崩壊する、正しい人の根は堅く立つ。 + 悪人はくちびるのとがによって、わなに陥る、しかし正しい人は悩みをのがれる。 + 人はその口の実によって、幸福に満ち足り、人の手のわざは、その人の身に帰る。 + 愚かな人の道は、自分の目に正しく見える、しかし知恵ある者は勧めをいれる。 + 愚かな人は、すぐに怒りをあらわす、しかし賢い人は、はずかしめをも気にとめない。 + 真実を語る人は正しい証言をなし、偽りの証人は偽りを言う。 + つるぎをもって刺すように、みだりに言葉を出す者がある、しかし知恵ある人の舌は人をいやす。 + 真実を言うくちびるは、いつまでも保つ、偽りを言う舌は、ただ、まばたきの間だけである。 + 悪をたくらむ者の心には欺きがあり、善をはかる人には喜びがある。 + 正しい人にはなんの害悪も生じない、しかし悪しき者は災をもって満たされる。 + 偽りを言うくちびるは主に憎まれ、真実を行う者は彼に喜ばれる。 + さとき人は知識をかくす、しかし愚かな者は自分の愚かなことをあらわす。 + 勤め働く者の手はついに人を治める、怠る者は人に仕えるようになる。 + 心に憂いがあればその人をかがませる、しかし親切な言葉はその人を喜ばせる。 + 正しい人は悪を離れ去る、しかし悪しき者は自ら道に迷う。 + 怠る者は自分の獲物を捕えない、しかし勤め働く人は尊い宝を獲る。 + 正義の道には命がある、しかし誤りの道は死に至る。 + + + 知恵ある子は父の教訓をきく、あざける者は、懲しめをきかない。 + 善良な人はその口の実によって、幸福を得る、不信実な者の願いは、暴虐である。 + 口を守る者はその命を守る、くちびるを大きく開く者には滅びが来る。 + なまけ者の心は、願い求めても、何も得ない、しかし勤め働く者の心は豊かに満たされる。 + 正しい人は偽りを憎む、しかし悪しき人は恥ずべく、忌まわしくふるまう。 + 正義は道をまっすぐ歩む者を守り、罪は悪しき者を倒す。 + 富んでいると偽って、何も持たない者がいる、貧しいと偽って、多くの富を持つ者がいる。 + 人の富はその命をあがなう、しかし貧しい者にはあがなうべき富がない。 + 正しい者の光は輝き、悪しき者のともしびは消される。 + 高ぶりはただ争いを生じる、勧告をきく者は知恵がある。 + 急いで得た富は減る、少しずつたくわえる者はそれを増すことができる。 + 望みを得ることが長びくときは、心を悩ます、願いがかなうときは、命の木を得たようだ。 + み言葉を軽んじる者は滅ぼされ、戒めを重んじる者は報いを得る。 + 知恵ある人の教は命の泉である、これによって死のわなをのがれることができる。 + 善良な賢い者は恵みを得る、しかし、不信実な者の道は滅びである。 + おおよそ、さとき者は知識によって事をおこない、愚かな者は自分の愚を見せびらかす。 + 悪しき使者は人を災におとしいれる、しかし忠実な使者は人を救う。 + 貧乏と、はずかしめとは教訓を捨てる者に来る、しかし戒めを守る者は尊ばれる。 + 願いがかなえば、心は楽しい、愚かな者は悪を捨てることをきらう。 + 知恵ある者とともに歩む者は知恵を得る。愚かな者の友となる者は害をうける。 + 災は罪びとを追い、正しい者は良い報いを受ける。 + 善良な人はその嗣業を子孫にのこす、しかし罪びとの富は正しい人のためにたくわえられる。 + 貧しい人の新田は多くの食糧を産する、しかし不正によれば押し流される。 + むちを加えない者はその子を憎むのである、子を愛する者は、つとめてこれを懲らしめる。 + 正しい者は食べてその食欲を満たす、しかし悪しき者の腹は満たされない。 + + + 知恵はその家を建て、愚かさは自分の手でそれをこわす。 + まっすぐに歩む者は主を恐れる、曲って歩む者は主を侮る。 + 愚かな者の言葉は自分の背にむちを当てる、知恵ある者のくちびるはその身を守る。 + 牛がなければ穀物はない、牛の力によって農作物は多くなる。 + 真実な証人はうそをいわない、偽りの証人はうそをつく。 + あざける者は知恵を求めても得られない、さとき者は知識を得ることがたやすい。 + 愚かな者の前を離れ去れ、そこには知識の言葉がないからである。 + さとき者の知恵は自分の道をわきまえることにあり、愚かな者の愚かは、欺くことにある。 + 神は悪しき者をあざけられる、正しい者は、その恵みを受ける。 + 心の苦しみは心みずからが知る、その喜びには他人はあずからない。 + 悪しき者の家は滅ぼされ、正しい者の幕屋は栄える。 + 人が見て自ら正しいとする道でも、その終りはついに死に至る道となるものがある。 + 笑う時にも心に悲しみがあり、喜びのはてに憂いがある。 + 心のもとれる者はそのしわざの実を刈り取り、善良な人もまたその行いの実を刈り取る。 + 思慮のない者はすべてのことを信じる、さとき者は自分の歩みを慎む。 + 知恵ある者は用心ぶかく、悪を離れる、愚かな者は高ぶって用心しない。 + 怒りやすい者は愚かなことを行い、賢い者は忍耐強い。 + 思慮のない者は愚かなことを自分のものとする、さとき者は知識をもって冠とする。 + 悪人は善人の前にひれ伏し、悪しき者は正しい者の門にひれ伏す。 + 貧しい者はその隣にさえも憎まれる、しかし富める者は多くの友をもつ。 + 隣り人を卑しめる者は罪びとである、貧しい人をあわれむ者はさいわいである。 + 悪を計る者はおのれを誤るではないか、善を計る者にはいつくしみと、まこととがある。 + すべての勤労には利益がある、しかし口先だけの言葉は貧乏をきたらせるだけだ。 + 知恵ある者の冠はその知恵である、愚かな者の花の冠はただ愚かさである。 + まことの証人は人の命を救う、偽りを吐く者は裏切者である。 + 主を恐れることによって人は安心を得、その子らはのがれ場を得る。 + 主を恐れることは命の泉である、人を死のわなからのがれさせる。 + 王の栄えは民の多いことにあり、君の滅びは民を失うことにある。 + 怒りをおそくする者は大いなる悟りがあり、気の短い者は愚かさをあらわす。 + 穏やかな心は身の命である、しかし興奮は骨を腐らせる。 + 貧しい者をしえたげる者はその造り主を侮る、乏しい者をあわれむ者は、主をうやまう。 + 悪しき者はその悪しき行いによって滅ぼされ、正しい者はその正しきによって、のがれ場を得る。 + 知恵はさとき者の心にとどまり、愚かな者の心に知られない。 + 正義は国を高くし、罪は民をはずかしめる。 + 賢いしもべは王の恵みをうけ、恥をきたらす者はその怒りにあう。 + + + 柔かい答は憤りをとどめ、激しい言葉は怒りをひきおこす。 + 知恵ある者の舌は知識をわかち与え、愚かな者の口は愚かを吐き出す。 + 主の目はどこにでもあって、悪人と善人とを見張っている。 + 優しい舌は命の木である、乱暴な言葉は魂を傷つける。 + 愚かな者は父の教訓を軽んじる、戒めを守る者は賢い者である。 + 正しい者の家には多くの宝がある、悪しき者の所得には煩いがある。 + 知恵ある者のくちびるは知識をひろめる、愚かな者の心はそうでない。 + 悪しき者の供え物は主に憎まれ、正しい者の祈は彼に喜ばれる。 + 悪しき者の道は主に憎まれ、正義を求める者は彼に愛せられる。 + 道を捨てる者には、きびしい懲しめがあり、戒めを憎む者は死に至る。 + 陰府と滅びとは主の目の前にあり、人の心はなおさらである。 + あざける者は戒められることを好まない、また知恵ある者に近づかない。 + 心に楽しみがあれば顔色も喜ばしい、心に憂いがあれば気はふさぐ。 + さとき者の心は知識をたずね、愚かな者の口は愚かさを食物とする。 + 悩んでいる者の日々はことごとくつらく、心の楽しい人は常に宴会をもつ。 + 少しの物を所有して主を恐れるのは、多くの宝をもって苦労するのにまさる。 + 野菜を食べて互に愛するのは、肥えた牛を食べて互に憎むのにまさる。 + 憤りやすい者は争いをおこし、怒りをおそくする者は争いをとどめる。 + なまけ者の道には、いばらがはえしげり、正しい者の道は平らかである。 + 知恵ある子は父を喜ばせる、愚かな人はその母を軽んじる。 + 無知な者は愚かなことを喜び、さとき者はまっすぐに歩む。 + 相はかることがなければ、計画は破れる、はかる者が多ければ、それは必ず成る。 + 人は口から出る好ましい答によって喜びを得る、時にかなった言葉は、いかにも良いものだ。 + 知恵ある人の道は上って命に至る、こうしてその人は下にある陰府を離れる。 + 主は高ぶる者の家を滅ぼし、やもめの地境を定められる。 + 悪人の計りごとは主に憎まれ、潔白な人の言葉は彼に喜ばれる。 + 不正な利をむさぼる者はその家を煩らわせる、まいないを憎む者は生きながらえる。 + 正しい者の心は答えるべきことを考える、悪しき者の口は悪を吐き出す。 + 主は悪しき者に遠ざかり、正しい者の祈を聞かれる。 + 目の光は心を喜ばせ、よい知らせは骨を潤す。 + ためになる戒めを聞く耳をもつ者は、知恵ある者の中にとどまる。 + 教訓を捨てる者はおのれの命を軽んじ、戒めを重んじる者は悟りを得る。 + 主を恐れることは知恵の教訓である、謙遜は、栄誉に先だつ。 + + + 心にはかることは人に属し、舌の答は主から出る。 + 人の道は自分の目にことごとく潔しと見える、しかし主は人の魂をはかられる。 + あなたのなすべき事を主にゆだねよ、そうすれば、あなたの計るところは必ず成る。 + 主はすべての物をおのおのその用のために造り、悪しき人をも災の日のために造られた。 + すべて心に高ぶる者は主に憎まれる、確かに、彼は罰を免れない。 + いつくしみとまことによって、とがはあがなわれる、主を恐れることによって、人は悪を免れる。 + 人の道が主を喜ばせる時、主はその人の敵をもその人と和らがせられる。 + 正義によって得たわずかなものは、不義によって得た多くの宝にまさる。 + 人は心に自分の道を考え計る、しかし、その歩みを導く者は主である。 + 王のくちびるには神の決定がある、さばきをするとき、その口に誤りがない。 + 正しいはかりと天びんとは主のものである、袋にあるふんどうもすべて彼の造られたものである。 + 悪を行うことは王の憎むところである、その位が正義によって堅く立っているからである。 + 正しいくちびるは王に喜ばれる、彼は正しい事を言う者を愛する。 + 王の怒りは死の使者である、知恵ある人はこれをなだめる。 + 王の顔の光には命がある、彼の恵みは春雨をもたらす雲のようだ。 + 知恵を得るのは金を得るのにまさる、悟りを得るのは銀を得るよりも望ましい。 + 悪を離れることは正しい人の道である、自分の道を守る者はその魂を守る。 + 高ぶりは滅びにさきだち、誇る心は倒れにさきだつ。 + へりくだって貧しい人々と共におるのは、高ぶる者と共にいて、獲物を分けるにまさる。 + 慎んで、み言葉をおこなう者は栄える、主に寄り頼む者はさいわいである。 + 心に知恵ある者はさとき者ととなえられる、くちびるが甘ければ、その教に人を説きつける力を増す。 + 知恵はこれを持つ者に命の泉となる、しかし、愚かさは愚かな者の受ける懲しめである。 + 知恵ある者の心はその言うところを賢くし、またそのくちびるに人を説きつける力を増す。 + ここちよい言葉は蜂蜜のように、魂に甘く、からだを健やかにする。 + 人が見て自分で正しいとする道があり、その終りはついに死にいたる道となるものがある。 + ほねおる者は飲食のためにほねおる、その口が自分に迫るからである。 + よこしまな人は悪を企てる、そのくちびるには激しい火のようなものがある。 + 偽る者は争いを起し、つげ口する者は親しい友を離れさせる。 + しえたげる者はその隣り人をいざない、これを良くない道に導く。 + めくばせする者は悪を計り、くちびるを縮める者は悪事をなし遂げる。 + しらがは栄えの冠である、正しく生きることによってそれが得られる。 + 怒りをおそくする者は勇士にまさり、自分の心を治める者は城を攻め取る者にまさる。 + 人はくじをひく、しかし事を定めるのは全く主のことである。 + + + 平穏であって、ひとかたまりのかわいたパンのあるのは、争いがあって、食物の豊かな家にまさる。 + 賢いしもべは身持の悪いむすこを治め、かつ、その兄弟たちの中にあって、資産の分け前を獲る。 + 銀を試みるものはるつぼ、金を試みるものは炉、人の心を試みるものは主である。 + 悪を行う者は偽りのくちびるに聞き、偽りをいう者は悪しき舌に耳を傾ける。 + 貧しい者をあざける者はその造り主を侮る、人の災を喜ぶ者は罰を免れない。 + 孫は老人の冠である、父は子の栄えである。 + すぐれた言葉は愚かな者には似合わない、まして偽りを言うくちびるは君たる者には似合わない。 + まいないはこれを贈る人の目には幸運の玉のようだ、その向かう所、どこでも彼は栄える。 + 愛を追い求める人は人のあやまちをゆるす、人のことを言いふらす者は友を離れさせる。 + 一度の戒めがさとき人に徹するのは、百度の懲しめが愚かな人に徹するよりも深い。 + 悪しき者はただ、そむく事のみを求める、それゆえ、彼に向かっては残忍な使者がつかわされる。 + 愚かな者が愚かな事をするのに会うよりは、子をとられた雌ぐまに会うほうがよい。 + 悪をもて善に報いる者は、悪がその家を離れることがない。 + 争いの初めは水がもれるのに似ている、それゆえ、けんかの起らないうちにそれをやめよ。 + 悪しき者を正しいとする者、正しい者を悪いとする者、この二つの者はともに主に憎まれる。 + 愚かな者はすでに心がないのに、どうして知恵を買おうとして手にその代金を持っているのか。 + 友はいずれの時にも愛する、兄弟はなやみの時のために生れる。 + 知恵のない人は手をうって、その隣り人の前で保証をする。 + 争いを好む者は罪を好む、その門を高くする者は滅びを求める。 + 曲った心の者はさいわいを得ない、みだりに舌をもって語る者は災に陥る。 + 愚かな子を生む者は嘆きを得る、愚か者の父は喜びを得ない。 + 心の楽しみは良い薬である、たましいの憂いは骨を枯らす。 + 悪しき者は人のふところからまいないを受けて、さばきの道をまげる。 + さとき者はその顔を知恵にむける、しかし、愚かな者は目を地の果にそそぐ。 + 愚かな子はその父の憂いである、またこれを産んだ母の痛みである。 + 正しい人を罰するのはよくない、尊い人を打つのは悪い。 + 言葉を少なくする者は知識のある者、心の冷静な人はさとき人である。 + 愚かな者も黙っているときは、知恵ある者と思われ、そのくちびるを閉じている時は、さとき者と思われる。 + + + 人と交わりをしない者は口実を捜し、すべてのよい考えに激しく反対する。 + 愚かな者は悟ることを喜ばず、ただ自分の意見を言い表わすことを喜ぶ。 + 悪しき者が来ると、卑しめもまた来る、不名誉が来ると、はずかしめも共にくる。 + 人の口の言葉は深い水のようだ、知恵の泉は、わいて流れる川である。 + 悪しき者をえこひいきすることは良くない、正しい者をさばいて、悪しき者とすることも良くない。 + 愚かな者のくちびるは争いを起し、その口はむち打たれることを招く。 + 愚かな者の口は自分の滅びとなり、そのくちびるは自分を捕えるわなとなる。 + 人のよしあしをいう者の言葉はおいしい食物のようで、腹の奥にしみこむ。 + その仕事を怠る者は、滅ぼす者の兄弟である。 + 主の名は堅固なやぐらのようだ、正しい者はその中に走りこんで救を得る。 + 富める者の富はその堅き城である、それは高き城壁のように彼を守る。 + 人の心の高ぶりは滅びにさきだち、謙遜は栄誉にさきだつ。 + 事をよく聞かないで答える者は、愚かであって恥をこうむる。 + 人の心は病苦をも忍ぶ、しかし心の痛むときは、だれがそれに耐えようか。 + さとき者の心は知識を得、知恵ある者の耳は知識を求める。 + 人の贈り物は、その人のために道をひらき、また尊い人の前に彼を導く。 + 先に訴え出る者は正しいように見える、しかしその訴えられた人が来て、それを調べて、事は明らかになる。 + くじは争いをとどめ、かつ強い争い相手の間を決定する。 + 助けあう兄弟は堅固な城のようだ、しかし争いは、やぐらの貫の木のようだ。 + 人は自分の言葉の結ぶ実によって、満ち足り、そのくちびるの産物によって自ら飽きる。 + 死と生とは舌に支配される、これを愛する者はその実を食べる。 + 妻を得る者は、良き物を得る、かつ主から恵みを与えられる。 + 貧しい者は、あわれみを請い、富める者は、はげしい答をする。 + 世には友らしい見せかけの友がある、しかし兄弟よりもたのもしい友もある。 + + + 正しく歩む貧しい者は、曲ったことを言う愚かな者にまさる。 + 人が知識のないのは良くない、足で急ぐ者は道に迷う。 + 人は自分の愚かさによって道につまずき、かえって心のうちに主をうらむ。 + 富は多くの新しい友を作る、しかし貧しい人はその友に捨てられる。 + 偽りの証人は罰を免れない、偽りをいう者はのがれることができない。 + 気前のよい人にこびる者は多い、人はみな贈り物をする人の友となる。 + 貧しい者はその兄弟すらもみなこれを憎む、ましてその友はこれに遠ざからないであろうか。言葉をかけてこれを呼んでも、去って帰らないのである。 + 知恵を得る者は自分の魂を愛し、悟りを保つ者は幸を得る。 + 偽りの証人は罰を免れない、偽りをいう者は滅びる。 + 愚かな者が、ぜいたくな暮しをするのは、ふさわしいことではない、しもべたる者が、君たる者を治めるなどは、なおさらである。 + 悟りは人に怒りを忍ばせる、あやまちをゆるすのは人の誉である。 + 王の怒りは、ししのほえるようであり、その恵みは草の上におく露のようである。 + 愚かな子はその父の災である、妻の争うのは、雨漏りの絶えないのとひとしい。 + 家と富とは先祖からうけつぐもの、賢い妻は主から賜わるものである。 + 怠りは人を熟睡させる、なまけ者は飢える。 + 戒めを守る者は自分の魂を守る、み言葉を軽んじる者は死ぬ。 + 貧しい者をあわれむ者は主に貸すのだ、その施しは主が償われる。 + 望みのあるうちに、自分の子を懲らせ、これを滅ぼす心を起してはならない。 + 怒ることの激しい者は罰をうける、たとい彼を救ってやっても、さらにくり返さねばならない。 + 勧めを聞き、教訓をうけよ、そうすれば、ついには知恵ある者となる。 + 人の心には多くの計画がある、しかしただ主の、み旨だけが堅く立つ。 + 人に望ましいのは、いつくしみ深いことである、貧しい人は偽りをいう人にまさる。 + 主を恐れることは人を命に至らせ、常に飽き足りて、災にあうことはない。 + なまけ者は、手を皿に入れても、それを口に持ってゆくことをしない。 + あざける者を打て、そうすれば思慮のない者も慎む。さとき者を戒めよ、そうすれば彼は知識を得る。 + 父に乱暴をはたらき、母を追い出す者は、恥をきたらし、はずかしめをまねく子である。 + わが子よ、知識の言葉をはなれて人を迷わせる教訓を聞くことをやめよ。 + 悪い証人はさばきをあざけり、悪しき者の口は悪をむさぼり食う。 + さばきはあざける者のために備えられ、むちは愚かな者の背のために備えられる。 + + + 酒は人をあざける者とし、濃い酒は人をあばれ者とする、これに迷わされる者は無知である。 酒は人をあざける者とし、濃い酒は人をあばれ者とする、これに迷わされる者は無知である。 + 王の怒りは、ししがほえるようだ、彼を怒らせる者は自分の命をそこなう。 王の怒りは、ししがほえるようだ、彼を怒らせる者は自分の命をそこなう。 + 争いに関係しないことは人の誉である、すべて愚かな者は怒り争う。 争いに関係しないことは人の誉である、すべて愚かな者は怒り争う。 + なまけ者は寒いときに耕さない、それゆえ刈入れのときになって、求めても何もない。 なまけ者は寒いときに耕さない、それゆえ刈入れのときになって、求めても何もない。 + 人の心にある計りごとは深い井戸の水のようだ、しかし、さとき人はこれをくみ出す。 人の心にある計りごとは深い井戸の水のようだ、しかし、さとき人はこれをくみ出す。 + 自分は真実だという人が多い、しかし、だれが忠信な人に会うであろうか。 自分は真実だという人が多い、しかし、だれが忠信な人に会うであろうか。 + 欠けた所なく、正しく歩む人――その後の子孫はさいわいである。 欠けた所なく、正しく歩む人――その後の子孫はさいわいである。 + さばきの座にすわる王はその目をもって、すべての悪をふるいわける。 さばきの座にすわる王はその目をもって、すべての悪をふるいわける。 + だれが「わたしは自分の心を清めた、わたしの罪は清められた」ということができようか。 だれが「わたしは自分の心を清めた、わたしの罪は清められた」ということができようか。 + 互に違った二種のはかり、二種のますは、ひとしく主に憎まれる。 互に違った二種のはかり、二種のますは、ひとしく主に憎まれる。 + 幼な子でさえも、その行いによって自らを示し、そのすることの清いか正しいかを現す。 幼な子でさえも、その行いによって自らを示し、そのすることの清いか正しいかを現す。 + 聞く耳と、見る目とは、ともに主が造られたものである。 聞く耳と、見る目とは、ともに主が造られたものである。 + 眠りを愛してはならない、そうすれば貧しくなる、目を開け、そうすればパンに飽くことができる。 眠りを愛してはならない、そうすれば貧しくなる、目を開け、そうすればパンに飽くことができる。 + 買う者は、「悪い、悪い」という、しかし去って後、彼は自ら誇る。 買う者は、「悪い、悪い」という、しかし去って後、彼は自ら誇る。 + 金もあり、価の高い宝石も多くあるが、尊い器は知識のくちびるである。 金もあり、価の高い宝石も多くあるが、尊い器は知識のくちびるである。 + 人のために保証する者からは、まずその着物を取れ、他人のために保証する者をば抵当に取れ。 人のために保証する者からは、まずその着物を取れ、他人のために保証する者をば抵当に取れ。 + 欺き取ったパンはおいしい、しかし後にはその口は砂利で満たされる。 欺き取ったパンはおいしい、しかし後にはその口は砂利で満たされる。 + 計りごとは共に議することによって成る、戦おうとするならば、まずよく議しなければならない。 計りごとは共に議することによって成る、戦おうとするならば、まずよく議しなければならない。 + 歩きまわって人のよしあしをいう者は秘密をもらす、くちびるを開いて歩く者と交わってはならない。 歩きまわって人のよしあしをいう者は秘密をもらす、くちびるを開いて歩く者と交わってはならない。 + 自分の父母をののしる者は、そのともしびは暗やみの中に消える。 自分の父母をののしる者は、そのともしびは暗やみの中に消える。 + 初めに急いで得た資産は、その終りがさいわいでない。 初めに急いで得た資産は、その終りがさいわいでない。 + 「わたしが悪に報いる」と言ってはならない、主を待ち望め、主はあなたを助けられる。 「わたしが悪に報いる」と言ってはならない、主を待ち望め、主はあなたを助けられる。 + 互に違った二種のふんどうは主に憎まれる、偽りのはかりは良くない。 互に違った二種のふんどうは主に憎まれる、偽りのはかりは良くない。 + 人の歩みは主によって定められる、人はどうして自らその道を、明らかにすることができようか。 人の歩みは主によって定められる、人はどうして自らその道を、明らかにすることができようか。 + 軽々しく「これは聖なるささげ物だ」と言い、また誓いを立てて後に考えることは、その人のわなとなる。 軽々しく「これは聖なるささげ物だ」と言い、また誓いを立てて後に考えることは、その人のわなとなる。 + 知恵ある王は、箕をもってあおぎ分けるように悪人を散らし、車をもって脱穀するように、これを罰する。 知恵ある王は、箕をもってあおぎ分けるように悪人を散らし、車をもって脱穀するように、これを罰する。 + 人の魂は主のともしびであり、人の心の奥を探る。 人の魂は主のともしびであり、人の心の奥を探る。 + いつくしみと、まこととは王を守る、その位もまた正義によって保たれる。 いつくしみと、まこととは王を守る、その位もまた正義によって保たれる。 + 若い人の栄えはその力、老人の美しさはそのしらがである。 若い人の栄えはその力、老人の美しさはそのしらがである。 + 傷つくまでに打てば悪い所は清くなり、むちで打てば心の底までも清まる。 傷つくまでに打てば悪い所は清くなり、むちで打てば心の底までも清まる。 + + + 王の心は、主の手のうちにあって、水の流れのようだ、主はみこころのままにこれを導かれる。 王の心は、主の手のうちにあって、水の流れのようだ、主はみこころのままにこれを導かれる。 + 人の道は自分の目には正しく見える、しかし主は人の心をはかられる。 人の道は自分の目には正しく見える、しかし主は人の心をはかられる。 + 正義と公平を行うことは、犠牲にもまさって主に喜ばれる。 正義と公平を行うことは、犠牲にもまさって主に喜ばれる。 + 高ぶる目とおごる心とは、悪しき人のともしびであって、罪である。 高ぶる目とおごる心とは、悪しき人のともしびであって、罪である。 + 勤勉な人の計画は、ついにその人を豊かにする、すべて怠るものは貧しくなる。 勤勉な人の計画は、ついにその人を豊かにする、すべて怠るものは貧しくなる。 + 偽りの舌をもって宝を得るのは、吹きはらわれる煙、死のわなである。 偽りの舌をもって宝を得るのは、吹きはらわれる煙、死のわなである。 + 悪しき者の暴虐はその身を滅ぼす、彼らは公平を行うことを好まないからである。 悪しき者の暴虐はその身を滅ぼす、彼らは公平を行うことを好まないからである。 + 罪びとの道は曲っている、潔白な人の行いはまっすぐである。 罪びとの道は曲っている、潔白な人の行いはまっすぐである。 + 争いを好む女と一緒に家におるよりは屋根のすみにおるほうがよい。 争いを好む女と一緒に家におるよりは屋根のすみにおるほうがよい。 + 悪しき者の魂は悪を行うことを願う、その隣り人にも好意をもって見られない。 悪しき者の魂は悪を行うことを願う、その隣り人にも好意をもって見られない。 + あざけるものが罰をうけるならば、思慮のない者は知恵を得る。知恵ある者が教をうけるならば知識を得る。 あざけるものが罰をうけるならば、思慮のない者は知恵を得る。知恵ある者が教をうけるならば知識を得る。 + 正しい神は、悪しき者の家をみとめて、悪しき者を滅びに投げいれられる。 正しい神は、悪しき者の家をみとめて、悪しき者を滅びに投げいれられる。 + 耳を閉じて貧しい者の呼ぶ声を聞かない者は、自分が呼ぶときに、聞かれない。 耳を閉じて貧しい者の呼ぶ声を聞かない者は、自分が呼ぶときに、聞かれない。 + ひそかな贈り物は憤りをなだめる、ふところのまいないは激しい怒りを和らげる。 ひそかな贈り物は憤りをなだめる、ふところのまいないは激しい怒りを和らげる。 + 公義を行うことは、正しい者には喜びであるが、悪を行う者には滅びである。 公義を行うことは、正しい者には喜びであるが、悪を行う者には滅びである。 + 悟りの道を離れる人は、死人の集会の中におる。 悟りの道を離れる人は、死人の集会の中におる。 + 快楽を好む者は貧しい人となり、酒と油とを好む者は富むことがない。 快楽を好む者は貧しい人となり、酒と油とを好む者は富むことがない。 + 悪しき者は正しい者のあがないとなり、不信実な者は正しい人に代る。 悪しき者は正しい者のあがないとなり、不信実な者は正しい人に代る。 + 争い怒る女と共におるよりは、荒野に住むほうがましだ。 争い怒る女と共におるよりは、荒野に住むほうがましだ。 + 知恵ある者の家には尊い宝があり、愚かな人はこれを、のみ尽す。 知恵ある者の家には尊い宝があり、愚かな人はこれを、のみ尽す。 + 正義といつくしみとを追い求める者は、命と誉とを得る。 正義といつくしみとを追い求める者は、命と誉とを得る。 + 知恵ある者は強い者の城にのぼって、その頼みとするとりでをくずす。 知恵ある者は強い者の城にのぼって、その頼みとするとりでをくずす。 + 口と舌とを守る者はその魂を守って、悩みにあわせない。 口と舌とを守る者はその魂を守って、悩みにあわせない。 + 高ぶりおごる者を「あざける者」となづける、彼は高慢無礼な行いをするものである。 高ぶりおごる者を「あざける者」となづける、彼は高慢無礼な行いをするものである。 + なまけ者の欲望は自分の身を殺す、これはその手を働かせないからである。 なまけ者の欲望は自分の身を殺す、これはその手を働かせないからである。 + 悪しき者はひねもす人の物をむさぼる、正しい者は与えて惜しまない。 悪しき者はひねもす人の物をむさぼる、正しい者は与えて惜しまない。 + 悪しき者の供え物は憎まれる、悪意をもってささげる時はなおさらである。 悪しき者の供え物は憎まれる、悪意をもってささげる時はなおさらである。 + 偽りの証人は滅ぼされる、よく聞く人の言葉はすたることがない。 偽りの証人は滅ぼされる、よく聞く人の言葉はすたることがない。 + 悪しき者はあつかましくし、正しい人はその道をつつしむ。 悪しき者はあつかましくし、正しい人はその道をつつしむ。 + 主に向かっては知恵も悟りも、計りごとも、なんの役にも立たない。 主に向かっては知恵も悟りも、計りごとも、なんの役にも立たない。 + 戦いの日のために馬を備える、しかし勝利は主による。 戦いの日のために馬を備える、しかし勝利は主による。 + + + 令名は大いなる富にまさり、恩恵は銀や金よりも良い。 + 富める者と貧しい者とは共に世におる、すべてこれを造られたのは主である。 + 賢い者は災を見て自ら避け、思慮のない者は進んでいって、罰をうける。 + 謙遜と主を恐れることとの報いは、富と誉と命とである。 + よこしまな者の道にはいばらとわながあり、たましいを守る者は遠くこれを離れる。 + 子をその行くべき道に従って教えよ、そうすれば年老いても、それを離れることがない。 + 富める者は貧しき者を治め、借りる者は貸す人の奴隷となる。 + 悪をまく者は災を刈り、その怒りのつえはすたれる。 + 人を見て恵む者はめぐまれる、自分のパンを貧しい人に与えるからである。 + あざける者を追放すれば争いもまた去り、かつ、いさかいも、はずかしめもなくなる。 + 心の潔白を愛する者、その言葉の上品な者は、王がその友となる。 + 主の目は知識ある者を守る、しかし主は不信実な者の言葉を敗られる。 + なまけ者は言う、「ししがそとにいる、わたしは、ちまたで殺される」と。 + 遊女の口は深い落し穴である、主に憎まれる者はその中に陥る。 + 愚かなことが子供の心の中につながれている、懲しめのむちは、これを遠く追いだす。 + 貧しい者をしえたげて自分の富を増そうとする者と、富める者に与える者とは、ついに必ず貧しくなる。 + あなたの耳を傾けて知恵ある者の言葉を聞き、かつ、わたしの知識にあなたの心を用いよ。 + これをあなたのうちに保ち、ことごとく、あなたのくちびるに備えておくなら、楽しいことである。 + あなたが主に、寄り頼むことのできるように、わたしはきょう、これをあなたにも教える。 + わたしは、勧めと知識との三十の言葉をあなたのためにしるしたではないか。 + それは正しいこと、真実なことをあなたに示し、あなたをつかわした者に真実の答をさせるためであった。 + 貧しい者を、貧しいゆえに、かすめてはならない、悩む者を、町の門でおさえつけてはならない。 + それは主が彼らの訴えをただし、かつ彼らをそこなう者の命を、そこなわれるからである。 + 怒る者と交わるな、憤る人と共に行くな。 + それはあなたがその道にならって、みずから、わなに陥ることのないためである。 + あなたは人と手を打つ者となってはならない、人の負債の保証をしてはならない。 + あなたが償うものがないとき、あなたの寝ている寝床までも、人が奪い取ってよかろうか。 + あなたの先祖が立てた古い地境を移してはならない。 + あなたはそのわざに巧みな人を見るか、そのような人は王の前に立つが、卑しい人々の前には立たない。 + + + 治める人と共に座して食事するとき、あなたの前にあるものを、よくわきまえ、 + あなたがもし食をたしなむ者であるならば、あなたののどに刀をあてよ。 + そのごちそうをむさぼり食べてはならない、これは人を欺く食物だからである。 + 富を得ようと苦労してはならない、かしこく思いとどまるがよい。 + あなたの目をそれにとめると、それはない、富はたちまち自ら翼を生じて、わしのように天に飛び去るからだ。 + 物惜しみする人のパンを食べてはならない、そのごちそうをむさぼり願ってはならない。 + 彼は心のうちで勘定する人のように、「食え、飲め」とあなたに言うけれども、その心はあなたに真実ではない。 + あなたはついにその食べた物を吐き出すようになり、あなたのねんごろな言葉もむだになる。 + 愚かな者の耳に語ってはならない、彼はあなたの言葉が示す知恵をいやしめるからだ。 + 古い地境を移してはならない、みなしごの畑を侵してはならない。 + 彼らのあがない主は強くいらせられ、あなたに逆らって彼らの訴えを弁護されるからだ。 + あなたの心を教訓に用い、あなたの耳を知識の言葉に傾けよ。 + 子を懲らすことを、さし控えてはならない、むちで彼を打っても死ぬことはない。 + もし、むちで彼を打つならば、その命を陰府から救うことができる。 + わが子よ、もしあなたの心が賢くあれば、わたしの心もまた喜び、 + もしあなたのくちびるが正しい事を言うならば、わたしの心も喜ぶ。 + 心に罪びとをうらやんではならない、ただ、ひねもす主を恐れよ。 + かならず後のよい報いがあって、あなたの望みは、すたらない。 + わが子よ、よく聞いて、知恵を得よ、かつ、あなたの心を道に向けよ。 + 酒にふけり、肉をたしなむ者と交わってはならない。 + 酒にふける者と、肉をたしなむ者とは貧しくなり、眠りをむさぼる者は、ぼろを身にまとうようになる。 + あなたを生んだ父のいうことを聞き、年老いた母を軽んじてはならない。 + 真理を買え、これを売ってはならない、知恵と教訓と悟りをも買え。 + 正しい人の父は大いによろこび、知恵ある子を生む者は子のために楽しむ。 + あなたの父母を楽しませ、あなたを産んだ母を喜ばせよ。 + わが子よ、あなたの心をわたしに与え、あなたの目をわたしの道に注げ。 + 遊女は深い穴のごとく、みだらな女は狭い井戸のようだ。 + 彼女は盗びとのように人をうかがい、かつ世の人のうちに、不信実な者を多くする。 + 災ある者はだれか、憂いある者はだれか、争いをする者はだれか、煩いある者はだれか、ゆえなく傷をうける者はだれか、赤い目をしている者はだれか。 + 酒に夜をふかす者、行って、混ぜ合わせた酒を味わう者である。 + 酒はあかく、杯の中にあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見てはならない。 + これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺す。 + あなたの目は怪しいものを見、あなたの心は偽りを言う。 + あなたは海の中に寝ている人のように、帆柱の上に寝ている人のようになる。 + あなたは言う、「人がわたしを撃ったが、わたしは痛くはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何も覚えはない。いつわたしはさめるのか、また酒を求めよう」と。 + + + 悪を行う人をうらやんではならない、また彼らと共におることを願ってはならない。 + 彼らはその心に強奪を計り、そのくちびるに人をそこなうことを語るからである。 + 家は知恵によって建てられ、悟りによって堅くせられ、 + また、へやは知識によってさまざまの尊く、麗しい宝で満たされる。 + 知恵ある者は強い人よりも強く、知識ある人は力ある人よりも強い。 + 良い指揮によって戦いをすることができ、勝利は多くの議する者がいるからである。 + 知恵は高くて愚かな者の及ぶところではない、愚かな者は門で口を開くことができない。 + 悪を行うことを計る者を人はいたずら者ととなえる。 + 愚かな者の計るところは罪であり、あざける者は人に憎まれる。 + もしあなたが悩みの日に気をくじくならば、あなたの力は弱い。 + 死地にひかれゆく者を助け出せ、滅びによろめきゆく者を救え。 + あなたが、われわれはこれを知らなかったといっても、心をはかる者はそれを悟らないであろうか。あなたの魂を守る者はそれを知らないであろうか。彼はおのおのの行いにより、人に報いないであろうか。 + わが子よ、蜜を食べよ、これは良いものである、また、蜂の巣のしたたりはあなたの口に甘い。 + 知恵もあなたの魂にはそのようであることを知れ。それを得るならば、かならず報いがあって、あなたの望みは、すたらない。 + 悪しき者がするように、正しい者の家をうかがってはならない、その住む所に乱暴をしてはならない。 + 正しい者は七たび倒れても、また起きあがる、しかし、悪しき者は災によって滅びる。 + あなたのあだが倒れるとき楽しんではならない、彼のつまずくとき心に喜んではならない。 + 主はそれを見て悪いこととし、その怒りを彼から転じられる。 + 悪を行う者のゆえに心を悩ましてはならない、よこしまな者をうらやんではならない。 + 悪しき者には後の良い報いはない、よこしまな者のともしびは消される。 + わが子よ、主と王とを恐れよ、そのいずれにも不従順であってはならない。 + その災はたちまち起るからである。この二つの者からくる滅びをだれが知り得ようか。 + これらもまた知恵ある者の箴言である。片寄ったさばきをするのは、よくない。 + 悪しき者に向かって、「あなたは正しい」という者を、人々はのろい、諸民は憎む。 + 悪しき者をせめる者は恵みを得る、また幸福が与えられる。 + 正しい答をする者は、くちびるに、口づけするのである。 + 外で、あなたの仕事を整え、畑で、すべての物をおのれのために備え、その後あなたの家を建てるがよい。 + ゆえなく隣り人に敵して、証言をしてはならない、くちびるをもって欺いてはならない。 + 「彼がわたしにしたように、わたしも彼にしよう、わたしは人がしたところにしたがって、その人に報いよう」と言ってはならない。 + わたしはなまけ者の畑のそばと、知恵のない人のぶどう畑のそばを通ってみたが、 + いばらが一面に生え、あざみがその地面をおおい、その石がきはくずれていた。 + わたしはこれをみて心をとどめ、これを見て教訓を得た。 + 「しばらく眠り、しばらくまどろみ、手をこまぬいて、またしばらく休む」。 + それゆえ、貧しさは盗びとのように、あなたに来、乏しさは、つわもののように、あなたに来る。 + + + これらもまたソロモンの箴言であり、ユダの王ヒゼキヤに属する人々がこれを書き写した。 + 事を隠すのは神の誉であり、事を窮めるのは王の誉である。 + 天の高さと地の深さと、王たる者の心とは測ることができない。 + 銀から、かなくそを除け、そうすれば、銀細工人が器を造る材料となる。 + 王の前から悪しき者を除け、そうすれば、その位は正義によって堅く立つ。 + 王の前で自ら高ぶってはならない、偉い人の場に立ってはならない。 + 尊い人の前で下にさげられるよりは、「ここに上がれ」といわれるほうがましだ。 + あなたが目に見たことを、軽々しく法廷に出してはならない。あとになり、あなたが隣り人にはずかしめられるとき、あなたはどうしようとするのか。 + 隣り人と争うことがあるならば、ただその人と争え、他人の秘密をもらしてはならない。 + そうでないと、聞く者があなたをいやしめ、あなたは、いつまでもそしられる。 + おりにかなって語る言葉は、銀の彫り物に金のりんごをはめたようだ。 + 知恵をもって戒める者は、これをきく者の耳にとって、金の耳輪、精金の飾りのようだ。 + 忠実な使者はこれをつかわす者にとって、刈入れの日に冷やかな雪があるようだ、よくその主人の心を喜ばせる。 + 贈り物をすると偽って誇る人は、雨のない雲と風のようだ。 + 忍耐をもって説けば君も言葉をいれる、柔らかな舌は骨を砕く。 + 蜜を得たならば、ただ足るほどにこれを食べよ、おそらくは食べすごして、それを吐き出すであろう。 + 隣り人の家に足をしげくしてはならない、おそらくは彼は煩わしくなって、あなたを憎むようになろう。 + 隣り人に敵して偽りのあかしを立てる人は、こん棒、つるぎ、または鋭い矢のようだ。 + 悩みに会うとき不信実な者を頼みにするのは、悪い歯、またはなえた足を頼みとするようなものだ。 + 心の痛める人の前で歌をうたうのは、寒い日に着物を脱ぐようであり、また傷の上に酢をそそぐようだ。 + もしあなたのあだが飢えているならば、パンを与えて食べさせ、もしかわいているならば水を与えて飲ませよ。 + こうするのは、火を彼のこうべに積むのである、主はあなたに報いられる。 + 北風は雨を起し、陰言をいう舌は人の顔を怒らす。 + 争いを好む女と一緒に家におるよりは、屋根のすみにおるほうがよい。 + 遠い国から来るよい消息は、かわいている人が飲む冷やかな水のようだ。 + 正しい者が悪い者の前に屈服するのは、井戸が濁ったよう、また泉がよごれたようなものだ。 + 蜜を多く食べるのはよくない、ほめる言葉は控え目にするがよい。 + 自分の心を制しない人は、城壁のない破れた城のようだ。 + + + 誉が愚かな者にふさわしくないのは、夏に雪が降り、刈入れの時に雨が降るようなものだ。 + いわれのないのろいは、飛びまわるすずめや、飛びかけるつばめのようなもので、止まらない。 + 馬のためにはむちがあり、ろばのためにはくつわがあり、愚かな者の背のためにはつえがある。 + 愚かな者にその愚かさにしたがって答をするな、自分も彼と同じようにならないためだ。 + 愚かな者にその愚かさにしたがって答をせよ、彼が自分の目に自らを知恵ある者と見ないためだ。 + 愚かな者に託して事を言い送る者は、自分の足を切り去り、身に害をうける。 + あしなえの足は用がない、愚かな者の口には箴言もそれにひとしい。 + 誉を愚かな者に与えるのは、石を石投げにつなぐようだ。 + 愚かな者の口に箴言があるのは、酔った者が、とげのあるつえを手で振り上げるようだ。 + 通りがかりの愚か者や、酔った者を雇う者は、すべての人を傷つける射手のようだ。 + 犬が帰って来てその吐いた物を食べるように、愚かな者はその愚かさをくり返す。 + 自分の目に自らを知恵ある者とする人を、あなたは見るか、彼よりもかえって愚かな人に望みがある。 + なまけ者は、「道にししがいる、ちまたにししがいる」という。 + 戸がちょうつがいによって回るように、なまけ者はその寝床で寝返りをする。 + なまけ者は手を皿に入れても、それを口に持ってゆくことをいとう。 + なまけ者は自分の目に、良く答えることのできる七人の者よりも、自らを知恵ありとする。 + 自分に関係のない争いにたずさわる者は、通りすぎる犬の耳をとらえる者のようだ。 + + 隣り人を欺いて、「わたしはただ戯れにした」という者は、燃え木または矢、または死を、投げつける気違いのようだ。 + たきぎがなければ火は消え、人のよしあしを言う者がなければ争いはやむ。 + おき火に炭をつぎ、火にたきぎをくべるように、争いを好む人は争いの火をおこす。 + 人のよしあしをいう者の言葉はおいしい食物のようで、腹の奥にしみこむ。 + くちびるはなめらかであっても、心の悪いのは上ぐすりをかけた土の器のようだ。 + 憎む者はくちびるをもって自ら飾るけれども、心のうちには偽りをいだく。 + 彼が声をやわらげて語っても、信じてはならない。その心に七つの憎むべきものがあるからだ。 + たとい偽りをもってその憎しみをかくしても、彼の悪は会衆の中に現れる。 + 穴を掘る者は自らその中に陥る、石をまろばしあげる者の上に、その石はまろびかえる。 + 偽りの舌は自分が傷つけた者を憎み、へつらう口は滅びをきたらせる。 + + + あすのことを誇ってはならない、一日のうちに何がおこるかを知ることができないからだ。 + 自分の口をもって自らをほめることなく、他人にほめさせよ。自分のくちびるをもってせず、ほかの人にあなたをほめさせよ。 + 石は重く、砂も軽くはない、しかし愚かな者の怒りはこの二つよりも重い。 + 憤りはむごく、怒りははげしい、しかしねたみの前には、だれが立ちえよう。 + あからさまに戒めるのは、ひそかに愛するのにまさる。 + 愛する者が傷つけるのは、まことからであり、あだの口づけするのは偽りからである。 + 飽いている者は蜂蜜をも踏みつける、しかし飢えた者には苦い物でさえ、みな甘い。 + その家を離れてさまよう人は、巣を離れてさまよう鳥のようだ。 + 油と香とは人の心を喜ばせる、しかし魂は悩みによって裂かれる。 + あなたの友、あなたの父の友を捨てるな、あなたが悩みにあう日には兄弟の家に行くな、近い隣り人は遠くにいる兄弟にまさる。 + わが子よ、知恵を得て、わたしの心を喜ばせよ、そうすればわたしをそしる者に答えることができる。 + 賢い者は災を見て自ら避け、思慮のない者は進んでいって、罰をうける。 + 人のために保証する者からは、まずその着物をとれ、他人のために保証をする者をば抵当に取れ。 + 朝はやく起きて大声にその隣り人を祝すれば、かえってのろいと見なされよう。 + 雨の降る日に雨漏りの絶えないのと、争い好きな女とは同じだ。 + この女を制するのは風を制するのとおなじく、右の手に油をつかむのとおなじだ。 + 鉄は鉄をとぐ、そのように人はその友の顔をとぐ。 + いちじくの木を守る者はその実を食べる、主人を尊ぶ者は誉を得る。 + 水にうつせば顔と顔とが応じるように、人の心はその人をうつす。 + 陰府と滅びとは飽くことなく、人の目もまた飽くことがない。 + るつぼによって銀をためし、炉によって金をためす、人はその称賛によってためされる。 + 愚かな者をうすに入れ、きねをもって、麦と共にこれをついても、その愚かさは去ることがない。 + あなたの羊の状態をよく知り、あなたの群れに心をとめよ。 + 富はいつまでも続くものではない、どうして位が末代までも保つであろうか。 + 草が刈り取られ、新しい芽がのび、山の牧草も集められると、 + 小羊はあなたの衣料を出し、やぎは畑を買う価となり、 + やぎの乳は多くて、あなたと、あなたの家のものの食物となり、おとめらを養うのにじゅうぶんである。 + + + 悪しき者は追う人もないのに逃げる、正しい人はししのように勇ましい。 + 国の罪によって、治める者は多くなり、さとく、また知識ある人によって、国はながく保つ。 + 貧しい者をしえたげる貧しい人は、糧食を残さない激しい雨のようだ。 + 律法を捨てる者は悪しき者をほめる、律法を守る者はこれに敵対する。 + 悪人は正しいことを悟らない、主を求める者はこれをことごとく悟る。 + 正しく歩む貧しい者は、曲った道を歩む富める者にまさる。 + 律法を守る者は賢い子である、不品行な者と交わるものは、父をはずかしめる。 + 利息と高利とによってその富をます者は、貧しい者を恵む者のために、それをたくわえる。 + 耳をそむけて律法を聞かない者は、その祈でさえも憎まれる。 + 正しい者を悪い道に惑わす者は、みずから自分の穴に陥る、しかし誠実な人は幸福を継ぐ。 + 富める人は自分の目に自らを知恵ある者と見る、しかし悟りのある貧しい者は彼を見やぶる。 + 正しい者が勝つときは、大いなる栄えがある、悪しき者が起るときは、民は身をかくす。 + その罪を隠す者は栄えることがない、言い表わしてこれを離れる者は、あわれみをうける。 + 常に主を恐れる人はさいわいである、心をかたくなにする者は災に陥る。 + 貧しい民を治める悪いつかさは、ほえるしし、または飢えたくまのようだ。 + 悟りのないつかさは残忍な圧制者である、不正の利を憎む者は長命を得る。 + 人を殺してその血を身に負う者は死ぬまで、のがれびとである、だれもこれを助けてはならない。 + 正しく歩む者は救を得、曲った道に歩む者は穴に陥る。 + 自分の田地を耕す者は食糧に飽き、無益な事に従う者は貧乏に飽きる。 + 忠実な人は多くの祝福を得る、急いで富を得ようとする者は罰を免れない。 + 人を片寄り見ることは良くない、人は一切れのパンのために、とがを犯すことがある。 + 欲の深い人は急いで富を得ようとする、かえって欠乏が自分の所に来ることを知らない。 + 人を戒める者は舌をもってへつらう者よりも、大いなる感謝をうける。 + 父や母の物を盗んで「これは罪ではない」と言う者は、滅ぼす者の友である。 + むさぼる者は争いを起し、主に信頼する者は豊かになる。 + 自分の心を頼む者は愚かである、知恵をもって歩む者は救を得る。 + 貧しい者に施す者は物に不足しない、目をおおって見ない人は多くののろいをうける。 + 悪しき者が起るときは、民は身をかくす、その滅びるときは、正しい人が増す。 + + + しばしばしかられても、なおかたくなな者は、たちまち打ち敗られて助かることはない。 + 正しい者が権力を得れば民は喜び、悪しき者が治めるとき、民はうめき苦しむ。 + 知恵を愛する人はその父を喜ばせ、遊女に交わる者はその資産を浪費する。 + 王は公儀をもって国を堅くする、しかし、重税を取り立てる者はこれを滅ぼす。 + その隣り人にへつらう者は、彼の足の前に網を張る。 + 悪人は自分の罪のわなに陥る、しかし正しい人は喜び楽しむ。 + 正しい人は貧しい者の訴えをかえりみる、悪しき人はそれを知ろうとはしない。 + あざける人は町を乱し、知恵ある者は怒りを静める。 + 知恵ある人が愚かな人と争うと、愚かな者はただ怒り、あるいは笑って、休むことがない。 + 血に飢えている人は罪のない者を憎む、悪しき者は彼の命を求める。 + 愚かな者は怒りをことごとく表わし、知恵ある者は静かにこれをおさえる。 + もし治める者が偽りの言葉に聞くならば、その役人らはみな悪くなる。 + 貧しい者と、しえたげる者とは共に世におる、主は彼ら両者の目に光を与えられる。 + もし王が貧しい者を公平にさばくならば、その位はいつまでも堅く立つ。 + むちと戒めとは知恵を与える、わがままにさせた子はその母に恥をもたらす。 + 悪しき者が権力を得ると罪も増す、正しい者は彼らの倒れるのを見る。 + あなたの子を懲しめよ、そうすれば彼はあなたを安らかにし、またあなたの心に喜びを与える。 + 預言がなければ民はわがままにふるまう、しかし律法を守る者はさいわいである。 + しもべは言葉だけで訓練することはできない、彼は聞いて知っても、心にとめないからである。 + 言葉の軽率な人を見るか、彼よりもかえって愚かな者のほうに望みがある。 + しもべをその幼い時からわがままに育てる人は、ついにはそれを自分のあとつぎにする。 + 怒る人は争いを起し、憤る人は多くの罪を犯す。 + 人の高ぶりはその人を低くし、心にへりくだる者は誉を得る。 + 盗びとにくみする者は自分の魂を憎む、彼はのろいを聞いても何事をも口外しない。 + 人を恐れると、わなに陥る、主に信頼する者は安らかである。 + 治める者の歓心を得ようとする人は多い、しかし人の事を定めるのは主による。 + 正しい人は不正を行う人を憎み、悪しき者は正しく歩む人を憎む。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
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+ + ダビデの子、エルサレムの王である伝道者の言葉。 + 伝道者は言う、空の空、空の空、いっさいは空である。 + 日の下で人が労するすべての労苦は、その身になんの益があるか。 + 世は去り、世はきたる。しかし地は永遠に変らない。 + 日はいで、日は没し、その出た所に急ぎ行く。 + 風は南に吹き、また転じて、北に向かい、めぐりにめぐって、またそのめぐる所に帰る。 + 川はみな、海に流れ入る、しかし海は満ちることがない。川はその出てきた所にまた帰って行く。 + すべての事は人をうみ疲れさせる、人はこれを言いつくすことができない。目は見ることに飽きることがなく、耳は聞くことに満足することがない。 + 先にあったことは、また後にもある、先になされた事は、また後にもなされる。日の下には新しいものはない。 + 「見よ、これは新しいものだ」と言われるものがあるか、それはわれわれの前にあった世々に、すでにあったものである。 + 前の者のことは覚えられることがない、また、きたるべき後の者のことも、後に起る者はこれを覚えることがない。 + 伝道者であるわたしはエルサレムで、イスラエルの王であった。 + わたしは心をつくし、知恵を用いて、天が下に行われるすべてのことを尋ね、また調べた。これは神が、人の子らに与えて、ほねおらせられる苦しい仕事である。 + わたしは日の下で人が行うすべてのわざを見たが、みな空であって風を捕えるようである。 + 曲ったものは、まっすぐにすることができない、欠けたものは数えることができない。 + わたしは心の中に語って言った、「わたしは、わたしより先にエルサレムを治めたすべての者にまさって、多くの知恵を得た。わたしの心は知恵と知識を多く得た」。 + わたしは心をつくして知恵を知り、また狂気と愚痴とを知ろうとしたが、これもまた風を捕えるようなものであると悟った。 + それは知恵が多ければ悩みが多く、知識を増す者は憂いを増すからである。 + + + わたしは自分の心に言った、「さあ、快楽をもって、おまえを試みよう。おまえは愉快に過ごすがよい」と。しかし、これもまた空であった。 + わたしは笑いについて言った、「これは狂気である」と。また快楽について言った、「これは何をするのか」と。 + わたしの心は知恵をもってわたしを導いているが、わたしは酒をもって自分の肉体を元気づけようと試みた。また、人の子は天が下でその短い一生の間、どんな事をしたら良いかを、見きわめるまでは、愚かな事をしようと試みた。 + わたしは大きな事業をした。わたしは自分のために家を建て、ぶどう畑を設け、 + 園と庭をつくり、またすべて実のなる木をそこに植え、 + 池をつくって、木のおい茂る林に、そこから水を注がせた。 + わたしは男女の奴隷を買った。またわたしの家で生れた奴隷を持っていた。わたしはまた、わたしより先にエルサレムにいただれよりも多くの牛や羊の財産を持っていた。 + わたしはまた銀と金を集め、王たちと国々の財宝を集めた。またわたしは歌うたう男、歌うたう女を得た。また人の子の楽しみとするそばめを多く得た。 + こうして、わたしは大いなる者となり、わたしより先にエルサレムにいたすべての者よりも、大いなる者となった。わたしの知恵もまた、わたしを離れなかった。 + なんでもわたしの目の好むものは遠慮せず、わたしの心の喜ぶものは拒まなかった。わたしの心がわたしのすべての労苦によって、快楽を得たからである。そしてこれはわたしのすべての労苦によって得た報いであった。 + そこで、わたしはわが手のなしたすべての事、およびそれをなすに要した労苦を顧みたとき、見よ、皆、空であって、風を捕えるようなものであった。日の下には益となるものはないのである。 + わたしはまた、身をめぐらして、知恵と、狂気と、愚痴とを見た。そもそも、王の後に来る人は何をなし得ようか。すでに彼がなした事にすぎないのだ。 + 光が暗きにまさるように、知恵が愚痴にまさるのを、わたしは見た。 + 知者の目は、その頭にある。しかし愚者は暗やみを歩む。けれどもわたしはなお同一の運命が彼らのすべてに臨むことを知っている。 + わたしは心に言った、「愚者に臨む事はわたしにも臨むのだ。それでどうしてわたしは賢いことがあろう」。わたしはまた心に言った、「これもまた空である」と。 + そもそも、知者も愚者も同様に長く覚えられるものではない。きたるべき日には皆忘れられてしまうのである。知者が愚者と同じように死ぬのは、どうしたことであろう。 + そこで、わたしは生きることをいとった。日の下に行われるわざは、わたしに悪しく見えたからである。皆空であって、風を捕えるようである。 + わたしは日の下で労したすべての労苦を憎んだ。わたしの後に来る人にこれを残さなければならないからである。 + そして、その人が知者であるか、または愚者であるかは、だれが知り得よう。そうであるのに、その人が、日の下でわたしが労し、かつ知恵を働かしてなしたすべての労苦をつかさどることになるのだ。これもまた空である。 + それでわたしはふり返ってみて、日の下でわたしが労したすべての労苦について、望みを失った。 + 今ここに人があって、知恵と知識と才能をもって労しても、これがために労しない人に、すべてを残して、その所有とさせなければならないのだ。これもまた空であって、大いに悪い。 + そもそも、人は日の下で労するすべての労苦と、その心づかいによってなんの得るところがあるか。 + そのすべての日はただ憂いのみであって、そのわざは苦しく、その心は夜の間も休まることがない。これもまた空である。 + 人は食い飲みし、その労苦によって得たもので心を楽しませるより良い事はない。これもまた神の手から出ることを、わたしは見た。 + だれが神を離れて、食い、かつ楽しむことのできる者があろう。 + 神は、その心にかなう人に、知恵と知識と喜びとをくださる。しかし罪びとには仕事を与えて集めることと、積むことをさせられる。これは神の心にかなう者にそれを賜わるためである。これもまた空であって、風を捕えるようである。 + + + 天が下のすべての事には季節があり、すべてのわざには時がある。 + 生るるに時があり、死ぬるに時があり、植えるに時があり、植えたものを抜くに時があり、 + 殺すに時があり、いやすに時があり、こわすに時があり、建てるに時があり、 + 泣くに時があり、笑うに時があり、悲しむに時があり、踊るに時があり、 + 石を投げるに時があり、石を集めるに時があり、抱くに時があり、抱くことをやめるに時があり、 + 捜すに時があり、失うに時があり、保つに時があり、捨てるに時があり、 + 裂くに時があり、縫うに時があり、黙るに時があり、語るに時があり、 + 愛するに時があり、憎むに時があり、戦うに時があり、和らぐに時がある。 + 働く者はその労することにより、なんの益を得るか。 + わたしは神が人の子らに与えて、ほねおらせられる仕事を見た。 + 神のなされることは皆その時にかなって美しい。神はまた人の心に永遠を思う思いを授けられた。それでもなお、人は神のなされるわざを初めから終りまで見きわめることはできない。 + わたしは知っている。人にはその生きながらえている間、楽しく愉快に過ごすよりほかに良い事はない。 + またすべての人が食い飲みし、そのすべての労苦によって楽しみを得ることは神の賜物である。 + わたしは知っている。すべて神がなさる事は永遠に変ることがなく、これに加えることも、これから取ることもできない。神がこのようにされるのは、人々が神の前に恐れをもつようになるためである。 + 今あるものは、すでにあったものである。後にあるものも、すでにあったものである。神は追いやられたものを尋ね求められる。 + わたしはまた、日の下を見たが、さばきを行う所にも不正があり、公義を行う所にも不正がある。 + わたしは心に言った、「神は正しい者と悪い者とをさばかれる。神はすべての事と、すべてのわざに、時を定められたからである」と。 + わたしはまた、人の子らについて心に言った、「神は彼らをためして、彼らに自分たちが獣にすぎないことを悟らせられるのである」と。 + 人の子らに臨むところは獣にも臨むからである。すなわち一様に彼らに臨み、これの死ぬように、彼も死ぬのである。彼らはみな同様の息をもっている。人は獣にまさるところがない。すべてのものは空だからである。 + みな一つ所に行く。皆ちりから出て、皆ちりに帰る。 + だれが知るか、人の子らの霊は上にのぼり、獣の霊は地にくだるかを。 + それで、わたしは見た、人はその働きによって楽しむにこした事はない。これが彼の分だからである。だれが彼をつれていって、その後の、どうなるかを見させることができようか。 + + + わたしはまた、日の下に行われるすべてのしえたげを見た。見よ、しえたげられる者の涙を。彼らを慰める者はない。しえたげる者の手には権力がある。しかし彼らを慰める者はいない。 + それで、わたしはなお生きている生存者よりも、すでに死んだ死者を、さいわいな者と思った。 + しかし、この両者よりもさいわいなのは、まだ生れない者で、日の下に行われる悪しきわざを見ない者である。 + また、わたしはすべての労苦と、すべての巧みなわざを見たが、これは人が互にねたみあってなすものである。これもまた空であって、風を捕えるようである。 + 愚かなる者は手をつかねて、自分の肉を食う。 + 片手に物を満たして平穏であるのは、両手に物を満たして労苦し、風を捕えるのにまさる。 + わたしはまた、日の下に空なる事のあるのを見た。 + ここに人がある。ひとりであって、仲間もなく、子もなく、兄弟もない。それでも彼の労苦は窮まりなく、その目は富に飽くことがない。また彼は言わない、「わたしはだれのために労するのか、どうして自分を楽しませないのか」と。これもまた空であって、苦しいわざである。 + ふたりはひとりにまさる。彼らはその労苦によって良い報いを得るからである。 + すなわち彼らが倒れる時には、そのひとりがその友を助け起す。しかしひとりであって、その倒れる時、これを助け起す者のない者はわざわいである。 + またふたりが一緒に寝れば暖かである。ひとりだけで、どうして暖かになり得ようか。 + 人がもし、そのひとりを攻め撃ったなら、ふたりで、それに当るであろう。三つよりの綱はたやすくは切れない。 + 貧しくて賢いわらべは、老いて愚かで、もはや、いさめをいれることを知らない王にまさる。 + たとい、その王が獄屋から出て、王位についた者であっても、また自分の国に貧しく生れて王位についた者であっても、そうである。 + わたしは日の下に歩むすべての民が、かのわらべのように王に代って立つのを見た。 + すべての民は果てしがない。彼はそのすべての民を導いた。しかし後に来る者は彼を喜ばない。たしかに、これもまた空であって、風を捕えるようである。 + + + 神の宮に行く時には、その足を慎むがよい。近よって聞くのは愚かな者の犠牲をささげるのにまさる。彼らは悪を行っていることを知らないからである。 + 神の前で軽々しく口をひらき、また言葉を出そうと、心にあせってはならない。神は天にいまし、あなたは地におるからである。それゆえ、あなたは言葉を少なくせよ。 + 夢は仕事の多いことによってきたり、愚かなる者の声は言葉の多いことによって知られる。 + あなたは神に誓いをなすとき、それを果すことを延ばしてはならない。神は愚かな者を喜ばれないからである。あなたの誓ったことを必ず果せ。 + あなたが誓いをして、それを果さないよりは、むしろ誓いをしないほうがよい。 + あなたの口が、あなたに罪を犯させないようにせよ。また使者の前にそれは誤りであったと言ってはならない。どうして、神があなたの言葉を怒り、あなたの手のわざを滅ぼしてよかろうか。 + 夢が多ければ空なる言葉も多い。しかし、あなたは神を恐れよ。 + あなたは国のうちに貧しい者をしえたげ、公道と正義を曲げることのあるのを見ても、その事を怪しんではならない。それは位の高い人よりも、さらに高い者があって、その人をうかがうからである。そしてそれらよりもなお高い者がある。 + しかし、要するに耕作した田畑をもつ国には王は利益である。 + 金銭を好む者は金銭をもって満足しない。富を好む者は富を得て満足しない。これもまた空である。 + 財産が増せば、これを食う者も増す。その持ち主は目にそれを見るだけで、なんの益があるか。 + 働く者は食べることが少なくても多くても、快く眠る。しかし飽き足りるほどの富は、彼に眠ることをゆるさない。 + わたしは日の下に悲しむべき悪のあるのを見た。すなわち、富はこれをたくわえるその持ち主に害を及ぼすことである。 + またその富は不幸な出来事によってうせ行くことである。それで、その人が子をもうけても、彼の手には何も残らない。 + 彼は母の胎から出てきたように、すなわち裸で出てきたように帰って行く。彼はその労苦によって得た何物をもその手に携え行くことができない。 + 人は全くその来たように、また去って行かなければならない。これもまた悲しむべき悪である。風のために労する者になんの益があるか。 + 人は一生、暗やみと、悲しみと、多くの悩みと、病と、憤りの中にある。 + 見よ、わたしが見たところの善かつ美なる事は、神から賜わった短い一生の間、食い、飲み、かつ日の下で労するすべての労苦によって、楽しみを得る事である。これがその分だからである。 + また神はすべての人に富と宝と、それを楽しむ力を与え、またその分を取らせ、その労苦によって楽しみを得させられる。これが神の賜物である。 + このような人は自分の生きる日のことを多く思わない。神は喜びをもって彼の心を満たされるからである。 + + + わたしは日の下に一つの悪のあるのを見た。これは人々の上に重い。 + すなわち神は富と、財産と、誉とを人に与えて、その心に慕うものを、一つも欠けることのないようにされる。しかし神は、その人にこれを持つことを許されないで、他人がこれを持つようになる。これは空である。悪しき病である。 + たとい人は百人の子をもうけ、また命長く、そのよわいの日が多くても、その心が幸福に満足せず、また葬られることがなければ、わたしは言う、流産の子はその人にまさると。 + これはむなしく来て、暗やみの中に去って行き、その名は暗やみにおおわれる。 + またこれは日を見ず、物を知らない。けれどもこれは彼よりも安らかである。 + たとい彼は千年に倍するほど生きても幸福を見ない。みな一つ所に行くのではないか。 + 人の労苦は皆、その口のためである。しかしその食欲は満たされない。 + 賢い者は愚かな者になんのまさるところがあるか。また生ける者の前に歩むことを知る貧しい者もなんのまさるところがあるか。 + 目に見る事は欲望のさまよい歩くにまさる。これもまた空であって、風を捕えるようなものである。 + 今あるものは、すでにその名がつけられた。そして人はいかなる者であるかは知られた。それで人は自分よりも力強い者と争うことはできない。 + 言葉が多ければむなしい事も多い。人になんの益があるか。 + 人はその短く、むなしい命の日を影のように送るのに、何が人のために善であるかを知ることができよう。だれがその身の後に、日の下に何があるであろうかを人に告げることができるか。 + + + 良き名は良き油にまさり、死ぬる日は生るる日にまさる。 + 悲しみの家にはいるのは、宴会の家にはいるのにまさる。死はすべての人の終りだからである。生きている者は、これを心にとめる。 + 悲しみは笑いにまさる。顔に憂いをもつことによって、心は良くなるからである。 + 賢い者の心は悲しみの家にあり、愚かな者の心は楽しみの家にある。 + 賢い者の戒めを聞くのは、愚かな者の歌を聞くのにまさる。 + 愚かな者の笑いはかまの下に燃えるいばらの音のようである。これもまた空である。 + たしかに、しえたげは賢い人を愚かにし、まいないは人の心をそこなう。 + 事の終りはその初めよりも良い。耐え忍ぶ心は、おごり高ぶる心にまさる。 + 気をせきたてて怒るな。怒りは愚かな者の胸に宿るからである。 + 「昔が今よりもよかったのはなぜか」と言うな。あなたがこれを問うのは知恵から出るのではない。 + 知恵に財産が伴うのは良い。それは日を見る者どもに益がある。 + 知恵が身を守るのは、金銭が身を守るようである。しかし、知恵はこれを持つ者に生命を保たせる。これが知識のすぐれた所である。 + 神のみわざを考えみよ。神の曲げられたものを、だれがまっすぐにすることができるか。 + 順境の日には楽しめ、逆境の日には考えよ。神は人に将来どういう事があるかを、知らせないために、彼とこれとを等しく造られたのである。 + わたしはこのむなしい人生において、もろもろの事を見た。そこには義人がその義によって滅びることがあり、悪人がその悪によって長生きすることがある。 + あなたは義に過ぎてはならない。また賢きに過ぎてはならない。あなたはどうして自分を滅ぼしてよかろうか。 + 悪に過ぎてはならない。また愚かであってはならない。あなたはどうして、自分の時のこないのに、死んでよかろうか。 + あなたがこれを執るのはよい、また彼から手を引いてはならない。神をかしこむ者は、このすべてからのがれ出るのである。 + 知恵が知者を強くするのは、十人のつかさが町におるのにまさる。 + 善を行い、罪を犯さない正しい人は世にいない。 + 人の語るすべての事に心をとめてはならない。これはあなたが、自分のしもべのあなたをのろう言葉を聞かないためである。 + あなたもまた、しばしば他人をのろったのを自分の心に知っているからである。 + わたしは知恵をもってこのすべての事を試みて、「わたしは知者となろう」と言ったが、遠く及ばなかった。 + 物事の理は遠く、また、はなはだ深い。だれがこれを見いだすことができよう。 + わたしは、心を転じて、物を知り、事を探り、知恵と道理を求めようとし、また悪の愚かなこと、愚痴の狂気であることを知ろうとした。 + わたしは、その心が、わなと網のような女、その手が、かせのような女は、死よりも苦い者であることを見いだした。神を喜ばす者は彼女からのがれる。しかし罪びとは彼女に捕えられる。 + 伝道者は言う、見よ、その数を知ろうとして、いちいち数えて、わたしが得たものはこれである。 + わたしはなおこれを求めたけれども、得なかった。わたしは千人のうちにひとりの男子を得たけれども、そのすべてのうちに、ひとりの女子をも得なかった。 + 見よ、わたしが得た事は、ただこれだけである。すなわち、神は人を正しい者に造られたけれども、人は多くの計略を考え出した事である。 + + + だれが知者のようになり得よう。だれが事の意義を知り得よう。人の知恵はその人の顔を輝かせ、またその粗暴な顔を変える。 + 王の命を守れ。すでに神をさして誓ったことゆえ、驚くな。 + 事が悪い時は、王の前を去れ、ためらうな。彼はすべてその好むところをなすからである。 + 王の言葉は決定的である。だれが彼に「あなたは何をするのか」と言うことができようか。 + 命令を守る者は災にあわない。知者の心は時と方法をわきまえている。 + 人の悪が彼の上に重くても、すべてのわざには時と方法がある。 + 後に起る事を知る者はない。どんな事が起るかをだれが彼に告げ得よう。 + 風をとどめる力をもつ人はない。また死の日をつかさどるものはない。戦いには免除はない。また悪はこれを行う者を救うことができない。 + わたしはこのすべての事を見た。また日の下に行われるもろもろのわざに心を用いた。時としてはこの人が、かの人を治めて、これに害をこうむらせることがある。 + またわたしは悪人の葬られるのを見た。彼らはいつも聖所に出入りし、それを行ったその町でほめられた。これもまた空である。 + 悪しきわざに対する判決がすみやかに行われないために、人の子らの心はもっぱら悪を行うことに傾いている。 + 罪びとで百度悪をなして、なお長生きするものがあるけれども、神をかしこみ、み前に恐れをいだく者には幸福があることを、わたしは知っている。 + しかし悪人には幸福がない。またその命は影のようであって長くは続かない。彼は神の前に恐れをいだかないからである。 + 地の上に空な事が行われている。すなわち、義人であって、悪人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。また、悪人であって、義人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。わたしは言った、これもまた空であると。 + そこで、わたしは歓楽をたたえる。それは日の下では、人にとって、食い、飲み、楽しむよりほかに良い事はないからである。これこそは日の下で、神が賜わった命の日の間、その勤労によってその身に伴うものである。 + わたしは心をつくして知恵を知ろうとし、また地上に行われるわざを昼も夜も眠らずに窮めようとしたとき、 + わたしは神のもろもろのわざを見たが、人は日の下に行われるわざを窮めることはできない。人はこれを尋ねようと労しても、これを窮めることはできない。また、たとい知者があって、これを知ろうと思っても、これを窮めることはできないのである。 + + + わたしはこのすべての事に心を用いて、このすべての事を明らかにしようとした。すなわち正しい者と賢い者、および彼らのわざが、神の手にあることを明らかにしようとした。愛するか憎むかは人にはわからない。彼らの前にあるすべてのことは空である。 + すべての人に臨むところは、みな同様である。正しい者にも正しくない者にも、善良な者にも悪い者にも、清い者にも汚れた者にも、犠牲をささげる者にも、犠牲をささげない者にも、その臨むところは同様である。善良な人も罪びとも異なることはない。誓いをなす者も、誓いをなすことを恐れる者も異なることはない。 + すべての人に同一に臨むのは、日の下に行われるすべての事のうちの悪事である。また人の心は悪に満ち、その生きている間は、狂気がその心のうちにあり、その後は死者のもとに行くのである。 + すべて生ける者に連なる者には望みがある。生ける犬は、死せるししにまさるからである。 + 生きている者は死ぬべき事を知っている。しかし死者は何事をも知らない、また、もはや報いを受けることもない。その記憶に残る事がらさえも、ついに忘れられる。 + その愛も、憎しみも、ねたみも、すでに消えうせて、彼らはもはや日の下に行われるすべての事に、永久にかかわることがない。 + あなたは行って、喜びをもってあなたのパンを食べ、楽しい心をもってあなたの酒を飲むがよい。神はすでに、あなたのわざをよみせられたからである。 + あなたの衣を常に白くせよ。あなたの頭に油を絶やすな。 + 日の下で神から賜わったあなたの空なる命の日の間、あなたはその愛する妻と共に楽しく暮すがよい。これはあなたが世にあってうける分、あなたが日の下で労する労苦によって得るものだからである。 + すべてあなたの手のなしうる事は、力をつくしてなせ。あなたの行く陰府には、わざも、計略も、知識も、知恵もないからである。 + わたしはまた日の下を見たが、必ずしも速い者が競走に勝つのではなく、強い者が戦いに勝つのでもない。また賢い者がパンを得るのでもなく、さとき者が富を得るのでもない。また知識ある者が恵みを得るのでもない。しかし時と災難はすべての人に臨む。 + 人はその時を知らない。魚がわざわいの網にかかり、鳥がわなにかかるように、人の子らもわざわいの時が突然彼らに臨む時、それにかかるのである。 + またわたしは日の下にこのような知恵の例を見た。これはわたしにとって大きな事である。 + ここに一つの小さい町があって、そこに住む人は少なかったが、大いなる王が攻めて来て、これを囲み、これに向かって大きな雲梯を建てた。 + しかし、町のうちにひとりの貧しい知恵のある人がいて、その知恵をもって町を救った。ところがだれひとり、その貧しい人を記憶する者がなかった。 + そこでわたしは言う、「知恵は力にまさる。しかしかの貧しい人の知恵は軽んぜられ、その言葉は聞かれなかった」。 + 静かに聞かれる知者の言葉は、愚かな者の中のつかさたる者の叫びにまさる。 + 知恵は戦いの武器にまさる。しかし、ひとりの罪びとは多くの良きわざを滅ぼす。 + + + 死んだはえは、香料を造る者のあぶらを臭くし、少しの愚痴は知恵と誉よりも重い。 + 知者の心は彼を右に向けさせ、愚者の心は左に向けさせる。 + 愚者は道を行く時、思慮が足りない、自分の愚かなことをすべての人に告げる。 + つかさたる者があなたに向かって立腹しても、あなたの所を離れてはならない。温順は大いなるとがを和らげるからである。 + わたしは日の下に一つの悪のあるのを見た。それはつかさたる者から出るあやまちに似ている。 + すなわち愚かなる者が高い地位に置かれ、富める者が卑しい所に座している。 + わたしはしもべたる者が馬に乗り、君たる者が奴隷のように徒歩であるくのを見た。 + 穴を掘る者はみずからこれに陥り、石がきをこわす者は、へびにかまれる。 + 石を切り出す者はそれがために傷をうけ、木を割る者はそれがために危険にさらされる。 + 鉄が鈍くなったとき、人がその刃をみがかなければ、力を多くこれに用いねばならない。しかし、知恵は人を助けてなし遂げさせる。 + へびがもし呪文をかけられる前に、かみつけば、へび使は益がない。 + 知者の口の言葉は恵みがある、しかし愚者のくちびるはその身を滅ぼす。 + 愚者の口の言葉の初めは愚痴である、またその言葉の終りは悪い狂気である。 + 愚者は言葉を多くする、しかし人はだれも後に起ることを知らない。だれがその身の後に起る事を告げることができようか。 + 愚者の労苦はその身を疲れさせる、彼は町にはいる道をさえ知らない。 + あなたの王はわらべであって、その君たちが朝から、ごちそうを食べる国よ、あなたはわざわいだ。 + あなたの王は自主の子であって、その君たちが酔うためでなく、力を得るために、適当な時にごちそうを食べる国よ、あなたはさいわいだ。 + 怠惰によって屋根は落ち、無精によって家は漏る。 + 食事は笑いのためになされ、酒は命を楽しませる。金銭はすべての事に応じる。 + あなたは心のうちでも王をのろってはならない、また寝室でも富める者をのろってはならない。空の鳥はあなたの声を伝え、翼のあるものは事を告げるからである。 + + + あなたのパンを水の上に投げよ、多くの日の後、あなたはそれを得るからである。 + あなたは一つの分を七つまた八つに分けよ、あなたは、どんな災が地に起るかを知らないからだ。 + 雲がもし雨で満ちるならば、地にそれを注ぐ、また木がもし南か北に倒れるならば、その木は倒れた所に横たわる。 + 風を警戒する者は種をまかない、雲を観測する者は刈ることをしない。 + あなたは、身ごもった女の胎の中で、どうして霊が骨にはいるかを知らない。そのようにあなたは、すべての事をなされる神のわざを知らない。 + 朝のうちに種をまけ、夕まで手を休めてはならない。実るのは、これであるか、あれであるか、あるいは二つともに良いのであるか、あなたは知らないからである。 + 光は快いものである。目に太陽を見るのは楽しいことである。 + 人が多くの年、生きながらえ、そのすべてにおいて自分を楽しませても、暗い日の多くあるべきことを忘れてはならない。すべて、きたらんとする事は皆空である。 + 若い者よ、あなたの若い時に楽しめ。あなたの若い日にあなたの心を喜ばせよ。あなたの心の道に歩み、あなたの目の見るところに歩め。ただし、そのすべての事のために、神はあなたをさばかれることを知れ。 + あなたの心から悩みを去り、あなたのからだから痛みを除け。若い時と盛んな時はともに空だからである。 + + + あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ。悪しき日がきたり、年が寄って、「わたしにはなんの楽しみもない」と言うようにならない前に、 + また日や光や、月や星の暗くならない前に、雨の後にまた雲が帰らないうちに、そのようにせよ。 + その日になると、家を守る者は震え、力ある人はかがみ、ひきこなす女は少ないために休み、窓からのぞく者の目はかすみ、 + 町の門は閉ざされる。その時ひきこなす音は低くなり、人は鳥の声によって起きあがり、歌の娘たちは皆、低くされる。 + 彼らはまた高いものを恐れる。恐ろしいものが道にあり、あめんどうは花咲き、いなごはその身をひきずり歩き、その欲望は衰え、人が永遠の家に行こうとするので、泣く人が、ちまたを歩きまわる。 + その後、銀のひもは切れ、金の皿は砕け、水がめは泉のかたわらで破れ、車は井戸のかたわらで砕ける。 + ちりは、もとのように土に帰り、霊はこれを授けた神に帰る。 + 伝道者は言う、「空の空、いっさいは空である」と。 + さらに伝道者は知恵があるゆえに、知識を民に教えた。彼はよく考え、尋ねきわめ、あまたの箴言をまとめた。 + 伝道者は麗しい言葉を得ようとつとめた。また彼は真実の言葉を正しく書きしるした。 + 知者の言葉は突き棒のようであり、またよく打った釘のようなものであって、ひとりの牧者から出た言葉が集められたものである。 + わが子よ、これら以外の事にも心を用いよ。多くの書を作れば際限がない。多く学べばからだが疲れる。 + 事の帰する所は、すべて言われた。すなわち、神を恐れ、その命令を守れ。これはすべての人の本分である。 + 神はすべてのわざ、ならびにすべての隠れた事を善悪ともにさばかれるからである。 + +
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+ + ソロモンの雅歌 + どうか、あなたの口の口づけをもって、わたしに口づけしてください。あなたの愛はぶどう酒にまさり、 + あなたのにおい油はかんばしく、あなたの名は注がれたにおい油のようです。それゆえ、おとめたちはあなたを愛するのです。 + あなたのあとについて、行かせてください。わたしたちは急いでまいりましょう。王はわたしをそのへやに連れて行かれた。わたしたちは、あなたによって喜び楽しみ、ぶどう酒にまさって、あなたの愛をほめたたえます。おとめたちは真心をもってあなたを愛します。 + エルサレムの娘たちよ、わたしは黒いけれども美しい。ケダルの天幕のように、ソロモンのとばりのように。 + わたしが日に焼けているがために、日がわたしを焼いたがために、わたしを見つめてはならない。わが母の子らは怒って、わたしにぶどう園を守らせた。しかし、わたしは自分のぶどう園を守らなかった。 + わが魂の愛する者よ、あなたはどこで、あなたの群れを養い、昼の時にどこで、それを休ませるのか、わたしに告げてください。どうして、わたしはさまよう者のように、あなたの仲間の群れのかたわらに、いなければならないのですか。 + 女のうちの最も美しい者よ、あなたが知らないなら、群れの足跡に従っていって、羊飼たちの天幕のかたわらで、あなたの子やぎを飼いなさい。 + わが愛する者よ、わたしはあなたをパロの車の雌馬になぞらえる。 + あなたのほおは美しく飾られ、あなたの首は宝石をつらねた首飾で美しい。 + われわれは銀を散らした金の飾り物を、あなたのために造ろう。 + 王がその席に着かれたとき、わたしのナルドはそのかおりを放った。 + わが愛する者は、わたしにとっては、わたしの乳ぶさの間にある没薬の袋のようです。 + わが愛する者は、わたしにとっては、エンゲデのぶどう園にあるヘンナ樹の花ぶさのようです。 + わが愛する者よ、見よ、あなたは美しい、見よ、あなたは美しい、あなたの目ははとのようだ。 + わが愛する者よ、見よ、あなたは美しく、まことにりっぱです。わたしたちの床は緑、 + わたしたちの家の梁は香柏、そのたるきはいとすぎです。 + + + わたしはシャロンのばら、谷のゆりです。 + おとめたちのうちにわが愛する者のあるのは、いばらの中にゆりの花があるようだ。 + わが愛する者の若人たちの中にあるのは、林の木の中にりんごの木があるようです。わたしは大きな喜びをもって、彼の陰にすわった。彼の与える実はわたしの口に甘かった。 + 彼はわたしを酒宴の家に連れて行った。わたしの上にひるがえる彼の旗は愛であった。 + 干ぶどうをもって、わたしに力をつけ、りんごをもって、わたしに元気をつけてください。わたしは愛のために病みわずらっているのです。 + どうか、彼の左の手がわたしの頭の下にあり、右の手がわたしを抱いてくれるように。 + エルサレムの娘たちよ、わたしは、かもしかと野の雌じかをさして、あなたがたに誓い、お願いする、愛のおのずから起るときまでは、ことさらに呼び起すことも、さますこともしないように。 + わが愛する者の声が聞える。見よ、彼は山をとび、丘をおどり越えて来る。 + わが愛する者はかもしかのごとく、若い雄じかのようです。見よ、彼はわたしたちの壁のうしろに立ち、窓からのぞき、格子からうかがっている。 + わが愛する者はわたしに語って言う、「わが愛する者よ、わが麗しき者よ、立って、出てきなさい。 + 見よ、冬は過ぎ、雨もやんで、すでに去り、 + もろもろの花は地にあらわれ、鳥のさえずる時がきた。山ばとの声がわれわれの地に聞える。 + いちじくの木はその実を結び、ぶどうの木は花咲いて、かんばしいにおいを放つ。わが愛する者よ、わが麗しき者よ、立って、出てきなさい。 + 岩の裂け目、がけの隠れ場におるわがはとよ、あなたの顔を見せなさい。あなたの声を聞かせなさい。あなたの声は愛らしく、あなたの顔は美しい。 + われわれのためにきつねを捕えよ、ぶどう園を荒す小ぎつねを捕えよ、われわれのぶどう園は花盛りだから」と。 + わが愛する者はわたしのもの、わたしは彼のもの。彼はゆりの花の中で、その群れを養っている。 + わが愛する者よ、日の涼しくなるまで、影の消えるまで、身をかえして出ていって、険しい山々の上で、かもしかのように、若い雄じかのようになってください。 + + + わたしは夜、床の上で、わが魂の愛する者をたずねた。わたしは彼をたずねたが、見つからなかった。わたしは彼を呼んだが、答がなかった。 + 「わたしは今起きて、町をまわり歩き、街路や広場で、わが魂の愛する者をたずねよう」と、彼をたずねたが、見つからなかった。 + 町をまわり歩く夜回りたちに出会ったので、「あなたがたは、わが魂の愛する者を見ましたか」と尋ねた。 + わたしが彼らと別れて行くとすぐ、わが魂の愛する者に出会った。わたしは彼を引き留めて行かせず、ついにわが母の家につれて行き、わたしを産んだ者のへやにはいった。 + エルサレムの娘たちよ、わたしは、かもしかと野の雌じかをさして、あなたがたに誓い、お願いする、愛のおのずから起るときまでは、ことさらに呼び起すことも、さますこともしないように。 + 没薬、乳香など、商人のもろもろの香料をもって、かおりを放ち、煙の柱のように、荒野から上って来るものは何か。 + 見よ、あれはソロモンの乗物で、六十人の勇士がそのまわりにいる。イスラエルの勇士で、 + 皆、つるぎをとり、戦いをよくし、おのおの腰に剣を帯びて、夜の危険に備えている。 + ソロモン王はレバノンの木をもって、自分のために輿をつくった。 + その柱は銀、そのうしろは金、その座は紫の布でつくった。その内部にはエルサレムの娘たちが、愛情をこめてつくった物を張りつけた。 + シオンの娘たちよ、出てきてソロモン王を見よ。彼は婚姻の日、心の喜びの日に、その母の彼にかぶらせた冠をいただいている。 + + + わが愛する者よ、見よ、あなたは美しい、見よ、あなたは美しい。あなたの目は、顔おおいのうしろにあって、はとのようだ。あなたの髪はギレアデの山を下るやぎの群れのようだ。 + あなたの歯は洗い場から上ってきた毛を切られた雌羊の群れのようだ。みな二子を産んで、一匹も子のないものはない。 + あなたのくちびるは紅の糸のようで、その口は愛らしい。あなたのほおは顔おおいのうしろにあって、ざくろの片われのようだ。 + あなたの首は武器倉のために建てたダビデのやぐらのようだ。その上には一千の盾を掛けつらね、みな勇士の大盾である。 + あなたの両乳ぶさは、かもしかの二子である二匹の子じかが、ゆりの花の中に草を食べているようだ。 + 日の涼しくなるまで、影の消えるまで、わたしは没薬の山および乳香の丘へ急ぎ行こう。 + わが愛する者よ、あなたはことごとく美しく、少しのきずもない。 + わが花嫁よ、レバノンからわたしと一緒にきなさい、レバノンからわたしと一緒にきなさい。アマナの頂を去り、セニルおよびヘルモンの頂を去り、ししの穴、ひょうの山を去りなさい。 + わが妹、わが花嫁よ、あなたはわたしの心を奪った。あなたはただひと目で、あなたの首飾のひと玉で、わたしの心を奪った。 + わが妹、わが花嫁よ、あなたの愛は、なんと麗しいことであろう。あなたの愛はぶどう酒よりも、あなたの香油のかおりはすべての香料よりも、いかにすぐれていることであろう。 + わが花嫁よ、あなたのくちびるは甘露をしたたらせ、あなたの舌の下には、蜜と乳とがある。あなたの衣のかおりはレバノンのかおりのようだ。 + わが妹、わが花嫁は閉じた園、閉じた園、封じた泉のようだ。 + あなたの産み出す物は、もろもろの良き実をもつざくろの園、ヘンナおよびナルド、 + ナルド、さふらん、しょうぶ、肉桂、さまざまの乳香の木、没薬、ろかい、およびすべての尊い香料である。 + あなたは園の泉、生ける水の井、またレバノンから流れ出る川である。 + 北風よ、起れ、南風よ、きたれ。わが園を吹いて、そのかおりを広く散らせ。わが愛する者がその園にはいってきて、その良い実を食べるように。 + + + わが妹、わが花嫁よ、わたしはわが園にはいって、わが没薬と香料とを集め、わが蜜蜂の巣と、蜜とを食べ、わがぶどう酒と乳とを飲む。友らよ、食らえ、飲め、愛する人々よ、大いに飲め。 + わたしは眠っていたが、心はさめていた。聞きなさい、わが愛する者が戸をたたいている。「わが妹、わが愛する者、わがはと、わが全き者よ、あけてください。わたしの頭は露でぬれ、わたしの髪の毛は夜露でぬれている」と言う。 + わたしはすでに着物を脱いだ、どうしてまた着られようか。すでに足を洗った、どうしてまた、よごせようか。 + わが愛する者が掛けがねに手をかけたので、わが心は内におどった。 + わたしが起きて、わが愛する者のためにあけようとしたとき、わたしの手から没薬がしたたり、わたしの指から没薬の液が流れて、貫の木の取手の上に落ちた。 + わたしはわが愛する者のために開いたが、わが愛する者はすでに帰り去った。彼が帰り去ったとき、わが心は力を失った。わたしは尋ねたけれども見つからず、呼んだけれども答がなかった。 + 町をまわり歩く夜回りらはわたしを見ると、撃って傷つけ、城壁を守る者らは、わたしの上着をはぎ取った。 + エルサレムの娘たちよ、わたしはあなたがたに誓って、お願いする。もしわが愛する者を見たなら、わたしが愛のために病みわずらっていると、彼に告げてください。 + 女のうちの最も美しい者よ、あなたの愛する者は、ほかの人の愛する者に、なんのまさるところがあるか。あなたの愛する者は、ほかの人の愛する者に、なんのまさるところがあって、そのように、わたしたちに誓い、願うのか。 + わが愛する者は白く輝き、かつ赤く、万人にぬきんで、 + その頭は純金のように、その髪の毛はうねっていて、からすのように黒い。 + その目は泉のほとりのはとのように、乳で洗われて、良く落ち着いている。 + そのほおは、かんばしい花の床のように、かおりを放ち、そのくちびるは、ゆりの花のようで、没薬の液をしたたらす。 + その手は宝石をはめた金の円筒のごとく、そのからだはサファイヤをもっておおった象牙の細工のごとく、 + その足のすねは金の台の上にすえた大理石の柱のごとく、その姿はレバノンのごとく、香柏のようで、美しい。 + その言葉は、はなはだ美しく、彼はことごとく麗しい。エルサレムの娘たちよ、これがわが愛する者、これがわが友なのです。 + + + 女のうちの最も美しい者よ、あなたの愛する者はどこへ行ったか。あなたの愛する者はどこへおもむいたか。わたしたちはあなたと一緒にたずねよう。 + わが愛する者は園の中で、群れを飼い、またゆりの花を取るために自分の園に下り、かんばしい花の床へ行きました。 + わたしはわが愛する人のもの、わが愛する者はわたしのものです。彼はゆりの花の中で、その群れを飼っています。 + わが愛する者よ、あなたは美しいことテルザのごとく、麗しいことエルサレムのごとく、恐るべきこと旗を立てた軍勢のようだ。 + あなたの目はわたしを恐れさせるゆえ、わたしからそむけてください。あなたの髪はギレアデの山を下るやぎの群れのようだ。 + あなたの歯は洗い場から上ってきた雌羊の群れのようだ。みな二子を産んで、一匹も子のないものはない。 + あなたのほおは顔おおいのうしろにあって、ざくろの片われのようだ。 + 王妃は六十人、そばめは八十人、また数しれぬおとめがいる。 + わがはと、わが全き者はただひとり、彼女は母のひとり子、彼女を産んだ者の最愛の者だ。おとめたちは彼女を見て、さいわいな者ととなえ、王妃たち、そばめたちもまた、彼女を見て、ほめた。 + 「このしののめのように見え、月のように美しく、太陽のように輝き、恐るべき事、旗を立てた軍勢のような者はだれか」。 + わたしは谷の花を見、ぶどうが芽ざしたか、ざくろの花が咲いたかを見ようと、くるみの園へ下っていった。 + わたしの知らないうちに、わたしの思いは、わたしを車の中のわが君のかたわらにおらせた。 + 帰れ、帰れ、シュラムの女よ、帰れ、帰れ、わたしたちはあなたを見たいものだ。あなたがたはどうしてマハナイムの踊りを見るようにシュラムの女を見たいのか。 + + + 女王のような娘よ、あなたの足は、くつの中にあって、なんと麗しいことであろう。あなたのももは、まろやかで、玉のごとく、名人の手のわざのようだ。 + あなたのほぞは、混ぜたぶどう酒を欠くことのない丸い杯のごとく、あなたの腹は、ゆりの花で囲まれた山盛りの麦のようだ。 + あなたの両乳ぶさは、かもしかの二子である二匹の子じかのようだ。 + あなたの首は象牙のやぐらのごとく、あなたの目は、バテラビムの門のほとりにあるヘシボンの池のごとく、あなたの鼻は、ダマスコを見おろすレバノンのやぐらのようだ。 + あなたの頭は、カルメルのようにあなたを飾り、髪の毛は紫色のようで、王はそのたれ髪に捕われた。 + 愛する者よ、快活なおとめよ、あなたはなんと美しく愛すべき者であろう。 + あなたはなつめやしの木のように威厳があり、あなたの乳ぶさはそのふさのようだ。 + わたしは言う、「このなつめやしの木にのぼり、その枝に取りつこう。どうか、あなたの乳ぶさが、ぶどうのふさのごとく、あなたの息のにおいがりんごのごとく、 + あなたの口づけが、なめらかに流れ下る良きぶどう酒のごとく、くちびると歯の上をすべるように」と。 + わたしはわが愛する人のもの、彼はわたしを恋い慕う。 + わが愛する者よ、さあ、わたしたちはいなかへ出ていって、村里に宿りましょう。 + わたしたちは早く起き、ぶどう園へ行って、ぶどうの木が芽ざしたか、ぶどうの花が咲いたか、ざくろが花咲いたかを見ましょう。その所で、わたしはわが愛をあなたに与えます。 + 恋なすは、かおりを放ち、もろもろの良きくだものは、新しいのも古いのも共にわたしたちの戸の上にある。わが愛する者よ、わたしはこれをあなたのためにたくわえました。 + + + どうか、あなたは、わが母の乳ぶさを吸ったわが兄弟のようになってください。わたしがそとであなたに会うとき、あなたに口づけしても、だれもわたしをいやしめないでしょう。 + わたしはあなたを導いて、わが母の家に行き、わたしを産んだ者のへやにはいり、香料のはいったぶどう酒、ざくろの液を、あなたに飲ませましょう。 + どうか、彼の左の手がわたしの頭の下にあり、右の手がわたしを抱いてくれるように。 + エルサレムの娘たちよ、わたしはあなたがたに誓い、お願いする、愛のおのずから起るときまでは、ことさらに呼び起すことも、さますこともしないように。 + 自分の愛する者によりかかって、荒野から上って来る者はだれですか。りんごの木の下で、わたしはあなたを呼びさました。あなたの母上は、かしこで、あなたのために産みの苦しみをなし、あなたの産んだ者が、かしこで産みの苦しみをした。 + わたしをあなたの心に置いて印のようにし、あなたの腕に置いて印のようにしてください。愛は死のように強く、ねたみは墓のように残酷だからです。そのきらめきは火のきらめき、最もはげしい炎です。 + 愛は大水も消すことができない、洪水もおぼれさせることができない。もし人がその家の財産をことごとく与えて、愛に換えようとするならば、いたくいやしめられるでしょう。 + わたしたちに小さい妹がある、まだ乳ぶさがない。わたしたちの妹に縁談のある日には、彼女のために何をしてやろうか。 + 彼女が城壁であるなら、その上に銀の塔を建てよう。彼女が戸であるなら、香柏の板でそれを囲もう。 + わたしは城壁、わたしの乳ぶさは、やぐらのようでありました。それでわたしは彼の目には、平和をもたらす者のようでありました。 + ソロモンはバアルハモンにぶどう園をもっていた。彼はぶどう園を、守る者どもにあずけて、おのおのその実のために銀一千を納めさせた。 + わたしのものであるぶどう園は、わたしの前にある。ソロモンよ、あなたは一千を獲るでしょう、その実を守る者どもは二百を獲るでしょう。 + 園の中に住む者よ、わたしの友だちはあなたの声に耳を傾けます、どうぞ、それをわたしに聞かせてください。 + わが愛する者よ、急いでください。かんばしい山々の上で、かもしかのように、また若い雄じかのようになってください。 + +
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+ + アモツの子イザヤがユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの世にユダとエルサレムについて見た幻。 + 天よ、聞け、地よ、耳を傾けよ、主が次のように語られたから、「わたしは子を養い育てた、しかし彼らはわたしにそむいた。 + 牛はその飼主を知り、ろばはその主人のまぐさおけを知る。しかしイスラエルは知らず、わが民は悟らない」。 + ああ、罪深い国びと、不義を負う民、悪をなす者のすえ、堕落せる子らよ。彼らは主を捨て、イスラエルの聖者をあなどり、これをうとんじ遠ざかった。 + あなたがたは、どうして重ね重ねそむいて、なおも打たれようとするのか。その頭はことごとく病み、その心は全く弱りはてている。 + 足のうらから頭まで、完全なところがなく、傷と打ち傷と生傷ばかりだ。これを絞り出すものなく、包むものなく、油をもってやわらげるものもない。 + あなたがたの国は荒れすたれ、町々は火で焼かれ、田畑のものはあなたがたの前で外国人に食われ、滅ぼされたソドムのように荒れすたれた。 + シオンの娘はぶどう畑の仮小屋のように、きゅうり畑の番小屋のように、包囲された町のように、ただひとり残った。 + もし万軍の主が、われわれに少しの生存者を残されなかったなら、われわれはソドムのようになり、またゴモラと同じようになったであろう。 + あなたがたソドムのつかさたちよ、主の言葉を聞け。あなたがたゴモラの民よ、われわれの神の教に耳を傾けよ。 + 主は言われる、「あなたがたがささげる多くの犠牲は、わたしになんの益があるか。わたしは雄羊の燔祭と、肥えた獣の脂肪とに飽いている。わたしは雄牛あるいは小羊、あるいは雄やぎの血を喜ばない。 + あなたがたは、わたしにまみえようとして来るが、だれが、わたしの庭を踏み荒すことを求めたか。 + あなたがたは、もはや、むなしい供え物を携えてきてはならない。薫香は、わたしの忌みきらうものだ。新月、安息日、また会衆を呼び集めること――わたしは不義と聖会とに耐えられない。 + あなたがたの新月と定めの祭とは、わが魂の憎むもの、それはわたしの重荷となり、わたしは、それを負うのに疲れた。 + あなたがたが手を伸べるとき、わたしは目をおおって、あなたがたを見ない。たとい多くの祈をささげても、わたしは聞かない。あなたがたの手は血まみれである。 + あなたがたは身を洗って、清くなり、わたしの目の前からあなたがたの悪い行いを除き、悪を行うことをやめ、 + 善を行うことをならい、公平を求め、しえたげる者を戒め、みなしごを正しく守り、寡婦の訴えを弁護せよ。 + 主は言われる、さあ、われわれは互に論じよう。たといあなたがたの罪は緋のようであっても、雪のように白くなるのだ。紅のように赤くても、羊の毛のようになるのだ。 + もし、あなたがたが快く従うなら、地の良き物を食べることができる。 + しかし、あなたがたが拒みそむくならば、つるぎで滅ぼされる」。これは主がその口で語られたことである。 + かつては忠信であった町、どうして遊女となったのか。昔は公平で満ち、正義がそのうちにやどっていたのに、今は人を殺す者ばかりとなってしまった。 + あなたの銀はかすとなり、あなたのぶどう酒は水をまじえ、 + あなたのつかさたちはそむいて、盗びとの仲間となり、みな、まいないを好み、贈り物を追い求め、みなしごを正しく守らず、寡婦の訴えは彼らに届かない。 + このゆえに、主、万軍の主、イスラエルの全能者は言われる、「ああ、わたしはわが敵にむかって憤りをもらし、わがあだにむかって恨みをはらす。 + わたしはまた、わが手をあなたに向け、あなたのかすを灰汁で溶かすように溶かし去り、あなたの混ざり物をすべて取り除く。 + こうして、あなたのさばきびとをもとのとおりに、あなたの議官を初めのとおりに回復する。その後あなたは正義の都、忠信の町ととなえられる」。 + シオンは公平をもってあがなわれ、そのうちの悔い改める者は、正義をもってあがなわれる。 + しかし、そむく者と罪びととは共に滅ぼされ、主を捨てる者は滅びうせる。 + あなたがたは、みずから喜んだかしの木によって、はずかしめを受け、みずから選んだ園によって、恥じ赤らむ。 + あなたがたは葉の枯れるかしの木のように、水のない園のようになり、 + 強い者も麻くずのように、そのわざは火花のようになり、その二つのものは共に燃えて、それを消す者はない。 + + + アモツの子イザヤがユダとエルサレムについて示された言葉。 + 終りの日に次のことが起る。主の家の山は、もろもろの山のかしらとして堅く立ち、もろもろの峰よりも高くそびえ、すべて国はこれに流れてき、 + 多くの民は来て言う、「さあ、われわれは主の山に登り、ヤコブの神の家へ行こう。彼はその道をわれわれに教えられる、われわれはその道に歩もう」と。律法はシオンから出、主の言葉はエルサレムから出るからである。 + 彼はもろもろの国のあいだにさばきを行い、多くの民のために仲裁に立たれる。こうして彼らはそのつるぎを打ちかえて、すきとし、そのやりを打ちかえて、かまとし、国は国にむかって、つるぎをあげず、彼らはもはや戦いのことを学ばない。 + ヤコブの家よ、さあ、われわれは主の光に歩もう。 + あなたはあなたの民ヤコブの家を捨てられた。これは彼らが東の国からの占い師をもって満たし、ペリシテびとのように占い者となり、外国人と同盟を結んだからである。 + 彼らの国には金銀が満ち、その財宝は限りない。また彼らの国には馬が満ち、その戦車も限りない。 + また彼らの国には偶像が満ち、彼らはその手のわざを拝み、その指で作ったものを拝む。 + こうして人はかがめられ、人々は低くされる。どうか彼らをおゆるしにならぬように。 + あなたは岩の間にはいり、ちりの中にかくれて、主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避けよ。 + その日には目をあげて高ぶる者は低くせられ、おごる人はかがめられ、主のみ高くあげられる。 + これは、万軍の主の一日があって、すべて誇る者と高ぶる者、すべておのれを高くする者と得意な者とに臨むからである。 + またレバノンの高くそびえるすべての香柏、バシャンのすべてのかしの木、 + またすべての高い山々、すべてのそびえ立つ峰々、 + すべての高きやぐら、すべての堅固な城壁、 + タルシシのすべての船、すべての麗しい船舶に臨む。 + その日には高ぶる者はかがめられ、おごる人は低くせられ、主のみ高くあげられる。 + こうして偶像はことごとく滅びうせる。 + 主が立って地を脅かされるとき、人々は岩のほら穴にはいり、また地の穴にはいって、主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避ける。 + その日、人々は拝むためにみずから造ったしろがねの偶像と、こがねの偶像とを、もぐらもちと、こうもりに投げ与え、 + 岩のほら穴や、がけの裂け目にはいり、主が立って地を脅かされるとき、主の恐るべきみ前と、その威光の輝きとを避ける。 + あなたがたは鼻から息の出入りする人に、たよることをやめよ、このような者はなんの価値があろうか。 + + + 見よ、主、万軍の主はエルサレムとユダからささえとなり、頼みとなるもの――すべてささえとなるパン、すべてささえとなる水――を取り去られる。 + すなわち勇士と軍人、裁判官と預言者、占い師と長老、 + 五十人の長と身分の高い人、議官と巧みな魔術師、老練なまじない師を取り去られる。 + わたしはわらべを立てて彼らの君とし、みどりごに彼らを治めさせる。 + 民は互に相しえたげ、人はおのおのその隣をしえたげ、若い者は老いたる者にむかって高ぶり、卑しい者は尊い者にむかって高ぶる。 + その時、人はその父の家で、兄弟をつかまえて言う、「あなたは外套を持っている、わたしたちのつかさびとになって、この荒れ跡をあなたの手で治めてください」と。 + その日、彼は声をあげて言う、「わたしはいやす者となることはできません、わたしの家にはパンもなく、外套もありません、わたしを立てて、民のつかさびとにしないでください」。 + これは彼らの言葉と行いとが主にそむき、その栄光の目をおかしたので、エルサレムはつまずき、ユダは倒れたからである。 + 彼らの不公平は彼らにむかって不利なあかしをし、ソドムのようにその罪をあらわして隠さない。わざわいなるかな、彼らはみずから悪の報いをうけた。 + 正しい人に言え、彼らはさいわいであると。彼らはその行いの実を食べるからである。 + 悪しき者はわざわいだ、彼は災をうける。その手のなした事が彼に報いられるからである。 + わが民は幼な子にしえたげられ、女たちに治められる。ああ、わが民よ、あなたを導く者はかえって、あなたを迷わせ、あなたの行くべき道を混乱させる。 + 主は言い争うために立ちあがり、その民をさばくために立たれる。 + 主はその民の長老と君たちとをさばいて、「あなたがたは、ぶどう畑を食い荒した。貧しい者からかすめとった物は、あなたがたの家にある。 + なぜ、あなたがたはわが民を踏みにじり、貧しい者の顔をすり砕くのか」と万軍の神、主は言われる。 + 主は言われた、シオンの娘らは高ぶり、首をのばしてあるき、目でこびをおくり、その行くとき気どって歩き、その足でりんりんと鳴り響かす。 + それゆえ、主はシオンの娘らの頭を撃って、かさぶたでおおい、彼らの隠れた所をあらわされる。 + その日、主は彼らの美しい装身具と服装すなわち、くるぶし輪、髪ひも、月形の飾り、 + 耳輪、腕輪、顔おおい、 + 頭飾り、すね飾り、飾り帯、香箱、守り袋、 + 指輪、鼻輪、 + 礼服、外套、肩掛、手さげ袋、 + 薄織の上着、亜麻布の着物、帽子、被衣などを取り除かれる。 + 芳香はかわって、悪臭となり、帯はかわって、なわとなり、よく編んだ髪はかわって、かぶろとなり、はなやかな衣はかわって、荒布の衣となり、美しい顔はかわって、焼き印された顔となる。 + あなたの男たちはつるぎに倒れ、あなたの勇士たちは戦いに倒れる。 + シオンの門は嘆き悲しみ、シオンは荒れすたれて、地に座する。 + + + その日、七人の女がひとりの男にすがって、「わたしたちは自分のパンをたべ、自分の着物を着ます。ただ、あなたの名によって呼ばれることを許して、わたしたちの恥を取り除いてください」と言う。 + その日、主の枝は麗しく栄え、地の産物はイスラエルの生き残った者の誇、また光栄となる。 + + そして主が審判の霊と滅亡の霊とをもって、シオンの娘らの汚れを洗い、エルサレムの血をその中から除き去られるとき、シオンに残る者、エルサレムにとどまる者、すべてエルサレムにあって、生命の書にしるされた者は聖なる者ととなえられる。 + その時、主はシオンの山のすべての場所と、そのもろもろの集会との上に、昼は雲をつくり、夜は煙と燃える火の輝きとをつくられる。これはすべての栄光の上にある天蓋であり、あずまやであって、 + 昼は暑さをふせぐ陰となり、また暴風と雨を避けて隠れる所となる。 + + + わたしはわが愛する者のために、そのぶどう畑についてのわが愛の歌をうたおう。わが愛する者は土肥えた小山の上に、一つのぶどう畑をもっていた。 + 彼はそれを掘りおこし、石を除き、それに良いぶどうを植え、その中に物見やぐらを建て、またその中に酒ぶねを掘り、良いぶどうの結ぶのを待ち望んだ。ところが結んだものは野ぶどうであった。 + それで、エルサレムに住む者とユダの人々よ、どうか、わたしとぶどう畑との間をさばけ。 + わたしが、ぶどう畑になした事のほかに、何かなすべきことがあるか。わたしは良いぶどうの結ぶのを待ち望んだのに、どうして野ぶどうを結んだのか。 + それで、わたしが、ぶどう畑になそうとすることを、あなたがたに告げる。わたしはそのまがきを取り去って、食い荒されるにまかせ、そのかきをとりこわして、踏み荒されるにまかせる。 + わたしはこれを荒して、刈り込むことも、耕すこともせず、おどろと、いばらとを生えさせ、また雲に命じて、その上に雨を降らさない。 + 万軍の主のぶどう畑はイスラエルの家であり、主が喜んでそこに植えられた物は、ユダの人々である。主はこれに公平を望まれたのに、見よ、流血。正義を望まれたのに、見よ、叫び。 + わざわいなるかな、彼らは家に家を建て連ね、田畑に田畑をまし加えて、余地をあまさず、自分ひとり、国のうちに住まおうとする。 + 万軍の主はわたしの耳に誓って言われた、「必ずや多くの家は荒れすたれ、大きな麗しい家も住む者がないようになる。 + 十反のぶどう畑もわずかに一バテの実を結び、一ホメルの種もわずかに一エパの実を結ぶ」。 + わざわいなるかな、彼らは朝早く起きて、濃き酒をおい求め、夜のふけるまで飲みつづけて、酒にその身を焼かれている。 + 彼らの酒宴には琴あり、立琴あり、鼓あり笛あり、ぶどう酒がある。しかし彼らは主のみわざを顧みず、み手のなされる事に目をとめない。 + それゆえ、わが民は無知のために、とりこにせられ、その尊き者は飢えて死に、そのもろもろの民は、かわきによって衰えはてる。 + また陰府はその欲望を大きくし、その口を限りなく開き、エルサレムの貴族、そのもろもろの民、その群集およびそのうちの喜びたのしめる者はみなその中に落ちこむ。 + 人はかがめられ、人々は低くせられ、高ぶる者の目は低くされる。 + しかし万軍の主は公平によってあがめられ、聖なる神は正義によって、おのれを聖なる者として示される。 + こうして小羊は自分の牧場におるように草をはみ、肥えた家畜および子やぎは荒れ跡の中で食を得る。 + わざわいなるかな、彼らは偽りのなわをもって悪を引きよせ、車の綱をもってするように罪を引きよせる。 + 彼らは言う、「彼を急がせ、そのわざをすみやかにさせよ、それを見せてもらおう。イスラエルの聖者の定める事を近づききたらせよ、それを見せてもらおう」と。 + わざわいなるかな、彼らは悪を呼んで善といい、善を呼んで悪といい、暗きを光とし、光を暗しとし、苦きを甘しとし、甘きを苦しとする。 + わざわいなるかな、彼らはおのれを見て、賢しとし、みずから顧みて、さとしとする。 + わざわいなるかな、彼らはぶどう酒を飲むことの英雄であり、濃き酒をまぜ合わせることの勇士である。 + 彼らはまいないによって悪しき者を義とし、義人からその義を奪う。 + それゆえ、火の舌が刈り株を食い尽すように、枯れ草が炎の中に消えうせるように、彼らの根は朽ちたものとなり、彼らの花はちりのように飛び去る。彼らは万軍の主の律法を捨て、イスラエルの聖者の言葉を侮ったからである。 + それゆえ、主はその民にむかって怒りを発し、み手を伸べて彼らを撃たれた。山は震い動き、彼らのしかばねは、ちまたの中で、あくたのようになった。それにもかかわらず、み怒りはやまず、なお、み手を伸ばされる。 + 主は旗をあげて遠くから一つの国民を招き、地の果から彼らを呼ばれる。見よ、彼らは走って、すみやかに来る。 + その中には疲れる者も、つまずく者もなく、まどろむ者も、眠る者もない。その腰の帯はとけず、そのくつのひもは切れていない。 + その矢は鋭く、その弓はことごとく張り、その馬のひずめは火打石のように、その車の輪はつむじ風のように思われる。 + そのほえることは、ししのように、若いししのようにほえ、うなって獲物を捕え、かすめ去っても救う者がない。 + その日、その鳴りどよめくことは、海の鳴りどよめくようだ。もし地をのぞむならば、見よ、暗きと悩みとがあり、光は雲によって暗くなる。 + + + ウジヤ王の死んだ年、わたしは主が高くあげられたみくらに座し、その衣のすそが神殿に満ちているのを見た。 + その上にセラピムが立ち、おのおの六つの翼をもっていた。その二つをもって顔をおおい、二つをもって足をおおい、二つをもって飛びかけり、 + 互に呼びかわして言った。「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主、その栄光は全地に満つ」。 + その呼ばわっている者の声によって敷居の基が震い動き、神殿の中に煙が満ちた。 + その時わたしは言った、「わざわいなるかな、わたしは滅びるばかりだ。わたしは汚れたくちびるの者で、汚れたくちびるの民の中に住む者であるのに、わたしの目が万軍の主なる王を見たのだから」。 + この時セラピムのひとりが火ばしをもって、祭壇の上から取った燃えている炭を手に携え、わたしのところに飛んできて、 + わたしの口に触れて言った、「見よ、これがあなたのくちびるに触れたので、あなたの悪は除かれ、あなたの罪はゆるされた」。 + わたしはまた主の言われる声を聞いた、「わたしはだれをつかわそうか。だれがわれわれのために行くだろうか」。その時わたしは言った、「ここにわたしがおります。わたしをおつかわしください」。 + 主は言われた、「あなたは行って、この民にこう言いなさい、『あなたがたはくりかえし聞くがよい、しかし悟ってはならない。あなたがたはくりかえし見るがよい、しかしわかってはならない』と。 + あなたはこの民の心を鈍くし、その耳を聞えにくくし、その目を閉ざしなさい。これは彼らがその目で見、その耳で聞き、その心で悟り、悔い改めていやされることのないためである」。 + そこで、わたしは言った、「主よ、いつまでですか」。主は言われた、「町々は荒れすたれて、住む者もなく、家には人かげもなく、国は全く荒れ地となり、 + 人々は主によって遠くへ移され、荒れはてた所が国の中に多くなる時まで、こうなっている。 + その中に十分の一の残る者があっても、これもまた焼き滅ぼされる。テレビンの木またはかしの木が切り倒されるとき、その切り株が残るように」。聖なる種族はその切り株である。 + + + ユダの王、ウジヤの子ヨタム、その子アハズの時、スリヤの王レヂンとレマリヤの子であるイスラエルの王ペカとが上ってきて、エルサレムを攻めたが勝つことができなかった。 + 時に「スリヤがエフライムと同盟している」とダビデの家に告げる者があったので、王の心と民の心とは風に動かされる林の木のように動揺した。 + その時、主はイザヤに言われた、「今、あなたとあなたの子シャル・ヤシュブと共に出て行って、布さらしの野へ行く大路に沿う上の池の水道の端でアハズに会い、 + 彼に言いなさい、『気をつけて、静かにし、恐れてはならない。レヂンとスリヤおよびレマリヤの子が激しく怒っても、これら二つの燃え残りのくすぶっている切り株のゆえに心を弱くしてはならない。 + スリヤはエフライムおよびレマリヤの子と共にあなたにむかって悪い事を企てて言う、 + 「われわれはユダに攻め上って、これを脅し、われわれのためにこれを破り取り、タビエルの子をそこの王にしよう」と。 + 主なる神はこう言われる、この事は決して行われない、また起ることはない。 + スリヤのかしらはダマスコ、ダマスコのかしらはレヂンである。(六十五年のうちにエフライムは敗れて、国をなさないようになる。) + エフライムのかしらはサマリヤ、サマリヤのかしらはレマリヤの子である。もしあなたがたが信じないならば、立つことはできない』」。 + 主は再びアハズに告げて言われた、 + 「あなたの神、主に一つのしるしを求めよ、陰府のように深い所に、あるいは天のように高い所に求めよ」。 + しかしアハズは言った、「わたしはそれを求めて、主を試みることをいたしません」。 + そこでイザヤは言った、「ダビデの家よ、聞け。あなたがたは人を煩わすことを小さい事とし、またわが神をも煩わそうとするのか。 + それゆえ、主はみずから一つのしるしをあなたがたに与えられる。見よ、おとめがみごもって男の子を産む。その名はインマヌエルととなえられる。 + その子が悪を捨て、善を選ぶことを知るころになって、凝乳と、蜂蜜とを食べる。 + それはこの子が悪を捨て、善を選ぶことを知る前に、あなたが恐れているふたりの王の地は捨てられるからである。 + 主はエフライムがユダから分れた時からこのかた、臨んだことのないような日をあなたと、あなたの民と、あなたの父の家とに臨ませられる。それはアッスリヤの王である」。 + その日、主はエジプトの川々の源にいる、はえを招き、アッスリヤの地にいる蜂を呼ばれる。 + 彼らはみな来て、険しい谷、岩の裂け目、すべてのいばら、すべての牧場の上にとどまる。 + その日、主は大川の向こうから雇ったかみそり、すなわちアッスリヤの王をもって、頭と足の毛とをそり、また、ひげをも除き去られる。 + その日、人は若い雌牛一頭と羊二頭を飼い、 + それから出る乳が多いので、凝乳を食べることができ、すべて国のうちに残された者は凝乳と、蜂蜜とを食べることができる。 + その日、銀一千シケルの価ある千株のぶどうの木のあった所も、ことごとくいばらと、おどろの生える所となり、 + いばらと、おどろとが地にはびこるために、人々は弓と矢をもってそこへ行く。 + くわをもって掘り耕したすべての山々にも、あなたは、いばらと、おどろとを恐れて、そこへ行くことができない。その地はただ牛を放ち、羊の踏むところとなる。 + + + 主はわたしに言われた、「一枚の大きな札を取って、その上に普通の文字で、『マヘル・シャラル・ハシ・バズ』と書きなさい」。 + そこで、わたしは確かな証人として、祭司ウリヤおよびエベレキヤの子ゼカリヤを立てた。 + わたしが預言者の妻に近づくと、彼女はみごもって男の子を産んだ。その時、主はわたしに言われた、「その名をマヘル・シャラル・ハシ・バズと呼びなさい。 + それはこの子がまだ『おとうさん、おかあさん』と呼ぶことを知らないうちに、ダマスコの富と、サマリヤのぶんどり品とが、アッスリヤ王の前に奪い去られるからである」。 + 主はまた重ねてわたしに言われた、 + 「この民はゆるやかに流れるシロアの水を捨てて、レヂンとレマリヤの子の前に恐れくじける。 + それゆえ見よ、主は勢いたけく、みなぎりわたる大川の水を彼らにむかってせき入れられる。これはアッスリヤの王と、そのもろもろの威勢とであって、そのすべての支流にはびこり、すべての岸を越え、 + ユダに流れ入り、あふれみなぎって、首にまで及ぶ。インマヌエルよ、その広げた翼はあまねく、あなたの国に満ちわたる」。 + もろもろの民よ、打ち破られて、驚きあわてよ。遠き国々のものよ、耳を傾けよ。腰に帯して、驚きあわてよ。腰に帯して、驚きあわてよ。 + ともに計れ、しかし、成らない。言葉を出せ、しかし、行われない。神がわれわれと共におられるからである。 + 主は強いみ手をもって、わたしを捕え、わたしに語り、この民の道に歩まないように、さとして言われた、 + 「この民がすべて陰謀ととなえるものを陰謀ととなえてはならない。彼らの恐れるものを恐れてはならない。またおののいてはならない。 + あなたがたは、ただ万軍の主を聖として、彼をかしこみ、彼を恐れなければならない。 + 主はイスラエルの二つの家には聖所となり、またさまたげの石、つまずきの岩となり、エルサレムの住民には網となり、わなとなる。 + 多くの者はこれにつまずき、かつ倒れ、破られ、わなにかけられ、捕えられる」。 + わたしは、あかしを一つにまとめ、教をわが弟子たちのうちに封じておこう。 + 主はいま、ヤコブの家に、み顔をかくしておられるとはいえ、わたしはその主を待ち、主を望みまつる。 + 見よ、わたしと、主のわたしに賜わった子たちとは、シオンの山にいます万軍の主から与えられたイスラエルのしるしであり、前ぶれである。 + 人々があなたがたにむかって「さえずるように、ささやくように語る巫子および魔術者に求めよ」という時、民は自分たちの神に求むべきではないか。生ける者のために死んだ者に求めるであろうか。 + ただ教とあかしとに求めよ。まことに彼らはこの言葉によって語るが、そこには夜明けがない。 + 彼らはしえたげられ、飢えて国の中を経あるく。その飢えるとき怒りを放ち、自分たちの王、自分たちの神をのろい、かつその顔を天に向ける。 + また地を見ると、見よ、悩みと暗きと、苦しみのやみとがあり、彼らは暗黒に追いやられる。 + + + しかし、苦しみにあった地にも、やみがなくなる。さきにはゼブルンの地、ナフタリの地にはずかしめを与えられたが、後には海に至る道、ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤに光栄を与えられる。 + 暗やみの中に歩んでいた民は大いなる光を見た。暗黒の地に住んでいた人々の上に光が照った。 + あなたが国民を増し、その喜びを大きくされたので、彼らは刈入れ時に喜ぶように、獲物を分かつ時に楽しむように、あなたの前に喜んだ。 + これはあなたが彼らの負っているくびきと、その肩のつえと、しえたげる者のむちとを、ミデアンの日になされたように折られたからだ。 + すべて戦場で、歩兵のはいたくつと、血にまみれた衣とは、火の燃えくさとなって焼かれる。 + ひとりのみどりごがわれわれのために生れた、ひとりの男の子がわれわれに与えられた。まつりごとはその肩にあり、その名は、「霊妙なる議士、大能の神、とこしえの父、平和の君」ととなえられる。 + そのまつりごとと平和とは、増し加わって限りなく、ダビデの位に座して、その国を治め、今より後、とこしえに公平と正義とをもってこれを立て、これを保たれる。万軍の主の熱心がこれをなされるのである。 + 主はひと言をヤコブにおくり、これをイスラエルの上にくだされる。 + すべてこの民、エフライムとサマリヤに住む者とは知るであろう。彼らは高ぶり、心おごって言う、 + 「かわらがくずれても、われわれは切り石をもって建てよう。くわの木が切り倒されても、われわれは香柏をもってこれにかえよう」と。 + それゆえ、主は敵を起して彼らを攻めさせ、そのあだを奮い立たせられる。 + 東にスリヤびとあり、西にペリシテびとあり、彼らは大口をあけてイスラエルを食い尽す。それでも主の怒りはやまず、なおも、そのみ手を伸ばされる。 + しかもなお、この民は自分たちを撃った者に帰らず、万軍の主を求めない。 + それゆえ、主はイスラエルから頭と尾と、しゅろの枝と葦とを一日のうちに断ち切られる。 + その頭とは、長老と尊き人、その尾とは、偽りを教える預言者である。 + この民を導く者は、これを迷わせ、彼らに導かれる者は、のみ尽される。 + それゆえ、主はその若き人々を喜ばれず、そのみなしごと寡婦とをあわれまれない。彼らはみな、不信仰であって、悪を行う者、すべての口は愚かな事を語るからである。それでも主の怒りはやまず、なおも、そのみ手を伸ばされる。 + 悪は火のように燃え、いばらと、おどろとを食い尽し、茂りあう林を焼き、煙の柱となって巻きあがる。 + 万軍の主の怒りによって地は焼け、その民は火の燃えくさのようになり、だれもその兄弟をあわれむ者がない。 + 彼らは右手につかんでも、なお飢え、左手で食べても飽くことがない。おのおのその隣り人の肉を食う。 + マナセはエフライムを、エフライムはマナセを食い、彼らは共にユダを攻める。それでも主の怒りはやまず、なおも、そのみ手を伸ばされる。 + + + わざわいなるかな、不義の判決を下す者、暴虐の宣告を書きしるす者。 + 彼らは乏しい者の訴えを引き受けず、わが民のうちの貧しい者の権利をはぎ、寡婦の資産を奪い、みなしごのものをかすめる。 + あなたがたは刑罰の日がきたなら、何をしようとするのか。大風が遠くから来るとき、何をしようとするのか。あなたがたはのがれていって、だれに助けを求めようとするのか。また、どこにあなたがたの富を残そうとするのか。 + ただ捕われた者の中にかがみ、殺された者の中に伏し倒れるのみだ。それでも主の怒りはやまず、なおも、そのみ手を伸ばされる。 + ああ、アッスリヤはわが怒りのつえ、わが憤りのむちだ。 + わたしは彼をつかわして不信の国を攻め、彼に命じてわが怒りの民を攻め、かすめ奪わせ、彼らをちまたの泥のように踏みにじらせる。 + しかし彼はそのようには思わず、その心もそのようには考えず、かえってその心は滅ぼすことを思い、あまたの国々を倒そうとする。 + 彼は言う、「わが諸侯はみな王ではないか。 + カルノはカルケミシのようではないか。ハマテはアルパデのようではないか。サマリヤはダマスコのようではないか。 + わが手は偶像に仕える国々に伸びた。その彫った像はエルサレムおよびサマリヤのものにまさっていた。 + わたしはサマリヤとその偶像に行ったように、エルサレムとその偶像に行わぬであろうか」。 + 主がシオンの山とエルサレムとになそうとすることを、ことごとくなし遂げられた時、主はアッスリヤ王の無礼な言葉と、その高ぶりとを罰せられる。 + 彼は言う、「わが手の力により、またわが知恵によって、わたしはこれをなした。わたしは賢いからである。わたしはもろもろの民の境を除き、その財宝を奪った。またわたしは雄牛のように、位に座する者を引きおろした。 + わが手は巣を取るように、もろもろの民の富を得た。またわたしは人々が捨てられた卵を集めるように、全地を取り集めた。あるいは翼を動かし、あるいは口を開き、あるいはぺちゃくちゃ言う者もなかった」。 + おのは、それを用いて切る者にむかって、自分を誇ることができようか。のこぎりは、それを動かす者にむかって、みずから高ぶることができようか。これはあたかも、むちが自分をあげる者を動かし、つえが木でない者をあげようとするのに等しい。 + それゆえ、主、万軍の主は、その肥えた勇士の中に病気を送って衰えさせ、その栄光の下に火の燃えるような炎を燃やされる。 + イスラエルの光は火となり、その聖者は炎となり、そのいばらと、おどろとを一日のうちに焼き滅ぼす。 + また、その林と土肥えた田畑の栄えを、魂も、からだも二つながら滅ぼし、病める者のやせ衰える時のようにされる。 + その林の木の残りのものはわずかであって、わらべもそれを書きとめることができる。 + その日にはイスラエルの残りの者と、ヤコブの家の生き残った者とは、もはや自分たちを撃った者にたよらず、真心をもってイスラエルの聖者、主にたより、 + 残りの者、すなわちヤコブの残りの者は大能の神に帰る。 + あなたの民イスラエルは海の砂のようであっても、そのうちの残りの者だけが帰って来る。滅びはすでに定まり、義であふれている。 + 主、万軍の主は定められた滅びを全地に行われる。 + それゆえ、主、万軍の主はこう言われる、「シオンに住むわが民よ、アッスリヤびとが、エジプトびとがしたように、むちをもってあなたを打ち、つえをあげてあなたをせめても、彼らを恐れてはならない。 + ただしばらくして、わが憤りはやみ、わが怒りは彼らを滅ぼすからである。 + 万軍の主は、むかしミデアンびとをオレブの岩で撃たれた時のように、彼らにむかって、むちをふるわれる。またそのつえを海の上にのばし、エジプトでなされたように、それをあげられる。 + その日には、彼の重荷はあなたの肩からおり、彼のくびきはあなたの首から離れる」。彼はリンモンから上り、 + アイアテにきたり、ミグロンを過ぎ、ミクマシでその行李をとどめ、 + 渡しを過ぎて、ゲバに宿る。ラマはおののき、サウルのギベアは逃げ去った。 + ガリムの娘よ、声をあげて叫べ。ライシよ、耳を傾けよ。アナトテよ、彼に答えよ。 + マデメナは逃げ去り、ゲビムの民は隠れ場を求めた。 + この日彼はノブに立ちとどまり、シオンの娘の山、エルサレムの丘にむかって、その手を振る。 + 見よ、主、万軍の主は、恐ろしい力をもって枝を切りおろされる。たけの高いものも切り落され、そびえ立つものは低くされる。 + 主はおのをもって茂りあう林を切られる。みごとな木の茂るレバノンも倒される。 + + + エッサイの株から一つの芽が出、その根から一つの若枝が生えて実を結び、 + その上に主の霊がとどまる。これは知恵と悟りの霊、深慮と才能の霊、主を知る知識と主を恐れる霊である。 + 彼は主を恐れることを楽しみとし、その目の見るところによって、さばきをなさず、その耳の聞くところによって、定めをなさず、 + 正義をもって貧しい者をさばき、公平をもって国のうちの柔和な者のために定めをなし、その口のむちをもって国を撃ち、そのくちびるの息をもって悪しき者を殺す。 + 正義はその腰の帯となり、忠信はその身の帯となる。 + おおかみは小羊と共にやどり、ひょうは子やぎと共に伏し、子牛、若じし、肥えたる家畜は共にいて、小さいわらべに導かれ、 + 雌牛と熊とは食い物を共にし、牛の子と熊の子と共に伏し、ししは牛のようにわらを食い、 + 乳のみ子は毒蛇のほらに戯れ、乳離れの子は手をまむしの穴に入れる。 + 彼らはわが聖なる山のどこにおいても、そこなうことなく、やぶることがない。水が海をおおっているように、主を知る知識が地に満ちるからである。 + その日、エッサイの根が立って、もろもろの民の旗となり、もろもろの国びとはこれに尋ね求め、その置かれる所に栄光がある。 + その日、主は再び手を伸べて、その民の残れる者をアッスリヤ、エジプト、パテロス、エチオピヤ、エラム、シナル、ハマテおよび海沿いの国々からあがなわれる。 + 主は国々のために旗をあげて、イスラエルの追いやられた者を集め、ユダの散らされた者を地の四方から集められる。 + エフライムのねたみはうせ、ユダを悩ます者は断たれ、エフライムはユダをねたまず、ユダはエフライムを悩ますことはない。 + しかし彼らは西の方ペリシテびとの肩に襲いかかり、相共に東の民をかすめ、その手をエドムおよびモアブに伸べ、アンモンの人々をおのれに従わせる。 + 主はエジプトの海の舌をからし、川の上に手を振って熱い風を吹かせ、その川を打って七つの川となし、くつをぬらさないで渡らせられる。 + その民の残れる者のためにアッスリヤからの大路があり、昔イスラエルがエジプトの国から上ってきた時にあったようになる。 + + + その日あなたは言う、「主よ、わたしはあなたに感謝します。あなたは、さきにわたしにむかって怒られたが、その怒りはやんで、わたしを慰められたからです。 + 見よ、神はわが救である。わたしは信頼して恐れることはない。主なる神はわが力、わが歌であり、わが救となられたからである」。 + あなたがたは喜びをもって、救の井戸から水をくむ。 + その日、あなたがたは言う、「主に感謝せよ。そのみ名を呼べ。そのみわざをもろもろの民の中につたえよ。そのみ名のあがむべきことを語りつげよ。 + 主をほめうたえ。主はそのみわざを、みごとになし遂げられたから。これを全地に宣べ伝えよ。 + シオンに住む者よ、声をあげて、喜びうたえ。イスラエルの聖者はあなたがたのうちで大いなる者だから」。 + + + アモツの子イザヤに示されたバビロンについての託宣。 + あなたがたは木のない山に旗を立て、声をあげて彼らを招き、手を振って彼らを貴族の門に、はいらせよ。 + わたしはわが怒りのさばきを行うために聖別した者どもに命じ、わが勇士、わが勝ち誇る者どもを招いた。 + 聞け、多くの民のような騒ぎ声が山々に聞える。聞け、もろもろの国々、寄りつどえるもろもろの国民のざわめく声が聞える。これは万軍の主が戦いのために軍勢を集められるのだ。 + 彼らは遠い国から、天の果から来る。これは、主とその憤りの器で、全地を滅ぼすために来るのだ。 + あなたがたは泣き叫べ。主の日が近づき、滅びが全能者から来るからだ。 + それゆえ、すべての手は弱り、すべての人の心は溶け去る。 + 彼らは恐れおののき、苦しみと悩みに捕えられ、子を産まんとする女のようにもだえ苦しみ、互に驚き、顔を見あわせ、その顔は炎のようになる。 + 見よ、主の日が来る。残忍で、憤りと激しい怒りとをもってこの地を荒し、その中から罪びとを断ち滅ぼすために来る。 + 天の星とその星座とはその光を放たず、太陽は出ても暗く、月はその光を輝かさない。 + わたしはその悪のために世を罰し、その不義のために悪い者を罰し、高ぶる者の誇をとどめ、あらぶる者の高慢を低くする。 + わたしは人を精金よりも、オフルのこがねよりも少なくする。 + それゆえ、万軍の主の憤りにより、その激しい怒りの日に、天は震い、地は揺り動いて、その所をはなれる。 + 彼らは追われた、かもしかのように、あるいは集める者のない羊のようになって、おのおの自分の民に帰り、自分の国に逃げて行く。 + すべて見いだされる者は刺され、すべて捕えられる者はつるぎによって倒され、 + 彼らのみどりごはその目の前で投げ砕かれ、その家はかすめ奪われ、その妻は汚される。 + 見よ、わたしは、しろがねをも顧みず、こがねをも喜ばないメデアびとを起して、彼らにむかわせる。 + 彼らの弓は若い者を射殺し、腹の実をあわれむことなく、幼な子を見て、惜しむことがない。 + 国々の誉であり、カルデヤびとの誇である麗しいバビロンは、神に滅ぼされたソドム、ゴモラのようになる。 + ここにはながく住む者が絶え、世々にいたるまで住みつく者がなく、アラビヤびともそこに天幕を張らず、羊飼もそこに群れを伏させることがない。 + ただ、野の獣がそこに伏し、ほえる獣がその家に満ち、だちょうがそこに住み、鬼神がそこに踊る。 + ハイエナはその城の中で鳴き、山犬は楽しい宮殿でほえる。その時の来るのは近い、その日は延びることがない。 + + + 主はヤコブをあわれみ、イスラエルを再び選んで、これをおのれの地に置かれる。異邦人はこれに加わって、ヤコブの家に結びつらなり、 + もろもろの民は彼らを連れてその所に導いて来る。そしてイスラエルの家は、主の地で彼らを男女の奴隷とし、さきに自分たちを捕虜にした者を捕虜にし、自分たちをしえたげた者を治める。 + 主があなたの苦労と不安とを除き、またあなたが服した苦役を除いて、安息をお与えになるとき、 + あなたはこのあざけりの歌をとなえ、バビロンの王をののしって言う、「あの、しえたげる者は全く絶えてしまった。あの、おごる者は全く絶えてしまった。 + 主は悪い者のつえと、つかさびとの笏を折られた。 + 彼らは憤りをもってもろもろの民を絶えず撃っては打ち、怒りをもってもろもろの国を治めても、そのしえたげをとどめる者がなかった。 + 全地はやすみを得、穏やかになり、ことごとく声をあげて歌う。 + いとすぎおよびレバノンの香柏でさえもあなたのゆえに喜んで言う、『あなたはすでに倒れたので、もはや、きこりが上ってきて、われわれを攻めることはない』。 + 下の陰府はあなたのために動いて、あなたの来るのを迎え、地のもろもろの指導者たちの亡霊をあなたのために起し、国々のもろもろの王をその王座から立ちあがらせる。 + 彼らは皆あなたに告げて言う、『あなたもまたわれわれのように弱くなった、あなたもわれわれと同じようになった』。 + あなたの栄華とあなたの琴の音は陰府に落ちてしまった。うじはあなたの下に敷かれ、みみずはあなたをおおっている。 + 黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。 + あなたはさきに心のうちに言った、『わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果なる集会の山に座し、 + 雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう』。 + しかしあなたは陰府に落され、穴の奥底に入れられる。 + あなたを見る者はつくづくあなたを見、あなたに目をとめて言う、『この人は地を震わせ、国々を動かし、 + 世界を荒野のようにし、その都市をこわし、捕えた者をその家に解き帰さなかった者であるのか』。 + もろもろの国の王たちは皆尊いさまで、自分の墓に眠る。 + しかしあなたは忌みきらわれる月足らぬ子のように墓のそとに捨てられ、つるぎで刺し殺された者でおおわれ、踏みつけられる死体のように穴の石に下る。 + あなたは自分の国を滅ぼし、自分の民を殺したために、彼らと共に葬られることはない。どうか、悪を行う者の子孫はとこしえに名を呼ばれることのないように。 + 先祖のよこしまのゆえに、その子孫のためにほふり場を備えよ。これは彼らが起って地を取り、世界のおもてに町々を満たすことのないためである」。 + 万軍の主は言われる、「わたしは立って彼らを攻め、バビロンからその名と、残れる者、その子と孫とを断ち滅ぼす、と主は言う。 + わたしはこれをはりねずみのすみかとし、水の池とし、滅びのほうきをもって、これを払い除く、と万軍の主は言う」。 + 万軍の主は誓って言われる、「わたしが思ったように必ず成り、わたしが定めたように必ず立つ。 + わたしはアッスリヤびとをわが地で打ち破り、わが山々で彼を踏みにじる。こうして彼が置いたくびきはイスラエルびとから離れ、彼が負わせた重荷はイスラエルびとの肩から離れる」。 + これは全地について定められた計画である。これは国々の上に伸ばされた手である。 + 万軍の主が定められるとき、だれがそれを取り消すことができるのか。その手を伸ばされるとき、だれがそれを引きもどすことができるのか。 + アハズ王の死んだ年にこの託宣があった、 + 「ペリシテの全地よ、あなたを打ったむちが折られたことを喜んではならない。へびの根からまむしが出、その実は飛びかけるへびとなるからだ。 + いと貧しい者は食を得、乏しい者は安らかに伏す。しかし、わたしはききんをもってあなたの子孫を殺し、あなたの残れる者を滅ぼす。 + 門よ、泣きわめけ。町よ、叫べ。ペリシテの全地よ、恐れのあまり消えうせよ、北から煙が来るからだ。その隊列からは、ひとりも脱落する者はない」。 + その国の使者たちになんと答えようか。「主はシオンの基をおかれた、その民の苦しむ者はこの中に避け所を得る」と答えよ。 + + + モアブについての託宣。アルは一夜のうちに荒されて、モアブは滅びうせ、キルは一夜のうちに荒されて、モアブは滅びうせた。 + デボンの娘は高き所にのぼって泣き、モアブはネボとメデバの上で嘆き叫ぶ。おのおのその頭をかぶろにし、そのひげをことごとくそった。 + 彼らはそのちまたで荒布をまとい、その屋根または広場で、みな泣き叫び、涙に浸る。 + ヘシボンとエレアレとは叫び、その声はヤハズまで聞える。それゆえ、モアブの兵士は声をあげ、その魂はおののく。 + わが心はモアブのために叫び呼ばわる。その落人はゾアルおよびエグラテ・シリシヤにのがれ、泣きながらルヒテの坂をのぼり、ホロナイムの道で滅びの叫びをあげる。 + ニムリムの水はかわき、草は枯れ、苗は消えて、青い物はない。 + それゆえ、彼らはその得た富と、そのたくわえた物とを携えて、柳の川をわたる。 + その叫びの声はモアブの境をめぐり、その嘆きの声はエグライムにいたり、またその嘆きの声はベエル・エリムにいたる。 + デボンの水は血で満ちる。わたしはデボンの上にさらに災を加え、モアブののがれた者とこの地の残った者とに、ししを送る。 + + + 彼らはセラから荒野の道によって小羊をシオンの娘の山に送り、国のつかさに納めた。 + モアブの娘らはアルノンの渡しで、さまよう鳥のように、巣を追われたひなのようである。 + 「相はかって、事を定めよ。真昼の中でも、あなたの陰を夜のようにし、さすらい人を隠し、のがれて来た者をわたさず、 + モアブのさすらい人を、あなたのうちにやどらせ、彼らの避け所となって、滅ぼす者からのがれさせよ。しえたげる者がなくなり、滅ぼす者が絶え、踏みにじる者が地から断たれたとき、 + 一つの玉座がいつくしみによって堅く立てられ、ダビデの幕屋にあって、さばきをなし、公平を求め、正義を行うに、すみやかなる者が真実をもってその上に座する」。 + われわれはモアブの高ぶりのことを聞いた、その高ぶることは、はなはだしい。われわれはその誇と、高ぶりと、そのおごりとのことを聞いた、その自慢は偽りである。 + それゆえ、モアブは泣き叫べ、民はみなモアブのために泣き叫べ。全く撃ちのめされて、キルハレセテの干ぶどうのために嘆け。 + ヘシボンの畑と、シブマのぶどうの木とは、しぼみ衰えた。国々のもろもろの主が、その枝を打ち落したからである。その枝はさきにはヤゼルまでいたり、荒野にまではびこり、そのつるは広がって海を越えた。 + それゆえ、わたしはヤゼルと共に、シブマのぶどうの木のために泣く。ヘシボンよ、エレアレよ、わたしは涙をもってあなたを浸す。ときの声が、あなたの果実と、あなたの収穫の上にふりかかってきたからである。 + 喜びと楽しみとは土肥えた畑から取り去られ、ぶどう畑には歌うことなく、喜び呼ばわることなく、酒ぶねを踏んで酒を絞る者なく、ぶどうの収穫を喜ぶ声はやんだ。 + それゆえ、わが魂はモアブのために、わが心はキルハレスのために、琴のように鳴りひびく。 + モアブが高き所に出て、おのれを疲れさせ、またその聖所にきて祈っても、効果はない。 + これは主がさきにモアブについて語られたみ言葉である。 + しかし今、主は語って言われる、「モアブの栄えはその大いなる群衆にもかかわらず、雇人の年期とひとしく三年のうちに、はずかしめを受け、残れる者はまことに少なく、力がない」。 + + + ダマスコについての託宣。見よ、ダマスコは町の姿を失って、荒塚となる。 + その町々はとこしえに捨てられ、家畜の群れの住む所となって、伏しやすむが、これを脅かす者はない。 + エフライムのとりではすたり、ダマスコの主権はやみ、スリヤの残れる者は、イスラエルの子らの栄光のように消えうせると万軍の主は言われる。 + その日、ヤコブの栄えは衰え、その肥えたる肉はやせ、 + あたかも刈入れ人がまだ刈らない麦を集め、かいなをもって穂を刈り取ったあとのように、レパイムの谷で穂を拾い集めたあとのようになる。 + オリブの木を打つとき、二つ三つの実をこずえに残し、あるいは四つ五つをみのり多き木の枝に残すように、とり残されるものがあるとイスラエルの神、主は言われる。 + その日、人々はその造り主を仰ぎのぞみ、イスラエルの聖者に目をとめ、 + おのれの手のわざである祭壇を仰ぎのぞまず、おのれの指が造ったアシラ像と香の祭壇とに目をとめない。 + その日、彼らの堅固な町々は昔イスラエルの子らのゆえに捨て去られたヒビびとおよびアモリびとの荒れ跡のように荒れ地になる。 + これはあなたがたが自分の救の神を忘れ、自分の避け所なる岩を心にとめなかったからだ。それゆえ、あなたがたは美しい植物を植え、異なる神の切り枝をさし、 + その植えた日にこれを成長させ、そのまいた朝にこれを花咲かせても、その収穫は悲しみと、いやしがたい苦しみの日にとび去る。 + ああ、多くの民はなりどよめく、海のなりどよめくように、彼らはなりどよめく。ああ、もろもろの国はなりとどろく、大水のなりとどろくように、彼らはなりとどろく。 + もろもろの国は多くの水のなりとどろくように、なりとどろく。しかし、神は彼らを懲しめられる。彼らは遠くのがれて、風に吹き去られる山の上のもみがらのように、また暴風にうず巻くちりのように追いやられる。 + 夕暮には、見よ、恐れがある。まだ夜の明けないうちに彼らはうせた。これはわれわれをかすめる者の受くべき分、われわれを奪う者の引くべきくじである。 + + + ああ、エチオピヤの川々のかなたなるぶんぶんと羽音のする国、 + この国は葦の船を水にうかべ、ナイル川によって使者をつかわす。とく走る使者よ、行け。川々の分れる国の、たけ高く、膚のなめらかな民、遠近に恐れられる民、力強く、戦いに勝つ民へ行け。 + すべて世におるもの、地に住むものよ、山の上に旗の立つときは見よ、ラッパの鳴りひびくときは聞け。 + 主はわたしにこう言われた、「晴れわたった日光の熱のように、刈入れの熱むして露の多い雲のように、わたしは静かにわたしのすまいから、ながめよう」。 + 刈入れの前、花は過ぎてその花がぶどうとなって熟すとき、彼はかまをもって、つるを刈り、枝を切り去る。 + 彼らはみな山の猛禽と、地の獣とに捨て置かれる。猛禽はその上で夏を過ごし、地の獣はみなその上で冬を過ごす。 + その時、川々の分れる国のたけ高く、膚のなめらかな民、遠くの者にも近くの者にも恐れられる民、力強く、戦いに勝つ民から万軍の主にささげる贈り物を携えて、万軍の主のみ名のある所、シオンの山に来る。 + + + エジプトについての託宣。見よ、主は速い雲に乗って、エジプトに来られる。エジプトのもろもろの偶像は、み前に震えおののき、エジプトびとの心は彼らのうちに溶け去る。 + わたしはエジプトびとを奮いたたせて、エジプトびとに逆らわせる。彼らはおのおのその兄弟に敵して戦い、おのおのその隣に敵し、町は町を攻め、国は国を攻める。 + エジプトびとの魂は、彼らのうちにうせて、むなしくなる。わたしはその計りごとを破る。彼らは偶像および魔術師、巫子および魔法使に尋ね求める。 + わたしはエジプトびとをきびしい主人の手に渡す、荒々しい王が彼らを治めると、主、万軍の主は言われる。 + ナイルの水はつき、川はかれてかわく。 + またその運河は臭いにおいを放ち、エジプトのナイルの支流はややに減ってかわき、葦とよしとは枯れはてる。 + ナイルのほとり、ナイルの岸には裸の所があり、ナイルのほとりにまいた物はことごとく枯れ、散らされて、うせ去る。 + 漁夫は嘆き、すべてナイルにつりをたれる者は悲しみ、網を水のおもてにうつ者は衰える。 + 練った麻で物を造る者と、白布を織る者は恥じる。 + 国の柱たる者は砕かれ、すべて雇われて働く者は嘆き悲しむ。 + ゾアンの君たちは全く愚かであり、パロの賢い議官らは愚かな計りごとをなす。あなたがたはどうしてパロにむかって「わたしは賢い者の子、いにしえの王の子です」と言うことができようか。 + あなたの賢い者はどこにおるか。彼らをして、万軍の主がエジプトについて定められたことをあなたに告げ知らしめよ。 + ゾアンの君たちは愚かとなり、メンピスの君たちは欺かれ、エジプトのもろもろの部族の隅の石たる彼らは、かえってエジプトを迷わせた。 + 主は曲った心を彼らのうちに混ぜられた。彼らはエジプトをして、すべてその行うことに迷わせ、あたかも酔った人の物吐くときによろめくようにさせた。 + エジプトに対しては、頭あるいは尾、しゅろの枝あるいは葦が共になしうるわざはない。 + その日、エジプトびとは女のようになり、万軍の主の彼らの上に振り動かされるみ手の前に恐れおののく。 + ユダの地は、エジプトびとに恐れられ、ユダについて語り告げることを聞くエジプトびとはみな、万軍の主がエジプトびとにむかって定められた計りごとのゆえに恐れる。 + その日、エジプトの地にカナンの国ことばを語り、また万軍の主に誓いを立てる五つの町があり、その中の一つは太陽の町ととなえられる。 + その日、エジプトの国の中に主をまつる一つの祭壇があり、その境に主をまつる一つの柱がある。 + これはエジプトの国で万軍の主に、しるしとなり、あかしとなる。彼らがしえたげる者のゆえに、主に叫び求めるとき、主は救う者をつかわして、彼らを守り助けられる。 + 主はご自分をエジプトびとに知らせられる。その日、エジプトびとは主を知り、犠牲と供え物とをもって主に仕え、主に誓願をたててこれを果す。 + 主はエジプトを撃たれる。主はこれを撃たれるが、またいやされる。それゆえ彼らは主に帰る。主は彼らの願いをいれて、彼らをいやされる。 + その日、エジプトからアッスリヤに通う大路があって、アッスリヤびとはエジプトに、エジプトびとはアッスリヤに行き、エジプトびとはアッスリヤびとと共に主に仕える。 + その日、イスラエルはエジプトとアッスリヤと共に三つ相並び、全地のうちで祝福をうけるものとなる。 + 万軍の主は、これを祝福して言われる、「さいわいなるかな、わが民なるエジプト、わが手のわざなるアッスリヤ、わが嗣業なるイスラエル」と。 + + + アッスリヤの王サルゴンからつかわされた最高司令官がアシドドに来て、これを攻め、これを取った年、―― + その時に主はアモツの子イザヤによって語って言われた、「さあ、あなたの腰から荒布を解き、足からくつを脱ぎなさい」。そこでイザヤはそのようにし、裸、はだしで歩いた。―― + 主は言われた、「わがしもべイザヤは三年の間、裸、はだしで歩き、エジプトとエチオピヤに対するしるしとなり、前ぶれとなったが、 + このようにエジプトびとのとりことエチオピヤびとの捕われ人とは、アッスリヤの王に引き行かれて、その若い者も老いた者もみな裸、はだしで、しりをあらわし、エジプトの恥を示す。 + 彼らはその頼みとしたエチオピヤのゆえに、その誇としたエジプトのゆえに恐れ、かつ恥じる。 + その日には、この海べに住む民は言う、『見よ、われわれが頼みとした国、すなわちわれわれがのがれて行って助けを求め、アッスリヤ王から救い出されようとした国はすでにこのとおりである。われわれはどうしてのがれることができようか』と。」 + + + 海の荒野についての託宣。つむじ風がネゲブを吹き過ぎるように、荒野から、恐るべき地から、来るものがある。 + わたしは一つのきびしい幻を示された。かすめ奪う者はかすめ奪い、滅ぼす者は滅ぼす。エラムよ、のぼれ、メデアよ、囲め。わたしはすべての嘆きをやめさせる。 + それゆえ、わが腰は激しい痛みに満たされ、出産に臨む女の苦しみのような苦しみがわたしを捕えた。わたしは、かがんで聞くことができず、恐れおののいて見ることができない。 + わが心はみだれ惑い、わななき恐れること、はなはだしく、わたしのあこがれたたそがれは変っておののきとなった。 + 彼らは食卓を設け、じゅうたんを敷いて食い飲みする。もろもろの君よ、立って、盾に油をぬれ。 + 主はわたしにこう言われた、「行って、見張びとをおき、その見るところを告げさせよ。 + 馬に乗って二列に並んだ者と、ろばに乗った者と、らくだに乗った者とを彼が見るならば、耳を傾けてつまびらかに聞かせよ」。 + その時、見張びとは呼ばわって言った、「主よ、わたしがひねもすやぐらに立ち、夜もすがらわが見張所に立っていると、 + 見よ、馬に乗って二列に並んだ者がここに来ます」。彼は答えて言った、「倒れた、バビロンは倒れた、その神々の像はことごとく打ち砕かれて地に伏した」。 + ああ、踏みにじられたわが民、わが打ち場の子よ、イスラエルの神、万軍の主からわたしが聞いたところのものをあなたがたに告げる。 + ドマについての託宣。セイルからわたしに呼ばわる者がある、「夜回りよ、今は夜のなんどきですか、夜回りよ、今は夜のなんどきですか」。 + 夜回りは言う、「朝がきます、夜もまたきます。もしあなたがたが聞こうと思うならば聞きなさい、また来なさい」。 + アラビヤについての託宣。デダンびとの隊商よ、あなたがたはアラビヤの林にやどる。 + テマの地に住む民よ、水を携えて、かわいた者を迎え、パンをもって、逃げのがれた者を迎えよ。 + 彼らはつるぎを避け、抜いたつるぎを避け、張った弓を避け、また激しい戦いを避けて、逃げてきたからである。 + 主はわたしにこう言われた、「雇人の年期のように一年以内にケダルのすべての栄華はつきはてる。 + ケダルの子らの勇士で、射手の残る者は少ない」。これはイスラエルの神、主が語られたのである。 + + + 幻の谷についての託宣。あなたがたはなぜ、みな屋根にのぼったのか。 + 叫び声で満ちている者、騒がしい都、喜びに酔っている町よ。あなたのうちの殺された者はつるぎで殺されたのではなく、また戦いに倒れたのでもない。 + あなたのつかさたちは皆共にのがれて行ったが、弓を捨てて捕えられた。彼らは遠く逃げて行ったが、あなたのうちの見つかった者はみな捕えられた。 + それゆえ、わたしは言った、「わたしを顧みてくれるな、わたしはいたく泣き悲しむ。わが民の娘の滅びのために、わたしを慰めようと努めてはならない」。 + 万軍の神、主は幻の谷に騒ぎと、踏みにじりと、混乱の日をこさせられる。城壁はくずれ落ち、叫び声は山に聞える。 + エラムは箙を負い、戦車と騎兵とをもってきたり、キルは盾をあらわした。 + あなたの最も美しい谷は戦車で満ち、騎兵はもろもろの門にむかって立った。 + ユダを守るおおいは取り除かれた。その日あなたは林の家の武具を仰ぎ望んだ。 + またあなたがたはダビデの町の破れの多いのを見、下の池の水を集め、 + エルサレムの家を数え、またその家をこわして城壁を築き、 + 一つの貯水池を二つの城壁の間に造って古池の水をひいた。しかしあなたがたはこの事をなされた者を仰ぎ望まず、この事を昔から計画された者を顧みなかった。 + その日、万軍の神、主は泣き悲しみ、頭をかぶろにし、荒布をまとうことを命じられたが、 + 見よ、あなたがたは喜び楽しみ、牛をほふり、羊を殺し、肉を食い、酒を飲んで言う、「われわれは食い、かつ飲もう、明日は死ぬのだから」。 + 万軍の主はみずからわたしの耳に示された、「まことに、この不義はあなたがたが死ぬまで、ゆるされることはない」と万軍の神、主は言われる。 + 万軍の神、主はこう言われる、「さあ、王の家をつかさどるこの執事セブナに行って言いなさい、 + 『あなたはここになんの係わりがありますか。あなたはだれの縁故でここに自分のために墓を掘ったのですか。あなたは高い所に墓を掘り、岩をうがって自分のためにすみかを造った。 + 強い人よ、見よ、主はあなたを激しくなげ倒される。主はあなたを堅くつかまえ、 + ぐるぐるまわして、まりのように広々した地に投げられる。主人の家の恥となる者よ、あなたはそこで死に、あなたの華麗な車はそこに残る。 + わたしは、あなたをその職から追い、その地位から引きおろす。 + その日、わたしは、わがしもべヒルキヤの子エリアキムを呼んで、 + あなたの衣を着せ、あなたの帯をしめさせ、あなたの権力を彼の手にゆだねる。彼はエルサレムの民とユダの家との父となる。 + わたしはまたダビデの家のかぎを彼の肩に置く。彼が開けば閉じる者なく、彼が閉じれば開く者はない。 + わたしは彼を堅い所に打ったくぎのようにする。そして彼はその父の家の誉の座となり、 + その父の家のすべての重さは彼の上にかかる。すなわちその子、その孫およびすべての小さい器、鉢からすべてのびんにいたるまでみな、彼の上にかかる』」。 + 万軍の主は言われる、「その日、堅い所に打ったくぎは抜け、切られて落ちる。その上にかかっている荷もまた取り去られる」と主は語られた。 + + + ツロについての託宣。タルシシのもろもろの船よ、泣き叫べ、ツロは荒れすたれて、家なく、船泊まりする港もないからだ。この事はクプロの地から彼らに告げ知らせられる。 + 海べに住む民よ、シドンの商人よ、もだせ、あなたがたの使者は海を渡り、大いなる水の上にあった。 + ツロの収入はシホルの穀物、ナイル川の収穫であった。ツロはもろもろの国びとの商人であった。 + シドンよ、恥じよ、海は言った、海の城は言う、「わたしは苦しまず、また産まなかった。わたしは若い男子を養わず、また処女を育てなかった」。 + この報道がエジプトに達するとき、彼らはツロについての報道によって、いたく苦しむ。 + タルシシに渡れ、海べに住む民よ、泣き叫べ。 + これがその起源も古い町、自分の足で移り、遠くにまで移住した町、あなたがたの喜び誇る町なのか。 + ツロにむかってこれを定めたのはだれか。ツロは冠を授けた町、その商人は君たち、その貿易業者は地の尊い人々であった。 + 万軍の主はすべての栄光の誇を汚し、地のすべての尊い者をはずかしめるためにこれを定められたのだ。 + タルシシの娘よ、ナイル川のようにおのが地にあふれよ。もはや束縛するものはない。 + 主はその手を海の上に伸べて国々を震い動かされた。主はカナンについて詔を出し、そのとりでをこわされた。 + 主は言われた、「しえたげられた処女シドンの娘よ、あなたはもはや喜ぶことはない。立って、クプロに渡れ、そこでもあなたは安息を得ることはない」。 + カルデヤびとの国を見よ、アッスリヤではなく、この民がツロを野の獣のすみかに定めた。彼らはやぐらを建て、もろもろの宮殿をこわして荒塚とした。 + タルシシのもろもろの船よ、泣き叫べ、あなたがたのとりでは荒れすたれたから。 + その日、ツロはひとりの王のながらえる日と同じく七十年の間忘れられ、七十年終って後、ツロは遊女の歌のようになる、 + 「忘れられた遊女よ、琴を執って町を経めぐり、巧みに弾じ、多くの歌をうたって、人に思い出されよ」。 + 七十年終って後、主はツロを顧みられる。ツロは再び淫行の価を得て、地のおもてにある世のすべての国々と姦淫を行い、 + その商品とその価とは主にささげられる。これはたくわえられることなく、積まれることなく、その商品は主の前に住む者のために豊かな食物となり、みごとな衣服となる。 + + + 見よ、主はこの地をむなしくし、これを荒れすたれさせ、これをくつがえして、その民を散らされる。 + そして、その民も祭司もひとしく、しもべも主人もひとしく、はしためも主婦もひとしく、買う者も売る者もひとしく、貸す者も借りる者もひとしく、債権者も債務者もひとしく、この事にあう。 + 地は全くむなしくされ、全くかすめられる。主がこの言葉を告げられたからである。 + 地は悲しみ、衰え、世はしおれ、衰え、天も地と共にしおれはてる。 + 地はその住む民の下に汚された。これは彼らが律法にそむき、定めを犯し、とこしえの契約を破ったからだ。 + それゆえ、のろいは地をのみつくし、そこに住む者はその罪に苦しみ、また地の民は焼かれて、わずかの者が残される。 + 新しいぶどう酒は悲しみ、ぶどうはしおれ、心の楽しい者もみな嘆く。 + 鼓の音は静まり、喜ぶ者の騒ぎはやみ、琴の音もまた静まった。 + 彼らはもはや歌をうたって酒を飲まず、濃き酒はこれを飲む者に苦くなる。 + 混乱せる町は破られ、すべての家は閉ざされて、はいることができない。 + ちまたには酒の不足のために叫ぶ声があり、すべての喜びは暗くなり、地の楽しみは追いやられた。 + 町には荒れすたれた所のみ残り、その門もこわされて破れた。 + 地のうちで、もろもろの民のなかで残るものは、オリブの木の打たれた後の実のように、ぶどうの収穫の終った後にその採り残りを集めるときのようになる。 + 彼らは声をあげて喜び歌う。主の威光のゆえに、西から喜び呼ばわる。 + それゆえ、東で主をあがめ、海沿いの国々でイスラエルの神、主の名をあがめよ。 + われわれは地の果から、さんびの歌を聞いた、「栄光は正しい者にある」と。しかし、わたしは言う、「わたしはやせ衰える、わたしはやせ衰える、わたしはわざわいだ。欺く者はあざむき、欺く者は、はなはだしくあざむく」。 + 地に住む者よ、恐れと、落し穴と、わなとはあなたの上にある。 + 恐れの声をのがれる者は落し穴に陥り、落し穴から出る者はわなに捕えられる。天の窓は開け、地の基が震い動くからである。 + 地は全く砕け、地は裂け、地は激しく震い、 + 地は酔いどれのようによろめき、仮小屋のようにゆり動く。そのとがはその上に重く、ついに倒れて再び起きあがることはない。 + その日、主は天において、天の軍勢を罰し、地の上で、地のもろもろの王を罰せられる。 + 彼らは囚人が土ろうの中に集められるように集められて、獄屋の中に閉ざされ、多くの日を経て後、罰せられる。 + こうして万軍の主がシオンの山およびエルサレムで統べ治め、かつその長老たちの前にその栄光をあらわされるので、月はあわて、日は恥じる。 + + + 主よ、あなたはわが神、わたしはあなたをあがめ、み名をほめたたえる。あなたはさきに驚くべきみわざを行い、いにしえから定めた計画を真実をもって行われたから。 + あなたは町を石塚とし、堅固な町を荒塚とされた。外国人のやかたは、もはや町ではなく、とこしえに建てられることはない。 + それゆえ、強い民はあなたを尊び、あらぶる国々の町はあなたを恐れる。 + あなたは貧しい者のとりでとなり、乏しい者の悩みのときのとりでとなり、あらしをさける避け所となり、熱さをさける陰となられた。あらぶる者の及ぼす害は、石がきを打つあらしのごとく、 + かわいた地の熱さのようだからである。あなたは外国人の騒ぎをおさえ、雲が陰をもって熱をとどめるようにあらぶる者の歌をとどめられる。 + 万軍の主はこの山で、すべての民のために肥えたものをもって祝宴を設け、久しくたくわえたぶどう酒をもって祝宴を設けられる。すなわち髄の多い肥えたものと、よく澄んだ長くたくわえたぶどう酒をもって祝宴を設けられる。 + また主はこの山で、すべての民のかぶっている顔おおいと、すべての国のおおっているおおい物とを破られる。 + 主はとこしえに死を滅ぼし、主なる神はすべての顔から涙をぬぐい、その民のはずかしめを全地の上から除かれる。これは主の語られたことである。 + その日、人は言う、「見よ、これはわれわれの神である。わたしたちは彼を待ち望んだ。彼はわたしたちを救われる。これは主である。わたしたちは彼を待ち望んだ。わたしたちはその救を喜び楽しもう」と。 + 主の手はこの山にとどまり、モアブは肥だめの中に踏まれるわらのように、おのれの所で踏みにじられる。 + 彼はその中で泳ぐ物が泳ごうとして手を伸ばすように、その手を伸ばす。しかし主はその高ぶりを、その手の巧みなわざと共に低くされる。 + その石がきの高い城郭を主は傾け倒し、地に投げうって、ちりにかえされる。 + + + その日ユダの国で、この歌をうたう、「われわれは堅固な町をもつ。主は救をその石がきとし、またとりでとされる。 + 門を開いて、信仰を守る正しい国民を入れよ。 + あなたは全き平安をもってこころざしの堅固なものを守られる。彼はあなたに信頼しているからである。 + とこしえに主に信頼せよ、主なる神はとこしえの岩だからである。 + 主は高き所、そびえたつ町に住む者をひきおろし、これを伏させ、これを地に伏させて、ちりにかえされる。 + こうして足で踏まれ、貧しい者の足で踏まれ、乏しい者はその上を歩む」。 + 正しい者の道は平らである。あなたは正しい者の道をなめらかにされる。 + 主よ、あなたがさばきをなさる道で、われわれはあなたを待ち望む。われわれの魂の慕うものは、あなたの記念の名である。 + わが魂は夜あなたを慕い、わがうちなる霊は、せつにあなたを求める。あなたのさばきが地に行われるとき、世に住む者は正義を学ぶからである。 + 悪しき者は恵まれても、なお正義を学ばず、正しい地にあっても不義を行い、主の威光を仰ぐことをしない。 + 主よ、あなたのみ手が高くあがるけれども、彼らはそれを顧みない。どうか、あなたの、おのが民を救われる熱心を彼らに見させて、大いに恥じさせ、火をもってあなたの敵を焼き滅ぼしてください。 + 主よ、あなたはわれわれのために平和を設けられる。あなたはわれわれのためにわれわれのすべてのわざをなし遂げられた。 + われわれの神、主よ、あなた以外のもろもろの主がわれわれを治めた。しかし、われわれはただ、あなたの名のみをあがめる。 + 死んだ者はまた生きない。亡霊は生き返らない。それで、あなたは彼らを罰して滅ぼし、彼らの思い出をことごとく消し去られた。 + 主よ、あなたはこの国民を増し加えられた。あなたはこの国民を増し加えられた。あなたは栄光をあらわされた。あなたは地の境を四方に広げられた。 + 主よ、彼らは悩みのとき、あなたに求めた。彼らがあなたの懲しめにあったとき、祈をささげた。 + 主よ、はらめる女の産むときが近づいて苦しみ、その痛みによって叫ぶように、われわれはあなたのゆえに、そのようであった。 + われわれは、はらみ、苦しんだ。しかしわれわれの産んだものは風にすぎなかった。われわれは救を地に施すこともせず、また世に住む者を滅ぼすこともしなかった。 + あなたの死者は生き、彼らのなきがらは起きる。ちりに伏す者よ、さめて喜びうたえ。あなたの露は光の露であって、それを亡霊の国の上に降らされるからである。 + さあ、わが民よ、あなたのへやにはいり、あなたのうしろの戸を閉じて、憤りの過ぎ去るまで、しばらく隠れよ。 + 見よ、主はそのおられる所を出て、地に住む者の不義を罰せられる。地はその上に流された血をあらわして、殺された者を、もはやおおうことがない。 + + + その日、主は堅く大いなる強いつるぎで逃げるへびレビヤタン、曲りくねるへびレビヤタンを罰し、また海におる龍を殺される。 + その日「麗しきぶどう畑よ、このことを歌え。 + 主なるわたしはこれを守り、常に水をそそぎ、夜も昼も守って、そこなう者のないようにする。 + わたしは憤らない。いばら、おどろがわたしと戦うなら、わたしは進んでこれを攻め、皆もろともに焼きつくす。 + それを望まないなら、わたしの保護にたよって、わたしと和らぎをなせ、わたしと和らぎをなせ」。 + 後になれば、ヤコブは根をはり、イスラエルは芽を出して花咲き、その実を全世界に満たす。 + 主は彼らを撃った者を撃たれたように彼らを撃たれたか。あるいは彼らを殺した者が殺されたように彼らは殺されたか。 + あなたは彼らと争って、彼らを追放された。主は東風の日に、その激しい風をもって彼らを移しやられた。 + それゆえ、ヤコブの不義はこれによって、あがなわれる。これによって結ぶ実は彼の罪を除く。すなわち彼が祭壇のすべての石を砕けた白堊のようにし、アシラ像と香の祭壇とを再び建てないことである。 + 堅固な町は荒れてさびしく、捨て去られたすまいは荒野のようだ。子牛はそこに草を食い、そこに伏して、その木の枝を裸にする。 + その枝が枯れると、折り取られ、女が来てそれを燃やす。これは無知の民だからである。それゆえ、彼らを造られた主は彼らをあわれまれない。彼らを形造られた主は、彼らを恵まれない。 + イスラエルの人々よ、その日、主はユフラテ川からエジプトの川にいたるまで穀物の穂を打ち落される。そしてあなたがたは、ひとりびとり集められる。 + その日大いなるラッパが鳴りひびき、アッスリヤの地にある失われた者と、エジプトの地に追いやられた者とがきて、エルサレムの聖山で主を拝む。 + + + エフライムの酔いどれの誇る冠と、酒におぼれた者の肥えた谷のかしらにあるしぼみゆく花の美しい飾りは、わざわいだ。 + 見よ、主はひとりの力ある強い者を持っておられる。これはひょうをまじえた暴風のように、破り、そこなう暴風雨のように、大水のあふれみなぎる暴風のように、それを激しく地に投げうつ。 + エフライムの酔いどれの誇る冠は足で踏みにじられる。 + 肥えた谷のかしらにあるしぼみゆく花の美しい飾りは、夏前に熟した初なりのいちじくのようだ。人がこれを見ると、取るやいなや、食べてしまう。 + その日、万軍の主はその民の残った者のために、栄えの冠となり、麗しい冠となられる。 + また、さばきの席に座する者にはさばきの霊となり、戦いを門まで追い返す者には力となられる。 + しかし、これらもまた酒のゆえによろめき、濃き酒のゆえによろける。祭司と預言者とは濃き酒のゆえによろめき、酒のゆえに心みだれ、濃き酒のゆえによろける。彼らは幻を見るときに誤り、さばきを行うときにつまづく。 + すべての食卓は吐いた物で満ち、清い所はない。 + 「彼はだれに知識を教えようとするのか。だれにおとずれを説きあかそうとするのか。乳をやめ、乳ぶさを離れた者にするのだろうか。 + それは教訓に教訓、教訓に教訓、規則に規則、規則に規則。ここにも少し、そこにも少し教えるのだ」。 + 否、むしろ主は異国のくちびると、異国の舌とをもってこの民に語られる。 + 主はさきに彼らに言われた、「これが安息だ、疲れた者に安息を与えよ。これが休息だ」と。しかし彼らは聞こうとはしなかった。 + それゆえ、主の言葉は彼らに、教訓に教訓、教訓に教訓、規則に規則、規則に規則、ここにも少し、そこにも少しとなる。これは彼らが行って、うしろに倒れ、破られ、わなにかけられ、捕えられるためである。 + それゆえ、エルサレムにあるこの民を治めるあざける人々よ、主の言葉を聞け。 + あなたがたは言った、「われわれは死と契約をなし、陰府と協定を結んだ。みなぎりあふれる災の過ぎる時にも、それはわれわれに来ない。われわれはうそを避け所となし、偽りをもって身をかくしたからである」。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、「見よ、わたしはシオンに一つの石をすえて基とした。これは試みを経た石、堅くすえた尊い隅の石である。『信ずる者はあわてることはない』。 + わたしは公平を、測りなわとし、正義を、下げ振りとする。ひょうは偽りの避け所を滅ぼし、水は隠れ場を押し倒す」。 + その時あなたがたが死とたてた契約は取り消され、陰府と結んだ協定は行われない。みなぎりあふれる災の過ぎるとき、あなたがたはこれによって打ち倒される。 + それが過ぎるごとに、あなたがたを捕える。それは朝な朝な過ぎ、昼も夜も過ぎるからだ。このおとずれを聞きわきまえることは、全くの恐れである。 + 床が短くて身を伸べることができず、かける夜具が狭くて身をおおうことができないからだ。 + 主はペラジム山で立たれたように立ちあがり、ギベオンの谷で憤られたように憤られて、その行いをなされる。その行いは類のないものである。またそのわざをなされる。そのわざは異なったものである。 + それゆえ、あなたがたはあざけってはならない。さもないと、あなたがたのなわめは、きびしくなる。わたしは主なる万軍の神から全地の上に臨む滅びの宣言を聞いたからである。 + あなたがたは耳を傾けて、わが声を聞くがよい。心してわが言葉を聞くがよい。 + 種をまくために耕す者は絶えず耕すだろうか。彼は絶えずその地をひらき、まぐわをもって土をならすだろうか。 + 地のおもてを平らにしたならば、いのんどをまき、クミンをまき、小麦をうねに植え、大麦を定めた所に植え、スペルト麦をその境に植えないだろうか。 + これは彼の神が正しく、彼を導き教えられるからである。 + いのんどは麦こき板でこかない、クミンはその上に車輪をころがさない。いのんどを打つには棒を用い、クミンを打つにはさおを用いる。 + 人はパン用の麦を打つとき砕くだろうか、否、それが砕けるまでいつまでも打つことをしない。馬をもってその上に車輪を引かせるとき、それを砕くことをしない。 + これもまた万軍の主から出ることである。その計りごとは驚くべく、その知恵はすぐれている。 + + + ああ、アリエルよ、アリエルよ、ダビデが営をかまえた町よ、年に年を加え、祭をめぐりこさせよ。 + その時わたしはアリエルを悩ます。そこには悲しみと嘆きとがあって、アリエルのようなものとなる。 + わたしはあなたのまわりに営を構え、やぐらをもってあなたを囲み、塁を築いてあなたを攻める。 + その時あなたは深い地の中から物言い、低いちりの中から言葉を出す。あなたの声は亡霊の声のように地から出、あなたの言葉はちりの中から、さえずるようである。 + しかしあなたのあだの群れは細かなちりのようになり、あらぶる者の群れは吹き去られるもみがらのようになる。また、にわかに、またたくまに、この事がある。 + すなわち万軍の主は雷、地震、大いなる叫び、つむじ風、暴風および焼きつくす火の炎をもって臨まれる。 + そしてアリエルを攻めて戦う国々の群れ、すなわちアリエルとその城を攻めて戦い、これを悩ます者はみな夢のように、夜の幻のようになる。 + 飢えた者が食べることを夢みても、さめると、その飢えがいえないように、あるいは、かわいた者が飲むことを夢みても、さめると、疲れてそのかわきがとまらないように、シオンの山を攻めて戦う国々の群れもそのようになる。 + あなたがたは知覚を失って気が遠くなれ、目がくらんで盲となれ。あなたがたは酔っていよ、しかし酒のゆえではない、よろめけ、しかし濃き酒のゆえではない。 + 主が深い眠りの霊をあなたがたの上にそそぎ、あなたがたの目である預言者を閉じこめ、あなたがたの頭である先見者をおおわれたからである。 + それゆえ、このすべての幻は、あなたがたには封じた書物の言葉のようになり、人々はこれを読むことのできる者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「これは封じてあるから読むことができない」と彼は言う。 + またその書物を読むことのできない者にわたして、「これを読んでください」と言えば、「読むことはできない」と彼は言う。 + 主は言われた、「この民は口をもってわたしに近づき、くちびるをもってわたしを敬うけれども、その心はわたしから遠く離れ、彼らのわたしをかしこみ恐れるのは、そらで覚えた人の戒めによるのである。 + それゆえ、見よ、わたしはこの民に、再び驚くべきわざを行う、それは不思議な驚くべきわざである。彼らのうちの賢い人の知恵は滅び、さとい人の知識は隠される」。 + わざわいなるかな、おのが計りごとを主に深く隠す者。彼らは暗い中でわざを行い、「だれがわれわれを見るか、だれがわれわれのことを知るか」と言う。 + あなたがたは転倒して考えている。陶器師は粘土と同じものに思われるだろうか。造られた物はそれを造った者について、「彼はわたしを造らなかった」と言い、形造られた物は形造った者について、「彼は知恵がない」と言うことができようか。 + しばらくしてレバノンは変って肥えた畑となり、肥えた畑は林のように思われる時が来るではないか。 + その日、耳しいは書物の言葉を聞き、目しいの目はその暗やみから、見ることができる。 + 柔和な者は主によって新たなる喜びを得、人のなかの貧しい者はイスラエルの聖者によって楽しみを得る。 + あらぶる者は絶え、あざける者はうせ、悪を行おうと、おりをうかがう者は、ことごとく断ち滅ぼされるからである。 + 彼らは言葉によって人を罪に定め、町の門でいさめる者をわなにおとしいれ、むなしい言葉をかまえて正しい者をしりぞける。 + それゆえ、昔アブラハムをあがなわれた主は、ヤコブの家についてこう言われる、「ヤコブは、もはやはずかしめを受けず、その顔は、もはや色を失うことはない。 + 彼の子孫が、その中にわが手のわざを見るとき、彼らはわが名を聖とし、ヤコブの聖者を聖として、イスラエルの神を恐れる。 + 心のあやまれる者も、悟りを得、つぶやく者も教をうける」。 + + + 主は言われる、「そむける子らはわざわいだ、彼らは計りごとを行うけれども、わたしによってではない。彼らは同盟を結ぶけれども、わが霊によってではない、罪に罪を加えるためだ。 + 彼らはわが言葉を求めず、エジプトへ下っていって、パロの保護にたより、エジプトの陰に隠れようとする。 + それゆえ、パロの保護はかえってあなたがたの恥となり、エジプトの陰に隠れることはあなたがたのはずかしめとなる。 + たとい、彼の君たちがゾアンにあり、彼の使者たちがハネスに来ても、 + 彼らは皆おのれを益することのできない民により、すなわち助けとならず、益とならず、かえって恥となり、はずかしめとなる民によって、恥をかくからである」。 + ネゲブの獣についての託宣。彼らはその富を若いろばの背に負わせ、その宝をらくだの背に負わせて、雌じし、雄じし、まむしおよび飛びかけるへびの出る悩みと苦しみの国を通って、おのれを益することのできない民に行く。 + そのエジプトの助けは無益であって、むなしい。それゆえ、わたしはこれを「休んでいるラハブ」と呼んだ。 + いま行って、これを彼らの前で札にしるし、書物に載せ、後の世に伝えて、とこしえにあかしとせよ。 + 彼らはそむける民、偽りを言う子ら、主の教を聞こうとしない子らだ。 + 彼らは先見者にむかって「見るな」と言い、預言者にむかっては「正しい事をわれわれに預言するな、耳に聞きよいことを語れ、迷わしごとを預言せよ。 + 大路を去り、小路をはなれ、イスラエルの聖者について語り聞かすな」と言う。 + それゆえ、イスラエルの聖者はこう言われる、「あなたがたはこの言葉を侮り、しえたげと、よこしまとを頼み、これにたよるがゆえに、 + この不義はあなたがたには突き出て、くずれ落ちようとする高い石がきの破れのようであって、その倒壊はにわかに、またたくまに来る。 + その破れることは陶器師の器を破るように惜しむことなく打ち砕き、その砕けのなかには、炉から火を取り、池から水をくめるほどの、ひとかけらさえ見いだされない」。 + 主なる神、イスラエルの聖者はこう言われた、「あなたがたは立ち返って、落ち着いているならば救われ、穏やかにして信頼しているならば力を得る」。しかし、あなたがたはこの事を好まなかった。 + かえって、あなたがたは言った、「否、われわれは馬に乗って、とんで行こう」と。それゆえ、あなたがたはとんで帰る。また言った、「われらは速い馬に乗ろう」と。それゆえ、あなたがたを追う者は速い。 + ひとりの威嚇によって千人は逃げ、五人の威嚇によってあなたがたは逃げて、その残る者はわずかに山の頂にある旗ざおのように、丘の上にある旗のようになる。 + それゆえ、主は待っていて、あなたがたに恵を施される。それゆえ、主は立ちあがって、あなたがたをあわれまれる。主は公平の神でいらせられる。すべて主を待ち望む者はさいわいである。 + シオンにおり、エルサレムに住む民よ、あなたはもはや泣くことはない。主はあなたの呼ばわる声に応じて、必ずあなたに恵みを施される。主がそれを聞かれるとき、直ちに答えられる。 + たとい主はあなたがたに悩みのパンと苦しみの水を与えられても、あなたの師は再び隠れることはなく、あなたの目はあなたの師を見る。 + また、あなたが右に行き、あるいは左に行く時、そのうしろで「これは道だ、これに歩め」と言う言葉を耳に聞く。 + その時、あなたがたはしろがねをおおった刻んだ像と、こがねを張った鋳た像とを汚し、これをきたない物のようにまき散らして、これに「去れ」と言う。 + 主はあなたが地にまく種に雨を与え、地の産物なる穀物をくださる。それはおびただしく、かつ豊かである。その日あなたの家畜は広い牧場で草を食べ、 + 地を耕す牛と、ろばは、シャベルと、くまででより分けて塩を加えた飼料を食べる。 + 大いなる虐殺の日、やぐらの倒れる時、すべてのそびえたつ山と、すべての高い丘に水の流れる川がある。 + さらに主がその民の傷を包み、その打たれた傷をいやされる日には、月の光は日の光のようになり、日の光は七倍となり、七つの日の光のようにになる。 + 見よ、主の名は遠い所から燃える怒りと、立ちあがる濃い煙をもって来る。そのくちびるは憤りで満ち、その舌は焼きつくす火のごとく、 + その息はあふれて首にまで達する流れのようであって、滅びのふるいをもってもろもろの国をふるい、また惑わす手綱をもろもろの民のあごにつけるために来る。 + あなたがたは、聖なる祭を守る夜のように歌をうたう。また笛をならして主の山にきたり、イスラエルの岩なる主にまみえる時のように心に喜ぶ。 + 主はその威厳ある声を聞かせ、激しい怒りと、焼きつくす火の炎と、豪雨と、暴風と、ひょうとをもってその腕の下ることを示される。 + 主がそのむちをもって打たれる時、アッスリヤの人々は主の声によって恐れおののく。 + 主が懲しめのつえを彼らの上に加えられるごとに鼓を鳴らし、琴をひく。主は腕を振りかざして、彼らと戦われる。 + 焼き場はすでに設けられた。しかも王のために深く広く備えられ、火と多くのたきぎが積まれてある。主の息はこれを硫黄の流れのように燃やす。 + + + 助けを得るためにエジプトに下り、馬にたよる者はわざわいだ。彼らは戦車が多いので、これに信頼し、騎兵がはなはだ強いので、これに信頼する。しかしイスラエルの聖者を仰がず、また主にはかることをしない。 + それにもかかわらず、主もまた賢くいらせられ、必ず災をくだし、その言葉を取り消すことなく、立って悪をなす者の家を攻め、また不義を行う者を助ける者を攻められる。 + かのエジプトびとは人であって、神ではない。その馬は肉であって、霊ではない。主がみ手を伸ばされるとき、助ける者はつまずき、助けられる者も倒れて、皆ともに滅びる。 + 主はわたしにこう言われた、「ししまたは若いししが獲物をつかんで、ほえたけるとき、あまたの羊飼が呼び出されて、これにむかっても、その声によって驚かず、その叫びによって恐れないように、万軍の主は下ってきて、シオンの山およびその丘で戦われる。 + 鳥がひなを守るように、万軍の主はエルサレムを守り、これを守って救い、これを惜しんで助けられる」。 + イスラエルの人々よ、主に帰れ。あなたがたは、はなはだしく主にそむいた。 + その日、あなたがたは自分の手で造って罪を犯したしろがねの偶像と、こがねの偶像をめいめい投げすてる。 + 「アッスリヤびとはつるぎによって倒れる、人のつるぎではない。つるぎが彼らを滅ぼす、人のつるぎではない。彼らはつるぎの前から逃げ去り、その若い者は奴隷の働きをしいられる。 + 彼らの岩は恐れによって過ぎ去り、その君たちはあわて、旗をすてて逃げ去る」。これは主の言葉である。主の火はシオンにあり、その炉はエルサレムにある。 + + + 見よ、ひとりの王が正義をもって統べ治め、君たちは公平をもってつかさどり、 + おのおの風をさける所、暴風雨をのがれる所のようになり、かわいた所にある水の流れのように、疲れた地にある大きな岩の陰のようになる。 + こうして、見る者の目は開かれ、聞く者の耳はよく聞き、 + 気短な者の心は悟る知識を得、どもりの舌はたやすく、あざやかに語ることができる。 + 愚かな者は、もはや尊い人と呼ばれることなく、悪人はもはや、りっぱな人と言われることはない。 + それは愚かな者は愚かなことを語り、その心は不義をたくらみ、よこしまを行い、主について誤ったことを語り、飢えた者の望みを満たさず、かわいた者の飲み物を奪い取るからである。 + 悪人の行いは悪い。彼は悪い計りごとをめぐらし、偽りの言葉をもって貧しい者をおとしいれ、乏しい者が正しいことを語っても、なお、これをおとしいれる。 + しかし尊い人は尊いことを語り、つねに尊いことを行う。 + 安んじている女たちよ、起きて、わが声を聞け。思い煩いなき娘たちよ、わが言葉に耳を傾けよ。 + 思い煩いなき女たちよ、一年あまりの日をすぎて、あなたがたは震えおののく。ぶどうの収穫がむなしく、実を取り入れる時が来ないからだ。 + 安んじている女たちよ、震え恐れよ。思い煩いなき女たちよ、震えおののけ。衣を脱ぎ、裸になって腰に荒布をまとえ。 + 良き畑のため、実り豊かなぶどうの木のために胸を打て。 + いばら、おどろの生えているわが民の地のため、喜びに満ちている町にあるすべての喜びの家のために胸を打て。 + 宮殿は捨てられ、にぎわった町は荒れすたれ、丘と、やぐらとは、とこしえにほら穴となり、野のろばの楽しむ所、羊の群れの牧場となるからである。 + しかし、ついには霊が上からわれわれの上にそそがれて、荒野は良き畑となり、良き畑は林のごとく見られるようになる。 + その時、公平は荒野に住み、正義は良き畑にやどる。 + 正義は平和を生じ、正義の結ぶ実はとこしえの平安と信頼である。 + わが民は平和の家におり、安らかなすみかにおり、静かな休み所におる。 + しかし林はことごとく切り倒され、町もことごとく倒される。 + すべての水のほとりに種をまき、牛およびろばを自由に放ちおくあなたがたは、さいわいである。 + + + わざわいなるかな、おのれ自ら滅ぼされないのに、人を滅ぼし、だれも欺かないのに人を欺く者よ。あなたが滅ぼすことをやめたとき、あなたは滅ぼされ、あなたが欺くことを終えたとき、あなたは欺かれる。 + 主よ、われわれをお恵みください、われわれはあなたを待ち望む。朝ごとに、われわれの腕となり、悩みの時に、救となってください。 + 鳴りとどろく声によって、もろもろの民は逃げ去り、あなたが立ちあがられると、もろもろの国は散らされる。 + 青虫が物を集めるようにぶんどり品は集められ、いなごのとびつどうように、人々はその上にとびつどう。 + 主は高くいらせられ、高い所に住まわれる。主はシオンに公平と正義とを満たされる。 + また主は救と知恵と知識を豊かにして、あなたの代を堅く立てられる。主を恐れることはその宝である。 + 見よ、勇士たちは外にあって叫び、平和の使者はいたく嘆く。 + 大路は荒れすたれて、旅びとは絶え、契約は破られ、証人は軽んぜられ、人を顧みることがない。 + 地は嘆き衰え、レバノンは恥じて枯れ、シャロンは荒野のようになり、バシャンとカルメルはその葉を落す。 + 主は言われる、「今わたしは起きよう、いま立ちあがろう、いま自らを高くしよう。 + あなたがたは、もみがらをはらみ、わらを産む。あなたがたの息は火となって、あなたがたを食いつくす。 + もろもろの民は焼かれて石灰のようになり、いばらが切られて火に燃やされたようになる」。 + あなたがた遠くにいる者よ、わたしがおこなったことを聞け。あなたがた近くにいる者よ、わが大能を知れ。 + シオンの罪びとは恐れに満たされ、おののきは神を恐れない者を捕えた。「われわれのうち、だれが焼きつくす火の中におることができよう。われわれのうち、だれがとこしえの燃える火の中におることができよう」。 + 正しく歩む者、正直に語る者、しえたげて得た利をいやしめる者、手を振って、まいないを取らない者、耳をふさいで血を流す謀略を聞かない者、目を閉じて悪を見ない者、 + このような人は高い所に住み、堅い岩はそのとりでとなり、そのパンは与えられ、その水は絶えることがない。 + あなたの目は麗しく飾った王を見、遠く広い国を見る。 + あなたの心はかの恐ろしかった事を思い出す。「数を調べた者はどこにいるか。みつぎを量った者はどこにいるか。やぐらを数えた者はどこにいるか」。 + あなたはもはや高慢な民を見ない。かの民の言葉はあいまいで、聞きとりがたく、その舌はどもって、悟りがたい。 + 定めの祭の町シオンを見よ。あなたの目は平和なすまい、移されることのない幕屋エルサレムを見る。その杭はとこしえに抜かれず、その綱は、ひとすじも断たれることはない。 + 主は威厳をもってかしこにいまし、われわれのために広い川と流れのある所となり、その中には、こぐ舟も入らず、大きな船も過ぎることはない。 + 主はわれわれのさばき主、主はわれわれのつかさ、主はわれわれの王であって、われわれを救われる。 + あなたの船綱は解けて、帆柱のもとを結びかためることができず、帆を張ることもできない。その時多くの獲物とぶんどり品は分けられ、足なえまでも獲物を取る。 + そこに住む者のうちには、「わたしは病気だ」と言う者はなく、そこに住む民はその罪がゆるされる。 + + + もろもろの国よ、近づいて聞け。もろもろの民よ、耳を傾けよ。地とそれに満ちるもの、世界とそれから出るすべてのものよ、聞け。 + 主はすべての国にむかって怒り、そのすべての軍勢にむかって憤り、彼らをことごとく滅ぼし、彼らをわたして、ほふらせられた。 + 彼らは殺されて投げすてられ、その死体の悪臭は立ちのぼり、山々はその血で溶けて流れる。 + 天の万象は衰え、もろもろの天は巻物のように巻かれ、その万象はぶどうの木から葉の落ちるように、いちじくの木から葉の落ちるように落ちる。 + わたしのつるぎは天において憤りをもって酔った。見よ、これはエドムの上にくだり、わたしが滅びに定めた民の上にくだって、これをさばく。 + 主のつるぎは血で満ち、脂肪で肥え、小羊とやぎの血、雄羊の腎臓の脂肪で肥えている。主がボズラで犠牲の獣をほふり、エドムの地で大いに殺されたからである。 + 野牛は彼らと共にほふり場にくだり、子牛は力ある雄牛と共にくだる。その国は血で酔い、その土は脂肪で肥やされる。 + 主はあだをかえす日をもち、シオンの訴えのために報いられる年をもたれるからである。 + エドムのもろもろの川は変って樹脂となり、その土は変って硫黄となり、その地は変って燃える樹脂となって、 + 夜も昼も消えず、その煙は、とこしえに立ちのぼる。これは世々荒れすたれて、とこしえまでもそこを通る者はない。 + たかと、やまあらしとがそこをすみかとし、ふくろうと、からすがそこに住む。主はその上に荒廃をきたらせる測りなわを張り、尊い人々の上に混乱を起す下げ振りをさげられる。 + 人々はこれを名づけて「国なき所」といい、その君たちは皆うせてなくなる。 + そのとりでの上には、いばらが生え、その城には、いらくさと、あざみとが生え、山犬のすみか、だちょうのおる所となる。 + 野の獣はハイエナと出会い、鬼神はその友を呼び、夜の魔女もそこに降りてきて、休み所を得る。 + ふくろうはそこに巣をつくって卵を産み、それをかえして、そのひなを翼の陰に集める。とびもまた、おのおのその連れ合いと共に、そこに集まる。 + あなたがたは主の書をつまびらかにたずねて、これを読め。これらのものは一つも欠けることなく、また一つもその連れ合いを欠くものはない。これは主の口がこれを命じ、その霊が彼らを集められたからである。 + 主は彼らのためにくじを引き、手ずから測りなわをもって、この地を分け与え、長く彼らに所有させ、世々ここに住まわせられる。 + + + 荒野と、かわいた地とは楽しみ、さばくは喜びて花咲き、さふらんのように、 + さかんに花咲き、かつ喜び楽しみ、かつ歌う。これにレバノンの栄えが与えられ、カルメルおよびシャロンの麗しさが与えられる。彼らは主の栄光を見、われわれの神の麗しさを見る。 + あなたがたは弱った手を強くし、よろめくひざを健やかにせよ。 + 心おののく者に言え、「強くあれ、恐れてはならない。見よ、あなたがたの神は報復をもって臨み、神の報いをもってこられる。神は来て、あなたがたを救われる」と。 + その時、目しいの目は開かれ、耳しいの耳はあけられる。 + その時、足なえは、しかのように飛び走り、おしの舌は喜び歌う。それは荒野に水がわきいで、さばくに川が流れるからである。 + 焼けた砂は池となり、かわいた地は水の源となり、山犬の伏したすみかは、葦、よしの茂りあう所となる。 + そこに大路があり、その道は聖なる道ととなえられる。汚れた者はこれを通り過ぎることはできない、愚かなる者はそこに迷い入ることはない。 + そこには、ししはおらず、飢えた獣も、その道にのぼることはなく、その所でこれに会うことはない。ただ、あがなわれた者のみ、そこを歩む。 + 主にあがなわれた者は帰ってきて、その頭に、とこしえの喜びをいただき、歌うたいつつ、シオンに来る。彼らは楽しみと喜びとを得、悲しみと嘆きとは逃げ去る。 + + + ヒゼキヤ王の第十四年に、アッスリヤの王セナケリブが上ってきて、ユダのすべての堅固な町々を攻め取った。 + アッスリヤの王はラキシからラブシャケをエルサレムにつかわし、大軍を率いてヒゼキヤ王のもとへ行かせた。ラブシャケは布さらしの野へ行く大路に沿う、上の池の水道のかたわらに立った。 + この時ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナおよびアサフの子である史官ヨアが彼の所に出てきた。 + ラブシャケは彼らに言った、「ヒゼキヤに言いなさい、『大王アッスリヤの王はこう仰せられる、あなたが頼みとする者は何か。 + 口先だけの言葉が戦争をする計略と力だと考えるのか。あなたは今だれを頼んで、わたしにそむいたのか。 + 見よ、あなたはかの折れかけている葦のつえエジプトを頼みとしているが、それは人が寄りかかるとき、その人の手を刺し通す。エジプトの王パロはすべて寄り頼む者にそのようにするのだ。 + しかし、あなたがもし「われわれはわれわれの神、主を頼む」とわたしに言うならば、ヒゼキヤがユダとエルサレムに告げて、「あなたがたはこの祭壇の前で礼拝しなければならない」と言って除いたのは、その神の高き所と祭壇ではなかったのか。 + さあ、今わたしの主君アッスリヤの王とかけをせよ。もしあなたの方に乗る人があるならば、わたしは馬二千頭を与えよう。 + あなたはエジプトを頼み、戦車と騎兵を請い求めているが、わたしの主君の家来のうちの最も小さい一隊長でさえ、どうして撃退することができようか。 + わたしがこの国を滅ぼすために上ってきたのは、主の許しなしでしたことであろうか。主はわたしに、この国へ攻め上って、これを滅ぼせと言われたのだ』」。 + その時、エリアキム、セブナおよびヨアはラブシャケに言った、「どうぞ、アラム語でしもべたちに話してください。わたしたちはそれがわかるからです。城壁の上にいる民の聞いているところで、わたしたちにユダヤの言葉で話さないでください」。 + しかしラブシャケは言った、「わたしの主君は、あなたの主君とあなたにだけでなく、城壁の上に座している人々にも、この言葉を告げるために、わたしをつかわされたのではないか。彼らをも、あなたがたと共に自分の糞尿を食い飲みするに至らせるためではないか」。 + そしてラブシャケは立ちあがり、ユダヤの言葉で大声に呼ばわって言った、「大王、アッスリヤの王の言葉を聞け。 + 王はこう仰せられる、『あなたがたはヒゼキヤに欺かれてはならない。彼はあなたがたを救い出すことはできない。 + ヒゼキヤが、主は必ずわれわれを救い出される。この町はアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言っても、あなたがたは主を頼みとしてはならない』。 + あなたがたはヒゼキヤの言葉を聞いてはならない。アッスリヤの王はこう仰せられる、『あなたがたは、わたしと和ぼくして、わたしに降服せよ。そうすれば、あなたがたはめいめい自分のぶどうの実を食べ、めいめい自分のいちじくの実を食べ、めいめい自分の井戸の水を飲むことができる。 + やがて、わたしが来て、あなたがたを一つの国へ連れて行く。それは、あなたがたの国のように穀物とぶどう酒の多い地、パンとぶどう畑の多い地だ。 + ヒゼキヤが、主はわれわれを救われる、と言って、あなたがたを惑わすことのないように気をつけよ。もろもろの国の神々のうち、どの神がその国をアッスリヤの王の手から救ったか。 + ハマテやアルパデの神々はどこにいるか。セパルワイムの神々はどこにいるか。彼らはサマリヤをわたしの手から救い出したか。 + これらの国々のすべての神々のうちに、だれかその国をわたしの手から救い出した者があるか。主がどうしてエルサレムをわたしの手から救い出すことができよう』」。 + しかし民は黙ってひと言も答えなかった。王が命じて、「彼に答えてはならない」と言っておいたからである。 + その時ヒルキヤの子である宮内卿エリアキム、書記官セブナおよびアサフの子である史官ヨアは衣を裂き、ヒゼキヤのもとに来て、ラブシャケの言葉を彼に告げた。 + + + ヒゼキヤ王はこれを聞いて、衣を裂き、荒布を身にまとって主の宮に入り、 + 宮内卿エリアキムと書記官セブナおよび祭司のうちの年長者たちに荒布をまとわせて、アモツの子預言者イザヤのもとへつかわした。 + 彼らはイザヤに言った、「ヒゼキヤはこう言います、『きょうは悩みと責めと、はずかしめの日です。胎児がまさに生れようとして、これを産み出す力がないのです。 + あなたの神、主は、あるいはラブシャケのもろもろの言葉を聞かれたかもしれません。彼はその主君アッスリヤの王につかわされて、生ける神をそしりました。あなたの神、主はその言葉を聞いて、あるいは責められるかもしれません。それゆえ、この残っている者のために祈をささげてください』」。 + ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、 + イザヤは彼らに言った、「あなたがたの主君にこう言いなさい、『主はこう仰せられる、アッスリヤの王のしもべらが、わたしをそしった言葉を聞いて恐れるには及ばない。 + 見よ、わたしは一つの霊を彼のうちに送って、一つのうわさを聞かせ、彼を自分の国へ帰らせて、その国でつるぎに倒れさせる』」。 + ラブシャケは引き返して、アッスリヤの王がリブナを攻めているところへ行った。彼は王がラキシを去ったことを聞いたからである。 + この時、アッスリヤの王はエチオピヤの王テルハカについて、「彼はあなたと戦うために出てきた」と人々が言うのを聞いた。彼はこのことを聞いて、使者をヒゼキヤにつかわそうとして言った、 + 「ユダの王ヒゼキヤにこう言いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの王の手に陥ることはない、と言うあなたの信頼する神に欺かれてはならない。 + あなたはアッスリヤの王たちが、国々にしたこと、彼らを全く滅ぼしたことを聞いている。どうしてあなたは救われることができようか。 + わたしの先祖たちはゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々は彼らを救ったか。 + ハマテの王、アルパデの王、セパルワイムの町の王、ヘナの王およびイワの王はどこにいるか』」。 + ヒゼキヤは使者の手から手紙を受け取ってそれを読み、主の宮にのぼっていって、主の前にそれをひろげ、 + 主に祈って言った、 + 「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、万軍の主よ、地のすべての国のうちで、ただあなただけが神でいらせられます。あなたは天と地を造られました。 + 主よ、耳を傾けて聞いてください。主よ、目を開いて見てください。セナケリブが生ける神をそしるために書き送った言葉を聞いてください。 + 主よ、まことにアッスリヤの王たちは、もろもろの民とその国々を滅ぼし、 + またその神々を火に投げ入れました。それらは神ではなく、人の手の造ったもので、木や石だから滅ぼされたのです。 + 今われわれの神、主よ、どうぞ、われわれを彼の手から救い出してください。そうすれば地の国々は皆あなただけが主でいらせられることを知るようになるでしょう」。 + その時アモツの子イザヤは人をつかわしてヒゼキヤに言った、「イスラエルの神、主はこう言われる、あなたはアッスリヤの王セナケリブについてわたしに祈ったゆえ、 + 主が彼について語られた言葉はこうである、『処女であるシオンの娘はあなたを侮り、あなたをあざける。エルサレムの娘は、あなたのうしろで頭を振る。 + あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。あなたはだれにむかって声をあげ、目を高くあげたのか。イスラエルの聖者にむかってだ。 + あなたは、そのしもべらによって主をそしって言った、「わたしは多くの戦車を率いて山々の頂にのぼり、レバノンの奥へ行き、たけの高い香柏と、最も良いいとすぎを切り倒し、またその果の高地へ行き、その密林にはいった。 + わたしは井戸を掘って水を飲んだ。わたしは足の裏でエジプトのすべての川を踏みからした」。 + あなたは聞かなかったか、昔わたしがそれを定めたことを。堅固な町々を、あなたがこわして荒塚とすることも、いにしえの日から、わたしが計画して今それをきたらせたのだ。 + そのうちに住む民は力弱く、おののき恥をいだいて、野の草のように、青菜のようになり、育たずに枯れる屋根の草のようになった。 + わたしは、あなたの座すること、出入りすること、また、わたしにむかって怒り叫んだことをも知っている。 + あなたが、わたしにむかって怒り叫んだことと、あなたの高慢な言葉とがわたしの耳にはいったゆえ、わたしは、あなたの鼻に輪をつけ、あなたの口にくつわをはめて、あなたを、もと来た道へ引きもどす』。 + あなたに与えるしるしはこれである。すなわち、ことしは落ち穂から生えた物を食べ、二年目には、またその落ち穂から生えた物を食べ、三年目には種をまき、刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べる。 + ユダの家の、のがれて残る者は再び下に根を張り、上に実を結ぶ。 + すなわち残る者はエルサレムから出、のがれる物はシオンの山から出る。万軍の主の熱心がこれをなし遂げられる。 + それゆえ、主はアッスリヤの王について、こう仰せられる、『彼はこの町にこない。またここに矢を放たない。また盾をもって、その前にこない。また塁を築いて、これを攻めることはない。 + 彼は来た道から帰って、この町に、はいることはない、と主は言う。 + わたしは自分のため、また、わたしのしもべダビデのために町を守って、これを救おう』」。 + 主の使が出て、アッスリヤびとの陣営で十八万五千人を撃ち殺した。人々が朝早く起きて見ると、彼らは皆死体となっていた。 + アッスリヤの王セナケリブは立ち去り、帰っていってニネベにいたが、 + その神ニスロクの神殿で礼拝していた時、その子らのアデラン・メレクとシャレゼルがつるぎをもって彼を殺し、ともにアララテの地へ逃げていった。それで、その子エサルハドンが代って王となった。 + + + そのころヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。アモツの子預言者イザヤは彼のところに来て言った、「主はこう仰せられます、あなたの家を整えておきなさい。あなたは死にます、生きながらえることはできません」。 + そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて主に祈って言った、 + 「ああ主よ、願わくは、わたしが真実と真心とをもって、み前に歩み、あなたの目にかなう事を行ったのを覚えてください」。そしてヒゼキヤはひどく泣いた。 + その時主の言葉がイザヤに臨んで言った、 + 「行って、ヒゼキヤに言いなさい、『あなたの父ダビデの神、主はこう仰せられます、「わたしはあなたの祈を聞いた。あなたの涙を見た。見よ、わたしはあなたのよわいを十五年増そう。 + わたしはあなたと、この町とをアッスリヤの王の手から救い、この町を守ろう」。 + 主が約束されたことを行われることについては、あなたは主からこのしるしを得る。 + 見よ、わたしはアハズの日時計の上に進んだ日影を十度退かせよう』」。すると日時計の上に進んだ日影が十度退いた。 + 次の言葉はユダの王ヒゼキヤが病気になって、その病気が直った後、書きしるしたものである。 + わたしは言った、わたしはわが一生のまっ盛りに、去らなければならない。わたしは陰府の門に閉ざされて、わが残りの年を失わなければならない。 + わたしは言った、わたしは生ける者の地で、主を見ることなく、世におる人々のうちに、再び人を見ることがない。 + わがすまいは抜き去られて羊飼の天幕のようにわたしを離れる。わたしは、わが命を機織りのように巻いた。彼はわたしを機から切り離す。あなたは朝から夕までの間に、わたしを滅ぼされる。 + わたしは朝まで叫んだ。主はししのようにわが骨をことごとく砕かれる。あなたは朝から夕までの間に、わたしを滅ぼされる。 + わたしは、つばめのように、つるのように鳴き、はとのようにうめき、わが目は上を見て衰える。主よ、わたしは、しえたげられています。どうか、わたしの保証人となってください。 + しかし、わたしは何を言うことができましょう。主はわたしに言われ、かつ、自らそれをなされたからである。わが魂の苦しみによって、わが眠りはことごとく逃げ去った。 + 主よ、これらの事によって人は生きる。わが霊の命もすべてこれらの事による。どうか、わたしをいやし、わたしを生かしてください。 + 見よ、わたしが大いなる苦しみにあったのは、わが幸福のためであった。あなたはわが命を引きとめて、滅びの穴をまぬかれさせられた。これは、あなたがわが罪をことごとく、あなたの後に捨てられたからである。 + 陰府は、あなたに感謝することはできない。死はあなたをさんびすることはできない。墓にくだる者は、あなたのまことを望むことはできない。 + ただ生ける者、生ける者のみ、きょう、わたしがするように、あなたに感謝する。父はあなたのまことを、その子らに知らせる。 + 主はわたしを救われる。われわれは世にあるかぎり、主の家で琴にあわせて、歌をうたおう。 + イザヤは言った、「干いちじくのひとかたまりを持ってこさせ、それを腫物につけなさい。そうすれば直るでしょう」。 + ヒゼキヤはまた言った、「わたしが主の家に上ることについて、どんなしるしがありましょうか」。 + + + そのころ、バラダンの子であるバビロンの王メロダク・バラダンは手紙と贈り物を持たせて使節をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが病気であったが、直ったことを聞いたからである。 + ヒゼキヤは彼らを喜び迎えて、宝物の蔵、金銀、香料、貴重な油および武器倉、ならびにその倉庫にあるすべての物を彼らに見せた。家にある物も、国にある物も、ヒゼキヤが彼らに見せない物は一つもなかった。 + 時に預言者イザヤはヒゼキヤ王のもとに来て言った、「あの人々は何を言いましたか。どこから来たのですか」。ヒゼキヤは言った、「彼らは遠い国から、すなわちバビロンから来たのです」。 + イザヤは言った、「彼らは、あなたの家で何を見ましたか」。ヒゼキヤは答えて言った、「彼らは、わたしの家にある物を皆見ました。倉庫のうちには、彼らに見せなかった物は一つもありません」。 + そこでイザヤはヒゼキヤに言った、「万軍の主の言葉を聞きなさい。 + 見よ、すべてあなたの家にある物およびあなたの先祖たちが今日までに積みたくわえた物がバビロンに運び去られる日が来る。何も残るものはない、と主が言われます。 + また、あなたの身から出るあなたの子たちも連れ去られて、バビロンの王の宮殿において宦官となるでしょう」。 + ヒゼキヤはイザヤに言った、「あなたが言われた主の言葉は結構です」。彼は「少なくとも自分が世にある間は太平と安全があるだろう」と思ったからである。 + + + あなたがたの神は言われる、「慰めよ、わが民を慰めよ、 + ねんごろにエルサレムに語り、これに呼ばわれ、その服役の期は終り、そのとがはすでにゆるされ、そのもろもろの罪のために二倍の刑罰を主の手から受けた」。 + 呼ばわる者の声がする、「荒野に主の道を備え、さばくに、われわれの神のために、大路をまっすぐにせよ。 + もろもろの谷は高くせられ、もろもろの山と丘とは低くせられ、高底のある地は平らになり、険しい所は平地となる。 + こうして主の栄光があらわれ、人は皆ともにこれを見る。これは主の口が語られたのである」。 + 声が聞える、「呼ばわれ」。わたしは言った、「なんと呼ばわりましょうか」。「人はみな草だ。その麗しさは、すべて野の花のようだ。 + 主の息がその上に吹けば、草は枯れ、花はしぼむ。たしかに人は草だ。 + 草は枯れ、花はしぼむ。しかし、われわれの神の言葉はとこしえに変ることはない」。 + よきおとずれをシオンに伝える者よ、高い山にのぼれ。よきおとずれをエルサレムに伝える者よ、強く声をあげよ、声をあげて恐れるな。ユダのもろもろの町に言え、「あなたがたの神を見よ」と。 + 見よ、主なる神は大能をもってこられ、その腕は世を治める。見よ、その報いは主と共にあり、そのはたらきの報いは、そのみ前にある。 + 主は牧者のようにその群れを養い、そのかいなに小羊をいだき、そのふところに入れて携えゆき、乳を飲ませているものをやさしく導かれる。 + だれが、たなごころをもって海をはかり、指を伸ばして天をはかり、地のちりを枡に盛り、てんびんをもって、もろもろの山をはかり、はかりをもって、もろもろの丘をはかったか。 + だれが、主の霊を導き、その相談役となって主を教えたか。 + 主はだれと相談して悟りを得たか。だれが主に公義の道を教え、知識を教え、悟りの道を示したか。 + 見よ、もろもろの国民は、おけの一しずくのように、はかりの上のちりのように思われる。見よ、主は島々を、ほこりのようにあげられる。 + レバノンは、たきぎに足りない、またその獣は、燔祭に足りない。 + 主のみ前には、もろもろの国民は無きにひとしい。彼らは主によって、無きもののように、むなしいもののように思われる。 + それで、あなたがたは神をだれとくらべ、どんな像と比較しようとするのか。 + 偶像は細工人が鋳て造り、鍛冶が、金をもって、それをおおい、また、これがために銀の鎖を造る。 + 貧しい者は、ささげ物として朽ちることのない木を選び、巧みな細工人を求めて、動くことのない像を立たせる。 + あなたがたは知らなかったか。あなたがたは聞かなかったか。初めから、あなたがたに伝えられなかったか。地の基をおいた時から、あなたがたは悟らなかったか。 + 主は地球のはるか上に座して、地に住む者をいなごのように見られる。主は天を幕のようにひろげ、これを住むべき天幕のように張り、 + また、もろもろの君を無きものとせられ、地のつかさたちを、むなしくされる。 + 彼らは、かろうじて植えられ、かろうじてまかれ、その幹がかろうじて地に根をおろしたとき、神がその上を吹かれると、彼らは枯れて、わらのように、つむじ風にまき去られる。 + 聖者は言われる、「それで、あなたがたは、わたしをだれにくらべ、わたしは、だれにひとしいというのか」。 + 目を高くあげて、だれが、これらのものを創造したかを見よ。主は数をしらべて万軍をひきいだし、おのおのをその名で呼ばれる。その勢いの大いなるにより、またその力の強きがゆえに、一つも欠けることはない。 + ヤコブよ、何ゆえあなたは、「わが道は主に隠れている」と言うか。イスラエルよ、何ゆえあなたは、「わが訴えはわが神に顧みられない」と言うか。 + あなたは知らなかったか、あなたは聞かなかったか。主はとこしえの神、地の果の創造者であって、弱ることなく、また疲れることなく、その知恵ははかりがたい。 + 弱った者には力を与え、勢いのない者には強さを増し加えられる。 + 年若い者も弱り、かつ疲れ、壮年の者も疲れはてて倒れる。 + しかし主を待ち望む者は新たなる力を得、わしのように翼をはって、のぼることができる。走っても疲れることなく、歩いても弱ることはない。 + + + 海沿いの国々よ、静かにして、わたしに聞け。もろもろの民よ、力を新たにし、近づいて語れ。われわれは共にさばきの座に近づこう。 + だれが東から人を起したか。彼はその行く所で勝利をもって迎えられ、もろもろの国を征服し、もろもろの王を足の下に踏みつけ、そのつるぎをもって彼らをちりのようにし、その弓をもって吹き去られる、わらのようにする。 + 彼はこれらの者を追ってその足のまだ踏んだことのない道を、安らかに過ぎて行く。 + だれがこの事を行ったか、なしたか。だれが初めから世々の人々を呼び出したか。主なるわたしは初めであって、また終りと共にあり、わたしがそれだ。 + 海沿いの国々は見て恐れ、地の果は、おののき、近づいて来た。 + 彼らはおのおのその隣を助け、その兄弟たちに言う、「勇気を出せよ」と。 + 細工人は鍛冶を励まし、鎚をもって平らかにする者は金敷きを打つ者に、はんだづけについて言う、「それは良い」と。また、くぎをもってそれを堅くし、動くことのないようにする。 + しかし、わがしもべイスラエルよ、わたしの選んだヤコブ、わが友アブラハムの子孫よ、 + わたしは地の果から、あなたを連れてき、地のすみずみから、あなたを召して、あなたに言った、「あなたは、わたしのしもべ、わたしは、あなたを選んで捨てなかった」と。 + 恐れてはならない、わたしはあなたと共にいる。驚いてはならない、わたしはあなたの神である。わたしはあなたを強くし、あなたを助け、わが勝利の右の手をもって、あなたをささえる。 + 見よ、あなたにむかって怒る者はみな、はじて、あわてふためき、あなたと争う者は滅びて無に帰する。 + あなたは、あなたと争う者を尋ねても見いださず、あなたと戦う者は全く消えうせる。 + あなたの神、主なるわたしはあなたの右の手をとってあなたに言う、「恐れてはならない、わたしはあなたを助ける」。 + 主は言われる、「虫にひとしいヤコブよ、イスラエルの人々よ、恐れてはならない。わたしはあなたを助ける。あなたをあがなう者はイスラエルの聖者である。 + 見よ、わたしはあなたを鋭い歯のある新しい打穀機とする。あなたは山を打って、これを粉々にし、丘をもみがらのようにする。 + あなたがあおげば風はこれを巻き去り、つむじ風がこれを吹き散らす。あなたは主によって喜びイスラエルの聖者によって誇る。 + 貧しい者と乏しい者とは水を求めても、水がなく、その舌がかわいて焼けているとき、主なるわたしは彼らに答える、イスラエルの神なるわたしは彼らを捨てることがない。 + わたしは裸の山に川を開き、谷の中に泉をいだし、荒野を池となし、かわいた地を水の源とする。 + わたしは荒野に香柏、アカシヤ、ミルトスおよびオリブの木を植え、さばくに、いとすぎ、すずかけ、からまつをともに置く。 + 人々はこれを見て、主のみ手がこれをなし、イスラエルの聖者がこれを創造されたことを知り、かつ、よく考えて共に悟る」。 + 主は言われる、「あなたがたの訴えを出せ」と。ヤコブの王は言われる、「あなたがたの証拠を持ってこい。 + それを持ってきて、起るべき事をわれわれに告げよ。さきの事どもの何であるかを告げよ。われわれはよく考えて、その結末を知ろう。あるいはきたるべき事をわれわれに聞かせよ。 + この後きたるべき事をわれわれに告げよ。われわれはあなたがたが神であることを知るであろう。幸をくだし、あるいは災をくだせ。われわれは驚いて肝をつぶすであろう。 + 見よ、あなたがたは無きものである。あなたがたのわざはむなしい。あなたがたを選ぶ者は憎むべき者である」。 + わたしはひとりを起して北からこさせ、わが名を呼ぶ者を東からこさせる。彼はもろもろのつかさを踏みつけてしっくいのようにし、陶器師が粘土を踏むようにする。 + だれか、初めからこの事をわれわれに告げ知らせたか。だれか、あらかじめわれわれに告げて、「彼は正しい」と言わせたか。ひとりもこの事を告げた者はない。ひとりも聞かせた者はない。ひとりもあなたがたの言葉を聞いた者はない。 + わたしははじめてこれをシオンに告げた。わたしは、よきおとずれを伝える者をエルサレムに与える。 + しかし、わたしが見ると、ひとりもない。彼らのなかには、わたしが尋ねても答えうる助言者はひとりもない。 + 見よ、彼らはみな人を惑わす者であって、そのわざは無きもの、その鋳た像はむなしき風である。 + + + わたしの支持するわがしもべ、わたしの喜ぶわが選び人を見よ。わたしはわが霊を彼に与えた。彼はもろもろの国びとに道をしめす。 + 彼は叫ぶことなく、声をあげることなく、その声をちまたに聞えさせず、 + また傷ついた葦を折ることなく、ほのぐらい灯心を消すことなく、真実をもって道をしめす。 + 彼は衰えず、落胆せず、ついに道を地に確立する。海沿いの国々はその教を待ち望む。 + 天を創造してこれをのべ、地とそれに生ずるものをひらき、その上の民に息を与え、その中を歩む者に霊を与えられる主なる神はこう言われる、 + 「主なるわたしは正義をもってあなたを召した。わたしはあなたの手をとり、あなたを守った。わたしはあなたを民の契約とし、もろもろの国びとの光として与え、 + 盲人の目を開き、囚人を地下の獄屋から出し、暗きに座する者を獄屋から出させる。 + わたしは主である、これがわたしの名である。わたしはわが栄光をほかの者に与えない。また、わが誉を刻んだ像に与えない。 + 見よ、さきに預言した事は起った。わたしは新しい事を告げよう。その事がまだ起らない前に、わたしはまず、あなたがたに知らせよう」。 + 主にむかって新しき歌をうたえ。地の果から主をほめたたえよ。海とその中に満ちるもの、海沿いの国々とそれに住む者とは鳴りどよめ。 + 荒野とその中のもろもろの町と、ケダルびとの住むもろもろの村里は声をあげよ。セラの民は喜びうたえ。山の頂から呼ばわり叫べ。 + 栄光を主に帰し、その誉を海沿いの国々で語り告げよ。 + 主は勇士のように出て行き、いくさ人のように熱心を起し、ときの声をあげて呼ばわり、その敵にむかって大能をあらわされる。 + わたしは久しく声を出さず、黙して、おのれをおさえていた。今わたしは子を産もうとする女のように叫ぶ。わたしの息は切れ、かつあえぐ。 + わたしは山と丘とを荒し、すべての草を枯らし、もろもろの川を島とし、もろもろの池をからす。 + わたしは目しいを彼らのまだ知らない大路に行かせ、まだ知らない道に導き、暗きをその前に光とし、高低のある所を平らにする。わたしはこれらの事をおこなって彼らを捨てない。 + 刻んだ偶像に頼み、鋳た偶像にむかって「あなたがたは、われわれの神である」と言う者は退けられて、大いに恥をかく。 + 耳しいよ、聞け。目しいよ、目を注いで見よ。 + だれか、わがしもべのほかに目しいがあるか。だれか、わがつかわす使者のような耳しいがあるか。だれか、わが献身者のような目しいがあるか。だれか、主のしもべのような目しいがあるか。 + 彼は多くの事を見ても認めず、耳を開いても聞かない。 + 主はおのれの義のために、その教を大いなるものとし、かつ光栄あるものとすることを喜ばれた。 + ところが、この民はかすめられ、奪われて、みな穴の中に捕われ、獄屋の中に閉じこめられた。彼らはかすめられても助ける者がなく、物を奪われても「もどせ」と言う者もない。 + あなたがたのうち、だれがこの事に耳を傾けるだろうか、だれが心をもちいて後のためにこれを聞くだろうか。 + ヤコブを奪わせた者はだれか。かすめる者にイスラエルをわたした者はだれか。これは主ではないか。われわれは主にむかって罪を犯し、その道に歩むことを好まず、またその教に従うことを好まなかった。 + それゆえ、主は激しい怒りと、猛烈な戦いを彼らに臨ませられた。それが火のように周囲に燃えても、彼らは悟らず、彼らを焼いても、心にとめなかった。 + + + ヤコブよ、あなたを創造された主はこう言われる。イスラエルよ、あなたを造られた主はいまこう言われる、「恐れるな、わたしはあなたをあがなった。わたしはあなたの名を呼んだ、あなたはわたしのものだ。 + あなたが水の中を過ぎるとき、わたしはあなたと共におる。川の中を過ぎるとき、水はあなたの上にあふれることがない。あなたが火の中を行くとき、焼かれることもなく、炎もあなたに燃えつくことがない。 + わたしはあなたの神、主である、イスラエルの聖者、あなたの救主である。わたしはエジプトを与えてあなたのあがないしろとし、エチオピヤとセバとをあなたの代りとする。 + あなたはわが目に尊く、重んぜられるもの、わたしはあなたを愛するがゆえに、あなたの代りに人を与え、あなたの命の代りに民を与える。 + 恐れるな、わたしはあなたと共におる。わたしは、あなたの子孫を東からこさせ、西からあなたを集める。 + わたしは北にむかって『ゆるせ』と言い、南にむかって『留めるな』と言う。わが子らを遠くからこさせ、わが娘らを地の果からこさせよ。 + すべてわが名をもってとなえられる者をこさせよ。わたしは彼らをわが栄光のために創造し、これを造り、これを仕立てた」。 + 目があっても目しいのような民、耳があっても耳しいのような民を連れ出せ。 + 国々はみな相つどい、もろもろの民は集まれ。彼らのうち、だれがこの事を告げ、さきの事どもを、われわれに聞かせることができるか。その証人を出して、おのれの正しい事を証明させ、それを聞いて「これは真実だ」と言わせよ。 + 主は言われる、「あなたがたはわが証人、わたしが選んだわがしもべである。それゆえ、あなたがたは知って、わたしを信じ、わたしが主であることを悟ることができる。わたしより前に造られた神はなく、わたしより後にもない。 + ただわたしのみ主である。わたしのほかに救う者はいない。 + わたしはさきに告げ、かつ救い、かつ聞かせた。あなたがたのうちには、ほかの神はなかった。あなたがたはわが証人である」と主は言われる。 + 「わたしは神である、今より後もわたしは主である。わが手から救い出しうる者はない。わたしがおこなえば、だれが、これをとどめることができよう」。 + あなたがたをあがなう者、イスラエルの聖者、主はこう言われる、「あなたがたのために、わたしは人をバビロンにつかわし、すべての貫の木をこわし、カルデヤびとの喜びの声を嘆きに変らせる。 + わたしは主、あなたがたの聖者、イスラエルの創造者、あなたがたの王である」。 + 海のなかに大路を設け、大いなる水の中に道をつくり、 + 戦車および馬、軍勢および兵士を出てこさせ、これを倒して起きることができないようにし、絶え滅ぼして、灯心の消えうせるようにされる主はこう言われる、 + 「あなたがたは、さきの事を思い出してはならない、また、いにしえのことを考えてはならない。 + 見よ、わたしは新しい事をなす。やがてそれは起る、あなたがたはそれを知らないのか。わたしは荒野に道を設け、さばくに川を流れさせる。 + 野の獣はわたしをあがめ、山犬および、だちょうもわたしをあがめる。わたしが荒野に水をいだし、さばくに川を流れさせて、わたしの選んだ民に飲ませるからだ。 + この民は、わが誉を述べさせるためにわたしが自分のために造ったものである。 + ところがヤコブよ、あなたはわたしを呼ばなかった。イスラエルよ、あなたはわたしをうとんじた。 + あなたは燔祭の羊をわたしに持ってこなかった。また犠牲をもってわたしをあがめなかった。わたしは供え物の重荷をあなたに負わせなかった。また乳香をもってあなたを煩わさなかった。 + あなたは金を出して、わたしのために菖蒲を買わず、犠牲の脂肪を供えて、わたしを飽かせず、かえって、あなたの罪の重荷をわたしに負わせ、あなたの不義をもって、わたしを煩わせた。 + わたしこそ、わたし自身のためにあなたのとがを消す者である。わたしは、あなたの罪を心にとめない。 + あなたは、自分の正しいことを証明するために自分のことを述べて、わたしに思い出させよ。われわれは共に論じよう。 + あなたの遠い先祖は罪を犯し、あなたの仲保者らはわたしにそむいた。 + それゆえ、わたしは聖所の君たちを汚し、ヤコブを全き滅びにわたし、イスラエルをののしらしめた。 + + + しかし、わがしもべヤコブよ、わたしが選んだイスラエルよ、いま聞け。 + あなたを造り、あなたを胎内に形造り、あなたを助ける主はこう言われる、『わがしもべヤコブよ、わたしが選んだエシュルンよ、恐れるな。 + わたしは、かわいた地に水を注ぎ、干からびた地に流れをそそぎ、わが霊をあなたの子らにそそぎ、わが恵みをあなたの子孫に与えるからである。 + こうして、彼らは水の中の草のように、流れのほとりの柳のように、生え育つ。 + ある人は「わたしは主のものである」と言い、ある人はヤコブの名をもって自分を呼び、またある人は「主のものである」と手にしるして、イスラエルの名をもって自分を呼ぶ』」。 + 主、イスラエルの王、イスラエルをあがなう者、万軍の主はこう言われる、「わたしは初めであり、わたしは終りである。わたしのほかに神はない。 + だれかわたしに等しい者があるか。その者はそれを示し、またそれを告げ、わが前に言いつらねよ。だれが、昔から、きたるべき事を聞かせたか。その者はやがて成るべき事をわれわれに告げよ。 + 恐れてはならない、またおののいてはならない。わたしはこの事を昔から、あなたがたに聞かせなかったか、また告げなかったか。あなたがたはわが証人である。わたしのほかに神があるか。わたしのほかに岩はない。わたしはそのあることを知らない」。 + 偶像を造る者は皆むなしく、彼らの喜ぶところのものは、なんの役にも立たない。その信者は見ることもなく、また知ることもない。ゆえに彼らは恥を受ける。 + だれが神を造り、またなんの役にも立たない偶像を鋳たか。 + 見よ、その仲間は皆恥を受ける。その細工人らは人間にすぎない。彼らが皆集まって立つとき、恐れて共に恥じる。 + 鉄の細工人はこれを造るのに炭の火をもって細工し、鎚をもってこれを造り、強い腕をもってこれを鍛える。彼が飢えれば力は衰え、水を飲まなければ疲れはてる。 + 木の細工人は線を引き、鉛筆でえがき、かんなで削り、コンパスでえがき、それを人の美しい姿にしたがって人の形に造り、家の中に安置する。 + 彼は香柏を切り倒し、あるいはかしの木、あるいはかしわの木を選んで、それを林の木の中で強く育てる。あるいは香柏を植え、雨にそれを育てさせる。 + こうして人はその一部をとって、たきぎとし、これをもって身を暖め、またこれを燃やしてパンを焼き、また他の一部を神に造って拝み、刻んだ像に造ってその前にひれ伏す。 + その半ばは火に燃やし、その半ばで肉を煮て食べ、あるいは肉をあぶって食べ飽き、また身を暖めて言う、「ああ、暖まった、熱くなった」と。 + そしてその余りをもって神を造って偶像とし、その前にひれ伏して拝み、これに祈って、「あなたはわが神だ、わたしを救え」と言う。 + これらの人は知ることがなく、また悟ることがない。その目はふさがれて見ることができず、その心は鈍くなって悟ることができない。 + その心のうちに思うことをせず、また知識がなく、悟りがないために、「わたしはその半ばを火に燃やし、またその炭火の上でパンを焼き、肉をあぶって食べ、その残りの木をもって憎むべきものを造るのか。木のはしくれの前にひれ伏すのか」と言う者もない。 + 彼は灰を食い、迷った心に惑わされて、おのれを救うことができず、また「わが右の手に偽りがあるではないか」と言わない。 + ヤコブよ、イスラエルよ、これらの事を心にとめよ。あなたはわがしもべだから。わたしはあなたを造った、あなたはわがしもべだ。イスラエルよ、わたしはあなたを忘れない。 + わたしはあなたのとがを雲のように吹き払い、あなたの罪を霧のように消した。わたしに立ち返れ、わたしはあなたをあがなったから。 + 天よ、歌え、主がこの事をなされたから。地の深き所よ、呼ばわれ。もろもろの山よ、林およびその中のもろもろの木よ、声を放って歌え。主はヤコブをあがない、イスラエルのうちに栄光をあらわされたから。 + あなたをあがない、あなたを胎内に造られた主はこう言われる、「わたしは主である。わたしはよろずの物を造り、ただわたしだけが天をのべ、地をひらき、――だれがわたしと共にいたか―― + 偽る物のしるしをむなしくし、占う者を狂わせ、賢い者をうしろに退けて、その知識を愚かにする。 + わたしは、わがしもべの言葉を遂げさせ、わが使の計りごとを成らせ、エルサレムについては、『これは民の住む所となる』と言い、ユダのもろもろの町については、『ふたたび建てられる、わたしはその荒れ跡を興そう』と言い、 + また淵については、『かわけ、わたしはあなたのもろもろの川を干す』と言い、 + またクロスについては、『彼はわが牧者、わが目的をことごとくなし遂げる』と言い、エルサレムについては、『ふたたび建てられる』と言い、神殿については、『あなたの基がすえられる』と言う」。 + + + わたしはわが受膏者クロスの右の手をとって、もろもろの国をその前に従わせ、もろもろの王の腰を解き、とびらをその前に開かせて、門を閉じさせない、と言われる主はその受膏者クロスにこう言われる、 + 「わたしはあなたの前に行って、もろもろの山を平らにし、青銅のとびらをこわし、鉄の貫の木を断ち切り、 + あなたに、暗い所にある財宝と、ひそかな所に隠した宝物とを与えて、わたしは主、あなたの名を呼んだイスラエルの神であることをあなたに知らせよう。 + わがしもべヤコブのために、わたしの選んだイスラエルのために、わたしはあなたの名を呼んだ。あなたがわたしを知らなくても、わたしはあなたに名を与えた。 + わたしは主である。わたしのほかに神はない、ひとりもない。あなたがわたしを知らなくても、わたしはあなたを強くする。 + これは日の出る方から、また西の方から、人々がわたしのほかに神のないことを知るようになるためである。わたしは主である、わたしのほかに神はない。 + わたしは光をつくり、また暗きを創造し、繁栄をつくり、またわざわいを創造する。わたしは主である、すべてこれらの事をなす者である。 + 天よ、上より水を注げ、雲は義を降らせよ。地は開けて救を生じ、また義をも、生えさせよ。主なるわたしはこれを創造した。 + 陶器が陶器師と争うように、おのれを造った者と争う者はわざわいだ。粘土は陶器師にむかって『あなたは何を造るか』と言い、あるいは『あなたの造った物には手がない』と言うだろうか。 + 父にむかって『あなたは、なぜ子をもうけるのか』と言い、あるいは女にむかって『あなたは、なぜ産みの苦しみをするのか』と言う者はわざわいだ」。 + イスラエルの聖者、イスラエルを造られた主はこう言われる、「あなたがたは、わが子らについてわたしに問い、またわが手のわざについてわたしに命ずるのか。 + わたしは地を造って、その上に人を創造した。わたしは手をもって天をのべ、その万軍を指揮した。 + わたしは義をもってクロスを起した。わたしは彼のすべての道をまっすぐにしよう。彼はわが町を建て、わが捕囚を価のためでなく、また報いのためでもなく解き放つ」と万軍の主は言われる。 + 主はこう言われる、「エジプトの富と、エチオピヤの商品と、たけの高いセバびととはあなたに来て、あなたのものとなり、あなたに従い、彼らは鎖につながれて来て、あなたの前にひれ伏し、あなたに願って言う、『神はただあなたと共にいまし、このほかに神はなく、ひとりもない』」。 + イスラエルの神、救主よ、まことに、あなたはご自分を隠しておられる神である。 + 偶像を造る者は皆恥を負い、はずかしめを受け、ともに、あわてふためいて退く。 + しかし、イスラエルは主に救われて、とこしえの救を得る。あなたがたは世々かぎりなく、恥を負わず、はずかしめを受けない。 + 天を創造された主、すなわち神であってまた地をも造り成し、これを堅くし、いたずらにこれを創造されず、これを人のすみかに造られた主はこう言われる、「わたしは主である、わたしのほかに神はない。 + わたしは隠れたところ、地の暗い所で語らず、ヤコブの子孫に『わたしを尋ねるのはむだだ』と言わなかった。主なるわたしは正しい事を語り、まっすぐな事を告げる。 + もろもろの国からのがれてきた者よ、集まってきて、共に近寄れ。木像をにない、救うことのできない神に祈る者は無知である。 + あなたがたの言い分を持ってきて述べよ。また共に相談せよ。この事をだれがいにしえから示したか。だれが昔から告げたか。わたし、すなわち主ではなかったか。わたしのほかに神はない。わたしは義なる神、救主であって、わたしのほかに神はない。 + 地の果なるもろもろの人よ、わたしを仰ぎのぞめ、そうすれば救われる。わたしは神であって、ほかに神はないからだ。 + わたしは自分をさして誓った、わたしの口から出た正しい言葉は帰ることがない、『すべてのひざはわが前にかがみ、すべての舌は誓いをたてる』。 + 人はわたしについて言う、『正義と力とは主にのみある』と。人々は主にきたり、主にむかって怒る者は皆恥を受ける。 + しかしイスラエルの子孫は皆主によって勝ち誇ることができる」。 + + + ベルは伏し、ネボはかがみ、彼らの像は獣と家畜との上にある。あなたがたが持ち歩いたものは荷となり、疲れた獣の重荷となった。 + 彼らはかがみ、彼らは共に伏し、重荷となった者を救うことができずかえって、自分は捕われて行く。 + 「ヤコブの家よ、イスラエルの家の残ったすべての者よ、生れ出た時から、わたしに負われ、胎を出た時から、わたしに持ち運ばれた者よ、わたしに聞け。 + わたしはあなたがたの年老いるまで変らず、白髪となるまで、あなたがたを持ち運ぶ。わたしは造ったゆえ、必ず負い、持ち運び、かつ救う。 + あなたがたは、わたしをだれにたぐい、だれと等しくし、だれにくらべ、かつなぞらえようとするのか。 + 彼らは袋からこがねを注ぎ出し、はかりをもって、しろがねをはかり、金細工人を雇って、それを神に造らせ、これにひれ伏して拝む。 + 彼らはこれをもたげて肩に載せ、持って行って、その所に置き、そこに立たせる。これはその所から動くことができない。人がこれに呼ばわっても答えることができない。また彼をその悩みから救うことができない。 + あなたがたはこの事をおぼえ、よく考えよ。そむける者よ、この事を心にとめよ、 + いにしえよりこのかたの事をおぼえよ。わたしは神である、わたしのほかに神はない。わたしは神である、わたしと等しい者はない。 + わたしは終りの事を初めから告げ、まだなされない事を昔から告げて言う、『わたしの計りごとは必ず成り、わが目的をことごとくなし遂げる』と。 + わたしは東から猛禽を招き、遠い国からわが計りごとを行う人を招く。わたしはこの事を語ったゆえ、必ずこさせる。わたしはこの事をはかったゆえ、必ず行う。 + 心をかたくなにして、救に遠い者よ、わたしに聞け。 + わたしはわが救を近づかせるゆえ、その来ることは遠くない。わが救はおそくない。わたしは救をシオンに与え、わが栄光をイスラエルに与える」。 + + + 処女なるバビロンの娘よ、下って、ちりの中にすわれ。カルデヤびとの娘よ、王座のない地にすわれ。あなたはもはや、やさしく、たおやかな女ととなえられることはない。 + 石うすをとって粉をひけ、顔おおいを取り去り、うちぎを脱ぎ、すねをあらわして川を渡れ。 + あなたの裸はあらわれ、あなたの恥は見られる。わたしはあだを報いて、何人とをも助けない。 + われわれをあがなう者はその名を万軍の主といい、イスラエルの聖者である。 + カルデヤびとの娘よ、黙してすわれ、また暗い所にはいれ。あなたはもはや、もろもろの国の女王ととなえられることはない。 + わたしはわが民を憤り、わが嗣業を汚して、これをあなたの手に渡した。あなたはこれに、あわれみを施さず、年老いた者の上に、はなはだ重いくびきを負わせた。 + あなたは言った、「わたしは、とこしえに女王となる」と。そして、あなたはこれらの事を心にとめず、またその終りを思わなかった。 + 楽しみにふけり、安らかにおり、心のうちに「ただわたしだけで、わたしのほかにだれもなく、わたしは寡婦となることはない、また子を失うことはない」と言う者よ、今この事を聞け。 + これらの二つの事は一日のうちに、またたくまにあなたに臨む。すなわち子を失い、寡婦となる事はたといあなたが多くの魔術を行い、魔法の大いなる力をもってしてもことごとくあなたに臨む。 + あなたは自分の悪に寄り頼んで言う、「わたしを見る者はない」と。あなたの知恵と、あなたの知識とはあなたを惑わした。あなたは心のうちに言った、「ただわたしだけで、わたしのほかにだれもない」と。 + しかし、わざわいが、あなたに臨む、あなたは、それをあがなうことができない。なやみが、あなたを襲う、あなたは、それをつぐなうことができない。滅びが、にわかにあなたに臨む、あなたは、それについて何も知らない。 + あなたが若い時から勤め行ったあなたの魔法と、多くの魔術とをもって立ちむかってみよ、あるいは成功するかもしれない、あるいは敵を恐れさせるかもしれない。 + あなたは多くの計りごとによってうみ疲れた。かの天を分かつ者、星を見る者、新月によって、あなたに臨む事を告げる者を立ちあがらせて、あなたを救わせてみよ。 + 見よ、彼らはわらのようになって、火に焼き滅ぼされ、自分の身を炎の勢いから、救い出すことができない。その火は身を暖める炭火ではない、またその前にすわるべき火でもない。 + あなたが勤めて行ったものと、あなたの若い時からあなたと売り買いした者とは、ついにこのようになる。彼らはめいめい自分の方向にさすらいゆき、ひとりもあなたを救う者はない。 + + + ヤコブの家よ、これを聞け。あなたがたはイスラエルの名をもってとなえられ、ユダの腰から出、主の名によって誓い、イスラエルの神をとなえるけれども、真実をもってせず、正義をもってしない。 + 彼らはみずから聖なる都のものととなえ、イスラエルの神に寄り頼む。その名は万軍の主という。 + 「わたしはさきに成った事を、いにしえから告げた。わたしは口から出して彼らに知らせた。わたしは、にわかにこの事を行い、そして成った。 + わたしはあなたが、かたくなで、その首は鉄の筋、その額は青銅であることを知るゆえに、 + いにしえから、かの事をあなたに告げ、その成らないさきに、これをあなたに聞かせた。そうでなければ、あなたは言うだろう、『わが偶像がこれをしたのだ、わが刻んだ像と、鋳た像がこれを命じたのだ』と。 + あなたはすでに聞いた、すべてこれが成ったことを見よ。あなたがたはこれを宣べ伝えないのか。わたしは今から新しい事、あなたがまだ知らない隠れた事をあなたに聞かせよう。 + これらの事はいま創造されたので、いにしえからあったのではない。この日以前には、あなたはこれを聞かなかった。そうでなければ、あなたは言うだろう、『見よ、わたしはこれを知っていた』と。 + あなたはこれを聞くこともなく、知ることもなく、あなたの耳は、いにしえから開かれなかった。わたしはあなたが全く不信実で、生れながら反逆者ととなえられたことを知っていたからである。 + わが名のために、わたしは怒りをおそくする。わが誉のために、わたしはこれをおさえて、あなたを断ち滅ぼすことをしない。 + 見よ、わたしはあなたを練った。しかし銀のようにではなくて、苦しみの炉をもってあなたを試みた。 + わたしは自分のために、自分のためにこれを行う。どうしてわが名を汚させることができよう。わたしはわが栄光をほかの者に与えることをしない。 + ヤコブよ、わたしの召したイスラエルよ、わたしに聞け。わたしはそれだ、わたしは初めであり、わたしはまた終りである。 + わが手は地の基をすえ、わが右の手は天をのべた。わたしが呼ぶと、彼らはもろともに立つ。 + あなたがたは皆集まって聞け。彼らのうち、だれがこれらの事を告げたか。主の愛せられる彼は主のみこころをバビロンに行い、その腕はカルデヤびとの上に臨む。 + 語ったのは、ただわたしであって、わたしは彼を召した。わたしは彼をこさせた。彼はその道に栄える。 + あなたがたはわたしに近寄って、これを聞け。わたしは初めから、ひそかに語らなかった。それが成った時から、わたしはそこにいたのだ」。いま主なる神は、わたしとその霊とをつかわされた。 + あなたのあがない主、イスラエルの聖者、主はこう言われる、「わたしはあなたの神、主である。わたしは、あなたの利益のために、あなたを教え、あなたを導いて、その行くべき道に行かせる。 + どうか、あなたはわたしの戒めに聞き従うように。そうすれば、あなたの平安は川のように、あなたの義は海の波のようになり、 + あなたのすえは砂のように、あなたの子孫は砂粒のようになって、その名はわが前から断たれることなく、滅ぼされることはない」。 + あなたがたはバビロンから出、カルデヤからのがれよ。喜びの声をもってこれをのべ聞かせ、地の果にまで語り伝え、「主はそのしもべヤコブをあがなわれた」と言え。 + 主が彼らを導いて、さばくを通らせられたとき、彼らは、かわいたことがなかった。主は彼らのために岩から水を流れさせ、また岩を裂かれると、水がほとばしり出た。 + 主は言われた、「悪い者には平安がない」と。 + + + 海沿いの国々よ、わたしに聞け。遠いところのもろもろの民よ、耳を傾けよ。主はわたしを生れ出た時から召し、母の胎を出た時からわが名を語り告げられた。 + 主はわが口を鋭利なつるぎとなし、わたしをみ手の陰にかくし、とぎすました矢となして、箙にわたしを隠された。 + また、わたしに言われた、「あなたはわがしもべ、わが栄光をあらわすべきイスラエルである」と。 + しかし、わたしは言った、「わたしはいたずらに働き、益なく、むなしく力を費した。しかもなお、まことにわが正しきは主と共にあり、わが報いはわが神と共にある」と。 + ヤコブをおのれに帰らせ、イスラエルをおのれのもとに集めるために、わたしを腹の中からつくってそのしもべとされた主は言われる。(わたしは主の前に尊ばれ、わが神はわが力となられた) + 主は言われる、「あなたがわがしもべとなって、ヤコブのもろもろの部族をおこし、イスラエルのうちの残った者を帰らせることは、いとも軽い事である。わたしはあなたを、もろもろの国びとの光となして、わが救を地の果にまでいたらせよう」と。 + イスラエルのあがない主、イスラエルの聖者なる主は、人に侮られる者、民に忌みきらわれる者、つかさたちのしもべにむかってこう言われる、「もろもろの王は見て、立ちあがり、もろもろの君は立って、拝する。これは真実なる主、イスラエルの聖者が、あなたを選ばれたゆえである」。 + 主はこう言われる、「わたしは恵みの時に、あなたに答え、救の日にあなたを助けた。わたしはあなたを守り、あなたを与えて民の契約とし、国を興し、荒れすたれた地を嗣業として継がせる。 + わたしは捕えられた人に『出よ』と言い、暗きにおる者に『あらわれよ』と言う。彼らは道すがら食べることができ、すべての裸の山にも牧草を得る。 + 彼らは飢えることがなく、かわくこともない。また熱い風も、太陽も彼らを撃つことはない。彼らをあわれむ者が彼らを導き、泉のほとりに彼らを導かれるからだ。 + わたしは、わがもろもろの山を道とし、わが大路を高くする。 + 見よ、人々は遠くから来る。見よ、人々は北から西から、またスエネの地から来る」。 + 天よ、歌え、地よ、喜べ。もろもろの山よ、声を放って歌え。主はその民を慰め、その苦しむ者をあわれまれるからだ。 + しかしシオンは言った、「主はわたしを捨て、主はわたしを忘れられた」と。 + 「女がその乳のみ子を忘れて、その腹の子を、あわれまないようなことがあろうか。たとい彼らが忘れるようなことがあっても、わたしは、あなたを忘れることはない。 + 見よ、わたしは、たなごころにあなたを彫り刻んだ。あなたの石がきは常にわが前にある。 + あなたを建てる者は、あなたをこわす者を追い越し、あなたを荒した者は、あなたから出て行く。 + あなたの目をあげて見まわせ。彼らは皆集まって、あなたのもとに来る。主は言われる、わたしは生きている、あなたは彼らを皆、飾りとして身につけ、花嫁の帯のようにこれを結ぶ。 + あなたの荒れ、かつすたれた所、こわされた地は、住む人の多いために狭くなり、あなたを、のみつくした者は、はるかに離れ去る。 + あなたが子を失った後に生れた子らは、なおあなたの耳に言う、『この所はわたしには狭すぎる、わたしのために住むべき所を得させよ』と。 + その時あなたは心のうちに言う、『だれがわたしのためにこれらの者を産んだのか。わたしは子を失って、子をもたない。わたしは捕われ、かつ追いやられた。だれがこれらの者を育てたのか。見よ、わたしはひとり残された。これらの者はどこから来たのか』と」。 + 主なる神はこう言われる、「見よ、わたしは手をもろもろの国にむかってあげ、旗をもろもろの民にむかって立てる。彼らはそのふところにあなたの子らを携え、その肩にあなたの娘たちを載せて来る。 + もろもろの王は、あなたの養父となり、その王妃たちは、あなたの乳母となり、彼らはその顔を地につけて、あなたにひれ伏し、あなたの足のちりをなめる。こうして、あなたはわたしが主であることを知る。わたしを待ち望む者は恥をこうむることがない」。 + 勇士が奪った獲物をどうして取り返すことができようか。暴君がかすめた捕虜をどうして救い出すことができようか。 + しかし主はこう言われる、「勇士がかすめた捕虜も取り返され、暴君が奪った獲物も救い出される。わたしはあなたと争う者と争い、あなたの子らを救うからである。 + わたしはあなたをしえたげる者にその肉を食わせ、その血を新しい酒のように飲ませて酔わせる。こうして、すべての人はわたしが主であって、あなたの救主、またあなたのあがない主、ヤコブの全能者であることを知るようになる」。 + + + 主はこう言われる、「わたしがあなたがたの母を去らせたその離縁状は、どこにあるか。わたしはどの債主にあなたがたを売りわたしたか。見よ、あなたがたは、その不義のために売られ、あなたがたの母は、あなたがたのとがのために出されたのだ。 + わたしが来たとき、なぜひとりもいなかったか。わたしが呼んだとき、なぜひとりも答える者がなかったか。わたしの手が短くて、あがなうことができないのか。わたしは救う力を持たないのか。見よ、わたしが、しかると海はかれ、川は荒野となり、その中の魚は水がないために、かわき死んで悪臭を放つ。 + わたしは黒い衣を天に着せ、荒布をもってそのおおいとする」。 + 主なる神は教をうけた者の舌をわたしに与えて、疲れた者を言葉をもって助けることを知らせ、また朝ごとにさまし、わたしの耳をさまして、教をうけた者のように聞かせられる。 + 主なる神はわたしの耳を開かれた。わたしは、そむくことをせず、退くことをしなかった。 + わたしを打つ者に、わたしの背をまかせ、わたしのひげを抜く者に、わたしのほおをまかせ、恥とつばきとを避けるために、顔をかくさなかった。 + しかし主なる神はわたしを助けられる。それゆえ、わたしは恥じることがなかった。それゆえ、わたしは顔を火打石のようにした。わたしは決してはずかしめられないことを知る。 + わたしを義とする者が近くおられる。だれがわたしと争うだろうか、われわれは共に立とう。わたしのあだはだれか、わたしの所へ近くこさせよ。 + 見よ、主なる神はわたしを助けられる。だれがわたしを罪に定めるだろうか。見よ、彼らは皆衣のようにふるび、しみのために食いつくされる。 + あなたがたのうち主を恐れ、そのしもべの声に聞き従い、暗い中を歩いて光を得なくても、なお主の名を頼み、おのれの神にたよる者はだれか。 + 見よ、火を燃やし、たいまつをともす者よ、皆その火の炎の中を歩め、またその燃やした、たいまつの中を歩め。あなたがたは、これをわたしの手から受けて、苦しみのうちに伏し倒れる。 + + + 「義を追い求め、主を尋ね求める者よ、わたしに聞け。あなたがたの切り出された岩と、あなたがたの掘り出された穴とを思いみよ。 + あなたがたの父アブラハムと、あなたがたを産んだサラとを思いみよ。わたしは彼をただひとりであったときに召し、彼を祝福して、その子孫を増し加えた。 + 主はシオンを慰め、またそのすべて荒れた所を慰めて、その荒野をエデンのように、そのさばくを主の園のようにされる。こうして、その中に喜びと楽しみとがあり、感謝と歌の声とがある。 + わが民よ、わたしに聞け、わが国びとよ、わたしに耳を傾けよ。律法はわたしから出、わが道はもろもろの民の光となる。 + わが義はすみやかに近づき、わが救は出て行った。わが腕はもろもろの民を治める。海沿いの国々はわたしを待ち望み、わが腕に寄り頼む。 + 目をあげて天を見、また下なる地を見よ。天は煙のように消え、地は衣のようにふるび、その中に住む者は、ぶよのように死ぬ。しかし、わが救はとこしえにながらえ、わが義はくじけることがない。 + 義を知る者よ、心のうちにわが律法をたもつ者よ、わたしに聞け。人のそしりを恐れてはならない、彼らのののしりに驚いてはならない。 + 彼らは衣のように、しみに食われ、羊の毛のように虫に食われるからだ。しかし、わが義はとこしえにながらえ、わが救はよろず代に及ぶ」。 + 主のかいなよ、さめよ、さめよ、力を着よ。さめて、いにしえの日、昔の代にあったようになれ。ラハブを切り殺し、龍を刺し貫いたのは、あなたではなかったか。 + 海をかわかし、大いなる淵の水をかわかし、また海の深き所を、あがなわれた者の過ぎる道とされたのは、あなたではなかったか。 + 主にあがなわれた者は、歌うたいつつ、シオンに帰ってきて、そのこうべに、とこしえの喜びをいただき、彼らは喜びと楽しみとを得、悲しみと嘆きとは逃げ去る。 + 「わたしこそあなたを慰める者だ。あなたは何者なれば、死ぬべき人を恐れ、草のようになるべき人の子を恐れるのか。 + 天をのべ、地の基をすえられたあなたの造り主、主を忘れて、なぜ、しえたげる者が滅ぼそうと備えをするとき、その憤りのゆえに常にひねもす恐れるのか。しえたげる者の憤りはどこにあるか。 + 身をかがめている捕われ人は、すみやかに解かれて、死ぬことなく、穴にくだることなく、その食物はつきることがない。 + わたしは海をふるわせ、その波をなりどよめかすあなたの神、主である。その名を万軍の主という。 + わたしはわが言葉をあなたの口におき、わが手の陰にあなたを隠した。こうして、わたしは天をのべ、地の基をすえ、シオンにむかって、あなたはわが民であると言う」。 + エルサレムよ、起きよ、起きよ、立て。あなたはさきに主の手から憤りの杯をうけて飲み、よろめかす大杯を、滓までも飲みほした。 + その産んだもろもろの子のなかに、自分を導く者なく、その育てたもろもろの子のなかに、自分の手をとる者がない。 + これら二つの事があなたに臨んだ――だれがあなたと共に嘆くだろうか――荒廃と滅亡、ききんとつるぎ。だれがあなたを慰めるだろうか。 + あなたの子らは息絶えだえになり、網にかかった、かもしかのように、すべてのちまたのすみに横たわり、主の憤りと、あなたの神の責めとは、彼らに満ちている。 + それゆえ、苦しめる者、酒にではなく酔っている者よ、これを聞け。 + あなたの主、おのが民の訴えを弁護されるあなたの神、主はこう言われる、「見よ、わたしはよろめかす杯をあなたの手から取り除き、わが憤りの大杯を取り除いた。あなたは再びこれを飲むことはない。 + わたしはこれをあなたを悩ます者の手におく。彼らはさきにあなたにむかって言った、『身をかがめよ、われわれは越えていこう』と。そしてあなたはその背を地のようにし、ちまたのようにして、彼らの越えていくにまかせた」。 + + + シオンよ、さめよ、さめよ、力を着よ。聖なる都エルサレムよ、美しい衣を着よ。割礼を受けない者および汚れた者は、もはやあなたのところに、はいることがないからだ。 + 捕われたエルサレムよ、あなたの身からちりを振り落せ、起きよ。捕われたシオンの娘よ、あなたの首のなわを解きすてよ。 + 主はこう言われる、「あなたがたは、ただで売られた。金を出さずにあがなわれる」。 + 主なる神はこう言われる、「わが民はさきにエジプトへ下って行って、かしこに寄留した。またアッスリヤびとはゆえなく彼らをしえたげた。 + それゆえ、今わたしはここに何をしようか。わが民はゆえなく捕われた」と主は言われる。主は言われる、「彼らをつかさどる者はわめき、わが名は常にひねもす侮られる。 + それゆえ、わが民はわが名を知るにいたる。その日には彼らはこの言葉を語る者がわたしであることを知る。わたしはここにおる」。 + よきおとずれを伝え、平和を告げ、よきおとずれを伝え、救を告げ、シオンにむかって「あなたの神は王となられた」と言う者の足は山の上にあって、なんと麗しいことだろう。 + 聞けよ、あなたの見張びとは声をあげて、共に喜び歌っている。彼らは目と目と相合わせて、主がシオンに帰られるのを見るからだ。 + エルサレムの荒れすたれた所よ、声を放って共に歌え。主はその民を慰め、エルサレムをあがなわれたからだ。 + 主はその聖なるかいなを、もろもろの国びとの前にあらわされた。地のすべての果は、われわれの神の救を見る。 + 去れよ、去れよ、そこを出て、汚れた物にさわるな。その中を出よ、主の器をになう者よ、おのれを清く保て。 + あなたがたは急いで出るに及ばない、また、とんで行くにも及ばない。主はあなたがたの前に行き、イスラエルの神はあなたがたのしんがりとなられるからだ。 + 見よ、わがしもべは栄える。彼は高められ、あげられ、ひじょうに高くなる。 + 多くの人が彼に驚いたように――彼の顔だちは、そこなわれて人と異なり、その姿は人の子と異なっていたからである―― + 彼は多くの国民を驚かす。王たちは彼のゆえに口をつむぐ。それは彼らがまだ伝えられなかったことを見、まだ聞かなかったことを悟るからだ。 + + + だれがわれわれの聞いたことを信じ得たか。主の腕は、だれにあらわれたか。 + 彼は主の前に若木のように、かわいた土から出る根のように育った。彼にはわれわれの見るべき姿がなく、威厳もなく、われわれの慕うべき美しさもない。 + 彼は侮られて人に捨てられ、悲しみの人で、病を知っていた。また顔をおおって忌みきらわれる者のように、彼は侮られた。われわれも彼を尊ばなかった。 + まことに彼はわれわれの病を負い、われわれの悲しみをになった。しかるに、われわれは思った、彼は打たれ、神にたたかれ、苦しめられたのだと。 + しかし彼はわれわれのとがのために傷つけられ、われわれの不義のために砕かれたのだ。彼はみずから懲しめをうけて、われわれに平安を与え、その打たれた傷によって、われわれはいやされたのだ。 + われわれはみな羊のように迷って、おのおの自分の道に向かって行った。主はわれわれすべての者の不義を、彼の上におかれた。 + 彼はしえたげられ、苦しめられたけれども、口を開かなかった。ほふり場にひかれて行く小羊のように、また毛を切る者の前に黙っている羊のように、口を開かなかった。 + 彼は暴虐なさばきによって取り去られた。その代の人のうち、だれが思ったであろうか、彼はわが民のとがのために打たれて、生けるものの地から断たれたのだと。 + 彼は暴虐を行わず、その口には偽りがなかったけれども、その墓は悪しき者と共に設けられ、その塚は悪をなす者と共にあった。 + しかも彼を砕くことは主のみ旨であり、主は彼を悩まされた。彼が自分を、とがの供え物となすとき、その子孫を見ることができ、その命をながくすることができる。かつ主のみ旨が彼の手によって栄える。 + 彼は自分の魂の苦しみにより光を見て満足する。義なるわがしもべはその知識によって、多くの人を義とし、また彼らの不義を負う。 + それゆえ、わたしは彼に大いなる者と共に物を分かち取らせる。彼は強い者と共に獲物を分かち取る。これは彼が死にいたるまで、自分の魂をそそぎだし、とがある者と共に数えられたからである。しかも彼は多くの人の罪を負い、とがある者のためにとりなしをした。 + + + 「子を産まなかったうまずめよ、歌え。産みの苦しみをしなかった者よ、声を放って歌いよばわれ。夫のない者の子は、とついだ者の子よりも多い」と主は言われる。 + 「あなたの天幕の場所を広くし、あなたのすまいの幕を張りひろげ、惜しむことなく、あなたの綱を長くし、あなたの杭を強固にせよ。 + あなたは右に左にひろがり、あなたの子孫はもろもろの国を獲、荒れすたれた町々をも住民で満たすからだ。 + 恐れてはならない。あなたは恥じることがない。あわてふためいてはならない。あなたは、はずかしめられることがない。あなたは若い時の恥を忘れ、寡婦であった時のはずかしめを、再び思い出すことがない。 + あなたを造られた者はあなたの夫であって、その名は万軍の主。あなたをあがなわれる者は、イスラエルの聖者であって、全地の神ととなえられる。 + 捨てられて心悲しむ妻、また若い時にとついで出された妻を招くように主はあなたを招かれた」とあなたの神は言われる。 + 「わたしはしばしばあなたを捨てたけれども、大いなるあわれみをもってあなたを集める。 + あふれる憤りをもって、しばしわが顔を隠したけれども、とこしえのいつくしみをもって、あなたをあわれむ」とあなたをあがなわれる主は言われる。 + 「このことはわたしにはノアの時のようだ。わたしはノアの洪水を、再び地にあふれさせないと誓ったが、そのように、わたしは再びあなたを怒らない、再びあなたを責めないと誓った。 + 山は移り、丘は動いても、わがいつくしみはあなたから移ることなく、平安を与えるわが契約は動くことがない」とあなたをあわれまれる主は言われる。 + 「苦しみをうけ、あらしにもてあそばれ、慰めを得ない者よ、見よ、わたしはアンチモニーであなたの石をすえ、サファイヤであなたの基をおき、 + めのうであなたの尖塔を造り、紅玉であなたの門を造り、あなたの城壁をことごとく宝石で造る。 + あなたの子らはみな主に教をうけ、あなたの子らは大いに栄える。 + あなたは義をもって堅く立ち、しえたげから遠ざかって恐れることはない。また恐怖から遠ざかる、それはあなたに近づくことがないからである。 + たとい争いを起す者があってもわたしによるのではない。すべてあなたと争う者は、あなたのゆえに倒れる。 + 見よ、炭火を吹きおこして、その目的にかなう武器を造り出す鍛冶は、わたしが創造した者、また荒し滅ぼす者も、わたしが創造した者である。 + すべてあなたを攻めるために造られる武器は、その目的を達しない。すべてあなたに逆らい立って、争い訴える舌は、あなたに説き破られる。これが主のしもべらの受ける嗣業であり、また彼らがわたしから受ける義である」と主は言われる。 + + + 「さあ、かわいている者はみな水にきたれ。金のない者もきたれ。来て買い求めて食べよ。あなたがたは来て、金を出さずに、ただでぶどう酒と乳とを買い求めよ。 + なぜ、あなたがたは、かてにもならぬもののために金を費し、飽きることもできぬもののために労するのか。わたしによく聞き従え。そうすれば、良い物を食べることができ、最も豊かな食物で、自分を楽しませることができる。 + 耳を傾け、わたしにきて聞け。そうすれば、あなたがたは生きることができる。わたしは、あなたがたと、とこしえの契約を立てて、ダビデに約束した変らない確かな恵みを与える。 + 見よ、わたしは彼を立てて、もろもろの民への証人とし、また、もろもろの民の君とし、命令する者とした。 + 見よ、あなたは知らない国民を招く、あなたを知らない国民はあなたのもとに走ってくる。これはあなたの神、主、イスラエルの聖者のゆえであり、主があなたに光栄を与えられたからである。 + あなたがたは主にお会いすることのできるうちに、主を尋ねよ。近くおられるうちに呼び求めよ。 + 悪しき者はその道を捨て、正らぬ人はその思いを捨てて、主に帰れ。そうすれば、主は彼にあわれみを施される。われわれの神に帰れ、主は豊かにゆるしを与えられる。 + わが思いは、あなたがたの思いとは異なり、わが道は、あなたがたの道とは異なっていると主は言われる。 + 天が地よりも高いように、わが道は、あなたがたの道よりも高く、わが思いは、あなたがたの思いよりも高い。 + 天から雨が降り、雪が落ちてまた帰らず、地を潤して物を生えさせ、芽を出させて、種まく者に種を与え、食べる者にかてを与える。 + このように、わが口から出る言葉も、むなしくわたしに帰らない。わたしの喜ぶところのことをなし、わたしが命じ送った事を果す。 + あなたがたは喜びをもって出てきて、安らかに導かれて行く。山と丘とはあなたの前に声を放って喜び歌い、野にある木はみな手を打つ。 + いとすぎは、いばらに代って生え、ミルトスの木は、おどろに代って生える。これは主の記念となり、また、とこしえのしるしとなって、絶えることはない」。 + + + 主はこう言われる、「あなたがたは公平を守って正義を行え。わが救の来るのは近く、わが助けのあらわれるのが近いからだ。 + 安息日を守って、これを汚さず、その手をおさえて、悪しき事をせず、このように行う人、これを堅く守る人の子はさいわいである」。 + 主に連なっている異邦人は言ってはならない、「主は必ずわたしをその民から分かたれる」と。宦官もまた言ってはならない、「見よ、わたしは枯れ木だ」と。 + 主はこう言われる、「わが安息日を守り、わが喜ぶことを選んで、わが契約を堅く守る宦官には、 + わが家のうちで、わが垣のうちで、むすこにも娘にもまさる記念のしるしと名を与え、絶えることのない、とこしえの名を与える。 + また主に連なり、主に仕え、主の名を愛し、そのしもべとなり、すべて安息日を守って、これを汚さず、わが契約を堅く守る異邦人は―― + わたしはこれをわが聖なる山にこさせ、わが祈の家のうちで楽しませる、彼らの燔祭と犠牲とは、わが祭壇の上に受けいれられる。わが家はすべての民の祈の家ととなえられるからである」。 + イスラエルの追いやられた者を集められる主なる神はこう言われる、「わたしはさらに人を集めて、すでに集められた者に加えよう」と。 + 野のすべての獣よ、林におるすべての獣よ、来て食らえ。 + 見張人らはみな目しいで、知ることがなく、みな、おしの犬で、ほえることができない。みな夢みる者、伏している者、まどろむことを好む者だ。 + この犬どもは強欲で、飽くことを知らない。彼らはまた悟ることのできない牧者で、皆おのが道にむかいゆき、おのおのみな、おのれの利を求める。 + 彼らは互に言う、「さあ、われわれは酒を手に入れ、濃い酒をあびるほど飲もう。あすも、きょうのようであるだろう、すばらしい日だ」と。 + + + 正しい者が滅びても、心にとめる人がなく、神を敬う人々が取り去られても、悟る者はない。正しい者は災の前に取り去られて、 + 平安に入るからである。すべて正直に歩む者は、その床に休むことができる。 + しかし、あなたがた女魔法使の子よ、姦夫と遊女のすえよ、こちらへ近寄れ。 + あなたがたは、だれにむかって戯れをなすのか。だれにむかって口を開き、舌を出すのか。あなたがたは背信の子ら、偽りのすえではないか。 + あなたがたは、かしの木の間、すべての青木の下で心をこがし、谷の中、岩のはざまで子どもを殺した。 + あなたは谷のなめらかな石を自分の嗣業とし、これを自分の分け前とし、これに灌祭をそそぎ、供え物をささげた。わたしはこれらの物によってなだめられようか。 + あなたは高くそびえた山の上に自分の床を設け、またそこに登って行って犠牲をささげた。 + また戸および柱のうしろに、あなたのしるしを置いた。あなたはわたしを離れて自分の床をあらわし、それにのぼって、その床をひろくした。また彼らと契約をなし、彼らの床を愛し、その裸を見た。 + あなたは、におい油を携えてモレクに行き、多くのかおり物をささげた。またあなたの使者を遠くにつかわし、陰府の深い所にまでつかわした。 + あなたは道の長いのに疲れても、なお「望みがない」とは言わなかった。あなたはおのが力の回復を得たので、衰えることがなかった。 + あなたはだれをおじ恐れて、偽りを言い、わたしを覚えず、また心におかなかったのか。わたしが久しく黙っていたために、あなたはわたしを恐れなかったのではなかったか。 + わたしはあなたの義と、あなたのわざを告げ示そう、しかしこれらはあなたを益しない。 + あなたが呼ばわる時、あなたが集めておいた偶像にあなたを救わせよ。風は彼らを運び去り、息は彼らを取り去る。しかしわたしに寄り頼む者は地を継ぎ、わが聖なる山をまもる。 + 主は言われる、「土を盛り、土を盛って道を備えよ、わが民の道から、つまずく物を取り去れ」と。 + いと高く、いと上なる者、とこしえに住む者、その名を聖ととなえられる者がこう言われる、「わたしは高く、聖なる所に住み、また心砕けて、へりくだる者と共に住み、へりくだる者の霊をいかし、砕ける者の心をいかす。 + わたしはかぎりなく争わない、また絶えず怒らない。霊はわたしから出、いのちの息はわたしがつくったからだ。 + 彼のむさぼりの罪のゆえに、わたしは怒って彼を打ち、わが顔をかくして怒った。しかし彼はなおそむいて、おのが心の道へ行った。 + わたしは彼の道を見た。わたしは彼をいやし、また彼を導き、慰めをもって彼に報い、悲しめる者のために、くちびるの実を造ろう。 + 遠い者にも近い者にも平安あれ、平安あれ、わたしは彼をいやそう」と主は言われる。 + しかし悪しき者は波の荒い海のようだ。静まることができないで、その水はついに泥と汚物とを出す。 + わが神は言われる、「よこしまな者には平安がない」と。 + + + 「大いに呼ばわって声を惜しむな。あなたの声をラッパのようにあげ、わが民にそのとがを告げ、ヤコブの家にその罪を告げ示せ。 + 彼らは日々わたしを尋ね求め、義を行い、神のおきてを捨てない国民のように、わが道を知ることを喜ぶ。彼らは正しいさばきをわたしに求め、神に近づくことを喜ぶ。 + 彼らは言う、『われわれが断食したのに、なぜ、ごらんにならないのか。われわれがおのれを苦しめたのに、なぜ、ごぞんじないのか』と。見よ、あなたがたの断食の日には、おのが楽しみを求め、その働き人をことごとくしえたげる。 + 見よ、あなたがたの断食するのは、ただ争いと、いさかいのため、また悪のこぶしをもって人を打つためだ。きょう、あなたがたのなす断食は、その声を上に聞えさせるものではない。 + このようなものは、わたしの選ぶ断食であろうか。人がおのれを苦しめる日であろうか。そのこうべを葦のように伏せ、荒布と灰とをその下に敷くことであろうか。あなたは、これを断食ととなえ、主に受けいれられる日と、となえるであろうか。 + わたしが選ぶところの断食は、悪のなわをほどき、くびきのひもを解き、しえたげられる者を放ち去らせ、すべてのくびきを折るなどの事ではないか。 + また飢えた者に、あなたのパンを分け与え、さすらえる貧しい者を、あなたの家に入れ、裸の者を見て、これを着せ、自分の骨肉に身を隠さないなどの事ではないか。 + そうすれば、あなたの光が暁のようにあらわれ出て、あなたは、すみやかにいやされ、あなたの義はあなたの前に行き、主の栄光はあなたのしんがりとなる。 + また、あなたが呼ぶとき、主は答えられ、あなたが叫ぶとき、『わたしはここにおる』と言われる。もし、あなたの中からくびきを除き、指をさすこと、悪い事を語ることを除き、 + 飢えた者にあなたのパンを施し、苦しむ者の願いを満ち足らせるならば、あなたの光は暗きに輝き、あなたのやみは真昼のようになる。 + 主は常にあなたを導き、良き物をもってあなたの願いを満ち足らせ、あなたの骨を強くされる。あなたは潤った園のように、水の絶えない泉のようになる。 + あなたの子らは久しく荒れすたれたる所を興し、あなたは代々やぶれた基を立て、人はあなたを『破れを繕う者』と呼び、『市街を繕って住むべき所となす者』と呼ぶようになる。 + もし安息日にあなたの足をとどめ、わが聖日にあなたの楽しみをなさず、安息日を喜びの日と呼び、主の聖日を尊ぶべき日ととなえ、これを尊んで、おのが道を行わず、おのが楽しみを求めず、むなしい言葉を語らないならば、 + その時あなたは主によって喜びを得、わたしは、あなたに地の高い所を乗り通らせ、あなたの先祖ヤコブの嗣業をもって、あなたを養う」。これは主の口から語られたものである。 + + + 見よ、主の手が短くて、救い得ないのではない。その耳が鈍くて聞き得ないのでもない。 + ただ、あなたがたの不義があなたがたと、あなたがたの神との間を隔てたのだ。またあなたがたの罪が主の顔をおおったために、お聞きにならないのだ。 + あなたがたの手は血で汚れ、あなたがたの指は不義で汚れ、あなたがたのくちびるは偽りを語り、あなたがたの舌は悪をささやき、 + ひとりも正義をもって訴え、真実をもって論争する者がない。彼らはむなしきことを頼み、偽りを語り、害悪をはらみ、不義を産む。 + 彼らはまむしの卵をかえし、くもの巣を織る。その卵を食べる者は死ぬ。卵が踏まれると破れて毒蛇を出す。 + その織る物は着物とならない。その造る物をもって身をおおうことができない。彼のわざは不義のわざであり、彼らの手には暴虐の行いがある。 + 彼らの足は悪に走り、罪のない血を流すことに速い。彼らの思いは不義の思いであり、荒廃と滅亡とがその道にある。 + 彼らは平和の道を知らず、その行く道には公平がない。彼らはその道を曲げた。すべてこれを歩む者は平和を知らない。 + それゆえ、公平は遠くわれわれを離れ、正義はわれわれに追いつかない。われわれは光を望んでも、暗きを見、輝きを望んでも、やみを行く。 + われわれは盲人のように、かきを手さぐりゆき、目のない者のように手さぐりゆき、真昼でも、たそがれのようにつまずき、強壮な者の中にあっても死人のようだ。 + われわれは皆くまのようにほえ、はとのようにいたくうめき、公平を望んでも、きたらず、救を望んでも、遠くわれわれを離れ去る。 + われわれのとがは、あなたの前に多く、罪は、われわれを訴えて、あかしをなし、とがは、われわれと共にあり、不義は、われわれがこれを知る。 + われわれは、そむいて主をいなみ、退いて、われわれの神に従わず、しえたげと、そむきとを語り、偽りの言葉を心にはらんで、それを言いあらわす。 + 公平はうしろに退けられ、正義ははるかに立つ。それは、真実は広場に倒れ、正直は、はいることができないからである。 + 真実は欠けてなく、悪を離れる者はかすめ奪われる。主はこれを見て、公平がなかったことを喜ばれなかった。 + 主は人のないのを見られ、仲に立つ者のないのをあやしまれた。それゆえ、ご自分のかいなをもって、勝利を得、その義をもって、おのれをささえられた。 + 主は義を胸当としてまとい、救のかぶとをその頭にいただき、報復の衣をまとって着物とし、熱心を外套として身を包まれた。 + 主は彼らの行いにしたがって報いをなし、あだにむかって怒り、敵にむかって報いをなし、海沿いの国々にむかって報いをされる。 + こうして、人々は西の方から主の名を恐れ、日の出る方からその栄光を恐れる。主は、せき止めた川を、そのいぶきで押し流すように、こられるからである。 + 主は言われる、「主は、あがなう者としてシオンにきたり、ヤコブのうちの、とがを離れる者に至る」と。 + 主は言われる、「わたしが彼らと立てる契約はこれである。あなたの上にあるわが霊、あなたの口においたわが言葉は、今から後とこしえに、あなたの口から、あなたの子らの口から、あなたの子らの子の口から離れることはない」と。 + + + 起きよ、光を放て。あなたの光が臨み、主の栄光があなたの上にのぼったから。 + 見よ、暗きは地をおおい、やみはもろもろの民をおおう。しかし、あなたの上には主が朝日のごとくのぼられ、主の栄光があなたの上にあらわれる。 + もろもろの国は、あなたの光に来、もろもろの王は、のぼるあなたの輝きに来る。 + あなたの目をあげて見まわせ、彼らはみな集まってあなたに来る。あなたの子らは遠くから来、あなたの娘らは、かいなにいだかれて来る。 + その時あなたは見て、喜びに輝き、あなたの心はどよめき、かつ喜ぶ。海の富が移ってあなたに来、もろもろの国の宝が、あなたに来るからである。 + 多くのらくだ、ミデアンおよびエパの若きらくだはあなたをおおい、シバの人々はみな黄金、乳香を携えてきて、主の誉を宣べ伝える。 + ケダルの羊の群れはみなあなたに集まって来、ネバヨテの雄羊はあなたに仕え、わが祭壇の上にのぼって受けいれられる。こうして、わたしはわが栄光の家を輝かす。 + 雲のように飛び、はとがその小屋に飛び帰るようにして来る者はだれか。 + 海沿いの国々はわたしを待ち望み、タルシシの船はいや先にあなたの子らを遠くから載せて来、また彼らの金銀を共に載せて来て、あなたの神、主の名にささげ、イスラエルの聖者にささげる。主があなたを輝かされたからである。 + 異邦人はあなたの城壁を築き、彼らの王たちはあなたに仕える。わたしは怒りをもってあなたを打ったけれども、また恵みをもってあなたをあわれんだからである。 + あなたの門は常に開いて、昼も夜も閉ざすことはない。これは人々が国々の宝をあなたに携えて来、その王たちを率いて来るためである。 + あなたに仕えない国と民とは滅び、その国々は全く荒れすたれる。 + レバノンの栄えはあなたに来、いとすぎ、すずかけ、まつは皆共に来て、わが聖所をかざる。またわたしはわが足をおく所を尊くする。 + あなたを苦しめた者の子らは、かがんで、あなたのもとに来、あなたをさげすんだ者は、ことごとくあなたの足もとに伏し、あなたを主の都、イスラエルの聖者のシオンととなえる。 + あなたは捨てられ、憎まれて、その中を過ぎる者もなかったが、わたしはあなたを、とこしえの誇、世々の喜びとする。 + あなたはまた、もろもろの国の乳を吸い、王たちの乳ぶさを吸い、そして主なるわたしが、あなたの救主、また、あなたのあがない主、ヤコブの全能者であることを知るにいたる。 + わたしは青銅の代りに黄金を携え、くろがねの代りにしろがねを携え、木の代りに青銅を、石の代りに鉄を携えてきて、あなたのまつりごとを平和にし、あなたのつかさびとを正しくする。 + 暴虐は、もはやあなたの地に聞かれず、荒廃と滅亡は、もはやあなたの境のうちに聞かれず、あなたはその城壁を「救」ととなえ、その門を「誉」ととなえる。 + 昼は、もはや太陽があなたの光とならず、夜も月が輝いてあなたを照さず、主はとこしえにあなたの光となり、あなたの神はあなたの栄えとなられる。 + あなたの太陽は再び没せず、あなたの月はかけることがない。主がとこしえにあなたの光となり、あなたの悲しみの日が終るからである。 + あなたの民はことごとく正しい者となって、とこしえに地を所有する。彼らはわたしの植えた若枝、わが手のわざ、わが栄光をあらわすものとなる。 + その最も小さい者は氏族となり、その最も弱い者は強い国となる。わたしは主である。その時がくるならば、すみやかにこの事をなす。 + + + 主なる神の霊がわたしに臨んだ。これは主がわたしに油を注いで、貧しい者に福音を宣べ伝えることをゆだね、わたしをつかわして心のいためる者をいやし、捕われ人に放免を告げ、縛られている者に解放を告げ、 + 主の恵みの年とわれわれの神の報復の日とを告げさせ、また、すべての悲しむ者を慰め、 + シオンの中の悲しむ者に喜びを与え、灰にかえて冠を与え、悲しみにかえて喜びの油を与え、憂いの心にかえて、さんびの衣を与えさせるためである。こうして、彼らは義のかしの木ととなえられ、主がその栄光をあらわすために植えられた者ととなえられる。 + 彼らはいにしえの荒れた所を建てなおし、さきに荒れすたれた所を興し、荒れた町々を新たにし、世々すたれた所を再び建てる。 + 外国人は立ってあなたがたの群れを飼い、異邦人はあなたがたの畑を耕す者となり、ぶどうを作る者となる。 + しかし、あなたがたは主の祭司ととなえられ、われわれの神の役者と呼ばれ、もろもろの国の富を食べ、彼らの宝を得て喜ぶ。 + あなたがたは、さきに受けた恥にかえて、二倍の賜物を受け、はずかしめにかえて、その嗣業を得て楽しむ。それゆえ、あなたがたはその地にあって、二倍の賜物を獲、とこしえの喜びを得る。 + 主なるわたしは公平を愛し、強奪と邪悪を憎み、真実をもって彼らに報いを与え、彼らと、とこしえの契約を結ぶからである。 + 彼らの子孫は、もろもろの国の中で知られ、彼らの子らは、もろもろの民の中に知られる。すべてこれを見る者はこれが主の祝福された民であることを認める。 + わたしは主を大いに喜び、わが魂はわが神を楽しむ。主がわたしに救の衣を着せ、義の上衣をまとわせて、花婿が冠をいただき、花嫁が宝玉をもって飾るようにされたからである。 + 地が芽をいだし、園がまいたものを生やすように、主なる神は義と誉とを、もろもろの国の前に、生やされる。 + + + シオンの義が朝日の輝きのようにあらわれいで、エルサレムの救が燃えるたいまつの様になるまで、わたしはシオンのために黙せず、エルサレムのために休まない。 + もろもろの国はあなたの義を見、もろもろの王は皆あなたの栄えを見る。そして、あなたは主の口が定められる新しい名をもってとなえられる。 + また、あなたは主の手にある麗しい冠となり、あなたの神の手にある王の冠となる。 + あなたはもはや「捨てられた者」と言われず、あなたの地はもはや「荒れた者」と言われず、あなたは「わが喜びは彼女にある」ととなえられ、あなたの地は「配偶ある者」ととなえられる。主はあなたを喜ばれ、あなたの地は配偶を得るからである。 + 若い者が処女をめとるようにあなたの子らはあなたをめとり、花婿が花嫁を喜ぶようにあなたの神はあなたを喜ばれる。 + エルサレムよ、わたしはあなたの城壁の上に見張人をおいて、昼も夜もたえず、もだすことのないようにしよう。主に思い出されることを求める者よ、みずから休んではならない。 + 主がエルサレムを堅く立てて、全地に誉を得させられるまで、お休みにならぬようにせよ。 + 主はその右の手をさし、大能のかいなをさして誓われた、「わたしは再びあなたの穀物をあなたの敵に与えて食べさせない。また、あなたが労して得たぶどう酒を異邦人に与えて飲ませない。 + しかし、穀物を刈り入れた者はこれを食べて主をほめたたえ、ぶどうを集めた者はわが聖所の庭でこれを飲む」。 + 門を通って行け、通って行け。民の道を備えよ。土を盛り、土を盛って大路を設けよ。石を取りのけ。もろもろの民の上に旗をあげよ。 + 見よ、主は地の果にまで告げて言われた、「シオンの娘に言え、『見よ、あなたの救は来る。見よ、その報いは主と共にあり、その働きの報いは、その前にある』と。 + 彼らは『聖なる民、主にあがなわれた者』ととなえられ、あなたは『人に尋ね求められる者、捨てられない町』ととなえられる」。 + + + 「このエドムから来る者、深紅の衣を着て、ボズラから来る者はだれか。その装いは、はなやかに、大いなる力をもって進み来る者はだれか」。「義をもって語り、救を施す力あるわたしがそれだ」。 + 「何ゆえあなたの装いは赤く、あなたの衣は酒ぶねを踏む者のように赤いのか」。 + 「わたしはひとりで酒ぶねを踏んだ。もろもろの民のなかに、わたしと事を共にする者はなかった。わたしは怒りによって彼らを踏み、憤りによって彼らを踏みにじったので、彼らの血がわが衣にふりかかり、わが装いをことごとく汚した。 + 報復の日がわが心のうちにあり、わがあがないの年が来たからである。 + わたしは見たけれども、助ける者はなく、怪しんだけれども、ささえる者はなかった。それゆえ、わがかいながわたしを勝たせ、わが憤りがわたしをささえた。 + わたしは怒りによって、もろもろの民を踏みにじり、憤りによって彼らを酔わせ、彼らの血を、地に流れさせた」。 + わたしは主がわれわれになされたすべてのことによって、主のいつくしみと、主の誉とを語り告げ、また、そのあわれみにより、その多くのいつくしみによって、イスラエルの家に施されたその大いなる恵みを語り告げよう。 + 主は言われた、「まことに彼らはわが民、偽りのない子らである」と。そして主は彼らの救主となられた。 + 彼らのすべての悩みのとき、主も悩まれて、そのみ前の使をもって彼らを救い、その愛とあわれみとによって彼らをあがない、いにしえの日、つねに彼らをもたげ、彼らを携えられた。 + ところが彼らはそむいてその聖なる霊を憂えさせたので、主はひるがえって彼らの敵となり、みずから彼らと戦われた。 + その時、民はいにしえのモーセの日を思い出して言った、「その群れの牧者を、海から携えあげた者はどこにいるか。彼らの中に聖なる霊をおいた者はどこにいるか。 + 栄光のかいなをモーセの右に行かせ、彼らの前に水を二つに分けて、みずから、とこしえの名をつくり、 + 彼らを導いて、馬が野を走るように、つまずくことなく淵を通らせた者はどこにいるか。 + 谷にくだる家畜のように、主の霊は彼らをいこわせられた。このように、あなたはおのれの民を導いてみずから栄光の名をつくられた」。 + どうか、天から見おろし、その聖なる栄光あるすみかからごらんください。あなたの熱心と、大能とはどこにありますか。あなたのせつなる同情とあわれみとはおさえられて、わたしにあらわれません。 + たといアブラハムがわれわれを知らず、イスラエルがわれわれを認めなくても、あなたはわれわれの父です。主よ、あなたはわれわれの父、いにしえからあなたの名はわれわれのあながい主です。 + 主よ、なぜ、われわれをあなたの道から離れ迷わせ、われわれの心をかたくなにして、あなたを恐れないようにされるのですか。どうぞ、あなたのしもべらのために、あなたの嗣業である部族らのために、お帰りください。 + あなたの聖なる民が、あなたの聖所を獲て間もないのに、われわれのあだは、それを踏みにじりました。 + われわれはあなたによって、いにしえから治められない者のようになり、あなたの名をもって、となえられない者のようになりました。 + + + どうか、あなたが天を裂いて下り、あなたの前に山々が震い動くように。 + 火が柴木を燃やし、火が水を沸かすときのごとく下られるように。そして、み名をあなたのあだにあらわし、もろもろの国をあなたの前に震えおののかせられるように。 + あなたは、われわれが期待しなかった恐るべき事をなされた時に下られたので、山々は震い動いた。 + いにしえからこのかた、あなたのほか神を待ち望む者に、このような事を行われた神を聞いたことはなく、耳に入れたこともなく、目に見たこともない。 + あなたは喜んで義を行い、あなたの道にあって、あなたを記念する者を迎えられる。見よ、あなたは怒られた、われわれは罪を犯した。われわれは久しく罪のうちにあった。われわれは救われるであろうか。 + われわれはみな汚れた人のようになり、われわれの正しい行いは、ことごとく汚れた衣のようである。われわれはみな木の葉のように枯れ、われわれの不義は風のようにわれわれを吹き去る。 + あなたの名を呼ぶ者はなく、みずから励んで、あなたによりすがる者はない。あなたはみ顔を隠して、われわれを顧みられず、われわれをおのれの不義の手に渡された。 + されど主よ、あなたはわれわれの父です。われわれは粘土であって、あなたは陶器師です。われわれはみな、み手のわざです。 + 主よ、ひどくお怒りにならぬように、いつまでも不義をみこころにとめられぬように。どうぞ、われわれを顧みてください。われわれはみな、あなたの民です。 + あなたの聖なる町々は荒野となり、シオンは荒野となり、エルサレムは荒れすたれた。 + われわれの先祖があなたをほめたたえた聖なる麗しいわれわれの宮は火で焼かれ、われわれが慕った所はことごとく荒れはてた。 + 主よ、これらの事があってもなお、あなたはみずからをおさえ、黙して、われわれをいたく苦しめられるのですか。 + + + わたしはわたしを求めなかった者に問われることを喜び、わたしを尋ねなかった者に見いだされることを喜んだ。わたしはわが名を呼ばなかった国民に言った、「わたしはここにいる、わたしはここにいる」と。 + よからぬ道に歩み、自分の思いに従うそむける民に、わたしはひねもす手を伸べて招いた。 + この民はまのあたり常にわたしを怒らせ、園の中で犠牲をささげ、かわらの上で香をたき、 + 墓場にすわり、ひそかな所にやどり、豚の肉を食らい、憎むべき物の、あつものをその器に盛って、 + 言う、「あなたはそこに立って、わたしに近づいてはならない。わたしはあなたと区別されたものだから」と。これらはわが鼻の煙、ひねもす燃える火である。 + 見よ、この事はわが前にしるされた、「わたしは黙っていないで報い返す。そうだ、わたしは彼らのふところに、 + 彼らの不義と、彼らの先祖たちの不義とを共に報い返す。彼らが山の上で香をたき、丘の上でわたしをそしったゆえ、わたしは彼らのさきのわざを量って、そのふところに返す」と主は言われる。 + 主はこう言われる、「人がぶどうのふさの中に、ぶどうのしるのあるのを見るならば、『それを破るな、その中に祝福があるから』と言う。そのようにわたしは、わがしもべらのために行って、ことごとくは滅ぼさない。 + わたしはヤコブから子孫をいだし、ユダからわが山々を受けつぐべき者をいだす。わたしが選んだ者はこれを受けつぎ、わがしもべらはそこに住む。 + シャロンは羊の群れの牧場となり、アコルの谷は牛の群れの伏す所となって、わたしを尋ね求めたわが民のものとなる。 + しかし主を捨て、わが聖なる山を忘れ、机を禍福の神に供え、混ぜ合わせた酒を盛って運命の神にささげるあなたがたよ、 + わたしは、あなたがたをつるぎに渡すことに定めた。あなたがたは皆かがんでほふられる。あなたがたはわたしが呼んだときに答えず、わたしが語ったときに聞かず、わたしの目に悪い事をおこない、わたしの好まなかった事を選んだからだ」。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、「見よ、わがしもべたちは食べる、しかし、あなたがたは飢える。見よ、わがしもべたちは飲む、しかし、あなたがたはかわく。見よ、わがしもべたちは喜ぶ、しかし、あなたがたは恥じる。 + 見よ、わがしもべたちは心の楽しみによって歌う、しかし、あなたがたは心の苦しみによって叫び、たましいの悩みによって泣き叫ぶ。 + あなたがたの残す名はわが選んだ者には、のろいの文句となり、主なる神はあなたがたを殺される。しかし、おのれのしもべたちを、ほかの名をもって呼ばれる。 + それゆえ、地にあっておのれのために祝福を求める者は、真実の神によっておのれの祝福を求め、地にあって誓う者は、真実の神をさして誓う。さきの悩みは忘れられて、わが目から隠れうせるからである。 + 見よ、わたしは新しい天と、新しい地とを創造する。さきの事はおぼえられることなく、心に思い起すことはない。 + しかし、あなたがたはわたしの創造するものにより、とこしえに楽しみ、喜びを得よ。見よ、わたしはエルサレムを造って喜びとし、その民を楽しみとする。 + わたしはエルサレムを喜び、わが民を楽しむ。泣く声と叫ぶ声は再びその中に聞えることはない。 + わずか数日で死ぬみどりごと、おのが命の日を満たさない老人とは、もはやその中にいない。百歳で死ぬ者も、なお若い者とせられ、百歳で死ぬ者は、のろわれた罪びととされる。 + 彼らは家を建てて、それに住み、ぶどう畑を作って、その実を食べる。 + 彼らが建てる所に、ほかの人は住まず、彼らが植えるものは、ほかの人が食べない。わが民の命は、木の命のようになり、わが選んだ者は、その手のわざをながく楽しむからである。 + 彼らの勤労はむだでなく、その生むところの子らは災にかからない。彼らは主に祝福された者のすえであって、その子らも彼らと共におるからである。 + 彼らが呼ばないさきに、わたしは答え、彼らがなお語っているときに、わたしは聞く。 + おおかみと小羊とは共に食らい、ししは牛のようにわらを食らい、へびはちりを食物とする。彼らはわが聖なる山のどこでもそこなうことなく、やぶることはない」と主は言われる。 + + + 主はこう言われる、「天はわが位、地はわが足台である。あなたがたはわたしのためにどんな家を建てようとするのか。またどんな所がわが休み所となるのか」。 + 主は言われる、「わが手はすべてこれらの物を造った。これらの物はことごとくわたしのものである。しかし、わたしが顧みる人はこれである。すなわち、へりくだって心悔い、わが言葉に恐れおののく者である。 + 牛をほふる者は、また人を殺す者、小羊を犠牲とする者は、また犬をくびり殺す者、供え物をささげる者は、また豚の血をささげる者、乳香を記念としてささげる者は、また偶像をほめる者である。これはおのが道を選び、その心は憎むべきものを楽しむ。 + わたしもまた彼らのために悩みを選び、彼らの恐れるところのものを彼らに臨ませる。これは、わたしが呼んだときに答える者なく、わたしが語ったときに聞くことをせず、わたしの目に悪い事を行い、わたしの好まなかった事を選んだからである」。 + あなたがた、主の言葉に恐れおののく者よ、主の言葉を聞け、「あなたがたの兄弟たちはあなたがたを憎み、あなたがたをわが名のために追い出して言った、『願わくは主がその栄光をあらわしてわれわれにあなたがたの喜びを見させよ』と。しかし彼らは恥を受ける。 + 聞けよ、町から起る騒ぎを。宮から聞える声を。主がその敵に報復される声を。 + シオンは産みの苦しみをなす前に産み、その苦しみの来ない前に男子を産んだ。 + だれがこのような事を聞いたか、だれがこのような事どもを見たか。一つの国は一日の苦しみで生れるだろうか。一つの国民はひと時に生れるだろうか。しかし、シオンは産みの苦しみをするやいなやその子らを産んだ。 + わたしが出産に臨ませて産ませないことがあろうか」と主は言われる。「わたしは産ませる者なのに胎をとざすであろうか」とあなたの神は言われる。 + 「すべてエルサレムを愛する者よ、彼女と共に喜べ、彼女のゆえに楽しめ。すべて彼女のために悲しむ者よ、彼女と共に喜び楽しめ。 + あなたがたは慰めを与えるエルサレムの乳ぶさから乳を吸って飽くことができ、またその豊かな栄えから飲んで楽しむことができるからだ」。 + 主はこう言われる、「見よ、わたしは川のように彼女に繁栄を与え、みなぎる流れのように、もろもろの国の富を与える。あなたがたは乳を飲み、腰に負われ、ひざの上であやされる。 + 母のその子を慰めるように、わたしもあなたがたを慰める。あなたがたはエルサレムで慰めを得る。 + あなたがたは見て、心喜び、あなたがたの骨は若草のように栄える。主の手はそのしもべらと共にあり、その憤りはその敵にむかっていることを知る。 + 見よ、主は火の中にあらわれて来られる。その車はつむじ風のようだ。激しい怒りをもってその憤りをもらし、火の炎をもって責められる。 + 主は火をもって、またつるぎをもって、すべての人にさばきを行われる。主に殺される者は多い」。 + 「みずからを聖別し、みずからを清めて園に行き、その中にあるものに従い、豚の肉、憎むべき物およびねずみを食う者はみな共に絶えうせる」と主は言われる。 + 「わたしは彼らのわざと、彼らの思いとを知っている。わたしは来て、すべての国民と、もろもろのやからとを集める。彼らは来て、わが栄光を見る。 + わたしは彼らの中に一つのしるしを立てて、のがれた者をもろもろの国、すなわちタルシシ、よく弓をひくプトおよびルデ、トバル、ヤワン、またわが名声を聞かず、わが栄光を見ない遠くの海沿いの国々につかわす。彼らはわが栄光をもろもろの国民の中に伝える。 + 彼らはイスラエルの子らが清い器に供え物を盛って主の宮に携えて来るように、あなたがたの兄弟をことごとくもろもろの国の中から馬、車、かご、騾馬、らくだに乗せて、わが聖なる山エルサレムにこさせ、主の供え物とする」と主は言われる。 + 「わたしはまた彼らの中から人を選んで祭司とし、レビびととする」と主は言われる。 + 「わたしが造ろうとする新しい天と、新しい地がわたしの前にながくとどまるように、あなたの子孫と、あなたの名はながくとどまる」と主は言われる。 + 「新月ごとに、安息日ごとに、すべての人はわが前に来て礼拝する」と主は言われる。 + 「彼らは出て、わたしにそむいた人々のしかばねを見る。そのうじは死なず、その火は消えることがない。彼らはすべての人に忌みきらわれる」。 + +
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+ + ベニヤミンの地アナトテの祭司のひとりである、ヒルキヤの子エレミヤの言葉。 + アモンの子、ユダの王ヨシヤの時、すなわちその治世の十三年に、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + その言葉はまたヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの時にも臨んで、ヨシヤの子、ユダの王ゼデキヤの十一年の終り、すなわちその年の五月にエルサレムの民が捕え移された時にまで及んだ。 + 主の言葉がわたしに臨んで言う、 + 「わたしはあなたをまだ母の胎につくらないさきに、あなたを知り、あなたがまだ生れないさきに、あなたを聖別し、あなたを立てて万国の預言者とした」。 + その時わたしは言った、「ああ、主なる神よ、わたしはただ若者にすぎず、どのように語ってよいか知りません」。 + しかし主はわたしに言われた、「あなたはただ若者にすぎないと言ってはならない。だれにでも、すべてわたしがつかわす人へ行き、あなたに命じることをみな語らなければならない。 + 彼らを恐れてはならない、わたしがあなたと共にいて、あなたを救うからである」と主は仰せられる。 + そして主はみ手を伸べて、わたしの口につけ、主はわたしに言われた、「見よ、わたしの言葉をあなたの口に入れた。 + 見よ、わたしはきょう、あなたを万民の上と、万国の上に立て、あなたに、あるいは抜き、あるいはこわし、あるいは滅ぼし、あるいは倒し、あるいは建て、あるいは植えさせる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んで言う、「エレミヤよ、あなたは何を見るか」。わたしは答えた、「あめんどうの枝を見ます」。 + 主はわたしに言われた、「あなたの見たとおりだ。わたしは自分の言葉を行おうとして見張っているのだ」。 + 主の言葉がふたたびわたしに臨んで言う、「あなたは何を見るか」。わたしは答えた、「煮え立っているなべを見ます。北からこちらに向かっています」。 + 主はわたしに言われた、「災が北から起って、この地に住むすべての者の上に臨む」。 + 主は言われる、「見よ、わたしは北の国々のすべての民を呼ぶ。彼らは来て、エルサレムの門の入口と、周囲のすべての城壁、およびユダのすべての町々に向かって、おのおのその座を設ける。 + わたしは、彼らがわたしを捨てて、すべての悪事を行ったゆえに、わたしのさばきを彼らに告げる。彼らは他の神々に香をたき、自分の手で作った物を拝したのである。 + しかしあなたは腰に帯して立ち、わたしが命じるすべての事を彼らに告げよ。彼らを恐れてはならない。さもないと、わたしは彼らの前であなたをあわてさせる。 + 見よ、わたしはきょう、この全国と、ユダの王と、そのつかさと、その祭司と、その地の民の前に、あなたを堅き城、鉄の柱、青銅の城壁とする。 + 彼らはあなたと戦うが、あなたに勝つことはできない。わたしがあなたと共にいて、あなたを救うからである」と主は言われる。 + + + 主の言葉がわたしに臨んで言う、 + 「行って、エルサレムに住む者の耳に告げよ、主はこう言われる、わたしはあなたの若い時の純情、花嫁の時の愛、荒野なる、種まかぬ地でわたしに従ったことを覚えている。 + イスラエルは主のために聖別されたもの、その刈入れの初穂である。すべてこれを食べる者は罪せられ、災にあう」と主は言われる。 + ヤコブの家とイスラエルの家のすべてのやからよ、主の言葉を聞け。 + 主はこう言われる、「あなたがたの先祖は、わたしになんの悪い事があるのを見て、わたしから遠ざかり、むなしいものに従って、むなしくなったのか。 + 彼らは言わなかった、『われわれをエジプトの地より導き出し、荒野なる、穴の多い荒れた地、かわいた濃い暗黒の地、人の通らない、人の住まない地を通らせた主はどこにおられるか』と。 + わたしはあなたがたを導いて豊かな地に入れ、その実と良い物を食べさせた。しかしあなたがたはここにはいって、わたしの地を汚し、わたしの嗣業を憎むべきものとした。 + 祭司たちは、『主はどこにおられるか』と言わなかった。律法を扱う者たちはわたしを知らず、つかさたちはわたしにそむき、預言者たちはバアルによって預言し、益なき者に従って行った。 + それゆえ、わたしはなお、あなたがたと争う、またあなたがたの子孫と争う」と主は言われる。 + 「あなたがたはクプロの島々に渡ってみよ、また人をケダルにつかわして、このようなことがかつてあったかをつまびらかに、しらべてみよ。 + その神を神ではない者に取り替えた国があろうか。ところが、わたしの民はその栄光を益なきものと取り替えた。 + 天よ、この事を知って驚け、おののけ、いたく恐れよ」と主は言われる。 + 「それは、わたしの民が二つの悪しき事を行ったからである。すなわち生ける水の源であるわたしを捨てて、自分で水ためを掘った。それは、こわれた水ためで、水を入れておくことのできないものだ。 + イスラエルは奴隷であるか、家に生れたしもべであるか。それならなぜ捕われの身となったのか。 + ししは彼に向かってほえ、その声を高くあげて、彼の地を荒した。その町々は滅びて住む人もない。 + メンピスとタパネスの人々もまた、あなたのかしらの冠を砕いた。 + あなたの神、主があなたを道に導かれた時、あなたは主を捨てたので、この事があなたに及んだのではないか。 + あなたがナイルの水を飲もうとして、エジプトへ行くのは何のためか。またユフラテの水を飲もうとして、アッスリヤへ行くのは何のためか。 + あなたの悪事はあなたを懲しめ、あなたの背信はあなたを責める。あなたが、あなたの神、主を捨てることの悪しくかつ苦いことであるのを見て知るがよい。わたしを恐れることがあなたのうちにないのだ」と万軍の神、主は言われる。 + 「あなたは久しい以前に自分のくびきを折り、自分のなわめを断ち切って、『わたしは仕えることをしない』と言った。そして、すべての高い丘の上と、すべての青木の下で、遊女のように身をかがめた。 + わたしはあなたを、まったく良い種のすぐれたぶどうの木として植えたのに、どうしてあなたは変って、悪い野ぶどうの木となったのか。 + たといソーダをもって自ら洗い、また多くの灰汁を用いても、あなたの悪の汚れは、なおわたしの前にある」と主なる神は言われる。 + 「どうしてあなたは、『わたしは汚れていない、バアルに従わなかった』と言うことができようか。谷の中でのあなたの行いを見るがよい。あなたのしたことを知るがよい。あなたは御しがたい若いらくだであって、その道を行きつもどりつする。 + あなたは荒野に慣れた野の雌ろばである、その欲情のために風にあえぐ。その欲情をだれがとどめることができようか。すべてこれを尋ねる者は苦労するにおよばない、その月であればこれに会うことができる。 + あなたの足が、はだしにならないように、のどが、かわかないようにせよ。ところが、あなたは言った、『それはだめだ、わたしは異なる国の者を愛して、それに従って行こう』と。 + 盗びとが捕えられて、はずかしめを受けるように、イスラエルの家は、はずかしめを受ける。彼らはその王も、そのつかさも、その祭司も、その預言者もみなそのとおりである。 + 彼らは木に向かって、『あなたはわたしの父です』と言い、また石に向かって、『あなたはわたしを生んでくださった』と言う。彼らは背をわたしに向けて、その顔をわたしに向けない。しかし彼らが災にあう時は、『立って、われわれを救いたまえ』と言う。 + あなたが自分のために造った神々はどこにいるのか。あなたが災にあう時、もし彼らがあなたを救えるなら、立ってもらうがよい。ユダよ、あなたの神々は、あなたの町の数ほど多いからである。 + あなたがたは、なぜわたしと争うのか。あなたがたは皆わたしにそむいている」と主は言われる。 + 「わたしがあなたがたの子どもたちを打ったのはむだであった。彼らは戒めを受けず、あなたがたのつるぎは、たけりたつししのように、預言者たちを滅ぼした。 + あなたがたこの世代の人よ、主の言葉を聞け。わたしはイスラエルにとって、荒野であったであろうか。暗黒の地であったであろうか。それならなぜ、わたしの民は『われわれは自由だ、もはやあなたのところへは行かない』と言うのか。 + おとめはその飾り物を忘れることができようか。花嫁はその帯を忘れることができようか。ところが、わたしの民の、わたしを忘れた日は数えがたい。 + あなたは恋人を尋ねて、いかにも巧みにその方に足を向ける。それゆえ悪い女さえ、あなたの道を学んだ。 + また、あなたの着物のすそには罪のない貧しい人の命の血がついている。あなたは彼らが押し入るのを見たのではない。しかも、すべてこれらの事にもかかわらず、 + あなたは言う、『わたしは罪がない。彼の怒りは、決してわたしに臨むことがない』と。あなたが『わたしは罪を犯さなかった』と言うことによって、わたしはあなたをさばく。 + あなたはなぜ軽々しくさまよって、その道を変えようとするのか。あなたはアッスリヤに、はずかしめを受けたように、エジプトにもまた、はずかしめを受ける。 + あなたはまた両手を頭に置いて、そこから出て来る。主があなたの頼みとする者どもを捨てられたので、あなたは彼らによって栄えることがないからだ。 + + + もし人がその妻を離婚し、女が彼のもとを去って、他人の妻となるなら、その人はふたたび彼女に帰るであろうか。その地は大いに汚れないであろうか。あなたは多くの恋人と姦淫を行った。しかもわたしに帰ろうというのか」と主は言われる。 + 「目をあげてもろもろの裸の山を見よ、姦淫を行わなかった所がどこにあるか。荒野にいるアラビヤびとがするように、あなたは道のかたわらに座して恋人を待った。あなたは姦淫の悪事をもって、この地を汚した。 + それゆえ雨はとどめられ、春の雨は降らなかった。しかもあなたには遊女の額があり、少しも恥じようとはしない。 + 今あなたは、わたしを呼んで言ったではないか、『わが父よ、あなたはわたしの若い時の友です。 + 永久に怒られるのですか、終りまで憤られるのですか』と。見よ、あなたはこう言ったけれども、なしうるかぎりのもろもろの悪を行った」。 + ヨシヤ王の時、主はまたわたしに言われた、「あなたは、かの背信のイスラエルがしたことを見たか。彼女はすべての高い丘にのぼり、すべての青木の下に行って、そこで姦淫を行った。 + わたしは、彼女がこのすべてを行った後、わたしの所に帰るであろうと思ったが、帰ってこなかった。その不信の姉妹ユダはこれを見た。 + わたしが背信のイスラエルを、そのすべての姦淫のゆえに、離縁状を与えて出したのをユダは見た。しかもその不信の姉妹ユダは恐れず、自分も行って姦淫を行った。 + 彼女にとって姦淫は軽いことであったので、石と木とに姦淫を行って、この地を汚した。 + このすべての事があっても、なおその不信の姉妹ユダは真心をもってわたしに帰らない、ただ偽っているだけだ」と主は言われる。 + 主はまたわたしに言われた、「背信のイスラエルは不信のユダよりも自分の罪の少ないことを示した。 + あなたは行って北にむかい、この言葉をのべて言うがよい、『主は言われる、背信のイスラエルよ、帰れ。わたしは怒りの顔をあなたがたに向けない、わたしはいつくしみ深い者である。いつまでも怒ることはしないと、主は言われる。 + ただあなたは自分の罪を認め、あなたの神、主にそむいてすべての青木の下で異なる神々にあなたの愛を惜しまず与えたこと、わたしの声に聞き従わなかったことを言いあらわせと、主は言われる。 + 主は言われる、背信の子らよ、帰れ。わたしはあなたがたの夫だからである。町からひとり、氏族からふたりを取って、あなたがたをシオンへ連れて行こう。 + わたしは自分の心にかなう牧者たちをあなたがたに与える。彼らは知識と悟りとをもってあなたがたを養う。 + 主は言われる、あなたがたが地に増して多くなるとき、その日には、人々はかさねて「主の契約の箱」と言わず、これを思い出さず、これを覚えず、これを尋ねず、これを作らない。 + そのときエルサレムは主のみ位ととなえられ、万国の民はここに集まる。すなわち主の名のもとにエルサレムに集まり、かさねて、かたくなに自分の悪い心に従うことはしない。 + その日には、ユダの家はイスラエルの家と一緒になり、北の地から出て、わたしがあなたがたの先祖たちに嗣業として与えた地に共に来る。 + どのようにして、あなたをわたしの子どもたちのうちに置き、万国のうちで最も美しい嗣業である良い地をあなたに与えようかと、わたしは思っていた。わたしはまた、あなたがわたしを「わが父」と呼び、わたしに従って離れることはないと思っていた。 + イスラエルの家よ、背信の妻が夫のもとを去るように、たしかに、あなたがたはわたしにそむいた』と主は言われる」。 + 裸の山の上に声が聞える、イスラエルの民が悲しみ祈るのである。彼らが曲った道に歩み、その神、主を忘れたからだ。 + 「背信の子どもたちよ、帰れ。わたしはあなたがたの背信をいやす」。「見よ、われわれはあなたのもとに帰ります。あなたはわれわれの神、主であらせられます。 + まことに、もろもろの丘は迷いであり、山の上の騒ぎも同じです。まことに、イスラエルの救はわれわれの神、主にあるのです。 + しかし、われわれの幼少の時から、恥ずべきことが、われわれの先祖のほねおって得たもの、すなわちその羊、その牛、およびそのむすこ、娘たちをことごとくのみ尽しました。 + われわれは恥の中に伏し、はずかしめにおおわれています。それはわれわれと先祖とが、われわれの幼少の時から今日まで、われわれの神、主に罪を犯し、われわれの神、主の声に従わなかったからです」。 + + + 主は言われる、「イスラエルよ、もし、あなたが帰るならば、わたしのもとに帰らなければならない。もし、あなたが憎むべき者をわたしの前から取り除いて、ためらうことなく、 + また真実と正義と正直とをもって、『主は生きておられる』と誓うならば、万国の民は彼によって祝福を受け、彼によって誇る」。 + 主はユダの人々とエルサレムに住む人々にこう言われる、「あなたがたの新田を耕せ、いばらの中に種をまくな。 + ユダの人々とエルサレムに住む人々よ、あなたがたは自ら割礼を行って、主に属するものとなり、自分の心の前の皮を取り去れ。さもないと、あなたがたの悪しき行いのためにわたしの怒りが火のように発して燃え、これを消す者はない」。 + ユダに告げ、エルサレムに示して言え、「国中にラッパを吹き、大声に呼ばわって言え、『集まれ、われわれは堅固な町々へ行こう』と。 + シオンの方を示す旗を立てよ。避難せよ、とどまってはならない、わたしが北から災と大いなる破滅をこさせるからだ。 + ししはその森から出てのぼり、国々を滅ぼす者は進んできた。彼はあなたの国を荒そうとして、すでにその所から出てきた。あなたの町々は滅ぼされて、住む者もなくなる。 + このために、あなたがたは荒布を身にまとって、悲しみ嘆け。主の激しい怒りが、まだわれわれを離れないからだ」。 + 主は言われる、「その日、王と君たちとはその心を失い、祭司は驚き、預言者は怪しむ」。 + そこでわたしは言った、「ああ主なる神よ、まことにあなたはこの民とエルサレムとをまったく欺かれました。『あなたがたは安らかになる』と言われましたが、つるぎが命にまでも及びました」。 + その時この民とエルサレムとはこう告げられる、「熱い風が荒野の裸の山からわたしの民の娘のほうに吹いてくる。これはあおぎ分けるためではなく、清めるためでもない。 + これよりもなお激しい風がわたしのために吹く。いまわたしは彼らにさばきを告げる」。 + 見よ、彼は雲のように上ってくる。その戦車はつむじ風のよう、その馬はわしの飛ぶよりも速い。ああ、われわれはわざわいだ、われわれは滅ぼされる。 + エルサレムよ、あなたの心の悪を洗い清めよ、そうするならば救われる。悪しき思いはいつまであなたのうちにとどまるのか。 + ダンから告げる声がある、エフライムの山から災を知らせている。 + 国々の民に彼の来ることを告げ、またエルサレムに知らせよ。「攻めかこむ者が遠くの国から来て、ユダの町々にむかってその声をあげる。 + 彼らは畑を守る者のようにこれを攻めかこむ。それはわたしにそむいたからだと、主は言われる。 + あなたの道とその行いとが、あなたの身にこれを招いたのだ。これはあなたの悪の結果で、まことに苦く、あなたの心をつらぬく」。 + ああ、わがはらわたよ、わがはらわたよ、わたしは苦しみにもだえる。ああ、わが心臓の壁よ、わたしの心臓は、はげしく鼓動する。わたしは沈黙を守ることができない、ラッパの声と、戦いの叫びを聞くからである。 + 破壊に次ぐに破壊があり、全地は荒され、わたしの天幕はにわかに破られ、わたしの幕はたちまち破られた。 + いつまでわたしは旗を見、またラッパの声を聞かなければならないのか。 + 「わたしの民は愚かであって、わたしを知らない。彼らは愚鈍な子どもらで、悟ることがない。彼らは悪を行うのにさといけれども、善を行うことを知らない」。 + わたしは地を見たが、それは形がなく、またむなしかった。天をあおいだが、そこには光がなかった。 + わたしは山を見たが、みな震え、もろもろの丘は動いていた。 + わたしは見たが、人はひとりもおらず、空の鳥はみな飛び去っていた。 + わたしは見たが、豊かな地は荒れ地となり、そのすべての町は、主の前に、その激しい怒りの前に、破壊されていた。 + それは主がこう言われたからだ、「全地は荒れ地となる。しかしわたしはことごとくはこれを滅ぼさない。 + このために地は悲しみ、上なる天は暗くなる。わたしがすでにこれを言い、これを定めたからだ。わたしは悔いない、またそれをする事をやめない」。 + どの町の人も、騎兵と射手の叫びのために逃げて森に入り、岩に上る。町はみな捨てられ、そこに住む人はない。 + ああ、荒された女よ、あなたが紅の着物をき、金の飾りで身をよそおい、目を塗って大きくするのは、なんのためか。あなたが美しくしても、むだである。あなたの恋人らはあなたを卑しめ、あなたの命を求めている。 + わたしは子を産む女のような声、ういごを産む女の苦しむような声を聞いた。シオンの娘のあえぐ叫びである。両手を伸べて彼女は言う、「わたしはわざわいだ、わたしを殺す者らの前にわたしは気が遠くなる」と。 + + + エルサレムのちまたを行きめぐり、見て、知るがよい。その広場を尋ねて、公平を行い、真実を求める者が、ひとりでもあるか捜してみよ。あれば、わたしはエルサレムをゆるす。 + 彼らは、「主は生きておられる」と言うけれども、実は、偽って誓うのだ。 + 主よ、あなたの目は、真実を顧みられるではありませんか。あなたが彼らを打たれても、痛みを覚えず、彼らを滅ぼされても、懲しめを受けることを拒み、その顔を岩よりも堅くして、悔い改めることを拒みました。 + それで、わたしは言った、「これらはただ貧しい愚かな人々で、主の道と、神のおきてを知りません。 + わたしは偉い人たちの所へ行って、彼らに語ります。彼らは主の道を知り、神のおきてを知っています」。ところが、彼らも皆おなじように、くびきを折り、なわめを断っていた。 + それゆえ林から、ししが出てきて彼らを殺し、荒野から、おおかみが出てきて彼らを滅ぼす。ひょうは彼らの町々をねらっている。そこから出る者はみな裂かれる。彼らの罪が多く、その背信がはなはだしいからである。 + 「わたしはどうしてあなたを、ゆるすことができようか。あなたの子どもらは、わたしを捨てさり、神でもないものをさして誓った。わたしが彼らを満ち足らせた時、彼らは姦淫を行い、遊女の家に群れ集まった。 + 彼らは肥え太った丈夫な雄馬のように、おのおの、いなないて隣の妻を慕う。 + わたしはこれらの事のために彼らを罰しないでいられようか。このような国民にあだを返さないであろうか」と主は言われる。 + 「あなたがたはユダのぶどうの並み木の間を、のぼって行って、滅ぼせ、ただ、ことごとく滅ぼしてはならない。その枝を切り除け、主のものではないからである。 + イスラエルの家とユダの家とはわたしにまったく不信であった」と主は言われる。 + 「彼らは主について偽り語って言った、『主は何事もなされない、災はわれわれに来ない、またつるぎや、ききんを見ることはない。 + 預言者らは風となり、彼らのうちに言葉はない。彼らはこのようになる』と」。 + それゆえ万軍の神、主はこう言われる、「彼らがこの言葉を語ったので、見よ、わたしはあなたの口にあるわたしの言葉を火とし、この民をたきぎとする。火は彼らを焼き尽す」。 + 主は言われる、「イスラエルの家よ、見よ、わたしは遠い国の民をあなたがたのところに攻めこさせる。その国は長く続く国、古い国で、あなたがたはその国の言葉を知らず、人々の語るのを悟ることもできない。 + その箙は開いた墓のようであり、彼らはみな勇士である。 + 彼らはあなたが刈り入れた物と、あなたの糧食とを食い尽し、あなたのむすこ娘を食い尽し、あなたの羊と牛を食い尽し、あなたのぶどうの木といちじくの木を食い尽し、またつるぎをもって、あなたが頼みとする堅固な町々を滅ぼす」。 + 主は言われる、「しかしその時でも、わたしはことごとくはあなたを滅ぼさない。 + あなたの民が、『どうしてわれわれの神、主はこれらのすべての事をわれわれになされたのか』と言うならば、あなたは彼らに答えなければならない、『あなたがたがわたしを捨てて、自分の地で異なる神々に仕えたように、あなたがたは自分のものでない地で異邦の人に仕えるようになる』と」。 + これをヤコブの家にのべ、またユダに示して言え、 + 「愚かで、悟りもなく、目があっても見えず、耳があっても聞えない民よ、これを聞け。 + 主は言われる、あなたがたはわたしを恐れないのか、わたしの前におののかないのか。わたしは砂を置いて海の境とし、これを永遠の限界として、越えることができないようにした。波はさかまいても、勝つことはできない、鳴りわたっても、これを越えることはできない。 + ところが、この民には強情な、そむく心があり、彼らはわき道にそれて、去ってしまった。 + 彼らは『われわれに雨を与え、秋の雨と春の雨を時にしたがって降らせ、われわれのために刈入れの時を定められたわれわれの神、主を恐れよう』とその心のうちに言わないのだ。 + あなたがたのとがは、これらの事をしりぞけ、あなたがたの罪は、良い物があなたがたに来るのをさまたげた。 + わが民のうちには悪い者があって、鳥をとる人のように身をかがめてうかがい、わなを置いて人を捕える。 + かごに鳥が満ちているように、彼らの家は不義の宝で満ちている。それゆえ、彼らは大いなる者、裕福な者となり、 + 肥えて、つやがあり、その悪しき行いには際限がない。彼らは公正に、みなしごの訴えをさばいて、それを助けようとはせず、また貧しい人の訴えをさばかない。 + 主は言われる、わたしはこのような事のために、彼らを罰しないであろうか。わたしはこのような民に、あだを返さないであろうか」。 + 驚くべきこと、恐るべきことがこの地に起っている。 + 預言者は偽って預言し、祭司は自分の手によって治め、わが民はこのようにすることを愛している。しかしあなたがたはその終りにはどうするつもりか。 + + + ベニヤミンの人々よ、エルサレムの中から避難せよ。テコアでラッパを吹き、ベテハケレムに合図の火をあげよ。北から災が臨み、大いなる滅びが来るからである。 + わたしは美しい、たおやかなシオンの娘を滅ぼす。 + 牧者たちは、その群れをひきいて来て、彼女を攻め、彼女の周囲に天幕を張る。群れはおのおのその所で草を食う。 + 「戦いを始め、彼女を攻めよ。立て、われわれは真昼に攻撃しよう」。「わざわいなるかな、日ははや傾き、夕日の影は長くなった」。 + 「立て、われわれは夜の間に攻撃しよう、そして彼女のもろもろの宮殿を破壊しよう」。 + 万軍の主はこう言われる、「あなたがたは彼女の木を切り倒し、エルサレムにむかって塁を築け。これは罰すべき町である、そのうちにはただ圧制だけがある。 + 井戸に新しい水がわくように彼女はその悪を常にあらたに流す。そのうちには暴虐と破滅とが聞える。わたしの前に病と傷とが絶えない。 + エルサレムよ、戒めを受けいれよ。さもないと、わたしはあなたから離れ、あなたを荒れ地とし、住む人のない地とする」。 + 万軍の主はこう言われる、「ぶどうの残りを摘みとるように、イスラエルの残りの民をのこらず摘み取れ。ぶどうを摘みとる人のように、あなたの手をふたたびその枝に伸ばせ」。 + わたしはだれに語り、だれを戒めて、聞かせようか。見よ、彼らの耳は閉ざされて、聞くことができない。見よ、彼らは主の言葉をあざけり、それを喜ばない。 + それゆえ、わたしの身には主の怒りが満ち、それを忍ぶのに、うみつかれている。「それをちまたにいる子供らと、集まっている若い人々とに漏らせ。夫も妻も、老いた人も、年のひじょうに進んだ人も捕えられ、 + 彼らの家と畑と妻とは共に他人に渡る。わたしが手を伸ばして、この地に住む者を撃つからである」と主は言われる。 + 「それは彼らが、小さい者から大きい者まで、みな不正な利をむさぼり、また預言者から祭司にいたるまで、みな偽りを行っているからだ。 + 彼らは、手軽にわたしの民の傷をいやし、平安がないのに『平安、平安』と言っている。 + 彼らは憎むべきことをして、恥じたであろうか。すこしも恥ずかしいとは思わず、また恥じることを知らなかった。それゆえ彼らは倒れる者と共に倒れる。わたしが彼らを罰するとき、彼らは倒れる」と主は言われる。 + 主はこう言われる、「あなたがたはわかれ道に立って、よく見、いにしえの道につき、良い道がどれかを尋ねて、その道に歩み、そしてあなたがたの魂のために、安息を得よ。しかし彼らは答えて、『われわれはその道に歩まない』と言った。 + わたしはあなたがたの上に見張びとを立て、『ラッパの音に気をつけよ』と言った。しかし彼らは答えて、『われわれは気をつけることはしない』と言った。 + それゆえ国々の民よ、聞け。会衆よ、彼らにどのようなことが起るかを知れ。 + 地よ、聞け。見よ、わたしはこの民に災をくだす。それは彼らのたくらみの実である。彼らがわたしの言葉に気をつけず、わたしのおきてを捨てたからである。 + シバから、わたしの所に乳香が来、遠い国から、菖蒲が来るのはなんのためか。あなたがたの燔祭はわたしには喜ばしくなく、あなたがたの犠牲もうれしくはない。 + それゆえ主はこう言われる、『見よ、わたしはこの民の前につまずく石を置く、人々は父も子も共にそれにつまずき、隣り人もその友も滅びる』」。 + 主はこう言われる、「見よ、民が北の国から来る、大いなる国民が地の果から興る。 + 彼らは弓とやりをとる。彼らは残忍で、あわれみがなく、海のような響きを立てる。シオンの娘よ、彼らは馬に乗り、いくさ人のように身をよろって、あなたを攻める」。 + われわれはそのうわさを聞いて、手は弱り、子を産む女に臨むような悩みと苦しみとに捕えられた。 + 畑に出てはならない、また道を歩いてはならない。敵はつるぎを持ち、恐れが四方にあるからだ。 + わが民の娘よ、荒布を身にまとい、灰の中にまろび、ひとり子を失った時のように、悲しみ、いたく嘆け。滅ぼす者が、にわかにわれわれを襲うからだ。 + 「わたしはあなたを民のうちに立てて、ためす者、試みる者とした。あなたが彼らの道を知り、それをためすことができるようにするためである。 + 彼らはみな、強情な反逆者であって、歩きまわって人をそしる。彼らは青銅や鉄であって、みな卑しいことを行う。 + ふいごは激しく吹き、鉛は火にとけて尽き、精錬はいたずらに進む。悪しき者がまだ除かれないからである。 + 主が彼らを捨てられたので、彼らは捨てられた銀と呼ばれる」。 + + + 主からエレミヤに臨んだ言葉はこうである。 + 「主の家の門に立ち、その所で、この言葉をのべて言え、主を拝むために、この門をはいるユダのすべての人よ、主の言葉を聞け。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、あなたがたの道とあなたがたの行いを改めるならば、わたしはあなたがたをこの所に住まわせる。 + あなたがたは、『これは主の神殿だ、主の神殿だ、主の神殿だ』という偽りの言葉を頼みとしてはならない。 + もしあなたがたが、まことに、その道と行いを改めて、互に公正を行い、 + 寄留の他国人と、みなしごと、やもめをしえたげることなく、罪のない人の血をこの所に流すことなく、また、ほかの神々に従って自ら害をまねくことをしないならば、 + わたしはあなたがたを、わたしが昔あなたがたの先祖に与えたこの地に永遠に住まわせる。 + 見よ、あなたがたは偽りの言葉を頼みとしているが、それはむだである。 + あなたがたは盗み、殺し、姦淫し、偽って誓い、バアルに香をたき、あなたがたが以前には知らなかった他の神々に従いながら、 + わたしの名をもって、となえられるこの家に来てわたしの前に立ち、『われわれは救われた』と言い、しかもすべてこれら憎むべきことを行うのは、どうしたことか。 + わたしの名をもって、となえられるこの家が、あなたがたの目には盗賊の巣と見えるのか。わたし自身、そう見たと主は言われる。 + わたしが初めにわたしの名を置いた場所シロへ行き、わが民イスラエルの悪のために、わたしがその場所に対して行ったことを見よ。 + 主は言われる、今あなたがたはこれらのすべてのことを行っている。またわたしはあなたがたに、しきりに語ったけれども、あなたがたは聞かず、あなたがたを呼んだけれども答えなかった。 + それゆえわたしはシロに対して行ったように、わたしの名をもって、となえられるこの家にも行う。すなわちあなたがたが頼みとする所、わたしがあなたがたと、あなたがたの先祖に与えたこの所に行う。 + そしてわたしは、あなたがたのすべての兄弟、すなわちエフライムのすべての子孫を捨てたように、わたしの前からあなたがたをも捨てる。 + あなたはこの民のために祈ってはならない。彼らのために嘆き、祈ってはならない。またわたしに、とりなしをしてはならない。わたしはあなたの求めを聞かない。 + あなたは彼らがユダの町々と、エルサレムのちまたでしていることを見ないのか。 + 子どもらは、たきぎを集め、父たちは火をたき、女は粉をこね、パンを造ってこれを天后に供える。また彼らは他の神々の前に酒を注いで、わたしを怒らせる。 + 主は言われる、彼らが怒らせるのはわたしなのか。自分たち自身ではないのか。そして自らうろたえている。 + それゆえ主なる神はこう言われる、見よ、わたしの怒りと憤りを、この所と、人と獣と、畑の木と、地の産物とに注ぐ。怒りは燃えて消えることがない」。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、「あなたがたの犠牲に燔祭の物を合わせて肉を食べるがよい。 + それはあなたがたの先祖をエジプトの地から導き出した日に、わたしは燔祭と犠牲とについて彼らに語ったこともなく、また命じたこともないからである。 + ただわたしはこの戒めを彼らに与えて言った、『わたしの声に聞きしたがいなさい。そうすれば、わたしはあなたがたの神となり、あなたがたはわたしの民となる。わたしがあなたがたに命じるすべての道を歩んで幸を得なさい』と。 + しかし彼らは聞き従わず、耳を傾けず、自分の悪い心の計りごとと強情にしたがって歩み、悪くなるばかりで、よくはならなかった。 + あなたがたの先祖がエジプトの地を出た日から今日まで、わたしはわたしのしもべである預言者たちを日々彼らにつかわした。 + しかし彼らはわたしに聞かず、耳を傾けないで強情になり、先祖たちにもまさって悪を行った。 + たといあなたが彼らにこのすべての言葉を語っても彼らは聞かない。また彼らを呼んでもあなたに答えない。 + それゆえ、あなたはこう彼らに言わなければならない、『これはその神、主の声に聞き従わず、その戒めを受けいれなかった国民である。真実はうせ、彼らの口から絶えた。 + あなたの髪の毛を切って捨てよ、裸の山の上に嘆きの声をあげよ。主が、お怒りになっている世の人を退け捨てられたからだ』。 + 主は言われる、ユダの民はわたしの前に悪を行い、わたしの名をもってとなえられる家に、憎むべき者を置いてそこを汚した。 + またベンヒンノムの谷にあるトペテの高き所を築いて、むすこ娘を火に焼いた。わたしはそれを命じたことはなく、またそのようなことを考えたこともなかった。 + 主は言われる、それゆえに見よ、その所をトペテ、またはベンヒンノムの谷と呼ばないで、ほふりの谷と呼ぶ日が来る。それはほかに場所がないので、トペテに葬るからである。 + この民の死体は空の鳥と地の獣の食物となり、これを追い払う者もない。 + そのときわたしはユダの町々とエルサレムのちまたに、喜びの声、楽しみの声、花婿の声、花嫁の声を絶やす。この地は荒れ果てるからである。 + + + 主は言われる、その時ユダの王たちの骨と、そのつかさたちの骨と、祭司たちの骨と、預言者たちの骨と、エルサレムに住む人々の骨は墓より掘り出されて、 + 彼らの愛し、仕え、従い、求め、また拝んだ、日と月と天の衆群の前にさらされる。その骨は集める者も葬る者もなく、地のおもてに糞土のようになる。 + この悪しき民のうちの残っている残りの者はみな、わたしが追いやった場所で、生きることよりも死ぬことを願うようになると、万軍の主は言われる。 + あなたは彼らに言わなければならない。主はこう仰せられる、人は倒れたならば、また起きあがらないであろうか。離れていったならば、帰ってこないであろうか。 + それにどうしてこの民は、常にそむいて離れていくのか。彼らは偽りを固くとらえて、帰ってくることを拒んでいる。 + わたしは気をつけて聞いたが、彼らは正しくは語らなかった。その悪を悔いて、『わたしのした事は何か』という者はひとりもない。彼らはみな戦場に、はせ入る馬のように、自分のすきな道に向かう。 + 空のこうのとりでもその時を知り、山ばとと、つばめと、つるはその来る時を守る。しかしわが民は主のおきてを知らない。 + どうしてあなたがたは、『われわれには知恵がある、主のおきてがある』と言うことができようか。見よ、まことに書記の偽りの筆がこれを偽りにしたのだ。 + 知恵ある者は、はずかしめられ、あわてふためき、捕えられる。見よ、彼らは主の言葉を捨てた、彼らになんの知恵があろうか。 + それゆえ、わたしは彼らの妻を他人に与え、その畑を征服者に与える。それは彼らが小さい者から大きい者にいたるまで、みな不正な利をむさぼり、預言者から祭司にいたるまで、みな偽りを行っているからである。 + 彼らは手軽に、わたしの民の傷をいやし、平安がないのに、『平安、平安』と言っている。 + 彼らは憎むべきことをして、恥じたであろうか。すこしも恥ずかしいとは思わず、また恥じることを知らなかった。それゆえ彼らは倒れる者と共に倒れる。わたしが彼らを罰するとき、彼らは倒れると、主は言われる。 + 主は言われる、わたしが集めようと思うとき、ぶどうの木にぶどうはなく、いちじくの木に、いちじくはなく、葉さえ、しぼんでいる。わたしが彼らに与えたものも、彼らを離れて、うせ去った」。 + どうしてわれわれはなす事もなく座しているのか。集まって、堅固な町にはいり、そこでわれわれは滅びよう。われわれが主に罪を犯したので、われわれの神、主がわれわれを滅ぼそうとして、毒の水を飲ませられるのだ。 + われわれは平安を望んだが、良い事はこなかった。いやされる時を望んだが、かえって恐怖が来た。 + 「彼らの馬のいななきはダンから聞えてくる。彼らの強い馬の声によって全地は震う。彼らは来て、この地と、ここにあるすべてのもの、町と、そのうちに住む者とを食い滅ぼす。 + 見よ、魔法をもってならすことのできない、へびや、まむしをあなたがたのうちにつかわす。それはあなたがたをかむ」と主は言われる。 + わが嘆きはいやしがたく、わが心はうちに悩む。 + 聞け、地の全面から、わが民の娘の声があがるのを。「主はシオンにおられないのか、シオンの王はそのうちにおられないのか」。「なぜ彼らはその彫像と、異邦の偶像とをもって、わたしを怒らせたのか」。 + 「刈入れの時は過ぎ、夏もはや終った、しかしわれわれはまだ救われない」。 + わが民の娘の傷によって、わが心は痛む。わたしは嘆き、うろたえる。 + ギレアデに乳香があるではないか。その所に医者がいるではないか。それにどうしてわが民の娘はいやされることがないのか。 + + + ああ、わたしの頭が水となり、わたしの目が涙の泉となればよいのに。そうすれば、わたしは民の娘の殺された者のために昼も夜も嘆くことができる。 + ああ、わたしが荒野に、隊商の宿を得ることができればよいのに。そうすれば、わたしは民を離れて去って行くことができる。彼らはみな姦淫する者、不信のともがらだからである。 + 彼らは弓をひくように、その舌を曲げる。真実ではなく、偽りがこの地に強くなった。彼らは悪より悪に進み、またわたしを知らないと、主は言われる。 + あなたがたはおのおの隣り人に気をつけよ。どの兄弟をも信じてはならない。兄弟はみな、押しのける者であり、隣り人はみな、ののしって歩く者だからである。 + 人はみな、その隣り人を欺き、真実を言う者はない。彼らは自分の舌に偽りを言うことを教え、悪を行い、疲れて悔い改めるいとまもなく、 + しえたげに、しえたげを積み重ね、偽りに偽りを積み重ね、わたしを知ることを拒んでいると、主は言われる。 + それゆえ万軍の主はこう言われる、「見よ、わたしは彼らを溶かし、試みる。このほか、わが民をどうすることができよう。 + 彼らの舌は殺す矢のようだ、それは偽りを言う。その口ではおのおの隣り人におだやかに語るが、その心では彼を待ち伏せる計りごとを立てる。 + 主は言われる、これらのことのために、わたしが彼らを罰しないだろうか。わたしがこのような民にあだを返さないだろうか。 + 山のために泣き叫び、野の牧場のために悲しめ。これらは荒れすたれて、通り過ぎる人もない。ここには牛、羊の鳴く声も聞えず、空の鳥も獣も皆逃げ去った。 + わたしはエルサレムを荒塚とし、山犬の巣とする。またユダの町々を荒して、住む人もない所とする」。 + 知恵があって、これを悟ることのできる人はだれか。主の口の言葉をうけて、それを示す人はだれか。この地が滅ぼされて荒野のようになり、通り過ぎる人もなくなったのはどういうわけか。 + 主は言われる、「それは彼らの前にわたしが立てたおきてを彼らが捨てて、わたしの声に聞き従わず、そのとおりに歩かなかったからである。 + 彼らは強情に自分の心に従い、また先祖の教えたようにバアルに従った。 + それゆえ万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、見よ、わたしはこの民に、にがよもぎを食べさせ、毒の水を飲ませ、 + 彼らも、その先祖たちも知らなかった国びとのうちに彼らを散らし、また彼らを滅ぼし尽すまで、そのうしろに、つるぎをつかわす」。 + 万軍の主はこう言われる、「よく考えて、泣き女を呼べ。また人をつかわして巧みな女を招け。 + 彼らに急いでこさせ、われわれのために泣き悲しませて、われわれの目に涙をこぼさせ、まぶたから水をあふれさせよ。 + シオンから悲しみの声が聞える。それは言う、『ああ、われわれは滅ぼされ、いたく、はずかしめられている。われわれはその地を去り、彼らがわれわれのすみかをこわしたからだ』」。 + 女たちよ、主の言葉を聞け。あなたがたの耳に、その口の言葉をいれよ。あなたがたの娘に悲しみの歌を教え、おのおのその隣り人に哀悼の歌を教えよ。 + 死がわれわれの窓に上って来、われわれの邸宅の中にはいり、ちまたにいる子どもらを絶やし、広場にいる若い人たちを殺そうとしているからだ。 + あなたはこう言いなさい、「主は言われる、『人の死体が糞土のように、野に倒れているようになり、また刈入れする人のうしろに残って、だれも集めることをしない束のようになる』」。 + 主はこう言われる、「知恵ある人はその知恵を誇ってはならない。力ある人はその力を誇ってはならない。富める者はその富を誇ってはならない。 + 誇る者はこれを誇とせよ。すなわち、さとくあって、わたしを知っていること、わたしが主であって、地に、いつくしみと公平と正義を行っている者であることを知ることがそれである。わたしはこれらの事を喜ぶと、主は言われる」。 + 主は言われる、「見よ、このような日が来る。その日には、割礼をうけても、心に割礼をうけていないすべての人をわたしは罰する。 + エジプト、ユダ、エドム、アンモンの人々、モアブ、および野にいて、髪の毛のすみずみをそる人々はそれである。これらの国びとはみな割礼をうけていない者であり、イスラエルの全家もみな心に割礼をうけていない者である」。 + + + イスラエルの家よ、主のあなたがたに語られる言葉を聞け。 + 主はこう言われる、「異邦の人の道に習ってはならない。また異邦の人が天に現れるしるしを恐れても、あなたがたはそれを恐れてはならない。 + 異邦の民のならわしはむなしいからだ。彼らの崇拝するものは、林から切りだした木で、木工の手で、おのをもって造ったものだ。 + 人々は銀や金をもって、それを飾り、くぎと鎚をもって動かないようにそれをとめる。 + その偶像は、きゅうり畑のかかしのようで、ものを言うことができない。歩くこともできないから、人に運んでもらわなければならない。それを恐れるに及ばない。それは災をくだすことができず、また幸をくだす力もないからだ」。 + 主よ、あなたに並びうる者はありません。あなたは大いなる者であり、あなたの名もその力のために大いなるものであります。 + 万国の王であるあなたを、恐れない者がありましょうか。あなたを恐れるのは当然のことであります。万国のすべての知恵ある者のうちにも、その国々のうちにも、あなたに並びうる者はありません。 + 彼らは皆、愚かで鈍く、偶像の教は、ただ木にすぎない。 + 銀ぱくはタルシシから渡来し、金はウパズから携えてくる。これらは工人と金細工人の工作である。彼らの着物はすみれ色と紫色である。これらはみな巧みな細工人の作った物である。 + しかし主はまことの神である。生きた神であり、永遠の王である。その怒りによって地は震いうごき、万国はその憤りに当ることができない。 + あなたがたは彼らに、こう言わなければならない、「天地を造らなかった神々は地の上、天の下から滅び去る」と。 + 主はその力をもって地を造り、その知恵をもって世界を建て、その悟りをもって天をのべられた。 + 彼が声を出されると、天に多くの水のざわめきがあり、また地の果から霧を立ちあがらせられる。彼は雨のために、いなびかりをおこし、その倉から風を取り出される。 + すべての人は愚かで知恵がなく、すべての金細工人はその造った偶像のために恥をこうむる。その偶像は偽り物で、そのうちに息がないからだ。 + これらは、むなしいもので、迷いのわざである。罰せられる時に滅びるものである。 + ヤコブの分である彼はこのようなものではない。彼は万物の造り主だからである。イスラエルは彼の嗣業としての部族である。彼の名を万軍の主という。 + 囲みの中におる者よ、あなたの包を地から取り上げよ。 + 主がこう言われるからだ、「見よ、わたしはこのたび、この地に住む者を投げ捨てる。かつ彼らをせめなやまして、思い知らせる」。 + わたしはいたでをうけた、ああ、わざわいなるかな、わたしの傷は重い。しかしわたしは言った、「まことに、これは悩みである。わたしはこれを忍ばなければならない」と。 + わたしの天幕は破れ、綱はことごとく切れ、子どもたちはわたしを捨てて行って、いなくなった。もはやわたしの天幕を張る者はなく、幕を掛ける者もない。 + 牧者は愚かであって、主に問うことをしないからである。それゆえ彼らは栄えることもなく、その群れはみな散り去っている。 + 聞けよ、うわさのあるのを。見よ、北の国から大いなる騒ぎが来る。これはユダの町々を荒して山犬の巣とする。 + 主よ、わたしは知っています、人の道は自身によるのではなく、歩む人が、その歩みを自分で決めることのできないことを。 + 主よ、わたしを懲らしてください。正しい道にしたがって、怒らずに懲らしてください。さもないと、わたしは無に帰してしまうでしょう。 + あなたを知らない国民と、あなたの名をとなえない人々にあなたの怒りを注いでください。彼らはヤコブを食い尽しこれを食い尽して滅ぼし、そのすみかを荒したからです。 + + + 主からエレミヤに臨んだ言葉は言う、 + 「この契約の言葉を聞き、ユダの人々とエルサレムに住む者に告げよ。 + 彼らに言え、イスラエルの神、主はこう仰せられる、この契約の言葉に従わない人は、のろわれる。 + この契約は、わたしがあなたがたの先祖をエジプトの地、鉄のかまどの中から導き出した時に、彼らに命じたところのものである。すなわち、その時わたしは彼らに言った、わたしの声を聞き、あなたがたに命じるすべてのことを行うならば、あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる。 + そして、わたしがあなたがたの先祖に、乳と蜜との流れる地を与えると誓ったことを、なし遂げると。すなわち今日のとおりである」。その時わたしは、「主よ、仰せのとおりです」と答えた。 + 主はわたしに言われた、「このすべての言葉を、ユダの町々と、エルサレムのちまたに告げ示し、この契約の言葉を聞き、これを行え、と言いなさい。 + わたしは、あなたがたの先祖をエジプトの地から導き出した時から今日にいたるまで、おごそかに彼らを戒め、絶えず戒めて、わたしの声に聞き従うようにと言った。 + しかし彼らは従わず、その耳を傾けず、おのおの自分の悪い強情な心に従って歩んだ。それゆえ、わたしはこの契約の言葉をもって彼らを責めた。これはわたしが彼らに行えと命じたが、行わなかったものである」。 + 主はまたわたしに言われた、「ユダの人々とエルサレムに住む者のうちに反逆の事がある。 + 彼らは、わたしの言葉を聞くことを拒んだその先祖たちの罪に立ち返り、またほかの神々に従ってそれに仕えた。イスラエルの家とユダの家とは、わたしがその先祖たちと結んだ契約を破った。 + それゆえ主はこう言われる、見よ、わたしは災を彼らの上に下す。彼らはそれを免れることはできない。彼らがわたしを呼んでも、わたしは聞かない。 + ユダの町々とエルサレムに住む者は、行って、自分たちがそれに香をたいている神々に呼び求めるが、これらは、彼らの災の時にも決して彼らを救うことはできない。 + ユダよ、あなたの神々は、あなたの町の数ほど多くなった。またあなたがたはエルサレムのちまたの数ほどの祭壇を恥ずべき者のために立てた。すなわちバアルに香をたくための祭壇である。 + それゆえ、この民のために祈ってはならない。また彼らのために泣き、あるいは祈り求めてはならない。彼らがその災の時に、わたしに呼ばわっても、わたしは彼らに聞くことをしないからだ。 + わが愛する者は、わたしの家で何をするのか。すでにこれは悪事を行った。誓願と犠牲の肉とがあなたに災を免れさせることができるであろうか。それであなたは喜ぶことができるであろうか。 + 主はあなたを、かつては『良い実のなる美しい青々としたオリブの木』と呼ばれたが、激しい暴風のとどろきと共に、主はそれに火をかけ、その枝を焼き払われるのである。 + あなたを植えた万軍の主は、あなたに向かって災を言い渡された。これはイスラエルの家とユダの家とが悪を行い、バアルに香をたいて、わたしを怒らせたからである」。 + 主が知らせてくださったので、わたしはそれを知った。その時、あなたは彼らの悪しきわざをわたしに示された。 + しかしわたしは、ほふられに行く、おとなしい小羊のようで、彼らがわたしを害しようと、計りごとをめぐらしているのを知らなかった。彼らは言う、「さあ、木とその実を共に滅ぼそう。生ける者の地から彼を絶って、その名を人に忘れさせよう」。 + 正しいさばきをし、人の心と思いを探られる万軍の主よ、わたしは自分の訴えをあなたにお任せしました。あなたが彼らにあだをかえされるのを見させてください。 + それゆえ主はアナトテの人々についてこう言われる、彼らはあなたの命を取ろうと求めて言う、「主の名によって預言してはならない。それをするならば、あなたはわれわれの手にかかって死ぬであろう」。 + それで万軍の主はこう言われる、「見よ、わたしは彼らを罰する。若い人はつるぎで死に、彼らのむすこ娘は、ききんで死に、 + だれも残る者はない。わたしがアナトテの人々に災を下し、彼らを罰する年をこさせるからである」。 + + + 主よ、わたしがあなたと論じ争う時、あなたは常に正しい。しかしなお、わたしはあなたの前に、さばきのことを論じてみたい。悪人の道がさかえ、不信実な者がみな繁栄するのはなにゆえですか。 + あなたが彼らを植えられたので、彼らは根づき、育って、実を結びます。彼らは口ではあなたに近づきますが、心はあなたから遠ざかっています。 + 主よ、あなたはわたしを知り、わたしを見、わたしの心があなたに対していかにあるかを試みられます。ほふるために羊を引き出すように、彼らを引き出し、殺す日にそなえて、彼らを残しておいてください。 + いつまで、この地は嘆き、どの畑の野菜も枯れていてよいでしょうか。この地に住む者の悪によって、獣と鳥は滅びうせます。人々は言いました、「彼はわれわれの終りを見ることはない」と。 + 「もしあなたが、徒歩の人と競争して疲れるなら、どうして騎馬の人と競うことができようか。もし安全な地で、あなたが倒れるなら、ヨルダンの密林では、どうするつもりか。 + あなたの兄弟たち、あなたの父の家のものさえ、あなたを欺き、大声をあげて、あなたを追っている。彼らが親しげにあなたに語ることがあっても、彼らを信じてはならない」。 + 「わたしはわが家を離れ、わが嗣業を捨て、わが魂の愛する者を敵の手に渡した。 + わたしの嗣業は、わたしにとって林の中のししのようになった。これはわたしに向かってその声をあげる。それゆえわたしはこれを憎む。 + わたしの嗣業は、わたしにとって、斑点のある猛禽のようではないか。他の猛禽がこれを囲んでいるではないか。行って、野の獣をみな集め、連れてきてこれを食べさせよ。 + 多くの牧者たちはわたしのぶどう畑を滅ぼし、わたしの地を踏み荒した。わたしの麗しい地を荒れた野にした。 + 彼らはこれを荒れ地としてしまった。その荒れ地がわたしに向かって嘆くのだ。全地は荒れ地にされた。しかし、ひとりもこれを心に留める者はない。 + 滅ぼす者どもが荒野のすべての、はげ山の上にきた。主のつるぎが、地の、この果から、かの果までを滅ぼすのだ。命あるものは安らかであることができない。 + 彼らは麦をまいて、いばらを刈り取る。苦労してもなんの利益もない。彼らはその収穫を恥じるようになる。主の激しい怒りによってである」。 + わたしがわが民イスラエルにつがせた嗣業に手を触れるすべての悪い隣り人について、主はこう言われる、「見よ、わたしは彼らをその地から抜き出し、ユダの家を彼らのうちから抜き出す。 + わたしは、彼らを抜き出したのちに、また彼らをあわれんで、それぞれその嗣業に導き返し、おのおのを、その地に帰らせる。 + もし彼らがわたしの民の道を学び、わたしの名によって、『主は生きておられる』と言って誓うことが、かつて彼らがわたしの民に教えてバアルをさして誓わせたようになるならば、彼らはわたしの民のうちに建てられる。 + しかし耳をかさない民があるときは、わたしはその民を抜き出して滅ぼすと、主は言われる」。 + + + 主はわたしにこう言われた、「行って、亜麻布の帯を買い、腰に結べ。水につけてはならない」。 + そこで、わたしは主の言葉に従い、帯を買って腰に結んだ。 + 主の言葉は、再びわたしに臨んで言った、 + 「あなたが買って腰に結んでいる帯を手に取り、立ってユフラテの川へ行き、その所の岩の裂け目にこれを隠せ」。 + わたしは主が命じられたように、行って、これをユフラテの川のほとりに隠した。 + 多くの日を経てのち、主はわたしに言われた、「立って、ユフラテの川へ行き、あなたに命じて、そこに隠させた帯をその所から取ってきなさい」。 + そこでわたしはユフラテの川へ行き、地を掘って、隠した所から帯を取り出したが、その帯はそこなわれて、役に立たなくなっていた。 + その時、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「主はこう仰せられる、これと同じように、わたしはユダの高ぶりとエルサレムの大いなる高ぶりを、破るのである。 + この悪しき民はわたしの言葉を聞くことを拒み、自分の心を強情にして歩み、また他の神々に従ってこれに仕え、これを拝んでいる。彼らはこの帯のように、なんの役にも立たなくなる」。 + 主は言われる、「帯が人の腰に着くように、イスラエルのすべての家とユダのすべての家とをわたしに着かせ、これをわたしの民とし、名とし、誉とし、栄えとしようとした。しかし彼らは聞き従おうともしなかった」。 + 「あなたはこの言葉を彼らに語らなければならない、『イスラエルの神はこう言われる、酒つぼには、みな酒が満ちる』と。彼らはあなたに言うであろう、『酒つぼに、みな酒が満ちることをわれわれが知らないことがあろうか』と。 + その時、あなたは彼らに言わなければならない、『主はこう言われる、見よ、わたしはこの地に住むすべての者と、ダビデの位に座す王たちと、祭司と預言者およびエルサレムに住むすべての者に酔いを満たし、 + 彼らを互に打ち当てて砕く。父と子をもそのようにすると、主は言われる。わたしは彼らをあわれまず、惜しまず、かわいそうとも思わずに滅ぼす』と」。 + 耳を傾けて聞け、高ぶってはならない、主がお語りになるからである。 + 主がまだやみを起されないうちに、またあなたがたの足が薄暗がりの山につまずかないうちに、あなたがたの神、主に栄光を帰せよ。さもないと、あなたがたが光を望んでいる間に、主はそれを暗黒に変え、それを暗やみとされるからである。 + もしあなたがたが聞かないならば、わたしの魂はひそかな所で、あなたがたの高ぶりのために悲しむ。また主の群れが、かすめられたために、わたしの目はいたく泣いて、涙を流すのである。 + 王と太后とに告げよ、「あなたがたは低い座にすわりなさい。麗しい冠はすでにあなたがたの頭から落ちてしまったからです」。 + ネゲブの町々は閉ざされて、これを開く人がない。ユダはみな捕え移される、ことごとく捕え移される。 + 「目をあげて、北の方からくる者を見よ、あなたに賜わった群れ、あなたの麗しい群れはどこにいるのか。 + 彼らがあなたの親しみ慣れた人たちを、あなたの上に立ててかしらとするとき、あなたは何を言おうとするのか。あなたの苦しみは、子を産む女の苦しみのようでないであろうか。 + あなたが心のうちに、『どうしてこのようなことがわたしに起ったのか』というならば、あなたの罪が重いゆえに、あなたの着物のすそはあげられ、はずかしめを受けるのだ。 + エチオピヤびとはその皮膚を変えることができようか。ひょうはその斑点を変えることができようか。もしそれができるならば、悪に慣れたあなたがたも、善を行うことができる。 + わたしはあなたがたを散らし、野の風に吹き散らされるもみがらのようにする。 + 主は言われる、これがあなたに授けられた定め、わたしが量ってあなたに与える分である。あなたがわたしを忘れて、偽りを頼みとしたからだ。 + わたしはまたあなたの着物のすそを顔まであげて、あなたの恥をあらわす。 + わたしはあなたの憎むべき行い、あなたの姦淫と、いななき、野の丘の上で行ったあなたのみだらな行いを見た。エルサレムよ、あなたはわざわいだ、あなたの清められるのはいつのことであろうか」。 + + + ひでりの事についてエレミヤに臨んだ主の言葉。 + 「ユダは悲しみ、その町々の門は傾き、民は地に座して嘆き、エルサレムの叫びはあがる。 + その君たちは、しもべをつかわして水をくませる。彼らが井戸の所にきても、水は見つからず、むなしい器をもって帰り、恥じ、かつ当惑して、その頭をおおう。 + 地に雨が降らず、土が、かわいて割れたため、農夫は恥じて、その頭をおおう。 + 野にいる雌じかでさえも子を産んで、これを捨てる。草がないからである。 + 野ろばは、はげ山の上に立って、山犬のようにあえぎ、草のないために、その目はくらむ。 + 主よ、われわれの罪がわれわれを訴えて不利な証言をしても、あなたの名のために、事をなしてください。われわれの背信の数は多く、あなたに向かって罪を犯しました。 + イスラエルの望みなる主よ、悩みの時の救主よ、なぜ、あなたはこの地に住む異邦の人のようにし、また一夜の宿りのために立ち寄る旅びとのようになさらねばならないのですか。 + なぜ、あなたは、うろたえている人のようにし、また人を救いえない勇士のようになさらねばならないのですか。主よ、あなたはわれわれのうちにいらせられます。われわれは、み名によって呼ばれている者です。われわれを見捨てないでください」。 + この民について主はこう言われる、「彼らはこのように好んで、さまよい、その足をとどめることをしなかったので、主は彼らを喜ばず、いまそのとがを覚え、その罪を罰するのだ」。 + 主はわたしに言われた、「この民のために恵みを祈ってはならない。 + 彼らが断食しても、わたしは彼らの呼ぶのを聞かない。燔祭と素祭をささげても、わたしはそれを受けない。かえって、つるぎと、ききん、および疫病をもって、彼らを滅ぼしてしまう」。 + わたしは言った、「ああ、主なる神よ、預言者たちはこの民に向かい、『あなたがたは、つるぎを見ることはない。ききんもこない。わたしはこの所に確かな平安をあなたがたに与える』と言っています」。 + 主はわたしに言われた、「預言者らはわたしの名によって偽りの預言をしている。わたしは彼らをつかわさなかった。また彼らに命じたこともなく、話したこともない。彼らは偽りの黙示と、役に立たない占い、および自分の心でつくりあげた欺きをあなたがたに預言しているのだ。 + それゆえ、わたしがつかわさないのに、わたしの名によって預言して、『つるぎとききんは、この地にこない』と言っているあの預言者について、主はこう仰せられる、この預言者らは、つるぎとききんに滅ぼされる。 + また彼らの預言を聞く民は、ききんとつるぎとによって、エルサレムのちまたに投げ捨てられる。だれもこれを葬る者はない。彼らとその妻、およびそのむすこ娘も同様である。わたしが彼らの悪をその上に注ぐからである。 + この言葉を彼らに語れ、『わたしの目は夜も昼も絶えず涙を流す。わが民の娘であるおとめが大きな傷と重い打撃によって滅ぼされるからである。 + わたしが出て畑に行くと、つるぎで殺された者がある。町にはいると、ききんで病んでいる者がある。預言者も祭司も共にその地にさまよって、知るところがない』」。 + あなたはまったくユダを捨てられたのですか。あなたの心はシオンをきらわれるのですか。あなたはわれわれを撃ったのに、どうしていやしてはくださらないのですか。われわれは平安を望んだが、良い事はこなかった。いやされる時を望んだが、かえって恐怖が来た。 + 主よ、われわれは自分の悪と、先祖のとがとを認めています。われわれはあなたに罪を犯しました。 + み名のために、われわれを捨てないでください。あなたの栄えあるみ位をはずかしめないでください。あなたがわれわれにお立てになった契約を覚えて、それを破らないでください。 + 異邦の偽りの神々のうちに、雨を降らせうる者があるであろうか。天が自分で夕立ちを降らすことができようか。われわれの神、主よ、あなたこそ、これをなさる方ではありませんか。われわれの待ち望むのはあなたです。あなたがこれらすべてのことをなさるからです。 + + + 主はわたしに言われた、「たといモーセとサムエルとがわたしの前に立っても、わたしの心はこの民を顧みない。彼らをわたしの前から追い出し、ここを去らせよ。 + もし彼らが、『われわれはどこに行けばよいのか』とあなたに尋ねるならば、彼らに言いなさい、『主はこう仰せられる、疫病に定められた者は疫病に、つるぎに定められた者はつるぎに、ききんに定められた者はききんに、とりこに定められた者はとりこに行く』。 + 主は仰せられる、わたしは四つの物をもって彼らを罰する。すなわち、つるぎをもって殺し、犬をもってかませ、空の鳥と地の獣をもって食い滅ぼさせる。 + またユダの王ヒゼキヤの子マナセが、エルサレムでした行いのゆえに、わたしは彼らを地のすべての国が見て恐れおののくものとする。 + エルサレムよ、だれがあなたをあわれむであろうか。だれがあなたのために嘆くであろうか。だれがふり返って、あなたの安否を問うであろうか。 + 主は言われる、あなたはわたしを捨てた。そしてますます退いて行く。それゆえ、わたしは手を伸べてあなたを滅ぼした。わたしはあわれむことには飽きた。 + わたしはこの地の門で、箕で彼らをあおぎ分けた。彼らがその道を離れなかったので、わたしは彼らの子を奪い、わが民を滅ぼした。 + わたしは彼らの寡婦の数を浜べの砂よりも多くした。わたしは真昼に、滅ぼす者を連れてきて、若者らの母たちをせめ、驚きと恐れを、にわかに母たちにおこした。 + 七人の子を産んだ女は、弱り衰えて、息絶え、まだ昼であったが、彼女の日は没した。彼女は恥じ、うろたえた。その残りの者は、これを敵のつるぎに渡すと主は言われる」。 + ああ、わたしはわざわいだ。わが母よ、あなたは、なぜ、わたしを産んだのか。全国の人はわたしと争い、わたしを攻める。わたしは人に貸したこともなく、人に借りたこともないのに、皆わたしをのろう。 + 主よ、もしわたしが彼らの幸福をあなたに祈り求めず、また敵のため、その悩みのときと、災のときに、わたしがあなたにとりなしをしなかったのであれば、彼らののろいも、やむをえないでしょう。 + 人は鉄を、北からくる鉄や青銅を砕くことができましょうか。 + 「わたしはあなたの富と宝を、ぶんどり物として他に与える。代価を受けることはできない。それはあなたのすべての罪によるので、領域内のいたる所にこのことが起る。 + わたしはあなたの知らない地で、あなたの敵に仕えさせる。わたしの怒りによって火は点じられ、いつまでも燃え続けるからである」。 + 主よ、あなたは知っておられます。わたしを覚え、わたしを顧みてください。わたしを迫害する者に、あだを返し、あなたの寛容によって、わたしを取り去らないでください。わたしがあなたのために、はずかしめを受けるのを知ってください。 + わたしはみ言葉を与えられて、それを食べました。み言葉は、わたしに喜びとなり、心の楽しみとなりました。万軍の神、主よ、わたしは、あなたの名をもってとなえられている者です。 + わたしは笑いさざめく人のつどいにすわることなく、また喜ぶことをせず、ただひとりですわっていました。あなたの手がわたしの上にあり、あなたが憤りをもってわたしを満たされたからです。 + どうしてわたしの痛みは止まらず、傷は重くて、なおらないのですか。あなたはわたしにとって、水がなくて人を欺く谷川のようになられるのですか。 + それゆえ主はこう仰せられる、「もしあなたが帰ってくるならば、もとのようにして、わたしの前に立たせよう。もしあなたが、つまらないことを言うのをやめて、貴重なことを言うならば、わたしの口のようになる。彼らはあなたの所に帰ってくる。しかしあなたが彼らの所に帰るのではない。 + わたしはあなたをこの民の前に、堅固な青銅の城壁にする。彼らがあなたを攻めても、あなたに勝つことはできない。わたしがあなたと共にいて、あなたを助け、あなたを救うからであると、主は言われる。 + わたしはあなたを悪人の手から救い、無慈悲な人の手からあがなう」。 + + + 主の言葉はまたわたしに臨んだ、 + 「あなたはこの所で妻をめとってはならない。またむすこ娘を持ってはならない。 + この所で生れるむすこ娘と、この地でこれを産む母たちと、これを生む父たちとについて主はこう言われる、 + 彼らは死の病にかかって死に、哀悼する者もなく、埋葬する者もなく、地のおもてに、糞土のようになる。またつるぎと、ききんに滅ぼされて、その死体は空の鳥と地の獣の食い物となる。 + 主はこう言われる、喪のある家に、はいってはならない。また行って、それを悲しみ嘆いてはならない。わたしがこの民からわたしの平安と、いつくしみと、あわれみとを取り去ったからであると、主は言われる。 + 大いなる者も小さき者も、この地に死ぬ。彼らは葬られず、また彼らのために悲しむ者もなく、自分の身を傷つける者もなく、髪をそる者もない。 + 悲しむ者のためにパンをさいて、死者のためにこれを慰める者はなく、また父あるいは母のために慰めの杯をこれに与えて飲ませる者もない。 + またあなたは宴会をする家にはいって、人々と共にすわって食い飲みしてはならない。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、見よ、あなたの目の前で、あなたのなおこの世にいる間に、わたしは喜びの声と楽しみの声、花婿の声と花嫁の声とをこの所に絶やしてしまう。 + あなたがこのすべての言葉をこの民に告げるとき、彼らがあなたに尋ねて、『主がわれわれにこの大きな災を宣告されるのはどうしてですか。われわれにどんな悪い所があるのですか。われわれの神、主にそむいて、われわれが犯した罪とはなんですか』と言うならば、 + あなたは彼らに答えなければならない、『主は仰せられる、それはあなたがたの先祖がわたしを捨てて他の神々に従い、これに仕え、これを拝し、またわたしを捨て、わたしの律法を守らなかったからである。 + あなたがたは、あなたがたの先祖よりも、いっそう悪いことをした。見よ、あなたがたはおのおの自分の悪い強情な心に従い、わたしに聞き従うことはしない。 + それゆえ、わたしはあなたがたをこの地より追い出し、あなたがたも、あなたがたの先祖も知らない地に行かせる。その所であなたがたは昼夜、ほかの神々に仕えるようになる。これはわたしがあなたがたにあわれみを示さないからである』と。 + 主は言われる、それゆえ、見よ、こののち『イスラエルの民をエジプトの地から導き出した主は生きておられる』とは言わないで、 + 『イスラエルの民を北の国と、そのすべて追いやられた国々から導き出した主は生きておられる』という日がくる。わたしが彼らを、その先祖に与えた彼らの地に導きかえすからである。 + 主は言われる、見よ、わたしは多くの漁夫を呼んできて、彼らをすなどらせ、また、そののち多くの猟師を呼んできて、もろもろの山、もろもろの丘、および岩の裂け目から彼らをかり出させる。 + わたしの目は彼らのすべての道を見ているからである。みなわたしに隠れてはいない。またその悪はわたしの目に隠れることはない。 + わたしはその悪とその罪の報いを二倍にする。彼らがその忌むべき偶像の死体をもって、わたしの地を汚し、その憎むべきものをもって、わたしの嗣業を満たしたからである」。 + 主、わが力、わが城、悩みの時の、のがれ場よ、万国の民は地の果からあなたのもとにきて申します、「われわれの先祖が受け嗣いだのは、ただ偽りと、役に立たないつまらない事ばかりです。 + 人が自分で神々を造ることができましょうか。そういうものは神ではありません」。 + 「それゆえ、見よ、わたしは彼らに知らせよう。すなわち、この際わたしの力と、わたしの勢いとを知らせよう。彼らはわたしの名が、主であることを知るようになる」。 + + + 「ユダの罪は、鉄の筆、金剛石のとがりをもってしるされ、彼らの心の碑と、祭壇の角に彫りつけられている。 + 彼らの子供たちは青木の下と、高い丘の上、野の山の上にある祭壇とアシラのことを覚えている。 + わたしはあなたの富とすべての宝とを、あなたの全領域の内で犯した罪の代価として、ぶんどり物とならせる。 + わたしがあなたに与えた嗣業からあなたは手をはなすようになる。またわたしは、あなたの知らない地で、あなたの敵に仕えさせる。わたしの怒りによって、火は点じられ、いつまでも燃え続けるからである」。 + 主はこう言われる、「おおよそ人を頼みとし肉なる者を自分の腕とし、その心が主を離れている人は、のろわれる。 + 彼は荒野に育つ小さい木のように、何も良いことの来るのを見ない。荒野の、干上がった所に住み、人の住まない塩地にいる。 + おおよそ主にたより、主を頼みとする人はさいわいである。 + 彼は水のほとりに植えた木のようで、その根を川にのばし、暑さにあっても恐れることはない。その葉は常に青く、ひでりの年にも憂えることなく、絶えず実を結ぶ」。 + 心はよろずの物よりも偽るもので、はなはだしく悪に染まっている。だれがこれを、よく知ることができようか。 + 「主であるわたしは心を探り、思いを試みる。おのおのに、その道にしたがい、その行いの実によって報いをするためである」。 + しゃこが自分が産んだのではない卵を抱くように、不正な財産を得る者がある。その人は一生の半ばにそれから離れて、その終りには愚かな者となる。 + 初めから高くあげられた栄えあるみ座は、われわれの聖所のある所である。 + またイスラエルの望みである主よ、あなたを捨てる者はみな恥をかき、あなたを離れる者は土に名をしるされます。それは生ける水の源である主を捨てたからです。 + 主よ、わたしをいやしてください、そうすれば、わたしはいえます。わたしをお救いください、そうすれば、わたしは救われます。あなたはわたしのほめたたえる者だからです。 + 彼らはわたしに言います、「主の言葉はどこにあるのか。今、それを出して見せよ」と。 + 悪をつかわされるようにとは、わたしはたって求めませんでした。また災の日を願わなかったのを、あなたはごぞんじです。わたしのくちびるから出たことは、み前にあります。 + どうか、わたしを恐れさせないでください。災のときに、あなたはわたしののがれ場です。 + わたしを攻め悩ます者をはずかしめてください。しかしわたしをはずかしめないでください。彼らを恐れさせてください。しかしわたしを恐れさせないでください。災の日を彼らにきたらせ、滅びを倍にして彼らを滅ぼしてください。 + 主はわたしにこう言われた、「行って、ユダの王たちの出入りするベニヤミンの門、およびエルサレムのすべての門に立って、 + 言いなさい、『これらの門からはいるユダの王たち、およびユダのすべての民とエルサレムに住むすべての者よ、主の言葉を聞きなさい。 + 主はこう言われる、命が惜しいならば気をつけるがよい。安息日に荷をたずさえ、またはそれを持ってエルサレムの門にはいってはならない。 + また安息日にあなたがたの家から荷を運び出してはならない。なんのわざをもしてはならない。わたしがあなたがたの先祖に命じたように安息日を聖別して守りなさい。 + しかし彼らは従わず耳を傾けず、聞くことも、戒めをうけることをも強情に拒んだ。 + 主は言われる、もしあなたがたがわたしに聞き従い、安息日に荷をたずさえてこの町の門にはいらず、安息日を聖別して、なんのわざをもしないならば、 + ダビデの位に座する王たち、つかさたち、ユダの人々、エルサレムに住む者は、車と馬に乗ってこの町の門からはいることができる。そしてこの町には長く人が住むようになる。 + また人々はユダの町々やエルサレムの周囲、ベニヤミンの地、平地と山地およびネゲブから来て燔祭、犠牲、素祭、乳香、感謝祭をたずさえて主の家にはいる。 + しかし、もしあなたがたがわたしに聞き従わないで、安息日を聖別して守ることをせず、安息日に荷をたずさえてエルサレムの門にはいるならば、わたしは火をその門の中に燃やして、エルサレムのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。その火は消えることがない』」。 + + + 主からエレミヤに臨んだ言葉。 + 「立って、陶器師の家に下って行きなさい。その所でわたしはあなたにわたしの言葉を聞かせよう」。 + わたしは陶器師の家へ下って行った。見ると彼は、ろくろで仕事をしていたが、 + 粘土で造っていた器が、その人の手の中で仕損じたので、彼は自分の意のままに、それをもってほかの器を造った。 + その時、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「主は仰せられる、イスラエルの家よ、この陶器師がしたように、わたしもあなたがたにできないのだろうか。イスラエルの家よ、陶器師の手に粘土があるように、あなたがたはわたしの手のうちにある。 + ある時には、わたしが民または国を抜く、破る、滅ぼすということがあるが、 + もしわたしの言った国がその悪を離れるならば、わたしはこれに災を下そうとしたことを思いかえす。 + またある時には、わたしが民または国を建てる、植えるということがあるが、 + もしその国がわたしの目に悪と見えることを行い、わたしの声に聞き従わないなら、わたしはこれに幸を与えようとしたことを思いかえす。 + それゆえ、ユダの人々とエルサレムに住む者に言いなさい、『主はこう仰せられる、見よ、わたしはあなたがたに災を下そうと工夫し、あなたがたを攻める計りごとを立てている。あなたがたはおのおのその悪しき道を離れ、その道と行いを改めなさい』と。 + しかし彼らは言う、『それはむだです。われわれは自分の図るところに従い、おのおのその悪い強情な心にしたがって行動します』と。 + それゆえ主はこう言われる、異邦の民のうちのある者に尋ねてみよ、このような事を聞いた者があろうか。おとめイスラエルは恐ろしい事をした。 + レバノンの雪が、どうしてシリオンの岩を離れようか。山の水、冷たい川の流れが、どうしてかわいてしまおうか。 + それなのにわが民はわたしを忘れて、偽りの神々に香をたいている。彼らはその道、古い道につまずき、また小道に入り、大路からはなれた。 + 自分の地を荒れすたれさせて、いつまでも人に舌打ちされるものとした。そこを通る人はみな身震いして、首を振る。 + わたしは東風のように、彼らをその敵の前に散らす。その滅びの日には、わたしは彼らに背を向け、顔を向けない」。 + 彼らは言った、「さあ、計略をめぐらして、エレミヤを倒そう。祭司には律法があり、知恵ある者には計りごとがあり、預言者には言葉があって、これらのものが滅びてしまうことはない。さあ、われわれは舌をもって彼を撃とう。彼のすべての言葉に、心を留めないことにしよう」。 + 主よ、どうぞわたしにみ心を留め、わたしの訴えをお聞きください。 + 悪をもって善に報いるべきでしょうか。しかもなお彼らはわたしの命を取ろうとして穴を掘りました。わたしがあなたの前に立って、彼らのことを良く言い、あなたの憤りを止めようとしたのを覚えてください。 + それゆえ、彼らの子どもたちをききんに渡し、彼らをつるぎの刃に渡してください。彼らの妻は子を失い、また寡婦となり、男は疫病にかかって死に、若い者は、戦争でつるぎに殺されますように。 + あなたが敵をにわかに彼らに臨ませられるとき、彼らの家から叫び声が聞えますように。彼らは穴を掘って、わたしを捕えようとし、わなをつくって、わたしの足を捕えようとしたからです。 + 主よ、あなたは彼らがわたしを殺すためにめぐらしている計略を皆ごぞんじです。その悪をゆるすことなく、その罪をあなたの前から消し去らないでください。彼らをあなたの前に倒れさせてください。あなたのお怒りになる時に彼らを罰してください。 + + + 主はこう言われる、「行って、陶器師のびんを買い、民の長老と年長の祭司のうちの数人を伴って、 + 瀬戸かけの門の入口にあるベンヒンノムの谷へ行き、その所で、わたしがあなたに語る言葉をのべて、 + 言いなさい、『ユダの王たち、およびエルサレムに住む者よ、主の言葉を聞きなさい。万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、見よ、わたしは災をこの所に下す。おおよそ、その災のことを聞くものの耳は両方とも鳴る。 + 彼らがわたしを捨て、この所を汚し、この所で、自分も先祖たちもユダの王たちも知らなかった他の神々に香をたき、かつ罪のない者の血を、この所に満たしたからである。 + また彼らはバアルのために高き所を築き、火をもって自分の子どもたちを焼き、燔祭としてバアルにささげた。これはわたしの命じたことではなく、定めたことでもなく、また思いもしなかったことである。 + 主は言われる、それゆえ、見よ、この所をトペテまたはベンヒンノムの谷と呼ばないで、虐殺の谷と呼ぶ日がくる。 + またわたしはこの所でユダとエルサレムの計りごとを打ち破り、つるぎをもって、彼らをその敵の前と、そのいのちを求める者の手に倒れさせ、またその死体を空の鳥と地の獣の食い物とし、 + かつ、この町を荒れすたれさせて、人に舌打ちされるものとする。そこを通る人は皆そのもろもろの災を見て身震いし、舌打ちする。 + また彼らがその敵とその命を求める者とに囲まれて苦しみ悩む時、わたしは彼らに自分のむすこの肉、娘の肉を食べさせる。彼らはまた互にその友の肉を食べるようになる』。 + そこで、あなたは、一緒に行く人々の目の前で、そのびんを砕き、 + そして彼らに言いなさい、『万軍の主はこう仰せられる、陶器師の器をひとたび砕くならば、もはやもとのようにすることはできない。このようにわたしはこの民とこの町とを砕く。人々はほかに葬るべき場所がないために、トペテに葬るであろう。 + 主は仰せられる、わたしはこの所と、ここに住む者とにこのようにし、この町をトペテのようにする。 + エルサレムの家とユダの王たちの家、すなわち彼らがその屋上で天の衆群に香をたき、ほかの神々に酒を注いだ家は、皆トペテの所のように汚される』」。 + エレミヤは主が彼をつかわして預言させられたトペテから帰ってきて、主の家の庭に立ち、すべての民に言った、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、見よ、わたしは、この町とそのすべての村々に、わたしの言ったもろもろの災を下す。彼らが強情で、わたしの言葉に聞き従おうとしないからである」。 + + + さて祭司インメルの子で、主の宮のつかさの長であったパシュルは、エレミヤがこれらの事を預言するのを聞いた。 + そしてパシュルは預言者エレミヤを打ち、主の宮にある上のベニヤミンの門の足かせにつないだ。 + その翌日パシュルがエレミヤを足かせから解き放した時、エレミヤは彼に言った、「主はあなたの名をパシュルとは呼ばないで、『恐れが周囲にある』と呼ばれる。 + 主はこう仰せられる、見よ、わたしはあなたを、あなた自身とあなたのすべての友だちに恐れを起させる者とする。彼らはあなたが見ている目の前で敵のつるぎに倒れる。わたしはまたユダのすべての民をバビロン王の手に渡す。彼は彼らを捕えてバビロンに移し、つるぎをもって殺す。 + わたしはまたこの町のすべての富と、その獲たすべての物と、そのすべての貴重な物と、ユダの王たちのすべての宝物をその敵の手に渡す。彼らはこれをかすめ、民を捕えてバビロンに移す。 + パシュルよ、あなたと、あなたの家に住む者とはみな捕え移される。あなたはバビロンに行って、その所で死に、その所に葬られる。あなたも、あなたが偽って預言した言葉に聞き従った友もみなそのようになる」。 + 主よ、あなたがわたしを欺かれたので、わたしはその欺きに従いました。あなたはわたしよりも強いので、わたしを説き伏せられたのです。わたしは一日中、物笑いとなり、人はみなわたしをあざけります。 + それは、わたしが語り、呼ばわるごとに、「暴虐、滅亡」と叫ぶからです。主の言葉が一日中、わが身のはずかしめと、あざけりになるからです。 + もしわたしが、「主のことは、重ねて言わない、このうえその名によって語る事はしない」と言えば、主の言葉がわたしの心にあって、燃える火のわが骨のうちに閉じこめられているようで、それを押えるのに疲れはてて、耐えることができません。 + 多くの人のささやくのを聞くからです。恐れが四方にあります。「告発せよ。さあ、彼を告発しよう」と言って、わが親しい友は皆わたしのつまずくのを、うかがっています。また、「彼は欺かれるだろう。そのとき、われわれは彼に勝って、あだを返すことができる」と言います。 + しかし主は強い勇士のようにわたしと共におられる。それゆえ、わたしに迫りくる者はつまずき、わたしに打ち勝つことはできない。彼らは、なし遂げることができなくて、大いに恥をかく。その恥は、いつまでも忘れられることはない。 + 正しき者を試み、人の心と思いを見られる万軍の主よ、あなたが彼らに、あだを返されるのを見せてください。わたしはあなたに、わたしの訴えをお任せしたからです。 + 主に向かって歌い、主をほめたたえよ。主は貧しい者の命を、悪人の手から救われたからである。 + わたしの生れた日はのろわれよ。母がわたしを産んだ日は祝福を受けるな。 + わたしの父に「男の子が、生れました」と告げて、彼を大いに喜ばせた人は、のろわれよ。 + その人は、主のあわれみを受けることなく、滅ぼされた町のようになれ。朝には、彼に叫びを聞かせ、昼には戦いの声を聞かせよ。 + 彼がわたしを胎内で殺さず、わが母をわたしの墓場となさず、その胎をいつまでも大きくしなかったからである。 + なにゆえにわたしは胎内を出てきて、悩みと悲しみに会い、恥を受けて一生を過ごすのか。 + + + ゼデキヤ王は、マルキヤの子パシュルと祭司マアセヤの子ゼパニヤを、エレミヤのもとにつかわし、 + 「バビロンの王ネブカデレザルがわれわれを攻めようとしているゆえ、われわれのために主に尋ねてほしい。主はそのもろもろの不思議なわざをもって、われわれを助け、バビロンの王をわれわれから退かせられるかも知れない」と言わせた。その時、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + エレミヤは彼らに答えて言った、「あなたがたはゼデキヤにこのように言いなさい、 + 『イスラエルの神、主はこう仰せられる、見よ、あなたがたが、この城壁の外にあって、あなたがたを攻め囲むバビロンの王およびカルデヤびとと戦うとき、わたしはあなたがたの手に持っている武器をとりあげ、これを町の中に集めさせる。 + わたしは手を伸べ、強い腕をもって、怒り、憤り、激しく怒って、あなたがたを攻める。 + わたしはまたこの町に住む人と獣とを撃つ。彼らはみな重い疫病にかかって死ぬ。 + 主は言われる、この後、わたしはユダの王ゼデキヤとその家来たち、および疫病と、つるぎと、ききんを免れて、この町に残っている民を、バビロンの王ネブカデレザルの手と、その敵の手、およびその命を求める者の手に渡す。バビロンの王はつるぎの刃にかけて彼らを撃ち、彼らを惜しまず、顧みず、またあわれむこともしない』。 + あなたはまたこの民に言いなさい、『主はこう仰せられる、見よ、わたしは命の道と死の道とをあなたがたの前に置く。 + この町にとどまる者は、つるぎと、ききんと、疫病とで死ぬ。しかし、出て行って、あなたがたを攻め囲んでいるカルデヤびとに降伏する者は死を免れ、その命は自分のぶんどり物となる。 + 主は言われる、わたしがこの町に顔を向けたのは幸を与えるためではなく、災を与えるためである。この町はバビロンの王の手に渡される。彼は火をもって、これを焼き払う』。 + またユダの王の家に言いなさい、『主の言葉を聞きなさい。 + ダビデの家よ、主はこう仰せられる、朝ごとに、正しいさばきを行い、物を奪われた人をしえたげる者の手から救え。そうしないと、あなたがたの悪い行いのために、わたしの怒りは火のように燃えて、それを消すことはできない』」。 + 「主は言われる、谷に住む者よ、平原の岩よ、見よ、わたしはあなたに敵する。あなたがたは言う、『だれが下ってきて、われわれを攻めるものか、だれがわれわれのいる所に、はいるものか』と。 + わたしはあなたがたを、その行いの実によって罰する。またその林に火をつけて、その周囲のものをみな焼き尽すと、主は言われる」。 + + + 主はこう言われる、「ユダの王の家に下り、その所にこの言葉をのべて、 + 言いなさい、『ダビデの位にすわるユダの王よ、あなたと、あなたの家臣、および、この門からはいるあなたの民は主の言葉を聞きなさい。 + 主はこう言われる、公平と正義を行い、物を奪われた人を、しえたげる者の手から救い、異邦の人、孤児、寡婦を悩まし、しえたげてはならない。またこの所に、罪なき者の血を流してはならない。 + もしあなたがたがこの言葉を真実に行うならば、ダビデの位にすわる王とその家臣、およびその民は、車と馬に乗って、この家の門にはいることができる。 + しかしあなたがたがこの言葉を聞かないならば、わたしは自身をさして誓うが、この家は荒れ地となると、主は言われる。 + 主はユダの王の家についてこう言われる、あなたはわたしに対してギレアデのようであり、レバノンの頂のようである。しかし、わたしは必ずあなたを荒れ地にし、人の住まない町にする。 + わたしは滅ぼす者を設けて、あなたを攻めさせる、彼らはおのおのその武器をとり、あなたの麗しい香柏を切り倒し、火に投げ入れる。 + 多くの国の人はこの町を過ぎ、互に語って、「なぜ主はこの大いなる町をこのようにされたのか」と言うとき、 + 人は答えて、「これは彼らがその神、主の契約を捨てて他の神々を拝し、これに仕えたからである」と言うであろう』」。 + 死んだ者のために泣くことなく、またそのために嘆いてはならない。捕え移されてゆく者のために、激しく泣け。彼はふたたび帰ってきて、その故郷を見ることがないからである。 + ユダの王ヨシヤの子シャルムは父ヨシヤについで王となったが、ついにこの所から出て行った。主は彼についてこう言われる、「彼は再びここに帰らない。 + 彼はその捕え行かれた所で死に、再びこの地を見ない」。 + 「不義をもってその家を建て、不法をもってその高殿を造り、隣り人を雇って何をも与えず、その賃金を払わない者はわざわいである。 + 彼は言う、『わたしは自分のために大きな家を建て、広い高殿を造ろう』と。そしてこれがために窓を造り、香柏の鏡板でおおい、それを朱で塗る。 + あなたは競って香柏を用いることによって、王であると思うのか。あなたの父は食い飲みし、公平と正義を行って、幸を得たのではないか。 + 彼は貧しい人と乏しい人の訴えをただして、さいわいを得た。こうすることがわたしを知ることではないかと主は言われる。 + しかし、あなたは目も心も、不正な利益のためにのみ用い、罪なき者の血を流そうとし、圧制と暴虐を行おうとする」。 + それゆえ、主はユダの王ヨシヤの子エホヤキムについてこう言われる、「人々は『悲しいかな、わが兄』、『悲しいかな、わが姉』と言って、彼のために嘆かない。また『悲しいかな、主君よ』、『悲しいかな、陛下よ』と言って嘆かない。 + ろばが埋められるように、彼は葬られる。引かれて行って、エルサレムの門の外に投げ捨てられる」。 + 「レバノンに登って呼ばわり、バシャンにあなたの声をあげ、アバリムから呼ばわれ。あなたの愛する者がみな滅ぼされるからだ。 + あなたの栄えていた時、わたしはあなたに語ったが『聞きたくはない』と言った。あなたがわたしの声に聞き従わないことは、あなたの幼い時からの、ならわしであった。 + あなたの牧者はみな、風に追い立てられ、あなたの愛する者は捕え移される。その時、あなたは自分のもろもろの悪のために、恥じ、うろたえる。 + レバノンに住み、香柏の中に巣をつくっている者よ、子を産む女に臨む苦しみのような苦痛があなたに臨むとき、あなたはどんなに嘆くことであろうか」。 + 「主は言われる、わたしは生きている。ユダの王エホヤキムの子コニヤが、わたしの右手の指輪であっても、わたしはあなたを抜き取る。 + あなたの命を求める者の手、あなたがその顔を恐れる者の手、すなわちバビロンの王ネブカデレザルの手と、カルデヤびとの手にあなたを渡す。 + わたしは、あなたと、あなたを産んだ母を、あなたがたの生れた国でない他の国に追いやる。あなたがたはそこで死ぬ。 + 彼らが帰りたいとせつに願う国に、彼らは再び帰ることができない」。 + この人コニヤは卑しむべき、こわれたつぼであろうか、だれも心に留めない器であろうか。なぜ彼とその子孫は追いやられて、知らない地に投げやられるのか。 + ああ、地よ、地よ、地よ、主の言葉を聞けよ。 + 主はこう言われる、「この人を、子なき人として、またその一生のうち、栄えることのない人として記録せよ。その子孫のうち、ひとりも栄えて、ダビデの位にすわり、ユダを治めるものが再び起らないからである」。 + + + 主は言われる、「わが牧場の羊を滅ぼし散らす牧者はわざわいである」。 + それゆえイスラエルの神、主はわが民を養う牧者についてこう言われる、「あなたがたはわたしの群れを散らし、これを追いやって顧みなかった。見よ、わたしはあなたがたの悪しき行いによってあなたがたに報いると、主は言われる。 + わたしの群れの残った者を、追いやったすべての地から集め、再びこれをそのおりに帰らせよう。彼らは子を産んでその数が多くなる。 + わたしはこれを養う牧者をその上に立てる、彼らは再び恐れることなく、またおののくことなく、いなくなることもないと、主は言われる。 + 主は仰せられる、見よ、わたしがダビデのために一つの正しい枝を起す日がくる。彼は王となって世を治め、栄えて、公平と正義を世に行う。 + その日ユダは救を得、イスラエルは安らかにおる。その名は『主はわれわれの正義』ととなえられる。 + 主は言われる、それゆえ見よ、人々は『イスラエルの民をエジプトの地から導き出された主は生きておられる』とまた言わないで、 + 『イスラエルの家の子孫を北の地と、そのすべて追いやられた地から導き出された神は生きておられる』という日がくる。その時、彼らは自分の地に住んでいる」。 + 預言者たちについて。わが心はわたしのうちに破れ、わが骨はみな震う。主とその聖なる言葉のために、わたしは酔っている人のよう、酒に打ち負かされた人のようである。 + この地に姦淫を行うものが満ちているからだ。のろいによって地は嘆き、荒野の牧場はかわく。彼らの道は悪く、その力は正しくない。 + 「預言者と祭司とは共に神を汚す者である。わたしの家においてすら彼らの悪を見たと、主は言われる。 + それゆえ、彼らの道は、おのずから暗黒の中にあるなめらかな道のようになり、彼らは押されてその道に倒れる。わたしが彼らの罰せられる年に、災をその上に臨ませるからであると、主は言われる。 + わたしはサマリヤの預言者のうちに不快な事のあるのを見た。彼らはバアルによって預言し、わが民イスラエルを惑わした。 + しかしエルサレムの預言者のうちには、恐ろしい事のあるのを見た。彼らは姦淫を行い、偽りに歩み、悪人の手を強くし、人をその悪から離れさせない。彼らはみなわたしにはソドムのようであり、その民はゴモラのようである」。 + それゆえ万軍の主は預言者についてこう言われる、「見よ、わたしは彼らに、にがよもぎを食べさせ、毒の水を飲ませる。神を汚すことがエルサレムの預言者から出て、全地に及んでいるからである」。 + 万軍の主はこう言われる、「あなたがたに預言する預言者の言葉を聞いてはならない。彼らはあなたがたに、むなしい望みをいだかせ、主の口から出たのでない、自分の心の黙示を語るのである。 + 彼らは主の言葉を軽んじる者に向かって絶えず、『あなたがたは平安を得る』と言い、また自分の強情な心にしたがって歩むすべての人に向かって、『あなたがたに災はこない』と言う」。 + 彼らのうちだれか主の議会に立って、その言葉を見聞きした者があろうか。だれか耳を傾けてその言葉を聞いた者があろうか。 + 見よ、主の暴風がくる。憤りと、つむじ風が出て、悪人のこうべをうつ。 + 主の怒りは、み心に思い定められたことをなし遂げられるまで退くことはない。末の日にあなたがたはそれを明らかに悟る。 + 預言者たちはわたしがつかわさなかったのに、彼らは走った。わたしが、彼らに告げなかったのに、彼らは預言した。 + もし彼らがわたしの議会に立ったのであれば、わたしの民にわが言葉を告げ示して、その悪い道と悪い行いから、離れさせたであろうに。 + 「主は言われる、わたしはただ近くの神であって、遠くの神ではないのであるか。 + 主は言われる、人は、ひそかな所に身を隠して、わたしに見られないようにすることができようか。主は言われる、わたしは天と地とに満ちているではないか。 + わが名によって偽りを預言する預言者たちが、『わたしは夢を見た、わたしは夢を見た』と言うのを聞いた。 + 偽りを預言する預言者たちの心に、いつまで偽りがあるのであるか。彼らはその心の欺きを預言する。 + 彼らはその先祖がバアルに従ってわが名を忘れたように、互に夢を語って、わたしの民にわが名を忘れさせようとする。 + 夢をみた預言者は夢を語るがよい。しかし、わたしの言葉を受けた者は誠実にわたしの言葉を語らなければならない。わらと麦とをくらべることができようかと、主は言われる。 + 主は仰せられる、わたしの言葉は火のようではないか。また岩を打ち砕く鎚のようではないか。 + それゆえ見よ、わたしはわたしの言葉を互に盗む預言者の敵となると、主は言われる。 + 見よ、わたしは、『主は言いたもう』と舌をもって語る預言者の敵となると、主は言われる。 + 主は仰せられる、見よ、わたしは偽りの夢を預言する者の敵となる。彼らはそれを語り、またその偽りと大言をもってわたしの民を惑わす。わたしが彼らをつかわしたのではなく、また彼らに命じたのでもない。それで彼らはこの民にすこしも益にならないと、主は言われる。 + この民のひとり、または預言者、または祭司があなたに、『主の重荷はなんですか』と問うならば、彼らに答えなさい、『あなたがたがその重荷です。そして主は、あなたがたを捨てると言っておられます』と。 + そして、『主の重荷』と言うその預言者、祭司、または民のひとりを、その家族と共にわたしは罰する。 + あなたがたは、みな互に、隣り人に、また兄弟に、こう言わなければならない、『主はなんと答えられましたか』、『主はなんと言われましたか』と。 + しかし重ねて『主の重荷』と言ってはならない。重荷は人おのおのの自分の言葉だからである。あなたがたは生ける神、万軍の主なるわれわれの神の言葉を曲げる者である。 + あなたは預言者にこう言わなければならない、『主はあなたになんと答えられましたか』、『主はなんと言われましたか』と。 + もしあなたがたが『主の重荷』と言うならば、主はこう仰せられる、『わたしが人をあなたがたにつかわして、あなたがたは「主の重荷」と言ってはならないと言わせたのに、あなたがたは「主の重荷」という言葉を言ったので、 + わたしは必ずあなたがたを捕え移させ、あなたがたとあなたがたの先祖とに与えたこの町と、あなたがたとを、わたしの前から捨て去る。 + そして、忘れられることのない永遠のはずかしめと永遠の恥を、あなたがたにこうむらせる』」。 + + + バビロンの王ネブカデレザルがユダの王エホヤキムの子エコニヤおよびユダの君たちと工匠と鍛冶をエルサレムからバビロンに移して後、主はわたしにこの幻をお示しになった。見よ、主の宮の前に置かれているいちじくを盛った二つのかごがあった。 + その一つのかごには、はじめて熟したような非常に良いいちじくがあり、ほかのかごには非常に悪くて食べられないほどの悪いいちじくが入れてあった。 + 主はわたしに、「エレミヤよ、何を見るか」と言われた。わたしは、「いちじくです。その良いいちじくは非常によく、悪いほうのいちじくは非常に悪くて、食べられません」と答えた。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「イスラエルの神、主はこう仰せられる、この所からカルデヤびとの地に追いやったユダの捕われ人を、わたしはこの良いいちじくのように顧みて恵もう。 + わたしは彼らに目をかけてこれを恵み、彼らをこの地に返し、彼らを建てて倒さず、植えて抜かない。 + わたしは彼らにわたしが主であることを知る心を与えよう。彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。彼らは一心にわたしのもとに帰ってくる。 + 主はこう仰せられる、わたしはユダの王ゼデキヤとそのつかさたち、およびエルサレムの人の残ってこの地にいる者、ならびにエジプトの地に住んでいる者を、この悪くて食べられない悪いいちじくのようにしよう。 + わたしは彼らを地のもろもろの国で、忌みきらわれるものとし、またわたしの追いやるすべての所で、はずかしめに会わせ、ことわざとなり、あざけりと、のろいに会わせる。 + わたしはつるぎと、ききんと、疫病を彼らのうちに送って、ついに彼らをわたしが彼らとその先祖とに与えた地から絶えさせる」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの四年(バビロンの王ネブカデレザルの元年)にユダのすべての民についての言葉がエレミヤに臨んだ。 + 預言者エレミヤはこの言葉をユダのすべての民とエルサレムに住むすべての人に告げて言った、 + 「ユダの王アモンの子ヨシヤの十三年から今日にいたるまで二十三年の間、主の言葉がわたしに臨んだ。わたしはたゆまずにそれをあなたがたに語ってきたが、あなたがたは聞かなかった。 + 主はたゆまず、そのしもべである預言者を、あなたがたにつかわされたが、あなたがたは聞かずまた耳を傾けて聞こうともしなかった。 + 彼らは言った、『あなたがたはおのおの今その悪の道と悪い行いを捨てなさい。そうすれば主が昔からあなたがたと先祖たちとに与えられた地に永遠に住むことができる。 + あなたがたは、ほかの神に従って、それに仕え、それを拝んではならない。あなたがたの手で作ったものをもって、わたしを怒らせてはならない。このようなことをしないなら、わたしはあなたがたをそこなうことはない』と。 + しかしあなたがたはわたしに聞き従わず、あなたがたの手で作った物をもって、わたしを怒らせて自ら害を招いたと、主は言われる。 + それゆえ万軍の主はこう仰せられる、あなたがたがわたしの言葉に聞き従わないゆえ、 + 見よ、わたしは北の方のすべての種族と、わたしのしもべであるバビロンの王ネブカデレザルを呼び寄せて、この地とその民と、そのまわりの国々を攻め滅ぼさせ、これを忌みきらわれるものとし、人の笑いものとし、永遠のはずかしめとすると、主は言われる。 + またわたしは喜びの声、楽しみの声、花婿の声、花嫁の声、ひきうすの音、ともしびの光を彼らの中に絶えさせる。 + この地はみな滅ぼされて荒れ地となる。そしてその国々は七十年の間バビロンの王に仕える。 + 主は言われる、七十年の終った後に、わたしはバビロンの王と、その民と、カルデヤびとの地を、その罪のために罰し、永遠の荒れ地とする。 + わたしはあの地について、わたしが語ったすべての言葉をその上に臨ませる。これはエレミヤが、万国のことについて預言したものであって、みなこの書にしるされている。 + 多くの国々と偉大な王たちとは、彼らをさえ奴隷として仕えさせる。わたしは彼らの行いと、その手のわざに従って報いる」。 + イスラエルの神、主はわたしにこう仰せられた、「わたしの手から、この怒りの杯を受けて、わたしがあなたをつかわす国々の民に飲ませなさい。 + 彼らは飲んで、よろめき狂う。これはわたしが彼らのうちに、つるぎをつかわそうとしているからである」。 + こうしてわたしは主の手から杯を受け、主がわたしをつかわされた国々の民に飲ませた。 + すなわちエルサレムとユダのすべての町と、その王たちおよびそのつかさたちに飲ませて、それらを滅ぼし、荒れ地とし、人の笑いものとし、のろわれるものとした。今日のとおりである。 + またエジプトの王パロとその家来たち、その君たち、そのすべての民と、 + もろもろの寄留の異邦人、およびウズの地のすべての王たち、およびペリシテびとの地のすべての王たち、(アシケロン、ガザ、エクロン、アシドドの残りの者)、 + エドム、モアブ、アンモンの子孫、 + ツロのすべての王たち、シドンのすべての王たち、海のかなたの海沿いの地の王たち、 + デダン、テマ、ブズおよびすべて髪の毛のすみずみをそる者、 + アラビヤのすべての王たち、荒野の雑種の民のすべての王たち、 + ジムリのすべての王たち、エラムのすべての王たち、メデアのすべての王たち、 + 北のすべての王たちの遠き者、近き者もつぎつぎに、またすべて地のおもてにある世の国々の王たちもこの杯を飲む。そして彼らの次にバビロンの王もこれを飲む。 + 「それであなたは彼らに言いなさい、『万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、飲め、酔って吐け、倒れて再び立つな、わたしがあなたがたのうちに、つるぎをつかわすからである』」。 + 「もし彼らがあなたの手から杯を受けて飲むことをしないならば、あなたは彼らに言いなさい、『万軍の主はこう仰せられる、あなたがたは必ず飲まなければならない。 + 見よ、わたしの名をもって呼ばれるこの町にさえ災を下すのだ。どうしてあなたがたが罰を免れることができようか。あなたがたは罰を免れることはできない。わたしがつるぎを呼び寄せて、地に住むすべての者を攻めるからであると、万軍の主は仰せられる』。 + それゆえ、あなたは彼らにこのすべての言葉を預言して言いなさい、『主は高い所から呼ばわり、その聖なるすまいから声を出し、自分のすみかに向かって大いに呼ばわり、地に住むすべての者に向かってぶどうを踏む者のように叫ばれる。 + 叫びは地の果にまで響きわたる。主が国々と争い、すべての肉なる者をさばき、悪人をつるぎに渡すからであると、主は言われる』。 + 万軍の主はこう仰せられる、見よ、国から国へ災が出て行く。大きなあらしが地の果からおこる。 + その日、主に殺される人々は、地のこの果から、かの果に及ぶ。彼らは悲しまれず、集められず、また葬られずに、地のおもてに糞土となる。 + 牧者よ、嘆き叫べ、群れのかしらたちよ、灰の中にまろべ。あなたがたのほふられる日、散らされる日が来たからだ。あなたがたは選び分けられた雄羊のように倒れる。 + 牧者には、のがれ場なく、群れのかしらたちは逃げる所がない。 + 牧者の叫び声と、群れのかしらたちの嘆きの声が聞える。主が彼らの牧場を滅ぼしておられるからだ。 + 主の激しい怒りによって、平和な牧場は荒れていく。 + ししのように彼はその巣を出た。主のつるぎと、その激しい怒りによって、彼らの地は荒れ地となった」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムが世を治めた初めのころ、主からこの言葉があった、 + 「主はこう仰せられる、主の宮の庭に立ち、わたしがあなたに命じて言わせるすべての言葉を、主の宮で礼拝するために来ているユダの町々の人々に告げなさい。ひと言をも言い残しておいてはならない。 + 彼らが聞いて、おのおのその悪い道を離れることがあるかも知れない。そのとき、わたしは彼らの行いの悪いために、災を彼らに下そうとしたのを思いなおす。 + あなたは彼らに言いなさい、『主はこう仰せられる、もしあなたがたがわたしに聞き従わず、わたしがあなたがたの前に定めおいた律法を行わず、 + わたしがあなたがたに、しきりにつかわすわたしのしもべである預言者の言葉に聞き従わないならば、(あなたがたは聞き従わなかったが、) + わたしはこの宮をシロのようにし、またこの町を地の万国にのろわれるものとする』」。 + 祭司と預言者およびすべての民は、エレミヤが主の宮でこれらの言葉を語るのを聞いた。 + エレミヤが主に命じられたすべての言葉を民に告げ終った時、祭司と預言者および民はみな彼を捕えて言った、「あなたは死ななければならない。 + なぜあなたは主の名によって預言し、この宮はシロのようになり、この町は荒されて住む人もなくなるであろうと言ったのか」と。民はみな主の宮に集まってエレミヤを取り囲んだ。 + ユダのつかさたちはこの事を聞いて王の宮殿を出て主の宮に上り、主の宮の「新しい門」の入口に座した。 + 祭司と預言者らは、つかさたちとすべての民に訴えて言った、「この人は死刑に処すべき者です。あなたがたが自分の耳で聞かれたように、この町に逆らう預言をしたのです」。 + その時エレミヤは、つかさたちとすべての民に言った、「主はわたしをつかわし、この宮とこの町にむかって、預言をさせられたので、そのすべての言葉をあなたがたは聞いた。 + それで、あなたがたは今、あなたがたの道と行いを改め、あなたがたの神、主の声に聞き従いなさい。そうするならば主はあなたがたに災を下そうとしたことを思いなおされる。 + 見よ、わたしはあなたがたの手の中にある。あなたがたの目に、良いと見え、正しいと思うことをわたしに行うがよい。 + ただ明らかにこのことを知っておきなさい。もしあなたがたがわたしを殺すならば、罪なき者の血はあなたがたの身と、この町と、その住民とに帰する。まことに主がわたしをつかわして、このすべての言葉をあなたがたの耳に、告げさせられたからである」。 + つかさたちと、すべての民とは、祭司と預言者に言った、「この人は死刑に処すべき者ではない。われわれの神、主の名によってわれわれに語ったのである」。 + その時この地の長老たち数人が立って、そこに集まっているすべての者に告げて言った、 + 「ユダの王ヒゼキヤの世に、モレシテびとミカはユダのすべての民に預言して言った、『万軍の主はこう仰せられる、シオンは畑のように耕され、エルサレムは石塚となり、宮の山は木のおい茂る高い所となる』。 + ユダの王ヒゼキヤと、すべてのユダの人は彼を殺そうとしたことがあろうか。ヒゼキヤは主を恐れ、主の恵みを求めたので、主は彼らに災を下すとお告げになったのを思いなおされたではないか。しかし、われわれは、自分の身に大きな災を招こうとしている」。 + 主の名によって預言した人がほかにもあった。すなわちキリアテ・ヤリムのシマヤの子ウリヤである。彼はエレミヤとおなじような言葉をもって、この町とこの地にむかって預言した。 + エホヤキム王と、そのすべての勇士と、すべてのつかさたちはその言葉を聞いた。そして王は彼を殺そうと思ったが、ウリヤはこれを聞いて恐れ、エジプトに逃げて行ったので、 + エホヤキム王は人をエジプトにつかわした。すなわちアクボルの子エルナタンと他の数名の人を、エジプトにつかわした。 + 彼らはウリヤをエジプトから引き出し、エホヤキム王のもとに連れてきたので、王はつるぎをもって彼を殺し、その死体を共同墓地に捨てさせた。 + しかしシャパンの子アヒカムはエレミヤを助け、民の手に渡されて殺されることのないようにした。 + + + ユダの王ヨシヤの子ゼデキヤが世を治め始めたころ、この言葉が主からエレミヤに臨んだ。 + すなわち主はこうわたしに仰せられた、「綱と、くびきとを作って、それをあなたの首につけ、 + エルサレムにいるユダの王ゼデキヤの所に来た使者たちによって、エドムの王、モアブの王、アンモンびとの王、ツロの王、シドンの王に言いおくりなさい。 + 彼らの主君にこの命を伝えさせなさい、『万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、あなたがたは主君にこのように告げなければならない。 + わたしは大いなる力と伸べた腕とをもって、地と地の上にいる人と獣とをつくった者である。そして心のままに地を人に与える。 + いまわたしはこのすべての国を、わたしのしもべであるバビロンの王ネブカデネザルの手に与え、また野の獣をも彼に与えて彼に仕えさせた。 + 彼の地に時がくるまで、万国民は彼とその子とその孫に仕える。その時がくるならば、多くの国と大いなる王たちとが彼を自分の奴隷にする。 + バビロンの王ネブカデネザルに仕えず、バビロンの王のくびきを自分の首に負わない民と国とは、わたしがつるぎと、ききんと、疫病をもって罰し、ついには彼の手によってことごとく滅ぼすと主は言われる。 + それで、あなたがたの預言者、占い師、夢みる者、法術師、魔法使が、「あなたがたはバビロンの王に仕えることはない」と言っても、聞いてはならない。 + 彼らはあなたがたに偽りを預言して、あなたがたを自分の国から遠く離れさせ、わたしに、あなたがたを追い出してあなたがたを滅ぼさせるのである。 + しかしバビロンの王のくびきを首に負って、彼に仕える国民を、わたしはその故国に残らせ、それを耕して、そこに住まわせると主は言われる』」。 + わたしはユダの王ゼデキヤにも同じように言った、「あなたがたは、バビロンの王のくびきを自分の首に負って、彼とその民とに仕え、そして生きなさい。 + どうしてあなたと、あなたの民とが、主がバビロンの王に仕えない国民について言われたように、つるぎと、ききんと、疫病に死んでよかろうか。 + あなたがたはバビロンの王に仕えることはないとあなたがたに告げる預言者の言葉を聞いてはならない。彼らがあなたがたに預言していることは偽りであるからだ。 + 主は言われる、わたしが彼らをつかわしたのではないのに、彼らはわたしの名によって偽って預言している。そのために、わたしはあなたがたを追い払い、あなたがたと、あなたがたに預言する預言者たちを滅ぼすようになるのだ」。 + わたしはまた祭司とこのすべての民とに語って言った、「主はこう仰せられる、『見よ、主の宮の器は今、すみやかに、バビロンから返されてくる』とあなたがたに預言する預言者の言葉を聞いてはならない。それは、彼らがあなたがたに預言していることは偽りであるからだ。 + 彼らのいうことを聞いてはならない。バビロンの王に仕え、そして生きなさい。どうしてこの町が荒れ地となってよかろうか。 + もし彼らが預言者であって、主の言葉が彼らのうちにあるのであれば、主の宮とユダの王の宮殿とエルサレムとに残されている器が、バビロンに移されないように、万軍の主に、とりなしを願うべきだ。 + 万軍の主は柱と海と台、その他この町に残っている器について、こう仰せられる。 + これはバビロンの王ネブカデネザルが、ユダの王エホヤキムの子エコニヤ、およびユダとエルサレムのすべての身分の尊い人々を捕えてエルサレムからバビロンに移したときに、持ち去らなかった器である。―― + すなわち万軍の主、イスラエルの神は、主の宮とユダの王の宮殿とエルサレムとに残されている器について、こう仰せられる。 + これらはバビロンに携え行かれ、わたしが顧みる日までそこにおかれている。その後、わたしはこれらのものを、この所に携え帰らせると主は言われる」。 + + + その年、すなわちユダの王ゼデキヤの治世の初め、その第四年の五月、ギベオン出身の預言者であって、アズルの子であるハナニヤは、主の宮で祭司とすべての民の前でわたしに語って言った、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、わたしはバビロンの王のくびきを砕いた。 + 二年の内に、バビロンの王ネブカデネザルが、この所から取ってバビロンに携えて行った主の宮の器を、皆この所に帰らせる。 + わたしはまたユダの王エホヤキムの子エコニヤと、バビロンに行ったユダのすべての捕われ人をこの所に帰らせる。それは、わたしがバビロンの王のくびきを、砕くからであると主は言われる」。 + そこで預言者エレミヤは主の宮のうちに立っている祭司とすべての民の前で、預言者ハナニヤに言った。 + すなわち預言者エレミヤは言った、「アァメン。どうか主がこのようにしてくださるように。どうかあなたの預言した言葉が成就して、バビロンに携えて行った主の宮の器とすべての捕われ人を、主がバビロンから再びこの所に帰らせてくださるように。 + ただし、今わたしがあなたとすべての民の聞いている所で語るこの言葉を聞きなさい。 + わたしと、あなたの先に出た預言者は、むかしから、多くの地と大きな国について、戦いと、ききんと、疫病の事を預言した。 + 平和を預言する預言者は、その預言者の言葉が成就するとき、真実に主がその預言者をつかわされたのであることが知られるのだ」。 + そこで預言者ハナニヤは預言者エレミヤの首から、くびきを取って、それを砕いた。 + そしてハナニヤは、すべての民の前で語り、「主はこう仰せられる、『わたしは二年のうちに、このように、万国民の首からバビロンの王ネブカデネザルのくびきを離して砕く』」と言った。預言者エレミヤは去って行った。 + 預言者ハナニヤが預言者エレミヤの首から、くびきを離して砕いた後、しばらくして主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「行って、ハナニヤに告げなさい、『主はこう仰せられる、あなたは木のくびきを砕いたが、わたしはそれに替えて鉄のくびきを作ろう。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、わたしは鉄のくびきをこの万国民の首に置いて、バビロンの王ネブカデネザルに仕えさせる。彼らはこれに仕える。わたしは野の獣をも彼に与えた』」。 + 預言者エレミヤはまた預言者ハナニヤに言った、「ハナニヤよ、聞きなさい。主があなたをつかわされたのではない。あなたはこの民に偽りを信じさせた。 + それゆえ主は仰せられる、『わたしはあなたを地のおもてから除く。あなたは主に対する反逆を語ったので、今年のうちに死ぬのだ』と」。 + 預言者ハナニヤはその年の七月に死んだ。 + + + これは預言者エレミヤがエルサレムから、かの捕え移された長老たち、およびネブカデネザルによってエルサレムからバビロンに捕え移された祭司と預言者ならびにすべての民に送った手紙に書きしるした言葉である。 + それはエコニヤ王と太后と宦官およびユダとエルサレムのつかさたち、および工匠と鍛冶とがエルサレムを去ってのちに書かれたものであって、 + エレミヤはその手紙をシャパンの子エラサおよびヒルキヤの子ゲマリヤの手によって送った。この人々はユダの王ゼデキヤがバビロンに行かせ、バビロンの王ネブカデネザルのもとにつかわしたものであった。その手紙には次のように書いてあった。 + 「万軍の主、イスラエルの神は、すべて捕え移された者、すなわち、わたしがエルサレムから、バビロンに捕え移させた者に、こう言う、 + あなたがたは家を建てて、それに住み、畑を作ってその産物を食べよ。 + 妻をめとって、むすこ娘を産み、また、そのむすこに嫁をめとり、娘をとつがせて、むすこ娘を産むようにせよ。その所であなたがたの数を増し、減ってはならない。 + わたしがあなたがたを捕え移させたところの町の平安を求め、そのために主に祈るがよい。その町が平安であれば、あなたがたも平安を得るからである。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、あなたがたのうちにいる預言者と占い師に惑わされてはならない。また彼らの見る夢に聞き従ってはならない。 + それは、彼らがわたしの名によってあなたがたに偽りを預言しているからである。わたしが彼らをつかわしたのではないと主は言われる。 + 主はこう言われる、バビロンで七十年が満ちるならば、わたしはあなたがたを顧み、わたしの約束を果し、あなたがたをこの所に導き帰る。 + 主は言われる、わたしがあなたがたに対していだいている計画はわたしが知っている。それは災を与えようというのではなく、平安を与えようとするものであり、あなたがたに将来を与え、希望を与えようとするものである。 + その時、あなたがたはわたしに呼ばわり、来て、わたしに祈る。わたしはあなたがたの祈を聞く。 + あなたがたはわたしを尋ね求めて、わたしに会う。もしあなたがたが一心にわたしを尋ね求めるならば、 + わたしはあなたがたに会うと主は言われる。わたしはあなたがたの繁栄を回復し、あなたがたを万国から、すべてわたしがあなたがたを追いやった所から集め、かつ、わたしがあなたがたを捕われ離れさせたそのもとの所に、あなたがたを導き帰ろうと主は言われる。 + あなたがたは、『主はバビロンでわれわれのために預言者たちを起された』と言ったが、―― + 主はダビデの位に座している王と、この町に住むすべての民で、あなたがたと共に捕え移されなかった兄弟たちについて、こう言われる、 + 『万軍の主はこう言われる、見よ、わたしは、つるぎと、ききんと、疫病を彼らに送り、彼らを悪くて食べられない腐ったいちじくのようにしてしまう。 + わたしはつるぎと、ききんと、疫病をもって彼らのあとを追い、また彼らを地の万国に忌みきらわれるものとなし、わたしが彼らを追いやる国々で、のろいとなり、恐れとなり、物笑いとなり、はずかしめとならせる。 + それは彼らがわたしの言葉に聞き従わなかったからであると主は言われる。わたしはこの言葉を、わたしのしもべである預言者たちによって、しきりに送ったが、あなたがたは聞こうともしなかったと主は言われる』。―― + わたしがエルサレムからバビロンに送ったあなたがたすべての捕われ人よ、主の言葉を聞きなさい、 + 『わたしの名によって、あなたがたに偽りを預言しているコラヤの子アハブと、マアセヤの子ゼデキヤについて万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、見よ、わたしは彼らをバビロンの王ネブカデレザルの手に渡す。王はあなたがたの目の前で彼らを殺す。 + バビロンにいるユダの捕われ人は皆、彼らの名を、のろいの言葉に用いて、「主があなたをバビロンの王が火で焼いたゼデキヤとアハブのようにされるように」という。 + それは、彼らがイスラエルのうちで愚かな事をし、隣の妻と不義を行い、わたしが命じたのでない偽りの言葉を、わたしの名によって語ったことによるのである。わたしはそれを知っており、またその証人であると主は言われる』」。 + ネヘラムびとシマヤにあなたは言いなさい、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、あなたは自分の名でエルサレムにいるすべての民と、マアセヤの子祭司ゼパニヤおよびすべての祭司に手紙を送って言う、 + 『主は祭司エホヤダに代ってあなたを祭司とし、主の宮をつかさどらせ、すべて狂い、かつ預言する者を足かせと首かせにつながせられる。 + そうであるのに、どうしてあなたは、あなたがたに預言しているアナトテのエレミヤを戒めないのか。 + 彼はバビロンにいるわれわれの所に手紙を送って、捕われの時はなお長いゆえ、あなたがたは家を建ててそこに住み、畑を作ってその産物を食べよと言ってきた』」。 + 祭司ゼパニヤはこの手紙を預言者エレミヤに読み聞かせた。 + その時、主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「すべての捕われ人に書き送って言いなさい、ネヘラムびとシマヤの事について主はこう仰せられる、わたしはシマヤをつかわさなかったのに、彼があなたがたに預言して偽りを信じさせたので、 + 主はこう仰せられる、見よ、わたしはネヘラムびとシマヤとその子孫を罰する。彼は主に対する反逆を語ったゆえ、彼に属する者で、この民のうちに住み、わたしが自分の民に行おうとしている良い事を見るものはひとりもいない」。 + + + 主からエレミヤに臨んだ言葉。 + 「イスラエルの神、主はこう仰せられる、わたしがあなたに語った言葉を、ことごとく書物にしるしなさい。 + 主は言われる、見よ、わたしがわが民イスラエルとユダの繁栄を回復する日が来る。主がこれを言われる。わたしは彼らを、その先祖に与えた地に帰らせ、彼らにこれを保たせる」。 + これは主がイスラエルとユダについて言われた言葉である。 + 「主はこう仰せられる、われわれはおののきの声を聞いた。恐れがあり、平安はない。 + 子を産む男があるか、尋ねてみよ。どうして男がみな子を産む女のように手を腰におくのをわたしは見るのか。なぜ、どの人の顔色も青く変っているのか。 + 悲しいかな、その日は大いなる日であって、それに比べるべき日はない。それはヤコブの悩みの時である。しかし彼はそれから救い出される。 + 万軍の主は仰せられる、その日わたしは彼らの首からそのくびきを砕き離し、彼らの束縛を解く。異邦の人はもはや、彼らを使役することをしない。 + 彼らはその神、主と、わたしが彼らのために立てるその王ダビデに仕える。 + 主は仰せられる、わがしもべヤコブよ、恐れることはない、イスラエルよ、驚くことはない。見よ、わたしがあなたを救って、遠くからかえし、あなたの子孫を救って、その捕え移された地からかえすからだ。ヤコブは帰ってきて、穏やかに安らかにおり、彼を恐れさせる者はない。 + 主は言われる、わたしはあなたと共にいて、あなたを救う。わたしはあなたを散らした国々をことごとく滅ぼし尽す。しかし、あなたを滅ぼし尽すことはしない。わたしは正しい道に従ってあなたを懲らしめる。決して罰しないではおかない。 + 主はこう仰せられる、あなたの痛みはいえず、あなたの傷は重い。 + あなたの訴えを支持する者はなく、あなたの傷をつつむ薬はなく、あなたをいやすものもない。 + あなたの愛する者は皆あなたを忘れてあなたの事を心に留めない。それは、あなたのとがが多く、あなたの罪がはなはだしいので、わたしがあだを撃つようにあなたを撃ち、残忍な敵のように懲らしたからだ。 + なぜ、あなたの傷のために叫ぶのか、あなたの悩みはいえることはない。あなたのとがが多く、あなたの罪がはなはだしいので、これらの事をわたしはあなたにしたのである。 + しかし、すべてあなたを食い滅ぼす者は食い滅ぼされ、あなたをしえたげる者は、ひとり残らず、捕え移され、あなたをかすめる者は、かすめられ、すべてあなたの物を奪う者は奪われる者となる。 + 主は言われる、わたしはあなたの健康を回復させ、あなたの傷をいやす。それは、人があなたを捨てられた者とよび、『だれも心に留めないシオン』というからである。 + 主はこう仰せられる、見よ、わたしはヤコブの天幕を再び栄えさせ、そのすまいにあわれみを施す。町は、その丘に建てなおされ、宮殿はもと立っていた所に立つ。 + 感謝の歌と喜ぶ者の声とが、その中から出る。わたしが彼らを増すゆえ、彼らは少なくはなく、また彼らを尊ばれしめるゆえ、卑しめられることはない。 + その子らは、いにしえのようになり、その会衆はわたしの前に堅く立つ。すべて彼らをしえたげる者をわたしは罰する。 + その君は彼ら自身のうちのひとりであり、そのつかさは、そのうちから出る。わたしは彼をわたしに近づけ、彼はわたしに近づく。だれか自分の命をかけてわたしに近づく者があろうかと主は言われる。 + あなたがたは、わたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる」。 + 見よ、主の暴風がくる。憤りと、つむじ風が出て、悪人のこうべをうつ。 + 主の激しい怒りは、み心に思い定められたことを行って、これを遂げるまで、退くことはない。末の日にあなたがたはこれを悟るのである。 + + + 「主は言われる、その時わたしはイスラエルの全部族の神となり、彼らはわたしの民となる」。 + 主はこう言われる、「つるぎをのがれて生き残った民は、荒野で恵みを得た。イスラエルが安息を求めた時、 + 主は遠くから彼に現れた。わたしは限りなき愛をもってあなたを愛している。それゆえ、わたしは絶えずあなたに真実をつくしてきた。 + イスラエルのおとめよ、再びわたしはあなたを建てる、あなたは建てられる。あなたは再び鼓をもって身を飾り、出て行って、喜び楽しむ者と共に踊る。 + またあなたはぶどうの木をサマリヤの山に植える。植える者は、植えてその実を食べることができる。 + 見守る者がエフライムの山の上に立って呼ばわる日が来る。『立って、シオンに上り、われわれの神、主に、もうでよう』と」。 + 主はこう仰せられる、「ヤコブのために喜んで声高く歌い、万国のかしらのために叫び声をあげよ。告げ示し、ほめたたえて言え、『主はその民イスラエルの残りの者を救われた』と。 + 見よ、わたしは彼らを北の国から連れ帰り、彼らを地の果から集める。彼らのうちには、盲人やあしなえ、妊婦、産婦も共にいる。彼らは大きな群れとなって、ここに帰ってくる。 + 彼らは泣き悲しんで帰ってくる。わたしは慰めながら彼らを導き帰る。彼らがつまずかないように、まっすぐな道により、水の流れのそばを通らせる。それは、わたしがイスラエルの父であり、エフライムはわたしの長子だからである。 + 万国の民よ、あなたがたは主の言葉を聞き、これを遠い、海沿いの地に示して言いなさい、『イスラエルを散らした者がこれを集められる。牧者がその群れを守るようにこれを守られる』と。 + すなわち主はヤコブをあがない、彼らよりも強い者の手から彼を救いだされた。 + 彼らは来てシオンの山で声高く歌い、主から賜わった良い物のために、穀物と酒と油および若き羊と牛のために、喜びに輝く。その魂は潤う園のようになり、彼らは重ねて憂えることがない。 + その時おとめたちは舞って楽しみ、若い者も老いた者も共に楽しむ。わたしは彼らの悲しみを喜びにかえ、彼らを慰め、憂いの代りに喜びを与える。 + わたしは多くのささげ物で、祭司の心を飽かせ、わたしの良き物で、わたしの民を満ち足らせると主は言われる」。 + 主はこう仰せられる、「嘆き悲しみ、いたく泣く声がラマで聞える。ラケルがその子らのために嘆くのである。子らがもはやいないので、彼女はその子らのことで慰められるのを願わない」。 + 主はこう仰せられる、「あなたは泣く声をとどめ、目から涙をながすことをやめよ。あなたのわざに報いがある。彼らは敵の地から帰ってくると主は言われる。 + あなたの将来には希望があり、あなたの子供たちは自分の国に帰ってくると主は言われる。 + わたしは確かに、エフライムがこう言って嘆くの聞いた、『あなたはわたしを懲しめられた、わたしはくびきに慣れない子牛のように懲しめをうけた。主よ、あなたはわたしの神、主でいらせられる、わたしを連れ帰って、もとにかえしてください。 + わたしはそむき去った後、悔い、教をうけた後、ももを打った。若い時のはずかしめが身にあるので、わたしは恥じ、 うろたえた』。 + 主は言われる、エフライムはわたしの愛する子、わたしの喜ぶ子であろうか。わたしは彼について語るごとに、なお彼を忘れることができない。それゆえ、わたしの心は彼をしたっている。わたしは必ず彼をあわれむ。 + みずからのために道しるべを置き、みずからのために標柱を立てよ。大路に、あなたの通って行った道に心を留めよ。イスラエルのおとめよ、帰れ、これらの、あなたの町々に帰れ。 + 不信の娘よ、いつまでさまようのか。主は地の上に新しい事を創造されたのだ、女が男を保護する事である」。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、「わたしが彼らを再び栄えさせる時、人々はまたユダの地とその町々でこの言葉を言う、『正義のすみかよ、聖なる山よ、どうか主がおまえを祝福してくださるように』。 + ユダとそのすべての町の人、および農夫と群れを飼って歩き回る者は共にそこに住む。 + わたしが疲れた魂を飽き足らせ、すべて悩んでいる魂を慰めるからである」。 + ここでわたしは目をさましたが、わたしの眠りは、ここちよかった。 + 「主は言われる、見よ、わたしが人の種と獣の種とをイスラエルの家とユダの家とにまく日が来る。 + わたしは彼らを抜き、砕き、倒し、滅ぼし、悩まそうと待ちかまえていたように、また彼らを建て、植えようと待ちかまえていると主は言われる。 + その時、彼らはもはや、『父がすっぱいぶどうを食べたので、子どもの歯がうく』とは言わない。 + 人はめいめい自分の罪によって死ぬ。すっぱいぶどうを食べる人はみな、その歯がうく。 + 主は言われる、見よ、わたしがイスラエルの家とユダの家とに新しい契約を立てる日が来る。 + この契約はわたしが彼らの先祖をその手をとってエジプトの地から導き出した日に立てたようなものではない。わたしは彼らの夫であったのだが、彼らはそのわたしの契約を破ったと主は言われる。 + しかし、それらの日の後にわたしがイスラエルの家に立てる契約はこれである。すなわちわたしは、わたしの律法を彼らのうちに置き、その心にしるす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となると主は言われる。 + 人はもはや、おのおのその隣とその兄弟に教えて、『あなたは主を知りなさい』とは言わない。それは、彼らが小より大に至るまで皆、わたしを知るようになるからであると主は言われる。わたしは彼らの不義をゆるし、もはやその罪を思わない」。 + 主はこう言われる、すなわち太陽を与えて昼の光とし、月と星とを定めて夜の光とし、海をかき立てて、その波を鳴りとどろかせる者――その名は万軍の主という。 + 主は言われる、「もしこの定めがわたしの前ですたれてしまうなら、イスラエルの子孫もすたって、永久にわたしの前で民であることはできない」。 + 主はこう言われる、「もし上の天を量ることができ、下の地の基を探ることができるなら、そのとき、わたしはイスラエルのすべての子孫をそのもろもろの行いのために捨て去ると主は言われる」。 + 主は言われる、「見よ、この町が、ハナネルの塔から隅の門まで、主のために再建される時が来る。 + 測りなわはそれよりも遠くまっすぐに延びて、ガレブの丘に達し、ゴアのほうに向かう。 + 死体と灰との谷の全部、またキデロンの谷に行くまでと、東のほうの馬の門のすみに行くまでとのすべての畑はみな主の聖なる所となり、永遠にわたって、ふたたび抜かれ、また倒されることはない」。 + + + ユダの王ゼデキヤの十年、すなわちネブカデレザルの十八年に、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + その時、バビロンの王の軍勢がエルサレムを攻め囲んでいて、預言者エレミヤはユダの王の宮殿にある監視の庭のうちに監禁されていた。 + ユダの王ゼデキヤが彼を閉じ込めたのであるが、王は言った、「なぜあなたは預言して言うのか、『主はこう仰せられる、見よ、わたしはこの町をバビロンの王の手に渡し、彼はこれを取る。 + またユダの王ゼデキヤはカルデヤびとの手をのがれることなく、かならずバビロンの王の手に渡され、顔と顔を合わせて彼と語り、目と目は相まみえる。 + そして彼はゼデキヤをバビロンに引いていき、ゼデキヤは、わたしが彼を顧みる時まで、そこにいると主は言われる。あなたがたは、カルデヤびとと戦っても勝つことはできない』と」。 + エレミヤは言った、「主の言葉がわたしに臨んで言われる、 + 『見よ、あなたのおじシャルムの子ハナメルがあなたの所に来て言う、「アナトテにあるわたしの畑を買いなさい。それは、これを買い取り、あがなう権利があなたにあるから」と』。 + はたして主の言葉のように、わたしのいとこであるハナメルが監視の庭のうちにいるわたしの所に来て言った、『ベニヤミンの地のアナトテにあるわたしの畑を買ってください。所有するのも、あがなうのも、あなたの権利なのです。買い取ってあなたの物にしてください。これが主の言葉であるのをわたしは知っていました』。 + そこでわたしは、いとこのハナメルからアナトテにある畑を買い取り、銀十七シケルを量って彼に支払った。 + すなわち、わたしはその証書をつくって、これに記名し、それを封印し、証人を立て、はかりをもって銀を量って与えた。 + そしてわたしはその約定をしるして封印した買収証書と、封印のない写しとを取り、 + いとこのハナメルと、買収証書に記名した証人たち、および監視の庭にすわっているすべてのユダヤ人の前で、その証書をマアセヤの子であるネリヤの子バルクに与え、 + 彼らの前で、わたしはバルクに命じて言った、 + 『万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、これらの証書すなわち、この買収証書の封印したものと、封印のない写しとを取り、これらを土の器に入れて、長く保存せよ。 + 万軍の主、イスラエルの神がこう言われるからである、「この地で人々はまた家と畑とぶどう畑を買うようになる」と』。 + わたしは買収証書をネリヤの子バルクに渡したあとで主に祈って言った、 + 『ああ主なる神よ、あなたは大いなる力と、伸べた腕をもって天と地をお造りになったのです。あなたのできないことは、ひとつもありません。 + あなたはいつくしみを千万人に施し、また父の罪をそののちの子孫に報いられるのです。あなたは大いなる全能の神でいらせられ、その名は万軍の主と申されます。 + あなたの計りごとは大きく、また、事を行うのに力があり、あなたの目は人々の歩むすべての道を見て、おのおのの道にしたがい、その行いの実によってこれに報いられます。 + あなたは、しるしと、不思議なわざとをエジプトの地に行い、また今日に至るまでイスラエルと全人類のうちに行い、そして今日のように名をあげられました。 + あなたは、しるしと、不思議なわざと、強い手と、伸べた腕と、大いなる恐るべき事をもって、あなたの民イスラエルをエジプトの地から導き出し、 + この地を彼らに賜わりました。これはあなたが彼らの先祖たちに与えようと誓われた乳と蜜の流れる地です。 + こうして彼らは、はいってこれを獲たのですが、あなたの声に聞き従わず、あなたの律法を行わず、すべてあなたがせよと命じられたことをしなかったので、あなたはこの災を彼らの上にお下しになりました。 + 見よ、塁が築きあげられたのは、この町を取るためです。つるぎと、ききんと、疫病のために、町はこれを攻めているカルデヤびとの手に渡されます。あなたの言われたようになりましたのは、ごらんのとおりであります。 + 主なる神よ、あなたはわたしに言われました、「銀をもって畑を買い、証人を立てよ」と。そうであるのに、町はカルデヤびとの手に渡されています』」。 + 主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「見よ、わたしは主である、すべて命ある者の神である。わたしにできない事があろうか。 + それゆえ、主はこう言われる、見よ、わたしはこの町をカルデヤびとと、バビロンの王ネブカデレザルの手に渡す。彼はこれを取る。 + この町を攻めているカルデヤびとがきて、この町に火をつけて焼き払う。屋根の上で人々が、バアルに香をたき、ほかの神々に酒をそそいで、わたしを怒らせたその家をも彼らは焼く。 + それは、イスラエルの人々とユダの人々とは、その若い時から、わたしの前に悪いことのみを行い、またイスラエルの民はその手のわざをもって、わたしを怒らせることばかりをしたからであると主は言われる。 + この町はそれが建った日からきょうまで、わたしの怒りと憤りとをひき起してきたので、わたしの前からこれを除き去るのである。 + それは、イスラエルの民とユダの民とが、もろもろの悪を行って、わたしを怒らせたことによるのである。――彼らの王たちと、そのつかさたち、祭司たち、預言者たち、またユダの人々とエルサレムの住民たちが皆そうである。 + 彼らはその背中をわたしに向けて顔をわたしに向けず、わたしがたゆまず教えたにもかかわらず、彼らは教を聞かず、またうけないのである。 + 彼らは憎むべき物を、わが名をもって呼ばれている家にすえつけて、そこを汚し、 + またベンヒンノムの谷にバアルの高き所を築いて、むすこ娘をモレクにささげた。わたしは彼らにこのようなことを命じたことはなく、また彼らがこの憎むべきことを行って、ユダに罪を犯させようとは考えもしなかった。 + それゆえ今イスラエルの神、主は、この町、すなわちあなたがたが、『つるぎと、ききんと、疫病のためにバビロンの王の手に渡される』といっている町についてこう仰せられる、 + 見よ、わたしは、わたしの怒りと憤りと大いなる怒りをもって、彼らを追いやったもろもろの国から彼らを集め、この所へ導きかえって、安らかに住まわせる。 + そして彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。 + わたしは彼らに一つの心と一つの道を与えて常にわたしを恐れさせる。これは彼らが彼ら自身とその後の子孫の幸を得るためである。 + わたしは彼らと永遠の契約を立てて、彼らを見捨てずに恵みを施すことを誓い、またわたしを恐れる恐れを彼らの心に置いて、わたしを離れることのないようにしよう。 + わたしは彼らに恵みを施すことを喜びとし、心をつくし、精神をつくし、真実をもって彼らをこの地に植える。 + 主はこう仰せられる、わたしがこのもろもろの大きな災をこの民に下したように、わたしが彼らに約束するもろもろの幸を彼らの上に下す。 + 人々はこの地に畑を買うようになる。あなたがたが、『それは荒れて人も獣もいなくなり、カルデヤびとの手に渡されてしまう』といっている地である。 + 人々はベニヤミンの地と、エルサレムの周囲と、ユダの町々と、山地の町々と、平地の町々と、ネゲブの町々で、銀をもって畑を買い、証書をつくって、これに記名し封印し、また証人を立てる。それは、わたしが彼らを再び栄えさせるからであると主は言われる」。 + + + エレミヤがなお監視の庭に閉じ込められている時、主の言葉はふたたび彼に臨んだ、 + 「地を造られた主、それを形造って堅く立たせられた主、その名を主と名のっておられる者がこう仰せられる、 + わたしに呼び求めよ、そうすれば、わたしはあなたに答える。そしてあなたの知らない大きな隠されている事を、あなたに示す。 + イスラエルの神、主は塁と、つるぎとを防ぐために破壊されたこの町の家と、ユダの王の家についてこう言われる、 + カルデヤびとは来て戦い、わたしが怒りと憤りをもって殺す人々の死体を、それに満たす。わたしは人々のもろもろの悪のために、この町にわたしの顔をおおい隠した。 + 見よ、わたしは健康と、いやしとを、ここにもたらして人々をいやし、豊かな繁栄と安全とを彼らに示す。 + わたしはユダとイスラエルを再び栄えさせ、彼らを建てて、もとのようにする。 + わたしは彼らがわたしに向かって犯した罪のすべてのとがを清め、彼らがわたしに向かって犯した罪と反逆のすべてのとがをゆるす。 + この町は地のもろもろの民の前に、わたしのために喜びの名となり、誉となり、栄えとなる。彼らはわたしがわたしの民に施すもろもろの恵みのことを聞く。そして、わたしがこの町に施すもろもろの恵みと、もろもろの繁栄のために恐れて身をふるわす。 + 主はこう言われる、あなたがたが、『それは荒れて、人もおらず獣もいない』というこの所、すなわち、荒れて、人もおらず住む者もなく、獣もいないユダの町とエルサレムのちまたに、 + 再び喜びの声、楽しみの声、花婿の声、花嫁の声、および『万軍の主に感謝せよ、主は恵みふかく、そのいつくしみは、いつまでも絶えることがない』といって、感謝の供え物を主の宮に携えてくる者の声が聞える。それは、わたしがこの地を再び栄えさせて初めのようにするからであると主は言われる。 + 万軍の主はこう言われる、荒れて、人もおらず獣もいないこの所と、そのすべての町々に再びその群れを伏させる牧者のすまいがあるようになる。 + 山地の町々と、平地の町々と、ネゲブの町々と、ベニヤミンの地、エルサレムの周囲と、ユダの町々で、群れは再びそれを数える者の手の下を通りすぎると主は言われる。 + 主は言われる、見よ、わたしがイスラエルの家とユダの家に約束したことをなし遂げる日が来る。 + その日、その時になるならば、わたしはダビデのために一つの正しい枝を生じさせよう。彼は公平と正義を地に行う。 + その日、ユダは救を得、エルサレムは安らかにおる。その名は『主はわれわれの正義』ととなえられる。 + 主はこう仰せられる、イスラエルの家の位に座する人がダビデの子孫のうちに欠けることはない。 + またわたしの前に燔祭をささげ、素祭を焼き、つねに犠牲をささげる人が、レビびとである祭司のうちに絶えることはない」。 + 主の言葉はエレミヤに臨んだ、 + 「主はこう仰せられる、もしあなたがたが、昼と結んだわたしの契約を破り、また夜と結んだわたしの契約を破り、昼と夜が定められた時に来ないようにすることができるならば、 + しもべダビデとわたしが結んだ契約もまた破れ、彼はその位に座して王となる子を与えられない。またわたしがわたしに仕えるレビびとである祭司に立てた契約も破れる。 + 天の星は数えることができず、浜の砂は量ることができない。そのようにわたしは、しもべダビデの子孫と、わたしに仕えるレビびとである祭司の数を増そう」。 + 主の言葉はエレミヤに臨んだ、 + 「あなたはこの民が、『主は自ら選んだ二つのやからを捨てた』といっているのを聞かないか。彼らはこのようにわたしの民を侮って、これを国とみなさないのである。 + 主はこう言われる、もしわたしが昼と夜とに契約を立てず、また天地のおきてを定めなかったのであれば、 + わたしは、ヤコブとわたしのしもべダビデとの子孫を捨てて、再び彼の子孫のうちからアブラハム、イサク、ヤコブの子孫を治める者を選ばない。わたしは彼らを再び栄えさせ、彼らにあわれみをたれよう」。 + + + バビロンの王ネブカデレザルがその全軍と、彼に従っている地のすべての国の人々、およびもろもろの民を率いて、エルサレムとその町々を攻めて戦っていた時に、主からエレミヤに臨んだ言葉、 + 「イスラエルの神、主はこう言われる、行ってユダの王ゼデキヤに告げて言いなさい、『主はこう言われる、見よ、わたしはこの町をバビロンの王の手に渡す。彼は火でこれを焼く。 + あなたはその手をのがれることはできない、必ず捕えられてその手に渡される。あなたはまのあたりバビロンの王を見、顔と顔を合わせて彼と語る。それからバビロンへ行く』。 + しかしユダの王ゼデキヤよ、主の言葉を聞きなさい。主はあなたの事についてこう言われる、『あなたはつるぎで死ぬことはない。 + あなたは安らかに死ぬ。民はあなたの先祖であるあなたの先の王たちのために香をたいたように、あなたのためにも香をたき、またあなたのために嘆いて「ああ、主君よ」と言う』。わたしがこの言葉をいうのであると主は言われる」。 + そこで預言者エレミヤはこの言葉をことごとくエルサレムでユダの王ゼデキヤに告げた。 + その時バビロンの王の軍勢はエルサレム、および残っているユダのすべての町、すなわちラキシとアゼカを攻めて戦っていた。それはユダの町々のうちに、これらの堅固な町がなお残っていたからである。 + ゼデキヤ王がエルサレムにいるすべての民と契約を立てて、彼らに釈放のことを告げ示した後に、主からエレミヤに臨んだ言葉。 + その契約はすなわち人がおのおのそのヘブルびとである男女の奴隷を解放し、その兄弟であるユダヤ人を奴隷としないことを定めたものであった。 + この契約をしたつかさたちと、すべての民は人がおのおのその男女の奴隷を解放し、再びこれを奴隷としないということに聞き従って、これを解放したが、 + 後に心を翻し、解放した男女の奴隷をひきかえさせ、再びこれを従わせて奴隷とした。 + そこで主の言葉が主からエレミヤに臨んだ、 + 「イスラエルの神、主はこう言われる、わたしはあなたがたの先祖をエジプトの地、その奴隷であった家から導き出した時、彼らと契約を立てて言った、 + 『あなたがたの兄弟であるヘブルびとで、あなたがたに身を売り、六年の間あなたがたに仕えた者は、六年の終りに、あなたがたおのおのがこれを解放しなければならない。あなたがたは彼を解放して、あなたがたに仕えることをやめさせなければならない』。ところがあなたがたの先祖たちはわたしに聞き従わず、またその耳を傾けなかった。 + しかしあなたがたは今日、心を改め、おのおのその隣り人に釈放のことを告げ示して、わたしの見て正しいとすることを行い、かつわたしの名をもってとなえられる家で、わたしの前に契約を立てた。 + ところがあなたがたは再び心を翻して、わたしの名を汚し、おのおの男女の奴隷をその願いのままに解放したのをひきかえさせ、再びこれを従わせて、あなたがたの奴隷とした。 + それゆえに、主はこう仰せられる、あなたがたがわたしに聞き従わず、おのおのその兄弟とその隣に釈放のことを告げ示さなかったので、見よ、わたしはあなたがたのために釈放を告げ示して、あなたがたをつるぎと、疫病と、ききんとに渡すと主は言われる。わたしはあなたがたを地のもろもろの国に忌みきらわれるものとする。 + わたしの契約を破り、わたしの前に立てた契約の定めに従わない人々を、わたしは彼らが二つに裂いて、その二つの間を通った子牛のようにする。―― + すなわち二つに分けた子牛の間を通ったユダのつかさたち、エルサレムのつかさたちと宦官と祭司と、この地のすべての民を、 + わたしはその敵の手と、その命を求める者の手に渡す。その死体は空の鳥と野の獣の食物となる。 + わたしはまたユダの王ゼデキヤと、そのつかさたちをその敵の手、その命を求める者の手、あなたがたを離れて去ったバビロンの王の軍勢の手に渡す。 + 主は言われる、見よ、わたしは彼らに命じて、この町に引きかえしてこさせる。彼らはこの町を攻めて戦い、これを取り、火を放って焼き払う。わたしはユダの町々を住む人のない荒れ地とする」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの時、主からエレミヤに臨んだ言葉。 + 「レカブびとの家に行って、彼らと語り、彼らを主の宮の一室に連れてきて、酒を飲ませなさい」。 + そこでわたしはハバジニヤの子エレミヤの子であるヤザニヤと、その兄弟と、そのむすこたち、およびレカブびとの全家を連れ、 + これを主の宮にあるハナンの子たちの室に連れてきた。ハナンはイグダリヤの子であって神の人であった。その室は、つかさたちの室の次にあって、門を守るシャルムの子マアセヤの室の上にあった。 + わたしはレカブびとの前に酒を満たしたつぼと杯を置き、彼らに、「酒を飲みなさい」と言ったが、 + 彼らは答えた、「われわれは酒を飲みません。それは、レカブの子であるわれわれの先祖ヨナダブがわれわれに命じて、『あなたがたとあなたがたの子孫はいつまでも酒を飲んではならない。 + また家を建てず、種をまかず、またぶどう畑を植えてはならない。またこれを所有してはならない。あなたがたは生きながらえる間は幕屋に住んでいなさい。そうするならば、あなたがたはその宿っている地に長く生きることができると言ったからです』。 + こうしてわれわれは、レカブの子であるわれわれの先祖ヨナダブがすべて命じた言葉に従って、われわれも、妻も、むすこ娘も生きながらえる間、酒を飲まず、 + 住む家を建てず、ぶどう畑も畑も種も持たないで、 + 幕屋に住み、すべてわれわれの先祖ヨナダブがわれわれに命じたところに従い、そのように行いました。 + しかしバビロンの王ネブカデレザルがこの地に上ってきた時、われわれは言いました、『さあ、われわれはエルサレムへ行こう。カルデヤびとの軍勢とスリヤびとの軍勢が恐ろしい』と。こうしてわれわれはエルサレムに住んでいるのです」。 + その時、主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、行って、ユダの人々とエルサレムに住む者とに告げよ。主は仰せられる、あなたがたはわたしの言葉を聞いて教を受けないのか。 + レカブの子ヨナダブがその子孫に酒を飲むなと命じた言葉は守られてきた。彼らは今日に至るまで酒を飲まず、その先祖の命に従ってきた。ところがあなたがたはわたしがしきりに語ったけれども、わたしに聞き従わなかった。 + わたしはまた、わたしのしもべである預言者たちを、しきりにあなたがたにつかわして言わせた、『あなたがたは今おのおのその悪い道を離れ、その行いを改めなさい。ほかの神々に従い仕えてはならない。そうすれば、あなたがたはわたしがあなたがたと、あなたがたの先祖に与えたこの地に住むことができる』と。しかしあなたがたは耳を傾けず、わたしに聞かなかった。 + レカブの子ヨナダブの子孫は、その先祖が彼らに命じた命令を守っているのである。しかしこの民はわたしに従わなかった。 + それゆえ万軍の神、主、イスラエルの神はこう仰せられる、見よ、わたしはユダとエルサレムに住む者とに、わたしが彼らの上に宣告した災を下す。わたしが彼らに語っても聞かず、彼らを呼んでも答えなかったからである」。 + ところでエレミヤはレカブびとの家の人々に言った、「万軍の主、イスラエルの神はこう仰せられる、あなたがたは先祖ヨナダブの命に従い、そのすべての戒めを守り、彼があなたがたに命じた事を行った。 + それゆえ、万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、レカブの子ヨナダブには、わたしの前に立つ人がいつまでも欠けることはない」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの四年に主からこの言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「あなたは巻物を取り、わたしがあなたに語った日、すなわちヨシヤの日から今日に至るまで、イスラエルとユダと万国とに関してあなたに語ったすべての言葉を、それにしるしなさい。 + ユダの家がわたしの下そうとしているすべての災を聞いて、おのおのその悪い道を離れて帰ることもあろう。そうすれば、わたしはそのとがとその罪をゆるすかも知れない」。 + そこでエレミヤはネリヤの子バルクを呼んだ。バルクはエレミヤの口述にしたがって、主が彼にお告げになった言葉をことごとく巻物に書きしるした。 + そしてエレミヤはバルクに命じて言った、「わたしは主の宮に行くことを妨げられている。 + それで、あなたが行って、断食の日に主の宮で、すべての民が聞いているところで、あなたがわたしの口述にしたがって、巻物に筆記した主の言葉を読みなさい。またユダの人々がその町々から来て聞いているところで、それを読みなさい。 + 彼らは主の前に祈願をささげ、おのおのその悪い道を離れて帰ることもあろう。主がこの民に対して宣告された怒りと憤りは大きいからである」。 + こうしてネリヤの子バルクはすべて預言者エレミヤが自分に命じたように、主の宮で、その巻物に書かれた主の言葉を読んだ。 + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの五年九月、エルサレムのすべての民と、ユダの町々からエルサレムに来たすべての民とは、主の前に断食を行うべきことを告げ示された。 + バルクは主の宮の上の庭で、主の宮の新しい門の入口のかたわらにある書記シャパンの子であるゲマリヤのへやで、巻物に書かれたエレミヤの言葉をすべての民に読み聞かせた。 + シャパンの子であるゲマリヤの子ミカヤはその巻物にある主の言葉をことごとく聞いて、 + 王の家にある書記のへやに下って行くと、もろもろのつかさたち、すなわち書記エリシャマ、シマヤの子デラヤ、アカボルの子エルナタン、シャパンの子ゲマリヤ、ハナニヤの子ゼデキヤおよびすべてのつかさたちがそこに座していた。 + ミカヤはバルクが民に巻物を読んで聞かせたとき、自分の聞いたすべての言葉を彼らに告げたので、 + つかさたちはクシの子セレミヤの子であるネタニヤの子エホデをバルクのもとにつかわして言わせた、「あなたが民に読み聞かせたその巻物を手に取って、来てください」。そこでネリヤの子バルクは巻物を手に取って、彼らのもとに来たので、 + 彼らはバルクに言った、「座してそれを読んでください」。バルクはそれを彼らに読みきかせた。 + 彼らはそのすべての言葉を聞き、恐れて互に見かわし、バルクに言った、「われわれはこのすべての言葉を、王に報告しなければならない」。 + そしてバルクに尋ねて言った、「このすべての言葉を、あなたがどのようにして書いたのか話してください。彼の口述によるのですか」。 + バルクは彼らに答えた、「彼がわたしにこのすべての言葉を口述したので、わたしはそれを墨汁で巻物に書いたのです」。 + つかさたちはバルクに言った、「行って、エレミヤと一緒に身を隠しなさい。人に所在を知られてはなりません」。 + そこで彼らは巻物を書記エリシャマのへやに置いて庭にはいり、王のもとへ行って、このすべての言葉を王に告げたので、 + 王はその巻物を持ってこさせるためにエホデをつかわした。エホデは書記エリシャマのへやから巻物を取ってきて、それを王と王のかたわらに立っているすべてのつかさたちに読みきかせた。 + 時は九月であって、王は冬の家に座していた。その前に炉があって火が燃えていた。 + エホデが三段か四段を読むと、王は小刀をもってそれを切り取り、炉の火に投げいれ、ついに巻物全部を炉の火で焼きつくした。 + 王とその家来たちはこのすべての言葉を聞いても恐れず、またその着物を裂くこともしなかった。 + エルナタン、デラヤおよびゲマリヤが王にその巻物を焼かないようにと願ったときにも彼は聞きいれなかった。 + そして王は王子エラメルとアヅリエルの子セラヤとアブデルの子セレミヤに、書記バルクと預言者エレミヤを捕えるようにと命じたが、主は彼らを隠された。 + バルクがエレミヤの口述にしたがって筆記した言葉を載せた巻物を王が焼いた後、主の言葉がエレミヤに臨んだ、 + 「他の巻物を取り、ユダの王エホヤキムが焼いた、前の巻物のうちにある言葉を皆それに書きしるしなさい。 + またユダの王エホヤキムについて言いなさい、『主はこう仰せられる、あなたはこの巻物を焼いて言った、「どうしてあなたはこの巻物に、バビロンの王が必ず来てこの地を滅ぼし、ここから人と獣とを絶やす、と書いたのか」と。 + それゆえ主はユダの王エホヤキムについてこう言われる、彼の子孫にはダビデの位にすわる者がなくなる。また彼の死体は捨てられて昼は暑さにあい、夜は霜にあう。 + わたしはまた彼とその子孫とその家来たちをその罪のために罰する。また彼らとエルサレムの民とユダの人々には災を下す。この災のことについては、すでに語ったけれども、彼らは聞くことをしなかった』」。 + そこでエレミヤは他の巻物を取り、ネリヤの子書記バルクに与えたので、バルクはユダの王エホヤキムが火にくべて焼いた巻物のすべての言葉を、エレミヤの口述にしたがってそれに書きしるし、また同じような言葉を多くそれに加えた。 + + + ヨシヤの子ゼデキヤはエホヤキムの子コニヤに代って王となった。バビロンの王ネブカデレザルが彼をユダの地の王としたのである。 + 彼もその家来たちも、その地の人々も、主が預言者エレミヤによって語られた言葉に聞き従わなかった。 + ゼデキヤ王はセレミヤの子ユカルと、マアセヤの子祭司ゼパニヤを預言者エレミヤにつかわして、「われわれのために、われわれの神、主に祈ってください」と言わせた。 + エレミヤは民の中に出入りしていた。まだ獄屋に入れられなかったからである。 + パロの軍勢がエジプトから出て来たので、エルサレムを攻め囲んでいたカルデヤびとはその情報を聞いてエルサレムを退いた。 + その時、主の言葉は預言者エレミヤに臨んだ、 + 「イスラエルの神、主はこう言われる、あなたがたをつかわしてわたしに求めたユダの王にこう言いなさい、『あなたがたを救うために出てきたパロの軍勢はその国エジプトに帰ろうとしている。 + カルデヤびとが再び来てこの町を攻めて戦い、これを取って火で焼き滅ぼす。 + 主はこう言われる、あなたがたは、「カルデヤびとはきっとわれわれを離れ去る」といって自分を欺いてはならない。彼らは去ることはない。 + たといあなたがたが自分を攻めて戦うカルデヤびとの全軍を撃ち破って、その天幕のうちに負傷者のみを残しても、彼らは立ち上がって火でこの町を焼き滅ぼす』」。 + さてカルデヤびとの軍勢がパロの軍勢の来るのを聞いてエルサレムを退いたとき、 + エレミヤは、ベニヤミンの地で民のうちに自分の分け前を受け取るため、エルサレムを立ってその地へ行こうと、 + ベニヤミンの門に着いたとき、そこにハナニヤの子セレミヤの子でイリヤという名の番兵がいて、預言者エレミヤを捕え、「あなたはカルデヤびとの側に脱走しようとしている」と言った。 + エレミヤは言った、「それはまちがいだ。わたしはカルデヤびとの側に脱走しようとしていない」。しかしイリヤは聞かず、エレミヤを捕えて、つかさたちのもとへ引いて行った。 + つかさたちは怒って、エレミヤを打ちたたき、書記ヨナタンの家の獄屋にいれた。この家が獄屋になっていたからである。 + エレミヤが地下の獄屋にはいって、そこに多くの日を送ってのち、 + ゼデキヤ王は人をつかわし、彼を連れてこさせた。王は自分の家でひそかに彼に尋ねて言った、「主から何かお言葉があったか」。エレミヤはあったと答えた。そして言った、「あなたはバビロンの王の手に引き渡されます」。 + エレミヤはまたゼデキヤ王に言った、「わたしが獄屋にいれられたのは、あなたに、またはあなたの家来に、あるいはこの民に、どのような罪を犯したからなのですか。 + あなたがたに預言して、『バビロンの王はあなたがたをも、この地をも攻めにこない』と言っていたあなたがたの預言者は今どこにいるのですか。 + 王なるわが君よ、どうぞ今お聞きください。わたしの願いをお聞きとどけください。わたしを書記ヨナタンの家へ帰らせないでください。そうでないと、わたしはそこで殺されるでしょう」。 + そこでゼデキヤ王は命を下し、エレミヤを監視の庭に入れさせ、かつ、パンを造る者の町から毎日パン一個を彼に与えさせた。これは町にパンがなくなるまで続いた。こうしてエレミヤは監視の庭にいた。 + + + マッタンの子シパテヤ、パシュルの子ゲダリヤ、セレミヤの子ユカル、マルキヤの子パシュルはエレミヤがすべての民に告げていたその言葉を聞いた。 + 彼は言った、「主はこう言われる、この町にとどまる者は、つるぎや、ききんや、疫病で死ぬ。しかし出てカルデヤびとにくだる者は死を免れる。すなわちその命を自分のぶんどり物として生きることができる。 + 主はこう言われる、この町は必ずバビロンの王の軍勢の手に渡される。彼はこれを取る」。 + すると、つかさたちは王に言った、「この人を殺してください。このような言葉をのべて、この町に残っている兵士の手と、すべての民の手を弱くしているからです。この人は民の安泰を求めないで、その災を求めているのです」。 + ゼデキヤ王は言った、「見よ、彼はあなたがたの手にある。王はあなたがたに逆らって何事をもなし得ない」。 + そこで彼らはエレミヤを捕え、監視の庭にある王子マルキヤの穴に投げ入れた。すなわち、綱をもってエレミヤをつり降ろしたが、その穴には水がなく、泥だけであったので、エレミヤは泥の中に沈んだ。 + 王の家の宦官エチオピヤびとエベデメレクは、彼らがエレミヤを穴に投げ入れたことを聞いた。その時、王はベニヤミンの門に座していたので、 + エベデメレクは王の家から出て行って王に言った、 + 「王なるわが君よ、この人々が預言者エレミヤにしたことはみな良いことではありません。彼を穴に投げ入れました。町に食物がなくなりましたから、彼はそこで餓死するでしょう」。 + 王はエチオピヤびとエベデメレクに命じて言った、「ここから三人のひとを連れて行って、預言者エレミヤを、死なないうちに穴から引き上げなさい」。 + そこでエベデメレクはその人々を連れて王の家の倉の衣服室に行き、そこから古い布切れや、着ふるした着物を取り、これを穴の中にいるエレミヤのところへ、綱をもってつり降ろした。 + そしてエチオピヤびとエベデメレクは、「この布切れや着物を、あなたのわきの下にはさんで、綱に当てなさい」とエレミヤに言った。エレミヤはそのようにした。 + すると彼らは綱をもってエレミヤを穴から引き上げた。そしてエレミヤは監視の庭にとどまった。 + ゼデキヤ王は人をつかわして預言者エレミヤを主の宮の第三の門に連れてこさせ、王はエレミヤに言った、「あなたに尋ねたいことがある。何事もわたしに隠してはならない」。 + エレミヤはゼデキヤに言った、「もしわたしがお話するなら、あなたは必ずわたしを殺されるではありませんか。たといわたしが忠告をしても、あなたはお聞きにならないでしょう」。 + その時ゼデキヤ王は、ひそかにエレミヤに誓って言った、「われわれの魂を造られた主は生きておられる。わたしはあなたを殺さない、またあなたの命を求める者の手に、あなたを渡すこともしない」。 + そこでエレミヤはゼデキヤに言った、「万軍の神、イスラエルの神、主はこう仰せられる、もしあなたがバビロンの王のつかさたちに降伏するならば、あなたの命は助かり、またこの町は火で焼かれることなく、あなたも、あなたの家の者も生きながらえることができる。 + しかし、もしあなたが出てバビロンの王のつかさたちに降伏しないならば、この町はカルデヤびとの手に渡される。彼らは火でこれを焼く。あなたはその手をのがれることができない」。 + ゼデキヤ王はエレミヤに言った、「わたしはカルデヤびとに脱走したユダヤ人を恐れている。カルデヤびとはわたしを彼らの手に渡し、彼らはわたしをはずかしめる」。 + エレミヤは言った、「彼らはあなたを渡さないでしょう。どうか、わたしがあなたに告げた主の声に聞き従ってください。そうすれば幸を得、また命が助かります。 + しかし降伏することを拒むならば、主がわたしに示された幻を申しましょう。 + すなわち、ユダの王の家に残っている女たちは、みなバビロンの王のつかさたちの所へ引いて行かれます。その女たちは言うのです、『あなたの親しい友だちがあなたを欺いた、そしてあなたに勝った。今あなたの足は泥に沈んでいるので、彼らはあなたを捨てて去る』。 + あなたの妻たちと子供たちは皆カルデヤびとの所へひき出される。あなた自身もその手をのがれることができず、バビロンの王に捕えられる。そしてこの町は火で焼かれるでしょう」。 + ゼデキヤはエレミヤに言った、「これらの言葉を人に知らせてはならない。そうすればあなたは殺されることはない。 + わたしがあなたと話をしたことを、つかさたちが聞いて、彼らがあなたの所に来て、『あなたが王に話したこと、王があなたに話したことをわれわれに告げなさい。何事も隠してはならない。われわれはあなたを殺しはしない』と言うならば、 + あなたは彼らに、『わたしは王に願って、わたしをヨナタンの家に送り返さず、そこで死ぬことのないようにしてくださいと言った』と答えなさい」。 + さて、つかさたちは皆エレミヤのところへ来て尋ねたが、王が彼に教えたように彼らに答えたので、彼らは彼と話すことをやめた。その会話を聞いた者がなかったからである。 + エレミヤはエルサレムの取られる日まで監視の庭にとどまっていた。 + + + ユダの王ゼデキヤの九年十月、バビロンの王ネブカデレザルはその全軍を率い、エルサレムに来てこれを攻め囲んだが、 + ゼデキヤの十一年四月九日になって町の一角が破れた。 + エルサレムが取られたので、バビロンの王のつかさたち、すなわちネルガル・シャレゼル、サムガル・ネボ、ラブサリスのサルセキム、ラブマグのネルガル・シャレゼルおよびバビロンの王のその他のつかさたちは皆ともに来て中の門に座した。 + ユダの王ゼデキヤとすべての兵士たちはこれを見て逃げ、夜のうちに、王の庭園の道を通って、二つの城壁の間の門から町を出て、アラバの方へ行ったが、 + カルデヤびとの軍勢はこれを追って、エリコの平地でゼデキヤに追いつき、これを捕えて、ハマテの地リブラにいるバビロンの王ネブカデレザルのもとに引いて行ったので、王はそこで彼の罪をさだめた。 + バビロンの王はリブラで、ゼデキヤの子たちを彼の目の前で殺した。バビロンの王はまたユダのすべての貴族たちを殺した。 + 王はまたゼデキヤの目をつぶさせ、彼をバビロンに引いて行くために、鎖につないだ。 + またカルデヤびとは王宮と民家を火で焼き、エルサレムの城壁を破壊した。 + そして侍衛の長ネブザラダンは町のうちに残っている民と、自分に降伏した者、およびその他の残っている民をバビロンに捕え移した。 + しかし侍衛の長ネブザラダンは、民の貧しい無産者をユダの地に残し、同時にぶどう畑と田地をこれに与えた。 + さてバビロンの王ネブカデレザルはエレミヤの事について侍衛の長ネブザラダンに命じて言った、 + 「彼をとり、よく世話をせよ。害を加えることなく、彼があなたに言うようにしてやりなさい」。 + そこで侍衛の長ネブザラダン、ラブサリスのネブシャズバン、ラブマグのネルガル・シャレゼル、およびバビロンの王のつかさたちは、 + 人をつかわして、エレミヤを監視の庭から連れてこさせ、シャパンの子アヒカムの子であるゲダリヤに託して、家につれて行かせた。こうして彼は民のうちにいた。 + エレミヤが監視の庭に閉じこめられていた時、主の言葉が彼に臨んだ、 + 「行って、エチオピヤびとエベデメレクに告げなさい、『万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、わたしの言った災をわたしはこの町に下す、幸をこれに下すのではない。その日、この事があなたの目の前で成就する。 + 主は言われる、その日わたしはあなたを救う。あなたは自分の恐れている人々の手に渡されることはない。 + わたしが必ずあなたを救い、つるぎに倒れることのないようにするからである。あなたの命はあなたのぶんどり物となる。あなたがわたしに寄り頼んだからであると主は言われる』」。 + + + 侍衛の長ネブザラダンは、バビロンに移されるエルサレムとユダの人々のうちにエレミヤを鎖につないでおいて、これを捕えて行ったが、ついにラマで彼を釈放した。その後、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + 侍衛の長はエレミヤを召して彼に言った、「あなたの神、主はこの所にこの災を下すと告げ示された。 + 主はこれを下し、自ら言われたとおりに行われた。あなたがたが主に対して罪を犯し、み声に従わなかったから、この事があなたがたの上に臨んだのだ。 + 見よ、わたしはきょう、あなたの手の鎖を解いてあなたを釈放する。もしあなたがわたしと一緒にバビロンへ行くのが良いと思われるなら、おいでなさい。わたしは、じゅうぶんあなたの世話をします。もしあなたがわたしと一緒にバビロンには行きたくないなら、行かなくてもよろしい。見よ、この地はみなあなたの前にあります、あなたが良いと思い、正しいと思う所に行きなさい。 + あなたがとどまるならば、バビロンの王がユダの町々の総督として立てたシャパンの子アヒカムの子であるゲダリヤの所へ帰り、彼と共に民のうちに住みなさい。あるいはまたあなたが正しいと思う所へ行きなさい」。こうして侍衛の長は彼に糧食と贈り物を与えて去らせた。 + そこでエレミヤはミヅパへ行き、アヒカムの子ゲダリヤの所へ行って、彼と共にその地に残っている民のうちに住んだ。 + さて野外にいた軍勢の長たちと、その配下の人々は、バビロンの王がアヒカムの子ゲダリヤを立てて、その地の総督とし、男、女、子供、および国のうちのバビロンに移されない貧しい者を彼に委託した事を聞いたので、 + ネタニヤの子イシマエルと、カレヤの子ヨハナンおよびタンホメテの子セラヤと、ネトパびとであるエパイの子たちと、マアカびとの子ヤザニヤおよびその配下の人々は、ミヅパにいるゲダリヤのもとへ行った。 + シャパンの子であるアヒカムの子ゲダリヤは、彼らとその配下の人々に誓って言った、「カルデヤびとに仕えることを恐れるに及ばない。この地に住んでバビロンの王に仕えるならば、あなたがたは幸福になる。 + わたしはミヅパにいて、われわれの所に来るカルデヤびとの前に、あなたがたのために立ちましょう。あなたがたは、ぶどう酒や夏のくだもの、油を集めて、それを器にたくわえ、あなたがたの獲た町々に住みなさい」。 + 同じように、モアブとアンモンびとのうち、またエドムおよび他の国々にいるユダヤ人は、バビロンの王がユダに人を残したことと、シャパンの子であるアヒカムの子ゲダリヤを立ててその総督としたこととを聞いた。 + そこでそのユダヤ人らはみなその追いやられたもろもろの所から帰ってきて、ユダの地のミヅパにいるゲダリヤのもとにきた。そして多くのぶどう酒と夏のくだものを集めた。 + またカレヤの子ヨハナンと、野外にいた軍勢の長たちはみなミヅパにいるゲダリヤのもとにきて、 + 彼に言った、「アンモンびとの王バアリスがあなたを殺すためにネタニヤの子イシマエルをつかわしたことを知っていますか」。しかしアヒカムの子ゲダリヤは彼らの言うことを信じなかったので、 + カレヤの子ヨハナンはミヅパでひそかにゲダリヤに言った、「わたしが行って、人に知れないように、ネタニヤの子イシマエルを殺しましょう。どうして彼があなたを殺して、あなたの周囲に集まっているユダヤ人を散らし、ユダの残った者を滅ぼしてよいでしょう」。 + しかしアヒカムの子ゲダリヤはカレヤの子ヨハナンに言った、「この事をしてはならない。あなたはイシマエルについて偽りを言っているのです」。 + + + 七月のころ、王家のもので、エリシャマの子ネタニヤの子であり、また王の高官のひとりであるイシマエルは、王の十人のつかさたちと共にミヅパにいたアヒカムの子ゲダリヤのもとにきて、ミヅパで食を共にしたが、 + ネタニヤの子イシマエルおよび共にいた十人の者は立ち上がって、バビロンの王がこの地の総督としたシャパンの子アヒカムの子であるゲダリヤを刀で殺し、 + イシマエルはまたミヅパでゲダリヤと共にいたすべてのユダヤ人と、たまたまそこにいたカルデヤびとの兵士たちを殺した。 + ゲダリヤが殺された次の日、まだだれもその事を知らないうちに、 + 八十人の人々がそのひげをそり、衣服をさき、身に傷をつけ、手には素祭のささげ物と香を携え、シケム、シロ、サマリヤからきて、主の宮にささげようとした。 + ネタニヤの子イシマエルはミヅパから泣きながら出てきて彼らを迎え、彼らに会って、「アヒカムの子ゲダリヤのもとにおいでなさい」と言った。 + そして彼らが町の中にはいったとき、ネタニヤの子イシマエルは自分と一緒にいた人々と共に彼らを殺して、その死体を穴に投げ入れた。 + しかしそのうちの十人はイシマエルに向かい、「わたしたちは畑に小麦、大麦、油、および蜜を隠しています、わたしたちを殺さないでください」と言ったので、彼らをその仲間と共に殺さないでしまった。 + イシマエルが自分の殺した人々の死体を投げ入れた穴は、アサ王がイスラエルの王バアシャを恐れて掘った穴であった。ネタニヤの子イシマエルは殺した人々をこれに満たした。 + 次いでイシマエルはミヅパに残っているすべての民、すなわち王の娘たちと侍衛の長ネブザラダンがアヒカムの子ゲダリヤに託したミヅパに残っているすべての民とを捕虜とした。ネタニヤの子イシマエルは彼らを捕虜とし、アンモンびとのもとに渡り行こうとして立ち去った。 + カレヤの子ヨハナンおよび彼と共にいる軍勢の長たちはネタニヤの子イシマエルの行った悪事をみな聞き、 + その兵士たちを率いて、ネタニヤの子イシマエルと戦うために出て行き、ギベオンの大池のほとりで彼に会った。 + イシマエルと共にいる人々は、カレヤの子ヨハナンおよび彼と共にいる軍勢の長たちを見て喜んだ。 + そしてイシマエルがミヅパから捕虜にしてきた人々は身をめぐらしてカレヤの子ヨハナンのもとへ行った。 + ネタニヤの子イシマエルは八人の者と共にヨハナンを避けて逃げ、アンモンびとの所へ行った。 + そこでカレヤの子ヨハナンおよび彼と共にいる軍勢の長たちはネタニヤの子イシマエルがアヒカムの子ゲダリヤを殺して、ミヅパから捕虜として連れてきた、あの残っていた民、すなわち兵士や女、子供、宦官をギベオンから連れ帰ったが、 + 彼らはエジプトへ行こうとしてベツレヘムの近くにあるゲルテ・キムハムへ行って、そこにとどまった。 + これは、ネタニヤの子イシマエルが、バビロンの王によってこの地の総督に任じられたアヒカムの子ゲダリヤを殺したことにより、カルデヤびとを恐れたからである。 + + + そのとき軍勢の長たち、およびカレヤの子ヨハナンと、ホシャヤの子アザリヤ、ならびに民の最も小さい者から最も大いなる者にいたるまで、 + みな預言者エレミヤの所に来て言った、「どうかあなたの前にわれわれの求めが受けいれられますように。われわれのため、この残っている者すべてのために、あなたの神、主に祈ってください、(今ごらんのとおり、われわれは多くのうち、わずかに残っている者です) + そうすれば、あなたの神、主は、われわれの行くべき道と、なすべき事をお示しになるでしょう」。 + 預言者エレミヤは彼らに言った、「よくわかりました。あなたがたの求めにしたがって、あなたがたの神、主に祈りましょう。主があなたがたに答えられることを、何事も隠さないであなたがたに言いましょう」。 + 彼らはエレミヤに言った、「もし、あなたの神、主があなたをつかわしてお告げになるすべての言葉を、われわれが行わないときは、どうか主がわれわれに対してまことの真実な証人となられるように。 + われわれは良くても悪くても、われわれがあなたをつかわそうとするわれわれの神、主の声に従います。われわれの神、主の声に従うとき、われわれは幸を得るでしょう」。 + 十日の後、主の言葉がエレミヤに臨んだ。 + エレミヤはカレヤの子ヨハナンおよび彼と共にいる軍勢の長たち、ならびに民の最も小さい者から最も大いなる者までことごとく招いて、 + 彼らに言った、「あなたがたがわたしをつかわして、あなたの祈願をその前にのべさせたイスラエルの神、主はこう言われます、 + もしあなたがたがこの地にとどまるならば、わたしはあなたがたを建てて倒すことなく、あなたがたを植えて抜くことはしない。わたしはあなたがたに災を下したことを悔いているからである。 + 主は言われる、あなたが恐れているバビロンの王を恐れてはならない。彼を恐れてはならない、わたしが共にいて、あなたがたを救い、彼の手から助け出すからである。 + わたしはあなたがたをあわれみ、また彼にあなたがたをあわれませ、あなたがたを自分の地にとどまらせる。 + しかし、もしあなたがたが、『われわれはこの地にとどまらない』といって、あなたがたの神、主の声にしたがわず、 + また、『いいえ、われわれはあの戦争を見ず、ラッパの声を聞かず、食物も乏しくないエジプトの地へ行って、あそこに住まおう』と言うならば、 + あなたがた、ユダの残っている者たちよ、主の言葉を聞きなさい。万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、もしあなたがたがむりにエジプトへ行ってそこに住むならば、 + あなたがたの恐れているつるぎはエジプトの地であなたがたに追いつき、あなたがたの恐れているききんは、すぐあとを追ってエジプトまで行き、その所であなたがたは死ぬ。 + すべてむりにエジプトへ行ってそこに住む者は、つるぎと、ききんと、疫病で死ぬ。わたしが彼らに下そうとしている災をのがれて残る者はそのうちにない。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、わたしの怒りと憤りとをエルサレムの住民の上に注いだように、わたしの憤りは、あなたがたがエジプトへ行くとき、あなたがたの上に注ぐ。あなたがたは、のろいとなり、恐怖となり、ののしりとなり、はずかしめとなる。あなたがたは再びこの所を見ることができない。 + ユダの残っている者たちよ、『エジプトへ行ってはならない』と主はあなたがたに言われた。わたしがきょう警告したことを、あなたがたは確かに知らなければならない。 + あなたがたはみずからそむき去って、命を失った。なぜなら、あなたがたがわたしをあなたがたの神、主につかわし、『われわれの神、主に祈り、われわれの神、主の言われることをことごとく示してください。われわれはそれを行います』と言ったので、 + わたしはきょうそれを示したが、あなたがたはあなたがたの神、主の声を聞かず、主がわたしをつかわして命じさせられた事には、すこしも従わなかったからである。 + それゆえ、あなたがたが行って住まうことを願っているその所で、あなたがたはつるぎと、ききんと、疫病で死ぬことを確かに知らなければならない」。 + + + エレミヤがすべての民にむかって、彼らの神、主の言葉をことごとく語り、彼らの神、主が自分をつかわして言わせられるその言葉をみな告げ終った時、 + ホシャヤの子アザリヤと、カレヤの子ヨハナンおよび高慢な人々はみなエレミヤに言った、「あなたは偽りを言っている。われわれの神、主が、『エジプトへ行ってそこに住むな』と言わせるためにあなたをつかわされたのではない。 + ネリヤの子バルクがあなたをそそのかして、われわれに逆らわせ、われわれをカルデヤびとの手に渡して殺すか、あるいはバビロンに捕え移させるのだ」。 + こうしてカレヤの子ヨハナンと軍勢の長たちおよび民らは皆、主の声にしたがわず、ユダの地にとどまろうとしなかった。 + そしてカレヤの子ヨハナンと軍勢の長たちは、ユダに残っている者すなわち追いやられた国々からユダの地に住むために帰ってきた者、―― + 男、女、子供、王の娘たち、およびすべて侍衛の長ネブザラダンがシャパンの子であるアヒカムの子ゲダリヤに渡しておいた者、ならびに預言者エレミヤとネリヤの子バルクをつれて、 + エジプトの地へ行った。彼らは主の声にしたがわなかったのである。そして彼らはついにタパネスに行った。 + 主の言葉はタパネスでエレミヤに臨んだ、 + 「大きな石を手に取り、ユダの人々の目の前で、これをタパネスにあるパロの宮殿の入口の敷石のしっくいの中に隠して、 + 彼らに言いなさい、『万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、見よ、わたしは使者をつかわして、わたしのしもべであるバビロンの王ネブカデレザルを招く。彼はその位をこの隠した石の上にすえ、その上に王の天蓋を張る。 + 彼は来てエジプトの地を撃ち、疫病に定まっている者を疫病に渡し、とりこに定まっている者をとりこにし、つるぎに定まっている者をつるぎにかける。 + 彼はエジプトの神々の宮に火をつけてこれを焼き、彼らをとりこにする。そして羊を飼う者が着物の虫をはらいきよめるように、エジプトの地をきよめる。彼は安らかにそこを去る。 + 彼はエジプトの地にあるヘリオポリスのオベリスクをこわし、エジプトの神々の宮を火で焼く』」。 + + + エジプトの地に住んでいるユダヤ人すなわちミグドル、タパネス、メンピス、パテロスの地に住む者の事についてエレミヤに臨んだ言葉、 + 「万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、あなたがたはわたしがエルサレムとユダの町々に下した災を見た。見よ、これらは今日、すでに荒れ地となって住む人もない。 + これは彼らが悪を行って、わたしを怒らせたことによるのである。すなわち彼らは自分も、あなたがたも、あなたがたの先祖たちも知らなかった、ほかの神々に行って、香をたき、これに仕えた。 + わたしは自分のしもべであるすべての預言者たちを、しきりにあなたがたにつかわして、『どうか、わたしの忌みきらうこの憎むべき事をしないように』と言わせたけれども、 + 彼らは聞かず、耳を傾けず、ほかの神々に香をたいて、その悪を離れなかった。 + それゆえ、わたしは怒りと憤りをユダの町々とエルサレムのちまたに注ぎ、それを焼いたので、それらは今日のように荒れ、滅びてしまった。 + 万軍の神、イスラエルの神、主は今こう言われる、あなたがたはなぜ大いなる悪を行って自分自身を害し、ユダのうちから、あなたがたの男と女と、子供と乳のみ子を断って、ひとりも残らないようにしようとするのか。 + なぜあなたがたはその手のわざをもってわたしを怒らせ、あなたがたが行って住まうエジプトの地で、ほかの神々に香をたいて自分の身を滅ぼし、地の万国のうちに、のろいとなり、はずかしめとなろうとするのか。 + ユダの地とエルサレムのちまたで行ったあなたがたの先祖たちの悪、ユダの王たちの悪、その妻たちの悪、およびあなたがた自身の悪、あなたがたの妻たちの悪をあなたがたは忘れたのか。 + 彼らは今日に至るまで悔いず、また恐れず、あなたがたとあなたがたの先祖たちの前に立てた、わたしの律法とわたしの定めとに従って歩まないのである。 + それゆえ万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、見よ、わたしは顔をあなたがたに向けて災を下し、ユダの人々をことごとく断つ。 + またわたしは、エジプトの地に住むために、むりに行ったあのユダの残りの者を取り除く。彼らはみな滅ぼされてエジプトの地に倒れる。彼らは、つるぎとききんに滅ぼされ、最も小さい者から最も大いなる者まで、つるぎとききんによって死ぬ。そして、のろいとなり、恐怖となり、ののしりとなり、はずかしめとなる。 + わたしはエルサレムを罰したように、つるぎと、ききんと、疫病をもってエジプトに住んでいる者を罰する。 + それゆえ、エジプトの地へ行ってそこに住んでいるユダの残りの者のうち、のがれ、または残って、帰り住まおうと願うユダの地へ帰る者はひとりもない。少数ののがれる者のほかには、帰ってくる者はない」。 + その時、自分の妻がほかの神々に香をたいたことを知っている人々、およびその所に立っている女たちの大いなる群衆、ならびにエジプトの地のパテロスに住んでいる民はエレミヤに答えて言った、 + 「あなたが主の名によってわたしたちに述べられた言葉は、わたしたちは聞くことができません。 + わたしたちは誓ったことをみな行い、わたしたちが、もと行っていたように香を天后にたき、また酒をその前に注ぎます。すなわち、ユダの町々とエルサレムのちまたで、わたしたちとわたしたちの先祖たちおよびわたしたちの王たちと、わたしたちのつかさたちが行ったようにいたします。その時には、わたしたちは糧食には飽き、しあわせで、災に会いませんでした。 + ところが、わたしたちが、天后に香をたくことをやめ、酒をその前に注がなくなった時から、すべての物に乏しくなり、つるぎとききんに滅ぼされました」。 + また女たちは言った、「わたしたちが天后に香をたき、酒をその前に注ぐに当って、これにかたどってパンを造り、酒を注いだのは、わたしたちの夫が許したことではありませんか」。 + そこでエレミヤは男女のすべての人、およびこの答をしたすべての民に言った、 + 「ユダの町々とエルサレムのちまたで、あなたがたとあなたがたの先祖たち、およびあなたがたの王たちとあなたがたのつかさたち、およびその地の民が香をたいたことは、主がこれを忘れず、また、心にとどめておられることではないか。 + 主はあなたがたの悪しきわざのため、あなたがたの憎むべき行いのために、もはや忍ぶことができなくなられた。それゆえ、あなたがたの地は今日のごとく荒れ地となり、驚きとなり、のろいとなり、住む人のない地となった。 + あなたがたが香をたき、主に罪を犯し、主の声に聞き従わず、その律法と、定めと、あかしに従って歩まなかったので、今日のようにこの災があなたがたに臨んだのである」。 + エレミヤはまたすべての民と女たちに言った、「あなたがたすべてエジプトの地にいるユダの人々よ、主の言葉を聞きなさい。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、あなたがたとあなたがたの妻たちは口で言い、手で行い、『わたしたちは天后に香をたき、酒を注いで立てた誓いを必ずなし遂げる』と言う。それならば、あなたがたの誓いをかため、あなたがたの誓いをなし遂げなさい。 + それゆえ、あなたがたすべてエジプトの地にいるユダの人々よ、主の言葉を聞きなさい。主は言われる、わたしは自分の大いなる名をさして誓う、すなわちエジプトの全地に、ユダの人々で、その口に、『主なる神は生きておられる』と言って、わたしの名をとなえるものは、もはやひとりもないようになる。 + 見よ、わたしは彼らを見守っている、それは幸を与えるためではなく、災を下すためである。エジプトの地にいるユダの人々は、つるぎとききんによって滅び絶える。 + しかし、つるぎをのがれるわずかの者はエジプトの地を出てユダの地に帰る。そしてユダの残っている民でエジプトに来て住んだ者は、わたしの言葉が立つか、彼らの言葉が立つか、いずれであるかを知るようになる。 + 主は言われる、わたしがこの所であなたがたを罰するしるしはこれである。わたしはこのようにしてわたしがあなたがたに災を下そうと言った事の必ず立つことを知らせよう。 + すなわち主はこう言われる、見よ、わたしはユダの王ゼデキヤを、その命を求める敵であるバビロンの王ネブカデレザルの手に渡したように、エジプトの王パロ・ホフラをその敵の手、その命を求める者の手に渡す」。 + + + ユダの王ヨシヤの子エホヤキムの四年に、ネリヤの子バルクがこれらの言葉をエレミヤの口述にしたがって書にしるした時、預言者エレミヤが彼に語った言葉、 + 「バルクよ、イスラエルの神、主はあなたについてこう言われる、 + あなたはかつて、『ああ、わたしはわざわいだ、主がわたしの苦しみに悲しみをお加えになった。わたしは嘆き疲れて、安息が得られない』と言った。 + あなたはこう彼に言いなさい、主はこう言われる、見よ、わたしは自分で建てたものをこわし、自分で植えたものを抜いている――それは、この全地である。 + あなたは自分のために大いなる事を求めるのか、これを求めてはならない。見よ、わたしはすべての人に災を下そうとしている。しかしあなたの命はあなたの行くすべての所で、ぶんどり物としてあなたに与えると主は言われる」。 + + + もろもろの国の事について預言者エレミヤに臨んだ主の言葉。 + エジプトの事、すなわちユフラテ川のほとりにあるカルケミシの近くにいるエジプトの王パロ・ネコの軍勢の事について。これはユダの王ヨシヤの子エホヤキムの四年に、バビロンの王ネブカデレザルが撃ち破ったものである。その言葉は次のとおりである、 + 「大盾と小盾とを備え、進んで戦え。 + 騎兵よ、馬を戦車につなぎ、馬に乗れ。かぶとをかぶって立て。ほこをみがき、よろいを着よ。 + わたしは見たが、何ゆえか彼らは恐れて退き、その勇士たちは打ち敗られ、あわてて逃げて、うしろをふり向くこともしない、――恐れが彼らの周囲にあると主は言われる。 + 足早き者も逃げることができず、勇士ものがれることができない。北の方、ユフラテ川のほとりで彼らはつまずき倒れた。 + あのナイル川のようにわきあがり、川々のように、その水のさかまく者はだれか。 + エジプトはナイル川のようにわきあがり、その水は川々のようにさかまく。そしてこれは言う、わたしは上って、地をおおい、町々とそのうちに住む者を滅ぼそう。 + 馬よ、進め、車よ、激しく走れ。勇士よ、盾を取るエチオピヤびとと、プテびとよ、弓を巧みに引くルデびとよ、進み出よ。 + その日は万軍の神、主の日であって、主があだを報いられる日、その敵にあだをかえされる日だ。つるぎは食べて飽き、彼らの血に酔う。万軍の神、主が、北の地で、ユフラテ川のほとりで、ほふることをなされるからだ。 + おとめなるエジプトの娘よ、ギレアデに上って乳香を取れ。あなたは多くの薬を用いても、むだだ。あなたは、いやされることはない。 + あなたの恥は国々に聞えている、あなたの叫びは地に満ちている。勇士が勇士につまずいて、共に倒れたからである」。 + バビロンの王ネブカデレザルが来て、エジプトの地を撃とうとする事について、主が預言者エレミヤにお告げになった言葉、 + 「エジプトで宣べ、ミグドルで告げ示し、またメンピスとタパネスに告げ示して言え、『堅く立って、備えせよ、つるぎがあなたの周囲を、滅ぼし尽すからだ』。 + なぜ、アピスはのがれたのか。あなたの雄牛は、なぜ立たなかったのか。それは主がこれを倒されたからだ。 + あなたに属する多くの兵は、つまずいて倒れた。そして互に言った、『立てよ、われわれは、しえたげる者のつるぎを避けて、われわれの民に帰り、故郷の地へ行こう』と。 + エジプトの王パロの名を、『好機を逸する騒がしい者』と呼べ。 + 万軍の主という名の王は言われる、わたしは生きている、彼は山々のうちのタボルのように、海のほとりのカルメルのように来り臨む。 + エジプトに住む民よ、捕われのために荷物を備えよ。メンピスは荒れ地となり、廃虚となって住む人もなくなる。 + エジプトは美しい雌の子牛だ、しかし北から、牛ばえが来て、それにとまった。 + そのうちにいる雇兵でさえ、肥えた子牛のようだ。彼らはふり返って共に逃げ、立つことをしなかった。彼らの災難の日、その罰せられる時が来たからだ。 + 彼は逃げ去るへびのような音をたてる。その敵が軍勢を率いて彼に臨み、きこりのように、おのをもって来るからだ。 + 彼らは彼の林がいかに入り込みがたくとも、それを切り倒す。彼らはいなごよりも多く、数えがたいからであると、主は言われる。 + エジプトの娘ははずかしめを受け、北からくる民の手に渡される」。 + 万軍の主、イスラエルの神は言われた、「見よ、わたしはテーベのアモンと、パロと、エジプトとその神々とその王たち、すなわちパロと彼を頼む者とを罰する。 + わたしは彼らを、その命を求める者の手と、バビロンの王ネブカデレザルの手と、その家来たちの手に渡す。その後、エジプトは昔のように人の住む所となると、主は言われる。 + わたしのしもべヤコブよ、恐れることはない、イスラエルよ、驚くことはない。見よ、わたしがあなたを遠くから救い、あなたの子孫をその捕え移された地から救うからだ。ヤコブは帰ってきて、おだやかに、安らかになり、彼を恐れさせる者はない。 + 主は言われる、わたしのしもべヤコブよ、恐れることはない、わたしが共にいるからだ。わたしはあなたを追いやった国々をことごとく滅ぼし尽す。しかしあなたを滅ぼし尽すことはしない。わたしは正しい道に従って、あなたを懲らしめる、決して罰しないではおかない」。 + + + パロがまだガザを撃たなかったころ、ペリシテびとの事について預言者エレミヤに臨んだ主の言葉。 + 「主はこう言われる、見よ、水は北から起り、あふれ流れて、この地と、そこにあるすべての物、その町と、その中に住む者とにあふれかかる。その時、人々は叫び、この地に住む者はみな嘆く。 + そのたくましい馬のひずめの踏み鳴らす音のため、その戦車の響きのため、その車輪のとどろきのために、父はその手が弱くなって、自分の子をも顧みない。 + これは、ペリシテびとを滅ぼし尽し、ツロとシドンに残って助けをなす者をことごとく絶やす日が来るからである。主はカフトルの海岸に残っているペリシテびとを滅ぼされる。 + ガザには髪をそることが始まっている。アシケロンは滅びた。アナクびとの残りの民よ、いつまで自分の身に傷つけるのか。 + 主のつるぎよ、おまえはいつになれば静かになるのか。おまえのさやに帰り、休んで静かにしておれ。 + 主がこれに命を下されたのだ、どうして静かにしておれようか。アシケロンと海岸の地を攻めることを定められたのだ」。 + + + モアブの事について、万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、「ああ、ネボはわざわいだ、これは滅ぼされた。キリヤタイムははずかしめられて取られ、とりでは、はずかしめられてこわされた。 + モアブの誉は、消え去った。ヘシボンで人々はモアブの害を図り、『さあ、この国を断ち滅ぼそう』という。マデメンよ、おまえもまた滅ぼされる、つるぎがおまえを追う。 + ホロナイムから叫び声が聞える、『荒廃と大いなる滅亡だ』という。 + モアブは滅ぼされ、叫びはゾアルにまで聞える。 + 彼らは泣きながらルヒテの坂を登る。彼らはホロナイムの下り坂で、『滅亡』の叫びを聞いたからだ。 + 逃げて、自分の身を救え、荒野の野ろばのようになれ。 + おまえが、とりでと財宝とを頼みにしたので、おまえも捕えられるからだ。またケモシは、その祭司とつかさたちと共に、捕えられて行く。 + 滅ぼす者はすべての町に来る、一つの町ものがれることができない。谷は滅び、平地は荒される、主の言われたとおりである。 + モアブに翼を与えて、飛び去らせよ。その町々は荒れて、住む者はなくなる。 + 主のわざを行うことを怠る者はのろわれる。またそのつるぎを押えて血を流さない者はのろわれる。 + モアブはその幼い時から安らかで、酒が、沈んだおりの上にとどまって、器から器に、くみ移されなかったように、捕え移されなかったので、その味はなお存し、その香気も変ることがない。 + 主は言われる、それゆえ見よ、わたしがこれを傾ける者どもをつかわす日が来る。彼らはこれを傾け、その器をあけ、そのかめを砕く。 + その時モアブはケモシのために恥をかく。ちょうどイスラエルの家がその頼みとしたベテルのために恥をかいたようになる。 + あなたがたはどうして『われわれは勇士だ。強い戦士だ』というのか。 + モアブとその町々を滅ぼす者は上って来、モアブのえり抜きの若者たちは下って殺されたと万軍の主と名のる王が言われる。 + モアブの災難は近づいている、その苦難はすみやかに来る。 + すべてその周囲にある者よ、またその名を知る者よ、彼のために嘆いて、『ああ、強き笏、麗しきつえは、ついに折れた』と言え。 + デボンに住む者よ、あなたの栄えを離れて下り、かわいた地に座せよ。モアブを滅ぼす者があなたに攻めのぼって来て、あなたの城を滅ぼしたからだ。 + アロエルに住む者よ、道のかたわらに立って見張りし、逃げてくる男、のがれてくる女に尋ねて、『何が起ったのか』と言え。 + モアブは敗れて、恥をこうむっている。嘆き呼ばわれ。アルノン川のほとりで、モアブは滅ぼされたと告げよ。 + さばきは高原の地に臨み、ホロン、ヤハズ、メパアテ、 + デボン、ネボ、ベテ・デブラタイム、 + キリヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、 + ケリオテ、ボズラなどモアブの地のすべての町の、遠いものにも近いものにも、臨んだ。 + モアブの角は砕け、その腕は折れたと主は言われる。 + モアブを酔わせよ、彼が主に敵して自ら高ぶったからである。モアブは自分の吐いた物の中にころがって、笑い草となる。 + イスラエルはあなたの笑い草ではなかったか。あなたが、彼のことを語るごとに首を振ったのは、彼が盗賊の中にいたとでもいうのか。 + モアブに住む者よ、町を去って岩の間に住め。谷の入口のかたわらに巣を作る山ばとのようにせよ。 + われわれはモアブの高慢な事を聞いた、その高慢は、はなはだしい。すなわち、その尊大、高慢、横柄、およびその心の高ぶりのことを聞いた。 + 主は言われる、わたしは彼の横着なのを知る、彼の自慢は偽りで、その行いも偽りである。 + それゆえ、わたしはモアブのために嘆き、モアブの全地のために呼ばわる。キルヘレスの人々のためにわたしは悲しむ。 + シブマのぶどうの木よ、わたしはヤゼルのために泣くのにまさっておまえのために泣く。おまえのつるは延びて海を越え、ヤゼルに及んだ。おまえの夏の実と、その収穫を滅ぼす者が襲ってきた。 + 喜びと楽しみは、実り多いモアブの地を去った。わたしは、ぶどうをしぼる所にも酒をなくした。楽しく呼ばわって、ぶどうを踏む者もなくなった。呼ばわっても、喜んで呼ばわる声ではない。 + ヘシボンとエレアレは叫ぶ。ヤハヅに至るまで、ゾアルからホロナイムとエグラテ・シリシヤに至るまで、彼らはその声をあげる。ニムリムの水も絶えたからである。 + 主は言われる、わたしは犠牲を高き所にささげ、香をその神にたく者をモアブのうちに滅ぼす。 + それゆえ、わたしの心はモアブのために笛のように嘆き、わたしの心はキルヘレスの人々のために笛のように嘆く。彼らの獲た富が消えうせたからである。 + 人はみな髪をそり、皆ひげをそり、みな手に傷をつけ、腰に荒布を着ける。 + モアブではどこの屋根の上も、広場も、ただ悲しみに包まれている。これは、わたしが、だれもほしがらない器のようにモアブを砕いたからであると主は言われる。 + ああ、モアブはついに滅びた。人々は嘆く。ああ、モアブは恥じて顔をそむけた。モアブはその周囲のすべての者の笑い草となり恐れとなった」。 + 主はこう言われる、「見よ、敵はわしのように速く飛んできて、モアブに向かって翼をのべる。 + 町々は取られ、城は奪われる。その日モアブの勇士の心は子を産む女の心のようになる。 + モアブは滅ぼされて、国を成さないようになる。主に敵して自ら誇ったからである。 + 主は言われる、モアブに住む者よ、恐れと、穴と、わなとがあなたに臨んでいる。 + 恐れをさけて逃げる者は穴におちいり、穴をよじ上って出る者は、わなに捕えられる。わたしがモアブに、その罰せられる年に、これらのものを臨ませるからであると主は言われる。 + 逃げた者はヘシボンの陰に、力なく立ちどまる。ヘシボンから火が出、シホンの家から炎が出て、モアブの額、騒ぐ人々の頭の頂を焼いたからだ。 + モアブよ、おまえはわざわいだ。ケモシの民は滅びた。おまえのむすこらは捕え移され、おまえの娘らも捕え行かれたからである。 + しかし末の日にわたしは再びモアブを栄えさせると主は言われる」。ここまではモアブのさばきの事をいったのである。 + + + アンモンびとについて、主はこう言われる、「イスラエルには子がないのか、世継ぎがないのか。どうしてミルコムがガドを追い出して、その民がその町々に住んでいるのか。 + 主は言われる、それゆえ、見よ、アンモンびとのラバを攻める戦いの叫びを、わたしが聞えさせる日が来る。ラバは荒塚となり、その村々は火で焼かれる。そのときイスラエルは自分を追い出した者どもを追い出すと主は言われる。 + ヘシボンよ嘆け、アイは滅ぼされた。ラバの娘たちよ呼ばわれ。荒布を身にまとい、悲しんで、まがきのうちを走りまわれ。ミルコムとその祭司およびつかさが共に捕え移されるからだ。 + 不信の娘よ、あなたはなぜ自分の谷の事を誇るのか。あなたは自分の富に寄り頼んで、『だれがわたしに攻めてくるものか』と言う。 + 主なる万軍の神は言われる、見よ、わたしはあなたの上に恐れを臨ませる、それはあなたの周囲の者から来る。あなたは追われて、おのおの直ちに他人に続き、逃げる者を集める人もない。 + しかし、のちになって、わたしはアンモンびとを再び栄えさせると、主は言われる」。 + エドムの事について、万軍の主はこう言われる、「テマンには、もはや知恵がないのか。さとい者には計りごとがなくなったのか。その知恵は消えうせたのか。 + デダンに住む者よ、逃げよ、のがれよ、深い所に隠れよ。わたしがエサウの災難を彼の上に臨ませ、彼を罰する時をこさせるからだ。 + ぶどうを集める者があなたの所に来たならば、すこしの実をも残さないであろうか。夜、盗びとが来たならば、自分たちの満足するだけ滅ぼさないであろうか。 + しかしわたしはエサウを裸にし、その隠れる所を現したので、彼はその身を隠すことができない。その子どもたちも、兄弟も、隣り人も滅ぼされる。そして彼は、いなくなる。 + あなたのみなしごを残せ、わたしがそれを生きながらえさせる。あなたのやもめには、わたしに寄り頼ませよ」。 + 主はこう言われる、「もし、杯を飲むべきでない者もそれを飲まなければならなかったとすれば、あなたは罰を免れることができようか。あなたは罰を免れない。それを飲まなければならない。 + 主は言われる、わたしは自分をさして誓った、ボズラは驚きとなり、ののしりとなり、荒れ地となり、のろいとなる。その町々は長く荒れ地となる」。 + わたしは主からのおとずれを聞いた。ひとりの使者がつかわされて万国に行き、そして言った、「あなたがたは集まり、行って彼を攻め、立って戦え。 + 見よ、わたしはあなたを万国のうちに小さい者とし、人々のうちに卑しめられる者とする。 + 岩の割れ目に住み、山の高みを占める者よ、あなたの恐ろしい事と、あなたの心の高ぶりが、あなたを欺いた。あなたは、わたしのように巣を高い所に作っているが、わたしはその所からあなたを取りおろすと主は言われる。 + エドムは恐れとなる。そのかたわらを通り過ぎる者はみな恐れ、その災のために、舌打ちする。 + 主は言われる、ソドムとゴモラとその隣の町々がくつがえされた時のように、そこに住む人はなく、そこに宿る人もなくなる。 + 見よ、ししがヨルダンの密林から上ってきて、じょうぶな羊のおりを襲うように、わたしは、たちまち彼らをそこから逃げ走らせ、わたしの選ぶ者をその上に立てる。だれかわたしのような者があるであろうか。だれがわたしを呼びつけることができようか。どの牧者がわたしの前に立つことができようか。 + それゆえ、エドムに対して主が立てた計りごとと、テマンに住む者に対してしようとする事を聞くがよい。彼らの群れのうちの小さいものまでも皆、引かれて行く。彼らのおりのものもその終りを見て恐れる。 + その倒れる音を聞いて、地は震い、彼らの叫び声は紅海にも聞える。 + 見よ、敵はわしのように上り、すみやかに飛びかけり、その翼をボズラの上に張り広げる。その日エドムの勇士の心は子を産む女の心のようになる」。 + ダマスコの事について、「ハマテとアルパデは、うろたえている、彼らは悪いおとずれを聞いたからだ。彼らは勇気を失い、穏やかになることのできない海のように悩む。 + ダマスコは弱り、身をめぐらして逃げた、恐怖に襲われている。子を産む女に臨むように痛みと悲しみと彼に臨む。 + ああ、名ある町、楽しい町は捨てられる。 + それゆえ、その日に、若い者は、広場に倒れ、兵士はことごとく滅ぼされると万軍の主は言われる。 + わたしはダマスコの城壁の上に火を燃やし、ベネハダデの宮殿を焼き尽す」。 + バビロンの王ネブカデレザルが攻め撃ったケダルとハゾルの諸国の事について、主はこう言われる、「立って、ケダルに向かって進み、東の人々を滅ぼせ。 + 彼らの天幕と、その羊の群れとは取られ、その垂幕とそのもろもろの器と、らくだとは彼らの所から運び去られ、人々は彼らに向かって叫ぶ、『恐ろしいことが四方にある』と。 + 主は言われる、ハゾルに住む者よ、逃げよ、遠くさまよい行き、深い所に隠れよ。バビロンの王ネブカデレザルがあなたがたを攻める計りごとをめぐらし、あなたがたを攻める、てだてを設けたからだ。 + 主は言われる、立って進み、安全な所に住むきらくな民を攻めよ、彼らは門もなく、貫の木もなく、ひとり離れて住む。 + 彼らのらくだは、ぶんどり物となり、家畜の群れは奪われる。わたしは、かの髪の毛のすみずみを切る者を四方に散らし、その災難を八方からこさせると主は言われる。 + ハゾルは山犬のすまいとなり、いつまでも荒れ地となっている。だれもそこに住む人はなく、そこに宿る人もない」。 + ユダの王ゼデキヤの治世の初めのころに、エラムの事について預言者エレミヤに臨んだ主の言葉。 + 万軍の主はこう言われる、「見よ、わたしはエラムが力として頼んでいる弓を折る。 + わたしは天の四方から、四方の風をエラムにこさせ、彼らを四方の風に散らす。エラムから追い出される者の行かない国はない。 + 主は言われる、わたしはエラムをしてその敵の前、またその命を求める者の前に恐れさせる。わたしは災をくだし、激しい怒りをその上にくだす。彼らのうしろに、つるぎを送って滅ぼし尽す。 + そしてわたしの位をエラムにすえ、王とつかさたちとを滅ぼすと主は言われる。 + しかし末の日に、わたしはエラムを再び栄えさせると、主は言われる」。 + + + 主が預言者エレミヤによって語られたバビロンとカルデヤびとの地の事についての言葉。 + 「国々のうちに告げ、また触れ示せよ、旗を立てて、隠すことなく触れ示して言え、『バビロンは取られ、ベルははずかしめられ、メロダクは砕かれ、その像ははずかしめられ、その偶像は砕かれる』と。 + それは、北の方から一つの国民がきて、これを攻め、その地を荒して、住む人もないようにするからである。人も獣もみな逃げ去ってしまう。 + 主は言われる、その日その時、イスラエルの民とユダの民は共に帰ってくる。彼らは嘆きながら帰ってくる。そしてその神、主を求める。 + 彼らは顔をシオンに向けて、その道を問い、『さあ、われわれは、永遠に忘れられることのない契約を結んで主に連なろう』と言う。 + わたしの民は迷える羊の群れである、その牧者がこれをいざなって、山に踏み迷わせたので、山から丘へと行きめぐり、その休む所を忘れた。 + これに会う者はみなこれを食べた。その敵は言った、『われわれに罪はない。彼らがそのまことのすみかである主、先祖たちの希望であった主に対して罪を犯したのだ』と。 + バビロンのうちから逃げよ。カルデヤびとの地から出よ。群れの前に行く雄やぎのようにせよ。 + 見よ、わたしは大きい国々を起し集めて、北の地からバビロンに攻めこさせる。彼らはこれに向かって勢ぞろいをし、これをその所から取る。彼らの矢はむなしく帰らない老練な勇士のようである。 + カルデヤは人にかすめられる。これをかすめる者はみな飽くことができると、主は言われる。 + わたしの嗣業をかすめる者どもよ、あなたがたは喜び楽しみ、雌の子牛のように草に戯れ、雄馬のように、いなないているが、 + あなたがたの母はいたくはずかしめられ、あなたがたを産んだ者は恥をこうむる。見よ、彼女は国々のうちの最もあとなるものとなり、かわいた砂原の荒野となる。 + 主の怒りによって、ここに住む者はなく、完全に荒れ地となる。バビロンのかたわらを通る者は、みなその傷を見て驚き、かつあざ笑う。 + あなたがたすべて弓を張る者よ、バビロンの周囲に勢ぞろいして、これを攻め、矢を惜しまずに、これを射よ、彼女が主に罪を犯したからだ。 + その周囲に叫び声をあげよ、彼女は降伏した。そのとりでは倒れ、その城壁はくずれた、主があだをかえされたからだ。彼女に報復せよ、彼女がおこなったように、これに行え。 + 種まく者と、刈入れどきに、かまを取る者をバビロンに絶やせ。滅ぼす者のつるぎを恐れて、人はおのおの自分の民の所に帰り、そのふるさとに逃げて行く。 + イスラエルは、ししに追われて散った羊である。初めにアッスリヤの王がこれを食い、そして今はついにバビロンの王ネブカデレザルがその骨をかじった。 + それゆえ万軍の主、イスラエルの神は、こう言われる、見よ、わたしはアッスリヤの王を罰したように、バビロンの王とその国に罰を下す。 + わたしはイスラエルを再びその牧場に帰らせる。彼はカルメルとバシャンで草を食べる。またエフライムの山とギレアデでその望みが満たされる。 + 主は言われる、その日その時には、イスラエルのとがを探しても見当らず、ユダの罪を探してもない。それはわたしが残しておく人々を、ゆるすからである。 + 主は言われる、上って行って、メラタイムの地を攻め、ペコデの民を攻め、彼らを殺して全く滅ぼし、わたしがあなたがたに命じたことを皆、行いなさい。 + その地に、いくさの叫びと、大いなる滅びがある。 + ああ、全地を砕いた鎚はついに折れ砕ける。ああ、バビロンはついに国々のうちの恐るべき見ものとなる。 + バビロンよ、わたしは、おまえを捕えるためにわなをかけたが、おまえはそれにかかった。そしておまえはそれを知らなかった。おまえは主に敵したので、尋ね出され、捕えられた。 + 主は武器の倉を開いてその怒りの武器を取り出された。主なる万軍の神が、カルデヤびとの地に事を行われるからである。 + あらゆる方面からきて、これを攻め、その穀倉を開き、これを穀物の山のように積み上げ、完全に滅ぼし尽し、そこに残る者のないようにせよ。 + その雄牛をことごとく殺せ、それを、ほふり場に下らせよ。それらのものはわざわいだ、その日、その罰を受ける時がきたからだ。 + 聞けよ、バビロンの地から逃げ、のがれてきた者の声がする。われわれの神、主の報復、その宮の報復の事をシオンに告げ示す。 + 弓を張る射手をことごとく呼び集めて、バビロンを攻めよ。その周囲に陣を敷け。ひとりも逃がすな。そのしわざにしたがってバビロンに報い、これがおこなった所にしたがってこれに行え。彼がイスラエルの聖者である主に向かって高慢にふるまったからだ。 + それゆえ、その日、若い者は、広場に倒れ、兵士はみな絶やされると主は言われる。 + 主なる万軍の神は言われる、高ぶる者よ、見よ、わたしはおまえの敵となる、あなたの日、わたしがおまえを罰する時が来た。 + 高ぶる者はつまずき倒れる、これを助け起すものはない。わたしはその町々に火を燃やして、その周囲の者をことごとく焼き尽す。 + 万軍の主はこう言われる、イスラエルの民とユダの民は共にしえたげられている。彼らをとりこにした者はみな彼らを固く守って釈放することを拒む。 + 彼らをあがなう者は強く、その名は万軍の主といわれる。彼は必ず彼らの訴えをただし、この地に安きを与えるが、バビロンに住む者には不安を与えられる。 + 主は言われる、カルデヤびとの上とバビロンに住む者の上、そのつかさたち、その知者たちの上につるぎが臨む。 + 占い師の上につるぎが臨み、彼らは愚か者となる。その勇士の上につるぎが臨み、彼らは滅ぼされる。 + その馬の上と、その車の上につるぎが臨み、またそのうちにあるすべての雇兵の上に臨み、彼らは女のようになる。その財宝の上につるぎが臨み、それはかすめられる。 + その水の上に、ひでりが来て、それはかわく。それは、この地が偶像の地であって、人々が偶像に心が狂っているからだ。 + それゆえ、野の獣と山犬とは共にバビロンにおり、だちょうもそこに住む。しかし、いつまでもその地に住む人はなく、世々ここに住む人はない。 + 主は言われる、神がソドムとゴモラと、その隣の町々を滅ぼされたように、そこに住む人はなく、そこに宿る人の子はない。 + 見よ、一つの民が北の方から来る。大いなる国と多くの王が地の果から立ち上がっている。 + 彼らは弓と、やりを取る。残忍で、あわれみがなく、その響きは海の鳴りとどろくようである。バビロンの娘よ、彼らは馬に乗り、いくさびとのように身をよろって、あなたを攻める。 + バビロンの王はそのうわさを聞いて、その手は弱り、子を産む女に臨むような痛みと苦しみに迫られた。 + 見よ、ししがヨルダンの密林から上ってきて、じょうぶな羊のおりを襲うように、わたしは、たちまち彼らをそこから逃げ去らせる。そしてわたしの選ぶ者をその上に立てる。だれかわたしのような者があるであろうか。だれがわたしを呼びつけることができようか。どの牧者がわたしの前に立つことができようか。 + それゆえ、バビロンに対して主が立てた計りごとと、カルデヤびとの地に対してしようとする事を聞くがよい。彼らの群れのうちの小さい者は、かならず引かれて行く。彼らのおりのものも必ずその終りを見て恐れる。 + バビロンが取られたとの声によって地は震い、その叫びは国々のうちに聞える」。 + + + 主はこう言われる、「見よ、わたしは、滅ぼす者の心を奮い起して、バビロンを攻め、カルデヤに住む者を攻めさせる。 + わたしはバビロンに、あおぎ分ける者をつかわす。彼らは、その災の日に、四方からこれを攻め、それをあおぎ分けて、その地をむなしくする。 + 射手にはその弓を張らせることなく、よろいを着て立ち上がらせるな。その若き者をあわれむことなく、その軍勢をことごとく滅ぼせ。 + 彼らはカルデヤびとの地に殺されて倒れ、そのちまたに傷ついて倒れる。 + イスラエルとユダはその神、万軍の主に捨てられてはいないが、しかしカルデヤびとの地にはイスラエルの聖者に向かって犯した罪が満ちている。 + バビロンのうちからのがれ出て、おのおのその命を救え。その罰にまきこまれて断ち滅ぼされてはならない。今は主があだを返される時だから、それに報復をされるのである。 + バビロンは主の手のうちにある金の杯であって、すべての地を酔わせた。国々はその酒を飲んだので、国々は狂った。 + バビロンはたちまち倒れて破れた。これがために嘆け。その傷のために乳香を取れ。あるいは、いえるかも知れない。 + われわれはバビロンをいやそうとしたが、これはいえなかった。われわれはこれを捨てて、おのおの自分の国に帰ろう。その罰が天に達し、雲にまで及んでいるからだ。 + 主はわれわれの正しいことを明らかにされた。さあ、われわれはシオンで、われわれの神、主のみわざを告げ示そう。 + 矢をとぎ、盾を取れ。主はメデアびとの王たちの心を引き立てられる。主のバビロンに思い図ることは、これを滅ぼすことであり、主があだを返し、その宮のあだを返されるのである。 + バビロンの城壁に向かって旗を立て、見張りを強固にし、番兵を置き、伏兵を備えよ。主がバビロンに住む者を攻めようと図り、その言われたことを、いま行われるからだ。 + 多くの水のほとりに住み、多くの財宝を持つ者よ、あなたの終りが来て、その命の糸は断たれる。 + 万軍の主はみずからをさして誓い、言われる、わたしは必ずあなたのうちに、人をいなごのように満たす。彼らはあなたに向かって、かちどきの声をあげる。 + 主はその力をもって地を造り、その知恵をもって世界を建て、その悟りをもって天をのべられた。 + 彼が声を出されると、天に多くの水のざわめきがあり、また地の果から霧を立ちあがらせられる。彼は雨のためにいなびかりをおこし、その倉から風を取り出される。 + すべての人は愚かで知恵がなく、すべての金細工人はその造った偶像のために恥をこうむる。その偶像は偽り物で、そのうちに息がないからだ。 + それらは、むなしいもの、迷いのわざである。罰せられる時になれば滅びるものである。 + ヤコブの分である彼はこのようなものではない、彼は万物の造り主だからである。イスラエルは彼の嗣業としての部族である。彼の名は万軍の主という。 + おまえはわたしの鎚であり、戦いの武器である。わたしはおまえをもってすべての国を砕き、おまえをもって万国を滅ぼす。 + おまえをもってわたしは馬と、その騎手とを砕き、おまえをもって戦車とそれに乗る者とを砕く。 + わたしはおまえをもって男と女とを砕き、おまえをもって老いた者と幼い者とを砕き、おまえをもって若い者と、おとめとを砕く。 + わたしはおまえをもって、羊飼と、その群れとを砕き、おまえをもって農夫と、くびきを負う家畜とを砕き、おまえをもっておさたちと、つかさたちとを砕く。 + わたしはバビロンとカルデヤに住むすべての者とに、彼らがシオンで行ったもろもろの悪しき事のために、あなたがたの目の前で報いをすると、主は言われる。 + 主は言われる、全地を滅ぼし尽す滅ぼしの山よ、見よ、わたしはおまえの敵となる、わたしは手をおまえの上に伸べて、おまえを岩からころばし、おまえを焼け山にする。 + 主は言われる、人がおまえから石を取って、隅の石とすることなく、また礎とすることもない。おまえはいつまでも荒れ地となっている。 + 地に旗を立て、国々のうちにラッパを吹き、国々の民を集めてそれを攻め、アララテ、ミンニ、アシケナズの国々をまねいてそれを攻め、軍の長を立ててそれを攻め、群がるいなごのように馬を上り行かせよ。 + 国々の民を集めてそれを攻め、メデアびとの王たちと、そのおさたち、つかさたち、およびすべての領地の人々を集めてこれを攻めよ。 + その地は震い、かつもだえ苦しむ、主がその思い図ることをバビロンにおこない、バビロンの地を、住む人なき荒れ地とされるからだ。 + バビロンの勇士たちは戦いをやめて、その城にこもり、力はうせて、女のようになる。その家は焼け、その貫の木は砕かれる。 + 飛脚は走って飛脚に会い、使者は走って使者に会い、バビロンの王に告げて、町はことごとく取られ、 + 渡し場は奪われ、とりでは火で焼かれ、兵士はおびえていると言う。 + 万軍の主、イスラエルの神はこう言われる、バビロンの娘は、打ち場のようだ、その踏まれる時が来たのだ。しばらくしてその刈り取られる時が来る」。 + 「バビロンの王ネブカデレザルはわたしを食い尽し、わたしを滅ぼし、わたしを、からの器のようにし、龍のようにわたしを飲み、わたしのうまい物でその腹を満たし、わたしを洗いざらいにした。 + わたしとわたしの肉親におこなった暴虐は、バビロンにふりかかる」とシオンに住む者は言わなければならない。「わたしの血はカルデヤに住む者にふりかかる」とエルサレムは言わなければならない。 + それゆえ主はこう言われる、「見よ、わたしはあなたの訴えをただし、あなたのためにあだを返す。わたしはバビロンの海をかわかし、その泉をかわかす。 + バビロンは荒塚となり、山犬のすまいとなり、驚きとなり、笑いとなり、住む人のない所となる。 + 彼らはししのように共にほえ、若いししのようにほえる。 + 彼らの欲の燃えている時、わたしは宴を設けて彼らを酔わせ、彼らがついに気を失って、ながい眠りにいり、もはや目をさますことのないようにしようと主は言われる。 + わたしは彼らを小羊のように、また雄羊や雄やぎのように、ほふり場に下らせよう。 + ああ、バビロンはついに取られた、全地の人の、ほめたたえた者は捕えられた。ああ、バビロンはついに国々のうちに驚きとなった。 + 海はバビロンにあふれかかり、どよめく波におおわれた。 + その町々は荒れて、かわいた地となり、砂原となり、住む人のない地となる。人の子はひとりとしてそこを過ぎることはない。 + わたしはバビロンでベルを罰し、そののみこんだものを口から取り出す。国々が川のように彼に流れ入ることはなくなる。バビロンの城壁は倒れた。 + わが民よ、あなたがたはその中から出て、おのおの主の激しい怒りを免れ、その命を救え。 + 心を弱くしてはならない、この地で聞くうわさを恐れてはならない。うわさはこの年にもくれば、また次の年にもくる。この地に暴虐があり、つかさとつかさとが攻めあうことがある。 + それゆえ見よ、わたしがバビロンの偶像を罰する日が来る。その全地ははずかしめられ、その殺される者はみなその中に倒れる。 + 天と地とそのうちにあるすべてのものはバビロンの事で喜び歌う。滅ぼす者が北の方からここに来るからであると主は言われる。 + イスラエルの殺された者たちのために、バビロンは倒れなければならない、バビロンのために全地の殺された者は倒れたのだ。 + つるぎをのがれてきたあなたがたは、行け、立ちとどまってはならない。遠くから主を覚え、エルサレムを心にとめよ。 + 『われわれはののしりを聞いたので、恥じている。異邦人が主の宮の聖所にはいったので、恥がわれわれの顔をおおった』。 + 主は言われる、それゆえ見よ、わたしがその偶像を罰する日が来る、傷つけられた者が、その全国にうめくようになる。 + たといバビロンが天に上っても、その城を高くして固めても、滅ぼす者はわたしから出て、これに臨むと主は言われる。 + 聞け、バビロンの叫びを、カルデヤびとの地に起る大いなる滅びの騒ぎ声を。 + 主がバビロンを滅ぼし、その大いなる声を絶やされるのだ。その波は大水のように鳴りとどろき、その声はひびき渡る。 + 滅ぼす者がこれに臨み、バビロンに来た。その勇士たちは捕えられ、その弓は折られる。主は報いをする神であるから必ず報いられるのだ。 + わたしはその君たちと知者たち、おさたち、つかさたち、および勇士たちを酔わせる。彼らは、ながい眠りにいり、目をさますことはない。万軍の主と呼ばれる王がこれを言わせる。 + 万軍の主はこう言われる、バビロンの広い城壁は地にくずされ、その高い門は火に焼かれる。こうして民の労苦はむなしくなり、国民はただ火のために疲れる」。 + マアセヤの子であるネリヤの子セラヤが、ユダの王ゼデキヤと共に、その治世の四年にバビロンへ行くとき、預言者エレミヤがセラヤに命じた言葉。セラヤは宿営の長であった。 + エレミヤはバビロンに臨もうとするすべての災を巻物にしるした。これはすなわちバビロンの事についてしるしたすべての言葉である。 + エレミヤはセラヤに言った、「あなたはバビロンへ行ったならば、忘れることなくこのすべての言葉を読み、 + そして言いなさい、『主よ、あなたはこの所を滅ぼし、人と獣とを問わず、すべてここに住む者のないようにし、永久にここを荒れ地としようと、この所について語られました』と。 + あなたがこの巻物を読み終ったならば、これに石をむすびつけてユフラテ川の中に投げこみ、 + そして言いなさい、『バビロンはこのように沈んで、二度と上がってこない。わたしがこれに災を下すからである』と」。ここまではエレミヤの言葉である。 + + + ゼデキヤは王となったとき二十一歳であったが、エルサレムで十一年世を治めた。母の名はハムタルといい、リブナのエレミヤの娘である。 + ゼデキヤはエホヤキムがすべて行ったように、主の目の前に悪事を行った。 + たしかに、主の怒りによって、エルサレムとユダとは、そのみ前から捨て去られるようなことになった。そしてゼデキヤはバビロンの王にそむいた。 + そこで彼の治世の九年十月十日に、バビロンの王ネブカデレザルはその軍勢を率い、エルサレムにきて、これを包囲し、周囲に塁を築いてこれを攻めた。 + こうしてこの町は攻め囲まれて、ゼデキヤ王の十一年にまで及んだが、 + その四月九日になって、町の中の食糧は、はなはだしく欠乏し、その地の民は食物を得ることができなくなった。 + そして町の城壁はついに打ち破られたので、兵士たちはみな逃げ、夜のうちに、王の園の近くの、二つの城壁の間の門から町をのがれ出て、カルデヤびとが、町を攻め囲んでいるうちに、アラバの方へ落ちて行った。 + しかしカルデヤびとの軍勢は王を追って行って、エリコの平地でゼデキヤに追いついたが、彼の軍勢がみな散って彼のそばを離れたので、 + カルデヤびとは王を捕え、ハマテの地のリブラにいるバビロンの王のもとに引いていったので、王は彼の罪を定めた。 + すなわちバビロンの王はゼデキヤの子たちをその目の前で殺させ、ユダのつかさたちをことごとくリブラで殺させ、 + またゼデキヤの目をつぶさせた。そしてバビロンの王は彼を鎖につないでバビロンへ連れて行き、その死ぬ日まで獄屋に入れて置いた。 + 五月十日に、――それはバビロンの王ネブカデレザルの世の十九年であった――バビロンの王に仕える侍衛の長ネブザラダンはエルサレムに、はいって、 + 主の宮と王の宮殿を焼き、エルサレムのすべての家を焼いた。彼は大きな家をみな焼きはらった。 + また侍衛の長と共にいたカルデヤびとの軍勢は、エルサレムの周囲の城壁をみな取りこわした。 + そして侍衛の長ネブザラダンは民のうちの最も貧しい者若干、そのほか町のうちに残った者、およびバビロンの王にくだった人、その他工匠たちを捕え移した。 + しかし侍衛の長ネブザラダンはその地の最も貧しい者若干を残して、ぶどうを作る者とし、農夫とした。 + カルデヤびとはまた主の宮の青銅の柱と、洗盤の台と、青銅の海を砕いて、その青銅をことごとくバビロンへ運び、 + また、つぼと、十能と、心切りばさみと、鉢と、香を盛る皿および宮の勤めに用いる青銅の器をことごとく取って行った。 + また彼らは小鉢と、心取り皿と、鉢と、つぼと、燭台と、香を盛る皿と、灌祭の鉢を取った。金で作った物は金として、銀で作った物は銀として、侍衛の長は運び去った。 + ソロモン王が主の宮に造った二本の柱と、一つの海と、海の下の十二の青銅の牛と、台など、このすべての物の青銅の重さは量ることもできなかった。 + この一本の柱の高さは十八キュビト、周囲は十二キュビトで、指四本の厚さがあり、中は、うつろであった。 + その上に青銅の柱頭があり、柱頭の高さは五キュビト、柱頭の周囲は網細工と、ざくろとで飾り、これらもみな青銅であった。他の柱もそのざくろも、これと同じであった。 + その四方に九十六個のざくろがあり、周囲の網細工の上にあるざくろの数は百個であった。 + 侍衛の長は祭司長セラヤと次席の祭司ゼパニヤと三人の門を守る者を捕え、 + また兵士をつかさどるひとりの役人と、町にいた王の側近の者七人と、その地の民を募る軍勢の長の書記官と、町の中にいた六十人の者を町から捕え去った。 + 侍衛の長ネブザラダンは、これらの人を捕えて、リブラにいるバビロンの王のもとに連れて行った。 + バビロンの王は、ハマテの地のリブラで彼らを撃ち殺した。こうして、ユダは自分の地から捕え移された。 + ネブカデレザルが捕え移した民の数は次のとおりである。第七年にはユダヤ人三千二十三人。 + またネブカデレザルはその第十八年にエルサレムから八百三十二人を捕え移した。 + ネブカデレザルの二十三年に侍衛の長ネブザラダンは、ユダヤ人七百四十五人を捕え移した。この総数は四千六百人であった。 + ユダの王エホヤキンが捕え移されて後三十七年の十二月二十五日に、バビロンの王エビルメロダクはその即位の年に、ユダの王エホヤキンを獄屋から出し、そのこうべを挙げさせ、 + 親切に彼を慰め、その位を、バビロンで共にいる王たちの位よりも高くした。 + こうしてエホヤキンは獄屋の服を脱いだ。そして生きている間は毎日王の食卓で食事し、 + 彼の給与としては、その死ぬ日まで一生の間、たえず日々の必要にしたがって、バビロンの王から給与を賜わった。 + +
+
+ + ああ、むかしは、民の満ちみちていたこの都、国々の民のうちで大いなる者であったこの町、今は寂しいさまで座し、やもめのようになった。もろもろの町のうちで女王であった者、今は奴隷となった。 + これは夜もすがらいたく泣き悲しみ、そのほおには涙が流れている。そのすべての愛する者のうちには、これを慰める者はひとりもなく、そのすべての友はこれにそむいて、その敵となった。 + ユダは悩みのゆえに、また激しい苦役のゆえに、のがれて行って、もろもろの国民のうちに住んでいるが、安息を得ず、これを追う者がみな追いついてみると、悩みのうちにあった。 + シオンの道は祭に上ってくる者のないために悲しみ、その門はことごとく荒れ、その祭司たちは嘆き、そのおとめたちは引かれて行き、シオンはみずからいたく苦しむ。 + そのあだはかしらとなり、その敵は栄えている。そのとがが多いので、主がこれを悩まされたからである。その幼な子たちは捕われて、あだの前に行った。 + シオンの娘の栄華はことごとく彼女を離れ去り、その君たちは牧草を得ない、しかのようになり、自分を追う者の前に力なく逃げ去った。 + エルサレムはその悩みと苦しみの日に、昔から持っていたもろもろの宝を思い出す。その民があだの手に陥り、だれもこれを助ける者のない時、あだはこれを見て、その滅びをあざ笑った。 + エルサレムは、はなはだしく罪を犯したので、汚れたものとなった。これを尊んだ者も皆その裸を見たので、これを卑しめる。これもまたみずから嘆き、顔をそむける。 + その汚れはその衣のすそにあり、これはその終りを思わなかった。それゆえ、これは驚くばかりに落ちぶれ、これを慰める者はひとりもない。「主よ、わが悩みを顧みてください、敵は勝ち誇っていますから」。 + 敵は手を伸べて、その財宝をことごとく奪った。あなたがさきに異邦人らはあなたの公会に、はいってはならないと命じられたのに、彼らがその聖所にはいるのをシオンは見た。 + その民はみな嘆いて食物を求め、その命をささえるために、財宝を食物にかえた。「主よ、みそなわして、わたしの卑しめられるのを顧みてください」。 + 「すべて道行く人よ、あなたがたはなんとも思わないのか。主がその激しい怒りの日にわたしを悩まして、わたしにくだされた苦しみのような苦しみが、また世にあるだろうか、尋ねて見よ。 + 主は上から火を送り、それをわが骨にくだし、網を張ってわが足を捕え、わたしを引き返させ、ひねもす心わびしく、かつ病み衰えさせられた。 + わたしのとがは、つかねられて、一つのくびきとせられ、主のみ手により固く締められて、わたしの首におかれ、わたしの力を衰えさせられた。主はわたしを、立ちむかい得ざる者の手に渡された。 + 主はわたしのうちにあるすべての勇士を無視し、聖会を召集して、わたしを攻め、わが若き人々を打ち滅ぼされた。主は酒ぶねを踏むように、ユダの娘なるおとめを踏みつけられた。 + このために、わたしは泣き悲しみ、わたしの目は涙であふれる。わたしを慰める者、わたしを勇気づける者がわたしから遠く離れたからである。わが子らは敵が勝ったために、わびしい者となった」。 + シオンは手を伸ばしても、これを慰める者はひとりもない。ヤコブについては、主は命じて、その周囲の者を、これがあだとせられた。エルサレムは彼らの中にあって、汚れた物のようになった。 + 「主は正しい、わたしは、み言葉にそむいた。すべての民よ、聞け、わが苦しみを顧みよ。わがおとめらも、わが若人らも捕われて行った。 + わたしはわが愛する者を呼んだが、彼らはわたしを欺いた。わが祭司および長老たちは、その命をささえようと、食物を求めている間に、町のうちで息絶えた。 + 主よ、顧みてください、わたしは悩み、わがはらわたはわきかえり、わが心臓はわたしの内に転倒しています。わたしは、はなはだしくそむいたからです。外にはつるぎがあって、わが子を奪い、家の内には死のようなものがある。 + わたしがどんなに嘆くかを聞いてください。わたしを慰める者はひとりもなく、敵はみなわたしの悩みを聞いて、あなたがこれをなされたのを喜んだ。あなたがさきに告げ知らせたその日をきたらせ、彼らをも、わたしのようにしてください。 + 彼らの悪をことごとくあなたの前にあらわし、さきにわがもろもろのとがのために、わたしに行われたように、彼らにも行ってください。わが嘆きは多く、わが心は弱りはてているからです」。 + + + ああ、主は怒りを起し、黒雲をもってシオンの娘をおおわれた。主はイスラエルの栄光を天から地に投げ落し、その怒りの日に、おのれの足台を心にとめられなかった。 + 主はヤコブのすべてのすまいを滅ぼして、あわれまず、その怒りによって、ユダの娘のとりでをこわし、これを地に倒して、その国とそのつかさたちをはずかしめられた。 + 主は激しい怒りをもって、イスラエルのすべての力を断ち、敵の前で、おのれの右の手を引きもどし、周囲を焼きつくす燃える火のように、ヤコブを焼かれた。 + 主は敵のように弓を張り、あだのように右の手を伸べて立ち、シオンの娘の天幕におるわれわれの目に誇る者を、ことごとく殺し、火のようにその怒りを注がれた。 + 主は敵のようになって、イスラエルを滅ぼし、そのすべての宮殿を滅ぼし、そのとりでをこわし、ユダの娘の上に憂いと悲しみとを増し加えられた。 + 主は園の小屋のようにおのれの幕屋を倒し、その祭の場所をこわされた。主は祭と安息日とをシオンに忘れさせ、激しい怒りによって、王と祭司とを捨てられた。 + 主はその祭壇を忌み、その聖所をきらって、もろもろの宮殿の石がきを敵の手に渡された。彼らは祭の日のように、主の宮で声をあげた。 + 主はシオンの娘の城壁を破壊しようと思い定めて、なわを張り、打ちこわして、その手をひかず、城壁と石がきとを悲しませられた。これらは共に衰える。 + その門は地にうずもれ、主はその貫の木をこわし砕かれた。その王と君たちはもろもろの国民の中におり、もはや律法はなく、またその預言者は主から幻を得ない。 + シオンの娘の長老たちは地に座して黙し、頭にちりをかぶり、身に荒布をまとった。エルサレムのおとめたちはこうべを地にたれた。 + わが目は涙のためにつぶれ、わがはらわたはわきかえり、わが肝はわが民の娘の滅びのために、地に注ぎ出される。幼な子や乳のみ子が町のちまたに息も絶えようとしているからである。 + 彼らが、傷ついた者のように町のちまたで息も絶えようとするとき、その母のふところにその命を注ぎ出そうとするとき、母にむかって、「パンとぶどう酒とはどこにありますか」と叫ぶ。 + エルサレムの娘よ、わたしは何をあなたに言い、何にあなたを比べることができようか。シオンの娘なるおとめよ、わたしは何をもってあなたになぞらえて、あなたを慰めることができようか。あなたの破れは海のように大きい、だれがあなたをいやすことができようか。 + あなたの預言者たちはあなたのために人を欺く偽りの幻を見た。彼らはあなたの不義をあらわして捕われを免れさせようとはせず、あなたのために人を迷わす偽りの託宣を見た。 + すべて道行く人は、あなたにむかって手を打ち、エルサレムの娘にむかって、あざ笑い、かつ頭を振って言う、「麗しさのきわみ、全地の喜びととなえられた町はこれなのか」と。 + あなたのもろもろの敵は、あなたをののしり、あざ笑い、歯がみして言う、「われわれはこれを滅ぼした、ああ、これはわれわれが望んだ日だ、今われわれはこれにあい、これを見た」と。 + 主はその計画されたことを行い、警告されたことをなし遂げ、いにしえから命じておかれたように、滅ぼして、あわれむことをせず、あなたについて敵を喜ばせ、あなたのあだの力を高められた。 + シオンの娘よ、声高らかに主に呼ばわれ、夜も昼も川のように涙を流せ。みずから安んじることをせず、あなたのひとみを休ませるな。 + 夜、初更に起きて叫べ。主の前にあなたの心を水のように注ぎ出せ。町のかどで、飢えて息も絶えようとする幼な子の命のために、主にむかって両手をあげよ。 + 主よ、みそなわして、顧みてください。あなたはだれにむかってこのように行われたのですか。女は自分の産んだ子、その大事に育てた幼な子を食べるでしょうか。祭司と預言者が主の聖所で殺されていいでしょうか。 + 老いも若きも、ちまたのちりに伏し、わがおとめも、若人も、つるぎで倒されてしまった。あなたは、その怒りの日にこれを殺し、これをほふって、あわれむことをされなかった。 + あなたは、わたしの恐れるものを、祭の日のように四方から呼び集められた。主の怒りの日には、のがれた者も残った者もなかった。わたしが、いだき育てた者をわたしの敵は滅ぼし尽した。 + + + わたしは彼の怒りのむちによって、悩みにあった人である。 + 彼はわたしをかり立てて、光のない暗い中を歩かせ、 + まことにその手をしばしばかえて、ひねもすわたしを攻められた。 + 彼はわが肉と皮を衰えさせ、わが骨を砕き、 + 苦しみと悩みをもって、わたしを囲み、わたしを閉じこめ、 + 遠い昔に死んだ者のように、暗い所に住まわせられた。 + 彼はわたしのまわりに、かきをめぐらして、出ることのできないようにし、重い鎖でわたしをつながれた。 + わたしは叫んで助けを求めたが、彼はわたしの祈をしりぞけ、 + 切り石をもって、わたしの行く道をふさぎ、わたしの道筋を曲げられた。 + 彼はわたしに対して待ち伏せするくまのように、潜み隠れるししのように、 + わが道を離れさせ、わたしを引き裂いて、見るかげもないみじめな者とし、 + その弓を張って、わたしを矢の的のようにされた。 + 彼はその箙の矢をわたしの心臓に打ち込まれた。 + わたしはすべての民の物笑いとなり、ひねもす彼らの歌となった。 + 彼はわたしを苦い物で飽かせ、にがよもぎをわたしに飲ませられた。 + 彼は小石をもって、わたしの歯を砕き、灰の中にわたしをころがされた。 + わが魂は平和を失い、わたしは幸福を忘れた。 + そこでわたしは言った、「わが栄えはうせ去り、わたしが主に望むところのものもうせ去った」と。 + どうか、わが悩みと苦しみ、にがよもぎと胆汁とを心に留めてください。 + わが魂は絶えずこれを思って、わがうちにうなだれる。 + しかし、わたしはこの事を心に思い起す。それゆえ、わたしは望みをいだく。 + 主のいつくしみは絶えることがなく、そのあわれみは尽きることがない。 + これは朝ごとに新しく、あなたの真実は大きい。 + わが魂は言う、「主はわたしの受くべき分である、それゆえ、わたしは彼を待ち望む」と。 + 主はおのれを待ち望む者と、おのれを尋ね求める者にむかって恵みふかい。 + 主の救を静かに待ち望むことは、良いことである。 + 人が若い時にくびきを負うことは、良いことである。 + 主がこれを負わせられるとき、ひとりすわって黙しているがよい。 + 口をちりにつけよ、あるいはなお望みがあるであろう。 + おのれを撃つ者にほおを向け、満ち足りるまでに、はずかしめを受けよ。 + 主はとこしえにこのような人を捨てられないからである。 + 彼は悩みを与えられるが、そのいつくしみが豊かなので、またあわれみをたれられる。 + 彼は心から人の子を苦しめ悩ますことをされないからである。 + 地のすべての捕われ人を足の下に踏みにじり、 + いと高き者の前に人の公義をまげ、 + 人の訴えをくつがえすことは、主のよみせられないことである。 + 主が命じられたのでなければ、だれが命じて、その事の成ったことがあるか。 + 災もさいわいも、いと高き者の口から出るではないか。 + 生ける人はどうしてつぶやかねばならないのか、人は自分の罪の罰せられるのを、つぶやくことができようか。 + われわれは、自分の行いを調べ、かつ省みて、主に帰ろう。 + われわれは天にいます神にむかって、手と共に心をもあげよう。 + 「わたしたちは罪を犯し、そむきました、あなたはおゆるしになりませんでした。 + あなたは怒りをもってご自分をおおい、わたしたちを追い攻め、殺して、あわれまず、 + また雲をもってご自分をおおい、祈を通じないようにし、 + もろもろの民の中に、わたしたちをちりあくたとなさいました。 + 敵はみなわたしたちをののしり、 + 恐れと落し穴と、荒廃と滅亡とが、わたしたちに臨みました。 + わが民の娘の滅びによって、わたしの目には涙の川が流れています。 + わが目は絶えず涙を注ぎ出して、やむことなく、 + 主が天から見おろして、顧みられる時にまで及ぶでしょう。 + わが目はわが町のすべての娘の最期のゆえに、わたしを痛ませます。 + ゆえなくわたしに敵する者どもによって、わたしは鳥のように追われました。 + 彼らは生きているわたしを穴の中に投げ入れ、わたしの上に石を投げつけました。 + 水はわたしの頭の上にあふれ、わたしは『断ち滅ぼされた』と言いました。 + 主よ、わたしは深い穴からみ名を呼びました。 + あなたはわが声を聞かれました、『わが嘆きと叫びに耳をふさがないでください』。 + わたしがあなたに呼ばわったとき、あなたは近寄って、『恐れるな』と言われました。 + 主よ、あなたはわが訴えを取りあげて、わたしの命をあがなわれました。 + 主よ、あなたはわたしがこうむった不義をごらんになりました。わたしの訴えをおさばきください。 + あなたはわたしに対する彼らの報復と、陰謀とを、ことごとくごらんになりました。 + 主よ、あなたはわたしに対する彼らのそしりと、陰謀とを、ことごとく聞かれました。 + 立ってわたしに逆らう者どものくちびると、その思いは、ひねもすわたしを攻めています。 + どうか、彼らのすわるをも、立つをも、みそなわしてください。わたしは彼らの歌となっています。 + 主よ、彼らの手のわざにしたがって、彼らに報い、 + 彼らの心をかたくなにし、あなたののろいを彼らに注いでください。 + 主よ、怒りをもって彼らを追い、天が下から彼らを滅ぼしてください」。 + + + ああ、黄金は光を失い、純金は色を変じ、聖所の石はすべてのちまたのかどに投げ捨てられた。 + ああ、精金にも比すべきシオンのいとし子らは、陶器師の手のわざである土の器のようにみなされる。 + 山犬さえも乳ぶさをたれて、その子に乳を飲ませる。ところが、わが民の娘は、荒野のだちょうのように無慈悲になった。 + 乳のみ子の舌はかわいて、上あごに、ひたとつき、幼な子らはパンを求めても、これに与える者がない。 + うまい物を食べていた者は、落ちぶれて、ちまたにおり、紫の着物で育てられた者も、今は灰だまりの上に伏している。 + わが民の娘のうけた懲しめは、ソドムの罰よりも大きかった。ソドムは昔、人の手によらないで、またたくまに滅ぼされたのだ。 + わが民の君たちは雪よりも清らかに、乳よりも白く、そのからだは、さんごよりも赤く、その姿の美しさはサファイヤのようであった。 + 今はその顔はすすよりも黒く、町の中にいても人に知られず、その皮膚は縮んで骨につき、かわいて枯れ木のようになった。 + つるぎで殺される者は、飢えて死ぬ者よりもさいわいである。彼らは田畑の産物の欠乏によって、刺された者のように衰え行くからである。 + わが民の娘の滅びる時には情深い女たちさえも、手ずから自分の子どもを煮て、それを食物とした。 + 主はその憤りをことごとく漏らし、激しい怒りをそそぎ、シオンに火を燃やして、その礎までも焼き払われた。 + 地の王たちも、世の民らもみな、エルサレムの門に、あだや敵が、討ち入ろうとは信じなかった。 + これはその預言者たちの罪のため、その祭司たちの不義のためであった。彼らは義人の血をその町の中に流した者である。 + 彼らは盲人のように、ちまたにさまよい、血で汚れている。だれもその衣にさわることができない。 + 人々は彼らにむかって、「去れよ、けがらわしい」、「去れよ、去れよ、さわるな」と叫んだので、彼らは逃げ去って放浪者となったが、異邦人の中でも人々は「もうわれわれのうちに宿ってはならない」と言った。 + 主はみずから彼らを散らして、再び彼らを顧みず、祭司を尊ばず、長老をいたわられなかった。 + われわれの目は、むなしく助けを待ち望んで疲れ衰えた。われわれは待ち望んだが、救を与え得ない国びとを待ち望んだ。 + 人々がわれわれの歩みをうかがうので、われわれは自分の町の中をも、歩くことができなかった。われわれの終りは近づいた、日は尽きた。われわれの終りが来たからである。 + われわれを追う者は空のはげたかよりも速く、彼らは山でわれわれを追い立て、野でわれわれを待ち伏せる。 + われわれが鼻の息とたのんだ者、主に油そそがれた者は、彼らの落し穴で捕えられた。彼はわれわれが「異邦人の中でもその陰に生きるであろう」と思った者である。 + ウズの地に住むエドムの娘よ、喜び楽しめ、あなたにもまた杯がめぐって行く、あなたも酔って裸になる。 + シオンの娘よ、あなたの不義の罰は終った。主は重ねてあなたを捕え移されない。エドムの娘よ、主はあなたの不義を罰し、あなたの罪をあらわされる。 + + + 主よ、われわれに臨んだ事を覚えてください。われわれのはずかしめを顧みてください。 + われわれの嗣業は他国の人に移り、家は異邦人のものとなった。 + われわれはみなしごとなって父はなく、母はやもめにひとしい。 + われわれは金を出して水を飲み、価を払って、たきぎを獲なければならない。 + われわれは首にくびきをかけられて追い使われ、疲れても休むことができない。 + われわれは足りるだけの食物を獲るために、エジプトおよびアッスリヤに手をさし伸べた。 + われわれの先祖は罪を犯して、すでに世になく、われわれはその不義の責めを負っている。 + 奴隷であった者がわれわれを治めるが、われわれをその手から救い出す者がない。 + われわれは荒野のつるぎのゆえに、おのが命をかけて食物を獲る。 + われわれの皮膚は飢餓の激しい熱のために、炉のように熱い。 + 女たちはシオンで犯され、おとめたちはユダの町々で汚された。 + 君たる者も彼らの手でつるされ、長老たちも尊ばれず、 + 若者たちは、ひきうすをになわせられ、わらべたちは、たきぎを負って、よろめき、 + 長老たちは門に集まることをやめ、若者たちはその音楽を廃した。 + われわれの心の喜びはやみ、踊りは悲しみに変り、 + われわれの冠はこうべから落ちた。わざわいなるかな、われわれは罪を犯したからである。 + このために、われわれの心は衰え、これらの事のために、われわれの目はくらくなった。 + シオンの山は荒れはて、山犬がその上を歩いているからである。 + しかし主よ、あなたはとこしえに統べ治められる。あなたの、み位は世々絶えることがない。 + なぜ、あなたはわれわれをながく忘れ、われわれを久しく捨ておかれるのですか。 + 主よ、あなたに帰らせてください、われわれは帰ります。われわれの日を新たにして、いにしえの日のようにしてください。 + あなたは全くわれわれを捨てられたのですか、はなはだしく怒っていられるのですか。 + +
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+ + 第三十年四月五日に、わたしがケバル川のほとりで、捕囚の人々のうちにいた時、天が開けて、神の幻を見た。 + これはエホヤキン王の捕え移された第五年であって、その月の五日に、 + 主の言葉がケバル川のほとり、カルデヤびとの地でブジの子祭司エゼキエルに臨み、主の手がその所で彼の上にあった。 + わたしが見ていると、見よ、激しい風と大いなる雲が北から来て、その周囲に輝きがあり、たえず火を吹き出していた。その火の中に青銅のように輝くものがあった。 + またその中から四つの生きものの形が出てきた。その様子はこうである。彼らは人の姿をもっていた。 + おのおの四つの顔をもち、またそのおのおのに四つの翼があった。 + その足はまっすぐで、足のうらは子牛の足のうらのようであり、みがいた青銅のように光っていた。 + その四方に、そのおのおのの翼の下に人の手があった。この四つの者はみな顔と翼をもち、 + 翼は互に連なり、行く時は回らずに、おのおの顔の向かうところにまっすぐに進んだ。 + 顔の形は、おのおのその前方に人の顔をもっていた。四つの者は右の方に、ししの顔をもち、四つの者は左の方に牛の顔をもち、また四つの者は後ろの方に、わしの顔をもっていた。 + 彼らの顔はこのようであった。その翼は高く伸ばされ、その二つは互に連なり、他の二つをもってからだをおおっていた。 + 彼らはおのおのその顔の向かうところへまっすぐに行き、霊の行くところへ彼らも行き、その行く時は回らない。 + この生きもののうちには燃える炭の火のようなものがあり、たいまつのように、生きものの中を行き来している。火は輝いて、その火から、いなずまが出ていた。 + 生きものは、いなずまのひらめきのように速く行き来していた。 + わたしが生きものを見ていると、生きもののかたわら、地の上に輪があった。四つの生きものおのおのに、一つずつの輪である。 + もろもろの輪の形と作りは、光る貴かんらん石のようである。四つのものは同じ形で、その作りは、あたかも、輪の中に輪があるようである。 + その行く時、彼らは四方のいずれかに行き、行く時は回らない。 + 四つの輪には輪縁と輻とがあり、その輪縁の周囲は目をもって満たされていた。 + 生きものが行く時には、輪もそのかたわらに行き、生きものが地からあがる時は、輪もあがる。 + 霊の行く所には彼らも行き、輪は彼らに伴ってあがる。生きものの霊が輪の中にあるからである。 + 彼らが行く時は、これらも行き、彼らがとどまる時は、これらもとどまり、彼らが地からあがる時は、輪もまたこれらと共にあがる。生きものの霊が輪の中にあるからである。 + 生きものの頭の上に水晶のように輝く大空の形があって、彼らの頭の上に広がっている。、 + 大空の下にはまっすぐに伸ばした翼があり、たがいに相連なり、生きものはおのおの二つの翼をもって、からだをおおっている。 + その行く時、わたしは大水の声、全能者の声のような翼の声を聞いた。その声の響きは大軍の声のようで、そのとどまる時は翼をたれる。 + また彼らの頭の上の大空から声があった。彼らが立ちとどまる時は翼をおろした。 + 彼らの頭の上の大空の上に、サファイヤのような位の形があった。またその位の形の上に、人の姿のような形があった。 + そしてその腰とみえる所の上の方に、火の形のような光る青銅の色のものが、これを囲んでいるのを見た。わたしはその腰とみえる所の下の方に、火のようなものを見た。そして彼のまわりに輝きがあった。 + そのまわりにある輝きのさまは、雨の日に雲に起るにじのようであった。主の栄光の形のさまは、このようであった。わたしはこれを見て、わたしの顔をふせたとき、語る者の声を聞いた。 + + + 彼はわたしに言われた、「人の子よ、立ちあがれ、わたしはあなたに語ろう」。 + そして彼がわたしに語られた時、霊がわたしのうちに入り、わたしを立ちあがらせた。そして彼のわたしに語られるのを聞いた。 + 彼はわたしに言われた、「人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの民、すなわちわたしにそむいた反逆の民につかわす。彼らもその先祖も、わたしにそむいて今日に及んでいる。 + 彼らは厚顔で強情な者たちである。わたしはあなたを彼らにつかわす。あなたは彼らに『主なる神はこう言われる』と言いなさい。 + 彼らは聞いても、拒んでも、(彼らは反逆の家だから)彼らの中に預言者がいたことを知るだろう。 + 人の子よ、彼らを恐れてはならない。彼らの言葉をも恐れてはならない。たといあざみといばらがあなたと一緒にあっても、またあなたが、さそりの中に住んでも、彼らの言葉を恐れてはならない。彼らの顔をはばかってはならない。彼らは反逆の家である。 + 彼らが聞いても、拒んでも、あなたはただわたしの言葉を彼らに語らなければならない。彼らは反逆の家だから。 + 人の子よ、わたしがあなたに語るところを聞きなさい。反逆の家のようにそむいてはならない。あなたの口を開いて、わたしが与えるものを食べなさい」。 + この時わたしが見ると、見よ、わたしの方に伸べた手があった。また見よ、手の中に巻物があった。 + 彼がわたしの前にこれを開くと、その表にも裏にも文字が書いてあった。その書かれていることは悲しみと、嘆きと、災の言葉であった。 + + + 彼はわたしに言われた。「人の子よ、あなたに与えられたものを食べなさい。この巻物を食べ、行ってイスラエルの家に語りなさい」。 + そこでわたしが口を開くと、彼はわたしにその巻物を食べさせた。 + そして彼はわたしに言われた、「人の子よ、わたしがあなたに与えるこの巻物を食べ、これであなたの腹を満たしなさい」。わたしがそれを食べると、それはわたしの口に甘いこと蜜のようであった。 + 彼はまたわたしに言われた、「人の子よ、イスラエルの家に行って、わたしの言葉を語りなさい。 + わたしはあなたを、異国語を用い、舌の重い民につかわすのでなく、イスラエルの家につかわすのである。 + すなわちあなたがその言葉を知らない、異国語の舌の重い多くの民につかわすのではない。もしわたしがあなたをそのような民につかわしたら、彼らはあなたに聞いたであろう。 + しかしイスラエルの家はあなたに聞くのを好まない。彼らはわたしに聞くのを好まないからである。イスラエルの家はすべて厚顔でまた強情である。 + 見よ、わたしはあなたの顔を彼らの顔に向かって堅くし、あなたの額を彼らの額に向かって堅くした。 + わたしはあなたの額を岩よりも堅いダイヤモンドのようにした。ゆえに彼らを恐れてはならない。彼らの顔をはばかってはならない。彼らは反逆の家である」。 + また彼はわたしに言われた、「人の子よ、わたしがあなたに語るすべての言葉をあなたの心におさめ、あなたの耳に聞きなさい。 + そして捕囚の人々、あなたの民の人々の所へ行って、彼らが聞いても、彼らが拒んでも、『主なる神はこう言われる』と彼らに言いなさい」。 + 時に霊がわたしをもたげた。そして主の栄光がその所からのぼった時、わたしの後に大いなる地震の響きを聞いた。 + それは互に相触れる生きものの翼の音と、そのかたわらの輪の音で、大いなる地震のように響いた。 + 霊はわたしをもたげ、わたしを取り去ったので、わたしは心を熱くし、苦々しい思いで出て行った。主の手が強くわたしの上にあった。 + そしてわたしはケバル川のほとりのテルアビブにいる捕囚の人々のもとへ行き、七日の間、驚きあきれて彼らの中に座した。 + 七日過ぎて後、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの家のために見守る者とした。あなたはわたしの口から言葉を聞くたびに、わたしに代って彼らを戒めなさい。 + わたしが悪人に『あなたは必ず死ぬ』と言うとき、あなたは彼の命を救うために彼を戒めず、また悪人を戒めて、その悪い道から離れるように語らないなら、その悪人は自分の悪のために死ぬ。しかしその血をわたしはあなたの手から求める。 + しかし、もしあなたが悪人を戒めても、彼がその悪をも、またその悪い道をも離れないなら、彼はその悪のために死ぬ。しかしあなたは自分の命を救う。 + また義人がその義にそむき、不義を行うなら、わたしは彼の前に、つまずきを置き、彼は死ぬ。あなたが彼を戒めなかったゆえ、彼はその罪のために死に、その行った義は覚えられない。しかしその血をわたしはあなたの手から求める。 + けれども、もしあなたが義人を戒めて、罪を犯さないように語り、そして彼が罪を犯さないなら、彼は戒めを受けいれたゆえに、その命を保ち、あなたは自分の命を救う」。 + その所で主の手がわたしの上に臨み、彼はわたしに言われた、「立って、平野に出て行きなさい。その所でわたしはあなたに語ろう」。 + そこで、わたしは立って平野に出て行った。見よ、主の栄光が、かつてわたしがケバル川のほとりで見た栄光のように、その所に立ち現れたので、わたしはひれ伏した。 + しかし霊がわたしのうちにはいって、わたしを立ちあがらせ、わたしに語って言った、「行って、あなたの家にこもっていなさい。 + 人の子よ、見よ、彼らはあなたの上になわをかけ、それであなたを縛り、あなたを民の中に行かせないようにする。 + わたしはあなたの舌を上あごにつかせ、あなたをおしにして、彼らを戒めることができないようにする。彼らは反逆の家だからである。 + しかし、わたしがあなたと語るときは、あなたの口を開く。あなたは彼らに『主なる神はこう言われる』と言わなければならない。聞く者は聞くがよい、拒む者は拒むがよい。彼らは反逆の家だからである。 + + + 人の子よ、一枚のかわらを取って、あなたの前に置き、その上にエルサレムの町を描きなさい。 + そしてこれを取り囲み、これにむかって雲梯を設け、塁を築き、陣を張り、その回りに城くずしを備えてこれを攻めなさい。 + また鉄の板をとり、それをあなたと町の間に置いて鉄の壁となし、あなたの顔をこれに向けなさい。町をこのように囲んで、その包囲を押し進めなさい。これがイスラエルの家のしるしである。 + あなたはまた自分の左脇を下にして寝なさい。わたしはあなたの上にイスラエルの家の罰を置く。あなたはこのようにして寝ている日の間、彼らの罰を負わなければならない。 + わたしは彼らの罰の年数に等しいその日数、すなわち三百九十日をあなたのために定める。その間あなたはイスラエルの家の罰を負わなければならない。 + あなたはその期間を終ったなら、また右脇を下にして寝て、ユダの家の罰を負わなければならない。わたしは一日を一年として四十日をあなたのために定める。 + あなたは自分の顔をエルサレムの包囲の方に向け、腕をあらわし、町に向かって預言しなければならない。 + 見よ、わたしはあなたに、なわをかけて、あなたの包囲の期間の終るまで、左右に動くことができないようにする。 + あなたはまた小麦、大麦、豆、レンズ豆、あわ、はだか麦を取って、一つの器に入れ、これでパンを造り、あなたが横になって寝る日の数、すなわち三百九十日の間これを食べなければならない。 + あなたが食べる食物は量って一日に二十シケルである。あなたは一日に一度これを食べなければならない。 + また水を量って一ヒンの六分の一を一日に一度飲まなければならない。 + あなたは大麦の菓子のようにしてこれを食べなさい。すなわち彼らの目の前でこれを人の糞で焼かなければならない」。 + そして主は言われた、「このようにイスラエルの民はわたしが追いやろうとする国々の中で汚れたパンを食べなければならない」。 + そこでわたしは言った、「ああ、主なる神よ、わたしは自分を汚したことはありません。わたしは幼い時から今日まで、自然に死んだものや、野獣に裂き殺されたものを食べたことはありません。また汚れた肉がわたしの口にはいったことはありません」。 + すると彼はわたしに言われた、「見よ、わたしは牛の糞をもって人の糞に換えることをあなたにゆるす。あなたはそれで自分のパンを整えなさい」。 + またわたしに言われた、「人の子よ、見よ、わたしはエルサレムで人のつえとするパンを打ち砕く。彼らはパンを量って、恐れながら食べ、また水を量って驚きながら飲む。 + これは彼らをパンと水とに乏しくし、互に驚いて顔を見合わせ、その罰のために衰えさせるためである。 + + + 人の子よ、鋭いつるぎを取り、それを理髪師のかみそりとして、あなたの頭と、ひげとをそり、はかりで量って、その毛を分けなさい。 + その三分の一は包囲の期間の終る時、町の中で火で焼き、また三分の一を取り、つるぎで町のまわりでこれを打ち、さらに三分の一を風に散らしなさい。わたしはつるぎを抜いて、彼らのあとを追う。 + あなたはその毛を少し取って、衣のすそに包み、 + またそのうちから少しを取って火の中に投げ入れ、火でこれを焼きなさい。火はその中から出て、イスラエルの全家に及ぶ。 + 主なる神はこう言われる、わたしはこのエルサレムを万国の中に置き、国々をそのまわりに置いた。 + エルサレムは他の国々よりも悪しく、わたしのおきてにそむき、そのまわりの国々よりもわたしの定めにそむいた。すなわち彼らはわたしのおきてを捨て、わたしの定めに歩まなかった。 + それゆえ主はこう言われる、あなたがたはそのまわりにいる異邦人よりも狂暴であって、わたしの定めに歩まず、わたしのおきてを行わず、むしろ、あなたがたの回りにいる異邦人のおきてを守っていた。 + それゆえ主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたを攻め、異邦人の目の前で、あなたの中にさばきを行う。 + あなたのもろもろの憎むべき事のために、わたしがまだした事のないような事、またこの後ふたたびしないような事をあなたに対してする。 + それゆえ、あなたのうちで父はその子を食い、子はその父を食う。わたしはあなたに対してさばきを行い、あなたのうちの残りの者をことごとく四方の風に散らす。 + それゆえ、主なる神は言われる、わたしは生きている。あなたはその忌むべき物と、その憎むべき事とをもって、わたしの聖所を汚したので、わたしは必ずあなたの数を減らす。わたしの目はあなたを惜しみ見ず、またわたしはあなたをあわれまない。 + あなたの三分の一はあなたの中で疫病で死に、ききんで滅び、三分の一はあなたのまわりでつるぎに倒れ、三分の一は四方の風に散らされる。わたしはつるぎを抜いてそのあとを追う。 + こうしてわたしは怒りを漏らし尽し、憤りを彼らの上に漏らして、満足する。こうして、わたしの憤りを彼らの上に漏らし尽した時、彼らは主であるわたしが熱心に語ったことを知るであろう。 + わたしはまわりにある国々の中と、すべてそばを通る者の目の前であなたを滅亡とあざけりに渡す。 + わたしが怒りと、憤りと、重い懲罰とをもって、あなたに対してさばきを行う時、あなたはそのまわりにある国々のあざけりとなり、そしりとなり、戒めとなり、驚きとなる。これは主であるわたしが語るのである。 + すなわち、わたしがあなたを滅ぼすききんの矢、滅亡の矢をあなたに放つ時、わたしはあなたを滅ぼすために放つのだ。わたしはあなたの上にききんを増し加え、あなたがつえとするパンを打ち砕く。 + わたしはあなたにききんと野獣を送って、あなたの子を奪い取り、また疫病と流血にあなたの中を通らせ、またつるぎをあなたに送る。主であるわたしがこれを言う」。 + + + 主の言葉が、わたしに臨んで言った、 + 「人の子よ、あなたの顔をイスラエルの山々に向け、預言して、 + 言え。イスラエルの山々よ、主なる神の言葉を聞け。主なる神は山と丘と、谷と川に向かって、こう言われる、見よ、わたしはつるぎをあなたがたに送り、あなたがたの高き所を滅ぼす。 + あなたがたの祭壇は荒され、あなたがたの香の祭壇はこわされる。わたしはあなたがたの偶像の前に、あなたがたの殺された者を投げ出す。 + わたしはイスラエルの民の死体を彼らの偶像の前に置き、骨をあなたがたの祭壇のまわりに散らす。 + すべてあなたがたの住む所で町々は滅ぼされ、高き所は荒される。こうしてあなたがたの祭壇はこわし荒され、あなたがたの偶像は砕かれて滅び、あなたがたの香の祭壇は倒され、あなたがたのわざは消し去られる。 + また殺された者はあなたがたのうちに倒れる。これによって、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + わたしは、あなたがたのある者を生かしておく。あなたがたが、つるぎをのがれて国々の中におり、国々に散らされる時、 + あなたがたのうちののがれた者は、その捕え移された国々の中でわたしを思い出す。これはわたしが、彼らのわたしを離れた姦淫の心と、偶像を慕って姦淫を行う目をくじくからである。そして彼らはそのもろもろの憎むべきことと、その犯した悪のために、みずからをいとうようになる。 + そして彼らはわたしが主であることを知る。この災を彼らに対して下すと、わたしが言ったのは決してむなしい事ではない」。 + 主なる神はこう言われる、「あなたは手を打ち、足を踏みならして言え。ああ、イスラエルの家のすべての悪しき憎むべき者はわざわいだ。彼らはつるぎと、ききんと、疫病に倒れるからである。 + 遠くにいる者は疫病で死に、近くにいる者はつるぎに倒れる。生き残って身を全うする者はききんによって死ぬ。このようにわたしはわが憤りを彼らの上に漏らし尽す。 + 彼らの殺される者がその偶像の中にあり、その祭壇のまわりにあり、すべての高き丘の上にあり、すべての山の頂にあり、すべての青木の下にあり、すべての茂ったかしの木の下にあり、彼らがこうばしいかおりを、すべての偶像にささげた所にある時、あなたがたはわたしが主であることを知るのである。 + わたしはまた手を彼らの上に伸べて、その地を荒し、すべて彼らの住む所を、荒野からリブラまで荒れ地とする。これによって彼らはわたしが主であることを知るようになる」。 + + + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの地の終りについて主はこう言われる、この国の四方の境に終りが来た。 + いま、あなたの終りが来た。わたしはわが怒りをあなたに漏らし、あなたの行いに従って、あなたをさばき、あなたのもろもろの憎むべき物のためにあなたを罰する。 + わたしの目はあなたを惜しみ見ず、またあなたをあわれまない。わたしはあなたの行いのためにあなたを罰する。あなたの憎むべき事があなたのうちにある。これによって、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はこう言われる、災が引き続いて起る。見よ、災が来る。 + 終りが来る。その終りが来る。それが起って、あなたに臨む。見よ、それが来る。 + この地に住む者よ、あなたの最後の運命があなたに来た。時は来た。日が近づいた。混乱の日で、山々に聞える喜びの日ではない。 + 今わたしは、すみやかにわたしの憤りをあなたの上に注ぎ、わたしの怒りをあなたに漏らし尽し、あなたの行いに従ってあなたをさばき、あなたのもろもろの憎むべき事のためにあなたを罰する。 + わたしの目はあなたを惜しみ見ず、またあなたをあわれまない。わたしはあなたの行いのためにあなたを罰する。あなたの憎むべき事があなたのうちにある。これによって、あなたがたは、主であるわたしがあなたを撃つことを知るようになる。 + 見よ、その日を。また見よ、かの日が来た。あなたの最後の運命が来た。不義は花咲き、高ぶりは芽を出した。 + 暴虐はつのって悪のつえとなった。彼らもその群衆も、その富も消え、また彼らの名声も消えて何も残らなくなる。 + 時は来た。日は近づいた。買う者は喜ぶな。売る者は悲しむな。怒りがすべての群衆の上に臨むからだ。 + 売る者はたとい生きていても、その売ったものに帰ることはない。怒りがそのすべての民衆の上にあるからだ。それはもとに帰らない。その不義のために、だれも命を全うすることはできない。 + 人々がラッパを吹いて備えをしても戦いに出る者はない。それはわたしの怒りがそのすべての群衆の上にあるからだ。 + 外にはつるぎがあり、内には疫病とききんがある。畑にいる者はつるぎに死に、町にいる者はききんと疫病に滅ぼされる。 + そのうちの、のがれる者は谷間のはとのように山々に行って、おのおの皆その罪のために悲しむ。 + 両手とも弱くなり、両ひざとも水のように弱くなる。 + 彼らは荒布を身にまとい、恐れが彼らをおおい、すべての顔には恥があらわれ、すべての頭は髪をそり落す。 + 彼らはその銀をちまたに捨て、その金はあくたのようになる。主の怒りの日には金銀も彼らを救うことはできない。それらは彼らの飢えを満足させることができない、またその腹を満たすことができない。それは彼らの不義のつまずきであったからだ。 + 彼らはその美しい飾り物を高ぶりのために用い、またこれをもってその憎むべき偶像と忌むべき物を造った。それゆえわたしはこれを彼らに対して汚れたものとする。 + わたしはこれを外国人の手に渡して奪わせ、地の悪人に渡してかすめさせる。彼らはこれを汚す。 + わたしは彼らから顔をそむけて、彼らにわたしの聖所を汚させる。強盗がこれにはいって汚し、 + また荒れ地とする。この地は流血のとがに満ち、この町は暴虐に満ちているゆえ、 + わたしは国々のうちの悪い者どもを招いて、彼らの家をかすめさせる。わたしは強い者の高ぶりをやめさせる。また彼らの聖所は汚される。 + 滅びが来るとき、彼らは平安を求めても得られない。 + 災に災が重なりきたり、知らせに知らせが相つぐ。その時、彼らは預言者に幻を求める。しかし律法は祭司のうちに絶え、計りごとは長老のうちに絶える。 + 王は悲しみ、つかさは望みを失い、その地の民の手はおののきによってこわばる。わたしは彼らの行いに従って彼らをあつかい、そのさばきに従って彼らをさばく。そして彼らはわたしが主であることを知るようになる」。 + + + 第六年の六月五日にわたしがわたしの家に座し、ユダの長老たちがわたしの前に座していたとき、主なる神の手がわたしの上に下った。 + わたしは見ていると、見よ、人のような形があって、その腰とみられる所から下は火のように見え、腰から上は光る青銅のように輝いて見えた。 + 彼は手のようなものを伸べて、わたしの髪の毛をつかんだ。そして霊がわたしを天と地の間に引きあげ、神の幻のうちにわたしをエルサレムに携えて行き、北に向かった内庭の門の入口に至らせた。そこには、ねたみをひき起すねたみの偶像があった。 + 見よ、そこに、わたしがかの平野で見た幻のようなイスラエルの神の栄光があらわれた。 + 時に彼はわたしに言われた、「人の子よ、目をあげて北の方をのぞめ」。そこでわたしが目をあげて北の方をのぞむと、見よ、祭壇の門の北にあたって、その入口に、このねたみの偶像があった。 + 彼はまたわたしに言われた、「人の子よ、あなたは彼らのしていること、すなわちイスラエルの家がここでしている大いなる憎むべきことを見るか。これはわたしを聖所から遠ざけるものである。しかしあなたは、さらに大いなる憎むべきことを見るだろう」。 + そして彼はわたしを庭の門に行かせた。わたしが見ると、見よ、壁に一つの穴があった。 + 彼はわたしに言われた、「人の子よ、壁に穴をあけよ」。そこでわたしが壁に穴をあけると、見よ、一つの戸があった。 + 彼はわたしに言われた、「はいって、彼らがここでなす所の悪しき憎むべきことを見よ」。 + そこでわたしがはいって見ると、もろもろの這うものと、憎むべき獣の形、およびイスラエルの家のもろもろの偶像が、まわりの壁に描いてあった。 + またイスラエルの家の長老七十人が、その前に立っていた。シャパンの子ヤザニヤも、彼らの中に立っていた。おのおの手に香炉を持ち、そしてその香の煙が雲のようにのぼった。 + 時に彼はわたしに言われた、「人の子よ、イスラエルの家の長老たちが暗い所で行う事、すなわちおのおのその偶像の室で行う事を見るか。彼らは言う、『主はわれわれを見られない。主はこの地を捨てられた』と」。 + またわたしに言われた、「あなたはさらに彼らがなす大いなる憎むべきことを見る」。 + そして彼はわたしを連れて主の家の北の門の入口に行った。見よ、そこに女たちがすわって、タンムズのために泣いていた。 + その時、彼はわたしに言われた、「人の子よ、あなたはこれを見たか。これよりもさらに大いなる憎むべきことを見るだろう」。 + 彼はまたわたしを連れて、主の家の内庭にはいった。見よ、主の宮の入口に、廊と祭壇との間に二十五人ばかりの人が、主の宮にその背中を向け、顔を東に向け、東に向かって太陽を拝んでいた。 + 時に彼はわたしに言われた、「人の子よ、あなたはこれを見たか。ユダの家にとって、彼らがここでしているこれらの憎むべきわざは軽いことであるか。彼らはこの地を暴虐で満たし、さらにわたしを怒らせる。見よ、彼らはその鼻に木の枝を置く。 + それゆえ、わたしも憤って事を行う。わたしの目は彼らを惜しみ見ず、またあわれまない。たとい彼らがわたしの耳に大声で呼ばわっても、わたしは彼らの言うことを聞かない」。 + + + 時に彼はわたしの耳に大声に呼ばわって言われた、「町を罰する者たちよ、おのおの滅ぼす武器をその手に持って近よれ」と。 + 見よ、北に向かう上の門の道から出て来る六人の者があった。おのおのその手に滅ぼす武器を持ち、彼らの中のひとりは亜麻布を着、その腰に物を書く墨つぼをつけていた。彼らははいって来て、青銅の祭壇のかたわらに立った。 + ここにイスラエルの神の栄光がその座しているケルビムから立ちあがって、宮の敷居にまで至った。そして主は、亜麻布を着て、その腰に物を書く墨つぼをつけている者を呼び、 + 彼に言われた、「町の中、エルサレムの中をめぐり、その中で行われているすべての憎むべきことに対して嘆き悲しむ人々の額にしるしをつけよ」。 + またわたしの聞いている所で他の者に言われた、「彼のあとに従い町をめぐって、撃て。あなたの目は惜しみ見るな。またあわれむな。 + 老若男女をことごとく殺せ。しかし身にしるしのある者には触れるな。まずわたしの聖所から始めよ」。そこで、彼らは宮の前にいた老人から始めた。 + この時、主は彼らに言われた、「宮を汚し、死人で庭を満たせ。行け」。そこで彼らは出て行って、町の中で撃った。 + さて彼らが人々を打ち殺していた時、わたしひとりだけが残されたので、ひれ伏して、叫んで言った、「ああ主なる神よ、あなたがエルサレムの上に怒りを注がれるとき、イスラエルの残りの者を、ことごとく滅ぼされるのですか」。 + 主はわたしに言われた、「イスラエルとユダの家の罪は非常に大きい。国は血で満ち、町は不義で満ちている。彼らは言う、『主はこの地を捨てられた。主は顧みられない』。 + それゆえ、わたしの目は彼らを惜しみ見ず、またあわれまない。彼らの行うところを、彼らのこうべに報いる」。 + 時に、かの亜麻布を着、物を書く墨つぼを腰につけていた人が報告して言った、「わたしはあなたがお命じになったように行いました」。 + + + 時にわたしは見ていたが、見よ、ケルビムの頭の上の大空に、サファイヤのようなものが王座の形をして、その上に現れた。 + 彼は亜麻布を着たその人に言われた、「ケルビムの下の回る車の間にはいり、ケルビムの間から炭火をとってあなたの手に満たし、これを町中にまき散らせ」。そして彼はわたしの目の前ではいった。 + この人がはいった時、ケルビムは宮の南側に立っていた。また雲はその内庭を満たしていた。 + 主の栄光はケルビムの上から宮の敷居の上にあがり、宮は雲で満ち、庭は主の栄光の輝きで満たされた。 + 時にケルビムの翼の音が大能の神が語られる声のように外庭にまで聞えた。 + 彼が亜麻布を着ている人に、「回る車の間、ケルビムの間から火を取れ」。と命じた時、その人ははいって、輪のかたわらに立った。 + ひとりのケルブはその手をケルビムの間から伸べて、ケルビムの間にある火を取り、亜麻布を着た人の手に置いた。すると彼はこれを取って出て行った。 + ケルビムはその翼の下に人の手のような形のものを持っているように見えた。 + わたしが見ていると、見よ、ケルビムのかたわらに四つの輪があり、一つの輪はひとりのケルブのかたわらに、他の輪は他のケルブのかたわらにあった。輪のさまは、光る貴かんらん石のようであった。 + そのさまは四つとも同じ形で、あたかも輪の中に輪があるようであった。 + その行く時は四方のどこへでも行く。その行く時は回らない。ただ先頭の輪の向くところに従い、その行く時は回ることをしない。 + その輪縁、その輻、および輪には、まわりに目が満ちていた。―その輪は四つともこれを持っていた。 + その輪はわたしの聞いている所で、「回る輪」と呼ばれた。 + そのおのおのには四つの顔があった。第一の顔はケルブの顔、第二の顔は人の顔、第三はししの顔、第四はわしの顔であった。 + その時ケルビムはのぼった。これがケバル川でわたしが見た生きものである。 + ケルビムの行く時、輪もそのかたわらに行き、ケルビムが翼をあげて地から飛びあがる時は、輪もそのかたわらを離れない。 + その立ちどまる時は、輪も立ちどまり、そののぼる時は、輪も共にのぼる。生きものの霊がその中にあるからである。 + 時に主の栄光が宮の敷居から出て行って、ケルビムの上に立った。 + するとケルビムは翼をあげて、わたしの目の前で、地からのぼった。その出て行く時、輪もまたこれと共にあり、主の宮の東の門の入口の所へ行って止まった。イスラエルの神の栄光がその上にあった。 + これがすなわちわたしがケバル川のほとりで、イスラエルの神の下に見たかの生きものである。わたしはそれがケルビムであることを知っていた。 + これにはおのおの四つの顔があり、おのおの四つの翼があり、また人の手のようなものがその翼の下にあった。 + その顔の形は、ケバル川のほとりでわたしが見たそのままの顔である。おのおのその前の方にまっすぐに行った。 + + + 時に霊はわたしをあげて、東に向かう主の宮の東の門に連れて行った。見よ、その門の入口に二十五人の者がいた。わたしはその中にアズルの子ヤザニヤと、ベナヤの子ペラテヤを見た。共に民のつかさであった。 + すると彼はわたしに言われた、「人の子よ、これらの者はこの町の中で悪い事を考え、悪い計りごとをめぐらす人々である。 + 彼らは言う、『家を建てる時は近くはない。この町はなべであり、われわれは肉である』と。 + それゆえ、彼らに向かって預言せよ。人の子よ、預言せよ」。 + 時に、主の霊がわたしに下って、わたしに言われた、「主はこう言われると言え、イスラエルの家よ、考えてみよ。わたしはあなたがたの心にある事どもを知っている。 + あなたがたはこの町に殺される者を増し、殺された者をもってちまたを満たした。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、町の中にあなたがたが置く殺された者は肉である。この町はなべである。しかし、あなたがたはその中から取り出される。 + あなたがたはつるぎを恐れた。わたしはあなたがたにつるぎを臨ませると、主は言われる。 + またわたしはあなたがたをその中から引き出して、他国人の手に渡し、あなたがたをさばく。 + あなたがたはつるぎに倒れる。わたしはあなたがたをイスラエルの境でさばく。これによってあなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + この町はあなたがたに対してなべとはならず、あなたがたはその肉とはならない。わたしはイスラエルの境であなたがたをさばく。 + これによって、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。あなたがたはわたしの定めに歩まず、またわたしのおきてを行わず、かえってその周囲の他国人のおきてに従って行っているからである」。 + このようにわたしが預言していた時、ベナヤの子ペラテヤが死んだので、わたしは打ち伏して、大声で叫んで言った、「ああ主なる神よ、あなたはイスラエルの残りの者をことごとく滅ぼそうとされるのですか」。 + 時に主の言葉がわたしに臨んで言った、 + 「人の子よ、あなたの兄弟、あなたの友、あなたの兄弟である捕われ人、イスラエルの全家、エルサレムの住民は言った、『彼らが主から遠く離れた。この地はわれわれの所有として与えられているのだ』と。 + それゆえ、言え、『主なる神はこう言われる、たといわたしは彼らを遠く他国人の中に移し、国々の中に散らしても、彼らの行った国々で、わたしはしばらく彼らのために聖所となる』と。 + それゆえ、言え、『主はこう言われる、わたしはあなたがたをもろもろの民の中から集め、その散らされた国々から集めて、イスラエルの地をあなたがたに与える』と。 + 彼らはその所に来る時、そのもろもろのいとうべきものと、もろもろの憎むべきものとをその所から取り除く。 + そしてわたしは彼らに一つの心を与え、彼らのうちに新しい霊を授け、彼らの肉から石の心を取り去って、肉の心を与える。 + これは彼らがわたしの定めに歩み、わたしのおきてを守って行い、そして彼らがわたしの民となり、わたしが彼らの神となるためである。 + しかしいとうべきもの、憎むべきものをその心に慕って歩む者には、彼らの行いに従ってそのこうべに報いると、主なる神は言われる」。 + 時にケルビムはその翼をあげた。輪がそのかたわらにあり、イスラエルの神の栄光がその上にあった。 + 主の栄光が町の中からのぼって、町の東にある山の上に立ちどまった。 + その時、霊はわたしをあげ、神の霊によって、幻のうちにわたしをカルデヤの捕われ人の所へ携えて行った。そしてわたしが見た幻はわたしを離れてのぼった。 + そこでわたしは主がわたしに示された事をことごとくかの捕われ人に告げた。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたは反逆の家の中にいる。彼らは見る目があるが見ず、聞く耳があるが聞かず、彼らは反逆の家である。 + それゆえ、人の子よ、捕囚の荷物を整え、彼らの目の前で昼のうちに移れ、彼らの目の前であなたの所から他の所に移れ。彼らは反逆の家であるが、あるいは彼らは顧みるところがあろう。 + あなたは、捕囚の荷物のようなあなたの荷物を、彼らの目の前で昼のうちに持ち出せ。そして捕囚に行くべき人々のように、彼らの目の前で夕べのうちに出て行け。 + すなわち彼らの目の前で壁に穴をあけ、そこから出て行け。 + あなたは彼らの目の前でその荷物を肩に負い、やみのうちにそれを運び出せ。あなたの顔をおおって地を見るな。わたしはあなたをしるしとなして、イスラエルの家に示すのだ」。 + そこでわたしは命じられたようにし、捕囚の荷物のような荷物を昼のうちに持ち出し、夕べにはわたしの手で壁に穴をあけ、やみのうちに彼らの目の前で、これを肩に負って運び出した。 + 次の朝、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、反逆の家であるイスラエルの家は、あなたに向かって、『何をしているのか』と言わなかったか。 + あなたは彼らに言いなさい、『主なる神はこう言われる、この託宣はエルサレムの君、およびその中にあるイスラエルの全家にかかわるものである』と。 + また言いなさい、『わたしはあなたがたのしるしである。わたしがしたとおりに彼らもされる。彼らはとりこにされて移される』と。 + 彼らのうちの君は、やみのうちにその荷物を肩に載せて出て行く。彼は壁に穴をあけて、そこから出て行く。彼は顔をおおって、自分の目でこの地を見ない。 + わたしはわたしの網を彼の上に打ちかける。彼はわたしのわなにかかる。わたしは彼をカルデヤびとの地のバビロンに引いて行く。しかし彼はそれを見ないで、そこで死ぬであろう。 + またすべて彼の周囲にいて彼を助ける者および彼の軍隊を、わたしは四方に散らし、つるぎを抜いてそのあとを追う。 + わたしが彼らを諸国民の中に散らし、国々にまき散らすとき、彼らはわたしが主であることを知る。 + ただし、わたしは彼らのうちに、わずかの者を残して、つるぎと、ききんと、疫病を免れさせ、彼らがおこなったもろもろの憎むべきことを、彼らが行く国びとの中に告白させよう。そして彼らはわたしが主であることを知るようになる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、震えてあなたのパンを食べ、おののきと恐れとをもって水を飲め。 + そしてこの地の民について言え、主なる神はイスラエルの地のエルサレムの民についてこう言われる、彼らは恐れをもってそのパンを食べ、驚きをもってその水を飲むようになる。これはその地が、すべてその中に住む者の暴虐のために衰え、荒れ地となるからである。 + 人の住んでいた町々は荒れはて、地は荒塚となる。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るようになる」。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの地について、あなたがたが『日は延び、すべての幻はむなしくなった』という、このことわざはなんであるか。 + それゆえ、彼らに言え、『主なる神はこう言われる、わたしはこのことわざをやめさせ、彼らが再びイスラエルで、これをことわざとしないようにする』と。しかし、あなたは彼らに言え、『日とすべての幻の実現とは近づいた』と。 + イスラエルの家のうちには、もはやむなしい幻も、偽りの占いもなくなる。 + しかし主なるわたしは、わが語るべきことを語り、それは必ず成就する。決して延びることはない。ああ、反逆の家よ、あなたの日にわたしはこれを語り、これを成就すると、主なる神は言われる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、見よ、イスラエルの家は言う、『彼の見る幻は、なお多くの日の後の事である。彼が預言することは遠い後の時のことである』と。 + それゆえ、彼らに言え、主なる神はこう言われる、わたしの言葉はもはや延びない。わたしの語る言葉は成就すると、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの預言者たちに向かって預言せよ。すなわち自分の心のままに預言する人々に向かって、預言して言え、『あなたがたは主の言葉を聞け』。 + 主なる神はこう言われる、なにも見ないで、自分の霊に従う愚かな預言者たちはわざわいだ。 + イスラエルよ、あなたの預言者たちは、荒れ跡にいるきつねのようだ。 + あなたがたは主の日に戦いに立つため、破れ口にのぼらず、またイスラエルの家のために石がきを築こうともしない。 + 彼らは虚偽を言い、偽りを占った。彼らは主が彼らをつかわさないのに『主が言われる』と言い、なおその言葉の成就することを期待する。 + あなたがたはむなしい幻を見、偽りの占いを語り、わたしが言わないのに『主が言われる』と言ったではないか」。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、「あなたがたはむなしいことを語り、偽りの物を見るゆえ、わたしはあなたがたを罰すると主なる神は言われる。 + わたしの手は、むなしい幻を見、偽りの占いを言う預言者に敵対する。彼らはわが民の会に臨まず、イスラエルの家の籍にしるされず、イスラエルの地に、はいることができない。そしてあなたがたはわたしが主なる神であることを知るようになる。 + 彼らはわが民を惑わし、平和がないのに『平和』と言い、また民が塀を築く時、これらの預言者たちは水しっくいをもってこれを塗る。 + それゆえ、水しっくいを塗る者どもに『これはかならずくずれる』と言え。これに大雨が注ぎ、ひょうが降り、あらしが吹く。 + そして塀がくずれる時、人々はあなたがたに向かって、『あなたがたが塗った水しっくいはどこにあるか』と言わないであろうか。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わたしはわが憤りをもって大風を起し、わが怒りをもって大雨を注がせ、憤りをもってひょうを降らせて、これを滅ぼす。 + またわたしはあなたがたが水しっくいをもって塗った塀をこわして、これを地に倒し、その基をあらわす。これが倒れる時、あなたがたはその中に滅びる。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るようになる。 + こうしてわたしが、その塀と、これを水しっくいで塗った者との上に、わたしの憤りを漏らし尽して、あなたがたに言う、塀はなくなり、これを塗った者もなくなる。 + これがすなわち平和がないのに平和の幻を見、エルサレムについて預言したイスラエルの預言者であると、主なる神は言われる。 + 人の子よ、心のままに預言するあなたの民の娘たちに対して、あなたの顔を向け、彼らに向かって預言して、 + 言え、主なる神はこう言われる、手の節々に占いひもを縫いつけ、もろもろの大きさの人の頭に、かぶり物を作りかぶせて、魂をかり取ろうとする女はわざわいだ。あなたがたは、わが民の魂をかり取って、あなたがたの利益のために、他の魂を生かしおこうとするのか。 + あなたがたは少しばかりの大麦のため、少しばかりのパンのために、わが民のうちに、わたしを汚し、かの偽りを聞きいれるわが民に偽りを述べて、死んではならない者を死なせ、生きていてはならない者を生かす。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたがたが用いて、魂をかり取るところの占いひもを奪い、あなたがたの腕から占いひもを裂き取って、あなたがたがかり取るところの魂を、鳥のように放ちやる。 + わたしはまたあなたがたの、かぶり物を裂き、わが民をあなたがたの手から救う。彼らは再びあなたがたの獲物とはならない。そしてあなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + あなたがたは偽りをもって正しい者の心を悩ました。わたしはこれを悩まさなかった。またあなたがたは悪人が、その命を救うために、その悪しき道から離れようとする時、それをしないように勧める。 + それゆえ、あなたがたは重ねてむなしい幻を見ることができず、占いをすることができないようになる。わたしはわが民を、あなたがたの手から救い出す。そのとき、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる」。 + + + ここにイスラエルの長老のうちのある人々が、わたしの所に来て、わたしの前に座した。 + 時に主の言葉が、わたしに臨んだ、 + 「人の子よ、これらの人々は、その偶像を心の中に持ち、罪に落しいれるところのつまずきを、その顔の前に置いている。わたしはどうして彼らの願いをいれることができようか。 + それゆえ彼らに告げて言え、主なる神は、こう言われる、イスラエルの家の人々で、その偶像を心の中に持ち、その顔の前に罪に落しいれるところのつまずくものを置きながら、預言者のもとに来る者には、その多くの偶像のゆえに、主なるわたしは、みずからこれに答をする。 + これはその偶像のために、すべてわたしを離れたイスラエルの家の心を、わたしが捕えるためである。 + それゆえイスラエルの家に言え、主なる神はこう言われる、あなたがたは悔いて、あなたがたの偶像を捨てよ。あなたがたの顔を、そのすべての憎むべきものからそむけよ。 + イスラエルの家の者およびイスラエルに宿る外国人のだれでも、わたしから離れ、その心に偶像を持ち、その顔の前に罪に落しいれるところのつまずきを置きながら、預言者に来て、心のままにわたしに求めるときは、主であるわたしは、みずからこれに答をする。 + わたしはわたしの顔を、その人に向け、彼を、しるし、およびことわざとなし、これをわが民のうちから断ち滅ぼす。その時、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + もし預言者が欺かれて言葉を出すことがあれば、それは主であるわたしが、その預言者を欺いたのである。わたしは手を彼の上に伸べ、わが民イスラエルのうちから彼を滅ぼす。 + 彼らはその罰を負う。その預言者の罰は、問い求める者の罰と同様である。 + これはイスラエルの家が、重ねてわたしを離れて迷わず、重ねてそのもろもろのとがによって、おのれを汚さないため、また彼らがわが民となり、わたしが彼らの神となるためであると、主なる神は言われる」。 + 主の言葉が、またわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、もし国がわたしに、もとりそむいて罪を犯し、わたしがその上に手を伸べて、そのつえとたのむパンを砕き、これにききんを送り、人と獣とをそのうちから断つ時、 + たといそこにノア、ダニエル、ヨブの三人がいても、彼らはその義によって、ただ自分の命を救いうるのみであると、主なる神は言われる。 + もしわたしが野の獣にこの地を通らせ、これを荒させ、これを荒れ地となし、その獣のためにそこを通る者がないようにしたなら、 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、たといこれら三人の者がその中にいても、そのむすこ娘を救うことはできない。ただ自分自身を救いうるのみで、その地は荒れ地となる。 + あるいは、わたしがもし、つるぎをその地に臨ませ、つるぎよ、この地を行きめぐれと言って、人と獣とをそこから断つならば、 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、たといこれら三人の者がその中にいても、そのむすこ娘を救うことはできない。ただ自分自身を救いうるのみである。 + あるいは、わたしがもし、この地に疫病を送り、血をもってわが憤りをその上に注ぎ、人と獣とをそこから断つならば、 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、たといノア、ダニエル、ヨブがそこにいても、彼らはそのむすこ娘を救うことができない。ただその義によって自分の命を救いうるのみである。 + 主なる神はこう言われる、わたしが人と獣とを地から断つために、つるぎと、ききんと、悪しき獣と、疫病との四つのきびしい罰をエルサレムに送る時はどうであろうか。 + しかし、もしそれがあなたがたに来るとき、むすこ娘たちを助け出す者が、その中に残っていて、あなたがたがその行いと、わざとを見るならば、わたしがエルサレムの上に与えたすべての災について慰められるであろう。 + すなわち、あなたがたが、その行いと、わざとを見る時、彼らはあなたがたを慰め、あなたがたはわたしがこれに行った事は、すべてゆえなくしたのではないことを知るようになると、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ぶどうの木、森の木のうちにあるぶどうの枝は、ほかの木になんのまさる所があるか。 + その木は何かを造るために用いられるか。また人はこれを用いて、器物を掛ける木釘を造るだろうか。 + 見よ、これは火に投げ入れられて燃える。火がその両端を焼いたとき、またその中ほどがこげたとき、それはなんの役に立つだろうか。 + 見よ、これは完全な時でも、なんの用をもなさない。まして火がこれを焼き、これをこがした時には、なんの役に立つだろうか。 + それゆえ主なる神はこう言われる、わたしが森の木の中のぶどうの木を、火に投げ入れて焼くように、エルサレムの住民をそのようにする。 + わたしはわたしの顔を彼らに向けて攻める。彼らがその火からのがれても、火は彼らを焼き尽す。わたしが顔を彼らに向けて攻める時、あなたがたはわたしが主であることを知る。 + 彼らが、もとりそむいたゆえに、わたしはこの地を荒れ地とすると、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉が再びわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、エルサレムにその憎むべき事どもを示して、 + 言え。主なる神はエルサレムにこう言われる、あなたの起り、あなたの生れはカナンびとの地である。あなたの父はアモリびと、あなたの母はヘテびとである。 + あなたの生れについていえば、その生れた日に、へその緒は切られず、水で洗い清められず、塩でこすられず、また布で包まれなかった。 + ひとりもあなたをあわれみ見る者なく、情をもってこれらのことの一つをも、あなたにしてやる者もなく、あなたの生れた日に、あなたはきらわれて、野原に捨てられた。 + わたしはあなたのかたわらを通り、あなたが血の中にころがりまわっているのを見た時、わたしは血の中にいるあなたに言った、『生きよ、 + 野の木のように育て』と。すなわちあなたは成長して大きくなり、一人前の女になり、その乳ぶさは形が整い、髪は長くなったが、着物がなく、裸であった。 + わたしは再びあなたのかたわらをとおって、あなたを見たが、見よ、あなたは愛せられる年齢に達していたので、わたしは着物のすそであなたをおおい、あなたの裸をかくし、そしてあなたに誓い、あなたと契約を結んだ。そしてあなたはわたしのものとなったと、主なる神は言われる。 + そこでわたしは水であなたを洗い、あなたの血を洗い落して油を塗り、 + 縫い取りした着物を着せ、皮のくつをはかせ、細布をかぶらせ、絹のきれであなたをおおった。 + また飾り物であなたを飾り、腕輪をあなたの手にはめ、鎖をあなたの首にかけ、 + 鼻には鼻輪、耳には耳輪、頭には美しい冠を与えた。 + このようにあなたは金銀で飾られ、細布、絹、縫い取りの服をあなたの衣とし、麦粉と、蜜と、油とを食べた。あなたは非常に美しくなって王の地位に進み、 + あなたの美しさのために、あなたの名声は国々に広まった。これはわたしが、あなたに施した飾りによって全うされたからであると、主なる神は言われる。 + ところが、あなたは自分の美しさをたのみ、自分の名声によって姦淫を行い、すべてかたわらを通る者と、ほしいままに姦淫を行った。 + あなたは自分の衣をとって、自分のために、はなやかに色どった聖所を造り、その上で姦淫を行っている。こんなことはかつてなかったこと、またあってはならないことである。 + あなたはわたしが与えた金銀の美しい飾りの品をとり、自分のために男の像を造って、これと姦淫を行った。 + また縫い取りのある自分の衣をとって彼らに着せ、わたしの油と香とをその前に供え、 + またわたしがあなたに与えたパン、わたしがあなたを養うための麦粉、油および蜜を、こうばしきかおりとして彼らの前に供えたと、主なる神は言われる。 + あなたはまた、あなたがわたしに産んだむすこ、娘たちをとって、その像に供え、彼らに食わせた。このようなあなたの姦淫は小さい事であろうか。 + あなたはわたしの子どもを殺し、火の中を通らせて彼らにささげた。 + あなたがそのすべての憎むべきことや姦淫を行うに当って、あなたが衣もなく、裸で、血の中にころがりまわっていた自分の若き日のことを思わなかった。 + あなたがもろもろの悪を行った後、(あなたはわざわいだ、わざわいだと、主なる神は言われる) + あなたは自分のために高楼を建て、広場、広場に台を造り、 + ちまた、ちまたのつじに台を造って、あなたの美しさを汚し、すべてかたわらを通る者に身をまかせて、大いに姦淫を行っている。 + あなたはまた、かの肉欲的な隣りエジプトの人々と姦淫を行い、大いに姦淫を行って、わたしを怒らせた。 + それゆえ、わたしはわたしの手をあなたの上に伸べて、あなたの賜わる分を減らし、あなたの敵、すなわち、あなたのみだらな行為を恥じるペリシテびとの娘らの欲のままに、あなたを渡した。 + あなたは飽くことがないので、またアッスリヤの人々と姦淫を行ったが、彼らと姦淫を行っても、なお飽くことがなかった。 + あなたはまたカルデヤの商業地と大いに姦淫を行ったが、これと姦淫を行っても、なお飽くことがなかった。 + 主なる神は言われる、あなたの心はどんなに恋いわずらうのか。あなたは、これらすべての事を行った。これはあつかましい姦淫のわざである。 + あなたは、ちまた、ちまたのつじに高楼を建て、広場、広場に台を設けたが、価をもらうことをあざけったので、遊女のようではなかった。 + 自分の夫に替えて他人と通じる姦婦よ。 + 人はすべての遊女に物を与える。しかしあなたはすべての恋人に物を与え、彼らにまいないして、あなたと姦淫するために、四方からあなたの所にこさせる。 + このようにあなたは姦淫を行うに当って、他の女と違っている。すなわち、だれもあなたに姦淫をさせたのではない。あなたはかえって価を払い、相手はあなたに払わない。これがあなたの違うところである。 + それで遊女よ、主の言葉を聞け。 + 主なる神はこう言われる、あなたがその恋人と姦淫して、あなたの恥じる所をあらわし、あなたの裸をあらわし、またすべての偶像と、あなたが彼らにささげたあなたの子どもらの血のゆえに、 + 見よ、わたしはあなたと遊んだあなたのすべての恋人、およびすべてあなたが恋した者と、すべてあなたが憎んだ者とを集め、四方から彼らをあなたの所に集めて、あなたの裸を彼らにあらわす。彼らはあなたの裸を、ことごとく見る。 + わたしは姦淫を行った女と、血を流した女がさばかれるように、あなたをさばき、憤りと、ねたみの血とを、あなたに注ぐ。 + わたしはあなたを恋人の手に渡す。彼らはあなたの高楼を倒し、台をこわし、あなたの衣をはぎ取り、あなたの美しい飾りの品を奪い、あなたを衣服のない裸者にする。 + 彼らは民衆をかり立ててあなたを攻め、石であなたを撃ち、つるぎであなたを切り、 + 火であなたの家を焼き、多くの女たちの前で、あなたにさばきを行う。こうしてわたしはあなたに淫行をやめさせ、重ねて価を払わせないようにする。 + そしてあなたに対するわが憤りをしずめ、わがねたみをあなたから離し、わたしは心を安んじて、再び怒ることをしない。 + またあなたはその若き日の事を覚えず、すべてこれらの事をもって、わたしを怒らせたから、見よ、わたしもあなたの行うところをあなたのこうべに報いると、主なる神は言われる。あなたはもろもろの憎むべき事に加えて、このみだらな事をおこなったではないか。 + 見よ、すべてことわざを用いる者は、あなたについて、『この母にしてこの娘あり』という、ことわざを用いる。 + あなたは、その夫と子どもとを捨てたあなたの母の娘、またその夫と子どもとを捨てた姉妹を持っている。あなたの母はヘテびと、あなたの父はアモリびと、 + あなたの姉はサマリヤ、サマリヤはその娘たちと共に、あなたの北に住み、あなたの妹はソドムで、その娘たちと共に、あなたの南に住んでいる。 + あなたは彼らの道を歩まず、彼らの憎むべき事に従っていないが、しばらくすると、あなたのおこないは、彼らよりもさらに悪くなる。 + 主なる神は言われる、わたしは生きている。あなたの妹ソドムとその娘たちは、あなたとあなたの娘たちがしたほどのことはしなかった。 + 見よ、あなたの妹ソドムの罪はこれである。すなわち彼女と、その娘たちは高ぶり、食物に飽き、安泰に暮していたが、彼らは、乏しい者と貧しい者を助けなかった。 + 彼らは高ぶり、わたしの前に憎むべき事をおこなったので、わたしはそれを見た時、彼らを除いた。 + サマリヤはあなたの半分も罪を犯さなかった。あなたは彼らよりも多く憎むべき事をおこない、あなたのおこなったもろもろの憎むべき事によって、あなたの姉妹を義と見せかけた。 + あなたはその姉妹を有利にさばいたことによって、あなたもまた自分のはずかしめを負わなければならない。それはあなたが彼らよりも、さらに憎むべきことをした罪によって、彼らはあなたよりも義とされるからである。それであなたも恥を受け、はずかしめを負わなければならない。それはあなたがその姉妹を義と見せかけたからである。 + わたしは彼らの幸福をもとに返す。すなわちソドムとその娘たちの幸福、サマリヤとその娘たちの幸福、また彼らの中にいるあなたの幸福をもとに返す。 + これはあなたに自分のはずかしめを負わせるため、またすべてあなたのなした事を恥じさせるためである。こうしてあなたは彼らの慰めとなる。 + あなたの姉妹ソドムと、その娘たちとは、そのもとの所に帰り、サマリヤと、その娘たちとは、そのもとの所に帰り、あなたと、あなたの娘たちとは、そのもとの所に帰る。 + あなたの高ぶりの日に、あなたの姉妹ソドムは、あなたの口に、ことわざとなったではなかったか。 + すなわちあなたの悪があらわされた時まで、そうではなかったか。しかし今はあなたも彼女と同様に、エドムの娘たちと、すべてその周囲の者、および四方からあなたをあざけるペリシテの娘たちのそしりとなった。 + あなたはあなたのみだらな行為と、あなたの憎むべき事のとがとを、身に負っていると主は言われる。 + 主なる神はこう言われる、誓いを軽んじ、契約を破ったあなたには、あなたがしたように、わたしもあなたにする。 + しかしわたしはあなたの若き日に、あなたと結んだ契約を覚え、永遠の契約をあなたと立てる。 + わたしがあなたの姉および妹を受け、またあなたとの契約によらずに、娘として彼らをあなたに与える時、あなたは自分のおこないを思い出して恥じる。 + わたしはあなたと契約を立て、あなたはわたしが主であることを知るようになる。 + こうしてすべてあなたの行ったことにつき、わたしがあなたをゆるす時、あなたはそれを思い出して恥じ、その恥のゆえに重ねて口を開くことがないと、主なる神は言われる」。 + + + 時に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの家になぞをかけ、たとえを語って、 + 言え。主なる神がこう言われる、さまざまの色の羽毛を多く持ち、大きな翼と、長い羽根とを持つ大わしがレバノンに来て、香柏のこずえにとまり、 + その若枝の頂を摘み切り、これを商業の地に運び、商人の町に置いた。 + またその地の種をとって、これを肥えた土に植えた。すなわち水の多い所にもって行って、柳を植えるようにこれを植えた。 + これが成長して、たけ低く、はびこるぶどうの木となり、枝はわしに向かい、根はわしの下にあり、こうしてついにぶどうの木となり、枝を伸ばし、葉を出した。 + ここにまた大きな翼と、羽毛の多いほかの一羽の大わしがあった。見よ、このぶどうの木は、潤いを得るために、その根をわしに向かってまげ、その枝をわしに向かって伸ばした。 + これが枝を出し、実を結び、みごとなぶどうの木となるために、わしはこれを植えた苗床から水の多い良い地に移し植えた。 + あなたは、主なる神がこう言われると言え、これは栄えるであろうか。わしはその根を抜き、その枝を切り、その若葉を皆枯らさないであろうか。これをその根からあげるには、強い腕や多くの民を必要としない。 + 見よ、それが移し植えられたら、また栄えるであろうか。東風がこれを打つ時、それは枯れてしまわないであろうか。その育った苗床で枯れないであろうか」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「反逆の家に言え。これらがなんであるかをあなたがたは知らないのか。彼らに言え、見よ、バビロンの王がエルサレムにきて、その王とつかさとを捕え、これをバビロンに引いて行った。 + また王の子孫のひとりを捕えて、これと契約を結び、誓いを立てさせ、また国のおもだった人々を捕えて行った。 + これはこの国を卑しくして、みずから立つことができないようにし、その契約を守ることによって立たせるためである。 + しかし彼はバビロンの王にそむき、使者をエジプトに送って、馬と多くの兵とをそこから獲ようとした。彼は成功するだろうか。このようなことをなす者は、のがれることができようか。 + 契約を破ってなおのがれることができようか。主なる神は言われる、わたしは生きている、必ず彼は自分を王となした王の住む所、彼が立てた誓いを軽んじ、その契約を破った相手の王のいるバビロンで彼は死ぬ。 + 多くの命を断つために塁を築き、雲梯を建てるとき、パロは決して大いなる軍勢と、多くの人とをもって、彼を助けて戦いをしない。 + 彼は誓いを軽んじ、契約を破り、その手を与えて誓いながら、なおこれらの事をしたゆえ、のがれることはできない。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わたしは生きている、彼がわたしの誓いを軽んじ、わたしの契約を破ったことを、必ず彼のこうべに報いる。 + わたしはわが網を彼の上に打ちかけ、彼をわがわなに捕えて、バビロンに引いて行き、彼がわたしにむかって犯した反逆のために、その所で彼をさばく。 + 彼のすべての軍隊のえり抜きの兵士は皆つるぎに倒れ、生き残った者は八方に散らされる。そしてあなたがたは主なるわたしが、これを語ったことを知るようになる」。 + 主なる神はこう言われる、「わたしはまた香柏の高いこずえから小枝をとって、これを植え、その若芽の頂から柔かい芽を摘みとり、これを高いすぐれた山に植える。 + わたしはイスラエルの高い山にこれを植える。これは枝を出し、実を結び、みごとな香柏となり、その下にもろもろの種類の獣が住み、その枝の陰に各種の鳥が巣をつくる。 + そして野のすべての木は、主なるわたしが高い木を低くし、低い木を高くし、緑の木を枯らし、枯れ木を緑にすることを知るようになる。主であるわたしはこれを語り、これをするのである」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「あなたがたがイスラエルの地について、このことわざを用い、『父たちが、酢いぶどうを食べたので子供たちの歯がうく』というのはどんなわけか。 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、あなたがたは再びイスラエルでこのことわざを用いることはない。 + 見よ、すべての魂はわたしのものである。父の魂も子の魂もわたしのものである。罪を犯した魂は必ず死ぬ。 + 人がもし正しくあって、公道と正義とを行い、 + 山の上で食事をせず、また目をあげてイスラエルの家の偶像を仰がず、隣り人の妻を犯さず、汚れの時にある女に近づかず、 + だれをもしえたげず、質物を返し、決して奪わず、食物を飢えた者に与え、裸の者に衣服を着せ、 + 利息や高利をとって貸さず、手をひいて悪を行わず、人と人との間に真実のさばきを行い、 + わたしの定めに歩み、わたしのおきてを忠実に守るならば、彼は正しい人である。彼は必ず生きることができると、主なる神は言われる。 + しかし彼が子を生み、その子が荒い者で、人の血を流し、これらの義務の一つをも行わず、 + かえって山の上で食事をし、隣り人の妻を犯し、 + 乏しい者や貧しい者をしえたげ、物を奪い、質物を返さず、目をあげて偶像を仰ぎ、憎むべき事をおこない、 + 利息や高利をとって貸すならば、その子は生きるであろうか。彼は生きることはできない。彼はこれらの憎むべき事をしたので、必ず死に、その血は彼自身に帰する。 + しかし彼が子を生み、その子が父の行ったすべての罪を見て、恐れ、そのようなことを行わず、 + 山の上で食事せず、目をあげてイスラエルの家の偶像を仰がず、隣り人の妻を犯さず、 + だれをもしえたげず、質物をひき留めず、物を奪わず、かえって自分の食物を飢えた者に与え、裸の者に衣服を着せ、 + その手をひいて悪を行わず、利息や高利をとらず、わたしのおきてを行い、わたしの定めに歩むならば、彼はその父の悪のために死なず、必ず生きる。 + しかしその父は人をかすめ、その兄弟の物を奪い、その民の中で良くない事を行ったゆえ、見よ、彼はその悪のために死ぬ。 + しかしあなたがたは、『なぜ、子は父の悪を負わないのか』と言う。子は公道と正義とを行い、わたしのすべての定めを守っておこなったので、必ず生きるのである。 + 罪を犯す魂は死ぬ。子は父の悪を負わない。父は子の悪を負わない。義人の義はその人に帰し、悪人の悪はその人に帰する。 + しかし、悪人がもしその行ったもろもろの罪を離れ、わたしのすべての定めを守り、公道と正義とを行うならば、彼は必ず生きる。死ぬことはない。 + その犯したもろもろのとがは、彼に対して覚えられない。彼はそのなした正しい事のために生きる。 + 主なる神は言われる、わたしは悪人の死を好むであろうか。むしろ彼がそのおこないを離れて生きることを好んでいるではないか。 + しかし義人がもしその義を離れて悪を行い、悪人のなすもろもろの憎むべき事を行うならば、生きるであろうか。彼が行ったもろもろの正しい事は覚えられない。彼はその犯したとがと、その犯した罪とのために死ぬ。 + しかしあなたがたは、『主のおこないは正しくない』と言う。イスラエルの家よ、聞け。わたしのおこないは正しくないのか。正しくないのは、あなたがたのおこないではないか。 + 義人がその義を離れて悪を行い、そのために死ぬならば、彼は自分の行った悪のために死ぬのである。 + しかし悪人がその行った悪を離れて、公道と正義とを行うならば、彼は自分の命を救うことができる。 + 彼は省みて、その犯したすべてのとがを離れたのだから必ず生きる。死ぬことはない。 + しかしイスラエルの家は『主のおこないは正しくない』と言う。イスラエルの家よ、わたしのおこないは、はたして正しくないのか。正しくないのは、あなたがたのおこないではないか。 + それゆえ、イスラエルの家よ、わたしはあなたがたを、おのおのそのおこないに従ってさばくと、主なる神は言われる。悔い改めて、あなたがたのすべてのとがを離れよ。さもないと悪はあなたがたを滅ぼす。 + あなたがたがわたしに対しておこなったすべてのとがを捨て去り、新しい心と、新しい霊とを得よ。イスラエルの家よ、あなたがたはどうして死んでよかろうか。 + わたしは何人との死をも喜ばないのであると、主なる神は言われる。それゆえ、あなたがたは翻って生きよ」。 + + + あなたはイスラエルの君たちのために悲しみの歌をのべて + 言え、あなたの母はししのうちにあって、どんな雌じしであったろう。彼女は若いししのうちに伏して子じしを養った。 + 彼女は子じしの一つを育てたが、それは若いししとなって、獲物をとることを学び、人を食べた。 + 国々の人は彼に対して叫び声をあげ、落し穴でこれを捕え、かぎでこれをエジプトの地に引いて行った。 + 雌じしは自分の思いが破れ、その望みを失ったのを見たので、ほかの子じしをとって、これを若い子じしとした。 + 彼はししのうちに行き来し、若いししとなって、獲物をとることを学び、人を食べた。 + 彼はその要害を荒し、その町々を滅ぼした。そのほえる声によって、その地とその中に満ちるものとは皆恐れた。 + そこで国々の人は彼に対して四方にわなを設け、彼に網を打ちかけ、落し穴で彼を捕えた。 + 彼らはかぎをもって、これをかごに入れ、これをバビロンの王のもとに連れて行き、これをおりの中に入れて、再びその声をイスラエルの山々に聞えさせないようにした。 + あなたの母は水のほとりに移し植えられたぶどう畑のぶどうの木のようで、水が多いために実りがよく、枝がはびこった。 + その強い幹は君たる者のつえとなった。それは茂みの中に高くそびえ、多くの枝をつけて高く見えた。 + しかしこのぶどうの木は憤りによって抜かれ、地に投げうたれ、東風がそれを枯らし、その実はもぎ取られ、その強い幹は枯れて、火に焼き滅ぼされた。 + 今これは荒野に、かわいた、水のない地に移し植えられ、 + 火がその幹から出て、その枝と実とを滅ぼしたので、強い幹で、君たる者のつえとなるべきものはそこにない。これが悲しみの言葉、また悲しみの歌となった。 + + + 第七年の五月十日に、イスラエルの長老たちのある人々が、主に尋ねるためにきて、わたしの前に座した。 + 時に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの長老たちに告げて言え。主なる神はこう言われる、あなたがたがわたしのもとに来たのは、わたしに何か尋ねるためであるか。主なる神は言われる、わたしは生きている、わたしはあなたがたの尋ねに答えない。 + あなたは彼らをさばこうとするのか。人の子よ、あなたは彼らをさばこうとするのか。それなら彼らの先祖たちのした憎むべき事を彼らに知らせ、 + かつ彼らに言え。主なる神はこう言われる、わたしがイスラエルを選び、ヤコブの家の子孫に誓い、エジプトの地でわたし自身を彼らに知らせ彼らに誓って、わたしはあなたがたの神、主であると言った日、 + その日にわたしは彼らに誓って、エジプトの地から彼らを導き出し、わたしが彼らのために探り求めた乳と蜜との流れる地、全地の中で最もすばらしい所へ行かせると言った。 + わたしは彼らに言った、あなたがたは、おのおのその目を楽しませる憎むべきものを捨てよ。エジプトの偶像をもって、その身を汚すな。わたしはあなたがたの神、主であると。 + ところが彼らはわたしにそむき、わたしの言うことを聞こうともしなかった。彼らは、おのおのその目を楽しませた憎むべきものを捨てず、またエジプトの偶像を捨てなかった。それで、わたしはエジプトの地のうちで、わたしの憤りを彼らに注ぎ、わたしの怒りを彼らに漏らそうと思った。 + しかしわたしはわたしの名のために行動した。それはエジプトの地から彼らを導き出して、周囲に住んでいた異邦人たちに、わたしのことを知らせ、わたしの名が彼らの目の前に、はずかしめられないためである。 + すなわち、わたしはエジプトの地から彼らを導き出して、荒野に連れて行き、 + わたしの定めを彼らに授け、わたしのおきてを彼らに示した。これは人がこれを行うことによって生きるものである。 + わたしはまた彼らに安息日を与えて、わたしと彼らとの間のしるしとした。これは主なるわたしが彼らを聖別したことを、彼らに知らせるためである。 + しかしイスラエルの家は荒野でわたしにそむき、わたしの定めに歩まず、人がそれを行うことによって、生きることのできるわたしのおきてを捨て、大いにわたしの安息日を汚した。そこでわたしは荒野で、わたしの憤りを彼らの上に注ぎ、これを滅ぼそうと思ったが、 + わたしはわたしの名のために行動した。それはわたしが彼らを導き出して見せた異邦人の前に、わたしの名が汚されないためである。 + ただし、わたしは荒野で彼らに誓い、わたしが彼らに与えた乳と蜜との流れる地、全地の最もすばらしい地に、彼らを導かないと言った。 + これは彼らがその心に偶像を慕って、わがおきてを捨て、わが定めに歩まず、わが安息日を汚したからである。 + けれどもわたしは彼らを惜しみ見て、彼らを滅ぼさず、荒野で彼らを絶やさなかった。 + わたしはまた荒野で彼らの子どもたちに言った、あなたがたの先祖の定めに歩んではならない。そのおきてを守ってはならない。その偶像をもって、あなたがたの身を汚してはならない。 + 主なるわたしはあなたがたの神である。わが定めに歩み、わがおきてを守ってこれを行い、 + わが安息日を聖別せよ。これはわたしとあなたがたとの間のしるしとなって、主なるわたしがあなたがたの神であることを、あなたがたに知らせるためである。 + しかしその子どもたちはわたしにそむき、わが定めに歩まず、人がこれを行うことによって、生きることのできるわたしのおきてを守り行わず、わが安息日を汚した。そこでわたしはわが憤りを彼らの上に注ぎ、荒野で彼らに対し、わが怒りを漏らそうと思った。 + しかしわたしはわが手を翻して、わが名のために行動した。それはわたしが彼らを導き出して見せた異邦人の前に、わたしの名が汚されないためである。 + ただしわたしは荒野で彼らに誓い、わたしは異邦人の間に彼らを散らし、国々の中に彼らをふりまくと言った。 + これは彼らがわがおきてを行わず、わが定めを捨て、わが安息日を汚し、彼らの目にその先祖の偶像を慕ったからである。 + またわたしは彼らに良くない定めと、それによって生きることのできないおきてとを与え、 + そして、彼らのういごに火の中を通らせるその供え物によって、彼らを汚し、彼らを恐れさせた。わたしがこれを行ったのは、わたしが主であることを、彼らに知らせるためである。 + それゆえ人の子よ、イスラエルの家に告げて言え。主なる神はこう言われる、あなたがたの先祖はまた、不信の罪を犯してわたしを汚した。 + わたしが彼らに与えようと誓った地に、彼らを導き入れた時、彼らはすべての高い丘と、すべての茂った木とを見て、その所で犠牲をささげ、忌むべき供え物をささげ、またこうばしいかおりをその所に上らせ、その所に灌祭を注いだ。 + (わたしは彼らに言った、あなたがたが通うその高き所はなんであるか。それでその名は今日までバマととなえられている。) + それゆえ、イスラエルの家に言え。主なる神はこう言われる、あなたがたは、その先祖のおこないに従って、その身を汚し、その憎むべきものを慕うのか。 + あなたがたは、その供え物をささげ、その子供に火の中を通らせて、今日まですべての偶像をもって、その身を汚すのである。イスラエルの家よ、わたしは、なおあなたがたに尋ねられるべきであろうか。わたしは生きている。わたしは決してあなたがたに尋ねられるはずはないと、主なる神は言われる。 + あなたがたの心にあること、すなわち『われわれは異邦人のようになり、国々のもろもろのやからのようになって、木や石を拝もう』との考えは決して成就しない。 + 主なる神は言われる、わたしは生きている、わたしは必ず強い手と伸べた腕と注がれた憤りとをもって、あなたがたを治める。 + わたしはわが強い手と伸べた腕と注がれた憤りとをもって、あなたがたをもろもろの民の中から導き出し、その散らされた国々から集め、 + もろもろの民の荒野に導き入れ、その所で顔と顔とを合わせて、あなたがたをさばく。 + すなわち、エジプトの地の荒野で、あなたがたの先祖をさばいたように、わたしはあなたがたをさばくと、主なる神は言われる。 + わたしはあなたがたに、むちの下を通らせ、数えてはいらせ、 + あなたがたのうちから、従わぬ者と、わたしにそむいた者とを分かち、その寄留した地から、彼らを導き出す。しかし彼らはイスラエルの地に入ることはできない。こうしてあなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + それで、イスラエルの家よ、主なる神はこう言われる、あなたがたはわたしに聞かないなら、今も後も、おのおのその偶像に行って仕えるがよい。しかし再び供え物と偶像とをもって、わたしの聖なる名を汚してはならない。 + 主なる神は言われる、わたしの聖なる山、イスラエルの高い山の上で、イスラエルの全家はその地で、ことごとくわたしに仕える。その所でわたしは喜んで彼らを受けいれ、あなたがたのささげ物と最上の供え物とを、その聖なるささげ物と共に求める。 + わたしがあなたがたをもろもろの民の中から導き出し、かつてあなたがたを散らした国々から集める時、こうばしいかおりとして、あなたがたを喜んで受けいれる。そしてわたしは異邦人の前で、あなたがたの中に、わたしの聖なることをあらわす。 + こうしてわたしがあなたがたを、イスラエルの地、すなわちあなたがたの先祖たちに与えると誓った地に、はいらせる時、あなたがたはわたしが主であることを知るようになる。 + またその所であなたがたは、その身を汚したあなたがたのおこないと、すべてのわざとを思い出し、みずから行ったすべての悪事のために、自分を忌みきらうようになる。 + イスラエルの家よ、わたしがあなたがたの悪しきおこないによらず、またその腐れたわざによらず、わたしの名のために、あなたがたを扱う時、あなたがたはわたしが主であることを知るのであると、主なる神は言われる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、顔を南に向け、南に向かって語り、ネゲブの森の地に対して預言せよ。 + すなわちネゲブの森に言え、主の言葉を聞け、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたのうちに火を燃やす。その火はあなたのうちのすべての青木と、すべての枯れ木を焼き滅ぼし、その燃える炎は消されることがなく、南から北まで、すべての地のおもては、これがために焼ける。 + すべて肉なる者は、主なるわたしがこれを焼いたことを見る。その火は消されない」。 + そこでわたしは言った、「ああ主なる神よ、彼らはわたしについてこう語っています、『彼はたとえをもって語る者ではないか』と」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をエルサレムに向け、あなたの言葉を聖所に向けてのべ、イスラエルの地に向かって預言し、 + イスラエルの地に言え。主はこう言われる、見よ、わたしはあなたを攻め、わたしのつるぎをさやから抜き、あなたのうちから、正しい者も悪しき者をも断ってしまう。 + わたしがあなたのうちから、正しい者も悪しき者をも断つゆえに、わたしのつるぎはさやから抜け出て、南から北までのすべての肉なる者を攻める。 + すべて肉なる者は、主なるわたしが、そのつるぎをさやから抜き放ったことを知る。このつるぎは再びさやに納められない。 + それゆえ、人の子よ、嘆け、心砕けるまでに嘆き、彼らの目の前でいたく嘆け。 + 人があなたに向かって、『なぜ嘆くのか』と言うなら、『この知らせのためである。それが来れば人の心はみな溶け、手はみななえ、霊はみな弱り、ひざはみな水のようになる。見よ、それは来る、必ず成就する』と言え」と主なる神は言われる。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、預言して言え、主はこう言われる、つるぎがある、とぎ、かつ、みがいたつるぎがある。 + 殺すためにといであり、いなずまのようにきらめくためにみがいてある。わたしたちは喜ぶことができるか。わが子よ、あなたはつえと、すべて木で作ったものとを軽んじた。 + このつるぎは手にとるために、とがれ、殺す者の手に渡すために、とがれみがかれるのである。 + 人の子よ、叫び嘆け、このことはわが民に臨み、イスラエルのすべての君たちに臨むからである。彼らはわが民と共につるぎにわたされる。それゆえ、あなたのももを打て。 + これはためしにすることではない。もしあなたが、つえをあざけったら、どういうことになろうか」と主なる神は言われる。 + 「それゆえ、人の子よ、あなたは預言し、手を打ちならせ。つるぎを二度も三度も臨ませよ。これは人を殺すつるぎ、大いに殺すつるぎであって、彼らを囲むものである。 + これがために彼らの心は溶け、多くの者がすべての門に倒れる。わたしはひらめくつるぎを彼らに送る。ああ、これはいなずまのようになり、人を殺すためにみがかれている。 + あなたの刃の向かうところで、右に左になぎ倒せ。 + わたしもまた、わたしの手を打ちならし、わたしの怒りをしずめると、主なるわたしは言った」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、バビロンの王のつるぎが来るために、二つの道を備えよ。この二つの道は一つの国から出ている。あなたは道しるべを作り、これを町に向かう道のはじめに置け。 + あなたはまたアンモンの人々のラバと、ユダと、堅固な城の町エルサレムとにつるぎの来る道を設けよ。 + バビロンの王は道の分れ目、二つの道のはじめに立って占いをし、矢をふり、テラピムに問い、肝を見る。 + 彼の右にエルサレムのために占いが出る。すなわち口を開いて叫び、声をあげ、ときを作り、門に向かって城くずしを設け、塁を築き、雲悌を建てよと言う。 + しかしこれは彼らの目には偽りの占いと思われ、彼らは堅き誓いをなした。しかし彼は、彼らを捕えることによって、罪を思い出させる。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、あなたがたの罪は覚えられ、その反逆は現れ、その罪はすべてのわざに現れる。このようにあなたがたは、すでに覚えられているから、彼らの手に捕えられる。 + 汚れた悪人であるイスラエルの君よ、あなたの終りの刑罰の時であるその日が来る。 + 主なる神はこう言われる、かぶり物を脱ぎ、冠を取り離せ。すべてのものは、そのままには残らない。卑しい者は高くされ、高い者は卑しくされる。 + ああ破滅、破滅、破滅、わたしはこれをこさせる。わたしが与える権威をもつ者が来る時まで、その跡形さえも残らない。 + 人の子よ、預言して言え。主なる神はアンモンの人々と、そのあざけりについて、こう言われる、つるぎがある。このつるぎは殺すために抜かれ、いなずまのようにひかりきらめくようにとがれている。 + 彼らがあなたに偽りの幻を示し、偽りを占ったゆえ、これは殺さるべき悪しき者の首の上に置かれる。彼らの終りの刑罰の時であるその日がきている。 + これをさやに納めよ、わたしはあなたの造られた所、あなたの生れた地であなたをさばく。 + わたしの怒りをあなたに注ぎ、わたしの憤りの火をあなたに向けて燃やし、滅ぼすことに巧みな残忍な人の手にあなたを渡す。 + あなたは火のための、たきぎとなり、あなたの血は国の中に流され、覚えられることはない、主なるわたしが言う」。 + + + また主の言葉がわたしに臨んで言った、 + 「人の子よ、あなたはさばくのか。血を流すこの町をさばくのか。それならこの町にそのもろもろの憎むべき事を示して、 + 言え。主なる神はこう言われる、自分のうちに血を流して、その刑罰の時をまねき、偶像を造ってその身を汚す町よ、 + あなたはその流した血によって罪を得、その造った偶像によって汚れ、あなたの日を近づかせ、あなたの年の定めの時はきた。それゆえわたしはあなたをもろもろの国民のあざけりとなし、万国の物笑いとする。 + あなたに近い者も、遠い者も、汚れと、混乱に満ちているあなたをあざける。 + 見よ、あなたのうちのイスラエルの君たちは、おのおのその力にしたがって、血を流そうとしている。 + 父母はあなたのうちで卑しめられ、寄留者はあなたのうちで虐待をうけ、みなしごと、やもめとはあなたのうちで悩まされている。 + あなたはわたしの聖なるものを卑しめ、わたしの安息日を汚した。 + 人をののしって血を流そうとする者は、あなたのうちにおり、人々はあなたのうちで、山の上で食事をし、あなたのうちで、みだらなおこないをし、 + あなたのうちで、父の裸を現し、あなたのうちで、汚れのうちにある女を犯す。 + またあなたのうちに、その隣の妻と憎むべき事を行う者があり、淫行をもって、その嫁を汚す者があり、自分の父の娘である自分の姉妹を犯す者があり、 + また血を流そうとして、あなたのうちで、まいないを取る者がある。あなたは利息と高利とを取り、しえたげによって、あなたの隣り人のものをかすめ、そしてわたしを忘れてしまったと、主なる神は言われる。 + それゆえ見よ、あなたが得た不正の利の事、およびあなたのうちにある流血の事に対して、わたしは手を打ちならす。 + わたしがあなたを攻める日には、あなたの勇気は、これに耐え得ようか。またあなたの手は強くあり得ようか。主なるわたしはこれを宣言し、これをなす。 + わたしはあなたを、もろもろの国民のうちに散らし、国々の間にまき、そしてあなたから汚れを除く。 + わたしはあなたによって、もろもろの国民の前に汚される。そしてあなたはわたしが主であることを知る」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの家はわたしに対して、かなかすとなった。彼らはすべて炉の中の銀、青銅、すず、鉄、鉛のかなかすとなった。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、あなたがたは皆かなかすとなったゆえ、見よ、わたしはあなたがたをエルサレムの中に集める。 + 人が銀、青銅、鉄、鉛、すずなどを炉の中に集め、これに火を吹きかけて溶かすように、わたしは怒りと憤りとをもって、あなたがたを集め入れて溶かす。 + すなわち、わたしはあなたがたを集め、わたしの怒りの火を、あなたがたに吹きかける。あなたがたはその中で溶ける。 + 銀が炉の中で溶けるように、あなたがたもその中で溶ける。そしてあなたがたは主なるわたしが、あなたがたの上に、わたしの怒りを注いだことを知るようになる」。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、これに言え、あなたは怒りの日に清められず、また雨の降らない地である。 + その中の君たちは、獲物を裂くほえるししのような者で、彼らは人々を滅ぼし、宝と尊い物とを取り、そのうちに、やもめの数をふやす。 + その祭司たちはわが律法を犯し、聖なる物を汚した。彼らは聖なる物と汚れた物とを区別せず、清くない物と清い物との違いを教えず、わが安息日を無視し、こうしてわたしは彼らの間に汚されている。 + その中にいる君たちは、獲物を裂くおおかみのようで、血を流し、不正の利を得るために人々を滅ぼす。 + その預言者たちは、水しっくいでこれを塗り、偽りの幻を見、彼らに偽りを占い、主が語らないのに『主なる神はこう言われる』と言う。 + 国の民はしえたげを行い、奪うことをなし、乏しい者と貧しい者とをかすめ、不法に他国人をしえたぐ。 + わたしは、国のために石がきを築き、わたしの前にあって、破れ口に立ち、わたしにこれを滅ぼさせないようにする者を、彼らのうちに尋ねたが得られなかった。 + それゆえ、わたしはわが怒りを彼らの上に注ぎ、わが憤りの火をもって彼らを滅ぼし、彼らのおこないを、そのこうべに報いたと、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ここにふたりの女があった。ひとりの母の娘である。 + 彼らはエジプトで淫行をした。彼らは若い時に淫行をした。すなわちその所で彼らの胸は押され、その処女の乳ぶさはいじられた。 + 彼らの名は姉はアホラ、妹はアホリバである。彼らはわたしのものとなって、むすこ娘たちを産んだ。その本名はアホラはサマリヤ、アホリバはエルサレムである。 + アホラはわたしのものである間に淫行をなし、その恋人なるアッスリヤびとにこがれた。 + すなわち紫の衣をきた軍人、長官、司令官、すべて好ましい若者、馬に乗る者たちである。 + 彼女は彼らに淫行を供えた。彼らはすべてアッスリヤのえり抜きの人々である。彼女はまた、そのこがれたすべての者のもろもろの偶像をもって、おのれを汚した。 + 彼女はエジプトの日からおこなっていた、その淫行を捨てなかった。それは彼女の若い時に、彼らが彼女と寝、その処女の乳ぶさをいじり、その情欲を彼女の上に注いだからである。 + それゆえ、わたしは彼女をその恋人の手に渡し、そのこがれたアッスリヤの人々の手に渡した。 + 彼らは彼女の裸を現し、そのむすこ娘たちを奪い、つるぎをもって彼女を殺した。こうして彼女に対するさばきが行われたとき、彼女は女たちの間の語り草となった。 + その妹アホリバはこれを見て、姉よりも情欲をほしいままにし、姉の淫行よりも多く淫行をなし、 + アッスリヤの人々に恋こがれた。長官、司令官、盛装した軍人、馬に乗る者たちで、すべて好ましい若者たちである。 + わたしは彼女が身を汚したのを見た。彼らは共に一つの道をたどったが、 + 彼女はさらにその淫行を続け、壁に描いた人々を見た。すなわち朱で描いたカルデヤびとの像で、 + 腰には帯を結び、頭にはたれさがったずきんをいただいていた。これらはみな官吏のような姿で、その生れた国カルデヤのバビロン人に似ていた。 + 彼女はこれらを見て、これに恋こがれ、使者をカルデヤの彼らのもとに送った。 + そこでバビロンの人々は彼女のもとに来て、恋の床につき、情欲をもって彼女を汚したが、彼女は彼らに汚されるにおよんで、その心は彼らから離れた。 + 彼女がその淫行を公然と続け、その裸をさらしたので、わたしの心は彼女から離れた。これはあたかもわたしの心が、彼女の姉から離れたと同様である。 + しかし彼女はなおエジプトの地で姦淫をしたその若き日を覚えて、その淫行を続け、 + その情夫たちに恋こがれた。その人の肉は、ろばの肉のごとく、その精は馬の精のようであった。 + このようにあなたは、かのエジプトびとが、あなたの胸に手をつけ、あなたの若い乳ぶさをおさえた時の、若い時の淫行を慕っている」。 + それゆえ、アホリバよ、主なる神はこう言われる、「見よ、わたしは、あなたの心がすでに離れたあなたの恋人らを起して、あなたを攻めさせ、彼らに四方から来てあなたを攻めさせる。 + すなわちバビロンの人々およびカルデヤのすべての人々、ペコデ、ショア、コア、アッスリヤのすべての人々、好ましい若者、長官、司令官、官吏、軍人など、すべて馬に乗る者たちである。 + 彼らは戦車、貨車、および多くの民を率いて、北からあなたに攻めて来る。大盾、小盾、かぶとを備えて、四方からあなたに攻めかかる。わたしが彼らにさばきをゆだねるゆえ、彼らは、そのおきてに従って、あなたをさばく。 + わたしはあなたに向かってわたしの憤りを起すゆえ、彼らは怒りをもってあなたを扱い、あなたの鼻と耳とを切り落し、そして残りの者はつるぎに倒れる。彼らはあなたのむすこ娘たちを奪い、生き残った者を火で焼く。 + 彼らはまたあなたの衣服をはぎ取り、あなたの美しい飾りを取り去る。 + こうしてわたしはあなたの淫乱と、エジプトの地から持って来た淫行とを取り除き、重ねてあなたの目を、エジプトびとに向けて上げさせず、彼らの事を思わないようにする。 + 主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたの憎む者の手、あなたの心の離れた者の手にあなたを渡す。 + 彼らは憎しみをもってあなたを扱い、あなたの所得をことごとく取り去り、あなたを赤はだかにし、あなたの淫行の裸を現す。あなたの淫乱と淫行とのゆえに、 + すなわち、あなたが異邦人を慕って姦淫を行い、彼らの偶像をもって身を汚したゆえに、これらのことがあなたに臨むのだ。 + あなたはその姉の道を歩んだので、わたしも彼女の杯をあなたにわたす。 + 主なる神はこう言われる、あなたは姉の深い、大きな杯を飲み、笑い物となり、あざけりとなる、この杯にはそれらが多くこもっている。 + あなたは酔いと憂いとに満たされる。驚きと滅びの杯、これがあなたの姉サマリヤの杯である。 + あなたはこれを飲みこれをかたむけ、あなたの髪の毛をひきむしり、あなたの乳ぶさをかきさく。わたしがこれを言うと、主なる神は言われる。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、あなたはわたしを忘れ、わたしをあなたのうしろに捨て去ったゆえ、あなたは自分の淫乱と淫行との罪を負わねばならぬ」。 + 主はわたしに言われた、「人の子よ、あなたはアホラとアホリバをさばくのか。それならば彼らにその憎むべき事を告げよ。 + 彼らは姦淫を行い、血が彼らの手の上にある。彼らはその偶像と姦淫を行い、またわたしに産んだ子らを、食物のために彼らにささげた。 + さらに彼らは、わたしに対してこのようにした。すなわち、彼らは同じ日にわたしの聖所を汚し、わたしの安息日を犯した。 + 彼らはその子らを、偶像にささげるためにほふった同じ日に、わたしの聖所にきて、これを汚した。見よ、彼らがわたしの家の中でしたことはこれである。 + さらに彼らは使者をやって、遠くから来るように人々を招いた。見よ、彼らはきた。あなたは、この人々のために身を洗い、目を描き、飾り物を身につけ、 + 尊い床に座し、食卓をその前に設け、わたしの香と、わたしの油とを、その上に供えた。 + こうして、のんきな群衆の声は彼女と共にあり、また、荒野から連れて来た通りがかりの酔いどれも、彼らと共にいた。彼らは女たちの手に腕輪をはめさせ、頭に美しい冠をいただかせた。 + そこでわたしは言った、彼女と姦淫を行う時、人々は姦淫を犯さないであろうか。 + 人が遊女の所にはいるように、彼らは彼女の所にはいった。こうして彼らは姦淫を行うために、アホラおよびアホリバの所にはいった。 + しかし正しい人々は淫婦のさばきと、血を流した女のさばきとをもって、彼らをさばく。それは彼らが淫婦であって、その手に血があるからである」。 + 主なる神はこう言われる、「わたしは軍隊を彼らに向かって攻め上らせ、彼らを恐れと略奪とに渡す。 + 軍隊は彼らを石で打ち、つるぎで切り、そのむすこ娘たちを殺し、火でその家を焼く。 + こうしてわたしはこの地に淫乱を絶やす。すべての女はみずからいましめて、あなたがたがしたような淫乱を行わない。 + あなたがたの淫乱の報いは、あなたがたの上にくだり、あなたがたはその偶像礼拝の罪を負い、そしてわたしが主なる神であることを知るようになる」。 + + + 第九年の十月十日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたはこの日すなわち今日の名を書きしるせ。バビロンの王は、この日エルサレムを包囲した。 + あなたはこの反逆の家にたとえを語って言え。主なる神はこう言われる、かますをすえ、これをすえて、水をくみ入れよ。 + その中に肉の切れを入れよ、すべて良い肉の切れ、すなわち、ももと肩の肉をこれに入れよ。良い骨をこれに満たせ。 + 羊の最も良いものを取れ。かまの下にまきを積み、その肉を煮たぎらせ、またその中の骨を煮よ。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わざわいなるかな、流血の町、さびているかま。そのさびはこれを離れない。肉をひとつびとつ無差別に取り出せ。 + その流した血はまだその中にある。彼女はこれを裸岩の上に流し、土でこれをおおうために、地面には注がなかった。 + これは、わたしの怒りをつのらせ、あだを返すために、その流した血がおおわれないように、裸岩の上に流したのである。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わざわいなるかな、流血の町。わたしもまた、まきをさらに積み重ねる。 + まきを積み重ね、火を燃やし、肉をよく煮て、煮つくし、骨を焼け。 + そしてかまを熱くするため、それをからにして炭火の上に置き、その銅を焼いて、汚れをその中に溶かし、そのさびを去れ。 + しかしわたしのほねおりは、むだであった。その多くのさびは火によって消えない。 + そのさびとは、あなたの不潔な淫行である。わたしはあなたを清めようとしたが、あなたはあなたの不潔から清められようとしないから、わたしの怒りをあなたに漏らし尽すまでは、あなたは汚れから清まることはない。 + 主なるわたしはこれを言った。そしてこれは必ず成る。わたしはこれをなす。わたしはやめない、惜しまない、悔いない。あなたのおこないにより、あなたのわざによって、あなたをさばくと、主なる神は言われる」。 + また主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、見よ、わたしは、にわかにあなたの目の喜ぶ者を取り去る。嘆いてはならない。泣いてはならない。涙を流してはならない。 + 声をたてずに嘆け。死人のために嘆き悲しむな。ずきんをかぶり、足にくつをはけ。口をおおうな。嘆きのパンを食べるな」。 + 朝のうちに、わたしは人々に語ったが、夕べには、わたしの妻は死んだ。翌朝わたしは命じられたようにした。 + 人々はわたしに言った、「あなたがするこの事は、われわれになんの関係があるのか、それをわれわれに告げてはくれまいか」。 + わたしは彼らに言った、「主の言葉がわたしに臨んだ、 + 『イスラエルの家に言え、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはあなたがたの力の誇、目の喜び、心の望みであるわが聖所を汚す。あなたがたが残すむすこ娘たちは、つるぎに倒れる。 + あなたがたもわたしがしたようにし、口をおおわず、嘆きのパンを食べず、 + 頭にずきんをかぶり、足にくつをはき、嘆かず、泣かず、その罪の中にやせ衰えて、互にうめくようになる。 + このようにエゼキエルはあなたがたのためにしるしとなる。彼がしたようにあなたがたもせよ。この事が成る時、あなたがたはわたしが主なる神であることを知るようになる』。 + 人の子よ、わたしが、彼らのとりで、彼らの喜びと栄え、彼らの目の喜びであり、その心の望みであるもの、また彼らのむすこ娘たちを取り去る日、 + その日に難をのがれて来る者が、あなたのもとにきて、あなたに事を告げる。 + その日あなたは、そののがれてきた者に向かって口を開き、語り、もはや沈黙しない。こうしてあなたは彼らのためにしるしとなり、彼らはわたしが主であることを知る」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をアンモンの人々に向け、これに向かって預言し、 + アンモンの人々に言え。主なる神の言葉を聞け。主なる神はこう言われる、あなたはわが聖所の汚された時、またイスラエルの地の荒された時、またユダの家が捕え移された時、ああ、それはよい気味であると言った。 + それゆえ、わたしはあなたを、東の人々に渡して彼らの所有とする。彼らはあなたのうちに陣営を設け、あなたのうちに住居を造り、あなたのくだものを食べ、あなたの乳を飲む。 + わたしはラバを、らくだを飼う所とし、アンモンびとの町々を、羊の伏す所とする。そしてあなたがたは、わたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はこう言われる、あなたはイスラエルの地に向かって手をうち、足を踏み、心に悪意を満たして喜んだ。 + それゆえ、見よ、わたしはわが手をあなたに向けて伸べ、あなたを、もろもろの国民に渡して略奪にあわせ、あなたを、もろもろの民の中から断ち、諸国の中から滅ぼし絶やす。そしてあなたは、わたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はわたしにこう言われる、モアブは言った、見よ、ユダの家は、他のすべての国民と同様であると。 + それゆえ、わたしはモアブの境界の町々、すなわち国の栄えであるベテエシモテ、バアルメオン、キリアタイムの横腹を開き、 + これをアンモンの人々と共に、東方の人々に与えて、その所有とし、モアブの人々をもろもろの国民の中に記憶させない。 + わたしはモアブの上にさばきを行う。そのとき、彼らはわたしが主であることを知る。 + 主なる神はこう言われる、エドムは恨みをふくんでユダの家に敵対し、これに恨みを返して、はなはだしく罪を犯した。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わたしはエドムの上に手を伸べて、その中から人と獣とを断ち、これを荒れ地とする。テマンからデダンまで人々はつるぎに倒れる。 + わたしはわが民イスラエルの手をもって、エドムにわがあだを報いる。彼らがわが怒り、わが憤りに従ってエドムに行う時、エドムの人々は、わたしがあだを返すことを知るようになると、主なる神は言われる。 + 主なる神はこう言われる、ペリシテびとは恨みをふくんで行動し、心に悪意をもってあだを返し、深い敵意をもって、滅ぼすことをした。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしは手をペリシテびとの上に伸べ、ケレテびとを断ち、海べの残りの者を滅ぼす。 + わたしは怒りに満ちた懲罰をもって、大いなる復讐を彼らになす。わたしが彼らにあだを返す時、彼らはわたしが主であることを知るようになる」。 + + + 第十一年の第一日に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ツロはエルサレムについて言った、『ああ、それはよい気味である。もろもろの民の門は破れて、わたしに開かれた。わたしは豊かになり、彼は破れはてた』と。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、ツロよ、わたしはあなたを攻め、海がその波を起すように、わたしは多くの国民を、あなたに攻めこさせる。 + 彼らはツロの城壁をこわし、そのやぐらを倒す。わたしはその土を払い去って、裸の岩にする。 + ツロは海の中にあって、網をはる場所になる。これはわたしが言ったのであると、主なる神は言われる。ツロは、もろもろの民にかすめられ、 + その本土におる娘たちは、つるぎで殺される。そして彼らは、わたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はこう言われる、見よ、わたしは王の王なるバビロンの王ネブカデレザルに、馬、戦車、騎兵、および多くの軍勢をひきいて、北からツロに攻めこさせる。 + 彼は本土におるあなたの娘たちを、つるぎで殺し、あなたに向かって雲悌を建て、塁を築き、盾を備え、 + 城くずしをあなたの城壁に向け、おのであなたのやぐらを打ち砕く。 + その多くの馬の土煙は、あなたをおおう。人が破れた町にはいるように、彼があなたの門にはいる時、騎兵と貨車と戦車の響きによって、あなたの石がきはゆるぐ。 + 彼はその馬のひずめで、あなたのすべてのちまたを踏みあらし、つるぎであなたの民を殺す。あなたの力強い柱は地に倒れる。 + 彼らはあなたの財宝を奪い、商品をかすめ、城壁をくずし、楽しい家をこわし、石と木と土とを水の中に投げ込む。 + わたしはあなたの歌の声をとどめる。琴の音はもはや聞えなくなる。 + わたしはあなたを裸の岩にする。あなたは網を張る場所となり、再び建てられることはない。主なるわたしがこれを言ったと、主なる神は言われる。 + 主なる神はツロにこう言われる、海沿いの国々はあなたの倒れる響き、手負いのうめき、あなたのうちの殺人のゆえに、身震いしないであろうか。 + その時、海の君たちは皆その位からおり、朝服を脱ぎ、縫い取りの衣服を取り去り、恐れを身にまとい、地に座して、いたく恐れ、あなたの事を驚き、 + あなたのために悲しみの歌をのべて言う、『あなたは海にあって、強い誉ある町、本土に恐れを与えていたあなたも、その住民も、海から消え去った。 + 島々はあなたの倒れる日に身震いする。海の島々はあなたの去り行くことを見て驚く』。 + 主なる神はこう言われる、わたしはあなたを、荒れた町となし、住む者のない町のようにし、淵をあなたに向かってわきあがらせ、大水にあなたをおおわせる時、 + あなたを穴に下る者どもと共に、昔の民の所に下し、穴に下る者と共に下の国に、昔のままの荒れ跡の中に、あなたを住ませる。それゆえ、あなたは人の住む所とならず、また生ある者の地に所を得ない。 + わたしはあなたの終りを、恐るべきものとする。あなたは無に帰する。あなたを尋ねる人があっても、永久に見いださないと、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ツロのために悲しみの歌をのべ、 + 海の入口に住んで、多くの海沿いの国々の民の商人であるツロに対して言え、主なる神はこう言われる、ツロよ、あなたは言った、『わたしの美は完全である』と。 + あなたの境は海の中にあり、あなたの建設者はあなたの美を完全にした。 + 人々はセニルのもみの木であなたのために船板を造り、レバノンから香柏をとって、あなたのために帆柱を造り、 + バシャンのかしの木で、あなたのためにかいを造り、クプロの島から来る松の木に象牙をはめて、あなたのために甲板を造った。 + あなたの帆はエジプトから来るあや布であって、あなたの旗に用いられ、あなたのおおいはエリシャの海岸から来る青と紫の布である。 + あなたのこぎ手は、シドンとアルワデの住民、あなたのかじとりは、あなたのうちにいる熟練なゼメルの人々である。 + ゲバルの老人たち、およびその熟練な人々は、あなたのうちにいて漏りを繕い、海のすべての船およびその船員らはあなたのうちにいて、あなたの商品を交易する。 + ペルシャ人、ルデびと、プテびとはあなたの軍に加わって、あなたの戦士となる。彼らはあなたのうちに、盾とかぶとを掛け、あなたに輝きをそえた。 + アルワデとヘレクの人々は、あなたの周囲の城壁の上にあり、ガマデの人々は、あなたのやぐらの中にあり、彼らは、あなたの周囲の城壁にその盾を掛けて、あなたの美観を全うした。 + あなたはそのすべての貨物に富むゆえに、タルシシはあなたと交易をなし、銀、鉄、すず、鉛をあなたの商品と交換した。 + ヤワン、トバル、およびメセクはあなたと取引し、彼らは人身と青銅の器とを、あなたの商品と交換した。 + ベテ・トガルマは馬、軍馬、および騾馬をあなたの商品と交換した。 + ローヅ島の人々はあなたと取引し、多くの海沿いの国々は、あなたの市場となり、象牙と黒たんとを、みつぎとしてあなたに持ってきた。 + あなたの製品が多いので、エドムはあなたと商売し、彼らは赤玉、紫、縫い取りの布、細布、さんご、めのうをもって、あなたの商品と交換した。 + ユダとイスラエルの地は、あなたと取引し、麦、オリブ、いちじく、蜜、油、および乳香をもって、あなたの商品と交換した。 + あなたの製品が多く、あなたの富が多いので、ダマスコはあなたと取引し、ヘルボンの酒と、さらした羊毛と、 + ウザルの酒をもって、あなたの商品と交換し、銑鉄、肉桂、菖蒲をもって、あなたの商品と交易した。 + デダンは乗物の鞍敷をもって、あなたと取引した。 + アラビヤびと、およびケダルのすべての君たちは小羊、雄羊、やぎをもって、あなたと取引し、これらの物をあなたと交易した。 + シバとラアマの商人は、あなたと取引し、もろもろの尊い香料と、もろもろの宝石と金とをもって、あなたの商品と交換した。 + ハラン、カンネ、エデン、アッスリヤ、キルマデはあなたと取引した。 + 彼らは、はなやかな衣服と、青く縫い取りした布と、ひもで結んで、じょうぶにした敷物などをもって、あなたと取引した。 + タルシシの船はあなたの商品を運んでまわった。あなたは海の中にいて満ち足り、いたく栄えた。 + あなたのこぎ手らはあなたを大海の中に進め、海の中で東風があなたの船を破った。 + あなたの財宝、あなたの貨物、あなたの商品、あなたの船員、あなたのかじ取り、あなたの漏りを繕う者、あなたの商品を商う者、あなたの中にいるすべての軍人、あなたの中にいるすべての仲間は皆、あなたの破滅の日に海の中に沈む。 + あなたのかじ取りの叫び声に、近郷は震い、 + すべてかいをとる者は船からくだる。船員および海のすべてのかじ取りは海べに立ち、 + あなたのために声をあげて泣き、はげしく叫び、ちりをこうべにかぶり、灰の中にまろび、 + あなたのために髪をそり、荒布をまとい、あなたのために心を痛めて泣き、はげしく嘆く。 + 彼らは悲しんで、あなたのために悲しみの歌をのべ、あなたを弔って言う、『だれかツロのように海の中で滅びたものがあるか。 + あなたの商品が海を越えてきた時、あなたは多くの民を飽かせ、あなたの多くの財宝と商品とをもって、地の王たちを富ませた。 + 今あなたは海で破船し、深い水に沈み、あなたの商品と、あなたのすべての船員とは、あなたと共に沈んだ。 + 海沿いの国々に住む者は皆あなたについて驚き、その王たちは大いに恐れてその顔を震わす。 + もろもろの民の中の商人らはあなたをあざける。あなたは恐るべき終りを遂げ、永遠にうせはてる』」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ツロの君に言え、主なる神はこう言われる、あなたは心に高ぶって言う、『わたしは神である、神々の座にすわって、海の中にいる』と。しかし、あなたは自分を神のように賢いと思っても、人であって、神ではない。 + 見よ、あなたはダニエルよりも賢く、すべての秘密もあなたには隠れていない。 + あなたは知恵と悟りとによって富を得、金銀を倉にたくわえた。 + あなたは大いなる貿易の知恵によってあなたの富を増し、その富によってあなたの心は高ぶった。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、あなたは自分を神のように賢いと思っているゆえ、 + 見よ、わたしは、もろもろの国民の最も恐れている異邦人をあなたに攻めこさせる。彼らはつるぎを抜いて、あなたが知恵をもって得た麗しいものに向かい、あなたの輝きを汚し、 + あなたを穴に投げ入れる。あなたは海の中で殺された者のような死を遂げる。 + それでもなおあなたは、『自分は神である』と、あなたを殺す人々の前で言うことができるか。あなたは自分を傷つける者の手にかかっては、人であって、神ではないではないか。 + あなたは異邦人の手によって割礼を受けない者の死を遂げる。これはわたしが言うのであると、主なる神は言われる」。 + また主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、ツロの王のために悲しみの歌をのべて、これに言え。主なる神はこう言われる、あなたは知恵に満ち、美のきわみである完全な印である。 + あなたは神の園エデンにあって、もろもろの宝石が、あなたをおおっていた。すなわち赤めのう、黄玉、青玉、貴かんらん石、緑柱石、縞めのう、サファイヤ、ざくろ石、エメラルド。そしてあなたの象眼も彫刻も金でなされた。これらはあなたの造られた日に、あなたのために備えられた。 + わたしはあなたを油そそがれた守護のケルブと一緒に置いた。あなたは神の聖なる山にいて、火の石の間を歩いた。 + あなたは造られた日から、あなたの中に悪が見いだされた日まではそのおこないが完全であった。 + あなたの商売が盛んになると、あなたの中に暴虐が満ちて、あなたは罪を犯した。それゆえ、わたしはあなたを神の山から汚れたものとして投げ出し、守護のケルブはあなたを火の石の間から追い出した。 + あなたは自分の美しさのために心高ぶり、その輝きのために自分の知恵を汚したゆえに、わたしはあなたを地に投げうち、王たちの前に置いて見せ物とした。 + あなたは不正な交易をして犯した多くの罪によってあなたの聖所を汚したゆえ、わたしはあなたの中から火を出してあなたを焼き、あなたを見るすべての者の前であなたを地の上の灰とした。 + もろもろの民のうちであなたを知る者は皆あなたについて驚く。あなたは恐るべき終りを遂げ、永遠にうせはてる」。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をシドンに向け、これに向かって預言して、 + 言え。主なる神はこう言われる、シドンよ、見よ、わたしはあなたの敵となる、わたしはあなたのうちで栄えをあらわす。わたしがシドンのうちにさばきをおこない、そのうちにわたしの聖なることをあらわす時、彼らはわたしが主であることを知る。 + わたしは疫病をこれに送り、そのちまたに流血を送る。その四方からこれに臨むつるぎによって殺される者がその中に倒れる時、彼らはわたしが主であることを知る。 + イスラエルの家には、もはや刺すいばらはなく、これを卑しめたその周囲の人々のうちには、苦しめるとげもなくなる。こうして彼らはわたしが主であることを知るようになる。 + 主なる神はこう言われる、わたしがイスラエルの家の者を、その散らされたもろもろの民の中から集め、もろもろの国民の目の前で、彼らにわたしの聖なることをあらわす時、彼らはわたしが、わがしもべヤコブに与えた地に住むようになる。 + 彼らはそこに安らかに住み、家を建て、またぶどう畑を作る。かつて彼らを卑しめたすべての隣り人たちに対して、わたしがさばきを行う時、彼らは安らかに住む。こうして彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知る」。 + + + 第十年の十月十二日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をエジプトの王パロに向け、彼とエジプト全国に対して預言し、 + 語って言え。主なる神はこう言われる、エジプトの王パロよ、見よ、わたしはあなたの敵となる。あなたはその川の中に伏す大いなる龍で、『ナイル川はわたしのもの、わたしがこれを造った』と言う。 + わたしは、かぎをあなたのあごにかけ、あなたの川の魚を、あなたのうろこにつかせ、あなたと、あなたのうろこについているもろもろの魚を、あなたの川から引きあげ、 + あなたとあなたの川のもろもろの魚を、荒野に投げ捨てる。あなたは野の面に倒れ、あなたを取り集める者も、葬る者もない。わたしはあなたを地の獣と空の鳥のえじきとして与える。 + そしてエジプトのすべての住民はわたしが主であることを知る。あなたはイスラエルの家に対して葦のつえであった。 + 彼らがあなたを手にとる時、あなたは折れ、彼らの肩はことごとく裂ける。彼らがまたあなたに寄りかかる時、あなたは破れ、彼らの腰をことごとく震えさせる。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはつるぎをあなたに持ってきて、人と獣とをあなたのうちから断つ。 + エジプトの地は荒れて、むなしくなる。そして彼はわたしが主であることを知る。あなたは『ナイル川はわたしのもの、わたしがこれを造った』と言っているゆえに、 + 見よ、わたしはあなたとあなたの川々の敵となって、エジプトの地をミグドルからスエネまで、エチオピヤの境に至るまで、ことごとく荒し、むなしくする。 + 人の足はこれを渡らず、獣の足もこれを渡らない。四十年の間、ここに住む者はない。 + わたしはエジプトの地を荒して、荒れた国々の中に置き、その町々は荒れて、四十年のあいだ荒れた町々の中にある。わたしはエジプトびとを、もろもろの国民の中に散らし、もろもろの国の中に散らす。 + 主なる神はこう言われる、四十年の後、わたしはエジプトびとを、その散らされたもろもろの民の中から集める。 + すなわちエジプトの運命をもとに返し、彼らをその生れた地であるパテロスの地に帰らせる。その所で彼らは卑しい国となる。 + これはもろもろの国よりも卑しくなり、再びもろもろの国民の上に出ることができない。わたしは彼らを小さくするゆえ、再びもろもろの国民を治めることはない。 + これはイスラエルが助けを求める時、その罪を思い出して、再びイスラエルの家の頼みとはならない。こうして彼らは、わたしが主なる神であることを知る」。 + 第二十七年の一月一日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、バビロンの王ネブカデレザルは、その軍勢をツロに対して大いに働かせた。頭は皆はげ、肩はみな破れた。しかし彼もその軍勢も、ツロに対してなしたその働きのために、なんの報いをも得なかった。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはバビロンの王ネブカデレザルに、エジプトの地を与える。彼はその財宝を取り、物をかすめ、物を奪い、それをその軍勢に与えて報いとする。 + 彼の働いた報酬として、わたしはエジプトの地を彼に与える。彼らはわたしのために、これをしたからであると、主なる神は言われる。 + その日、わたしはイスラエルの家に、一つの角を生じさせ、あなたの口を彼らのうちに開かせる。そして彼らはわたしが主であることを知る」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、預言して言え、主なる神はこう言われる、嘆け、その日はわざわいだ。 + その日は近い、主の日は近い。これは雲の日、異邦人の滅びの時である。 + つるぎがエジプトに臨む。エジプトで殺される者の倒れる時、エチオピヤには苦しみがあり、その財宝は奪い去られ、その基は破られる。 + エチオピヤ、プテ、ルデ、アラビヤ、リビヤおよび同盟国の人々は、彼らと共につるぎに倒れる。 + 主はこう言われる、エジプトを助ける者は倒れ、その誇る力はうせる。ミグドルからスエネまで、人々はつるぎによってそのうちに倒れると主なる神が言われる。 + それは荒れて、荒れはてた国々のうちにあり、その町々は荒れた町々のうちにある。 + わたしがエジプトに火を送り、これを助ける者が皆滅びる時、彼らはわたしが主であることを知る。 + その日、早足の使者がわたしから出て、何事も知らぬエチオピヤびとを恐れさせる。そしてかのエジプトの滅びの日に、彼らに苦しみが来る。見よ、これはかならず来る。 + 主なる神はこう言われる、わたしはバビロンの王ネブカデレザルの手によってエジプトの富を滅ぼす。 + 彼と彼に従うその民、すなわち国民のうちの最も恐るべき者がきて、その地を滅ぼす。彼らはつるぎを抜いて、エジプトを攻め、殺した者を国に満たす。 + わたしはナイル川をからし、その国を悪しき者の手に売り、異邦人の手によって国とその中のものとを荒す。主なるわたしはこれを言った。 + 主なる神はこう言われる、わたしは偶像をこわし、メンピスで偶像を滅ぼす。エジプトの国には、もはや君たる者がなくなる。わたしはエジプトの国に恐れを与える。 + わたしはパテロスを荒し、ゾアンに火を放ち、テーベにさばきをおこない、 + わたしの怒りを、エジプトの要害であるペルシゥムに注ぎ、テーベの群衆を断ち、 + エジプトに火を下す。ペルシゥムはいたく苦しみ、テーベは打ち破られ、その城壁は破壊され、 + オンとピベセテの若者はつるぎに倒れ、女たちは捕え移される。 + わたしがエジプトの支配を砕く時、テパネスでは日は暗くなり、その誇る力は絶え、雲はこれをおおい、その娘たちは捕え移される。 + このようにわたしはエジプトにさばきを行う。そのとき彼らはわたしが主であることを知る」。 + 第十一年の一月七日に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、わたしはエジプトの王パロの腕を折った。見よ、これは包まれず、いやされず、ほうたいをも施されない。それは強くなって、つるぎを執ることができない。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはエジプトの王パロを攻め、その強い腕と、折れた腕とを共に折り、その手からつるぎを落させる。 + わたしはエジプトびとを、もろもろの国民の中に散らし、国々に散らす。 + わたしはバビロンの王の腕を強くし、わたしのつるぎを、その手に与える。しかしわたしはパロの腕を折るゆえ、彼は深手を負った者のように、彼の前にうめく。 + わたしがバビロンの王の腕を強くし、パロの腕がたれる時、彼らはわたしが主であることを知る。わたしがわたしのつるぎを、バビロンの王に授け、これをエジプトの国に向かって伸べさせ、 + わたしがエジプトびとを、もろもろの国民の中に散らし、国々に散らす時、彼らはわたしが主であることを知る」。 + + + 第十一年の三月一日に主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、エジプトの王パロと、その民衆とに言え、あなたはその大いなること、だれに似ているか。 + 見よ、わたしはあなたをレバノンの香柏のようにする。麗しき枝と森の陰があり、たけが高く、その頂は雲の中にある。 + 水はこれを育て、大水がこれを高くする。その川々はその植えた所をめぐって流れ、その流れを野のすべての木に送る。 + これによってそのたけは、野のすべての木よりも高くなり、その育つとき多くの水のために枝葉は茂り、枝は伸び、 + その枝葉に空のすべての鳥が、巣をつくり、その枝の下に野のすべての獣は子を生み、その陰にもろもろの国民は住む。 + これはその大きなことと、その枝の長いことによって美しかった。その根を多くの水に、おろしていたからである。 + 神の園の香柏も、これと競うことはできない。もみの木もその枝葉に及ばない。けやきもその枝と比べられない。神の園のすべての木も、その麗しきこと、これに比すべきものはない。 + わたしはその枝を多くして、これを美しくした。神の園にあるエデンの木は皆これをうらやんだ。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、これは、たけが高くなり、その頂を雲の中におき、その心が高ぶりおごるゆえ、 + わたしはこれを、もろもろの国民の力ある者の手に渡す。彼はこれに対してその悪のために正しい処置をとる。わたしはこれを追い出した。 + もろもろの国民の最も恐れている異邦人はこれを切り倒して捨てる。その枝はもろもろの山と、すべての谷とに落ち、その枝葉は砕けて、地のすべての流れにあり、地のすべての民は、その陰を離れて、これを捨てる。 + その倒れた所に、空のもろもろの鳥は住み、その枝の上に、野のもろもろの獣はいる。 + これは水のほとりのすべての木が、その高さのために誇ることなく、その頂を雲の中におくことなく、水に潤う木が、みずから高ぶり立つことのないためである。これらは皆、死に渡され、下の国に入り、穴に下る者と共に他の人々のうちにいる。 + 主なる神はこう言われる、これが陰府に下る日にわたしが淵をこれがために悲しませ、その川々をせきとめるので、大水はとどまる。わたしはレバノンを、これがために嘆かせ、野のすべての木を、これがために衰えさせる。 + わたしがこれを穴に下る者と共に陰府に落す時、もろもろの国民をその落ちる響きのために、打ち震えさせる。そしてエデンのすべての木、レバノンのすぐれて美しいもの、すべて水に潤うものは、下の国で慰められる。 + 彼らもこれと共に陰府に下り、つるぎで殺された者のところに至る。まことにもろもろの国民のうちで、その陰に住んだ者も滅びる。 + エデンの木のうちで、その栄えと大いなることで、あなたはどれに似ているのか。あなたはこのように、エデンの木と共に、下の国に落され、つるぎで殺された者と共に、割礼を受けない者のうちに住む。これがパロとその民衆であると、主なる神は言われる」。 + + + 第十二年の十二月一日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、エジプトの王パロのために、悲しみの歌をのべて、これに言え、あなたは自分をもろもろの国民のうちのししであると考えているが、あなたは海の中の龍のような者である。あなたは川の中に、はね起き、足で水をかきまぜ、川を濁す。 + 主なる神はこう言われる、わたしは多くの民の集団をもって、わたしの網をあなたに投げかけ、あなたを網で引きあげる。 + わたしはあなたを地に投げ捨て、野の面に投げうち、空のすべての鳥をあなたの上にとまらせ、全地の獣にあなたを与えて飽かせる。 + わたしはあなたの肉を山々に捨て、あなたの死体で谷を満たす。 + わたしはあなたの流れる血で、地を潤し、山々にまで及ぼす。谷川はあなたの死体で満ちる。 + わたしはあなたを滅ぼす時、空をおおい、星を暗くし、雲で日をおおい、月に光を放たせない。 + わたしは空の輝く光を、ことごとくあなたの上に暗くし、あなたの国をやみとすると主なる神は言う。 + わたしはもろもろの国民、あなたの知らない国々の中に、あなたを捕え移す時、多くの民の心を痛ませる。 + わたしはあなたについて、多くの民を驚かせる。その王たちは、わたしがわたしのつるぎを、彼らの前に振るう時、あなたの事でおののく。あなたの倒れる日には、彼らはおのおの自分の命を思って、絶えず打ち震える。 + 主なる神はこう言われる、バビロンの王のつるぎはあなたに臨む。 + わたしはあなたの民衆を勇士のつるぎに倒れさせる。彼らは皆、もろもろの国民の中で、最も恐れられている者たちである。彼らはエジプトの誇を断つ、エジプトの民衆は皆滅ぼされる。 + わたしはその家畜をことごとく、多くの水のかたわらから滅ぼす。人の足は再びこれを濁さず、家畜のひずめもこれを乱さない。 + その時わたしはその水を清くし、その川々を油のように流れさせると、主なる神は言う。 + わたしはエジプトの国を荒し、その国に満ちるものが、ことごとく取り去られる時、わたしがその中に住む者をことごとく撃つ時、彼らはわたしが主であることを知る。 + これは悲しみの歌である。人々はこれを歌い、もろもろの国の娘たちはこれを歌う。すなわちエジプトと、そのすべての民衆とのために、これを歌うのであると、主なる神は言われる」。 + 第十二年の一月十五日に、主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、エジプトの民衆のために嘆き、これと大いなる国々の娘らとを、下の国に投げ下し、穴に下った者のところに至らせよ。 + 『あなたの美はだれにまさっているか。下って、割礼を受けない者と共に伏せよ』。 + 彼らはつるぎに殺される者のうちに倒れる。その民衆はこれと共に伏せる。 + 勇士の首領はその助け手と共に、陰府の中から彼らに言う、『割礼を受けない者、つるぎに殺された者は下って伏している』と。 + アッスリヤとその仲間とはその所におり、その墓はこれを囲む。彼らはみな殺された者、またつるぎに倒れた者である。 + 彼らの墓は穴の奥に設けられ、その仲間はその墓の周囲にあり、これはみな殺された者、つるぎに倒れた者、生ける者の地に恐れを起した者である。 + その所にエラムがおり、その民衆は皆、その墓の周囲におる。彼らはみな殺された者、つるぎに倒れた者、割礼を受けないで、下の国に下った者、生ける者の地に、恐れを起した者で、穴に下る者と共に、恥を負うのである。 + 彼らはそのすべての民衆と共に、殺された者の中に床を置き、その墓はこれを囲む。これは皆、割礼を受けない者、つるぎに殺された者、生ける者の地に恐れを起した者で、穴に下る者と共に恥を負う。彼らは殺された者の中に置かれている。 + その所にメセクとトバル、およびすべての民衆がおる。その墓はこれを囲む。彼らは皆、割礼を受けない者で、つるぎで殺された者である。生ける者の地に恐れを起したからである。 + 彼らは昔の倒れた勇士と共に伏さない。これらの勇士は、武具を持って陰府に下り、つるぎをまくらとし、その盾は骨の上にある。これは勇士の恐れが、生ける者の地にあったからである。 + あなたは割礼を受けない者のうちに、つるぎで殺された者と共に横たわる。 + その所にエドムとその王たちと、そのすべての君たちがおる。彼らはその力を持つにもかかわらず、かのつるぎで殺された者と共に横たえられ、割礼を受けない者および穴に下る者と共に伏している。 + その所に北の君たち、およびシドンびとが皆おる。彼らは自分の力によって恐れを起したので、殺された者と共に恥を受けて、下って行った者である。彼らはつるぎで殺された者と共に、割礼を受けずに伏し、穴に下る者と共に恥を負う。 + パロは彼らを見る時、そのすべての民衆について慰められる。パロとそのすべての軍勢とは、つるぎで殺されると、主なる神は言われる。 + 彼は生ける者の国に恐れを広げた。それゆえ、パロとすべての民衆とは、割礼を受けない者のうちにあって、つるぎで殺された者と共に伏すと、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの民の人々に語って言え、わたしがつるぎを一つの国に臨ませる時、その国の民が彼らのうちからひとりを選んで、これを自分たちの見守る者とする。 + 彼は国につるぎが臨むのを見て、ラッパを吹き、民を戒める。 + しかし人がラッパの音を聞いても、みずから警戒せず、ついにつるぎが来て、その人を殺したなら、その血は彼のこうべに帰する。 + 彼はラッパの音を聞いて、みずから警戒しなかったのであるから、その血は彼自身に帰する。しかしその人が、みずから警戒したなら、その命は救われる。 + しかし見守る者が、つるぎの臨むのを見ても、ラッパを吹かず、そのため民が、みずから警戒しないでいるうちに、つるぎが臨み、彼らの中のひとりを失うならば、その人は、自分の罪のために殺されるが、わたしはその血の責任を、見守る者の手に求める。 + それゆえ、人の子よ、わたしはあなたを立てて、イスラエルの家を見守る者とする。あなたはわたしの口から言葉を聞き、わたしに代って彼らを戒めよ。 + わたしが悪人に向かって、悪人よ、あなたは必ず死ぬと言う時、あなたが悪人を戒めて、その道から離れさせるように語らなかったら、悪人は自分の罪によって死ぬ。しかしわたしはその血を、あなたの手に求める。 + しかしあなたが悪人に、その道を離れるように戒めても、その悪人がその道を離れないなら、彼は自分の罪によって死ぬ。しかしあなたの命は救われる。 + それゆえ、人の子よ、イスラエルの家に言え、あなたがたはこう言った、『われわれのとがと、罪はわれわれの上にある。われわれはその中にあって衰えはてる。どうして生きることができようか』と。 + あなたは彼らに言え、主なる神は言われる、わたしは生きている。わたしは悪人の死を喜ばない。むしろ悪人が、その道を離れて生きるのを喜ぶ。あなたがたは心を翻せ、心を翻してその悪しき道を離れよ。イスラエルの家よ、あなたはどうして死んでよかろうか。 + 人の子よ、あなたの民の人々に言え、義人の義は、彼が罪を犯す時には、彼を救わない。悪人の悪は、彼がその悪を離れる時、その悪のために倒れることはない。義人は彼が罪を犯す時、その義のために生きることはできない。 + わたしが義人に、彼は必ず生きると言っても、もし彼が自分の義をたのんで、罪を犯すなら、彼のすべての義は覚えられない。彼はみずから犯した罪のために死ぬ。 + また、わたしが悪人に『あなたは必ず死ぬ』と言っても、もし彼がその罪を離れ、公道と正義とを行うならば、 + すなわちその悪人が質物を返し、奪った物をもどし、命の定めに歩み、悪を行わないならば、彼は必ず生きる。決して死なない。 + 彼の犯したすべての罪は彼に対して覚えられない。彼は公道と正義とを行ったのであるから、必ず生きる。 + あなたの民の人々は『主の道は公平でない』と言う。しかし彼らの道こそ公平でないのである。 + 義人がその義を離れて、罪を犯すならば、彼はこれがために死ぬ。 + 悪人がその悪を離れて、公道と正義とを行うならば、彼はこれによって生きる。 + それであるのに、あなたがたは『主の道は公平でない』と言う。イスラエルの家よ、わたしは各自のおこないにしたがって、あなたがたをさばく」。 + わたしたちが捕え移された後、すなわち第十二年の十月五日に、エルサレムからのがれて来た者が、わたしのもとに来て言った、「町は打ち破られた」と。 + その者が来た前の夜、主の手がわたしに臨んだ。次の朝、その人がわたしのもとに来たころ、主はわたしの口を開かれた。わたしの口が開けたので、もはやわたしは沈黙しなかった。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの地の、かの荒れ跡の住民らは、語り続けて言う、『アブラハムはただひとりで、なおこの地を所有した。しかしわたしたちの数は多い。この地はわれわれの所有として与えられている』と。 + それゆえ、あなたは彼らに言え、主なる神はこう言われる、あなたがたは肉を血のついたままで食べ、おのが偶像を仰ぎ、血を流していて、なおこの地を所有することができるか。 + あなたがたはつるぎをたのみ、憎むべき事をおこない、おのおの隣り人の妻を汚して、なおこの地を所有することができるか。 + あなたは彼らに言いなさい。主なる神はこう言われる、わたしは生きている。かの荒れ跡にいる者は必ずつるぎに倒れる。わたしは野の面にいる者を、獣に与えて食わせ、要害とほら穴とにいる者は疫病で死ぬ。 + わたしはこの国を全く荒す。彼の誇る力はうせ、イスラエルの山々は荒れて通る者もなくなる。 + 彼らがおこなったすべての憎むべきことのために、わたしがこの国を全く荒す時、彼らはわたしが主であることを悟る。 + 人の子よ、あなたの民の人々は、かきのかたわら、家の入口で、あなたの事を論じ、たがいに語りあって言う、『さあ、われわれは、どんな言葉が主から出るかを聞こう』と。 + 彼らは民が来るようにあなたの所に来、わたしの民のようにあなたの前に座して、あなたの言葉を聞く。しかし彼らはそれを行わない。彼等は口先では多くの愛を現すが、その心は利におもむいている。 + 見よ、あなたは彼らには、美しい声で愛の歌をうたう者のように、また楽器をよく奏する者のように思われる。彼らはあなたの言葉は聞くが、それを行おうとはしない。 + この事が起る時――これは必ず起る――そのとき彼らの中にひとりの預言者がいたことを彼らは悟る」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、イスラエルの牧者たちに向かって預言せよ。預言して彼ら牧者に言え、主なる神はこう言われる、わざわいなるかな、自分自身を養うイスラエルの牧者。牧者は群れを養うべき者ではないか。 + ところが、あなたがたは脂肪を食べ、毛織物をまとい、肥えたものをほふるが、群れを養わない。 + あなたがたは弱った者を強くせず、病んでいる者をいやさず、傷ついた者をつつまず、迷い出た者を引き返らせず、うせた者を尋ねず、彼らを手荒く、きびしく治めている。 + 彼らは牧者がないために散り、野のもろもろの獣のえじきになる。 + わが羊は散らされている。彼らはもろもろの山と、もろもろの高き丘にさまよい、わが羊は地の全面に散らされているが、これを捜す者もなく、尋ねる者もない。 + それゆえ、牧者よ、主の言葉を聞け。 + 主なる神は言われる、わたしは生きている。わが羊はかすめられ、わが羊は野のもろもろの獣のえじきとなっているが、その牧者はいない。わが牧者はわが羊を尋ねない。牧者は自身を養うが、わが羊を養わない。 + それゆえ牧者らよ、主の言葉を聞け。 + 主なる神はこう言われる、見よ、わたしは牧者らの敵となり、わたしの羊を彼らの手に求め、彼らにわたしの群れを養うことをやめさせ、再び牧者自身を養わせない。またわが羊を彼らの口から救って、彼らの食物にさせない。 + 主なる神はこう言われる、見よ、わたしは、わたしみずからわが羊を尋ねて、これを捜し出す。 + 牧者がその羊の散り去った時、その羊の群れを捜し出すように、わたしはわが羊を捜し出し、雲と暗やみの日に散った、すべての所からこれを救う。 + わたしは彼らをもろもろの民の中から導き出し、もろもろの国から集めて、彼らの国に携え入れ、イスラエルの山の上、泉のほとり、また国のうちの人の住むすべての所でこれを養う。 + わたしは良き牧場で彼らを養う。その牧場はイスラエルの高い山にあり、その所で彼らは良い羊のおりに伏し、イスラエルの山々の上で肥えた牧場で草を食う。 + わたしはみずからわが羊を飼い、これを伏させると主なる神は言われる。 + わたしは、うせたものを尋ね、迷い出たものを引き返し、傷ついたものを包み、弱ったものを強くし、肥えたものと強いものとは、これを監督する。わたしは公平をもって彼らを養う。 + 主なる神はこう言われる、あなたがた、わが群れよ、見よ、わたしは羊と羊との間、雄羊と雄やぎとの間をさばく。 + あなたがたは良き牧場で草を食い、その草の残りを足で踏み、また澄んだ水を飲み、その残りを足で濁すが、これは、あまりのことではないか。 + わが羊はあなたがたが、足で踏んだものを食い、あなたがたの足で濁したものを、飲まなければならないのか。 + それゆえ、主なる神はこう彼らに言われる、見よ、わたしは肥えた羊と、やせた羊との間をさばく。 + あなたがたは、わきと肩とをもって押し、角をもって、すべて弱い者を突き、ついに彼らを外に追い散らした。 + それゆえ、わたしはわが群れを助けて、再びかすめさせず、羊と羊との間をさばく。 + わたしは彼らの上にひとりの牧者を立てる。すなわちわがしもべダビデである。彼は彼らを養う。彼は彼らを養い、彼らの牧者となる。 + 主なるわたしは彼らの神となり、わがしもべダビデは彼らのうちにあって君となる。主なるわたしはこれを言う。 + わたしは彼らと平和の契約を結び、国の内から野獣を追い払う。彼らは心を安んじて荒野に住み、森の中に眠る。 + わたしは彼らおよびわが山の周囲の所々を祝福し、季節にしたがって雨を降らす。これは祝福の雨となる。 + 野の木は実を結び、地は産物を出す。彼らは心を安んじてその国におり、わたしが彼らのくびきの棒を砕き、彼らを奴隷とした者の手から救い出す時、彼らはわたしが主であることを悟る。 + 彼らは重ねて、もろもろの国民にかすめられることなく、地の獣も彼らを食うことはない。彼らは心を安んじて住み、彼らを恐れさせる者はない。 + わたしは彼らのために、良い栽培所を与える。彼らは重ねて、国のききんに滅びることなく重ねて諸国民のはずかしめを受けることはない。 + 彼らはその神、主なるわたしが彼らと共におり、彼らイスラエルの家が、わが民であることを悟ると、主なる神は言われる。 + あなたがたはわが羊、わが牧場の羊である。わたしはあなたがたの神であると、主なる神は言われる」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたの顔をセイル山に向け、これに対して預言し、 + これに言え。主なる神はこう言われる、セイル山よ、見よ、わたしはあなたを敵とし、わたしの手をあなたに向かって伸べ、あなたを全く荒し、 + あなたの町々を滅ぼす。あなたは荒れはてる。そしてわたしが主であることを悟る。 + あなたは限りない敵意をいだいて、イスラエルの人々をその災の時、終りの刑罰の時に、つるぎの手に渡した。 + それゆえ、主なる神は言われる、わたしは生きている。わたしはあなたを血にわたす。血はあなたを追いかける。あなたには血のとががあるゆえ、血はあなたを追いかける + わたしはセイル山を全く荒し、そこに行き来する者を断ち、 + その山々を殺された者で満たす。つるぎで殺された者が、あなたのもろもろの丘、もろもろの谷、もろもろのくぼ地に倒れる。 + わたしはあなたを、永遠の荒れ地とし、あなたの町々には住む者がなくなる。そしてあなたがたは、わたしが主であることを悟る。 + あなたは言う、『これら二つの国民、二つの国はわたしのもの、われわれはこれを獲よう』と。しかし主はそこにおられる。 + それゆえ、主なる神は言われる、わたしは生きている。あなたが彼らを憎んで、彼らに示した怒りと、ねたみにしたがって、わたしはあなたを扱う。わたしがあなたをさばく時、わたし自身をあなたに示す。 + あなたがイスラエルの山々に向かって、『これは荒れはてて、われわれの食となる』と言ったもろもろのそしりを、主なるわたしが聞いたことをあなたは悟る。 + あなたがたは、わたしに対して口をもって誇り、またわたしに対して、あなたがたの言葉を多くした。わたしはそれを聞いた。 + 主なる神はこう言われる、全地の喜びのために、わたしはあなたを荒れ地とする。 + あなたが、イスラエルの家の嗣業の荒れるのを喜んだように、わたしはあなたに、そのようにする。セイル山よ、あなたは荒れ地となる。エドムもすべてそのようになる。そのとき彼らは、わたしが主であることを悟るようになる。 + + + 人の子よ、イスラエルの山々に預言して言え。イスラエルの山々よ、主の言葉を聞け。 + 主なる神はこう言われる、敵はあなたがたについて言う、『ああ、昔の高き所が、われわれのものとなった』と。 + それゆえ、あなたは預言して言え。主なる神はこう言われる、彼らはあなたがたを荒し、四方からあなたがたを打ち滅ぼしたので、あなたがたは他の国民の所有となり、また民の悪いうわさとなった。 + それゆえ、イスラエルの山々よ、主なる神の言葉を聞け。主なる神は、山と、丘と、くぼ地と、谷と、滅びた荒れ跡と、人の捨てた町々、すなわちその周囲にある諸国民の残った者にかすめられ、あざけられるようになったものに、こう言われる。 + 主なる神はこう言われる、わたしはねたみの炎をもって、他の国民とエドム全国とに対して言う、彼らは心ゆくまで喜び、心に誇ってわが地を自分の所有とし、これを奪い、かすめた者である。 + それゆえ、あなたはイスラエルの地の事を預言し、山と、丘と、くぼ地と、谷とに言え。主なる神はこう言われる、見よ、あなたがたは諸国民のはずかしめを受けたので、わたしはねたみと怒りとをもって語る。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、わたしは誓って言う、あなたがたの周囲の諸国民は必ずはずかしめを受ける。 + しかしイスラエルの山々よ、あなたがたは枝を出し、わが民イスラエルのために実を結ぶ。この事の成るのは近い。 + 見よ、わたしはあなたがたに臨み、あなたがたを顧みる。あなたがたは耕され、種をまかれる。 + わたしはあなたがたの上に人をふやす。これはことごとくイスラエルの家の者となり、町々には人が住み、荒れ跡は建て直される。 + わたしはあなたがたの上に人と獣とをふやす。彼らはふえて、子を生む。わたしはあなたがたの上に、昔のように人を住ませ、初めの時よりも、まさる恵みをあなたがたに施す。その時あなたがたは、わたしが主であることを悟る。 + わたしはわが民イスラエルの人々をあなたがたの上に歩ませる。彼らはあなたがたを所有し、あなたがたはその嗣業となり、あなたがたは重ねて彼らに子のない嘆きをさせない。 + 主なる神はこう言われる、彼らはあなたがたに向かって、『あなたは人を食い、あなたの民に子のない嘆きをさせる』と言う。 + あなたはもはや人を食わない。あなたの民に重ねて子のない嘆きをさせることはないと、主なる神は言われる。 + わたしは重ねて諸国民のはずかしめをあなたに聞かせない。あなたは重ねて、もろもろの民のはずかしめを受けることはなく、あなたの民を重ねてつまずかせることはないと、主なる神は言われる」。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、昔、イスラエルの家が、自分の国に住んだとき、彼らはおのれのおこないとわざとをもって、これを汚した。そのおこないは、わたしの前には、汚れにある女の汚れのようであった。 + 彼らが国に血を流し、またその偶像をもって、国を汚したため、わたしはわが怒りを彼らの上に注ぎ、 + 彼らを諸国民の中に散らしたので、彼らは国々の中に散った。わたしは彼らのおこないと、わざとにしたがって、彼らをさばいた。 + 彼らがその行くところの国々へ行ったとき、わが聖なる名を汚した。これは人々が彼らについて『これは主の民であるが、その国から出た者である』と言ったからである。 + しかしわたしはイスラエルの家が、その行くところの諸国民の中で汚したわが聖なる名を惜しんだ。 + それゆえ、あなたはイスラエルの家に言え。主なる神はこう言われる、イスラエルの家よ、わたしがすることはあなたがたのためではない。それはあなたがたが行った諸国民の中で汚した、わが聖なる名のためである。 + わたしは諸国民の中で汚されたもの、すなわち、あなたがたが彼らの中で汚した、わが大いなる名の聖なることを示す。わたしがあなたがたによって、彼らの目の前に、わたしの聖なることを示す時、諸国民はわたしが主であることを悟ると、主なる神は言われる。 + わたしはあなたがたを諸国民の中から導き出し、万国から集めて、あなたがたの国に行かせる。 + わたしは清い水をあなたがたに注いで、すべての汚れから清め、またあなたがたを、すべての偶像から清める。 + わたしは新しい心をあなたがたに与え、新しい霊をあなたがたの内に授け、あなたがたの肉から、石の心を除いて、肉の心を与える。 + わたしはまたわが霊をあなたがたのうちに置いて、わが定めに歩ませ、わがおきてを守ってこれを行わせる。 + あなたがたは、わたしがあなたがたの先祖に与えた地に住んで、わが民となり、わたしはあなたがたの神となる。 + わたしはあなたがたをそのすべての汚れから救い、穀物を呼びよせてこれを増し、ききんをあなたがたに臨ませない。 + またわたしは木の実と、田畑の作物とを多くする。あなたがたは重ねて諸国民の間に、ききんのはずかしめを受けることがない。 + その時あなたがたは自身の悪しきおこないと、良からぬわざとを覚えて、その罪と、その憎むべきこととのために、みずから恨む。 + わたしがなすことはあなたがたのためではないと、主なる神は言われる。あなたがたはこれを知れ。イスラエルの家よ、あなたがたは自分のおこないを恥じて悔やむべきである。 + 主なる神はこう言われる、わたしは、あなたがたのすべての罪を清める日に、町々に人を住ませ、その荒れ跡を建て直す。 + 荒れた地は、行き来の人々の目に荒れ地と見えたのに引きかえて耕される。 + そこで人々は言う、『この荒れた地は、エデンの園のようになった。荒れ、滅び、くずれた町々は、堅固になり、人の住む所となった』と。 + あなたがたの周囲に残った諸国民は主なるわたしがくずれた所を建て直し、荒れた所にものを植えたということを悟るようになる。主なるわたしがこれを言い、これをなすのである。 + 主なる神はこう言われる、イスラエルの家は、わたしが次のことを彼らのためにするように、わたしに求めるべきである。すなわち人を群れのようにふやすこと、 + すなわち犠牲のための群れのように、エルサレムの祝い日の群れのようにすることである。こうして荒れた町々は人の群れで満ちる。その時人々は、わたしが主であることを悟るようになる」。 + + + 主の手がわたしに臨み、主はわたしを主の霊に満たして出て行かせ、谷の中にわたしを置かれた。そこには骨が満ちていた。 + 彼はわたしに谷の周囲を行きめぐらせた。見よ、谷の面には、はなはだ多くの骨があり、皆いたく枯れていた。 + 彼はわたしに言われた、「人の子よ、これらの骨は、生き返ることができるのか」。わたしは答えた、「主なる神よ、あなたはご存じです」。 + 彼はまたわたしに言われた、「これらの骨に預言して、言え。枯れた骨よ、主の言葉を聞け。 + 主なる神はこれらの骨にこう言われる、見よ、わたしはあなたがたのうちに息を入れて、あなたがたを生かす。 + わたしはあなたがたの上に筋を与え、肉を生じさせ、皮でおおい、あなたがたのうちに息を与えて生かす。そこであなたがたはわたしが主であることを悟る」。 + わたしは命じられたように預言したが、わたしが預言した時、声があった。見よ、動く音があり、骨と骨が集まって相つらなった。 + わたしが見ていると、その上に筋ができ、肉が生じ、皮がこれをおおったが、息はその中になかった。 + 時に彼はわたしに言われた、「人の子よ、息に預言せよ、息に預言して言え。主なる神はこう言われる、息よ、四方から吹いて来て、この殺された者たちの上に吹き、彼らを生かせ」。 + そこでわたしが命じられたように預言すると、息はこれにはいった。すると彼らは生き、その足で立ち、はなはだ大いなる群衆となった。 + そこで彼はわたしに言われた、「人の子よ、これらの骨はイスラエルの全家である。見よ、彼らは言う、『われわれの骨は枯れ、われわれの望みは尽き、われわれは絶え果てる』と。 + それゆえ彼らに預言して言え。主なる神はこう言われる、わが民よ、見よ、わたしはあなたがたの墓を開き、あなたがたを墓からとりあげて、イスラエルの地にはいらせる。 + わが民よ、わたしがあなたがたの墓を開き、あなたがたをその墓からとりあげる時、あなたがたは、わたしが主であることを悟る。 + わたしがわが霊を、あなたがたのうちに置いて、あなたがたを生かし、あなたがたをその地に安住させる時、あなたがたは、主なるわたしがこれを言い、これをおこなったことを悟ると、主は言われる」。 + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、あなたは一本の木を取り、その上に『ユダおよびその友であるイスラエルの子孫のために』と書き、また一本の木を取って、その上に『ヨセフおよびその友であるイスラエルの全家のために』と書け。これはエフライムの木である。 + あなたはこれらを合わせて、一つの木となせ。これらはあなたの手で一つになる。 + あなたの民の人々があなたに向かって、『これはなんのことであるか、われわれに示してくれないか』と言う時は、 + これに言え、主なる神はこう言われる、見よ、わたしはエフライムの手にあるヨセフと、その友であるイスラエルの部族の木を取り、これをユダの木に合わせて、一つの木となす。これらはわたしの手で一つとなる。 + あなたが文字を書いた木が、彼らの目の前で、あなたの手にあるとき、 + あなたは彼らに言え。主なる神は、こう言われる、見よ、わたしはイスラエルの人々を、その行った国々から取り出し、四方から彼らを集めて、その地にみちびき、 + その地で彼らを一つの民となしてイスラエルの山々におらせ、ひとりの王が彼ら全体の王となり、彼らは重ねて二つの国民とならず、再び二つの国に分れない。 + 彼らはまた、その偶像と、その憎むべきことどもと、もろもろのとがとをもって、身を汚すことはない。わたしは彼らを、その犯したすべての背信から救い出して、これを清める。そして彼らはわが民となり、わたしは彼らの神となる。 + わがしもべダビデは彼らの王となる。彼らすべての者のために、ひとりの牧者が立つ。彼らはわがおきてに歩み、わが定めを守って行う。 + 彼らはわがしもべヤコブに、わたしが与えた地に住む。これはあなたがたの先祖の住んだ所である。そこに彼らと、その子らと、その子孫とが永遠に住み、わがしもべダビデが、永遠に彼らの君となる。 + わたしは彼らと平和の契約を結ぶ。これは彼らの永遠の契約となる。わたしは彼らを祝福し、彼らをふやし、わが聖所を永遠に彼らの中に置く。 + わがすみかは彼らと共にあり、わたしは彼らの神となり、彼らはわが民となる。 + そしてわが聖所が永遠に、彼らのうちにあるようになるとき、諸国民は主なるわたしが、イスラエルを聖別する者であることを悟る」。 + + + 主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「人の子よ、メセクとトバルの大君であるマゴグの地のゴグに、あなたの顔を向け、これに対して預言して、 + 言え。主なる神はこう言われる、メセクとトバルの大君であるゴグよ、見よ、わたしはあなたの敵となる。 + わたしはあなたを引きもどし、あなたのあごにかぎをかけて、あなたと、あなたのすべての軍勢と、馬と、騎兵とを引き出す。彼らはみな武具をつけ、大盾、小盾を持ち、すべてつるぎをとる者で大軍である。 + ペルシャ、エチオピヤ、プテは彼らと共におり、みな盾とかぶとを持つ。 + ゴメルとそのすべての軍隊、北の果のベテ・トガルマと、そのすべての軍隊など、多くの民もあなたと共におる。 + あなたは備えをなせ。あなたとあなたの所に集まった軍隊は、みな備えをなせ。そしてあなたは彼らの保護者となれ。 + 多くの日の後、あなたは集められ、終りの年にあなたは戦いから回復された地、すなわち多くの民の中から、人々が集められた地に向かい、久しく荒れすたれたイスラエルの山々に向かって進む。その人々は国々から導き出されて、みな安らかに住んでいる。 + あなたはそのすべての軍隊および多くの民を率いて上り、暴風のように進み、雲のように地をおおう。 + 主なる神はこう言われる、その日に、あなたの心に思いが起り、悪い計りごとを企てて、 + 言う、『わたしは無防備の村々の地に上り、穏やかにして安らかに住む民、すべて石がきもなく、貫の木も門もない地に住む者どもを攻めよう』と。 + そしてあなたは物を奪い、物をかすめ、いま人の住むようになっている荒れ跡を攻め、また国々から集まってきて、地の中央に住み、家畜と貨財とを持つ民を攻めようとする。 + シバ、デダン、タルシシの商人、およびそのもろもろの村々はあなたに言う、『あなたは物を奪うために来たのか。物をかすめるために軍隊を集めたのか。あなたは金銀を持ち去り、家畜と貨財とを取りあげ、大いに物を奪おうとするのか』と。 + それゆえ、人の子よ、ゴグに預言して言え。主なる神はこう言われる、わが民イスラエルの安らかに住むその日に、あなたは立ちあがり、 + 北の果のあなたの所から来る。多くの民はあなたと共におり、みな馬に乗り、その軍隊は大きく、その兵士は強い。 + あなたはわが民イスラエルに攻めのぼり、雲のように地をおおう。ゴグよ、終りの日にわたしはあなたを、わが国に攻めきたらせ、あなたをとおして、わたしの聖なることを諸国民の目の前にあらわして、彼らにわたしを知らせる。 + 主なる神はこう言われる、わたしが昔、わがしもべイスラエルの預言者たちによって語ったのは、あなたのことではないか。すなわち彼らは、そのころ年久しく預言して、わたしはあなたを送って、彼らを攻めさせると言ったではないか。 + しかし主なる神は言われる、その日、すなわちゴグがイスラエルの地に攻め入る日に、わが怒りは現れる。 + わたしは、わがねたみと、燃えたつ怒りとをもって言う。その日には必ずイスラエルの地に、大いなる震動があり、 + 海の魚、空の鳥、野の獣、すべての地に這うもの、地のおもてにあるすべての人は、わが前に打ち震える。また山々はくずれ、がけは落ち、すべての石がきは地に倒れる。 + 主なる神は言われる、わたしはゴグに対し、すべての恐れを呼びよせる。すべての人のつるぎは、その兄弟に向けられる。 + わたしは疫病と流血とをもって彼をさばく。わたしはみなぎる雨と、ひょうと、火と、硫黄とを、彼とその軍隊および彼と共におる多くの民の上に降らせる。 + そしてわたしはわたしの大いなることと、わたしの聖なることとを、多くの国民の目に示す。そして彼らはわたしが主であることを悟る。 + + + 人の子よ、ゴグに向かって預言して言え。主なる神はこう言われる、メセクとトバルの大君であるゴグよ、見よ、わたしはあなたの敵となる。 + わたしはあなたを引きもどし、あなたを押しやり、北の果から上らせ、イスラエルの山々に導き、 + あなたの左の手から弓を打ち落し、右の手から矢を落させる。 + あなたとあなたのすべての軍隊およびあなたと共にいる民たちは、イスラエルの山々に倒れる。わたしはあなたを、諸種の猛禽と野獣とに与えて食わせる。 + あなたは野の面に倒れる。わたしがこれを言ったからであると、主なる神は言われる。 + わたしはゴグと、海沿いの国々に安らかに住む者に対して火を送り、彼らにわたしが主であることを悟らせる。 + わたしはわが聖なる名を、わが民イスラエルのうちに知らせ、重ねてわが聖なる名を汚させない。諸国民はわたしが主、イスラエルの聖者であることを悟る。 + 主なる神は言われる、見よ、これは来る、必ず成就する。これはわたしが言った日である。 + イスラエルの町々に住む者は出て来て、武器すなわち大盾、小盾、弓、矢、手やり、およびやりなどを燃やし、焼き、七年の間これを火に燃やす。 + 彼らは野から木を取らず、森から木を切らず、武器で火を燃やし、自分をかすめた者をかすめ、自分の物を奪った者を奪うと、主なる神は言われる。 + その日、わたしはイスラエルのうちに、墓地をゴグに与える。これは旅びとの谷にあって海の東にある。これは旅びとを妨げる。そこにゴグとその民衆を埋めるからである。これをハモン・ゴグの谷と名づける。 + イスラエルの家はこれを埋めて、地を清めるために七か月を費す。 + 国のすべての民はこれを埋め、これによって名を高める。これはわが栄えを現す日であると、主なる神は言われる。 + 彼らは人々を選んで、絶えず国の中を行きめぐらせ、地のおもてに残っている者を埋めて、これを清めさせる。七か月の終りに彼らは尋ねる。 + 国を行きめぐる者が行きめぐって、人の骨を見る時、死人を埋める者が、これをハモン・ゴグの谷に埋めるまで、そのかたわらに、標を建てて置く。 + (ハモナの町もそこにある。)こうして彼らはその国を清める。 + 主なる神はこう言われる、人の子よ、諸種の鳥と野の獣とに言え、みな集まってこい。わたしがおまえたちのために供えた犠牲、すなわちイスラエルの山々の上にある、大いなる犠牲に、四方から集まり、その肉を食い、その血を飲め。 + おまえたちは勇士の肉を食い、地の君たちの血を飲め。雄羊、小羊、雄やぎ、雄牛などすべてバシャンの肥えた獣を食え。 + わたしがおまえたちのために供えた犠牲は、飽きるまでその脂肪を食べ、酔うまで血を飲め。 + おまえたちはわが食卓について馬と、騎手と、勇士と、もろもろの戦士とを飽きるほど食べると、主なる神は言われる。 + わたしはわが栄光を諸国民に示す。すべての国民はわたしが行ったさばきと、わたしが彼らの上に加えた手とを見る。 + この日から後、イスラエルの家はわたしが彼らの神、主であることを悟るようになる。 + また諸国民はイスラエルの家が、その悪によって捕え移されたことを悟る。彼らがわたしにそむいたので、わたしはわが顔を彼らに隠し、彼らをその敵の手に渡した。それで彼らは皆つるぎに倒れた。 + わたしは彼らの汚れと、とがとに従って、彼らを扱い、わたしの顔を彼らに隠した。 + それゆえ、主なる神はこう言われる、いまわたしはヤコブの幸福をもとに返し、イスラエルの全家をあわれみ、わが聖なる名のために、ねたみを起す。 + 彼らは、その国に安らかに住み、だれもこれを恐れさせる者がないようになった時、自分の恥と、わたしに向かってなした反逆とを忘れる。 + わたしが彼らを諸国民の中から帰らせ、その敵の国から呼び集め、彼らによって、わたしの聖なることを、多くの国民の前に示す時、 + 彼らは、わたしが彼らの神、主であることを悟る。これはわたしが彼らを諸国民のうちに移し、またこれをその国に呼び集めたからである。わたしはそのひとりをも、国々のうちに残すことをしない。 + わたしは、わが霊をイスラエルの家に注ぐ時、重ねてわが顔を彼らに隠さないと、主なる神は言われる」。 + + + われわれが捕え移されてから二十五年、都が打ち破られて後十四年、その年の初めの月の十日、その日に主の手がわたしに臨み、わたしをかの所に携えて行った。 + すなわち神は幻のうちに、わたしをイスラエルの地に携えて行って、非常に高い山の上におろされた。その山の上に、わたしと相対して、一つの町のような建物があった。 + 神がわたしをそこに携えて行かれると、見よ、ひとりの人がいた。その姿は青銅の形のようで、手に麻のなわと、測りざおとを持って門に立っていた。 + その人はわたしに言った、「人の子よ、目で見、耳で聞き、わたしがあなたに示す、すべての事を心にとめよ。あなたをここに携えて来たのは、これをあなたに示すためである。あなたの見ることを、ことごとくイスラエルの家に告げよ」。 + 見よ、宮の外の周囲に、かきがあり、その人の手に六キュビトの測りざおがあった。そのキュビトは、おのおの一キュビトと一手幅とである。彼が、そのかきの厚さを測ると、一さおあり、高さも一さおあった。 + 彼が東向きの門に行き、その階段を上って、門の敷居を測ると、その厚さは一さおあり、 + その詰め所は長さ一さお、幅一さお、詰め所と、詰め所との間は五キュビトあり、内の門の廊のかたわらの門の敷居は一さおあった。 + 門の廊を測ると八キュビトあり、 + その脇柱は二キュビト、門の廊は内側にあった。 + 東向きの門の詰め所は、こなたに三つ、かなたに三つあり、三つとも同じ寸法である。脇柱もまた、こなたかなたともに同じ寸法である。 + 門の入口の広さを測ると十キュビトあり、門の長さは十三キュビトあった。 + 詰め所の前の境は一キュビト、かなたの境も一キュビトで、詰め所は、こなたかなたともに六キュビトあった。 + 彼がまたこの詰め所の裏から、かの詰め所の裏まで、門を測ると、入口から入口まで二十五キュビトあった。 + 彼がまた廊を測ると二十キュビトあり、門の廊の周囲は、すべて庭である。 + 入口の門の前から内の門の廊の前まで五十キュビトあり、 + 詰め所と、門の内側の周囲の脇柱とに窓があり、廊の内側の周囲にも、同様に窓があり、脇柱には、しゅろがあった。 + 彼がまたわたしを外庭に携え入れると、見よ、庭の周囲に設けた室と、敷石とがあり、敷石の上に三十の室があった。 + 敷石は門のわきにあり、門と同じ長さで、これは下の敷石である。 + 彼が下の門の内の前から、内庭の外の前までの距離を測ると、百キュビトあった。 + また彼はわたしに先だって北へ行った。見よ、そこに外庭に属する北向きの門があった。彼はその長さと幅とを測った。 + その詰め所が、こなたに三つ、かなたに三つあり、また脇柱と廊とがあった。これらは初めの門と同じ寸法で、長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトである。 + その窓と、廊と、しゅろとは、東向きの門にあるものと同じ寸法である。そして七段の階段を経て、それに上ると、廊は内側にあった。 + 内庭の門は北と東の門に向かっていた。彼が門から門までを測ると、百キュビトあった。 + 彼がまたわたしを南へ行かせると、見よ、南向きの門があった。その脇柱と廊を測ると、他と同じ寸法であった。 + これと、その廊の周囲とに、他の窓のような窓があって、その長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトあった。 + これを上るのに七段の階段があり、その廊は内側にあった。その脇柱の上には、こなたに一つ、かなたに一つのしゅろがあった。 + 内庭には南向きの門があり、門から門まで南の方へ測ると、百キュビトあった。 + 彼がわたしを南の門から内庭にはいらせ、南の門を測ると、さきのものと、同じ寸法であった。 + その詰め所と、脇柱と、廊とは、他のものと同じ寸法で、その門と、廊の周囲とには窓があり、門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトであった。 + 周囲に廊があって、その長さは二十五キュビト、幅は五キュビトである。 + その廊は外庭に面して、脇柱の上にしゅろがあり、その階段は八段であった。 + 彼はまたわたしを内庭の東の方に携えて行って、門を測った。それは他と同じ寸法であった。 + その詰め所と、脇柱と、廊とは、他と同じ寸法で、その門と、その廊の周囲とに窓があり、門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトである。 + その廊は外庭に面し、その脇柱の上には、こなたかなたに、しゅろがあり、その階段は八段であった。 + 彼がまたわたしを北の門に携えて行って、これを測ると、それは他と同じ寸法であった。 + その詰め所と、脇柱と、廊とは、他と同じ寸法で、その周囲に窓があり、門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトである。 + その廊は外庭に面し、その脇柱の上には、こなたかなたに、しゅろがあり、その階段は八段であった。 + 門の廊に戸のある室があって、そこは燔祭の物を洗う所である。 + 門の廊に、こなたに二つの台、かなたに二つの台があり、その上で、燔祭、罪祭、愆祭の物をほふるのであった。 + 北の門の入口にある廊の外の片側に、二つの台があり、門の廊の他の側にも、二つの台があり、 + 門のかたわら、内側に四つの台、外側に四つの台があって、合わせて八つの台である。その上で、犠牲の物をほふるのである。 + そこにまた燔祭のために四つの切り石の台があり、その長さは一キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト、その上に燔祭および犠牲をほふる器を置くのである。 + 内の周囲に、一手幅の折り釘が打ちつけてあって、供え物の肉は、台の上に置かれるのである。 + 彼はまたわたしを、外から内庭に連れてはいった。見よ、内庭に二つの室があり、一つは北の門のかたわらにあって南に向かい、一つは南の門のかたわらにあって、北に向かっていた。 + 彼はわたしに言った、この南向きの室は、宮を守る祭司のためのもの、 + また北向きの室は、祭壇を守る祭司のためのものである。その人たちは、レビの子孫のうちのザドクの子孫であって、主に近く仕える者たちである。 + そして彼が庭を測ると、その長さは百キュビト、幅も百キュビトで四角である。宮の前には祭壇があった。 + 彼がわたしを宮の廊に連れて行って、廊の脇柱を測ると、こなたも五キュビト、かなたも五キュビトであり、門の幅は十四キュビトである。門の壁は、こなたも三キュビト、かなたも三キュビトである。 + 廊の長さは二十キュビト、幅は十二キュビトであり、十の階段によって上るのである。脇柱に沿って、こなたに一つ、かなたに一つの柱があった。 + + + 彼がわたしを拝殿に連れて行って、脇柱を測ると、こなたの幅も六キュビト、かなたの幅も六キュビトあった。 + その戸の幅は十キュビト、戸のわきの壁は、こなたも五キュビト、かなたも五キュビトあった。彼はまた拝殿の長さを測ると四十キュビト、その幅は二十キュビトあった。 + 彼がまた内にはいって、戸の脇柱を測ると、それは二キュビトあり、戸の幅は六キュビト、戸のわきの壁は七キュビトあった。 + 彼はまた拝殿の奥の室の長さを測ると二十キュビト、幅も二十キュビトあった。そして彼はわたしに、これは至聖所であると言った。 + 彼が宮の壁を測ると、その厚さは六キュビトあり、宮の周囲の脇間の広さは、四方おのおの四キュビトあり、 + 脇間は、室の上に室があって三階になり、各階に三十の室がある。宮の周囲の壁には、脇間をささえる突起があった。これは脇間が、宮の壁そのものによってささえられないためである。 + 脇間は、宮の周囲の各階にある突起につれて、階を重ねて上にいくにしたがって広くなり、宮の外部の階段が上に通じ、一階から三階へは、二階をとおって上るのである。 + わたしはまた宮の周囲に高い所のあるのを見た。脇間の基を測ると、六キュビトの一さおあった。 + 脇間の外の壁の厚さは五キュビト、あき地になっている高い所は五キュビトあった。宮の高い所と、 + 庭の室の間には、宮の周囲に、広さ二十キュビトの所があった。 + 脇間の戸は、あき地になっている高い所に向かって開け、一つの戸は北に向かい、一つの戸は南に向かっていた。そのあき地になっている所の幅は、周囲五キュビトであった。 + 西の方の宮の庭に面した建物は、幅七十キュビト、その建物の周囲の壁の厚さは五キュビト、長さは九十キュビトであった。 + 彼が宮を測ると、その長さは百キュビトあり、その庭と建物と、その壁は長さ百キュビト、 + また宮の東に面した所と庭との幅は百キュビトであった。 + 彼が西の方の庭に面した建物と、その壁の長さを測ると、かなた、こなたともに百キュビトであった。宮の拝殿と、内部の室と、外の廊とには、羽目板があった。 + これらの三つのものの周囲には、すべて引込み枠の窓があり、宮の敷居に面して、宮の周囲は、床から窓まで、羽目板であって、窓には、おおいがあった。 + 戸の上の空所、内室、外室ともに、羽目板であった。内室および拝殿の周囲のすべての壁には、同じように彫刻してあった。 + すなわちケルビムと、しゅろとが彫刻してあった。ケルブとケルブとの間に、しゅろがあり、おのおののケルブには、二つの顔があり、 + こなたには、しゅろに向かって、人の顔があり、かなたには、しゅろに向かって、若じしの顔があり、宮の周囲は、すべてこのように彫刻してあった。 + 床から戸の上まで、ケルビムと、しゅろとが、壁に彫刻してあった。 + 拝殿の柱は四角であった。聖所の前には、木の祭壇に似たものがあった。 + その高さは三キュビト、長さは二キュビト、幅は二キュビトで、すみと、台と、壁とは、ともに木である。彼はわたしに言った、「これは主の前にある机である」 + 拝殿と聖所とには、二つの戸があり、 + その戸には、二つのとびらがあった。すなわち二つの開き戸である。 + 拝殿の戸には、おのおのにケルビムと、しゅろとが、彫刻してあって、それは壁に彫刻したものと同じである。また外の廊に面して、木の天蓋があり、 + 廊の壁には、こなたかなたに引込み窓と、しゅろとがあった。 + + + 彼はわたしを北の方の内庭に連れ出し、庭に向かった北の方の建物に対する室に導いた。 + 北側にある建物の長さは百キュビト、幅は五十キュビトである。 + 二十キュビトの内庭に続いて、外庭の敷石に面し、三階になった廊下があった。 + また室の前に幅十キュビト、長さ百キュビトの通路があった。その戸は北に向かっていた。 + その建物の上の室は、下の室と中の室よりも狭かった。それは廊下のために、場所を取ったためである。 + これらは三階であって、外庭の柱のような柱は持たなかった。それで上の室は、下および中の室よりも狭いのである。 + 室の外に沿ってかきがあり、それは他の室に向かって外庭に至る。その長さは五十キュビト、 + 外庭の室の長さも五十キュビトあった。宮に面する所は百キュビトであった。 + これらの室の下に外庭からこれにはいるように、東側に入口があった。 + 外側のかきは、外庭に始まっている。南の方で、庭と建物との前に、室があった。 + 北向きの室と同様に、その前に通路があり、その長さも幅も同様で、その出口もその配置もその戸も同様である。 + 南の室の下に、人々が通路にはいる東の入口があり、これに対して隔てのかきがあった。 + 時に彼はわたしに言った、「庭に面した北の室と、南の室とは、聖なる室であって、主に近く仕える祭司たちが、最も聖なるものを食べる場所である。その場所に彼らは、最も聖なるもの、すなわち素祭、罪祭、愆祭のものを置かなければならない。その場所は聖だからである。 + 祭司たちが、聖所にはいった時は、そこから外庭に出てはならない。彼らは勤めを行う衣服を、その所に置かなければならない。これは聖だからである。彼らは民衆に属する場所に近づく前に、他の衣服を着けなければならない」。 + 彼らは宮の庭の内部を測り終えると、東向きの門の道から、わたしを連れ出して、宮の周囲を測った。 + 彼が測りざおで、東側を測ると、測りざおで五百キュビトあり、 + また転じて、北側を測ると、測りざおで五百キュビトあり、 + また転じて、南側を測ると、測りざおで五百キュビトあり、 + また転じて、西側を測ると、測りざおで五百キュビトあった。 + このように、四方を測ったが、その周囲に、長さ五百キュビト、幅五百キュビトのかきがあって、聖所と、俗の所との隔てをなしていた。 + + + その後、彼はわたしを門に導いた。門は東に面していた。 + その時、見よ、イスラエルの神の栄光が、東の方から来たが、その来る響きは、大水の響きのようで、地はその栄光で輝いた。 + わたしが見た幻の様は、彼がこの町を滅ぼしに来た時に、わたしが見た幻と同様で、これはまたわたしがケバル川のほとりで見た幻のようであった。それでわたしは顔を伏せた。 + 主の栄光が、東の方に面した門の道から宮にはいった時、 + 霊がわたしを引き上げて、内庭に導き入れると、見よ、主の栄光が宮に満ちた。 + その人がわたしのかたわらに立った時、わたしはひとりの人が、宮の中からわたしに語るのを聞いた。 + 彼はわたしに言った、「人の子よ、これはわたしの位のある所、わたしの足の裏の踏む所、わたしが永久にイスラエルの人々の中に住む所である。またイスラエルの家は、民もその王たちも、再び姦淫と、王たちの死体とをもって、わが聖なる名を汚さない。 + 彼らはその敷居を、わが敷居のかたわらに設け、その門柱を、わが門柱のかたわらに設けたので、わたしと彼らとの間には、わずかに壁があるのみである。そして彼らは、その犯した憎むべき事をもって、わが聖なる名を汚したので、わたしは怒りをもって、これを滅ぼした。 + 今彼らに命じて姦淫と、その王たちの死体を、わたしから遠く取り除かせよ。そうしたら、わたしは永久に彼らの中に住む。 + 人の子よ、宮と、その外形と、設計とをイスラエルの家に示せ。彼らはその悪を恥じるであろう。 + 彼らがその犯したすべての事を恥じたら、彼らに、この宮の建て方、設備、出口、入口、すべての形式、すべてのおきて、すべての規定を示せ。これを彼らの目の前に書き、彼らにそのすべての規定と、おきてとを守り行わせよ。 + 宮の規定はこれである。山の頂の四方の地域はみな最も聖である。見よ、これは宮の規定である。 + 祭壇の寸法はキュビトですれば、次のようである。(そのキュビトは一キュビトと一手幅である。)土台は高さ一キュビト、幅一キュビト、その周囲の縁は半キュビトである。 + 祭壇の高さは、次のとおりである。地面の土台から下のかさねまで二キュビト、幅は一キュビト、また小さいかさねから大きいかさねまで四キュビト、その幅は一キュビトである。 + 祭壇の炉は四キュビトで、祭壇の炉から高さ一キュビトの角が四本出ていた。 + 炉は長さ十二キュビト、幅十二キュビトの四角形である。 + そのかさねは四方とも長さ十四キュビト、幅十四キュビトの四角形、その周囲の縁は幅半キュビト、その台は四方一キュビト、その階段は東に面する」。 + 彼はわたしに言った、「人の子よ、主なる神はこう言われる、祭壇を建て、その上に燔祭をささげ、これに血を注ぐ日には、次のことを祭壇の定めとせよ。 + すなわち主なる神は言われる、ザドクの子孫で、わたしに近く仕えるレビびとである祭司には、罪祭のために雄牛の子を与えよ。 + またその血をとって、これを祭壇の四つの角と、かさねの四すみと、周囲の縁に塗って、祭壇を清め、これをあがなえ。 + あなたはまた罪祭の牛をとって、これを聖所の外、宮のうちの定められた所で焼け。 + 第二日に、あなたは無傷の雄やぎを、罪祭としてささげよ。すなわち雄牛で清めたように、これで祭壇を清めよ。 + 清めごとを終えたなら、無傷の雄牛の子と、群れの中の無傷の雄羊とをささげよ。 + これを主の前に持ってきて、祭司らはその上に塩をまき、これらを燔祭として主にささげよ。 + 七日の間、あなたは日々雄やぎを罪祭とせよ。また雄牛の子と、群れの中の雄羊との無傷のものをととのえ、 + 七日の間、彼らは祭壇をあがない、これを清め、これを聖別しなければならない。 + 彼らがこれらの日を満たしたとき、八日目から後は、祭司たちは、あなたがたの燔祭と、酬恩祭とを祭壇の上に供える。そうすれば、わたしは、あなたがたを受けいれると、主なる神は言われる」。 + + + こうして、彼はわたしを連れて、聖所の東に向いている外の門に帰ると、門は閉じてあった。 + 彼はわたしに言った、「この門は閉じたままにしておけ、開いてはならない。ここからだれもはいってはならない。イスラエルの神、主が、ここからはいったのだから、これは閉じたままにしておけ。 + ただ君たる者だけが、この内に座し、主の前でパンを食し、門の廊を通ってはいり、またそこから外に出よ」。 + 彼はまたわたしを連れて、北の門の道から宮の前に行った。わたしが見ていると、見よ、主の栄光が主の宮に満ちた。わたしがひれ伏すと、 + 主はわたしに言われた、「人の子よ、主の宮のすべてのおきてと、そのすべての規定とについて、わたしがあなたに告げるすべての事に心をとめ、目を注ぎ、耳を傾けよ。また宮にはいることを許されている者と、聖所にはいることのできない者とに心せよ。 + また反逆の家であるイスラエルの家に言え。主なる神は、こう言われる、イスラエルの家よ、その憎むべきことをやめよ。 + すなわちあなたがたは、わたしの食物である脂肪と血とがささげられる時、心にも肉にも、割礼を受けない異邦人を入れて、わが聖所におらせ、これを汚した。また、もろもろの憎むべきものをもって、わが契約を破った。 + あなたがたは、わが聖なる物を守る務を怠り、かえって異邦人を立てて、わが聖所の務を守らせた。 + それゆえ、主なる神は、こう言われる、イスラエルの人々のうちにいるすべての異邦人のうち、心と肉とに割礼を受けないすべての者は、わが聖所にはいってはならない。 + またレビ人であって、イスラエルが迷った時、偶像を慕い、わたしから迷い出て、遠く離れた者は、その罪を負わなければならない。 + すなわち彼らはわが聖所で、仕え人となり、宮の門を守る者となり、宮に仕えるしもべとなり、民のために、燔祭および犠牲のものを殺し、彼らの前に立って仕えなければならない。 + 彼らはその偶像の前で民に仕え、イスラエルの家にとって、罪のつまずきとなったゆえ、主なる神は言われる、わたしは彼らについて誓った。彼らはその罪を負わなければならない。 + 彼らはわたしに近づき、祭司として、わたしに仕えることはできない。またわたしの聖なる物、および最も聖なる物に、近づいてはならない。彼らはそのおこなった憎むべきことのため、恥を負わなければならない。 + しかし彼らには、宮を守る務をさせ、そのもろもろの務と、宮でなすべきすべての事とに当らせる。 + しかしザドクの子孫であるレビの祭司たち、すなわちイスラエルの人々が、わたしを捨てて迷った時に、わが聖所の務を守った者どもは、わたしに仕えるために近づき、脂肪と血とをわたしにささげるために、わたしの前に立てと、主なる神は言われる。 + すなわち彼らはわが聖所に入り、わが台に近づいてわたしに仕え、わたしの務を守る。 + 彼らが内庭の門にはいる時は、麻の衣服を着なければならない。内庭の門および宮の内で、務をなす時は、毛織物を身につけてはならない。 + また頭には亜麻布の冠をつけ、腰には亜麻布の袴をつけなければならない。ただし汗の出るような衣を身につけてはならない。 + 彼らは外庭に出る時、すなわち外庭に出て民に接する時は、務をなす時の衣服は脱いで聖なる室に置き、ほかの衣服を着なければならない。これはその衣服をもって、その聖なることを民にうつさないためである。 + 彼らはまた頭をそってはならない。また髪を長くのばしてはならない。その頭の髪は切らなければならない。 + 祭司はすべて内庭にはいる時は、酒を飲んではならない。 + また寡婦、および出された女をめとってはならない。ただイスラエルの家の血統の処女、あるいは祭司の妻で、やもめになったものをめとらなければならない。 + 彼らはわが民に、聖と俗との区別を教え、汚れたものと、清いものとの区別を示さなければならない。 + 争いのある時は、さばきのために立ち、わがおきてにしたがってさばき、また、わたしのもろもろの祭の時は、彼らはわが律法と定めを守り、わが安息日を、聖別しなければならない。 + 死人に近づいて、身を汚してはならない。ただ父のため、母のため、むすこのため、娘のため、兄弟のため、夫をもたない姉妹のためには、近よって身を汚すことも許される。 + このような人は、汚れた後、自身のために、七日の期間を数えよ。そうすれば清まる。 + 彼は聖所に入り、内庭に行き、聖所で務に当る日には、罪祭をささげなければならないと、主なる神は言われる。 + 彼らには嗣業はない。わたしがその嗣業である。あなたがたはイスラエルの中で、彼らに所有を与えてはならない。わたしが彼らの所有である。 + 彼らは素祭、罪祭、愆祭の物を食べる。すべてイスラエルのうちのささげられた物は彼らの物となる。 + すべての物の初なりの初物、およびすべてあなたがたのささげるもろもろのささげ物は、みな祭司のものとなる。またあなたがたの麦粉の初物は祭司に与えよ。これはあなたがたの家が、祝福されるためである。 + 祭司は、鳥でも獣でも、すべて自然に死んだもの、または裂き殺されたものを食べてはならない。 + + + あなたがたは、くじを引き、地を分けて、それを所有するときには、地の一部を聖なる地所として主にささげよ。その長さは二万五千キュビト、幅は二万キュビトで、その区域はすべて聖なる地である。 + そのうち聖所に属するものは縦横五百キュビトずつであって、それは四角である。また五十キュビトの空地をその周囲につくれ。 + あなたはこの聖なる地所から長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトを測り取り、その中に聖所と至聖所とを設けよ。 + これは国の中で聖なる所であって、主に近く仕える聖所の仕え人である祭司に帰属する。これは彼らのためには家を建てる所、聖所のためには聖地となる。 + また長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトの別の地所は、宮に仕えるレビびとに帰属し、彼らの住む町のための所有とする。 + 聖地として区別した部分に沿い、幅五千キュビト、長さ二万五千キュビトは、町の所有とせよ。これはイスラエル全家のものとなる。 + また君たる者の分は、かの聖地と町の所有地との、こなたかなたにある。すなわち聖地と町の所有地に沿い、西と東に向かい、部族の分の一つに応じて、地所の西から東の境に至り、 + その所有の地所はイスラエルの中にある。わたしの君たちは、重ねてわたしの民をしえたげず、部族にしたがってイスラエルの家に土地を与える。 + 主なる神は、こう言われる、イスラエルの君たちよ、暴虐と略奪とをやめ、公道と正義を行え。わが民を追いたてることをやめよと、主なる神は言われる。 + あなたがたは正しいはかり、正しいエパ、正しいバテを用いよ。 + エパとバテとは同量にせよ。すなわちバテをホメルの十分の一とし、エパもホメルの十分の一とし、すべてホメルによって量を定めよ。 + 一シケルは二十ゲラである。五シケルは五シケル、十シケルは十シケルとせよ。一ミナは五十シケルとせよ。 + あなたがたがささげるささげ物はこれである。すなわち、一ホメルの小麦のうちから六分の一エパをささげ、大麦一ホメルのうちから六分の一エパをささげよ。 + 油は一コルのうちから十分の一バテをささげよ。コルはホメルと同じく十バテに当る。 + またイスラエルの氏族から、家畜の群れ二百につき一頭の羊を出して、素祭、燔祭、酬恩祭とし、彼らのために、あがないをなせと主なる神は言われる。 + 国の民は皆これをイスラエルの君にささげ物とせよ。 + また祭日、ついたち、安息日、すなわちイスラエルの家のすべての祝い日に、燔祭、素祭、灌祭を供えるのは、君たる者の務である。すなわち彼はイスラエルの家のあがないのために、罪祭、素祭、燔祭、酬恩祭をささげなければならない。 + 主なる神は、こう言われる、正月の元日に、あなたは無傷の雄牛の子を取って聖所を清めよ。 + 祭司は罪祭の獣の血を取って、宮の柱と祭壇のかさねの四すみ、および内庭の門の柱に塗れ。 + 月の七日に、あなたがたは、過失や無知のために罪を犯した者のために、このように行って宮のためにあがないをなせ。 + 正月の十四日に、あなたがたは過越の祭を祝え。七日の間、種を入れぬパンを食べよ。 + その日に君たる者は、自身のため、また国のすべての民のため、雄牛をささげて罪祭とし、 + 祝い日である七日の間は、七頭の雄牛と、七頭の雄羊の無傷のものを、七日の間毎日、燔祭として主に供えよ。また、雄やぎを罪祭として日々ささげよ。 + また素祭として麦粉一エパを各雄牛のため、一エパを各雄羊のためにととのえ、油一ヒンを各エパに加えよ。 + 七月十五日の祝い日に、彼は七日の間、罪祭、燔祭、素祭および油を、このように供えなければならない。 + + + 主なる神は、こう言われる、内庭にある東向きの門は、働きをする六日の間は閉じ、安息日にはこれを開き、またついたちにはこれを開け。 + 君たる者は、外から門の廊をとおってはいり、門の柱のかたわらに立て。そのとき祭司たちは、燔祭と酬恩祭とをささげ、彼は門の敷居で、礼拝して出て行くのである。しかし門は夕暮まで閉じてはならない。 + 国の民は安息日と、ついたちとに、その門の入口で主の前に礼拝をせよ。 + 君たる者が、安息日に主にささげる燔祭は、六頭の無傷の小羊と、一頭の無傷の雄羊とである。 + また素祭は雄羊のために麦粉一エパ、小羊のための素祭は、その人のささげうる程度とし、麦粉一エパに油一ヒンを加えよ。 + ついたちには無傷の雄牛の子一頭、六頭の小羊および一頭の雄羊をささげよ。これらはすべて無傷のものでなければならない。 + 素祭は雄牛のために麦粉一エパ、雄羊のために麦粉一エパ、小羊のためには、その人のささげうる程度のものを供えよ。また麦粉一エパに油一ヒンを加えよ。 + 君たる者がはいる時は門の廊の道からはいり、またその道から出よ。 + 国の民が、祝い日に主の前に出る時、礼拝のため、北の門の道からはいる者は、南の門の道から出て行き、南の門の道からはいる者は、北の門の道から出て行け。そのはいった門の道からは、帰ってはならない。まっすぐに進んで、出て行かなければならない。 + 彼らがはいる時、君たる者は、彼らと共にはいり、彼らが出る時、彼も出なければならない。 + 祭日と祝い日には、素祭として、若い雄牛のために麦粉一エパ、雄羊のために麦粉一エパ、小羊のためには、その人のささげうる程度のものを供え、麦粉一エパには油一ヒンを加えよ。 + また君たる者が、心からの供え物として、燔祭または酬恩祭を主にささげる時は、彼のために東に面した門を開け。彼は安息日に行うように、その燔祭と酬恩祭を供え、そして退出する。その退出の後、門は閉ざされる。 + 彼は日ごとに一歳の無傷の小羊を燔祭として、主にささげなければならない。すなわち朝ごとに、これをささげなければならない。 + 彼は朝ごとに、素祭をこれに添えてささげなければならない。すなわち麦粉一エパの六分の一に、これを潤す油一ヒンの三分の一を、素祭として主にささげなければならない。これは常燔祭のおきてである。 + すなわち朝ごとに常燔祭として、小羊と素祭と油とをささげなければならない。 + 主なる神は、こう言われる、君たる者が、もしその嗣業から、その子のひとりに財産を与える時は、それはその子らの嗣業の所有となる。 + しかし彼がその奴隷のひとりに、嗣業の一部分を与える時は、それは彼の解放の年まで、その人に属していて、その後は君たる人に帰る。彼の嗣業は、ただその子らにだけ伝わるべきである。 + 君たる者はその民の嗣業を取って、その財産を継がせないようにしてはならない。彼はただ、自分の財産のうちから、その子らにその嗣業を、与えなければならない。これはわが民のひとりでも、その財産を失わないためである」。 + こうして彼はわたしを連れて、門のかたわらの入口から、北向きの祭司の聖なる室に、はいらせた。見ると、西の奥の方に一つの場所があった。 + 彼はわたしに言った、「これは祭司たちが愆祭および罪祭のものを煮、素祭のものを焼く所である。これは外庭にそれらを携え出て、聖なるべきことを、民にうつさないためである」。 + 彼はまたわたしを外庭に連れ出し、庭の四すみを通らせた。見よ、庭のこのすみにも庭があり、また庭のかのすみにも庭があった。 + すなわち庭の四すみに小さい庭があり、長さ四十キュビト、幅三十キュビトで、四つとも同じ大きさである。 + その四つの小さい庭の内部の四方には、石の壁があり、周囲の壁の下に、物を煮る所が設けてあった。 + 彼はわたしに言った、「これらは宮の仕え人たちが、民のささげる犠牲のものを煮る台所である」。 + + + そして彼はわたしを宮の戸口に帰らせた。見よ、水の宮の敷居の下から、東の方へ流れていた。宮は東に面し、その水は、下から出て、祭壇の南にある宮の敷居の南の端から、流れ下っていた。 + 彼は北の門の道から、わたしを連れ出し、外をまわって、東に向かう外の門に行かせた。見よ、水は南の方から流れ出ていた。 + その人は東に進み、手に測りなわをもって一千キュビトを測り、わたしを渡らせた。すると水はくるぶしに達した。 + 彼がまた一千キュビトを測って、わたしを渡らせると、水はひざに達した。彼がまた一千キュビトを測って、わたしを渡らせると、水は腰に達した。 + 彼がまた一千キュビトを測ると、渡り得ないほどの川になり、水は深くなって、泳げるほどの水、越え得ないほどの川になった。 + 彼はわたしに「人の子よ、あなたはこれを見るか」と言った。それから、彼はわたしを川の岸に沿って連れ帰った。 + わたしが帰ってくると、見よ、川の岸のこなたかなたに、はなはだ多くの木があった。 + 彼はわたしに言った、「この水は東の境に流れて行き、アラバに落ち下り、その水が、よどんだ海にはいると、それは清くなる。 + おおよそこの川の流れる所では、もろもろの動く生き物が皆生き、また、はなはだ多くの魚がいる。これはその水がはいると、海の水を清くするためである。この川の流れる所では、すべてのものが生きている。 + すなどる者が、海のかたわらに立ち、エンゲデからエン・エグライムまで、網を張る所となる。その魚は、大海の魚のように、その種類がはなはだ多い。 + ただし、その沢と沼とは清められないで、塩地のままで残る。 + 川のかたわら、その岸のこなたかなたに、食物となる各種の木が育つ。その葉は枯れず、その実は絶えず、月ごとに新しい実がなる。これはその水が聖所から流れ出るからである。その実は食用に供せられ、その葉は薬となる」。 + 主なる神は、こう言われる、「あなたがたがイスラエルの十二の部族に、嗣業として土地を分け与えるには、その境を次のように定めなければならない。ヨセフには二つの分を与えよ。 + あなたがたは、これを公平に分けよ。これはわたしが、あなたがたの先祖に与えると誓ったもので、これは嗣業として、あなたがたに属するものである。 + その地の境はこのとおりである。北は大海からヘテロンの道を経て、ハマテの入口およびゼダデに至り、 + またベロテおよびダマスコとハマテの境にあるシブライムに至り、ハウランの境にあるハザル・ハテコンに及ぶ。 + その境は海からダマスコの北の境にあるハザル・エノンにおよび、北の方はハマテがその境である。これが北の方である。 + 東の方は、ハウランとダマスコの間のハザル・エノンから、ギレアデとイスラエルの地との間の、ヨルダンに沿い、東の海に至り、タマルに及ぶ。これが東の方である。 + 南の方はタマルからメリボテ・カデシの川に及び、そこからエジプトの川に沿って大海に至る。これが南の方である。 + 西の方はハマテの入口に至る大海を境とする。これが西の方である。 + あなたがたはこのように、イスラエルの部族に従って、この地をあなたがたの間に分割せよ。 + あなたがたは、くじをもって、これをあなたがたのうちに分け、またあなたがたのうちにいて、あなたがたのうちに、子を生んだ寄留の他国人のうちに分けて、嗣業とせよ。彼らは、あなたがたには、イスラエルの人々のうちの本国人と同様である。彼らもあなたがたと一緒にくじを引いて、イスラエルの部族のうちに嗣業を得るべきである。 + 他国人には、その住んでいる部族のうちで、その嗣業をこれに与えなければならないと、主なる神は言われる。 + + + イスラエルの部族の名は次のとおりである。北の果からヘテロンの道を経て、ハマテの入口に至り、ハマテに相対するダマスコの北の境にあるハザル・エノンに及び、東の方から西の方へのびる地方、これがダンの分である。 + ダンの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがアセルの分である。 + アセルの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがナフタリの分である。 + ナフタリの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがマナセの分である。 + マナセの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがエフライムの分である。 + エフライムの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがルベンの分である。 + ルベンの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方、これがユダの分である。 + ユダの領地に沿って、東の方から西の方へのびる地方は、あなたがたのささげる献納地とせよ。その幅は二万五千キュビト、その東の方から西の方へのびる長さは、部族の一つの分に同じで、聖所はその中にある。 + すなわちあなたがたの主にささげる献納地は長さ二万五千キュビト、幅二万キュビトとである。 + これが祭司への聖なる献納地である。すなわち祭司の分は、北は二万五千キュビト、西は幅一万キュビト、東は幅一万キュビト、南は長さ二万五千キュビトである。主の聖所はその中にある。 + これはイスラエルの人々が迷い出た時、レビびとが迷ったように迷ったことはなく、わが務を守り通したザドクの子孫のうちから、聖別された祭司に属する。 + このようにレビびとの境に沿って、いと聖なる地、すなわち聖なる献納地が、特別な分として彼らに帰属する。 + レビびとの分は祭司の所有地の境に沿って、長さ二万五千キュビト、幅一万キュビト、すなわち、そのすべての長さ二万五千キュビト、幅二万キュビトである。 + 彼らはこれを売ってはならない、また交換してはならない、またその大事な分を手ばなしてはならない。これは主に属する聖なる物だからである。 + その残りの地すなわち幅五千キュビト、長さ二万五千キュビトは町のため、すみかのため、また郊外のための一般人の地所とせよ。町はその中に置け。 + 一般人の地所の広さは次のとおりである。すなわち北の方四千五百キュビト、南の方四千五百キュビト、東の方四千五百キュビト、西の方四千五百キュビトである。 + 町は郊外を含む。郊外は北二百五十キュビト、南二百五十キュビト、東二百五十キュビト、西二百五十キュビトである。 + 聖なる献納地に沿っている残りの地の長さは東へ一万キュビト、西へ一万キュビトである。これは聖なる献納地に沿っており、その産物は町の働き人の食物となる。 + 町の働き人は、イスラエルのすべての部族から出て、これを耕作するのである。 + あなたがたがささげる献納地の全体は二万五千キュビト四方である。これは町の所有地と共に聖なる献納地である。 + 聖なる献納地と町の所有地との、こなたかなたの残りの地は、君たる者に属する。これは聖なる献納地の二万五千キュビトに面して東の境に至り、西はその二万五千キュビトに面して西の境に至り、部族の分に沿うもので、君たる者に属する。聖なる献納地と、宮の聖所とは、その中にある。 + 町の所有地は、君たる者に属する部分の中にあり、そして君たる者の分は、ユダの領地と、ベニヤミンの領地との間にある。 + なお残りの部族では東の方から西の方に至る地方、これがベニヤミンの分である。 + ベニヤミンの領地に沿って、東の方から西の方に至る地方、これがシメオンの分である。 + シメオンの領地に沿って、東の方から西の方に至る地方、これがイッサカルの分である。 + イッサカルの領地に沿って、東の方から西の方に至る地方、これがゼブルンの分である。 + ゼブルンの領地に沿って、東の方から西の方に至る地方、これがガドの分である。 + 南の方はガドの領地に沿って、タマルからメリボテ・カデシの水に至り、そこからエジプトの川に沿って大海に至る。 + これはあなたがたが、くじをもってイスラエルの部族のうちに分けて、嗣業とすべき地である。これが彼らの分であると、主なる神は言われる。 + 町の出口は次のとおりである。北の方の長さは四千五百キュビトである。 + 町の門はイスラエルの部族の名にしたがい、三つの門になっている。すなわちルベンの門、ユダの門、レビの門である。 + 東の方は四千五百キュビトであって、三つの門がある。すなわちヨセフの門、ベニヤミンの門、ダンの門である。 + 南の方は四千五百キュビトであって、三つの門がある。すなわちシメオンの門、イッサカルの門、ゼブルンの門である。 + 西の方は四千五百キュビトであって、三つの門がある。すなわちガドの門、アセルの門、ナフタリの門である。 + 町の周囲は一万八千キュビトあり、この日から後、この町の名は『主そこにいます』と呼ばれる」。 + +
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+ + ユダの王エホヤキムの治世の第三年にバビロンの王ネブカデネザルはエルサレムにきて、これを攻め囲んだ。 + 主はユダの王エホヤキムと、神の宮の器具の一部とを、彼の手にわたされたので、彼はこれをシナルの地の自分の神の宮に携えゆき、その器具を自分の神の蔵に納めた。 + 時に王は宦官の長アシペナズに、イスラエルの人々の中から、王の血統の者と、貴族たる者数人とを、連れて来るように命じた。 + すなわち身に傷がなく、容姿が美しく、すべての知恵にさとく、知識があって、思慮深く、王の宮に仕えるに足る若者を連れてこさせ、これにカルデヤびとの文学と言語とを学ばせようとした。 + そして王は王の食べる食物と、王の飲む酒の中から、日々の分を彼らに与えて、三年のあいだ彼らを養い育て、その後、彼らをして王の前に、はべらせようとした。 + 彼らのうちに、ユダの部族のダニエル、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤがあった。 + 宦官の長は彼らに名を与えて、ダニエルをベルテシャザルと名づけ、ハナニヤをシャデラクと名づけ、ミシャエルをメシャクと名づけ、アザリヤをアベデネゴと名づけた。 + ダニエルは王の食物と、王の飲む酒とをもって、自分を汚すまいと、心に思い定めたので、自分を汚させることのないように、宦官の長に求めた。 + 神はダニエルをして、宦官の長の前に、恵みとあわれみとを得させられたので、 + 宦官の長はダニエルに言った、「わが主なる王は、あなたがたの食べ物と、飲み物とを定められたので、わたしはあなたがたの健康の状態が、同年輩の若者たちよりも悪いと、王が見られることを恐れるのです。そうすればあなたがたのために、わたしのこうべが、王の前に危くなるでしょう」。 + そこでダニエルは宦官の長がダニエル、ハナニヤ、ミシャエルおよびアザリヤの上に立てた家令に言った、 + 「どうぞ、しもべらを十日の間ためしてください。わたしたちにただ野菜を与えて食べさせ、水を飲ませ、 + そしてわたしたちの顔色と、王の食物を食べる若者の顔色とをくらべて見て、あなたの見るところにしたがって、しもべらを扱ってください」。 + 家令はこの事について彼らの言うところを聞きいれ、十日の間、彼らをためした。 + 十日の終りになってみると、彼らの顔色は王の食物を食べたすべての若者よりも美しく、また肉も肥え太っていた。 + それで家令は彼らの食物と、彼らの飲むべき酒とを除いて、彼らに野菜を与えた。 + この四人の者には、神は知識を与え、すべての文学と知恵にさとい者とされた。ダニエルはまたすべての幻と夢とを理解した。 + さて、王が命じたところの若者を召し入れるまでの日数が過ぎたので、宦官の町は彼らをネブカデネザルの前に連れていった。 + 王が彼らと語ってみると、彼らすべての中にはダニエル、ハナニヤ、ミシャエル、アザリヤにならぶ者がなかったので、彼らは王の前にはべることとなった。 + 王が彼らにさまざまの事を尋ねてみると、彼らは知恵と理解において、全国の博士、法術士にまさること十倍であった。 + ダニエルはクロス王の元年まで仕えていた。 + + + ネブカデネザルの治世の第二年に、ネブカデネザルは夢を見、そのために心に思い悩んで眠ることができなかった。 + そこで王は命じて王のためにその夢を解かせようと、博士、法術士、魔術士、カルデヤびとを召させたので、彼らはきて王の前に立った。 + 王は彼らにむかって、「わたしは夢を見たが、その夢を知ろうと心に思い悩んでいる」と言ったので、 + カルデヤびとらはアラム語で王に言った、「王よ、とこしえに生きながらえられますように。どうぞしもべらにその夢をお話しください。わたしたちはその解き明かしを申しあげましょう」。 + 王は答えてカルデヤびとに言った、「わたしの言うことは必ず行う。あなたがたがもしその夢と、その解き明かしを、わたしに示さないならば、あなたがたの身は切り裂かれ、あなたがたの家は滅ぼされる。 + しかし、その夢とその解き明かしとを示すならば、贈り物と報酬と大いなる栄誉とを、わたしから受けるだろう。それゆえその夢とその解き明かしとを、わたしに示しなさい」。 + 彼らは再び答えて言った、「王よ、しもべらにその夢をお話しください。そうすればわたしたちはその解き明かしを示しましょう」。 + 王は答えて言った、「あなたがたはわたしが言ったことは、必ず行うことを承知しているので、時を延ばそうとしているのを、わたしは確かに知っている。 + もしその夢をわたしに示さないならば、あなたがたの受ける刑罰はただ一つあるのみだ。あなたがたは一致して、偽りと、欺きの言葉をわたしの前に述べて、時の変るのを待とうとしているのだ。まずその夢をわたしに示しなさい。そうすれば、わたしはあなたがたがその解き明かしをも、示しうることを知るだろう」。 + カルデヤびとらは王の前に答えて言った、「世の中には王のその要求に応じうる者はひとりもありません。どんな大いなる力ある王でも、このような事を、博士、法術士、カルデヤびとに尋ねた者はありませんでした。 + 王の尋ねられる事はむずかしい事であって、肉なる者と共におられない神々を除いては、王の前にこれを示しうる者はないでしょう」。 + これによって王は怒り、かつ大いに憤り、バビロンの知者をすべて滅ぼせと命じた。 + この命令が発せられたので、知者らは殺されることになった。またダニエルとその同僚をも殺そうと求めた。 + そして王の侍衛の長アリオクが、バビロンの知者らを殺そうと出てきたので、ダニエルは思慮と知恵とをもってこれに応答した。 + すなわち王の高官アリオクに「どうして王はそんなにきびしい命令を出されたのですか」と言った。アリオクがその事をダニエルに告げ知らせると、 + ダニエルは王のところへはいっていって、その解き明かしを示すために、しばらくの時を与えられるよう王に願った。 + それからダニエルは家に帰り、同僚のハナニヤ、ミシャエルおよびアザリヤにこの事を告げ知らせ、 + 共にこの秘密について天の神のあわれみを請い、ダニエルとその同僚とが、他のバビロンの知者と共に滅ぼされることのないように求めた。 + ついに夜の幻のうちにこの秘密がダニエルに示されたので、ダニエルは天の神をほめたたえた。 + ダニエルは言った、「神のみ名は永遠より永遠に至るまでほむべきかな、知恵と権能とは神のものである。 + 神は時と季節とを変じ、王を廃し、王を立て、知者に知恵を与え、賢者に知識を授けられる。 + 神は深妙、秘密の事をあらわし、暗黒にあるものを知り、光をご自身のうちに宿す。 + わが先祖たちの神よ、あなたはわたしに知恵と力とを賜い、今われわれがあなたに請い求めたところのものをわたしに示し、王の求めたことをわれわれに示されたので、わたしはあなたに感謝し、あなたをさんびします」。 + そこでダニエルは、王がバビロンの知者たちを滅ぼすことを命じておいたアリオクのもとへ行って、彼にこう言った、「バビロンの知者たちを滅ぼしてはなりません。わたしを王の前に連れて行ってください。わたしはその解き明かしを王に示します」。 + アリオクは急いでダニエルを王の前に連れて行き、王にこう言った、「ユダから捕え移した者の中に、その解き明かしを王にお知らせすることのできる、ひとりの人を見つけました」。 + 王は答えて、ベルテシャザルという名のダニエルに言った、「あなたはわたしが見た夢と、その解き明かしとをわたしに知らせることができるのか」。 + ダニエルは王に答えて言った、「王が求められる秘密は、知者、法術士、博士、占い師など、これを王に示すことはできません。 + しかし秘密をあらわすひとりの神が天におられます。彼は後の日に起るべき事を、ネブカデネザル王に知らされたのです。あなたの夢と、あなたが床にあって見た脳中の幻はこれです。 + 王よ、あなたが床におられたとき、この後どんな事があろうかと、思いまわされたが、秘密をあらわされるかたが、将来どんな事が起るかを、あなたに知らされたのです。 + この秘密をわたしにあらわされたのは、すべての生ける者にまさって、わたしに知恵があるためではなく、ただその解き明かしを、王にお知らせすることによって、あなたが心に思われたことを、お知りになるためです。 + 王よ、あなたは一つの大いなる像が、あなたの前に立っているのを見られました。その像は大きく、非常に光り輝いて、恐ろしい外観をもっていました。 + その像の頭は純金、胸と両腕とは銀、腹と、ももとは青銅、 + すねは鉄、足の一部は鉄、一部は粘土です。 + あなたが見ておられたとき、一つの石が人手によらずに切り出されて、その像の鉄と粘土との足を撃ち、これを砕きました。 + こうして鉄と、粘土と、青銅と、銀と、金とはみな共に砕けて、夏の打ち場のもみがらのようになり、風に吹き払われて、あとかたもなくなりました。ところがその像を撃った石は、大きな山となって全地に満ちました。 + これがその夢です。今わたしたちはその解き明かしを、王の前に申しあげましょう。 + 王よ、あなたは諸王の王であって、天の神はあなたに国と力と勢いと栄えとを賜い、 + また人の子ら、野の獣、空の鳥はどこにいるものでも、皆これをあなたの手に与えて、ことごとく治めさせられました。あなたはあの金の頭です。 + あなたの後にあなたに劣る一つの国が起ります。また第三に青銅の国が起って、全世界を治めるようになります。 + 第四の国は鉄のように強いでしょう。鉄はよくすべての物をこわし砕くからです。鉄がこれらをことごとく打ち砕くように、その国はこわし砕くでしょう。 + あなたはその足と足の指を見られましたが、その一部は陶器師の粘土、一部は鉄であったので、それは分裂した国をさします。しかしあなたが鉄と粘土との混じったのを見られたように、その国には鉄の強さがあるでしょう。 + その足の指の一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。 + あなたが鉄と粘土との混じったのを見られたように、それらは婚姻によって、互に混ざるでしょう。しかし鉄と粘土とは相混じらないように、かれとこれと相合することはありません。 + それらの王たちの世に、天の神は一つの国を立てられます。これはいつまでも滅びることがなく、その主権は他の民にわたされず、かえってこれらのもろもろの国を打ち破って滅ぼすでしょう。そしてこの国は立って永遠に至るのです。 + 一つの石が人手によらずに山から切り出され、その石が鉄と、青銅と、粘土と、銀と、金とを打ち砕いたのを、あなたが見られたのはこの事です。大いなる神がこの後に起るべきことを、王に知らされたのです。その夢はまことであって、この解き明かしは確かです」。 + そこでネブカデネザル王はひれ伏して、ダニエルを拝し、供え物と薫香とを、彼にささげることを命じた。 + そして王はダニエルに答えて言った、「あなたがこの秘密をあらわすことができたのを見ると、まことに、あなたがたの神は神々の神、王たちの主であって、秘密をあらわされるかただ」。 + こうして王はダニエルに高い位を授け、多くの大いなる贈り物を与えて、彼をバビロン全州の総督とし、またバビロンの知者たちを統轄する者の長とした。 + 王はまたダニエルの願いによって、シャデラクとメシャクとアベデネゴを任命して、バビロン州の事務をつかさどらせた。ただしダニエルは王の宮にとどまっていた。 + + + ネブカデネザル王は一つの金の像を造った。その高さは六十キュビト、その幅は六キュビトで、彼はこれをバビロン州のドラの平野に立てた。 + そしてネブカデネザル王は、総督、長官、知事、参議、庫官、法官、高僧および諸州の官吏たちを召し集め、ネブカデネザル王の立てたこの像の落成式に臨ませようとした。 + そこで、総督、長官、知事、参議、庫官、法官、高僧および諸州の官吏たちは、ネブカデネザル王の立てた像の落成式に臨み、そのネブカデネザルの立てた像の前に立った。 + 時に伝令者は大声に呼ばわって言った、「諸民、諸族、諸国語の者よ、あなたがたにこう命じられる。 + 角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞く時は、ひれ伏してネブカデネザル王の立てた金の像を拝まなければならない。 + だれでもひれ伏して拝まない者は、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる」と。 + そこで民らはみな、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞くや、諸民、諸族、諸国語の者たちはみな、ひれ伏して、ネブカデネザル王の立てた金の像を拝んだ。 + その時、あるカルデヤびとらが進みきて、ユダヤ人をあしざまに訴えた。 + すなわち彼らはネブカデネザル王に言った、「王よ、とこしえに生きながらえられますように。 + 王よ、あなたは命令を出して仰せられました。すべて、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞く者は皆、ひれ伏して金の像を拝まなければならない。 + また、だれでもひれ伏して拝まない者はみな、火の燃える炉の中に投げ込まれると。 + ここにあなたが任命して、バビロン州の事務をつかさどらせられているユダヤ人シャデラク、メシャクおよびアベデネゴがおります。王よ、この人々はあなたを尊ばず、あなたの神々にも仕えず、あなたの立てられた金の像をも拝もうとしません」。 + そこでネブカデネザルは怒りかつ憤って、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを連れてこいと命じたので、この人々を王の前に連れてきた。 + ネブカデネザルは彼らに言った、「シャデラク、メシャク、アベデネゴよ、あなたがたがわが神々に仕えず、またわたしの立てた金の像を拝まないとは、ほんとうなのか。 + あなたがたがもし、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞くときにひれ伏して、わたしが立てた像を、ただちに拝むならば、それでよろしい。しかし、拝むことをしないならば、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる。いったい、どの神が、わたしの手からあなたがたを救うことができようか」。 + シャデラク、メシャクおよびアベデネゴは王に答えて言った、「ネブカデネザルよ、この事について、お答えする必要はありません。 + もしそんなことになれば、わたしたちの仕えている神は、その火の燃える炉から、わたしたちを救い出すことができます。また王よ、あなたの手から、わたしたちを救い出されます。 + たといそうでなくても、王よ、ご承知ください。わたしたちはあなたの神々に仕えず、またあなたの立てた金の像を拝みません」。 + そこでネブカデネザルは怒りに満ち、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴにむかって、顔色を変え、炉を平常よりも七倍熱くせよと命じた。 + またその軍勢の中の力の強い人々を呼んで、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを縛って、彼らを火の燃える炉の中に投げ込めと命じた。 + そこでこの人々は、外套、下着、帽子、その他の衣服のまま縛られて、火の燃える炉の中に投げ込まれた。 + 王の命令はきびしく、かつ炉は、はなはだしく熱していたので、シャデラク、メシャクおよびアベデネゴを引きつれていった人々は、その火炎に焼き殺された。 + シャデラク、メシャク、アベデネゴの三人は縛られたままで、火の燃える炉の中に落ち込んだ。 + その時、ネブカデネザル王は驚いて急ぎ立ちあがり、大臣たちに言った、「われわれはあの三人を縛って、火の中に投げ入れたではないか」。彼らは王に答えて言った、「王よ、そのとおりです」。 + 王は答えて言った、「しかし、わたしの見るのに四人の者がなわめなしに、火の中を歩いているが、なんの害をも受けていない。その第四の者の様子は神の子のようだ」。 + そこでネブカデネザルは、その火の燃える炉の入口に近寄って、「いと高き神のしもべシャデラク、メシャク、アベデネゴよ、出てきなさい」と言ったので、シャデラク、メシャク、アベデネゴはその火の中から出てきた。 + 総督、長官、知事および王の大臣たちも集まってきて、この人々を見たが、火は彼らの身にはなんの力もなく、その頭の毛は焼けず、その外套はそこなわれず、火のにおいもこれに付かなかった。 + ネブカデネザルは言った、「シャデラク、メシャク、アベデネゴの神はほむべきかな。神はその使者をつかわして、自分に寄り頼むしもべらを救った。また彼らは自分の神以外の神に仕え、拝むよりも、むしろ王の命令を無視し、自分の身をも捨てようとしたのだ。 + それでわたしはいま命令を下す。諸民、諸族、諸国語の者のうちだれでも、シャデラク、メシャク、アベデネゴの神をののしる者があるならば、その身は切り裂かれ、その家は滅ぼされなければならない。このように救を施すことのできる神は、ほかにないからだ」。 + こうして、王はシャデラク、メシャクおよびアベデネゴの位を進めて、バビロン州におらせた。 + + + ネブカデネザル王は全世界に住む諸民、諸族、諸国語の者に告げる。どうか、あなたがたに平安が増すように。 + いと高き神はわたしにしるしと奇跡とを行われた。わたしはこれを知らせたいと思う。 + ああ、そのしるしの大いなること、ああ、その奇跡のすばらしいこと、その国は永遠の国、その主権は世々に及ぶ。 + われネブカデネザルはわが家に安らかにおり、わが宮にあって栄えていたが、 + わたしは一つの夢を見て、そのために恐れた。すなわち床にあって、その事を思いめぐらし、わが脳中の幻のために心を悩ました。 + そこでわたしは命令を下し、バビロンの知者をことごとくわが前に召し寄せて、その夢の解き明かしを示させようとした。 + すると、博士、法術士、カルデヤびと、占い師たちがきたので、わたしはその夢を彼らに語ったが、彼らはその解き明かしを示すことができなかった。 + 最後にダニエルがわたしの前にきた、――彼の名はわが神の名にちなんで、ベルテシャザルととなえられ、彼のうちには聖なる神の霊がやどっていた――わたしは彼にその夢を語って言った、 + 「博士の長ベルテシャザルよ、わたしは知っている。聖なる神の霊があなたのうちにやどっているから、どんな秘密もあなたにはむずかしいことはない。ここにわたしが見た夢がある。その解き明かしをわたしに告げなさい。 + わたしが床にあって見た脳中の幻はこれである。わたしが見たのに、地の中央に一本の木があって、そのたけが高かったが、 + その木は成長して強くなり、天に達するほどの高さになって、地の果までも見えわたり、 + その葉は美しく、その実は豊かで、すべての者がその中から食物を獲、また野の獣はその陰にやどり、空の鳥はその枝にすみ、すべての肉なる者はこれによって養われた。 + わたしが床にあって見た脳中の幻の中に、ひとりの警護者、ひとりの聖者の天から下るのを見たが、 + 彼は声高く呼ばわって、こう言った、『この木を切り倒し、その枝を切りはらい、その葉をゆり落し、その実を打ち散らし、獣をその下から逃げ去らせ、鳥をその枝から飛び去らせよ。 + ただしその根の切り株を地に残し、それに鉄と青銅のなわをかけて、野の若草の中におき、天からくだる露にぬれさせ、また地の草の中で、獣と共にその分にあずからせよ。 + またその心は変って人間の心のようでなく、獣の心が与えられて、七つの時を過ごさせよ。 + この宣言は警護者たちの命令によるもの、この決定は聖者たちの言葉によるもので、いと高き者が、人間の国を治めて、自分の意のままにこれを人に与え、また人のうちの最も卑しい者を、その上に立てられるという事を、すべての者に知らせるためである』と。 + われネブカデネザル王はこの夢を見た。ベルテシャザルよ、あなたはその解き明かしをわたしに告げなさい。わが国の知者たちは、いずれもその解き明かしを、わたしに示すことができなかったけれども、あなたにはそれができる。あなたのうちには、聖なる神の霊がやどっているからだ」。 + その時、その名をベルテシャザルととなえるダニエルは、しばらくのあいだ驚き、思い悩んだので、王は彼に告げて言った、「ベルテシャザルよ、あなたはこの夢と、その解き明かしのために、悩むには及ばない」。ベルテシャザルは答えて言った、「わが主よ、どうか、この夢は、あなたを憎む者にかかわるように。この解き明かしは、あなたの敵に臨むように。 + あなたが見られた木、すなわちその成長して強くなり、天に達するほどの高さになって、地の果までも見えわたり、 + その葉は美しく、その実は豊かで、すべての者がその中から食物を獲、また野の獣がその陰にやどり、空の鳥がその枝に住んだ木、 + 王よ、それはすなわちあなたです。あなたは成長して強くなり、天に達するほどに大きくなり、あなたの主権は地の果にまで及びました。 + ところが、王はひとりの警護者、ひとりの聖者が、天から下って、こう言うのを見られました、『この木を切り倒して、これを滅ぼせ。ただしその根の切り株を地に残し、それに鉄と青銅のなわをかけて、野の若草の中におき、天からくだる露にぬれさせ、また野の獣と共にその分にあずからせて、七つの時を過ごさせよ』と。 + 王よ、その解き明かしはこうです。すなわちこれはいと高き者の命令であって、わが主なる王に臨まんとするものです。 + すなわちあなたは追われて世の人を離れ、野の獣と共におり、牛のように草を食い、天からくだる露にぬれるでしょう。こうして七つの時が過ぎて、ついにあなたは、いと高き者が人間の国を治めて、自分の意のままに、これを人に与えられることを知るに至るでしょう。 + また彼らはその木の根の切り株を残しおけと命じたので、あなたが、天はまことの支配者であるということを知った後、あなたの国はあなたに確保されるでしょう。 + それゆえ王よ、あなたはわたしの勧告をいれ、義を行って罪を離れ、しえたげられる者をあわれんで、不義を離れなさい。そうすれば、あるいはあなたの繁栄が、長く続くかもしれません」。 + この事は皆ネブカデネザル王に臨んだ。 + 十二か月を経て後、王がバビロンの王宮の屋上を歩いていたとき、 + 王は自ら言った、「この大いなるバビロンは、わたしの大いなる力をもって建てた王城であって、わが威光を輝かすものではないか」。 + その言葉がなお王の口にあるうちに、天から声がくだって言った、「ネブカデネザル王よ、あなたに告げる。国はあなたを離れ去った。 + あなたは、追われて世の人を離れ、野の獣と共におり、牛のように草を食い、こうして七つの時を経て、ついにあなたは、いと高き者が人間の国を治めて、自分の意のままに、これを人に与えられることを知るに至るだろう」。 + この言葉は、ただちにネブカデネザルに成就した。彼は追われて世の人を離れ、牛のように草を食い、その身は天からくだる露にぬれ、ついにその毛は、わしの羽のようになり、そのつめは鳥のつめのようになった。 + こうしてその期間が満ちた後、われネブカデネザルは、目をあげて天を仰ぎ見ると、わたしの理性が自分に帰ったので、わたしはいと高き者をほめ、その永遠に生ける者をさんびし、かつあがめた。その主権は永遠の主権、その国は世々かぎりなく、 + 地に住む民はすべて無き者のように思われ、天の衆群にも、地に住む民にも、彼はその意のままに事を行われる。だれも彼の手をおさえて「あなたは何をするのか」と言いうる者はない。 + この時わたしの理性は自分に帰り、またわが国の光栄のために、わが尊厳と光輝とが、わたしに帰った。わが大臣、わが貴族らもきて、わたしに求め、わたしは国の上に堅く立って、前にもまさって大いなる者となった。 + そこでわれネブカデネザルは今、天の王をほめたたえ、かつあがめたてまつる。そのみわざはことごとく真実で、その道は正しく、高ぶり歩む者を低くされる。 + + + ベルシャザル王は、その大臣一千人のために、盛んな酒宴を設け、その一千人の前で酒を飲んでいた。 + 酒が進んだとき、ベルシャザルは、その父ネブカデネザルがエルサレムの神殿から取ってきた金銀の器を持ってこいと命じた。王とその大臣たち、および王の妻とそばめらが、これをもって酒を飲むためであった。 + そこで人々はそのエルサレムの神の宮すなわち神殿から取ってきた金銀の器を持ってきたので、王とその大臣たち、および王の妻とそばめらは、これをもって飲んだ。 + すなわち彼らは酒を飲んで、金、銀、青銅、鉄、木、石などの神々をほめたたえた。 + すると突然人の手の指があらわれて、燭台と相対する王の宮殿の塗り壁に物を書いた。王はその物を書いた手の先を見た。 + そのために王の顔色は変り、その心は思い悩んで乱れ、その腰のつがいはゆるみ、ひざは震えて互に打ちあった。 + 王は大声に呼ばわって、法術士、カルデヤびと、占い師らを召してこさせた。王はバビロンの知者たちに告げて言った、「この文字を読み、その解き明かしをわたしに示す者には紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけさせて、国の第三のつかさとしよう」と。 + 王の知者たちは皆はいってきた。しかしその文字を読むことができず、またその解き明かしを王に示すことができなかったので、 + ベルシャザル王は大いに思い悩んで、その顔色は変り、王の大臣たちも当惑した。 + 時に王妃は王と大臣たちの言葉を聞いて、その宴会場にはいってきた。そして王妃は言った、「王よ、どうか、とこしえに生きながらえられますように。あなたは心に思い悩んではなりません。また顔色を変えるには及びません。 + あなたの国には、聖なる神の霊のやどっているひとりの人がおります。あなたの父の代に、彼は、明知、分別および神のような知恵のあることをあらわしました。あなたの父ネブカデネザル王は、彼を立てて、博士、法術士、カルデヤびと、占い師らの長とされました。 + 彼は、王がベルテシャザルという名を与えたダニエルという者ですが、このダニエルには、すぐれた霊、知識、分別があって、夢を解き、なぞを解き、難問を解くことができます。ゆえにダニエルを召しなさい。彼はその解き明かしを示すでしょう」。 + そこでダニエルは王の前に召された。王はダニエルに言った、「あなたは、わが父の王が、ユダからひきつれてきたユダの捕囚のひとりなのか。 + 聞くところによると、あなたのうちには、聖なる神の霊がやどっていて、明知、分別および非凡な知恵があるそうだ。 + わたしは、知者、法術士らを、わが前に召しよせて、この文字を読ませ、その解き明かしを示させようとしたが、彼らは、この事の解き明かしを示すことができなかった。 + しかしまた聞くところによると、あなたは解き明かしをなし、かつ難問を解くことができるそうだ。それで、あなたがもし、この文字を読み、その解き明かしをわたしに示すことができたなら、あなたに紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけさせて、この国の第三のつかさとしよう」。 + ダニエルは王の前に答えて言った、「あなたの賜物は、あなたご自身にとっておき、あなたの贈り物は、他人にお与えください。それでも、わたしは王のためにその文字を読み、その解き明かしをお知らせいたしましょう。 + 王よ、いと高き神はあなたの父ネブカデネザルに国と権勢と、光栄と尊厳とを賜いました。 + 彼に権勢を賜わったことによって、諸民、諸族、諸国語の者はみな、彼の前におののき恐れました。彼は自分の欲する者を殺し、自分の欲する者を生かし、自分の欲する者を上げ、自分の欲する者を下しました。 + しかし彼は心に高ぶり、かたくなになり、ごうまんにふるまったので、王位からしりぞけられ、その光栄を奪われ、 + 追われて世の人と離れ、その思いは獣のようになり、そのすまいは野ろばと共にあり、牛のように草を食い、その身は天からくだる露にぬれ、こうしてついに彼は、いと高き神が人間の国を治めて、自分の意のままに人を立てられるということを、知るようになりました。 + ベルシャザルよ、あなたは彼の子であって、この事をことごとく知っていながら、なお心を低くせず、 + かえって天の主にむかって、みずから高ぶり、その宮の器物をあなたの前に持ってこさせ、あなたとあなたの大臣たちと、あなたの妻とそばめたちは、それをもって酒を飲み、そしてあなたは見ることも、聞くことも、物を知ることもできない金、銀、青銅、鉄、木、石の神々をほめたたえたが、あなたの命をその手ににぎり、あなたのすべての道をつかさどられる神をあがめようとはしなかった。 + それゆえ、彼の前からこの手が出てきて、この文字が書きしるされたのです。 + そのしるされた文字はこうです。メネ、メネ、テケル、ウパルシン。 + その事の解き明かしはこうです、メネは神があなたの治世を数えて、これをその終りに至らせたことをいうのです。 + テケルは、あなたがはかりで量られて、その量の足りないことがあらわれたことをいうのです。 + ペレスは、あなたの国が分かたれて、メデアとペルシャの人々に与えられることをいうのです」。 + そこでベルシャザルは命じて、ダニエルに紫の衣を着せ、金の鎖をその首にかけさせ、彼について布告を発して、彼は国の第三のつかさであると言わせた。 + カルデヤびとの王ベルシャザルは、その夜のうちに殺され、 + メデアびとダリヨスが、その国を受けた。この時ダリヨスは、おおよそ六十二歳であった。 + + + ダリヨスは全国を治めるために、その国に百二十人の総督を立てることをよしとし、 + また彼らの上に三人の総監を立てた。ダニエルはそのひとりであった。これは総督たちをして、この三人の前に、その職務に関する報告をさせて、王に損失の及ぶことのないようにするためであった。 + ダニエルは彼のうちにあるすぐれた霊のゆえに、他のすべての総監および総督たちにまさっていたので、王は彼を立てて全国を治めさせようとした。 + そこで総監および総督らは、国事についてダニエルを訴えるべき口実を得ようとしたが、訴えるべきなんの口実も、なんのとがをも見いだすことができなかった。それは彼が忠信な人であって、その身になんのあやまちも、とがも見いだされなかったからである。 + そこでその人々は言った、「われわれはダニエルの神の律法に関して、彼を訴える口実を得るのでなければ、ついに彼を訴えることはできまい」と。 + こうして総監と総督らは、王のもとに集まってきて、王に言った、「ダリヨス王よ、どうかとこしえに生きながらえられますように。 + 国の総監、長官および総督、参議および知事らは、相はかって、王が一つのおきてを立て、一つの禁令を定められるよう求めることになりました。王よ、それはこうです。すなわち今から三十日の間は、ただあなたにのみ願い事をさせ、もしあなたをおいて、神または人にこれをなす者があれば、すべてその者を、ししの穴に投げ入れるというのです。 + それで王よ、その禁令を定め、その文書に署名して、メデアとペルシャの変ることのない法律のごとく、これを変えることのできないようにしてください」。 + そこでダリヨス王は、その禁令の文書に署名した。 + ダニエルは、その文書の署名されたことを知って家に帰り、二階のへやの、エルサレムに向かって窓の開かれた所で、以前からおこなっていたように、一日に三度ずつ、ひざをかがめて神の前に祈り、かつ感謝した。 + そこでその人々は集まってきて、ダニエルがその神の前に祈り、かつ求めていることを見たので、 + 彼らは王の前にきて、王の禁令について奏上して言った、「王よ、あなたは禁令に署名して、今から三十日の間は、ただあなたにのみ願い事をさせ、もしあなたをおいて、神または人に、これをなす者があれば、すべてその者を、ししの穴に投げ入れると、定められたではありませんか」。王は答えて言った、「その事は確かであって、メデアとペルシャの法律のごとく、変えることのできないものだ」。 + 彼らは王の前に答えて言った、「王よ、ユダから引いてきた捕囚のひとりである、かのダニエルは、あなたをも、あなたの署名された禁令をも顧みず、一日に三度ずつ、祈をささげています」。 + 王はこの言葉を聞いて大いに憂え、ダニエルを救おうと心を用い、日の入るまで、彼を救い出すことに努めた。 + 時にその人々は、また王のもとに集まってきて、王に言った、「王よ、メデアとペルシャの法律によれば、王の立てた禁令、または、おきては変えることのできないものであることを、ご承知ください」。 + そこで王は命令を下したので、ダニエルは引き出されて、ししの穴に投げ入れられた。王はダニエルに言った、「どうか、あなたの常に仕える神が、あなたを救われるように」。 + そして一つの石を持ってきて、穴の口をふさいだので、王は自分の印と、大臣らの印をもって、これに封印した。これはダニエルの処置を変えることのないようにするためであった。 + こうして王はその宮殿に帰ったが、その夜は食をとらず、また、そばめたちを召し寄せず、全く眠ることもしなかった。 + こうして王は朝まだき起きて、ししの穴へ急いで行ったが、 + ダニエルのいる穴に近づいたとき、悲しげな声をあげて呼ばわり、ダニエルに言った、「生ける神のしもべダニエルよ、あなたが常に仕えている神はあなたを救って、ししの害を免れさせることができたか」。 + ダニエルは王に言った、「王よ、どうか、とこしえに生きながらえられますように。 + わたしの神はその使をおくって、ししの口を閉ざされたので、ししはわたしを害しませんでした。これはわたしに罪のないことが、神の前に認められたからです。王よ、わたしはあなたの前にも、何も悪い事をしなかったのです」。 + そこで王は大いに喜び、ダニエルを穴の中から出せと命じたので、ダニエルは穴の中から出されたが、その身になんの害をも受けていなかった。これは彼が自分の神を頼みとしていたからである。 + 王はまた命令を下して、ダニエルをあしざまに訴えた人々を引いてこさせ、彼らをその妻子と共に、ししの穴に投げ入れさせた。彼らが穴の底に達しないうちに、ししは彼らにとびかかって、その骨までもかみ砕いた。 + そこでダリヨス王は全世界に住む諸民、諸族、諸国語の者に詔を書きおくって言った、「どうか、あなたがたに平安が増すように。 + わたしは命令を出す。わが国のすべての州の人は、皆ダニエルの神を、おののき恐れなければならない。彼は生ける神であって、とこしえに変ることなく、その国は滅びず、その主権は終りまで続く。 + 彼は救を施し、助けをなし、天においても、地においても、しるしと奇跡とをおこない、ダニエルを救って、ししの力をのがれさせたかたである」。 + こうして、このダニエルはダリヨスの世と、ペルシャ人クロスの世において栄えた。 + + + バビロンの王ベルシャザルの元年に、ダニエルは床にあって夢を見、また脳中に幻を得たので、彼はその夢をしるして、その事の大意を述べた。 + ダニエルは述べて言った、「わたしは夜の幻のうちに見た。見よ、天の四方からの風が大海をかきたてると、 + 四つの大きな獣が海からあがってきた。その形は、おのおの異なり、 + 第一のものは、ししのようで、わしの翼をもっていたが、わたしが見ていると、その翼は抜きとられ、また地から起されて、人のように二本の足で立たせられ、かつ人の心が与えられた。 + 見よ、第二の獣は熊のようであった。これはそのからだの一方をあげ、その口の歯の間に、三本の肋骨をくわえていたが、これに向かって『起きあがって、多くの肉を食らえ』と言う声があった。 + その後わたしが見たのは、ひょうのような獣で、その背には鳥の翼が四つあった。またこの獣には四つの頭があり、主権が与えられた。 + その後わたしが夜の幻のうちに見た第四の獣は、恐ろしい、ものすごい、非常に強いもので、大きな鉄の歯があり、食らい、かつ、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは、その前に出たすべての獣と違って、十の角を持っていた。 + わたしが、その角を注意して見ていると、その中に、また一つの小さい角が出てきたが、この小さい角のために、さきの角のうち三つがその根から抜け落ちた。見よ、この小さい角には、人の目のような目があり、また大きな事を語る口があった。 + わたしが見ていると、もろもろのみ座が設けられて、日の老いたる者が座しておられた。その衣は雪のように白く、頭の毛は混じりもののない羊の毛のようであった。そのみ座は火の炎であり、その車輪は燃える火であった。 + 彼の前から、ひと筋の火の流れが出てきた。彼に仕える者は千々、彼の前にはべる者は万々、審判を行う者はその席に着き、かずかずの書き物が開かれた。 + わたしは、その角の語る大いなる言葉の声がするので見ていたが、わたしが見ている間にその獣は殺され、そのからだはそこなわれて、燃える火に投げ入れられた。 + その他の獣はその主権を奪われたが、その命は、時と季節の来るまで延ばされた。 + わたしはまた夜の幻のうちに見ていると、見よ、人の子のような者が、天の雲に乗ってきて、日の老いたる者のもとに来ると、その前に導かれた。 + 彼に主権と光栄と国とを賜い、諸民、諸族、諸国語の者を彼に仕えさせた。その主権は永遠の主権であって、なくなることがなく、その国は滅びることがない。 + そこで、われダニエル、わがうちなる霊は憂え、わが脳中の幻は、わたしを悩ましたので、 + わたしは、そこに立っている者のひとりに近寄って、このすべての事の真意を尋ねた。するとその者は、わたしにこの事の解き明かしを告げ知らせた。 + 『この四つの大きな獣は、地に起らんとする四人の王である。 + しかしついには、いと高き者の聖徒が国を受け、永遠にその国を保って、世々かぎりなく続く』。 + そこでわたしは、さらに第四の獣の真意を知ろうとした。その獣は他の獣と異なって、はなはだ恐ろしく、その歯は鉄、そのつめは青銅であって、食らい、かつ、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。 + この獣の頭には、十の角があったが、そのほかに一つの角が出てきたので、この角のために、三つの角が抜け落ちた。この角には目があり、また大きな事を語る口があって、その形は、その同類のものよりも大きく見えた。 + わたしが見ていると、この角は聖徒と戦って、彼らに勝ったが、 + ついに日の老いたる者がきて、いと高き者の聖徒のために審判をおこなった。そしてその時がきて、この聖徒たちは国を受けた。 + 彼はこう言った、『第四の獣は地上の第四の国である。これはすべての国と異なって、全世界を併合し、これを踏みつけ、かつ打ち砕く。 + 十の角はこの国から起る十人の王である。その後にまたひとりの王が起る。彼は先の者と異なり、かつ、その三人の王を倒す。 + 彼は、いと高き者に敵して言葉を出し、かつ、いと高き者の聖徒を悩ます。彼はまた時と律法とを変えようと望む。聖徒はひと時と、ふた時と、半時の間、彼の手にわたされる。 + しかし審判が行われ、彼の主権は奪われて、永遠に滅び絶やされ、 + 国と主権と全天下の国々の権威とは、いと高き者の聖徒たる民に与えられる。彼らの国は永遠の国であって、諸国の者はみな彼らに仕え、かつ従う』。 + その事はここで終った。われダニエルは、これを思いまわして、非常に悩み、顔色も変った。しかし、わたしはこの事を心に留めた」。 + + + われダニエルは先に幻を見たが、後またベルシャザル王の治世の第三年に、一つの幻がわたしに示された。 + その幻を見たのは、エラム州の首都スサにいた時であって、ウライ川のほとりにおいてであった。 + わたしが目をあげて見ると、川の岸に一匹の雄羊が立っていた。これに二つの角があって、その角は共に長かったが、一つの角は他の角よりも長かった。その長いのは後に伸びたのである。 + わたしが見ていると、その雄羊は、西、北、南にむかって突撃したが、これに当ることのできる獣は一匹もなく、またその手から救い出すことのできるものもなかった。これはその心のままにふるまい、みずから高ぶっていた。 + わたしがこれを考え、見ていると、一匹の雄やぎが、全地のおもてを飛びわたって西からきたが、その足は土を踏まなかった。このやぎには、目の間に著しい一つの角があった。 + この者は、さきにわたしが川の岸に立っているのを見た、あの二つの角のある雄羊にむかってきて、激しく怒ってこれに走り寄った。 + わたしが見ていると、それが雄羊に近寄るや、これにむかって怒りを発し、雄羊を撃って、その二つの角を砕いた。雄羊には、これに当る力がなかったので、やぎは雄羊を地に打ち倒して踏みつけた。また、その雄羊を、やぎの力から救いうる者がなかった。 + こうして、その雄やぎは、はなはだしく高ぶったが、その盛んになった時、あの大きな角が折れて、その代りに四つの著しい角が生じ、天の四方に向かった。 + その角の一つから、一つの小さい角が出て、南に向かい、東に向かい、麗しい地に向かって、はなはだしく大きくなり、 + 天の衆群に及ぶまでに大きくなり、星の衆群のうちの数個を地に投げ下して、これを踏みつけ、 + またみずから高ぶって、その衆群の主に敵し、その常供の燔祭を取り除き、かつその聖所を倒した。 + そしてその衆群は、罪によって、常供の燔祭と共に、これにわたされた。その角はまた真理を地に投げうち、ほしいままにふるまって、みずから栄えた。 + それから、わたしはひとりの聖者の語っているのを聞いた。またひとりの聖者があって、その語っている聖者にむかって言った、「常供の燔祭と、荒すことをなす罪と、聖所とその衆群がわたされて、足の下に踏みつけられることについて、幻にあらわれたことは、いつまでだろうか」と。 + 彼は言った、「二千三百の夕と朝の間である。そして聖所は清められてその正しい状態に復する」。 + われダニエルはこの幻を見て、その意味を知ろうと求めていた時、見よ、人のように見える者が、わたしの前に立った。 + わたしはウライ川の両岸の間から人の声が出て、呼ばわるのを聞いた、「ガブリエルよ、この幻をその人に悟らせよ」。 + すると彼はわたしの立っている所にきた。彼がきたとき、わたしは恐れて、ひれ伏した。しかし、彼はわたしに言った、「人の子よ、悟りなさい。この幻は終りの時にかかわるものです」。 + 彼がわたしに語っていた時、わたしは地にひれ伏して、深い眠りに陥ったが、彼はわたしに手を触れ、わたしを立たせて、 + 言った、「見よ、わたしは憤りの終りの時に起るべきことを、あなたに知らせよう。それは定められた終りの時にかかわるものであるから。 + あなたが見た、あの二つの角のある雄羊は、メデアとペルシャの王です。 + また、かの雄やぎはギリシヤの王です、その目の間の大きな角は、その第一の王です。 + またその角が折れて、その代りに四つの角が生じたのは、その民から四つの国が起るのです。しかし、第一の王のような勢力はない。 + 彼らの国の終りの時になり、罪びとの罪が満ちるに及んで、ひとりの王が起るでしょう。その顔は猛悪で、彼はなぞを解き、 + その勢力は盛んであって、恐ろしい破壊をなし、そのなすところ成功して、有力な人々と、聖徒である民を滅ぼすでしょう。 + 彼は悪知恵をもって、偽りをその手におこない遂げ、みずから心に高ぶり、不意に多くの人を打ち滅ぼし、また君の君たる者に敵するでしょう。しかし、ついに彼は人手によらずに滅ぼされるでしょう。 + 先に示された朝夕の幻は真実です。しかし、あなたはその幻を秘密にしておかなければならない。これは多くの日の後にかかわる事だから」。 + われダニエルは疲れはてて、数日の間病みわずらったが、後起きて、王の事務を執った。しかし、わたしはこの幻の事を思って驚いた。またこれを悟ることができなかった。 + + + メデアびとアハシュエロスの子ダリヨスが、カルデヤびとの王となったその元年、 + すなわちその治世の第一年に、われダニエルは主が預言者エレミヤに臨んで告げられたその言葉により、エルサレムの荒廃の終るまでに経ねばならぬ年の数は七十年であることを、文書によって悟った。 + それでわたしは、わが顔を主なる神に向け、断食をなし、荒布を着、灰をかぶって祈り、かつ願い求めた。 + すなわちわたしは、わが神、主に祈り、ざんげして言った、「ああ、大いなる恐るべき神、主、おのれを愛し、おのれの戒めを守る者のために契約を保ち、いつくしみを施される者よ、 + われわれは罪を犯し、悪をおこない、よこしまなふるまいをなし、そむいて、あなたの戒めと、おきてを離れました。 + われわれはまた、あなたのしもべなる預言者たちが、あなたの名をもって、われわれの王たち、君たち、先祖たち、および国のすべての民に告げた言葉に聞き従いませんでした。 + 主よ、正義はあなたのものですが、恥はわれわれに加えられて、今日のような有様です。すなわちユダの人々、エルサレムの住民および全イスラエルの者は、近き者も、遠き者もみな、あなたが追いやられたすべての国々で恥をこうむりました。これは彼らがあなたにそむいて犯した罪によるのです。 + 主よ、恥はわれわれのもの、われわれの王たち、君たちおよび先祖たちのものです。これはわれわれがあなたにむかって罪を犯したからです。 + あわれみと、ゆるしはわれわれの神、主のものです。これはわれわれが彼にそむいたからです。 + またわれわれの神、主のみ声に聞き従わず、主がそのしもべ預言者たちによって、われわれの前に賜わった律法を行わなかったからです。 + まことにイスラエルの人々は皆あなたの律法を犯し、離れ去って、あなたのみ声に聞き従わなかったので、神のしもべモーセの律法にしるされたのろいと誓いが、われわれの上に注ぎかかりました。これはわれわれが神にむかって罪を犯したからです。 + すなわち神は大いなる災をわれわれの上にくだして、さきにわれわれと、われわれを治めたつかさたちにむかって告げられた言葉を実行されたのです。あのエルサレムに臨んだような事は、全天下にいまだかつてなかった事です。 + モーセの律法にしるされたように、この災はすべてわれわれに臨みましたが、なおわれわれの神、主の恵みを請い求めることをせず、その不義を離れて、あなたの真理を悟ることをもしませんでした。 + それゆえ、主はこれを心に留めて、災をわれわれに下されたのです。われわれの神、主は、何事をされるにも、正しくあらせられます。ところが、われわれはそのみ声に聞き従わなかったのです。 + われわれの神、主よ、あなたは強きみ手をもって、あなたの民をエジプトの地から導き出して、今日のように、み名をあげられました。われわれは罪を犯し、よこしまなふるまいをしました。 + 主よ、どうぞあなたが、これまで正しいみわざをなされたように、あなたの町エルサレム、あなたの聖なる山から、あなたの怒りと憤りとを取り去ってください。これはわれわれの罪と、われわれの先祖の不義のために、エルサレムと、あなたの民が、われわれの周囲の者の物笑いとなったからです。 + それゆえ、われわれの神よ、しもべの祈と願いを聞いてください。主よ、あなたご自身のために、あの荒れたあなたの聖所に、あなたのみ顔を輝かせてください。 + わが神よ、耳を傾けて聞いてください。目を開いて、われわれの荒れたさまを見、み名をもってとなえられる町をごらんください。われわれがあなたの前に祈をささげるのは、われわれの義によるのではなく、ただあなたの大いなるあわれみによるのです。 + 主よ、聞いてください。主よ、ゆるしてください。主よ、み心に留めて、おこなってください。わが神よ、あなたご自身のために、これを延ばさないでください。あなたの町と、あなたの民は、み名をもってとなえられているからです」。 + わたしがこう言って祈り、かつわが罪とわが民イスラエルの罪をざんげし、わが神の聖なる山のために、わが神、主の前に願いをしていたとき、 + すなわちわたしが祈の言葉を述べていたとき、わたしが初めに幻のうちに見た、かの人ガブリエルは、すみやかに飛んできて、夕の供え物をささげるころ、わたしに近づき、 + わたしに告げて言った、「ダニエルよ、わたしは今あなたに、知恵と悟りを与えるためにきました。 + あなたが祈を始めたとき、み言葉が出たので、それをあなたに告げるためにきたのです。あなたは大いに愛せられている者です。ゆえに、このみ言葉を考えて、この幻を悟りなさい。 + あなたの民と、あなたの聖なる町については、七十週が定められています。これはとがを終らせ、罪に終りを告げ、不義をあがない、永遠の義をもたらし、幻と預言者を封じ、いと聖なる者に油を注ぐためです。 + それゆえ、エルサレムを建て直せという命令が出てから、メシヤなるひとりの君が来るまで、七週と六十二週あることを知り、かつ悟りなさい。その間に、しかも不安な時代に、エルサレムは広場と街路とをもって、建て直されるでしょう。 + その六十二週の後にメシヤは断たれるでしょう。ただし自分のためにではありません。またきたるべき君の民は、町と聖所とを滅ぼすでしょう。その終りは洪水のように臨むでしょう。そしてその終りまで戦争が続き、荒廃は定められています。 + 彼は一週の間多くの者と、堅く契約を結ぶでしょう。そして彼はその週の半ばに、犠牲と供え物とを廃するでしょう。また荒す者が憎むべき者の翼に乗って来るでしょう。こうしてついにその定まった終りが、その荒す者の上に注がれるのです」。 + + + ペルシャの王クロスの第三年に、ベルテシャザルと名づけられたダニエルに、一つの言葉が啓示されたが、その言葉は真実であり、大いなる戦いを意味するものであった。彼はその言葉に心を留め、その幻を悟った。 + そのころ、われダニエルは三週の間、悲しんでいた。 + すなわち三週間の全く満ちるまでは、うまい物を食べず、肉と酒とを口にせず、また身に油を塗らなかった。 + 正月の二十四日に、わたしがチグリスという大川の岸に立っていたとき、 + 目をあげて望み見ると、ひとりの人がいて、亜麻布の衣を着、ウパズの金の帯を腰にしめていた。 + そのからだは緑柱石のごとく、その顔は電光のごとく、その目は燃えるたいまつのごとく、その腕と足は、みがいた青銅のように輝き、その言葉の声は、群衆の声のようであった。 + この幻を見た者は、われダニエルのみであって、わたしと共にいた人々は、この幻を見なかったが、彼らは大いにおののいて、逃げかくれた。 + それでわたしひとり残って、この大いなる幻を見たので、力が抜け去り、わが顔の輝きは恐ろしく変って、全く力がなくなった。 + わたしはその言葉の声を聞いたが、その言葉の声を聞いたとき、顔を伏せ、地にひれ伏して、深い眠りに陥った。 + 見よ、一つの手があって、わたしに触れたので、わたしは震えながらひざまずき、手をつくと、 + 彼はわたしに言った、「大いに愛せられる人ダニエルよ、わたしがあなたに告げる言葉に心を留め、立ちあがりなさい。わたしは今あなたのもとにつかわされたのです」。彼がこの言葉をわたしに告げているとき、わたしは震えながら立ちあがった。 + すると彼はわたしに言った、「ダニエルよ、恐れるに及ばない。あなたが悟ろうと心をこめ、あなたの神の前に身を悩ましたその初めの日から、あなたの言葉は、すでに聞かれたので、わたしは、あなたの言葉のゆえにきたのです。 + ペルシャの国の君が、二十一日の間わたしの前に立ちふさがったが、天使の長のひとりであるミカエルがきて、わたしを助けたので、わたしは、彼をペルシャの国の君と共に、そこに残しておき、 + 末の日に、あなたの民に臨まんとする事を、あなたに悟らせるためにきたのです。この幻は、なおきたるべき日にかかわるものです」。 + 彼がこれらの言葉を、わたしに述べていたとき、わたしは、地にひれ伏して黙っていたが、 + 見よ、人の子のような者が、わたしのくちびるにさわったので、わたしは口を開き、わが前に立っている者に語って言った、「わが主よ、この幻によって、苦しみがわたしに臨み、全く力を失いました。 + わが主のしもべは、どうしてわが主と語ることができましょう。わたしは全く力を失い、息も止まるばかりです」。 + 人の形をした者は、再びわたしにさわり、わたしを力づけて、 + 言った、「大いに愛せられる人よ、恐れるには及ばない。安心しなさい。心を強くし、勇気を出しなさい」。彼がこう言ったとき、わたしは力づいて言った、「わが主よ、語ってください。あなたは、わたしに力をつけてくださったから」。 + そこで彼は言った、「あなたは、わたしがなんのためにきたかを知っていますか。わたしは、今帰っていって、ペルシャの君と戦おうとしているのです。彼との戦いがすむと、ギリシヤの君があらわれるでしょう。 + しかしわたしは、まず真理の書にしるされている事を、あなたに告げよう。わたしを助けて、彼らと戦う者は、あなたがたの君ミカエルのほかにはありません。 + + + わたしはまたメデアびとダリヨスの元年に立って彼を強め、彼を力づけたことがあります。 + わたしは今あなたに真理を示そう。見よ、ペルシャになお三人の王が起るでしょう。その第四の者は、他のすべての者にまさって富み、その富によって強くなったとき、彼はすべてのものを動員して、ギリシヤの国を攻めます。 + またひとりの勇ましい王が起り、大いなる権力をもって世を治め、その意のままに事をなすでしょう。 + 彼が強くなった時、その国は破られ、天の四方に分かたれます。それは彼の子孫に帰せず、また彼が治めたほどの権力もなく、彼の国は抜き取られて、これら以外の者どもに帰するでしょう。 + 南の王は強くなります。しかしその将軍のひとりが、彼にまさって強くなり、権力をふるいます。その権力は、大いなる権力です。 + 年を経て後、彼らは縁組をなし、南の王の娘が、北の王にきて、和親をはかります。しかしその女は、その腕の力を保つことができず、またその王も、その子も立つことができません。その女と、その従者と、その子およびその女を獲た者とは、わたされるでしょう。 + そのころ、この女の根から、一つの芽が起って彼に代り、北の王の軍勢にむかってきて、その城に討ち入り、これを攻めて勝つでしょう。 + 彼はまた彼らの神々、鋳像および金銀の貴重な器物を、エジプトに携え去り、そして数年の間、北の王を討つことを控えます。 + その後、北の王は、南の王の国に討ち入るが、自分の国に帰るでしょう。 + その子らはまた憤激して、あまたの大軍を集め、進んで行って、みなぎりあふれ、通り過ぎるが、また行って、その城にまで攻め寄せるでしょう。 + そこで南の王は、大いに怒り、出てきて北の王と戦います。彼は大軍を起すけれども、その軍は相手の手にわたされるでしょう。 + 彼がその軍を打ち破ったとき、その心は高ぶり、数万人を倒します。しかし、勝つことはありません。 + それは北の王がまた初めよりも大いなる軍を起し、数年の後、大いなる軍勢と多くの軍需品とをもって、攻めて来るからです。 + そのころ多くの者が起って、南の王に敵します。またあなたの民のうちのあらくれ者が、みずから高ぶって事をなし、幻を成就しようとするが失敗するでしょう。 + こうして北の王がきて、塁を築き、堅固な町を取るが、南の王の力は、これに立ち向かうことができず、またそのえり抜きの民も、これに立ち向かう力がありません。 + これに攻めて来る者は、その心のままに事をなし、その前に立ち向かうことのできる者はなく、彼は麗しい地に立ち、その地は全く彼のために荒されます。 + 彼は全国の力をもって討ち入ろうと、その顔を向けるが、相手と仲直りをし、その娘を与えて、その国を取ろうとします。しかし、その事は成らず、また彼の利益にはならないでしょう。 + その後、彼は顔を海沿いの国々に向けて、その多くのものを取ります。しかし、ひとりの大将があって、彼が与えた恥辱をそそぎ、その恥辱を彼の上に返します。 + こうして彼は、その顔を自分の国の要害に向けるが、彼はつまずき倒れて消えうせるでしょう。 + 彼に代って起る者は、栄光の国に人をつかわして、租税を取り立てさせるでしょう。しかし彼は、怒りにも戦いにもよらず、数日のうちに滅ぼされます。 + 彼に代って起る者は、卑しむべき者であって、彼には、王の尊厳が与えられず、彼は不意にきて、巧言をもって国を獲るでしょう。 + 洪水のような軍勢は、彼の前に押し流されて敗られ、契約の君たる者もまた敗られるでしょう。 + 彼は、これと同盟を結んで後、偽りのおこないをなし、わずかな民をもって強くなり、 + 不意にその州の最も肥えた所に攻め入り、その父も、その父の父もしなかった事をおこない、その奪った物、かすめた物および財宝を、人々の中に散らすでしょう。彼はまた計略をめぐらして、堅固な城を攻めるが、ただし、それは時の至るまでです。 + 彼はその勢力と勇気とを奮い起し、大軍を率いて南の王を攻めます。南の王もまたみずから奮い、はなはだ大いなる強力な軍勢をもって戦います。しかし、彼に対して、陰謀をめぐらす者があるので、これに立ち向かうことができません。 + すなわち彼の食物を食べる者たちが、彼を滅ぼします。そして、その軍勢は押し流されて、多くの者が倒れ死ぬでしょう。 + このふたりの王は、害を与えようと心にはかり、ひとつ食卓に共に食して、偽りを語るが、それは成功しません。終りはなお定まった時の来るまでこないからです。 + 彼は大いなる財宝をもって、自分の国に帰るでしょう。しかし、彼の心は聖なる契約にそむき、ほしいままに事をなして、自分の国に帰ります。 + 定まった時になって、彼はまた南に討ち入ります。しかし、この時は前の時のようではありません。 + それはキッテムの船が、彼に立ち向かって来るので、彼は脅かされて帰り、聖なる契約に対して憤り、事を行うでしょう。彼は帰っていって、聖なる契約を捨てる者を顧み用いるでしょう。 + 彼から軍勢が起って、神殿と城郭を汚し、常供の燔祭を取り除き、荒す憎むべきものを立てるでしょう。 + 彼は契約を破る者どもを、巧言をもってそそのかし、そむかせるが、自分の神を知る民は、堅く立って事を行います。 + 民のうちの賢い人々は、多くの人を悟りに至らせます。それでも、彼らはしばらくの間、やいばにかかり、火に焼かれ、捕われ、かすめられなどして倒れます。 + その倒れるとき、彼らは少しの助けを獲ます。また多くの人が、巧言をもって彼らにくみするでしょう。 + また賢い者のうちのある者は、終りの時まで、自分を練り、清め、白くするために倒れるでしょう。終りはなお定まった時の来るまでこないからです。 + この王は、その心のままに事をおこない、すべての神を越えて、自分を高くし、自分を大いにし、神々の神たる者にむかって、驚くべき事を語り、憤りのやむ時まで栄えるでしょう。これは定められた事が成就するからです。 + 彼はその先祖の神々を顧みず、また婦人の好む者も、いかなる神をも顧みないでしょう。彼はすべてにまさって、自分を大いなる者とするからです。 + 彼はこれらの者の代りに、要害の神をあがめ、金、銀、宝石、および宝物をもって、その先祖たちの知らなかった神をあがめ、 + 異邦の神の助けによって、最も強固な城にむかって、事をなすでしょう。そして彼を認める者には、栄誉を増し与え、これに多くの人を治めさせ、賞与として土地を分け与えるでしょう。 + 終りの時になって、南の王は彼と戦います。北の王は、戦車と騎兵と、多くの船をもって、つむじ風のように彼を攻め、国々にはいっていって、みなぎりあふれ、通り過ぎるでしょう。 + 彼はまた麗しい国にはいります。また彼によって、多くの者が滅ぼされます。しかし、エドム、モアブ、アンモンびとらのうちのおもな者は、彼の手から救われましょう。 + 彼は国々にその手を伸ばし、エジプトの地も免れません。 + 彼は金銀の財宝と、エジプトのすべての宝物を支配し、リビヤびと、エチオピヤびとは、彼のあとに従います。 + しかし東と北からの知らせが彼を驚かし、彼は多くの人を滅ぼし絶やそうと、大いなる怒りをもって出て行きます。 + 彼は海と麗しい聖山との間に、天幕の宮殿を設けるでしょう。しかし、彼はついにその終りにいたり、彼を助ける者はないでしょう。 + + + その時あなたの民を守っている大いなる君ミカエルが立ちあがります。また国が始まってから、その時にいたるまで、かつてなかったほどの悩みの時があるでしょう。しかし、その時あなたの民は救われます。すなわちあの書に名をしるされた者は皆救われます。 + また地のちりの中に眠っている者のうち、多くの者は目をさますでしょう。そのうち永遠の生命にいたる者もあり、また恥と、限りなき恥辱をうける者もあるでしょう。 + 賢い者は、大空の輝きのように輝き、また多くの人を義に導く者は、星のようになって永遠にいたるでしょう。 + ダニエルよ、あなたは終りの時までこの言葉を秘し、この書を封じておきなさい。多くの者は、あちこちと探り調べ、そして知識が増すでしょう」。 + そこで、われダニエルが見ていると、ほかにまたふたりの者があって、ひとりは川のこなたの岸に、ひとりは川のかなたの岸に立っていた。 + わたしは、かの亜麻布を着て川の水の上にいる人にむかって言った、「この異常なできごとは、いつになって終るでしょうか」と。 + かの亜麻布を着て、川の水の上にいた人が、天に向かって、その右の手と左の手をあげ、永遠に生ける者をさして誓い、それは、ひと時とふた時と半時である。聖なる民を打ち砕く力が消え去る時に、これらの事はみな成就するだろうと言うのを、わたしは聞いた。 + わたしはこれを聞いたけれども悟れなかった。わたしは言った、「わが主よ、これらの事の結末はどんなでしょうか」。 + 彼は言った、「ダニエルよ、あなたの道を行きなさい。この言葉は終りの時まで秘し、かつ封じておかれます。 + 多くの者は、自分を清め、自分を白くし、かつ練られるでしょう。しかし、悪い者は悪い事をおこない、ひとりも悟ることはないが、賢い者は悟るでしょう。 + 常供の燔祭が取り除かれ、荒す憎むべきものが立てられる時から、千二百九十日が定められている。 + 待っていて千三百三十五日に至る者はさいわいです。 + しかし、終りまであなたの道を行きなさい。あなたは休みに入り、定められた日の終りに立って、あなたの分を受けるでしょう」。 + +
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+ + ユダヤの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの世、イスラエルの王ヨアシの子ヤラベアムの世に、ベエリの子ホセアに臨んだ主の言葉。 + 主が最初ホセアによって語られた時、主はホセアに言われた、「行って、淫行の妻と、淫行によって生れた子らを受けいれよ。この国は主にそむいて、はなはだしい淫行をなしているからである」。 + そこで彼は行ってデブライムの娘ゴメルをめとった。彼女はみごもって男の子を産んだ。 + 主はまた彼に言われた、「あなたはその子の名をエズレルと名づけよ。しばらくしてわたしはエズレルの血のためにエヒウの家を罰し、イスラエルの家の国を滅ぼすからである。 + その日、わたしはエズレルの谷でイスラエルの弓を折る」と。 + ゴメルはまたみごもって女の子を産んだ。主はホセアに言われた、「あなたはその名をロルハマと名づけよ。わたしはもはやイスラエルの家をあわれまず、決してこれをゆるさないからである。 + しかし、わたしはユダの家をあわれみ、その神、主によってこれを救う。わたしは弓、つるぎ、戦争、馬および騎兵によって救うのではない」と。 + ゴメルはロルハマを乳離れさせたとき、またみごもって男の子を産んだ。 + 主は言われた、「その子の名をロアンミと名づけよ。あなたがたは、わたしの民ではなく、わたしは、あなたがたの神ではないからである」。 + しかしイスラエルの人々の数は海の砂のように量ることも、数えることもできないほどになって、さきに彼らが「あなたがたは、わたしの民ではない」と言われたその所で、「あなたがたは生ける神の子である」と言われるようになる。 + そしてユダの人々とイスラエルの人々は共に集まり、ひとりの長を立てて、その地からのぼって来る。エズレルの日は大いなるものとなる。 + + + あなたがたの兄弟に向かっては「アンミ(わが民)」と言い、あなたがたの姉妹に向かっては「ルハマ(あわれまれる者)」と言え。 + 「あなたがたの母とあげつらえ、あげつらえ――彼女はわたしの妻ではない、わたしは彼女の夫ではない――そして彼女にその顔から淫行を除かせ、その乳ぶさの間から姦淫を除かせよ。 + そうでなければ、わたしは彼女の着物をはいで裸にし、その生れ出た日のようにし、また荒野のようにし、かわききった地のようにし、かわきによって彼女を殺す。 + わたしはその子らをあわれまない、彼らは淫行の子らだからである。 + 彼らの母は淫行をなし、彼らをはらんだ彼女は恥ずべきことを行った。彼女は言った、『わたしはわが恋人たちについて行こう。彼らはパンと水と羊の毛と麻と油と飲み物とを、わたしに与える者である』と。 + それゆえ、わたしはいばらで彼女の道をふさぎ、かきをたてて、彼女にはその道がわからないようにする。 + 彼女はその恋人たちのあとを慕って行く、しかし彼らに追いつくことはない。彼らを尋ねる、しかし見いだすことはない。そこで彼女は言う、『わたしは行って、さきの夫に帰ろう。あの時は今よりもわたしによかったから』と。 + 彼女に穀物と酒と油とを与えた者、またバアルのために用いた銀と金とを多く彼女に与えた者は、わたしであったことを彼女は知らなかった。 + それゆえ、わたしは穀物をその時になって奪い、ぶどう酒をその季節になって奪い、また彼女の裸をおおうために用いる羊の毛と麻とを奪い取る。 + わたしは今、彼女のみだらなことをその恋人たちの目の前にあらわす。だれも彼女をわたしの手から救う者はない。 + わたしは彼女のすべての楽しみ、すなわち祝、新月、安息日、すべての祭をやめさせる。 + わたしはまた彼女が先に『これはわたしの恋人らが、わたしに与えた報酬だ』と言った彼女のぶどうの木と、いちじくの木とを荒し、これを林とし、野の獣にこれを食わせる。 + また彼女が耳輪と宝石で身を飾り、その恋人たちを慕って行って、わたしを忘れ、香をたいて仕えたバアルの祭の日のために、わたしは彼女を罰すると主は言われる。 + それゆえ、見よ、わたしは彼女をいざなって、荒野に導いて行き、ねんごろに彼女に語ろう。 + その所でわたしは彼女にそのぶどう畑を与え、アコルの谷を望みの門として与える。その所で彼女は若かった日のように、エジプトの国からのぼって来た時のように、答えるであろう。 + 主は言われる、その日には、あなたはわたしを『わが夫』と呼び、もはや『わがバアル』とは呼ばない。 + わたしはもろもろのバアルの名を彼女の口から取り除き、重ねてその名をとなえることのないようにする。 + その日には、わたしはまたあなたのために野の獣、空の鳥および地の這うものと契約を結び、また弓と、つるぎと、戦争とを地から断って、あなたを安らかに伏させる。 + またわたしは永遠にあなたとちぎりを結ぶ。すなわち正義と、公平と、いつくしみと、あわれみとをもってちぎりを結ぶ。 + わたしは真実をもって、あなたとちぎりを結ぶ。そしてあなたは主を知るであろう。 + 主は言われる、その日わたしは天に答え、天は地に答える。 + 地は穀物と酒と油とに答え、またこれらのものはエズレルに答える。 + わたしはわたしのために彼を地にまき、あわれまれぬ者をあわれみ、わたしの民でない者に向かって、『あなたはわたしの民である』と言い、彼は『あなたはわたしの神である』と言う」。 + + + 主はわたしに言われた、「あなたは再び行って、イスラエルの人々が他の神々に転じて、干ぶどうの菓子を愛するにもかかわらず、主がこれを愛せられるように、姦夫に愛せられる女、姦淫を行う女を愛せよ」と。 + そこでわたしは銀十五シケルと大麦一ホメル半とをもって彼女を買い取った。 + わたしは彼女に言った、「あなたは長くわたしの所にとどまって、淫行をなさず、また他の人のものとなってはならない。わたしもまた、あなたにそうしよう」と。 + イスラエルの子らは多くの日の間、王なく、君なく、犠牲なく、柱なく、エポデおよびテラピムもなく過ごす。 + そしてその後イスラエルの子らは帰って来て、その神、主と、その王ダビデとをたずね求め、終りの日におののいて、主とその恵みに向かって来る。 + + + イスラエルの人々よ、主の言葉を聞け。主はこの地に住む者と争われる。この地には真実がなく、愛情がなく、また神を知ることもないからである。 + ただのろいと、偽りと、人殺しと、盗みと、姦淫することのみで、人々は皆荒れ狂い、殺害に殺害が続いている。 + それゆえ、この地は嘆き、これに住む者はみな、野の獣も空の鳥も共に衰え、海の魚さえも絶えはてる。 + しかし、だれも争ってはならない、責めてはならない。祭司よ。わたしの争うのは、あなたと争うのだ。 + あなたは昼つまずき、預言者もまたあなたと共に夜つまずく。わたしはあなたの母を滅ぼす。 + わたしの民は知識がないために滅ぼされる。あなたは知識を捨てたゆえに、わたしもあなたを捨てて、わたしの祭司としない。あなたはあなたの神の律法を忘れたゆえに、わたしもまたあなたの子らを忘れる。 + 彼らは大きくなるにしたがって、ますますわたしに罪を犯したゆえ、わたしは彼らの栄えを恥に変える。 + 彼らはわが民の罪を食いものにし、その罪を犯すことをせつに願っている。 + それゆえ祭司も民と同じようになる。わたしはそのわざのために彼らを罰し、そのおこないのために彼らに報いる。 + 彼らは食べても飽くことなく、淫行をなしてもその数を増すことがない。彼らは主を捨てて、淫行を愛したからである。 + 酒と新しい酒とは思慮を奪う。 + わが民は木に向かって事を尋ねる。またそのつえは彼らに事を示す。これは淫行の霊が彼らを迷わしたからである。彼らはその神を捨てて淫行をなした。 + 彼らは山々の頂で犠牲をささげ、丘の上、かしの木、柳の木、テレビンの木の下で供え物をささげる。これはその木陰がここちよいためである。それゆえ、あなたがたの娘は淫行をなし、あなたがたの嫁は姦淫を行う。 + わたしはあなたがたの娘が淫行をしても罰しない。またあなたがたの嫁が姦淫を行っても罰しない。男たちみずから遊女と共に離れ去り、宮の遊女と共に犠牲をささげているからである。悟りのない民は滅びる。 + イスラエルよ、あなたは淫行をなしても、ユダに罪を犯させてはならない。ギルガルへ行ってはならない。ベテアベンにのぼってはならない。また「主は生きておられる」と言って誓ってはならない。 + イスラエルは強情な雌牛のように強情である。今、主は小羊を広い野に放つようにして、彼らを養うことができようか。 + エフライムは偶像に結びつらなった。そのなすにまかせよ。 + 彼らは酒宴のとりことなり、淫行にふけっている。彼らはその光栄よりも恥を愛する。 + 風はその翼に彼らを包んだ。彼らはその祭壇のゆえに恥を受ける。 + + + 祭司たちよ、これを聞け、イスラエルの家よ、心をとめよ、王の家よ、耳を傾けよ、さばきはあなたがたに臨む。あなたがたはミヅパにわなを設け、タボルの上に網を張ったからだ。 + 彼らはシッテムの穴を深くしたが、わたしは彼らをことごとく懲らしめる。 + わたしはエフライムを知っている。イスラエルはわたしに隠れることがない。エフライムよ、あなたは今淫行をなし、イスラエルは汚された。 + 彼らのおこないは彼らを神に帰らせない。それは淫行の霊が彼らのうちにあって、主を知ることができないからだ。 + イスラエルの誇はその顔に向かって証言している。エフライムはその不義によってつまずき、ユダもまた彼らと共につまずく。 + 彼らは羊の群れ、牛の群れを携えて行って、主を求めても、主に会うことはない。主は彼らから離れ去られた。 + 彼らは主にむかって貞操を守らず、ほかの者の子を産んだ。新月は彼らをその田畑と共に滅ぼす。 + ギベアで角笛を吹き、ラマでラッパを鳴らし、ベテアベンで呼ばわり叫べ。ベニヤミンよ、おののけ。 + エフライムは刑罰の日に荒れすたれる。わたしはイスラエルの部族のうちに、必ず起るべき事を知らせる。 + ユダの君たちは境を移す者のようになった。わたしはわが怒りを水のように彼らの上に注ぐ。 + エフライムは甘んじて、むなしいものに従って歩んだゆえ、さばきを受けて、しえたげられ、打ちひしがれる。 + それゆえ、わたしはエフライムには、しみのように、ユダの家には腐れのようになる。 + エフライムはおのれの病を見、ユダはおのれの傷を見たとき、エフライムはアッスリヤに行き、大王に人をつかわした。しかし彼はあなたがたをいやすことができない。また、あなたがたの傷をなおすことができない。 + わたしはエフライムに対しては、ししのようになり、ユダの家に対しては若きししのようになる。わたしは、わたしこそ、かき裂いて去り、かすめて行くが、だれも救う者はない。 + わたしは彼らがその罪を認めて、わが顔をたずね求めるまで、わたしの所に帰っていよう。彼らは悩みによって、わたしを尋ね求めて言う、 + + + 「さあ、わたしたちは主に帰ろう。主はわたしたちをかき裂かれたが、またいやし、わたしたちを打たれたが、また包んでくださるからだ。 + 主は、ふつかの後、わたしたちを生かし、三日目にわたしたちを立たせられる。わたしたちはみ前で生きる。 + わたしたちは主を知ろう、せつに主を知ることを求めよう。主はあしたの光のように必ず現れいで、冬の雨のように、わたしたちに臨み、春の雨のように地を潤される」。 + エフライムよ、わたしはあなたに何をしようか。ユダよ、わたしはあなたに何をしようか。あなたがたの愛はあしたの雲のごとく、また、たちまち消える露のようなものである。 + それゆえ、わたしは預言者たちによって彼らを切り倒し、わが口の言葉をもって彼らを殺した。わがさばきは現れ出る光のようだ。 + わたしはいつくしみを喜び、犠牲を喜ばない。燔祭よりもむしろ神を知ることを喜ぶ。 + ところが彼らはアダムで契約を破り、かしこでわたしにそむいた。 + ギレアデは悪を行う者の町で、血の足跡で満たされている。 + 盗賊が人を待ち伏せするように、祭司たちは党を組み、シケムへ行く道で人を殺す。このように彼らは悪しき事を行う。 + わたしはイスラエルの家に恐るべき事を見た。かしこでエフライムは淫行をなし、イスラエルは汚された。 + ユダよ、あなたのためにも刈入れが定められている。わたしがわが民の繁栄を回復するとき、 + + + わたしがイスラエルをいやすとき、エフライムの不義と、サマリヤの悪しきわざとは現れる。彼らは偽りをおこない、内では盗びとが押し入り、外では山賊の群れが襲いきたる。 + しかし、彼らはわたしが彼らのすべての悪を覚えていることを悟らない。今、そのわざは彼らを囲んで、わたしの顔の前にある。 + 彼らはその悪をもって王を喜ばせ、その偽りをもって君たちを喜ばせる。 + 彼らはみな姦淫を行う者で、パンを焼く者が熱くする炉のようだ。パンを焼く者は、ねり粉をこねてから、それがふくれるまで、しばらく、火をおこす事をしないだけだ。 + われわれの王の日に、つかさたちは酒の熱によって病みわずらい、王はあざける者と共に手を伸べた。 + 彼らは陰謀をもってその心を炉のように燃やす。その怒りは夜通しくすぶり、朝になると炎のように燃える。 + 彼らは皆、炉のように熱くなって、そのさばきびとを焼き滅ぼす。そのもろもろの王は皆たおれる。彼らの中にはわたしを呼ぶ者がひとりもない。 + エフライムはもろもろの民の中に入り混じる。エフライムは火にかけて、かえさない菓子である。 + 他国人らは彼の力を食い尽すが、彼はそれを知らない。しらがが混じってはえても、それを悟らない。 + イスラエルの誇は自らに向かって証言している、彼らはこのもろもろの事があっても、なおその神、主に帰らず、また主を求めない。 + エフライムは知恵のない愚かな、はとのようだ。彼らはエジプトに向かって呼び求め、またアッスリヤへ行く。 + 彼らが行くとき、わたしは彼らの上に網を張って、空の鳥のように引き落し、その悪しきおこないのゆえに、彼らを懲らしめる。 + わざわいなるかな、彼らはわたしを離れて迷い出た。滅びは彼らに臨む。彼らがわたしに向かって罪を犯したからだ。わたしは彼らをあがなおうと思うが、彼らはわたしに逆らって偽りを言う。 + 彼らは真心をもってわたしを呼ばず、ただ床の上で悲しみ叫ぶ。彼らは穀物と酒のためには集まるが、わたしに逆らう。 + わたしは彼らを教え、その腕を強くしたが、彼らはわたしに逆らって、悪しき事をはかる。 + 彼らはバアルに帰る。彼らはあざむく弓のようだ。彼らの君たちはその舌の高ぶりのために、つるぎに倒れる。これはエジプトの国で人々のあざけりとなる。 + + + ラッパをあなたの口にあてよ、はげたかは主の家に臨む。彼らがわたしの契約を破り、わたしの律法を犯したからだ。 + 彼らはわたしに向かって叫ぶ、「わが神よ、われわれイスラエルはあなたを知る」と。 + イスラエルは善はしりぞけた。敵はこれを追うであろう。 + 彼らは王を立てた、しかし、わたしによって立てたのではない。彼らは君を立てた、しかし、わたしはこれを知らない。彼らは銀と金をもって、自分たちの滅びのために偶像を造った。 + サマリヤよ、わたしはあなたの子牛を忌みきらう。わたしの怒りは彼らに向かって燃える。彼らはいつになればイスラエルで罪なき者となるであろうか。 + これは工人の作ったもので、神ではない。サマリヤの子牛は砕けて粉となる。 + 彼らは風をまいて、つむじ風を刈り取る。立っている穀物は穂を持たず、また実らない。たとい実っても、他国人がこれを食い尽す。 + イスラエルはのまれた。彼らは諸国民の間にあって、すでに無用な器のようになった。 + 彼らはひとりさまよう野のろばのように、アッスリヤにのぼって行った。エフライムは物を贈って恋人を得た。 + たとい彼らが国々に物を贈って同盟者を得ても、わたしはまもなく彼らを集める。彼らはしばらくにして、王や君たちに油をそそぐことをやめる。 + エフライムは多くの祭壇を造って罪を犯したゆえ、これは彼には罪を犯すための祭壇となった。 + わたしは彼のために、あまたの律法を書きしるしたが、これはかえって怪しい物のように思われた。 + 彼らは犠牲を好み、肉をささげてこれを食べる。しかし主はこれを喜ばれない。今、彼らの不義を覚え、彼らの罪を罰せられる。彼らはエジプトに帰る。 + イスラエルは自分の造り主を忘れて、もろもろの宮殿を建てた。ユダは堅固な町々を多く増し加えた。しかしわたしは火をその町々に送って、もろもろの城を焼き滅ぼす。 + + + イスラエルよ、もろもろの民のように喜びおどるな。あなたは淫行をなして、あなたの神を離れ、すべての穀物の打ち場で受ける淫行の価を愛した。 + 打ち場と酒ぶねとは彼らを養わない。また新しい酒もむなしくなる。 + 彼らは主の地に住むことなく、エフライムはエジプトに帰り、アッスリヤで汚れた物を食べる。 + 彼らは主に向かって酒を注がず、また犠牲をもって主を喜ばせず、彼らのパンは喪におる者のパンのようで、すべてこれを食べる者は汚される。彼らのパンはただ自分の飢えを満たすためで、主の家に、はいることはできない。 + あなたがたは祝の日と、主の祭の日に、何をしようとするのか。 + 見よ、彼らはアッスリヤへ行く。エジプトは彼らを集め、メンピスは彼らを葬る。あざみは彼らの銀の宝物を所有し、いばらは彼らの天幕にはびこる。 + 刑罰の日は来た。報いの日は来た。イスラエルはこれを知る。預言者は愚かな者、霊に感じた人は狂った者だ。これはあなたがたの不義が多く、恨みが大きいためである。 + 預言者はわが神の民エフライムの見張人である。しかし預言者のすべての道には鳥をとる者のわながあり、恨みはその神の家にある。 + 彼らはギベアの日のように、深くおのれを腐らせた。主はその不義を覚え、その罪を罰せられる。 + わたしはイスラエルを荒野のぶどうのように見、あなたがたの先祖たちを、いちじくの木の初めに結んだ初なりのように見た。ところが彼らはバアル・ペオルへ行き、身をバアルにゆだね、彼らが愛した物と同じように憎むべき者となった。 + エフライムの栄光は、鳥のようにとび去る。すなわち産むことも、はらむことも、みごもることもなくなる。 + たとい彼らが子を育てても、わたしはその子を奪って、残る者のないようにする。わたしが彼らを離れるとき、彼らはわざわいだ。 + わたしが見たように、エフライムの子らはえじきに定められた。エフライムはその子らを、人を殺す者に渡さなければならない。 + 主よ、彼らに与えてください。あなたは何を与えられますか。流産の胎と、かわいた乳ぶさを彼らに与えてください。 + 彼らのすべての悪はギルガルにある。わたしはかしこで彼らを憎んだ。彼らのおこないの悪しきがゆえに、彼らをわが家から追いだし、重ねて愛することをしない。その君たちはみな、反逆者である。 + エフライムは撃たれ、その根は枯れて、実を結ばない。たとい彼らが子を産んでも、わたしはそのいつくしむ子らを殺す。 + 彼らは聞き従わないので、わが神はこれを捨てられる。彼らはもろもろの国民のうちに、さすらい人となる。 + + + イスラエルは実を結ぶ茂ったぶどうの木である。その実を多く結ぶにしたがって、祭壇を増し、その地の豊かなるにしたがって、柱の像を麗しくした。 + 彼らの心は偽りである。今、彼らはその罪を負わなければならない。主はその祭壇をこわし、その柱の像を砕かれる。 + 今、彼らは言う、「われわれは主を恐れないので、われわれには王がない。王はわれわれのために何をなしえようか」と。 + 彼らはむなしき言葉をいだし、偽りの誓いをもって契約を結ぶ。それゆえ、さばきは畑のうねの毒草のように現れる。 + サマリヤの住民は、ベテアベンの子牛のためにおののき、その民はこれがために嘆き、その偶像に仕える祭司たちは、その栄光のうせたるがために泣き悲しむ。 + その子牛はアッスリヤに携えられ、礼物として大王にささげられ、エフライムは恥をうけ、イスラエルはおのれの偶像を恥じる。 + サマリヤの王は、水のおもての木切れのように滅ぼされる。 + イスラエルの罪であるアベンの高き所も滅び、いばらとあざみがその祭壇の上にはえ茂る。その時彼らは山に向かって、「われわれをおおえ」と言い、丘に向かって「われわれの上に倒れよ」と言う。 + イスラエルよ、あなたはギベアの日からこのかた罪を犯した。彼らはその所に立っていた。戦いはギベアにおる彼らに及ばないであろうか。 + わたしは来てよこしまな民を攻め、これを懲らしめる。彼らがその二つの罪のために懲しめられるとき、もろもろの民は集まって彼らを攻める。 + エフライムはならされた若い雌牛であって、穀物を踏むことを好む。わたしはその麗しい首を惜しんだ。しかし、わたしはエフライムにくびきをかける。ユダは耕し、ヤコブは自分のために、まぐわをひかねばならない。 + あなたがたは自分のために正義をまき、いつくしみの実を刈り取り、あなたがたの新田を耕せ。今は主を求むべき時である。主は来て救いを雨のように、あなたがたに降りそそがれる。 + あなたがたは悪を耕し、不義を刈りおさめ、偽りの実を食べた。これはあなたがたが自分の戦車を頼み、勇士の多いことを頼んだためである。 + それゆえ、あなたがたの民の中にいくさの騒ぎが起り、シャルマンが戦いの日にベテ・アルベルを打ち破ったように、あなたがたの城はことごとく打ち破られる。母らはその子らと共に打ち砕かれた。 + イスラエルの家よ、あなたがたの大いなる悪のゆえに、このように、あなたがたにも行われ、イスラエルの王は、あらしの中に全く滅ぼされる。 + + + わたしはイスラエルの幼い時、これを愛した。わたしはわが子をエジプトから呼び出した。 + わたしが呼ばわるにしたがって、彼らはいよいよわたしから遠ざかり、もろもろのバアルに犠牲をささげ、刻んだ像に香をたいた。 + わたしはエフライムに歩むことを教え、彼らをわたしの腕にいだいた。しかし彼らはわたしにいやされた事を知らなかった。 + わたしはあわれみの綱、すなわち愛のひもで彼らを導いた。わたしは彼らに対しては、あごから、くびきをはずす者のようになり、かがんで彼らに食物を与えた。 + 彼らはエジプトの地に帰り、アッスリヤびとが彼らの王となる。彼らがわたしに帰ることを拒んだからである。 + つるぎは、そのもろもろの町にあれ狂い、その門の貫の木を砕き、その城の中に彼らを滅ぼす。 + わが民はわたしからそむき去ろうとしている。それゆえ、彼らはくびきをかけられ、これを除きうる者はひとりもいない。 + エフライムよ、どうして、あなたを捨てることができようか。イスラエルよ、どうしてあなたを渡すことができようか。どうしてあなたをアデマのようにすることができようか。どうしてあなたをゼボイムのように扱うことができようか。わたしの心は、わたしのうちに変り、わたしのあわれみは、ことごとくもえ起っている。 + わたしはわたしの激しい怒りをあらわさない。わたしは再びエフライムを滅ぼさない。わたしは神であって、人ではなく、あなたのうちにいる聖なる者だからである。わたしは滅ぼすために臨むことをしない。 + 彼らは主に従って歩む。主はししのほえるように声を出される。主が声を出されると、子らはおののきつつ西から来る。 + 彼らはエジプトから鳥のように、アッスリヤの地から、はとのように急いで来る。わたしは彼らをその家に帰らせると主は言われる。 + エフライムは偽りをもって、わたしを囲み、イスラエルの家は欺きをもって、わたしを囲んだ。しかしユダはなお神に知られ、聖なる者に向かって真実である。 + + + エフライムはひねもす風を牧し、東風を追い、偽りと暴虐とを増し加え、アッスリヤと取引をなし、油をエジプトに送った。 + 主はユダと争い、ヤコブをそのしわざにしたがって罰し、そのおこないにしたがって報いられる。 + ヤコブは胎にいたとき、その兄弟のかかとを捕え、成人したとき神と争った。 + 彼は天の使と争って勝ち、泣いてこれにあわれみを求めた。彼はベテルで神に出会い、その所で神は彼と語られた。 + 主は万軍の神、その名は主である。 + それゆえ、あなたはあなたの神に帰り、いつくしみと正しきとを守り、つねにあなたの神を待ち望め。 + 商人はその手に偽りのはかりを持ち、しえたげることを好む。 + エフライムは言った、「まことにわたしは富める者となった。わたしは自分ために財宝を得た」と。しかし彼のすべての富もその犯した罪をつぐなうことはできない。 + わたしはエジプトの国を出たときから、あなたの神、主である。わたしは祭の日のように、再びあなたを天幕に住まわせよう。 + わたしは預言者たちに語った。幻を多く示したのはわたしである。わたしは預言者たちによってたとえを語った。 + もしギレアデに不義があるなら、彼らは必ずむなしき者となる。もし彼らがギルガルで雄牛を犠牲にささげるなら、彼らの祭壇は畑のうねに積んだ石塚のようになる。 + (ヤコブはアラムの地に逃げっていった。イスラエルは妻をめとるために人に仕えた。彼は妻をめとるために羊を飼った。) + 主はひとりの預言者によって、イスラエルをエジプトから導き出し、ひとりの預言者によってこれを守られた。 + エフライムはいたく主を怒らせた。それゆえ主はその血のとがを彼の上にのこし、そのはずかしめを彼に返される。 + + + エフライムが物言えば、人々はおののいた。彼はイスラエルの中に自分を高くした。しかし彼はバアルによって罪を犯して死んだ。 + そして彼らは今もなおますます罪を犯し、その銀をもって自分のために像を鋳、巧みに偶像を造る。これは皆工人のわざである。彼らは言う、これに犠牲をささげよ、人々は子牛に口づけせよと。 + それゆえ彼らは朝の霧のように、すみやかに消えうせる露のように、打ち場から風に吹き去られるもみがらのように、また窓から出て行く煙のようになる。 + わたしはエジプトの国を出てからこのかた、あなたの神、主である。あなたはわたしのほかに神を知らない。わたしのほかに救う者はない。 + わたしは荒野で、またかわいた地で、あなたを知った。 + しかし彼らは食べて飽き、飽きて、その心が高ぶり、わたしを忘れた。 + それゆえ、わたしは彼らに向かって、ししのようになり、ひょうのように道のかたわらに潜んでうかがう。 + わたしは子を取られた熊のように彼らに出会って、その胸をかきさき、その所で、ししのようにこれを食い尽し、野の獣のようにこれをかき破る。 + イスラエルよ、わたしはあなたを滅ぼす。だれがあなたを助けることができよう。 + あなたを助けるあなたの王は今、どこにいるのか。あなたがかつて「わたしに王と君たちとを与えよ」と言ったあなたを保護すべき、すべてのつかさたちは今、どこにいるのか。 + わたしは怒りをもってあなたに王を与えた、また憤りをもってこれを奪い取った。 + エフライムの不義は包みおかれ、その罪は積みたくわえられてある。 + 子を産む女の苦しみが彼に臨む。彼は知恵のない子である。生れる時が来ても彼は産門にあらわれない。 + わたしは彼らを陰府の力から、あがなうことがあろうか。彼らを死から、あがなうことがあろうか。死よ、おまえの災はどこにあるのか。陰府よ、おまえの滅びはどこにあるのか。あわれみは、わたしの目から隠されている。 + たとい彼は葦のように栄えても、東風が吹いて来る。主の風が荒野から吹き起る。これがためにその源はかれ、その泉はかわく。それはすべての尊い物の宝庫をかすめ奪う。 + サマリヤはその神にそむいたので、その罪を負い、つるぎに倒れ、その幼な子は投げ砕かれ、そのはらめる女は引き裂かれる。 + + + イスラエルよ、あなたの神、主に帰れ。あなたは自分の不義によって、つまずいたからだ。 + あなたがたは言葉を携えて、主に帰って言え、「不義はことごとくゆるして、よきものを受けいれてください。わたしたちは自分のくちびるの実をささげます。 + アッスリヤはわたしたちを助けず、わたしたちは馬に乗りません。わたしたちはもはや自分たちの手のわざに向かって『われわれの神』とは言いません。みなしごはあなたによって、あわれみを得るでしょう」。 + わたしは彼らのそむきをいやし、喜んでこれを愛する。わたしの怒りは彼らを離れ去ったからである。 + わたしはイスラエルに対しては露のようになる。彼はゆりのように花咲き、ポプラのように根を張り、 + その枝は茂りひろがり、その麗しさはオリブの木のように、そのかんばしさはレバノンのようになる。 + 彼らは帰って来て、わが陰に住み、園のように栄え、ぶどうの木のように花咲き、そのかんばしさはレバノンの酒のようになる。 + エフライムよ、わたしは偶像となんの係わりがあろうか。あなたに答え、あなたを顧みる者はわたしである。わたしは緑のいとすぎのようだ。あなたはわたしから実を得る。 + 知恵のある者はだれか。その人にこれらのことを悟らせよ。悟りある者はだれか。その人にこれらのことを知らせよ。主の道は直く、正しき者はこれを歩む。しかし罪びとはこれにつまずく。 + +
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+ + ペトエルの子ヨエルに臨んだ主の言葉。 + 老人たちよ、これを聞け。すべてこの地に住む者よ、耳を傾けよ。あなたがたの世、またはあなたがたの先祖の世にこのような事があったか。 + これをあなたがたの子たちに語り、子たちはまたその子たちに語り、その子たちはまたこれを後の代に語り伝えよ。 + かみ食らういなごの残したものは、群がるいなごがこれを食い、群がるいなごの残したものは、とびいなごがこれを食い、とびいなごの残したものは、滅ぼすいなごがこれを食った。 + 酔える者よ、目をさまして泣け。すべて酒を飲む者よ、うまい酒のゆえに泣き叫べ。うまい酒はあなたがたの口から断たれるからだ。 + 一つの国民がわたしの国に攻めのぼってきた。その勢いは強く、その数は計られず、その歯はししの歯のようで、雌じしのきばをもっている。 + 彼らはわがぶどうの木を荒し、わがいちじくの木を折り、その皮をはだかにして捨てた。その枝は白くなった。 + あなたがたは若い時の夫のために荒布を腰にまとったおとめのように泣き悲しめ。 + 素祭と灌祭とは主の家に絶え、主に仕える祭司たちは嘆き悲しむ。 + 畑は荒れ、地は悲しむ。これは穀物が荒れはて、新しい酒は尽き、油も絶えるためである。 + 小麦および大麦のために、農夫たちよ、恥じよ、ぶどう作りたちよ、泣け。畑の収穫がうせ去ったからである。 + ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれ、ざくろ、やし、りんご、野のすべての木はしぼんだ。それゆえ楽しみは人の子らからかれうせた。 + 祭司たちよ、荒布を腰にまとい、泣き悲しめ。祭壇に仕える者たちよ、泣け。神に仕える者たちよ、来て、荒布をまとい、夜を過ごせ。素祭も灌祭もあなたがたの神の家から退けられたからである。 + あなたがたは断食を聖別し、聖会を召集し、長老たちを集め、国の民をことごとくあなたがたの神、主の家に集め、主に向かって叫べ。 + ああ、その日はわざわいだ。主の日は近く、全能者からの滅びのように来るからである。 + われわれの目の前に食物は絶え、われわれの神の家から喜びと楽しみが絶えたではないか。 + 種は土の下に朽ち、倉は荒れ、穀物がつきたので、穀倉はこわされる。 + いかに家畜はうめき鳴くか。牛の群れはさまよう。彼らには牧草がないからだ。羊の群れも滅びうせる。 + 主よ、わたしはあなたに向かって呼ばわる。火が荒野の牧草を焼き滅ぼし、炎が野のすべての木を焼き尽したからである。 + 野の獣もまたあなたに向かって呼ばわる。水の流れがかれはて、火が荒野の牧草を焼き滅ぼしたからである + + + あなたがたはシオンでラッパを吹け。わが聖なる山で警報を吹きならせ。国の民はみな、ふるいわななけ。主の日が来るからである。それは近い。 + これは暗く、薄暗い日、雲の群がるまっくらな日である。多くの強い民が暗やみのようにもろもろの山をおおう。このようなことは昔からあったことがなく、後の代々の年にも再び起ることがないであろう。 + 火は彼らの前を焼き、炎は彼らの後に燃える。彼らのこない前には、地はエデンの園のようであるが、その去った後は荒れ果てた野のようになる。これをのがれうるものは一つもない。 + そのかたちは馬のかたちのようであり、その走ることは軍馬のようである。 + 山の頂でとびおどる音は、戦車のとどろくようである。また刈り株を焼く火の炎の音のようであり、戦いの備えをした強い軍隊のようである。 + その前にもろもろの民はなやみ、すべての顔は色を失う。 + 彼らは勇士のように走り、兵士のように城壁によじ登る。彼らはおのおの自分の道を進んで行って、その道を踏みはずさない。 + 彼らは互におしあわず、おのおのその道を進み行く。彼らは武器の中にとびこんでも、身をそこなわない。 + 彼らは町にとび入り、城壁の上を走り、家々によじ登り、盗びとのように窓からはいる。 + 地は彼らの前におののき、天はふるい、日も月も暗くなり、星はその光を失う。 + 主はその軍勢の前で声をあげられる。その軍隊は非常に多いからである。そのみ言葉をなし遂げる者は強い。主の日は大いにして、はなはだ恐ろしいゆえ、だれがこれに耐えることができよう。 + 主は言われる、「今からでも、あなたがたは心をつくし、断食と嘆きと、悲しみとをもってわたしに帰れ。 + あなたがたは衣服ではなく、心を裂け」。あなたがたの神、主に帰れ。主は恵みあり、あわれみあり、怒ることがおそく、いつくしみが豊かで、災を思いかえされるからである。 + 神があるいは立ち返り、思いかえして祝福をその後に残し、素祭と灌祭とをあなたがたの神、主にささげさせられる事はないとだれが知るだろうか。 + シオンでラッパを吹きならせ。断食を聖別し、聖会を召集し、 + 民を集め、会衆を聖別し、老人たちを集め、幼な子、乳のみ子を集め、花婿をその家から呼びだし、花嫁をそのへやから呼びだせ。 + 主に仕える祭司たちは、廊と祭壇との間で泣いて言え、「主よ、あなたの民をゆるし、あなたの嗣業をもろもろの国民のうちに、そしりと笑い草にさせないでください。どうしてもろもろの国民に、『彼らの神はどこにいるのか』と言わせてよいでしょうか」。 + その時主は自分の地のために、ねたみを起し、その民をあわれまれた。 + 主は答えて、その民に言われた、「見よ、わたしは穀物と新しい酒と油とをあなたがたに送る。あなたがたはこれを食べて飽きるであろう。わたしは重ねてあなたがたにもろもろの国民のうちでそしりを受けさせない。 + わたしは北から来る者をあなたがたから遠ざけ、これをかわいた荒れ地に追いやり、その前の者を東の海に、その後の者を西の海に追いやる。その臭いにおいは起り、その悪しきにおいは上る。これは大いなる事をしたからである。 + 地よ恐るな、喜び楽しめ、主は大いなる事を行われたからである。 + 野のもろもろの獣よ、恐るな。荒野の牧草はもえいで、木はその実を結び、いちじくの木とぶどうの木とは豊かに実る。 + シオンの子らよ、あなたがたの神、主によって喜び楽しめ。主はあなたがたを義とするために秋の雨を賜い、またあなたがたのために豊かに雨を降らせ、前のように、秋の雨と春の雨とを降らせられる。 + 打ち場は穀物で満ち、石がめは新しい酒と油とであふれる。 + わたしがあなたがたに送った大軍、すなわち群がるいなご、とびいなご、滅ぼすいなご、かみ食らういなごの食った年をわたしはあなたがたに償う。 + あなたがたは、じゅうぶん食べて飽き、あなたがたに不思議なわざをなされたあなたがたの神、主のみ名をほめたたえる。わが民は永遠にはずかしめられることがない。 + あなたがたはイスラエルのうちにわたしのいることを知り、主なるわたしがあなたがたの神であって、ほかにないことを知る。わが民は永遠にはずかしめられることがない。 + その後わたしはわが霊をすべての肉なる者に注ぐ。あなたがたのむすこ、娘は預言をし、あなたがたの老人たちは夢を見、あなたがたの若者たちは幻を見る。 + その日わたしはまたわが霊をしもべ、はしために注ぐ。 + わたしはまた、天と地とにしるしを示す。すなわち血と、火と、煙の柱とがあるであろう。 + 主の大いなる恐るべき日が来る前に、日は暗く、月は血に変る。 + すべて主の名を呼ぶ者は救われる。それは主が言われたように、シオンの山とエルサレムとに、のがれる者があるからである。その残った者のうちに、主のお召しになる者がある。 + + + 見よ、わたしがユダとエルサレムとの幸福をもとに返すその日、その時、 + わたしは万国の民を集めて、これをヨシャパテの谷に携えくだり、その所でわが民、わが嗣業であるイスラエルのために彼らをさばく。彼らがわが民を諸国民のうちに散らして、わたしの地を分かち取ったからである。 + 彼らはわが民をくじ引きにし、遊女のために少年をわたし、酒のために少女を売って飲んだ。 + ツロとシドンよ、ペリシテのすべての地方よ、おまえたちは、わたしとなんのかかわりがあるか。おまえたちはわたしに報復をしようとするのか。もしおまえたちがわたしに報復しようとするなら、わたしは時をうつさず、すみやかに、おまえたちのおこないの報復をおまえたちの頭上にこさせる。 + これはおまえたちがわたしの銀と金とをとり、わたしの貴重な宝をおまえたちの宮に携え行き、 + またユダの人々とエルサレムの人々とをギリシヤびとに売って、その本国から遠く離れさせたからである。 + 見よ、わたしはおまえたちが売ったその所から彼らを起して、おまえたちのおこないの報復をおまえたちの頭上にこさせる。 + わたしはおまえたちのむすこ娘たちをユダの人々の手に売る。彼らはこれを遠い国びとであるシバびとに売ると、主は言われる」。 + もろもろの国民の中に宣べ伝えよ。戦いの備えをなし、勇士をふるい立たせ、兵士をことごとく近づかせ、のぼらせよ。 + あなたがたのすきを、つるぎに、あなたがたのかまを、やりに打ちかえよ。弱い者に「わたしは勇士である」と言わせよ。 + 周囲のすべての国民よ、急ぎ来て、集まれ。主よ、あなたの勇士をかしこにお下しください。 + もろもろの国民をふるい立たせ、ヨシャパテの谷にのぼらせよ。わたしはそこに座して、周囲のすべての国民をさばく。 + かまを入れよ、作物は熟した。来て踏め、酒ぶねは満ち、石がめはあふれている。彼らの悪が大きいからだ。 + 群衆また群衆は、さばきの谷におる。主の日がさばきの谷に近いからである。 + 日も月も暗くなり、星もその光を失う。 + 主はシオンから大声で叫び、エルサレムから声を出される。天も地もふるい動く。しかし主はその民の避け所、イスラエルの人々のとりでである。 + 「そこであなたがたは知るであろう、わたしはあなたがたの神、主であって、わが聖なる山シオンに住むことを。エルサレムは聖所となり、他国人は重ねてその中を通ることがない。 + その日もろもろの山にうまい酒がしたたり、もろもろの丘は乳を流し、ユダのすべての川は水を流す。泉は主の家から出て、シッテムの谷を潤す。 + エジプトは荒れ地となり、エドムは荒野となる。彼らはその国でユダの人々をしえたげ、罪なき者の血を流したからである。 + しかしユダは永遠に人の住む所となり、エルサレムは世々に保つ。 + わたしは彼らに血の報復をなし、とがある者をゆるさない。主はシオンに住まわれる」。 + +
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+ + テコアの牧者のひとりであるアモスの言葉。これはユダの王ウジヤの世、イスラエルの王ヨアシの子ヤラベアムの世、地震の二年前に、彼がイスラエルについて示されたものである。 + 彼は言った、「主はシオンからほえ、エルサレムから声を出される。牧者の牧場は嘆き、カルメルの頂は枯れる」。 + 主はこう言われる、「ダマスコの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが鉄のすり板で、ギレアデを踏みにじったからである。 + わたしはハザエルの家に火を送り、ベネハダデのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。 + わたしはダマスコの貫の木を砕き、アベンの谷から住民を断ち、ベテエデンから王のつえをとる者を断つ。スリヤの民はキルに捕えられて行く」と主は言われる。 + 主はこう言われる、「ガザの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが人々をことごとく捕えて行って、エドムに渡したからである。 + わたしはガザの石がきに火を送り、そのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。 + わたしはアシドドから住民を断ち、アシケロンから王のつえをとる者を断つ。わたしはまた手をかえしてエクロンを撃つ。そして残ったペリシテびとも滅びる」と主なる神は言われる。 + 主はこう言われる、「ツロの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが人々をことごとくエドムに渡し、また兄弟の契約を心に留めなかったからである。 + それゆえ、わたしはツロの石がきに火を送り、そのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす」。 + 主はこう言われる、「エドムの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼がつるぎをもってその兄弟を追い、全くあわれみの情を断ち、常に怒って、人をかき裂き、ながくその憤りを保ったからである。 + それゆえ、わたしはテマンに火を送り、ボズラのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす」。 + 主はこう言われる、「アンモンの人々の三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らがその国境を広げるために、ギレアデのはらんでいる女をひき裂いたからである。 + それゆえ、わたしはラバの石がきに火をはなち、そのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。これは戦いの日に、ときの声をもってせられ、つむじ風の日に、暴風をもってせられる。 + 彼らの王はそのつかさたちと共に捕えられて行く」と主は言われる。 + + + 主はこう言われる、「モアブの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼がエドムの王の骨を焼いて灰にしたからである。 + それゆえ、わたしはモアブに火を送り、ケリオテのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす。モアブは騒ぎと、ときの声と、ラッパの音の中に死ぬ。 + わたしはそのうちから、支配者を断ち、そのすべてのつかさを彼と共に殺す」と主は言われる。 + 主はこう言われる、「ユダの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが主の律法を捨て、その定めを守らず、その先祖たちが従い歩いた偽りの物に惑わされたからである。 + それゆえ、わたしはユダに火を送り、エルサレムのもろもろの宮殿を焼き滅ぼす」。 + 主はこう言われる、「イスラエルの三つのとが、四つのとがのために、わたしはこれを罰してゆるさない。これは彼らが正しい者を金のために売り、貧しい者をくつ一足のために売るからである。 + 彼らは弱い者の頭を地のちりに踏みつけ、苦しむ者の道をまげ、また父子ともにひとりの女のところへ行って、わが聖なる名を汚す。 + 彼らはすべての祭壇のかたわらに質に取った衣服を敷いて、その上に伏し、罰金をもって得た酒を、その神の家で飲む。 + さきにわたしはアモリびとを彼らの前から滅ぼした。これはその高きこと、香柏のごとく、その強きこと、かしの木のようであったが、わたしはその上の実と、下の根とを滅ぼした。 + わたしはまた、あなたがたをエジプトの地から連れ上り、四十年のあいだ荒野で、あなたがたを導き、アモリびとの地を獲させた。 + わたしはあなたがたの子らのうちから預言者を起し、あなたがたの若者のうちからナジルびとを起した。イスラエルの人々よ、そうではないか」と主は言われる。 + 「ところがあなたがたはナジルびとに酒を飲ませ、預言者に命じて『預言するな』と言う。 + 見よ、わたしは麦束をいっぱい積んだ車が物を圧するように、あなたがたをその所で圧する。 + 速く走る者も逃げ場を失い、強い者もその力をふるうことができず、勇士もその命を救うことができない。 + 弓をとる者も立つことができず、足早の者も自分を救うことができず、馬に乗る者もその命を救うことができない。 + 勇士のうちの雄々しい心の者もその日には裸で逃げる」と主は言われる。 + + + イスラエルの人々よ、主があなたがたに向かって言われたこと、わたしがエジプトの地から導き上った全家に向かって言ったこの言葉を聞け。 + 「地のもろもろのやからのうちで、わたしはただ、あなたがただけを知った。それゆえ、わたしはあなたがたのもろもろの罪のため、あなたがたを罰する。 + ふたりの者がもし約束しなかったなら、一緒に歩くだろうか。 + ししがもし獲物がなかったなら、林の中でほえるだろうか。若いししがもし物をつかまなかったなら、その穴から声を出すだろうか。 + もしわながなかったなら、鳥は地に張った網にかかるだろうか。網にもし何もかからなかったなら、地からとびあがるだろうか。 + 町でラッパが鳴ったなら、民は驚かないだろうか。主がなされるのでなければ、町に災が起るだろうか。 + まことに主なる神はそのしもべである預言者にその隠れた事を示さないでは、何事をもなされない。 + ししがほえる、だれが恐れないでいられよう。主なる神が語られる、だれが預言しないでいられよう」。 + アッスリヤにあるもろもろの宮殿、エジプトの地にあるもろもろの宮殿に宣べて言え、「サマリヤの山々に集まり、そのうちにある大いなる騒ぎと、その中で行われる暴虐とを見よ」と。 + 主は言われる、「彼らは正義を行うことを知らず、しえたげ取った物と奪い取った物とをそのもろもろの宮殿にたくわえている」。 + それゆえ主なる神はこう言われる、「敵がきて、この国を囲み、あなたの防備をあなたから取り除き、あなたのもろもろの宮殿はかすめられる」。 + 主はこう言われる、「羊飼がししの口から、羊の両足、あるいは片耳を取り返すように、サマリヤに住むイスラエルの人々も、長いすのすみや、寝台の一部を携えて救われるであろう」。 + 万軍の神、主なる神は言われる、「聞け、そしてヤコブの家に証言せよ。 + わたしはイスラエルのもろもろのとがを罰する日にベテルの祭壇を罰する。その祭壇の角は折れて、地に落ちる。 + わたしはまた冬の家と夏の家とを撃つ、象牙の家は滅び、大いなる家は消えうせる」と主は言われる。 + + + 「バシャンの雌牛どもよ、この言葉を聞け。あなたがたはサマリヤの山におり、弱い者をしえたげ、貧しい者を圧迫し、またその主人に向かって、『持ってきて、わたしたちに飲ませよ』と言う。 + 主なる神はご自分の聖なることによって誓われた、見よ、あなたがたの上にこのような時が来る。その時、人々はあなたがたをつり針にかけ、あなたがたの残りの者を魚つり針にかけて引いて行く。 + あなたがたはおのおのまっすぐに石がきの破れた所を出て、ハルモンに追いやられる」と主は言われる。 + 「あなたがたはベテルへ行って罪を犯し、ギルガルへ行って、とがを増し加えよ。朝ごとに、あなたがたの犠牲を携えて行け、三日ごとに、あなたがたの十分の一を携えて行け。 + 種を入れたパンの感謝祭をささげ、心よりの供え物をふれ示せ。イスラエルの人々よ、あなたがたはこのようにするのを好んでいる」と主なる神は言われる。 + 「わたしはまた、あなたがたのすべての町であなたがたの歯を清くし、あなたがたのすべての所でパンを乏しくした。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「わたしはまた、刈入れまでなお三月あるのに雨をとどめて、あなたがたの上にくださず、この町には雨を降らし、かの町には雨を降らさず、この畑は雨をえ、かの畑は雨をえないで枯れた。 + そこで二つ三つの町が一つの町によろめいて行って、水を飲んでも、飽くことができなかった。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「わたしは立ち枯れと腐り穂とをもってあなたがたを撃ち、あなたがたの園と、ぶどう畑とを荒した。いちじくの木とオリブの木とは、いなごが食った。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「わたしはエジプトにしたようにあなたがたのうちに疫病を送り、つるぎをもってあなたがたの若者を殺し、あなたがたの馬を奪い去り、あなたがたの宿営の臭気を上らせて、あなたがたの鼻をつかせた。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「わたしはあなたがたのうちの町を神がソドムとゴモラを滅ぼされた時のように滅ぼしたので、あなたがたは炎の中から取り出された燃えさしのようであった。それでも、あなたがたはわたしに帰らなかった」と主は言われる。 + 「それゆえイスラエルよ、わたしはこのようにあなたに行う。わたしはこれを行うゆえ、イスラエルよ、あなたの神に会う備えをせよ」。 + 見よ、彼は山を造り、風を創造し、人にその思いのいかなるかを示し、また、あけぼのを変えて暗やみとなし、地の高い所を踏まれる者、その名を万軍の神、主と言う。 + + + イスラエルの家よ、わたしが悲しみの歌をもって、あなたがたについて宣べるこの言葉を聞け、 + 「おとめイスラエルは倒れて、また起き上がらず、彼女はおのれの地に投げ倒されてこれを起す者がない」。 + 主なる神はこう言われる、「イスラエルの家では、千人出た町は百人残り、百人出た町は十人残る」。 + 主はイスラエルの家にこう言われる、「あなたがたはわたしを求めよ、そして生きよ。 + ベテルを求めるな、ギルガルに行くな。ベエルシバにおもむくな。ギルガルは必ず捕えられて行き、ベテルは無に帰するからである」。 + あなたがたは主を求めよ、そして生きよ。さもないと主は火のようにヨセフの家に落ち下られる。火はこれを焼くが、ベテルのためにこれを消す者はひとりもない。 + あなたがた、公道をにがよもぎに変え、正義を地に投げ捨てる者よ。 + プレアデスおよびオリオンを造り、暗黒を朝に変じ、昼を暗くして夜となし、海の水を呼んで、地のおもてに注がれる者、その名は主という。 + 主は滅びをたちまち強い者に臨ませられるので、滅びはついに城に臨む。 + 彼らは門にいて戒める者を憎み、真実を語る者を忌みきらう。 + あなたがたは貧しい者を踏みつけ、彼から麦の贈り物をとるゆえ、あなたがたは切り石の家を建てても、その中に住むことはできない。美しいぶどう畑を作っても、その酒を飲むことはできない。 + わたしは知る、あなたがたのとがは多く、あなたがたの罪は大きいからである。あなたがたは正しい者をしえたげ、まいないを取り、門で貧しい者を退ける。 + それゆえ、このような時には賢い者は沈黙する、これは悪い時だからである。 + 善を求めよ、悪を求めるな。そうすればあなたがたは生きることができる。またあなたがたが言うように、万軍の神、主はあなたがたと共におられる。 + 悪を憎み、善を愛し、門で公義を立てよ。万軍の神、主は、あるいはヨセフの残りの者をあわれまれるであろう。 + それゆえ、主なる万軍の神、主はこう言われる、「すべての広場で泣くことがあろう。すべてのちまたで人々は『悲しいかな、悲しいかな』と言う。また彼らは農夫を呼んできて嘆かせ、巧みな泣き女を招いて泣かせ、 + またすべてのぶどう畑にも泣くことがあろう。それはわたしがあなたがたの中を通るからである」と主は言われる。 + わざわいなるかな、主の日を望む者よ、あなたがたは何ゆえ主の日を望むのか。これは暗くて光がない。 + 人がししの前を逃れてもくまに出会い、また家にはいって、手を壁につけると、へびにかまれるようなものである。 + 主の日は暗くて、光がなく、薄暗くて輝きがないではないか。 + わたしはあなたがたの祭を憎み、かつ卑しめる。わたしはまた、あなたがたの聖会を喜ばない。 + たといあなたがたは燔祭や素祭をささげても、わたしはこれを受けいれない。あなたがたの肥えた獣の酬恩祭はわたしはこれを顧みない。 + あなたがたの歌の騒がしい音をわたしの前から断て。あなたがたの琴の音は、わたしはこれを聞かない。 + 公道を水のように、正義をつきない川のように流れさせよ。 + 「イスラエルの家よ、あなたがたは四十年の間、荒野でわたしに犠牲と供え物をささげたか。 + かえってあなたがたの王シクテをにない、あなたがたが自分で作ったあなたがたの偶像、星の神、キウンをになった。 + それゆえわたしはあなたがたをダマスコのかなたに捕え移す」と、その名を万軍の神ととなえられる主は言われる。 + + + 「わざわいなるかな、安らかにシオンにいる者、また安心してサマリヤの山にいる者、諸国民のかしらのうちの著名な人々で、イスラエルの家がきて従う者よ。 + カルネに渡って見よ。そこから大ハマテに行き、またペリシテびとのガテに下って見よ。彼らはこれらの国にまさっているか。彼らの土地はあなたがたの土地よりも大きいか。 + あなたがたは災の日を遠ざけ、強暴の座を近づけている。 + わざわいなるかな、みずから象牙の寝台に伏し、長いすの上に身を伸ばし、群れのうちから小羊を取り、牛舎のうちから子牛を取って食べ、 + 琴の音に合わせて歌い騒ぎ、ダビデのように楽器を造り出し、 + 鉢をもって酒を飲み、いとも尊い油を身にぬり、ヨセフの破滅を悲しまない者たちよ。 + それゆえ今、彼らは捕われて、捕われ人のまっ先に立って行く。そしてかの身を伸ばした者どもの騒ぎはやむであろう」。 + 主なる神はおのれによって誓われた、(万軍の神、主は言われる、)「わたしはヤコブの誇を忌みきらい、そのもろもろの宮殿を憎む。わたしはこの町とすべてその中にいる者を渡す」。 + 一つの家に十人の者が残っていても、彼らは死に、 + そしてその親戚、すなわちこれを焼く者は、骨を家から運びだすために、これを取り上げ、またその家の奥にいる者に向かって、「まだあなたと共にいる者があるか」と言い、「ない」との答がある時、かの人はまた「声を出すな、主の名をとなえるな」と言うであろう。 + 見よ、主は命じて、大きな家を撃って、みじんとなし、小さな家を撃って、切れ切れとされる。 + 馬は岩の上を走るだろうか。人は牛で海を耕すだろうか。ところがあなたがたは公道を毒に変じ、正義の実をにがよもぎに変じた。 + あなたがたはロデバルを喜び、「われわれは自分の力でカルナイムを得たではないか」と言う。 + それゆえ、万軍の神、主は言われる、「イスラエルの家よ、見よ、わたしは一つの国民を起して、あなたがたに敵対させる。彼らはハマテの入口からアラバの川まであなたがたを悩ます」。 + + + 主なる神はこのようにわたしに示された。見よ、二番草のはえ出る初めに主は、いなごを造られた。見よ、その二番草は王の刈った後に、はえたものである。 + そのいなごが地の青草を食い尽した時、わたしは言った、「主なる神よ、どうぞ、ゆるしてください。ヤコブは小さい者です、どうして立つことができましょう」。 + 主はこのことについて思いかえされ、「このことは起さない」と主は言われた。 + 主なる神はこのようにわたしに示された。見よ、主なる神はさばきのために火を呼ばれた。火は大淵を焼き、また地を焼こうとした。 + その時わたしは言った、「主なる神よ、どうぞ、やめてください。ヤコブは小さい者です、どうして立つことができましょう」。 + 主はこのことについて思いかえされ、「このこともまた起さない」と主なる神は言われた。 + また主はわたしに示された。見よ、主は測りなわをもって築いた石がきの上に立ち、その手に測りなわをもっておられた。 + そして主はわたしに言われた、「アモスよ、あなたは何を見るか」。「測りなわ」とわたしが答えると、主はまた言われた、「見よ、わたしは測りなわをわが民イスラエルの中に置く。わたしはもはや彼らを見過しにしない。 + イサクの高き所は荒され、イスラエルの聖所は荒れはてる。わたしはつるぎをもってヤラベアムの家に立ち向かう」。 + 時にベテルの祭司アマジヤは、イスラエルの王ヤラベアムに人をつかわして言う、「イスラエルの家のただ中で、アモスはあなたにそむきました。この地は彼のもろもろの言葉に耐えることができません。 + アモスはこのように言っています、『ヤラベアムはつるぎによって死ぬ、イスラエルは必ず捕えられて行って、その国を離れる』と」。 + それからアマジヤはアモスに言った、「先見者よ、行ってユダの地にのがれ、かの地でパンを食べ、かの地で預言せよ。 + しかしベテルでは二度と預言してはならない。ここは王の聖所、国の宮だから」。 + アモスはアマジヤに答えた、「わたしは預言者でもなく、また預言者の子でもない。わたしは牧者である。わたしはいちじく桑の木を作る者である。 + ところが主は群れに従っている所からわたしを取り、『行って、わが民イスラエルに預言せよ』と、主はわたしに言われた。 + それゆえ今、主の言葉を聞け。あなたは言う、『イスラエルに向かって預言するな、イサクの家に向かって語るな』と。 + それゆえ、主はこう言われる、『あなたの妻は町で遊女となり、あなたのむすこ、娘たちはつるぎに倒れ、あなたの地は測りなわで分かたれる。そしてあなたは汚れた地で死に、イスラエルは必ず捕えられて行って、その国を離れる』」。 + + + 主なる神は、このようにわたしに示された。見よ、ひとかごの夏のくだものがある。 + 主は言われた、「アモスよ、あなたは何を見るか」。わたしは「ひとかごの夏のくだもの」と答えた。すると主はわたしに言われた、「わが民イスラエルの終りがきた。わたしは再び彼らを見過しにしない。 + その日には宮の歌は嘆きに変り、しかばねがおびただしく、人々は無言でこれを至る所に投げ捨てる」と主なる神は言われる。 + あなたがた、貧しい者を踏みつけ、また国の乏しい者を滅ぼす者よ、これを聞け。 + あなたがたは言う、「新月はいつ過ぎ去るだろう、そうしたら、われわれは穀物を売ろう。安息日はいつ過ぎ去るだろう、そうしたら、われわれは麦を売り出そう。われわれはエパを小さくし、シケルを大きくし、偽りのはかりをもって欺き、 + 乏しい者を金で買い、貧しい者をくつ一足で買いとり、また、くず麦を売ろう」。 + 主はヤコブの誇をさして誓われた、「わたしは必ず彼らのすべてのわざをいつまでも忘れない。 + これがために地は震わないであろうか。地に住む者はみな嘆かないであろうか。地はみなナイル川のようにわきあがり、エジプトのナイル川のようにみなぎって、また沈まないであろうか」。 + 主なる神は言われる、「その日には、わたしは真昼に太陽を沈ませ、白昼に地を暗くし、 + あなたがたの祭を嘆きに変らせ、あなたがたの歌をことごとく悲しみの歌に変らせ、すべての人に荒布を腰にまとわせ、すべての人に髪をそり落させ、その日を、ひとり子を失った喪中のようにし、その終りを、苦い日のようにする」。 + 主なる神は言われる、「見よ、わたしがききんをこの国に送る日が来る、それはパンのききんではない、水にかわくのでもない、主の言葉を聞くことのききんである。 + 彼らは海から海へさまよい歩き、主の言葉を求めて、こなたかなたへはせまわる、しかしこれを得ないであろう。 + その日には美しいおとめも、若い男もかわきのために気を失う。 + かのサマリヤのアシマをさして誓い、『ダンよ、あなたの神は生きている』と言い、また『ベエルシバの道は生きている』と言う者どもは必ず倒れる。再び起きあがることはない」。 + + + わたしは祭壇のかたわらに立っておられる主を見た。主は言われた、「柱の頭を打って、敷居を震わせ、これを打ち砕いて、すべての民の頭の上に落ちかからせよ。その残った者を、わたしはつるぎで殺し、そのひとりも逃げおおす者はなく、のがれうる者はない。 + たとい彼らは陰府に掘り下っても、わたしの手はこれをそこから引き出す。たとい彼らは天によじのぼっても、わたしはそこからこれを引きおろす。 + たとい彼らはカルメルの頂に隠れても、わたしはこれを捜して、そこから引き出す。たとい彼らはわたしの目をのがれて、海の底に隠れても、わたしはへびに命じて、その所でこれをかませる。 + たとい彼らは捕われて、その敵の前に行っても、わたしはその所でつるぎに命じて、これを殺させる。わたしは彼らの上にわたしの目を注ぐ、それは災のためであって、幸のためではない」。 + 万軍の神、主が地に触れられると、地は溶け、その中に住む者はみな嘆き、地はみなナイル川のようにわきあがり、エジプトのナイル川のようにまた沈む。 + 主はご自分の高殿を天に築き、大空の基を地の上にすえ、海の水を呼んで、地のおもてに注がれる。その名は主ととなえられる。 + 主は言われる、「イスラエルの子らよ、あなたがたはわたしにとってエチオピヤびとのようではないか。わたしはイスラエルをエジプトの国から、ペリシテびとをカフトルから、スリヤびとをキルから導き上ったではないか。 + 見よ、主なる神の目はこの罪を犯した国の上に注がれている。わたしはこれを地のおもてから断ち滅ぼす。しかし、わたしはヤコブの家をことごとくは滅ぼさない」と主は言われる。 + 「見よ、わたしは命じて、人がふるいで物をふるうように、わたしはイスラエルの家を万国民のうちでふるう。ひと粒も地に落ちることはない。 + わが民の罪びと、すなわち『災はわれわれに近づかない、われわれに臨まない』と言う者どもはみな、つるぎで殺される。 + その日には、わたしはダビデの倒れた幕屋を興し、その破損を繕い、そのくずれた所を興し、これを昔の時のように建てる。 + これは彼らがエドムの残った者、およびわが名をもって呼ばれるすべての国民を所有するためである」とこの事をなされる主は言われる。 + 主は言われる、「見よ、このような時が来る。その時には、耕す者は刈る者に相継ぎ、ぶどうを踏む者は種まく者に相継ぐ。もろもろの山にはうまい酒がしたたり、もろもろの丘は溶けて流れる。 + わたしはわが民イスラエルの幸福をもとに返す。彼らは荒れた町々を建てて住み、ぶどう畑を作ってその酒を飲み、園を作ってその実を食べる。 + わたしは彼らをその地に植えつける。彼らはわたしが与えた地から再び抜きとられることはない」とあなたの神、主は言われる。 + +
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+ + オバデヤの幻。主なる神はエドムについてこう言われる、われわれは主から出たおとずれを聞いた。ひとりの使者が諸国民のうちにつかわされて言う、「立てよ、われわれは立ってエドムと戦おう」。 + 見よ、わたしはあなたを国々のうちで小さい者とする。あなたはひどく卑しめられる。 + 岩のはざまにおり、高い所に住む者よ、あなたの心の高ぶりは、あなたを欺いた。あなたは心のうちに言う、「だれがわたしを地に引き下らせる事ができるか」。 + たといあなたは、わしのように高くあがり、星の間に巣を設けても、わたしはそこからあなたを引きおろすと主は言われる。 + もし盗びとがあなたの所に来、強盗が夜きても、彼らは、ほしいだけ盗むではないか。ああ、あなたは全く滅ぼされてしまう。もしぶどうを集める者があなたの所に来たなら、彼らはなお余りの実を残さないであろうか。 + ああ、エサウはかすめられ、その隠しておいた宝は探り出される。 + あなたと契約を結んだ人々はみな、あなたを欺き、あなたを国境に追いやった。あなたと同盟を結んだ人々はあなたに勝った。あなたの信頼する友はあなたの下にわなを設けた、しかしその事を悟らない。 + 主は言われる、その日には、わたしはエドムから知者を滅ぼし、エサウの山から悟りを断ち除かないだろうか。 + テマンよ、あなたの勇士は驚き恐れる。人はみな殺されてエサウの山から断ち除かれる。 + あなたはその兄弟ヤコブに暴虐を行ったので、恥はあなたをおおい、あなたは永遠に断たれる。 + あなたが離れて立っていた日、すなわち異邦人がその財宝を持ち去り、外国人がその門におし入り、エルサレムをくじ引きにした日、あなたも彼らのひとりのようであった。 + しかしあなたは自分の兄弟の日、すなわちその災の日をながめていてはならなかった。あなたはユダの人々の滅びの日に、これを喜んではならず、その悩みの日に誇ってはならなかった。 + あなたはわが民の災の日に、その門にはいってはならず、その災の日にその苦しみをながめてはならなかった。またその災の日に、その財宝に手をかけてはならなかった。 + あなたは分れ道に立って、そののがれる者を切ってはならなかった。あなたは悩みの日にその残った者を敵にわたしてはならなかった。 + 主の日が万国の民に臨むのは近い。あなたがしたようにあなたもされる。あなたの報いはあなたのこうべに帰する。 + あなたがたがわが聖なる山で飲んだように、周囲のもろもろの民も飲む。すなわち彼らは飲んでよろめき、かつてなかったようになる。 + しかしシオンの山には、のがれる者がいて、聖なる所となる。またヤコブの家はその領地を獲る。 + ヤコブの家は火となり、ヨセフの家は炎となり、エサウの家はわらとなる。彼らはその中に燃えて、これを焼く。エサウの家には残る者がないようになると主は言われた。 + ネゲブの人々はエサウの山を獲、セフェラの人々はペリシテびとを獲る。また彼らはエフライムの地、およびサマリヤの地を獲、ベニヤミンはギレアデを獲る。 + ハラにいるイスラエルの人々の捕われ人は、フェニキヤをザレパテまで取り、セパラデにいるエルサレムの捕われ人は、ネゲブの町々を獲る。 + こうして救う者はシオンの山に上って、エサウの山を治める。そして王国は主のものとなる。 + +
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+ + 主の言葉がアミッタイの子ヨナに臨んで言った、 + 「立って、あの大きな町ニネベに行き、これに向かって呼ばわれ。彼らの悪がわたしの前に上ってきたからである」。 + しかしヨナは主の前を離れてタルシシへのがれようと、立ってヨッパに下って行った。ところがちょうど、タルシシへ行く船があったので、船賃を払い、主の前を離れて、人々と共にタルシシへ行こうと船に乗った。 + 時に、主は大風を海の上に起されたので、船が破れるほどの激しい暴風が海の上にあった。 + それで水夫たちは恐れて、めいめい自分の神を呼び求め、また船を軽くするため、その中の積み荷を海に投げ捨てた。しかし、ヨナは船の奥に下り、伏して熟睡していた。 + そこで船長は来て、彼に言った、「あなたはどうして眠っているのか。起きて、あなたの神に呼ばわりなさい。神があるいは、われわれを顧みて、助けてくださるだろう」。 + やがて人々は互に言った、「この災がわれわれに臨んだのは、だれのせいか知るために、さあ、くじを引いてみよう」。そして彼らが、くじを引いたところ、くじはヨナに当った。 + そこで人々はヨナに言った、「この災がだれのせいで、われわれに臨んだのか、われわれに告げなさい。あなたの職業は何か。あなたはどこから来たのか。あなたの国はどこか。あなたはどこの民か」。 + ヨナは彼らに言った、「わたしはヘブルびとです。わたしは海と陸とをお造りになった天の神、主を恐れる者です」。 + そこで人々ははなはだしく恐れて、彼に言った、「あなたはなんたる事をしてくれたのか」。人々は彼がさきに彼らに告げた事によって、彼が主の前を離れて、のがれようとしていた事を知っていたからである。 + 人々は彼に言った、「われわれのために海が静まるには、あなたをどうしたらよかろうか」。それは海がますます荒れてきたからである。 + ヨナは彼らに言った、「わたしを取って海に投げ入れなさい。そうしたら海は、あなたがたのために静まるでしょう。わたしにはよくわかっています。この激しい暴風があなたがたに臨んだのは、わたしのせいです」。 + しかし人々は船を陸にこぎもどそうとつとめたが、成功しなかった。それは海が彼らに逆らって、いよいよ荒れたからである。 + そこで人々は主に呼ばわって言った、「主よ、どうぞ、この人の生命のために、われわれを滅ぼさないでください。また罪なき血を、われわれに帰しないでください。主よ、これはみ心に従って、なされた事だからです」。 + そして彼らはヨナを取って海に投げ入れた。すると海の荒れるのがやんだ。 + そこで人々は大いに主を恐れ、犠牲を主にささげて、誓願を立てた。 + 主は大いなる魚を備えて、ヨナをのませられた。ヨナは三日三夜その魚の腹の中にいた。 + + + ヨナは魚の腹の中からその神、主に祈って、 + 言った、「わたしは悩みのうちから主に呼ばわると、主はわたしに答えられた。わたしが陰府の腹の中から叫ぶと、あなたはわたしの声を聞かれた。 + あなたはわたしを淵の中、海のまん中に投げ入れられた。大水はわたしをめぐり、あなたの波と大波は皆、わたしの上を越えて行った。 + わたしは言った、『わたしはあなたの前から追われてしまった、どうして再びあなたの聖なる宮を望みえようか』。 + 水がわたしをめぐって魂にまでおよび、淵はわたしを取り囲み、海草は山の根元でわたしの頭にまといついた。 + わたしは地に下り、地の貫の木はいつもわたしの上にあった。しかしわが神、主よ、あなたはわが命を穴から救いあげられた。 + わが魂がわたしのうちに弱っているとき、わたしは主をおぼえ、わたしの祈はあなたに至り、あなたの聖なる宮に達した。 + むなしい偶像に心を寄せる者は、そのまことの忠節を捨てる。 + しかしわたしは感謝の声をもって、あなたに犠牲をささげ、わたしの誓いをはたす。救は主にある」。 + 主は魚にお命じになったので、魚はヨナを陸に吐き出した。 + + + 時に主の言葉は再びヨナに臨んで言った、 + 「立って、あの大きな町ニネベに行き、あなたに命じる言葉をこれに伝えよ」。 + そこでヨナは主の言葉に従い、立って、ニネベに行った。ニネベは非常に大きな町であって、これを行きめぐるには、三日を要するほどであった。 + ヨナはその町にはいり、初め一日路を行きめぐって呼ばわり、「四十日を経たらニネベは滅びる」と言った。 + そこでニネベの人々は神を信じ、断食をふれ、大きい者から小さい者まで荒布を着た。 + このうわさがニネベの王に達すると、彼はその王座から立ち上がり、朝服を脱ぎ、荒布をまとい、灰の中に座した。 + また王とその大臣の布告をもって、ニネベ中にふれさせて言った、「人も獣も牛も羊もみな、何をも味わってはならない。物を食い、水を飲んではならない。 + 人も獣も荒布をまとい、ひたすら神に呼ばわり、おのおのその悪い道およびその手にある強暴を離れよ。 + あるいは神はみ心をかえ、その激しい怒りをやめて、われわれを滅ぼされないかもしれない。だれがそれを知るだろう」。 + 神は彼らのなすところ、その悪い道を離れたのを見られ、彼らの上に下そうと言われた災を思いかえして、これをおやめになった。 + + + ところがヨナはこれを非常に不快として、激しく怒り、 + 主に祈って言った、「主よ、わたしがなお国におりました時、この事を申したではありませんか。それでこそわたしは、急いでタルシシにのがれようとしたのです。なぜなら、わたしはあなたが恵み深い神、あわれみあり、怒ることおそく、いつくしみ豊かで、災を思いかえされることを、知っていたからです。 + それで主よ、どうぞ今わたしの命をとってください。わたしにとっては、生きるよりも死ぬ方がましだからです」。 + 主は言われた、「あなたの怒るのは、よいことであろうか」。 + そこでヨナは町から出て、町の東の方に座し、そこに自分のために一つの小屋を造り、町のなりゆきを見きわめようと、その下の日陰にすわっていた。 + 時に主なる神は、ヨナを暑さの苦痛から救うために、とうごまを備えて、それを育て、ヨナの頭の上に日陰を設けた。ヨナはこのとうごまを非常に喜んだ。 + ところが神は翌日の夜明けに虫を備えて、そのとうごまをかませられたので、それは枯れた。 + やがて太陽が出たとき、神が暑い東風を備え、また太陽がヨナの頭を照したので、ヨナは弱りはて、死ぬことを願って言った、「生きるよりも死ぬ方がわたしにはましだ」。 + しかし神はヨナに言われた、「とうごまのためにあなたの怒るのはよくない」。ヨナは言った、「わたしは怒りのあまり狂い死にそうです」。 + 主は言われた、「あなたは労せず、育てず、一夜に生じて、一夜に滅びたこのとうごまをさえ、惜しんでいる。 + ましてわたしは十二万あまりの、右左をわきまえない人々と、あまたの家畜とのいるこの大きな町ニネベを、惜しまないでいられようか」。 + +
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+ + ユダの王ヨタム、アハズおよびヒゼキヤの世に、モレシテびとミカが、サマリヤとエルサレムについて示された主の言葉。 + あなたがたすべての民よ、聞け。地とその中に満てる者よ、耳を傾けよ。主なる神はあなたがたにむかって証言し、主はその聖なる宮から証言される。 + 見よ、主はそのご座所から出てこられ、下ってきて地の高い所を踏まれる。 + 山は彼の下に溶け、谷は裂け、火の前のろうのごとく、坂に流れる水のようだ。 + これはみなヤコブのとがのゆえ、イスラエルの家の罪のゆえである。ヤコブのとがとは何か、サマリヤではないか。ユダの家の罪とは何か、エルサレムではないか。 + このゆえにわたしはサマリヤを野の石塚となし、ぶどうを植える所となし、またその石を谷に投げ落し、その基をあらわにする。 + その彫像はみな砕かれ、その獲た価はみな火で焼かれる。わたしはその偶像をことごとくこわす。これは遊女の価から集めたのだから、遊女の価に帰る。 + わたしはこれがために嘆き悲しみ、はだしと裸で歩きまわり、山犬のように嘆き、だちょうのように悲しみ鳴く。 + サマリヤの傷はいやすことのできないもので、ユダまでひろがり、わが民の門、エルサレムまで及んでいる。 + ガテに告げるな、泣き叫ぶな。ベテレアフラで、ちりの中にころがれ。 + サピルに住む者よ、裸になり、恥をこうむって進み行け。ザアナンに住む者は出てこない。ベテエゼルの嘆きはあなたがたからその跡を断つ。 + マロテに住む者は気づかわしそうに幸を待つ。災が主から出て、エルサレムの門に臨んだからである。 + ラキシに住む者よ、戦車に早馬をつなげ。ラキシはシオンの娘にとって罪の初めであった。イスラエルのとがが、あなたがたのうちに見られたからである。 + それゆえ、あなたはモレセテ・ガテに別れの贈り物を与える。アクジブの家々はイスラエルの王たちにとって、人を欺くものとなる。 + マレシャに住む者よ、わたしはまた侵略者をあなたの所に連れて行く。イスラエルの栄光はアドラムに去るであろう。 + あなたの喜ぶ子らのために、あなたの髪をそり落せ。そのそった所をはげたかのように大きくせよ。彼らは捕えられてあなたを離れるからである。 + + + その床の上で不義を計り、悪を行う者はわざわいである。彼らはその手に力あるゆえ、夜が明けるとこれを行う。 + 彼らは田畑をむさぼってこれを奪い、家をむさぼってこれを取る。彼らは人をしえたげてその家を奪い、人をしえたげてその嗣業を奪う。 + それゆえ、主はこう言われる、見よ、わたしはこのやからにむかって災を下そうと計る。あなたがたはその首をこれから、はずすことはできない。また、まっすぐに立って歩くことはできない。これは災の時だからである。 + その日、人々は歌を作ってあなたがたをののしり、悲しみの歌をもって嘆き悲しみ、「われわれはことごとく滅ぼされる、わが民の分は人に与えられる。どうしてこれはわたしから離れるのであろう。われわれの田畑はわれわれを捕えた者の間に分け与えられる」と言う。 + それゆえ、主の会衆のうちにはくじによって測りなわを張る者はひとりもなくなる。 + 彼らは言う、「あなたがたは説教してはならない。そのような事について説教してはならない。そうすればわれわれは恥をこうむることがない」と。 + ヤコブの家よ、そんなことは言えるのだろうか。主は気短な方であろうか。これらは主のみわざなのであろうか。わが言葉は正しく歩む者に、益とならないのであろうか。 + ところが、あなたがたは立ってわが民の敵となり、いくさのことを知らずに、安らかに過ぎゆく者から、平和な者から、上着をはぎ取り、 + わが民の女たちをその楽しい家から追い出し、その子どもから、わが栄えをとこしえに奪う。 + 立って去れ、これはあなたがたの休み場所ではない。これは汚れのゆえに滅びる。その滅びは悲惨な滅びだ。 + もし人が風に歩み、偽りを言い、「わたしはぶどう酒と濃き酒とについて、あなたに説教しよう」と言うならば、その人はこの民の説教者となるであろう。 + ヤコブよ、わたしは必ずあなたをことごとく集め、イスラエルの残れる者を集める。わたしはこれをおりの羊のように、牧場の中の群れのように共におく。これは人の多きによって騒がしくなる。 + 打ち破る者は彼らに先だって登りゆき、彼らは門を打ち破り、これをとおって外に出て行く。彼らの王はその前に進み、主はその先頭に立たれる。 + + + わたしは言った、ヤコブのかしらたちよ、イスラエルの家のつかさたちよ、聞け、公義はあなたがたの知っておるべきことではないか。 + あなたがたは善を憎み、悪を愛し、わが民の身から皮をはぎ、その骨から肉をそぎ、 + またわが民の肉を食らい、その皮をはぎ、その骨を砕き、これを切りきざんで、なべに入れる食物のようにし、大なべに入れる肉のようにする。 + こうして彼らが主に呼ばわっても、主はお答えにならない。かえってその時には、み顔を彼らに隠される。彼らのおこないが悪いからである。 + わが民を惑わす預言者について主はこう言われる、彼らは食べ物のある時には、「平安」を叫ぶけれども、その口に何も与えない者にむかっては、宣戦を布告する。 + それゆえ、あなたがたには夜があっても幻がなく、暗やみがあっても占いがない。太陽はその預言者たちに没し、昼も彼らの上に暗くなる。 + 先見者は恥をかき、占い師は顔をあからめ、彼らは皆そのくちびるをおおう。神の答がないからである。 + しかしわたしは主のみたまによって力に満ち、公義と勇気とに満たされ、ヤコブにそのとがを示し、イスラエルにその罪を示すことができる。 + ヤコブの家のかしらたち、イスラエルの家のつかさたちよ、すなわち公義を憎み、すべての正しい事を曲げる者よ、これを聞け。 + あなたがたは血をもってシオンを建て、不義をもってエルサレムを建てた。 + そのかしらたちは、まいないをとってさばき、その祭司たちは価をとって教え、その預言者たちは金をとって占う。しかもなお彼らは主に寄り頼んで、「主はわれわれの中におられるではないか、だから災はわれわれに臨むことがない」と言う。 + それゆえ、シオンはあなたがたのゆえに田畑となって耕され、エルサレムは石塚となり、宮の山は木のおい茂る高い所となる。 + + + 末の日になって、主の家の山はもろもろの山のかしらとして堅く立てられ、もろもろの峰よりも高くあげられ、もろもろの民はこれに流れくる。 + 多くの国民は来て言う、「さあ、われわれは主の山に登り、ヤコブの神の家に行こう。彼はその道をわれわれに教え、われわれはその道に歩もう」と。律法はシオンから出、主の言葉はエルサレムから出るからである。 + 彼は多くの民の間をさばき、遠い所まで強い国々のために仲裁される。そこで彼らはつるぎを打ちかえて、すきとし、そのやりを打ちかえて、かまとし、国は国にむかってつるぎをあげず、再び戦いのことを学ばない。 + 彼らは皆そのぶどうの木の下に座し、そのいちじくの木の下にいる。彼らを恐れさせる者はない。これは万軍の主がその口で語られたことである。 + すべての民はおのおのその神の名によって歩む。しかしわれわれはわれわれの神、主の名によって、とこしえに歩む。 + 主は言われる、その日には、わたしはかの足のなえた者を集め、またかの追いやられた者およびわたしが苦しめた者を集め、 + その足のなえた者を残れる民とし、遠く追いやられた者を強い国民とする。主はシオンの山で、今よりとこしえに彼らを治められる。 + 羊の群れのやぐら、シオンの娘の山よ、以前の主権はあなたに帰ってくる。すなわちエルサレムの娘の国はあなたに帰ってくる。 + 今あなたは何ゆえわめき叫ぶのか、あなたのうちに王がないのか。あなたの相談相手は絶えはて、産婦のように激しい痛みがあなたを捕えたのか。 + シオンの娘よ、産婦のように苦しんでうめけ。あなたは今、町を出て野にやどり、バビロンに行かなければならない。その所であなたは救われる。主はその所であなたを敵の手からあがなわれる。 + いま多くの国民はあなたに逆らい、集まって言う、「どうかシオンが汚されるように、われわれの目がシオンを見てあざ笑うように」と。 + しかし彼らは主の思いを知らず、またその計画を悟らない。すなわち主が麦束を打ち場に集めるように、彼らを集められることを悟らない。 + シオンの娘よ、立って打ちこなせ。わたしはあなたの角を鉄となし、あなたのひずめを青銅としよう。あなたは多くの民を打ち砕き、彼らのぶんどり物を主にささげ、彼らの富を全地の主にささげる。 + + + 今あなたは壁でとりまかれている。敵はわれわれを攻め囲み、 つえをもってイスラエルのつかさのほおを撃つ。 + しかしベツレヘム・エフラタよ、あなたはユダの氏族のうちで小さい者だが、イスラエルを治める者があなたのうちからわたしのために出る。その出るのは昔から、いにしえの日からである。 + それゆえ、産婦の産みおとす時まで、主は彼らを渡しおかれる。その後その兄弟たちの残れる者はイスラエルの子らのもとに帰る。 + 彼は主の力により、その神、主の名の威光により、立ってその群れを養い、彼らを安らかにおらせる。今、彼は大いなる者となって、地の果にまで及ぶからである。 + これは平和である。アッスリヤびとがわれわれの国に来て、われわれの土地を踏むとき、七人の牧者を起し、八人の君を起してこれに当らせる。 + 彼らはつるぎをもってアッスリヤの地を治め、ぬきみのつるぎをもってニムロデの地を治める。アッスリヤびとがわれわれの地に来て、われわれの境を踏み荒すとき、彼らはアッスリヤびとから、われわれを救う。 + その時ヤコブの残れる者は多くの民の中にあること、人によらず、また人の子らを待たずに主からくだる露のごとく、青草の上に降る夕立ちのようである。 + またヤコブの残れる者が国々の中におり、多くの民の中にいること、林の獣の中のししのごとく、羊の群れの中の若いししのようである。それが過ぎるときは踏み、かつ裂いて救う者はない。 + あなたの手はもろもろのあだの上にあげられ、あなたの敵はことごとく断たれる。 + 主は言われる、その日には、わたしはあなたのうちから馬を絶やし、戦車をこわし、 + あなたの国の町々を絶やし、あなたの城をことごとくくつがえす。 + またあなたの手から魔術を絶やす。あなたのうちには占い師がないようになる。 + またあなたのうちから彫像および石の柱を絶やす。あなたは重ねて手で作った物を拝むことはない。 + またあなたのうちからアシラ像を抜き倒し、あなたの町々を滅ぼす。 + そしてわたしは怒りと憤りとをもってその聞き従わないもろもろの国民に復讐する。 + + + あなたがたは主の言われることを聞き、立ちあがって、もろもろの山の前に訴えをのべ、もろもろの丘にあなたの声を聞かせよ。 + もろもろの山よ、地の変ることなき基よ、主の言い争いを聞け。主はその民と言い争い、イスラエルと論争されるからである。 + 「わが民よ、わたしはあなたに何をなしたか、何によってあなたを疲れさせたか、わたしに答えよ。 + わたしはエジプトの国からあなたを導きのぼり、奴隷の家からあなたをあがない出し、モーセ、アロンおよびミリアムをつかわして、あなたに先だたせた。 + わが民よ、モアブの王バラクがたくらんだ事、ベオルの子バラムが彼に答えた事、シッテムからギルガルに至るまでに起った事どもを思い起せ。そうすれば、あなたは主の正義のみわざを知るであろう」。 + 「わたしは何をもって主のみ前に行き、高き神を拝すべきか。燔祭および当歳の子牛をもってそのみ前に行くべきか。 + 主は数千の雄羊、万流の油を喜ばれるだろうか。わがとがのためにわが長子をささぐべきか。わが魂の罪のためにわが身の子をささぐべきか」。 + 人よ、彼はさきによい事のなんであるかをあなたに告げられた。主のあなたに求められることは、ただ公義をおこない、いつくしみを愛し、へりくだってあなたの神と共に歩むことではないか。 + 主の声が町にむかって呼ばわる――全き知恵はあなたの名を恐れることである――「部族および町の会衆よ、聞け。 + わたしは悪人の家にある不義の財宝、のろうべき不正な枡を忘れ得ようか。 + 不正なはかりを用い、偽りのおもしを入れた袋を用いる人をわたしは罪なしとするだろうか。 + あなたのうちの富める人は暴虐で満ち、あなたの住民は偽りを言い、その舌は口で欺くことをなす。 + それゆえ、わたしはあなたを撃ち、あなたをその罪のために滅ぼすことを始めた。 + あなたは食べても、飽くことがなく、あなたの腹はいつもひもじい。あなたは移しても、救うことができない。あなたが救う者を、わたしはつるぎにわたす。 + あなたは種をまいても、刈ることがなく、オリブの実を踏んでも、その身に油を塗ることがなく、ぶどうを踏んでも、その酒を飲むことがない。 + あなたはオムリの定めを守り、アハブの家のすべてのわざをおこない、彼らの計りごとに従って歩んだ。これはわたしがあなたを荒し、その住民を笑い物とするためである。あなたがたは民のはずかしめを負わねばならぬ」。 + + + わざわいなるかな、わたしは夏のくだものを集める時のように、ぶどうの収穫の残りを集める時のようになった。食らうべきぶどうはなく、わが心の好む初なりのいちじくもない。 + 神を敬う人は地に絶え、人のうちに正しい者はない。みな血を流そうと待ち伏せし、おのおの網をもってその兄弟を捕える。 + 両手は悪い事をしようと努めてやまない。つかさと裁判官はまいないを求め、大いなる人はその心の悪い欲望を言いあらわし、こうして彼らはその悪を仕組む。 + 彼らの最もよい者もいばらのごとく、最も正しい者もいばらのいけがきのようだ。彼らの見張びとの日、すなわち彼らの刑罰の日が来る。いまや彼らの混乱が近い。 + あなたがたは隣り人を信じてはならない。友人をたのんではならない。あなたのふところに寝る者にも、あなたの口の戸を守れ。 + むすこは父をいやしめ、娘はその母にそむき、嫁はそのしゅうとめにそむく。人の敵はその家の者である。 + しかし、わたしは主を仰ぎ見、わが救の神を待つ。わが神はわたしの願いを聞かれる。 + わが敵よ、わたしについて喜ぶな。たといわたしが倒れるとも起きあがる。たといわたしが暗やみの中にすわるとも、主はわが光となられる。 + 主はわが訴えを取りあげ、わたしのためにさばきを行われるまで、わたしは主の怒りを負わなければならない。主に対して罪を犯したからである。主はわたしを光に導き出してくださる。わたしは主の正義を見るであろう。 + その時「あなたの神、主はどこにいるか」とわたしに言ったわが敵は、これを見て恥をこうむり、わが目は彼を見てあざ笑う。彼は街路の泥のように踏みつけられる。 + あなたの城壁を築く日が来る。その日には国境が遠く広がる。 + その日にはアッスリヤからエジプトまで、エジプトからユフラテ川まで、海から海まで、山から山まで、人々はあなたに来る。 + しかしかの地はその住民のゆえに、そのおこないの実によって荒れはてる。 + どうか、あなたのつえをもってあなたの民、すなわち園の中の林にひとりおるあなたの嗣業の羊を牧し、いにしえの日のようにバシャンとギレアデで、彼らを養ってください。 + あなたがエジプトの国を出た時のように、わたしはもろもろの不思議な事を彼らに示す。 + 国々の民は見て、そのすべての力を恥じ、その手を口にあて、その耳は聞えぬ耳となる。 + 彼らはへびのように、地に這うもののようにちりをなめ、震えながらその城から出、おののきつつ、われわれの神、主に近づいてきて、あなたのために恐れる。 + だれかあなたのように不義をゆるし、その嗣業の残れる者のためにとがを見過ごされる神があろうか。神はいつくしみを喜ばれるので、その怒りをながく保たず、 + 再びわれわれをあわれみ、われわれの不義を足で踏みつけられる。あなたはわれわれのもろもろの罪を海の深みに投げ入れ、 + 昔からわれわれの先祖たちに誓われたように、真実をヤコブに示し、いつくしみをアブラハムに示される。 + +
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+ + ニネベについての託宣。エルコシびとナホムの幻の書。 + 主はねたみ、かつあだを報いる神、主はあだを報いる者、また憤る者、主はおのがあだに報復し、おのが敵に対して憤りをいだく。 + 主は怒ることおそく、力強き者、主は罰すべき者を決してゆるされない者、主の道はつむじ風と大風の中にあり、雲はその足のちりである。 + 彼は海を戒めて、これをかわかし、すべての川をかれさせる。バシャンとカルメルはしおれ、レバノンの花はしぼむ。 + もろもろの山は彼の前に震い、もろもろの丘は溶け、地は彼の前にむなしくなり、世界とその中に住む者も皆、むなしくなる。 + だれが彼の憤りの前に立つことができよう。だれが彼の燃える怒りに耐えることができよう。その憤りは火のように注がれ、岩も彼によって裂かれる。 + 主は恵み深く、なやみの日の要害である。彼はご自分を避け所とする者を知っておられる。 + しかし、彼はみなぎる洪水であだを全く滅ぼし、おのが敵を暗やみに追いやられる。 + あなたがたは主に対して何を計るか。彼はその敵に二度としかえしをする必要がないように敵を全く滅ぼされる。 + 彼らは結びからまったいばらのように、かわいた刈り株のように、焼き尽される。 + 主に対して悪事を計り、よこしまな事を勧める者があなたのうちから出たではないか。 + 主はこう言われる、「たとい彼らは強く、かつ多くあっても、切り倒されて絶えはてる。わたしはあなたを苦しめたが、重ねてあなたを苦しめない。 + 今わたしは彼のくびきを砕いて、あなたからとり除き、あなたのなわめを切りはなす」。 + 主はあなたについてお命じになった、「あなたの名は長く続かない。わたしはあなたの神々の家から、彫像および鋳造を除き去る。あなたは罪深い者だから、わたしはあなたの墓を設ける」。 + 見よ、良きおとずれを伝える者の足は山の上にある。彼は平安を宣べている。ユダよ、あなたの祭を行い、あなたの誓願をはたせ。よこしまな者は重ねて、あなたに向かって攻めてこないからである。彼は全く断たれる。 + + + 撃ち破る者があなたに向かって上って来る。城を守れ、道をうかがえ。腰に帯せよ、大いに力を強くせよ。 + 主はヤコブの栄えを回復して、イスラエルの栄えのようにされる。かすめる者が彼らをかすめ、そのぶどうづるを、そこなったからである。 + その勇士の盾は赤くいろどられ、その兵士は紅に身をよろう。戦車はその備えの日に、火のように輝き、軍馬はおどる。 + 戦車はちまたに狂い走り、大路に飛びかける。彼らはたいまつのように輝き、いなずまのように飛びかける。 + 将士らは召集され、彼らはその道でつまずき倒れ、城壁に向かって急いで行って大盾を備える。 + 川々の門は開け、宮殿はあわてふためく。 + その王妃は裸にされて、捕われゆき、その侍女たちは悲しみ、胸を打って、はとのようにうめく。 + ニネベは池のようであったが、その水は注ぎ出された。「立ち止まれ、立ち止まれ」と呼んでも、ふりかえるものもない。 + 銀を奪え、金を奪え。その宝は限りなく、もろもろの尊い物はおびただしい。 + 消えうせ、むなしくなり、荒れはてた。心は消え、ひざは震え、すべての腰には痛みがあり、すべての顔は色を失った。 + ししのすみかはどこであるか。若いししの穴はどこであるか。そこに雄じしはその獲物を携え行き、その子じしと共にいても、これを恐れさせる者はない。 + 雄じしはその子じしのために引き裂き、雌じしのために獲物を絞め殺し、獲物をもってその穴を満たし、引き裂いた肉をもってそのすみかを満たした。 + 万軍の主は言われる、見よ、わたしはあなたに臨む。わたしはあなたの戦車を焼いて煙にする。つるぎはあなたの若いししを滅ぼす。わたしはまた、あなたの獲物を地から断つ。あなたの使者の声は重ねて聞かれない。 + + + わざわいなるかな、血を流す町。その中には偽りと、ぶんどり物が満ち、略奪はやまない。 + むちの音がする。車輪のとどろく音が聞える。かける馬があり、走る戦車がある。 + 騎兵は突撃し、つるぎがきらめき、やりがひらめく。殺される者はおびただしく、しかばねは山をなす。死体は数限りなく、人々はその死体につまずく。 + これは皆あでやかな遊女の恐るべき魔力と、多くの淫行のためであって、その淫行をもって諸国民を売り、その魔力をもって諸族を売り渡したものである。 + 万軍の主は言われる、見よ、わたしはあなたに臨む、わたしはあなたのすそを顔の上まであげ、あなたの裸を諸民に見せ、あなたの恥じる所を諸国に見せる。 + わたしは汚らわしい物を、あなたの上に投げかけて、あなたをはずかしめ、あなたを見ものとする。 + すべてあなたを見るものは、あなたを避けて逃げ去って言う、「ニネベは滅びた」と。だれがこのために嘆こう。わたしはどこから彼女を慰める者を、尋ね出し得よう。 + あなたはテーベにまさっているか。これはナイル川のかたわらに座し、水をその周囲にめぐらし、海をとりでとなし、水をその垣としている。 + その力はエチオピヤ、またエジプトであって、限りがない。プトびと、リビヤびともその助け手であった。 + しかし、これもとりことなって捕えられて行き、その子供もすべてのちまたのかどで打ち砕かれ、その尊い人々はくじで分けられ、その大いなる人々は皆、鎖につながれた。 + あなたもまた酔わされて気を失い、あなたは敵を避けて逃げ場を求める。 + あなたのとりでは皆初なりの実をもつ、いちじくの木のようだ。これをゆすぶればその実は落ちて、食べようとする者の口にはいる。 + 見よ、あなたのうちにいる兵士は女のようだ。あなたの国の門はあなたの敵の前に広く開かれ、火はあなたの貫の木を焼いた。 + 籠城のために水をくめ。あなたのとりでを堅めよ。粘土の中にはいって、しっくいを踏み、れんがの型をとれ。 + その所で火はあなたを焼き、つるぎはあなたを切る。それはいなごのようにあなたを食い滅ぼす。あなたはいなごのように数を増せ。ばったのようにふえよ。 + あなたは自分の商人を天の星よりも多くした。いなごは羽をはって飛び去る。 + あなたの君たちは、ばったのように、あなたの学者たちは、いなごのように、寒い日には垣にとまり、日が出て来ると飛び去る。そのありかはだれも知らない。 + アッスリヤの王よ、あなたの牧者は眠り、あなたの貴族はまどろむ。あなたの民は山の上に散らされ、これを集める者はない。 + あなたの破れは、いえることがなく、あなたの傷は重い。あなたのうわさを聞く者は皆、あなたの事について手を打つ。あなたの悪を常に身に受けなかったような者が、だれひとりあるか。 + +
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+ + 預言者ハバククが見た神の託宣。 + 主よ、わたしが呼んでいるのに、いつまであなたは聞きいれて下さらないのか。わたしはあなたに「暴虐がある」と訴えたが、あなたは助けて下さらないのか。 + あなたは何ゆえ、わたしによこしまを見せ、何ゆえ、わたしに災を見せられるのか。略奪と暴虐がわたしの前にあり、また論争があり、闘争も起っている。 + それゆえ、律法はゆるみ、公義は行われず、悪人は義人を囲み、公義は曲げて行われている。 + 諸国民のうちを望み見て、驚け、そして怪しめ。わたしはあなたがたの日に一つの事をする。人がこの事を知らせても、あなたがたはとうてい信じまい。 + 見よ、わたしはカルデヤびとを興す。これはたけく、激しい国民であって、地を縦横に行きめぐり、自分たちのものでないすみかを奪う。 + これはきびしく、恐ろしく、そのさばきと威厳とは彼ら自身から出る。 + その馬はひょうよりも速く、夜のおおかみよりも荒い。その騎兵は威勢よく進む。すなわち、その騎兵は遠い所から来る。彼らは物を食おうと急ぐわしのように飛ぶ。 + 彼らはみな暴虐のために来る。彼らを恐れる恐れが彼らの前を行く。彼らはとりこを砂のように集める。 + 彼らは王たちを侮り、つかさたちをあざける。彼らはすべての城をあざ笑い、土を積み上げてこれを奪う。 + こうして、彼らは風のようになぎ倒して行き過ぎる。彼らは罪深い者で、おのれの力を神となす。 + わが神、主、わが聖者よ。あなたは永遠からいますかたではありませんか。わたしたちは死んではならない。主よ、あなたは彼らをさばきのために備えられた。岩よ、あなたは彼らを懲しめのために立てられた。 + あなたは目が清く、悪を見られない者、また不義を見られない者であるのに、何ゆえ不真実な者に目をとめていられるのですか。悪しき者が自分よりも正しい者を、のみ食らうのに、何ゆえ黙っていられるのですか。 + あなたは人を海の魚のようにし、治める者のない這う虫のようにされる。 + 彼はつり針でこれをことごとくつり上げ、網でこれを捕え、引き網でこれを集め、こうして彼は喜び楽しむ。 + それゆえ、彼はその網に犠牲をささげ、その引き網に香をたく。これによって彼はぜいたくに暮し、その食物も豊かになるからである。 + それで、彼はいつまでもその網の獲物を取り入れて、無情にも諸国民を殺すのであろうか。 + + + わたしはわたしの見張所に立ち、物見やぐらに身を置き、望み見て、彼がわたしになんと語られるかを見、またわたしの訴えについてわたし自らなんと答えたらよかろうかを見よう。 + 主はわたしに答えて言われた、「この幻を書き、これを板の上に明らかにしるし、走りながらも、これを読みうるようにせよ。 + この幻はなお定められたときを待ち、終りをさして急いでいる。それは偽りではない。もしおそければ待っておれ。それは必ず臨む。滞りはしない。 + 見よ、その魂の正しくない者は衰える。しかし義人はその信仰によって生きる。 + また、酒は欺くものだ。高ぶる者は定まりがない。彼の欲は陰府のように広い。彼は死のようであって、飽くことなく、万国をおのれに集め、万民をおのれのものとしてつどわせる」。 + これらは皆ことわざをもって彼をあざけり、あざけりのなぞをもって彼をあざ笑わないだろうか。すなわち言う、「わざわいなるかな、おのれに属さないものを増し加える者よ。いつまでこのようであろうか。質物でおのれを重くする者よ」。 + あなたの負債者は、にわかに興らないであろうか。あなたを激しくゆすぶる者は目ざめないであろうか。その時あなたは彼らにかすめられる。 + あなたは多くの国民をかすめたゆえ、そのもろもろの民の残れる者は皆あなたをかすめる。これは人の血を流し、国と町と、その中に住むすべての者に暴虐を行ったからである。 + わざわいなるかな、災の手を免れるために高い所に巣を構えようと、おのが家のために不義の利を取る者よ。 + あなたは事をはかって自分の家に恥を招き、多くの民を滅ぼして、自分の生命を失った。 + 石は石がきから叫び、梁は建物からこれに答えるからである。 + わざわいなるかな、血をもって町を建て、悪をもって町を築く者よ。 + 見よ、もろもろの民は火のために労し、もろもろの国びとはむなしい事のために疲れる。これは万軍の主から出る言葉ではないか。 + 海が水でおおわれているように、地は主の栄光の知識で満たされるからである。 + わざわいなるかな、その隣り人に怒りの杯を飲ませて、これを酔わせ、彼らの隠し所を見ようとする者よ。 + あなたは誉の代りに恥に飽き、あなたもまた飲んでよろめけ。主の右の手の杯は、あなたに巡り来る。恥はあなたの誉に代る。 + あなたがレバノンになした暴虐は、あなたを倒し、獣のような滅亡は、あなたを恐れさせる。これは人の血を流し、国と町と、町の中に住むすべての者に、暴虐を行ったからである。 + 刻める像、鋳像および偽りを教える者は、その作者がこれを刻んだとてなんの益があろうか。その作者が物言わぬ偶像を造って、その造ったものに頼んでみても、なんの益があろうか。 + わざわいなるかな、木に向かって、さめよと言い、物言わぬ石に向かって、起きよと言う者よ。これは黙示を与え得ようか。見よ、これは金銀をきせたもので、その中には命の息は少しもない。 + しかし、主はその聖なる宮にいます、全地はそのみ前に沈黙せよ。 + + + シギヨノテの調べによる、預言者ハバククの祈。 + 主よ、わたしはあなたのことを聞きました。主よ、わたしはあなたのみわざを見て恐れます。この年のうちにこれを新たにし、この年のうちにこれを知らせてください。怒る時にもあわれみを思いおこしてください。 + 神はテマンからこられ、聖者はパランの山からこられた。その栄光は天をおおい、そのさんびは地に満ちた。 [セラ + その輝きは光のようであり、その光は彼の手からほとばしる。かしこにその力を隠す。 + 疫病はその前に行き、熱病はその後に従う。 + 彼は立って、地をはかり、彼は見て、諸国民をおののかせられる。とこしえの山は散らされ、永遠の丘は沈む。彼の道は昔のとおりである。 + わたしが見ると、クシャンの天幕に悩みがあり、ミデアンの国の幕は震う。 + 主よ、あなたが馬に乗り、勝利の戦車に乗られる時、あなたは川に向かって怒られるのか。川に向かって憤られるのか。あるいは海に向かって立腹されるのか。 + あなたの弓は取り出された。矢は、弦につがえられた。 [セラ あなたは川をもって地を裂かれた。 + 山々はあなたを見て震い、荒れ狂う水は流れいで、淵は声を出して、その手を高くあげた。 + 飛び行くあなたの矢の光のために、電光のようにきらめく、あなたのやりのために、日も月もそのすみかに立ち止まった。 + あなたは憤って地を行きめぐり、怒って諸国民を踏みつけられた。 + あなたはあなたの民を救うため、あなたの油そそいだ者を救うために出て行かれた。あなたは悪しき者の頭を砕き、彼を腰から首まで裸にされた。 [セラ + あなたはあなたのやりで将軍の首を刺しとおされた。彼らはわたしを散らそうとして、つむじ風のように来、貧しい者をひそかに、のみ滅ぼすことを楽しみとした。 + あなたはあなたの馬を使って、海と大水のさかまくところを踏みつけられた。 + わたしは聞いて、わたしのからだはわななき、わたしのくちびるはその声を聞いて震える。腐れはわたしの骨に入り、わたしの歩みは、わたしの下によろめく。わたしはわれわれに攻め寄せる民の上に悩みの日の臨むのを静かに待とう。 + いちじくの木は花咲かず、ぶどうの木は実らず、オリブの木の産はむなしくなり、田畑は食物を生ぜず、おりには羊が絶え、牛舎には牛がいなくなる。 + しかし、わたしは主によって楽しみ、わが救の神によって喜ぶ。 + 主なる神はわたしの力であって、わたしの足を雌じかの足のようにし、わたしに高い所を歩ませられる。これを琴に合わせ、聖歌隊の指揮者によって歌わせる。 + +
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+ + ユダの王アモンの子ヨシヤの世に、ゼパニヤに臨んだ主の言葉。ゼパニヤはクシの子、クシはゲダリヤの子、ゲダリヤはアマリヤの子、アマリヤはヒゼキヤの子である。 + 主は言われる、「わたしは地のおもてからすべてのものを一掃する」。 + 主は言われる、「わたしは人も獣も一掃し、空の鳥、海の魚をも一掃する。わたしは悪人を倒す。わたしは地のおもてから人を絶ち滅ぼす」。 + 「わたしはユダとエルサレムのすべての住民との上に手を伸べる。わたしはこの所からバアルの残党と、偶像の祭司の名とを断つ。 + また屋上で天の万象を拝む者、主に誓いを立てて拝みながら、またミルコムをさして誓う者、 + 主にそむいて従わない者、主を求めず、主を尋ねない者を断つ」。 + 主なる神の前に沈黙せよ。主の日は近づき、主はすでに犠牲を備え、その招いた者を聖別されたからである。 + 主の犠牲をささげる日に、「わたしはつかさたちと王の子たち、およびすべて異邦の衣服を着る者を罰する。 + その日にわたしはまた、すべて敷居をとび越え、暴虐と欺きとを自分の主君の家に満たす者を罰する」。 + 主は言われる、「その日には魚の門から叫び声がおこり、第二の町からうめき声がおこり、もろもろの丘からすさまじい響きがおこる。 + しっくいの家の住民よ、泣き叫べ。あきないする民は皆滅ぼされ、銀を量る者は皆断たれるからである。 + その時、わたしはともしびをもって、エルサレムを尋ねる。そして滓の上に凝り固まり、その心の中で『主は良いことも、悪いこともしない』と言う人々をわたしは罰する。 + 彼らの財宝はかすめられ、彼らの家は荒れはてる。彼らは家を建てても、それに住むことができない、ぶどう畑を作っても、そのぶどう酒を飲むことができない」。 + 主の大いなる日は近い、近づいて、すみやかに来る。主の日の声は耳にいたい。そこに、勇士もいたく叫ぶ。 + その日は怒りの日、なやみと苦しみの日、荒れ、また滅びる日、暗く、薄暗い日、雲と黒雲の日、 + ラッパとときの声の日、堅固な町と高いやぐらを攻める日である。 + わたしは人々になやみを下して、盲人のように歩かせる。彼らが主に対して罪を犯したからである。彼らの血はちりのように流され、彼らの肉は糞土のように捨てられる。 + 彼らの銀も金も、主の怒りの日には彼らを救うことができない。全地は主のねたみの火にのまれる。主は地に住む人々をたちまち滅ぼし尽される。 + + + あなたがた、恥を知らぬ民よ、共につどい、集まれ。 + すなわち、もみがらのように追いやられる前に、主の激しい怒りがまだあなたがたに臨まない前に、主の憤りの日がまだあなたがたに来ない前に。 + すべて主の命令を行うこの地のへりくだる者よ、主を求めよ。正義を求めよ。謙遜を求めよ。そうすればあなたがたは主の怒りの日に、あるいは隠されることがあろう。 + ともあれ、ガザは捨てられ、アシケロンは荒れはて、アシドドは真昼に追い払われ、エクロンは抜き去られる。 + わざわいなるかな、海べに住む者、ケレテの国民。ペリシテびとの地、カナンよ、主の言葉があなたがたに臨む。わたしはあなたを滅ぼして、住む者がないようにする。 + 海べよ、あなたは牧場となり、羊飼の牧草地となり、また羊のおりとなる。 + 海べはユダの家の残りの者に帰する。彼らはその所で群れを養い、夕暮にはアシケロンの家に伏す。彼らの神、主が彼らを顧み、その幸福を回復されるからである。 + 「わたしはモアブのあざけりと、アンモンの人々の、ののしりを聞いた。彼らはわが民をあざけり、自ら誇って彼らの国境を侵した。 + それゆえ、万軍の主、イスラエルの神は言われる、わたしは生きている。モアブは必ずソドムのようになる。アンモンの人々はゴモラのようになる。いらくさと塩穴とがここを占領して、永遠に荒れ地となる。わが民の残りの者は彼らをかすめ、わが国民の残りの者はこれを所有する」。 + この事の彼らに臨むのはその高ぶりによるのだ。彼らが万軍の主の民をあざけり、みずから誇ったからである。 + 主は彼らに対して恐るべき者となられる。主は地のすべての神々を飢えさせられる。もろもろの国の民は、おのおの自分の所から出て主を拝む。 + エチオピヤびとよ、あなたがたもまたわがつるぎによって殺される。 + 主はまた北に向かって手を伸べ、アッスリヤを滅ぼし、ニネベを荒して、荒野のような、かわいた地とされる。 + 家畜の群れ、もろもろの野の獣はその中に伏し、はげたかや、やまあらしはその柱の頂に住み、ふくろうは、その窓のうちになき、からすは、その敷居の上に鳴く。その香柏の細工が裸にされるからである。 + この町は勝ち誇って、安らかに落ち着き、その心の中で、「ただわたしだけだ、わたしの外にはだれもない」と言った町であるが、このように荒れはてて、獣の伏す所になってしまった。ここを通り過ぎる者は皆あざけって、手を振る。 + + + わざわいなるかな、このそむき汚れた暴虐の町。 + これはだれの声にも耳を傾けず、懲しめを受けいれず、主に寄り頼まず、おのれの神に近よらない。 + その中にいるつかさたちは、ほえるしし、そのさばきびとたちは、夜のおおかみで、彼らは朝まで何一つ残さない。 + その預言者たちは、放縦で偽りびと、その祭司たちは聖なる物を汚し、律法を破る。 + その中にいます主は義であって、不義を行われない。朝ごとにその公義を現して、誤ることがない。しかし不義な者は恥を知らない。 + 「わたしは諸国民を滅ぼした。そのやぐらは荒れはてた。わたしはそのちまたを荒したので、ちまたを行き来する者もない。その町々は荒れすたれて、人の姿もなく、住む者もない。 + わたしは言った、『これは必ずわたしを恐れ、懲しめを受ける。これはわたしが命じたすべての事を見失わない』と。しかし彼らはしきりに自分の行状を乱した」。 + 主は言われる、「それゆえ、あなたがたは、わたしが立って、証言する日を待て。わたしの決意は諸国民をよせ集め、もろもろの国を集めて、わが憤り、わが激しい怒りをことごとくその上に注ぐことであって、全地は、ねたむわたしの怒りの火に焼き滅ぼされるからである。 + その時わたしはもろもろの民に清きくちびるを与え、すべて彼らに主の名を呼ばせ、心を一つにして主に仕えさせる。 + わたしを拝む者、わたしが散らした者の娘はエチオピヤの川々の向こうから来て、わたしに供え物をささげる。 + その日には、あなたはわたしにそむいたすべてのわざのゆえに、はずかしめられることはない。その時わたしはあなたのうちから、高ぶって誇る者どもを除くゆえ、あなたは重ねてわが聖なる山で、高ぶることはない。 + わたしは柔和にしてへりくだる民を、あなたのうちに残す。彼らは主の名を避け所とする。 + イスラエルの残りの者は不義を行わず、偽りを言わず、その口には欺きの舌を見ない。それゆえ、彼らは食を得て伏し、彼らをおびやかす者はいない」。 + シオンの娘よ、喜び歌え。イスラエルよ、喜び呼ばわれ。エルサレムの娘よ、心のかぎり喜び楽しめ。 + 主はあなたを訴える者を取り去り、あなたの敵を追い払われた。イスラエルの王なる主はあなたのうちにいます。あなたはもはや災を恐れることはない。 + その日、人々はエルサレムに向かって言う、「シオンよ、恐れるな。あなたの手を弱々しくたれるな。 + あなたの神、主はあなたのうちにいまし、勇士であって、勝利を与えられる。彼はあなたのために喜び楽しみ、その愛によってあなたを新にし、祭の日のようにあなたのために喜び呼ばわられる」。 + 「わたしはあなたから悩みを取り去る。あなたは恥を受けることはない。 + 見よ、その時あなたをしえたげる者をわたしはことごとく処分し、足なえを救い、追いやられた者を集め、彼らの恥を誉にかえ、全地にほめられるようにする。 + その時、わたしはあなたがたを連れかえる。わたしがあなたがたを集めるとき、わたしがあなたがたの目の前に、あなたがたの幸福を回復するとき、地のすべての民の中で、あなたがたに名を得させ、誉を得させる」と主は言われる。 + +
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+ + ダリヨス王の二年六月、その月の一日に、主の言葉が預言者ハガイによって、シャルテルの子、ユダの総督ゼルバベル、およびヨザダクの子、大祭司ヨシュアに臨んだ、 + 「万軍の主はこう言われる、この民は、主の家を再び建てる時は、まだこないと言っている」。 + そこで、主の言葉はまた預言者ハガイに臨んだ、 + 「主の家はこのように荒れはてているのに、あなたがたは、みずから板で張った家に住んでいる時であろうか。 + それで今、万軍の主はこう言われる、あなたがたは自分のなすべきことをよく考えるがよい。 + あなたがたは多くまいても、取入れは少なく、食べても、飽きることはない。飲んでも、満たされない。着ても、暖まらない。賃銀を得ても、これを破れた袋に入れているようなものである。 + 万軍の主はこう言われる、あなたがたは、自分のなすべきことを考えるがよい。 + 山に登り、木を持ってきて主の家を建てよ。そうすればわたしはこれを喜び、かつ栄光のうちに現れると主は言われる。 + あなたがたは多くを望んだが、見よ、それは少なかった。あなたがたが家に持ってきたとき、わたしはそれを吹き払った。これは何ゆえであるかと、万軍の主は言われる。これはわたしの家が荒れはてているのに、あなたがたは、おのおの自分の家の事だけに、忙しくしている。 + それゆえ、あなたがたの上の天は露をさし止め、地はその産物をさし止めた。 + また、わたしは地にも、山にも、穀物にも、新しい酒にも、油にも、地に生じるものにも、人間にも、家畜にも、手で作るすべての作物にも、ひでりを呼び寄せた」。 + そこで、シャルテルの子ゼルバベルとヨザダクの子、大祭司ヨシュアおよび残りのすべての民は、その神、主の声と、その神、主のつかわされた預言者ハガイの言葉とに聞きしたがい、そして民は、主の前に恐れかしこんだ。 + 時に、主の使者ハガイは主の命令により、民に告げて言った、「わたしはあなたがたと共にいると主は言われる」。 + そして主は、シャルテルの子、ユダの総督ゼルバベルの心と、ヨザダクの子、大祭司ヨシュアの心、および残りのすべての民の心を、振り動かされたので、彼らは来て、その神、万軍の主の家の作業にとりかかった。 + これは六月二十四日のことであった。 + + + ダリヨス王の二年の七月二十一日に、主の言葉が預言者ハガイに臨んだ、 + 「シャルテルの子、ユダの総督ゼルバベルと、ヨザダクの子、大祭司ヨシュア、および残りのすべての民に告げて言え、 + 『あなたがた残りの者のうち、以前の栄光に輝く主の家を見た者はだれか。あなたがたは今、この状態をどう思うか。これはあなたがたの目には、無にひとしいではないか。 + 主は言われる、ゼルバベルよ、勇気を出せ。ヨザダクの子、大祭司ヨシュアよ、勇気を出せ。主は言われる。この地のすべての民よ、勇気を出せ。働け。わたしはあなたがたと共にいると、万軍の主は言われる。 + これはあなたがたがエジプトから出た時、わたしがあなたがたに、約束した言葉である。わたしの霊が、あなたがたのうちに宿っている。恐れるな。 + 万軍の主はこう言われる、しばらくして、いま一度、わたしは天と、地と、海と、かわいた地とを震う。 + わたしはまた万国民を震う。万国民の財宝は、はいって来て、わたしは栄光をこの家に満たすと、万軍の主は言われる。 + 銀はわたしのもの、金もわたしのものであると、万軍の主は言われる。 + 主の家の後の栄光は、前の栄光よりも大きいと、万軍の主は言われる。わたしはこの所に繁栄を与えると、万軍の主は言われる』」。 + ダリヨスの二年の九月二十四日に、主の言葉が預言者ハガイに臨んだ、 + 「万軍の主はこう言われる、律法について祭司たちに尋ねて言え、 + 『人がその衣服のすそで聖なる肉を運んで行き、そのすそがもし、パンまたはあつもの、または酒、または油、またはどんな食物にでもさわったなら、それらは聖なるものとなるか』と」。祭司たちは「ならない」と答えた。 + ハガイはまた言った、「もし、死体によって汚れた人が、これらの一つにさわったなら、それは汚れるか」。祭司たちは「汚れる」と答えた。 + そこで、ハガイは言った、「主は言われる、この民も、この国も、わたしの前では、そのようである。またその手のわざもそのようである。その所で彼らのささげるものは、汚れたものである。 + 今、あなたがたはこの日から、後の事を思うがよい。主の宮で石の上に石が積まれなかった前、あなたがたは、どんなであったか。 + あの時には、二十枡の麦の積まれる所に行ったが、わずかに十枡を得、また五十桶をくもうとして、酒ぶねに行ったが、二十桶を得たのみであった。 + わたしは立ち枯れと、腐り穂と、ひょうをもってあなたがたと、あなたがたのすべての手のわざを撃った。しかし、あなたがたは、わたしに帰らなかったと主は言われる。 + あなたがたはこの日より後、すなわち、九月二十四日よりの事を思うがよい。また主の宮の基をすえた日から後の事を心にとめるがよい。 + 種はなお、納屋にあるか。ぶどうの木、いちじくの木、ざくろの木、オリブの木もまだ実を結ばない。しかし、わたしはこの日から、あなたがたに恵みを与える」。 + この月の二十四日に、主の言葉がふたたびハガイに臨んだ、 + 「ユダの総督ゼルバベルに告げて言え、わたしは天と地を震う。 + わたしは国々の王位を倒し、異邦の国々の力を滅ぼし、また戦車、およびこれに乗る者を倒す。馬およびこれに乗る者は、たがいにその仲間のつるぎによって倒れる。 + 万軍の主は言われる、シャルテルの子、わがしもべゼルバベルよ、主は言われる、その日、わたしはあなたを立て、あなたを印章のようにする。わたしはあなたを選んだからであると、万軍の主は言われる」。 + +
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+ + ダリヨスの第二年の八月に、主の言葉がイドの子ベレキヤの子である預言者ゼカリヤに臨んだ、 + 「主はあなたがたの先祖たちに対して、いたくお怒りになった。 + それゆえ、万軍の主はこう仰せられると、彼らに告げよ。万軍の主は仰せられる、わたしに帰れ、そうすれば、わたしもあなたがたに帰ろうと、万軍の主は仰せられる。 + あなたがたの先祖たちのようであってはならない。先の預言者たちは、彼らにむかって叫んで言った、『万軍の主はこう仰せられる、悪い道を離れ、悪いおこないを捨てて帰れ』と。しかし彼らは聞きいれず、耳をわたしに傾けなかったと主は言われる。 + あなたがたの先祖たち、彼らはどこにいるか。預言者たち、彼らは永遠に生きているのか。 + しかしわたしのしもべである預言者たちに命じたわが言葉と、わが定めとは、あなたがたの先祖たちに及んだではないか。それで彼らは立ち返って言った、『万軍の主がわれわれの道にしたがい、おこないに従って、われわれに、なそうと思い定められたように、そのとおりされたのだ』と」。 + ダリヨスの第二年の十一月、すなわちセバテという月の二十四日に、主の言葉がイドの子ベレキヤの子である預言者ゼカリヤに臨んだ。そしてゼカリヤは言った、 + 「わたしは夜、見ていると、ひとりの人が赤馬に乗って、谷間にあるミルトスの木の中に立ち、その後に赤馬、栗毛の馬、白馬がいた。 + その時わたしが『わが主よ、これらはなんですか』と尋ねると、わたしと語る天の使は言った、『これがなんであるか、あなたに示しましょう』。 + すると、ミルトスの木の中に立っている人が答えて、『これらは地を見回らせるために、主がつかわされた者です』と言うと、 + 彼らは答えて、ミルトスの中に立っている主の使に言った、『われわれは地を見回ったが、全地はすべて平穏です』。 + すると主の使は言った、『万軍の主よ、あなたは、いつまでエルサレムとユダの町々とを、あわれんで下さらないのですか。あなたはお怒りになって、すでに七十年になりました』。 + 主はわたしと語る天の使に、ねんごろな慰めの言葉をもって答えられた。 + そこで、わたしと語る天の使は言った、『あなたは呼ばわって言いなさい。万軍の主はこう仰せられます、わたしはエルサレムのため、シオンのために、大いなるねたみを起し、 + 安らかにいる国々の民に対して、大いに怒る。なぜなら、わたしが少しばかり怒ったのに、彼らは、大いにこれを悩ましたからであると。 + それゆえ、主はこう仰せられます、わたしはあわれみをもってエルサレムに帰る。わたしの家はその中に建てられ、測りなわはエルサレムに張られると、万軍の主は仰せられます。 + あなたはまた呼ばわって言いなさい。万軍の主はこう仰せられます、わが町々は再び良い物で満ちあふれ、主は再びシオンを慰め、再びエルサレムを選ぶ』と」。 + わたしが目をあげて見ていると、見よ、四つの角があった。 + わたしと語る天の使に「これらはなんですか」と言うと、彼は答えて言った、「これらはユダ、イスラエルおよびエルサレムを散らした角です」。 + その時、主は四人の鍛冶をわたしに示された。 + わたしが「これらは何をするために来たのですか」と言うと、彼は答えた、「これらの角はユダを散らして、人にその頭をあげさせなかったものですが、この四人の者が来たのは彼らをおどし、かのユダの地にむかって角をあげ、これを散らした国々の民の角を投げうつためです」。 + + + またわたしが目をあげて見ていると、見よ、ひとりの人が、測りなわを手に持っているので、 + 「あなたはどこへ行くのですか」と尋ねると、その人はわたしに言った、「エルサレムを測って、その広さと、長さを見ようとするのです」。 + すると見よ、わたしと語る天の使が出て行くと、またひとりの天の使が出てきて、これに出会って、 + 言った、「走って行って、あの若い人に言いなさい、『エルサレムはその中に、人と家畜が多くなるので、城壁のない村里のように、人の住む所となるでしょう。 + 主は仰せられます、わたしはその周囲で火の城壁となり、その中で栄光となる』と」。 + 主は仰せられる、さあ、北の地から逃げて来なさい。わたしはあなたがたを、天の四方の風のように散らしたからである。 + さあ、バビロンの娘と共にいる者よ、シオンにのがれなさい。 + あなたがたにさわる者は、彼の目の玉にさわるのであるから、あなたがたを捕えていった国々の民に、その栄光にしたがって、わたしをつかわされた万軍の主は、こう仰せられる、 + 「見よ、わたしは彼らの上に手を振る。彼らは自分に仕えた者のとりことなる。その時あなたがたは万軍の主が、わたしをつかわされたことを知る。 + 主は言われる、シオンの娘よ、喜び歌え。わたしが来て、あなたの中に住むからである。 + その日には、多くの国民が主に連なって、わたしの民となる。わたしはあなたの中に住む。 + あなたは万軍の主が、わたしをあなたにつかわされたことを知る。主は聖地で、ユダを自分の分として取り、エルサレムを再び選ばれるであろう」。 + すべて肉なる者よ、主の前に静まれ。主はその聖なるすみかから立ちあがられたからである。 + + + 時に主は大祭司ヨシュアが、主の使の前に立ち、サタンがその右に立って、これを訴えているのをわたしに示された。 + 主はサタンに言われた、「サタンよ、主はあなたを責めるのだ。すなわちエルサレムを選んだ主はあなたを責めるのだ。これは火の中から取り出した燃えさしではないか」。 + ヨシュアは汚れた衣を着て、み使の前に立っていたが、 + み使は自分の前に立っている者どもに言った、「彼の汚れた衣を脱がせなさい」。またヨシュアに向かって言った、「見よ、わたしはあなたの罪を取り除いた。あなたに祭服を着せよう」。 + わたしは言った、「清い帽子を頭にかぶらせなさい」。そこで清い帽子を頭にかぶらせ、衣を彼に着せた。主の使はかたわらに立っていた。 + 主の使は、ヨシュアを戒めて言った、 + 「万軍の主は、こう仰せられる、あなたがもし、わたしの道に歩み、わたしの務を守るならば、わたしの家をつかさどり、わたしの庭を守ることができる。わたしはまた、ここに立っている者どもの中に行き来することを得させる。 + 大祭司ヨシュアよ、あなたも、あなたの前にすわっている同僚たちも聞きなさい。彼らはよいしるしとなるべき人々だからである。見よ、わたしはわたしのしもべなる枝を生じさせよう。 + 万軍の主は言われる、見よ、ヨシュアの前にわたしが置いた石の上に、すなわち七つの目をもっているこの一つの石の上に、わたしはみずから文字を彫刻する。そしてわたしはこの地の罪を、一日の内に取り除く。 + 万軍の主は言われる、その日には、あなたがたはめいめいその隣り人を招いて、ぶどうの木の下、いちじくの木の下に座すのである」。 + + + わたしと語った天の使がまた来て、わたしを呼びさました。わたしは眠りから呼びさまされた人のようであった。 + 彼がわたしに向かって「何を見るか」と言ったので、わたしは言った、「わたしが見ていると、すべて金で造られた燭台が一つあって、その上に油を入れる器があり、また燭台の上に七つのともしび皿があり、そのともしび皿は燭台の上にあって、これにおのおの七本ずつの管があります。 + また燭台のかたわらに、オリブの木が二本あって、一本は油をいれる器の右にあり、一本はその左にあります」。 + わたしはまたわたしと語る天の使に言った、「わが主よ、これらはなんですか」。 + わたしと語る天の使は答えて、「あなたはそれがなんであるか知らないのですか」と言ったので、わたしは「わが主よ、知りません」と言った。 + すると彼はわたしに言った、「ゼルバベルに、主がお告げになる言葉はこれです。万軍の主は仰せられる、これは権勢によらず、能力によらず、わたしの霊によるのである。 + 大いなる山よ、おまえは何者か。おまえはゼルバベルの前に平地となる。彼は『恵みあれ、これに恵みあれ』と呼ばわりながら、かしら石を引き出すであろう」。 + 主の言葉がわたしに臨んで言うには、 + 「ゼルバベルの手はこの宮の礎をすえた。彼の手はこれを完成する。その時あなたがたは万軍の主が、わたしをあなたがたにつかわされたことを知る。 + だれでも小さい事の日をいやしめた者は、ゼルバベルの手に、下げ振りのあるのを見て、喜ぶ。これらの七つのものは、あまねく全地を行き来する主の目である」。 + わたしはまた彼に尋ねて、「燭台の左右にある、この二本のオリブの木はなんですか」と言い、 + 重ねてまた「この二本の金の管によって、油をそれから注ぎ出すオリブの二枝はなんですか」と言うと、 + 彼はわたしに答えて、「あなたはそれがなんであるか知らないのですか」と言ったので、「わが主よ、知りません」と言った。 + すると彼は言った、「これらはふたりの油そそがれた者で、全地の主のかたわらに立つ者です」。 + + + わたしがまた目をあげて見ていると、飛んでいる巻物を見た。 + 彼がわたしに「何を見るか」と言ったので、「飛んでいる巻物を見ます。その長さは二十キュビト、その幅は十キュビトです」と答えた。 + すると彼はまた、わたしに言った、「これは全地のおもてに出て行く、のろいの言葉です。すべて盗む者はこれに照して除き去られ、すべて偽り誓う者は、これに照して除き去られるのです。 + 万軍の主は仰せられます、わたしはこれを出て行かせる。これは盗む者の家に入り、またわたしの名をさして偽り誓う者の家に入り、その家の中に宿って、これをその木と石と共に滅ぼすと」。 + わたしと語る天の使は進んで来て、わたしに「目をあげて、この出てきた物が、なんであるかを見なさい」と言った。 + わたしが「これはなんですか」と言うと、彼は「この出てきた物は、エパ枡です」と言い、また「これは全地の罪です」と言った。 + そして見よ、鉛のふたを取りあげると、そのエパ枡の中にひとりの女がすわっていた。 + すると彼は「これは罪悪である」と言って、その女をエパ枡の中に押し入れ、鉛の重しを、その枡の口に投げかぶせた。 + それからわたしが目をあげて見ていると、ふたりの女が出てきた。これに、こうのとりの翼のような翼があり、その翼に風をはらんで、エパ枡を天と地との間に持ちあげた。 + わたしは、わたしと語る天の使に言った、「彼らはエパ枡を、どこへ持って行くのですか」。 + 彼はわたしに言った、「シナルの地で、女たちのために家を建てるのです。それが建てられると、彼らはエパ枡をそこにすえ、それの土台の上に置くのです」。 + + + わたしがまた目をあげて見ていると、四両の戦車が二つの山の間から出てきた。その山は青銅の山であった。 + 第一の戦車には赤馬を着け、第二の戦車には黒馬を着け、 + 第三の戦車には白馬を着け、第四の戦車には、まだらのねずみ色の馬を着けていた。 + わたしは、わたしと語るみ使に尋ねた、「わが主よ、これらはなんですか」。 + 天の使は答えて、わたしに言った、「これらは全地の主の前に現れて後、天の四方に出て行くものです。 + 黒馬を着けた戦車は、北の国をさして出て行き、白馬は西の国をさして出て行き、まだらの馬は南の国をさして出て行くのです」。 + 馬が出てくると、彼らは、地をあまねくめぐるために、しきりに出たがるのであった。それで彼が「行って、地をあまねくめぐれ」と言うと、彼らは地を行きめぐった。 + すると彼はわたしを呼んで、「北の国をさして行く者どもは、北の国でわたしの心を静まらせてくれた」と言った。 + 主の言葉がまたわたしに臨んだ、 + 「バビロンから帰ってきたかの捕囚の中から、ヘルダイ、トビヤおよびエダヤを連れて、その日にゼパニヤの子ヨシヤの家に行き、 + 彼らから金銀を受け取って、一つの冠を造り、それをヨザダクの子である大祭司ヨシュアの頭にかぶらせて、 + 彼に言いなさい、『万軍の主は、こう仰せられる、見よ、その名を枝という人がある。彼は自分の場所で成長して、主の宮を建てる。 + すなわち彼は主の宮を建て、王としての光栄を帯び、その位に座して治める。その位のかたわらに、ひとりの祭司がいて、このふたりの間に平和の一致がある』。 + またその冠はヘルダイ、トビヤ、エダヤおよびゼパニヤの子ヨシヤの記念として、主の宮に納められる。 + また遠い所の者どもが来て、主の宮を建てることを助ける。そしてあなたがたは万軍の主が、わたしをつかわされたことを知るようになる。あなたがたがもし励んで、あなたがたの神、主の声に聞き従うならば、このようになる」。 + + + ダリヨス王の第四年の九月、すなわちキスリウという月の四日に、主の言葉がゼカリヤに臨んだ。 + その時ベテルの人々は、シャレゼル、レゲン・メレクおよびその従者をつかわして、主の恵みを請い、 + かつ万軍の主の宮にいる祭司に問わせ、かつ預言者に問わせて言った、「わたしは今まで、多年おこなってきたように、五月に泣き悲しみ、かつ断食すべきでしょうか」。 + この時、万軍の主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「地のすべての民、および祭司に告げて言いなさい、あなたがたが七十年の間、五月と七月とに断食し、かつ泣き悲しんだ時、はたして、わたしのために断食したか。 + あなたがたが食い飲みする時、それは全く自分のために食い、自分のために飲むのではないか。 + 昔エルサレムがその周囲の町々と共に、人が住み、栄えていた時、また南の地および平野にも、人が住んでいた時に、さきの預言者たちによって、主がお告げになった言葉は、これらの事ではなかったか」。 + 主の言葉が、またゼカリヤに臨んだ、 + 「万軍の主はこう仰せられる、真実のさばきを行い、互に相いつくしみ、相あわれみ、 + やもめ、みなしご、寄留の他国人および貧しい人を、しえたげてはならない。互に人を害することを、心に図ってはならない」。 + ところが、彼らは聞くことを拒み、肩をそびやかし、耳を鈍くして聞きいれず、 + その心を金剛石のようにして、万軍の主がそのみたまにより、さきの預言者によって伝えられた、律法と言葉とに聞き従わなかった。それゆえ、大いなる怒りが、万軍の主から出て、彼らに臨んだのである。 + 「わたしが呼ばわったけれども、彼らは聞こうとしなかった。そのとおりに、彼らが呼ばわっても、わたしは聞かない」と万軍の主は仰せられる。 + 「わたしは、つむじ風をもって、彼らを未知のもろもろの国民の中に散らした。こうして彼らが去った後、この地は荒れて行き来する者もなく、この麗しい地は荒れ地となったのである」。 + + + 万軍の主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「万軍の主は、こう仰せられる、『わたしはシオンのために、大いなるねたみを起し、またこれがために、大いなる憤りをもってねたむ』。 + 主はこう仰せられる、『わたしはシオンに帰って、エルサレムの中に住む。エルサレムは忠信な町ととなえられ、万軍の主の山は聖なる山と、となえられる』。 + 万軍の主は、こう仰せられる、『エルサレムの街路には再び老いた男、老いた女が座するようになる。みな年寄の人々で、おのおのつえを手に持つ。 + またその町の街路には、男の子、女の子が満ちて、街路に遊び戯れる』。 + 万軍の主は、こう仰せられる、『その日には、たとい、この民の残れる者の目に、不思議な事であっても、それはわたしの目にも、不思議な事であろうか』と万軍の主は言われる。 + 万軍の主は、こう仰せられる、『見よ、わが民を東の国から、また西の国から救い出し、 + 彼らを連れてきて、エルサレムに住まわせ、彼らはわが民となり、わたしは彼らの神となって、共に真実と正義とをもって立つ』」。 + 万軍の主は、こう仰せられる、「万軍の主の家である宮を建てるために、その礎をすえた日からこのかた、預言者たちの口から出たこれらの言葉を、きょう聞く者よ、あなたがたの手を強くせよ。 + この日の以前には、人も働きの価を得ず、獣も働きの価を得ず、また出る者もはいる者も、あだのために安全ではなかった。わたしはまた人々を相たがいにそむかせた。 + しかし今は、わたしのこの民の残れる者に対することは、さきの日のようではないと、万軍の主は言われる。 + そこには、平和と繁栄との種がまかれるからである。すなわちぶどうの木は実を結び、地は産物を出し、天は露を与える。わたしはこの民の残れる者に、これをことごとく与える。 + ユダの家およびイスラエルの家よ、あなたがたが、国々の民の中に、のろいとなっていたように、わたしはあなたがたを救って祝福とする。恐れてはならない。あなたがたの手を強くせよ」。 + 万軍の主は、こう仰せられる、「あなたがたの先祖が、わたしを怒らせた時に、災を下そうと思って、これをやめなかったように、――万軍の主は言われる―― + そのように、わたしはまた今日、エルサレムとユダの家に恵みを与えよう。恐れてはならない。 + あなたがたのなすべき事はこれである。あなたがたは互に真実を語り、またあなたがたの門で、真実と平和のさばきとを、行わなければならない。 + あなたがたは、互に人を害することを、心に図ってはならない。偽りの誓いを好んではならない。わたしはこれらの事を憎むからであると、主は言われる」。 + 万軍の主の言葉がわたしに臨んだ、 + 「万軍の主は、こう仰せられる、四月の断食と、五月の断食と、七月の断食と、十月の断食とは、ユダの家の喜び楽しみの時となり、よき祝の時となる。ゆえにあなたがたは、真実と平和とを愛せよ。 + 万軍の主は、こう仰せられる、もろもろの民および多くの町の住民、すなわち、一つの町の住民は、他の町の人々のところに行き、 + 『われわれは、ただちに行って、主の恵みを請い、万軍の主に呼び求めよう』と言うと、『わたしも行こう』と言う。 + 多くの民および強い国民はエルサレムに来て、万軍の主を求め、主の恵みを請う。 + 万軍の主は、こう仰せられる、その日には、もろもろの国ことばの民の中から十人の者が、ひとりのユダヤ人の衣のすそをつかまえて、『あなたがたと一緒に行こう。神があなたがたと共にいますことを聞いたから』と言う」。 + + + 託宣 主の言葉はハデラクの地に臨み、ダマスコの上にとどまる。アラムの町々はイスラエルのすべての部族のように主に属するからである。 + これに境するハマテもまたそのとおりだ。非常に賢いが、ツロとシドンもまた同様である。 + ツロは自分のために、とりでを築き、銀をちりのように積み、金を道ばたの泥のように積んだ。 + しかし見よ、主はこれを攻め取り、その富を海の中に投げ入れられる。これは火で焼き滅ぼされる。 + アシケロンはこれを見て恐れ、ガザもまた見てもだえ苦しみ、エクロンもまたその望む所のものがはずかしめられて苦しむ。ガザには王が絶え、アシケロンには住む者がなくなり、 + アシドドには混血の民が住む。わたしはペリシテびとの誇を断つ。 + またその口から血を取り除き、その歯の間から憎むべき物を取り除く。これもまた残ってわれわれの神に帰し、ユダの一民族のようになる。またエクロンはエブスびとのようになる。 + その時わたしは、わが家のために営を張って、見張りをし、行き来する者のないようにする。しえたげる者は、かさねて通ることがない。わたしが今、自分の目で見ているからである。 + シオンの娘よ、大いに喜べ、エルサレムの娘よ、呼ばわれ。見よ、あなたの王はあなたの所に来る。彼は義なる者であって勝利を得、柔和であって、ろばに乗る。すなわち、ろばの子である子馬に乗る。 + わたしはエフライムから戦車を断ち、エルサレムから軍馬を断つ。また、いくさ弓も断たれる。彼は国々の民に平和を告げ、その政治は海から海に及び、大川から地の果にまで及ぶ。 + あなたについてはまた、あなたとの契約の血のゆえに、わたしはかの水のない穴から、あなたの捕われ人を解き放す。 + 望みをいだく捕われ人よ、あなたの城に帰れ。わたしはきょうもなお告げて言う、必ず倍して、あなたをもとに返すことを。 + わたしはユダを張って、わが弓となし、エフライムをその矢とした。シオンよ、わたしはあなたの子らを呼び起して、ギリシヤの人々を攻めさせ、あなたを勇士のつるぎのようにさせる。 + その時、主は彼らの上に現れて、その矢をいなずまのように射られる。主なる神はラッパを吹きならし、南のつむじ風に乗って出てこられる。 + 万軍の主は彼らを守られるので、彼らは石投げどもを食い尽し、踏みつける。彼らはまたぶどう酒のように彼らの血を飲み、鉢のようにそれで満たされ、祭壇のすみのように浸される。 + その日、彼らの神、主は、彼らを救い、その民を羊のように養われる。彼らは冠の玉のように、その地に輝く。 + そのさいわい、その麗しさは、いかばかりであろう。穀物は若者を栄えさせ、新しいぶどう酒は、おとめを栄えさせる。 + + + あなたがたは春の雨の時に、雨を主に請い求めよ。主はいなずまを造り、大雨を人々に賜い、野の青草をおのおのに賜わる。 + テラピムは、たわごとを言い、占い師は偽りを見、夢見る者は偽りの夢を語り、むなしい慰めを与える。このゆえに、民は羊のようにさまよい、牧者がないために悩む。 + 「わが怒りは牧者にむかって燃え、わたしは雄やぎを罰する。万軍の主が、その群れの羊であるユダの家を顧み、これをみごとな軍馬のようにされるからである。 + 隅石は彼らから出、天幕の杭も彼らから出、いくさ弓も彼らから出、支配者も皆彼らの中から出る。 + 彼らが戦う時は勇士のようになって、道ばたの泥の中に敵を踏みにじる。主が彼らと共におられるゆえに彼らは戦い、馬に乗る者どもを困らせる。 + わたしはユダの家を強くし、ヨセフの家を救う。わたしは彼らをあわれんで、彼らを連れ帰る。彼らはわたしに捨てられたことのないようになる。わたしは彼らの神、主であって、彼らに答えるからである。 + エフライムびとは勇士のようになり、その心は酒を飲んだように喜ぶ。その子供らはこれを見て喜び、その心は主によって楽しむ。 + わたしは彼らに向かい、口笛を吹いて彼らを集める、わたしが彼らをあがなったからである。彼らは昔のように数多くなる。 + わたしは彼らを国々の民の中に散らした。しかし彼らは遠い国々でわたしを覚え、その子供らと共に生きながらえて帰ってくる。 + わたしは彼らをエジプトの国から連れ帰り、アッスリヤから彼らを集める。わたしはギレアデの地およびレバノンに彼らを連れて行く。彼らはいる所もないほどに多くなる。 + 彼らはエジプトの海を通る。海の波は撃たれ、ナイルの淵はことごとくかれた。アッスリヤの高ぶりは低くされ、エジプトのつえは移り去る。 + わたしは彼らを主によって強くする。彼らは主の名を誇る」と主は言われる。 + + + レバノンよ、おまえの門を開き、おまえの香柏を火に焼き滅ぼさせよ。 + いとすぎよ、泣き叫べ。香柏は倒れ、みごとな木は、そこなわれたからである。バシャンのかしよ、泣き叫べ。茂った林は倒れたからである。 + 聞け、牧者の泣き叫ぶ声を。彼らの栄えが消え去ったからである。聞け、ししのほえる声を。ヨルダンの草むらが荒れ果てたからである。 + わが神、主はこう仰せられた、「ほふらるべき羊の群れの牧者となれ。 + これを買う者は、これをほふっても罰せられない。これを売る者は言う、『主はほむべきかな、わたしは富んだ』と。そしてその牧者は、これをあわれまない。 + わたしは、もはやこの地の住民をあわれまないと、主は言われる。見よ、わたしは人をおのおのその牧者の手に渡し、おのおのその王の手に渡す。彼らは地を荒す。わたしは彼らの手からこれを救い出さない」。 + わたしは羊の商人のために、ほふらるべき羊の群れの牧者となった。わたしは二本のつえを取り、その一本を恵みと名づけ、一本を結びと名づけて、その羊を牧した。 + わたしは一か月に牧者三人を滅ぼした。わたしは彼らに、がまんしきれなくなったが、彼らもまた、わたしを忌みきらった。 + それでわたしは言った、「わたしはあなたがたの牧者とならない。死ぬ者は死に、滅びる者は滅び、残った者はたがいにその肉を食いあうがよい」。 + わたしは恵みというつえを取って、これを折った。これはわたしがもろもろの民と結んだ契約を、廃するためであった。 + そしてこれは、その日に廃された。そこで、わたしに目を注いでいた羊の商人らは、これが主の言葉であったことを知った。 + わたしは彼らに向かって、「あなたがたがもし、よいと思うならば、わたしに賃銀を払いなさい。もし、いけなければやめなさい」と言ったので、彼らはわたしの賃銀として、銀三十シケルを量った。 + 主はわたしに言われた、「彼らによって、わたしが値積られたその尊い価を、宮のさいせん箱に投げ入れよ」。わたしは銀三十シケルを取って、これを主の宮のさいせん箱に投げ入れた。 + そしてわたしは結びという第二のつえを折った。これはユダとイスラエルの間の、兄弟関係を廃するためであった。 + 主はわたしに言われた、「おまえはまた愚かな牧者の器を取れ。 + 見よ、わたしは地にひとりの牧者を起す。彼は滅ぼされる者を顧みず、迷える者を尋ねず、傷ついた者をいやさず、健やかな者を養わず、肥えた者の肉を食らい、そのひずめをさえ裂く者である。 + その羊の群れを捨てる愚かな牧者はわざわいだ。どうか、つるぎがその腕を撃ち、その右の目を撃つように。その腕は全く衰え、その右の目は全く見えなくなるように」。 + + + 託宣 イスラエルについての主の言葉。すなわち天をのべ、地の基をすえ、人の霊をその中に造られた主は、こう仰せられる、 + 「見よ、わたしはエルサレムを、その周囲にあるすべての民をよろめかす杯にしようとしている。これはエルサレムの攻め囲まれる時、ユダにも及ぶ。 + その日には、わたしはエルサレムをすべての民に対して重い石とする。これを持ちあげる者はみな大傷を受ける。地の国々の民は皆集まって、これを攻める。 + 主は言われる、その日には、わたしはすべての馬を撃って驚かせ、その乗り手を撃って狂わせる。しかし、もろもろの民の馬を、ことごとく撃って、めくらとするとき、ユダの家に対しては、わたしの目を開く。 + その時ユダの諸族は、その心の中に『エルサレムの住民は、その神、万軍の主によって力強くなった』と言う。 + その日には、わたしはユダの諸族を、たきぎの中の火皿のようにし、麦束の中のたいまつのようにする。彼らは右に左に、その周囲にあるすべての民を、焼き滅ぼす。しかしエルサレムはなお、そのもとの所、すなわちエルサレムで、人の住む所となる。 + 主はまずユダの幕屋を救われる。これはダビデの家の光栄と、エルサレムの住民の光栄とが、ユダの光栄にまさることのないようにするためである。 + その日、主はエルサレムの住民を守られる。彼らの中の弱い者も、その日には、ダビデのようになる。またダビデの家は神のように、彼らに先だつ主の使のようになる。 + その日には、わたしはエルサレムに攻めて来る国民を、ことごとく滅ぼそうと努める。 + わたしはダビデの家およびエルサレムの住民に、恵みと祈の霊とを注ぐ。彼らはその刺した者を見る時、ひとり子のために嘆くように彼のために嘆き、ういごのために悲しむように、彼のためにいたく悲しむ。 + その日には、エルサレムの嘆きは、メギドの平野にあったハダデ・リンモンのための嘆きのように大きい。 + 国じゅう、氏族おのおの別れて嘆く。すなわちダビデの家の氏族は別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆く。ナタンの家の氏族は別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆く。 + レビの家の氏族は別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆く。シメイの氏族は別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆く。 + その他の氏族も皆別れて嘆き、その妻たちも別れて嘆くのである。 + + + その日には、罪と汚れとを清める一つの泉が、ダビデの家とエルサレムの住民とのために開かれる。 + 万軍の主は言われる、その日には、わたしは地から偶像の名を取り除き、重ねて人に覚えられることのないようにする。わたしはまた預言者および汚れの霊を、地から去らせる。 + もし、人が今後預言するならば、その産みの父母はこれにむかって、『あなたは主の名をもって偽りを語るゆえ、生きていることができない』と言い、その産みの父母は彼が預言している時、彼を刺すであろう。 + その日には、預言者たちは皆預言する時、その幻を恥じる。また人を欺くための毛の上着を着ない。 + そして『わたしは預言者ではない、わたしは土地を耕す者だ。若い時から土地を持っている』と言う。 + もし、人が彼に『あなたの背中の傷は何か』と尋ねるならば、『これはわたしの友だちの家で受けた傷だ』と、彼は言うであろう」。 + 万軍の主は言われる、「つるぎよ、立ち上がってわが牧者を攻めよ。わたしの次に立つ人を攻めよ。牧者を撃て、その羊は散る。わたしは手をかえして、小さい者どもを攻める。 + 主は言われる、全地の人の三分の二は断たれて死に、三分の一は生き残る。 + わたしはこの三分の一を火の中に入れ、銀をふき分けるように、これをふき分け、金を精錬するように、これを精錬する。彼らはわたしの名を呼び、わたしは彼らに答える。わたしは『彼らはわが民である』と言い、彼らは『主はわが神である』と言う」。 + + + 見よ、主の日が来る。その時あなたの奪われた物は、あなたの中で分かたれる。 + わたしは万国の民を集めて、エルサレムを攻め撃たせる。町は取られ、家はかすめられ、女は犯され、町の半ばは捕えられて行く。しかし残りの民は町から断たれることはない。 + その時、主は出てきて、いくさの日にみずから戦われる時のように、それらの国びとと戦われる。 + その日には彼の足が、東の方エルサレムの前にあるオリブ山の上に立つ。そしてオリブ山は、非常に広い一つの谷によって、東から西に二つに裂け、その山の半ばは北に、半ばは南に移り、 + わが山の谷はふさがれる。裂けた山の谷が、そのかたわらに接触するからである。そして、あなたがたはユダの王ウジヤの世に、地震を避けて逃げたように逃げる。こうして、あなたがたの神、主はこられる、もろもろの聖者と共にこられる。 + その日には、寒さも霜もない。 + そこには長い連続した日がある(主はこれを知られる)。これには昼もなく、夜もない。夕暮になっても、光があるからである。 + その日には、生ける水がエルサレムから流れ出て、その半ばは東の海に、その半ばは西の海に流れ、夏も冬もやむことがない。 + 主は全地の王となられる。その日には、主ひとり、その名一つのみとなる。 + 全地はゲバからエルサレムの南リンモンまで、平地のように変る。しかしエルサレムは高くなって、そのもとの所にとどまり、ベニヤミンの門から、先にあった門の所に及び、隅の門に至り、ハナネルのやぐらから、王の酒ぶねにまで及ぶ。 + その中には人が住み、もはやのろいはなく、エルサレムは安らかに立つ。 + エルサレムを攻撃したもろもろの民を、主は災をもって撃たれる。すなわち彼らはなお足で立っているうちに、その肉は腐れ、目はその穴の中で腐れ、舌はその口の中で腐れる。 + その日には、主は彼らを大いにあわてさせられるので、彼らはおのおのその隣り人を捕え、手をあげてその隣り人を攻める。 + ユダもまた、エルサレムに敵して戦う。その周囲のすべての国びとの財宝、すなわち金銀、衣服などが、はなはだ多く集められる。 + また馬、騾、らくだ、ろば、およびその陣営にあるすべての家畜にも、この災のような災が臨む。 + エルサレムに攻めて来たもろもろの国びとの残った者は、皆年々上って来て、王なる万軍の主を拝み、仮庵の祭を守るようになる。 + 地の諸族のうち、王なる万軍の主を拝むために、エルサレムに上らない者の上には、雨が降らない。 + エジプトの人々が、もし上ってこない時には、主が仮庵の祭を守るために、上ってこないすべての国びとを撃たれるその災が、彼らの上に臨む。 + これが、エジプトびとの受ける罰、およびすべて仮庵の祭を守るために上ってこない国びとの受ける罰である。 + その日には、馬の鈴の上に「主に聖なる者」と、しるすのである。また主の宮のなべは、祭壇の前の鉢のように、聖なる物となる。 + エルサレムおよびユダのすべてのなべは、万軍の主に対して聖なる物となり、すべて犠牲をささげる者は来てこれを取り、その中で犠牲の肉を煮ることができる。その日には、万軍の主の宮に、もはや商人はいない。 + +
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+ + マラキによってイスラエルに臨んだ主の言葉の託宣。 + 主は言われる、「わたしはあなたがたを愛した」と。ところがあなたがたは言う、「あなたはどんなふうに、われわれを愛されたか」。主は言われる、「エサウはヤコブの兄ではないか。しかしわたしはヤコブを愛し、 + エサウを憎んだ。かつ、わたしは彼の山地を荒し、その嗣業を荒野の山犬に与えた」。 + もしエドムが「われわれは滅ぼされたけれども、荒れた所を再び建てる」と言うならば、万軍の主は「彼らは建てるかもしれない。しかしわたしはそれを倒す。人々は、彼らを悪しき国ととなえ、とこしえに主の怒りをうける民ととなえる」と言われる。 + あなたがたの目はこれを見て、「主はイスラエルの境を越えて大いなる神である」と言うであろう。 + 「子はその父を敬い、しもべはその主人を敬う。それでわたしがもし父であるならば、あなたがたのわたしを敬う事実が、どこにあるか。わたしがもし主人であるならば、わたしを恐れる事実が、どこにあるか。わたしの名を侮る祭司たちよ、と万軍の主はあなたがたに言われる。ところがあなたがたは『われわれはどんなふうにあなたの名を侮ったか』と言い、 + 汚れた食物をわたしの祭壇の上にささげる。またあなたがたは、主の台は卑しむべき物であると考えて、『われわれはどんなふうに、それを汚したか』と言う。 + あなたがたが盲目の獣を、犠牲にささげるのは悪い事ではないか。また足のなえたもの、病めるものをささげるのは悪い事ではないか。今これをあなたのつかさにささげてみよ。彼はあなたを喜び、あなたを受けいれるであろうかと、万軍の主は言われる。 + あなたがたは、神がわれわれをあわれまれるように、神の恵みを求めてみよ。このようなあなたがたの手のささげ物をもって、彼はあなたがたを受けいれられるであろうかと、万軍の主は言われる。 + あなたがたがわが祭壇の上にいたずらに、火をたくことのないように戸を閉じる者があなたがたのうちに、ひとりあったらいいのだが。わたしはあなたがたを喜ばない、またあなたがたの手からささげ物を受けないと、万軍の主は言われる。 + 日の出る所から没する所まで、国々のうちにわが名はあがめられている。また、どこでも香と清いささげ物が、わが名のためにささげられる。これはわが名が国々のうちにあがめられているからであると、万軍の主は言われる。 + ところがあなたがたは、主の台は汚れている、またこの食物は卑しむべき物であると言って、これを汚した。 + あなたがたはまた『これはなんと煩わしい事か』と言って、わたしを鼻であしらうと、万軍の主は言われる。あなたがたはまた奪った物、足なえのもの、病めるものを、ささげ物として携えて来る。わたしはそれを、あなたがたの手から、受けるであろうかと主は言われる。 + 群れのうちに雄の獣があり、それをささげると誓いを立てているのに、傷のあるものを、主にささげる偽り者はのろわれる。わたしは大いなる王で、わが名は国々のうちに恐れられるべきであると、万軍の主は言われる。 + + + 祭司たちよ、今この命令があなたがたに与えられる。 + 万軍の主は言われる、あなたがたがもし聞き従わず、またこれを心に留めず、わが名に栄光を帰さないならば、わたしはあなたがたの上に、のろいを送り、またあなたがたの祝福をのろいに変える。あなたがたは、これを心に留めないので、わたしはすでにこれをのろった。 + 見よ、わたしはあなたがたの子孫を責める。またあなたがたの犠牲の糞を、あなたがたの顔の上にまき散らし、あなたがたをわたしの前から退ける。 + こうしてわたしが、この命令をあなたがたに与えたのは、レビと結んだわが契約が、保たれるためであることを、あなたがたが知るためであると、万軍の主は言われる。 + 彼と結んだわが契約は、生命と平安との契約であって、わたしがこれを彼に与えたのは、彼にわたしを恐れさせるためである。彼はすでにわたしを恐れ、わが名の前におののいた。 + 彼の口には、まことの律法があり、そのくちびるには、不義が見られなかった。彼は平安と公義とをもって、わたしと共に歩み、また多くの人を不義から立ち返らせた。 + 祭司のくちびるは知識を保ち、人々が彼の口から律法を尋ねるのが当然である。彼は万軍の主の使者だからだ。 + ところが、あなたがたは道を離れ、多くの人を教えてつまずかせ、レビの契約を破ったと、万軍の主は言われる。 + あなたがたはわたしの道を守らず、律法を教えるに当って、人にかたよったがために、あなたがたをすべての民の前に侮られ、卑しめられるようにする」。 + われわれの父は皆一つではないか。われわれを造った神は一つではないか。なにゆえ、われわれは先祖たちの契約を破って、おのおのその兄弟に偽りを行うのか。 + ユダは偽りを行い、イスラエルおよびエルサレムの中には憎むべき事が行われた。すなわちユダは主が愛しておられる聖所を汚して、他の神に仕える女をめとった。 + どうか、主がこうした事を行う人をば、証言する者も、答弁する者も、また万軍の主にささげ物をする者をも、ヤコブの幕屋から断たれるように。 + あなたがたはまたこのような事をする。すなわち神がもはやささげ物をかえりみず、またこれをあなたがたの手から、喜んで受けられないために、あなたがたは涙と、泣くことと、嘆きとをもって、主の祭壇をおおい、 + 「なぜ神は受けられないのか」と尋ねる。これは主があなたと、あなたの若い時の妻との間の、契約の証人だったからである。彼女は、あなたの連れ合い、契約によるあなたの妻であるのに、あなたは彼女を裏切った。 + 一つ神は、われわれのために命の霊を造り、これをささえられたではないか。彼は何を望まれるか。神を敬う子孫であるゆえ、あなたがたはみずから慎んで、その若い時の妻を裏切ってはならない。 + イスラエルの神、主は言われる、「わたしは離縁する者を憎み、また、しえたげをもってその衣をおおう人を憎むと、万軍の主は言われる。ゆえにみずから慎んで、裏切ることをしてはならない」。 + あなたがたは言葉をもって主を煩わした。しかしあなたがたは言う、「われわれはどんなふうに、彼を煩わしたか」。それはあなたがたが「すべて悪を行う者は主の目に良く見え、かつ彼に喜ばれる」と言い、また「さばきを行う神はどこにあるか」と言うからである。 + + + 「見よ、わたしはわが使者をつかわす。彼はわたしの前に道を備える。またあなたがたが求める所の主は、たちまちその宮に来る。見よ、あなたがたの喜ぶ契約の使者が来ると、万軍の主が言われる。 + その来る日には、だれが耐え得よう。そのあらわれる時には、だれが立ち得よう。彼は金をふきわける者の火のようであり、布さらしの灰汁のようである。 + 彼は銀をふきわけて清める者のように座して、レビの子孫を清め、金銀のように彼らを清める。そして彼らは義をもって、ささげ物を主にささげる。 + その時ユダとエルサレムとのささげ物は、昔の日のように、また先の年のように主に喜ばれる。 + そしてわたしはあなたがたに近づいて、さばきをなし、占い者、姦淫を行う者、偽りの誓いをなす者にむかい、雇人の賃銀をかすめ、やもめと、みなしごとをしえたげ、寄留の他国人を押しのけ、わたしを恐れない者どもにむかって、すみやかにあかしを立てると、万軍の主は言われる。 + 主なるわたしは変ることがない。それゆえ、ヤコブの子らよ、あなたがたは滅ぼされない。 + あなたがたは、その先祖の日から、わが定めを離れて、これを守らなかった。わたしに帰れ、わたしはあなたがたに帰ろうと、万軍の主は言われる。ところが、あなたがたは『われわれはどうして帰ろうか』と尋ねる。 + 人は神の物を盗むことをするだろうか。しかしあなたがたは、わたしの物を盗んでいる。あなたがたはまた『どうしてわれわれは、あなたの物を盗んでいるのか』と言う。十分の一と、ささげ物をもってである。 + あなたがたは、のろいをもって、のろわれる。あなたがたすべての国民は、わたしの物を盗んでいるからである。 + わたしの宮に食物のあるように、十分の一全部をわたしの倉に携えてきなさい。これをもってわたしを試み、わたしが天の窓を開いて、あふるる恵みを、あなたがたに注ぐか否かを見なさいと、万軍の主は言われる。 + わたしは食い滅ぼす者を、あなたがたのためにおさえて、あなたがたの地の産物を、滅ぼさないようにしよう。また、あなたがたのぶどうの木が、その熟する前に、その実を畑に落すことのないようにしようと、万軍の主は言われる。 + こうして万国の人は、あなたがたを祝福された者ととなえるであろう。あなたがたは楽しい地となるからであると、万軍の主は言われる。 + 主は言われる、あなたがたは言葉を激しくして、わたしに逆らった。しかもあなたがたは『われわれはあなたに逆らって、どんな事を言ったか』と言う。 + あなたがたは言った、『神に仕える事はつまらない。われわれがその命令を守り、かつ万軍の主の前に、悲しんで歩いたからといって、なんの益があるか。 + 今われわれは高ぶる者を、祝福された者と思う。悪を行う者は栄えるばかりでなく、神を試みても罰せられない』」。 + そのとき、主を恐れる者は互に語った。主は耳を傾けてこれを聞かれた。そして主を恐れる者、およびその名を心に留めている者のために、主の前に一つの覚え書がしるされた。 + 「万軍の主は言われる、彼らはわたしが手を下して事を行う日に、わたしの者となり、わたしの宝となる。また人が自分に仕える子をあわれむように、わたしは彼らをあわれむ。 + その時あなたがたは、再び義人と悪人、神に仕える者と、仕えない者との区別を知るようになる。 + + + 万軍の主は言われる、見よ、炉のように燃える日が来る。その時すべて高ぶる者と、悪を行う者とは、わらのようになる。その来る日は、彼らを焼き尽して、根も枝も残さない。 + しかしわが名を恐れるあなたがたには、義の太陽がのぼり、その翼には、いやす力を備えている。あなたがたは牛舎から出る子牛のように外に出て、とびはねる。 + また、あなたがたは悪人を踏みつけ、わたしが事を行う日に、彼らはあなたがたの足の裏の下にあって、灰のようになると、万軍の主は言われる。 + あなたがたは、わがしもべモーセの律法、すなわちわたしがホレブで、イスラエル全体のために、彼に命じた定めとおきてとを覚えよ。 + 見よ、主の大いなる恐るべき日が来る前に、わたしは預言者エリヤをあなたがたにつかわす。 + 彼は父の心をその子供たちに向けさせ、子供たちの心をその父に向けさせる。これはわたしが来て、のろいをもってこの国を撃つことのないようにするためである」。 + +
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+ + アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図。 + アブラハムはイサクの父であり、イサクはヤコブの父、ヤコブはユダとその兄弟たちとの父、 + ユダはタマルによるパレスとザラとの父、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父、 + アラムはアミナダブの父、アミナダブはナアソンの父、ナアソンはサルモンの父、 + サルモンはラハブによるボアズの父、ボアズはルツによるオベデの父、オベデはエッサイの父、 + エッサイはダビデ王の父であった。ダビデはウリヤの妻によるソロモンの父であり、 + ソロモンはレハベアムの父、レハベアムはアビヤの父、アビヤはアサの父、 + アサはヨサパテの父、ヨサパテはヨラムの父、ヨラムはウジヤの父、 + ウジヤはヨタムの父、ヨタムはアハズの父、アハズはヒゼキヤの父、 + ヒゼキヤはマナセの父、マナセはアモンの父、アモンはヨシヤの父、 + ヨシヤはバビロンへ移されたころ、エコニヤとその兄弟たちとの父となった。 + バビロンへ移されたのち、エコニヤはサラテルの父となった。サラテルはゾロバベルの父、 + ゾロバベルはアビウデの父、アビウデはエリヤキムの父、エリヤキムはアゾルの父、 + アゾルはサドクの父、サドクはアキムの父、アキムはエリウデの父、 + エリウデはエレアザルの父、エレアザルはマタンの父、マタンはヤコブの父、 + ヤコブはマリヤの夫ヨセフの父であった。このマリヤからキリストといわれるイエスがお生れになった。 + だから、アブラハムからダビデまでの代は合わせて十四代、ダビデからバビロンへ移されるまでは十四代、そして、バビロンへ移されてからキリストまでは十四代である。 + イエス・キリストの誕生の次第はこうであった。母マリヤはヨセフと婚約していたが、まだ一緒にならない前に、聖霊によって身重になった。 + 夫ヨセフは正しい人であったので、彼女のことが公けになることを好まず、ひそかに離縁しようと決心した。 + 彼がこのことを思いめぐらしていたとき、主の使が夢に現れて言った、「ダビデの子ヨセフよ、心配しないでマリヤを妻として迎えるがよい。その胎内に宿っているものは聖霊によるのである。 + 彼女は男の子を産むであろう。その名をイエスと名づけなさい。彼は、おのれの民をそのもろもろの罪から救う者となるからである」。 + すべてこれらのことが起ったのは、主が預言者によって言われたことの成就するためである。すなわち、 + 「見よ、おとめがみごもって男の子を産むであろう。その名はインマヌエルと呼ばれるであろう」。これは、「神われらと共にいます」という意味である。 + ヨセフは眠りからさめた後に、主の使が命じたとおりに、マリヤを妻に迎えた。 + しかし、子が生れるまでは、彼女を知ることはなかった。そして、その子をイエスと名づけた。 + + + イエスがヘロデ王の代に、ユダヤのベツレヘムでお生れになったとき、見よ、東からきた博士たちがエルサレムに着いて言った、 + 「ユダヤ人の王としてお生れになったかたは、どこにおられますか。わたしたちは東の方でその星を見たので、そのかたを拝みにきました」。 + ヘロデ王はこのことを聞いて不安を感じた。エルサレムの人々もみな、同様であった。 + そこで王は祭司長たちと民の律法学者たちとを全部集めて、キリストはどこに生れるのかと、彼らに問いただした。 + 彼らは王に言った、「それはユダヤのベツレヘムです。預言者がこうしるしています、 + 『ユダの地、ベツレヘムよ、おまえはユダの君たちの中で、決して最も小さいものではない。おまえの中からひとりの君が出て、わが民イスラエルの牧者となるであろう』」。 + そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、星の現れた時について詳しく聞き、 + 彼らをベツレヘムにつかわして言った、「行って、その幼な子のことを詳しく調べ、見つかったらわたしに知らせてくれ。わたしも拝みに行くから」。 + 彼らは王の言うことを聞いて出かけると、見よ、彼らが東方で見た星が、彼らより先に進んで、幼な子のいる所まで行き、その上にとどまった。 + 彼らはその星を見て、非常な喜びにあふれた。 + そして、家にはいって、母マリヤのそばにいる幼な子に会い、ひれ伏して拝み、また、宝の箱をあけて、黄金・乳香・没薬などの贈り物をささげた。 + そして、夢でヘロデのところに帰るなとのみ告げを受けたので、他の道をとおって自分の国へ帰って行った。 + 彼らが帰って行ったのち、見よ、主の使が夢でヨセフに現れて言った、「立って、幼な子とその母を連れて、エジプトに逃げなさい。そして、あなたに知らせるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが幼な子を捜し出して、殺そうとしている」。 + そこで、ヨセフは立って、夜の間に幼な子とその母とを連れてエジプトへ行き、 + ヘロデが死ぬまでそこにとどまっていた。それは、主が預言者によって「エジプトからわが子を呼び出した」と言われたことが、成就するためである。 + さて、ヘロデは博士たちにだまされたと知って、非常に立腹した。そして人々をつかわし、博士たちから確かめた時に基いて、ベツレヘムとその附近の地方とにいる二歳以下の男の子を、ことごとく殺した。 + こうして、預言者エレミヤによって言われたことが、成就したのである。 + 「叫び泣く大いなる悲しみの声がラマで聞えた。ラケルはその子らのためになげいた。子らがもはやいないので、慰められることさえ願わなかった」。 + さて、ヘロデが死んだのち、見よ、主の使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて言った、 + 「立って、幼な子とその母を連れて、イスラエルの地に行け。幼な子の命をねらっていた人々は、死んでしまった」。 + そこでヨセフは立って、幼な子とその母とを連れて、イスラエルの地に帰った。 + しかし、アケラオがその父ヘロデに代ってユダヤを治めていると聞いたので、そこへ行くことを恐れた。そして夢でみ告げを受けたので、ガリラヤの地方に退き、 + ナザレという町に行って住んだ。これは預言者たちによって、「彼はナザレ人と呼ばれるであろう」と言われたことが、成就するためである。 + + + そのころ、バプテスマのヨハネが現れ、ユダヤの荒野で教を宣べて言った、 + 「悔い改めよ、天国は近づいた」。 + 預言者イザヤによって、「荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』」と言われたのは、この人のことである。 + このヨハネは、らくだの毛ごろもを着物にし、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。 + すると、エルサレムとユダヤ全土とヨルダン附近一帯の人々が、ぞくぞくとヨハネのところに出てきて、 + 自分の罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。 + ヨハネは、パリサイ人やサドカイ人が大ぜいバプテスマを受けようとしてきたのを見て、彼らに言った、「まむしの子らよ、迫ってきている神の怒りから、おまえたちはのがれられると、だれが教えたのか。 + だから、悔改めにふさわしい実を結べ。 + 自分たちの父にはアブラハムがあるなどと、心の中で思ってもみるな。おまえたちに言っておく、神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子を起すことができるのだ。 + 斧がすでに木の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれるのだ。 + わたしは悔改めのために、水でおまえたちにバプテスマを授けている。しかし、わたしのあとから来る人はわたしよりも力のあるかたで、わたしはそのくつをぬがせてあげる値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。 + また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てるであろう」。 + そのときイエスは、ガリラヤを出てヨルダン川に現れ、ヨハネのところにきて、バプテスマを受けようとされた。 + ところがヨハネは、それを思いとどまらせようとして言った、「わたしこそあなたからバプテスマを受けるはずですのに、あなたがわたしのところにおいでになるのですか」。 + しかし、イエスは答えて言われた、「今は受けさせてもらいたい。このように、すべての正しいことを成就するのは、われわれにふさわしいことである」。そこでヨハネはイエスの言われるとおりにした。 + イエスはバプテスマを受けるとすぐ、水から上がられた。すると、見よ、天が開け、神の御霊がはとのように自分の上に下ってくるのを、ごらんになった。 + また天から声があって言った、「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 + + + さて、イエスは御霊によって荒野に導かれた。悪魔に試みられるためである。 + そして、四十日四十夜、断食をし、そののち空腹になられた。 + すると試みる者がきて言った、「もしあなたが神の子であるなら、これらの石がパンになるように命じてごらんなさい」。 + イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きるものである』と書いてある」。 + それから悪魔は、イエスを聖なる都に連れて行き、宮の頂上に立たせて + 言った、「もしあなたが神の子であるなら、下へ飛びおりてごらんなさい。『神はあなたのために御使たちにお命じになると、あなたの足が石に打ちつけられないように、彼らはあなたを手でささえるであろう』と書いてありますから」。 + イエスは彼に言われた、「『主なるあなたの神を試みてはならない』とまた書いてある」。 + 次に悪魔は、イエスを非常に高い山に連れて行き、この世のすべての国々とその栄華とを見せて + 言った、「もしあなたが、ひれ伏してわたしを拝むなら、これらのものを皆あなたにあげましょう」。 + するとイエスは彼に言われた、「サタンよ、退け。『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。 + そこで、悪魔はイエスを離れ去り、そして、御使たちがみもとにきて仕えた。 + さて、イエスはヨハネが捕えられたと聞いて、ガリラヤへ退かれた。 + そしてナザレを去り、ゼブルンとナフタリとの地方にある海べの町カペナウムに行って住まわれた。 + これは預言者イザヤによって言われた言が、成就するためである。 + 「ゼブルンの地、ナフタリの地、海に沿う地方、ヨルダンの向こうの地、異邦人のガリラヤ、 + 暗黒の中に住んでいる民は大いなる光を見、死の地、死の陰に住んでいる人々に、光がのぼった」。 + この時からイエスは教を宣べはじめて言われた、「悔い改めよ、天国は近づいた」。 + さて、イエスがガリラヤの海べを歩いておられると、ふたりの兄弟、すなわち、ペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレとが、海に網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。 + イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。 + すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。 + そこから進んで行かれると、ほかのふたりの兄弟、すなわち、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、父ゼベダイと一緒に、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。そこで彼らをお招きになると、 + すぐ舟と父とをおいて、イエスに従って行った。 + イエスはガリラヤの全地を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、民の中のあらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。 + そこで、その評判はシリヤ全地にひろまり、人々があらゆる病にかかっている者、すなわち、いろいろの病気と苦しみとに悩んでいる者、悪霊につかれている者、てんかん、中風の者などをイエスのところに連れてきたので、これらの人々をおいやしになった。 + こうして、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤ及びヨルダンの向こうから、おびただしい群衆がきてイエスに従った。 + + + イエスはこの群衆を見て、山に登り、座につかれると、弟子たちがみもとに近寄ってきた。 + そこで、イエスは口を開き、彼らに教えて言われた。 + 「こころの貧しい人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。 + 悲しんでいる人たちは、さいわいである、彼らは慰められるであろう。 + 柔和な人たちは、さいわいである、彼らは地を受けつぐであろう。 + 義に飢えかわいている人たちは、さいわいである、彼らは飽き足りるようになるであろう。 + あわれみ深い人たちは、さいわいである、彼らはあわれみを受けるであろう。 + 心の清い人たちは、さいわいである、彼らは神を見るであろう。 + 平和をつくり出す人たちは、さいわいである、彼らは神の子と呼ばれるであろう。 + 義のために迫害されてきた人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。 + わたしのために人々があなたがたをののしり、また迫害し、あなたがたに対し偽って様々の悪口を言う時には、あなたがたは、さいわいである。 + 喜び、よろこべ、天においてあなたがたの受ける報いは大きい。あなたがたより前の預言者たちも、同じように迫害されたのである。 + あなたがたは、地の塩である。もし塩のききめがなくなったら、何によってその味が取りもどされようか。もはや、なんの役にも立たず、ただ外に捨てられて、人々にふみつけられるだけである。 + あなたがたは、世の光である。山の上にある町は隠れることができない。 + また、あかりをつけて、それを枡の下におく者はいない。むしろ燭台の上において、家の中のすべてのものを照させるのである。 + そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かし、そして、人々があなたがたのよいおこないを見て、天にいますあなたがたの父をあがめるようにしなさい。 + わたしが律法や預言者を廃するためにきた、と思ってはならない。廃するためではなく、成就するためにきたのである。 + よく言っておく。天地が滅び行くまでは、律法の一点、一画もすたることはなく、ことごとく全うされるのである。 + それだから、これらの最も小さいいましめの一つでも破り、またそうするように人に教えたりする者は、天国で最も小さい者と呼ばれるであろう。しかし、これをおこないまたそう教える者は、天国で大いなる者と呼ばれるであろう。 + わたしは言っておく。あなたがたの義が律法学者やパリサイ人の義にまさっていなければ、決して天国に、はいることはできない。 + 昔の人々に『殺すな。殺す者は裁判を受けねばならない』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。兄弟に対して怒る者は、だれでも裁判を受けねばならない。兄弟にむかって愚か者と言う者は、議会に引きわたされるであろう。また、ばか者と言う者は、地獄の火に投げ込まれるであろう。 + だから、祭壇に供え物をささげようとする場合、兄弟が自分に対して何かうらみをいだいていることを、そこで思い出したなら、 + その供え物を祭壇の前に残しておき、まず行ってその兄弟と和解し、それから帰ってきて、供え物をささげることにしなさい。 + あなたを訴える者と一緒に道を行く時には、その途中で早く仲直りをしなさい。そうしないと、その訴える者はあなたを裁判官にわたし、裁判官は下役にわたし、そして、あなたは獄に入れられるであろう。 + よくあなたに言っておく。最後の一コドラントを支払ってしまうまでは、決してそこから出てくることはできない。 + 『姦淫するな』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。だれでも、情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである。 + もしあなたの右の目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に投げ入れられない方が、あなたにとって益である。 + もしあなたの右の手が罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に落ち込まない方が、あなたにとって益である。 + また『妻を出す者は離縁状を渡せ』と言われている。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。だれでも、不品行以外の理由で自分の妻を出す者は、姦淫を行わせるのである。また出された女をめとる者も、姦淫を行うのである。 + また昔の人々に『いつわり誓うな、誓ったことは、すべて主に対して果せ』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。いっさい誓ってはならない。天をさして誓うな。そこは神の御座であるから。 + また地をさして誓うな。そこは神の足台であるから。またエルサレムをさして誓うな。それは『大王の都』であるから。 + また、自分の頭をさして誓うな。あなたは髪の毛一すじさえ、白くも黒くもすることができない。 + あなたがたの言葉は、ただ、しかり、しかり、否、否、であるべきだ。それ以上に出ることは、悪から来るのである。 + 『目には目を、歯には歯を』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。悪人に手向かうな。もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。 + あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着をも与えなさい。 + もし、だれかが、あなたをしいて一マイル行かせようとするなら、その人と共に二マイル行きなさい。 + 求める者には与え、借りようとする者を断るな。 + 『隣り人を愛し、敵を憎め』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 + しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。 + こうして、天にいますあなたがたの父の子となるためである。天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らして下さるからである。 + あなたがたが自分を愛する者を愛したからとて、なんの報いがあろうか。そのようなことは取税人でもするではないか。 + 兄弟だけにあいさつをしたからとて、なんのすぐれた事をしているだろうか。そのようなことは異邦人でもしているではないか。 + それだから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい。 + + + 自分の義を、見られるために人の前で行わないように、注意しなさい。もし、そうしないと、天にいますあなたがたの父から報いを受けることがないであろう。 + だから、施しをする時には、偽善者たちが人にほめられるため会堂や町の中でするように、自分の前でラッパを吹きならすな。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。 + あなたは施しをする場合、右の手のしていることを左の手に知らせるな。 + それは、あなたのする施しが隠れているためである。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いてくださるであろう。 + また祈る時には、偽善者たちのようにするな。彼らは人に見せようとして、会堂や大通りのつじに立って祈ることを好む。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。 + あなたは祈る時、自分のへやにはいり、戸を閉じて、隠れた所においでになるあなたの父に祈りなさい。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いてくださるであろう。 + また、祈る場合、異邦人のように、くどくどと祈るな。彼らは言葉かずが多ければ、聞きいれられるものと思っている。 + だから、彼らのまねをするな。あなたがたの父なる神は、求めない先から、あなたがたに必要なものはご存じなのである。 + だから、あなたがたはこう祈りなさい、天にいますわれらの父よ、御名があがめられますように。 + 御国がきますように。みこころが天に行われるとおり、地にも行われますように。 + わたしたちの日ごとの食物を、きょうもお与えください。 + わたしたちに負債のある者をゆるしましたように、わたしたちの負債をもおゆるしください。 + わたしたちを試みに会わせないで、悪しき者からお救いください。 + もしも、あなたがたが、人々のあやまちをゆるすならば、あなたがたの天の父も、あなたがたをゆるして下さるであろう。 + もし人をゆるさないならば、あなたがたの父も、あなたがたのあやまちをゆるして下さらないであろう。 + また断食をする時には、偽善者がするように、陰気な顔つきをするな。彼らは断食をしていることを人に見せようとして、自分の顔を見苦しくするのである。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。 + あなたがたは断食をする時には、自分の頭に油を塗り、顔を洗いなさい。 + それは断食をしていることが人に知れないで、隠れた所においでになるあなたの父に知られるためである。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いて下さるであろう。 + あなたがたは自分のために、虫が食い、さびがつき、また、盗人らが押し入って盗み出すような地上に、宝をたくわえてはならない。 + むしろ自分のため、虫も食わず、さびもつかず、また、盗人らが押し入って盗み出すこともない天に、宝をたくわえなさい。 + あなたの宝のある所には、心もあるからである。 + 目はからだのあかりである。だから、あなたの目が澄んでおれば、全身も明るいだろう。 + しかし、あなたの目が悪ければ、全身も暗いだろう。だから、もしあなたの内なる光が暗ければ、その暗さは、どんなであろう。 + だれも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない。 + それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな。命は食物にまさり、からだは着物にまさるではないか。 + 空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取りいれることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれた者ではないか。 + あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。 + また、なぜ、着物のことで思いわずらうのか。野の花がどうして育っているか、考えて見るがよい。働きもせず、紡ぎもしない。 + しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。 + きょうは生えていて、あすは炉に投げ入れられる野の草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。 + だから、何を食べようか、何を飲もうか、あるいは何を着ようかと言って思いわずらうな。 + これらのものはみな、異邦人が切に求めているものである。あなたがたの天の父は、これらのものが、ことごとくあなたがたに必要であることをご存じである。 + まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう。 + だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。 + + + 人をさばくな。自分がさばかれないためである。 + あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう。 + なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。 + 自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって、あなたの目からちりを取らせてください、と言えようか。 + 偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。 + 聖なるものを犬にやるな。また真珠を豚に投げてやるな。恐らく彼らはそれらを足で踏みつけ、向きなおってあなたがたにかみついてくるであろう。 + 求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば、見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。 + すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。 + あなたがたのうちで、自分の子がパンを求めるのに、石を与える者があろうか。 + 魚を求めるのに、へびを与える者があろうか。 + このように、あなたがたは悪い者であっても、自分の子供には、良い贈り物をすることを知っているとすれば、天にいますあなたがたの父はなおさら、求めてくる者に良いものを下さらないことがあろうか。 + だから、何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ。これが律法であり預言者である。 + 狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。 + 命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない。 + にせ預言者を警戒せよ。彼らは、羊の衣を着てあなたがたのところに来るが、その内側は強欲なおおかみである。 + あなたがたは、その実によって彼らを見わけるであろう。茨からぶどうを、あざみからいちじくを集める者があろうか。 + そのように、すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。 + 良い木が悪い実をならせることはないし、悪い木が良い実をならせることはできない。 + 良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれる。 + このように、あなたがたはその実によって彼らを見わけるのである。 + わたしにむかって『主よ、主よ』と言う者が、みな天国にはいるのではなく、ただ、天にいますわが父の御旨を行う者だけが、はいるのである。 + その日には、多くの者が、わたしにむかって『主よ、主よ、わたしたちはあなたの名によって預言したではありませんか。また、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって多くの力あるわざを行ったではありませんか』と言うであろう。 + そのとき、わたしは彼らにはっきり、こう言おう、『あなたがたを全く知らない。不法を働く者どもよ、行ってしまえ』。 + それで、わたしのこれらの言葉を聞いて行うものを、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができよう。 + 雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけても、倒れることはない。岩を土台としているからである。 + また、わたしのこれらの言葉を聞いても行わない者を、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができよう。 + 雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまう。そしてその倒れ方はひどいのである」。 + イエスがこれらの言を語り終えられると、群衆はその教にひどく驚いた。 + それは律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように、教えられたからである。 + + + イエスが山をお降りになると、おびただしい群衆がついてきた。 + すると、そのとき、ひとりのらい病人がイエスのところにきて、ひれ伏して言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 + イエスは手を伸ばして、彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病は直ちにきよめられた。 + イエスは彼に言われた、「だれにも話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた供え物をささげて、人々に証明しなさい」。 + さて、イエスがカペナウムに帰ってこられたとき、ある百卒長がみもとにきて訴えて言った、 + 「主よ、わたしの僕が中風でひどく苦しんで、家に寝ています」。 + イエスは彼に、「わたしが行ってなおしてあげよう」と言われた。 + そこで百卒長は答えて言った、「主よ、わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。ただ、お言葉を下さい。そうすれば僕はなおります。 + わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け』と言えば行き、ほかの者に『こい』と言えばきますし、また、僕に『これをせよ』と言えば、してくれるのです」。 + イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた人々に言われた、「よく聞きなさい。イスラエル人の中にも、これほどの信仰を見たことがない。 + なお、あなたがたに言うが、多くの人が東から西からきて、天国で、アブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席につくが、 + この国の子らは外のやみに追い出され、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう」。 + それからイエスは百卒長に「行け、あなたの信じたとおりになるように」と言われた。すると、ちょうどその時に、僕はいやされた。 + それから、イエスはペテロの家にはいって行かれ、そのしゅうとめが熱病で、床についているのをごらんになった。 + そこで、その手にさわられると、熱が引いた。そして女は起きあがってイエスをもてなした。 + 夕暮になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れてきたので、イエスはみ言葉をもって霊どもを追い出し、病人をことごとくおいやしになった。 + これは、預言者イザヤによって「彼は、わたしたちのわずらいを身に受け、わたしたちの病を負うた」と言われた言葉が成就するためである。 + イエスは、群衆が自分のまわりに群がっているのを見て、向こう岸に行くようにと弟子たちにお命じになった。 + するとひとりの律法学者が近づいてきて言った、「先生、あなたがおいでになる所なら、どこへでも従ってまいります」。 + イエスはその人に言われた、「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない」。 + また弟子のひとりが言った、「主よ、まず、父を葬りに行かせて下さい」。 + イエスは彼に言われた、「わたしに従ってきなさい。そして、その死人を葬ることは、死人に任せておくがよい」。 + それから、イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。 + すると突然、海上に激しい暴風が起って、舟は波にのまれそうになった。ところが、イエスは眠っておられた。 + そこで弟子たちはみそばに寄ってきてイエスを起し、「主よ、お助けください、わたしたちは死にそうです」と言った。 + するとイエスは彼らに言われた、「なぜこわがるのか、信仰の薄い者たちよ」。それから起きあがって、風と海とをおしかりになると、大なぎになった。 + 彼らは驚いて言った、「このかたはどういう人なのだろう。風も海も従わせるとは」。 + それから、向こう岸、ガダラ人の地に着かれると、悪霊につかれたふたりの者が、墓場から出てきてイエスに出会った。彼らは手に負えない乱暴者で、だれもその辺の道を通ることができないほどであった。 + すると突然、彼らは叫んで言った、「神の子よ、あなたはわたしどもとなんの係わりがあるのです。まだその時ではないのに、ここにきて、わたしどもを苦しめるのですか」。 + さて、そこからはるか離れた所に、おびただしい豚の群れが飼ってあった。 + 悪霊どもはイエスに願って言った、「もしわたしどもを追い出されるのなら、あの豚の群れの中につかわして下さい」。 + そこで、イエスが「行け」と言われると、彼らは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れ全体が、がけから海へなだれを打って駆け下り、水の中で死んでしまった。 + 飼う者たちは逃げて町に行き、悪霊につかれた者たちのことなど、いっさいを知らせた。 + すると、町中の者がイエスに会いに出てきた。そして、イエスに会うと、この地方から去ってくださるようにと頼んだ。 + + + さて、イエスは舟に乗って海を渡り、自分の町に帰られた。 + すると、人々が中風の者を床の上に寝かせたままでみもとに運んできた。イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、しっかりしなさい。あなたの罪はゆるされたのだ」と言われた。 + すると、ある律法学者たちが心の中で言った、「この人は神を汚している」。 + イエスは彼らの考えを見抜いて、「なぜ、あなたがたは心の中で悪いことを考えているのか。 + あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。 + しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために」と言い、中風の者にむかって、「起きよ、床を取りあげて家に帰れ」と言われた。 + すると彼は起きあがり、家に帰って行った。 + 群衆はそれを見て恐れ、こんな大きな権威を人にお与えになった神をあがめた。 + さてイエスはそこから進んで行かれ、マタイという人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。 + それから、イエスが家で食事の席についておられた時のことである。多くの取税人や罪人たちがきて、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。 + パリサイ人たちはこれを見て、弟子たちに言った、「なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人などと食事を共にするのか」。 + イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。 + 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、学んできなさい。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。 + そのとき、ヨハネの弟子たちがイエスのところにきて言った、「わたしたちとパリサイ人たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。 + するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいる間は、悲しんでおられようか。しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その時には断食をするであろう。 + だれも、真新しい布ぎれで、古い着物につぎを当てはしない。そのつぎきれは着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなるから。 + だれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、その皮袋は張り裂け、酒は流れ出るし、皮袋もむだになる。だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。そうすれば両方とも長もちがするであろう」。 + これらのことを彼らに話しておられると、そこにひとりの会堂司がきて、イエスを拝して言った、「わたしの娘がただ今死にました。しかしおいでになって手をその上においてやって下さい。そうしたら、娘は生き返るでしょう」。 + そこで、イエスが立って彼について行かれると、弟子たちも一緒に行った。 + するとそのとき、十二年間も長血をわずらっている女が近寄ってきて、イエスのうしろからみ衣のふさにさわった。 + み衣にさわりさえすれば、なおしていただけるだろう、と心の中で思っていたからである。 + イエスは振り向いて、この女を見て言われた、「娘よ、しっかりしなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです」。するとこの女はその時に、いやされた。 + それからイエスは司の家に着き、笛吹きどもや騒いでいる群衆を見て言われた。 + 「あちらへ行っていなさい。少女は死んだのではない。眠っているだけである」。すると人々はイエスをあざ笑った。 + しかし、群衆を外へ出したのち、イエスは内へはいって、少女の手をお取りになると、少女は起きあがった。 + そして、そのうわさがこの地方全体にひろまった。 + そこから進んで行かれると、ふたりの盲人が、「ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」と叫びながら、イエスについてきた。 + そしてイエスが家にはいられると、盲人たちがみもとにきたので、彼らに「わたしにそれができると信じるか」と言われた。彼らは言った、「主よ、信じます」。 + そこで、イエスは彼らの目にさわって言われた、「あなたがたの信仰どおり、あなたがたの身になるように」。 + すると彼らの目が開かれた。イエスは彼らをきびしく戒めて言われた、「だれにも知れないように気をつけなさい」。 + しかし、彼らは出て行って、その地方全体にイエスのことを言いひろめた。 + 彼らが出て行くと、人々は悪霊につかれたおしをイエスのところに連れてきた。 + すると、悪霊は追い出されて、おしが物を言うようになった。群衆は驚いて、「このようなことがイスラエルの中で見られたことは、これまで一度もなかった」と言った。 + しかし、パリサイ人たちは言った、「彼は、悪霊どものかしらによって悪霊どもを追い出しているのだ」。 + イエスは、すべての町々村々を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。 + また群衆が飼う者のない羊のように弱り果てて、倒れているのをごらんになって、彼らを深くあわれまれた。 + そして弟子たちに言われた、「収穫は多いが、働き人が少ない。 + だから、収穫の主に願って、その収穫のために働き人を送り出すようにしてもらいなさい」。 + + + そこで、イエスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊を追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやす権威をお授けになった。 + 十二使徒の名は、次のとおりである。まずペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、 + ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、 + 熱心党のシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。 + イエスはこの十二人をつかわすに当り、彼らに命じて言われた、「異邦人の道に行くな。またサマリヤ人の町にはいるな。 + むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところに行け。 + 行って、『天国が近づいた』と宣べ伝えよ。 + 病人をいやし、死人をよみがえらせ、らい病人をきよめ、悪霊を追い出せ。ただで受けたのだから、ただで与えるがよい。 + 財布の中に金、銀または銭を入れて行くな。 + 旅行のための袋も、二枚の下着も、くつも、つえも持って行くな。働き人がその食物を得るのは当然である。 + どの町、どの村にはいっても、その中でだれがふさわしい人か、たずね出して、立ち去るまではその人のところにとどまっておれ。 + その家にはいったなら、平安を祈ってあげなさい。 + もし平安を受けるにふさわしい家であれば、あなたがたの祈る平安はその家に来るであろう。もしふさわしくなければ、その平安はあなたがたに帰って来るであろう。 + もしあなたがたを迎えもせず、またあなたがたの言葉を聞きもしない人があれば、その家や町を立ち去る時に、足のちりを払い落しなさい。 + あなたがたによく言っておく。さばきの日には、ソドム、ゴモラの地の方が、その町よりは耐えやすいであろう。 + わたしがあなたがたをつかわすのは、羊をおおかみの中に送るようなものである。だから、へびのように賢く、はとのように素直であれ。 + 人々に注意しなさい。彼らはあなたがたを衆議所に引き渡し、会堂でむち打つであろう。 + またあなたがたは、わたしのために長官たちや王たちの前に引き出されるであろう。それは、彼らと異邦人とに対してあかしをするためである。 + 彼らがあなたがたを引き渡したとき、何をどう言おうかと心配しないがよい。言うべきことは、その時に授けられるからである。 + 語る者は、あなたがたではなく、あなたがたの中にあって語る父の霊である。 + 兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、また子は親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。 + またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 + 一つの町で迫害されたなら、他の町へ逃げなさい。よく言っておく。あなたがたがイスラエルの町々を回り終らないうちに、人の子は来るであろう。 + 弟子はその師以上のものではなく、僕はその主人以上の者ではない。 + 弟子がその師のようであり、僕がその主人のようであれば、それで十分である。もし家の主人がベルゼブルと言われるならば、その家の者どもはなおさら、どんなにか悪く言われることであろう。 + だから彼らを恐れるな。おおわれたもので、現れてこないものはなく、隠れているもので、知られてこないものはない。 + わたしが暗やみであなたがたに話すことを、明るみで言え。耳にささやかれたことを、屋根の上で言いひろめよ。 + また、からだを殺しても、魂を殺すことのできない者どもを恐れるな。むしろ、からだも魂も地獄で滅ぼす力のあるかたを恐れなさい。 + 二羽のすずめは一アサリオンで売られているではないか。しかもあなたがたの父の許しがなければ、その一羽も地に落ちることはない。 + またあなたがたの頭の毛までも、みな数えられている。 + それだから、恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。 + だから人の前でわたしを受けいれる者を、わたしもまた、天にいますわたしの父の前で受けいれるであろう。 + しかし、人の前でわたしを拒む者を、わたしも天にいますわたしの父の前で拒むであろう。 + 地上に平和をもたらすために、わたしがきたと思うな。平和ではなく、つるぎを投げ込むためにきたのである。 + わたしがきたのは、人をその父と、娘をその母と、嫁をそのしゅうとめと仲たがいさせるためである。 + そして家の者が、その人の敵となるであろう。 + わたしよりも父または母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりもむすこや娘を愛する者は、わたしにふさわしくない。 + また自分の十字架をとってわたしに従ってこない者はわたしにふさわしくない。 + 自分の命を得ている者はそれを失い、わたしのために自分の命を失っている者は、それを得るであろう。 + あなたがたを受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。わたしを受けいれる者は、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである。 + 預言者の名のゆえに預言者を受けいれる者は、預言者の報いを受け、義人の名のゆえに義人を受けいれる者は、義人の報いを受けるであろう。 + わたしの弟子であるという名のゆえに、この小さい者のひとりに冷たい水一杯でも飲ませてくれる者は、よく言っておくが、決してその報いからもれることはない」。 + + + イエスは十二弟子にこのように命じ終えてから、町々で教えまた宣べ伝えるために、そこを立ち去られた。 + さて、ヨハネは獄中でキリストのみわざについて伝え聞き、自分の弟子たちをつかわして、 + イエスに言わせた、「『きたるべきかた』はあなたなのですか。それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか」。 + イエスは答えて言われた、「行って、あなたがたが見聞きしていることをヨハネに報告しなさい。 + 盲人は見え、足なえは歩き、らい病人はきよまり、耳しいは聞え、死人は生きかえり、貧しい人々は福音を聞かされている。 + わたしにつまずかない者は、さいわいである」。 + 彼らが帰ってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆に語りはじめられた、「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのか。風に揺らぐ葦であるか。 + では、何を見に出てきたのか。柔らかい着物をまとった人か。柔らかい着物をまとった人々なら、王の家にいる。 + では、なんのために出てきたのか。預言者を見るためか。そうだ、あなたがたに言うが、預言者以上の者である。 + 『見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、あなたの前に、道を整えさせるであろう』と書いてあるのは、この人のことである。 + あなたがたによく言っておく。女の産んだ者の中で、バプテスマのヨハネより大きい人物は起らなかった。しかし、天国で最も小さい者も、彼よりは大きい。 + バプテスマのヨハネの時から今に至るまで、天国は激しく襲われている。そして激しく襲う者たちがそれを奪い取っている。 + すべての預言者と律法とが預言したのは、ヨハネの時までである。 + そして、もしあなたがたが受けいれることを望めば、この人こそは、きたるべきエリヤなのである。 + 耳のある者は聞くがよい。 + 今の時代を何に比べようか。それは子供たちが広場にすわって、ほかの子供たちに呼びかけ、 + 『わたしたちが笛を吹いたのに、あなたたちは踊ってくれなかった。弔いの歌を歌ったのに、胸を打ってくれなかった』と言うのに似ている。 + なぜなら、ヨハネがきて、食べることも、飲むこともしないと、あれは悪霊につかれているのだ、と言い、 + また人の子がきて、食べたり飲んだりしていると、見よ、あれは食をむさぼる者、大酒を飲む者、また取税人、罪人の仲間だ、と言う。しかし、知恵の正しいことは、その働きが証明する」。 + それからイエスは、数々の力あるわざがなされたのに、悔い改めることをしなかった町々を、責めはじめられた。 + 「わざわいだ、コラジンよ。わざわいだ、ベツサイダよ。おまえたちのうちでなされた力あるわざが、もしツロとシドンでなされたなら、彼らはとうの昔に、荒布をまとい灰をかぶって、悔い改めたであろう。 + しかし、おまえたちに言っておく。さばきの日には、ツロとシドンの方がおまえたちよりも、耐えやすいであろう。 + ああ、カペナウムよ、おまえは天にまで上げられようとでもいうのか。黄泉にまで落されるであろう。おまえの中でなされた力あるわざが、もしソドムでなされたなら、その町は今日までも残っていたであろう。 + しかし、あなたがたに言う。さばきの日には、ソドムの地の方がおまえよりは耐えやすいであろう」。 + そのときイエスは声をあげて言われた、「天地の主なる父よ。あなたをほめたたえます。これらの事を知恵のある者や賢い者に隠して、幼な子にあらわしてくださいました。 + 父よ、これはまことにみこころにかなった事でした。 + すべての事は父からわたしに任せられています。そして、子を知る者は父のほかにはなく、父を知る者は、子と、父をあらわそうとして子が選んだ者とのほかに、だれもありません。 + すべて重荷を負うて苦労している者は、わたしのもとにきなさい。あなたがたを休ませてあげよう。 + わたしは柔和で心のへりくだった者であるから、わたしのくびきを負うて、わたしに学びなさい。そうすれば、あなたがたの魂に休みが与えられるであろう。 + わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからである」。 + + + そのころ、ある安息日に、イエスは麦畑の中を通られた。すると弟子たちは、空腹であったので、穂を摘んで食べはじめた。 + パリサイ人たちがこれを見て、イエスに言った、「ごらんなさい、あなたの弟子たちが、安息日にしてはならないことをしています」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが飢えたとき、ダビデが何をしたか読んだことがないのか。 + すなわち、神の家にはいって、祭司たちのほか、自分も供の者たちも食べてはならぬ供えのパンを食べたのである。 + また、安息日に宮仕えをしている祭司たちは安息日を破っても罪にはならないことを、律法で読んだことがないのか。 + あなたがたに言っておく。宮よりも大いなる者がここにいる。 + 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か知っていたなら、あなたがたは罪のない者をとがめなかったであろう。 + 人の子は安息日の主である」。 + イエスはそこを去って、彼らの会堂にはいられた。 + すると、そのとき、片手のなえた人がいた。人々はイエスを訴えようと思って、「安息日に人をいやしても、さしつかえないか」と尋ねた。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたのうちに、一匹の羊を持っている人があるとして、もしそれが安息日に穴に落ちこんだなら、手をかけて引き上げてやらないだろうか。 + 人は羊よりも、はるかにすぐれているではないか。だから、安息日に良いことをするのは、正しいことである」。 + そしてイエスはその人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。そこで手を伸ばすと、ほかの手のように良くなった。 + パリサイ人たちは出て行って、なんとかしてイエスを殺そうと相談した。 + イエスはこれを知って、そこを去って行かれた。ところが多くの人々がついてきたので、彼らを皆いやし、 + そして自分のことを人々にあらわさないようにと、彼らを戒められた。 + これは預言者イザヤの言った言葉が、成就するためである、 + 「見よ、わたしが選んだ僕、わたしの心にかなう、愛する者。わたしは彼にわたしの霊を授け、そして彼は正義を異邦人に宣べ伝えるであろう。 + 彼は争わず、叫ばず、またその声を大路で聞く者はない。 + 彼が正義に勝ちを得させる時まで、いためられた葦を折ることがなく、煙っている燈心を消すこともない。 + 異邦人は彼の名に望みを置くであろう」。 + そのとき、人々が悪霊につかれた盲人のおしを連れてきたので、イエスは彼をいやして、物を言い、また目が見えるようにされた。 + すると群衆はみな驚いて言った、「この人が、あるいはダビデの子ではあるまいか」。 + しかし、パリサイ人たちは、これを聞いて言った、「この人が悪霊を追い出しているのは、まったく悪霊のかしらベルゼブルによるのだ」。 + イエスは彼らの思いを見抜いて言われた、「おおよそ、内部で分れ争う国は自滅し、内わで分れ争う町や家は立ち行かない。 + もしサタンがサタンを追い出すならば、それは内わで分れ争うことになる。それでは、その国はどうして立ち行けよう。 + もしわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出すとすれば、あなたがたの仲間はだれによって追い出すのであろうか。だから、彼らがあなたがたをさばく者となるであろう。 + しかし、わたしが神の霊によって悪霊を追い出しているのなら、神の国はすでにあなたがたのところにきたのである。 + まただれでも、まず強い人を縛りあげなければ、どうして、その人の家に押し入って家財を奪い取ることができようか。縛ってから、はじめてその家を掠奪することができる。 + わたしの味方でない者は、わたしに反対するものであり、わたしと共に集めない者は、散らすものである。 + だから、あなたがたに言っておく。人には、その犯すすべての罪も神を汚す言葉も、ゆるされる。しかし、聖霊を汚す言葉は、ゆるされることはない。 + また人の子に対して言い逆らう者は、ゆるされるであろう。しかし、聖霊に対して言い逆らう者は、この世でも、きたるべき世でも、ゆるされることはない。 + 木が良ければ、その実も良いとし、木が悪ければ、その実も悪いとせよ。木はその実でわかるからである。 + まむしの子らよ。あなたがたは悪い者であるのに、どうして良いことを語ることができようか。おおよそ、心からあふれることを、口が語るものである。 + 善人はよい倉から良い物を取り出し、悪人は悪い倉から悪い物を取り出す。 + あなたがたに言うが、審判の日には、人はその語る無益な言葉に対して、言い開きをしなければならないであろう。 + あなたは、自分の言葉によって正しいとされ、また自分の言葉によって罪ありとされるからである」。 + そのとき、律法学者、パリサイ人のうちのある人々がイエスにむかって言った、「先生、わたしたちはあなたから、しるしを見せていただきとうございます」。 + すると、彼らに答えて言われた、「邪悪で不義な時代は、しるしを求める。しかし、預言者ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう。 + すなわち、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、地の中にいるであろう。 + ニネベの人々が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、ニネベの人々はヨナの宣教によって悔い改めたからである。しかし見よ、ヨナにまさる者がここにいる。 + 南の女王が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果から、はるばるきたからである。しかし見よ、ソロモンにまさる者がここにいる。 + 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無い所を歩きまわるが、見つからない。 + そこで、出てきた元の家に帰ろうと言って帰って見ると、その家はあいていて、そうじがしてある上、飾りつけがしてあった。 + そこでまた出て行って、自分以上に悪い他の七つの霊を一緒に引き連れてきて中にはいり、そこに住み込む。そうすると、その人ののちの状態は初めよりももっと悪くなるのである。よこしまな今の時代も、このようになるであろう」。 + イエスがまだ群衆に話しておられるとき、その母と兄弟たちとが、イエスに話そうと思って外に立っていた。 + それで、ある人がイエスに言った、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟がたが、あなたに話そうと思って、外に立っておられます」。 + イエスは知らせてくれた者に答えて言われた、「わたしの母とは、だれのことか。わたしの兄弟とは、だれのことか」。 + そして、弟子たちの方に手をさし伸べて言われた、「ごらんなさい。ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。 + 天にいますわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。 + + + その日、イエスは家を出て、海べにすわっておられた。 + ところが、大ぜいの群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗ってすわられ、群衆はみな岸に立っていた。 + イエスは譬で多くの事を語り、こう言われた、「見よ、種まきが種をまきに出て行った。 + まいているうちに、道ばたに落ちた種があった。すると、鳥がきて食べてしまった。 + ほかの種は土の薄い石地に落ちた。そこは土が深くないので、すぐ芽を出したが、 + 日が上ると焼けて、根がないために枯れてしまった。 + ほかの種はいばらの地に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまった。 + ほかの種は良い地に落ちて実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。 + 耳のある者は聞くがよい」。 + それから、弟子たちがイエスに近寄ってきて言った、「なぜ、彼らに譬でお話しになるのですか」。 + そこでイエスは答えて言われた、「あなたがたには、天国の奥義を知ることが許されているが、彼らには許されていない。 + おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。 + だから、彼らには譬で語るのである。それは彼らが、見ても見ず、聞いても聞かず、また悟らないからである。 + こうしてイザヤの言った預言が、彼らの上に成就したのである。『あなたがたは聞くには聞くが、決して悟らない。見るには見るが、決して認めない。 + この民の心は鈍くなり、その耳は聞えにくく、その目は閉じている。それは、彼らが目で見ず、耳で聞かず、心で悟らず、悔い改めていやされることがないためである』。 + しかし、あなたがたの目は見ており、耳は聞いているから、さいわいである。 + あなたがたによく言っておく。多くの預言者や義人は、あなたがたの見ていることを見ようと熱心に願ったが、見ることができず、またあなたがたの聞いていることを聞こうとしたが、聞けなかったのである。 + そこで、種まきの譬を聞きなさい。 + だれでも御国の言を聞いて悟らないならば、悪い者がきて、その人の心にまかれたものを奪いとって行く。道ばたにまかれたものというのは、そういう人のことである。 + 石地にまかれたものというのは、御言を聞くと、すぐに喜んで受ける人のことである。 + その中に根がないので、しばらく続くだけであって、御言のために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまう。 + また、いばらの中にまかれたものとは、御言を聞くが、世の心づかいと富の惑わしとが御言をふさぐので、実を結ばなくなる人のことである。 + また、良い地にまかれたものとは、御言を聞いて悟る人のことであって、そういう人が実を結び、百倍、あるいは六十倍、あるいは三十倍にもなるのである」。 + また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、良い種を自分の畑にまいておいた人のようなものである。 + 人々が眠っている間に敵がきて、麦の中に毒麦をまいて立ち去った。 + 芽がはえ出て実を結ぶと、同時に毒麦もあらわれてきた。 + 僕たちがきて、家の主人に言った、『ご主人様、畑におまきになったのは、良い種ではありませんでしたか。どうして毒麦がはえてきたのですか』。 + 主人は言った、『それは敵のしわざだ』。すると僕たちが言った『では行って、それを抜き集めましょうか』。 + 彼は言った、『いや、毒麦を集めようとして、麦も一緒に抜くかも知れない。 + 収穫まで、両方とも育つままにしておけ。収穫の時になったら、刈る者に、まず毒麦を集めて束にして焼き、麦の方は集めて倉に入れてくれ、と言いつけよう』」。 + また、ほかの譬を彼らに示して言われた、「天国は、一粒のからし種のようなものである。ある人がそれをとって畑にまくと、 + それはどんな種よりも小さいが、成長すると、野菜の中でいちばん大きくなり、空の鳥がきて、その枝に宿るほどの木になる」。 + またほかの譬を彼らに語られた、「天国は、パン種のようなものである。女がそれを取って三斗の粉の中に混ぜると、全体がふくらんでくる」。 + イエスはこれらのことをすべて、譬で群衆に語られた。譬によらないでは何事も彼らに語られなかった。 + これは預言者によって言われたことが、成就するためである、「わたしは口を開いて譬を語り、世の初めから隠されていることを語り出そう」。 + それからイエスは、群衆をあとに残して家にはいられた。すると弟子たちは、みもとにきて言った、「畑の毒麦の譬を説明してください」。 + イエスは答えて言われた、「良い種をまく者は、人の子である。 + 畑は世界である。良い種と言うのは御国の子たちで、毒麦は悪い者の子たちである。 + それをまいた敵は悪魔である。収穫とは世の終りのことで、刈る者は御使たちである。 + だから、毒麦が集められて火で焼かれるように、世の終りにもそのとおりになるであろう。 + 人の子はその使たちをつかわし、つまずきとなるものと不法を行う者とを、ことごとく御国からとり集めて、 + 炉の火に投げ入れさせるであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 + そのとき、義人たちは彼らの父の御国で、太陽のように輝きわたるであろう。耳のある者は聞くがよい。 + 天国は、畑に隠してある宝のようなものである。人がそれを見つけると隠しておき、喜びのあまり、行って持ち物をみな売りはらい、そしてその畑を買うのである。 + また天国は、良い真珠を捜している商人のようなものである。 + 高価な真珠一個を見いだすと、行って持ち物をみな売りはらい、そしてこれを買うのである。 + また天国は、海におろして、あらゆる種類の魚を囲みいれる網のようなものである。 + それがいっぱいになると岸に引き上げ、そしてすわって、良いのを器に入れ、悪いのを外へ捨てるのである。 + 世の終りにも、そのとおりになるであろう。すなわち、御使たちがきて、義人のうちから悪人をえり分け、 + そして炉の火に投げこむであろう。そこでは泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 + あなたがたは、これらのことが皆わかったか」。彼らは「わかりました」と答えた。 + そこで、イエスは彼らに言われた、「それだから、天国のことを学んだ学者は、新しいものと古いものとを、その倉から取り出す一家の主人のようなものである」。 + イエスはこれらの譬を語り終えてから、そこを立ち去られた。 + そして郷里に行き、会堂で人々を教えられたところ、彼らは驚いて言った、「この人は、この知恵とこれらの力あるわざとを、どこで習ってきたのか。 + この人は大工の子ではないか。母はマリヤといい、兄弟たちは、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではないか。 + またその姉妹たちもみな、わたしたちと一緒にいるではないか。こんな数々のことを、いったい、どこで習ってきたのか」。 + こうして人々はイエスにつまずいた。しかし、イエスは言われた、「預言者は、自分の郷里や自分の家以外では、どこででも敬われないことはない」。 + そして彼らの不信仰のゆえに、そこでは力あるわざを、あまりなさらなかった。 + + + そのころ、領主ヘロデはイエスのうわさを聞いて、 + 家来に言った、「あれはバプテスマのヨハネだ。死人の中からよみがえったのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」。 + というのは、ヘロデは先に、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕えて縛り、獄に入れていた。 + すなわち、ヨハネはヘロデに、「その女をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。 + そこでヘロデはヨハネを殺そうと思ったが、群衆を恐れた。彼らがヨハネを預言者と認めていたからである。 + さてヘロデの誕生日の祝に、ヘロデヤの娘がその席上で舞をまい、ヘロデを喜ばせたので、 + 彼女の願うものは、なんでも与えようと、彼は誓って約束までした。 + すると彼女は母にそそのかされて、「バプテスマのヨハネの首を盆に載せて、ここに持ってきていただきとうございます」と言った。 + 王は困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、それを与えるように命じ、 + 人をつかわして、獄中でヨハネの首を切らせた。 + その首は盆に載せて運ばれ、少女にわたされ、少女はそれを母のところに持って行った。 + それから、ヨハネの弟子たちがきて、死体を引き取って葬った。そして、イエスのところに行って報告した。 + イエスはこのことを聞くと、舟に乗ってそこを去り、自分ひとりで寂しい所へ行かれた。しかし、群衆はそれと聞いて、町々から徒歩であとを追ってきた。 + イエスは舟から上がって、大ぜいの群衆をごらんになり、彼らを深くあわれんで、そのうちの病人たちをおいやしになった。 + 夕方になったので、弟子たちがイエスのもとにきて言った、「ここは寂しい所でもあり、もう時もおそくなりました。群衆を解散させ、めいめいで食物を買いに、村々へ行かせてください」。 + するとイエスは言われた、「彼らが出かけて行くには及ばない。あなたがたの手で食物をやりなさい」。 + 弟子たちは言った、「わたしたちはここに、パン五つと魚二ひきしか持っていません」。 + イエスは言われた、「それをここに持ってきなさい」。 + そして群衆に命じて、草の上にすわらせ、五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンをさいて弟子たちに渡された。弟子たちはそれを群衆に与えた。 + みんなの者は食べて満腹した。パンくずの残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。 + 食べた者は、女と子供とを除いて、おおよそ五千人であった。 + それからすぐ、イエスは群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸へ先におやりになった。 + そして群衆を解散させてから、祈るためひそかに山へ登られた。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。 + ところが舟は、もうすでに陸から数丁も離れており、逆風が吹いていたために、波に悩まされていた。 + イエスは夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らの方へ行かれた。 + 弟子たちは、イエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと言っておじ惑い、恐怖のあまり叫び声をあげた。 + しかし、イエスはすぐに彼らに声をかけて、「しっかりするのだ、わたしである。恐れることはない」と言われた。 + するとペテロが答えて言った、「主よ、あなたでしたか。では、わたしに命じて、水の上を渡ってみもとに行かせてください」。 + イエスは、「おいでなさい」と言われたので、ペテロは舟からおり、水の上を歩いてイエスのところへ行った。 + しかし、風を見て恐ろしくなり、そしておぼれかけたので、彼は叫んで、「主よ、お助けください」と言った。 + イエスはすぐに手を伸ばし、彼をつかまえて言われた、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」。 + ふたりが舟に乗り込むと、風はやんでしまった。 + 舟の中にいた者たちはイエスを拝して、「ほんとうに、あなたは神の子です」と言った。 + それから、彼らは海を渡ってゲネサレの地に着いた。 + するとその土地の人々はイエスと知って、その附近全体に人をつかわし、イエスのところに病人をみな連れてこさせた。 + そして彼らにイエスの上着のふさにでも、さわらせてやっていただきたいとお願いした。そしてさわった者は皆いやされた。 + + + ときに、パリサイ人と律法学者たちとが、エルサレムからイエスのもとにきて言った、 + 「あなたの弟子たちは、なぜ昔の人々の言伝えを破るのですか。彼らは食事の時に手を洗っていません」。 + イエスは答えて言われた、「なぜ、あなたがたも自分たちの言伝えによって、神のいましめを破っているのか。 + 神は言われた、『父と母とを敬え』、また『父または母をののしる者は、必ず死に定められる』と。 + それだのに、あなたがたは『だれでも父または母にむかって、あなたにさしあげるはずのこのものは供え物です、と言えば、 + 父または母を敬わなくてもよろしい』と言っている。こうしてあなたがたは自分たちの言伝えによって、神の言を無にしている。 + 偽善者たちよ、イザヤがあなたがたについて、こういう適切な預言をしている、 + 『この民は、口さきではわたしを敬うが、その心はわたしから遠く離れている。 + 人間のいましめを教として教え、無意味にわたしを拝んでいる』」。 + それからイエスは群衆を呼び寄せて言われた、「聞いて悟るがよい。 + 口にはいるものは人を汚すことはない。かえって、口から出るものが人を汚すのである」。 + そのとき、弟子たちが近寄ってきてイエスに言った、「パリサイ人たちが御言を聞いてつまずいたことを、ご存じですか」。 + イエスは答えて言われた、「わたしの天の父がお植えにならなかったものは、みな抜き取られるであろう。 + 彼らをそのままにしておけ。彼らは盲人を手引きする盲人である。もし盲人が盲人を手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込むであろう」。 + ペテロが答えて言った、「その譬を説明してください」。 + イエスは言われた、「あなたがたも、まだわからないのか。 + 口にはいってくるものは、みな腹の中にはいり、そして、外に出て行くことを知らないのか。 + しかし、口から出て行くものは、心の中から出てくるのであって、それが人を汚すのである。 + というのは、悪い思い、すなわち、殺人、姦淫、不品行、盗み、偽証、誹りは、心の中から出てくるのであって、 + これらのものが人を汚すのである。しかし、洗わない手で食事することは、人を汚すのではない」。 + さて、イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方へ行かれた。 + すると、そこへ、その地方出のカナンの女が出てきて、「主よ、ダビデの子よ、わたしをあわれんでください。娘が悪霊にとりつかれて苦しんでいます」と言って叫びつづけた。 + しかし、イエスはひと言もお答えにならなかった。そこで弟子たちがみもとにきて願って言った、「この女を追い払ってください。叫びながらついてきていますから」。 + するとイエスは答えて言われた、「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外の者には、つかわされていない」。 + しかし、女は近寄りイエスを拝して言った、「主よ、わたしをお助けください」。 + イエスは答えて言われた、「子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。 + すると女は言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、小犬もその主人の食卓から落ちるパンくずは、いただきます」。 + そこでイエスは答えて言われた、「女よ、あなたの信仰は見あげたものである。あなたの願いどおりになるように」。その時に、娘はいやされた。 + イエスはそこを去って、ガリラヤの海べに行き、それから山に登ってそこにすわられた。 + すると大ぜいの群衆が、足なえ、不具者、盲人、おし、そのほか多くの人々を連れてきて、イエスの足もとに置いたので、彼らをおいやしになった。 + 群衆は、おしが物を言い、不具者が直り、足なえが歩き、盲人が見えるようになったのを見て驚き、そしてイスラエルの神をほめたたえた。 + イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「この群衆がかわいそうである。もう三日間もわたしと一緒にいるのに、何も食べるものがない。しかし、彼らを空腹のままで帰らせたくはない。恐らく途中で弱り切ってしまうであろう」。 + 弟子たちは言った、「荒野の中で、こんなに大ぜいの群衆にじゅうぶん食べさせるほどたくさんのパンを、どこで手に入れましょうか」。 + イエスは弟子たちに「パンはいくつあるか」と尋ねられると、「七つあります。また小さい魚が少しあります」と答えた。 + そこでイエスは群衆に、地にすわるようにと命じ、 + 七つのパンと魚とを取り、感謝してこれをさき、弟子たちにわたされ、弟子たちはこれを群衆にわけた。 + 一同の者は食べて満腹した。そして残ったパンくずを集めると、七つのかごにいっぱいになった。 + 食べた者は、女と子供とを除いて四千人であった。 + そこでイエスは群衆を解散させ、舟に乗ってマガダンの地方へ行かれた。 + + + パリサイ人とサドカイ人とが近寄ってきて、イエスを試み、天からのしるしを見せてもらいたいと言った。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたは夕方になると、『空がまっかだから、晴だ』と言い、 + また明け方には『空が曇ってまっかだから、きょうは荒れだ』と言う。あなたがたは空の模様を見分けることを知りながら、時のしるしを見分けることができないのか。 + 邪悪で不義な時代は、しるしを求める。しかし、ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう」。そして、イエスは彼らをあとに残して立ち去られた。 + 弟子たちは向こう岸に行ったが、パンを持って来るのを忘れていた。 + そこでイエスは言われた、「パリサイ人とサドカイ人とのパン種を、よくよく警戒せよ」。 + 弟子たちは、これは自分たちがパンを持ってこなかったためであろうと言って、互に論じ合った。 + イエスはそれと知って言われた、「信仰の薄い者たちよ、なぜパンがないからだと互に論じ合っているのか。 + まだわからないのか。覚えていないのか。五つのパンを五千人に分けたとき、幾かご拾ったか。 + また、七つのパンを四千人に分けたとき、幾かご拾ったか。 + わたしが言ったのは、パンについてではないことを、どうして悟らないのか。ただ、パリサイ人とサドカイ人とのパン種を警戒しなさい」。 + そのとき彼らは、イエスが警戒せよと言われたのは、パン種のことではなく、パリサイ人とサドカイ人との教のことであると悟った。 + イエスがピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、弟子たちに尋ねて言われた、「人々は人の子をだれと言っているか」。 + 彼らは言った、「ある人々はバプテスマのヨハネだと言っています。しかし、ほかの人たちは、エリヤだと言い、また、エレミヤあるいは預言者のひとりだ、と言っている者もあります」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。 + シモン・ペテロが答えて言った、「あなたこそ、生ける神の子キリストです」。 + すると、イエスは彼にむかって言われた、「バルヨナ・シモン、あなたはさいわいである。あなたにこの事をあらわしたのは、血肉ではなく、天にいますわたしの父である。 + そこで、わたしもあなたに言う。あなたはペテロである。そして、わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てよう。黄泉の力もそれに打ち勝つことはない。 + わたしは、あなたに天国のかぎを授けよう。そして、あなたが地上でつなぐことは、天でもつながれ、あなたが地上で解くことは天でも解かれるであろう」。 + そのとき、イエスは、自分がキリストであることをだれにも言ってはいけないと、弟子たちを戒められた。 + この時から、イエス・キリストは、自分が必ずエルサレムに行き、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受け、殺され、そして三日目によみがえるべきことを、弟子たちに示しはじめられた。 + すると、ペテロはイエスをわきへ引き寄せて、いさめはじめ、「主よ、とんでもないことです。そんなことがあるはずはございません」と言った。 + イエスは振り向いて、ペテロに言われた、「サタンよ、引きさがれ。わたしの邪魔をする者だ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」。 + それからイエスは弟子たちに言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。 + 自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのために自分の命を失う者は、それを見いだすであろう。 + たとい人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。また、人はどんな代価を払って、その命を買いもどすことができようか。 + 人の子は父の栄光のうちに、御使たちを従えて来るが、その時には、実際のおこないに応じて、それぞれに報いるであろう。 + よく聞いておくがよい、人の子が御国の力をもって来るのを見るまでは、死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。 + + + 六日ののち、イエスはペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。 + ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、その顔は日のように輝き、その衣は光のように白くなった。 + すると、見よ、モーセとエリヤが彼らに現れて、イエスと語り合っていた。 + ペテロはイエスにむかって言った、「主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。もし、おさしつかえなければ、わたしはここに小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。 + 彼がまだ話し終えないうちに、たちまち、輝く雲が彼らをおおい、そして雲の中から声がした、「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である。これに聞け」。 + 弟子たちはこれを聞いて非常に恐れ、顔を地に伏せた。 + イエスは近づいてきて、手を彼らにおいて言われた、「起きなさい、恐れることはない」。 + 彼らが目をあげると、イエスのほかには、だれも見えなかった。 + 一同が山を下って来るとき、イエスは「人の子が死人の中からよみがえるまでは、いま見たことをだれにも話してはならない」と、彼らに命じられた。 + 弟子たちはイエスにお尋ねして言った、「いったい、律法学者たちは、なぜ、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」。 + 答えて言われた、「確かに、エリヤがきて、万事を元どおりに改めるであろう。 + しかし、あなたがたに言っておく。エリヤはすでにきたのだ。しかし人々は彼を認めず、自分かってに彼をあしらった。人の子もまた、そのように彼らから苦しみを受けることになろう」。 + そのとき、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言われたのだと悟った。 + さて彼らが群衆のところに帰ると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて、ひざまずいて、言った、 + 「主よ、わたしの子をあわれんでください。てんかんで苦しんでおります。何度も何度も火の中や水の中に倒れるのです。 + それで、その子をお弟子たちのところに連れてきましたが、なおしていただけませんでした」。 + イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な、曲った時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまであなたがたに我慢ができようか。その子をここに、わたしのところに連れてきなさい」。 + イエスがおしかりになると、悪霊はその子から出て行った。そして子はその時いやされた。 + それから、弟子たちがひそかにイエスのもとにきて言った、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。 + するとイエスは言われた、「あなたがたの信仰が足りないからである。よく言い聞かせておくが、もし、からし種一粒ほどの信仰があるなら、この山にむかって『ここからあそこに移れ』と言えば、移るであろう。このように、あなたがたにできない事は、何もないであろう。〔 + しかし、このたぐいは、祈と断食とによらなければ、追い出すことはできない〕」。 + 彼らがガリラヤで集まっていた時、イエスは言われた、「人の子は人々の手にわたされ、 + 彼らに殺され、そして三日目によみがえるであろう」。弟子たちは非常に心をいためた。 + 彼らがカペナウムにきたとき、宮の納入金を集める人たちがペテロのところにきて言った、「あなたがたの先生は宮の納入金を納めないのか」。 + ペテロは「納めておられます」と言った。そして彼が家にはいると、イエスから先に話しかけて言われた、「シモン、あなたはどう思うか。この世の王たちは税や貢をだれから取るのか。自分の子からか、それとも、ほかの人たちからか」。 + ペテロが「ほかの人たちからです」と答えると、イエスは言われた、「それでは、子は納めなくてもよいわけである。 + しかし、彼らをつまずかせないために、海に行って、つり針をたれなさい。そして最初につれた魚をとって、その口をあけると、銀貨一枚が見つかるであろう。それをとり出して、わたしとあなたのために納めなさい」。 + + + そのとき、弟子たちがイエスのもとにきて言った、「いったい、天国ではだれがいちばん偉いのですか」。 + すると、イエスは幼な子を呼び寄せ、彼らのまん中に立たせて言われた、 + 「よく聞きなさい。心をいれかえて幼な子のようにならなければ、天国にはいることはできないであろう。 + この幼な子のように自分を低くする者が、天国でいちばん偉いのである。 + また、だれでも、このようなひとりの幼な子を、わたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。 + しかし、わたしを信ずるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海の深みに沈められる方が、その人の益になる。 + この世は、罪の誘惑があるから、わざわいである。罪の誘惑は必ず来る。しかし、それをきたらせる人は、わざわいである。 + もしあなたの片手または片足が、罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。両手、両足がそろったままで、永遠の火に投げ込まれるよりは、片手、片足になって命に入る方がよい。 + もしあなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。両眼がそろったままで地獄の火に投げ入れられるよりは、片目になって命に入る方がよい。 + あなたがたは、これらの小さい者のひとりをも軽んじないように、気をつけなさい。あなたがたに言うが、彼らの御使たちは天にあって、天にいますわたしの父のみ顔をいつも仰いでいるのである。〔 + 人の子は、滅びる者を救うためにきたのである。〕 + あなたがたはどう思うか。ある人に百匹の羊があり、その中の一匹が迷い出たとすれば、九十九匹を山に残しておいて、その迷い出ている羊を捜しに出かけないであろうか。 + もしそれを見つけたなら、よく聞きなさい、迷わないでいる九十九匹のためよりも、むしろその一匹のために喜ぶであろう。 + そのように、これらの小さい者のひとりが滅びることは、天にいますあなたがたの父のみこころではない。 + もしあなたの兄弟が罪を犯すなら、行って、彼とふたりだけの所で忠告しなさい。もし聞いてくれたら、あなたの兄弟を得たことになる。 + もし聞いてくれないなら、ほかにひとりふたりを、一緒に連れて行きなさい。それは、ふたりまたは三人の証人の口によって、すべてのことがらが確かめられるためである。 + もし彼らの言うことを聞かないなら、教会に申し出なさい。もし教会の言うことも聞かないなら、その人を異邦人または取税人同様に扱いなさい。 + よく言っておく。あなたがたが地上でつなぐことは、天でも皆つながれ、あなたがたが地上で解くことは、天でもみな解かれるであろう。 + また、よく言っておく。もしあなたがたのうちのふたりが、どんな願い事についても地上で心を合わせるなら、天にいますわたしの父はそれをかなえて下さるであろう。 + ふたりまたは三人が、わたしの名によって集まっている所には、わたしもその中にいるのである」。 + そのとき、ペテロがイエスのもとにきて言った、「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯した場合、幾たびゆるさねばなりませんか。七たびまでですか」。 + イエスは彼に言われた、「わたしは七たびまでとは言わない。七たびを七十倍するまでにしなさい。 + それだから、天国は王が僕たちと決算をするようなものだ。 + 決算が始まると、一万タラントの負債のある者が、王のところに連れられてきた。 + しかし、返せなかったので、主人は、その人自身とその妻子と持ち物全部とを売って返すように命じた。 + そこで、この僕はひれ伏して哀願した、『どうぞお待ちください。全部お返しいたしますから』。 + 僕の主人はあわれに思って、彼をゆるし、その負債を免じてやった。 + その僕が出て行くと、百デナリを貸しているひとりの仲間に出会い、彼をつかまえ、首をしめて『借金を返せ』と言った。 + そこでこの仲間はひれ伏し、『どうか待ってくれ。返すから』と言って頼んだ。 + しかし承知せずに、その人をひっぱって行って、借金を返すまで獄に入れた。 + その人の仲間たちは、この様子を見て、非常に心をいため、行ってそのことをのこらず主人に話した。 + そこでこの主人は彼を呼びつけて言った、『悪い僕、わたしに願ったからこそ、あの負債を全部ゆるしてやったのだ。 + わたしがあわれんでやったように、あの仲間をあわれんでやるべきではなかったか』。 + そして主人は立腹して、負債全部を返してしまうまで、彼を獄吏に引きわたした。 + あなたがためいめいも、もし心から兄弟をゆるさないならば、わたしの天の父もまたあなたがたに対して、そのようになさるであろう」。 + + + イエスはこれらのことを語り終えられてから、ガリラヤを去ってヨルダンの向こうのユダヤの地方へ行かれた。 + すると大ぜいの群衆がついてきたので、彼らをそこでおいやしになった。 + さてパリサイ人たちが近づいてきて、イエスを試みようとして言った、「何かの理由で、夫がその妻を出すのは、さしつかえないでしょうか」。 + イエスは答えて言われた、「あなたがたはまだ読んだことがないのか。『創造者は初めから人を男と女とに造られ、 + そして言われた、それゆえに、人は父母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりの者は一体となるべきである』。 + 彼らはもはや、ふたりではなく一体である。だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」。 + 彼らはイエスに言った、「それでは、なぜモーセは、妻を出す場合には離縁状を渡せ、と定めたのですか」。 + イエスが言われた、「モーセはあなたがたの心が、かたくななので、妻を出すことを許したのだが、初めからそうではなかった。 + そこでわたしはあなたがたに言う。不品行のゆえでなくて、自分の妻を出して他の女をめとる者は、姦淫を行うのである」。 + 弟子たちは言った、「もし妻に対する夫の立場がそうだとすれば、結婚しない方がましです」。 + するとイエスは彼らに言われた、「その言葉を受けいれることができるのはすべての人ではなく、ただそれを授けられている人々だけである。 + というのは、母の胎内から独身者に生れついているものがあり、また他から独身者にされたものもあり、また天国のために、みずから進んで独身者となったものもある。この言葉を受けられる者は、受けいれるがよい」。 + そのとき、イエスに手をおいて祈っていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちは彼らをたしなめた。 + するとイエスは言われた、「幼な子らをそのままにしておきなさい。わたしのところに来るのをとめてはならない。天国はこのような者の国である」。 + そして手を彼らの上においてから、そこを去って行かれた。 + すると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて言った、「先生、永遠の生命を得るためには、どんなよいことをしたらいいでしょうか」。 + イエスは言われた、「なぜよい事についてわたしに尋ねるのか。よいかたはただひとりだけである。もし命に入りたいと思うなら、いましめを守りなさい」。 + 彼は言った、「どのいましめですか」。イエスは言われた、「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。 + 父と母とを敬え』。また『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』」。 + この青年はイエスに言った、「それはみな守ってきました。ほかに何が足りないのでしょう」。 + イエスは彼に言われた、「もしあなたが完全になりたいと思うなら、帰ってあなたの持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。 + この言葉を聞いて、青年は悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。 + それからイエスは弟子たちに言われた、「よく聞きなさい。富んでいる者が天国にはいるのは、むずかしいものである。 + また、あなたがたに言うが、富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。 + 弟子たちはこれを聞いて非常に驚いて言った、「では、だれが救われることができるのだろう」。 + イエスは彼らを見つめて言われた、「人にはそれはできないが、神にはなんでもできない事はない」。 + そのとき、ペテロがイエスに答えて言った、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいを捨てて、あなたに従いました。ついては、何がいただけるでしょうか」。 + イエスは彼らに言われた、「よく聞いておくがよい。世が改まって、人の子がその栄光の座につく時には、わたしに従ってきたあなたがたもまた、十二の位に座してイスラエルの十二の部族をさばくであろう。 + おおよそ、わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、もしくは畑を捨てた者は、その幾倍もを受け、また永遠の生命を受けつぐであろう。 + しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう。 + + + 天国は、ある家の主人が、自分のぶどう園に労働者を雇うために、夜が明けると同時に、出かけて行くようなものである。 + 彼は労働者たちと、一日一デナリの約束をして、彼らをぶどう園に送った。 + それから九時ごろに出て行って、他の人々が市場で何もせずに立っているのを見た。 + そして、その人たちに言った、『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。相当な賃銀を払うから』。 + そこで、彼らは出かけて行った。主人はまた、十二時ごろと三時ごろとに出て行って、同じようにした。 + 五時ごろまた出て行くと、まだ立っている人々を見たので、彼らに言った、『なぜ、何もしないで、一日中ここに立っていたのか』。 + 彼らが『だれもわたしたちを雇ってくれませんから』と答えたので、その人々に言った、『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい』。 + さて、夕方になって、ぶどう園の主人は管理人に言った、『労働者たちを呼びなさい。そして、最後にきた人々からはじめて順々に最初にきた人々にわたるように、賃銀を払ってやりなさい』。 + そこで、五時ごろに雇われた人々がきて、それぞれ一デナリずつもらった。 + ところが、最初の人々がきて、もっと多くもらえるだろうと思っていたのに、彼らも一デナリずつもらっただけであった。 + もらったとき、家の主人にむかって不平をもらして + 言った、『この最後の者たちは一時間しか働かなかったのに、あなたは一日じゅう、労苦と暑さを辛抱したわたしたちと同じ扱いをなさいました』。 + そこで彼はそのひとりに答えて言った、『友よ、わたしはあなたに対して不正をしてはいない。あなたはわたしと一デナリの約束をしたではないか。 + 自分の賃銀をもらって行きなさい。わたしは、この最後の者にもあなたと同様に払ってやりたいのだ。 + 自分の物を自分がしたいようにするのは、当りまえではないか。それともわたしが気前よくしているので、ねたましく思うのか』。 + このように、あとの者は先になり、先の者はあとになるであろう」。 + さて、イエスはエルサレムへ上るとき、十二弟子をひそかに呼びよせ、その途中で彼らに言われた、 + 「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に渡されるであろう。彼らは彼に死刑を宣告し、 + そして彼をあざけり、むち打ち、十字架につけさせるために、異邦人に引きわたすであろう。そして彼は三日目によみがえるであろう」。 + そのとき、ゼベダイの子らの母が、その子らと一緒にイエスのもとにきてひざまずき、何事かをお願いした。 + そこでイエスは彼女に言われた、「何をしてほしいのか」。彼女は言った、「わたしのこのふたりのむすこが、あなたの御国で、ひとりはあなたの右に、ひとりは左にすわれるように、お言葉をください」。 + イエスは答えて言われた、「あなたがたは、自分が何を求めているのか、わかっていない。わたしの飲もうとしている杯を飲むことができるか」。彼らは「できます」と答えた。 + イエスは彼らに言われた、「確かに、あなたがたはわたしの杯を飲むことになろう。しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、わたしの父によって備えられている人々だけに許されることである」。 + 十人の者はこれを聞いて、このふたりの兄弟たちのことで憤慨した。 + そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者たちはその民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。 + あなたがたの間ではそうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、 + あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、僕とならねばならない。 + それは、人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためであるのと、ちょうど同じである」。 + それから、彼らがエリコを出て行ったとき、大ぜいの群衆がイエスに従ってきた。 + すると、ふたりの盲人が道ばたにすわっていたが、イエスがとおって行かれると聞いて、叫んで言った、「主よ、ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」。 + 群衆は彼らをしかって黙らせようとしたが、彼らはますます叫びつづけて言った、「主よ、ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」。 + イエスは立ちどまり、彼らを呼んで言われた、「わたしに何をしてほしいのか」。 + 彼らは言った、「主よ、目をあけていただくことです」。 + イエスは深くあわれんで、彼らの目にさわられた。すると彼らは、たちまち見えるようになり、イエスに従って行った。 + + + さて、彼らがエルサレムに近づき、オリブ山沿いのベテパゲに着いたとき、イエスはふたりの弟子をつかわして言われた、 + 「向こうの村へ行きなさい。するとすぐ、ろばがつながれていて、子ろばがそばにいるのを見るであろう。それを解いてわたしのところに引いてきなさい。 + もしだれかが、あなたがたに何か言ったなら、主がお入り用なのです、と言いなさい。そう言えば、すぐ渡してくれるであろう」。 + こうしたのは、預言者によって言われたことが、成就するためである。 + すなわち、「シオンの娘に告げよ、見よ、あなたの王がおいでになる、柔和なおかたで、ろばに乗って、くびきを負うろばの子に乗って」。 + 弟子たちは出て行って、イエスがお命じになったとおりにし、 + ろばと子ろばとを引いてきた。そしてその上に自分たちの上着をかけると、イエスはそれにお乗りになった。 + 群衆のうち多くの者は自分たちの上着を道に敷き、また、ほかの者たちは木の枝を切ってきて道に敷いた。 + そして群衆は、前に行く者も、あとに従う者も、共に叫びつづけた、「ダビデの子に、ホサナ。主の御名によってきたる者に、祝福あれ。いと高き所に、ホサナ」。 + イエスがエルサレムにはいって行かれたとき、町中がこぞって騒ぎ立ち、「これは、いったい、どなただろう」と言った。 + そこで群衆は、「この人はガリラヤのナザレから出た預言者イエスである」と言った。 + それから、イエスは宮にはいられた。そして、宮の庭で売り買いしていた人々をみな追い出し、また両替人の台や、はとを売る者の腰掛をくつがえされた。 + そして彼らに言われた、「『わたしの家は、祈の家ととなえらるべきである』と書いてある。それだのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしている」。 + そのとき宮の庭で、盲人や足なえがみもとにきたので、彼らをおいやしになった。 + しかし、祭司長、律法学者たちは、イエスがなされた不思議なわざを見、また宮の庭で「ダビデの子に、ホサナ」と叫んでいる子供たちを見て立腹し、 + イエスに言った、「あの子たちが何を言っているのか、お聞きですか」。イエスは彼らに言われた、「そうだ、聞いている。あなたがたは『幼な子、乳のみ子たちの口にさんびを備えられた』とあるのを読んだことがないのか」。 + それから、イエスは彼らをあとに残し、都を出てベタニヤに行き、そこで夜を過ごされた。 + 朝はやく都に帰るとき、イエスは空腹をおぼえられた。 + そして、道のかたわらに一本のいちじくの木があるのを見て、そこに行かれたが、ただ葉のほかは何も見当らなかった。そこでその木にむかって、「今から後いつまでも、おまえには実がならないように」と言われた。すると、いちじくの木はたちまち枯れた。 + 弟子たちはこれを見て、驚いて言った、「いちじくがどうして、こうすぐに枯れたのでしょう」。 + イエスは答えて言われた、「よく聞いておくがよい。もしあなたがたが信じて疑わないならば、このいちじくにあったようなことが、できるばかりでなく、この山にむかって、動き出して海の中にはいれと言っても、そのとおりになるであろう。 + また、祈のとき、信じて求めるものは、みな与えられるであろう」。 + イエスが宮にはいられたとき、祭司長たちや民の長老たちが、その教えておられる所にきて言った、「何の権威によって、これらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「わたしも一つだけ尋ねよう。あなたがたがそれに答えてくれたなら、わたしも、何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。 + ヨハネのバプテスマはどこからきたのであったか。天からであったか、人からであったか」。すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 + しかし、もし人からだと言えば、群衆が恐ろしい。人々がみなヨハネを預言者と思っているのだから」。 + そこで彼らは、「わたしたちにはわかりません」と答えた。すると、イエスが言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい。 + あなたがたはどう思うか。ある人にふたりの子があったが、兄のところに行って言った、『子よ、きょう、ぶどう園へ行って働いてくれ』。 + すると彼は『おとうさん、参ります』と答えたが、行かなかった。 + また弟のところにきて同じように言った。彼は『いやです』と答えたが、あとから心を変えて、出かけた。 + このふたりのうち、どちらが父の望みどおりにしたのか」。彼らは言った、「あとの者です」。イエスは言われた、「よく聞きなさい。取税人や遊女は、あなたがたより先に神の国にはいる。 + というのは、ヨハネがあなたがたのところにきて、義の道を説いたのに、あなたがたは彼を信じなかった。ところが、取税人や遊女は彼を信じた。あなたがたはそれを見たのに、あとになっても、心をいれ変えて彼を信じようとしなかった。 + もう一つの譬を聞きなさい。ある所に、ひとりの家の主人がいたが、ぶどう園を造り、かきをめぐらし、その中に酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。 + 収穫の季節がきたので、その分け前を受け取ろうとして、僕たちを農夫のところへ送った。 + すると、農夫たちは、その僕たちをつかまえて、ひとりを袋だたきにし、ひとりを殺し、もうひとりを石で打ち殺した。 + また別に、前よりも多くの僕たちを送ったが、彼らをも同じようにあしらった。 + しかし、最後に、わたしの子は敬ってくれるだろうと思って、主人はその子を彼らの所につかわした。 + すると農夫たちは、その子を見て互に言った、『あれはあと取りだ。さあ、これを殺して、その財産を手に入れよう』。 + そして彼をつかまえて、ぶどう園の外に引き出して殺した。 + このぶどう園の主人が帰ってきたら、この農夫たちをどうするだろうか」。 + 彼らはイエスに言った、「悪人どもを、皆殺しにして、季節ごとに収穫を納めるほかの農夫たちに、そのぶどう園を貸し与えるでしょう」。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたは、聖書でまだ読んだことがないのか、『家造りらの捨てた石が隅のかしら石になった。これは主がなされたことで、わたしたちの目には不思議に見える』。 + それだから、あなたがたに言うが、神の国はあなたがたから取り上げられて、御国にふさわしい実を結ぶような異邦人に与えられるであろう。 + またその石の上に落ちる者は打ち砕かれ、それがだれかの上に落ちかかるなら、その人はこなみじんにされるであろう」。 + 祭司長たちやパリサイ人たちがこの譬を聞いたとき、自分たちのことをさして言っておられることを悟ったので、 + イエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。群衆はイエスを預言者だと思っていたからである。 + + + イエスはまた、譬で彼らに語って言われた、 + 「天国は、ひとりの王がその王子のために、婚宴を催すようなものである。 + 王はその僕たちをつかわして、この婚宴に招かれていた人たちを呼ばせたが、その人たちはこようとはしなかった。 + そこでまた、ほかの僕たちをつかわして言った、『招かれた人たちに言いなさい。食事の用意ができました。牛も肥えた獣もほふられて、すべての用意ができました。さあ、婚宴においでください』。 + しかし、彼らは知らぬ顔をして、ひとりは自分の畑に、ひとりは自分の商売に出て行き、 + またほかの人々は、この僕たちをつかまえて侮辱を加えた上、殺してしまった。 + そこで王は立腹し、軍隊を送ってそれらの人殺しどもを滅ぼし、その町を焼き払った。 + それから僕たちに言った、『婚宴の用意はできているが、招かれていたのは、ふさわしくない人々であった。 + だから、町の大通りに出て行って、出会った人はだれでも婚宴に連れてきなさい』。 + そこで、僕たちは道に出て行って、出会う人は、悪人でも善人でもみな集めてきたので、婚宴の席は客でいっぱいになった。 + 王は客を迎えようとしてはいってきたが、そこに礼服をつけていないひとりの人を見て、 + 彼に言った、『友よ、どうしてあなたは礼服をつけないで、ここにはいってきたのですか』。しかし、彼は黙っていた。 + そこで、王はそばの者たちに言った、『この者の手足をしばって、外の暗やみにほうり出せ。そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう』。 + 招かれる者は多いが、選ばれる者は少ない」。 + そのときパリサイ人たちがきて、どうかしてイエスを言葉のわなにかけようと、相談をした。 + そして、彼らの弟子を、ヘロデ党の者たちと共に、イエスのもとにつかわして言わせた、「先生、わたしたちはあなたが真実なかたであって、真理に基いて神の道を教え、また、人に分け隔てをしないで、だれをもはばかられないことを知っています。 + それで、あなたはどう思われますか、答えてください。カイザルに税金を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか」。 + イエスは彼らの悪意を知って言われた、「偽善者たちよ、なぜわたしをためそうとするのか。 + 税に納める貨幣を見せなさい」。彼らはデナリ一つを持ってきた。 + そこでイエスは言われた、「これは、だれの肖像、だれの記号か」。 + 彼らは「カイザルのです」と答えた。するとイエスは言われた、「それでは、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。 + 彼らはこれを聞いて驚嘆し、イエスを残して立ち去った。 + 復活ということはないと主張していたサドカイ人たちが、その日、イエスのもとにきて質問した、 + 「先生、モーセはこう言っています、『もし、ある人が子がなくて死んだなら、その弟は兄の妻をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。 + さて、わたしたちのところに七人の兄弟がありました。長男は妻をめとったが死んでしまい、そして子がなかったので、その妻を弟に残しました。 + 次男も三男も、ついに七人とも同じことになりました。 + 最後に、その女も死にました。 + すると復活の時には、この女は、七人のうちだれの妻なのでしょうか。みんながこの女を妻にしたのですが」。 + イエスは答えて言われた、「あなたがたは聖書も神の力も知らないから、思い違いをしている。 + 復活の時には、彼らはめとったり、とついだりすることはない。彼らは天にいる御使のようなものである。 + また、死人の復活については、神があなたがたに言われた言葉を読んだことがないのか。 + 『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』と書いてある。神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である」。 + 群衆はこれを聞いて、イエスの教に驚いた。 + さて、パリサイ人たちは、イエスがサドカイ人たちを言いこめられたと聞いて、一緒に集まった。 + そして彼らの中のひとりの律法学者が、イエスをためそうとして質問した、 + 「先生、律法の中で、どのいましめがいちばん大切なのですか」。 + イエスは言われた、「『心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。 + これがいちばん大切な、第一のいましめである。 + 第二もこれと同様である、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。 + これらの二つのいましめに、律法全体と預言者とが、かかっている」。 + パリサイ人たちが集まっていたとき、イエスは彼らにお尋ねになった、 + 「あなたがたはキリストをどう思うか。だれの子なのか」。彼らは「ダビデの子です」と答えた。 + イエスは言われた、「それではどうして、ダビデが御霊に感じてキリストを主と呼んでいるのか。 + すなわち『主はわが主に仰せになった、あなたの敵をあなたの足もとに置くときまでは、わたしの右に座していなさい』。 + このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいるなら、キリストはどうしてダビデの子であろうか」。 + イエスにひと言でも答えうる者は、なかったし、その日からもはや、進んでイエスに質問する者も、いなくなった。 + + + そのときイエスは、群衆と弟子たちとに語って言われた、 + 「律法学者とパリサイ人とは、モーセの座にすわっている。 + だから、彼らがあなたがたに言うことは、みな守って実行しなさい。しかし、彼らのすることには、ならうな。彼らは言うだけで、実行しないから。 + また、重い荷物をくくって人々の肩にのせるが、それを動かすために、自分では指一本も貸そうとはしない。 + そのすることは、すべて人に見せるためである。すなわち、彼らは経札を幅広くつくり、その衣のふさを大きくし、 + また、宴会の上座、会堂の上席を好み、 + 広場であいさつされることや、人々から先生と呼ばれることを好んでいる。 + しかし、あなたがたは先生と呼ばれてはならない。あなたがたの先生は、ただひとりであって、あなたがたはみな兄弟なのだから。 + また、地上のだれをも、父と呼んではならない。あなたがたの父はただひとり、すなわち、天にいます父である。 + また、あなたがたは教師と呼ばれてはならない。あなたがたの教師はただひとり、すなわち、キリストである。 + そこで、あなたがたのうちでいちばん偉い者は、仕える人でなければならない。 + だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは、天国を閉ざして人々をはいらせない。自分もはいらないし、はいろうとする人をはいらせもしない。〔 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは、やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。だから、もっときびしいさばきを受けるに違いない。〕 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたはひとりの改宗者をつくるために、海と陸とを巡り歩く。そして、つくったなら、彼を自分より倍もひどい地獄の子にする。 + 盲目な案内者たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは言う、『神殿をさして誓うなら、そのままでよいが、神殿の黄金をさして誓うなら、果す責任がある』と。 + 愚かな盲目な人たちよ。黄金と、黄金を神聖にする神殿と、どちらが大事なのか。 + また、あなたがたは言う、『祭壇をさして誓うなら、そのままでよいが、その上の供え物をさして誓うなら、果す責任がある』と。 + 盲目な人たちよ。供え物と供え物を神聖にする祭壇とどちらが大事なのか。 + 祭壇をさして誓う者は、祭壇と、その上にあるすべての物とをさして誓うのである。 + 神殿をさして誓う者は、神殿とその中に住んでおられるかたとをさして誓うのである。 + また、天をさして誓う者は、神の御座とその上にすわっておられるかたとをさして誓うのである。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。はっか、いのんど、クミンなどの薬味の十分の一を宮に納めておりながら、律法の中でもっと重要な、公平とあわれみと忠実とを見のがしている。それもしなければならないが、これも見のがしてはならない。 + 盲目な案内者たちよ。あなたがたは、ぶよはこしているが、らくだはのみこんでいる。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。杯と皿との外側はきよめるが、内側は貪欲と放縦とで満ちている。 + 盲目なパリサイ人よ。まず、杯の内側をきよめるがよい。そうすれば、外側も清くなるであろう。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは白く塗った墓に似ている。外側は美しく見えるが、内側は死人の骨や、あらゆる不潔なものでいっぱいである。 + このようにあなたがたも、外側は人に正しく見えるが、内側は偽善と不法とでいっぱいである。 + 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは預言者の墓を建て、義人の碑を飾り立てて、こう言っている、 + 『もしわたしたちが先祖の時代に生きていたなら、預言者の血を流すことに加わってはいなかっただろう』と。 + このようにして、あなたがたは預言者を殺した者の子孫であることを、自分で証明している。 + あなたがたもまた先祖たちがした悪の枡目を満たすがよい。 + へびよ、まむしの子らよ、どうして地獄の刑罰をのがれることができようか。 + それだから、わたしは、預言者、知者、律法学者たちをあなたがたにつかわすが、そのうちのある者を殺し、また十字架につけ、そのある者を会堂でむち打ち、また町から町へと迫害して行くであろう。 + こうして義人アベルの血から、聖所と祭壇との間であなたがたが殺したバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上に流された義人の血の報いが、ことごとくあなたがたに及ぶであろう。 + よく言っておく。これらのことの報いは、みな今の時代に及ぶであろう。 + ああ、エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、おまえにつかわされた人たちを石で打ち殺す者よ。ちょうど、めんどりが翼の下にそのひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことであろう。それだのに、おまえたちは応じようとしなかった。 + 見よ、おまえたちの家は見捨てられてしまう。 + わたしは言っておく、『主の御名によってきたる者に、祝福あれ』とおまえたちが言う時までは、今後ふたたび、わたしに会うことはないであろう」。 + + + イエスが宮から出て行こうとしておられると、弟子たちは近寄ってきて、宮の建物にイエスの注意を促した。 + そこでイエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたは、これらすべてのものを見ないか。よく言っておく。その石一つでもくずされずに、そこに他の石の上に残ることもなくなるであろう」。 + またオリブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとにきて言った、「どうぞお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。あなたがまたおいでになる時や、世の終りには、どんな前兆がありますか」。 + そこでイエスは答えて言われた、「人に惑わされないように気をつけなさい。 + 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がキリストだと言って、多くの人を惑わすであろう。 + また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。 + 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに、ききんが起り、また地震があるであろう。 + しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである。 + そのとき人々は、あなたがたを苦しみにあわせ、また殺すであろう。またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう。 + そのとき、多くの人がつまずき、また互に裏切り、憎み合うであろう。 + また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。 + また不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えるであろう。 + しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 + そしてこの御国の福音は、すべての民に対してあかしをするために、全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである。 + 預言者ダニエルによって言われた荒らす憎むべき者が、聖なる場所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、 + そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。 + 屋上にいる者は、家からものを取り出そうとして下におりるな。 + 畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。 + その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。 + あなたがたの逃げるのが、冬または安息日にならないように祈れ。 + その時には、世の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような大きな患難が起るからである。 + もしその期間が縮められないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選民のためには、その期間が縮められるであろう。 + そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、また、『あそこにいる』と言っても、それを信じるな。 + にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、大いなるしるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。 + 見よ、あなたがたに前もって言っておく。 + だから、人々が『見よ、彼は荒野にいる』と言っても、出て行くな。また『見よ、へやの中にいる』と言っても、信じるな。 + ちょうど、いなずまが東から西にひらめき渡るように、人の子も現れるであろう。 + 死体のあるところには、はげたかが集まるものである。 + しかし、その時に起る患難の後、たちまち日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。 + そのとき、人の子のしるしが天に現れるであろう。またそのとき、地のすべての民族は嘆き、そして力と大いなる栄光とをもって、人の子が天の雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。 + また、彼は大いなるラッパの音と共に御使たちをつかわして、天のはてからはてに至るまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。 + いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。 + そのように、すべてこれらのことを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。 + よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。 + 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。 + その日、その時は、だれも知らない。天の御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。 + 人の子の現れるのも、ちょうどノアの時のようであろう。 + すなわち、洪水の出る前、ノアが箱舟にはいる日まで、人々は食い、飲み、めとり、とつぎなどしていた。 + そして洪水が襲ってきて、いっさいのものをさらって行くまで、彼らは気がつかなかった。人の子の現れるのも、そのようであろう。 + そのとき、ふたりの者が畑にいると、ひとりは取り去られ、ひとりは取り残されるであろう。 + ふたりの女がうすをひいていると、ひとりは取り去られ、ひとりは残されるであろう。 + だから、目をさましていなさい。いつの日にあなたがたの主がこられるのか、あなたがたには、わからないからである。 + このことをわきまえているがよい。家の主人は、盗賊がいつごろ来るかわかっているなら、目をさましていて、自分の家に押し入ることを許さないであろう。 + だから、あなたがたも用意をしていなさい。思いがけない時に人の子が来るからである。 + 主人がその家の僕たちの上に立てて、時に応じて食物をそなえさせる忠実な思慮深い僕は、いったい、だれであろう。 + 主人が帰ってきたとき、そのようにつとめているのを見られる僕は、さいわいである。 + よく言っておくが、主人は彼を立てて自分の全財産を管理させるであろう。 + もしそれが悪い僕であって、自分の主人は帰りがおそいと心の中で思い、 + その僕仲間をたたきはじめ、また酒飲み仲間と一緒に食べたり飲んだりしているなら、 + その僕の主人は思いがけない日、気がつかない時に帰ってきて、 + 彼を厳罰に処し、偽善者たちと同じ目にあわせるであろう。彼はそこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
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+ + 神の子イエス・キリストの福音のはじめ。 + 預言者イザヤの書に、「見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、あなたの道を整えさせるであろう。 + 荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』」と書いてあるように、 + バプテスマのヨハネが荒野に現れて、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えていた。 + そこで、ユダヤ全土とエルサレムの全住民とが、彼のもとにぞくぞくと出て行って、自分の罪を告白し、ヨルダン川でヨハネからバプテスマを受けた。 + このヨハネは、らくだの毛ごろもを身にまとい、腰に皮の帯をしめ、いなごと野蜜とを食物としていた。 + 彼は宣べ伝えて言った、「わたしよりも力のあるかたが、あとからおいでになる。わたしはかがんで、そのくつのひもを解く値うちもない。 + わたしは水でバプテスマを授けたが、このかたは、聖霊によってバプテスマをお授けになるであろう」。 + そのころ、イエスはガリラヤのナザレから出てきて、ヨルダン川で、ヨハネからバプテスマをお受けになった。 + そして、水の中から上がられるとすぐ、天が裂けて、聖霊がはとのように自分に下って来るのを、ごらんになった。 + すると天から声があった、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 + それからすぐに、御霊がイエスを荒野に追いやった。 + イエスは四十日のあいだ荒野にいて、サタンの試みにあわれた。そして獣もそこにいたが、御使たちはイエスに仕えていた。 + ヨハネが捕えられた後、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べ伝えて言われた、 + 「時は満ちた、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」。 + さて、イエスはガリラヤの海べを歩いて行かれ、シモンとシモンの兄弟アンデレとが、海で網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。 + イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。 + すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。 + また少し進んで行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。 + そこで、すぐ彼らをお招きになると、父ゼベダイを雇人たちと一緒に舟において、イエスのあとについて行った。 + それから、彼らはカペナウムに行った。そして安息日にすぐ、イエスは会堂にはいって教えられた。 + 人々は、その教に驚いた。律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように、教えられたからである。 + ちょうどその時、けがれた霊につかれた者が会堂にいて、叫んで言った、 + 「ナザレのイエスよ、あなたはわたしたちとなんの係わりがあるのです。わたしたちを滅ぼしにこられたのですか。あなたがどなたであるか、わかっています。神の聖者です」。 + イエスはこれをしかって、「黙れ、この人から出て行け」と言われた。 + すると、けがれた霊は彼をひきつけさせ、大声をあげて、その人から出て行った。 + 人々はみな驚きのあまり、互に論じて言った、「これは、いったい何事か。権威ある新しい教だ。けがれた霊にさえ命じられると、彼らは従うのだ」。 + こうしてイエスのうわさは、たちまちガリラヤの全地方、いたる所にひろまった。 + それから会堂を出るとすぐ、ヤコブとヨハネとを連れて、シモンとアンデレとの家にはいって行かれた。 + ところが、シモンのしゅうとめが熱病で床についていたので、人々はさっそく、そのことをイエスに知らせた。 + イエスは近寄り、その手をとって起されると、熱が引き、女は彼らをもてなした。 + 夕暮になり日が沈むと、人々は病人や悪霊につかれた者をみな、イエスのところに連れてきた。 + こうして、町中の者が戸口に集まった。 + イエスは、さまざまの病をわずらっている多くの人々をいやし、また多くの悪霊を追い出された。また、悪霊どもに、物言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスを知っていたからである。 + 朝はやく、夜の明けるよほど前に、イエスは起きて寂しい所へ出て行き、そこで祈っておられた。 + すると、シモンとその仲間とが、あとを追ってきた。 + そしてイエスを見つけて、「みんなが、あなたを捜しています」と言った。 + イエスは彼らに言われた、「ほかの、附近の町々にみんなで行って、そこでも教を宣べ伝えよう。わたしはこのために出てきたのだから」。 + そして、ガリラヤ全地を巡りあるいて、諸会堂で教を宣べ伝え、また悪霊を追い出された。 + ひとりのらい病人が、イエスのところに願いにきて、ひざまずいて言った、「みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 + イエスは深くあわれみ、手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。 + すると、らい病が直ちに去って、その人はきよくなった。 + イエスは彼をきびしく戒めて、すぐにそこを去らせ、こう言い聞かせられた、 + 「何も人に話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた物をあなたのきよめのためにささげて、人々に証明しなさい」。 + しかし、彼は出て行って、自分の身に起ったことを盛んに語り、また言いひろめはじめたので、イエスはもはや表立っては町に、はいることができなくなり、外の寂しい所にとどまっておられた。しかし、人々は方々から、イエスのところにぞくぞくと集まってきた。 + + + 幾日かたって、イエスがまたカペナウムにお帰りになったとき、家におられるといううわさが立ったので、 + 多くの人々が集まってきて、もはや戸口のあたりまでも、すきまが無いほどになった。そして、イエスは御言を彼らに語っておられた。 + すると、人々がひとりの中風の者を四人の人に運ばせて、イエスのところに連れてきた。 + ところが、群衆のために近寄ることができないので、イエスのおられるあたりの屋根をはぎ、穴をあけて、中風の者を寝かせたまま、床をつりおろした。 + イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。 + ところが、そこに幾人かの律法学者がすわっていて、心の中で論じた、 + 「この人は、なぜあんなことを言うのか。それは神をけがすことだ。神ひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」。 + イエスは、彼らが内心このように論じているのを、自分の心ですぐ見ぬいて、「なぜ、あなたがたは心の中でそんなことを論じているのか。 + 中風の者に、あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きよ、床を取りあげて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。 + しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに言い、中風の者にむかって、 + 「あなたに命じる。起きよ、床を取りあげて家に帰れ」と言われた。 + すると彼は起きあがり、すぐに床を取りあげて、みんなの前を出て行ったので、一同は大いに驚き、神をあがめて、「こんな事は、まだ一度も見たことがない」と言った。 + イエスはまた海べに出て行かれると、多くの人々がみもとに集まってきたので、彼らを教えられた。 + また途中で、アルパヨの子レビが収税所にすわっているのをごらんになって、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。 + それから彼の家で、食事の席についておられたときのことである。多くの取税人や罪人たちも、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。こんな人たちが大ぜいいて、イエスに従ってきたのである。 + パリサイ派の律法学者たちは、イエスが罪人や取税人たちと食事を共にしておられるのを見て、弟子たちに言った、「なぜ、彼は取税人や罪人などと食事を共にするのか」。 + イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。 + ヨハネの弟子とパリサイ人とは、断食をしていた。そこで人々がきて、イエスに言った、「ヨハネの弟子たちとパリサイ人の弟子たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。 + するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいるのに、断食ができるであろうか。花婿と一緒にいる間は、断食はできない。 + しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう。 + だれも、真新しい布ぎれを、古い着物に縫いつけはしない。もしそうすれば、新しいつぎは古い着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなる。 + まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそうすれば、ぶどう酒は皮袋をはり裂き、そして、ぶどう酒も皮袋もむだになってしまう。〔だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである〕」。 + ある安息日に、イエスは麦畑の中をとおって行かれた。そのとき弟子たちが、歩きながら穂をつみはじめた。 + すると、パリサイ人たちがイエスに言った、「いったい、彼らはなぜ、安息日にしてはならぬことをするのですか」。 + そこで彼らに言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが食物がなくて飢えたとき、ダビデが何をしたか、まだ読んだことがないのか。 + すなわち、大祭司アビアタルの時、神の家にはいって、祭司たちのほか食べてはならぬ供えのパンを、自分も食べ、また供の者たちにも与えたではないか」。 + また彼らに言われた、「安息日は人のためにあるもので、人が安息日のためにあるのではない。 + それだから、人の子は、安息日にもまた主なのである」。 + + + イエスがまた会堂にはいられると、そこに片手のなえた人がいた。 + 人々はイエスを訴えようと思って、安息日にその人をいやされるかどうかをうかがっていた。 + すると、イエスは片手のなえたその人に、「立って、中へ出てきなさい」と言い、 + 人々にむかって、「安息日に善を行うのと悪を行うのと、命を救うのと殺すのと、どちらがよいか」と言われた。彼らは黙っていた。 + イエスは怒りを含んで彼らを見まわし、その心のかたくななのを嘆いて、その人に「手を伸ばしなさい」と言われた。そこで手を伸ばすと、その手は元どおりになった。 + パリサイ人たちは出て行って、すぐにヘロデ党の者たちと、なんとかしてイエスを殺そうと相談しはじめた。 + それから、イエスは弟子たちと共に海べに退かれたが、ガリラヤからきたおびただしい群衆がついて行った。またユダヤから、 + エルサレムから、イドマヤから、更にヨルダンの向こうから、ツロ、シドンのあたりからも、おびただしい群衆が、そのなさっていることを聞いて、みもとにきた。 + イエスは群衆が自分に押し迫るのを避けるために、小舟を用意しておけと、弟子たちに命じられた。 + それは、多くの人をいやされたので、病苦に悩む者は皆イエスにさわろうとして、押し寄せてきたからである。 + また、けがれた霊どもはイエスを見るごとに、みまえにひれ伏し、叫んで、「あなたこそ神の子です」と言った。 + イエスは御自身のことを人にあらわさないようにと、彼らをきびしく戒められた。 + さてイエスは山に登り、みこころにかなった者たちを呼び寄せられたので、彼らはみもとにきた。 + そこで十二人をお立てになった。彼らを自分のそばに置くためであり、さらに宣教につかわし、 + また悪霊を追い出す権威を持たせるためであった。 + こうして、この十二人をお立てになった。そしてシモンにペテロという名をつけ、 + またゼベダイの子ヤコブと、ヤコブの兄弟ヨハネ、彼らにはボアネルゲ、すなわち、雷の子という名をつけられた。 + つぎにアンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルパヨの子ヤコブ、タダイ、熱心党のシモン、 + それからイスカリオテのユダ。このユダがイエスを裏切ったのである。イエスが家にはいられると、 + 群衆がまた集まってきたので、一同は食事をする暇もないほどであった。 + 身内の者たちはこの事を聞いて、イエスを取押えに出てきた。気が狂ったと思ったからである。 + また、エルサレムから下ってきた律法学者たちも、「彼はベルゼブルにとりつかれている」と言い、「悪霊どものかしらによって、悪霊どもを追い出しているのだ」とも言った。 + そこでイエスは彼らを呼び寄せ、譬をもって言われた、「どうして、サタンがサタンを追い出すことができようか。 + もし国が内部で分れ争うなら、その国は立ち行かない。 + また、もし家が内わで分れ争うなら、その家は立ち行かないであろう。 + もしサタンが内部で対立し分争するなら、彼は立ち行けず、滅んでしまう。 + だれでも、まず強い人を縛りあげなければ、その人の家に押し入って家財を奪い取ることはできない。縛ってからはじめて、その家を略奪することができる。 + よく言い聞かせておくが、人の子らには、その犯すすべての罪も神をけがす言葉も、ゆるされる。 + しかし、聖霊をけがす者は、いつまでもゆるされず、永遠の罪に定められる」。 + そう言われたのは、彼らが「イエスはけがれた霊につかれている」と言っていたからである。 + さて、イエスの母と兄弟たちとがきて、外に立ち、人をやってイエスを呼ばせた。 + ときに、群衆はイエスを囲んですわっていたが、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟、姉妹たちが、外であなたを尋ねておられます」と言った。 + すると、イエスは彼らに答えて言われた、「わたしの母、わたしの兄弟とは、だれのことか」。 + そして、自分をとりかこんで、すわっている人々を見まわして、言われた、「ごらんなさい、ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。 + 神のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。 + + + イエスはまたも、海べで教えはじめられた。おびただしい群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗ってすわったまま、海上におられ、群衆はみな海に沿って陸地にいた。 + イエスは譬で多くの事を教えられたが、その教の中で彼らにこう言われた、 + 「聞きなさい、種まきが種をまきに出て行った。 + まいているうちに、道ばたに落ちた種があった。すると、鳥がきて食べてしまった。 + ほかの種は土の薄い石地に落ちた。そこは土が深くないので、すぐ芽を出したが、 + 日が上ると焼けて、根がないために枯れてしまった。 + ほかの種はいばらの中に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまったので、実を結ばなかった。 + ほかの種は良い地に落ちた。そしてはえて、育って、ますます実を結び、三十倍、六十倍、百倍にもなった」。 + そして言われた、「聞く耳のある者は聞くがよい」。 + イエスがひとりになられた時、そばにいた者たちが、十二弟子と共に、これらの譬について尋ねた。 + そこでイエスは言われた、「あなたがたには神の国の奥義が授けられているが、ほかの者たちには、すべてが譬で語られる。 + それは『彼らは見るには見るが、認めず、聞くには聞くが、悟らず、悔い改めてゆるされることがない』ためである」。 + また彼らに言われた、「あなたがたはこの譬がわからないのか。それでは、どうしてすべての譬がわかるだろうか。 + 種まきは御言をまくのである。 + 道ばたに御言がまかれたとは、こういう人たちのことである。すなわち、御言を聞くと、すぐにサタンがきて、彼らの中にまかれた御言を、奪って行くのである。 + 同じように、石地にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞くと、すぐに喜んで受けるが、 + 自分の中に根がないので、しばらく続くだけである。そののち、御言のために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまう。 + また、いばらの中にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞くが、 + 世の心づかいと、富の惑わしと、その他いろいろな欲とがはいってきて、御言をふさぐので、実を結ばなくなる。 + また、良い地にまかれたものとは、こういう人たちのことである。御言を聞いて受けいれ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶのである」。 + また彼らに言われた、「ますの下や寝台の下に置くために、あかりを持ってくることがあろうか。燭台の上に置くためではないか。 + なんでも、隠されているもので、現れないものはなく、秘密にされているもので、明るみに出ないものはない。 + 聞く耳のある者は聞くがよい」。 + また彼らに言われた、「聞くことがらに注意しなさい。あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられ、その上になお増し加えられるであろう。 + だれでも、持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」。 + また言われた、「神の国は、ある人が地に種をまくようなものである。 + 夜昼、寝起きしている間に、種は芽を出して育って行くが、どうしてそうなるのか、その人は知らない。 + 地はおのずから実を結ばせるもので、初めに芽、つぎに穂、つぎに穂の中に豊かな実ができる。 + 実がいると、すぐにかまを入れる。刈入れ時がきたからである」。 + また言われた、「神の国を何に比べようか。また、どんな譬で言いあらわそうか。 + それは一粒のからし種のようなものである。地にまかれる時には、地上のどんな種よりも小さいが、 + まかれると、成長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、その陰に空の鳥が宿るほどになる」。 + イエスはこのような多くの譬で、人々の聞く力にしたがって、御言を語られた。 + 譬によらないでは語られなかったが、自分の弟子たちには、ひそかにすべてのことを解き明かされた。 + さてその日、夕方になると、イエスは弟子たちに、「向こう岸へ渡ろう」と言われた。 + そこで、彼らは群衆をあとに残し、イエスが舟に乗っておられるまま、乗り出した。ほかの舟も一緒に行った。 + すると、激しい突風が起り、波が舟の中に打ち込んできて、舟に満ちそうになった。 + ところがイエス自身は、舳の方でまくらをして、眠っておられた。そこで、弟子たちはイエスをおこして、「先生、わたしどもがおぼれ死んでも、おかまいにならないのですか」と言った。 + イエスは起きあがって風をしかり、海にむかって、「静まれ、黙れ」と言われると、風はやんで、大なぎになった。 + イエスは彼らに言われた、「なぜ、そんなにこわがるのか。どうして信仰がないのか」。 + 彼らは恐れおののいて、互に言った、「いったい、この方はだれだろう。風も海も従わせるとは」。 + + + こうして彼らは海の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。 + それから、イエスが舟からあがられるとすぐに、けがれた霊につかれた人が墓場から出てきて、イエスに出会った。 + この人は墓場をすみかとしており、もはやだれも、鎖でさえも彼をつなぎとめて置けなかった。 + 彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせを砕くので、だれも彼を押えつけることができなかったからである。 + そして、夜昼たえまなく墓場や山で叫びつづけて、石で自分のからだを傷つけていた。 + ところが、この人がイエスを遠くから見て、走り寄って拝し、 + 大声で叫んで言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。神に誓ってお願いします。どうぞ、わたしを苦しめないでください」。 + それは、イエスが、「けがれた霊よ、この人から出て行け」と言われたからである。 + また彼に、「なんという名前か」と尋ねられると、「レギオンと言います。大ぜいなのですから」と答えた。 + そして、自分たちをこの土地から追い出さないようにと、しきりに願いつづけた。 + さて、そこの山の中腹に、豚の大群が飼ってあった。 + 霊はイエスに願って言った、「わたしどもを、豚にはいらせてください。その中へ送ってください」。 + イエスがお許しになったので、けがれた霊どもは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れは二千匹ばかりであったが、がけから海へなだれを打って駆け下り、海の中でおぼれ死んでしまった。 + 豚を飼う者たちが逃げ出して、町や村にふれまわったので、人々は何事が起ったのかと見にきた。 + そして、イエスのところにきて、悪霊につかれた人が着物を着て、正気になってすわっており、それがレギオンを宿していた者であるのを見て、恐れた。 + また、それを見た人たちは、悪霊につかれた人の身に起った事と豚のこととを、彼らに話して聞かせた。 + そこで、人々はイエスに、この地方から出て行っていただきたいと、頼みはじめた。 + イエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人がお供をしたいと願い出た。 + しかし、イエスはお許しにならないで、彼に言われた、「あなたの家族のもとに帰って、主がどんなに大きなことをしてくださったか、またどんなにあわれんでくださったか、それを知らせなさい」。 + そこで、彼は立ち去り、そして自分にイエスがしてくださったことを、ことごとくデカポリスの地方に言いひろめ出したので、人々はみな驚き怪しんだ。 + イエスがまた舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆がみもとに集まってきた。イエスは海べにおられた。 + そこへ、会堂司のひとりであるヤイロという者がきて、イエスを見かけるとその足もとにひれ伏し、 + しきりに願って言った、「わたしの幼い娘が死にかかっています。どうぞ、その子がなおって助かりますように、おいでになって、手をおいてやってください」。 + そこで、イエスは彼と一緒に出かけられた。大ぜいの群衆もイエスに押し迫りながら、ついて行った。 + さてここに、十二年間も長血をわずらっている女がいた。 + 多くの医者にかかって、さんざん苦しめられ、その持ち物をみな費してしまったが、なんのかいもないばかりか、かえってますます悪くなる一方であった。 + この女がイエスのことを聞いて、群衆の中にまぎれ込み、うしろから、み衣にさわった。 + それは、せめて、み衣にでもさわれば、なおしていただけるだろうと、思っていたからである。 + すると、血の元がすぐにかわき、女は病気がなおったことを、その身に感じた。 + イエスはすぐ、自分の内から力が出て行ったことに気づかれて、群衆の中で振り向き、「わたしの着物にさわったのはだれか」と言われた。 + そこで弟子たちが言った、「ごらんのとおり、群衆があなたに押し迫っていますのに、だれがさわったかと、おっしゃるのですか」。 + しかし、イエスはさわった者を見つけようとして、見まわしておられた。 + その女は自分の身に起ったことを知って、恐れおののきながら進み出て、みまえにひれ伏して、すべてありのままを申し上げた。 + イエスはその女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。すっかりなおって、達者でいなさい」。 + イエスが、まだ話しておられるうちに、会堂司の家から人々がきて言った、「あなたの娘はなくなりました。このうえ、先生を煩わすには及びますまい」。 + イエスはその話している言葉を聞き流して、会堂司に言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい」。 + そしてペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネのほかは、ついて来ることを、だれにもお許しにならなかった。 + 彼らが会堂司の家に着くと、イエスは人々が大声で泣いたり、叫んだりして、騒いでいるのをごらんになり、 + 内にはいって、彼らに言われた、「なぜ泣き騒いでいるのか。子供は死んだのではない。眠っているだけである」。 + 人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスはみんなの者を外に出し、子供の父母と供の者たちだけを連れて、子供のいる所にはいって行かれた。 + そして子供の手を取って、「タリタ、クミ」と言われた。それは、「少女よ、さあ、起きなさい」という意味である。 + すると、少女はすぐに起き上がって、歩き出した。十二歳にもなっていたからである。彼らはたちまち非常な驚きに打たれた。 + イエスは、だれにもこの事を知らすなと、きびしく彼らに命じ、また、少女に食物を与えるようにと言われた。 + + + イエスはそこを去って、郷里に行かれたが、弟子たちも従って行った。 + そして、安息日になったので、会堂で教えはじめられた。それを聞いた多くの人々は、驚いて言った、「この人は、これらのことをどこで習ってきたのか。また、この人の授かった知恵はどうだろう。このような力あるわざがその手で行われているのは、どうしてか。 + この人は大工ではないか。マリヤのむすこで、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではないか。またその姉妹たちも、ここにわたしたちと一緒にいるではないか」。こうして彼らはイエスにつまずいた。 + イエスは言われた、「預言者は、自分の郷里、親族、家以外では、どこででも敬われないことはない」。 + そして、そこでは力あるわざを一つもすることができず、ただ少数の病人に手をおいていやされただけであった。 + そして、彼らの不信仰を驚き怪しまれた。それからイエスは、附近の村々を巡りあるいて教えられた。 + また十二弟子を呼び寄せ、ふたりずつつかわすことにして、彼らにけがれた霊を制する権威を与え、 + また旅のために、つえ一本のほかには何も持たないように、パンも、袋も、帯の中に銭も持たず、 + ただわらじをはくだけで、下着も二枚は着ないように命じられた。 + そして彼らに言われた、「どこへ行っても、家にはいったなら、その土地を去るまでは、そこにとどまっていなさい。 + また、あなたがたを迎えず、あなたがたの話を聞きもしない所があったなら、そこから出て行くとき、彼らに対する抗議のしるしに、足の裏のちりを払い落しなさい」。 + そこで、彼らは出て行って、悔改めを宣べ伝え、 + 多くの悪霊を追い出し、大ぜいの病人に油をぬっていやした。 + さて、イエスの名が知れわたって、ヘロデ王の耳にはいった。ある人々は「バプテスマのヨハネが、死人の中からよみがえってきたのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」と言い、 + 他の人々は「彼はエリヤだ」と言い、また他の人々は「昔の預言者のような預言者だ」と言った。 + ところが、ヘロデはこれを聞いて、「わたしが首を切ったあのヨハネがよみがえったのだ」と言った。 + このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤをめとったが、そのことで、人をつかわし、ヨハネを捕えて獄につないだ。 + それは、ヨハネがヘロデに、「兄弟の妻をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。 + そこで、ヘロデヤはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。 + それはヘロデが、ヨハネは正しくて聖なる人であることを知って、彼を恐れ、彼に保護を加え、またその教を聞いて非常に悩みながらも、なお喜んで聞いていたからである。 + ところが、よい機会がきた。ヘロデは自分の誕生日の祝に、高官や将校やガリラヤの重立った人たちを招いて宴会を催したが、 + そこへ、このヘロデヤの娘がはいってきて舞をまい、ヘロデをはじめ列座の人たちを喜ばせた。そこで王はこの少女に「ほしいものはなんでも言いなさい。あなたにあげるから」と言い、 + さらに「ほしければ、この国の半分でもあげよう」と誓って言った。 + そこで少女は座をはずして、母に「何をお願いしましょうか」と尋ねると、母は「バプテスマのヨハネの首を」と答えた。 + するとすぐ、少女は急いで王のところに行って願った、「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆にのせて、それをいただきとうございます」。 + 王は非常に困ったが、いったん誓ったのと、また列座の人たちの手前、少女の願いを退けることを好まなかった。 + そこで、王はすぐに衛兵をつかわし、ヨハネの首を持って来るように命じた。衛兵は出て行き、獄中でヨハネの首を切り、 + 盆にのせて持ってきて少女に与え、少女はそれを母にわたした。 + ヨハネの弟子たちはこのことを聞き、その死体を引き取りにきて、墓に納めた。 + さて、使徒たちはイエスのもとに集まってきて、自分たちがしたことや教えたことを、みな報告した。 + するとイエスは彼らに言われた、「さあ、あなたがたは、人を避けて寂しい所へ行って、しばらく休むがよい」。それは、出入りする人が多くて、食事をする暇もなかったからである。 + そこで彼らは人を避け、舟に乗って寂しい所へ行った。 + ところが、多くの人々は彼らが出かけて行くのを見、それと気づいて、方々の町々からそこへ、一せいに駆けつけ、彼らより先に着いた。 + イエスは舟から上がって大ぜいの群衆をごらんになり、飼う者のない羊のようなその有様を深くあわれんで、いろいろと教えはじめられた。 + ところが、はや時もおそくなったので、弟子たちはイエスのもとにきて言った、「ここは寂しい所でもあり、もう時もおそくなりました。 + みんなを解散させ、めいめいで何か食べる物を買いに、まわりの部落や村々へ行かせてください」。 + イエスは答えて言われた、「あなたがたの手で食物をやりなさい」。弟子たちは言った、「わたしたちが二百デナリものパンを買ってきて、みんなに食べさせるのですか」。 + するとイエスは言われた、「パンは幾つあるか。見てきなさい」。彼らは確かめてきて、「五つあります。それに魚が二ひき」と言った。 + そこでイエスは、みんなを組々に分けて、青草の上にすわらせるように命じられた。 + 人々は、あるいは百人ずつ、あるいは五十人ずつ、列をつくってすわった。 + それから、イエスは五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンをさき、弟子たちにわたして配らせ、また、二ひきの魚もみんなにお分けになった。 + みんなの者は食べて満腹した。 + そこで、パンくずや魚の残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。 + パンを食べた者は男五千人であった。 + それからすぐ、イエスは自分で群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸のベツサイダへ先におやりになった。 + そして群衆に別れてから、祈るために山へ退かれた。 + 夕方になったとき、舟は海のまん中に出ており、イエスだけが陸地におられた。 + ところが逆風が吹いていたために、弟子たちがこぎ悩んでいるのをごらんになって、夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らに近づき、そのそばを通り過ぎようとされた。 + 彼らはイエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと思い、大声で叫んだ。 + みんなの者がそれを見て、おじ恐れたからである。しかし、イエスはすぐ彼らに声をかけ、「しっかりするのだ。わたしである。恐れることはない」と言われた。 + そして、彼らの舟に乗り込まれると、風はやんだ。彼らは心の中で、非常に驚いた。 + 先のパンのことを悟らず、その心が鈍くなっていたからである。 + 彼らは海を渡り、ゲネサレの地に着いて舟をつないだ。 + そして舟からあがると、人々はすぐイエスと知って、 + その地方をあまねく駆けめぐり、イエスがおられると聞けば、どこへでも病人を床にのせて運びはじめた。 + そして、村でも町でも部落でも、イエスがはいって行かれる所では、病人たちをその広場におき、せめてその上着のふさにでも、さわらせてやっていただきたいと、お願いした。そしてさわった者は皆いやされた。 + + + さて、パリサイ人と、ある律法学者たちとが、エルサレムからきて、イエスのもとに集まった。 + そして弟子たちのうちに、不浄な手、すなわち洗わない手で、パンを食べている者があるのを見た。 + もともと、パリサイ人をはじめユダヤ人はみな、昔の人の言伝えをかたく守って、念入りに手を洗ってからでないと、食事をしない。 + また市場から帰ったときには、身を清めてからでないと、食事をせず、なおそのほかにも、杯、鉢、銅器を洗うことなど、昔から受けついでかたく守っている事が、たくさんあった。 + そこで、パリサイ人と律法学者たちとは、イエスに尋ねた、「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人の言伝えに従って歩まないで、不浄な手でパンを食べるのですか」。 + イエスは言われた、「イザヤは、あなたがた偽善者について、こう書いているが、それは適切な預言である、『この民は、口さきではわたしを敬うが、その心はわたしから遠く離れている。 + 人間のいましめを教として教え、無意味にわたしを拝んでいる』。 + あなたがたは、神のいましめをさしおいて、人間の言伝えを固執している」。 + また、言われた、「あなたがたは、自分たちの言伝えを守るために、よくも神のいましめを捨てたものだ。 + モーセは言ったではないか、『父と母とを敬え』、また『父または母をののしる者は、必ず死に定められる』と。 + それだのに、あなたがたは、もし人が父または母にむかって、あなたに差上げるはずのこのものはコルバン、すなわち、供え物ですと言えば、それでよいとして、 + その人は父母に対して、もう何もしないで済むのだと言っている。 + こうしてあなたがたは、自分たちが受けついだ言伝えによって、神の言を無にしている。また、このような事をしばしばおこなっている」。 + それから、イエスは再び群衆を呼び寄せて言われた、「あなたがたはみんな、わたしの言うことを聞いて悟るがよい。 + すべて外から人の中にはいって、人をけがしうるものはない。かえって、人の中から出てくるものが、人をけがすのである。〔 + 聞く耳のある者は聞くがよい〕」。 + イエスが群衆を離れて家にはいられると、弟子たちはこの譬について尋ねた。 + すると、言われた、「あなたがたも、そんなに鈍いのか。すべて、外から人の中にはいって来るものは、人を汚し得ないことが、わからないのか。 + それは人の心の中にはいるのではなく、腹の中にはいり、そして、外に出て行くだけである」。イエスはこのように、どんな食物でもきよいものとされた。 + さらに言われた、「人から出て来るもの、それが人をけがすのである。 + すなわち内部から、人の心の中から、悪い思いが出て来る。不品行、盗み、殺人、 + 姦淫、貪欲、邪悪、欺き、好色、妬み、誹り、高慢、愚痴。 + これらの悪はすべて内部から出てきて、人をけがすのである」。 + さて、イエスは、そこを立ち去って、ツロの地方に行かれた。そして、だれにも知れないように、家の中にはいられたが、隠れていることができなかった。 + そして、けがれた霊につかれた幼い娘をもつ女が、イエスのことをすぐ聞きつけてきて、その足もとにひれ伏した。 + この女はギリシヤ人で、スロ・フェニキヤの生れであった。そして、娘から悪霊を追い出してくださいとお願いした。 + イエスは女に言われた、「まず子供たちに十分食べさすべきである。子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。 + すると、女は答えて言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、食卓の下にいる小犬も、子供たちのパンくずは、いただきます」。 + そこでイエスは言われた、「その言葉で、じゅうぶんである。お帰りなさい。悪霊は娘から出てしまった」。 + そこで、女が家に帰ってみると、その子は床の上に寝ており、悪霊は出てしまっていた。 + それから、イエスはまたツロの地方を去り、シドンを経てデカポリス地方を通りぬけ、ガリラヤの海べにこられた。 + すると人々は、耳が聞えず口のきけない人を、みもとに連れてきて、手を置いてやっていただきたいとお願いした。 + そこで、イエスは彼ひとりを群衆の中から連れ出し、その両耳に指をさし入れ、それから、つばきでその舌を潤し、 + 天を仰いでため息をつき、その人に「エパタ」と言われた。これは「開けよ」という意味である。 + すると彼の耳が開け、その舌のもつれもすぐ解けて、はっきりと話すようになった。 + イエスは、この事をだれにも言ってはならぬと、人々に口止めをされたが、口止めをすればするほど、かえって、ますます言いひろめた。 + 彼らは、ひとかたならず驚いて言った、「このかたのなさった事は、何もかも、すばらしい。耳の聞えない者を聞えるようにしてやり、口のきけない者をきけるようにしておやりになった」。 + + + そのころ、また大ぜいの群衆が集まっていたが、何も食べるものがなかったので、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、 + 「この群衆がかわいそうである。もう三日間もわたしと一緒にいるのに、何も食べるものがない。 + もし、彼らを空腹のまま家に帰らせるなら、途中で弱り切ってしまうであろう。それに、なかには遠くからきている者もある」。 + 弟子たちは答えた、「こんな荒野で、どこからパンを手に入れて、これらの人々にじゅうぶん食べさせることができましょうか」。 + イエスが弟子たちに、「パンはいくつあるか」と尋ねられると、「七つあります」と答えた。 + そこでイエスは群衆に地にすわるように命じられた。そして七つのパンを取り、感謝してこれをさき、人々に配るように弟子たちに渡されると、弟子たちはそれを群衆に配った。 + また小さい魚が少しばかりあったので、祝福して、それをも人々に配るようにと言われた。 + 彼らは食べて満腹した。そして残ったパンくずを集めると、七かごになった。 + 人々の数はおよそ四千人であった。それからイエスは彼らを解散させ、 + すぐ弟子たちと共に舟に乗って、ダルマヌタの地方へ行かれた。 + パリサイ人たちが出てきて、イエスを試みようとして議論をしかけ、天からのしるしを求めた。 + イエスは、心の中で深く嘆息して言われた、「なぜ、今の時代はしるしを求めるのだろう。よく言い聞かせておくが、しるしは今の時代には決して与えられない」。 + そして、イエスは彼らをあとに残し、また舟に乗って向こう岸へ行かれた。 + 弟子たちはパンを持って来るのを忘れていたので、舟の中にはパン一つしか持ち合わせがなかった。 + そのとき、イエスは彼らを戒めて、「パリサイ人のパン種とヘロデのパン種とを、よくよく警戒せよ」と言われた。 + 弟子たちは、これは自分たちがパンを持っていないためであろうと、互に論じ合った。 + イエスはそれと知って、彼らに言われた、「なぜ、パンがないからだと論じ合っているのか。まだわからないのか、悟らないのか。あなたがたの心は鈍くなっているのか。 + 目があっても見えないのか。耳があっても聞えないのか。まだ思い出さないのか。 + 五つのパンをさいて五千人に分けたとき、拾い集めたパンくずは、幾つのかごになったか」。弟子たちは答えた、「十二かごです」。 + 「七つのパンを四千人に分けたときには、パンくずを幾つのかごに拾い集めたか」。「七かごです」と答えた。 + そこでイエスは彼らに言われた、「まだ悟らないのか」。 + そのうちに、彼らはベツサイダに着いた。すると人々が、ひとりの盲人を連れてきて、さわってやっていただきたいとお願いした。 + イエスはこの盲人の手をとって、村の外に連れ出し、その両方の目につばきをつけ、両手を彼に当てて、「何か見えるか」と尋ねられた。 + すると彼は顔を上げて言った、「人が見えます。木のように見えます。歩いているようです」。 + それから、イエスが再び目の上に両手を当てられると、盲人は見つめているうちに、なおってきて、すべてのものがはっきりと見えだした。 + そこでイエスは、「村にはいってはいけない」と言って、彼を家に帰された。 + さて、イエスは弟子たちとピリポ・カイザリヤの村々へ出かけられたが、その途中で、弟子たちに尋ねて言われた、「人々は、わたしをだれと言っているか」。 + 彼らは答えて言った、「バプテスマのヨハネだと、言っています。また、エリヤだと言い、また、預言者のひとりだと言っている者もあります」。 + そこでイエスは彼らに尋ねられた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。ペテロが答えて言った、「あなたこそキリストです」。 + するとイエスは、自分のことをだれにも言ってはいけないと、彼らを戒められた。 + それから、人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、また殺され、そして三日の後によみがえるべきことを、彼らに教えはじめ、 + しかもあからさまに、この事を話された。すると、ペテロはイエスをわきへ引き寄せて、いさめはじめたので、 + イエスは振り返って、弟子たちを見ながら、ペテロをしかって言われた、「サタンよ、引きさがれ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている」。 + それから群衆を弟子たちと一緒に呼び寄せて、彼らに言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。 + 自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのため、また福音のために、自分の命を失う者は、それを救うであろう。 + 人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。 + また、人はどんな代価を払って、その命を買いもどすことができようか。 + 邪悪で罪深いこの時代にあって、わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、父の栄光のうちに聖なる御使たちと共に来るときに、その者を恥じるであろう」。 + + + また、彼らに言われた、「よく聞いておくがよい。神の国が力をもって来るのを見るまでは、決して死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。 + 六日の後、イエスは、ただペテロ、ヤコブ、ヨハネだけを連れて、高い山に登られた。ところが、彼らの目の前でイエスの姿が変り、 + その衣は真白く輝き、どんな布さらしでも、それほどに白くすることはできないくらいになった。 + すると、エリヤがモーセと共に彼らに現れて、イエスと語り合っていた。 + ペテロはイエスにむかって言った、「先生、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。それで、わたしたちは小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。 + そう言ったのは、みんなの者が非常に恐れていたので、ペテロは何を言ってよいか、わからなかったからである。 + すると、雲がわき起って彼らをおおった。そして、その雲の中から声があった、「これはわたしの愛する子である。これに聞け」。 + 彼らは急いで見まわしたが、もはやだれも見えず、ただイエスだけが、自分たちと一緒におられた。 + 一同が山を下って来るとき、イエスは「人の子が死人の中からよみがえるまでは、いま見たことをだれにも話してはならない」と、彼らに命じられた。 + 彼らはこの言葉を心にとめ、死人の中からよみがえるとはどういうことかと、互に論じ合った。 + そしてイエスに尋ねた、「なぜ、律法学者たちは、エリヤが先に来るはずだと言っているのですか」。 + イエスは言われた、「確かに、エリヤが先にきて、万事を元どおりに改める。しかし、人の子について、彼が多くの苦しみを受け、かつ恥ずかしめられると、書いてあるのはなぜか。 + しかしあなたがたに言っておく、エリヤはすでにきたのだ。そして彼について書いてあるように、人々は自分かってに彼をあしらった」。 + さて、彼らがほかの弟子たちの所にきて見ると、大ぜいの群衆が弟子たちを取り囲み、そして律法学者たちが彼らと論じ合っていた。 + 群衆はみな、すぐイエスを見つけて、非常に驚き、駆け寄ってきて、あいさつをした。 + イエスが彼らに、「あなたがたは彼らと何を論じているのか」と尋ねられると、 + 群衆のひとりが答えた、「先生、おしの霊につかれているわたしのむすこを、こちらに連れて参りました。 + 霊がこのむすこにとりつきますと、どこででも彼を引き倒し、それから彼はあわを吹き、歯をくいしばり、からだをこわばらせてしまいます。それでお弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。 + イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまで、あなたがたに我慢ができようか。その子をわたしの所に連れてきなさい」。 + そこで人々は、その子をみもとに連れてきた。霊がイエスを見るや否や、その子をひきつけさせたので、子は地に倒れ、あわを吹きながらころげまわった。 + そこで、イエスが父親に「いつごろから、こんなになったのか」と尋ねられると、父親は答えた、「幼い時からです。 + 霊はたびたび、この子を火の中、水の中に投げ入れて、殺そうとしました。しかしできますれば、わたしどもをあわれんでお助けください」。 + イエスは彼に言われた、「もしできれば、と言うのか。信ずる者には、どんな事でもできる」。 + その子の父親はすぐ叫んで言った、「信じます。不信仰なわたしを、お助けください」。 + イエスは群衆が駆け寄って来るのをごらんになって、けがれた霊をしかって言われた、「おしとつんぼの霊よ、わたしがおまえに命じる。この子から出て行け。二度と、はいって来るな」。 + すると霊は叫び声をあげ、激しく引きつけさせて出て行った。その子は死人のようになったので、多くの人は、死んだのだと言った。 + しかし、イエスが手を取って起されると、その子は立ち上がった。 + 家にはいられたとき、弟子たちはひそかにお尋ねした、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。 + すると、イエスは言われた、「このたぐいは、祈によらなければ、どうしても追い出すことはできない」。 + それから彼らはそこを立ち去り、ガリラヤをとおって行ったが、イエスは人に気づかれるのを好まれなかった。 + それは、イエスが弟子たちに教えて、「人の子は人々の手にわたされ、彼らに殺され、殺されてから三日の後によみがえるであろう」と言っておられたからである。 + しかし、彼らはイエスの言われたことを悟らず、また尋ねるのを恐れていた。 + それから彼らはカペナウムにきた。そして家におられるとき、イエスは弟子たちに尋ねられた、「あなたがたは途中で何を論じていたのか」。 + 彼らは黙っていた。それは途中で、だれが一ばん偉いかと、互に論じ合っていたからである。 + そこで、イエスはすわって十二弟子を呼び、そして言われた、「だれでも一ばん先になろうと思うならば、一ばんあとになり、みんなに仕える者とならねばならない」。 + そして、ひとりの幼な子をとりあげて、彼らのまん中に立たせ、それを抱いて言われた。 + 「だれでも、このような幼な子のひとりを、わたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。そして、わたしを受けいれる者は、わたしを受けいれるのではなく、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである」。 + ヨハネがイエスに言った、「先生、わたしたちについてこない者が、あなたの名を使って悪霊を追い出しているのを見ましたが、その人はわたしたちについてこなかったので、やめさせました」。 + イエスは言われた、「やめさせないがよい。だれでもわたしの名で力あるわざを行いながら、すぐそのあとで、わたしをそしることはできない。 + わたしたちに反対しない者は、わたしたちの味方である。 + だれでも、キリストについている者だというので、あなたがたに水一杯でも飲ませてくれるものは、よく言っておくが、決してその報いからもれることはないであろう。 + また、わたしを信じるこれらの小さい者のひとりをつまずかせる者は、大きなひきうすを首にかけられて海に投げ込まれた方が、はるかによい。 + もし、あなたの片手が罪を犯させるなら、それを切り捨てなさい。両手がそろったままで地獄の消えない火の中に落ち込むよりは、かたわになって命に入る方がよい。〔 + 地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。〕 + もし、あなたの片足が罪を犯させるなら、それを切り捨てなさい。両足がそろったままで地獄に投げ入れられるよりは、片足で命に入る方がよい。〔 + 地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。〕 + もし、あなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出しなさい。両眼がそろったままで地獄に投げ入れられるよりは、片目になって神の国に入る方がよい。 + 地獄では、うじがつきず、火も消えることがない。 + 人はすべて火で塩づけられねばならない。 + 塩はよいものである。しかし、もしその塩の味がぬけたら、何によってその味が取りもどされようか。あなたがた自身の内に塩を持ちなさい。そして、互に和らぎなさい」。 + + + それから、イエスはそこを去って、ユダヤの地方とヨルダンの向こう側へ行かれたが、群衆がまた寄り集まったので、いつものように、また教えておられた。 + そのとき、パリサイ人たちが近づいてきて、イエスを試みようとして質問した、「夫はその妻を出しても差しつかえないでしょうか」。 + イエスは答えて言われた、「モーセはあなたがたになんと命じたか」。 + 彼らは言った、「モーセは、離縁状を書いて妻を出すことを許しました」。 + そこでイエスは言われた、「モーセはあなたがたの心が、かたくななので、あなたがたのためにこの定めを書いたのである。 + しかし、天地創造の初めから、『神は人を男と女とに造られた。 + それゆえに、人はその父母を離れ、 + ふたりの者は一体となるべきである』。彼らはもはや、ふたりではなく一体である。 + だから、神が合わせられたものを、人は離してはならない」。 + 家にはいってから、弟子たちはまたこのことについて尋ねた。 + そこで、イエスは言われた、「だれでも、自分の妻を出して他の女をめとる者は、その妻に対して姦淫を行うのである。 + また妻が、その夫と別れて他の男にとつぐならば、姦淫を行うのである」。 + イエスにさわっていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちは彼らをたしなめた。 + それを見てイエスは憤り、彼らに言われた、「幼な子らをわたしの所に来るままにしておきなさい。止めてはならない。神の国はこのような者の国である。 + よく聞いておくがよい。だれでも幼な子のように神の国を受けいれる者でなければ、そこにはいることは決してできない」。 + そして彼らを抱き、手をその上において祝福された。 + イエスが道に出て行かれると、ひとりの人が走り寄り、みまえにひざまずいて尋ねた、「よき師よ、永遠の生命を受けるために、何をしたらよいでしょうか」。 + イエスは言われた、「なぜわたしをよき者と言うのか。神ひとりのほかによい者はいない。 + いましめはあなたの知っているとおりである。『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。欺き取るな。父と母とを敬え』」。 + すると、彼は言った、「先生、それらの事はみな、小さい時から守っております」。 + イエスは彼に目をとめ、いつくしんで言われた、「あなたに足りないことが一つある。帰って、持っているものをみな売り払って、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。 + すると、彼はこの言葉を聞いて、顔を曇らせ、悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。 + それから、イエスは見まわして、弟子たちに言われた、「財産のある者が神の国にはいるのは、なんとむずかしいことであろう」。 + 弟子たちはこの言葉に驚き怪しんだ。イエスは更に言われた、「子たちよ、神の国にはいるのは、なんとむずかしいことであろう。 + 富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。 + すると彼らはますます驚いて、互に言った、「それでは、だれが救われることができるのだろう」。 + イエスは彼らを見つめて言われた、「人にはできないが、神にはできる。神はなんでもできるからである」。 + ペテロがイエスに言い出した、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいを捨てて、あなたに従って参りました」。 + イエスは言われた、「よく聞いておくがよい。だれでもわたしのために、また福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子、もしくは畑を捨てた者は、 + 必ずその百倍を受ける。すなわち、今この時代では家、兄弟、姉妹、母、子および畑を迫害と共に受け、また、きたるべき世では永遠の生命を受ける。 + しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう」。 + さて、一同はエルサレムへ上る途上にあったが、イエスが先頭に立って行かれたので、彼らは驚き怪しみ、従う者たちは恐れた。するとイエスはまた十二弟子を呼び寄せて、自分の身に起ろうとすることについて語りはじめられた、 + 「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に引きわたされる。そして彼らは死刑を宣告した上、彼を異邦人に引きわたすであろう。 + また彼をあざけり、つばきをかけ、むち打ち、ついに殺してしまう。そして彼は三日の後によみがえるであろう」。 + さて、ゼベダイの子のヤコブとヨハネとがイエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちがお頼みすることは、なんでもかなえてくださるようにお願いします」。 + イエスは彼らに「何をしてほしいと、願うのか」と言われた。 + すると彼らは言った、「栄光をお受けになるとき、ひとりをあなたの右に、ひとりを左にすわるようにしてください」。 + イエスは言われた、「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていない。あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けることができるか」。 + 彼らは「できます」と答えた。するとイエスは言われた、「あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けるであろう。 + しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、ただ備えられている人々だけに許されることである」。 + 十人の者はこれを聞いて、ヤコブとヨハネとのことで憤慨し出した。 + そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者と見られている人々は、その民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。 + しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、 + あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、すべての人の僕とならねばならない。 + 人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためである」。 + それから、彼らはエリコにきた。そして、イエスが弟子たちや大ぜいの群衆と共にエリコから出かけられたとき、テマイの子、バルテマイという盲人のこじきが、道ばたにすわっていた。 + ところが、ナザレのイエスだと聞いて、彼は「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんでください」と叫び出した。 + 多くの人々は彼をしかって黙らせようとしたが、彼はますます激しく叫びつづけた、「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんでください」。 + イエスは立ちどまって「彼を呼べ」と命じられた。そこで、人々はその盲人を呼んで言った、「喜べ、立て、おまえを呼んでおられる」。 + そこで彼は上着を脱ぎ捨て、踊りあがってイエスのもとにきた。 + イエスは彼にむかって言われた、「わたしに何をしてほしいのか」。その盲人は言った、「先生、見えるようになることです」。 + そこでイエスは言われた、「行け、あなたの信仰があなたを救った」。すると彼は、たちまち見えるようになり、イエスに従って行った。 + + + さて、彼らがエルサレムに近づき、オリブの山に沿ったベテパゲ、ベタニヤの附近にきた時、イエスはふたりの弟子をつかわして言われた、 + 「むこうの村へ行きなさい。そこにはいるとすぐ、まだだれも乗ったことのないろばの子が、つないであるのを見るであろう。それを解いて引いてきなさい。 + もし、だれかがあなたがたに、なぜそんな事をするのかと言ったなら、主がお入り用なのです。またすぐ、ここへ返してくださいますと、言いなさい」。 + そこで、彼らは出かけて行き、そして表通りの戸口に、ろばの子がつないであるのを見たので、それを解いた。 + すると、そこに立っていた人々が言った、「そのろばの子を解いて、どうするのか」。 + 弟子たちは、イエスが言われたとおり彼らに話したので、ゆるしてくれた。 + そこで、弟子たちは、そのろばの子をイエスのところに引いてきて、自分たちの上着をそれに投げかけると、イエスはその上にお乗りになった。 + すると多くの人々は自分たちの上着を道に敷き、また他の人々は葉のついた枝を野原から切ってきて敷いた。 + そして、前に行く者も、あとに従う者も共に叫びつづけた、「ホサナ、主の御名によってきたる者に、祝福あれ。 + 今きたる、われらの父ダビデの国に、祝福あれ。いと高き所に、ホサナ」。 + こうしてイエスはエルサレムに着き、宮にはいられた。そして、すべてのものを見まわった後、もはや時もおそくなっていたので、十二弟子と共にベタニヤに出て行かれた。 + 翌日、彼らがベタニヤから出かけてきたとき、イエスは空腹をおぼえられた。 + そして、葉の茂ったいちじくの木を遠くからごらんになって、その木に何かありはしないかと近寄られたが、葉のほかは何も見当らなかった。いちじくの季節でなかったからである。 + そこで、イエスはその木にむかって、「今から後いつまでも、おまえの実を食べる者がないように」と言われた。弟子たちはこれを聞いていた。 + それから、彼らはエルサレムにきた。イエスは宮に入り、宮の庭で売り買いしていた人々を追い出しはじめ、両替人の台や、はとを売る者の腰掛をくつがえし、 + また器ものを持って宮の庭を通り抜けるのをお許しにならなかった。 + そして、彼らに教えて言われた、「『わたしの家は、すべての国民の祈の家ととなえらるべきである』と書いてあるではないか。それだのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしてしまった」。 + 祭司長、律法学者たちはこれを聞いて、どうかしてイエスを殺そうと計った。彼らは、群衆がみなその教に感動していたので、イエスを恐れていたからである。 + 夕方になると、イエスと弟子たちとは、いつものように都の外に出て行った。 + 朝はやく道をとおっていると、彼らは先のいちじくが根元から枯れているのを見た。 + そこで、ペテロは思い出してイエスに言った、「先生、ごらんなさい。あなたがのろわれたいちじくが、枯れています」。 + イエスは答えて言われた、「神を信じなさい。 + よく聞いておくがよい。だれでもこの山に、動き出して、海の中にはいれと言い、その言ったことは必ず成ると、心に疑わないで信じるなら、そのとおりに成るであろう。 + そこで、あなたがたに言うが、なんでも祈り求めることは、すでにかなえられたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになるであろう。 + また立って祈るとき、だれかに対して、何か恨み事があるならば、ゆるしてやりなさい。そうすれば、天にいますあなたがたの父も、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださるであろう。〔 + もしゆるさないならば、天にいますあなたがたの父も、あなたがたのあやまちを、ゆるしてくださらないであろう〕」。 + 彼らはまたエルサレムにきた。そして、イエスが宮の内を歩いておられると、祭司長、律法学者、長老たちが、みもとにきて言った、 + 「何の権威によってこれらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。 + そこで、イエスは彼らに言われた、「一つだけ尋ねよう。それに答えてほしい。そうしたら、何の権威によって、わたしがこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。 + ヨハネのバプテスマは天からであったか、人からであったか、答えなさい」。 + すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 + しかし、人からだと言えば……」。彼らは群衆を恐れていた。人々が皆、ヨハネを預言者だとほんとうに思っていたからである。 + それで彼らは「わたしたちにはわかりません」と答えた。するとイエスは言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。 + + + そこでイエスは譬で彼らに語り出された、「ある人がぶどう園を造り、垣をめぐらし、また酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。 + 季節になったので、農夫たちのところへ、ひとりの僕を送って、ぶどう園の収穫の分け前を取り立てさせようとした。 + すると、彼らはその僕をつかまえて、袋だたきにし、から手で帰らせた。 + また他の僕を送ったが、その頭をなぐって侮辱した。 + そこでまた他の者を送ったが、今度はそれを殺してしまった。そのほか、なお大ぜいの者を送ったが、彼らを打ったり、殺したりした。 + ここに、もうひとりの者がいた。それは彼の愛子であった。自分の子は敬ってくれるだろうと思って、最後に彼をつかわした。 + すると、農夫たちは『あれはあと取りだ。さあ、これを殺してしまおう。そうしたら、その財産はわれわれのものになるのだ』と話し合い、 + 彼をつかまえて殺し、ぶどう園の外に投げ捨てた。 + このぶどう園の主人は、どうするだろうか。彼は出てきて、農夫たちを殺し、ぶどう園を他の人々に与えるであろう。 + あなたがたは、この聖書の句を読んだことがないのか。『家造りらの捨てた石が隅のかしら石になった。 + これは主がなされたことで、わたしたちの目には不思議に見える』」。 + 彼らはいまの譬が、自分たちに当てて語られたことを悟ったので、イエスを捕えようとしたが、群衆を恐れた。そしてイエスをそこに残して立ち去った。 + さて、人々はパリサイ人やヘロデ党の者を数人、イエスのもとにつかわして、その言葉じりを捕えようとした。 + 彼らはきてイエスに言った、「先生、わたしたちはあなたが真実なかたで、だれをも、はばかられないことを知っています。あなたは人に分け隔てをなさらないで、真理に基いて神の道を教えてくださいます。ところで、カイザルに税金を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか」。 + イエスは彼らの偽善を見抜いて言われた、「なぜわたしをためそうとするのか。デナリを持ってきて見せなさい」。 + 彼らはそれを持ってきた。そこでイエスは言われた、「これは、だれの肖像、だれの記号か」。彼らは「カイザルのです」と答えた。 + するとイエスは言われた、「カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。彼らはイエスに驚嘆した。 + 復活ということはないと主張していたサドカイ人たちが、イエスのもとにきて質問した、 + 「先生、モーセは、わたしたちのためにこう書いています、『もし、ある人の兄が死んで、その残された妻に、子がない場合には、弟はこの女をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。 + ここに、七人の兄弟がいました。長男は妻をめとりましたが、子がなくて死に、 + 次男がその女をめとって、また子をもうけずに死に、三男も同様でした。 + こうして、七人ともみな子孫を残しませんでした。最後にその女も死にました。 + 復活のとき、彼らが皆よみがえった場合、この女はだれの妻なのでしょうか。七人とも彼女を妻にしたのですが」。 + イエスは言われた、「あなたがたがそんな思い違いをしているのは、聖書も神の力も知らないからではないか。 + 彼らが死人の中からよみがえるときには、めとったり、とついだりすることはない。彼らは天にいる御使のようなものである。 + 死人がよみがえることについては、モーセの書の柴の篇で、神がモーセに仰せられた言葉を読んだことがないのか。『わたしはアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあるではないか。 + 神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である。あなたがたは非常な思い違いをしている」。 + ひとりの律法学者がきて、彼らが互に論じ合っているのを聞き、またイエスが巧みに答えられたのを認めて、イエスに質問した、「すべてのいましめの中で、どれが第一のものですか」。 + イエスは答えられた、「第一のいましめはこれである、『イスラエルよ、聞け。主なるわたしたちの神は、ただひとりの主である。 + 心をつくし、精神をつくし、思いをつくし、力をつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。 + 第二はこれである、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。これより大事ないましめは、ほかにない」。 + そこで、この律法学者はイエスに言った、「先生、仰せのとおりです、『神はひとりであって、そのほかに神はない』と言われたのは、ほんとうです。 + また『心をつくし、知恵をつくし、力をつくして神を愛し、また自分を愛するように隣り人を愛する』ということは、すべての燔祭や犠牲よりも、はるかに大事なことです」。 + イエスは、彼が適切な答をしたのを見て言われた、「あなたは神の国から遠くない」。それから後は、イエスにあえて問う者はなかった。 + イエスが宮で教えておられたとき、こう言われた、「律法学者たちは、どうしてキリストをダビデの子だと言うのか。 + ダビデ自身が聖霊に感じて言った、『主はわが主に仰せになった、あなたの敵をあなたの足もとに置くときまでは、わたしの右に座していなさい』。 + このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいる。それなら、どうしてキリストはダビデの子であろうか」。大ぜいの群衆は、喜んでイエスに耳を傾けていた。 + イエスはその教の中で言われた、「律法学者に気をつけなさい。彼らは長い衣を着て歩くことや、広場であいさつされることや、 + また会堂の上席、宴会の上座を好んでいる。 + また、やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。彼らはもっときびしいさばきを受けるであろう」。 + イエスは、さいせん箱にむかってすわり、群衆がその箱に金を投げ入れる様子を見ておられた。多くの金持は、たくさんの金を投げ入れていた。 + ところが、ひとりの貧しいやもめがきて、レプタ二つを入れた。それは一コドラントに当る。 + そこで、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめは、さいせん箱に投げ入れている人たちの中で、だれよりもたくさん入れたのだ。 + みんなの者はありあまる中から投げ入れたが、あの婦人はその乏しい中から、あらゆる持ち物、その生活費全部を入れたからである」。 + + + イエスが宮から出て行かれるとき、弟子のひとりが言った、「先生、ごらんなさい。なんという見事な石、なんという立派な建物でしょう」。 + イエスは言われた、「あなたは、これらの大きな建物をながめているのか。その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」。 + またオリブ山で、宮にむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにお尋ねした。 + 「わたしたちにお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。またそんなことがことごとく成就するような場合には、どんな前兆がありますか」。 + そこで、イエスは話しはじめられた、「人に惑わされないように気をつけなさい。 + 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだと言って、多くの人を惑わすであろう。 + また、戦争と戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない。 + 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに地震があり、またききんが起るであろう。これらは産みの苦しみの初めである。 + あなたがたは自分で気をつけていなさい。あなたがたは、わたしのために、衆議所に引きわたされ、会堂で打たれ、長官たちや王たちの前に立たされ、彼らに対してあかしをさせられるであろう。 + こうして、福音はまずすべての民に宣べ伝えられねばならない。 + そして、人々があなたがたを連れて行って引きわたすとき、何を言おうかと、前もって心配するな。その場合、自分に示されることを語るがよい。語る者はあなたがた自身ではなくて、聖霊である。 + また兄弟は兄弟を、父は子を殺すために渡し、子は両親に逆らって立ち、彼らを殺させるであろう。 + また、あなたがたはわたしの名のゆえに、すべての人に憎まれるであろう。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。 + 荒らす憎むべきものが、立ってはならぬ所に立つのを見たならば(読者よ、悟れ)、そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。 + 屋上にいる者は、下におりるな。また家から物を取り出そうとして内にはいるな。 + 畑にいる者は、上着を取りにあとへもどるな。 + その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。 + この事が冬おこらぬように祈れ。 + その日には、神が万物を造られた創造の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような患難が起るからである。 + もし主がその期間を縮めてくださらないなら、救われる者はひとりもないであろう。しかし、選ばれた選民のために、その期間を縮めてくださったのである。 + そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、『見よ、あそこにいる』と言っても、それを信じるな。 + にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、しるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。 + だから、気をつけていなさい。いっさいの事を、あなたがたに前もって言っておく。 + その日には、この患難の後、日は暗くなり、月はその光を放つことをやめ、 + 星は空から落ち、天体は揺り動かされるであろう。 + そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。 + そのとき、彼は御使たちをつかわして、地のはてから天のはてまで、四方からその選民を呼び集めるであろう。 + いちじくの木からこの譬を学びなさい。その枝が柔らかになり、葉が出るようになると、夏の近いことがわかる。 + そのように、これらの事が起るのを見たならば、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。 + よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。 + 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は滅びることがない。 + その日、その時は、だれも知らない。天にいる御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。 + 気をつけて、目をさましていなさい。その時がいつであるか、あなたがたにはわからないからである。 + それはちょうど、旅に立つ人が家を出るに当り、その僕たちに、それぞれ仕事を割り当てて責任をもたせ、門番には目をさましておれと、命じるようなものである。 + だから、目をさましていなさい。いつ、家の主人が帰って来るのか、夕方か、夜中か、にわとりの鳴くころか、明け方か、わからないからである。 + あるいは急に帰ってきて、あなたがたの眠っているところを見つけるかも知れない。 + 目をさましていなさい。わたしがあなたがたに言うこの言葉は、すべての人々に言うのである」。 + + + さて、過越と除酵との祭の二日前になった。祭司長たちや律法学者たちは、策略をもってイエスを捕えたうえ、なんとかして殺そうと計っていた。 + 彼らは、「祭の間はいけない。民衆が騒ぎを起すかも知れない」と言っていた。 + イエスがベタニヤで、らい病人シモンの家にいて、食卓についておられたとき、ひとりの女が、非常に高価で純粋なナルドの香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、それをこわし、香油をイエスの頭に注ぎかけた。 + すると、ある人々が憤って互に言った、「なんのために香油をこんなにむだにするのか。 + この香油を三百デナリ以上にでも売って、貧しい人たちに施すことができたのに」。そして女をきびしくとがめた。 + するとイエスは言われた、「するままにさせておきなさい。なぜ女を困らせるのか。わたしによい事をしてくれたのだ。 + 貧しい人たちはいつもあなたがたと一緒にいるから、したいときにはいつでも、よい事をしてやれる。しかし、わたしはあなたがたといつも一緒にいるわけではない。 + この女はできる限りの事をしたのだ。すなわち、わたしのからだに油を注いで、あらかじめ葬りの用意をしてくれたのである。 + よく聞きなさい。全世界のどこででも、福音が宣べ伝えられる所では、この女のした事も記念として語られるであろう」。 + ときに、十二弟子のひとりイスカリオテのユダは、イエスを祭司長たちに引きわたそうとして、彼らの所へ行った。 + 彼らはこれを聞いて喜び、金を与えることを約束した。そこでユダは、どうかしてイエスを引きわたそうと、機会をねらっていた。 + 除酵祭の第一日、すなわち過越の小羊をほふる日に、弟子たちがイエスに尋ねた、「わたしたちは、過越の食事をなさる用意を、どこへ行ってしたらよいでしょうか」。 + そこで、イエスはふたりの弟子を使いに出して言われた、「市内に行くと、水がめを持っている男に出会うであろう。その人について行きなさい。 + そして、その人がはいって行く家の主人に言いなさい、『弟子たちと一緒に過越の食事をする座敷はどこか、と先生が言っておられます』。 + するとその主人は、席を整えて用意された二階の広間を見せてくれるから、そこにわたしたちのために用意をしなさい」。 + 弟子たちは出かけて市内に行って見ると、イエスが言われたとおりであったので、過越の食事の用意をした。 + 夕方になって、イエスは十二弟子と一緒にそこに行かれた。 + そして、一同が席について食事をしているとき言われた、「特にあなたがたに言っておくが、あなたがたの中のひとりで、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ろうとしている」。 + 弟子たちは心配して、ひとりびとり「まさか、わたしではないでしょう」と言い出した。 + イエスは言われた、「十二人の中のひとりで、わたしと一緒に同じ鉢にパンをひたしている者が、それである。 + たしかに人の子は、自分について書いてあるとおりに去って行く。しかし、人の子を裏切るその人は、わざわいである。その人は生れなかった方が、彼のためによかったであろう」。 + 一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「取れ、これはわたしのからだである」。 + また杯を取り、感謝して彼らに与えられると、一同はその杯から飲んだ。 + イエスはまた言われた、「これは、多くの人のために流すわたしの契約の血である。 + あなたがたによく言っておく。神の国で新しく飲むその日までは、わたしは決して二度と、ぶどうの実から造ったものを飲むことをしない」。 + 彼らは、さんびを歌った後、オリブ山へ出かけて行った。 + そのとき、イエスは弟子たちに言われた、「あなたがたは皆、わたしにつまずくであろう。『わたしは羊飼を打つ。そして、羊は散らされるであろう』と書いてあるからである。 + しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先にガリラヤへ行くであろう」。 + するとペテロはイエスに言った、「たとい、みんなの者がつまずいても、わたしはつまずきません」。 + イエスは言われた、「あなたによく言っておく。きょう、今夜、にわとりが二度鳴く前に、そう言うあなたが、三度わたしを知らないと言うだろう」。 + ペテロは力をこめて言った、「たといあなたと一緒に死なねばならなくなっても、あなたを知らないなどとは、決して申しません」。みんなの者もまた、同じようなことを言った。 + さて、一同はゲツセマネという所にきた。そしてイエスは弟子たちに言われた、「わたしが祈っている間、ここにすわっていなさい」。 + そしてペテロ、ヤコブ、ヨハネを一緒に連れて行かれたが、恐れおののき、また悩みはじめて、彼らに言われた、 + 「わたしは悲しみのあまり死ぬほどである。ここに待っていて、目をさましていなさい」。 + そして少し進んで行き、地にひれ伏し、もしできることなら、この時を過ぎ去らせてくださるようにと祈りつづけ、そして言われた、 + 「アバ、父よ、あなたには、できないことはありません。どうか、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの思いではなく、みこころのままになさってください」。 + それから、きてごらんになると、弟子たちが眠っていたので、ペテロに言われた、「シモンよ、眠っているのか、ひと時も目をさましていることができなかったのか。 + 誘惑に陥らないように、目をさまして祈っていなさい。心は熱しているが、肉体が弱いのである」。 + また離れて行って同じ言葉で祈られた。 + またきてごらんになると、彼らはまだ眠っていた。その目が重くなっていたのである。そして、彼らはどうお答えしてよいか、わからなかった。 + 三度目にきて言われた、「まだ眠っているのか、休んでいるのか。もうそれでよかろう。時がきた。見よ、人の子は罪人らの手に渡されるのだ。 + 立て、さあ行こう。見よ、わたしを裏切る者が近づいてきた」。 + そしてすぐ、イエスがまだ話しておられるうちに、十二弟子のひとりのユダが進みよってきた。また祭司長、律法学者、長老たちから送られた群衆も、剣と棒とを持って彼についてきた。 + イエスを裏切る者は、あらかじめ彼らに合図をしておいた、「わたしの接吻する者が、その人だ。その人をつかまえて、まちがいなく引ひっぱって行け」。 + 彼は来るとすぐ、イエスに近寄り、「先生」と言って接吻した。 + 人々はイエスに手をかけてつかまえた。 + すると、イエスのそばに立っていた者のひとりが、剣を抜いて大祭司の僕に切りかかり、その片耳を切り落した。 + イエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたは強盗にむかうように、剣や棒を持ってわたしを捕えにきたのか。 + わたしは毎日あなたがたと一緒に宮にいて教えていたのに、わたしをつかまえはしなかった。しかし聖書の言葉は成就されねばならない」。 + 弟子たちは皆イエスを見捨てて逃げ去った。 + ときに、ある若者が身に亜麻布をまとって、イエスのあとについて行ったが、人々が彼をつかまえようとしたので、 + その亜麻布を捨てて、裸で逃げて行った。 + それから、イエスを大祭司のところに連れて行くと、祭司長、長老、律法学者たちがみな集まってきた。 + ペテロは遠くからイエスについて行って、大祭司の中庭まではいり込み、その下役どもにまじってすわり、火にあたっていた。 + さて、祭司長たちと全議会とは、イエスを死刑にするために、イエスに不利な証拠を見つけようとしたが、得られなかった。 + 多くの者がイエスに対して偽証を立てたが、その証言が合わなかったからである。 + ついに、ある人々が立ちあがり、イエスに対して偽証を立てて言った、 + 「わたしたちはこの人が『わたしは手で造ったこの神殿を打ちこわし、三日の後に手で造られない別の神殿を建てるのだ』と言うのを聞きました」。 + しかし、このような証言も互に合わなかった。 + そこで大祭司が立ちあがって、まん中に進み、イエスに聞きただして言った、「何も答えないのか。これらの人々があなたに対して不利な証言を申し立てているが、どうなのか」。 + しかし、イエスは黙っていて、何もお答えにならなかった。大祭司は再び聞きただして言った、「あなたは、ほむべき者の子、キリストであるか」。 + イエスは言われた、「わたしがそれである。あなたがたは人の子が力ある者の右に座し、天の雲に乗って来るのを見るであろう」。 + すると、大祭司はその衣を引き裂いて言った、「どうして、これ以上、証人の必要があろう。 + あなたがたはこのけがし言を聞いた。あなたがたの意見はどうか」。すると、彼らは皆、イエスを死に当るものと断定した。 + そして、ある者はイエスにつばきをかけ、目隠しをし、こぶしでたたいて、「言いあててみよ」と言いはじめた。また下役どもはイエスを引きとって、手のひらでたたいた。 + ペテロは下で中庭にいたが、大祭司の女中のひとりがきて、 + ペテロが火にあたっているのを見ると、彼を見つめて、「あなたもあのナザレ人イエスと一緒だった」と言った。 + するとペテロはそれを打ち消して、「わたしは知らない。あなたの言うことがなんの事か、わからない」と言って、庭口の方に出て行った。 + ところが、先の女中が彼を見て、そばに立っていた人々に、またもや「この人はあの仲間のひとりです」と言いだした。 + ペテロは再びそれを打ち消した。しばらくして、そばに立っていた人たちがまたペテロに言った、「確かにあなたは彼らの仲間だ。あなたもガリラヤ人だから」。 + しかし、彼は、「あなたがたの話しているその人のことは何も知らない」と言い張って、激しく誓いはじめた。 + するとすぐ、にわとりが二度目に鳴いた。ペテロは、「にわとりが二度鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われたイエスの言葉を思い出し、そして思いかえして泣きつづけた。 + + + 夜が明けるとすぐ、祭司長たちは長老、律法学者たち、および全議会と協議をこらした末、イエスを縛って引き出し、ピラトに渡した。 + ピラトはイエスに尋ねた、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは、「そのとおりである」とお答えになった。 + そこで祭司長たちは、イエスのことをいろいろと訴えた。 + ピラトはもう一度イエスに尋ねた、「何も答えないのか。見よ、あなたに対してあんなにまで次々に訴えているではないか」。 + しかし、イエスはピラトが不思議に思うほどに、もう何もお答えにならなかった。 + さて、祭のたびごとに、ピラトは人々が願い出る囚人ひとりを、ゆるしてやることにしていた。 + ここに、暴動を起し人殺しをしてつながれていた暴徒の中に、バラバという者がいた。 + 群衆が押しかけてきて、いつものとおりにしてほしいと要求しはじめたので、 + ピラトは彼らにむかって、「おまえたちはユダヤ人の王をゆるしてもらいたいのか」と言った。 + それは、祭司長たちがイエスを引きわたしたのは、ねたみのためであることが、ピラトにわかっていたからである。 + しかし祭司長たちは、バラバの方をゆるしてもらうように、群衆を煽動した。 + そこでピラトはまた彼らに言った、「それでは、おまえたちがユダヤ人の王と呼んでいるあの人は、どうしたらよいか」。 + 彼らは、また叫んだ、「十字架につけよ」。 + ピラトは言った、「あの人は、いったい、どんな悪事をしたのか」。すると、彼らは一そう激しく叫んで、「十字架につけよ」と言った。 + それで、ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバをゆるしてやり、イエスをむち打ったのち、十字架につけるために引きわたした。 + 兵士たちはイエスを、邸宅、すなわち総督官邸の内に連れて行き、全部隊を呼び集めた。 + そしてイエスに紫の衣を着せ、いばらの冠を編んでかぶらせ、 + 「ユダヤ人の王、ばんざい」と言って敬礼をしはじめた。 + また、葦の棒でその頭をたたき、つばきをかけ、ひざまずいて拝んだりした。 + こうして、イエスを嘲弄したあげく、紫の衣をはぎとり、元の上着を着せた。それから、彼らはイエスを十字架につけるために引き出した。 + そこへ、アレキサンデルとルポスとの父シモンというクレネ人が、郊外からきて通りかかったので、人々はイエスの十字架を無理に負わせた。 + そしてイエスをゴルゴタ、その意味は、されこうべ、という所に連れて行った。 + そしてイエスに、没薬をまぜたぶどう酒をさし出したが、お受けにならなかった。 + それから、イエスを十字架につけた。そしてくじを引いて、だれが何を取るかを定めたうえ、イエスの着物を分けた。 + イエスを十字架につけたのは、朝の九時ごろであった。 + イエスの罪状書きには「ユダヤ人の王」と、しるしてあった。 + また、イエスと共にふたりの強盗を、ひとりを右に、ひとりを左に、十字架につけた。〔 + こうして「彼は罪人たちのひとりに数えられた」と書いてある言葉が成就したのである。〕 + そこを通りかかった者たちは、頭を振りながら、イエスをののしって言った、「ああ、神殿を打ちこわして三日のうちに建てる者よ、 + 十字架からおりてきて自分を救え」。 + 祭司長たちも同じように、律法学者たちと一緒になって、かわるがわる嘲弄して言った、「他人を救ったが、自分自身を救うことができない。 + イスラエルの王キリスト、いま十字架からおりてみるがよい。それを見たら信じよう」。また、一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。 + 昼の十二時になると、全地は暗くなって、三時に及んだ。 + そして三時に、イエスは大声で、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」と叫ばれた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。 + すると、そばに立っていたある人々が、これを聞いて言った、「そら、エリヤを呼んでいる」。 + ひとりの人が走って行き、海綿に酢いぶどう酒を含ませて葦の棒につけ、イエスに飲ませようとして言った、「待て、エリヤが彼をおろしに来るかどうか、見ていよう」。 + イエスは声高く叫んで、ついに息をひきとられた。 + そのとき、神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。 + イエスにむかって立っていた百卒長は、このようにして息をひきとられたのを見て言った、「まことに、この人は神の子であった」。 + また、遠くの方から見ている女たちもいた。その中には、マグダラのマリヤ、小ヤコブとヨセとの母マリヤ、またサロメがいた。 + 彼らはイエスがガリラヤにおられたとき、そのあとに従って仕えた女たちであった。なおそのほか、イエスと共にエルサレムに上ってきた多くの女たちもいた。 + さて、すでに夕がたになったが、その日は準備の日、すなわち安息日の前日であったので、 + アリマタヤのヨセフが大胆にもピラトの所へ行き、イエスのからだの引取りかたを願った。彼は地位の高い議員であって、彼自身、神の国を待ち望んでいる人であった。 + ピラトは、イエスがもはや死んでしまったのかと不審に思い、百卒長を呼んで、もう死んだのかと尋ねた。 + そして、百卒長から確かめた上、死体をヨセフに渡した。 + そこで、ヨセフは亜麻布を買い求め、イエスをとりおろして、その亜麻布に包み、岩を掘って造った墓に納め、墓の入口に石をころがしておいた。 + マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが納められた場所を見とどけた。 + + + さて、安息日が終ったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとが、行ってイエスに塗るために、香料を買い求めた。 + そして週の初めの日に、早朝、日の出のころ墓に行った。 + そして、彼らは「だれが、わたしたちのために、墓の入口から石をころがしてくれるのでしょうか」と話し合っていた。 + ところが、目をあげて見ると、石はすでにころがしてあった。この石は非常に大きかった。 + 墓の中にはいると、右手に真白な長い衣を着た若者がすわっているのを見て、非常に驚いた。 + するとこの若者は言った、「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのであろうが、イエスはよみがえって、ここにはおられない。ごらんなさい、ここがお納めした場所である。 + 今から弟子たちとペテロとの所へ行って、こう伝えなさい。イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて、あなたがたに言われたとおり、そこでお会いできるであろう、と」。 + 女たちはおののき恐れながら、墓から出て逃げ去った。そして、人には何も言わなかった。恐ろしかったからである。〔 + 週の初めの日の朝早く、イエスはよみがえって、まずマグダラのマリヤに御自身をあらわされた。イエスは以前に、この女から七つの悪霊を追い出されたことがある。 + マリヤは、イエスと一緒にいた人々が泣き悲しんでいる所に行って、それを知らせた。 + 彼らは、イエスが生きておられる事と、彼女に御自身をあらわされた事とを聞いたが、信じなかった。 + この後、そのうちのふたりが、いなかの方へ歩いていると、イエスはちがった姿で御自身をあらわされた。 + このふたりも、ほかの人々の所に行って話したが、彼らはその話を信じなかった。 + その後、イエスは十一弟子が食卓についているところに現れ、彼らの不信仰と、心のかたくななことをお責めになった。彼らは、よみがえられたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである。 + そして彼らに言われた、「全世界に出て行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えよ。 + 信じてバプテスマを受ける者は救われる。しかし、不信仰の者は罪に定められる。 + 信じる者には、このようなしるしが伴う。すなわち、彼らはわたしの名で悪霊を追い出し、新しい言葉を語り、 + へびをつかむであろう。また、毒を飲んでも、決して害を受けない。病人に手をおけば、いやされる」。 + 主イエスは彼らに語り終ってから、天にあげられ、神の右にすわられた。 + 弟子たちは出て行って、至る所で福音を宣べ伝えた。主も彼らと共に働き、御言に伴うしるしをもって、その確かなことをお示しになった。〕 + +
+
+ + わたしたちの間に成就された出来事を、最初から親しく見た人々であって、 + 御言に仕えた人々が伝えたとおり物語に書き連ねようと、多くの人が手を着けましたが、 + テオピロ閣下よ、わたしもすべての事を初めから詳しく調べていますので、ここに、それを順序正しく書きつづって、閣下に献じることにしました。 + すでにお聞きになっている事が確実であることを、これによって十分に知っていただきたいためであります。 + ユダヤの王ヘロデの世に、アビヤの組の祭司で名をザカリヤという者がいた。その妻はアロン家の娘のひとりで、名をエリサベツといった。 + ふたりとも神のみまえに正しい人であって、主の戒めと定めとを、みな落度なく行っていた。 + ところが、エリサベツは不妊の女であったため、彼らには子がなく、そしてふたりともすでに年老いていた。 + さてザカリヤは、その組が当番になり神のみまえに祭司の務をしていたとき、 + 祭司職の慣例に従ってくじを引いたところ、主の聖所にはいって香をたくことになった。 + 香をたいている間、多くの民衆はみな外で祈っていた。 + すると主の御使が現れて、香壇の右に立った。 + ザカリヤはこれを見て、おじ惑い、恐怖の念に襲われた。 + そこで御使が彼に言った、「恐れるな、ザカリヤよ、あなたの祈が聞きいれられたのだ。あなたの妻エリサベツは男の子を産むであろう。その子をヨハネと名づけなさい。 + 彼はあなたに喜びと楽しみとをもたらし、多くの人々もその誕生を喜ぶであろう。 + 彼は主のみまえに大いなる者となり、ぶどう酒や強い酒をいっさい飲まず、母の胎内にいる時からすでに聖霊に満たされており、 + そして、イスラエルの多くの子らを、主なる彼らの神に立ち帰らせるであろう。 + 彼はエリヤの霊と力とをもって、みまえに先立って行き、父の心を子に向けさせ、逆らう者に義人の思いを持たせて、整えられた民を主に備えるであろう」。 + するとザカリヤは御使に言った、「どうしてそんな事が、わたしにわかるでしょうか。わたしは老人ですし、妻も年をとっています」。 + 御使が答えて言った、「わたしは神のみまえに立つガブリエルであって、この喜ばしい知らせをあなたに語り伝えるために、つかわされたものである。 + 時が来れば成就するわたしの言葉を信じなかったから、あなたはおしになり、この事の起る日まで、ものが言えなくなる」。 + 民衆はザカリヤを待っていたので、彼が聖所内で暇どっているのを不思議に思っていた。 + ついに彼は出てきたが、物が言えなかったので、人々は彼が聖所内でまぼろしを見たのだと悟った。彼は彼らに合図をするだけで、引きつづき、おしのままでいた。 + それから務の期日が終ったので、家に帰った。 + そののち、妻エリサベツはみごもり、五か月のあいだ引きこもっていたが、 + 「主は、今わたしを心にかけてくださって、人々の間からわたしの恥を取り除くために、こうしてくださいました」と言った。 + 六か月目に、御使ガブリエルが、神からつかわされて、ナザレというガリラヤの町の一処女のもとにきた。 + この処女はダビデ家の出であるヨセフという人のいいなづけになっていて、名をマリヤといった。 + 御使がマリヤのところにきて言った、「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」。 + この言葉にマリヤはひどく胸騒ぎがして、このあいさつはなんの事であろうかと、思いめぐらしていた。 + すると御使が言った、「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。 + 見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。 + 彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。そして、主なる神は彼に父ダビデの王座をお与えになり、 + 彼はとこしえにヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くでしょう」。 + そこでマリヤは御使に言った、「どうして、そんな事があり得ましょうか。わたしにはまだ夫がありませんのに」。 + 御使が答えて言った、「聖霊があなたに臨み、いと高き者の力があなたをおおうでしょう。それゆえに、生れ出る子は聖なるものであり、神の子と、となえられるでしょう。 + あなたの親族エリサベツも老年ながら子を宿しています。不妊の女といわれていたのに、はや六か月になっています。 + 神には、なんでもできないことはありません」。 + そこでマリヤが言った、「わたしは主のはしためです。お言葉どおりこの身に成りますように」。そして御使は彼女から離れて行った。 + そのころ、マリヤは立って、大急ぎで山里へむかいユダの町に行き、 + ザカリヤの家にはいってエリサベツにあいさつした。 + エリサベツがマリヤのあいさつを聞いたとき、その子が胎内でおどった。エリサベツは聖霊に満たされ、 + 声高く叫んで言った、「あなたは女の中で祝福されたかた、あなたの胎の実も祝福されています。 + 主の母上がわたしのところにきてくださるとは、なんという光栄でしょう。 + ごらんなさい。あなたのあいさつの声がわたしの耳にはいったとき、子供が胎内で喜びおどりました。 + 主のお語りになったことが必ず成就すると信じた女は、なんとさいわいなことでしょう」。 + するとマリヤは言った、「わたしの魂は主をあがめ、 + わたしの霊は救主なる神をたたえます。 + この卑しい女をさえ、心にかけてくださいました。今からのち代々の人々は、わたしをさいわいな女と言うでしょう、 + 力あるかたが、わたしに大きな事をしてくださったからです。そのみ名はきよく、 + そのあわれみは、代々限りなく主をかしこみ恐れる者に及びます。 + 主はみ腕をもって力をふるい、心の思いのおごり高ぶる者を追い散らし、 + 権力ある者を王座から引きおろし、卑しい者を引き上げ、 + 飢えている者を良いもので飽かせ、富んでいる者を空腹のまま帰らせなさいます。 + 主は、あわれみをお忘れにならず、その僕イスラエルを助けてくださいました、 + わたしたちの父祖アブラハムとその子孫とをとこしえにあわれむと約束なさったとおりに」。 + マリヤは、エリサベツのところに三か月ほど滞在してから、家に帰った。 + さてエリサベツは月が満ちて、男の子を産んだ。 + 近所の人々や親族は、主が大きなあわれみを彼女におかけになったことを聞いて、共どもに喜んだ。 + 八日目になったので、幼な子に割礼をするために人々がきて、父の名にちなんでザカリヤという名にしようとした。 + ところが、母親は、「いいえ、ヨハネという名にしなくてはいけません」と言った。 + 人々は、「あなたの親族の中には、そういう名のついた者は、ひとりもいません」と彼女に言った。 + そして父親に、どんな名にしたいのですかと、合図で尋ねた。 + ザカリヤは書板を持ってこさせて、それに「その名はヨハネ」と書いたので、みんなの者は不思議に思った。 + すると、立ちどころにザカリヤの口が開けて舌がゆるみ、語り出して神をほめたたえた。 + 近所の人々はみな恐れをいだき、またユダヤの山里の至るところに、これらの事がことごとく語り伝えられたので、 + 聞く者たちは皆それを心に留めて、「この子は、いったい、どんな者になるだろう」と語り合った。主のみ手が彼と共にあった。 + 父ザカリヤは聖霊に満たされ、預言して言った、 + 「主なるイスラエルの神は、ほむべきかな。神はその民を顧みてこれをあがない、 + わたしたちのために救の角を僕ダビデの家にお立てになった。 + 古くから、聖なる預言者たちの口によってお語りになったように、 + わたしたちを敵から、またすべてわたしたちを憎む者の手から、救い出すためである。 + こうして、神はわたしたちの父祖たちにあわれみをかけ、その聖なる契約、 + すなわち、父祖アブラハムにお立てになった誓いをおぼえて、 + わたしたちを敵の手から救い出し、 + 生きている限り、きよく正しく、みまえに恐れなく仕えさせてくださるのである。 + 幼な子よ、あなたは、いと高き者の預言者と呼ばれるであろう。主のみまえに先立って行き、その道を備え、 + 罪のゆるしによる救をその民に知らせるのであるから。 + これはわたしたちの神のあわれみ深いみこころによる。また、そのあわれみによって、日の光が上からわたしたちに臨み、 + 暗黒と死の陰とに住む者を照し、わたしたちの足を平和の道へ導くであろう」。 + 幼な子は成長し、その霊も強くなり、そしてイスラエルに現れる日まで、荒野にいた。 + + + そのころ、全世界の人口調査をせよとの勅令が、皇帝アウグストから出た。 + これは、クレニオがシリヤの総督であった時に行われた最初の人口調査であった。 + 人々はみな登録をするために、それぞれ自分の町へ帰って行った。 + ヨセフもダビデの家系であり、またその血統であったので、ガリラヤの町ナザレを出て、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。 + それは、すでに身重になっていたいいなづけの妻マリヤと共に、登録をするためであった。 + ところが、彼らがベツレヘムに滞在している間に、マリヤは月が満ちて、 + 初子を産み、布にくるんで、飼葉おけの中に寝かせた。客間には彼らのいる余地がなかったからである。 + さて、この地方で羊飼たちが夜、野宿しながら羊の群れの番をしていた。 + すると主の御使が現れ、主の栄光が彼らをめぐり照したので、彼らは非常に恐れた。 + 御使は言った、「恐れるな。見よ、すべての民に与えられる大きな喜びを、あなたがたに伝える。 + きょうダビデの町に、あなたがたのために救主がお生れになった。このかたこそ主なるキリストである。 + あなたがたは、幼な子が布にくるまって飼葉おけの中に寝かしてあるのを見るであろう。それが、あなたがたに与えられるしるしである」。 + するとたちまち、おびただしい天の軍勢が現れ、御使と一緒になって神をさんびして言った、 + 「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」。 + 御使たちが彼らを離れて天に帰ったとき、羊飼たちは「さあ、ベツレヘムへ行って、主がお知らせ下さったその出来事を見てこようではないか」と、互に語り合った。 + そして急いで行って、マリヤとヨセフ、また飼葉おけに寝かしてある幼な子を捜しあてた。 + 彼らに会った上で、この子について自分たちに告げ知らされた事を、人々に伝えた。 + 人々はみな、羊飼たちが話してくれたことを聞いて、不思議に思った。 + しかし、マリヤはこれらの事をことごとく心に留めて、思いめぐらしていた。 + 羊飼たちは、見聞きしたことが何もかも自分たちに語られたとおりであったので、神をあがめ、またさんびしながら帰って行った。 + 八日が過ぎ、割礼をほどこす時となったので、受胎のまえに御使が告げたとおり、幼な子をイエスと名づけた。 + それから、モーセの律法による彼らのきよめの期間が過ぎたとき、両親は幼な子を連れてエルサレムへ上った。 + それは主の律法に「母の胎を初めて開く男の子はみな、主に聖別された者と、となえられねばならない」と書いてあるとおり、幼な子を主にささげるためであり、 + また同じ主の律法に、「山ばと一つがい、または、家ばとのひな二羽」と定めてあるのに従って、犠牲をささげるためであった。 + その時、エルサレムにシメオンという名の人がいた。この人は正しい信仰深い人で、イスラエルの慰められるのを待ち望んでいた。また聖霊が彼に宿っていた。 + そして主のつかわす救主に会うまでは死ぬことはないと、聖霊の示しを受けていた。 + この人が御霊に感じて宮にはいった。すると律法に定めてあることを行うため、両親もその子イエスを連れてはいってきたので、 + シメオンは幼な子を腕に抱き、神をほめたたえて言った、 + 「主よ、今こそ、あなたはみ言葉のとおりにこの僕を安らかに去らせてくださいます、 + わたしの目が今あなたの救を見たのですから。 + この救はあなたが万民のまえにお備えになったもので、 + 異邦人を照す啓示の光、み民イスラエルの栄光であります」。 + 父と母とは幼な子についてこのように語られたことを、不思議に思った。 + するとシメオンは彼らを祝し、そして母マリヤに言った、「ごらんなさい、この幼な子は、イスラエルの多くの人を倒れさせたり立ちあがらせたりするために、また反対を受けるしるしとして、定められています。―― + そして、あなた自身もつるぎで胸を刺し貫かれるでしょう。――それは多くの人の心にある思いが、現れるようになるためです」。 + また、アセル族のパヌエルの娘で、アンナという女預言者がいた。彼女は非常に年をとっていた。むすめ時代にとついで、七年間だけ夫と共に住み、 + その後やもめぐらしをし、八十四歳になっていた。そして宮を離れずに夜も昼も断食と祈とをもって神に仕えていた。 + この老女も、ちょうどそのとき近寄ってきて、神に感謝をささげ、そしてこの幼な子のことを、エルサレムの救を待ち望んでいるすべての人々に語りきかせた。 + 両親は主の律法どおりすべての事をすませたので、ガリラヤへむかい、自分の町ナザレに帰った。 + 幼な子は、ますます成長して強くなり、知恵に満ち、そして神の恵みがその上にあった。 + さて、イエスの両親は、過越の祭には毎年エルサレムへ上っていた。 + イエスが十二歳になった時も、慣例に従って祭のために上京した。 + ところが、祭が終って帰るとき、少年イエスはエルサレムに居残っておられたが、両親はそれに気づかなかった。 + そして道連れの中にいることと思いこんで、一日路を行ってしまい、それから、親族や知人の中を捜しはじめたが、 + 見つからないので、捜しまわりながらエルサレムへ引返した。 + そして三日の後に、イエスが宮の中で教師たちのまん中にすわって、彼らの話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。 + 聞く人々はみな、イエスの賢さやその答に驚嘆していた。 + 両親はこれを見て驚き、そして母が彼に言った、「どうしてこんな事をしてくれたのです。ごらんなさい、おとう様もわたしも心配して、あなたを捜していたのです」。 + するとイエスは言われた、「どうしてお捜しになったのですか。わたしが自分の父の家にいるはずのことを、ご存じなかったのですか」。 + しかし、両親はその語られた言葉を悟ることができなかった。 + それからイエスは両親と一緒にナザレに下って行き、彼らにお仕えになった。母はこれらの事をみな心に留めていた。 + イエスはますます知恵が加わり、背たけも伸び、そして神と人から愛された。 + + + 皇帝テベリオ在位の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、その兄弟ピリポがイツリヤ・テラコニテ地方の領主、ルサニヤがアビレネの領主、 + アンナスとカヤパとが大祭司であったとき、神の言が荒野でザカリヤの子ヨハネに臨んだ。 + 彼はヨルダンのほとりの全地方に行って、罪のゆるしを得させる悔改めのバプテスマを宣べ伝えた。 + それは、預言者イザヤの言葉の書に書いてあるとおりである。すなわち「荒野で呼ばわる者の声がする、『主の道を備えよ、その道筋をまっすぐにせよ』。 + すべての谷は埋められ、すべての山と丘とは、平らにされ、曲ったところはまっすぐに、わるい道はならされ、 + 人はみな神の救を見るであろう」。 + さて、ヨハネは、彼からバプテスマを受けようとして出てきた群衆にむかって言った、「まむしの子らよ、迫ってきている神の怒りから、のがれられると、おまえたちにだれが教えたのか。 + だから、悔改めにふさわしい実を結べ。自分たちの父にはアブラハムがあるなどと、心の中で思ってもみるな。おまえたちに言っておく。神はこれらの石ころからでも、アブラハムの子を起すことができるのだ。 + 斧がすでに木の根もとに置かれている。だから、良い実を結ばない木はことごとく切られて、火の中に投げ込まれるのだ」。 + そこで群衆が彼に、「それでは、わたしたちは何をすればよいのですか」と尋ねた。 + 彼は答えて言った、「下着を二枚もっている者は、持たない者に分けてやりなさい。食物を持っている者も同様にしなさい」。 + 取税人もバプテスマを受けにきて、彼に言った、「先生、わたしたちは何をすればよいのですか」。 + 彼らに言った、「きまっているもの以上に取り立ててはいけない」。 + 兵卒たちもたずねて言った、「では、わたしたちは何をすればよいのですか」。彼は言った、「人をおどかしたり、だまし取ったりしてはいけない。自分の給与で満足していなさい」。 + 民衆は救主を待ち望んでいたので、みな心の中でヨハネのことを、もしかしたらこの人がそれではなかろうかと考えていた。 + そこでヨハネはみんなの者にむかって言った、「わたしは水でおまえたちにバプテスマを授けるが、わたしよりも力のあるかたが、おいでになる。わたしには、そのくつのひもを解く値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。 + また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てるであろう」。 + こうしてヨハネはほかにもなお、さまざまの勧めをして、民衆に教を説いた。 + ところが領主ヘロデは、兄弟の妻ヘロデヤのことで、また自分がしたあらゆる悪事について、ヨハネから非難されていたので、 + 彼を獄に閉じ込めて、いろいろな悪事の上に、もう一つこの悪事を重ねた。 + さて、民衆がみなバプテスマを受けたとき、イエスもバプテスマを受けて祈っておられると、天が開けて、 + 聖霊がはとのような姿をとってイエスの上に下り、そして天から声がした、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 + イエスが宣教をはじめられたのは、年およそ三十歳の時であって、人々の考えによれば、ヨセフの子であった。ヨセフはヘリの子、 + それから、さかのぼって、マタテ、レビ、メルキ、ヤンナイ、ヨセフ、 + マタテヤ、アモス、ナホム、エスリ、ナンガイ、 + マハテ、マタテヤ、シメイ、ヨセク、ヨダ、 + ヨハナン、レサ、ゾロバベル、サラテル、ネリ、 + メルキ、アデイ、コサム、エルマダム、エル、 + ヨシュア、エリエゼル、ヨリム、マタテ、レビ、 + シメオン、ユダ、ヨセフ、ヨナム、エリヤキム、 + メレヤ、メナ、マタタ、ナタン、ダビデ、 + エッサイ、オベデ、ボアズ、サラ、ナアソン、 + アミナダブ、アデミン、アルニ、エスロン、パレス、ユダ、 + ヤコブ、イサク、アブラハム、テラ、ナホル、 + セルグ、レウ、ペレグ、エベル、サラ、 + カイナン、アルパクサデ、セム、ノア、ラメク、 + メトセラ、エノク、ヤレデ、マハラレル、カイナン、 + エノス、セツ、アダム、そして神にいたる。 + + + さて、イエスは聖霊に満ちてヨルダン川から帰り、 + 荒野を四十日のあいだ御霊にひきまわされて、悪魔の試みにあわれた。そのあいだ何も食べず、その日数がつきると、空腹になられた。 + そこで悪魔が言った、「もしあなたが神の子であるなら、この石に、パンになれと命じてごらんなさい」。 + イエスは答えて言われた、「『人はパンだけで生きるものではない』と書いてある」。 + それから、悪魔はイエスを高い所へ連れて行き、またたくまに世界のすべての国々を見せて + 言った、「これらの国々の権威と栄華とをみんな、あなたにあげましょう。それらはわたしに任せられていて、だれでも好きな人にあげてよいのですから。 + それで、もしあなたがわたしの前にひざまずくなら、これを全部あなたのものにしてあげましょう」。 + イエスは答えて言われた、「『主なるあなたの神を拝し、ただ神にのみ仕えよ』と書いてある」。 + それから悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、宮の頂上に立たせて言った、「もしあなたが神の子であるなら、ここから下へ飛びおりてごらんなさい。 + 『神はあなたのために、御使たちに命じてあなたを守らせるであろう』とあり、 + また、『あなたの足が石に打ちつけられないように、彼らはあなたを手でささえるであろう』とも書いてあります」。 + イエスは答えて言われた、「『主なるあなたの神を試みてはならない』と言われている」。 + 悪魔はあらゆる試みをしつくして、一時イエスを離れた。 + それからイエスは御霊の力に満ちあふれてガリラヤへ帰られると、そのうわさがその地方全体にひろまった。 + イエスは諸会堂で教え、みんなの者から尊敬をお受けになった。 + それからお育ちになったナザレに行き、安息日にいつものように会堂にはいり、聖書を朗読しようとして立たれた。 + すると預言者イザヤの書が手渡されたので、その書を開いて、こう書いてある所を出された、 + 「主の御霊がわたしに宿っている。貧しい人々に福音を宣べ伝えさせるために、わたしを聖別してくださったからである。主はわたしをつかわして、囚人が解放され、盲人の目が開かれることを告げ知らせ、打ちひしがれている者に自由を得させ、 + 主のめぐみの年を告げ知らせるのである」。 + イエスは聖書を巻いて係りの者に返し、席に着かれると、会堂にいるみんなの者の目がイエスに注がれた。 + そこでイエスは、「この聖句は、あなたがたが耳にしたこの日に成就した」と説きはじめられた。 + すると、彼らはみなイエスをほめ、またその口から出て来るめぐみの言葉に感嘆して言った、「この人はヨセフの子ではないか」。 + そこで彼らに言われた、「あなたがたは、きっと『医者よ、自分自身をいやせ』ということわざを引いて、カペナウムで行われたと聞いていた事を、あなたの郷里のこの地でもしてくれ、と言うであろう」。 + それから言われた、「よく言っておく。預言者は、自分の郷里では歓迎されないものである。 + よく聞いておきなさい。エリヤの時代に、三年六か月にわたって天が閉じ、イスラエル全土に大ききんがあった際、そこには多くのやもめがいたのに、 + エリヤはそのうちのだれにもつかわされないで、ただシドンのサレプタにいるひとりのやもめにだけつかわされた。 + また預言者エリシャの時代に、イスラエルには多くのらい病人がいたのに、そのうちのひとりもきよめられないで、ただシリヤのナアマンだけがきよめられた」。 + 会堂にいた者たちはこれを聞いて、みな憤りに満ち、 + 立ち上がってイエスを町の外へ追い出し、その町が建っている丘のがけまでひっぱって行って、突き落そうとした。 + しかし、イエスは彼らのまん中を通り抜けて、去って行かれた。 + それから、イエスはガリラヤの町カペナウムに下って行かれた。そして安息日になると、人々をお教えになったが、 + その言葉に権威があったので、彼らはその教に驚いた。 + すると、汚れた悪霊につかれた人が会堂にいて、大声で叫び出した、 + 「ああ、ナザレのイエスよ、あなたはわたしたちとなんの係わりがあるのです。わたしたちを滅ぼしにこられたのですか。あなたがどなたであるか、わかっています。神の聖者です」。 + イエスはこれをしかって、「黙れ、この人から出て行け」と言われた。すると悪霊は彼を人なかに投げ倒し、傷は負わせずに、その人から出て行った。 + みんなの者は驚いて、互に語り合って言った、「これは、いったい、なんという言葉だろう。権威と力とをもって汚れた霊に命じられると、彼らは出て行くのだ」。 + こうしてイエスの評判が、その地方のいたる所にひろまっていった。 + イエスは会堂を出てシモンの家におはいりになった。ところがシモンのしゅうとめが高い熱を病んでいたので、人々は彼女のためにイエスにお願いした。 + そこで、イエスはそのまくらもとに立って、熱が引くように命じられると、熱は引き、女はすぐに起き上がって、彼らをもてなした。 + 日が暮れると、いろいろな病気になやむ者をかかえている人々が、皆それをイエスのところに連れてきたので、そのひとりびとりに手を置いて、おいやしになった。 + 悪霊も「あなたこそ神の子です」と叫びながら多くの人々から出ていった。しかし、イエスは彼らを戒めて、物を言うことをお許しにならなかった。彼らがイエスはキリストだと知っていたからである。 + 夜が明けると、イエスは寂しい所へ出て行かれたが、群衆が捜しまわって、みもとに集まり、自分たちから離れて行かれないようにと、引き止めた。 + しかしイエスは、「わたしは、ほかの町々にも神の国の福音を宣べ伝えねばならない。自分はそのためにつかわされたのである」と言われた。 + そして、ユダヤの諸会堂で教を説かれた。 + + + さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、 + そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。 + その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。 + 話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。 + シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。 + そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。 + そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。 + これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。 + 彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。 + シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。今からあなたは人間をとる漁師になるのだ」。 + そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。 + イエスがある町におられた時、全身らい病になっている人がそこにいた。イエスを見ると、顔を地に伏せて願って言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。 + イエスは手を伸ばして彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病がただちに去ってしまった。 + イエスは、だれにも話さないようにと彼に言い聞かせ、「ただ行って自分のからだを祭司に見せ、それからあなたのきよめのため、モーセが命じたとおりのささげ物をして、人々に証明しなさい」とお命じになった。 + しかし、イエスの評判はますますひろまって行き、おびただしい群衆が、教を聞いたり、病気をなおしてもらったりするために、集まってきた。 + しかしイエスは、寂しい所に退いて祈っておられた。 + ある日のこと、イエスが教えておられると、ガリラヤやユダヤの方々の村から、またエルサレムからきたパリサイ人や律法学者たちが、そこにすわっていた。主の力が働いて、イエスは人々をいやされた。 + その時、ある人々が、ひとりの中風をわずらっている人を床にのせたまま連れてきて、家の中に運び入れ、イエスの前に置こうとした。 + ところが、群衆のためにどうしても運び入れる方法がなかったので、屋根にのぼり、瓦をはいで、病人を床ごと群衆のまん中につりおろして、イエスの前においた。 + イエスは彼らの信仰を見て、「人よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。 + すると律法学者とパリサイ人たちとは、「神を汚すことを言うこの人は、いったい、何者だ。神おひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」と言って論じはじめた。 + イエスは彼らの論議を見ぬいて、「あなたがたは心の中で何を論じているのか。 + あなたの罪はゆるされたと言うのと、起きて歩けと言うのと、どちらがたやすいか。 + しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威を持っていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに対して言い、中風の者にむかって、「あなたに命じる。起きよ、床を取り上げて家に帰れ」と言われた。 + すると病人は即座にみんなの前で起きあがり、寝ていた床を取りあげて、神をあがめながら家に帰って行った。 + みんなの者は驚嘆してしまった。そして神をあがめ、おそれに満たされて、「きょうは驚くべきことを見た」と言った。 + そののち、イエスが出て行かれると、レビという名の取税人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。 + すると、彼はいっさいを捨てて立ちあがり、イエスに従ってきた。 + それから、レビは自分の家で、イエスのために盛大な宴会を催したが、取税人やそのほか大ぜいの人々が、共に食卓に着いていた。 + ところが、パリサイ人やその律法学者たちが、イエスの弟子たちに対してつぶやいて言った、「どうしてあなたがたは、取税人や罪人などと飲食を共にするのか」。 + イエスは答えて言われた、「健康な人には医者はいらない。いるのは病人である。 + わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」。 + また彼らはイエスに言った、「ヨハネの弟子たちは、しばしば断食をし、また祈をしており、パリサイ人の弟子たちもそうしているのに、あなたの弟子たちは食べたり飲んだりしています」。 + するとイエスは言われた、「あなたがたは、花婿が一緒にいるのに、婚礼の客に断食をさせることができるであろうか。 + しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その日には断食をするであろう」。 + それからイエスはまた一つの譬を語られた、「だれも、新しい着物から布ぎれを切り取って、古い着物につぎを当てるものはない。もしそんなことをしたら、新しい着物を裂くことになるし、新しいのから取った布ぎれも古いのに合わないであろう。 + まただれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、新しいぶどう酒は皮袋をはり裂き、そしてぶどう酒は流れ出るし、皮袋もむだになるであろう。 + 新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。 + まただれも、古い酒を飲んでから、新しいのをほしがりはしない。『古いのが良い』と考えているからである」。 + + + ある安息日にイエスが麦畑の中をとおって行かれたとき、弟子たちが穂をつみ、手でもみながら食べていた。 + すると、あるパリサイ人たちが言った、「あなたがたはなぜ、安息日にしてはならぬことをするのか」。 + そこでイエスが答えて言われた、「あなたがたは、ダビデとその供の者たちとが飢えていたとき、ダビデのしたことについて、読んだことがないのか。 + すなわち、神の家にはいって、祭司たちのほかだれも食べてはならぬ供えのパンを取って食べ、また供の者たちにも与えたではないか」。 + また彼らに言われた、「人の子は安息日の主である」。 + また、ほかの安息日に会堂にはいって教えておられたところ、そこに右手のなえた人がいた。 + 律法学者やパリサイ人たちは、イエスを訴える口実を見付けようと思って、安息日にいやされるかどうかをうかがっていた。 + イエスは彼らの思っていることを知って、その手のなえた人に、「起きて、まん中に立ちなさい」と言われると、起き上がって立った。 + そこでイエスは彼らにむかって言われた、「あなたがたに聞くが、安息日に善を行うのと悪を行うのと、命を救うのと殺すのと、どちらがよいか」。 + そして彼ら一同を見まわして、その人に「手を伸ばしなさい」と言われた。そのとおりにすると、その手は元どおりになった。 + そこで彼らは激しく怒って、イエスをどうかしてやろうと、互に話合いをはじめた。 + このころ、イエスは祈るために山へ行き、夜を徹して神に祈られた。 + 夜が明けると、弟子たちを呼び寄せ、その中から十二人を選び出し、これに使徒という名をお与えになった。 + すなわち、ペテロとも呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、ヤコブとヨハネ、ピリポとバルトロマイ、 + マタイとトマス、アルパヨの子ヤコブと、熱心党と呼ばれたシモン、 + ヤコブの子ユダ、それからイスカリオテのユダ。このユダが裏切者となったのである。 + そして、イエスは彼らと一緒に山を下って平地に立たれたが、大ぜいの弟子たちや、ユダヤ全土、エルサレム、ツロとシドンの海岸地方などからの大群衆が、 + 教を聞こうとし、また病気をなおしてもらおうとして、そこにきていた。そして汚れた霊に悩まされている者たちも、いやされた。 + また群衆はイエスにさわろうと努めた。それは力がイエスの内から出て、みんなの者を次々にいやしたからである。 + そのとき、イエスは目をあげ、弟子たちを見て言われた、「あなたがた貧しい人たちは、さいわいだ。神の国はあなたがたのものである。 + あなたがたいま飢えている人たちは、さいわいだ。飽き足りるようになるからである。あなたがたいま泣いている人たちは、さいわいだ。笑うようになるからである。 + 人々があなたがたを憎むとき、また人の子のためにあなたがたを排斥し、ののしり、汚名を着せるときは、あなたがたはさいわいだ。 + その日には喜びおどれ。見よ、天においてあなたがたの受ける報いは大きいのだから。彼らの祖先も、預言者たちに対して同じことをしたのである。 + しかしあなたがた富んでいる人たちは、わざわいだ。慰めを受けてしまっているからである。 + あなたがた今満腹している人たちは、わざわいだ。飢えるようになるからである。あなたがた今笑っている人たちは、わざわいだ。悲しみ泣くようになるからである。 + 人が皆あなたがたをほめるときは、あなたがたはわざわいだ。彼らの祖先も、にせ預言者たちに対して同じことをしたのである。 + しかし、聞いているあなたがたに言う。敵を愛し、憎む者に親切にせよ。 + のろう者を祝福し、はずかしめる者のために祈れ。 + あなたの頬を打つ者にはほかの頬をも向けてやり、あなたの上着を奪い取る者には下着をも拒むな。 + あなたに求める者には与えてやり、あなたの持ち物を奪う者からは取りもどそうとするな。 + 人々にしてほしいと、あなたがたの望むことを、人々にもそのとおりにせよ。 + 自分を愛してくれる者を愛したからとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、自分を愛してくれる者を愛している。 + 自分によくしてくれる者によくしたとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、それくらいの事はしている。 + また返してもらうつもりで貸したとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でも、同じだけのものを返してもらおうとして、仲間に貸すのである。 + しかし、あなたがたは、敵を愛し、人によくしてやり、また何も当てにしないで貸してやれ。そうすれば受ける報いは大きく、あなたがたはいと高き者の子となるであろう。いと高き者は、恩を知らぬ者にも悪人にも、なさけ深いからである。 + あなたがたの父なる神が慈悲深いように、あなたがたも慈悲深い者となれ。 + 人をさばくな。そうすれば、自分もさばかれることがないであろう。また人を罪に定めるな。そうすれば、自分も罪に定められることがないであろう。ゆるしてやれ。そうすれば、自分もゆるされるであろう。 + 与えよ。そうすれば、自分にも与えられるであろう。人々はおし入れ、ゆすり入れ、あふれ出るまでに量をよくして、あなたがたのふところに入れてくれるであろう。あなたがたの量るその量りで、自分にも量りかえされるであろうから」。 + イエスはまた一つの譬を語られた、「盲人は盲人の手引ができようか。ふたりとも穴に落ち込まないだろうか。 + 弟子はその師以上のものではないが、修業をつめば、みなその師のようになろう。 + なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。 + 自分の目にある梁は見ないでいて、どうして兄弟にむかって、兄弟よ、あなたの目にあるちりを取らせてください、と言えようか。偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい、そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目にあるちりを取りのけることができるだろう。 + 悪い実のなる良い木はないし、また良い実のなる悪い木もない。 + 木はそれぞれ、その実でわかる。いばらからいちじくを取ることはないし、野ばらからぶどうを摘むこともない。 + 善人は良い心の倉から良い物を取り出し、悪人は悪い倉から悪い物を取り出す。心からあふれ出ることを、口が語るものである。 + わたしを主よ、主よ、と呼びながら、なぜわたしの言うことを行わないのか。 + わたしのもとにきて、わたしの言葉を聞いて行う者が、何に似ているか、あなたがたに教えよう。 + それは、地を深く掘り、岩の上に土台をすえて家を建てる人に似ている。洪水が出て激流がその家に押し寄せてきても、それを揺り動かすことはできない。よく建ててあるからである。 + しかし聞いても行わない人は、土台なしで、土の上に家を建てた人に似ている。激流がその家に押し寄せてきたら、たちまち倒れてしまい、その被害は大きいのである」。 + + + イエスはこれらの言葉をことごとく人々に聞かせてしまったのち、カペナウムに帰ってこられた。 + ところが、ある百卒長の頼みにしていた僕が、病気になって死にかかっていた。 + この百卒長はイエスのことを聞いて、ユダヤ人の長老たちをイエスのところにつかわし、自分の僕を助けにきてくださるようにと、お願いした。 + 彼らはイエスのところにきて、熱心に願って言った、「あの人はそうしていただくねうちがございます。 + わたしたちの国民を愛し、わたしたちのために会堂を建ててくれたのです」。 + そこで、イエスは彼らと連れだってお出かけになった。ところが、その家からほど遠くないあたりまでこられたとき、百卒長は友だちを送ってイエスに言わせた、「主よ、どうぞ、ご足労くださいませんように。わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。 + それですから、自分でお迎えにあがるねうちさえないと思っていたのです。ただ、お言葉を下さい。そして、わたしの僕をなおしてください。 + わたしも権威の下に服している者ですが、わたしの下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け』と言えば行き、ほかの者に『こい』と言えばきますし、また、僕に『これをせよ』と言えば、してくれるのです」。 + イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた群衆の方に振り向いて言われた、「あなたがたに言っておくが、これほどの信仰は、イスラエルの中でも見たことがない」。 + 使にきた者たちが家に帰ってみると、僕は元気になっていた。 + そののち、間もなく、ナインという町へおいでになったが、弟子たちや大ぜいの群衆も一緒に行った。 + 町の門に近づかれると、ちょうど、あるやもめにとってひとりむすこであった者が死んだので、葬りに出すところであった。大ぜいの町の人たちが、その母につきそっていた。 + 主はこの婦人を見て深い同情を寄せられ、「泣かないでいなさい」と言われた。 + そして近寄って棺に手をかけられると、かついでいる者たちが立ち止まったので、「若者よ、さあ、起きなさい」と言われた。 + すると、死人が起き上がって物を言い出した。イエスは彼をその母にお渡しになった。 + 人々はみな恐れをいだき、「大預言者がわたしたちの間に現れた」、また、「神はその民を顧みてくださった」と言って、神をほめたたえた。 + イエスについてのこの話は、ユダヤ全土およびその附近のいたる所にひろまった。 + ヨハネの弟子たちは、これらのことを全部彼に報告した。するとヨハネは弟子の中からふたりの者を呼んで、 + 主のもとに送り、「『きたるべきかた』はあなたなのですか。それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか」と尋ねさせた。 + そこで、この人たちがイエスのもとにきて言った、「わたしたちはバプテスマのヨハネからの使ですが、『きたるべきかた』はあなたなのですか、それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか、とヨハネが尋ねています」。 + そのとき、イエスはさまざまの病苦と悪霊とに悩む人々をいやし、また多くの盲人を見えるようにしておられたが、 + 答えて言われた、「行って、あなたがたが見聞きしたことを、ヨハネに報告しなさい。盲人は見え、足なえは歩き、らい病人はきよまり、耳しいは聞え、死人は生きかえり、貧しい人々は福音を聞かされている。 + わたしにつまずかない者は、さいわいである」。 + ヨハネの使が行ってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆に語りはじめられた、「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのか。風に揺らぐ葦であるか。 + では、何を見に出てきたのか。柔らかい着物をまとった人か。きらびやかに着かざって、ぜいたくに暮している人々なら、宮殿にいる。 + では、何を見に出てきたのか。預言者か。そうだ、あなたがたに言うが、預言者以上の者である。 + 『見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、あなたの前に、道を整えさせるであろう』と書いてあるのは、この人のことである。 + あなたがたに言っておく。女の産んだ者の中で、ヨハネより大きい人物はいない。しかし、神の国で最も小さい者も、彼よりは大きい。 + (これを聞いた民衆は皆、また取税人たちも、ヨハネのバプテスマを受けて神の正しいことを認めた。 + しかし、パリサイ人と律法学者たちとは彼からバプテスマを受けないで、自分たちに対する神のみこころを無にした。) + だから今の時代の人々を何に比べようか。彼らは何に似ているか。 + それは子供たちが広場にすわって、互に呼びかけ、『わたしたちが笛を吹いたのに、あなたたちは踊ってくれなかった。弔いの歌を歌ったのに、泣いてくれなかった』と言うのに似ている。 + なぜなら、バプテスマのヨハネがきて、パンを食べることも、ぶどう酒を飲むこともしないと、あなたがたは、あれは悪霊につかれているのだ、と言い、 + また人の子がきて食べたり飲んだりしていると、見よ、あれは食をむさぼる者、大酒を飲む者、また取税人、罪人の仲間だ、と言う。 + しかし、知恵の正しいことは、そのすべての子が証明する」。 + あるパリサイ人がイエスに、食事を共にしたいと申し出たので、そのパリサイ人の家にはいって食卓に着かれた。 + するとそのとき、その町で罪の女であったものが、パリサイ人の家で食卓に着いておられることを聞いて、香油が入れてある石膏のつぼを持ってきて、 + 泣きながら、イエスのうしろでその足もとに寄り、まず涙でイエスの足をぬらし、自分の髪の毛でぬぐい、そして、その足に接吻して、香油を塗った。 + イエスを招いたパリサイ人がそれを見て、心の中で言った、「もしこの人が預言者であるなら、自分にさわっている女がだれだか、どんな女かわかるはずだ。それは罪の女なのだから」。 + そこでイエスは彼にむかって言われた、「シモン、あなたに言うことがある」。彼は「先生、おっしゃってください」と言った。 + イエスが言われた、「ある金貸しに金をかりた人がふたりいたが、ひとりは五百デナリ、もうひとりは五十デナリを借りていた。 + ところが、返すことができなかったので、彼はふたり共ゆるしてやった。このふたりのうちで、どちらが彼を多く愛するだろうか」。 + シモンが答えて言った、「多くゆるしてもらったほうだと思います」。イエスが言われた、「あなたの判断は正しい」。 + それから女の方に振り向いて、シモンに言われた、「この女を見ないか。わたしがあなたの家にはいってきた時に、あなたは足を洗う水をくれなかった。ところが、この女は涙でわたしの足をぬらし、髪の毛でふいてくれた。 + あなたはわたしに接吻をしてくれなかったが、彼女はわたしが家にはいった時から、わたしの足に接吻をしてやまなかった。 + あなたはわたしの頭に油を塗ってくれなかったが、彼女はわたしの足に香油を塗ってくれた。 + それであなたに言うが、この女は多く愛したから、その多くの罪はゆるされているのである。少しだけゆるされた者は、少しだけしか愛さない」。 + そして女に、「あなたの罪はゆるされた」と言われた。 + すると同席の者たちが心の中で言いはじめた、「罪をゆるすことさえするこの人は、いったい、何者だろう」。 + しかし、イエスは女にむかって言われた、「あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。 + + + そののちイエスは、神の国の福音を説きまた伝えながら、町々村々を巡回し続けられたが、十二弟子もお供をした。 + また悪霊を追い出され病気をいやされた数名の婦人たち、すなわち、七つの悪霊を追い出してもらったマグダラと呼ばれるマリヤ、 + ヘロデの家令クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか多くの婦人たちも一緒にいて、自分たちの持ち物をもって一行に奉仕した。 + さて、大ぜいの群衆が集まり、その上、町々からの人たちがイエスのところに、ぞくぞくと押し寄せてきたので、一つの譬で話をされた、 + 「種まきが種をまきに出て行った。まいているうちに、ある種は道ばたに落ち、踏みつけられ、そして空の鳥に食べられてしまった。 + ほかの種は岩の上に落ち、はえはしたが水気がないので枯れてしまった。 + ほかの種は、いばらの間に落ちたので、いばらも一緒に茂ってきて、それをふさいでしまった。 + ところが、ほかの種は良い地に落ちたので、はえ育って百倍もの実を結んだ」。こう語られたのち、声をあげて「聞く耳のある者は聞くがよい」と言われた。 + 弟子たちは、この譬はどういう意味でしょうか、とイエスに質問した。 + そこで言われた、「あなたがたには、神の国の奥義を知ることが許されているが、ほかの人たちには、見ても見えず、聞いても悟られないために、譬で話すのである。 + この譬はこういう意味である。種は神の言である。 + 道ばたに落ちたのは、聞いたのち、信じることも救われることもないように、悪魔によってその心から御言が奪い取られる人たちのことである。 + 岩の上に落ちたのは、御言を聞いた時には喜んで受けいれるが、根が無いので、しばらくは信じていても、試錬の時が来ると、信仰を捨てる人たちのことである。 + いばらの中に落ちたのは、聞いてから日を過ごすうちに、生活の心づかいや富や快楽にふさがれて、実の熟するまでにならない人たちのことである。 + 良い地に落ちたのは、御言を聞いたのち、これを正しい良い心でしっかりと守り、耐え忍んで実を結ぶに至る人たちのことである。 + だれもあかりをともして、それを何かの器でおおいかぶせたり、寝台の下に置いたりはしない。燭台の上に置いて、はいって来る人たちに光が見えるようにするのである。 + 隠されているもので、あらわにならないものはなく、秘密にされているもので、ついには知られ、明るみに出されないものはない。 + だから、どう聞くかに注意するがよい。持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っていると思っているものまでも、取り上げられるであろう」。 + さて、イエスの母と兄弟たちとがイエスのところにきたが、群衆のためそば近くに行くことができなかった。 + それで、だれかが「あなたの母上と兄弟がたが、お目にかかろうと思って、外に立っておられます」と取次いだ。 + するとイエスは人々にむかって言われた、「神の御言を聞いて行う者こそ、わたしの母、わたしの兄弟なのである」。 + ある日のこと、イエスは弟子たちと舟に乗り込み、「湖の向こう岸へ渡ろう」と言われたので、一同が船出した。 + 渡って行く間に、イエスは眠ってしまわれた。すると突風が湖に吹きおろしてきたので、彼らは水をかぶって危険になった。 + そこで、みそばに寄ってきてイエスを起し、「先生、先生、わたしたちは死にそうです」と言った。イエスは起き上がって、風と荒浪とをおしかりになると、止んでなぎになった。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたの信仰は、どこにあるのか」。彼らは恐れ驚いて互に言い合った、「いったい、このかたはだれだろう。お命じになると、風も水も従うとは」。 + それから、彼らはガリラヤの対岸、ゲラサ人の地に渡った。 + 陸にあがられると、その町の人で、悪霊につかれて長いあいだ着物も着ず、家に居つかないで墓場にばかりいた人に、出会われた。 + この人がイエスを見て叫び出し、みまえにひれ伏して大声で言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。お願いです、わたしを苦しめないでください」。 + それは、イエスが汚れた霊に、その人から出て行け、とお命じになったからである。というのは、悪霊が何度も彼をひき捕えたので、彼は鎖と足かせとでつながれて看視されていたが、それを断ち切っては悪霊によって荒野へ追いやられていたのである。 + イエスは彼に「なんという名前か」とお尋ねになると、「レギオンと言います」と答えた。彼の中にたくさんの悪霊がはいり込んでいたからである。 + 悪霊どもは、底知れぬ所に落ちて行くことを自分たちにお命じにならぬようにと、イエスに願いつづけた。 + ところが、そこの山べにおびただしい豚の群れが飼ってあったので、その豚の中へはいることを許していただきたいと、悪霊どもが願い出た。イエスはそれをお許しになった。 + そこで悪霊どもは、その人から出て豚の中へはいり込んだ。するとその群れは、がけから湖へなだれを打って駆け下り、おぼれ死んでしまった。 + 飼う者たちは、この出来事を見て逃げ出して、町や村里にふれまわった。 + 人々はこの出来事を見に出てきた。そして、イエスのところにきて、悪霊を追い出してもらった人が着物を着て、正気になってイエスの足もとにすわっているのを見て、恐れた。 + それを見た人たちは、この悪霊につかれていた者が救われた次第を、彼らに語り聞かせた。 + それから、ゲラサの地方の民衆はこぞって、自分たちの所から立ち去ってくださるようにとイエスに頼んだ。彼らが非常な恐怖に襲われていたからである。そこで、イエスは舟に乗って帰りかけられた。 + 悪霊を追い出してもらった人は、お供をしたいと、しきりに願ったが、イエスはこう言って彼をお帰しになった。 + 「家へ帰って、神があなたにどんなに大きなことをしてくださったか、語り聞かせなさい」。そこで彼は立ち去って、自分にイエスがして下さったことを、ことごとく町中に言いひろめた。 + イエスが帰ってこられると、群衆は喜び迎えた。みんながイエスを待ちうけていたのである。 + するとそこに、ヤイロという名の人がきた。この人は会堂司であった。イエスの足もとにひれ伏して、自分の家においでくださるようにと、しきりに願った。 + 彼に十二歳ばかりになるひとり娘があったが、死にかけていた。ところが、イエスが出て行かれる途中、群衆が押し迫ってきた。 + ここに、十二年間も長血をわずらっていて、医者のために自分の身代をみな使い果してしまったが、だれにもなおしてもらえなかった女がいた。 + この女がうしろから近寄ってみ衣のふさにさわったところ、その長血がたちまち止まってしまった。 + イエスは言われた、「わたしにさわったのは、だれか」。人々はみな自分ではないと言ったので、ペテロが「先生、群衆があなたを取り囲んで、ひしめき合っているのです」と答えた。 + しかしイエスは言われた、「だれかがわたしにさわった。力がわたしから出て行ったのを感じたのだ」。 + 女は隠しきれないのを知って、震えながら進み出て、みまえにひれ伏し、イエスにさわった訳と、さわるとたちまちなおったこととを、みんなの前で話した。 + そこでイエスが女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。 + イエスがまだ話しておられるうちに、会堂司の家から人がきて、「お嬢さんはなくなられました。この上、先生を煩わすには及びません」と言った。 + しかしイエスはこれを聞いて会堂司にむかって言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい。娘は助かるのだ」。 + それから家にはいられるとき、ペテロ、ヨハネ、ヤコブおよびその子の父母のほかは、だれも一緒にはいって来ることをお許しにならなかった。 + 人々はみな、娘のために泣き悲しんでいた。イエスは言われた、「泣くな、娘は死んだのではない。眠っているだけである」。 + 人々は娘が死んだことを知っていたので、イエスをあざ笑った。 + イエスは娘の手を取って、呼びかけて言われた、「娘よ、起きなさい」。 + するとその霊がもどってきて、娘は即座に立ち上がった。イエスは何か食べ物を与えるように、さしずをされた。 + 両親は驚いてしまった。イエスはこの出来事をだれにも話さないようにと、彼らに命じられた。 + + + それからイエスは十二弟子を呼び集めて、彼らにすべての悪霊を制し、病気をいやす力と権威とをお授けになった。 + また神の国を宣べ伝え、かつ病気をなおすためにつかわして + 言われた、「旅のために何も携えるな。つえも袋もパンも銭も持たず、また下着も二枚は持つな。 + また、どこかの家にはいったら、そこに留まっておれ。そしてそこから出かけることにしなさい。 + だれもあなたがたを迎えるものがいなかったら、その町を出て行くとき、彼らに対する抗議のしるしに、足からちりを払い落しなさい」。 + 弟子たちは出て行って、村々を巡り歩き、いたる所で福音を宣べ伝え、また病気をいやした。 + さて、領主ヘロデはいろいろな出来事を耳にして、あわて惑っていた。それは、ある人たちは、ヨハネが死人の中からよみがえったと言い、 + またある人たちは、エリヤが現れたと言い、またほかの人たちは、昔の預言者のひとりが復活したのだと言っていたからである。 + そこでヘロデが言った、「ヨハネはわたしがすでに首を切ったのだが、こうしてうわさされているこの人は、いったい、だれなのだろう」。そしてイエスに会ってみようと思っていた。 + 使徒たちは帰ってきて、自分たちのしたことをすべてイエスに話した。それからイエスは彼らを連れて、ベツサイダという町へひそかに退かれた。 + ところが群衆がそれと知って、ついてきたので、これを迎えて神の国のことを語り聞かせ、また治療を要する人たちをいやされた。 + それから日が傾きかけたので、十二弟子がイエスのもとにきて言った、「群衆を解散して、まわりの村々や部落へ行って宿を取り、食物を手にいれるようにさせてください。わたしたちはこんな寂しい所にきているのですから」。 + しかしイエスは言われた、「あなたがたの手で食物をやりなさい」。彼らは言った、「わたしたちにはパン五つと魚二ひきしかありません、この大ぜいの人のために食物を買いに行くかしなければ」。 + というのは、男が五千人ばかりもいたからである。しかしイエスは弟子たちに言われた、「人々をおおよそ五十人ずつの組にして、すわらせなさい」。 + 彼らはそのとおりにして、みんなをすわらせた。 + イエスは五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福してさき、弟子たちにわたして群衆に配らせた。 + みんなの者は食べて満腹した。そして、その余りくずを集めたら、十二かごあった。 + イエスがひとりで祈っておられたとき、弟子たちが近くにいたので、彼らに尋ねて言われた、「群衆はわたしをだれと言っているか」。 + 彼らは答えて言った、「バプテスマのヨハネだと、言っています。しかしほかの人たちは、エリヤだと言い、また昔の預言者のひとりが復活したのだと、言っている者もあります」。 + 彼らに言われた、「それでは、あなたがたはわたしをだれと言うか」。ペテロが答えて言った、「神のキリストです」。 + イエスは彼らを戒め、この事をだれにも言うなと命じ、そして言われた、 + 「人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、また殺され、そして三日目によみがえる」。 + それから、みんなの者に言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、日々自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。 + 自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのために自分の命を失う者は、それを救うであろう。 + 人が全世界をもうけても、自分自身を失いまたは損したら、なんの得になろうか。 + わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、自分の栄光と、父と聖なる御使との栄光のうちに現れて来るとき、その者を恥じるであろう。 + よく聞いておくがよい、神の国を見るまでは、死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。 + これらのことを話された後、八日ほどたってから、イエスはペテロ、ヨハネ、ヤコブを連れて、祈るために山に登られた。 + 祈っておられる間に、み顔の様が変り、み衣がまばゆいほどに白く輝いた。 + すると見よ、ふたりの人がイエスと語り合っていた。それはモーセとエリヤであったが、 + 栄光の中に現れて、イエスがエルサレムで遂げようとする最後のことについて話していたのである。 + ペテロとその仲間の者たちとは熟睡していたが、目をさますと、イエスの栄光の姿と、共に立っているふたりの人とを見た。 + このふたりがイエスを離れ去ろうとしたとき、ペテロは自分が何を言っているのかわからないで、イエスに言った、「先生、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです。それで、わたしたちは小屋を三つ建てましょう。一つはあなたのために、一つはモーセのために、一つはエリヤのために」。 + 彼がこう言っている間に、雲がわき起って彼らをおおいはじめた。そしてその雲に囲まれたとき、彼らは恐れた。 + すると雲の中から声があった、「これはわたしの子、わたしの選んだ者である。これに聞け」。 + そして声が止んだとき、イエスがひとりだけになっておられた。弟子たちは沈黙を守って、自分たちが見たことについては、そのころだれにも話さなかった。 + 翌日、一同が山を降りて来ると、大ぜいの群衆がイエスを出迎えた。 + すると突然、ある人が群衆の中から大声をあげて言った、「先生、お願いです。わたしのむすこを見てやってください。この子はわたしのひとりむすこですが、 + 霊が取りつきますと、彼は急に叫び出すのです。それから、霊は彼をひきつけさせて、あわを吹かせ、彼を弱り果てさせて、なかなか出て行かないのです。 + それで、お弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。 + イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な、曲った時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか、またあなたがたに我慢ができようか。あなたの子をここに連れてきなさい」。 + ところが、その子がイエスのところに来る時にも、悪霊が彼を引き倒して、引きつけさせた。イエスはこの汚れた霊をしかりつけ、その子供をいやして、父親にお渡しになった。 + 人々はみな、神の偉大な力に非常に驚いた。みんなの者がイエスのしておられた数々の事を不思議に思っていると、弟子たちに言われた、 + 「あなたがたはこの言葉を耳におさめて置きなさい。人の子は人々の手に渡されようとしている」。 + しかし、彼らはなんのことかわからなかった。それが彼らに隠されていて、悟ることができなかったのである。また彼らはそのことについて尋ねるのを恐れていた。 + 弟子たちの間に、彼らのうちでだれがいちばん偉いだろうかということで、議論がはじまった。 + イエスは彼らの心の思いを見抜き、ひとりの幼な子を取りあげて自分のそばに立たせ、彼らに言われた、 + 「だれでもこの幼な子をわたしの名のゆえに受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。そしてわたしを受けいれる者は、わたしをおつかわしになったかたを受けいれるのである。あなたがたみんなの中でいちばん小さい者こそ、大きいのである」。 + するとヨハネが答えて言った、「先生、わたしたちはある人があなたの名を使って悪霊を追い出しているのを見ましたが、その人はわたしたちの仲間でないので、やめさせました」。 + イエスは彼に言われた、「やめさせないがよい。あなたがたに反対しない者は、あなたがたの味方なのである」。 + さて、イエスが天に上げられる日が近づいたので、エルサレムへ行こうと決意して、その方へ顔をむけられ、 + 自分に先立って使者たちをおつかわしになった。そして彼らがサマリヤ人の村へはいって行き、イエスのために準備をしようとしたところ、 + 村人は、エルサレムへむかって進んで行かれるというので、イエスを歓迎しようとはしなかった。 + 弟子のヤコブとヨハネとはそれを見て言った、「主よ、いかがでしょう。彼らを焼き払ってしまうように、天から火をよび求めましょうか」。 + イエスは振りかえって、彼らをおしかりになった。 + そして一同はほかの村へ行った。 + 道を進んで行くと、ある人がイエスに言った、「あなたがおいでになる所ならどこへでも従ってまいります」。 + イエスはその人に言われた、「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない」。 + またほかの人に、「わたしに従ってきなさい」と言われた。するとその人が言った、「まず、父を葬りに行かせてください」。 + 彼に言われた、「その死人を葬ることは、死人に任せておくがよい。あなたは、出て行って神の国を告げひろめなさい」。 + またほかの人が言った、「主よ、従ってまいりますが、まず家の者に別れを言いに行かせてください」。 + イエスは言われた、「手をすきにかけてから、うしろを見る者は、神の国にふさわしくないものである」。 + + + その後、主は別に七十二人を選び、行こうとしておられたすべての町や村へ、ふたりずつ先におつかわしになった。 + そのとき、彼らに言われた、「収穫は多いが、働き人が少ない。だから、収穫の主に願って、その収穫のために働き人を送り出すようにしてもらいなさい。 + さあ、行きなさい。わたしがあなたがたをつかわすのは、小羊をおおかみの中に送るようなものである。 + 財布も袋もくつも持って行くな。だれにも道であいさつするな。 + どこかの家にはいったら、まず『平安がこの家にあるように』と言いなさい。 + もし平安の子がそこにおれば、あなたがたの祈る平安はその人の上にとどまるであろう。もしそうでなかったら、それはあなたがたの上に帰って来るであろう。 + それで、その同じ家に留まっていて、家の人が出してくれるものを飲み食いしなさい。働き人がその報いを得るのは当然である。家から家へと渡り歩くな。 + どの町へはいっても、人々があなたがたを迎えてくれるなら、前に出されるものを食べなさい。 + そして、その町にいる病人をいやしてやり、『神の国はあなたがたに近づいた』と言いなさい。 + しかし、どの町へはいっても、人々があなたがたを迎えない場合には、大通りに出て行って言いなさい、 + 『わたしたちの足についているこの町のちりも、ぬぐい捨てて行く。しかし、神の国が近づいたことは、承知しているがよい』。 + あなたがたに言っておく。その日には、この町よりもソドムの方が耐えやすいであろう。 + わざわいだ、コラジンよ。わざわいだ、ベツサイダよ。おまえたちの中でなされた力あるわざが、もしツロとシドンでなされたなら、彼らはとうの昔に、荒布をまとい灰の中にすわって、悔い改めたであろう。 + しかし、さばきの日には、ツロとシドンの方がおまえたちよりも、耐えやすいであろう。 + ああ、カペナウムよ、おまえは天にまで上げられようとでもいうのか。黄泉にまで落されるであろう。 + あなたがたに聞き従う者は、わたしに聞き従うのであり、あなたがたを拒む者は、わたしを拒むのである。そしてわたしを拒む者は、わたしをおつかわしになったかたを拒むのである」。 + 七十二人が喜んで帰ってきて言った、「主よ、あなたの名によっていたしますと、悪霊までがわたしたちに服従します」。 + 彼らに言われた、「わたしはサタンが電光のように天から落ちるのを見た。 + わたしはあなたがたに、へびやさそりを踏みつけ、敵のあらゆる力に打ち勝つ権威を授けた。だから、あなたがたに害をおよぼす者はまったく無いであろう。 + しかし、霊があなたがたに服従することを喜ぶな。むしろ、あなたがたの名が天にしるされていることを喜びなさい」。 + そのとき、イエスは聖霊によって喜びあふれて言われた、「天地の主なる父よ。あなたをほめたたえます。これらの事を知恵のある者や賢い者に隠して、幼な子にあらわしてくださいました。父よ、これはまことに、みこころにかなった事でした。 + すべての事は父からわたしに任せられています。そして、子がだれであるかは、父のほか知っている者はありません。また父がだれであるかは、子と、父をあらわそうとして子が選んだ者とのほか、だれも知っている者はいません」。 + それから弟子たちの方に振りむいて、ひそかに言われた、「あなたがたが見ていることを見る目は、さいわいである。 + あなたがたに言っておく。多くの預言者や王たちも、あなたがたの見ていることを見ようとしたが、見ることができず、あなたがたの聞いていることを聞こうとしたが、聞けなかったのである」。 + するとそこへ、ある律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った、「先生、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。 + 彼に言われた、「律法にはなんと書いてあるか。あなたはどう読むか」。 + 彼は答えて言った、「『心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。また、『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』とあります」。 + 彼に言われた、「あなたの答は正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、いのちが得られる」。 + すると彼は自分の立場を弁護しようと思って、イエスに言った、「では、わたしの隣り人とはだれのことですか」。 + イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。 + するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。 + 同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。 + ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、 + 近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。 + 翌日、デナリ二つを取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、わたしが支払います』と言った。 + この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。 + 彼が言った、「その人に慈悲深い行いをした人です」。そこでイエスは言われた、「あなたも行って同じようにしなさい」。 + 一同が旅を続けているうちに、イエスがある村へはいられた。するとマルタという名の女がイエスを家に迎え入れた。 + この女にマリヤという妹がいたが、主の足もとにすわって、御言に聞き入っていた。 + ところが、マルタは接待のことで忙がしくて心をとりみだし、イエスのところにきて言った、「主よ、妹がわたしだけに接待をさせているのを、なんともお思いになりませんか。わたしの手伝いをするように妹におっしゃってください」。 + 主は答えて言われた、「マルタよ、マルタよ、あなたは多くのことに心を配って思いわずらっている。 + しかし、無くてならぬものは多くはない。いや、一つだけである。マリヤはその良い方を選んだのだ。そしてそれは、彼女から取り去ってはならないものである」。 + + + また、イエスはある所で祈っておられたが、それが終ったとき、弟子のひとりが言った、「主よ、ヨハネがその弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈ることを教えてください」。 + そこで彼らに言われた、「祈るときには、こう言いなさい、『父よ、御名があがめられますように。御国がきますように。 + わたしたちの日ごとの食物を、日々お与えください。 + わたしたちに負債のある者を皆ゆるしますから、わたしたちの罪をもおゆるしください。わたしたちを試みに会わせないでください』」。 + そして彼らに言われた、「あなたがたのうちのだれかに、友人があるとして、その人のところへ真夜中に行き、『友よ、パンを三つ貸してください。 + 友だちが旅先からわたしのところに着いたのですが、何も出すものがありませんから』と言った場合、 + 彼は内から、『面倒をかけないでくれ。もう戸は締めてしまったし、子供たちもわたしと一緒に床にはいっているので、いま起きて何もあげるわけにはいかない』と言うであろう。 + しかし、よく聞きなさい、友人だからというのでは起きて与えないが、しきりに願うので、起き上がって必要なものを出してくれるであろう。 + そこでわたしはあなたがたに言う。求めよ、そうすれば、与えられるであろう。捜せ、そうすれば見いだすであろう。門をたたけ、そうすれば、あけてもらえるであろう。 + すべて求める者は得、捜す者は見いだし、門をたたく者はあけてもらえるからである。 + あなたがたのうちで、父であるものは、その子が魚を求めるのに、魚の代りにへびを与えるだろうか。 + 卵を求めるのに、さそりを与えるだろうか。 + このように、あなたがたは悪い者であっても、自分の子供には、良い贈り物をすることを知っているとすれば、天の父はなおさら、求めて来る者に聖霊を下さらないことがあろうか」。 + さて、イエスが悪霊を追い出しておられた。それは、おしの霊であった。悪霊が出て行くと、おしが物を言うようになったので、群衆は不思議に思った。 + その中のある人々が、「彼は悪霊のかしらベルゼブルによって、悪霊どもを追い出しているのだ」と言い、 + またほかの人々は、イエスを試みようとして、天からのしるしを求めた。 + しかしイエスは、彼らの思いを見抜いて言われた、「おおよそ国が内部で分裂すれば自滅してしまい、また家が分れ争えば倒れてしまう。 + そこでサタンも内部で分裂すれば、その国はどうして立ち行けよう。あなたがたはわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出していると言うが、 + もしわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出すとすれば、あなたがたの仲間はだれによって追い出すのであろうか。だから、彼らがあなたがたをさばく者となるであろう。 + しかし、わたしが神の指によって悪霊を追い出しているのなら、神の国はすでにあなたがたのところにきたのである。 + 強い人が十分に武装して自分の邸宅を守っている限り、その持ち物は安全である。 + しかし、もっと強い者が襲ってきて彼に打ち勝てば、その頼みにしていた武具を奪って、その分捕品を分けるのである。 + わたしの味方でない者は、わたしに反対するものであり、わたしと共に集めない者は、散らすものである。 + 汚れた霊が人から出ると、休み場を求めて水の無い所を歩きまわるが、見つからないので、出てきた元の家に帰ろうと言って、 + 帰って見ると、その家はそうじがしてある上、飾りつけがしてあった。 + そこでまた出て行って、自分以上に悪い他の七つの霊を引き連れてきて中にはいり、そこに住み込む。そうすると、その人の後の状態は初めよりももっと悪くなるのである」。 + イエスがこう話しておられるとき、群衆の中からひとりの女が声を張りあげて言った、「あなたを宿した胎、あなたが吸われた乳房は、なんとめぐまれていることでしょう」。 + しかしイエスは言われた、「いや、めぐまれているのは、むしろ、神の言を聞いてそれを守る人たちである」。 + さて群衆が群がり集まったので、イエスは語り出された、「この時代は邪悪な時代である。それはしるしを求めるが、ヨナのしるしのほかには、なんのしるしも与えられないであろう。 + というのは、ニネベの人々に対してヨナがしるしとなったように、人の子もこの時代に対してしるしとなるであろう。 + 南の女王が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために、地の果からはるばるきたからである。しかし見よ、ソロモンにまさる者がここにいる。 + ニネベの人々が、今の時代の人々と共にさばきの場に立って、彼らを罪に定めるであろう。なぜなら、ニネベの人々はヨナの宣教によって悔い改めたからである。しかし見よ、ヨナにまさる者がここにいる。 + だれもあかりをともして、それを穴倉の中や枡の下に置くことはしない。むしろはいって来る人たちに、そのあかりが見えるように、燭台の上におく。 + あなたの目は、からだのあかりである。あなたの目が澄んでおれば、全身も明るいが、目がわるければ、からだも暗い。 + だから、あなたの内なる光が暗くならないように注意しなさい。 + もし、あなたのからだ全体が明るくて、暗い部分が少しもなければ、ちょうど、あかりが輝いてあなたを照す時のように、全身が明るくなるであろう」。 + イエスが語っておられた時、あるパリサイ人が、自分の家で食事をしていただきたいと申し出たので、はいって食卓につかれた。 + ところが、食前にまず洗うことをなさらなかったのを見て、そのパリサイ人が不思議に思った。 + そこで主は彼に言われた、「いったい、あなたがたパリサイ人は、杯や盆の外側をきよめるが、あなたがたの内側は貪欲と邪悪とで満ちている。 + 愚かな者たちよ、外側を造ったかたは、また内側も造られたではないか。 + ただ、内側にあるものをきよめなさい。そうすれば、いっさいがあなたがたにとって、清いものとなる。 + しかし、あなた方パリサイ人は、わざわいである。はっか、うん香、あらゆる野菜などの十分の一を宮に納めておりながら、義と神に対する愛とをなおざりにしている。それもなおざりにはできないが、これは行わねばならない。 + あなたがたパリサイ人は、わざわいである。会堂の上席や広場での敬礼を好んでいる。 + あなたがたは、わざわいである。人目につかない墓のようなものである。その上を歩いても人々は気づかないでいる」。 + ひとりの律法学者がイエスに答えて言った、「先生、そんなことを言われるのは、わたしたちまでも侮辱することです」。 + そこで言われた、「あなたがた律法学者も、わざわいである。負い切れない重荷を人に負わせながら、自分ではその荷に指一本でも触れようとしない。 + あなたがたは、わざわいである。預言者たちの碑を建てるが、しかし彼らを殺したのは、あなたがたの先祖であったのだ。 + だから、あなたがたは、自分の先祖のしわざに同意する証人なのだ。先祖が彼らを殺し、あなたがたがその碑を建てるのだから。 + それゆえに、『神の知恵』も言っている、『わたしは預言者と使徒とを彼らにつかわすが、彼らはそのうちのある者を殺したり、迫害したりするであろう』。 + それで、アベルの血から祭壇と神殿との間で殺されたザカリヤの血に至るまで、世の初めから流されてきたすべての預言者の血について、この時代がその責任を問われる。 + そうだ、あなたがたに言っておく、この時代がその責任を問われるであろう。 + あなたがた律法学者は、わざわいである。知識のかぎを取りあげて、自分がはいらないばかりか、はいろうとする人たちを妨げてきた」。 + イエスがそこを出て行かれると、律法学者やパリサイ人は、激しく詰め寄り、いろいろな事を問いかけて、 + イエスの口から何か言いがかりを得ようと、ねらいはじめた。 + + + その間に、おびただしい群衆が、互に踏み合うほどに群がってきたが、イエスはまず弟子たちに語りはじめられた、「パリサイ人のパン種、すなわち彼らの偽善に気をつけなさい。 + おおいかぶされたもので、現れてこないものはなく、隠れているもので、知られてこないものはない。 + だから、あなたがたが暗やみで言ったことは、なんでもみな明るみで聞かれ、密室で耳にささやいたことは、屋根の上で言いひろめられるであろう。 + そこでわたしの友であるあなたがたに言うが、からだを殺しても、そのあとでそれ以上なにもできない者どもを恐れるな。 + 恐るべき者がだれであるか、教えてあげよう。殺したあとで、更に地獄に投げ込む権威のあるかたを恐れなさい。そうだ、あなたがたに言っておくが、そのかたを恐れなさい。 + 五羽のすずめは二アサリオンで売られているではないか。しかも、その一羽も神のみまえで忘れられてはいない。 + その上、あなたがたの頭の毛までも、みな数えられている。恐れることはない。あなたがたは多くのすずめよりも、まさった者である。 + そこで、あなたがたに言う。だれでも人の前でわたしを受けいれる者を、人の子も神の使たちの前で受けいれるであろう。 + しかし、人の前でわたしを拒む者は、神の使たちの前で拒まれるであろう。 + また、人の子に言い逆らう者はゆるされるであろうが、聖霊をけがす者は、ゆるされることはない。 + あなたがたが会堂や役人や高官の前へひっぱられて行った場合には、何をどう弁明しようか、何を言おうかと心配しないがよい。 + 言うべきことは、聖霊がその時に教えてくださるからである」。 + 群衆の中のひとりがイエスに言った、「先生、わたしの兄弟に、遺産を分けてくれるようにおっしゃってください」。 + 彼に言われた、「人よ、だれがわたしをあなたがたの裁判人または分配人に立てたのか」。 + それから人々にむかって言われた、「あらゆる貪欲に対してよくよく警戒しなさい。たといたくさんの物を持っていても、人のいのちは、持ち物にはよらないのである」。 + そこで一つの譬を語られた、「ある金持の畑が豊作であった。 + そこで彼は心の中で、『どうしようか、わたしの作物をしまっておく所がないのだが』と思いめぐらして + 言った、『こうしよう。わたしの倉を取りこわし、もっと大きいのを建てて、そこに穀物や食糧を全部しまい込もう。 + そして自分の魂に言おう。たましいよ、おまえには長年分の食糧がたくさんたくわえてある。さあ安心せよ、食え、飲め、楽しめ』。 + すると神が彼に言われた、『愚かな者よ、あなたの魂は今夜のうちにも取り去られるであろう。そしたら、あなたが用意した物は、だれのものになるのか』。 + 自分のために宝を積んで神に対して富まない者は、これと同じである」。 + それから弟子たちに言われた、「それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようかと、命のことで思いわずらい、何を着ようかとからだのことで思いわずらうな。 + 命は食物にまさり、からだは着物にまさっている。 + からすのことを考えて見よ。まくことも、刈ることもせず、また、納屋もなく倉もない。それだのに、神は彼らを養っていて下さる。あなたがたは鳥よりも、はるかにすぐれているではないか。 + あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。 + そんな小さな事さえできないのに、どうしてほかのことを思いわずらうのか。 + 野の花のことを考えて見るがよい。紡ぎもせず、織りもしない。しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。 + きょうは野にあって、あすは炉に投げ入れられる草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。 + あなたがたも、何を食べ、何を飲もうかと、あくせくするな、また気を使うな。 + これらのものは皆、この世の異邦人が切に求めているものである。あなたがたの父は、これらのものがあなたがたに必要であることを、ご存じである。 + ただ、御国を求めなさい。そうすれば、これらのものは添えて与えられるであろう。 + 恐れるな、小さい群れよ。御国を下さることは、あなたがたの父のみこころなのである。 + 自分の持ち物を売って、施しなさい。自分のために古びることのない財布をつくり、盗人も近寄らず、虫も食い破らない天に、尽きることのない宝をたくわえなさい。 + あなたがたの宝のある所には、心もあるからである。 + 腰に帯をしめ、あかりをともしていなさい。 + 主人が婚宴から帰ってきて戸をたたくとき、すぐあけてあげようと待っている人のようにしていなさい。 + 主人が帰ってきたとき、目を覚しているのを見られる僕たちは、さいわいである。よく言っておく。主人が帯をしめて僕たちを食卓につかせ、進み寄って給仕をしてくれるであろう。 + 主人が夜中ごろ、あるいは夜明けごろに帰ってきても、そうしているのを見られるなら、その人たちはさいわいである。 + このことを、わきまえているがよい。家の主人は、盗賊がいつごろ来るかわかっているなら、自分の家に押し入らせはしないであろう。 + あなたがたも用意していなさい。思いがけない時に人の子が来るからである」。 + するとペテロが言った、「主よ、この譬を話しておられるのはわたしたちのためなのですか。それとも、みんなの者のためなのですか」。 + そこで主が言われた、「主人が、召使たちの上に立てて、時に応じて定めの食事をそなえさせる忠実な思慮深い家令は、いったいだれであろう。 + 主人が帰ってきたとき、そのようにつとめているのを見られる僕は、さいわいである。 + よく言っておくが、主人はその僕を立てて自分の全財産を管理させるであろう。 + しかし、もしその僕が、主人の帰りがおそいと心の中で思い、男女の召使たちを打ちたたき、そして食べたり、飲んだりして酔いはじめるならば、 + その僕の主人は思いがけない日、気がつかない時に帰って来るであろう。そして、彼を厳罰に処して、不忠実なものたちと同じ目にあわせるであろう。 + 主人のこころを知っていながら、それに従って用意もせず勤めもしなかった僕は、多くむち打たれるであろう。 + しかし、知らずに打たれるようなことをした者は、打たれ方が少ないだろう。多く与えられた者からは多く求められ、多く任せられた者からは更に多く要求されるのである。 + わたしは、火を地上に投じるためにきたのだ。火がすでに燃えていたならと、わたしはどんなに願っていることか。 + しかし、わたしには受けねばならないバプテスマがある。そして、それを受けてしまうまでは、わたしはどんなにか苦しい思いをすることであろう。 + あなたがたは、わたしが平和をこの地上にもたらすためにきたと思っているのか。あなたがたに言っておく。そうではない。むしろ分裂である。 + というのは、今から後は、一家の内で五人が相分れて、三人はふたりに、ふたりは三人に対立し、 + また父は子に、子は父に、母は娘に、娘は母に、しゅうとめは嫁に、嫁はしゅうとめに、対立するであろう」。 + イエスはまた群衆に対しても言われた、「あなたがたは、雲が西に起るのを見るとすぐ、にわか雨がやって来る、と言う。果してそのとおりになる。 + それから南風が吹くと、暑つくなるだろう、と言う。果してそのとおりになる。 + 偽善者よ、あなたがたは天地の模様を見分けることを知りながら、どうして今の時代を見分けることができないのか。 + また、あなたがたは、なぜ正しいことを自分で判断しないのか。 + たとえば、あなたを訴える人と一緒に役人のところへ行くときには、途中でその人と和解するように努めるがよい。そうしないと、その人はあなたを裁判官のところへひっぱって行き、裁判官はあなたを獄吏に引き渡し、獄吏はあなたを獄に投げ込むであろう。 + わたしは言って置く、最後の一レプタまでも支払ってしまうまでは、決してそこから出て来ることはできない」。 + + + ちょうどその時、ある人々がきて、ピラトがガリラヤ人たちの血を流し、それを彼らの犠牲の血に混ぜたことを、イエスに知らせた。 + そこでイエスは答えて言われた、「それらのガリラヤ人が、そのような災難にあったからといって、他のすべてのガリラヤ人以上に罪が深かったと思うのか。 + あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう。 + また、シロアムの塔が倒れたためにおし殺されたあの十八人は、エルサレムの他の全住民以上に罪の負債があったと思うか。 + あなたがたに言うが、そうではない。あなたがたも悔い改めなければ、みな同じように滅びるであろう」。 + それから、この譬を語られた、「ある人が自分のぶどう園にいちじくの木を植えて置いたので、実を捜しにきたが見つからなかった。 + そこで園丁に言った、『わたしは三年間も実を求めて、このいちじくの木のところにきたのだが、いまだに見あたらない。その木を切り倒してしまえ。なんのために、土地をむだにふさがせて置くのか』。 + すると園丁は答えて言った、『ご主人様、ことしも、そのままにして置いてください。そのまわりを掘って肥料をやって見ますから。 + それで来年実がなりましたら結構です。もしそれでもだめでしたら、切り倒してください』」。 + 安息日に、ある会堂で教えておられると、 + そこに十八年間も病気の霊につかれ、かがんだままで、からだを伸ばすことの全くできない女がいた。 + イエスはこの女を見て、呼びよせ、「女よ、あなたの病気はなおった」と言って、 + 手をその上に置かれた。すると立ちどころに、そのからだがまっすぐになり、そして神をたたえはじめた。 + ところが会堂司は、イエスが安息日に病気をいやされたことを憤り、群衆にむかって言った、「働くべき日は六日ある。その間に、なおしてもらいにきなさい。安息日にはいけない」。 + 主はこれに答えて言われた、「偽善者たちよ、あなたがたはだれでも、安息日であっても、自分の牛やろばを家畜小屋から解いて、水を飲ませに引き出してやるではないか。 + それなら、十八年間もサタンに縛られていた、アブラハムの娘であるこの女を、安息日であっても、その束縛から解いてやるべきではなかったか」。 + こう言われたので、イエスに反対していた人たちはみな恥じ入った。そして群衆はこぞって、イエスがなされたすべてのすばらしいみわざを見て喜んだ。 + そこで言われた、「神の国は何に似ているか。またそれを何にたとえようか。 + 一粒のからし種のようなものである。ある人がそれを取って庭にまくと、育って木となり、空の鳥もその枝に宿るようになる」。 + また言われた、「神の国を何にたとえようか。 + パン種のようなものである。女がそれを取って三斗の粉の中に混ぜると、全体がふくらんでくる」。 + さてイエスは教えながら町々村々を通り過ぎ、エルサレムへと旅を続けられた。 + すると、ある人がイエスに、「主よ、救われる人は少ないのですか」と尋ねた。 + そこでイエスは人々にむかって言われた、「狭い戸口からはいるように努めなさい。事実、はいろうとしても、はいれない人が多いのだから。 + 家の主人が立って戸を閉じてしまってから、あなたがたが外に立ち戸をたたき始めて、『ご主人様、どうぞあけてください』と言っても、主人はそれに答えて、『あなたがたがどこからきた人なのか、わたしは知らない』と言うであろう。 + そのとき、『わたしたちはあなたとご一緒に飲み食いしました。また、あなたはわたしたちの大通りで教えてくださいました』と言い出しても、 + 彼は、『あなたがたがどこからきた人なのか、わたしは知らない。悪事を働く者どもよ、みんな行ってしまえ』と言うであろう。 + あなたがたは、アブラハム、イサク、ヤコブやすべての預言者たちが、神の国にはいっているのに、自分たちは外に投げ出されることになれば、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。 + それから人々が、東から西から、また南から北からきて、神の国で宴会の席につくであろう。 + こうしてあとのもので先になるものがあり、また、先のものであとになるものもある」。 + ちょうどその時、あるパリサイ人たちが、イエスに近寄ってきて言った、「ここから出て行きなさい。ヘロデがあなたを殺そうとしています」。 + そこで彼らに言われた、「あのきつねのところへ行ってこう言え、『見よ、わたしはきょうもあすも悪霊を追い出し、また、病気をいやし、そして三日目にわざを終えるであろう。 + しかし、きょうもあすも、またその次の日も、わたしは進んで行かねばならない。預言者がエルサレム以外の地で死ぬことは、あり得ないからである』。 + ああ、エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、おまえにつかわされた人々を石で打ち殺す者よ。ちょうどめんどりが翼の下にひなを集めるように、わたしはおまえの子らを幾たび集めようとしたことであろう。それだのに、おまえたちは応じようとしなかった。 + 見よ、おまえたちの家は見捨てられてしまう。わたしは言って置く、『主の名によってきたるものに、祝福あれ』とおまえたちが言う時の来るまでは、再びわたしに会うことはないであろう」。 + + + ある安息日のこと、食事をするために、あるパリサイ派のかしらの家にはいって行かれたが、人々はイエスの様子をうかがっていた。 + するとそこに、水腫をわずらっている人が、みまえにいた。 + イエスは律法学者やパリサイ人たちにむかって言われた、「安息日に人をいやすのは、正しいことかどうか」。 + 彼らは黙っていた。そこでイエスはその人に手を置いていやしてやり、そしてお帰しになった。 + それから彼らに言われた、「あなたがたのうちで、自分のむすこか牛が井戸に落ち込んだなら、安息日だからといって、すぐに引き上げてやらない者がいるだろうか」。 + 彼らはこれに対して返す言葉がなかった。 + 客に招かれた者たちが上座を選んでいる様子をごらんになって、彼らに一つの譬を語られた。 + 「婚宴に招かれたときには、上座につくな。あるいは、あなたよりも身分の高い人が招かれているかも知れない。 + その場合、あなたとその人とを招いた者がきて、『このかたに座を譲ってください』と言うであろう。そのとき、あなたは恥じ入って末座につくことになるであろう。 + むしろ、招かれた場合には、末座に行ってすわりなさい。そうすれば、招いてくれた人がきて、『友よ、上座の方へお進みください』と言うであろう。そのとき、あなたは席を共にするみんなの前で、面目をほどこすことになるであろう。 + おおよそ、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう」。 + また、イエスは自分を招いた人に言われた、「午餐または晩餐の席を設ける場合には、友人、兄弟、親族、金持の隣り人などは呼ばぬがよい。恐らく彼らもあなたを招きかえし、それであなたは返礼を受けることになるから。 + むしろ、宴会を催す場合には、貧乏人、不具者、足なえ、盲人などを招くがよい。 + そうすれば、彼らは返礼ができないから、あなたはさいわいになるであろう。正しい人々の復活の際には、あなたは報いられるであろう」。 + 列席者のひとりがこれを聞いてイエスに「神の国で食事をする人は、さいわいです」と言った。 + そこでイエスが言われた、「ある人が盛大な晩餐会を催して、大ぜいの人を招いた。 + 晩餐の時刻になったので、招いておいた人たちのもとに僕を送って、『さあ、おいでください。もう準備ができましたから』と言わせた。 + ところが、みんな一様に断りはじめた。最初の人は、『わたしは土地を買いましたので、行って見なければなりません。どうぞ、おゆるしください』と言った。 + ほかの人は、『わたしは五対の牛を買いましたので、それをしらべに行くところです。どうぞ、おゆるしください』、 + もうひとりの人は、『わたしは妻をめとりましたので、参ることができません』と言った。 + 僕は帰ってきて、以上の事を主人に報告した。すると家の主人はおこって僕に言った、『いますぐに、町の大通りや小道へ行って、貧乏人、不具者、盲人、足なえなどを、ここへ連れてきなさい』。 + 僕は言った、『ご主人様、仰せのとおりにいたしましたが、まだ席がございます』。 + 主人が僕に言った、『道やかきねのあたりに出て行って、この家がいっぱいになるように、人々を無理やりにひっぱってきなさい。 + あなたがたに言って置くが、招かれた人で、わたしの晩餐にあずかる者はひとりもないであろう』」。 + 大ぜいの群衆がついてきたので、イエスは彼らの方に向いて言われた、 + 「だれでも、父、母、妻、子、兄弟、姉妹、さらに自分の命までも捨てて、わたしのもとに来るのでなければ、わたしの弟子となることはできない。 + 自分の十字架を負うてわたしについて来るものでなければ、わたしの弟子となることはできない。 + あなたがたのうちで、だれかが邸宅を建てようと思うなら、それを仕上げるのに足りるだけの金を持っているかどうかを見るため、まず、すわってその費用を計算しないだろうか。 + そうしないと、土台をすえただけで完成することができず、見ているみんなの人が、 + 『あの人は建てかけたが、仕上げができなかった』と言ってあざ笑うようになろう。 + また、どんな王でも、ほかの王と戦いを交えるために出て行く場合には、まず座して、こちらの一万人をもって、二万人を率いて向かって来る敵に対抗できるかどうか、考えて見ないだろうか。 + もし自分の力にあまれば、敵がまだ遠くにいるうちに、使者を送って、和を求めるであろう。 + それと同じように、あなたがたのうちで、自分の財産をことごとく捨て切るものでなくては、わたしの弟子となることはできない。 + 塩は良いものだ。しかし、塩もききめがなくなったら、何によって塩味が取りもどされようか。 + 土にも肥料にも役立たず、外に投げ捨てられてしまう。聞く耳のあるものは聞くがよい」。 + + + さて、取税人や罪人たちが皆、イエスの話を聞こうとして近寄ってきた。 + するとパリサイ人や律法学者たちがつぶやいて、「この人は罪人たちを迎えて一緒に食事をしている」と言った。 + そこでイエスは彼らに、この譬をお話しになった、 + 「あなたがたのうちに、百匹の羊を持っている者がいたとする。その一匹がいなくなったら、九十九匹を野原に残しておいて、いなくなった一匹を見つけるまでは捜し歩かないであろうか。 + そして見つけたら、喜んでそれを自分の肩に乗せ、 + 家に帰ってきて友人や隣り人を呼び集め、『わたしと一緒に喜んでください。いなくなった羊を見つけましたから』と言うであろう。 + よく聞きなさい。それと同じように、罪人がひとりでも悔い改めるなら、悔改めを必要としない九十九人の正しい人のためにもまさる大きいよろこびが、天にあるであろう。 + また、ある女が銀貨十枚を持っていて、もしその一枚をなくしたとすれば、彼女はあかりをつけて家中を掃き、それを見つけるまでは注意深く捜さないであろうか。 + そして、見つけたなら、女友だちや近所の女たちを呼び集めて、『わたしと一緒に喜んでください。なくした銀貨が見つかりましたから』と言うであろう。 + よく聞きなさい。それと同じように、罪人がひとりでも悔い改めるなら、神の御使たちの前でよろこびがあるであろう」。 + また言われた、「ある人に、ふたりのむすこがあった。 + ところが、弟が父親に言った、『父よ、あなたの財産のうちでわたしがいただく分をください』。そこで、父はその身代をふたりに分けてやった。 + それから幾日もたたないうちに、弟は自分のものを全部とりまとめて遠い所へ行き、そこで放蕩に身を持ちくずして財産を使い果した。 + 何もかも浪費してしまったのち、その地方にひどいききんがあったので、彼は食べることにも窮しはじめた。 + そこで、その地方のある住民のところに行って身を寄せたところが、その人は彼を畑にやって豚を飼わせた。 + 彼は、豚の食べるいなご豆で腹を満たしたいと思うほどであったが、何もくれる人はなかった。 + そこで彼は本心に立ちかえって言った、『父のところには食物のあり余っている雇人が大ぜいいるのに、わたしはここで飢えて死のうとしている。 + 立って、父のところへ帰って、こう言おう、父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。 + もう、あなたのむすこと呼ばれる資格はありません。どうぞ、雇人のひとり同様にしてください』。 + そこで立って、父のところへ出かけた。まだ遠く離れていたのに、父は彼をみとめ、哀れに思って走り寄り、その首をだいて接吻した。 + むすこは父に言った、『父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。もうあなたのむすこと呼ばれる資格はありません』。 + しかし父は僕たちに言いつけた、『さあ、早く、最上の着物を出してきてこの子に着せ、指輪を手にはめ、はきものを足にはかせなさい。 + また、肥えた子牛を引いてきてほふりなさい。食べて楽しもうではないか。 + このむすこが死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから』。それから祝宴がはじまった。 + ところが、兄は畑にいたが、帰ってきて家に近づくと、音楽や踊りの音が聞えたので、 + ひとりの僕を呼んで、『いったい、これは何事なのか』と尋ねた。 + 僕は答えた、『あなたのご兄弟がお帰りになりました。無事に迎えたというので、父上が肥えた子牛をほふらせなさったのです』。 + 兄はおこって家にはいろうとしなかったので、父が出てきてなだめると、 + 兄は父にむかって言った、『わたしは何か年もあなたに仕えて、一度でもあなたの言いつけにそむいたことはなかったのに、友だちと楽しむために子やぎ一匹も下さったことはありません。 + それだのに、遊女どもと一緒になって、あなたの身代を食いつぶしたこのあなたの子が帰ってくると、そのために肥えた子牛をほふりなさいました』。 + すると父は言った、『子よ、あなたはいつもわたしと一緒にいるし、またわたしのものは全部あなたのものだ。 + しかし、このあなたの弟は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから、喜び祝うのはあたりまえである』」。 + + + イエスはまた、弟子たちに言われた、「ある金持のところにひとりの家令がいたが、彼は主人の財産を浪費していると、告げ口をする者があった。 + そこで主人は彼を呼んで言った、『あなたについて聞いていることがあるが、あれはどうなのか。あなたの会計報告を出しなさい。もう家令をさせて置くわけにはいかないから』。 + この家令は心の中で思った、『どうしようか。主人がわたしの職を取り上げようとしている。土を掘るには力がないし、物ごいするのは恥ずかしい。 + そうだ、わかった。こうしておけば、職をやめさせられる場合、人々がわたしをその家に迎えてくれるだろう』。 + それから彼は、主人の負債者をひとりびとり呼び出して、初めの人に、『あなたは、わたしの主人にどれだけ負債がありますか』と尋ねた。 + 『油百樽です』と答えた。そこで家令が言った、『ここにあなたの証書がある。すぐそこにすわって、五十樽と書き変えなさい』。 + 次に、もうひとりに、『あなたの負債はどれだけですか』と尋ねると、『麦百石です』と答えた。これに対して、『ここに、あなたの証書があるが、八十石と書き変えなさい』と言った。 + ところが主人は、この不正な家令の利口なやり方をほめた。この世の子らはその時代に対しては、光の子らよりも利口である。 + またあなたがたに言うが、不正の富を用いてでも、自分のために友だちをつくるがよい。そうすれば、富が無くなった場合、あなたがたを永遠のすまいに迎えてくれるであろう。 + 小事に忠実な人は、大事にも忠実である。そして、小事に不忠実な人は大事にも不忠実である。 + だから、もしあなたがたが不正の富について忠実でなかったら、だれが真の富を任せるだろうか。 + また、もしほかの人のものについて忠実でなかったら、だれがあなたがたのものを与えてくれようか。 + どの僕でも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない」。 + 欲の深いパリサイ人たちが、すべてこれらの言葉を聞いて、イエスをあざ笑った。 + そこで彼らにむかって言われた、「あなたがたは、人々の前で自分を正しいとする人たちである。しかし、神はあなたがたの心をご存じである。人々の間で尊ばれるものは、神のみまえでは忌みきらわれる。 + 律法と預言者とはヨハネの時までのものである。それ以来、神の国が宣べ伝えられ、人々は皆これに突入している。 + しかし、律法の一画が落ちるよりは、天地の滅びる方が、もっとたやすい。 + すべて自分の妻を出して他の女をめとる者は、姦淫を行うものであり、また、夫から出された女をめとる者も、姦淫を行うものである。 + ある金持がいた。彼は紫の衣や細布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮していた。 + ところが、ラザロという貧乏人が全身でき物でおおわれて、この金持の玄関の前にすわり、 + その食卓から落ちるもので飢えをしのごうと望んでいた。その上、犬がきて彼のでき物をなめていた。 + この貧乏人がついに死に、御使たちに連れられてアブラハムのふところに送られた。金持も死んで葬られた。 + そして黄泉にいて苦しみながら、目をあげると、アブラハムとそのふところにいるラザロとが、はるかに見えた。 + そこで声をあげて言った、『父、アブラハムよ、わたしをあわれんでください。ラザロをおつかわしになって、その指先を水でぬらし、わたしの舌を冷やさせてください。わたしはこの火炎の中で苦しみもだえています』。 + アブラハムが言った、『子よ、思い出すがよい。あなたは生前よいものを受け、ラザロの方は悪いものを受けた。しかし今ここでは、彼は慰められ、あなたは苦しみもだえている。 + そればかりか、わたしたちとあなたがたとの間には大きな淵がおいてあって、こちらからあなたがたの方へ渡ろうと思ってもできないし、そちらからわたしたちの方へ越えて来ることもできない』。 + そこで金持が言った、『父よ、ではお願いします。わたしの父の家へラザロをつかわしてください。 + わたしに五人の兄弟がいますので、こんな苦しい所へ来ることがないように、彼らに警告していただきたいのです』。 + アブラハムは言った、『彼らにはモーセと預言者とがある。それに聞くがよかろう』。 + 金持が言った、『いえいえ、父アブラハムよ、もし死人の中からだれかが兄弟たちのところへ行ってくれましたら、彼らは悔い改めるでしょう』。 + アブラハムは言った、『もし彼らがモーセと預言者とに耳を傾けないなら、死人の中からよみがえってくる者があっても、彼らはその勧めを聞き入れはしないであろう』」。 + + + イエスは弟子たちに言われた、「罪の誘惑が来ることは避けられない。しかし、それをきたらせる者は、わざわいである。 + これらの小さい者のひとりを罪に誘惑するよりは、むしろ、ひきうすを首にかけられて海に投げ入れられた方が、ましである。 + あなたがたは、自分で注意していなさい。もしあなたの兄弟が罪を犯すなら、彼をいさめなさい。そして悔い改めたら、ゆるしてやりなさい。 + もしあなたに対して一日に七度罪を犯し、そして七度『悔い改めます』と言ってあなたのところへ帰ってくれば、ゆるしてやるがよい」。 + 使徒たちは主に「わたしたちの信仰を増してください」と言った。 + そこで主が言われた、「もし、からし種一粒ほどの信仰があるなら、この桑の木に、『抜け出して海に植われ』と言ったとしても、その言葉どおりになるであろう。 + あなたがたのうちのだれかに、耕作か牧畜かをする僕があるとする。その僕が畑から帰って来たとき、彼に『すぐきて、食卓につきなさい』と言うだろうか。 + かえって、『夕食の用意をしてくれ。そしてわたしが飲み食いをするあいだ、帯をしめて給仕をしなさい。そのあとで、飲み食いをするがよい』と、言うではないか。 + 僕が命じられたことをしたからといって、主人は彼に感謝するだろうか。 + 同様にあなたがたも、命じられたことを皆してしまったとき、『わたしたちはふつつかな僕です。すべき事をしたに過ぎません』と言いなさい」。 + イエスはエルサレムへ行かれるとき、サマリヤとガリラヤとの間を通られた。 + そして、ある村にはいられると、十人のらい病人に出会われたが、彼らは遠くの方で立ちとどまり、 + 声を張りあげて、「イエスさま、わたしたちをあわれんでください」と言った。 + イエスは彼らをごらんになって、「祭司たちのところに行って、からだを見せなさい」と言われた。そして、行く途中で彼らはきよめられた。 + そのうちのひとりは、自分がいやされたことを知り、大声で神をほめたたえながら帰ってきて、 + イエスの足もとにひれ伏して感謝した。これはサマリヤ人であった。 + イエスは彼にむかって言われた、「きよめられたのは、十人ではなかったか。ほかの九人は、どこにいるのか。 + 神をほめたたえるために帰ってきたものは、この他国人のほかにはいないのか」。 + それから、その人に言われた、「立って行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのだ」。 + 神の国はいつ来るのかと、パリサイ人が尋ねたので、イエスは答えて言われた、「神の国は、見られるかたちで来るものではない。 + また『見よ、ここにある』『あそこにある』などとも言えない。神の国は、実にあなたがたのただ中にあるのだ」。 + それから弟子たちに言われた、「あなたがたは、人の子の日を一日でも見たいと願っても見ることができない時が来るであろう。 + 人々はあなたがたに、『見よ、あそこに』『見よ、ここに』と言うだろう。しかし、そちらへ行くな、彼らのあとを追うな。 + いなずまが天の端からひかり出て天の端へとひらめき渡るように、人の子もその日には同じようであるだろう。 + しかし、彼はまず多くの苦しみを受け、またこの時代の人々に捨てられねばならない。 + そして、ノアの時にあったように、人の子の時にも同様なことが起るであろう。 + ノアが箱舟にはいる日まで、人々は食い、飲み、めとり、とつぎなどしていたが、そこへ洪水が襲ってきて、彼らをことごとく滅ぼした。 + ロトの時にも同じようなことが起った。人々は食い、飲み、買い、売り、植え、建てなどしていたが、 + ロトがソドムから出て行った日に、天から火と硫黄とが降ってきて、彼らをことごとく滅ぼした。 + 人の子が現れる日も、ちょうどそれと同様であろう。 + その日には、屋上にいる者は、自分の持ち物が家の中にあっても、取りにおりるな。畑にいる者も同じように、あとへもどるな。 + ロトの妻のことを思い出しなさい。 + 自分の命を救おうとするものは、それを失い、それを失うものは、保つのである。 + あなたがたに言っておく。その夜、ふたりの男が一つ寝床にいるならば、ひとりは取り去られ、他のひとりは残されるであろう。 + ふたりの女が一緒にうすをひいているならば、ひとりは取り去られ、他のひとりは残されるであろう。〔 + ふたりの男が畑におれば、ひとりは取り去られ、他のひとりは残されるであろう〕」。 + 弟子たちは「主よ、それはどこであるのですか」と尋ねた。するとイエスは言われた、「死体のある所には、またはげたかが集まるものである」。 + + + また、イエスは失望せずに常に祈るべきことを、人々に譬で教えられた。 + 「ある町に、神を恐れず、人を人とも思わぬ裁判官がいた。 + ところが、その同じ町にひとりのやもめがいて、彼のもとにたびたびきて、『どうぞ、わたしを訴える者をさばいて、わたしを守ってください』と願いつづけた。 + 彼はしばらくの間きき入れないでいたが、そののち、心のうちで考えた、『わたしは神をも恐れず、人を人とも思わないが、 + このやもめがわたしに面倒をかけるから、彼女のためになる裁判をしてやろう。そうしたら、絶えずやってきてわたしを悩ますことがなくなるだろう』」。 + そこで主は言われた、「この不義な裁判官の言っていることを聞いたか。 + まして神は、日夜叫び求める選民のために、正しいさばきをしてくださらずに長い間そのままにしておかれることがあろうか。 + あなたがたに言っておくが、神はすみやかにさばいてくださるであろう。しかし、人の子が来るとき、地上に信仰が見られるであろうか」。 + 自分を義人だと自任して他人を見下げている人たちに対して、イエスはまたこの譬をお話しになった。 + 「ふたりの人が祈るために宮に上った。そのひとりはパリサイ人であり、もうひとりは取税人であった。 + パリサイ人は立って、ひとりでこう祈った、『神よ、わたしはほかの人たちのような貪欲な者、不正な者、姦淫をする者ではなく、また、この取税人のような人間でもないことを感謝します。 + わたしは一週に二度断食しており、全収入の十分の一をささげています』。 + ところが、取税人は遠く離れて立ち、目を天にむけようともしないで、胸を打ちながら言った、『神様、罪人のわたしをおゆるしください』と。 + あなたがたに言っておく。神に義とされて自分の家に帰ったのは、この取税人であって、あのパリサイ人ではなかった。おおよそ、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう」。 + イエスにさわっていただくために、人々が幼な子らをみもとに連れてきた。ところが、弟子たちはそれを見て、彼らをたしなめた。 + するとイエスは幼な子らを呼び寄せて言われた、「幼な子らをわたしのところに来るままにしておきなさい、止めてはならない。神の国はこのような者の国である。 + よく聞いておくがよい。だれでも幼な子のように神の国を受けいれる者でなければ、そこにはいることは決してできない」。 + また、ある役人がイエスに尋ねた、「よき師よ、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。 + イエスは言われた、「なぜわたしをよき者と言うのか。神ひとりのほかによい者はいない。 + いましめはあなたの知っているとおりである、『姦淫するな、殺すな、盗むな、偽証を立てるな、父と母とを敬え』」。 + すると彼は言った、「それらのことはみな、小さい時から守っております」。 + イエスはこれを聞いて言われた、「あなたのする事がまだ一つ残っている。持っているものをみな売り払って、貧しい人々に分けてやりなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。 + 彼はこの言葉を聞いて非常に悲しんだ。大金持であったからである。 + イエスは彼の様子を見て言われた、「財産のある者が神の国にはいるのはなんとむずかしいことであろう。 + 富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。 + これを聞いた人々が、「それでは、だれが救われることができるのですか」と尋ねると、 + イエスは言われた、「人にはできない事も、神にはできる」。 + ペテロが言った、「ごらんなさい、わたしたちは自分のものを捨てて、あなたに従いました」。 + イエスは言われた、「よく聞いておくがよい。だれでも神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子を捨てた者は、 + 必ずこの時代ではその幾倍もを受け、また、きたるべき世では永遠の生命を受けるのである」。 + イエスは十二弟子を呼び寄せて言われた、「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子について預言者たちがしるしたことは、すべて成就するであろう。 + 人の子は異邦人に引きわたされ、あざけられ、はずかしめを受け、つばきをかけられ、 + また、むち打たれてから、ついに殺され、そして三日目によみがえるであろう」。 + 弟子たちには、これらのことが何一つわからなかった。この言葉が彼らに隠されていたので、イエスの言われた事が理解できなかった。 + イエスがエリコに近づかれたとき、ある盲人が道ばたにすわって、物ごいをしていた。 + 群衆が通り過ぎる音を耳にして、彼は何事があるのかと尋ねた。 + ところが、ナザレのイエスがお通りなのだと聞かされたので、 + 声をあげて、「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんで下さい」と言った。 + 先頭に立つ人々が彼をしかって黙らせようとしたが、彼はますます激しく叫びつづけた、「ダビデの子よ、わたしをあわれんで下さい」。 + そこでイエスは立ちどまって、その者を連れて来るように、とお命じになった。彼が近づいたとき、 + 「わたしに何をしてほしいのか」とおたずねになると、「主よ、見えるようになることです」と答えた。 + そこでイエスは言われた、「見えるようになれ。あなたの信仰があなたを救った」。 + すると彼は、たちまち見えるようになった。そして神をあがめながらイエスに従って行った。これを見て、人々はみな神をさんびした。 + + + さて、イエスはエリコにはいって、その町をお通りになった。 + ところが、そこにザアカイという名の人がいた。この人は取税人のかしらで、金持であった。 + 彼は、イエスがどんな人か見たいと思っていたが、背が低かったので、群衆にさえぎられて見ることができなかった。 + それでイエスを見るために、前の方に走って行って、いちじく桑の木に登った。そこを通られるところだったからである。 + イエスは、その場所にこられたとき、上を見あげて言われた、「ザアカイよ、急いで下りてきなさい。きょう、あなたの家に泊まることにしているから」。 + そこでザアカイは急いでおりてきて、よろこんでイエスを迎え入れた。 + 人々はみな、これを見てつぶやき、「彼は罪人の家にはいって客となった」と言った。 + ザアカイは立って主に言った、「主よ、わたしは誓って自分の財産の半分を貧民に施します。また、もしだれかから不正な取立てをしていましたら、それを四倍にして返します」。 + イエスは彼に言われた、「きょう、救がこの家にきた。この人もアブラハムの子なのだから。 + 人の子がきたのは、失われたものを尋ね出して救うためである」。 + 人々がこれらの言葉を聞いているときに、イエスはなお一つの譬をお話しになった。それはエルサレムに近づいてこられたし、また人々が神の国はたちまち現れると思っていたためである。 + それで言われた、「ある身分の高い人が、王位を受けて帰ってくるために遠い所へ旅立つことになった。 + そこで十人の僕を呼び十ミナを渡して言った、『わたしが帰って来るまで、これで商売をしなさい』。 + ところが、本国の住民は彼を憎んでいたので、あとから使者をおくって、『この人が王になるのをわれわれは望んでいない』と言わせた。 + さて、彼が王位を受けて帰ってきたとき、だれがどんなもうけをしたかを知ろうとして、金を渡しておいた僕たちを呼んでこさせた。 + 最初の者が進み出て言った、『ご主人様、あなたの一ミナで十ミナをもうけました』。 + 主人は言った、『よい僕よ、うまくやった。あなたは小さい事に忠実であったから、十の町を支配させる』。 + 次の者がきて言った、『ご主人様、あなたの一ミナで五ミナをつくりました』。 + そこでこの者にも、『では、あなたは五つの町のかしらになれ』と言った。 + それから、もうひとりの者がきて言った、『ご主人様、さあ、ここにあなたの一ミナがあります。わたしはそれをふくさに包んで、しまっておきました。 + あなたはきびしい方で、おあずけにならなかったものを取りたて、おまきにならなかったものを刈る人なので、おそろしかったのです』。 + 彼に言った、『悪い僕よ、わたしはあなたの言ったその言葉であなたをさばこう。わたしがきびしくて、あずけなかったものを取りたて、まかなかったものを刈る人間だと、知っているのか。 + では、なぜわたしの金を銀行に入れなかったのか。そうすれば、わたしが帰ってきたとき、その金を利子と一緒に引き出したであろうに』。 + そして、そばに立っていた人々に、『その一ミナを彼から取り上げて、十ミナを持っている者に与えなさい』と言った。 + 彼らは言った、『ご主人様、あの人は既に十ミナを持っています』。 + 『あなたがたに言うが、おおよそ持っている人には、なお与えられ、持っていない人からは、持っているものまでも取り上げられるであろう。 + しかしわたしが王になることを好まなかったあの敵どもを、ここにひっぱってきて、わたしの前で打ち殺せ』」。 + イエスはこれらのことを言ったのち、先頭に立ち、エルサレムへ上って行かれた。 + そしてオリブという山に沿ったベテパゲとベタニヤに近づかれたとき、ふたりの弟子をつかわして言われた、 + 「向こうの村へ行きなさい。そこにはいったら、まだだれも乗ったことのないろばの子がつないであるのを見るであろう。それを解いて、引いてきなさい。 + もしだれかが『なぜ解くのか』と問うたら、『主がお入り用なのです』と、そう言いなさい」。 + そこで、つかわされた者たちが行って見ると、果して、言われたとおりであった。 + 彼らが、そのろばの子を解いていると、その持ち主たちが、「なぜろばの子を解くのか」と言ったので、 + 「主がお入り用なのです」と答えた。 + そしてそれをイエスのところに引いてきて、その子ろばの上に自分たちの上着をかけてイエスをお乗せした。 + そして進んで行かれると、人々は自分たちの上着を道に敷いた。 + いよいよオリブ山の下り道あたりに近づかれると、大ぜいの弟子たちはみな喜んで、彼らが見たすべての力あるみわざについて、声高らかに神をさんびして言いはじめた、 + 「主の御名によってきたる王に、祝福あれ。天には平和、いと高きところには栄光あれ」。 + ところが、群衆の中にいたあるパリサイ人たちがイエスに言った、「先生、あなたの弟子たちをおしかり下さい」。 + 答えて言われた、「あなたがたに言うが、もしこの人たちが黙れば、石が叫ぶであろう」。 + いよいよ都の近くにきて、それが見えたとき、そのために泣いて言われた、 + 「もしおまえも、この日に、平和をもたらす道を知ってさえいたら……しかし、それは今おまえの目に隠されている。 + いつかは、敵が周囲に塁を築き、おまえを取りかこんで、四方から押し迫り、 + おまえとその内にいる子らとを地に打ち倒し、城内の一つの石も他の石の上に残して置かない日が来るであろう。それは、おまえが神のおとずれの時を知らないでいたからである」。 + それから宮にはいり、商売人たちを追い出しはじめて、 + 彼らに言われた、「『わが家は祈の家であるべきだ』と書いてあるのに、あなたがたはそれを盗賊の巣にしてしまった」。 + イエスは毎日、宮で教えておられた。祭司長、律法学者また民衆の重立った者たちはイエスを殺そうと思っていたが、 + 民衆がみな熱心にイエスに耳を傾けていたので、手のくだしようがなかった。 + + + ある日、イエスが宮で人々に教え、福音を宣べておられると、祭司長や律法学者たちが、長老たちと共に近寄ってきて、 + イエスに言った、「何の権威によってこれらの事をするのですか。そうする権威をあなたに与えたのはだれですか、わたしたちに言ってください」。 + そこで、イエスは答えて言われた、「わたしも、ひと言たずねよう。それに答えてほしい。 + ヨハネのバプテスマは、天からであったか、人からであったか」。 + 彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 + しかし、もし人からだと言えば、民衆はみな、ヨハネを預言者だと信じているから、わたしたちを石で打つだろう」。 + それで彼らは「どこからか、知りません」と答えた。 + イエスはこれに対して言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。 + そこでイエスは次の譬を民衆に語り出された、「ある人がぶどう園を造って農夫たちに貸し、長い旅に出た。 + 季節になったので、農夫たちのところへ、ひとりの僕を送って、ぶどう園の収穫の分け前を出させようとした。ところが、農夫たちは、その僕を袋だたきにし、から手で帰らせた。 + そこで彼はもうひとりの僕を送った。彼らはその僕も袋だたきにし、侮辱を加えて、から手で帰らせた。 + そこで更に三人目の者を送ったが、彼らはこの者も、傷を負わせて追い出した。 + ぶどう園の主人は言った、『どうしようか。そうだ、わたしの愛子をつかわそう。これなら、たぶん敬ってくれるだろう』。 + ところが、農夫たちは彼を見ると、『あれはあと取りだ。あれを殺してしまおう。そうしたら、その財産はわれわれのものになるのだ』と互に話し合い、 + 彼をぶどう園の外に追い出して殺した。そのさい、ぶどう園の主人は、彼らをどうするだろうか。 + 彼は出てきて、この農夫たちを殺し、ぶどう園を他の人々に与えるであろう」。人々はこれを聞いて、「そんなことがあってはなりません」と言った。 + そこで、イエスは彼らを見つめて言われた、「それでは、『家造りらの捨てた石が隅のかしら石になった』と書いてあるのは、どういうことか。 + すべてその石の上に落ちる者は打ち砕かれ、それがだれかの上に落ちかかるなら、その人はこなみじんにされるであろう」。 + このとき、律法学者たちや祭司長たちはイエスに手をかけようと思ったが、民衆を恐れた。いまの譬が自分たちに当てて語られたのだと、悟ったからである。 + そこで、彼らは機会をうかがい、義人を装うまわし者どもを送って、イエスを総督の支配と権威とに引き渡すため、その言葉じりを捕えさせようとした。 + 彼らは尋ねて言った、「先生、わたしたちは、あなたの語り教えられることが正しく、また、あなたは分け隔てをなさらず、真理に基いて神の道を教えておられることを、承知しています。 + ところで、カイザルに貢を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか」。 + イエスは彼らの悪巧みを見破って言われた、 + 「デナリを見せなさい。それにあるのは、だれの肖像、だれの記号なのか」。「カイザルのです」と、彼らが答えた。 + するとイエスは彼らに言われた、「それなら、カイザルのものはカイザルに、神のものは神に返しなさい」。 + そこで彼らは、民衆の前でイエスの言葉じりを捕えることができず、その答に驚嘆して、黙ってしまった。 + 復活ということはないと言い張っていたサドカイ人のある者たちが、イエスに近寄ってきて質問した、 + 「先生、モーセは、わたしたちのためにこう書いています、『もしある人の兄が妻をめとり、子がなくて死んだなら、弟はこの女をめとって、兄のために子をもうけねばならない』。 + ところで、ここに七人の兄弟がいました。長男は妻をめとりましたが、子がなくて死に、 + そして次男、三男と、次々に、その女をめとり、 + 七人とも同様に、子をもうけずに死にました。 + のちに、その女も死にました。 + さて、復活の時には、この女は七人のうち、だれの妻になるのですか。七人とも彼女を妻にしたのですが」。 + イエスは彼らに言われた、「この世の子らは、めとったり、とついだりするが、 + かの世にはいって死人からの復活にあずかるにふさわしい者たちは、めとったり、とついだりすることはない。 + 彼らは天使に等しいものであり、また復活にあずかるゆえに、神の子でもあるので、もう死ぬことはあり得ないからである。 + 死人がよみがえることは、モーセも柴の篇で、主を『アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』と呼んで、これを示した。 + 神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神である。人はみな神に生きるものだからである」。 + 律法学者のうちのある人々が答えて言った、「先生、仰せのとおりです」。 + 彼らはそれ以上何もあえて問いかけようとしなかった。 + イエスは彼らに言われた、「どうして人々はキリストをダビデの子だと言うのか。 + ダビデ自身が詩篇の中で言っている、『主はわが主に仰せになった、 + あなたの敵をあなたの足台とする時までは、わたしの右に座していなさい』。 + このように、ダビデはキリストを主と呼んでいる。それなら、どうしてキリストはダビデの子であろうか」。 + 民衆がみな聞いているとき、イエスは弟子たちに言われた、 + 「律法学者に気をつけなさい。彼らは長い衣を着て歩くのを好み、広場での敬礼や会堂の上席や宴会の上座をよろこび、 + やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。彼らはもっときびしいさばきを受けるであろう」。 + + + イエスは目をあげて、金持たちがさいせん箱に献金を投げ入れるのを見られ、 + また、ある貧しいやもめが、レプタ二つを入れるのを見て + 言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめはだれよりもたくさん入れたのだ。 + これらの人たちはみな、ありあまる中から献金を投げ入れたが、あの婦人は、その乏しい中から、持っている生活費全部を入れたからである」。 + ある人々が、見事な石と奉納物とで宮が飾られていることを話していたので、イエスは言われた、 + 「あなたがたはこれらのものをながめているが、その石一つでもくずされずに、他の石の上に残ることもなくなる日が、来るであろう」。 + そこで彼らはたずねた、「先生、では、いつそんなことが起るのでしょうか。またそんなことが起るような場合には、どんな前兆がありますか」。 + イエスが言われた、「あなたがたは、惑わされないように気をつけなさい。多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだとか、時が近づいたとか、言うであろう。彼らについて行くな。 + 戦争と騒乱とのうわさを聞くときにも、おじ恐れるな。こうしたことはまず起らねばならないが、終りはすぐにはこない」。 + それから彼らに言われた、「民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。 + また大地震があり、あちこちに疫病やききんが起り、いろいろ恐ろしいことや天からの物すごい前兆があるであろう。 + しかし、これらのあらゆる出来事のある前に、人々はあなたがたに手をかけて迫害をし、会堂や獄に引き渡し、わたしの名のゆえに王や総督の前にひっぱって行くであろう。 + それは、あなたがたがあかしをする機会となるであろう。 + だから、どう答弁しようかと、前もって考えておかないことに心を決めなさい。 + あなたの反対者のだれもが抗弁も否定もできないような言葉と知恵とを、わたしが授けるから。 + しかし、あなたがたは両親、兄弟、親族、友人にさえ裏切られるであろう。また、あなたがたの中で殺されるものもあろう。 + また、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。 + しかし、あなたがたの髪の毛一すじでも失われることはない。 + あなたがたは耐え忍ぶことによって、自分の魂をかち取るであろう。 + エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たならば、そのときは、その滅亡が近づいたとさとりなさい。 + そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。市中にいる者は、そこから出て行くがよい。また、いなかにいる者は市内にはいってはいけない。 + それは、聖書にしるされたすべての事が実現する刑罰の日であるからだ。 + その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。地上には大きな苦難があり、この民にはみ怒りが臨み、 + 彼らはつるぎの刃に倒れ、また捕えられて諸国へ引きゆかれるであろう。そしてエルサレムは、異邦人の時期が満ちるまで、彼らに踏みにじられているであろう。 + また日と月と星とに、しるしが現れるであろう。そして、地上では、諸国民が悩み、海と大波とのとどろきにおじ惑い、 + 人々は世界に起ろうとする事を思い、恐怖と不安で気絶するであろう。もろもろの天体が揺り動かされるからである。 + そのとき、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。 + これらの事が起りはじめたら、身を起し頭をもたげなさい。あなたがたの救が近づいているのだから」。 + それから一つの譬を話された、「いちじくの木を、またすべての木を見なさい。 + はや芽を出せば、あなたがたはそれを見て、夏がすでに近いと、自分で気づくのである。 + このようにあなたがたも、これらの事が起るのを見たなら、神の国が近いのだとさとりなさい。 + よく聞いておきなさい。これらの事が、ことごとく起るまでは、この時代は滅びることがない。 + 天地は滅びるであろう。しかしわたしの言葉は決して滅びることがない。 + あなたがたが放縦や、泥酔や、世の煩いのために心が鈍っているうちに、思いがけないとき、その日がわなのようにあなたがたを捕えることがないように、よく注意していなさい。 + その日は地の全面に住むすべての人に臨むのであるから。 + これらの起ろうとしているすべての事からのがれて、人の子の前に立つことができるように、絶えず目をさまして祈っていなさい」。 + イエスは昼のあいだは宮で教え、夜には出て行ってオリブという山で夜をすごしておられた。 + 民衆はみな、み教を聞こうとして、いつも朝早く宮に行き、イエスのもとに集まった。 + + + さて、過越といわれている除酵祭が近づいた。 + 祭司長たちや律法学者たちは、どうかしてイエスを殺そうと計っていた。民衆を恐れていたからである。 + そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテと呼ばれていたユダに、サタンがはいった。 + すなわち、彼は祭司長たちや宮守がしらたちのところへ行って、どうしてイエスを彼らに渡そうかと、その方法について協議した。 + 彼らは喜んで、ユダに金を与える取決めをした。 + ユダはそれを承諾した。そして、群衆のいないときにイエスを引き渡そうと、機会をねらっていた。 + さて、過越の小羊をほふるべき除酵祭の日がきたので、 + イエスはペテロとヨハネとを使いに出して言われた、「行って、過越の食事ができるように準備をしなさい」。 + 彼らは言った、「どこに準備をしたらよいのですか」。 + イエスは言われた、「市内にはいったら、水がめを持っている男に出会うであろう。その人がはいる家までついて行って、 + その家の主人に言いなさい、『弟子たちと一緒に過越の食事をする座敷はどこか、と先生が言っておられます』。 + すると、その主人は席の整えられた二階の広間を見せてくれるから、そこに用意をしなさい」。 + 弟子たちは出て行ってみると、イエスが言われたとおりであったので、過越の食事の用意をした。 + 時間になったので、イエスは食卓につかれ、使徒たちも共に席についた。 + イエスは彼らに言われた、「わたしは苦しみを受ける前に、あなたがたとこの過越の食事をしようと、切に望んでいた。 + あなたがたに言って置くが、神の国で過越が成就する時までは、わたしは二度と、この過越の食事をすることはない」。 + そして杯を取り、感謝して言われた、「これを取って、互に分けて飲め。 + あなたがたに言っておくが、今からのち神の国が来るまでは、わたしはぶどうの実から造ったものを、いっさい飲まない」。 + またパンを取り、感謝してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「これは、あなたがたのために与えるわたしのからだである。わたしを記念するため、このように行いなさい」。 + 食事ののち、杯も同じ様にして言われた、「この杯は、あなたがたのために流すわたしの血で立てられる新しい契約である。 + しかし、そこに、わたしを裏切る者が、わたしと一緒に食卓に手を置いている。 + 人の子は定められたとおりに、去って行く。しかし人の子を裏切るその人は、わざわいである」。 + 弟子たちは、自分たちのうちのだれが、そんな事をしようとしているのだろうと、互に論じはじめた。 + それから、自分たちの中でだれがいちばん偉いだろうかと言って、争論が彼らの間に、起った。 + そこでイエスが言われた、「異邦の王たちはその民の上に君臨し、また、権力をふるっている者たちは恩人と呼ばれる。 + しかし、あなたがたは、そうであってはならない。かえって、あなたがたの中でいちばん偉い人はいちばん若い者のように、指導する人は仕える者のようになるべきである。 + 食卓につく人と給仕する者と、どちらが偉いのか。食卓につく人の方ではないか。しかし、わたしはあなたがたの中で、給仕をする者のようにしている。 + あなたがたは、わたしの試錬のあいだ、わたしと一緒に最後まで忍んでくれた人たちである。 + それで、わたしの父が国の支配をわたしにゆだねてくださったように、わたしもそれをあなたがたにゆだね、 + わたしの国で食卓について飲み食いをさせ、また位に座してイスラエルの十二の部族をさばかせるであろう。 + シモン、シモン、見よ、サタンはあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って許された。 + しかし、わたしはあなたの信仰がなくならないように、あなたのために祈った。それで、あなたが立ち直ったときには、兄弟たちを力づけてやりなさい」。 + シモンが言った、「主よ、わたしは獄にでも、また死に至るまでも、あなたとご一緒に行く覚悟です」。 + するとイエスが言われた、「ペテロよ、あなたに言っておく。きょう、鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」。 + そして彼らに言われた、「わたしが財布も袋もくつも持たせずにあなたがたをつかわしたとき、何かこまったことがあったか」。彼らは、「いいえ、何もありませんでした」と答えた。 + そこで言われた、「しかし今は、財布のあるものは、それを持って行け。袋も同様に持って行け。また、つるぎのない者は、自分の上着を売って、それを買うがよい。 + あなたがたに言うが、『彼は罪人のひとりに数えられた』としるしてあることは、わたしの身に成しとげられねばならない。そうだ、わたしに係わることは成就している」。 + 弟子たちが言った、「主よ、ごらんなさい、ここにつるぎが二振りございます」。イエスは言われた、「それでよい」。 + イエスは出て、いつものようにオリブ山に行かれると、弟子たちも従って行った。 + いつもの場所に着いてから、彼らに言われた、「誘惑に陥らないように祈りなさい」。 + そしてご自分は、石を投げてとどくほど離れたところへ退き、ひざまずいて、祈って言われた、 + 「父よ、みこころならば、どうぞ、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの思いではなく、みこころが成るようにしてください」。 + そのとき、御使が天からあらわれてイエスを力づけた。 + イエスは苦しみもだえて、ますます切に祈られた。そして、その汗が血のしたたりのように地に落ちた。 + 祈を終えて立ちあがり、弟子たちのところへ行かれると、彼らが悲しみのはて寝入っているのをごらんになって + 言われた、「なぜ眠っているのか。誘惑に陥らないように、起きて祈っていなさい」。 + イエスがまだそう言っておられるうちに、そこに群衆が現れ、十二弟子のひとりでユダという者が先頭に立って、イエスに接吻しようとして近づいてきた。 + そこでイエスは言われた、「ユダ、あなたは接吻をもって人の子を裏切るのか」。 + イエスのそばにいた人たちは、事のなりゆきを見て、「主よ、つるぎで切りつけてやりましょうか」と言って、 + そのうちのひとりが、祭司長の僕に切りつけ、その右の耳を切り落した。 + イエスはこれに対して言われた、「それだけでやめなさい」。そして、その僕の耳に手を触て、おいやしになった。 + それから、自分にむかって来る祭司長、宮守がしら、長老たちに対して言われた、「あなたがたは、強盗にむかうように剣や棒を持って出てきたのか。 + 毎日あなたがたと一緒に宮にいた時には、わたしに手をかけなかった。だが、今はあなたがたの時、また、やみの支配の時である」。 + それから人々はイエスを捕え、ひっぱって大祭司の邸宅へつれて行った。ペテロは遠くからついて行った。 + 人々は中庭のまん中に火をたいて、一緒にすわっていたので、ペテロもその中にすわった。 + すると、ある女中が、彼が火のそばにすわっているのを見、彼を見つめて、「この人もイエスと一緒にいました」と言った。 + ペテロはそれを打ち消して、「わたしはその人を知らない」と言った。 + しばらくして、ほかの人がペテロを見て言った、「あなたもあの仲間のひとりだ」。するとペテロは言った、「いや、それはちがう」。 + 約一時間たってから、またほかの者が言い張った、「たしかにこの人もイエスと一緒だった。この人もガリラヤ人なのだから」。 + ペテロは言った、「あなたの言っていることは、わたしにわからない」。すると、彼がまだ言い終らぬうちに、たちまち、鶏が鳴いた。 + 主は振りむいてペテロを見つめられた。そのときペテロは、「きょう、鶏が鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われた主のお言葉を思い出した。 + そして外へ出て、激しく泣いた。 + イエスを監視していた人たちは、イエスを嘲弄し、打ちたたき、 + 目かくしをして、「言いあててみよ。打ったのは、だれか」ときいたりした。 + そのほか、いろいろな事を言って、イエスを愚弄した。 + 夜が明けたとき、人民の長老、祭司長たち、律法学者たちが集まり、イエスを議会に引き出して言った、 + 「あなたがキリストなら、そう言ってもらいたい」。イエスは言われた、「わたしが言っても、あなたがたは信じないだろう。 + また、わたしがたずねても、答えないだろう。 + しかし、人の子は今からのち、全能の神の右に座するであろう」。 + 彼らは言った、「では、あなたは神の子なのか」。イエスは言われた、「あなたがたの言うとおりである」。 + すると彼らは言った、「これ以上、なんの証拠がいるか。われわれは直接彼の口から聞いたのだから」。 + + + 群衆はみな立ちあがって、イエスをピラトのところへ連れて行った。 + そして訴え出て言った、「わたしたちは、この人が国民を惑わし、貢をカイザルに納めることを禁じ、また自分こそ王なるキリストだと、となえているところを目撃しました」。 + ピラトはイエスに尋ねた、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは「そのとおりである」とお答えになった。 + そこでピラトは祭司長たちと群衆とにむかって言った、「わたしはこの人になんの罪もみとめない」。 + ところが彼らは、ますます言いつのってやまなかった、「彼は、ガリラヤからはじめてこの所まで、ユダヤ全国にわたって教え、民衆を煽動しているのです」。 + ピラトはこれを聞いて、この人はガリラヤ人かと尋ね、 + そしてヘロデの支配下のものであることを確かめたので、ちょうどこのころ、ヘロデがエルサレムにいたのをさいわい、そちらへイエスを送りとどけた。 + ヘロデはイエスを見て非常に喜んだ。それは、かねてイエスのことを聞いていたので、会って見たいと長いあいだ思っていたし、またイエスが何か奇跡を行うのを見たいと望んでいたからである。 + それで、いろいろと質問を試みたが、イエスは何もお答えにならなかった。 + 祭司長たちと律法学者たちとは立って、激しい語調でイエスを訴えた。 + またヘロデはその兵卒どもと一緒になって、イエスを侮辱したり嘲弄したりしたあげく、はなやかな着物を着せてピラトへ送りかえした。 + ヘロデとピラトとは以前は互に敵視していたが、この日に親しい仲になった。 + ピラトは、祭司長たちと役人たちと民衆とを、呼び集めて言った、 + 「おまえたちは、この人を民衆を惑わすものとしてわたしのところに連れてきたので、おまえたちの面前でしらべたが、訴え出ているような罪は、この人に少しもみとめられなかった。 + ヘロデもまたみとめなかった。現に彼はイエスをわれわれに送りかえしてきた。この人はなんら死に当るようなことはしていないのである。 + だから、彼をむち打ってから、ゆるしてやることにしよう」。〔 + 祭ごとにピラトがひとりの囚人をゆるしてやることになっていた。〕 + ところが、彼らはいっせいに叫んで言った、「その人を殺せ。バラバをゆるしてくれ」。 + このバラバは、都で起った暴動と殺人とのかどで、獄に投ぜられていた者である。 + ピラトはイエスをゆるしてやりたいと思って、もう一度かれらに呼びかけた。 + しかし彼らは、わめきたてて「十字架につけよ、彼を十字架につけよ」と言いつづけた。 + ピラトは三度目に彼らにむかって言った、「では、この人は、いったい、どんな悪事をしたのか。彼には死に当る罪は全くみとめられなかった。だから、むち打ってから彼をゆるしてやることにしよう」。 + ところが、彼らは大声をあげて詰め寄り、イエスを十字架につけるように要求した。そして、その声が勝った。 + ピラトはついに彼らの願いどおりにすることに決定した。 + そして、暴動と殺人とのかどで獄に投ぜられた者の方を、彼らの要求に応じてゆるしてやり、イエスの方は彼らに引き渡して、その意のままにまかせた。 + 彼らがイエスをひいてゆく途中、シモンというクレネ人が郊外から出てきたのを捕えて十字架を負わせ、それをになってイエスのあとから行かせた。 + 大ぜいの民衆と、悲しみ嘆いてやまない女たちの群れとが、イエスに従って行った。 + イエスは女たちの方に振りむいて言われた、「エルサレムの娘たちよ、わたしのために泣くな。むしろ、あなたがた自身のため、また自分の子供たちのために泣くがよい。 + 『不妊の女と子を産まなかった胎と、ふくませなかった乳房とは、さいわいだ』と言う日が、いまに来る。 + そのとき、人々は山にむかって、われわれの上に倒れかかれと言い、また丘にむかって、われわれにおおいかぶされと言い出すであろう。 + もし、生木でさえもそうされるなら、枯木はどうされることであろう」。 + さて、イエスと共に刑を受けるために、ほかにふたりの犯罪人も引かれていった。 + されこうべと呼ばれている所に着くと、人々はそこでイエスを十字架につけ、犯罪人たちも、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけた。 + そのとき、イエスは言われた、「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです」。人々はイエスの着物をくじ引きで分け合った。 + 民衆は立って見ていた。役人たちもあざ笑って言った、「彼は他人を救った。もし彼が神のキリスト、選ばれた者であるなら、自分自身を救うがよい」。 + 兵卒どももイエスをののしり、近寄ってきて酢いぶどう酒をさし出して言った、 + 「あなたがユダヤ人の王なら、自分を救いなさい」。 + イエスの上には、「これはユダヤ人の王」と書いた札がかけてあった。 + 十字架にかけられた犯罪人のひとりが、「あなたはキリストではないか。それなら、自分を救い、またわれわれも救ってみよ」と、イエスに悪口を言いつづけた。 + もうひとりは、それをたしなめて言った、「おまえは同じ刑を受けていながら、神を恐れないのか。 + お互は自分のやった事のむくいを受けているのだから、こうなったのは当然だ。しかし、このかたは何も悪いことをしたのではない」。 + そして言った、「イエスよ、あなたが御国の権威をもっておいでになる時には、わたしを思い出してください」。 + イエスは言われた、「よく言っておくが、あなたはきょう、わたしと一緒にパラダイスにいるであろう」。 + 時はもう昼の十二時ごろであったが、太陽は光を失い、全地は暗くなって、三時に及んだ。 + そして聖所の幕がまん中から裂けた。 + そのとき、イエスは声高く叫んで言われた、「父よ、わたしの霊をみ手にゆだねます」。こう言ってついに息を引きとられた。 + 百卒長はこの有様を見て、神をあがめ、「ほんとうに、この人は正しい人であった」と言った。 + この光景を見に集まってきた群衆も、これらの出来事を見て、みな胸を打ちながら帰って行った。 + すべてイエスを知っていた者や、ガリラヤから従ってきた女たちも、遠い所に立って、これらのことを見ていた。 + ここに、ヨセフという議員がいたが、善良で正しい人であった。 + この人はユダヤの町アリマタヤの出身で、神の国を待ち望んでいた。彼は議会の議決や行動には賛成していなかった。 + この人がピラトのところへ行って、イエスのからだの引取り方を願い出て、 + それを取りおろして亜麻布に包み、まだだれも葬ったことのない、岩を掘って造った墓に納めた。 + この日は準備の日であって、安息日が始まりかけていた。 + イエスと一緒にガリラヤからきた女たちは、あとについてきて、その墓を見、またイエスのからだが納められる様子を見とどけた。 + そして帰って、香料と香油とを用意した。それからおきてに従って安息日を休んだ。 + + + 週の初めの日、夜明け前に、女たちは用意しておいた香料を携えて、墓に行った。 + ところが、石が墓からころがしてあるので、 + 中にはいってみると、主イエスのからだが見当らなかった。 + そのため途方にくれていると、見よ、輝いた衣を着たふたりの者が、彼らに現れた。 + 女たちは驚き恐れて、顔を地に伏せていると、このふたりの者が言った、「あなたがたは、なぜ生きた方を死人の中にたずねているのか。 + そのかたは、ここにはおられない。よみがえられたのだ。まだガリラヤにおられたとき、あなたがたにお話しになったことを思い出しなさい。 + すなわち、人の子は必ず罪人らの手に渡され、十字架につけられ、そして三日目によみがえる、と仰せられたではないか」。 + そこで女たちはその言葉を思い出し、 + 墓から帰って、これらいっさいのことを、十一弟子や、その他みんなの人に報告した。 + この女たちというのは、マグダラのマリヤ、ヨハンナ、およびヤコブの母マリヤであった。彼女たちと一緒にいたほかの女たちも、このことを使徒たちに話した。 + ところが、使徒たちには、それが愚かな話のように思われて、それを信じなかった。〔 + ペテロは立って墓へ走って行き、かがんで中を見ると、亜麻布だけがそこにあったので、事の次第を不思議に思いながら帰って行った。〕 + この日、ふたりの弟子が、エルサレムから七マイルばかり離れたエマオという村へ行きながら、 + このいっさいの出来事について互に語り合っていた。 + 語り合い論じ合っていると、イエスご自身が近づいてきて、彼らと一緒に歩いて行かれた。 + しかし、彼らの目がさえぎられて、イエスを認めることができなかった。 + イエスは彼らに言われた、「歩きながら互に語り合っているその話は、なんのことなのか」。彼らは悲しそうな顔をして立ちどまった。 + そのひとりのクレオパという者が、答えて言った、「あなたはエルサレムに泊まっていながら、あなただけが、この都でこのごろ起ったことをご存じないのですか」。 + 「それは、どんなことか」と言われると、彼らは言った、「ナザレのイエスのことです。あのかたは、神とすべての民衆との前で、わざにも言葉にも力ある預言者でしたが、 + 祭司長たちや役人たちが、死刑に処するために引き渡し、十字架につけたのです。 + わたしたちは、イスラエルを救うのはこの人であろうと、望みをかけていました。しかもその上に、この事が起ってから、きょうが三日目なのです。 + ところが、わたしたちの仲間である数人の女が、わたしたちを驚かせました。というのは、彼らが朝早く墓に行きますと、 + イエスのからだが見当らないので、帰ってきましたが、そのとき御使が現れて、『イエスは生きておられる』と告げたと申すのです。 + それで、わたしたちの仲間が数人、墓に行って見ますと、果して女たちが言ったとおりで、イエスは見当りませんでした」。 + そこでイエスが言われた、「ああ、愚かで心のにぶいため、預言者たちが説いたすべての事を信じられない者たちよ。 + キリストは必ず、これらの苦難を受けて、その栄光に入るはずではなかったのか」。 + こう言って、モーセやすべての預言者からはじめて、聖書全体にわたり、ご自身についてしるしてある事どもを、説きあかされた。 + それから、彼らは行こうとしていた村に近づいたが、イエスがなお先へ進み行かれる様子であった。 + そこで、しいて引き止めて言った、「わたしたちと一緒にお泊まり下さい。もう夕暮になっており、日もはや傾いています」。イエスは、彼らと共に泊まるために、家にはいられた。 + 一緒に食卓につかれたとき、パンを取り、祝福してさき、彼らに渡しておられるうちに、 + 彼らの目が開けて、それがイエスであることがわかった。すると、み姿が見えなくなった。 + 彼らは互に言った、「道々お話しになったとき、また聖書を説き明してくださったとき、お互の心が内に燃えたではないか」。 + そして、すぐに立ってエルサレムに帰って見ると、十一弟子とその仲間が集まっていて、 + 「主は、ほんとうによみがえって、シモンに現れなさった」と言っていた。 + そこでふたりの者は、途中であったことや、パンをおさきになる様子でイエスだとわかったことなどを話した。 + こう話していると、イエスが彼らの中にお立ちになった。〔そして「やすかれ」と言われた。〕 + 彼らは恐れ驚いて、霊を見ているのだと思った。 + そこでイエスが言われた、「なぜおじ惑っているのか。どうして心に疑いを起すのか。 + わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ」。〔 + こう言って、手と足とをお見せになった。〕 + 彼らは喜びのあまり、まだ信じられないで不思議に思っていると、イエスが「ここに何か食物があるか」と言われた。 + 彼らが焼いた魚の一きれをさしあげると、 + イエスはそれを取って、みんなの前で食べられた。 + それから彼らに対して言われた、「わたしが以前あなたがたと一緒にいた時分に話して聞かせた言葉は、こうであった。すなわち、モーセの律法と預言書と詩篇とに、わたしについて書いてあることは、必ずことごとく成就する」。 + そこでイエスは、聖書を悟らせるために彼らの心を開いて + 言われた、「こう、しるしてある。キリストは苦しみを受けて、三日目に死人の中からよみがえる。 + そして、その名によって罪のゆるしを得させる悔改めが、エルサレムからはじまって、もろもろの国民に宣べ伝えられる。 + あなたがたは、これらの事の証人である。 + 見よ、わたしの父が約束されたものを、あなたがたに贈る。だから、上から力を授けられるまでは、あなたがたは都にとどまっていなさい」。 + それから、イエスは彼らをベタニヤの近くまで連れて行き、手をあげて彼らを祝福された。 + 祝福しておられるうちに、彼らを離れて、〔天にあげられた。〕 + 彼らは〔イエスを拝し、〕非常な喜びをもってエルサレムに帰り、 + 絶えず宮にいて、神をほめたたえていた。 + +
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+ + 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。 + この言は初めに神と共にあった。 + すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。 + この言に命があった。そしてこの命は人の光であった。 + 光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。 + ここにひとりの人があって、神からつかわされていた。その名をヨハネと言った。 + この人はあかしのためにきた。光についてあかしをし、彼によってすべての人が信じるためである。 + 彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。 + すべての人を照すまことの光があって、世にきた。 + 彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。 + 彼は自分のところにきたのに、自分の民は彼を受けいれなかった。 + しかし、彼を受けいれた者、すなわち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである。 + それらの人は、血すじによらず、肉の欲によらず、また、人の欲にもよらず、ただ神によって生れたのである。 + そして言は肉体となり、わたしたちのうちに宿った。わたしたちはその栄光を見た。それは父のひとり子としての栄光であって、めぐみとまこととに満ちていた。 + ヨハネは彼についてあかしをし、叫んで言った、「『わたしのあとに来るかたは、わたしよりもすぐれたかたである。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この人のことである」。 + わたしたちすべての者は、その満ち満ちているものの中から受けて、めぐみにめぐみを加えられた。 + 律法はモーセをとおして与えられ、めぐみとまこととは、イエス・キリストをとおしてきたのである。 + 神を見た者はまだひとりもいない。ただ父のふところにいるひとり子なる神だけが、神をあらわしたのである。 + さて、ユダヤ人たちが、エルサレムから祭司たちやレビ人たちをヨハネのもとにつかわして、「あなたはどなたですか」と問わせたが、その時ヨハネが立てたあかしは、こうであった。 + すなわち、彼は告白して否まず、「わたしはキリストではない」と告白した。 + そこで、彼らは問うた、「それでは、どなたなのですか、あなたはエリヤですか」。彼は「いや、そうではない」と言った。「では、あの預言者ですか」。彼は「いいえ」と答えた。 + そこで、彼らは言った、「あなたはどなたですか。わたしたちをつかわした人々に、答を持って行けるようにしていただきたい。あなた自身をだれだと考えるのですか」。 + 彼は言った、「わたしは、預言者イザヤが言ったように、『主の道をまっすぐにせよと荒野で呼ばわる者の声』である」。 + つかわされた人たちは、パリサイ人であった。 + 彼らはヨハネに問うて言った、「では、あなたがキリストでもエリヤでもまたあの預言者でもないのなら、なぜバプテスマを授けるのですか」。 + ヨハネは彼らに答えて言った、「わたしは水でバプテスマを授けるが、あなたがたの知らないかたが、あなたがたの中に立っておられる。 + それがわたしのあとにあとにおいでになる方であって、わたしはその人のくつのひもを解く値うちもない」。 + これらのことは、ヨハネがバプテスマを授けていたヨルダンの向こうのベタニヤであったのである。 + その翌日、ヨハネはイエスが自分の方にこられるのを見て言った、「見よ、世の罪を取り除く神の小羊。 + 『わたしのあとに来るかたは、わたしよりもすぐれたかたである。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この人のことである。 + わたしはこのかたを知らなかった。しかし、このかたがイスラエルに現れてくださるそのことのために、わたしはきて、水でバプテスマを授けているのである」。 + ヨハネはまたあかしをして言った、「わたしは、御霊がはとのように天から下って、彼の上にとどまるのを見た。 + わたしはこの人を知らなかった。しかし、水でバプテスマを授けるようにと、わたしをおつかわしになったそのかたが、わたしに言われた、『ある人の上に、御霊が下ってとどまるのを見たら、その人こそは、御霊によってバプテスマを授けるかたである』。 + わたしはそれを見たので、このかたこそ神の子であると、あかしをしたのである」。 + その翌日、ヨハネはまたふたりの弟子たちと一緒に立っていたが、 + イエスが歩いておられるのに目をとめて言った、「見よ、神の小羊」。 + そのふたりの弟子は、ヨハネがそう言うのを聞いて、イエスについて行った。 + イエスはふり向き、彼らがついてくるのを見て言われた、「何か願いがあるのか」。彼らは言った、「ラビ(訳して言えば、先生)どこにおとまりなのですか」。 + イエスは彼らに言われた、「きてごらんなさい。そうしたらわかるだろう」。そこで彼らはついて行って、イエスの泊まっておられる所を見た。そして、その日はイエスのところに泊まった。時は午後四時ごろであった。 + ヨハネから聞いて、イエスについて行ったふたりのうちのひとりは、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。 + 彼はまず自分の兄弟シモンに出会って言った、「わたしたちはメシヤ(訳せば、キリスト)にいま出会った」。 + そしてシモンをイエスのもとにつれてきた。イエスは彼に目をとめて言われた、「あなたはヨハネの子シモンである。あなたをケパ(訳せば、ペテロ)と呼ぶことにする」。 + その翌日、イエスはガリラヤに行こうとされたが、ピリポに出会って言われた、「わたしに従ってきなさい」。 + ピリポは、アンデレとペテロとの町ベツサイダの人であった。 + このピリポがナタナエルに出会って言った、「わたしたちは、モーセが律法の中にしるしており、預言者たちがしるしていた人、ヨセフの子、ナザレのイエスにいま出会った」。 + ナタナエルは彼に言った、「ナザレから、なんのよいものが出ようか」。ピリポは彼に言った、「きて見なさい」。 + イエスはナタナエルが自分の方に来るのを見て、彼について言われた、「見よ、あの人こそ、ほんとうのイスラエル人である。その心には偽りがない」。 + ナタナエルは言った、「どうしてわたしをご存じなのですか」。イエスは答えて言われた、「ピリポがあなたを呼ぶ前に、わたしはあなたが、いちじくの木の下にいるのを見た」。 + ナタナエルは答えた、「先生、あなたは神の子です。あなたはイスラエルの王です」。 + イエスは答えて言われた、「あなたが、いちじくの木の下にいるのを見たと、わたしが言ったので信じるのか。これよりも、もっと大きなことを、あなたは見るであろう」。 + また言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。天が開けて、神の御使たちが人の子の上に上り下りするのを、あなたがたは見るであろう」。 + + + 三日目にガリラヤのカナに婚礼があって、イエスの母がそこにいた。 + イエスも弟子たちも、その婚礼に招かれた。 + ぶどう酒がなくなったので、母はイエスに言った、「ぶどう酒がなくなってしまいました」。 + イエスは母に言われた、「婦人よ、あなたは、わたしと、なんの係わりがありますか。わたしの時は、まだきていません」。 + 母は僕たちに言った、「このかたが、あなたがたに言いつけることは、なんでもして下さい」。 + そこには、ユダヤ人のきよめのならわしに従って、それぞれ四、五斗もはいる石の水がめが、六つ置いてあった。 + イエスは彼らに「かめに水をいっぱい入れなさい」と言われたので、彼らは口のところまでいっぱいに入れた。 + そこで彼らに言われた、「さあ、くんで、料理がしらのところに持って行きなさい」。すると、彼らは持って行った。 + 料理がしらは、ぶどう酒になった水をなめてみたが、それがどこからきたのか知らなかったので、(水をくんだ僕たちは知っていた)花婿を呼んで + 言った、「どんな人でも、初めによいぶどう酒を出して、酔いがまわったころにわるいのを出すものだ。それだのに、あなたはよいぶどう酒を今までとっておかれました」。 + イエスは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行い、その栄光を現された。そして弟子たちはイエスを信じた。 + そののち、イエスは、その母、兄弟たち、弟子たちと一緒に、カペナウムに下って、幾日かそこにとどまられた。 + さて、ユダヤ人の過越の祭が近づいたので、イエスはエルサレムに上られた。 + そして牛、羊、はとを売る者や両替する者などが宮の庭にすわり込んでいるのをごらんになって、 + なわでむちを造り、羊も牛もみな宮から追いだし、両替人の金を散らし、その台をひっくりかえし、 + はとを売る人々には「これらのものを持って、ここから出て行け。わたしの父の家を商売の家とするな」と言われた。 + 弟子たちは、「あなたの家を思う熱心が、わたしを食いつくすであろう」と書いてあることを思い出した。 + そこで、ユダヤ人はイエスに言った、「こんなことをするからには、どんなしるしをわたしたちに見せてくれますか」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「この神殿をこわしたら、わたしは三日のうちに、それを起すであろう」。 + そこで、ユダヤ人たちは言った、「この神殿を建てるのには、四十六年もかかっています。それだのに、あなたは三日のうちに、それを建てるのですか」。 + イエスは自分のからだである神殿のことを言われたのである。 + それで、イエスが死人の中からよみがえったとき、弟子たちはイエスがこう言われたことを思い出して、聖書とイエスのこの言葉とを信じた。 + 過越の祭の間、イエスがエルサレムに滞在しておられたとき、多くの人々は、その行われたしるしを見て、イエスの名を信じた。 + しかしイエスご自身は、彼らに自分をお任せにならなかった。それは、すべての人を知っておられ、 + また人についてあかしする者を、必要とされなかったからである。それは、ご自身人の心の中にあることを知っておられたからである。 + + + パリサイ人のひとりで、その名をニコデモというユダヤ人の指導者があった。 + この人が夜イエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちはあなたが神からこられた教師であることを知っています。神がご一緒でないなら、あなたがなさっておられるようなしるしは、だれにもできはしません」。 + イエスは答えて言われた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」。 + ニコデモは言った、「人は年をとってから生れることが、どうしてできますか。もう一度、母の胎にはいって生れることができましょうか」。 + イエスは答えられた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。 + 肉から生れる者は肉であり、霊から生れる者は霊である。 + あなたがたは新しく生れなければならないと、わたしが言ったからとて、不思議に思うには及ばない。 + 風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。 + ニコデモはイエスに答えて言った、「どうして、そんなことがあり得ましょうか」。 + イエスは彼に答えて言われた、「あなたはイスラエルの教師でありながら、これぐらいのことがわからないのか。 + よくよく言っておく。わたしたちは自分の知っていることを語り、また自分の見たことをあかししているのに、あなたがたはわたしたちのあかしを受けいれない。 + わたしが地上のことを語っているのに、あなたがたが信じないならば、天上のことを語った場合、どうしてそれを信じるだろうか。 + 天から下ってきた者、すなわち人の子のほかには、だれも天に上った者はない。 + そして、ちょうどモーセが荒野でへびを上げたように、人の子もまた上げられなければならない。 + それは彼を信じる者が、すべて永遠の命を得るためである」。 + 神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。 + 神が御子を世につかわされたのは、世をさばくためではなく、御子によって、この世が救われるためである。 + 彼を信じる者は、さばかれない。信じない者は、すでにさばかれている。神のひとり子の名を信じることをしないからである。 + そのさばきというのは、光がこの世にきたのに、人々はそのおこないが悪いために、光よりもやみの方を愛したことである。 + 悪を行っている者はみな光を憎む。そして、そのおこないが明るみに出されるのを恐れて、光にこようとはしない。 + しかし、真理を行っている者は光に来る。その人のおこないの、神にあってなされたということが、明らかにされるためである。 + こののち、イエスは弟子たちとユダヤの地に行き、彼らと一緒にそこに滞在して、バプテスマを授けておられた。 + ヨハネもサリムに近いアイノンで、バプテスマを授けていた。そこには水がたくさんあったからである。人々がぞくぞくとやってきてバプテスマを受けていた。 + そのとき、ヨハネはまだ獄に入れられてはいなかった。 + ところが、ヨハネの弟子たちとひとりのユダヤ人との間に、きよめのことで争論が起った。 + そこで彼らはヨハネのところにきて言った、「先生、ごらん下さい。ヨルダンの向こうであなたと一緒にいたことがあり、そして、あなたがあかしをしておられたあのかたが、バプテスマを授けており、皆の者が、そのかたのところへ出かけています」。 + ヨハネは答えて言った、「人は天から与えられなければ、何ものも受けることはできない。 + 『わたしはキリストではなく、そのかたよりも先につかわされた者である』と言ったことをあかししてくれるのは、あなたがた自身である。 + 花嫁をもつ者は花婿である。花婿の友人は立って彼の声を聞き、その声を聞いて大いに喜ぶ。こうして、この喜びはわたしに満ち足りている。 + 彼は必ず栄え、わたしは衰える。 + 上から来る者は、すべてのものの上にある。地から出る者は、地に属する者であって、地のことを語る。天から来る者は、すべてのものの上にある。 + 彼はその見たところ、聞いたところをあかししているが、だれもそのあかしを受けいれない。 + しかし、そのあかしを受けいれる者は、神がまことであることを、たしかに認めたのである。 + 神がおつかわしになったかたは、神の言葉を語る。神は聖霊を限りなく賜うからである。 + 父は御子を愛して、万物をその手にお与えになった。 + 御子を信じる者は永遠の命をもつ。御子に従わない者は、命にあずかることがないばかりか、神の怒りがその上にとどまるのである」。 + + + イエスが、ヨハネよりも多く弟子をつくり、またバプテスマを授けておられるということを、パリサイ人たちが聞き、それを主が知られたとき、 + (しかし、イエスみずからが、バプテスマをお授けになったのではなく、その弟子たちであった) + ユダヤを去って、またガリラヤへ行かれた。 + しかし、イエスはサマリヤを通過しなければならなかった。 + そこで、イエスはサマリヤのスカルという町においでになった。この町は、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにあったが、 + そこにヤコブの井戸があった。イエスは旅の疲れを覚えて、そのまま、この井戸のそばにすわっておられた。時は昼の十二時ごろであった。 + ひとりのサマリヤの女が水をくみにきたので、イエスはこの女に、「水を飲ませて下さい」と言われた。 + 弟子たちは食物を買いに町に行っていたのである。 + すると、サマリヤの女はイエスに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、どうしてサマリヤの女のわたしに、飲ませてくれとおっしゃるのですか」。これは、ユダヤ人はサマリヤ人と交際していなかったからである。 + イエスは答えて言われた、「もしあなたが神の賜物のことを知り、また、『水を飲ませてくれ』と言った者が、だれであるか知っていたならば、あなたの方から願い出て、その人から生ける水をもらったことであろう」。 + 女はイエスに言った、「主よ、あなたは、くむ物をお持ちにならず、その上、井戸は深いのです。その生ける水を、どこから手に入れるのですか。 + あなたは、この井戸を下さったわたしたちの父ヤコブよりも、偉いかたなのですか。ヤコブ自身も飲み、その子らも、その家畜も、この井戸から飲んだのですが」。 + イエスは女に答えて言われた、「この水を飲む者はだれでも、またかわくであろう。 + しかし、わたしが与える水を飲む者は、いつまでも、かわくことがないばかりか、わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が、わきあがるであろう」。 + 女はイエスに言った、「主よ、わたしがかわくことがなく、また、ここにくみにこなくてもよいように、その水をわたしに下さい」。 + イエスは女に言われた、「あなたの夫を呼びに行って、ここに連れてきなさい」。 + 女は答えて言った、「わたしには夫はありません」。イエスは女に言われた、「夫がないと言ったのは、もっともだ。 + あなたには五人の夫があったが、今のはあなたの夫ではない。あなたの言葉のとおりである」。 + 女はイエスに言った、「主よ、わたしはあなたを預言者と見ます。 + わたしたちの先祖は、この山で礼拝をしたのですが、あなたがたは礼拝すべき場所は、エルサレムにあると言っています」。 + イエスは女に言われた、「女よ、わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが、この山でも、またエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。 + あなたがたは自分の知らないものを拝んでいるが、わたしたちは知っているかたを礼拝している。救はユダヤ人から来るからである。 + しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊とまこととをもって父を礼拝する時が来る。そうだ、今きている。父は、このような礼拝をする者たちを求めておられるからである。 + 神は霊であるから、礼拝をする者も、霊とまこととをもって礼拝すべきである」。 + 女はイエスに言った、「わたしは、キリストと呼ばれるメシヤがこられることを知っています。そのかたがこられたならば、わたしたちに、いっさいのことを知らせて下さるでしょう」。 + イエスは女に言われた、「あなたと話をしているこのわたしが、それである」。 + そのとき、弟子たちが帰って来て、イエスがひとりの女と話しておられるのを見て不思議に思ったが、しかし、「何を求めておられますか」とも、「何を彼女と話しておられるのですか」とも、尋ねる者はひとりもなかった。 + この女は水がめをそのままそこに置いて町に行き、人々に言った、 + 「わたしのしたことを何もかも、言いあてた人がいます。さあ、見にきてごらんなさい。もしかしたら、この人がキリストかも知れません」。 + 人々は町を出て、ぞくぞくとイエスのところへ行った。 + その間に弟子たちはイエスに、「先生、召しあがってください」とすすめた。 + ところが、イエスは言われた、「わたしには、あなたがたの知らない食物がある」。 + そこで、弟子たちが互に言った、「だれかが、何か食べるものを持ってきてさしあげたのであろうか」。 + イエスは彼らに言われた、「わたしの食物というのは、わたしをつかわされたかたのみこころを行い、そのみわざをなし遂げることである。 + あなたがたは、刈入れ時が来るまでには、まだ四か月あると、言っているではないか。しかし、わたしはあなたがたに言う。目をあげて畑を見なさい。はや色づいて刈入れを待っている。 + 刈る者は報酬を受けて、永遠の命に至る実を集めている。まく者も刈る者も、共々に喜ぶためである。 + そこで、『ひとりがまき、ひとりが刈る』ということわざが、ほんとうのこととなる。 + わたしは、あなたがたをつかわして、あなたがたがそのために労苦しなかったものを刈りとらせた。ほかの人々が労苦し、あなたがたは、彼らの労苦の実にあずかっているのである」。 + さて、この町からきた多くのサマリヤ人は、「この人は、わたしのしたことを何もかも言いあてた」とあかしした女の言葉によって、イエスを信じた。 + そこで、サマリヤ人たちはイエスのもとにきて、自分たちのところに滞在していただきたいと願ったので、イエスはそこにふつか滞在された。 + そしてなお多くの人々が、イエスの言葉を聞いて信じた。 + 彼らは女に言った、「わたしたちが信じるのは、もうあなたが話してくれたからではない。自分自身で親しく聞いて、この人こそまことに世の救主であることが、わかったからである」。 + ふつかの後に、イエスはここを去ってガリラヤへ行かれた。 + イエスはみずからはっきり、「預言者は自分の故郷では敬われないものだ」と言われたのである。 + ガリラヤに着かれると、ガリラヤの人たちはイエスを歓迎した。それは、彼らも祭に行っていたので、その祭の時、イエスがエルサレムでなされたことをことごとく見ていたからである。 + イエスは、またガリラヤのカナに行かれた。そこは、かつて水をぶどう酒にかえられた所である。ところが、病気をしているむすこを持つある役人がカペナウムにいた。 + この人が、ユダヤからガリラヤにイエスのきておられることを聞き、みもとにきて、カペナウムに下って、彼の子をなおしていただきたいと、願った。その子が死にかかっていたからである。 + そこで、イエスは彼に言われた、「あなたがたは、しるしと奇跡とを見ない限り、決して信じないだろう」。 + この役人はイエスに言った、「主よ、どうぞ、子供が死なないうちにきて下さい」。 + イエスは彼に言われた、「お帰りなさい。あなたのむすこは助かるのだ」。彼は自分に言われたイエスの言葉を信じて帰って行った。 + その下って行く途中、僕たちが彼に出会い、その子が助かったことを告げた。 + そこで、彼は僕たちに、そのなおりはじめた時刻を尋ねてみたら、「きのうの午後一時に熱が引きました」と答えた。 + それは、イエスが「あなたのむすこは助かるのだ」と言われたのと同じ時刻であったことを、この父は知って、彼自身もその家族一同も信じた。 + これは、イエスがユダヤからガリラヤにきてなされた第二のしるしである。 + + + こののち、ユダヤ人の祭があったので、イエスはエルサレムに上られた。 + エルサレムにある羊の門のそばに、ヘブル語でベテスダと呼ばれる池があった。そこには五つの廊があった。 + その廊の中には、病人、盲人、足なえ、やせ衰えた者などが、大ぜいからだを横たえていた。〔彼らは水の動くのを待っていたのである。 + それは、時々、主の御使がこの池に降りてきて水を動かすことがあるが、水が動いた時まっ先にはいる者は、どんな病気にかかっていても、いやされたからである。〕 + さて、そこに三十八年のあいだ、病気に悩んでいる人があった。 + イエスはその人が横になっているのを見、また長い間わずらっていたのを知って、その人に「なおりたいのか」と言われた。 + この病人はイエスに答えた、「主よ、水が動く時に、わたしを池の中に入れてくれる人がいません。わたしがはいりかけると、ほかの人が先に降りて行くのです」。 + イエスは彼に言われた、「起きて、あなたの床を取りあげ、そして歩きなさい」。 + すると、この人はすぐにいやされ、床をとりあげて歩いて行った。その日は安息日であった。 + そこでユダヤ人たちは、そのいやされた人に言った、「きょうは安息日だ。床を取りあげるのは、よろしくない」。 + 彼は答えた、「わたしをなおして下さったかたが、床を取りあげて歩けと、わたしに言われました」。 + 彼らは尋ねた、「取りあげて歩けと言った人は、だれか」。 + しかし、このいやされた人は、それがだれであるか知らなかった。群衆がその場にいたので、イエスはそっと出て行かれたからである。 + そののち、イエスは宮でその人に出会ったので、彼に言われた、「ごらん、あなたはよくなった。もう罪を犯してはいけない。何かもっと悪いことが、あなたの身に起るかも知れないから」。 + 彼は出て行って、自分をいやしたのはイエスであったと、ユダヤ人たちに告げた。 + そのためユダヤ人たちは、安息日にこのようなことをしたと言って、イエスを責めた。 + そこで、イエスは彼らに答えられた、「わたしの父は今に至るまで働いておられる。わたしも働くのである」。 + このためにユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうと計るようになった。それは、イエスが安息日を破られたばかりではなく、神を自分の父と呼んで、自分を神と等しいものとされたからである。 + さて、イエスは彼らに答えて言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。子は父のなさることを見てする以外に、自分からは何事もすることができない。父のなさることであればすべて、子もそのとおりにするのである。 + なぜなら、父は子を愛して、みずからなさることは、すべて子にお示しになるからである。そして、それよりもなお大きなわざを、お示しになるであろう。あなたがたが、それによって不思議に思うためである。 + すなわち、父が死人を起して命をお与えになるように、子もまた、そのこころにかなう人々に命を与えるであろう。 + 父はだれをもさばかない。さばきのことはすべて、子にゆだねられたからである。 + それは、すべての人が父を敬うと同様に、子を敬うためである。子を敬わない者は、子をつかわされた父をも敬わない。 + よくよくあなたがたに言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしをつかわされたかたを信じる者は、永遠の命を受け、またさばかれることがなく、死から命に移っているのである。 + よくよくあなたがたに言っておく。死んだ人たちが、神の子の声を聞く時が来る。今すでにきている。そして聞く人は生きるであろう。 + それは、父がご自分のうちに生命をお持ちになっていると同様に、子にもまた、自分のうちに生命を持つことをお許しになったからである。 + そして子は人の子であるから、子にさばきを行う権威をお与えになった。 + このことを驚くには及ばない。墓の中にいる者たちがみな神の子の声を聞き、 + 善をおこなった人々は、生命を受けるためによみがえり、悪をおこなった人々は、さばきを受けるためによみがえって、それぞれ出てくる時が来るであろう。 + わたしは、自分からは何事もすることができない。ただ聞くままにさばくのである。そして、わたしのこのさばきは正しい。それは、わたし自身の考えでするのではなく、わたしをつかわされたかたの、み旨を求めているからである。 + もし、わたしが自分自身についてあかしをするならば、わたしのあかしはほんとうではない。 + わたしについてあかしをするかたはほかにあり、そして、その人がするあかしがほんとうであることを、わたしは知っている。 + あなたがたはヨハネのもとへ人をつかわしたが、そのとき彼は真理についてあかしをした。 + わたしは人からあかしを受けないが、このことを言うのは、あなたがたが救われるためである。 + ヨハネは燃えて輝くあかりであった。あなたがたは、しばらくの間その光を喜び楽しもうとした。 + しかし、わたしには、ヨハネのあかしよりも、もっと力あるあかしがある。父がわたしに成就させようとしてお与えになったわざ、すなわち、今わたしがしているこのわざが、父のわたしをつかわされたことをあかししている。 + また、わたしをつかわされた父も、ご自分でわたしについてあかしをされた。あなたがたは、まだそのみ声を聞いたこともなく、そのみ姿を見たこともない。 + また、神がつかわされた者を信じないから、神の御言はあなたがたのうちにとどまっていない。 + あなたがたは、聖書の中に永遠の命があると思って調べているが、この聖書は、わたしについてあかしをするものである。 + しかも、あなたがたは、命を得るためにわたしのもとにこようともしない。 + わたしは人からの誉を受けることはしない。 + しかし、あなたがたのうちには神を愛する愛がないことを知っている。 + わたしは父の名によってきたのに、あなたがたはわたしを受けいれない。もし、ほかの人が彼自身の名によって来るならば、その人を受けいれるのであろう。 + 互に誉を受けながら、ただひとりの神からの誉を求めようとしないあなたがたは、どうして信じることができようか。 + わたしがあなたがたのことを父に訴えると、考えてはいけない。あなたがたを訴える者は、あなたがたが頼みとしているモーセその人である。 + もし、あなたがたがモーセを信じたならば、わたしをも信じたであろう。モーセは、わたしについて書いたのである。 + しかし、モーセの書いたものを信じないならば、どうしてわたしの言葉を信じるだろうか」。 + + + そののち、イエスはガリラヤの海、すなわち、テベリヤ湖の向こう岸へ渡られた。 + すると、大ぜいの群衆がイエスについてきた。病人たちになさっていたしるしを見たからである。 + イエスは山に登って、弟子たちと一緒にそこで座につかれた。 + 時に、ユダヤ人の祭である過越が間近になっていた。 + イエスは目をあげ、大ぜいの群衆が自分の方に集まって来るのを見て、ピリポに言われた、「どこからパンを買ってきて、この人々に食べさせようか」。 + これはピリポをためそうとして言われたのであって、ご自分ではしようとすることを、よくご承知であった。 + すると、ピリポはイエスに答えた、「二百デナリのパンがあっても、めいめいが少しずついただくにも足りますまい」。 + 弟子のひとり、シモン・ペテロの兄弟アンデレがイエスに言った、 + 「ここに、大麦のパン五つと、さかな二ひきとを持っている子供がいます。しかし、こんなに大ぜいの人では、それが何になりましょう」。 + イエスは「人々をすわらせなさい」と言われた。その場所には草が多かった。そこにすわった男の数は五千人ほどであった。 + そこで、イエスはパンを取り、感謝してから、すわっている人々に分け与え、また、さかなをも同様にして、彼らの望むだけ分け与えられた。 + 人々がじゅうぶんに食べたのち、イエスは弟子たちに言われた、「少しでもむだにならないように、パンくずのあまりを集めなさい」。 + そこで彼らが集めると、五つの大麦のパンを食べて残ったパンくずは、十二のかごにいっぱいになった。 + 人々はイエスのなさったこのしるしを見て、「ほんとうに、この人こそ世にきたるべき預言者である」と言った。 + イエスは人々がきて、自分をとらえて王にしようとしていると知って、ただひとり、また山に退かれた。 + 夕方になったとき、弟子たちは海べに下り、 + 舟に乗って海を渡り、向こう岸のカペナウムに行きかけた。すでに暗くなっていたのに、イエスはまだ彼らのところにおいでにならなかった。 + その上、強い風が吹いてきて、海は荒れ出した。 + 四、五十丁こぎ出したとき、イエスが海の上を歩いて舟に近づいてこられるのを見て、彼らは恐れた。 + すると、イエスは彼らに言われた、「わたしだ、恐れることはない」。 + そこで、彼らは喜んでイエスを舟に迎えようとした。すると舟は、すぐ、彼らが行こうとしていた地に着いた。 + その翌日、海の向こう岸に立っていた群衆は、そこに小舟が一そうしかなく、またイエスは弟子たちと一緒に小舟にお乗りにならず、ただ弟子たちだけが船出したのを見た。 + しかし、数そうの小舟がテベリヤからきて、主が感謝されたのちパンを人々に食べさせた場所に近づいた。 + 群衆は、イエスも弟子たちもそこにいないと知って、それらの小舟に乗り、イエスをたずねてカペナウムに行った。 + そして、海の向こう岸でイエスに出会ったので言った、「先生、いつ、ここにおいでになったのですか」。 + イエスは答えて言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたがわたしを尋ねてきているのは、しるしを見たためではなく、パンを食べて満腹したからである。 + 朽ちる食物のためではなく、永遠の命に至る朽ちない食物のために働くがよい。これは人の子があなたがたに与えるものである。父なる神は、人の子にそれをゆだねられたのである」。 + そこで、彼らはイエスに言った、「神のわざを行うために、わたしたちは何をしたらよいでしょうか」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「神がつかわされた者を信じることが、神のわざである」。 + 彼らはイエスに言った、「わたしたちが見てあなたを信じるために、どんなしるしを行って下さいますか。どんなことをして下さいますか。 + わたしたちの先祖は荒野でマナを食べました。それは『天よりのパンを彼らに与えて食べさせた』と書いてあるとおりです」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「よくよく言っておく。天からのパンをあなたがたに与えたのは、モーセではない。天からのまことのパンをあなたがたに与えるのは、わたしの父なのである。 + 神のパンは、天から下ってきて、この世に命を与えるものである」。 + 彼らはイエスに言った、「主よ、そのパンをいつもわたしたちに下さい」。 + イエスは彼らに言われた、「わたしが命のパンである。わたしに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決してかわくことがない。 + しかし、あなたがたに言ったが、あなたがたはわたしを見たのに信じようとはしない。 + 父がわたしに与えて下さる者は皆、わたしに来るであろう。そして、わたしに来る者を決して拒みはしない。 + わたしが天から下ってきたのは、自分のこころのままを行うためではなく、わたしをつかわされたかたのみこころを行うためである。 + わたしをつかわされたかたのみこころは、わたしに与えて下さった者を、わたしがひとりも失わずに、終りの日によみがえらせることである。 + わたしの父のみこころは、子を見て信じる者が、ことごとく永遠の命を得ることなのである。そして、わたしはその人々を終りの日によみがえらせるであろう」。 + ユダヤ人らは、イエスが「わたしは天から下ってきたパンである」と言われたので、イエスについてつぶやき始めた。 + そして言った、「これはヨセフの子イエスではないか。わたしたちはその父母を知っているではないか。わたしは天から下ってきたと、どうして今いうのか」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「互につぶやいてはいけない。 + わたしをつかわされた父が引きよせて下さらなければ、だれもわたしに来ることはできない。わたしは、その人々を終りの日によみがえらせるであろう。 + 預言者の書に、『彼らはみな神に教えられるであろう』と書いてある。父から聞いて学んだ者は、みなわたしに来るのである。 + 神から出た者のほかに、だれかが父を見たのではない。その者だけが父を見たのである。 + よくよくあなたがたに言っておく。信じる者には永遠の命がある。 + わたしは命のパンである。 + あなたがたの先祖は荒野でマナを食べたが、死んでしまった。 + しかし、天から下ってきたパンを食べる人は、決して死ぬことはない。 + わたしは天から下ってきた生きたパンである。それを食べる者は、いつまでも生きるであろう。わたしが与えるパンは、世の命のために与えるわたしの肉である」。 + そこで、ユダヤ人らが互に論じて言った、「この人はどうして、自分の肉をわたしたちに与えて食べさせることができようか」。 + イエスは彼らに言われた、「よくよく言っておく。人の子の肉を食べず、また、その血を飲まなければ、あなたがたの内に命はない。 + わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者には、永遠の命があり、わたしはその人を終りの日によみがえらせるであろう。 + わたしの肉はまことの食物、わたしの血はまことの飲み物である。 + わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者はわたしにおり、わたしもまたその人におる。 + 生ける父がわたしをつかわされ、また、わたしが父によって生きているように、わたしを食べる者もわたしによって生きるであろう。 + 天から下ってきたパンは、先祖たちが食べたが死んでしまったようなものではない。このパンを食べる者は、いつまでも生きるであろう」。 + これらのことは、イエスがカペナウムの会堂で教えておられたときに言われたものである。 + 弟子たちのうちの多くの者は、これを聞いて言った、「これは、ひどい言葉だ。だれがそんなことを聞いておられようか」。 + しかしイエスは、弟子たちがそのことでつぶやいているのを見破って、彼らに言われた、「このことがあなたがたのつまずきになるのか。 + それでは、もし人の子が前にいた所に上るのを見たら、どうなるのか。 + 人を生かすものは霊であって、肉はなんの役にも立たない。わたしがあなたがたに話した言葉は霊であり、また命である。 + しかし、あなたがたの中には信じない者がいる」。イエスは、初めから、だれが信じないか、また、だれが彼を裏切るかを知っておられたのである。 + そしてイエスは言われた、「それだから、父が与えて下さった者でなければ、わたしに来ることはできないと、言ったのである」。 + それ以来、多くの弟子たちは去っていって、もはやイエスと行動を共にしなかった。 + そこでイエスは十二弟子に言われた、「あなたがたも去ろうとするのか」。 + シモン・ペテロが答えた、「主よ、わたしたちは、だれのところに行きましょう。永遠の命の言をもっているのはあなたです。 + わたしたちは、あなたが神の聖者であることを信じ、また知っています」。 + イエスは彼らに答えられた、「あなたがた十二人を選んだのは、わたしではなかったか。それだのに、あなたがたのうちのひとりは悪魔である」。 + これは、イスカリオテのシモンの子ユダをさして言われたのである。このユダは、十二弟子のひとりでありながら、イエスを裏切ろうとしていた。 + + + そののち、イエスはガリラヤを巡回しておられた。ユダヤ人たちが自分を殺そうとしていたので、ユダヤを巡回しようとはされなかった。 + 時に、ユダヤ人の仮庵の祭が近づいていた。 + そこで、イエスの兄弟たちがイエスに言った、「あなたがしておられるわざを弟子たちにも見せるために、ここを去りユダヤに行ってはいかがです。 + 自分を公けにあらわそうと思っている人で、隠れて仕事をするものはありません。あなたがこれらのことをするからには、自分をはっきりと世にあらわしなさい」。 + こう言ったのは、兄弟たちもイエスを信じていなかったからである。 + そこでイエスは彼らに言われた、「わたしの時はまだきていない。しかし、あなたがたの時はいつも備わっている。 + 世はあなたがたを憎み得ないが、わたしを憎んでいる。わたしが世のおこないの悪いことを、あかししているからである。 + あなたがたこそ祭に行きなさい。わたしはこの祭には行かない。わたしの時はまだ満ちていないから」。 + 彼らにこう言って、イエスはガリラヤにとどまっておられた。 + しかし、兄弟たちが祭に行ったあとで、イエスも人目にたたぬように、ひそかに行かれた。 + ユダヤ人らは祭の時に、「あの人はどこにいるのか」と言って、イエスを捜していた。 + 群衆の中に、イエスについていろいろとうわさが立った。ある人々は、「あれはよい人だ」と言い、他の人々は、「いや、あれは群衆を惑わしている」と言った。 + しかし、ユダヤ人らを恐れて、イエスのことを公然と口にする者はいなかった。 + 祭も半ばになってから、イエスは宮に上って教え始められた。 + すると、ユダヤ人たちは驚いて言った、「この人は学問をしたこともないのに、どうして律法の知識をもっているのだろう」。 + そこでイエスは彼らに答えて言われた、「わたしの教はわたし自身の教ではなく、わたしをつかわされたかたの教である。 + 神のみこころを行おうと思う者であれば、だれでも、わたしの語っているこの教が神からのものか、それとも、わたし自身から出たものか、わかるであろう。 + 自分から出たことを語る者は、自分の栄光を求めるが、自分をつかわされたかたの栄光を求める者は真実であって、その人の内には偽りがない。 + モーセはあなたがたに律法を与えたではないか。それだのに、あなたがたのうちには、その律法を行う者がひとりもない。あなたがたは、なぜわたしを殺そうと思っているのか」。 + 群衆は答えた、「あなたは悪霊に取りつかれている。だれがあなたを殺そうと思っているものか」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「わたしが一つのわざをしたところ、あなたがたは皆それを見て驚いている。 + モーセはあなたがたに割礼を命じたので、(これは、実は、モーセから始まったのではなく、先祖たちから始まったものである)あなたがたは安息日にも人に割礼を施している。 + もし、モーセの律法が破られないように、安息日であっても割礼を受けるのなら、安息日に人の全身を丈夫にしてやったからといって、どうして、そんなにおこるのか。 + うわべで人をさばかないで、正しいさばきをするがよい」。 + さて、エルサレムのある人たちが言った、「この人は人々が殺そうと思っている者ではないか。 + 見よ、彼は公然と語っているのに、人々はこれに対して何も言わない。役人たちは、この人がキリストであることを、ほんとうに知っているのではなかろうか。 + わたしたちはこの人がどこからきたのか知っている。しかし、キリストが現れる時には、どこから来るのか知っている者は、ひとりもいない」。 + イエスは宮の内で教えながら、叫んで言われた、「あなたがたは、わたしを知っており、また、わたしがどこからきたかも知っている。しかし、わたしは自分からきたのではない。わたしをつかわされたかたは真実であるが、あなたがたは、そのかたを知らない。 + わたしは、そのかたを知っている。わたしはそのかたのもとからきた者で、そのかたがわたしをつかわされたのである」。 + そこで人々はイエスを捕えようと計ったが、だれひとり手をかける者はなかった。イエスの時が、まだきていなかったからである。 + しかし、群衆の中の多くの者が、イエスを信じて言った、「キリストがきても、この人が行ったよりも多くのしるしを行うだろうか」。 + 群衆がイエスについてこのようなうわさをしているのを、パリサイ人たちは耳にした。そこで、祭司長たちやパリサイ人たちは、イエスを捕えようとして、下役どもをつかわした。 + イエスは言われた、「今しばらくの間、わたしはあなたがたと一緒にいて、それから、わたしをおつかわしになったかたのみもとに行く。 + あなたがたはわたしを捜すであろうが、見つけることはできない。そしてわたしのいる所に、あなたがたは来ることができない」。 + そこでユダヤ人たちは互に言った、「わたしたちが見つけることができないというのは、どこへ行こうとしているのだろう。ギリシヤ人の中に離散している人たちのところにでも行って、ギリシヤ人を教えようというのだろうか。 + また、『わたしを捜すが、見つけることはできない。そしてわたしのいる所には来ることができないだろう』と言ったその言葉は、どういう意味だろう」。 + 祭の終りの大事な日に、イエスは立って、叫んで言われた、「だれでもかわく者は、わたしのところにきて飲むがよい。 + わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その腹から生ける水が川となって流れ出るであろう」。 + これは、イエスを信じる人々が受けようとしている御霊をさして言われたのである。すなわち、イエスはまだ栄光を受けておられなかったので、御霊がまだ下っていなかったのである。 + 群衆のある者がこれらの言葉を聞いて、「このかたは、ほんとうに、あの預言者である」と言い、 + ほかの人たちは「このかたはキリストである」と言い、また、ある人々は、「キリストはまさか、ガリラヤからは出てこないだろう。 + キリストは、ダビデの子孫から、またダビデのいたベツレヘムの村から出ると、聖書に書いてあるではないか」と言った。 + こうして、群衆の間にイエスのことで分争が生じた。 + 彼らのうちのある人々は、イエスを捕えようと思ったが、だれひとり手をかける者はなかった。 + さて、下役どもが祭司長たちやパリサイ人たちのところに帰ってきたので、彼らはその下役どもに言った、「なぜ、あの人を連れてこなかったのか」。 + 下役どもは答えた、「この人の語るように語った者は、これまでにありませんでした」。 + パリサイ人たちが彼らに答えた、「あなたがたまでが、だまされているのではないか。 + 役人たちやパリサイ人たちの中で、ひとりでも彼を信じた者があっただろうか。 + 律法をわきまえないこの群衆は、のろわれている」。 + 彼らの中のひとりで、以前にイエスに会いにきたことのあるニコデモが、彼らに言った、 + 「わたしたちの律法によれば、まずその人の言い分を聞き、その人のしたことを知った上でなければ、さばくことをしないのではないか」。 + 彼らは答えて言った、「あなたもガリラヤ出なのか。よく調べてみなさい、ガリラヤからは預言者が出るものではないことが、わかるだろう」。〔 + そして、人々はおのおの家に帰って行った。 + + + イエスはオリブ山に行かれた。 + 朝早くまた宮にはいられると、人々が皆みもとに集まってきたので、イエスはすわって彼らを教えておられた。 + すると、律法学者たちやパリサイ人たちが、姦淫をしている時につかまえられた女をひっぱってきて、中に立たせた上、イエスに言った、 + 「先生、この女は姦淫の場でつかまえられました。 + モーセは律法の中で、こういう女を石で打ち殺せと命じましたが、あなたはどう思いますか」。 + 彼らがそう言ったのは、イエスをためして、訴える口実を得るためであった。しかし、イエスは身をかがめて、指で地面に何か書いておられた。 + 彼らが問い続けるので、イエスは身を起して彼らに言われた、「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」。 + そしてまた身をかがめて、地面に物を書きつづけられた。 + これを聞くと、彼らは年寄から始めて、ひとりびとり出て行き、ついに、イエスだけになり、女は中にいたまま残された。 + そこでイエスは身を起して女に言われた、「女よ、みんなはどこにいるか。あなたを罰する者はなかったのか」。 + 女は言った、「主よ、だれもございません」。イエスは言われた、「わたしもあなたを罰しない。お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように」。〕 + イエスは、また人々に語ってこう言われた、「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう」。 + するとパリサイ人たちがイエスに言った、「あなたは、自分のことをあかししている。あなたのあかしは真実ではない」。 + イエスは彼らに答えて言われた、「たとい、わたしが自分のことをあかししても、わたしのあかしは真実である。それは、わたしがどこからきたのか、また、どこへ行くのかを知っているからである。しかし、あなたがたは、わたしがどこからきて、どこへ行くのかを知らない。 + あなたがたは肉によって人をさばくが、わたしはだれもさばかない。 + しかし、もしわたしがさばくとすれば、わたしのさばきは正しい。なぜなら、わたしはひとりではなく、わたしをつかわされたかたが、わたしと一緒だからである。 + あなたがたの律法には、ふたりによる証言は真実だと、書いてある。 + わたし自身のことをあかしするのは、わたしであるし、わたしをつかわされた父も、わたしのことをあかしして下さるのである」。 + すると、彼らはイエスに言った、「あなたの父はどこにいるのか」。イエスは答えられた、「あなたがたは、わたしをもわたしの父をも知っていない。もし、あなたがたがわたしを知っていたなら、わたしの父をも知っていたであろう」。 + イエスが宮の内で教えていた時、これらの言葉をさいせん箱のそばで語られたのであるが、イエスの時がまだきていなかったので、だれも捕える者がなかった。 + さて、また彼らに言われた、「わたしは去って行く。あなたがたはわたしを捜し求めるであろう。そして自分の罪のうちに死ぬであろう。わたしの行く所には、あなたがたは来ることができない」。 + そこでユダヤ人たちは言った、「わたしの行く所に、あなたがたは来ることができないと、言ったのは、あるいは自殺でもしようとするつもりか」。 + イエスは彼らに言われた、「あなたがたは下から出た者だが、わたしは上からきた者である。あなたがたはこの世の者であるが、わたしはこの世の者ではない。 + だからわたしは、あなたがたは自分の罪のうちに死ぬであろうと、言ったのである。もしわたしがそういう者であることをあなたがたが信じなければ、罪のうちに死ぬことになるからである」。 + そこで彼らはイエスに言った、「あなたは、いったい、どういうかたですか」。イエスは彼らに言われた、「わたしがどういう者であるかは、初めからあなたがたに言っているではないか。 + あなたがたについて、わたしの言うべきこと、さばくべきことが、たくさんある。しかし、わたしをつかわされたかたは真実なかたである。わたしは、そのかたから聞いたままを世にむかって語るのである」。 + 彼らは、イエスが父について話しておられたことを悟らなかった。 + そこでイエスは言われた、「あなたがたが人の子を上げてしまった後はじめて、わたしがそういう者であること、また、わたしは自分からは何もせず、ただ父が教えて下さったままを話していたことが、わかってくるであろう。 + わたしをつかわされたかたは、わたしと一緒におられる。わたしは、いつも神のみこころにかなうことをしているから、わたしをひとり置きざりになさることはない」。 + これらのことを語られたところ、多くの人々がイエスを信じた。 + イエスは自分を信じたユダヤ人たちに言われた、「もしわたしの言葉のうちにとどまっておるなら、あなたがたは、ほんとうにわたしの弟子なのである。 + また真理を知るであろう。そして真理は、あなたがたに自由を得させるであろう」。 + そこで、彼らはイエスに言った、「わたしたちはアブラハムの子孫であって、人の奴隷になったことなどは、一度もない。どうして、あなたがたに自由を得させるであろうと、言われるのか」。 + イエスは彼らに答えられた、「よくよくあなたがたに言っておく。すべて罪を犯す者は罪の奴隷である。 + そして、奴隷はいつまでも家にいる者ではない。しかし、子はいつまでもいる。 + だから、もし子があなたがたに自由を得させるならば、あなたがたは、ほんとうに自由な者となるのである。 + わたしは、あなたがたがアブラハムの子孫であることを知っている。それだのに、あなたがたはわたしを殺そうとしている。わたしの言葉が、あなたがたのうちに根をおろしていないからである。 + わたしはわたしの父のもとで見たことを語っているが、あなたがたは自分の父から聞いたことを行っている」。 + 彼らはイエスに答えて言った、「わたしたちの父はアブラハムである」。イエスは彼らに言われた、「もしアブラハムの子であるなら、アブラハムのわざをするがよい。 + ところが今、神から聞いた真理をあなたがたに語ってきたこのわたしを、殺そうとしている。そんなことをアブラハムはしなかった。 + あなたがたは、あなたがたの父のわざを行っているのである」。彼らは言った、「わたしたちは、不品行の結果うまれた者ではない。わたしたちにはひとりの父がある。それは神である」。 + イエスは彼らに言われた、「神があなたがたの父であるならば、あなたがたはわたしを愛するはずである。わたしは神から出た者、また神からきている者であるからだ。わたしは自分からきたのではなく、神からつかわされたのである。 + どうしてあなたがたは、わたしの話すことがわからないのか。あなたがたが、わたしの言葉を悟ることができないからである。 + あなたがたは自分の父、すなわち、悪魔から出てきた者であって、その父の欲望どおりを行おうと思っている。彼は初めから、人殺しであって、真理に立つ者ではない。彼のうちには真理がないからである。彼が偽りを言うとき、いつも自分の本音をはいているのである。彼は偽り者であり、偽りの父であるからだ。 + しかし、わたしが真理を語っているので、あなたがたはわたしを信じようとしない。 + あなたがたのうち、だれがわたしに罪があると責めうるのか。わたしは真理を語っているのに、なぜあなたがたは、わたしを信じないのか。 + 神からきた者は神の言葉に聞き従うが、あなたがたが聞き従わないのは、神からきた者でないからである」。 + ユダヤ人たちはイエスに答えて言った、「あなたはサマリヤ人で、悪霊に取りつかれていると、わたしたちが言うのは、当然ではないか」。 + イエスは答えられた、「わたしは、悪霊に取りつかれているのではなくて、わたしの父を重んじているのだが、あなたがたはわたしを軽んじている。 + わたしは自分の栄光を求めてはいない。それを求めるかたが別にある。そのかたは、またさばくかたである。 + よくよく言っておく。もし人がわたしの言葉を守るならば、その人はいつまでも死を見ることがないであろう」。 + ユダヤ人たちが言った、「あなたが悪霊に取りつかれていることが、今わかった。アブラハムは死に、預言者たちも死んでいる。それだのに、あなたは、わたしの言葉を守る者はいつまでも死を味わうことがないであろうと、言われる。 + あなたは、わたしたちの父アブラハムより偉いのだろうか。彼も死に、預言者たちも死んだではないか。あなたは、いったい、自分をだれと思っているのか」。 + イエスは答えられた、「わたしがもし自分に栄光を帰するなら、わたしの栄光は、むなしいものである。わたしに栄光を与えるかたは、わたしの父であって、あなたがたが自分の神だと言っているのは、そのかたのことである。 + あなたがたはその神を知っていないが、わたしは知っている。もしわたしが神を知らないと言うならば、あなたがたと同じような偽り者であろう。しかし、わたしはそのかたを知り、その御言を守っている。 + あなたがたの父アブラハムは、わたしのこの日を見ようとして楽しんでいた。そしてそれを見て喜んだ」。 + そこでユダヤ人たちはイエスに言った、「あなたはまだ五十にもならないのに、アブラハムを見たのか」。 + イエスは彼らに言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。アブラハムの生れる前からわたしは、いるのである」。 + そこで彼らは石をとって、イエスに投げつけようとした。しかし、イエスは身を隠して、宮から出て行かれた。 + + + イエスが道をとおっておられるとき、生れつきの盲人を見られた。 + 弟子たちはイエスに尋ねて言った、「先生、この人が生れつき盲人なのは、だれが罪を犯したためですか。本人ですか、それともその両親ですか」。 + イエスは答えられた、「本人が罪を犯したのでもなく、また、その両親が犯したのでもない。ただ神のみわざが、彼の上に現れるためである。 + わたしたちは、わたしをつかわされたかたのわざを、昼の間にしなければならない。夜が来る。すると、だれも働けなくなる。 + わたしは、この世にいる間は、世の光である」。 + イエスはそう言って、地につばきをし、そのつばきで、どろをつくり、そのどろを盲人の目に塗って言われた、 + 「シロアム(つかわされた者、の意)の池に行って洗いなさい」。そこで彼は行って洗った。そして見えるようになって、帰って行った。 + 近所の人々や、彼がもと、こじきであったのを見知っていた人々が言った、「この人は、すわってこじきをしていた者ではないか」。 + ある人々は「その人だ」と言い、他の人々は「いや、ただあの人に似ているだけだ」と言った。しかし、本人は「わたしがそれだ」と言った。 + そこで人々は彼に言った、「では、おまえの目はどうしてあいたのか」。 + 彼は答えた、「イエスというかたが、どろをつくって、わたしの目に塗り、『シロアムに行って洗え』と言われました。それで、行って洗うと、見えるようになりました」。 + 人々は彼に言った、「その人はどこにいるのか」。彼は「知りません」と答えた。 + 人々は、もと盲人であったこの人を、パリサイ人たちのところにつれて行った。 + イエスがどろをつくって彼の目をあけたのは、安息日であった。 + パリサイ人たちもまた、「どうして見えるようになったのか」、と彼に尋ねた。彼は答えた、「あのかたがわたしの目にどろを塗り、わたしがそれを洗い、そして見えるようになりました」。 + そこで、あるパリサイ人たちが言った、「その人は神からきた人ではない。安息日を守っていないのだから」。しかし、ほかの人々は言った、「罪のある人が、どうしてそのようなしるしを行うことができようか」。そして彼らの間に分争が生じた。 + そこで彼らは、もう一度この盲人に聞いた、「おまえの目をあけてくれたその人を、どう思うか」。「預言者だと思います」と彼は言った。 + ユダヤ人たちは、彼がもと盲人であったが見えるようになったことを、まだ信じなかった。ついに彼らは、目が見えるようになったこの人の両親を呼んで、 + 尋ねて言った、「これが、生れつき盲人であったと、おまえたちの言っているむすこか。それではどうして、いま目が見えるのか」。 + 両親は答えて言った、「これがわたしどものむすこであること、また生れつき盲人であったことは存じています。 + しかし、どうしていま見えるようになったのか、それは知りません。また、だれがその目をあけて下さったのかも知りません。あれに聞いて下さい。あれはもうおとなですから、自分のことは自分で話せるでしょう」。 + 両親はユダヤ人たちを恐れていたので、こう答えたのである。それは、もしイエスをキリストと告白する者があれば、会堂から追い出すことに、ユダヤ人たちが既に決めていたからである。 + 彼の両親が「おとなですから、あれに聞いて下さい」と言ったのは、そのためであった。 + そこで彼らは、盲人であった人をもう一度呼んで言った、「神に栄光を帰するがよい。あの人が罪人であることは、わたしたちにはわかっている」。 + すると彼は言った、「あのかたが罪人であるかどうか、わたしは知りません。ただ一つのことだけ知っています。わたしは盲であったが、今は見えるということです」。 + そこで彼らは言った、「その人はおまえに何をしたのか。どんなにしておまえの目をあけたのか」。 + 彼は答えた、「そのことはもう話してあげたのに、聞いてくれませんでした。なぜまた聞こうとするのですか。あなたがたも、あの人の弟子になりたいのですか」。 + そこで彼らは彼をののしって言った、「おまえはあれの弟子だが、わたしたちはモーセの弟子だ。 + モーセに神が語られたということは知っている。だが、あの人がどこからきた者か、わたしたちは知らぬ」。 + そこで彼が答えて言った、「わたしの目をあけて下さったのに、そのかたがどこからきたか、ご存じないとは、不思議千万です。 + わたしたちはこのことを知っています。神は罪人の言うことはお聞きいれになりませんが、神を敬い、そのみこころを行う人の言うことは、聞きいれて下さいます。 + 生れつき盲であった者の目をあけた人があるということは、世界が始まって以来、聞いたことがありません。 + もしあのかたが神からきた人でなかったら、何一つできなかったはずです」。 + これを聞いて彼らは言った、「おまえは全く罪の中に生れていながら、わたしたちを教えようとするのか」。そして彼を外へ追い出した。 + イエスは、その人が外へ追い出されたことを聞かれた。そして彼に会って言われた、「あなたは人の子を信じるか」。 + 彼は答えて言った、「主よ、それはどなたですか。そのかたを信じたいのですが」。 + イエスは彼に言われた、「あなたは、もうその人に会っている。今あなたと話しているのが、その人である」。 + すると彼は、「主よ、信じます」と言って、イエスを拝した。 + そこでイエスは言われた、「わたしがこの世にきたのは、さばくためである。すなわち、見えない人たちが見えるようになり、見える人たちが見えないようになるためである」。 + そこにイエスと一緒にいたあるパリサイ人たちが、それを聞いてイエスに言った、「それでは、わたしたちも盲なのでしょうか」。 + イエスは彼らに言われた、「もしあなたがたが盲人であったなら、罪はなかったであろう。しかし、今あなたがたが『見える』と言い張るところに、あなたがたの罪がある。 + + + よくよくあなたがたに言っておく。羊の囲いにはいるのに、門からでなく、ほかの所からのりこえて来る者は、盗人であり、強盗である。 + 門からはいる者は、羊の羊飼である。 + 門番は彼のために門を開き、羊は彼の声を聞く。そして彼は自分の羊の名をよんで連れ出す。 + 自分の羊をみな出してしまうと、彼は羊の先頭に立って行く。羊はその声を知っているので、彼について行くのである。 + ほかの人には、ついて行かないで逃げ去る。その人の声を知らないからである」。 + イエスは彼らにこの比喩を話されたが、彼らは自分たちにお話しになっているのが何のことだか、わからなかった。 + そこで、イエスはまた言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。わたしは羊の門である。 + わたしよりも前にきた人は、みな盗人であり、強盗である。羊は彼らに聞き従わなかった。 + わたしは門である。わたしをとおってはいる者は救われ、また出入りし、牧草にありつくであろう。 + 盗人が来るのは、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするためにほかならない。わたしがきたのは、羊に命を得させ、豊かに得させるためである。 + わたしはよい羊飼である。よい羊飼は、羊のために命を捨てる。 + 羊飼ではなく、羊が自分のものでもない雇人は、おおかみが来るのを見ると、羊をすてて逃げ去る。そして、おおかみは羊を奪い、また追い散らす。 + 彼は雇人であって、羊のことを心にかけていないからである。 + わたしはよい羊飼であって、わたしの羊を知り、わたしの羊はまた、わたしを知っている。 + それはちょうど、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。そして、わたしは羊のために命を捨てるのである。 + わたしにはまた、この囲いにいない他の羊がある。わたしは彼らをも導かねばならない。彼らも、わたしの声に聞き従うであろう。そして、ついに一つの群れ、ひとりの羊飼となるであろう。 + 父は、わたしが自分の命を捨てるから、わたしを愛して下さるのである。命を捨てるのは、それを再び得るためである。 + だれかが、わたしからそれを取り去るのではない。わたしが、自分からそれを捨てるのである。わたしには、それを捨てる力があり、またそれを受ける力もある。これはわたしの父から授かった定めである」。 + これらの言葉を語られたため、ユダヤ人の間にまたも分争が生じた。 + そのうちの多くの者が言った、「彼は悪霊に取りつかれて、気が狂っている。どうして、あなたがたはその言うことを聞くのか」。 + 他の人々は言った、「それは悪霊に取りつかれた者の言葉ではない。悪霊は盲人の目をあけることができようか」。 + そのころ、エルサレムで宮きよめの祭が行われた。時は冬であった。 + イエスは、宮の中にあるソロモンの廊を歩いておられた。 + するとユダヤ人たちが、イエスを取り囲んで言った、「いつまでわたしたちを不安のままにしておくのか。あなたがキリストであるなら、そうとはっきり言っていただきたい」。 + イエスは彼らに答えられた、「わたしは話したのだが、あなたがたは信じようとしない。わたしの父の名によってしているすべてのわざが、わたしのことをあかししている。 + あなたがたが信じないのは、わたしの羊でないからである。 + わたしの羊はわたしの声に聞き従う。わたしは彼らを知っており、彼らはわたしについて来る。 + わたしは、彼らに永遠の命を与える。だから、彼らはいつまでも滅びることがなく、また、彼らをわたしの手から奪い去る者はない。 + わたしの父がわたしに下さったものは、すべてにまさるものである。そしてだれも父のみ手から、それを奪い取ることはできない。 + わたしと父とは一つである」。 + そこでユダヤ人たちは、イエスを打ち殺そうとして、また石を取りあげた。 + するとイエスは彼らに答えられた、「わたしは、父による多くのよいわざを、あなたがたに示した。その中のどのわざのために、わたしを石で打ち殺そうとするのか」。 + ユダヤ人たちは答えた、「あなたを石で殺そうとするのは、よいわざをしたからではなく、神を汚したからである。また、あなたは人間であるのに、自分を神としているからである」。 + イエスは彼らに答えられた、「あなたがたの律法に、『わたしは言う、あなたがたは神々である』と書いてあるではないか。 + 神の言を託された人々が、神々といわれておるとすれば、(そして聖書の言は、すたることがあり得ない) + 父が聖別して、世につかわされた者が、『わたしは神の子である』と言ったからとて、どうして『あなたは神を汚す者だ』と言うのか。 + もしわたしが父のわざを行わないとすれば、わたしを信じなくてもよい。 + しかし、もし行っているなら、たといわたしを信じなくても、わたしのわざを信じるがよい。そうすれば、父がわたしにおり、また、わたしが父におることを知って悟るであろう」。 + そこで、彼らはまたイエスを捕えようとしたが、イエスは彼らの手をのがれて、去って行かれた。 + さて、イエスはまたヨルダンの向こう岸、すなわち、ヨハネが初めにバプテスマを授けていた所に行き、そこに滞在しておられた。 + 多くの人々がイエスのところにきて、互に言った、「ヨハネはなんのしるしも行わなかったが、ヨハネがこのかたについて言ったことは、皆ほんとうであった」。 + そして、そこで多くの者がイエスを信じた。 + + + さて、ひとりの病人がいた。ラザロといい、マリヤとその姉妹マルタの村ベタニヤの人であった。 + このマリヤは主に香油をぬり、自分の髪の毛で、主の足をふいた女であって、病気であったのは、彼女の兄弟ラザロであった。 + 姉妹たちは人をイエスのもとにつかわして、「主よ、ただ今、あなたが愛しておられる者が病気をしています」と言わせた。 + イエスはそれを聞いて言われた、「この病気は死ぬほどのものではない。それは神の栄光のため、また、神の子がそれによって栄光を受けるためのものである」。 + イエスは、マルタとその姉妹とラザロとを愛しておられた。 + ラザロが病気であることを聞いてから、なおふつか、そのおられた所に滞在された。 + それから弟子たちに、「もう一度ユダヤに行こう」と言われた。 + 弟子たちは言った、「先生、ユダヤ人らが、さきほどもあなたを石で殺そうとしていましたのに、またそこに行かれるのですか」。 + イエスは答えられた、「一日には十二時間あるではないか。昼間あるけば、人はつまずくことはない。この世の光を見ているからである。 + しかし、夜あるけば、つまずく。その人のうちに、光がないからである」。 + そう言われたが、それからまた、彼らに言われた、「わたしたちの友ラザロが眠っている。わたしは彼を起しに行く」。 + すると弟子たちは言った、「主よ、眠っているのでしたら、助かるでしょう」。 + イエスはラザロが死んだことを言われたのであるが、弟子たちは、眠って休んでいることをさして言われたのだと思った。 + するとイエスは、あからさまに彼らに言われた、「ラザロは死んだのだ。 + そして、わたしがそこにいあわせなかったことを、あなたがたのために喜ぶ。それは、あなたがたが信じるようになるためである。では、彼のところに行こう」。 + するとデドモと呼ばれているトマスが、仲間の弟子たちに言った、「わたしたちも行って、先生と一緒に死のうではないか」。 + さて、イエスが行ってごらんになると、ラザロはすでに四日間も墓の中に置かれていた。 + ベタニヤはエルサレムに近く、二十五丁ばかり離れたところにあった。 + 大ぜいのユダヤ人が、その兄弟のことで、マルタとマリヤとを慰めようとしてきていた。 + マルタはイエスがこられたと聞いて、出迎えに行ったが、マリヤは家ですわっていた。 + マルタはイエスに言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう。 + しかし、あなたがどんなことをお願いになっても、神はかなえて下さることを、わたしは今でも存じています」。 + イエスはマルタに言われた、「あなたの兄弟はよみがえるであろう」。 + マルタは言った、「終りの日のよみがえりの時よみがえることは、存じています」。 + イエスは彼女に言われた、「わたしはよみがえりであり、命である。わたしを信じる者は、たとい死んでも生きる。 + また、生きていて、わたしを信じる者は、いつまでも死なない。あなたはこれを信じるか」。 + マルタはイエスに言った、「主よ、信じます。あなたがこの世にきたるべきキリスト、神の御子であると信じております」。 + マルタはこう言ってから、帰って姉妹のマリヤを呼び、「先生がおいでになって、あなたを呼んでおられます」と小声で言った。 + これを聞いたマリヤはすぐ立ち上がって、イエスのもとに行った。 + イエスはまだ村に、はいってこられず、マルタがお迎えしたその場所におられた。 + マリヤと一緒に家にいて彼女を慰めていたユダヤ人たちは、マリヤが急いで立ち上がって出て行くのを見て、彼女は墓に泣きに行くのであろうと思い、そのあとからついて行った。 + マリヤは、イエスのおられる所に行ってお目にかかり、その足もとにひれ伏して言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう」。 + イエスは、彼女が泣き、また、彼女と一緒にきたユダヤ人たちも泣いているのをごらんになり、激しく感動し、また心を騒がせ、そして言われた、 + 「彼をどこに置いたのか」。彼らはイエスに言った、「主よ、きて、ごらん下さい」。 + イエスは涙を流された。 + するとユダヤ人たちは言った、「ああ、なんと彼を愛しておられたことか」。 + しかし、彼らのある人たちは言った、「あの盲人の目をあけたこの人でも、ラザロを死なせないようには、できなかったのか」。 + イエスはまた激しく感動して、墓にはいられた。それは洞穴であって、そこに石がはめてあった。 + イエスは言われた、「石を取りのけなさい」。死んだラザロの姉妹マルタが言った、「主よ、もう臭くなっております。四日もたっていますから」。 + イエスは彼女に言われた、「もし信じるなら神の栄光を見るであろうと、あなたに言ったではないか」。 + 人々は石を取りのけた。すると、イエスは目を天にむけて言われた、「父よ、わたしの願いをお聞き下さったことを感謝します。 + あなたがいつでもわたしの願いを聞きいれて下さることを、よく知っています。しかし、こう申しますのは、そばに立っている人々に、あなたがわたしをつかわされたことを、信じさせるためであります」。 + こう言いながら、大声で「ラザロよ、出てきなさい」と呼ばわれた。 + すると、死人は手足を布でまかれ、顔も顔おおいで包まれたまま、出てきた。イエスは人々に言われた、「彼をほどいてやって、帰らせなさい」。 + マリヤのところにきて、イエスのなさったことを見た多くのユダヤ人たちは、イエスを信じた。 + しかし、そのうちの数人がパリサイ人たちのところに行って、イエスのされたことを告げた。 + そこで、祭司長たちとパリサイ人たちとは、議会を召集して言った、「この人が多くのしるしを行っているのに、お互は何をしているのだ。 + もしこのままにしておけば、みんなが彼を信じるようになるだろう。そのうえ、ローマ人がやってきて、わたしたちの土地も人民も奪ってしまうであろう」。 + 彼らのうちのひとりで、その年の大祭司であったカヤパが、彼らに言った、「あなたがたは、何もわかっていないし、 + ひとりの人が人民に代って死んで、全国民が滅びないようになるのがわたしたちにとって得だということを、考えてもいない」。 + このことは彼が自分から言ったのではない。彼はこの年の大祭司であったので、預言をして、イエスが国民のために、 + ただ国民のためだけではなく、また散在している神の子らを一つに集めるために、死ぬことになっていると、言ったのである。 + 彼らはこの日からイエスを殺そうと相談した。 + そのためイエスは、もはや公然とユダヤ人の間を歩かないで、そこを出て、荒野に近い地方のエフライムという町に行かれ、そこに弟子たちと一緒に滞在しておられた。 + さて、ユダヤ人の過越の祭が近づいたので、多くの人々は身をきよめるために、祭の前に、地方からエルサレムへ上った。 + 人々はイエスを捜し求め、宮の庭に立って互に言った、「あなたがたはどう思うか。イエスはこの祭にこないのだろうか」。 + 祭司長たちとパリサイ人たちとは、イエスを捕えようとして、そのいどころを知っている者があれば申し出よ、という指令を出していた。 + + + 過越の祭の六日まえに、イエスはベタニヤに行かれた。そこは、イエスが死人の中からよみがえらせたラザロのいた所である。 + イエスのためにそこで夕食の用意がされ、マルタは給仕をしていた。イエスと一緒に食卓についていた者のうちに、ラザロも加わっていた。 + その時、マリヤは高価で純粋なナルドの香油一斤を持ってきて、イエスの足にぬり、自分の髪の毛でそれをふいた。すると、香油のかおりが家にいっぱいになった。 + 弟子のひとりで、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが言った、 + 「なぜこの香油を三百デナリに売って、貧しい人たちに、施さなかったのか」。 + 彼がこう言ったのは、貧しい人たちに対する思いやりがあったからではなく、自分が盗人であり、財布を預かっていて、その中身をごまかしていたからであった。 + イエスは言われた、「この女のするままにさせておきなさい。わたしの葬りの日のために、それをとっておいたのだから。 + 貧しい人たちはいつもあなたがたと共にいるが、わたしはいつも共にいるわけではない」。 + 大ぜいのユダヤ人たちが、そこにイエスのおられるのを知って、押しよせてきた。それはイエスに会うためだけではなく、イエスが死人のなかから、よみがえらせたラザロを見るためでもあった。 + そこで祭司長たちは、ラザロも殺そうと相談した。 + それは、ラザロのことで、多くのユダヤ人が彼らを離れ去って、イエスを信じるに至ったからである。 + その翌日、祭にきていた大ぜいの群衆は、イエスがエルサレムにこられると聞いて、 + しゅろの枝を手にとり、迎えに出て行った。そして叫んだ、「ホサナ、主の御名によってきたる者に祝福あれ、イスラエルの王に」。 + イエスは、ろばの子を見つけて、その上に乗られた。それは + 「シオンの娘よ、恐れるな。見よ、あなたの王がろばの子に乗っておいでになる」と書いてあるとおりであった。 + 弟子たちは初めにはこのことを悟らなかったが、イエスが栄光を受けられた時に、このことがイエスについて書かれてあり、またそのとおりに、人々がイエスに対してしたのだということを、思い起した。 + また、イエスがラザロを墓から呼び出して、死人の中からよみがえらせたとき、イエスと一緒にいた群衆が、そのあかしをした。 + 群衆がイエスを迎えに出たのは、イエスがこのようなしるしを行われたことを、聞いていたからである。 + そこで、パリサイ人たちは互に言った、「何をしてもむだだった。世をあげて彼のあとを追って行ったではないか」。 + 祭で礼拝するために上ってきた人々のうちに、数人のギリシヤ人がいた。 + 彼らはガリラヤのベツサイダ出であるピリポのところにきて、「君よ、イエスにお目にかかりたいのですが」と言って頼んだ。 + ピリポはアンデレのところに行ってそのことを話し、アンデレとピリポは、イエスのもとに行って伝えた。 + すると、イエスは答えて言われた、「人の子が栄光を受ける時がきた。 + よくよくあなたがたに言っておく。一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる。 + 自分の命を愛する者はそれを失い、この世で自分の命を憎む者は、それを保って永遠の命に至るであろう。 + もしわたしに仕えようとする人があれば、その人はわたしに従って来るがよい。そうすれば、わたしのおる所に、わたしに仕える者もまた、おるであろう。もしわたしに仕えようとする人があれば、その人を父は重んじて下さるであろう。 + 今わたしは心が騒いでいる。わたしはなんと言おうか。父よ、この時からわたしをお救い下さい。しかし、わたしはこのために、この時に至ったのです。 + 父よ、み名があがめられますように」。すると天から声があった、「わたしはすでに栄光をあらわした。そして、更にそれをあらわすであろう」。 + すると、そこに立っていた群衆がこれを聞いて、「雷がなったのだ」と言い、ほかの人たちは、「御使が彼に話しかけたのだ」と言った。 + イエスは答えて言われた、「この声があったのは、わたしのためではなく、あなたがたのためである。 + 今はこの世がさばかれる時である。今こそこの世の君は追い出されるであろう。 + そして、わたしがこの地から上げられる時には、すべての人をわたしのところに引きよせるであろう」。 + イエスはこう言って、自分がどんな死に方で死のうとしていたかを、お示しになったのである。 + すると群衆はイエスにむかって言った、「わたしたちは律法によって、キリストはいつまでも生きておいでになるのだ、と聞いていました。それだのに、どうして人の子は上げられねばならないと、言われるのですか。その人の子とは、だれのことですか」。 + そこでイエスは彼らに言われた、「もうしばらくの間、光はあなたがたと一緒にここにある。光がある間に歩いて、やみに追いつかれないようにしなさい。やみの中を歩く者は、自分がどこへ行くのかわかっていない。 + 光のある間に、光の子となるために、光を信じなさい」。イエスはこれらのことを話してから、そこを立ち去って、彼らから身をお隠しになった。 + このように多くのしるしを彼らの前でなさったが、彼らはイエスを信じなかった。 + それは、預言者イザヤの次の言葉が成就するためである、「主よ、わたしたちの説くところを、だれが信じたでしょうか。また、主のみ腕はだれに示されたでしょうか」。 + こういうわけで、彼らは信じることができなかった。イザヤはまた、こうも言った、 + 「神は彼らの目をくらまし、心をかたくなになさった。それは、彼らが目で見ず、心で悟らず、悔い改めていやされることがないためである」。 + イザヤがこう言ったのは、イエスの栄光を見たからであって、イエスのことを語ったのである。 + しかし、役人たちの中にも、イエスを信じた者が多かったが、パリサイ人をはばかって、告白はしなかった。会堂から追い出されるのを恐れていたのである。 + 彼らは神のほまれよりも、人のほまれを好んだからである。 + イエスは大声で言われた、「わたしを信じる者は、わたしを信じるのではなく、わたしをつかわされたかたを信じるのであり、 + また、わたしを見る者は、わたしをつかわされたかたを見るのである。 + わたしは光としてこの世にきた。それは、わたしを信じる者が、やみのうちにとどまらないようになるためである。 + たとい、わたしの言うことを聞いてそれを守らない人があっても、わたしはその人をさばかない。わたしがきたのは、この世をさばくためではなく、この世を救うためである。 + わたしを捨てて、わたしの言葉を受けいれない人には、その人をさばくものがある。わたしの語ったその言葉が、終りの日にその人をさばくであろう。 + わたしは自分から語ったのではなく、わたしをつかわされた父ご自身が、わたしの言うべきこと、語るべきことをお命じになったのである。 + わたしは、この命令が永遠の命であることを知っている。それゆえに、わたしが語っていることは、わたしの父がわたしに仰せになったことを、そのまま語っているのである」。 + + + 過越の祭の前に、イエスは、この世を去って父のみもとに行くべき自分の時がきたことを知り、世にいる自分の者たちを愛して、彼らを最後まで愛し通された。 + 夕食のとき、悪魔はすでにシモンの子イスカリオテのユダの心に、イエスを裏切ろうとする思いを入れていたが、 + イエスは、父がすべてのものを自分の手にお与えになったこと、また、自分は神から出てきて、神にかえろうとしていることを思い、 + 夕食の席から立ち上がって、上着を脱ぎ、手ぬぐいをとって腰に巻き、 + それから水をたらいに入れて、弟子たちの足を洗い、腰に巻いた手ぬぐいでふき始められた。 + こうして、シモン・ペテロの番になった。すると彼はイエスに、「主よ、あなたがわたしの足をお洗いになるのですか」と言った。 + イエスは彼に答えて言われた、「わたしのしていることは今あなたにはわからないが、あとでわかるようになるだろう」。 + ペテロはイエスに言った、「わたしの足を決して洗わないで下さい」。イエスは彼に答えられた、「もしわたしがあなたの足を洗わないなら、あなたはわたしとなんの係わりもなくなる」。 + シモン・ペテロはイエスに言った、「主よ、では、足だけではなく、どうぞ、手も頭も」。 + イエスは彼に言われた、「すでにからだを洗った者は、足のほかは洗う必要がない。全身がきれいなのだから。あなたがたはきれいなのだ。しかし、みんながそうなのではない」。 + イエスは自分を裏切る者を知っておられた。それで、「みんながきれいなのではない」と言われたのである。 + こうして彼らの足を洗ってから、上着をつけ、ふたたび席にもどって、彼らに言われた、「わたしがあなたがたにしたことがわかるか。 + あなたがたはわたしを教師、また主と呼んでいる。そう言うのは正しい。わたしはそのとおりである。 + しかし、主であり、また教師であるわたしが、あなたがたの足を洗ったからには、あなたがたもまた、互に足を洗い合うべきである。 + わたしがあなたがたにしたとおりに、あなたがたもするように、わたしは手本を示したのだ。 + よくよくあなたがたに言っておく。僕はその主人にまさるものではなく、つかわされた者はつかわした者にまさるものではない。 + もしこれらのことがわかっていて、それを行うなら、あなたがたはさいわいである。 + あなたがた全部の者について、こう言っているのではない。わたしは自分が選んだ人たちを知っている。しかし、『わたしのパンを食べている者が、わたしにむかってそのかかとをあげた』とある聖書は成就されなければならない。 + そのことがまだ起らない今のうちに、あなたがたに言っておく。いよいよ事が起ったとき、わたしがそれであることを、あなたがたが信じるためである。 + よくよくあなたがたに言っておく。わたしがつかわす者を受けいれる者は、わたしを受けいれるのである。わたしを受けいれる者は、わたしをつかわされたかたを、受けいれるのである」。 + イエスがこれらのことを言われた後、その心が騒ぎ、おごそかに言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ろうとしている」。 + 弟子たちはだれのことを言われたのか察しかねて、互に顔を見合わせた。 + 弟子たちのひとりで、イエスの愛しておられた者が、み胸に近く席についていた。 + そこで、シモン・ペテロは彼に合図をして言った、「だれのことをおっしゃったのか、知らせてくれ」。 + その弟子はそのままイエスの胸によりかかって、「主よ、だれのことですか」と尋ねると、 + イエスは答えられた、「わたしが一きれの食物をひたして与える者が、それである」。そして、一きれの食物をひたしてとり上げ、シモンの子イスカリオテのユダにお与えになった。 + この一きれの食物を受けるやいなや、サタンがユダにはいった。そこでイエスは彼に言われた、「しようとしていることを、今すぐするがよい」。 + 席を共にしていた者のうち、なぜユダにこう言われたのか、わかっていた者はひとりもなかった。 + ある人々は、ユダが金入れをあずかっていたので、イエスが彼に、「祭のために必要なものを買え」と言われたか、あるいは、貧しい者に何か施させようとされたのだと思っていた。 + ユダは一きれの食物を受けると、すぐに出て行った。時は夜であった。 + さて、彼が出て行くと、イエスは言われた、「今や人の子は栄光を受けた。神もまた彼によって栄光をお受けになった。 + 彼によって栄光をお受けになったのなら、神ご自身も彼に栄光をお授けになるであろう。すぐにもお授けになるであろう。 + 子たちよ、わたしはまだしばらく、あなたがたと一緒にいる。あなたがたはわたしを捜すだろうが、すでにユダヤ人たちに言ったとおり、今あなたがたにも言う、『あなたがたはわたしの行く所に来ることはできない』。 + わたしは、新しいいましめをあなたがたに与える、互に愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。 + 互に愛し合うならば、それによって、あなたがたがわたしの弟子であることを、すべての者が認めるであろう」。 + シモン・ペテロがイエスに言った、「主よ、どこへおいでになるのですか」。イエスは答えられた、「あなたはわたしの行くところに、今はついて来ることはできない。しかし、あとになってから、ついて来ることになろう」。 + ペテロはイエスに言った、「主よ、なぜ、今あなたについて行くことができないのですか。あなたのためには、命も捨てます」。 + イエスは答えられた、「わたしのために命を捨てると言うのか。よくよくあなたに言っておく。鶏が鳴く前に、あなたはわたしを三度知らないと言うであろう」。 + + + 「あなたがたは、心を騒がせないがよい。神を信じ、またわたしを信じなさい。 + わたしの父の家には、すまいがたくさんある。もしなかったならば、わたしはそう言っておいたであろう。あなたがたのために、場所を用意しに行くのだから。 + そして、行って、場所の用意ができたならば、またきて、あなたがたをわたしのところに迎えよう。わたしのおる所にあなたがたもおらせるためである。 + わたしがどこへ行くのか、その道はあなたがたにわかっている」。 + トマスはイエスに言った、「主よ、どこへおいでになるのか、わたしたちにはわかりません。どうしてその道がわかるでしょう」。 + イエスは彼に言われた、「わたしは道であり、真理であり、命である。だれでもわたしによらないでは、父のみもとに行くことはできない。 + もしあなたがたがわたしを知っていたならば、わたしの父をも知ったであろう。しかし、今は父を知っており、またすでに父を見たのである」。 + ピリポはイエスに言った、「主よ、わたしたちに父を示して下さい。そうして下されば、わたしたちは満足します」。 + イエスは彼に言われた、「ピリポよ、こんなに長くあなたがたと一緒にいるのに、わたしがわかっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのである。どうして、わたしたちに父を示してほしいと、言うのか。 + わたしが父におり、父がわたしにおられることをあなたは信じないのか。わたしがあなたがたに話している言葉は、自分から話しているのではない。父がわたしのうちにおられて、みわざをなさっているのである。 + わたしが父におり、父がわたしにおられることを信じなさい。もしそれが信じられないならば、わざそのものによって信じなさい。 + よくよくあなたがたに言っておく。わたしを信じる者は、またわたしのしているわざをするであろう。そればかりか、もっと大きいわざをするであろう。わたしが父のみもとに行くからである。 + わたしの名によって願うことは、なんでもかなえてあげよう。父が子によって栄光をお受けになるためである。 + 何事でもわたしの名によって願うならば、わたしはそれをかなえてあげよう。 + もしあなたがたがわたしを愛するならば、わたしのいましめを守るべきである。 + わたしは父にお願いしよう。そうすれば、父は別に助け主を送って、いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう。 + それは真理の御霊である。この世はそれを見ようともせず、知ろうともしないので、それを受けることができない。あなたがたはそれを知っている。なぜなら、それはあなたがたと共におり、またあなたがたのうちにいるからである。 + わたしはあなたがたを捨てて孤児とはしない。あなたがたのところに帰って来る。 + もうしばらくしたら、世はもはやわたしを見なくなるだろう。しかし、あなたがたはわたしを見る。わたしが生きるので、あなたがたも生きるからである。 + その日には、わたしはわたしの父におり、あなたがたはわたしにおり、また、わたしがあなたがたにおることが、わかるであろう。 + わたしのいましめを心にいだいてこれを守る者は、わたしを愛する者である。わたしを愛する者は、わたしの父に愛されるであろう。わたしもその人を愛し、その人にわたし自身をあらわすであろう」。 + イスカリオテでない方のユダがイエスに言った、「主よ、あなたご自身をわたしたちにあらわそうとして、世にはあらわそうとされないのはなぜですか」。 + イエスは彼に答えて言われた、「もしだれでもわたしを愛するならば、わたしの言葉を守るであろう。そして、わたしの父はその人を愛し、また、わたしたちはその人のところに行って、その人と一緒に住むであろう。 + わたしを愛さない者はわたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉は、わたしの言葉ではなく、わたしをつかわされた父の言葉である。 + これらのことは、あなたがたと一緒にいた時、すでに語ったことである。 + しかし、助け主、すなわち、父がわたしの名によってつかわされる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、またわたしが話しておいたことを、ことごとく思い起させるであろう。 + わたしは平安をあなたがたに残して行く。わたしの平安をあなたがたに与える。わたしが与えるのは、世が与えるようなものとは異なる。あなたがたは心を騒がせるな、またおじけるな。 + 『わたしは去って行くが、またあなたがたのところに帰って来る』と、わたしが言ったのを、あなたがたは聞いている。もしわたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるであろう。父がわたしより大きいかたであるからである。 + 今わたしは、そのことが起らない先にあなたがたに語った。それは、事が起った時にあなたがたが信じるためである。 + わたしはもはや、あなたがたに、多くを語るまい。この世の君が来るからである。だが、彼はわたしに対して、なんの力もない。 + しかし、わたしが父を愛していることを世が知るように、わたしは父がお命じになったとおりのことを行うのである。立て。さあ、ここから出かけて行こう。 + + + わたしはまことのぶどうの木、わたしの父は農夫である。 + わたしにつながっている枝で実を結ばないものは、父がすべてこれをとりのぞき、実を結ぶものは、もっと豊かに実らせるために、手入れしてこれをきれいになさるのである。 + あなたがたは、わたしが語った言葉によって既にきよくされている。 + わたしにつながっていなさい。そうすれば、わたしはあなたがたとつながっていよう。枝がぶどうの木につながっていなければ、自分だけでは実を結ぶことができないように、あなたがたもわたしにつながっていなければ実を結ぶことができない。 + わたしはぶどうの木、あなたがたはその枝である。もし人がわたしにつながっており、またわたしがその人とつながっておれば、その人は実を豊かに結ぶようになる。わたしから離れては、あなたがたは何一つできないからである。 + 人がわたしにつながっていないならば、枝のように外に投げすてられて枯れる。人々はそれをかき集め、火に投げ入れて、焼いてしまうのである。 + あなたがたがわたしにつながっており、わたしの言葉があなたがたにとどまっているならば、なんでも望むものを求めるがよい。そうすれば、与えられるであろう。 + あなたがたが実を豊かに結び、そしてわたしの弟子となるならば、それによって、わたしの父は栄光をお受けになるであろう。 + 父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛したのである。わたしの愛のうちにいなさい。 + もしわたしのいましめを守るならば、あなたがたはわたしの愛のうちにおるのである。それはわたしがわたしの父のいましめを守ったので、その愛のうちにおるのと同じである。 + わたしがこれらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたのうちにも宿るため、また、あなたがたの喜びが満ちあふれるためである。 + わたしのいましめは、これである。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互に愛し合いなさい。 + 人がその友のために自分の命を捨てること、これよりも大きな愛はない。 + あなたがたにわたしが命じることを行うならば、あなたがたはわたしの友である。 + わたしはもう、あなたがたを僕とは呼ばない。僕は主人のしていることを知らないからである。わたしはあなたがたを友と呼んだ。わたしの父から聞いたことを皆、あなたがたに知らせたからである。 + あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだのである。そして、あなたがたを立てた。それは、あなたがたが行って実をむすび、その実がいつまでも残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものはなんでも、父が与えて下さるためである。 + これらのことを命じるのは、あなたがたが互に愛し合うためである。 + もしこの世があなたがたを憎むならば、あなたがたよりも先にわたしを憎んだことを、知っておくがよい。 + もしあなたがたがこの世から出たものであったなら、この世は、あなたがたを自分のものとして愛したであろう。しかし、あなたがたはこの世のものではない。かえって、わたしがあなたがたをこの世から選び出したのである。だから、この世はあなたがたを憎むのである。 + わたしがあなたがたに『僕はその主人にまさるものではない』と言ったことを、おぼえていなさい。もし人々がわたしを迫害したなら、あなたがたをも迫害するであろう。また、もし彼らがわたしの言葉を守っていたなら、あなたがたの言葉をも守るであろう。 + 彼らはわたしの名のゆえに、あなたがたに対してすべてそれらのことをするであろう。それは、わたしをつかわされたかたを彼らが知らないからである。 + もしわたしがきて彼らに語らなかったならば、彼らは罪を犯さないですんだであろう。しかし今となっては、彼らには、その罪について言いのがれる道がない。 + わたしを憎む者は、わたしの父をも憎む。 + もし、ほかのだれもがしなかったようなわざを、わたしが彼らの間でしなかったならば、彼らは罪を犯さないですんだであろう。しかし事実、彼らはわたしとわたしの父とを見て、憎んだのである。 + それは、『彼らは理由なしにわたしを憎んだ』と書いてある彼らの律法の言葉が成就するためである。 + わたしが父のみもとからあなたがたにつかわそうとしている助け主、すなわち、父のみもとから来る真理の御霊が下る時、それはわたしについてあかしをするであろう。 + あなたがたも、初めからわたしと一緒にいたのであるから、あかしをするのである。 + + + わたしがこれらのことを語ったのは、あなたがたがつまずくことのないためである。 + 人々はあなたがたを会堂から追い出すであろう。更にあなたがたを殺す者がみな、それによって自分たちは神に仕えているのだと思う時が来るであろう。 + 彼らがそのようなことをするのは、父をもわたしをも知らないからである。 + わたしがあなたがたにこれらのことを言ったのは、彼らの時がきた場合、わたしが彼らについて言ったことを、思い起させるためである。これらのことを初めから言わなかったのは、わたしがあなたがたと一緒にいたからである。 + けれども今わたしは、わたしをつかわされたかたのところに行こうとしている。しかし、あなたがたのうち、だれも『どこへ行くのか』と尋ねる者はない。 + かえって、わたしがこれらのことを言ったために、あなたがたの心は憂いで満たされている。 + しかし、わたしはほんとうのことをあなたがたに言うが、わたしが去って行くことは、あなたがたの益になるのだ。わたしが去って行かなければ、あなたがたのところに助け主はこないであろう。もし行けば、それをあなたがたにつかわそう。 + それがきたら、罪と義とさばきとについて、世の人の目を開くであろう。 + 罪についてと言ったのは、彼らがわたしを信じないからである。 + 義についてと言ったのは、わたしが父のみもとに行き、あなたがたは、もはやわたしを見なくなるからである。 + さばきについてと言ったのは、この世の君がさばかれるからである。 + わたしには、あなたがたに言うべきことがまだ多くあるが、あなたがたは今はそれに堪えられない。 + けれども真理の御霊が来る時には、あなたがたをあらゆる真理に導いてくれるであろう。それは自分から語るのではなく、その聞くところを語り、きたるべき事をあなたがたに知らせるであろう。 + 御霊はわたしに栄光を得させるであろう。わたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるからである。 + 父がお持ちになっているものはみな、わたしのものである。御霊はわたしのものを受けて、それをあなたがたに知らせるのだと、わたしが言ったのは、そのためである。 + しばらくすれば、あなたがたはもうわたしを見なくなる。しかし、またしばらくすれば、わたしに会えるであろう」。 + そこで、弟子たちのうちのある者は互に言い合った、「『しばらくすれば、わたしを見なくなる。またしばらくすれば、わたしに会えるであろう』と言われ、『わたしの父のところに行く』と言われたのは、いったい、どういうことなのであろう」。 + 彼らはまた言った、「『しばらくすれば』と言われるのは、どういうことか。わたしたちには、その言葉の意味がわからない」。 + イエスは、彼らが尋ねたがっていることに気がついて、彼らに言われた、「しばらくすればわたしを見なくなる、またしばらくすればわたしに会えるであろうと、わたしが言ったことで、互に論じ合っているのか。 + よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたは泣き悲しむが、この世は喜ぶであろう。あなたがたは憂えているが、その憂いは喜びに変るであろう。 + 女が子を産む場合には、その時がきたというので、不安を感じる。しかし、子を産んでしまえば、もはやその苦しみをおぼえてはいない。ひとりの人がこの世に生れた、という喜びがあるためである。 + このように、あなたがたにも今は不安がある。しかし、わたしは再びあなたがたと会うであろう。そして、あなたがたの心は喜びに満たされるであろう。その喜びをあなたがたから取り去る者はいない。 + その日には、あなたがたがわたしに問うことは、何もないであろう。よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたが父に求めるものはなんでも、わたしの名によって下さるであろう。 + 今までは、あなたがたはわたしの名によって求めたことはなかった。求めなさい、そうすれば、与えられるであろう。そして、あなたがたの喜びが満ちあふれるであろう。 + わたしはこれらのことを比喩で話したが、もはや比喩では話さないで、あからさまに、父のことをあなたがたに話してきかせる時が来るであろう。 + その日には、あなたがたは、わたしの名によって求めるであろう。わたしは、あなたがたのために父に願ってあげようとは言うまい。 + 父ご自身があなたがたを愛しておいでになるからである。それは、あなたがたがわたしを愛したため、また、わたしが神のみもとからきたことを信じたためである。 + わたしは父から出てこの世にきたが、またこの世を去って、父のみもとに行くのである」。 + 弟子たちは言った、「今はあからさまにお話しになって、少しも比喩ではお話しになりません。 + あなたはすべてのことをご存じであり、だれもあなたにお尋ねする必要のないことが、今わかりました。このことによって、わたしたちはあなたが神からこられたかたであると信じます」。 + イエスは答えられた、「あなたがたは今信じているのか。 + 見よ、あなたがたは散らされて、それぞれ自分の家に帰り、わたしをひとりだけ残す時が来るであろう。いや、すでにきている。しかし、わたしはひとりでいるのではない。父がわたしと一緒におられるのである。 + これらのことをあなたがたに話したのは、わたしにあって平安を得るためである。あなたがたは、この世ではなやみがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」。 + + + これらのことを語り終えると、イエスは天を見あげて言われた、「父よ、時がきました。あなたの子があなたの栄光をあらわすように、子の栄光をあらわして下さい。 + あなたは、子に賜わったすべての者に、永遠の命を授けさせるため、万民を支配する権威を子にお与えになったのですから。 + 永遠の命とは、唯一の、まことの神でいますあなたと、また、あなたがつかわされたイエス・キリストとを知ることであります。 + わたしは、わたしにさせるためにお授けになったわざをなし遂げて、地上であなたの栄光をあらわしました。 + 父よ、世が造られる前に、わたしがみそばで持っていた栄光で、今み前にわたしを輝かせて下さい。 + わたしは、あなたが世から選んでわたしに賜わった人々に、み名をあらわしました。彼らはあなたのものでありましたが、わたしに下さいました。そして、彼らはあなたの言葉を守りました。 + いま彼らは、わたしに賜わったものはすべて、あなたから出たものであることを知りました。 + なぜなら、わたしはあなたからいただいた言葉を彼らに与え、そして彼らはそれを受け、わたしがあなたから出たものであることをほんとうに知り、また、あなたがわたしをつかわされたことを信じるに至ったからです。 + わたしは彼らのためにお願いします。わたしがお願いするのは、この世のためにではなく、あなたがわたしに賜わった者たちのためです。彼らはあなたのものなのです。 + わたしのものは皆あなたのもの、あなたのものはわたしのものです。そして、わたしは彼らによって栄光を受けました。 + わたしはもうこの世にはいなくなりますが、彼らはこの世に残っており、わたしはみもとに参ります。聖なる父よ、わたしに賜わった御名によって彼らを守って下さい。それはわたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためであります。 + わたしが彼らと一緒にいた間は、あなたからいただいた御名によって彼らを守り、また保護してまいりました。彼らのうち、だれも滅びず、ただ滅びの子だけが滅びました。それは聖書が成就するためでした。 + 今わたしはみもとに参ります。そして世にいる間にこれらのことを語るのは、わたしの喜びが彼らのうちに満ちあふれるためであります。 + わたしは彼らに御言を与えましたが、世は彼らを憎みました。わたしが世のものでないように、彼らも世のものではないからです。 + わたしがお願いするのは、彼らを世から取り去ることではなく、彼らを悪しき者から守って下さることであります。 + わたしが世のものでないように、彼らも世のものではありません。 + 真理によって彼らを聖別して下さい。あなたの御言は真理であります。 + あなたがわたしを世につかわされたように、わたしも彼らを世につかわしました。 + また彼らが真理によって聖別されるように、彼らのためわたし自身を聖別いたします。 + わたしは彼らのためばかりではなく、彼らの言葉を聞いてわたしを信じている人々のためにも、お願いいたします。 + 父よ、それは、あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるように、みんなの者が一つとなるためであります。すなわち、彼らをもわたしたちのうちにおらせるためであり、それによって、あなたがわたしをおつかわしになったことを、世が信じるようになるためであります。 + わたしは、あなたからいただいた栄光を彼らにも与えました。それは、わたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためであります。 + わたしが彼らにおり、あなたがわたしにいますのは、彼らが完全に一つとなるためであり、また、あなたがわたしをつかわし、わたしを愛されたように、彼らをお愛しになったことを、世が知るためであります。 + 父よ、あなたがわたしに賜わった人々が、わたしのいる所に一緒にいるようにして下さい。天地が造られる前からわたしを愛して下さって、わたしに賜わった栄光を、彼らに見させて下さい。 + 正しい父よ、この世はあなたを知っていません。しかし、わたしはあなたを知り、また彼らも、あなたがわたしをおつかわしになったことを知っています。 + そしてわたしは彼らに御名を知らせました。またこれからも知らせましょう。それは、あなたがわたしを愛して下さったその愛が彼らのうちにあり、またわたしも彼らのうちにおるためであります」。 + + + イエスはこれらのことを語り終えて、弟子たちと一緒にケデロンの谷の向こうへ行かれた。そこには園があって、イエスは弟子たちと一緒にその中にはいられた。 + イエスを裏切ったユダは、その所をよく知っていた。イエスと弟子たちとがたびたびそこで集まったことがあるからである。 + さてユダは、一隊の兵卒と祭司長やパリサイ人たちの送った下役どもを引き連れ、たいまつやあかりや武器を持って、そこへやってきた。 + しかしイエスは、自分の身に起ろうとすることをことごとく承知しておられ、進み出て彼らに言われた、「だれを捜しているのか」。 + 彼らは「ナザレのイエスを」と答えた。イエスは彼らに言われた、「わたしが、それである」。イエスを裏切ったユダも、彼らと一緒に立っていた。 + イエスが彼らに「わたしが、それである」と言われたとき、彼らはうしろに引きさがって地に倒れた。 + そこでまた彼らに、「だれを捜しているのか」とお尋ねになると、彼らは「ナザレのイエスを」と言った。 + イエスは答えられた、「わたしがそれであると、言ったではないか。わたしを捜しているのなら、この人たちを去らせてもらいたい」。 + それは、「あなたが与えて下さった人たちの中のひとりも、わたしは失わなかった」とイエスの言われた言葉が、成就するためである。 + シモン・ペテロは剣を持っていたが、それを抜いて、大祭司の僕に切りかかり、その右の耳を切り落した。その僕の名はマルコスであった。 + すると、イエスはペテロに言われた、「剣をさやに納めなさい。父がわたしに下さった杯は、飲むべきではないか」。 + それから一隊の兵卒やその千卒長やユダヤ人の下役どもが、イエスを捕え、縛りあげて、 + まずアンナスのところに引き連れて行った。彼はその年の大祭司カヤパのしゅうとであった。 + カヤパは前に、ひとりの人が民のために死ぬのはよいことだと、ユダヤ人に助言した者であった。 + シモン・ペテロともうひとりの弟子とが、イエスについて行った。この弟子は大祭司の知り合いであったので、イエスと一緒に大祭司の中庭にはいった。 + しかし、ペテロは外で戸口に立っていた。すると大祭司の知り合いであるその弟子が、外に出て行って門番の女に話し、ペテロを内に入れてやった。 + すると、この門番の女がペテロに言った、「あなたも、あの人の弟子のひとりではありませんか」。ペテロは「いや、そうではない」と答えた。 + 僕や下役どもは、寒い時であったので、炭火をおこし、そこに立ってあたっていた。ペテロもまた彼らに交じり、立ってあたっていた。 + 大祭司はイエスに、弟子たちのことやイエスの教のことを尋ねた。 + イエスは答えられた、「わたしはこの世に対して公然と語ってきた。すべてのユダヤ人が集まる会堂や宮で、いつも教えていた。何事も隠れて語ったことはない。 + なぜ、わたしに尋ねるのか。わたしが彼らに語ったことは、それを聞いた人々に尋ねるがよい。わたしの言ったことは、彼らが知っているのだから」。 + イエスがこう言われると、そこに立っていた下役のひとりが、「大祭司にむかって、そのような答をするのか」と言って、平手でイエスを打った。 + イエスは答えられた、「もしわたしが何か悪いことを言ったのなら、その悪い理由を言いなさい。しかし、正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか」。 + それからアンナスは、イエスを縛ったまま大祭司カヤパのところへ送った。 + シモン・ペテロは、立って火にあたっていた。すると人々が彼に言った、「あなたも、あの人の弟子のひとりではないか」。彼はそれをうち消して、「いや、そうではない」と言った。 + 大祭司の僕のひとりで、ペテロに耳を切りおとされた人の親族の者が言った、「あなたが園であの人と一緒にいるのを、わたしは見たではないか」。 + ペテロはまたそれを打ち消した。するとすぐに、鶏が鳴いた。 + それから人々は、イエスをカヤパのところから官邸につれて行った。時は夜明けであった。彼らは、けがれを受けないで過越の食事ができるように、官邸にはいらなかった。 + そこで、ピラトは彼らのところに出てきて言った、「あなたがたは、この人に対してどんな訴えを起すのか」。 + 彼らはピラトに答えて言った、「もしこの人が悪事をはたらかなかったなら、あなたに引き渡すようなことはしなかったでしょう」。 + そこでピラトは彼らに言った、「あなたがたは彼を引き取って、自分たちの律法でさばくがよい」。ユダヤ人らは彼に言った、「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません」。 + これは、ご自身がどんな死にかたをしようとしているかを示すために言われたイエスの言葉が、成就するためである。 + さて、ピラトはまた官邸にはいり、イエスを呼び出して言った、「あなたは、ユダヤ人の王であるか」。 + イエスは答えられた、「あなたがそう言うのは、自分の考えからか。それともほかの人々が、わたしのことをあなたにそう言ったのか」。 + ピラトは答えた、「わたしはユダヤ人なのか。あなたの同族や祭司長たちが、あなたをわたしに引き渡したのだ。あなたは、いったい、何をしたのか」。 + イエスは答えられた、「わたしの国はこの世のものではない。もしわたしの国がこの世のものであれば、わたしに従っている者たちは、わたしをユダヤ人に渡さないように戦ったであろう。しかし事実、わたしの国はこの世のものではない」。 + そこでピラトはイエスに言った、「それでは、あなたは王なのだな」。イエスは答えられた、「あなたの言うとおり、わたしは王である。わたしは真理についてあかしをするために生れ、また、そのためにこの世にきたのである。だれでも真理につく者は、わたしの声に耳を傾ける」。 + ピラトはイエスに言った、「真理とは何か」。こう言って、彼はまたユダヤ人の所に出て行き、彼らに言った、「わたしには、この人になんの罪も見いだせない。 + 過越の時には、わたしがあなたがたのために、ひとりの人を許してやるのが、あなたがたのしきたりになっている。ついては、あなたがたは、このユダヤ人の王を許してもらいたいのか」。 + すると彼らは、また叫んで「その人ではなく、バラバを」と言った。このバラバは強盗であった。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + さて、一週の初めの日に、朝早くまだ暗いうちに、マグダラのマリヤが墓に行くと、墓から石がとりのけてあるのを見た。 + そこで走って、シモン・ペテロとイエスが愛しておられた、もうひとりの弟子のところへ行って、彼らに言った、「だれかが、主を墓から取り去りました。どこへ置いたのか、わかりません」。 + そこでペテロともうひとりの弟子は出かけて、墓へむかって行った。 + ふたりは一緒に走り出したが、そのもうひとりの弟子の方が、ペテロよりも早く走って先に墓に着き、 + そして身をかがめてみると、亜麻布がそこに置いてあるのを見たが、中へははいらなかった。 + シモン・ペテロも続いてきて、墓の中にはいった。彼は亜麻布がそこに置いてあるのを見たが、 + イエスの頭に巻いてあった布は亜麻布のそばにはなくて、はなれた別の場所にくるめてあった。 + すると、先に墓に着いたもうひとりの弟子もはいってきて、これを見て信じた。 + しかし、彼らは死人のうちからイエスがよみがえるべきことをしるした聖句を、まだ悟っていなかった。 + それから、ふたりの弟子たちは自分の家に帰って行った。 + しかし、マリヤは墓の外に立って泣いていた。そして泣きながら、身をかがめて墓の中をのぞくと、 + 白い衣を着たふたりの御使が、イエスの死体のおかれていた場所に、ひとりは頭の方に、ひとりは足の方に、すわっているのを見た。 + すると、彼らはマリヤに、「女よ、なぜ泣いているのか」と言った。マリヤは彼らに言った、「だれかが、わたしの主を取り去りました。そして、どこに置いたのか、わからないのです」。 + そう言って、うしろをふり向くと、そこにイエスが立っておられるのを見た。しかし、それがイエスであることに気がつかなかった。 + イエスは女に言われた、「女よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか」。マリヤは、その人が園の番人だと思って言った、「もしあなたが、あのかたを移したのでしたら、どこへ置いたのか、どうぞ、おっしゃって下さい。わたしがそのかたを引き取ります」。 + イエスは彼女に「マリヤよ」と言われた。マリヤはふり返って、イエスにむかってヘブル語で「ラボニ」と言った。それは、先生という意味である。 + イエスは彼女に言われた、「わたしにさわってはいけない。わたしは、まだ父のみもとに上っていないのだから。ただ、わたしの兄弟たちの所に行って、『わたしは、わたしの父またあなたがたの父であって、わたしの神またあなたがたの神であられるかたのみもとへ上って行く』と、彼らに伝えなさい」。 + マグダラのマリヤは弟子たちのところに行って、自分が主に会ったこと、またイエスがこれこれのことを自分に仰せになったことを、報告した。 + その日、すなわち、一週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人をおそれて、自分たちのおる所の戸をみなしめていると、イエスがはいってきて、彼らの中に立ち、「安かれ」と言われた。 + そう言って、手とわきとを、彼らにお見せになった。弟子たちは主を見て喜んだ。 + イエスはまた彼らに言われた、「安かれ。父がわたしをおつかわしになったように、わたしもまたあなたがたをつかわす」。 + そう言って、彼らに息を吹きかけて仰せになった、「聖霊を受けよ。 + あなたがたがゆるす罪は、だれの罪でもゆるされ、あなたがたがゆるさずにおく罪は、そのまま残るであろう」。 + 十二弟子のひとりで、デドモと呼ばれているトマスは、イエスがこられたとき、彼らと一緒にいなかった。 + ほかの弟子たちが、彼に「わたしたちは主にお目にかかった」と言うと、トマスは彼らに言った、「わたしは、その手に釘あとを見、わたしの指をその釘あとにさし入れ、また、わたしの手をそのわきにさし入れてみなければ、決して信じない」。 + 八日ののち、イエスの弟子たちはまた家の内におり、トマスも一緒にいた。戸はみな閉ざされていたが、イエスがはいってこられ、中に立って「安かれ」と言われた。 + それからトマスに言われた、「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手をのばしてわたしのわきにさし入れてみなさい。信じない者にならないで、信じる者になりなさい」。 + トマスはイエスに答えて言った、「わが主よ、わが神よ」。 + イエスは彼に言われた、「あなたはわたしを見たので信じたのか。見ないで信ずる者は、さいわいである」。 + イエスは、この書に書かれていないしるしを、ほかにも多く、弟子たちの前で行われた。 + しかし、これらのことを書いたのは、あなたがたがイエスは神の子キリストであると信じるためであり、また、そう信じて、イエスの名によって命を得るためである。 + + + そののち、イエスはテベリヤの海べで、ご自身をまた弟子たちにあらわされた。そのあらわされた次第は、こうである。 + シモン・ペテロが、デドモと呼ばれているトマス、ガリラヤのカナのナタナエル、ゼベダイの子らや、ほかのふたりの弟子たちと一緒にいた時のことである。 + シモン・ペテロは彼らに「わたしは漁に行くのだ」と言うと、彼らは「わたしたちも一緒に行こう」と言った。彼らは出て行って舟に乗った。しかし、その夜はなんの獲物もなかった。 + 夜が明けたころ、イエスが岸に立っておられた。しかし弟子たちはそれがイエスだとは知らなかった。 + イエスは彼らに言われた、「子たちよ、何か食べるものがあるか」。彼らは「ありません」と答えた。 + すると、イエスは彼らに言われた、「舟の右の方に網をおろして見なさい。そうすれば、何かとれるだろう」。彼らは網をおろすと、魚が多くとれたので、それを引き上げることができなかった。 + イエスの愛しておられた弟子が、ペテロに「あれは主だ」と言った。シモン・ペテロは主であると聞いて、裸になっていたため、上着をまとって海にとびこんだ。 + しかし、ほかの弟子たちは舟に乗ったまま、魚のはいっている網を引きながら帰って行った。陸からはあまり遠くない五十間ほどの所にいたからである。 + 彼らが陸に上って見ると、炭火がおこしてあって、その上に魚がのせてあり、またそこにパンがあった。 + イエスは彼らに言われた、「今とった魚を少し持ってきなさい」。 + シモン・ペテロが行って、網を陸へ引き上げると、百五十三びきの大きな魚でいっぱいになっていた。そんなに多かったが、網はさけないでいた。 + イエスは彼らに言われた、「さあ、朝の食事をしなさい」。弟子たちは、主であることがわかっていたので、だれも「あなたはどなたですか」と進んで尋ねる者がなかった。 + イエスはそこにきて、パンをとり彼らに与え、また魚も同じようにされた。 + イエスが死人の中からよみがえったのち、弟子たちにあらわれたのは、これで既に三度目である。 + 彼らが食事をすませると、イエスはシモン・ペテロに言われた、「ヨハネの子シモンよ、あなたはこの人たちが愛する以上に、わたしを愛するか」。ペテロは言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に「わたしの小羊を養いなさい」と言われた。 + またもう一度彼に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。彼はイエスに言った、「主よ、そうです。わたしがあなたを愛することは、あなたがご存じです」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を飼いなさい」。 + イエスは三度目に言われた、「ヨハネの子シモンよ、わたしを愛するか」。ペテロは「わたしを愛するか」とイエスが三度も言われたので、心をいためてイエスに言った、「主よ、あなたはすべてをご存じです。わたしがあなたを愛していることは、おわかりになっています」。イエスは彼に言われた、「わたしの羊を養いなさい。 + よくよくあなたに言っておく。あなたが若かった時には、自分で帯をしめて、思いのままに歩きまわっていた。しかし年をとってからは、自分の手をのばすことになろう。そして、ほかの人があなたに帯を結びつけ、行きたくない所へ連れて行くであろう」。 + これは、ペテロがどんな死に方で、神の栄光をあらわすかを示すために、お話しになったのである。こう話してから、「わたしに従ってきなさい」と言われた。 + ペテロはふり返ると、イエスの愛しておられた弟子がついて来るのを見た。この弟子は、あの夕食のときイエスの胸近くに寄りかかって、「主よ、あなたを裏切る者は、だれなのですか」と尋ねた人である。 + ペテロはこの弟子を見て、イエスに言った、「主よ、この人はどうなのですか」。 + イエスは彼に言われた、「たとい、わたしの来る時まで彼が生き残っていることを、わたしが望んだとしても、あなたにはなんの係わりがあるか。あなたは、わたしに従ってきなさい」。 + こういうわけで、この弟子は死ぬことがないといううわさが、兄弟たちの間にひろまった。しかし、イエスは彼が死ぬことはないと言われたのではなく、ただ「たとい、わたしの来る時まで彼が生き残っていることを、わたしが望んだとしても、あなたにはなんの係わりがあるか」と言われただけである。 + これらの事についてあかしをし、またこれらの事を書いたのは、この弟子である。そして彼のあかしが真実であることを、わたしたちは知っている。 + イエスのなさったことは、このほかにまだ数多くある。もしいちいち書きつけるならば、世界もその書かれた文書を収めきれないであろうと思う。 + +
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+ + テオピロよ、わたしは先に第一巻を著わして、イエスが行い、また教えはじめてから、 + お選びになった使徒たちに、聖霊によって命じたのち、天に上げられた日までのことを、ことごとくしるした。 + イエスは苦難を受けたのち、自分の生きていることを数々の確かな証拠によって示し、四十日にわたってたびたび彼らに現れて、神の国のことを語られた。 + そして食事を共にしているとき、彼らにお命じになった、「エルサレムから離れないで、かねてわたしから聞いていた父の約束を待っているがよい。 + すなわち、ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは間もなく聖霊によって、バプテスマを授けられるであろう」。 + さて、弟子たちが一緒に集まったとき、イエスに問うて言った、「主よ、イスラエルのために国を復興なさるのは、この時なのですか」。 + 彼らに言われた、「時期や場合は、父がご自分の権威によって定めておられるのであって、あなたがたの知る限りではない。 + ただ、聖霊があなたがたにくだる時、あなたがたは力を受けて、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、さらに地のはてまで、わたしの証人となるであろう」。 + こう言い終ると、イエスは彼らの見ている前で天に上げられ、雲に迎えられて、その姿が見えなくなった。 + イエスの上って行かれるとき、彼らが天を見つめていると、見よ、白い衣を着たふたりの人が、彼らのそばに立っていて + 言った、「ガリラヤの人たちよ、なぜ天を仰いで立っているのか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになるであろう」。 + それから彼らは、オリブという山を下ってエルサレムに帰った。この山はエルサレムに近く、安息日に許されている距離のところにある。 + 彼らは、市内に行って、その泊まっていた屋上の間にあがった。その人たちは、ペテロ、ヨハネ、ヤコブ、アンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコブと熱心党のシモンとヤコブの子ユダとであった。 + 彼らはみな、婦人たち、特にイエスの母マリヤ、およびイエスの兄弟たちと共に、心を合わせて、ひたすら祈をしていた。 + そのころ、百二十名ばかりの人々が、一団となって集まっていたが、ペテロはこれらの兄弟たちの中に立って言った、 + 「兄弟たちよ、イエスを捕えた者たちの手びきになったユダについては、聖霊がダビデの口をとおして預言したその言葉は、成就しなければならなかった。 + 彼はわたしたちの仲間に加えられ、この務を授かっていた者であった。( + 彼は不義の報酬で、ある地所を手に入れたが、そこへまっさかさまに落ちて、腹がまん中から引き裂け、はらわたがみな流れ出てしまった。 + そして、この事はエルサレムの全住民に知れわたり、そこで、この地所が彼らの国語でアケルダマと呼ばれるようになった。「血の地所」との意である。) + 詩篇に、『その屋敷は荒れ果てよ、そこにはひとりも住む者がいなくなれ』と書いてあり、また『その職は、ほかの者に取らせよ』とあるとおりである。 + そういうわけで、主イエスがわたしたちの間にゆききされた期間中、 + すなわち、ヨハネのバプテスマの時から始まって、わたしたちを離れて天に上げられた日に至るまで、始終わたしたちと行動を共にした人たちのうち、だれかひとりが、わたしたちに加わって主の復活の証人にならねばならない」。 + そこで一同は、バルサバと呼ばれ、またの名をユストというヨセフと、マッテヤとのふたりを立て、 + 祈って言った、「すべての人の心をご存じである主よ。このふたりのうちのどちらを選んで、 + ユダがこの使徒の職務から落ちて、自分の行くべきところへ行ったそのあとを継がせなさいますか、お示し下さい」。 + それから、ふたりのためにくじを引いたところ、マッテヤに当ったので、この人が十一人の使徒たちに加えられることになった。 + + + 五旬節の日がきて、みんなの者が一緒に集まっていると、 + 突然、激しい風が吹いてきたような音が天から起ってきて、一同がすわっていた家いっぱいに響きわたった。 + また、舌のようなものが、炎のように分れて現れ、ひとりびとりの上にとどまった。 + すると、一同は聖霊に満たされ、御霊が語らせるままに、いろいろの他国の言葉で語り出した。 + さて、エルサレムには、天下のあらゆる国々から、信仰深いユダヤ人たちがきて住んでいたが、 + この物音に大ぜいの人が集まってきて、彼らの生れ故郷の国語で、使徒たちが話しているのを、だれもかれも聞いてあっけに取られた。 + そして驚き怪しんで言った、「見よ、いま話しているこの人たちは、皆ガリラヤ人ではないか。 + それだのに、わたしたちがそれぞれ、生れ故郷の国語を彼らから聞かされるとは、いったい、どうしたことか。 + わたしたちの中には、パルテヤ人、メジヤ人、エラム人もおれば、メソポタミヤ、ユダヤ、カパドキヤ、ポントとアジヤ、 + フルギヤとパンフリヤ、エジプトとクレネに近いリビヤ地方などに住む者もいるし、またローマ人で旅にきている者、 + ユダヤ人と改宗者、クレテ人とアラビヤ人もいるのだが、あの人々がわたしたちの国語で、神の大きな働きを述べるのを聞くとは、どうしたことか」。 + みんなの者は驚き惑って、互に言い合った、「これは、いったい、どういうわけなのだろう」。 + しかし、ほかの人たちはあざ笑って、「あの人たちは新しい酒で酔っているのだ」と言った。 + そこで、ペテロが十一人の者と共に立ちあがり、声をあげて人々に語りかけた。「ユダヤの人たち、ならびにエルサレムに住むすべてのかたがた、どうか、この事を知っていただきたい。わたしの言うことに耳を傾けていただきたい。 + 今は朝の九時であるから、この人たちは、あなたがたが思っているように、酒に酔っているのではない。 + そうではなく、これは預言者ヨエルが預言していたことに外ならないのである。すなわち、 + 『神がこう仰せになる。終りの時には、わたしの霊をすべての人に注ごう。そして、あなたがたのむすこ娘は預言をし、若者たちは幻を見、老人たちは夢を見るであろう。 + その時には、わたしの男女の僕たちにもわたしの霊を注ごう。そして彼らも預言をするであろう。 + また、上では、天に奇跡を見せ、下では、地にしるしを、すなわち、血と火と立ちこめる煙とを、見せるであろう。 + 主の大いなる輝かしい日が来る前に、日はやみに月は血に変るであろう。 + そのとき、主の名を呼び求める者は、みな救われるであろう』。 + イスラエルの人たちよ、今わたしの語ることを聞きなさい。あなたがたがよく知っているとおり、ナザレ人イエスは、神が彼をとおして、あなたがたの中で行われた数々の力あるわざと奇跡としるしとにより、神からつかわされた者であることを、あなたがたに示されたかたであった。 + このイエスが渡されたのは神の定めた計画と予知とによるのであるが、あなたがたは彼を不法の人々の手で十字架につけて殺した。 + 神はこのイエスを死の苦しみから解き放って、よみがえらせたのである。イエスが死に支配されているはずはなかったからである。 + ダビデはイエスについてこう言っている、『わたしは常に目の前に主を見た。主は、わたしが動かされないため、わたしの右にいて下さるからである。 + それゆえ、わたしの心は楽しみ、わたしの舌はよろこび歌った。わたしの肉体もまた、望みに生きるであろう。 + あなたは、わたしの魂を黄泉に捨ておくことをせず、あなたの聖者が朽ち果てるのを、お許しにならないであろう。 + あなたは、いのちの道をわたしに示し、み前にあって、わたしを喜びで満たして下さるであろう』。 + 兄弟たちよ、族長ダビデについては、わたしはあなたがたにむかって大胆に言うことができる。彼は死んで葬られ、現にその墓が今日に至るまで、わたしたちの間に残っている。 + 彼は預言者であって、『その子孫のひとりを王位につかせよう』と、神が堅く彼に誓われたことを認めていたので、 + キリストの復活をあらかじめ知って、『彼は黄泉に捨ておかれることがなく、またその肉体が朽ち果てることもない』と語ったのである。 + このイエスを、神はよみがえらせた。そして、わたしたちは皆その証人なのである。 + それで、イエスは神の右に上げられ、父から約束の聖霊を受けて、それをわたしたちに注がれたのである。このことは、あなたがたが現に見聞きしているとおりである。 + ダビデが天に上ったのではない。彼自身こう言っている、『主はわが主に仰せになった、 + あなたの敵をあなたの足台にするまでは、わたしの右に座していなさい』。 + だから、イスラエルの全家は、この事をしかと知っておくがよい。あなたがたが十字架につけたこのイエスを、神は、主またキリストとしてお立てになったのである」。 + 人々はこれを聞いて、強く心を刺され、ペテロやほかの使徒たちに、「兄弟たちよ、わたしたちは、どうしたらよいのでしょうか」と言った。 + すると、ペテロが答えた、「悔い改めなさい。そして、あなたがたひとりびとりが罪のゆるしを得るために、イエス・キリストの名によって、バプテスマを受けなさい。そうすれば、あなたがたは聖霊の賜物を受けるであろう。 + この約束は、われらの主なる神の召しにあずかるすべての者、すなわちあなたがたと、あなたがたの子らと、遠くの者一同とに、与えられているものである」。 + ペテロは、ほかになお多くの言葉であかしをなし、人々に「この曲った時代から救われよ」と言って勧めた。 + そこで、彼の勧めの言葉を受けいれた者たちは、バプテスマを受けたが、その日、仲間に加わったものが三千人ほどあった。 + そして一同はひたすら、使徒たちの教を守り、信徒の交わりをなし、共にパンをさき、祈をしていた。 + みんなの者におそれの念が生じ、多くの奇跡としるしとが、使徒たちによって、次々に行われた。 + 信者たちはみな一緒にいて、いっさいの物を共有にし、 + 資産や持ち物を売っては、必要に応じてみんなの者に分け与えた。 + そして日々心を一つにして、絶えず宮もうでをなし、家ではパンをさき、よろこびと、まごころとをもって、食事を共にし、 + 神をさんびし、すべての人に好意を持たれていた。そして主は、救われる者を日々仲間に加えて下さったのである。 + + + さて、ペテロとヨハネとが、午後三時の祈のときに宮に上ろうとしていると、 + 生れながら足のきかない男が、かかえられてきた。この男は、宮もうでに来る人々に施しをこうため、毎日、「美しの門」と呼ばれる宮の門のところに、置かれていた者である。 + 彼は、ペテロとヨハネとが、宮にはいって行こうとしているのを見て、施しをこうた。 + ペテロとヨハネとは彼をじっと見て、「わたしたちを見なさい」と言った。 + 彼は何かもらえるのだろうと期待して、ふたりに注目していると、 + ペテロが言った、「金銀はわたしには無い。しかし、わたしにあるものをあげよう。ナザレ人イエス・キリストの名によって歩きなさい」。 + こう言って彼の右手を取って起してやると、足と、くるぶしとが、立ちどころに強くなって、 + 踊りあがって立ち、歩き出した。そして、歩き回ったり踊ったりして神をさんびしながら、彼らと共に宮にはいって行った。 + 民衆はみな、彼が歩き回り、また神をさんびしているのを見、 + これが宮の「美しの門」のそばにすわって、施しをこうていた者であると知り、彼の身に起ったことについて、驚き怪しんだ。 + 彼がなおもペテロとヨハネとにつきまとっているとき、人々は皆ひどく驚いて、「ソロモンの廊」と呼ばれる柱廊にいた彼らのところに駆け集まってきた。 + ペテロはこれを見て、人々にむかって言った、「イスラエルの人たちよ、なぜこの事を不思議に思うのか。また、わたしたちが自分の力や信心で、あの人を歩かせたかのように、なぜわたしたちを見つめているのか。 + アブラハム、イサク、ヤコブの神、わたしたちの先祖の神は、その僕イエスに栄光を賜わったのであるが、あなたがたは、このイエスを引き渡し、ピラトがゆるすことに決めていたのに、それを彼の面前で拒んだ。 + あなたがたは、この聖なる正しいかたを拒んで、人殺しの男をゆるすように要求し、 + いのちの君を殺してしまった。しかし、神はこのイエスを死人の中から、よみがえらせた。わたしたちは、その事の証人である。 + そして、イエスの名が、それを信じる信仰のゆえに、あなたがたのいま見て知っているこの人を、強くしたのであり、イエスによる信仰が、彼をあなたがた一同の前で、このとおり完全にいやしたのである。 + さて、兄弟たちよ、あなたがたは知らずにあのような事をしたのであり、あなたがたの指導者たちとても同様であったことは、わたしにわかっている。 + 神はあらゆる預言者の口をとおして、キリストの受難を予告しておられたが、それをこのように成就なさったのである。 + だから、自分の罪をぬぐい去っていただくために、悔い改めて本心に立ちかえりなさい。 + それは、主のみ前から慰めの時がきて、あなたがたのためにあらかじめ定めてあったキリストなるイエスを、神がつかわして下さるためである。 + このイエスは、神が聖なる預言者たちの口をとおして、昔から預言しておられた万物更新の時まで、天にとどめておかれねばならなかった。 + モーセは言った、『主なる神は、わたしをお立てになったように、あなたがたの兄弟の中から、ひとりの預言者をお立てになるであろう。その預言者があなたがたに語ることには、ことごとく聞きしたがいなさい。 + 彼に聞きしたがわない者は、みな民の中から滅ぼし去られるであろう』。 + サムエルをはじめ、その後つづいて語ったほどの預言者はみな、この時のことを予告した。 + あなたがたは預言者の子であり、神があなたがたの先祖たちと結ばれた契約の子である。神はアブラハムに対して、『地上の諸民族は、あなたの子孫によって祝福を受けるであろう』と仰せられた。 + 神がまずあなたがたのために、その僕を立てて、おつかわしになったのは、あなたがたひとりびとりを、悪から立ちかえらせて、祝福にあずからせるためなのである」。 + + + 彼らが人々にこのように語っているあいだに、祭司たち、宮守がしら、サドカイ人たちが近寄ってきて、 + 彼らが人々に教を説き、イエス自身に起った死人の復活を宣伝しているのに気をいら立て、 + 彼らに手をかけて捕え、はや日が暮れていたので、翌朝まで留置しておいた。 + しかし、彼らの話を聞いた多くの人たちは信じた。そして、その男の数が五千人ほどになった。 + 明くる日、役人、長老、律法学者たちが、エルサレムに召集された。 + 大祭司アンナスをはじめ、カヤパ、ヨハネ、アレキサンデル、そのほか大祭司の一族もみな集まった。 + そして、そのまん中に使徒たちを立たせて尋問した、「あなたがたは、いったい、なんの権威、また、だれの名によって、このことをしたのか」。 + その時、ペテロが聖霊に満たされて言った、「民の役人たち、ならびに長老たちよ、 + わたしたちが、きょう、取調べを受けているのは、病人に対してした良いわざについてであり、この人がどうしていやされたかについてであるなら、 + あなたがたご一同も、またイスラエルの人々全体も、知っていてもらいたい。この人が元気になってみんなの前に立っているのは、ひとえに、あなたがたが十字架につけて殺したのを、神が死人の中からよみがえらせたナザレ人イエス・キリストの御名によるのである。 + このイエスこそは『あなたがた家造りらに捨てられたが、隅のかしら石となった石』なのである。 + この人による以外に救はない。わたしたちを救いうる名は、これを別にしては、天下のだれにも与えられていないからである」。 + 人々はペテロとヨハネとの大胆な話しぶりを見、また同時に、ふたりが無学な、ただの人たちであることを知って、不思議に思った。そして彼らがイエスと共にいた者であることを認め、 + かつ、彼らにいやされた者がそのそばに立っているのを見ては、まったく返す言葉がなかった。 + そこで、ふたりに議会から退場するように命じてから、互に協議をつづけて + 言った、「あの人たちを、どうしたらよかろうか。彼らによって著しいしるしが行われたことは、エルサレムの住民全体に知れわたっているので、否定しようもない。 + ただ、これ以上このことが民衆の間にひろまらないように、今後はこの名によって、いっさいだれにも語ってはいけないと、おどしてやろうではないか」。 + そこで、ふたりを呼び入れて、イエスの名によって語ることも説くことも、いっさい相成らぬと言いわたした。 + ペテロとヨハネとは、これに対して言った、「神に聞き従うよりも、あなたがたに聞き従う方が、神の前に正しいかどうか、判断してもらいたい。 + わたしたちとしては、自分の見たこと聞いたことを、語らないわけにはいかない」。 + そこで、彼らはふたりを更におどしたうえ、ゆるしてやった。みんなの者が、この出来事のために、神をあがめていたので、その人々の手前、ふたりを罰するすべがなかったからである。 + そのしるしによっていやされたのは、四十歳あまりの人であった。 + ふたりはゆるされてから、仲間の者たちのところに帰って、祭司長たちや長老たちが言ったいっさいのことを報告した。 + 一同はこれを聞くと、口をそろえて、神にむかい声をあげて言った、「天と地と海と、その中のすべてのものとの造りぬしなる主よ。 + あなたは、わたしたちの先祖、あなたの僕ダビデの口をとおして、聖霊によって、こう仰せになりました、『なぜ、異邦人らは、騒ぎ立ち、もろもろの民は、むなしいことを図り、 + 地上の王たちは、立ちかまえ、支配者たちは、党を組んで、主とそのキリストとに逆らったのか』。 + まことに、ヘロデとポンテオ・ピラトとは、異邦人らやイスラエルの民と一緒になって、この都に集まり、あなたから油を注がれた聖なる僕イエスに逆らい、 + み手とみ旨とによって、あらかじめ定められていたことを、なし遂げたのです。 + 主よ、いま、彼らの脅迫に目をとめ、僕たちに、思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい。 + そしてみ手を伸ばしていやしをなし、聖なる僕イエスの名によって、しるしと奇跡とを行わせて下さい」。 + 彼らが祈り終えると、その集まっていた場所が揺れ動き、一同は聖霊に満たされて、大胆に神の言を語り出した。 + 信じた者の群れは、心を一つにし思いを一つにして、だれひとりその持ち物を自分のものだと主張する者がなく、いっさいの物を共有にしていた。 + 使徒たちは主イエスの復活について、非常に力強くあかしをした。そして大きなめぐみが、彼ら一同に注がれた。 + 彼らの中に乏しい者は、ひとりもいなかった。地所や家屋を持っている人たちは、それを売り、売った物の代金をもってきて、 + 使徒たちの足もとに置いた。そしてそれぞれの必要に応じて、だれにでも分け与えられた。 + クプロ生れのレビ人で、使徒たちにバルナバ(「慰めの子」との意)と呼ばれていたヨセフは、 + 自分の所有する畑を売り、その代金をもってきて、使徒たちの足もとに置いた。 + + + ところが、アナニヤという人とその妻サッピラとは共に資産を売ったが、 + 共謀して、その代金をごまかし、一部だけを持ってきて、使徒たちの足もとに置いた。 + そこで、ペテロが言った、「アナニヤよ、どうしてあなたは、自分の心をサタンに奪われて、聖霊を欺き、地所の代金をごまかしたのか。 + 売らずに残しておけば、あなたのものであり、売ってしまっても、あなたの自由になったはずではないか。どうして、こんなことをする気になったのか。あなたは人を欺いたのではなくて、神を欺いたのだ」。 + アナニヤはこの言葉を聞いているうちに、倒れて息が絶えた。このことを伝え聞いた人々は、みな非常なおそれを感じた。 + それから、若者たちが立って、その死体を包み、運び出して葬った。 + 三時間ばかりたってから、たまたま彼の妻が、この出来事を知らずに、はいってきた。 + そこで、ペテロが彼女にむかって言った、「あの地所は、これこれの値段で売ったのか。そのとおりか」。彼女は「そうです、その値段です」と答えた。 + ペテロは言った、「あなたがたふたりが、心を合わせて主の御霊を試みるとは、何事であるか。見よ、あなたの夫を葬った人たちの足が、そこの門口にきている。あなたも運び出されるであろう」。 + すると女は、たちまち彼の足もとに倒れて、息が絶えた。そこに若者たちがはいってきて、女が死んでしまっているのを見、それを運び出してその夫のそばに葬った。 + 教会全体ならびにこれを伝え聞いた人たちは、みな非常なおそれを感じた。 + そのころ、多くのしるしと奇跡とが、次々に使徒たちの手により人々の中で行われた。そして、一同は心を一つにして、ソロモンの廊に集まっていた。 + ほかの者たちは、だれひとり、その交わりに入ろうとはしなかったが、民衆は彼らを尊敬していた。 + しかし、主を信じて仲間に加わる者が、男女とも、ますます多くなってきた。 + ついには、病人を大通りに運び出し、寝台や寝床の上に置いて、ペテロが通るとき、彼の影なりと、そのうちのだれかにかかるようにしたほどであった。 + またエルサレム附近の町々からも、大ぜいの人が、病人や汚れた霊に苦しめられている人たちを引き連れて、集まってきたが、その全部の者が、ひとり残らずいやされた。 + そこで、大祭司とその仲間の者、すなわち、サドカイ派の人たちが、みな嫉妬の念に満たされて立ちあがり、 + 使徒たちに手をかけて捕え、公共の留置場に入れた。 + ところが夜、主の使が獄の戸を開き、彼らを連れ出して言った、 + 「さあ行きなさい。そして、宮の庭に立ち、この命の言葉を漏れなく、人々に語りなさい」。 + 彼らはこれを聞き、夜明けごろ宮にはいって教えはじめた。一方では、大祭司とその仲間の者とが、集まってきて、議会とイスラエル人の長老一同とを召集し、使徒たちを引き出してこさせるために、人を獄につかわした。 + そこで、下役どもが行って見ると、使徒たちが獄にいないので、引き返して報告した、 + 「獄には、しっかりと錠がかけてあり、戸口には、番人が立っていました。ところが、あけて見たら、中にはだれもいませんでした」。 + 宮守がしらと祭司長たちとは、この報告を聞いて、これは、いったい、どんな事になるのだろうと、あわて惑っていた。 + そこへ、ある人がきて知らせた、「行ってごらんなさい。あなたがたが獄に入れたあの人たちが、宮の庭に立って、民衆を教えています」。 + そこで宮守がしらが、下役どもと一緒に出かけて行って、使徒たちを連れてきた。しかし、人々に石で打ち殺されるのを恐れて、手荒なことはせず、 + 彼らを連れてきて、議会の中に立たせた。すると、大祭司が問うて + 言った、「あの名を使って教えてはならないと、きびしく命じておいたではないか。それだのに、なんという事だ。エルサレム中にあなたがたの教を、はんらんさせている。あなたがたは確かに、あの人の血の責任をわたしたちに負わせようと、たくらんでいるのだ」。 + これに対して、ペテロをはじめ使徒たちは言った、「人間に従うよりは、神に従うべきである。 + わたしたちの先祖の神は、あなたがたが木にかけて殺したイエスをよみがえらせ、 + そして、イスラエルを悔い改めさせてこれに罪のゆるしを与えるために、このイエスを導き手とし救主として、ご自身の右に上げられたのである。 + わたしたちはこれらの事の証人である。神がご自身に従う者に賜わった聖霊もまた、その証人である」。 + これを聞いた者たちは、激しい怒りのあまり、使徒たちを殺そうと思った。 + ところが、国民全体に尊敬されていた律法学者ガマリエルというパリサイ人が、議会で立って、使徒たちをしばらくのあいだ外に出すように要求してから、 + 一同にむかって言った、「イスラエルの諸君、あの人たちをどう扱うか、よく気をつけるがよい。 + 先ごろ、チゥダが起って、自分を何か偉い者のように言いふらしたため、彼に従った男の数が、四百人ほどもあったが、結局、彼は殺されてしまい、従った者もみな四散して、全く跡方もなくなっている。 + そののち、人口調査の時に、ガリラヤ人ユダが民衆を率いて反乱を起したが、この人も滅び、従った者もみな散らされてしまった。 + そこで、この際、諸君に申し上げる。あの人たちから手を引いて、そのなすままにしておきなさい。その企てや、しわざが、人間から出たものなら、自滅するだろう。 + しかし、もし神から出たものなら、あの人たちを滅ぼすことはできまい。まかり違えば、諸君は神を敵にまわすことになるかも知れない」。そこで彼らはその勧告にしたがい、 + 使徒たちを呼び入れて、むち打ったのち、今後イエスの名によって語ることは相成らぬと言いわたして、ゆるしてやった。 + 使徒たちは、御名のために恥を加えられるに足る者とされたことを喜びながら、議会から出てきた。 + そして、毎日、宮や家で、イエスがキリストであることを、引きつづき教えたり宣べ伝えたりした。 + + + そのころ、弟子の数がふえてくるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちから、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して、自分たちのやもめらが、日々の配給で、おろそかにされがちだと、苦情を申し立てた。 + そこで、十二使徒は弟子全体を呼び集めて言った、「わたしたちが神の言をさしおいて、食卓のことに携わるのはおもしろくない。 + そこで、兄弟たちよ、あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判のよい人たち七人を捜し出してほしい。その人たちにこの仕事をまかせ、 + わたしたちは、もっぱら祈と御言のご用に当ることにしよう」。 + この提案は会衆一同の賛成するところとなった。そして信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ、それからピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、およびアンテオケの改宗者ニコラオを選び出して、 + 使徒たちの前に立たせた。すると、使徒たちは祈って手を彼らの上においた。 + こうして神の言は、ますますひろまり、エルサレムにおける弟子の数が、非常にふえていき、祭司たちも多数、信仰を受けいれるようになった。 + さて、ステパノは恵みと力とに満ちて、民衆の中で、めざましい奇跡としるしとを行っていた。 + すると、いわゆる「リベルテン」の会堂に属する人々、クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤからきた人々などが立って、ステパノと議論したが、 + 彼は知恵と御霊とで語っていたので、それに対抗できなかった。 + そこで、彼らは人々をそそのかして、「わたしたちは、彼がモーセと神とを汚す言葉を吐くのを聞いた」と言わせた。 + その上、民衆や長老たちや律法学者たちを煽動し、彼を襲って捕えさせ、議会にひっぱってこさせた。 + それから、偽りの証人たちを立てて言わせた、「この人は、この聖所と律法とに逆らう言葉を吐いて、どうしても、やめようとはしません。 + 『あのナザレ人イエスは、この聖所を打ちこわし、モーセがわたしたちに伝えた慣例を変えてしまうだろう』などと、彼が言うのを、わたしたちは聞きました」。 + 議会で席についていた人たちは皆、ステパノに目を注いだが、彼の顔は、ちょうど天使の顔のように見えた。 + + + 大祭司は「そのとおりか」と尋ねた。 + そこで、ステパノが言った、「兄弟たち、父たちよ、お聞き下さい。わたしたちの父祖アブラハムが、カランに住む前、まだメソポタミヤにいたとき、栄光の神が彼に現れて + 仰せになった、『あなたの土地と親族から離れて、あなたにさし示す地に行きなさい』。 + そこで、アブラハムはカルデヤ人の地を出て、カランに住んだ。そして、彼の父が死んだのち、神は彼をそこから、今あなたがたの住んでいるこの地に移住させたが、 + そこでは、遺産となるものは何一つ、一歩の幅の土地すらも、与えられなかった。ただ、その地を所領として授けようとの約束を、彼と、そして彼にはまだ子がなかったのに、その子孫とに与えられたのである。 + 神はこう仰せになった、『彼の子孫は他国に身を寄せるであろう。そして、そこで四百年のあいだ、奴隷にされて虐待を受けるであろう』。 + それから、さらに仰せになった、『彼らを奴隷にする国民を、わたしはさばくであろう。その後、彼らはそこからのがれ出て、この場所でわたしを礼拝するであろう』。 + そして、神はアブラハムに、割礼の契約をお与えになった。こうして、彼はイサクの父となり、これに八日目に割礼を施し、それから、イサクはヤコブの父となり、ヤコブは十二人の族長たちの父となった。 + 族長たちは、ヨセフをねたんで、エジプトに売りとばした。しかし、神は彼と共にいまして、 + あらゆる苦難から彼を救い出し、エジプト王パロの前で恵みを与え、知恵をあらわさせた。そこで、パロは彼を宰相の任につかせ、エジプトならびに王家全体の支配に当らせた。 + 時に、エジプトとカナンとの全土にわたって、ききんが起り、大きな苦難が襲ってきて、わたしたちの先祖たちは、食物が得られなくなった。 + ヤコブは、エジプトには食糧があると聞いて、初めに先祖たちをつかわしたが、 + 二回目の時に、ヨセフが兄弟たちに、自分の身の上を打ち明けたので、彼の親族関係がパロに知れてきた。 + ヨセフは使をやって、父ヤコブと七十五人にのぼる親族一同とを招いた。 + こうして、ヤコブはエジプトに下り、彼自身も先祖たちもそこで死に、 + それから彼らは、シケムに移されて、かねてアブラハムがいくらかの金を出してこの地のハモルの子らから買っておいた墓に、葬られた。 + 神がアブラハムに対して立てられた約束の時期が近づくにつれ、民はふえてエジプト全土にひろがった。 + やがて、ヨセフのことを知らない別な王が、エジプトに起った。 + この王は、わたしたちの同族に対し策略をめぐらして、先祖たちを虐待し、その幼な子らを生かしておかないように捨てさせた。 + モーセが生れたのは、ちょうどこのころのことである。彼はまれに見る美しい子であった。三か月の間は、父の家で育てられたが、 + そののち捨てられたのを、パロの娘が拾いあげて、自分の子として育てた。 + モーセはエジプト人のあらゆる学問を教え込まれ、言葉にもわざにも、力があった。 + 四十歳になった時、モーセは自分の兄弟であるイスラエル人たちのために尽すことを、思い立った。 + ところが、そのひとりがいじめられているのを見て、これをかばい、虐待されているその人のために、相手のエジプト人を撃って仕返しをした。 + 彼は、自分の手によって神が兄弟たちを救って下さることを、みんなが悟るものと思っていたが、実際はそれを悟らなかったのである。 + 翌日モーセは、彼らが争い合っているところに現れ、仲裁しようとして言った、『まて、君たちは兄弟同志ではないか。どうして互に傷つけ合っているのか』。 + すると、仲間をいじめていた者が、モーセを突き飛ばして言った、『だれが、君をわれわれの支配者や裁判人にしたのか。 + 君は、きのう、エジプト人を殺したように、わたしも殺そうと思っているのか』。 + モーセは、この言葉を聞いて逃げ、ミデアンの地に身を寄せ、そこで男の子ふたりをもうけた。 + 四十年たった時、シナイ山の荒野において、御使が柴の燃える炎の中でモーセに現れた。 + 彼はこの光景を見て不思議に思い、それを見きわめるために近寄ったところ、主の声が聞えてきた、 + 『わたしは、あなたの先祖たちの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である』。モーセは恐れおののいて、もうそれを見る勇気もなくなった。 + すると、主が彼に言われた、『あなたの足から、くつを脱ぎなさい。あなたの立っているこの場所は、聖なる地である。 + わたしは、エジプトにいるわたしの民が虐待されている有様を確かに見とどけ、その苦悩のうめき声を聞いたので、彼らを救い出すために下ってきたのである。さあ、今あなたをエジプトにつかわそう』。 + こうして、『だれが、君を支配者や裁判人にしたのか』と言って排斥されたこのモーセを、神は、柴の中で彼に現れた御使の手によって、支配者、解放者として、おつかわしになったのである。 + この人が、人々を導き出して、エジプトの地においても、紅海においても、また四十年のあいだ荒野においても、奇跡としるしとを行ったのである。 + この人が、イスラエル人たちに、『神はわたしをお立てになったように、あなたがたの兄弟たちの中から、ひとりの預言者をお立てになるであろう』と言ったモーセである。 + この人が、シナイ山で、彼に語りかけた御使や先祖たちと共に、荒野における集会にいて、生ける御言葉を授かり、それをあなたがたに伝えたのである。 + ところが、先祖たちは彼に従おうとはせず、かえって彼を退け、心の中でエジプトにあこがれて、 + 『わたしたちを導いてくれる神々を造って下さい。わたしたちをエジプトの地から導いてきたあのモーセがどうなったのか、わかりませんから』とアロンに言った。 + そのころ、彼らは子牛の像を造り、その偶像に供え物をささげ、自分たちの手で造ったものを祭ってうち興じていた。 + そこで、神は顔をそむけ、彼らを天の星を拝むままに任せられた。預言者の書にこう書いてあるとおりである、『イスラエルの家よ、四十年のあいだ荒野にいた時に、いけにえと供え物とを、わたしにささげたことがあったか。 + あなたがたは、モロクの幕屋やロンパの星の神を、かつぎ回った。それらは、拝むために自分で造った偶像に過ぎぬ。だからわたしは、あなたがたをバビロンのかなたへ、移してしまうであろう』。 + わたしたちの先祖には、荒野にあかしの幕屋があった。それは、見たままの型にしたがって造るようにと、モーセに語ったかたのご命令どおりに造ったものである。 + この幕屋は、わたしたちの先祖が、ヨシュアに率いられ、神によって諸民族を彼らの前から追い払い、その所領をのり取ったときに、そこに持ち込まれ、次々に受け継がれて、ダビデの時代に及んだものである。 + ダビデは、神の恵みをこうむり、そして、ヤコブの神のために宮を造営したいと願った。 + けれども、じっさいにその宮を建てたのは、ソロモンであった。 + しかし、いと高き者は、手で造った家の内にはお住みにならない。預言者が言っているとおりである、 + 『主が仰せられる、どんな家をわたしのために建てるのか。わたしのいこいの場所は、どれか。天はわたしの王座、地はわたしの足台である。 + これは皆わたしの手が造ったものではないか』。 + ああ、強情で、心にも耳にも割礼のない人たちよ。あなたがたは、いつも聖霊に逆らっている。それは、あなたがたの先祖たちと同じである。 + いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、ひとりでもいたか。彼らは正しいかたの来ることを予告した人たちを殺し、今やあなたがたは、その正しいかたを裏切る者、また殺す者となった。 + あなたがたは、御使たちによって伝えられた律法を受けたのに、それを守ることをしなかった」。 + 人々はこれを聞いて、心の底から激しく怒り、ステパノにむかって、歯ぎしりをした。 + しかし、彼は聖霊に満たされて、天を見つめていると、神の栄光が現れ、イエスが神の右に立っておられるのが見えた。 + そこで、彼は「ああ、天が開けて、人の子が神の右に立っておいでになるのが見える」と言った。 + 人々は大声で叫びながら、耳をおおい、ステパノを目がけて、いっせいに殺到し、 + 彼を市外に引き出して、石で打った。これに立ち合った人たちは、自分の上着を脱いで、サウロという若者の足もとに置いた。 + こうして、彼らがステパノに石を投げつけている間、ステパノは祈りつづけて言った、「主イエスよ、わたしの霊をお受け下さい」。 + そして、ひざまずいて、大声で叫んだ、「主よ、どうぞ、この罪を彼らに負わせないで下さい」。こう言って、彼は眠りについた。 + + + サウロは、ステパノを殺すことに賛成していた。その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起り、使徒以外の者はことごとく、ユダヤとサマリヤとの地方に散らされて行った。 + 信仰深い人たちはステパノを葬り、彼のために胸を打って、非常に悲しんだ。 + ところが、サウロは家々に押し入って、男や女を引きずり出し、次々に獄に渡して、教会を荒し回った。 + さて、散らされて行った人たちは、御言を宣べ伝えながら、めぐり歩いた。 + ピリポはサマリヤの町に下って行き、人々にキリストを宣べはじめた。 + 群衆はピリポの話を聞き、その行っていたしるしを見て、こぞって彼の語ることに耳を傾けた。 + 汚れた霊につかれた多くの人々からは、その霊が大声でわめきながら出て行くし、また、多くの中風をわずらっている者や、足のきかない者がいやされたからである。 + それで、この町では人々が、大変なよろこびかたであった。 + さて、この町に以前からシモンという人がいた。彼は魔術を行ってサマリヤの人たちを驚かし、自分をさも偉い者のように言いふらしていた。 + それで、小さい者から大きい者にいたるまで皆、彼について行き、「この人こそは『大能』と呼ばれる神の力である」と言っていた。 + 彼らがこの人について行ったのは、ながい間その魔術に驚かされていたためであった。 + ところが、ピリポが神の国とイエス・キリストの名について宣べ伝えるに及んで、男も女も信じて、ぞくぞくとバプテスマを受けた。 + シモン自身も信じて、バプテスマを受け、それから、引きつづきピリポについて行った。そして、数々のしるしやめざましい奇跡が行われるのを見て、驚いていた。 + エルサレムにいる使徒たちは、サマリヤの人々が、神の言を受け入れたと聞いて、ペテロとヨハネとを、そこにつかわした。 + ふたりはサマリヤに下って行って、みんなが聖霊を受けるようにと、彼らのために祈った。 + それは、彼らはただ主イエスの名によってバプテスマを受けていただけで、聖霊はまだだれにも下っていなかったからである。 + そこで、ふたりが手を彼らの上においたところ、彼らは聖霊を受けた。 + シモンは、使徒たちが手をおいたために、御霊が人々に授けられたのを見て、金をさし出し、 + 「わたしが手をおけばだれにでも聖霊が授けられるように、その力をわたしにも下さい」と言った。 + そこで、ペテロが彼に言った、「おまえの金は、おまえもろとも、うせてしまえ。神の賜物が、金で得られるなどと思っているのか。 + おまえの心が神の前に正しくないから、おまえは、とうてい、この事にあずかることができない。 + だから、この悪事を悔いて、主に祈れ。そうすればあるいはそんな思いを心にいだいたことが、ゆるされるかも知れない。 + おまえには、まだ苦い胆汁があり、不義のなわ目がからみついている。それが、わたしにわかっている」。 + シモンはこれを聞いて言った、「仰せのような事が、わたしの身に起らないように、どうぞ、わたしのために主に祈って下さい」。 + 使徒たちは力強くあかしをなし、また主の言を語った後、サマリヤ人の多くの村々に福音を宣べ伝えて、エルサレムに帰った。 + しかし、主の使がピリポにむかって言った、「立って南方に行き、エルサレムからガザへ下る道に出なさい」(このガザは、今は荒れはてている)。 + そこで、彼は立って出かけた。すると、ちょうど、エチオピヤ人の女王カンダケの高官で、女王の財宝全部を管理していた宦官であるエチオピヤ人が、礼拝のためエルサレムに上り、 + その帰途についていたところであった。彼は自分の馬車に乗って、預言者イザヤの書を読んでいた。 + 御霊がピリポに「進み寄って、あの馬車に並んで行きなさい」と言った。 + そこでピリポが駆けて行くと、預言者イザヤの書を読んでいるその人の声が聞えたので、「あなたは、読んでいることが、おわかりですか」と尋ねた。 + 彼は「だれかが、手びきをしてくれなければ、どうしてわかりましょう」と答えた。そして、馬車に乗って一緒にすわるようにと、ピリポにすすめた。 + 彼が読んでいた聖書の箇所は、これであった、「彼は、ほふり場に引かれて行く羊のように、また、黙々として、毛を刈る者の前に立つ小羊のように、口を開かない。 + 彼は、いやしめられて、そのさばきも行われなかった。だれが、彼の子孫のことを語ることができようか、彼の命が地上から取り去られているからには」。 + 宦官はピリポにむかって言った、「お尋ねしますが、ここで預言者はだれのことを言っているのですか。自分のことですか、それとも、だれかほかの人のことですか」。 + そこでピリポは口を開き、この聖句から説き起して、イエスのことを宣べ伝えた。 + 道を進んで行くうちに、水のある所にきたので、宦官が言った、「ここに水があります。わたしがバプテスマを受けるのに、なんのさしつかえがありますか」。〔 + これに対して、ピリポは、「あなたがまごころから信じるなら、受けてさしつかえはありません」と言った。すると、彼は「わたしは、イエス・キリストを神の子と信じます」と答えた。〕 + そこで車をとめさせ、ピリポと宦官と、ふたりとも、水の中に降りて行き、ピリポが宦官にバプテスマを授けた。 + ふたりが水から上がると、主の霊がピリポをさらって行ったので、宦官はもう彼を見ることができなかった。宦官はよろこびながら旅をつづけた。 + その後、ピリポはアゾトに姿をあらわして、町々をめぐり歩き、いたるところで福音を宣べ伝えて、ついにカイザリヤに着いた。 + + + さてサウロは、なおも主の弟子たちに対する脅迫、殺害の息をはずませながら、大祭司のところに行って、 + ダマスコの諸会堂あての添書を求めた。それは、この道の者を見つけ次第、男女の別なく縛りあげて、エルサレムにひっぱって来るためであった。 + ところが、道を急いでダマスコの近くにきたとき、突然、天から光がさして、彼をめぐり照した。 + 彼は地に倒れたが、その時「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」と呼びかける声を聞いた。 + そこで彼は「主よ、あなたは、どなたですか」と尋ねた。すると答があった、「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 + さあ立って、町にはいって行きなさい。そうすれば、そこであなたのなすべき事が告げられるであろう」。 + サウロの同行者たちは物も言えずに立っていて、声だけは聞えたが、だれも見えなかった。 + サウロは地から起き上がって目を開いてみたが、何も見えなかった。そこで人々は、彼の手を引いてダマスコへ連れて行った。 + 彼は三日間、目が見えず、また食べることも飲むこともしなかった。 + さて、ダマスコにアナニヤというひとりの弟子がいた。この人に主が幻の中に現れて、「アナニヤよ」とお呼びになった。彼は「主よ、わたしでございます」と答えた。 + そこで主が彼に言われた、「立って、『真すぐ』という名の路地に行き、ユダの家でサウロというタルソ人を尋ねなさい。彼はいま祈っている。 + 彼はアナニヤという人がはいってきて、手を自分の上において再び見えるようにしてくれるのを、幻で見たのである」。 + アナニヤは答えた、「主よ、あの人がエルサレムで、どんなにひどい事をあなたの聖徒たちにしたかについては、多くの人たちから聞いています。 + そして彼はここでも、御名をとなえる者たちをみな捕縛する権を、祭司長たちから得てきているのです」。 + しかし、主は仰せになった、「さあ、行きなさい。あの人は、異邦人たち、王たち、またイスラエルの子らにも、わたしの名を伝える器として、わたしが選んだ者である。 + わたしの名のために彼がどんなに苦しまなければならないかを、彼に知らせよう」。 + そこでアナニヤは、出かけて行ってその家にはいり、手をサウロの上において言った、「兄弟サウロよ、あなたが来る途中で現れた主イエスは、あなたが再び見えるようになるため、そして聖霊に満たされるために、わたしをここにおつかわしになったのです」。 + するとたちどころに、サウロの目から、うろこのようなものが落ちて、元どおり見えるようになった。そこで彼は立ってバプテスマを受け、 + また食事をとって元気を取りもどした。サウロは、ダマスコにいる弟子たちと共に数日間を過ごしてから、 + ただちに諸会堂でイエスのことを宣べ伝え、このイエスこそ神の子であると説きはじめた。 + これを聞いた人たちはみな非常に驚いて言った、「あれは、エルサレムでこの名をとなえる者たちを苦しめた男ではないか。その上ここにやってきたのも、彼らを縛りあげて、祭司長たちのところへひっぱって行くためではなかったか」。 + しかし、サウロはますます力が加わり、このイエスがキリストであることを論証して、ダマスコに住むユダヤ人たちを言い伏せた。 + 相当の日数がたったころ、ユダヤ人たちはサウロを殺す相談をした。 + ところが、その陰謀が彼の知るところとなった。彼らはサウロを殺そうとして、夜昼、町の門を見守っていたのである。 + そこで彼の弟子たちが、夜の間に彼をかごに乗せて、町の城壁づたいにつりおろした。 + サウロはエルサレムに着いて、弟子たちの仲間に加わろうと努めたが、みんなの者は彼を弟子だとは信じないで、恐れていた。 + ところが、バルナバは彼の世話をして使徒たちのところへ連れて行き、途中で主が彼に現れて語りかけたことや、彼がダマスコでイエスの名で大胆に宣べ伝えた次第を、彼らに説明して聞かせた。 + それ以来、彼は使徒たちの仲間に加わり、エルサレムに出入りし、主の名によって大胆に語り、 + ギリシヤ語を使うユダヤ人たちとしばしば語り合い、また論じ合った。しかし、彼らは彼を殺そうとねらっていた。 + 兄弟たちはそれと知って、彼をカイザリヤに連れてくだり、タルソへ送り出した。 + こうして教会は、ユダヤ、ガリラヤ、サマリヤ全地方にわたって平安を保ち、基礎がかたまり、主をおそれ聖霊にはげまされて歩み、次第に信徒の数を増して行った。 + ペテロは方々をめぐり歩いたが、ルダに住む聖徒たちのところへも下って行った。 + そして、そこで、八年間も床についているアイネヤという人に会った。この人は中風であった。 + ペテロが彼に言った、「アイネヤよ、イエス・キリストがあなたをいやして下さるのだ。起きなさい。そして床を取りあげなさい」。すると、彼はただちに起きあがった。 + ルダとサロンに住む人たちは、みなそれを見て、主に帰依した。 + ヨッパにタビタ(これを訳すと、ドルカス、すなわち、かもしか)という女弟子がいた。数々のよい働きや施しをしていた婦人であった。 + ところが、そのころ病気になって死んだので、人々はそのからだを洗って、屋上の間に安置した。 + ルダはヨッパに近かったので、弟子たちはペテロがルダにきていると聞き、ふたりの者を彼のもとにやって、「どうぞ、早くこちらにおいで下さい」と頼んだ。 + そこでペテロは立って、ふたりの者に連れられてきた。彼が着くとすぐ、屋上の間に案内された。すると、やもめたちがみんな彼のそばに寄ってきて、ドルカスが生前つくった下着や上着の数々を、泣きながら見せるのであった。 + ペテロはみんなの者を外に出し、ひざまずいて祈った。それから死体の方に向いて、「タビタよ、起きなさい」と言った。すると彼女は目をあけ、ペテロを見て起きなおった。 + ペテロは彼女に手をかして立たせた。それから、聖徒たちや、やもめたちを呼び入れて、彼女が生きかえっているのを見せた。 + このことがヨッパ中に知れわたり、多くの人々が主を信じた。 + ペテロは、皮なめしシモンという人の家に泊まり、しばらくの間ヨッパに滞在した。 + + + さて、カイザリヤにコルネリオという名の人がいた。イタリヤ隊と呼ばれた部隊の百卒長で、 + 信心深く、家族一同と共に神を敬い、民に数々の施しをなし、絶えず神に祈をしていた。 + ある日の午後三時ごろ、神の使が彼のところにきて、「コルネリオよ」と呼ぶのを、幻ではっきり見た。 + 彼は御使を見つめていたが、恐ろしくなって、「主よ、なんでございますか」と言った。すると御使が言った、「あなたの祈や施しは神のみ前にとどいて、おぼえられている。 + ついては今、ヨッパに人をやって、ペテロと呼ばれるシモンという人を招きなさい。 + この人は、海べに家をもつ皮なめしシモンという者の客となっている」。 + このお告げをした御使が立ち去ったのち、コルネリオは、僕ふたりと、部下の中で信心深い兵卒ひとりとを呼び、 + いっさいの事を説明して聞かせ、ヨッパへ送り出した。 + 翌日、この三人が旅をつづけて町の近くにきたころ、ペテロは祈をするため屋上にのぼった。時は昼の十二時ごろであった。 + 彼は空腹をおぼえて、何か食べたいと思った。そして、人々が食事の用意をしている間に、夢心地になった。 + すると、天が開け、大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、地上に降りて来るのを見た。 + その中には、地上の四つ足や這うもの、また空の鳥など、各種の生きものがはいっていた。 + そして声が彼に聞えてきた、「ペテロよ。立って、それらをほふって食べなさい」。 + ペテロは言った、「主よ、それはできません。わたしは今までに、清くないもの、汚れたものは、何一つ食べたことがありません」。 + すると、声が二度目にかかってきた、「神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない」。 + こんなことが三度もあってから、その入れ物はすぐ天に引き上げられた。 + ペテロが、いま見た幻はなんの事だろうかと、ひとり思案にくれていると、ちょうどその時、コルネリオから送られた人たちが、シモンの家を尋ね当てて、その門口に立っていた。 + そして声をかけて、「ペテロと呼ばれるシモンというかたが、こちらにお泊まりではございませんか」と尋ねた。 + ペテロはなおも幻について、思いめぐらしていると、御霊が言った、「ごらんなさい、三人の人たちが、あなたを尋ねてきている。 + さあ、立って下に降り、ためらわないで、彼らと一緒に出かけるがよい。わたしが彼らをよこしたのである」。 + そこでペテロは、その人たちのところに降りて行って言った、「わたしがお尋ねのペテロです。どんなご用でおいでになったのですか」。 + 彼らは答えた、「正しい人で、神を敬い、ユダヤの全国民に好感を持たれている百卒長コルネリオが、あなたを家に招いてお話を伺うようにとのお告げを、聖なる御使から受けましたので、参りました」。 + そこで、ペテロは、彼らを迎えて泊まらせた。翌日、ペテロは立って、彼らと連れだって出発した。ヨッパの兄弟たち数人も一緒に行った。 + その次の日に、一行はカイザリヤに着いた。コルネリオは親族や親しい友人たちを呼び集めて、待っていた。 + ペテロがいよいよ到着すると、コルネリオは出迎えて、彼の足もとにひれ伏して拝した。 + するとペテロは、彼を引き起して言った、「お立ちなさい。わたしも同じ人間です」。 + それから共に話しながら、へやにはいって行くと、そこには、すでに大ぜいの人が集まっていた。 + ペテロは彼らに言った、「あなたがたが知っているとおり、ユダヤ人が他国の人と交際したり、出入りしたりすることは、禁じられています。ところが、神は、どんな人間をも清くないとか、汚れているとか言ってはならないと、わたしにお示しになりました。 + お招きにあずかった時、少しもためらわずに参ったのは、そのためなのです。そこで伺いますが、どういうわけで、わたしを招いてくださったのですか」。 + これに対してコルネリオが答えた、「四日前、ちょうどこの時刻に、わたしが自宅で午後三時の祈をしていますと、突然、輝いた衣を着た人が、前に立って申しました、 + 『コルネリオよ、あなたの祈は聞きいれられ、あなたの施しは神のみ前におぼえられている。 + そこでヨッパに人を送ってペテロと呼ばれるシモンを招きなさい。その人は皮なめしシモンの海沿いの家に泊まっている』。 + それで、早速あなたをお呼びしたのです。ようこそおいで下さいました。今わたしたちは、主があなたにお告げになったことを残らず伺おうとして、みな神のみ前にまかり出ているのです」。 + そこでペテロは口を開いて言った、「神は人をかたよりみないかたで、 + 神を敬い義を行う者はどの国民でも受けいれて下さることが、ほんとうによくわかってきました。 + あなたがたは、神がすべての者の主なるイエス・キリストによって平和の福音を宣べ伝えて、イスラエルの子らにお送り下さった御言をご存じでしょう。 + それは、ヨハネがバプテスマを説いた後、ガリラヤから始まってユダヤ全土にひろまった福音を述べたものです。 + 神はナザレのイエスに聖霊と力とを注がれました。このイエスは、神が共におられるので、よい働きをしながら、また悪魔に押えつけられている人々をことごとくいやしながら、巡回されました。 + わたしたちは、イエスがこうしてユダヤ人の地やエルサレムでなさったすべてのことの証人であります。人々はこのイエスを木にかけて殺したのです。 + しかし神はイエスを三日目によみがえらせ、 + 全部の人々にではなかったが、わたしたち証人としてあらかじめ選ばれた者たちに現れるようにして下さいました。わたしたちは、イエスが死人の中から復活された後、共に飲食しました。 + それから、イエスご自身が生者と死者との審判者として神に定められたかたであることを、人々に宣べ伝え、またあかしするようにと、神はわたしたちにお命じになったのです。 + 預言者たちもみな、イエスを信じる者はことごとく、その名によって罪のゆるしが受けられると、あかしをしています」。 + ペテロがこれらの言葉をまだ語り終えないうちに、それを聞いていたみんなの人たちに、聖霊がくだった。 + 割礼を受けている信者で、ペテロについてきた人たちは、異邦人たちにも聖霊の賜物が注がれたのを見て、驚いた。 + それは、彼らが異言を語って神をさんびしているのを聞いたからである。そこで、ペテロが言い出した、 + 「この人たちがわたしたちと同じように聖霊を受けたからには、彼らに水でバプテスマを授けるのを、だれがこばみ得ようか」。 + こう言って、ペテロはその人々に命じて、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けさせた。それから、彼らはペテロに願って、なお数日のあいだ滞在してもらった。 + + + さて、異邦人たちも神の言を受けいれたということが、使徒たちやユダヤにいる兄弟たちに聞えてきた。 + そこでペテロがエルサレムに上ったとき、割礼を重んじる者たちが彼をとがめて言った、 + 「あなたは、割礼のない人たちのところに行って、食事を共にしたということだが」。 + そこでペテロは口を開いて、順序正しく説明して言った、 + 「わたしがヨッパの町で祈っていると、夢心地になって幻を見た。大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、天から降りてきて、わたしのところにとどいた。 + 注意して見つめていると、地上の四つ足、野の獣、這うもの、空の鳥などが、はいっていた。 + それから声がして、『ペテロよ、立って、それらをほふって食べなさい』と、わたしに言うのが聞えた。 + わたしは言った、『主よ、それはできません。わたしは今までに、清くないものや汚れたものを口に入れたことが一度もございません』。 + すると、二度目に天から声がかかってきた、『神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない』。 + こんなことが三度もあってから、全部のものがまた天に引き上げられてしまった。 + ちょうどその時、カイザリヤからつかわされてきた三人の人が、わたしたちの泊まっていた家に着いた。 + 御霊がわたしに、ためらわずに彼らと共に行けと言ったので、ここにいる六人の兄弟たちも、わたしと一緒に出かけて行き、一同がその人の家にはいった。 + すると彼はわたしたちに、御使が彼の家に現れて、『ヨッパに人をやって、ペテロと呼ばれるシモンを招きなさい。 + この人は、あなたとあなたの全家族とが救われる言葉を語って下さるであろう』と告げた次第を、話してくれた。 + そこでわたしが語り出したところ、聖霊が、ちょうど最初わたしたちの上にくだったと同じように、彼らの上にくだった。 + その時わたしは、主が『ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは聖霊によってバプテスマを受けるであろう』と仰せになった言葉を思い出した。 + このように、わたしたちが主イエス・キリストを信じた時に下さったのと同じ賜物を、神が彼らにもお与えになったとすれば、わたしのような者が、どうして神を妨げることができようか」。 + 人々はこれを聞いて黙ってしまった。それから神をさんびして、「それでは神は、異邦人にも命にいたる悔改めをお与えになったのだ」と言った。 + さて、ステパノのことで起った迫害のために散らされた人々は、ピニケ、クプロ、アンテオケまでも進んで行ったが、ユダヤ人以外の者には、だれにも御言を語っていなかった。 + ところが、その中に数人のクプロ人とクレネ人がいて、アンテオケに行ってからギリシヤ人にも呼びかけ、主イエスを宣べ伝えていた。 + そして、主のみ手が彼らと共にあったため、信じて主に帰依するものの数が多かった。 + このうわさがエルサレムにある教会に伝わってきたので、教会はバルナバをアンテオケにつかわした。 + 彼は、そこに着いて、神のめぐみを見てよろこび、主に対する信仰を揺るがない心で持ちつづけるようにと、みんなの者を励ました。 + 彼は聖霊と信仰とに満ちた立派な人であったからである。こうして主に加わる人々が、大ぜいになった。 + そこでバルナバはサウロを捜しにタルソへ出かけて行き、 + 彼を見つけたうえ、アンテオケに連れて帰った。ふたりは、まる一年、ともどもに教会で集まりをし、大ぜいの人々を教えた。このアンテオケで初めて、弟子たちがクリスチャンと呼ばれるようになった。 + そのころ、預言者たちがエルサレムからアンテオケにくだってきた。 + その中のひとりであるアガボという者が立って、世界中に大ききんが起るだろうと、御霊によって預言したところ、果してそれがクラウデオ帝の時に起った。 + そこで弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに援助を送ることに決めた。 + そして、それをバルナバとサウロとの手に託して、長老たちに送りとどけた。 + + + そのころ、ヘロデ王は教会のある者たちに圧迫の手をのばし、 + ヨハネの兄弟ヤコブをつるぎで切り殺した。 + そして、それがユダヤ人たちの意にかなったのを見て、さらにペテロをも捕えにかかった。それは除酵祭の時のことであった。 + ヘロデはペテロを捕えて獄に投じ、四人一組の兵卒四組に引き渡して、見張りをさせておいた。過越の祭のあとで、彼を民衆の前に引き出すつもりであったのである。 + こうして、ペテロは獄に入れられていた。教会では、彼のために熱心な祈が神にささげられた。 + ヘロデが彼を引き出そうとしていたその夜、ペテロは二重の鎖につながれ、ふたりの兵卒の間に置かれて眠っていた。番兵たちは戸口で獄を見張っていた。 + すると、突然、主の使がそばに立ち、光が獄内を照した。そして御使はペテロのわき腹をつついて起し、「早く起きあがりなさい」と言った。すると鎖が彼の両手から、はずれ落ちた。 + 御使が「帯をしめ、くつをはきなさい」と言ったので、彼はそのとおりにした。それから「上着を着て、ついてきなさい」と言われたので、 + ペテロはついて出て行った。彼には御使のしわざが現実のこととは考えられず、ただ幻を見ているように思われた。 + 彼らは第一、第二の衛所を通りすぎて、町に抜ける鉄門のところに来ると、それがひとりでに開いたので、そこを出て一つの通路に進んだとたんに、御使は彼を離れ去った。 + その時ペテロはわれにかえって言った、「今はじめて、ほんとうのことがわかった。主が御使をつかわして、ヘロデの手から、またユダヤ人たちの待ちもうけていたあらゆる災から、わたしを救い出して下さったのだ」。 + ペテロはこうとわかってから、マルコと呼ばれているヨハネの母マリヤの家に行った。その家には大ぜいの人が集まって祈っていた。 + 彼が門の戸をたたいたところ、ロダという女中が取次ぎに出てきたが、 + ペテロの声だとわかると、喜びのあまり、門をあけもしないで家に駆け込み、ペテロが門口に立っていると報告した。 + 人々は「あなたは気が狂っている」と言ったが、彼女は自分の言うことに間違いはないと、言い張った。そこで彼らは「それでは、ペテロの御使だろう」と言った。 + しかし、ペテロが門をたたきつづけるので、彼らがあけると、そこにペテロがいたのを見て驚いた。 + ペテロは手を振って彼らを静め、主が獄から彼を連れ出して下さった次第を説明し、「このことを、ヤコブやほかの兄弟たちに伝えて下さい」と言い残して、どこかほかの所へ出て行った。 + 夜が明けると、兵卒たちの間に、ペテロはいったいどうなったのだろうと、大へんな騒ぎが起った。 + ヘロデはペテロを捜しても見つからないので、番兵たちを取り調べたうえ、彼らを死刑に処するように命じ、そして、ユダヤからカイザリヤにくだって行って、そこに滞在した。 + さて、ツロとシドンとの人々は、ヘロデの怒りに触ていたので、一同うちそろって王をおとずれ、王の侍従官ブラストに取りいって、和解かたを依頼した。彼らの地方が、王の国から食糧を得ていたからである。 + 定められた日に、ヘロデは王服をまとって王座にすわり、彼らにむかって演説をした。 + 集まった人々は、「これは神の声だ、人間の声ではない」と叫びつづけた。 + するとたちまち、主の使が彼を打った。神に栄光を帰することをしなかったからである。彼は虫にかまれて息が絶えてしまった。 + こうして、主の言はますます盛んにひろまって行った。 + バルナバとサウロとは、その任務を果したのち、マルコと呼ばれていたヨハネを連れて、エルサレムから帰ってきた。 + + + さて、アンテオケにある教会には、バルナバ、ニゲルと呼ばれるシメオン、クレネ人ルキオ、領主ヘロデの乳兄弟マナエン、およびサウロなどの預言者や教師がいた。 + 一同が主に礼拝をささげ、断食をしていると、聖霊が「さあ、バルナバとサウロとを、わたしのために聖別して、彼らに授けておいた仕事に当らせなさい」と告げた。 + そこで一同は、断食と祈とをして、手をふたりの上においた後、出発させた。 + ふたりは聖霊に送り出されて、セルキヤにくだり、そこから舟でクプロに渡った。 + そしてサラミスに着くと、ユダヤ人の諸会堂で神の言を宣べはじめた。彼らはヨハネを助け手として連れていた。 + 島全体を巡回して、パポスまで行ったところ、そこでユダヤ人の魔術師、バルイエスというにせ預言者に出会った。 + 彼は地方総督セルギオ・パウロのところに出入りをしていた。この総督は賢明な人であって、バルナバとサウロとを招いて、神の言を聞こうとした。 + ところが魔術師エルマ(彼の名は「魔術師」との意)は、総督を信仰からそらそうとして、しきりにふたりの邪魔をした。 + サウロ、またの名はパウロ、は聖霊に満たされ、彼をにらみつけて + 言った、「ああ、あらゆる偽りと邪悪とでかたまっている悪魔の子よ、すべて正しいものの敵よ。主のまっすぐな道を曲げることを止めないのか。 + 見よ、主のみ手がおまえの上に及んでいる。おまえは盲になって、当分、日の光が見えなくなるのだ」。たちまち、かすみとやみとが彼にかかったため、彼は手さぐりしながら、手を引いてくれる人を捜しまわった。 + 総督はこの出来事を見て、主の教にすっかり驚き、そして信じた。 + パウロとその一行は、パポスから船出して、パンフリヤのペルガに渡った。ここでヨハネは一行から身を引いて、エルサレムに帰ってしまった。 + しかしふたりは、ペルガからさらに進んで、ピシデヤのアンテオケに行き、安息日に会堂にはいって席に着いた。 + 律法と預言書の朗読があったのち、会堂司たちが彼らのところに人をつかわして、「兄弟たちよ、もしあなたがたのうち、どなたか、この人々に何か奨励の言葉がありましたら、どうぞお話し下さい」と言わせた。 + そこでパウロが立ちあがり、手を振りながら言った。「イスラエルの人たち、ならびに神を敬うかたがたよ、お聞き下さい。 + この民イスラエルの神は、わたしたちの先祖を選び、エジプトの地に滞在中、この民を大いなるものとし、み腕を高くさし上げて、彼らをその地から導き出された。 + そして約四十年にわたって、荒野で彼らをはぐくみ、 + カナンの地では七つの異民族を打ち滅ぼし、その地を彼らに譲り与えられた。 + それらのことが約四百五十年の年月にわたった。その後、神はさばき人たちをおつかわしになり、預言者サムエルの時に及んだ。 + その時、人々が王を要求したので、神はベニヤミン族の人、キスの子サウロを四十年間、彼らにおつかわしになった。 + それから神はサウロを退け、ダビデを立てて王とされたが、彼についてあかしをして、『わたしはエッサイの子ダビデを見つけた。彼はわたしの心にかなった人で、わたしの思うところを、ことごとく実行してくれるであろう』と言われた。 + 神は約束にしたがって、このダビデの子孫の中から救主イエスをイスラエルに送られたが、 + そのこられる前に、ヨハネがイスラエルのすべての民に悔改めのバプテスマを、あらかじめ宣べ伝えていた。 + ヨハネはその一生の行程を終ろうとするに当って言った、『わたしは、あなたがたが考えているような者ではない。しかし、わたしのあとから来るかたがいる。わたしはそのくつを脱がせてあげる値うちもない』。 + 兄弟たち、アブラハムの子孫のかたがた、ならびに皆さんの中の神を敬う人たちよ。この救の言葉はわたしたちに送られたのである。 + エルサレムに住む人々やその指導者たちは、イエスを認めずに刑に処し、それによって、安息日ごとに読む預言者の言葉が成就した。 + また、なんら死に当る理由が見いだせなかったのに、ピラトに強要してイエスを殺してしまった。 + そして、イエスについて書いてあることを、皆なし遂げてから、人々はイエスを木から取りおろして墓に葬った。 + しかし、神はイエスを死人の中から、よみがえらせたのである。 + イエスは、ガリラヤからエルサレムへ一緒に上った人たちに、幾日ものあいだ現れ、そして、彼らは今や、人々に対してイエスの証人となっている。 + わたしたちは、神が先祖たちに対してなされた約束を、ここに宣べ伝えているのである。 + 神は、イエスをよみがえらせて、わたしたち子孫にこの約束を、お果しになった。それは詩篇の第二篇にも、『あなたこそは、わたしの子。きょう、わたしはあなたを生んだ』と書いてあるとおりである。 + また、神がイエスを死人の中からよみがえらせて、いつまでも朽ち果てることのないものとされたことについては、『わたしは、ダビデに約束した確かな聖なる祝福を、あなたがたに授けよう』と言われた。 + だから、ほかの箇所でもこう言っておられる、『あなたの聖者が朽ち果てるようなことは、お許しにならないであろう』。 + 事実、ダビデは、その時代の人々に神のみ旨にしたがって仕えたが、やがて眠りにつき、先祖たちの中に加えられて、ついに朽ち果ててしまった。 + しかし、神がよみがえらせたかたは、朽ち果てることがなかったのである。 + だから、兄弟たちよ、この事を承知しておくがよい。すなわち、このイエスによる罪のゆるしの福音が、今やあなたがたに宣べ伝えられている。そして、モーセの律法では義とされることができなかったすべての事についても、 + 信じる者はもれなく、イエスによって義とされるのである。 + だから預言者たちの書にかいてある次のようなことが、あなたがたの身に起らないように気をつけなさい。 + 『見よ、侮る者たちよ。驚け、そして滅び去れ。わたしは、あなたがたの時代に一つの事をする。それは、人がどんなに説明して聞かせても、あなたがたのとうてい信じないような事なのである』」。 + ふたりが会堂を出る時、人々は次の安息日にも、これと同じ話をしてくれるようにと、しきりに願った。 + そして集会が終ってからも、大ぜいのユダヤ人や信心深い改宗者たちが、パウロとバルナバとについてきたので、ふたりは、彼らが引きつづき神のめぐみにとどまっているようにと、説きすすめた。 + 次の安息日には、ほとんど全市をあげて、神の言を聞きに集まってきた。 + するとユダヤ人たちは、その群衆を見てねたましく思い、パウロの語ることに口ぎたなく反対した。 + パウロとバルナバとは大胆に語った、「神の言は、まず、あなたがたに語り伝えられなければならなかった。しかし、あなたがたはそれを退け、自分自身を永遠の命にふさわしからぬ者にしてしまったから、さあ、わたしたちはこれから方向をかえて、異邦人たちの方に行くのだ。 + 主はわたしたちに、こう命じておられる、『わたしは、あなたを立てて異邦人の光とした。あなたが地の果までも救をもたらすためである』」。 + 異邦人たちはこれを聞いてよろこび、主の御言をほめたたえてやまなかった。そして、永遠の命にあずかるように定められていた者は、みな信じた。 + こうして、主の御言はこの地方全体にひろまって行った。 + ところが、ユダヤ人たちは、信心深い貴婦人たちや町の有力者たちを煽動して、パウロとバルナバを迫害させ、ふたりをその地方から追い出させた。 + ふたりは、彼らに向けて足のちりを払い落して、イコニオムへ行った。 + 弟子たちは、ますます喜びと聖霊とに満たされていた。 + + + ふたりは、イコニオムでも同じようにユダヤ人の会堂にはいって語った結果、ユダヤ人やギリシヤ人が大ぜい信じた。 + ところが、信じなかったユダヤ人たちは異邦人たちをそそのかして、兄弟たちに対して悪意をいだかせた。 + それにもかかわらず、ふたりは長い期間をそこで過ごして、大胆に主のことを語った。主は、彼らの手によってしるしと奇跡とを行わせ、そのめぐみの言葉をあかしされた。 + そこで町の人々が二派に分れ、ある人たちはユダヤ人の側につき、ある人たちは使徒の側についた。 + その時、異邦人やユダヤ人が役人たちと一緒になって反対運動を起し、使徒たちをはずかしめ、石で打とうとしたので、 + ふたりはそれと気づいて、ルカオニヤの町々、ルステラ、デルベおよびその附近の地へのがれ、 + そこで引きつづき福音を伝えた。 + ところが、ルステラに足のきかない人が、すわっていた。彼は生れながらの足なえで、歩いた経験が全くなかった。 + この人がパウロの語るのを聞いていたが、パウロは彼をじっと見て、いやされるほどの信仰が彼にあるのを認め、 + 大声で「自分の足で、まっすぐに立ちなさい」と言った。すると彼は踊り上がって歩き出した。 + 群衆はパウロのしたことを見て、声を張りあげ、ルカオニヤの地方語で、「神々が人間の姿をとって、わたしたちのところにお下りになったのだ」と叫んだ。 + 彼らはバルナバをゼウスと呼び、パウロはおもに語る人なので、彼をヘルメスと呼んだ。 + そして、郊外にあるゼウス神殿の祭司が、群衆と共に、ふたりに犠牲をささげようと思って、雄牛数頭と花輪とを門前に持ってきた。 + ふたりの使徒バルナバとパウロとは、これを聞いて自分の上着を引き裂き、群衆の中に飛び込んで行き、叫んで + 言った、「皆さん、なぜこんな事をするのか。わたしたちとても、あなたがたと同じような人間である。そして、あなたがたがこのような愚にもつかぬものを捨てて、天と地と海と、その中のすべてのものをお造りになった生ける神に立ち帰るようにと、福音を説いているものである。 + 神は過ぎ去った時代には、すべての国々の人が、それぞれの道を行くままにしておかれたが、 + それでも、ご自分のことをあかししないでおられたわけではない。すなわち、あなたがたのために天から雨を降らせ、実りの季節を与え、食物と喜びとで、あなたがたの心を満たすなど、いろいろのめぐみをお与えになっているのである」。 + こう言って、ふたりは、やっとのことで、群衆が自分たちに犠牲をささげるのを、思い止まらせた。 + ところが、あるユダヤ人たちはアンテオケやイコニオムから押しかけてきて、群衆を仲間に引き入れたうえ、パウロを石で打ち、死んでしまったと思って、彼を町の外に引きずり出した。 + しかし、弟子たちがパウロを取り囲んでいる間に、彼は起きあがって町にはいって行った。そして翌日には、バルナバと一緒にデルベにむかって出かけた。 + その町で福音を伝えて、大ぜいの人を弟子とした後、ルステラ、イコニオム、アンテオケの町々に帰って行き、 + 弟子たちを力づけ、信仰を持ちつづけるようにと奨励し、「わたしたちが神の国にはいるのには、多くの苦難を経なければならない」と語った。 + また教会ごとに彼らのために長老たちを任命し、断食をして祈り、彼らをその信じている主にゆだねた。 + それから、ふたりはピシデヤを通過してパンフリヤにきたが、 + ペルガで御言を語った後、アタリヤにくだり、 + そこから舟でアンテオケに帰った。彼らが今なし終った働きのために、神の祝福を受けて送り出されたのは、このアンテオケからであった。 + 彼らは到着早々、教会の人々を呼び集めて、神が彼らと共にいてして下さった数々のこと、また信仰の門を異邦人に開いて下さったことなどを、報告した。 + そして、ふたりはしばらくの間、弟子たちと一緒に過ごした。 + + + さて、ある人たちがユダヤから下ってきて、兄弟たちに「あなたがたも、モーセの慣例にしたがって割礼を受けなければ、救われない」と、説いていた。 + そこで、パウロやバルナバと彼らとの間に、少なからぬ紛糾と争論とが生じたので、パウロ、バルナバそのほか数人の者がエルサレムに上り、使徒たちや長老たちと、この問題について協議することになった。 + 彼らは教会の人々に見送られ、ピニケ、サマリヤをとおって、道すがら、異邦人たちの改宗の模様をくわしく説明し、すべての兄弟たちを大いに喜ばせた。 + エルサレムに着くと、彼らは教会と使徒たち、長老たちに迎えられて、神が彼らと共にいてなされたことを、ことごとく報告した。 + ところが、パリサイ派から信仰にはいってきた人たちが立って、「異邦人にも割礼を施し、またモーセの律法を守らせるべきである」と主張した。 + そこで、使徒たちや長老たちが、この問題について審議するために集まった。 + 激しい争論があった後、ペテロが立って言った、「兄弟たちよ、ご承知のとおり、異邦人がわたしの口から福音の言葉を聞いて信じるようにと、神は初めのころに、諸君の中からわたしをお選びになったのである。 + そして、人の心をご存じである神は、聖霊をわれわれに賜わったと同様に彼らにも賜わって、彼らに対してあかしをなし、 + また、その信仰によって彼らの心をきよめ、われわれと彼らとの間に、なんの分けへだてもなさらなかった。 + しかるに、諸君はなぜ、今われわれの先祖もわれわれ自身も、負いきれなかったくびきをあの弟子たちの首にかけて、神を試みるのか。 + 確かに、主イエスのめぐみによって、われわれは救われるのだと信じるが、彼らとても同様である」。 + すると、全会衆は黙ってしまった。それから、バルナバとパウロとが、彼らをとおして異邦人の間に神が行われた数々のしるしと奇跡のことを、説明するのを聞いた。 + ふたりが語り終えた後、ヤコブはそれに応じて述べた、「兄弟たちよ、わたしの意見を聞いていただきたい。 + 神が初めに異邦人たちを顧みて、その中から御名を負う民を選び出された次第は、シメオンがすでに説明した。 + 預言者たちの言葉も、それと一致している。すなわち、こう書いてある、 + 『その後、わたしは帰ってきて、倒れたダビデの幕屋を建てかえ、くずれた箇所を修理し、それを立て直そう。 + 残っている人々も、わたしの名を唱えているすべての異邦人も、主を尋ね求めるようになるためである。 + 世の初めからこれらの事を知らせておられる主が、こう仰せになった』。 + そこで、わたしの意見では、異邦人の中から神に帰依している人たちに、わずらいをかけてはいけない。 + ただ、偶像に供えて汚れた物と、不品行と、絞め殺したものと、血とを、避けるようにと、彼らに書き送ることにしたい。 + 古い時代から、どの町にもモーセの律法を宣べ伝える者がいて、安息日ごとにそれを諸会堂で朗読するならわしであるから」。 + そこで、使徒たちや長老たちは、全教会と協議した末、お互の中から人々を選んで、パウロやバルナバと共に、アンテオケに派遣することに決めた。選ばれたのは、バルサバというユダとシラスとであったが、いずれも兄弟たちの間で重んじられていた人たちであった。 + この人たちに託された書面はこうである。「あなたがたの兄弟である使徒および長老たちから、アンテオケ、シリヤ、キリキヤにいる異邦人の兄弟がたに、あいさつを送る。 + こちらから行ったある者たちが、わたしたちからの指示もないのに、いろいろなことを言って、あなたがたを騒がせ、あなたがたの心を乱したと伝え聞いた。 + そこで、わたしたちは人々を選んで、愛するバルナバおよびパウロと共に、あなたがたのもとに派遣することに、衆議一決した。 + このふたりは、われらの主イエス・キリストの名のために、その命を投げ出した人々であるが、 + 彼らと共に、ユダとシラスとを派遣する次第である。この人たちは、あなたがたに、同じ趣旨のことを、口頭でも伝えるであろう。 + すなわち、聖霊とわたしたちとは、次の必要事項のほかは、どんな負担をも、あなたがたに負わせないことに決めた。 + それは、偶像に供えたものと、血と、絞め殺したものと、不品行とを、避けるということである。これらのものから遠ざかっておれば、それでよろしい。以上」。 + さて、一行は人々に見送られて、アンテオケに下って行き、会衆を集めて、その書面を手渡した。 + 人々はそれを読んで、その勧めの言葉をよろこんだ。 + ユダとシラスとは共に預言者であったので、多くの言葉をもって兄弟たちを励まし、また力づけた。 + ふたりは、しばらくの時を、そこで過ごした後、兄弟たちから、旅の平安を祈られて、見送りを受け、自分らを派遣した人々のところに帰って行った。〔 + しかし、シラスだけは、引きつづきとどまることにした。〕 + パウロとバルナバとはアンテオケに滞在をつづけて、ほかの多くの人たちと共に、主の言葉を教えかつ宣べ伝えた。 + 幾日かの後、パウロはバルナバに言った、「さあ、前に主の言葉を伝えたすべての町々にいる兄弟たちを、また訪問して、みんながどうしているかを見てこようではないか」。 + そこで、バルナバはマルコというヨハネも一緒に連れて行くつもりでいた。 + しかし、パウロは、前にパンフリヤで一行から離れて、働きを共にしなかったような者は、連れて行かないがよいと考えた。 + こうして激論が起り、その結果ふたりは互に別れ別れになり、バルナバはマルコを連れてクプロに渡って行き、 + パウロはシラスを選び、兄弟たちから主の恵みにゆだねられて、出発した。 + そしてパウロは、シリヤ、キリキヤの地方をとおって、諸教会を力づけた。 + + + それから、彼はデルベに行き、次にルステラに行った。そこにテモテという名の弟子がいた。信者のユダヤ婦人を母とし、ギリシヤ人を父としており、 + ルステラとイコニオムの兄弟たちの間で、評判のよい人物であった。 + パウロはこのテモテを連れて行きたかったので、その地方にいるユダヤ人の手前、まず彼に割礼を受けさせた。彼の父がギリシヤ人であることは、みんな知っていたからである。 + それから彼らは通る町々で、エルサレムの使徒たちや長老たちの取り決めた事項を守るようにと、人々にそれを渡した。 + こうして、諸教会はその信仰を強められ、日ごとに数を増していった。 + それから彼らは、アジヤで御言を語ることを聖霊に禁じられたので、フルギヤ・ガラテヤ地方をとおって行った。 + そして、ムシヤのあたりにきてから、ビテニヤに進んで行こうとしたところ、イエスの御霊がこれを許さなかった。 + それで、ムシヤを通過して、トロアスに下って行った。 + ここで夜、パウロは一つの幻を見た。ひとりのマケドニヤ人が立って、「マケドニヤに渡ってきて、わたしたちを助けて下さい」と、彼に懇願するのであった。 + パウロがこの幻を見た時、これは彼らに福音を伝えるために、神がわたしたちをお招きになったのだと確信して、わたしたちは、ただちにマケドニヤに渡って行くことにした。 + そこで、わたしたちはトロアスから船出して、サモトラケに直航し、翌日ネアポリスに着いた。 + そこからピリピへ行った。これはマケドニヤのこの地方第一の町で、植民都市であった。わたしたちは、この町に数日間滞在した。 + ある安息日に、わたしたちは町の門を出て、祈り場があると思って、川のほとりに行った。そして、そこにすわり、集まってきた婦人たちに話をした。 + ところが、テアテラ市の紫布の商人で、神を敬うルデヤという婦人が聞いていた。主は彼女の心を開いて、パウロの語ることに耳を傾けさせた。 + そして、この婦人もその家族も、共にバプテスマを受けたが、その時、彼女は「もし、わたしを主を信じる者とお思いでしたら、どうぞ、わたしの家にきて泊まって下さい」と懇望し、しいてわたしたちをつれて行った。 + ある時、わたしたちが、祈り場に行く途中、占いの霊につかれた女奴隷に出会った。彼女は占いをして、その主人たちに多くの利益を得させていた者である。 + この女が、パウロやわたしたちのあとを追ってきては、「この人たちは、いと高き神の僕たちで、あなたがたに救の道を伝えるかただ」と、叫び出すのであった。 + そして、そんなことを幾日間もつづけていた。パウロは困りはてて、その霊にむかい「イエス・キリストの名によって命じる。その女から出て行け」と言った。すると、その瞬間に霊が女から出て行った。 + 彼女の主人たちは、自分らの利益を得る望みが絶えたのを見て、パウロとシラスとを捕え、役人に引き渡すため広場に引きずって行った。 + それから、ふたりを長官たちの前に引き出して訴えた、「この人たちはユダヤ人でありまして、わたしたちの町をかき乱し、 + わたしたちローマ人が、採用も実行もしてはならない風習を宣伝しているのです」。 + 群衆もいっせいに立って、ふたりを責めたてたので、長官たちはふたりの上着をはぎ取り、むちで打つことを命じた。 + それで、ふたりに何度もむちを加えさせたのち、獄に入れ、獄吏にしっかり番をするようにと命じた。 + 獄吏はこの厳命を受けたので、ふたりを奥の獄屋に入れ、その足に足かせをしっかとかけておいた。 + 真夜中ごろ、パウロとシラスとは、神に祈り、さんびを歌いつづけたが、囚人たちは耳をすまして聞きいっていた。 + ところが突然、大地震が起って、獄の土台が揺れ動き、戸は全部たちまち開いて、みんなの者の鎖が解けてしまった。 + 獄吏は目をさまし、獄の戸が開いてしまっているのを見て、囚人たちが逃げ出したものと思い、つるぎを抜いて自殺しかけた。 + そこでパウロは大声をあげて言った、「自害してはいけない。われわれは皆ひとり残らず、ここにいる」。 + すると、獄吏は、あかりを手に入れた上、獄に駆け込んできて、おののきながらパウロとシラスの前にひれ伏した。 + それから、ふたりを外に連れ出して言った、「先生がた、わたしは救われるために、何をすべきでしょうか」。 + ふたりが言った、「主イエスを信じなさい。そうしたら、あなたもあなたの家族も救われます」。 + それから、彼とその家族一同とに、神の言を語って聞かせた。 + 彼は真夜中にもかかわらず、ふたりを引き取って、その打ち傷を洗ってやった。そして、その場で自分も家族も、ひとり残らずバプテスマを受け、 + さらに、ふたりを自分の家に案内して食事のもてなしをし、神を信じる者となったことを、全家族と共に心から喜んだ。 + 夜が明けると、長官たちは警吏らをつかわして、「あの人たちを釈放せよ」と言わせた。 + そこで、獄吏はこの言葉をパウロに伝えて言った、「長官たちが、あなたがたを釈放させるようにと、使をよこしました。さあ、出てきて、無事にお帰りなさい」。 + ところが、パウロは警吏らに言った、「彼らは、ローマ人であるわれわれを、裁判にかけもせずに、公衆の前でむち打ったあげく、獄に入れてしまった。しかるに今になって、ひそかに、われわれを出そうとするのか。それは、いけない。彼ら自身がここにきて、われわれを連れ出すべきである」。 + 警吏らはこの言葉を長官たちに報告した。すると長官たちは、ふたりがローマ人だと聞いて恐れ、 + 自分でやってきてわびた上、ふたりを獄から連れ出し、町から立ち去るようにと頼んだ。 + ふたりは獄を出て、ルデヤの家に行った。そして、兄弟たちに会って勧めをなし、それから出かけた。 + + + 一行は、アムピポリスとアポロニヤとをとおって、テサロニケに行った。ここにはユダヤ人の会堂があった。 + パウロは例によって、その会堂にはいって行って、三つの安息日にわたり、聖書に基いて彼らと論じ、 + キリストは必ず苦難を受け、そして死人の中からよみがえるべきこと、また「わたしがあなたがたに伝えているこのイエスこそは、キリストである」とのことを、説明もし論証もした。 + ある人たちは納得がいって、パウロとシラスにしたがった。その中には、信心深いギリシヤ人が多数あり、貴婦人たちも少なくなかった。 + ところが、ユダヤ人たちは、それをねたんで、町をぶらついているならず者らを集めて暴動を起し、町を騒がせた。それからヤソンの家を襲い、ふたりを民衆の前にひっぱり出そうと、しきりに捜した。 + しかし、ふたりが見つからないので、ヤソンと兄弟たち数人を、市の当局者のところに引きずって行き、叫んで言った、「天下をかき回してきたこの人たちが、ここにもはいり込んでいます。 + その人たちをヤソンが自分の家に迎え入れました。この連中は、みなカイザルの詔勅にそむいて行動し、イエスという別の王がいるなどと言っています」。 + これを聞いて、群衆と市の当局者は不安に感じた。 + そして、ヤソンやほかの者たちから、保証金を取った上、彼らを釈放した。 + そこで、兄弟たちはただちに、パウロとシラスとを、夜の間にベレヤへ送り出した。ふたりはベレヤに到着すると、ユダヤ人の会堂に行った。 + ここにいるユダヤ人はテサロニケの者たちよりも素直であって、心から教を受けいれ、果してそのとおりかどうかを知ろうとして、日々聖書を調べていた。 + そういうわけで、彼らのうちの多くの者が信者になった。また、ギリシヤの貴婦人や男子で信じた者も、少なくなかった。 + テサロニケのユダヤ人たちは、パウロがベレヤでも神の言を伝えていることを知り、そこにも押しかけてきて、群衆を煽動して騒がせた。 + そこで、兄弟たちは、ただちにパウロを送り出して、海べまで行かせ、シラスとテモテとはベレヤに居残った。 + パウロを案内した人たちは、彼をアテネまで連れて行き、テモテとシラスとになるべく早く来るようにとのパウロの伝言を受けて、帰った。 + さて、パウロはアテネで彼らを待っている間に、市内に偶像がおびただしくあるのを見て、心に憤りを感じた。 + そこで彼は、会堂ではユダヤ人や信心深い人たちと論じ、広場では毎日そこで出会う人々を相手に論じた。 + また、エピクロス派やストア派の哲学者数人も、パウロと議論を戦わせていたが、その中のある者たちが言った、「このおしゃべりは、いったい、何を言おうとしているのか」。また、ほかの者たちは、「あれは、異国の神々を伝えようとしているらしい」と言った。パウロが、イエスと復活とを、宣べ伝えていたからであった。 + そこで、彼らはパウロをアレオパゴスの評議所に連れて行って、「君の語っている新しい教がどんなものか、知らせてもらえまいか。 + 君がなんだか珍らしいことをわれわれに聞かせているので、それがなんの事なのか知りたいと思うのだ」と言った。 + いったい、アテネ人もそこに滞在している外国人もみな、何か耳新しいことを話したり聞いたりすることのみに、時を過ごしていたのである。 + そこでパウロは、アレオパゴスの評議所のまん中に立って言った。「アテネの人たちよ、あなたがたは、あらゆる点において、すこぶる宗教心に富んでおられると、わたしは見ている。 + 実は、わたしが道を通りながら、あなたがたの拝むいろいろなものを、よく見ているうちに、『知られない神に』と刻まれた祭壇もあるのに気がついた。そこで、あなたがたが知らずに拝んでいるものを、いま知らせてあげよう。 + この世界と、その中にある万物とを造った神は、天地の主であるのだから、手で造った宮などにはお住みにならない。 + また、何か不足でもしておるかのように、人の手によって仕えられる必要もない。神は、すべての人々に命と息と万物とを与え、 + また、ひとりの人から、あらゆる民族を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに時代を区分し、国土の境界を定めて下さったのである。 + こうして、人々が熱心に追い求めて捜しさえすれば、神を見いだせるようにして下さった。事実、神はわれわれひとりびとりから遠く離れておいでになるのではない。 + われわれは神のうちに生き、動き、存在しているからである。あなたがたのある詩人たちも言ったように、『われわれも、確かにその子孫である』。 + このように、われわれは神の子孫なのであるから、神たる者を、人間の技巧や空想で金や銀や石などに彫り付けたものと同じと、見なすべきではない。 + 神は、このような無知の時代を、これまでは見過ごしにされていたが、今はどこにおる人でも、みな悔い改めなければならないことを命じておられる。 + 神は、義をもってこの世界をさばくためその日を定め、お選びになったかたによってそれをなし遂げようとされている。すなわち、このかたを死人の中からよみがえらせ、その確証をすべての人に示されたのである」。 + 死人のよみがえりのことを聞くと、ある者たちはあざ笑い、またある者たちは、「この事については、いずれまた聞くことにする」と言った。 + こうして、パウロは彼らの中から出て行った。 + しかし、彼にしたがって信じた者も、幾人かあった。その中には、アレオパゴスの裁判人デオヌシオとダマリスという女、また、その他の人々もいた。 + + + その後、パウロはアテネを去ってコリントへ行った。 + そこで、アクラというポント生れのユダヤ人と、その妻プリスキラとに出会った。クラウデオ帝が、すべてのユダヤ人をローマから退去させるようにと、命令したため、彼らは近ごろイタリヤから出てきたのである。 + パウロは彼らのところに行ったが、互に同業であったので、その家に住み込んで、一緒に仕事をした。天幕造りがその職業であった。 + パウロは安息日ごとに会堂で論じては、ユダヤ人やギリシヤ人の説得に努めた。 + シラスとテモテが、マケドニヤから下ってきてからは、パウロは御言を伝えることに専念し、イエスがキリストであることを、ユダヤ人たちに力強くあかしした。 + しかし、彼らがこれに反抗してののしり続けたので、パウロは自分の上着を振りはらって、彼らに言った、「あなたがたの血は、あなたがた自身にかえれ。わたしには責任がない。今からわたしは異邦人の方に行く」。 + こう言って、彼はそこを去り、テテオ・ユストという神を敬う人の家に行った。その家は会堂と隣り合っていた。 + 会堂司クリスポは、その家族一同と共に主を信じた。また多くのコリント人も、パウロの話を聞いて信じ、ぞくぞくとバプテスマを受けた。 + すると、ある夜、幻のうちに主がパウロに言われた、「恐れるな。語りつづけよ、黙っているな。 + あなたには、わたしがついている。だれもあなたを襲って、危害を加えるようなことはない。この町には、わたしの民が大ぜいいる」。 + パウロは一年六か月の間ここに腰をすえて、神の言を彼らの間に教えつづけた。 + ところが、ガリオがアカヤの総督であった時、ユダヤ人たちは一緒になってパウロを襲い、彼を法廷にひっぱって行って訴えた、 + 「この人は、律法にそむいて神を拝むように、人々をそそのかしています」。 + パウロが口を開こうとすると、ガリオはユダヤ人たちに言った、「ユダヤ人諸君、何か不法行為とか、悪質の犯罪とかのことなら、わたしは当然、諸君の訴えを取り上げもしようが、 + これは諸君の言葉や名称や律法に関する問題なのだから、諸君みずから始末するがよかろう。わたしはそんな事の裁判人にはなりたくない」。 + こう言って、彼らを法廷から追いはらった。 + そこで、みんなの者は、会堂司ソステネを引き捕え、法廷の前で打ちたたいた。ガリオはそれに対して、そ知らぬ顔をしていた。 + さてパウロは、なお幾日ものあいだ滞在した後、兄弟たちに別れを告げて、シリヤへ向け出帆した。プリスキラとアクラも同行した。パウロは、かねてから、ある誓願を立てていたので、ケンクレヤで頭をそった。 + 一行がエペソに着くと、パウロはふたりをそこに残しておき、自分だけ会堂にはいって、ユダヤ人たちと論じた。 + 人々は、パウロにもっと長いあいだ滞在するように願ったが、彼は聞きいれないで、 + 「神のみこころなら、またあなたがたのところに帰ってこよう」と言って、別れを告げ、エペソから船出した。 + それから、カイザリヤで上陸してエルサレムに上り、教会にあいさつしてから、アンテオケに下って行った。 + そこにしばらくいてから、彼はまた出かけ、ガラテヤおよびフルギヤの地方を歴訪して、すべての弟子たちを力づけた。 + さて、アレキサンデリヤ生れで、聖書に精通し、しかも、雄弁なアポロというユダヤ人が、エペソにきた。 + この人は主の道に通じており、また、霊に燃えてイエスのことを詳しく語ったり教えたりしていたが、ただヨハネのバプテスマしか知っていなかった。 + 彼は会堂で大胆に語り始めた。それをプリスキラとアクラとが聞いて、彼を招きいれ、さらに詳しく神の道を解き聞かせた。 + それから、アポロがアカヤに渡りたいと思っていたので、兄弟たちは彼を励まし、先方の弟子たちに、彼をよく迎えるようにと、手紙を書き送った。彼は到着して、すでにめぐみによって信者になっていた人たちに、大いに力になった。 + 彼はイエスがキリストであることを、聖書に基いて示し、公然と、ユダヤ人たちを激しい語調で論破したからである。 + + + アポロがコリントにいた時、パウロは奥地をとおってエペソにきた。そして、ある弟子たちに出会って、 + 彼らに「あなたがたは、信仰にはいった時に、聖霊を受けたのか」と尋ねたところ、「いいえ、聖霊なるものがあることさえ、聞いたことがありません」と答えた。 + 「では、だれの名によってバプテスマを受けたのか」と彼がきくと、彼らは「ヨハネの名によるバプテスマを受けました」と答えた。 + そこで、パウロが言った、「ヨハネは悔改めのバプテスマを授けたが、それによって、自分のあとに来るかた、すなわち、イエスを信じるように、人々に勧めたのである」。 + 人々はこれを聞いて、主イエスの名によるバプテスマを受けた。 + そして、パウロが彼らの上に手をおくと、聖霊が彼らにくだり、それから彼らは異言を語ったり、預言をしたりし出した。 + その人たちはみんなで十二人ほどであった。 + それから、パウロは会堂にはいって、三か月のあいだ、大胆に神の国について論じ、また勧めをした。 + ところが、ある人たちは心をかたくなにして、信じようとせず、会衆の前でこの道をあしざまに言ったので、彼は弟子たちを引き連れて、その人たちから離れ、ツラノの講堂で毎日論じた。 + それが二年間も続いたので、アジヤに住んでいる者は、ユダヤ人もギリシヤ人も皆、主の言を聞いた。 + 神は、パウロの手によって、異常な力あるわざを次々になされた。 + たとえば、人々が、彼の身につけている手ぬぐいや前掛けを取って病人にあてると、その病気が除かれ、悪霊が出て行くのであった。 + そこで、ユダヤ人のまじない師で、遍歴している者たちが、悪霊につかれている者にむかって、主イエスの名をとなえ、「パウロの宣べ伝えているイエスによって命じる。出て行け」と、ためしに言ってみた。 + ユダヤの祭司長スケワという者の七人のむすこたちも、そんなことをしていた。 + すると悪霊がこれに対して言った、「イエスなら自分は知っている。パウロもわかっている。だが、おまえたちは、いったい何者だ」。 + そして、悪霊につかれている人が、彼らに飛びかかり、みんなを押えつけて負かしたので、彼らは傷を負ったまま裸になって、その家を逃げ出した。 + このことがエペソに住むすべてのユダヤ人やギリシヤ人に知れわたって、みんな恐怖に襲われ、そして、主イエスの名があがめられた。 + また信者になった者が大ぜいきて、自分の行為を打ちあけて告白した。 + それから、魔術を行っていた多くの者が、魔術の本を持ち出してきては、みんなの前で焼き捨てた。その値段を総計したところ、銀五万にも上ることがわかった。 + このようにして、主の言はますます盛んにひろまり、また力を増し加えていった。 + これらの事があった後、パウロは御霊に感じて、マケドニヤ、アカヤをとおって、エルサレムへ行く決心をした。そして言った、「わたしは、そこに行ったのち、ぜひローマをも見なければならない」。 + そこで、自分に仕えている者の中から、テモテとエラストとのふたりを、まずマケドニヤに送り出し、パウロ自身は、なおしばらくアジヤにとどまった。 + そのころ、この道について容易ならぬ騒動が起った。 + そのいきさつは、こうである。デメテリオという銀細工人が、銀でアルテミス神殿の模型を造って、職人たちに少なからぬ利益を得させていた。 + この男がその職人たちや、同類の仕事をしていた者たちを集めて言った、「諸君、われわれがこの仕事で、金もうけをしていることは、ご承知のとおりだ。 + しかるに、諸君の見聞きしているように、あのパウロが、手で造られたものは神様ではないなどと言って、エペソばかりか、ほとんどアジヤ全体にわたって、大ぜいの人々を説きつけて誤らせた。 + これでは、お互の仕事に悪評が立つおそれがあるばかりか、大女神アルテミスの宮も軽んじられ、ひいては全アジヤ、いや全世界が拝んでいるこの大女神のご威光さえも、消えてしまいそうである」。 + これを聞くと、人々は怒りに燃え、大声で「大いなるかな、エペソ人のアルテミス」と叫びつづけた。 + そして、町中が大混乱に陥り、人々はパウロの道連れであるマケドニヤ人ガイオとアリスタルコとを捕えて、いっせいに劇場へなだれ込んだ。 + パウロは群衆の中にはいって行こうとしたが、弟子たちがそれをさせなかった。 + アジヤ州の議員で、パウロの友人であった人たちも、彼に使をよこして、劇場にはいって行かないようにと、しきりに頼んだ。 + 中では、集会が混乱に陥ってしまって、ある者はこのことを、ほかの者はあのことを、どなりつづけていたので、大多数の者は、なんのために集まったのかも、わからないでいた。 + そこで、ユダヤ人たちが、前に押し出したアレキサンデルなる者を、群衆の中のある人たちが促したため、彼は手を振って、人々に弁明を試みようとした。 + ところが、彼がユダヤ人だとわかると、みんなの者がいっせいに「大いなるかな、エペソ人のアルテミス」と二時間ばかりも叫びつづけた。 + ついに、市の書記役が群衆を押し静めて言った、「エペソの諸君、エペソ市が大女神アルテミスと、天くだったご神体との守護役であることを知らない者が、ひとりでもいるだろうか。 + これは否定のできない事実であるから、諸君はよろしく静かにしているべきで、乱暴な行動は、いっさいしてはならない。 + 諸君はこの人たちをここにひっぱってきたが、彼らは宮を荒す者でも、われわれの女神をそしる者でもない。 + だから、もしデメテリオなりその職人仲間なりが、だれかに対して訴え事があるなら、裁判の日はあるし、総督もいるのだから、それぞれ訴え出るがよい。 + しかし、何かもっと要求したい事があれば、それは正式の議会で解決してもらうべきだ。 + きょうの事件については、この騒ぎを弁護できるような理由が全くないのだから、われわれは治安をみだす罪に問われるおそれがある」。 + こう言って、彼はこの集会を解散させた。 + + + 騒ぎがやんだ後、パウロは弟子たちを呼び集めて激励を与えた上、別れのあいさつを述べ、マケドニヤへ向かって出発した。 + そして、その地方をとおり、多くの言葉で人々を励ましたのち、ギリシヤにきた。 + 彼はそこで三か月を過ごした。それからシリヤへ向かって、船出しようとしていた矢先、彼に対するユダヤ人の陰謀が起ったので、マケドニヤを経由して帰ることに決した。 + プロの子であるエペソ人ソパテロ、テサロニケ人アリスタルコとセクンド、デルベ人ガイオ、それからテモテ、またアジヤ人テキコとトロピモがパウロの同行者であった。 + この人たちは先発して、トロアスでわたしたちを待っていた。 + わたしたちは、除酵祭が終ったのちに、ピリピから出帆し、五日かかってトロアスに到着して、彼らと落ち合い、そこに七日間滞在した。 + 週の初めの日に、わたしたちがパンをさくために集まった時、パウロは翌日出発することにしていたので、しきりに人々と語り合い、夜中まで語りつづけた。 + わたしたちが集まっていた屋上の間には、あかりがたくさんともしてあった。 + ユテコという若者が窓に腰をかけていたところ、パウロの話がながながと続くので、ひどく眠けがさしてきて、とうとうぐっすり寝入ってしまい、三階から下に落ちた。抱き起してみたら、もう死んでいた。 + そこでパウロは降りてきて、若者の上に身をかがめ、彼を抱きあげて、「騒ぐことはない。まだ命がある」と言った。 + そして、また上がって行って、パンをさいて食べてから、明けがたまで長いあいだ人々と語り合って、ついに出発した。 + 人々は生きかえった若者を連れかえり、ひとかたならず慰められた。 + さて、わたしたちは先に舟に乗り込み、アソスへ向かって出帆した。そこからパウロを舟に乗せて行くことにしていた。彼だけは陸路をとることに決めていたからである。 + パウロがアソスで、わたしたちと落ち合った時、わたしたちは彼を舟に乗せてミテレネに行った。 + そこから出帆して、翌日キヨスの沖合にいたり、次の日にサモスに寄り、その翌日ミレトに着いた。 + それは、パウロがアジヤで時間をとられないため、エペソには寄らないで続航することに決めていたからである。彼は、できればペンテコステの日には、エルサレムに着いていたかったので、旅を急いだわけである。 + そこでパウロは、ミレトからエペソに使をやって、教会の長老たちを呼び寄せた。 + そして、彼のところに寄り集まってきた時、彼らに言った。「わたしが、アジヤの地に足を踏み入れた最初の日以来、いつもあなたがたとどんなふうに過ごしてきたか、よくご存じである。 + すなわち、謙遜の限りをつくし、涙を流し、ユダヤ人の陰謀によってわたしの身に及んだ数々の試練の中にあって、主に仕えてきた。 + また、あなたがたの益になることは、公衆の前でも、また家々でも、すべてあますところなく話して聞かせ、また教え、 + ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神に対する悔改めと、わたしたちの主イエスに対する信仰とを、強く勧めてきたのである。 + 今や、わたしは御霊に迫られてエルサレムへ行く。あの都で、どんな事がわたしの身にふりかかって来るか、わたしにはわからない。 + ただ、聖霊が至るところの町々で、わたしにはっきり告げているのは、投獄と患難とが、わたしを待ちうけているということだ。 + しかし、わたしは自分の行程を走り終え、主イエスから賜わった、神のめぐみの福音をあかしする任務を果し得さえしたら、このいのちは自分にとって、少しも惜しいとは思わない。 + わたしはいま信じている、あなたがたの間を歩き回って御国を宣べ伝えたこのわたしの顔を、みんなが今後二度と見ることはあるまい。 + だから、きょう、この日にあなたがたに断言しておく。わたしは、すべての人の血について、なんら責任がない。 + 神のみ旨を皆あますところなく、あなたがたに伝えておいたからである。 + どうか、あなたがた自身に気をつけ、また、すべての群れに気をくばっていただきたい。聖霊は、神が御子の血であがない取られた神の教会を牧させるために、あなたがたをその群れの監督者にお立てになったのである。 + わたしが去った後、狂暴なおおかみが、あなたがたの中にはいり込んできて、容赦なく群れを荒すようになることを、わたしは知っている。 + また、あなたがた自身の中からも、いろいろ曲ったことを言って、弟子たちを自分の方に、ひっぱり込もうとする者らが起るであろう。 + だから、目をさましていなさい。そして、わたしが三年の間、夜も昼も涙をもって、あなたがたひとりびとりを絶えずさとしてきたことを、忘れないでほしい。 + 今わたしは、主とその恵みの言とに、あなたがたをゆだねる。御言には、あなたがたの徳をたて、聖別されたすべての人々と共に、御国をつがせる力がある。 + わたしは、人の金や銀や衣服をほしがったことはない。 + あなたがた自身が知っているとおり、わたしのこの両手は、自分の生活のためにも、また一緒にいた人たちのためにも、働いてきたのだ。 + わたしは、あなたがたもこのように働いて、弱い者を助けなければならないこと、また『受けるよりは与える方が、さいわいである』と言われた主イエスの言葉を記憶しているべきことを、万事について教え示したのである」。 + こう言って、パウロは一同と共にひざまずいて祈った。 + みんなの者は、はげしく泣き悲しみ、パウロの首を抱いて、幾度も接吻し、 + もう二度と自分の顔を見ることはあるまいと彼が言ったので、特に心を痛めた。それから彼を舟まで見送った。 + + + さて、わたしたちは人々と別れて船出してから、コスに直航し、次の日はロドスに、そこからパタラに着いた。 + ここでピニケ行きの舟を見つけたので、それに乗り込んで出帆した。 + やがてクプロが見えてきたが、それを左手にして通りすぎ、シリヤへ航行をつづけ、ツロに入港した。ここで積荷が陸上げされることになっていたからである。 + わたしたちは、弟子たちを捜し出して、そこに七日間泊まった。ところが彼らは、御霊の示しを受けて、エルサレムには上って行かないようにと、しきりにパウロに注意した。 + しかし、滞在期間が終った時、わたしたちはまた旅立つことにしたので、みんなの者は、妻や子供を引き連れて、町はずれまで、わたしたちを見送りにきてくれた。そこで、共に海岸にひざまずいて祈り、 + 互に別れを告げた。それから、わたしたちは舟に乗り込み、彼らはそれぞれ自分の家に帰った。 + わたしたちは、ツロからの航行を終ってトレマイに着き、そこの兄弟たちにあいさつをし、彼らのところに一日滞在した。 + 翌日そこをたって、カイザリヤに着き、かの七人のひとりである伝道者ピリポの家に行き、そこに泊まった。 + この人に四人の娘があったが、いずれも処女であって、預言をしていた。 + 幾日か滞在している間に、アガボという預言者がユダヤから下ってきた。 + そして、わたしたちのところにきて、パウロの帯を取り、それで自分の手足を縛って言った、「聖霊がこうお告げになっている、『この帯の持ち主を、ユダヤ人たちがエルサレムでこのように縛って、異邦人の手に渡すであろう』」。 + わたしたちはこれを聞いて、土地の人たちと一緒になって、エルサレムには上って行かないようにと、パウロに願い続けた。 + その時パウロは答えた、「あなたがたは、泣いたり、わたしの心をくじいたりして、いったい、どうしようとするのか。わたしは、主イエスの名のためなら、エルサレムで縛られるだけでなく、死ぬことをも覚悟しているのだ」。 + こうして、パウロが勧告を聞きいれてくれないので、わたしたちは「主のみこころが行われますように」と言っただけで、それ以上、何も言わなかった。 + 数日後、わたしたちは旅装を整えてエルサレムへ上って行った。 + カイザリヤの弟子たちも数人、わたしたちと同行して、古くからの弟子であるクプロ人マナソンの家に案内してくれた。わたしたちはその家に泊まることになっていたのである。 + わたしたちがエルサレムに到着すると、兄弟たちは喜んで迎えてくれた。 + 翌日パウロはわたしたちを連れて、ヤコブを訪問しに行った。そこに長老たちがみな集まっていた。 + パウロは彼らにあいさつをした後、神が自分の働きをとおして、異邦人の間になさった事どもを一々説明した。 + 一同はこれを聞いて神をほめたたえ、そして彼に言った、「兄弟よ、ご承知のように、ユダヤ人の中で信者になった者が、数万にものぼっているが、みんな律法に熱心な人たちである。 + ところが、彼らが伝え聞いているところによれば、あなたは異邦人の中にいるユダヤ人一同に対して、子供に割礼を施すな、またユダヤの慣例にしたがうなと言って、モーセにそむくことを教えている、ということである。 + どうしたらよいか。あなたがここにきていることは、彼らもきっと聞き込むに違いない。 + ついては、今わたしたちが言うとおりのことをしなさい。わたしたちの中に、誓願を立てている者が四人いる。 + この人たちを連れて行って、彼らと共にきよめを行い、また彼らの頭をそる費用を引き受けてやりなさい。そうすれば、あなたについて、うわさされていることは、根も葉もないことで、あなたは律法を守って、正しい生活をしていることが、みんなにわかるであろう。 + 異邦人で信者になった人たちには、すでに手紙で、偶像に供えたものと、血と、絞め殺したものと、不品行とを、慎むようにとの決議が、わたしたちから知らせてある」。 + そこでパウロは、その次の日に四人の者を連れて、彼らと共にきよめを受けてから宮にはいった。そしてきよめの期間が終って、ひとりびとりのために供え物をささげる時を報告しておいた。 + 七日の期間が終ろうとしていた時、アジヤからきたユダヤ人たちが、宮の内でパウロを見かけて、群衆全体を煽動しはじめ、パウロに手をかけて叫び立てた、 + 「イスラエルの人々よ、加勢にきてくれ。この人は、いたるところで民と律法とこの場所にそむくことを、みんなに教えている。その上に、ギリシヤ人を宮の内に連れ込んで、この神聖な場所を汚したのだ」。 + 彼らは、前にエペソ人トロピモが、パウロと一緒に町を歩いていたのを見かけて、その人をパウロが宮の内に連れ込んだのだと思ったのである。 + そこで、市全体が騒ぎ出し、民衆が駆け集まってきて、パウロを捕え、宮の外に引きずり出した。そして、すぐそのあとに宮の門が閉ざされた。 + 彼らがパウロを殺そうとしていた時に、エルサレム全体が混乱状態に陥っているとの情報が、守備隊の千卒長にとどいた。 + そこで、彼はさっそく、兵卒や百卒長たちを率いて、その場に駆けつけた。人々は千卒長や兵卒たちを見て、パウロを打ちたたくのをやめた。 + 千卒長は近寄ってきてパウロを捕え、彼を二重の鎖で縛っておくように命じた上、パウロは何者か、また何をしたのか、と尋ねた。 + しかし、群衆がそれぞれ違ったことを叫びつづけるため、騒がしくて、確かなことがわからないので、彼はパウロを兵営に連れて行くように命じた。 + パウロが階段にさしかかった時には、群衆の暴行を避けるため、兵卒たちにかつがれて行くという始末であった。 + 大ぜいの民衆が「あれをやっつけてしまえ」と叫びながら、ついてきたからである。 + パウロが兵営の中に連れて行かれようとした時、千卒長に、「ひと言あなたにお話してもよろしいですか」と尋ねると、千卒長が言った、「おまえはギリシヤ語が話せるのか。 + では、もしかおまえは、先ごろ反乱を起した後、四千人の刺客を引き連れて荒野へ逃げて行ったあのエジプト人ではないのか」。 + パウロは答えた、「わたしはタルソ生れのユダヤ人で、キリキヤのれっきとした都市の市民です。お願いですが、民衆に話をさせて下さい」。 + 千卒長が許してくれたので、パウロは階段の上に立ち、民衆にむかって手を振った。すると、一同がすっかり静粛になったので、パウロはヘブル語で話し出した。 + + + 「兄弟たち、父たちよ、いま申し上げるわたしの弁明を聞いていただきたい」。 + パウロが、ヘブル語でこう語りかけるのを聞いて、人々はますます静粛になった。 + そこで彼は言葉をついで言った、「わたしはキリキヤのタルソで生れたユダヤ人であるが、この都で育てられ、ガマリエルのひざもとで先祖伝来の律法について、きびしい薫陶を受け、今日の皆さんと同じく神に対して熱心な者であった。 + そして、この道を迫害し、男であれ女であれ、縛りあげて獄に投じ、彼らを死に至らせた。 + このことは、大祭司も長老たち一同も、証明するところである。さらにわたしは、この人たちからダマスコの同志たちへあてた手紙をもらって、その地にいる者たちを縛りあげ、エルサレムにひっぱってきて、処罰するため、出かけて行った。 + 旅をつづけてダマスコの近くにきた時に、真昼ごろ、突然、つよい光が天からわたしをめぐり照した。 + わたしは地に倒れた。そして、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか』と、呼びかける声を聞いた。 + これに対してわたしは、『主よ、あなたはどなたですか』と言った。すると、その声が、『わたしは、あなたが迫害しているナザレ人イエスである』と答えた。 + わたしと一緒にいた者たちは、その光は見たが、わたしに語りかけたかたの声は聞かなかった。 + わたしが『主よ、わたしは何をしたらよいでしょうか』と尋ねたところ、主は言われた、『起きあがってダマスコに行きなさい。そうすれば、あなたがするように決めてある事が、すべてそこで告げられるであろう』。 + わたしは、光の輝きで目がくらみ、何も見えなくなっていたので、連れの者たちに手を引かれながら、ダマスコに行った。 + すると、律法に忠実で、ダマスコ在住のユダヤ人全体に評判のよいアナニヤという人が、 + わたしのところにきて、そばに立ち、『兄弟サウロよ、見えるようになりなさい』と言った。するとその瞬間に、わたしの目が開いて、彼の姿が見えた。 + 彼は言った、『わたしたちの先祖の神が、あなたを選んでみ旨を知らせ、かの義人を見させ、その口から声をお聞かせになった。 + それはあなたが、その見聞きした事につき、すべての人に対して、彼の証人になるためである。 + そこで今、なんのためらうことがあろうか。すぐ立って、み名をとなえてバプテスマを受け、あなたの罪を洗い落しなさい』。 + それからわたしは、エルサレムに帰って宮で祈っているうちに、夢うつつになり、 + 主にまみえたが、主は言われた、『急いで、すぐにエルサレムを出て行きなさい。わたしについてのあなたのあかしを、人々が受けいれないから』。 + そこで、わたしが言った、『主よ、彼らは、わたしがいたるところの会堂で、あなたを信じる人々を獄に投じたり、むち打ったりしていたことを、知っています。 + また、あなたの証人ステパノの血が流された時も、わたしは立ち合っていてそれに賛成し、また彼を殺した人たちの上着の番をしていたのです』。 + すると、主がわたしに言われた、『行きなさい。わたしが、あなたを遠く異邦の民へつかわすのだ』」。 + 彼の言葉をここまで聞いていた人々は、このとき、声を張りあげて言った、「こんな男は地上から取り除いてしまえ。生かしおくべきではない」。 + 人々がこうわめき立てて、空中に上着を投げ、ちりをまき散らす始末であったので、 + 千卒長はパウロを兵営に引き入れるように命じ、どういうわけで、彼に対してこんなにわめき立てているのかを確かめるため、彼をむちの拷問にかけて、取り調べるように言いわたした。 + 彼らがむちを当てるため、彼を縛りつけていた時、パウロはそばに立っている百卒長に言った、「ローマの市民たる者を、裁判にかけもしないで、むち打ってよいのか」。 + 百卒長はこれを聞き、千卒長のところに行って報告し、そして言った、「どうなさいますか。あの人はローマの市民なのです」。 + そこで、千卒長がパウロのところにきて言った、「わたしに言ってくれ。あなたはローマの市民なのか」。パウロは「そうです」と言った。 + これに対して千卒長が言った、「わたしはこの市民権を、多額の金で買い取ったのだ」。するとパウロは言った、「わたしは生れながらの市民です」。 + そこで、パウロを取り調べようとしていた人たちは、ただちに彼から身を引いた。千卒長も、パウロがローマの市民であること、また、そういう人を縛っていたことがわかって、恐れた。 + 翌日、彼は、ユダヤ人がなぜパウロを訴え出たのか、その真相を知ろうと思って彼を解いてやり、同時に祭司長たちと全議会とを召集させ、そこに彼を引き出して、彼らの前に立たせた。 + + + パウロは議会を見つめて言った、「兄弟たちよ、わたしは今日まで、神の前に、ひたすら明らかな良心にしたがって行動してきた」。 + すると、大祭司アナニヤが、パウロのそばに立っている者たちに、彼の口を打てと命じた。 + そのとき、パウロはアナニヤにむかって言った、「白く塗られた壁よ、神があなたを打つであろう。あなたは、律法にしたがって、わたしをさばくために座についているのに、律法にそむいて、わたしを打つことを命じるのか」。 + すると、そばに立っている者たちが言った、「神の大祭司に対して無礼なことを言うのか」。 + パウロは言った、「兄弟たちよ、彼が大祭司だとは知らなかった。聖書に『民のかしらを悪く言ってはいけない』と、書いてあるのだった」。 + パウロは、議員の一部がサドカイ人であり、一部はパリサイ人であるのを見て、議会の中で声を高めて言った、「兄弟たちよ、わたしはパリサイ人であり、パリサイ人の子である。わたしは、死人の復活の望みをいだいていることで、裁判を受けているのである」。 + 彼がこう言ったところ、パリサイ人とサドカイ人との間に争論が生じ、会衆が相分れた。 + 元来、サドカイ人は、復活とか天使とか霊とかは、いっさい存在しないと言い、パリサイ人は、それらは、みな存在すると主張している。 + そこで、大騒ぎとなった。パリサイ派のある律法学者たちが立って、強く主張して言った、「われわれは、この人には何も悪いことがないと思う。あるいは、霊か天使かが、彼に告げたのかも知れない」。 + こうして、争論が激しくなったので、千卒長は、パウロが彼らに引き裂かれるのを気づかって、兵卒どもに、降りて行ってパウロを彼らの中から力づくで引き出し、兵営に連れて来るように、命じた。 + その夜、主がパウロに臨んで言われた、「しっかりせよ。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなくてはならない」。 + 夜が明けると、ユダヤ人らは申し合わせをして、パウロを殺すまでは飲食をいっさい断つと、誓い合った。 + この陰謀に加わった者は、四十人あまりであった。 + 彼らは、祭司長たちや長老たちのところに行って、こう言った。「われわれは、パウロを殺すまでは何も食べないと、堅く誓い合いました。 + ついては、あなたがたは議会と組んで、彼のことでなお詳しく取調べをするように見せかけ、パウロをあなたがたのところに連れ出すように、千卒長に頼んで下さい。われわれとしては、パウロがそこにこないうちに殺してしまう手はずをしています」。 + ところが、パウロの姉妹の子が、この待伏せのことを耳にし、兵営にはいって行って、パウロにそれを知らせた。 + そこでパウロは、百卒長のひとりを呼んで言った、「この若者を千卒長のところに連れて行ってください。何か報告することがあるようですから」。 + この百卒長は若者を連れて行き、千卒長に引きあわせて言った、「囚人のパウロが、この若者があなたに話したいことがあるので、あなたのところに連れて行ってくれるようにと、わたしを呼んで頼みました」。 + そこで千卒長は、若者の手を取り、人のいないところへ連れて行って尋ねた、「わたしに話したいことというのは、何か」。 + 若者が言った、「ユダヤ人たちが、パウロのことをもっと詳しく取調べをすると見せかけて、あす議会に彼を連れ出すように、あなたに頼むことに決めています。 + どうぞ、彼らの頼みを取り上げないで下さい。四十人あまりの者が、パウロを待伏せしているのです。彼らは、パウロを殺すまでは飲食をいっさい断つと、堅く誓い合っています。そして、いま手はずをととのえて、あなたの許可を待っているところなのです」。 + そこで千卒長は、「このことをわたしに知らせたことは、だれにも口外するな」と命じて、若者を帰した。 + それから彼は、百卒長ふたりを呼んで言った、「歩兵二百名、騎兵七十名、槍兵二百名を、カイザリヤに向け出発できるように、今夜九時までに用意せよ。 + また、パウロを乗せるために馬を用意して、彼を総督ペリクスのもとへ無事に連れて行け」。 + さらに彼は、次のような文面の手紙を書いた。 + 「クラウデオ・ルシヤ、つつしんで総督ペリクス閣下の平安を祈ります。 + 本人のパウロが、ユダヤ人らに捕えられ、まさに殺されようとしていたのを、彼のローマ市民であることを知ったので、わたしは兵卒たちを率いて行って、彼を救い出しました。 + それから、彼が訴えられた理由を知ろうと思い、彼を議会に連れて行きました。 + ところが、彼はユダヤ人の律法の問題で訴えられたものであり、なんら死刑または投獄に当る罪のないことがわかりました。 + しかし、この人に対して陰謀がめぐらされているとの報告がありましたので、わたしは取りあえず、彼を閣下のもとにお送りすることにし、訴える者たちには、閣下の前で、彼に対する申立てをするようにと、命じておきました」。 + そこで歩兵たちは、命じられたとおりパウロを引き取って、夜の間にアンテパトリスまで連れて行き、 + 翌日は、騎兵たちにパウロを護送させることにして、兵営に帰って行った。 + 騎兵たちは、カイザリヤに着くと、手紙を総督に手渡し、さらにパウロを彼に引きあわせた。 + 総督は手紙を読んでから、パウロに、どの州の者かと尋ね、キリキヤの出だと知って、 + 「訴え人たちがきた時に、おまえを調べることにする」と言った。そして、ヘロデの官邸に彼を守っておくように命じた。 + + + 五日の後、大祭司アナニヤは、長老数名と、テルトロという弁護人とを連れて下り、総督にパウロを訴え出た。 + パウロが呼び出されたので、テルトロは論告を始めた。「ペリクス閣下、わたしたちが、閣下のお陰でじゅうぶんに平和を楽しみ、またこの国が、ご配慮によって、 + あらゆる方面に、またいたるところで改善されていることは、わたしたちの感謝してやまないところであります。 + しかし、ご迷惑をかけないように、くどくどと述べずに、手短かに申し上げますから、どうぞ、忍んでお聞き取りのほど、お願いいたします。 + さて、この男は、疫病のような人間で、世界中のすべてのユダヤ人の中に騒ぎを起している者であり、また、ナザレ人らの異端のかしらであります。 + この者が宮までも汚そうとしていたので、わたしたちは彼を捕縛したのです。〔そして、律法にしたがって、さばこうとしていたところ、 + 千卒長ルシヤが干渉して、彼を無理にわたしたちの手から引き離してしまい、 + 彼を訴えた人たちには、閣下のところに来るようにと命じました。〕それで、閣下ご自身でお調べになれば、わたしたちが彼を訴え出た理由が、全部おわかりになるでしょう」。 + ユダヤ人たちも、この訴えに同調して、全くそのとおりだと言った。 + そこで、総督が合図をして発言を促したので、パウロは答弁して言った。「閣下が、多年にわたり、この国民の裁判をつかさどっておられることを、よく承知していますので、わたしは喜んで、自分のことを弁明いたします。 + お調べになればわかるはずですが、わたしが礼拝をしにエルサレムに上ってから、まだ十二日そこそこにしかなりません。 + そして、宮の内でも、会堂内でも、あるいは市内でも、わたしがだれかと争論したり、群衆を煽動したりするのを見たものはありませんし、 + 今わたしを訴え出ていることについて、閣下の前に、その証拠をあげうるものはありません。 + ただ、わたしはこの事は認めます。わたしは、彼らが異端だとしている道にしたがって、わたしたちの先祖の神に仕え、律法の教えるところ、また預言者の書に書いてあることを、ことごとく信じ、 + また、正しい者も正しくない者も、やがてよみがえるとの希望を、神を仰いでいだいているものです。この希望は、彼ら自身も持っているのです。 + わたしはまた、神に対しまた人に対して、良心に責められることのないように、常に努めています。 + さてわたしは、幾年ぶりかに帰ってきて、同胞に施しをし、また、供え物をしていました。 + そのとき、彼らはわたしが宮できよめを行っているのを見ただけであって、群衆もいず、騒動もなかったのです。 + ところが、アジヤからきた数人のユダヤ人が――彼らが、わたしに対して、何かとがめ立てをすることがあったなら、よろしく閣下の前にきて、訴えるべきでした。 + あるいは、何かわたしに不正なことがあったなら、わたしが議会の前に立っていた時、彼らみずから、それを指摘すべきでした。 + ただ、わたしは、彼らの中に立って、『わたしは、死人のよみがえりのことで、きょう、あなたがたの前でさばきを受けているのだ』と叫んだだけのことです」。 + ここでペリクスは、この道のことを相当わきまえていたので、「千卒長ルシヤが下って来るのを待って、おまえたちの事件を判決することにする」と言って、裁判を延期した。 + そして百卒長に、パウロを監禁するように、しかし彼を寛大に取り扱い、友人らが世話をするのを止めないようにと、命じた。 + 数日たってから、ペリクスは、ユダヤ人である妻ドルシラと一緒にきて、パウロを呼び出し、キリスト・イエスに対する信仰のことを、彼から聞いた。 + そこで、パウロが、正義、節制、未来の審判などについて論じていると、ペリクスは不安を感じてきて、言った、「きょうはこれで帰るがよい。また、よい機会を得たら、呼び出すことにする」。 + 彼は、それと同時に、パウロから金をもらいたい下ごころがあったので、たびたびパウロを呼び出しては語り合った。 + さて、二か年たった時、ポルキオ・フェストが、ペリクスと交代して任についた。ペリクスは、ユダヤ人の歓心を買おうと思って、パウロを監禁したままにしておいた。 + + + さて、フェストは、任地に着いてから三日の後、カイザリヤからエルサレムに上ったところ、 + 祭司長たちやユダヤ人の重立った者たちが、パウロを訴え出て、 + 彼をエルサレムに呼び出すよう取り計らっていただきたいと、しきりに願った。彼らは途中で待ち伏せして、彼を殺す考えであった。 + ところがフェストは、パウロがカイザリヤに監禁してあり、自分もすぐそこへ帰ることになっていると答え、 + そして言った、「では、もしあの男に何か不都合なことがあるなら、おまえたちのうちの有力者らが、わたしと一緒に下って行って、訴えるがよかろう」。 + フェストは、彼らのあいだに八日か十日ほど滞在した後、カイザリヤに下って行き、その翌日、裁判の席について、パウロを引き出すように命じた。 + パウロが姿をあらわすと、エルサレムから下ってきたユダヤ人たちが、彼を取りかこみ、彼に対してさまざまの重い罪状を申し立てたが、いずれもその証拠をあげることはできなかった。 + パウロは「わたしは、ユダヤ人の律法に対しても、宮に対しても、またカイザルに対しても、なんら罪を犯したことはない」と弁明した。 + ところが、フェストはユダヤ人の歓心を買おうと思って、パウロにむかって言った、「おまえはエルサレムに上り、この事件に関し、わたしからそこで裁判を受けることを承知するか」。 + パウロは言った、「わたしは今、カイザルの法廷に立っています。わたしはこの法廷で裁判されるべきです。よくご承知のとおり、わたしはユダヤ人たちに、何も悪いことをしてはいません。 + もしわたしが悪いことをし、死に当るようなことをしているのなら、死を免れようとはしません。しかし、もし彼らの訴えることに、なんの根拠もないとすれば、だれもわたしを彼らに引き渡す権利はありません。わたしはカイザルに上訴します」。 + そこでフェストは、陪席の者たちと協議したうえ答えた、「おまえはカイザルに上訴を申し出た。カイザルのところに行くがよい」。 + 数日たった後、アグリッパ王とベルニケとが、フェストに敬意を表するため、カイザリヤにきた。 + ふたりは、そこに何日間も滞在していたので、フェストは、パウロのことを王に話して言った、「ここに、ペリクスが囚人として残して行ったひとりの男がいる。 + わたしがエルサレムに行った時、この男のことを、祭司長たちやユダヤ人の長老たちが、わたしに報告し、彼を罪に定めるようにと要求した。 + そこでわたしは、彼らに答えた、『訴えられた者が、訴えた者の前に立って、告訴に対し弁明する機会を与えられない前に、その人を見放してしまうのは、ローマ人の慣例にはないことである』。 + それで、彼らがここに集まってきた時、わたしは時をうつさず、次の日に裁判の席について、その男を引き出させた。 + 訴えた者たちは立ち上がったが、わたしが推測していたような悪事は、彼について何一つ申し立てはしなかった。 + ただ、彼と争い合っているのは、彼ら自身の宗教に関し、また、死んでしまったのに生きているとパウロが主張しているイエスなる者に関する問題に過ぎない。 + これらの問題を、どう取り扱ってよいかわからなかったので、わたしは彼に、『エルサレムに行って、これらの問題について、そこでさばいてもらいたくはないか』と尋ねてみた。 + ところがパウロは、皇帝の判決を受ける時まで、このまま自分をとどめておいてほしいと言うので、カイザルに彼を送りとどける時までとどめておくようにと、命じておいた」。 + そこで、アグリッパがフェストに「わたしも、その人の言い分を聞いて見たい」と言ったので、フェストは、「では、あす彼から聞きとるようにしてあげよう」と答えた。 + 翌日、アグリッパとベルニケとは、大いに威儀をととのえて、千卒長たちや市の重立った人たちと共に、引見所にはいってきた。すると、フェストの命によって、パウロがそこに引き出された。 + そこで、フェストが言った、「アグリッパ王、ならびにご臨席の諸君。ごらんになっているこの人物は、ユダヤ人たちがこぞって、エルサレムにおいても、また、この地においても、これ以上、生かしておくべきでないと叫んで、わたしに訴え出ている者である。 + しかし、彼は死に当ることは何もしていないと、わたしは見ているのだが、彼自身が皇帝に上訴すると言い出したので、彼をそちらへ送ることに決めた。 + ところが、彼について、主君に書きおくる確かなものが何もないので、わたしは、彼を諸君の前に、特に、アグリッパ王よ、あなたの前に引き出して、取調べをしたのち、上書すべき材料を得ようと思う。 + 囚人を送るのに、その告訴の理由を示さないということは、不合理だと思えるからである」。 + + + アグリッパはパウロに、「おまえ自身のことを話してもよい」と言った。そこでパウロは、手をさし伸べて、弁明をし始めた。 + 「アグリッパ王よ、ユダヤ人たちから訴えられているすべての事に関して、きょう、あなたの前で弁明することになったのは、わたしのしあわせに思うところであります。 + あなたは、ユダヤ人のあらゆる慣例や問題を、よく知り抜いておられるかたですから、わたしの申すことを、寛大なお心で聞いていただきたいのです。 + さて、わたしは若い時代には、初めから自国民の中で、またエルサレムで過ごしたのですが、そのころのわたしの生活ぶりは、ユダヤ人がみんなよく知っているところです。 + 彼らはわたしを初めから知っているので、証言しようと思えばできるのですが、わたしは、わたしたちの宗教の最も厳格な派にしたがって、パリサイ人としての生活をしていたのです。 + 今わたしは、神がわたしたちの先祖に約束なさった希望をいだいているために、裁判を受けているのであります。 + わたしたちの十二の部族は、夜昼、熱心に神に仕えて、その約束を得ようと望んでいるのです。王よ、この希望のために、わたしはユダヤ人から訴えられています。 + 神が死人をよみがえらせるということが、あなたがたには、どうして信じられないことと思えるのでしょうか。 + わたし自身も、以前には、ナザレ人イエスの名に逆らって反対の行動をすべきだと、思っていました。 + そしてわたしは、それをエルサレムで敢行し、祭司長たちから権限を与えられて、多くの聖徒たちを獄に閉じ込め、彼らが殺される時には、それに賛成の意を表しました。 + それから、いたるところの会堂で、しばしば彼らを罰して、無理やりに神をけがす言葉を言わせようとし、彼らに対してひどく荒れ狂い、ついに外国の町々にまで、迫害の手をのばすに至りました。 + こうして、わたしは、祭司長たちから権限と委任とを受けて、ダマスコに行ったのですが、 + 王よ、その途中、真昼に、光が天からさして来るのを見ました。それは、太陽よりも、もっと光り輝いて、わたしと同行者たちとをめぐり照しました。 + わたしたちはみな地に倒れましたが、その時ヘブル語でわたしにこう呼びかける声を聞きました、『サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか。とげのあるむちをければ、傷を負うだけである』。 + そこで、わたしが『主よ、あなたはどなたですか』と尋ねると、主は言われた、『わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 + さあ、起きあがって、自分の足で立ちなさい。わたしがあなたに現れたのは、あなたがわたしに会った事と、あなたに現れて示そうとしている事とをあかしし、これを伝える務に、あなたを任じるためである。 + わたしは、この国民と異邦人との中から、あなたを救い出し、あらためてあなたを彼らにつかわすが、 + それは、彼らの目を開き、彼らをやみから光へ、悪魔の支配から神のみもとへ帰らせ、また、彼らが罪のゆるしを得、わたしを信じる信仰によって、聖別された人々に加わるためである』。 + それですから、アグリッパ王よ、わたしは天よりの啓示にそむかず、 + まず初めにダマスコにいる人々に、それからエルサレムにいる人々、さらにユダヤ全土、ならびに異邦人たちに、悔い改めて神に立ち帰り、悔改めにふさわしいわざを行うようにと、説き勧めました。 + そのために、ユダヤ人は、わたしを宮で引き捕えて殺そうとしたのです。 + しかし、わたしは今日に至るまで神の加護を受け、このように立って、小さい者にも大きい者にもあかしをなし、預言者たちやモーセが、今後起るべきだと語ったことを、そのまま述べてきました。 + すなわち、キリストが苦難を受けること、また、死人の中から最初によみがえって、この国民と異邦人とに、光を宣べ伝えるに至ることを、あかししたのです」。 + パウロがこのように弁明をしていると、フェストは大声で言った、「パウロよ、おまえは気が狂っている。博学が、おまえを狂わせている」。 + パウロが言った、「フェスト閣下よ、わたしは気が狂ってはいません。わたしは、まじめな真実の言葉を語っているだけです。 + 王はこれらのことをよく知っておられるので、王に対しても、率直に申し上げているのです。それは、片すみで行われたのではないのですから、一つとして、王が見のがされたことはないと信じます。 + アグリッパ王よ、あなたは預言者を信じますか。信じておられると思います」。 + アグリッパがパウロに言った、「おまえは少し説いただけで、わたしをクリスチャンにしようとしている」。 + パウロが言った、「説くことが少しであろうと、多くであろうと、わたしが神に祈るのは、ただあなただけでなく、きょう、わたしの言葉を聞いた人もみな、わたしのようになって下さることです。このような鎖は別ですが」。 + それから、王も総督もベルニケも、また列席の人々も、みな立ちあがった。 + 退場してから、互に語り合って言った、「あの人は、死や投獄に当るようなことをしてはいない」。 + そして、アグリッパがフェストに言った、「あの人は、カイザルに上訴していなかったら、ゆるされたであろうに」。 + + + さて、わたしたちが、舟でイタリヤに行くことが決まった時、パウロとそのほか数人の囚人とは、近衛隊の百卒長ユリアスに託された。 + そしてわたしたちは、アジヤ沿岸の各所に寄港することになっているアドラミテオの舟に乗り込んで、出帆した。テサロニケのマケドニヤ人アリスタルコも同行した。 + 次の日、シドンに入港したが、ユリアスは、パウロを親切に取り扱い、友人をおとずれてかんたいを受けることを、許した。 + それからわたしたちは、ここから船出したが、逆風にあったので、クプロの島かげを航行し、 + キリキヤとパンフリヤの沖を過ぎて、ルキヤのミラに入港した。 + そこに、イタリヤ行きのアレキサンドリヤの舟があったので、百卒長は、わたしたちをその舟に乗り込ませた。 + 幾日ものあいだ、舟の進みがおそくて、わたしたちは、かろうじてクニドの沖合にきたが、風がわたしたちの行く手をはばむので、サルモネの沖、クレテの島かげを航行し、 + その岸に沿って進み、かろうじて「良き港」と呼ばれる所に着いた。その近くにラサヤの町があった。 + 長い時が経過し、断食期も過ぎてしまい、すでに航海が危険な季節になったので、パウロは人々に警告して言った、 + 「皆さん、わたしの見るところでは、この航海では、積荷や船体ばかりでなく、われわれの生命にも、危害と大きな損失が及ぶであろう」。 + しかし百卒長は、パウロの意見よりも、船長や船主の方を信頼した。 + なお、この港は冬を過ごすのに適しないので、大多数の者は、ここから出て、できればなんとかして、南西と北西とに面しているクレテのピニクス港に行って、そこで冬を過ごしたいと主張した。 + 時に、南風が静かに吹いてきたので、彼らは、この時とばかりにいかりを上げて、クレテの岸に沿って航行した。 + すると間もなく、ユーラクロンと呼ばれる暴風が、島から吹きおろしてきた。 + そのために、舟が流されて風に逆らうことができないので、わたしたちは吹き流されるままに任せた。 + それから、クラウダという小島の陰に、はいり込んだので、わたしたちは、やっとのことで小舟を処置することができ、 + それを舟に引き上げてから、綱で船体を巻きつけた。また、スルテスの洲に乗り上げるのを恐れ、帆をおろして流れるままにした。 + わたしたちは、暴風にひどく悩まされつづけたので、次の日に、人々は積荷を捨てはじめ、 + 三日目には、船具までも、てずから投げすてた。 + 幾日ものあいだ、太陽も星も見えず、暴風は激しく吹きすさぶので、わたしたちの助かる最後の望みもなくなった。 + みんなの者は、長いあいだ食事もしないでいたが、その時、パウロが彼らの中に立って言った、「皆さん、あなたがたが、わたしの忠告を聞きいれて、クレテから出なかったら、このような危害や損失を被らなくてすんだはずであった。 + だが、この際、お勧めする。元気を出しなさい。舟が失われるだけで、あなたがたの中で生命を失うものは、ひとりもいないであろう。 + 昨夜、わたしが仕え、また拝んでいる神からの御使が、わたしのそばに立って言った、 + 『パウロよ、恐れるな。あなたは必ずカイザルの前に立たなければならない。たしかに神は、あなたと同船の者を、ことごとくあなたに賜わっている』。 + だから、皆さん、元気を出しなさい。万事はわたしに告げられたとおりに成って行くと、わたしは、神かけて信じている。 + われわれは、どこかの島に打ちあげられるに相違ない」。 + わたしたちがアドリヤ海に漂ってから十四日目の夜になった時、真夜中ごろ、水夫らはどこかの陸地に近づいたように感じた。 + そこで、水の深さを測ってみたところ、二十ひろであることがわかった。それから少し進んで、もう一度測ってみたら、十五ひろであった。 + わたしたちが、万一暗礁に乗り上げては大変だと、人々は気づかって、ともから四つのいかりを投げおろし、夜の明けるのを待ちわびていた。 + その時、水夫らが舟から逃げ出そうと思って、へさきからいかりを投げおろすと見せかけ、小舟を海におろしていたので、 + パウロは、百卒長や兵卒たちに言った、「あの人たちが、舟に残っていなければ、あなたがたは助からない」。 + そこで兵卒たちは、小舟の綱を断ち切って、その流れて行くままに任せた。 + 夜が明けかけたころ、パウロは一同の者に、食事をするように勧めて言った、「あなたがたが食事もせずに、見張りを続けてから、何も食べないで、きょうが十四日目に当る。 + だから、いま食事を取ることをお勧めする。それが、あなたがたを救うことになるのだから。たしかに髪の毛ひとすじでも、あなたがたの頭から失われることはないであろう」。 + 彼はこう言って、パンを取り、みんなの前で神に感謝し、それをさいて食べはじめた。 + そこで、みんなの者も元気づいて食事をした。 + 舟にいたわたしたちは、合わせて二百七十六人であった。 + みんなの者は、じゅうぶんに食事をした後、穀物を海に投げすてて舟を軽くした。 + 夜が明けて、どこの土地かよくわからなかったが、砂浜のある入江が見えたので、できれば、それに舟を乗り入れようということになった。 + そこで、いかりを切り離して海に捨て、同時にかじの綱をゆるめ、風に前の帆をあげて、砂浜にむかって進んだ。 + ところが、潮流の流れ合う所に突き進んだため、舟を浅瀬に乗りあげてしまって、へさきがめり込んで動かなくなり、ともの方は激浪のためにこわされた。 + 兵卒たちは、囚人らが泳いで逃げるおそれがあるので、殺してしまおうと図ったが、 + 百卒長は、パウロを救いたいと思うところから、その意図をしりぞけ、泳げる者はまず海に飛び込んで陸に行き、 + その他の者は、板や舟の破片に乗って行くように命じた。こうして、全部の者が上陸して救われたのであった。 + + + わたしたちが、こうして救われてからわかったが、これはマルタと呼ばれる島であった。 + 土地の人々は、わたしたちに並々ならぬ親切をあらわしてくれた。すなわち、降りしきる雨や寒さをしのぐために、火をたいてわたしたち一同をねぎらってくれたのである。 + そのとき、パウロはひとかかえの柴をたばねて火にくべたところ、熱気のためにまむしが出てきて、彼の手にかみついた。 + 土地の人々は、この生きものがパウロの手からぶら下がっているのを見て、互に言った、「この人は、きっと人殺しに違いない。海からはのがれたが、ディケーの神様が彼を生かしてはおかないのだ」。 + ところがパウロは、まむしを火の中に振り落して、なんの害も被らなかった。 + 彼らは、彼が間もなくはれ上がるか、あるいは、たちまち倒れて死ぬだろうと、様子をうかがっていた。しかし、長い間うかがっていても、彼の身になんの変ったことも起らないのを見て、彼らは考えを変えて、「この人は神様だ」と言い出した。 + さて、その場所の近くに、島の首長、ポプリオという人の所有地があった。彼は、そこにわたしたちを招待して、三日のあいだ親切にもてなしてくれた。 + たまたま、ポプリオの父が赤痢をわずらい、高熱で床についていた。そこでパウロは、その人のところにはいって行って祈り、手を彼の上においていやしてやった。 + このことがあってから、ほかに病気をしている島の人たちが、ぞくぞくとやってきて、みないやされた。 + 彼らはわたしたちを非常に尊敬し、出帆の時には、必要な品々を持ってきてくれた。 + 三か月たった後、わたしたちは、この島に冬ごもりをしていたデオスクリの船飾りのあるアレキサンドリヤの舟で、出帆した。 + そして、シラクサに寄港して三日のあいだ停泊し、 + そこから進んでレギオンに行った。それから一日おいて、南風が吹いてきたのに乗じ、ふつか目にポテオリに着いた。 + そこで兄弟たちに会い、勧められるまま、彼らのところに七日間も滞在した。それからわたしたちは、ついにローマに到着した。 + ところが、兄弟たちは、わたしたちのことを聞いて、アピオ・ポロおよびトレス・タベルネまで出迎えてくれた。パウロは彼らに会って、神に感謝し勇み立った。 + わたしたちがローマに着いた後、パウロは、ひとりの番兵をつけられ、ひとりで住むことを許された。 + 三日たってから、パウロは、重立ったユダヤ人たちを招いた。みんなの者が集まったとき、彼らに言った、「兄弟たちよ、わたしは、わが国民に対しても、あるいは先祖伝来の慣例に対しても、何一つそむく行為がなかったのに、エルサレムで囚人としてローマ人たちの手に引き渡された。 + 彼らはわたしを取り調べた結果、なんら死に当る罪状もないので、わたしを釈放しようと思ったのであるが、 + ユダヤ人たちがこれに反対したため、わたしはやむを得ず、カイザルに上訴するに至ったのである。しかしわたしは、わが同胞を訴えようなどとしているのではない。 + こういうわけで、あなたがたに会って語り合いたいと願っていた。事実、わたしは、イスラエルのいだいている希望のゆえに、この鎖につながれているのである」。 + そこで彼らは、パウロに言った、「わたしたちは、ユダヤ人たちから、あなたについて、なんの文書も受け取っていないし、また、兄弟たちの中からここにきて、あなたについて不利な報告をしたり、悪口を言ったりした者もなかった。 + わたしたちは、あなたの考えていることを、直接あなたから聞くのが、正しいことだと思っている。実は、この宗派については、いたるところで反対のあることが、わたしたちの耳にもはいっている」。 + そこで、日を定めて、大ぜいの人が、パウロの宿につめかけてきたので、朝から晩まで、パウロは語り続け、神の国のことをあかしし、またモーセの律法や預言者の書を引いて、イエスについて彼らの説得につとめた。 + ある者はパウロの言うことを受けいれ、ある者は信じようともしなかった。 + 互に意見が合わなくて、みんなの者が帰ろうとしていた時、パウロはひとこと述べて言った、「聖霊はよくも預言者イザヤによって、あなたがたの先祖に語ったものである。 + 『この民に行って言え、あなたがたは聞くには聞くが、決して悟らない。見るには見るが、決して認めない。 + この民の心は鈍くなり、その耳は聞えにくく、その目は閉じている。それは、彼らが目で見ず、耳で聞かず、心で悟らず、悔い改めていやされることがないためである』。 + そこで、あなたがたは知っておくがよい。神のこの救の言葉は、異邦人に送られたのだ。彼らは、これに聞きしたがうであろう」。〔 + パウロがこれらのことを述べ終ると、ユダヤ人らは、互に論じ合いながら帰って行った。〕 + パウロは、自分の借りた家に満二年のあいだ住んで、たずねて来る人々をみな迎え入れ、 + はばからず、また妨げられることもなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えつづけた。 + +
+
+ + キリスト・イエスの僕、神の福音のために選び別たれ、召されて使徒となったパウロから―― + この福音は、神が、預言者たちにより、聖書の中で、あらかじめ約束されたものであって、 + 御子に関するものである。御子は、肉によればダビデの子孫から生れ、 + 聖なる霊によれば、死人からの復活により、御力をもって神の御子と定められた。これがわたしたちの主イエス・キリストである。 + わたしたちは、その御名のために、すべての異邦人を信仰の従順に至らせるようにと、彼によって恵みと使徒の務とを受けたのであり、 + あなたがたもまた、彼らの中にあって、召されてイエス・キリストに属する者となったのである―― + ローマにいる、神に愛され、召された聖徒一同へ。わたしたちの父なる神および主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + まず第一に、わたしは、あなたがたの信仰が全世界に言い伝えられていることを、イエス・キリストによって、あなたがた一同のために、わたしの神に感謝する。 + + わたしは、祈のたびごとに、絶えずあなたがたを覚え、いつかは御旨にかなって道が開かれ、どうにかして、あなたがたの所に行けるようにと願っている。このことについて、わたしのためにあかしをして下さるのは、わたしが霊により、御子の福音を宣べ伝えて仕えている神である。 + わたしは、あなたがたに会うことを熱望している。あなたがたに霊の賜物を幾分でも分け与えて、力づけたいからである。 + それは、あなたがたの中にいて、あなたがたとわたしとのお互の信仰によって、共に励まし合うためにほかならない。 + 兄弟たちよ。このことを知らずにいてもらいたくない。わたしはほかの異邦人の間で得たように、あなたがたの間でも幾分かの実を得るために、あなたがたの所に行こうとしばしば企てたが、今まで妨げられてきた。 + わたしには、ギリシヤ人にも未開の人にも、賢い者にも無知な者にも、果すべき責任がある。 + そこで、わたしとしての切なる願いは、ローマにいるあなたがたにも、福音を宣べ伝えることなのである。 + わたしは福音を恥としない。それは、ユダヤ人をはじめ、ギリシヤ人にも、すべて信じる者に、救を得させる神の力である。 + 神の義は、その福音の中に啓示され、信仰に始まり信仰に至らせる。これは、「信仰による義人は生きる」と書いてあるとおりである。 + 神の怒りは、不義をもって真理をはばもうとする人間のあらゆる不信心と不義とに対して、天から啓示される。 + なぜなら、神について知りうる事がらは、彼らには明らかであり、神がそれを彼らに明らかにされたのである。 + 神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性とは、天地創造このかた、被造物において知られていて、明らかに認められるからである。したがって、彼らには弁解の余地がない。 + なぜなら、彼らは神を知っていながら、神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなったからである。 + 彼らは自ら知者と称しながら、愚かになり、 + 不朽の神の栄光を変えて、朽ちる人間や鳥や獣や這うものの像に似せたのである。 + ゆえに、神は、彼らが心の欲情にかられ、自分のからだを互にはずかしめて、汚すままに任せられた。 + 彼らは神の真理を変えて虚偽とし、創造者の代りに被造物を拝み、これに仕えたのである。創造者こそ永遠にほむべきものである、アァメン。 + それゆえ、神は彼らを恥ずべき情欲に任せられた。すなわち、彼らの中の女は、その自然の関係を不自然なものに代え、 + 男もまた同じように女との自然の関係を捨てて、互にその情欲の炎を燃やし、男は男に対して恥ずべきことをなし、そしてその乱行の当然の報いを、身に受けたのである。 + そして、彼らは神を認めることを正しいとしなかったので、神は彼らを正しからぬ思いにわたし、なすべからざる事をなすに任せられた。 + すなわち、彼らは、あらゆる不義と悪と貪欲と悪意とにあふれ、ねたみと殺意と争いと詐欺と悪念とに満ち、また、ざん言する者、 + そしる者、神を憎む者、不遜な者、高慢な者、大言壮語する者、悪事をたくらむ者、親に逆らう者となり、 + 無知、不誠実、無情、無慈悲な者となっている。 + 彼らは、こうした事を行う者どもが死に価するという神の定めをよく知りながら、自らそれを行うばかりではなく、それを行う者どもを是認さえしている。 + + + だから、ああ、すべて人をさばく者よ。あなたには弁解の余地がない。あなたは、他人をさばくことによって、自分自身を罪に定めている。さばくあなたも、同じことを行っているからである。 + わたしたちは、神のさばきが、このような事を行う者どもの上に正しく下ることを、知っている。 + ああ、このような事を行う者どもをさばきながら、しかも自ら同じことを行う人よ。あなたは、神のさばきをのがれうると思うのか。 + それとも、神の慈愛があなたを悔改めに導くことも知らないで、その慈愛と忍耐と寛容との富を軽んじるのか。 + あなたのかたくなな、悔改めのない心のゆえに、あなたは、神の正しいさばきの現れる怒りの日のために神の怒りを、自分の身に積んでいるのである。 + 神は、おのおのに、そのわざにしたがって報いられる。 + すなわち、一方では、耐え忍んで善を行って、光栄とほまれと朽ちぬものとを求める人に、永遠のいのちが与えられ、 + 他方では、党派心をいだき、真理に従わないで不義に従う人に、怒りと激しい憤りとが加えられる。 + 悪を行うすべての人には、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、患難と苦悩とが与えられ、 + 善を行うすべての人には、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、光栄とほまれと平安とが与えられる。 + なぜなら、神には、かたより見ることがないからである。 + そのわけは、律法なしに罪を犯した者は、また律法なしに滅び、律法のもとで罪を犯した者は、律法によってさばかれる。 + なぜなら、律法を聞く者が、神の前に義なるものではなく、律法を行う者が、義とされるからである。 + すなわち、律法を持たない異邦人が、自然のままで、律法の命じる事を行うなら、たとい律法を持たなくても、彼らにとっては自分自身が律法なのである。 + 彼らは律法の要求がその心にしるされていることを現し、そのことを彼らの良心も共にあかしをして、その判断が互にあるいは訴え、あるいは弁明し合うのである。 + そして、これらのことは、わたしの福音によれば、神がキリスト・イエスによって人々の隠れた事がらをさばかれるその日に、明らかにされるであろう。 + もしあなたが、自らユダヤ人と称し、律法に安んじ、神を誇とし、 + 御旨を知り、律法に教えられて、なすべきことをわきまえており、 + + さらに、知識と真理とが律法の中に形をとっているとして、自ら盲人の手引き、やみにおる者の光、愚かな者の導き手、幼な子の教師をもって任じているのなら、 + なぜ、人を教えて自分を教えないのか。盗むなと人に説いて、自らは盗むのか。 + 姦淫するなと言って、自らは姦淫するのか。偶像を忌みきらいながら、自らは宮の物をかすめるのか。 + 律法を誇としながら、自らは律法に違反して、神を侮っているのか。 + 聖書に書いてあるとおり、「神の御名は、あなたがたのゆえに、異邦人の間で汚されている」。 + もし、あなたが律法を行うなら、なるほど、割礼は役に立とう。しかし、もし律法を犯すなら、あなたの割礼は無割礼となってしまう。 + だから、もし無割礼の者が律法の規定を守るなら、その無割礼は割礼と見なされるではないか。 + かつ、生れながら無割礼の者であって律法を全うする者は、律法の文字と割礼とを持ちながら律法を犯しているあなたを、さばくのである。 + というのは、外見上のユダヤ人がユダヤ人ではなく、また、外見上の肉における割礼が割礼でもない。 + かえって、隠れたユダヤ人がユダヤ人であり、また、文字によらず霊による心の割礼こそ割礼であって、そのほまれは人からではなく、神から来るのである。 + + + では、ユダヤ人のすぐれている点は何か。また割礼の益は何か。 + それは、いろいろの点で数多くある。まず第一に、神の言が彼らにゆだねられたことである。 + すると、どうなるのか。もし、彼らのうちに不真実の者があったとしたら、その不真実によって、神の真実は無になるであろうか。 + 断じてそうではない。あらゆる人を偽り者としても、神を真実なものとすべきである。それは、「あなたが言葉を述べるときは、義とせられ、あなたがさばきを受けるとき、勝利を得るため」と書いてあるとおりである。 + しかし、もしわたしたちの不義が、神の義を明らかにするとしたら、なんと言うべきか。怒りを下す神は、不義であると言うのか(これは人間的な言い方ではある)。 + 断じてそうではない。もしそうであったら、神はこの世を、どうさばかれるだろうか。 + しかし、もし神の真実が、わたしの偽りによりいっそう明らかにされて、神の栄光となるなら、どうして、わたしはなおも罪人としてさばかれるのだろうか。 + むしろ、「善をきたらせるために、わたしたちは悪をしようではないか」(わたしたちがそう言っていると、ある人々はそしっている)。彼らが罰せられるのは当然である。 + すると、どうなるのか。わたしたちには何かまさったところがあるのか。絶対にない。ユダヤ人もギリシヤ人も、ことごとく罪の下にあることを、わたしたちはすでに指摘した。 + 次のように書いてある、「義人はいない、ひとりもいない。 + 悟りのある人はいない、神を求める人はいない。 + すべての人は迷い出て、ことごとく無益なものになっている。善を行う者はいない、ひとりもいない。 + 彼らののどは、開いた墓であり、彼らは、その舌で人を欺き、彼らのくちびるには、まむしの毒があり、 + 彼らの口は、のろいと苦い言葉とで満ちている。 + 彼らの足は、血を流すのに速く、 + 彼らの道には、破壊と悲惨とがある。 + そして、彼らは平和の道を知らない。 + 彼らの目の前には、神に対する恐れがない」。 + さて、わたしたちが知っているように、すべて律法の言うところは、律法のもとにある者たちに対して語られている。それは、すべての口がふさがれ、全世界が神のさばきに服するためである。 + なぜなら、律法を行うことによっては、すべての人間は神の前に義とせられないからである。律法によっては、罪の自覚が生じるのみである。 + しかし今や、神の義が、律法とは別に、しかも律法と預言者とによってあかしされて、現された。 + それは、イエス・キリストを信じる信仰による神の義であって、すべて信じる人に与えられるものである。そこにはなんらの差別もない。 + すなわち、すべての人は罪を犯したため、神の栄光を受けられなくなっており、 + 彼らは、価なしに、神の恵みにより、キリスト・イエスによるあがないによって義とされるのである。 + 神はこのキリストを立てて、その血による、信仰をもって受くべきあがないの供え物とされた。それは神の義を示すためであった。すなわち、今までに犯された罪を、神は忍耐をもって見のがしておられたが、 + それは、今の時に、神の義を示すためであった。こうして、神みずからが義となり、さらに、イエスを信じる者を義とされるのである。 + すると、どこにわたしたちの誇があるのか。全くない。なんの法則によってか。行いの法則によってか。そうではなく、信仰の法則によってである。 + わたしたちは、こう思う。人が義とされるのは、律法の行いによるのではなく、信仰によるのである。 + それとも、神はユダヤ人だけの神であろうか。また、異邦人の神であるのではないか。確かに、異邦人の神でもある。 + まことに、神は唯一であって、割礼のある者を信仰によって義とし、また、無割礼の者をも信仰のゆえに義とされるのである。 + すると、信仰のゆえに、わたしたちは律法を無効にするのであるか。断じてそうではない。かえって、それによって律法を確立するのである。 + + + それでは、肉によるわたしたちの先祖アブラハムの場合については、なんと言ったらよいか。 + もしアブラハムが、その行いによって義とされたのであれば、彼は誇ることができよう。しかし、神のみまえでは、できない。 + なぜなら、聖書はなんと言っているか、「アブラハムは神を信じた。それによって、彼は義と認められた」とある。 + いったい、働く人に対する報酬は、恩恵としてではなく、当然の支払いとして認められる。 + しかし、働きはなくても、不信心な者を義とするかたを信じる人は、その信仰が義と認められるのである。 + ダビデもまた、行いがなくても神に義と認められた人の幸福について、次のように言っている、 + 「不法をゆるされ、罪をおおわれた人たちは、さいわいである。 + 罪を主に認められない人は、さいわいである」。 + さて、この幸福は、割礼の者だけが受けるのか。それとも、無割礼の者にも及ぶのか。わたしたちは言う、「アブラハムには、その信仰が義と認められた」のである。 + それでは、どういう場合にそう認められたのか。割礼を受けてからか、それとも受ける前か。割礼を受けてからではなく、無割礼の時であった。 + そして、アブラハムは割礼というしるしを受けたが、それは、無割礼のままで信仰によって受けた義の証印であって、彼が、無割礼のままで信じて義とされるに至るすべての人の父となり、 + かつ、割礼の者の父となるためなのである。割礼の者というのは、割礼を受けた者ばかりではなく、われらの父アブラハムが無割礼の時に持っていた信仰の足跡を踏む人々をもさすのである。 + なぜなら、世界を相続させるとの約束が、アブラハムとその子孫とに対してなされたのは、律法によるのではなく、信仰の義によるからである。 + もし、律法に立つ人々が相続人であるとすれば、信仰はむなしくなり、約束もまた無効になってしまう。 + いったい、律法は怒りを招くものであって、律法のないところには違反なるものはない。 + このようなわけで、すべては信仰によるのである。それは恵みによるのであって、すべての子孫に、すなわち、律法に立つ者だけにではなく、アブラハムの信仰に従う者にも、この約束が保証されるのである。アブラハムは、神の前で、わたしたちすべての者の父であって、 + 「わたしは、あなたを立てて多くの国民の父とした」と書いてあるとおりである。彼はこの神、すなわち、死人を生かし、無から有を呼び出される神を信じたのである。 + 彼は望み得ないのに、なおも望みつつ信じた。そのために、「あなたの子孫はこうなるであろう」と言われているとおり、多くの国民の父となったのである。 + すなわち、およそ百歳となって、彼自身のからだが死んだ状態であり、また、サラの胎が不妊であるのを認めながらも、なお彼の信仰は弱らなかった。 + 彼は、神の約束を不信仰のゆえに疑うようなことはせず、かえって信仰によって強められ、栄光を神に帰し、 + 神はその約束されたことを、また成就することができると確信した。 + だから、彼は義と認められたのである。 + しかし「義と認められた」と書いてあるのは、アブラハムのためだけではなく、 + わたしたちのためでもあって、わたしたちの主イエスを死人の中からよみがえらせたかたを信じるわたしたちも、義と認められるのである。 + 主は、わたしたちの罪過のために死に渡され、わたしたちが義とされるために、よみがえらされたのである。 + + + このように、わたしたちは、信仰によって義とされたのだから、わたしたちの主イエス・キリストにより、神に対して平和を得ている。 + わたしたちは、さらに彼により、いま立っているこの恵みに信仰によって導き入れられ、そして、神の栄光にあずかる希望をもって喜んでいる。 + それだけではなく、患難をも喜んでいる。なぜなら、患難は忍耐を生み出し、 + 忍耐は錬達を生み出し、錬達は希望を生み出すことを、知っているからである。 + そして、希望は失望に終ることはない。なぜなら、わたしたちに賜わっている聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからである。 + わたしたちがまだ弱かったころ、キリストは、時いたって、不信心な者たちのために死んで下さったのである。 + 正しい人のために死ぬ者は、ほとんどいないであろう。善人のためには、進んで死ぬ者もあるいはいるであろう。 + しかし、まだ罪人であった時、わたしたちのためにキリストが死んで下さったことによって、神はわたしたちに対する愛を示されたのである。 + わたしたちは、キリストの血によって今は義とされているのだから、なおさら、彼によって神の怒りから救われるであろう。 + もし、わたしたちが敵であった時でさえ、御子の死によって神との和解を受けたとすれば、和解を受けている今は、なおさら、彼のいのちによって救われるであろう。 + そればかりではなく、わたしたちは、今や和解を得させて下さったわたしたちの主イエス・キリストによって、神を喜ぶのである。 + このようなわけで、ひとりの人によって、罪がこの世にはいり、また罪によって死がはいってきたように、こうして、すべての人が罪を犯したので、死が全人類にはいり込んだのである。 + というのは、律法以前にも罪は世にあったが、律法がなければ、罪は罪として認められないのである。 + しかし、アダムからモーセまでの間においても、アダムの違反と同じような罪を犯さなかった者も、死の支配を免れなかった。このアダムは、きたるべき者の型である。 + しかし、恵みの賜物は罪過の場合とは異なっている。すなわち、もしひとりの罪過のために多くの人が死んだとすれば、まして、神の恵みと、ひとりの人イエス・キリストの恵みによる賜物とは、さらに豊かに多くの人々に満ちあふれたはずではないか。 + かつ、この賜物は、ひとりの犯した罪の結果とは異なっている。なぜなら、さばきの場合は、ひとりの罪過から、罪に定めることになったが、恵みの場合には、多くの人の罪過から、義とする結果になるからである。 + もし、ひとりの罪過によって、そのひとりをとおして死が支配するに至ったとすれば、まして、あふれるばかりの恵みと義の賜物とを受けている者たちは、ひとりのイエス・キリストをとおし、いのちにあって、さらに力強く支配するはずではないか。 + このようなわけで、ひとりの罪過によってすべての人が罪に定められたように、ひとりの義なる行為によって、いのちを得させる義がすべての人に及ぶのである。 + すなわち、ひとりの人の不従順によって、多くの人が罪人とされたと同じように、ひとりの従順によって、多くの人が義人とされるのである。 + 律法がはいり込んできたのは、罪過の増し加わるためである。しかし、罪の増し加わったところには、恵みもますます満ちあふれた。 + それは、罪が死によって支配するに至ったように、恵みもまた義によって支配し、わたしたちの主イエス・キリストにより、永遠のいのちを得させるためである。 + + + では、わたしたちは、なんと言おうか。恵みが増し加わるために、罪にとどまるべきであろうか。 + 断じてそうではない。罪に対して死んだわたしたちが、どうして、なお、その中に生きておれるだろうか。 + それとも、あなたがたは知らないのか。キリスト・イエスにあずかるバプテスマを受けたわたしたちは、彼の死にあずかるバプテスマを受けたのである。 + すなわち、わたしたちは、その死にあずかるバプテスマによって、彼と共に葬られたのである。それは、キリストが父の栄光によって、死人の中からよみがえらされたように、わたしたちもまた、新しいいのちに生きるためである。 + もしわたしたちが、彼に結びついてその死の様にひとしくなるなら、さらに、彼の復活の様にもひとしくなるであろう。 + わたしたちは、この事を知っている。わたしたちの内の古き人はキリストと共に十字架につけられた。それは、この罪のからだが滅び、わたしたちがもはや、罪の奴隷となることがないためである。 + それは、すでに死んだ者は、罪から解放されているからである。 + もしわたしたちが、キリストと共に死んだなら、また彼と共に生きることを信じる。 + キリストは死人の中からよみがえらされて、もはや死ぬことがなく、死はもはや彼を支配しないことを、知っているからである。 + なぜなら、キリストが死んだのは、ただ一度罪に対して死んだのであり、キリストが生きるのは、神に生きるのだからである。 + このように、あなたがた自身も、罪に対して死んだ者であり、キリスト・イエスにあって神に生きている者であることを、認むべきである。 + だから、あなたがたの死ぬべきからだを罪の支配にゆだねて、その情欲に従わせることをせず、 + また、あなたがたの肢体を不義の武器として罪にささげてはならない。むしろ、死人の中から生かされた者として、自分自身を神にささげ、自分の肢体を義の武器として神にささげるがよい。 + なぜなら、あなたがたは律法の下にあるのではなく、恵みの下にあるので、罪に支配されることはないからである。 + それでは、どうなのか。律法の下にではなく、恵みの下にあるからといって、わたしたちは罪を犯すべきであろうか。断じてそうではない。 + あなたがたは知らないのか。あなたがた自身が、だれかの僕になって服従するなら、あなたがたは自分の服従するその者の僕であって、死に至る罪の僕ともなり、あるいは、義にいたる従順の僕ともなるのである。 + しかし、神は感謝すべきかな。あなたがたは罪の僕であったが、伝えられた教の基準に心から服従して、 + 罪から解放され、義の僕となった。 + わたしは人間的な言い方をするが、それは、あなたがたの肉の弱さのゆえである。あなたがたは、かつて自分の肢体を汚れと不法との僕としてささげて不法に陥ったように、今や自分の肢体を義の僕としてささげて、きよくならねばならない。 + あなたがたが罪の僕であった時は、義とは縁のない者であった。 + その時あなたがたは、どんな実を結んだのか。それは、今では恥とするようなものであった。それらのものの終極は、死である。 + しかし今や、あなたがたは罪から解放されて神に仕え、きよきに至る実を結んでいる。その終極は永遠のいのちである。 + 罪の支払う報酬は死である。しかし神の賜物は、わたしたちの主キリスト・イエスにおける永遠のいのちである。 + + + それとも、兄弟たちよ。あなたがたは知らないのか。わたしは律法を知っている人々に語るのであるが、律法は人をその生きている期間だけ支配するものである。 + すなわち、夫のある女は、夫が生きている間は、律法によって彼につながれている。しかし、夫が死ねば、夫の律法から解放される。 + であるから、夫の生存中に他の男に行けば、その女は淫婦と呼ばれるが、もし夫が死ねば、その律法から解かれるので、他の男に行っても、淫婦とはならない。 + わたしの兄弟たちよ。このように、あなたがたも、キリストのからだをとおして、律法に対して死んだのである。それは、あなたがたが他の人、すなわち、死人の中からよみがえられたかたのものとなり、こうして、わたしたちが神のために実を結ぶに至るためなのである。 + というのは、わたしたちが肉にあった時には、律法による罪の欲情が、死のために実を結ばせようとして、わたしたちの肢体のうちに働いていた。 + しかし今は、わたしたちをつないでいたものに対して死んだので、わたしたちは律法から解放され、その結果、古い文字によってではなく、新しい霊によって仕えているのである。 + それでは、わたしたちは、なんと言おうか。律法は罪なのか。断じてそうではない。しかし、律法によらなければ、わたしは罪を知らなかったであろう。すなわち、もし律法が「むさぼるな」と言わなかったら、わたしはむさぼりなるものを知らなかったであろう。 + しかるに、罪は戒めによって機会を捕え、わたしの内に働いて、あらゆるむさぼりを起させた。すなわち、律法がなかったら、罪は死んでいるのである。 + わたしはかつては、律法なしに生きていたが、戒めが来るに及んで、罪は生き返り、 + わたしは死んだ。そして、いのちに導くべき戒めそのものが、かえってわたしを死に導いて行くことがわかった。 + なぜなら、罪は戒めによって機会を捕え、わたしを欺き、戒めによってわたしを殺したからである。 + このようなわけで、律法そのものは聖なるものであり、戒めも聖であって、正しく、かつ善なるものである。 + では、善なるものが、わたしにとって死となったのか。断じてそうではない。それはむしろ、罪の罪たることが現れるための、罪のしわざである。すなわち、罪は、戒めによって、はなはだしく悪性なものとなるために、善なるものによってわたしを死に至らせたのである。 + わたしたちは、律法は霊的なものであると知っている。しかし、わたしは肉につける者であって、罪の下に売られているのである。 + わたしは自分のしていることが、わからない。なぜなら、わたしは自分の欲する事は行わず、かえって自分の憎む事をしているからである。 + もし、自分の欲しない事をしているとすれば、わたしは律法が良いものであることを承認していることになる。 + そこで、この事をしているのは、もはやわたしではなく、わたしの内に宿っている罪である。 + わたしの内に、すなわち、わたしの肉の内には、善なるものが宿っていないことを、わたしは知っている。なぜなら、善をしようとする意志は、自分にあるが、それをする力がないからである。 + すなわち、わたしの欲している善はしないで、欲していない悪は、これを行っている。 + もし、欲しないことをしているとすれば、それをしているのは、もはやわたしではなく、わたしの内に宿っている罪である。 + そこで、善をしようと欲しているわたしに、悪がはいり込んでいるという法則があるのを見る。 + すなわち、わたしは、内なる人としては神の律法を喜んでいるが、 + わたしの肢体には別の律法があって、わたしの心の法則に対して戦いをいどみ、そして、肢体に存在する罪の法則の中に、わたしをとりこにしているのを見る。 + わたしは、なんというみじめな人間なのだろう。だれが、この死のからだから、わたしを救ってくれるだろうか。 + わたしたちの主イエス・キリストによって、神は感謝すべきかな。このようにして、わたし自身は、心では神の律法に仕えているが、肉では罪の律法に仕えているのである。 + + + こういうわけで、今やキリスト・イエスにある者は罪に定められることがない。 + なぜなら、キリスト・イエスにあるいのちの御霊の法則は、罪と死との法則からあなたを解放したからである。 + 律法が肉により無力になっているためになし得なかった事を、神はなし遂げて下さった。すなわち、御子を、罪の肉の様で罪のためにつかわし、肉において罪を罰せられたのである。 + これは律法の要求が、肉によらず霊によって歩くわたしたちにおいて、満たされるためである。 + なぜなら、肉に従う者は肉のことを思い、霊に従う者は霊のことを思うからである。 + 肉の思いは死であるが、霊の思いは、いのちと平安とである。 + なぜなら、肉の思いは神に敵するからである。すなわち、それは神の律法に従わず、否、従い得ないのである。 + また、肉にある者は、神を喜ばせることができない。 + しかし、神の御霊があなたがたの内に宿っているなら、あなたがたは肉におるのではなく、霊におるのである。もし、キリストの霊を持たない人がいるなら、その人はキリストのものではない。 + もし、キリストがあなたがたの内におられるなら、からだは罪のゆえに死んでいても、霊は義のゆえに生きているのである。 + もし、イエスを死人の中からよみがえらせたかたの御霊が、あなたがたの内に宿っているなら、キリスト・イエスを死人の中からよみがえらせたかたは、あなたがたの内に宿っている御霊によって、あなたがたの死ぬべきからだをも、生かしてくださるであろう。 + それゆえに、兄弟たちよ。わたしたちは、果すべき責任を負っている者であるが、肉に従って生きる責任を肉に対して負っているのではない。 + なぜなら、もし、肉に従って生きるなら、あなたがたは死ぬ外はないからである。しかし、霊によってからだの働きを殺すなら、あなたがたは生きるであろう。 + すべて神の御霊に導かれている者は、すなわち、神の子である。 + あなたがたは再び恐れをいだかせる奴隷の霊を受けたのではなく、子たる身分を授ける霊を受けたのである。その霊によって、わたしたちは「アバ、父よ」と呼ぶのである。 + 御霊みずから、わたしたちの霊と共に、わたしたちが神の子であることをあかしして下さる。 + もし子であれば、相続人でもある。神の相続人であって、キリストと栄光を共にするために苦難をも共にしている以上、キリストと共同の相続人なのである。 + わたしは思う。今のこの時の苦しみは、やがてわたしたちに現されようとする栄光に比べると、言うに足りない。 + 被造物は、実に、切なる思いで神の子たちの出現を待ち望んでいる。 + なぜなら、被造物が虚無に服したのは、自分の意志によるのではなく、服従させたかたによるのであり、 + かつ、被造物自身にも、滅びのなわめから解放されて、神の子たちの栄光の自由に入る望みが残されているからである。 + 実に、被造物全体が、今に至るまで、共にうめき共に産みの苦しみを続けていることを、わたしたちは知っている。 + それだけではなく、御霊の最初の実を持っているわたしたち自身も、心の内でうめきながら、子たる身分を授けられること、すなわち、からだのあがなわれることを待ち望んでいる。 + わたしたちは、この望みによって救われているのである。しかし、目に見える望みは望みではない。なぜなら、現に見ている事を、どうして、なお望む人があろうか。 + もし、わたしたちが見ないことを望むなら、わたしたちは忍耐して、それを待ち望むのである。 + 御霊もまた同じように、弱いわたしたちを助けて下さる。なぜなら、わたしたちはどう祈ったらよいかわからないが、御霊みずから、言葉にあらわせない切なるうめきをもって、わたしたちのためにとりなして下さるからである。 + そして、人の心を探り知るかたは、御霊の思うところがなんであるかを知っておられる。なぜなら、御霊は、聖徒のために、神の御旨にかなうとりなしをして下さるからである。 + 神は、神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って召された者たちと共に働いて、万事を益となるようにして下さることを、わたしたちは知っている。 + 神はあらかじめ知っておられる者たちを、更に御子のかたちに似たものとしようとして、あらかじめ定めて下さった。それは、御子を多くの兄弟の中で長子とならせるためであった。 + そして、あらかじめ定めた者たちを更に召し、召した者たちを更に義とし、義とした者たちには、更に栄光を与えて下さったのである。 + それでは、これらの事について、なんと言おうか。もし、神がわたしたちの味方であるなら、だれがわたしたちに敵し得ようか。 + ご自身の御子をさえ惜しまないで、わたしたちすべての者のために死に渡されたかたが、どうして、御子のみならず万物をも賜わらないことがあろうか。 + だれが、神の選ばれた者たちを訴えるのか。神は彼らを義とされるのである。 + だれが、わたしたちを罪に定めるのか。キリスト・イエスは、死んで、否、よみがえって、神の右に座し、また、わたしたちのためにとりなして下さるのである。 + だれが、キリストの愛からわたしたちを離れさせるのか。患難か、苦悩か、迫害か、飢えか、裸か、危難か、剣か。 + 「わたしたちはあなたのために終日、死に定められており、ほふられる羊のように見られている」と書いてあるとおりである。 + しかし、わたしたちを愛して下さったかたによって、わたしたちは、これらすべての事において勝ち得て余りがある。 + わたしは確信する。死も生も、天使も支配者も、現在のものも将来のものも、力あるものも、 + 高いものも深いものも、その他どんな被造物も、わたしたちの主キリスト・イエスにおける神の愛から、わたしたちを引き離すことはできないのである。 + + + わたしはキリストにあって真実を語る。偽りは言わない。わたしの良心も聖霊によって、わたしにこうあかしをしている。 + すなわち、わたしに大きな悲しみがあり、わたしの心に絶えざる痛みがある。 + 実際、わたしの兄弟、肉による同族のためなら、わたしのこの身がのろわれて、キリストから離されてもいとわない。 + 彼らはイスラエル人であって、子たる身分を授けられることも、栄光も、もろもろの契約も、律法を授けられることも、礼拝も、数々の約束も彼らのもの、 + また父祖たちも彼らのものであり、肉によればキリストもまた彼らから出られたのである。万物の上にいます神は、永遠にほむべきかな、アァメン。 + しかし、神の言が無効になったというわけではない。なぜなら、イスラエルから出た者が全部イスラエルなのではなく、 + また、アブラハムの子孫だからといって、その全部が子であるのではないからである。かえって「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるであろう」。 + すなわち、肉の子がそのまま神の子なのではなく、むしろ約束の子が子孫として認められるのである。 + 約束の言葉はこうである。「来年の今ごろ、わたしはまた来る。そして、サラに男子が与えられるであろう」。 + そればかりではなく、ひとりの人、すなわち、わたしたちの父祖イサクによって受胎したリベカの場合も、また同様である。 + まだ子供らが生れもせず、善も悪もしない先に、神の選びの計画が、 + わざによらず、召したかたによって行われるために、「兄は弟に仕えるであろう」と、彼女に仰せられたのである。 + 「わたしはヤコブを愛しエサウを憎んだ」と書いてあるとおりである。 + では、わたしたちはなんと言おうか。神の側に不正があるのか。断じてそうではない。 + 神はモーセに言われた、「わたしは自分のあわれもうとする者をあわれみ、いつくしもうとする者を、いつくしむ」。 + ゆえに、それは人間の意志や努力によるのではなく、ただ神のあわれみによるのである。 + 聖書はパロにこう言っている、「わたしがあなたを立てたのは、この事のためである。すなわち、あなたによってわたしの力をあらわし、また、わたしの名が全世界に言いひろめられるためである」。 + だから、神はそのあわれもうと思う者をあわれみ、かたくなにしようと思う者を、かたくなになさるのである。 + そこで、あなたは言うであろう、「なぜ神は、なおも人を責められるのか。だれが、神の意図に逆らい得ようか」。 + ああ人よ。あなたは、神に言い逆らうとは、いったい、何者なのか。造られたものが造った者に向かって、「なぜ、わたしをこのように造ったのか」と言うことがあろうか。 + 陶器を造る者は、同じ土くれから、一つを尊い器に、他を卑しい器に造りあげる権能がないのであろうか。 + もし、神が怒りをあらわし、かつ、ご自身の力を知らせようと思われつつも、滅びることになっている怒りの器を、大いなる寛容をもって忍ばれたとすれば、 + かつ、栄光にあずからせるために、あらかじめ用意されたあわれみの器にご自身の栄光の富を知らせようとされたとすれば、どうであろうか。 + 神は、このあわれみの器として、またわたしたちをも、ユダヤ人の中からだけではなく、異邦人の中からも召されたのである。 + それは、ホセアの書でも言われているとおりである、「わたしは、わたしの民でない者を、わたしの民と呼び、愛されなかった者を、愛される者と呼ぶであろう。 + あなたがたはわたしの民ではないと、彼らに言ったその場所で、彼らは生ける神の子らであると、呼ばれるであろう」。 + また、イザヤはイスラエルについて叫んでいる、「たとい、イスラエルの子らの数は、浜の砂のようであっても、救われるのは、残された者だけであろう。 + 主は、御言をきびしくまたすみやかに、地上になしとげられるであろう」。 + さらに、イザヤは預言した、「もし、万軍の主がわたしたちに子孫を残されなかったなら、わたしたちはソドムのようになり、ゴモラと同じようになったであろう」。 + では、わたしたちはなんと言おうか。義を追い求めなかった異邦人は、義、すなわち、信仰による義を得た。 + しかし、義の律法を追い求めていたイスラエルは、その律法に達しなかった。 + なぜであるか。信仰によらないで、行いによって得られるかのように、追い求めたからである。彼らは、つまずきの石につまずいたのである。 + 「見よ、わたしはシオンに、つまずきの石、さまたげの岩を置く。それにより頼む者は、失望に終ることがない」と書いてあるとおりである。 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + そこで、わたしは問う、「神はその民を捨てたのであろうか」。断じてそうではない。わたしもイスラエル人であり、アブラハムの子孫、ベニヤミン族の者である。 + 神は、あらかじめ知っておられたその民を、捨てることはされなかった。聖書がエリヤについてなんと言っているか、あなたがたは知らないのか。すなわち、彼はイスラエルを神に訴えてこう言った。 + 「主よ、彼らはあなたの預言者たちを殺し、あなたの祭壇をこぼち、そして、わたしひとりが取り残されたのに、彼らはわたしのいのちをも求めています」。 + しかし、彼に対する御告げはなんであったか、「バアルにひざをかがめなかった七千人を、わたしのために残しておいた」。 + それと同じように、今の時にも、恵みの選びによって残された者がいる。 + しかし、恵みによるのであれば、もはや行いによるのではない。そうでないと、恵みはもはや恵みでなくなるからである。 + では、どうなるのか。イスラエルはその追い求めているものを得ないで、ただ選ばれた者が、それを得た。そして、他の者たちはかたくなになった。 + 「神は、彼らに鈍い心と、見えない目と、聞えない耳とを与えて、きょう、この日に及んでいる」と書いてあるとおりである。 + ダビデもまた言っている、「彼らの食卓は、彼らのわなとなれ、網となれ、つまずきとなれ、報復となれ。 + 彼らの目は、くらんで見えなくなれ、彼らの背は、いつまでも曲っておれ」。 + そこで、わたしは問う、「彼らがつまずいたのは、倒れるためであったのか」。断じてそうではない。かえって、彼らの罪過によって、救が異邦人に及び、それによってイスラエルを奮起させるためである。 + しかし、もし、彼らの罪過が世の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となったとすれば、まして彼らが全部救われたなら、どんなにかすばらしいことであろう。 + そこでわたしは、あなたがた異邦人に言う。わたし自身は異邦人の使徒なのであるから、わたしの務を光栄とし、 + どうにかしてわたしの骨肉を奮起させ、彼らの幾人かを救おうと願っている。 + もし彼らの捨てられたことが世の和解となったとすれば、彼らの受けいれられることは、死人の中から生き返ることではないか。 + もし、麦粉の初穂がきよければ、そのかたまりもきよい。もし根がきよければ、その枝もきよい。 + しかし、もしある枝が切り去られて、野生のオリブであるあなたがそれにつがれ、オリブの根の豊かな養分にあずかっているとすれば、 + あなたはその枝に対して誇ってはならない。たとえ誇るとしても、あなたが根をささえているのではなく、根があなたをささえているのである。 + すると、あなたは、「枝が切り去られたのは、わたしがつがれるためであった」と言うであろう。 + まさに、そのとおりである。彼らは不信仰のゆえに切り去られ、あなたは信仰のゆえに立っているのである。高ぶった思いをいだかないで、むしろ恐れなさい。 + もし神が元木の枝を惜しまなかったとすれば、あなたを惜しむようなことはないであろう。 + 神の慈愛と峻厳とを見よ。神の峻厳は倒れた者たちに向けられ、神の慈愛は、もしあなたがその慈愛にとどまっているなら、あなたに向けられる。そうでないと、あなたも切り取られるであろう。 + しかし彼らも、不信仰を続けなければ、つがれるであろう。神には彼らを再びつぐ力がある。 + なぜなら、もしあなたが自然のままの野生のオリブから切り取られ、自然の性質に反して良いオリブにつがれたとすれば、まして、これら自然のままの良い枝は、もっとたやすく、元のオリブにつがれないであろうか。 + 兄弟たちよ。あなたがたが知者だと自負することのないために、この奥義を知らないでいてもらいたくない。一部のイスラエル人がかたくなになったのは、異邦人が全部救われるに至る時までのことであって、 + こうして、イスラエル人は、すべて救われるであろう。すなわち、次のように書いてある、「救う者がシオンからきて、ヤコブから不信心を追い払うであろう。 + そして、これが、彼らの罪を除き去る時に、彼らに対して立てるわたしの契約である」。 + 福音について言えば、彼らは、あなたがたのゆえに、神の敵とされているが、選びについて言えば、父祖たちのゆえに、神に愛せられる者である。 + 神の賜物と召しとは、変えられることがない。 + あなたがたが、かつては神に不従順であったが、今は彼らの不従順によってあわれみを受けたように、 + 彼らも今は不従順になっているが、それは、あなたがたの受けたあわれみによって、彼ら自身も今あわれみを受けるためなのである。 + すなわち、神はすべての人をあわれむために、すべての人を不従順のなかに閉じ込めたのである。 + ああ深いかな、神の知恵と知識との富は。そのさばきは窮めがたく、その道は測りがたい。 + 「だれが、主の心を知っていたか。だれが、主の計画にあずかったか。 + また、だれが、まず主に与えて、その報いを受けるであろうか」。 + 万物は、神からいで、神によって成り、神に帰するのである。栄光がとこしえに神にあるように、アァメン。 + + + 兄弟たちよ。そういうわけで、神のあわれみによってあなたがたに勧める。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、生きた、聖なる供え物としてささげなさい。それが、あなたがたのなすべき霊的な礼拝である。 + あなたがたは、この世と妥協してはならない。むしろ、心を新たにすることによって、造りかえられ、何が神の御旨であるか、何が善であって、神に喜ばれ、かつ全きことであるかを、わきまえ知るべきである。 + わたしは、自分に与えられた恵みによって、あなたがたひとりびとりに言う。思うべき限度を越えて思いあがることなく、むしろ、神が各自に分け与えられた信仰の量りにしたがって、慎み深く思うべきである。 + なぜなら、一つのからだにたくさんの肢体があるが、それらの肢体がみな同じ働きをしてはいないように、 + わたしたちも数は多いが、キリストにあって一つのからだであり、また各自は互に肢体だからである。 + このように、わたしたちは与えられた恵みによって、それぞれ異なった賜物を持っているので、もし、それが預言であれば、信仰の程度に応じて預言をし、 + 奉仕であれば奉仕をし、また教える者であれば教え、 + 勧めをする者であれば勧め、寄附する者は惜しみなく寄附し、指導する者は熱心に指導し、慈善をする者は快く慈善をすべきである。 + 愛には偽りがあってはならない。悪は憎み退け、善には親しみ結び、 + 兄弟の愛をもって互にいつくしみ、進んで互に尊敬し合いなさい。 + 熱心で、うむことなく、霊に燃え、主に仕え、 + 望みをいだいて喜び、患難に耐え、常に祈りなさい。 + 貧しい聖徒を助け、努めて旅人をもてなしなさい。 + あなたがたを迫害する者を祝福しなさい。祝福して、のろってはならない。 + 喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣きなさい。 + 互に思うことをひとつにし、高ぶった思いをいだかず、かえって低い者たちと交わるがよい。自分が知者だと思いあがってはならない。 + だれに対しても悪をもって悪に報いず、すべての人に対して善を図りなさい。 + あなたがたは、できる限りすべての人と平和に過ごしなさい。 + 愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と書いてあるからである。 + むしろ、「もしあなたの敵が飢えるなら、彼に食わせ、かわくなら、彼に飲ませなさい。そうすることによって、あなたは彼の頭に燃えさかる炭火を積むことになるのである」。 + 悪に負けてはいけない。かえって、善をもって悪に勝ちなさい。 + + + すべての人は、上に立つ権威に従うべきである。なぜなら、神によらない権威はなく、おおよそ存在している権威は、すべて神によって立てられたものだからである。 + したがって、権威に逆らう者は、神の定めにそむく者である。そむく者は、自分の身にさばきを招くことになる。 + いったい、支配者たちは、善事をする者には恐怖でなく、悪事をする者にこそ恐怖である。あなたは権威を恐れないことを願うのか。それでは、善事をするがよい。そうすれば、彼からほめられるであろう。 + 彼は、あなたに益を与えるための神の僕なのである。しかし、もしあなたが悪事をすれば、恐れなければならない。彼はいたずらに剣を帯びているのではない。彼は神の僕であって、悪事を行う者に対しては、怒りをもって報いるからである。 + だから、ただ怒りをのがれるためだけではなく、良心のためにも従うべきである。 + あなたがたが貢を納めるのも、また同じ理由からである。彼らは神に仕える者として、もっぱらこの務に携わっているのである。 + あなたがたは、彼らすべてに対して、義務を果しなさい。すなわち、貢を納むべき者には貢を納め、税を納むべき者には税を納め、恐るべき者は恐れ、敬うべき者は敬いなさい。 + 互に愛し合うことの外は、何人にも借りがあってはならない。人を愛する者は、律法を全うするのである。 + 「姦淫するな、殺すな、盗むな、むさぼるな」など、そのほかに、どんな戒めがあっても、結局「自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ」というこの言葉に帰する。 + 愛は隣り人に害を加えることはない。だから、愛は律法を完成するものである。 + なお、あなたがたは時を知っているのだから、特に、この事を励まねばならない。すなわち、あなたがたの眠りからさめるべき時が、すでにきている。なぜなら今は、わたしたちの救が、初め信じた時よりも、もっと近づいているからである。 + 夜はふけ、日が近づいている。それだから、わたしたちは、やみのわざを捨てて、光の武具を着けようではないか。 + そして、宴楽と泥酔、淫乱と好色、争いとねたみを捨てて、昼歩くように、つつましく歩こうではないか。 + あなたがたは、主イエス・キリストを着なさい。肉の欲を満たすことに心を向けてはならない。 + + + 信仰の弱い者を受けいれなさい。ただ、意見を批評するためであってはならない。 + ある人は、何を食べてもさしつかえないと信じているが、弱い人は野菜だけを食べる。 + 食べる者は食べない者を軽んじてはならず、食べない者も食べる者をさばいてはならない。神は彼を受けいれて下さったのであるから。 + 他人の僕をさばくあなたは、いったい、何者であるか。彼が立つのも倒れるのも、その主人によるのである。しかし、彼は立つようになる。主は彼を立たせることができるからである。 + また、ある人は、この日がかの日よりも大事であると考え、ほかの人はどの日も同じだと考える。各自はそれぞれ心の中で、確信を持っておるべきである。 + 日を重んじる者は、主のために重んじる。また食べる者も主のために食べる。神に感謝して食べるからである。食べない者も主のために食べない。そして、神に感謝する。 + すなわち、わたしたちのうち、だれひとり自分のために生きる者はなく、だれひとり自分のために死ぬ者はない。 + わたしたちは、生きるのも主のために生き、死ぬのも主のために死ぬ。だから、生きるにしても死ぬにしても、わたしたちは主のものなのである。 + なぜなら、キリストは、死者と生者との主となるために、死んで生き返られたからである。 + それだのに、あなたは、なぜ兄弟をさばくのか。あなたは、なぜ兄弟を軽んじるのか。わたしたちはみな、神のさばきの座の前に立つのである。 + すなわち、「主が言われる。わたしは生きている。すべてのひざは、わたしに対してかがみ、すべての舌は、神にさんびをささげるであろう」と書いてある。 + だから、わたしたちひとりびとりは、神に対して自分の言いひらきをすべきである。 + それゆえ、今後わたしたちは、互にさばき合うことをやめよう。むしろ、あなたがたは、妨げとなる物や、つまずきとなる物を兄弟の前に置かないことに、決めるがよい。 + わたしは、主イエスにあって知りかつ確信している。それ自体、汚れているものは一つもない。ただ、それが汚れていると考える人にだけ、汚れているのである。 + もし食物のゆえに兄弟を苦しめるなら、あなたは、もはや愛によって歩いているのではない。あなたの食物によって、兄弟を滅ぼしてはならない。キリストは彼のためにも、死なれたのである。 + それだから、あなたがたにとって良い事が、そしりの種にならぬようにしなさい。 + 神の国は飲食ではなく、義と、平和と、聖霊における喜びとである。 + こうしてキリストに仕える者は、神に喜ばれ、かつ、人にも受けいれられるのである。 + こういうわけで、平和に役立つことや、互の徳を高めることを、追い求めようではないか。 + 食物のことで、神のみわざを破壊してはならない。すべての物はきよい。ただ、それを食べて人をつまずかせる者には、悪となる。 + 肉を食わず、酒を飲まず、そのほか兄弟をつまずかせないのは、良いことである。 + あなたの持っている信仰を、神のみまえに、自分自身に持っていなさい。自ら良いと定めたことについて、やましいと思わない人は、さいわいである。 + しかし、疑いながら食べる者は、信仰によらないから、罪に定められる。すべて信仰によらないことは、罪である。 + + + わたしたち強い者は、強くない者たちの弱さをになうべきであって、自分だけを喜ばせることをしてはならない。 + わたしたちひとりびとりは、隣り人の徳を高めるために、その益を図って彼らを喜ばすべきである。 + キリストさえ、ご自身を喜ばせることはなさらなかった。むしろ「あなたをそしる者のそしりが、わたしに降りかかった」と書いてあるとおりであった。 + これまでに書かれた事がらは、すべてわたしたちの教のために書かれたのであって、それは聖書の与える忍耐と慰めとによって、望みをいだかせるためである。 + どうか、忍耐と慰めとの神が、あなたがたに、キリスト・イエスにならって互に同じ思いをいだかせ、 + こうして、心を一つにし、声を合わせて、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神をあがめさせて下さるように。 + こういうわけで、キリストもわたしたちを受けいれて下さったように、あなたがたも互に受けいれて、神の栄光をあらわすべきである。 + わたしは言う、キリストは神の真実を明らかにするために、割礼のある者の僕となられた。それは父祖たちの受けた約束を保証すると共に、 + 異邦人もあわれみを受けて神をあがめるようになるためである、「それゆえ、わたしは、異邦人の中であなたにさんびをささげ、また、御名をほめ歌う」と書いてあるとおりである。 + また、こう言っている、「異邦人よ、主の民と共に喜べ」。 + また、「すべての異邦人よ、主をほめまつれ。もろもろの民よ、主をほめたたえよ」。 + またイザヤは言っている、「エッサイの根から芽が出て、異邦人を治めるために立ち上がる者が来る。異邦人は彼に望みをおくであろう」。 + どうか、望みの神が、信仰から来るあらゆる喜びと平安とを、あなたがたに満たし、聖霊の力によって、あなたがたを、望みにあふれさせて下さるように。 + さて、わたしの兄弟たちよ。あなたがた自身が、善意にあふれ、あらゆる知恵に満たされ、そして互に訓戒し合う力のあることを、わたしは堅く信じている。 + しかし、わたしはあなたがたの記憶を新たにするために、ところどころ、かなり思いきって書いた。それは、神からわたしに賜わった恵みによって、書いたのである。 + このように恵みを受けたのは、わたしが異邦人のためにキリスト・イエスに仕える者となり、神の福音のために祭司の役を勤め、こうして異邦人を、聖霊によってきよめられた、御旨にかなうささげ物とするためである。 + だから、わたしは神への奉仕については、キリスト・イエスにあって誇りうるのである。 + わたしは、異邦人を従順にするために、キリストがわたしを用いて、言葉とわざ、 + しるしと不思議との力、聖霊の力によって、働かせて下さったことの外には、あえて何も語ろうとは思わない。こうして、わたしはエルサレムから始まり、巡りめぐってイルリコに至るまで、キリストの福音を満たしてきた。 + その際、わたしの切に望んだところは、他人の土台の上に建てることをしないで、キリストの御名がまだ唱えられていない所に福音を宣べ伝えることであった。 + すなわち、「彼のことを宣べ伝えられていなかった人々が見、聞いていなかった人々が悟るであろう」と書いてあるとおりである。 + こういうわけで、わたしはあなたがたの所に行くことを、たびたび妨げられてきた。 + しかし今では、この地方にはもはや働く余地がなく、かつイスパニヤに赴く場合、あなたがたの所に行くことを、多年、熱望していたので、―― + その途中あなたがたに会い、まず幾分でもわたしの願いがあなたがたによって満たされたら、あなたがたに送られてそこへ行くことを、望んでいるのである。 + しかし今の場合、聖徒たちに仕えるために、わたしはエルサレムに行こうとしている。 + なぜなら、マケドニヤとアカヤとの人々は、エルサレムにおる聖徒の中の貧しい人々を援助することに賛成したからである。 + たしかに、彼らは賛成した。しかし同時に、彼らはかの人々に負債がある。というのは、もし異邦人が彼らの霊の物にあずかったとすれば、肉の物をもって彼らに仕えるのは、当然だからである。 + そこでわたしは、この仕事を済ませて彼らにこの実を手渡した後、あなたがたの所をとおって、イスパニヤに行こうと思う。 + そしてあなたがたの所に行く時には、キリストの満ちあふれる祝福をもって行くことと、信じている。 + 兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストにより、かつ御霊の愛によって、あなたがたにお願いする。どうか、共に力をつくして、わたしのために神に祈ってほしい。 + すなわち、わたしがユダヤにおる不信の徒から救われ、そしてエルサレムに対するわたしの奉仕が聖徒たちに受けいれられるものとなるように、 + また、神の御旨により、喜びをもってあなたがたの所に行き、共になぐさめ合うことができるように祈ってもらいたい。 + どうか、平和の神があなたがた一同と共にいますように、アァメン。 + + + ケンクレヤにある教会の執事、わたしたちの姉妹フィベを、あなたがたに紹介する。 + どうか、聖徒たるにふさわしく、主にあって彼女を迎え、そして、彼女があなたがたにしてもらいたいことがあれば、何事でも、助けてあげてほしい。彼女は多くの人の援助者であり、またわたし自身の援助者でもあった。 + キリスト・イエスにあるわたしの同労者プリスカとアクラとに、よろしく言ってほしい。 + 彼らは、わたしのいのちを救うために、自分の首をさえ差し出してくれたのである。彼らに対しては、わたしだけではなく、異邦人のすべての教会も、感謝している。 + また、彼らの家の教会にも、よろしく。わたしの愛するエパネトに、よろしく言ってほしい。彼は、キリストにささげられたアジヤの初穂である。 + あなたがたのために一方ならず労苦したマリヤに、よろしく言ってほしい。 + わたしの同族であって、わたしと一緒に投獄されたことのあるアンデロニコとユニアスとに、よろしく。彼らは使徒たちの間で評判がよく、かつ、わたしよりも先にキリストを信じた人々である。 + 主にあって愛するアムプリアトに、よろしく。 + キリストにあるわたしたちの同労者ウルバノと、愛するスタキスとに、よろしく。 + キリストにあって錬達なアペレに、よろしく。アリストブロの家の人たちに、よろしく。 + 同族のヘロデオンに、よろしく。ナルキソの家の、主にある人たちに、よろしく。 + 主にあって労苦しているツルパナとツルポサとに、よろしく。主にあって一方ならず労苦した愛するペルシスに、よろしく。 + 主にあって選ばれたルポスと、彼の母とに、よろしく。彼の母は、わたしの母でもある。 + アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマスおよび彼らと一緒にいる兄弟たちに、よろしく。 + ピロロゴとユリヤとに、またネレオとその姉妹とに、オルンパに、また彼らと一緒にいるすべての聖徒たちに、よろしく言ってほしい。 + きよい接吻をもって、互にあいさつをかわしなさい。キリストのすべての教会から、あなたがたによろしく。 + さて兄弟たちよ。あなたがたに勧告する。あなたがたが学んだ教にそむいて分裂を引き起し、つまずきを与える人々を警戒し、かつ彼らから遠ざかるがよい。 + なぜなら、こうした人々は、わたしたちの主キリストに仕えないで、自分の腹に仕え、そして甘言と美辞とをもって、純朴な人々の心を欺く者どもだからである。 + あなたがたの従順は、すべての人々の耳に達しており、それをあなたがたのために喜んでいる。しかし、わたしの願うところは、あなたがたが善にさとく、悪には、うとくあってほしいことである。 + 平和の神は、サタンをすみやかにあなたがたの足の下に踏み砕くであろう。どうか、わたしたちの主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。 + わたしの同労者テモテおよび同族のルキオ、ヤソン、ソシパテロから、あなたがたによろしく。 + (この手紙を筆記したわたしテルテオも、主にあってあなたがたにあいさつの言葉をおくる。) + わたしと全教会との家主ガイオから、あなたがたによろしく。市の会計係エラストと兄弟クワルトから、あなたがたによろしく。〔 + わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にあるように、アァメン。〕 + + 願わくは、わたしの福音とイエス・キリストの宣教とにより、かつ、長き世々にわたって、隠されていたが、今やあらわされ、預言の書をとおして、永遠の神の命令に従い、信仰の従順に至らせるために、もろもろの国人に告げ知らされた奥義の啓示によって、あなたがたを力づけることのできるかた、 + すなわち、唯一の知恵深き神に、イエス・キリストにより、栄光が永遠より永遠にあるように、アァメン。 + +
+
+ + 神の御旨により召されてキリスト・イエスの使徒となったパウロと、兄弟ソステネから、 + コリントにある神の教会、すなわち、わたしたちの主イエス・キリストの御名を至る所で呼び求めているすべての人々と共に、キリスト・イエスにあってきよめられ、聖徒として召されたかたがたへ。このキリストは、わたしたちの主であり、また彼らの主であられる。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしは、あなたがたがキリスト・イエスにあって与えられた神の恵みを思って、いつも神に感謝している。 + あなたがたはキリストにあって、すべてのことに、すなわち、すべての言葉にもすべての知識にも恵まれ、 + キリストのためのあかしが、あなたがたのうちに確かなものとされ、 + こうして、あなたがたは恵みの賜物にいささかも欠けることがなく、わたしたちの主イエス・キリストの現れるのを待ち望んでいる。 + 主もまた、あなたがたを最後まで堅くささえて、わたしたちの主イエス・キリストの日に、責められるところのない者にして下さるであろう。 + 神は真実なかたである。あなたがたは神によって召され、御子、わたしたちの主イエス・キリストとの交わりに、はいらせていただいたのである。 + さて兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの名によって、あなたがたに勧める。みな語ることを一つにし、お互の間に分争がないようにし、同じ心、同じ思いになって、堅く結び合っていてほしい。 + わたしの兄弟たちよ。実は、クロエの家の者たちから、あなたがたの間に争いがあると聞かされている。 + はっきり言うと、あなたがたがそれぞれ、「わたしはパウロにつく」「わたしはアポロに」「わたしはケパに」「わたしはキリストに」と言い合っていることである。 + キリストは、いくつにも分けられたのか。パウロは、あなたがたのために十字架につけられたことがあるのか。それとも、あなたがたは、パウロの名によってバプテスマを受けたのか。 + わたしは感謝しているが、クリスポとガイオ以外には、あなたがたのうちのだれにも、バプテスマを授けたことがない。 + それはあなたがたがわたしの名によってバプテスマを受けたのだと、だれにも言われることのないためである。 + もっとも、ステパナの家の者たちには、バプテスマを授けたことがある。しかし、そのほかには、だれにも授けた覚えがない。 + いったい、キリストがわたしをつかわされたのは、バプテスマを授けるためではなく、福音を宣べ伝えるためであり、しかも知恵の言葉を用いずに宣べ伝えるためであった。それは、キリストの十字架が無力なものになってしまわないためなのである。 + 十字架の言は、滅び行く者には愚かであるが、救にあずかるわたしたちには、神の力である。 + すなわち、聖書に、「わたしは知者の知恵を滅ぼし、賢い者の賢さをむなしいものにする」と書いてある。 + 知者はどこにいるか。学者はどこにいるか。この世の論者はどこにいるか。神はこの世の知恵を、愚かにされたではないか。 + この世は、自分の知恵によって神を認めるに至らなかった。それは、神の知恵にかなっている。そこで神は、宣教の愚かさによって、信じる者を救うこととされたのである。 + ユダヤ人はしるしを請い、ギリシヤ人は知恵を求める。 + しかしわたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝える。このキリストは、ユダヤ人にはつまずかせるもの、異邦人には愚かなものであるが、 + 召された者自身にとっては、ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神の力、神の知恵たるキリストなのである。 + 神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからである。 + 兄弟たちよ。あなたがたが召された時のことを考えてみるがよい。人間的には、知恵のある者が多くはなく、権力のある者も多くはなく、身分の高い者も多くはいない。 + それだのに神は、知者をはずかしめるために、この世の愚かな者を選び、強い者をはずかしめるために、この世の弱い者を選び、 + 有力な者を無力な者にするために、この世で身分の低い者や軽んじられている者、すなわち、無きに等しい者を、あえて選ばれたのである。 + それは、どんな人間でも、神のみまえに誇ることがないためである。 + あなたがたがキリスト・イエスにあるのは、神によるのである。キリストは神に立てられて、わたしたちの知恵となり、義と聖とあがないとになられたのである。 + それは、「誇る者は主を誇れ」と書いてあるとおりである。 + + + 兄弟たちよ。わたしもまた、あなたがたの所に行ったとき、神のあかしを宣べ伝えるのに、すぐれた言葉や知恵を用いなかった。 + なぜなら、わたしはイエス・キリスト、しかも十字架につけられたキリスト以外のことは、あなたがたの間では何も知るまいと、決心したからである。 + わたしがあなたがたの所に行った時には、弱くかつ恐れ、ひどく不安であった。 + そして、わたしの言葉もわたしの宣教も、巧みな知恵の言葉によらないで、霊と力との証明によったのである。 + それは、あなたがたの信仰が人の知恵によらないで、神の力によるものとなるためであった。 + しかしわたしたちは、円熟している者の間では、知恵を語る。この知恵は、この世の者の知恵ではなく、この世の滅び行く支配者たちの知恵でもない。 + むしろ、わたしたちが語るのは、隠された奥義としての神の知恵である。それは神が、わたしたちの受ける栄光のために、世の始まらぬ先から、あらかじめ定めておかれたものである。 + この世の支配者たちのうちで、この知恵を知っていた者は、ひとりもいなかった。もし知っていたなら、栄光の主を十字架につけはしなかったであろう。 + しかし、聖書に書いてあるとおり、「目がまだ見ず、耳がまだ聞かず、人の心に思い浮びもしなかったことを、神は、ご自分を愛する者たちのために備えられた」のである。 + そして、それを神は、御霊によってわたしたちに啓示して下さったのである。御霊はすべてのものをきわめ、神の深みまでもきわめるのだからである。 + いったい、人間の思いは、その内にある人間の霊以外に、だれが知っていようか。それと同じように神の思いも、神の御霊以外には、知るものはない。 + ところが、わたしたちが受けたのは、この世の霊ではなく、神からの霊である。それによって、神から賜わった恵みを悟るためである。 + この賜物について語るにも、わたしたちは人間の知恵が教える言葉を用いないで、御霊の教える言葉を用い、霊によって霊のことを解釈するのである。 + 生れながらの人は、神の御霊の賜物を受けいれない。それは彼には愚かなものだからである。また、御霊によって判断されるべきであるから、彼はそれを理解することができない。 + しかし、霊の人は、すべてのものを判断するが、自分自身はだれからも判断されることはない。 + 「だれが主の思いを知って、彼を教えることができようか」。しかし、わたしたちはキリストの思いを持っている。 + + + 兄弟たちよ。わたしはあなたがたには、霊の人に対するように話すことができず、むしろ、肉に属する者、すなわち、キリストにある幼な子に話すように話した。 + あなたがたに乳を飲ませて、堅い食物は与えなかった。食べる力が、まだあなたがたになかったからである。今になってもその力がない。 + あなたがたはまだ、肉の人だからである。あなたがたの間に、ねたみや争いがあるのは、あなたがたが肉の人であって、普通の人間のように歩いているためではないか。 + すなわち、ある人は「わたしはパウロに」と言い、ほかの人は「わたしはアポロに」と言っているようでは、あなたがたは普通の人間ではないか。 + アポロは、いったい、何者か。また、パウロは何者か。あなたがたを信仰に導いた人にすぎない。しかもそれぞれ、主から与えられた分に応じて仕えているのである。 + わたしは植え、アポロは水をそそいだ。しかし成長させて下さるのは、神である。 + だから、植える者も水をそそぐ者も、ともに取るに足りない。大事なのは、成長させて下さる神のみである。 + 植える者と水をそそぐ者とは一つであって、それぞれその働きに応じて報酬を得るであろう。 + わたしたちは神の同労者である。あなたがたは神の畑であり、神の建物である。 + 神から賜わった恵みによって、わたしは熟練した建築師のように、土台をすえた。そして他の人がその上に家を建てるのである。しかし、どういうふうに建てるか、それぞれ気をつけるがよい。 + なぜなら、すでにすえられている土台以外のものをすえることは、だれにもできない。そして、この土台はイエス・キリストである。 + この土台の上に、だれかが金、銀、宝石、木、草、または、わらを用いて建てるならば、 + それぞれの仕事は、はっきりとわかってくる。すなわち、かの日は火の中に現れて、それを明らかにし、またその火は、それぞれの仕事がどんなものであるかを、ためすであろう。 + もしある人の建てた仕事がそのまま残れば、その人は報酬を受けるが、 + その仕事が焼けてしまえば、損失を被るであろう。しかし彼自身は、火の中をくぐってきた者のようにではあるが、救われるであろう。 + あなたがたは神の宮であって、神の御霊が自分のうちに宿っていることを知らないのか。 + もし人が、神の宮を破壊するなら、神はその人を滅ぼすであろう。なぜなら、神の宮は聖なるものであり、そして、あなたがたはその宮なのだからである。 + だれも自分を欺いてはならない。もしあなたがたのうちに、自分がこの世の知者だと思う人がいるなら、その人は知者になるために愚かになるがよい。 + なぜなら、この世の知恵は、神の前では愚かなものだからである。「神は、知者たちをその悪知恵によって捕える」と書いてあり、 + 更にまた、「主は、知者たちの論議のむなしいことをご存じである」と書いてある。 + だから、だれも人間を誇ってはいけない。すべては、あなたがたのものなのである。 + パウロも、アポロも、ケパも、世界も、生も、死も、現在のものも、将来のものも、ことごとく、あなたがたのものである。 + そして、あなたがたはキリストのもの、キリストは神のものである。 + + + このようなわけだから、人はわたしたちを、キリストに仕える者、神の奥義を管理している者と見るがよい。 + この場合、管理者に要求されているのは、忠実であることである。 + わたしはあなたがたにさばかれたり、人間の裁判にかけられたりしても、なんら意に介しない。いや、わたしは自分をさばくこともしない。 + わたしは自ら省みて、なんらやましいことはないが、それで義とされているわけではない。わたしをさばくかたは、主である。 + だから、主がこられるまでは、何事についても、先走りをしてさばいてはいけない。主は暗い中に隠れていることを明るみに出し、心の中で企てられていることを、あらわにされるであろう。その時には、神からそれぞれほまれを受けるであろう。 + 兄弟たちよ。これらのことをわたし自身とアポロとに当てはめて言って聞かせたが、それはあなたがたが、わたしたちを例にとって、「しるされている定めを越えない」ことを学び、ひとりの人をあがめ、ほかの人を見さげて高ぶることのないためである。 + いったい、あなたを偉くしているのは、だれなのか。あなたの持っているもので、もらっていないものがあるか。もしもらっているなら、なぜもらっていないもののように誇るのか。 + あなたがたは、すでに満腹しているのだ。すでに富み栄えているのだ。わたしたちを差しおいて、王になっているのだ。ああ、王になっていてくれたらと思う。そうであったなら、わたしたちも、あなたがたと共に王になれたであろう。 + わたしはこう考える。神はわたしたち使徒を死刑囚のように、最後に出場する者として引き出し、こうしてわたしたちは、全世界に、天使にも人々にも見せ物にされたのだ。 + わたしたちはキリストのゆえに愚かな者となり、あなたがたはキリストにあって賢い者となっている。わたしたちは弱いが、あなたがたは強い。あなたがたは尊ばれ、わたしたちは卑しめられている。 + 今の今まで、わたしたちは飢え、かわき、裸にされ、打たれ、宿なしであり、 + 苦労して自分の手で働いている。はずかしめられては祝福し、迫害されては耐え忍び、 + ののしられては優しい言葉をかけている。わたしたちは今に至るまで、この世のちりのように、人間のくずのようにされている。 + わたしがこのようなことを書くのは、あなたがたをはずかしめるためではなく、むしろ、わたしの愛児としてさとすためである。 + たといあなたがたに、キリストにある養育掛が一万人あったとしても、父が多くあるのではない。キリスト・イエスにあって、福音によりあなたがたを生んだのは、わたしなのである。 + そこで、あなたがたに勧める。わたしにならう者となりなさい。 + このことのために、わたしは主にあって愛する忠実なわたしの子テモテを、あなたがたの所につかわした。彼は、キリスト・イエスにおけるわたしの生活のしかたを、わたしが至る所の教会で教えているとおりに、あなたがたに思い起させてくれるであろう。 + しかしある人々は、わたしがあなたがたの所に来ることはあるまいとみて、高ぶっているということである。 + しかし主のみこころであれば、わたしはすぐにでもあなたがたの所に行って、高ぶっている者たちの言葉ではなく、その力を見せてもらおう。 + 神の国は言葉ではなく、力である。 + あなたがたは、どちらを望むのか。わたしがむちをもって、あなたがたの所に行くことか、それとも、愛と柔和な心とをもって行くことであるか。 + + + 現に聞くところによると、あなたがたの間に不品行な者があり、しかもその不品行は、異邦人の間にもないほどのもので、ある人がその父の妻と一緒に住んでいるということである。 + それだのに、なお、あなたがたは高ぶっている。むしろ、そんな行いをしている者が、あなたがたの中から除かれねばならないことを思って、悲しむべきではないか。 + しかし、わたし自身としては、からだは離れていても、霊では一緒にいて、その場にいる者のように、そんな行いをした者を、すでにさばいてしまっている。 + すなわち、主イエスの名によって、あなたがたもわたしの霊も共に、わたしたちの主イエスの権威のもとに集まって、 + 彼の肉が滅ぼされても、その霊が主のさばきの日に救われるように、彼をサタンに引き渡してしまったのである。 + あなたがたが誇っているのは、よろしくない。あなたがたは、少しのパン種が粉のかたまり全体をふくらませることを、知らないのか。 + 新しい粉のかたまりになるために、古いパン種を取り除きなさい。あなたがたは、事実パン種のない者なのだから。わたしたちの過越の小羊であるキリストは、すでにほふられたのだ。 + ゆえに、わたしたちは、古いパン種や、また悪意と邪悪とのパン種を用いずに、パン種のはいっていない純粋で真実なパンをもって、祭をしようではないか。 + わたしは前の手紙で、不品行な者たちと交際してはいけないと書いたが、 + それは、この世の不品行な者、貪欲な者、略奪をする者、偶像礼拝をする者などと全然交際してはいけないと、言ったのではない。もしそうだとしたら、あなたがたはこの世から出て行かねばならないことになる。 + しかし、わたしが実際に書いたのは、兄弟と呼ばれる人で、不品行な者、貪欲な者、偶像礼拝をする者、人をそしる者、酒に酔う者、略奪をする者があれば、そんな人と交際をしてはいけない、食事を共にしてもいけない、ということであった。 + 外の人たちをさばくのは、わたしのすることであろうか。あなたがたのさばくべき者は、内の人たちではないか。外の人たちは、神がさばくのである。 + その悪人を、あなたがたの中から除いてしまいなさい。 + + + あなたがたの中のひとりが、仲間の者と何か争いを起した場合、それを聖徒に訴えないで、正しくない者に訴え出るようなことをするのか。 + それとも、聖徒は世をさばくものであることを、あなたがたは知らないのか。そして、世があなたがたによってさばかれるべきであるのに、きわめて小さい事件でもさばく力がないのか。 + あなたがたは知らないのか、わたしたちは御使をさえさばく者である。ましてこの世の事件などは、いうまでもないではないか。 + それだのに、この世の事件が起ると、教会で軽んじられている人たちを、裁判の席につかせるのか。 + わたしがこう言うのは、あなたがたをはずかしめるためである。いったい、あなたがたの中には、兄弟の間の争いを仲裁することができるほどの知者は、ひとりもいないのか。 + しかるに、兄弟が兄弟を訴え、しかもそれを不信者の前に持ち出すのか。 + そもそも、互に訴え合うこと自体が、すでにあなたがたの敗北なのだ。なぜ、むしろ不義を受けないのか。なぜ、むしろだまされていないのか。 + しかるに、あなたがたは不義を働き、だまし取り、しかも兄弟に対してそうしているのである。 + それとも、正しくない者が神の国をつぐことはないのを、知らないのか。まちがってはいけない。不品行な者、偶像を礼拝する者、姦淫をする者、男娼となる者、男色をする者、盗む者、 + 貪欲な者、酒に酔う者、そしる者、略奪する者は、いずれも神の国をつぐことはないのである。 + あなたがたの中には、以前はそんな人もいた。しかし、あなたがたは、主イエス・キリストの名によって、またわたしたちの神の霊によって、洗われ、きよめられ、義とされたのである。 + すべてのことは、わたしに許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは、わたしに許されている。しかし、わたしは何ものにも支配されることはない。 + 食物は腹のため、腹は食物のためである。しかし神は、それもこれも滅ぼすであろう。からだは不品行のためではなく、主のためであり、主はからだのためである。 + そして、神は主をよみがえらせたが、その力で、わたしたちをもよみがえらせて下さるであろう。 + あなたがたは自分のからだがキリストの肢体であることを、知らないのか。それだのに、キリストの肢体を取って遊女の肢体としてよいのか。断じていけない。 + それとも、遊女につく者はそれと一つのからだになることを、知らないのか。「ふたりの者は一体となるべきである」とあるからである。 + しかし主につく者は、主と一つの霊になるのである。 + 不品行を避けなさい。人の犯すすべての罪は、からだの外にある。しかし不品行をする者は、自分のからだに対して罪を犯すのである。 + あなたがたは知らないのか。自分のからだは、神から受けて自分の内に宿っている聖霊の宮であって、あなたがたは、もはや自分自身のものではないのである。 + あなたがたは、代価を払って買いとられたのだ。それだから、自分のからだをもって、神の栄光をあらわしなさい。 + + + さて、あなたがたが書いてよこした事について答えると、男子は婦人にふれないがよい。 + しかし、不品行に陥ることのないために、男子はそれぞれ自分の妻を持ち、婦人もそれぞれ自分の夫を持つがよい。 + 夫は妻にその分を果し、妻も同様に夫にその分を果すべきである。 + 妻は自分のからだを自由にすることはできない。それができるのは夫である。夫も同様に自分のからだを自由にすることはできない。それができるのは妻である。 + 互に拒んではいけない。ただし、合意の上で祈に専心するために、しばらく相別れ、それからまた一緒になることは、さしつかえない。そうでないと、自制力のないのに乗じて、サタンがあなたがたを誘惑するかも知れない。 + 以上のことは、譲歩のつもりで言うのであって、命令するのではない。 + わたしとしては、みんなの者がわたし自身のようになってほしい。しかし、ひとりびとり神からそれぞれの賜物をいただいていて、ある人はこうしており、他の人はそうしている。 + 次に、未婚者たちとやもめたちとに言うが、わたしのように、ひとりでおれば、それがいちばんよい。 + しかし、もし自制することができないなら、結婚するがよい。情の燃えるよりは、結婚する方が、よいからである。 + 更に、結婚している者たちに命じる。命じるのは、わたしではなく主であるが、妻は夫から別れてはいけない。 + (しかし、万一別れているなら、結婚しないでいるか、それとも夫と和解するかしなさい)。また夫も妻と離婚してはならない。 + そのほかの人々に言う。これを言うのは、主ではなく、わたしである。ある兄弟に不信者の妻があり、そして共にいることを喜んでいる場合には、離婚してはいけない。 + また、ある婦人の夫が不信者であり、そして共にいることを喜んでいる場合には、離婚してはいけない。 + なぜなら、不信者の夫は妻によってきよめられており、また、不信者の妻も夫によってきよめられているからである。もしそうでなければ、あなたがたの子は汚れていることになるが、実際はきよいではないか。 + しかし、もし不信者の方が離れて行くのなら、離れるままにしておくがよい。兄弟も姉妹も、こうした場合には、束縛されてはいない。神は、あなたがたを平和に暮させるために、召されたのである。 + なぜなら、妻よ、あなたが夫を救いうるかどうか、どうしてわかるか。また、夫よ、あなたも妻を救いうるかどうか、どうしてわかるか。 + ただ、各自は、主から賜わった分に応じ、また神に召されたままの状態にしたがって、歩むべきである。これが、すべての教会に対してわたしの命じるところである。 + 召されたとき割礼を受けていたら、その跡をなくそうとしないがよい。また、召されたとき割礼を受けていなかったら、割礼を受けようとしないがよい。 + 割礼があってもなくても、それは問題ではない。大事なのは、ただ神の戒めを守ることである。 + 各自は、召されたままの状態にとどまっているべきである。 + 召されたとき奴隷であっても、それを気にしないがよい。しかし、もし自由の身になりうるなら、むしろ自由になりなさい。 + 主にあって召された奴隷は、主によって自由人とされた者であり、また、召された自由人はキリストの奴隷なのである。 + あなたがたは、代価を払って買いとられたのだ。人の奴隷となってはいけない。 + 兄弟たちよ。各自は、その召されたままの状態で、神のみまえにいるべきである。 + おとめのことについては、わたしは主の命令を受けてはいないが、主のあわれみにより信任を受けている者として、意見を述べよう。 + わたしはこう考える。現在迫っている危機のゆえに、人は現状にとどまっているがよい。 + もし妻に結ばれているなら、解こうとするな。妻に結ばれていないなら、妻を迎えようとするな。 + しかし、たとい結婚しても、罪を犯すのではない。また、おとめが結婚しても、罪を犯すのではない。ただ、それらの人々はその身に苦難を受けるであろう。わたしは、あなたがたを、それからのがれさせたいのだ。 + 兄弟たちよ。わたしの言うことを聞いてほしい。時は縮まっている。今からは妻のある者はないもののように、 + 泣く者は泣かないもののように、喜ぶ者は喜ばないもののように、買う者は持たないもののように、 + 世と交渉のある者は、それに深入りしないようにすべきである。なぜなら、この世の有様は過ぎ去るからである。 + わたしはあなたがたが、思い煩わないようにしていてほしい。未婚の男子は主のことに心をくばって、どうかして主を喜ばせようとするが、 + 結婚している男子はこの世のことに心をくばって、どうかして妻を喜ばせようとして、その心が分れるのである。 + 未婚の婦人とおとめとは、主のことに心をくばって、身も魂もきよくなろうとするが、結婚した婦人はこの世のことに心をくばって、どうかして夫を喜ばせようとする。 + わたしがこう言うのは、あなたがたの利益になると思うからであって、あなたがたを束縛するためではない。そうではなく、正しい生活を送って、余念なく主に奉仕させたいからである。 + もしある人が、相手のおとめに対して、情熱をいだくようになった場合、それは適当でないと思いつつも、やむを得なければ、望みどおりにしてもよい。それは罪を犯すことではない。ふたりは結婚するがよい。 + しかし、彼が心の内で堅く決心していて、無理をしないで自分の思いを制することができ、その上で、相手のおとめをそのままにしておこうと、心の中で決めたなら、そうしてもよい。 + だから、相手のおとめと結婚することはさしつかえないが、結婚しない方がもっとよい。 + 妻は夫が生きている間は、その夫につながれている。夫が死ねば、望む人と結婚してもさしつかえないが、それは主にある者とに限る。 + しかし、わたしの意見では、そのままでいたなら、もっと幸福である。わたしも神の霊を受けていると思う。 + + + 偶像への供え物について答えると、「わたしたちはみな知識を持っている」ことは、わかっている。しかし、知識は人を誇らせ、愛は人の徳を高める。 + もし人が、自分は何か知っていると思うなら、その人は、知らなければならないほどの事すら、まだ知っていない。 + しかし、人が神を愛するなら、その人は神に知られているのである。 + さて、偶像への供え物を食べることについては、わたしたちは、偶像なるものは実際は世に存在しないこと、また、唯一の神のほかには神がないことを、知っている。 + というのは、たとい神々といわれるものが、あるいは天に、あるいは地にあるとしても、そして、多くの神、多くの主があるようではあるが、 + わたしたちには、父なる唯一の神のみがいますのである。万物はこの神から出て、わたしたちもこの神に帰する。また、唯一の主イエス・キリストのみがいますのである。万物はこの主により、わたしたちもこの主によっている。 + しかし、この知識をすべての人が持っているのではない。ある人々は、偶像についての、これまでの習慣上、偶像への供え物として、それを食べるが、彼らの良心が、弱いために汚されるのである。 + 食物は、わたしたちを神に導くものではない。食べなくても損はないし、食べても益にはならない。 + しかし、あなたがたのこの自由が、弱い者たちのつまずきにならないように、気をつけなさい。 + なぜなら、ある人が、知識のあるあなたが偶像の宮で食事をしているのを見た場合、その人の良心が弱いため、それに「教育されて」、偶像への供え物を食べるようにならないだろうか。 + するとその弱い人は、あなたの知識によって滅びることになる。この弱い兄弟のためにも、キリストは死なれたのである。 + このようにあなたがたが、兄弟たちに対して罪を犯し、その弱い良心を痛めるのは、キリストに対して罪を犯すことなのである。 + だから、もし食物がわたしの兄弟をつまずかせるなら、兄弟をつまずかせないために、わたしは永久に、断じて肉を食べることはしない。 + + + わたしは自由な者ではないか。使徒ではないか。わたしたちの主イエスを見たではないか。あなたがたは、主にあるわたしの働きの実ではないか。 + わたしは、ほかの人に対しては使徒でないとしても、あなたがたには使徒である。あなたがたが主にあることは、わたしの使徒職の印なのである。 + わたしの批判者たちに対する弁明は、これである。 + わたしたちには、飲み食いをする権利がないのか。 + わたしたちには、ほかの使徒たちや主の兄弟たちやケパのように、信者である妻を連れて歩く権利がないのか。 + それとも、わたしとバルナバとだけには、労働をせずにいる権利がないのか。 + いったい、自分で費用を出して軍隊に加わる者があろうか。ぶどう畑を作っていて、その実を食べない者があろうか。また、羊を飼っていて、その乳を飲まない者があろうか。 + わたしは、人間の考えでこう言うのではない。律法もまた、そのように言っているではないか。 + すなわち、モーセの律法に、「穀物をこなしている牛に、くつこをかけてはならない」と書いてある。神は、牛のことを心にかけておられるのだろうか。 + それとも、もっぱら、わたしたちのために言っておられるのか。もちろん、それはわたしたちのためにしるされたのである。すなわち、耕す者は望みをもって耕し、穀物をこなす者は、その分け前をもらう望みをもってこなすのである。 + もしわたしたちが、あなたがたのために霊のものをまいたのなら、肉のものをあなたがたから刈りとるのは、行き過ぎだろうか。 + もしほかの人々が、あなたがたに対するこの権利にあずかっているとすれば、わたしたちはなおさらのことではないか。しかしわたしたちは、この権利を利用せず、かえってキリストの福音の妨げにならないようにと、すべてのことを忍んでいる。 + あなたがたは、宮仕えをしている人たちは宮から下がる物を食べ、祭壇に奉仕している人たちは祭壇の供え物の分け前にあずかることを、知らないのか。 + それと同様に、主は、福音を宣べ伝えている者たちが福音によって生活すべきことを、定められたのである。 + しかしわたしは、これらの権利を一つも利用しなかった。また、自分がそうしてもらいたいから、このように書くのではない。そうされるよりは、死ぬ方がましである。わたしのこの誇は、何者にも奪い去られてはならないのだ。 + わたしが福音を宣べ伝えても、それは誇にはならない。なぜなら、わたしは、そうせずにはおれないからである。もし福音を宣べ伝えないなら、わたしはわざわいである。 + 進んでそれをすれば、報酬を受けるであろう。しかし、進んでしないとしても、それは、わたしにゆだねられた務なのである。 + それでは、その報酬はなんであるか。福音を宣べ伝えるのにそれを無代価で提供し、わたしが宣教者として持つ権利を利用しないことである。 + わたしは、すべての人に対して自由であるが、できるだけ多くの人を得るために、自ら進んですべての人の奴隷になった。 + ユダヤ人には、ユダヤ人のようになった。ユダヤ人を得るためである。律法の下にある人には、わたし自身は律法の下にはないが、律法の下にある者のようになった。律法の下にある人を得るためである。 + 律法のない人には――わたしは神の律法の外にあるのではなく、キリストの律法の中にあるのだが――律法のない人のようになった。律法のない人を得るためである。 + 弱い人には弱い者になった。弱い人を得るためである。すべての人に対しては、すべての人のようになった。なんとかして幾人かを救うためである。 + 福音のために、わたしはどんな事でもする。わたしも共に福音にあずかるためである。 + あなたがたは知らないのか。競技場で走る者は、みな走りはするが、賞を得る者はひとりだけである。あなたがたも、賞を得るように走りなさい。 + しかし、すべて競技をする者は、何ごとにも節制をする。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするが、わたしたちは朽ちない冠を得るためにそうするのである。 + そこで、わたしは目標のはっきりしないような走り方をせず、空を打つような拳闘はしない。 + すなわち、自分のからだを打ちたたいて服従させるのである。そうしないと、ほかの人に宣べ伝えておきながら、自分は失格者になるかも知れない。 + + + 兄弟たちよ。このことを知らずにいてもらいたくない。わたしたちの先祖はみな雲の下におり、みな海を通り、 + みな雲の中、海の中で、モーセにつくバプテスマを受けた。 + また、みな同じ霊の食物を食べ、 + みな同じ霊の飲み物を飲んだ。すなわち、彼らについてきた霊の岩から飲んだのであるが、この岩はキリストにほかならない。 + しかし、彼らの中の大多数は、神のみこころにかなわなかったので、荒野で滅ぼされてしまった。 + これらの出来事は、わたしたちに対する警告であって、彼らが悪をむさぼったように、わたしたちも悪をむさぼることのないためなのである。 + だから、彼らの中のある者たちのように、偶像礼拝者になってはならない。すなわち、「民は座して飲み食いをし、また立って踊り戯れた」と書いてある。 + また、ある者たちがしたように、わたしたちは不品行をしてはならない。不品行をしたため倒された者が、一日に二万三千人もあった。 + また、ある者たちがしたように、わたしたちは主を試みてはならない。主を試みた者は、へびに殺された。 + また、ある者たちがつぶやいたように、つぶやいてはならない。つぶやいた者は、「死の使」に滅ぼされた。 + これらの事が彼らに起ったのは、他に対する警告としてであって、それが書かれたのは、世の終りに臨んでいるわたしたちに対する訓戒のためである。 + だから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけるがよい。 + あなたがたの会った試錬で、世の常でないものはない。神は真実である。あなたがたを耐えられないような試錬に会わせることはないばかりか、試錬と同時に、それに耐えられるように、のがれる道も備えて下さるのである。 + それだから、愛する者たちよ。偶像礼拝を避けなさい。 + 賢明なあなたがたに訴える。わたしの言うことを、自ら判断してみるがよい。 + わたしたちが祝福する祝福の杯、それはキリストの血にあずかることではないか。わたしたちがさくパン、それはキリストのからだにあずかることではないか。 + パンが一つであるから、わたしたちは多くいても、一つのからだなのである。みんなの者が一つのパンを共にいただくからである。 + 肉によるイスラエルを見るがよい。供え物を食べる人たちは、祭壇にあずかるのではないか。 + すると、なんと言ったらよいか。偶像にささげる供え物は、何か意味があるのか。また、偶像は何かほんとうにあるものか。 + そうではない。人々が供える物は、悪霊ども、すなわち、神ならぬ者に供えるのである。わたしは、あなたがたが悪霊の仲間になることを望まない。 + 主の杯と悪霊どもの杯とを、同時に飲むことはできない。主の食卓と悪霊どもの食卓とに、同時にあずかることはできない。 + それとも、わたしたちは主のねたみを起そうとするのか。わたしたちは、主よりも強いのだろうか。 + すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが益になるわけではない。すべてのことは許されている。しかし、すべてのことが人の徳を高めるのではない。 + だれでも、自分の益を求めないで、ほかの人の益を求めるべきである。 + すべて市場で売られている物は、いちいち良心に問うことをしないで、食べるがよい。 + 地とそれに満ちている物とは、主のものだからである。 + もしあなたがたが、不信者のだれかに招かれて、そこに行こうと思う場合、自分の前に出される物はなんでも、いちいち良心に問うことをしないで、食べるがよい。 + しかし、だれかがあなたがたに、これはささげ物の肉だと言ったなら、それを知らせてくれた人のために、また良心のために、食べないがよい。 + 良心と言ったのは、自分の良心ではなく、他人の良心のことである。なぜなら、わたしの自由が、どうして他人の良心によって左右されることがあろうか。 + もしわたしが感謝して食べる場合、その感謝する物について、どうして人のそしりを受けるわけがあろうか。 + だから、飲むにも食べるにも、また何事をするにも、すべて神の栄光のためにすべきである。 + ユダヤ人にもギリシヤ人にも神の教会にも、つまずきになってはいけない。 + わたしもまた、何事にもすべての人に喜ばれるように努め、多くの人が救われるために、自分の益ではなく彼らの益を求めている。 + + + わたしがキリストにならう者であるように、あなたがたもわたしにならう者になりなさい。 + あなたがたが、何かにつけわたしを覚えていて、あなたがたに伝えたとおりに言伝えを守っているので、わたしは満足に思う。 + しかし、あなたがたに知っていてもらいたい。すべての男のかしらはキリストであり、女のかしらは男であり、キリストのかしらは神である。 + 祈をしたり預言をしたりする時、かしらに物をかぶる男は、そのかしらをはずかしめる者である。 + 祈をしたり預言をしたりする時、かしらにおおいをかけない女は、そのかしらをはずかしめる者である。それは、髪をそったのとまったく同じだからである。 + もし女がおおいをかけないなら、髪を切ってしまうがよい。髪を切ったりそったりするのが、女にとって恥ずべきことであるなら、おおいをかけるべきである。 + 男は、神のかたちであり栄光であるから、かしらに物をかぶるべきではない。女は、また男の光栄である。 + なぜなら、男が女から出たのではなく、女が男から出たのだからである。 + また、男は女のために造られたのではなく、女が男のために造られたのである。 + それだから、女は、かしらに権威のしるしをかぶるべきである。それは天使たちのためでもある。 + ただ、主にあっては、男なしには女はないし、女なしには男はない。 + それは、女が男から出たように、男もまた女から生れたからである。そして、すべてのものは神から出たのである。 + あなたがた自身で判断してみるがよい。女がおおいをかけずに神に祈るのは、ふさわしいことだろうか。 + 自然そのものが教えているではないか。男に長い髪があれば彼の恥になり、 + 女に長い髪があれば彼女の光栄になるのである。長い髪はおおいの代りに女に与えられているものだからである。 + しかし、だれかがそれに反対の意見を持っていても、そんな風習はわたしたちにはなく、神の諸教会にもない。 + ところで、次のことを命じるについては、あなたがたをほめるわけにはいかない。というのは、あなたがたの集まりが利益にならないで、かえって損失になっているからである。 + まず、あなたがたが教会に集まる時、お互の間に分争があることを、わたしは耳にしており、そしていくぶんか、それを信じている。 + たしかに、あなたがたの中でほんとうの者が明らかにされるためには、分派もなければなるまい。 + そこで、あなたがたが一緒に集まるとき、主の晩餐を守ることができないでいる。 + というのは、食事の際、各自が自分の晩餐をかってに先に食べるので、飢えている人があるかと思えば、酔っている人がある始末である。 + あなたがたには、飲み食いをする家がないのか。それとも、神の教会を軽んじ、貧しい人々をはずかしめるのか。わたしはあなたがたに対して、なんと言おうか。あなたがたを、ほめようか。この事では、ほめるわけにはいかない。 + わたしは、主から受けたことを、また、あなたがたに伝えたのである。すなわち、主イエスは、渡される夜、パンをとり、 + 感謝してこれをさき、そして言われた、「これはあなたがたのための、わたしのからだである。わたしを記念するため、このように行いなさい」。 + 食事ののち、杯をも同じようにして言われた、「この杯は、わたしの血による新しい契約である。飲むたびに、わたしの記念として、このように行いなさい」。 + だから、あなたがたは、このパンを食し、この杯を飲むごとに、それによって、主がこられる時に至るまで、主の死を告げ知らせるのである。 + だから、ふさわしくないままでパンを食し主の杯を飲む者は、主のからだと血とを犯すのである。 + だれでもまず自分を吟味し、それからパンを食べ杯を飲むべきである。 + 主のからだをわきまえないで飲み食いする者は、その飲み食いによって自分にさばきを招くからである。 + あなたがたの中に、弱い者や病人が大ぜいおり、また眠った者も少なくないのは、そのためである。 + しかし、自分をよくわきまえておくならば、わたしたちはさばかれることはないであろう。 + しかし、さばかれるとすれば、それは、この世と共に罪に定められないために、主の懲らしめを受けることなのである。 + それだから、兄弟たちよ。食事のために集まる時には、互に待ち合わせなさい。 + もし空腹であったら、さばきを受けに集まることにならないため、家で食べるがよい。そのほかの事は、わたしが行った時に、定めることにしよう。 + + + 兄弟たちよ。霊の賜物については、次のことを知らずにいてもらいたくない。 + あなたがたがまだ異邦人であった時、誘われるまま、物の言えない偶像のところに引かれて行ったことは、あなたがたの承知しているとおりである。 + そこで、あなたがたに言っておくが、神の霊によって語る者はだれも「イエスはのろわれよ」とは言わないし、また、聖霊によらなければ、だれも「イエスは主である」と言うことができない。 + 霊の賜物は種々あるが、御霊は同じである。 + 務は種々あるが、主は同じである。 + 働きは種々あるが、すべてのものの中に働いてすべてのことをなさる神は、同じである。 + 各自が御霊の現れを賜わっているのは、全体の益になるためである。 + すなわち、ある人には御霊によって知恵の言葉が与えられ、ほかの人には、同じ御霊によって知識の言、 + またほかの人には、同じ御霊によって信仰、またほかの人には、一つの御霊によっていやしの賜物、 + またほかの人には力あるわざ、またほかの人には預言、またほかの人には霊を見わける力、またほかの人には種々の異言、またほかの人には異言を解く力が、与えられている。 + すべてこれらのものは、一つの同じ御霊の働きであって、御霊は思いのままに、それらを各自に分け与えられるのである。 + からだが一つであっても肢体は多くあり、また、からだのすべての肢体が多くあっても、からだは一つであるように、キリストの場合も同様である。 + なぜなら、わたしたちは皆、ユダヤ人もギリシヤ人も、奴隷も自由人も、一つの御霊によって、一つのからだとなるようにバプテスマを受け、そして皆一つの御霊を飲んだからである。 + 実際、からだは一つの肢体だけではなく、多くのものからできている。 + もし足が、わたしは手ではないから、からだに属していないと言っても、それで、からだに属さないわけではない。 + また、もし耳が、わたしは目ではないから、からだに属していないと言っても、それで、からだに属さないわけではない。 + もしからだ全体が目だとすれば、どこで聞くのか。もし、からだ全体が耳だとすれば、どこでかぐのか。 + そこで神は御旨のままに、肢体をそれぞれ、からだに備えられたのである。 + もし、すべてのものが一つの肢体なら、どこにからだがあるのか。 + ところが実際、肢体は多くあるが、からだは一つなのである。 + 目は手にむかって、「おまえはいらない」とは言えず、また頭は足にむかって、「おまえはいらない」とも言えない。 + そうではなく、むしろ、からだのうちで他よりも弱く見える肢体が、かえって必要なのであり、 + からだのうちで、他よりも見劣りがすると思えるところに、ものを着せていっそう見よくする。麗しくない部分はいっそう麗しくするが、 + 麗しい部分はそうする必要がない。神は劣っている部分をいっそう見よくして、からだに調和をお与えになったのである。 + それは、からだの中に分裂がなく、それぞれの肢体が互にいたわり合うためなのである。 + もし一つの肢体が悩めば、ほかの肢体もみな共に悩み、一つの肢体が尊ばれると、ほかの肢体もみな共に喜ぶ。 + あなたがたはキリストのからだであり、ひとりびとりはその肢体である。 + そして、神は教会の中で、人々を立てて、第一に使徒、第二に預言者、第三に教師とし、次に力あるわざを行う者、次にいやしの賜物を持つ者、また補助者、管理者、種々の異言を語る者をおかれた。 + みんなが使徒だろうか。みんなが預言者だろうか。みんなが教師だろうか。みんなが力あるわざを行う者だろうか。 + みんながいやしの賜物を持っているのだろうか。みんなが異言を語るのだろうか。みんなが異言を解くのだろうか。 + だが、あなたがたは、更に大いなる賜物を得ようと熱心に努めなさい。そこで、わたしは最もすぐれた道をあなたがたに示そう。 + + + たといわたしが、人々の言葉や御使たちの言葉を語っても、もし愛がなければ、わたしは、やかましい鐘や騒がしい鐃鉢と同じである。 + たといまた、わたしに預言をする力があり、あらゆる奥義とあらゆる知識とに通じていても、また、山を移すほどの強い信仰があっても、もし愛がなければ、わたしは無に等しい。 + たといまた、わたしが自分の全財産を人に施しても、また、自分のからだを焼かれるために渡しても、もし愛がなければ、いっさいは無益である。 + 愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。愛は高ぶらない、誇らない、 + 不作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。 + 不義を喜ばないで真理を喜ぶ。 + そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。 + 愛はいつまでも絶えることがない。しかし、預言はすたれ、異言はやみ、知識はすたれるであろう。 + なぜなら、わたしたちの知るところは一部分であり、預言するところも一部分にすぎない。 + 全きものが来る時には、部分的なものはすたれる。 + わたしたちが幼な子であった時には、幼な子らしく語り、幼な子らしく感じ、また、幼な子らしく考えていた。しかし、おとなとなった今は、幼な子らしいことを捨ててしまった。 + わたしたちは、今は、鏡に映して見るようにおぼろげに見ている。しかしその時には、顔と顔とを合わせて、見るであろう。わたしの知るところは、今は一部分にすぎない。しかしその時には、わたしが完全に知られているように、完全に知るであろう。 + このように、いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。このうちで最も大いなるものは、愛である。 + + + 愛を追い求めなさい。また、霊の賜物を、ことに預言することを、熱心に求めなさい。 + 異言を語る者は、人にむかって語るのではなく、神にむかって語るのである。それはだれにもわからない。彼はただ、霊によって奥義を語っているだけである。 + しかし預言をする者は、人に語ってその徳を高め、彼を励まし、慰めるのである。 + 異言を語る者は自分だけの徳を高めるが、預言をする者は教会の徳を高める。 + わたしは実際、あなたがたがひとり残らず異言を語ることを望むが、特に預言をしてもらいたい。教会の徳を高めるように異言を解かない限り、異言を語る者よりも、預言をする者の方がまさっている。 + だから、兄弟たちよ。たといわたしがあなたがたの所に行って異言を語るとしても、啓示か知識か預言か教かを語らなければ、あなたがたに、なんの役に立つだろうか。 + また、笛や立琴のような楽器でも、もしその音に変化がなければ、何を吹いているのか、弾いているのか、どうして知ることができようか。 + また、もしラッパがはっきりした音を出さないなら、だれが戦闘の準備をするだろうか。 + それと同様に、もしあなたがたが異言ではっきりしない言葉を語れば、どうしてその語ることがわかるだろうか。それでは、空にむかって語っていることになる。 + 世には多種多様の言葉があるだろうが、意味のないものは一つもない。 + もしその言葉の意味がわからないなら、語っている人にとっては、わたしは異国人であり、語っている人も、わたしにとっては異国人である。 + だから、あなたがたも、霊の賜物を熱心に求めている以上は、教会の徳を高めるために、それを豊かにいただくように励むがよい。 + このようなわけであるから、異言を語る者は、自分でそれを解くことができるように祈りなさい。 + もしわたしが異言をもって祈るなら、わたしの霊は祈るが、知性は実を結ばないからである。 + すると、どうしたらよいのか。わたしは霊で祈ると共に、知性でも祈ろう。霊でさんびを歌うと共に、知性でも歌おう。 + そうでないと、もしあなたが霊で祝福の言葉を唱えても、初心者の席にいる者は、あなたの感謝に対して、どうしてアァメンと言えようか。あなたが何を言っているのか、彼には通じない。 + 感謝するのは結構だが、それで、ほかの人の徳を高めることにはならない。 + わたしは、あなたがたのうちのだれよりも多く異言が語れることを、神に感謝する。 + しかし教会では、一万の言葉を異言で語るよりも、ほかの人たちをも教えるために、むしろ五つの言葉を知性によって語る方が願わしい。 + 兄弟たちよ。物の考えかたでは、子供となってはいけない。悪事については幼な子となるのはよいが、考えかたでは、おとなとなりなさい。 + 律法にこう書いてある、「わたしは、異国の舌と異国のくちびるとで、この民に語るが、それでも、彼らはわたしに耳を傾けない、と主が仰せになる」。 + このように、異言は信者のためではなく未信者のためのしるしであるが、預言は未信者のためではなく信者のためのしるしである。 + もし全教会が一緒に集まって、全員が異言を語っているところに、初心者か不信者かがはいってきたら、彼らはあなたがたを気違いだと言うだろう。 + しかし、全員が預言をしているところに、不信者か初心者がはいってきたら、彼の良心はみんなの者に責められ、みんなの者にさばかれ、 + その心の秘密があばかれ、その結果、ひれ伏して神を拝み、「まことに、神があなたがたのうちにいます」と告白するに至るであろう。 + すると、兄弟たちよ。どうしたらよいのか。あなたがたが一緒に集まる時、各自はさんびを歌い、教をなし、啓示を告げ、異言を語り、それを解くのであるが、すべては徳を高めるためにすべきである。 + もし異言を語る者があれば、ふたりか、多くて三人の者が、順々に語り、そして、ひとりがそれを解くべきである。 + もし解く者がいない時には、教会では黙っていて、自分に対しまた神に対して語っているべきである。 + 預言をする者の場合にも、ふたりか三人かが語り、ほかの者はそれを吟味すべきである。 + しかし、席にいる他の者が啓示を受けた場合には、初めの者は黙るがよい。 + あなたがたは、みんなが学びみんなが勧めを受けるために、ひとりずつ残らず預言をすることができるのだから。 + かつ、預言者の霊は預言者に服従するものである。 + 神は無秩序の神ではなく、平和の神である。聖徒たちのすべての教会で行われているように、 + 婦人たちは教会では黙っていなければならない。彼らは語ることが許されていない。だから、律法も命じているように、服従すべきである。 + もし何か学びたいことがあれば、家で自分の夫に尋ねるがよい。教会で語るのは、婦人にとっては恥ずべきことである。 + それとも、神の言はあなたがたのところから出たのか。あるいは、あなたがただけにきたのか。 + もしある人が、自分は預言者か霊の人であると思っているなら、わたしがあなたがたに書いていることは、主の命令だと認めるべきである。 + もしそれを無視する者があれば、その人もまた無視される。 + わたしの兄弟たちよ。このようなわけだから、預言することを熱心に求めなさい。また、異言を語ることを妨げてはならない。 + しかし、すべてのことを適宜に、かつ秩序を正して行うがよい。 + + + 兄弟たちよ。わたしが以前あなたがたに伝えた福音、あなたがたが受けいれ、それによって立ってきたあの福音を、思い起してもらいたい。 + もしあなたがたが、いたずらに信じないで、わたしの宣べ伝えたとおりの言葉を固く守っておれば、この福音によって救われるのである。 + わたしが最も大事なこととしてあなたがたに伝えたのは、わたし自身も受けたことであった。すなわちキリストが、聖書に書いてあるとおり、わたしたちの罪のために死んだこと、 + そして葬られたこと、聖書に書いてあるとおり、三日目によみがえったこと、 + ケパに現れ、次に、十二人に現れたことである。 + そののち、五百人以上の兄弟たちに、同時に現れた。その中にはすでに眠った者たちもいるが、大多数はいまなお生存している。 + そののち、ヤコブに現れ、次に、すべての使徒たちに現れ、 + そして最後に、いわば、月足らずに生れたようなわたしにも、現れたのである。 + 実際わたしは、神の教会を迫害したのであるから、使徒たちの中でいちばん小さい者であって、使徒と呼ばれる値うちのない者である。 + しかし、神の恵みによって、わたしは今日あるを得ているのである。そして、わたしに賜わった神の恵みはむだにならず、むしろ、わたしは彼らの中のだれよりも多く働いてきた。しかしそれは、わたし自身ではなく、わたしと共にあった神の恵みである。 + とにかく、わたしにせよ彼らにせよ、そのように、わたしたちは宣べ伝えており、そのように、あなたがたは信じたのである。 + さて、キリストは死人の中からよみがえったのだと宣べ伝えられているのに、あなたがたの中のある者が、死人の復活などはないと言っているのは、どうしたことか。 + もし死人の復活がないならば、キリストもよみがえらなかったであろう。 + もしキリストがよみがえらなかったとしたら、わたしたちの宣教はむなしく、あなたがたの信仰もまたむなしい。 + すると、わたしたちは神にそむく偽証人にさえなるわけだ。なぜなら、万一死人がよみがえらないとしたら、わたしたちは神が実際よみがえらせなかったはずのキリストを、よみがえらせたと言って、神に反するあかしを立てたことになるからである。 + もし死人がよみがえらないなら、キリストもよみがえらなかったであろう。 + もしキリストがよみがえらなかったとすれば、あなたがたの信仰は空虚なものとなり、あなたがたは、いまなお罪の中にいることになろう。 + そうだとすると、キリストにあって眠った者たちは、滅んでしまったのである。 + もしわたしたちが、この世の生活でキリストにあって単なる望みをいだいているだけだとすれば、わたしたちは、すべての人の中で最もあわれむべき存在となる。 + しかし事実、キリストは眠っている者の初穂として、死人の中からよみがえったのである。 + それは、死がひとりの人によってきたのだから、死人の復活もまた、ひとりの人によってこなければならない。 + アダムにあってすべての人が死んでいるのと同じように、キリストにあってすべての人が生かされるのである。 + ただ、各自はそれぞれの順序に従わねばならない。最初はキリスト、次に、主の来臨に際してキリストに属する者たち、 + それから終末となって、その時に、キリストはすべての君たち、すべての権威と権力とを打ち滅ぼして、国を父なる神に渡されるのである。 + なぜなら、キリストはあらゆる敵をその足もとに置く時までは、支配を続けることになっているからである。 + 最後の敵として滅ぼされるのが、死である。 + 「神は万物を彼の足もとに従わせた」からである。ところが、万物を従わせたと言われる時、万物を従わせたかたがそれに含まれていないことは、明らかである。 + そして、万物が神に従う時には、御子自身もまた、万物を従わせたそのかたに従うであろう。それは、神がすべての者にあって、すべてとなられるためである。 + そうでないとすれば、死者のためにバプテスマを受ける人々は、なぜそれをするのだろうか。もし死者が全くよみがえらないとすれば、なぜ人々が死者のためにバプテスマを受けるのか。 + また、なんのために、わたしたちはいつも危険を冒しているのか。 + 兄弟たちよ。わたしたちの主キリスト・イエスにあって、わたしがあなたがたにつき持っている誇にかけて言うが、わたしは日々死んでいるのである。 + もし、わたしが人間の考えによってエペソで獣と戦ったとすれば、それはなんの役に立つのか。もし死人がよみがえらないのなら、「わたしたちは飲み食いしようではないか。あすもわからぬいのちなのだ」。 + まちがってはいけない。「悪い交わりは、良いならわしをそこなう」。 + 目ざめて身を正し、罪を犯さないようにしなさい。あなたがたのうちには、神について無知な人々がいる。あなたがたをはずかしめるために、わたしはこう言うのだ。 + しかし、ある人は言うだろう。「どんなふうにして、死人がよみがえるのか。どんなからだをして来るのか」。 + おろかな人である。あなたのまくものは、死ななければ、生かされないではないか。 + また、あなたのまくのは、やがて成るべきからだをまくのではない。麦であっても、ほかの種であっても、ただの種粒にすぎない。 + ところが、神はみこころのままに、これにからだを与え、その一つ一つの種にそれぞれのからだをお与えになる。 + すべての肉が、同じ肉なのではない。人の肉があり、獣の肉があり、鳥の肉があり、魚の肉がある。 + 天に属するからだもあれば、地に属するからだもある。天に属するものの栄光は、地に属するものの栄光と違っている。 + 日の栄光があり、月の栄光があり、星の栄光がある。また、この星とあの星との間に、栄光の差がある。 + 死人の復活も、また同様である。朽ちるものでまかれ、朽ちないものによみがえり、 + 卑しいものでまかれ、栄光あるものによみがえり、弱いものでまかれ、強いものによみがえり、 + 肉のからだでまかれ、霊のからだによみがえるのである。肉のからだがあるのだから、霊のからだもあるわけである。 + 聖書に「最初の人アダムは生きたものとなった」と書いてあるとおりである。しかし最後のアダムは命を与える霊となった。 + 最初にあったのは、霊のものではなく肉のものであって、その後に霊のものが来るのである。 + 第一の人は地から出て土に属し、第二の人は天から来る。 + この土に属する人に、土に属している人々は等しく、この天に属する人に、天に属している人々は等しいのである。 + すなわち、わたしたちは、土に属している形をとっているのと同様に、また天に属している形をとるであろう。 + 兄弟たちよ。わたしはこの事を言っておく。肉と血とは神の国を継ぐことができないし、朽ちるものは朽ちないものを継ぐことがない。 + ここで、あなたがたに奥義を告げよう。わたしたちすべては、眠り続けるのではない。終りのラッパの響きと共に、またたく間に、一瞬にして変えられる。 + というのは、ラッパが響いて、死人は朽ちない者によみがえらされ、わたしたちは変えられるのである。 + なぜなら、この朽ちるものは必ず朽ちないものを着、この死ぬものは必ず死なないものを着ることになるからである。 + この朽ちるものが朽ちないものを着、この死ぬものが死なないものを着るとき、聖書に書いてある言葉が成就するのである。 + 「死は勝利にのまれてしまった。死よ、おまえの勝利は、どこにあるのか。死よ、おまえのとげは、どこにあるのか」。 + 死のとげは罪である。罪の力は律法である。 + しかし感謝すべきことには、神はわたしたちの主イエス・キリストによって、わたしたちに勝利を賜わったのである。 + だから、愛する兄弟たちよ。堅く立って動かされず、いつも全力を注いで主のわざに励みなさい。主にあっては、あなたがたの労苦がむだになることはないと、あなたがたは知っているからである。 + + + 聖徒たちへの献金については、わたしはガラテヤの諸教会に命じておいたが、あなたがたもそのとおりにしなさい。 + 一週の初めの日ごとに、あなたがたはそれぞれ、いくらでも収入に応じて手もとにたくわえておき、わたしが着いた時になって初めて集めることのないようにしなさい。 + わたしが到着したら、あなたがたが選んだ人々に手紙をつけ、あなたがたの贈り物を持たせて、エルサレムに送り出すことにしよう。 + もしわたしも行く方がよければ、一緒に行くことになろう。 + わたしは、マケドニヤを通過してから、あなたがたのところに行くことになろう。マケドニヤは通過するだけだが、 + あなたがたの所では、たぶん滞在するようになり、あるいは冬を過ごすかも知れない。そうなれば、わたしがどこへゆくにしても、あなたがたに送ってもらえるだろう。 + わたしは今、あなたがたに旅のついでに会うことは好まない。もし主のお許しがあれば、しばらくあなたがたの所に滞在したいと望んでいる。 + しかし五旬節までは、エペソに滞在するつもりだ。というのは、有力な働きの門がわたしのために大きく開かれているし、 + また敵対する者も多いからである。 + もしテモテが着いたら、あなたがたの所で不安なしに過ごせるようにしてあげてほしい。彼はわたしと同様に、主のご用にあたっているのだから。 + だれも彼を軽んじてはいけない。そして、わたしの所に来るように、どうか彼を安らかに送り出してほしい。わたしは彼が兄弟たちと一緒に来るのを待っている。 + 兄弟アポロについては、兄弟たちと一緒にあなたがたの所に行くように、たびたび勧めてみた。しかし彼には、今行く意志は、全くない。適当な機会があれば、行くだろう。 + 目をさましていなさい。信仰に立ちなさい。男らしく、強くあってほしい。 + いっさいのことを、愛をもって行いなさい。 + 兄弟たちよ。あなたがたに勧める。あなたがたが知っているように、ステパナの家はアカヤの初穂であって、彼らは身をもって聖徒に奉仕してくれた。 + どうか、このような人々と、またすべて彼らと共に働き共に労する人々とに、従ってほしい。 + わたしは、ステパナとポルトナトとアカイコとがきてくれたのを喜んでいる。彼らはあなたがたの足りない所を満たし、 + わたしの心とあなたがたの心とを、安らかにしてくれた。こうした人々は、重んじなければならない。 + アジヤの諸教会から、あなたがたによろしく。アクラとプリスカとその家の教会から、主にあって心からよろしく。 + すべての兄弟たちから、よろしく。あなたがたも互に、きよい接吻をもってあいさつをかわしなさい。 + ここでパウロが、手ずからあいさつをしるす。 + もし主を愛さない者があれば、のろわれよ。マラナ・タ(われらの主よ、きたりませ)。 + 主イエスの恵みが、あなたがたと共にあるように。 + わたしの愛が、キリスト・イエスにあって、あなたがた一同と共にあるように。 + +
+
+ + 神の御旨によりキリスト・イエスの使徒となったパウロと、兄弟テモテとから、コリントにある神の教会、ならびにアカヤ全土にいるすべての聖徒たちへ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神、あわれみ深き父、慰めに満ちたる神。 + 神は、いかなる患難の中にいる時でもわたしたちを慰めて下さり、また、わたしたち自身も、神に慰めていただくその慰めをもって、あらゆる患難の中にある人々を慰めることができるようにして下さるのである。 + それは、キリストの苦難がわたしたちに満ちあふれているように、わたしたちの受ける慰めもまた、キリストによって満ちあふれているからである。 + わたしたちが患難に会うなら、それはあなたがたの慰めと救とのためであり、慰めを受けるなら、それはあなたがたの慰めのためであって、その慰めは、わたしたちが受けているのと同じ苦難に耐えさせる力となるのである。 + だから、あなたがたに対していだいているわたしたちの望みは、動くことがない。あなたがたが、わたしたちと共に苦難にあずかっているように、慰めにも共にあずかっていることを知っているからである。 + 兄弟たちよ。わたしたちがアジヤで会った患難を、知らずにいてもらいたくない。わたしたちは極度に、耐えられないほど圧迫されて、生きる望みをさえ失ってしまい、 + 心のうちで死を覚悟し、自分自身を頼みとしないで、死人をよみがえらせて下さる神を頼みとするに至った。 + 神はこのような死の危険から、わたしたちを救い出して下さった、また救い出して下さるであろう。わたしたちは、神が今後も救い出して下さることを望んでいる。 + そして、あなたがたもまた祈をもって、ともどもに、わたしたちを助けてくれるであろう。これは多くの人々の願いによりわたしたちに賜わった恵みについて、多くの人が感謝をささげるようになるためである。 + さて、わたしたちがこの世で、ことにあなたがたに対し、人間の知恵によってではなく神の恵みによって、神の神聖と真実とによって行動してきたことは、実にわたしたちの誇であって、良心のあかしするところである。 + わたしたちが書いていることは、あなたがたが読んで理解できないことではない。それを完全に理解してくれるように、わたしは希望する。 + すでにある程度わたしたちを理解してくれているとおり、わたしたちの主イエスの日には、あなたがたがわたしたちの誇であるように、わたしたちもあなたがたの誇なのである。 + この確信をもって、わたしたちはもう一度恵みを得させたいので、まずあなたがたの所に行き、 + それからそちらを通ってマケドニヤにおもむき、そして再びマケドニヤからあなたがたの所に帰り、あなたがたの見送りを受けてユダヤに行く計画を立てたのである。 + この計画を立てたのは、軽率なことであったであろうか。それとも、自分の計画を肉の思いによって計画したため、わたしの「しかり、しかり」が同時に「否、否」であったのだろうか。 + 神の真実にかけて言うが、あなたがたに対するわたしの言葉は、「しかり」と同時に「否」というようなものではない。 + なぜなら、わたしたち、すなわち、わたしとシルワノとテモテとが、あなたがたに宣べ伝えた神の子キリスト・イエスは、「しかり」となると同時に「否」となったのではない。そうではなく、「しかり」がイエスにおいて実現されたのである。 + なぜなら、神の約束はことごとく、彼において「しかり」となったからである。だから、わたしたちは、彼によって「アァメン」と唱えて、神に栄光を帰するのである。 + あなたがたと共にわたしたちを、キリストのうちに堅くささえ、油をそそいで下さったのは、神である。 + 神はまた、わたしたちに証印をおし、その保証として、わたしたちの心に御霊を賜わったのである。 + わたしは自分の魂をかけ、神を証人に呼び求めて言うが、わたしがコリントに行かないでいるのは、あなたがたに対して寛大でありたいためである。 + わたしたちは、あなたがたの信仰を支配する者ではなく、あなたがたの喜びのために共に働いている者にすぎない。あなたがたは、信仰に堅く立っているからである。 + + + そこでわたしは、あなたがたの所に再び悲しみをもって行くことはすまいと、決心したのである。 + もしあなたがたを悲しませるとすれば、わたしが悲しませているその人以外に、だれがわたしを喜ばせてくれるのか。 + このような事を書いたのは、わたしが行く時、わたしを喜ばせてくれるはずの人々から、悲しい思いをさせられたくないためである。わたし自身の喜びはあなたがた全体の喜びであることを、あなたがたすべてについて確信しているからである。 + わたしは大きな患難と心の憂いの中から、多くの涙をもってあなたがたに書きおくった。それは、あなたがたを悲しませるためではなく、あなたがたに対してあふれるばかりにいだいているわたしの愛を、知ってもらうためであった。 + しかし、もしだれかが人を悲しませたとすれば、それはわたしを悲しませたのではなく、控え目に言うが、ある程度、あなたがた一同を悲しませたのである。 + その人にとっては、多数の者から受けたあの処罰でもう十分なのだから、 + あなたがたはむしろ彼をゆるし、また慰めてやるべきである。そうしないと、その人はますます深い悲しみに沈むかも知れない。 + そこでわたしは、彼に対して愛を示すように、あなたがたに勧める。 + わたしが書きおくったのも、あなたがたがすべての事について従順であるかどうかを、ためすためにほかならなかった。 + もしあなたがたが、何かのことについて人をゆるすなら、わたしもまたゆるそう。そして、もしわたしが何かのことでゆるしたとすれば、それは、あなたがたのためにキリストのみまえでゆるしたのである。 + そうするのは、サタンに欺かれることのないためである。わたしたちは、彼の策略を知らないわけではない。 + さて、キリストの福音のためにトロアスに行ったとき、わたしのために主の門が開かれたにもかかわらず、 + 兄弟テトスに会えなかったので、わたしは気が気でなく、人々に別れて、マケドニヤに出かけて行った。 + しかるに、神は感謝すべきかな。神はいつもわたしたちをキリストの凱旋に伴い行き、わたしたちをとおしてキリストを知る知識のかおりを、至る所に放って下さるのである。 + わたしたちは、救われる者にとっても滅びる者にとっても、神に対するキリストのかおりである。 + 後者にとっては、死から死に至らせるかおりであり、前者にとっては、いのちからいのちに至らせるかおりである。いったい、このような任務に、だれが耐え得ようか。 + しかし、わたしたちは、多くの人のように神の言を売物にせず、真心をこめて、神につかわされた者として神のみまえで、キリストにあって語るのである。 + + + わたしたちは、またもや、自己推薦をし始めているのだろうか。それとも、ある人々のように、あなたがたにあてた、あるいは、あなたがたからの推薦状が必要なのだろうか。 + わたしたちの推薦状は、あなたがたなのである。それは、わたしたちの心にしるされていて、すべての人に知られ、かつ読まれている。 + そして、あなたがたは自分自身が、わたしたちから送られたキリストの手紙であって、墨によらず生ける神の霊によって書かれ、石の板にではなく人の心の板に書かれたものであることを、はっきりとあらわしている。 + こうした確信を、わたしたちはキリストにより神に対していだいている。 + もちろん、自分自身で事を定める力が自分にある、と言うのではない。わたしたちのこうした力は、神からきている。 + 神はわたしたちに力を与えて、新しい契約に仕える者とされたのである。それは、文字に仕える者ではなく、霊に仕える者である。文字は人を殺し、霊は人を生かす。 + もし石に彫りつけた文字による死の務が栄光のうちに行われ、そのためイスラエルの子らは、モーセの顔の消え去るべき栄光のゆえに、その顔を見つめることができなかったとすれば、 + まして霊の務は、はるかに栄光あるものではなかろうか。 + もし罪を宣告する務が栄光あるものだとすれば、義を宣告する務は、はるかに栄光に満ちたものである。 + そして、すでに栄光を受けたものも、この場合、はるかにまさった栄光のまえに、その栄光を失ったのである。 + もし消え去るべきものが栄光をもって現れたのなら、まして永存すべきものは、もっと栄光のあるべきものである。 + こうした望みをいだいているので、わたしたちは思いきって大胆に語り、 + そしてモーセが、消え去っていくものの最後をイスラエルの子らに見られまいとして、顔におおいをかけたようなことはしない。 + 実際、彼らの思いは鈍くなっていた。今日に至るまで、彼らが古い契約を朗読する場合、その同じおおいが取り去られないままで残っている。それは、キリストにあってはじめて取り除かれるのである。 + 今日に至るもなお、モーセの書が朗読されるたびに、おおいが彼らの心にかかっている。 + しかし主に向く時には、そのおおいは取り除かれる。 + 主は霊である。そして、主の霊のあるところには、自由がある。 + わたしたちはみな、顔おおいなしに、主の栄光を鏡に映すように見つつ、栄光から栄光へと、主と同じ姿に変えられていく。これは霊なる主の働きによるのである。 + + + このようにわたしたちは、あわれみを受けてこの務についているのだから、落胆せずに、 + 恥ずべき隠れたことを捨て去り、悪巧みによって歩かず、神の言を曲げず、真理を明らかにし、神のみまえに、すべての人の良心に自分を推薦するのである。 + もしわたしたちの福音がおおわれているなら、滅びる者どもにとっておおわれているのである。 + 彼らの場合、この世の神が不信の者たちの思いをくらませて、神のかたちであるキリストの栄光の福音の輝きを、見えなくしているのである。 + しかし、わたしたちは自分自身を宣べ伝えるのではなく、主なるキリスト・イエスを宣べ伝える。わたしたち自身は、ただイエスのために働くあなたがたの僕にすぎない。 + 「やみの中から光が照りいでよ」と仰せになった神は、キリストの顔に輝く神の栄光の知識を明らかにするために、わたしたちの心を照して下さったのである。 + しかしわたしたちは、この宝を土の器の中に持っている。その測り知れない力は神のものであって、わたしたちから出たものでないことが、あらわれるためである。 + わたしたちは、四方から患難を受けても窮しない。途方にくれても行き詰まらない。 + 迫害に会っても見捨てられない。倒されても滅びない。 + いつもイエスの死をこの身に負うている。それはまた、イエスのいのちが、この身に現れるためである。 + わたしたち生きている者は、イエスのために絶えず死に渡されているのである。それはイエスのいのちが、わたしたちの死ぬべき肉体に現れるためである。 + こうして、死はわたしたちのうちに働き、いのちはあなたがたのうちに働くのである。 + 「わたしは信じた。それゆえに語った」としるしてあるとおり、それと同じ信仰の霊を持っているので、わたしたちも信じている。それゆえに語るのである。 + それは、主イエスをよみがえらせたかたが、わたしたちをもイエスと共によみがえらせ、そして、あなたがたと共にみまえに立たせて下さることを、知っているからである。 + すべてのことは、あなたがたの益であって、恵みがますます多くの人に増し加わるにつれ、感謝が満ちあふれて、神の栄光となるのである。 + だから、わたしたちは落胆しない。たといわたしたちの外なる人は滅びても、内なる人は日ごとに新しくされていく。 + なぜなら、このしばらくの軽い患難は働いて、永遠の重い栄光を、あふれるばかりにわたしたちに得させるからである。 + わたしたちは、見えるものにではなく、見えないものに目を注ぐ。見えるものは一時的であり、見えないものは永遠につづくのである。 + + + わたしたちの住んでいる地上の幕屋がこわれると、神からいただく建物、すなわち天にある、人の手によらない永遠の家が備えてあることを、わたしたちは知っている。 + そして、天から賜わるそのすみかを、上に着ようと切に望みながら、この幕屋の中で苦しみもだえている。 + それを着たなら、裸のままではいないことになろう。 + この幕屋の中にいるわたしたちは、重荷を負って苦しみもだえている。それを脱ごうと願うからではなく、その上に着ようと願うからであり、それによって、死ぬべきものがいのちにのまれてしまうためである。 + わたしたちを、この事にかなう者にして下さったのは、神である。そして、神はその保証として御霊をわたしたちに賜わったのである。 + だから、わたしたちはいつも心強い。そして、肉体を宿としている間は主から離れていることを、よく知っている。 + わたしたちは、見えるものによらないで、信仰によって歩いているのである。 + それで、わたしたちは心強い。そして、むしろ肉体から離れて主と共に住むことが、願わしいと思っている。 + そういうわけだから、肉体を宿としているにしても、それから離れているにしても、ただ主に喜ばれる者となるのが、心からの願いである。 + なぜなら、わたしたちは皆、キリストのさばきの座の前にあらわれ、善であれ悪であれ、自分の行ったことに応じて、それぞれ報いを受けねばならないからである。 + このようにわたしたちは、主の恐るべきことを知っているので、人々に説き勧める。わたしたちのことは、神のみまえには明らかになっている。さらに、あなたがたの良心にも明らかになるようにと望む。 + わたしたちは、あなたがたに対して、またもや自己推薦をしようとするのではない。ただわたしたちを誇る機会を、あなたがたに持たせ、心を誇るのではなくうわべだけを誇る人々に答えうるようにさせたいのである。 + もしわたしたちが、気が狂っているのなら、それは神のためであり、気が確かであるのなら、それはあなたがたのためである。 + なぜなら、キリストの愛がわたしたちに強く迫っているからである。わたしたちはこう考えている。ひとりの人がすべての人のために死んだ以上、すべての人が死んだのである。 + そして、彼がすべての人のために死んだのは、生きている者がもはや自分のためにではなく、自分のために死んでよみがえったかたのために、生きるためである。 + それだから、わたしたちは今後、だれをも肉によって知ることはすまい。かつてはキリストを肉によって知っていたとしても、今はもうそのような知り方をすまい。 + だれでもキリストにあるならば、その人は新しく造られた者である。古いものは過ぎ去った、見よ、すべてが新しくなったのである。 + しかし、すべてこれらの事は、神から出ている。神はキリストによって、わたしたちをご自分に和解させ、かつ和解の務をわたしたちに授けて下さった。 + すなわち、神はキリストにおいて世をご自分に和解させ、その罪過の責任をこれに負わせることをしないで、わたしたちに和解の福音をゆだねられたのである。 + 神がわたしたちをとおして勧めをなさるのであるから、わたしたちはキリストの使者なのである。そこで、キリストに代って願う、神の和解を受けなさい。 + 神はわたしたちの罪のために、罪を知らないかたを罪とされた。それは、わたしたちが、彼にあって神の義となるためなのである。 + + + わたしたちはまた、神と共に働く者として、あなたがたに勧める。神の恵みをいたずらに受けてはならない。 + 神はこう言われる、「わたしは、恵みの時にあなたの願いを聞きいれ、救の日にあなたを助けた」。見よ、今は恵みの時、見よ、今は救の日である。 + この務がそしりを招かないために、わたしたちはどんな事にも、人につまずきを与えないようにし、 + かえって、あらゆる場合に、神の僕として、自分を人々にあらわしている。すなわち、極度の忍苦にも、患難にも、危機にも、行き詰まりにも、 + むち打たれることにも、入獄にも、騒乱にも、労苦にも、徹夜にも、飢餓にも、 + 真実と知識と寛容と、慈愛と聖霊と偽りのない愛と、 + 真理の言葉と神の力とにより、左右に持っている義の武器により、 + ほめられても、そしられても、悪評を受けても、好評を博しても、神の僕として自分をあらわしている。わたしたちは、人を惑わしているようであるが、しかも真実であり、 + 人に知られていないようであるが、認められ、死にかかっているようであるが、見よ、生きており、懲らしめられているようであるが、殺されず、 + 悲しんでいるようであるが、常に喜んでおり、貧しいようであるが、多くの人を富ませ、何も持たないようであるが、すべての物を持っている。 + コリントの人々よ。あなたがたに向かってわたしたちの口は開かれており、わたしたちの心は広くなっている。 + あなたがたは、わたしたちに心をせばめられていたのではなく、自分で心をせばめていたのだ。 + わたしは子供たちに対するように言うが、どうかあなたがたの方でも心を広くして、わたしに応じてほしい。 + 不信者と、つり合わないくびきを共にするな。義と不義となんの係わりがあるか。光とやみとなんの交わりがあるか。 + キリストとベリアルとなんの調和があるか。信仰と不信仰となんの関係があるか。 + 神の宮と偶像となんの一致があるか。わたしたちは、生ける神の宮である。神がこう仰せになっている、「わたしは彼らの間に住み、かつ出入りをするであろう。そして、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となるであろう」。 + だから、「彼らの間から出て行き、彼らと分離せよ、と主は言われる。そして、汚れたものに触てはならない。触なければ、わたしはあなたがたを受けいれよう。 + そしてわたしは、あなたがたの父となり、あなたがたは、わたしのむすこ、むすめとなるであろう。全能の主が、こう言われる」。 + + + 愛する者たちよ。わたしたちは、このような約束を与えられているのだから、肉と霊とのいっさいの汚れから自分をきよめ、神をおそれて全く清くなろうではないか。 + どうか、わたしたちに心を開いてほしい。わたしたちは、だれにも不義をしたことがなく、だれをも破滅におとしいれたことがなく、だれからもだまし取ったことがない。 + わたしは、責めるつもりでこう言うのではない。前にも言ったように、あなたがたはわたしの心のうちにいて、わたしたちと生死を共にしているのである。 + わたしはあなたがたを大いに信頼し、大いに誇っている。また、あふれるばかり慰めを受け、あらゆる患難の中にあって喜びに満ちあふれている。 + さて、マケドニヤに着いたとき、わたしたちの身に少しの休みもなく、さまざまの患難に会い、外には戦い、内には恐れがあった。 + しかるに、うちしおれている者を慰める神は、テトスの到来によって、わたしたちを慰めて下さった。 + ただ彼の到来によるばかりではなく、彼があなたがたから受けたその慰めをもって、慰めて下さった。すなわち、あなたがたがわたしを慕っていること、嘆いていること、またわたしに対して熱心であることを知らせてくれたので、わたしの喜びはいよいよ増し加わったのである。 + そこで、たとい、あの手紙であなたがたを悲しませたとしても、わたしはそれを悔いていない。あの手紙がしばらくの間ではあるが、あなたがたを悲しませたのを見て悔いたとしても、 + 今は喜んでいる。それは、あなたがたが悲しんだからではなく、悲しんで悔い改めるに至ったからである。あなたがたがそのように悲しんだのは、神のみこころに添うたことであって、わたしたちからはなんの損害も受けなかったのである。 + 神のみこころに添うた悲しみは、悔いのない救を得させる悔改めに導き、この世の悲しみは死をきたらせる。 + 見よ、神のみこころに添うたその悲しみが、どんなにか熱情をあなたがたに起させたことか。また、弁明、義憤、恐れ、愛慕、熱意、それから処罰に至らせたことか。あなたがたはあの問題については、すべての点において潔白であることを証明したのである。 + だから、わたしがあなたがたに書きおくったのは、不義をした人のためでも、不義を受けた人のためでもなく、わたしたちに対するあなたがたの熱情が、神の前にあなたがたの間で明らかになるためである。 + こういうわけで、わたしたちは慰められたのである。これらの慰めの上にテトスの喜びが加わって、わたしたちはなおいっそう喜んだ。彼があなたがた一同によって安心させられたからである。 + そして、わたしは彼に対してあなたがたのことを少しく誇ったが、それはわたしの恥にならないですんだ。あなたがたにいっさいのことを真実に語ったように、テトスに対して誇ったことも真実となってきたのである。 + また彼は、あなたがた一同が従順であって、おそれおののきつつ自分を迎えてくれたことを思い出して、ますます心をあなたがたの方に寄せている。 + わたしは、あなたがたに全く信頼することができて、喜んでいる。 + + + 兄弟たちよ。わたしたちはここで、マケドニヤの諸教会に与えられた神の恵みを、あなたがたに知らせよう。 + すなわち、彼らは、患難のために激しい試錬をうけたが、その満ちあふれる喜びは、極度の貧しさにもかかわらず、あふれ出て惜しみなく施す富となったのである。 + わたしはあかしするが、彼らは力に応じて、否、力以上に施しをした。すなわち、自ら進んで、 + 聖徒たちへの奉仕に加わる恵みにあずかりたいと、わたしたちに熱心に願い出て、 + わたしたちの希望どおりにしたばかりか、自分自身をまず、神のみこころにしたがって、主にささげ、また、わたしたちにもささげたのである。 + そこで、この募金をテトスがあなたがたの所で、すでに始めた以上、またそれを完成するようにと、わたしたちは彼に勧めたのである。 + さて、あなたがたがあらゆる事がらについて富んでいるように、すなわち、信仰にも言葉にも知識にも、あらゆる熱情にも、また、あなたがたに対するわたしたちの愛にも富んでいるように、この恵みのわざにも富んでほしい。 + こう言っても、わたしは命令するのではない。ただ、他の人たちの熱情によって、あなたがたの愛の純真さをためそうとするのである。 + あなたがたは、わたしたちの主イエス・キリストの恵みを知っている。すなわち、主は富んでおられたのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、あなたがたが、彼の貧しさによって富む者になるためである。 + そこで、わたしは、この恵みのわざについて意見を述べよう。それがあなたがたの益になるからである。あなたがたはこの事を、昨年以来、他に先んじて実行したばかりではなく、それを願っていた。 + だから今、それをやりとげなさい。あなたがたが心から願っているように、持っているところに応じて、それをやりとげなさい。 + もし心から願ってそうするなら、持たないところによらず、持っているところによって、神に受けいれられるのである。 + それは、ほかの人々に楽をさせて、あなたがたに苦労をさせようとするのではなく、持ち物を等しくするためである。 + すなわち、今の場合は、あなたがたの余裕があの人たちの欠乏を補い、後には、彼らの余裕があなたがたの欠乏を補い、こうして等しくなるようにするのである。 + それは「多く得た者も余ることがなく、少ししか得なかった者も足りないことはなかった」と書いてあるとおりである。 + わたしがあなたがたに対して持っている同じ熱情を、テトスの心にも与えて下さった神に感謝する。 + 彼はわたしの勧めを受けいれ、そして更に熱心になって、自分から進んであなたがたのところに行った。 + わたしたちはまた、テトスと一緒に、ひとりの兄弟を送る。この兄弟が福音宣伝の上で得たほまれは、すべての教会に聞えているが、 + そのうえ、彼は、主ご自身の栄光があらわれるため、また、わたしたちの好意を示すために、骨を折って贈り物を集めているわたしたちの同伴者として、諸教会から選ばれたのである。 + そうしたのは、わたしたちが集めているこの寄附金のことについて、人にかれこれ言われるのを避けるためである。 + わたしたちは、主のみまえばかりではなく、人の前でも公正であるように、気を配っているのである。 + また、もうひとりの兄弟を彼らと一緒に送る。わたしたちは、多くの事について彼が熱心であったことを、たびたび認めた。彼は今、あなたがたを非常に信頼して、ますます熱心になっている。 + テトスについて言えば、彼はわたしの仲間であり、あなたがたに対するわたしの協力者である。この兄弟たちについて言えば、彼らは諸教会の使者、キリストの栄光である。 + だから、あなたがたの愛と、また、あなたがたについてわたしたちがいだいている誇とが、真実であることを、諸教会の前で彼らにあかししていただきたい。 + + + 聖徒たちに対する援助については、いまさら、あなたがたに書きおくる必要はない。 + わたしは、あなたがたの好意を知っており、そのために、あなたがたのことをマケドニヤの人々に誇って、アカヤでは昨年以来、すでに準備をしているのだと言った。そして、あなたがたの熱心は、多くの人を奮起させたのである。 + わたしが兄弟たちを送ることにしたのは、あなたがたについてわたしたちの誇ったことが、この場合むなしくならないで、わたしが言ったとおり準備していてもらいたいからである。 + そうでないと、万一マケドニヤ人がわたしと一緒に行って、準備ができていないのを見たら、あなたがたはもちろん、わたしたちも、かように信じきっていただけに、恥をかくことになろう。 + だから、わたしは兄弟たちを促して、あなたがたの所へ先に行かせ、以前あなたがたが約束していた贈り物の準備をさせておくことが必要だと思った。それをしぶりながらではなく、心をこめて用意していてほしい。 + わたしの考えはこうである。少ししかまかない者は、少ししか刈り取らず、豊かにまく者は、豊かに刈り取ることになる。 + 各自は惜しむ心からでなく、また、しいられてでもなく、自ら心で決めたとおりにすべきである。神は喜んで施す人を愛して下さるのである。 + 神はあなたがたにあらゆる恵みを豊かに与え、あなたがたを常にすべてのことに満ち足らせ、すべての良いわざに富ませる力のあるかたなのである。 + 「彼は貧しい人たちに散らして与えた。その義は永遠に続くであろう」と書いてあるとおりである。 + 種まく人に種と食べるためのパンとを備えて下さるかたは、あなたがたにも種を備え、それをふやし、そしてあなたがたの義の実を増して下さるのである。 + こうして、あなたがたはすべてのことに豊かになって、惜しみなく施し、その施しはわたしたちの手によって行われ、神に感謝するに至るのである。 + なぜなら、この援助の働きは、聖徒たちの欠乏を補えだけではなく、神に対する多くの感謝によってますます豊かになるからである。 + すなわち、この援助を行った結果として、あなたがたがキリストの福音の告白に対して従順であることや、彼らにも、すべての人にも、惜しみなく施しをしていることがわかってきて、彼らは神に栄光を帰し、 + そして、あなたがたに賜わったきわめて豊かな神の恵みのゆえに、あなたがたを慕い、あなたがたのために祈るのである。 + 言いつくせない賜物のゆえに、神に感謝する。 + + + さて、「あなたがたの間にいて面と向かってはおとなしいが、離れていると、気が強くなる」このパウロが、キリストの優しさ、寛大さをもって、あなたがたに勧める。 + わたしたちを肉に従って歩いているかのように思っている人々に対しては、わたしは勇敢に行動するつもりであるが、あなたがたの所では、どうか、そのような思いきったことをしないですむようでありたい。 + わたしたちは、肉にあって歩いてはいるが、肉に従って戦っているのではない。 + わたしたちの戦いの武器は、肉のものではなく、神のためには要塞をも破壊するほどの力あるものである。わたしたちはさまざまな議論を破り、 + 神の知恵に逆らって立てられたあらゆる障害物を打ちこわし、すべての思いをとりこにしてキリストに服従させ、 + そして、あなたがたが完全に服従した時、すべて不従順な者を処罰しようと、用意しているのである。 + あなたがたは、うわべの事だけを見ている。もしある人が、キリストに属する者だと自任しているなら、その人はもう一度よく反省すべきである。その人がキリストに属する者であるように、わたしたちもそうである。 + たとい、あなたがたを倒すためではなく高めるために主からわたしたちに賜わった権威について、わたしがやや誇りすぎたとしても、恥にはなるまい。 + ただ、わたしは、手紙であなたがたをおどしているのだと、思われたくはない。 + 人は言う、「彼の手紙は重味があって力強いが、会って見ると外見は弱々しく、話はつまらない」。 + そういう人は心得ているがよい。わたしたちは、離れていて書きおくる手紙の言葉どおりに、一緒にいる時でも同じようにふるまうのである。 + わたしたちは、自己推薦をするような人々と自分を同列においたり比較したりはしない。彼らは仲間同志で互にはかり合ったり、互に比べ合ったりしているが、知恵のないしわざである。 + しかし、わたしたちは限度をこえて誇るようなことはしない。むしろ、神が割り当てて下さった地域の限度内で誇るにすぎない。わたしはその限度にしたがって、あなたがたの所まで行ったのである。 + わたしたちは、あなたがたの所まで行けない者であるかのように、むりに手を延ばしているのではない。事実、わたしたちが最初にキリストの福音を携えて、あなたがたの所までも行ったのである。 + わたしたちは限度をこえて、他人の働きを誇るようなことはしない。ただ、あなたがたの信仰が成長するにつれて、わたしたちの働きの範囲があなたがたの中でますます大きくなることを望んでいる。 + こうして、わたしたちはほかの人の地域ですでになされていることを誇ることはせずに、あなたがたを越えたさきざきにまで、福音を宣べ伝えたい。 + 誇る者は主を誇るべきである。 + 自分で自分を推薦する人ではなく、主に推薦される人こそ、確かな人なのである。 + + + わたしが少しばかり愚かなことを言うのを、どうか、忍んでほしい。もちろん忍んでくれるのだ。 + わたしは神の熱情をもって、あなたがたを熱愛している。あなたがたを、きよいおとめとして、ただひとりの男子キリストにささげるために、婚約させたのである。 + ただ恐れるのは、エバがへびの悪巧みで誘惑されたように、あなたがたの思いが汚されて、キリストに対する純情と貞操とを失いはしないかということである。 + というのは、もしある人がきて、わたしたちが宣べ伝えもしなかったような異なるイエスを宣べ伝え、あるいは、あなたがたが受けたことのない違った霊を受け、あるいは、受けいれたことのない違った福音を聞く場合に、あなたがたはよくもそれを忍んでいる。 + 事実、わたしは、あの大使徒たちにいささかも劣ってはいないと思う。 + たとい弁舌はつたなくても、知識はそうでない。わたしは、事ごとに、いろいろの場合に、あなたがたに対してそれを明らかにした。 + それとも、あなたがたを高めるために自分を低くして、神の福音を価なしにあなたがたに宣べ伝えたことが、罪になるのだろうか。 + わたしは他の諸教会をかすめたと言われながら得た金で、あなたがたに奉仕し、 + あなたがたの所にいて貧乏をした時にも、だれにも負担をかけたことはなかった。わたしの欠乏は、マケドニヤからきた兄弟たちが、補ってくれた。こうして、わたしはすべての事につき、あなたがたに重荷を負わせまいと努めてきたし、今後も努めよう。 + わたしの内にあるキリストの真実にかけて言う、この誇がアカヤ地方で封じられるようなことは、決してない。 + なぜであるか。わたしがあなたがたを愛していないからか。それは、神がご存じである。 + しかし、わたしは、現在していることを今後もしていこう。それは、わたしたちと同じように誇りうる立ち場を得ようと機会をねらっている者どもから、その機会を断ち切ってしまうためである。 + こういう人々はにせ使徒、人をだます働き人であって、キリストの使徒に擬装しているにすぎないからである。 + しかし、驚くには及ばない。サタンも光の天使に擬装するのだから。 + だから、たといサタンの手下どもが、義の奉仕者のように擬装したとしても、不思議ではない。彼らの最期は、そのしわざに合ったものとなろう。 + 繰り返して言うが、だれも、わたしを愚か者と思わないでほしい。もしそう思うなら、愚か者あつかいにされてもよいから、わたしにも、少し誇らせてほしい。 + いま言うことは、主によって言うのではなく、愚か者のように、自分の誇とするところを信じきって言うのである。 + 多くの人が肉によって誇っているから、わたしも誇ろう。 + あなたがたは賢い人たちなのだから、喜んで愚か者を忍んでくれるだろう。 + 実際、あなたがたは奴隷にされても、食い倒されても、略奪されても、いばられても、顔をたたかれても、それを忍んでいる。 + 言うのも恥ずかしいことだが、わたしたちは弱すぎたのだ。もしある人があえて誇るなら、わたしは愚か者になって言うが、わたしもあえて誇ろう。 + 彼らはヘブル人なのか。わたしもそうである。彼らはイスラエル人なのか。わたしもそうである。彼らはアブラハムの子孫なのか。わたしもそうである。 + 彼らはキリストの僕なのか。わたしは気が狂ったようになって言う、わたしは彼ら以上にそうである。苦労したことはもっと多く、投獄されたことももっと多く、むち打たれたことは、はるかにおびただしく、死に面したこともしばしばあった。 + ユダヤ人から四十に一つ足りないむちを受けたことが五度、 + ローマ人にむちで打たれたことが三度、石で打たれたことが一度、難船したことが三度、そして、一昼夜、海の上を漂ったこともある。 + 幾たびも旅をし、川の難、盗賊の難、同国民の難、異邦人の難、都会の難、荒野の難、海上の難、にせ兄弟の難に会い、 + 労し苦しみ、たびたび眠られぬ夜を過ごし、飢えかわき、しばしば食物がなく、寒さに凍え、裸でいたこともあった。 + なおいろいろの事があった外に、日々わたしに迫って来る諸教会の心配ごとがある。 + だれかが弱っているのに、わたしも弱らないでおれようか。だれかが罪を犯しているのに、わたしの心が燃えないでおれようか。 + もし誇らねばならないのなら、わたしは自分の弱さを誇ろう。 + 永遠にほむべき、主イエス・キリストの父なる神は、わたしが偽りを言っていないことを、ご存じである。 + ダマスコでアレタ王の代官が、わたしを捕えるためにダマスコ人の町を監視したことがあったが、 + その時わたしは窓から町の城壁づたいに、かごでつり降ろされて、彼の手からのがれた。 + + + わたしは誇らざるを得ないので、無益ではあろうが、主のまぼろしと啓示とについて語ろう。 + わたしはキリストにあるひとりの人を知っている。この人は十四年前に第三の天にまで引き上げられた――それが、からだのままであったか、わたしは知らない。からだを離れてであったか、それも知らない。神がご存じである。 + この人が――それが、からだのままであったか、からだを離れてであったか、わたしは知らない。神がご存じである―― + パラダイスに引き上げられ、そして口に言い表わせない、人間が語ってはならない言葉を聞いたのを、わたしは知っている。 + わたしはこういう人について誇ろう。しかし、わたし自身については、自分の弱さ以外には誇ることをすまい。 + もっとも、わたしが誇ろうとすれば、ほんとうの事を言うのだから、愚か者にはならないだろう。しかし、それはさし控えよう。わたしがすぐれた啓示を受けているので、わたしについて見たり聞いたりしている以上に、人に買いかぶられるかも知れないから。 + そこで、高慢にならないように、わたしの肉体に一つのとげが与えられた。それは、高慢にならないように、わたしを打つサタンの使なのである。 + このことについて、わたしは彼を離れ去らせて下さるようにと、三度も主に祈った。 + ところが、主が言われた、「わたしの恵みはあなたに対して十分である。わたしの力は弱いところに完全にあらわれる」。それだから、キリストの力がわたしに宿るように、むしろ、喜んで自分の弱さを誇ろう。 + だから、わたしはキリストのためならば、弱さと、侮辱と、危機と、迫害と、行き詰まりとに甘んじよう。なぜなら、わたしが弱い時にこそ、わたしは強いからである。 + わたしは愚か者となった。あなたがたが、むりにわたしをそうしてしまったのだ。実際は、あなたがたから推薦されるべきであった。というのは、たといわたしは取るに足りない者だとしても、あの大使徒たちにはなんら劣るところがないからである。 + わたしは、使徒たるの実を、しるしと奇跡と力あるわざとにより、忍耐をつくして、あなたがたの間であらわしてきた。 + いったい、あなたがたが他の教会よりも劣っている点は何か。ただ、このわたしがあなたがたに負担をかけなかったことだけではないか。この不義は、どうか、ゆるしてもらいたい。 + さて、わたしは今、三度目にあなたがたの所に行く用意をしている。しかし、負担はかけないつもりである。わたしの求めているのは、あなたがたの持ち物ではなく、あなたがた自身なのだから。いったい、子供は親のために財をたくわえて置く必要はなく、親が子供のためにたくわえて置くべきである。 + そこでわたしは、あなたがたの魂のためには、大いに喜んで費用を使い、また、わたし自身をも使いつくそう。わたしがあなたがたを愛すれば愛するほど、あなたがたからますます愛されなくなるのであろうか。 + わたしは、あなたがたに重荷を負わせなかったとしても、悪がしこくて、あなたがたからだまし取ったのだと、人は言う。 + わたしは、あなたがたにつかわした人たちのうちのだれかをとおして、あなたがたからむさぼり取っただろうか。 + わたしは、テトスに勧めてそちらに行かせ、また、かの兄弟を同行させた。テトスは、あなたがたからむさぼり取ったことがあろうか。わたしたちは、みな同じ心で歩いたではないか。同じ足並みで歩いたではないか。 + あなたがたは、わたしたちがあなたがたに対して弁明をしているのだと、今までずっと思ってきたであろう。しかし、わたしたちは、神のみまえでキリストにあって語っているのである。愛する者たちよ。これらすべてのことは、あなたがたの徳を高めるためなのである。 + わたしは、こんな心配をしている。わたしが行ってみると、もしかしたら、あなたがたがわたしの願っているような者ではなく、わたしも、あなたがたの願っているような者でないことになりはすまいか。もしかしたら、争い、ねたみ、怒り、党派心、そしり、ざんげん、高慢、騒乱などがありはすまいか。 + わたしが再びそちらに行った場合、わたしの神が、あなたがたの前でわたしに恥をかかせ、その上、多くの人が前に罪を犯していながら、その汚れと不品行と好色とを悔い改めていないので、わたしを悲しませることになりはすまいか。 + + + わたしは今、三度目にあなたがたの所に行こうとしている。すべての事がらは、ふたりか三人の証人の証言によって確定する。 + わたしは、前に罪を犯した者たちやその他のすべての人々に、二度目に滞在していたとき警告しておいたが、離れている今またあらかじめ言っておく。今度行った時には、決して容赦はしない。 + なぜなら、あなたがたが、キリストのわたしにあって語っておられるという証拠を求めているからである。キリストは、あなたがたに対して弱くはなく、あなたがたのうちにあって強い。 + すなわち、キリストは弱さのゆえに十字架につけられたが、神の力によって生きておられるのである。このように、わたしたちもキリストにあって弱い者であるが、あなたがたに対しては、神の力によって、キリストと共に生きるのである。 + あなたがたは、はたして信仰があるかどうか、自分を反省し、自分を吟味するがよい。それとも、イエス・キリストがあなたがたのうちにおられることを、悟らないのか。もし悟らなければ、あなたがたは、にせものとして見捨てられる。 + しかしわたしは、自分たちが見捨てられた者ではないことを、知っていてもらいたい。 + わたしたちは、あなたがたがどんな悪をも行わないようにと、神に祈る。それは、自分たちがほんとうの者であることを見せるためではなく、たといわたしたちが見捨てられた者のようになっても、あなたがたに良い行いをしてもらいたいためである。 + わたしたちは、真理に逆らっては何をする力もなく、真理にしたがえば力がある。 + わたしたちは、自分は弱くても、あなたがたが強ければ、それを喜ぶ。わたしたちが特に祈るのは、あなたがたが完全に良くなってくれることである。 + こういうわけで、離れていて以上のようなことを書いたのは、わたしがあなたがたの所に行ったとき、倒すためではなく高めるために主が授けて下さった権威を用いて、きびしい処置をする必要がないようにしたいためである。 + 最後に、兄弟たちよ。いつも喜びなさい。全き者となりなさい。互に励まし合いなさい。思いを一つにしなさい。平和に過ごしなさい。そうすれば、愛と平和の神があなたがたと共にいて下さるであろう。 + きよい接吻をもって互にあいさつをかわしなさい。聖徒たち一同が、あなたがたによろしく。 + 主イエス・キリストの恵みと、神の愛と、聖霊の交わりとが、あなたがた一同と共にあるように。 + + +
+
+ + 人々からでもなく、人によってでもなく、イエス・キリストと彼を死人の中からよみがえらせた父なる神とによって立てられた使徒パウロ、 + ならびにわたしと共にいる兄弟たち一同から、ガラテヤの諸教会へ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + キリストは、わたしたちの父なる神の御旨に従い、わたしたちを今の悪の世から救い出そうとして、ご自身をわたしたちの罪のためにささげられたのである。 + 栄光が世々限りなく神にあるように、アァメン。 + あなたがたがこんなにも早く、あなたがたをキリストの恵みの内へお招きになったかたから離れて、違った福音に落ちていくことが、わたしには不思議でならない。 + それは福音というべきものではなく、ただ、ある種の人々があなたがたをかき乱し、キリストの福音を曲げようとしているだけのことである。 + しかし、たといわたしたちであろうと、天からの御使であろうと、わたしたちが宣べ伝えた福音に反することをあなたがたに宣べ伝えるなら、その人はのろわるべきである。 + わたしたちが前に言っておいたように、今わたしは重ねて言う。もしある人が、あなたがたの受けいれた福音に反することを宣べ伝えているなら、その人はのろわるべきである。 + 今わたしは、人に喜ばれようとしているのか、それとも、神に喜ばれようとしているのか。あるいは、人の歓心を買おうと努めているのか。もし、今もなお人の歓心を買おうとしているとすれば、わたしはキリストの僕ではあるまい。 + 兄弟たちよ。あなたがたに、はっきり言っておく。わたしが宣べ伝えた福音は人間によるものではない。 + わたしは、それを人間から受けたのでも教えられたのでもなく、ただイエス・キリストの啓示によったのである。 + ユダヤ教を信じていたころのわたしの行動については、あなたがたはすでによく聞いている。すなわち、わたしは激しく神の教会を迫害し、また荒しまわっていた。 + そして、同国人の中でわたしと同年輩の多くの者にまさってユダヤ教に精進し、先祖たちの言伝えに対して、だれよりもはるかに熱心であった。 + ところが、母の胎内にある時からわたしを聖別し、み恵みをもってわたしをお召しになったかたが、 + 異邦人の間に宣べ伝えさせるために、御子をわたしの内に啓示して下さった時、わたしは直ちに、血肉に相談もせず、 + また先輩の使徒たちに会うためにエルサレムにも上らず、アラビヤに出て行った。それから再びダマスコに帰った。 + その後三年たってから、わたしはケパをたずねてエルサレムに上り、彼のもとに十五日間、滞在した。 + しかし、主の兄弟ヤコブ以外には、ほかのどの使徒にも会わなかった。 + ここに書いていることは、神のみまえで言うが、決して偽りではない。 + その後、わたしはシリヤとキリキヤとの地方に行った。 + しかし、キリストにあるユダヤの諸教会には、顔を知られていなかった。 + ただ彼らは、「かつて自分たちを迫害した者が、以前には撲滅しようとしていたその信仰を、今は宣べ伝えている」と聞き、 + わたしのことで、神をほめたたえた。 + + + その後十四年たってから、わたしはバルナバと一緒に、テトスをも連れて、再びエルサレムに上った。 + そこに上ったのは、啓示によってである。そして、わたしが異邦人の間に宣べ伝えている福音を、人々に示し、「重だった人たち」には個人的に示した。それは、わたしが現に走っており、またすでに走ってきたことが、むだにならないためである。 + しかし、わたしが連れていたテトスでさえ、ギリシヤ人であったのに、割礼をしいられなかった。 + それは、忍び込んできたにせ兄弟らがいたので――彼らが忍び込んできたのは、キリスト・イエスにあって持っているわたしたちの自由をねらって、わたしたちを奴隷にするためであった。 + わたしたちは、福音の真理があなたがたのもとに常にとどまっているように、瞬時も彼らの強要に屈服しなかった。 + そして、かの「重だった人たち」からは――彼らがどんな人であったにしても、それは、わたしには全く問題ではない。神は人を分け隔てなさらないのだから――事実、かの「重だった人たち」は、わたしに何も加えることをしなかった。 + それどころか、彼らは、ペテロが割礼の者への福音をゆだねられているように、わたしには無割礼の者への福音がゆだねられていることを認め、 + (というのは、ペテロに働きかけて割礼の者への使徒の務につかせたかたは、わたしにも働きかけて、異邦人につかわして下さったからである)、 + かつ、わたしに賜わった恵みを知って、柱として重んじられているヤコブとケパとヨハネとは、わたしとバルナバとに、交わりの手を差し伸べた。そこで、わたしたちは異邦人に行き、彼らは割礼の者に行くことになったのである。 + ただ一つ、わたしたちが貧しい人々をかえりみるようにとのことであったが、わたしはもとより、この事のためにも大いに努めてきたのである。 + ところが、ケパがアンテオケにきたとき、彼に非難すべきことがあったので、わたしは面とむかって彼をなじった。 + というのは、ヤコブのもとからある人々が来るまでは、彼は異邦人と食を共にしていたのに、彼らがきてからは、割礼の者どもを恐れ、しだいに身を引いて離れて行ったからである。 + そして、ほかのユダヤ人たちも彼と共に偽善の行為をし、バルナバまでがそのような偽善に引きずり込まれた。 + 彼らが福音の真理に従ってまっすぐに歩いていないのを見て、わたしは衆人の面前でケパに言った、「あなたは、ユダヤ人であるのに、自分自身はユダヤ人のように生活しないで、異邦人のように生活していながら、どうして異邦人にユダヤ人のようになることをしいるのか」。 + わたしたちは生れながらのユダヤ人であって、異邦人なる罪人ではないが、 + 人の義とされるのは律法の行いによるのではなく、ただキリスト・イエスを信じる信仰によることを認めて、わたしたちもキリスト・イエスを信じたのである。それは、律法の行いによるのではなく、キリストを信じる信仰によって義とされるためである。なぜなら、律法の行いによっては、だれひとり義とされることがないからである。 + しかし、キリストにあって義とされることを求めることによって、わたしたち自身が罪人であるとされるのなら、キリストは罪に仕える者なのであろうか。断じてそうではない。 + もしわたしが、いったん打ちこわしたものを、再び建てるとすれば、それこそ、自分が違反者であることを表明することになる。 + わたしは、神に生きるために、律法によって律法に死んだ。わたしはキリストと共に十字架につけられた。 + 生きているのは、もはや、わたしではない。キリストが、わたしのうちに生きておられるのである。しかし、わたしがいま肉にあって生きているのは、わたしを愛し、わたしのためにご自身をささげられた神の御子を信じる信仰によって、生きているのである。 + わたしは、神の恵みを無にはしない。もし、義が律法によって得られるとすれば、キリストの死はむだであったことになる。 + + + ああ、物わかりのわるいガラテヤ人よ。十字架につけられたイエス・キリストが、あなたがたの目の前に描き出されたのに、いったい、だれがあなたがたを惑わしたのか。 + わたしは、ただこの一つの事を、あなたがたに聞いてみたい。あなたがたが御霊を受けたのは、律法を行ったからか、それとも、聞いて信じたからか。 + あなたがたは、そんなに物わかりがわるいのか。御霊で始めたのに、今になって肉で仕上げるというのか。 + あれほどの大きな経験をしたことは、むだであったのか。まさか、むだではあるまい。 + すると、あなたがたに御霊を賜い、力あるわざをあなたがたの間でなされたのは、律法を行ったからか、それとも、聞いて信じたからか。 + このように、アブラハムは「神を信じた。それによって、彼は義と認められた」のである。 + だから、信仰による者こそアブラハムの子であることを、知るべきである。 + 聖書は、神が異邦人を信仰によって義とされることを、あらかじめ知って、アブラハムに、「あなたによって、すべての国民は祝福されるであろう」との良い知らせを、予告したのである。 + このように、信仰による者は、信仰の人アブラハムと共に、祝福を受けるのである。 + いったい、律法の行いによる者は、皆のろいの下にある。「律法の書に書いてあるいっさいのことを守らず、これを行わない者は、皆のろわれる」と書いてあるからである。 + そこで、律法によっては、神のみまえに義とされる者はひとりもないことが、明らかである。なぜなら、「信仰による義人は生きる」からである。 + 律法は信仰に基いているものではない。かえって、「律法を行う者は律法によって生きる」のである。 + キリストは、わたしたちのためにのろいとなって、わたしたちを律法ののろいからあがない出して下さった。聖書に、「木にかけられる者は、すべてのろわれる」と書いてある。 + それは、アブラハムの受けた祝福が、イエス・キリストにあって異邦人に及ぶためであり、約束された御霊を、わたしたちが信仰によって受けるためである。 + 兄弟たちよ。世のならわしを例にとって言おう。人間の遺言でさえ、いったん作成されたら、これを無効にしたり、これに付け加えたりすることは、だれにもできない。 + さて、約束は、アブラハムと彼の子孫とに対してなされたのである。それは、多数をさして「子孫たちとに」と言わずに、ひとりをさして「あなたの子孫とに」と言っている。これは、キリストのことである。 + わたしの言う意味は、こうである。神によってあらかじめ立てられた契約が、四百三十年の後にできた律法によって破棄されて、その約束がむなしくなるようなことはない。 + もし相続が、律法に基いてなされるとすれば、もはや約束に基いたものではない。ところが事実、神は約束によって、相続の恵みをアブラハムに賜わったのである。 + それでは、律法はなんであるか。それは違反を促すため、あとから加えられたのであって、約束されていた子孫が来るまで存続するだけのものであり、かつ、天使たちをとおし、仲介者の手によって制定されたものにすぎない。 + 仲介者なるものは、一方だけに属する者ではない。しかし、神はひとりである。 + では、律法は神の約束と相いれないものか。断じてそうではない。もし人を生かす力のある律法が与えられていたとすれば、義はたしかに律法によって実現されたであろう。 + しかし、約束が、信じる人々にイエス・キリストに対する信仰によって与えられるために、聖書はすべての人を罪の下に閉じ込めたのである。 + しかし、信仰が現れる前には、わたしたちは律法の下で監視されており、やがて啓示される信仰の時まで閉じ込められていた。 + このようにして律法は、信仰によって義とされるために、わたしたちをキリストに連れて行く養育掛となったのである。 + しかし、いったん信仰が現れた以上、わたしたちは、もはや養育掛のもとにはいない。 + あなたがたはみな、キリスト・イエスにある信仰によって、神の子なのである。 + キリストに合うバプテスマを受けたあなたがたは、皆キリストを着たのである。 + もはや、ユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自由人もなく、男も女もない。あなたがたは皆、キリスト・イエスにあって一つだからである。 + もしキリストのものであるなら、あなたがたはアブラハムの子孫であり、約束による相続人なのである。 + + + わたしの言う意味は、こうである。相続人が子供である間は、全財産の持ち主でありながら、僕となんの差別もなく、 + 父親の定めた時期までは、管理人や後見人の監督の下に置かれているのである。 + それと同じく、わたしたちも子供であった時には、いわゆるこの世のもろもろの霊力の下に、縛られていた者であった。 + しかし、時の満ちるに及んで、神は御子を女から生れさせ、律法の下に生れさせて、おつかわしになった。 + それは、律法の下にある者をあがない出すため、わたしたちに子たる身分を授けるためであった。 + このように、あなたがたは子であるのだから、神はわたしたちの心の中に、「アバ、父よ」と呼ぶ御子の霊を送って下さったのである。 + したがって、あなたがたはもはや僕ではなく、子である。子である以上、また神による相続人である。 + 神を知らなかった当時、あなたがたは、本来神ならぬ神々の奴隷になっていた。 + しかし、今では神を知っているのに、否、むしろ神に知られているのに、どうして、あの無力で貧弱な、もろもろの霊力に逆もどりして、またもや、新たにその奴隷になろうとするのか。 + あなたがたは、日や月や季節や年などを守っている。 + わたしは、あなたがたのために努力してきたことが、あるいは、むだになったのではないかと、あなたがたのことが心配でならない。 + 兄弟たちよ。お願いする。どうか、わたしのようになってほしい。わたしも、あなたがたのようになったのだから。あなたがたは、一度もわたしに対して不都合なことをしたことはない。 + あなたがたも知っているとおり、最初わたしがあなたがたに福音を伝えたのは、わたしの肉体が弱っていたためであった。 + そして、わたしの肉体にはあなたがたにとって試錬となるものがあったのに、それを卑しめもせず、またきらいもせず、かえってわたしを、神の使かキリスト・イエスかでもあるように、迎えてくれた。 + その時のあなたがたの感激は、今どこにあるのか。はっきり言うが、あなたがたは、できることなら、自分の目をえぐり出してでも、わたしにくれたかったのだ。 + それだのに、真理を語ったために、わたしはあなたがたの敵になったのか。 + 彼らがあなたがたに対して熱心なのは、善意からではない。むしろ、自分らに熱心にならせるために、あなたがたをわたしから引き離そうとしているのである。 + わたしがあなたがたの所にいる時だけでなく、いつも、良いことについて熱心に慕われるのは、良いことである。 + ああ、わたしの幼な子たちよ。あなたがたの内にキリストの形ができるまでは、わたしは、またもや、あなたがたのために産みの苦しみをする。 + できることなら、わたしは今あなたがたの所にいて、語調を変えて話してみたい。わたしは、あなたがたのことで、途方にくれている。 + 律法の下にとどまっていたいと思う人たちよ。わたしに答えなさい。あなたがたは律法の言うところを聞かないのか。 + そのしるすところによると、アブラハムにふたりの子があったが、ひとりは女奴隷から、ひとりは自由の女から生れた。 + 女奴隷の子は肉によって生れたのであり、自由の女の子は約束によって生れたのであった。 + さて、この物語は比喩としてみられる。すなわち、この女たちは二つの契約をさす。そのひとりはシナイ山から出て、奴隷となる者を産む。ハガルがそれである。 + ハガルといえば、アラビヤではシナイ山のことで、今のエルサレムに当る。なぜなら、それは子たちと共に、奴隷となっているからである。 + しかし、上なるエルサレムは、自由の女であって、わたしたちの母をさす。 + すなわち、こう書いてある、「喜べ、不妊の女よ。声をあげて喜べ、産みの苦しみを知らない女よ。ひとり者となっている女は多くの子を産み、その数は、夫ある女の子らよりも多い」。 + 兄弟たちよ。あなたがたは、イサクのように、約束の子である。 + しかし、その当時、肉によって生れた者が、霊によって生れた者を迫害したように、今でも同様である。 + しかし、聖書はなんと言っているか。「女奴隷とその子とを追い出せ。女奴隷の子は、自由の女の子と共に相続をしてはならない」とある。 + だから、兄弟たちよ。わたしたちは女奴隷の子ではなく、自由の女の子なのである。 + + + 自由を得させるために、キリストはわたしたちを解放して下さったのである。だから、堅く立って、二度と奴隷のくびきにつながれてはならない。 + 見よ、このパウロがあなたがたに言う。もし割礼を受けるなら、キリストはあなたがたに用のないものになろう。 + 割礼を受けようとするすべての人たちに、もう一度言っておく。そういう人たちは、律法の全部を行う義務がある。 + 律法によって義とされようとするあなたがたは、キリストから離れてしまっている。恵みから落ちている。 + わたしたちは、御霊の助けにより、信仰によって義とされる望みを強くいだいている。 + キリスト・イエスにあっては、割礼があってもなくても、問題ではない。尊いのは、愛によって働く信仰だけである。 + あなたがたはよく走り続けてきたのに、だれが邪魔をして、真理にそむかせたのか。 + そのような勧誘は、あなたがたを召されたかたから出たものではない。 + 少しのパン種でも、粉のかたまり全体をふくらませる。 + あなたがたはいささかもわたしと違った思いをいだくことはないと、主にあって信頼している。しかし、あなたがたを動揺させている者は、それがだれであろうと、さばきを受けるであろう。 + 兄弟たちよ。わたしがもし今でも割礼を宣べ伝えていたら、どうして、いまなお迫害されるはずがあろうか。そうしていたら、十字架のつまずきは、なくなっているであろう。 + あなたがたの煽動者どもは、自ら不具になるがよかろう。 + 兄弟たちよ。あなたがたが召されたのは、実に、自由を得るためである。ただ、その自由を、肉の働く機会としないで、愛をもって互に仕えなさい。 + 律法の全体は、「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」というこの一句に尽きるからである。 + 気をつけるがよい。もし互にかみ合い、食い合っているなら、あなたがたは互に滅ぼされてしまうだろう。 + わたしは命じる、御霊によって歩きなさい。そうすれば、決して肉の欲を満たすことはない。 + なぜなら、肉の欲するところは御霊に反し、また御霊の欲するところは肉に反するからである。こうして、二つのものは互に相さからい、その結果、あなたがたは自分でしようと思うことを、することができないようになる。 + もしあなたがたが御霊に導かれるなら、律法の下にはいない。 + 肉の働きは明白である。すなわち、不品行、汚れ、好色、 + 偶像礼拝、まじない、敵意、争い、そねみ、怒り、党派心、分裂、分派、 + ねたみ、泥酔、宴楽、および、そのたぐいである。わたしは以前も言ったように、今も前もって言っておく。このようなことを行う者は、神の国をつぐことがない。 + しかし、御霊の実は、愛、喜び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、 + 柔和、自制であって、これらを否定する律法はない。 + キリスト・イエスに属する者は、自分の肉を、その情と欲と共に十字架につけてしまったのである。 + もしわたしたちが御霊によって生きるのなら、また御霊によって進もうではないか。 + 互にいどみ合い、互にねたみ合って、虚栄に生きてはならない。 + + + 兄弟たちよ。もしもある人が罪過に陥っていることがわかったなら、霊の人であるあなたがたは、柔和な心をもって、その人を正しなさい。それと同時に、もしか自分自身も誘惑に陥ることがありはしないかと、反省しなさい。 + 互に重荷を負い合いなさい。そうすれば、あなたがたはキリストの律法を全うするであろう。 + もしある人が、事実そうでないのに、自分が何か偉い者であるように思っているとすれば、その人は自分を欺いているのである。 + ひとりびとり、自分の行いを検討してみるがよい。そうすれば、自分だけには誇ることができても、ほかの人には誇れなくなるであろう。 + 人はそれぞれ、自分自身の重荷を負うべきである。 + 御言を教えてもらう人は、教える人と、すべて良いものを分け合いなさい。 + まちがってはいけない、神は侮られるようなかたではない。人は自分のまいたものを、刈り取ることになる。 + すなわち、自分の肉にまく者は、肉から滅びを刈り取り、霊にまく者は、霊から永遠のいのちを刈り取るであろう。 + わたしたちは、善を行うことに、うみ疲れてはならない。たゆまないでいると、時が来れば刈り取るようになる。 + だから、機会のあるごとに、だれに対しても、とくに信仰の仲間に対して、善を行おうではないか。 + ごらんなさい。わたし自身いま筆をとって、こんなに大きい字で、あなたがたに書いていることを。 + いったい、肉において見えを飾ろうとする者たちは、キリスト・イエスの十字架のゆえに、迫害を受けたくないばかりに、あなたがたにしいて割礼を受けさせようとする。 + 事実、割礼のあるもの自身が律法を守らず、ただ、あなたがたの肉について誇りたいために、割礼を受けさせようとしているのである。 + しかし、わたし自身には、わたしたちの主イエス・キリストの十字架以外に、誇とするものは、断じてあってはならない。この十字架につけられて、この世はわたしに対して死に、わたしもこの世に対して死んでしまったのである。 + 割礼のあるなしは問題ではなく、ただ、新しく造られることこそ、重要なのである。 + この法則に従って進む人々の上に、平和とあわれみとがあるように。また、神のイスラエルの上にあるように。 + だれも今後は、わたしに煩いをかけないでほしい。わたしは、イエスの焼き印を身に帯びているのだから。 + 兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように、アァメン。 + +
+
+ + 神の御旨によるキリスト・イエスの使徒パウロから、エペソにいる、キリスト・イエスにあって忠実な聖徒たちへ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神。神はキリストにあって、天上で霊のもろもろの祝福をもって、わたしたちを祝福し、 + みまえにきよく傷のない者となるようにと、天地の造られる前から、キリストにあってわたしたちを選び、 + わたしたちに、イエス・キリストによって神の子たる身分を授けるようにと、御旨のよしとするところに従い、愛のうちにあらかじめ定めて下さったのである。 + これは、その愛する御子によって賜わった栄光ある恵みを、わたしたちがほめたたえるためである。 + わたしたちは、御子にあって、神の豊かな恵みのゆえに、その血によるあがない、すなわち、罪過のゆるしを受けたのである。 + 神はその恵みをさらに増し加えて、あらゆる知恵と悟りとをわたしたちに賜わり、 + 御旨の奥義を、自らあらかじめ定められた計画に従って、わたしたちに示して下さったのである。 + それは、時の満ちるに及んで実現されるご計画にほかならない。それによって、神は天にあるもの地にあるものを、ことごとく、キリストにあって一つに帰せしめようとされたのである。 + わたしたちは、御旨の欲するままにすべての事をなさるかたの目的の下に、キリストにあってあらかじめ定められ、神の民として選ばれたのである。 + それは、早くからキリストに望みをおいているわたしたちが、神の栄光をほめたたえる者となるためである。 + あなたがたもまた、キリストにあって、真理の言葉、すなわち、あなたがたの救の福音を聞き、また、彼を信じた結果、約束された聖霊の証印をおされたのである。 + この聖霊は、わたしたちが神の国をつぐことの保証であって、やがて神につける者が全くあがなわれ、神の栄光をほめたたえるに至るためである。 + こういうわけで、わたしも、主イエスに対するあなたがたの信仰と、すべての聖徒に対する愛とを耳にし、 + わたしの祈のたびごとにあなたがたを覚えて、絶えずあなたがたのために感謝している。 + どうか、わたしたちの主イエス・キリストの神、栄光の父が、知恵と啓示との霊をあなたがたに賜わって神を認めさせ、 + あなたがたの心の目を明らかにして下さるように、そして、あなたがたが神に召されていだいている望みがどんなものであるか、聖徒たちがつぐべき神の国がいかに栄光に富んだものであるか、 + また、神の力強い活動によって働く力が、わたしたち信じる者にとっていかに絶大なものであるかを、あなたがたが知るに至るように、と祈っている。 + 神はその力をキリストのうちに働かせて、彼を死人の中からよみがえらせ、天上においてご自分の右に座せしめ、 + 彼を、すべての支配、権威、権力、権勢の上におき、また、この世ばかりでなくきたるべき世においても唱えられる、あらゆる名の上におかれたのである。 + そして、万物をキリストの足の下に従わせ、彼を万物の上にかしらとして教会に与えられた。 + この教会はキリストのからだであって、すべてのものを、すべてのもののうちに満たしているかたが、満ちみちているものに、ほかならない。 + + + さてあなたがたは、先には自分の罪過と罪とによって死んでいた者であって、 + かつてはそれらの中で、この世のならわしに従い、空中の権をもつ君、すなわち、不従順の子らの中に今も働いている霊に従って、歩いていたのである。 + また、わたしたちもみな、かつては彼らの中にいて、肉の欲に従って日を過ごし、肉とその思いとの欲するままを行い、ほかの人々と同じく、生れながらの怒りの子であった。 + しかるに、あわれみに富む神は、わたしたちを愛して下さったその大きな愛をもって、 + 罪過によって死んでいたわたしたちを、キリストと共に生かし――あなたがたの救われたのは、恵みによるのである―― + キリスト・イエスにあって、共によみがえらせ、共に天上で座につかせて下さったのである。 + それは、キリスト・イエスにあってわたしたちに賜わった慈愛による神の恵みの絶大な富を、きたるべき世々に示すためであった。 + あなたがたの救われたのは、実に、恵みにより、信仰によるのである。それは、あなたがた自身から出たものではなく、神の賜物である。 + 決して行いによるのではない。それは、だれも誇ることがないためなのである。 + わたしたちは神の作品であって、良い行いをするように、キリスト・イエスにあって造られたのである。神は、わたしたちが、良い行いをして日を過ごすようにと、あらかじめ備えて下さったのである。 + だから、記憶しておきなさい。あなたがたは以前には、肉によれば異邦人であって、手で行った肉の割礼ある者と称せられる人々からは、無割礼の者と呼ばれており、 + またその当時は、キリストを知らず、イスラエルの国籍がなく、約束されたいろいろの契約に縁がなく、この世の中で希望もなく神もない者であった。 + ところが、あなたがたは、このように以前は遠く離れていたが、今ではキリスト・イエスにあって、キリストの血によって近いものとなったのである。 + キリストはわたしたちの平和であって、二つのものを一つにし、敵意という隔ての中垣を取り除き、ご自分の肉によって、 + 数々の規定から成っている戒めの律法を廃棄したのである。それは、彼にあって、二つのものをひとりの新しい人に造りかえて平和をきたらせ、 + 十字架によって、二つのものを一つのからだとして神と和解させ、敵意を十字架にかけて滅ぼしてしまったのである。 + それから彼は、こられた上で、遠く離れているあなたがたに平和を宣べ伝え、また近くにいる者たちにも平和を宣べ伝えられたのである。 + というのは、彼によって、わたしたち両方の者が一つの御霊の中にあって、父のみもとに近づくことができるからである。 + そこであなたがたは、もはや異国人でも宿り人でもなく、聖徒たちと同じ国籍の者であり、神の家族なのである。 + またあなたがたは、使徒たちや預言者たちという土台の上に建てられたものであって、キリスト・イエスご自身が隅のかしら石である。 + このキリストにあって、建物全体が組み合わされ、主にある聖なる宮に成長し、 + そしてあなたがたも、主にあって共に建てられて、霊なる神のすまいとなるのである。 + + + こういうわけで、あなたがた異邦人のためにキリスト・イエスの囚人となっているこのパウロ―― + わたしがあなたがたのために神から賜わった恵みの務について、あなたがたはたしかに聞いたであろう。 + すなわち、すでに簡単に書きおくったように、わたしは啓示によって奥義を知らされたのである。 + あなたがたはそれを読めば、キリストの奥義をわたしがどう理解しているかがわかる。 + この奥義は、いまは、御霊によって彼の聖なる使徒たちと預言者たちとに啓示されているが、前の時代には、人の子らに対して、そのように知らされてはいなかったのである。 + それは、異邦人が、福音によりキリスト・イエスにあって、わたしたちと共に神の国をつぐ者となり、共に一つのからだとなり、共に約束にあずかる者となることである。 + わたしは、神の力がわたしに働いて、自分に与えられた神の恵みの賜物により、福音の僕とされたのである。 + すなわち、聖徒たちのうちで最も小さい者であるわたしにこの恵みが与えられたが、それは、キリストの無尽蔵の富を異邦人に宣べ伝え、 + 更にまた、万物の造り主である神の中に世々隠されていた奥義にあずかる務がどんなものであるかを、明らかに示すためである。 + それは今、天上にあるもろもろの支配や権威が、教会をとおして、神の多種多様な知恵を知るに至るためであって、 + わたしたちの主キリスト・イエスにあって実現された神の永遠の目的にそうものである。 + この主キリストにあって、わたしたちは、彼に対する信仰によって、確信をもって大胆に神に近づくことができるのである。 + だから、あなたがたのためにわたしが受けている患難を見て、落胆しないでいてもらいたい。わたしの患難は、あなたがたの光栄なのである。 + こういうわけで、わたしはひざをかがめて、 + 天上にあり地上にあって「父」と呼ばれているあらゆるものの源なる父に祈る。 + どうか父が、その栄光の富にしたがい、御霊により、力をもってあなたがたの内なる人を強くして下さるように、 + また、信仰によって、キリストがあなたがたの心のうちに住み、あなたがたが愛に根ざし愛を基として生活することにより、 + すべての聖徒と共に、その広さ、長さ、高さ、深さを理解することができ、 + また人知をはるかに越えたキリストの愛を知って、神に満ちているもののすべてをもって、あなたがたが満たされるように、と祈る。 + どうか、わたしたちのうちに働く力によって、わたしたちが求めまた思うところのいっさいを、はるかに越えてかなえて下さることができるかたに、 + 教会により、また、キリスト・イエスによって、栄光が世々限りなくあるように、アァメン。 + + + さて、主にある囚人であるわたしは、あなたがたに勧める。あなたがたが召されたその召しにふさわしく歩き、 + できる限り謙虚で、かつ柔和であり、寛容を示し、愛をもって互に忍びあい、 + 平和のきずなで結ばれて、聖霊による一致を守り続けるように努めなさい。 + からだは一つ、御霊も一つである。あなたがたが召されたのは、一つの望みを目ざして召されたのと同様である。 + 主は一つ、信仰は一つ、バプテスマは一つ。 + すべてのものの上にあり、すべてのものを貫き、すべてのものの内にいます、すべてのものの父なる神は一つである。 + しかし、キリストから賜わる賜物のはかりに従って、わたしたちひとりびとりに、恵みが与えられている。 + そこで、こう言われている、「彼は高いところに上った時、とりこを捕えて引き行き、人々に賜物を分け与えた」。 + さて「上った」と言う以上、また地下の低い底にも降りてこられたわけではないか。 + 降りてこられた者自身は、同時に、あらゆるものに満ちるために、もろもろの天の上にまで上られたかたなのである。 + そして彼は、ある人を使徒とし、ある人を預言者とし、ある人を伝道者とし、ある人を牧師、教師として、お立てになった。 + それは、聖徒たちをととのえて奉仕のわざをさせ、キリストのからだを建てさせ、 + わたしたちすべての者が、神の子を信じる信仰の一致と彼を知る知識の一致とに到達し、全き人となり、ついに、キリストの満ちみちた徳の高さにまで至るためである。 + こうして、わたしたちはもはや子供ではないので、だまし惑わす策略により、人々の悪巧みによって起る様々な教の風に吹きまわされたり、もてあそばれたりすることがなく、 + 愛にあって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達するのである。 + また、キリストを基として、全身はすべての節々の助けにより、しっかりと組み合わされ結び合わされ、それぞれの部分は分に応じて働き、からだを成長させ、愛のうちに育てられていくのである。 + そこで、わたしは主にあっておごそかに勧める。あなたがたは今後、異邦人がむなしい心で歩いているように歩いてはならない。 + 彼らの知力は暗くなり、その内なる無知と心の硬化とにより、神のいのちから遠く離れ、 + 自ら無感覚になって、ほしいままにあらゆる不潔な行いをして、放縦に身をゆだねている。 + しかしあなたがたは、そのようにキリストに学んだのではなかった。 + あなたがたはたしかに彼に聞き、彼にあって教えられて、イエスにある真理をそのまま学んだはずである。 + すなわち、あなたがたは、以前の生活に属する、情欲に迷って滅び行く古き人を脱ぎ捨て、 + 心の深みまで新たにされて、 + 真の義と聖とをそなえた神にかたどって造られた新しき人を着るべきである。 + こういうわけだから、あなたがたは偽りを捨てて、おのおの隣り人に対して、真実を語りなさい。わたしたちは、お互に肢体なのであるから。 + 怒ることがあっても、罪を犯してはならない。憤ったままで、日が暮れるようであってはならない。 + また、悪魔に機会を与えてはいけない。 + 盗んだ者は、今後、盗んではならない。むしろ、貧しい人々に分け与えるようになるために、自分の手で正当な働きをしなさい。 + 悪い言葉をいっさい、あなたがたの口から出してはいけない。必要があれば、人の徳を高めるのに役立つような言葉を語って、聞いている者の益になるようにしなさい。 + 神の聖霊を悲しませてはいけない。あなたがたは、あがないの日のために、聖霊の証印を受けたのである。 + すべての無慈悲、憤り、怒り、騒ぎ、そしり、また、いっさいの悪意を捨て去りなさい。 + 互に情深く、あわれみ深い者となり、神がキリストにあってあなたがたをゆるして下さったように、あなたがたも互にゆるし合いなさい。 + + + こうして、あなたがたは、神に愛されている子供として、神にならう者になりなさい。 + また愛のうちを歩きなさい。キリストもあなたがたを愛して下さって、わたしたちのために、ご自身を、神へのかんばしいかおりのささげ物、また、いけにえとしてささげられたのである。 + また、不品行といろいろな汚れや貪欲などを、聖徒にふさわしく、あなたがたの間では、口にすることさえしてはならない。 + また、卑しい言葉と愚かな話やみだらな冗談を避けなさい。これらは、よろしくない事である。それよりは、むしろ感謝をささげなさい。 + あなたがたは、よく知っておかねばならない。すべて不品行な者、汚れたことをする者、貪欲な者、すなわち、偶像を礼拝する者は、キリストと神との国をつぐことができない。 + あなたがたは、だれにも不誠実な言葉でだまされてはいけない。これらのことから、神の怒りは不従順の子らに下るのである。 + だから、彼らの仲間になってはいけない。 + あなたがたは、以前はやみであったが、今は主にあって光となっている。光の子らしく歩きなさい―― + 光はあらゆる善意と正義と真実との実を結ばせるものである―― + 主に喜ばれるものがなんであるかを、わきまえ知りなさい。 + 実を結ばないやみのわざに加わらないで、むしろ、それを指摘してやりなさい。 + 彼らが隠れて行っていることは、口にするだけでも恥ずかしい事である。 + しかし、光にさらされる時、すべてのものは、明らかになる。 + 明らかにされたものは皆、光となるのである。だから、こう書いてある、「眠っている者よ、起きなさい。死人のなかから、立ち上がりなさい。そうすれば、キリストがあなたを照すであろう」。 + そこで、あなたがたの歩きかたによく注意して、賢くない者のようにではなく、賢い者のように歩き、 + 今の時を生かして用いなさい。今は悪い時代なのである。 + だから、愚かな者にならないで、主の御旨がなんであるかを悟りなさい。 + 酒に酔ってはいけない。それは乱行のもとである。むしろ御霊に満たされて、 + 詩とさんびと霊の歌とをもって語り合い、主にむかって心からさんびの歌をうたいなさい。 + そしてすべてのことにつき、いつも、わたしたちの主イエス・キリストの御名によって、父なる神に感謝し、 + キリストに対する恐れの心をもって、互に仕え合うべきである。 + 妻たる者よ。主に仕えるように自分の夫に仕えなさい。 + キリストが教会のかしらであって、自らは、からだなる教会の救主であられるように、夫は妻のかしらである。 + そして教会がキリストに仕えるように、妻もすべてのことにおいて、夫に仕えるべきである。 + 夫たる者よ。キリストが教会を愛してそのためにご自身をささげられたように、妻を愛しなさい。 + キリストがそうなさったのは、水で洗うことにより、言葉によって、教会をきよめて聖なるものとするためであり、 + また、しみも、しわも、そのたぐいのものがいっさいなく、清くて傷のない栄光の姿の教会を、ご自分に迎えるためである。 + それと同じく、夫も自分の妻を、自分のからだのように愛さねばならない。自分の妻を愛する者は、自分自身を愛するのである。 + 自分自身を憎んだ者は、いまだかつて、ひとりもいない。かえって、キリストが教会になさったようにして、おのれを育て養うのが常である。 + わたしたちは、キリストのからだの肢体なのである。 + 「それゆえに、人は父母を離れてその妻と結ばれ、ふたりの者は一体となるべきである」。 + この奥義は大きい。それは、キリストと教会とをさしている。 + いずれにしても、あなたがたは、それぞれ、自分の妻を自分自身のように愛しなさい。妻もまた夫を敬いなさい。 + + + 子たる者よ。主にあって両親に従いなさい。これは正しいことである。 + 「あなたの父と母とを敬え」。これが第一の戒めであって、次の約束がそれについている、 + 「そうすれば、あなたは幸福になり、地上でながく生きながらえるであろう」。 + 父たる者よ。子供をおこらせないで、主の薫陶と訓戒とによって、彼らを育てなさい。 + 僕たる者よ。キリストに従うように、恐れおののきつつ、真心をこめて、肉による主人に従いなさい。 + 人にへつらおうとして目先だけの勤めをするのでなく、キリストの僕として心から神の御旨を行い、 + 人にではなく主に仕えるように、快く仕えなさい。 + あなたがたが知っているとおり、だれでも良いことを行えば、僕であれ、自由人であれ、それに相当する報いを、それぞれ主から受けるであろう。 + 主人たる者よ。僕たちに対して、同様にしなさい。おどすことを、してはならない。あなたがたが知っているとおり、彼らとあなたがたとの主は天にいますのであり、かつ人をかたより見ることをなさらないのである。 + 最後に言う。主にあって、その偉大な力によって、強くなりなさい。 + 悪魔の策略に対抗して立ちうるために、神の武具で身を固めなさい。 + わたしたちの戦いは、血肉に対するものではなく、もろもろの支配と、権威と、やみの世の主権者、また天上にいる悪の霊に対する戦いである。 + それだから、悪しき日にあたって、よく抵抗し、完全に勝ち抜いて、堅く立ちうるために、神の武具を身につけなさい。 + すなわち、立って真理の帯を腰にしめ、正義の胸当を胸につけ、 + 平和の福音の備えを足にはき、 + その上に、信仰のたてを手に取りなさい。それをもって、悪しき者の放つ火の矢を消すことができるであろう。 + また、救のかぶとをかぶり、御霊の剣、すなわち、神の言を取りなさい。 + 絶えず祈と願いをし、どんな時でも御霊によって祈り、そのために目をさましてうむことがなく、すべての聖徒のために祈りつづけなさい。 + また、わたしが口を開くときに語るべき言葉を賜わり、大胆に福音の奥義を明らかに示しうるように、わたしのためにも祈ってほしい。 + わたしはこの福音のための使節であり、そして鎖につながれているのであるが、つながれていても、語るべき時には大胆に語れるように祈ってほしい。 + わたしがどういう様子か、何をしているかを、あなたがたに知ってもらうために、主にあって忠実に仕えている愛する兄弟テキコが、いっさいの事を報告するであろう。 + 彼をあなたがたのもとに送るのは、あなたがたがわたしたちの様子を知り、また彼によって心に励ましを受けるようになるためなのである。 + 父なる神とわたしたちの主イエス・キリストから平安ならびに信仰に伴う愛が、兄弟たちにあるように。 + 変らない真実をもって、わたしたちの主イエス・キリストを愛するすべての人々に、恵みがあるように。 + +
+
+ + キリスト・イエスの僕たち、パウロとテモテから、ピリピにいる、キリスト・イエスにあるすべての聖徒たち、ならびに監督たちと執事たちへ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしはあなたがたを思うたびごとに、わたしの神に感謝し、 + あなたがた一同のために祈るとき、いつも喜びをもって祈り、 + あなたがたが最初の日から今日に至るまで、福音にあずかっていることを感謝している。 + そして、あなたがたのうちに良いわざを始められたかたが、キリスト・イエスの日までにそれを完成して下さるにちがいないと、確信している。 + わたしが、あなたがた一同のために、そう考えるのは当然である。それは、わたしが獄に捕われている時にも、福音を弁明し立証する時にも、あなたがたをみな、共に恵みにあずかる者として、わたしの心に深く留めているからである。 + わたしがキリスト・イエスの熱愛をもって、どんなに深くあなたがた一同を思っていることか、それを証明して下さるかたは神である。 + わたしはこう祈る。あなたがたの愛が、深い知識において、するどい感覚において、いよいよ増し加わり、 + それによって、あなたがたが、何が重要であるかを判別することができ、キリストの日に備えて、純真で責められるところのないものとなり、 + イエス・キリストによる義の実に満たされて、神の栄光とほまれとをあらわすに至るように。 + さて、兄弟たちよ。わたしの身に起った事が、むしろ福音の前進に役立つようになったことを、あなたがたに知ってもらいたい。 + すなわち、わたしが獄に捕われているのはキリストのためであることが、兵営全体にもそのほかのすべての人々にも明らかになり、 + そして兄弟たちのうち多くの者は、わたしの入獄によって主にある確信を得、恐れることなく、ますます勇敢に、神の言を語るようになった。 + 一方では、ねたみや闘争心からキリストを宣べ伝える者がおり、他方では善意からそうする者がいる。 + 後者は、わたしが福音を弁明するために立てられていることを知り、愛の心でキリストを伝え、 + 前者は、わたしの入獄の苦しみに更に患難を加えようと思って、純真な心からではなく、党派心からそうしている。 + すると、どうなのか。見えからであるにしても、真実からであるにしても、要するに、伝えられているのはキリストなのだから、わたしはそれを喜んでいるし、また喜ぶであろう。 + なぜなら、あなたがたの祈と、イエス・キリストの霊の助けとによって、この事がついには、わたしの救となることを知っているからである。 + そこで、わたしが切実な思いで待ち望むことは、わたしが、どんなことがあっても恥じることなく、かえって、いつものように今も、大胆に語ることによって、生きるにも死ぬにも、わたしの身によってキリストがあがめられることである。 + わたしにとっては、生きることはキリストであり、死ぬことは益である。 + しかし、肉体において生きていることが、わたしにとっては実り多い働きになるのだとすれば、どちらを選んだらよいか、わたしにはわからない。 + わたしは、これら二つのものの間に板ばさみになっている。わたしの願いを言えば、この世を去ってキリストと共にいることであり、実は、その方がはるかに望ましい。 + しかし、肉体にとどまっていることは、あなたがたのためには、さらに必要である。 + こう確信しているので、わたしは生きながらえて、あなたがた一同のところにとどまり、あなたがたの信仰を進ませ、その喜びを得させようと思う。 + そうなれば、わたしが再びあなたがたのところに行くので、あなたがたはわたしによってキリスト・イエスにある誇を増すことになろう。 + ただ、あなたがたはキリストの福音にふさわしく生活しなさい。そして、わたしが行ってあなたがたに会うにしても、離れているにしても、あなたがたが一つの霊によって堅く立ち、一つ心になって福音の信仰のために力を合わせて戦い、 + かつ、何事についても、敵対する者どもにろうばいさせられないでいる様子を、聞かせてほしい。このことは、彼らには滅びのしるし、あなたがたには救のしるしであって、それは神から来るのである。 + あなたがたはキリストのために、ただ彼を信じることだけではなく、彼のために苦しむことをも賜わっている。 + あなたがたは、さきにわたしについて見、今またわたしについて聞いているのと同じ苦闘を、続けているのである。 + + + そこで、あなたがたに、キリストによる勧め、愛の励まし、御霊の交わり、熱愛とあわれみとが、いくらかでもあるなら、 + どうか同じ思いとなり、同じ愛の心を持ち、心を合わせ、一つ思いになって、わたしの喜びを満たしてほしい。 + 何事も党派心や虚栄からするのでなく、へりくだった心をもって互に人を自分よりすぐれた者としなさい。 + おのおの、自分のことばかりでなく、他人のことも考えなさい。 + キリスト・イエスにあっていだいているのと同じ思いを、あなたがたの間でも互に生かしなさい。 + キリストは、神のかたちであられたが、神と等しくあることを固守すべき事とは思わず、 + かえって、おのれをむなしうして僕のかたちをとり、人間の姿になられた。その有様は人と異ならず、 + おのれを低くして、死に至るまで、しかも十字架の死に至るまで従順であられた。 + それゆえに、神は彼を高く引き上げ、すべての名にまさる名を彼に賜わった。 + それは、イエスの御名によって、天上のもの、地上のもの、地下のものなど、あらゆるものがひざをかがめ、 + また、あらゆる舌が、「イエス・キリストは主である」と告白して、栄光を父なる神に帰するためである。 + わたしの愛する者たちよ。そういうわけだから、あなたがたがいつも従順であったように、わたしが一緒にいる時だけでなく、いない今は、いっそう従順でいて、恐れおののいて自分の救の達成に努めなさい。 + あなたがたのうちに働きかけて、その願いを起させ、かつ実現に至らせるのは神であって、それは神のよしとされるところだからである。 + すべてのことを、つぶやかず疑わないでしなさい。 + それは、あなたがたが責められるところのない純真な者となり、曲った邪悪な時代のただ中にあって、傷のない神の子となるためである。あなたがたは、いのちの言葉を堅く持って、彼らの間で星のようにこの世に輝いている。 + このようにして、キリストの日に、わたしは自分の走ったことがむだでなく、労したこともむだではなかったと誇ることができる。 + そして、たとい、あなたがたの信仰の供え物をささげる祭壇に、わたしの血をそそぐことがあっても、わたしは喜ぼう。あなたがた一同と共に喜ぼう。 + 同じように、あなたがたも喜びなさい。わたしと共に喜びなさい。 + さて、わたしは、まもなくテモテをあなたがたのところに送りたいと、主イエスにあって願っている。それは、あなたがたの様子を知って、わたしも力づけられたいからである。 + テモテのような心で、親身になってあなたがたのことを心配している者は、ほかにひとりもない。 + 人はみな、自分のことを求めるだけで、キリスト・イエスのことは求めていない。 + しかし、テモテの錬達ぶりは、あなたがたの知っているとおりである。すなわち、子が父に対するようにして、わたしと一緒に福音に仕えてきたのである。 + そこで、この人を、わたしの成行きがわかりしだい、すぐにでも、そちらへ送りたいと願っている。 + わたし自身もまもなく行けるものと、主にあって確信している。 + しかし、さしあたり、わたしの同労者で戦友である兄弟、また、あなたがたの使者としてわたしの窮乏を補ってくれたエパフロデトを、あなたがたのもとに送り返すことが必要だと思っている。 + 彼は、あなたがた一同にしきりに会いたがっているからである。その上、自分の病気のことがあなたがたに聞えたので、彼は心苦しく思っている。 + 彼は実に、ひん死の病気にかかったが、神は彼をあわれんで下さった。彼ばかりではなく、わたしをもあわれんで下さったので、わたしは悲しみに悲しみを重ねないですんだのである。 + そこで、大急ぎで彼を送り返す。これで、あなたがたは彼と再び会って喜び、わたしもまた、心配を和らげることができよう。 + こういうわけだから、大いに喜んで、主にあって彼を迎えてほしい。また、こうした人々は尊重せねばならない。 + 彼は、わたしに対してあなたがたが奉仕のできなかった分を補おうとして、キリストのわざのために命をかけ、死ぬばかりになったのである。 + + + 最後に、わたしの兄弟たちよ。主にあって喜びなさい。さきに書いたのと同じことをここで繰り返すが、それは、わたしには煩らわしいことではなく、あなたがたには安全なことになる。 + あの犬どもを警戒しなさい。悪い働き人たちを警戒しなさい。肉に割礼の傷をつけている人たちを警戒しなさい。 + 神の霊によって礼拝をし、キリスト・イエスを誇とし、肉を頼みとしないわたしたちこそ、割礼の者である。 + もとより、肉の頼みなら、わたしにも無くはない。もし、だれかほかの人が肉を頼みとしていると言うなら、わたしはそれをもっと頼みとしている。 + わたしは八日目に割礼を受けた者、イスラエルの民族に属する者、ベニヤミン族の出身、ヘブル人の中のヘブル人、律法の上ではパリサイ人、 + 熱心の点では教会の迫害者、律法の義については落ち度のない者である。 + しかし、わたしにとって益であったこれらのものを、キリストのゆえに損と思うようになった。 + わたしは、更に進んで、わたしの主キリスト・イエスを知る知識の絶大な価値のゆえに、いっさいのものを損と思っている。キリストのゆえに、わたしはすべてを失ったが、それらのものを、ふん土のように思っている。それは、わたしがキリストを得るためであり、 + 律法による自分の義ではなく、キリストを信じる信仰による義、すなわち、信仰に基く神からの義を受けて、キリストのうちに自分を見いだすようになるためである。 + すなわち、キリストとその復活の力とを知り、その苦難にあずかって、その死のさまとひとしくなり、 + なんとかして死人のうちからの復活に達したいのである。 + わたしがすでにそれを得たとか、すでに完全な者になっているとか言うのではなく、ただ捕えようとして追い求めているのである。そうするのは、キリスト・イエスによって捕えられているからである。 + 兄弟たちよ。わたしはすでに捕えたとは思っていない。ただこの一事を努めている。すなわち、後のものを忘れ、前のものに向かってからだを伸ばしつつ、 + 目標を目ざして走り、キリスト・イエスにおいて上に召して下さる神の賞与を得ようと努めているのである。 + だから、わたしたちの中で全き人たちは、そのように考えるべきである。しかし、あなたがたが違った考えを持っているなら、神はそのことも示して下さるであろう。 + ただ、わたしたちは、達し得たところに従って進むべきである。 + 兄弟たちよ。どうか、わたしにならう者となってほしい。また、あなたがたの模範にされているわたしたちにならって歩く人たちに、目をとめなさい。 + わたしがそう言うのは、キリストの十字架に敵対して歩いている者が多いからである。わたしは、彼らのことをしばしばあなたがたに話したが、今また涙を流して語る。 + 彼らの最後は滅びである。彼らの神はその腹、彼らの栄光はその恥、彼らの思いは地上のことである。 + しかし、わたしたちの国籍は天にある。そこから、救主、主イエス・キリストのこられるのを、わたしたちは待ち望んでいる。 + 彼は、万物をご自身に従わせうる力の働きによって、わたしたちの卑しいからだを、ご自身の栄光のからだと同じかたちに変えて下さるであろう。 + + + だから、わたしの愛し慕っている兄弟たちよ。わたしの喜びであり冠である愛する者たちよ。このように、主にあって堅く立ちなさい。 + わたしはユウオデヤに勧め、またスントケに勧める。どうか、主にあって一つ思いになってほしい。 + ついては、真実な協力者よ。あなたにお願いする。このふたりの女を助けてあげなさい。彼らは、「いのちの書」に名を書きとめられているクレメンスや、その他の同労者たちと協力して、福音のためにわたしと共に戦ってくれた女たちである。 + あなたがたは、主にあっていつも喜びなさい。繰り返して言うが、喜びなさい。 + あなたがたの寛容を、みんなの人に示しなさい。主は近い。 + 何事も思い煩ってはならない。ただ、事ごとに、感謝をもって祈と願いとをささげ、あなたがたの求めるところを神に申し上げるがよい。 + そうすれば、人知ではとうてい測り知ることのできない神の平安が、あなたがたの心と思いとを、キリスト・イエスにあって守るであろう。 + 最後に、兄弟たちよ。すべて真実なこと、すべて尊ぶべきこと、すべて正しいこと、すべて純真なこと、すべて愛すべきこと、すべてほまれあること、また徳といわれるもの、称賛に値するものがあれば、それらのものを心にとめなさい。 + あなたがたが、わたしから学んだこと、受けたこと、聞いたこと、見たことは、これを実行しなさい。そうすれば、平和の神が、あなたがたと共にいますであろう。 + さて、わたしが主にあって大いに喜んでいるのは、わたしを思う心が、あなたがたに今またついに芽ばえてきたことである。実は、あなたがたは、わたしのことを心にかけてくれてはいたが、よい機会がなかったのである。 + わたしは乏しいから、こう言うのではない。わたしは、どんな境遇にあっても、足ることを学んだ。 + わたしは貧に処する道を知っており、富におる道も知っている。わたしは、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、ありとあらゆる境遇に処する秘けつを心得ている。 + わたしを強くして下さるかたによって、何事でもすることができる。 + しかし、あなたがたは、よくもわたしと患難を共にしてくれた。 + ピリピの人たちよ。あなたがたも知っているとおり、わたしが福音を宣伝し始めたころ、マケドニヤから出かけて行った時、物のやりとりをしてわたしの働きに参加した教会は、あなたがたのほかには全く無かった。 + またテサロニケでも、一再ならず、物を送ってわたしの欠乏を補ってくれた。 + わたしは、贈り物を求めているのではない。わたしの求めているのは、あなたがたの勘定をふやしていく果実なのである。 + わたしは、すべての物を受けてあり余るほどである。エパフロデトから、あなたがたの贈り物をいただいて、飽き足りている。それは、かんばしいかおりであり、神の喜んで受けて下さる供え物である。 + わたしの神は、ご自身の栄光の富の中から、あなたがたのいっさいの必要を、キリスト・イエスにあって満たして下さるであろう。 + わたしたちの父なる神に、栄光が世々限りなくあるように、アァメン。 + キリスト・イエスにある聖徒のひとりびとりに、よろしく。わたしと一緒にいる兄弟たちから、あなたがたによろしく。 + すべての聖徒たちから、特にカイザルの家の者たちから、よろしく。 + 主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように。 + +
+
+ + 神の御旨によるキリスト・イエスの使徒パウロと兄弟テモテから、 + コロサイにいる、キリストにある聖徒たち、忠実な兄弟たちへ。わたしたちの父なる神から、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしたちは、いつもあなたがたのために祈り、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神に感謝している。 + これは、キリスト・イエスに対するあなたがたの信仰と、すべての聖徒に対していだいているあなたがたの愛とを、耳にしたからである。 + この愛は、あなたがたのために天にたくわえられている望みに基くものであり、その望みについては、あなたがたはすでに、あなたがたのところまで伝えられた福音の真理の言葉によって聞いている。 + そして、この福音は、世界中いたる所でそうであるように、あなたがたのところでも、これを聞いて神の恵みを知ったとき以来、実を結んで成長しているのである。 + あなたがたはこの福音を、わたしたちと同じ僕である、愛するエペフラスから学んだのであった。彼はあなたがたのためのキリストの忠実な奉仕者であって、 + あなたがたが御霊によっていだいている愛を、わたしたちに知らせてくれたのである。 + そういうわけで、これらの事を耳にして以来、わたしたちも絶えずあなたがたのために祈り求めているのは、あなたがたがあらゆる霊的な知恵と理解力とをもって、神の御旨を深く知り、 + 主のみこころにかなった生活をして真に主を喜ばせ、あらゆる良いわざを行って実を結び、神を知る知識をいよいよ増し加えるに至ることである。 + 更にまた祈るのは、あなたがたが、神の栄光の勢いにしたがって賜わるすべての力によって強くされ、何事も喜んで耐えかつ忍び、 + 光のうちにある聖徒たちの特権にあずかるに足る者とならせて下さった父なる神に、感謝することである。 + 神は、わたしたちをやみの力から救い出して、その愛する御子の支配下に移して下さった。 + わたしたちは、この御子によってあがない、すなわち、罪のゆるしを受けているのである。 + 御子は、見えない神のかたちであって、すべての造られたものに先だって生れたかたである。 + 万物は、天にあるものも地にあるものも、見えるものも見えないものも、位も主権も、支配も権威も、みな御子にあって造られたからである。これらいっさいのものは、御子によって造られ、御子のために造られたのである。 + 彼は万物よりも先にあり、万物は彼にあって成り立っている。 + そして自らは、そのからだなる教会のかしらである。彼は初めの者であり、死人の中から最初に生れたかたである。それは、ご自身がすべてのことにおいて第一の者となるためである。 + 神は、御旨によって、御子のうちにすべての満ちみちた徳を宿らせ、 + そして、その十字架の血によって平和をつくり、万物、すなわち、地にあるもの、天にあるものを、ことごとく、彼によってご自分と和解させて下さったのである。 + あなたがたも、かつては悪い行いをして神から離れ、心の中で神に敵対していた。 + しかし今では、御子はその肉のからだにより、その死をとおして、あなたがたを神と和解させ、あなたがたを聖なる、傷のない、責められるところのない者として、みまえに立たせて下さったのである。 + ただし、あなたがたは、ゆるぐことがなく、しっかりと信仰にふみとどまり、すでに聞いている福音の望みから移り行くことのないようにすべきである。この福音は、天の下にあるすべての造られたものに対して宣べ伝えられたものであって、それにこのパウロが奉仕しているのである。 + 今わたしは、あなたがたのための苦難を喜んで受けており、キリストのからだなる教会のために、キリストの苦しみのなお足りないところを、わたしの肉体をもって補っている。 + わたしは、神の言を告げひろめる務を、あなたがたのために神から与えられているが、そのために教会に奉仕する者になっているのである。 + その言の奥義は、代々にわたってこの世から隠されていたが、今や神の聖徒たちに明らかにされたのである。 + 神は彼らに、異邦人の受くべきこの奥義が、いかに栄光に富んだものであるかを、知らせようとされたのである。この奥義は、あなたがたのうちにいますキリストであり、栄光の望みである。 + わたしたちはこのキリストを宣べ伝え、知恵をつくしてすべての人を訓戒し、また、すべての人を教えている。それは、彼らがキリストにあって全き者として立つようになるためである。 + わたしはこのために、わたしのうちに力強く働いておられるかたの力により、苦闘しながら努力しているのである。 + + + わたしが、あなたがたとラオデキヤにいる人たちのため、また、直接にはまだ会ったことのない人々のために、どんなに苦闘しているか、わかってもらいたい。 + それは彼らが、心を励まされ、愛によって結び合わされ、豊かな理解力を十分に与えられ、神の奥義なるキリストを知るに至るためである。 + キリストのうちには、知恵と知識との宝が、いっさい隠されている。 + わたしがこう言うのは、あなたがたが、だれにも巧みな言葉で迷わされることのないためである。 + たとい、わたしは肉体においては離れていても、霊においてはあなたがたと一緒にいて、あなたがたの秩序正しい様子とキリストに対するあなたがたの強固な信仰とを見て、喜んでいる。 + このように、あなたがたは主キリスト・イエスを受けいれたのだから、彼にあって歩きなさい。 + また、彼に根ざし、彼にあって建てられ、そして教えられたように、信仰が確立されて、あふれるばかり感謝しなさい。 + あなたがたは、むなしいだましごとの哲学で、人のとりこにされないように、気をつけなさい。それはキリストに従わず、世のもろもろの霊力に従う人間の言伝えに基くものにすぎない。 + キリストにこそ、満ちみちているいっさいの神の徳が、かたちをとって宿っており、 + そしてあなたがたは、キリストにあって、それに満たされているのである。彼はすべての支配と権威とのかしらであり、 + あなたがたはまた、彼にあって、手によらない割礼、すなわち、キリストの割礼を受けて、肉のからだを脱ぎ捨てたのである。 + あなたがたはバプテスマを受けて彼と共に葬られ、同時に、彼を死人の中からよみがえらせた神の力を信じる信仰によって、彼と共によみがえらされたのである。 + あなたがたは、先には罪の中にあり、かつ肉の割礼がないままで死んでいた者であるが、神は、あなたがたをキリストと共に生かし、わたしたちのいっさいの罪をゆるして下さった。 + 神は、わたしたちを責めて不利におとしいれる証書を、その規定もろともぬり消し、これを取り除いて、十字架につけてしまわれた。 + そして、もろもろの支配と権威との武装を解除し、キリストにあって凱旋し、彼らをその行列に加えて、さらしものとされたのである。 + だから、あなたがたは、食物と飲み物とにつき、あるいは祭や新月や安息日などについて、だれにも批評されてはならない。 + これらは、きたるべきものの影であって、その本体はキリストにある。 + あなたがたは、わざとらしい謙そんと天使礼拝とにおぼれている人々から、いろいろと悪評されてはならない。彼らは幻を見たことを重んじ、肉の思いによっていたずらに誇るだけで、 + キリストなるかしらに、しっかりと着くことをしない。このかしらから出て、からだ全体は、節と節、筋と筋とによって強められ結び合わされ、神に育てられて成長していくのである。 + もしあなたがたが、キリストと共に死んで世のもろもろの霊力から離れたのなら、なぜ、なおこの世に生きているもののように、 + 「さわるな、味わうな、触れるな」などという規定に縛られているのか。 + これらは皆、使えば尽きてしまうもの、人間の規定や教によっているものである。 + これらのことは、ひとりよがりの礼拝とわざとらしい謙そんと、からだの苦行とをともなうので、知恵のあるしわざらしく見えるが、実は、ほしいままな肉欲を防ぐのに、なんの役にも立つものではない。 + + + このように、あなたがたはキリストと共によみがえらされたのだから、上にあるものを求めなさい。そこではキリストが神の右に座しておられるのである。 + あなたがたは上にあるものを思うべきであって、地上のものに心を引かれてはならない。 + あなたがたはすでに死んだものであって、あなたがたのいのちは、キリストと共に神のうちに隠されているのである。 + わたしたちのいのちなるキリストが現れる時には、あなたがたも、キリストと共に栄光のうちに現れるであろう。 + だから、地上の肢体、すなわち、不品行、汚れ、情欲、悪欲、また貪欲を殺してしまいなさい。貪欲は偶像礼拝にほかならない。 + これらのことのために、神の怒りが下るのである。 + あなたがたも、以前これらのうちに日を過ごしていた時には、これらのことをして歩いていた。 + しかし今は、これらいっさいのことを捨て、怒り、憤り、悪意、そしり、口から出る恥ずべき言葉を、捨ててしまいなさい。 + 互にうそを言ってはならない。あなたがたは、古き人をその行いと一緒に脱ぎ捨て、 + 造り主のかたちに従って新しくされ、真の知識に至る新しき人を着たのである。 + そこには、もはやギリシヤ人とユダヤ人、割礼と無割礼、未開の人、スクテヤ人、奴隷、自由人の差別はない。キリストがすべてであり、すべてのもののうちにいますのである。 + だから、あなたがたは、神に選ばれた者、聖なる、愛されている者であるから、あわれみの心、慈愛、謙そん、柔和、寛容を身に着けなさい。 + 互に忍びあい、もし互に責むべきことがあれば、ゆるし合いなさい。主もあなたがたをゆるして下さったのだから、そのように、あなたがたもゆるし合いなさい。 + これらいっさいのものの上に、愛を加えなさい。愛は、すべてを完全に結ぶ帯である。 + キリストの平和が、あなたがたの心を支配するようにしなさい。あなたがたが召されて一体となったのは、このためでもある。いつも感謝していなさい。 + キリストの言葉を、あなたがたのうちに豊かに宿らせなさい。そして、知恵をつくして互に教えまた訓戒し、詩とさんびと霊の歌とによって、感謝して心から神をほめたたえなさい。 + そして、あなたのすることはすべて、言葉によるとわざによるとを問わず、いっさい主イエスの名によってなし、彼によって父なる神に感謝しなさい。 + 妻たる者よ、夫に仕えなさい。それが、主にある者にふさわしいことである。 + 夫たる者よ、妻を愛しなさい。つらくあたってはいけない。 + 子たる者よ、何事についても両親に従いなさい。これが主に喜ばれることである。 + 父たる者よ、子供をいらだたせてはいけない。心がいじけるかも知れないから。 + 僕たる者よ、何事についても、肉による主人に従いなさい。人にへつらおうとして、目先だけの勤めをするのではなく、真心をこめて主を恐れつつ、従いなさい。 + 何をするにも、人に対してではなく、主に対してするように、心から働きなさい。 + あなたがたが知っているとおり、あなたがたは御国をつぐことを、報いとして主から受けるであろう。あなたがたは、主キリストに仕えているのである。 + 不正を行う者は、自分の行った不正に対して報いを受けるであろう。それには差別扱いはない。 + + + 主人たる者よ、僕を正しく公平に扱いなさい。あなたがたにも主が天にいますことが、わかっているのだから。 + 目をさまして、感謝のうちに祈り、ひたすら祈り続けなさい。 + 同時にわたしたちのためにも、神が御言のために門を開いて下さって、わたしたちがキリストの奥義を語れるように(わたしは、実は、そのために獄につながれているのである)、 + また、わたしが語るべきことをはっきりと語れるように、祈ってほしい。 + 今の時を生かして用い、そとの人に対して賢く行動しなさい。 + いつも、塩で味つけられた、やさしい言葉を使いなさい。そうすれば、ひとりびとりに対してどう答えるべきか、わかるであろう。 + わたしの様子については、主にあって共に僕であり、また忠実に仕えている愛する兄弟テキコが、あなたがたにいっさいのことを報告するであろう。 + わたしが彼をあなたがたのもとに送るのは、わたしたちの様子を知り、また彼によって心に励ましを受けるためなのである。 + あなたがたのひとり、忠実な愛する兄弟オネシモをも、彼と共に送る。彼らはあなたがたに、こちらのいっさいの事情を知らせるであろう。 + わたしと一緒に捕われの身となっているアリスタルコと、バルナバのいとこマルコとが、あなたがたによろしくと言っている。このマルコについては、もし彼があなたがたのもとに行くなら、迎えてやるようにとのさしずを、あなたがたはすでに受けているはずである。 + また、ユストと呼ばれているイエスからもよろしく。割礼の者の中で、この三人だけが神の国のために働く同労者であって、わたしの慰めとなった者である。 + あなたがたのうちのひとり、キリスト・イエスの僕エパフラスから、よろしく。彼はいつも、祈のうちであなたがたを覚え、あなたがたが全き人となり、神の御旨をことごとく確信して立つようにと、熱心に祈っている。 + わたしは、彼があなたがたのため、またラオデキヤとヒエラポリスの人々のために、ひじょうに心労していることを、証言する。 + 愛する医者ルカとデマスとが、あなたがたによろしく。 + ラオデキヤの兄弟たちに、またヌンパとその家にある教会とに、よろしく。 + この手紙があなたがたの所で朗読されたら、ラオデキヤの教会でも朗読されるように、取り計らってほしい。またラオデキヤからまわって来る手紙を、あなたがたも朗読してほしい。 + アルキポに、「主にあって受けた務をよく果すように」と伝えてほしい。 + パウロ自身が、手ずからこのあいさつを書く。わたしが獄につながれていることを、覚えていてほしい。恵みが、あなたがたと共にあるように。 + +
+
+ + パウロとシルワノとテモテから、父なる神と主イエス・キリストとにあるテサロニケ人たちの教会へ。恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしたちは祈の時にあなたがたを覚え、あなたがた一同のことを、いつも神に感謝し、 + あなたがたの信仰の働きと、愛の労苦と、わたしたちの主イエス・キリストに対する望みの忍耐とを、わたしたちの父なる神のみまえに、絶えず思い起している。 + 神に愛されている兄弟たちよ。わたしたちは、あなたがたが神に選ばれていることを知っている。 + なぜなら、わたしたちの福音があなたがたに伝えられたとき、それは言葉だけによらず、力と聖霊と強い確信とによったからである。わたしたちが、あなたがたの間で、みんなのためにどんなことをしたか、あなたがたの知っているとおりである。 + そしてあなたがたは、多くの患難の中で、聖霊による喜びをもって御言を受けいれ、わたしたちと主とにならう者となり、 + こうして、マケドニヤとアカヤとにいる信者全体の模範になった。 + すなわち、主の言葉はあなたがたから出て、ただマケドニヤとアカヤとに響きわたっているばかりではなく、至るところで、神に対するあなたがたの信仰のことが言いひろめられたので、これについては何も述べる必要はないほどである。 + わたしたちが、どんなにしてあなたがたの所にはいって行ったか、また、あなたがたが、どんなにして偶像を捨てて神に立ち帰り、生けるまことの神に仕えるようになり、 + そして、死人の中からよみがえった神の御子、すなわち、わたしたちをきたるべき怒りから救い出して下さるイエスが、天から下ってこられるのを待つようになったかを、彼ら自身が言いひろめているのである。 + + + 兄弟たちよ。あなたがた自身が知っているとおり、わたしたちがあなたがたの所にはいって行ったことは、むだではなかった。 + それどころか、あなたがたが知っているように、わたしたちは、先にピリピで苦しめられ、はずかしめられたにもかかわらず、わたしたちの神に勇気を与えられて、激しい苦闘のうちに神の福音をあなたがたに語ったのである。 + いったい、わたしたちの宣教は、迷いや汚れた心から出たものでもなく、だましごとでもない。 + かえって、わたしたちは神の信任を受けて福音を託されたので、人間に喜ばれるためではなく、わたしたちの心を見分ける神に喜ばれるように、福音を語るのである。 + わたしたちは、あなたがたが知っているように、決してへつらいの言葉を用いたこともなく、口実を設けて、むさぼったこともない。それは、神があかしして下さる。 + また、わたしたちは、キリストの使徒として重んじられることができたのであるが、あなたがたからにもせよ、ほかの人々からにもせよ、人間からの栄誉を求めることはしなかった。 + むしろ、あなたがたの間で、ちょうど母がその子供を育てるように、やさしくふるまった。 + このように、あなたがたを慕わしく思っていたので、ただ神の福音ばかりではなく、自分のいのちまでもあなたがたに与えたいと願ったほどに、あなたがたを愛したのである。 + 兄弟たちよ。あなたがたはわたしたちの労苦と努力とを記憶していることであろう。すなわち、あなたがたのだれにも負担をかけまいと思って、日夜はたらきながら、あなたがたに神の福音を宣べ伝えた。 + あなたがたもあかしし、神もあかしして下さるように、わたしたちはあなたがた信者の前で、信心深く、正しく、責められるところがないように、生活をしたのである。 + そして、あなたがたも知っているとおり、父がその子に対してするように、あなたがたのひとりびとりに対して、 + 御国とその栄光とに召して下さった神のみこころにかなって歩くようにと、勧め、励まし、また、さとしたのである。 + これらのことを考えて、わたしたちがまた絶えず神に感謝しているのは、あなたがたがわたしたちの説いた神の言を聞いた時に、それを人間の言葉としてではなく、神の言として――事実そのとおりであるが――受けいれてくれたことである。そして、この神の言は、信じるあなたがたのうちに働いているのである。 + 兄弟たちよ。あなたがたは、ユダヤの、キリスト・イエスにある神の諸教会にならう者となった。すなわち、彼らがユダヤ人たちから苦しめられたと同じように、あなたがたもまた同国人から苦しめられた。 + ユダヤ人たちは主イエスと預言者たちとを殺し、わたしたちを迫害し、神を喜ばせず、すべての人に逆らい、 + わたしたちが異邦人に救の言を語るのを妨げて、絶えず自分の罪を満たしている。そこで、神の怒りは最も激しく彼らに臨むに至ったのである。 + 兄弟たちよ。わたしたちは、しばらくの間、あなたがたから引き離されていたので――心においてではなく、からだだけではあるが――なおさら、あなたがたの顔を見たいと切にこいねがった。 + だから、わたしたちは、あなたがたの所に行こうとした。ことに、このパウロは、一再ならず行こうとしたのである。それだのに、わたしたちはサタンに妨げられた。 + 実際、わたしたちの主イエスの来臨にあたって、わたしたちの望みと喜びと誇の冠となるべき者は、あなたがたを外にして、だれがあるだろうか。 + あなたがたこそ、実にわたしたちのほまれであり、喜びである。 + + + そこで、わたしたちはこれ以上耐えられなくなって、わたしたちだけがアテネに留まることに定め、 + わたしたちの兄弟で、キリストの福音における神の同労者テモテをつかわした。それは、あなたがたの信仰を強め、 + このような患難の中にあって、動揺する者がひとりもないように励ますためであった。あなたがたの知っているとおり、わたしたちは患難に会うように定められているのである。 + そして、あなたがたの所にいたとき、わたしたちがやがて患難に会うことをあらかじめ言っておいたが、あなたがたの知っているように、今そのとおりになったのである。 + そこで、わたしはこれ以上耐えられなくなって、もしや「試みる者」があなたがたを試み、そのためにわたしたちの労苦がむだになりはしないかと気づかって、あなたがたの信仰を知るために、彼をつかわしたのである。 + ところが今テモテが、あなたがたの所からわたしたちのもとに帰ってきて、あなたがたの信仰と愛とについて知らせ、また、あなたがたがいつもわたしたちのことを覚え、わたしたちがあなたがたに会いたく思っていると同じように、わたしたちにしきりに会いたがっているという吉報をもたらした。 + 兄弟たちよ。それによって、わたしたちはあらゆる苦難と患難との中にありながら、あなたがたの信仰によって慰められた。 + なぜなら、あなたがたが主にあって堅く立ってくれるなら、わたしたちはいま生きることになるからである。 + ほんとうに、わたしたちの神のみまえで、あなたがたのことで喜ぶ大きな喜びのために、どんな感謝を神にささげたらよいだろうか。 + わたしたちは、あなたがたの顔を見、あなたがたの信仰の足りないところを補いたいと、日夜しきりに願っているのである。 + どうか、わたしたちの父なる神ご自身と、わたしたちの主イエスとが、あなたがたのところへ行く道を、わたしたちに開いて下さるように。 + どうか、主が、あなたがた相互の愛とすべての人に対する愛とを、わたしたちがあなたがたを愛する愛と同じように、増し加えて豊かにして下さるように。 + そして、どうか、わたしたちの主イエスが、そのすべての聖なる者と共にこられる時、神のみまえに、あなたがたの心を強め、清く、責められるところのない者にして下さるように。 + + + 最後に、兄弟たちよ。わたしたちは主イエスにあってあなたがたに願いかつ勧める。あなたがたが、どのように歩いて神を喜ばすべきかをわたしたちから学んだように、また、いま歩いているとおりに、ますます歩き続けなさい。 + わたしたちがどういう教を主イエスによって与えたか、あなたがたはよく知っている。 + 神のみこころは、あなたがたが清くなることである。すなわち、不品行を慎み、 + 各自、気をつけて自分のからだを清く尊く保ち、 + 神を知らない異邦人のように情欲をほしいままにせず、 + また、このようなことで兄弟を踏みつけたり、だましたりしてはならない。前にもあなたがたにきびしく警告しておいたように、主はこれらすべてのことについて、報いをなさるからである。 + 神がわたしたちを召されたのは、汚れたことをするためではなく、清くなるためである。 + こういうわけであるから、これらの警告を拒む者は、人を拒むのではなく、聖霊をあなたがたの心に賜わる神を拒むのである。 + 兄弟愛については、今さら書きおくる必要はない。あなたがたは、互に愛し合うように神に直接教えられており、 + また、事実マケドニヤ全土にいるすべての兄弟に対して、それを実行しているのだから。しかし、兄弟たちよ。あなたがたに勧める。ますます、そうしてほしい。 + そして、あなたがたに命じておいたように、つとめて落ち着いた生活をし、自分の仕事に身をいれ、手ずから働きなさい。 + そうすれば、外部の人々に対して品位を保ち、まただれの世話にもならずに、生活できるであろう。 + 兄弟たちよ。眠っている人々については、無知でいてもらいたくない。望みを持たない外の人々のように、あなたがたが悲しむことのないためである。 + わたしたちが信じているように、イエスが死んで復活されたからには、同様に神はイエスにあって眠っている人々をも、イエスと一緒に導き出して下さるであろう。 + わたしたちは主の言葉によって言うが、生きながらえて主の来臨の時まで残るわたしたちが、眠った人々より先になることは、決してないであろう。 + すなわち、主ご自身が天使のかしらの声と神のラッパの鳴り響くうちに、合図の声で、天から下ってこられる。その時、キリストにあって死んだ人々が、まず最初によみがえり、 + それから生き残っているわたしたちが、彼らと共に雲に包まれて引き上げられ、空中で主に会い、こうして、いつも主と共にいるであろう。 + だから、あなたがたは、これらの言葉をもって互に慰め合いなさい。 + + + 兄弟たちよ。その時期と場合とについては、書きおくる必要はない。 + あなたがた自身がよく知っているとおり、主の日は盗人が夜くるように来る。 + 人々が平和だ無事だと言っているその矢先に、ちょうど妊婦に産みの苦しみが臨むように、突如として滅びが彼らをおそって来る。そして、それからのがれることは決してできない。 + しかし兄弟たちよ。あなたがたは暗やみの中にいないのだから、その日が、盗人のようにあなたがたを不意に襲うことはないであろう。 + あなたがたはみな光の子であり、昼の子なのである。わたしたちは、夜の者でもやみの者でもない。 + だから、ほかの人々のように眠っていないで、目をさまして慎んでいよう。 + 眠る者は夜眠り、酔う者は夜酔うのである。 + しかし、わたしたちは昼の者なのだから、信仰と愛との胸当を身につけ、救の望みのかぶとをかぶって、慎んでいよう。 + 神は、わたしたちを怒りにあわせるように定められたのではなく、わたしたちの主イエス・キリストによって救を得るように定められたのである。 + キリストがわたしたちのために死なれたのは、さめていても眠っていても、わたしたちが主と共に生きるためである。 + だから、あなたがたは、今しているように、互に慰め合い、相互の徳を高めなさい。 + 兄弟たちよ。わたしたちはお願いする。どうか、あなたがたの間で労し、主にあってあなたがたを指導し、かつ訓戒している人々を重んじ、 + 彼らの働きを思って、特に愛し敬いなさい。互に平和に過ごしなさい。 + 兄弟たちよ。あなたがたにお勧めする。怠惰な者を戒め、小心な者を励まし、弱い者を助け、すべての人に対して寛容でありなさい。 + だれも悪をもって悪に報いないように心がけ、お互に、またみんなに対して、いつも善を追い求めなさい。 + いつも喜んでいなさい。 + 絶えず祈りなさい。 + すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに求めておられることである。 + 御霊を消してはいけない。 + 預言を軽んじてはならない。 + すべてのものを識別して、良いものを守り、 + あらゆる種類の悪から遠ざかりなさい。 + どうか、平和の神ご自身が、あなたがたを全くきよめて下さるように。また、あなたがたの霊と心とからだとを完全に守って、わたしたちの主イエス・キリストの来臨のときに、責められるところのない者にして下さるように。 + あなたがたを召されたかたは真実であられるから、このことをして下さるであろう。 + 兄弟たちよ。わたしたちのためにも、祈ってほしい。 + すべての兄弟たちに、きよい接吻をもって、よろしく伝えてほしい。 + わたしは主によって命じる。この手紙を、みんなの兄弟に読み聞かせなさい。 + わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたと共にあるように。 + +
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+ + パウロとシルワノとテモテから、わたしたちの父なる神と主イエス・キリストとにあるテサロニケ人たちの教会へ。 + 父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + 兄弟たちよ。わたしたちは、いつもあなたがたのことを神に感謝せずにはおられない。またそうするのが当然である。それは、あなたがたの信仰が大いに成長し、あなたがたひとりびとりの愛が、お互の間に増し加わっているからである。 + そのために、わたしたち自身は、あなたがたがいま受けているあらゆる迫害と患難とのただ中で示している忍耐と信仰とにつき、神の諸教会に対してあなたがたを誇としている。 + これは、あなたがたを、神の国にふさわしい者にしようとする神のさばきが正しいことを、証拠だてるものである。その神の国のために、あなたがたも苦しんでいるのである。 + すなわち、あなたがたを悩ます者には患難をもって報い、悩まされているあなたがたには、わたしたちと共に、休息をもって報いて下さるのが、神にとって正しいことだからである。 + それは、主イエスが炎の中で力ある天使たちを率いて天から現れる時に実現する。 + その時、主は神を認めない者たちや、わたしたちの主イエスの福音に聞き従わない者たちに報復し、 + そして、彼らは主のみ顔とその力の栄光から退けられて、永遠の滅びに至る刑罰を受けるであろう。 + その日に、イエスは下ってこられ、聖徒たちの中であがめられ、すべて信じる者たちの間で驚嘆されるであろう――わたしたちのこのあかしは、あなたがたによって信じられているのである。 + このためにまた、わたしたちは、わたしたちの神があなたがたを召しにかなう者となし、善に対するあらゆる願いと信仰の働きとを力強く満たして下さるようにと、あなたがたのために絶えず祈っている。 + それは、わたしたちの神と主イエス・キリストとの恵みによって、わたしたちの主イエスの御名があなたがたの間であがめられ、あなたがたも主にあって栄光を受けるためである。 + + + さて兄弟たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの来臨と、わたしたちがみもとに集められることとについて、あなたがたにお願いすることがある。 + 霊により、あるいは言葉により、あるいはわたしたちから出たという手紙によって、主の日はすでにきたとふれまわる者があっても、すぐさま心を動かされたり、あわてたりしてはいけない。 + だれがどんな事をしても、それにだまされてはならない。まず背教のことが起り、不法の者、すなわち、滅びの子が現れるにちがいない。 + 彼は、すべて神と呼ばれたり拝まれたりするものに反抗して立ち上がり、自ら神の宮に座して、自分は神だと宣言する。 + わたしがまだあなたがたの所にいた時、これらの事をくり返して言ったのを思い出さないのか。 + そして、あなたがたが知っているとおり、彼が自分に定められた時になってから現れるように、いま彼を阻止しているものがある。 + 不法の秘密の力が、すでに働いているのである。ただそれは、いま阻止している者が取り除かれる時までのことである。 + その時になると、不法の者が現れる。この者を、主イエスは口の息をもって殺し、来臨の輝きによって滅ぼすであろう。 + 不法の者が来るのは、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力と、しるしと、不思議と、 + また、あらゆる不義の惑わしとを、滅ぶべき者どもに対して行うためである。彼らが滅びるのは、自分らの救となるべき真理に対する愛を受けいれなかった報いである。 + そこで神は、彼らが偽りを信じるように、迷わす力を送り、 + こうして、真理を信じないで不義を喜んでいたすべての人を、さばくのである。 + しかし、主に愛されている兄弟たちよ。わたしたちはいつもあなたがたのことを、神に感謝せずにはおられない。それは、神があなたがたを初めから選んで、御霊によるきよめと、真理に対する信仰とによって、救を得させようとし、 + そのために、わたしたちの福音によりあなたがたを召して、わたしたちの主イエス・キリストの栄光にあずからせて下さるからである。 + そこで、兄弟たちよ。堅く立って、わたしたちの言葉や手紙で教えられた言伝えを、しっかりと守り続けなさい。 + どうか、わたしたちの主イエス・キリストご自身と、わたしたちを愛し、恵みをもって永遠の慰めと確かな望みとを賜わるわたしたちの父なる神とが、 + あなたがたの心を励まし、あなたがたを強めて、すべての良いわざを行い、正しい言葉を語る者として下さるように。 + + + 最後に、兄弟たちよ。わたしたちのために祈ってほしい。どうか主の言葉が、あなたがたの所と同じように、ここでも早く広まり、また、あがめられるように。 + また、どうか、わたしたちが不都合な悪人から救われるように。事実、すべての人が信仰を持っているわけではない。 + しかし、主は真実なかたであるから、あなたがたを強め、悪しき者から守って下さるであろう。 + わたしたちが命じる事を、あなたがたは現に実行しており、また、実行するであろうと、わたしたちは、主にあって確信している。 + どうか、主があなたがたの心を導いて、神の愛とキリストの忍耐とを持たせて下さるように。 + 兄弟たちよ。主イエス・キリストの名によってあなたがたに命じる。怠惰な生活をして、わたしたちから受けた言伝えに従わないすべての兄弟たちから、遠ざかりなさい。 + わたしたちに、どうならうべきであるかは、あなたがた自身が知っているはずである。あなたがたの所にいた時には、わたしたちは怠惰な生活をしなかったし、 + 人からパンをもらって食べることもしなかった。それどころか、あなたがたのだれにも負担をかけまいと、日夜、労苦し努力して働き続けた。 + それは、わたしたちにその権利がないからではなく、ただわたしたちにあなたがたが見習うように、身をもって模範を示したのである。 + また、あなたがたの所にいた時に、「働こうとしない者は、食べることもしてはならない」と命じておいた。 + ところが、聞くところによると、あなたがたのうちのある者は怠惰な生活を送り、働かないで、ただいたずらに動きまわっているとのことである。 + こうした人々に対しては、静かに働いて自分で得たパンを食べるように、主イエス・キリストによって命じまた勧める。 + 兄弟たちよ。あなたがたは、たゆまずに良い働きをしなさい。 + もしこの手紙にしるしたわたしたちの言葉に聞き従わない人があれば、そのような人には注意をして、交際しないがよい。彼が自ら恥じるようになるためである。 + しかし、彼を敵のように思わないで、兄弟として訓戒しなさい。 + どうか、平和の主ご自身が、いついかなる場合にも、あなたがたに平和を与えて下さるように。主があなたがた一同と共におられるように。 + ここでパウロ自身が、手ずからあいさつを書く。これは、わたしのどの手紙にも書く印である。わたしは、このように書く。 + どうか、わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にあるように。 + +
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+ + わたしたちの救主なる神と、わたしたちの望みであるキリスト・イエスとの任命によるキリスト・イエスの使徒パウロから、 + 信仰によるわたしの真実な子テモテへ。父なる神とわたしたちの主キリスト・イエスから、恵みとあわれみと平安とが、あなたにあるように。 + わたしがマケドニヤに向かって出発する際、頼んでおいたように、あなたはエペソにとどまっていて、ある人々に、違った教を説くことをせず、 + 作り話やはてしのない系図などに気をとられることもないように、命じなさい。そのようなことは信仰による神の務を果すものではなく、むしろ論議を引き起させるだけのものである。 + わたしのこの命令は、清い心と正しい良心と偽りのない信仰とから出てくる愛を目標としている。 + ある人々はこれらのものからそれて空論に走り、 + 律法の教師たることを志していながら、自分の言っていることも主張していることも、わからないでいる。 + わたしたちが知っているとおり、律法なるものは、法に従って用いるなら、良いものである。 + すなわち、律法は正しい人のために定められたのではなく、不法な者と法に服さない者、不信心な者と罪ある者、神聖を汚す者と俗悪な者、父を殺す者と母を殺す者、人を殺す者、 + 不品行な者、男色をする者、誘かいする者、偽る者、偽り誓う者、そのほか健全な教にもとることがあれば、そのために定められていることを認むべきである。 + これは、祝福に満ちた神の栄光の福音が示すところであって、わたしはこの福音をゆだねられているのである。 + わたしは、自分を強くして下さったわたしたちの主キリスト・イエスに感謝する。主はわたしを忠実な者と見て、この務に任じて下さったのである。 + わたしは以前には、神をそしる者、迫害する者、不遜な者であった。しかしわたしは、これらの事を、信仰がなかったとき、無知なためにしたのだから、あわれみをこうむったのである。 + その上、わたしたちの主の恵みが、キリスト・イエスにある信仰と愛とに伴い、ますます増し加わってきた。 + 「キリスト・イエスは、罪人を救うためにこの世にきて下さった」という言葉は、確実で、そのまま受けいれるに足るものである。わたしは、その罪人のかしらなのである。 + しかし、わたしがあわれみをこうむったのは、キリスト・イエスが、まずわたしに対して限りない寛容を示し、そして、わたしが今後、彼を信じて永遠のいのちを受ける者の模範となるためである。 + 世々の支配者、不朽にして見えざる唯一の神に、世々限りなく、ほまれと栄光とがあるように、アァメン。 + わたしの子テモテよ。以前あなたに対してなされた数々の預言の言葉に従って、この命令を与える。あなたは、これらの言葉に励まされて、信仰と正しい良心とを保ちながら、りっぱに戦いぬきなさい。 + ある人々は、正しい良心を捨てたため、信仰の破船に会った。 + その中に、ヒメナオとアレキサンデルとがいる。わたしは、神を汚さないことを学ばせるため、このふたりをサタンの手に渡したのである。 + + + そこで、まず第一に勧める。すべての人のために、王たちと上に立っているすべての人々のために、願いと、祈と、とりなしと、感謝とをささげなさい。 + それはわたしたちが、安らかで静かな一生を、真に信心深くまた謹厳に過ごすためである。 + これは、わたしたちの救主である神のみまえに良いことであり、また、みこころにかなうことである。 + 神は、すべての人が救われて、真理を悟るに至ることを望んでおられる。 + 神は唯一であり、神と人との間の仲保者もただひとりであって、それは人なるキリスト・イエスである。 + 彼は、すべての人のあがないとしてご自身をささげられたが、それは、定められた時になされたあかしにほかならない。 + そのために、わたしは立てられて宣教者、使徒となり(わたしは真実を言っている、偽ってはいない)、また異邦人に信仰と真理とを教える教師となったのである。 + 男は、怒ったり争ったりしないで、どんな場所でも、きよい手をあげて祈ってほしい。 + また、女はつつましい身なりをし、適度に慎み深く身を飾るべきであって、髪を編んだり、金や真珠をつけたり、高価な着物を着たりしてはいけない。 + むしろ、良いわざをもって飾りとすることが、信仰を言いあらわしている女に似つかわしい。 + 女は静かにしていて、万事につけ従順に教を学ぶがよい。 + 女が教えたり、男の上に立ったりすることを、わたしは許さない。むしろ、静かにしているべきである。 + なぜなら、アダムがさきに造られ、それからエバが造られたからである。 + またアダムは惑わされなかったが、女は惑わされて、あやまちを犯した。 + しかし、女が慎み深く、信仰と愛と清さとを持ち続けるなら、子を産むことによって救われるであろう。 + + + 「もし人が監督の職を望むなら、それは良い仕事を願うことである」とは正しい言葉である。 + さて、監督は、非難のない人で、ひとりの妻の夫であり、自らを制し、慎み深く、礼儀正しく、旅人をもてなし、よく教えることができ、 + 酒を好まず、乱暴でなく、寛容であって、人と争わず、金に淡泊で、 + 自分の家をよく治め、謹厳であって、子供たちを従順な者に育てている人でなければならない。 + 自分の家を治めることも心得ていない人が、どうして神の教会を預かることができようか。 + 彼はまた、信者になって間もないものであってはならない。そうであると、高慢になって、悪魔と同じ審判を受けるかも知れない。 + さらにまた、教会外の人々にもよく思われている人でなければならない。そうでないと、そしりを受け、悪魔のわなにかかるであろう。 + それと同様に、執事も謹厳であって、二枚舌を使わず、大酒を飲まず、利をむさぼらず、 + きよい良心をもって、信仰の奥義を保っていなければならない。 + 彼らはまず調べられて、不都合なことがなかったなら、それから執事の職につかすべきである。 + 女たちも、同様に謹厳で、他人をそしらず、自らを制し、すべてのことに忠実でなければならない。 + 執事はひとりの妻の夫であって、子供と自分の家とをよく治める者でなければならない。 + 執事の職をよくつとめた者は、良い地位を得、さらにキリスト・イエスを信じる信仰による、大いなる確信を得るであろう。 + わたしは、あなたの所にすぐ行きたいと望みながら、この手紙を書いている。 + 万一わたしが遅れる場合には、神の家でいかに生活すべきかを、あなたに知ってもらいたいからである。神の家というのは、生ける神の教会のことであって、それは真理の柱、真理の基礎なのである。 + 確かに偉大なのは、この信心の奥義である、「キリストは肉において現れ、霊において義とせられ、御使たちに見られ、諸国民の間に伝えられ、世界の中で信じられ、栄光のうちに天に上げられた」。 + + + しかし、御霊は明らかに告げて言う。後の時になると、ある人々は、惑わす霊と悪霊の教とに気をとられて、信仰から離れ去るであろう。 + それは、良心に焼き印をおされている偽り者の偽善のしわざである。 + これらの偽り者どもは、結婚を禁じたり、食物を断つことを命じたりする。しかし食物は、信仰があり真理を認める者が、感謝して受けるようにと、神の造られたものである。 + 神の造られたものは、みな良いものであって、感謝して受けるなら、何ひとつ捨てるべきものはない。 + それらは、神の言と祈とによって、きよめられるからである。 + これらのことを兄弟たちに教えるなら、あなたは、信仰の言葉とあなたの従ってきた良い教の言葉とに養われて、キリスト・イエスのよい奉仕者になるであろう。 + しかし、俗悪で愚にもつかない作り話は避けなさい。信心のために自分を訓練しなさい。 + からだの訓練は少しは益するところがあるが、信心は、今のいのちと後の世のいのちとが約束されてあるので、万事に益となる。 + これは確実で、そのまま受けいれるに足る言葉である。 + わたしたちは、このために労し苦しんでいる。それは、すべての人の救主、特に信じる者たちの救主なる生ける神に、望みを置いてきたからである。 + これらの事を命じ、また教えなさい。 + あなたは、年が若いために人に軽んじられてはならない。むしろ、言葉にも、行状にも、愛にも、信仰にも、純潔にも、信者の模範になりなさい。 + わたしがそちらに行く時まで、聖書を朗読することと、勧めをすることと、教えることとに心を用いなさい。 + 長老の按手を受けた時、預言によってあなたに与えられて内に持っている恵みの賜物を、軽視してはならない。 + すべての事にあなたの進歩があらわれるため、これらの事を実行し、それを励みなさい。 + 自分のことと教のこととに気をつけ、それらを常に努めなさい。そうすれば、あなたは、自分自身とあなたの教を聞く者たちとを、救うことになる。 + + + 老人をとがめてはいけない。むしろ父親に対するように、話してあげなさい。若い男には兄弟に対するように、 + 年とった女には母親に対するように、若い女には、真に純潔な思いをもって、姉妹に対するように、勧告しなさい。 + やもめについては、真にたよりのないやもめたちを、よくしてあげなさい。 + やもめに子か孫かがある場合には、これらの者に、まず自分の家で孝養をつくし、親の恩に報いることを学ばせるべきである。それが、神のみこころにかなうことなのである。 + 真にたよりのない、ひとり暮しのやもめは、望みを神において、日夜、たえず願いと祈とに専心するが、 + これに反して、みだらな生活をしているやもめは、生けるしかばねにすぎない。 + これらのことを命じて、彼女たちを非難のない者としなさい。 + もしある人が、その親族を、ことに自分の家族をかえりみない場合には、その信仰を捨てたことになるのであって、不信者以上にわるい。 + やもめとして登録さるべき者は、六十歳以下のものではなくて、ひとりの夫の妻であった者、 + また子女をよく養育し、旅人をもてなし、聖徒の足を洗い、困っている人を助け、種々の善行に努めるなど、そのよいわざでひろく認められている者でなければならない。 + 若いやもめは除外すべきである。彼女たちがキリストにそむいて気ままになると、結婚をしたがるようになり、 + 初めの誓いを無視したという非難を受けねばならないからである。 + その上、彼女たちはなまけていて、家々を遊び歩くことをおぼえ、なまけるばかりか、むだごとをしゃべって、いたずらに動きまわり、口にしてはならないことを言う。 + そういうわけだから、若いやもめは結婚して子を産み、家をおさめ、そして、反対者にそしられるすきを作らないようにしてほしい。 + 彼女たちのうちには、サタンのあとを追って道を踏みはずした者もある。 + 女の信者が家にやもめを持っている場合には、自分でそのやもめの世話をしてあげなさい。教会のやっかいになってはいけない。教会は、真にたよりのないやもめの世話をしなければならない。 + よい指導をしている長老、特に宣教と教とのために労している長老は、二倍の尊敬を受けるにふさわしい者である。 + 聖書は、「穀物をこなしている牛に、くつこをかけてはならない」また「働き人がその報酬を受けるのは当然である」と言っている。 + 長老に対する訴訟は、ふたりか三人の証人がない場合には、受理してはならない。 + 罪を犯した者に対しては、ほかの人々も恐れをいだくに至るために、すべての人の前でその罪をとがむべきである。 + わたしは、神とキリスト・イエスと選ばれた御使たちとの前で、おごそかにあなたに命じる。これらのことを偏見なしに守り、何事についても、不公平な仕方をしてはならない。 + 軽々しく人に手をおいてはならない。また、ほかの人の罪に加わってはいけない。自分をきよく守りなさい。 + (これからは、水ばかりを飲まないで、胃のため、また、たびたびのいたみを和らげるために、少量のぶどう酒を用いなさい。) + ある人の罪は明白であって、すぐ裁判にかけられるが、ほかの人の罪は、あとになってわかって来る。 + それと同じく、良いわざもすぐ明らかになり、そうならない場合でも、隠れていることはあり得ない。 + + + くびきの下にある奴隷はすべて、自分の主人を、真に尊敬すべき者として仰ぐべきである。それは、神の御名と教とが、そしりを受けないためである。 + 信者である主人を持っている者たちは、その主人が兄弟であるというので軽視してはならない。むしろ、ますます励んで仕えるべきである。その益を受ける主人は、信者であり愛されている人だからである。あなたは、これらの事を教えかつ勧めなさい。 + もし違ったことを教えて、わたしたちの主イエス・キリストの健全な言葉、ならびに信心にかなう教に同意しないような者があれば、 + 彼は高慢であって、何も知らず、ただ論議と言葉の争いとに病みついている者である。そこから、ねたみ、争い、そしり、さいぎの心が生じ、 + また知性が腐って、真理にそむき、信心を利得と心得る者どもの間に、はてしのないいがみ合いが起るのである。 + しかし、信心があって足ることを知るのは、大きな利得である。 + わたしたちは、何ひとつ持たないでこの世にきた。また、何ひとつ持たないでこの世を去って行く。 + ただ衣食があれば、それで足れりとすべきである。 + 富むことを願い求める者は、誘惑と、わなとに陥り、また、人を滅びと破壊とに沈ませる、無分別な恐ろしいさまざまの情欲に陥るのである。 + 金銭を愛することは、すべての悪の根である。ある人々は欲ばって金銭を求めたため、信仰から迷い出て、多くの苦痛をもって自分自身を刺しとおした。 + しかし、神の人よ。あなたはこれらの事を避けなさい。そして、義と信心と信仰と愛と忍耐と柔和とを追い求めなさい。 + 信仰の戦いをりっぱに戦いぬいて、永遠のいのちを獲得しなさい。あなたは、そのために召され、多くの証人の前で、りっぱなあかしをしたのである。 + わたしはすべてのものを生かして下さる神のみまえと、またポンテオ・ピラトの面前でりっぱなあかしをなさったキリスト・イエスのみまえで、あなたに命じる。 + わたしたちの主イエス・キリストの出現まで、その戒めを汚すことがなく、また、それを非難のないように守りなさい。 + 時がくれば、祝福に満ちた、ただひとりの力あるかた、もろもろの王の王、もろもろの主の主が、キリストを出現させて下さるであろう。 + 神はただひとり不死を保ち、近づきがたい光の中に住み、人間の中でだれも見た者がなく、見ることもできないかたである。ほまれと永遠の支配とが、神にあるように、アァメン。 + この世で富んでいる者たちに、命じなさい。高慢にならず、たよりにならない富に望みをおかず、むしろ、わたしたちにすべての物を豊かに備えて楽しませて下さる神に、のぞみをおくように、 + また、良い行いをし、良いわざに富み、惜しみなく施し、人に分け与えることを喜び、 + こうして、真のいのちを得るために、未来に備えてよい土台を自分のために築き上げるように、命じなさい。 + テモテよ。あなたにゆだねられていることを守りなさい。そして、俗悪なむだ話と、偽りの「知識」による反対論とを避けなさい。 + ある人々はそれに熱中して、信仰からそれてしまったのである。恵みが、あなたがたと共にあるように。 + +
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+ + 神の御旨により、キリスト・イエスにあるいのちの約束によって立てられたキリスト・イエスの使徒パウロから、 + 愛する子テモテへ。父なる神とわたしたちの主キリスト・イエスから、恵みとあわれみと平安とが、あなたにあるように。 + わたしは、日夜、祈の中で、絶えずあなたのことを思い出しては、きよい良心をもって先祖以来つかえている神に感謝している。 + わたしは、あなたの涙をおぼえており、あなたに会って喜びで満たされたいと、切に願っている。 + また、あなたがいだいている偽りのない信仰を思い起している。この信仰は、まずあなたの祖母ロイスとあなたの母ユニケとに宿ったものであったが、今あなたにも宿っていると、わたしは確信している。 + こういうわけで、あなたに注意したい。わたしの按手によって内にいただいた神の賜物を、再び燃えたたせなさい。 + というのは、神がわたしたちに下さったのは、臆する霊ではなく、力と愛と慎みとの霊なのである。 + だから、あなたは、わたしたちの主のあかしをすることや、わたしが主の囚人であることを、決して恥ずかしく思ってはならない。むしろ、神の力にささえられて、福音のために、わたしと苦しみを共にしてほしい。 + 神はわたしたちを救い、聖なる招きをもって召して下さったのであるが、それは、わたしたちのわざによるのではなく、神ご自身の計画に基き、また、永遠の昔にキリスト・イエスにあってわたしたちに賜わっていた恵み、 + そして今や、わたしたちの救主キリスト・イエスの出現によって明らかにされた恵みによるのである。キリストは死を滅ぼし、福音によっていのちと不死とを明らかに示されたのである。 + わたしは、この福音のために立てられて、その宣教者、使徒、教師になった。 + そのためにまた、わたしはこのような苦しみを受けているが、それを恥としない。なぜなら、わたしは自分の信じてきたかたを知っており、またそのかたは、わたしにゆだねられているものを、かの日に至るまで守って下さることができると、確信しているからである。 + あなたは、キリスト・イエスに対する信仰と愛とをもって、わたしから聞いた健全な言葉を模範にしなさい。 + そして、あなたにゆだねられている尊いものを、わたしたちの内に宿っている聖霊によって守りなさい。 + あなたの知っているように、アジヤにいる者たちは、皆わたしから離れて行った。その中には、フゲロとヘルモゲネもいる。 + どうか、主が、オネシポロの家にあわれみをたれて下さるように。彼はたびたび、わたしを慰めてくれ、またわたしの鎖を恥とも思わないで、 + ローマに着いた時には、熱心にわたしを捜しまわった末、尋ね出してくれたのである。 + どうか、主がかの日に、あわれみを彼に賜わるように。――彼がエペソで、どれほどわたしに仕えてくれたかは、だれよりもあなたがよく知っている。 + + + そこで、わたしの子よ。あなたはキリスト・イエスにある恵みによって、強くなりなさい。 + そして、あなたが多くの証人の前でわたしから聞いたことを、さらにほかの者たちにも教えることのできるような忠実な人々に、ゆだねなさい。 + キリスト・イエスの良い兵卒として、わたしと苦しみを共にしてほしい。 + 兵役に服している者は、日常生活の事に煩わされてはいない。ただ、兵を募った司令官を喜ばせようと努める。 + また、競技をするにしても、規定に従って競技をしなければ、栄冠は得られない。 + 労苦をする農夫が、だれよりも先に、生産物の分配にあずかるべきである。 + わたしの言うことを、よく考えてみなさい。主は、それを十分に理解する力をあなたに賜わるであろう。 + ダビデの子孫として生れ、死人のうちからよみがえったイエス・キリストを、いつも思っていなさい。これがわたしの福音である。 + この福音のために、わたしは悪者のように苦しめられ、ついに鎖につながれるに至った。しかし、神の言はつながれてはいない。 + それだから、わたしは選ばれた人たちのために、いっさいのことを耐え忍ぶのである。それは、彼らもキリスト・イエスによる救を受け、また、それと共に永遠の栄光を受けるためである。 + 次の言葉は確実である。「もしわたしたちが、彼と共に死んだなら、また彼と共に生きるであろう。 + もし耐え忍ぶなら、彼と共に支配者となるであろう。もし彼を否むなら、彼もわたしたちを否むであろう。 + たとい、わたしたちは不真実であっても、彼は常に真実である。彼は自分を偽ることが、できないのである」。 + あなたは、これらのことを彼らに思い出させて、なんの益もなく、聞いている人々を破滅におとしいれるだけである言葉の争いをしないように、神のみまえでおごそかに命じなさい。 + あなたは真理の言葉を正しく教え、恥じるところのない錬達した働き人になって、神に自分をささげるように努めはげみなさい。 + 俗悪なむだ話を避けなさい。それによって人々は、ますます不信心に落ちていき、 + 彼らの言葉は、がんのように腐れひろがるであろう。その中にはヒメナオとピレトとがいる。 + 彼らは真理からはずれ、復活はすでに済んでしまったと言い、そして、ある人々の信仰をくつがえしている。 + しかし、神のゆるがない土台はすえられていて、それに次の句が証印として、しるされている。「主は自分の者たちを知る」。また「主の名を呼ぶ者は、すべて不義から離れよ」。 + 大きな家には、金や銀の器ばかりではなく、木や土の器もあり、そして、あるものは尊いことに用いられ、あるものは卑しいことに用いられる。 + もし人が卑しいものを取り去って自分をきよめるなら、彼は尊いきよめられた器となって、主人に役立つものとなり、すべての良いわざに間に合うようになる。 + そこで、あなたは若い時の情欲を避けなさい。そして、きよい心をもって主を呼び求める人々と共に、義と信仰と愛と平和とを追い求めなさい。 + 愚かで無知な論議をやめなさい。それは、あなたが知っているとおり、ただ争いに終るだけである。 + 主の僕たる者は争ってはならない。だれに対しても親切であって、よく教え、よく忍び、 + 反対する者を柔和な心で教え導くべきである。おそらく神は、彼らに悔改めの心を与えて、真理を知らせ、 + 一度は悪魔に捕えられてその欲するままになっていても、目ざめて彼のわなからのがれさせて下さるであろう。 + + + しかし、このことは知っておかねばならない。終りの時には、苦難の時代が来る。 + その時、人々は自分を愛する者、金を愛する者、大言壮語する者、高慢な者、神をそしる者、親に逆らう者、恩を知らぬ者、神聖を汚す者、 + 無情な者、融和しない者、そしる者、無節制な者、粗暴な者、善を好まない者、 + 裏切り者、乱暴者、高言をする者、神よりも快楽を愛する者、 + 信心深い様子をしながらその実を捨てる者となるであろう。こうした人々を避けなさい。 + 彼らの中には、人の家にもぐり込み、そして、さまざまの欲に心を奪われて、多くの罪を積み重ねている愚かな女どもを、とりこにしている者がある。 + 彼女たちは、常に学んではいるが、いつになっても真理の知識に達することができない。 + ちょうど、ヤンネとヤンブレとがモーセに逆らったように、こうした人々も真理に逆らうのである。彼らは知性の腐った、信仰の失格者である。 + しかし、彼らはそのまま進んでいけるはずがない。彼らの愚かさは、あのふたりの場合と同じように、多くの人に知れて来るであろう。 + しかしあなたは、わたしの教、歩み、こころざし、信仰、寛容、愛、忍耐、 + それから、わたしがアンテオケ、イコニオム、ルステラで受けた数々の迫害、苦難に、よくも続いてきてくれた。そのひどい迫害にわたしは耐えてきたが、主はそれらいっさいのことから、救い出して下さったのである。 + いったい、キリスト・イエスにあって信心深く生きようとする者は、みな、迫害を受ける。 + 悪人と詐欺師とは人を惑わし人に惑わされて、悪から悪へと落ちていく。 + しかし、あなたは、自分が学んで確信しているところに、いつもとどまっていなさい。あなたは、それをだれから学んだか知っており、 + また幼い時から、聖書に親しみ、それが、キリスト・イエスに対する信仰によって救に至る知恵を、あなたに与えうる書物であることを知っている。 + 聖書は、すべて神の霊感を受けて書かれたものであって、人を教え、戒め、正しくし、義に導くのに有益である。 + それによって、神の人が、あらゆる良いわざに対して十分な準備ができて、完全にととのえられた者になるのである。 + + + 神のみまえと、生きている者と死んだ者とをさばくべきキリスト・イエスのみまえで、キリストの出現とその御国とを思い、おごそかに命じる。 + 御言を宣べ伝えなさい。時が良くても悪くても、それを励み、あくまでも寛容な心でよく教えて、責め、戒め、勧めなさい。 + 人々が健全な教に耐えられなくなり、耳ざわりのよい話をしてもらおうとして、自分勝手な好みにまかせて教師たちを寄せ集め、 + そして、真理からは耳をそむけて、作り話の方にそれていく時が来るであろう。 + しかし、あなたは、何事にも慎み、苦難を忍び、伝道者のわざをなし、自分の務を全うしなさい。 + わたしは、すでに自身を犠牲としてささげている。わたしが世を去るべき時はきた。 + わたしは戦いをりっぱに戦いぬき、走るべき行程を走りつくし、信仰を守りとおした。 + 今や、義の冠がわたしを待っているばかりである。かの日には、公平な審判者である主が、それを授けて下さるであろう。わたしばかりではなく、主の出現を心から待ち望んでいたすべての人にも授けて下さるであろう。 + わたしの所に、急いで早くきてほしい。 + デマスはこの世を愛し、わたしを捨ててテサロニケに行ってしまい、クレスケンスはガラテヤに、テトスはダルマテヤに行った。 + ただルカだけが、わたしのもとにいる。マルコを連れて、一緒にきなさい。彼はわたしの務のために役に立つから。 + わたしはテキコをエペソにつかわした。 + あなたが来るときに、トロアスのカルポの所に残しておいた上着を持ってきてほしい。また書物も、特に、羊皮紙のを持ってきてもらいたい。 + 銅細工人のアレキサンデルが、わたしを大いに苦しめた。主はそのしわざに対して、彼に報いなさるだろう。 + あなたも、彼を警戒しなさい。彼は、わたしたちの言うことに強く反対したのだから。 + わたしの第一回の弁明の際には、わたしに味方をする者はひとりもなく、みなわたしを捨てて行った。どうか、彼らが、そのために責められることがないように。 + しかし、わたしが御言を余すところなく宣べ伝えて、すべての異邦人に聞かせるように、主はわたしを助け、力づけて下さった。そして、わたしは、ししの口から救い出されたのである。 + 主はわたしを、すべての悪のわざから助け出し、天にある御国に救い入れて下さるであろう。栄光が永遠から永遠にわたって主にあるように、アァメン。 + プリスカとアクラとに、またオネシポロの家に、よろしく伝えてほしい。 + エラストはコリントにとどまっており、トロピモは病気なので、ミレトに残してきた。 + 冬になる前に、急いできてほしい。ユブロ、プデス、リノス、クラウデヤならびにすべての兄弟たちから、あなたによろしく。 + 主が、あなたの霊と共にいますように。恵みが、あなたがたと共にあるように。 + +
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+ + 神の僕、イエス・キリストの使徒パウロから――わたしが使徒とされたのは、神に選ばれた者たちの信仰を強め、また、信心にかなう真理の知識を彼らに得させるためであり、 + 偽りのない神が永遠の昔に約束された永遠のいのちの望みに基くのである。 + 神は、定められた時に及んで、御言を宣教によって明らかにされたが、わたしは、わたしたちの救主なる神の任命によって、この宣教をゆだねられたのである―― + 信仰を同じうするわたしの真実の子テトスへ。父なる神とわたしたちの救主キリスト・イエスから、恵みと平安とが、あなたにあるように。 + あなたをクレテにおいてきたのは、わたしがあなたに命じておいたように、そこにし残してあることを整理してもらい、また、町々に長老を立ててもらうためにほかならない。 + 長老は、責められる点がなく、ひとりの妻の夫であって、その子たちも不品行のうわさをたてられず、親不孝をしない信者でなくてはならない。 + 監督たる者は、神に仕える者として、責められる点がなく、わがままでなく、軽々しく怒らず、酒を好まず、乱暴でなく、利をむさぼらず、 + かえって、旅人をもてなし、善を愛し、慎み深く、正しく、信仰深く、自制する者であり、 + 教にかなった信頼すべき言葉を守る人でなければならない。それは、彼が健全な教によって人をさとし、また、反対者の誤りを指摘することができるためである。 + 実は、法に服さない者、空論に走る者、人の心を惑わす者が多くおり、とくに、割礼のある者の中に多い。 + 彼らの口を封ずべきである。彼らは恥ずべき利のために、教えてはならないことを教えて、数々の家庭を破壊してしまっている。 + クレテ人のうちのある預言者が「クレテ人は、いつもうそつき、たちの悪いけもの、なまけ者の食いしんぼう」と言っているが、 + この非難はあたっている。だから、彼らをきびしく責めて、その信仰を健全なものにし、 + ユダヤ人の作り話や、真理からそれていった人々の定めなどに、気をとられることがないようにさせなさい。 + きよい人には、すべてのものがきよい。しかし、汚れている不信仰な人には、きよいものは一つもなく、その知性も良心も汚れてしまっている。 + 彼らは神を知っていると、口では言うが、行いではそれを否定している。彼らは忌まわしい者、また不従順な者であって、いっさいの良いわざに関しては、失格者である。 + + + しかし、あなたは、健全な教にかなうことを語りなさい。 + 老人たちには自らを制し、謹厳で、慎み深くし、また、信仰と愛と忍耐とにおいて健全であるように勧め、 + 年老いた女たちにも、同じように、たち居ふるまいをうやうやしくし、人をそしったり大酒の奴隷になったりせず、良いことを教える者となるように、勧めなさい。 + そうすれば、彼女たちは、若い女たちに、夫を愛し、子供を愛し、 + 慎み深く、純潔で、家事に努め、善良で、自分の夫に従順であるように教えることになり、したがって、神の言がそしりを受けないようになるであろう。 + 若い男にも、同じく、万事につけ慎み深くあるように、勧めなさい。 + あなた自身を良いわざの模範として示し、人を教える場合には、清廉と謹厳とをもってし、 + 非難のない健全な言葉を用いなさい。そうすれば、反対者も、わたしたちについてなんの悪口も言えなくなり、自ら恥じいるであろう。 + 奴隷には、万事につけその主人に服従して、喜ばれるようになり、反抗をせず、 + 盗みをせず、どこまでも心をこめた真実を示すようにと、勧めなさい。そうすれば、彼らは万事につけ、わたしたちの救主なる神の教を飾ることになろう。 + すべての人を救う神の恵みが現れた。 + そして、わたしたちを導き、不信心とこの世の情欲とを捨てて、慎み深く、正しく、信心深くこの世で生活し、 + 祝福に満ちた望み、すなわち、大いなる神、わたしたちの救主キリスト・イエスの栄光の出現を待ち望むようにと、教えている。 + このキリストが、わたしたちのためにご自身をささげられたのは、わたしたちをすべての不法からあがない出して、良いわざに熱心な選びの民を、ご自身のものとして聖別するためにほかならない。 + あなたは、権威をもってこれらのことを語り、勧め、また責めなさい。だれにも軽んじられてはならない。 + + + あなたは彼らに勧めて、支配者、権威ある者に服し、これに従い、いつでも良いわざをする用意があり、 + だれをもそしらず、争わず、寛容であって、すべての人に対してどこまでも柔和な態度を示すべきことを、思い出させなさい。 + わたしたちも以前には、無分別で、不従順な、迷っていた者であって、さまざまの情欲と快楽との奴隷になり、悪意とねたみとで日を過ごし、人に憎まれ、互に憎み合っていた。 + ところが、わたしたちの救主なる神の慈悲と博愛とが現れたとき、 + わたしたちの行った義のわざによってではなく、ただ神のあわれみによって、再生の洗いを受け、聖霊により新たにされて、わたしたちは救われたのである。 + この聖霊は、わたしたちの救主イエス・キリストをとおして、わたしたちの上に豊かに注がれた。 + これは、わたしたちが、キリストの恵みによって義とされ、永遠のいのちを望むことによって、御国をつぐ者となるためである。 + この言葉は確実である。わたしは、あなたがそれらのことを主張するのを願っている。それは、神を信じている者たちが、努めて良いわざを励むことを心がけるようになるためである。これは良いことであって、人々の益となる。 + しかし、愚かな議論と、系図と、争いと、律法についての論争とを、避けなさい。それらは無益かつ空虚なことである。 + 異端者は、一、二度、訓戒を加えた上で退けなさい。 + たしかに、こういう人たちは、邪道に陥り、自ら悪と知りつつも、罪を犯しているからである。 + わたしがアルテマスかテキコかをあなたのところに送ったなら、急いでニコポリにいるわたしの所にきなさい。わたしは、そこで冬を過ごすことにした。 + 法学者ゼナスと、アポロとを、急いで旅につかせ、不自由のないようにしてあげなさい。 + わたしたちの仲間も、さし迫った必要に備えて、努めて良いわざを励み、実を結ばぬ者とならないように、心がけるべきである。 + わたしと共にいる一同の者から、あなたによろしく。わたしたちを愛している信徒たちに、よろしく。恵みが、あなたがた一同と共にあるように。 + +
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+ + キリスト・イエスの囚人パウロと兄弟テモテから、わたしたちの愛する同労者ピレモン、 + 姉妹アピヤ、わたしたちの戦友アルキポ、ならびに、あなたの家にある教会へ。 + わたしたちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。 + わたしは、祈の時にあなたをおぼえて、いつもわたしの神に感謝している。 + それは、主イエスに対し、また、すべての聖徒に対するあなたの愛と信仰とについて、聞いているからである。 + どうか、あなたの信仰の交わりが強められて、わたしたちの間でキリストのためになされているすべての良いことが、知られて来るようになってほしい。 + 兄弟よ。わたしは、あなたの愛によって多くの喜びと慰めとを与えられた。聖徒たちの心が、あなたによって力づけられたからである。 + こういうわけで、わたしは、キリストにあってあなたのなすべき事を、きわめて率直に指示してもよいと思うが、 + むしろ、愛のゆえにお願いする。すでに老年になり、今またキリスト・イエスの囚人となっているこのパウロが、 + 捕われの身で産んだわたしの子供オネシモについて、あなたにお願いする。 + 彼は以前は、あなたにとって無益な者であったが、今は、あなたにも、わたしにも、有益な者になった。 + 彼をあなたのもとに送りかえす。彼はわたしの心である。 + わたしは彼を身近に引きとめておいて、わたしが福音のために捕われている間、あなたに代って仕えてもらいたかったのである。 + しかし、わたしは、あなたの承諾なしには何もしたくない。あなたが強制されて良い行いをするのではなく、自発的にすることを願っている。 + 彼がしばらくの間あなたから離れていたのは、あなたが彼をいつまでも留めておくためであったかも知れない。 + しかも、もはや奴隷としてではなく、奴隷以上のもの、愛する兄弟としてである。とりわけ、わたしにとってそうであるが、ましてあなたにとっては、肉においても、主にあっても、それ以上であろう。 + そこで、もしわたしをあなたの信仰の友と思ってくれるなら、わたし同様に彼を受けいれてほしい。 + もし、彼があなたに何か不都合なことをしたか、あるいは、何か負債があれば、それをわたしの借りにしておいてほしい。 + このパウロが手ずからしるす、わたしがそれを返済する。この際、あなたが、あなた自身をわたしに負うていることについては、何も言うまい。 + 兄弟よ。わたしはあなたから、主にあって何か益を得たいものである。わたしの心を、主にあって力づけてもらいたい。 + わたしはあなたの従順を堅く信じて、この手紙を書く。あなたは、確かにわたしが言う以上のことをしてくれるだろう。 + ついでにお願いするが、わたしのために宿を用意しておいてほしい。あなたがたの祈によって、あなたがたの所に行かせてもらえるように望んでいるのだから。 + キリスト・イエスにあって、わたしと共に捕われの身になっているエパフラスから、あなたによろしく。 + わたしの同労者たち、マルコ、アリスタルコ、デマス、ルカからも、よろしく。 + 主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように。 + +
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+ + 神は、むかしは、預言者たちにより、いろいろな時に、いろいろな方法で、先祖たちに語られたが、 + この終りの時には、御子によって、わたしたちに語られたのである。神は御子を万物の相続者と定め、また、御子によって、もろもろの世界を造られた。 + 御子は神の栄光の輝きであり、神の本質の真の姿であって、その力ある言葉をもって万物を保っておられる。そして罪のきよめのわざをなし終えてから、いと高き所にいます大能者の右に、座につかれたのである。 + 御子は、その受け継がれた名が御使たちの名にまさっているので、彼らよりもすぐれた者となられた。 + いったい、神は御使たちのだれに対して、「あなたこそは、わたしの子。きょう、わたしはあなたを生んだ」と言い、さらにまた、「わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となるであろう」と言われたことがあるか。 + さらにまた、神は、その長子を世界に導き入れるに当って、「神の御使たちはことごとく、彼を拝すべきである」と言われた。 + また、御使たちについては、「神は、御使たちを風とし、ご自分に仕える者たちを炎とされる」と言われているが、 + 御子については、「神よ、あなたの御座は、世々限りなく続き、あなたの支配のつえは、公平のつえである。 + あなたは義を愛し、不法を憎まれた。それゆえに、神、あなたの神は、喜びのあぶらを、あなたの友に注ぐよりも多く、あなたに注がれた」と言い、 + さらに、「主よ、あなたは初めに、地の基をおすえになった。もろもろの天も、み手のわざである。 + これらのものは滅びてしまうが、あなたは、いつまでもいますかたである。すべてのものは衣のように古び、 + それらをあなたは、外套のように巻かれる。これらのものは、衣のように変るが、あなたは、いつも変ることがなく、あなたのよわいは、尽きることがない」とも言われている。 + 神は、御使たちのだれに対して、「あなたの敵を、あなたの足台とするときまでは、わたしの右に座していなさい」と言われたことがあるか。 + 御使たちはすべて仕える霊であって、救を受け継ぐべき人々に奉仕するため、つかわされたものではないか。 + + + こういうわけだから、わたしたちは聞かされていることを、いっそう強く心に留めねばならない。そうでないと、おし流されてしまう。 + というのは、御使たちをとおして語られた御言が効力を持ち、あらゆる罪過と不従順とに対して正当な報いが加えられたとすれば、 + わたしたちは、こんなに尊い救をなおざりにしては、どうして報いをのがれることができようか。この救は、初め主によって語られたものであって、聞いた人々からわたしたちにあかしされ、 + さらに神も、しるしと不思議とさまざまな力あるわざとにより、また、御旨に従い聖霊を各自に賜うことによって、あかしをされたのである。 + いったい、神は、わたしたちがここで語っているきたるべき世界を、御使たちに服従させることは、なさらなかった。 + 聖書はある箇所で、こうあかししている、「人間が何者だから、これを御心に留められるのだろうか。人の子が何者だから、これをかえりみられるのだろうか。 + あなたは、しばらくの間、彼を御使たちよりも低い者となし、栄光とほまれとを冠として彼に与え、 + 万物をその足の下に服従させて下さった」。「万物を彼に服従させて下さった」という以上、服従しないものは、何ひとつ残されていないはずである。しかし、今もなお万物が彼に服従している事実を、わたしたちは見ていない。 + ただ、「しばらくの間、御使たちよりも低い者とされた」イエスが、死の苦しみのゆえに、栄光とほまれとを冠として与えられたのを見る。それは、彼が神の恵みによって、すべての人のために死を味わわれるためであった。 + なぜなら、万物の帰すべきかた、万物を造られたかたが、多くの子らを栄光に導くのに、彼らの救の君を、苦難をとおして全うされたのは、彼にふさわしいことであったからである。 + 実に、きよめるかたも、きよめられる者たちも、皆ひとりのかたから出ている。それゆえに主は、彼らを兄弟と呼ぶことを恥とされない。 + すなわち、「わたしは、御名をわたしの兄弟たちに告げ知らせ、教会の中で、あなたをほめ歌おう」と言い、 + また、「わたしは、彼により頼む」、また、「見よ、わたしと、神がわたしに賜わった子らとは」と言われた。 + このように、子たちは血と肉とに共にあずかっているので、イエスもまた同様に、それらをそなえておられる。それは、死の力を持つ者、すなわち悪魔を、ご自分の死によって滅ぼし、 + 死の恐怖のために一生涯、奴隷となっていた者たちを、解き放つためである。 + 確かに、彼は天使たちを助けることはしないで、アブラハムの子孫を助けられた。 + そこで、イエスは、神のみまえにあわれみ深い忠実な大祭司となって、民の罪をあがなうために、あらゆる点において兄弟たちと同じようにならねばならなかった。 + 主ご自身、試錬を受けて苦しまれたからこそ、試錬の中にある者たちを助けることができるのである。 + + + そこで、天の召しにあずかっている聖なる兄弟たちよ。あなたがたは、わたしたちが告白する信仰の使者また大祭司なるイエスを、思いみるべきである。 + 彼は、モーセが神の家の全体に対して忠実であったように、自分を立てたかたに対して忠実であられた。 + おおよそ、家を造る者が家そのものよりもさらに尊ばれるように、彼は、モーセ以上に、大いなる光栄を受けるにふさわしい者とされたのである。 + 家はすべて、だれかによって造られるものであるが、すべてのものを造られたかたは、神である。 + さて、モーセは、後に語らるべき事がらについてあかしをするために、仕える者として、神の家の全体に対して忠実であったが、 + キリストは御子として、神の家を治めるのに忠実であられたのである。もしわたしたちが、望みの確信と誇とを最後までしっかりと持ち続けるなら、わたしたちは神の家なのである。 + だから、聖霊が言っているように、「きょう、あなたがたがみ声を聞いたなら、 + 荒野における試錬の日に、神にそむいた時のように、あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない。 + あなたがたの先祖たちは、そこでわたしを試みためし、 + しかも、四十年の間わたしのわざを見たのである。だから、わたしはその時代の人々に対して、いきどおって言った、彼らの心は、いつも迷っており、彼らは、わたしの道を認めなかった。 + そこで、わたしは怒って、彼らをわたしの安息にはいらせることはしない、と誓った」。 + 兄弟たちよ。気をつけなさい。あなたがたの中には、あるいは、不信仰な悪い心をいだいて、生ける神から離れ去る者があるかも知れない。 + あなたがたの中に、罪の惑わしに陥って、心をかたくなにする者がないように、「きょう」といううちに、日々、互に励まし合いなさい。 + もし最初の確信を、最後までしっかりと持ち続けるならば、わたしたちはキリストにあずかる者となるのである。 + それについて、こう言われている、「きょう、み声を聞いたなら、神にそむいた時のように、あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない」。 + すると、聞いたのにそむいたのは、だれであったのか。モーセに率いられて、エジプトから出て行ったすべての人々ではなかったか。 + また、四十年の間、神がいきどおられたのはだれに対してであったか。罪を犯して、その死かばねを荒野にさらした者たちに対してではなかったか。 + また、神が、わたしの安息に、はいらせることはしない、と誓われたのは、だれに向かってであったか。不従順な者に向かってではなかったか。 + こうして、彼らがはいることのできなかったのは、不信仰のゆえであることがわかる。 + + + それだから、神の安息にはいるべき約束が、まだ存続しているにかかわらず、万一にも、はいりそこなう者が、あなたがたの中から出ることがないように、注意しようではないか。 + というのは、彼らと同じく、わたしたちにも福音が伝えられているのである。しかし、その聞いた御言は、彼らには無益であった。それが、聞いた者たちに、信仰によって結びつけられなかったからである。 + ところが、わたしたち信じている者は、安息にはいることができる。それは、「わたしが怒って、彼らをわたしの安息に、はいらせることはしないと、誓ったように」と言われているとおりである。しかも、みわざは世の初めに、でき上がっていた。 + すなわち、聖書のある箇所で、七日目のことについて、「神は、七日目にすべてのわざをやめて休まれた」と言われており、 + またここで、「彼らをわたしの安息に、はいらせることはしない」と言われている。 + そこで、その安息にはいる機会が、人々になお残されているのであり、しかも、初めに福音を伝えられた人々は、不従順のゆえに、はいることをしなかったのであるから、 + 神は、あらためて、ある日を「きょう」として定め、長く時がたってから、先に引用したとおり、「きょう、み声を聞いたなら、あなたがたの心を、かたくなにしてはいけない」とダビデをとおして言われたのである。 + もしヨシュアが彼らを休ませていたとすれば、神はあとになって、ほかの日のことについて語られたはずはない。 + こういうわけで、安息日の休みが、神の民のためにまだ残されているのである。 + なぜなら、神の安息にはいった者は、神がみわざをやめて休まれたように、自分もわざを休んだからである。 + したがって、わたしたちは、この安息にはいるように努力しようではないか。そうでないと、同じような不従順の悪例にならって、落ちて行く者が出るかもしれない。 + というのは、神の言は生きていて、力があり、もろ刃のつるぎよりも鋭くて、精神と霊魂と、関節と骨髄とを切り離すまでに刺しとおして、心の思いと志とを見分けることができる。 + そして、神のみまえには、あらわでない被造物はひとつもなく、すべてのものは、神の目には裸であり、あらわにされているのである。この神に対して、わたしたちは言い開きをしなくてはならない。 + さて、わたしたちには、もろもろの天をとおって行かれた大祭司なる神の子イエスがいますのであるから、わたしたちの告白する信仰をかたく守ろうではないか。 + この大祭司は、わたしたちの弱さを思いやることのできないようなかたではない。罪は犯されなかったが、すべてのことについて、わたしたちと同じように試錬に会われたのである。 + だから、わたしたちは、あわれみを受け、また、恵みにあずかって時機を得た助けを受けるために、はばかることなく恵みの御座に近づこうではないか。 + + + 大祭司なるものはすべて、人間の中から選ばれて、罪のために供え物といけにえとをささげるように、人々のために神に仕える役に任じられた者である。 + 彼は自分自身、弱さを身に負うているので、無知な迷っている人々を、思いやることができると共に、 + その弱さのゆえに、民のためだけではなく自分自身のためにも、罪についてささげものをしなければならないのである。 + かつ、だれもこの栄誉ある務を自分で得るのではなく、アロンの場合のように、神の召しによって受けるのである。 + 同様に、キリストもまた、大祭司の栄誉を自分で得たのではなく、「あなたこそは、わたしの子。きょう、わたしはあなたを生んだ」と言われたかたから、お受けになったのである。 + また、ほかの箇所でこう言われている、「あなたこそは、永遠に、メルキゼデクに等しい祭司である」。 + キリストは、その肉の生活の時には、激しい叫びと涙とをもって、ご自分を死から救う力のあるかたに、祈と願いとをささげ、そして、その深い信仰のゆえに聞きいれられたのである。 + 彼は御子であられたにもかかわらず、さまざまの苦しみによって従順を学び、 + そして、全き者とされたので、彼に従順であるすべての人に対して、永遠の救の源となり、 + 神によって、メルキゼデクに等しい大祭司と、となえられたのである。 + このことについては、言いたいことがたくさんあるが、あなたがたの耳が鈍くなっているので、それを説き明かすことはむずかしい。 + あなたがたは、久しい以前からすでに教師となっているはずなのに、もう一度神の言の初歩を、人から手ほどきしてもらわねばならない始末である。あなたがたは堅い食物ではなく、乳を必要としている。 + すべて乳を飲んでいる者は、幼な子なのだから、義の言葉を味わうことができない。 + しかし、堅い食物は、善悪を見わける感覚を実際に働かせて訓練された成人のとるべきものである。 + + + そういうわけだから、わたしたちは、キリストの教の初歩をあとにして、完成を目ざして進もうではないか。今さら、死んだ行いの悔改めと神への信仰、 + 洗いごとについての教と按手、死人の復活と永遠のさばき、などの基本の教をくりかえし学ぶことをやめようではないか。 + 神の許しを得て、そうすることにしよう。 + いったん、光を受けて天よりの賜物を味わい、聖霊にあずかる者となり、 + また、神の良きみ言葉と、きたるべき世の力とを味わった者たちが、 + そののち堕落した場合には、またもや神の御子を、自ら十字架につけて、さらしものにするわけであるから、ふたたび悔改めにたち帰ることは不可能である。 + たとえば、土地が、その上にたびたび降る雨を吸い込で、耕す人々に役立つ作物を育てるなら、神の祝福にあずかる。 + しかし、いばらやあざみをはえさせるなら、それは無用になり、やがてのろわれ、ついには焼かれてしまう。 + しかし、愛する者たちよ。こうは言うものの、わたしたちは、救にかかわる更に良いことがあるのを、あなたがたについて確信している。 + 神は不義なかたではないから、あなたがたの働きや、あなたがたがかつて聖徒に仕え、今もなお仕えて、御名のために示してくれた愛を、お忘れになることはない。 + わたしたちは、あなたがたがひとり残らず、最後まで望みを持ちつづけるためにも、同じ熱意を示し、 + 怠ることがなく、信仰と忍耐とをもって約束のものを受け継ぐ人々に見習う者となるように、と願ってやまない。 + さて、神がアブラハムに対して約束されたとき、さして誓うのに、ご自分よりも上のものがないので、ご自分をさして誓って、 + 「わたしは、必ずあなたを祝福し、必ずあなたの子孫をふやす」と言われた。 + このようにして、アブラハムは忍耐強く待ったので、約束のものを得たのである。 + いったい、人間は自分より上のものをさして誓うのであり、そして、その誓いはすべての反対論を封じる保証となるのである。 + そこで、神は、約束のものを受け継ぐ人々に、ご計画の不変であることを、いっそうはっきり示そうと思われ、誓いによって保証されたのである。 + それは、偽ることのあり得ない神に立てられた二つの不変の事がらによって、前におかれている望みを捕えようとして世をのがれてきたわたしたちが、力強い励ましを受けるためである。 + この望みは、わたしたちにとって、いわば、たましいを安全にし不動にする錨であり、かつ「幕の内」にはいり行かせるものである。 + その幕の内に、イエスは、永遠にメルキゼデクに等しい大祭司として、わたしたちのためにさきがけとなって、はいられたのである。 + + + このメルキゼデクはサレムの王であり、いと高き神の祭司であったが、王たちを撃破して帰るアブラハムを迎えて祝福し、 + それに対して、アブラハムは彼にすべての物の十分の一を分け与えたのである。その名の意味は、第一に義の王、次にまたサレムの王、すなわち平和の王である。 + 彼には父がなく、母がなく、系図がなく、生涯の初めもなく、生命の終りもなく、神の子のようであって、いつまでも祭司なのである。 + そこで、族長のアブラハムが最もよいぶんどり品の十分の一を与えたのだから、この人がどんなにすぐれた人物であったかが、あなたがたにわかるであろう。 + さて、レビの子のうちで祭司の務をしている者たちは、兄弟である民から、同じくアブラハムの子孫であるにもかかわらず、十分の一を取るように、律法によって命じられている。 + ところが、彼らの血統に属さないこの人が、アブラハムから十分の一を受けとり、約束を受けている者を祝福したのである。 + 言うまでもなく、小なる者が大なる者から祝福を受けるのである。 + その上、一方では死ぬべき人間が、十分の一を受けているが、他方では「彼は生きている者」とあかしされた人が、それを受けている。 + そこで、十分の一を受けるべきレビでさえも、アブラハムを通じて十分の一を納めた、と言える。 + なぜなら、メルキゼデクがアブラハムを迎えた時には、レビはまだこの父祖の腰の中にいたからである。 + もし全うされることがレビ系の祭司制によって可能であったら――民は祭司制の下に律法を与えられたのであるが――なんの必要があって、なお、「アロンに等しい」と呼ばれない、別な「メルキゼデクに等しい」祭司が立てられるのであるか。 + 祭司制に変更があれば、律法にも必ず変更があるはずである。 + さて、これらのことは、いまだかつて祭壇に奉仕したことのない、他の部族に関して言われているのである。 + というのは、わたしたちの主がユダ族の中から出られたことは、明らかであるが、モーセは、この部族について、祭司に関することでは、ひとことも言っていない。 + そしてこの事は、メルキゼデクと同様な、ほかの祭司が立てられたことによって、ますます明白になる。 + 彼は、肉につける戒めの律法によらないで、朽ちることのないいのちの力によって立てられたのである。 + それについては、聖書に「あなたこそは、永遠に、メルキゼデクに等しい祭司である」とあかしされている。 + このようにして、一方では、前の戒めが弱くかつ無益であったために無効になると共に、 + (律法は、何事をも全うし得なかったからである)、他方では、さらにすぐれた望みが現れてきて、わたしたちを神に近づかせるのである。 + その上に、このことは誓いをもってなされた。人々は、誓いをしないで祭司とされるのであるが、 + この人の場合は、次のような誓いをもってされたのである。すなわち、彼について、こう言われている、「主は誓われたが、心を変えることをされなかった。あなたこそは、永遠に祭司である」。 + このようにして、イエスは更にすぐれた契約の保証となられたのである。 + かつ、死ということがあるために、務を続けることができないので、多くの人々が祭司に立てられるのである。 + しかし彼は、永遠にいますかたであるので、変らない祭司の務を持ちつづけておられるのである。 + そこでまた、彼は、いつも生きていて彼らのためにとりなしておられるので、彼によって神に来る人々を、いつも救うことができるのである。 + このように、聖にして、悪も汚れもなく、罪人とは区別され、かつ、もろもろの天よりも高くされている大祭司こそ、わたしたちにとってふさわしいかたである。 + 彼は、ほかの大祭司のように、まず自分の罪のため、次に民の罪のために、日々、いけにえをささげる必要はない。なぜなら、自分をささげて、一度だけ、それをされたからである。 + 律法は、弱さを身に負う人間を立てて大祭司とするが、律法の後にきた誓いの御言は、永遠に全うされた御子を立てて、大祭司としたのである。 + + + 以上述べたことの要点は、このような大祭司がわたしたちのためにおられ、天にあって大能者の御座の右に座し、 + 人間によらず主によって設けられた真の幕屋なる聖所で仕えておられる、ということである。 + おおよそ、大祭司が立てられるのは、供え物やいけにえをささげるためにほかならない。したがって、この大祭司もまた、何かささぐべき物を持っておられねばならない。 + そこで、もし彼が地上におられたなら、律法にしたがって供え物をささげる祭司たちが、現にいるのだから、彼は祭司ではあり得なかったであろう。 + 彼らは、天にある聖所のひな型と影とに仕えている者にすぎない。それについては、モーセが幕屋を建てようとしたとき、御告げを受け、「山で示された型どおりに、注意してそのいっさいを作りなさい」と言われたのである。 + ところがキリストは、はるかにすぐれた務を得られたのである。それは、さらにまさった約束に基いて立てられた、さらにまさった契約の仲保者となられたことによる。 + もし初めの契約に欠けたところがなかったなら、あとのものが立てられる余地はなかったであろう。 + ところが、神は彼らを責めて言われた、「主は言われる、見よ、わたしがイスラエルの家およびユダの家と、新しい契約を結ぶ日が来る。 + それは、わたしが彼らの先祖たちの手をとって、エジプトの地から導き出した日に、彼らと結んだ契約のようなものではない。彼らがわたしの契約にとどまることをしないので、わたしも彼らをかえりみなかったからであると、主が言われる。 + わたしが、それらの日の後、イスラエルの家と立てようとする契約はこれである、と主が言われる。すなわち、わたしの律法を彼らの思いの中に入れ、彼らの心に書きつけよう。こうして、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となるであろう。 + 彼らは、それぞれ、その同胞に、また、それぞれ、その兄弟に、主を知れ、と言って教えることはなくなる。なぜなら、大なる者から小なる者に至るまで、彼らはことごとく、わたしを知るようになるからである。 + わたしは、彼らの不義をあわれみ、もはや、彼らの罪を思い出すことはしない」。 + 神は、「新しい」と言われたことによって、初めの契約を古いとされたのである。年を経て古びたものは、やがて消えていく。 + + + さて、初めの契約にも、礼拝についてのさまざまな規定と、地上の聖所とがあった。 + すなわち、まず幕屋が設けられ、その前の場所には燭台と机と供えのパンとが置かれていた。これが、聖所と呼ばれた。 + また第二の幕の後に、別の場所があり、それは至聖所と呼ばれた。 + そこには金の香壇と全面金でおおわれた契約の箱とが置かれ、その中にはマナのはいっている金のつぼと、芽を出したアロンのつえと、契約の石板とが入れてあり、 + 箱の上には栄光に輝くケルビムがあって、贖罪所をおおっていた。これらのことについては、今ここで、いちいち述べることができない。 + これらのものが、以上のように整えられた上で、祭司たちは常に幕屋の前の場所にはいって礼拝をするのであるが、 + 幕屋の奥には大祭司が年に一度だけはいるのであり、しかも自分自身と民とのあやまちのためにささげる血をたずさえないで行くことはない。 + それによって聖霊は、前方の幕屋が存在している限り、聖所にはいる道はまだ開かれていないことを、明らかに示している。 + この幕屋というのは今の時代に対する比喩である。すなわち、供え物やいけにえはささげられるが、儀式にたずさわる者の良心を全うすることはできない。 + それらは、ただ食物と飲み物と種々の洗いごとに関する行事であって、改革の時まで課せられている肉の規定にすぎない。 + しかしキリストがすでに現れた祝福の大祭司としてこられたとき、手で造られず、この世界に属さない、さらに大きく、完全な幕屋をとおり、 + かつ、やぎと子牛との血によらず、ご自身の血によって、一度だけ聖所にはいられ、それによって永遠のあがないを全うされたのである。 + もし、やぎや雄牛の血や雌牛の灰が、汚れた人たちの上にまきかけられて、肉体をきよめ聖別するとすれば、 + 永遠の聖霊によって、ご自身を傷なき者として神にささげられたキリストの血は、なおさら、わたしたちの良心をきよめて死んだわざを取り除き、生ける神に仕える者としないであろうか。 + それだから、キリストは新しい契約の仲保者なのである。それは、彼が初めの契約のもとで犯した罪過をあがなうために死なれた結果、召された者たちが、約束された永遠の国を受け継ぐためにほかならない。 + いったい、遺言には、遺言者の死の証明が必要である。 + 遺言は死によってのみその効力を生じ、遺言者が生きている間は、効力がない。 + だから、初めの契約も、血を流すことなしに成立したのではない。 + すなわち、モーセが、律法に従ってすべての戒めを民全体に宣言したとき、水と赤色の羊毛とヒソプとの外に、子牛とやぎとの血を取って、契約書と民全体とにふりかけ、 + そして、「これは、神があなたがたに対して立てられた契約の血である」と言った。 + 彼はまた、幕屋と儀式用の器具いっさいにも、同様に血をふりかけた。 + こうして、ほとんどすべての物が、律法に従い、血によってきよめられたのである。血を流すことなしには、罪のゆるしはあり得ない。 + このように、天にあるもののひな型は、これらのものできよめられる必要があるが、天にあるものは、これらより更にすぐれたいけにえで、きよめられねばならない。 + ところが、キリストは、ほんとうのものの模型にすぎない、手で造った聖所にはいらないで、上なる天にはいり、今やわたしたちのために神のみまえに出て下さったのである。 + 大祭司は、年ごとに、自分以外のものの血をたずさえて聖所にはいるが、キリストは、そのように、たびたびご自身をささげられるのではなかった。 + もしそうだとすれば、世の初めから、たびたび苦難を受けねばならなかったであろう。しかし事実、ご自身をいけにえとしてささげて罪を取り除くために、世の終りに、一度だけ現れたのである。 + そして、一度だけ死ぬことと、死んだ後さばきを受けることとが、人間に定まっているように、 + キリストもまた、多くの人の罪を負うために、一度だけご自身をささげられた後、彼を待ち望んでいる人々に、罪を負うためではなしに二度目に現れて、救を与えられるのである。 + + + いったい、律法はきたるべき良いことの影をやどすにすぎず、そのものの真のかたちをそなえているものではないから、年ごとに引きつづきささげられる同じようないけにえによっても、みまえに近づいて来る者たちを、全うすることはできないのである。 + もしできたとすれば、儀式にたずさわる者たちは、一度きよめられた以上、もはや罪の自覚がなくなるのであるから、ささげ物をすることがやんだはずではあるまいか。 + しかし実際は、年ごとに、いけにえによって罪の思い出がよみがえって来るのである。 + なぜなら、雄牛ややぎなどの血は、罪を除き去ることができないからである。 + それだから、キリストがこの世にこられたとき、次のように言われた、「あなたは、いけにえやささげ物を望まれないで、わたしのために、からだを備えて下さった。 + あなたは燔祭や罪祭を好まれなかった。 + その時、わたしは言った、『神よ、わたしにつき、巻物の書物に書いてあるとおり、見よ、御旨を行うためにまいりました』」。 + ここで、初めに、「あなたは、いけにえとささげ物と燔祭と罪祭と(すなわち、律法に従ってささげられるもの)を望まれず、好まれもしなかった」とあり、 + 次に、「見よ、わたしは御旨を行うためにまいりました」とある。すなわち、彼は、後のものを立てるために、初めのものを廃止されたのである。 + この御旨に基きただ一度イエス・キリストのからだがささげられたことによって、わたしたちはきよめられたのである。 + こうして、すべての祭司は立って日ごとに儀式を行い、たびたび同じようないけにえをささげるが、それらは決して罪を除き去ることはできない。 + しかるに、キリストは多くの罪のために一つの永遠のいけにえをささげた後、神の右に座し、 + それから、敵をその足台とするときまで、待っておられる。 + 彼は一つのささげ物によって、きよめられた者たちを永遠に全うされたのである。 + 聖霊もまた、わたしたちにあかしをして、 + 「わたしが、それらの日の後、彼らに対して立てようとする契約はこれであると、主が言われる。わたしの律法を彼らの心に与え、彼らの思いのうちに書きつけよう」と言い、 + さらに、「もはや、彼らの罪と彼らの不法とを、思い出すことはしない」と述べている。 + これらのことに対するゆるしがある以上、罪のためのささげ物は、もはやあり得ない。 + 兄弟たちよ。こういうわけで、わたしたちはイエスの血によって、はばかることなく聖所にはいることができ、 + 彼の肉体なる幕をとおり、わたしたちのために開いて下さった新しい生きた道をとおって、はいって行くことができるのであり、 + さらに、神の家を治める大いなる祭司があるのだから、 + 心はすすがれて良心のとがめを去り、からだは清い水で洗われ、まごころをもって信仰の確信に満たされつつ、みまえに近づこうではないか。 + また、約束をして下さったのは忠実なかたであるから、わたしたちの告白する望みを、動くことなくしっかりと持ち続け、 + 愛と善行とを励むように互に努め、 + ある人たちがいつもしているように、集会をやめることはしないで互に励まし、かの日が近づいているのを見て、ますます、そうしようではないか。 + もしわたしたちが、真理の知識を受けたのちにもなお、ことさらに罪を犯しつづけるなら、罪のためのいけにえは、もはやあり得ない。 + ただ、さばきと、逆らう者たちを焼きつくす激しい火とを、恐れつつ待つことだけがある。 + モーセの律法を無視する者が、あわれみを受けることなしに、二、三の人の証言に基いて死刑に処せられるとすれば、 + 神の子を踏みつけ、自分がきよめられた契約の血を汚れたものとし、さらに恵みの御霊を侮る者は、どんなにか重い刑罰に価することであろう。 + 「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と言われ、また「主はその民をさばかれる」と言われたかたを、わたしたちは知っている。 + 生ける神のみ手のうちに落ちるのは、恐ろしいことである。 + あなたがたは、光に照されたのち、苦しい大きな戦いによく耐えた初めのころのことを、思い出してほしい。 + そしられ苦しめられて見せ物にされたこともあれば、このようなめに会った人々の仲間にされたこともあった。 + さらに獄に入れられた人々を思いやり、また、もっとまさった永遠の宝を持っていることを知って、自分の財産が奪われても喜んでそれを忍んだ。 + だから、あなたがたは自分の持っている確信を放棄してはいけない。その確信には大きな報いが伴っているのである。 + 神の御旨を行って約束のものを受けるため、あなたがたに必要なのは、忍耐である。 + 「もうしばらくすれば、きたるべきかたがお見えになる。遅くなることはない。 + わが義人は、信仰によって生きる。もし信仰を捨てるなら、わたしのたましいはこれを喜ばない」。 + しかしわたしたちは、信仰を捨てて滅びる者ではなく、信仰に立って、いのちを得る者である。 + + + さて、信仰とは、望んでいる事がらを確信し、まだ見ていない事実を確認することである。 + 昔の人たちは、この信仰のゆえに賞賛された。 + 信仰によって、わたしたちは、この世界が神の言葉で造られたのであり、したがって、見えるものは現れているものから出てきたのでないことを、悟るのである。 + 信仰によって、アベルはカインよりもまさったいけにえを神にささげ、信仰によって義なる者と認められた。神が、彼の供え物をよしとされたからである。彼は死んだが、信仰によって今もなお語っている。 + 信仰によって、エノクは死を見ないように天に移された。神がお移しになったので、彼は見えなくなった。彼が移される前に、神に喜ばれた者と、あかしされていたからである。 + 信仰がなくては、神に喜ばれることはできない。なぜなら、神に来る者は、神のいますことと、ご自身を求める者に報いて下さることとを、必ず信じるはずだからである。 + 信仰によって、ノアはまだ見ていない事がらについて御告げを受け、恐れかしこみつつ、その家族を救うために箱舟を造り、その信仰によって世の罪をさばき、そして、信仰による義を受け継ぐ者となった。 + 信仰によって、アブラハムは、受け継ぐべき地に出て行けとの召しをこうむった時、それに従い、行く先を知らないで出て行った。 + 信仰によって、他国にいるようにして約束の地に宿り、同じ約束を継ぐイサク、ヤコブと共に、幕屋に住んだ。 + 彼は、ゆるがぬ土台の上に建てられた都を、待ち望んでいたのである。その都をもくろみ、また建てたのは、神である。 + 信仰によって、サラもまた、年老いていたが、種を宿す力を与えられた。約束をなさったかたは真実であると、信じていたからである。 + このようにして、ひとりの死んだと同様な人から、天の星のように、海べの数えがたい砂のように、おびただしい人が生れてきたのである。 + これらの人はみな、信仰をいだいて死んだ。まだ約束のものは受けていなかったが、はるかにそれを望み見て喜び、そして、地上では旅人であり寄留者であることを、自ら言いあらわした。 + そう言いあらわすことによって、彼らがふるさとを求めていることを示している。 + もしその出てきた所のことを考えていたなら、帰る機会はあったであろう。 + しかし実際、彼らが望んでいたのは、もっと良い、天にあるふるさとであった。だから神は、彼らの神と呼ばれても、それを恥とはされなかった。事実、神は彼らのために、都を用意されていたのである。 + 信仰によって、アブラハムは、試錬を受けたとき、イサクをささげた。すなわち、約束を受けていた彼が、そのひとり子をささげたのである。 + この子については、「イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるであろう」と言われていたのであった。 + 彼は、神が死人の中から人をよみがえらせる力がある、と信じていたのである。だから彼は、いわば、イサクを生きかえして渡されたわけである。 + 信仰によって、イサクは、きたるべきことについて、ヤコブとエサウとを祝福した。 + 信仰によって、ヤコブは死のまぎわに、ヨセフの子らをひとりびとり祝福し、そしてそのつえのかしらによりかかって礼拝した。 + 信仰によって、ヨセフはその臨終に、イスラエルの子らの出て行くことを思い、自分の骨のことについてさしずした。 + 信仰によって、モーセの生れたとき、両親は、三か月のあいだ彼を隠した。それは、彼らが子供のうるわしいのを見たからである。彼らはまた、王の命令をも恐れなかった。 + 信仰によって、モーセは、成人したとき、パロの娘の子と言われることを拒み、 + 罪のはかない歓楽にふけるよりは、むしろ神の民と共に虐待されることを選び、 + キリストのゆえに受けるそしりを、エジプトの宝にまさる富と考えた。それは、彼が報いを望み見ていたからである。 + 信仰によって、彼は王の憤りをも恐れず、エジプトを立ち去った。彼は、見えないかたを見ているようにして、忍びとおした。 + 信仰によって、滅ぼす者が、長子らに手を下すことのないように、彼は過越を行い血を塗った。 + 信仰によって、人々は紅海をかわいた土地をとおるように渡ったが、同じことを企てたエジプト人はおぼれ死んだ。 + 信仰によって、エリコの城壁は、七日にわたってまわったために、くずれおちた。 + 信仰によって、遊女ラハブは、探りにきた者たちをおだやかに迎えたので、不従順な者どもと一緒に滅びることはなかった。 + このほか、何を言おうか。もしギデオン、バラク、サムソン、エフタ、ダビデ、サムエル及び預言者たちについて語り出すなら、時間が足りないであろう。 + 彼らは信仰によって、国々を征服し、義を行い、約束のものを受け、ししの口をふさぎ、 + 火の勢いを消し、つるぎの刃をのがれ、弱いものは強くされ、戦いの勇者となり、他国の軍を退かせた。 + 女たちは、その死者たちをよみがえらさせてもらった。ほかの者は、更にまさったいのちによみがえるために、拷問の苦しみに甘んじ、放免されることを願わなかった。 + なおほかの者たちは、あざけられ、むち打たれ、しばり上げられ、投獄されるほどのめに会った。 + あるいは、石で打たれ、さいなまれ、のこぎりで引かれ、つるぎで切り殺され、羊の皮や、やぎの皮を着て歩きまわり、無一物になり、悩まされ、苦しめられ、 + (この世は彼らの住む所ではなかった)、荒野と山の中と岩の穴と土の穴とを、さまよい続けた。 + さて、これらの人々はみな、信仰によってあかしされたが、約束のものは受けなかった。 + 神はわたしたちのために、さらに良いものをあらかじめ備えて下さっているので、わたしたちをほかにしては彼らが全うされることはない。 + + + こういうわけで、わたしたちは、このような多くの証人に雲のように囲まれているのであるから、いっさいの重荷と、からみつく罪とをかなぐり捨てて、わたしたちの参加すべき競走を、耐え忍んで走りぬこうではないか。 + 信仰の導き手であり、またその完成者であるイエスを仰ぎ見つつ、走ろうではないか。彼は、自分の前におかれている喜びのゆえに、恥をもいとわないで十字架を忍び、神の御座の右に座するに至ったのである。 + あなたがたは、弱り果てて意気そそうしないために、罪人らのこのような反抗を耐え忍んだかたのことを、思いみるべきである。 + あなたがたは、罪と取り組んで戦う時、まだ血を流すほどの抵抗をしたことがない。 + また子たちに対するように、あなたがたに語られたこの勧めの言葉を忘れている、「わたしの子よ、主の訓練を軽んじてはいけない。主に責められるとき、弱り果ててはならない。 + 主は愛する者を訓練し、受けいれるすべての子を、むち打たれるのである」。 + あなたがたは訓練として耐え忍びなさい。神はあなたがたを、子として取り扱っておられるのである。いったい、父に訓練されない子があるだろうか。 + だれでも受ける訓練が、あなたがたに与えられないとすれば、それこそ、あなたがたは私生子であって、ほんとうの子ではない。 + その上、肉親の父はわたしたちを訓練するのに、なお彼をうやまうとすれば、なおさら、わたしたちは、たましいの父に服従して、真に生きるべきではないか。 + 肉親の父は、しばらくの間、自分の考えに従って訓練を与えるが、たましいの父は、わたしたちの益のため、そのきよさにあずからせるために、そうされるのである。 + すべての訓練は、当座は、喜ばしいものとは思われず、むしろ悲しいものと思われる。しかし後になれば、それによって鍛えられる者に、平安な義の実を結ばせるようになる。 + それだから、あなたがたのなえた手と、弱くなっているひざとを、まっすぐにしなさい。 + また、足のなえている者が踏みはずすことなく、むしろいやされるように、あなたがたの足のために、まっすぐな道をつくりなさい。 + すべての人と相和し、また、自らきよくなるように努めなさい。きよくならなければ、だれも主を見ることはできない。 + 気をつけて、神の恵みからもれることがないように、また、苦い根がはえ出て、あなたがたを悩まし、それによって多くの人が汚されることのないようにしなさい。 + また、一杯の食のために長子の権利を売ったエサウのように、不品行な俗悪な者にならないようにしなさい。 + あなたがたの知っているように、彼はその後、祝福を受け継ごうと願ったけれども、捨てられてしまい、涙を流してそれを求めたが、悔改めの機会を得なかったのである。 + あなたがたが近づいているのは、手で触れることができ、火が燃え、黒雲や暗やみやあらしにつつまれ、 + また、ラッパの響や、聞いた者たちがそれ以上、耳にしたくないと願ったような言葉がひびいてきた山ではない。 + そこでは、彼らは、「けものであっても、山に触たら、石で打ち殺されてしまえ」という命令の言葉に、耐えることができなかったのである。 + その光景が恐ろしかったのでモーセさえも、「わたしは恐ろしさのあまり、おののいている」と言ったほどである。 + しかしあなたがたが近づいているのは、シオンの山、生ける神の都、天にあるエルサレム、無数の天使の祝会、 + 天に登録されている長子たちの教会、万民の審判者なる神、全うされた義人の霊、 + 新しい契約の仲保者イエス、ならびに、アベルの血よりも力強く語るそそがれた血である。 + あなたがたは、語っておられるかたを拒むことがないように、注意しなさい。もし地上で御旨を告げた者を拒んだ人々が、罰をのがれることができなかったなら、天から告げ示すかたを退けるわたしたちは、なおさらそうなるのではないか。 + あの時には、御声が地を震わせた。しかし今は、約束して言われた、「わたしはもう一度、地ばかりでなく天をも震わそう」。 + この「もう一度」という言葉は、震われないものが残るために、震われるものが、造られたものとして取り除かれることを示している。 + このように、わたしたちは震われない国を受けているのだから、感謝をしようではないか。そして感謝しつつ、恐れかしこみ、神に喜ばれるように、仕えていこう。 + わたしたちの神は、実に、焼きつくす火である。 + + + 兄弟愛を続けなさい。 + 旅人をもてなすことを忘れてはならない。このようにして、ある人々は、気づかないで御使たちをもてなした。 + 獄につながれている人たちを、自分も一緒につながれている心持で思いやりなさい。また、自分も同じ肉体にある者だから、苦しめられている人たちのことを、心にとめなさい。 + すべての人は、結婚を重んずべきである。また寝床を汚してはならない。神は、不品行な者や姦淫をする者をさばかれる。 + 金銭を愛することをしないで、自分の持っているもので満足しなさい。主は、「わたしは、決してあなたを離れず、あなたを捨てない」と言われた。 + だから、わたしたちは、はばからずに言おう、「主はわたしの助け主である。わたしには恐れはない。人は、わたしに何ができようか」。 + 神の言をあなたがたに語った指導者たちのことを、いつも思い起しなさい。彼らの生活の最後を見て、その信仰にならいなさい。 + イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも変ることがない。 + さまざまな違った教によって、迷わされてはならない。食物によらず、恵みによって、心を強くするがよい。食物によって歩いた者は、益を得ることがなかった。 + わたしたちには一つの祭壇がある。幕屋で仕えている者たちは、その祭壇の食物をたべる権利はない。 + なぜなら、大祭司によって罪のためにささげられるけものの血は、聖所のなかに携えて行かれるが、そのからだは、営所の外で焼かれてしまうからである。 + だから、イエスもまた、ご自分の血で民をきよめるために、門の外で苦難を受けられたのである。 + したがって、わたしたちも、彼のはずかしめを身に負い、営所の外に出て、みもとに行こうではないか。 + この地上には、永遠の都はない。きたらんとする都こそ、わたしたちの求めているものである。 + だから、わたしたちはイエスによって、さんびのいけにえ、すなわち、彼の御名をたたえるくちびるの実を、たえず神にささげようではないか。 + そして、善を行うことと施しをすることとを、忘れてはいけない。神は、このようないけにえを喜ばれる。 + あなたがたの指導者たちの言うことを聞きいれて、従いなさい。彼らは、神に言いひらきをすべき者として、あなたがたのたましいのために、目をさましている。彼らが嘆かないで、喜んでこのことをするようにしなさい。そうでないと、あなたがたの益にならない。 + わたしたちのために、祈ってほしい。わたしたちは明らかな良心を持っていると信じており、何事についても、正しく行動しようと願っている。 + わたしがあなたがたの所に早く帰れるため、祈ってくれるように、特にお願いする。 + 永遠の契約の血による羊の大牧者、わたしたちの主イエスを、死人の中から引き上げられた平和の神が、 + イエス・キリストによって、みこころにかなうことをわたしたちにして下さり、あなたがたが御旨を行うために、すべての良きものを備えて下さるようにこい願う。栄光が、世々限りなく神にあるように、アァメン。 + 兄弟たちよ。どうかわたしの勧めの言葉を受けいれてほしい。わたしは、ただ手みじかに書いたのだから。 + わたしたちの兄弟テモテがゆるされたことを、お知らせする。もし彼が早く来れば、彼と一緒にわたしはあなたがたに会えるだろう。 + あなたがたの指導者一同と聖徒たち一同に、よろしく伝えてほしい。イタリヤからきた人々から、あなたがたによろしく。 + 恵みが、あなたがた一同にあるように。 + +
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+ + 神と主イエス・キリストとの僕ヤコブから、離散している十二部族の人々へ、あいさつをおくる。 + わたしの兄弟たちよ。あなたがたが、いろいろな試錬に会った場合、それをむしろ非常に喜ばしいことと思いなさい。 + あなたがたの知っているとおり、信仰がためされることによって、忍耐が生み出されるからである。 + だから、なんら欠点のない、完全な、でき上がった人となるように、その忍耐力を十分に働かせるがよい。 + あなたがたのうち、知恵に不足している者があれば、その人は、とがめもせずに惜しみなくすべての人に与える神に、願い求めるがよい。そうすれば、与えられるであろう。 + ただ、疑わないで、信仰をもって願い求めなさい。疑う人は、風の吹くままに揺れ動く海の波に似ている。 + そういう人は、主から何かをいただけるもののように思うべきではない。 + そんな人間は、二心の者であって、そのすべての行動に安定がない。 + 低い身分の兄弟は、自分が高くされたことを喜びなさい。 + また、富んでいる者は、自分が低くされたことを喜ぶがよい。富んでいる者は、草花のように過ぎ去るからである。 + たとえば、太陽が上って熱風をおくると、草を枯らす。そしてその花は落ち、その美しい姿は消えうせてしまう。それと同じように、富んでいる者も、その一生の旅なかばで没落するであろう。 + 試錬を耐え忍ぶ人は、さいわいである。それを忍びとおしたなら、神を愛する者たちに約束されたいのちの冠を受けるであろう。 + だれでも誘惑に会う場合、「この誘惑は、神からきたものだ」と言ってはならない。神は悪の誘惑に陥るようなかたではなく、また自ら進んで人を誘惑することもなさらない。 + 人が誘惑に陥るのは、それぞれ、欲に引かれ、さそわれるからである。 + 欲がはらんで罪を生み、罪が熟して死を生み出す。 + 愛する兄弟たちよ。思い違いをしてはいけない。 + あらゆる良い贈り物、あらゆる完全な賜物は、上から、光の父から下って来る。父には、変化とか回転の影とかいうものはない。 + 父は、わたしたちを、いわば被造物の初穂とするために、真理の言葉によって御旨のままに、生み出して下さったのである。 + 愛する兄弟たちよ。このことを知っておきなさい。人はすべて、聞くに早く、語るにおそく、怒るにおそくあるべきである。 + 人の怒りは、神の義を全うするものではないからである。 + だから、すべての汚れや、はなはだしい悪を捨て去って、心に植えつけられている御言を、すなおに受け入れなさい。御言には、あなたがたのたましいを救う力がある。 + そして、御言を行う人になりなさい。おのれを欺いて、ただ聞くだけの者となってはいけない。 + おおよそ御言を聞くだけで行わない人は、ちょうど、自分の生れつきの顔を鏡に映して見る人のようである。 + 彼は自分を映して見てそこから立ち去ると、そのとたんに、自分の姿がどんなであったかを忘れてしまう。 + これに反して、完全な自由の律法を一心に見つめてたゆまない人は、聞いて忘れてしまう人ではなくて、実際に行う人である。こういう人は、その行いによって祝福される。 + もし人が信心深い者だと自任しながら、舌を制することをせず、自分の心を欺いているならば、その人の信心はむなしいものである。 + 父なる神のみまえに清く汚れのない信心とは、困っている孤児や、やもめを見舞い、自らは世の汚れに染まずに、身を清く保つことにほかならない。 + + + わたしの兄弟たちよ。わたしたちの栄光の主イエス・キリストへの信仰を守るのに、分け隔てをしてはならない。 + たとえば、あなたがたの会堂に、金の指輪をはめ、りっぱな着物を着た人がはいって来ると同時に、みすぼらしい着物を着た貧しい人がはいってきたとする。 + その際、りっぱな着物を着た人に対しては、うやうやしく「どうぞ、こちらの良い席にお掛け下さい」と言い、貧しい人には、「あなたは、そこに立っていなさい。それとも、わたしの足もとにすわっているがよい」と言ったとしたら、 + あなたがたは、自分たちの間で差別立てをし、よからぬ考えで人をさばく者になったわけではないか。 + 愛する兄弟たちよ。よく聞きなさい。神は、この世の貧しい人たちを選んで信仰に富ませ、神を愛する者たちに約束された御国の相続者とされたではないか。 + しかるに、あなたがたは貧しい人をはずかしめたのである。あなたがたをしいたげ、裁判所に引きずり込むのは、富んでいる者たちではないか。 + あなたがたに対して唱えられた尊い御名を汚すのは、実に彼らではないか。 + しかし、もしあなたがたが、「自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ」という聖書の言葉に従って、このきわめて尊い律法を守るならば、それは良いことである。 + しかし、もし分け隔てをするならば、あなたがたは罪を犯すことになり、律法によって違反者として宣告される。 + なぜなら、律法をことごとく守ったとしても、その一つの点にでも落ち度があれば、全体を犯したことになるからである。 + たとえば、「姦淫するな」と言われたかたは、また「殺すな」とも仰せになった。そこで、たとい姦淫はしなくても、人殺しをすれば、律法の違反者になったことになる。 + だから、自由の律法によってさばかるべき者らしく語り、かつ行いなさい。 + あわれみを行わなかった者に対しては、仮借のないさばきが下される。あわれみは、さばきにうち勝つ。 + わたしの兄弟たちよ。ある人が自分には信仰があると称していても、もし行いがなかったら、なんの役に立つか。その信仰は彼を救うことができるか。 + ある兄弟または姉妹が裸でいて、その日の食物にもこと欠いている場合、 + あなたがたのうち、だれかが、「安らかに行きなさい。暖まって、食べ飽きなさい」と言うだけで、そのからだに必要なものを何ひとつ与えなかったとしたら、なんの役に立つか。 + 信仰も、それと同様に、行いを伴わなければ、それだけでは死んだものである。 + しかし、「ある人には信仰があり、またほかの人には行いがある」と言う者があろう。それなら、行いのないあなたの信仰なるものを見せてほしい。そうしたら、わたしの行いによって信仰を見せてあげよう。 + あなたは、神はただひとりであると信じているのか。それは結構である。悪霊どもでさえ、信じておののいている。 + ああ、愚かな人よ。行いを伴わない信仰のむなしいことを知りたいのか。 + わたしたちの父祖アブラハムは、その子イサクを祭壇にささげた時、行いによって義とされたのではなかったか。 + あなたが知っているとおり、彼においては、信仰が行いと共に働き、その行いによって信仰が全うされ、 + こうして、「アブラハムは神を信じた。それによって、彼は義と認められた」という聖書の言葉が成就し、そして、彼は「神の友」と唱えられたのである。 + これでわかるように、人が義とされるのは、行いによるのであって、信仰だけによるのではない。 + 同じように、かの遊女ラハブでさえも、使者たちをもてなし、彼らを別な道から送り出した時、行いによって義とされたではないか。 + 霊魂のないからだが死んだものであると同様に、行いのない信仰も死んだものなのである。 + + + わたしの兄弟たちよ。あなたがたのうち多くの者は、教師にならないがよい。わたしたち教師が、他の人たちよりも、もっときびしいさばきを受けることが、よくわかっているからである。 + わたしたちは皆、多くのあやまちを犯すものである。もし、言葉の上であやまちのない人があれば、そういう人は、全身をも制御することのできる完全な人である。 + 馬を御するために、その口にくつわをはめるなら、その全身を引きまわすことができる。 + また船を見るがよい。船体が非常に大きく、また激しい風に吹きまくられても、ごく小さなかじ一つで、操縦者の思いのままに運転される。 + それと同じく、舌は小さな器官ではあるが、よく大言壮語する。見よ、ごく小さな火でも、非常に大きな森を燃やすではないか。 + 舌は火である。不義の世界である。舌は、わたしたちの器官の一つとしてそなえられたものであるが、全身を汚し、生存の車輪を燃やし、自らは地獄の火で焼かれる。 + あらゆる種類の獣、鳥、這うもの、海の生物は、すべて人類に制せられるし、また制せられてきた。 + ところが、舌を制しうる人は、ひとりもいない。それは、制しにくい悪であって、死の毒に満ちている。 + わたしたちは、この舌で父なる主をさんびし、また、その同じ舌で、神にかたどって造られた人間をのろっている。 + 同じ口から、さんびとのろいとが出て来る。わたしの兄弟たちよ。このような事は、あるべきでない。 + 泉が、甘い水と苦い水とを、同じ穴からふき出すことがあろうか。 + わたしの兄弟たちよ。いちじくの木がオリブの実を結び、ぶどうの木がいちじくの実を結ぶことができようか。塩水も、甘い水を出すことはできない。 + あなたがたのうちで、知恵があり物わかりのよい人は、だれであるか。その人は、知恵にかなう柔和な行いをしていることを、よい生活によって示すがよい。 + しかし、もしあなたがたの心の中に、苦々しいねたみや党派心をいだいているのなら、誇り高ぶってはならない。また、真理にそむいて偽ってはならない。 + そのような知恵は、上から下ってきたものではなくて、地につくもの、肉に属するもの、悪魔的なものである。 + ねたみと党派心とのあるところには、混乱とあらゆる忌むべき行為とがある。 + しかし上からの知恵は、第一に清く、次に平和、寛容、温順であり、あわれみと良い実とに満ち、かたより見ず、偽りがない。 + 義の実は、平和を造り出す人たちによって、平和のうちにまかれるものである。 + + + あなたがたの中の戦いや争いは、いったい、どこから起るのか。それはほかではない。あなたがたの肢体の中で相戦う欲情からではないか。 + あなたがたは、むさぼるが得られない。そこで人殺しをする。熱望するが手に入れることができない。そこで争い戦う。あなたがたは、求めないから得られないのだ。 + 求めても与えられないのは、快楽のために使おうとして、悪い求め方をするからだ。 + 不貞のやからよ。世を友とするのは、神への敵対であることを、知らないか。おおよそ世の友となろうと思う者は、自らを神の敵とするのである。 + それとも、「神は、わたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに愛しておられる」と聖書に書いてあるのは、むなしい言葉だと思うのか。 + しかし神は、いや増しに恵みを賜う。であるから、「神は高ぶる者をしりぞけ、へりくだる者に恵みを賜う」とある。 + そういうわけだから、神に従いなさい。そして、悪魔に立ちむかいなさい。そうすれば、彼はあなたがたから逃げ去るであろう。 + 神に近づきなさい。そうすれば、神はあなたがたに近づいて下さるであろう。罪人どもよ、手をきよめよ。二心の者どもよ、心を清くせよ。 + 苦しめ、悲しめ、泣け。あなたがたの笑いを悲しみに、喜びを憂いに変えよ。 + 主のみまえにへりくだれ。そうすれば、主は、あなたがたを高くして下さるであろう。 + 兄弟たちよ。互に悪口を言い合ってはならない。兄弟の悪口を言ったり、自分の兄弟をさばいたりする者は、律法をそしり、律法をさばくやからである。もしあなたが律法をさばくなら、律法の実行者ではなくて、その審判者なのである。 + しかし、立法者であり審判者であるかたは、ただひとりであって、救うことも滅ぼすこともできるのである。しかるに、隣り人をさばくあなたは、いったい、何者であるか。 + よく聞きなさい。「きょうか、あす、これこれの町へ行き、そこに一か年滞在し、商売をして一もうけしよう」と言う者たちよ。 + あなたがたは、あすのこともわからぬ身なのだ。あなたがたのいのちは、どんなものであるか。あなたがたは、しばしの間あらわれて、たちまち消え行く霧にすぎない。 + むしろ、あなたがたは「主のみこころであれば、わたしは生きながらえもし、あの事この事もしよう」と言うべきである。 + ところが、あなたがたは誇り高ぶっている。このような高慢は、すべて悪である。 + 人が、なすべき善を知りながら行わなければ、それは彼にとって罪である。 + + + 富んでいる人たちよ。よく聞きなさい。あなたがたは、自分の身に降りかかろうとしているわざわいを思って、泣き叫ぶがよい。 + あなたがたの富は朽ち果て、着物はむしばまれ、 + 金銀はさびている。そして、そのさびの毒は、あなたがたの罪を責め、あなたがたの肉を火のように食いつくすであろう。あなたがたは、終りの時にいるのに、なお宝をたくわえている。 + 見よ、あなたがたが労働者たちに畑の刈入れをさせながら、支払わずにいる賃銀が、叫んでいる。そして、刈入れをした人たちの叫び声が、すでに万軍の主の耳に達している。 + あなたがたは、地上でおごり暮し、快楽にふけり、「ほふらるる日」のために、おのが心を肥やしている。 + そして、義人を罪に定め、これを殺した。しかも彼は、あなたがたに抵抗しない。 + だから、兄弟たちよ。主の来臨の時まで耐え忍びなさい。見よ、農夫は、地の尊い実りを、前の雨と後の雨とがあるまで、耐え忍んで待っている。 + あなたがたも、主の来臨が近づいているから、耐え忍びなさい。心を強くしていなさい。 + 兄弟たちよ。互に不平を言い合ってはならない。さばきを受けるかも知れないから。見よ、さばき主が、すでに戸口に立っておられる。 + 兄弟たちよ。苦しみを耐え忍ぶことについては、主の御名によって語った預言者たちを模範にするがよい。 + 忍び抜いた人たちはさいわいであると、わたしたちは思う。あなたがたは、ヨブの忍耐のことを聞いている。また、主が彼になさったことの結末を見て、主がいかに慈愛とあわれみとに富んだかたであるかが、わかるはずである。 + さて、わたしの兄弟たちよ。何はともあれ、誓いをしてはならない。天をさしても、地をさしても、あるいは、そのほかのどんな誓いによっても、いっさい誓ってはならない。むしろ、「しかり」を「しかり」とし、「否」を「否」としなさい。そうしないと、あなたがたは、さばきを受けることになる。 + あなたがたの中に、苦しんでいる者があるか。その人は、祈るがよい。喜んでいる者があるか。その人は、さんびするがよい。 + あなたがたの中に、病んでいる者があるか。その人は、教会の長老たちを招き、主の御名によって、オリブ油を注いで祈ってもらうがよい。 + 信仰による祈は、病んでいる人を救い、そして、主はその人を立ちあがらせて下さる。かつ、その人が罪を犯していたなら、それもゆるされる。 + だから、互に罪を告白し合い、また、いやされるようにお互のために祈りなさい。義人の祈は、大いに力があり、効果のあるものである。 + エリヤは、わたしたちと同じ人間であったが、雨が降らないようにと祈をささげたところ、三年六か月のあいだ、地上に雨が降らなかった。 + それから、ふたたび祈ったところ、天は雨を降らせ、地はその実をみのらせた。 + わたしの兄弟たちよ。あなたがたのうち、真理の道から踏み迷う者があり、だれかが彼を引きもどすなら、 + かように罪人を迷いの道から引きもどす人は、そのたましいを死から救い出し、かつ、多くの罪をおおうものであることを、知るべきである。 + +
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+ + イエス・キリストの使徒ペテロから、ポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤおよびビテニヤに離散し寄留している人たち、 + すなわち、イエス・キリストに従い、かつ、その血のそそぎを受けるために、父なる神の予知されたところによって選ばれ、御霊のきよめにあずかっている人たちへ。恵みと平安とが、あなたがたに豊かに加わるように。 + ほむべきかな、わたしたちの主イエス・キリストの父なる神。神は、その豊かなあわれみにより、イエス・キリストを死人の中からよみがえらせ、それにより、わたしたちを新たに生れさせて生ける望みをいだかせ、 + あなたがたのために天にたくわえてある、朽ちず汚れず、しぼむことのない資産を受け継ぐ者として下さったのである。 + あなたがたは、終りの時に啓示さるべき救にあずかるために、信仰により神の御力に守られているのである。 + そのことを思って、今しばらくのあいだは、さまざまな試錬で悩まねばならないかも知れないが、あなたがたは大いに喜んでいる。 + こうして、あなたがたの信仰はためされて、火で精錬されても朽ちる外はない金よりもはるかに尊いことが明らかにされ、イエス・キリストの現れるとき、さんびと栄光とほまれとに変るであろう。 + あなたがたは、イエス・キリストを見たことはないが、彼を愛している。現在、見てはいないけれども、信じて、言葉につくせない、輝きにみちた喜びにあふれている。 + それは、信仰の結果なるたましいの救を得ているからである。 + この救については、あなたがたに対する恵みのことを預言した預言者たちも、たずね求め、かつ、つぶさに調べた。 + 彼らは、自分たちのうちにいますキリストの霊が、キリストの苦難とそれに続く栄光とを、あらかじめあかしした時、それは、いつの時、どんな場合をさしたのかを、調べたのである。 + そして、それらについて調べたのは、自分たちのためではなくて、あなたがたのための奉仕であることを示された。それらの事は、天からつかわされた聖霊に感じて福音をあなたがたに宣べ伝えた人々によって、今や、あなたがたに告げ知らされたのであるが、これは、御使たちも、うかがい見たいと願っている事である。 + それだから、心の腰に帯を締め、身を慎み、イエス・キリストの現れる時に与えられる恵みを、いささかも疑わずに待ち望んでいなさい。 + 従順な子供として、無知であった時代の欲情に従わず、 + むしろ、あなたがたを召して下さった聖なるかたにならって、あなたがた自身も、あらゆる行いにおいて聖なる者となりなさい。 + 聖書に、「わたしが聖なる者であるから、あなたがたも聖なる者になるべきである」と書いてあるからである。 + あなたがたは、人をそれぞれのしわざに応じて、公平にさばくかたを、父と呼んでいるからには、地上に宿っている間を、おそれの心をもって過ごすべきである。 + あなたがたのよく知っているとおり、あなたがたが先祖伝来の空疎な生活からあがない出されたのは、銀や金のような朽ちる物によったのではなく、 + きずも、しみもない小羊のようなキリストの尊い血によったのである。 + キリストは、天地が造られる前から、あらかじめ知られていたのであるが、この終りの時に至って、あなたがたのために現れたのである。 + あなたがたは、このキリストによって、彼を死人の中からよみがえらせて、栄光をお与えになった神を信じる者となったのであり、したがって、あなたがたの信仰と望みとは、神にかかっているのである。 + あなたがたは、真理に従うことによって、たましいをきよめ、偽りのない兄弟愛をいだくに至ったのであるから、互に心から熱く愛し合いなさい。 + あなたがたが新たに生れたのは、朽ちる種からではなく、朽ちない種から、すなわち、神の変ることのない生ける御言によったのである。 + 「人はみな草のごとく、その栄華はみな草の花に似ている。草は枯れ、花は散る。 + しかし、主の言葉は、とこしえに残る」。これが、あなたがたに宣べ伝えられた御言葉である。 + + + だから、あらゆる悪意、あらゆる偽り、偽善、そねみ、いっさいの悪口を捨てて、 + 今生れたばかりの乳飲み子のように、混じりけのない霊の乳を慕い求めなさい。それによっておい育ち、救に入るようになるためである。 + あなたがたは、主が恵み深いかたであることを、すでに味わい知ったはずである。 + 主は、人には捨てられたが、神にとっては選ばれた尊い生ける石である。 + この主のみもとにきて、あなたがたも、それぞれ生ける石となって、霊の家に築き上げられ、聖なる祭司となって、イエス・キリストにより、神によろこばれる霊のいけにえを、ささげなさい。 + 聖書にこう書いてある、「見よ、わたしはシオンに、選ばれた尊い石、隅のかしら石を置く。それにより頼む者は、決して、失望に終ることがない」。 + この石は、より頼んでいるあなたがたには尊いものであるが、不信仰な人々には「家造りらの捨てた石で、隅のかしら石となったもの」、 + また「つまずきの石、妨げの岩」である。しかし、彼らがつまずくのは、御言に従わないからであって、彼らは、実は、そうなるように定められていたのである。 + しかし、あなたがたは、選ばれた種族、祭司の国、聖なる国民、神につける民である。それによって、暗やみから驚くべきみ光に招き入れて下さったかたのみわざを、あなたがたが語り伝えるためである。 + あなたがたは、以前は神の民でなかったが、いまは神の民であり、以前は、あわれみを受けたことのない者であったが、いまは、あわれみを受けた者となっている。 + 愛する者たちよ。あなたがたに勧める。あなたがたは、この世の旅人であり寄留者であるから、たましいに戦いをいどむ肉の欲を避けなさい。 + 異邦人の中にあって、りっぱな行いをしなさい。そうすれば、彼らは、あなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなたがたのりっぱなわざを見て、かえって、おとずれの日に神をあがめるようになろう。 + あなたがたは、すべて人の立てた制度に、主のゆえに従いなさい。主権者としての王であろうと、 + あるいは、悪を行う者を罰し善を行う者を賞するために、王からつかわされた長官であろうと、これに従いなさい。 + 善を行うことによって、愚かな人々の無知な発言を封じるのは、神の御旨なのである。 + 自由人にふさわしく行動しなさい。ただし、自由をば悪を行う口実として用いず、神の僕にふさわしく行動しなさい。 + すべての人をうやまい、兄弟たちを愛し、神をおそれ、王を尊びなさい。 + 僕たる者よ。心からのおそれをもって、主人に仕えなさい。善良で寛容な主人だけにでなく、気むずかしい主人にも、そうしなさい。 + もしだれかが、不当な苦しみを受けても、神を仰いでその苦痛を耐え忍ぶなら、それはよみせられることである。 + 悪いことをして打ちたたかれ、それを忍んだとしても、なんの手柄になるのか。しかし善を行って苦しみを受け、しかもそれを耐え忍んでいるとすれば、これこそ神によみせられることである。 + あなたがたは、実に、そうするようにと召されたのである。キリストも、あなたがたのために苦しみを受け、御足の跡を踏み従うようにと、模範を残されたのである。 + キリストは罪を犯さず、その口には偽りがなかった。 + ののしられても、ののしりかえさず、苦しめられても、おびやかすことをせず、正しいさばきをするかたに、いっさいをゆだねておられた。 + さらに、わたしたちが罪に死に、義に生きるために、十字架にかかって、わたしたちの罪をご自分の身に負われた。その傷によって、あなたがたは、いやされたのである。 + あなたがたは、羊のようにさ迷っていたが、今は、たましいの牧者であり監督であるかたのもとに、たち帰ったのである。 + + + 同じように、妻たる者よ。夫に仕えなさい。そうすれば、たとい御言に従わない夫であっても、 + あなたがたのうやうやしく清い行いを見て、その妻の無言の行いによって、救に入れられるようになるであろう。 + あなたがたは、髪を編み、金の飾りをつけ、服装をととのえるような外面の飾りではなく、 + かくれた内なる人、柔和で、しとやかな霊という朽ちることのない飾りを、身につけるべきである。これこそ、神のみまえに、きわめて尊いものである。 + むかし、神を仰ぎ望んでいた聖なる女たちも、このように身を飾って、その夫に仕えたのである。 + たとえば、サラはアブラハムに仕えて、彼を主と呼んだ。あなたがたも、何事にもおびえ臆することなく善を行えば、サラの娘たちとなるのである。 + 夫たる者よ。あなたがたも同じように、女は自分よりも弱い器であることを認めて、知識に従って妻と共に住み、いのちの恵みを共どもに受け継ぐ者として、尊びなさい。それは、あなたがたの祈が妨げられないためである。 + 最後に言う。あなたがたは皆、心をひとつにし、同情し合い、兄弟愛をもち、あわれみ深くあり、謙虚でありなさい。 + 悪をもって悪に報いず、悪口をもって悪口に報いず、かえって、祝福をもって報いなさい。あなたがたが召されたのは、祝福を受け継ぐためなのである。 + 「いのちを愛し、さいわいな日々を過ごそうと願う人は、舌を制して悪を言わず、くちびるを閉じて偽りを語らず、 + 悪を避けて善を行い、平和を求めて、これを追え。 + 主の目は義人たちに注がれ、主の耳は彼らの祈にかたむく。しかし主の御顔は、悪を行う者に対して向かう」。 + そこで、もしあなたがたが善に熱心であれば、だれが、あなたがたに危害を加えようか。 + しかし、万一義のために苦しむようなことがあっても、あなたがたはさいわいである。彼らを恐れたり、心を乱したりしてはならない。 + ただ、心の中でキリストを主とあがめなさい。また、あなたがたのうちにある望みについて説明を求める人には、いつでも弁明のできる用意をしていなさい。 + しかし、やさしく、慎み深く、明らかな良心をもって、弁明しなさい。そうすれば、あなたがたがキリストにあって営んでいる良い生活をそしる人々も、そのようにののしったことを恥じいるであろう。 + 善をおこなって苦しむことは――それが神の御旨であれば――悪をおこなって苦しむよりも、まさっている。 + キリストも、あなたがたを神に近づけようとして、自らは義なるかたであるのに、不義なる人々のために、ひとたび罪のゆえに死なれた。ただし、肉においては殺されたが、霊においては生かされたのである。 + こうして、彼は獄に捕われている霊どものところに下って行き、宣べ伝えることをされた。 + これらの霊というのは、むかしノアの箱舟が造られていた間、神が寛容をもって待っておられたのに従わなかった者どものことである。その箱舟に乗り込み、水を経て救われたのは、わずかに八名だけであった。 + この水はバプテスマを象徴するものであって、今やあなたがたをも救うのである。それは、イエス・キリストの復活によるのであって、からだの汚れを除くことではなく、明らかな良心を神に願い求めることである。 + キリストは天に上って神の右に座し、天使たちともろもろの権威、権力を従えておられるのである。 + + + このように、キリストは肉において苦しまれたのであるから、あなたがたも同じ覚悟で心の武装をしなさい。肉において苦しんだ人は、それによって罪からのがれたのである。 + それは、肉における残りの生涯を、もはや人間の欲情によらず、神の御旨によって過ごすためである。 + 過ぎ去った時代には、あなたがたは、異邦人の好みにまかせて、好色、欲情、酔酒、宴楽、暴飲、気ままな偶像礼拝などにふけってきたが、もうそれで十分であろう。 + 今はあなたがたが、そうした度を過ごした乱行に加わらないので、彼らは驚きあやしみ、かつ、ののしっている。 + 彼らは、やがて生ける者と死ねる者とをさばくかたに、申し開きをしなくてはならない。 + 死人にさえ福音が宣べ伝えられたのは、彼らは肉においては人間としてさばきを受けるが、霊においては神に従って生きるようになるためである。 + 万物の終りが近づいている。だから、心を確かにし、身を慎んで、努めて祈りなさい。 + 何よりもまず、互の愛を熱く保ちなさい。愛は多くの罪をおおうものである。 + 不平を言わずに、互にもてなし合いなさい。 + あなたがたは、それぞれ賜物をいただいているのだから、神のさまざまな恵みの良き管理人として、それをお互のために役立てるべきである。 + 語る者は、神の御言を語る者にふさわしく語り、奉仕する者は、神から賜わる力による者にふさわしく奉仕すべきである。それは、すべてのことにおいてイエス・キリストによって、神があがめられるためである。栄光と力とが世々限りなく、彼にあるように、アァメン。 + 愛する者たちよ。あなたがたを試みるために降りかかって来る火のような試錬を、何か思いがけないことが起ったかのように驚きあやしむことなく、 + むしろ、キリストの苦しみにあずかればあずかるほど、喜ぶがよい。それは、キリストの栄光が現れる際に、よろこびにあふれるためである。 + キリストの名のためにそしられるなら、あなたがたはさいわいである。その時には、栄光の霊、神の霊が、あなたがたに宿るからである。 + あなたがたのうち、だれも、人殺し、盗人、悪を行う者、あるいは、他人に干渉する者として苦しみに会うことのないようにしなさい。 + しかし、クリスチャンとして苦しみを受けるのであれば、恥じることはない。かえって、この名によって神をあがめなさい。 + さばきが神の家から始められる時がきた。それが、わたしたちからまず始められるとしたら、神の福音に従わない人々の行く末は、どんなであろうか。 + また義人でさえ、かろうじて救われるのだとすれば、不信なる者や罪人は、どうなるであろうか。 + だから、神の御旨に従って苦しみを受ける人々は、善をおこない、そして、真実であられる創造者に、自分のたましいをゆだねるがよい。 + + + そこで、あなたがたのうちの長老たちに勧める。わたしも、長老のひとりで、キリストの苦難についての証人であり、また、やがて現れようとする栄光にあずかる者である。 + あなたがたにゆだねられている神の羊の群れを牧しなさい。しいられてするのではなく、神に従って自ら進んでなし、恥ずべき利得のためではなく、本心から、それをしなさい。 + また、ゆだねられた者たちの上に権力をふるうことをしないで、むしろ、群れの模範となるべきである。 + そうすれば、大牧者が現れる時には、しぼむことのない栄光の冠を受けるであろう。 + 同じように、若い人たちよ。長老たちに従いなさい。また、みな互に謙遜を身につけなさい。神は高ぶる者をしりぞけ、へりくだる者に恵みを賜うからである。 + だから、あなたがたは、神の力強い御手の下に、自らを低くしなさい。時が来れば神はあなたがたを高くして下さるであろう。 + 神はあなたがたをかえりみていて下さるのであるから、自分の思いわずらいを、いっさい神にゆだねるがよい。 + 身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたけるししのように、食いつくすべきものを求めて歩き回っている。 + この悪魔にむかい、信仰にかたく立って、抵抗しなさい。あなたがたのよく知っているとおり、全世界にいるあなたがたの兄弟たちも、同じような苦しみの数々に会っているのである。 + あなたがたをキリストにある永遠の栄光に招き入れて下さったあふるる恵みの神は、しばらくの苦しみの後、あなたがたをいやし、強め、力づけ、不動のものとして下さるであろう。 + どうか、力が世々限りなく、神にあるように、アァメン。 + わたしは、忠実な兄弟として信頼しているシルワノの手によって、この短い手紙をあなたがたにおくり、勧めをし、また、これが神のまことの恵みであることをあかしした。この恵みのうちに、かたく立っていなさい。 + あなたがたと共に選ばれてバビロンにある教会、ならびに、わたしの子マルコから、あなたがたによろしく。 + 愛の接吻をもって互にあいさつをかわしなさい。キリストにあるあなたがた一同に、平安があるように。 + +
+
+ + イエス・キリストの僕また使徒であるシメオン・ペテロから、わたしたちの神と救主イエス・キリストとの義によって、わたしたちと同じ尊い信仰を授かった人々へ。 + 神とわたしたちの主イエスとを知ることによって、恵みと平安とが、あなたがたに豊かに加わるように。 + いのちと信心とにかかわるすべてのことは、主イエスの神聖な力によって、わたしたちに与えられている。それは、ご自身の栄光と徳とによって、わたしたちを召されたかたを知る知識によるのである。 + また、それらのものによって、尊く、大いなる約束が、わたしたちに与えられている。それは、あなたがたが、世にある欲のために滅びることを免れ、神の性質にあずかる者となるためである。 + それだから、あなたがたは、力の限りをつくして、あなたがたの信仰に徳を加え、徳に知識を、 + 知識に節制を、節制に忍耐を、忍耐に信心を、 + 信心に兄弟愛を、兄弟愛に愛を加えなさい。 + これらのものがあなたがたに備わって、いよいよ豊かになるならば、わたしたちの主イエス・キリストを知る知識について、あなたがたは、怠る者、実を結ばない者となることはないであろう。 + これらのものを備えていない者は、盲人であり、近視の者であり、自分の以前の罪がきよめられたことを忘れている者である。 + 兄弟たちよ。それだから、ますます励んで、あなたがたの受けた召しと選びとを、確かなものにしなさい。そうすれば、決してあやまちに陥ることはない。 + こうして、わたしたちの主また救主イエス・キリストの永遠の国に入る恵みが、あなたがたに豊かに与えられるからである。 + それだから、あなたがたは既にこれらのことを知っており、また、いま持っている真理に堅く立ってはいるが、わたしは、これらのことをいつも、あなたがたに思い起させたいのである。 + わたしがこの幕屋にいる間、あなたがたに思い起させて、奮い立たせることが適当と思う。 + それは、わたしたちの主イエス・キリストもわたしに示して下さったように、わたしのこの幕屋を脱ぎ去る時が間近であることを知っているからである。 + わたしが世を去った後にも、これらのことを、あなたがたにいつも思い出させるように努めよう。 + わたしたちの主イエス・キリストの力と来臨とを、あなたがたに知らせた時、わたしたちは、巧みな作り話を用いることはしなかった。わたしたちが、そのご威光の目撃者なのだからである。 + イエスは父なる神からほまれと栄光とをお受けになったが、その時、おごそかな栄光の中から次のようなみ声がかかったのである、「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である」。 + わたしたちもイエスと共に聖なる山にいて、天から出たこの声を聞いたのである。 + こうして、預言の言葉は、わたしたちにいっそう確実なものになった。あなたがたも、夜が明け、明星がのぼって、あなたがたの心の中を照すまで、この預言の言葉を暗やみに輝くともしびとして、それに目をとめているがよい。 + 聖書の預言はすべて、自分勝手に解釈すべきでないことを、まず第一に知るべきである。 + なぜなら、預言は決して人間の意志から出たものではなく、人々が聖霊に感じ、神によって語ったものだからである。 + + + しかし、民の間に、にせ預言者が起ったことがあるが、それと同じく、あなたがたの間にも、にせ教師が現れるであろう。彼らは、滅びに至らせる異端をひそかに持ち込み、自分たちをあがなって下さった主を否定して、すみやかな滅亡を自分の身に招いている。 + また、大ぜいの人が彼らの放縦を見習い、そのために、真理の道がそしりを受けるに至るのである。 + 彼らは、貪欲のために、甘言をもってあなたがたをあざむき、利をむさぼるであろう。彼らに対するさばきは昔から猶予なく行われ、彼らの滅亡も滞ることはない。 + 神は、罪を犯した御使たちを許しておかないで、彼らを下界におとしいれ、さばきの時まで暗やみの穴に閉じ込めておかれた。 + また、古い世界をそのままにしておかないで、その不信仰な世界に洪水をきたらせ、ただ、義の宣伝者ノアたち八人の者だけを保護された。 + また、ソドムとゴモラの町々を灰に帰せしめて破滅に処し、不信仰に走ろうとする人々の見せしめとし、 + ただ、非道の者どもの放縦な行いによってなやまされていた義人ロトだけを救い出された。 + (この義人は、彼らの間に住み、彼らの不法の行いを日々見聞きして、その正しい心を痛めていたのである。) + こういうわけで、主は、信心深い者を試錬の中から救い出し、また、不義な者ども、 + 特に、汚れた情欲におぼれ肉にしたがって歩み、また、権威ある者を軽んじる人々を罰して、さばきの日まで閉じ込めておくべきことを、よくご存じなのである。こういう人々は、大胆不敵なわがまま者であって、栄光ある者たちをそしってはばかるところがない。 + しかし、御使たちは、勢いにおいても力においても、彼らにまさっているにかかわらず、彼らを主のみまえに訴えそしることはしない。 + これらの者は、捕えられ、ほふられるために生れてきた、分別のない動物のようなもので、自分が知りもしないことをそしり、その不義の報いとして罰を受け、必ず滅ぼされてしまうのである。 + 彼らは、真昼でさえ酒食を楽しみ、あなたがたと宴会に同席して、だましごとにふけっている。彼らは、しみであり、きずである。 + その目は淫行を追い、罪を犯して飽くことを知らない。彼らは心の定まらない者を誘惑し、その心は貪欲に慣れ、のろいの子となっている。 + 彼らは正しい道からはずれて迷いに陥り、ベオルの子バラムの道に従った。バラムは不義の実を愛し、 + そのために、自分のあやまちに対するとがめを受けた。ものを言わないろばが、人間の声でものを言い、この預言者の狂気じみたふるまいをはばんだのである。 + この人々は、いわば、水のない井戸、突風に吹きはらわれる霧であって、彼らには暗やみが用意されている。 + 彼らはむなしい誇を語り、迷いの中に生きている人々の間から、かろうじてのがれてきた者たちを、肉欲と色情とによって誘惑し、 + この人々に自由を与えると約束しながら、彼ら自身は滅亡の奴隷になっている。おおよそ、人は征服者の奴隷となるものである。 + 彼らが、主また救主なるイエス・キリストを知ることにより、この世の汚れからのがれた後、またそれに巻き込まれて征服されるならば、彼らの後の状態は初めよりも、もっと悪くなる。 + 義の道を心得ていながら、自分に授けられた聖なる戒めにそむくよりは、むしろ義の道を知らなかった方がよい。 + ことわざに、「犬は自分の吐いた物に帰り、豚は洗われても、また、どろの中にころがって行く」とあるが、彼らの身に起ったことは、そのとおりである。 + + + 愛する者たちよ。わたしは今この第二の手紙をあなたがたに書きおくり、これらの手紙によって記憶を呼び起し、あなたがたの純真な心を奮い立たせようとした。 + それは、聖なる預言者たちがあらかじめ語った言葉と、あなたがたの使徒たちが伝えた主なる救主の戒めとを、思い出させるためである。 + まず次のことを知るべきである。終りの時にあざける者たちが、あざけりながら出てきて、自分の欲情のままに生活し、 + 「主の来臨の約束はどうなったのか。先祖たちが眠りについてから、すべてのものは天地創造の初めからそのままであって、変ってはいない」と言うであろう。 + すなわち、彼らはこのことを認めようとはしない。古い昔に天が存在し、地は神の言によって、水がもとになり、また、水によって成ったのであるが、 + その時の世界は、御言により水でおおわれて滅んでしまった。 + しかし、今の天と地とは、同じ御言によって保存され、不信仰な人々がさばかれ、滅ぼさるべき日に火で焼かれる時まで、そのまま保たれているのである。 + 愛する者たちよ。この一事を忘れてはならない。主にあっては、一日は千年のようであり、千年は一日のようである。 + ある人々がおそいと思っているように、主は約束の実行をおそくしておられるのではない。ただ、ひとりも滅びることがなく、すべての者が悔改めに至ることを望み、あなたがたに対してながく忍耐しておられるのである。 + しかし、主の日は盗人のように襲って来る。その日には、天は大音響をたてて消え去り、天体は焼けてくずれ、地とその上に造り出されたものも、みな焼きつくされるであろう。 + このように、これらはみなくずれ落ちていくものであるから、神の日の到来を熱心に待ち望んでいるあなたがたは、 + 極力、きよく信心深い行いをしていなければならない。その日には、天は燃えくずれ、天体は焼けうせてしまう。 + しかし、わたしたちは、神の約束に従って、義の住む新しい天と新しい地とを待ち望んでいる。 + 愛する者たちよ。それだから、この日を待っているあなたがたは、しみもなくきずもなく、安らかな心で、神のみまえに出られるように励みなさい。 + また、わたしたちの主の寛容は救のためであると思いなさい。このことは、わたしたちの愛する兄弟パウロが、彼に与えられた知恵によって、あなたがたに書きおくったとおりである。 + 彼は、どの手紙にもこれらのことを述べている。その手紙の中には、ところどころ、わかりにくい箇所もあって、無学で心の定まらない者たちは、ほかの聖書についてもしているように、無理な解釈をほどこして、自分の滅亡を招いている。 + 愛する者たちよ。それだから、あなたがたはかねてから心がけているように、非道の者の惑わしに誘い込まれて、あなたがた自身の確信を失うことのないように心がけなさい。 + そして、わたしたちの主また救主イエス・キリストの恵みと知識とにおいて、ますます豊かになりなさい。栄光が、今も、また永遠の日に至るまでも、主にあるように、アァメン。 + +
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+ + 初めからあったもの、わたしたちが聞いたもの、目で見たもの、よく見て手でさわったもの、すなわち、いのちの言について―― + このいのちが現れたので、この永遠のいのちをわたしたちは見て、そのあかしをし、かつ、あなたがたに告げ知らせるのである。この永遠のいのちは、父と共にいましたが、今やわたしたちに現れたものである―― + すなわち、わたしたちが見たもの、聞いたものを、あなたがたにも告げ知らせる。それは、あなたがたも、わたしたちの交わりにあずかるようになるためである。わたしたちの交わりとは、父ならびに御子イエス・キリストとの交わりのことである。 + これを書きおくるのは、わたしたちの喜びが満ちあふれるためである。 + わたしたちがイエスから聞いて、あなたがたに伝えるおとずれは、こうである。神は光であって、神には少しの暗いところもない。 + 神と交わりをしていると言いながら、もし、やみの中を歩いているなら、わたしたちは偽っているのであって、真理を行っているのではない。 + しかし、神が光の中にいますように、わたしたちも光の中を歩くならば、わたしたちは互に交わりをもち、そして、御子イエスの血が、すべての罪からわたしたちをきよめるのである。 + もし、罪がないと言うなら、それは自分を欺くことであって、真理はわたしたちのうちにない。 + もし、わたしたちが自分の罪を告白するならば、神は真実で正しいかたであるから、その罪をゆるし、すべての不義からわたしたちをきよめて下さる。 + もし、罪を犯したことがないと言うなら、それは神を偽り者とするのであって、神の言はわたしたちのうちにない。 + + + わたしの子たちよ。これらのことを書きおくるのは、あなたがたが罪を犯さないようになるためである。もし、罪を犯す者があれば、父のみもとには、わたしたちのために助け主、すなわち、義なるイエス・キリストがおられる。 + 彼は、わたしたちの罪のための、あがないの供え物である。ただ、わたしたちの罪のためばかりではなく、全世界の罪のためである。 + もし、わたしたちが彼の戒めを守るならば、それによって彼を知っていることを悟るのである。 + 「彼を知っている」と言いながら、その戒めを守らない者は、偽り者であって、真理はその人のうちにない。 + しかし、彼の御言を守る者があれば、その人のうちに、神の愛が真に全うされるのである。それによって、わたしたちが彼にあることを知るのである。 + 「彼におる」と言う者は、彼が歩かれたように、その人自身も歩くべきである。 + 愛する者たちよ。わたしがあなたがたに書きおくるのは、新しい戒めではなく、あなたがたが初めから受けていた古い戒めである。その古い戒めとは、あなたがたがすでに聞いた御言である。 + しかも、新しい戒めを、あなたがたに書きおくるのである。そして、それは、彼にとってもあなたがたにとっても、真理なのである。なぜなら、やみは過ぎ去り、まことの光がすでに輝いているからである。 + 「光の中にいる」と言いながら、その兄弟を憎む者は、今なお、やみの中にいるのである。 + 兄弟を愛する者は、光におるのであって、つまずくことはない。 + 兄弟を憎む者は、やみの中におり、やみの中を歩くのであって、自分ではどこへ行くのかわからない。やみが彼の目を見えなくしたからである。 + 子たちよ。あなたがたにこれを書きおくるのは、御名のゆえに、あなたがたの多くの罪がゆるされたからである。 + 父たちよ。あなたがたに書きおくるのは、あなたがたが、初めからいますかたを知ったからである。若者たちよ。あなたがたに書きおくるのは、あなたがたが、悪しき者にうち勝ったからである。 + 子供たちよ。あなたがたに書きおくったのは、あなたがたが父を知ったからである。父たちよ。あなたがたに書きおくったのは、あなたがたが、初めからいますかたを知ったからである。若者たちよ。あなたがたに書きおくったのは、あなたがたが強い者であり、神の言があなたがたに宿り、そして、あなたがたが悪しき者にうち勝ったからである。 + 世と世にあるものとを、愛してはいけない。もし、世を愛する者があれば、父の愛は彼のうちにない。 + すべて世にあるもの、すなわち、肉の欲、目の欲、持ち物の誇は、父から出たものではなく、世から出たものである。 + 世と世の欲とは過ぎ去る。しかし、神の御旨を行う者は、永遠にながらえる。 + 子供たちよ。今は終りの時である。あなたがたがかねて反キリストが来ると聞いていたように、今や多くの反キリストが現れてきた。それによって今が終りの時であることを知る。 + 彼らはわたしたちから出て行った。しかし、彼らはわたしたちに属する者ではなかったのである。もし属する者であったなら、わたしたちと一緒にとどまっていたであろう。しかし、出て行ったのは、元来、彼らがみなわたしたちに属さない者であることが、明らかにされるためである。 + しかし、あなたがたは聖なる者に油を注がれているので、あなたがたすべてが、そのことを知っている。 + わたしが書きおくったのは、あなたがたが真理を知らないからではなく、それを知っているからであり、また、すべての偽りは真理から出るものでないことを、知っているからである。 + 偽り者とは、だれであるか。イエスのキリストであることを否定する者ではないか。父と御子とを否定する者は、反キリストである。 + 御子を否定する者は父を持たず、御子を告白する者は、また父をも持つのである。 + 初めから聞いたことが、あなたがたのうちに、とどまるようにしなさい。初めから聞いたことが、あなたがたのうちにとどまっておれば、あなたがたも御子と父とのうちに、とどまることになる。 + これが、彼自らわたしたちに約束された約束であって、すなわち、永遠のいのちである。 + わたしは、あなたがたを惑わす者たちについて、これらのことを書きおくった。 + あなたがたのうちには、キリストからいただいた油がとどまっているので、だれにも教えてもらう必要はない。この油が、すべてのことをあなたがたに教える。それはまことであって、偽りではないから、その油が教えたように、あなたがたは彼のうちにとどまっていなさい。 + そこで、子たちよ。キリストのうちにとどまっていなさい。それは、彼が現れる時に、確信を持ち、その来臨に際して、みまえに恥じいることがないためである。 + 彼の義なるかたであることがわかれば、義を行う者はみな彼から生れたものであることを、知るであろう。 + + + わたしたちが神の子と呼ばれるためには、どんなに大きな愛を父から賜わったことか、よく考えてみなさい。わたしたちは、すでに神の子なのである。世がわたしたちを知らないのは、父を知らなかったからである。 + 愛する者たちよ。わたしたちは今や神の子である。しかし、わたしたちがどうなるのか、まだ明らかではない。彼が現れる時、わたしたちは、自分たちが彼に似るものとなることを知っている。そのまことの御姿を見るからである。 + 彼についてこの望みをいだいている者は皆、彼がきよくあられるように、自らをきよくする。 + すべて罪を犯す者は、不法を行う者である。罪は不法である。 + あなたがたが知っているとおり、彼は罪をとり除くために現れたのであって、彼にはなんらの罪がない。 + すべて彼におる者は、罪を犯さない。すべて罪を犯す者は彼を見たこともなく、知ったこともない者である。 + 子たちよ。だれにも惑わされてはならない。彼が義人であると同様に、義を行う者は義人である。 + 罪を犯す者は、悪魔から出た者である。悪魔は初めから罪を犯しているからである。神の子が現れたのは、悪魔のわざを滅ぼしてしまうためである。 + すべて神から生れた者は、罪を犯さない。神の種が、その人のうちにとどまっているからである。また、その人は、神から生れた者であるから、罪を犯すことができない。 + 神の子と悪魔の子との区別は、これによって明らかである。すなわち、すべて義を行わない者は、神から出た者ではない。兄弟を愛さない者も、同様である。 + わたしたちは互に愛し合うべきである。これが、あなたがたの初めから聞いていたおとずれである。 + カインのようになってはいけない。彼は悪しき者から出て、その兄弟を殺したのである。なぜ兄弟を殺したのか。彼のわざが悪く、その兄弟のわざは正しかったからである。 + 兄弟たちよ。世があなたがたを憎んでも、驚くには及ばない。 + わたしたちは、兄弟を愛しているので、死からいのちへ移ってきたことを、知っている。愛さない者は、死のうちにとどまっている。 + あなたがたが知っているとおり、すべて兄弟を憎む者は人殺しであり、人殺しはすべて、そのうちに永遠のいのちをとどめてはいない。 + 主は、わたしたちのためにいのちを捨てて下さった。それによって、わたしたちは愛ということを知った。それゆえに、わたしたちもまた、兄弟のためにいのちを捨てるべきである。 + 世の富を持っていながら、兄弟が困っているのを見て、あわれみの心を閉じる者には、どうして神の愛が、彼のうちにあろうか。 + 子たちよ。わたしたちは言葉や口先だけで愛するのではなく、行いと真実とをもって愛し合おうではないか。 + それによって、わたしたちが真理から出たものであることがわかる。そして、神のみまえに心を安んじていよう。 + なぜなら、たといわたしたちの心に責められるようなことがあっても、神はわたしたちの心よりも大いなるかたであって、すべてをご存じだからである。 + 愛する者たちよ。もし心に責められるようなことがなければ、わたしたちは神に対して確信を持つことができる。 + そして、願い求めるものは、なんでもいただけるのである。それは、わたしたちが神の戒めを守り、みこころにかなうことを、行っているからである。 + その戒めというのは、神の子イエス・キリストの御名を信じ、わたしたちに命じられたように、互に愛し合うべきことである。 + 神の戒めを守る人は、神におり、神もまたその人にいます。そして、神がわたしたちのうちにいますことは、神がわたしたちに賜わった御霊によって知るのである。 + + + 愛する者たちよ。すべての霊を信じることはしないで、それらの霊が神から出たものであるかどうか、ためしなさい。多くのにせ預言者が世に出てきているからである。 + あなたがたは、こうして神の霊を知るのである。すなわち、イエス・キリストが肉体をとってこられたことを告白する霊は、すべて神から出ているものであり、 + イエスを告白しない霊は、すべて神から出ているものではない。これは、反キリストの霊である。あなたがたは、それが来るとかねて聞いていたが、今やすでに世にきている。 + 子たちよ。あなたがたは神から出た者であって、彼らにうち勝ったのである。あなたがたのうちにいますのは、世にある者よりも大いなる者なのである。 + 彼らは世から出たものである。だから、彼らは世のことを語り、世も彼らの言うことを聞くのである。 + しかし、わたしたちは神から出たものである。神を知っている者は、わたしたちの言うことを聞き、神から出ない者は、わたしたちの言うことを聞かない。これによって、わたしたちは、真理の霊と迷いの霊との区別を知るのである。 + 愛する者たちよ。わたしたちは互に愛し合おうではないか。愛は、神から出たものなのである。すべて愛する者は、神から生れた者であって、神を知っている。 + 愛さない者は、神を知らない。神は愛である。 + 神はそのひとり子を世につかわし、彼によってわたしたちを生きるようにして下さった。それによって、わたしたちに対する神の愛が明らかにされたのである。 + わたしたちが神を愛したのではなく、神がわたしたちを愛して下さって、わたしたちの罪のためにあがないの供え物として、御子をおつかわしになった。ここに愛がある。 + 愛する者たちよ。神がこのようにわたしたちを愛して下さったのであるから、わたしたちも互に愛し合うべきである。 + 神を見た者は、まだひとりもいない。もしわたしたちが互に愛し合うなら、神はわたしたちのうちにいまし、神の愛がわたしたちのうちに全うされるのである。 + 神が御霊をわたしたちに賜わったことによって、わたしたちが神におり、神がわたしたちにいますことを知る。 + わたしたちは、父が御子を世の救主としておつかわしになったのを見て、そのあかしをするのである。 + もし人が、イエスを神の子と告白すれば、神はその人のうちにいまし、その人は神のうちにいるのである。 + わたしたちは、神がわたしたちに対して持っておられる愛を知り、かつ信じている。神は愛である。愛のうちにいる者は、神におり、神も彼にいます。 + わたしたちもこの世にあって彼のように生きているので、さばきの日に確信を持って立つことができる。そのことによって、愛がわたしたちに全うされているのである。 + 愛には恐れがない。完全な愛は恐れをとり除く。恐れには懲らしめが伴い、かつ恐れる者には、愛が全うされていないからである。 + わたしたちが愛し合うのは、神がまずわたしたちを愛して下さったからである。 + 「神を愛している」と言いながら兄弟を憎む者は、偽り者である。現に見ている兄弟を愛さない者は、目に見えない神を愛することはできない。 + 神を愛する者は、兄弟をも愛すべきである。この戒めを、わたしたちは神から授かっている。 + + + すべてイエスのキリストであることを信じる者は、神から生れた者である。すべて生んで下さったかたを愛する者は、そのかたから生れた者をも愛するのである。 + 神を愛してその戒めを行えば、それによってわたしたちは、神の子たちを愛していることを知るのである。 + 神を愛するとは、すなわち、その戒めを守ることである。そして、その戒めはむずかしいものではない。 + なぜなら、すべて神から生れた者は、世に勝つからである。そして、わたしたちの信仰こそ、世に勝たしめた勝利の力である。 + 世に勝つ者はだれか。イエスを神の子と信じる者ではないか。 + このイエス・キリストは、水と血とをとおってこられたかたである。水によるだけではなく、水と血とによってこられたのである。そのあかしをするものは、御霊である。御霊は真理だからである。 + あかしをするものが、三つある。 + 御霊と水と血とである。そして、この三つのものは一致する。 + わたしたちは人間のあかしを受けいれるが、しかし、神のあかしはさらにまさっている。神のあかしというのは、すなわち、御子について立てられたあかしである。 + 神の子を信じる者は、自分のうちにこのあかしを持っている。神を信じない者は、神を偽り者とする。神が御子についてあかしせられたそのあかしを、信じていないからである。 + そのあかしとは、神が永遠のいのちをわたしたちに賜わり、かつ、そのいのちが御子のうちにあるということである。 + 御子を持つ者はいのちを持ち、神の御子を持たない者はいのちを持っていない。 + これらのことをあなたがたに書きおくったのは、神の子の御名を信じるあなたがたに、永遠のいのちを持っていることを、悟らせるためである。 + わたしたちが神に対していだいている確信は、こうである。すなわち、わたしたちが何事でも神の御旨に従って願い求めるなら、神はそれを聞きいれて下さるということである。 + そして、わたしたちが願い求めることは、なんでも聞きいれて下さるとわかれば、神に願い求めたことはすでにかなえられたことを、知るのである。 + もしだれかが死に至ることのない罪を犯している兄弟を見たら、神に願い求めなさい。そうすれば神は、死に至ることのない罪を犯している人々には、いのちを賜わるであろう。死に至る罪がある。これについては、願い求めよ、とは言わない。 + 不義はすべて、罪である。しかし、死に至ることのない罪もある。 + すべて神から生れた者は罪を犯さないことを、わたしたちは知っている。神から生れたかたが彼を守っていて下さるので、悪しき者が手を触れるようなことはない。 + また、わたしたちは神から出た者であり、全世界は悪しき者の配下にあることを、知っている。 + さらに、神の子がきて、真実なかたを知る知力をわたしたちに授けて下さったことも、知っている。そして、わたしたちは、真実なかたにおり、御子イエス・キリストにおるのである。このかたは真実な神であり、永遠のいのちである。 + 子たちよ。気をつけて、偶像を避けなさい。 + +
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+ + 長老のわたしから、真実に愛している選ばれた婦人とその子たちへ。あなたがたを愛しているのは、わたしだけではなく、真理を知っている者はみなそうである。 + それは、わたしたちのうちにあり、また永遠に共にあるべき真理によるのである。 + 父なる神および父の御子イエス・キリストから、恵みとあわれみと平安とが、真理と愛のうちにあって、わたしたちと共にあるように。 + あなたの子供たちのうちで、わたしたちが父から受けた戒めどおりに、真理のうちを歩いている者があるのを見て、わたしは非常に喜んでいる。 + 婦人よ。ここにお願いしたいことがある。それは、新しい戒めを書くわけではなく、初めから持っていた戒めなのであるが、わたしたちは、みんな互に愛し合おうではないか。 + 父の戒めどおりに歩くことが、すなわち、愛であり、あなたがたが初めから聞いてきたとおりに愛のうちを歩くことが、すなわち、戒めなのである。 + なぜなら、イエス・キリストが肉体をとってこられたことを告白しないで人を惑わす者が、多く世にはいってきたからである。そういう者は、惑わす者であり、反キリストである。 + よく注意して、わたしたちの働いて得た成果を失うことがなく、豊かな報いを受けられるようにしなさい。 + すべてキリストの教をとおり過ごして、それにとどまらない者は、神を持っていないのである。その教にとどまっている者は、父を持ち、また御子をも持つ。 + この教を持たずにあなたがたのところに来る者があれば、その人を家に入れることも、あいさつすることもしてはいけない。 + そのような人にあいさつする者は、その悪い行いにあずかることになるからである。 + あなたがたに書きおくることはたくさんあるが、紙と墨とで書くことはすまい。むしろ、あなたがたのところに行き、直接はなし合って、共に喜びに満ちあふれたいものである。 + 選ばれたあなたの姉妹の子供たちが、あなたによろしく。 + +
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+ + 長老のわたしから、真実に愛している親愛なるガイオへ。 + 愛する者よ。あなたのたましいがいつも恵まれていると同じく、あなたがすべてのことに恵まれ、またすこやかであるようにと、わたしは祈っている。 + 兄弟たちがきて、あなたが真理に生きていることを、あかししてくれたので、ひじょうに喜んでいる。事実、あなたは真理のうちを歩いているのである。 + わたしの子供たちが真理のうちを歩いていることを聞く以上に、大きい喜びはない。 + 愛する者よ。あなたが、兄弟たち、しかも旅先にある者につくしていることは、みな真実なわざである。 + 彼らは、諸教会で、あなたの愛についてあかしをした。それらの人々を、神のみこころにかなうように送り出してくれたら、それは願わしいことである。 + 彼らは、御名のために旅立った者であって、異邦人からは何も受けていない。 + それだから、わたしたちは、真理のための同労者となるように、こういう人々を助けねばならない。 + わたしは少しばかり教会に書きおくっておいたが、みんなのかしらになりたがっているデオテレペスが、わたしたちを受けいれてくれない。 + だから、わたしがそちらへ行った時、彼のしわざを指摘しようと思う。彼は口ぎたなくわたしたちをののしり、そればかりか、兄弟たちを受けいれようともせず、受けいれようとする人たちを妨げて、教会から追い出している。 + 愛する者よ。悪にならわないで、善にならいなさい。善を行う者は神から出た者であり、悪を行う者は神を見たことのない者である。 + デメテリオについては、あらゆる人も、また真理そのものも、証明している。わたしたちも証明している。そして、あなたが知っているとおり、わたしたちの証明は真実である。 + あなたに書きおくりたいことはたくさんあるが、墨と筆とで書くことはすまい。 + すぐにでもあなたに会って、直接はなし合いたいものである。 平安が、あなたにあるように。友人たちから、あなたによろしく。友人たちひとりびとりに、よろしく。 + +
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+ + イエス・キリストの僕またヤコブの兄弟であるユダから、父なる神に愛され、イエス・キリストに守られている召された人々へ。 + あわれみと平安と愛とが、あなたがたに豊かに加わるように。 + 愛する者たちよ。わたしたちが共にあずかっている救について、あなたがたに書きおくりたいと心から願っていたので、聖徒たちによって、ひとたび伝えられた信仰のために戦うことを勧めるように、手紙をおくる必要を感じるに至った。 + そのわけは、不信仰な人々がしのび込んできて、わたしたちの神の恵みを放縦な生活に変え、唯一の君であり、わたしたちの主であるイエス・キリストを否定しているからである。彼らは、このようなさばきを受けることに、昔から予告されているのである。 + あなたがたはみな、じゅうぶんに知っていることではあるが、主が民をエジプトの地から救い出して後、不信仰な者を滅ぼされたことを、思い起してもらいたい。 + 主は、自分たちの地位を守ろうとはせず、そのおるべき所を捨て去った御使たちを、大いなる日のさばきのために、永久にしばりつけたまま、暗やみの中に閉じ込めておかれた。 + ソドム、ゴモラも、まわりの町々も、同様であって、同じように淫行にふけり、不自然な肉欲に走ったので、永遠の火の刑罰を受け、人々の見せしめにされている。 + しかし、これと同じように、これらの人々は、夢に迷わされて肉を汚し、権威ある者たちを軽んじ、栄光ある者たちをそしっている。 + 御使のかしらミカエルは、モーセの死体について悪魔と論じ争った時、相手をののしりさばくことはあえてせず、ただ、「主がおまえを戒めて下さるように」と言っただけであった。 + しかし、この人々は自分が知りもしないことをそしり、また、分別のない動物のように、ただ本能的な知識にあやまられて、自らの滅亡を招いている。 + 彼らはわざわいである。彼らはカインの道を行き、利のためにバラムの惑わしに迷い入り、コラのような反逆をして滅んでしまうのである。 + 彼らは、あなたがたの愛餐に加わるが、それを汚し、無遠慮に宴会に同席して、自分の腹を肥やしている。彼らは、いわば、風に吹きまわされる水なき雲、実らない枯れ果てて、抜き捨てられた秋の木、 + 自分の恥をあわにして出す海の荒波、さまよう星である。彼らには、まっくらなやみが永久に用意されている。 + アダムから七代目にあたるエノクも彼らについて預言して言った、「見よ、主は無数の聖徒たちを率いてこられた。 + それは、すべての者にさばきを行うためであり、また、不信心な者が、信仰を無視して犯したすべての不信心なしわざと、さらに、不信心な罪人が主にそむいて語ったすべての暴言とを責めるためである」。 + 彼らは不平をならべ、不満を鳴らす者であり、自分の欲のままに生活し、その口は大言を吐き、利のために人にへつらう者である。 + 愛する者たちよ。わたしたちの主イエス・キリストの使徒たちが予告した言葉を思い出しなさい。 + 彼らはあなたがたにこう言った、「終りの時に、あざける者たちがあらわれて、自分の不信心な欲のままに生活するであろう」。 + 彼らは分派をつくる者、肉に属する者、御霊を持たない者たちである。 + しかし、愛する者たちよ。あなたがたは、最も神聖な信仰の上に自らを築き上げ、聖霊によって祈り、 + 神の愛の中に自らを保ち、永遠のいのちを目あてとして、わたしたちの主イエス・キリストのあわれみを待ち望みなさい。 + 疑いをいだく人々があれば、彼らをあわれみ、 + 火の中から引き出して救ってやりなさい。また、そのほかの人たちを、おそれの心をもってあわれみなさい。しかし、肉に汚れた者に対しては、その下着さえも忌みきらいなさい。 + あなたがたを守ってつまずかない者とし、また、その栄光のまえに傷なき者として、喜びのうちに立たせて下さるかた、 + すなわち、わたしたちの救主なる唯一の神に、栄光、大能、力、権威が、わたしたちの主イエス・キリストによって、世々の初めにも、今も、また、世々限りなく、あるように、アァメン。 + +
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+ + イエス・キリストの黙示。この黙示は、神が、すぐにも起るべきことをその僕たちに示すためキリストに与え、そして、キリストが、御使をつかわして、僕ヨハネに伝えられたものである。 + ヨハネは、神の言とイエス・キリストのあかしと、すなわち、自分が見たすべてのことをあかしした。 + この預言の言葉を朗読する者と、これを聞いて、その中に書かれていることを守る者たちとは、さいわいである。時が近づいているからである。 + ヨハネからアジヤにある七つの教会へ。今いまし、昔いまし、やがてきたるべきかたから、また、その御座の前にある七つの霊から、 + また、忠実な証人、死人の中から最初に生れた者、地上の諸王の支配者であるイエス・キリストから、恵みと平安とが、あなたがたにあるように。わたしたちを愛し、その血によってわたしたちを罪から解放し、 + わたしたちを、その父なる神のために、御国の民とし、祭司として下さったかたに、世々限りなく栄光と権力とがあるように、アァメン。 + 見よ、彼は、雲に乗ってこられる。すべての人の目、ことに、彼を刺しとおした者たちは、彼を仰ぎ見るであろう。また地上の諸族はみな、彼のゆえに胸を打って嘆くであろう。しかり、アァメン。 + 今いまし、昔いまし、やがてきたるべき者、全能者にして主なる神が仰せになる、「わたしはアルパであり、オメガである」。 + あなたがたの兄弟であり、共にイエスの苦難と御国と忍耐とにあずかっている、わたしヨハネは、神の言とイエスのあかしとのゆえに、パトモスという島にいた。 + ところが、わたしは、主の日に御霊に感じた。そして、わたしのうしろの方で、ラッパのような大きな声がするのを聞いた。 + その声はこう言った、「あなたが見ていることを書きものにして、それをエペソ、スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、ヒラデルヒヤ、ラオデキヤにある七つの教会に送りなさい」。 + そこでわたしは、わたしに呼びかけたその声を見ようとしてふりむいた。ふりむくと、七つの金の燭台が目についた。 + それらの燭台の間に、足までたれた上着を着、胸に金の帯をしめている人の子のような者がいた。 + そのかしらと髪の毛とは、雪のように白い羊毛に似て真白であり、目は燃える炎のようであった。 + その足は、炉で精錬されて光り輝くしんちゅうのようであり、声は大水のとどろきのようであった。 + その右手に七つの星を持ち、口からは、鋭いもろ刃のつるぎがつき出ており、顔は、強く照り輝く太陽のようであった。 + わたしは彼を見たとき、その足もとに倒れて死人のようになった。すると、彼は右手をわたしの上において言った、「恐れるな。わたしは初めであり、終りであり、 + また、生きている者である。わたしは死んだことはあるが、見よ、世々限りなく生きている者である。そして、死と黄泉とのかぎを持っている。 + そこで、あなたの見たこと、現在のこと、今後起ろうとすることを、書きとめなさい。 + あなたがわたしの右手に見た七つの星と、七つの金の燭台との奥義は、こうである。すなわち、七つの星は七つの教会の御使であり、七つの燭台は七つの教会である。 + + + エペソにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『右の手に七つの星を持つ者、七つの金の燭台の間を歩く者が、次のように言われる。 + わたしは、あなたのわざと労苦と忍耐とを知っている。また、あなたが、悪い者たちをゆるしておくことができず、使徒と自称してはいるが、その実、使徒でない者たちをためしてみて、にせ者であると見抜いたことも、知っている。 + あなたは忍耐をし続け、わたしの名のために忍びとおして、弱り果てることがなかった。 + しかし、あなたに対して責むべきことがある。あなたは初めの愛から離れてしまった。 + そこで、あなたはどこから落ちたかを思い起し、悔い改めて初めのわざを行いなさい。もし、そうしないで悔い改めなければ、わたしはあなたのところにきて、あなたの燭台をその場所から取りのけよう。 + しかし、こういうことはある、あなたはニコライ宗の人々のわざを憎んでおり、わたしもそれを憎んでいる。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者には、神のパラダイスにあるいのちの木の実を食べることをゆるそう』。 + スミルナにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『初めであり、終りである者、死んだことはあるが生き返った者が、次のように言われる。 + わたしは、あなたの苦難や、貧しさを知っている(しかし実際は、あなたは富んでいるのだ)。また、ユダヤ人と自称してはいるが、その実ユダヤ人でなくてサタンの会堂に属する者たちにそしられていることも、わたしは知っている。 + あなたの受けようとする苦しみを恐れてはならない。見よ、悪魔が、あなたがたのうちのある者をためすために、獄に入れようとしている。あなたがたは十日の間、苦難にあうであろう。死に至るまで忠実であれ。そうすれば、いのちの冠を与えよう。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者は、第二の死によって滅ぼされることはない』。 + ペルガモにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『鋭いもろ刃のつるぎを持っているかたが、次のように言われる。 + わたしはあなたの住んでいる所を知っている。そこにはサタンの座がある。あなたは、わたしの名を堅く持ちつづけ、わたしの忠実な証人アンテパスがサタンの住んでいるあなたがたの所で殺された時でさえ、わたしに対する信仰を捨てなかった。 + しかし、あなたに対して責むべきことが、少しばかりある。あなたがたの中には、現にバラムの教を奉じている者がある。バラムは、バラクに教え込み、イスラエルの子らの前に、つまずきになるものを置かせて、偶像にささげたものを食べさせ、また不品行をさせたのである。 + 同じように、あなたがたの中には、ニコライ宗の教を奉じている者もいる。 + だから、悔い改めなさい。そうしないと、わたしはすぐにあなたのところに行き、わたしの口のつるぎをもって彼らと戦おう。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。勝利を得る者には、隠されているマナを与えよう。また、白い石を与えよう。この石の上には、これを受ける者のほかだれも知らない新しい名が書いてある』。 + テアテラにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『燃える炎のような目と光り輝くしんちゅうのような足とを持った神の子が、次のように言われる。 + わたしは、あなたのわざと、あなたの愛と信仰と奉仕と忍耐とを知っている。また、あなたの後のわざが、初めのよりもまさっていることを知っている。 + しかし、あなたに対して責むべきことがある。あなたは、あのイゼベルという女を、そのなすがままにさせている。この女は女預言者と自称し、わたしの僕たちを教え、惑わして、不品行をさせ、偶像にささげたものを食べさせている。 + わたしは、この女に悔い改めるおりを与えたが、悔い改めてその不品行をやめようとはしない。 + 見よ、わたしはこの女を病の床に投げ入れる。この女と姦淫する者をも、悔い改めて彼女のわざから離れなければ、大きな患難の中に投げ入れる。 + また、この女の子供たちをも打ち殺そう。こうしてすべての教会は、わたしが人の心の奥底までも探り知る者であることを悟るであろう。そしてわたしは、あなたがたひとりびとりのわざに応じて報いよう。 + また、テアテラにいるほかの人たちで、まだあの女の教を受けておらず、サタンの、いわゆる「深み」を知らないあなたがたに言う。わたしは別にほかの重荷を、あなたがたに負わせることはしない。 + ただ、わたしが来る時まで、自分の持っているものを堅く保っていなさい。 + 勝利を得る者、わたしのわざを最後まで持ち続ける者には、諸国民を支配する権威を授ける。 + 彼は鉄のつえをもって、ちょうど土の器を砕くように、彼らを治めるであろう。それは、わたし自身が父から権威を受けて治めるのと同様である。 + わたしはまた、彼に明けの明星を与える。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。 + + + サルデスにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『神の七つの霊と七つの星とを持つかたが、次のように言われる。わたしはあなたのわざを知っている。すなわち、あなたは、生きているというのは名だけで、実は死んでいる。 + 目をさましていて、死にかけている残りの者たちを力づけなさい。わたしは、あなたのわざが、わたしの神のみまえに完全であるとは見ていない。 + だから、あなたが、どのようにして受けたか、また聞いたかを思い起して、それを守りとおし、かつ悔い改めなさい。もし目をさましていないなら、わたしは盗人のように来るであろう。どんな時にあなたのところに来るか、あなたには決してわからない。 + しかし、サルデスにはその衣を汚さない人が、数人いる。彼らは白い衣を着て、わたしと共に歩みを続けるであろう。彼らは、それにふさわしい者である。 + 勝利を得る者は、このように白い衣を着せられるのである。わたしは、その名をいのちの書から消すようなことを、決してしない。また、わたしの父と御使たちの前で、その名を言いあらわそう。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。 + ヒラデルヒヤにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『聖なる者、まことなる者、ダビデのかぎを持つ者、開けばだれにも閉じられることがなく、閉じればだれにも開かれることのない者が、次のように言われる。 + わたしは、あなたのわざを知っている。見よ、わたしは、あなたの前に、だれも閉じることのできない門を開いておいた。なぜなら、あなたには少ししか力がなかったにもかかわらず、わたしの言葉を守り、わたしの名を否まなかったからである。 + 見よ、サタンの会堂に属する者、すなわち、ユダヤ人と自称してはいるが、その実ユダヤ人でなくて、偽る者たちに、こうしよう。見よ、彼らがあなたの足もとにきて平伏するようにし、そして、わたしがあなたを愛していることを、彼らに知らせよう。 + 忍耐についてのわたしの言葉をあなたが守ったから、わたしも、地上に住む者たちをためすために、全世界に臨もうとしている試錬の時に、あなたを防ぎ守ろう。 + わたしは、すぐに来る。あなたの冠がだれにも奪われないように、自分の持っているものを堅く守っていなさい。 + 勝利を得る者を、わたしの神の聖所における柱にしよう。彼は決して二度と外へ出ることはない。そして彼の上に、わたしの神の御名と、わたしの神の都、すなわち、天とわたしの神のみもとから下ってくる新しいエルサレムの名と、わたしの新しい名とを、書きつけよう。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』。 + ラオデキヤにある教会の御使に、こう書きおくりなさい。『アァメンたる者、忠実な、まことの証人、神に造られたものの根源であるかたが、次のように言われる。 + わたしはあなたのわざを知っている。あなたは冷たくもなく、熱くもない。むしろ、冷たいか熱いかであってほしい。 + このように、熱くもなく、冷たくもなく、なまぬるいので、あなたを口から吐き出そう。 + あなたは、自分は富んでいる、豊かになった、なんの不自由もないと言っているが、実は、あなた自身がみじめな者、あわれむべき者、貧しい者、目の見えない者、裸な者であることに気がついていない。 + そこで、あなたに勧める。富む者となるために、わたしから火で精錬された金を買い、また、あなたの裸の恥をさらさないため身に着けるように、白い衣を買いなさい。また、見えるようになるため、目にぬる目薬を買いなさい。 + すべてわたしの愛している者を、わたしはしかったり、懲らしめたりする。だから、熱心になって悔い改めなさい。 + 見よ、わたしは戸の外に立って、たたいている。だれでもわたしの声を聞いて戸をあけるなら、わたしはその中にはいって彼と食を共にし、彼もまたわたしと食を共にするであろう。 + 勝利を得る者には、わたしと共にわたしの座につかせよう。それはちょうど、わたしが勝利を得てわたしの父と共にその御座についたのと同様である。 + 耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい』」。 + + + その後、わたしが見ていると、見よ、開いた門が天にあった。そして、さきにラッパのような声でわたしに呼びかけるのを聞いた初めの声が、「ここに上ってきなさい。そうしたら、これから後に起るべきことを、見せてあげよう」と言った。 + すると、たちまち、わたしは御霊に感じた。見よ、御座が天に設けられており、その御座にいますかたがあった。 + その座にいますかたは、碧玉や赤めのうのように見え、また、御座のまわりには、緑玉のように見えるにじが現れていた。 + また、御座のまわりには二十四の座があって、二十四人の長老が白い衣を身にまとい、頭に金の冠をかぶって、それらの座についていた。 + 御座からは、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴とが、発していた。また、七つのともし火が、御座の前で燃えていた。これらは、神の七つの霊である。 + 御座の前は、水晶に似たガラスの海のようであった。御座のそば近くそのまわりには、四つの生き物がいたが、その前にも後にも、一面に目がついていた。 + 第一の生き物はししのようであり、第二の生き物は雄牛のようであり、第三の生き物は人のような顔をしており、第四の生き物は飛ぶわしのようであった。 + この四つの生き物には、それぞれ六つの翼があり、その翼のまわりも内側も目で満ちていた。そして、昼も夜も、絶え間なくこう叫びつづけていた、「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、全能者にして主なる神。昔いまし、今いまし、やがてきたるべき者」。 + これらの生き物が、御座にいまし、かつ、世々限りなく生きておられるかたに、栄光とほまれとを帰し、また、感謝をささげている時、 + 二十四人の長老は、御座にいますかたのみまえにひれ伏し、世々限りなく生きておられるかたを拝み、彼らの冠を御座のまえに、投げ出して言った、 + 「われらの主なる神よ、あなたこそは、栄光とほまれと力とを受けるにふさわしいかた。あなたは万物を造られました。御旨によって、万物は存在し、また造られたのであります」。 + + + わたしはまた、御座にいますかたの右の手に、巻物があるのを見た。その内側にも外側にも字が書いてあって、七つの封印で封じてあった。 + また、ひとりの強い御使が、大声で、「その巻物を開き、封印をとくのにふさわしい者は、だれか」と呼ばわっているのを見た。 + しかし、天にも地にも地の下にも、この巻物を開いて、それを見ることのできる者は、ひとりもいなかった。 + 巻物を開いてそれを見るのにふさわしい者が見当らないので、わたしは激しく泣いていた。 + すると、長老のひとりがわたしに言った、「泣くな。見よ、ユダ族のしし、ダビデの若枝であるかたが、勝利を得たので、その巻物を開き七つの封印を解くことができる」。 + わたしはまた、御座と四つの生き物との間、長老たちの間に、ほふられたとみえる小羊が立っているのを見た。それに七つの角と七つの目とがあった。これらの目は、全世界につかわされた、神の七つの霊である。 + 小羊は進み出て、御座にいますかたの右の手から、巻物を受けとった。 + 巻物を受けとった時、四つの生き物と二十四人の長老とは、おのおの、立琴と、香の満ちている金の鉢とを手に持って、小羊の前にひれ伏した。この香は聖徒の祈である。 + 彼らは新しい歌を歌って言った、「あなたこそは、その巻物を受けとり、封印を解くにふさわしいかたであります。あなたはほふられ、その血によって、神のために、あらゆる部族、国語、民族、国民の中から人々をあがない、 + わたしたちの神のために、彼らを御国の民とし、祭司となさいました。彼らは地上を支配するに至るでしょう」。 + さらに見ていると、御座と生き物と長老たちとのまわりに、多くの御使たちの声が上がるのを聞いた。その数は万の幾万倍、千の幾千倍もあって、 + 大声で叫んでいた、「ほふられた小羊こそは、力と、富と、知恵と、勢いと、ほまれと、栄光と、さんびとを受けるにふさわしい」。 + またわたしは、天と地、地の下と海の中にあるすべての造られたもの、そして、それらの中にあるすべてのものの言う声を聞いた、「御座にいますかたと小羊とに、さんびと、ほまれと、栄光と、権力とが、世々限りなくあるように」。 + 四つの生き物はアァメンと唱え、長老たちはひれ伏して礼拝した。 + + + 小羊がその七つの封印の一つを解いた時、わたしが見ていると、四つの生き物の一つが、雷のような声で「きたれ」と呼ぶのを聞いた。 + そして見ていると、見よ、白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上にもなお勝利を得ようとして出かけた。 + 小羊が第二の封印を解いた時、第二の生き物が「きたれ」と言うのを、わたしは聞いた。 + すると今度は、赤い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、人々が互に殺し合うようになるために、地上から平和を奪い取ることを許され、また、大きなつるぎを与えられた。 + また、第三の封印を解いた時、第三の生き物が「きたれ」と言うのを、わたしは聞いた。そこで見ていると、見よ、黒い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、はかりを手に持っていた。 + すると、わたしは四つの生き物の間から出て来ると思われる声が、こう言うのを聞いた、「小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デナリ。オリブ油とぶどう酒とを、そこなうな」。 + 小羊が第四の封印を解いた時、第四の生き物が「きたれ」と言う声を、わたしは聞いた。 + そこで見ていると、見よ、青白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者の名は「死」と言い、それに黄泉が従っていた。彼らには、地の四分の一を支配する権威、および、つるぎと、ききんと、死と、地の獣らとによって人を殺す権威とが、与えられた。 + 小羊が第五の封印を解いた時、神の言のゆえに、また、そのあかしを立てたために、殺された人々の霊魂が、祭壇の下にいるのを、わたしは見た。 + 彼らは大声で叫んで言った、「聖なる、まことなる主よ。いつまであなたは、さばくことをなさらず、また地に住む者に対して、わたしたちの血の報復をなさらないのですか」。 + すると、彼らのひとりびとりに白い衣が与えられ、それから、「彼らと同じく殺されようとする僕仲間や兄弟たちの数が満ちるまで、もうしばらくの間、休んでいるように」と言い渡された。 + 小羊が第六の封印を解いた時、わたしが見ていると、大地震が起って、太陽は毛織の荒布のように黒くなり、月は全面、血のようになり、 + 天の星は、いちじくのまだ青い実が大風に揺られて振り落されるように、地に落ちた。 + 天は巻物が巻かれるように消えていき、すべての山と島とはその場所から移されてしまった。 + 地の王たち、高官、千卒長、富める者、勇者、奴隷、自由人らはみな、ほら穴や山の岩かげに、身をかくした。 + そして、山と岩とにむかって言った、「さあ、われわれをおおって、御座にいますかたの御顔と小羊の怒りとから、かくまってくれ。 + 御怒りの大いなる日が、すでにきたのだ。だれが、その前に立つことができようか」。 + + + この後、わたしは四人の御使が地の四すみに立っているのを見た。彼らは地の四方の風をひき止めて、地にも海にもすべての木にも、吹きつけないようにしていた。 + また、もうひとりの御使が、生ける神の印を持って、日の出る方から上って来るのを見た。彼は地と海とをそこなう権威を授かっている四人の御使にむかって、大声で叫んで言った、 + 「わたしたちの神の僕らの額に、わたしたちが印をおしてしまうまでは、地と海と木とをそこなってはならない」。 + わたしは印をおされた者の数を聞いたが、イスラエルの子らのすべての部族のうち、印をおされた者は十四万四千人であった。 + ユダの部族のうち、一万二千人が印をおされ、ルベンの部族のうち、一万二千人、ガドの部族のうち、一万二千人、 + アセルの部族のうち、一万二千人、ナフタリの部族のうち、一万二千人、マナセの部族のうち、一万二千人、 + シメオンの部族のうち、一万二千人、レビの部族のうち、一万二千人、イサカルの部族のうち、一万二千人、 + ゼブルンの部族のうち、一万二千人、ヨセフの部族のうち、一万二千人、ベニヤミンの部族のうち、一万二千人が印をおされた。 + その後、わたしが見ていると、見よ、あらゆる国民、部族、民族、国語のうちから、数えきれないほどの大ぜいの群衆が、白い衣を身にまとい、しゅろの枝を手に持って、御座と小羊との前に立ち、 + 大声で叫んで言った、「救は、御座にいますわれらの神と小羊からきたる」。 + 御使たちはみな、御座と長老たちと四つの生き物とのまわりに立っていたが、御座の前にひれ伏し、神を拝して言った、 + 「アァメン、さんび、栄光、知恵、感謝、ほまれ、力、勢いが、世々限りなく、われらの神にあるように、アァメン」。 + 長老たちのひとりが、わたしにむかって言った、「この白い衣を身にまとっている人々は、だれか。また、どこからきたのか」。 + わたしは彼に答えた、「わたしの主よ、それはあなたがご存じです」。すると、彼はわたしに言った、「彼らは大きな患難をとおってきた人たちであって、その衣を小羊の血で洗い、それを白くしたのである。 + それだから彼らは、神の御座の前におり、昼も夜もその聖所で神に仕えているのである。御座にいますかたは、彼らの上に幕屋を張って共に住まわれるであろう。 + 彼らは、もはや飢えることがなく、かわくこともない。太陽も炎暑も、彼らを侵すことはない。 + 御座の正面にいます小羊は彼らの牧者となって、いのちの水の泉に導いて下さるであろう。また神は、彼らの目から涙をことごとくぬぐいとって下さるであろう」。 + + + 小羊が第七の封印を解いた時、半時間ばかり天に静けさがあった。 + それからわたしは、神のみまえに立っている七人の御使を見た。そして、七つのラッパが彼らに与えられた。 + また、別の御使が出てきて、金の香炉を手に持って祭壇の前に立った。たくさんの香が彼に与えられていたが、これは、すべての聖徒の祈に加えて、御座の前の金の祭壇の上にささげるためのものであった。 + 香の煙は、御使の手から、聖徒たちの祈と共に神のみまえに立ちのぼった。 + 御使はその香炉をとり、これに祭壇の火を満たして、地に投げつけた。すると、多くの雷鳴と、もろもろの声と、いなずまと、地震とが起った。 + そこで、七つのラッパを持っている七人の御使が、それを吹く用意をした。 + 第一の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、血のまじった雹と火とがあらわれて、地上に降ってきた。そして、地の三分の一が焼け、木の三分の一が焼け、また、すべての青草も焼けてしまった。 + 第二の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えさかっている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして、海の三分の一は血となり、 + 海の中の造られた生き物の三分の一は死に、舟の三分の一がこわされてしまった。 + 第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。 + この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ。 + 第四の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、太陽の三分の一と、月の三分の一と、星の三分の一とが打たれて、これらのものの三分の一は暗くなり、昼の三分の一は明るくなくなり、夜も同じようになった。 + また、わたしが見ていると、一羽のわしが中空を飛び、大きな声でこう言うのを聞いた、「ああ、わざわいだ、わざわいだ、地に住む人々は、わざわいだ。なお三人の御使がラッパを吹き鳴らそうとしている」。 + + + 第五の御使が、ラッパを吹き鳴らした。するとわたしは、一つの星が天から地に落ちて来るのを見た。この星に、底知れぬ所の穴を開くかぎが与えられた。 + そして、この底知れぬ所の穴が開かれた。すると、その穴から煙が大きな炉の煙のように立ちのぼり、その穴の煙で、太陽も空気も暗くなった。 + その煙の中から、いなごが地上に出てきたが、地のさそりが持っているような力が、彼らに与えられた。 + 彼らは、地の草やすべての青草、またすべての木をそこなってはならないが、額に神の印がない人たちには害を加えてもよいと、言い渡された。 + 彼らは、人間を殺すことはしないで、五か月のあいだ苦しめることだけが許された。彼らの与える苦痛は、人がさそりにさされる時のような苦痛であった。 + その時には、人々は死を求めても与えられず、死にたいと願っても、死は逃げて行くのである。 + これらのいなごは、出陣の用意のととのえられた馬によく似ており、その頭には金の冠のようなものをつけ、その顔は人間の顔のようであり、 + また、そのかみの毛は女のかみのようであり、その歯はししの歯のようであった。 + また、鉄の胸当のような胸当をつけており、その羽の音は、馬に引かれて戦場に急ぐ多くの戦車の響きのようであった。 + その上、さそりのような尾と針とを持っている。その尾には、五か月のあいだ人間をそこなう力がある。 + 彼らは、底知れぬ所の使を王にいただいており、その名をヘブル語でアバドンと言い、ギリシヤ語ではアポルオンと言う。 + 第一のわざわいは、過ぎ去った。見よ、この後、なお二つのわざわいが来る。 + 第六の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、一つの声が、神のみまえにある金の祭壇の四つの角から出て、 + ラッパを持っている第六の御使にこう呼びかけるのを、わたしは聞いた。「大ユウフラテ川のほとりにつながれている四人の御使を、解いてやれ」。 + すると、その時、その日、その月、その年に備えておかれた四人の御使が、人間の三分の一を殺すために、解き放たれた。 + 騎兵隊の数は二億であった。わたしはその数を聞いた。 + そして、まぼろしの中で、それらの馬とそれに乗っている者たちとを見ると、乗っている者たちは、火の色と青玉色と硫黄の色の胸当をつけていた。そして、それらの馬の頭はししの頭のようであって、その口から火と煙と硫黄とが、出ていた。 + この三つの災害、すなわち、彼らの口から出て来る火と煙と硫黄とによって、人間の三分の一は殺されてしまった。 + 馬の力はその口と尾とにある。その尾はへびに似ていて、それに頭があり、その頭で人に害を加えるのである。 + これらの災害で殺されずに残った人々は、自分の手で造ったものについて、悔い改めようとせず、また悪霊のたぐいや、金、銀、銅、石、木で造られ、見ることも聞くことも歩くこともできない偶像を礼拝して、やめようともしなかった。 + また、彼らは、その犯した殺人や、まじないや、不品行や、盗みを悔い改めようとしなかった。 + + + わたしは、もうひとりの強い御使が、雲に包まれて、天から降りて来るのを見た。その頭に、にじをいただき、その顔は太陽のようで、その足は火の柱のようであった。 + 彼は、開かれた小さな巻物を手に持っていた。そして、右足を海の上に、左足を地の上に踏みおろして、 + ししがほえるように大声で叫んだ。彼が叫ぶと、七つの雷がおのおのその声を発した。 + 七つの雷が声を発した時、わたしはそれを書きとめようとした。すると、天から声があって、「七つの雷の語ったことを封印せよ。それを書きとめるな」と言うのを聞いた。 + それから、海と地の上に立っているのをわたしが見たあの御使は、天にむけて右手を上げ、 + 天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを造り、世々限りなく生きておられるかたをさして誓った、「もう時がない。 + 第七の御使が吹き鳴らすラッパの音がする時には、神がその僕、預言者たちにお告げになったとおり、神の奥義は成就される」。 + すると、前に天から聞えてきた声が、またわたしに語って言った、「さあ行って、海と地との上に立っている御使の手に開かれている巻物を、受け取りなさい」。 + そこで、わたしはその御使のもとに行って、「その小さな巻物を下さい」と言った。すると、彼は言った、「取って、それを食べてしまいなさい。あなたの腹には苦いが、口には蜜のように甘い」。 + わたしは御使の手からその小さな巻物を受け取って食べてしまった。すると、わたしの口には蜜のように甘かったが、それを食べたら、腹が苦くなった。 + その時、「あなたは、もう一度、多くの民族、国民、国語、王たちについて、預言せねばならない」と言う声がした。 + + + それから、わたしはつえのような測りざおを与えられて、こう命じられた、「さあ立って、神の聖所と祭壇と、そこで礼拝している人々とを、測りなさい。 + 聖所の外の庭はそのままにしておきなさい。それを測ってはならない。そこは異邦人に与えられた所だから。彼らは、四十二か月の間この聖なる都を踏みにじるであろう。 + そしてわたしは、わたしのふたりの証人に、荒布を着て、千二百六十日のあいだ預言することを許そう」。 + 彼らは、全地の主のみまえに立っている二本のオリブの木、また、二つの燭台である。 + もし彼らに害を加えようとする者があれば、彼らの口から火が出て、その敵を滅ぼすであろう。もし彼らに害を加えようとする者があれば、その者はこのように殺されねばならない。 + 預言をしている期間、彼らは、天を閉じて雨を降らせないようにする力を持っている。さらにまた、水を血に変え、何度でも思うままに、あらゆる災害で地を打つ力を持っている。 + そして、彼らがそのあかしを終えると、底知れぬ所からのぼって来る獣が、彼らと戦って打ち勝ち、彼らを殺す。 + 彼らの死体はソドムや、エジプトにたとえられている大いなる都の大通りにさらされる。彼らの主も、この都で十字架につけられたのである。 + いろいろな民族、部族、国語、国民に属する人々が、三日半の間、彼らの死体をながめるが、その死体を墓に納めることは許さない。 + 地に住む人々は、彼らのことで喜び楽しみ、互に贈り物をしあう。このふたりの預言者は、地に住む者たちを悩ましたからである。 + 三日半の後、いのちの息が、神から出て彼らの中にはいり、そして、彼らが立ち上がったので、それを見た人々は非常な恐怖に襲われた。 + その時、天から大きな声がして、「ここに上ってきなさい」と言うのを、彼らは聞いた。そして、彼らは雲に乗って天に上った。彼らの敵はそれを見た。 + この時、大地震が起って、都の十分の一は倒れ、その地震で七千人が死に、生き残った人々は驚き恐れて、天の神に栄光を帰した。 + 第二のわざわいは、過ぎ去った。見よ、第三のわざわいがすぐに来る。 + 第七の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、大きな声々が天に起って言った、「この世の国は、われらの主とそのキリストとの国となった。主は世々限りなく支配なさるであろう」。 + そして、神のみまえで座についている二十四人の長老は、ひれ伏し、神を拝して言った、 + 「今いまし、昔いませる、全能者にして主なる神よ。大いなる御力をふるって支配なさったことを、感謝します。 + 諸国民は怒り狂いましたが、あなたも怒りをあらわされました。そして、死人をさばき、あなたの僕なる預言者、聖徒、小さき者も、大いなる者も、すべて御名をおそれる者たちに報いを与え、また、地を滅ぼす者どもを滅ぼして下さる時がきました」。 + そして、天にある神の聖所が開けて、聖所の中に契約の箱が見えた。また、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴と、地震とが起り、大粒の雹が降った。 + + + また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。 + この女は子を宿しており、産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいた。 + また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。 + その尾は天の星の三分の一を掃き寄せ、それらを地に投げ落した。龍は子を産もうとしている女の前に立ち、生れたなら、その子を食い尽そうとかまえていた。 + 女は男の子を産んだが、彼は鉄のつえをもってすべての国民を治めるべき者である。この子は、神のみもとに、その御座のところに、引き上げられた。 + 女は荒野へ逃げて行った。そこには、彼女が千二百六十日のあいだ養われるように、神の用意された場所があった。 + さて、天では戦いが起った。ミカエルとその御使たちとが、龍と戦ったのである。龍もその使たちも応戦したが、 + 勝てなかった。そして、もはや天には彼らのおる所がなくなった。 + この巨大な龍、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わす年を経たへびは、地に投げ落され、その使たちも、もろともに投げ落された。 + その時わたしは、大きな声が天でこう言うのを聞いた、「今や、われらの神の救と力と国と、神のキリストの権威とは、現れた。われらの兄弟らを訴える者、夜昼われらの神のみまえで彼らを訴える者は、投げ落された。 + 兄弟たちは、小羊の血と彼らのあかしの言葉とによって、彼にうち勝ち、死に至るまでもそのいのちを惜しまなかった。 + それゆえに、天とその中に住む者たちよ、大いに喜べ。しかし、地と海よ、おまえたちはわざわいである。悪魔が、自分の時が短いのを知り、激しい怒りをもって、おまえたちのところに下ってきたからである」。 + 龍は、自分が地上に投げ落されたと知ると、男子を産んだ女を追いかけた。 + しかし、女は自分の場所である荒野に飛んで行くために、大きなわしの二つの翼を与えられた。そしてそこでへびからのがれて、一年、二年、また、半年の間、養われることになっていた。 + へびは女の後に水を川のように、口から吐き出して、女をおし流そうとした。 + しかし、地は女を助けた。すなわち、地はその口を開いて、龍が口から吐き出した川を飲みほした。 + 龍は、女に対して怒りを発し、女の残りの子ら、すなわち、神の戒めを守り、イエスのあかしを持っている者たちに対して、戦いをいどむために、出て行った。 そして、海の砂の上に立った。 + + + わたしはまた、一匹の獣が海から上って来るのを見た。それには角が十本、頭が七つあり、それらの角には十の冠があって、頭には神を汚す名がついていた。 + わたしの見たこの獣はひょうに似ており、その足はくまの足のようで、その口はししの口のようであった。龍は自分の力と位と大いなる権威とを、この獣に与えた。 + その頭の一つが、死ぬほどの傷を受けたが、その致命的な傷もなおってしまった。そこで、全地の人々は驚きおそれて、その獣に従い、 + また、龍がその権威を獣に与えたので、人々は龍を拝み、さらに、その獣を拝んで言った、「だれが、この獣に匹敵し得ようか。だれが、これと戦うことができようか」。 + この獣には、また、大言を吐き汚しごとを語る口が与えられ、四十二か月のあいだ活動する権威が与えられた。 + そこで、彼は口を開いて神を汚し、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちとを汚した。 + そして彼は、聖徒に戦いをいどんでこれに勝つことを許され、さらに、すべての部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。 + 地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、その名を世の初めからしるされていない者はみな、この獣を拝むであろう。 + 耳のある者は、聞くがよい。 + とりこになるべき者は、とりこになっていく。つるぎで殺す者は、自らもつるぎで殺されねばならない。ここに、聖徒たちの忍耐と信仰とがある。 + わたしはまた、ほかの獣が地から上って来るのを見た。それには小羊のような角が二つあって、龍のように物を言った。 + そして、先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷がいやされた先の獣を拝ませた。 + また、大いなるしるしを行って、人々の前で火を天から地に降らせることさえした。 + さらに、先の獣の前で行うのを許されたしるしで、地に住む人々を惑わし、かつ、つるぎの傷を受けてもなお生きている先の獣の像を造ることを、地に住む人々に命じた。 + それから、その獣の像に息を吹き込んで、その獣の像が物を言うことさえできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。 + また、小さき者にも、大いなる者にも、富める者にも、貧しき者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々に、その右の手あるいは額に刻印を押させ、 + この刻印のない者はみな、物を買うことも売ることもできないようにした。この刻印は、その獣の名、または、その名の数字のことである。 + ここに、知恵が必要である。思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは、人間をさすものである。そして、その数字は六百六十六である。 + + + なお、わたしが見ていると、見よ、小羊がシオンの山に立っていた。また、十四万四千の人々が小羊と共におり、その額に小羊の名とその父の名とが書かれていた。 + またわたしは、大水のとどろきのような、激しい雷鳴のような声が、天から出るのを聞いた。わたしの聞いたその声は、琴をひく人が立琴をひく音のようでもあった。 + 彼らは、御座の前、四つの生き物と長老たちとの前で、新しい歌を歌った。この歌は、地からあがなわれた十四万四千人のほかは、だれも学ぶことができなかった。 + 彼らは、女にふれたことのない者である。彼らは、純潔な者である。そして、小羊の行く所へは、どこへでもついて行く。彼らは、神と小羊とにささげられる初穂として、人間の中からあがなわれた者である。 + 彼らの口には偽りがなく、彼らは傷のない者であった。 + わたしは、もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に宣べ伝えるために、永遠の福音をたずさえてきて、 + 大声で言った、「神をおそれ、神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを、伏し拝め」。 + また、ほかの第二の御使が、続いてきて言った、「倒れた、大いなるバビロンは倒れた。その不品行に対する激しい怒りのぶどう酒を、あらゆる国民に飲ませた者」。 + ほかの第三の御使が彼らに続いてきて、大声で言った、「おおよそ、獣とその像とを拝み、額や手に刻印を受ける者は、 + 神の怒りの杯に混ぜものなしに盛られた、神の激しい怒りのぶどう酒を飲み、聖なる御使たちと小羊との前で、火と硫黄とで苦しめられる。 + その苦しみの煙は世々限りなく立ちのぼり、そして、獣とその像とを拝む者、また、だれでもその名の刻印を受けている者は、昼も夜も休みが得られない。 + ここに、神の戒めを守り、イエスを信じる信仰を持ちつづける聖徒の忍耐がある」。 + またわたしは、天からの声がこう言うのを聞いた、「書きしるせ、『今から後、主にあって死ぬ死人はさいわいである』」。御霊も言う、「しかり、彼らはその労苦を解かれて休み、そのわざは彼らについていく」。 + また見ていると、見よ、白い雲があって、その雲の上に人の子のような者が座しており、頭には金の冠をいただき、手には鋭いかまを持っていた。 + すると、もうひとりの御使が聖所から出てきて、雲の上に座している者にむかって大声で叫んだ、「かまを入れて刈り取りなさい。地の穀物は全く実り、刈り取るべき時がきた」。 + 雲の上に座している者は、そのかまを地に投げ入れた。すると、地のものが刈り取られた。 + また、もうひとりの御使が、天の聖所から出てきたが、彼もまた鋭いかまを持っていた。 + さらに、もうひとりの御使で、火を支配する権威を持っている者が、祭壇から出てきて、鋭いかまを持つ御使にむかい、大声で言った、「その鋭いかまを地に入れて、地のぶどうのふさを刈り集めなさい。ぶどうの実がすでに熟しているから」。 + そこで、御使はそのかまを地に投げ入れて、地のぶどうを刈り集め、神の激しい怒りの大きな酒ぶねに投げ込んだ。 + そして、その酒ぶねが都の外で踏まれた。すると、血が酒ぶねから流れ出て、馬のくつわにとどくほどになり、一千六百丁にわたってひろがった。 + + + またわたしは、天に大いなる驚くべきほかのしるしを見た。七人の御使が、最後の七つの災害を携えていた。これらの災害で神の激しい怒りがその頂点に達するのである。 + またわたしは、火のまじったガラスの海のようなものを見た。そして、このガラスの海のそばに、獣とその像とその名の数字とにうち勝った人々が、神の立琴を手にして立っているのを見た。 + 彼らは、神の僕モーセの歌と小羊の歌とを歌って言った、「全能者にして主なる神よ。あなたのみわざは、大いなる、また驚くべきものであります。万民の王よ、あなたの道は正しく、かつ真実であります。 + 主よ、あなたをおそれず、御名をほめたたえない者が、ありましょうか。あなただけが聖なるかたであり、あらゆる国民はきて、あなたを伏し拝むでしょう。あなたの正しいさばきが、あらわれるに至ったからであります」。 + その後、わたしが見ていると、天にある、あかしの幕屋の聖所が開かれ、 + その聖所から、七つの災害を携えている七人の御使が、汚れのない、光り輝く亜麻布を身にまとい、金の帯を胸にしめて、出てきた。 + そして、四つの生き物の一つが、世々限りなく生きておられる神の激しい怒りの満ちた七つの金の鉢を、七人の御使に渡した。 + すると、聖所は神の栄光とその力とから立ちのぼる煙で満たされ、七人の御使の七つの災害が終ってしまうまでは、だれも聖所にはいることができなかった。 + + + それから、大きな声が聖所から出て、七人の御使にむかい、「さあ行って、神の激しい怒りの七つの鉢を、地に傾けよ」と言うのを聞いた。 + そして、第一の者が出て行って、その鉢を地に傾けた。すると、獣の刻印を持つ人々と、その像を拝む人々とのからだに、ひどい悪性のでき物ができた。 + 第二の者が、その鉢を海に傾けた。すると、海は死人の血のようになって、その中の生き物がみな死んでしまった。 + 第三の者がその鉢を川と水の源とに傾けた。すると、みな血になった。 + それから、水をつかさどる御使がこう言うのを、聞いた、「今いまし、昔いませる聖なる者よ。このようにお定めになったあなたは、正しいかたであります。 + 聖徒と預言者との血を流した者たちに、血をお飲ませになりましたが、それは当然のことであります」。 + わたしはまた祭壇がこう言うのを聞いた、「全能者にして主なる神よ。しかり、あなたのさばきは真実で、かつ正しいさばきであります」。 + 第四の者が、その鉢を太陽に傾けた。すると、太陽は火で人々を焼くことを許された。 + 人々は、激しい炎熱で焼かれたが、これらの災害を支配する神の御名を汚し、悔い改めて神に栄光を帰することをしなかった。 + 第五の者が、その鉢を獣の座に傾けた。すると、獣の国は暗くなり、人々は苦痛のあまり舌をかみ、 + その苦痛とでき物とのゆえに、天の神をのろった。そして、自分の行いを悔い改めなかった。 + 第六の者が、その鉢を大ユウフラテ川に傾けた。すると、その水は、日の出る方から来る王たちに対し道を備えるために、かれてしまった。 + また見ると、龍の口から、獣の口から、にせ預言者の口から、かえるのような三つの汚れた霊が出てきた。 + これらは、しるしを行う悪霊の霊であって、全世界の王たちのところに行き、彼らを召集したが、それは、全能なる神の大いなる日に、戦いをするためであった。 + (見よ、わたしは盗人のように来る。裸のままで歩かないように、また、裸の恥を見られないように、目をさまし着物を身に着けている者は、さいわいである。) + 三つの霊は、ヘブル語でハルマゲドンという所に、王たちを召集した。 + 第七の者が、その鉢を空中に傾けた。すると、大きな声が聖所の中から、御座から出て、「事はすでに成った」と言った。 + すると、いなずまと、もろもろの声と、雷鳴とが起り、また激しい地震があった。それは人間が地上にあらわれて以来、かつてなかったようなもので、それほどに激しい地震であった。 + 大いなる都は三つに裂かれ、諸国民の町々は倒れた。神は大いなるバビロンを思い起し、これに神の激しい怒りのぶどう酒の杯を与えられた。 + 島々はみな逃げ去り、山々は見えなくなった。 + また一タラントの重さほどの大きな雹が、天から人々の上に降ってきた。人々は、この雹の災害のゆえに神をのろった。その災害が、非常に大きかったからである。 + + + それから、七つの鉢を持つ七人の御使のひとりがきて、わたしに語って言った、「さあ、きなさい。多くの水の上にすわっている大淫婦に対するさばきを、見せよう。 + 地の王たちはこの女と姦淫を行い、地に住む人々はこの女の姦淫のぶどう酒に酔いしれている」。 + 御使は、わたしを御霊に感じたまま、荒野へ連れて行った。わたしは、そこでひとりの女が赤い獣に乗っているのを見た。その獣は神を汚すかずかずの名でおおわれ、また、それに七つの頭と十の角とがあった。 + この女は紫と赤の衣をまとい、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものと自分の姦淫の汚れとで満ちている金の杯を手に持ち、 + その額には、一つの名がしるされていた。それは奥義であって、「大いなるバビロン、淫婦どもと地の憎むべきものらとの母」というのであった。 + わたしは、この女が聖徒の血とイエスの証人の血に酔いしれているのを見た。この女を見た時、わたしは非常に驚きあやしんだ。 + すると、御使はわたしに言った、「なぜそんなに驚くのか。この女の奥義と、女を乗せている七つの頭と十の角のある獣の奥義とを、話してあげよう。 + あなたの見た獣は、昔はいたが、今はおらず、そして、やがて底知れぬ所から上ってきて、ついには滅びに至るものである。地に住む者のうち、世の初めからいのちの書に名をしるされていない者たちは、この獣が、昔はいたが今はおらず、やがて来るのを見て、驚きあやしむであろう。 + ここに、知恵のある心が必要である。七つの頭は、この女のすわっている七つの山であり、また、七人の王のことである。 + そのうちの五人はすでに倒れ、ひとりは今おり、もうひとりは、まだきていない。それが来れば、しばらくの間だけおることになっている。 + 昔はいたが今はいないという獣は、すなわち第八のものであるが、またそれは、かの七人の中のひとりであって、ついには滅びに至るものである。 + あなたの見た十の角は、十人の王のことであって、彼らはまだ国を受けてはいないが、獣と共に、一時だけ王としての権威を受ける。 + 彼らは心をひとつにしている。そして、自分たちの力と権威とを獣に与える。 + 彼らは小羊に戦いをいどんでくるが、小羊は、主の主、王の王であるから、彼らにうち勝つ。また、小羊と共にいる召された、選ばれた、忠実な者たちも、勝利を得る」。 + 御使はまた、わたしに言った、「あなたの見た水、すなわち、淫婦のすわっている所は、あらゆる民族、群衆、国民、国語である。 + あなたの見た十の角と獣とは、この淫婦を憎み、みじめな者にし、裸にし、彼女の肉を食い、火で焼き尽すであろう。 + 神は、御言が成就する時まで、彼らの心の中に、御旨を行い、思いをひとつにし、彼らの支配権を獣に与える思いを持つようにされたからである。 + あなたの見たかの女は、地の王たちを支配する大いなる都のことである」。 + + + この後、わたしは、もうひとりの御使が、大いなる権威を持って、天から降りて来るのを見た。地は彼の栄光によって明るくされた。 + 彼は力強い声で叫んで言った、「倒れた、大いなるバビロンは倒れた。そして、それは悪魔の住む所、あらゆる汚れた霊の巣くつ、また、あらゆる汚れた憎むべき鳥の巣くつとなった。 + すべての国民は、彼女の姦淫に対する激しい怒りのぶどう酒を飲み、地の王たちは彼女と姦淫を行い、地上の商人たちは、彼女の極度のぜいたくによって富を得たからである」。 + わたしはまた、もうひとつの声が天から出るのを聞いた、「わたしの民よ。彼女から離れ去って、その罪にあずからないようにし、その災害に巻き込まれないようにせよ。 + 彼女の罪は積り積って天に達しており、神はその不義の行いを覚えておられる。 + 彼女がしたとおりに彼女にし返し、そのしわざに応じて二倍に報復をし、彼女が混ぜて入れた杯の中に、その倍の量を、入れてやれ。 + 彼女が自ら高ぶり、ぜいたくをほしいままにしたので、それに対して、同じほどの苦しみと悲しみとを味わわせてやれ。彼女は心の中で『わたしは女王の位についている者であって、やもめではないのだから、悲しみを知らない』と言っている。 + それゆえ、さまざまの災害が、死と悲しみとききんとが、一日のうちに彼女を襲い、そして、彼女は火で焼かれてしまう。彼女をさばく主なる神は、力強いかたなのである。 + 彼女と姦淫を行い、ぜいたくをほしいままにしていた地の王たちは、彼女が焼かれる火の煙を見て、彼女のために胸を打って泣き悲しみ、 + 彼女の苦しみに恐れをいだき、遠くに立って言うであろう、『ああ、わざわいだ、大いなる都、不落の都、バビロンは、わざわいだ。おまえに対するさばきは、一瞬にしてきた』。 + また、地の商人たちも彼女のために泣き悲しむ。もはや、彼らの商品を買う者が、ひとりもないからである。 + その商品は、金、銀、宝石、真珠、麻布、紫布、絹、緋布、各種の香木、各種の象牙細工、高価な木材、銅、鉄、大理石などの器、 + 肉桂、香料、香、におい油、乳香、ぶどう酒、オリブ油、麦粉、麦、牛、羊、馬、車、奴隷、そして人身などである。 + おまえの心の喜びであったくだものはなくなり、あらゆるはでな、はなやかな物はおまえから消え去った。それらのものはもはや見られない。 + これらの品々を売って、彼女から富を得た商人は、彼女の苦しみに恐れをいだいて遠くに立ち、泣き悲しんで言う、 + 『ああ、わざわいだ、麻布と紫布と緋布をまとい、金や宝石や真珠で身を飾っていた大いなる都は、わざわいだ。 + これほどの富が、一瞬にして無に帰してしまうとは』。また、すべての船長、航海者、水夫、すべて海で働いている人たちは、遠くに立ち、 + 彼女が焼かれる火の煙を見て、叫んで言う、『これほどの大いなる都は、どこにあろう』。 + 彼らは頭にちりをかぶり、泣き悲しんで叫ぶ、『ああ、わざわいだ、この大いなる都は、わざわいだ。そのおごりによって、海に舟を持つすべての人が富を得ていたのに、この都も一瞬にして無に帰してしまった』。 + 天よ、聖徒たちよ、使徒たちよ、預言者たちよ。この都について大いに喜べ。神は、あなたがたのために、この都をさばかれたのである」。 + すると、ひとりの力強い御使が、大きなひきうすのような石を持ちあげ、それを海に投げ込んで言った、「大いなる都バビロンは、このように激しく打ち倒され、そして、全く姿を消してしまう。 + また、おまえの中では、立琴をひく者、歌を歌う者、笛を吹く者、ラッパを吹き鳴らす者の楽の音は全く聞かれず、あらゆる仕事の職人たちも全く姿を消し、また、ひきうすの音も、全く聞かれない。 + また、おまえの中では、あかりもともされず、花婿、花嫁の声も聞かれない。というのは、おまえの商人たちは地上で勢力を張る者となり、すべての国民はおまえのまじないでだまされ、 + また、預言者や聖徒の血、さらに、地上で殺されたすべての者の血が、この都で流されたからである」。 + + + この後、わたしは天の大群衆が大声で唱えるような声を聞いた、「ハレルヤ、救と栄光と力とは、われらの神のものであり、 + そのさばきは、真実で正しい。神は、姦淫で地を汚した大淫婦をさばき、神の僕たちの血の報復を彼女になさったからである」。 + 再び声があって、「ハレルヤ、彼女が焼かれる火の煙は、世々限りなく立ちのぼる」と言った。 + すると、二十四人の長老と四つの生き物とがひれ伏し、御座にいます神を拝して言った、「アァメン、ハレルヤ」。 + その時、御座から声が出て言った、「すべての神の僕たちよ、神をおそれる者たちよ。小さき者も大いなる者も、共に、われらの神をさんびせよ」。 + わたしはまた、大群衆の声、多くの水の音、また激しい雷鳴のようなものを聞いた。それはこう言った、「ハレルヤ、全能者にして主なるわれらの神は、王なる支配者であられる。 + わたしたちは喜び楽しみ、神をあがめまつろう。小羊の婚姻の時がきて、花嫁はその用意をしたからである。 + 彼女は、光り輝く、汚れのない麻布の衣を着ることを許された。この麻布の衣は、聖徒たちの正しい行いである」。 + それから、御使はわたしに言った、「書きしるせ。小羊の婚宴に招かれた者は、さいわいである」。またわたしに言った、「これらは、神の真実の言葉である」。 + そこで、わたしは彼の足もとにひれ伏して、彼を拝そうとした。すると、彼は言った、「そのようなことをしてはいけない。わたしは、あなたと同じ僕仲間であり、またイエスのあかしびとであるあなたの兄弟たちと同じ僕仲間である。ただ神だけを拝しなさい。イエスのあかしは、すなわち預言の霊である」。 + またわたしが見ていると、天が開かれ、見よ、そこに白い馬がいた。それに乗っているかたは、「忠実で真実な者」と呼ばれ、義によってさばき、また、戦うかたである。 + その目は燃える炎であり、その頭には多くの冠があった。また、彼以外にはだれも知らない名がその身にしるされていた。 + 彼は血染めの衣をまとい、その名は「神の言」と呼ばれた。 + そして、天の軍勢が、純白で、汚れのない麻布の衣を着て、白い馬に乗り、彼に従った。 + その口からは、諸国民を打つために、鋭いつるぎが出ていた。彼は、鉄のつえをもって諸国民を治め、また、全能者なる神の激しい怒りの酒ぶねを踏む。 + その着物にも、そのももにも、「王の王、主の主」という名がしるされていた。 + また見ていると、ひとりの御使が太陽の中に立っていた。彼は、中空を飛んでいるすべての鳥にむかって、大声で叫んだ、「さあ、神の大宴会に集まってこい。 + そして、王たちの肉、将軍の肉、勇者の肉、馬の肉、馬に乗っている者の肉、また、すべての自由人と奴隷との肉、小さき者と大いなる者との肉をくらえ」。 + なお見ていると、獣と地の王たちと彼らの軍勢とが集まり、馬に乗っているかたとその軍勢とに対して、戦いをいどんだ。 + しかし、獣は捕えられ、また、この獣の前でしるしを行って、獣の刻印を受けた者とその像を拝む者とを惑わしたにせ預言者も、獣と共に捕えられた。そして、この両者とも、生きながら、硫黄の燃えている火の池に投げ込まれた。 + それ以外の者たちは、馬に乗っておられるかたの口から出るつるぎで切り殺され、その肉を、すべての鳥が飽きるまで食べた。 + + + またわたしが見ていると、ひとりの御使が、底知れぬ所のかぎと大きな鎖とを手に持って、天から降りてきた。 + 彼は、悪魔でありサタンである龍、すなわち、かの年を経たへびを捕えて千年の間つなぎおき、 + そして、底知れぬ所に投げ込み、入口を閉じてその上に封印し、千年の期間が終るまで、諸国民を惑わすことがないようにしておいた。その後、しばらくの間だけ解放されることになっていた。 + また見ていると、かず多くの座があり、その上に人々がすわっていた。そして、彼らにさばきの権が与えられていた。また、イエスのあかしをし神の言を伝えたために首を切られた人々の霊がそこにおり、また、獣をもその像をも拝まず、その刻印を額や手に受けることをしなかった人々がいた。彼らは生きかえって、キリストと共に千年の間、支配した。 + (それ以外の死人は、千年の期間が終るまで生きかえらなかった。)これが第一の復活である。 + この第一の復活にあずかる者は、さいわいな者であり、また聖なる者である。この人たちに対しては、第二の死はなんの力もない。彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストと共に千年の間、支配する。 + 千年の期間が終ると、サタンはその獄から解放される。 + そして、出て行き、地の四方にいる諸国民、すなわちゴグ、マゴグを惑わし、彼らを戦いのために召集する。その数は、海の砂のように多い。 + 彼らは地上の広い所に上ってきて、聖徒たちの陣営と愛されていた都とを包囲した。すると、天から火が下ってきて、彼らを焼き尽した。 + そして、彼らを惑わした悪魔は、火と硫黄との池に投げ込まれた。そこには、獣もにせ預言者もいて、彼らは世々限りなく日夜、苦しめられるのである。 + また見ていると、大きな白い御座があり、そこにいますかたがあった。天も地も御顔の前から逃げ去って、あとかたもなくなった。 + また、死んでいた者が、大いなる者も小さき者も共に、御座の前に立っているのが見えた。かずかずの書物が開かれたが、もう一つの書物が開かれた。これはいのちの書であった。死人はそのしわざに応じ、この書物に書かれていることにしたがって、さばかれた。 + 海はその中にいる死人を出し、死も黄泉もその中にいる死人を出し、そして、おのおのそのしわざに応じて、さばきを受けた。 + それから、死も黄泉も火の池に投げ込まれた。この火の池が第二の死である。 + このいのちの書に名がしるされていない者はみな、火の池に投げ込まれた。 + + + わたしはまた、新しい天と新しい地とを見た。先の天と地とは消え去り、海もなくなってしまった。 + また、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために着飾った花嫁のように用意をととのえて、神のもとを出て、天から下って来るのを見た。 + また、御座から大きな声が叫ぶのを聞いた、「見よ、神の幕屋が人と共にあり、神が人と共に住み、人は神の民となり、神自ら人と共にいまして、 + 人の目から涙を全くぬぐいとって下さる。もはや、死もなく、悲しみも、叫びも、痛みもない。先のものが、すでに過ぎ去ったからである」。 + すると、御座にいますかたが言われた、「見よ、わたしはすべてのものを新たにする」。また言われた、「書きしるせ。これらの言葉は、信ずべきであり、まことである」。 + そして、わたしに仰せられた、「事はすでに成った。わたしは、アルパでありオメガである。初めであり終りである。かわいている者には、いのちの水の泉から価なしに飲ませよう。 + 勝利を得る者は、これらのものを受け継ぐであろう。わたしは彼の神となり、彼はわたしの子となる。 + しかし、おくびょうな者、信じない者、忌むべき者、人殺し、姦淫を行う者、まじないをする者、偶像を拝む者、すべて偽りを言う者には、火と硫黄の燃えている池が、彼らの受くべき報いである。これが第二の死である」。 + 最後の七つの災害が満ちている七つの鉢を持っていた七人の御使のひとりがきて、わたしに語って言った、「さあ、きなさい。小羊の妻なる花嫁を見せよう」。 + この御使は、わたしを御霊に感じたまま、大きな高い山に連れて行き、聖都エルサレムが、神の栄光のうちに、神のみもとを出て天から下って来るのを見せてくれた。 + その都の輝きは、高価な宝石のようであり、透明な碧玉のようであった。 + それには大きな、高い城壁があって、十二の門があり、それらの門には、十二の御使がおり、イスラエルの子らの十二部族の名が、それに書いてあった。 + 東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西に三つの門があった。 + また都の城壁には十二の土台があり、それには小羊の十二使徒の十二の名が書いてあった。 + わたしに語っていた者は、都とその門と城壁とを測るために、金の測りざおを持っていた。 + 都は方形であって、その長さと幅とは同じである。彼がその測りざおで都を測ると、一万二千丁であった。長さと幅と高さとは、いずれも同じである。 + また城壁を測ると、百四十四キュビトであった。これは人間の、すなわち、御使の尺度によるのである。 + 城壁は碧玉で築かれ、都はすきとおったガラスのような純金で造られていた。 + 都の城壁の土台は、さまざまな宝石で飾られていた。第一の土台は碧玉、第二はサファイヤ、第三はめのう、第四は緑玉、 + 第五は縞めのう、第六は赤めのう、第七はかんらん石、第八は緑柱石、第九は黄玉石、第十はひすい、第十一は青玉、第十二は紫水晶であった。 + 十二の門は十二の真珠であり、門はそれぞれ一つの真珠で造られ、都の大通りは、すきとおったガラスのような純金であった。 + わたしは、この都の中には聖所を見なかった。全能者にして主なる神と小羊とが、その聖所なのである。 + 都は、日や月がそれを照す必要がない。神の栄光が都を明るくし、小羊が都のあかりだからである。 + 諸国民は都の光の中を歩き、地の王たちは、自分たちの光栄をそこに携えて来る。 + 都の門は、終日、閉ざされることはない。そこには夜がないからである。 + 人々は、諸国民の光栄とほまれとをそこに携えて来る。 + しかし、汚れた者や、忌むべきこと及び偽りを行う者は、その中に決してはいれない。はいれる者は、小羊のいのちの書に名をしるされている者だけである。 + + + 御使はまた、水晶のように輝いているいのちの水の川をわたしに見せてくれた。この川は、神と小羊との御座から出て、 + 都の大通りの中央を流れている。川の両側にはいのちの木があって、十二種の実を結び、その実は毎月みのり、その木の葉は諸国民をいやす。 + のろわるべきものは、もはや何ひとつない。神と小羊との御座は都の中にあり、その僕たちは彼を礼拝し、 + 御顔を仰ぎ見るのである。彼らの額には、御名がしるされている。 + 夜は、もはやない。あかりも太陽の光も、いらない。主なる神が彼らを照し、そして、彼らは世々限りなく支配する。 + 彼はまた、わたしに言った、「これらの言葉は信ずべきであり、まことである。預言者たちのたましいの神なる主は、すぐにも起るべきことをその僕たちに示そうとして、御使をつかわされたのである。 + 見よ、わたしは、すぐに来る。この書の預言の言葉を守る者は、さいわいである」。 + これらのことを見聞きした者は、このヨハネである。わたしが見聞きした時、それらのことを示してくれた御使の足もとにひれ伏して拝そうとすると、 + 彼は言った、「そのようなことをしてはいけない。わたしは、あなたや、あなたの兄弟である預言者たちや、この書の言葉を守る者たちと、同じ僕仲間である。ただ神だけを拝しなさい」。 + またわたしに言った、「この書の預言の言葉を封じてはならない。時が近づいているからである。 + 不義な者はさらに不義を行い、汚れた者はさらに汚れたことを行い、義なる者はさらに義を行い、聖なる者はさらに聖なることを行うままにさせよ」。 + 「見よ、わたしはすぐに来る。報いを携えてきて、それぞれのしわざに応じて報いよう。 + わたしはアルパであり、オメガである。最初の者であり、最後の者である。初めであり、終りである。 + いのちの木にあずかる特権を与えられ、また門をとおって都にはいるために、自分の着物を洗う者たちは、さいわいである。 + 犬ども、まじないをする者、姦淫を行う者、人殺し、偶像を拝む者、また、偽りを好みかつこれを行う者はみな、外に出されている。 + わたしイエスは、使をつかわして、諸教会のために、これらのことをあなたがたにあかしした。わたしは、ダビデの若枝また子孫であり、輝く明けの明星である」。 + 御霊も花嫁も共に言った、「きたりませ」。また、聞く者も「きたりませ」と言いなさい。かわいている者はここに来るがよい。いのちの水がほしい者は、価なしにそれを受けるがよい。 + この書の預言の言葉を聞くすべての人々に対して、わたしは警告する。もしこれに書き加える者があれば、神はその人に、この書に書かれている災害を加えられる。 + また、もしこの預言の書の言葉をとり除く者があれば、神はその人の受くべき分を、この書に書かれているいのちの木と聖なる都から、とり除かれる。 + これらのことをあかしするかたが仰せになる、「しかり、わたしはすぐに来る」。アァメン、主イエスよ、きたりませ。 + 主イエスの恵みが、一同の者と共にあるように。 + +
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+ + 2026-08-31 +

OSIS 2.1.1 version

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+ + Japanese Shinkaiyaku (新改訳聖書 2003) + + + + 2003 + Japanese New Revised Version (聖書 新改訳 2003) + + Bible + shinkaiyaku + + ja + + + + + Bible + +
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+ + 初めに、神が天と地を創造した。 + 地は茫漠として何もなかった。やみが大水の上にあり、神の霊が水の上を動いていた。 + 神は仰せられた。「光があれ。」すると光があった。 + 神は光を見て良しとされた。神は光とやみとを区別された。 + 神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。夕があり、朝があった。第一日。 + 神は仰せられた。「大空が水の真っただ中にあれ。水と水との間に区別があれ。」 + 神は大空を造り、大空の下の水と、大空の上の水とを区別された。そのようになった。 + 神は大空を天と名づけられた。夕があり、朝があった。第二日。 + 神は仰せられた。「天の下の水が一所に集まれ。かわいた所が現れよ。」そのようになった。 + 神はかわいた所を地と名づけ、水の集まった所を海と名づけられた。神はそれを見て良しとされた。 + 神は仰せられた。「地が植物、すなわち種を生じる草やその中に種がある実を結ぶ果樹を、種類にしたがって、地の上に芽ばえさせよ。」そのようになった。 + 地は植物、すなわち種を生じる草を、種類にしたがって、またその中に種がある実を結ぶ木を、種類にしたがって生じさせた。神はそれを見て良しとされた。 + 夕があり、朝があった。第三日。 + 神は仰せられた。「光る物が天の大空にあって、昼と夜とを区別せよ。しるしのため、季節のため、日のため、年のためにあれ。 + また天の大空で光る物となり、地上を照らせ。」そのようになった。 + 神は二つの大きな光る物を造られた。大きいほうの光る物には昼をつかさどらせ、小さいほうの光る物には夜をつかさどらせた。また星を造られた。 + 神はそれらを天の大空に置き、地上を照らさせ、 + また昼と夜とをつかさどり、光とやみとを区別するようにされた。神はそれを見て良しとされた。 + 夕があり、朝があった。第四日。 + 神は仰せられた。「水には生き物が群がれ。鳥が地の上、天の大空を飛べ。」 + 神は、海の巨獣と、種類にしたがって、水に群がりうごめくすべての生き物と、種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。神はそれを見て良しとされた。 + 神はそれらを祝福して仰せられた。「生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は地にふえよ。」 + 夕があり、朝があった。第五日。 + 神は仰せられた。「地が、種類にしたがって、生き物を生ぜよ。家畜や、はうもの、野の獣を、種類にしたがって。」そのようになった。 + 神は、種類にしたがって野の獣を、種類にしたがって家畜を、種類にしたがって地のすべてのはうものを造られた。神はそれを見て良しとされた。 + 神は仰せられた。「さあ人を造ろう。われわれのかたちとして、われわれに似せて。彼らが、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配するように。」 + 神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。 + 神は彼らを祝福された。神は彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地を満たせ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ。」 + 神は仰せられた。「見よ。わたしは、全地の上にあって、種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木をあなたがたに与える。それがあなたがたの食物となる。 + また、地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのもので、いのちの息のあるもののために、食物として、すべての緑の草を与える。」そのようになった。 + 神はお造りになったすべてのものを見られた。見よ。それは非常に良かった。夕があり、朝があった。第六日。 + + + こうして、天と地とそのすべての万象が完成された。 + 神は第七日目に、なさっていたわざの完成を告げられた。すなわち第七日目に、なさっていたすべてのわざを休まれた。 + 神は第七日目を祝福し、この日を聖であるとされた。それは、その日に、神がなさっていたすべての創造のわざを休まれたからである。 + これは天と地が創造されたときの経緯である。神である主が地と天を造られたとき、 + 地には、まだ一本の野の灌木もなく、まだ一本の野の草も芽を出していなかった。それは、神である主が地上に雨を降らせず、土地を耕す人もいなかったからである。 + ただ、水が地から湧き出て、土地の全面を潤していた。 + 神である主は土地のちりで人を形造り、その鼻にいのちの息を吹き込まれた。そこで人は生きものとなった。 + 神である主は東の方エデンに園を設け、そこに主の形造った人を置かれた。 + 神である主は、その土地から、見るからに好ましく食べるのに良いすべての木を生えさせた。園の中央には、いのちの木、それから善悪の知識の木を生えさせた。 + 一つの川が、この園を潤すため、エデンから出ており、そこから分かれて、四つの源となっていた。 + 第一のものの名はピション。それはハビラの全土を巡って流れる。そこには金があった。 + その地の金は、良質で、また、そこにはベドラハとしまめのうもあった。 + 第二の川の名はギホン。それはクシュの全土を巡って流れる。 + 第三の川の名はティグリス。それはアシュルの東を流れる。第四の川、それはユーフラテスである。 + 神である主は人を取り、エデンの園に置き、そこを耕させ、またそこを守らせた。 + 神である主は人に命じて仰せられた。「あなたは、園のどの木からでも思いのまま食べてよい。 + しかし、善悪の知識の木からは取って食べてはならない。それを取って食べるとき、あなたは必ず死ぬ。」 + 神である主は仰せられた。「人が、ひとりでいるのは良くない。わたしは彼のために、彼にふさわしい助け手を造ろう。」 + 神である主は土からあらゆる野の獣と、あらゆる空の鳥を形造り、それにどんな名を彼がつけるかを見るために、人のところに連れて来られた。人が生き物につける名はみな、それがその名となった。 + 人はすべての家畜、空の鳥、野のあらゆる獣に名をつけた。しかし人には、ふさわしい助け手が見つからなかった。 + 神である主は深い眠りをその人に下されたので、彼は眠った。そして、彼のあばら骨の一つを取り、そのところの肉をふさがれた。 + 神である主は、人から取ったあばら骨をひとりの女に造り上げ、その女を人のところに連れて来られた。 + 人は言った。「これこそ、今や、私の骨からの骨、私の肉からの肉。これを女と名づけよう。これは男から取られたのだから。」 + それゆえ男はその父母を離れ、妻と結び合い、ふたりは一体となるのである。 + 人とその妻は、ふたりとも裸であったが、互いに恥ずかしいと思わなかった。 + + + さて、神である主が造られたあらゆる野の獣のうちで、蛇が一番狡猾であった。蛇は女に言った。「あなたがたは、園のどんな木からも食べてはならない、と神は、ほんとうに言われたのですか。」 + 女は蛇に言った。「私たちは、園にある木の実を食べてよいのです。 + しかし、園の中央にある木の実について、神は、『あなたがたは、それを食べてはならない。それに触れてもいけない。あなたがたが死ぬといけないからだ』と仰せになりました。」 + そこで、蛇は女に言った。「あなたがたは決して死にません。 + あなたがたがそれを食べるその時、あなたがたの目が開け、あなたがたが神のようになり、善悪を知るようになることを神は知っているのです。」 + そこで女が見ると、その木は、まことに食べるのに良く、目に慕わしく、賢くするというその木はいかにも好ましかった。それで女はその実を取って食べ、いっしょにいた夫にも与えたので、夫も食べた。 + このようにして、ふたりの目は開かれ、それで彼らは自分たちが裸であることを知った。そこで、彼らは、いちじくの葉をつづり合わせて、自分たちの腰のおおいを作った。 + そよ風の吹くころ、彼らは園を歩き回られる神である主の声を聞いた。それで人とその妻は、神である主の御顔を避けて園の木の間に身を隠した。 + 神である主は、人に呼びかけ、彼に仰せられた。「あなたは、どこにいるのか。」 + 彼は答えた。「私は園で、あなたの声を聞きました。それで私は裸なので、恐れて、隠れました。」 + すると、仰せになった。「あなたが裸であるのを、だれがあなたに教えたのか。あなたは、食べてはならない、と命じておいた木から食べたのか。」 + 人は言った。「あなたが私のそばに置かれたこの女が、あの木から取って私にくれたので、私は食べたのです。」 + そこで、神である主は女に仰せられた。「あなたは、いったいなんということをしたのか。」女は答えた。「蛇が私を惑わしたのです。それで私は食べたのです。」 + 神である主は蛇に仰せられた。「おまえが、こんな事をしたので、おまえは、あらゆる家畜、あらゆる野の獣よりものろわれる。おまえは、一生、腹ばいで歩き、ちりを食べなければならない。 + わたしは、おまえと女との間に、また、おまえの子孫と女の子孫との間に、敵意を置く。彼は、おまえの頭を踏み砕き、おまえは、彼のかかとにかみつく。」 + 女にはこう仰せられた。「わたしは、あなたのうめきと苦しみを大いに増す。あなたは、苦しんで子を産まなければならない。しかも、あなたは夫を恋い慕うが、彼は、あなたを支配することになる。」 + また、人に仰せられた。「あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが命じておいた木から食べたので、土地は、あなたのゆえにのろわれてしまった。あなたは、一生、苦しんで食を得なければならない。 + 土地は、あなたのために、いばらとあざみを生えさせ、あなたは、野の草を食べなければならない。 + あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついに、あなたは土に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたはちりだから、ちりに帰らなければならない。」 + さて、人は、その妻の名をエバと呼んだ。それは、彼女がすべて生きているものの母であったからである。 + 神である主は、アダムとその妻のために、皮の衣を作り、彼らに着せてくださった。 + 神である主は仰せられた。「見よ。人はわれわれのひとりのようになり、善悪を知るようになった。今、彼が、手を伸ばし、いのちの木からも取って食べ、永遠に生きないように。」 + そこで神である主は、人をエデンの園から追い出されたので、人は自分がそこから取り出された土を耕すようになった。 + こうして、神は人を追放して、いのちの木への道を守るために、エデンの園の東に、ケルビムと輪を描いて回る炎の剣を置かれた。 + + + 人は、その妻エバを知った。彼女はみごもってカインを産み、「私は、主によってひとりの男子を得た」と言った。 + 彼女は、それからまた、弟アベルを産んだ。アベルは羊を飼う者となり、カインは土を耕す者となった。 + ある時期になって、カインは、地の作物から主へのささげ物を持って来たが、 + アベルもまた彼の羊の初子の中から、それも最上のものを持って来た。主はアベルとそのささげ物とに目を留められた。 + だが、カインとそのささげ物には目を留められなかった。それで、カインはひどく怒り、顔を伏せた。 + そこで、主は、カインに仰せられた。「なぜ、あなたは憤っているのか。なぜ、顔を伏せているのか。 + あなたが正しく行ったのであれば、受け入れられる。ただし、あなたが正しく行っていないのなら、罪は戸口で待ち伏せして、あなたを恋い慕っている。だが、あなたは、それを治めるべきである。」 + しかし、カインは弟アベルに話しかけた。「野に行こうではないか。」そして、ふたりが野にいたとき、カインは弟アベルに襲いかかり、彼を殺した。 + 主はカインに、「あなたの弟アベルは、どこにいるのか」と問われた。カインは答えた。「知りません。私は、自分の弟の番人なのでしょうか。」 + そこで、仰せられた。「あなたは、いったいなんということをしたのか。聞け。あなたの弟の血が、その土地からわたしに叫んでいる。 + 今や、あなたはその土地にのろわれている。その土地は口を開いてあなたの手から、あなたの弟の血を受けた。 + それで、あなたがその土地を耕しても、土地はもはや、あなたのためにその力を生じない。あなたは地上をさまよい歩くさすらい人となるのだ。」 + カインは主に申し上げた。「私の咎は、大きすぎて、にないきれません。 + ああ、あなたはきょう私をこの土地から追い出されたので、私はあなたの御顔から隠れ、地上をさまよい歩くさすらい人とならなければなりません。それで、私に出会う者はだれでも、私を殺すでしょう。」 + 主は彼に仰せられた。「それだから、だれでもカインを殺す者は、七倍の復讐を受ける。」そこで主は、彼に出会う者が、だれも彼を殺すことのないように、カインに一つのしるしを下さった。 + それで、カインは、主の前から去って、エデンの東、ノデの地に住みついた。 + カインはその妻を知った。彼女はみごもり、エノクを産んだ。カインは町を建てていたので、自分の子の名にちなんで、その町にエノクという名をつけた。 + エノクにはイラデが生まれた。イラデにはメフヤエルが生まれ、メフヤエルにはメトシャエルが生まれ、メトシャエルにはレメクが生まれた。 + レメクはふたりの妻をめとった。ひとりの名はアダ、他のひとりの名はツィラであった。 + アダはヤバルを産んだ。ヤバルは天幕に住む者、家畜を飼う者の先祖となった。 + その弟の名はユバルであった。彼は立琴と笛を巧みに奏するすべての者の先祖となった。 + ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅と鉄のあらゆる用具の鍛冶屋であった。トバル・カインの妹は、ナアマであった。 + さて、レメクはその妻たちに言った。「アダとツィラよ。私の声を聞け。レメクの妻たちよ。私の言うことに耳を傾けよ。私の受けた傷のためには、ひとりの人を、私の受けた打ち傷のためには、ひとりの若者を殺した。 + カインに七倍の復讐があれば、レメクには七十七倍。」 + アダムは、さらに、その妻を知った。彼女は男の子を産み、その子をセツと名づけて言った。「カインがアベルを殺したので、彼の代わりに、神は私にもうひとりの子を授けられたから。」 + セツにもまた男の子が生まれた。彼は、その子をエノシュと名づけた。そのとき、人々は主の御名によって祈ることを始めた。 + + + これはアダムの歴史の記録である。神は人を創造されたとき、神に似せて彼を造られ、 + 男と女とに彼らを創造された。彼らが創造された日に、神は彼らを祝福して、その名を人と呼ばれた。 + アダムは、百三十年生きて、彼に似た、彼のかたちどおりの子を生んだ。彼はその子をセツと名づけた。 + アダムはセツを生んで後、八百年生き、息子、娘たちを生んだ。 + アダムは全部で九百三十年生きた。こうして彼は死んだ。 + セツは百五年生きて、エノシュを生んだ。 + セツはエノシュを生んで後、八百七年生き、息子、娘たちを生んだ。 + セツの一生は九百十二年であった。こうして彼は死んだ。 + エノシュは九十年生きて、ケナンを生んだ。 + エノシュはケナンを生んで後、八百十五年生き、息子、娘たちを生んだ。 + エノシュの一生は九百五年であった。こうして彼は死んだ。 + ケナンは七十年生きて、マハラルエルを生んだ。 + ケナンはマハラルエルを生んで後、八百四十年生き、息子、娘たちを生んだ。 + ケナンの一生は九百十年であった。こうして彼は死んだ。 + マハラルエルは六十五年生きて、エレデを生んだ。 + マハラルエルはエレデを生んで後、八百三十年生き、息子、娘たちを生んだ。 + マハラルエルの一生は八百九十五年であった。こうして彼は死んだ。 + エレデは百六十二年生きて、エノクを生んだ。 + エレデはエノクを生んで後、八百年生き、息子、娘たちを生んだ。 + エレデの一生は九百六十二年であった。こうして彼は死んだ。 + エノクは六十五年生きて、メトシェラを生んだ。 + エノクはメトシェラを生んで後、三百年、神とともに歩んだ。そして、息子、娘たちを生んだ。 + エノクの一生は三百六十五年であった。 + エノクは神とともに歩んだ。神が彼を取られたので、彼はいなくなった。 + メトシェラは百八十七年生きて、レメクを生んだ。 + メトシェラはレメクを生んで後、七百八十二年生き、息子、娘たちを生んだ。 + メトシェラの一生は九百六十九年であった。こうして彼は死んだ。 + レメクは百八十二年生きて、ひとりの男の子を生んだ。 + 彼はその子をノアと名づけて言った。「主がこの地をのろわれたゆえに、私たちは働き、この手で苦労しているが、この私たちに、この子は慰めを与えてくれるであろう。」 + レメクはノアを生んで後、五百九十五年生き、息子、娘たちを生んだ。 + レメクの一生は七百七十七年であった。こうして彼は死んだ。 + ノアが五百歳になったとき、ノアはセム、ハム、ヤペテを生んだ。 + + + さて、人が地上にふえ始め、彼らに娘たちが生まれたとき、 + 神の子らは、人の娘たちが、いかにも美しいのを見て、その中から好きな者を選んで、自分たちの妻とした。 + そこで、主は、「わたしの霊は、永久には人のうちにとどまらないであろう。それは人が肉にすぎないからだ。それで人の齢は、百二十年にしよう」と仰せられた。 + 神の子らが、人の娘たちのところに入り、彼らに子どもができたころ、またその後にも、ネフィリムが地上にいた。これらは、昔の勇士であり、名のある者たちであった。 + 主は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった。 + それで主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。 + そして主は仰せられた。「わたしが創造した人を地の面から消し去ろう。人をはじめ、家畜やはうもの、空の鳥に至るまで。わたしは、これらを造ったことを残念に思うからだ。」 + しかし、ノアは、主の心にかなっていた。 + これはノアの歴史である。ノアは、正しい人であって、その時代にあっても、全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。 + ノアは三人の息子、セム、ハム、ヤペテを生んだ。 + 地は、神の前に堕落し、地は、暴虐で満ちていた。 + 神が地をご覧になると、実に、それは、堕落していた。すべての肉なるものが、地上でその道を乱していたからである。 + そこで、神はノアに仰せられた。「すべての肉なるものの終わりが、わたしの前に来ている。地は、彼らのゆえに、暴虐で満ちているからだ。それで今わたしは、彼らを地とともに滅ぼそうとしている。 + あなたは自分のために、ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟に部屋を作り、内と外とを木のやにで塗りなさい。 + それを次のようにして造りなさい。箱舟の長さは三百キュビト。その幅は五十キュビト。その高さは三十キュビト。 + 箱舟に天窓を作り、上部から一キュビト以内にそれを仕上げなさい。また、箱舟の戸口をその側面に設け、一階と二階と三階にそれを作りなさい。 + わたしは今、いのちの息あるすべての肉なるものを、天の下から滅ぼすために、地上の大水、大洪水を起こそうとしている。地上のすべてのものは死に絶えなければならない。 + しかし、わたしは、あなたと契約を結ぼう。あなたは、あなたの息子たち、あなたの妻、それにあなたの息子たちの妻といっしょに箱舟に入りなさい。 + またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二匹ずつ箱舟に連れて入り、あなたといっしょに生き残るようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。 + また、各種類の鳥、各種類の動物、各種類の地をはうものすべてのうち、それぞれ二匹ずつが、生き残るために、あなたのところに来なければならない。 + あなたは、食べられるあらゆる食糧を取って、自分のところに集め、あなたとそれらの動物の食物としなさい。」 + ノアは、すべて神が命じられたとおりにし、そのように行った。 + + + 主はノアに仰せられた。「あなたとあなたの全家族とは、箱舟に入りなさい。あなたがこの時代にあって、わたしの前に正しいのを、わたしが見たからである。 + あなたは、すべてのきよい動物の中から雄と雌、七つがいずつ、きよくない動物の中から雄と雌、一つがいずつ、 + また空の鳥の中からも雄と雌、七つがいずつを取りなさい。それはその種類が全地の面で生き残るためである。 + それは、あと七日たつと、わたしは、地の上に四十日四十夜、雨を降らせ、わたしが造ったすべての生き物を地の面から消し去るからである。」 + ノアは、すべて主が命じられたとおりにした。 + 大洪水が起こり、大水が地の上にあったとき、ノアは六百歳であった。 + ノアは、自分の息子たちや自分の妻、それに息子たちの妻といっしょに、大洪水の大水を避けるために箱舟に入った。 + きよい動物、きよくない動物、鳥、地をはうすべてのものの中から、 + 神がノアに命じられたとおり、雄と雌二匹ずつが箱舟の中のノアのところに入って来た。 + それから七日たって大洪水の大水が地の上に起こった。 + ノアの生涯の六百年目の第二の月の十七日、その日に、巨大な大いなる水の源が、ことごとく張り裂け、天の水門が開かれた。 + そして、大雨は、四十日四十夜、地の上に降った。 + ちょうどその同じ日に、ノアは、ノアの息子たちセム、ハム、ヤペテ、またノアの妻と息子たちの三人の妻といっしょに箱舟に入った。 + 彼らといっしょにあらゆる種類の獣、あらゆる種類の家畜、あらゆる種類の地をはうもの、あらゆる種類の鳥、翼のあるすべてのものがみな、入った。 + こうして、いのちの息のあるすべての肉なるものが、二匹ずつ箱舟の中のノアのところに入った。 + 入ったものは、すべての肉なるものの雄と雌であって、神がノアに命じられたとおりであった。それから、主は、彼のうしろの戸を閉ざされた。 + それから、大洪水が、四十日間、地の上にあった。水かさが増していき、箱舟を押し上げたので、それは、地から浮かび上がった。 + 水はみなぎり、地の上に大いに増し、箱舟は水面を漂った。 + 水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた。 + 水は、その上さらに十五キュビト増し加わったので、山々はおおわれてしまった。 + こうして地の上を動いていたすべての肉なるものは、鳥も家畜も獣も地に群生するすべてのものも、またすべての人も死に絶えた。 + いのちの息を吹き込まれたもので、かわいた地の上にいたものはみな死んだ。 + こうして、主は地上のすべての生き物を、人をはじめ、動物、はうもの、空の鳥に至るまで消し去った。それらは、地から消し去られた。ただノアと、彼といっしょに箱舟にいたものたちだけが残った。 + 水は、百五十日間、地の上にふえ続けた。 + + + 神は、ノアと、箱舟の中に彼といっしょにいたすべての獣や、すべての家畜とを心に留めておられた。それで、神が地の上に風を吹き過ぎさせると、水は引き始めた。 + また、大いなる水の源と天の水門が閉ざされ、天からの大雨が、とどめられた。 + そして、水は、しだいに地から引いていった。水は百五十日の終わりに減り始め、 + 箱舟は、第七の月の十七日に、アララテの山の上にとどまった。 + 水は第十の月まで、ますます減り続け、第十の月の一日に、山々の頂が現れた。 + 四十日の終わりになって、ノアは、自分の造った箱舟の窓を開き、 + 烏を放った。するとそれは、水が地からかわききるまで、出たり、戻ったりしていた。 + また、彼は水が地の面から引いたかどうかを見るために、鳩を彼のもとから放った。 + 鳩は、その足を休める場所が見あたらなかったので、箱舟の彼のもとに帰って来た。水が全地の面にあったからである。彼は手を差し伸べて鳩を捕らえ、箱舟の自分のところに入れた。 + それからなお七日待って、再び鳩を箱舟から放った。 + 鳩は夕方になって、彼のもとに帰って来た。すると見よ。むしり取ったばかりのオリーブの若葉がそのくちばしにあるではないか。それで、ノアは水が地から引いたのを知った。 + それからなお、七日待って、彼は鳩を放った。鳩はもう彼のところに戻って来なかった。 + ノアの生涯の第六百一年の第一の月の一日になって、水は地上からかわき始めた。ノアが、箱舟のおおいを取り去って、ながめると、見よ、地の面は、かわいていた。 + 第二の月の二十七日、地はかわききった。 + そこで、神はノアに告げて仰せられた。 + 「あなたは、あなたの妻と、あなたの息子たちと、息子たちの妻といっしょに箱舟から出なさい。 + あなたといっしょにいるすべての肉なるものの生き物、すなわち鳥や家畜や地をはうすべてのものを、あなたといっしょに連れ出しなさい。それらが地に群がり、地の上で生み、そしてふえるようにしなさい。」 + そこで、ノアは、息子たちや彼の妻や、息子たちの妻といっしょに外に出た。 + すべての獣、すべてのはうもの、すべての鳥、すべて地の上を動くものは、おのおのその種類にしたがって、箱舟から出て来た。 + ノアは、主のために祭壇を築き、すべてのきよい家畜と、すべてのきよい鳥のうちから幾つかを選び取って、祭壇の上で全焼のいけにえをささげた。 + 主は、そのなだめのかおりをかがれ、主は心の中でこう仰せられた。「わたしは、決して再び人のゆえに、この地をのろうことはすまい。人の心の思い計ることは、初めから悪であるからだ。わたしは、決して再び、わたしがしたように、すべての生き物を打ち滅ぼすことはすまい。 + 地の続くかぎり、種蒔きと刈り入れ、寒さと暑さ、夏と冬、昼と夜とは、やむことはない。」 + + + それで、神はノアと、その息子たちを祝福して、彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地に満ちよ。 + 野の獣、空の鳥、――地の上を動くすべてのもの――それに海の魚、これらすべてはあなたがたを恐れておののこう。わたしはこれらをあなたがたにゆだねている。 + 生きて動いているものはみな、あなたがたの食物である。緑の草と同じように、すべてのものをあなたがたに与えた。 + しかし、肉は、そのいのちである血のあるままで食べてはならない。 + わたしはあなたがたのいのちのためには、あなたがたの血の価を要求する。わたしはどんな獣にでも、それを要求する。また人にも、兄弟である者にも、人のいのちを要求する。 + 人の血を流す者は、人によって、血を流される。神は人を神のかたちにお造りになったから。 + あなたがたは生めよ。ふえよ。地に群がり、地にふえよ。」 + 神はノアと、彼といっしょにいる息子たちに告げて仰せられた。 + 「さあ、わたしはわたしの契約を立てよう。あなたがたと、そしてあなたがたの後の子孫と。 + また、あなたがたといっしょにいるすべての生き物と。鳥、家畜、それにあなたがたといっしょにいるすべての野の獣、箱舟から出て来たすべてのもの、地のすべての生き物と。 + わたしはあなたがたと契約を立てる。すべて肉なるものは、もはや大洪水の水では断ち切られない。もはや大洪水が地を滅ぼすようなことはない。」 + さらに神は仰せられた。「わたしとあなたがた、およびあなたがたといっしょにいるすべての生き物との間に、わたしが代々永遠にわたって結ぶ契約のしるしは、これである。 + わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それはわたしと地との間の契約のしるしとなる。 + わたしが地の上に雲を起こすとき、虹が雲の中に現れる。 + わたしは、わたしとあなたがたとの間、およびすべて肉なる生き物との間の、わたしの契約を思い出すから、大水は、すべての肉なるものを滅ぼす大洪水とは決してならない。 + 虹が雲の中にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべて肉なるものとの間の永遠の契約を思い出そう。」 + こうして神はノアに仰せられた。「これが、わたしと、地上のすべての肉なるものとの間に立てた契約のしるしである。」 + 箱舟から出て来たノアの息子たちは、セム、ハム、ヤペテであった。ハムはカナンの父である。 + この三人がノアの息子で、彼らから全世界の民は分かれ出た。 + さて、ノアは、ぶどう畑を作り始めた農夫であった。 + ノアはぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっていた。 + カナンの父ハムは、父の裸を見て、外にいるふたりの兄弟に告げた。 + それでセムとヤペテは着物を取って、自分たちふたりの肩に掛け、うしろ向きに歩いて行って、父の裸をおおった。彼らは顔をそむけて、父の裸を見なかった。 + ノアが酔いからさめ、末の息子が自分にしたことを知って、 + 言った。「のろわれよ。カナン。兄弟たちのしもべらのしもべとなれ。」 + また言った。「ほめたたえよ。セムの神、主を。カナンは彼らのしもべとなれ。 + 神がヤペテを広げ、セムの天幕に住まわせるように。カナンは彼らのしもべとなれ。」 + ノアは大洪水の後、三百五十年生きた。 + ノアの一生は九百五十年であった。こうして彼は死んだ。 + + + これはノアの息子、セム、ハム、ヤペテの歴史である。大洪水の後に、彼らに子どもが生まれた。 + ヤペテの子孫はゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メシェク、ティラス。 + ゴメルの子孫はアシュケナズ、リファテ、トガルマ。 + ヤワンの子孫はエリシャ、タルシシュ、キティム人、ドダニム人。 + これらから海沿いの国々が分かれ出て、その地方により、氏族ごとに、それぞれ国々の国語があった。 + ハムの子孫はクシュ、ミツライム、プテ、カナン。 + クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカ。ラマの子孫はシェバ、デダン。 + クシュはニムロデを生んだ。ニムロデは地上で最初の権力者となった。 + 彼は主のおかげで、力ある猟師になったので、「主のおかげで、力ある猟師ニムロデのようだ」と言われるようになった。 + 彼の王国の初めは、バベル、エレク、アカデであって、みな、シヌアルの地にあった。 + その地から彼は、アシュルに進出し、ニネベ、レホボテ・イル、ケラフ、 + およびニネベとケラフとの間のレセンを建てた。それは大きな町であった。 + ミツライムはルデ人、アナミム人、レハビム人、ナフトヒム人、 + パテロス人、カスルヒム人――これからペリシテ人が出た――、カフトル人を生んだ。 + カナンは長子シドン、ヘテ、 + エブス人、エモリ人、ギルガシ人、 + ヒビ人、アルキ人、シニ人、 + アルワデ人、ツェマリ人、ハマテ人を生んだ。その後、カナン人の諸氏族が分かれ出た。 + それでカナン人の領土は、シドンからゲラルに向かってガザに至り、ソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイムに向かってレシャにまで及んだ。 + 以上が、その氏族、その国語ごとに、その地方、その国により示したハムの子孫である。 + セムにも子が生まれた。セムはエベルのすべての子孫の先祖であって、ヤペテの兄であった。 + セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャデ、ルデ、アラム。 + アラムの子孫はウツ、フル、ゲテル、マシュ。 + アルパクシャデはシェラフを生み、シェラフはエベルを生んだ。 + エベルにはふたりの男の子が生まれ、ひとりの名はペレグであった。彼の時代に地が分けられたからである。もうひとりの兄弟の名はヨクタンであった。 + ヨクタンは、アルモダデ、シェレフ、ハツァルマベテ、エラフ、 + ハドラム、ウザル、ディクラ、 + オバル、アビマエル、シェバ、 + オフィル、ハビラ、ヨバブを生んだ。これらはみな、ヨクタンの子孫であった。 + 彼らの定住地は、メシャからセファルに及ぶ東の高原地帯であった。 + 以上は、それぞれ氏族、国語、地方、国ごとに示したセムの子孫である。 + 以上が、その国々にいる、ノアの子孫の諸氏族の家系である。大洪水の後にこれらから、諸国の民が地上に分かれ出たのであった。 + + + さて、全地は一つのことば、一つの話しことばであった。 + そのころ、人々は東のほうから移動して来て、シヌアルの地に平地を見つけ、そこに定住した。 + 彼らは互いに言った。「さあ、れんがを作ってよく焼こう。」彼らは石の代わりにれんがを用い、粘土の代わりに瀝青を用いた。 + そのうちに彼らは言うようになった。「さあ、われわれは町を建て、頂が天に届く塔を建て、名をあげよう。われわれが全地に散らされるといけないから。」 + そのとき主は人間の建てた町と塔をご覧になるために降りて来られた。 + 主は仰せになった。「彼らがみな、一つの民、一つのことばで、このようなことをし始めたのなら、今や彼らがしようと思うことで、とどめられることはない。 + さあ、降りて行って、そこでの彼らのことばを混乱させ、彼らが互いにことばが通じないようにしよう。」 + こうして主は人々を、そこから地の全面に散らされたので、彼らはその町を建てるのをやめた。 + それゆえ、その町の名はバベルと呼ばれた。主が全地のことばをそこで混乱させたから、すなわち、主が人々をそこから地の全面に散らしたからである。 + これはセムの歴史である。セムは百歳のとき、すなわち大洪水の二年後にアルパクシャデを生んだ。 + セムはアルパクシャデを生んで後、五百年生き、息子、娘たちを生んだ。 + アルパクシャデは三十五年生きて、シェラフを生んだ。 + アルパクシャデはシェラフを生んで後、四百三年生き、息子、娘たちを生んだ。 + シェラフは三十年生きて、エベルを生んだ。 + シェラフはエベルを生んで後、四百三年生き、息子、娘たちを生んだ。 + エベルは三十四年生きて、ペレグを生んだ。 + エベルはペレグを生んで後、四百三十年生き、息子、娘たちを生んだ。 + ペレグは三十年生きて、レウを生んだ。 + ペレグはレウを生んで後、二百九年生き、息子、娘たちを生んだ。 + レウは三十二年生きて、セルグを生んだ。 + レウはセルグを生んで後、二百七年生き、息子、娘たちを生んだ。 + セルグは三十年生きて、ナホルを生んだ。 + セルグはナホルを生んで後、二百年生き、息子、娘たちを生んだ。 + ナホルは二十九年生きて、テラを生んだ。 + ナホルはテラを生んで後、百十九年生き、息子、娘たちを生んだ。 + テラは七十年生きて、アブラムとナホルとハランを生んだ。 + これはテラの歴史である。テラはアブラム、ナホル、ハランを生み、ハランはロトを生んだ。 + ハランはその父テラの存命中、彼の生まれ故郷であるカルデヤ人のウルで死んだ。 + アブラムとナホルは妻をめとった。アブラムの妻の名はサライであった。ナホルの妻の名はミルカといって、ハランの娘であった。ハランはミルカの父で、またイスカの父であった。 + サライは不妊の女で、子どもがなかった。 + テラは、その息子アブラムと、ハランの子で自分の孫のロトと、息子のアブラムの妻である嫁のサライとを伴い、彼らはカナンの地に行くために、カルデヤ人のウルからいっしょに出かけた。しかし、彼らはハランまで来て、そこに住みついた。 + テラの一生は二百五年であった。テラはハランで死んだ。 + + + 主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。 + そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。 + あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」 + アブラムは主がお告げになったとおりに出かけた。ロトも彼といっしょに出かけた。アブラムがハランを出たときは、七十五歳であった。 + アブラムは妻のサライと、おいのロトと、彼らが得たすべての財産と、ハランで加えられた人々を伴い、カナンの地に行こうとして出発した。こうして彼らはカナンの地に入った。 + アブラムはその地を通って行き、シェケムの場、モレの樫の木のところまで来た。当時、その地にはカナン人がいた。 + そのころ、主がアブラムに現れ、そして「あなたの子孫に、わたしはこの地を与える」と仰せられた。アブラムは自分に現れてくださった主のために、そこに祭壇を築いた。 + 彼はそこからベテルの東にある山のほうに移動して天幕を張った。西にはベテル、東にはアイがあった。彼は主のため、そこに祭壇を築き、主の御名によって祈った。 + それから、アブラムはなおも進んで、ネゲブのほうへと旅を続けた。 + さて、この地にはききんがあったので、アブラムはエジプトのほうにしばらく滞在するために、下って行った。この地のききんは激しかったからである。 + 彼はエジプトに近づき、そこに入ろうとするとき、妻のサライに言った。「聞いておくれ。あなたが見目麗しい女だということを私は知っている。 + エジプト人は、あなたを見るようになると、この女は彼の妻だと言って、私を殺すが、あなたは生かしておくだろう。 + どうか、私の妹だと言ってくれ。そうすれば、あなたのおかげで私にも良くしてくれ、あなたのおかげで私は生きのびるだろう。」 + アブラムがエジプトに入って行くと、エジプト人は、その女が非常に美しいのを見た。 + パロの高官たちが彼女を見て、パロに彼女を推賞したので、彼女はパロの宮廷に召し入れられた。 + パロは彼女のために、アブラムによくしてやり、それでアブラムは羊の群れ、牛の群れ、ろば、それに男女の奴隷、雌ろば、らくだを所有するようになった。 + しかし、主はアブラムの妻サライのことで、パロと、その家をひどい災害で痛めつけた。 + そこでパロはアブラムを呼び寄せて言った。「あなたは私にいったい何ということをしたのか。なぜ彼女があなたの妻であることを、告げなかったのか。 + なぜ彼女があなたの妹だと言ったのか。だから、私は彼女を私の妻として召し入れていた。しかし、さあ今、あなたの妻を連れて行きなさい。」 + パロはアブラムについて部下に命じた。彼らは彼を、彼の妻と、彼のすべての所有物とともに送り出した。 + + + それで、アブラムは、エジプトを出て、ネゲブに上った。彼と、妻のサライと、すべての所有物と、ロトもいっしょであった。 + アブラムは家畜と銀と金とに非常に富んでいた。 + 彼はネゲブから旅を続けて、ベテルまで、すなわち、ベテルとアイの間で、初めに天幕を張った所まで来た。 + そこは彼が以前に築いた祭壇の場所である。その所でアブラムは、主の御名によって祈った。 + アブラムといっしょに行ったロトもまた、羊の群れや牛の群れ、天幕を所有していた。 + その地は彼らがいっしょに住むのに十分ではなかった。彼らの持ち物が多すぎたので、彼らがいっしょに住むことができなかったのである。 + そのうえ、アブラムの家畜の牧者たちとロトの家畜の牧者たちとの間に、争いが起こった。またそのころ、その地にはカナン人とペリジ人が住んでいた。 + そこで、アブラムはロトに言った。「どうか私とあなたとの間、また私の牧者たちとあなたの牧者たちとの間に、争いがないようにしてくれ。私たちは、親類同士なのだから。 + 全地はあなたの前にあるではないか。私から別れてくれないか。もしあなたが左に行けば、私は右に行こう。もしあなたが右に行けば、私は左に行こう。」 + ロトが目を上げてヨルダンの低地全体を見渡すと、主がソドムとゴモラを滅ぼされる以前であったので、その地はツォアルのほうに至るまで、主の園のように、またエジプトの地のように、どこもよく潤っていた。 + それで、ロトはそのヨルダンの低地全体を選び取り、その後、東のほうに移動した。こうして彼らは互いに別れた。 + アブラムはカナンの地に住んだが、ロトは低地の町々に住んで、ソドムの近くまで天幕を張った。 + ところが、ソドムの人々はよこしまな者で、主に対しては非常な罪人であった。 + ロトがアブラムと別れて後、主はアブラムに仰せられた。「さあ、目を上げて、あなたがいる所から北と南、東と西を見渡しなさい。 + わたしは、あなたが見渡しているこの地全部を、永久にあなたとあなたの子孫とに与えよう。 + わたしは、あなたの子孫を地のちりのようにならせる。もし人が地のちりを数えることができれば、あなたの子孫をも数えることができよう。 + 立って、その地を縦と横に歩き回りなさい。わたしがあなたに、その地を与えるのだから。」 + そこで、アブラムは天幕を移して、ヘブロンにあるマムレの樫の木のそばに来て住んだ。そして、そこに主のための祭壇を築いた。 + + + さて、シヌアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアルの時代に、 + これらの王たちは、ソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデマの王シヌアブ、ツェボイムの王シェムエベル、ベラの王、すなわち、ツォアルの王と戦った。 + このすべての王たちは連合して、シディムの谷、すなわち、今の塩の海に進んだ。 + 彼らは十二年間ケドルラオメルに仕えていたが、十三年目にそむいた。 + 十四年目に、ケドルラオメルと彼にくみする王たちがやって来て、アシュテロテ・カルナイムでレファイム人を、ハムでズジム人を、シャベ・キルヤタイムでエミム人を、 + セイルの山地でホリ人を打ち破り、砂漠の近くのエル・パランまで進んだ。 + 彼らは引き返して、エン・ミシュパテ、今のカデシュに至り、アマレク人のすべての村落と、ハツァツォン・タマルに住んでいるエモリ人さえも打ち破った。 + そこで、ソドムの王、ゴモラの王、アデマの王、ツェボイムの王、ベラの王、すなわちツォアルの王が出て行き、シディムの谷で彼らと戦う備えをした。 + エラムの王ケドルラオメル、ゴイムの王ティデアル、シヌアルの王アムラフェル、エラサルの王アルヨク、この四人の王と、先の五人の王とである。 + シディムの谷には多くの瀝青の穴が散在していたので、ソドムの王とゴモラの王は逃げたとき、その穴に落ち込み、残りの者たちは山のほうに逃げた。 + そこで、彼らはソドムとゴモラの全財産と食糧全部を奪って行った。 + 彼らはまた、アブラムのおいのロトとその財産をも奪い去った。ロトはソドムに住んでいた。 + ひとりの逃亡者が、ヘブル人アブラムのところに来て、そのことを告げた。アブラムはエモリ人マムレの樫の木のところに住んでいた。マムレはエシュコルとアネルの兄弟で、彼らはアブラムと盟約を結んでいた。 + アブラムは自分の親類の者がとりこになったことを聞き、彼の家で生まれたしもべども三百十八人を召集して、ダンまで追跡した。 + 夜になって、彼と奴隷たちは、彼らに向かって展開し、彼らを打ち破り、ダマスコの北にあるホバまで彼らを追跡した。 + そして、彼はすべての財産を取り戻し、また親類の者ロトとその財産、それにまた、女たちや人々をも取り戻した。 + こうして、アブラムがケドルラオメルと、彼といっしょにいた王たちとを打ち破って帰って後、ソドムの王は、王の谷と言われるシャベの谷まで、彼を迎えに出て来た。 + さて、シャレムの王メルキゼデクはパンとぶどう酒を持って来た。彼はいと高き神の祭司であった。 + 彼はアブラムを祝福して言った。「祝福を受けよ。アブラム。天と地を造られた方、いと高き神より。 + あなたの手に、あなたの敵を渡されたいと高き神に、誉れあれ。」アブラムはすべての物の十分の一を彼に与えた。 + ソドムの王はアブラムに言った。「人々は私に返し、財産はあなたが取ってください。」 + しかし、アブラムはソドムの王に言った。「私は天と地を造られた方、いと高き神、主に誓う。 + 糸一本でも、くつひも一本でも、あなたの所有物から私は何一つ取らない。それは、あなたが、『アブラムを富ませたのは私だ』と言わないためだ。 + ただ若者たちが食べてしまった物と、私といっしょに行った人々の分け前とは別だ。アネルとエシュコルとマムレには、彼らの分け前を取らせるように。」 + + + これらの出来事の後、主のことばが幻のうちにアブラムに臨み、こう仰せられた。「アブラムよ。恐れるな。わたしはあなたの盾である。あなたの受ける報いは非常に大きい。」 + そこでアブラムは申し上げた。「神、主よ。私に何をお与えになるのですか。私には子がありません。私の家の相続人は、あのダマスコのエリエゼルになるのでしょうか。」 + さらに、アブラムは、「ご覧ください。あなたが子孫を私に下さらないので、私の家の奴隷が、私の跡取りになるでしょう」と申し上げた。 + すると、主のことばが彼に臨み、こう仰せられた。「その者があなたの跡を継いではならない。ただ、あなた自身から生まれ出て来る者が、あなたの跡を継がなければならない。」 + そして、彼を外に連れ出して仰せられた。「さあ、天を見上げなさい。星を数えることができるなら、それを数えなさい。」さらに仰せられた。「あなたの子孫はこのようになる。」 + 彼は主を信じた。主はそれを彼の義と認められた。 + また彼に仰せられた。「わたしは、この地をあなたの所有としてあなたに与えるために、カルデヤ人のウルからあなたを連れ出した主である。」 + 彼は申し上げた。「神、主よ。それが私の所有であることを、どのようにして知ることができましょうか。」 + すると彼に仰せられた。「わたしのところに、三歳の雌牛と、三歳の雌やぎと、三歳の雄羊と、山鳩とそのひなを持って来なさい。」 + 彼はそれら全部を持って来て、それらを真っ二つに切り裂き、その半分を互いに向かい合わせにした。しかし、鳥は切り裂かなかった。 + 猛禽がその死体の上に降りて来たので、アブラムはそれらを追い払った。 + 日が沈みかかったころ、深い眠りがアブラムを襲った。そして見よ。ひどい暗黒の恐怖が彼を襲った。 + そこで、アブラムに仰せがあった。「あなたはこの事をよく知っていなさい。あなたの子孫は、自分たちのものでない国で寄留者となり、彼らは奴隷とされ、四百年の間、苦しめられよう。 + しかし、彼らの仕えるその国民を、わたしがさばき、その後、彼らは多くの財産を持って、そこから出て来るようになる。 + あなた自身は、平安のうちに、あなたの先祖のもとに行き、長寿を全うして葬られよう。 + そして、四代目の者たちが、ここに戻って来る。それはエモリ人の咎が、そのときまでに満ちることはないからである。」 + さて、日は沈み、暗やみになったとき、そのとき、煙の立つかまどと、燃えているたいまつが、あの切り裂かれたものの間を通り過ぎた。 + その日、主はアブラムと契約を結んで仰せられた。「わたしはあなたの子孫に、この地を与える。エジプトの川から、あの大川、ユーフラテス川まで。 + ケニ人、ケナズ人、カデモニ人、 + ヘテ人、ペリジ人、レファイム人、 + エモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人を。」 + + + アブラムの妻サライは、彼に子どもを産まなかった。彼女にはエジプト人の女奴隷がいて、その名をハガルといった。 + サライはアブラムに言った。「ご存じのように、主は私が子どもを産めないようにしておられます。どうぞ、私の女奴隷のところにお入りください。たぶん彼女によって、私は子どもの母になれるでしょう。」アブラムはサライの言うことを聞き入れた。 + アブラムの妻サライは、アブラムがカナンの土地に住んでから十年後に、彼女の女奴隷のエジプト人ハガルを連れて来て、夫アブラムに妻として与えた。 + 彼はハガルのところに入った。そして彼女はみごもった。彼女は自分がみごもったのを知って、自分の女主人を見下げるようになった。 + そこでサライはアブラムに言った。「私に対するこの横柄さは、あなたのせいです。私自身が私の女奴隷をあなたのふところに与えたのですが、彼女は自分がみごもっているのを見て、私を見下げるようになりました。主が、私とあなたの間をおさばきになりますように。」 + アブラムはサライに言った。「ご覧。あなたの女奴隷は、あなたの手の中にある。彼女をあなたの好きなようにしなさい。」それで、サライが彼女をいじめたので、彼女はサライのもとから逃げ去った。 + 主の使いは、荒野の泉のほとり、シュルへの道にある泉のほとりで、彼女を見つけ、 + 「サライの女奴隷ハガル。あなたはどこから来て、どこへ行くのか」と尋ねた。彼女は答えた。「私の女主人サライのところから逃げているところです。」 + そこで、主の使いは彼女に言った。「あなたの女主人のもとに帰りなさい。そして、彼女のもとで身を低くしなさい。」 + また、主の使いは彼女に言った。「あなたの子孫は、わたしが大いにふやすので、数えきれないほどになる。」 + さらに、主の使いは彼女に言った。「見よ。あなたはみごもっている。男の子を産もうとしている。その子をイシュマエルと名づけなさい。主があなたの苦しみを聞き入れられたから。 + 彼は野生のろばのような人となり、その手は、すべての人に逆らい、すべての人の手も、彼に逆らう。彼はすべての兄弟に敵対して住もう。」 + そこで、彼女は自分に語りかけられた主の名を「あなたはエル・ロイ」と呼んだ。それは、「ご覧になる方のうしろを私が見て、なおもここにいるとは」と彼女が言ったからである。 + それゆえ、その井戸は、ベエル・ラハイ・ロイと呼ばれた。それは、カデシュとベレデの間にある。 + ハガルは、アブラムに男の子を産んだ。アブラムは、ハガルが産んだその男の子をイシュマエルと名づけた。 + ハガルがアブラムにイシュマエルを産んだとき、アブラムは八十六歳であった。 + + + アブラムが九十九歳になったとき主はアブラムに現れ、こう仰せられた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前を歩み、全き者であれ。 + わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に立てる。わたしは、あなたをおびただしくふやそう。」 + アブラムは、ひれ伏した。神は彼に告げて仰せられた。 + 「わたしは、この、わたしの契約をあなたと結ぶ。あなたは多くの国民の父となる。 + あなたの名は、もう、アブラムと呼んではならない。あなたの名はアブラハムとなる。わたしが、あなたを多くの国民の父とするからである。 + わたしは、あなたの子孫をおびただしくふやし、あなたを幾つかの国民とする。あなたから、王たちが出て来よう。 + わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に、そしてあなたの後のあなたの子孫との間に、代々にわたる永遠の契約として立てる。わたしがあなたの神、あなたの後の子孫の神となるためである。 + わたしは、あなたが滞在している地、すなわちカナンの全土を、あなたとあなたの後のあなたの子孫に永遠の所有として与える。わたしは、彼らの神となる。」 + ついで、神はアブラハムに仰せられた。「あなたは、あなたの後のあなたの子孫とともに、代々にわたり、わたしの契約を守らなければならない。 + 次のことが、わたしとあなたがたと、またあなたの後のあなたの子孫との間で、あなたがたが守るべきわたしの契約である。あなたがたの中のすべての男子は割礼を受けなさい。 + あなたがたは、あなたがたの包皮の肉を切り捨てなさい。それが、わたしとあなたがたの間の契約のしるしである。 + あなたがたの中の男子はみな、代々にわたり、生まれて八日目に、割礼を受けなければならない。家で生まれたしもべも、外国人から金で買い取られたあなたの子孫ではない者も。 + あなたの家で生まれたしもべも、あなたが金で買い取った者も、必ず割礼を受けなければならない。わたしの契約は、永遠の契約として、あなたがたの肉の上にしるされなければならない。 + 包皮の肉を切り捨てられていない無割礼の男、そのような者は、その民から断ち切られなければならない。わたしの契約を破ったのである。」 + また、神はアブラハムに仰せられた。「あなたの妻サライのことだが、その名をサライと呼んではならない。その名はサラとなるからだ。 + わたしは彼女を祝福しよう。確かに、彼女によって、あなたにひとりの男の子を与えよう。わたしは彼女を祝福する。彼女は国々の母となり、国々の民の王たちが、彼女から出て来る。」 + アブラハムはひれ伏し、そして笑ったが、心の中で言った。「百歳の者に子どもが生まれようか。サラにしても、九十歳の女が子を産むことができようか。」 + そして、アブラハムは神に申し上げた。「どうかイシュマエルが、あなたの御前で生きながらえますように。」 + すると神は仰せられた。「いや、あなたの妻サラが、あなたに男の子を産むのだ。あなたはその子をイサクと名づけなさい。わたしは彼とわたしの契約を立て、それを彼の後の子孫のために永遠の契約とする。 + イシュマエルについては、あなたの言うことを聞き入れた。確かに、わたしは彼を祝福し、彼の子孫をふやし、非常に多く増し加えよう。彼は十二人の族長たちを生む。わたしは彼を大いなる国民としよう。 + しかしわたしは、来年の今ごろサラがあなたに産むイサクと、わたしの契約を立てる。」 + 神はアブラハムと語り終えられると、彼から離れて上られた。 + そこでアブラハムは、その子イシュマエルと家で生まれたしもべ、また金で買い取った者、アブラハムの家の人々のうちのすべての男子を集め、神が彼にお告げになったとおり、その日のうちに、彼らの包皮の肉を切り捨てた。 + アブラハムが包皮の肉を切り捨てられたときは、九十九歳であった。 + その子イシュマエルが包皮の肉を切り捨てられたときは、十三歳であった。 + アブラハムとその子イシュマエルは、その日のうちに割礼を受けた。 + 彼の家の男たち、すなわち、家で生まれた奴隷、外国人から金で買い取った者もみな、彼といっしょに割礼を受けた。 + + + 主はマムレの樫の木のそばで、アブラハムに現れた。彼は日の暑いころ、天幕の入口にすわっていた。 + 彼が目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。彼は、見るなり、彼らを迎えるために天幕の入口から走って行き、地にひれ伏して礼をした。 + そして言った。「ご主人。お気に召すなら、どうか、あなたのしもべのところを素通りなさらないでください。 + 少しばかりの水を持って来させますから、あなたがたの足を洗い、この木の下でお休みください。 + 私は少し食べ物を持ってまいります。それで元気を取り戻してください。それから、旅を続けられるように。せっかく、あなたがたのしもべのところをお通りになるのですから。」彼らは答えた。「あなたの言ったとおりにしてください。」 + そこで、アブラハムは天幕のサラのところに急いで戻って、言った。「早く、三セアの上等の小麦粉をこねて、パン菓子を作っておくれ。」 + そしてアブラハムは牛のところに走って行き、柔らかくて、おいしそうな子牛を取り、若い者に渡した。若い者は手早くそれを料理した。 + それからアブラハムは、凝乳と牛乳と、それに、料理した子牛を持って来て、彼らの前に供えた。彼は、木の下で彼らに給仕をしていた。こうして彼らは食べた。 + 彼らはアブラハムに尋ねた。「あなたの妻サラはどこにいますか。」それで「天幕の中にいます」と答えた。 + するとひとりが言った。「わたしは来年の今ごろ、必ずあなたのところに戻って来ます。そのとき、あなたの妻サラには、男の子ができている。」サラはその人のうしろの天幕の入口で、聞いていた。 + アブラハムとサラは年を重ねて老人になっており、サラには普通の女にあることがすでに止まっていた。 + それでサラは心の中で笑ってこう言った。「老いぼれてしまったこの私に、何の楽しみがあろう。それに主人も年寄りで。」 + そこで、主がアブラハムに仰せられた。「サラはなぜ『私はほんとうに子を産めるだろうか。こんなに年をとっているのに』と言って笑うのか。 + 主に不可能なことがあろうか。わたしは来年の今ごろ、定めた時に、あなたのところに戻って来る。そのとき、サラには男の子ができている。」 + サラは「私は笑いませんでした」と言って打ち消した。恐ろしかったのである。しかし主は仰せられた。「いや、確かにあなたは笑った。」 + その人たちは、そこを立って、ソドムを見おろすほうへ上って行った。アブラハムも彼らを見送るために、彼らといっしょに歩いていた。 + 主はこう考えられた。「わたしがしようとしていることを、アブラハムに隠しておくべきだろうか。 + アブラハムは必ず大いなる強い国民となり、地のすべての国々は、彼によって祝福される。 + わたしが彼を選び出したのは、彼がその子らと、彼の後の家族とに命じて主の道を守らせ、正義と公正とを行わせるため、主が、アブラハムについて約束したことを、彼の上に成就するためである。」 + そこで主は仰せられた。「ソドムとゴモラの叫びは非常に大きく、また彼らの罪はきわめて重い。 + わたしは下って行って、わたしに届いた叫びどおりに、彼らが実際に行っているかどうかを見よう。わたしは知りたいのだ。」 + その人たちはそこからソドムのほうへと進んで行った。アブラハムはまだ、主の前に立っていた。 + アブラハムは近づいて申し上げた。「あなたはほんとうに、正しい者を、悪い者といっしょに滅ぼし尽くされるのですか。 + もしや、その町の中に五十人の正しい者がいるかもしれません。ほんとうに滅ぼしてしまわれるのですか。その中にいる五十人の正しい者のために、その町をお赦しにはならないのですか。 + 正しい者を悪い者といっしょに殺し、そのため、正しい者と悪い者とが同じようになるというようなことを、あなたがなさるはずがありません。とてもありえないことです。全世界をさばくお方は、公義を行うべきではありませんか。」 + 主は答えられた。「もしソドムで、わたしが五十人の正しい者を町の中に見つけたら、その人たちのために、その町全部を赦そう。」 + アブラハムは答えて言った。「私はちりや灰にすぎませんが、あえて主に申し上げるのをお許しください。 + もしや五十人の正しい者に五人不足しているかもしれません。その五人のために、あなたは町の全部を滅ぼされるでしょうか。」主は仰せられた。「滅ぼすまい。もしそこにわたしが四十五人を見つけたら。」 + そこで、再び尋ねて申し上げた。「もしやそこに四十人見つかるかもしれません。」すると仰せられた。「滅ぼすまい。その四十人のために。」 + また彼は言った。「主よ。どうかお怒りにならないで、私に言わせてください。もしやそこに三十人見つかるかもしれません。」主は仰せられた。「滅ぼすまい。もしそこにわたしが三十人を見つけたら。」 + 彼は言った。「私があえて、主に申し上げるのをお許しください。もしやそこに二十人見つかるかもしれません。」すると仰せられた。「滅ぼすまい。その二十人のために。」 + 彼はまた言った。「主よ。どうかお怒りにならないで、今一度だけ私に言わせてください。もしやそこに十人見つかるかもしれません。」すると主は仰せられた。「滅ぼすまい。その十人のために。」 + 主はアブラハムと語り終えられると、去って行かれた。アブラハムは自分の家へ帰って行った。 + + + そのふたりの御使いは夕暮れにソドムに着いた。ロトはソドムの門のところにすわっていた。ロトは彼らを見るなり、立ち上がって彼らを迎え、顔を地につけて伏し拝んだ。 + そして言った。「さあ、ご主人。どうか、あなたがたのしもべの家に立ち寄り、足を洗って、お泊まりください。そして、朝早く旅を続けてください。」すると彼らは言った。「いや、わたしたちは広場に泊まろう。」 + しかし、彼がしきりに勧めたので、彼らは彼のところに向かい、彼の家の中に入った。ロトは彼らのためにごちそうを作り、パン種を入れないパンを焼いた。こうして彼らは食事をした。 + 彼らが床につかないうちに、町の者たち、ソドムの人々が、若い者から年寄りまで、すべての人が、町の隅々から来て、その家を取り囲んだ。 + そしてロトに向かって叫んで言った。「今夜おまえのところにやって来た男たちはどこにいるのか。ここに連れ出せ。彼らをよく知りたいのだ。」 + ロトは戸口にいる彼らのところに出て、うしろの戸をしめた。 + そして言った。「兄弟たちよ。どうか悪いことはしないでください。 + お願いですから。私にはまだ男を知らないふたりの娘があります。娘たちをみなの前に連れて来ますから、あなたがたの好きなようにしてください。ただ、あの人たちには何もしないでください。あの人たちは私の屋根の下に身を寄せたのですから。」 + しかし彼らは言った。「引っ込んでいろ。」そしてまた言った。「こいつはよそ者として来たくせに、さばきつかさのようにふるまっている。さあ、おまえを、あいつらよりもひどいめに会わせてやろう。」彼らはロトのからだを激しく押しつけ、戸を破ろうと近づいて来た。 + すると、あの人たちが手を差し伸べて、ロトを自分たちのいる家の中に連れ込んで、戸をしめた。 + 家の戸口にいた者たちは、小さい者も大きい者もみな、目つぶしをくらったので、彼らは戸口を見つけるのに疲れ果てた。 + ふたりはロトに言った。「ほかにあなたの身内の者がここにいますか。あなたの婿やあなたの息子、娘、あるいはこの町にいるあなたの身内の者をみな、この場所から連れ出しなさい。 + わたしたちはこの場所を滅ぼそうとしているからです。彼らに対する叫びが主の前で大きくなったので、主はこの町を滅ぼすために、わたしたちを遣わされたのです。」 + そこでロトは出て行き、娘たちをめとった婿たちに告げて言った。「立ってこの場所から出て行きなさい。主がこの町を滅ぼそうとしておられるから。」しかし、彼の婿たちには、それは冗談のように思われた。 + 夜が明けるころ、御使いたちはロトを促して言った。「さあ立って、あなたの妻と、ここにいるふたりの娘たちを連れて行きなさい。さもないと、あなたはこの町の咎のために滅ぼし尽くされてしまおう。」 + しかし彼はためらっていた。すると、その人たちは彼の手と彼の妻の手と、ふたりの娘の手をつかんだ。――主の彼に対するあわれみによる。そして彼らを連れ出し、町の外に置いた。 + 彼らを外のほうに連れ出したとき、そのひとりは言った。「いのちがけで逃げなさい。うしろを振り返ってはいけない。この低地のどこででも立ち止まってはならない。山に逃げなさい。さもないと滅ぼされてしまう。」 + ロトは彼らに言った。「主よ。どうか、そんなことになりませんように。 + ご覧ください。このしもべはあなたの心にかない、あなたは私のいのちを救って大きな恵みを与えてくださいました。しかし、私は、山に逃げることができません。わざわいが追いついて、たぶん私は死ぬでしょう。 + ご覧ください。あそこの町は、のがれるのに近いのです。しかもあんなに小さいのです。どうか、あそこに逃げさせてください。あんなに小さいではありませんか。私のいのちを生かしてください。」 + その人は彼に言った。「よろしい。わたしはこのことでも、あなたの願いを入れ、あなたの言うその町を滅ぼすまい。 + 急いでそこへのがれなさい。あなたがあそこに入るまでは、わたしは何もできないから。」それゆえ、その町の名はツォアルと呼ばれた。 + 太陽が地上に上ったころ、ロトはツォアルに着いた。 + そのとき、主はソドムとゴモラの上に、硫黄の火を天の主のところから降らせ、 + これらの町々と低地全体と、その町々の住民と、その地の植物をみな滅ぼされた。 + ロトのうしろにいた彼の妻は、振り返ったので、塩の柱になってしまった。 + 翌朝早く、アブラハムは、かつて主の前に立ったあの場所に行った。 + 彼がソドムとゴモラのほう、それに低地の全地方を見おろすと、見よ、まるでかまどの煙のようにその地の煙が立ち上っていた。 + こうして、神が低地の町々を滅ぼされたとき、神はアブラハムを覚えておられた。それで、ロトが住んでいた町々を滅ぼされたとき、神はロトをその破壊の中からのがれさせた。 + その後、ロトはツォアルを出て、ふたりの娘といっしょに山に住んだ。彼はツォアルに住むのを恐れたからである。彼はふたりの娘といっしょにほら穴の中に住んだ。 + そうこうするうちに、姉は妹に言った。「お父さんは年をとっています。この地には、この世のならわしのように、私たちのところに来る男の人などいません。 + さあ、お父さんに酒を飲ませ、いっしょに寝て、お父さんによって子孫を残しましょう。」 + その夜、彼女たちは父親に酒を飲ませ、姉が入って行き、父と寝た。ロトは彼女が寝たのも、起きたのも知らなかった。 + その翌日、姉は妹に言った。「ご覧。私は昨夜、お父さんと寝ました。今夜もまた、お父さんに酒を飲ませましょう。そして、あなたが行って、いっしょに寝なさい。そうして、私たちはお父さんによって、子孫を残しましょう。」 + その夜もまた、彼女たちは父に酒を飲ませ、妹が行って、いっしょに寝た。ロトは彼女が寝たのも、起きたのも知らなかった。 + こうして、ロトのふたりの娘は、父によってみごもった。 + 姉は男の子を産んで、その子をモアブと名づけた。彼は今日のモアブ人の先祖である。 + 妹もまた、男の子を産んで、その子をベン・アミと名づけた。彼は今日のアモン人の先祖である。 + + + アブラハムは、そこからネゲブの地方へ移り、カデシュとシュルの間に住みついた。ゲラルに滞在中、 + アブラハムは、自分の妻サラのことを、「これは私の妹です」と言ったので、ゲラルの王アビメレクは、使いをやって、サラを召し入れた。 + ところが、神は、夜、夢の中で、アビメレクのところに来られ、そして仰せられた。「あなたが召し入れた女のために、あなたは死ななければならない。あの女は夫のある身である。」 + アビメレクはまだ、彼女に近づいていなかったので、こう言った。「主よ。あなたは正しい国民をも殺されるのですか。 + 彼は私に、『これは私の妹だ』と言ったではありませんか。そして、彼女自身も『これは私の兄だ』と言ったのです。私は正しい心と汚れない手で、このことをしたのです。」 + 神は夢の中で、彼に仰せられた。「そうだ。あなたが正しい心でこの事をしたのを、わたし自身よく知っていた。それでわたしも、あなたがわたしに罪を犯さないようにしたのだ。それゆえ、わたしは、あなたが彼女に触れることを許さなかったのだ。 + 今、あの人の妻を返していのちを得なさい。あの人は預言者であって、あなたのために祈ってくれよう。しかし、あなたが返さなければ、あなたも、あなたに属するすべての者も、必ず死ぬことをわきまえなさい。」 + 翌朝早く、アビメレクは彼のしもべを全部呼び寄せ、これらのことをみな語り聞かせたので、人々は非常に恐れた。 + それから、アビメレクはアブラハムを呼び寄せて言った。「あなたは何ということを、してくれたのか。あなたが私と私の王国とに、こんな大きな罪をもたらすとは、いったい私がどんな罪をあなたに犯したのか。あなたはしてはならないことを、私にしたのだ。」 + また、アビメレクはアブラハムに言った。「あなたはどういうつもりで、こんなことをしたのか。」 + アブラハムは答えた。「この地方には、神を恐れることが全くないので、人々が私の妻のゆえに、私を殺すと思ったからです。 + また、ほんとうに、あれは私の妹です。あの女は私の父の娘ですが、私の母の娘ではありません。それが私の妻になったのです。 + 神が私を父の家からさすらいの旅に出されたとき、私は彼女に、『こうして、あなたの愛を私のために尽くしておくれ。私たちが行くどこででも、私のことを、この人は私の兄です、と言っておくれ』と頼んだのです。」 + そこで、アビメレクは、羊の群れと牛の群れと男女の奴隷たちを取って来て、アブラハムに与え、またアブラハムの妻サラを彼に返した。 + そして、アビメレクは言った。「見よ。私の領地があなたの前に広がっている。あなたの良いと思う所に住みなさい。」 + 彼はまたサラに言った。「ここに、銀千枚をあなたの兄に与える。きっと、これはあなたといっしょにいるすべての人の前で、あなたを守るものとなろう。これですべて、正しいとされよう。」 + そこで、アブラハムは神に祈った。神はアビメレクとその妻、および、はしためたちをいやされたので、彼らはまた子を産むようになった。 + 主が、アブラハムの妻、サラのゆえに、アビメレクの家のすべての胎を堅く閉じておられたからである。 + + + 主は、約束されたとおり、サラを顧みて、仰せられたとおりに主はサラになさった。 + サラはみごもり、そして神がアブラハムに言われたその時期に、年老いたアブラハムに男の子を産んだ。 + アブラハムは、自分に生まれた子、サラが自分に産んだ子をイサクと名づけた。 + そしてアブラハムは、神が彼に命じられたとおり、八日目になった自分の子イサクに割礼を施した。 + アブラハムは、その子イサクが生まれたときは百歳であった。 + サラは言った。「神は私を笑われました。聞く者はみな、私に向かって笑うでしょう。」 + また彼女は言った。「だれがアブラハムに、『サラが子どもに乳を飲ませる』と告げたでしょう。ところが私は、あの年寄りに子を産みました。」 + その子は育って乳離れした。アブラハムはイサクの乳離れの日に、盛大な宴会を催した。 + そのとき、サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムに産んだ子が、自分の子イサクをからかっているのを見た。 + それでアブラハムに言った。「このはしためを、その子といっしょに追い出してください。このはしための子は、私の子イサクといっしょに跡取りになるべきではありません。」 + このことは、自分の子に関することなので、アブラハムは、非常に悩んだ。 + すると、神はアブラハムに仰せられた。「その少年と、あなたのはしためのことで、悩んではならない。サラがあなたに言うことはみな、言うとおりに聞き入れなさい。イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるからだ。 + しかしはしための子も、わたしは一つの国民としよう。彼もあなたの子だから。」 + 翌朝早く、アブラハムは、パンと水の皮袋を取ってハガルに与え、それを彼女の肩に載せ、その子とともに彼女を送り出した。それで彼女はベエル・シェバの荒野をさまよい歩いた。 + 皮袋の水が尽きたとき、彼女はその子を一本の灌木の下に投げ出し、 + 自分は、矢の届くほど離れた向こうに行ってすわった。それは彼女が「私は子どもの死ぬのを見たくない」と思ったからである。それで、離れてすわったのである。そうして彼女は声をあげて泣いた。 + 神は少年の声を聞かれ、神の使いは天からハガルを呼んで、言った。「ハガルよ。どうしたのか。恐れてはいけない。神があそこにいる少年の声を聞かれたからだ。 + 行ってあの少年を起こし、彼を力づけなさい。わたしはあの子を大いなる国民とするからだ。」 + 神がハガルの目を開かれたので、彼女は井戸を見つけた。それで行って皮袋に水を満たし、少年に飲ませた。 + 神が少年とともにおられたので、彼は成長し、荒野に住んで、弓を射る者となった。 + こうして彼はパランの荒野に住みついた。彼の母はエジプトの国から彼のために妻を迎えた。 + そのころ、アビメレクとその将軍ピコルとがアブラハムに告げて言った。「あなたが何をしても、神はあなたとともにおられる。 + それで今、ここで神によって私に誓ってください。私も、私の親類縁者たちをも裏切らないと。そして私があなたに尽くした真実にふさわしく、あなたは私にも、またあなたが滞在しているこの土地にも真実を尽くしてください。」 + するとアブラハムは、「私は誓います」と言った。 + また、アブラハムは、アビメレクのしもべどもが奪い取った井戸のことでアビメレクに抗議した。 + アビメレクは答えた。「だれがそのようなことをしたのか知りませんでした。それにあなたもまた、私に告げなかったし、私もまたきょうまで聞いたことがなかったのです。」 + そこでアブラハムは羊と牛を取って、アビメレクに与え、ふたりは契約を結んだ。 + アブラハムは羊の群れから、七頭の雌の子羊をより分けた。 + するとアビメレクは、「今あなたがより分けたこの七頭の雌の子羊は、いったいどういうわけですか」とアブラハムに尋ねた。 + アブラハムは、「私がこの井戸を掘ったという証拠となるために、七頭の雌の子羊を私の手から受け取ってください」と答えた。 + それゆえ、その場所はベエル・シェバと呼ばれた。その所で彼らふたりが誓ったからである。 + 彼らがベエル・シェバで契約を結んでから、アビメレクとその将軍ピコルとは立って、ペリシテ人の地に帰った。 + アブラハムはベエル・シェバに一本の柳の木を植え、その所で永遠の神、主の御名によって祈った。 + アブラハムは長い間ペリシテ人の地に滞在した。 + + + これらの出来事の後、神はアブラハムを試練に会わせられた。神は彼に、「アブラハムよ」と呼びかけられると、彼は、「はい。ここにおります」と答えた。 + 神は仰せられた。「あなたの子、あなたの愛しているひとり子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。そしてわたしがあなたに示す一つの山の上で、全焼のいけにえとしてイサクをわたしにささげなさい。」 + 翌朝早く、アブラハムはろばに鞍をつけ、ふたりの若い者と息子イサクとをいっしょに連れて行った。彼は全焼のいけにえのためのたきぎを割った。こうして彼は、神がお告げになった場所へ出かけて行った。 + 三日目に、アブラハムが目を上げると、その場所がはるかかなたに見えた。 + それでアブラハムは若い者たちに、「あなたがたは、ろばといっしょに、ここに残っていなさい。私と子どもとはあそこに行き、礼拝をして、あなたがたのところに戻って来る」と言った。 + アブラハムは全焼のいけにえのためのたきぎを取り、それをその子イサクに負わせ、火と刀とを自分の手に取り、ふたりはいっしょに進んで行った。 + イサクは父アブラハムに話しかけて言った。「お父さん。」すると彼は、「何だ。イサク」と答えた。イサクは尋ねた。「火とたきぎはありますが、全焼のいけにえのための羊は、どこにあるのですか。」 + アブラハムは答えた。「イサク。神ご自身が全焼のいけにえの羊を備えてくださるのだ。」こうしてふたりはいっしょに歩き続けた。 + ふたりは神がアブラハムに告げられた場所に着き、アブラハムはその所に祭壇を築いた。そうしてたきぎを並べ、自分の子イサクを縛り、祭壇の上のたきぎの上に置いた。 + アブラハムは手を伸ばし、刀を取って自分の子をほふろうとした。 + そのとき、主の使いが天から彼を呼び、「アブラハム。アブラハム」と仰せられた。彼は答えた。「はい。ここにおります。」 + 御使いは仰せられた。「あなたの手を、その子に下してはならない。その子に何もしてはならない。今、わたしは、あなたが神を恐れることがよくわかった。あなたは、自分の子、自分のひとり子さえ惜しまないでわたしにささげた。」 + アブラハムが目を上げて見ると、見よ、角をやぶにひっかけている一頭の雄羊がいた。アブラハムは行って、その雄羊を取り、それを自分の子の代わりに、全焼のいけにえとしてささげた。 + そうしてアブラハムは、その場所を、アドナイ・イルエと名づけた。今日でも、「主の山の上には備えがある」と言い伝えられている。 + それから主の使いは、再び天からアブラハムを呼んで、 + 仰せられた。「これは主の御告げである。わたしは自分にかけて誓う。あなたが、このことをなし、あなたの子、あなたのひとり子を惜しまなかったから、 + わたしは確かにあなたを大いに祝福し、あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように数多く増し加えよう。そしてあなたの子孫は、その敵の門を勝ち取るであろう。 + あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。あなたがわたしの声に聞き従ったからである。」 + こうして、アブラハムは、若者たちのところに戻った。彼らは立って、いっしょにベエル・シェバに行った。アブラハムはベエル・シェバに住みついた。 + これらの出来事の後、アブラハムに次のことが伝えられた。「ミルカもまた、あなたの兄弟ナホルに子どもを産みました。 + すなわち長男がウツ、その弟がブズ、それにアラムの父であるケムエル、 + 次にケセデ、ハゾ、ピルダシュ、イデラフ、それにベトエルです。」 + ベトエルはリベカを生んだ。ミルカはこれら八人をアブラハムの兄弟ナホルに産んだのである。 + レウマというナホルのそばめもまた、テバフ、ガハム、タハシュ、マアカを産んだ。 + + + サラの一生、サラが生きた年数は百二十七年であった。 + サラはカナンの地のキルヤテ・アルバ、すなわちヘブロンで死んだ。アブラハムは来てサラのために嘆き、泣いた。 + それからアブラハムは、その死者のそばから立ち上がり、ヘテ人たちに告げて言った。 + 「私はあなたがたの中に居留している異国人ですが、あなたがたのところで私有の墓地を私に譲っていただきたい。そうすれば私のところから移して、死んだ者を葬ることができるのです。」 + ヘテ人たちはアブラハムに答えて言った。 + 「ご主人。私たちの言うことを聞き入れてください。あなたは私たちの間にあって、神のつかさです。私たちの最上の墓地に、なくなられた方を葬ってください。私たちの中で、だれひとり、なくなられた方を葬る墓地を拒む者はおりません。」 + そこでアブラハムは立って、その土地の人々、ヘテ人にていねいにおじぎをして、 + 彼らに告げて言った。「死んだ者を私のところから移して葬ることが、あなたがたのおこころであれば、私の言うことを聞いて、ツォハルの子エフロンに交渉して、 + 彼の畑地の端にある彼の所有のマクペラのほら穴を私に譲ってくれるようにしてください。彼があなたがたの間でその畑地に十分な価をつけて、私に私有の墓地として譲ってくれるようにしてください。」 + エフロンはヘテ人たちの間にすわっていた。ヘテ人のエフロンは、その町の門に入って来たヘテ人たちみなが聞いているところで、アブラハムに答えて言った。 + 「ご主人。どうか、私の言うことを聞き入れてください。畑地をあなたに差し上げます。そこにあるほら穴も、差し上げます。私の国の人々の前で、それをあなたに差し上げます。なくなられた方を、葬ってください。」 + アブラハムは、その土地の人々におじぎをし、 + その土地の人々の聞いているところで、エフロンに告げて言った。「もしあなたが許してくださるなら、私の言うことを聞き入れてください。私は畑地の代価をお払いします。どうか私から受け取ってください。そうすれば、死んだ者をそこに葬ることができます。」 + エフロンはアブラハムに答えて言った。 + 「ではご主人。私の言うことを聞いてください。銀四百シェケルの土地、それなら私とあなたとの間では、何ほどのこともないでしょう。どうぞ、なくなられた方を葬ってください。」 + アブラハムはエフロンの申し出を聞き入れ、エフロンがヘテ人たちの聞いているところでつけた代価、通り相場で銀四百シェケルを計ってエフロンに渡した。 + こうして、マムレに面するマクペラにあるエフロンの畑地、すなわちその畑地とその畑地にあるほら穴、それと、畑地の回りの境界線の中にあるどの木も、 + その町の門に入って来たすべてのヘテ人たちの目の前で、アブラハムの所有となった。 + こうして後、アブラハムは自分の妻サラを、カナンの地にある、マムレすなわち今日のヘブロンに面するマクペラの畑地のほら穴に葬った。 + こうして、この畑地と、その中にあるほら穴は、ヘテ人たちから離れてアブラハムの私有の墓地として彼の所有となった。 + + + アブラハムは年を重ねて、老人になっていた。主は、あらゆる面でアブラハムを祝福しておられた。 + そのころ、アブラハムは、自分の全財産を管理している家の最年長のしもべに、こう言った。「あなたの手を私のももの下に入れてくれ。 + 私はあなたに、天の神、地の神である主にかけて誓わせる。私がいっしょに住んでいるカナン人の娘の中から、私の息子の妻をめとってはならない。 + あなたは私の生まれ故郷に行き、私の息子イサクのために妻を迎えなさい。」 + しもべは彼に言った。「もしかして、その女の人が、私についてこの国へ来ようとしない場合、お子を、あなたの出身地へ連れ戻さなければなりませんか。」 + アブラハムは彼に言った。「私の息子をあそこへ連れ帰らないように気をつけなさい。 + 私を、私の父の家、私の生まれ故郷から連れ出し、私に誓って、『あなたの子孫にこの地を与える』と約束して仰せられた天の神、主は、御使いをあなたの前に遣わされる。あなたは、あそこで私の息子のために妻を迎えなさい。 + もし、その女があなたについて来ようとしないなら、あなたはこの私との誓いから解かれる。ただし、私の息子をあそこへ連れ帰ってはならない。」 + それでしもべは、その手を主人であるアブラハムのももの下に入れ、このことについて彼に誓った。 + しもべは主人のらくだの中から十頭のらくだを取り、そして出かけた。また主人のあらゆる貴重な品々を持って行った。彼は立ってアラム・ナハライムのナホルの町へ行った。 + 彼は夕暮れ時、女たちが水を汲みに出て来るころ、町の外の井戸のところに、らくだを伏させた。 + そうして言った。「私の主人アブラハムの神、主よ。きょう、私のためにどうか取り計らってください。私の主人アブラハムに恵みを施してください。 + ご覧ください。私は泉のほとりに立っています。この町の人々の娘たちが、水を汲みに出てまいりましょう。 + 私が娘に『どうかあなたの水がめを傾けて私に飲ませてください』と言い、その娘が『お飲みください。私はあなたのらくだにも水を飲ませましょう』と言ったなら、その娘こそ、あなたがしもべイサクのために定めておられたのです。このことで私は、あなたが私の主人に恵みを施されたことを知ることができますように。」 + こうして彼がまだ言い終わらないうちに、見よ、リベカが水がめを肩に載せて出て来た。リベカはアブラハムの兄弟ナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘であった。 + この娘は非常に美しく、処女で、男が触れたことがなかった。彼女は泉に降りて行き、水がめに水を満たし、そして上がって来た。 + しもべは彼女に会いに走って行き、そして言った。「どうか、あなたの水がめから、少し水を飲ませてください。」 + すると彼女は、「どうぞ、お飲みください。だんなさま」と言って、すばやく、その手に水がめを取り降ろし、彼に飲ませた。 + 彼に水を飲ませ終わると、彼女は、「あなたのらくだのためにも、それが飲み終わるまで、水を汲んで差し上げましょう」と言った。 + 彼女は急いで水がめの水を水ぶねにあけ、水を汲むためにまた井戸のところまで走って行き、その全部のらくだのために水を汲んだ。 + この人は、主が自分の旅を成功させてくださったかどうかを知ろうと、黙って彼女を見つめていた。 + らくだが水を飲み終わったとき、その人は、重さ一ベカの金の飾り輪と、彼女の腕のために、重さ十シェケルの二つの金の腕輪を取り、 + 尋ねた。「あなたは、どなたの娘さんですか。どうか私に言ってください。あなたの父上の家には、私どもが泊めていただく場所があるでしょうか。」 + 彼女が答えた。「私はナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘です。」 + そして言った。「私たちのところには、わらも、飼料もたくさんあります。それにまたお泊まりになる場所もあります。」 + そこでその人は、ひざまずき、主を礼拝して、 + 言った。「私の主人アブラハムの神、主がほめたたえられますように。主は私の主人に対する恵みとまこととをお捨てにならなかった。主はこの私をも途中つつがなく、私の主人の兄弟の家に導かれた。」 + その娘は走って行って、自分の母の家の者に、これらのことを告げた。 + リベカにはひとりの兄があって、その名をラバンと言った。ラバンは外へ出て泉のところにいるその人のもとへ走って行った。 + 彼は鼻の飾り輪と妹の腕にある腕輪を見、また、「あの人がこう私に言われました」と言った妹リベカのことばを聞くとすぐ、その人のところに行った。すると見よ。その人は泉のほとり、らくだのそばに立っていた。 + そこで彼は言った。「どうぞおいでください。主に祝福された方。どうして外に立っておられるのですか。私は家と、らくだのための場所を用意しております。」 + それでその人は家の中に入った。らくだの荷は解かれ、らくだにはわらと飼料が与えられ、彼の足と、その従者たちの足を洗う水も与えられた。 + それから、彼の前に食事が出されたが、彼は言った。「私の用向きを話すまでは食事をいただきません。」「お話しください」と言われて、 + 彼は言った。「私はアブラハムのしもべです。 + 主は私の主人を大いに祝福されましたので、主人は富んでおります。主は羊や牛、銀や金、男女の奴隷、らくだやろばをお与えになりました。 + 私の主人の妻サラは、年をとってから、ひとりの男の子を主人に産み、主人はこの子に自分の全財産を譲っておられます。 + 私の主人は私に誓わせて、こう申しました。『私が住んでいるこの土地のカナン人の娘を私の息子の妻にめとってはならない。 + あなたは私の父の家、私の親族のところへ行って、私の息子のために妻を迎えなくてはならない。』 + そこで私は主人に申しました。『もしかすると、その女の人は私について来ないかもしれません。』 + すると主人は答えました。『私は主の前を歩んできた。その主が御使いをあなたといっしょに遣わし、あなたの旅を成功させてくださる。あなたは、私の親族、私の父の家族から、私の息子のために妻を迎えなければならない。 + 次のようなときは、あなたは私の誓いから解かれる。あなたが私の親族のところに行き、もしも彼らがあなたに娘を与えない場合、そのとき、あなたは私の誓いから解かれる。』 + きょう、私は泉のところに来て申しました。『私の主人アブラハムの神、主よ。私がここまで来た旅を、もしあなたが成功させてくださるのなら、 + ご覧ください。私は泉のほとりに立っています。おとめが水を汲みに出て来たなら、私は、あなたの水がめから少し水を飲ませてください、と言います。 + その人が私に、「どうぞお飲みください。私はあなたのらくだにも水を汲んであげましょう」と言ったなら、その人こそ、主が私の主人の息子のために定められた妻でありますように。』 + 私が心の中で話し終わらないうちに、どうです、リベカさんが水がめを肩に載せて出て来て、泉のところに降りて行き、水を汲みました。それで私が『どうか水を飲ませてください』と言うと、 + 急いで水がめを降ろし、『お飲みください。あなたのらくだにも水を飲ませましょう』と言われたので、私は飲みました。らくだにも水を飲ませてくださいました。 + 私が尋ねて、『あなたはどなたの娘さんですか』と言いますと、『ミルカがナホルに産んだ子ベトエルの娘です』と答えられました。そこで私は彼女の鼻に飾り輪をつけ、彼女の腕に腕輪をはめました。 + そうして私はひざまずき、主を礼拝し、私の主人アブラハムの神、主を賛美しました。主は私の主人の兄弟の娘を、主人の息子にめとるために、私を正しい道に導いてくださったのです。 + それで今、あなたがたが私の主人に、恵みとまこととを施してくださるのなら、私にそう言ってください。そうでなければ、そうでないと私に言ってください。それによって、私は右か左に向かうことになるでしょう。」 + するとラバンとベトエルは答えて言った。「このことは主から出たことですから、私たちはあなたによしあしを言うことはできません。 + ご覧ください。リベカはあなたの前にいます。どうか連れて行ってください。主が仰せられたとおり、あなたの主人のご子息の妻となりますように。」 + アブラハムのしもべは、彼らのことばを聞くやいなや、地にひれ伏して主を礼拝した。 + そうして、このしもべは、銀や金の品物や衣装を取り出してリベカに与えた。また、彼女の兄や母にも貴重な品々を贈った。 + それから、このしもべと、その従者たちとは飲み食いして、そこに泊まった。朝になって、彼らが起きると、そのしもべは「私の主人のところへ帰してください」と言った。 + すると彼女の兄と母は、「娘をしばらく、十日間ほど、私たちといっしょにとどめておき、それから後、行かせたいのですが」と言った。 + しもべは彼らに、「私が遅れないようにしてください。主が私の旅を成功させてくださったのですから。私が主人のところへ行けるように私を帰らせてください」と言った。 + 彼らは答えた。「娘を呼び寄せて、娘の言うことを聞いてみましょう。」 + それで彼らはリベカを呼び寄せて、「この人といっしょに行くか」と尋ねた。すると彼女は、「はい。まいります」と答えた。 + そこで彼らは、妹リベカとそのうばを、アブラハムのしもべとその従者たちといっしょに送り出した。 + 彼らはリベカを祝福して言った。「われらの妹よ。あなたは幾千万にもふえるように。そして、あなたの子孫は敵の門を勝ち取るように。」 + リベカとその侍女たちは立ち上がり、らくだに乗って、その人のあとについて行った。こうして、しもべはリベカを連れて出かけた。 + そのとき、イサクは、ベエル・ラハイ・ロイ地方から帰って来ていた。彼はネゲブの地に住んでいたのである。 + イサクは夕暮れ近く、野に散歩に出かけた。彼がふと目を上げ、見ると、らくだが近づいて来た。 + リベカも目を上げ、イサクを見ると、らくだから降り、 + そして、しもべに尋ねた。「野を歩いてこちらのほうに、私たちを迎えに来るあの人はだれですか。」しもべは答えた。「あの方が私の主人です。」そこでリベカはベールを取って身をおおった。 + しもべは自分がしてきたことを残らずイサクに告げた。 + イサクは、その母サラの天幕にリベカを連れて行き、リベカをめとり、彼女は彼の妻となった。彼は彼女を愛した。イサクは、母のなきあと、慰めを得た。 + + + アブラハムは、もうひとりの妻をめとった。その名はケトラといった。 + 彼女は彼に、ジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデヤン、イシュバク、シュアハを産んだ。 + ヨクシャンはシェバとデダンを生んだ。デダンの子孫はアシュル人とレトシム人とレウミム人であった。 + ミデヤンの子は、エファ、エフェル、エノク、アビダ、エルダアであって、これらはみな、ケトラの子孫であった。 + アブラハムは自分の全財産をイサクに与えた。 + しかしアブラハムのそばめたちの子らには、アブラハムは贈り物を与え、彼の生存中に、彼らを東のほう、東方の国にやって、自分の子イサクから遠ざけた。 + 以上は、アブラハムの一生の年で、百七十五年であった。 + アブラハムは平安な老年を迎え、長寿を全うして息絶えて死に、自分の民に加えられた。 + 彼の子らイサクとイシュマエルは、彼をマクペラのほら穴に葬った。このほら穴は、マムレに面するヘテ人ツォハルの子エフロンの畑地の中にあった。 + この畑地はアブラハムがヘテ人たちから買ったもので、そこにアブラハムと妻サラとが葬られたのである。 + アブラハムの死後、神は彼の子イサクを祝福された。イサクはベエル・ラハイ・ロイの近くに住みついた。 + これはサラの女奴隷エジプト人ハガルがアブラハムに産んだアブラハムの子イシュマエルの歴史である。 + すなわちイシュマエルの子の名は、その生まれた順の名によれば、イシュマエルの長子ネバヨテ、ケダル、アデベエル、ミブサム、 + ミシュマ、ドマ、マサ、 + ハダデ、テマ、エトル、ナフィシュ、ケデマである。 + これらがイシュマエルの子孫で、それらは彼らの村落と宿営につけられた名であって、十二人の、それぞれの氏族の長である。 + 以上はイシュマエルの生涯で、百三十七年であった。彼は息絶えて死に、その民に加えられた。 + イシュマエルの子孫は、ハビラから、エジプトに近い、アシュルへの道にあるシュルにわたって、住みつき、それぞれ自分のすべての兄弟たちに敵対して住んだ。 + これはアブラハムの子イサクの歴史である。アブラハムはイサクを生んだ。 + イサクが、パダン・アラムのアラム人ベトエルの娘で、アラム人ラバンの妹であるリベカを妻にめとったときは、四十歳であった。 + イサクは自分の妻のために主に祈願した。彼女が不妊の女であったからである。主は彼の祈りに答えられた。それで彼の妻リベカはみごもった。 + 子どもたちが彼女の腹の中でぶつかり合うようになったとき、彼女は、「こんなことでは、いったいどうなるのでしょう。私は」と言った。そして主のみこころを求めに行った。 + すると主は彼女に仰せられた。「二つの国があなたの胎内にあり、二つの国民があなたから分かれ出る。一つの国民は他の国民より強く、兄が弟に仕える。」 + 出産の時が満ちると、見よ、ふたごが胎内にいた。 + 最初に出て来た子は、赤くて、全身毛衣のようであった。それでその子をエサウと名づけた。 + そのあとで弟が出て来たが、その手はエサウのかかとをつかんでいた。それでその子をヤコブと名づけた。イサクは彼らを生んだとき、六十歳であった。 + この子どもたちが成長したとき、エサウは巧みな猟師、野の人となり、ヤコブは穏やかな人となり、天幕に住んでいた。 + イサクはエサウを愛していた。それは彼が猟の獲物を好んでいたからである。リベカはヤコブを愛していた。 + さて、ヤコブが煮物を煮ているとき、エサウが飢え疲れて野から帰って来た。 + エサウはヤコブに言った。「どうか、その赤いのを、そこの赤い物を私に食べさせてくれ。私は飢え疲れているのだから。」それゆえ、彼の名はエドムと呼ばれた。 + するとヤコブは、「今すぐ、あなたの長子の権利を私に売りなさい」と言った。 + エサウは、「見てくれ。死にそうなのだ。長子の権利など、今の私に何になろう」と言った。 + それでヤコブは、「まず、私に誓いなさい」と言ったので、エサウはヤコブに誓った。こうして彼の長子の権利をヤコブに売った。 + ヤコブはエサウにパンとレンズ豆の煮物を与えたので、エサウは食べたり、飲んだりして、立ち去った。こうしてエサウは長子の権利を軽蔑したのである。 + + + さて、アブラハムの時代にあった先のききんとは別に、この国にまたききんがあった。それでイサクはゲラルのペリシテ人の王アビメレクのところへ行った。 + 主はイサクに現れて仰せられた。「エジプトへは下るな。わたしがあなたに示す地に住みなさい。 + あなたはこの地に、滞在しなさい。わたしはあなたとともにいて、あなたを祝福しよう。それはわたしが、これらの国々をすべて、あなたとあなたの子孫に与えるからだ。こうしてわたしは、あなたの父アブラハムに誓った誓いを果たすのだ。 + そしてわたしは、あなたの子孫を空の星のように増し加え、あなたの子孫に、これらの国々をみな与えよう。こうして地のすべての国々は、あなたの子孫によって祝福される。 + これはアブラハムがわたしの声に聞き従い、わたしの戒めと命令とおきてとおしえを守ったからである。」 + イサクがゲラルに住んでいるとき、 + その土地の人々が彼の妻のことを尋ねた。すると彼は、「あれは私の妻です」と言うのを恐れて、「あれは私の妹です」と答えた。リベカが美しかったので、リベカのことでこの土地の人々が自分を殺しはしないかと思ったからである。 + イサクがそこに滞在して、かなりたったある日、ペリシテ人の王アビメレクが窓から見おろしていると、なんと、イサクがその妻のリベカを愛撫しているのが見えた。 + それでアビメレクはイサクを呼び寄せて言った。「確かに、あの女はあなたの妻だ。なぜあなたは『あれは私の妹です』と言ったのだ。」それでイサクは、「彼女のことで殺されはしないかと思ったからです」と答えた。 + アビメレクは言った。「何ということをしてくれたのだ。もう少しで、民のひとりがあなたの妻と寝て、あなたはわれわれに罪を負わせるところだった。」 + そこでアビメレクはすべての民に命じて言った。「この人と、この人の妻に触れる者は、必ず殺される。」 + イサクはその地に種を蒔き、その年に百倍の収穫を見た。主が彼を祝福してくださったのである。 + こうして、この人は富み、ますます栄えて、非常に裕福になった。 + 彼が羊の群れや、牛の群れ、それに多くのしもべたちを持つようになったので、ペリシテ人は彼をねたんだ。 + それでペリシテ人は、イサクの父アブラハムの時代に、父のしもべたちが掘ったすべての井戸に土を満たしてこれをふさいだ。 + そうしてアビメレクはイサクに言った。「あなたは、われわれよりはるかに強くなったから、われわれのところから出て行ってくれ。」 + イサクはそこを去って、ゲラルの谷間に天幕を張り、そこに住んだ。 + イサクは、彼の父アブラハムの時代に掘ってあった井戸を、再び掘った。それらはペリシテ人がアブラハムの死後、ふさいでいたものである。イサクは、父がそれらにつけていた名と同じ名をそれらにつけた。 + イサクのしもべたちが谷間を掘っているとき、そこに湧き水の出る井戸を見つけた。 + ところが、ゲラルの羊飼いたちは「この水はわれわれのものだ」と言って、イサクの羊飼いたちと争った。それで、イサクはその井戸の名をエセクと呼んだ。それは彼らがイサクと争ったからである。 + しもべたちは、もう一つの井戸を掘った。ところが、それについても彼らが争ったので、その名をシテナと呼んだ。 + イサクはそこから移って、ほかの井戸を掘った。その井戸については争いがなかったので、その名をレホボテと呼んだ。そして彼は言った。「今や、主は私たちに広い所を与えて、私たちがこの地でふえるようにしてくださった。」 + 彼はそこからベエル・シェバに上った。 + 主はその夜、彼に現れて仰せられた。「わたしはあなたの父アブラハムの神である。恐れてはならない。わたしがあなたとともにいる。わたしはあなたを祝福し、あなたの子孫を増し加えよう。わたしのしもべアブラハムのゆえに。」 + イサクはそこに祭壇を築き、主の御名によって祈った。彼はそこに天幕を張り、イサクのしもべらは、そこに井戸を掘った。 + そのころ、アビメレクは友人のアフザテとその将軍ピコルと、ゲラルからイサクのところにやって来た。 + イサクは彼らに言った。「なぜ、あなたがたは私のところに来たのですか。あなたがたは私を憎んで、あなたがたのところから私を追い出したのに。」 + それで彼らは言った。「私たちは、主があなたとともにおられることを、はっきり見たのです。それで私たちは申し出をします。どうか、私たちの間で、すなわち、私たちとあなたとの間で誓いを立ててください。あなたと契約を結びたいのです。 + それは、私たちがあなたに手出しをせず、ただ、あなたに良いことだけをして、平和のうちにあなたを送り出したように、あなたも私たちに害を加えないということです。あなたは今、主に祝福されています。」 + そこでイサクは彼らのために宴会を催し、彼らは飲んだり、食べたりした。 + 翌朝早く、彼らは互いに契約を結んだ。イサクは彼らを送り出し、彼らは平和のうちに彼のところから去って行った。 + ちょうどその日、イサクのしもべたちが帰って来て、彼らが掘り当てた井戸のことについて彼に告げて言った。「私どもは水を見つけました。」 + そこで彼は、その井戸をシブアと呼んだ。それゆえ、その町の名は、今日に至るまで、ベエル・シェバという。 + エサウは四十歳になって、ヘテ人ベエリの娘エフディテとヘテ人エロンの娘バセマテとを妻にめとった。 + 彼女たちはイサクとリベカにとって悩みの種となった。 + + + イサクは年をとり、視力が衰えてよく見えなくなったとき、長男のエサウを呼び寄せて彼に「息子よ」と言った。すると彼は、「はい。ここにいます」と答えた。 + イサクは言った。「見なさい。私は年老いて、いつ死ぬかわからない。 + だから今、おまえの道具の矢筒と弓を取って、野に出て行き、私のために獲物をしとめて来てくれないか。 + そして私の好きなおいしい料理を作り、ここに持って来て私に食べさせておくれ。私が死ぬ前に、私自身が、おまえを祝福できるために。」 + リベカは、イサクがその子エサウに話しているのを聞いていた。それでエサウが獲物をしとめて来るために、野に出かけたとき、 + リベカはその子ヤコブにこう言った。「いま私は、父上が、あなたの兄エサウにこう言っておられるのを聞きました。 + 『獲物をとって来て、私においしい料理を作り、私に食べさせてくれ。私が死ぬ前に、主の前でおまえを祝福したいのだ。』 + それで今、わが子よ。私があなたに命じることを、よく聞きなさい。 + さあ、群れのところに行って、そこから最上の子やぎ二頭を私のところに取っておいで。私はそれで父上のお好きなおいしい料理を作りましょう。 + あなたが父上のところに持って行けば、召し上がって、死なれる前にあなたを祝福してくださるでしょう。」 + しかし、ヤコブは、その母リベカに言った。「でも、兄さんのエサウは毛深い人なのに、私のはだは、なめらかです。 + もしや、父上が私にさわるなら、私にからかわれたと思われるでしょう。私は祝福どころか、のろいをこの身に招くことになるでしょう。」 + 母は彼に言った。「わが子よ。あなたののろいは私が受けます。ただ私の言うことをよく聞いて、行って取って来なさい。」 + それでヤコブは行って、取って、母のところに来た。母は父の好むおいしい料理をこしらえた。 + それからリベカは、家の中で自分の手もとにあった兄エサウの晴れ着を取って来て、それを弟ヤコブに着せてやり、 + また、子やぎの毛皮を、彼の手と首のなめらかなところにかぶせてやった。 + そうして、自分が作ったおいしい料理とパンを息子ヤコブの手に渡した。 + ヤコブは父のところに行き、「お父さん」と言った。イサクは、「おお、わが子よ。だれだね、おまえは」と尋ねた。 + ヤコブは父に、「私は長男のエサウです。私はあなたが言われたとおりにしました。さあ、起きてすわり、私の獲物を召し上がってください。ご自身で私を祝福してくださるために」と答えた。 + イサクは、その子に言った。「どうして、こんなに早く見つけることができたのかね。わが子よ。」すると彼は答えた。「あなたの神、主が私のために、そうさせてくださったのです。」 + そこでイサクはヤコブに言った。「近くに寄ってくれ。わが子よ。私は、おまえがほんとうにわが子エサウであるかどうか、おまえにさわってみたい。」 + ヤコブが父イサクに近寄ると、イサクは彼にさわり、そして言った。「声はヤコブの声だが、手はエサウの手だ。」 + ヤコブの手が、兄エサウの手のように毛深かったので、イサクには見分けがつかなかった。それでイサクは彼を祝福しようとしたが、 + 「ほんとうにおまえは、わが子エサウだね」と尋ねた。すると答えた。「私です。」 + そこでイサクは言った。「私のところに持って来なさい。私自身がおまえを祝福するために、わが子の獲物を食べたいものだ。」そこでヤコブが持って来ると、イサクはそれを食べた。またぶどう酒を持って来ると、それも飲んだ。 + 父イサクはヤコブに、「わが子よ。近寄って私に口づけしてくれ」と言ったので、 + ヤコブは近づいて、彼に口づけした。イサクは、ヤコブの着物のかおりをかぎ、彼を祝福して言った。「ああ、わが子のかおり。主が祝福された野のかおりのようだ。 + 神がおまえに天の露と地の肥沃、豊かな穀物と新しいぶどう酒をお与えになるように。 + 国々の民はおまえに仕え、国民はおまえを伏し拝み、おまえは兄弟たちの主となり、おまえの母の子らがおまえを伏し拝むように。おまえをのろう者はのろわれ、おまえを祝福する者は祝福されるように。」 + イサクがヤコブを祝福し終わり、ヤコブが父イサクの前から出て行くか行かないうちに、兄のエサウが猟から帰って来た。 + 彼もまた、おいしい料理をこしらえて、父のところに持って来た。そして父に言った。「お父さんは起きて、子どもの獲物を召し上がることができます。あなたご自身が私を祝福してくださるために。」 + すると父イサクは彼に尋ねた。「おまえはだれだ。」彼は答えた。「私はあなたの子、長男のエサウです。」 + イサクは激しく身震いして言った。「では、いったい、あれはだれだったのか。獲物をしとめて、私のところに持って来たのは。おまえが来る前に、私はみな食べて、彼を祝福してしまった。それゆえ、彼は祝福されよう。」 + エサウは父のことばを聞くと、大声で泣き叫び、ひどく痛み悲しんで父に言った。「私を、お父さん、私も祝福してください。」 + 父は言った。「おまえの弟が来て、だましたのだ。そしておまえの祝福を横取りしてしまったのだ。」 + エサウは言った。「彼の名がヤコブというのも、このためか。二度までも私を押しのけてしまって。私の長子の権利を奪い取り、今また、私の祝福を奪い取ってしまった。」また言った。「あなたは私のために祝福を残してはおかれなかったのですか。」 + イサクは答えてエサウに言った。「ああ、私は彼をおまえの主とし、彼のすべての兄弟を、しもべとして彼に与えた。また穀物と新しいぶどう酒で彼を養うようにした。それで、わが子よ。おまえのために、私はいったい何ができようか。」 + エサウは父に言った。「お父さん。祝福は一つしかないのですか。お父さん。私を、私をも祝福してください。」エサウは声をあげて泣いた。 + 父イサクは答えて彼に言った。「見よ。おまえの住む所では、地は肥えることなく、上から天の露もない。 + おまえはおのれの剣によって生き、おまえの弟に仕えることになる。おまえが奮い立つならば、おまえは彼のくびきを自分の首から解き捨てるであろう。」 + エサウは、父がヤコブを祝福したあの祝福のことでヤコブを恨んだ。それでエサウは心の中で言った。「父の喪の日も近づいている。そのとき、弟ヤコブを殺してやろう。」 + 兄エサウの言ったことがリベカに伝えられると、彼女は使いをやり、弟ヤコブを呼び寄せて言った。「よく聞きなさい。兄さんのエサウはあなたを殺してうっぷんを晴らそうとしています。 + だからわが子よ。今、私の言うことを聞いて、すぐ立って、ハランへ、私の兄ラバンのところへ逃げなさい。 + 兄さんの憤りがおさまるまで、しばらくラバンのところにとどまっていなさい。 + 兄さんの怒りがおさまり、あなたが兄さんにしたことを兄さんが忘れるようになったとき、私は使いをやり、あなたをそこから呼び戻しましょう。一日のうちに、あなたがたふたりを失うことなど、どうして私にできましょう。」 + リベカはイサクに言った。「私はヘテ人の娘たちのことで、生きているのがいやになりました。もしヤコブが、この地の娘たちで、このようなヘテ人の娘たちのうちから妻をめとったなら、私は何のために生きることになるのでしょう。」 + + + イサクはヤコブを呼び寄せ、彼を祝福し、そして彼に命じて言った。「カナンの娘たちの中から妻をめとってはならない。 + さあ、立って、パダン・アラムの、おまえの母の父ベトエルの家に行き、そこで母の兄ラバンの娘たちの中から妻をめとりなさい。 + 全能の神がおまえを祝福し、多くの子どもを与え、おまえをふえさせてくださるように。そして、おまえが多くの民のつどいとなるように。 + 神はアブラハムの祝福を、おまえと、おまえとともにいるおまえの子孫とに授け、神がアブラハムに下さった地、おまえがいま寄留しているこの地を継がせてくださるように。」 + こうしてイサクはヤコブを送り出した。彼はパダン・アラムへ行って、ヤコブとエサウの母リベカの兄、アラム人ベトエルの子ラバンのところに行った。 + エサウは、イサクがヤコブを祝福し、彼をパダン・アラムに送り出して、そこから妻をめとるように、彼を祝福して彼に命じ、カナンの娘たちから妻をめとってはならないと言ったこと、 + またヤコブが、父と母の言うことに聞き従ってパダン・アラムへ行ったことに気づいた。 + エサウはまた、カナンの娘たちが父イサクの気に入らないのに気づいた。 + それでエサウはイシュマエルのところに行き、今ある妻たちのほかに、アブラハムの子イシュマエルの娘で、ネバヨテの妹マハラテを妻としてめとった。 + ヤコブはベエル・シェバを立って、ハランへと旅立った。 + ある所に着いたとき、ちょうど日が沈んだので、そこで一夜を明かすことにした。彼はその所の石の一つを取り、それを枕にして、その場所で横になった。 + そのうちに、彼は夢を見た。見よ。一つのはしごが地に向けて立てられている。その頂は天に届き、見よ、神の使いたちが、そのはしごを上り下りしている。 + そして、見よ。主が彼のかたわらに立っておられた。そして仰せられた。「わたしはあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主である。わたしはあなたが横たわっているこの地を、あなたとあなたの子孫とに与える。 + あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あなたは、西、東、北、南へと広がり、地上のすべての民族は、あなたとあなたの子孫によって祝福される。 + 見よ。わたしはあなたとともにあり、あなたがどこへ行っても、あなたを守り、あなたをこの地に連れ戻そう。わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない。」 + ヤコブは眠りからさめて、「まことに主がこの所におられるのに、私はそれを知らなかった」と言った。 + 彼は恐れおののいて、また言った。「この場所は、なんとおそれおおいことだろう。こここそ神の家にほかならない。ここは天の門だ。」 + 翌朝早く、ヤコブは自分が枕にした石を取り、それを石の柱として立て、その上に油をそそいだ。 + そして、その場所の名をベテルと呼んだ。しかし、その町の名は、以前はルズであった。 + それからヤコブは誓願を立てて言った。「神が私とともにおられ、私が行くこの旅路を守り、食べるパンと着る着物を賜り、 + 無事に父の家に帰らせてくださり、こうして主が私の神となられるなら、 + 石の柱として立てたこの石は神の家となり、すべてあなたが私に賜る物の十分の一を必ずささげます。」 + + + ヤコブは旅を続けて、東の人々の国へ行った。 + ふと彼が見ると、野に一つの井戸があった。そしてその井戸のかたわらに、三つの羊の群れが伏していた。その井戸から群れに水を飲ませることになっていたからである。その井戸の口の上にある石は大きかった。 + 群れが全部そこに集められたとき、その石を井戸の口からころがして、羊に水を飲ませ、そうしてまた、その石を井戸の口のもとの所に戻すことになっていた。 + ヤコブがその人たちに、「兄弟たちよ。あなたがたはどこの方ですか」と尋ねると、彼らは、「私たちはハランの者です」と答えた。 + それでヤコブは、「あなたがたはナホルの子ラバンをご存じですか」と尋ねると、彼らは、「知っています」と答えた。 + ヤコブはまた、彼らに尋ねた。「あの人は元気ですか。」すると彼らは、「元気です。ご覧なさい。あの人の娘ラケルが羊を連れて来ています」と言った。 + ヤコブは言った。「ご覧なさい。日はまだ高いし、群れを集める時間でもありません。羊に水を飲ませて、また行って、群れをお飼いなさい。」 + すると彼らは言った。「全部の群れが集められるまでは、そうできないのです。集まったら、井戸の口から石をころがし、羊に水を飲ませるのです。」 + ヤコブがまだ彼らと話しているとき、ラケルが父の羊の群れを連れてやって来た。彼女は羊飼いであったからである。 + ヤコブが、自分の母の兄ラバンの娘ラケルと、母の兄ラバンの羊の群れを見ると、すぐ近寄って行って、井戸の口の上の石をころがし、母の兄ラバンの羊の群れに水を飲ませた。 + そうしてヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。 + ヤコブが、自分は彼女の父の親類であり、リベカの子であることをラケルに告げたので、彼女は走って行って、父にそのことを告げた。 + ラバンは、妹の子ヤコブのことを聞くとすぐ、彼を迎えに走って行き、彼を抱いて、口づけした。そして彼を自分の家に連れて来た。ヤコブはラバンに、事の次第のすべてを話した。 + ラバンは彼に、「あなたはほんとうに私の骨肉です」と言った。こうしてヤコブは彼のところに一か月滞在した。 + そのとき、ラバンはヤコブに言った。「あなたが私の親類だからといって、ただで私に仕えることもなかろう。どういう報酬がほしいか、言ってください。」 + ラバンにはふたりの娘があった。姉の名はレア、妹の名はラケルであった。 + レアの目は弱々しかったが、ラケルは姿も顔だちも美しかった。 + ヤコブはラケルを愛していた。それで、「私はあなたの下の娘ラケルのために七年間あなたに仕えましょう」と言った。 + するとラバンは、「娘を他人にやるよりは、あなたにあげるほうが良い。私のところにとどまっていなさい」と言った。 + ヤコブはラケルのために七年間仕えた。ヤコブは彼女を愛していたので、それもほんの数日のように思われた。 + ヤコブはラバンに申し出た。「私の妻を下さい。期間も満了したのですから。私は彼女のところに入りたいのです。」 + そこでラバンは、その所の人々をみな集めて祝宴を催した。 + 夕方になって、ラバンはその娘レアをとり、彼女をヤコブのところに行かせたので、ヤコブは彼女のところに入った。 + ラバンはまた、娘のレアに自分の女奴隷ジルパを彼女の女奴隷として与えた。 + 朝になって、見ると、それはレアであった。それで彼はラバンに言った。「何ということを私になさったのですか。私があなたに仕えたのは、ラケルのためではなかったのですか。なぜ、私をだましたのですか。」 + ラバンは答えた。「われわれのところでは、長女より先に下の娘をとつがせるようなことはしないのです。 + それで、この婚礼の週を過ごしなさい。そうすれば、あの娘もあなたにあげましょう。その代わり、あなたはもう七年間、私に仕えなければなりません。」 + ヤコブはそのようにした。すなわち、その婚礼の週を過ごした。それでラバンはその娘ラケルを彼に妻として与えた。 + ラバンは娘ラケルに、自分の女奴隷ビルハを彼女の女奴隷として与えた。 + ヤコブはこうして、ラケルのところにも入った。ヤコブはレアよりも、実はラケルを愛していた。それで、もう七年間ラバンに仕えた。 + 主はレアがきらわれているのをご覧になって、彼女の胎を開かれた。しかしラケルは不妊の女であった。 + レアはみごもって、男の子を産み、その子をルベンと名づけた。それは彼女が、「主が私の悩みをご覧になった。今こそ夫は私を愛するであろう」と言ったからである。 + 彼女はまたみごもって、男の子を産み、「主は私がきらわれているのを聞かれて、この子をも私に授けてくださった」と言って、その子をシメオンと名づけた。 + 彼女はまたみごもって、男の子を産み、「今度こそ、夫は私に結びつくだろう。私が彼に三人の子を産んだのだから」と言った。それゆえ、その子はレビと呼ばれた。 + 彼女はまたみごもって、男の子を産み、「今度は主をほめたたえよう」と言った。それゆえ、その子を彼女はユダと名づけた。それから彼女は子を産まなくなった。 + + + ラケルは自分がヤコブに子を産んでいないのを見て、姉を嫉妬し、ヤコブに言った。「私に子どもを下さい。でなければ、私は死んでしまいます。」 + ヤコブはラケルに怒りを燃やして言った。「私が神に代わることができようか。おまえの胎内に子を宿らせないのは神なのだ。」 + すると彼女は言った。「では、私のはしためのビルハがいます。彼女のところに入り、彼女が私のひざの上に子を産むようにしてください。そうすれば私が彼女によって子どもの母になれましょう。」 + ラケルは女奴隷ビルハを彼に妻として与えたので、ヤコブは彼女のところに入った。 + ビルハはみごもり、ヤコブに男の子を産んだ。 + そこでラケルは、「神は私をかばってくださり、私の声を聞き入れて、私に男の子を賜った」と言った。それゆえ、その子をダンと名づけた。 + ラケルの女奴隷ビルハは、またみごもって、ヤコブに二番目の男の子を産んだ。 + そこでラケルは、「私は姉と死に物狂いの争いをして、ついに勝った」と言って、その子をナフタリと名づけた。 + さてレアは自分が子を産まなくなったのを見て、彼女の女奴隷ジルパをとって、ヤコブに妻として与えた。 + レアの女奴隷ジルパがヤコブに男の子を産んだとき、 + レアは、「幸運が来た」と言って、その子をガドと名づけた。 + レアの女奴隷ジルパがヤコブに二番目の男の子を産んだとき、 + レアは、「なんとしあわせなこと。女たちは、私をしあわせ者と呼ぶでしょう」と言って、その子をアシェルと名づけた。 + さて、ルベンは麦刈りのころ、野に出て行って、恋なすびを見つけ、それを自分の母レアのところに持って来た。するとラケルはレアに、「どうか、あなたの息子の恋なすびを少し私に下さい」と言った。 + レアはラケルに言った。「あなたは私の夫を取っても、まだ足りないのですか。私の息子の恋なすびもまた取り上げようとするのですか。」ラケルは答えた。「では、あなたの息子の恋なすびと引き替えに、今夜、あの人があなたといっしょに寝ればいいでしょう。」 + 夕方になってヤコブが野から帰って来たとき、レアは彼を出迎えて言った。「私は、私の息子の恋なすびで、あなたをようやく手に入れたのですから、私のところに来なければなりません。」そこでその夜、ヤコブはレアと寝た。 + 神はレアの願いを聞かれたので、彼女はみごもって、ヤコブに五番目の男の子を産んだ。 + そこでレアは、「私が、女奴隷を夫に与えたので、神は私に報酬を下さった」と言って、その子をイッサカルと名づけた。 + レアがまたみごもり、ヤコブに六番目の男の子を産んだとき、 + レアは言った。「神は私に良い賜物を下さった。今度こそ夫は私を尊ぶだろう。私は彼に六人の子を産んだのだから。」そしてその子をゼブルンと名づけた。 + その後、レアは女の子を産み、その子をディナと名づけた。 + 神はラケルを覚えておられた。神は彼女の願いを聞き入れて、その胎を開かれた。 + 彼女はみごもって男の子を産んだ。そして「神は私の汚名を取り去ってくださった」と言って、 + その子をヨセフと名づけ、「主がもうひとりの子を私に加えてくださるように」と言った。 + ラケルがヨセフを産んで後、ヤコブはラバンに言った。「私を去らせ、私の故郷の地へ帰らせてください。 + 私の妻たちや子どもたちを私に与えて行かせてください。私は彼らのためにあなたに仕えてきたのです。あなたに仕えた私の働きはよくご存じです。」 + ラバンは彼に言った。「もしあなたが私の願いをかなえてくれるのなら……。私はあなたのおかげで、主が私を祝福してくださったことを、まじないで知っている。」 + さらに言った。「あなたの望む報酬を申し出てくれ。私はそれを払おう。」 + ヤコブは彼に言った。「私がどのようにあなたに仕え、また私がどのようにあなたの家畜を飼ったかは、あなたがよくご存じです。 + 私が来る前には、わずかだったのが、ふえて多くなりました。それは、私の行く先で主があなたを祝福されたからです。いったい、いつになったら私も自分自身の家を持つことができましょう。」 + 彼は言った。「何をあなたにあげようか。」ヤコブは言った。「何も下さるには及びません。もし次のことを私にしてくださるなら、私は再びあなたの羊の群れを飼って、守りましょう。 + 私はきょう、あなたの群れをみな見回りましょう。その中から、ぶち毛とまだら毛のもの全部、羊の中では黒毛のもの全部、やぎの中ではまだら毛とぶち毛のものを、取り出してください。そしてそれらを私の報酬としてください。 + 後になってあなたが、私の報酬を見に来られたとき、私の正しさがあなたに証明されますように。やぎの中に、ぶち毛やまだら毛でないものや、羊の中で、黒毛でないものがあれば、それはみな、私が盗んだものとなるのです。」 + するとラバンは言った。「そうか。あなたの言うとおりになればいいな。」 + ラバンはその日、しま毛とまだら毛のある雄やぎと、ぶち毛とまだら毛の雌やぎ、いずれも身に白いところのあるもの、それに、羊の真っ黒のものを取り出して、自分の息子たちの手に渡した。 + そして、自分とヤコブとの間に三日の道のりの距離をおいた。ヤコブはラバンの残りの群れを飼っていた。 + ヤコブは、ポプラや、アーモンドや、すずかけの木の若枝を取り、それの白い筋の皮をはいで、その若枝の白いところをむき出しにし、 + その皮をはいだ枝を、群れが水を飲みに来る水ため、すなわち水ぶねの中に、群れに差し向かいに置いた。それで群れは水を飲みに来るときに、さかりがついた。 + こうして、群れは枝の前でさかりがついて、しま毛のもの、ぶち毛のもの、まだら毛のものを産んだ。 + ヤコブは羊を分けておき、その群れを、ラバンの群れのしま毛のものと、真っ黒いものとに向けておいた。こうして彼は自分自身のために、自分だけの群れをつくって、ラバンの群れといっしょにしなかった。 + そのうえ、強いものの群れがさかりがついたときには、いつもヤコブは群れの目の前に向けて、枝を水ぶねの中に置き、枝のところでつがわせた。 + しかし、群れが弱いときにはそれを置かなかった。こうして弱いのはラバンのものとなり、強いのはヤコブのものとなった。 + それで、この人は大いに富み、多くの群れと、男女の奴隷、およびらくだと、ろばとを持つようになった。 + + + さてヤコブはラバンの息子たちが、「ヤコブはわれわれの父の物をみな取った。父の物でこのすべての富をものにしたのだ」と言っているのを聞いた。 + ヤコブもまた、彼に対するラバンの態度が、以前のようではないのに気づいた。 + 主はヤコブに仰せられた。「あなたが生まれた、あなたの先祖の国に帰りなさい。わたしはあなたとともにいる。」 + そこでヤコブは使いをやって、ラケルとレアを自分の群れのいる野に呼び寄せ、 + 彼女たちに言った。「私はあなたがたの父の態度が以前のようではないのに気がついている。しかし私の父の神は私とともにおられるのだ。 + あなたがたが知っているように、私はあなたがたの父に、力を尽くして仕えた。 + それなのに、あなたがたの父は、私を欺き、私の報酬を幾度も変えた。しかし神は、彼が私に害を加えるようにされなかった。 + 彼が、『ぶち毛のものはあなたの報酬になる』と言えば、すべての群れがぶち毛のものを産んだ。また、『しま毛のものはあなたの報酬になる』と言えば、すべての群れが、しま毛のものを産んだ。 + こうして神が、あなたがたの父の家畜を取り上げて、私に下さったのだ。 + 群れにさかりがついたとき、私が夢の中で目を上げて見ると、群れにかかっている雄やぎは、しま毛のもの、ぶち毛のもの、また、まだら毛のものであった。 + そして神の使いが夢の中で私に言われた。『ヤコブよ。』私は『はい』と答えた。 + すると御使いは言われた。『目を上げて見よ。群れにかかっている雄やぎはみな、しま毛のもの、ぶち毛のもの、まだら毛のものである。ラバンがあなたにしてきたことはみな、わたしが見た。 + わたしはベテルの神。あなたはそこで、石の柱に油をそそぎ、わたしに誓願を立てたのだ。さあ、立って、この土地を出て、あなたの生まれた国に帰りなさい。』」 + ラケルとレアは答えて言った。「私たちの父の家に、相続財産で私たちの受けるべき分がまだあるのでしょうか。 + 私たちは父に、よそ者と見なされているのではないでしょうか。彼は私たちを売り、私たちの代金を食いつぶしたのですから。 + また神が私たちの父から取り上げた富は、すべて私たちのもの、また子どもたちのものですから。さあ、神があなたにお告げになったすべてのことをしてください。」 + そこでヤコブは立って、彼の子たち、妻たちをらくだに乗せ、 + また、すべての家畜と、彼が得たすべての財産、彼がパダン・アラムで自分自身のものとした家畜を追って、カナンの地にいる父イサクのところへ出かけた。 + そのとき、ラバンは自分の羊の毛を刈るために出ていたので、ラケルは父の所有のテラフィムを盗み出した。 + またヤコブは、アラム人ラバンにないしょにして、自分の逃げるのを彼に知らせなかった。 + 彼は自分の持ち物全部を持って逃げた。彼は旅立って、ユーフラテス川を渡り、ギルアデの山地へ向かった。 + 三日目に、ヤコブが逃げたことがラバンに知らされたので、 + 彼は身内の者たちを率いて、七日の道のりを、彼のあとを追って行き、ギルアデの山地でヤコブに追いついた。 + しかし神は夜、夢にアラム人ラバンに現れて言われた。「あなたはヤコブと、事の善悪を論じないように気をつけよ。」 + ラバンがヤコブに追いついたときには、ヤコブは山地に天幕を張っていた。そこでラバンもギルアデの山地に身内の者たちと天幕を張った。 + ラバンはヤコブに言った。「何ということをしたのか。私にないしょで私の娘たちを剣で捕らえたとりこのように引いて行くとは。 + なぜ、あなたは逃げ隠れて私のところをこっそり抜け出し、私に知らせなかったのか。私はタンバリンや立琴で喜び歌って、あなたを送り出したろうに。 + しかもあなたは、私の子どもたちや娘たちに口づけもさせなかった。あなたは全く愚かなことをしたものだ。 + 私はあなたがたに害を加える力を持っているが、昨夜、あなたがたの父の神が私に告げて、『あなたはヤコブと、事の善悪を論じないように気をつけよ』と言われた。 + それはそうと、あなたは、あなたの父の家がほんとうに恋しくなって、どうしても帰って行きたくなったのであろうが、なぜ、私の神々を盗んだのか。」 + ヤコブはラバンに答えて言った。「あなたの娘たちをあなたが私から奪い取りはしないかと思って、恐れたからです。 + あなたが、あなたの神々をだれかのところで見つけたなら、その者を生かしてはおきません。私たちの一族の前で、私のところに、あなたのものがあったら、調べて、それを持って行ってください。」ヤコブはラケルがそれらを盗んだのを知らなかったのである。 + そこでラバンはヤコブの天幕と、レアの天幕と、さらにふたりのはしための天幕にも入って見たが、見つからなかったので、レアの天幕を出てラケルの天幕に入った。 + ところが、ラケルはすでにテラフィムを取って、らくだの鞍の下に入れ、その上にすわっていたので、ラバンが天幕を隅々まで捜し回っても見つからなかった。 + ラケルは父に言った。「父上。私はあなたの前に立ち上がることができませんので、どうかおこらないでください。私には女の常のことがあるのです。」彼は捜したが、テラフィムは見つからなかった。 + そこでヤコブは怒って、ラバンをとがめた。ヤコブはラバンに口答えして言った。「私にどんなそむきの罪があって、私にどんな罪があって、あなたは私を追いつめるのですか。 + あなたは私の物を一つ残らず、さわってみて、何か一つでも、あなたの家の物を見つけましたか。もしあったら、それを私の一族と、あなたの一族の前に置いて、彼らに私たちふたりの間をさばかせましょう。 + 私はこの二十年間、あなたといっしょにいましたが、あなたの雌羊も雌やぎも流産したことはなく、あなたの群れの雄羊も私は食べたことはありませんでした。 + 野獣に裂かれたものは、あなたのもとへ持って行かないで、私が罪を負いました。あなたは私に責任を負わせました。昼盗まれたものにも、夜盗まれたものにも。 + 私は昼は暑さに、夜は寒さに悩まされて、眠ることもできない有様でした。 + 私はこの二十年間、あなたの家で過ごしました。十四年間はあなたのふたりの娘たちのために、六年間はあなたの群れのために、あなたに仕えてきました。それなのに、あなたは幾度も私の報酬を変えたのです。 + もし、私の父の神、アブラハムの神、イサクの恐れる方が、私についておられなかったなら、あなたはきっと何も持たせずに私を去らせたことでしょう。神は私の悩みとこの手の苦労とを顧みられて、昨夜さばきをなさったのです。」 + ラバンは答えてヤコブに言った。「娘たちは私の娘、子どもたちは私の子ども、群れは私の群れ、すべてあなたが見るものは私のもの。この私の娘たちのために、または娘たちが産んだ子どもたちのために、きょう、私は何ができよう。 + さあ、今、私とあなたと契約を結び、それを私とあなたとの間の証拠としよう。」 + そこで、ヤコブは石を取り、これを立てて石の柱とした。 + ヤコブは自分の一族に言った。「石を集めなさい。」そこで彼らは石を取り、石塚を作った。こうして彼らは石塚のそばで食事をした。 + ラバンはそれをエガル・サハドタと名づけたが、ヤコブはこれをガルエデと名づけた。 + そしてラバンは言った。「この石塚は、きょう私とあなたとの間の証拠である。」それゆえ、その名はガルエデと呼ばれた。 + またそれはミツパとも呼ばれた。彼がこう言ったからである。「われわれが互いに目が届かない所にいるとき、主が私とあなたとの間の見張りをされるように。 + もしあなたが私の娘たちをひどいめに会わせたり、もし娘たちのほかに妻をめとったりするなら、われわれのところにだれもいなくても、神が私とあなたとの間の証人であることをわきまえていなさい。」 + ラバンはまたヤコブに言った。「ご覧、この石塚を。そしてご覧、私があなたと私との間に立てたこの石の柱を。 + この石塚が証拠であり、この石の柱が証拠である。敵意をもって、この石塚を越えてあなたのところに行くことはない。あなたもまた、この石塚やこの石の柱を越えて私のところに来てはならない。 + どうかアブラハムの神、ナホルの神――彼らの父祖の神――が、われわれの間をさばかれますように。」ヤコブも父イサクの恐れる方にかけて誓った。 + そうしてヤコブは山でいけにえをささげ、一族を招いて食事を共にした。食事をしてから彼らは山で一夜を明かした。 + 翌朝早く、ラバンは子どもたちと娘たちに口づけして、彼らを祝福した。それからラバンは去って、自分の家へ帰った。 + + + さてヤコブが旅を続けていると、神の使いたちが彼に現れた。 + ヤコブは彼らを見たとき、「ここは神の陣営だ」と言って、その所の名をマハナイムと呼んだ。 + ヤコブはセイルの地、エドムの野にいる兄のエサウに、前もって使者を送った。 + そして彼らに命じてこう言った。「あなたがたは私の主人エサウにこう伝えなさい。『あなたのしもべヤコブはこう申しました。私はラバンのもとに寄留し、今までとどまっていました。 + 私は牛、ろば、羊、男女の奴隷を持っています。それでご主人にお知らせして、あなたのご好意を得ようと使いを送ったのです。』」 + 使者はヤコブのもとに帰って言った。「私たちはあなたの兄上エサウのもとに行って来ました。あの方も、あなたを迎えに四百人を引き連れてやって来られます。」 + そこでヤコブは非常に恐れ、心配した。それで彼はいっしょにいる人々や、羊や牛やらくだを二つの宿営に分けて、 + 「たといエサウが来て、一つの宿営を打っても、残りの一つの宿営はのがれられよう」と言った。 + そうしてヤコブは言った。「私の父アブラハムの神、私の父イサクの神よ。かつて私に『あなたの生まれ故郷に帰れ。わたしはあなたをしあわせにする』と仰せられた主よ。 + 私はあなたがしもべに賜ったすべての恵みとまことを受けるに足りない者です。私は自分の杖一本だけを持って、このヨルダンを渡りましたが、今は、二つの宿営を持つようになったのです。 + どうか私の兄、エサウの手から私を救い出してください。彼が来て、私をはじめ母や子どもたちまでも打ちはしないかと、私は彼を恐れているのです。 + あなたはかつて『わたしは必ずあなたをしあわせにし、あなたの子孫を多くて数えきれない海の砂のようにする』と仰せられました。」 + その夜をそこで過ごしてから、彼は手もとの物から兄エサウへの贈り物を選んだ。 + すなわち雌やぎ二百頭、雄やぎ二十頭、雌羊二百頭、雄羊二十頭、 + 乳らくだ三十頭とその子、雌牛四十頭、雄牛十頭、雌ろば二十頭、雄ろば十頭。 + 彼は、一群れずつをそれぞれしもべたちの手に渡し、しもべたちに言った。「私の先に進め。群れと群れとの間には距離をおけ。」 + また先頭の者には次のように命じた。「もし私の兄エサウがあなたに会い、『あなたはだれのものか。どこへ行くのか。あなたの前のこれらのものはだれのものか』と言って尋ねたら、 + 『あなたのしもべヤコブのものです。私のご主人エサウに贈る贈り物です。彼もまた、私たちのうしろにおります』と答えなければならない。」 + 彼は第二の者にも、第三の者にも、また群れ群れについて行くすべての者にも命じて言った。「あなたがたがエサウに出会ったときには、これと同じことを告げ、 + そしてまた、『あなたのしもべヤコブは、私たちのうしろにおります』と言え。」ヤコブは、私より先に行く贈り物によって彼をなだめ、そうして後、彼の顔を見よう。もしや、彼は私を快く受け入れてくれるかもわからない、と思ったからである。 + それで贈り物は彼より先を通って行き、彼は宿営地でその夜を過ごした。 + しかし、彼はその夜のうちに起きて、ふたりの妻と、ふたりの女奴隷と、十一人の子どもたちを連れて、ヤボクの渡しを渡った。 + 彼らを連れて流れを渡らせ、自分の持ち物も渡らせた。 + ヤコブはひとりだけ、あとに残った。すると、ある人が夜明けまで彼と格闘した。 + ところが、その人は、ヤコブに勝てないのを見てとって、ヤコブのもものつがいを打ったので、その人と格闘しているうちに、ヤコブのもものつがいがはずれた。 + するとその人は言った。「わたしを去らせよ。夜が明けるから。」しかし、ヤコブは答えた。「私はあなたを去らせません。私を祝福してくださらなければ。」 + その人は言った。「あなたの名は何というのか。」彼は答えた。「ヤコブです。」 + その人は言った。「あなたの名は、もうヤコブとは呼ばれない。イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ。」 + ヤコブが、「どうかあなたの名を教えてください」と尋ねると、その人は、「いったい、なぜ、あなたはわたしの名を尋ねるのか」と言って、その場で彼を祝福した。 + そこでヤコブは、その所の名をペヌエルと呼んだ。「私は顔と顔とを合わせて神を見たのに、私のいのちは救われた」という意味である。 + 彼がペヌエルを通り過ぎたころ、太陽は彼の上に上ったが、彼はそのもものために足を引きずっていた。 + それゆえ、イスラエル人は、今日まで、もものつがいの上の腰の筋肉を食べない。あの人がヤコブのもものつがい、腰の筋肉を打ったからである。 + + + ヤコブが目を上げて見ると、見よ、エサウが四百人の者を引き連れてやって来ていた。ヤコブは子どもたちをそれぞれレアとラケルとふたりの女奴隷とに分け、 + 女奴隷たちとその子どもたちを先頭に、レアとその子どもたちをそのあとに、ラケルとヨセフを最後に置いた。 + ヤコブ自身は、彼らの先に立って進んだ。彼は、兄に近づくまで、七回も地に伏しておじぎをした。 + エサウは彼を迎えに走って来て、彼をいだき、首に抱きついて口づけし、ふたりは泣いた。 + エサウは目を上げ、女たちや子どもたちを見て、「この人たちは、あなたの何なのか」と尋ねた。ヤコブは、「神があなたのしもべに恵んでくださった子どもたちです」と答えた。 + それから女奴隷とその子どもたちは進み出て、おじぎをした。 + 次にレアもその子どもたちと進み出て、おじぎをした。最後に、ヨセフとラケルが進み出て、ていねいにおじぎをした。 + それからエサウは、「私が出会ったこの一団はみな、いったい、どういうものなのか」と尋ねた。するとヤコブは、「あなたのご好意を得るためです」と答えた。 + エサウは、「弟よ。私はたくさんに持っている。あなたのものは、あなたのものにしておきなさい」と言った。 + ヤコブは答えた。「いいえ。もしお気に召したら、どうか私の手から私の贈り物を受け取ってください。私はあなたの顔を、神の御顔を見るように見ています。あなたが私を快く受け入れてくださいましたから。 + どうか、私が持って来たこの祝いの品を受け取ってください。神が私を恵んでくださったので、私はたくさん持っていますから。」ヤコブがしきりに勧めたので、エサウは受け取った。 + エサウが、「さあ、旅を続けて行こう。私はあなたのすぐ前に立って行こう」と言うと、 + ヤコブは彼に言った。「あなたもご存じのように、子どもたちは弱く、乳を飲ませている羊や牛は私が世話をしています。一日でも、ひどく追い立てると、この群れは全部、死んでしまいます。 + あなたは、しもべよりずっと先に進んで行ってください。私は、私の前に行く家畜や子どもたちの歩みに合わせて、ゆっくり旅を続け、あなたのところ、セイルへまいります。」 + それでエサウは言った。「では、私が連れている者の幾人かを、あなたに使ってもらうことにしよう。」ヤコブは言った。「どうしてそんなことまで。私はあなたのご好意に十分あずかっております。」 + エサウは、その日、セイルへ帰って行った。 + ヤコブはスコテへ移って行き、そこで自分のために家を建て、家畜のためには小屋を作った。それゆえ、その所の名はスコテと呼ばれた。 + こうしてヤコブは、パダン・アラムからの帰途、カナンの地にあるシェケムの町に無事に着き、その町の手前で宿営した。 + そして彼が天幕を張った野の一部を、シェケムの父ハモルの子らの手から百ケシタで買い取った。 + 彼はそこに祭壇を築き、それをエル・エロヘ・イスラエルと名づけた。 + + + レアがヤコブに産んだ娘ディナがその土地の娘たちを訪ねようとして出かけた。 + すると、その土地の族長のヒビ人ハモルの子シェケムは彼女を見て、これを捕らえ、これと寝てはずかしめた。 + 彼はヤコブの娘ディナに心をひかれ、この娘を愛し、ねんごろにこの娘に語った。 + シェケムは父のハモルに願って言った。「この女の人を私の妻にもらってください。」 + ヤコブも、彼が自分の娘ディナを汚したことを聞いた。息子たちはそのとき、家畜といっしょに野にいた。ヤコブは彼らが帰って来るまで黙っていた。 + シェケムの父ハモルは、ヤコブと話し合うために出て来た。 + ヤコブの息子たちが、野から帰って来て、これを聞いた。人々は心を痛め、ひどく怒った。シェケムがヤコブの娘と寝て、イスラエルの中で恥ずべきことを行ったからである。このようなことは許せないことである。 + ハモルは彼らに話して言った。「私の息子シェケムは心からあなたがたの娘を恋い慕っております。どうか彼女を息子の嫁にしてください。 + 私たちは互いに縁を結びましょう。あなたがたの娘を私たちのところにとつがせ、私たちの娘をあなたがたがめとってください。 + そうすれば、あなたがたは私たちとともに住み、この土地はあなたがたの前に開放されているのです。ここに住み、自由に行き来し、ここに土地を得てください。」 + シェケムも彼女の父や兄弟たちに言った。「私はあなたがたのご好意にあずかりたいのです。あなたがたが私におっしゃる物を何でも差し上げます。 + どんなに高い花嫁料と贈り物を私に求められても、あなたがたがおっしゃるとおりに差し上げますから、どうか、あの人を私の妻に下さい。」 + ヤコブの息子たちは、シェケムとその父ハモルに答えるとき、シェケムが自分たちの妹ディナを汚したので、悪巧みをたくらんで、 + 彼らに言った。「割礼を受けていない者に、私たちの妹をやるような、そのようなことは、私たちにはできません。それは、私たちにとっては非難の的ですから。 + ただ次の条件であなたがたに同意しましょう。それは、あなたがたの男子がみな、割礼を受けて、私たちと同じようになることです。 + そうすれば、私たちの娘たちをあなたがたに与え、あなたがたの娘たちを私たちがめとります。そうして私たちはあなたがたとともに住み、私たちは一つの民となりましょう。 + もし、私たちの言うことを聞かず、割礼を受けないならば、私たちは娘を連れて、ここを去ります。」 + 彼らの言ったことは、ハモルとハモルの子シェケムの心にかなった。 + この若者は、ためらわずにこのことを実行した。彼はヤコブの娘を愛しており、また父の家のだれよりも彼は敬われていたからである。 + ハモルとその子シェケムは、自分たちの町の門に行き、町の人々に告げて言った。 + 「あの人たちは私たちと友だちである。だから、あの人たちをこの地に住まわせ、この地を自由に行き来させよう。この地は彼らが来ても十分広いから。私たちは彼らの娘たちをめとり、私たちの娘たちを彼らにとつがせよう。 + ただ次の条件で、あの人たちは私たちとともに住み、一つの民となることに同意した。それは彼らが割礼を受けているように、私たちのすべての男子が割礼を受けることである。 + そうすれば、彼らの群れや財産、それにすべての彼らの家畜も、私たちのものになるではないか。さあ、彼らに同意しよう。そうすれば彼らは私たちとともに住まおう。」 + その町の門に出入りする者はみな、ハモルとその子シェケムの言うことを聞き入れ、その町の門に出入りする者のすべての男子は割礼を受けた。 + 三日目になって、ちょうど彼らの傷が痛んでいるとき、ヤコブのふたりの息子、ディナの兄シメオンとレビとが、それぞれ剣を取って、難なくその町を襲い、すべての男子を殺した。 + こうして彼らは、ハモルとその子シェケムとを剣の刃で殺し、シェケムの家からディナを連れ出して行った。 + ヤコブの子らは、刺し殺された者を襲い、その町を略奪した。それは自分たちの妹が汚されたからである。 + 彼らは、その人たちの羊や、牛や、ろば、それに町にあるもの、野にあるものを奪い、 + その人たちの全財産、幼子、妻たち、それに家にあるすべてのものを、とりこにし、略奪した。 + それでヤコブはシメオンとレビに言った。「あなたがたは、私に困ったことをしてくれて、私をこの地の住民カナン人とペリジ人の憎まれ者にしてしまった。私には少人数しかいない。彼らがいっしょに集まって私を攻め、私を打つならば、私も私の家の者も根絶やしにされるであろう。」 + 彼らは言った。「私たちの妹が遊女のように取り扱われてもいいのですか。」 + + + 神はヤコブに仰せられた。「立ってベテルに上り、そこに住みなさい。そしてそこに、あなたが兄エサウからのがれていたとき、あなたに現れた神のために祭壇を築きなさい。」 + それでヤコブは自分の家族と、自分といっしょにいるすべての者とに言った。「あなたがたの中にある異国の神々を取り除き、身をきよめ、着物を着替えなさい。 + そうして私たちは立って、ベテルに上って行こう。私はそこで、私の苦難の日に私に答え、私の歩いた道に、いつも私とともにおられた神に祭壇を築こう。」 + 彼らは手にしていたすべての異国の神々と、耳につけていた耳輪とをヤコブに渡した。それでヤコブはそれらをシェケムの近くにある樫の木の下に隠した。 + 彼らが旅立つと、神からの恐怖が回りの町々に下ったので、彼らはヤコブの子らのあとを追わなかった。 + ヤコブは、自分とともにいたすべての人々といっしょに、カナンの地にあるルズ、すなわち、ベテルに来た。 + ヤコブはそこに祭壇を築き、その場所をエル・ベテルと呼んだ。それはヤコブが兄からのがれていたとき、神がそこで彼に現れたからである。 + リベカのうばデボラは死に、ベテルの下手にある樫の木の下に葬られた。それでその木の名はアロン・バクテと呼ばれた。 + こうしてヤコブがパダン・アラムから帰って来たとき、神は再び彼に現れ、彼を祝福された。 + 神は彼に仰せられた。「あなたの名はヤコブであるが、あなたの名は、もう、ヤコブと呼んではならない。あなたの名はイスラエルでなければならない。」それで彼は自分の名をイスラエルと呼んだ。 + 神はまた彼に仰せられた。「わたしは全能の神である。生めよ。ふえよ。一つの国民、諸国の民のつどいが、あなたから出て、王たちがあなたの腰から出る。 + わたしはアブラハムとイサクに与えた地を、あなたに与え、あなたの後の子孫にもその地を与えよう。」 + 神は彼に語られたその所で、彼を離れて上られた。 + ヤコブは、神が彼に語られたその場所に柱、すなわち、石の柱を立て、その上に注ぎのぶどう酒を注ぎ、またその上に油をそそいだ。 + ヤコブは、神が自分と語られたその所をベテルと名づけた。 + 彼らがベテルを旅立って、エフラテまで行くにはまだかなりの道のりがあるとき、ラケルは産気づいて、ひどい陣痛で苦しんだ。 + 彼女がひどい陣痛で苦しんでいるとき、助産婦は彼女に、「心配なさるな。今度も男のお子さんです」と告げた。 + 彼女が死に臨み、そのたましいが離れ去ろうとするとき、彼女はその子の名をベン・オニと呼んだ。しかし、その子の父はベニヤミンと名づけた。 + こうしてラケルは死んだ。彼女はエフラテ、今日のベツレヘムへの道に葬られた。 + ヤコブは彼女の墓の上に石の柱を立てた。それはラケルの墓の石の柱として今日に至っている。 + イスラエルは旅を続け、ミグダル・エデルのかなたに天幕を張った。 + イスラエルがその地に住んでいたころ、ルベンは父のそばめビルハのところに行って、これと寝た。イスラエルはこのことを聞いた。さて、ヤコブの子は十二人であった。 + レアの子はヤコブの長子ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。 + ラケルの子はヨセフとベニヤミン。 + ラケルの女奴隷ビルハの子はダンとナフタリ。 + レアの女奴隷ジルパの子はガドとアシェル。これらはパダン・アラムでヤコブに生まれた彼の子たちである。 + ヤコブはキルヤテ・アルバ、すなわちヘブロンのマムレにいた父イサクのところに行った。そこはアブラハムとイサクが一時、滞在した所である。 + イサクの一生は百八十年であった。 + イサクは息が絶えて死んだ。彼は年老いて長寿を全うして自分の民に加えられた。彼の子エサウとヤコブが彼を葬った。 + + + これはエサウ、すなわちエドムの歴史である。 + エサウはカナンの女の中から妻をめとった。すなわちヘテ人エロンの娘アダと、ヒビ人ツィブオンの子アナの娘オホリバマ。 + それにイシュマエルの娘でネバヨテの妹バセマテである。 + アダがエサウにエリファズを産み、バセマテはレウエルを産み、 + オホリバマはエウシュ、ヤラム、コラを産んだ。これらはカナンの地で生まれたエサウの子である。 + エサウは、その妻たち、息子、娘たち、その家のすべての者、その群れとすべての家畜、カナンの地で得た全財産を携え、弟ヤコブから離れてほかの地へ行った。 + それは、ふたりが共に住むには彼らの持ち物が多すぎて、彼らが滞在していた地は、彼らの群れのために、彼らをささえることができなかったからである。 + それでエサウはセイルの山地に住みついたのである。エサウとはすなわちエドムである。 + これがセイルの山地にいたエドム人の先祖エサウの系図である。 + エサウの子の名は次のとおり。エサウの妻アダの子エリファズ、エサウの妻バセマテの子レウエル。 + エリファズの子はテマン、オマル、ツェフォ、ガタム、ケナズである。 + ティムナはエサウの子エリファズのそばめで、エリファズにアマレクを産んだ。これらはエサウの妻アダの子である。 + レウエルの子は次のとおり。ナハテ、ゼラフ、シャマ、ミザ。これらはエサウの妻バセマテの子であった。 + ツィブオンの子アナの娘でエサウの妻オホリバマの子は次のとおり。彼女はエサウにエウシュとヤラムとコラを産んだ。 + エサウの子で首長は次のとおり。エサウの長子エリファズの子では、首長テマン、首長オマル、首長ツェフォ、首長ケナズ、 + 首長コラ、首長ガタム、首長アマレクである。これらはエドムの地にいるエリファズから出た首長で、アダの子である。 + エサウの子レウエルの子では、次のとおり。首長ナハテ、首長ゼラフ、首長シャマ、首長ミザ。これらはエドムの地でレウエルから出た首長で、エサウの妻バセマテの子である。 + エサウの妻オホリバマの子では、次のとおり。首長エウシュ、首長ヤラム、首長コラである。これらはエサウの妻で、アナの娘であるオホリバマから出た首長である。 + これらはエサウ、すなわちエドムの子で、彼らの首長である。 + この地の住民ホリ人セイルの子は次のとおり。ロタン、ショバル、ツィブオン、アナ、 + ディション、エツェル、ディシャンで、これらはエドムの地にいるセイルの子ホリ人の首長である。 + ロタンの子はホリ、ヘマム。ロタンの妹はティムナであった。 + ショバルの子は次のとおり。アルワン、マナハテ、エバル、シェフォ、オナム。 + ツィブオンの子は次のとおり。アヤ、アナ。このアナは父ツィブオンのろばを飼っていたとき荒野で温泉を発見したアナである。 + アナの子は次のとおり。ディションと、アナの娘オホリバマ。 + ディションの子は次のとおり。ヘムダン、エシュバン、イテラン、ケラン。 + エツェルの子は次のとおり。ビルハン、ザアワン、アカン。 + ディシャンの子は次のとおり。ウツ、アラン。 + ホリ人の首長は次のとおり。首長ロタン、首長ショバル、首長ツィブオン、首長アナ、 + 首長ディション、首長エツェル、首長ディシャン。これらはホリ人の首長で、セイルの地の首長である。 + イスラエル人の王が治める以前、エドムの地で治めた王たちは次のとおり。 + ベオルの子ベラがエドムで治め、その町の名はディヌハバであった。 + ベラが死ぬと、代わりにボツラから出たゼラフの子ヨバブが王となった。 + ヨバブが死ぬと、代わりにテマン人の地から出たフシャムが王となった。 + フシャムが死ぬと、代わりに、モアブの野でミデヤン人を打ち破ったベダデの子ハダデが王となった。その町の名はアビテであった。 + ハダデが死ぬと、代わりにマスレカから出たサムラが王となった。 + サムラが死ぬと、代わりにレホボテ・ハナハルから出たサウルが王となった。 + サウルが死ぬと、代わりにアクボルの子バアル・ハナンが王となった。 + アクボルの子バアル・ハナンが死ぬと、代わりにハダルが王となった。その町の名はパウであった。彼の妻の名はメヘタブエルで、メ・ザハブの娘マテレデの娘であった。 + エサウから出た首長の名は、その氏族とその場所によって、その名をあげると次のとおり。首長ティムナ、首長アルワ、首長エテテ、 + 首長オホリバマ、首長エラ、首長ピノン、 + 首長ケナズ、首長テマン、首長ミブツァル、 + 首長マグディエル、首長イラム。これらの者は、彼らの所有地での部落ごとにあげた、エドムの首長たちである。エドム人の先祖はエサウである。 + + + ヤコブは、父が一時滞在していた地、カナンの地に住んでいた。 + これはヤコブの歴史である。ヨセフは十七歳のとき、彼の兄たちと羊の群れを飼っていた。彼はまだ手伝いで、父の妻ビルハの子らやジルパの子らといっしょにいた。ヨセフは彼らの悪いうわさを父に告げた。 + イスラエルは、彼の息子たちのだれよりもヨセフを愛していた。それはヨセフが彼の年寄り子であったからである。それで彼はヨセフに、そでつきの長服を作ってやっていた。 + 彼の兄たちは、父が兄弟たちのだれよりも彼を愛しているのを見て、彼を憎み、彼と穏やかに話すことができなかった。 + あるとき、ヨセフは夢を見て、それを兄たちに告げた。すると彼らは、ますます彼を憎むようになった。 + ヨセフは彼らに言った。「どうか私の見たこの夢を聞いてください。 + 見ると、私たちは畑で束をたばねていました。すると突然、私の束が立ち上がり、しかもまっすぐに立っているのです。見ると、あなたがたの束が回りに来て、私の束におじぎをしました。」 + 兄たちは彼に言った。「おまえは私たちを治める王になろうとするのか。私たちを支配しようとでも言うのか。」こうして彼らは、夢のことや、ことばのことで、彼をますます憎むようになった。 + ヨセフはまた、ほかの夢を見て、それを兄たちに話した。彼は、「また、私は夢を見ましたよ。見ると、太陽と月と十一の星が私を伏し拝んでいるのです」と言った。 + ヨセフが父や兄たちに話したとき、父は彼をしかって言った。「おまえの見た夢は、いったい何なのだ。私や、おまえの母上、兄さんたちが、おまえのところに進み出て、地に伏しておまえを拝むとでも言うのか。」 + 兄たちは彼をねたんだが、父はこのことを心に留めていた。 + その後、兄たちはシェケムで父の羊の群れを飼うために出かけて行った。 + それで、イスラエルはヨセフに言った。「おまえの兄さんたちはシェケムで群れを飼っている。さあ、あの人たちのところに使いに行ってもらいたい。」すると答えた。「はい。まいります。」 + また言った。「さあ、行って兄さんたちや、羊の群れが無事であるかを見て、そのことを私に知らせに帰って来ておくれ。」こうして彼をヘブロンの谷から使いにやった。それで彼はシェケムに行った。 + 彼が野をさまよっていると、ひとりの人が彼に出会った。その人は尋ねて言った。「何を捜しているのですか。」 + ヨセフは言った。「私は兄たちを捜しているところです。どこで群れを飼っているか教えてください。」 + するとその人は言った。「ここから、もう立って行ったはずです。あの人たちが、『ドタンのほうに行こうではないか』と言っているのを私が聞いたからです。」そこでヨセフは兄たちのあとを追って行き、ドタンで彼らを見つけた。 + 彼らは、ヨセフが彼らの近くに来ないうちに、はるかかなたに、彼を見て、彼を殺そうとたくらんだ。 + 彼らは互いに言った。「見ろ。あの夢見る者がやって来る。 + さあ、今こそ彼を殺し、どこかの穴に投げ込んで、悪い獣が食い殺したと言おう。そして、あれの夢がどうなるかを見ようではないか。」 + しかし、ルベンはこれを聞き、彼らの手から彼を救い出そうとして、「あの子のいのちを打ってはならない」と言った。 + ルベンはさらに言った。「血を流してはならない。彼を荒野のこの穴に投げ込みなさい。彼に手を下してはならない。」ヨセフを彼らの手から救い出し、父のところに返すためであった。 + ヨセフが兄たちのところに来たとき、彼らはヨセフの長服、彼が着ていたそでつきの長服をはぎ取り、 + 彼を捕らえて、穴の中に投げ込んだ。その穴はからで、その中には水がなかった。 + それから彼らはすわって食事をした。彼らが目を上げて見ると、そこに、イシュマエル人の隊商がギルアデから来ていた。らくだには樹膠と乳香と没薬を背負わせ、彼らはエジプトへ下って行くところであった。 + すると、ユダが兄弟たちに言った。「弟を殺し、その血を隠したとて、何の益になろう。 + さあ、ヨセフをイシュマエル人に売ろう。われわれが彼に手をかけてはならない。彼はわれわれの肉親の弟だから。」兄弟たちは彼の言うことを聞き入れた。 + そのとき、ミデヤン人の商人が通りかかった。それで彼らはヨセフを穴から引き上げ、ヨセフを銀二十枚でイシュマエル人に売った。イシュマエル人はヨセフをエジプトへ連れて行った。 + さて、ルベンが穴のところに帰って来ると、なんと、ヨセフは穴の中にいなかった。彼は自分の着物を引き裂き、 + 兄弟たちのところに戻って、言った。「あの子がいない。ああ、私はどこへ行ったらよいのか。」 + 彼らはヨセフの長服を取り、雄やぎをほふって、その血に、その長服を浸した。 + そして、そのそでつきの長服を父のところに持って行き、彼らは、「これを私たちが見つけました。どうか、あなたの子の長服であるかどうか、お調べになってください」と言った。 + 父は、それを調べて、言った。「これはわが子の長服だ。悪い獣にやられたのだ。ヨセフはかみ裂かれたのだ。」 + ヤコブは自分の着物を引き裂き、荒布を腰にまとい、幾日もの間、その子のために泣き悲しんだ。 + 彼の息子、娘たちがみな、来て、父を慰めたが、彼は慰められることを拒み、「私は、泣き悲しみながら、よみにいるわが子のところに下って行きたい」と言った。こうして父は、その子のために泣いた。 + あのミデヤン人はエジプトで、パロの廷臣、その侍従長ポティファルにヨセフを売った。 + + + そのころのことであった。ユダは兄弟たちから離れて下って行き、その名をヒラというアドラム人の近くで天幕を張った。 + そこでユダは、あるカナン人で、その名をシュアという人の娘を見そめ、彼女をめとって彼女のところに入った。 + 彼女はみごもり、男の子を産んだ。彼はその子をエルと名づけた。 + 彼女はまたみごもって、男の子を産み、その子をオナンと名づけた。 + 彼女はさらにまた男の子を産み、その子をシェラと名づけた。彼女がシェラを産んだとき、彼はケジブにいた。 + ユダは、その長子エルにタマルという妻を迎えた。 + しかしユダの長子エルは主を怒らせていたので、主は彼を殺した。 + それでユダはオナンに言った。「あなたは兄嫁のところに入り、義弟としての務めを果たしなさい。そしてあなたの兄のために子孫を起こすようにしなさい。」 + しかしオナンは、その生まれる子が自分のものとならないのを知っていたので、兄に子孫を与えないために、兄嫁のところに入ると、地に流していた。 + 彼のしたことは主を怒らせたので、主は彼をも殺した。 + そこでユダは、嫁のタマルに、「わが子シェラが成人するまで、あなたの父の家でやもめのままでいなさい」と言った。それはシェラもまた、兄たちのように死ぬといけないと思ったからである。タマルは父の家に行き、そこに住むようになった。 + かなり日がたって、シュアの娘であったユダの妻が死んだ。その喪が明けたとき、ユダは、羊の群れの毛を切るために、その友人でアドラム人のヒラといっしょに、ティムナへ上って行った。 + そのとき、タマルに、「ご覧。あなたのしゅうとが羊の毛を切るためにティムナに上って来ていますよ」と告げる者があった。 + それでタマルは、やもめの服を脱ぎ、ベールをかぶり、着替えをして、ティムナへの道にあるエナイムの入口にすわっていた。それはシェラが成人したのに、自分がその妻にされないのを知っていたからである。 + ユダは、彼女を見たとき、彼女が顔をおおっていたので遊女だと思い、 + 道ばたの彼女のところに行き、「さあ、あなたのところに入ろう」と言った。彼はその女が自分の嫁だとは知らなかったからである。彼女は、「私のところにお入りになれば、何を私に下さいますか」と言った。 + 彼が、「群れの中から子やぎを送ろう」と言うと、彼女は、「それを送ってくださるまで、何かおしるしを下されば」と言った。 + それで彼が、「しるしとして何をあげようか」と言うと、「あなたの印形とひもと、あなたが手にしている杖」と答えた。そこで彼はそれを与えて、彼女のところに入った。こうしてタマルは彼によってみごもった。 + 彼女は立ち去って、そのベールをはずし、またやもめの服を着た。 + ユダは、彼女の手からしるしを取り戻そうと、アドラム人の友人に託して、子やぎを送ったが、彼はその女を見つけることができなかった。 + その友人は、そこの人々に尋ねて、「エナイムの道ばたにいた遊女はどこにいますか」と言うと、彼らは、「ここには遊女はいたことがない」と答えた。 + それで彼はユダのところに帰って来て言った。「あの女は見つかりませんでした。あそこの人たちも、ここには遊女はいたことがない、と言いました。」 + ユダは言った。「われわれが笑いぐさにならないために、あの女にそのまま取らせておこう。私はこのとおり、この子やぎを送ったのに、あなたがあの女を見つけなかったのだから。」 + 約三か月して、ユダに、「あなたの嫁のタマルが売春をし、そのうえ、お聞きください、その売春によってみごもっているのです」と告げる者があった。そこでユダは言った。「あの女を引き出して、焼き殺せ。」 + 彼女が引き出されたとき、彼女はしゅうとのところに使いをやり、「これらの品々の持ち主によって、私はみごもったのです」と言わせた。そしてまた彼女は言った。「これらの印形とひもと杖とが、だれのものかをお調べください。」 + ユダはこれを見定めて言った。「あの女は私よりも正しい。私が彼女にわが子シェラを与えなかったことによるものだ。」それで彼は再び彼女を知ろうとはしなかった。 + 彼女の出産の時になると、なんと、ふたごがその胎内にいた。 + 出産のとき、一つの手が出て来たので、助産婦はそれをつかみ、その手に真っ赤な糸を結びつけて言った。「この子が最初に出て来たのです。」 + しかし、その子が手を引っ込めたとき、もうひとりの兄弟のほうが出て来た。それで彼女は、「あなたは何であなたのために割りこむのです」と言った。それでその名はペレツと呼ばれた。 + そのあとで、真っ赤な糸をつけたもうひとりの兄弟が出て来た。それでその名はゼラフと呼ばれた。 + + + ヨセフがエジプトへ連れて行かれたとき、パロの廷臣で侍従長のポティファルというひとりのエジプト人が、ヨセフをそこに連れて下って来たイシュマエル人の手からヨセフを買い取った。 + 主がヨセフとともにおられたので、彼は幸運な人となり、そのエジプト人の主人の家にいた。 + 彼の主人は、主が彼とともにおられ、主が彼のすることすべてを成功させてくださるのを見た。 + それでヨセフは主人にことのほか愛され、主人は彼を側近の者とし、その家を管理させ、彼の全財産をヨセフの手にゆだねた。 + 主人が彼に、その家と全財産とを管理させた時から、主はヨセフのゆえに、このエジプト人の家を、祝福された。それで主の祝福が、家や野にある、全財産の上にあった。 + 彼はヨセフの手に全財産をゆだね、自分の食べる食物以外には、何も気を使わなかった。しかもヨセフは体格も良く、美男子であった。 + これらのことの後、主人の妻はヨセフに目をつけて、「私と寝ておくれ」と言った。 + しかし、彼は拒んで主人の妻に言った。「ご覧ください。私の主人は、家の中のことは何でも私に任せ、気を使わず、全財産を私の手にゆだねられました。 + ご主人は、この家の中では私より大きな権威をふるおうとはされず、あなた以外には、何も私に差し止めてはおられません。あなたがご主人の奥さまだからです。どうして、そのような大きな悪事をして、私は神に罪を犯すことができましょうか。」 + それでも彼女は毎日、ヨセフに言い寄ったが、彼は、聞き入れず、彼女のそばに寝ることも、彼女といっしょにいることもしなかった。 + ある日のこと、彼が仕事をしようとして家に入ると、家の中には、家の者どもがひとりもそこにいなかった。 + それで彼女はヨセフの上着をつかんで、「私と寝ておくれ」と言った。しかしヨセフはその上着を彼女の手に残し、逃げて外へ出た。 + 彼が上着を彼女の手に残して外へ逃げたのを見ると、 + 彼女は、その家の者どもを呼び寄せ、彼らにこう言った。「ご覧。主人は私たちをもてあそぶためにヘブル人を私たちのところに連れ込んだのです。あの男が私と寝ようとして入って来たので、私は大声をあげたのです。 + 私が声をあげて叫んだのを聞いて、あの男は私のそばに自分の上着を残し、逃げて外へ出て行きました。」 + 彼女は、主人が家に帰って来るまで、その上着を自分のそばに置いていた。 + こうして彼女は主人に、このように告げて言った。「あなたが私たちのところに連れて来られたヘブル人の奴隷は、私にいたずらをしようとして私のところに入って来ました。 + 私が声をあげて叫んだので、私のそばに上着を残して外へ逃げました。」 + 主人は妻が、「あなたの奴隷は私にこのようなことをしたのです」と言って、告げたことばを聞いて、怒りに燃えた。 + ヨセフの主人は彼を捕らえ、王の囚人が監禁されている監獄に彼を入れた。こうして彼は監獄にいた。 + しかし、主はヨセフとともにおられ、彼に恵みを施し、監獄の長の心にかなうようにされた。 + それで監獄の長は、その監獄にいるすべての囚人をヨセフの手にゆだねた。ヨセフはそこでなされるすべてのことを管理するようになった。 + 監獄の長は、ヨセフの手に任せたことについては何も干渉しなかった。それは主が彼とともにおられ、彼が何をしても、主がそれを成功させてくださったからである。 + + + これらのことの後、エジプト王の献酌官と調理官とが、その主君、エジプト王に罪を犯した。 + それでパロは、この献酌官長と調理官長のふたりの廷臣を怒り、 + 彼らを侍従長の家に拘留した。すなわちヨセフが監禁されている同じ監獄に入れた。 + 侍従長はヨセフを彼らの付き人にしたので、彼はその世話をした。こうして彼らは、しばらく拘留されていた。 + さて、監獄に監禁されているエジプト王の献酌官と調理官とは、ふたりとも同じ夜にそれぞれ夢を見た。その夢にはおのおの意味があった。 + 朝、ヨセフが彼らのところに行って、よく見ると、彼らはいらいらしていた。 + それで彼は、自分の主人の家にいっしょに拘留されているこのパロの廷臣たちに尋ねて、「なぜ、きょうはあなたがたの顔色が悪いのですか」と言った。 + ふたりは彼に答えた。「私たちは夢を見たが、それを解き明かす人がいない。」ヨセフは彼らに言った。「それを解き明かすことは、神のなさることではありませんか。さあ、それを私に話してください。」 + それで献酌官長はヨセフに自分の夢を話して言った。「夢の中で、見ると、私の前に一本のぶどうの木があった。 + そのぶどうの木には三本のつるがあった。それが芽を出すと、すぐ花が咲き、ぶどうのふさが熟して、ぶどうになった。 + 私の手にはパロの杯があったから、私はそのぶどうを摘んで、それをパロの杯の中にしぼって入れ、その杯をパロの手にささげた。」 + ヨセフは彼に言った。「その解き明かしはこうです。三本のつるは三日のことです。 + 三日のうちに、パロはあなたを呼び出し、あなたをもとの地位に戻すでしょう。あなたは、パロの献酌官であったときの以前の規定に従って、パロの杯をその手にささげましょう。 + あなたがしあわせになったときには、きっと私を思い出してください。私に恵みを施してください。私のことをパロに話してください。この家から私が出られるようにしてください。 + 実は私は、ヘブル人の国から、さらわれて来たのです。ここでも私は投獄されるようなことは何もしていないのです。」 + 調理官長は、解き明かしが良かったのを見て、ヨセフに言った。「私も夢の中で、見ると、私の頭の上に枝編みのかごが三つあった。 + 一番上のかごには、パロのために調理官が作ったあらゆる食べ物が入っていたが、鳥が私の頭の上のかごの中から、それを食べてしまった。」 + ヨセフは答えて言った。「その解き明かしはこうです。三つのかごは三日のことです。 + 三日のうちに、パロはあなたを呼び出し、あなたを木につるし、鳥があなたの肉をむしり取って食うでしょう。」 + 三日目はパロの誕生日であった。それで彼は、自分のすべての家臣たちのために祝宴を張り、献酌官長と調理官長とをその家臣たちの中に呼び出した。 + そうして、献酌官長をその献酌の役に戻したので、彼はその杯をパロの手にささげた。 + しかしパロは、ヨセフが解き明かしたように、調理官長を木につるした。 + ところが献酌官長はヨセフのことを思い出さず、彼のことを忘れてしまった。 + + + それから二年の後、パロは夢を見た。見ると、彼はナイルのほとりに立っていた。 + ナイルから、つやつやした、肉づきの良い七頭の雌牛が上がって来て、葦の中で草をはんでいた。 + するとまた、そのあとを追ってほかの醜いやせ細った七頭の雌牛がナイルから上がって来て、その川岸にいる雌牛のそばに立った。 + そして醜いやせ細った雌牛が、つやつやした、よく肥えた七頭の雌牛を食い尽くした。そのとき、パロは目がさめた。 + それから、彼はまた眠って、再び夢を見た。見ると、肥えた良い七つの穂が、一本の茎に出て来た。 + すると、すぐそのあとから、東風に焼けた、しなびた七つの穂が出て来た。 + そして、しなびた穂が、あの肥えて豊かな七つの穂をのみこんでしまった。そのとき、パロは目がさめた。それは夢だった。 + 朝になって、パロは心が騒ぐので、人をやってエジプトのすべての呪法師とすべての知恵のある者たちを呼び寄せた。パロは彼らに夢のことを話したが、それをパロに解き明かすことのできる者はいなかった。 + そのとき、献酌官長がパロに告げて言った。「私はきょう、私のあやまちを申し上げなければなりません。 + かつて、パロがしもべらを怒って、私と調理官長とを侍従長の家に拘留なさいました。 + そのとき、私と彼は同じ夜に夢を見ましたが、その夢はおのおの意味のある夢でした。 + そこには、私たちといっしょに、侍従長のしもべでヘブル人の若者がいました。それで彼に話しましたところ、彼は私たちの夢を解き明かし、それぞれの夢にしたがって、解き明かしてくれました。 + そして、彼が私たちに解き明かしたとおりになり、パロは私をもとの地位に戻され、彼を木につるされました。」 + そこで、パロは使いをやってヨセフを呼び寄せたので、人々は急いで彼を地下牢から連れ出した。彼はひげをそり、着物を着替えてから、パロの前に出た。 + パロはヨセフに言った。「私は夢を見たが、それを解き明かす者がいない。あなたについて言われていることを聞いた。あなたは夢を聞いて、それを解き明かすということだが。」 + ヨセフはパロに答えて言った。「私ではありません。神がパロの繁栄を知らせてくださるのです。」 + それでパロはヨセフに話した。「夢の中で、私はナイルの岸に立っていた。 + 見ると、ナイルから、肉づきが良くて、つやつやした七頭の雌牛が上がって来て、葦の中で草をはんでいた。 + すると、そのあとから、弱々しい、非常に醜い、やせ細ったほかの七頭の雌牛が上がって来た。私はこのように醜いのをエジプト全土でまだ見たことがない。 + そして、このやせた醜い雌牛が、先の肥えた七頭の雌牛を食い尽くした。 + ところが、彼らを腹に入れても、腹に入ったのがわからないほどその姿は初めと同じように醜かった。そのとき、私は目がさめた。 + ついで、夢の中で私は見た。見ると、一本の茎によく実った七つの穂が出て来た。 + すると、そのあとから東風に焼けた、しなびた貧弱な七つの穂が出て来た。 + そのしなびた穂が、あの七つの良い穂をのみこんでしまった。そこで私は呪法師に話したが、だれも私に説明できる者はいなかった。」 + ヨセフはパロに言った。「パロの夢は一つです。神がなさろうとすることをパロに示されたのです。 + 七頭のりっぱな雌牛は七年のことで、七つのりっぱな穂も七年のことです。それは一つの夢なのです。 + そのあとから上がって来た七頭のやせた醜い雌牛は七年のことで、東風に焼けたしなびた七つの穂もそうです。それはききんの七年です。 + これは、私がパロに申し上げたとおり、神がなさろうとすることをパロに示されたのです。 + 今すぐ、エジプト全土に七年間の大豊作が訪れます。 + それから、そのあと、七年間のききんが起こり、エジプトの地の豊作はみな忘れられます。ききんが地を荒れ果てさせ、 + この地の豊作は後に来るききんのため、跡もわからなくなります。そのききんは、非常にきびしいからです。 + 夢が二度パロにくり返されたのは、このことが神によって定められ、神がすみやかにこれをなさるからです。 + それゆえ、今、パロは、さとくて知恵のある人を見つけ、その者をエジプトの国の上に置かれますように。 + パロは、国中に監督官を任命するよう行動を起こされ、豊作の七年間に、エジプトの地に、備えをなさいますように。 + 彼らにこれからの豊作の年のすべての食糧を集めさせ、パロの権威のもとに、町々に穀物をたくわえ、保管させるためです。 + その食糧は、エジプトの国に起こる七年のききんのための、国のたくわえとなさいますように。この地がききんで滅びないためです。」 + このことは、パロとすべての家臣たちの心にかなった。 + そこでパロは家臣たちに言った。「神の霊の宿っているこのような人を、ほかに見つけることができようか。」 + パロはヨセフに言った。「神がこれらすべてのことをあなたに知らされたのであれば、あなたのように、さとくて知恵のある者はほかにいない。 + あなたは私の家を治めてくれ。私の民はみな、あなたの命令に従おう。私があなたにまさっているのは王位だけだ。」 + パロはなおヨセフに言った。「さあ、私はあなたにエジプト全土を支配させよう。」 + そこで、パロは自分の指輪を手からはずして、それをヨセフの手にはめ、亜麻布の衣服を着せ、その首に金の首飾りを掛けた。 + そして、自分の第二の車に彼を乗せた。そこで人々は彼の前で「ひざまずけ」と叫んだ。こうして彼にエジプト全土を支配させた。 + パロはヨセフに言った。「私はパロだ。しかし、あなたの許しなくしては、エジプト中で、だれも手足を上げることもできない。」 + パロはヨセフにツァフェナテ・パネアハという名を与え、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナテを彼の妻にした。こうしてヨセフはエジプトの地に知れ渡った。 + ――ヨセフがエジプトの王パロに仕えるようになったときは三十歳であった――ヨセフはパロの前を去ってエジプト全土を巡り歩いた。 + さて、豊作の七年間に地は豊かに生産した。 + そこで、ヨセフはエジプトの地に産した七年間の食糧をことごとく集め、その食糧を町々にたくわえた。すなわち、町の周囲にある畑の食糧をおのおのその町の中にたくわえた。 + ヨセフは穀物を海の砂のように非常に多くたくわえ、量りきれなくなったので、ついに量ることをやめた。 + ききんの年の来る前に、ヨセフにふたりの子どもが生まれた。これらはオンの祭司ポティ・フェラの娘アセナテが産んだのである。 + ヨセフは長子をマナセと名づけた。「神が私のすべての労苦と私の父の全家とを忘れさせた」からである。 + また、二番目の子をエフライムと名づけた。「神が私の苦しみの地で私を実り多い者とされた」からである。 + エジプトの地にあった豊作の七年が終わると、 + ヨセフの言ったとおり、七年のききんが来始めた。そのききんはすべての国に臨んだが、エジプト全土には食物があった。 + やがて、エジプト全土が飢えると、その民はパロに食物を求めて叫んだ。そこでパロは全エジプトに言った。「ヨセフのもとに行き、彼の言うとおりにせよ。」 + ききんは全世界に及んだ。ききんがエジプトの国でひどくなったとき、ヨセフはすべての穀物倉をあけて、エジプトに売った。 + また、ききんが全世界にひどくなったので、世界中が穀物を買うために、エジプトのヨセフのところに来た。 + + + ヤコブはエジプトに穀物があることを知って、息子たちに言った。「あなたがたは、なぜ互いに顔を見合っているのか。」 + そして言った。「今、私はエジプトに穀物があるということを聞いた。あなたがたは、そこへ下って行き、そこから私たちのために穀物を買って来なさい。そうすれば、私たちは生きながらえ、死なないだろう。」 + そこで、ヨセフの十人の兄弟はエジプトで穀物を買うために、下って行った。 + しかし、ヤコブはヨセフの弟ベニヤミンを兄弟たちといっしょにやらなかった。わざわいが彼にふりかかるといけないと思ったからである。 + こうして、イスラエルの息子たちは、穀物を買いに行く人々に交じって出かけた。カナンの地にききんがあったからである。 + ときに、ヨセフはこの国の権力者であり、この国のすべての人々に穀物を売る者であった。ヨセフの兄弟たちは来て、顔を地につけて彼を伏し拝んだ。 + ヨセフは兄弟たちを見て、それとわかったが、彼らに対して見知らぬ者のようにふるまい、荒々しいことばで彼らに言った。「あなたがたは、どこから来たのか。」すると彼らは答えた。「カナンの地から食糧を買いにまいりました。」 + ヨセフには、兄弟たちだとわかったが、彼らにはヨセフだとはわからなかった。 + ヨセフはかつて彼らについて見た夢を思い出して、彼らに言った。「あなたがたは間者だ。この国のすきをうかがいに来たのだろう。」 + 彼らは言った。「いいえ。あなたさま。しもべどもは食糧を買いにまいったのでございます。 + 私たちはみな、同じひとりの人の子で、私たちは正直者でございます。しもべどもは間者ではございません。」 + ヨセフは彼らに言った。「いや。あなたがたは、この国のすきをうかがいにやって来たのだ。」 + 彼らは言った。「しもべどもは十二人の兄弟で、カナンの地にいるひとりの人の子でございます。末の弟は今、父といっしょにいますが、もうひとりはいなくなりました。」 + ヨセフは彼らに言った。「私が言ったとおりだ。あなたがたは間者だ。 + このことで、あなたがたをためそう。パロのいのちにかけて言うが、あなたがたの末の弟がここに来ないかぎり、決してここから出ることはできない。 + あなたがたのうちのひとりをやって、弟を連れて来なさい。それまであなたがたを監禁しておく。あなたがたに誠実があるかどうか、あなたがたの言ったことをためすためだ。もしそうでなかったら、パロのいのちにかけて言うが、あなたがたはやっぱり間者だ。」 + こうしてヨセフは彼らを三日間、監禁所にいっしょに入れておいた。 + ヨセフは三日目に彼らに言った。「次のようにして、生きよ。私も神を恐れる者だから。 + もし、あなたがたが正直者なら、あなたがたの兄弟のひとりを監禁所に監禁しておいて、あなたがたは飢えている家族に穀物を持って行くがよい。 + そして、あなたがたの末の弟を私のところに連れて来なさい。そうすれば、あなたがたのことばがほんとうだということになり、あなたがたは死ぬことはない。」そこで彼らはそのようにした。 + 彼らは互いに言った。「ああ、われわれは弟のことで罰を受けているのだなあ。あれがわれわれにあわれみを請うたとき、彼の心の苦しみを見ながら、われわれは聞き入れなかった。それでわれわれはこんな苦しみに会っているのだ。」 + ルベンが彼らに答えて言った。「私はあの子に罪を犯すなと言ったではないか。それなのにあなたがたは聞き入れなかった。だから今、彼の血の報いを受けるのだ。」 + 彼らは、ヨセフが聞いていたとは知らなかった。彼と彼らの間には通訳者がいたからである。 + ヨセフは彼らから離れて、泣いた。それから彼らのところに帰って来て、彼らに語った。そして彼らの中からシメオンをとって、彼らの目の前で彼を縛った。 + ヨセフは、彼らの袋に穀物を満たし、彼らの銀をめいめいの袋に返し、また道中の食糧を彼らに与えるように命じた。それで、人々はそのとおりにした。 + 彼らは穀物を自分たちのろばに背負わせて、そこを去った。 + さて、宿泊所で、そのうちのひとりが、自分のろばに飼料をやるために袋をあけると、自分の銀を見つけた。しかも、見よ。それは自分の袋の口にあった。 + 彼は兄弟たちに言った。「私の銀が返されている。しかもこのとおり、私の袋の中に。」彼らは心配し、身を震わせて互いに言った。「神は、私たちにいったい何ということをなさったのだろう。」 + こうして、彼らはカナンの地にいる父ヤコブのもとに帰って、その身に起こったことをすべて彼に告げて言った。 + 「あの国の支配者である人が、私たちに荒々しく語り、私たちを、あの国をうかがう間者にしました。 + 私たちはその人に、『私たちは正直者で、間者ではない。 + 私たちは十二人兄弟で同じひとりの父の子で、ひとりはいなくなったが、末の弟は今、カナンの地に父といっしょにいる』と申しました。 + すると、その国の支配者である人が、私たちに言いました。『こうすれば、あなたがたが正直者かどうか、わかる。あなたがたの兄弟のひとりを私のところに残し、飢えているあなたがたの家族に穀物を持って行け。 + そしてあなたがたの末の弟を私のところに連れて来い。そうすれば、あなたがたが間者ではなく、正直者だということが私にわかる。そのうえで、私はあなたがたの兄弟を返そう。そうしてあなたがたはこの地に出はいりができる。』」 + それから、彼らが自分たちの袋をからにすると、見よ、めいめいの銀の包みがそれぞれの袋の中にあるではないか。彼らも父もこの銀の包みを見て、恐れた。 + 父ヤコブは彼らに言った。「あなたがたはもう、私に子を失わせている。ヨセフはいなくなった。シメオンもいなくなった。そして今、ベニヤミンをも取ろうとしている。こんなことがみな、私にふりかかって来るのだ。」 + ルベンは父にこう言った。「もし私が彼をあなたのもとに連れて帰らなかったら、私のふたりの子を殺してもかまいません。彼を私の手に任せてください。私はきっと彼をあなたのもとに連れ戻します。」 + しかしヤコブは言った。「私の子は、あなたがたといっしょには行かせない。彼の兄は死に、彼だけが残っているのだから。あなたがたの行く道中で、もし彼にわざわいがふりかかれば、あなたがたは、このしらが頭の私を、悲しみながらよみに下らせることになるのだ。」 + + + さて、その地でのききんは、ひどかった。 + 彼らがエジプトから持って来た穀物を食べ尽くしたとき、父は彼らに言った。「また行って、私たちのために少し食糧を買って来ておくれ。」 + しかしユダが父に言った。「あの方は私たちをきつく戒めて、『あなたがたの弟といっしょでなければ、私の顔を見てはならない』と告げました。 + もし、あなたが弟を私たちといっしょに行かせてくださるなら、私たちは下って行って、あなたのために食糧を買って来ましょう。 + しかし、もしあなたが彼を行かせないなら、私たちは下って行きません。あの方が私たちに、『あなたがたの弟といっしょでなければ、私の顔を見てはならない』と言ったからです。」 + そこで、イスラエルが言った。「なぜ、あなたがたにもうひとりの弟がいるとあの方に言って、私をひどいめに会わせるのか。」 + 彼らは言った。「あの方が、私たちと私たちの家族のことをしつこく尋ねて、『あなたがたの父はまだ生きているのか。あなたがたに弟がいるのか』と言うので、問われるままに言ってしまったのです。あなたがたの弟を連れて来いと言われるとは、どうして私たちにわかりましょう。」 + ユダは父イスラエルに言った。「あの子を私といっしょにやらせてください。私たちは出かけて行きます。そうすれば、あなたも私たちも、そして私たちの子どもたちも生きながらえて死なないでしょう。 + 私自身が彼の保証人となります。私に責任を負わせてください。万一、彼をあなたのもとに連れ戻さず、あなたの前に彼を立たせなかったら、私は一生あなたに対して罪ある者となります。 + もし私たちがためらっていなかったなら、今までに二度は行って帰って来られたことでしょう。」 + 父イスラエルは彼らに言った。「もしそうなら、こうしなさい。この地の名産を入れ物に入れ、それを贈り物として、あの方のところへ下って行きなさい。乳香と蜜を少々、樹膠と没薬、くるみとアーモンド、 + そして、二倍の銀を持って行きなさい。あなたがたの袋の口に返されていた銀も持って行って返しなさい。それはまちがいだったのだろう。 + そして、弟を連れてあの方のところへ出かけて行きなさい。 + 全能の神がその方に、あなたがたをあわれませてくださるように。そしてもうひとりの兄弟とベニヤミンとをあなたがたに返してくださるように。私も、失うときには、失うのだ。」 + そこで、この人たちは贈り物を携え、それに二倍の銀を持ち、ベニヤミンを伴ってエジプトへ下り、ヨセフの前に立った。 + ヨセフはベニヤミンが彼らといっしょにいるのを見るや、彼の家の管理者に言った。「この人たちを家へ連れて行き、獣をほふり、料理をしなさい。この人たちが昼に、私といっしょに食事をするから。」 + その人はヨセフが言ったとおりにして、その人々をヨセフの家に連れて行った。 + ところが、この人たちはヨセフの家に連れて行かれたので恐れた。「われわれが連れ込まれたのは、この前のとき、われわれの袋に返されていたあの銀のためだ。われわれを陥れ、われわれを襲い、われわれを奴隷として、われわれのろばもいっしょに捕らえるためなのだ」と彼らは言った。 + それで、彼らはヨセフの家の管理者に近づいて、家の入口のところで彼に話しかけて、 + 言った。「失礼ですが、あなたさま。この前のときには、私たちは食糧を買うために下って来ただけです。 + ところが、宿泊所に着いて、袋をあけました。すると、私たちの銀がそのままそれぞれの袋の口にありました。それで、私たちはそれを返しに持って来ました。 + また、食糧を買うためには、ほかに銀を私たちは持って来ました。袋の中にだれが私たちの銀を入れたのか、私たちにはわかりません。」 + 彼は答えた。「安心しなさい。恐れることはありません。あなたがたの神、あなたがたの父の神が、あなたがたのために袋の中に宝を入れてくださったのに違いありません。あなたがたの銀は私が受け取りました。」それから彼はシメオンを彼らのところに連れて来た。 + その人は人々をヨセフの家に連れて行き、水を与えた。彼らは足を洗い、ろばに飼料を与えた。 + 彼らはヨセフが昼に帰って来るまでに、贈り物を用意しておいた。それは自分たちがそこで食事をすることになっているのを聞いたからである。 + ヨセフが家に帰って来たとき、彼らは持って来た贈り物を家に持ち込み、地に伏して彼を拝んだ。 + ヨセフは彼らの安否を問うて言った。「あなたがたが先に話していた、あなたがたの年老いた父親は元気か。まだ生きているのか。」 + 彼らは答えた。「あなたのしもべ、私たちの父は元気で、まだ生きております。」そして、彼らはひざまずいて伏し拝んだ。 + ヨセフは目を上げ、同じ母の子である弟のベニヤミンを見て言った。「これがあなたがたが私に話した末の弟か。」そして言った。「わが子よ。神があなたを恵まれるように。」 + ヨセフは弟なつかしさに胸が熱くなり、泣きたくなって、急いで奥の部屋に入って行って、そこで泣いた。 + やがて、彼は顔を洗って出て来た。そして自分を制して、「食事を出せ」と言いつけた。 + それでヨセフにはヨセフにだけ、彼らには彼らにだけ、ヨセフと食事を共にするエジプト人にはその者にだけ、それぞれ別に食事を出した。エジプト人はヘブル人とはいっしょに食事ができなかったからである。それはエジプト人の忌みきらうところであった。 + 彼らはヨセフの指図によって、年長者は年長の座に、年下の者は年下の座にすわらされたので、この人たちは互いに驚き合った。 + また、ヨセフの食卓から、彼らに分け前が分けられたが、ベニヤミンの分け前はほかのだれの分け前よりも五倍も多かった。彼らはヨセフとともに酒を飲み、酔いごこちになった。 + + + さて、ヨセフは家の管理者に命じて言った。「あの人々の袋を彼らに運べるだけの食糧で満たし、おのおのの銀を彼らの袋の口に入れておけ。 + また、私の杯、あの銀の杯を一番年下の者の袋の口に、穀物の代金といっしょに入れておけ。」彼はヨセフの言いつけどおりにした。 + 明け方、人々はろばといっしょに送り出された。 + 彼らが町を出てまだ遠くへ行かないうちに、ヨセフは家の管理者に言った。「さあ、あの人々のあとを追え。追いついたら彼らに、『なぜ、あなたがたは悪をもって善に報いるのか。 + これは、私の主人が、これで飲み、また、これでいつもまじないをしておられるのではないか。あなたがたのしたことは悪らつだ』と言うのだ。」 + 彼は彼らに追いついて、このことばを彼らに告げた。 + すると、彼らは言った。「あなたさまは、なぜそのようなことをおっしゃるのですか。しもべどもがそんなことをするなどとは、とんでもないことです。 + 私たちが、袋の口から見つけた銀でさえ、カナンの地からあなたのもとへ返しに来たではありませんか。どうしてあなたのご主人の家から銀や金を盗んだりいたしましょう。 + しもべどものうちのだれからでも、それが見つかった者は殺してください。そして私たちもまた、ご主人の奴隷となりましょう。」 + 彼は言った。「今度も、あなたがたの言うことはもっともだが、それが見つかった者は、私の奴隷となり、他の者は無罪としよう。」 + そこで、彼らは急いで自分の袋を地に降ろし、おのおのその袋を開いた。 + 彼は年長の者から調べ始めて年下の者で終わった。ところがその杯はベニヤミンの袋から見つかった。 + そこで彼らは着物を引き裂き、おのおのろばに荷を負わせて町に引き返した。 + ユダと兄弟たちがヨセフの家に入って行ったとき、ヨセフはまだそこにいた。彼らはヨセフの前で顔を地に伏せた。 + ヨセフは彼らに言った。「あなたがたのしたこのしわざは、何だ。私のような者はまじないをするということを知らなかったのか。」 + ユダが答えた。「私たちはあなたさまに何を申せましょう。何の申し開きができましょう。また何と言って弁解することができましょう。神がしもべどもの咎をあばかれたのです。今このとおり、私たちも、そして杯を持っているのを見つかった者も、あなたさまの奴隷となりましょう。」 + しかし、ヨセフは言った。「そんなことはとんでもないことだ。杯を持っているのを見つかった者だけが、私の奴隷となればよい。ほかのあなたがたは安心して父のもとへ帰るがよい。」 + すると、ユダが彼に近づいて言った。「あなたさま。どうかあなたのしもべの申し上げることに耳を貸してください。そして、どうかしもべを激しくお怒りにならないでください。あなたはパロのようなお方なのですから。 + あなたさまは、しもべどもに、あなたがたに父や弟があるかとお尋ねになりました。 + それで、私たちはあなたさまに、『私たちには年老いた父と、年寄り子の末の弟がおります。そしてその兄は死にました。彼だけがその母に残されましたので、父は彼を愛しています』と申し上げました。 + するとあなたは、しもべどもに、『彼を私のところに連れて来い。私はこの目で彼を見たい』と言われました。 + それで、私たちはあなたさまに、『その子は父親と離れることはできません。父親と離れたら、父親は死ぬでしょう』と申し上げました。 + しかし、あなたはしもべどもに言われました。『末の弟といっしょに下って来なければ、二度とあなたがたは私の顔を見ることはできない。』 + それで、私たちは、あなたのしもべである私の父のもとに帰ったとき、父にあなたさまのおことばを伝えました。 + それから私たちの父が、『また行って、われわれのために少し食糧を買って来てくれ』と言ったので、 + 私たちは、『私たちは下って行くことはできません。もし、末の弟が私たちといっしょなら、私たちは下って行きます。というのは、末の弟といっしょでなければあの方のお顔を見ることはできないのです』と答えました。 + すると、あなたのしもべである私の父が言いました。『あなたがたも知っているように、私の妻はふたりの子を産んだ。 + そしてひとりは私のところから出て行ったきりだ。確かに裂き殺されてしまったのだ、と私は言った。そして、それ以来、今まで私は彼を見ない。 + あなたがたがこの子をも私から取ってしまって、この子にわざわいが起こるなら、あなたがたは、しらが頭の私を、苦しみながらよみに下らせることになるのだ。』 + 私が今、あなたのしもべである私の父のもとへ帰ったとき、あの子が私たちといっしょにいなかったら、父のいのちは彼のいのちにかかっているのですから、 + あの子がいないのを見たら、父は死んでしまうでしょう。そして、しもべどもが、あなたのしもべであるしらが頭の私たちの父を、悲しみながら、よみに下らせることになります。 + というのは、このしもべは私の父に、『もし私があの子をあなたのところに連れ戻さなかったら、私は永久にあなたに対して罪ある者となります』と言って、あの子の保証をしているのです。 + ですから、どうか今、このしもべを、あの子の代わりに、あなたさまの奴隷としてとどめ、あの子を兄弟たちと帰らせてください。 + あの子が私といっしょでなくて、どうして私は父のところへ帰れましょう。私の父に起こるわざわいを見たくありません。」 + + + ヨセフは、そばに立っているすべての人の前で、自分を制することができなくなって、「みなを、私のところから出しなさい」と叫んだ。ヨセフが兄弟たちに自分のことを明かしたとき、彼のそばに立っている者はだれもいなかった。 + しかし、ヨセフが声をあげて泣いたので、エジプト人はそれを聞き、パロの家の者もそれを聞いた。 + ヨセフは兄弟たちに言った。「私はヨセフです。父上はお元気ですか。」兄弟たちはヨセフを前にして驚きのあまり、答えることができなかった。 + ヨセフは兄弟たちに言った。「どうか私に近寄ってください。」彼らが近寄ると、ヨセフは言った。「私はあなたがたがエジプトに売った弟のヨセフです。 + 今、私をここに売ったことで心を痛めたり、怒ったりしてはなりません。神はいのちを救うために、あなたがたより先に、私を遣わしてくださったのです。 + この二年の間、国中にききんがあったが、まだあと五年は耕すことも刈り入れることもないでしょう。 + それで神は私をあなたがたより先にお遣わしになりました。それは、あなたがたのために残りの者をこの地に残し、また、大いなる救いによってあなたがたを生きながらえさせるためだったのです。 + だから、今、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、実に、神なのです。神は私をパロには父とし、その全家の主とし、またエジプト全土の統治者とされたのです。 + それで、あなたがたは急いで父上のところに上って行き、言ってください。『あなたの子ヨセフがこう言いました。神は私をエジプト全土の主とされました。ためらわずに私のところに下って来てください。 + あなたはゴシェンの地に住み、私の近くにいることになります。あなたも、あなたの子と孫、羊と牛、またあなたのものすべて。 + ききんはあと五年続きますから、あなたも家族も、また、すべてあなたのものが、困ることのないように、私はあなたをそこで養いましょう』と。 + さあ、あなたがたも、私の弟ベニヤミンも自分の目でしかと見てください。あなたがたに話しているのは、この私の口です。 + あなたがたは、エジプトでの私のすべての栄誉とあなたがたが見たいっさいのこととを私の父上に告げ、急いで私の父上をここにお連れしてください。」 + それから、彼は弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。ベニヤミンも彼の首を抱いて泣いた。 + 彼はまた、すべての兄弟に口づけし、彼らを抱いて泣いた。そのあとで、兄弟たちは彼と語り合った。 + ヨセフの兄弟たちが来たという知らせが、パロの家に伝えられると、パロもその家臣たちも喜んだ。 + パロはヨセフに言った。「あなたの兄弟たちに言いなさい。『こうしなさい。あなたがたの家畜に荷を積んで、すぐカナンの地へ行き、 + あなたがたの父と家族とを連れて、私のもとへ来なさい。私はあなたがたにエジプトの最良の地を与え、地の最も良い物を食べさせる。』 + あなたは命じなさい。『こうしなさい。子どもたちと妻たちのために、エジプトの地から車を持って行き、あなたがたの父を乗せて来なさい。 + 家財に未練を残してはならない。エジプト全土の最良の物は、あなたがたのものだから』と。」 + イスラエルの子らは、そのようにした。ヨセフはパロの命により、彼らに車を与え、また道中のための食糧をも与えた。 + 彼らすべてにめいめい晴れ着を与えたが、ベニヤミンには銀三百枚と晴れ着五枚とを与えた。 + 父には次のような物を贈った。エジプトの最良の物を積んだ十頭のろば、それと穀物とパンと父の道中の食糧とを積んだ十頭の雌ろばであった。 + こうしてヨセフは兄弟たちを送り出し、彼らが出発するとき、彼らに言った。「途中で言い争わないでください。」 + 彼らはこうしてエジプトから上って、カナンの地に入り、彼らの父ヤコブのもとへ行った。 + 彼らは父に告げて言った。「ヨセフはまだ生きています。しかもエジプト全土を支配しているのは彼です。」しかし父はぼんやりしていた。彼らを信じることができなかったからである。 + 彼らはヨセフが話したことを残らず話して聞かせ、彼はヨセフが自分を乗せるために送ってくれた車を見た。すると彼らの父ヤコブは元気づいた。 + イスラエルは言った。「それで十分だ。私の子ヨセフがまだ生きているとは。私は死なないうちに彼に会いに行こう。」 + + + イスラエルは、彼に属するすべてのものといっしょに出発し、ベエル・シェバに来たとき、父イサクの神にいけにえをささげた。 + 神は、夜の幻の中でイスラエルに、「ヤコブよ、ヤコブよ」と言って呼ばれた。彼は答えた。「はい。ここにいます。」 + すると仰せられた。「わたしは神、あなたの父の神である。エジプトに下ることを恐れるな。わたしはそこで、あなたを大いなる国民にするから。 + わたし自身があなたといっしょにエジプトに下り、また、わたし自身が必ずあなたを再び導き上る。ヨセフの手はあなたの目を閉じてくれるであろう。」 + それから、ヤコブはベエル・シェバを立った。イスラエルの子らは、ヤコブを乗せるためにパロが送った車に、父ヤコブと自分たちの子や妻を乗せ、 + また彼らは家畜とカナンの地で得た財産も持って行った。こうしてヤコブはそのすべての子孫といっしょにエジプトに来た。 + すなわち、彼は、自分の息子たちと孫たち、自分の娘たちと孫娘たち、こうしてすべての子孫を連れてエジプトに来た。 + エジプトに来たイスラエルの子――ヤコブとその子――の名は次のとおりである。ヤコブの長子ルベン。 + ルベンの子はエノク、パル、ヘツロン、カルミ。 + シメオンの子はエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ツォハル、カナンの女の産んだ子サウル。 + レビの子はゲルション、ケハテ、メラリ。 + ユダの子はエル、オナン、シェラ、ペレツ、ゼラフ。しかしエルとオナンはカナンの地で死んだ。ペレツの子はヘツロンとハムルであった。 + イッサカルの子はトラ、プワ、ヨブ、シムロン。 + ゼブルンの子はセレデ、エロン、ヤフレエル。 + これらはレアがパダン・アラムでヤコブに産んだ子で、それにその娘ディナがあり、彼の息子、娘たちの総勢は三十三人。 + ガドの子はツィフヨン、ハギ、シュニ、エツボン、エリ、アロディ、アルエリ。 + アシェルの子はイムナ、イシュワ、イシュビ、ベリアとその妹セラフ。ベリアの子はヘベル、マルキエル。 + これらは、ラバンが娘レアに与えたジルパの子である。彼女がヤコブに産んだのは十六人であった。 + ヤコブの妻ラケルの子はヨセフとベニヤミンである。 + ヨセフにはエジプトの地で子どもが生まれた。それはオンの祭司ポティ・フェラの娘アセナテが彼に産んだマナセとエフライムである。 + ベニヤミンの子はベラ、ベケル、アシュベル、ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシュ、ムピム、フピム、アルデ。 + これらはラケルがヤコブに産んだ子で、みなで十四人である。 + ダンの子はフシム。 + ナフタリの子はヤフツェエル、グニ、エツェル、シレム。 + これらはラバンが娘ラケルに与えたビルハの子である。彼女がヤコブに産んだのはみなで七人であった。 + ヤコブに属する者、すなわち、ヤコブから生まれた子でエジプトへ行った者は、ヤコブの息子たちの妻は別として、みなで六十六人であった。 + エジプトでヨセフに生まれた子らはふたりで、エジプトに行ったヤコブの家族はみなで七十人であった。 + さて、ヤコブはユダを先にヨセフのところに遣わしてゴシェンへの道を示させた。それから彼らはゴシェンの地に行った。 + ヨセフは車を整え、父イスラエルを迎えるためにゴシェンへ上った。そして父に会うなり、父の首に抱きつき、その首にすがって泣き続けた。 + イスラエルはヨセフに言った。「もう今、私は死んでもよい。この目であなたが生きているのを見たからには。」 + ヨセフは兄弟たちや父の家族の者たちに言った。「私はパロのところに知らせに行き、申しましょう。『カナンの地にいた私の兄弟と父の家族の者たちが私のところに来ました。 + この人たちは羊を飼う者です。家畜を飼っていた者です。彼らは、自分たちの羊と牛と彼らのものすべてを連れて来ました。』 + パロがあなたがたを呼び寄せて、『あなたがたの職業は何か』と聞くようなときには、 + あなたがたは答えなさい。『あなたのしもべどもは若い時から今まで、私たちも、また私たちの先祖も家畜を飼う者でございます』と。そうすれば、あなたがたはゴシェンの地に住むことができるでしょう。羊を飼う者はすべて、エジプト人に忌みきらわれているからです。」 + + + ヨセフはパロのところに行き、告げて言った。「私の父と兄弟たちと、羊の群れ、牛の群れ、そして彼らのものすべてがカナンの地からまいりました。そして今ゴシェンの地におります。」 + 彼は兄弟の中から五人を連れて、パロに引き合わせた。 + パロはヨセフの兄弟たちに尋ねた。「あなたがたの職業は何か。」彼らはパロに答えた。「あなたのしもべどもは羊を飼う者で、私たちも、また私たちの先祖もそうでございます。」 + 彼らはまたパロに言った。「この地に寄留しようとして私たちはまいりました。カナンの地はききんが激しくて、しもべどもの羊のための牧草がございませんので。それでどうか、あなたのしもべどもをゴシェンの地に住ませてください。」 + その後、パロはヨセフに言った。「あなたの父と兄弟たちとがあなたのところに来た。 + エジプトの地はあなたの前にある。最も良い地にあなたの父と兄弟たちとを住ませなさい。彼らはゴシェンの地に住むようにしなさい。もし彼らの中に力のある者がいるのを知っていたら、その者を私の家畜の係長としなさい。」 + それから、ヨセフは父ヤコブを連れて来て、パロの前に立たせた。ヤコブはパロにあいさつした。 + パロはヤコブに尋ねた。「あなたの年は、幾つになりますか。」 + ヤコブはパロに答えた。「私のたどった年月は百三十年です。私の齢の年月はわずかで、ふしあわせで、私の先祖のたどった齢の年月には及びません。」 + ヤコブはパロにあいさつして、パロの前を立ち去った。 + ヨセフは、パロの命じたとおりに、彼の父と兄弟たちを住ませ、彼らにエジプトの地で最も良い地、ラメセスの地を所有として与えた。 + またヨセフは父や兄弟たちや父の全家族、幼い子どもに至るまで、食物を与えて養った。 + ききんが非常に激しかったので、全地に食物がなく、エジプトの地もカナンの地もききんのために衰え果てた。 + それで、ヨセフはエジプトの地とカナンの地にあったすべての銀を集めた。それは人々が買った穀物の代金であるが、ヨセフはその銀をパロの家に納めた。 + エジプトの地とカナンの地に銀が尽きたとき、エジプト人がみなヨセフのところに来て言った。「私たちに食物を下さい。銀が尽きたからといって、どうして私たちがあなたさまの前に死んでよいでしょう。」 + ヨセフは言った。「あなたがたの家畜をよこしなさい。銀が尽きたのなら、家畜と引き替えに与えよう。」 + 彼らがヨセフのところに家畜を引いて来たので、ヨセフは馬、羊の群れ、牛の群れ、およびろばと引き替えに、食物を彼らに与えた。こうして彼はその年、すべての家畜と引き替えた食物で彼らを切り抜けさせた。 + やがてその年も終わり、次の年、人々はまたヨセフのところに来て言った。「私たちはあなたさまに何も隠しません。私たちの銀も尽き、家畜の群れもあなたさまのものになったので、私たちのからだと農地のほかには、あなたさまの前に何も残っていません。 + 私たちはどうして農地といっしょにあなたさまの前で死んでよいでしょう。食物と引き替えに私たちと私たちの農地とを買い取ってください。私たちは農地といっしょにパロの奴隷となりましょう。どうか種を下さい。そうすれば私たちは生きて、死なないでしょう。そして、土地も荒れないでしょう。」 + それでヨセフはエジプトの全農地を、パロのために買い取った。ききんがエジプト人にきびしかったので、彼らがみな、その畑地を売ったからである。こうしてその土地はパロのものとなった。 + 彼は民を、エジプトの領土の端から端まで町々に移動させた。 + ただ祭司たちの土地は買い取らなかった。祭司たちにはパロからの給与があって、彼らはパロが与える給与によって生活していたので、その土地を売らなかったからである。 + ヨセフは民に言った。「私は、今、あなたがたとあなたがたの土地を買い取って、パロのものとしたのだから。さあ、ここにあなたがたへの種がある。これを地に蒔かなければならない。 + 収穫の時になったら、その五分の一はパロに納め、五分の四はあなたがたのものとし、畑の種のため、またあなたがたの食糧のため、またあなたがたの家族の者のため、またあなたがたの幼い子どもたちの食糧としなければならない。」 + すると彼らは言った。「あなたさまは私たちを生かしてくださいました。私たちは、あなたのお恵みをいただいてパロの奴隷となりましょう。」 + ヨセフはエジプトの土地について、五分の一はパロのものとしなくてはならないとの一つのおきてを定めた。これは今日に及んでいる。ただし祭司の土地だけはパロのものとならなかった。 + さて、イスラエルはエジプトの国でゴシェンの地に住んだ。彼らはそこに所有地を得、多くの子を生み、非常にふえた。 + ヤコブはエジプトの地で十七年生きながらえたので、ヤコブの一生の年は百四十七年であった。 + イスラエルに死ぬべき日が近づいたとき、その子ヨセフを呼び寄せて言った。「もしあなたの心にかなうなら、どうかあなたの手を私のももの下に入れ、私に愛と真実を尽くしてくれ。どうか私をエジプトの地に葬らないでくれ。 + 私が先祖たちとともに眠りについたなら、私をエジプトから運び出して、先祖たちの墓に葬ってくれ。」するとヨセフは言った。「私はきっと、あなたの言われたとおりにいたします。」 + それでイスラエルは言った。「私に誓ってくれ。」そこでヨセフは彼に誓った。イスラエルは床に寝たまま、おじぎをした。 + + + これらのことの後、ヨセフに「あなたの父上は病気です」と告げる者があったので、彼はそのふたりの子、マナセとエフライムを連れて行った。 + ある人がヤコブに告げて、「あなたの子ヨセフがあなたのもとにおいでです」と言ったので、イスラエルは力をふりしぼって床にすわった。 + ヤコブはヨセフに言った。「全能の神がカナンの地ルズで私に現れ、私を祝福して、 + 私に仰せられた。『わたしはあなたに多くの子を与えよう。あなたをふやし、あなたを多くの民のつどいとし、またこの地をあなたの後の子孫に与え、永久の所有としよう。』 + 今、私がエジプトに来る前に、エジプトの地で生まれたあなたのふたりの子は、私の子となる。エフライムとマナセはルベンやシメオンと同じように私の子にする。 + しかしあとからあなたに生まれる子どもたちはあなたのものになる。しかし、彼らが家を継ぐ場合、彼らは、彼らの兄たちの名を名のらなければならない。 + 私のことを言えば、私がパダンから帰って来たとき、その途上カナンの地で、悲しいことに、ラケルが死んだ。そこからエフラテに行くには、なお道のりがあったが、私はエフラテ、すなわちベツレヘムへの道のその場所に彼女を葬った。」 + イスラエルはヨセフの子らに気づいて言った。「これはだれか。」 + ヨセフは父に答えた。「神がここで私に授けてくださった子どもです。」すると父は、「彼らを私のところに連れて来なさい。私は彼らを祝福しよう」と言った。 + イスラエルの目は老齢のためにかすんでいて、見ることができなかった。それでヨセフが彼らを父のところに近寄らせると、父は彼らに口づけし、彼らを抱いた。 + イスラエルはヨセフに言った。「私はあなたの顔が見られようとは思わなかったのに、今こうして、神はあなたの子どもをも私に見させてくださった。」 + ヨセフはヤコブのひざから彼らを引き寄せて、顔を地につけて、伏し拝んだ。 + それからヨセフはふたりを、エフライムは自分の右手に取ってイスラエルの左手に向かわせ、マナセは自分の左手に取ってイスラエルの右手に向かわせて、彼に近寄らせた。 + すると、イスラエルは、右手を伸ばして、弟であるエフライムの頭の上に置き、左手をマナセの頭の上に置いた。マナセが長子であるのに、彼は手を交差して置いたのである。 + それから、ヨセフを祝福して言った。「私の先祖アブラハムとイサクが、その御前に歩んだ神。きょうのこの日まで、ずっと私の羊飼いであられた神。 + すべてのわざわいから私を贖われた御使い。この子どもたちを祝福してください。私の名が先祖アブラハムとイサクの名とともに、彼らのうちにとなえ続けられますように。また彼らが地のまなかで、豊かにふえますように。」 + ヨセフは父が右手をエフライムの頭の上に置いたのを見て、それはまちがっていると思い、父の手をつかんで、それをエフライムの頭からマナセの頭へ移そうとした。 + ヨセフは父に言った。「父上。そうではありません。こちらが長子なのですから、あなたの右の手を、こちらの頭に置いてください。」 + しかし、父は拒んで言った。「わかっている。わが子よ。私にはわかっている。彼もまた一つの民となり、また大いなる者となるであろう。しかし弟は彼よりも大きくなり、その子孫は国々を満たすほど多くなるであろう。」 + そして彼はその日、彼らを祝福して言った。「あなたがたによって、イスラエルは祝福のことばを述べる。『神があなたをエフライムやマナセのようになさるように。』」こうして、彼はエフライムをマナセの先にした。 + イスラエルはヨセフに言った。「私は今、死のうとしている。しかし、神はあなたがたとともにおられ、あなたがたをあなたがたの先祖の地に帰してくださる。 + 私は、あなたの兄弟よりも、むしろあなたに、私が剣と弓とをもってエモリ人の手から取ったあのシェケムを与えよう。」 + + + ヤコブはその子らを呼び寄せて言った。「集まりなさい。私は終わりの日に、あなたがたに起こることを告げよう。 + ヤコブの子らよ。集まって聞け。あなたがたの父イスラエルに聞け。 + ルベンよ。あなたはわが長子。わが力、わが力の初めの実。すぐれた威厳とすぐれた力のある者。 + だが、水のように奔放なので、もはや、あなたは他をしのぐことがない。あなたは父の床に上り、そのとき、あなたは汚したのだ。――彼は私の寝床に上った―― + シメオンとレビとは兄弟、彼らの剣は暴虐の道具。 + わがたましいよ。彼らの仲間に加わるな。わが心よ。彼らのつどいに連なるな。彼らは怒りにまかせて人を殺し、ほしいままに牛の足の筋を切ったから。 + のろわれよ。彼らの激しい怒りと、彼らのはなはだしい憤りとは。私は彼らをヤコブの中で分け、イスラエルの中に散らそう。 + ユダよ。兄弟たちはあなたをたたえ、あなたの手は敵のうなじの上にあり、あなたの父の子らはあなたを伏し拝む。 + ユダは獅子の子。わが子よ。あなたは獲物によって成長する。雄獅子のように、また雌獅子のように、彼はうずくまり、身を伏せる。だれがこれを起こすことができようか。 + 王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない。ついにはシロが来て、国々の民は彼に従う。 + 彼はそのろばをぶどうの木につなぎ、その雌ろばの子を、良いぶどうの木につなぐ。彼はその着物を、ぶどう酒で洗い、その衣をぶどうの血で洗う。 + その目はぶどう酒によって曇り、その歯は乳によって白い。 + ゼブルンは海辺に住み、そこは船の着く岸辺。その背中はシドンにまで至る。 + イッサカルはたくましいろばで、彼は二つの鞍袋の間に伏す。 + 彼は、休息がいかにも好ましく、その地が、いかにも麗しいのを見た。しかし、彼の肩は重荷を負ってたわみ、苦役を強いられる奴隷となった。 + ダンはおのれの民をさばくであろう、イスラエルのほかの部族のように。 + ダンは、道のかたわらの蛇、小道のほとりのまむしとなって、馬のかかとをかむ。それゆえ、乗る者はうしろに落ちる。 + 主よ。私はあなたの救いを待ち望む。 + ガドについては、襲う者が彼を襲うが、彼はかえって彼らのかかとを襲う。 + アシェルには、その食物が豊かになり、彼は王のごちそうを作り出す。 + ナフタリは放たれた雌鹿で、美しい子鹿を産む。 + ヨセフは実を結ぶ若枝、泉のほとりの実を結ぶ若枝、その枝は垣を越える。 + 弓を射る者は彼を激しく攻め、彼を射て、悩ました。 + しかし、彼の弓はたるむことなく、彼の腕はすばやい。これはヤコブの全能者の手により、それはイスラエルの岩なる牧者による。 + あなたを助けようとされるあなたの父の神により、また、あなたを祝福しようとされる全能者によって。その祝福は上よりの天の祝福、下に横たわる大いなる水の祝福、乳房と胎の祝福。 + あなたの父の祝福は、私の親たちの祝福にまさり、永遠の丘のきわみにまで及ぶ。これらがヨセフのかしらの上にあり、その兄弟たちから選び出された者の頭上にあるように。 + ベニヤミンはかみ裂く狼。朝には獲物を食らい、夕には略奪したものを分ける。」 + これらすべてはイスラエルの部族で、十二であった。これは彼らの父が彼らに語ったことである。彼は彼らを祝福したとき、おのおのにふさわしい祝福を与えたのであった。 + 彼はまた彼らに命じて言った。「私は私の民に加えられようとしている。私をヘテ人エフロンの畑地にあるほら穴に、私の先祖たちといっしょに葬ってくれ。 + そのほら穴は、カナンの地のマムレに面したマクペラの畑地にあり、アブラハムがヘテ人エフロンから私有の墓地とするために、畑地とともに買い取ったものだ。 + そこには、アブラハムとその妻サラとが葬られ、そこに、イサクと妻リベカも葬られ、そこに私はレアを葬った。 + その畑地とその中にあるほら穴は、ヘテ人たちから買ったものである。」 + ヤコブは子らに命じ終わると、足を床の中に入れ、息絶えて、自分の民に加えられた。 + + + ヨセフは父の顔に取りすがって泣き、父に口づけした。 + ヨセフは彼のしもべである医者たちに、父をミイラにするように命じたので、医者たちはイスラエルをミイラにした。 + そのために四十日を要した。ミイラにするにはこれだけの日数が必要だった。エジプトは彼のために七十日間、泣き悲しんだ。 + その喪の期間が明けたとき、ヨセフはパロの家の者に告げて言った。「もし私の願いを聞いてくれるのなら、どうかパロの耳に、こう言って伝えてほしい。 + 私の父は私に誓わせて、『私は死のうとしている。私がカナンの地に掘っておいた私の墓の中に、そこに、必ず私を葬らなければならない』と申しました。どうか今、私に父を葬りに上って行かせてください。私はまた帰って来ます、と。」 + パロは言った。「あなたの父があなたに誓わせたように、上って行ってあなたの父を葬りなさい。」 + そこで、ヨセフは父を葬るために上って行った。彼とともにパロのすべての家臣たち、パロの家の長老たち、エジプトの国のすべての長老たち、 + ヨセフの全家族とその兄弟たちおよび父の家族たちも上って行った。ただ、彼らの子どもと羊と牛はゴシェンの地に残した。 + また戦車と騎兵も、彼とともに上って行ったので、その一団は非常に大きなものであった。 + 彼らはヨルダンの向こうの地ゴレン・ハアタデに着いた。そこで彼らは非常に荘厳な、りっぱな哀悼の式を行い、ヨセフは父のため七日間、葬儀を行った。 + その地の住民のカナン人は、ゴレン・ハアタデのこの葬儀を見て、「これはエジプトの荘厳な葬儀だ」と言った。それゆえ、そこの名はアベル・ミツライムと呼ばれた。これはヨルダンの向こうの地にある。 + こうしてヤコブの子らは、命じられたとおりに父のために行った。 + その子らは彼をカナンの地に運び、マクペラの畑地のほら穴に彼を葬った。そこはアブラハムがヘテ人エフロンから私有の墓地とするために、畑地とともに買ったもので、マムレに面している。 + ヨセフは父を葬って後、その兄弟たちおよび、父を葬るために彼といっしょに上って行ったすべての者とともに、エジプトに帰った。 + ヨセフの兄弟たちが、彼らの父が死んだのを見たとき、彼らは、「ヨセフはわれわれを恨んで、われわれが彼に犯したすべての悪の仕返しをするかもしれない」と言った。 + そこで彼らはことづけしてヨセフに言った。「あなたの父は死ぬ前に命じて言われました。 + 『ヨセフにこう言いなさい。あなたの兄弟たちは実に、あなたに悪いことをしたが、どうか、あなたの兄弟たちのそむきと彼らの罪を赦してやりなさい、と。』今、どうか、あなたの父の神のしもべたちのそむきを赦してください。」ヨセフは彼らのこのことばを聞いて泣いた。 + 彼の兄弟たちも来て、彼の前にひれ伏して言った。「私たちはあなたの奴隷です。」 + ヨセフは彼らに言った。「恐れることはありません。どうして、私が神の代わりでしょうか。 + あなたがたは、私に悪を計りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとなさいました。それはきょうのようにして、多くの人々を生かしておくためでした。 + ですから、もう恐れることはありません。私は、あなたがたや、あなたがたの子どもたちを養いましょう。」こうして彼は彼らを慰め、優しく語りかけた。 + ヨセフとその父の家族とはエジプトに住み、ヨセフは百十歳まで生きた。 + ヨセフはエフライムの三代の子孫を見た。マナセの子マキルの子らも生まれて、ヨセフのひざに抱かれた。 + ヨセフは兄弟たちに言った。「私は死のうとしている。神は必ずあなたがたを顧みて、この地からアブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地へ上らせてくださいます。」 + そうして、ヨセフはイスラエルの子らに誓わせて、「神は必ずあなたがたを顧みてくださるから、そのとき、あなたがたは私の遺体をここから携え上ってください」と言った。 + ヨセフは百十歳で死んだ。彼らはヨセフをエジプトでミイラにし、棺に納めた。 + +
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+ + さて、ヤコブといっしょに、それぞれ自分の家族を連れて、エジプトへ行ったイスラエルの子たちの名は次のとおりである。 + ルベン、シメオン、レビ、ユダ。 + イッサカル、ゼブルンと、ベニヤミン。 + ダンとナフタリ。ガドとアシェル。 + ヤコブから生まれた者の総数は七十人であった。ヨセフはすでにエジプトにいた。 + そしてヨセフもその兄弟たちも、またその時代の人々もみな死んだ。 + イスラエル人は多産だったので、おびただしくふえ、すこぶる強くなり、その地は彼らで満ちた。 + さて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトに起こった。 + 彼は民に言った。「見よ。イスラエルの民は、われわれよりも多く、また強い。 + さあ、彼らを賢く取り扱おう。彼らが多くなり、いざ戦いというときに、敵側についてわれわれと戦い、この地から出て行くといけないから。」 + そこで、彼らを苦役で苦しめるために、彼らの上に労務の係長を置き、パロのために倉庫の町ピトムとラメセスを建てた。 + しかし苦しめれば苦しめるほど、この民はますますふえ広がったので、人々はイスラエル人を恐れた。 + それでエジプトはイスラエル人に過酷な労働を課し、 + 粘土やれんがの激しい労働や、畑のあらゆる労働など、すべて、彼らに課する過酷な労働で、彼らの生活を苦しめた。 + また、エジプトの王は、ヘブル人の助産婦たちに言った。そのひとりの名はシフラ、もうひとりの名はプアであった。 + 彼は言った。「ヘブル人の女に分娩させるとき、産み台の上を見て、もしも男の子なら、それを殺さなければならない。女の子なら、生かしておくのだ。」 + しかし、助産婦たちは神を恐れ、エジプトの王が命じたとおりにはせず、男の子を生かしておいた。 + そこで、エジプトの王はその助産婦たちを呼び寄せて言った。「なぜこのようなことをして、男の子を生かしておいたのか。」 + 助産婦たちはパロに答えた。「ヘブル人の女はエジプト人の女と違って活力があるので、助産婦が行く前に産んでしまうのです。」 + 神はこの助産婦たちによくしてくださった。それで、イスラエルの民はふえ、非常に強くなった。 + 助産婦たちは神を恐れたので、神は彼女たちの家を栄えさせた。 + また、パロは自分のすべての民に命じて言った。「生まれた男の子はみな、ナイルに投げ込まなければならない。女の子はみな、生かしておかなければならない。」 + + + さて、レビの家のひとりの人がレビ人の娘をめとった。 + 女はみごもって、男の子を産んだが、そのかわいいのを見て、三か月の間その子を隠しておいた。 + しかしもう隠しきれなくなったので、パピルス製のかごを手に入れ、それに瀝青と樹脂とを塗って、その子を中に入れ、ナイルの岸の葦の茂みの中に置いた。 + その子の姉が、その子がどうなるかを知ろうとして、遠く離れて立っていたとき、 + パロの娘が水浴びをしようとナイルに降りて来た。彼女の侍女たちはナイルの川辺を歩いていた。彼女は葦の茂みにかごがあるのを見、はしためをやって、それを取って来させた。 + それをあけると、子どもがいた。なんと、それは男の子で、泣いていた。彼女はその子をあわれに思い、「これはきっとヘブル人の子どもです」と言った。 + そのとき、その子の姉がパロの娘に言った。「あなたに代わって、その子に乳を飲ませるため、私が行って、ヘブル女のうばを呼んでまいりましょうか。」 + パロの娘が「そうしておくれ」と言ったので、おとめは行って、その子の母を呼んで来た。 + パロの娘は彼女に言った。「この子を連れて行き、私に代わって乳を飲ませてください。私があなたの賃金を払いましょう。」それで、その女はその子を引き取って、乳を飲ませた。 + その子が大きくなったとき、女はその子をパロの娘のもとに連れて行った。その子は王女の息子になった。彼女はその子をモーセと名づけた。彼女は、「水の中から、私がこの子を引き出したのです」と言ったからである。 + こうして日がたち、モーセがおとなになったとき、彼は同胞のところへ出て行き、その苦役を見た。そのとき、自分の同胞であるひとりのヘブル人を、あるエジプト人が打っているのを見た。 + あたりを見回し、ほかにだれもいないのを見届けると、彼はそのエジプト人を打ち殺し、これを砂の中に隠した。 + 次の日、また外に出てみると、なんと、ふたりのヘブル人が争っているではないか。そこで彼は悪いほうに「なぜ自分の仲間を打つのか」と言った。 + するとその男は、「だれがあなたを私たちのつかさやさばきつかさにしたのか。あなたはエジプト人を殺したように、私も殺そうと言うのか」と言った。そこでモーセは恐れて、きっとあのことが知れたのだと思った。 + パロはこのことを聞いて、モーセを殺そうと捜し求めた。しかし、モーセはパロのところからのがれ、ミデヤンの地に住んだ。彼は井戸のかたわらにすわっていた。 + ミデヤンの祭司に七人の娘がいた。彼女たちが父の羊の群れに水を飲ませるために来て、水を汲み、水ぶねに満たしていたとき、 + 羊飼いたちが来て、彼女たちを追い払った。すると、モーセは立ち上がり、彼女たちを救い、その羊の群れに水を飲ませた。 + 彼女たちが父レウエルのところに帰ったとき、父は言った。「どうしてきょうはこんなに早く帰って来たのか。」 + 彼女たちは答えた。「ひとりのエジプト人が私たちを羊飼いたちの手から救い出してくれました。そのうえその人は、私たちのために水まで汲み、羊の群れに飲ませてくれました。」 + 父は娘たちに言った。「その人はどこにいるのか。どうしてその人を置いて来てしまったのか。食事をあげるためにその人を呼んで来なさい。」 + モーセは、思い切ってこの人といっしょに住むようにした。そこでその人は娘のチッポラをモーセに与えた。 + 彼女は男の子を産んだ。彼はその子をゲルショムと名づけた。「私は外国にいる寄留者だ」と言ったからである。 + それから何年もたって、エジプトの王は死んだ。イスラエル人は労役にうめき、わめいた。彼らの労役の叫びは神に届いた。 + 神は彼らの嘆きを聞かれ、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた。 + 神はイスラエル人をご覧になった。神はみこころを留められた。 + + + モーセは、ミデヤンの祭司で彼のしゅうと、イテロの羊を飼っていた。彼はその群れを荒野の西側に追って行き、神の山ホレブにやって来た。 + すると主の使いが彼に、現れた。柴の中の火の炎の中であった。よく見ると、火で燃えていたのに柴は焼け尽きなかった。 + モーセは言った。「なぜ柴が燃えていかないのか、あちらへ行ってこの大いなる光景を見ることにしよう。」 + 主は彼が横切って見に来るのをご覧になった。神は柴の中から彼を呼び、「モーセ、モーセ」と仰せられた。彼は「はい。ここにおります」と答えた。 + 神は仰せられた。「ここに近づいてはいけない。あなたの足のくつを脱げ。あなたの立っている場所は、聖なる地である。」 + また仰せられた。「わたしは、あなたの父の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。」モーセは神を仰ぎ見ることを恐れて、顔を隠した。 + 主は仰せられた。「わたしは、エジプトにいるわたしの民の悩みを確かに見、追い使う者の前の彼らの叫びを聞いた。わたしは彼らの痛みを知っている。 + わたしが下って来たのは、彼らをエジプトの手から救い出し、その地から、広い良い地、乳と蜜の流れる地、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人のいる所に、彼らを上らせるためだ。 + 見よ。今こそ、イスラエル人の叫びはわたしに届いた。わたしはまた、エジプトが彼らをしいたげているそのしいたげを見た。 + 今、行け。わたしはあなたをパロのもとに遣わそう。わたしの民イスラエル人をエジプトから連れ出せ。」 + モーセは神に申し上げた。「私はいったい何者なのでしょう。パロのもとに行ってイスラエル人をエジプトから連れ出さなければならないとは。」 + 神は仰せられた。「わたしはあなたとともにいる。これがあなたのためのしるしである。わたしがあなたを遣わすのだ。あなたが民をエジプトから導き出すとき、あなたがたは、この山で、神に仕えなければならない。」 + モーセは神に申し上げた。「今、私はイスラエル人のところに行きます。私が彼らに『あなたがたの父祖の神が、私をあなたがたのもとに遣わされました』と言えば、彼らは、『その名は何ですか』と私に聞くでしょう。私は、何と答えたらよいのでしょうか。」 + 神はモーセに仰せられた。「わたしは、『わたしはある』という者である。」また仰せられた。「あなたはイスラエル人にこう告げなければならない。『わたしはあるという方が、私をあなたがたのところに遣わされた』と。」 + 神はさらにモーセに仰せられた。「イスラエル人に言え。あなたがたの父祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神、主が、私をあなたがたのところに遣わされた、と言え。これが永遠にわたしの名、これが代々にわたってわたしの呼び名である。 + 行って、イスラエルの長老たちを集めて、彼らに言え。あなたがたの父祖の神、アブラハム、イサク、ヤコブの神、主が、私に現れて仰せられた。『わたしはあなたがたのこと、またエジプトであなたがたがどういうしうちを受けているかを確かに心に留めた。 + それで、わたしはあなたがたをエジプトでの悩みから救い出し、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の地、乳と蜜の流れる地へ上らせると言ったのである。』 + 彼らはあなたの声に聞き従おう。あなたはイスラエルの長老たちといっしょにエジプトの王のところに行き、彼に『ヘブル人の神、主が私たちとお会いになりました。どうか今、私たちに荒野へ三日の道のりの旅をさせ、私たちの神、主にいけにえをささげさせてください』と言え。 + しかし、エジプトの王は強いられなければ、あなたがたを行かせないのを、わたしはよく知っている。 + わたしはこの手を伸ばし、エジプトのただ中で行うあらゆる不思議で、エジプトを打とう。こうしたあとで、彼はあなたがたを去らせよう。 + わたしは、エジプトがこの民に好意を持つようにする。あなたがたは出て行くとき、何も持たずに出て行ってはならない。 + 女はみな、隣の女、自分の家に宿っている女に銀の飾り、金の飾り、それに着物を求め、あなたがたはそれを自分の息子や娘の身に着けなければならない。あなたがたは、エジプトからはぎ取らなければならない。」 + + + モーセは答えて申し上げた。「ですが、彼らは私を信ぜず、また私の声に耳を傾けないでしょう。『主はあなたに現れなかった』と言うでしょうから。」 + 主は彼に仰せられた。「あなたの手にあるそれは何か。」彼は答えた。「杖です。」 + すると仰せられた。「それを地に投げよ。」彼がそれを地に投げると、杖は蛇になった。モーセはそれから身を引いた。 + 主はまた、モーセに仰せられた。「手を伸ばして、その尾をつかめ。」彼が手を伸ばしてそれを握ったとき、それは手の中で杖になった。 + 「これは、彼らの父祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神、主があなたに現れたことを、彼らが信じるためである。」 + 主はなおまた、彼に仰せられた。「手をふところに入れよ。」彼は手をふところに入れた。そして、出した。なんと、彼の手はツァラアトに冒され、雪のようになっていた。 + また、主は仰せられた。「あなたの手をもう一度ふところに入れよ。」そこで彼はもう一度手をふところに入れた。そして、ふところから出した。なんと、それは再び彼の肉のようになっていた。 + 「たとい彼らがあなたを信ぜず、また初めのしるしの声に聞き従わなくても、後のしるしの声は信じるであろう。 + もしも彼らがこの二つのしるしをも信ぜず、あなたの声にも聞き従わないなら、ナイルから水を汲んで、それをかわいた土に注がなければならない。あなたがナイルから汲んだその水は、かわいた土の上で血となる。」 + モーセは主に申し上げた。「ああ主よ。私はことばの人ではありません。以前からそうでしたし、あなたがしもべに語られてからもそうです。私は口が重く、舌が重いのです。」 + 主は彼に仰せられた。「だれが人に口をつけたのか。だれが口をきけなくし、耳を聞こえなくし、あるいは、目を開いたり、盲目にしたりするのか。それはこのわたし、主ではないか。 + さあ行け。わたしがあなたの口とともにあって、あなたの言うべきことを教えよう。」 + すると申し上げた。「ああ主よ。どうかほかの人を遣わしてください。」 + すると、主の怒りがモーセに向かって燃え上がり、こう仰せられた。「あなたの兄、レビ人アロンがいるではないか。わたしは彼がよく話すことを知っている。今、彼はあなたに会いに出て来ている。あなたに会えば、心から喜ぼう。 + あなたが彼に語り、その口にことばを置くなら、わたしはあなたの口とともにあり、彼の口とともにあって、あなたがたのなすべきことを教えよう。 + 彼があなたに代わって民に語るなら、彼はあなたの口の代わりとなり、あなたは彼に対して神の代わりとなる。 + あなたはこの杖を手に取り、これでしるしを行わなければならない。」 + それで、モーセはしゅうとのイテロのもとに帰り、彼に言った。「どうか私をエジプトにいる親類のもとに帰らせ、彼らがまだ生きながらえているかどうか見させてください。」イテロはモーセに「安心して行きなさい」と答えた。 + 主はミデヤンでモーセに仰せられた。「エジプトに帰って行け。あなたのいのちを求めていた者は、みな死んだ。」 + そこで、モーセは妻や息子たちを連れ、彼らをろばに乗せてエジプトの地へ帰った。モーセは手に神の杖を持っていた。 + 主はモーセに仰せられた。「エジプトに帰って行ったら、わたしがあなたの手に授けた不思議を、ことごとく心に留め、それをパロの前で行え。しかし、わたしは彼の心をかたくなにする。彼は民を去らせないであろう。 + そのとき、あなたはパロに言わなければならない。/主はこう仰せられる。『イスラエルはわたしの子、わたしの初子である。 + そこでわたしはあなたに言う。わたしの子を行かせて、わたしに仕えさせよ。もし、あなたが拒んで彼を行かせないなら、見よ、わたしはあなたの子、あなたの初子を殺す。』」 + さて、途中、一夜を明かす場所でのことだった。主はモーセに会われ、彼を殺そうとされた。 + そのとき、チッポラは火打石を取って、自分の息子の包皮を切り、それをモーセの両足につけ、そして言った。「まことにあなたは私にとって血の花婿です。」 + そこで、主はモーセを放された。彼女はそのとき割礼のゆえに「血の花婿」と言ったのである。 + さて、主はアロンに仰せられた。「荒野に行って、モーセに会え。」彼は行って、神の山でモーセに会い、口づけした。 + モーセは自分を遣わすときに主が語られたことばのすべてと、命じられたしるしのすべてを、アロンに告げた。 + それからモーセとアロンは行って、イスラエル人の長老たちをみな集めた。 + アロンは、主がモーセに告げられたことばをみな告げ、民の目の前でしるしを行ったので、 + 民は信じた。彼らは、主がイスラエル人を顧み、その苦しみをご覧になったことを聞いて、ひざまずいて礼拝した。 + + + その後、モーセとアロンはパロのところに行き、そして言った。「イスラエルの神、主がこう仰せられます。『わたしの民を行かせ、荒野でわたしのために祭りをさせよ。』」 + パロは答えた。「主とはいったい何者か。私がその声を聞いてイスラエルを行かせなければならないというのは。私は主を知らない。イスラエルを行かせはしない。」 + すると彼らは言った。「ヘブル人の神が私たちにお会いくださったのです。どうか今、私たちに荒野へ三日の道のりの旅をさせ、私たちの神、主にいけにえをささげさせてください。でないと、主は疫病か剣で、私たちを打たれるからです。」 + エジプトの王は彼らに言った。「モーセとアロン。おまえたちは、なぜ民に仕事をやめさせようとするのか。おまえたちの苦役に戻れ。」 + パロはまた言った。「見よ。今や彼らはこの地の人々よりも多くなっている。そしておまえたちは彼らの苦役を休ませようとしているのだ。」 + その日、パロはこの民を使う監督と人夫がしらに命じて言った。 + 「おまえたちはれんがを作るわらを、これまでのようにこの民に与えてはならない。自分でわらを集めに行かせよ。 + そしてこれまで作っていた量のれんがを作らせるのだ。それを減らしてはならない。彼らはなまけ者だ。だから、『私たちの神に、いけにえをささげに行かせてください』と言って叫んでいるのだ。 + あの者たちの労役を重くし、その仕事をさせなければならない。偽りのことばにかかわりを持たせてはいけない。」 + そこで、この民を使う監督と人夫がしらたちは出て行って、民に告げて言った。「パロはこう言われる。『私はおまえたちにわらを与えない。 + おまえたちは自分でどこへでも行ってわらを見つけて、取って来い。おまえたちの労役は少しも減らさないから。』」 + そこで、民はエジプト全土に散って、わらの代わりに刈り株を集めた。 + 監督たちは彼らをせきたてて言った。「わらがあったときと同じように、おまえたちの仕事、おまえたちのその日その日の仕事を仕上げよ。」 + パロの監督たちがこの民の上に立てたイスラエル人の人夫がしらたちは、打ちたたかれ、「なぜおまえたちは定められたれんがの分を、きのうもきょうも、これまでのように仕上げないのか」と言われた。 + そこで、イスラエル人の人夫がしらたちは、パロのところに行き、叫んで言った。「なぜあなたのしもべどもを、このように扱うのですか。 + あなたのしもべどもには、わらが与えられていません。それでも、彼らは私たちに、『れんがを作れ』と言っています。見てください。あなたのしもべどもは打たれています。しかし、いけないのはあなたの民なのです。」 + パロは言った。「おまえたちはなまけ者だ。なまけ者なのだ。だから『私たちの主にいけにえをささげに行かせてください』と言っているのだ。 + さあ、すぐに行って働け。わらは与えないが、おまえたちは割り当てどおりれんがを納めるのだ。」 + イスラエル人の人夫がしらたちは、「おまえたちのれんがのその日その日の数を減らしてはならない」と聞かされたとき、これは、悪いことになったと思った。 + 彼らはパロのところから出て来たとき、彼らを迎えに来ているモーセとアロンに出会った。 + 彼らはふたりに言った。「主があなたがたを見て、さばかれますように。あなたがたはパロやその家臣たちに私たちを憎ませ、私たちを殺すために彼らの手に剣を渡したのです。」 + それでモーセは主のもとに戻り、そして申し上げた。「主よ。なぜあなたはこの民に害をお与えになるのですか。何のために、私を遣わされたのですか。 + 私がパロのところに行って、あなたの御名によって語ってからこのかた、彼はこの民に害を与えています。それなのにあなたは、あなたの民を少しも救い出そうとはなさいません。」 + + + それで主はモーセに仰せられた。「わたしがパロにしようとしていることは、今にあなたにわかる。すなわち強い手で、彼は彼らを出て行かせる。強い手で、彼はその国から彼らを追い出してしまう。」 + 神はモーセに告げて仰せられた。「わたしは主である。 + わたしは、アブラハム、イサク、ヤコブに、全能の神として現れたが、主という名では、わたしを彼らに知らせなかった。 + またわたしは、カナンの地、すなわち彼らがとどまった在住の地を彼らに与えるという契約を彼らに立てた。 + 今わたしは、エジプトが奴隷としているイスラエル人の嘆きを聞いて、わたしの契約を思い起こした。 + それゆえ、イスラエル人に言え。わたしは主である。わたしはあなたがたをエジプトの苦役の下から連れ出し、労役から救い出す。伸ばした腕と大いなるさばきとによってあなたがたを贖う。 + わたしはあなたがたを取ってわたしの民とし、わたしはあなたがたの神となる。あなたがたは、わたしがあなたがたの神、主であり、あなたがたをエジプトの苦役の下から連れ出す者であることを知るようになる。 + わたしは、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓ったその地に、あなたがたを連れて行き、それをあなたがたの所有として与える。わたしは主である。」 + モーセはこのようにイスラエル人に話したが、彼らは落胆と激しい労役のためモーセに聞こうとはしなかった。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「エジプトの王パロのところへ行って、彼がイスラエル人をその国から去らせるように告げよ。」 + しかしモーセは主の前に訴えて言った。「ご覧ください。イスラエル人でさえ、私の言うことを聞こうとはしないのです。どうしてパロが私の言うことを聞くでしょう。私は口べたなのです。」 + そこで主はモーセとアロンに語り、イスラエル人をエジプトから連れ出すため、イスラエル人とエジプトの王パロについて彼らに命令された。 + 彼らの父祖の家のかしらたちは次のとおりである。イスラエルの長子ルベンの子はエノク、パル、ヘツロン、カルミで、これらがルベン族である。 + シメオンの子はエムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ツォハル、およびカナン人の女の子サウルで、これらがシメオン族である。 + レビの子の家系の名は、次のとおりである。ゲルション、ケハテ、メラリ。レビの一生は百三十七年であった。 + ゲルションの子の諸氏族はリブニとシムイである。 + ケハテの子はアムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエルである。ケハテの一生は百三十三年であった。 + メラリの子はマフリとムシである。これらはレビ人の諸氏族の家系である。 + アムラムは父の妹ヨケベデを妻にめとり、彼女はアロンとモーセを産んだ。アムラムの一生は百三十七年であった。 + イツハルの子はコラ、ネフェグ、ジクリである。 + ウジエルの子はミシャエル、エルツァファン、シテリである。 + アロンは、アミナダブの娘でナフションの妹であるエリシェバを妻にめとり、彼女はナダブとアビフ、エルアザルとイタマルを産んだ。 + コラの子はアシル、エルカナ、アビアサフで、これらはコラ族である。 + アロンの子エルアザルは、プティエルの娘のひとりを妻にめとり、彼女はピネハスを産んだ。これらはレビ人の諸氏族の一族のかしらたちである。 + 主が「イスラエル人を集団ごとにエジプトの地から連れ出せ」と仰せられたのは、このアロンとモーセにである。 + エジプトの王パロに向かって、イスラエル人をエジプトから連れ出すようにと言ったのは、このモーセとアロンであった。 + 主がエジプトの地でモーセに告げられたときに、 + 主はモーセに告げて仰せられた。「わたしは主である。わたしがあなたに話すことを、みな、エジプトの王パロに告げよ。」 + しかしモーセは主の前に申し上げた。「ご覧ください。私は口べたです。どうしてパロが私の言うことを聞くでしょう。」 + + + 主はモーセに仰せられた。「見よ。わたしはあなたをパロに対して神とし、あなたの兄アロンはあなたの預言者となる。 + あなたはわたしの命じることを、みな、告げなければならない。あなたの兄アロンはパロに、イスラエル人をその国から出て行かせるようにと告げなければならない。 + わたしはパロの心をかたくなにし、わたしのしるしと不思議をエジプトの地で多く行おう。 + パロがあなたがたの言うことを聞き入れないなら、わたしは、手をエジプトの上に置き、大きなさばきによって、わたしの集団、わたしの民イスラエル人をエジプトの地から連れ出す。 + わたしが手をエジプトの上に伸ばし、イスラエル人を彼らの真ん中から連れ出すとき、エジプトはわたしが主であることを知るようになる。」 + そこでモーセとアロンはそうした。主が彼らに命じられたとおりにした。 + 彼らがパロに語ったとき、モーセは八十歳、アロンは八十三歳であった。 + また主はモーセとアロンに仰せられた。 + 「パロがあなたがたに、『おまえたちの不思議を行え』と言うとき、あなたはアロンに、『その杖を取って、パロの前に投げよ』と言わなければならない。それは蛇になる。」 + モーセとアロンはパロのところに行き、主が命じられたとおりに行った。アロンが自分の杖をパロとその家臣たちの前に投げたとき、それは蛇になった。 + そこで、パロも知恵のある者と呪術者を呼び寄せた。これらのエジプトの呪法師たちもまた彼らの秘術を使って、同じことをした。 + 彼らがめいめい自分の杖を投げると、それが蛇になった。しかしアロンの杖は彼らの杖をのみこんだ。 + それでもパロの心はかたくなになり、彼らの言うことを聞き入れなかった。主が仰せられたとおりである。 + 主はモーセに仰せられた。「パロの心は強情で、民を行かせることを拒んでいる。 + あなたは朝、パロのところへ行け。見よ。彼は水のところに出て来る。あなたはナイルの岸に立って彼を迎えよ。そして、蛇に変わったあの杖を手に取って、 + 彼に言わなければならない。ヘブル人の神、主が私をあなたに遣わして仰せられます。『わたしの民を行かせ、彼らに、荒野でわたしに仕えさせよ。』ああ、しかし、あなたは今までお聞きになりませんでした。 + 主はこう仰せられます。『あなたは、次のことによって、わたしが主であることを知るようになる。』ご覧ください。私は手に持っている杖でナイルの水を打ちます。水は血に変わり、 + ナイルの魚は死に、ナイルは臭くなり、エジプト人はナイルの水をもう飲むことを忌みきらうようになります。」 + 主はまたモーセに仰せられた。「あなたはアロンに言え。あなたの杖を取り、手をエジプトの水の上、その川、流れ、池、その他すべて水の集まっている所の上に差し伸ばしなさい。そうすれば、それは血となる。また、エジプト全土にわたって、木の器や石の器にも、血があるようになる。」 + モーセとアロンは主が命じられたとおりに行った。彼はパロとその家臣の目の前で杖を上げ、ナイルの水を打った。すると、ナイルの水はことごとく血に変わった。 + ナイルの魚は死に、ナイルは臭くなり、エジプト人はナイルの水を飲むことができなくなった。エジプト全土にわたって血があった。 + しかしエジプトの呪法師たちも彼らの秘術を使って同じことをした。それで、パロの心はかたくなになり、彼らの言うことを聞こうとはしなかった。主の言われたとおりである。 + パロは身を返して自分の家に入り、これに心を留めなかった。 + 全エジプトは飲み水を求めて、ナイルのあたりを掘った。彼らはナイルの水を飲むことができなかったからである。 + 主がナイルを打たれてから七日が満ちた。 + + + 主はモーセに仰せられた。「パロのもとに行って言え。主はこう仰せられます。『わたしの民を行かせ、彼らにわたしに仕えさせるようにせよ。 + もし、あなたが行かせることを拒むなら、見よ、わたしは、あなたの全領土を、かえるをもって、打つ。 + かえるがナイルに群がり、上って来て、あなたの家に入る。あなたの寝室に、あなたの寝台に、あなたの家臣の家に、あなたの民の中に、あなたのかまどに、あなたのこね鉢に、入る。 + こうしてかえるは、あなたとあなたの民とあなたのすべての家臣の上に、はい上がる。』」 + 主はモーセに仰せられた。「アロンに言え。あなたの手に杖を持ち、川の上、流れの上、池の上に差し伸ばし、かえるをエジプトの地に、はい上がらせなさい。」 + アロンが手をエジプトの水の上に差し伸ばすと、かえるがはい上がって、エジプトの地をおおった。 + 呪法師たちも彼らの秘術を使って、同じようにかえるをエジプトの地の上に、はい上がらせた。 + パロはモーセとアロンを呼び寄せて言った。「かえるを私と私の民のところから除くように、主に祈れ。そうすれば、私はこの民を行かせる。彼らは主にいけにえをささげることができる。」 + モーセはパロに言った。「かえるがあなたとあなたの家から断ち切られ、ナイルにだけ残るように、あなたと、あなたの家臣と、あなたの民のために、私がいつ祈ったらよいのか、どうぞ言いつけてください。」 + パロが「あす」と言ったので、モーセは言った。「あなたのことばどおりになりますように。私たちの神、主のような方はほかにいないことを、あなたが知るためです。 + かえるは、あなたとあなたの家とあなたの家臣と、あなたの民から離れて、ナイルにだけ残りましょう。」 + こうしてモーセとアロンはパロのところから出て来た。モーセは、自分がパロに約束したかえるのことについて、主に叫んだ。 + 主はモーセのことばどおりにされたので、かえるは家と庭と畑から死に絶えた。 + 人々はそれらを山また山と積み上げたので、地は臭くなった。 + ところが、パロは息つく暇のできたのを見て、強情になり、彼らの言うことを聞き入れなかった。主の言われたとおりである。 + 主はモーセに仰せられた。「アロンに言え。あなたの杖を差し伸ばして、地のちりを打て。そうすれば、それはエジプトの全土で、ぶよとなろう。」 + そこで彼らはそのように行った。アロンは手を差し伸ばして、杖で地のちりを打った。すると、ぶよは人や獣についた。地のちりはみな、エジプト全土で、ぶよとなった。 + 呪法師たちもぶよを出そうと、彼らの秘術を使って同じようにしたが、できなかった。ぶよは人や獣についた。 + そこで、呪法師たちはパロに、「これは神の指です」と言った。しかしパロの心はかたくなになり、彼らの言うことを聞き入れなかった。主の言われたとおりである。 + 主はモーセに仰せられた。「あしたの朝早く、パロの前に出よ。見よ。彼は水のところに出て来る。彼にこう言え。主はこう仰せられます。『わたしの民を行かせ、彼らをわたしに仕えさせよ。 + もしもあなたがわたしの民を行かせないなら、さあ、わたしは、あぶの群れを、あなたとあなたの家臣とあなたの民の中に、またあなたの家の中に放つ。エジプトの家々も、彼らがいる土地も、あぶの群れで満ちる。 + わたしはその日、わたしの民がとどまっているゴシェンの地を特別に扱い、そこには、あぶの群れがいないようにする。それは主であるわたしが、その地の真ん中にいることを、あなたが知るためである。 + わたしは、わたしの民とあなたの民との間を区別して、救いを置く。あす、このしるしが起こる。』」 + 主がそのようにされたので、おびただしいあぶの群れが、パロの家とその家臣の家とに入って来た。エジプトの全土にわたり、地はあぶの群れによって荒れ果てた。 + パロはモーセとアロンを呼び寄せて言った。「さあ、この国内でおまえたちの神にいけにえをささげよ。」 + モーセは答えた。「そうすることは、とてもできません。なぜなら私たちは、私たちの神、主に、エジプト人の忌みきらうものを、いけにえとしてささげるからです。もし私たちがエジプト人の目の前で、その忌みきらうものを、いけにえとしてささげるなら、彼らは私たちを石で打ち殺しはしないでしょうか。 + それで私たちは荒野に三日の道のりの旅をして、私たちの神、主にいけにえをささげなければなりません。これは、主が私たちにお命じになることです。」 + パロは言った。「私は、おまえたちを行かせよう。おまえたちは荒野でおまえたちの神、主にいけにえをささげるがよい。ただ、決して遠くへ行ってはならない。私のために祈ってくれ。」 + モーセは言った。「それでは、私はあなたのところから出て行きます。私は主に祈ります。あす、あぶが、パロとその家臣とその民から離れます。ただ、パロは、重ねて欺かないようにしてください。民が主にいけにえをささげに行けないようにしないでください。」 + モーセはパロのところから出て行って主に祈った。 + 主はモーセの願ったとおりにされたので、あぶはパロとその家臣およびその民から離れた。一匹も残らなかった。 + しかし、パロはこのときも強情になり、民を行かせなかった。 + + + 主はモーセに仰せられた。「パロのところに行って、彼に言え。ヘブル人の神、主はこう仰せられます。『わたしの民を行かせて、彼らをわたしに仕えさせよ。 + もしあなたが、行かせることを拒み、なおも彼らをとどめておくなら、 + 見よ、主の手は、野にいるあなたの家畜、馬、ろば、らくだ、牛、羊の上に下り、非常に激しい疫病が起こる。 + しかし主は、イスラエルの家畜とエジプトの家畜とを区別する。それでイスラエル人の家畜は一頭も死なない。』」 + また、主は時を定めて、仰せられた。「あす、主はこの国でこのことを行う。」 + 主は翌日このことをされたので、エジプトの家畜はことごとく死に、イスラエル人の家畜は一頭も死ななかった。 + パロは使いをやった。すると、イスラエル人の家畜は一頭も死んでいなかった。それでも、パロの心は強情で、民を行かせなかった。 + 主はモーセとアロンに仰せられた。「あなたがたは、かまどのすすを両手いっぱいに取れ。モーセはパロの前で、それを天に向けてまき散らせ。 + それがエジプト全土にわたって、細かいほこりとなると、エジプト全土の人と獣につき、うみの出る腫物となる。」 + それで彼らはかまどのすすを取ってパロの前に立ち、モーセはそれを天に向けてまき散らした。すると、それは人と獣につき、うみの出る腫物となった。 + 呪法師たちは、腫物のためにモーセの前に立つことができなかった。腫物が呪法師たちとすべてのエジプト人にできたからである。 + しかし、主はパロの心をかたくなにされ、彼はふたりの言うことを聞き入れなかった。主がモーセに言われたとおりである。 + 主はモーセに仰せられた。「あしたの朝早く、パロの前に立ち、彼に言え。ヘブル人の神、主はこう仰せられます。『わたしの民を行かせ、彼らをわたしに仕えさせよ。 + 今度は、わたしは、あなたとあなたの家臣とあなたの民とに、わたしのすべての災害を送る。わたしのような者は地のどこにもいないことを、あなたに知らせるためである。 + わたしが今、手を伸ばして、あなたとあなたの民を疫病で打つなら、あなたは地から消し去られる。 + それにもかかわらず、わたしは、わたしの力をあなたに示すためにあなたを立てておく。また、わたしの名を全地に告げ知らせるためである。 + あなたはまだわたしの民に対して高ぶっており、彼らを行かせようとしない。 + さあ、今度は、あすの今ごろ、エジプトにおいて建国の日以来、今までになかったきわめて激しい雹をわたしは降らせる。 + それゆえ、今すぐ使いをやり、あなたの家畜、あなたが持っている野にあるすべてのものを避難させよ。野にいて家へ連れ戻すことのできない人や獣はみな雹が落ちて来ると死んでしまう。』」 + パロの家臣のうちで主のことばを恐れた者は、しもべたちと家畜を家に避難させた。 + しかし、主のことばを心に留めなかった者は、しもべたちや家畜をそのまま野に残した。 + そこで主はモーセに仰せられた。「あなたの手を天に向けて差し伸ばせ。そうすれば、エジプト全土にわたって、人、獣、またエジプトの地のすべての野の草の上に雹が降る。」 + モーセが杖を天に向けて差し伸ばすと、主は雷と雹を送り、火が地に向かって走った。主はエジプトの国に雹を降らせた。 + 雹が降り、雹のただ中を火がひらめき渡った。建国以来エジプトの国中どこにもそのようなことのなかった、きわめて激しいものであった。 + 雹はエジプト全土にわたって、人をはじめ獣に至るまで、野にいるすべてのものを打ち、また野の草をみな打った。野の木もことごとく打ち砕いた。 + ただ、イスラエル人が住むゴシェンの地には、雹は降らなかった。 + そこでパロは使いをやって、モーセとアロンを呼び寄せ、彼らに言った。「今度は、私は罪を犯した。主は正しいお方だ。私と私の民は悪者だ。 + 主に祈ってくれ。神の雷と雹は、もうたくさんだ。私はおまえたちを行かせよう。おまえたちはもう、とどまってはならない。」 + モーセは彼に言った。「私が町を出たら、すぐに主に向かって手を伸べ広げましょう。そうすれば雷はやみ、雹はもう降らなくなりましょう。この地が主のものであることをあなたが知るためです。 + しかし、あなたとあなたの家臣が、まだ、神である主を恐れていないことを、私は知っています。」 + ――亜麻と大麦は打ち倒された。大麦は穂を出し、亜麻はつぼみをつけていたからである。 + しかし小麦とスペルト小麦は打ち倒されなかった。これらは実るのがおそいからである―― + モーセはパロのところを去り、町を出て、主に向かって両手を伸べ広げた。すると、雷と雹はやみ、雨はもう地に降らなくなった。 + パロは雨と雹と雷がやんだのを見たとき、またも罪を犯し、彼とその家臣たちは強情になった。 + パロの心はかたくなになり、彼はイスラエル人を行かせなかった。主がモーセを通して言われたとおりである。 + + + 主はモーセに仰せられた。「パロのところに行け。わたしは彼とその家臣たちを強情にした。それは、わたしがわたしのこれらのしるしを彼らの中に、行うためであり、 + わたしがエジプトに対して力を働かせたあのことを、また、わたしが彼らの中で行ったしるしを、あなたが息子や孫に語って聞かせるためであり、わたしが主であることを、あなたがたが知るためである。」 + モーセとアロンはパロのところに行って、彼に言った。「ヘブル人の神、主はこう仰せられます。『いつまでわたしの前に身を低くすることを拒むのか。わたしの民を行かせ、彼らをわたしに仕えさせよ。 + もし、あなたが、わたしの民を行かせることを拒むなら、見よ、わたしはあす、いなごをあなたの領土に送る。 + いなごが地の面をおおい、地は見えなくなる。また、雹の害を免れて、あなたがたに残されているものを食い尽くし、野に生えているあなたがたの木をみな食い尽くす。 + またあなたの家とすべての家臣の家、および全エジプトの家に満ちる。このようなことは、あなたの先祖たちも、そのまた先祖たちも、彼らが地上にあった日からきょうに至るまで、かつて見たことのないものであろう。』」こうして彼は身を返してパロのもとを去った。 + 家臣たちはパロに言った。「いつまでこの者は私たちを陥れるのですか。この男たちを行かせ、彼らの神、主に仕えさせてください。エジプトが滅びるのが、まだおわかりにならないのですか。」 + モーセとアロンはパロのところに連れ戻された。パロは彼らに言った。「行け。おまえたちの神、主に仕えよ。だが、いったいだれが行くのか。」 + モーセは答えた。「私たちは若い者や年寄りも連れて行きます。息子や娘も、羊の群れも牛の群れも連れて行きます。私たちは主の祭りをするのですから。」 + パロは彼らに言った。「私がおまえたちとおまえたちの幼子たちとを行かせるくらいなら、主がおまえたちとともにあるように、とでも言おう。見ろ。悪意はおまえたちの顔に表れている。 + そうはいかない。さあ、壮年の男だけ行って、主に仕えよ。それがおまえたちの求めていることだ。」こうして彼らをパロの前から追い出した。 + 主はモーセに仰せられた。「あなたの手をエジプトの地の上に差し伸ばせ。いなごの大群がエジプトの地を襲い、その国のあらゆる草木、雹の残したすべてのものを食い尽くすようにせよ。」 + モーセはエジプトの地の上に杖を差し伸ばした。主は終日終夜その地の上に東風を吹かせた。朝になると東風がいなごの大群を運んで来た。 + いなごの大群はエジプト全土を襲い、エジプト全域にとどまった。実におびただしく、こんないなごの大群は、前にもなかったし、このあとにもないであろう。 + それらは全地の面をおおったので、地は暗くなった。それらは、地の草木も、雹を免れた木の実も、ことごとく食い尽くした。エジプト全土にわたって、緑色は木にも野の草にも少しも残らなかった。 + パロは急いでモーセとアロンを呼び出して言った。「私は、おまえたちの神、主とおまえたちに対して罪を犯した。 + どうか今、もう一度だけ、私の罪を赦してくれ。おまえたちの神、主に願って、主が私から、ただこの死を取り除くようにしてくれ。」 + 彼はパロのところから出て、主に祈った。 + すると、主はきわめて強い西の風に変えられた。風はいなごを吹き上げ、葦の海に追いやった。エジプト全域に、一匹のいなごも残らなかった。 + しかし主がパロの心をかたくなにされたので、彼はイスラエル人を行かせなかった。 + 主はモーセに仰せられた。「あなたの手を天に向けて差し伸べ、やみがエジプトの地の上に来て、やみにさわれるほどにせよ。」 + モーセが天に向けて手を差し伸ばしたとき、エジプト全土は三日間真っ暗やみとなった。 + 三日間、だれも互いに見ることも、自分の場所から立つこともできなかった。しかしイスラエル人の住む所には光があった。 + パロはモーセを呼び寄せて言った。「行け。主に仕えよ。ただおまえたちの羊と牛は、とどめておけ。幼子はおまえたちといっしょに行ってもよい。」 + モーセは言った。「あなた自身が私たちの手にいけにえと全焼のいけにえを与えて、私たちの神、主にささげさせなければなりません。 + 私たちは家畜もいっしょに連れて行きます。ひづめ一つも残すことはできません。私たちは、私たちの神、主に仕えるためにその中から選ばなければなりません。しかも私たちは、あちらに行くまでは、どれをもって主に仕えなければならないかわからないのです。」 + しかし、主はパロの心をかたくなにされた。パロは彼らを行かせようとはしなかった。 + パロは彼に言った。「私のところから出て行け。私の顔を二度と見ないように気をつけろ。おまえが私の顔を見たら、その日に、おまえは死ななければならない。」 + モーセは言った。「結構です。私はもう二度とあなたの顔を見ません。」 + + + 主はモーセに仰せられた。「わたしはパロとエジプトの上になお一つのわざわいを下す。そのあとで彼は、あなたがたをここから行かせる。彼があなたがたを行かせるときは、ほんとうにひとり残らずあなたがたをここから追い出してしまおう。 + さあ、民に語って聞かせよ。男は隣の男から、女は隣の女から銀の飾りや金の飾りを求めるように。」 + 主はエジプトが民に好意を持つようにされた。モーセその人も、エジプトの国でパロの家臣と民とに非常に尊敬されていた。 + モーセは言った。「主はこう仰せられます。『真夜中ごろ、わたしはエジプトの中に出て行く。 + エジプトの国の初子は、王座に着くパロの初子から、ひき臼のうしろにいる女奴隷の初子、それに家畜の初子に至るまで、みな死ぬ。 + そしてエジプト全土にわたって、大きな叫びが起こる。このようなことはかつてなく、また二度とないであろう。』 + しかしイスラエル人に対しては、人から家畜に至るまで、犬も、うなりはしないでしょう。これは、主がエジプト人とイスラエル人を区別されるのを、あなたがたが知るためです。 + あなたのこの家臣たちは、みな、私のところに来て伏し拝み、『あなたとあなたに従う民はみな出て行ってください』と言うでしょう。私はそのあとで出て行きます。」こうしてモーセは怒りに燃えてパロのところから出て行った。 + 主はモーセに仰せられた。「パロはあなたがたの言うことを聞き入れないであろう。それはわたしの不思議がエジプトの地で多くなるためである。」 + モーセとアロンは、パロの前でこれらの不思議をみな行った。しかし主はパロの心をかたくなにされ、パロはイスラエル人を自分の国から出て行かせなかった。 + + + 主は、エジプトの国でモーセとアロンに仰せられた。 + 「この月をあなたがたの月の始まりとし、これをあなたがたの年の最初の月とせよ。 + イスラエルの全会衆に告げて言え。この月の十日に、おのおのその父祖の家ごとに、羊一頭を、すなわち、家族ごとに羊一頭を用意しなさい。 + もし家族が羊一頭の分より少ないなら、その人はその家のすぐ隣の人と、人数に応じて一頭を取り、めいめいが食べる分量に応じて、その羊を分けなければならない。 + あなたがたの羊は傷のない一歳の雄でなければならない。それを子羊かやぎのうちから取らなければならない。 + あなたがたはこの月の十四日までそれをよく見守る。そしてイスラエルの民の全集会は集まって、夕暮れにそれをほふり、 + その血を取り、羊を食べる家々の二本の門柱と、かもいに、それをつける。 + その夜、その肉を食べる。すなわち、それを火に焼いて、種を入れないパンと苦菜を添えて食べなければならない。 + それを、生のままで、または、水で煮て食べてはならない。その頭も足も内臓も火で焼かなければならない。 + それを朝まで残してはならない。朝まで残ったものは、火で焼かなければならない。 + あなたがたは、このようにしてそれを食べなければならない。腰の帯を引き締め、足に、くつをはき、手に杖を持ち、急いで食べなさい。これは主への過越のいけにえである。 + その夜、わたしはエジプトの地を巡り、人をはじめ、家畜に至るまで、エジプトの地のすべての初子を打ち、また、エジプトのすべての神々にさばきを下そう。わたしは主である。 + あなたがたのいる家々の血は、あなたがたのためにしるしとなる。わたしはその血を見て、あなたがたの所を通り越そう。わたしがエジプトの地を打つとき、あなたがたには滅びのわざわいは起こらない。 + この日は、あなたがたにとって記念すべき日となる。あなたがたはこれを主への祭りとして祝い、代々守るべき永遠のおきてとしてこれを祝わなければならない。 + あなたがたは七日間種を入れないパンを食べなければならない。その第一日目に、あなたがたの家から確かにパン種を取り除かなければならない。第一日から第七日までの間に種を入れたパンを食べる者は、だれでもイスラエルから断ち切られるからである。 + また第一日に聖なる会合を開き、第七日にも聖なる会合を開かなければならない。この期間中、どんな仕事もしてはならない。ただし、みなが食べなければならないものだけは作ることができる。 + あなたがたは種を入れないパンの祭りを守りなさい。それは、ちょうどこの日に、わたしがあなたがたの集団をエジプトの地から連れ出すからである。あなたがたは永遠のおきてとして代々にわたって、この日を守りなさい。 + 最初の月の十四日の夕方から、その月の二十一日の夕方まで、種を入れないパンを食べなければならない。 + 七日間はあなたがたの家にパン種があってはならない。だれでもパン種の入ったものを食べる者は、在留異国人でも、この国に生まれた者でも、その者はイスラエルの会衆から断ち切られるからである。 + あなたがたはパン種の入ったものは何も食べてはならない。あなたがたが住む所ではどこででも、種を入れないパンを食べなければならない。」 + そこで、モーセはイスラエルの長老たちをみな呼び寄せて言った。「あなたがたの家族のために羊を、ためらうことなく、取り、過越のいけにえとしてほふりなさい。 + ヒソプの一束を取って、鉢の中の血に浸し、その鉢の中の血をかもいと二本の門柱につけなさい。朝まで、だれも家の戸口から外に出てはならない。 + 主がエジプトを打つために行き巡られ、かもいと二本の門柱にある血をご覧になれば、主はその戸口を過ぎ越され、滅ぼす者があなたがたの家に入って、打つことがないようにされる。 + あなたがたはこのことを、あなたとあなたの子孫のためのおきてとして、永遠に守りなさい。 + また、主が約束どおりに与えてくださる地に入るとき、あなたがたはこの儀式を守りなさい。 + あなたがたの子どもたちが『この儀式はどういう意味ですか』と言ったとき、 + あなたがたはこう答えなさい。『それは主への過越のいけにえだ。主がエジプトを打ったとき、主はエジプトにいたイスラエル人の家を過ぎ越され、私たちの家々を救ってくださったのだ。』」すると民はひざまずいて、礼拝した。 + こうしてイスラエル人は行って、行った。主がモーセとアロンに命じられたとおりに行った。 + 真夜中になって、主はエジプトの地のすべての初子を、王座に着くパロの初子から、地下牢にいる捕虜の初子に至るまで、また、すべての家畜の初子をも打たれた。 + それで、その夜、パロやその家臣および全エジプトが起き上がった。そして、エジプトには激しい泣き叫びが起こった。それは死人のない家がなかったからである。 + パロはその夜、モーセとアロンを呼び寄せて言った。「おまえたちもイスラエル人も立ち上がって、私の民の中から出て行け。おまえたちが言うとおりに、行って、主に仕えよ。 + おまえたちの言うとおりに、羊の群れも牛の群れも連れて出て行け。そして私のためにも祝福を祈れ。」 + エジプトは、民をせきたてて、強制的にその国から追い出した。人々が、「われわれもみな死んでしまう」と言ったからである。 + それで民は練り粉をまだパン種を入れないままで取り、こね鉢を着物に包み、肩にかついだ。 + イスラエル人はモーセのことばどおりに行い、エジプトから銀の飾り、金の飾り、それに着物を求めた。 + 主はエジプトがこの民に好意を持つようにされたので、エジプトは彼らの願いを聞き入れた。こうして、彼らはエジプトからはぎ取った。 + イスラエル人はラメセスから、スコテに向かって旅立った。幼子を除いて、徒歩の壮年の男子は約六十万人。 + さらに、多くの入り混じって来た外国人と、羊や牛などの非常に多くの家畜も、彼らとともに上った。 + 彼らはエジプトから携えて来た練り粉を焼いて、パン種の入れてないパン菓子を作った。それには、パン種が入っていなかった。というのは、彼らは、エジプトを追い出され、ぐずぐずしてはおられず、また食料の準備もできなかったからである。 + イスラエル人がエジプトに滞在していた期間は四百三十年であった。 + 四百三十年が終わったとき、ちょうどその日に、主の全集団はエジプトの国を出た。 + この夜、主は彼らをエジプトの国から連れ出すために、寝ずの番をされた。この夜こそ、イスラエル人はすべて、代々にわたり、主のために寝ずの番をするのである。 + 主はモーセとアロンに仰せられた。「過越のいけにえに関するおきては次のとおりである。外国人はだれもこれを食べてはならない。 + しかし、だれでも金で買われた奴隷は、あなたが割礼を施せば、これを食べることができる。 + 居留者と雇い人は、これを食べてはならない。 + これは一つの家の中で食べなければならない。あなたはその肉を家の外に持ち出してはならない。またその骨を折ってはならない。 + イスラエルの全会衆はこれを行わなければならない。 + もし、あなたのところに異国人が在留していて、主に過越のいけにえをささげようとするなら、彼の家の男子はみな割礼を受けなければならない。そうしてから、その者は、近づいてささげることができる。彼はこの国に生まれた者と同じになる。しかし無割礼の者は、だれもそれを食べてはならない。 + このおしえは、この国に生まれた者にも、あなたがたの中にいる在留異国人にも同じである。」 + イスラエル人はみな、そのように行った。主がモーセとアロンに命じられたとおりに行った。 + ちょうどその日に、主はイスラエル人を、集団ごとに、エジプトの国から連れ出された。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人の間で、最初に生まれる初子はすべて、人であれ家畜であれ、わたしのために聖別せよ。それはわたしのものである。」 + モーセは民に言った。「奴隷の家であるエジプトから出て来たこの日を覚えていなさい。主が力強い御手で、あなたがたをそこから連れ出されたからである。種を入れたパンを食べてはならない。 + アビブの月のこの日にあなたがたは出発する。 + 主があなたに与えるとあなたの先祖たちに誓われたカナン人、ヘテ人、エモリ人、ヒビ人、エブス人の地、乳と蜜の流れる地に、あなたを連れて行かれるとき、次の儀式をこの月に守りなさい。 + 七日間、あなたは種を入れないパンを食べなければならない。七日目は主への祭りである。 + 種を入れないパンを七日間、食べなければならない。あなたのところに種を入れたパンがあってはならない。あなたの領土のどこにおいても、あなたのところにパン種があってはならない。 + その日、あなたは息子に説明して、『これは、私がエジプトから出て来たとき、主が私にしてくださったことのためなのだ』と言いなさい。 + これをあなたの手の上のしるしとし、またあなたの額の上の記念としなさい。それは主のおしえがあなたの口にあるためであり、主が力強い御手で、あなたをエジプトから連れ出されたからである。 + あなたはこのおきてを年々その定められた時に守りなさい。 + 主が、あなたとあなたの先祖たちに誓われたとおりに、あなたをカナン人の地に導き、そこをあなたに賜るとき、 + すべて最初に生まれる者を、主のものとしてささげなさい。あなたの家畜から生まれる初子もみな、雄は主のものである。 + ただし、ろばの初子はみな、羊で贖わなければならない。もし贖わないなら、その首を折らなければならない。あなたの子どもたちのうち、男の初子はみな、贖わなければならない。 + 後になってあなたの子があなたに尋ねて、『これは、どういうことですか』と言うときは、彼に言いなさい。『主は力強い御手によって、私たちを奴隷の家、エジプトから連れ出された。 + パロが私たちを、なかなか行かせなかったとき、主はエジプトの地の初子を、人の初子をはじめ家畜の初子に至るまで、みな殺された。それで、私は初めに生まれる雄をみな、いけにえとして、主にささげ、私の子どもたちの初子をみな、私は贖うのだ。』 + これを手の上のしるしとし、また、あなたの額の上の記章としなさい。それは主が力強い御手によって、私たちをエジプトから連れ出されたからである。」 + さて、パロがこの民を行かせたとき、神は、彼らを近道であるペリシテ人の国の道には導かれなかった。神はこう言われた。「民が戦いを見て、心が変わり、エジプトに引き返すといけない。」 + それで神はこの民を葦の海に沿う荒野の道に回らせた。イスラエル人は編隊を組み、エジプトの国から離れた。 + モーセはヨセフの遺骸を携えて来た。それはヨセフが、「神は必ずあなたがたを顧みてくださる。そのとき、あなたがたは私の遺骸をここから携え上らなければならない」と言って、イスラエルの子らに堅く誓わせたからである。 + こうして彼らはスコテから出て行き、荒野の端にあるエタムに宿営した。 + 主は、昼は、途上の彼らを導くため、雲の柱の中に、夜は、彼らを照らすため、火の柱の中にいて、彼らの前を進まれた。彼らが昼も夜も進んで行くためであった。 + 昼はこの雲の柱、夜はこの火の柱が民の前から離れなかった。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に、引き返すように言え。そしてミグドルと海の間にあるピ・ハヒロテに面したバアル・ツェフォンの手前で宿営せよ。あなたがたは、それに向かって海辺に宿営しなければならない。 + パロはイスラエル人について、『彼らはあの地で迷っている。荒野は彼らを閉じ込めてしまった』と言うであろう。 + わたしはパロの心をかたくなにし、彼が彼らのあとを追えば、パロとその全軍勢を通してわたしは栄光を現し、エジプトはわたしが主であることを知るようになる。」そこでイスラエル人はそのとおりにした。 + 民の逃げたことがエジプトの王に告げられると、パロとその家臣たちは民についての考えを変えて言った。「われわれはいったい何ということをしたのだ。イスラエルを去らせてしまい、われわれに仕えさせないとは。」 + そこでパロは戦車を整え、自分でその軍勢を率い、 + えり抜きの戦車六百とエジプトの全戦車を、それぞれ補佐官をつけて率いた。 + 主がエジプトの王パロの心をかたくなにされたので、パロはイスラエル人を追跡した。しかしイスラエル人は臆することなく出て行った。 + それでエジプトは彼らを追跡した。パロの戦車の馬も、騎兵も、軍勢も、ことごとく、バアル・ツェフォンの手前、ピ・ハヒロテで、海辺に宿営している彼らに追いついた。 + パロは近づいていた。それで、イスラエル人が目を上げて見ると、なんと、エジプト人が彼らのあとに迫っているではないか。イスラエル人は非常に恐れて、主に向かって叫んだ。 + そしてモーセに言った。「エジプトには墓がないので、あなたは私たちを連れて来て、この荒野で、死なせるのですか。私たちをエジプトから連れ出したりして、いったい何ということを私たちにしてくれたのです。 + 私たちがエジプトであなたに言ったことは、こうではありませんでしたか。『私たちのことはかまわないで、私たちをエジプトに仕えさせてください。』事実、エジプトに仕えるほうがこの荒野で死ぬよりも私たちには良かったのです。」 + それでモーセは民に言った。「恐れてはいけない。しっかり立って、きょう、あなたがたのために行われる主の救いを見なさい。あなたがたは、きょう見るエジプト人をもはや永久に見ることはできない。 + 主があなたがたのために戦われる。あなたがたは黙っていなければならない。」 + 主はモーセに仰せられた。「なぜあなたはわたしに向かって叫ぶのか。イスラエル人に前進するように言え。 + あなたは、あなたの杖を上げ、あなたの手を海の上に差し伸ばし、海を分けて、イスラエル人が海の真ん中のかわいた地を進み行くようにせよ。 + 見よ。わたしはエジプト人の心をかたくなにする。彼らがそのあとから入って来ると、わたしはパロとその全軍勢、戦車と騎兵を通して、わたしの栄光を現そう。 + パロとその戦車とその騎兵を通して、わたしが栄光を現すとき、エジプトはわたしが主であることを知るのだ。」 + ついでイスラエルの陣営の前を進んでいた神の使いは、移って、彼らのあとを進んだ。それで、雲の柱は彼らの前から移って、彼らのうしろに立ち、 + エジプトの陣営とイスラエルの陣営との間に入った。それは真っ暗な雲であったので、夜を迷い込ませ、一晩中、一方が他方に近づくことはなかった。 + そのとき、モーセが手を海の上に差し伸ばすと、主は一晩中強い東風で海を退かせ、海を陸地とされた。それで水は分かれた。 + そこで、イスラエル人は海の真ん中のかわいた地を、進んで行った。水は彼らのために右と左で壁となった。 + エジプト人は追いかけて来て、パロの馬も戦車も騎兵も、みな彼らのあとから海の中に入って行った。 + 朝の見張りのころ、主は火と雲の柱のうちからエジプトの陣営を見おろし、エジプトの陣営をかき乱された。 + その戦車の車輪をはずして、進むのを困難にされた。それでエジプト人は言った。「イスラエル人の前から逃げよう。主が彼らのために、エジプトと戦っておられるのだから。」 + このとき主はモーセに仰せられた。「あなたの手を海の上に差し伸べ、水がエジプト人と、その戦車、その騎兵の上に返るようにせよ。」 + モーセが手を海の上に差し伸べたとき、夜明け前に、海がもとの状態に戻った。エジプト人は水が迫って来るので逃げたが、主はエジプト人を海の真ん中に投げ込まれた。 + 水はもとに戻り、あとを追って海に入ったパロの全軍勢の戦車と騎兵をおおった。残された者はひとりもいなかった。 + イスラエル人は海の真ん中のかわいた地を歩き、水は彼らのために、右と左で壁となったのである。 + こうして、主はその日イスラエルをエジプトの手から救われた。イスラエルは海辺に死んでいるエジプト人を見た。 + イスラエルは主がエジプトに行われたこの大いなる御力を見たので、民は主を恐れ、主とそのしもべモーセを信じた。 + + + そこで、モーセとイスラエル人は、主に向かって、この歌を歌った。彼らは言った。「主に向かって私は歌おう。主は輝かしくも勝利を収められ、馬と乗り手とを海の中に投げ込まれたゆえに。 + 主は、私の力であり、ほめ歌である。主は、私の救いとなられた。この方こそ、わが神。私はこの方をほめたたえる。私の父の神。この方を私はあがめる。 + 主はいくさびと。その御名は主。 + 主はパロの戦車も軍勢も海の中に投げ込まれた。えり抜きの補佐官たちも葦の海におぼれて死んだ。 + 大いなる水は彼らを包んでしまい、彼らは石のように深みに下った。 + 主よ。あなたの右の手は力に輝く。主よ。あなたの右の手は敵を打ち砕く。 + あなたは大いなる威力によって、あなたに立ち向かう者どもを打ち破られる。あなたが燃える怒りを発せられると、それは彼らを刈り株のように焼き尽くす。 + あなたの鼻の息で、水は積み上げられ、流れはせきのように、まっすぐ立ち、大いなる水は海の真ん中で固まった。 + 敵は言った。『私は追って、追いついて、略奪した物を分けよう。おのれの望みを彼らによってかなえよう。剣を抜いて、この手で彼らを滅ぼそう。』 + あなたが風を吹かせられると、海は彼らを包んでしまった。彼らは大いなる水の中に鉛のように沈んだ。 + 主よ。神々のうち、だれかあなたのような方があるでしょうか。だれがあなたのように、聖であって力強く、たたえられつつ恐れられ、奇しいわざを行うことができましょうか。 + あなたが右の手を伸ばされると、地は彼らをのみこんだ。 + あなたが贖われたこの民を、あなたは恵みをもって導き、御力をもって、聖なる御住まいに伴われた。 + 国々の民は聞いて震え、もだえがペリシテの住民を捕らえた。 + そのとき、エドムの首長らは、おじ惑い、モアブの有力者らは、震え上がり、カナンの住民は、みな震えおののく。 + 恐れとおののきが彼らを襲い、あなたの偉大な御腕により、彼らが石のように黙りますように。主よ。あなたの民が通り過ぎるまで。あなたが買い取られたこの民が通り過ぎるまで。 + あなたは彼らを連れて行き、あなたご自身の山に植えられる。主よ。御住まいのためにあなたがお造りになった場所に。主よ。あなたの御手が堅く建てた聖所に。 + 主はとこしえまでも統べ治められる。」 + パロの馬が戦車や騎兵とともに海の中に入ったとき、主は海の水を彼らの上に返されたのであった。しかしイスラエル人は海の真ん中のかわいた土の上を歩いて行った。 + アロンの姉、女預言者ミリヤムはタンバリンを手に取り、女たちもみなタンバリンを持って、踊りながら彼女について出て来た。 + ミリヤムは人々に応えて歌った。「主に向かって歌え。主は輝かしくも勝利を収められ、馬と乗り手とを海の中に投げ込まれた。」 + モーセはイスラエルを葦の海から旅立たせた。彼らはシュルの荒野へ出て行き、三日間、荒野を歩いた。彼らには水が見つからなかった。 + 彼らはマラに来たが、マラの水は苦くて飲むことができなかった。それで、そこはマラと呼ばれた。 + 民はモーセにつぶやいて、「私たちは何を飲んだらよいのですか」と言った。 + モーセは主に叫んだ。すると、主は彼に一本の木を示されたので、モーセはそれを水に投げ入れた。すると、水は甘くなった。/その所で主は彼に、おきてと定めを授け、その所で彼を試みられた。 + そして、仰せられた。「もし、あなたがあなたの神、主の声に確かに聞き従い、主が正しいと見られることを行い、またその命令に耳を傾け、そのおきてをことごとく守るなら、わたしはエジプトに下したような病気を何一つあなたの上に下さない。わたしは主、あなたをいやす者である。」 + こうして彼らはエリムに着いた。そこには、十二の水の泉と七十本のなつめやしの木があった。そこで、彼らはその水のほとりに宿営した。 + + + ついで、イスラエル人の全会衆は、エリムから旅立ち、エジプトの地を出て、第二の月の十五日に、エリムとシナイとの間にあるシンの荒野に入った。 + そのとき、イスラエル人の全会衆は、この荒野でモーセとアロンにつぶやいた。 + イスラエル人は彼らに言った。「エジプトの地で、肉なべのそばにすわり、パンを満ち足りるまで食べていたときに、私たちは主の手にかかって死んでいたらよかったのに。事実、あなたがたは、私たちをこの荒野に連れ出して、この全集団を飢え死にさせようとしているのです。」 + 主はモーセに仰せられた。「見よ。わたしはあなたがたのために、パンが天から降るようにする。民は外に出て、毎日、一日分を集めなければならない。これは、彼らがわたしのおしえに従って歩むかどうかを、試みるためである。 + 六日目に、彼らが持って来た物を整える場合、日ごとに集める分の二倍とする。」 + それでモーセとアロンは、すべてのイスラエル人に言った。「夕方には、あなたがたは、主がエジプトの地からあなたがたを連れ出されたことを知り、 + 朝には、主の栄光を見る。主に対するあなたがたのつぶやきを主が聞かれたのです。あなたがたが、この私たちにつぶやくとは、いったい私たちは何なのだろう。」 + モーセはまた言った。「夕方には、主があなたがたに食べる肉を与え、朝には満ち足りるほどパンを与えてくださるのは、あなたがたが主に対してつぶやく、そのつぶやきを主が聞かれたからです。いったい私たちは何なのだろうか。あなたがたのつぶやきは、この私たちに対してではなく、主に対してなのです。」 + モーセはアロンに言った。「イスラエル人の全会衆に、『主の前に近づきなさい。主があなたがたのつぶやきを聞かれたから』と言いなさい。」 + アロンがイスラエル人の全会衆に告げたとき、彼らは荒野のほうに振り向いた。見よ。主の栄光が雲の中に現れた。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「わたしはイスラエル人のつぶやきを聞いた。彼らに告げて言え。『あなたがたは夕暮れには肉を食べ、朝にはパンで満ち足りるであろう。あなたがたはわたしがあなたがたの神、主であることを知るようになる。』」 + それから、夕方になるとうずらが飛んで来て、宿営をおおい、朝になると、宿営の回りに露が一面に降りた。 + その一面の露が上がると、見よ、荒野の面には、地に降りた白い霜のような細かいもの、うろこのような細かいものがあった。 + イスラエル人はこれを見て、「これは何だろう」と互いに言った。彼らはそれが何か知らなかったからである。モーセは彼らに言った。「これは主があなたがたに食物として与えてくださったパンです。 + 主が命じられたことはこうです。『各自、自分の食べる分だけ、ひとり当たり一オメルずつ、あなたがたの人数に応じてそれを集めよ。各自、自分の天幕にいる者のために、それを取れ。』」 + そこで、イスラエル人はそのとおりにした。ある者は多く、ある者は少なく集めた。 + しかし、彼らがオメルでそれを計ってみると、多く集めた者も余ることはなく、少なく集めた者も足りないことはなかった。各自は自分の食べる分だけ集めたのである。 + モーセは彼らに言った。「だれも、それを、朝まで残しておいてはいけません。」 + 彼らはモーセの言うことを聞かず、ある者は朝まで、それを残しておいた。すると、それに虫がわき、悪臭を放った。そこでモーセは彼らに向かって怒った。 + 彼らは、朝ごとに、各自が食べる分だけ、それを集めた。日が熱くなると、それは溶けた。 + 六日目には、彼らは二倍のパン、すなわち、ひとり当たり二オメルずつ集めた。会衆の上に立つ者たちがみな、モーセのところに来て、告げたとき、 + モーセは彼らに言った。「主の語られたことはこうです。『あすは全き休みの日、主の聖なる安息である。あなたがたは、焼きたいものは焼き、煮たいものは煮よ。残ったものは、すべて朝まで保存するため、取っておけ。』」 + それで彼らはモーセの命じたとおりに、それを朝まで取っておいたが、それは臭くもならず、うじもわかなかった。 + それでモーセは言った。「きょうは、それを食べなさい。きょうは主の安息であるから。きょうはそれを野で見つけることはできません。 + 六日の間はそれを集めることができます。しかし安息の七日目には、それは、ありません。」 + それなのに、民の中のある者は七日目に集めに出た。しかし、何も見つからなかった。 + そのとき、主はモーセに仰せられた。「あなたがたは、いつまでわたしの命令とおしえを守ろうとしないのか。 + 主があなたがたに安息を与えられたことに、心せよ。それゆえ、六日目には、二日分のパンをあなたがたに与えている。七日目には、あなたがたはそれぞれ自分の場所にとどまれ。その所からだれも出てはならない。」 + それで、民は七日目に休んだ。 + イスラエルの家は、それをマナと名づけた。それはコエンドロの種のようで、白く、その味は蜜を入れたせんべいのようであった。 + モーセは言った。「主の命じられたことはこうです。『それを一オメルたっぷり、あなたがたの子孫のために保存せよ。わたしがあなたがたをエジプトの地から連れ出したとき、荒野であなたがたに食べさせたパンを彼らが見ることができるために。』」 + モーセはアロンに言った。「つぼを一つ持って来て、マナを一オメルたっぷりその中に入れ、それを主の前に置いて、あなたがたの子孫のために保存しなさい。」 + 主がモーセに命じられたとおりである。そこでアロンはそれを保存するために、あかしの箱の前に置いた。 + イスラエル人は人の住んでいる地に来るまで、四十年間、マナを食べた。彼らはカナンの地の境に来るまで、マナを食べた。 + 一オメルは一エパの十分の一である。 + + + イスラエル人の全会衆は、主の命により、シンの荒野から旅立ち、旅を重ねて、レフィディムで宿営した。そこには民の飲む水がなかった。 + それで、民はモーセと争い、「私たちに飲む水を下さい」と言った。モーセは彼らに、「あなたがたはなぜ私と争うのですか。なぜ主を試みるのですか」と言った。 + 民はその所で水に渇いた。それで民はモーセにつぶやいて言った。「いったい、なぜ私たちをエジプトから連れ上ったのですか。私や、子どもたちや、家畜を、渇きで死なせるためですか。」 + そこでモーセは主に叫んで言った。「私はこの民をどうすればよいのでしょう。もう少しで私を石で打ち殺そうとしています。」 + 主はモーセに仰せられた。「民の前を通り、イスラエルの長老たちを幾人か連れ、あなたがナイルを打ったあの杖を手に取って出て行け。 + さあ、わたしはあそこのホレブの岩の上で、あなたの前に立とう。あなたがその岩を打つと、岩から水が出る。民はそれを飲もう。」そこでモーセはイスラエルの長老たちの目の前で、そのとおりにした。 + それで、彼はその所をマサ、またはメリバと名づけた。それは、イスラエル人が争ったからであり、また彼らが、「主は私たちの中におられるのか、おられないのか」と言って、主を試みたからである。 + さて、アマレクが来て、レフィディムでイスラエルと戦った。 + モーセはヨシュアに言った。「私たちのために幾人かを選び、出て行ってアマレクと戦いなさい。あす私は神の杖を手に持って、丘の頂に立ちます。」 + ヨシュアはモーセが言ったとおりにして、アマレクと戦った。モーセとアロンとフルは丘の頂に登った。 + モーセが手を上げているときは、イスラエルが優勢になり、手を降ろしているときは、アマレクが優勢になった。 + しかし、モーセの手が重くなった。彼らは石を取り、それをモーセの足もとに置いたので、モーセはその上に腰掛けた。アロンとフルは、ひとりはこちら側、ひとりはあちら側から、モーセの手をささえた。それで彼の手は日が沈むまで、しっかりそのままであった。 + ヨシュアは、アマレクとその民を剣の刃で打ち破った。 + 主はモーセに仰せられた。「このことを記録として、書き物に書きしるし、ヨシュアに読んで聞かせよ。わたしはアマレクの記憶を天の下から完全に消し去ってしまう。」 + モーセは祭壇を築き、それをアドナイ・ニシと呼び、 + 「それは『主の御座の上の手』のことで、主は代々にわたってアマレクと戦われる」と言った。 + + + さて、モーセのしゅうと、ミデヤンの祭司イテロは、神がモーセと御民イスラエルのためになさったすべてのこと、すなわち、どのようにして主がイスラエルをエジプトから連れ出されたかを聞いた。 + それでモーセのしゅうとイテロは、先に送り返されていたモーセの妻チッポラと + そのふたりの息子を連れて行った。そのひとりの名はゲルショムであった。それは「私は外国にいる寄留者だ」という意味である。 + もうひとりの名はエリエゼル。それは「私の父の神は私の助けであり、パロの剣から私を救われた」という意味である。 + モーセのしゅうとイテロは、モーセの息子と妻といっしょに、荒野のモーセのところに行った。彼はそこの神の山に宿営していた。 + イテロはモーセに伝えた。「あなたのしゅうとである私イテロは、あなたの妻とそのふたりの息子といっしょに、あなたのところに来ています。」 + モーセは、しゅうとを迎えに出て行き、身をかがめ、彼に口づけした。彼らは互いに安否を問い、天幕に入った。 + モーセはしゅうとに、主がイスラエルのために、パロとエジプトとになさったすべてのこと、途中で彼らに降りかかったすべての困難、また主が彼らを救い出された次第を語った。 + イテロは、主がイスラエルのためにしてくださったすべての良いこと、エジプトの手から救い出してくださったことを喜んだ。 + イテロは言った。「主はほむべきかな。主はあなたがたをエジプトの手と、パロの手から救い出し、この民をエジプトの支配から救い出されました。 + 今こそ私は主があらゆる神々にまさって偉大であることを知りました。実に彼らがこの民に対して不遜であったということにおいても。」 + モーセのしゅうとイテロは、全焼のいけにえと神へのいけにえを持って来たので、アロンは、モーセのしゅうととともに神の前で食事をするために、イスラエルのすべての長老たちといっしょにやって来た。 + 翌日、モーセは民をさばくためにさばきの座に着いた。民は朝から夕方まで、モーセのところに立っていた。 + モーセのしゅうとは、モーセが民のためにしているすべてのことを見て、こう言った。「あなたが民にしているこのことは、いったい何ですか。なぜあなたひとりだけがさばきの座に着き、民はみな朝から夕方まであなたのところに立っているのですか。」 + モーセはしゅうとに答えた。「民は、神のみこころを求めて、私のところに来るのです。 + 彼らに何か事件があると、私のところに来ます。私は双方の間をさばいて、神のおきてとおしえを知らせるのです。」 + するとモーセのしゅうとは言った。「あなたのしていることは良くありません。 + あなたも、あなたといっしょにいるこの民も、きっと疲れ果ててしまいます。このことはあなたには重すぎますから、あなたはひとりでそれをすることはできません。 + さあ、私の言うことを聞いてください。私はあなたに助言をしましょう。どうか神があなたとともにおられるように。あなたは民に代わって神の前にいて、事件を神のところに持って行きなさい。 + あなたは彼らにおきてとおしえとを与えて、彼らの歩むべき道と、なすべきわざを彼らに知らせなさい。 + あなたはまた、民全体の中から、神を恐れる、力のある人々、不正の利を憎む誠実な人々を見つけ出し、千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長として、民の上に立てなければなりません。 + いつもは彼らが民をさばくのです。大きい事件はすべてあなたのところに持って来、小さい事件はみな、彼らがさばかなければなりません。あなたの重荷を軽くしなさい。彼らはあなたとともに重荷をになうのです。 + もしあなたがこのことを行えば、――神があなたに命じられるのですが――あなたはもちこたえることができ、この民もみな、平安のうちに自分のところに帰ることができましょう。」 + モーセはしゅうとの言うことを聞き入れ、すべて言われたとおりにした。 + モーセは、イスラエル全体の中から力のある人々を選び、千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長として、民のかしらに任じた。 + いつもは彼らが民をさばき、むずかしい事件はモーセのところに持って来たが、小さい事件は、みな彼ら自身でさばいた。 + それから、モーセはしゅうとを見送った。彼は自分の国へ帰って行った。 + + + エジプトの地を出たイスラエル人は、第三の月の新月のその日に、シナイの荒野に入った。 + 彼らはレフィディムを旅立って、シナイの荒野に入り、その荒野で宿営した。イスラエルはそこで、山のすぐ前に宿営した。 + モーセは神のみもとに上って行った。主は山から彼を呼んで仰せられた。「あなたは、このように、ヤコブの家に言い、イスラエルの人々に告げよ。 + あなたがたは、わたしがエジプトにしたこと、また、あなたがたを鷲の翼に載せ、わたしのもとに連れて来たことを見た。 + 今、もしあなたがたが、まことにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るなら、あなたがたはすべての国々の民の中にあって、わたしの宝となる。全世界はわたしのものであるから。 + あなたがたはわたしにとって祭司の王国、聖なる国民となる。/これが、イスラエル人にあなたの語るべきことばである。」 + モーセは行って、民の長老たちを呼び寄せ、主が命じられたこれらのことばをみな、彼らの前に述べた。 + すると民はみな口をそろえて答えた。「私たちは主が仰せられたことを、みな行います。」それでモーセは民のことばを主に持って帰った。 + すると、主はモーセに仰せられた。「見よ。わたしは濃い雲の中で、あなたに臨む。わたしがあなたと語るのを民が聞き、いつまでもあなたを信じるためである。」それからモーセは民のことばを主に告げた。 + 主はモーセに仰せられた。「あなたは民のところに行き、きょうとあす、彼らを聖別し、自分たちの着物を洗わせよ。 + 彼らは三日目のために用意をせよ。三日目には、主が民全体の目の前で、シナイ山に降りて来られるからである。 + あなたは民のために、周囲に境を設けて言え。山に登ったり、その境界に触れたりしないように注意しなさい。山に触れる者は、だれでも必ず殺されなければならない。 + それに手を触れてはならない。触れる者は必ず石で打ち殺されるか、刺し殺される。獣でも、人でも、生かしておいてはならない。しかし雄羊の角が長く鳴り響くとき、彼らは山に登って来なければならない。」 + それでモーセは山から民のところに降りて来た。そして、民を聖別し、彼らに自分たちの着物を洗わせた。 + モーセは民に言った。「三日目のために用意をしなさい。女に近づいてはならない。」 + 三日目の朝になると、山の上に雷といなずまと密雲があり、角笛の音が非常に高く鳴り響いたので、宿営の中の民はみな震え上がった。 + モーセは民を、神を迎えるために、宿営から連れ出した。彼らは山のふもとに立った。 + シナイ山は全山が煙っていた。それは主が火の中にあって、山の上に降りて来られたからである。その煙は、かまどの煙のように立ち上り、全山が激しく震えた。 + 角笛の音が、いよいよ高くなった。モーセは語り、神は声を出して、彼に答えられた。 + 主がシナイ山の頂に降りて来られ、主がモーセを山の頂に呼び寄せられたので、モーセは登って行った。 + 主はモーセに仰せられた。「下って行って、民を戒めよ。主を見ようと、彼らが押し破って来て、多くの者が滅びるといけない。 + 主に近づく祭司たちもまた、その身をきよめなければならない。主が彼らに怒りを発しないために。」 + モーセは主に申し上げた。「民はシナイ山に登ることはできません。あなたが私たちを戒められて、『山の回りに境を設け、それを聖なる地とせよ』と仰せられたからです。」 + 主は彼に仰せられた。「降りて行け。そしてあなたはアロンといっしょに登れ。祭司たちと民とは、主のところに登ろうとして押し破ってはならない。主が彼らに怒りを発せられないために。」 + そこでモーセは民のところに降りて行き、彼らに告げた。 + + + それから神はこれらのことばを、ことごとく告げて仰せられた。 + 「わたしは、あなたをエジプトの国、奴隷の家から連れ出した、あなたの神、主である。 + あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない。 + あなたは、自分のために、偶像を造ってはならない。上の天にあるものでも、下の地にあるものでも、地の下の水の中にあるものでも、どんな形をも造ってはならない。 + それらを拝んではならない。それらに仕えてはならない。あなたの神、主であるわたしは、ねたむ神、わたしを憎む者には、父の咎を子に報い、三代、四代にまで及ぼし、 + わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、恵みを千代にまで施すからである。 + あなたは、あなたの神、主の御名を、みだりに唱えてはならない。主は、御名をみだりに唱える者を、罰せずにはおかない。 + 安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。 + 六日間、働いて、あなたのすべての仕事をしなければならない。 + しかし七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはどんな仕事もしてはならない。――あなたも、あなたの息子、娘、それにあなたの男奴隷や女奴隷、家畜、また、あなたの町囲みの中にいる在留異国人も―― + それは主が六日のうちに、天と地と海、またそれらの中にいるすべてのものを造り、七日目に休まれたからである。それゆえ、主は安息日を祝福し、これを聖なるものと宣言された。 + あなたの父と母を敬え。あなたの神、主が与えようとしておられる地で、あなたの齢が長くなるためである。 + 殺してはならない。 + 姦淫してはならない。 + 盗んではならない。 + あなたの隣人に対し、偽りの証言をしてはならない。 + あなたの隣人の家を欲しがってはならない。すなわち隣人の妻、あるいは、その男奴隷、女奴隷、牛、ろば、すべてあなたの隣人のものを、欲しがってはならない。」 + 民はみな、雷と、いなずま、角笛の音と、煙る山を目撃した。民は見て、たじろぎ、遠く離れて立った。 + 彼らはモーセに言った。「どうか、私たちに話してください。私たちは聞き従います。しかし、神が私たちにお話しにならないように。私たちが死ぬといけませんから。」 + それでモーセは民に言った。「恐れてはいけません。神が来られたのはあなたがたを試みるためなのです。また、あなたがたに神への恐れが生じて、あなたがたが罪を犯さないためです。」 + そこで、民は遠く離れて立ち、モーセは神のおられる暗やみに近づいて行った。 + 主はモーセに仰せられた。「あなたはイスラエル人にこう言わなければならない。あなたがた自身、わたしが天からあなたがたと話したのを見た。 + あなたがたはわたしと並べて、銀の神々を造ってはならない。また、あなたがた自身のために金の神々も造ってはならない。 + わたしのために土の祭壇を造り、その上で、羊と牛をあなたの全焼のいけにえとし、和解のいけにえとしてささげなければならない。わたしの名を覚えさせるすべての所で、わたしはあなたに臨み、あなたを祝福しよう。 + あなたが石の祭壇をわたしのために造るなら、切り石でそれを築いてはならない。あなたが石に、のみを当てるなら、それを汚すことになる。 + あなたは階段で、わたしの祭壇に上ってはならない。あなたの裸が、その上にあらわれてはならないからである。 + + + あなたが彼らの前に立てる定めは次のとおりである。 + あなたがヘブル人の奴隷を買う場合、彼は六年間、仕え、七年目には自由の身として無償で去ることができる。 + もし彼が独身で来たのなら、独身で去り、もし彼に妻があれば、その妻は彼とともに去ることができる。 + もし彼の主人が彼に妻を与えて、妻が彼に男の子、または女の子を産んだのなら、この妻とその子どもたちは、その主人のものとなり、彼は独身で去らなければならない。 + しかし、もし、その奴隷が、『私は、私の主人と、私の妻と、私の子どもたちを愛しています。自由の身となって去りたくありません』と、はっきり言うなら、 + その主人は、彼を神のもとに連れて行き、戸または戸口の柱のところに連れて行き、彼の耳をきりで刺し通さなければならない。彼はいつまでも主人に仕えることができる。 + 人が自分の娘を女奴隷として売るような場合、彼女は男奴隷が去る場合のように去ることはできない。 + 彼女がもし、彼女を自分のものにしようと定めた主人の気に入らなくなったときは、彼は彼女が贖い出されるようにしなければならない。彼は彼女を裏切ったのであるから、外国の民に売る権利はない。 + もし、彼が彼女を自分の息子のものとするなら、彼女を娘に関する定めによって、取り扱わなければならない。 + もし彼が他の女をめとるなら、先の女への食べ物、着物、夫婦の務めを減らしてはならない。 + もし彼がこれら三つのことを彼女に行わないなら、彼女は金を払わないで無償で去ることができる。 + 人を打って死なせた者は、必ず殺されなければならない。 + ただし、彼に殺意がなく、神が御手によって事を起こされた場合、わたしはあなたに彼ののがれる場所を指定しよう。 + しかし、人が、ほしいままに隣人を襲い、策略をめぐらして殺した場合、この者を、わたしの祭壇のところからでも連れ出して殺さなければならない。 + 自分の父または母を打つ者は、必ず殺されなければならない。 + 人をさらった者は、その人を売っていても、自分の手もとに置いていても、必ず殺されなければならない。 + 自分の父または母をのろう者は、必ず殺されなければならない。 + 人が争い、ひとりが石かこぶしで相手を打ち、その相手が死なないで床についた場合、 + もし再び起き上がり、杖によって、外を歩くようになれば、打った者は罰せられない。ただ彼が休んだ分を弁償し、彼が完全に直るようにしてやらなければならない。 + 自分の男奴隷、あるいは女奴隷を杖で打ち、その場で死なせた場合、その者は必ず復讐されなければならない。 + ただし、もしその奴隷が一日か二日生きのびたなら、その者は復讐されない。奴隷は彼の財産だからである。 + 人が争っていて、みごもった女に突き当たり、流産させるが、殺傷事故がない場合、彼はその女の夫が負わせるだけの罰金を必ず払わなければならない。その支払いは裁定による。 + しかし、殺傷事故があれば、いのちにはいのちを与えなければならない。 + 目には目。歯には歯。手には手。足には足。 + やけどにはやけど。傷には傷。打ち傷には打ち傷。 + 自分の男奴隷の片目、あるいは女奴隷の片目を打ち、これをそこなった場合、その目の代償として、その奴隷を自由の身にしなければならない。 + また、自分の男奴隷の歯一本、あるいは女奴隷の歯一本を打ち落としたなら、その歯の代償として、その奴隷を自由の身にしなければならない。 + 牛が男または女を突いて殺した場合、その牛は必ず石で打ち殺さなければならない。その肉を食べてはならない。しかし、その牛の持ち主は無罪である。 + しかし、もし、牛が以前から突くくせがあり、その持ち主が注意されていても、それを監視せず、その牛が男または女を殺したのなら、その牛は石で打ち殺し、その持ち主も殺されなければならない。 + もし彼に贖い金が課せられたなら、自分に課せられたものは何でも、自分のいのちの償いとして支払わなければならない。 + 男の子を突いても、女の子を突いても、この規定のとおりに処理されなければならない。 + もしその牛が、男奴隷、あるいは女奴隷を突いたなら、牛の持ち主はその奴隷の主人に銀貨三十シェケルを支払い、その牛は石で打ち殺されなければならない。 + 井戸のふたをあけていたり、あるいは、井戸を掘って、それにふたをしないでいたりして、牛やろばがそこに落ち込んだ場合、 + その井戸の持ち主は金を支払って、その持ち主に償いをしなければならない。しかし、その死んだ家畜は彼のものとなる。 + ある人の牛が、もうひとりの人の牛を突いて、その牛が死んだ場合、両者は生きている牛を売って、その金を分け、また死んだ牛も分けなければならない。 + しかし、その牛が以前から突くくせのあることがわかっていて、その持ち主が監視をしなかったのなら、その人は必ず牛は牛で償わなければならない。しかし、その死んだ牛は自分のものとなる。 + + + 牛とか羊を盗み、これを殺したり、これを売ったりした場合、牛一頭を牛五頭で、羊一頭を羊四頭で償わなければならない。 + ――もし、盗人が、抜け穴を掘って押し入るところを見つけられ、打たれて死んだなら、血の罪は打った者にはない。 + もし、日が上っていれば、血の罪は打った者にある――盗みをした者は必ず償いをしなければならない。もし彼が何も持っていないなら、盗んだ物のために、彼自身が売られなければならない。 + もし盗んだ物が、牛でも、ろばでも、羊でも、生きたままで彼の手の中にあるのが確かに見つかったなら、それを二倍にして償わなければならない。 + 家畜に畑やぶどう畑の物を食べさせるとき、その家畜を放ち、それが他人の畑の物を食い荒らした場合、その人は自分の畑の最良の物と、ぶどう畑の最良の物とをもって、償いをしなければならない。 + 火災を起こし、それがいばらに燃え移り、そのため積み上げた穀物の束、あるいは立穂、あるいは畑を焼き尽くした場合、出火させた者は、必ず償いをしなければならない。 + 金銭あるいは物品を、保管のために隣人に預け、それがその人の家から盗まれた場合、もし、その盗人が見つかったなら、盗人はそれを二倍にして償わなければならない。 + もし、盗人が見つからないなら、その家の主人は神の前に出て、彼が隣人の財産に絶対に手をかけなかったことを誓わなければならない。 + すべての横領事件に際し、牛でも、ろばでも、羊でも、着物でも、どんな紛失物でも、一方が、『それは自分のものだ』と言う場合、その双方の言い分を、神の前に持ち出さなければならない。そして、神が罪に定めた者は、それを二倍にして相手に償わなければならない。 + ろばでも、牛でも、羊でも、またどんな家畜でも、その番をしてもらうために隣人に預け、それが死ぬとか、傷つくとか、奪い去られるとかして、目撃者がいない場合、 + 隣人の財産に絶対に手をかけなかったという主への誓いが、双方の間に、なければならない。その持ち主がこれを受け入れるなら、隣人は償いをする必要はない。 + しかし、もしそれが確かに自分のところから盗まれたのなら、その持ち主に償いをしなければならない。 + もしそれが確かに野獣に裂き殺されたのなら、証拠としてそれを持って行かなければならない。裂き殺されたものの償いをする必要はない。 + 人が隣人から家畜を借り、それが傷つくか、死ぬかして、その持ち主がいっしょにいなかった場合は、必ず償いをしなければならない。 + もし、持ち主がいっしょにいたなら、償いをする必要はない。しかし、それが賃借りの物であったなら、借り賃は払わなければならない。 + まだ婚約していない処女をいざない、彼女と寝た場合は、その人は必ず花嫁料を払って、彼女を自分の妻としなければならない。 + もし、その父が彼女をその人に与えることを堅く拒むなら、その人は処女のために定められた花嫁料に相当する銀を支払わなければならない。 + 呪術を行う女は生かしておいてはならない。 + 獣と寝る者はすべて、必ず殺されなければならない。 + ただ主ひとりのほかに、ほかの神々にいけにえをささげる者は、聖絶しなければならない。 + 在留異国人を苦しめてはならない。しいたげてはならない。あなたがたも、かつてはエジプトの国で、在留異国人であったからである。 + すべてのやもめ、またはみなしごを悩ませてはならない。 + もしあなたが彼らをひどく悩ませ、彼らがわたしに向かって切に叫ぶなら、わたしは必ず彼らの叫びを聞き入れる。 + わたしの怒りは燃え上がり、わたしは剣をもってあなたがたを殺す。あなたがたの妻はやもめとなり、あなたがたの子どもはみなしごとなる。 + わたしの民のひとりで、あなたのところにいる貧しい者に金を貸すのなら、彼に対して金貸しのようであってはならない。彼から利息を取ってはならない。 + もし、隣人の着る物を質に取るようなことをするのなら、日没までにそれを返さなければならない。 + なぜなら、それは彼のただ一つのおおい、彼の身に着ける着物であるから。彼はほかに何を着て寝ることができよう。彼がわたしに向かって叫ぶとき、わたしはそれを聞き入れる。わたしは情け深いから。 + 神をのろってはならない。また、民の上に立つ者をのろってはならない。 + あなたの豊かな産物と、あふれる酒とのささげ物を、遅らせてはならない。あなたの息子のうち初子は、わたしにささげなければならない。 + あなたの牛と羊についても同様にしなければならない。七日間、その母親のそばに置き、八日目にわたしに、ささげなければならない。 + あなたがたは、わたしの聖なる民でなければならない。野で獣に裂き殺されたものの肉を食べてはならない。それは、犬に投げ与えなければならない。 + + + 偽りのうわさを言いふらしてはならない。悪者と組んで、悪意ある証人となってはならない。 + 悪を行う権力者の側に立ってはならない。訴訟にあたっては、権力者にかたよって、不当な証言をしてはならない。 + また、その訴訟において、貧しい人を特に重んじてもいけない。 + あなたの敵の牛とか、ろばで、迷っているのに出会った場合、必ずそれを彼のところに返さなければならない。 + あなたを憎んでいる者のろばが、荷物の下敷きになっているのを見た場合、それを起こしてやりたくなくても、必ず彼といっしょに起こしてやらなければならない。 + あなたの貧しい兄弟が訴えられた場合、裁判を曲げてはならない。 + 偽りの告訴から遠ざからなければならない。罪のない者、正しい者を殺してはならない。わたしは悪者を正しいと宣告することはしないからである。 + わいろを取ってはならない。わいろは聡明な人を盲目にし、正しい人の言い分をゆがめるからである。 + あなたは在留異国人をしいたげてはならない。あなたがたは、かつてエジプトの国で在留異国人であったので、在留異国人の心をあなたがた自身がよく知っているからである。 + 六年間は、地に種を蒔き、収穫をしなければならない。 + 七年目には、その土地をそのままにしておき、休ませなければならない。民の貧しい人々に、食べさせ、その残りを野の獣に食べさせなければならない。ぶどう畑も、オリーブ畑も、同様にしなければならない。 + 六日間は自分の仕事をし、七日目は休まなければならない。あなたの牛やろばが休み、あなたの女奴隷の子や在留異国人に息をつかせるためである。 + わたしがあなたがたに言ったすべてのことに心を留めなければならない。ほかの神々の名を口にしてはならない。これがあなたの口から聞こえてはならない。 + 年に三度、わたしのために祭りを行わなければならない。 + 種を入れないパンの祭りを守らなければならない。わたしが命じたとおり、アビブの月の定められた時に、七日間、種を入れないパンを食べなければならない。それは、その月にあなたがエジプトから出たからである。だれも、何も持たずにわたしの前に出てはならない。 + また、あなたが畑に種を蒔いて得た勤労の初穂の刈り入れの祭りと、年の終わりにはあなたの勤労の実を畑から取り入れる収穫祭を行わなければならない。 + 年に三度、男子はみな、あなたの主、主の前に出なければならない。 + わたしのいけにえの血を、種を入れたパンに添えてささげてはならない。また、わたしの祭りの脂肪を、朝まで残しておいてはならない。 + あなたの土地の初穂の最上のものを、あなたの神、主の家に持って来なければならない。子やぎを、その母親の乳で煮てはならない。 + 見よ。わたしは、使いをあなたの前に遣わし、あなたを道で守らせ、わたしが備えた所にあなたを導いて行かせよう。 + あなたは、その者に心を留め、御声に聞き従いなさい。決して、その者にそむいてはならない。わたしの名がその者のうちにあるので、その者はあなたがたのそむきの罪を赦さないからである。 + しかし、もし御声に確かに聞き従い、わたしが告げることをことごとく行うなら、わたしはあなたの敵には敵となり、あなたの仇には仇となろう。 + わたしの使いがあなたの前を行き、あなたをエモリ人、ヘテ人、ペリジ人、カナン人、ヒビ人、エブス人のところに導き行くとき、わたしは彼らを消し去ろう。 + あなたは彼らの神々を拝んではならない。仕えてはならない。また、彼らの風習にならってはならない。これらを徹底的に打ちこわし、その石の柱を粉々に打ち砕かなければならない。 + あなたがたの神、主に仕えなさい。主はあなたのパンと水を祝福してくださる。わたしはあなたの間から病気を除き去ろう。 + あなたの国のうちには流産する者も、不妊の者もいなくなり、わたしはあなたの日数を満たそう。 + わたしは、わたしへの恐れをあなたの先に遣わし、あなたがそこに入って行く民のすべてをかき乱し、あなたのすべての敵があなたに背を見せるようにしよう。 + わたしは、また、くまばちをあなたの先に遣わそう。これが、ヒビ人、カナン人、ヘテ人を、あなたの前から追い払おう。 + しかし、わたしは彼らを一年のうちに、あなたの前から追い払うのではない。土地が荒れ果て、野の獣が増して、あなたを害することのないためである。 + あなたがふえ広がって、この地を相続地とするようになるまで、わたしは徐々に彼らをあなたの前から追い払おう。 + わたしは、あなたの領土を、葦の海からペリシテ人の海に至るまで、また、荒野からユーフラテス川に至るまでとする。それはその地に住んでいる者たちをわたしがあなたの手に渡し、あなたが彼らをあなたの前から追い払うからである。 + あなたは、彼らや、彼らの神々と契約を結んではならない。 + 彼らは、あなたの国に住んではならない。彼らがあなたに、わたしに対する罪を犯させることのないためである。それがあなたにとってわなとなるので、あなたが彼らの神々に仕えるかもしれないからである。」 + + + 主は、モーセに仰せられた。「あなたとアロン、ナダブとアビフ、それにイスラエルの長老七十人は、主のところに上り、遠く離れて伏し拝め。 + モーセひとり主のもとに近づけ。他の者は近づいてはならない。民もモーセといっしょに上ってはならない。」 + そこでモーセは来て、主のことばと、定めをことごとく民に告げた。すると、民はみな声を一つにして答えて言った。「主の仰せられたことは、みな行います。」 + それで、モーセは主のことばを、ことごとく書きしるした。そうしてモーセは、翌朝早く、山のふもとに祭壇を築き、またイスラエルの十二部族にしたがって十二の石の柱を立てた。 + それから、彼はイスラエル人の若者たちを遣わしたので、彼らは全焼のいけにえをささげ、また、和解のいけにえとして雄牛を主にささげた。 + モーセはその血の半分を取って、鉢に入れ、残りの半分を祭壇に注ぎかけた。 + そして、契約の書を取り、民に読んで聞かせた。すると、彼らは言った。「主の仰せられたことはみな行い、聞き従います。」 + そこで、モーセはその血を取って、民に注ぎかけ、そして言った。「見よ。これは、これらすべてのことばに関して、主があなたがたと結ばれる契約の血である。」 + それからモーセとアロン、ナダブとアビフ、それにイスラエルの長老七十人は上って行った。 + そうして、彼らはイスラエルの神を仰ぎ見た。御足の下にはサファイヤを敷いたようなものがあり、透き通っていて青空のようであった。 + 神はイスラエル人の指導者たちに手を下されなかったので、彼らは神を見、しかも飲み食いをした。 + 主はモーセに仰せられた。「山へ行き、わたしのところに上り、そこにおれ。彼らを教えるために、わたしが書きしるしたおしえと命令の石の板をあなたに授けよう。」 + そこで、モーセとその従者ヨシュアは立ち上がり、モーセは神の山に登った。 + 彼は長老たちに言った。「私たちがあなたがたのところに帰って来るまで、ここにいなさい。ここに、アロンとフルとがあなたがたといっしょにいます。訴え事のある者は、だれでも彼らに告げるようにしなさい。」 + モーセが山に登ると、雲が山をおおった。 + 主の栄光はシナイ山の上にとどまり、雲は六日間、山をおおっていた。七日目に主は雲の中からモーセを呼ばれた。 + 主の栄光は、イスラエル人の目には、山の頂で燃え上がる火のように見えた。 + モーセは雲の中に入って行き、山に登った。そして、モーセは四十日四十夜、山にいた。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「わたしに奉納物をささげるように、イスラエル人に告げよ。すべて、心から進んでささげる人から、わたしへの奉納物を受け取らなければならない。 + 彼らから受けてよい奉納物は次のものである。金、銀、青銅、 + 青色、紫色、緋色の撚り糸、亜麻布、やぎの毛、 + 赤くなめした雄羊の皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、 + 燈油、そそぎの油とかおりの高い香のための香料、 + エポデや胸当てにはめ込むしまめのうや宝石。 + 彼らがわたしのために聖所を造るなら、わたしは彼らの中に住む。 + 幕屋の型と幕屋のすべての用具の型とを、わたしがあなたに示すのと全く同じように作らなければならない。 + アカシヤ材の箱を作らなければならない。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト半。 + これに純金をかぶせる。それは、その内側と外側とにかぶせなければならない。その回りには金の飾り縁を作る。 + 箱のために、四つの金の環を鋳造し、それをその四隅の基部に取りつける。一方の側に二つの環を、他の側にほかの二つの環を取りつける。 + アカシヤ材で棒を作り、それを金でかぶせる。 + その棒は、箱をかつぐために、箱の両側にある環に通す。 + 棒は箱の環に差し込んだままにしなければならない。抜いてはならない。 + わたしが与えるさとしをその箱に納める。 + また、純金の『贖いのふた』を作る。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半。 + 槌で打って作った二つの金のケルビムを『贖いのふた』の両端に作る。 + 一つのケルブは一方の端に、他のケルブは他方の端に作る。ケルビムを『贖いのふた』の一部としてそれの両端に作らなければならない。 + ケルビムは翼を上のほうに伸べ広げ、その翼で『贖いのふた』をおおうようにする。互いに向かい合って、ケルビムの顔が『贖いのふた』に向かうようにしなければならない。 + その『贖いのふた』を箱の上に載せる。箱の中には、わたしが与えるさとしを納めなければならない。 + わたしはそこであなたと会見し、その『贖いのふた』の上から、すなわちあかしの箱の上の二つのケルビムの間から、イスラエル人について、あなたに命じることをことごとくあなたに語ろう。 + 机をアカシヤ材で作らなければならない。長さは二キュビト、幅は一キュビト、高さは一キュビト半。 + これを純金でかぶせ、その回りに金の飾り縁を作り、 + その回りに手幅のわくを作り、そのわくの回りに金の飾り縁を作る。 + その机のために金の環を四個作り、その四隅の四本の足のところにその環を取りつける。 + 環はわくのわきにつけ、机をかつぐ棒を入れる所としなければならない。 + 棒をアカシヤ材で作り、これに金をかぶせ、それをもって机をかつぐ。 + 注ぎのささげ物を注ぐための皿やひしゃく、びんや水差しを作る。これらは純金で作らなければならない。 + 机の上には供えのパンを置き、絶えずわたしの前にあるようにする。 + また、純金の燭台を作る。その燭台は槌で打って作らなければならない。それには、台座と支柱と、がくと節と花弁がなければならない。 + 六つの枝をそのわきから、すなわち燭台の三つの枝を一方のわきから、燭台の他の三つの枝を他のわきから出す。 + 一方の枝に、アーモンドの花の形をした節と花弁のある三つのがくを、また、他方の枝にも、アーモンドの花の形をした節と花弁のある三つのがくをつける。燭台から出る六つの枝をみな、そのようにする。 + 燭台の支柱には、アーモンドの花の形をした節と花弁のある四つのがくをつける。 + それから出る一対の枝の下に一つの節、それから出る次の一対の枝の下に一つの節、それから出るその次の一対の枝の下に一つの節。このように六つの枝が燭台から出ていることになる。 + それらの節と枝とは燭台と一体にし、その全体は一つの純金を打って作らなければならない。 + それにともしび皿を七つ作る。ともしび皿を上げて、その前方を照らすようにする。 + その心切りばさみも心取り皿も純金である。 + 純金一タラントで燭台とこれらのすべての用具を作らなければならない。 + よく注意して、あなたが山で示される型どおりに作れ。 + + + 幕屋を十枚の幕で造らなければならない。すなわち、撚り糸で織った亜麻布、青色、紫色、緋色の撚り糸で作り、巧みな細工でそれにケルビムを織り出さなければならない。 + 幕の長さは、おのおの二十八キュビト、幕の幅は、おのおの四キュビト、幕はみな同じ寸法とする。 + その五枚の幕を互いにつなぎ合わせ、また他の五枚の幕も互いにつなぎ合わせなければならない。 + そのつなぎ合わせたものの端にある幕の縁に青いひもの輪をつける。他のつなぎ合わせたものの端にある幕の縁にも、そのようにしなければならない。 + その一枚の幕に輪五十個をつけ、他のつなぎ合わせた幕の端にも輪五十個をつけ、その輪を互いに向かい合わせにしなければならない。 + 金の留め金五十個を作り、その留め金で幕を互いにつなぎ合わせて一つの幕屋にする。 + また、幕屋の上に掛ける天幕のために、やぎの毛の幕を作る。その幕を十一枚作らなければならない。 + その一枚の幕の長さは三十キュビト。その一枚の幕の幅は四キュビト。その十一枚の幕は同じ寸法とする。 + その五枚の幕を一つにつなぎ合わせ、また、ほかの六枚の幕を一つにつなぎ合わせ、その六枚目の幕を天幕の前で折り重ねる。 + そのつなぎ合わせたものの端にある幕の縁に輪五十個をつけ、他のつなぎ合わせた幕の縁にも輪五十個をつける。 + 青銅の留め金五十個を作り、その留め金を輪にはめ、天幕をつなぎ合わせて一つとする。 + 天幕の幕の残って垂れる部分、すなわち、その残りの半幕は幕屋のうしろに垂らさなければならない。 + そして、天幕の幕の長さで余る部分、すなわち、一方の一キュビトと他の一キュビトは幕屋をおおうように、その天幕の両側、こちら側とあちら側に、垂らしておかなければならない。 + 天幕のために赤くなめした雄羊の皮のおおいと、その上に掛けるじゅごんの皮のおおいを作る。 + 幕屋のために、アカシヤ材で、まっすぐに立てる板を作る。 + 板一枚の長さは十キュビト、板一枚の幅は一キュビト半。 + 板一枚ごとに、はめ込みのほぞ二つを作る。幕屋の板全部にこのようにしなければならない。 + 幕屋のために板を作る。南側に板二十枚。 + その二十枚の板の下に銀の台座四十個を作らなければならない。一枚の板の下に、二つのほぞに二個の台座を、他の板の下にも、二つのほぞに二個の台座を作る。 + 幕屋の他の側、すなわち北側に、板二十枚。 + 銀の台座四十個。すなわち一枚の板の下に二個の台座。他の板の下にも二個の台座。 + 幕屋のうしろ、すなわち、西側に、板六枚を作らなければならない。 + 幕屋のうしろの両隅のために板二枚を作らなければならない。 + 底部では重なり合い、上部では、一つの環で一つに合うようになる。二枚とも、そのようにしなければならない。これらが両隅となる。 + 板は八枚、その銀の台座は十六個、すなわち一枚の板の下に二個の台座、他の板の下にも二個の台座となる。 + アカシヤ材で横木を作る。すなわち、幕屋の一方の側の板のために五本、 + 幕屋の他の側の板のために横木五本、幕屋のうしろ、すなわち西側の板のために横木五本を作る。 + 板の中間にある中央横木は、端から端まで通るようにする。 + 板には金をかぶせ、横木を通す環を金で作らなければならない。横木には金をかぶせる。 + あなたは山で示された定めのとおりに、幕屋を建てなければならない。 + 青色、紫色、緋色の撚り糸、撚り糸で織った亜麻布で垂れ幕を作る。これに巧みな細工でケルビムを織り出さなければならない。 + これを、四つの銀の台座の上に据えられ、その鉤が金でできている、金をかぶせたアカシヤ材の四本の柱につける。 + その垂れ幕を留め金の下に掛け、その垂れ幕の内側に、あかしの箱を運び入れる。その垂れ幕は、あなたがたのために聖所と至聖所との仕切りとなる。 + 至聖所にあるあかしの箱の上に『贖いのふた』を置く。 + 机を垂れ幕の外側に置き、その机は幕屋の南側にある燭台と向かい合わせる。その机を北側に置く。 + 天幕の入口のために、青色、紫色、緋色の撚り糸、撚り糸で織った亜麻布で刺繍をした幕を作る。 + その幕のためにアカシヤ材の柱五本を作り、これに金をかぶせる。それの鉤も金で、また、それらの柱のために青銅の台座五つを鋳造する。 + + + 祭壇をアカシヤ材で作る。その祭壇は長さ五キュビト、幅五キュビトの四角形でなければならない。高さは三キュビトとする。 + その四隅の上に角を作る。その角は祭壇の一部でなければならない。青銅をその祭壇にかぶせる。 + 灰を取るつぼ、十能、鉢、肉刺し、火皿を作る。祭壇の用具はみな、青銅で作らなければならない。 + 祭壇のために、青銅の網細工の格子を作り、その網の上の四隅に、青銅の環を四個作る。 + その網を下方、祭壇の出張りの下に取りつけ、これを祭壇の高さの半ばに達するようにする。 + 祭壇のために、棒を、アカシヤ材の棒を作り、それらに青銅をかぶせる。 + それらの棒は環に通されなければならない。祭壇がかつがれるとき、棒は祭壇の両側にある。 + 祭壇は中をからにして板で作らなければならない。山であなたに示されたところにしたがって、彼らはこれを作らなければならない。 + 幕屋の庭を造る。南側に面して、庭の掛け幕を、その側のための長さ百キュビトの撚り糸で織った亜麻布を、張る。 + 柱は二十本、その二十個の台座は青銅で、柱の鉤と帯輪は銀とする。 + 同じように、北に面して、その長さで、長さ百キュビトの掛け幕とする。柱は二十本、その二十個の台座は青銅で、柱の鉤と帯輪は銀とする。 + また、西に面して庭の幅には五十キュビトの掛け幕、その柱十本、その台座十個とする。 + 前面の東に面する庭の幅も五十キュビト。 + 片側に寄せて、十五キュビトの掛け幕と、その三本の柱、その三個の台座とする。 + 他の片側にも十五キュビトの掛け幕と、その三本の柱、その三個の台座とする。 + 庭の門には、青色、紫色、緋色の撚り糸、それに撚り糸で織った亜麻布を使った長さ二十キュビトの刺繍した幕と、その四本の柱、その四個の台座とする。 + 庭の周囲の柱はみな、銀の帯輪を巻きつけ、その鉤は銀、台座は青銅とする。 + この庭は、長さ百キュビト、幅は五十キュビトに五十キュビト、高さ五キュビト、幕は撚り糸で織った亜麻布、その台座は青銅とする。 + 幕屋の奉仕に用いるすべての用具、すべての釘、庭のすべての釘は青銅とする。 + あなたはイスラエル人に命じて、燈火用に上質の純粋なオリーブ油を持って来させ、ともしびを絶えずともしておかなければならない。 + アロンとその子らは、あかしの箱の前の垂れ幕の外側にある会見の天幕で夕方から朝まで、主の前にそのともしびを整えなければならない。これはイスラエル人が代々守るべき永遠のおきてである。 + + + あなたは、イスラエル人の中から、あなたの兄弟アロンとその子、すなわち、アロンとその子のナダブとアビフ、エルアザルとイタマルを、あなたのそばに近づけ、祭司としてわたしに仕えさせよ。 + また、あなたの兄弟アロンのために、栄光と美を表す聖なる装束を作れ。 + あなたは、わたしが知恵の霊を満たした、心に知恵のある者たちに告げて、彼らにアロンの装束を作らせなければならない。彼を聖別し、わたしのために祭司の務めをさせるためである。 + 彼らが作らなければならない装束は次のとおりである。胸当て、エポデ、青服、市松模様の長服、かぶり物、飾り帯。彼らは、あなたの兄弟アロンとその子らに、わたしのために祭司の務めをさせるため、この聖なる装束を作らなければならない。 + それで彼らは、金色や、青色、紫色、緋色の撚り糸、それに亜麻布を受け取らなければならない。 + 彼らに金色や、青色、紫色、緋色の撚り糸、それに撚り糸で織った亜麻布を用い、巧みなわざでエポデを作らせる。 + これにつける二つの肩当てがあって、その両端に、それぞれつけられなければならない。 + エポデの上に結ぶあや織りの帯は、エポデと同じように、同じ材料、すなわち金色や、青色、紫色、緋色の撚り糸、それに撚り糸で織った亜麻布で作る。 + 二つのしまめのうを取ったなら、その上にイスラエルの子らの名を刻む。 + その六つの名を一つの石に、残りの六つの名をもう一つの石に、生まれた順に刻む。 + 印を彫る宝石細工師の細工で、イスラエルの子らの名を、その二つの石に彫り、それぞれを金のわくにはめ込まなければならない。 + その二つの石をイスラエルの子らの記念の石としてエポデの肩当てにつける。アロンは主の前で、彼らの名を両肩に負い、記念とする。 + あなたは金のわくを作り、 + また、二つの純金の鎖を作り、これを編んで、撚ったひもとし、この撚った鎖を、先のわくに、取りつけなければならない。 + あなたはさばきの胸当てを、巧みな細工で作る。それをエポデの細工と同じように作らなければならない。すなわち、金色や、青色、紫色、緋色の撚り糸、それに撚り糸で織った亜麻布で作らなければならない。 + それは、四角形で、二重にし、長さは一あたり、幅は一あたりとしなければならない。 + その中に、宝石をはめ込み、宝石を四列にする。すなわち、第一列は赤めのう、トパーズ、エメラルド。 + 第二列はトルコ玉、サファイヤ、ダイヤモンド。 + 第三列はヒヤシンス石、めのう、紫水晶、 + 第四列は緑柱石、しまめのう、碧玉。これらを金のわくにはめ込まなければならない。 + この宝石はイスラエルの子らの名によるもので、彼らの名にしたがい十二個でなければならない。十二部族のために、その印の彫り物が一つの名につき一つずつ、なければならない。 + また編んで撚った純金の鎖を胸当てにつける。 + 胸当てに、金の環二個をつけ、その二個の環を胸当ての両端につける。 + この二筋の金のひもを胸当ての両端の二個の環につける。 + その二筋のひもの他の端を、先の二つのわくにつけ、エポデの肩当てに外側に向くようにつけなければならない。 + ほかに二個の金の環を作り、これを胸当ての両端、すなわち、エポデの前に来る胸当ての内側の縁につける。 + ほかに二個の金の環を作り、これをエポデの二つの肩当ての下端の外側に、すなわち、エポデのあや織りの帯の上部の継ぎ目に接した面の上につける。 + 胸当ては、青ひもで、その環のところをエポデの環に結びつけ、エポデのあや織りの帯の上にあるようにする。胸当てがエポデからずり落ちないようにしなければならない。 + アロンが聖所に入るときには、さばきの胸当てにあるイスラエルの子らの名をその胸の上に載せ、絶えず主の前で記念としなければならない。 + さばきの胸当てには、ウリムとトンミムを入れ、アロンが主の前に出るときに、それがアロンの胸の上にあるようにする。アロンは絶えず主の前に、イスラエルの子らのさばきを、その胸の上に載せる。 + エポデの下に着る青服を、青色の撚り糸だけで作る。 + その真ん中に頭を通す口を作る。その口の周囲には、織物の縁をつけ、よろいのえりのようにし、ほころびないようにしなければならない。 + そのすそに、青色、紫色、緋色の撚り糸で、ざくろを作り、そのすその回りにこれをつけ、その回りのざくろの間に金の鈴をつける。 + すなわち、青服のすその回りに金の鈴、ざくろ、金の鈴、ざくろ、となるようにする。 + アロンはこれを務めを行うために着る。彼が聖所に入り、主の前に出るとき、またそこを去るとき、その音が聞こえるようにする。彼が死なないためである。 + また、純金の札を作り、その上に印を彫るように、『主への聖なるもの』と彫り、 + これを青ひもにつけ、それをかぶり物につける。それはかぶり物の前面に来るようにしなければならない。 + これがアロンの額の上にあるなら、アロンは、イスラエル人の聖別する聖なる物、すなわち、彼らのすべての聖なるささげ物に関しての咎を負う。これは、それらの物が主の前に受け入れられるために、絶えずアロンの額の上になければならない。 + 亜麻布で市松模様の長服を作り、亜麻布でかぶり物を作る。飾り帯は刺繍して作らなければならない。 + あなたはアロンの子らのために長服を作り、また彼らのために飾り帯を作り、彼らのために、栄光と美を表すターバンを作らなければならない。 + これらをあなたの兄弟アロン、および彼とともにいるその子らに着せ、彼らに油をそそぎ、彼らを祭司職に任命し、彼らを聖別して祭司としてわたしに仕えさせよ。 + 彼らのために、裸をおおう亜麻布のももひきを作れ。腰からももにまで届くようにしなければならない。 + アロンとその子らは、会見の天幕に入るとき、あるいは聖所で務めを行うために祭壇に近づくとき、これを着る。彼らが咎を負って、死ぬことのないためである。これは、彼と彼の後の子孫とのための永遠のおきてである。 + + + あなたは、彼らを祭司としてわたしに仕えるように聖別するため、次のことを彼らにしなければならない。すなわち、若い雄牛一頭、傷のない雄羊二頭を取れ。 + 種を入れないパンと、油を混ぜた種を入れない輪型のパンと、油を塗った種を入れないせんべいとを取れ。これらは最良の小麦粉で作らなければならない。 + これらを一つのかごに入れ、そのかごといっしょに、あの一頭の雄牛と二頭の雄羊とをささげよ。 + アロンとその子らを会見の天幕の入口に近づかせ、水で彼らを洗わなければならない。 + あなたは、装束を取り、アロンに長服とエポデの下に着る青服と、エポデと胸当てとを着せ、エポデのあや織りの帯を締めさせる。 + 彼の頭にかぶり物をかぶらせ、そのかぶり物の上に、聖別の記章を掛ける。 + そそぎの油を取って、彼の頭にそそぎ、彼に油そそぎをする。 + 彼の子らを近づけ、彼らに長服を着せなければならない。 + アロンとその子らに飾り帯を締めさせ、ターバンを巻きつけさせる。永遠のおきてによって、祭司の職は彼らのものとなる。あなたは、アロンとその子らを祭司職に任命せよ。 + あなたが、雄牛を会見の天幕の前に近づけたなら、アロンとその子らがその雄牛の頭に手を置く。 + あなたは、会見の天幕の入口で、主の前に、その雄牛をほふり、 + その雄牛の血を取り、あなたの指でこれを祭壇の角につける。その血はみな祭壇の土台に注がなければならない。 + その内臓をおおうすべての脂肪、肝臓の小葉、二つの腎臓と、その上の脂肪を取り、これらを祭壇の上で焼いて煙にする。 + ただし、その雄牛の肉と皮と汚物とは、宿営の外で火で焼かなければならない。これは罪のためのいけにえである。 + あなたは雄羊一頭を取り、アロンとその子らはその雄羊の頭に手を置かなければならない。 + あなたはその雄羊をほふり、その血を取り、これを祭壇の回りに注ぎかける。 + また、その雄羊を部分に切り分け、その内臓とその足を洗い、これらをほかの部分や頭といっしょにしなければならない。 + その雄羊を全部祭壇の上で焼いて煙にする。これは、主への全焼のいけにえで、なだめのかおりであり、主への火によるささげ物である。 + あなたはもう一頭の雄羊を取り、アロンとその子らはその雄羊の頭に手を置く。 + あなたはその雄羊をほふり、その血を取って、アロンの右の耳たぶと、その子らの右の耳たぶ、また、彼らの右手の親指と、右足の親指につけ、その血を祭壇の回りに注ぎかける。 + あなたが、祭壇の上にある血とそそぎの油を取って、アロンとその装束、および、彼とともにいる彼の子らとその装束とに振りかけると、彼とその装束、および、彼とともにいる彼の子らとその装束とは聖なるものとなる。 + あなたはその雄羊の脂肪、あぶら尾、内臓をおおう脂肪、肝臓の小葉、二つの腎臓、その上の脂肪、および、右のももを取る。これは、任職の雄羊である。 + 主の前にある種を入れないパンのかごの丸型のパン一個と、油を入れた輪型のパン一個と、せんべい一個、 + これらをみなアロンの手のひらと、その子らの手のひらに載せ、これらを奉献物として主に向かって揺り動かす。 + これらを、彼らの手から取り、全焼のいけにえといっしょに祭壇の上で焼いて煙とし、主の前になだめのかおりとする。これは、主への火によるささげ物である。 + あなたはアロンの任職用の雄羊の胸を取り、これを奉献物として主に向かって揺り動かす。これは、あなたの受け取る分となる。 + あなたがアロンとその子らの任職用の雄羊の、奉献物として揺り動かされた胸と、奉納物として、ささげられたももとを聖別するなら、 + それは、アロンとその子らがイスラエル人から受け取る永遠の分け前となる。それは奉納物であり、それはイスラエル人からの和解のいけにえの奉納物、すなわち、主への奉納物であるから。 + アロンの聖なる装束は、彼の跡を継ぐ子らのものとなり、彼らはこれを着けて、油そそがれ、祭司職に任命されなければならない。 + 彼の子らのうち、彼に代わって祭司となる者は、聖所で務めを行うために会見の天幕に入るとき、七日間、これを着なければならない。 + あなたは任職用の雄羊を取り、聖なる場所で、その肉を煮なければならない。 + アロンとその子らは、会見の天幕の入口で、その雄羊の肉と、かごの中のパンとを食べる。 + 彼らは、彼らを祭司職に任命し、聖別するための贖いに用いられたものを、食べる。ほかの者は食べてはならない。これらは聖なる物である。 + もし、任職用の肉またはパンが、朝まで残ったなら、その残りは火で焼く。食べてはならない。これは聖なる物である。 + あなたが、わたしの命じたすべてのことをそのとおりに、アロンとその子らに行ったなら、七日間、任職式を行わなければならない。 + 毎日、贖罪のために、罪のためのいけにえとして雄牛一頭をささげなければならない。祭壇のための贖いをするときには、その上に罪のためのいけにえをささげ、これを聖別するために油をそそぐ。 + 七日間にわたって祭壇のための贖いをしなければならない。あなたがそれを聖別すれば、祭壇は最も聖なるものとなる。祭壇に触れるものもすべて聖なるものとなる。 + 祭壇の上にささげるべき物は次のとおりである。毎日絶やすことなく一歳の若い雄羊二頭。 + 一頭の若い雄羊は朝ささげ、他の一頭の若い雄羊は夕暮れにささげなければならない。 + 一頭の若い雄羊には、上質のオリーブ油四分の一ヒンを混ぜた最良の小麦粉十分の一エパと、また注ぎのささげ物として、ぶどう酒四分の一ヒンが添えられる。 + もう一頭の若い雄羊は夕暮れにささげなければならない。これには朝の穀物のささげ物や、注ぎのささげ物を同じく添えてささげなければならない。それは、なだめのかおりのためであり、主への火によるささげ物である。 + これは、主の前、会見の天幕の入口で、あなたがたが代々にわたって、絶やすことのない全焼のいけにえである。その所でわたしはあなたがたに会い、その所であなたと語る。 + その所でわたしはイスラエル人に会う。そこはわたしの栄光によって聖とされる。 + わたしは会見の天幕と祭壇を聖別する。またアロンとその子らを聖別して、彼らを祭司としてわたしに仕えさせよう。 + わたしはイスラエル人の間に住み、彼らの神となろう。 + 彼らは、わたしが彼らの神、主であり、彼らの間に住むために、彼らをエジプトの地から連れ出した者であることを知るようになる。わたしは彼らの神、主である。 + + + あなたは、香をたくために壇を作る。それは、アカシヤ材で作らなければならない。 + 長さ一キュビト、幅一キュビトの四角形で、その高さは二キュビトでなければならない。その一部として角をつける。 + それに、上面と回りの側面と角を純金でかぶせる。その回りに、金の飾り縁を作る。 + また、その壇のために、その飾り縁の下に、二つの金環を作らなければならない。相対する両側に作らなければならない。これらは、壇をかつぐ棒を通す所となる。 + その棒はアカシヤ材で作り、それに金をかぶせる。 + それをあかしの箱をおおう垂れ幕の手前、わたしがあなたとそこで会うあかしの箱の上の『贖いのふた』の手前に置く。 + アロンはその上でかおりの高い香をたく。朝ごとにともしびを整えるときに、煙を立ち上らせなければならない。 + アロンは夕暮れにも、ともしびをともすときに、煙を立ち上らせなければならない。これは、あなたがたの代々にわたる、主の前の常供の香のささげ物である。 + あなたがたは、その上で異なった香や全焼のいけにえや穀物のささげ物をささげてはならない。また、その上に、注ぎのぶどう酒を注いではならない。 + アロンは年に一度、贖罪のための、罪のためのいけにえの血によって、その角の上で贖いをする。すなわち、あなたがたは代々、年に一度このために、贖いをしなければならない。これは、主に対して最も聖なるものである。」 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あなたがイスラエル人の登録のため、人口調査をするとき、その登録にあたり、各人は自分自身の贖い金を主に納めなければならない。これは、彼らの登録によって、彼らにわざわいが起こらないためである。 + 登録される者はみな、聖所のシェケルで半シェケルを払わなければならない。一シェケルは二十ゲラであって、おのおの半シェケルを主への奉納物とする。 + 二十歳、またそれ以上の者で登録される者はみな、主にこの奉納物を納めなければならない。 + あなたがた自身を贖うために、主に奉納物を納めるとき、富んだ者も半シェケルより多く払ってはならず、貧しい者もそれより少なく払ってはならない。 + イスラエル人から、贖いの銀を受け取ったなら、それは会見の天幕の用に当てる。これは、あなたがた自身の贖いのために、主の前で、イスラエル人のための記念となる。」 + 主はまたモーセに告げて仰せられた。 + 「洗いのための青銅の洗盤と青銅の台を作ったなら、それを会見の天幕と祭壇の間に置き、その中に水を入れよ。 + アロンとその子らは、そこで手と足を洗う。 + 彼らが会見の天幕に入るときには、水を浴びなければならない。彼らが死なないためである。また、彼らが、主への火によるささげ物を焼いて煙にする務めのために祭壇に近づくときにも、 + その手、その足を洗う。彼らが死なないためである。これは、彼とその子孫の代々にわたる永遠のおきてである。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あなたは、最上の香料を取れ。液体の没薬五百シェケル、かおりの強い肉桂をその半分――二百五十シェケル――、におい菖蒲二百五十シェケル、 + 桂枝を聖所のシェケルで五百シェケル、オリーブ油一ヒン。 + あなたはこれらをもって聖なるそそぎの油を、調合法にしたがって、混ぜ合わせの香油を作る。これが聖なるそそぎの油となる。 + この油を次のものにそそぐ。会見の天幕、あかしの箱、 + 机とそのいろいろな器具、燭台とそのいろいろな器具、香の壇、 + 全焼のいけにえのための祭壇とそのいろいろな器具、洗盤とその台。 + あなたがこれらを聖別するなら、それは、最も聖なるものとなる。これらに触れるものもすべて聖なるものとなる。 + あなたは、アロンとその子らに油をそそぎ、彼らを聖別して祭司としてわたしに仕えさせなければならない。 + あなたはイスラエル人に告げて言わなければならない。これはあなたがたの代々にわたって、わたしのための聖なるそそぎの油となる。 + これをだれのからだにもそそいではならない。また、この割合で、これと似たものを作ってはならない。これは聖なるものであり、あなたがたにとっても聖なるものとしなければならない。 + すべて、これと似たものを調合する者、または、これをほかの人につける者は、だれでもその民から断ち切られなければならない。」 + 主はモーセに仰せられた。「あなたは香料、すなわち、ナタフ香、シェヘレテ香、ヘルベナ香、これらの香料と純粋な乳香を取れ。これはおのおの同じ量でなければならない。 + これをもって香を、調合法にしたがって、香ばしい聖なる純粋な香油を作る。 + また、そのいくぶんかを細かに砕き、その一部をわたしがあなたとそこで会う会見の天幕の中のあかしの箱の前に供える。これは、あなたがたにとって最も聖なるものでなければならない。 + あなたが作る香は、それと同じ割合で自分自身のために作ってはならない。あなたは、それを主に対して聖なるものとしなければならない。 + これと似たものを作って、これをかぐ者はだれでも、その民から断ち切られる。」 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「見よ。わたしは、ユダ部族のフルの子であるウリの子ベツァルエルを名ざして召し、 + 彼に知恵と英知と知識とあらゆる仕事において、神の霊を満たした。 + それは、彼が、金や銀や青銅の細工を巧みに設計し、 + はめ込みの宝石を彫り、木を彫刻し、あらゆる仕事をするためである。 + 見よ。わたしは、ダン部族のアヒサマクの子オホリアブを、彼のもとに任命した。わたしはすべて心に知恵のある者に知恵を授けた。彼らはわたしがあなたに命じたものを、ことごとく作る。 + すなわち、会見の天幕、あかしの箱、その上の『贖いのふた』、天幕のあらゆる設備品、 + 机とその付属品、純金の燭台と、そのいろいろな器具、香の壇、 + 全焼のいけにえの祭壇と、そのあらゆる道具、洗盤とその台、 + 式服、すなわち、祭司として仕える祭司アロンの聖なる装束と、その子らの装束、 + そそぎの油、聖所のためのかおりの高い香である。彼らは、すべて、わたしがあなたに命じたとおりに作らなければならない。」 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あなたはイスラエル人に告げて言え。/あなたがたは、必ずわたしの安息を守らなければならない。これは、代々にわたり、わたしとあなたがたとの間のしるし、わたしがあなたがたを聖別する主であることを、あなたがたが知るためのものなのである。 + これは、あなたがたにとって聖なるものであるから、あなたがたはこの安息を守らなければならない。これを汚す者は必ず殺されなければならない。この安息中に仕事をする者は、だれでも、その民から断ち切られる。 + 六日間は仕事をしてもよい。しかし、七日目は、主の聖なる全き休みの安息日である。安息の日に仕事をする者は、だれでも必ず殺されなければならない。 + イスラエル人はこの安息を守り、永遠の契約として、代々にわたり、この安息を守らなければならない。 + これは、永遠に、わたしとイスラエル人との間のしるしである。それは主が六日間に天と地とを造り、七日目に休み、いこわれたからである。」 + こうして主は、シナイ山でモーセと語り終えられたとき、あかしの板二枚、すなわち、神の指で書かれた石の板をモーセに授けられた。 + + + 民はモーセが山から降りて来るのに手間取っているのを見て、アロンのもとに集まり、彼に言った。「さあ、私たちに先立って行く神を、造ってください。私たちをエジプトの地から連れ上ったあのモーセという者が、どうなったのか、私たちにはわからないから。」 + それで、アロンは彼らに言った。「あなたがたの妻や、息子、娘たちの耳にある金の耳輪をはずして、私のところに持って来なさい。」 + そこで、民はみな、その耳にある金の耳輪をはずして、アロンのところに持って来た。 + 彼がそれを、彼らの手から受け取り、のみで型を造り、鋳物の子牛にした。彼らは、「イスラエルよ。これがあなたをエジプトの地から連れ上ったあなたの神だ」と言った。 + アロンはこれを見て、その前に祭壇を築いた。そして、アロンは呼ばわって言った。「あすは主への祭りである。」 + そこで、翌日、朝早く彼らは全焼のいけにえをささげ、和解のいけにえを供えた。そして、民はすわっては、飲み食いし、立っては、戯れた。 + 主はモーセに仰せられた。「さあ、すぐ降りて行け。あなたがエジプトの地から連れ上ったあなたの民は、堕落してしまったから。 + 彼らは早くも、わたしが彼らに命じた道からはずれ、自分たちのために鋳物の子牛を造り、それを伏し拝み、それにいけにえをささげ、『イスラエルよ。これがあなたをエジプトの地から連れ上ったあなたの神だ』と言っている。」 + 主はまた、モーセに仰せられた。「わたしはこの民を見た。これは、実にうなじのこわい民だ。 + 今はただ、わたしのするままにせよ。わたしの怒りが彼らに向かって燃え上がって、わたしが彼らを絶ち滅ぼすためだ。しかし、わたしはあなたを大いなる国民としよう。」 + しかしモーセは、彼の神、主に嘆願して言った。「主よ。あなたが偉大な力と力強い御手をもって、エジプトの地から連れ出されたご自分の民に向かって、どうして、あなたは御怒りを燃やされるのですか。 + また、どうしてエジプト人が『神は彼らを山地で殺し、地の面から絶ち滅ぼすために、悪意をもって彼らを連れ出したのだ』と言うようにされるのですか。どうか、あなたの燃える怒りをおさめ、あなたの民へのわざわいを思い直してください。 + あなたのしもべアブラハム、イサク、イスラエルを覚えてください。あなたはご自身にかけて彼らに誓い、そうして、彼らに、『わたしはあなたがたの子孫を空の星のようにふやし、わたしが約束したこの地をすべて、あなたがたの子孫に与え、彼らは永久にこれを相続地とするようになる』と仰せられたのです。」 + すると、主はその民に下すと仰せられたわざわいを思い直された。 + モーセは向き直り、二枚のあかしの板を手にして山から降りた。板は両面から書いてあった。すなわち、表と裏に書いてあった。 + 板はそれ自体神の作であった。その字は神の字であって、その板に刻まれていた。 + ヨシュアは民の叫ぶ大声を聞いて、モーセに言った。「宿営の中にいくさの声がします。」 + するとモーセは言った。「それは勝利を叫ぶ声ではなく、敗北を嘆く声でもない。私の聞くのは、歌を歌う声である。」 + 宿営に近づいて、子牛と踊りを見るなり、モーセの怒りは燃え上がった。そして手からあの板を投げ捨て、それを山のふもとで砕いてしまった。 + それから、彼らが造った子牛を取り、これを火で焼き、さらにそれを粉々に砕き、それを水の上にまき散らし、イスラエル人に飲ませた。 + モーセはアロンに言った。「この民はあなたに何をしたのですか。あなたが彼らにこんな大きな罪を犯させたのは。」 + アロンは言った。「わが主よ。どうか怒りを燃やさないでください。あなた自身、民の悪いのを知っているでしょう。 + 彼らは私に言いました。『私たちに先立って行く神を、造ってくれ。私たちをエジプトの地から連れ上ったあのモーセという者が、どうなったのか、私たちにはわからないから。』 + それで、私は彼らに、『だれでも、金を持っている者は私のために、それを取りはずせ』と言いました。彼らはそれを私に渡したので、私がこれを火に投げ入れたところ、この子牛が出て来たのです。」 + モーセは、民が乱れており、アロンが彼らをほうっておいたので、敵の物笑いとなっているのを見た。 + そこでモーセは宿営の入口に立って「だれでも、主につく者は、私のところに」と言った。するとレビ族がみな、彼のところに集まった。 + そこで、モーセは彼らに言った。「イスラエルの神、主はこう仰せられる。おのおの腰に剣を帯び、宿営の中を入口から入口へ行き巡って、おのおのその兄弟、その友、その隣人を殺せ。」 + レビ族は、モーセのことばどおりに行った。その日、民のうち、おおよそ三千人が倒れた。 + そこで、モーセは言った。「あなたがたは、おのおのその子、その兄弟に逆らっても、きょう、主に身をささげよ。主が、きょう、あなたがたに祝福をお与えになるために。」 + 翌日になって、モーセは民に言った。「あなたがたは大きな罪を犯した。それで今、私は主のところに上って行く。たぶんあなたがたの罪のために贖うことができるでしょう。」 + そこでモーセは主のところに戻って、申し上げた。「ああ、この民は大きな罪を犯してしまいました。自分たちのために金の神を造ったのです。 + 今、もし、彼らの罪をお赦しくだされるものなら――。しかし、もしも、かないませんなら、どうか、あなたがお書きになったあなたの書物から、私の名を消し去ってください。」 + すると主はモーセに仰せられた。「わたしに罪を犯した者はだれであれ、わたしの書物から消し去ろう。 + しかし、今は行って、わたしがあなたに告げた場所に、民を導け。見よ。わたしの使いが、あなたの前を行く。わたしのさばきの日にわたしが彼らの罪をさばく。」 + こうして、主は民を打たれた。アロンが造った子牛を彼らが礼拝したからである。 + + + 主はモーセに仰せられた。「あなたも、あなたがエジプトの地から連れ上った民も、わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓って、『これをあなたの子孫に与える』と言った地にここから上って行け。 + わたしはあなたがたの前にひとりの使いを遣わし、わたしが、カナン人、エモリ人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を追い払い、 + 乳と蜜の流れる地にあなたがたを行かせよう。わたしは、あなたがたのうちにあっては上らないからである。あなたがたはうなじのこわい民であるから、わたしが途中であなたがたを絶ち滅ぼすようなことがあるといけないから。」 + 民はこの悪い知らせを聞いて悲しみ痛み、だれひとり、その飾り物を身に着ける者はいなかった。 + 主はモーセに、仰せられた。「イスラエル人に言え。/あなたがたは、うなじのこわい民だ。一時でもあなたがたのうちにあって、上って行こうものなら、わたしはあなたがたを絶ち滅ぼしてしまうだろう。今、あなたがたの飾り物を身から取りはずしなさい。そうすれば、わたしはあなたがたをどうするかを考えよう。」 + それで、イスラエル人はホレブの山以来、その飾り物を取りはずしていた。 + モーセはいつも天幕を取り、自分のためにこれを宿営の外の、宿営から離れた所に張り、そしてこれを会見の天幕と呼んでいた。だれでも主に伺いを立てる者は、宿営の外にある会見の天幕に行くのであった。 + モーセがこの天幕に出て行くときは、民はみな立ち上がり、おのおの自分の天幕の入口に立って、モーセが天幕に入るまで、彼を見守った。 + モーセが天幕に入ると、雲の柱が降りて来て、天幕の入口に立った。主はモーセと語られた。 + 民は、みな、天幕の入口に雲の柱が立つのを見た。民はみな立って、おのおの自分の天幕の入口で伏し拝んだ。 + 主は、人が自分の友と語るように、顔と顔とを合わせてモーセに語られた。モーセが宿営に帰ると、彼の従者でヌンの子ヨシュアという若者が幕屋を離れないでいた。 + さて、モーセは主に申し上げた。「ご覧ください。あなたは私に、『この民を連れて上れ』と仰せになります。しかし、だれを私といっしょに遣わすかを知らせてくださいません。しかも、あなたご自身で、『わたしは、あなたを名ざして選び出した。あなたは特にわたしの心にかなっている』と仰せになりました。 + 今、もしも、私があなたのお心にかなっているのでしたら、どうか、あなたの道を教えてください。そうすれば、私はあなたを知ることができ、あなたのお心にかなうようになれるでしょう。この国民があなたの民であることをお心に留めてください。」 + すると主は仰せられた。「わたし自身がいっしょに行って、あなたを休ませよう。」 + それでモーセは申し上げた。「もし、あなたご自身がいっしょにおいでにならないなら、私たちをここから上らせないでください。 + 私とあなたの民とが、あなたのお心にかなっていることは、いったい何によって知られるのでしょう。それは、あなたが私たちといっしょにおいでになって、私とあなたの民が、地上のすべての民と区別されることによるのではないでしょうか。」 + 主はモーセに仰せられた。「あなたの言ったそのことも、わたしはしよう。あなたはわたしの心にかない、あなたを名ざして選び出したのだから。」 + すると、モーセは言った。「どうか、あなたの栄光を私に見せてください。」 + 主は仰せられた。「わたし自身、わたしのあらゆる善をあなたの前に通らせ、主の名で、あなたの前に宣言しよう。わたしは、恵もうと思う者を恵み、あわれもうと思う者をあわれむ。」 + また仰せられた。「あなたはわたしの顔を見ることはできない。人はわたしを見て、なお生きていることはできないからである。」 + また主は仰せられた。「見よ。わたしのかたわらに一つの場所がある。あなたは岩の上に立て。 + わたしの栄光が通り過ぎるときには、わたしはあなたを岩の裂け目に入れ、わたしが通り過ぎるまで、この手であなたをおおっておこう。 + わたしが手をのけたら、あなたはわたしのうしろを見るであろうが、わたしの顔は決して見られない。」 + + + 主はモーセに仰せられた。「前のと同じような二枚の石の板を、切り取れ。わたしは、あなたが砕いたこの前の石の板にあったあのことばを、その石の板の上に書きしるそう。 + 朝までに準備をし、朝シナイ山に登って、その山の頂でわたしの前に立て。 + だれも、あなたといっしょに登ってはならない。また、だれも、山のどこにも姿を見せてはならない。また、羊や牛であっても、その山のふもとで草を食べていてはならない。」 + そこで、モーセは前のと同じような二枚の石の板を切り取り、翌朝早く、主が命じられたとおりに、二枚の石の板を手に持って、シナイ山に登った。 + 主は雲の中にあって降りて来られ、彼とともにそこに立って、主の名によって宣言された。 + 主は彼の前を通り過ぎるとき、宣言された。「主、主は、あわれみ深く、情け深い神、怒るのにおそく、恵みとまことに富み、 + 恵みを千代も保ち、咎とそむきと罪を赦す者、罰すべき者は必ず罰して報いる者。父の咎は子に、子の子に、三代に、四代に。」 + モーセは急いで地にひざまずき、伏し拝んで、 + お願いした。「ああ、主よ。もし私があなたのお心にかなっているのでしたら、どうか主が私たちの中にいて、進んでくださいますように。確かに、この民は、うなじのこわい民ですが、どうか私たちの咎と罪を赦し、私たちをご自身のものとしてくださいますように。」 + 主は仰せられた。「今ここで、わたしは契約を結ぼう。わたしは、あなたの民すべての前で、地のどこにおいても、また、どの国々のうちにおいても、かつてなされたことのない奇しいことを行おう。あなたとともにいるこの民はみな、主のわざを見るであろう。わたしがあなたとともに行うことは恐るべきものである。 + わたしがきょう、あなたに命じることを、守れ。見よ。わたしはエモリ人、カナン人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人を、あなたの前から追い払う。 + あなたは、注意して、あなたが入って行くその地の住民と契約を結ばないようにせよ。それがあなたの間で、わなとならないように。 + いや、あなたがたは彼らの祭壇を取りこわし、彼らの石柱を打ち砕き、アシェラ像を切り倒さなければならない。 + あなたはほかの神を拝んではならないからである。その名がねたみである主は、ねたむ神であるから。 + あなたはその地の住民と契約を結んではならない。彼らは神々を慕って、みだらなことをし、自分たちの神々にいけにえをささげ、あなたを招くと、あなたはそのいけにえを食べるようになる。 + あなたがその娘たちをあなたの息子たちにめとるなら、その娘たちが自分たちの神々を慕ってみだらなことをし、あなたの息子たちに、彼らの神々を慕わせてみだらなことをさせるようになる。 + あなたは、自分のために鋳物の神々を造ってはならない。 + あなたは、種を入れないパンの祭りを守らなければならない。わたしが命じたように、アビブの月の定められた時に、七日間、種を入れないパンを食べなければならない。あなたがアビブの月にエジプトを出たからである。 + 最初に生まれるものは、すべて、わたしのものである。あなたの家畜はみな、初子の雄は、牛も羊もそうである。 + ただし、ろばの初子は羊で贖わなければならない。もし、贖わないなら、その首を折らなければならない。あなたの息子のうち、初子はみな、贖わなければならない。だれも、何も持たずに、わたしの前に出てはならない。 + あなたは六日間は働き、七日目には休まなければならない。耕作の時も、刈り入れの時にも、休まなければならない。 + 小麦の刈り入れの初穂のために七週の祭りを、年の変わり目に収穫祭を、行わなければならない。 + 年に三度、男子はみな、イスラエルの神、主、主の前に出なければならない。 + わたしがあなたの前から、異邦の民を追い出し、あなたの国境を広げるので、あなたが年に三度、あなたの神、主の前に出るために上る間にあなたの地を欲しがる者はだれもいないであろう。 + わたしのいけにえの血を、種を入れたパンに添えて、ささげてはならない。また、過越の祭りのいけにえを朝まで残しておいてはならない。 + あなたの土地から取れる初穂の最上のものを、あなたの神、主の家に持って来なければならない。子やぎをその母の乳で煮てはならない。」 + 主はモーセに仰せられた。「これらのことばを書きしるせ。わたしはこれらのことばによって、あなたと、またイスラエルと契約を結んだのである。」 + モーセはそこに、四十日四十夜、主とともにいた。彼はパンも食べず、水も飲まなかった。そして、彼は石の板に契約のことば、十のことばを書きしるした。 + それから、モーセはシナイ山から降りて来た。モーセが山を降りて来たとき、その手に二枚のあかしの石の板を持っていた。彼は、主と話したので自分の顔のはだが光を放ったのを知らなかった。 + アロンとすべてのイスラエル人はモーセを見た。なんと彼の顔のはだが光を放つではないか。それで彼らは恐れて、彼に近づけなかった。 + モーセが彼らを呼び寄せたとき、アロンと会衆の上に立つ者がみな彼のところに戻って来た。それでモーセは彼らに話しかけた。 + それから後、イスラエル人全部が近寄って来たので、彼は主がシナイ山で彼に告げられたことを、ことごとく彼らに命じた。 + モーセは彼らと語り終えたとき、顔におおいを掛けた。 + モーセが主の前に入って行って主と話すときには、いつも、外に出るときまで、おおいをはずしていた。そして出て来ると、命じられたことをイスラエル人に告げた。 + イスラエル人はモーセの顔を見た。まことに、モーセの顔のはだは光を放った。モーセは、主と話すために入って行くまで、自分の顔におおいを掛けていた。 + + + モーセはイスラエル人の全会衆を集めて彼らに言った。「これは、主が行えと命じられたことばである。 + 六日間は仕事をしてもよい。しかし、七日目には、主の聖なる全き休みの安息を守らなければならない。この日に仕事をする者は、だれでも殺されなければならない。 + 安息の日には、あなたがたのどの住まいのどこででも、火をたいてはならない。」 + モーセはイスラエル人の全会衆に告げて言った。「これは、主が命じて仰せられたことである。 + あなたがたの中から主への奉納物を受け取りなさい。すべて、心から進んでささげる者に、主への奉納物を持って来させなさい。すなわち、金、銀、青銅、 + 青色、紫色、緋色の撚り糸、亜麻布、やぎの毛、 + 赤くなめした雄羊の皮、じゅごんの皮、アカシヤ材、 + 燈油、そそぎの油とかおりの高い香のための香料、 + エポデや胸当てにはめ込むしまめのうや宝石である。 + あなたがたのうちの心に知恵のある者は、みな来て、主が命じられたものをすべて造らなければならない。 + 幕屋、その天幕と、そのおおい、その留め金とその板、その横木、その柱と、その台座、 + 箱と、その棒、『贖いのふた』とおおいの垂れ幕、 + 机と、その棒とそのすべての用具と供えのパン、 + 燈火のための燭台と、その用器とともしび皿と、燈火用の油、 + 香の壇と、その棒とそそぎの油とかおりの高い香と幕屋の入口につける入口の垂れ幕、 + 全焼のいけにえの祭壇とそれに付属する青銅の格子、その棒とそのすべての用具、洗盤と、その台、 + 庭の掛け幕、その柱とその台座と庭の門の垂れ幕、 + 幕屋の釘と庭の釘と、そのひも、 + 聖所で仕えるための式服、すなわち、祭司アロンの聖なる装束と、祭司として仕える彼の子らの装束である。」 + イスラエル人の全会衆は、モーセの前から立ち去った。 + 感動した者と、心から進んでする者とはみな、会見の天幕の仕事のため、また、そのすべての作業のため、また、聖なる装束のために、主への奉納物を持って来た。 + すべて心から進んでささげる男女は、飾り輪、耳輪、指輪、首飾り、すべての金の飾り物を持って来た。金の奉献物を主にささげた者はみな、そうした。 + また、青色、紫色、緋色の撚り糸、亜麻布、やぎの毛、赤くなめした雄羊の皮、じゅごんの皮を持っている者はみな、それを持って来た。 + 銀や青銅の奉納物をささげる者はみな、それを主への奉納物として持って来た。アカシヤ材を持っている者はみな、奉仕のすべての仕事のため、それを持って来た。 + また、心に知恵のある女もみな、自分の手で紡ぎ、その紡いだ青色、紫色、緋色の撚り糸、それに亜麻布を持って来た。 + 感動して、知恵を用いたいと思った女たちはみな、やぎの毛を紡いだ。 + 上に立つ者たちはエポデと胸当てにはめるしまめのうや宝石を持って来た。 + また、燈火、そそぎの油、かおりの高い香のためのバルサム油とオリーブ油とを持って来た。 + イスラエル人は、男も女もみな、主がモーセを通して、こうせよと命じられたすべての仕事のために、心から進んでささげたのであって、彼らはそれを進んでささげるささげ物として主に持って来た。 + モーセはイスラエル人に言った。「見よ。主はユダ部族のフルの子であるウリの子ベツァルエルを名ざして召し出し、 + 彼に、知恵と英知と知識とあらゆる仕事において、神の霊を満たされた。 + それは彼が金や銀や青銅の細工を巧みに設計し、 + はめ込みの宝石を彫刻し、木を彫刻し、あらゆる設計的な仕事をさせるためである。 + また、彼の心に人を教える力を授けられた。彼とダン部族のアヒサマクの子オホリアブとに、そうされた。 + 主は彼らをすぐれた知恵で満たされた。それは彼らが、あらゆる仕事と巧みな設計をなす者として、彫刻する者、設計する者、および、青色、紫色、緋色の撚り糸や亜麻布で刺繍する者、また機織りする者の仕事を成し遂げるためである。 + + + ベツァルエルとオホリアブ、および、聖所の奉仕のすべての仕事をすることのできる知恵と英知を主に与えられた、心に知恵のある者はみな、主が命じられたすべてのことを成し遂げなければならない。」 + モーセは、ベツァルエルとオホリアブ、および、主が知恵を授けられた、心に知恵のある者すべて、すなわち感動して、進み出てその仕事をしたいと思う者すべてを、呼び寄せた。 + 彼らは、聖所の奉仕の仕事をするためにイスラエル人が持って来たすべての奉納物をモーセから受け取った。しかしイスラエル人は、なおも朝ごとに、進んでささげるささげ物を彼のところに持って来た。 + そこで、聖所のすべての仕事をしていた、知恵のある者はみな、それぞれ自分たちがしていた仕事から離れてやって来て、 + モーセに告げて言った。「民は幾たびも、持って来ています。主がせよと命じられた仕事のために、あり余る奉仕です。」 + それでモーセは命じて、宿営中にふれさせて言った。「男も女も、もはや聖所の奉納物のための仕事をしないように。」こうして、民は持って来ることをやめた。 + 手持ちの材料は、すべての仕事をするのに十分であり、あり余るほどであった。 + 仕事に携わっている者のうち、心に知恵のある者はみな、幕屋を十枚の幕で造った。撚り糸で織った亜麻布、青色、紫色、緋色の撚り糸で作り、巧みな細工でケルビムを織り出した。 + 幕の長さは、おのおの二十八キュビト、幕の幅は、おのおの四キュビト、幕はみな同じ寸法とした。 + 五枚の幕を互いにつなぎ合わせ、また、他の五枚の幕も互いにつなぎ合わせた。 + そのつなぎ合わせたものの端にある幕の縁に青いひもの輪をつけた。他のつなぎ合わせたものの端にある幕の縁にも、そのようにした。 + その一枚の幕に輪五十個をつけ、他のつなぎ合わせた幕の端にも輪五十個をつけ、その輪を互いに向かい合わせにした。 + そして、金の留め金五十個を作り、その留め金で、幕を互いにつなぎ合わせて、一つの幕屋にした。 + また、幕屋の上に掛ける天幕のために、やぎの毛の幕を作った。その幕を十一枚作った。 + その一枚の幕の長さは三十キュビト。その一枚の幕の幅は四キュビト。その十一枚の幕は同じ寸法とした。 + その五枚の幕を一つにつなぎ合わせ、また、ほかの六枚の幕を一つにつなぎ合わせ、 + そのつなぎ合わせたものの端にある幕の縁に、輪五十個をつけ、他のつなぎ合わせた幕の縁にも輪五十個をつけた。 + また、青銅の留め金五十個を作り、その天幕をつなぎ合わせて、一つにした。 + また、天幕のために、赤くなめした雄羊の皮のおおいと、じゅごんの皮でその上に掛けるおおいとを作った。 + さらに、幕屋のためにアカシヤ材で、まっすぐに立てる板を作った。 + 板一枚の長さは十キュビト、板一枚の幅は一キュビト半であった。 + 板一枚ごとに、はめ込みのほぞ二つを作った。幕屋の板、全部にこのようにした。 + 幕屋のために板を作った。南側に板二十枚。 + その二十枚の板の下に銀の台座四十個を作った。一枚の板の下に、二つのほぞに二個の台座、ほかの板の下にも、二つのほぞに二個の台座を作った。 + 幕屋の他の側、すなわち、北側に板二十枚を作った。 + 銀の台座四十個。すなわち、一枚の板の下に二個の台座。ほかの板の下にも二個の台座。 + 幕屋のうしろ、すなわち、西側に板六枚を作った。 + 幕屋のうしろの両隅のために、板二枚を作った。 + 底部では重なり合い、上部では一つの環で一つに合わさるようにした。二枚とも、そのように作った。それが両隅であった。 + 板は八枚、その銀の台座は十六個、すなわち一枚の板の下に、二つずつ台座があった。 + ついで、アカシヤ材で横木を作った。すなわち、幕屋の一方の側の板のために五本、 + 幕屋の他の側の板のために横木五本、幕屋のうしろ、すなわち西側の板のために横木五本を作った。 + それから、板の中間を、端から端まで通る中央横木を作った。 + 板には金をかぶせ、横木を通す環を金で作った。横木には金をかぶせた。 + ついで、青色、紫色、緋色の撚り糸、撚り糸で織った亜麻布で、垂れ幕を作った。これに巧みな細工でケルビムを織り出した。 + そのために、アカシヤ材の四本の柱を作り、それに金をかぶせた。柱の鉤は金であった。そしてこの柱のために銀の四つの台座を鋳造した。 + ついで、天幕の入口のために、青色、紫色、緋色の撚り糸、撚り糸で織った亜麻布で、刺繍をした幕を作った。 + 五本の柱と、その鉤を作り、その柱の頭部と帯輪に金をかぶせた。その五つの台座は青銅であった。 + + + ベツァルエルはアカシヤ材で一つの箱を作った。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト半。 + その内側と外側を純金でかぶせ、その回りに金の飾り縁を作った。 + 箱のために、金の環四つを鋳造し、その四隅の基部に取りつけた。一方の側に二つの環を、他の側にほかの二つの環を取りつけた。 + また、アカシヤ材で棒を作り、これを金でかぶせ、 + その棒を、箱をかつぐために箱の両側にある環に通した。 + ついで彼は、純金で「贖いのふた」を作った。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半。 + また、槌で打って作った二つの金のケルビムを「贖いのふた」の両端に作った。 + 一つのケルブを一方の端に、他のケルブを他方の端に。ケルビムを「贖いのふた」の一部として、その両端に作った。 + ケルビムは翼を上のほうに伸べ広げ、その翼で「贖いのふた」をおおい、ケルビムは互いに向かい合い、その顔は「贖いのふた」に向いていた。 + 彼は、アカシヤ材で、一つの机を作った。長さは二キュビト、幅は一キュビト、高さは一キュビト半。 + これを純金でかぶせ、その回りに金の飾り縁を作った。 + その回りに、手幅のわくを作り、そのわくの回りに金の飾り縁を作った。 + その机のために、金の環四個を鋳造し、その四本の足のところの四隅に、その環を取りつけた。 + その環はわくのわきにつけ、机をかつぐ棒を入れる所とした。 + アカシヤ材で、机をかつぐ棒を作り、これを金でかぶせた。 + さらに、机の上の器、すなわち、注ぎのささげ物を注ぐための皿や、ひしゃく、水差しや、びんを純金で作った。 + また彼は、純金で燭台を作った。その燭台は、槌で打って作り、その台座と、支柱と、がくと、節と、花弁とで一個の燭台とした。 + 六つの枝をそのわきから、すなわち、燭台の三つの枝を一方のわきから、燭台の他の三つの枝を他のわきから出した。 + 一方の一つの枝に、アーモンドの花の形をした節と花弁のある三つのがくを、また、他方の一つの枝にも、アーモンドの花の形をした節と花弁のある三つのがくをつけた。こうして燭台から出る六つの枝をみな、そのようにした。 + 燭台の支柱には、アーモンドの花の形をした節と花弁のある四つのがくをつけた。 + それから出る一対の枝の下に一つの節、それから出る次の一対の枝の下に一つの節、それから出るその次の一対の枝の下に一つの節。このように六つの枝が燭台から出ていた。 + それらの節と枝とは燭台と一体にし、その全体は一つの純金を打って作った。 + また、そのともしび皿七つと、その心切りばさみと、心取り皿とを純金で作った。 + すなわち、純金一タラントで、燭台とそのすべての用具を作った。 + 彼は、アカシヤ材で香の壇を作った。長さは一キュビト、幅は一キュビトの四角形で、高さは二キュビト。これの一部として角をつけた。 + そして、上面と回りの側面と角を純金でかぶせ、その回りに金の飾り縁を作った。 + その壇のために、その飾り縁の下の両わきに、相対する両側に二つの金環を作った。それは、壇をかつぐ棒を通す所である。 + その棒をアカシヤ材で作り、それに金をかぶせた。 + 彼はまた、調合法にしたがい、聖なるそそぎの油と純粋なかおりの高い香を作った。 + + + ついで、彼は、アカシヤ材で全焼のいけにえのための祭壇を作った。長さ五キュビト、幅五キュビトの四角形で、高さは三キュビト。 + その四隅の上に、角を作った。その角はその一部である。彼は祭壇に青銅をかぶせた。 + 彼は、祭壇のすべての用具、すなわち、つぼ、十能、鉢、肉刺し、火皿を作った。そのすべての用具を青銅で作った。 + 祭壇のために、その下のほうに、すなわち、祭壇の出張りの下で、祭壇の高さの半ばに達する青銅の網細工の格子を作った。 + 彼は四つの環を鋳造して、青銅の格子の四隅で棒を通す所とした。 + 彼はアカシヤ材で棒を作り、それに青銅をかぶせた。 + その棒を祭壇の両側にある環に通して、それをかつぐようにした。祭壇は板で中空に作った。 + また彼は、青銅で洗盤を、また青銅でその台を作った。会見の天幕の入口で務めをした女たちの鏡でそれを作った。 + 彼はまた、庭を造った。南側では、庭の掛け幕は百キュビトの撚り糸で織った亜麻布でできていた。 + 柱は二十本、その二十個の台座は青銅で、柱の鉤と帯輪は銀であった。 + 北側も百キュビトで、柱は二十本、その二十個の台座は青銅で、柱の鉤と帯輪は銀であった。 + 西側には、五十キュビトの掛け幕があり、柱は十本、その台座は十個。柱の鉤と帯輪は銀であった。 + 前面の東側も、五十キュビト。 + その片側には十五キュビトの掛け幕があり、柱は三本、その台座は三個であった。 + 庭の門の両側をなすもう一方の片側にも十五キュビトの掛け幕があり、柱は三本、台座は三個であった。 + 庭の周囲の掛け幕はみな、撚り糸で織った亜麻布であった。 + 柱のための台座は青銅で、柱の鉤と帯輪は銀、その柱の頭のかぶせ物も銀であった。それで、庭の柱はみな銀の帯輪が巻きつけられていた。 + 庭の門の幕は、刺繍されたもので、青色、紫色、緋色の撚り糸と、撚り糸で織った亜麻布とでできていた。長さは二十キュビト。高さ、あるいは幅は五キュビトで、庭の掛け幕に準じていた。 + その柱は四本。その台座は四個で青銅であった。その鉤は銀であり、柱の頭のかぶせ物と帯輪とは銀であった。 + ただし、幕屋と、その回りの庭の釘は、みな青銅であった。 + 幕屋、すなわち、あかしの幕屋の記録は、次のとおりである。これは、モーセの命令によって調べたもの、祭司アロンの子イタマルのもとでの、レビ人の奉仕である。 + ユダ部族のフルの子であるウリの子ベツァルエルは、主がモーセに命じられたことを、ことごとく行った。 + 彼とともに、ダン部族のアヒサマクの子オホリアブがいた。彼は彫刻をし、設計をする者、また青色、紫色、緋色の撚り糸や亜麻布で刺繍をする者であった。 + 仕事すなわち聖所のあらゆる仕事のために用いられたすべての金は、奉献物の金であるが、聖所のシェケルで二十九タラント七百三十シェケルであった。 + 会衆のうちの登録された者による銀は、聖所のシェケルで百タラント千七百七十五シェケルであった。 + これは、ひとり当たり一ベカ、すなわち、聖所のシェケルの半シェケルであって、すべて、二十歳以上で登録された者が六十万三千五百五十人であったからである。 + 聖所の台座と垂れ幕の台座とを鋳造するために用いた銀は、百タラントであった。すなわち、一個の台座に一タラント、百の台座に百タラントであった。 + また、千七百七十五シェケルで彼は柱の鉤を作り、柱の頭をかぶせ、柱に帯輪を巻きつけた。 + 奉献物の青銅は七十タラント二千四百シェケルであった。 + これを用いて、彼は会見の天幕の入口の台座、青銅の祭壇と、それにつく青銅の格子、および、祭壇のすべての用具を作った。 + また、庭の回りの台座、庭の門の台座、および、幕屋のすべての釘と、庭の回りのすべての釘を作った。 + + + 彼らは、青色、紫色、緋色の撚り糸で、聖所で仕えるための式服を作った。また、主がモーセに命じられたとおりに、アロンの聖なる装束を作った。 + 彼はまた、金色、青色、紫色、緋色の撚り糸と、撚り糸で織った亜麻布で、エポデを作った。 + 彼らは金の板を打ち延ばし、巧みなわざで青色、紫色、緋色の撚り糸に撚り込み、亜麻布に織り込むために、これを切って糸とした。 + 彼らは、エポデにつける肩当てを作った。それぞれ、エポデの両端につけられた。 + エポデの上で結ぶあや織りの帯は、エポデと同じ材料で、主がモーセに命じられたとおり、金色、青色、紫色、緋色の撚り糸、撚り糸で織った亜麻布で、エポデと同様に作った。 + 彼らは、しまめのうを、金のわくにはめ込み、これに印を彫るようにして、イスラエルの子らの名を彫った。 + 彼らはそれをエポデの肩当てにつけ、主がモーセに命じられたとおりに、イスラエルの子らの記念の石とした。 + 彼はまた、胸当てを巧みな細工で、エポデの細工と同じように、金色や青色、紫色、緋色の撚り糸、撚り糸で織った亜麻布で作った。 + 四角形で二重にし、その胸当てを作った。長さ一あたり、幅一あたりで、二重であった。 + それに、四列の宝石をはめ込んだ。第一列は赤めのう、トパーズ、エメラルド。 + 第二列はトルコ玉、サファイヤ、ダイヤモンド。 + 第三列はヒヤシンス石、めのう、紫水晶。 + 第四列は緑柱石、しまめのう、碧玉。これらを金のわくに入れてはめ込んだ。 + これらの宝石は、イスラエルの子らの名によるもので、彼らの名にしたがい、十二個で、十二の部族のために印の彫り物が、一つの名につき一つずつあった。 + ついで、編んで撚った純金の鎖を、胸当ての上に作った。 + 彼らは金のわく二個と金の環を二個作り、二個の環を胸当ての両端につけた。 + そして彼らは、二筋の金のひもを胸当ての両端の二個の環につけた。 + その二筋のひもの他の端を、先の二つのわくにつけ、エポデの肩当てに外側に向くようにつけた。 + ほかに、二個の金の環を作り、これを胸当ての両端、すなわち、エポデの前に来る胸当ての内側の縁につけた。 + ほかに、二個の金の環を作り、エポデの二つの肩当ての下端の外側に、すなわち、エポデのあや織りの帯の上部の継ぎ目に接した面の上につけた。 + 胸当ては青ひもで、その環のところをエポデの環に結びつけ、エポデのあや織りの帯の上にあるようにし、胸当てがエポデからずり落ちないようにした。主がモーセに命じられたとおりである。 + また、エポデの下に着る青服を青色の撚り糸だけで織って作った。 + 青服の口は、その真ん中にあって、よろいのえりのようで、その口の周囲には縁をつけて、ほころびないようにした。 + 青服のすその上に、青色、紫色、緋色の撚り糸で、撚ったざくろを作った。 + また彼らは、純金の鈴を作り、その鈴を青服のすそ回りの、ざくろとざくろとの間につけた。 + 主がモーセに命じられたとおりに、仕えるための青服のすそ回りには、鈴にざくろ、鈴にざくろがあった。 + 彼らは、アロンとその子らのために、織った亜麻布で長服と、 + 亜麻布でかぶり物と、亜麻布で美しいターバンと、撚り糸で織った亜麻布でももひきを作った。 + 撚り糸で織った亜麻布や青色、紫色、緋色の撚り糸で、刺繍してできた飾り帯を作った。主がモーセに命じられたとおりである。 + ついで、聖別の記章の札を純金で作り、その上に印を彫るように、「主の聖なるもの」という文字を書きつけた。 + これに青ひもをつけ、それをかぶり物の回りに上から結びつけた。主がモーセに命じられたとおりである。 + こうして、会見の天幕である幕屋の、すべての奉仕が終わった。イスラエル人は、すべて、主がモーセに命じられたとおりにした。そのようにした。 + 彼らは幕屋と天幕、および、そのすべての用具をモーセのところに持って来た。すなわち、それは、その留め金、その板、その横木、その柱、その台座、 + 赤くなめした雄羊の皮のおおい、じゅごんの皮のおおい、仕切りの垂れ幕、 + あかしの箱と、その棒、「贖いのふた」、 + 机と、すべての器、供えのパン、 + 純金の燭台と、そのともしび皿、すなわち、一列に並べるともしび皿と、そのすべての用具、および、その燈火用の油、 + 金の祭壇、そそぎの油、かおりの高い香、天幕の入口の垂れ幕、 + 青銅の祭壇と、それにつく青銅の格子と、棒と、そのすべての用具、洗盤とその台、 + 庭の掛け幕とその柱と、その台座、庭の門のための垂れ幕とそのひもと、その釘、また、会見の天幕のための幕屋に用いるすべての用具、 + 聖所で仕えるための式服、祭司アロンの聖なる装束と、祭司として仕える彼の子らの装束である。 + イスラエル人は、すべて、主がモーセに命じられたとおりに、そのすべての奉仕を行った。 + モーセが、すべての仕事を彼らが、まことに主が命じられたとおりに、したのを見たとき、モーセは彼らを祝福した。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「第一の月の一日に、あなたは会見の天幕である幕屋を建てなければならない。 + その中にあかしの箱を置き、垂れ幕で箱の前を仕切り、 + 机を入れ、その備品を並べ、燭台を入れ、そのともしび皿を上げる。 + あなたは香のための金の壇をあかしの箱の前に置き、垂れ幕を幕屋の入口に掛ける。 + 会見の天幕である幕屋の入口の前に、全焼のいけにえの祭壇を据え、 + 会見の天幕と祭壇との間に洗盤を据えて、これに水を入れる。 + 回りに庭を設け、庭の門に垂れ幕を掛ける。 + あなたは、そそぎの油を取って、幕屋とその中のすべてのものにそそぎ、それと、そのすべての用具とを聖別する。それは聖なるものとなる。 + あなたは全焼のいけにえの祭壇と、そのすべての用具に油をそそぎ、その祭壇を聖別する。祭壇は最も聖なるものとなる。 + 洗盤とその台とに油をそそいで、これを聖別する。 + アロンとその子らを会見の天幕の入口に近づかせ、水で彼らを洗い、 + アロンに聖なる装束を着けさせ、彼に油をそそぎ彼を聖別する。彼は祭司としてわたしに仕える。 + 彼の子らを近づかせ、これに長服を着せなければならない。 + あなたは、彼らの父に油をそそいだように、彼らにも油をそそぐ。彼らは祭司としてわたしに仕える。彼らが油をそそがれることは、彼らの代々にわたる永遠の祭司職のためである。」 + モーセはそのようにした。すべて主が彼に命じられたとおりを行った。 + 第二年目の第一月、その月の第一日に幕屋は建てられた。 + モーセは、幕屋を建てるとき、台座を据え、その板を立て、その横木を通し、その柱を立て、 + 幕屋の上に天幕を広げ、その上に天幕のおおいを掛けた。主がモーセに命じられたとおりである。 + また、彼はさとしを取って箱に納め、棒を箱につけ、「贖いのふた」を箱の上に置き、 + 箱を幕屋の中に入れ、仕切りのために垂れ幕を掛け、あかしの箱の前を仕切った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また、彼は会見の天幕の中に、すなわち、幕屋の北のほうの側で垂れ幕の外側に、机を置いた。 + その上にパンを一列に並べて、主の前に供えた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼は会見の天幕の中、机の反対側の幕屋の南側に、燭台を置いた。 + そうして彼は主の前にともしび皿を上げた。主がモーセに命じられたとおりである。 + それから彼は、会見の天幕の中の垂れ幕の前に、金の壇を置き、 + その上でかおりの高い香をたいた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 彼は、幕屋の入口に垂れ幕を掛け、 + 全焼のいけにえの祭壇を、会見の天幕である幕屋の入口に置き、その上に全焼のいけにえと穀物のささげ物とをささげた。主がモーセに命じられたとおりである。 + また彼は、会見の天幕と祭壇との間に洗盤を置き、洗いのために、それに水を入れた。 + モーセとアロンとその子らは、それで手と足を洗った。 + 会見の天幕に入るとき、または、祭壇に近づくとき、彼らはいつも洗った。主がモーセに命じられたとおりである。 + また、幕屋と祭壇の回りに庭を設け、庭の門に垂れ幕を掛けた。こうして、モーセはその仕事を終えた。 + そのとき、雲は会見の天幕をおおい、主の栄光が幕屋に満ちた。 + モーセは会見の天幕に入ることができなかった。雲がその上にとどまり、主の栄光が幕屋に満ちていたからである。 + イスラエル人は、旅路にある間、いつも雲が幕屋から上ったときに旅立った。 + 雲が上らないと、上る日まで、旅立たなかった。 + イスラエル全家の者は旅路にある間、昼は主の雲が幕屋の上に、夜は雲の中に火があるのを、いつも見ていたからである。 + +
+
+ + 主はモーセを呼び寄せ、会見の天幕から彼に告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。もし、あなたがたが主にささげ物をささげるときは、だれでも、家畜の中から牛か羊をそのささげ物としてささげなければならない。 + もしそのささげ物が、牛の全焼のいけにえであれば、傷のない雄牛をささげなければならない。それを、彼が主の前に受け入れられるために会見の天幕の入口の所に連れて来なければならない。 + その人は、全焼のいけにえの頭の上に手を置く。それが彼を贖うため、彼の代わりに受け入れられるためである。 + その若い牛は、主の前でほふり、祭司であるアロンの子らは、その血を持って行って、会見の天幕の入口にある祭壇の回りに、その血を注ぎかけなさい。 + また、その全焼のいけにえの皮をはぎ、いけにえを部分に切り分けなさい。 + 祭司であるアロンの子らは祭壇の上に火を置き、その火の上にたきぎを整えなさい。 + 祭司であるアロンの子らは、その切り分けた部分と、頭と、脂肪とを祭壇の上にある火の上のたきぎの上に整えなさい。 + 内臓と足は、水で洗わなければならない。祭司はこれら全部を祭壇の上で全焼のいけにえとして焼いて煙にする。これは、主へのなだめのかおりの火によるささげ物である。 + しかし、もし全焼のいけにえのためのささげ物が、羊の群れ、すなわち子羊またはやぎの中からなら、傷のない雄でなければならない。 + 祭壇の北側で、主の前にこれをほふりなさい。そして祭司であるアロンの子らは、その血を祭壇の回りに注ぎかけなさい。 + また、それを、部分に切り分け、祭司はこれを頭と脂肪に添えて祭壇の上にある火の上のたきぎの上に整えなさい。 + 内臓と足は、水で洗わなければならない。こうして祭司はそれら全部をささげ、祭壇の上で焼いて煙にしなさい。これは全焼のいけにえであり、主へのなだめのかおりの火によるささげ物である。 + もしその人の主へのささげ物が、鳥の全焼のいけにえであるなら、山鳩または家鳩のひなの中から、そのささげ物をささげなければならない。 + 祭司は、それを祭壇のところに持って来て、その頭をひねり裂き、祭壇の上でそれを焼いて煙にしなさい。ただし、その血は祭壇の側面に絞り出す。 + またその汚物の入った餌袋を取り除き、祭壇の東側の灰捨て場に投げ捨てなさい。 + さらに、その翼を引き裂きなさい。それを切り離してはならない。そして、祭司はそれを祭壇の上、火の上にあるたきぎの上で焼いて煙にしなさい。これは全焼のいけにえであり、主へのなだめのかおりの火によるささげ物である。 + + + 人が主に穀物のささげ物をささげるときは、ささげ物は小麦粉でなければならない。その上に油をそそぎ、その上に乳香を添え、 + それを祭司であるアロンの子らのところに持って行きなさい。祭司はこの中から、ひとつかみの小麦粉と、油と、その乳香全部を取り出し、それを記念の部分として、祭壇の上で焼いて煙にしなさい。これは主へのなだめのかおりの火によるささげ物である。 + その穀物のささげ物の残りは、アロンとその子らのものとなる。それは主への火によるささげ物の最も聖なるものである。 + あなたがかまどで焼いた穀物のささげ物をささげるときは、それは油を混ぜた小麦粉の、種を入れない輪型のパン、あるいは油を塗った、種を入れないせんべいでなければならない。 + また、もしあなたのささげ物が、平なべの上で焼いた穀物のささげ物であれば、それは油を混ぜた小麦粉の、種を入れないものでなければならない。 + あなたはそれを粉々に砕いて、その上に油をそそぎなさい。これは穀物のささげ物である。 + また、もしあなたのささげ物が、なべで作った穀物のささげ物であれば、それは油を混ぜた小麦粉で作らなければならない。 + こうして、あなたが作った穀物のささげ物を主にささげるときは、それを祭司のところに持って来、祭司はそれを祭壇に持って行きなさい。 + 祭司はその穀物のささげ物から、記念の部分を取り出し、祭壇の上で焼いて煙にしなさい。これは主へのなだめのかおりの火によるささげ物である。 + 穀物のささげ物の残りは、アロンとその子らのものとなる。これは主への火によるささげ物の最も聖なるものである。 + あなたがたが主にささげる穀物のささげ物はみな、パン種を入れて作ってはならない。パン種や蜜は、少しでも、主への火によるささげ物として焼いて煙にしてはならないからである。 + それらは初物のささげ物として主にささげなければならない。しかしそれらをなだめのかおりとして、祭壇の上で焼き尽くしてはならない。 + あなたの穀物のささげ物にはすべて、塩で味をつけなければならない。あなたの穀物のささげ物にあなたの神の契約の塩を欠かしてはならない。あなたのささげ物には、いつでも塩を添えてささげなければならない。 + もしあなたが初穂の穀物のささげ物を主にささげるなら、火にあぶった穀粒、新穀のひき割り麦をあなたの初穂の穀物のささげ物としてささげなければならない。 + あなたはその上に油を加え、その上に乳香を添えなさい。これは穀物のささげ物である。 + 祭司は記念の部分、すなわち、そのひき割り麦の一部とその油の一部、それにその乳香全部を焼いて煙にしなさい。これは主への火によるささげ物である。 + + + もしそのささげ物が和解のいけにえの場合、牛をささげようとするなら、雄でも雌でも傷のないものを主の前にささげなければならない。 + その人はささげ物の頭に手を置く。それは会見の天幕の入口の所でほふられる。そして、祭司であるアロンの子らは祭壇の回りにその血を注ぎかけなさい。 + 次に、その人は和解のいけにえのうちから、主への火によるささげ物として、その内臓をおおう脂肪と、内臓についている脂肪全部、 + 二つの腎臓と、それについていて腰のあたりにある脂肪、さらに腎臓といっしょに取り除いた肝臓の上の小葉とをささげなさい。 + そこで、アロンの子らは、これを祭壇の上で、火の上のたきぎの上にある全焼のいけにえに載せて、焼いて煙にしなさい。これは主へのなだめのかおりの火によるささげ物である。 + 主への和解のいけにえのためのささげ物が、羊である場合、雄でも雌でも傷のないものをささげなければならない。 + もしそのささげ物として子羊をささげようとするなら、それを主の前に連れて来る。 + その人はささげ物の頭の上に手を置く。そして、それは会見の天幕の前でほふられる。アロンの子らは、その血を祭壇の回りに注ぎかけなさい。 + その人はその和解のいけにえのうちから、主への火によるささげ物として、その脂肪をささげなさい。すなわち背骨に沿って取り除いたあぶら尾全部と、内臓をおおう脂肪と、内臓についている脂肪全部、 + 二つの腎臓と、それについていて腰のあたりにある脂肪、さらに腎臓といっしょに取り除いた肝臓の上の小葉とである。 + 祭司は祭壇の上でそれを食物として、主への火によるささげ物として、焼いて煙にしなさい。 + もしそのささげ物がやぎであるなら、それを主の前に連れて来る。 + その人はささげ物の頭の上に手を置く。そして、それは会見の天幕の前でほふられる。アロンの子らは、その血を祭壇の回りに注ぎかけなさい。 + その人は、主への火によるささげ物として、そのいけにえから内臓をおおっている脂肪と、内臓についている脂肪全部、 + 二つの腎臓と、それについていて腰のあたりにある脂肪、さらに腎臓といっしょに取り除いた肝臓の上の小葉とをささげなさい。 + 祭司は祭壇の上でそれを食物として、火によるささげ物、なだめのかおりとして、焼いて煙にしなさい。脂肪は全部、主のものである。 + あなたがたは脂肪も血もいっさい食べてはならない。あなたがたが、どんな場所に住んでも、代々守るべき永遠のおきてはこうである。」 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。もし人が、主がするなと命じたすべてについてあやまって罪を犯し、その一つでも行った場合、 + もし油そそがれた祭司が罪を犯し、民が咎を覚えるなら、その人は自分の犯した罪のために、傷のない若い雄牛を、罪のためのいけにえとして主にささげなければならない。 + その雄牛を会見の天幕の入口の所、主の前に連れて来て、その雄牛の頭の上に手を置き、主の前にその雄牛をほふりなさい。 + 油そそがれた祭司はその雄牛の血を取り、それを会見の天幕に持って入りなさい。 + その祭司は指を血の中に浸し、主の前、すなわち聖所の垂れ幕の前に、その血を七たび振りかけなさい。 + 祭司はその血を、会見の天幕の中にある主の前のかおりの高い香の祭壇の角に塗りなさい。その雄牛の血を全部、会見の天幕の入口にある全焼のいけにえの祭壇の土台に注がなければならない。 + その罪のためのいけにえの雄牛の脂肪全部を、それから取り除かなければならない。すなわち、内臓をおおう脂肪と、内臓についている脂肪全部、 + 二つの腎臓と、それについていて腰のあたりにある脂肪、さらに腎臓といっしょに取り除いた肝臓の上の小葉とを取り除かなければならない。 + これは和解のいけにえの牛から取り除く場合と同様である。祭司はそれらを全焼のいけにえの祭壇の上で焼いて煙にしなさい。 + ただし、その雄牛の皮と、その肉の全部、さらにその頭と足、それにその内臓と汚物、 + その雄牛の全部を、宿営の外のきよい所、すなわち灰捨て場に運び出し、たきぎの火で焼くこと。これは灰捨て場で焼かなければならない。 + また、イスラエルの全会衆があやまっていて、あることが集団の目から隠れ、主がするなと命じたすべてのうち一つでも行い、後で咎を覚える場合、 + 彼らが犯したその罪が明らかになったときに、集団は罪のためのいけにえとして若い雄牛をささげ、会見の天幕の前にそれを連れて来なさい。 + そこで、会衆の長老たちは、主の前でその雄牛の頭の上に手を置き、その雄牛を主の前でほふりなさい。 + 油そそがれた祭司は、その雄牛の血を会見の天幕に持って入り、 + 祭司は指を血の中に浸して、主の前、垂れ幕の前に、それを七たび振りかけなさい。 + 彼は、その血を会見の天幕の中にある主の前の祭壇の角に塗らなければならない。彼はその血の全部を、会見の天幕の入口にある全焼のいけにえの祭壇の土台に注がなければならない。 + 脂肪全部をその雄牛から取り除き、祭壇の上で焼いて煙にしなければならない。 + この雄牛に対して、彼が罪のためのいけにえの雄牛に対してしたようにしなさい。これにも同様にしなければならない。こうして祭司は彼らのために贖いをしなさい。彼らは赦される。 + 彼はその雄牛を宿営の外に運び出し、最初の雄牛を焼いたように、それも焼きなさい。これは集会の罪のためのいけにえである。 + 上に立つ者が罪を犯し、その神、主がするなと命じたすべてのうち一つでもあやまって行い、後で咎を覚える場合、 + または、彼が犯した罪が自分に知らされたなら、彼はささげ物として、傷のない雄やぎを連れて来て、 + そのやぎの頭の上に手を置き、全焼のいけにえをほふる場所で、主の前にそれをほふりなさい。これは罪のためのいけにえである。 + 祭司は指で、罪のためのいけにえの血を取り、それを全焼のいけにえの祭壇の角に塗りなさい。また、その血は全焼のいけにえの祭壇の土台に注がなければならない。 + また、彼は和解のいけにえの脂肪の場合と同様に、その脂肪を全部、祭壇の上で焼いて煙にしなければならない。祭司は、その人のために、その人の罪の贖いをしなさい。その人は赦される。 + また、もし一般の人々のひとりが、主がするなと命じたことの一つでも行い、あやまって罪を犯し、後で咎を覚える場合、 + または、彼が犯した罪が自分に知らされたなら、彼は犯した罪のために、そのささげ物として、傷のない雌やぎを連れて来て、 + その罪のためのいけにえの頭の上に手を置き、全焼のいけにえの場所で罪のためのいけにえをほふりなさい。 + 祭司は指で、その血を取り、それを全焼のいけにえの祭壇の角に塗りなさい。その血は全部、祭壇の土台に注がなければならない。 + また、脂肪が和解のいけにえから取り除かれる場合と同様に、その脂肪全部を取り除かなければならない。祭司は主へのなだめのかおりとして、それを祭壇の上で焼いて煙にしなさい。祭司は、その人のために贖いをしなさい。その人は赦される。 + もしその人が罪のためのいけにえのために、ささげ物として子羊を連れて来る場合には、傷のない雌羊を連れて来なければならない。 + その罪のためのいけにえの頭の上に手を置き、全焼のいけにえをほふる場所で、罪のためのいけにえとしてほふりなさい。 + 祭司は指で、罪のためのいけにえの血を取り、それを全焼のいけにえの祭壇の角に塗りなさい。その血は全部、祭壇の土台に注がなければならない。 + また、和解のいけにえの子羊の脂肪が取り除かれる場合と同様に、その脂肪全部を取り除かなければならない。祭司はそれを祭壇の上で、主への火によるささげ物の上に載せて焼いて煙にしなさい。祭司は、その人のために、その人が犯した罪の贖いをしなさい。その人は赦される。 + + + 人が罪を犯す場合、すなわち、証言しなければのろわれるという声を聞きながら――彼がそれを見ているとか、知っている証人であるのに――、そのことについて証言しないなら、その人は罪の咎を負わなければならない。 + あるいは人が、汚れた獣の死体でも、汚れた家畜の死体でも、汚れた群生するものの死体でも、すべて汚れたものに触れ、汚れてはいたのに、そのことが彼の目から隠れ、後で咎を覚える場合、 + あるいは人が、触れれば汚れると言われる人のどんな汚れにも触れ、そのことを知ってはいたが、それが彼の目から隠れ、後で咎を覚える場合、 + あるいは人が口で軽々しく、害になることでも益になることでも誓う場合、その人が軽々しく誓ったことがどんなことであれ、そのことを知ってはいたのに彼の目から隠れ、後でそれらの一つについて咎を覚える場合、 + これらの一つについて咎を覚えるときは、犯した罪を告白しなさい。 + 自分が犯した罪のために、償いとして、羊の群れの子羊でも、やぎでも、雌一頭を、主のもとに連れて来て、罪のためのいけにえとしなさい。祭司はその人のために、その人の罪の贖いをしなさい。 + しかし、もし彼に羊を買う余裕がなければ、自分が犯した罪の償いとして、山鳩二羽あるいは家鳩のひな二羽を主のところに持って来なさい。一羽は罪のためのいけにえ、他の一羽は全焼のいけにえとする。 + 彼はこれらを祭司のところに持って行き、祭司は罪のためのいけにえとなるものを、まずささげなさい。彼はその頭の首のところをひねり裂きなさい。それを切り離してはならない。 + それから罪のためのいけにえの血を祭壇の側面に振りかけ、血の残りはその祭壇の土台のところに絞り出しなさい。これは罪のためのいけにえである。 + 祭司はもう一羽のほうも、定めに従って全焼のいけにえとしなければならない。祭司はその人のために、その人が犯した罪の贖いをしなさい。その人は赦される。 + もしその人が山鳩二羽あるいは家鳩のひな二羽さえも手に入れることができなければ、その犯した罪のためのささげ物として、十分の一エパの小麦粉を罪のためのいけにえとして持って来なさい。その人はその上に油を加えたり、その上に乳香を添えたりしてはならない。これは罪のためのいけにえであるから。 + 彼はそれを祭司のところに持って行きなさい。祭司はそのひとつかみを記念の部分としてそれから取り出し、祭壇の上で、主への火によるささげ物といっしょにそれを焼いて煙にしなさい。これは罪のためのいけにえである。 + 祭司はその人のために、その人が犯したこれらの一つの罪の贖いをしなさい。その人は赦される。その残りは、穀物のささげ物と同じく、祭司のものとなる。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「人が不実なことを行い、あやまって主の聖なるものに対して罪を犯したときは、その償いのために、羊の群れから傷のない雄羊一頭、聖所のシェケルで数シェケルの銀に当たるとあなたが評価したものを取って、罪過のためのいけにえとして主のもとに連れて来る。 + 彼は、その聖なるものを犯した罪の償いをしなければならない。それにその五分の一を加えて、祭司にそれを渡さなければならない。祭司は、罪過のためのいけにえの雄羊で、彼のために贖いをしなければならない。その人は赦される。 + また、もし人が罪を犯し、主がするなと命じたすべてのうち一つでも行い、それを知らずにいて、後で咎を覚える場合、その咎を負わなければならない。 + その人は、羊の群れからあなたが評価した傷のない雄羊一頭を取って、罪過のためのいけにえとして祭司のところに連れて来る。祭司は、彼があやまって犯し、しかも自分では知らないでいた過失について、彼のために贖いをする。彼は赦される。 + これは罪過のためのいけにえである。彼は確かに主の前に償いの責めを負った。」 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「人が主に対して罪を犯し、不実なことを行うなら、すなわち預かり物や担保の物、あるいはかすめた物について、隣人を欺いたり、隣人をゆすったり、 + あるいは落とし物を見つけながら欺くなど、人が行って罪を犯すことになるどれか一つについて偽りの誓いをする場合、 + この人が罪を犯し、後で咎を覚える場合、そのかすめた品や、強迫してゆすりとった物、自分に託された預かり物、見つけた落とし物、 + あるいは、それについて偽って誓った物全部を返さなければならない。元の物を償い、またこれに五分の一を加えなければならない。彼は咎を覚えるとき、その元の所有者に、これを返さなければならない。 + この人は主への罪過のためのいけにえを、その評価により、羊の群れから傷のない雄羊一頭を罪過のためのいけにえとして祭司のところに連れて来なければならない。 + 祭司は、主の前で彼のために贖いをする。彼が行って咎を覚えるようになる、どのことについても赦される。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンとその子らに命じて言え。全焼のいけにえのおしえは次のとおりである。全焼のいけにえそのものは、一晩中朝まで、祭壇の上の炉床にあるようにし、祭壇の火はそこで燃え続けさせなければならない。 + 祭司は亜麻布の衣を着なさい。また亜麻布のももひきをその身にはかなければならない。そして、祭壇の上で火が焼き尽くした全焼のいけにえの脂肪の灰を取り出し、祭壇のそばに置きなさい。 + 祭司はその装束を脱ぎ、別の装束を着けて、脂肪の灰を宿営の外のきよい所に持ち出しなさい。 + 祭壇の火はそのまま燃え続けさせ、それを消してはならない。かえって、祭司は朝ごとに、その上にたきぎをくべ、その上に全焼のいけにえを整え、和解のいけにえの脂肪をその上で焼いて煙にしなさい。 + 火は絶えず祭壇の上で燃え続けさせなければならない。消してはならない。 + 穀物のささげ物のおしえは次のとおりである。アロンの子らは祭壇の前でそれを主の前にささげなさい。 + すなわち、その中から穀物のささげ物のひとつかみの小麦粉と油を取り出し、穀物のささげ物の上の乳香全部といっしょに、この記念の部分を、主へのなだめのかおりとして祭壇の上で焼いて煙にしなさい。 + その残った分は、アロンとその子らが食べることができる。それを聖なる所で種を入れないパンにして食べなければならない。それを会見の天幕の庭で食べなければならない。 + これにパン種を入れて焼いてはならない。わたしは、それを火によるささげ物のうちから、彼らの分け前として与えた。それは罪のためのいけにえや罪過のためのいけにえと同じように、最も聖なるものである。 + アロンの子らのうち、男子だけがそれを食べることができる。これは、主への火によるささげ物のうちから、あなたがたが代々受け取る永遠の分け前である。それに触れるものはみな、聖なるものとなる。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンとその子らが、その油そそがれる日に、主にささげるささげ物は次のとおりである。小麦粉、十分の一エパを常供の穀物のささげ物とする。半分は朝、他の半分は夕方の分である。 + それを油でよくこねて平なべの上で作らなければならない。それを、粉々にした焼いた穀物のささげ物として持って入らなければならない。主へのなだめのかおりとしてささげなければならない。 + さらに、彼の子らのうち、油そそがれて、彼の跡を継ぐ祭司は、このことをしなければならない。永遠の定めによって、それを主のために完全に焼いて煙にしなければならない。 + このように、祭司の穀物のささげ物はすべて全焼のささげ物としなければならない。これを食べてはならない。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンとその子らに告げて言え。罪のためのいけにえに関するおしえは次のとおりである。罪のためのいけにえは、全焼のいけにえがほふられる場所、主の前でほふらなければならない。これは最も聖なるものである。 + 罪のためのいけにえをささげる祭司はそれを食べなければならない。それは、聖なる所、会見の天幕の庭で食べなければならない。 + その肉に触れるものはみな、聖なるものとなる。また、その血が少しでも着物の上にはねかかったときには、あなたは、そのはねかかったものを聖なる所で洗わなければならない。 + さらにそれを煮た土の器はこわされなければならない。もしそれが青銅の器で煮られたのであれば、その器はすりみがかれ、水で洗われなければならない。 + 祭司たちのうち、男子はみな、これを食べることができる。これは最も聖なるものである。 + しかし、聖所での贖いをするためにその血が会見の天幕に持って行かれた罪のためのいけにえは、食べてはならない。これは火で焼かれなければならない。 + + + 罪過のためのいけにえのおしえは次のとおりである。これは、最も聖なるものである。 + 罪過のためのいけにえは、全焼のいけにえをほふる場所で、ほふらなければならない。そして、その血を祭壇の回りに注ぎかけなければならない。 + それから取った脂肪を全部、すなわち、あぶら尾と内臓をおおう脂肪、 + 二つの腎臓と、それについていて腰のあたりにある脂肪、さらに腎臓といっしょに取り除いた肝臓の上の小葉とをささげなければならない。 + 祭司は、それらを祭壇の上で主への火によるささげ物として、焼いて煙にしなさい。これは罪過のためのいけにえである。 + 祭司たちのうち、男子はみな、それを食べることができる。それを聖なる所で食べなければならない。これは最も聖なるものである。 + 罪のためのいけにえと罪過のためのいけにえについてのおしえは一つである。そのいけにえはそれをもって贖いをする祭司のものとなる。 + 祭司が、ある人の全焼のいけにえをささげるとき、そのささげた全焼のいけにえの皮はその祭司のものとなる。 + さらに、かまどで焼いた穀物のささげ物全部、およびなべや平なべで作られたものはみな、それをささげる祭司のものとなる。 + また、穀物のささげ物で油を混ぜたものも、かわいたものもみな、ひとしくアロンの子ら全員のものとなる。 + 主にささげる和解のいけにえのおしえは次のとおりである。 + もし、それを感謝のためにささげるのなら、感謝のいけにえに添えて、油を混ぜた種を入れない輪型のパンと、油を塗った種を入れないせんべい、さらに油を混ぜてよくこねた小麦粉の輪型のパンをささげなければならない。 + なお和解のための感謝のいけにえに添えて、種を入れた輪型のパンをささげなさい。 + そのうちから、おのおののささげ物の一つを取って、主への奉納物として、ささげなければならない。これは、和解のいけにえの血を注ぎかける祭司のものとなる。 + 和解のための感謝のいけにえの肉は、それがささげられるその日に食べ、そのうちの少しでも朝まで残しておいてはならない。 + もしそのささげ物のいけにえが、誓願あるいは進んでささげるささげ物であるなら、彼がそのいけにえをささげる日に食べなければならない。残った余りを、翌日食べてもさしつかえない。 + いけにえの肉の残った余りは三日目に火で焼かなければならない。 + もし三日目にその和解のいけにえの肉を食べるようなことがあれば、それは受け入れられず、またそれをささげる人のものとは認められない。これは、汚れたものであり、そのいくらかでも食べる者はその咎を負わなければならない。 + また、何であろうと汚れた物に触れたなら、その肉は、食べてはならない。それは火で焼かなければならない。その他の肉ならば、きよい者はだれでもその肉を食べることができる。 + 人がその身の汚れがあるのに、主への和解のいけにえの肉を食べるなら、その者はその民から断ち切られる。 + また、人が、何であろうと汚れた物に、すなわち人の汚れ、あるいは汚れた動物、あるいはすべて汚れた忌むべき物に触れていながら、主への和解のいけにえの肉を食べるなら、その者はその民から断ち切られる。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。あなたがたは、牛や、羊、あるいはやぎの脂肪をいっさい食べてはならない。 + 死んだ動物の脂肪や野獣に引き裂かれた動物の脂肪は、何に使ってもさしつかえない。しかし、決してそれを食べてはならない。 + すべて、火によるささげ物として主にささげる動物の脂肪を食べる者、これを食べる者は、その民から断ち切られるからである。 + また、あなたがたのどこの居住地においても、鳥でも動物でも、その血をいっさい食べてはならない。 + どんな血でもこれを食べる者はだれでも、その者はその民から断ち切られる。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。和解のいけにえを主にささげる者は、その和解のいけにえのうちから、そのささげ物を主のところに持って来なければならない。 + その者は、主への火によるささげ物を、自分で持って来なければならない。すなわち彼は、その脂肪を胸に添えて持って来なければならない。そしてその胸を奉献物として主に向かって揺り動かしなさい。 + 祭司はその脂肪を祭壇の上で焼いて煙にしなさい。その胸はアロンとその子らのものとなる。 + あなたがたは、あなたがたの和解のいけにえのうちから右のももを、奉納物として祭司に与えなければならない。 + その右のももは、アロンの子らのうち、和解のいけにえの血と脂肪をささげる者の受ける分として、その人のものとなる。 + それは、わたしが、奉献物の胸と奉納物のももをイスラエル人から、その和解のいけにえのうちから取って、それを祭司アロンとその子らに、イスラエル人から受け取る永遠の分け前として与えたからである。」 + これは、モーセが彼らを近づけて、祭司として主に仕えさせた日から、アロンとその子らが、主への火によるささげ物のうちから、受ける分であって、 + それは、彼らが油そそがれた日から永遠のおきてとして、代々イスラエルの人から取って彼らに与えるよう、主が命じられたものである。 + これは、全焼のいけにえ、穀物のささげ物、罪のためのいけにえ、罪過のためのいけにえ、任職と和解のいけにえについてのおしえである。 + これは、モーセがシナイの荒野でイスラエル人に、そのささげ物を主にささげるよう命じた日に、主がシナイ山でモーセに命じられたものである。 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンと彼とともにいるその子らを連れ、装束、そそぎの油、罪のためのいけにえの雄牛、二頭の雄羊、種を入れないパンのかごを持って来、 + また全会衆を会見の天幕の入口の所に集めよ。」 + そこで、モーセは主が命じられたとおりにした。会衆は会見の天幕の入口の所に集まった。 + それで、モーセは会衆に言った。「これは主が、するように命じられたことである。」 + それから、モーセはアロンとその子らを近づかせ、水で彼らを洗った。 + そして、モーセはアロンに長服を着せ、飾り帯を締めさせ、その上に青服をまとわせ、さらにその上にエポデを着けさせた。すなわち、エポデを帯で締め、あや織りのエポデをその上に着けさせた。 + 次に、モーセは彼に胸当てを着けさせ、その胸当てにウリムとトンミムを入れた。 + また、彼の頭にかぶり物をかぶらせ、さらにそのかぶり物の前面に、金の札すなわち聖別の記章をつけさせた。主がモーセに命じられたとおりである。 + ついで、モーセはそそぎの油を取って、幕屋とその中にあるすべてのものに油をそそいだ。こうしてこれらを聖別した。 + さらにそれを祭壇の上に七たび振りかけ、祭壇とその用具全部、また洗盤とその台に油をそそいで、これらを聖別した。 + また、そそぎの油をアロンの頭にそそぎ、油をそそいでアロンを聖別した。 + 次に、モーセはアロンの子らを近づかせ、彼らに長服を着せ、飾り帯を締めさせ、彼らにターバンを巻きつけさせた。主がモーセに命じられたとおりである。 + ついで彼は罪のためのいけにえの雄牛を近寄せた。そこでアロンとその子らは、その罪のためのいけにえの雄牛の頭の上に手を置いた。 + こうしてそれはほふられた。モーセはその血を取り、指でそれを祭壇の回りの角に塗り、こうして祭壇をきよめ、その残りの血を祭壇の土台に注いで、これを聖別し、それの贖いをした。 + モーセはさらに、その内臓の上の脂肪全部と肝臓の小葉、二つの腎臓とその脂肪を取り、それを祭壇の上で焼いて煙にした。 + しかし、その雄牛、すなわちその皮とその肉とその汚物は、宿営の外で火で焼いた。主がモーセに命じられたとおりである。 + 次に、彼は全焼のいけにえの雄羊を連れ出した。アロンとその子らはその雄羊の頭の上に手を置いた。 + こうしてそれはほふられた。モーセはその血を祭壇の回りに注ぎかけた。 + さらに、その雄羊を部分に切り分け、モーセはその頭とその切り分けたものと内臓の脂肪を焼いて煙にした。 + それから、その内臓と足を水で洗い、モーセはその雄羊全部を祭壇の上で焼いて煙にした。これはなだめのかおりとしての全焼のいけにえで、主への火によるささげ物であった。主がモーセに命じられたとおりである。 + 次に、彼はもう一頭の雄羊、すなわち任職の雄羊を連れ出した。アロンとその子らはその雄羊の頭の上に手を置いた。 + こうしてそれはほふられた。モーセはその血を取り、それをアロンの右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指に塗った。 + さらに、モーセはアロンの子らを近づかせ、その血を彼らの右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指に塗り、モーセはその血の残りを祭壇の回りに注ぎかけた。 + それから彼はその脂肪、すなわちあぶら尾、それと内臓の上の脂肪全部、また肝臓の小葉、および二つの腎臓とその脂肪、それからその右のももを取った。 + それにまた、主の前にある種を入れないパンのかごから、種を入れない輪型のパン一個と、油を入れた輪型のパン一個と、せんべい一個とを取り、それをその脂肪と右のももの上に置いた。 + それから、彼は、その全部をアロンの手のひらとその子らの手のひらに載せ、奉献物として主に向かって揺り動かした。 + ついで、モーセはそれらを彼らの手のひらから取り、祭壇の上で、全焼のいけにえとともにそれを焼いて煙にした。これらは、なだめのかおりとしての任職のいけにえであり、主への火によるささげ物である。 + モーセはまた、その胸を取り、奉献物として主に向かって揺り動かした。これは任職のいけにえの雄羊のうちからモーセの分となるもので、主がモーセに命じられたとおりである。 + それから、モーセはそそぎの油と、祭壇の上の血を取り、それをアロンとその装束、彼とともにいるその子らとその装束の上に振りかけて、アロンとその装束、彼とともにいるその子らとその装束を聖別した。 + そして、モーセはまた、アロンとその子らに言った。「会見の天幕の入口の所で、その肉を煮なさい。そしてそこで、それを任職のかごにあるパンといっしょに食べなさい。私が、アロンとその子らはそれを食べよと言って命じたとおりに。 + しかし、肉やパンの残りは火で焼かなければならない。 + また、あなたがたの任職の期間が終了する日までの七日間は、会見の天幕の入口から出てはならない。あなたがたを祭司職に任命するには七日を要するからである。 + きょうしたことは、あなたがたの贖いをするように主が命じられたとおりである。 + あなたがたは会見の天幕の入口の所で、七日の間、昼も夜もとどまり、主の戒めを守らなければならない。死なないためである。私はそのように命じられたのである。」 + こうしてアロンとその子らは、主がモーセを通して命じられたことを残らず行った。 + + + それから、八日目になって、モーセはアロンとその子ら、およびイスラエルの長老たちを呼び寄せ、 + アロンに言った。「あなたは、子牛、すなわち、若い牛を罪のためのいけにえとして、雄羊を全焼のいけにえとして、それもまた傷のないものを取って、主の前にささげなさい。 + あなたはまた、イスラエル人に告げて言わなければならない。あなたがたは、雄やぎを罪のためのいけにえとして、また、一歳の傷のない子牛と子羊とを全焼のいけにえとして取りなさい。 + また主へのいけにえとして、和解のいけにえのための雄牛と雄羊を、また、油を混ぜた穀物のささげ物を、取りなさい。それは、きょう主があなたがたに現れるからである。」 + そこで彼らは、モーセが命じたものを会見の天幕の前に持って来て、全会衆が近づき、主の前に立った。 + モーセは言った。「これは、あなたがたが行うように主が命じられたことである。こうして主の栄光があなたがたに現れるためである。」 + それから、モーセはアロンに言った。「祭壇に近づきなさい。あなたの罪のためのいけにえと全焼のいけにえをささげ、あなた自身のため、またこの民のために贖いをしなさい。また民のささげ物をささげ、主が命じられたとおりに、彼らのために贖いをしなさい。」 + そこで、アロンは祭壇に近づき、自分のために罪のためのいけにえの子牛をほふった。 + アロンの子らは、その血を彼に差し出し、彼は指をその血に浸し、祭壇の角に塗った。彼はその血を祭壇の土台に注いだ。 + 彼は罪のためのいけにえからの脂肪と腎臓と肝臓の小葉を祭壇の上で焼いて煙にした。主がモーセに命じられたとおりである。 + しかし、その肉と、その皮は宿営の外で火で焼いた。 + それから、アロンは全焼のいけにえをほふり、アロンの子らが、その血を彼に渡すと、彼はそれを祭壇の回りに注ぎかけた。 + また、彼らが全焼のいけにえの部分に切り分けたものとその頭とを彼に渡すと、彼はそれらを祭壇の上で焼いて煙にした。 + それから、内臓と足を洗い、全焼のいけにえといっしょにこれを祭壇の上で焼いて煙にした。 + 次に、彼は民のささげ物をささげ、民のための罪のためのいけにえとしてやぎを取り、ほふって、先のと同様に、これを罪のためのいけにえとした。 + それから、彼は全焼のいけにえをささげ、規定のとおりにそうした。 + 次に、彼は穀物のささげ物をささげ、そのうちのいくらかを手のひらいっぱいに取り、朝の全焼のいけにえと別に、祭壇の上で焼いて煙にした。 + ついで、彼は民のための和解のいけにえの牛と雄羊とをほふり、アロンの子らがその血を渡すと、彼はそれを祭壇の回りに注ぎかけた。 + その牛と雄羊の脂肪の部分、すなわちあぶら尾、内臓をおおう脂肪、腎臓、肝臓の小葉、 + これらの脂肪を彼らが胸の上に置くと、彼はその脂肪を祭壇の上で焼いて煙にした。 + しかし、胸と右のももは、アロンが、モーセの命じたとおりに奉献物として主に向かって揺り動かした。 + それから、アロンは民に向かって両手を上げ、彼らを祝福し、罪のためのいけにえ、全焼のいけにえ、和解のいけにえをささげてから降りて来た。 + ついでモーセとアロンは会見の天幕に入り、それから出て来ると、民を祝福した。すると主の栄光が民全体に現れ、 + 主の前から火が出て来て、祭壇の上の全焼のいけにえと脂肪とを焼き尽くしたので、民はみな、これを見て、叫び、ひれ伏した。 + + + さて、アロンの子ナダブとアビフは、おのおの自分の火皿を取り、その中に火を入れ、その上に香を盛り、主が彼らに命じなかった異なった火を主の前にささげた。 + すると、主の前から火が出て、彼らを焼き尽くし、彼らは主の前で死んだ。 + それで、モーセはアロンに言った。「主が仰せになったことは、こういうことだ。『わたしに近づく者によって、わたしは自分の聖を現し、すべての民の前でわたしは自分の栄光を現す。』」それゆえ、アロンは黙っていた。 + モーセはアロンのおじウジエルの子ミシャエルとエルツァファンを呼び寄せ、彼らに言った。「進み出て、あなたがたの身内の者たちを聖所の前から宿営の外に運び出しなさい。」 + 彼らは進み出て、モーセが言ったように、彼らの長服をつかんで彼らを宿営の外に運び出した。 + 次に、モーセは、アロンとその子エルアザルとイタマルに言った。「あなたがたは髪の毛を乱してはならない。また着物を引き裂いてはならない。あなたがたが死なないため、また怒りが全会衆に下らないためである。しかし、あなたがたの身内の者、すなわちイスラエルの全家族が、主によって焼かれたことを泣き悲しまなければならない。 + またあなたがたは会見の天幕の入口から外へ出てはならない。あなたがたが死なないためである。あなたがたの上には主のそそぎの油があるからだ。」それで、彼らはモーセのことばどおりにした。 + それから、主はアロンに告げて仰せられた。 + 「会見の天幕に入って行くときには、あなたがたが死なないように、あなたも、あなたとともにいるあなたの子らも、ぶどう酒や強い酒を飲んではならない。これはあなたがたが代々守るべき永遠のおきてである。 + それはまた、あなたがたが、聖なるものと俗なるもの、また、汚れたものときよいものを区別するため、 + また、主がモーセを通してイスラエル人に告げられたすべてのおきてを、あなたがたが彼らに教えるためである。」 + そこで、モーセは、アロンとその生き残っている子のエルアザルとイタマルに言った。「主への火によるささげ物のうちから残った穀物のささげ物を取り、パン種を入れずに祭壇のそばで、食べなさい。これは最も聖なるものであるから。 + それを聖なる所で食べなさい。それは、主への火によるささげ物のうちから、あなたの受け取る分け前であり、あなたの子らの受け取る分け前である。そのように、私は命じられている。 + しかし、奉献物の胸と、奉納物のももとは、あなたと、あなたとともにいるあなたの息子、娘たちが、きよい所で食べることができる。それは、イスラエル人の和解のいけにえから、あなたの受け取る分け前、またあなたの子らの受け取る分け前として与えられている。 + 人々は、奉納物のももと奉献物の胸とを、火によるささげ物の脂肪に添えて持って来て、奉献物として主に向かって揺り動かさなければならない。これは主が命じられたとおり、あなたと、またあなたとともにいるあなたの子らが永遠に受け取る分である。」 + モーセは罪のためのいけにえのやぎをけんめいに捜した。しかし、もう、焼かれてしまっていた。すると、モーセはアロンの子で生き残ったエルアザルとイタマルに怒って言った。 + 「どうして、あなたがたは聖なる所でその罪のためのいけにえを食べなかったのか。それは最も聖なるものなのだ。それは、会衆の咎を除き、主の前で彼らのために贖いをするために、あなたがたに賜ったのだ。 + その血は、聖所の中に携え入れられなかったではないか。あなたがたは、私が命じたように、それを聖所で食べなければならなかったのだ。」 + そこでアロンはモーセに告げた。「ああ、きょう彼らがその罪のためのいけにえ、全焼のいけにえを、主の前にささげましたが、こういうことが私の身にふりかかったのです。もしきょう私が罪のためのいけにえを食べていたら、主のみこころにかなったのでしょうか。」 + モーセはこれを聞き、それでよいとした。 + + + それから、主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。地上のすべての動物のうちで、あなたがたが食べてもよい生き物は次のとおりである。 + 動物のうちで、ひづめが分かれ、そのひづめが完全に割れているもの、また、反芻するものはすべて、食べてもよい。 + しかし、反芻するもの、あるいはひづめが分かれているもののうちでも、次のものは、食べてはならない。すなわち、らくだ。これは反芻するが、そのひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。 + それから、岩だぬき。これも反芻するが、そのひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。 + また、野うさぎ。これも反芻するが、そのひづめが分かれていないので、あなたがたには汚れたものである。 + それに、豚。これは、ひづめが分かれており、ひづめが完全に割れたものであるが、反芻しないので、あなたがたには汚れたものである。 + あなたがたは、それらの肉を食べてはならない。またそれらの死体に触れてもいけない。それらは、あなたがたには汚れたものである。 + 水の中にいるすべてのもののうちで、次のものをあなたがたは食べてもよい。すなわち、海でも川でも、水の中にいるもので、ひれとうろこを持つものはすべて、食べてもよい。 + しかし、海でも川でも、すべて水に群生するもの、またすべて水の中にいる生き物のうち、ひれやうろこのないものはすべて、あなたがたには忌むべきものである。 + これらはさらにあなたがたには忌むべきものとなるから、それらの肉を少しでも食べてはならない。またそれらの死体を忌むべきものとしなければならない。 + 水の中にいるもので、ひれやうろこのないものはすべて、あなたがたには忌むべきものである。 + また、鳥のうちで次のものを忌むべきものとしなければならない。これらは忌むべきもので、食べてはならない。すなわち、はげわし、はげたか、黒はげたか、 + とび、はやぶさの類、 + 烏の類全部、 + だちょう、よたか、かもめ、たかの類、 + ふくろう、う、みみずく、 + 白ふくろう、ペリカン、野がん、 + こうのとり、さぎの類、やつがしら、こうもりなどである。 + 羽があって群生し四つ足で歩き回るものは、あなたがたには忌むべきものである。 + しかし羽があって群生し四つ足で歩き回るもののうちで、その足のほかにはね足を持ち、それで地上を跳びはねるものは、食べてもよい。 + それらのうち、あなたがたが食べてもよいものは次のとおりである。いなごの類、毛のないいなごの類、こおろぎの類、ばったの類である。 + このほかの、羽があって群生し四つ足のあるものはみな、あなたがたには忌むべきものである。 + 次のことによっても、あなたがたは汚れたものとなる。すなわち、これらのものの死体に触れる者はみな、夕方まで汚れる。 + また、これらのどの死体を運ぶ者もみな、その衣服を洗わなければならない。その人は夕方まで汚れる。 + ひづめが分かれてはいるが、それが完全に割れていないか、あるいは反芻しない動物、これらすべてはあなたがたには、汚れたものである。これらに触れる者はみな汚れる。 + また、四つ足で歩き回るすべての生き物のうちで、足の裏のふくらみで歩くものはみな、あなたがたには、汚れたものである。その死体に触れる者はみな、夕方まで汚れる。 + これらの死体を運ぶ者は、その衣服を洗わなければならない。その人は夕方まで汚れる。これらは、あなたがたには、汚れたものである。 + 地に群生するもののうち、次のものはあなたがたにとって汚れている。すなわち、もぐら、とびねずみ、大とかげの類、 + やもり、わに、とかげ、すなとかげ、カメレオンである。 + すべて群生するもののうちで、これらはあなたがたには、汚れたものである。これらのものが死んだとき、それに触れる者はみな、夕方まで汚れる。 + また、それらのうちのあるものが死んだとき、何かの上に落ちたなら、それがどんなものでも、みな汚れる。木の器、あるいは衣服、あるいは皮、あるいは袋など、仕事のために作られた器はみな、水の中に入れなければならない。それは夕方まで汚れているが、そうして後きよくなる。 + また、それらのうちの一つが、どのような土の器の中に落ちても、その中にあるものはすべて汚れる。その器は砕かなければならない。 + また食べる物で、それにそのような水がかかっていれば、それはみな汚れる。また飲む物で、このような器の中にあるものはみな汚れる。 + さらに、どんなものでも、その上にこれらの死体の一つが落ちたものは汚れる。それがかまどであれ、炉であれ、それを粉々に割らなければならない。それは汚れており、あなたがたには汚れたものとなる。 + しかし、泉、あるいは水のたまっている水ためはきよい。ただし、それらの死体に触れるものは汚れる。 + また、もしそれらのどの死体が、蒔こうとしている種の上に落ちても、それはきよい。 + しかし、種の上に水がかけられていて、その上に、それらの死体のあるものが落ちたときは、それはあなたがたには汚れたものである。 + あなたがたが食用として飼っている動物の一つが死んだとき、その死体に触れる者は夕方まで汚れる。 + その死体のいくらかでも食べる者は、その衣服を洗わなければならない。その人は夕方まで汚れる。また、その死体を運ぶ者も、その衣服を洗わなければならない。その人は夕方まで汚れる。 + また、地に群生するものはみな忌むべきもので、食べてはならない。 + 地に群生するもののうち、腹ではうもの、また四つ足で歩くもの、あるいは多くの足のあるもの、これらのどれもあなたがたは食べてはならない。それらは忌むべきものである。 + あなたがたは群生するどんなものによっても、自分自身を忌むべきものとしてはならない。またそれによって、身を汚し、それによって汚れたものとなってはならない。 + わたしはあなたがたの神、主であるからだ。あなたがたは自分の身を聖別し、聖なる者となりなさい。わたしが聖であるから。地をはういかなる群生するものによっても、自分自身を汚してはならない。 + わたしは、あなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの地から導き出した主であるから。あなたがたは聖なる者となりなさい。わたしが聖であるから。」 + 以上が動物と鳥、また水の中をうごめくすべての生き物と、地に群生するすべての生き物についてのおしえであり、 + それで、汚れたものときよいもの、食べてよい生き物と食べてはならない生き物とが区別される。 + + + それから、主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。女が身重になり、男の子を産んだときは、その女は七日の間汚れる。その女は月のさわりの不浄の期間のように、汚れる。 + ――八日目には、その子の包皮の肉に割礼をしなければならない―― + その女はさらに三十三日間、血のきよめのために、こもらなければならない。そのきよめの期間が満ちるまでは、聖なるものにいっさい触れてはならない。また聖所に入ってもならない。 + もし、女の子を産めば、月のさわりのときと同じく、二週間汚れる。その女はさらに六十六日間、血のきよめのために、こもらなければならない。 + 彼女のきよめの期間が満ちたなら、それが息子の場合であっても、娘の場合であっても、その女は全焼のいけにえとして一歳の子羊を一頭と、罪のためのいけにえとして家鳩のひなか、山鳩を一羽、会見の天幕の入口にいる祭司のところに持って来なければならない。 + 祭司はこれを主の前にささげ、彼女のために贖いをしなさい。彼女はその出血からきよめられる。これが男の子でも、女の子でも、子を産む女についてのおしえである。 + しかし、もし彼女が羊を買う余裕がなければ、二羽の山鳩か、二羽の家鳩のひなを取り、一羽は全焼のいけにえとし、もう一羽は罪のためのいけにえとしなさい。祭司は彼女のために贖いをする。彼女はきよめられる。」 + + + ついで主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「ある人のからだの皮膚にはれもの、あるいはかさぶた、あるいは光る斑点ができ、からだの皮膚にツァラアトの患部が現れたときは、彼を、祭司アロンか、祭司であるその子らのひとりのところに連れて来る。 + 祭司はそのからだの皮膚の患部を調べる。その患部の毛が白く変わり、その患部がそのからだの皮膚よりも深く見えているなら、それはツァラアトの患部である。祭司はそれを調べ、彼を汚れていると宣言する。 + もしそのからだの皮膚の光る斑点が白くても、皮膚よりも深くは見えず、そこの毛も白く変わっていないなら、祭司はその患部を七日間隔離する。 + 祭司は七日目に彼を調べる。もしその患部が祭司の目に、そのままに見え、患部が皮膚に広がっていないなら、祭司は彼をさらに七日間隔離する。 + 祭司は七日目に再び彼を調べる。もし患部が薄れ、患部が皮膚に広がっていないなら、祭司は彼をきよいと宣言する。それはかさぶたにすぎない。彼は自分の衣服を洗う。彼はきよい。 + もし、彼が祭司のところに現れ、きよいと宣言されて後、かさぶたが皮膚に広がってきたなら、再び祭司にその身を見せる。 + 祭司が調べて、かさぶたが皮膚に広がっているなら、祭司は彼を汚れていると宣言する。これはツァラアトである。 + ツァラアトの患部が人にあるときは、彼を祭司のところに連れて来る。 + 祭司が調べて、もし皮膚に白いはれものがあり、その毛も白く変わり、はれものに生肉が盛り上がっているなら、 + これは、そのからだの皮膚にある慢性のツァラアトである。祭司は彼を汚れていると宣言する。しかし祭司は彼を隔離する必要はない。彼はすでに汚れているのだから。 + もしそのツァラアトがひどく皮膚に出て来て、そのツァラアトが、その患部の皮膚全体、すなわち祭司の目に留まるかぎり、頭から足までをおおっているときは、 + 祭司が調べる。もしそのツァラアトが彼のからだ全体をおおっているなら、祭司はその患部をきよいと宣言する。すべてが白く変わったので、彼はきよい。 + しかし生肉が彼に現れるときは、彼は汚れる。 + 祭司はその生肉を調べて、彼を汚れていると宣言する。その生肉は汚れている。それはツァラアトである。 + しかし、もしその生肉が再び白く変われば、彼は祭司のところに行く。 + 祭司は彼を調べる。もしその患部が白く変わっているなら、祭司はその患部をきよいと宣言する。彼はきよい。 + また、人のからだの皮膚に腫物ができ、それがいやされたとき、 + その腫物の局所に白色のはれもの、または赤みがかった白い光る斑点があれば、祭司に見せる。 + 祭司が調べて、もしそれが皮膚よりも低く見え、そこの毛が白く変わっていたなら、祭司は彼を汚れていると宣言する。それはその腫物に吹き出たツァラアトの患部である。 + もし祭司がこれを調べて、そこに白い毛がなく、それが皮膚より低くなっておらず、それが薄れているなら、祭司は彼を七日間隔離する。 + もしそれが一段と皮膚に広がってくれば、祭司は彼を汚れていると宣言する。これは患部である。 + もしその光る斑点がもとのままであり、広がっていなければ、それはただ、できもののあとである。祭司は彼をきよいと宣言する。 + あるいは、人のからだの皮膚にやけどがあって、そのやけどの生肉が赤みがかった白色、または白色の光る斑点であれば、 + 祭司はこれを調べる。もし光る斑点の上の毛が白く変わり、それが皮膚よりも深く見えるなら、これはやけどに出て来たツァラアトである。祭司は彼を汚れていると宣言する。それはツァラアトの患部である。 + 祭司がこれを調べて、その光る斑点に白い毛がなく、それが皮膚より低くなっておらず、それが薄れているなら、祭司は彼を七日間隔離する。 + それから七日目に祭司が彼を調べる。もしそれが一段と皮膚に広がっていれば、祭司は彼を汚れていると宣言する。これはツァラアトの患部である。 + もしその光る斑点がもとのままであり、その皮膚に広がっておらず、それが薄れているなら、それはやけどによるはれものである。祭司は彼をきよいと宣言する。これはやけどのあとであるから。 + 男あるいは女で、頭か、ひげに疾患があるときは、 + 祭司はその患部を調べる。もしそれが皮膚よりも深く見え、そこに細い黄色の毛があるなら、祭司は彼を汚れていると宣言する。これはかいせんで、頭またはひげのツァラアトである。 + 祭司がかいせんの患部を調べ、もしそれが皮膚よりも深く見えず、そこに黒い毛がないなら、祭司はそのかいせんの患部を七日間隔離する。 + 七日目に祭司は患部を調べる。もしそのかいせんが広がらず、またそこに黄色い毛もなく、かいせんが皮膚よりも深く見えていないなら、 + その人は毛をそり落とす。ただし、そのかいせんをそり落としてはならない。祭司はそのかいせんの患部をさらに七日間隔離する。 + 七日目に祭司がそのかいせんを調べる。もしかいせんが皮膚に広がっておらず、それが皮膚よりも深く見えていないなら、祭司は彼をきよいと宣言する。彼は自分の衣服を洗う。彼はきよい。 + しかし、彼がきよいと宣言されて後に、もしも、そのかいせんが皮膚に広がったなら、 + 祭司は彼を調べる。もしそのかいせんが皮膚に広がっていれば、祭司は黄色の毛を捜す必要はない。彼は汚れている。 + もし祭司が見て、そのかいせんがもとのままであり、黒い毛がそこに生えているなら、そのかいせんはいやされており、彼はきよい。祭司は彼をきよいと宣言する。 + 男あるいは女で、そのからだの皮膚に光る斑点、すなわち白い光る斑点があるとき、 + 祭司はこれを調べる。もしそのからだの皮膚にある光る斑点が、淡い白色であるなら、これは皮膚に出て来た湿疹である。彼はきよい。 + 男の頭の毛が抜けても、それははげであって、彼はきよい。 + もし顔の生えぎわから頭の毛が抜けても、それは額のはげであって、彼はきよい。 + もしその頭のはげか、額のはげに、赤みがかった白の患部があるなら、それは頭のはげに、あるいは額のはげに出て来たツァラアトである。 + 祭司は彼を調べる。もしその頭のはげ、あるいは額のはげにある患部のはれものが、からだの皮膚にあるツァラアトに見られるような赤みがかった白色であれば、 + 彼はツァラアトの者であって汚れている。祭司は彼を確かに汚れていると宣言する。その患部が頭にあるからである。 + 患部のあるそのツァラアトの者は、自分の衣服を引き裂き、その髪の毛を乱し、その口ひげをおおって、『汚れている、汚れている』と叫ばなければならない。 + その患部が彼にある間中、彼は汚れている。彼は汚れているので、ひとりで住み、その住まいは宿営の外でなければならない。 + 衣服にツァラアトの患部が生じたときは、羊毛の衣服でも、亜麻布の衣服でも、 + 亜麻または羊毛の織物でも、編物でも、皮でも、また皮で作ったどんなものでも、 + その患部が緑がかっていたり、赤みを帯びたりしているなら、衣服でも、皮でも、織物でも、編物でも、またどんな皮製品でも、それはツァラアトの患部である。それを祭司に見せる。 + 祭司はその患部を調べる。そして、その患部のある物を七日間隔離する。 + 七日目に彼はその患部のある物を調べる。それが衣服でも、織物でも、編物でも、皮でも、また皮が何に用いられていても、それらにその患部が広がっているときは、その患部は悪性のツァラアトで、それは汚れている。 + 羊毛製であるにしても、亜麻製であるにしても、衣服、あるいは織物でも、編物でも、それがまたどんな皮製品でも、その患部のある物は焼く。これは悪性のツァラアトであるから、火で焼かなければならない。 + もし、祭司が調べて、その患部がその衣服に、あるいは織物、編物、またすべての皮製品に広がっていなければ、 + 祭司は命じて、その患部のある物を洗わせ、さらに七日間それを隔離する。 + 祭司は、その患部のある物が洗われて後に、調べる。もし患部が変わったように見えなければ、その患部が広がっていなくても、それは汚れている。それは火で焼かなければならない。それが内側にあっても外側にあっても、それは腐食である。 + 祭司が調べて、もしそれが洗われて後、その患部が薄れていたならば、彼はそれを衣服から、あるいは皮から、織物、編物から、ちぎり取る。 + もし再びその衣服に、あるいは織物、編物、またはどんな皮製品にも、それが現れたなら、それは再発である。その患部のある物は火で焼かなければならない。 + しかし、洗った衣服は、あるいは織物、編物、またはどんな皮製品でも、それらから、もしその患部が消えていたら、再びこれを洗う。それはきよい。」 + 以上は、羊毛あるいは亜麻布の衣服、織物、編物、あるいはすべての皮製品のツァラアトの患部についてのおしえであり、それをきよい、あるいは汚れている、と宣言するためである。 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「ツァラアトに冒された者がきよめられるときのおしえは次のとおりでなければならない。彼を祭司のところに連れて来る。 + 祭司は宿営の外に出て行き、調べて、もしツァラアトの者のツァラアトの患部がいやされているなら、 + 祭司はそのきよめられる者のために、二羽の生きているきよい小鳥と、杉の木と緋色の撚り糸とヒソプを取り寄せるよう命じる。 + 祭司は、土の器に入れた湧き水の上で、その小鳥のうちの一羽をほふるよう命じる。 + 生きている小鳥を、杉の木と緋色の撚り糸とヒソプといっしょに取り、湧き水の上でほふった小鳥の血の中に、その生きている小鳥といっしょにそれらを浸す。 + それを、ツァラアトからきよめられる者の上に七たび振りかけて、彼をきよいと宣言し、さらにその生きている小鳥を野に放す。 + きよめられる者は、自分の衣服を洗い、その毛をみなそり落とし、水を浴びる。その者はきよい。そうして後、彼は宿営に入ることができる。しかし七日間は、自分の天幕の外にとどまる。 + 七日目になって、彼はすべての毛、その髪の毛と口ひげとまゆ毛をそり落とす。そのすべての毛をそり落とし、自分の衣服を洗い、水をそのからだに浴びる。その者はきよい。 + 八日目に彼は、傷のない雄の子羊二頭と傷のない一歳の雌の子羊一頭と、穀物のささげ物としての油を混ぜた小麦粉十分の三エパと、油一ログとを持って来る。 + きよめを宣言する祭司は、きよめられる者と、これらのものを主の前、会見の天幕の入口の所に置く。 + 祭司はその雄の子羊一頭を取り、それを油一ログといっしょにささげて罪過のためのいけにえとし、それを奉献物として主に向かって揺り動かす。 + 罪のためのいけにえと全焼のいけにえをほふった所、すなわち聖なる所で、その雄の子羊をほふる。罪のためのいけにえと同様に、罪過のためのいけにえも祭司のものとなるからである。これは最も聖なるものである。 + 祭司は罪過のためのいけにえの血を取り、それをきよめられる者の右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指に塗りつける。 + 祭司は油一ログからいくらかを取って、自分の左の手のひらにそそぐ。 + 祭司は右の指を左の手のひらにある油に浸し、その指で、油を七たび主の前に振りかける。 + 祭司はその手のひらにある残りの油をきよめられる者の右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指に、すなわち先の罪過のためのいけにえの血の上に塗る。 + 祭司はその手のひらにある残りの油をきよめられる者の頭に塗り、祭司は主の前で彼のために贖いをする。 + 祭司は罪のためのいけにえをささげ、汚れからきよめられる者のために贖いをする。そのあとで全焼のいけにえがほふられなければならない。 + 祭司は祭壇の上で、全焼のいけにえと穀物のささげ物をささげ、祭司は彼のために贖いをする。彼はきよい。 + その人が貧しくて、それを手に入れることができないなら、自分を贖う奉献物とするために、雄の子羊一頭を罪過のためのいけにえとして取り、また穀物のささげ物として油を混ぜた小麦粉十分の一エパと油一ログを取り、 + また、手に入れることのできる山鳩二羽か家鳩のひな二羽を取らなければならない。その一羽は罪のためのいけにえ、他の一羽は全焼のいけにえとする。 + 八日目に、彼のきよめのために、それらを主の前、すなわち会見の天幕の入口の祭司のところに持って来る。 + 祭司はその罪過のためのいけにえの子羊と油一ログを取って、これを奉献物として主に向かって揺り動かし、 + 罪過のためのいけにえの子羊をほふる。祭司はその罪過のためのいけにえの血を取って、それをきよめられる者の右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指に塗る。 + 祭司はその油を自分の左の手のひらにそそぐ。 + 祭司は右手の指で、左の手のひらにある油を、主の前に七たび振りかける。 + 祭司はその手のひらにある油をきよめられる者の右の耳たぶと、右手の親指と、右足の親指に、すなわち罪過のためのいけにえの血と同じところにつける。 + 祭司はその手のひらにある残りの油をきよめられる者の頭の上に塗り、主の前で彼のために贖いをする。 + 彼は、手に入れることのできた山鳩か、家鳩のひなのうちから一羽をささげる。 + すなわち、手に入れることのできたもののうち、一羽を罪のためのいけにえとして、他の一羽を全焼のいけにえとして、穀物のささげ物に添えてささげる。祭司は主の前で、きよめられる者のために贖いをする。」 + 以上は、ツァラアトの患部のある者で、きよめに要するものを手に入れることのできない者のためのおしえである。 + ついで主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「わたしがあなたがたに所有地として与えるカナンの地に、あなたがたが入り、わたしがその所有地にある家にツァラアトの患部を生じさせ、 + その家の所有者が来て、祭司に、そのような患部が家に現れたと言って、報告するときは、 + 祭司はその患部を調べに入る前に、その家をあけるよう命じる。これはすべて家にあるものが汚れることのないためである。その後に、祭司はその家を調べに入る。 + その患部を調べて、もしその患部がその家の壁に出ていて、それが緑がかったか、または赤みを帯びたくぼみであって、その壁よりも低く見えるならば、 + 祭司はその家から入口に出て来て、七日間その家を閉ざしておく。 + 七日目に祭司がまた来て、調べ、もしその患部がその家の壁に広がっているなら、 + 祭司はその患部のある石を取り出し、それらを町の外の汚れた場所に投げ捨てるよう命じる。 + またその家の内側の回りを削り落とさせ、その削り落とした土は町の外の汚れた場所に捨てる。 + 人々は別の石を取って、前の石の代わりに入れ、また別の土を取って、その家を塗り直す。 + もし彼が石を取り出し、家の壁を削り落とし、また塗り直して後に、再びその患部が家にできたなら、 + 祭司は入って来て調べ、そして、もしその患部が家に広がっているなら、それは家につく悪性のツァラアトであって、その家は汚れている。 + その家、すなわち、その石と材木と家の土全部を取りこわす。またそれを町の外の汚れた場所に運び出す。 + その家が閉ざされている期間中にその家に入る者は、夕方まで汚れる。 + その家で寝る者は、その衣服を洗わなければならない。その家で食事をする者も、その衣服を洗わなければならない。 + 祭司が入って来て調べて、もしその家が塗り直されて後、その患部が家に広がっていないなら、祭司は、その家はきよいと宣言する。なぜなら、その患部が直ったからである。 + 祭司は、その家をきよめるために、小鳥二羽と杉の木と緋色の撚り糸とヒソプを取り、 + その小鳥のうちの一羽を土の器の中の湧き水の上でほふる。 + 杉の木とヒソプと緋色の撚り糸と、生きている小鳥を取って、ほふられた小鳥の血の中と湧き水の中にそれらを浸し、その家に七たび振りかける。 + 祭司は小鳥の血と湧き水と生きた小鳥と杉の木とヒソプと緋色の撚り糸とによって、その家をきよめ、 + その生きている小鳥を町の外の野に放つ。こうして、その家のために贖いをする。その家はきよい。」 + 以上は、ツァラアトのあらゆる患部、かいせん、 + 衣服と家のツァラアト、 + はれもの、かさぶた、光る斑点についてのおしえである。 + これは、どんなときにそれが汚れているのか、またどんなときにそれがきよいのかを教えるためである。これがツァラアトについてのおしえである。 + + + ついで主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。だれでも、隠しどころに漏出がある場合、その漏出物は汚れている。 + その漏出物による汚れは次のとおりである。すなわち、隠しどころが漏出物を漏らしても、あるいは隠しどころが漏出物を留めていても、その者には汚れがある。 + 漏出を病む人の寝る床は、すべて汚れる。またその者がすわる物もみな汚れる。 + また、だれでもその床に触れる者は自分の衣服を洗い、水を浴びなければならない。その者は夕方まで汚れる。 + また漏出を病む人がすわった物の上にすわる者は、自分の衣服を洗い、水を浴びる。その者は夕方まで汚れる。 + また、漏出を病む人の隠しどころにさわる者も、自分の衣服を洗い、水を浴びなければならない。その者は夕方まで汚れる。 + また、漏出を病む者が、きよい人につばきをかけるなら、その人は自分の衣服を洗い、水を浴びる。その人は夕方まで汚れる。 + また、漏出を病む者が乗った鞍はみな汚れる。 + また、どんな物であれ、その者の下にあった物にさわる者はみな、夕方まで汚れる。また、それらの物を運ぶ者も、自分の衣服を洗わなければならない。水を浴びなければならない。その者は夕方まで汚れる。 + また、漏出を病む者が、水でその手を洗わずに、だれかにさわるなら、さわられた人は自分の衣服を洗い、水を浴びる。その人は夕方まで汚れる。 + また、漏出を病む者がさわった土の器はこわされなければならない。木の器はみな、水で洗われなければならない。 + 漏出を病む者がその漏出からきよくなるときは、自分のきよめのために七日を数え、自分の衣服を洗い、自分のからだに湧き水を浴びる。彼はきよい。 + 八日目には、自分のために、山鳩二羽か家鳩のひな二羽を取らなければならない。彼は主の前、会見の天幕の入口の所に来て、それを祭司に渡す。 + 祭司はそれを、一羽を罪のためのいけにえとして、他の一羽を全焼のいけにえとしてささげ、祭司はその漏出物のために、主の前でその者のために贖いをする。 + 人が精を漏らしたときは、その人は全身に水を浴びる。その人は夕方まで汚れる。 + 精のついている衣服と皮はすべて、水で洗う。それは夕方まで汚れる。 + 男が女と寝て交わるなら、ふたりは共に水を浴びる。彼らは夕方まで汚れる。 + 女に漏出があって、その漏出物がからだからの血であるならば、彼女は七日間、月のさわりの状態になる。だれでも彼女に触れる者は、夕方まで汚れる。 + また、その女の月のさわりのときに使った寝床はすべて汚れる。また、その女のすわった物もみな汚れる。 + また、その女の床に触れる者はだれでも、その衣服を洗い、水を浴びなければならない。その者は夕方まで汚れる。 + また、何であれ、その女のすわった物に触れる者はみな、その衣服を洗い、水を浴びなければならない。その者は夕方まで汚れる。 + その女の床であっても、すわった物であっても、それにさわった者は夕方まで汚れる。 + また、もし男がその女と寝るなら、その女のさわりが彼に移り、その者は七日間汚れる。彼が寝る床もすべて汚れる。 + もし女に、月のさわりの間ではないのに、長い日数にわたって血の漏出がある場合、あるいは月のさわりの間が過ぎても漏出がある場合、その汚れた漏出のある間中、彼女は、月のさわりの間と同じく汚れる。 + 彼女がその漏出の間中に寝る床はすべて、月のさわりのときの床のようになる。その女のすわるすべての物は、その月のさわりの間の汚れのように汚れる。 + これらの物にさわる者はだれでも汚れる。その者は衣服を洗い、水を浴びる。その者は夕方まで汚れる。 + もし女がその漏出からきよくなったときには、七日を数える。その後にその女はきよくなる。 + 八日目には、その女は山鳩二羽か家鳩のひな二羽を取り、それを会見の天幕の入口の祭司のところに持って来なければならない。 + 祭司は一羽を罪のためのいけにえとし、他の一羽を全焼のいけにえとしてささげる。祭司は、その汚れた漏出のために、主の前でその女のために贖いをする。 + あなたがたは、イスラエル人をその汚れから離れさせなさい。彼らの間にあるわたしの幕屋を汚し、その汚れたままで彼らが死ぬことのないためである。」 + 以上が、漏出のある者、また精を漏らして汚れた者、 + また月のさわりで不浄の女、また男か女で漏出のある者、あるいは汚れている女と寝る男についてのおしえである。 + + + アロンのふたりの子の死後、すなわち、彼らが主の前に近づいてそのために死んで後、主はモーセに告げられた。 + 主はモーセに仰せられた。「あなたの兄アロンに告げよ。かってな時に垂れ幕の内側の聖所に入って、箱の上の『贖いのふた』の前に行ってはならない。死ぬことのないためである。わたしが『贖いのふた』の上の雲の中に現れるからである。 + アロンは次のようにして聖所に入らなければならない。罪のためのいけにえとして若い雄牛、また全焼のいけにえとして雄羊を携え、 + 聖なる亜麻布の長服を着、亜麻布のももひきをはき、亜麻布の飾り帯を締め、亜麻布のかぶり物をかぶらなければならない。これらが聖なる装束であって、彼はからだに水を浴び、それらを着ける。 + 彼はまた、イスラエル人の会衆から、罪のためのいけにえとして雄やぎ二頭、全焼のいけにえとして雄羊一頭を取らなければならない。 + アロンは自分のための罪のためのいけにえの雄牛をささげ、自分と自分の家族のために贖いをする。 + 二頭のやぎを取り、それを主の前、会見の天幕の入口の所に立たせる。 + アロンは二頭のやぎのためにくじを引き、一つのくじは主のため、一つのくじはアザゼルのためとする。 + アロンは、主のくじに当たったやぎをささげて、それを罪のためのいけにえとする。 + アザゼルのためのくじが当たったやぎは、主の前に生きたままで立たせておかなければならない。これは、それによって贖いをするために、アザゼルとして荒野に放つためである。 + アロンは自分の罪のためのいけにえの雄牛をささげ、自分と自分の家族のために贖いをする。彼は自分の罪のためのいけにえの雄牛をほふる。 + 主の前の祭壇から、火皿いっぱいの炭火と、両手いっぱいの粉にしたかおりの高い香とを取り、垂れ幕の内側に持って入る。 + その香を主の前の火にくべ、香から出る雲があかしの箱の上の『贖いのふた』をおおうようにする。彼が死ぬことのないためである。 + 彼は雄牛の血を取り、指で『贖いのふた』の東側に振りかけ、また指で七たびその血を『贖いのふた』の前に振りかけなければならない。 + アロンは民のための罪のためのいけにえのやぎをほふり、その血を垂れ幕の内側に持って入り、あの雄牛の血にしたようにこの血にもして、それを『贖いのふた』の上と『贖いのふた』の前に振りかける。 + 彼はイスラエル人の汚れと、そのそむき、すなわちそのすべての罪のために、聖所の贖いをする。彼らの汚れの中に彼らとともにある会見の天幕にも、このようにしなければならない。 + 彼が贖いをするために聖所に入って、再び出て来るまで、だれも会見の天幕の中にいてはならない。彼は自分と、自分の家族、それにイスラエルの全集会のために贖いをする。 + 主の前にある祭壇のところに出て行き、その贖いをする。彼はその雄牛の血と、そのやぎの血を取り、それを祭壇の回りにある角に塗る。 + その残りの血を、その祭壇の上に指で七たび振りかける。彼はそれをきよめ、イスラエル人の汚れからそれを聖別する。 + 彼は聖所と会見の天幕と祭壇との贖いをし終え、先の生きているやぎをささげる。 + アロンは生きているやぎの頭に両手を置き、イスラエル人のすべての咎と、すべてのそむきを、どんな罪であっても、これを全部それの上に告白し、これらをそのやぎの頭の上に置き、係りの者の手でこれを荒野に放つ。 + そのやぎは、彼らのすべての咎をその上に負って、不毛の地へ行く。彼はそのやぎを荒野に放つ。 + アロンは会見の天幕に入り、聖所に入ったときに着けていた亜麻布の装束を脱ぎ、それをそこに残しておく。 + 彼は聖なる所でそのからだに水を浴び、自分の衣服を着て外に出て、自分の全焼のいけにえと民の全焼のいけにえとをささげ、自分のため、民のために贖いをする。 + 罪のためのいけにえの脂肪は、祭壇の上で焼いて煙にしなければならない。 + アザゼルのやぎを放った者は、その衣服を洗い、そのからだに水を浴びる。そうして後に、彼は宿営に入ることができる。 + 罪のためのいけにえの雄牛と、罪のためのいけにえのやぎで、その血が贖いのために聖所に持って行かれたものは、宿営の外に持ち出し、その皮と肉と汚物を火で焼かなければならない。 + これを焼く者は、その衣服を洗わなければならない。そのからだに水を浴びる。こうして後に宿営に入ることができる。 + 以下のことはあなたがたに、永遠のおきてとなる。第七の月の十日には、あなたがたは身を戒めなければならない。この国に生まれた者も、あなたがたの中の在留異国人も、どんな仕事もしてはならない。 + なぜなら、この日に、あなたがたをきよめるために、あなたがたの贖いがなされるからである。あなたがたは、主の前でそのすべての罪からきよめられるのである。 + これがあなたがたの全き休みの安息であり、あなたがたは身を戒める。これは永遠のおきてである。 + 油をそそがれ、その父に代わって祭司として仕えるために任命された祭司が、贖いをする。彼は亜麻布の装束、すなわち聖なる装束を着ける。 + 彼は至聖所の贖いをする。また会見の天幕と祭壇の贖いをしなければならない。また彼は祭司たちと集会のすべての人々の贖いをしなければならない。 + 以上のことは、あなたがたに永遠のおきてとなる。これは年に一度、イスラエル人のすべての罪から彼らを贖うためである。」モーセは主が命じられたとおりに行った。 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンとその子ら、またすべてのイスラエル人に告げて言え。主が命じて仰せられたことは次のとおりである。 + イスラエルの家の者のだれかが、牛か子羊かやぎを宿営の中でほふり、あるいは宿営の外でそれをほふって、 + 主の幕屋の前に主へのささげ物としてささげるために、それを会見の天幕の入口の所に持って来ないなら、血はその人に帰せられる。その人は血を流した。その人はその民の間から断たれる。 + これは、イスラエル人が、野外でささげていたそのいけにえを持って来るようにするため、また会見の天幕の入口の祭司のところで、主に持って来て、主への和解のいけにえとして、それらをささげるためである。 + また、祭司が、その血を会見の天幕の入口にある主の祭壇に注ぎかけ、その脂肪を主へのなだめのかおりとして焼いて煙にするため、 + また、彼らが慕って、淫行をしていたやぎの偶像に、彼らが二度といけにえをささげなくなるためである。これは彼らにとって、代々守るべき永遠のおきてとなる。 + また、あなたは彼らに言わなければならない。イスラエルの家の者、または彼らの間の在留異国人のだれであっても、全焼か、または、ほかのいけにえをささげ、 + それを主にささげるために会見の天幕の入口に持って行かないなら、その者は、その民から断ち切られる。 + また、イスラエルの家の者、または彼らの間の在留異国人のだれであっても、どんな血でも食べるなら、わたしはその血を食べる者から、わたしの顔をそむけ、その者をその民の間から断つ。 + なぜなら、肉のいのちは血の中にあるからである。わたしはあなたがたのいのちを祭壇の上で贖うために、これをあなたがたに与えた。いのちとして贖いをするのは血である。 + それゆえ、わたしはイスラエル人に言った。『あなたがたはだれも血を食べてはならない。あなたがたの間の在留異国人もまた、だれも血を食べてはならない。』 + イスラエル人や彼らの間の在留異国人のだれかが、食べることのできる獣や鳥を狩りで捕らえるなら、その者はその血を注ぎ出し、それを土でおおわなければならない。 + すべての肉のいのちは、その血が、そのいのちそのものである。それゆえ、わたしはイスラエル人に言っている。『あなたがたは、どんな肉の血も食べてはならない。すべての肉のいのちは、その血そのものであるからだ。それを食べる者はだれでも断ち切られなければならない。』 + 自然に死んだものとか、野獣に裂き殺されたものを食べるなら、この国に生まれた者でも、在留異国人でも、だれでも、その衣服を洗い、水を浴びなければならない。その者は夕方まで汚れている。彼はきよい。 + もし、その衣服を洗わず、その身に水を浴びないなら、その者は自分の咎を負わなければならない。」 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエルの人々に告げて言え。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは、あなたがたが住んでいたエジプトの地のならわしをまねてはならない。またわたしがあなたがたを導き入れようとしているカナンの地のならわしをまねてもいけない。彼らの風習に従って歩んではならない。 + あなたがたは、わたしの定めを行い、わたしのおきてを守り、それに従わなければならない。わたしは、あなたがたの神、主である。 + あなたがたは、わたしのおきてとわたしの定めを守りなさい。それを行う人は、それによって生きる。わたしは主である。 + あなたがたのうち、だれも、自分の肉親の女に近づいて、これを犯してはならない。わたしは主である。 + 父をはずかしめること、すなわちあなたの母を犯すことをしてはならない。彼女はあなたの母であるから、彼女を犯してはならない。 + あなたの父の妻を犯してはならない。それは、あなたの父をはずかしめることである。 + あなたの姉妹は、あなたの父の娘でも、母の娘でも、あるいは、家で生まれた女でも、外で生まれた女でも、犯してはならない。 + あなたの息子の娘、あるいはあなたの娘の娘を犯してはならない。それはあなた自身をはずかしめることだからである。 + あなたの父の妻があなたの父に産んだ娘は、あなたの姉妹であるから、あなたはその娘を犯してはならない。 + あなたの父の姉妹を犯してはならない。彼女はあなたの父の肉親である。 + あなたの母の姉妹を犯してはならない。彼女はあなたの母の肉親であるから。 + あなたの父の兄弟をはずかしめてはならない。すなわち、その妻に近づいてはならない。彼女はあなたのおばである。 + あなたの嫁を犯してはならない。彼女はあなたの息子の妻である。彼女を犯してはならない。 + あなたの兄弟の妻を犯してはならない。それはあなたの兄弟をはずかしめることである。 + あなたは女とその娘とを犯してはならない。またあなたはその女の息子の娘、あるいはその娘の娘をめとって、これを犯してはならない。彼女たちは肉親であり、このことは破廉恥な行為である。 + あなたは妻を苦しませるために、妻の存命中に、その姉妹に当たる女をめとり、その女を犯してはならない。 + あなたは、月のさわりで汚れている女に近づき、これを犯してはならない。 + また、あなたの隣人の妻と寝て交わり、彼女によって自分を汚してはならない。 + また、あなたの子どもをひとりでも、火の中を通らせて、モレクにささげてはならない。あなたの神の御名を汚してはならない。わたしは主である。 + あなたは女と寝るように、男と寝てはならない。これは忌みきらうべきことである。 + 動物と寝て、動物によって身を汚してはならない。女も動物の前に立って、これと臥してはならない。これは道ならぬことである。 + あなたがたは、これらのどれによっても、身を汚してはならない。わたしがあなたがたの前から追い出そうとしている国々は、これらのすべてのことによって汚れており、 + このように、その地も汚れており、それゆえ、わたしはその地の咎を罰するので、その地は、住民を吐き出すことになるからである。 + あなたがたは、わたしのおきてとわたしの定めを守らなければならない。この国に生まれた者も、あなたがたの間の在留異国人も、これらの忌みきらうべきことを、一つでも行うことがないためである。 + ――あなたがたより先にいたこの地の人々は、これらすべての忌みきらうべきことを行ったので、その地は汚れた―― + あなたがたがこの地を汚すことによって、この地が、あなたがたより先にいた国民を吐き出したように、あなたがたを吐き出すことのないためである。 + これらの忌みきらうべきことの一つでも行う者はだれであろうと、それを行う者は、その民の間から断たれる。 + あなたがたは、わたしの戒めを守り、あなたがたの先に行われていた忌みきらうべき風習を決して行わないようにしなさい。それによって身を汚してはならない。わたしはあなたがたの神、主である。」 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人の全会衆に告げて言え。あなたがたの神、主であるわたしが聖であるから、あなたがたも聖なる者とならなければならない。 + おのおの、自分の母と父とを恐れなければならない。また、わたしの安息日を守らなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは偶像に心を移してはならない。また自分たちのために鋳物の神々を造ってはならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたが主に和解のいけにえをささげるときは、あなたがたが受け入れられるように、それをささげなければならない。 + それをささげる日と、その翌日に、それを食べなければならない。三日目まで残ったものは、火で焼かなければならない。 + もし三日目にそれを食べるようなことがあれば、それは汚れたものとなって、受け入れられない。 + それを食べる者は咎を負わなければならない。主の聖なるものを汚したからである。その者はその民から断ち切られる。 + あなたがたの土地の収穫を刈り入れるときは、畑の隅々まで刈ってはならない。あなたの収穫の落ち穂を集めてはならない。 + またあなたのぶどう畑の実を取り尽くしてはならない。あなたのぶどう畑の落ちた実を集めてはならない。貧しい者と在留異国人のために、それらを残しておかなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + 盗んではならない。欺いてはならない。互いに偽ってはならない。 + あなたがたは、わたしの名によって、偽って誓ってはならない。あなたの神の御名を汚してはならない。わたしは主である。 + あなたの隣人をしいたげてはならない。かすめてはならない。日雇い人の賃金を朝まで、あなたのもとにとどめていてはならない。 + あなたは耳の聞こえない者を侮ってはならない。目の見えない者の前につまずく物を置いてはならない。あなたの神を恐れなさい。わたしは主である。 + 不正な裁判をしてはならない。弱い者におもねり、また強い者にへつらってはならない。あなたの隣人を正しくさばかなければならない。 + 人々の間を歩き回って、人を中傷してはならない。あなたの隣人の血を流そうとしてはならない。わたしは主である。 + 心の中であなたの身内の者を憎んではならない。あなたの隣人をねんごろに戒めなければならない。そうすれば、彼のために罪を負うことはない。 + 復讐してはならない。あなたの国の人々を恨んではならない。あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい。わたしは主である。 + あなたがたは、わたしのおきてを守らなければならない。あなたの家畜を種類の異なった家畜と交わらせてはならない。あなたの畑に二種類の種を蒔いてはならない。また、二種類の糸で織った布地の衣服を身に着けてはならない。 + 男が女と寝て交わり、その女が別の男に決まっている女奴隷であって、まだ全然贖われておらず、自由を与えられていない場合は考慮する。女が自由の身でないので、彼らは殺されない。 + その男は、主への罪過のためのいけにえとして、罪過のためのいけにえの雄羊を会見の天幕の入口の所に持って来る。 + 祭司は、彼の犯した罪のために、その罪過のためのいけにえの雄羊によって主の前で彼の贖いをする。彼はその犯した罪を赦される。 + あなたがたが、かの地に入って、どんな果樹でも植えるとき、その実はまだ割礼のないものとみなさなければならない。三年の間、それはあなたがたにとって割礼のないものとなる。食べてはならない。 + 四年目にはその実はすべて聖となり、主への賛美のささげ物となる。 + 五年目には、あなたがたはその実を食べることができる。それはあなたがたの収穫を増すためである。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは血のついたままで何も食べてはならない。まじないをしてはならない。卜占をしてはならない。 + あなたがたの頭のびんの毛をそり落としてはならない。ひげの両端をそこなってはならない。 + あなたがたは死者のため、自分のからだに傷をつけてはならない。また自分の身に入墨をしてはならない。わたしは主である。 + あなたの娘を汚して、みだらなことをさせてはならない。地がみだらになり、地が破廉恥な行為で満ちることのないために。 + あなたがたは、わたしの安息日を守り、わたしの聖所を恐れなければならない。わたしは主である。 + あなたがたは霊媒や口寄せに心を移してはならない。彼らを求めて、彼らに汚されてはならない。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたは白髪の老人の前では起立し、老人を敬い、またあなたの神を恐れなければならない。わたしは主である。 + もしあなたがたの国に、あなたといっしょに在留異国人がいるなら、彼をしいたげてはならない。 + あなたがたといっしょの在留異国人は、あなたがたにとって、あなたがたの国で生まれたひとりのようにしなければならない。あなたは彼をあなた自身のように愛しなさい。あなたがたもかつてエジプトの地では在留異国人だったからである。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたはさばきにおいても、ものさしにおいても、はかりにおいても、分量においても、不正をしてはならない。 + 正しいてんびん、正しい重り石、正しいエパ、正しいヒンを使わなければならない。わたしは、あなたがたをエジプトの地から連れ出した、あなたがたの神、主である。 + あなたがたは、わたしのすべてのおきてとすべての定めを守り、これらを行いなさい。わたしは主である。」 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あなたはイスラエル人に言わなければならない。イスラエル人、またはイスラエルにいる在留異国人のうちで、自分の子どもをモレクに与える者は、だれでも必ず殺さなければならない。この国の人々は彼を石で打ち殺さなければならない。 + わたしはその者からわたしの顔をそむけ、彼をその民の間から断つ。彼がモレクに子どもを与え、そのためわたしの聖所を汚し、わたしの聖なる名を汚すからである。 + 人がモレクにその子どもを与えるとき、もしこの国の人々が、ことさらに目をつぶり、彼を殺さなかったなら、 + わたし自身は、その人とその家族から顔をそむけ、彼と、彼にならいモレクを慕って、淫行を行うみだらな者をすべて、その民の間から断つ。 + 霊媒や口寄せのところにおもむき、彼らを慕って淫行を行う者があれば、わたしはその者から顔をそむけ、その者をその民の間から断つ。 + あなたがたが自分の身を聖別するなら、あなたがたは聖なる者となる。わたしがあなたがたの神、主であるからだ。 + あなたがたは、わたしのおきてを守るなら、それを行うであろう。わたしはあなたがたを聖なる者とする主である。 + だれでも自分の父あるいは母をのろう者は、必ず殺されなければならない。彼は自分の父あるいは母をのろった。その血の責任は彼にある。 + 人がもし、他人の妻と姦通するなら、すなわちその隣人の妻と姦通するなら、姦通した男も女も必ず殺されなければならない。 + 人がもし、父の妻と寝るなら、父をはずかしめたのである。ふたりは必ず殺されなければならない。その血の責任は彼らにある。 + 人がもし、息子の嫁と寝るなら、ふたりは必ず殺されなければならない。彼らは道ならぬことをした。その血の責任は彼らにある。 + 男がもし、女と寝るように男と寝るなら、ふたりは忌みきらうべきことをしたのである。彼らは必ず殺されなければならない。その血の責任は彼らにある。 + 人がもし、女をその母といっしょにめとるなら、それは破廉恥なことである。彼も彼女らも共に火で焼かれなければならない。あなたがたの間で破廉恥な行為があってはならないためである。 + 人がもし、動物と寝れば、その者は必ず殺されなければならない。あなたがたはその動物も殺さなければならない。 + 女がもし、どんな動物にでも、近づいて、それとともに臥すなら、あなたはその女と動物を殺さなければならない。彼らは必ず殺されなければならない。その血の責任は彼らにある。 + 人がもし、自分の姉妹、すなわち父の娘、あるいは母の娘をめとり、その姉妹の裸を見、また女が彼の裸を見るなら、これは恥ずべきことである。同族の目の前で彼らは断ち切られる。彼はその姉妹を犯した。その咎を負わなければならない。 + 人がもし、月のさわりのある女と寝て、これを犯すなら、男は女の泉をあばき、女はその血の泉を現したのである。ふたりはその民の間から断たれる。 + 母の姉妹や父の姉妹を犯してはならない。これは、自分の肉親を犯したのである。彼らは咎を負わなければならない。 + 人がもし、自分のおばと寝るなら、おじをはずかしめることになる。彼らはその罪を負わなければならない。彼らは子を残さずに死ななければならない。 + 人がもし、自分の兄弟の妻をめとるなら、それは忌まわしいことだ。彼はその兄弟をはずかしめた。彼らは子のない者となる。 + あなたがたが、わたしのすべてのおきてと、すべての定めとを守り、これを行うなら、わたしがあなたがたを住まわせようと導き入れるその地は、あなたがたを吐き出さない。 + あなたがたは、わたしがあなたがたの前から追い出そうとしている国民の風習に従って歩んではならない。彼らはこれらすべてのことを行ったので、わたしは彼らをはなはだしくきらった。 + それゆえ、あなたがたに言った。『あなたがたは彼らの土地を所有するようになる。わたしが乳と蜜の流れる地を、あなたがたに与えて、所有させよう。わたしは、あなたがたを国々の民からえり分けたあなたがたの神、主である。 + あなたがたは、きよい動物と汚れた動物、また、汚れた鳥ときよい鳥を区別するようになる。わたしがあなたがたのために汚れているとして区別した動物や鳥や地をはうすべてのものによって、あなたがた自身を忌むべきものとしてはならない。 + あなたがたはわたしにとって聖なるものとなる。主であるわたしは聖であり、あなたがたをわたしのものにしようと、国々の民からえり分けたからである。』 + 男か女で、霊媒や口寄せがいるなら、その者は必ず殺されなければならない。彼らは石で打ち殺されなければならない。彼らの血の責任は彼らにある。」 + + + ついで主はモーセに仰せられた。「アロンの子である祭司たちに言え。彼らに言え。縁者のうちで死んだ者のために、自分の身を汚してはならない。 + ただし、近親の者、母や父、息子や娘、また兄弟の場合は例外である。 + 近親の、結婚したことのない処女の姉妹の場合は、身を汚してもよい。 + 姻戚の縁者として身を汚し、自分を冒瀆することになってはならない。 + 彼らは頭をそってはならない。ひげの両端をそり落としてもいけない。からだにどんな傷もつけてはならない。 + 彼らは自分の神に対して聖でなければならない。また自分の神の御名を汚してはならない。彼らは、主への火によるささげ物、彼らの神のパンをささげるからである。彼らは聖でなければならない。 + 彼らは淫行で汚れている女をめとってはならない。また夫から離婚された女をめとってはならない。祭司は神に対して聖であるから。 + あなたは彼を聖別しなければならない。彼はあなたの神のパンをささげるからである。彼はあなたにとって聖でなければならない。あなたがたを聖別する主、わたしが聖であるから。 + 祭司の娘が淫行で身を汚すなら、その父を汚すことになる。彼女は火で焼かれなければならない。 + 兄弟たちのうち大祭司で、頭にそそぎの油がそそがれ、聖別されて装束を着けている者は、その髪の毛を乱したり、その装束を引き裂いたりしてはならない。 + どんな死体のところにも、行ってはならない。自分の父のためにも母のためにも、自分の身を汚してはならない。 + 聖所から出て行って、神の聖所を汚してはならない。神のそそぎの油による記章を身につけているからである。わたしは主である。 + 彼は処女である女をめとらなければならない。 + やもめ、離婚された女、あるいは淫行で汚れている女、これらをめとってはならない。彼はただ、自分の民から処女をめとらなければならない。 + 彼の民のうちで、その子孫を汚すことのないためである。わたしは彼を聖別する主だからである。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンに告げて言え。あなたの代々の子孫のうち、だれでも身に欠陥のある者は、神のパンをささげるために近づいてはならない。 + だれでも、身に欠陥のある者は近づいてはならない。目の見えない者、足のなえた者、あるいは手足が短すぎたり、長すぎたりしている者、 + あるいは足や手の折れた者、 + くる病、肺病でやせた者、目に星のある者、湿疹のある者、かさぶたのある者や、こうがんのつぶれた者などである。 + 祭司であるアロンの子孫のうち、だれでも身に欠陥のある者は、主への火によるささげ物をささげるために近寄ってはならない。彼の身には欠陥があるから、神のパンをささげるために近寄ってはならない。 + しかし彼は、神のパンは、最も聖なるものでも、聖なるものでも食べることができる。 + ただし、垂れ幕の所に行ってはならない。祭壇に近寄ってはならない。彼は身に欠陥があるからである。彼はわたしの聖所を汚してはならない。わたしがそれらを聖別する主だからである。」 + モーセはこのように、アロンとその子らとすべてのイスラエル人に告げた。 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンとその子らに告げよ。イスラエル人の聖なるものは、わたしのために聖別しなければならない。彼らはわたしの聖なる名を汚してはならない。それは彼らがわたしのために、聖なるものとすべきものである。わたしは主である。 + 彼らに言え。代々にわたり、あなたがたの子孫のだれかが、イスラエル人が主のために聖別した聖なるものに汚れたままで近づくなら、その者は、わたしの前から断ち切られる。わたしは主である。 + アロンの子孫のうち、ツァラアトの者、または漏出のある者はだれでも、きよくなるまで聖なるものを食べてはならない。また、死体によって汚されたものに触れる者、精を漏らす者、 + あるいはすべて人を汚す、群生するものに触れる者、または、どのような汚れでも、人を汚れさせる人間に触れる者、 + このようなものに触れる者は、夕方まで汚れる。その者は、からだに水を浴びずに、聖なるものを食べてはならない。 + ただし、日が沈めば、彼はきよくなり、その後、聖なるものを食べることができる。それは彼の食物だからである。 + 自然に死んだものや、野獣に裂き殺されたものを食べて、汚れてはならない。わたしは主である。 + 彼らがわたしの戒めを守るなら、彼らが、これを汚し、そのために罪を負って、死ぬことはない。わたしは彼らを聖別する主である。 + 一般の者はだれも聖なるものを食べてはならない。祭司と同居している者や雇い人は、聖なるものを食べてはならない。 + 祭司に金で買われた者は、これを食べることができる。また、その家で生まれたしもべも、祭司のパンを食べることができる。 + 祭司の娘が一般の人と結婚したなら、彼女は聖なる奉納物を食べてはならない。 + 祭司の娘がやもめ、あるいは離婚された者となり、子どももなく、娘のときのように再びその父の家に戻っていれば、その父の食物を食べることができる。しかし、一般の者はだれも、それを食べてはならない。 + だれかが、あやまって聖なるものを食べるなら、それにその五分の一を足して、その聖なるものを祭司に渡す。 + イスラエル人に、その主に奉納する聖なるものを汚し、 + 聖なるものを食べて、その罪過の咎を負うようにさせてはならない。わたしは彼らを聖別する主だからである。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンとその子ら、またすべてのイスラエル人に告げて言え。だれでも、イスラエルの家の者、またはイスラエルにいる在留異国人がささげ物をささげ、誓願のささげ物、あるいは進んでささげるささげ物として、全焼のいけにえを主にささげるなら、 + あなたがたが受け入れられるためには、それは牛、羊、あるいはやぎのうちの傷のない雄でなければならない。 + 欠陥のあるものは、いっさいささげてはならない。それはあなたがたのために受け入れられないからである。 + また、人が特別の誓願を果たすため、あるいは進んでささげるささげ物として、牛か羊の中から和解のいけにえを主にささげるときは、それが受け入れられるためには傷のないものでなければならない。それにはどのような欠陥もあってはならない。 + 盲目のもの、折れたところのあるもの、傷のあるもの、あるいは、うみの出るもの、湿疹のあるもの、かさぶたのあるもの、あなたがたはこれらのものを主にささげてはならない。また、これらのものを主への火によるささげ物として祭壇の上にささげてはならない。 + 牛や羊で、足が伸びすぎているか、またはなえ縮んだものは、進んでささげるささげ物とすることはできるが、誓願のささげ物としては受け入れられない。 + あなたがたは、こうがんの押しつぶされたもの、砕けたもの、裂かれたもの、切り取られたものを主にささげてはならない。あなたがたの地でそのようなことをしてはならない。 + また、あなたがたは、外国人の手から何かこのようなものを受けて、あなたがたの神のパンとしてささげてはならない。これらのものはそこなわれており、欠陥があるから、あなたがたのために受け入れられない。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「牛か羊かやぎが生まれたときは、七日間、その母親といっしょにしておく。八日目以後、それは主への火によるささげ物として受け入れられる。 + しかし、牛でも、羊でも、それをその子と同じ日にほふってはならない。 + 主に感謝のいけにえをささげるときは、あなたがたが受け入れられるように、それをささげなければならない。 + その同じ日にこれを食べ、朝までそれを残しておいてはならない。わたしは主である。 + あなたがたは、わたしの命令を守り、これを行え。わたしは主である。 + わたしの聖なる名を汚してはならない。むしろわたしはイスラエル人のうちで聖とされなければならない。わたしはあなたがたを聖別した主である。 + あなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの地から連れ出した者、わたしは、主である。」 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。あなたがたが聖なる会合として召集する主の例祭、すなわちわたしの例祭は次のとおりである。 + 六日間は仕事をしてもよい。しかし七日目は全き休みの安息、聖なる会合の日である。あなたがたは、いっさいの仕事をしてはならない。この日はあなたがたがどこに住んでいても主の安息日である。 + あなたがたが定期に召集しなければならない聖なる会合、すなわち主の例祭は次のとおりである。 + 第一月の十四日には、夕暮れに過越のいけにえを主にささげる。 + この月の十五日は、主の、種を入れないパンの祭りである。七日間、あなたがたは種を入れないパンを食べなければならない。 + 最初の日は、あなたがたの聖なる会合とし、どんな労働の仕事もしてはならない。 + 七日間、火によるささげ物を主にささげる。七日目は聖なる会合である。あなたがたは、どんな労働の仕事もしてはならない。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。わたしがあなたがたに与えようとしている地に、あなたがたが入り、収穫を刈り入れるときは、収穫の初穂の束を祭司のところに持って来る。 + 祭司は、あなたがたが受け入れられるために、その束を主に向かって揺り動かす。祭司は安息日の翌日、それを揺り動かさなければならない。 + あなたがたは、束を揺り動かすその日に、主への全焼のいけにえとして、一歳の傷のない雄の子羊をささげる。 + その穀物のささげ物は、油を混ぜた小麦粉十分の二エパであり、主への火によるささげ物、なだめのかおりである。その注ぎのささげ物はぶどう酒で、一ヒンの四分の一である。 + あなたがたは神へのささげ物を持って来るその日まで、パンも、炒り麦も、新穀も食べてはならない。これはあなたがたがどこに住んでいても、代々守るべき永遠のおきてである。 + あなたがたは、安息日の翌日から、すなわち奉献物の束を持って来た日から、満七週間が終わるまでを数える。 + 七回目の安息日の翌日まで五十日を数え、あなたがたは新しい穀物のささげ物を主にささげなければならない。 + あなたがたの住まいから、奉献物としてパン――主への初穂として、十分の二エパの小麦粉にパン種を入れて焼かれるもの――二個を持って来なければならない。 + そのパンといっしょに、主への全焼のいけにえとして、一歳の傷のない雄の子羊七頭、若い雄牛一頭、雄羊二頭、また、主へのなだめのかおりの、火によるささげ物として、彼らの穀物のささげ物と注ぎのささげ物とをささげる。 + また、雄やぎ一頭を、罪のためのいけにえとし、一歳の雄の子羊二頭を、和解のいけにえとする。 + 祭司は、これら二頭の雄の子羊を、初穂のパンといっしょに、奉献物として主に向かって揺り動かす。これらは主の聖なるものであり、祭司のものとなる。 + その日、あなたがたは聖なる会合を召集する。それはあなたがたのためである。どんな労働の仕事もしてはならない。これはあなたがたがどこに住んでいても、代々守るべき永遠のおきてである。 + あなたがたの土地の収穫を刈り入れるとき、あなたは刈るときに、畑の隅まで刈ってはならない。あなたの収穫の落ち穂も集めてはならない。貧しい者と在留異国人のために、それらを残しておかなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。第七月の第一日は、あなたがたの全き休みの日、ラッパを吹き鳴らして記念する聖なる会合である。 + どんな労働の仕事もしてはならない。火によるささげ物を主にささげなさい。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「特にこの第七月の十日は贖罪の日、あなたがたのための聖なる会合となる。あなたがたは身を戒めて、火によるささげ物を主にささげなければならない。 + その日のうちは、いっさいの仕事をしてはならない。その日は贖罪の日であり、あなたがたの神、主の前で、あなたがたの贖いがなされるからである。 + その日に身を戒めない者はだれでも、その民から断ち切られる。 + その日のうちに仕事を少しでもする者はだれでも、わたしはその者を、彼の民の間から滅ぼす。 + どんな仕事もしてはならない。これは、あなたがたがどこに住んでいても、代々守るべき永遠のおきてである。 + これは、あなたがたの全き休みの安息である。あなたがたは身を戒める。すなわち、その月の九日の夕方には、その夕方から次の夕方まで、あなたがたの安息を守らなければならない。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。この第七月の十五日には、七日間にわたる主の仮庵の祭りが始まる。 + 最初の日は聖なる会合であって、あなたがたは、労働の仕事はいっさいしてはならない。 + 七日間、あなたがたは火によるささげ物を主にささげなければならない。八日目も、あなたがたは聖なる会合を開かなければならない。あなたがたは火によるささげ物を主にささげる。これはきよめの集会で、労働の仕事はいっさいしてはならない。 + 以上が主の例祭である。あなたがたは聖なる会合を召集して、火によるささげ物、すなわち、全焼のいけにえ、穀物のささげ物、和解のいけにえ、注ぎのささげ物を、それぞれ定められた日に、主にささげなければならない。 + このほか、主の安息日、また、あなたがたが主にささげる献上物、あらゆる誓願のささげ物、進んでささげるあらゆるささげ物がある。 + 特に、あなたがたがその土地の収穫をし終わった第七月の十五日には、七日間にわたる主の祭りを祝わなければならない。最初の日は全き休みの日であり、八日目も全き休みの日である。 + 最初の日に、あなたがたは自分たちのために、美しい木の実、なつめやしの葉と茂り合った木の大枝、また川縁の柳を取り、七日間、あなたがたの神、主の前で喜ぶ。 + 年に七日間、主の祭りとしてこれを祝う。これはあなたがたが代々守るべき永遠のおきてとして、第七月にこれを祝わなければならない。 + あなたがたは七日間、仮庵に住まなければならない。イスラエルで生まれた者はみな、仮庵に住まなければならない。 + これは、わたしが、エジプトの国からイスラエル人を連れ出したとき、彼らを仮庵に住まわせたことを、あなたがたの後の世代が知るためである。わたしはあなたがたの神、主である。」 + こうしてモーセはイスラエル人に主の例祭について告げた。 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あなたはイスラエル人に命じて、ともしびを絶えずともしておくために、燈火用の質の良い純粋なオリーブ油を持って来させよ。 + アロンは会見の天幕の中、あかしの箱の垂れ幕の外側で、夕方から朝まで主の前に絶えず、そのともしびを整えておかなければならない。これは、あなたがたが代々守るべき永遠のおきてである。 + 彼は純金の燭台の上に、そのともしびを絶えず主の前に整えておかなければならない。 + あなたは小麦粉を取り、それで輪型のパン十二個を焼く。一つの輪型のパンは十分の二エパである。 + それを主の前の純金の机の上に、一並び六個ずつ、二並びに置く。 + それぞれの並びに純粋な乳香を添え、主への火によるささげ物として、これをパンの記念の部分とする。 + 彼は安息日ごとに、絶えずこれを主の前に、整えておかなければならない。これはイスラエル人からのものであって永遠の契約である。 + これはアロンとその子らのものとなり、彼らはこれを聖なる所で食べる。これは最も聖なるものであり、主への火によるささげ物のうちから、彼の受け取る永遠の分け前である。」 + さて、イスラエルの女を母とし、エジプト人を父とする者が、イスラエル人のうちに出たが、このイスラエルの女の息子と、あるイスラエル人とが宿営の中で争った。 + そのとき、イスラエルの女の息子が、御名を冒瀆してのろったので、人々はこの者をモーセのところに連れて来た。その母の名はシェロミテで、ダンの部族のディブリの娘であった。 + 人々は主の命令をまって彼らにはっきりと示すため、この者を監禁しておいた。 + そこで、主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あの、のろった者を宿営の外に連れ出し、それを聞いた者はすべてその者の頭の上に手を置き、全会衆はその者に石を投げて殺せ。 + あなたはイスラエル人に告げて言え。自分の神をのろう者はだれでも、その罪の罰を受ける。 + 主の御名を冒瀆する者は必ず殺されなければならない。全会衆は必ずその者に石を投げて殺さなければならない。在留異国人でも、この国に生まれた者でも、御名を冒瀆するなら、殺される。 + かりそめにも人を打ち殺す者は、必ず殺される。 + 動物を打ち殺す者は、いのちにはいのちをもって償わなければならない。 + もし人がその隣人に傷を負わせるなら、その人は自分がしたと同じようにされなければならない。 + 骨折には骨折。目には目。歯には歯。人に傷を負わせたように人は自分もそうされなければならない。 + 動物を打ち殺す者は償いをしなければならず、人を打ち殺す者は殺されなければならない。 + あなたがたは、在留異国人にも、この国に生まれた者にも、一つのさばきをしなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。」 + モーセがこのようにイスラエル人に告げたので、彼らはのろった者を宿営の外に連れ出し、彼に石を投げて殺した。こうしてイスラエル人は、主がモーセに命じられたとおりに行った。 + + + ついで主はシナイ山でモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。わたしが与えようとしている地にあなたがたが入ったとき、その地は主の安息を守らなければならない。 + 六年間あなたの畑に種を蒔き、六年間ぶどう畑の枝をおろして、収穫しなければならない。 + 七年目は、地の全き休みの安息、すなわち主の安息となる。あなたの畑に種を蒔いたり、ぶどう畑の枝をおろしたりしてはならない。 + あなたの落ち穂から生えたものを刈り入れてはならない。あなたが手入れをしなかったぶどうの木のぶどうも集めてはならない。地の全き休みの年である。 + 地を安息させるならあなたがたの食糧のためになる。すなわち、あなたと、あなたの男奴隷と女奴隷、あなたの雇い人と、あなたのところに在留している居留者のため、 + また、あなたの家畜とあなたの地にいる獣とのため、その地の収穫はみな食物となる。 + あなたは、安息の年を七たび、つまり、七年の七倍を数える。安息の年の七たびは四十九年である。 + あなたはその第七月の十日に角笛を鳴り響かせなければならない。贖罪の日に、あなたがたの全土に角笛を鳴り響かせなければならない。 + あなたがたは第五十年目を聖別し、国中のすべての住民に解放を宣言する。これはあなたがたのヨベルの年である。あなたがたはそれぞれ自分の所有地に帰り、それぞれ自分の家族のもとに帰らなければならない。 + この第五十年目は、あなたがたのヨベルの年である。種を蒔いてはならないし、落ち穂から生えたものを刈り入れてもならない。また手入れをしなかったぶどうの木の実を集めてはならない。 + これはヨベルの年であって、あなたがたには聖である。あなたがたは畑の収穫物を食べなければならない。 + このヨベルの年には、あなたがたは、それぞれ自分の所有地に帰らなければならない。 + もし、あなたがたが、隣人に土地を売るとか、隣人から買うとかするときは、互いに害を与えないようにしなさい。 + ヨベルの後の年数にしたがって、あなたの隣人から買い、収穫年数にしたがって、相手もあなたに売らなければならない。 + 年数が多ければ、それに応じて、あなたはその買い値を増し、年数が少なければ、それに応じて、その買い値を減らさなければならない。彼があなたに売るのは収穫の回数だからである。 + あなたがたは互いに害を与えてはならない。あなたの神を恐れなさい。わたしはあなたがたの神、主である。 + あなたがたは、わたしのおきてを行い、わたしの定めを守らなければならない。それを行いなさい。安らかにその地に住みなさい。 + その地が実を結ぶなら、あなたがたは満ち足りるまで食べ、安らかにそこに住むことができる。 + あなたがたが、『もし、種を蒔かず、また収穫も集めないのなら、私たちは七年目に何を食べればよいのか』と言うなら、 + わたしは、六年目に、あなたがたのため、わたしの祝福を命じ、三年間のための収穫を生じさせる。 + あなたがたが八年目に種を蒔くときにも、古い収穫をなお食べていよう。九年目まで、その収穫があるまで、なお古いものを食べることができる。 + 地は買い戻しの権利を放棄して、売ってはならない。地はわたしのものであるから。あなたがたはわたしのもとに居留している異国人である。 + あなたがたの所有するどの土地にも、その土地の買い戻しの権利を認めなければならない。 + もし、あなたの兄弟が貧しくなり、その所有地を売ったなら、買い戻しの権利のある親類が来て、兄弟の売ったものを買い戻さなければならない。 + その者に買い戻しの権利のある親類がいないときは、その者の暮らし向きが良くなり、それを買い戻す余裕ができたなら、 + 売ってからの年数を計算し、なお残る分を買い主に返し、自分の所有地に帰る。 + もしその者に返す余裕ができないなら、その売ったものは、ヨベルの年まで、買い主の手に渡る。ヨベルの年にその手を離れると、その者が、自分の所有地に帰る。 + 人がもし城壁のある町の中の住宅を売るときは、それを売ってから満一年の間は、買い戻す権利がある。買い戻しはこの期間に限る。 + もし満一年たつまでに買い戻されないなら、城壁のある町の中のその家は買い戻しの権利の喪失により、代々にわたり、それを買い取った人のものとなって、ヨベルの年にも手を離れない。 + その回りに城壁のない村落の家は土地とみなされ、買い戻すことができ、ヨベルの年にはその手を離れる。 + レビ人の町々、すなわち、彼らが所有している町々の家は、レビ人にいつでも買い戻す権利がある。 + レビ人から買い戻していたもの、すなわち、その所有している町で売られていた家は、ヨベルの年には手放される。レビ人の町々の家は、イスラエル人の間にある彼らの所有だからである。 + しかし、彼らの町々の放牧用の畑は売ってはならない。それは彼らの永遠の所有地だからである。 + もし、あなたの兄弟が貧しくなり、あなたのもとで暮らしが立たなくなったなら、あなたは彼を在住異国人として扶養し、あなたのもとで彼が生活できるようにしなさい。 + 彼から利息も利得も取らないようにしなさい。あなたの神を恐れなさい。そうすればあなたの兄弟があなたのもとで生活できるようになる。 + あなたは彼に金を貸して利息を取ってはならない。また食物を与えて利得を得てはならない。 + わたしはあなたがたの神、主である。わたしはあなたがたにカナンの地を与え、あなたがたの神となるためにあなたがたをエジプトの地から連れ出したのである。 + もし、あなたのもとにいるあなたの兄弟が貧しくなり、あなたに身売りしても、彼を奴隷として仕えさせてはならない。 + あなたのもとで住み込みの雇い人としておらせ、ヨベルの年まであなたのもとで仕えるようにしなさい。 + そして、彼とその子どもたちがあなたのもとから出て行き、自分の一族のところに帰るようにしなさい。そうすれば彼は自分の先祖の所有地に帰ることができる。 + 彼らは、わたしがエジプトの地から連れ出した、わたしの奴隷だからである。彼らは奴隷の身分として売られてはならない。 + あなたは彼をしいたげてはならない。あなたの神を恐れなさい。 + あなたのものとなる男女の奴隷は、あなたがたの周囲の国々から男女の奴隷を買い取るのでなければならない。 + または、あなたがたのところに居留している異国人の子どもたちのうちから、あるいは、あなたがたの間にいる彼らの家族で、あなたがたの国で生まれた者のうちから買い取ることができる。このような者はあなたがたの所有にできる。 + あなたがたは、彼らを後の子孫にゆずりとして与え、永遠の所有として受け継がせることができる。このような者は奴隷とすることができる。しかし、あなたがたの兄弟であるイスラエル人は互いに酷使し合ってはならない。 + もしあなたのところの在住異国人の暮らし向きが良くなり、その人のところにいるあなたの兄弟が貧しくなって、あなたのところの在住異国人に、あるいはその異国人の氏族の子孫に、彼が身を売ったときは、 + 彼が身を売ったあとでも、彼には買い戻される権利がある。彼の兄弟のひとりが彼を買い戻すことができる。 + あるいは、彼のおじとか、おじの息子が買い戻すことができる。あるいは、彼の一族の近親者のひとりが買い戻すことができる。あるいはもし、彼の暮らし向きが良くなれば、自分で自分自身を買い戻すことができる。 + 彼は買い主と、自分が身を売った年からヨベルの年までを計算し、彼の身代金をその年数に応じて決める。それは雇い人の場合の期間と同じである。 + もし、まだ多くの年数が残っているなら、それに応じて自分が買われた金額のうちの自分の買い戻し金を払い戻さなければならない。 + もしヨベルの年までわずかの年数しか残っていないなら、彼はそのように計算し、その年数に応じてその買い戻し金を払い戻さなければならない。 + 彼は年ごとに雇われる者のように扱われなければならない。あなたの目の前で、その人は彼を酷使してはならない。 + たとい、彼がこれらの方法によって買い戻されなかったとしても、ヨベルの年には、彼はその子どもといっしょに出て行くことができる。 + わたしにとって、イスラエル人はしもべだからである。彼らは、わたしがエジプトの地から連れ出したわたしのしもべである。わたしはあなたがたの神、主である。 + + + あなたがたは自分のために偶像を造ってはならない。また自分のために刻んだ像や石の柱を立ててはならない。あなたがたの地に石像を立てて、それを拝んではならない。わたしがあなたがたの神、主だからである。 + あなたがたはわたしの安息日を守り、わたしの聖所を恐れなければならない。わたしは主である。 + もし、あなたがたがわたしのおきてに従って歩み、わたしの命令を守り、それらを行うなら、 + わたしはその季節にしたがってあなたがたに雨を与え、地は産物を出し、畑の木々はその実を結び、 + あなたがたの麦打ちは、ぶどうの取り入れ時まで続き、ぶどうの取り入れ時は、種蒔きの時まで続く。あなたがたは満ち足りるまでパンを食べ、安らかにあなたがたの地に住む。 + わたしはまたその地に平和を与える。あなたがたはだれにも悩まされずに寝る。わたしはまた悪い獣をその国から除く。剣があなたがたの国を通り過ぎることはない。 + あなたがたは敵を追いかけ、彼らはあなたがたの前に剣によって倒れる。 + あなたがたの五人は百人を追いかけ、あなたがたの百人は万人を追いかけ、あなたがたの敵はあなたがたの前に剣によって倒れる。 + わたしは、あなたがたを顧み、多くの子どもを与え、あなたがたをふやし、あなたがたとのわたしの契約を確かなものにする。 + あなたがたは長くたくわえられた古いものを食べ、新しいものを前にして、古いものを運び出す。 + わたしはあなたがたの間にわたしの住まいを建てよう。わたしはあなたがたを忌みきらわない。 + わたしはあなたがたの間を歩もう。わたしはあなたがたの神となり、あなたがたはわたしの民となる。 + わたしはあなたがたを、奴隷の身分から救い出すためにエジプトの地から連れ出したあなたがたの神、主である。わたしはあなたがたのくびきの横木を打ち砕き、あなたがたをまっすぐに立たせて歩かせた。 + もし、あなたがたがわたしに聞き従わず、これらの命令をすべて行わないなら、 + また、わたしのおきてを拒み、あなたがた自身がわたしの定めを忌みきらって、わたしの命令をすべて行わず、わたしの契約を破るなら、 + わたしもまた、あなたがたに次のことを行おう。すなわち、わたしはあなたがたの上に恐怖を臨ませ、肺病と熱病で目を衰えさせ、心をすり減らさせる。あなたがたは、種を蒔いてもむだになる。あなたがたの敵がそれを食べる。 + わたしは、あなたがたからわたしの顔をそむける。あなたがたは自分の敵に打ち負かされ、あなたがたを憎む者があなたがたを踏みつける。だれも追いかけて来ないのに、あなたがたは逃げる。 + もし、これらのことの後でも、あなたがたがわたしに聞かないなら、わたしはさらに、あなたがたの罪に対して七倍も重く懲らしめる。 + わたしはさらに、あなたがたの力を頼む高慢を打ち砕き、あなたがたの天を鉄のように、あなたがたの地を青銅のようにする。 + あなたがたの力はむだに費やされる。あなたがたの地はその産物を出さず、地の木々もその実を結ばないであろう。 + また、もしあなたがたが、わたしに反抗して歩み、わたしに聞こうとしないなら、わたしはさらにあなたがたの罪によって、七倍も激しくあなたがたを打ちたたく。 + わたしはまた、あなたがたのうちに野の獣を放つ。それらはあなたがたから子を奪い、あなたがたの家畜を絶えさせ、あなたがたの人口を減らす。こうしてあなたがたの道は荒れ果てる。 + もし、あなたがたがこれらのわたしの懲らしめを受け入れず、わたしに反抗して歩むなら、 + わたしもまた、あなたがたに反抗して歩もう。わたしはまた、あなたがたの罪に対して七倍も重くあなたがたを打とう。 + わたしはあなたがたの上に剣を臨ませ、契約の復讐を果たさせよう。またあなたがたが自分たちの町々に集まるとき、わたしは、あなたがたの間に疫病を送り込む。あなたがたは敵の手に落ちる。 + わたしが、あなたがたのパンのための棒を折るとき、十人の女が一つのかまであなたがたのパンを焼き、はかりにかけて、あなたがたのパンを返す。あなたがたは食べても、満ち足りない。 + これにもかかわらず、なおもあなたがたが、わたしに聞かず、わたしに反抗して歩むなら、 + わたしは怒ってあなたがたに反抗して歩み、またわたしはあなたがたの罪に対して七倍も重くあなたがたを懲らしめよう。 + あなたがたは自分たちの息子の肉を食べ、自分たちの娘の肉を食べる。 + わたしはあなたがたの高き所をこぼち、香の台を切り倒し、偶像の死体の上に、あなたがたの死体を積み上げる。わたしはあなたがたを忌みきらう。 + わたしはあなたがたの町々を廃墟とし、あなたがたの聖所を荒れ果てさせる。わたしはあなたがたのなだめのかおりもかがないであろう。 + わたしはその地を荒れ果てさせ、そこに住むあなたがたの敵はそこで色を失う。 + わたしはあなたがたを国々の間に散らし、剣を抜いてあなたがたのあとを追おう。あなたがたの地は荒れ果て、あなたがたの町々は廃墟となる。 + その地が荒れ果て、あなたがたが敵の国にいる間、そのとき、その地は休み、その安息の年を取り返す。 + 地が荒れ果てている間中、地は、あなたがたがそこの住まいに住んでいたとき、安息の年に休まなかったその休みを取る。 + あなたがたのうちで生き残る者にも、彼らが敵の国にいる間、彼らの心の中におくびょうを送り込む。吹き散らされる木の葉の音にさえ彼らは追い立てられ、剣からのがれる者のように逃げ、追いかける者もいないのに倒れる。 + 追いかける者もいないのに、剣からのがれるように折り重なって、つまずき倒れる。あなたがたは敵の前に立つこともできない。 + あなたがたは国々の間で滅び、あなたがたの敵の地はあなたがたを食い尽くす。 + あなたがたのうちで生き残る者も、あなたがたの敵の地で自分の咎のために朽ち果てる。さらに、その先祖たちの咎のために朽ち果てる。 + 彼らは、わたしに不実なことを行い、わたしに反抗して歩んだ自分たちの咎と先祖たちの咎を告白するが、 + しかし、わたしが彼らに反抗して歩み、彼らを敵の国へ送り込んだのである。そのとき、彼らの無割礼の心はへりくだり、彼らの咎の償いをしよう。 + わたしはヤコブとのわたしの契約を思い起こそう。またイサクとのわたしの契約を、またアブラハムとのわたしの契約をも思い起こそう。そしてわたしはその地をも思い起こそう。 + その地は彼らが去って荒れ果てている間、安息の年を取り返すために彼らによって捨てられなければならず、彼らは自分たちの咎の償いをしなければならない。実に彼らがわたしの定めを退け、彼らがわたしのおきてを忌みきらったからである。 + それにもかかわらず、彼らがその敵の国にいるときに、わたしは彼らを退けず、忌みきらって彼らを絶ち滅ぼさず、彼らとのわたしの契約を破ることはない。わたしは彼らの神、主である。 + わたしは彼らのために、彼らの先祖たちとの契約を思い起こそう。わたしは彼らを、異邦の民の目の前で、彼らの神となるために、エジプトの地から連れ出した。わたしは主である。」 + 以上は、主がシナイ山でモーセを通してご自身とイスラエル人との間に立てられたおきてと定めとおしえである。 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。ある人があなたの人身評価にしたがって主に特別な誓願を立てる場合には、 + その評価は、次のとおりにする。二十歳から六十歳までの男なら、その評価は聖所のシェケルで銀五十シェケル。 + 女なら、その評価は三十シェケル。 + 五歳から二十歳までなら、その男の評価は二十シェケル、女は十シェケル。 + 一か月から五歳までなら、その男の評価は銀五シェケル、女の評価は銀三シェケル。 + 六十歳以上なら、男の評価は十五シェケル、女は十シェケル。 + もしその者が貧しくて、あなたの評価に達しないなら、その者は祭司の前に立たせられ、祭司が彼の評価をする。祭司は誓願をする者の能力に応じてその者の評価をしなければならない。 + 主へのささげ物としてささげることのできる家畜で、主にささげるものはみな、聖なるものとなる。 + それを他のもので代用したり、良いものを悪いものに、あるいは、悪いものを良いものに取り替えてはならない。もし家畜を他の家畜で代用する場合には、それも、その代わりのものも、聖なるものとなる。 + 主へのささげ物としてささげることのできない汚れた家畜一般については、まずその家畜を祭司の前に立たせる。 + 祭司はそれを良いか悪いか評価する。それは祭司があなたのために評価したとおり、そのようになる。 + もしその者が、それを買い戻したければ、その評価に、その五分の一を加える。 + 人がもし、自分の家を主に聖なるものとして聖別するときは、祭司はそれを良いか悪いか評価する。祭司がそれを評価したとおり、そのようになる。 + もし家を聖別した者が、それを買い戻したければ、評価額に五分の一を加える。それは彼のものとなる。 + 人がもし、自分の所有の畑の一部を主に聖別する場合、評価はそこに蒔く種の量りによる。すなわち、大麦の種一ホメルごとに銀五十シェケルである。 + もし、彼がヨベルの年からその畑を聖別するなら、評価どおりである。 + しかし、もしヨベルの年の後に、その畑を聖別するなら、祭司はヨベルの年までにまだ残っている年数によって、その金額を計算する。そのようにして、評価額から差し引かれる。 + もしその畑を聖別した者がそれを買い戻したければ、評価額にその五分の一を加える。それは彼のものとして残る。 + もし彼がその畑を買い戻さず、またその畑が他の人に売られていれば、それをもはや買い戻すことはできない。 + その畑がヨベルの年に渡されるとき、それは聖絶された畑として主の聖なるものとなり、祭司の所有地となる。 + また、人がもしその買った畑で、自分の所有の畑の一部でないものを主に聖別する場合、 + 祭司はヨベルの年までの評価の総額を計算し、その者はその日に、その評価の金額を主の聖なるものとしてささげなければならない。 + ヨベルの年には、その畑は、その売り主であるその地の所有主に返される。 + 評価はすべて聖所のシェケルによらなければならない。そのシェケルは二十ゲラである。 + しかし、家畜の初子は、主のものである。初子として生まれたのであるから、だれもこれを聖別してはならない。牛であっても、羊であっても、それは主のものである。 + もしそれが汚れた家畜のものであれば、評価にしたがって、人はそれを贖うとき、その五分の一を加える。しかし、買い戻されないなら、評価にしたがって、売られる。 + しかし、人であっても、家畜であっても、自分の所有の畑であっても、人が自分の持っているすべてのもののうち主のために絶滅すべき聖絶のものは何でも、それを売ることはできない。また買い戻すこともできない。すべて聖絶のものは最も聖なるものであり、主のものである。 + 人であって、聖絶されるべきものは、贖われることはできない。その者は必ず殺されなければならない。 + こうして地の十分の一は、地の産物であっても、木の実であっても、みな主のものである。それは主の聖なるものである。 + 人がもし、その十分の一のいくらかを買い戻したいなら、それにその五分の一を加える。 + 牛や羊の十分の一については、牧者の杖の下を十番目ごとに通るものが、主の聖なるものとなる。 + その良い悪いを見てはならない。またそれを取り替えてはならない。もしそれを替えるなら、それもその代わりのものも共に聖なるものとなる。それを買い戻すことはできない。」 + 以上は、主がシナイ山で、イスラエル人のため、モーセに命じられた命令である。 + +
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+ + 人々がエジプトの国を出て二年目の第二月の一日に、主はシナイの荒野の会見の天幕でモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人の全会衆を、氏族ごとに父祖の家ごとに調べ、すべての男子の名をひとりひとり数えて人口調査をせよ。 + あなたとアロンはイスラエルにおいて、二十歳以上の者で、すべて軍務につくことのできる者たちを、その軍団ごとに数えなければならない。 + また部族ごとにひとりずつ、父祖の家のかしらである者が、あなたがたとともにいなければならない。 + あなたがたの助手となるはずの者の名は次のとおりである。ルベンからはシェデウルの子エリツル。 + シメオンからはツリシャダイの子シェルミエル。 + ユダからはアミナダブの子ナフション。 + イッサカルからはツアルの子ネタヌエル。 + ゼブルンからはヘロンの子エリアブ。 + ヨセフの子のうちからは、エフライムからアミフデの子エリシャマ、マナセからペダツルの子ガムリエル。 + ベニヤミンからはギデオニの子アビダン。 + ダンからはアミシャダイの子アヒエゼル。 + アシェルからはオクランの子パグイエル。 + ガドからはデウエルの子エルヤサフ。 + ナフタリからはエナンの子アヒラ。」 + これらの者が会衆から召し出された者で、その父祖の部族の長たちである。彼らがイスラエルの分団のかしらたちである。 + さて、モーセとアロンは、これら指名された者を伴い、 + 第二月の一日に全会衆を召集した。そこで氏族ごとに、父祖の家ごとに、二十歳以上の者の名をひとりひとり数えて、その家系を登記した。 + 主がモーセに命じられたように、モーセはシナイの荒野で彼らを数えた。 + イスラエルの長子ルベンの子孫は、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、ひとりひとり名を数えられた二十歳以上で軍務につくことのできるすべての男子であった。 + ルベン部族で登録された者は、四万六千五百人であった。 + シメオンの子孫については、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、ひとりひとり名を数えられ登録された二十歳以上で軍務につくことのできるすべての男子であった。 + シメオン部族で登録された者は、五万九千三百人であった。 + ガドの子孫については、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + ガド部族で登録された者は、四万五千六百五十人であった。 + ユダの子孫については、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + ユダ部族で登録された者は、七万四千六百人であった。 + イッサカルの子孫については、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + イッサカル部族で登録された者は、五万四千四百人であった。 + ゼブルンの子孫については、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + ゼブルン部族で登録された者は、五万七千四百人であった。 + ヨセフの子孫については、エフライムの子孫で、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + エフライム部族で登録された者は、四万五百人であった。 + マナセの子孫については、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + マナセ部族で登録された者は、三万二千二百人であった。 + ベニヤミンの子孫については、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + ベニヤミン部族で登録された者は、三万五千四百人であった。 + ダンの子孫については、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + ダン部族で登録された者は、六万二千七百人であった。 + アシェルの子孫については、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + アシェル部族で登録された者は、四万一千五百人であった。 + ナフタリの子孫は、氏族ごと、父祖の家ごとの、その家系の者であって、名を数えられた二十歳以上ですべて軍務につくことのできる者であった。 + ナフタリ部族で登録された者は、五万三千四百人であった。 + 以上がモーセとアロン、またイスラエルの族長たちが登録した登録名簿である。この族長たち十二人は、それぞれ、自分の父祖の家のための者であった。 + それで、父祖の家ごとに登録された二十歳以上のイスラエル人で、イスラエルで軍務につくことのできるすべての者、 + すなわち、登録された者の総数は、六十万三千五百五十人であった。 + しかしレビ人は、彼らの中で、父祖の部族ごとには、登録されなかった。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「レビ部族だけは、他のイスラエル人といっしょに登録してはならない。また、その人口調査もしてはならない。 + あなたは、レビ人に、あかしの幕屋とそのすべての用具、およびそのすべての付属品を管理させよ。彼らは幕屋とそのすべての用具を運び、これを管理し、幕屋の回りに宿営しなければならない。 + 幕屋が進むときはレビ人がそれを取りはずし、幕屋が張られるときはレビ人がこれを組み立てなければならない。これに近づくほかの者は殺されなければならない。 + イスラエル人は、軍団ごとに、おのおの自分の宿営、自分の旗のもとに天幕を張るが、 + レビ人は、あかしの幕屋の回りに宿営しなければならない。怒りがイスラエル人の会衆の上に臨むことがあってはならない。レビ人はあかしの幕屋の任務を果たさなければならない。」 + イスラエルの人々は、このようにし、すべて主がモーセに命じられたとおりに行った。 + + + 主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人は、おのおのその旗のもと、その父祖の家の旗じるしのもとに宿営しなければならない。会見の天幕の回りに、距離をおいて宿営しなければならない。 + 前方、すなわち東側に宿営する者は、軍団ごとにユダの宿営の旗の者でなければならない。ユダ族の族長はアミナダブの子ナフションである。 + 彼の軍団は、登録された者が、七万四千六百人である。 + その隣に宿営する者は、イッサカル部族であり、イッサカル族の族長はツアルの子ネタヌエルである。 + 彼の軍団は、登録された者が、五万四千四百人である。 + ついでゼブルン部族がおり、ゼブルン族の族長はヘロンの子エリアブである。 + 彼の軍団は、登録された者が、五万七千四百人である。 + ユダの宿営に属し、その軍団ごとに登録された者の総数は、十八万六千四百人。彼らが先頭に進まなければならない。 + 南側にはルベンの宿営の旗の者が、軍団ごとにおり、ルベン族の族長はシェデウルの子エリツルである。 + 彼の軍団は、登録された者が、四万六千五百人である。 + その隣に宿営する者はシメオン部族であり、シメオン族の族長はツリシャダイの子シェルミエルである。 + 彼の軍団は、登録された者が、五万九千三百人である。 + ついでガド部族がおり、ガド族の族長はデウエルの子エルヤサフである。 + 彼の軍団は、登録された者が、四万五千六百五十人である。 + ルベンの宿営に属し、その軍団ごとに登録された者の総数は、十五万一千四百五十人。彼らは二番目に進まなければならない。 + 次に会見の天幕、すなわちレビ人の宿営は、これらの宿営の中央にあって進まなければならない。彼らが宿営する場合と同じように、おのおの自分の場所について彼らの旗に従って進まなければならない。 + 西側にはエフライムの宿営の旗の者が、その軍団ごとにおり、エフライム族の族長はアミフデの子エリシャマである。 + 彼の軍団は、登録された者が、四万五百人である。 + その隣にマナセ部族がおり、マナセ族の族長はペダツルの子ガムリエルである。 + 彼の軍団は、登録された者が、三万二千二百人である。 + ついでベニヤミン部族がおり、ベニヤミン族の族長はギデオニの子アビダンである。 + 彼の軍団は、登録された者が、三万五千四百人である。 + エフライムの宿営に属し、その軍団ごとに登録された者の総数は、十万八千百人。彼らは三番目に進まなければならない。 + 北側にはダンの宿営の旗の者が、その軍団ごとにおり、ダン族の族長はアミシャダイの子アヒエゼルである。 + 彼の軍団は、登録された者が、六万二千七百人である。 + その隣に宿営する者はアシェル部族であり、アシェル族の族長はオクランの子パグイエルである。 + 彼の軍団は、登録された者が、四万一千五百人である。 + ついでナフタリ部族がおり、ナフタリ族の族長はエナンの子アヒラである。 + 彼の軍団は、登録された者が、五万三千四百人である。 + ダンの宿営に属する、登録された者の総数は、十五万七千六百人。彼らはその旗に従って最後に進まなければならない。」 + 以上がイスラエル人で、その父祖の家ごとに登録された者たちであり、全宿営の軍団ごとに登録された者の総数は、六十万三千五百五十人であった。 + しかしレビ人は、主がモーセに命じられたように、他のイスラエル人の中で登録されなかった。 + イスラエル人は、すべて主がモーセに命じられたとおりに行い、それぞれの旗ごとに宿営し、おのおのその氏族ごとに、父祖の家ごとに進んだ。 + + + 主がシナイ山でモーセと語られたときのアロンとモーセの系図は、次のとおりであった。 + アロンの子らの名は長子ナダブと、アビフと、エルアザルと、イタマルであった。 + これらはアロンの子らの名であって、彼らは油そそがれて祭司の職に任じられた祭司であった。 + しかしナダブとアビフは、シナイの荒野で主の前に異なった火をささげたとき、主の前で死んだ。彼らには子どもがなかった。そこでエルアザルとイタマルは父アロンの生存中から祭司として仕えた。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「レビ部族を近寄らせ、彼らを祭司アロンにつき添わせ、彼に仕えさせよ。 + 彼らは会見の天幕の前で、アロンの任務と全会衆の任務を果たして、幕屋の奉仕をしなければならない。 + 彼らは会見の天幕のすべての用具を守り、またイスラエル人の務めを守って、幕屋の奉仕をしなければならない。 + あなたは、レビ人をアロンとその子らにあてがいなさい。彼らはイスラエル人の中から、正式にアロンにあてがわれた者たちである。 + あなたは、アロンとその子らを任命して、その祭司の職を守らせなければならない。ほかの人で近づく者は殺される。」 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「わたしはイスラエル人のうちで最初に生まれたすべての初子の代わりに、今これからイスラエル人の中からレビ人を取ることにした。レビ人はわたしのものである。 + 初子はすべてわたしのものだからである。エジプトの国でわたしがすべての初子を打ち殺した日に、わたしは、人間から始めて家畜に至るまでイスラエルのうちのすべての初子をわたしのものとして聖別した。彼らはわたしのものである。わたしは主である。」 + 主はシナイの荒野でモーセに告げて仰せられた。 + 「レビ族をその父祖の家ごとに、その氏族ごとに登録せよ。あなたは一か月以上のすべての男子を登録しなければならない。」 + そこでモーセは主の命により、命じられたとおりに彼らを登録した。 + レビ族の名は次のとおりである。ゲルションと、ケハテと、メラリ。 + ゲルション族の氏族名は次のとおりである。リブニとシムイ。 + ケハテ族の諸氏族はそれぞれ、アムラムとイツハル、ヘブロンとウジエル。 + メラリ族の諸氏族は、それぞれ、マフリとムシ。これらがその父祖の家によるレビ人の諸氏族である。 + リブニ族とシムイ族はゲルションに属し、これらがゲルション人の諸氏族であった。 + 数を数えて登録された者は、一か月以上のこれらすべての男子で、登録された者は、七千五百人であった。 + ゲルション人諸氏族は、幕屋のうしろ、すなわち西側に宿営しなければならなかった。 + ゲルション人の、一族の長は、ラエルの子エルヤサフであった。 + 会見の天幕でのゲルション族の任務は、幕屋すなわち天幕と、そのおおい、会見の天幕の入口の垂れ幕、 + 庭の掛け幕、それに幕屋と祭壇の回りを取り巻く庭の入口の垂れ幕、そのすべてに用いるひもについてである。 + アムラム族、イツハル族、ヘブロン族、ウジエル族はケハテに属し、これらがケハテ人の諸氏族であった。 + これらの一か月以上のすべての男子を数えると、八千六百人であった。彼らが聖所の任務を果たす者である。 + ケハテ諸氏族は、幕屋の南側に沿って宿営しなければならなかった。 + ケハテ人諸氏族の、一族の長は、ウジエルの子エリツァファンであった。 + 彼らの任務は、契約の箱、机、燭台、祭壇、およびこれらに用いる聖なる用具と垂れ幕と、それに関するすべての奉仕である。 + レビ人の長の長は祭司アロンの子エルアザルであって、聖所の任務を果たす者たちの監督であった。 + マフリ族とムシ族はメラリに属し、これらがメラリの諸氏族であった。 + 数を数えて登録された者は、一か月以上のすべての男子で、六千二百人であった。 + メラリ諸氏族の父の家の長は、アビハイルの子ツリエルであった。彼らは幕屋の北側に沿って宿営しなければならなかった。 + メラリ族に任じられた務めは、幕屋の板、その横木、その柱と台座、そのすべての用具およびそれに用いるすべてのもの、 + 庭の回りの柱とその台座、その釘とそのひもについてである。 + 幕屋の正面、すなわち会見の天幕の前方に当たる東側に宿営する者は、モーセとアロンまたその子らで、イスラエル人の任務に代わって、聖所の任務を果たす者たちであった。ほかの人でこれに近づく者は殺される。 + モーセとアロンが主の命により、氏族ごとに登録した、すべての登録されたレビ人は、一か月以上のすべての男子で、二万二千人であった。 + 主はモーセに仰せられた。「イスラエル人のすべての一か月以上の男子の初子を登録し、その名を数えよ。 + あなたは、わたしのために、わたし自身、主のために、イスラエル人のうちのすべての初子の代わりにレビ人を取り、またイスラエル人の家畜のうちのすべての初子の代わりに、レビ人の家畜を取りなさい。」 + モーセは主が彼に命じられたとおりに、イスラエル人のうちのすべての初子を登録した。 + その登録による、名を数えられたすべての一か月以上の男子の初子は、二万二千二百七十三人であった。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「レビ人をイスラエル人のうちのすべての初子の代わりに、またレビ人の家畜を彼らの家畜の代わりに取れ。レビ人はわたしのものでなければならない。わたしは主である。 + レビ人の数より二百七十三人超過しているイスラエル人の初子の贖いの代金として、 + ひとり当たり五シェケルを取りなさい。これを聖所のシェケルで取らなければならない。一シェケルは二十ゲラである。 + そして、この代金を、超過した者たちの贖いの代金として、アロンとその子らに渡しなさい。」 + こうしてモーセはレビ人によって贖われた者より超過した者たちから、贖いの代金を取った。 + すなわちイスラエル人の初子から、聖所のシェケルで千三百六十五シェケルの代金を取り、 + モーセは、主の命により、この贖いの代金を、主がモーセに命じられたように、アロンとその子らに渡した。 + + + 主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「レビ人のうち、ケハテ族の人口調査を、その氏族ごとに、父祖の家ごとにせよ。 + それは会見の天幕で務めにつき、仕事をすることのできる三十歳以上五十歳までのすべての者である。 + ケハテ族の会見の天幕での奉仕は、最も聖なるものにかかわることであって次のとおりである。 + 宿営が進むときは、アロンとその子らは入って行って、仕切りの幕を取り降ろし、あかしの箱をそれでおおい、 + その上にじゅごんの皮のおおいを掛け、またその上に真っ青の布を延べ、かつぎ棒を通す。 + また、供えのパンの机の上に青色の布を延べ、その上に皿、ひしゃく、水差し、注ぎのささげ物のためのびんを載せ、またその上に常供のパンを置かなければならない。 + これらのものの上に緋色の撚り糸の布を延べ、じゅごんの皮のおおいでこれをおおい、かつぎ棒を通す。 + 青色の布を取って、燭台とともしび皿、心切りばさみ、心取り皿およびそれに用いるすべての油のための器具をおおい、 + この燭台とそのすべての器具をじゅごんの皮のおおいの中に入れ、これをかつぎ台に載せる。 + また金の祭壇の上に青色の布を延べなければならない。それをじゅごんの皮のおおいでおおい、かつぎ棒を通す。 + 聖所で務めに用いる用具をみな取り、青色の布の中に入れ、じゅごんの皮のおおいでそれをおおい、これをかつぎ台に載せ、 + 祭壇から灰を除き、紫色の布をその上に延べる。 + その上に、祭壇で用いるすべての用器、すなわち火皿、肉刺し、十能、鉢、これら祭壇のすべての用具を載せ、じゅごんの皮のおおいをその上に延べ、かつぎ棒を通す。 + 宿営が進むときは、アロンとその子らが聖なるものと聖所のすべての器具をおおい終わって、その後にケハテ族が入って来て、これらを運ばなければならない。彼らが聖なるものに触れて死なないためである。これらは会見の天幕で、ケハテ族のになうものである。 + 祭司アロンの子エルアザルの責任は、ともしび用の油、かおりの高い香、常供の穀物のささげ物、そそぎの油についてであり、幕屋全体とその中にあるすべての聖なるものと、その用具についての責任である。」 + ついで主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「あなたがたは、ケハテ人諸氏族の部族をレビ人のうちから絶えさせてはならない。 + あなたがたは、彼らに次のようにし、彼らが最も聖なるものに近づくときにも、死なずに生きているようにせよ。アロンとその子らが、入って行き、彼らにおのおのの奉仕と、そのになうものとを指定しなければならない。 + 彼らが入って行って、一目でも聖なるものを見て死なないためである。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あなたはまた、ゲルション族の人口調査を、その父祖の家ごとに、その氏族ごとに行い、 + 三十歳以上五十歳までの者で会見の天幕で務めを果たし、奉仕をすることのできる者をすべて登録しなければならない。 + ゲルション人諸氏族のなすべき奉仕とそのになうものに関しては次のとおりである。 + すなわち幕屋の幕、会見の天幕とそのおおい、その上に掛けるじゅごんの皮のおおい、会見の天幕の入口の垂れ幕を運び、 + また庭の掛け幕、幕屋と祭壇の回りを取り巻く庭の門の入口の垂れ幕、それらのひも、およびそれらに用いるすべての用具を運び、これらに関係するすべての奉仕をしなければならない。 + 彼らのになうものと奉仕にかかわるゲルション族のすべての奉仕は、アロンとその子らの命令によらなければならない。あなたがたは、彼らに、任務として、彼らがになうものをすべて割り当てなければならない。 + 以上がゲルション諸氏族の会見の天幕においての奉仕であって、彼らの任務は祭司アロンの子イタマルの監督のもとにある。 + メラリ族について、あなたはその氏族ごとに、父祖の家ごとに、彼らを登録しなければならない。 + 三十歳以上五十歳までの者で、務めにつき、会見の天幕の奉仕をすることのできる者たちすべてを登録しなければならない。 + 会見の天幕での彼らのすべての奉仕で、彼らがになう任務のあるものは次のとおりである。幕屋の板、その横木、その柱とその台座、 + 庭の回りの柱と、その台座、釘、ひも、これらの用具と、その奉仕に使うすべての物である。あなたがたは彼らがになう任務のある用具を名ざして割り当てなければならない。 + これが会見の天幕でのすべての奉仕に関するメラリ諸氏族の奉仕であって、これは祭司アロンの子イタマルの監督のもとにある。」 + そこでモーセとアロンと会衆の上に立つ者たちは、ケハテ族をその氏族ごとに、父祖の家ごとに、 + 三十歳以上五十歳までの者で、会見の天幕での奉仕の務めにつくことのできる者を、すべて登録した。 + その氏族ごとに登録された者は、二千七百五十人であった。 + これはケハテ人諸氏族で登録された者であって、会見の天幕で奉仕する者の全員であり、モーセとアロンが、モーセを通して示された主の命令によって登録した者たちである。 + ゲルション族で、その氏族ごとに、父祖の家ごとに登録され、 + 三十歳以上五十歳までの者で、会見の天幕での奉仕の務めにつくことのできる者の全員、 + その氏族ごとに、父祖の家ごとに登録された者は、二千六百三十人であった。 + これはゲルション諸氏族で登録された者であって、会見の天幕で奉仕する者の全員であり、モーセとアロンが主の命により登録した者たちである。 + メラリ諸氏族で、その氏族ごとに、父祖の家ごとに登録され、 + 三十歳以上五十歳までの者で、会見の天幕での奉仕の務めにつくことのできる者の全員、 + その氏族ごとに登録された者は、三千二百人であった。 + これはメラリ諸氏族で登録された者であって、モーセとアロンが、モーセを通して示された主の命令によって登録した者たちである。 + モーセとアロンとイスラエルの族長たちが、レビ人を、その氏族ごとに、父祖の家ごとに登録した登録者の全員、 + 三十歳以上五十歳までの者で会見の天幕で、働く奉仕と、になう奉仕をする者全員、 + その登録された者は、八千五百八十人であった。 + モーセを通して示された主の命令によって、彼は、おのおのその奉仕とそのになうものについて、彼らを登録した。主がモーセに命じたとおりに登録された者たちである。 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に命じて、ツァラアトの者、漏出を病む者、死体によって身を汚している者をすべて宿営から追い出せ。 + 男でも女でも追い出し、彼らを宿営の外に追い出して、わたしがその中に住む宿営を汚さないようにしなければならない。」 + イスラエル人はそのようにして、彼らを宿営の外に追い出した。主がモーセに告げられたとおりにイスラエル人は行った。 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げよ。男にせよ、女にせよ、主に対して不信の罪を犯し、他人に何か一つでも罪を犯し、自分でその罪を認めたときは、 + 自分の犯した罪を告白しなければならない。その者は罪過のために総額を弁償する。また、それにその五分の一を加えて、当の被害者に支払わなければならない。 + もしその人に、罪過のための弁償を受け取る権利のある親類がいなければ、その弁償された罪過のためのものは主のものであり祭司のものとなる。そのほか、その者の罪の贖いをするための贖いの雄羊もそうなる。 + こうしてイスラエル人が祭司のところに持って来るすべての聖なる奉納物はみな、祭司のものとなる。 + すべて人の聖なるささげ物は祭司のものとなり、すべて人が祭司に与えるものは祭司のものとなる。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。もし人の妻が道をはずして夫に対して不信の罪を犯し、 + 男が彼女と寝て交わったが、そのことが彼女の夫の目に隠れており、彼女は身を汚したが、発見されず、それに対する証人もなく、またその場で彼女が捕らえられもしなかった場合、 + 妻が身を汚していて、夫にねたみの心が起こって妻をねたむか、あるいは妻が身を汚していないのに、夫にねたみの心が起こって妻をねたむかする場合、 + 夫は妻を祭司のところに連れて行き、彼女のために大麦の粉十分の一エパをささげ物として携えて行きなさい。この上に油をそそいでも乳香を加えてもいけない。これはねたみのささげ物、咎を思い出す覚えの穀物のささげ物だからである。 + 祭司は、その女を近寄らせ、主の前に立たせる。 + 祭司はきよい水を土の器に取り、幕屋の床にあるちりを取ってその水に入れる。 + 祭司は、主の前に女を立たせて、その女の髪の毛を乱れさせ、その手にねたみのささげ物である覚えの穀物のささげ物を与える。祭司の手にはのろいをもたらす苦い水がなければならない。 + 祭司は女に誓わせ、これに言う。『もしも、他の男があなたと寝たことがなく、またあなたが夫のもとにありながら道ならぬことをして汚れたことがなければ、あなたはこののろいをもたらす苦い水の害を受けないように。 + しかしあなたが、もし夫のもとにありながら道ならぬことを行って身を汚し、夫以外の男があなたと寝たのであれば、』 + ――そこで祭司はその女にのろいの誓いを誓わせ、これに言う――『主があなたのももをやせ衰えさせ、あなたの腹をふくれさせ、あなたの民のうちにあって主があなたをのろいとし誓いとされるように。 + またこののろいをもたらす水があなたのからだに入って腹をふくれさせ、ももをやせ衰えさせるように。』その女は、『アーメン、アーメン』と言う。 + 祭司はこののろいを書き物に書き、それを苦い水の中に洗い落とす。 + こののろいをもたらす苦い水をその女に飲ませると、のろいをもたらす水が彼女の中に入って苦くなるであろう。 + 祭司は女の手からねたみのささげ物を取り、この穀物のささげ物を主に向かって揺り動かし、それを祭壇にささげる。 + 祭司は、その穀物のささげ物から記念の部分をひとつかみ取って、それを祭壇で焼いて煙とする。その後に、女にその水を飲ませなければならない。 + その水を飲ませたときに、もし、その女が夫に対して不信の罪を犯して身を汚していれば、のろいをもたらす水はその女の中に入って苦くなり、その腹はふくれ、そのももはやせ衰える。その女は、その民の間でのろいとなる。 + しかし、もし女が身を汚しておらず、きよければ、害を受けず、子を宿すようになる。 + これがねたみの場合のおしえである。女が夫のもとにありながら道ならぬことをして身を汚したり、 + または人にねたみの心が起こって、自分の妻をねたむ場合には、その妻を主の前に立たせる。そして祭司は女にこのおしえをすべて適用する。 + 夫には咎がなく、その妻がその咎を負うのである。」 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。男または女が主のものとして身を聖別するため特別な誓いをして、ナジル人の誓願を立てる場合、 + ぶどう酒や強い酒を断たなければならない。ぶどう酒の酢や強い酒の酢を飲んではならない。ぶどう汁をいっさい飲んではならない。ぶどうの実の生のものも干したものも食べてはならない。 + 彼のナジル人としての聖別の期間には、ぶどうの木から生じるものはすべて、種も皮も食べてはならない。 + 彼がナジル人としての聖別の誓願を立てている間、頭にかみそりを当ててはならない。主のものとして身を聖別している期間が満ちるまで、彼は聖なるものであって、頭の髪の毛をのばしておかなければならない。 + 主のものとして身を聖別している間は、死体に近づいてはならない。 + 父、母、兄弟、姉妹が死んだ場合でも、彼らのため身を汚してはならない。その頭には神の聖別があるからである。 + 彼は、ナジル人としての聖別の期間は、主に聖なるものである。 + もしだれかが突然、彼のそばで死んで、その聖別された頭を汚した場合、彼は、その身をきよめる日に頭をそる。すなわち七日目にそらなければならない。 + そして八日目に山鳩二羽か家鳩のひな二羽を会見の天幕の入口の祭司のところに持って来なければならない。 + 祭司はその一羽を罪のためのいけにえとし、他の一羽を全焼のいけにえとしてささげ、死体によって招いた罪について彼のために贖いをし、彼はその日にその頭を聖なるものとし、 + ナジル人としての聖別の期間をあらためて主のものとして聖別する。そして一歳の雄の子羊を携えて来て、罪過のためのいけにえとする。それ以前の日数は、彼の聖別が汚されたので無効になる。 + これがナジル人についてのおしえである。ナジル人としての聖別の期間が満ちたときは、彼を会見の天幕の入口に連れて来なければならない。 + 彼は主へのささげ物として、一歳の雄の子羊の傷のないもの一頭を全焼のいけにえとして、また一歳の雌の子羊の傷のないもの一頭を罪のためのいけにえとして、また傷のない雄羊一頭を和解のいけにえとして、 + また種を入れないパン一かご、油を混ぜた小麦粉の輪型のパン、油を塗った種を入れないせんべい、これらの穀物のささげ物と注ぎのささげ物を、ささげなければならない。 + 祭司はこれらのものを主の前にささげ、罪のためのいけにえと全焼のいけにえとをささげる。 + 雄羊を和解のいけにえとして、一かごの種を入れないパンに添えて主にささげ、さらに祭司は穀物のささげ物と注ぎのささげ物をささげる。 + ナジル人は会見の天幕の入口で、聖別した頭をそり、その聖別した頭の髪の毛を取って、和解のいけにえの下にある火にくべる。 + 祭司は煮えた雄羊の肩と、かごの中の種を入れない輪型のパン一個と、種を入れないせんべい一個を取って、ナジル人がその聖別した髪の毛をそって後に、これらをその手の上に載せる。 + 祭司はこれらを奉献物として主に向かって揺り動かす。これは聖なるものであって、奉献物の胸、奉納物のももとともに祭司のものとなる。その後に、このナジル人はぶどう酒を飲むことができる。 + これがナジル人についてのおしえである。ナジル人としての聖別に加えて、その人の及ぶ以上に主へのささげ物を誓う者は、ナジル人としての聖別のおしえに加えて、その誓った誓いのことばどおりにしなければならない。」 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンとその子らに告げて言え。あなたがたはイスラエル人をこのように祝福して言いなさい。 + 『主があなたを祝福し、あなたを守られますように。 + 主が御顔をあなたに照らし、あなたを恵まれますように。 + 主が御顔をあなたに向け、あなたに平安を与えられますように。』 + 彼らがわたしの名でイスラエル人のために祈るなら、わたしは彼らを祝福しよう。」 + + + モーセは幕屋を建て終わった日に、これに油をそそいで、聖別した。そのすべての器具と、祭壇およびそのすべての用具もそうした。彼がそれらに、油をそそいで聖別したとき、 + イスラエルの族長たち、すなわち彼らの父祖の家のかしらたち――彼らは部族の長たちで、登録を担当した者――がささげ物をした。 + 彼らはささげ物を主の前に持って来た。それはおおいのある車六両と雄牛十二頭で、族長ふたりにつき車一両、ひとりにつき牛一頭であった。彼らはこれを幕屋の前に連れて来た。 + すると主はモーセに告げて仰せられた。 + 「会見の天幕の奉仕に使うために彼らからこれらを受け取り、レビ人にそれぞれの奉仕に応じて渡せ。」 + そこでモーセは車と雄牛とを受け取り、それをレビ人に与えた。 + 車二両と雄牛四頭をゲルション族にその奉仕に応じて与え、 + 車四両と雄牛八頭をメラリ族に、祭司アロンの子イタマルの監督のもとにある彼らの奉仕に応じて与えた。 + しかしケハテ族には何も与えなかった。彼らの聖なるものにかかわる奉仕は、肩に負わなければならないからである。 + 祭壇に油がそそがれる日に、族長たちは祭壇奉献のためのささげ物をささげた。族長たちが自分たちのささげ物を祭壇の前にささげたとき、 + 主はモーセに言われた。「族長たちは一日にひとりずつの割りで、祭壇奉献のための彼らのささげ物をささげなければならない。」 + 第一日にささげ物をささげたのは、ユダ部族のアミナダブの子ナフションであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがアミナダブの子ナフションのささげ物であった。 + 二日目にはイッサカルの族長、ツアルの子ネタヌエルがささげた。 + 彼はささげ物をした。銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがツアルの子ネタヌエルのささげ物であった。 + 三日目にはゼブルン族の族長、ヘロンの子エリアブであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがヘロンの子エリアブのささげ物であった。 + 四日目にはルベン族の族長、シェデウルの子エリツルであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがシェデウルの子エリツルのささげ物であった。 + 五日目にはシメオン族の族長、ツリシャダイの子シェルミエルであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがツリシャダイの子シェルミエルのささげ物であった。 + 六日目にはガド族の族長、デウエルの子エルヤサフであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがデウエルの子エルヤサフのささげ物であった。 + 七日目にはエフライム族の族長、アミフデの子エリシャマであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがアミフデの子エリシャマのささげ物であった。 + 八日目にはマナセ族の族長、ペダツルの子ガムリエルであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがペダツルの子ガムリエルのささげ物であった。 + 九日目にはベニヤミン族の族長、ギデオニの子アビダンであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがギデオニの子アビダンのささげ物であった。 + 十日目にはダン族の族長、アミシャダイの子アヒエゼルであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがアミシャダイの子アヒエゼルのささげ物であった。 + 十一日目にはアシェル族の族長、オクランの子パグイエルであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがオクランの子パグイエルのささげ物であった。 + 十二日目にはナフタリ族の族長、エナンの子アヒラであった。 + そのささげ物は、銀の皿一つ、その重さは百三十シェケル。銀の鉢一つ、これは七十シェケルで、聖所のシェケルによる。この二つには穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉がいっぱい入れてあった。 + また香を満たした十シェケルの金のひしゃく一つ。 + 全焼のいけにえとして若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊一頭。 + 罪のためのいけにえとして雄やぎ一頭。 + 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがエナンの子アヒラのささげ物であった。 + 以上が祭壇に油がそそがれる日の、イスラエルの族長たちからの祭壇奉献のささげ物であった。すなわち銀の皿十二、銀の鉢十二、金のひしゃく十二。 + 銀の皿はそれぞれ百三十シェケル、鉢はそれぞれ七十シェケル。これらの器の銀は、合わせて、聖所のシェケルで二千四百シェケル。 + 香を満たした十二の金のひしゃくは、聖所のシェケルでそれぞれ十シェケル。ひしゃくの金は、合わせて百二十シェケル。 + 全焼のいけにえとして家畜は合わせて、雄牛十二頭、雄羊十二頭、一歳の雄の子羊十二頭、それにそれらにつく穀物のささげ物。また罪のためのいけにえとして雄やぎ十二頭。 + 和解のいけにえとして家畜は合わせて、雄牛二十四頭、雄羊六十頭、雄やぎ六十頭、一歳の雄の子羊六十頭。これが祭壇に油がそそがれて後の祭壇奉献のためのささげ物であった。 + モーセは、主と語るために会見の天幕に入ると、あかしの箱の上にある「贖いのふた」の二つのケルビムの間から、彼に語られる御声を聞いた。主は彼に語られた。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「アロンに告げて言え。あなたがともしび皿を上げるときは、七つのともしび皿が燭台の前を照らすようにしなさい。」 + アロンはそのようにした。主がモーセに命じられたとおりに、前に向けて燭台のともしび皿を、取りつけた。 + 燭台の作り方は次のとおりであった。それは金の打ち物で、その台座から花弁に至るまで打ち物であった。主がモーセに示された型のとおりに、この燭台は作られていた。 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「レビ人をイスラエル人の中から取って、彼らをきよめよ。 + あなたは次のようにして彼らをきよめなければならない。罪のきよめの水を彼らに振りかける。彼らは全身にかみそりを当て、その衣服を洗い、身をきよめ、 + 若い雄牛と油を混ぜた小麦粉の穀物のささげ物を取る。あなたも別の若い雄牛を罪のためのいけにえとして取らなければならない。 + あなたはレビ人を会見の天幕の前に近づかせ、イスラエル人の全会衆を集め、 + レビ人を主の前に進ませる。イスラエル人はその手をレビ人の上に置く。 + アロンはレビ人を、イスラエル人からの奉献物として主の前にささげる。これは彼らが主の奉仕をするためである。 + レビ人は、その手を雄牛の頭の上に置き、レビ人の罪を贖うために、一頭を罪のためのいけにえとし、一頭を全焼のいけにえとして主にささげなければならない。 + あなたはレビ人をアロンとその子らの前に立たせ、彼らを奉献物として主にささげる。 + あなたがレビ人をイスラエル人のうちから分けるなら、レビ人はわたしのものとなる。 + こうして後、レビ人は会見の天幕の奉仕をすることができる。あなたは彼らをきよめ、彼らを奉献物としてささげなければならない。 + 彼らはイスラエル人のうちから正式にわたしのものとなったからである。すべてのイスラエル人のうちで、最初に生まれた初子の代わりに、わたしは彼らをわたしのものとして取ったのである。 + イスラエル人のうちでは、人でも家畜でも、すべての初子はわたしのものだからである。エジプトの地で、わたしがすべての初子を打ち殺した日に、わたしは彼らを聖別してわたしのものとした。 + わたしはイスラエル人のうちのすべての初子の代わりにレビ人を取った。 + わたしはイスラエル人のうちからレビ人をアロンとその子らに正式にあてがい、会見の天幕でイスラエル人の奉仕をし、イスラエル人のために贖いをするようにした。それは、イスラエル人が聖所に近づいて、彼らにわざわいが及ぶことのないためである。」 + モーセとアロンとイスラエル人の全会衆は、すべて主がレビ人についてモーセに命じられたところに従って、レビ人に対して行った。イスラエル人はそのとおりに彼らに行った。 + レビ人は罪の身をきよめ、その衣服を洗った。そうしてアロンは彼らを奉献物として主の前にささげた。またアロンは彼らの贖いをし、彼らをきよめた。 + こうして後、レビ人は会見の天幕に入って、アロンとその子らの前で自分たちの奉仕をした。人々は主がレビ人についてモーセに命じられたとおりに、レビ人に行った。 + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「これはレビ人に関することである。二十五歳以上の者は会見の天幕の奉仕の務めを果たさなければならない。 + しかし、五十歳からは奉仕の務めから退き、もう奉仕してはならない。 + その人はただ、会見の天幕で、自分の同族の者が任務を果たすのを助けることはできるが、自分で奉仕をしてはならない。あなたは、レビ人に、彼らの任務に関して、このようにしなければならない。」 + + + エジプトの国を出て第二年目の第一月に、主はシナイの荒野でモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人は、定められた時に、過越のいけにえをささげよ。 + あなたがたはこの月の十四日の夕暮れ、その定められた時に、それをささげなければならない。そのすべてのおきてとすべての定めに従って、それをしなければならない。」 + そこでモーセはイスラエル人に、過越のいけにえをささげるように命じたので、 + 彼らはシナイの荒野で第一月の十四日の夕暮れに過越のいけにえをささげた。イスラエル人はすべて主がモーセに命じられたとおりに行った。 + しかし、人の死体によって身を汚し、その日に過越のいけにえをささげることができなかった人々がいた。彼らはその日、モーセとアロンの前に近づいた。 + その人々は彼に言った。「私たちは、人の死体によって身を汚しておりますが、なぜ定められた時に、イスラエル人の中で、主へのささげ物をささげることを禁じられているのでしょうか。」 + するとモーセは彼らに言った。「待っていなさい。私は主があなたがたについてどのように命じられるかを聞こう。」 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。あなたがたの、またはあなたがたの子孫のうちでだれかが、もし死体によって身を汚しているか、遠い旅路にあるなら、その人は主に過越のいけにえをささげなければならない。 + 第二月の十四日の夕暮れに、それをささげなければならない。種を入れないパンと苦菜といっしょにそれを食べなければならない。 + そのうちの少しでも朝まで残してはならない。またその骨を一本でも折ってはならない。すべて過越のいけにえのおきてに従ってそれをささげなければならない。 + 身がきよく、また旅にも出ていない者が、過越のいけにえをささげることをやめたなら、その者はその民から断ち切られなければならない。その者は定められた時に、主へのささげ物をささげなかったのであるから、自分の罪を負わなければならない。 + もし、あなたがたのところに異国人が在留していて、主に過越のいけにえをささげようとするなら、過越のいけにえのおきてと、その定めとに従ってささげなければならない。在留異国人にも、この国に生まれた者にも、あなたがたには、おきては一つである。」 + 幕屋を建てた日、雲があかしの天幕である幕屋をおおった。それは、夕方には幕屋の上にあって火のようなものになり、朝まであった。 + いつもこのようであって、昼は雲がそれをおおい、夜は火のように見えた。 + 雲が天幕を離れて上ると、すぐそのあとで、イスラエル人はいつも旅立った。そして、雲がとどまるその場所で、イスラエル人は宿営していた。 + 主の命令によって、イスラエル人は旅立ち、主の命令によって宿営した。雲が幕屋の上にとどまっている間、彼らは宿営していた。 + 長い間、雲が幕屋の上にとどまるときには、イスラエル人は主の戒めを守って、旅立たなかった。 + また雲がわずかの間しか幕屋の上にとどまらないことがあっても、彼らは主の命令によって宿営し、主の命令によって旅立った。 + 雲が夕方から朝までとどまるようなときがあっても、朝になって雲が上れば、彼らはただちに旅立った。昼でも、夜でも、雲が上れば、彼らはいつも旅立った。 + 二日でも、一月でも、あるいは一年でも、雲が幕屋の上にとどまって去らなければ、イスラエル人は宿営して旅立たなかった。ただ雲が上ったときだけ旅立った。 + 彼らは主の命令によって宿営し、主の命令によって旅立った。彼らはモーセを通して示された主の命令によって、主の戒めを守った。 + + + ついで主はモーセに告げて仰せられた。 + 「銀のラッパを二本作らせよ。それを打ち物作りとし、あなたはそれで会衆を召集し、また宿営を出発させなければならない。 + この二つが長く吹き鳴らされると、全会衆が会見の天幕の入口の、あなたのところに集まる。 + もしその一つが吹き鳴らされると、イスラエルの分団のかしらである族長たちがあなたのところに集まる。 + また、あなたがたがそれを短く吹き鳴らすと、東側に宿っている宿営が出発する。 + あなたがたが二度目に短く吹き鳴らすと、南側に宿っている宿営が出発する。彼らが出発するには、短く吹き鳴らさなければならない。 + 集会を召集するときには、長く吹き鳴らさなければならない。短く吹き鳴らしてはならない。 + 祭司であるアロンの子らがラッパを吹かなければならない。これはあなたがたにとって、代々にわたる永遠の定めである。 + また、あなたがたの国で、あなたがたを襲う侵略者との戦いに出る場合は、ラッパを短く吹き鳴らす。あなたがたが、あなたがたの神、主の前に覚えられ、あなたがたの敵から救われるためである。 + また、あなたがたの喜びの日、あなたがたの例祭と新月の日に、あなたがたの全焼のいけにえと、和解のいけにえの上に、ラッパを鳴り渡らせるなら、あなたがたは、あなたがたの神の前に覚えられる。わたしはあなたがたの神、主である。」 + 第二年目の第二月の二十日に、雲があかしの幕屋の上から離れて上った。 + それでイスラエル人はシナイの荒野を出て旅立ったが、雲はパランの荒野でとどまった。 + 彼らは、モーセを通して示された主の命令によって初めて旅立ち、 + まず初めにユダ族の宿営の旗が、その軍団ごとに出発した。軍団長はアミナダブの子ナフション。 + イッサカル部族の軍団長はツアルの子ネタヌエル。 + ゼブルン部族の軍団長はヘロンの子エリアブ。 + 幕屋が取りはずされ、幕屋を運ぶゲルション族、メラリ族が出発。 + ルベンの宿営の旗が、その軍団ごとに出発。軍団長はシェデウルの子エリツル。 + シメオン部族の軍団長はツリシャダイの子シェルミエル。 + ガド部族の軍団長はデウエルの子エルヤサフ。 + 聖なる物を運ぶケハテ人が出発。彼らが着くまでに、幕屋は建て終えられる。 + また、エフライム族の宿営の旗が、その軍団ごとに出発。軍団長はアミフデの子エリシャマ。 + マナセ部族の軍団長はペダツルの子ガムリエル。 + ベニヤミン部族の軍団長はギデオニの子アビダンであった。 + ダン部族の宿営の旗が、全宿営の後衛としてその軍団ごとに出発。軍団長はアミシャダイの子アヒエゼル。 + アシェル部族の軍団長はオクランの子パグイエル。 + ナフタリ部族の軍団長はエナンの子アヒラ。 + 以上がイスラエル人の軍団ごとの出発順序であって、彼らはそのように出発した。 + さて、モーセは、彼のしゅうとミデヤン人レウエルの子ホバブに言った。「私たちは、主があなたがたに与えると言われた場所へ出発するところです。私たちといっしょに行きましょう。私たちはあなたをしあわせにします。主がイスラエルにしあわせを約束しておられるからです。」 + 彼はモーセに答えた。「私は行きません。私の生まれ故郷に帰ります。」 + そこでモーセは言った。「どうか私たちを見捨てないでください。あなたは、私たちが荒野のどこで宿営したらよいかご存じであり、私たちにとって目なのですから。 + 私たちといっしょに行ってくだされば、主が私たちに下さるしあわせを、あなたにもおわかちしたいのです。」 + こうして、彼らは主の山を出て、三日の道のりを進んだ。主の契約の箱は三日の道のりの間、彼らの先頭に立って進み、彼らの休息の場所を捜した。 + 彼らが宿営を出て進むとき、昼間は主の雲が彼らの上にあった。 + 契約の箱が出発するときには、モーセはこう言っていた。「主よ。立ち上がってください。あなたの敵は散らされ、あなたを憎む者は、御前から逃げ去りますように。」 + またそれがとどまるときに、彼は言っていた。「主よ。お帰りください。イスラエルの幾千万の民のもとに。」 + + + さて、民はひどく不平を鳴らして主につぶやいた。主はこれを聞いて怒りを燃やし、主の火が彼らに向かって燃え上がり、宿営の端をなめ尽くした。 + すると民はモーセに向かってわめいた。それで、モーセが主に祈ると、その火は消えた。 + 主の火が、彼らに向かって燃え上がったので、その場所の名をタブエラと呼んだ。 + また彼らのうちに混じってきていた者が、激しい欲望にかられ、そのうえ、イスラエル人もまた大声で泣いて、言った。「ああ、肉が食べたい。 + エジプトで、ただで魚を食べていたことを思い出す。きゅうりも、すいか、にら、たまねぎ、にんにくも。 + だが今や、私たちののどは干からびてしまった。何もなくて、このマナを見るだけだ。」 + マナは、コエンドロの種のようで、その色はベドラハのようであった。 + 人々は歩き回って、それを集め、ひき臼でひくか、臼でついて、これをなべで煮て、パン菓子を作っていた。その味は、おいしいクリームの味のようであった。 + 夜、宿営に露が降りるとき、マナもそれといっしょに降りた。 + モーセは、民がその家族ごとに、それぞれ自分の天幕の入口で泣くのを聞いた。主の怒りは激しく燃え上がり、モーセも腹立たしく思った。 + モーセは主に申し上げた。「なぜ、あなたはしもべを苦しめられるのでしょう。なぜ、私はあなたのご厚意をいただけないのでしょう。なぜ、このすべての民の重荷を私に負わされるのでしょう。 + 私がこのすべての民をはらんだのでしょうか。それとも、私が彼らを生んだのでしょうか。それなのになぜ、あなたは私に、『うばが乳飲み子を抱きかかえるように、彼らをあなたの胸に抱き、わたしが彼らの先祖たちに誓った地に連れて行け』と言われるのでしょう。 + どこから私は肉を得て、この民全体に与えなければならないのでしょうか。彼らは私に泣き叫び、『私たちに肉を与えて食べさせてくれ』と言うのです。 + 私だけでは、この民全体を負うことはできません。私には重すぎます。 + 私にこんなしうちをなさるのなら、お願いです、どうか私を殺してください。これ以上、私を苦しみに会わせないでください。」 + 主はモーセに仰せられた。「イスラエルの長老たちのうちから、あなたがよく知っている民の長老で、そのつかさである者七十人をわたしのために集め、彼らを会見の天幕に連れて来て、そこであなたのそばに立たせよ。 + わたしは降りて行って、その所であなたと語り、あなたの上にある霊のいくらかを取って彼らの上に置こう。それで彼らも民の重荷をあなたとともに負い、あなたはただひとりで負うことがないようになろう。 + あなたは民に言わなければならない。あすのために身をきよめなさい。あなたがたは肉が食べられるのだ。あなたがたが泣いて、『ああ肉が食べたい。エジプトでは良かった』と、主につぶやいて言ったからだ。主が肉を下さる。あなたがたは肉が食べられるのだ。 + あなたがたが食べるのは、一日や二日や五日や十日や二十日だけではなく、 + 一か月もであって、ついにはあなたがたの鼻から出て来て、吐きけを催すほどになる。それは、あなたがたのうちにおられる主をないがしろにして、御前に泣き、『なぜ、こうして私たちはエジプトから出て来たのだろう』と言ったからだ。」 + しかしモーセは申し上げた。「私といっしょにいる民は徒歩の男子だけで六十万です。しかもあなたは、彼らに肉を与え、一月の間食べさせる、と言われます。 + 彼らのために羊の群れ、牛の群れをほふっても、彼らに十分でしょうか。彼らのために海の魚を全部集めても、彼らに十分でしょうか。」 + 主はモーセに答えられた。「主の手は短いのだろうか。わたしのことばが実現するかどうかは、今わかる。」 + ここでモーセは出て行って、主のことばを民に告げた。そして彼は民の長老たちのうちから七十人を集め、彼らを天幕の回りに立たせた。 + すると主は雲の中にあって降りて来られ、モーセと語り、彼の上にある霊を取って、その七十人の長老にも与えた。その霊が彼らの上にとどまったとき、彼らは預言した。しかし、それを重ねることはなかった。 + そのとき、ふたりの者が宿営に残っていた。ひとりの名はエルダデ、もうひとりの名はメダデであった。彼らの上にも霊がとどまった。――彼らは長老として登録された者たちであったが、天幕へは出て行かなかった――彼らは宿営の中で預言した。 + それで、ひとりの若者が走って来て、モーセに知らせて言った。「エルダデとメダデが宿営の中で預言しています。」 + 若いときからモーセの従者であったヌンの子ヨシュアも答えて言った。「わが主、モーセよ。彼らをやめさせてください。」 + しかしモーセは彼に言った。「あなたは私のためを思ってねたみを起こしているのか。主の民がみな、預言者となればよいのに。主が彼らの上にご自分の霊を与えられるとよいのに。」 + それからモーセとイスラエルの長老たちは、宿営に戻った。 + さて、主のほうから風が吹き、海の向こうからうずらを運んで来て、宿営の上に落とした。それは宿営の回りに、こちら側に約一日の道のり、あちら側にも約一日の道のり、地上に約二キュビトの高さになった。 + 民はその日は、終日終夜、その翌日も一日中出て行って、うずらを集め、――最も少なく集めた者でも、十ホメルほど集めた――彼らはそれらを、宿営の回りに広く広げた。 + 肉が彼らの歯の間にあってまだかみ終わらないうちに、主の怒りが民に向かって燃え上がり、主は非常に激しい疫病で民を打った。 + こうして、欲望にかられた民を、彼らがそこに埋めたので、その場所の名をキブロテ・ハタアワと呼んだ。 + キブロテ・ハタアワから、民はハツェロテに進み、ハツェロテにとどまった。 + + + そのとき、ミリヤムはアロンといっしょに、モーセがめとっていたクシュ人の女のことで彼を非難した。モーセがクシュ人の女をめとっていたからである。 + 彼らは言った。「主はただモーセとだけ話されたのでしょうか。私たちとも話されたのではないでしょうか。」主はこれを聞かれた。 + さて、モーセという人は、地上のだれにもまさって非常に謙遜であった。 + そこで、主は突然、モーセとアロンとミリヤムに、「あなたがた三人は会見の天幕の所へ出よ」と言われたので、彼ら三人は出て行った。 + 主は雲の柱の中にあって降りて来られ、天幕の入口に立って、アロンとミリヤムを呼ばれた。ふたりが出て行くと、 + 仰せられた。「わたしのことばを聞け。もし、あなたがたのひとりが預言者であるなら、主であるわたしは、幻の中でその者にわたしを知らせ、夢の中でその者に語る。 + しかしわたしのしもべモーセとはそうではない。彼はわたしの全家を通じて忠実な者である。 + 彼とは、わたしは口と口とで語り、明らかに語って、なぞで話すことはしない。彼はまた、主の姿を仰ぎ見ている。なぜ、あなたがたは、わたしのしもべモーセを恐れずに非難するのか。」 + 主の怒りが彼らに向かって燃え上がり、主は去って行かれた。 + 雲が天幕の上から離れ去ると、見よ、ミリヤムはツァラアトになり、雪のようになっていた。アロンがミリヤムのほうを振り向くと、見よ、彼女はツァラアトに冒されていた。 + アロンはモーセに言った。「わが主よ。私たちが愚かで犯しました罪の罰をどうか、私たちに負わせないでください。 + どうか、彼女を、その肉が半ば腐って母の胎から出て来る死人のようにしないでください。」 + それで、モーセは主に叫んで言った。「神よ。どうか、彼女をいやしてください。」 + しかし主はモーセに言われた。「彼女の父が、彼女の顔につばきしてさえ、彼女は七日間、恥をかかせられたことになるではないか。彼女を七日間、宿営の外に締め出しておかなければならない。その後に彼女を連れ戻すことができる。」 + それでミリヤムは七日間、宿営の外に締め出された。民はミリヤムが連れ戻されるまで、旅立たなかった。 + その後、民はハツェロテから旅立ち、パランの荒野に宿営した。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「人々を遣わして、わたしがイスラエル人に与えようとしているカナンの地を探らせよ。父祖の部族ごとにひとりずつ、みな、その族長を遣わさなければならない。」 + モーセは主の命によって、パランの荒野から彼らを遣わした。彼らはみな、イスラエル人のかしらであった。 + 彼らの名は次のとおりであった。ルベン部族からはザクルの子シャムア。 + シメオン部族からはホリの子シャファテ。 + ユダ部族からはエフネの子カレブ。 + イッサカル部族からはヨセフの子イグアル。 + エフライム部族からはヌンの子ホセア。 + ベニヤミン部族からはラフの子パルティ。 + ゼブルン部族からはソディの子ガディエル。 + ヨセフ部族、すなわちマナセ部族からはスシの子ガディ。 + ダン部族からはゲマリの子アミエル。 + アシェル部族からはミカエルの子セトル。 + ナフタリ部族からはボフシの子ナフビ。 + ガド部族からはマキの子ゲウエル。 + 以上は、モーセがその地を探らせるために遣わした者の名であった。そのときモーセはヌンの子ホセアをヨシュアと名づけた。 + モーセは彼らを、カナンの地を探りにやったときに、言った。「あちらに上って行ってネゲブに入り、山地に行って、 + その地がどんなであるか、そこに住んでいる民が強いか弱いか、あるいは少ないか多いかを調べなさい。 + また彼らが住んでいる土地はどうか、それが良いか悪いか。彼らが住んでいる町々はどうか、それらは宿営かそれとも城壁の町か。 + 土地はどうか、それは肥えているか、やせているか。そこには木があるか、ないかを調べなさい。あなたがたは勇気を出し、その地のくだものを取って来なさい。」その季節は初ぶどうの熟すころであった。 + そこで、彼らは上って行き、ツィンの荒野からレボ・ハマテのレホブまで、その地を探った。 + 彼らは上って行ってネゲブに入り、ヘブロンまで行った。そこにはアナクの子孫であるアヒマンと、シェシャイと、タルマイが住んでいた。ヘブロンはエジプトのツォアンより七年前に建てられた。 + 彼らはエシュコルの谷まで来て、そこでぶどうが一ふさついた枝を切り取り、それをふたりが棒でかついだ。また、いくらかのざくろやいちじくも切り取った。 + イスラエル人がそこで切り取ったぶどうのふさのことから、その場所はエシュコルの谷と呼ばれた。 + 四十日がたって、彼らはその地の偵察から帰って来た。 + そして、ただちにパランの荒野のカデシュにいるモーセとアロンおよびイスラエルの全会衆のところに行き、ふたりと全会衆に報告をして、彼らにその地のくだものを見せた。 + 彼らはモーセに告げて言った。「私たちは、あなたがお遣わしになった地に行きました。そこにはまことに乳と蜜が流れています。そしてこれがそこのくだものです。 + しかし、その地に住む民は力強く、その町々は城壁を持ち、非常に大きく、そのうえ、私たちはそこでアナクの子孫を見ました。 + ネゲブの地方にはアマレク人が住み、山地にはヘテ人、エブス人、エモリ人が住んでおり、海岸とヨルダンの川岸にはカナン人が住んでいます。」 + そのとき、カレブがモーセの前で、民を静めて言った。「私たちはぜひとも、上って行って、そこを占領しよう。必ずそれができるから。」 + しかし、彼といっしょに上って行った者たちは言った。「私たちはあの民のところに攻め上れない。あの民は私たちより強いから。」 + 彼らは探って来た地について、イスラエル人に悪く言いふらして言った。「私たちが行き巡って探った地は、その住民を食い尽くす地だ。私たちがそこで見た民はみな、背の高い者たちだ。 + そこで、私たちはネフィリム人、ネフィリム人のアナク人を見た。私たちには自分がいなごのように見えたし、彼らにもそう見えたことだろう。」 + + + 全会衆は大声をあげて叫び、民はその夜、泣き明かした。 + イスラエル人はみな、モーセとアロンにつぶやき、全会衆は彼らに言った。「私たちはエジプトの地で死んでいたらよかったのに。できれば、この荒野で死んだほうがましだ。 + なぜ主は、私たちをこの地に導いて来て、剣で倒そうとされるのか。私たちの妻子は、さらわれてしまうのに。エジプトに帰ったほうが、私たちにとって良くはないか。」 + そして互いに言った。「さあ、私たちは、ひとりのかしらを立ててエジプトに帰ろう。」 + そこで、モーセとアロンは、イスラエル人の会衆の全集会の集まっている前でひれ伏した。 + すると、その地を探って来た者のうち、ヌンの子ヨシュアとエフネの子カレブとは自分たちの着物を引き裂いて、 + イスラエル人の全会衆に向かって次のように言った。「私たちが巡り歩いて探った地は、すばらしく良い地だった。 + もし、私たちが主の御心にかなえば、私たちをあの地に導き入れ、それを私たちに下さるだろう。あの地には、乳と蜜とが流れている。 + ただ、主にそむいてはならない。その地の人々を恐れてはならない。彼らは私たちのえじきとなるからだ。彼らの守りは、彼らから取り去られている。しかし主が私たちとともにおられるのだ。彼らを恐れてはならない。」 + しかし全会衆は、彼らを石で打ち殺そうと言い出した。そのとき、主の栄光が会見の天幕からすべてのイスラエル人に現れた。 + 主はモーセに仰せられた。「この民はいつまでわたしを侮るのか。わたしがこの民の間で行ったすべてのしるしにもかかわらず、いつまでわたしを信じないのか。 + わたしは疫病で彼らを打って滅ぼしてしまい、あなたを彼らよりも大いなる強い国民にしよう。」 + モーセは主に申し上げた。「エジプトは、あなたが御力によって、彼らのうちからこの民を導き出されたことを聞いて、 + この地の住民に告げましょう。事実、彼らは、あなた、主がこの民のうちにおられ、あなた、主がまのあたりに現れて、あなたの雲が彼らの上に立ち、あなたが昼は雲の柱、夜は火の柱のうちにあって、彼らの前を歩んでおられるのを聞いているのです。 + そこでもし、あなたがこの民をひとり残らず殺すなら、あなたのうわさを聞いた異邦の民は次のように言うでしょう。 + 『主はこの民を、彼らに誓った地に導き入れることができなかったので、彼らを荒野で殺したのだ。』 + どうか今、わが主の大きな力を現してください。あなたは次のように約束されました。 + 『主は怒るのにおそく、恵み豊かである。咎とそむきを赦すが、罰すべき者は必ず罰して、父の咎を子に報い、三代、四代に及ぼす』と。 + あなたがこの民をエジプトから今に至るまで赦してくださったように、どうかこの民の咎をあなたの大きな恵みによって赦してください。」 + 主は仰せられた。「わたしはあなたのことばどおりに赦そう。 + しかしながら、わたしが生きており、主の栄光が全地に満ちている以上、 + エジプトとこの荒野で、わたしの栄光とわたしの行ったしるしを見ながら、このように十度もわたしを試みて、わたしの声に聞き従わなかった者たちは、みな、 + わたしが彼らの先祖たちに誓った地を見ることがない。わたしを侮った者も、みなそれを見ることがない。 + ただし、わたしのしもべカレブは、ほかの者と違った心を持っていて、わたしに従い通したので、わたしは彼が行って来た地に彼を導き入れる。彼の子孫はその地を所有するようになる。 + 低地にはアマレク人とカナン人が住んでいるので、あなたがたは、あす、向きを変えて葦の海の道を通り、荒野へ出発せよ。」 + 主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「いつまでこの悪い会衆は、わたしにつぶやいているのか。わたしはイスラエル人が、わたしにつぶやいているつぶやきを、もう聞いている。 + あなたは彼らに言え。これは主の御告げである。わたしは生きている。わたしは必ずあなたがたに、わたしの耳に告げたそのとおりをしよう。 + この荒野であなたがたは死体となって倒れる。わたしにつぶやいた者で、二十歳以上の登録され数えられた者たちはみな倒れて死ぬ。 + ただエフネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアのほかは、あなたがたを住まわせるとわたしが誓った地に、だれも決して入ることはできない。 + さらわれてしまうと、あなたがたが言ったあなたがたの子どもたちを、わたしは導き入れよう。彼らはあなたがたが拒んだ地を知るようになる。 + しかし、あなたがたは死体となってこの荒野に倒れなければならない。 + あなたがたの子どもたちは、この荒野で四十年の間羊を飼う者となり、あなたがたが死体となってこの荒野で倒れてしまうまで、あなたがたの背信の罪を負わなければならない。 + あなたがたが、かの地を探った日数は四十日であった。その一日を一年と数えて、四十年の間あなたがたは自分の咎を負わなければならない。こうしてわたしへの反抗が何かを思い知ろう。 + 主であるわたしが言う。一つになってわたしに逆らったこの悪い会衆のすべてに対して、わたしは必ず次のことを行う。この荒野で彼らはひとり残らず死ななければならない。 + モーセがかの地を探らせるために遣わした者で、帰って来て、その地について悪く言いふらし、全会衆をモーセにつぶやかせた者たちも。」 + こうして、その地をひどく悪く言いふらした者たちは、主の前に、疫病で死んだ。 + しかし、かの地を探りに行った者のうち、ヌンの子ヨシュアと、エフネの子カレブは生き残った。 + モーセがこれらのことばを、すべてのイスラエル人に告げたとき、民はひどく悲しんだ。 + 翌朝早く、彼らは山地の峰のほうに上って行こうとして言った。「私たちは罪を犯したのだから、とにかく主が言われた所へ上って行ってみよう。」 + するとモーセは言った。「あなたがたはなぜ、主の命令にそむこうとしているのか。それは成功しない。 + 上って行ってはならない。主はあなたがたのうちにおられないのだ。あなたがたが敵に打ち負かされないように。 + そこにはアマレク人とカナン人とがあなたがたの前にいるから、あなたがたは剣で打ち倒されよう。あなたがたが主にそむいて従わなかったのだから、主はあなたがたとともにはおられない。」 + それでも、彼らはかまわずに山地の峰のほうに登って行った。しかし、主の契約の箱とモーセとは、宿営の中から動かなかった。 + 山地に住んでいたアマレク人とカナン人は、下って来て、彼らを打ち、ホルマまで彼らを追い散らした。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。わたしがあなたがたに与えて住ませる地にあなたがたが入り、 + 特別な誓願を果たすために、または進んでささげるささげ物として、あるいは例祭のときに、主へのなだめのかおりをささげるために、牛か羊の群れから全焼のいけにえでも、ほかのいけにえでも、火によるささげ物を主にささげるときは、 + そのささげ物をささげる者は、穀物のささげ物として、油四分の一ヒンを混ぜた小麦粉十分の一エパを主にささげなければならない。 + また全焼のいけにえ、またはほかのいけにえに添えて、子羊一頭のための注ぎのささげ物としては四分の一ヒンのぶどう酒をささげなければならない。 + 雄羊の場合には、穀物のささげ物として、油三分の一ヒンを混ぜた小麦粉十分の二エパをささげ、 + さらに、注ぎのささげ物としてぶどう酒三分の一ヒンを主へのなだめのかおりとして、ささげなければならない。 + また、あなたが特別な誓願を果たすため、あるいは、和解のいけにえとして、若い牛を全焼のいけにえ、または、ほかのいけにえとして主にささげるときは、 + その若い牛に添えて、油二分の一ヒンを混ぜた小麦粉十分の三エパの穀物のささげ物をささげ、 + また注ぎのささげ物としてぶどう酒二分の一ヒンをささげなければならない。これは主へのなだめのかおりの、火によるささげ物である。 + 牛一頭、あるいは雄羊一頭、あるいはどんな羊、やぎについても、このようにしなければならない。 + あなたがたがささげる数に応じ、その数にしたがって一頭ごとにこのようにしなければならない。 + すべてこの国に生まれた者が、主へのなだめのかおりの、火によるささげ物をささげるには、このようにこれらのことを行わなければならない。 + また、あなたがたのところにいる在留異国人、あるいはあなたがたのうちに代々住んでいる者が、主へのなだめのかおりの、火によるささげ物をささげる場合には、あなたがたがするようにその者もしなければならない。 + 一つの集会として、定めはあなたがたにも、在留異国人にも、同一であり、代々にわたる永遠の定めである。主の前には、あなたがたも在留異国人も同じである。 + あなたがたにも、あなたがたのところにいる在留異国人にも、同一のおしえ、同一のさばきでなければならない。」 + 主はまたモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。わたしがあなたがたを導いて行く地にあなたがたが入り、 + その地のパンを食べるとき、あなたがたは主に奉納物を供えなければならない。 + 初物の麦粉で作った輪型のパンを奉納物として供え、打ち場からの奉納物として供えなければならない。 + 初物の麦粉のうちから、あなたがたは代々にわたり、主に奉納物を供えなければならない。 + あなたがたが、もしあやまって罪を犯し、主がモーセに告げられたこれらの命令のどれでも、 + 主が命じられた日以来、代々にわたって主がモーセを通してあなたがたに命じられたことの一つでも行わないときは、 + もし会衆が気づかず、あやまってしたのなら、全会衆は、主へのなだめのかおりのための全焼のいけにえとして、若い雄牛一頭、また、定めにかなう穀物のささげ物と注ぎのささげ物、さらに雄やぎ一頭を罪のためのいけにえとして、ささげなければならない。 + 祭司がイスラエル人の全会衆の贖いをするなら、彼らは赦される。それが過失であって、彼らは自分たちの過失のために、ささげ物、主への火によるささげ物、罪のためのいけにえを主の前に持って来たからである。 + イスラエル人の全会衆も、あなたがたのうちの在留異国人も赦される。それは民全体の過失だからである。 + もし個人があやまって罪を犯したなら、一歳の雌やぎ一頭を罪のためのいけにえとしてささげなければならない。 + 祭司は、あやまって罪を犯した者のために、主の前で贖いをしなければならない。彼はあやまって罪を犯したのであるから、彼の贖いをすれば、その者は赦される。 + イスラエル人のうちの、この国に生まれた者にも、あなたがたのうちにいる在留異国人にも、あやまって罪を犯す者には、あなたがたと同一のおしえがなければならない。 + 国に生まれた者でも、在留異国人でも、故意に罪を犯す者は、主を冒瀆する者であって、その者は民の間から断たれなければならない。 + 主のことばを侮り、その命令を破ったなら、必ず断ち切られ、その咎を負う。」 + イスラエル人が荒野にいたとき、安息日に、たきぎを集めている男を見つけた。 + たきぎを集めているのを見つけた者たちは、その者をモーセとアロンおよび全会衆のところに連れて来た。 + しかし彼をどうすべきか、はっきりと示されていなかったので、その者を監禁しておいた。 + すると、主はモーセに言われた。「この者は必ず殺されなければならない。全会衆は宿営の外で、彼を石で打ち殺さなければならない。」 + そこで、主がモーセに命じられたように、全会衆はその者を宿営の外に連れ出し、彼を石で打ち殺した。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて、彼らが代々にわたり、着物のすその四隅にふさを作り、その隅のふさに青いひもをつけるように言え。 + そのふさはあなたがたのためであって、あなたがたがそれを見て、主のすべての命令を思い起こし、それを行うため、みだらなことをしてきた自分の心と目に従って歩まないようにするため、 + こうしてあなたがたが、わたしのすべての命令を思い起こして、これを行い、あなたがたの神の聖なるものとなるためである。 + わたしはあなたがたの神、主であって、わたしがあなたがたの神となるために、あなたがたをエジプトの地から連れ出したのである。わたしは、あなたがたの神、主である。」 + + + レビの子ケハテの子であるイツハルの子コラは、ルベンの子孫であるエリアブの子ダタンとアビラム、およびペレテの子オンと共謀して、 + 会衆の上に立つ人たちで、会合で選び出された名のある者たち二百五十人のイスラエル人とともに、モーセに立ち向かった。 + 彼らは集まって、モーセとアロンとに逆らい、彼らに言った。「あなたがたは分を越えている。全会衆残らず聖なるものであって、主がそのうちにおられるのに、なぜ、あなたがたは、主の集会の上に立つのか。」 + モーセはこれを聞いてひれ伏した。 + それから、コラとそのすべての仲間とに告げて言った。「あしたの朝、主は、だれがご自分のものか、だれが聖なるものかをお示しになり、その者をご自分に近づけられる。主は、ご自分が選ぶ者をご自分に近づけられるのだ。 + こうしなさい。コラとその仲間のすべてよ。あなたがたは火皿を取り、 + あす、主の前でその中に火を入れ、その上に香を盛りなさい。主がお選びになるその人が聖なるものである。レビの子たちよ。あなたがたが分を越えているのだ。」 + モーセはさらにコラに言った。「レビの子たちよ。よく聞きなさい。 + イスラエルの神が、あなたがたを、イスラエルの会衆から分けて、主の幕屋の奉仕をするために、また会衆の前に立って彼らに仕えるために、みもとに近づけてくださったのだ。あなたがたには、これに不足があるのか。 + こうしてあなたとあなたの同族であるレビ族全部を、あなたといっしょに近づけてくださったのだ。それなのに、あなたがたは祭司の職まで要求するのか。 + それだから、あなたとあなたの仲間のすべては、一つになって主に逆らっているのだ。アロンが何だからといって、彼に対して不平を言うのか。」 + モーセは使いをやって、エリアブの子のダタンとアビラムとを呼び寄せようとしたが、彼らは言った。「私たちは行かない。 + あなたが私たちを乳と蜜の流れる地から上らせて、荒野で私たちを死なせようとし、そのうえ、あなたは私たちを支配しようとして君臨している。それでも不足があるのか。 + しかも、あなたは、乳と蜜の流れる地に私たちを連れても行かず、畑とぶどう畑を受け継ぐべき財産として私たちに与えてもいない。あなたは、この人たちの目をくらまそうとするのか。私たちは行かない。」 + モーセは激しく怒った。そして主に申し上げた。「どうか、彼らのささげ物を顧みないでください。私は彼らから、ろば一頭も取ったことはなく、彼らのうちのだれをも傷つけたこともありません。」 + それから、モーセはコラに言った。「あなたとあなたの仲間のすべて、あなたと彼らとそれにアロンとは、あす、主の前に出なさい。 + あなたがたは、おのおの自分の火皿を取り、その上に香を盛り、おのおの主の前にそれを持って来なさい。すなわち二百五十の火皿、それにまたあなたも、アロンも、おのおの火皿を持って来なさい。」 + 彼らはおのおの、その火皿を取り、それに火を入れて、その上に香を盛った。そしてモーセとアロンはいっしょに会見の天幕の入口に立った。 + コラは全会衆を会見の天幕の入口に集めて、ふたりに逆らわせようとした。そのとき、主の栄光が全会衆に現れた。 + 主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「あなたがたはこの会衆から離れよ。わたしはこの者どもをたちどころに絶滅してしまうから。」 + ふたりはひれ伏して言った。「神。すべての肉なるもののいのちの神よ。ひとりの者が罪を犯せば、全会衆をお怒りになるのですか。」 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「この会衆に告げて、コラとダタンとアビラムの住まいの付近から離れ去るように言え。」 + モーセは立ち上がり、イスラエルの長老たちを従えて、ダタンとアビラムのところへ行き、 + そして会衆に告げて言った。「さあ、この悪者どもの天幕から離れ、彼らのものには何にもさわるな。彼らのすべての罪のために、あなたがたが滅ぼし尽くされるといけないから。」 + それでみなは、コラとダタンとアビラムの住まいの付近から離れ去った。ダタンとアビラムは、その妻子、幼子たちといっしょに出て来て、自分たちの天幕の入口に立った。 + モーセは言った。「私を遣わして、これらのしわざをさせたのは主であって、私自身の考えからではないことが、次のことによってあなたがたにわかるであろう。 + もしこの者たちが、すべての人が死ぬように死に、すべての人の会う運命に彼らも会えば、私を遣わされたのは主ではない。 + しかし、もし主がこれまでにないことを行われて、地がその口を開き、彼らと彼らに属する者たちとを、ことごとくのみこみ、彼らが生きながらよみに下るなら、あなたがたは、これらの者たちが主を侮ったことを知らなければならない。」 + モーセがこれらのことばをみな言い終わるや、彼らの下の地面が割れた。 + 地はその口をあけて、彼らとその家族、またコラに属するすべての者と、すべての持ち物とをのみこんだ。 + 彼らとすべて彼らに属する者は、生きながら、よみに下り、地は彼らを包んでしまい、彼らは集会の中から滅び去った。 + このとき、彼らの回りにいたイスラエル人はみな、彼らの叫び声を聞いて逃げた。「地が私たちをも、のみこんでしまうかもしれない」と思ったからである。 + また、主のところから火が出て、香をささげていた二百五十人を焼き尽くした。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あなたは、祭司アロンの子エルアザルに命じて、炎の中から火皿を取り出させよ。火を遠くにまき散らさせよ。それらは聖なるものとなっているから。 + 罪を犯していのちを失ったこれらの者たちの火皿を取り、それらを打ちたたいて延べ板とし、祭壇のための被金とせよ。それらは、彼らが主の前にささげたので、聖なるものとなっているからである。こうして、これらをイスラエル人に対するしるしとさせよ。」 + そこで祭司エルアザルは、焼き殺された者たちがささげた青銅の火皿を取って、それを打ち延ばし、祭壇のための被金とし、 + イスラエル人のための記念とした。これは、アロンの子孫でないほかの者が、主の前に近づいて煙を立ち上らせることがないため、その者が、コラやその仲間のようなめに会わないためである。――主がモーセを通してエルアザルに言われたとおりである。 + その翌日、イスラエル人の全会衆は、モーセとアロンに向かってつぶやいて言った。「あなたがたは主の民を殺した。」 + 会衆が集まってモーセとアロンに逆らったとき、ふたりが会見の天幕のほうを振り向くと、見よ、雲がそれをおおい、主の栄光が現れた。 + モーセとアロンが会見の天幕の前に行くと、 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あなたがたはこの会衆から立ち去れ。わたしがこの者どもをたちどころに絶ち滅ぼすことができるように。」ふたりはひれ伏した。 + モーセはアロンに言った。「火皿を取り、祭壇から火を取ってそれに入れ、その上に香を盛りなさい。そして急いで会衆のところへ持って行き、彼らの贖いをしなさい。主の前から激しい怒りが出て来て、神罰がもう始まったから。」 + アロンは、モーセが命じたように、火皿を取って集会の真ん中に走って行ったが、見よ、神罰はすでに民のうちに始まっていた。そこで彼は香をたいて、民の贖いをした。 + 彼が死んだ者たちと生きている者たちとの間に立ったとき、神罰はやんだ。 + コラの事件で死んだ者とは別に、この神罰で死んだ者は、一万四千七百人になった。 + こうして、アロンは会見の天幕の入口のモーセのところへ帰った。神罰はやんだ。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて、彼らから、杖を、父の家ごとに一本ずつ、彼らの父祖の家のすべての族長から十二本の杖を、取れ。その杖におのおのの名を書きしるさなければならない。 + レビの杖にはアロンの名を書かなければならない。彼らの父祖の家のかしらにそれぞれ一本の杖とするから。 + あなたはそれらを、会見の天幕の中のわたしがそこであなたがたに会うあかしの箱の前に置け。 + わたしが選ぶ人の杖は芽を出す。こうしてイスラエル人があなたがたに向かってつぶやく不平をわたし自身が静めよう。」 + モーセがイスラエル人にこのように告げたので、彼らの族長たちはみな、父祖の家ごとに、族長ひとりに一本ずつの杖、十二本を彼に渡した。アロンの杖も彼らの杖の中にあった。 + モーセはそれらの杖を、あかしの天幕の中の主の前に置いた。 + その翌日、モーセはあかしの天幕に入って行った。すると見よ、レビの家のためのアロンの杖が芽をふき、つぼみを出し、花をつけ、アーモンドの実を結んでいた。 + モーセがその杖をみな、主の前から、すべてのイスラエル人のところに持って来たので、彼らは見分けて、おのおの自分の杖を取った。 + 主はモーセに言われた。「アロンの杖をあかしの箱の前に戻して、逆らう者どもへの戒めのため、しるしとせよ。彼らのわたしに対する不平を全くなくして、彼らが死ぬことのないように。」 + モーセはそうした。主が命じられたとおりにした。 + しかし、イスラエル人はモーセに言った。「ああ、私たちは死んでしまう。私たちは滅びる。みな滅びる。 + 主の幕屋にあえて近づく者はだれでも死ななければならないとは。ああ、私たちはみな、死に絶えなければならないのか。」 + + + そこで、主はアロンに言われた。「あなたと、あなたとともにいるあなたの子たちと、あなたの父の家の者たちは、聖所にかかわる咎を負わなければならない。そしてあなたと、あなたとともにいるあなたの子たちが、あなたがたの祭司職にかかわる咎を負わなければならない。 + しかし、あなたの父祖の部族であるレビ族のあなたの身内の者たちも、あなたに近づけよ。彼らがあなたに配属され、あかしの天幕の前で、あなたと、あなたとともにいるあなたの子たちに仕えるためである。 + 彼らはあなたのための任務と、天幕全体の任務を果たすのである。しかし彼らは、聖所の器具と祭壇とに、近づいてはならない。彼らも、あなたがたも、死ぬことのないためである。 + 彼らがあなたに配属され、天幕の奉仕のすべてにかかわる会見の天幕の任務を果たす。ほかの者があなたがたに近づいてはならない。 + あなたがたが聖所の任務と祭壇の任務を果たすなら、イスラエル人に再び激しい怒りが下ることはない。 + 今ここに、わたしは、あなたがたの同族レビ人をイスラエル人の中から取り、会見の天幕の奉仕をするために、彼らを主にささげられたあなたがたへの贈り物とする。 + あなたと、あなたとともにいるあなたの子たちは、祭壇に関するすべてのことや、垂れ幕の内側のことについてのあなたがたの祭司職を守り、奉仕しなければならない。わたしはあなたがたの祭司職を賜物の奉仕として与える。ほかの者で近づく者は死ななければならない。」 + 主はそれから、アロンに仰せられた。「今、わたしは、わたしへの奉納物にかかわる任務をあなたに与える。わたしはイスラエル人のすべての聖なるささげ物についてこれをあなたに、またあなたの子たちとに、受ける分として与え、永遠の分け前とする。 + 最も聖なるもの、火によるささげ物のうちで、あなたの分となるものは次のとおりである。最も聖なるものとして、わたしに納めるすべてのささげ物、すなわち穀物のささげ物、罪のためのいけにえ、罪過のためのいけにえ、これらの全部は、あなたとあなたの子たちの分となる。 + あなたはそれを最も聖なるものとして食べなければならない。ただ男子だけが、それを食べることができる。それはあなたにとって聖なるものである。 + また次の物もあなたの分となる。イスラエル人の贈り物である奉納物、彼らのすべての奉献物、これをわたしはあなたとあなたの息子たち、それにあなたとともにいる娘たちに与えて、永遠の分け前とする。あなたの家にいるきよい者はみな、それを食べることができる。 + 最良の新しい油、最良の新しいぶどう酒と穀物、これらの人々が主に供える初物全部をあなたに与える。 + 彼らの国のすべてのものの初なりで、彼らが主に携えて来る物は、あなたのものになる。あなたの家にいるきよい者はだれでも、それを食べることができる。 + イスラエルのうちで、聖絶のものはみな、あなたのものになる。 + 人でも、獣でも、すべての肉なるものの最初に生まれるもので主にささげられるものはみな、あなたのものとなる。ただし、人の初子は、必ず贖わなければならない。また、汚れた獣の初子も贖わなければならない。 + その贖いの代金として、生後一か月以上は聖所のシェケルの評価によって銀五シェケルで贖わなければならない。一シェケルは二十ゲラである。 + ただし、牛の初子、または羊の初子、あるいはやぎの初子は贖ってはならない。これらは聖なるものであるからである。あなたはそれらの血を祭壇に振りかけ、その脂肪を火によるささげ物、主へのなだめのかおりとして、焼いて煙にしなければならない。 + その肉はあなたのものとなる。それは奉献物の胸や右のもものようにあなたのものとなる。 + イスラエル人が主に供える聖なる奉納物をみな、わたしは、あなたとあなたの息子たちと、あなたとともにいるあなたの娘たちに与えて、永遠の分け前とする。それは、主の前にあって、あなたとあなたの子孫に対する永遠の塩の契約となる。」 + 主はまたアロンに仰せられた。「あなたは彼らの国で相続地を持ってはならない。彼らのうちで何の割り当て地をも所有してはならない。イスラエル人の中にあって、わたしがあなたの割り当ての地であり、あなたの相続地である。 + さらに、わたしは今、レビ族には、彼らが会見の天幕の奉仕をするその奉仕に報いて、イスラエルのうちの十分の一をみな、相続財産として与える。 + これからはもう、イスラエル人は、会見の天幕に近づいてはならない。彼らが罪を得て死ぬことがないためである。 + レビ人だけが会見の天幕の奉仕をすることができる。ほかの者は咎を負う。これは代々にわたる永遠のおきてである。彼らはイスラエル人の中にあって相続地を持ってはならない。 + それは、イスラエル人が、奉納物として主に供える十分の一を、わたしは彼らの相続財産としてレビ人に与えるからである。それゆえわたしは彼らがイスラエル人の中で相続地を持ってはならないと、彼らに言ったのである。」 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「あなたはレビ人に告げて言わなければならない。わたしがあなたがたに相続財産として与えた十分の一を、イスラエル人から受け取るとき、あなたがたはその十分の一の十分の一を、主への奉納物として供えなさい。 + これは、打ち場からの穀物や、酒ぶねからの豊かなぶどう酒と同じように、あなたがたの奉納物とみなされる。 + それで、あなたがたもまた、イスラエル人から受け取るすべての十分の一の中から、主への奉納物を供えなさい。その中から主への奉納物を祭司アロンに与えなさい。 + あなたがたへのすべての贈り物のうち、それぞれ最上の部分で聖別される分のうちから主へのすべての奉納物を供えなさい。 + またあなたは彼らに言え。あなたがたが、その最上の部分をその中から供えるとき、それはレビ人にとって打ち場からの収穫、酒ぶねからの収穫と同じようにみなされる。 + あなたがたもあなたがたの家族も、どこででもそれを食べてよい。これは会見の天幕でのあなたがたの奉仕に対する報酬だからである。 + あなたがたが、その最上の部分を供えるなら、そのことで罪を負うことはない。イスラエル人の聖なるささげ物を、あなたがたは汚してはならない。それは、あなたがたが死なないためである。」 + + + 主はモーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「主が命じて仰せられたおしえの定めは、こうである。イスラエル人に言い、傷がなく、まだくびきの置かれたことのない、完全な赤い雌牛をあなたのところに引いて来させよ。 + あなたがたはそれを祭司エルアザルに渡せ。彼はそれを宿営の外に引き出し、彼の前でほふれ。 + 祭司エルアザルは指でその血を取り、会見の天幕の正面に向かってこの血を七たび振りかけよ。 + その雌牛は彼の目の前で焼け。その皮、肉、血をその汚物とともに焼かなければならない。 + 祭司は杉の木と、ヒソプと、緋色の糸を取り、それを雌牛の焼けている中に投げ入れる。 + 祭司は、その衣服を洗い、そのからだに水を浴びよ。その後、宿営に入ることができる。しかしその祭司は夕方まで汚れる。 + それを焼いた者も、その衣服を水で洗い、からだに水を浴びなければならない。しかし彼も夕方まで汚れる。 + 身のきよい人がその雌牛の灰を集め、宿営の外のきよい所に置き、イスラエル人の会衆のため、汚れをきよめる水を作るために、それを保存しておく。これは罪のきよめのためである。 + この雌牛の灰を集めた者も、その衣服を洗う。彼は夕方まで汚れる。これは、イスラエル人にも、あなたがたの間の在留異国人にも永遠のおきてとなる。 + どのような人の死体にでも触れる者は、七日間、汚れる。 + その者は三日目と七日目に、汚れをきよめる水で罪の身をきよめ、きよくならなければならない。三日目と七日目に罪の身をきよめないなら、きよくなることはできない。 + すべて死んだ人の遺体に触れ、罪の身をきよめない者はだれでも、主の幕屋を汚す。その者はイスラエルから断ち切られる。その者は、汚れをきよめる水が振りかけられていないので、汚れており、その汚れがなお、その者にあるからである。 + 人が天幕の中で死んだ場合のおしえは次のとおりである。その天幕に入る者と、その天幕の中にいる者はみな、七日間、汚れる。 + ふたをしていない口のあいた器もみな、汚れる。 + また、野外で、剣で刺し殺された者や死人や、人の骨や、墓に触れる者はみな、七日間、汚れる。 + この汚れた者のためには、罪のきよめのために焼いた灰を取り、器に入れて、それに湧き水を加える。 + 身のきよい人がヒソプを取ってこの水に浸し、それを、天幕と、すべての器と、そこにいた者と、また骨や、刺し殺された者や、死人や、墓に触れた者との上に振りかける。 + 身のきよい人が、それを汚れた者に三日目と七日目に振りかければ、その者は七日目に、罪をきよめられる。その者は、衣服を洗い、水を浴びる。その者は夕方にはきよくなる。 + 汚れた者が、罪の身をきよめなければ、その者は集会の中から断ち切られる。その者は主の聖所を汚したからである。汚れをきよめる水がその者に振りかけられなかったので、その者は汚れている。 + これは彼らに対する永遠のおきてとなる。汚れをきよめる水を振りかけた者は、その衣服を洗わなければならない。汚れをきよめる水に触れた者は夕方まで汚れる。 + 汚れた者が触れるものは、何でも汚れる。その者に触れた者も夕方まで汚れる。」 + + + イスラエル人の全会衆は、第一の月にツィンの荒野に着いた。そこで民はカデシュにとどまった。ミリヤムはそこで死んで葬られた。 + ところが会衆のためには水がなかったので、彼らは集まってモーセとアロンとに逆らった。 + 民はモーセと争って言った。「ああ、私たちの兄弟たちが主の前で死んだとき、私たちも死んでいたのなら。 + なぜ、あなたがたは主の集会をこの荒野に引き入れて、私たちと、私たちの家畜をここで死なせようとするのか。 + なぜ、あなたがたは私たちをエジプトから上らせて、この悪い所に引き入れたのか。ここは穀物も、いちじくも、ぶどうも、ざくろも育つような所ではない。そのうえ、飲み水さえない。」 + モーセとアロンは集会の前から去り、会見の天幕の入口に行ってひれ伏した。すると主の栄光が彼らに現れた。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「杖を取れ。あなたとあなたの兄弟アロンは、会衆を集めよ。あなたがたが彼らの目の前で岩に命じれば、岩は水を出す。あなたは、彼らのために岩から水を出し、会衆とその家畜に飲ませよ。」 + そこでモーセは、主が彼に命じられたとおりに、主の前から杖を取った。 + そしてモーセとアロンは岩の前に集会を召集して、彼らに言った。「逆らう者たちよ。さあ、聞け。この岩から私たちがあなたがたのために水を出さなければならないのか。」 + モーセは手を上げ、彼の杖で岩を二度打った。すると、たくさんの水がわき出たので、会衆もその家畜も飲んだ。 + しかし、主はモーセとアロンに言われた。「あなたがたはわたしを信ぜず、わたしをイスラエルの人々の前に聖なる者としなかった。それゆえ、あなたがたは、この集会を、わたしが彼らに与えた地に導き入れることはできない。」 + これがメリバの水、イスラエル人が主と争ったことによるもので、主がこれによってご自身を、聖なる者として示されたのである。 + さて、モーセはカデシュからエドムの王のもとに使者たちを送った。「あなたの兄弟、イスラエルはこう申します。あなたは私たちに降りかかったすべての困難をご存じです。 + 私たちの先祖たちはエジプトに下り、私たちはエジプトに長年住んでいました。しかしエジプトは私たちや先祖たちを、虐待しました。 + そこで、私たちが主に叫ぶと、主は私たちの声を聞いて、ひとりの御使いを遣わし、私たちをエジプトから連れ出されました。今、私たちはあなたの領土の境にある町、カデシュにおります。 + どうか、あなたの国を通らせてください。私たちは、畑もぶどう畑も通りません。井戸の水も飲みません。私たちは王の道を行き、あなたの領土を通過するまでは右にも左にも曲がりません。」 + しかし、エドムはモーセに言った。「私のところを通ってはならない。さもないと、私は剣をもっておまえを迎え撃とう。」 + イスラエル人は彼に言った。「私たちは公道を上って行きます。私たちと私たちの家畜があなたの水を飲むことがあれば、その代価を払います。ただ、歩いて通り過ぎるだけです。」 + しかし、エドムは、「通ってはならない」と言って、強力な大軍勢を率いて彼らを迎え撃つために出て来た。 + こうして、エドムはイスラエルにその領土を通らせようとしなかったので、イスラエルは彼の所から方向を変えて去った。 + こうしてイスラエル人の全会衆は、カデシュから旅立ってホル山に着いた。 + 主は、エドムの国の領土にあるホル山で、モーセとアロンに告げて仰せられた。 + 「アロンは民に加えられる。しかし彼は、わたしがイスラエル人に与えた地に入ることはできない。それはメリバの水のことで、あなたがたがわたしの命令に逆らったからである。 + あなたはアロンと、その子エルアザルを連れてホル山に登れ。 + アロンにその衣服を脱がせ、これをその子エルアザルに着せよ。アロンは先祖の民に加えられ、そこで死ぬ。」 + モーセは、主が命じられたとおりに行った。全会衆の見ている前で、彼らはホル山に登って行った。 + モーセはアロンにその衣服を脱がせ、それをその子エルアザルに着せた。そしてアロンはその山の頂で死んだ。モーセとエルアザルが山から降りて来たとき、 + 全会衆はアロンが息絶えたのを知った。そのためイスラエルの全家は三十日の間、アロンのために泣き悲しんだ。 + + + ネゲブに住んでいたカナン人アラデの王は、イスラエルがアタリムの道を進んで来ると聞いて、イスラエルと戦い、その何人かを捕虜として捕らえて行った。 + そこでイスラエルは主に誓願をして言った。「もし、確かにあなたが私の手に、この民を渡してくださるなら、私は彼らの町々を聖絶いたします。」 + 主はイスラエルの願いを聞き入れ、カナン人を渡されたので、彼らはカナン人と彼らの町々を聖絶した。そしてその所の名をホルマと呼んだ。 + 彼らはホル山から、エドムの地を迂回して、葦の海の道に旅立った。しかし民は、途中でがまんができなくなり、 + 民は神とモーセに逆らって言った。「なぜ、あなたがたは私たちをエジプトから連れ上って、この荒野で死なせようとするのか。パンもなく、水もない。私たちはこのみじめな食物に飽き飽きした。」 + そこで主は民の中に燃える蛇を送られたので、蛇は民にかみつき、イスラエルの多くの人々が死んだ。 + 民はモーセのところに来て言った。「私たちは主とあなたを非難して罪を犯しました。どうか、蛇を私たちから取り去ってくださるよう、主に祈ってください。」モーセは民のために祈った。 + すると、主はモーセに仰せられた。「あなたは燃える蛇を作り、それを旗ざおの上につけよ。すべてかまれた者は、それを仰ぎ見れば、生きる。」 + モーセは一つの青銅の蛇を作り、それを旗ざおの上につけた。もし蛇が人をかんでも、その者が青銅の蛇を仰ぎ見ると、生きた。 + イスラエル人は旅立って、オボテで宿営した。 + 彼らはオボテから旅立って、日の上る方、モアブに面した荒野にあるイエ・ハアバリムに宿営した。 + そこから旅立って、ゼレデの谷に宿営し、 + さらにそこから旅立って、エモリ人の国境から広がっている荒野にあるアルノン川の向こう側に宿営した。アルノン川がモアブとエモリ人との間の、モアブの国境であるためである。 + それで、「主の戦いの書」にこう言われている。「スパのワヘブとアルノンの谷川とともに、 + 谷川の支流は、アルの定住地に達し、モアブの領土をささえている。」 + 彼らはそこからベエルに向かった。それは主がモーセに、「民を集めよ。わたしが彼らに水を与える」と言われた井戸である。 + そのとき、イスラエルはこの歌を歌った。「わきいでよ。井戸。――このために歌え―― + 笏をもって、杖をもって、つかさたちがうがち、民の尊き者たちが掘ったその井戸に。」彼らは荒野からマタナに進み、 + マタナからナハリエルに、ナハリエルからバモテに、 + バモテからモアブの野にある谷に行き、荒地を見おろすピスガの頂に着いた。 + イスラエルはエモリ人の王シホンに使者たちを送って言った。 + 「あなたの国を通らせてください。私たちは畑にもぶどう畑にも曲がって入ることをせず、井戸の水も飲みません。あなたの領土を通過するまで、私たちは王の道を通ります。」 + しかし、シホンはイスラエルが自分の領土を通ることを許さなかった。シホンはその民をみな集めて、イスラエルを迎え撃つために荒野に出て来た。そしてヤハツに来て、イスラエルと戦った。 + イスラエルは剣の刃で彼を打ち、その地をアルノンからヤボクまで、アモン人の国境まで占領した。アモン人の国境は堅固だったからである。 + イスラエルはこれらの町々をすべて取った。そしてイスラエルはエモリ人のすべての町々、ヘシュボンとそれに属するすべての村落に住みついた。 + ヘシュボンはエモリ人の王、シホンの町であった。彼はモアブの以前の王と戦って、その手からその全土をアルノンまで取っていた。 + それで、ことわざを唱える者たちが歌っている。「来たれ、ヘシュボンに。シホンの町は建てられ、堅くされている。 + ヘシュボンから火が出、シホンの町から炎が出て、モアブのアルを焼き尽くし、アルノンにそびえる高地を焼き尽くしたからだ。 + モアブよ。おまえはわざわいだ。ケモシュの民よ。おまえは滅びうせる。その息子たちは逃亡者、娘たちは捕らわれの身である。エモリ人の王シホンによって。 + しかしわれわれは彼らを投げ倒した。ヘシュボンからディボンに至るまで滅びうせた。われわれはノファフまでも荒らし、それはメデバにまで及んだ。」 + こうしてイスラエルはエモリ人の地に住んだ。 + そのとき、モーセはまた人をやって、ヤゼルを探らせ、ついにそれに属する村落を攻め取り、そこにいたエモリ人を追い出した。 + さらに彼らは進んでバシャンへの道を上って行ったが、バシャンの王オグはそのすべての民とともに出て来た。彼らを迎え撃ち、エデレイで戦うためであった。 + しかし、主はモーセに言われた。「彼を恐れてはならない。わたしは彼とそのすべての民とその地とをあなたの手のうちに与えた。あなたがヘシュボンに住んでいたエモリ人の王シホンに対して行ったように、彼に対しても行え。」 + そこで彼らは彼とその子らとそのすべての民とを打ち殺し、ひとりの生存者も残さなかった。こうして彼らはその地を占領した。 + + + イスラエル人はさらに進んで、ヨルダンのエリコをのぞむ対岸のモアブの草原に宿営した。 + さてツィポルの子バラクは、イスラエルがエモリ人に行ったすべてのことを見た。 + モアブはイスラエルの民が多数であったので非常に恐れた。それでモアブはイスラエル人に恐怖をいだいた。 + そこでモアブはミデヤンの長老たちに言った。「今、この集団は、牛が野の青草をなめ尽くすように、私たちの回りのすべてのものをなめ尽くそうとしている。」ツィポルの子バラクは当時、モアブの王であった。 + そこで彼は、同族の国にあるユーフラテス河畔のペトルにいるベオルの子バラムを招こうとして使者たちを遣わして、言わせた。「今ここに、一つの民がエジプトから出て来ている。今や、彼らは地の面をおおって、私のすぐそばにとどまっている。 + どうかいま来て、私のためにこの民をのろってもらいたい。この民は私より強い。そうしてくれれば、たぶん私は彼らを打って、この地から追い出すことができよう。私は、あなたが祝福する者は祝福され、あなたがのろう者はのろわれることを知っている。」 + 占いに通じているモアブの長老たちとミデヤンの長老たちとは、バラムのところに行き、彼にバラクのことづけを告げた。 + するとバラムは彼らに言った。「今夜はここに泊まりなさい。主が私に告げられるとおりのことをあなたがたに答えましょう。」そこでモアブのつかさたちはバラムのもとにとどまった。 + 神はバラムのところに来て言われた。「あなたといっしょにいるこの者たちは何者か。」 + バラムは神に申し上げた。「モアブの王ツィポルの子バラクが、私のところに使いをよこしました。 + 『今ここに、エジプトから出て来た民がいて、地の面をおおっている。いま来て、私のためにこの民をのろってくれ。そうしたら、たぶん私は彼らと戦って、追い出すことができよう。』」 + 神はバラムに言われた。「あなたは彼らといっしょに行ってはならない。またその民をのろってもいけない。その民は祝福されているからだ。」 + 朝になると、バラムは起きてバラクのつかさたちに言った。「あなたがたの国に帰りなさい。主は私をあなたがたといっしょに行かせようとはなさらないから。」 + モアブのつかさたちは立ってバラクのところに帰り、そして言った。「バラムは私たちといっしょに来ようとはしませんでした。」 + バラクはもう一度、前の者より大ぜいの、しかも位の高いつかさたちを遣わした。 + 彼らはバラムのところに来て彼に言った。「ツィポルの子バラクはこう申しました。『どうか私のところに来るのを拒まないでください。 + 私はあなたを手厚くもてなします。また、あなたが私に言いつけられることは何でもします。どうぞ来て、私のためにこの民をのろってください。』」 + しかしバラムはバラクの家臣たちに答えて言った。「たといバラクが私に銀や金の満ちた彼の家をくれても、私は私の神、主のことばにそむいて、事の大小にかかわらず、何もすることはできません。 + それであなたがたもまた、今晩ここにとどまりなさい。主が私に何かほかのことをお告げになるかどうか確かめましょう。」 + その夜、神はバラムのところに来て、彼に言われた。「この者たちがあなたを招きに来たのなら、立って彼らとともに行け。だが、あなたはただ、わたしがあなたに告げることだけを行え。」 + 朝になると、バラムは起きて、彼のろばに鞍をつけ、モアブのつかさたちといっしょに出かけた。 + しかし、彼が出かけると、神の怒りが燃え上がり、主の使いが彼に敵対して道に立ちふさがった。バラムはろばに乗っており、ふたりの若者がそばにいた。 + ろばは主の使いが抜き身の剣を手に持って道に立ちふさがっているのを見たので、ろばは道からそれて畑の中に行った。そこでバラムはろばを打って道に戻そうとした。 + しかし主の使いは、両側に石垣のあるぶどう畑の間の狭い道に立っていた。 + ろばは主の使いを見て、石垣に身を押しつけ、バラムの足を石垣に押しつけたので、彼はまた、ろばを打った。 + 主の使いは、さらに進んで、右にも左にもよける余地のない狭い所に立った。 + ろばは、主の使いを見て、バラムを背にしたまま、うずくまってしまった。そこでバラムは怒りを燃やして、杖でろばを打った。 + すると、主はろばの口を開かれたので、ろばがバラムに言った。「私があなたに何をしたというのですか。私を三度も打つとは。」 + バラムはろばに言った。「おまえが私をばかにしたからだ。もし私の手に剣があれば、今、おまえを殺してしまうところだ。」 + ろばはバラムに言った。「私は、あなたがきょうのこの日まで、ずっと乗ってこられたあなたのろばではありませんか。私が、かつて、あなたにこんなことをしたことがあったでしょうか。」彼は答えた。「いや、なかった。」 + そのとき、主がバラムの目のおおいを除かれたので、彼は主の使いが抜き身の剣を手に持って道に立ちふさがっているのを見た。彼はひざまずき、伏し拝んだ。 + 主の使いは彼に言った。「なぜ、あなたは、あなたのろばを三度も打ったのか。敵対して出て来たのはわたしだったのだ。あなたの道がわたしとは反対に向いていたからだ。 + ろばはわたしを見て、三度もわたしから身を巡らしたのだ。もしかして、ろばがわたしから身を巡らしていなかったなら、わたしは今はもう、あなたを殺しており、ろばを生かしておいたことだろう。」 + バラムは主の使いに申し上げた。「私は罪を犯しました。私はあなたが私をとどめようと道に立ちふさがっておられたのを知りませんでした。今、もし、あなたのお気に召さなければ、私は引き返します。」 + 主の使いはバラムに言った。「この人たちといっしょに行け。だが、わたしがあなたに告げることばだけを告げよ。」そこでバラムはバラクのつかさたちといっしょに行った。 + バラクはバラムが来たことを聞いて、彼を迎えに、国境の端にあるアルノンの国境のイル・モアブまで出て来た。 + そしてバラクはバラムに言った。「私はあなたを迎えるために、わざわざ使いを送ったではありませんか。なぜ、すぐ私のところに来てくださらなかったのですか。ほんとうに私にはあなたを手厚くもてなすことができないのでしょうか。」 + バラムはバラクに言った。「ご覧なさい。私は今あなたのところに来ているではありませんか。私に何が言えるでしょう。神が私の口に置かれることば、それを私は語らなければなりません。」 + こうしてバラムはバラクといっしょに出て行って、キルヤテ・フツォテに来た。 + バラクは牛と羊をいけにえとしてささげ、それをバラムおよび彼とともにいたつかさたちにも配った。 + 朝になると、バラクはバラムを連れ出し、彼をバモテ・バアルに上らせた。バラムはそこからイスラエルの民の一部を見ることができた。 + + + バラムはバラクに言った。「私のためにここに七つの祭壇を築き、七頭の雄牛と七頭の雄羊をここに用意してください。」 + バラクはバラムの言ったとおりにした。そしてバラクとバラムとは、それぞれの祭壇の上で雄牛一頭と雄羊一頭とをささげた。 + バラムはバラクに言った。「あなたは、あなたの全焼のいけにえのそばに立っていなさい。私は行って来ます。たぶん、主は私に現れて会ってくださるでしょう。そうしたら、私にお示しになることはどんなことでも、あなたに知らせましょう。」そして彼は裸の丘に行った。 + 神がバラムに会われたので、バラムは神に言った。「私は七つの祭壇を造り、それぞれの祭壇の上で雄牛一頭と雄羊一頭とをささげました。」 + 主はバラムの口にことばを置き、そして言われた。「バラクのところに帰れ。あなたはこう言わなければならない。」 + それで、彼はバラクのところに帰った。すると、モアブのすべてのつかさたちといっしょに、彼は自分の全焼のいけにえのそばに立っていた。 + バラムは彼のことわざを唱えて言った。「バラクは、アラムから、モアブの王は、東の山々から、私を連れて来た。『来て、私のためにヤコブをのろえ。来て、イスラエルに滅びを宣言せよ。』 + 神がのろわない者を、私がどうしてのろえようか。主が滅びを宣言されない者に、私がどうして滅びを宣言できようか。 + 岩山の頂から私はこれを見、丘の上から私はこれを見つめる。見よ。この民はひとり離れて住み、おのれを諸国の民の一つと認めない。 + だれがヤコブのちりを数え、イスラエルのちりの群れを数ええようか。私は正しい人が死ぬように死に、私の終わりが彼らと同じであるように。」 + バラクはバラムに言った。「あなたは私になんということをしたのですか。私の敵をのろってもらうためにあなたを連れて来たのに、今、あなたはただ祝福しただけです。」 + バラムは答えて言った。「主が私の口に置かれること、それを私は忠実に語らなければなりません。」 + バラクは彼に言った。「では、私といっしょにほかの所へ行ってください。そこから彼らを見ることができるが、ただその一部だけが見え、全体を見ることはできない所です。そこから私のために彼らをのろってください。」 + バラクはバラムを、セデ・ツォフィムのピスガの頂に連れて行き、そこで七つの祭壇を築き、それぞれの祭壇の上で雄牛と雄羊とを一頭ずつささげた。 + バラムはバラクに言った。「あなたはここであなたの全焼のいけにえのそばに立っていなさい。私はあちらで主にお会いします。」 + 主はバラムに会われ、その口にことばを置き、そして言われた。「バラクのところに帰れ。あなたはこう告げなければならない。」 + それで、彼はバラクのところに行った。すると、モアブのつかさたちといっしょに、彼は全焼のいけにえのそばに立っていた。バラクは言った。「主は何とお告げになりましたか。」 + バラムは彼のことわざを唱えて言った。「立て、バラクよ。そして聞け。ツィポルの子よ。私に耳を傾けよ。 + 神は人間ではなく、偽りを言うことがない。人の子ではなく、悔いることがない。神は言われたことを、なさらないだろうか。約束されたことを成し遂げられないだろうか。 + 見よ。祝福せよ、との命を私は受けた。神は祝福される。私はそれをくつがえすことはできない。 + ヤコブの中に不法を見いださず、イスラエルの中にわざわいを見ない。彼らの神、主は彼らとともにおり、王をたたえる声が彼らの中にある。 + 彼らをエジプトから連れ出した神は、彼らにとっては野牛の角のようだ。 + まことに、ヤコブのうちにまじないはなく、イスラエルのうちに占いはない。神のなされることは、時に応じてヤコブに告げられ、イスラエルに告げられる。 + 見よ。この民は雌獅子のように起き、雄獅子のように立ち上がり、獲物を食らい、殺したものの血を飲むまでは休まない。」 + バラクはバラムに言った。「彼らをのろうことも、祝福することもしないでください。」 + バラムはバラクに答えて言った。「私は主が告げられたことをみな、しなければならない、とあなたに言ったではありませんか。」 + バラクはバラムに言った。「さあ、私はあなたをもう一つ別の所へ連れて行きます。もしかしたら、それが神の御目にかなって、あなたは私のために、そこから彼らをのろうことができるかもしれません。」 + バラクはバラムを荒地を見おろすペオルの頂上に連れて行った。 + バラムはバラクに言った。「私のためにここに七つの祭壇を築き、七頭の雄牛と七頭の雄羊をここに用意してください。」 + バラクはバラムが言ったとおりにして、祭壇ごとに雄牛と雄羊とを一頭ずつささげた。 + + + バラムはイスラエルを祝福することが主の御心にかなうのを見、これまでのように、まじないを求めに行くことをせず、その顔を荒野に向けた。 + バラムが目を上げて、イスラエルがその部族ごとに宿っているのをながめたとき、神の霊が彼の上に臨んだ。 + 彼は彼のことわざを唱えて言った。「ベオルの子バラムの告げたことば。目のひらけた者の告げたことば。 + 神の御告げを聞く者、全能者の幻を見る者、ひれ伏して、目のおおいを除かれた者の告げたことば。 + なんと美しいことよ。ヤコブよ、あなたの天幕は。イスラエルよ、あなたの住まいは。 + それは、延び広がる谷間のように、川辺の園のように、主が植えたアロエのように、水辺の杉の木のように。 + その手おけからは水があふれ、その種は豊かな水に潤う。その王はアガグよりも高くなり、その王国はあがめられる。 + 彼をエジプトから連れ出した神は、彼にとっては野牛の角のようだ。彼はおのれの敵の国々を食い尽くし、彼らの骨を砕き、彼らの矢を粉々にする。 + 雄獅子のように、また雌獅子のように、彼はうずくまり、身を横たえる。だれがこれを起こすことができよう。あなたを祝福する者は祝福され、あなたをのろう者はのろわれる。」 + そこでバラクはバラムに対して怒りを燃やし、手を打ち鳴らした。バラクはバラムに言った。「私の敵をのろうためにあなたを招いたのに、かえってあなたは三度までも彼らを祝福した。 + 今、あなたは自分のところに下がれ。私はあなたを手厚くもてなすつもりでいたが、主がもう、そのもてなしを拒まれたのだ。」 + バラムはバラクに言った。「私はあなたがよこされた使者たちにこう言ったではありませんか。 + 『たとい、バラクが私に銀や金の満ちた彼の家をくれても、主のことばにそむいては、善でも悪でも、私の心のままにすることはできません。主が告げられること、それを私は告げなければなりません。』 + 今、私は私の民のところに帰ります。さあ、私は、この民が後の日にあなたの民に行おうとしていることをあなたのために申し上げましょう。」 + そして彼のことわざを唱えて言った。「ベオルの子バラムの告げたことば。目のひらけた者の告げたことば。 + 神の御告げを聞く者、いと高き方の知識を知る者、全能者の幻を見る者、ひれ伏して、目のおおいを除かれた者の告げたことば。 + 私は見る。しかし今ではない。私は見つめる。しかし間近ではない。ヤコブから一つの星が上り、イスラエルから一本の杖が起こり、モアブのこめかみと、すべての騒ぎ立つ者の脳天を打ち砕く。 + その敵、エドムは所有地となり、セイルも所有地となる。イスラエルは力ある働きをする。 + ヤコブから出る者が治め、残った者たちを町から消し去る。」 + 彼はアマレクを見渡して彼のことわざを唱えて言った。「アマレクは国々の中で首位のもの。しかしその終わりは滅びに至る。」 + 彼はケニ人を見渡して彼のことわざを唱えて言った。「あなたの住みかは堅固であり、あなたの巣は岩間の中に置かれている。 + しかし、カインは滅ぼし尽くされ、ついにはアシュルがあなたをとりこにする。」 + 彼はまた彼のことわざを唱えて言った。「ああ、神が定められたなら、だれが生きのびることができよう。 + 船がキティムの岸から来て、アシュルを悩まし、エベルを悩ます。しかし、これもまた滅びに至る。」 + それからバラムは立って自分のところへ帰って行った。バラクもまた帰途についた。 + + + イスラエルはシティムにとどまっていたが、民はモアブの娘たちと、みだらなことをし始めた。 + 娘たちは、自分たちの神々にいけにえをささげるのに、民を招いたので、民は食し、娘たちの神々を拝んだ。 + こうしてイスラエルは、バアル・ペオルを慕うようになったので、主の怒りはイスラエルに対して燃え上がった。 + 主はモーセに言われた。「この民のかしらたちをみな捕らえて、白日のもとに彼らを主の前でさらし者にせよ。主の燃える怒りはイスラエルから離れ去ろう。」 + そこでモーセはイスラエルのさばきつかさたちに言った。「あなたがたは、おのおの自分の配下のバアル・ペオルを慕った者たちを殺せ。」 + モーセとイスラエル人の全会衆が会見の天幕の入口で泣いていると、彼らの目の前に、ひとりのイスラエル人が、その兄弟たちのところにひとりのミデヤン人の女を連れてやって来た。 + 祭司アロンの子エルアザルの子ピネハスはそれを見るや、会衆の中から立ち上がり、手に槍を取り、 + そのイスラエル人のあとを追ってテントの奥の部屋に入り、イスラエル人とその女とをふたりとも、腹を刺し通して殺した。するとイスラエル人への神罰がやんだ。 + この神罰で死んだ者は、二万四千人であった。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「祭司アロンの子エルアザルの子ピネハスは、わたしのねたみをイスラエル人の間で自分のねたみとしたことで、わたしの憤りを彼らから引っ込めさせた。わたしは、わたしのねたみによってイスラエル人を絶ち滅ぼすことはしなかった。 + それゆえ、言え。『見よ。わたしは彼にわたしの平和の契約を与える。 + これは、彼とその後の彼の子孫にとって、永遠にわたる祭司職の契約となる。それは彼がおのれの神のためにねたみを表し、イスラエル人の贖いをしたからである。』」 + その殺されたイスラエル人、ミデヤン人の女といっしょに殺された者の名は、シメオン人の父の家の長サルの子ジムリであった。 + また殺されたミデヤン人の女の名はツルの娘コズビであった。ツルはミデヤンの父の家の氏族のかしらであった。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「ミデヤン人を襲い、彼らを打て。 + 彼らは巧妙にたくらんだたくらみで、あなたがたを襲ってペオルの事件を引き起こし、ペオルの事件の神罰の日に殺された彼らの同族の女、ミデヤンの族長の娘コズビの事件を引き起こしたからだ。」 + + + この神罰の後、主はモーセと祭司アロンの子エルアザルに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人の全会衆につき、父祖の家ごとに二十歳以上で、イスラエルにあって軍務につくことのできる者すべての人口調査をせよ。」 + そこでモーセと祭司エルアザルは、エリコをのぞむヨルダンのほとりのモアブの草原で彼らに告げて言った。 + 「主がモーセに命じられたように、二十歳以上の者を数えなさい。」エジプトの国から出て来たイスラエル人は、 + イスラエルの長子ルベン。ルベン族は、エノクからはエノク族、パルからはパル族、 + ヘツロンからはヘツロン族、カルミからはカルミ族。 + これがルベン人諸氏族で、登録された者は、四万三千七百三十人であった。 + パルの子孫はエリアブ。 + エリアブの子はネムエルとダタンとアビラムであった。このダタンとアビラムは会衆に選ばれた者であったが、彼らはコラの仲間に入り、モーセとアロンに逆らい、主に逆らったのである。 + そのとき、地は口をあけて、彼らをコラとともにのみこみ、その仲間は死んだ。すなわち火が二百五十人の男を食い尽くした。こうして彼らは警告のしるしとなった。 + しかしコラの子たちは死ななかった。 + シメオン族の諸氏族は、それぞれ、ネムエルからはネムエル族、ヤミンからはヤミン族、ヤキンからはヤキン族、 + ゼラフからはゼラフ族、サウルからはサウル族。 + これがシメオン人諸氏族で、二万二千二百人であった。 + ガド族の諸氏族は、それぞれ、ツェフォンからはツェフォン族、ハギからはハギ族、シュニからはシュニ族、 + オズニからはオズニ族、エリからはエリ族、 + アロデからはアロデ族、アルエリからはアルエリ族。 + これがガド諸氏族で、登録された者は、四万五百人であった。 + ユダの子はエルとオナン。しかしエルとオナンはカナンの地で死んだ。 + ユダ族の諸氏族は、それぞれ、シェラからはシェラ族、ペレツからはペレツ族、ゼラフからはゼラフ族。 + ペレツ族は、ヘツロンからはヘツロン族、ハムルからはハムル族。 + これがユダ諸氏族で、登録された者は、七万六千五百人であった。 + イッサカル族の諸氏族は、それぞれ、トラからはトラ族、プワからはプワ族、 + ヤシュブからはヤシュブ族、シムロンからはシムロン族。 + これがイッサカル諸氏族で、登録された者は、六万四千三百人であった。 + ゼブルン族の諸氏族は、それぞれ、セレデからはセレデ族、エロンからはエロン族、ヤフレエルからはヤフレエル族。 + これがゼブルン人諸氏族で、登録された者は、六万五百人であった。 + ヨセフの子孫の諸氏族は、それぞれ、マナセとエフライム。 + マナセ族は、マキルからはマキル族。マキルはギルアデを生んだ。ギルアデからはギルアデ族。 + ギルアデ族は次のとおりである。イエゼルからはイエゼル族、ヘレクからはヘレク族、 + アスリエルからはアスリエル族、シェケムからはシェケム族、 + シェミダからはシェミダ族、ヘフェルからはヘフェル族。 + ヘフェルの子ツェロフハデには、息子がなく、娘だけであった。ツェロフハデの娘の名は、マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァであった。 + これがマナセ諸氏族で、登録された者は、五万二千七百人であった。 + エフライム族の諸氏族は、それぞれ、次のとおりである。シュテラフからはシュテラフ族、ベケルからはベケル族、タハンからはタハン族。 + シュテラフ族は次のとおりである。エランからはエラン族。 + これがエフライム諸氏族で、登録された者は、三万二千五百人であった。これがヨセフの子孫の諸氏族である。 + ベニヤミン族の諸氏族は、それぞれ、ベラからはベラ族、アシュベルからはアシュベル族、アヒラムからはアヒラム族、 + シェフファムからはシュファム族、フファムからはフファム族。 + ベラの子はアルデとナアマン。アルデからはアルデ族、ナアマンからはナアマン族。 + これがベニヤミン族の諸氏族で、登録された者は、四万五千六百人であった。 + ダン族の諸氏族は、次のとおりである。シュハムからはシュハム族。これがダン族の諸氏族である。 + すべてのシュハム人諸氏族で、登録された者は、六万四千四百人であった。 + アシェル族の諸氏族は、それぞれ、イムナからはイムナ族、イシュビからはイシュビ族、ベリアからはベリア族。 + ベリア族のうち、ヘベルからはヘベル族、マルキエルからはマルキエル族。 + アシェルの娘の名はセラフであった。 + これがアシェル諸氏族で、登録された者は、五万三千四百人であった。 + ナフタリ族の諸氏族は、それぞれ、ヤフツェエルからはヤフツェエル族、グニからはグニ族、 + エツェルからはエツェル族、シレムからはシレム族。 + これがナフタリ族の諸氏族で、登録された者は、四万五千四百人であった。 + これがイスラエル人の登録された者で、六十万一千七百三十人であった。 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「この人々に、その地は、名の数にしたがって、相続地として割り当てられなければならない。 + 大きい部族にはその相続地を多くし、小さい部族にはその相続地を少なくしなければならない。おのおの登録された者に応じて、その相続地は与えられなければならない。 + ただし、その地はくじで割り当て、彼らの父祖の部族の名にしたがって、受け継がなければならない。 + その相続地はくじによって、大部族と小部族の間で割り当てられなければならない。」 + さてレビ人で氏族ごとに登録された者は、次のとおりである。ゲルションからはゲルション族、ケハテからはケハテ族、メラリからはメラリ族。 + レビ諸氏族は次のとおりである。すなわち、リブニ族、ヘブロン族、マフリ族、ムシ族、およびコラ族。ケハテはアムラムを生んだ。 + アムラムの妻の名はヨケベデで、レビの娘であった。彼女はエジプトでレビに生まれた者であって、アムラムにアロンとモーセとその姉妹ミリヤムを産んだ。 + アロンにはナダブとアビフとエルアザルとイタマルが生まれた。 + ナダブとアビフは主の前に異なった火をささげたときに死んだ。 + その登録された者は、一か月以上のすべての男子二万三千人であった。彼らは、ほかのイスラエル人の中に登録されなかった。彼らにはイスラエル人の間で相続地が与えられていなかったからである。 + これがモーセと祭司エルアザルが、エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの草原で、イスラエル人を登録したときにモーセと祭司エルアザルによって登録された者である。 + しかし、このうちには、モーセと祭司アロンがシナイの荒野でイスラエル人を登録したときに登録された者は、ひとりもいなかった。 + それは主がかつて彼らについて、「彼らは必ず荒野で死ぬ」と言われていたからである。彼らのうち、ただエフネの子カレブとヌンの子ヨシュアのほかには、だれも残っていなかった。 + + + さて、ヨセフの子マナセの一族のツェロフハデの娘たち――ツェロフハデはヘフェルの子、ヘフェルはギルアデの子、ギルアデはマキルの子、マキルはマナセの子――が進み出た。娘たちの名はマフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァであった。 + 彼女たちは、モーセと、祭司エルアザルと、族長たちと、全会衆との前、会見の天幕の入口に立って言った。 + 「私たちの父は荒野で死にました。彼はコラの仲間と一つになって主に逆らった仲間には加わっていませんでしたが、自分の罪によって死にました。彼には男の子がなかったのです。 + 男の子がなかったからといって、なぜ私たちの父の名がその氏族の間から削られるのでしょうか。私たちにも、父の兄弟たちの間で所有地を与えてください。」 + そこでモーセは、彼女たちの訴えを、主の前に出した。 + すると主はモーセに告げて仰せられた。 + 「ツェロフハデの娘たちの言い分は正しい。あなたは必ず彼女たちに、その父の兄弟たちの間で、相続の所有地を与えなければならない。彼女たちにその父の相続地を渡せ。 + あなたはイスラエル人に告げて言わなければならない。人が死に、その人に男の子がないときは、あなたがたはその相続地を娘に渡しなさい。 + もし娘もないときには、その相続地を彼の兄弟たちに与えなさい。 + もし兄弟たちもいないときには、その相続地を彼の父の兄弟たちに与えなさい。 + もしその父に兄弟がないときには、その相続地を彼の氏族の中で、彼に一番近い血縁の者に与え、それを受け継がせなさい。これを、主がモーセに命じられたとおり、イスラエル人のための定まったおきてとしなさい。」 + ついで主はモーセに言われた。「このアバリム山に登り、わたしがイスラエル人に与えた地を見よ。 + それを見れば、あなたもまた、あなたの兄弟アロンが加えられたように、あなたの民に加えられる。 + ツィンの荒野で会衆が争ったとき、あなたがたがわたしの命令に逆らい、その水のほとりで、彼らの目の前に、わたしを聖なる者としなかったからである。」これはツィンの荒野のメリバテ・カデシュの水のことである。 + それでモーセは主に申し上げた。 + 「すべての肉なるもののいのちの神、主よ。ひとりの人を会衆の上に定め、 + 彼が、彼らに先立って出て行き、彼らに先立って入り、また彼らを連れ出し、彼らを入らせるようにしてください。主の会衆を、飼う者のいない羊のようにしないでください。」 + 主はモーセに仰せられた。「あなたは神の霊の宿っている人、ヌンの子ヨシュアを取り、あなたの手を彼の上に置け。 + 彼を祭司エルアザルと全会衆の前に立たせ、彼らの見ているところで彼を任命せよ。 + あなたは、自分の権威を彼に分け与え、イスラエル人の全会衆を彼に聞き従わせよ。 + 彼は祭司エルアザルの前に立ち、エルアザルは彼のために主の前でウリムによるさばきを求めなければならない。ヨシュアと彼とともにいるイスラエルのすべての者、すなわち全会衆は、エルアザルの命令によって出、また、彼の命令によって、入らなければならない。」 + モーセは主が命じられたとおりに行った。ヨシュアを取って、彼を祭司エルアザルと全会衆の前に立たせ、 + 自分の手を彼の上に置いて、主がモーセを通して告げられたとおりに彼を任命した。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に命じて彼らに言え。あなたがたは、わたしへのなだめのかおりの火によるささげ物として、わたしへの食物のささげ物を、定められた時に、気をつけてわたしにささげなければならない。 + 彼らに言え。これがあなたがたが主にささげる火によるささげ物である。一歳の傷のない雄の子羊を常供の全焼のいけにえとして、毎日二頭。 + 一頭の子羊を朝ささげ、他の一頭の子羊を夕暮れにささげなければならない。 + 穀物のささげ物としては、上質のオリーブ油四分の一ヒンを混ぜた小麦粉十分の一エパとする。 + これはシナイ山で定められた常供の全焼のいけにえであって、主へのなだめのかおりの火によるささげ物である。 + それにつく注ぎのささげ物は子羊一頭につき四分の一ヒンとする。聖所で、主への注ぎのささげ物として強い酒を注ぎなさい。 + 他の一頭の子羊は夕暮れにささげなければならない。これに朝の穀物のささげ物や、注ぎのささげ物と同じものを添えてささげなければならない。これは主へのなだめのかおりの火によるささげ物である。 + 安息日には、一歳の傷のない雄の子羊二頭と、穀物のささげ物として油を混ぜた小麦粉十分の二エパと、それにつく注ぎのささげ物とする。 + これは、常供の全焼のいけにえとその注ぎのささげ物とに加えられる、安息日ごとの全焼のいけにえである。 + あなたがたは月の第一日に、主への全焼のいけにえとして若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の傷のない雄の子羊七頭をささげなければならない。 + 雄牛一頭については、穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉十分の三エパ。雄羊一頭については、穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉十分の二エパとする。 + 子羊一頭については、穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉十分の一エパ。これらはなだめのかおりの全焼のいけにえであって、主への火によるささげ物である。 + それにつく注ぎのささげ物は、雄牛一頭については二分の一ヒン、雄羊一頭については三分の一ヒン、子羊一頭については四分の一ヒンのぶどう酒でなければならない。これは一年を通して毎月の、新月祭の全焼のいけにえである。 + 常供の全焼のいけにえとその注ぎのささげ物に加えて、雄やぎ一頭が、主への罪のためのいけにえとしてささげられなければならない。 + 第一の月の十四日は、過越のいけにえを主にささげなさい。 + この月の十五日は祭りである。七日間、種を入れないパンを食べなければならない。 + その最初の日には、聖なる会合を開き、どんな労役の仕事もしてはならない。 + あなたがたは、主への火によるささげ物、全焼のいけにえとして、若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭をささげなければならない。それはあなたがたにとって傷のないものでなければならない。 + それにつく穀物のささげ物として、油を混ぜた小麦粉を、雄牛一頭につき十分の三エパ、雄羊一頭につき十分の二エパをささげなければならない。 + 子羊七頭には、一頭につき十分の一エパをささげなければならない。 + あなたがたの贖いのためには、罪のためのいけにえとして、雄やぎ一頭とする。 + あなたがたは、常供の全焼のいけにえである朝の全焼のいけにえのほかに、これらの物をささげなければならない。 + このように七日間、毎日主へのなだめのかおりの火によるささげ物を食物としてささげなければならない。これは常供の全焼のいけにえとその注ぎのささげ物とに加えてささげられなければならない。 + 七日目にあなたがたは聖なる会合を開かなければならない。どんな労役の仕事もしてはならない。 + 初穂の日、すなわち七週の祭りに新しい穀物のささげ物を主にささげるとき、あなたがたは聖なる会合を開かなければならない。どんな労役の仕事もしてはならない。 + あなたがたは、主へのなだめのかおりとして、全焼のいけにえ、すなわち、若い雄牛二頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭をささげなさい。 + それにつく穀物のささげ物としては、油を混ぜた小麦粉を、雄牛一頭につき十分の三エパ、雄羊一頭につき十分の二エパとする。 + 七頭の子羊には、一頭につき十分の一エパとする。 + あなたがたの贖いのためには、雄やぎ一頭とする。 + あなたがたは、常供の全焼のいけにえとその穀物のささげ物のほかに、これらのものと――これらは傷のないものでなければならない――それらにつく注ぎのささげ物とをささげなければならない。 + + + 第七月には、その月の一日にあなたがたは聖なる会合を開かなければならない。あなたがたはどんな労役の仕事もしてはならない。これをあなたがたにとってラッパが吹き鳴らされる日としなければならない。 + あなたがたは、主へのなだめのかおりとして、全焼のいけにえ、すなわち、若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の傷のない雄の子羊七頭をささげなさい。 + それにつく穀物のささげ物としては、油を混ぜた小麦粉を、雄牛一頭につき十分の三エパ、雄羊一頭につき十分の二エパとする。 + 七頭の子羊には、一頭につき十分の一エパとする。 + あなたがたの贖いのためには、罪のためのいけにえとして、雄やぎ一頭とする。 + これらは、定めによる新月祭の全焼のいけにえとその穀物のささげ物、常供の全焼のいけにえとその穀物のささげ物、および、それにつく注ぎのささげ物、すなわち、なだめのかおりとしての主への火によるささげ物以外のものである。 + この第七月の十日には、あなたがたは聖なる会合を開き、身を戒めなければならない。どんな仕事もしてはならない。 + あなたがたは、主へのなだめのかおりとして、全焼のいけにえ、すなわち、若い雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の雄の子羊七頭をささげなさい。これらはあなたがたにとって傷のないものでなければならない。 + それにつく穀物のささげ物としては、油を混ぜた小麦粉を、雄牛一頭につき十分の三エパ、雄羊一頭につき十分の二エパとする。 + 七頭の子羊には、一頭につき十分の一エパとする。 + 罪のためのいけにえは雄やぎ一頭とする。これらは贖いのための罪のためのいけにえと、常供の全焼のいけにえ、それにつく穀物のささげ物と、これらにつく注ぎのささげ物以外のものである。 + 第七月の十五日には、あなたがたは聖なる会合を開かなければならない。どんな労役の仕事もしてはならない。あなたがたは七日間、主の祭りを祝いなさい。 + あなたがたは、主へのなだめのかおりの火によるささげ物として、全焼のいけにえ、すなわち、若い雄牛十三頭、雄羊二頭、一歳の雄の子羊十四頭をささげなさい。これらは傷のないものでなければならない。 + それにつく穀物のささげ物としては、油を混ぜた小麦粉を、雄牛十三頭のため、雄牛一頭につき十分の三エパ、雄羊二頭のため、雄羊一頭につき十分の二エパ、 + 子羊十四頭のため、子羊一頭につき十分の一エパとする。 + 罪のためのいけにえは雄やぎ一頭とする。これらは常供の全焼のいけにえと、その穀物のささげ物、および注ぎのささげ物以外のものである。 + 二日目には、若い雄牛十二頭、雄羊二頭、一歳の傷のない雄の子羊十四頭、 + これらの雄牛、雄羊、子羊のための、それぞれの数に応じて定められた穀物のささげ物と注ぎのささげ物とする。 + 罪のためのいけにえは雄やぎ一頭とする。これらは常供の全焼のいけにえと、その穀物のささげ物、および注ぎのささげ物以外のものである。 + 三日目には、雄牛十一頭、雄羊二頭、一歳の傷のない雄の子羊十四頭、 + これらの雄牛、雄羊、子羊のための、それぞれの数に応じて定められた穀物のささげ物と注ぎのささげ物とする。 + 罪のためのいけにえは雄やぎ一頭とする。これらは常供の全焼のいけにえと、その穀物のささげ物、および注ぎのささげ物以外のものである。 + 四日目には、雄牛十頭、雄羊二頭、一歳の傷のない雄の子羊十四頭、 + これらの雄牛、雄羊、子羊のための、それぞれの数に応じて定められた穀物のささげ物と注ぎのささげ物とする。 + 罪のためのいけにえは雄やぎ一頭とする。これらは常供の全焼のいけにえと、その穀物のささげ物、および注ぎのささげ物以外のものである。 + 五日目には、雄牛九頭、雄羊二頭、一歳の傷のない雄の子羊十四頭、 + これらの雄牛、雄羊、子羊のための、それぞれの数に応じて定められた穀物のささげ物と注ぎのささげ物とする。 + 罪のためのいけにえは雄やぎ一頭とする。これらは常供の全焼のいけにえと、その穀物のささげ物、および注ぎのささげ物以外のものである。 + 六日目には、雄牛八頭、雄羊二頭、一歳の傷のない雄の子羊十四頭、 + これらの雄牛、雄羊、子羊のための、それぞれの数に応じて定められた穀物のささげ物と注ぎのささげ物とする。 + 罪のためのいけにえは雄やぎ一頭とする。これらは常供の全焼のいけにえと、その穀物のささげ物、および注ぎのささげ物以外のものである。 + 七日目には、雄牛七頭、雄羊二頭、一歳の傷のない雄の子羊十四頭、 + これらの雄牛、雄羊、子羊のための、それぞれの数に応じて定められた穀物のささげ物と注ぎのささげ物とする。 + 罪のためのいけにえは雄やぎ一頭とする。これらは常供の全焼のいけにえと、その穀物のささげ物、および注ぎのささげ物以外のものである。 + 八日目にあなたがたはきよめの集会を開かなければならない。どんな労役の仕事もしてはならない。 + あなたがたは、主へのなだめのかおりの火によるささげ物として、全焼のいけにえ、すなわち、雄牛一頭、雄羊一頭、一歳の傷のない雄の子羊七頭をささげなさい。 + これらの雄牛、雄羊、子羊のための、穀物のささげ物と注ぎのささげ物とは、それぞれの数に応じて定められる。 + 罪のためのいけにえは雄やぎ一頭とする。これらは常供の全焼のいけにえと、その穀物のささげ物、および注ぎのささげ物以外のものである。 + あなたがたは定められた時に、これらのものを主にささげなければならない。これらはあなたがたの誓願、または進んでささげるささげ物としての全焼のいけにえ、穀物のささげ物、注ぎのささげ物および和解のいけにえ以外のものである。」 + モーセは、主がモーセに命じられたとおりを、イスラエル人に告げた。 + + + モーセはイスラエル人の部族の一族のかしらたちに告げて言った。「これは主が命じられたことである。 + 人がもし、主に誓願をし、あるいは、物断ちをしようと誓いをするなら、そのことばを破ってはならない。すべて自分の口から出たとおりのことを実行しなければならない。 + もし女がまだ婚約していないおとめで、父の家にいて主に誓願をし、あるいは物断ちをする場合、 + その父が彼女の誓願、あるいは、物断ちを聞いて、その父が彼女に何も言わなければ、彼女のすべての誓願は有効となる。彼女の物断ちもすべて、有効としなければならない。 + もし父がそれを聞いた日に彼女にそれを禁じるなら、彼女の誓願、または、物断ちはすべて無効としなければならない。彼女の父が彼女に禁じるのであるから、主は彼女を赦される。 + もし彼女が、自分の誓願、あるいは、物断ちをするのに無思慮に言ったことが、まだその身にかかっているうちにとつぐ場合、 + 夫がそれを聞き、聞いた日に彼女に何も言わなければ、彼女の誓願は有効である。彼女の物断ちも有効でなければならない。 + もし彼女の夫がそれを聞いた日に彼女に禁じるなら、彼は、彼女がかけている誓願や、物断ちをするのに無思慮に言ったことを破棄することになる。そして主は彼女を赦される。 + やもめや離婚された女の誓願で、物断ちをするものはすべて有効としなければならない。 + もし女が夫の家で誓願をし、あるいは、誓って物断ちをする場合、 + 夫がそれを聞いて、彼女に何も言わず、しかも彼女に禁じないならば、彼女の誓願はすべて有効となる。彼女の物断ちもすべて有効としなければならない。 + もし夫が、そのことを聞いた日にそれらを破棄してしまうなら、その誓願も、物断ちも、彼女の口から出たすべてのことは無効としなければならない。彼女の夫がそれを破棄したので、主は彼女を赦される。 + すべての誓願も、身を戒めるための物断ちの誓いもみな、彼女の夫がそれを有効にすることができ、彼女の夫がそれを破棄することができる。 + もし夫が日々、その妻に全く何も言わなければ、夫は彼女のすべての誓願、あるいは、すべての物断ちを有効にする。彼がそれを聞いた日に彼女に何も言わなかったので、彼はそれを有効にしたのである。 + もし夫がそれを聞いて後、それを破棄してしまうなら、夫が彼女の咎を負う。」 + 以上は主がモーセに命じられたおきてであって、夫とその妻、父と父の家にいるまだ婚約していないその娘との間に関するものである。 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「ミデヤン人にイスラエル人の仇を報いよ。その後あなたは、あなたの民に加えられる。」 + そこでモーセは民に告げて言った。「あなたがたのうち、男たちは、いくさのために武装しなさい。ミデヤン人を襲って、ミデヤン人に主の復讐をするためである。 + イスラエルのすべての部族から、一部族ごとに千人ずつをいくさに送らなければならない。」 + それで、イスラエルの分団から部族ごとに千人が割り当てられ、一万二千人がいくさのために武装された。 + モーセは部族ごとに千人ずつをいくさに送った。祭司エルアザルの子ピネハスを、聖具と吹き鳴らすラッパをその手に持たせて、彼らとともにいくさに送った。 + 彼らは主がモーセに命じられたとおりに、ミデヤン人と戦って、その男子をすべて殺した。 + 彼らはその殺した者たちのほかに、ミデヤンの王たち、エビ、レケム、ツル、フル、レバの五人のミデヤンの王たちを殺した。彼らはベオルの子バラムを剣で殺した。 + イスラエル人はミデヤン人の女、子どもをとりこにし、またその獣や、家畜や、その財産をことごとく奪い取り、 + 彼らの住んでいた町々や陣営を全部火で焼いた。 + そして人も獣も、略奪したものや分捕ったものをすべて取り、 + 捕虜や分捕ったもの、略奪したものを携えて、エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの草原の宿営にいるモーセと祭司エルアザルとイスラエル人の会衆のところに来た。 + モーセと祭司エルアザルおよびすべての会衆の上に立つ者たちは出て行って宿営の外で彼らを迎えた。 + モーセは軍勢の指揮官たち、すなわち戦いの任務から帰って来た千人の長や百人の長たちに対して怒った。 + モーセは彼らに言った。「あなたがたは、女たちをみな、生かしておいたのか。 + ああ、この女たちはバラムの事件のおり、ペオルの事件に関連してイスラエル人をそそのかして、主に対する不実を行わせた。それで神罰が主の会衆の上に下ったのだ。 + 今、子どものうち男の子をみな殺せ。男と寝て、男を知っている女もみな殺せ。 + 男と寝ることを知らない若い娘たちはみな、あなたがたのために生かしておけ。 + あなたがたは七日間、宿営の外にとどまれ。あなたがたでも、あなたがたの捕虜でも、人を殺した者、あるいは刺し殺された者に触れた者はだれでも、三日目と七日目に罪の身をきよめなければならない。 + 衣服、皮製品、やぎの毛で作ったもの、木製品はすべてきよめなければならない。」 + 祭司エルアザルは戦いに行った軍人たちに言った。「主がモーセに命じられたおしえのおきては次のとおりである。 + 金、銀、青銅、鉄、すず、鉛、 + すべて火に耐えるものは、火の中を通し、きよくしなければならない。しかし、それは汚れをきよめる水できよめられなければならない。火に耐えないものはみな、水の中を通さなければならない。 + あなたがたは七日目に自分の衣服を洗うなら、きよくなる。その後、宿営に入ることができる。」 + 主はモーセに次のように言われた。 + 「あなたと、祭司エルアザルおよび会衆の氏族のかしらたちは、人と家畜で捕虜として分捕ったものの数を調べ、 + その分捕ったものをいくさに出て取って来た戦士たちと、全会衆との間に二分せよ。 + いくさに出た戦士たちからは、人や牛やろばや羊を、それぞれ五百に対して一つ、主のためにみつぎとして徴収せよ。 + 彼らが受ける分のうちからこれを取って、主への奉納物として祭司エルアザルに渡さなければならない。 + イスラエル人が受ける分のうちから、人や牛やろばや羊、これらすべての家畜を、それぞれ五十に対して一つ、取り出しておき、それらを主の幕屋の任務を果たすレビ人に与えなければならない。」 + そこでモーセと祭司エルアザルは、主がモーセに命じられたとおりに行った。 + 従軍した民が奪った戦利品以外の分捕りものは、羊六十七万五千頭、 + 牛七万二千頭、 + ろば六万一千頭、 + 人間は男と寝ることを知らない女がみなで三万二千人であった。 + この半分がいくさに出た人々への分け前で、羊の数は三十三万七千五百頭。 + その羊のうちから主へのみつぎは六百七十五頭。 + 牛は三万六千頭で、そのうちから主へのみつぎは七十二頭。 + ろばは三万五百頭で、そのうちから主へのみつぎは六十一頭。 + 人間は一万六千人で、そのうちから主へのみつぎは三十二人であった。 + モーセは、主がモーセに命じられたとおりに、そのみつぎ、すなわち、主への奉納物を祭司エルアザルに渡した。 + モーセがいくさに出た者たちに折半して与えた残り、すなわち、イスラエル人のものである半分、 + つまり会衆のものである半分は、羊三十三万七千五百頭、 + 牛三万六千頭、 + ろば三万五百頭、 + 人間は一万六千人であった。 + モーセは、このイスラエル人のものである半分から、人間も家畜も、それぞれ五十ごとに一つを取り出し、それらを主がモーセに命じられたとおりに、主の幕屋の任務を果たすレビ人に与えた。 + すると、軍団の指揮官たち、すなわち千人の長、百人の長たちがモーセのもとに進み出て、 + モーセに言った。「しもべどもは、部下の戦士たちの人員点呼をしました。私たちのうちひとりも欠けておりません。 + それで、私たちは、おのおのが手に入れた金の飾り物、すなわち腕飾り、腕輪、指輪、耳輪、首飾りなどを主へのささげ物として持って来て、主の前での私たち自身の贖いとしたいのです。」 + モーセと祭司エルアザルは、彼らから金を受け取った。それはあらゆる種類の細工を施した物であった。 + 千人の長や百人の長たちが、主に供えた奉納物の金は全部で、一万六千七百五十シェケルであった。 + 従軍した人たちは、戦利品をめいめい自分のものとした。 + モーセと祭司エルアザルは、千人の長や百人の長たちから金を受け取り、それを会見の天幕に持って行き、主の前に、イスラエル人のための記念とした。 + + + ルベン族とガド族は、非常に多くの家畜を持っていた。彼らがヤゼルの地とギルアデの地を見ると、その場所はほんとうに家畜に適した場所であったので、 + ガド族とルベン族は、モーセと祭司エルアザルおよび会衆の上に立つ者たちのところに来て、次のように言った。 + 「アタロテ、ディボン、ヤゼル、ニムラ、ヘシュボン、エルアレ、セバム、ネボ、ベオン。 + これら主がイスラエルの会衆のために打ち滅ぼされた地は、家畜に適した地です。そして、あなたのしもべどもは家畜を持っているのです。」 + また彼らは言った。「もし、私たちの願いがかないますなら、どうかこの地をあなたのしもべどもに所有地として与えてください。私たちにヨルダンを渡らせないでください。」 + モーセはガド族とルベン族に答えた。「あなたがたの兄弟たちは戦いに行くのに、あなたがたは、ここにとどまろうとするのか。 + どうしてあなたがたは、イスラエル人の意気をくじいて、主が彼らに与えた地へ渡らせないようにするのか。 + 私がカデシュ・バルネアからその地を調べるためにあなたがたの父たちを遣わしたときにも、彼らはこのようにふるまった。 + 彼らはエシュコルの谷まで上って行き、その地を見て、主が彼らに与えられた地に入って行かないようにイスラエル人の意気をくじいた。 + その日、主の怒りが燃え上がり、誓って言われた。 + 『エジプトから上って来た者たちで二十歳以上の者はだれも、わたしがアブラハム、イサク、ヤコブに誓った地を見ることはできない。彼らはわたしに従い通さなかった。 + ただ、ケナズ人エフネの子カレブと、ヌンの子ヨシュアは別である。彼らは主に従い通したからである。』 + 主の怒りはイスラエルに向かって燃え上がったのだ。それで主の目の前に悪を行ったその世代の者がみな死に絶えてしまうまで彼らを四十年の間、荒野にさまよわされた。 + そして今、あなたがた罪人の子らは、あなたがたの父たちに代わって立ち上がり、イスラエルに対する主の燃える怒りをさらに増し加えようとしている。 + あなたがたが、もしそむいて主に従わなければ、主はまたこの民をこの荒野に見捨てられる。そしてあなたがたはこの民すべてに滅びをもたらすことになる。」 + 彼らはモーセに近づいて言った。「私たちはここに家畜のために羊の囲い場を作り、子どもたちのために町々を建てます。 + しかし、私たちは、イスラエル人をその場所に導き入れるまで、武装して彼らの先頭に立って急ぎます。私たちの子どもたちは、この地の住民の前で城壁のある町々に住みます。 + 私たちは、イスラエル人がおのおのその相続地を受け継ぐまで、私たちの家に帰りません。 + 私たちは、ヨルダンを越えた向こうでは、彼らとともに相続地を持ちはしません。私たちの相続地は、ヨルダンのこちらの側、東のほうになっているからです。」 + モーセは彼らに言った。「もしあなたがたがそのようにし、もし主の前に戦いのため武装をし、 + あなたがたのうちの武装した者がみな、主の前でヨルダンを渡り、ついに主がその敵を御前から追い払い、 + その地が主の前に征服され、その後あなたがたが帰って来るのであれば、あなたがたは主に対しても、イスラエルに対しても責任が解除される。そして、この地は主の前であなたがたの所有地となる。 + しかし、もしそのようにしないなら、今や、あなたがたは主に対して罪を犯したのだ。あなたがたの罪の罰があることを思い知りなさい。 + あなたがたの子どもたちのために町々を建て、その羊のために囲い場を作りなさい。あなたがたの口から出たことは実行しなければならない。」 + ガド族とルベン族はモーセに答えて言った。「あなたのしもべどもは、あなたの命じるとおりにします。 + 私たちの子どもたちや妻たち、家畜とすべての獣は、そこのギルアデの町々にとどまります。 + しかし、あなたのしもべたち、いくさのために武装した者はみな、あなたが命じられたとおり、渡って行って、主の前に戦います。」 + そこで、モーセは彼らについて、祭司エルアザル、ヌンの子ヨシュア、イスラエル人の部族の一族のかしらたちに命令を下した。 + モーセは彼らに言った。「もし、ガド族とルベン族の戦いのために武装した者がみな、あなたがたとともにヨルダンを渡り、主の前に戦い、その地があなたがたの前に征服されたなら、あなたがたはギルアデの地を所有地として彼らに与えなさい。 + もし彼らが武装し、あなたがたとともに渡って行かなければ、彼らはカナンの地であなたがたの間に所有地を得なければならない。」 + ガド族とルベン族は答えて言った。「主があなたのしもべたちについて言われたとおりに、私たちはいたします。 + 私たちは武装して主の前にカナンの地に渡って行きます。それで私たちの相続の所有地はヨルダンのこちら側にありますように。」 + そこでモーセは、ガド族と、ルベン族と、ヨセフの子マナセの半部族とに、エモリ人の王シホンの王国と、バシャンの王オグの王国、すなわちその町々のある国と、周辺の地の町々のある領土とを与えた。 + そこでガド族は、ディボン、アタロテ、アロエル、 + アテロテ・ショファン、ヤゼル、ヨグボハ、 + ベテ・ニムラ、ベテ・ハランを城壁のある町々として、または羊の囲い場として建て直した。 + また、ルベン族は、ヘシュボン、エルアレ、キルヤタイム、 + ネボ、バアル・メオン――ある名は改められる――またシブマを建て直した。彼らは、建て直した町々に新しい名をつけた。 + マナセの子マキルの子らはギルアデに行ってそこを攻め取り、そこにいたエモリ人を追い出した。 + それでモーセは、ギルアデをマナセの子マキルに与えたので、彼はそこに住みついた。 + マナセの子ヤイルは行って、彼らの村々を攻め取り、それらをハボテ・ヤイルと名づけた。 + ノバフは行って、ケナテとそれに属する村落を攻め取り、自分の名にちなんで、それをノバフと名づけた。 + + + モーセとアロンの指導のもとに、その軍団ごとに、エジプトの地から出て来たイスラエル人の旅程は次のとおりである。 + モーセは主の命により、彼らの旅程の出発地点を書きしるした。その旅程は、出発地点によると次のとおりである。 + 彼らは第一月、その月の十五日に、ラメセスから旅立った。すなわち過越のいけにえの翌日、イスラエル人は、全エジプトが見ている前を臆することなく出て行った。 + エジプトは、彼らの間で主が打ち殺されたすべての初子を埋葬していた。主は彼らの神々にさばきを下された。 + イスラエル人はラメセスから旅立ってスコテに宿営し、 + スコテから旅立って荒野の端にあるエタムに宿営した。 + エタムから旅立ってバアル・ツェフォンの手前にあるピ・ハヒロテのほうに向きを変え、ミグドルの前で宿営した。 + ピ・ハヒロテから旅立って海の真ん中を通って荒野に向かい、エタムの荒野を三日路ほど行ってマラに宿営した。 + 彼らはマラから旅立ってエリムに行った。エリムには十二の泉と、七十本のなつめやしの木があり、そこに宿営した。 + ついでエリムから旅立って葦の海のほとりに宿営し、 + 葦の海から旅立ってシンの荒野に宿営した。 + シンの荒野から旅立ってドフカに宿営し、 + ドフカから旅立ってアルシュに宿営し、 + アルシュから旅立ってレフィディムに宿営した。そこには民の飲む水がなかった。 + ついで彼らはレフィディムから旅立ってシナイの荒野に宿営し、 + シナイの荒野から旅立ってキブロテ・ハタアワに宿営した。 + キブロテ・ハタアワから旅立ってハツェロテに宿営し、 + ハツェロテから旅立ってリテマに宿営した。 + リテマから旅立ってリモン・ペレツに宿営し、 + リモン・ペレツから旅立ってリブナに宿営した。 + リブナから旅立ってリサに宿営し、 + リサから旅立ってケヘラタに宿営し、 + ケヘラタから旅立ってシェフェル山に宿営した。 + シェフェル山から旅立ってハラダに宿営し、 + ハラダから旅立ってマクヘロテに宿営した。 + マクヘロテから旅立ってタハテに宿営し、 + タハテから旅立ってテラに宿営し、 + テラから旅立ってミテカに宿営した。 + ミテカから旅立ってハシュモナに宿営し、 + ハシュモナから旅立ってモセロテに宿営した。 + モセロテから旅立ってベネ・ヤアカンに宿営し、 + ベネ・ヤアカンから旅立ってホル・ハギデガデに宿営した。 + ホル・ハギデガデから旅立ってヨテバタに宿営し、 + ヨテバタから旅立ってアブロナに宿営し、 + アブロナから旅立ってエツヨン・ゲベルに宿営した。 + エツヨン・ゲベルから旅立ってツィンの荒野、すなわちカデシュに宿営し、 + カデシュから旅立ってエドムの国の端にあるホル山に宿営した。 + 祭司アロンは主の命令によってホル山に登り、そこで死んだ。それはイスラエル人がエジプトの国を出てから四十年目の第五月の一日であった。 + アロンはホル山で死んだとき、百二十三歳であった。 + カナンの地のネゲブに住んでいたカナン人、アラデの王は、イスラエル人がやって来るのを聞いた。 + さて彼らはホル山から旅立ってツァルモナに宿営し、 + ツァルモナから旅立ってプノンに宿営し、 + プノンから旅立ってオボテに宿営し、 + オボテから旅立ってモアブの領土のイエ・ハアバリムに宿営した。 + イイムから旅立ってディボン・ガドに宿営し、 + ディボン・ガドから旅立ってアルモン・ディブラタイムに宿営した。 + アルモン・ディブラタイムから旅立ってネボの手前にあるアバリムの山々に宿営し、 + アバリムの山々から旅立ってエリコに近いヨルダンのほとりのモアブの草原に宿営した。 + ヨルダンのほとり、ベテ・ハエシモテからアベル・ハシティムに至るまでのモアブの草原に彼らは宿営した。 + エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの草原で、主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて彼らに言え。あなたがたがヨルダンを渡ってカナンの地に入るときには、 + その地の住民をことごとくあなたがたの前から追い払い、彼らの石像をすべて粉砕し、彼らの鋳像をすべて粉砕し、彼らの高き所をみな、こぼたなければならない。 + あなたがたはその地を自分の所有とし、そこに住みなさい。あなたがたが所有するように、わたしがそれを与えたからである。 + あなたがたは、氏族ごとに、くじを引いて、その地を相続地としなさい。大きい部族には、その相続地を多くし、小さい部族には、その相続地を少なくしなければならない。くじが当たったその場所が、その部族のものとなる。あなたがたは、自分の父祖の部族ごとに相続地を受けなければならない。 + もしその地の住民をあなたがたの前から追い払わなければ、あなたがたが残しておく者たちは、あなたがたの目のとげとなり、わき腹のいばらとなり、彼らはあなたがたの住むその土地であなたがたを悩ますようになる。 + そしてわたしは、彼らに対してしようと計ったとおりをあなたがたにしよう。」 + + + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に命じて、彼らに言え。あなたがたがカナンの地に入るとき、あなたがたの相続地となる国、カナンの地の境界は次のとおりである。 + あなたがたの南側は、エドムに接するツィンの荒野に始まる。南の境界線は、東のほうの塩の海の端に始まる。 + その境界線は、アクラビムの坂の南から回ってツィンのほうに進み、その終わりはカデシュ・バルネアの南である。またハツァル・アダルを出て、アツモンに進む。 + その境界線は、アツモンから回ってエジプト川に向かい、その終わりは海である。 + あなたがたの西の境界線は、大海とその沿岸である。これをあなたがたの西の境界線としなければならない。 + あなたがたの北の境界線は、次のとおりにしなければならない。大海からホル山まで線を引き、 + さらにホル山からレボ・ハマテまで線を引き、その境界線の終わりはツェダデである。 + ついでその境界線は、ジフロンに延び、その終わりはハツァル・エナンである。これがあなたがたの北の境界線である。 + あなたがたの東の境界線としては、ハツァル・エナンからシェファムまで線を引け。 + その境界線は、シェファムからアインの東方のリブラに下り、さらに境界線は、そこから下ってキネレテの海の東の傾斜地に達し、 + さらにその境界線は、ヨルダンに下り、その終わりは塩の海である。以上が周囲の境界線によるあなたがたの地である。」 + モーセはイスラエル人に命じて言った。「これが、あなたがたがくじを引いて相続地とする土地である。主はこれを九部族と半部族に与えよと命じておられる。 + ルベン部族は、その父祖の家ごとに、ガド部族も、その父祖の家ごとに相続地を取っており、マナセの半部族も、受けているからである。 + この二部族と半部族は、ヨルダンのエリコをのぞむ対岸、東の、日の出るほうに彼らの相続地を取っている。」 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「この地をあなたがたのための相続地とする者の名は次のとおり、祭司エルアザルとヌンの子ヨシュアである。 + あなたがたは、この地を相続地とするため、おのおのの部族から族長ひとりずつを取らなければならない。 + その人々の名は次のとおりである。ユダ部族からは、エフネの子カレブ。 + シメオン部族からは、アミフデの子サムエル。 + ベニヤミン部族からは、キスロンの子エリダデ。 + ダン部族からは、族長として、ヨグリの子ブキ。 + ヨセフの子孫、マナセ部族からは、族長として、エフォデの子ハニエル。 + エフライム部族からは、族長として、シフタンの子ケムエル。 + ゼブルン部族からは、族長として、パルナクの子エリツァファン。 + イッサカル部族からは、族長として、アザンの子パルティエル。 + アシェル部族からは、族長として、シェロミの子アヒフデ。 + ナフタリ部族からは、族長として、アミフデの子ペダフエル。 + イスラエル人にカナンの地で相続地を持たせるよう主が命じたのはこの人々である。」 + + + エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの草原で、主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に命じて、その所有となる相続地の一部を、レビ人に住むための町々として与えさせなさい。彼らはその町々の回りの放牧地をレビ人に与えなければならない。 + 町々は彼らが住むためであり、その放牧地は彼らの家畜や群れや、すべての獣のためである。 + あなたがたがレビ人に与える町々の放牧地は、町の城壁から外側に、回り一千キュビトでなければならない。 + 町の外側に、町を真ん中として東側に二千キュビト、南側に二千キュビト、西側に二千キュビト、北側に二千キュビトを測れ。これが彼らの町々の放牧地である。 + あなたがたが、レビ人に与える町々、すなわち、人を殺した者がそこにのがれるために与える六つの、のがれの町と、そのほかに、四十二の町を与えなければならない。 + あなたがたがレビ人に与える町は、全部で四十八の町で、放牧地つきである。 + あなたがたがイスラエル人の所有地のうちから与える町々は、大きい部族からは多く、小さい部族からは少なくしなければならない。おのおの自分の相続した相続地に応じて、自分の町々からレビ人に与えなければならない。」 + 主はモーセに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて、彼らに言え。あなたがたがヨルダンを渡ってカナンの地に入るとき、 + あなたがたは町々を定めなさい。それをあなたがたのために、のがれの町とし、あやまって人を打ち殺した殺人者がそこにのがれることができるようにしなければならない。 + この町々は、あなたがたが復讐する者から、のがれる所で、殺人者が、さばきのために会衆の前に立つ前に、死ぬことのないためである。 + あなたがたが与える町々は、あなたがたのために六つの、のがれの町としなければならない。 + ヨルダンのこちら側に三つの町を与え、カナンの地に三つの町を与えて、あなたがたののがれの町としなければならない。 + これらの六つの町はイスラエル人、または彼らの間の在住異国人のための、のがれの場所としなければならない。すべてあやまって人を殺した者が、そこにのがれるためである。 + 人がもし鉄の器具で人を打って死なせたなら、その者は殺人者である。その殺人者は必ず殺されなければならない。 + もし、人を殺せるほどの石の道具で人を打って死なせたなら、その者は殺人者である。殺人者は必ず殺されなければならない。 + あるいは、人を殺せるほどの木製の器具で、人を打って死なせたなら、その者は殺人者である。殺人者は必ず殺されなければならない。 + 血の復讐をする者は、自分でその殺人者を殺してもよい。彼と出会ったときに、彼を殺してもよい。 + もし、人が憎しみをもって人を突くか、あるいは悪意をもって人に物を投げつけて死なせるなら、 + あるいは、敵意をもって人を手で打って死なせるなら、その打った者は必ず殺されなければならない。彼は殺人者である。その血の復讐をする者は、彼と出会ったときに、その殺人者を殺してもよい。 + もし敵意もなく人を突き、あるいは悪意なしに何か物を投げつけ、 + または気がつかないで、人を死なせるほどの石を人の上に落とし、それによって死なせた場合、しかもその人が自分の敵でもなく、傷つけようとしたのでもなければ、 + 会衆は、打ち殺した者と、その血の復讐をする者との間を、これらのおきてに基づいてさばかなければならない。 + 会衆は、その殺人者を、血の復讐をする者の手から救い出し、会衆は彼を、逃げ込んだそののがれの町に返してやらなければならない。彼は、聖なる油をそそがれた大祭司が死ぬまで、そこにいなければならない。 + もし、その殺人者が、自分が逃げ込んだのがれの町の境界から出て行き、 + 血の復讐をする者が、そののがれの町の境界の外で彼を見つけて、その殺人者を殺しても、彼には血を流した罪はない。 + その者は、大祭司が死ぬまでは、そののがれの町に住んでいなければならないからである。大祭司の死後には、その殺人者は、自分の所有地に帰ることができる。 + これらのことは、あなたがたが住みつくすべての所で、代々にわたり、あなたがたのさばきのおきてとなる。 + もしだれかが人を殺したなら、証人の証言によってその殺人者を、殺さなければならない。しかし、ただひとりの証人の証言だけでは、死刑にするには十分でない。 + あなたがたは、死刑に当たる悪を行った殺人者のいのちのために贖い金を受け取ってはならない。彼は必ず殺されなければならない。 + のがれの町に逃げ込んだ者のために、贖い金を受け取り、祭司が死ぬ前に、国に帰らせて住まわせてはならない。 + あなたがたは、自分たちのいる土地を汚してはならない。血は土地を汚すからである。土地に流された血についてその土地を贖うには、その土地に血を流させた者の血による以外はない。 + あなたがたは、自分たちの住む土地、すなわち、わたし自身がそのうちに宿る土地を汚してはならない。主であるわたしが、イスラエル人の真ん中に宿るからである。」 + + + ヨセフ族の一つ、マナセの子マキルの子ギルアデの氏族に属する諸家族のかしらたちが進み出て、モーセとイスラエル人の諸家族のかしらである家長たちに訴えて、 + 言った。「主は、あの土地をくじによってイスラエル人に相続地として与えるように、あなたに命じられました。そしてまた、私たちの親類ツェロフハデの相続地を、彼の娘たちに与えるように、あなたは主に命じられています。 + もし彼女たちが、イスラエル人の他の部族の息子たちにとついだなら、彼女たちの相続地は、私たちの父祖の相続地から差し引かれて、彼女たちがとつぐ部族の相続地に加えられましょう。こうして私たちの相続の地所は減ることになります。 + イスラエル人のヨベルの年になれば、彼女たちの相続地は、彼女たちのとつぐ部族の相続地に加えられ、彼女たちの相続地は、私たちの父祖の部族の相続地から差し引かれることになります。」 + そこでモーセは、主の命により、イスラエル人に命じて言った。「ヨセフ部族の訴えはもっともである。 + 主がツェロフハデの娘たちについて命じて仰せられたことは次のとおりである。『彼女たちは、その心にかなう人にとついでよい。ただし、彼女たちの父の部族に属する氏族にとつがなければならない。 + イスラエル人の相続地は、一つの部族から他の部族に移してはならない。イスラエル人は、おのおのその父祖の部族の相続地を堅く守らなければならないからである。 + イスラエル人の部族のうち、相続地を受け継ぐ娘はみな、その父の部族に属する氏族のひとりにとつがなければならない。イスラエル人が、おのおのその父祖の相続地を受け継ぐためである。 + こうして相続地は、一つの部族から他の部族に移してはならない。イスラエル人の部族は、おのおのその相続地を堅く守らなければならないからである。』」 + ツェロフハデの娘たちは、主がモーセに命じられたとおりに行った。 + ツェロフハデの娘たち、マフラ、ティルツァ、ホグラ、ミルカおよびノアは、そのおじの息子たちにとついだ。 + 彼女たちは、ヨセフの子マナセの子孫の氏族にとついだので、彼女たちの相続地は、彼女たちの父の氏族の部族に残った。 + これらは、エリコに近いヨルダンのほとりのモアブの草原で、主がモーセを通してイスラエル人に命じた命令と定めである。 + +
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+ + これは、モーセがヨルダンの向こうの地、パランと、トフェル、ラバン、ハツェロテ、ディ・ザハブとの間の、スフの前にあるアラバの荒野で、イスラエルのすべての民に告げたことばである。 + ホレブから、セイル山を経てカデシュ・バルネアに至るのには十一日かかる。 + 第四十年の第十一月の一日にモーセは、主がイスラエル人のために彼に命じられたことを、ことごとく彼らに告げた。 + モーセが、ヘシュボンに住んでいたエモリ人の王シホン、およびアシュタロテに住んでいたバシャンの王オグをエデレイで打ち破って後のことである。 + ヨルダンの向こうの地、モアブの地で、モーセは、このみおしえを説明し始めて言った。 + 私たちの神、主は、ホレブで私たちに告げて仰せられた。「あなたがたはこの山に長くとどまっていた。 + 向きを変えて、出発せよ。そしてエモリ人の山地に行き、その近隣のすべての地、アラバ、山地、低地、ネゲブ、海辺、カナン人の地、レバノン、さらにあの大河ユーフラテス川にまで行け。 + 見よ。わたしはその地をあなたがたの手に渡している。行け。その地を所有せよ。これは、主があなたがたの先祖アブラハム、イサク、ヤコブに誓って、彼らとその後の子孫に与えると言われた地である。」 + 私はあの時、あなたがたにこう言った。「私だけではあなたがたの重荷を負うことはできない。 + あなたがたの神、主が、あなたがたをふやされたので、見よ、あなたがたは、きょう、空の星のように多い。 + ――どうかあなたがたの父祖の神、主が、あなたがたを今の千倍にふやしてくださるように。そしてあなたがたに約束されたとおり、あなたがたを祝福してくださるように―― + 私ひとりで、どうして、あなたがたのもめごとと重荷と争いを背負いきれよう。 + あなたがたは、部族ごとに、知恵があり、悟りがあり、経験のある人々を出しなさい。彼らを、あなたがたのかしらとして立てよう。」 + すると、あなたがたは私に答えて、「あなたが、しようと言われることは良い」と言った。 + そこで私は、あなたがたの部族のかしらで、知恵があり、経験のある者たちを取り、彼らをあなたがたの上に置き、かしらとした。千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長、また、あなたがたの部族のつかさである。 + またそのとき、私はあなたがたのさばきつかさたちに命じて言った。「あなたがたの身内の者たちの間の事をよく聞きなさい。ある人と身内の者たちとの間、また在留異国人との間を正しくさばきなさい。 + さばきをするとき、人をかたよって見てはならない。身分の低い人にも高い人にもみな、同じように聞かなければならない。人を恐れてはならない。さばきは神のものである。あなたがたにとってむずかしすぎる事は、私のところに持って来なさい。私がそれを聞こう。」 + 私はまた、そのとき、あなたがたのなすべきすべてのことを命じた。 + 私たちの神、主が、私たちに命じられたとおりに、私たちはホレブを旅立ち、あなたがたが見た、あの大きな恐ろしい荒野を、エモリ人の山地への道をとって進み、カデシュ・バルネアまで来た。 + そのとき、私はあなたがたに言った。「あなたがたは、私たちの神、主が私たちに与えようとされるエモリ人の山地に来た。 + 見よ。あなたの神、主は、この地をあなたの手に渡されている。上れ。占領せよ。あなたの父祖の神、主があなたに告げられたとおりに。恐れてはならない。おののいてはならない。」 + すると、あなたがた全部が、私に近寄って来て、「私たちより先に人を遣わし、私たちのために、その地を探らせよう。私たちの上って行く道や、入って行く町々について、報告を持ち帰らせよう」と言った。 + 私にとってこのことは良いと思われたので、私は各部族からひとりずつ、十二人をあなたがたの中から取った。 + 彼らは山地に向かって登って行き、エシュコルの谷まで行き、そこを探り、 + また、その地のくだものを手に入れ、私たちのもとに持って下って来た。そして報告をもたらし、「私たちの神、主が、私たちに与えようとしておられる地は良い地です」と言った。 + しかし、あなたがたは登って行こうとせず、あなたがたの神、主の命令に逆らった。 + そしてあなたがたの天幕の中でつぶやいて言った。「主は私たちを憎んでおられるので、私たちをエジプトの地から連れ出してエモリ人の手に渡し、私たちを根絶やしにしようとしておられる。 + 私たちはどこへ上って行くのか。私たちの身内の者たちは、『その民は私たちよりも大きくて背が高い。町々は大きく城壁は高く天にそびえている。しかも、そこでアナク人を見た』と言って、私たちの心をくじいた。」 + それで、私はあなたがたに言った。「おののいてはならない。彼らを恐れてはならない。 + あなたがたに先立って行かれるあなたがたの神、主が、エジプトにおいて、あなたがたの目の前で、あなたがたのためにしてくださったそのとおりに、あなたがたのために戦われるのだ。 + また、荒野では、あなたがたがこの所に来るまでの、全道中、人がその子を抱くように、あなたの神、主が、あなたを抱かれたのを見ているのだ。 + このようなことによってもまだ、あなたがたはあなたがたの神、主を信じていない。 + 主は、あなたがたが宿営する場所を捜すために、道中あなたがたの先に立って行かれ、夜は火のうち、昼は雲のうちにあって、あなたがたの進んで行く道を示されるのだ。」 + 主は、あなたがたの不平を言う声を聞いて怒り、誓って言われた。 + 「この悪い世代のこれらの者のうちには、わたしが、あなたがたの先祖たちに与えると誓ったあの良い地を見る者は、ひとりもいない。 + ただエフネの子カレブだけがそれを見ることができる。彼が踏んだ地を、わたしは彼とその子孫に与えよう。彼は主に従い通したからだ。」 + 主はあなたがたのために、この私に対しても怒って言われた。「あなたも、そこに、入れない。 + あなたに仕えているヌンの子ヨシュアが、そこに、入るのだ。彼を力づけよ。彼がそこをイスラエルに受け継がせるからだ。 + あなたがたが、略奪されるだろうと言ったあなたがたの幼子たち、今はまだ善悪のわきまえのないあなたがたの子どもたちが、そこに、入る。わたしは彼らにそこを与えよう。彼らはそれを所有するようになる。 + あなたがたは向きを変え、葦の海への道を荒野に向かって旅立て。」 + すると、あなたがたは私に答えて言った。「私たちは主に向かって罪を犯した。私たちの神、主が命じられたとおりに、私たちは上って行って、戦おう。」そして、おのおの武具を身に帯びて、向こう見ずに山地に登って行こうとした。 + それで主は私に言われた。「彼らに言え。『上ってはならない。戦ってはならない。わたしがあなたがたのうちにはいないからだ。あなたがたは敵に打ち負かされてはならない。』」 + 私が、あなたがたにこう告げたのに、あなたがたは聞き従わず、主の命令に逆らい、不遜にも山地に登って行った。 + すると、その山地に住んでいたエモリ人が出て来て、あなたがたを迎え撃ち、蜂が追うようにあなたがたを追いかけ、あなたがたをセイルのホルマにまで追い散らした。 + あなたがたは帰って来て、主の前で泣いたが、主はあなたがたの声を聞き入れず、あなたがたに耳を傾けられなかった。 + こうしてあなたがたは、あなたがたがとどまった期間だけの長い間カデシュにとどまった。 + + + それから、私たちは向きを変え、主が私に告げられたように、葦の海への道を荒野に向かって旅立って、その後、長らくセイル山のまわりを回っていた。 + 主は私にこう仰せられた。 + 「あなたがたは長らくこの山のまわりを回っていたが、北のほうに向かって行け。 + 民に命じてこう言え。あなたがたは、セイルに住んでいるエサウの子孫、あなたがたの同族の領土内を通ろうとしている。彼らはあなたがたを恐れるであろう。あなたがたは、十分に注意せよ。 + 彼らに争いをしかけてはならない。わたしは彼らの地を、足の裏で踏むほども、あなたがたには与えない。わたしはエサウにセイル山を彼の所有地として与えたからである。 + 食物は、彼らから金で買って食べ、水もまた、彼らから金で買って飲まなければならない。 + 事実、あなたの神、主は、あなたのしたすべてのことを祝福し、あなたの、この広大な荒野の旅を見守ってくださったのだ。あなたの神、主は、この四十年の間あなたとともにおられ、あなたは、何一つ欠けたものはなかった。」 + それで私たちは、セイルに住むエサウの子孫である私たちの同族から離れ、アラバへの道から離れ、エラテからも、またエツヨン・ゲベルからも離れて進んで行った。そして、私たちはモアブの荒野への道を進んで行った。 + 主は私に仰せられた。「モアブに敵対してはならない。彼らに戦いをしかけてはならない。あなたには、その土地を所有地としては与えない。わたしはロトの子孫にアルを所有地として与えたからである。 + ――そこには以前、エミム人が住んでいた。強大な民で、数も多く、アナク人のように背が高かった。 + アナク人と同じく、彼らもレファイムであるとみなされていたが、モアブ人は彼らをエミム人と呼んでいた。 + ホリ人は、以前セイルに住んでいたが、エサウの子孫がこれを追い払い、これを根絶やしにして、彼らに代わって住んでいた。ちょうど、イスラエルが主の下さった所有の地に対してしたようにである―― + 今、立ってゼレデ川を渡れ。」そこで私たちはゼレデ川を渡った。 + カデシュ・バルネアを出てからゼレデ川を渡るまでの期間は三十八年であった。それまでに、その世代の戦士たちはみな、宿営のうちから絶えてしまった。主が彼らについて誓われたとおりであった。 + まことに主の御手が彼らに下り、彼らをかき乱し、宿営のうちから絶やされた。 + 戦士たちがみな、民のうちから絶えたとき、 + 主は私に告げて仰せられた。 + 「あなたは、きょう、モアブの領土、アルを通ろうとしている。 + それで、アモン人に近づくが、彼らに敵対してはならない。彼らに争いをしかけてはならない。あなたには、アモン人の地を所有地としては与えない。ロトの子孫に、それを所有地として与えているからである。 + ――そこもまたレファイムの国とみなされている。以前は、レファイムがそこに住んでいた。アモン人は、彼らをザムズミム人と呼んでいた。 + これは強大な民であって数も多く、アナク人のように背も高かった。主がこれを根絶やしにされたので、アモン人がこれを追い払い、彼らに代わって住んでいた。 + それは、セイルに住んでいるエサウの子孫のために、主が彼らの前からホリ人を根絶やしにされたのと同じである。それで彼らはホリ人を追い払い、彼らに代わって住みつき、今日に至っている。 + また、ガザ近郊の村々に住んでいたアビム人を、カフトルから出て来たカフトル人が根絶やしにして、これに代わって住みついた―― + 立ち上がれ。出発せよ。アルノン川を渡れ。見よ。わたしはヘシュボンの王エモリ人シホンとその国とを、あなたの手に渡す。占領し始めよ。彼と戦いを交えよ。 + きょうから、わたしは全天下の国々の民に、あなたのことでおびえと恐れを臨ませる。彼らは、あなたのうわさを聞いて震え、あなたのことでわななこう。」 + そこで私は、ケデモテの荒野から、ヘシュボンの王シホンに使者を送り、和平を申し込んで言った。 + 「あなたの国を通らせてください。私は大路だけを通って、右にも左にも曲がりません。 + 食物は金で私に売ってください。それを食べます。水も、金を取って私に与えてください。それを飲みます。徒歩で通らせてくださるだけでよいのです。 + セイルに住んでいるエサウの子孫や、アルに住んでいるモアブ人が、私にしたようにしてください。そうすれば、私はヨルダンを渡って、私たちの神、主が私たちに与えようとしておられる地に行けるのです。」 + しかし、ヘシュボンの王シホンは、私たちをどうしても通らせようとはしなかった。それは今日見るとおり、彼をあなたの手に渡すために、あなたの神、主が、彼を強気にし、その心をかたくなにされたからである。 + 主は私に言われた。「見よ。わたしはシホンとその地とをあなたの手に渡し始めた。占領し始めよ。その地を所有せよ。」 + シホンとそのすべての民が、私たちを迎えて戦うため、ヤハツに出て来たとき、 + 私たちの神、主は、彼を私たちの手に渡された。私たちは彼とその子らと、そのすべての民とを打ち殺した。 + そのとき、私たちは、彼のすべての町々を攻め取り、すべての町々――男、女および子ども――を聖絶して、ひとりの生存者も残さなかった。 + ただし、私たちが分捕った家畜と私たちが攻め取った町々で略奪した物とは別である。 + アルノン川の縁にあるアロエルおよび谷の中の町から、ギルアデに至るまで、私たちよりも強い町は一つもなかった。私たちの神、主が、それらをみな、私たちの手に渡されたのである。 + ただアモン人の地、ヤボク川の全岸と山地の町々には、私たちの神、主が命じられたとおりに、近寄らなかった。 + + + 私たちはバシャンへの道を上って行った。するとバシャンの王オグとそのすべての民は、エデレイで私たちを迎えて戦うために出て来た。 + そのとき、主は私に仰せられた。「彼を恐れてはならない。わたしは、彼と、そのすべての民と、その地とを、あなたの手に渡している。あなたはヘシュボンに住んでいたエモリ人の王シホンにしたように、彼にしなければならない。」 + こうして私たちの神、主は、バシャンの王オグとそのすべての民をも、私たちの手に渡されたので、私たちはこれを打ち殺して、ひとりの生存者をも残さなかった。 + そのとき、私たちは彼の町々をことごとく攻め取った。私たちが取らなかった町は一つもなかった。取った町は六十、アルゴブの全地域であって、バシャンのオグの王国であった。 + これらはみな、高い城壁と門とかんぬきのある要害の町々であった。このほかに、城壁のない町々が非常に多くあった。 + 私たちはヘシュボンの王シホンにしたように、これらを聖絶した。そのすべての町々――男、女および子ども――を聖絶した。 + ただし、すべての家畜と、私たちが取った町々で略奪した物とは私たちのものとした。 + このようにして、そのとき、私たちは、ふたりのエモリ人の王の手から、ヨルダンの向こうの地を、アルノン川からヘルモン山まで取った。 + ――シドン人はヘルモンをシルヨンと呼び、エモリ人はこれをセニルと呼んでいる―― + すなわち、高原のすべての町、ギルアデの全土、バシャンの全土、サルカおよびエデレイまでのバシャンのオグの王国の町々である。 + ――バシャンの王オグだけが、レファイムの生存者として残っていた。見よ。彼の寝台は鉄の寝台、それはアモン人のラバにあるではないか。その長さは、規準のキュビトで九キュビト、その幅は四キュビトである―― + この地を、私たちは、そのとき、占領した。アルノン川のほとりのアロエルの一部と、ギルアデの山地の半分と、その町々とを私はルベン人とガド人とに与えた。 + ギルアデの残りと、オグの王国であったバシャンの全土とは、マナセの半部族に与えた。それはアルゴブの全地域で、そのバシャンの全土はレファイムの国と呼ばれている。 + マナセの子ヤイルは、ゲシュル人とマアカ人との境界までのアルゴブの全地域を取り、自分の名にちなんで、バシャンをハボテ・ヤイルと名づけて、今日に至っている。 + マキルには私はギルアデを与えた。 + ルベン人とガド人には、ギルアデからアルノン川の、国境にあたる川の真ん中まで、またアモン人の国境ヤボク川までを与えた。 + またアラバをも与えた。それはヨルダンを境界として、キネレテからアラバの海、すなわち、東のほうのピスガの傾斜地のふもとにある塩の海までであった。 + 私はそのとき、あなたがたに命じて言った。「あなたがたの神、主は、あなたがたがこの地を所有するように、あなたがたに与えられた。しかし、勇士たちはみな武装して、同族、イスラエル人の先に立って渡って行かなければならない。 + ただし、あなたがたの妻と子どもと家畜は、私が与えた町々にとどまっていてもよい。私はあなたがたが家畜を多く持っているのを知っている。 + 主があなたがたと同じように、あなたがたの同族に安住の地を与え、彼らもまた、ヨルダンの向こうで、あなたがたの神、主が与えようとしておられる地を所有するようになったなら、そのとき、あなたがたは、おのおの私が与えた自分の所有地に帰ることができる。」 + 私は、そのとき、ヨシュアに命じて言った。「あなたは、あなたがたの神、主が、これらふたりの王になさったすべてのことをその目で見た。主はあなたがたがこれから渡って行くすべての国々にも、同じようにされる。 + 彼らを恐れてはならない。あなたがたのために戦われるのはあなたがたの神、主であるからだ。」 + 私は、そのとき、主に懇願して言った。 + 「神、主よ。あなたの偉大さと、あなたの力強い御手とを、あなたはこのしもべに示し始められました。あなたのわざ、あなたの力あるわざのようなことのできる神が、天、あるいは地にあるでしょうか。 + どうか、私に、渡って行って、ヨルダンの向こうにある良い地、あの良い山地、およびレバノンを見させてください。」 + しかし主は、あなたがたのために私を怒り、私の願いを聞き入れてくださらなかった。そして主は私に言われた。「もう十分だ。このことについては、もう二度とわたしに言ってはならない。 + ピスガの頂に登って、目を上げて西、北、南、東を見よ。あなたのその目でよく見よ。あなたはこのヨルダンを渡ることができないからだ。 + ヨシュアに命じ、彼を力づけ、彼を励ませ。彼はこの民の先に立って渡って行き、あなたの見るあの地を彼らに受け継がせるであろう。」 + こうして私たちはベテ・ペオルの近くの谷にとどまっていた。 + + + 今、イスラエルよ。あなたがたが行うように私の教えるおきてと定めとを聞きなさい。そうすれば、あなたがたは生き、あなたがたの父祖の神、主が、あなたがたに与えようとしておられる地を所有することができる。 + 私があなたがたに命じることばに、つけ加えてはならない。また、減らしてはならない。私があなたがたに命じる、あなたがたの神、主の命令を、守らなければならない。 + あなたがたは、主がバアル・ペオルのことでなさったことを、その目で見た。バアル・ペオルに従った者はみな、あなたの神、主があなたのうちから根絶やしにされた。 + しかし、あなたがたの神、主にすがってきたあなたがたはみな、きょう、生きている。 + 見なさい。私は、私の神、主が私に命じられたとおりに、おきてと定めとをあなたがたに教えた。あなたがたが、入って行って、所有しようとしているその地の真ん中で、そのように行うためである。 + これを守り行いなさい。そうすれば、それは国々の民に、あなたがたの知恵と悟りを示すことになり、これらすべてのおきてを聞く彼らは、「この偉大な国民は、確かに知恵のある、悟りのある民だ」と言うであろう。 + まことに、私たちの神、主は、私たちが呼ばわるとき、いつも、近くにおられる。このような神を持つ偉大な国民が、どこにあるだろうか。 + また、きょう、私があなたがたの前に与えようとしている、このみおしえのすべてのように、正しいおきてと定めとを持っている偉大な国民が、いったい、どこにあるだろう。 + ただ、あなたは、ひたすら慎み、用心深くありなさい。あなたが自分の目で見たことを忘れず、一生の間、それらがあなたの心から離れることのないようにしなさい。あなたはそれらを、あなたの子どもや孫たちに知らせなさい。 + あなたがホレブで、あなたの神、主の前に立った日に、主は私に仰せられた。「民をわたしのもとに集めよ。わたしは彼らにわたしのことばを聞かせよう。それによって彼らが地上に生きている日の間、わたしを恐れることを学び、また彼らがその子どもたちに教えることができるように。」 + そこであなたがたは近づいて来て、山のふもとに立った。山は激しく燃え立ち、火は中天に達し、雲と暗やみの暗黒とがあった。 + 主は火の中から、あなたがたに語られた。あなたがたはことばの声を聞いたが、御姿は見なかった。御声だけであった。 + 主はご自分の契約をあなたがたに告げて、それを行うように命じられた。十のことばである。主はそれを二枚の石の板に書きしるされた。 + 主は、そのとき、あなたがたにおきてと定めとを教えるように、私に命じられた。あなたがたが、渡って行って、所有しようとしている地で、それらを行うためであった。 + あなたがたは十分に気をつけなさい。主がホレブで火の中からあなたがたに話しかけられた日に、あなたがたは何の姿も見なかったからである。 + 堕落して、自分たちのために、どんな形の彫像をも造らないようにしなさい。男の形も女の形も。 + 地上のどんな家畜の形も、空を飛ぶどんな鳥の形も、 + 地をはうどんなものの形も、地の下の水の中にいるどんな魚の形も。 + また、天に目を上げて、日、月、星の天の万象を見るとき、魅せられてそれらを拝み、それらに仕えないようにしなさい。それらのものは、あなたの神、主が全天下の国々の民に分け与えられたものである。 + 主はあなたがたを取って、鉄の炉エジプトから連れ出し、今日のように、ご自分の所有の民とされた。 + しかし、主は、あなたがたのことで私を怒り、私はヨルダンを渡れず、またあなたの神、主が相続地としてあなたに与えようとしておられる良い地に入ることができないと誓われた。 + 私は、この地で、死ななければならない。私はヨルダンを渡ることができない。しかしあなたがたは渡って、あの良い地を所有しようとしている。 + 気をつけて、あなたがたの神、主があなたがたと結ばれた契約を忘れることのないようにしなさい。あなたの神、主の命令にそむいて、どんな形の彫像をも造ることのないようにしなさい。 + あなたの神、主は焼き尽くす火、ねたむ神だからである。 + あなたが子を生み、孫を得、あなたがたがその地に永住し、堕落して、何かの形に刻んだ像を造り、あなたの神、主の目の前に悪を行い、御怒りを買うようなことがあれば、 + 私は、きょう、あなたがたに対して、天と地とを証人に立てる。あなたがたは、ヨルダンを渡って、所有しようとしているその土地から、たちまちにして滅びうせる。そこで長く生きるどころか、すっかり根絶やしにされるだろう。 + 主はあなたがたを国々の民の中に散らされる。しかし、ごくわずかな者たちが、主の追いやる国々の中に残される。 + あなたがたはそこで、人間の手で造った、見ることも、聞くこともせず、食べることも、かぐこともしない木や石の神々に仕える。 + そこから、あなたがたは、あなたの神、主を慕い求め、主に会う。あなたが、心を尽くし、精神を尽くして切に求めるようになるからである。 + あなたの苦しみのうちにあって、これらすべてのことが後の日に、あなたに臨むなら、あなたは、あなたの神、主に立ち返り、御声に聞き従うのである。 + あなたの神、主は、あわれみ深い神であるから、あなたを捨てず、あなたを滅ぼさず、あなたの先祖たちに誓った契約を忘れない。 + さあ、あなたより前の過ぎ去った時代に尋ねてみるがよい。神が地上に人を造られた日からこのかた、天のこの果てからかの果てまでに、これほど偉大なことが起こったであろうか。このようなことが聞かれたであろうか。 + あなたのように、火の中から語られる神の声を聞いて、なお生きていた民があっただろうか。 + あるいは、あなたがたの神、主が、エジプトにおいてあなたの目の前で、あなたがたのためになさったように、試みと、しるしと、不思議と、戦いと、力強い御手と、伸べられた腕と、恐ろしい力とをもって、一つの国民を他の国民の中から取って、あえてご自身のものとされた神があったであろうか。 + あなたにこのことが示されたのは、主だけが神であって、ほかには神はないことを、あなたが知るためであった。 + 主はあなたを訓練するため、天から御声を聞かせ、地の上では、大きい火を見させた。その火の中からあなたは、みことばを聞いた。 + 主は、あなたの先祖たちを愛して、その後の子孫を選んでおられたので、主ご自身が大いなる力をもって、あなたをエジプトから連れ出された。 + それはあなたよりも大きく、強い国々を、あなたの前から追い払い、あなたを彼らの地に入らせ、これを相続地としてあなたに与えるためであった。今日のとおりである。 + きょう、あなたは、上は天、下は地において、主だけが神であり、ほかに神はないことを知り、心に留めなさい。 + きょう、私が命じておいた主のおきてと命令とを守りなさい。あなたも、あなたの後の子孫も、しあわせになり、あなたの神、主が永久にあなたに与えようとしておられる地で、あなたが長く生き続けるためである。 + それからモーセは、ヨルダンの向こうの地に三つの町を取り分けた。東のほうである。 + 以前から憎んでいなかった隣人を知らずに殺した殺人者が、そこへ、のがれることのできるためである。その者はこれらの町の一つにのがれて、生きのびることができる。 + ルベン人に属する高地の荒野にあるベツェル、ガド人に属するギルアデのラモテ、マナセ人に属するバシャンのゴランである。 + これはモーセがイスラエル人の前に置いたみおしえである。 + これはさとしとおきてと定めであって、イスラエル人がエジプトを出たとき、モーセが彼らに告げたのである。 + そこは、ヨルダンの向こうの地、エモリ人の王シホンの国のベテ・ペオルの前の谷であった。シホンはヘシュボンに住んでいたが、モーセとイスラエル人が、エジプトから出て来たとき、彼を打ち殺した。 + 彼らは、シホンの国とバシャンの王オグの国とを占領した。このふたりのエモリ人の王はヨルダンの向こうの地、東のほうにいた。 + それはアルノン川の縁にあるアロエルからシーオン山、すなわちヘルモンまで、 + また、ヨルダンの向こうの地、東の、アラバの全部、ピスガの傾斜地のふもとのアラバの海までである。 + + + さて、モーセはイスラエル人をみな呼び寄せて彼らに言った。聞きなさい。イスラエルよ。きょう、私があなたがたの耳に語るおきてと定めとを。これを学び、守り行いなさい。 + 私たちの神、主は、ホレブで私たちと契約を結ばれた。 + 主が、この契約を結ばれたのは、私たちの先祖たちとではなく、きょう、ここに生きている私たちひとりひとりと、結ばれたのである。 + 主はあの山で、火の中からあなたがたに顔と顔とを合わせて語られた。 + そのとき、私は主とあなたがたとの間に立ち、主のことばをあなたがたに告げた。あなたがたが火を恐れて、山に登らなかったからである。主は仰せられた。 + 「わたしは、あなたをエジプトの国、奴隷の家から連れ出した、あなたの神、主である。 + あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない。 + あなたは、自分のために、偶像を造ってはならない。上の天にあるものでも、下の地にあるものでも、地の下の水の中にあるものでも、どんな形をも造ってはならない。 + それらを拝んではならない。それらに仕えてはならない。あなたの神、主であるわたしは、ねたむ神、わたしを憎む者には、父の咎を子に報い、三代、四代にまで及ぼし、 + わたしを愛し、わたしの命令を守る者には、恵みを千代にまで施すからである。 + あなたは、あなたの神、主の御名を、みだりに唱えてはならない。主は、御名をみだりに唱える者を、罰せずにはおかない。 + 安息日を守って、これを聖なる日とせよ。あなたの神、主が命じられたとおりに。 + 六日間、働いて、あなたのすべての仕事をしなければならない。 + しかし七日目は、あなたの神、主の安息である。あなたはどんな仕事もしてはならない。――あなたも、あなたの息子、娘も、あなたの男奴隷や女奴隷も、あなたの牛、ろばも、あなたのどんな家畜も、またあなたの町囲みのうちにいる在留異国人も――そうすれば、あなたの男奴隷も、女奴隷も、あなたと同じように休むことができる。 + あなたは、自分がエジプトの地で奴隷であったこと、そして、あなたの神、主が力強い御手と伸べられた腕とをもって、あなたをそこから連れ出されたことを覚えていなければならない。それゆえ、あなたの神、主は、安息日を守るよう、あなたに命じられたのである。 + あなたの父と母を敬え。あなたの神、主が命じられたとおりに。それは、あなたの齢が長くなるため、また、あなたの神、主が与えようとしておられる地で、しあわせになるためである。 + 殺してはならない。 + 姦淫してはならない。 + 盗んではならない。 + あなたの隣人に対し、偽証してはならない。 + あなたの隣人の妻を欲しがってはならない。あなたの隣人の家、畑、男奴隷、女奴隷、牛、ろば、すべてあなたの隣人のものを、欲しがってはならない。」 + これらのことばを、主はあの山で、火と雲と暗やみの中から、あなたがたの全集会に、大きな声で告げられた。このほかのことは言われなかった。主はそれを二枚の石の板に書いて、私に授けられた。 + あなたがたが、暗黒の中からのその御声を聞き、またその山が火で燃えていたときに、あなたがた、すなわちあなたがたの部族のすべてのかしらたちと長老たちとは、私のもとに近寄って来た。 + そして言った。「私たちの神、主は、今、ご自身の栄光と偉大さとを私たちに示されました。私たちは火の中から御声を聞きました。きょう、私たちは、神が人に語られても、人が生きることができるのを見ました。 + 今、私たちはなぜ死ななければならないのでしょうか。この大きい火が私たちをなめ尽くそうとしています。もし、この上なお私たちの神、主の声を聞くならば、私たちは死ななければなりません。 + いったい肉を持つ者で、私たちのように、火の中から語られる生ける神の声を聞いて、なお生きている者がありましょうか。 + あなたが近づいて行き、私たちの神、主が仰せになることをみな聞き、私たちの神、主があなたにお告げになることをみな、私たちに告げてくださいますように。私たちは聞いて、行います。」 + 主はあなたがたが私に話していたとき、あなたがたのことばの声を聞かれて、主は私に仰せられた。「わたしはこの民があなたに話していることばの声を聞いた。彼らの言ったことは、みな、もっともである。 + どうか、彼らの心がこのようであって、いつまでも、わたしを恐れ、わたしのすべての命令を守るように。そうして、彼らも、その子孫も、永久にしあわせになるように。 + さあ、彼らに、『あなたがたは、自分の天幕に帰りなさい』と言え。 + しかし、あなたは、わたしとともにここにとどまれ。わたしは、あなたが彼らに教えるすべての命令――おきてと定め――を、あなたに告げよう。彼らは、わたしが与えて所有させようとしているその地で、それを行うのだ。」 + あなたがたは、あなたがたの神、主が命じられたとおりに守り行いなさい。右にも左にもそれてはならない。 + あなたがたの神、主が命じられたすべての道を歩まなければならない。あなたがたが生き、しあわせになり、あなたがたが所有する地で、長く生きるためである。 + + + これは、あなたがたの神、主が、あなたがたに教えよと命じられた命令――おきてと定め――である。あなたがたが、渡って行って、所有しようとしている地で、行うためである。 + それは、あなたの一生の間、あなたも、そしてあなたの子も孫も、あなたの神、主を恐れて、私の命じるすべての主のおきてと命令を守るため、またあなたが長く生きることのできるためである。 + イスラエルよ。聞いて、守り行いなさい。そうすれば、あなたはしあわせになり、あなたの父祖の神、主があなたに告げられたように、あなたは乳と蜜の流れる国で大いにふえよう。 + 聞きなさい。イスラエル。主は私たちの神。主はただひとりである。 + 心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。 + 私がきょう、あなたに命じるこれらのことばを、あなたの心に刻みなさい。 + これをあなたの子どもたちによく教え込みなさい。あなたが家にすわっているときも、道を歩くときも、寝るときも、起きるときも、これを唱えなさい。 + これをしるしとしてあなたの手に結びつけ、記章として額の上に置きなさい。 + これをあなたの家の門柱と門に書きしるしなさい。 + あなたの神、主が、あなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地にあなたを導き入れ、あなたが建てなかった、大きくて、すばらしい町々、 + あなたが満たさなかった、すべての良い物が満ちた家々、あなたが掘らなかった掘り井戸、あなたが植えなかったぶどう畑とオリーブ畑、これらをあなたに与え、あなたが食べて、満ち足りるとき、 + あなたは気をつけて、あなたをエジプトの地、奴隷の家から連れ出された主を忘れないようにしなさい。 + あなたの神、主を恐れなければならない。主に仕えなければならない。御名によって誓わなければならない。 + ほかの神々、あなたがたの回りにいる国々の民の神に従ってはならない。 + あなたのうちにおられるあなたの神、主は、ねたむ神であるから、あなたの神、主の怒りがあなたに向かって燃え上がり、主があなたを地の面から根絶やしにされないようにしなさい。 + あなたがたがマサで試みたように、あなたがたの神、主を試みてはならない。 + あなたがたの神、主の命令、主が命じられたさとしとおきてを忠実に守らなければならない。 + 主が正しい、また良いと見られることをしなさい。そうすれば、あなたはしあわせになり、主があなたの先祖たちに誓われたあの良い地を所有することができる。 + そうして、主が告げられたように、あなたの敵は、ことごとくあなたの前から追い払われる。 + 後になって、あなたの息子があなたに尋ねて、「私たちの神、主が、あなたがたに命じられた、このさとしとおきてと定めとは、どういうことか」と言うなら、 + あなたは自分の息子にこう言いなさい。「私たちはエジプトでパロの奴隷であったが、主が力強い御手をもって、私たちをエジプトから連れ出された。 + 主は私たちの目の前で、エジプトに対し、パロとその全家族に対して大きくてむごいしるしと不思議とを行い、 + 私たちをそこから連れ出された。それは私たちの先祖たちに誓われた地に、私たちを入らせて、その地を私たちに与えるためであった。 + それで、主は、私たちがこのすべてのおきてを行い、私たちの神、主を恐れるように命じられた。それは、今日のように、いつまでも私たちがしあわせであり、生き残るためである。 + 私たちの神、主が命じられたように、御前でこのすべての命令を守り行うことは、私たちの義となるのである。」 + + + あなたが、入って行って、所有しようとしている地に、あなたの神、主が、あなたを導き入れられるとき、主は、多くの異邦の民、すなわちヘテ人、ギルガシ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、およびエブス人の、これらあなたよりも数多く、また強い七つの異邦の民を、あなたの前から追い払われる。 + あなたの神、主は、彼らをあなたに渡し、あなたがこれを打つとき、あなたは彼らを聖絶しなければならない。彼らと何の契約も結んではならない。容赦してはならない。 + また、彼らと互いに縁を結んではならない。あなたの娘を彼の息子に与えてはならない。彼の娘をあなたの息子にめとってはならない。 + 彼はあなたの息子を私から引き離すであろう。彼らがほかの神々に仕えるなら、主の怒りがあなたがたに向かって燃え上がり、主はあなたをたちどころに根絶やしにしてしまわれる。 + むしろ彼らに対して、このようにしなければならない。彼らの祭壇を打ちこわし、石の柱を打ち砕き、彼らのアシェラ像を切り倒し、彼らの彫像を火で焼かなければならない。 + あなたは、あなたの神、主の聖なる民だからである。あなたの神、主は、地の面のすべての国々の民のうちから、あなたを選んでご自分の宝の民とされた。 + 主があなたがたを恋い慕って、あなたがたを選ばれたのは、あなたがたがどの民よりも数が多かったからではない。事実、あなたがたは、すべての国々の民のうちで最も数が少なかった。 + しかし、主があなたがたを愛されたから、また、あなたがたの先祖たちに誓われた誓いを守られたから、主は、力強い御手をもってあなたがたを連れ出し、奴隷の家から、エジプトの王パロの手からあなたを贖い出された。 + あなたは知っているのだ。あなたの神、主だけが神であり、誠実な神である。主を愛し、主の命令を守る者には恵みの契約を千代までも守られるが、 + 主を憎む者には、これに報いて、主はたちどころに彼らを滅ぼされる。主を憎む者には猶予はされない。たちどころに報いられる。 + 私が、きょう、あなたに命じる命令――おきてと定め――を守り行わなければならない。 + それゆえ、もしあなたがたが、これらの定めを聞いて、これを守り行うならば、あなたの神、主は、あなたの先祖たちに誓われた恵みの契約をあなたのために守り、 + あなたを愛し、あなたを祝福し、あなたをふやし、主があなたに与えるとあなたの先祖たちに誓われた地で、主はあなたの身から生まれる者、地の産物、穀物、新しいぶどう酒、油、またあなたの群れのうちの子牛、群れのうちの雌羊をも祝福される。 + あなたはすべての国々の民の中で、最も祝福された者となる。あなたのうちには、子のない男、子のない女はいないであろう。あなたの家畜も同様である。 + 主は、すべての病気をあなたから取り除き、あなたの知っているあのエジプトの悪疫は、これを一つもあなたにもたらさず、あなたを憎むすべての者にこれを下す。 + あなたは、あなたの神、主があなたに与えるすべての国々の民を滅ぼし尽くす。彼らをあわれんではならない。また、彼らの神々に仕えてはならない。それがあなたへのわなとなるからだ。 + あなたが心のうちで、「これらの異邦の民は私よりも多い。どうして彼らを追い払うことができよう」と言うことがあれば、 + 彼らを恐れてはならない。あなたの神、主がパロに、また全エジプトにされたことをよく覚えていなければならない。 + あなたが自分の目で見たあの大きな試みと、しるしと、不思議と、力強い御手と、伸べられた腕、これをもって、あなたの神、主は、あなたを連れ出された。あなたの恐れているすべての国々の民に対しても、あなたの神、主が同じようにされる。 + あなたの神、主はまた、くまばちを彼らのうちに送り、生き残っている者たちや隠れている者たちを、あなたの前から滅ぼされる。 + 彼らの前でおののいてはならない。あなたの神、主、大いなる恐るべき神が、あなたのうちにおられるから。 + あなたの神、主は、これらの国々を徐々にあなたの前から追い払われる。あなたは彼らをすぐに絶ち滅ぼすことはできない。野の獣が増してあなたを襲うことがないためである。 + あなたの神、主が、彼らをあなたに渡し、彼らを大いにかき乱し、ついに、彼らを根絶やしにされる。 + また彼らの王たちをあなたの手に渡される。あなたは彼らの名を天の下から消し去ろう。だれひとりとして、あなたの前に立ちはだかる者はなく、ついに、あなたは彼らを根絶やしにする。 + あなたがたは彼らの神々の彫像を火で焼かなければならない。それにかぶせた銀や金を欲しがってはならない。自分のものとしてはならない。あなたがわなにかけられないために。それは、あなたの神、主の忌みきらわれるものである。 + 忌みきらうべきものを、あなたの家に持ち込んで、あなたもそれと同じように聖絶のものとなってはならない。それをあくまで忌むべきものとし、あくまで忌みきらわなければならない。それは聖絶のものだからである。 + + + 私が、きょう、あなたに命じるすべての命令をあなたがたは守り行わなければならない。そうすれば、あなたがたは生き、その数はふえ、主があなたがたの先祖たちに誓われた地を所有することができる。 + あなたの神、主が、この四十年の間、荒野であなたを歩ませられた全行程を覚えていなければならない。それは、あなたを苦しめて、あなたを試み、あなたがその命令を守るかどうか、あなたの心のうちにあるものを知るためであった。 + それで主は、あなたを苦しめ、飢えさせて、あなたも知らず、あなたの先祖たちも知らなかったマナを食べさせられた。それは、人はパンだけで生きるのではない、人は主の口から出るすべてのもので生きる、ということを、あなたにわからせるためであった。 + この四十年の間、あなたの着物はすり切れず、あなたの足は、はれなかった。 + あなたは、人がその子を訓練するように、あなたの神、主があなたを訓練されることを、知らなければならない。 + あなたの神、主の命令を守って、その道に歩み、主を恐れなさい。 + あなたの神、主が、あなたを良い地に導き入れようとしておられるからである。そこは、水の流れと泉があり、谷間と山を流れ出た深い淵のある地、 + 小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろの地、オリーブ油と蜜の地。 + そこは、あなたが十分に食物を食べ、何一つ足りないもののない地、その地の石は鉄であり、その山々からは青銅を掘り出すことのできる地である。 + あなたが食べて満ち足りたとき、主が賜った良い地について、あなたの神、主をほめたたえなければならない。 + 気をつけなさい。私が、きょう、あなたに命じる主の命令と、主の定めと、主のおきてとを守らず、あなたの神、主を忘れることがないように。 + あなたが食べて満ち足り、りっぱな家を建てて住み、 + あなたの牛や羊の群れがふえ、金銀が増し、あなたの所有物がみな増し加わり、 + あなたの心が高ぶり、あなたの神、主を忘れる、そういうことがないように。――主は、あなたをエジプトの地、奴隷の家から連れ出し、 + 燃える蛇やさそりのいるあの大きな恐ろしい荒野、水のない、かわききった地を通らせ、堅い岩から、あなたのために水を流れ出させ、 + あなたの先祖たちの知らなかったマナを、荒野であなたに食べさせられた。それは、あなたを苦しめ、あなたを試み、ついには、あなたをしあわせにするためであった―― + あなたは心のうちで、「この私の力、私の手の力が、この富を築き上げたのだ」と言わないように気をつけなさい。 + あなたの神、主を心に据えなさい。主があなたに富を築き上げる力を与えられるのは、あなたの先祖たちに誓った契約を今日のとおりに果たされるためである。 + あなたが万一、あなたの神、主を忘れ、ほかの神々に従い、これらに仕え、これらを拝むようなことがあれば、きょう、私はあなたがたに警告する。あなたがたは必ず滅びる。 + 主があなたがたの前で滅ぼされる国々のように、あなたがたも滅びる。あなたがたがあなたがたの神、主の御声に聞き従わないからである。 + + + 聞きなさい。イスラエル。あなたはきょう、ヨルダンを渡って、あなたよりも大きくて強い国々を占領しようとしている。その町々は大きく、城壁は天に高くそびえている。 + その民は大きくて背が高く、あなたの知っているアナク人である。あなたは聞いた。「だれがアナク人に立ち向かうことができようか。」 + きょう、知りなさい。あなたの神、主ご自身が、焼き尽くす火として、あなたの前に進まれ、主が彼らを根絶やしにされる。主があなたの前で彼らを征服される。あなたは、主が約束されたように、彼らをただちに追い払って、滅ぼすのだ。 + あなたの神、主が、あなたの前から彼らを追い出されたとき、あなたは心の中で、「私が正しいから、主が私にこの地を得させてくださったのだ」と言ってはならない。これらの国々が悪いために、主はあなたの前から彼らを追い出そうとしておられるのだ。 + あなたが彼らの地を所有することのできるのは、あなたが正しいからではなく、またあなたの心がまっすぐだからでもない。それは、これらの国々が悪いために、あなたの神、主が、あなたの前から彼らを追い出そうとしておられるのだ。また、主があなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブになさった誓いを果たすためである。 + 知りなさい。あなたの神、主は、あなたが正しいということで、この良い地をあなたに与えて所有させられるのではない。あなたはうなじのこわい民であるからだ。 + あなたは荒野で、どんなにあなたの神、主を怒らせたかを覚えていなさい。忘れてはならない。エジプトの地を出た日から、この所に来るまで、あなたがたは主に逆らいどおしであった。 + あなたがたはホレブで、主を怒らせたので、主は怒ってあなたがたを根絶やしにしようとされた。 + 私が石の板、主があなたがたと結ばれた契約の板を受けるために、山に登ったとき、私は四十日四十夜、山にとどまり、パンも食べず、水も飲まなかった。 + その後、主は神の指で書きしるされた石の板二枚を私に授けられた。その上には、あの集まりの日に主が山で火の中から、あなたがたに告げられたことばが、ことごとく、そのまま書かれてあった。 + こうして四十日四十夜の終わりに、主がその二枚の石の板、契約の板を私に授けられた。 + そして主は私に仰せられた。「さあ、急いでここから下れ。あなたがエジプトから連れ出したあなたの民が、堕落してしまった。彼らはわたしが命じておいた道から早くもそれて、自分たちのために鋳物の像を造った。」 + さらに主は私にこう言われた。「わたしがこの民を見るのに、この民は実にうなじのこわい民だ。 + わたしのするがままにさせよ。わたしは彼らを根絶やしにし、その名を天の下から消し去ろう。しかし、わたしはあなたを、彼らよりも強い、人数の多い国民としよう。」 + 私は向き直って山から降りた。山は火で燃えていた。二枚の契約の板は、私の両手にあった。 + 私が見ると、見よ、あなたがたはあなたがたの神、主に罪を犯して、自分たちのために鋳物の子牛を造り、主があなたがたに命じられた道から早くもそれてしまっていた。 + それで私はその二枚の板をつかみ、両手でそれを投げつけ、あなたがたの目の前でこれを打ち砕いた。 + そして私は、前のように四十日四十夜、主の前にひれ伏して、パンも食べず、水も飲まなかった。あなたがたが主の目の前に悪を行い、御怒りを引き起こした、その犯したすべての罪のためであり、 + 主が怒ってあなたがたを根絶やしにしようとされた激しい憤りを私が恐れたからだった。そのときも、主は私の願いを聞き入れられた。 + 主は、激しくアロンを怒り、彼を滅ぼそうとされたが、そのとき、私はアロンのためにも、とりなしをした。 + 私はあなたがたが作った罪、その子牛を取って、火で焼き、打ち砕き、ちりになるまでよくすりつぶした。そして私は、そのちりを山から流れ下る川に投げ捨てた。 + あなたがたはまた、タブエラでも、マサでも、キブロテ・ハタアワでも、主を怒らせた。 + 主があなたがたをカデシュ・バルネアから送り出されるとき、「上って行って、わたしがあなたがたに与えている地を占領せよ」と言われたが、あなたがたは、あなたがたの神、主の命令に逆らい、主を信ぜず、その御声にも聞き従わなかった。 + 私があなたがたを知った日から、あなたがたはいつも、主にそむき逆らってきた。 + それで、私は、その四十日四十夜、主の前にひれ伏していた。それは主があなたがたを根絶やしにすると言われたからである。 + 私は主に祈って言った。「神、主よ。あなたの所有の民を滅ぼさないでください。彼らは、あなたが偉大な力をもって贖い出し、力強い御手をもってエジプトから連れ出された民です。 + あなたのしもべ、アブラハム、イサク、ヤコブを覚えてください。そしてこの民の強情と、その悪と、その罪とに目を留めないでください。 + そうでないと、あなたがそこから私たちを連れ出されたあの国では、『主は、約束した地に彼らを導き入れることができないので、また彼らを憎んだので、彼らを荒野で死なせるために連れ出したのだ』と言うでしょう。 + しかし彼らは、あなたの所有の民です。あなたがその大いなる力と伸べられた腕とをもって連れ出された民です。」 + + + そのとき、主は私に仰せられた。「前のような石の板を二枚切って作り、山のわたしのところに登れ。また木の箱を一つ作れ。 + その板の上に、わたしは、あなたが砕いた、あの最初の板にあったことばを書きしるそう。あなたはそれを箱の中に納めよ。」 + そこで私はアカシヤ材の箱を一つ作り、前のような石の板を二枚切り取り、その二枚の板を手にして山に登って行った。 + 主は、その板に、あの集まりの日に山で火の中からあなたがたに告げた十のことばを、前と同じ文で書きしるされた。主はそれを私に授けた。 + 私は向き直って、山を下り、その板を私が作った箱の中に納めたので、それはそこにある。主が命じられたとおりである。 + ――イスラエル人は、ベエロテ・ベネ・ヤアカンからモセラに旅立った。アロンはそこで死に、そこに葬られた。それで彼の子エルアザルが彼に代わって祭司の職に任じられた。 + そこから彼らは旅立ってグデゴダに行き、またグデゴダから水の流れる地ヨテバタに進んだ。 + そのとき、主はレビ部族をえり分けて、主の契約の箱を運び、主の前に立って仕え、また御名によって祝福するようにされた。今日までそうなっている。 + それゆえ、レビには兄弟たちといっしょの相続地の割り当てはなかった。あなたの神、主が彼について言われたように、主が彼の相続地である―― + 私は最初のときのように、四十日四十夜、山にとどまった。主はそのときも、私の願いを聞き入れ、主はあなたを滅ぼすことを思いとどまられた。 + そして主は私に、「民の先頭に立って進め。そうすれば、わたしが彼らに与えると彼らの先祖たちに誓った地に彼らは入り、その地を占領することができよう」と言われた。 + イスラエルよ。今、あなたの神、主が、あなたに求めておられることは何か。それは、ただ、あなたの神、主を恐れ、主のすべての道に歩み、主を愛し、心を尽くし、精神を尽くしてあなたの神、主に仕え、 + あなたのしあわせのために、私が、きょう、あなたに命じる主の命令と主のおきてとを守ることである。 + 見よ。天ともろもろの天の天、地とそこにあるすべてのものは、あなたの神、主のものである。 + 主は、ただあなたの先祖たちを恋い慕って、彼らを愛された。そのため彼らの後の子孫、あなたがたを、すべての国々の民のうちから選ばれた。今日あるとおりである。 + あなたがたは、心の包皮を切り捨てなさい。もううなじのこわい者であってはならない。 + あなたがたの神、主は、神の神、主の主、偉大で、力あり、恐ろしい神。かたよって愛することなく、わいろを取らず、 + みなしごや、やもめのためにさばきを行い、在留異国人を愛してこれに食物と着物を与えられる。 + あなたがたは在留異国人を愛しなさい。あなたがたもエジプトの国で在留異国人であったからである。 + あなたの神、主を恐れ、主に仕え、主にすがり、御名によって誓わなければならない。 + 主はあなたの賛美、主はあなたの神であって、あなたが自分の目で見たこれらの大きい、恐ろしいことを、あなたのために行われた。 + あなたの先祖たちは七十人でエジプトへ下ったが、今や、あなたの神、主は、あなたを空の星のように多くされた。 + + + あなたはあなたの神、主を愛し、いつも、主の戒めと、おきてと、定めと、命令とを守りなさい。 + きょう、知りなさい。私が語るのは、あなたがたの子どもたちにではない。彼らはあなたがたの神、主の訓練、主の偉大さ、その力強い御手、伸べられた腕、そのしるしとみわざを経験も、目撃もしなかった。 + これらはエジプトで、エジプトの王パロとその全土に対してなさったこと、 + また、エジプトの軍勢とその馬と戦車とに対してなさったことである。――彼らがあなたがたのあとを追って来たとき、葦の海の水を彼らの上にあふれさせ、主はこれを滅ぼして、今日に至っている―― + また、あなたがたがこの所に来るまで、荒野であなたがたのためになさったこと、 + また、ルベンの子エリアブの子であるダタンとアビラムに対してなさったことである。イスラエルのすべての人々のただ中で、地はその口をあけ、彼らとその家族、その天幕、また彼らにつくすべての生き物をのみこんだ。 + これら主がなされた偉大なみわざのすべてをその目で見たのは、あなたがたである。 + あなたがたは、私が、きょう、あなたに命じるすべての命令を守りなさい。そうすれば、あなたがたは、強くなり、あなたがたが、渡って行って、所有しようとしている地を所有することができ、 + また、主があなたがたの先祖たちに誓って、彼らとその子孫に与えると言われた地、乳と蜜の流れる国で、長生きすることができる。 + なぜなら、あなたが、入って行って、所有しようとしている地は、あなたがたが出て来たエジプトの地のようではないからである。あそこでは、野菜畑のように、自分で種を蒔き、自分の力で水をやらなければならなかった。 + しかし、あなたがたが、渡って行って、所有しようとしている地は、山と谷の地であり、天の雨で潤っている。 + そこはあなたの神、主が求められる地で、年の初めから年の終わりまで、あなたの神、主が、絶えずその上に目を留めておられる地である。 + もし、私が、きょう、あなたがたに命じる命令に、あなたがたがよく聞き従って、あなたがたの神、主を愛し、心を尽くし、精神を尽くして仕えるなら、 + 「わたしは季節にしたがって、あなたがたの地に雨、先の雨と後の雨を与えよう。あなたは、あなたの穀物と新しいぶどう酒と油を集めよう。 + また、わたしは、あなたの家畜のため野に草を与えよう。あなたは食べて満ち足りよう。」 + 気をつけなさい。あなたがたの心が迷い、横道にそれて、ほかの神々に仕え、それを拝むことのないように。 + 主の怒りがあなたがたに向かって燃え上がり、主が天を閉ざされないように。そうなると、雨は降らず、地はその産物を出さず、あなたがたは、主が与えようとしておられるその良い地から、すぐに滅び去ってしまおう。 + あなたがたは、私のこのことばを心とたましいに刻みつけ、それをしるしとして手に結びつけ、記章として額の上に置きなさい。 + それをあなたがたの子どもたちに教えなさい。あなたが家にすわっているときも、道を歩くときも、寝るときも、起きるときも、それを唱えるように。 + これをあなたの家の門柱と門に書きしるしなさい。 + それは、主があなたがたの先祖たちに、与えると誓われた地で、あなたがたの日数と、あなたがたの子孫の日数が、天が地をおおう日数のように長くなるためである。 + もし、あなたがたが、私の命じるこのすべての命令を忠実に守り行い、あなたがたの神、主を愛して、主のすべての道に歩み、主にすがるなら、 + 主はこれらの国々をことごとくあなたがたの前から追い払い、あなたがたは、自分たちよりも大きくて強い国々を占領することができる。 + あなたがたが足の裏で踏む所は、ことごとくあなたがたのものとなる。あなたがたの領土は荒野からレバノンまで、あの川、ユーフラテス川から西の海までとなる。 + だれひとりとして、あなたがたの前に立ちはだかる者はいない。あなたがたの神、主は、あなたがたに約束されたとおり、あなたがたが足を踏み入れる地の全面に、あなたがたに対するおびえと恐れを臨ませられる。 + 見よ。私は、きょう、あなたがたの前に、祝福とのろいを置く。 + もし、私が、きょう、あなたがたに命じる、あなたがたの神、主の命令に聞き従うなら、祝福を、 + もし、あなたがたの神、主の命令に聞き従わず、私が、きょう、あなたがたに命じる道から離れ、あなたがたの知らなかったほかの神々に従って行くなら、のろいを与える。 + あなたが、入って行って、所有しようとしている地に、あなたの神、主があなたを導き入れたなら、あなたはゲリジム山には祝福を、エバル山にはのろいを置かなければならない。 + それらの山は、ヨルダンの向こう、日の入るほうの、アラバに住むカナン人の地にあり、ギルガルの前方、モレの樫の木の付近にあるではないか。 + あなたがたは、ヨルダンを渡り、あなたがたの神、主があなたがたに与えようとしておられる地に入って、それを所有しようとしている。あなたがたがそこを所有し、そこに住みつくとき、 + 私がきょう、あなたがたの前に与えるすべてのおきてと定めを守り行わなければならない。 + + + これは、あなたの父祖の神、主が、あなたに与えて所有させようとしておられる地で、あなたがたが生きるかぎり、守り行わなければならないおきてと定めである。 + あなたがたが所有する異邦の民が、その神々に仕えた場所は、高い山の上であっても、丘の上であっても、また青々と茂ったどの木の下であっても、それをことごとく必ず破壊しなければならない。 + 彼らの祭壇をこわし、石の柱を打ち砕き、アシェラ像を火で焼き、彼らの神々の彫像を粉砕して、それらの名をその場所から消し去りなさい。 + あなたがたの神、主に対して、このようにしてはならない。 + ただあなたがたの神、主がご自分の住まいとして御名を置くために、あなたがたの全部族のうちから選ぶ場所を尋ねて、そこへ行かなければならない。 + あなたがたは全焼のいけにえや、ほかのいけにえ、十分の一と、あなたがたの奉納物、誓願のささげ物、進んでささげるささげ物、あなたがたの牛や羊の初子を、そこに携えて行きなさい。 + その所であなたがたは家族の者とともに、あなたがたの神、主の前で祝宴を張り、あなたの神、主が祝福してくださったあなたがたのすべての手のわざを喜び楽しみなさい。 + あなたがたは、私たちがきょう、ここでしているようにしてはならない。おのおのが自分の正しいと見ることを何でもしている。 + あなたがたがまだ、あなたの神、主のあなたに与えようとしておられる相続の安住地に行っていないからである。 + あなたがたは、ヨルダンを渡り、あなたがたの神、主があなたがたに受け継がせようとしておられる地に住み、主があなたがたの回りの敵をことごとく取り除いてあなたがたを休ませ、あなたがたが安らかに住むようになるなら、 + あなたがたの神、主が、御名を住まわせるために選ぶ場所へ、私があなたがたに命じるすべての物を持って行かなければならない。あなたがたの全焼のいけにえとそのほかのいけにえ、十分の一と、あなたがたの奉納物、それにあなたがたが主に誓う最良の誓願のささげ物とである。 + あなたがたは、息子、娘、男奴隷、女奴隷とともに、あなたがたの神、主の前で喜び楽しみなさい。また、あなたがたの町囲みのうちにいるレビ人とも、そうしなさい。レビ人にはあなたがたにあるような相続地の割り当てがないからである。 + 全焼のいけにえを、かって気ままな場所でささげないように気をつけなさい。 + ただ主があなたの部族の一つのうちに選ぶその場所で、あなたの全焼のいけにえをささげ、その所で私が命じるすべてのことをしなければならない。 + しかしあなたの神、主があなたに賜った祝福にしたがって、いつでも自分の欲するとき、あなたのどの町囲みのうちでも、獣をほふってその肉を食べることができる。汚れた人も、きよい人も、かもしかや、鹿と同じように、それを食べることができる。 + ただし、血は食べてはならない。それを地面に水のように注ぎ出さなければならない。 + あなたの穀物や新しいぶどう酒や油の十分の一、あるいは牛や羊の初子、または、あなたが誓うすべての誓願のささげ物や進んでささげるささげ物、あるいは、あなたの奉納物を、あなたの町囲みのうちで食べることはできない。 + ただ、あなたの神、主が選ぶ場所で、あなたの息子、娘、男奴隷、女奴隷、およびあなたの町囲みのうちにいるレビ人とともに、あなたの神、主の前でそれらを食べなければならない。あなたの神、主の前で、あなたの手のすべてのわざを喜び楽しみなさい。 + あなたは一生、あなたの地で、レビ人をないがしろにしないように気をつけなさい。 + あなたの神、主が、あなたに告げたように、あなたの領土を広くされるなら、あなたが肉を食べたくなったとき、「肉を食べたい」と言ってよい。あなたは食べたいだけ、肉を食べることができる。 + もし、あなたの神、主が御名を置くために選ぶ場所が遠く離れているなら、私があなたに命じたように、あなたは主が与えられた牛と羊をほふり、あなたの町囲みのうちで、食べたいだけ食べてよい。 + かもしかや、鹿を食べるように、それを食べてよい。汚れた人もきよい人もいっしょにそれを食べることができる。 + ただ、血は絶対に食べてはならない。血はいのちだからである。肉とともにいのちを食べてはならない。 + 血を食べてはならない。それを水のように地面に注ぎ出さなければならない。 + 血を食べてはならない。あなたも、後の子孫もしあわせになるためである。あなたは主が正しいと見られることを行わなければならない。 + ただし、あなたがささげようとする聖なるものと誓願のささげ物とは、主の選ぶ場所へ携えて行かなければならない。 + あなたの全焼のいけにえはその肉と血とを、あなたの神、主の祭壇の上にささげなさい。あなたの、ほかのいけにえの血は、あなたの神、主の祭壇の上に注ぎ出さなければならない。その肉は食べてよい。 + 気をつけて、私が命じるこれらのすべてのことばに聞き従いなさい。それは、あなたの神、主がよいと見、正しいと見られることをあなたが行い、あなたも後の子孫も永久にしあわせになるためである。 + あなたが、入って行って、所有しようとしている国々を、あなたの神、主が、あなたの前から絶ち滅ぼし、あなたがそれらを所有して、その地に住むようになったら、 + よく気をつけ、彼らがあなたの前から根絶やしにされて後に、彼らにならって、わなにかけられないようにしなさい。彼らの神々を求めて、「これらの異邦の民は、どのように神々に仕えたのだろう。私もそうしてみよう」と言わないようにしなさい。 + あなたの神、主に対して、このようにしてはならない。彼らは、主が憎むあらゆる忌みきらうべきことを、その神々に行い、自分たちの息子、娘を自分たちの神々のために、火で焼くことさえしたのである。 + あなたがたは、私があなたがたに命じるすべてのことを、守り行わなければならない。これにつけ加えてはならない。減らしてはならない。 + + + あなたがたのうちに預言者または夢見る者が現れ、あなたに何かのしるしや不思議を示し、 + あなたに告げたそのしるしと不思議が実現して、「さあ、あなたが知らなかったほかの神々に従い、これに仕えよう」と言っても、 + その預言者、夢見る者のことばに従ってはならない。あなたがたの神、主は、あなたがたが心を尽くし、精神を尽くして、ほんとうに、あなたがたの神、主を愛するかどうかを知るために、あなたがたを試みておられるからである。 + あなたがたの神、主に従って歩み、主を恐れなければならない。主の命令を守り、御声に聞き従い、主に仕え、主にすがらなければならない。 + その預言者、あるいは、夢見る者は殺されなければならない。その者は、あなたがたをエジプトの国から連れ出し、奴隷の家から贖い出された、あなたがたの神、主に、あなたがたを反逆させようとそそのかし、あなたの神、主があなたに歩めと命じた道から、あなたを迷い出させようとするからである。あなたがたのうちからこの悪を除き去りなさい。 + あなたと母を同じくするあなたの兄弟、あるいはあなたの息子、娘、またはあなたの愛妻、またはあなたの無二の親友が、ひそかにあなたをそそのかして、「さあ、ほかの神々に仕えよう」と言うかもしれない。これは、あなたも、あなたの先祖たちも知らなかった神々で、 + 地の果てから果てまで、あなたの近くにいる、あるいはあなたから遠く離れている、あなたがたの回りの国々の民の神である。 + あなたは、そういう者に同意したり、耳を貸したりしてはならない。このような者にあわれみをかけたり、同情したり、彼をかばったりしてはならない。 + 必ず彼を殺さなければならない。彼を殺すには、まず、あなたが彼に手を下し、その後、民がみな、その手を下すようにしなさい。 + 彼を石で打ちなさい。彼は死ななければならない。彼は、エジプトの地、奴隷の家からあなたを連れ出したあなたの神、主から、あなたを迷い出させようとしたからである。 + イスラエルはみな、聞いて恐れ、重ねてこのような悪を、あなたがたのうちで行わないであろう。 + もし、あなたの神、主があなたに与えて住まわせる町の一つで、 + よこしまな者たちが、あなたがたのうちから出て、「さあ、あなたがたの知らなかったほかの神々に仕えよう」と言って、町の住民を迷わせたと聞いたなら、 + あなたは、調べ、探り、よく問いたださなければならない。もし、そのような忌みきらうべきことがあなたがたのうちで行われたことが、事実で確かなら、 + あなたは必ず、その町の住民を剣の刃で打たなければならない。その町とそこにいるすべての者、その家畜も、剣の刃で聖絶しなさい。 + そのすべての略奪物を広場の中央に集め、その町と略奪物のすべてを、あなたの神、主への焼き尽くすいけにえとして、火で焼かなければならない。その町は永久に廃墟となり、再建されることはない。 + この聖絶のものは何一つ自分のものにしてはならない。主が燃える怒りをおさめ、あなたにあわれみを施し、あなたをいつくしみ、あなたの先祖たちに誓ったとおり、あなたをふやすためである。 + あなたは、必ずあなたの神、主の御声に聞き従い、私が、きょう、あなたに命じるすべての主の命令を守り、あなたの神、主が正しいと見られることを行わなければならない。 + + + あなたがたは、あなたがたの神、主の子どもである。死人のために自分の身に傷をつけたり、また額をそり上げたりしてはならない。 + あなたは、あなたの神、主の聖なる民である。主は、地の面のすべての国々の民のうちから、あなたを選んでご自分の宝の民とされた。 + あなたは忌みきらうべきものを、いっさい食べてはならない。 + あなたがたが食べることのできる獣は、牛、羊、やぎ、 + 鹿、かもしか、のろじか、野やぎ、くじか、おおじか、野羊。 + および、ひづめが分かれ、完全に二つに割れているもので、反芻するものは、すべて食べることができる。 + 反芻するもの、または、ひづめの分かれたもののうち、らくだ、野うさぎ、岩だぬきは、食べてはならない。これらは反芻するが、ひづめが分かれていない。それは、あなたがたには汚れたものである。 + 豚もそうである。ひづめは分かれているが、反芻しないから、あなたがたには汚れたものである。その肉を食べてはならない。またその死体にも触れてはならない。 + すべて水の中にいるもののうち、次のものをあなたがたは食べることができる。すべて、ひれとうろこのあるものは食べることができる。 + ひれとうろこのないものは何も食べてはならない。それは、あなたがたには汚れたものである。 + すべて、きよい鳥は食べることができる。 + 食べてならないものは、はげわし、はげたか、黒はげたか、 + 黒とび、はやぶさ、とびの類、 + 烏の類全部、 + だちょう、よたか、かもめ、たかの類、 + ふくろう、みみずく、白ふくろう、 + ペリカン、野がん、う、 + こうのとり、さぎの類、やつがしら、こうもり。 + 羽があって群生するものは、すべてあなたがたには汚れたものである。 + 羽のあるきよいものはどれも食べることができる。 + あなたがたは自然に死んだものを、いっさい食べてはならない。あなたの町囲みのうちにいる在留異国人にそれを与えて、彼がそれを食べるのはよい。あるいは、外国人に売りなさい。あなたは、あなたの神、主の聖なる民である。子やぎをその母の乳で煮てはならない。 + あなたが種を蒔いて、畑から得るすべての収穫の十分の一を必ず毎年ささげなければならない。 + 主が御名を住まわせるために選ぶ場所、あなたの神、主の前で、あなたの穀物や新しいぶどう酒や油の十分の一と、それに牛や羊の初子を食べなさい。あなたが、いつも、あなたの神、主を恐れることを学ぶために。 + もし、道のりがあまりに遠すぎ、持って行くことができないなら、もし、あなたの神、主が御名を置くために選ぶ場所が遠く離れているなら、あなたの神、主があなたを祝福される場合、 + あなたはそれを金に換え、その金を手に結びつけ、あなたの神、主の選ぶ場所に行きなさい。 + あなたは、そこでその金をすべてあなたの望むもの、牛、羊、ぶどう酒、強い酒、また何であれ、あなたの願うものに換えなさい。あなたの神、主の前で食べ、あなたの家族とともに喜びなさい。 + あなたの町囲みのうちにいるレビ人をないがしろにしてはならない。彼には、あなたのうちにあって相続地の割り当てがないからである。 + 三年の終わりごとに、その年の収穫の十分の一を全部持ち出し、あなたの町囲みのうちに置いておかなければならない。 + あなたのうちにあって相続地の割り当てのないレビ人や、あなたの町囲みのうちにいる在留異国人や、みなしごや、やもめは来て、食べ、満ち足りるであろう。あなたの神、主が、あなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。 + + + 七年の終わりごとに、負債の免除をしなければならない。 + その免除のしかたは次のとおりである。貸し主はみな、その隣人に貸したものを免除する。その隣人やその兄弟から取り立ててはならない。主が免除を布告しておられる。 + 外国人からは取り立てることができるが、あなたの兄弟が、あなたに借りているものは免除しなければならない。 + そうすれば、あなたのうちには貧しい者がなくなるであろう。あなたの神、主が相続地としてあなたに与えて所有させようとしておられる地で、主は、必ずあなたを祝福される。 + ただ、あなたは、あなたの神、主の御声によく聞き従い、私が、きょう、あなたに命じるこのすべての命令を守り行わなければならない。 + あなたの神、主は、あなたに約束されたようにあなたを祝福されるから、あなたは多くの国々に貸すが、あなたが借りることはない。またあなたは多くの国々を支配するが、彼らがあなたを支配することはない。 + あなたの神、主があなたに与えようとしておられる地で、あなたのどの町囲みのうちででも、あなたの兄弟のひとりが、もし貧しかったなら、その貧しい兄弟に対して、あなたの心を閉じてはならない。また手を閉じてはならない。 + 進んであなたの手を彼に開き、その必要としているものを十分に貸し与えなければならない。 + あなたは心に邪念をいだき、「第七年、免除の年が近づいた」と言って、貧しい兄弟に物惜しみして、これに何も与えないことのないように気をつけなさい。その人があなたのことで主に訴えるなら、あなたは有罪となる。 + 必ず彼に与えなさい。また与えるとき、心に未練を持ってはならない。このことのために、あなたの神、主は、あなたのすべての働きと手のわざを祝福してくださる。 + 貧しい者が国のうちから絶えることはないであろうから、私はあなたに命じて言う。「国のうちにいるあなたの兄弟の悩んでいる者と貧しい者に、必ずあなたの手を開かなければならない。」 + もし、あなたの同胞、ヘブル人の男あるいは女が、あなたのところに売られてきて六年間あなたに仕えたなら、七年目にはあなたは彼を自由の身にしてやらなければならない。 + 彼を自由の身にしてやるときは、何も持たせずに去らせてはならない。 + 必ず、あなたの羊の群れと打ち場と酒ぶねのうちから取って、彼にあてがってやらなければならない。あなたの神、主があなたに祝福として与えられたものを、彼に与えなければならない。 + あなたは、エジプトの地で奴隷であったあなたを、あなたの神、主が贖い出されたことを覚えていなさい。それゆえ、私は、きょう、この戒めをあなたに命じる。 + その者が、あなたとあなたの家族を愛し、あなたのもとにいてしあわせなので、「あなたのところから出て行きたくありません」と言うなら、 + あなたは、きりを取って、彼の耳を戸に刺し通しなさい。彼はいつまでもあなたの奴隷となる。女奴隷にも同じようにしなければならない。 + 彼を自由の身にしてやるときには、きびしくしてはならない。彼は六年間、雇い人の賃金の二倍分あなたに仕えたからである。あなたの神、主は、あなたのなすすべてのことにおいて、あなたを祝福してくださる。 + あなたの牛の群れや羊の群れに生まれた雄の初子はみな、あなたの神、主にささげなければならない。牛の初子を使って働いてはならない。羊の初子の毛を刈ってはならない。 + 主が選ぶ場所で、あなたは家族とともに、毎年、あなたの神、主の前で、それを食べなければならない。 + もし、それに欠陥があれば、足がなえたり盲目であったり、何でもひどい欠陥があれば、あなたの神、主にそれをいけにえとしてささげてはならない。 + あなたの町囲みのうちでそれを食べなければならない。汚れた人もきよい人も、かもしかや、鹿と同じように、それを食べることができる。 + ただし、その血を食べてはならない。それを地面に水のように注ぎ出さなければならない。 + + + アビブの月を守り、あなたの神、主に過越のいけにえをささげなさい。アビブの月に、あなたの神、主が、夜のうちに、エジプトからあなたを連れ出されたからである。 + 主が御名を住まわせるために選ぶ場所で、羊と牛を過越のいけにえとしてあなたの神、主にささげなさい。 + それといっしょに、パン種を入れたものを食べてはならない。七日間は、それといっしょに種を入れないパン、悩みのパンを食べなければならない。あなたが急いでエジプトの国を出たからである。それは、あなたがエジプトの国から出た日を、あなたの一生の間、覚えているためである。 + 七日間は、パン種があなたの領土のどこにも見あたらないようにしなければならない。また、第一日目の夕方にいけにえとしてほふったその肉を、朝まで残してはならない。 + あなたの神、主があなたに与えようとしておられるあなたの町囲みのどれでも、その中で過越のいけにえをほふることはできない。 + ただ、あなたの神、主が御名を住まわせるために選ぶその場所で、夕方、日の沈むころ、あなたがエジプトから出た時刻に、過越のいけにえをほふらなければならない。 + そして、あなたの神、主が選ぶその場所で、それを調理して食べなさい。そして朝、自分の天幕に戻って行きなさい。 + 六日間、種を入れないパンを食べなければならない。七日目は、あなたの神、主へのきよめの集会である。どんな仕事もしてはならない。 + 七週間を数えなければならない。かまを立穂に入れ始める時から、七週間を数え始めなければならない。 + あなたの神、主のために七週の祭りを行い、あなたの神、主が賜る祝福に応じ、進んでささげるささげ物をあなたの手でささげなさい。 + あなたは、あなたの息子、娘、男女の奴隷、あなたの町囲みのうちにいるレビ人、あなたがたのうちの在留異国人、みなしご、やもめとともに、あなたの神、主の前で、あなたの神、主が御名を住まわせるために選ぶ場所で、喜びなさい。 + あなたがエジプトで奴隷であったことを覚え、これらのおきてを守り行いなさい。 + あなたの打ち場とあなたの酒ぶねから、取り入れが済んだとき、七日間、仮庵の祭りをしなければならない。 + この祭りのときには、あなたも、あなたの息子、娘、男女の奴隷、あなたの町囲みのうちにいるレビ人、在留異国人、みなしご、やもめも共に喜びなさい。 + あなたの神、主のために、主が選ぶ場所で、七日間、祭りをしなければならない。あなたの神、主が、あなたのすべての収穫、あなたの手のすべてのわざを祝福されるからである。あなたは大いに喜びなさい。 + あなたのうちの男子はみな、年に三度、種を入れないパンの祭り、七週の祭り、仮庵の祭りのときに、あなたの神、主の選ぶ場所で、御前に出なければならない。主の前には、何も持たずに出てはならない。 + あなたの神、主が賜った祝福に応じて、それぞれ自分のささげ物を持って出なければならない。 + あなたの神、主があなたに与えようとしておられるあなたのすべての町囲みのうちに、あなたの部族ごとに、さばきつかさと、つかさたちを任命しなければならない。彼らは正しいさばきをもって民をさばかなければならない。 + あなたはさばきを曲げてはならない。人をかたよって見てはならない。わいろを取ってはならない。わいろは知恵のある人を盲目にし、正しい人の言い分をゆがめるからである。 + 正義を、ただ正義を追い求めなければならない。そうすれば、あなたは生き、あなたの神、主が与えようとしておられる地を、自分の所有とすることができる。 + あなたが築く、あなたの神、主の祭壇のそばに、どんな木のアシェラ像をも立ててはならない。 + あなたは、あなたの神、主の憎む石の柱を立ててはならない。 + + + 悪性の欠陥のある牛や羊を、あなたの神、主にいけにえとしてささげてはならない。それは、あなたの神、主の忌みきらわれるものだからである。 + あなたの神、主があなたに与えようとしておられる町囲みのどれでも、その中で、男であれ、女であれ、あなたの神、主の目の前に悪を行い、主の契約を破り、 + 行ってほかの神々に仕え、また、日や月や天の万象など、私が命じもしなかったものを拝む者があり、 + それがあなたに告げられて、あなたが聞いたなら、あなたはよく調査しなさい。もし、そのことが事実で、確かであり、この忌みきらうべきことがイスラエルのうちに行われたのなら、 + あなたは、この悪事を行った男または女を町の広場に連れ出し、男でも女でも、彼らを石で打ちなさい。彼らは死ななければならない。 + ふたりの証人または三人の証人の証言によって、死刑に処さなければならない。ひとりの証言で死刑にしてはならない。 + 死刑に処するには、まず証人たちが手を下し、ついで、民がみな、手を下さなければならない。こうしてあなたがたのうちから悪を除き去りなさい。 + もし、町囲みのうちで争い事が起こり、それが流血事件、権利の訴訟、暴力事件で、あなたのさばきかねるものであれば、ただちに、あなたの神、主の選ぶ場所に上り、 + レビ人の祭司たち、あるいは、その時に立てられているさばきつかさのもとに行き、尋ねなさい。彼らは、あなたに判決のことばを告げよう。 + あなたは、主が選ぶその場所で、彼らが告げる判決によって行い、すべて彼らがあなたに教えることを守り行いなさい。 + 彼らが教えるおしえによって、彼らが述べるさばきによって行わなければならない。彼らが告げる判決から右にも左にもそれてはならない。 + もし人が、あなたの神、主に仕えてそこに立つ祭司やさばきつかさに聞き従わず、不遜なふるまいをするなら、その者は死ななければならない。あなたがイスラエルのうちから悪を除き去るなら、 + 民はみな、聞いて恐れ、不遜なふるまいをすることはもうないであろう。 + あなたの神、主があなたに与えようとしておられる地に入って行って、それを占領し、そこに住むようになったとき、あなたが、「回りのすべての国々と同じく、私も自分の上に王を立てたい」と言うなら、 + あなたの神、主の選ぶ者を、必ず、あなたの上に王として立てなければならない。あなたの同胞の中から、あなたの上に王を立てなければならない。同胞でない外国の人を、あなたの上に立てることはできない。 + 王は、自分のために決して馬を多くふやしてはならない。馬をふやすためだといって民をエジプトに帰らせてはならない。「二度とこの道を帰ってはならない」と主はあなたがたに言われた。 + 多くの妻を持ってはならない。心をそらせてはならない。自分のために金銀を非常に多くふやしてはならない。 + 彼がその王国の王座に着くようになったなら、レビ人の祭司たちの前のものから、自分のために、このみおしえを書き写して、 + 自分の手もとに置き、一生の間、これを読まなければならない。それは、彼の神、主を恐れ、このみおしえのすべてのことばとこれらのおきてとを守り行うことを学ぶためである。 + それは、王の心が自分の同胞の上に高ぶることがないため、また命令から、右にも左にもそれることがなく、彼とその子孫とがイスラエルのうちで、長くその王国を治めることができるためである。 + + + レビ人の祭司たち、レビ部族全部は、イスラエルといっしょに、相続地の割り当てを受けてはならない。彼らは主への火によるささげ物を、自分への割り当て分として、食べていかなければならない。 + 彼らは、その兄弟たちの部族の中で相続地を持ってはならない。主が約束されたとおり、主ご自身が、彼らの相続地である。 + 祭司たちが民から、牛でも羊でも、いけにえをささげる者から、受けるべきものは次のとおりである。その人は、肩と両方の頬と胃とを祭司に与える。 + あなたの穀物や、新しいぶどう酒や、油などの初物、羊の毛の初物も彼に与えなければならない。 + 彼とその子孫が、いつまでも、主の御名によって奉仕に立つために、あなたの神、主が、あなたの全部族の中から、彼を選ばれたのである。 + もし、ひとりのレビ人が、自分の住んでいたイスラエルのうちのどの町囲みのうちからでも出て、主の選ぶ場所に行きたいなら、望むままに行くことができる。 + 彼は、その所で主の前に仕えている自分の同族レビ人と全く同じように、彼の神、主の御名によって奉仕することができる。 + 彼の分け前は、相続財産を売った分は別として、彼らが食べる分け前と同じである。 + あなたの神、主があなたに与えようとしておられる地に入ったとき、あなたはその異邦の民の忌みきらうべきならわしをまねてはならない。 + あなたのうちに自分の息子、娘に火の中を通らせる者があってはならない。占いをする者、卜者、まじない師、呪術者、 + 呪文を唱える者、霊媒をする者、口寄せ、死人に伺いを立てる者があってはならない。 + これらのことを行う者はみな、主が忌みきらわれるからである。これらの忌みきらうべきことのために、あなたの神、主は、あなたの前から、彼らを追い払われる。 + あなたは、あなたの神、主に対して全き者でなければならない。 + あなたが占領しようとしているこれらの異邦の民は、卜者や占い師に聞き従ってきたのは確かである。しかし、あなたには、あなたの神、主は、そうすることを許されない。 + あなたの神、主は、あなたのうちから、あなたの同胞の中から、私のようなひとりの預言者をあなたのために起こされる。彼に聞き従わなければならない。 + これはあなたが、ホレブであの集まりの日に、あなたの神、主に求めたそのことによるものである。あなたは、「私の神、主の声を二度と聞きたくありません。またこの大きな火をもう見たくありません。私は死にたくありません」と言った。 + それで主は私に言われた。「彼らの言ったことはもっともだ。 + わたしは彼らの同胞のうちから、彼らのためにあなたのようなひとりの預言者を起こそう。わたしは彼の口にわたしのことばを授けよう。彼は、わたしが命じることをみな、彼らに告げる。 + わたしの名によって彼が告げるわたしのことばに聞き従わない者があれば、わたしが彼に責任を問う。 + ただし、わたしが告げよと命じていないことを、不遜にもわたしの名によって告げたり、あるいは、ほかの神々の名によって告げたりする預言者があるなら、その預言者は死ななければならない。」 + あなたが心の中で、「私たちは、主が言われたのでないことばを、どうして見分けることができようか」と言うような場合は、 + 預言者が主の名によって語っても、そのことが起こらず、実現しないなら、それは主が語られたことばではない。その預言者が不遜にもそれを語ったのである。彼を恐れてはならない。 + + + あなたの神、主が、あなたに与えようとしておられる地の国々を、あなたの神、主が断ち滅ぼし、あなたがそれらを占領し、それらの町々や家々に住むようになったときに、 + あなたの神、主があなたに与えて所有させようとしておられるその地に、三つの町を取り分けなければならない。 + あなたは距離を測定し、あなたの神、主があなたに受け継がせる地域を三つに区分しなければならない。殺人者はだれでも、そこにのがれることができる。 + 殺人者がそこにのがれて生きることができる場合は次のとおり。知らずに隣人を殺し、以前からその人を憎んでいなかった場合である。 + たとえば、木を切るため隣人といっしょに森に入り、木を切るために斧を手にして振り上げたところ、その頭が柄から抜け、それが隣人に当たってその人が死んだ場合、その者はこれらの町の一つにのがれて生きることができる。 + 血の復讐をする者が、憤りの心に燃え、その殺人者を追いかけ、道が遠いために、その人に追いついて、打ち殺すようなことがあってはならない。その人は、以前から相手を憎んでいたのではないから、死刑に当たらない。 + だから私はあなたに命じて、「三つの町を取り分けよ」と言ったのである。 + あなたの神、主が、あなたの先祖たちに誓われたとおり、あなたの領土を広げ、先祖たちに与えると約束された地を、ことごとくあなたに与えられたなら、 + ――私が、きょう、あなたに命じるこのすべての命令をあなたが守り行い、あなたの神、主を愛し、いつまでもその道を歩むなら――そのとき、この三つの町に、さらに三つの町を追加しなさい。 + あなたの神、主が相続地としてあなたに与えようとしておられる地で、罪のない者の血が流されることがなく、また、あなたが血の罪を負うことがないためである。 + しかし、もし人が自分の隣人を憎み、待ち伏せして襲いかかり、彼を打って、死なせ、これらの町の一つにのがれるようなことがあれば、 + 彼の町の長老たちは、人をやって彼をそこから引き出し、血の復讐をする者の手に渡さなければならない。彼は死ななければならない。 + 彼をあわれんではならない。罪のない者の血を流す罪は、イスラエルから除き去りなさい。それはあなたのためになる。 + あなたの神、主があなたに与えて所有させようとしておられる地のうち、あなたの受け継ぐ相続地で、あなたは、先代の人々の定めた隣人との地境を移してはならない。 + どんな咎でも、どんな罪でも、すべて人が犯した罪は、ひとりの証人によっては立証されない。ふたりの証人の証言、または三人の証人の証言によって、そのことは立証されなければならない。 + もし、ある人に不正な証言をするために悪意のある証人が立ったときには、 + 相争うこの二組の者は、主の前に、その時の祭司たちとさばきつかさたちの前に立たなければならない。 + さばきつかさたちはよく調べたうえで、その証人が偽りの証人であり、自分の同胞に対して偽りの証言をしていたのであれば、 + あなたがたは、彼がその同胞にしようとたくらんでいたとおりに、彼になし、あなたがたのうちから悪を除き去りなさい。 + ほかの人々も聞いて恐れ、このような悪を、あなたがたのうちで再び行わないであろう。 + あわれみをかけてはならない。いのちにはいのち、目には目、歯には歯、手には手、足には足。 + + + あなたが敵と戦うために出て行くとき、馬や戦車や、あなたよりも多い軍勢を見ても、彼らを恐れてはならない。あなたをエジプトの地から導き上られたあなたの神、主が、あなたとともにおられる。 + あなたがたが戦いに臨む場合は、祭司は進み出て民に告げ、 + 彼らに言いなさい。「聞け。イスラエルよ。あなたがたは、きょう、敵と戦おうとしている。弱気になってはならない。恐れてはならない。うろたえてはならない。彼らのことでおじけてはならない。 + 共に行って、あなたがたのために、あなたがたの敵と戦い、勝利を得させてくださるのは、あなたがたの神、主である。」 + つかさたちは、民に告げて言いなさい。「新しい家を建てて、まだそれを奉献しなかった者はいないか。その者は家へ帰らなければならない。彼が戦死して、ほかの者がそれを奉献するといけないから。 + ぶどう畑を作って、そこからまだ収穫していない者はいないか。その者は家へ帰らなければならない。彼が戦死して、ほかの者が収穫するといけないから。 + 女と婚約して、まだその女と結婚していない者はいないか。その者は家へ帰らなければならない。彼が戦死して、ほかの者が彼女と結婚するといけないから。」 + つかさたちは、さらに民に告げて言わなければならない。「恐れて弱気になっている者はいないか。その者は家に帰れ。戦友たちの心が、彼の心のようにくじけるといけないから。」 + つかさたちが民に告げ終わったら、将軍たちが民の指揮をとりなさい。 + 町を攻略しようと、あなたがその町に近づいたときには、まず降伏を勧めなさい。 + 降伏に同意して門を開くなら、その中にいる民は、みな、あなたのために、苦役に服して働かなければならない。 + もし、あなたに降伏せず、戦おうとするなら、これを包囲しなさい。 + あなたの神、主が、それをあなたの手に渡されたなら、その町の男をみな、剣の刃で打ちなさい。 + しかし女、子ども、家畜、また町の中にあるすべてのもの、そのすべての略奪物を、戦利品として取ってよい。あなたの神、主があなたに与えられた敵からの略奪物を、あなたは利用することができる。 + 非常に遠く離れていて、次に示す国々の町でない町々に対しては、すべてこのようにしなければならない。 + しかし、あなたの神、主が相続地として与えようとしておられる次の国々の民の町では、息のある者をひとりも生かしておいてはならない。 + すなわち、ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人は、あなたの神、主が命じられたとおり、必ず聖絶しなければならない。 + それは、彼らが、その神々に行っていたすべての忌みきらうべきことをするようにあなたがたに教え、あなたがたが、あなたがたの神、主に対して罪を犯すことのないためである。 + 長い間、町を包囲して、これを攻め取ろうとするとき、斧をふるって、そこの木を切り倒してはならない。その木から取って食べるのはよいが、切り倒してはならない。まさか野の木が包囲から逃げ出す人間でもあるまい。 + ただ、実を結ばないとわかっている木だけは、切り倒してもよい。それを切り倒して、あなたと戦っている町が陥落するまでその町に対して、それでとりでを築いてもよい。 + + + あなたの神、主があなたに与えて所有させようとしておられる地で、刺し殺されて野に倒れている人が見つかり、だれが殺したのかわからないときは、 + あなたの長老たちとさばきつかさたちは出て行って、刺し殺された者の回りの町々への距離を測りなさい。 + そして、刺し殺された者に最も近い町がわかれば、その町の長老たちは、まだ使役されず、まだくびきを負って引いたことのない群れのうちの雌の子牛を取り、 + その町の長老たちは、その雌の子牛を、まだ耕されたことも種を蒔かれたこともない、いつも水の流れている谷へ連れて下り、その谷で雌の子牛の首を折りなさい。 + そこでレビ族の祭司たちが進み出なさい。彼らは、あなたの神、主が、ご自身に仕えさせ、また主の御名によって祝福を宣言するために選ばれた者であり、どんな争いも、どんな暴行事件も、彼らの判決によるからである。 + 刺し殺された者に最も近い、その町の長老たちはみな、谷で首を折られた雌の子牛の上で手を洗い、 + 証言して言いなさい。「私たちの手は、この血を流さず、私たちの目はそれを見なかった。 + 主よ。あなたが贖い出された御民イスラエルをお赦しください。罪のない者の血を流す罪を、御民イスラエルのうちに負わせないでください。」彼らは血の罪を赦される。 + あなたは、罪のない者の血を流す罪をあなたがたのうちから除き去らなければならない。主が正しいと見られることをあなたは行わなければならないからである。 + あなたが敵との戦いに出て、あなたの神、主が、その敵をあなたの手に渡し、あなたがそれを捕虜として捕らえて行くとき、 + その捕虜の中に、姿の美しい女性を見、その女を恋い慕い、妻にめとろうとするなら、 + その女をあなたの家に連れて行きなさい。女は髪をそり、爪を切り、 + 捕虜の着物を脱ぎ、あなたの家にいて、自分の父と母のため、一か月の間、泣き悲しまなければならない。その後、あなたは彼女のところに入り、彼女の夫となることができる。彼女はあなたの妻となる。 + もしあなたが彼女を好まなくなったなら、彼女を自由の身にしなさい。決して金で売ってはならない。あなたは、すでに彼女を意のままにしたのであるから、彼女を奴隷として扱ってはならない。 + ある人がふたりの妻を持ち、ひとりは愛され、ひとりはきらわれており、愛されている者も、きらわれている者も、その人に男の子を産み、長子はきらわれている妻の子である場合、 + その人が自分の息子たちに財産を譲る日に、長子である、そのきらわれている者の子をさしおいて、愛されている者の子を長子として扱うことはできない。 + きらわれている妻の子を長子として認め、自分の全財産の中から、二倍の分け前を彼に与えなければならない。彼は、その人の力の初めであるから、長子の権利は、彼のものである。 + かたくなで、逆らう子がおり、父の言うことも、母の言うことも聞かず、父母に懲らしめられても、父母に従わないときは、 + その父と母は、彼を捕らえ、町の門にいる町の長老たちのところへその子を連れて行き、 + 町の長老たちに、「私たちのこの息子は、かたくなで、逆らいます。私たちの言うことを聞きません。放蕩して、大酒飲みです」と言いなさい。 + 町の人はみな、彼を石で打ちなさい。彼は死ななければならない。あなたがたのうちから悪を除き去りなさい。イスラエルがみな、聞いて恐れるために。 + もし、人が死刑に当たる罪を犯して殺され、あなたがこれを木につるすときは、 + その死体を次の日まで木に残しておいてはならない。その日のうちに必ず埋葬しなければならない。木につるされた者は、神にのろわれた者だからである。あなたの神、主が相続地としてあなたに与えようとしておられる地を汚してはならない。 + + + あなたの同族の者の牛または羊が迷っているのを見て、知らぬふりをしていてはならない。あなたの同族の者のところへそれを必ず連れ戻さなければならない。 + もし同族の者が近くの者でなく、あなたはその人を知らないなら、それを自分の家に連れて来て、同族の者が捜している間、あなたのところに置いて、それを彼に返しなさい。 + 彼のろばについても同じようにしなければならない。彼の着物についても同じようにしなければならない。すべてあなたの同族の者がなくしたものを、あなたが見つけたなら、同じようにしなければならない。知らぬふりをしていることはできない。 + あなたの同族の者のろば、または牛が道で倒れているのを見て、知らぬふりをしていてはならない。必ず、その者を助けて、それを起こさなければならない。 + 女は男の衣装を身に着けてはならない。また男は女の着物を着てはならない。すべてこのようなことをする者を、あなたの神、主は忌みきらわれる。 + たまたまあなたが道で、木の上、または地面に鳥の巣を見つけ、それにひなか卵が入っていて、母鳥がひなまたは卵を抱いているなら、その母鳥を子といっしょに取ってはならない。 + 必ず母鳥を去らせて、子を取らなければならない。それは、あなたがしあわせになり、長く生きるためである。 + 新しい家を建てるときは、屋上に手すりをつけなさい。万一、だれかがそこから落ちても、あなたの家は血の罪を負うことがないために。 + ぶどう畑に二種類の種を蒔いてはならない。あなたが蒔いた種、ぶどう畑の収穫が、みな汚れたものとならないために。 + 牛とろばとを組にして耕してはならない。 + 羊毛と亜麻糸とを混ぜて織った着物を着てはならない。 + 身にまとう着物の四隅に、ふさを作らなければならない。 + もし、人が妻をめとり、彼女のところに入り、彼女をきらい、 + 口実を構え、悪口を言いふらし、「私はこの女をめとって、近づいたが、処女のしるしを見なかった」と言う場合、 + その女の父と母は、その女の処女のしるしを取り、門のところにいる町の長老たちのもとにそれを持って行きなさい。 + その女の父は長老たちに、「私は娘をこの人に、妻として与えましたが、この人は娘をきらいました。 + ご覧ください。彼は口実を構えて、『あなたの娘に処女のしるしを見なかった』と言いました。しかし、これが私の娘の処女のしるしです」と言い、町の長老たちの前にその着物をひろげなさい。 + その町の長老たちは、この男を捕らえて、むち打ちにし、 + 銀百シェケルの罰金を科し、これをその女の父に与えなければならない。彼がイスラエルのひとりの処女の悪口を言いふらしたからである。彼女はその男の妻としてとどまり、その男は一生、その女を離縁することはできない。 + しかし、もしこのことが真実であり、その女の処女のしるしが見つからない場合は、 + その女を父の家の入口のところに連れ出し、その女の町の人々は石で彼女を打たなければならない。彼女は死ななければならない。その女は父の家で淫行をして、イスラエルの中で恥辱になる事をしたからである。あなたがたのうちから悪を除き去りなさい。 + 夫のある女と寝ている男が見つかった場合は、その女と寝ていた男もその女も、ふたりとも死ななければならない。あなたはイスラエルのうちから悪を除き去りなさい。 + ある人と婚約中の処女の女がおり、他の男が町で彼女を見かけて、これといっしょに寝た場合は、 + あなたがたは、そのふたりをその町の門のところに連れ出し、石で彼らを打たなければならない。彼らは死ななければならない。これはその女が町の中におりながら叫ばなかったからであり、その男は隣人の妻をはずかしめたからである。あなたがたのうちから悪を除き去りなさい。 + もし男が、野で、婚約中の女を見かけ、その女をつかまえて、これといっしょに寝た場合は、女と寝たその男だけが死ななければならない。 + その女には何もしてはならない。その女には死刑に当たる罪はない。この場合は、ある人が隣人に襲いかかりいのちを奪ったのと同じである。 + この男が野で彼女を見かけ、婚約中のその女が叫んだが、救う者がいなかったからである。 + もしある男が、まだ婚約していない処女の女を見かけ、捕らえてこれといっしょに寝て、ふたりが見つけられた場合、 + 女と寝たその男は、この女の父に銀五十シェケルを渡さなければならない。彼女は彼の妻となる。彼は彼女をはずかしめたのであるから、彼は一生、この女を離縁することはできない。 + だれも自分の父の妻をめとり、自分の父の恥をさらしてはならない。 + + + こうがんのつぶれた者、陰茎を切り取られた者は、主の集会に加わってはならない。 + 不倫の子は主の集会に加わってはならない。その十代目の子孫さえ、主の集会に加わることはできない。 + アモン人とモアブ人は主の集会に加わってはならない。その十代目の子孫さえ、決して、主の集会に、入ることはできない。 + これは、あなたがたがエジプトから出て来た道中で、彼らがパンと水とをもってあなたがたを迎えず、あなたをのろうために、アラム・ナハライムのペトルからベオルの子バラムを雇ったからである。 + しかし、あなたの神、主はバラムに耳を貸そうとはせず、かえってあなたの神、主は、あなたのために、のろいを祝福に変えられた。あなたの神、主は、あなたを愛しておられるからである。 + あなたは一生、彼らのために決して平安も、しあわせも求めてはならない。 + エドム人を忌みきらってはならない。あなたの親類だからである。エジプト人を忌みきらってはならない。あなたはその国で、在留異国人であったからである。 + 彼らに生まれた子どもたちは、三代目には、主の集会に入ることができる。 + あなたが敵に対して出陣しているときには、すべての汚れたことから身を守らなければならない。 + もし、あなたのうちに、夜、精を漏らして、身を汚した者があれば、その者は陣営の外に出なければならない。陣営の中に入って来てはならない。 + 夕暮れ近くになったら、水を浴び、日没後、陣営の中に戻ることができる。 + また、陣営の外に一つの場所を設け、そこへ出て行って用をたすようにしなければならない。 + 武器とともに小さなくわを持ち、外でかがむときは、それで穴を掘り、用をたしてから、排泄物をおおわなければならない。 + あなたの神、主が、あなたを救い出し、敵をあなたに渡すために、あなたの陣営の中を歩まれるからである。あなたの陣営はきよい。主が、あなたの中で、醜いものを見て、あなたから離れ去ることのないようにしなければならない。 + 主人のもとからあなたのところに逃げて来た奴隷を、その主人に引き渡してはならない。 + あなたがたのうちに、あなたの町囲みのうちのどこでも彼の好むままに選んだ場所に、あなたとともに住まわせなければならない。彼をしいたげてはならない。 + イスラエルの女子は神殿娼婦になってはならない。イスラエルの男子は神殿男娼になってはならない。 + どんな誓願のためでも、遊女のもうけや犬のかせぎをあなたの神、主の家に持って行ってはならない。これはどちらも、あなたの神、主の忌みきらわれるものである。 + 金銭の利息であれ、食物の利息であれ、すべて利息をつけて貸すことのできるものの利息を、あなたの同胞から取ってはならない。 + 外国人から利息を取ってもよいが、あなたの同胞からは利息を取ってはならない。それは、あなたが、入って行って、所有しようとしている地で、あなたの神、主が、あなたの手のわざのすべてを祝福されるためである。 + あなたの神、主に誓願をするとき、それを遅れずに果たさなければならない。あなたの神、主は、必ずあなたにそれを求め、あなたの罪とされるからである。 + もし誓願をやめるなら、罪にはならない。 + あなたのくちびるから出たことを守り、あなたの口で約束して、自分から進んであなたの神、主に誓願したとおりに行わなければならない。 + 隣人のぶどう畑に入ったとき、あなたは思う存分、満ち足りるまでぶどうを食べてもよいが、あなたのかごに入れてはならない。 + 隣人の麦畑の中に入ったとき、あなたは穂を手で摘んでもよい。しかし、隣人の麦畑でかまを使ってはならない。 + + + 人が妻をめとり夫となり、妻に何か恥ずべき事を発見したため、気に入らなくなり、離婚状を書いてその女の手に渡し、彼女を家から去らせ、 + 彼女が家を出、行って、ほかの人の妻となり、 + 次の夫が彼女をきらい、離婚状を書いてその女の手に渡し、彼女を家から去らせた場合、あるいはまた、彼女を妻としてめとったあとの夫が死んだ場合、 + 彼女を出した最初の夫は、その女を再び自分の妻としてめとることはできない。彼女は汚されているからである。これは、主の前に忌みきらうべきことである。あなたの神、主が相続地としてあなたに与えようとしておられる地に、罪をもたらしてはならない。 + 人が新妻をめとったときは、その者をいくさに出してはならない。これに何の義務をも負わせてはならない。彼は一年の間、自分の家のために自由の身になって、めとった妻を喜ばせなければならない。 + ひき臼、あるいは、その上石を質に取ってはならない。いのちそのものを質に取ることになるからである。 + あなたの同族イスラエル人のうちのひとりをさらって行き、これを奴隷として扱い、あるいは売りとばす者が見つかったなら、その人さらいは死ななければならない。あなたがたのうちからこの悪を除き去りなさい。 + ツァラアトの患部には気をつけて、すべてレビ人の祭司が教えるとおりによく守り行わなければならない。私が彼らに命じたとおりに、それを守り行わなければならない。 + あなたがたがエジプトから出て来たとき、その道中で、あなたの神、主がミリヤムにされたことを思い出しなさい。 + 隣人に何かを貸すときに、担保を取るため、その家に入ってはならない。 + あなたは外に立っていなければならない。あなたが貸そうとするその人が、外にいるあなたのところに、担保を持って出て来なければならない。 + もしその人が貧しい人である場合は、その担保を取ったままで寝てはならない。 + 日没のころには、その担保を必ず返さなければならない。彼は、自分の着物を着て寝るなら、あなたを祝福するであろう。また、それはあなたの神、主の前に、あなたの義となる。 + 貧しく困窮している雇い人は、あなたの同胞でも、あなたの地で、あなたの町囲みのうちにいる在留異国人でも、しいたげてはならない。 + 彼は貧しく、それに期待をかけているから、彼の賃金は、その日のうちに、日没前に、支払わなければならない。彼があなたのことを主に訴え、あなたがとがめを受けることがないように。 + 父親が子どものために殺されてはならない。子どもが父親のために殺されてはならない。人が殺されるのは、自分の罪のためでなければならない。 + 在留異国人や、みなしごの権利を侵してはならない。やもめの着物を質に取ってはならない。 + 思い起こしなさい。あなたがエジプトで奴隷であったことを。そしてあなたの神、主が、そこからあなたを贖い出されたことを。だから、私はあなたにこのことをせよと命じる。 + あなたが畑で穀物の刈り入れをして、束の一つを畑に置き忘れたときは、それを取りに戻ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。あなたの神、主が、あなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。 + あなたがオリーブの実を打ち落とすときは、後になってまた枝を打ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。 + ぶどう畑のぶどうを収穫するときは、後になってまたそれを摘み取ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。 + あなたは、自分がエジプトの地で奴隷であったことを思い出しなさい。だから、私はあなたにこのことをせよと命じる。 + + + 人と人との間で争いがあり、彼らが裁判に出頭し、正しいほうを正しいとし、悪いほうを悪いとする判決が下されるとき、 + もし、その悪い者が、むち打ちにすべき者なら、さばきつかさは彼を伏させ、自分の前で、その罪に応じて数を数え、むち打ちにしなければならない。 + 四十までは彼をむち打ってよいが、それ以上はいけない。それ以上多くむち打たれて、あなたの兄弟が、あなたの目の前で卑しめられないためである。 + 脱穀をしている牛にくつこを掛けてはならない。 + 兄弟がいっしょに住んでいて、そのうちのひとりが死に、彼に子がない場合、死んだ者の妻は、家族以外のよそ者にとついではならない。その夫の兄弟がその女のところに、入り、これをめとって妻とし、夫の兄弟としての義務を果たさなければならない。 + そして彼女が産む初めの男の子に、死んだ兄弟の名を継がせ、その名がイスラエルから消し去られないようにしなければならない。 + しかし、もしその人が兄弟の、やもめになった妻をめとりたくない場合は、その兄弟のやもめになった妻は、町の門の長老たちのところに行って言わなければならない。「私の夫の兄弟は、自分の兄弟のためにその名をイスラエルのうちに残そうとはせず、夫の兄弟としての義務を私に果たそうとしません。」 + 町の長老たちは彼を呼び寄せ、彼に告げなさい。もし、彼が、「私は彼女をめとりたくない」と言い張るなら、 + その兄弟のやもめになった妻は、長老たちの目の前で、彼に近寄り、彼の足からくつを脱がせ、彼の顔につばきして、彼に答えて言わなければならない。「兄弟の家を立てない男は、このようにされる。」 + 彼の名は、イスラエルの中で、「くつを脱がされた者の家」と呼ばれる。 + ふたりの者が互いに相争っているとき、一方の者の妻が近づき、自分の夫を、打つ者の手から救おうとして、その手を伸ばし、相手の隠しどころをつかんだ場合は、 + その女の手を切り落としなさい。容赦してはならない。 + あなたは袋に大小異なる重り石を持っていてはならない。 + あなたは家に大小異なる枡を持っていてはならない。 + あなたは完全に正しい重り石を持ち、完全に正しい枡を持っていなければならない。あなたの神、主があなたに与えようとしておられる地で、あなたが長く生きるためである。 + すべてこのようなことをなし、不正をする者を、あなたの神、主は忌みきらわれる。 + あなたがたがエジプトから出て、その道中で、アマレクがあなたにした事を忘れないこと。 + 彼は、神を恐れることなく、道であなたを襲い、あなたが疲れて弱っているときに、あなたのうしろの落後者をみな、切り倒したのである。 + あなたの神、主が相続地としてあなたに与えて所有させようとしておられる地で、あなたの神、主が、周囲のすべての敵からあなたを解放して、休息を与えられるようになったときには、あなたはアマレクの記憶を天の下から消し去らなければならない。これを忘れてはならない。 + + + あなたの神、主が相続地としてあなたに与えようとしておられる地に入って行き、それを占領し、そこに住むようになったときは、 + あなたの神、主が与えようとしておられる地から収穫するその地のすべての産物の初物をいくらか取って、かごに入れ、あなたの神、主が御名を住まわせるために選ぶ場所へ行かなければならない。 + そのとき、任務についている祭司のもとに行って、「私は、主が私たちに与えると先祖たちに誓われた地に入りました。きょう、あなたの神、主に報告いたします」と言いなさい。 + 祭司は、あなたの手からそのかごを受け取り、あなたの神、主の祭壇の前に供えなさい。 + あなたは、あなたの神、主の前で、次のように唱えなさい。「私の父は、さすらいのアラム人でしたが、わずかな人数を連れてエジプトに下り、そこに寄留しました。しかし、そこで、大きくて強い、人数の多い国民になりました。 + エジプト人は、私たちを虐待し、苦しめ、私たちに過酷な労働を課しました。 + 私たちが、私たちの父祖の神、主に叫びますと、主は私たちの声を聞き、私たちの窮状と労苦と圧迫をご覧になりました。 + そこで、主は力強い御手と、伸べられた腕と、恐ろしい力と、しるしと、不思議とをもって、私たちをエジプトから連れ出し、 + この所に導き入れ、乳と蜜の流れる地、この地を私たちに下さいました。 + 今、ここに私は、主、あなたが私に与えられた地の産物の初物を持ってまいりました。」あなたは、あなたの神、主の前にそれを供え、あなたの神、主の前に礼拝しなければならない。 + あなたの神、主が、あなたとあなたの家とに与えられたすべての恵みを、あなたは、レビ人およびあなたがたのうちの在留異国人とともに喜びなさい。 + 第三年目の十分の一を納める年に、あなたの収穫の十分の一を全部納め終わり、これをレビ人、在留異国人、みなしご、やもめに与えて、彼らがあなたの町囲みのうちで食べて満ち足りたとき、 + あなたは、あなたの神、主の前で言わなければならない。「私は聖なるささげ物を、家から取り出し、あなたが私に下された命令のとおり、それをレビ人、在留異国人、みなしご、やもめに与えました。私はあなたの命令にそむかず、また忘れもしませんでした。 + 私は喪のときに、それを食べず、また汚れているときに、そのいくらかをも取り出しませんでした。またそのいくらかでも死人に供えたこともありません。私は、私の神、主の御声に聞き従い、すべてあなたが私に命じられたとおりにいたしました。 + あなたの聖なる住まいの天から見おろして、御民イスラエルとこの地を祝福してください。これは、私たちの先祖に誓われたとおり私たちに下さった地、乳と蜜の流れる地です。」 + あなたの神、主は、きょう、これらのおきてと定めとを行うように、あなたに命じておられる。あなたは心を尽くし、精神を尽くして、それを守り行おうとしている。 + きょう、あなたは、主が、あなたの神であり、あなたは、主の道に歩み、主のおきてと、命令と、定めとを守り、御声に聞き従うと断言した。 + きょう、主は、こう明言された。あなたに約束したとおり、あなたは主の宝の民であり、あなたが主のすべての命令を守るなら、 + 主は、賛美と名声と栄光とを与えて、あなたを主が造られたすべての国々の上に高くあげる。そして、約束のとおり、あなたは、あなたの神、主の聖なる民となる。 + + + ついでモーセとイスラエルの長老たちとは、民に命じて言った。私が、きょう、あなたがたに命じるすべての命令を守りなさい。 + あなたがたが、あなたの神、主が与えようとしておられる地に向かってヨルダンを渡る日には、大きな石を立て、それらに石灰を塗りなさい。 + あなたが渡ってから、それらの上に、このみおしえのすべてのことばを書きしるしなさい。それはあなたの父祖の神、主が約束されたとおり、あなたの神、主があなたに与えようとしておられる地、乳と蜜の流れる地にあなたが入るためである。 + あなたがたがヨルダンを渡ったなら、私が、きょう、あなたがたに命じるこれらの石をエバル山に立て、それに石灰を塗らなければならない。 + そこに、あなたの神、主のために祭壇、石の祭壇を築きなさい。それに鉄の道具を当ててはならない。 + 自然のままの石で、あなたの神、主の祭壇を築かなければならない。その上で、あなたの神、主に全焼のいけにえをささげなさい。 + またそこで和解のいけにえをささげて、それを食べ、あなたの神、主の前で喜びなさい。 + それらの石の上に、このみおしえのことばすべてをはっきりと書きしるしなさい。 + ついで、モーセとレビ人の祭司たちとは、すべてのイスラエル人に告げて言った。静まりなさい。イスラエルよ。聞きなさい。きょう、あなたは、あなたの神、主の民となった。 + あなたの神、主の御声に聞き従い、私が、きょう、あなたに命じる主の命令とおきてとを行いなさい。 + その日、モーセは民に命じて言った。 + あなたがたがヨルダンを渡ったとき、次の者たちは民を祝福するために、ゲリジム山に立たなければならない。シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフ、ベニヤミン。 + また次の者たちはのろいのために、エバル山に立たなければならない。ルベン、ガド、アシェル、ゼブルン、ダン、ナフタリ。 + レビ人はイスラエルのすべての人々に大声で宣言しなさい。 + 「職人の手のわざである、主の忌みきらわれる彫像や鋳像を造り、これをひそかに安置する者はのろわれる。」民はみな、答えて、アーメンと言いなさい。 + 「自分の父や母を侮辱する者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「隣人の地境を移す者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「盲人にまちがった道を教える者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「在留異国人、みなしご、やもめの権利を侵す者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「父の妻と寝る者は、自分の父の恥をさらすのであるから、のろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「どんな獣とも寝る者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「父の娘であれ、母の娘であれ、自分の姉妹と寝る者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「自分の妻の母と寝る者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「ひそかに隣人を打ち殺す者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「わいろを受け取り、人を打ち殺して罪のない者の血を流す者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + 「このみおしえのことばを守ろうとせず、これを実行しない者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。 + + + もし、あなたが、あなたの神、主の御声によく聞き従い、私が、きょう、あなたに命じる主のすべての命令を守り行うなら、あなたの神、主は、地のすべての国々の上にあなたを高くあげられよう。 + あなたがあなたの神、主の御声に聞き従うので、次のすべての祝福があなたに臨み、あなたは祝福される。 + あなたは、町にあっても祝福され、野にあっても祝福される。 + あなたの身から生まれる者も、地の産物も、家畜の産むもの、群れのうちの子牛も、群れのうちの雌羊も祝福される。 + あなたのかごも、こね鉢も祝福される。 + あなたは、入るときも祝福され、出て行くときにも祝福される。 + 主は、あなたに立ち向かって来る敵を、あなたの前で敗走させる。彼らは、一つの道からあなたを攻撃し、あなたの前から七つの道に逃げ去ろう。 + 主は、あなたのために、あなたの穀物倉とあなたのすべての手のわざを祝福してくださることを定めておられる。あなたの神、主があなたに与えようとしておられる地で、あなたを祝福される。 + あなたが、あなたの神、主の命令を守り、主の道を歩むなら、主はあなたに誓われたとおり、あなたを、ご自身の聖なる民として立ててくださる。 + 地上のすべての国々の民は、あなたに主の名がつけられているのを見て、あなたを恐れよう。 + 主が、あなたに与えるとあなたの先祖たちに誓われたその地で、主は、あなたの身から生まれる者や家畜の産むものや地の産物を、豊かに恵んでくださる。 + 主は、その恵みの倉、天を開き、時にかなって雨をあなたの地に与え、あなたのすべての手のわざを祝福される。それであなたは多くの国々に貸すであろうが、借りることはない。 + 私が、きょう、あなたに命じるあなたの神、主の命令にあなたが聞き従い、守り行うなら、主はあなたをかしらとならせ、尾とはならせない。ただ上におらせ、下へは下されない。 + あなたは、私が、きょう、あなたがたに命じるこのすべてのことばを離れて右や左にそれ、ほかの神々に従い、それに仕えてはならない。 + もし、あなたが、あなたの神、主の御声に聞き従わず、私が、きょう、命じる主のすべての命令とおきてとを守り行わないなら、次のすべてののろいがあなたに臨み、あなたはのろわれる。 + あなたは町にあってものろわれ、野にあってものろわれる。 + あなたのかごも、こね鉢ものろわれる。 + あなたの身から生まれる者も、地の産物も、群れのうちの子牛も、群れのうちの雌羊ものろわれる。 + あなたは、入るときものろわれ、出て行くときにものろわれる。 + 主は、あなたのなすすべての手のわざに、のろいと恐慌と懲らしめとを送り、ついにあなたは根絶やしにされて、すみやかに滅びてしまう。これはわたしを捨てて、あなたが悪を行ったからである。 + 主は、疫病をあなたの身にまといつかせ、ついには、あなたが、入って行って、所有しようとしている地から、あなたを絶滅される。 + 主は、肺病と熱病と高熱病と悪性熱病と、水枯れと、立ち枯れと、黒穂病とで、あなたを打たれる。これらのものは、あなたが滅びうせるまで、あなたを追いかける。 + またあなたの頭の上の天は青銅となり、あなたの下の地は鉄となる。 + 主は、あなたの地の雨をほこりとされる。それで砂ほこりが天から降って来て、ついにはあなたは根絶やしにされる。 + 主は、あなたを敵の前で敗走させる。あなたは一つの道から攻撃するが、その前から七つの道に逃げ去ろう。あなたのことは、地上のすべての王国のおののきとなる。 + あなたの死体は、空のすべての鳥と、地の獣とのえじきとなり、これをおどかして追い払う者もいない。 + 主は、エジプトの腫物と、はれものと、湿疹と、かいせんとをもって、あなたを打ち、あなたはいやされることができない。 + 主はあなたを打って気を狂わせ、盲目にし、気を錯乱させる。 + あなたは、盲人が暗やみで手さぐりするように、真昼に手さぐりするようになる。あなたは自分のやることで繁栄することがなく、いつまでも、しいたげられ、略奪されるだけである。あなたを救う者はいない。 + あなたが女の人と婚約しても、他の男が彼女と寝る。家を建てても、その中に住むことができない。ぶどう畑を作っても、その収穫をすることができない。 + あなたの牛が目の前でほふられても、あなたはそれを食べることができない。あなたのろばが目の前から略奪されても、それはあなたに返されない。あなたの羊が敵の手に渡されても、あなたを救う者はいない。 + あなたの息子と娘があなたの見ているうちに他国の人に渡され、あなたの目は絶えず彼らを慕って衰えるが、あなたはどうすることもできない。 + 地の産物およびあなたの勤労の実はみな、あなたの知らない民が食べるであろう。あなたはいつまでも、しいたげられ、踏みにじられるだけである。 + あなたは、目に見ることで気を狂わされる。 + 主は、あなたのひざとももとを悪性の不治の腫物で打たれる。足の裏から頭の頂まで。 + 主は、あなたと、あなたが自分の上に立てた王とを、あなたも、あなたの先祖たちも知らなかった国に行かせよう。あなたは、そこで木や石のほかの神々に仕えよう。 + 主があなたを追い入れるすべての国々の民の中で、あなたは恐怖となり、物笑いの種となり、なぶりものとなろう。 + 畑に多くの種を持って出ても、あなたは少ししか収穫できない。いなごが食い尽くすからである。 + ぶどう畑を作り、耕しても、あなたはそのぶどう酒を飲むことも、集めることもできない。虫がそれを食べるからである。 + あなたの領土の至る所にオリーブの木があっても、あなたは身に油を塗ることができない。オリーブの実が落ちてしまうからである。 + 息子や娘が生まれても、あなたのものとはならない。彼らは捕らえられて行くからである。 + こおろぎは、あなたのすべての木と、地の産物とを取り上げてしまう。 + あなたのうちの在留異国人は、あなたの上にますます高く上って行き、あなたはますます低く下って行く。 + 彼はあなたに貸すが、あなたは彼に貸すことができない。彼はかしらとなり、あなたは尾となる。 + これらすべてののろいが、あなたに臨み、あなたを追いかけ、あなたに追いつき、ついには、あなたを根絶やしにする。あなたが、あなたの神、主の御声に聞き従わず、主が命じられた命令とおきてとを守らないからである。 + これらのことは、あなたとあなたの子孫に対して、いつまでも、しるしとなり、また不思議となる。 + あなたがすべてのものに豊かになっても、あなたの神、主に、心から喜び楽しんで仕えようとしないので、 + あなたは、飢えて渇き、裸となって、あらゆるものに欠乏して、主があなたに差し向ける敵に仕えることになる。主は、あなたの首に鉄のくびきを置き、ついには、あなたを根絶やしにされる。 + 主は、遠く地の果てから、鷲が飛びかかるように、一つの国民にあなたを襲わせる。その話すことばがあなたにはわからない国民である。 + その国民は横柄で、老人を顧みず、幼い者をあわれまず、 + あなたの家畜の産むものや、地の産物を食い尽くし、ついには、あなたを根絶やしにする。彼らは、穀物も、新しいぶどう酒も、油も、群れのうちの子牛も、群れのうちの雌羊も、あなたには少しも残さず、ついに、あなたを滅ぼしてしまう。 + その国民は、あなたの国中のすべての町囲みの中にあなたを包囲し、ついには、あなたが頼みとする高く堅固な城壁を打ち倒す。彼らが、あなたの神、主の与えられた国中のすべての町囲みの中にあなたを包囲するとき、 + あなたは、包囲と、敵がもたらす窮乏とのために、あなたの身から生まれた者、あなたの神、主が与えてくださった息子や娘の肉を食べるようになる。 + あなたのうちの最も優しく、上品な男が、自分の兄弟や、自分の愛する妻や、まだ残っている子どもたちに対してさえ物惜しみをし、 + 自分が食べている子どもの肉を、全然、だれにも分け与えようとはしないであろう。あなたのすべての町囲みのうちには、包囲と、敵がもたらした窮乏とのために、何も残されてはいないからである。 + あなたがたのうちの、優しく、上品な女で、あまりにも上品で優しいために足の裏を地面につけようともしない者が、自分の愛する夫や、息子や、娘に、物惜しみをし、 + 自分の足の間から出た後産や、自分が産んだ子どもさえ、何もかも欠乏しているので、ひそかに、それを食べるであろう。あなたの町囲みのうちは、包囲と、敵がもたらした窮乏との中にあるからである。 + もし、あなたが、この光栄ある恐るべき御名、あなたの神、主を恐れて、この書物に書かれてあるこのみおしえのすべてのことばを守り行わないなら、 + 主は、あなたへの災害、あなたの子孫への災害を下される。大きな長く続く災害、長く続く悪性の病気である。 + 主は、あなたが恐れたエジプトのあらゆる病気をあなたにもたらされる。それはあなたにまといつこう。 + 主は、このみおしえの書にしるされていない、あらゆる病気、あらゆる災害をもあなたの上に臨ませ、ついにはあなたは根絶やしにされる。 + あなたがたは空の星のように多かったが、あなたの神、主の御声に聞き従わなかったので、少人数しか残されない。 + かつて主があなたがたをしあわせにし、あなたがたをふやすことを喜ばれたように、主は、あなたがたを滅ぼし、あなたがたを根絶やしにすることを喜ばれよう。あなたがたは、あなたが入って行って、所有しようとしている地から引き抜かれる。 + 主は、地の果てから果てまでのすべての国々の民の中に、あなたを散らす。あなたはその所で、あなたも、あなたの先祖たちも知らなかった木や石のほかの神々に仕える。 + これら異邦の民の中にあって、あなたは休息することもできず、足の裏を休めることもできない。主は、その所で、あなたの心をおののかせ、目を衰えさせ、精神を弱らせる。 + あなたのいのちは、危険にさらされ、あなたは夜も昼もおびえて、自分が生きることさえおぼつかなくなる。 + あなたは、朝には、「ああ夕方であればよいのに」と言い、夕方には、「ああ朝であればよいのに」と言う。あなたの心が恐れる恐れと、あなたの目が見る光景とのためである。 + 私がかつて「あなたはもう二度とこれを見ないだろう」と言った道を通って、主は、あなたを舟で、再びエジプトに帰らせる。あなたがたは、そこで自分を男奴隷や女奴隷として、敵に身売りしようとしても、だれも買う者はいまい。 + + + これは、モアブの地で、主がモーセに命じて、イスラエル人と結ばせた契約のことばである。ホレブで彼らと結ばれた契約とは別である。 + モーセは、イスラエルのすべてを呼び寄せて言った。あなたがたは、エジプトの地で、パロと、そのすべての家臣たちと、その全土とに対して、主があなたがたの目の前でなさった事を、ことごとく見た。 + あなたが、自分の目で見たあの大きな試み、それは大きなしるしと不思議であった。 + しかし、主は今日に至るまで、あなたがたに、悟る心と、見る目と、聞く耳を、下さらなかった。 + 私は、四十年の間、あなたがたに荒野を行かせたが、あなたがたが身に着けている着物はすり切れず、その足のくつもすり切れなかった。 + あなたがたはパンも食べず、また、ぶどう酒も強い酒も飲まなかった。それは、「わたしが、あなたがたの神、主である」と、あなたがたが知るためであった。 + あなたがたが、この所に来たとき、ヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグが出て来て、私たちを迎えて戦ったが、私たちは彼らを打ち破った。 + 私たちは、彼らの国を取り、これを相続地としてルベン人と、ガド人と、マナセ人の半部族とに、分け与えた。 + あなたがたは、この契約のことばを守り、行いなさい。あなたがたのすることがみな、栄えるためである。 + きょう、あなたがたはみな、あなたがたの神、主の前に立っている。すなわち、あなたがたの部族のかしらたち、長老たち、つかさたち、イスラエルのすべての人々、 + あなたがたの子どもたち、妻たち、宿営のうちにいる在留異国人、たきぎを割る者から水を汲む者に至るまで。 + あなたが、あなたの神、主の契約と、あなたの神、主が、きょう、あなたと結ばれるのろいの誓いとに、入るためである。 + さきに主が、あなたに約束されたように、またあなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブに誓われたように、きょう、あなたを立ててご自分の民とし、またご自身があなたの神となられるためである。 + しかし、私は、ただあなたがたとだけ、この契約とのろいの誓いとを結ぶのではない。 + きょう、ここで、私たちの神、主の前に、私たちとともに立っている者、ならびに、きょう、ここに、私たちとともにいない者に対しても結ぶのである。 + 事実、あなたがたは、私たちがエジプトの地に住んでいたこと、また、私たちが異邦の民の中を通って来たことを知っている。 + また、あなたがたは、彼らのところにある忌むべきもの、木や石や銀や金の偶像を見た。 + 万が一にも、あなたがたのうちに、きょう、その心が私たちの神、主を離れて、これらの異邦の民の神々に行って、仕えるような、男や女、氏族や部族があってはならない。あなたがたのうちに、毒草や、苦よもぎを生ずる根があってはならない。 + こののろいの誓いのことばを聞いたとき、「潤ったものも渇いたものもひとしく滅びるのであれば、私は自分のかたくなな心のままに歩いても、私には平和がある」と心の中で自分を祝福する者があるなら、 + 主はその者を決して赦そうとはされない。むしろ、主の怒りとねたみが、その者に対して燃え上がり、この書にしるされたすべてののろいの誓いがその者の上にのしかかり、主は、その者の名を天の下から消し去ってしまう。 + 主は、このみおしえの書にしるされている契約のすべてののろいの誓いにしたがい、その者をイスラエルの全部族からより分けて、わざわいを下される。 + 後の世代、あなたがたの後に起こるあなたがたの子孫や、遠くの地から来る外国人は、この地の災害と主がこの地に起こされた病気を見て、言うであろう。 + ――その全土は、硫黄と塩によって焼け土となり、種も蒔けず、芽も出さず、草一本も生えなくなっており、主が怒りと憤りで、くつがえされたソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイムの破滅のようである―― + すべての国々は言おう。「なぜ、主はこの地に、このようなことをしたのか。この激しい燃える怒りは、なぜなのだ。」 + 人々は言おう。「それは、彼らの父祖の神、主が彼らをエジプトの地から連れ出して、彼らと結ばれた契約を、彼らが捨て、 + 彼らの知らぬ、また彼らに当てたのでもない、ほかの神々に行って仕え、それを拝んだからである。 + それで、主の怒りは、この地に向かって燃え上がり、この書にしるされたすべてののろいが、この地にもたらされた。 + 主は、怒りと、憤激と、激怒とをもって、彼らをこの地から根こぎにし、ほかの地に投げ捨てた。今日あるとおりに。」 + 隠されていることは、私たちの神、主のものである。しかし、現されたことは、永遠に、私たちと私たちの子孫のものであり、私たちがこのみおしえのすべてのことばを行うためである。 + + + 私があなたの前に置いた祝福とのろい、これらすべてのことが、あなたに臨み、あなたの神、主があなたをそこへ追い散らしたすべての国々の中で、あなたがこれらのことを心に留め、 + あなたの神、主に立ち返り、きょう、私があなたに命じるとおりに、あなたも、あなたの子どもたちも、心を尽くし、精神を尽くして御声に聞き従うなら、 + あなたの神、主は、あなたの繁栄を元どおりにし、あなたをあわれみ、あなたの神、主がそこへ散らしたすべての国々の民の中から、あなたを再び、集める。 + たとい、あなたが、天の果てに追いやられていても、あなたの神、主は、そこからあなたを集め、そこからあなたを連れ戻す。 + あなたの神、主は、あなたの先祖たちが所有していた地にあなたを連れて行き、あなたはそれを所有する。主は、あなたを栄えさせ、あなたの先祖たちよりもその数を多くされる。 + あなたの神、主は、あなたの心と、あなたの子孫の心を包む皮を切り捨てて、あなたが心を尽くし、精神を尽くし、あなたの神、主を愛し、それであなたが生きるようにされる。 + あなたの神、主は、あなたを迫害したあなたの敵や、あなたの仇に、これらすべてののろいを下される。 + あなたは、再び、主の御声に聞き従い、私が、きょう、あなたに命じる主のすべての命令を、行うようになる。 + あなたの神、主は、あなたのすべての手のわざや、あなたの身から生まれる者や、家畜の産むもの、地の産物を豊かに与えて、あなたを栄えさせよう。まことに、主は、あなたの先祖たちを喜ばれたように、再び、あなたを栄えさせて喜ばれる。 + これは、あなたが、あなたの神、主の御声に聞き従い、このみおしえの書にしるされている主の命令とおきてとを守り、心を尽くし、精神を尽くして、あなたの神、主に立ち返るからである。 + まことに、私が、きょう、あなたに命じるこの命令は、あなたにとってむずかしすぎるものではなく、遠くかけ離れたものでもない。 + これは天にあるのではないから、「だれが、私たちのために天に上り、それを取って来て、私たちに聞かせて行わせようとするのか」と言わなくてもよい。 + また、これは海のかなたにあるのではないから、「だれが、私たちのために海のかなたに渡り、それを取って来て、私たちに聞かせて行わせようとするのか」と言わなくてもよい。 + まことに、みことばは、あなたのごく身近にあり、あなたの口にあり、あなたの心にあって、あなたはこれを行うことができる。 + 見よ。私は、確かにきょう、あなたの前にいのちと幸い、死とわざわいを置く。 + 私が、きょう、あなたに、あなたの神、主を愛し、主の道に歩み、主の命令とおきてと定めとを守るように命じるからである。確かに、あなたは生きて、その数はふえる。あなたの神、主は、あなたが、入って行って、所有しようとしている地で、あなたを祝福される。 + しかし、もし、あなたが心をそむけて、聞き従わず、誘惑されて、ほかの神々を拝み、これに仕えるなら、 + きょう、私は、あなたがたに宣言する。あなたがたは、必ず滅びうせる。あなたがたは、あなたが、ヨルダンを渡り、入って行って、所有しようとしている地で、長く生きることはできない。 + 私は、きょう、あなたがたに対して天と地とを、証人に立てる。私は、いのちと死、祝福とのろいを、あなたの前に置く。あなたはいのちを選びなさい。あなたもあなたの子孫も生き、 + あなたの神、主を愛し、御声に聞き従い、主にすがるためだ。確かに主はあなたのいのちであり、あなたは主が、あなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われた地で、長く生きて住む。 + + + それから、モーセは行って、次のことばをイスラエルのすべての人々に告げて、 + 言った。私は、きょう、百二十歳である。もう出入りができない。主は私に、「あなたは、このヨルダンを渡ることができない」と言われた。 + あなたの神、主ご自身が、あなたの先に渡って行かれ、あなたの前からこれらの国々を根絶やしにされ、あなたはこれらを占領しよう。主が告げられたように、ヨシュアが、あなたの先に立って渡るのである。 + 主は、主の根絶やしにされたエモリ人の王シホンとオグおよびその国に対して行われたように、彼らにしようとしておられる。 + 主は、彼らをあなたがたに渡し、あなたがたは私が命じたすべての命令どおり、彼らに行おうとしている。 + 強くあれ。雄々しくあれ。彼らを恐れてはならない。おののいてはならない。あなたの神、主ご自身が、あなたとともに進まれるからだ。主はあなたを見放さず、あなたを見捨てない。 + ついでモーセはヨシュアを呼び寄せ、イスラエルのすべての人々の目の前で、彼に言った。「強くあれ。雄々しくあれ。主がこの民の先祖たちに与えると誓われた地に、彼らとともに入るのはあなたであり、それを彼らに受け継がせるのもあなたである。 + 主ご自身があなたの先に進まれる。主があなたとともにおられる。主はあなたを見放さず、あなたを見捨てない。恐れてはならない。おののいてはならない。」 + モーセはこのみおしえを書きしるし、主の契約の箱を運ぶレビ族の祭司たちと、イスラエルのすべての長老たちとに、これを授けた。 + そして、モーセは彼らに命じて言った。「七年の終わりごとに、すなわち免除の年の定めの時、仮庵の祭りに、 + イスラエルのすべての人々が、主の選ぶ場所で、あなたの神、主の御顔を拝するために来るとき、あなたは、イスラエルのすべての人々の前で、このみおしえを読んで聞かせなければならない。 + 民を、男も、女も、子どもも、あなたの町囲みの中にいる在留異国人も、集めなさい。彼らがこれを聞いて学び、あなたがたの神、主を恐れ、このみおしえのすべてのことばを守り行うためである。 + これを知らない彼らの子どもたちもこれを聞き、あなたがたが、ヨルダンを渡って、所有しようとしている地で、彼らが生きるかぎり、あなたがたの神、主を恐れることを学ばなければならない。」 + それから、主はモーセに仰せられた。「今や、あなたの死ぬ日が近づいている。ヨシュアを呼び寄せ、ふたりで会見の天幕に立て。わたしは彼に命令を下そう。」それで、モーセとヨシュアは行って、会見の天幕に立った。 + 主は天幕で雲の柱のうちに現れた。雲の柱は天幕の入口にとどまった。 + 主はモーセに仰せられた。「あなたは間もなく、あなたの先祖たちとともに眠ろうとしている。この民は、入って行こうとしている地の、自分たちの中の、外国の神々を慕って淫行をしようとしている。この民がわたしを捨て、わたしがこの民と結んだわたしの契約を破るなら、 + その日、わたしの怒りはこの民に対して燃え上がり、わたしも彼らを捨て、わたしの顔を彼らから隠す。彼らが滅ぼし尽くされ、多くのわざわいと苦難が彼らに降りかかると、その日、この民は、『これらのわざわいが私たちに降りかかるのは、私たちのうちに、私たちの神がおられないからではないか』と言うであろう。 + 彼らがほかの神々に移って行って行ったすべての悪のゆえに、わたしはその日、必ずわたしの顔を隠そう。 + 今、次の歌を書きしるし、それをイスラエル人に教え、彼らの口にそれを置け。この歌をイスラエル人に対するわたしのあかしとするためである。 + わたしが、彼らの先祖に誓った乳と蜜の流れる地に、彼らを導き入れるなら、彼らは食べて満ち足り、肥え太り、そして、ほかの神々のほうに向かい、これに仕えて、わたしを侮り、わたしの契約を破る。 + 多くのわざわいと苦難が彼に降りかかるとき、この歌が彼らに対してあかしをする。彼らの子孫の口からそれが忘れられることはないからである。わたしが誓った地に彼らを導き入れる以前から、彼らが今たくらんでいる計画を、わたしは知っているからである。」 + モーセは、その日、この歌を書きしるして、イスラエル人に教えた。 + ついで主は、ヌンの子ヨシュアに命じて言われた。「強くあれ。雄々しくあれ。あなたはイスラエル人を、わたしが彼らに誓った地に導き入れなければならないのだ。わたしが、あなたとともにいる。」 + モーセが、このみおしえのことばを書物に書き終えたとき、 + モーセは、主の契約の箱を運ぶレビ人に命じて言った。 + 「このみおしえの書を取り、あなたがたの神、主の契約の箱のそばに置きなさい。その所で、あなたに対するあかしとしなさい。 + 私は、あなたの逆らいと、あなたがうなじのこわい者であることを知っている。私が、なおあなたがたの間に生きている今ですら、あなたがたは主に逆らってきた。まして、私の死後はどんなであろうか。 + あなたがたの部族の長老たちと、つかさたちとをみな、私のもとに集めなさい。私はこれらのことばを彼らに聞こえるように語りたい。私は天と地を、彼らに対する証人に立てよう。 + 私の死後、あなたがたがきっと堕落して、私が命じた道から離れること、また、後の日に、わざわいがあなたがたに降りかかることを私が知っているからだ。これは、あなたがたが、主の目の前に悪を行い、あなたがたの手のわざによって、主を怒らせるからである。」 + モーセは、イスラエルの全集会に聞こえるように、次の歌のことばを終わりまで唱えた。 + + + 天よ。耳を傾けよ。私は語ろう。地よ。聞け。私の口のことばを。 + 私のおしえは、雨のように下り、私のことばは、露のようにしたたる。若草の上の小雨のように。青草の上の夕立のように。 + 私が主の御名を告げ知らせるのだから、栄光を私たちの神に帰せよ。 + 主は岩。主のみわざは完全。まことに、主の道はみな正しい。主は真実の神で、偽りがなく、正しい方、直ぐな方である。 + 主をそこない、その汚れで、主の子らではない、よこしまで曲がった世代。 + あなたがたはこのように主に恩を返すのか。愚かで知恵のない民よ。主はあなたを造った父ではないか。主はあなたを造り上げ、あなたを堅く建てるのではないか。 + 昔の日々を思い出し、代々の年を思え。あなたの父に問え。彼はあなたに告げ知らせよう。長老たちに問え。彼らはあなたに話してくれよう。 + 「いと高き方が、国々に、相続地を持たせ、人の子らを、振り当てられたとき、イスラエルの子らの数にしたがって、国々の民の境を決められた。 + 主の割り当て分はご自分の民であるから、ヤコブは主の相続地である。 + 主は荒野で、獣のほえる荒地で彼を見つけ、これをいだき、世話をして、ご自分のひとみのように、これを守られた。 + 鷲が巣のひなを呼びさまし、そのひなの上を舞いかけり、翼を広げてこれを取り、羽に載せて行くように。 + ただ主だけでこれを導き、主とともに外国の神は、いなかった。 + 主はこれを、地の高い所に上らせ、野の産物を食べさせた。主は岩からの蜜と、堅い岩からの油で、これを養い、 + 牛の凝乳と、羊の乳とを、最良の子羊とともに、バシャンのものである雄羊と、雄やぎとを、小麦の最も良いものとともに、食べさせた。あわ立つぶどうの血をあなたは飲んでいた。」 + エシュルンは肥え太ったとき、足でけった。あなたはむさぼり食って、肥え太った。自分を造った神を捨て、自分の救いの岩を軽んじた。 + 彼らは異なる神々で、主のねたみを引き起こし、忌みきらうべきことで、主の怒りを燃えさせた。 + 神ではない悪霊どもに、彼らはいけにえをささげた。それらは彼らの知らなかった神々、近ごろ出てきた新しい神々、先祖が恐れもしなかった神々だ。 + あなたは自分を生んだ岩をおろそかにし、産みの苦しみをした神を忘れてしまった。 + 主は見て、彼らを退けられた。主の息子と娘たちへの怒りのために。 + 主は言われた。「わたしの顔を彼らに隠し、彼らの終わりがどうなるかを見よう。彼らは、ねじれた世代、真実のない子らであるから。 + 彼らは、神でないもので、わたしのねたみを引き起こし、彼らのむなしいもので、わたしの怒りを燃えさせた。わたしも、民ではないもので、彼らのねたみを引き起こし、愚かな国民で、彼らの怒りを燃えさせよう。 + わたしの怒りで火は燃え上がり、よみの底にまで燃えて行く。地とその産物を焼き尽くし、山々の基まで焼き払おう。 + わざわいを彼らの上に積み重ね、わたしの矢を彼らに向けて使い尽くそう。 + 飢えによる荒廃、災害による壊滅、激しい悪疫、野獣のきば、これらを、地をはう蛇の毒とともに、彼らに送ろう。 + 外では剣が人を殺し、内には恐れがある。若い男も若い女も乳飲み子も、白髪の老人もともどもに。 + わたしは彼らを粉々にし、人々から彼らの記憶を消してしまおうと考えたであろう。 + もし、わたしが敵のののしりを気づかっていないのだったら。――彼らの仇が誤解して、『われわれの手で勝ったのだ。これはみな主がしたのではない』と言うといけない。」 + まことに、彼らは思慮の欠けた国民、彼らのうちに、英知はない。 + もしも、知恵があったなら、彼らはこれを悟ったろうに。/自分の終わりもわきまえたろうに。 + 彼らの岩が、彼らを売らず、主が、彼らを渡さなかったなら、どうして、ひとりが千人を追い、ふたりが万人を敗走させたろうか。 + まことに、彼らの岩は、私たちの岩には及ばない。/敵もこれを認めている。 + ああ、彼らのぶどうの木は、ソドムのぶどうの木から、ゴモラのぶどう畑からのもの。/彼らのぶどうは毒ぶどう、そのふさは苦みがある。 + そのぶどう酒は蛇の毒、コブラの恐ろしい毒である。 + 「これはわたしのもとにたくわえてあり、わたしの倉に閉じ込められているではないか。 + 復讐と報いとは、わたしのもの、それは、彼らの足がよろめくときのため。/彼らのわざわいの日は近く、来るべきことが、すみやかに来るからだ。」 + 主は御民をかばい、主のしもべらをあわれむ。/彼らの力が去って行き、奴隷も、自由の者も、いなくなるのを見られるときに。 + 主は言われる。「彼らの神々は、どこにいるのか。彼らが頼みとした岩はどこにあるのか。 + 彼らのいけにえの脂肪を食らい、彼らの注ぎのぶどう酒を飲んだ者はどこにいるのか。彼らを立たせて、あなたがたを助けさせ、あなたがたの盾とならせよ。 + 今、見よ。わたしこそ、それなのだ。わたしのほかに神はいない。わたしは殺し、また生かす。わたしは傷つけ、またいやす。わたしの手から救い出せる者はいない。 + まことに、わたしは誓って言う。『わたしは永遠に生きる。 + わたしがきらめく剣をとぎ、手にさばきを握るとき、わたしは仇に復讐をし、わたしを憎む者たちに報いよう。 + わたしの矢を血に酔わせ、わたしの剣に肉を食わせよう。刺し殺された者や捕らわれた者の血を飲ませ、髪を乱している敵の頭を食わせよう。』」 + 諸国の民よ。/御民のために喜び歌え。/主が、ご自分のしもべの血のかたきを討ち、ご自分の仇に復讐をなし、ご自分の民の地の贖いをされるから。 + モーセはヌンの子ホセアといっしょに行って、この歌のすべてのことばを、民に聞こえるように唱えた。 + モーセはイスラエルのすべての人々に、このことばをみな唱え終えてから、 + 彼らに言った。「あなたがたは、私が、きょう、あなたがたを戒めるこのすべてのことばを心に納めなさい。それをあなたがたの子どもたちに命じて、このみおしえのすべてのことばを守り行わせなさい。 + これは、あなたがたにとって、むなしいことばではなく、あなたがたのいのちであるからだ。このことばにより、あなたがたは、ヨルダンを渡って、所有しようとしている地で、長く生きることができる。」 + この同じ日に、主はモーセに告げて仰せられた。 + 「エリコに面したモアブの地のこのアバリム高地のネボ山に登れ。わたしがイスラエル人に与えて所有させようとしているカナンの地を見よ。 + あなたの兄弟アロンがホル山で死んでその民に加えられたように、あなたもこれから登るその山で死に、あなたの民に加えられよ。 + あなたがたがツィンの荒野のメリバテ・カデシュの水のほとりで、イスラエル人の中で、わたしに対して不信の罪を犯し、わたしの神聖さをイスラエル人の中に現さなかったからである。 + あなたは、わたしがイスラエルの人々に与えようとしている地を、はるかにながめることはできるが、その地へ入って行くことはできない。」 + + + これは神の人モーセが、その死を前にして、イスラエル人を祝福した祝福のことばである。 + 彼は言った。/「主はシナイから来られ、セイルから彼らを照らし、パランの山から光を放ち、メリバテ・カデシュから近づかれた。/その右の手からは、彼らにいなずまがきらめいていた。 + まことに国々の民を愛する方、あなたの御手のうちに、すべての聖徒たちがいる。/彼らはあなたの足もとに集められ、あなたの御告げを受ける。 + モーセは、みおしえを私たちに命じ、ヤコブの会衆の所有とした。 + 民のかしらたちが、イスラエルの部族とともに集まったとき、主はエシュルンで王となられた。」 + 「ルベンは生きて、死なないように。/その人数は少なくても。」 + ユダについては、こう言った。「主よ。ユダの声を聞き、その民に、彼を連れ返してください。彼は自分の手で戦っています。あなたが彼を、敵から助けてください。」 + レビについて言った。「あなたのトンミムとウリムとを、あなたの聖徒のものとしてください。あなたはマサで、彼を試み、メリバの水のほとりで、彼と争われました。 + 彼は、自分の父と母とについて、『私は、彼らを顧みない』と言いました。また彼は自分の兄弟をも認めず、その子どもをさえ無視し、ただ、あなたの仰せに従ってあなたの契約を守りました。 + 彼らは、あなたの定めをヤコブに教え、あなたのみおしえをイスラエルに教えます。彼らはあなたの御前で、かおりの良い香をたき、全焼のささげ物を、あなたの祭壇にささげます。 + 主よ。彼の資産を祝福し、その手のわざに恵みを施してください。彼の敵の腰を打ち、彼を憎む者たちが、二度と立てないようにしてください。」 + ベニヤミンについて言った。「主に愛されている者。彼は安らかに、主のそばに住まい、主はいつまでも彼をかばう。彼が主の肩の間に住むかのように。」 + ヨセフについて言った。「主の祝福が、彼の地にあるように。天の賜物の露、下に横たわる大いなる水の賜物、 + 太陽がもたらす賜物、月が生み出す賜物、 + 昔の山々からの最上のもの、太古の丘からの賜物、 + 地とそれを満たすものの賜物、柴の中におられた方の恵み、これらがヨセフの頭の上にあり、その兄弟たちから選び出された者の頭の頂の上にあるように。 + 彼の牛の初子には威厳があり、その角は野牛の角。これをもって地の果て果てまで、国々の民をことごとく突き倒して行く。このような者がエフライムに幾万、このような者がマナセに幾千もいる。」 + ゼブルンについて言った。「ゼブルンよ。喜べ。あなたは外に出て行って。イッサカルよ。あなたは天幕の中にいて。 + 彼らは民を山に招き、そこで義のいけにえをささげよう。彼らが海の富と、砂に隠されている宝とを、吸い取るからである。」 + ガドについて言った。「ガドを大きくする方は、ほむべきかな。ガドは雌獅子のように伏し、腕や頭の頂をかき裂く。 + 彼は自分のために最良の地を見つけた。そこには、指導者の分が割り当てられていたからだ。彼は民の先頭に立ち、主の正義と主の公正をイスラエルのために行った。」 + ダンについて言った。「ダンは獅子の子、バシャンからおどり出る。」 + ナフタリについて言った。「ナフタリは恵みに満ち足り、主の祝福に満たされている。西と南を所有せよ。」 + アシェルについて言った。「アシェルは子らの中で、最も祝福されている。その兄弟たちに愛され、その足を、油の中に浸すようになれ。 + あなたのかんぬきが、鉄と青銅であり、あなたの力が、あなたの生きるかぎり続くように。」 + 「エシュルンよ。神に並ぶ者はほかにない。神はあなたを助けるため天に乗り、威光のうちに雲に乗られる。 + 昔よりの神は、住む家。永遠の腕が下に。あなたの前から敵を追い払い、『根絶やしにせよ』と命じた。 + こうして、イスラエルは安らかに住まい、ヤコブの泉は、穀物と新しいぶどう酒の地をひとりで占める。天もまた、露をしたたらす。 + しあわせなイスラエルよ。だれがあなたのようであろう。主に救われた民。主はあなたを助ける盾、あなたの勝利の剣。あなたの敵はあなたにへつらい、あなたは彼らの背を踏みつける。」 + + + モーセはモアブの草原からネボ山、エリコに向かい合わせのピスガの頂に登った。主は、彼に次の全地方を見せられた。ギルアデをダンまで、 + ナフタリの全土、エフライムとマナセの地、ユダの全土を西の海まで、 + ネゲブと低地、すなわち、なつめやしの町エリコの谷をツォアルまで。 + そして主は彼に仰せられた。「わたしが、アブラハム、イサク、ヤコブに、『あなたの子孫に与えよう』と言って誓った地はこれである。わたしはこれをあなたの目に見せたが、あなたはそこへ渡って行くことはできない。」 + こうして、主の命令によって、主のしもべモーセは、モアブの地のその所で死んだ。 + 主は彼をベテ・ペオルの近くのモアブの地の谷に葬られたが、今日に至るまで、その墓を知った者はいない。 + モーセが死んだときは百二十歳であったが、彼の目はかすまず、気力も衰えていなかった。 + イスラエル人はモアブの草原で、三十日間、モーセのために泣き悲しんだ。そしてモーセのために泣き悲しむ喪の期間は終わった。 + ヌンの子ヨシュアは、知恵の霊に満たされていた。モーセが彼の上に、かつて、その手を置いたからである。イスラエル人は彼に聞き従い、主がモーセに命じられたとおりに行った。 + モーセのような預言者は、もう再びイスラエルには起こらなかった。彼を主は、顔と顔とを合わせて選び出された。 + それは主が彼をエジプトの地に遣わし、パロとそのすべての家臣たち、およびその全土に対して、あらゆるしるしと不思議を行わせるためであり、 + また、モーセが、イスラエルのすべての人々の目の前で、力強い権威と、恐るべき威力とをことごとくふるうためであった。 + +
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+ + さて、主のしもべモーセが死んで後、主はモーセの従者、ヌンの子ヨシュアに告げて仰せられた。 + 「わたしのしもべモーセは死んだ。今、あなたとこのすべての民は立って、このヨルダン川を渡り、わたしがイスラエルの人々に与えようとしている地に行け。 + あなたがたが足の裏で踏む所はことごとく、わたしがモーセに約束したとおり、あなたがたに与えている。 + あなたがたの領土は、この荒野とあのレバノンから、大河ユーフラテス、ヘテ人の全土および日の入るほうの大海に至るまでである。 + あなたの一生の間、だれひとりとしてあなたの前に立ちはだかる者はいない。わたしは、モーセとともにいたように、あなたとともにいよう。わたしはあなたを見放さず、あなたを見捨てない。 + 強くあれ。雄々しくあれ。わたしが彼らに与えるとその先祖たちに誓った地を、あなたは、この民に継がせなければならないからだ。 + ただ強く、雄々しくあって、わたしのしもべモーセがあなたに命じたすべての律法を守り行え。これを離れて右にも左にもそれてはならない。それは、あなたが行く所ではどこででも、あなたが栄えるためである。 + この律法の書を、あなたの口から離さず、昼も夜もそれを口ずさまなければならない。そのうちにしるされているすべてのことを守り行うためである。そうすれば、あなたのすることで繁栄し、また栄えることができるからである。 + わたしはあなたに命じたではないか。強くあれ。雄々しくあれ。恐れてはならない。おののいてはならない。あなたの神、主が、あなたの行く所どこにでも、あなたとともにあるからである。」 + そこで、ヨシュアは民のつかさたちに命じて言った。 + 「宿営の中を巡って、民に命じて、『糧食の準備をしなさい。三日のうちに、あなたがたはこのヨルダン川を渡って、あなたがたの神、主があなたがたに与えて所有させようとしておられる地を占領するために、進んで行こうとしているのだから』と言いなさい。」 + ヨシュアは、ルベン人、ガド人、およびマナセの半部族に、こう言った。 + 「主のしもべモーセがあなたがたに命じて、『あなたがたの神、主は、あなたがたに安住の地を与え、あなたがたにこの地を与える』と言ったことばを思い出しなさい。 + あなたがたの妻子と家畜とは、モーセがあなたがたに与えたヨルダン川のこちら側の地に、とどまらなければならない。しかし、あなたがたのうちの勇士は、みな編隊を組んで、あなたがたの同族よりも先に渡って、彼らを助けなければならない。 + 主が、あなたがたと同様、あなたがたの同族にも安住の地を与え、彼らもまた、あなたがたの神、主が与えようとしておられる地を所有するようになったなら、あなたがたは、主のしもべモーセがあなたがたに与えたヨルダン川のこちら側、日の上る方にある、あなたがたの所有地に帰って、それを所有することができる。」 + 彼らはヨシュアに答えて言った。「あなたが私たちに命じたことは、何でも行います。また、あなたが遣わす所、どこへでもまいります。 + 私たちは、モーセに聞き従ったように、あなたに聞き従います。ただ、あなたの神、主が、モーセとともにおられたように、あなたとともにおられますように。 + あなたの命令に逆らい、あなたが私たちに命じるどんなことばにも聞き従わない者があれば、その者は殺されなければなりません。ただ強く、雄々しくあってください。」 + + + ヌンの子ヨシュアは、シティムからひそかにふたりの者を斥候として遣わして、言った。「行って、あの地とエリコを偵察しなさい。」彼らは行って、ラハブという名の遊女の家に入り、そこに泊まった。 + エリコの王に、「今、イスラエル人のある者たちが、今夜この地を探るために、入って来ました」と告げる者があったので、 + エリコの王はラハブのところに人をやって言った。「あなたのところに来て、あなたの家に入った者たちを連れ出しなさい。その者たちは、この地のすべてを探るために来たのだから。」 + ところが、この女はそのふたりの人をかくまって、こう言った。「その人たちは私のところに来ました。しかし、私はその人たちがどこから来たのか知りませんでした。 + その人たちは、暗くなって、門が閉じられるころ、出て行きました。その人たちがどこへ行ったのか存じません。急いで彼らのあとを追ってごらんなさい。追いつけるでしょう。」 + 彼女はふたりを屋上に連れて行き、屋上に並べてあった亜麻の茎の中に隠していたのである。 + 彼らはその人たちのあとを追って、ヨルダン川の道を渡し場へ向かった。彼らがあとを追って出て行くと、門はすぐ閉じられた。 + ふたりの人がまだ寝ないうちに、彼女は屋上の彼らのところに上って来て、 + その人たちに言った。「主がこの地をあなたがたに与えておられること、私たちはあなたがたのことで恐怖に襲われており、この地の住民もみな、あなたがたのことで震えおののいていることを、私は知っています。 + あなたがたがエジプトから出て来られたとき、主があなたがたの前で、葦の海の水をからされたこと、また、あなたがたがヨルダン川の向こう側にいたエモリ人のふたりの王シホンとオグにされたこと、彼らを聖絶したことを、私たちは聞いているからです。 + 私たちは、それを聞いたとき、あなたがたのために、心がしなえて、もうだれにも、勇気がなくなってしまいました。あなたがたの神、主は、上は天、下は地において神であられるからです。 + どうか、私があなたがたに真実を尽くしたように、あなたがたもまた私の父の家に真実を尽くすと、今、主にかけて私に誓ってください。そして、私に確かな証拠を下さい。 + 私の父、母、兄弟、姉妹、また、すべて彼らに属する者を生かし、私たちのいのちを死から救い出してください。」 + その人たちは、彼女に言った。「あなたがたが、私たちのこのことをしゃべらなければ、私たちはいのちにかけて誓おう。主が私たちにこの地を与えてくださるとき、私たちはあなたに真実と誠実を尽くそう。」 + そこで、ラハブは綱で彼らを窓からつり降ろした。彼女の家は城壁の中に建て込まれていて、彼女はその城壁の中に住んでいたからである。 + 彼女は彼らに言った。「追っ手に出会わないように、あなたがたは山地のほうへ行き、追っ手が引き返すまで三日間、そこで身を隠していてください。それから帰って行かれたらよいでしょう。」 + その人たちは彼女に言った。「あなたが私たちに誓わせたこのあなたの誓いから、私たちは解かれる。 + 私たちが、この地に入って来たなら、あなたは、私たちをつり降ろした窓に、この赤いひもを結びつけておかなければならない。また、あなたの父と母、兄弟、また、あなたの父の家族を全部、あなたの家に集めておかなければならない。 + あなたの家の戸口から外へ出る者があれば、その血はその者自身のこうべに帰する。私たちは誓いから解かれる。しかし、あなたといっしょに家の中にいる者に手をかけるなら、その血は私たちのこうべに帰する。 + だが、もしあなたが私たちのこのことをしゃべるなら、あなたが私たちに誓わせたあなたの誓いから私たちは解かれる。」 + ラハブは言った。「おことばどおりにいたしましょう。」こうして、彼女は彼らを送り出したので、彼らは去った。そして彼女は窓に赤いひもを結んだ。 + 彼らは去って山地のほうへ行き、追っ手が引き返すまで三日間、そこにとどまった。追っ手は彼らを道中くまなく捜したが、見つけることができなかった。 + ふたりの人は、帰途につき、山を下り、川を渡り、ヌンの子ヨシュアのところに来て、その身に起こったことを、ことごとく話した。 + それから、ヨシュアにこう言った。「主は、あの地をことごとく私たちの手に渡されました。そればかりか、あの地の住民はみな、私たちのことで震えおののいています。」 + + + ヨシュアは翌朝早く、イスラエル人全部といっしょに、シティムを出発してヨルダン川の川岸まで行き、それを渡る前に、そこに泊まった。 + 三日たってから、つかさたちは宿営の中を巡り、 + 民に命じて言った。「あなたがたは、あなたがたの神、主の契約の箱を見、レビ人の祭司たちが、それをかついでいるのを見たなら、あなたがたのいる所を発って、そのうしろを進まなければならない。 + あなたがたと箱との間には、約二千キュビトの距離をおかなければならない。それに近づいてはならない。それは、あなたがたの行くべき道を知るためである。あなたがたは、今までこの道を通ったことがないからだ。」 + ヨシュアは民に言った。「あなたがたの身をきよめなさい。あす、主が、あなたがたのうちで不思議を行われるから。」 + ヨシュアは祭司たちに命じて言った。「契約の箱をかつぎ、民の先頭に立って渡りなさい。」そこで、彼らは契約の箱をかつぎ、民の先頭に立って行った。 + 主はヨシュアに仰せられた。「きょうから、わたしはイスラエル全体の見ている前で、あなたを大いなる者としよう。それは、わたしがモーセとともにいたように、あなたとともにいることを、彼らが知るためである。 + あなたは契約の箱をかつぐ祭司たちに命じてこう言え。『ヨルダン川の水ぎわに来たとき、あなたがたはヨルダン川の中に立たなければならない。』」 + ヨシュアはイスラエル人に言った。「ここに近づき、あなたがたの神、主のことばを聞きなさい。」 + ヨシュアは言った。「生ける神があなたがたのうちにおられ、あなたがたの前から、カナン人、ヘテ人、ヒビ人、ペリジ人、ギルガシ人、エモリ人、エブス人を、必ず追い払われることを、次のことで知らなければならない。 + 見よ。全地の主の契約の箱が、あなたがたの先頭に立って、ヨルダン川を渡ろうとしている。 + 今、部族ごとにひとりずつ、イスラエルの部族の中から十二人を選び出しなさい。 + 全地の主である主の箱をかつぐ祭司たちの足の裏が、ヨルダン川の水の中にとどまると、ヨルダン川の水は、上から流れ下って来る水がせきとめられ、せきをなして立つようになる。」 + 民がヨルダン川を渡るために、天幕を発ったとき、契約の箱をかつぐ祭司たちは民の先頭にいた。 + 箱をかつぐ者がヨルダン川まで来て、箱をかつぐ祭司たちの足が水ぎわに浸ったとき、――ヨルダン川は刈り入れの間中、岸いっぱいにあふれるのだが―― + 上から流れ下る水はつっ立って、はるかかなたのツァレタンのそばにある町アダムのところで、せきをなして立ち、アラバの海、すなわち塩の海のほうに流れ下る水は完全にせきとめられた。民はエリコに面するところを渡った。 + 主の契約の箱をかつぐ祭司たちがヨルダン川の真ん中のかわいた地にしっかりと立つうちに、イスラエル全体は、かわいた地を通り、ついに民はすべてヨルダン川を渡り終わった。 + + + 民がすべてヨルダン川を渡り終わったとき、主はヨシュアに告げて仰せられた。 + 「民の中から十二人、部族ごとにひとりずつを選び出し、 + 彼らに命じて言え。『ヨルダン川の真ん中で、祭司たちの足が堅く立ったその所から十二の石を取り、それを持って来て、あなたがたが今夜泊まる宿営地にそれを据えよ。』」 + そこで、ヨシュアはイスラエルの人々の中から、部族ごとにひとりずつ、あらかじめ用意しておいた十二人の者を召し出した。 + ヨシュアは彼らに言った。「ヨルダン川の真ん中の、あなたがたの神、主の箱の前に渡って行って、イスラエルの子らの部族の数に合うように、各自、石一つずつを背負って来なさい。 + それがあなたがたの間で、しるしとなるためである。後になって、あなたがたの子どもたちが、『これらの石はあなたがたにとってどういうものなのですか』と聞いたなら、 + あなたがたは彼らに言わなければならない。『ヨルダン川の水は、主の契約の箱の前でせきとめられた。箱がヨルダン川を渡るとき、ヨルダン川の水がせきとめられた。これらの石は永久にイスラエル人の記念なのだ。』」 + イスラエルの人々は、ヨシュアが命じたとおりにした。主がヨシュアに告げたとおり、イスラエルの子らの部族の数に合うように、ヨルダン川の真ん中から十二の石を取り、それを宿営地に運び、そこに据えた。 + ――ヨシュアはヨルダン川の真ん中で、契約の箱をかつぐ祭司たちの足の立っていた場所の下にあった十二の石を、立てたのである。それが今日までそこにある―― + 箱をかつぐ祭司たちは、主がヨシュアに命じて民に告げさせたことがすべて終わるまで、ヨルダン川の真ん中に立っていた。すべてモーセがヨシュアに命じたとおりである。その間に民は急いで渡った。 + 民がすべて渡り終わったとき、主の箱が渡った。祭司たちは民の先頭に立ち、 + ルベン人と、ガド人と、マナセの半部族は、モーセが彼らに告げたように、イスラエルの人々の先頭を隊を組んで進んだ。 + いくさのために武装した約四万人が、エリコの草原で戦うために主の前を進んで行った。 + その日、主は全イスラエルの見ている前でヨシュアを大いなる者とされたので、彼らは、モーセを恐れたように、ヨシュアをその一生の間恐れた。 + 主がヨシュアに、 + 「あかしの箱をかつぐ祭司たちに命じて、ヨルダン川から上がって来させよ」と仰せられたとき、 + ヨシュアは祭司たちに、「ヨルダン川から上がって来なさい」と命じた。 + 主の契約の箱をかつぐ祭司たちが、ヨルダン川の真ん中から上がって来て、祭司たちの足の裏が、かわいた地に上がったとき、ヨルダン川の水はもとの所に返って、以前のように、その岸いっぱいになった。 + 民は第一の月の十日にヨルダン川から上がって、エリコの東の境にあるギルガルに宿営した。 + ヨシュアは、彼らがヨルダン川から取って来たあの十二の石をギルガルに立てて、 + イスラエルの人々に、次のように言った。「後になって、あなたがたの子どもたちがその父たちに、『これらの石はどういうものなのですか』と聞いたなら、 + あなたがたは、その子どもたちにこう言って教えなければならない。『イスラエルは、このヨルダン川のかわいた土の上を渡ったのだ。』 + あなたがたの神、主は、あなたがたが渡ってしまうまで、あなたがたの前からヨルダン川の水をからしてくださった。ちょうど、あなたがたの神、主が葦の海になさったのと同じである。それを、私たちが渡り終わってしまうまで、私たちの前からからしてくださったのである。 + それは、地のすべての民が、主の御手の強いことを知り、あなたがたがいつも、あなたがたの神、主を恐れるためである。」 + + + ヨルダン川のこちら側、西のほうにいたエモリ人のすべての王たちと、海辺にいるカナン人のすべての王たちとは、主がイスラエル人の前でヨルダン川の水をからし、ついに彼らが渡って来たことを聞いて、イスラエル人のために彼らの心がしなえ、彼らのうちに、もはや勇気がなくなってしまった。 + そのとき、主はヨシュアに仰せられた。「火打石の小刀を作り、もう一度イスラエル人に割礼をせよ。」 + そこで、ヨシュアは自分で火打石の小刀を作り、ギブアテ・ハアラロテで、イスラエル人に割礼を施した。 + ヨシュアがすべての民に割礼を施した理由はこうである。エジプトから出て来た者のうち、男子、すなわち戦士たちはすべて、エジプトを出て後、途中、荒野で死んだ。 + その出て来た民は、すべて割礼を受けていたが、エジプトを出て後、途中、荒野で生まれた民は、だれも割礼を受けていなかったからである。 + イスラエル人は、四十年間、荒野を旅していて、エジプトから出て来た民、すなわち戦士たちは、ことごとく死に絶えてしまったからである。彼らは主の御声に聞き従わなかったので、主が私たちに与えると彼らの先祖たちに誓われた地、乳と蜜の流れる地を、主は彼らには見せないと誓われたのであった。 + 主は彼らに代わって、その息子たちを起こされた。ヨシュアは、彼らが無割礼の者で、途中で割礼を受けていなかったので、彼らに割礼を施した。 + 民のすべてが割礼を完了したとき、彼らは傷が直るまで、宿営の自分たちのところにとどまった。 + すると、主はヨシュアに仰せられた。「きょう、わたしはエジプトのそしりを、あなたがたから取り除いた。」それで、その所の名は、ギルガルと呼ばれた。今日もそうである。 + イスラエル人が、ギルガルに宿営しているとき、その月の十四日の夕方、エリコの草原で彼らは過越のいけにえをささげた。 + 過越のいけにえをささげた翌日、彼らはその地の産物、「種を入れないパン」と、炒り麦を食べた。その日のうちであった。 + 彼らがその地の産物を食べた翌日から、マナの降ることはやみ、イスラエル人には、もうマナはなかった。それで、彼らはその年のうちにカナンの地で収穫した物を食べた。 + さて、ヨシュアがエリコの近くにいたとき、彼が目を上げて見ると、見よ、ひとりの人が抜き身の剣を手に持って、彼の前方に立っていた。ヨシュアはその人のところへ行って、言った。「あなたは、私たちの味方ですか。それとも私たちの敵なのですか。」 + すると彼は言った。「いや、わたしは主の軍の将として、今、来たのだ。」そこで、ヨシュアは顔を地につけて伏し拝み、彼に言った。「わが主は、何をそのしもべに告げられるのですか。」 + すると、主の軍の将はヨシュアに言った。「あなたの足のはきものを脱げ。あなたの立っている場所は聖なる所である。」そこで、ヨシュアはそのようにした。 + + + エリコは、イスラエル人の前に、城門を堅く閉ざして、だれひとり出入りする者がなかった。 + 主はヨシュアに仰せられた。「見よ。わたしはエリコとその王、および勇士たちを、あなたの手に渡した。 + あなたがた戦士はすべて、町のまわりを回れ。町の周囲を一度回り、六日、そのようにせよ。 + 七人の祭司たちが、七つの雄羊の角笛を持って、箱の前を行き、七日目には、七度町を回り、祭司たちは角笛を吹き鳴らさなければならない。 + 祭司たちが雄羊の角笛を長く吹き鳴らし、あなたがたがその角笛の音を聞いたなら、民はみな、大声でときの声をあげなければならない。町の城壁がくずれ落ちたなら、民はおのおのまっすぐ上って行かなければならない。」 + そこで、ヌンの子ヨシュアは祭司たちを呼び寄せ、彼らに言った。「契約の箱をかつぎなさい。七人の祭司たちが、七つの雄羊の角笛を持って、主の箱の前を行かなければならない。」 + ついで、彼は民に言った。「進んで行き、あの町のまわりを回りなさい。武装した者たちは、主の箱の前を進みなさい。」 + ヨシュアが民に言ったとき、七人の祭司たちが、七つの雄羊の角笛を持って主の前を進み、角笛を吹き鳴らした。主の契約の箱は、そのうしろを進んだ。 + 武装した者たちは、角笛を吹き鳴らす祭司たちの先を行き、しんがりは箱のうしろを進んだ。彼らは進みながら、角笛を吹き鳴らした。 + ヨシュアは民に命じて言った。「私がときの声をあげよと言って、あなたがたに叫ばせる日まで、あなたがたは叫んではいけない。あなたがたの声を聞かせてはいけない。また口からことばを出してはいけない。」 + こうして、彼は主の箱を、一度だけ町のまわりを回らせた。彼らは宿営に帰り、宿営の中で夜を過ごした。 + 翌朝、ヨシュアは早く起き、祭司たちは主の箱をかついだ。 + 七人の祭司たちが七つの雄羊の角笛を持って、主の箱の前を行き、角笛を吹き鳴らした。武装した者たちは彼らの先頭に立って行き、しんがりは主の箱のうしろを進んだ。彼らは進みながら角笛を吹き鳴らした。 + 彼らはその次の日にも、町を一度回って宿営に帰り、六日、そのようにした。 + 七日目になると、朝早く夜が明けかかるころ、彼らは同じしかたで町を七度回った。この日だけは七度町を回った。 + その七度目に祭司たちが角笛を吹いたとき、ヨシュアは民に言った。「ときの声をあげなさい。主がこの町をあなたがたに与えてくださったからだ。 + この町と町の中のすべてのものを、主のために聖絶しなさい。ただし遊女ラハブと、その家に共にいる者たちは、すべて生かしておかなければならない。あの女は私たちの送った使者たちをかくまってくれたからだ。 + ただ、あなたがたは、聖絶のものに手を出すな。聖絶のものにしないため、聖絶のものを取って、イスラエルの宿営を聖絶のものにし、これにわざわいをもたらさないためである。 + ただし、銀、金、および青銅の器、鉄の器はすべて、主のために聖別されたものだから、主の宝物倉に持ち込まなければならない。」 + そこで、民はときの声をあげ、祭司たちは角笛を吹き鳴らした。民が角笛の音を聞いて、大声でときの声をあげるや、城壁がくずれ落ちた。そこで民はひとり残らず、まっすぐ町へ上って行き、その町を攻め取った。 + 彼らは町にあるものは、男も女も、若い者も年寄りも、また牛、羊、ろばも、すべて剣の刃で聖絶した。 + ヨシュアはこの地を偵察したふたりの者に言った。「あなたがたがあの遊女に誓ったとおり、あの女の家に行って、その女とその女に属するすべての者を連れ出しなさい。」 + 斥候になったその若者たちは、行って、ラハブとその父、母、兄弟、そのほか彼女に属するすべての者を連れ出し、また、彼女の親族をみな連れ出して、イスラエルの宿営の外にとどめておいた。 + 彼らは町とその中のすべてのものを火で焼いた。ただ銀、金、および青銅の器、鉄の器は、主の宮の宝物倉に納めた。 + しかし、遊女ラハブとその父の家族と彼女に属するすべての者とは、ヨシュアが生かしておいたので、ラハブはイスラエルの中に住んだ。今日もそうである。これは、ヨシュアがエリコを偵察させるために遣わした使者たちを、ラハブがかくまったからである。 + ヨシュアは、そのとき、誓って言った。「この町エリコの再建を企てる者は、主の前にのろわれよ。その礎を据える者は長子を失い、その門を建てる者は末の子を失う。」 + 主がヨシュアとともにおられたので、そのうわさは地にあまねく広まった。 + + + しかしイスラエルの子らは、聖絶のもののことで不信の罪を犯し、ユダ部族のゼラフの子ザブディの子であるカルミの子アカンが、聖絶のもののいくらかを取った。そこで、主の怒りはイスラエル人に向かって燃え上がった。 + ヨシュアはエリコから人々をベテルの東、ベテ・アベンの近くにあるアイに遣わすとき、その人々に次のように言った。「上って行って、あの地を偵察して来なさい。」そこで、人々は上って行って、アイを偵察した。 + 彼らはヨシュアのもとに帰って来て言った。「民を全部行かせないでください。二、三千人ぐらいを上らせて、アイを打たせるといいでしょう。彼らはわずかなのですから、民を全部やって、骨折らせるようなことはしないでください。」 + そこで、民のうち、およそ三千人がそこに上ったが、彼らはアイの人々の前から逃げた。 + アイの人々は、彼らの中の約三十六人を打ち殺し、彼らを門の前からシェバリムまで追って、下り坂で彼らを打ったので、民の心がしなえ、水のようになった。 + ヨシュアは着物を裂き、イスラエルの長老たちといっしょに、主の箱の前で、夕方まで地にひれ伏し、自分たちの頭にちりをかぶった。 + ヨシュアは言った。「ああ、神、主よ。あなたはどうしてこの民にヨルダン川をあくまでも渡らせて、私たちをエモリ人の手に渡して、滅ぼそうとされるのですか。私たちは心を決めてヨルダン川の向こう側に居残ればよかったのです。 + ああ、主よ。イスラエルが敵の前に背を見せた今となっては、何を申し上げることができましょう。 + カナン人や、この地の住民がみな、これを聞いて、私たちを攻め囲み、私たちの名を地から断ってしまうでしょう。あなたは、あなたの大いなる御名のために何をなさろうとするのですか。」 + 主はヨシュアに仰せられた。/「立て。あなたはどうしてそのようにひれ伏しているのか。 + イスラエルは罪を犯した。現に、彼らは、わたしが彼らに命じたわたしの契約を破り、聖絶のものの中から取り、盗み、偽って、それを自分たちのものの中に入れさえした。 + だから、イスラエル人は敵の前に立つことができず、敵に背を見せたのだ。彼らが聖絶のものとなったからである。あなたがたのうちから、その聖絶のものを一掃してしまわないなら、わたしはもはやあなたがたとともにはいない。 + 立て。民をきよめよ。そして言え。/あなたがたは、あすのために身をきよめなさい。イスラエルの神、主がこう仰せられるからだ。『イスラエルよ。あなたのうちに、聖絶のものがある。あなたがたがその聖絶のものを、あなたがたのうちから除き去るまで、敵の前に立つことはできない。 + あしたの朝、あなたがたは部族ごとに進み出なければならない。主がくじで取り分ける部族は、氏族ごとに進みいで、主が取り分ける氏族は、家族ごとに進みいで、主が取り分ける家族は、男ひとりひとり進み出なければならない。 + その聖絶のものを持っている者が取り分けられたなら、その者は、所有物全部といっしょに、火で焼かれなければならない。彼が主の契約を破り、イスラエルの中で恥辱になることをしたからである。』」 + そこで、ヨシュアは翌朝早く、イスラエルを部族ごとに進み出させた。するとユダの部族がくじで取り分けられた。 + ユダの氏族を進み出させると、ゼラフ人の氏族が取られた。ゼラフ人の氏族を男ひとりひとり進み出させると、ザブディが取られた。 + ザブディの家族を男ひとりひとり進み出させると、ユダの部族のゼラフの子ザブディの子カルミの子のアカンが取られた。 + そこで、ヨシュアはアカンに言った。「わが子よ。イスラエルの神、主に栄光を帰し、主に告白しなさい。あなたが何をしたのか私に告げなさい。私に隠してはいけない。」 + アカンはヨシュアに答えて言った。「ほんとうに、私はイスラエルの神、主に対して罪を犯しました。私は次のようなことをいたしました。 + 私は、分捕り物の中に、シヌアルの美しい外套一枚と、銀二百シェケルと、目方五十シェケルの金の延べ棒一本があるのを見て、欲しくなり、それらを取りました。それらは今、私の天幕の中の地に隠してあり、銀はその下にあります。」 + そこで、ヨシュアが使いたちを遣わした。彼らは天幕に走って行った。そして、見よ、それらが彼の天幕に隠してあって、銀はその下にあった。 + 彼らは、それらを天幕の中から取り出して、ヨシュアと全イスラエル人のところに持って来た。彼らは、それらを主の前に置いた。 + ヨシュアは全イスラエルとともに、ゼラフの子アカンと、銀や、外套、金の延べ棒、および彼の息子、娘、牛、ろば、羊、天幕、それに、彼の所有物全部を取って、アコルの谷へ連れて行った。 + そこでヨシュアは言った。「なぜあなたは私たちにわざわいをもたらしたのか。主は、きょう、あなたにわざわいをもたらされる。」全イスラエルは彼を石で打ち殺し、彼らのものを火で焼き、それらに石を投げつけた。 + こうして彼らは、アカンの上に、大きな、石くれの山を積み上げた。今日もそのままである。そこで、主は燃える怒りをやめられた。そういうわけで、その所の名は、アコルの谷と呼ばれた。今日もそうである。 + + + 主はヨシュアに仰せられた。「恐れてはならない。おののいてはならない。戦う民全部を連れてアイに攻め上れ。見よ。わたしはアイの王と、その民、その町、その地を、あなたの手に与えた。 + あなたがエリコとその王にしたとおりに、アイとその王にもせよ。ただし、その分捕り物と家畜だけは、あなたがたの戦利品としてよい。あなたは町のうしろに伏兵を置け。」 + そこで、ヨシュアは戦う民全部と、アイに上って行く準備をした。ヨシュアは勇士たち三万人を選び、彼らを夜のうちに派遣した。 + そのとき、ヨシュアは彼らに命じて言った。「聞きなさい。あなたがたは町のうしろから町に向かう伏兵である。町からあまり遠く離れないで、みな用意をしていなさい。 + 私と私とともにいる民はすべて、町に近づく。彼らがこの前と同じように、私たちに向かって出て来るなら、私たちは彼らの前で、逃げよう。 + 彼らが私たちを追って出て、私たちは彼らを町からおびき出すことになる。彼らは、『われわれの前から逃げて行く。前と同じことだ』と言うだろうから。そうして私たちは彼らの前から逃げる。 + あなたがたは伏している所から立ち上がり、町を占領しなければならない。あなたがたの神、主が、それをあなたがたの手に渡される。 + その町を取ったら、その町に火をかけなければならない。主の言いつけどおりに行わなければならない。見よ。私はあなたがたに命じた。」 + こうして、ヨシュアは彼らを派遣した。彼らは待ち伏せの場所へ行き、アイの西方、ベテルとアイの間にとどまった。ヨシュアはその夜、民の中で夜を過ごした。 + ヨシュアは翌朝早く民を召集し、イスラエルの長老たちといっしょに、民の先頭に立って、アイに上って行った。 + 彼とともにいた戦う民はみな、上って行って、町の前に近づき、アイの北側に陣を敷いた。彼とアイとの間には、一つの谷があった。 + 彼が約五千人を取り、町の西側、ベテルとアイの間に伏兵として配置してから、 + 民は町の北に全陣営を置き、後陣を町の西に置いた。ヨシュアは、その夜、谷の中で夜を過ごした。 + アイの王が気づくとすぐ、町の人々は、急いで、朝早くイスラエルを迎えて戦うために、出て来た。王とその民全部はアラバの前の定められた所に出て来た。しかし王は、町のうしろに、伏兵がいることを知らなかった。 + ヨシュアと全イスラエルは、彼らに打たれて、荒野への道を逃げた。 + アイにいた民はみな、彼らのあとを追えと叫び、ヨシュアのあとを追って、町からおびき出された。 + イスラエルのあとを追って出なかった者は、アイとベテルにひとりもないまでになった。彼らは町を明け放しのまま捨てておいて、イスラエルのあとを追った。 + そのとき、主はヨシュアに仰せられた。「手に持っている投げ槍をアイのほうに差し伸ばせ。わたしがアイをあなたの手に渡すから。」そこで、ヨシュアは手に持っていた投げ槍を、その町のほうに差し伸ばした。 + 伏兵はすぐにその場所から立ち上がり、彼の手が伸びたとき、すぐに走って町に入り、それを攻め取り、急いで町に火をつけた。 + アイの人々がうしろを振り返ったとき、彼らは気づいた。見よ、町の煙が天に立ち上っていた。彼らには、こちらへも、あちらへも逃げる手だてがなかった。荒野へ逃げていた民は、追って来た者たちのほうに向き直った。 + ヨシュアと全イスラエルは、伏兵が町を攻め取り、町の煙が立ち上るのを見て、引き返して来て、アイの者どもを打った。 + ある者は町から出て来て、彼らに立ち向かったが、両方の側から、イスラエルのはさみ打ちに会った。彼らはこの者どもを打ち、生き残った者も、のがれた者も、ひとりもいないまでにした。 + しかし、アイの王は生けどりにして、ヨシュアのもとに連れて来た。 + イスラエルが、彼らを追って来たアイの住民をことごとく荒野の戦場で殺し、剣の刃で彼らをひとりも残さず倒して後、イスラエルの全員はアイに引き返し、その町を剣の刃で打った。 + その日、打ち倒された男や女は合わせて一万二千人で、アイのすべての人々であった。 + ヨシュアは、アイの住民をことごとく聖絶するまで、投げ槍を差し伸べた手を引っ込めなかった。 + ただし、イスラエルは、その町の家畜と分捕り物を、主がヨシュアに命じたことばのとおり、自分たちの戦利品として取った。 + こうして、ヨシュアはアイを焼いて、永久に荒れ果てた丘とした。今日もそのままである。 + ヨシュアはアイの王を、夕方まで木にかけてさらし、日の入るころ、命じて、その死体を木から降ろし、町の門の入口に投げ、その上に大きな、石くれの山を積み上げさせた。今日もそのままである。 + それからヨシュアは、エバル山に、イスラエルの神、主のために、一つの祭壇を築いた。 + それは、主のしもべモーセがイスラエルの人々に命じたとおりであり、モーセの律法の書にしるされているとおりに、鉄の道具を当てない自然のままの石の祭壇であった。彼らはその上で、主に全焼のいけにえをささげ、和解のいけにえをささげた。 + その所で、ヨシュアは、モーセが書いた律法の写しをイスラエルの人々の前で、石の上に書いた。 + 全イスラエルは、その長老たち、つかさたち、さばきつかさたちとともに、それに在留異国人もこの国に生まれた者も同様に、主の契約の箱をかつぐレビ人の祭司たちの前で、箱のこちら側と向こう側とに分かれ、その半分はゲリジム山の前に、あとの半分はエバル山の前に立った。それは、主のしもべモーセが先に命じたように、イスラエルの民を祝福するためであった。 + それから後、ヨシュアは律法の書にしるされているとおりに、祝福とのろいについての律法のことばを、ことごとく読み上げた。 + モーセが命じたすべてのことばの中で、ヨシュアがイスラエルの全集会、および女と子どもたち、ならびに彼らの間に来る在留異国人の前で読み上げなかったことばは、一つもなかった。 + + + さて、ヨルダン川のこちら側の山地、低地、およびレバノンの前の大海の全沿岸のヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の王たちはみな、これを聞き、 + 相集まり、一つになってヨシュアおよびイスラエルと戦おうとした。 + しかし、ギブオンの住民たちは、ヨシュアがエリコとアイに対して行ったことを聞いて、 + 彼らもまた計略をめぐらし、変装を企てた。彼らは古びた袋と古びて破れたのに継ぎを当てたぶどう酒の皮袋とを、ろばに負わせ、 + 繕った古いはきものを足にはき、古びた着物を身に着けた。彼らの食料のパンは、みなかわいて、ぼろぼろになっていた。 + こうして、彼らはギルガルの陣営のヨシュアのところに来て、彼とイスラエルの人々に言った。「私たちは遠い国からまいりました。ですから、今、私たちと盟約を結んでください。」 + イスラエルの人々は、そのヒビ人たちに言った。「たぶんあなたがたは私たちの中に住んでいるのだろう。どうして私たちがあなたがたと盟約を結ぶことができようか。」 + すると、彼らはヨシュアに言った。「私たちはあなたのしもべです。」しかしヨシュアは彼らに言った。「あなたがたはだれだ。どこから来たのか。」 + 彼らは言った。「しもべどもは、あなたの神、主の名を聞いて、非常に遠い国からまいりました。私たちは主のうわさ、および主がエジプトで行われたすべての事、 + 主がヨルダン川の向こう側のエモリ人のふたりの王、ヘシュボンの王シホン、およびアシュタロテにいたバシャンの王オグになさったすべての事を聞いたからです。 + それで、私たちの長老たちや、私たちの国の住民はみな、私たちに言いました。『あなたがたは、旅のための食料を手に持って、彼らに会いに出かけよ。そして彼らに、私たちはあなたがたのしもべです。それで、今、私たちと盟約を結んでくださいと言え。』 + この私たちのパンは、私たちがあなたがたのところに来ようとして出た日に、それぞれの家から、まだあたたかなのを、食料として準備したのですが、今はもう、ご覧のとおり、かわいて、ぼろぼろになってしまいました。 + また、ぶどう酒を満たしたこれらの皮袋も、新しかったのですが、ご覧のとおり、破れてしまいました。私たちのこの着物も、はきものも、非常に長い旅のために、古びてしまいました。」 + そこで人々は、彼らの食料のいくらかを取ったが、主の指示をあおがなかった。 + ヨシュアが彼らと和を講じ、彼らを生かしてやるとの盟約を結んだとき、会衆の上に立つ族長たちは、彼らに誓った。 + 彼らと盟約を結んで後三日たったとき、人々は、彼らが近くの者たちで、自分たちの中に住んでいるということを聞いた。 + それから、イスラエル人は旅立って、三日目に彼らの町々に着いた。彼らの町々とは、ギブオン、ケフィラ、ベエロテ、およびキルヤテ・エアリムであった。 + 会衆の上に立つ族長たちがすでにイスラエルの神、主にかけて彼らに誓っていたので、イスラエル人は彼らを打たなかった。しかし、全会衆は族長たちに向かって不平を鳴らした。 + そこで族長たちはみな、全会衆に言った。「私たちはイスラエルの神、主にかけて彼らに誓った。だから今、私たちは彼らに触れることはできない。 + 私たちは彼らにこうしよう。彼らを生かしておこう。そうすれば、私たちが彼らに誓った誓いのために、御怒りが私たちの上に下らないだろう。」 + 族長たちが全会衆に、「彼らを生かしておこう」と言ったので、彼らは全会衆のために、たきぎを割る者、水を汲む者となった。族長たちが彼らに言ったとおりである。 + ヨシュアは彼らを呼び寄せて、彼らに次のように言った。「あなたがたは、私たちの中に住んでいながら、なぜ、『私たちはあなたがたから非常に遠い所にいる』と言って、私たちを欺いたのか。 + 今、あなたがたはのろわれ、あなたがたはいつまでも奴隷となり、私の神の家のために、たきぎを割る者、水を汲む者となる。」24すると、彼らはヨシュアに答えて言った。「あなたの神、主がそのしもべモーセに、この全土をあなたがたに与え、その地の住民のすべてをあなたがたの前から滅ぼしてしまうようにと、お命じになったことを、このあなたのしもべどもは、はっきり知らされたのです。ですから、あなたがたの前で私たちのいのちが失われるのを、非常に恐れたので、このようなことをしたのです。 + ご覧ください。私たちは今、あなたの手の中にあります。あなたのお気に召すように、お目にかなうように私たちをお扱いください。」 + ヨシュアは彼らにそのようにし、彼らをイスラエル人の手から救って、殺さなかった。 + こうしてヨシュアは、その日、彼らを会衆のため、また主の祭壇のため、主が選ばれた場所で、たきぎを割る者、水を汲む者とした。今日もそうである。 + + + さて、エルサレムの王アドニ・ツェデクは、ヨシュアがアイを攻め取って、それを聖絶し、先にエリコとその王にしたようにアイとその王にもしたこと、またギブオンの住民がイスラエルと和を講じて、彼らの中にいることを聞き、 + 大いに恐れた。それは、ギブオンが大きな町であって、王国の都の一つのようであり、またアイよりも大きくて、そこの人々はみな勇士たちであったからである。 + それで、エルサレムの王アドニ・ツェデクは、ヘブロンの王ホハム、ヤルムテの王ピルアム、ラキシュの王ヤフィア、エグロンの王デビルに使いをやって言った。 + 「私のところに上って来て、私を助けてください。私たちはギブオンを打ちましょう。ギブオンがヨシュア、イスラエル人と和を講じたから。」 + それで、エモリ人の五人の王たち、エルサレムの王、ヘブロンの王、ヤルムテの王、ラキシュの王、エグロンの王とその全陣営は、相集まり、上って行って、ギブオンに向かって陣を敷き、それを攻めて戦った。 + ギブオンの人々は、ギルガルの陣営のヨシュアのところに使いをやって言った。「あなたのしもべどもからあなたの手を引かないで、早く、私たちのところに上って来て私たちを救い、助けてください。山地に住むエモリ人の王たちがみな集まって、私たちに向かっているからです。」 + そこでヨシュアは、すべての戦う民と、すべての勇士たちとを率いて、ギルガルから上って行った。 + 主はヨシュアに仰せられた。「彼らを恐れてはならない。わたしが彼らをあなたの手に渡したからだ。彼らのうち、ひとりとしてあなたの前に立ち向かうことのできる者はいない。」 + それで、ヨシュアは夜通しギルガルから上って行って、突然彼らを襲った。 + 主が彼らをイスラエルの前でかき乱したので、イスラエルはギブオンで彼らを激しく打ち殺し、ベテ・ホロンの上り坂を通って彼らを追い、アゼカとマケダまで行って彼らを打った。 + 彼らがイスラエルの前から逃げて、ベテ・ホロンの下り坂にいたとき、主は天から彼らの上に大きな石を降らし、アゼカに至るまでそうしたので、彼らは死んだ。イスラエル人が剣で殺した者よりも、雹の石で死んだ者のほうが多かった。 + 主がエモリ人をイスラエル人の前に渡したその日、ヨシュアは主に語り、イスラエルの見ている前で言った。「日よ。ギブオンの上で動くな。月よ。アヤロンの谷で。」 + 民がその敵に復讐するまで、日は動かず、月はとどまった。/これは、ヤシャルの書にしるされているではないか。こうして、日は天のまなかにとどまって、まる一日ほど出て来ることを急がなかった。 + 主が人の声を聞き入れたこのような日は、先にもあとにもなかった。主がイスラエルのために戦ったからである。 + ヨシュアは、全イスラエルを率いてギルガルの陣営に引き揚げた。 + これらの五人の王たちは逃げて、マケダのほら穴に隠れた。 + その後、マケダのほら穴に隠れている五人の王たちが見つかったという知らせがヨシュアに入った。 + そこでヨシュアは言った。「ほら穴の口に大きな石をころがし、そのそばに人を置いて、彼らを見張りなさい。 + しかしあなたがたはそこにとどまってはならない。敵のあとを追い、彼らのしんがりを攻撃しなさい。彼らの町に入らせてはならない。あなたがたの神、主が彼らをあなたがたの手に渡されたからだ。」 + ヨシュアとイスラエル人は、非常に激しく打って、彼らを絶ち滅ぼし、ついに全滅させた。彼らのうちの生き残った者たちは、城壁のある町々に逃げ込んだ。 + そこで民はみな無事にマケダの陣営のヨシュアのもとに引き揚げたが、イスラエル人に向かってののしる者はだれもなかった。 + その後、ヨシュアは言った。「ほら穴の口を開いて、ほら穴からあの五人の王たちを私のもとに引き出して来なさい。」 + 彼らはそのとおりにして、ほら穴からあの五人の王たち、エルサレムの王、ヘブロンの王、ヤルムテの王、ラキシュの王、エグロンの王を彼のもとに引き出して来た。 + 彼らがその王たちをヨシュアのもとに引き出して来たとき、ヨシュアはイスラエルのすべての人々を呼び寄せ、自分といっしょに行った戦士たちを率いた人たちに言った。「近寄って、この王たちの首に足をかけなさい。」そこで彼らは近寄り、その王たちの首に足をかけた。 + ヨシュアは彼らに言った。「恐れてはならない。おののいてはならない。強くあれ。雄々しくあれ。あなたがたの戦うすべての敵は、主がこのようにされる。」 + このようにして後、ヨシュアは彼らを打って死なせ、彼らを五本の木にかけ、夕方まで木にかけておいた。 + 日の入るころになって、ヨシュアは彼らを木から降ろすように命じ、彼らが隠れていたほら穴の中に投げ込み、ほら穴の口に大きな石を置かせた。今日もそうである。 + その日、ヨシュアはマケダを攻め取り、剣の刃で、この地とその王とを打った。彼は、この地とその中にいたすべての者を聖絶し、ひとりも生き残る者がないようにした。彼はエリコの王にしたように、マケダの王にもした。 + ヨシュアは全イスラエルを率いて、マケダからリブナに進み、リブナと戦った。 + 主が、その地も、その王も、イスラエルの手に渡されたので、彼は、この地とその中のすべての者を、剣の刃で打ち、その中にひとりも生き残る者がないようにした。彼はエリコの王にしたように、その王にもした。 + ヨシュアはまた、全イスラエルを率いて、リブナからラキシュに進み、それに向かって陣を敷き、それと戦った。 + 主がラキシュをイスラエルの手に渡されたので、彼は二日目にそれを取り、それと、その中のすべての者を、剣の刃で打った。すべてリブナにしたとおりであった。 + そのとき、ゲゼルの王ホラムが、ラキシュを助けるために上って来たので、ヨシュアは、彼とその民を打ち、ひとりも生き残る者のないまでにした。 + ヨシュアはまた、全イスラエルを率いて、ラキシュからエグロンに進み、それに向かって陣を敷き、それと戦った。 + 彼らはその日それを取り、剣の刃でそれを打ち、その日、その中のすべての者を聖絶した。すべてラキシュにしたとおりであった。 + ヨシュアはまた、全イスラエルを率いて、エグロンからヘブロンに上り、彼らはそれと戦った。 + 彼らは、それを取り、それとその王、およびそのすべての町々とその中のすべての者を、剣の刃で打ち、ひとりも生き残る者がないようにした。すべてエグロンにしたとおりであった。彼は、それとその中のすべての者を聖絶した。 + ヨシュアは全イスラエルを率いて、デビルに引き返し、これと戦った。 + そして彼は、その地とその王、およびその中のすべての町々を取り、剣の刃でこれらを打ち、その中のすべての者を聖絶し、ひとりも生き残る者がないようにした。彼がデビルとその王にしたことは、ヘブロンにしたとおりであり、またリブナとその王にしたとおりであった。 + こうして、ヨシュアはその全土、すなわち山地、ネゲブ、低地、傾斜地、そのすべての王たちを打ち、ひとりも生き残る者がないようにし、息のあるものはみな聖絶した。イスラエルの神、主が命じられたとおりであった。 + ヨシュアは、また、カデシュ・バルネアからガザまで、およびゴシェンの全土をギブオンに至るまで打った。 + ヨシュアはこれらすべての王たちとその地とをいちどきに攻め取った。イスラエルの神、主が、イスラエルのために戦われたからである。 + それで、ヨシュアは全イスラエルを率いて、ギルガルの陣営に引き揚げた。 + + + ハツォルの王ヤビンは、このことを聞いて、マドンの王ヨバブ、シムロンの王、アクシャフの王、 + また北方の山地、キネレテの南のアラバ、低地、西方のドルの高地にいる王たち、 + すなわち、東西のカナン人、エモリ人、ヘテ人、ペリジ人、山地のエブス人、ミツパの地にあるヘルモンのふもとのヒビ人に使いをやった。 + それで彼らは、その全陣営を率いて出て来た。その人数は海辺の砂のように多く、馬や戦車も非常に多かった。 + これらの王たちはみな、相集まり、進んで来て、イスラエルと戦うために、メロムの水のあたりに一つになって陣を敷いた。 + 主はヨシュアに仰せられた。「彼らを恐れてはならない。あすの今ごろ、わたしは彼らをことごとくイスラエルの前で、刺し殺された者とするからだ。あなたは、彼らの馬の足の筋を切り、彼らの戦車を火で焼かなければならない。」 + そこで、ヨシュアは戦う民をみな率いて、メロムの水のあたりで、彼らを急襲し、彼らに襲いかかった。 + 主が彼らをイスラエルの手に渡されたので、イスラエルは、彼らを打ち、大シドン、およびミスレフォテ・マイムまで追い、さらに東のほうでは、ミツパの谷まで彼らを追い、ひとりも生き残る者がないまでに彼らを打った。 + ヨシュアは、主が命じたとおりに彼らにして、彼らの馬の足の筋を切り、彼らの戦車を火で焼いた。 + そのとき、ヨシュアは引き返して、ハツォルを攻め取り、その王を剣で打ち殺した。ハツォルは以前、これらすべての王国の首都だったからである。 + 彼らは、その中のすべての者を剣の刃で打ち、彼らを聖絶した。息のあるものは、何も残さなかった。彼はハツォルを火で焼いた。 + ヨシュアは、それらの王たちのすべての町々、および、そのすべての王たちを捕らえ、彼らを剣の刃で打ち殺し、聖絶した。主のしもべモーセが命じたとおりであった。 + ただしイスラエルは、丘の上に立っている町々は焼かなかった。ヨシュアが焼いたハツォルだけは例外である。 + これらの町々のすべての分捕り物と家畜とは、イスラエル人の戦利品として自分たちのものとした。ただし人間はみな、剣の刃で打ち殺し、彼らを一掃して、息のあるものはひとりも残さなかった。 + 主がそのしもべモーセに命じられたとおりに、モーセはヨシュアに命じたが、ヨシュアはそのとおりに行い、主がモーセに命じたすべてのことばを、一言も取り除かなかった。 + こうして、ヨシュアはこの地のすべて、すなわち山地、ネゲブの全地域、ゴシェンの全土、低地、アラバ、およびイスラエルの山地と低地を取り、 + セイルへ上って行くハラク山から、ヘルモン山のふもとのレバノンの谷にあるバアル・ガドまでを取った。また、それらの王をことごとく捕らえて、彼らを打って、殺した。 + ヨシュアは、これらすべての王たちと長い間戦った。 + ギブオンの住民ヒビ人を除いては、イスラエル人と和を講じた町は一つもなかった。彼らは戦って、すべてのものを取った。 + 彼らの心をかたくなにし、イスラエルを迎えて戦わせたのは、主から出たことであり、それは主が彼らを容赦なく聖絶するためであった。まさに、主がモーセに命じたとおりに彼らを一掃するためであった。 + そのとき、ヨシュアは行って、アナク人を、山地、ヘブロン、デビル、アナブ、ユダのすべての山地、イスラエルのすべての山地から断ち、彼らをその町々とともに聖絶した。 + それでイスラエル人の地には、アナク人がいなくなった。ただガザ、ガテ、アシュドデにわずかの者が残っていた。 + こうしてヨシュアは、その地をことごとく取った。すべて主がモーセに告げたとおりであった。ヨシュアはこの地を、イスラエルの部族の割り当てにしたがって、相続地としてイスラエルに分け与えた。その地に戦争はやんだ。 + + + イスラエル人は、ヨルダン川の向こう側、日の上る方で、アルノン川からヘルモン山まで、それと東アラバの全部を打ち、それを占領したが、その地の王たちは次のとおりである。 + エモリ人の王シホン。彼はヘシュボンに住み、アルノン川の縁にあるアロエル、川の中部とギルアデの半分、アモン人の国境のヤボク川までを支配していた。 + またアラバを、東のキネレテ湖までと、東のアラバの海、すなわち塩の海、ベテ・ハエシモテの道まで、南はピスガの傾斜地のふもとまで支配していた。 + また、レファイムの生き残りのひとりであったバシャンの王オグの領土。彼は、アシュタロテとエデレイに住み、 + ヘルモン山、サルカ、ゲシュル人とマアカ人の国境に至るバシャンの全土、およびギルアデの半分、ヘシュボンの王シホンの国境までを支配していた。 + 主のしもべモーセとイスラエル人とは彼らを打った。主のしもべモーセは、ルベン人と、ガド人と、マナセの半部族に、これらを所有地として与えた。 + ヨシュアとイスラエル人とがヨルダン川のこちら側、西のほうで、レバノンの谷にあるバアル・ガドから、セイルへ上って行くハラク山までの地で打った王たちは、次のとおりである。――ヨシュアはこの地をイスラエルの部族に、所有地、その割り当ての地として与えた―― + これらは、山地、低地、アラバ、傾斜地、荒野、およびネゲブにおり、ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人であった。 + エリコの王ひとり。ベテルのそばのアイの王ひとり。 + エルサレムの王ひとり。ヘブロンの王ひとり。 + ヤルムテの王ひとり。ラキシュの王ひとり。 + エグロンの王ひとり。ゲゼルの王ひとり。 + デビルの王ひとり。ゲデルの王ひとり。 + ホルマの王ひとり。アラデの王ひとり。 + リブナの王ひとり。アドラムの王ひとり。 + マケダの王ひとり。ベテルの王ひとり。 + タプアハの王ひとり。ヘフェルの王ひとり。 + アフェクの王ひとり。シャロンの王ひとり。 + マドンの王ひとり。ハツォルの王ひとり。 + シムロン・メロンの王ひとり。アクシャフの王ひとり。 + タナクの王ひとり。メギドの王ひとり。 + ケデシュの王ひとり。カルメルのヨクネアムの王ひとり。 + ドルの高地にいるドルの王ひとり。ギルガルのゴイムの王ひとり。 + ティルツァの王ひとり。合計三十一人の王である。 + + + ヨシュアは年を重ねて老人になった。主は彼に仰せられた。「あなたは年を重ね、老人になったが、まだ占領すべき地がたくさん残っている。 + その残っている地は次のとおりである。ペリシテ人の全地域、ゲシュル人の全土、 + エジプトの東のシホルから、北方のカナン人のものとみなされているエクロンの国境まで、ペリシテ人の五人の領主、ガザ人、アシュドデ人、アシュケロン人、ガテ人、エクロン人の地、それに南のアビム人の地、 + カナン人の全土、シドン人のメアラからエモリ人の国境のアフェクまでの地。 + また、ヘルモン山のふもとのバアル・ガドから、レボ・ハマテまでのゲバル人の地、およびレバノンの東側全部。 + レバノンからミスレフォテ・マイムまでの山地のすべての住民、すなわちシドン人の全部。わたしは彼らをイスラエル人の前から追い払おう。わたしが命じたとおりに、ただあなたはその地をイスラエルに相続地としてくじで分けよ。 + 今、あなたはこの地を、九つの部族と、マナセの半部族とに、相続地として割り当てよ。」 + マナセの他の半部族とともにルベン人とガド人とは、ヨルダン川の向こう側、東のほうで、モーセが彼らに与えた相続地を取っていた。主のしもべモーセが彼らに与えたとおりである。 + アルノン川の縁にあるアロエルと、その谷の中にある町からディボンまでのメデバの全台地。 + ヘシュボンを治めていたエモリ人の王シホンの、アモン人の国境までのすべての町々。 + ギルアデと、ゲシュル人、ならびにマアカ人の領土、ヘルモン山の全部、サルカまでのバシャンの全部。 + アシュタロテとエデレイを治めていたバシャンのオグの全王国。オグはレファイムの生き残りであった。モーセはこれらを打って、追い払った。 + しかし、イスラエル人は、ゲシュル人とマアカ人とを追い払わなかったので、ゲシュルとマアカとは、イスラエルの中に住んだ。今日もそうである。 + ただレビの部族だけには、相続地が与えられなかった。主が約束されたとおり、イスラエルの神、主への火によるささげ物、それが彼らの相続地であった。 + モーセはルベン部族の諸氏族に相続地を与えた。 + 彼らの地域は、アルノン川の縁にあるアロエルとその谷の中にある町から、メデバの全台地、 + ヘシュボンとその台地にあるすべての町々、ディボン、バモテ・バアルとベテ・バアル・メオン、 + ヤハツと、ケデモテと、メファアテと、 + キルヤタイムと、シブマ、谷の丘にあるツェレテ・ハシャハル、 + ベテ・ペオルと、ピスガの傾斜地と、ベテ・ハエシモテ、 + 台地のすべての町々と、ヘシュボンを治めていたエモリ人の王シホンの王国の全部。モーセは、シホンと、ミデヤンの君主、エビ、レケム、ツル、フル、レバとを打った。これらは、その地に住んでいたシホンの首長たちであった。 + イスラエル人は、これらを殺したほか、ベオルの子、占い師のバラムをも剣で殺した。 + ルベン人の地域は、ヨルダン川とその地域であった。これはルベン族の諸氏族の相続地であり、その町々と村々であった。 + モーセはまた、ガド部族、ガド族の諸氏族にも相続地を与えた。 + 彼らの地域は、ヤゼルと、ギルアデのすべての町々、アモン人の地の半分で、ラバに面するアロエルまでの地、 + ヘシュボンからラマテ・ハミツパとベトニムまで、マハナイムからデビルの国境まで。 + 谷の中ではベテ・ハラムと、ベテ・ニムラと、スコテと、ツァフォン。ヘシュボンの王シホンの王国の残りの地、ヨルダン川とその地域でヨルダン川の向こう側、東のほうで、キネレテ湖の端までであった。 + これらは、ガド族の諸氏族の相続地であり、その町々と村々であった。 + モーセはまた、マナセの半部族にも、相続地を与えた。マナセの半部族の諸氏族のものである。 + 彼らの地域は、マハナイムからバシャンの全部、バシャンの王オグの王国の全部、バシャンにあるハボテ・ヤイルの全部、その六十の町。 + またギルアデの半分、バシャンのオグの王国の町であるアシュタロテとエデレイ。これらは、マナセの子マキルの子孫、すなわち、マキル族の半分の諸氏族に与えられた。 + これらは、エリコのあたりのヨルダン川の向こう側、東のほうのモアブの草原で、モーセが割り当てた相続地である。 + レビ部族には、モーセは相続地を与えなかった。主が彼らに約束されたとおりにイスラエルの神、主が彼らの相続地である。 + + + イスラエル人がカナンの地で相続地の割り当てをした地は次のとおりである。その地を祭司エルアザルと、ヌンの子ヨシュアと、イスラエル人の部族の一族のかしらたちが、彼らに割り当て、 + 主がモーセを通して命じたとおりに、九部族と半部族とにくじで相続地を割り当てた。 + モーセはすでに二部族と半部族とに、ヨルダン川の向こう側で相続地を与えており、またレビ人には、彼らの中で相続地を与えなかったからであり、 + ヨセフの子孫が、マナセとエフライムの二部族になっていたからである。彼らは、レビ族には、その住むための町々と彼らの所有になる家畜のための放牧地を除いては、その地で割り当て地を与えなかった。 + イスラエル人は、主がモーセに命じたとおりに行って、その地を割り当てた。 + ときに、ユダ族がギルガルでヨシュアのところに近づいて来た。そして、ケナズ人エフネの子カレブが、ヨシュアに言った。「主がカデシュ・バルネアで、私とあなたについて、神の人モーセに話されたことを、あなたはご存じのはずです。 + 主のしもべモーセがこの地を偵察するために、私をカデシュ・バルネアから遣わしたとき、私は四十歳でした。そのとき、私は自分の心の中にあるとおりを彼に報告しました。 + 私といっしょに上って行った私の身内の者たちは、民の心をくじいたのですが、私は私の神、主に従い通しました。 + そこでその日、モーセは誓って、『あなたの足が踏み行く地は、必ず永久に、あなたとあなたの子孫の相続地となる。あなたが、私の神、主に従い通したからである』と言いました。 + 今、ご覧のとおり、主がこのことばをモーセに告げられた時からこのかた、イスラエルが荒野を歩いた四十五年間、主は約束されたとおりに、私を生きながらえさせてくださいました。今や私は、きょうでもう八十五歳になります。 + しかも、モーセが私を遣わした日のように、今も壮健です。私の今の力は、あの時の力と同様、戦争にも、また日常の出入りにも耐えるのです。 + どうか今、主があの日に約束されたこの山地を私に与えてください。あの日、あなたが聞いたように、そこにはアナク人がおり、城壁のある大きな町々があったのです。主が私とともにいてくだされば、主が約束されたように、私は彼らを追い払うことができましょう。」 + それでヨシュアは、エフネの子カレブを祝福し、彼にヘブロンを相続地として与えた。 + それで、ヘブロンは、ケナズ人エフネの子カレブの相続地となった。今日もそうである。それは、彼がイスラエルの神、主に従い通したからである。 + ヘブロンの名は、以前はキルヤテ・アルバであった。アルバというのは、アナク人の中の最も偉大な人物であった。そして、その地に戦争はやんだ。 + + + ユダ族の諸氏族が、くじで割り当てられた地は、エドムの国境に至り、その南端は、南のほうのツィンの荒野であった。 + その南の境界線は、塩の海の端、南に面する入江から、 + アクラビムの坂の南に出て、ツィンに進み、カデシュ・バルネアの南から上って、ヘツロンに進み、さらにアダルに上って、カルカに回り、 + アツモンに進んで、エジプト川に出て、その境界線の終わりは海である。これが、あなたがたの南の境界線である。 + 東の境界線は、塩の海であって、ヨルダン川の川口までで、北側の境界線は、ヨルダン川の川口の湖の入江から始まり、 + 境界線は、ベテ・ホグラに上り、ベテ・ハアラバの北に進み、境界線は、ルベンの子ボハンの石に上って行き、 + 境界線はまた、アコルの谷からデビルに上り、川の南側のアドミムの坂の反対側にあるギルガルに向かって北に向かう。また境界線はエン・シェメシュの水に進み、その終わりはエン・ロゲルであった。 + またその境界線は、ベン・ヒノムの谷を上って、南のほう、エブス人のいる傾斜地、すなわちエルサレムに至る。また境界線は、西のほうヒノムの谷を見おろす山の頂に上る。この谷はレファイムの谷の北のほうの端にある。 + それからその境界線は、この山の頂から、メ・ネフトアハの泉のほうに折れ、エフロン山の町々に出て、それから境界線は、バアラ、すなわちキルヤテ・エアリムのほうに折れる。 + またその境界線は、バアラから西に回って、セイル山に至り、エアリム山の北側、すなわちケサロンに進み、ベテ・シェメシュに下り、さらにティムナに進み、 + その境界線は、エクロンの北側に出て、それから境界線は、シカロンのほうに折れ、バアラ山に進み、ヤブネエルに出て、その境界線の終わりは海であった。 + また西の境界線は、大海とその沿岸であった。これが、ユダ族の諸氏族の周囲の境界線であった。 + ヨシュアは、主の命令で、エフネの子カレブに、ユダ族の中で、キルヤテ・アルバ、すなわちヘブロンを割り当て地として与えた。アルバはアナクの父であった。 + カレブは、その所からアナクの三人の息子、シェシャイ、アヒマン、タルマイを追い払った。これらはアナクの子どもである。 + その後、その所から彼は、デビルの住民のところに攻め上った。デビルの名は、以前はキルヤテ・セフェルであった。 + そのとき、カレブは言った。「キルヤテ・セフェルを打って、これを取る者には、私の娘アクサを妻として与えよう。」 + ケナズの子で、カレブの兄弟オテニエルがそれを取ったので、カレブは娘アクサを、彼に妻として与えた。 + 彼女がとつぐとき、オテニエルは彼女をそそのかして、畑を父に求めることにした。彼女がろばから降りたので、カレブは彼女に、「何がほしいのか」と尋ねた。 + 彼女は言った。「私に祝いの品を下さい。あなたはネゲブの地に私を送るのですから、水の泉を私に下さい。」そこで彼は、上の泉と下の泉とを彼女に与えた。 + ユダ部族の諸氏族の相続地は次のとおり。 + ユダ部族が、エドムの国境のほうに持っていた最南端の町々は、カブツェエル、エデル、ヤグル、 + キナ、ディモナ、アデアダ、 + ケデシュ、ハツォル、イテナン、 + ジフ、テレム、ベアロテ、 + ハツォル・ハダタ、ケリヨテ・ヘツロンすなわちハツォル、 + アマム、シェマ、モラダ、 + ハツァル・ガダ、ヘシュモン、ベテ・ペレテ、 + ハツァル・シュアル、ベエル・シェバ、ビズヨテヤ、 + バアラ、イイム、エツェム、 + エルトラデ、ケシル、ホルマ、 + ツィケラグ、マデマナ、サヌサナ、 + レバオテ、シルヒム、アイン、リモンであり、二十九の町と、それらに属する村々の全部である。 + 低地では、エシュタオル、ツォルア、アシュナ、 + ザノアハ、エン・ガニム、タプアハ、エナム、 + ヤルムテ、アドラム、ソコ、アゼカ、 + シャアライム、アディタイム、ゲデラとゲデロタイム。すなわち、十四の町と、それらに属する村々。 + ツェナン、ハダシャ、ミグダル・ガド、 + ディルアン、ミツパ、ヨクテエル、 + ラキシュ、ボツカテ、エグロン、 + カボン、ラフマス、キテリシュ、 + ゲデロテ、ベテ・ダゴン、ナアマ、マケダ。すなわち、十六の町と、それらに属する村々。 + リブナ、エテル、アシャン、 + エフタ、アシュナ、ネツィブ、 + ケイラ、アクジブ、マレシャ。すなわち、九つの町と、それらに属する村々。 + エクロンと、それに属する村落、すなわち、村々。 + エクロンから海まで、すべてアシュドデのほとりにある町々と、それらに属する村々。 + アシュドデと、それに属する村落、すなわち、村々。ガザと、それに属する村落、すなわち、村々。エジプト川と大海までとその沿岸。 + 山地では、シャミル、ヤティル、ソコ、 + ダナ、キルヤテ・サナ、すなわちデビル、 + アナブ、エシュテモア、アニム、 + ゴシェン、ホロン、ギロ。すなわち、十一の町と、それらに属する村々。 + アラブ、ドマ、エシュアン、 + ヤニム、ベテ・タプアハ、アフェカ、 + フムタ、キルヤテ・アルバ、すなわちヘブロン、ツィオル。すなわち、九つの町と、それらに属する村々。 + マオン、カルメル、ジフ、ユタ、 + イズレエル、ヨクデアム、ザノアハ、 + カイン、ギブア、ティムナ。すなわち、十の町と、それらに属する村々。 + ハルフル、ベテ・ツル、ゲドル、 + マアラテ、ベテ・アノテ、エルテコン。すなわち、六つの町と、それらに属する村々。 + キルヤテ・バアルすなわちキルヤテ・エアリムと、ラバ。すなわち、二つの町と、それらに属する村々。 + 荒野では、ベテ・ハアラバ、ミディン、セカカ、 + ニブシャン、塩の町、エン・ゲディ。すなわち、六つの町と、それらに属する村々である。 + ユダ族は、エルサレムの住民エブス人を追い払うことができなかった。それで、エブス人はユダ族とともにエルサレムに住んでいた。今日もそうである。 + + + ヨセフ族が、くじで割り当てられた地の境界線は、東、エリコのあたりのヨルダン川、すなわちエリコの水から荒野に出、エリコから山地を上ってベテルに至り、 + ベテルからルズに出て、アルキ人の領土アタロテに進み、 + 西のほう、ヤフレテ人の領土に下り、下ベテ・ホロンの地境、さらにゲゼルに至り、その終わりは海であった。 + こうして、ヨセフ族、マナセとエフライムは、彼らの相続地を受けた。 + エフライム族の諸氏族の地域は、次のとおりである。彼らの相続地の東の境界線は、アテロテ・アダルから上ベテ・ホロンに至り、 + その境界線は、西に向かって、北方のミクメタテに出、その境界線は、東に回ってタアナテ・シロに至り、そこからヤノアハの東に進み、 + ヤノアハからアタロテとナアラに下り、それからエリコに達し、ヨルダン川に出る。 + 西の境界線は、タプアハからカナ川に行き、その終わりは海であった。これが、エフライム部族の諸氏族の相続地であった。 + このほかに、マナセ族の相続地の中に、エフライム族のために取り分けられた町々、そのすべての町々と、それに属する村々とがあった。 + 彼らはゲゼルに住むカナン人を追い払わなかったので、カナン人はエフライムの中に住んでいた。今日もそうである。カナン人は苦役に服する奴隷となった。 + + + マナセ部族が、くじで割り当てられた地は次のとおりである。マナセはヨセフの長子であった。マナセの長子で、ギルアデの父であるマキルは戦士であったので、ギルアデとバシャンが彼のものとなった。 + さらにそれはマナセ族のほかの諸氏族、アビエゼル族、ヘレク族、アスリエル族、シェケム族、ヘフェル族、シェミダ族のものになった。これらは、ヨセフの子マナセの男子の子孫の諸氏族である。 + ところが、マナセの子マキルの子ギルアデの子ヘフェルの子ツェロフハデには、娘だけで息子がなかった。その娘たちの名は、マフラ、ノア、ホグラ、ミルカ、ティルツァであった。 + 彼女たちは、祭司エルアザルと、ヌンの子ヨシュアと、族長たちとの前に進み出て、「私たちの親類の間で、私たちにも相続地を与えるように、主はモーセに命じられました」と言ったので、ヨシュアは主の命令で、彼女たちの父の兄弟たちの間で、彼女たちに相続地を与えた。 + こうして、マナセはヨルダン川の向こう側のギルアデとバシャンの地のほかに、なお十の割り当て地があてがわれた。 + マナセの娘たちが、彼の息子たちの間に、相続地を受けたからである。ギルアデの地は、マナセのほかの子孫のものとなった。 + マナセの境界線は、アシェルからシェケムに面したミクメタテに向かい、その境界線は、さらに南に行って、エン・タプアハの住民のところに至った。 + タプアハの地は、マナセのものであったが、マナセの境界に近いタプアハは、エフライム族のものであった。 + またその境界線は、カナ川に下り、川の南に向かった。そこの町々は、マナセの町々の中にあって、エフライムのものであった。マナセの境界線は、川の北で、その終わりは海であった。 + その南は、エフライムのもの、北はマナセのものであった。海がその境界となった。マナセは、北はアシェルに、東はイッサカルに達していた。 + またマナセには、イッサカルとアシェルの中に、ベテ・シェアンとそれに属する村落、イブレアムとそれに属する村落、ドルの住民とそれに属する村落、エン・ドルの住民とそれに属する村落、タナクの住民とそれに属する村落、メギドの住民とそれに属する村落があった。この第三番目は高地であった。 + しかしマナセ族は、これらの町々を占領することができなかった。カナン人はこの土地に住みとおした。 + イスラエル人は、強くなってから、カナン人に苦役を課したが、彼らを追い払ってしまうことはなかった。 + ヨセフ族はヨシュアに告げて言った。「主が今まで私を祝福されたので、私は数の多い民になりました。あなたはなぜ、私にただ一つのくじによる相続地、ただ一つの割り当て地しか分けてくださらなかったのですか。」 + ヨシュアは彼らに言った。「もしもあなたが数の多い民であるなら、ペリジ人やレファイム人の地の森に上って行って、そこを自分で切り開くがよい。エフライムの山地は、あなたには狭すぎるのだから。」 + ヨセフ族は答えた。「山地は私どもには十分ではありません。それに、谷間の地に住んでいるカナン人も、ベテ・シェアンとそれに属する村落にいる者も、イズレエルの谷にいる者もみな、鉄の戦車を持っています。」 + するとヨシュアは、ヨセフ家の者、エフライムとマナセにこう言った。「あなたは数の多い民で、大きな力を持っている。あなたは、ただ一つのくじによる割り当て地だけを持っていてはならない。 + 山地もあなたのものとしなければならない。それが森であっても、切り開いて、その終わる所まで、あなたのものとしなければならない。カナン人は鉄の戦車を持っていて、強いのだから、あなたは彼らを追い払わなければならないのだ。」 + + + さて、イスラエル人の全会衆はシロに集まり、そこに会見の天幕を建てた。この地は彼らによって征服されていた。 + イスラエル人の中で、まだ自分たちの相続地が割り当てられていない七つの部族が残っていた。 + そこで、ヨシュアはイスラエル人に言った。「あなたがたの父祖の神、主が、あなたがたに与えられた地を占領しに行くのを、あなたがたはいつまで延ばしているのか。 + 部族ごとに三人の者を選び出しなさい。彼らが立ってその地を行き巡るように、私は彼らを送り出そう。彼らはその地についてその相続地のことを書きしるし、私のところに来なければならない。 + 彼らは、それを七つの割り当て地に分割しなさい。ユダは南側の彼の地域にとどまり、ヨセフ家は北側の彼らの地域にとどまらなければならない。 + あなたがたは、その地の七つの割り当て地を書きしるし、それをここの私のところに持って来なければならない。私はここで、私たちの神、主の前に、あなたがたのために、くじを引こう。 + しかしレビ人には、あなたがたの中で割り当て地がない。主の祭司として仕えることが、その相続地だからである。また、ガドと、ルベンと、マナセの半部族とは、ヨルダン川の向こう側、東のほうで、すでに彼らの相続地を受けている。それは、主のしもべモーセが、彼らに与えたものである。」 + そこで、その者たちは行く準備をした。ヨシュアは、その地の調査に出て行く者たちに命じて言った。「あなたがたは行って、その地を行き巡り、その地について書きしるし、私のところに帰って来なさい。私はシロで、主の前に、あなたがたのため、ここでくじを引こう。」 + その者たちは行って、その地を巡り、それを町ごとに七つの割り当て地ごとに書き物にしるし、シロの宿営にいるヨシュアのもとに来た。 + ヨシュアはシロで主の前に、彼らのため、くじを引いた。こうしてヨシュアは、その地をイスラエル人に、その割り当て地によって分割した。 + ベニヤミン部族の諸氏族がくじを引いた。彼らのくじに当たった地域は、ユダ族とヨセフ族の間にあった。 + 彼らの北側の境界線は、ヨルダン川から出て、その境界線は、エリコの北側に上って行き、さらに山地を西のほうに上って行き、その終わりはベテ・アベンの荒野であった。 + そこから境界線は、ルズに向かい、ルズの南のほうの傾斜地に進む。ルズはベテルである。さらに、境界線は、下ベテ・ホロンの南にある山の近くのアテロテ・アダルに下る。 + 境界線は折れて、西側で、ベテ・ホロンに面する山から、南のほうに回り、その終わりはユダ族の町キルヤテ・バアル、すなわちキルヤテ・エアリムであった。これが西側であった。 + 南側は、キルヤテ・エアリムの端からで、境界線は西のほうへ出て、メ・ネフトアハの泉に出て、 + 境界線は、北のほう、レファイムの谷間の中のベン・ヒノムの谷を見おろす山の端に下り、ヒノムの谷を、南のほうのエブス人のいる傾斜地に下り、エン・ロゲルに下る。 + それから北のほうに折れ、エン・シェメシュに出、アドミムの坂に対するゲリロテに出、ルベンの子ボハンの石に下る。 + それから、北のほう、アラバの近くの傾斜地に進み、アラバに下る。 + その境界線は、北のほう、ベテ・ホグラの傾斜地に進み、境界線の終わりは塩の海の北の入江、ヨルダン川の南端であった。これが南の境界であった。 + ヨルダン川が東側の境界線となっていた。これはベニヤミン人の相続地で、その諸氏族の周囲の境界線によるものであった。 + さて、ベニヤミン部族の諸氏族の町々は、エリコ、ベテ・ホグラ、エメク・ケツィツ、 + ベテ・ハアラバ、ツェマライム、ベテル、 + アビム、パラ、オフラ、 + ケファル・ハアモナ、オフニ、ゲバで、十二の町と、それらに属する村々であった。 + また、ギブオン、ラマ、ベエロテ、 + ミツパ、ケフィラ、モツァ、 + レケム、イルペエル、タルアラ、 + ツェラ、エレフ、エブスすなわちエルサレム、ギブアテ、キルヤテなど十四の町と、それらに属する村々であった。これがベニヤミン族の諸氏族の相続地であった。 + + + 第二番目のくじは、シメオン、すなわちシメオン部族の諸氏族に当たった。彼らの相続地は、ユダ族の相続地の中にあった。 + 彼らの相続地は、ベエル・シェバ、シェバ、モラダ、 + ハツァル・シュアル、バラ、エツェム、 + エルトラデ、ベトル、ホルマ、 + ツィケラグ、ベテ・マルカボテ、ハツァル・スサ、 + ベテ・レバオテ、シャルヘンで、十三の町と、それらに属する村々。 + アイン、リモン、エテル、アシャン。四つの町と、それらに属する村々、 + および、これらの町々の周囲にあって、バアラテ・ベエル、南のラマまでのすべての村々であった。これがシメオン部族の諸氏族の相続地であった。 + シメオン族の相続地は、ユダ族の割り当て地から取られた。それは、ユダ族の割り当て地が彼らには広すぎたので、シメオン族は彼らの相続地の中に割り当て地を持ったのである。 + 第三番目のくじは、ゼブルン族の諸氏族のために引かれた。彼らの相続地となる地域はサリデに及び、 + その境界線は、西のほう、マルアラに上り、ダベシェテに達し、ヨクネアムの東にある川に達した。 + また、サリデのほう、東のほう日の上る方に戻り、キスロテ・タボルの地境に至り、ダベラテに出て、ヤフィアに上る。 + そこから東のほう、ガテ・ヘフェルとエテ・カツィンに進み、ネアのほうに折れてリモンに出る。 + その境界線は、そこを北のほう、ハナトンに回り、その終わりはエフタ・エルの谷であった。 + そしてカタテ、ナハラル、シムロン、イデアラ、ベツレヘムなど十二の町と、それらに属する村々であった。 + これは、ゼブルン族の諸氏族の相続地で、その町々と、それらに属する村々であった。 + 第四番目のくじは、イッサカル、すなわちイッサカル族の諸氏族に当たった。 + 彼らの地域は、イズレエル、ケスロテ、シュネム、 + ハファライム、シオン、アナハラテ、 + ラビテ、キシュヨン、エベツ、 + レメテ、エン・ガニム、エン・ハダ、ベテ・パツェツ。 + その境界線は、タボルに達し、それからシャハツィマと、ベテ・シェメシュに向かい、その境界線の終わりはヨルダン川であった。十六の町と、それらに属する村々であった。 + これが、イッサカル部族の諸氏族の相続地で、その町々と、それらに属する村々であった。 + 第五番目のくじは、アシェル部族の諸氏族に当たった。 + 彼らの地域は、ヘルカテ、ハリ、ベテン、アクシャフ、 + アラメレク、アムアデ、ミシュアルで、西のほう、カルメルとシホル・リブナテに達する。 + また、日の上る方、ベテ・ダゴンに戻り、ゼブルンに達し、北のほう、エフタ・エルの谷、ベテ・ハエメク、ネイエルを経て、左のほう、カブルに出て、 + エブロン、レホブ、ハモン、カナを経て、大シドンに至る。 + その境界線は、ラマのほうに戻り、城壁のある町ツロに至る。またその境界線は、ホサのほうに戻り、その終わりは海であった。それに、マハレブ、アクジブ、 + アコ、アフェク、レホブなど、二十二の町と、それらに属する村々であった。 + これがアシェル部族の諸氏族の相続地で、その町々と、それらに属する村々であった。 + 第六番目のくじは、ナフタリ人、すなわちナフタリ族の諸氏族に当たった。 + 彼らの地域は、ヘレフとツァアナニムの樫の木のところから、アダミ・ハネケブ、ヤブネエルを経てラクムまでで、終わりはヨルダン川であった。 + その境界線は、西のほう、アズノテ・タボルに戻り、そこからフコクに出る。南はゼブルンに達し、西はアシェルに達し、日の上る方はヨルダン川に達する。 + その城壁のある町々は、ツィディム、ツェル、ハマテ、ラカテ、キネレテ、 + アダマ、ラマ、ハツォル、 + ケデシュ、エデレイ、エン・ハツォル、 + イルオン、ミグダル・エル、ホレム、ベテ・アナテ、ベテ・シェメシュなど十九の町と、それらに属する村々であった。 + これが、ナフタリ部族の諸氏族の相続地で、その町々と、それらに属する村々であった。 + 第七番目のくじは、ダン部族の諸氏族に当たった。 + 彼らの相続地となる地域は、ツォルア、エシュタオル、イル・シェメシュ、 + シャアラビン、アヤロン、イテラ、 + エロン、ティムナ、エクロン、 + エルテケ、ギベトン、バアラテ、 + エフデ、ベネ・ベラク、ガテ・リモン、 + メ・ハヤルコン、ラコン、およびヤフォの近くの地境であった。 + ダン族の地域は、さらに広げられた。ダン族は上って行き、レシェムと戦って、これを取り、剣の刃で打ち、これを占領して、そこに住み、彼らの先祖ダンの名にちなんで、レシェムをダンと呼んだ。 + これがダン部族の諸氏族の相続地で、その町々と、それらに属する村々であった。 + この地について地域ごとに、相続地の割り当てを終えたとき、イスラエル人は、彼らの間に一つの相続地をヌンの子ヨシュアに与えた。 + 彼らは主の命令により、ヨシュアが求めた町、すなわちエフライムの山地にあるティムナテ・セラフを彼に与えた。彼はその町を建てて、そこに住んだ。 + これらは、祭司エルアザル、ヌンの子ヨシュア、およびイスラエル人の部族の一族のかしらたちが、シロにおいて会見の天幕の入口、主の前で、くじによって割り当てた相続地であった。こうして彼らは、この地の割り当てを終わった。 + + + 主はヨシュアに告げて仰せられた。 + 「イスラエル人に告げて言え。/わたしがモーセを通してあなたがたに告げておいた、のがれの町をあなたがたのために定め、 + あやまって、知らずに人を殺した殺人者が、そこに逃げ込むことのできるようにしなさい。その町々は、あなたがたが血の復讐をする者からのがれる場所となる。 + 人が、これらの町の一つに逃げ込む場合、その者は、その町の門の入口に立ち、その町の長老たちに聞こえるように、そのわけを述べなさい。彼らは、自分たちの町に彼を受け入れ、彼に一つの場所を与え、彼は、彼らとともに住む。 + たとい、血の復讐をする者がその者を追って来ても、殺人者をその手に渡してはならない。彼は知らずに隣人を打ち殺したのであって、以前からその人を憎んでいたのではないからである。 + その者は会衆の前に立ってさばきを受けるまで、あるいは、その時の大祭司が死ぬまで、その町に住まなければならない。それから後、殺人者は、自分の町、自分の家、自分が逃げて来たその町に帰って行くことができる。」 + それで彼らは、ナフタリの山地にあるガリラヤのケデシュと、エフライムの山地にあるシェケムと、ユダの山地にあるキルヤテ・アルバ、すなわちヘブロンとを聖別した。 + エリコのあたりのヨルダン川の向こう側、東のほうでは、ルベン部族から、高地の荒野にあるベツェルを、ガド部族から、ギルアデのラモテを、マナセ部族から、バシャンのゴランをこれに当てた。 + これらは、すべてのイスラエル人、および、彼らの間の在留異国人のために設けられた町々で、すべて、あやまって人を殺した者が、そこに逃げ込むためである。会衆の前に立たないうちに、血の復讐をする者の手によって死ぬことがないためである。 + + + そのとき、レビ人の一族のかしらたちは、祭司エルアザルとヌンの子ヨシュアとイスラエル人の部族の一族のかしらたちのところに来て、 + カナンの地のシロで、彼らに告げて言った。「主は、私たちに住むべき町々と、家畜のための放牧地とを与えるよう、モーセを通して命じられました。」 + それで、イスラエル人は、主の命令で、彼らの相続地から、次の町々とその放牧地とをレビ人に与えた。 + ケハテ諸氏族のために、くじが引かれたとき、ユダ部族、シメオン部族、ベニヤミン部族のうちから、くじによって、十三の町がレビ人の祭司アロンの子孫のものとなった。 + エフライム部族、ダン部族、マナセの半部族から、十の町がくじによって残りのケハテ族のものに、 + イッサカル部族の諸氏族、アシェル部族、ナフタリ部族、バシャンのマナセの半部族から、十三の町がくじによってゲルション族のものに、 + ルベン部族、ガド部族、ゼブルン部族から、十二の町がメラリ族の諸氏族のものになった。 + イスラエル人は、主がモーセを通して命じたとおりに、これらの町とその放牧地を、くじによってレビ人に与えるとき、 + ユダ部族、シメオン部族から、次に名をあげる町を与えた。 + これらは、レビ人に属するケハテ諸氏族の一つ、アロンの子孫のものとなった。――最初に彼らにくじが当たったからである―― + 彼らには、ユダの山地にあるキルヤテ・アルバ――アルバはアナクの父――、すなわちヘブロンとその周囲の放牧地を与えた。 + しかし、この町の畑とその村々は、エフネの子カレブに、その所有地として与えられた。 + 祭司アロンの子孫には、殺人者ののがれの町ヘブロンとその放牧地、それにリブナとその放牧地、 + ヤティルとその放牧地、エシュテモアとその放牧地、 + ホロンとその放牧地、デビルとその放牧地、 + アインとその放牧地、ユタとその放牧地、ベテ・シェメシュとその放牧地。すなわちこれら二つの部族から九つの町を与えた。 + またベニヤミン部族の中からも、ギブオンとその放牧地、ゲバとその放牧地、 + アナトテとその放牧地、アルモンとその放牧地、この四つの町を与えた。 + それでアロンの子孫である祭司たちの町の総数は、十三の町とその放牧地であった。 + ケハテ族のうち残りのレビ人であるケハテ諸氏族には、エフライム部族からくじによって次の町々が与えられた。 + 彼らには、エフライムの山地にある殺人者ののがれの町シェケムとその放牧地、ゲゼルとその放牧地、 + キブツァイムとその放牧地、ベテ・ホロンとその放牧地、この四つの町。 + ダン部族から、エルテケとその放牧地、ギベトンとその放牧地、 + アヤロンとその放牧地、ガテ・リモンとその放牧地、この四つの町。 + マナセの半部族から、タナクとその放牧地、ガテ・リモンとその放牧地、この二つの町を与えた。 + 残りのケハテ諸氏族には、全部で十の町とその放牧地が与えられた。 + レビ諸氏族の一つゲルション族には、マナセの半部族から、殺人者ののがれの町バシャンのゴランとその放牧地、ベエシュテラとその放牧地、この二つの町。 + イッサカル部族から、キシュヨンとその放牧地、ダベラテとその放牧地、 + ヤルムテとその放牧地、エン・ガニムとその放牧地、この四つの町。 + アシェル部族から、ミシュアルとその放牧地、アブドンとその放牧地、 + ヘルカテとその放牧地、レホブとその放牧地、この四つの町。 + ナフタリ部族から、殺人者ののがれの町、ガリラヤのケデシュとその放牧地、ハモテ・ドルとその放牧地、カルタンとその放牧地、この三つの町を与えた。 + それでゲルション人の諸氏族の町の総数は、十三の町と、その放牧地であった。 + レビ人の残りのメラリ諸氏族には、ゼブルン部族から、ヨクネアムとその放牧地、カルタとその放牧地、 + ディムナとその放牧地、ナハラルとその放牧地、この四つの町。 + ルベン部族から、ベツェルとその放牧地、ヤハツとその放牧地、 + ケデモテとその放牧地、メファアテとその放牧地、この四つの町。 + ガド部族から、殺人者ののがれの町ギルアデのラモテとその放牧地、マハナイムとその放牧地、 + ヘシュボンとその放牧地、ヤゼルとその放牧地、全部で四つの町。 + これらの町はみな、レビ諸氏族のうちの残りの諸氏族、メラリ族のもので、くじによって与えられた十二の町であった。 + イスラエル人の所有のうちで、レビ人の町は、全部で四十八の町と、その放牧地とであった。 + これらの町には、それぞれその周囲に放牧地があった。これらの町はみなそうなっていた。 + こうして主は、イスラエルの先祖たちに与えると誓った地をすべて、イスラエルに与えられたので、彼らはそれを占領して、そこに住んだ。 + 主は、彼らの先祖たちに誓ったように、周囲の者から守って、彼らに安住を許された。すべての敵の中で、ひとりも彼らの前に立ちはだかる者はいなかった。主はすべての敵を彼らの手に渡された。 + 主がイスラエルの家に約束されたすべての良いことは、一つもたがわず、みな実現した。 + + + そのとき、ヨシュアはルベン人、ガド人、およびマナセの半部族を呼び寄せて、 + 彼らに言った。「あなたがたは、主のしもべモーセがあなたがたに命じたことを、ことごとく守り、また私があなたがたに命じたすべてのことについても、私の声に聞き従った。 + 今日まで、この長い間、あなたがたの同胞を捨てず、あなたがたの神、主の戒め、命令を守ってきた。 + 今すでに、あなたがたの神、主は、あなたがたの同胞に約束したように、彼らに安住を許された。今、主のしもべモーセがあなたがたに与えたヨルダン川の向こう側の所有地、あなたがたの天幕に引き返して行きなさい。 + ただ主のしもべモーセが、あなたがたに命じた命令と律法をよく守り行い、あなたがたの神、主を愛し、そのすべての道に歩み、その命令を守って、主にすがり、心を尽くし、精神を尽くして、主に仕えなさい。」 + ヨシュアは彼らを祝福して去らせたので、彼らは自分たちの天幕に行った。 + ――マナセの半部族には、モーセがすでにバシャンに所有地を与えていたが、他の半部族には、ヨシュアはヨルダン川のこちら側、西のほうで、彼らの同胞といっしょに所有地を与えた――さらに、ヨシュアは彼らを天幕に送り返すとき、彼らを祝福して、 + 次のように彼らに言った。「あなたがたは多くの財宝と、おびただしい数の家畜と、銀、金、青銅、鉄、および多くの衣服とを持って天幕に帰りなさい。敵からの分捕り物はあなたがたの同胞と分け合いなさい。」 + それでルベン族、ガド族、マナセの半部族は、カナンの地にあるシロでイスラエル人と別れ、モーセを通して示された主の命令によって、彼らが得た自分の所有地、ギルアデの地へ行くために帰って行った。 + ルベン族、ガド族、マナセの半部族は、カナンの地にあるヨルダン川のほとりの地に来たとき、そこ、ヨルダン川のそばに一つの祭壇を築いた。それは、大きくて、遠くから見える祭壇であった。 + イスラエル人はこういううわさを聞いた。「ルベン族、ガド族、およびマナセの半部族が、カナンの地の国境、ヨルダン川のほとりの地、イスラエル人に属する側で、一つの祭壇を築いた。」 + イスラエル人がそれを聞いたとき、イスラエル人の全会衆は、シロに集まり、彼らといくさをするために上って行こうとした。 + それでイスラエル人は、祭司エルアザルの子ピネハスを、ギルアデの地のルベン族、ガド族、およびマナセの半部族のところに送り、 + イスラエルの全部族の中から、一族につき族長ひとりずつ、全部で十人の族長を彼といっしょに行かせた。これらはみな、イスラエルの分団の中で、父祖の家のかしらであった。 + 彼らはギルアデの地のルベン族、ガド族、およびマナセの半部族のところに行き、彼らに告げて言った。 + 「主の全会衆はこう言っている。『この不信の罪は何か。あなたがたはきょう、主に従うことをやめて、イスラエルの神に不信の罪を犯し、自分のために祭壇を築いて、きょう、主に反逆している。 + ペオルで犯した不義は、私たちにとって小さなことだろうか。私たちは今日まで、自分たちの身をきよめていない。そのために、神罰が主の会衆の上に下ったのだ。 + あなたがたは、きょう、主に従うことをやめようとしている。あなたがたは、きょう、主に反逆しようとしている。あす、主はイスラエルの全会衆に向かって怒られるだろう。 + もしもあなたがたの所有地がきよくないのなら、主の幕屋の立つ主の所有地に渡って来て、私たちの間に所有地を得なさい。私たちの神、主の祭壇のほかに、自分たちのために祭壇を築いて、主に反逆してはならない。また私たちに反逆してはならない。 + ゼラフの子アカンが、聖絶のもののことで罪を犯し、イスラエルの全会衆の上に御怒りが下ったではないか。彼の不義によって死んだ者は彼ひとりではなかった。』」 + すると、ルベン族、ガド族、およびマナセの半部族は、イスラエルの分団のかしらたちに答えて言った。 + 「神の神、主。神の神、主は、これをご存じです。イスラエルもこれを知るように。もしこれが主への反逆や、不信の罪をもってなされたのなら、きょう、あなたは私たちを救わないでください。 + 私たちが祭壇を築いたことが、主に従うことをやめることであり、また、それはその上で全焼のいけにえや、穀物のささげ物をささげるためであり、あるいはまた、その上で和解のいけにえをささげるためであったのなら、主ご自身が私たちを責めてくださるように。 + しかし、事実、私たちがこのことをしたのは、次のことを恐れたからです。後になって、あなたがたの子らが私たちの子らに次のように言うかもしれないと思いました。『あなたがたと、イスラエルの神、主と何の関係があるのか。 + 主はヨルダン川を、私たちとあなたがた、ルベン族、ガド族との間の境界とされた。あなたがたは主の中に分け前を持っていない。』こうして、あなたがたの子らが私たちの子らに、主を恐れることをやめさせるかもしれません。 + それで、私たちは言いました。『さあ、私たちは自分たちのために、祭壇を築こう。全焼のいけにえのためではなく、またほかのいけにえのためでもない。 + ただ私たちとあなたがたとの間、また私たちの後の世代との間の証拠とし、私たちが、全焼のいけにえとほかのいけにえと和解のいけにえをささげて、主の前で、主の奉仕をするためである。こうすれば、後になって、あなたがたの子らは私たちの子らに、「あなたがたは主の中に分け前を持っていない」とは言わないであろう。』 + また私たちは考えました。後になって、もし私たち、また私たちの子孫に、そのようなことが言われたとしても、そのとき、私たちはこう言うことができる。『私たちの先祖が造った主の祭壇の型を見よ。これは全焼のいけにえのためでもなく、またほかのいけにえのためでもなく、これは私たちとあなたがたとの間の証拠なのだ。』 + 私たちが、主の幕屋の前にある私たちの神、主の祭壇のほかに、全焼のいけにえや、穀物のささげ物や、他のいけにえをささげる祭壇を築いて、きょう、主に反逆し、主に従うことをやめるなど、絶対にそんなことはありません。」 + 祭司ピネハス、および会衆の上に立つ族長たち、すなわち彼とともにいたイスラエルの分団のかしらたちは、ルベン族、ガド族、およびマナセ族が語ったことばを聞いて、それに満足した。 + そしてエルアザルの子の祭司ピネハスは、ルベン族、ガド族、およびマナセ族に言った。「きょう、私たちは主が私たちの中におられることを知った。あなたがたが主に対してこの不信の罪を犯さなかったからである。あなたがたは、今、イスラエル人を主の手から救い出したのだ。」 + こうして、エルアザルの子の祭司ピネハスと族長たちは、ギルアデのルベン族およびガド族から別れて、カナンの地のイスラエル人のところに帰り、このことを報告した。 + そこで、イスラエル人は、これに満足した。それでイスラエル人は、神をほめたたえ、ルベン族とガド族の住んでいる地に攻め上って、これを滅ぼそうとは、もはや言わなかった。 + それでルベン族とガド族は、その祭壇を「まことにこれは、私たちの間で、主が神であるという証拠だ」と呼んだ。 + + + 主が周囲のすべての敵から守って、イスラエルに安住を許されて後、多くの日がたち、ヨシュアは年を重ねて老人になっていた。 + ヨシュアは全イスラエル、その長老たちや、かしらたちや、さばきつかさたち、およびつかさたちを呼び寄せて彼らに言った。「私は年を重ねて、老人になった。 + あなたがたは、あなたがたの神、主が、あなたがたのために、これらすべての国々に行ったことをことごとく見た。あなたがたのために戦ったのは、あなたがたの神、主だからである。 + 見よ。私は、ヨルダン川から日の入るほうの大海まで、これらの残っている国々と、すでに私が断ち滅ぼしたすべての国々とを、相続地として、くじによってあなたがたの部族に分け与えた。 + あなたがたの神、主ご自身が、あなたがたの前から彼らを追いやり、あなたがたの目の前から追い払う。あなたがたは、あなたがたの神、主があなたがたに告げたように、彼らの地を占領しなければならない。 + あなたがたは、モーセの律法の書にしるされていることを、ことごとく断固として守り行い、そこから右にも左にもそれてはならない。 + あなたがたは、これらの国民、あなたがたの中に残っているこれらの国民と交わってはならない。彼らの神々の名を口にしてはならない。それらによって誓ってはならない。それらに仕えてはならない。それらを拝んではならない。 + ただ、今日までしてきたように、あなたがたの神、主にすがらなければならない。 + 主が、大きくて強い国々を、あなたがたの前から追い払ったので、今日まで、だれもあなたがたの前に立ちはだかることのできる者はいなかった。 + あなたがたのひとりだけで千人を追うことができる。あなたがたの神、主ご自身が、あなたがたに約束したとおり、あなたがたのために戦われるからである。 + あなたがたは、十分に気をつけて、あなたがたの神、主を愛しなさい。 + しかし、もしもあなたがたが、もう一度堕落して、これらの国民の生き残っている者、すなわち、あなたがたの中に残っている者たちと親しく交わり、彼らと互いに縁を結び、あなたがたが彼らの中に入って行き、彼らもあなたがたの中に入って来るなら、 + あなたがたの神、主は、もはやこれらの国民を、あなたがたの前から追い払わないことを、しかと知らなければならない。彼らは、あなたがたにとって、わなとなり、落とし穴となり、あなたがたのわき腹にむちとなり、あなたがたの目にとげとなり、あなたがたはついに、あなたがたの神、主があなたがたに与えたこの良い地から、滅びうせる。 + 見よ。きょう、私は世のすべての人の行く道を行こうとしている。あなたがたは、心を尽くし、精神を尽くして知らなければならない。あなたがたの神、主が、あなたがたについて約束したすべての良いことが一つもたがわなかったことを。それは、一つもたがわず、みな、あなたがたのために実現した。 + あなたがたの神、主があなたがたについて約束したすべての良いことが、あなたがたに実現したように、主はまた、すべての悪いことをあなたがたにもたらし、ついには、あなたがたの神、主が、あなたがたに与えたこの良い地から、あなたがたを根絶やしにする。 + 主があなたがたに命じたあなたがたの神、主の契約を、あなたがたが破り、行って、ほかの神々に仕え、それらを拝むなら、主の怒りはあなたがたに向かって燃え上がり、あなたがたは主があなたがたに与えられたこの良い地から、ただちに滅びうせる。」 + + + ヨシュアはイスラエルの全部族をシェケムに集め、イスラエルの長老たち、そのかしらたち、さばきつかさたち、つかさたちを呼び寄せた。彼らが神の前に立ったとき、 + ヨシュアはすべての民に言った。「イスラエルの神、主はこう仰せられる。『あなたがたの先祖たち、アブラハムの父で、ナホルの父でもあるテラは、昔、ユーフラテス川の向こうに住んでおり、ほかの神々に仕えていた。 + わたしは、あなたがたの先祖アブラハムを、ユーフラテス川の向こうから連れて来て、カナンの全土を歩かせ、彼の子孫を増し、彼にイサクを与えた。 + ついで、わたしは、イサクにヤコブとエサウを与え、エサウにはセイルの山地を与えて、それを所有させた。ヤコブと彼の子らはエジプトに下った。 + それからわたしは、モーセとアロンを遣わし、エジプトに災害を下した。わたしがその真ん中で行ったとおりである。その後、あなたがたを連れ出した。 + わたしが、あなたがたの先祖たちをエジプトから連れ出し、あなたがたが海に来たとき、エジプト人は、戦車と騎兵とをもってあなたがたの先祖たちのあとを追い、葦の海まで来た。 + あなたがたが主に叫び求めたので、主はあなたがたとエジプト人との間に暗やみを置き、海に彼らを襲いかからせ、彼らをおおわれた。あなたがたは、わたしがエジプトで行ったことをその目で見てから、長い間、荒野に住んだ。 + それからわたしはヨルダン川の向こう側に住んでいたエモリ人の地に、あなたがたを導き入れた。彼らはあなたがたと戦ったが、わたしは彼らをあなたがたの手に渡したので、あなたがたはその地を占領した。わたしが、あなたがたの前から彼らを根絶やしにしたからである。 + それから、モアブの王ツィポルの子バラクが立って、イスラエルと戦い、ベオルの子バラムに人をやって彼を呼び寄せ、あなたがたをのろわせようとした。 + わたしはバラムに聞こうとしなかった。彼は、かえって、あなたがたを祝福し、わたしはあなたがたを彼の手から救い出した。 + あなたがたはヨルダン川を渡ってエリコに来た。エリコの者たちや、エモリ人、ペリジ人、カナン人、ヘテ人、ギルガシ人、ヒビ人、エブス人があなたがたと戦ったが、わたしは彼らを、あなたがたの手に渡した。 + わたしは、あなたがたの前にくまばちを送ったので、くまばちがエモリ人のふたりの王をあなたがたの前から追い払った。あなたがたの剣にもよらず、またあなたがたの弓にもよらなかった。 + わたしは、あなたがたが得るのに労しなかった地と、あなたがたが建てなかった町々を、あなたがたに与えたので、あなたがたはそこに住み、自分で植えなかったぶどう畑とオリーブ畑で食べている。』 + 今、あなたがたは主を恐れ、誠実と真実をもって主に仕えなさい。あなたがたの先祖たちが川の向こう、およびエジプトで仕えた神々を除き去り、主に仕えなさい。 + もしも主に仕えることがあなたがたの気に入らないなら、川の向こうにいたあなたがたの先祖たちが仕えた神々でも、今あなたがたが住んでいる地のエモリ人の神々でも、あなたがたが仕えようと思うものを、どれでも、きょう選ぶがよい。私と私の家とは、主に仕える。」 + すると、民は答えて言った。「私たちが主を捨てて、ほかの神々に仕えるなど、絶対にそんなことはありません。 + 私たちの神、主は、私たちと私たちの先祖たちを、エジプトの地、奴隷の家から導き上られた方、私たちの目の前で、あの数々の大きなしるしを行い、私たちの行くすべての道で、私たちの通ったすべての民の中で、私たちを守られた方だからです。 + 主はまた、すべての民、この地に住んでいたエモリ人をも、私たちの前から追い払われました。私たちもまた、主に仕えます。主が私たちの神だからです。」 + すると、ヨシュアは民に言った。「あなたがたは主に仕えることはできないであろう。主は聖なる神であり、ねたむ神である。あなたがたのそむきも、罪も赦さないからである。 + もしあなたがたが主を捨てて、外国の神々に仕えるなら、あなたがたをしあわせにして後も、主はもう一度あなたがたにわざわいを下し、あなたがたを滅ぼし尽くす。」 + それで民はヨシュアに言った。「いいえ。私たちは主に仕えます。」 + それでヨシュアは民に言った。「あなたがたは、主を選んで、主に仕えるという、自分自身の証人である。」すると彼らは、「私たちは証人です」と言った。 + 「今、あなたがたの中にある外国の神々を除き去り、イスラエルの神、主に心を傾けなさい。」 + 民はヨシュアに言った。「私たちは私たちの神、主に仕え、主の御声に聞き従います。」 + それでヨシュアは、その日、民と契約を結び、シェケムで、おきてと定めを定めた。 + ヨシュアは、これらのことばを神の律法の書にしるし、大きな石を取って、主の聖所にある樫の木の下に、それを立てた。 + そして、ヨシュアはすべての民に言った。「見よ。この石は、私たちに証拠となる。この石は、主が私たちに語られたすべてのことばを聞いたからである。あなたがたが自分の神を否むことがないように、この石は、あなたがたに証拠となる。」 + こうしてヨシュアは、民をそれぞれ自分の相続地に送り出した。 + これらのことの後、主のしもべ、ヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ。 + 人々は彼を、エフライムの山地、ガアシュ山の北にある彼の相続の地境ティムナテ・セラフに葬った。 + イスラエルは、ヨシュアの生きている間、また、ヨシュアのあとまで生き残って、主がイスラエルに行われたすべてのわざを知っていた長老たちの生きている間、主に仕えていた。 + イスラエル人がエジプトから携え上ったヨセフの骨は、シェケムの地に、すなわちヤコブが百ケシタでシェケムの父ハモルの子らから買い取った野の一画に、葬った。そのとき、そこはヨセフ族の相続地となっていた。 + アロンの子エルアザルは死んだ。人々は彼を、彼の子ピネハスに与えられていたエフライムの山地にあるギブアに葬った。 + +
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+ + さて、ヨシュアの死後、イスラエル人は主に伺って言った。「だれが私たちのために最初に上って行って、カナン人と戦わなければならないでしょうか。」 + すると、主は仰せられた。「ユダが上って行かなければならない。見よ。わたしは、その地を彼の手に渡した。」 + そこで、ユダは自分の兄弟シメオンに言った。「私に割り当てられた地に私といっしょに上ってください。カナン人と戦うのです。私も、あなたに割り当てられた地にあなたといっしょに行きます。」そこでシメオンは彼といっしょに行った。 + ユダが上って行ったとき、主はカナン人とペリジ人を彼らの手に渡されたので、彼らはベゼクで一万人を打った。 + 彼らはベゼクでアドニ・ベゼクに出会ったとき、彼と戦ってカナン人とペリジ人を打った。 + ところが、アドニ・ベゼクが逃げたので、彼らはあとを追って彼を捕らえ、その手足の親指を切り取った。 + すると、アドニ・ベゼクは言った。「私の食卓の下で、手足の親指を切り取られた七十人の王たちが、パンくずを集めていたものだ。神は私がしたとおりのことを、私に報いられた。」それから、彼らはアドニ・ベゼクをエルサレムに連れて行ったが、彼はそこで死んだ。 + また、ユダ族はエルサレムを攻めて、これを取り、剣の刃でこれを打ち破り、町に火をつけた。 + その後、ユダ族は山地やネゲブや低地に住んでいるカナン人と戦うために下って行った。 + ユダはヘブロンに住んでいるカナン人を攻めた。ヘブロンの名は以前はキルヤテ・アルバであった。彼らはシェシャイとアヒマンとタルマイを打ち破った。 + ユダはそこから進んでデビルの住民を攻めた。デビルの名は以前はキルヤテ・セフェルであった。 + そのときカレブは言った。「キルヤテ・セフェルを打って、これを取る者には、私の娘アクサを妻として与えよう。」 + ケナズの子で、カレブの弟オテニエルがそれを取ったので、カレブは娘アクサを彼に妻として与えた。 + 彼女がとつぐとき、オテニエルは彼女をそそのかして、畑を父に求めることにした。彼女がろばから降りたので、カレブは彼女に、「何がほしいのか」と尋ねた。 + アクサは彼に言った。「どうか私に祝いの品を下さい。あなたはネゲブの地に私を送るのですから、水の泉を私に下さい。」そこでカレブは、上の泉と下の泉とを彼女に与えた。 + モーセの義兄弟であるケニ人の子孫は、ユダ族といっしょに、なつめやしの町からアラデの南にあるユダの荒野に上って行って、民とともに住んだ。 + ユダは兄弟シメオンといっしょに行って、ツェファテに住んでいたカナン人を打ち、それを聖絶し、その町にホルマという名をつけた。 + ついで、ユダはガザとその地域、アシュケロンとその地域、エクロンとその地域を攻め取った。 + 主がユダとともにおられたので、ユダは山地を占領した。しかし、谷の住民は鉄の戦車を持っていたので、ユダは彼らを追い払わなかった。 + 彼らはモーセが約束したとおり、ヘブロンをカレブに与えたので、カレブはその所からアナクの三人の息子を追い払った。 + ベニヤミン族はエルサレムに住んでいたエブス人を追い払わなかったので、エブス人は今日までベニヤミン族といっしょにエルサレムに住んでいる。 + ヨセフの一族もまた、ベテルに上って行った。主は彼らとともにおられた。 + ヨセフの一族はベテルを探った。この町の名は以前はルズであった。 + 見張りの者は、ひとりの人がその町から出て来るのを見て、その者に言った。「この町の出入口を教えてくれないか。私たちは、あなたにまことを尽くすから。」 + 彼が町の出入口を教えたので、彼らは剣の刃でこの町を打った。しかし、その者とその氏族の者全部は自由にしてやった。 + そこで、その者はヘテ人の地に行って、一つの町を建て、その名をルズと呼んだ。これが今日までその名である。 + マナセはベテ・シェアンとそれに属する村落、タナクとそれに属する村落、ドルの住民とそれに属する村落、イブレアムの住民とそれに属する村落、メギドの住民とそれに属する村落は占領しなかった。それで、カナン人はその土地に住みとおした。 + イスラエルは、強くなってから、カナン人を苦役に服させたが、彼らを追い払ってしまうことはなかった。 + エフライムはゲゼルの住民カナン人を追い払わなかった。それで、カナン人はゲゼルで彼らの中に住んだ。 + ゼブルンはキテロンの住民とナハラルの住民を追い払わなかった。それで、カナン人は彼らの中に住み、苦役に服した。 + アシェルはアコの住民や、シドンの住民や、またマハレブ、アクジブ、ヘルバ、アフェク、レホブの住民を追い払わなかった。 + そして、アシェル人は、その土地に住むカナン人の中に住みついた。彼らを追い払わなかったからである。 + ナフタリはベテ・シェメシュの住民やベテ・アナテの住民を追い払わなかった。そして、その土地に住むカナン人の中に住みついた。しかし、ベテ・シェメシュとベテ・アナテの住民は、彼らのために苦役に服した。 + エモリ人はダン族を山地のほうに圧迫した。エモリ人は、彼らの谷に降りて来ることを許さなかった。 + こうして、エモリ人はハル・ヘレスと、アヤロンと、シャアルビムに住みとおした。しかし、ヨセフの一族が勢力を得るようになると、彼らは苦役に服した。 + エモリ人の国境はアクラビムの坂から、セラを経て、上のほうに及んだ。 + + + さて、主の使いがギルガルからボキムに上って来て言った。「わたしはあなたがたをエジプトから上らせて、あなたがたの先祖に誓った地に連れて来て言った。『わたしはあなたがたとの契約を決して破らない。 + あなたがたはこの地の住民と契約を結んではならない。彼らの祭壇を取りこわさなければならない。』ところが、あなたがたはわたしの声に聞き従わなかった。なぜこのようなことをしたのか。 + それゆえわたしは言う。『わたしはあなたがたの前から彼らを追い出さない。彼らはあなたがたの敵となり、彼らの神々はあなたがたにとってわなとなる。』」 + 主の使いがこれらのことばをイスラエル人全体に語ったとき、民は声をあげて泣いた。 + それで、その場所の名をボキムと呼んだ。彼らはその場所で主にいけにえをささげた。 + ヨシュアが民を送り出したので、イスラエル人はそれぞれ地を自分の相続地として占領するために出て行った。 + 民は、ヨシュアの生きている間、また、ヨシュアのあとまで生き残って主がイスラエルに行われたすべての大きなわざを見た長老たちの生きている間、主に仕えた。 + 主のしもべ、ヌンの子ヨシュアは百十歳で死んだ。 + 人々は彼を、エフライムの山地、ガアシュ山の北にある彼の相続の地境ティムナテ・ヘレスに葬った。 + その同世代の者もみな、その先祖のもとに集められたが、彼らのあとに、主を知らず、また、主がイスラエルのためにされたわざも知らないほかの世代が起こった。 + それで、イスラエル人は主の目の前に悪を行い、バアルに仕えた。 + 彼らは、エジプトの地から自分たちを連れ出した父祖の神、主を捨てて、ほかの神々、彼らの回りにいる国々の民の神々に従い、それらを拝み、主を怒らせた。 + 彼らが主を捨てて、バアルとアシュタロテに仕えたので、 + 主の怒りがイスラエルに向かって燃え上がり、主は彼らを略奪者の手に渡して、彼らを略奪させた。主は回りの敵の手に彼らを売り渡した。それで、彼らはもはや、敵の前に立ち向かうことができなかった。 + 彼らがどこへ出て行っても、主の手が彼らにわざわいをもたらした。主が告げ、主が彼らに誓われたとおりであった。それで、彼らは非常に苦しんだ。 + そのとき、主はさばきつかさを起こして、彼らを略奪する者の手から救われた。 + ところが、彼らはそのさばきつかさにも聞き従わず、ほかの神々を慕って淫行を行い、それを拝み、彼らの先祖たちが主の命令に聞き従って歩んだ道から、またたくまにそれて、先祖たちのようには行わなかった。 + 主が彼らのためにさばきつかさを起こされる場合は、主はさばきつかさとともにおられ、そのさばきつかさの生きている間は、敵の手から彼らを救われた。これは、圧迫し、苦しめる者のために彼らがうめいたので、主があわれまれたからである。 + しかし、さばきつかさが死ぬと、彼らはいつも逆戻りして、先祖たちよりも、いっそう堕落して、ほかの神々に従い、それに仕え、それを拝んだ。彼らはその行いや、頑迷な生き方を捨てなかった。 + それで、主の怒りがイスラエルに向かって燃え上がった。主は仰せられた。「この民は、わたしが彼らの先祖たちに命じたわたしの契約を破り、わたしの声に聞き従わなかったから、 + わたしもまた、ヨシュアが死んだとき残していた国民を、彼らの前から一つも追い払わない。 + 彼らの先祖たちが主の道を守って歩んだように、彼らもそれを守って歩むかどうか、これらの国民によってイスラエルを試みるためである。」 + こうして、主はこれらの国民をただちに追い出さないで、残しておき、ヨシュアの手に渡されなかったのである。 + + + カナンでの戦いを少しも知らないすべてのイスラエルを試みるために、主が残しておかれた国民は次のとおり。 + ――これはただイスラエルの次の世代の者、これまで戦いを知らない者たちに、戦いを教え、知らせるためである―― + すなわち、ペリシテ人の五人の領主と、すべてのカナン人と、シドン人と、バアル・ヘルモン山からレボ・ハマテまでのレバノン山に住んでいたヒビ人とであった。 + これは、主がモーセを通して先祖たちに命じた命令に、イスラエルが聞き従うかどうか、これらの者によってイスラエルを試み、そして知るためであった。 + イスラエル人は、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の間に住んで、 + 彼らの娘たちを自分たちの妻にめとり、また自分たちの娘を彼らの息子たちに与え、彼らの神々に仕えた。 + こうして、イスラエル人は、主の目の前に悪を行い、彼らの神、主を忘れて、バアルやアシェラに仕えた。 + それで、主の怒りがイスラエルに向かって燃え上がり、主は彼らをアラム・ナハライムの王クシャン・リシュアタイムの手に売り渡された。こうして、イスラエル人は、八年の間、クシャン・リシュアタイムに仕えた。 + イスラエル人が主に叫び求めたとき、主はイスラエル人のために、彼らを救うひとりの救助者、カレブの弟ケナズの子オテニエルを起こされた。 + 主の霊が彼の上にあった。彼はイスラエルをさばき、戦いに出て行った。主はアラムの王クシャン・リシュアタイムを彼の手に渡された。それで彼の勢力はクシャン・リシュアタイムを押さえた。 + こうして、この国は四十年の間、穏やかであった。その後、ケナズの子オテニエルは死んだ。 + そうすると、イスラエル人はまた、主の目の前に悪を行った。彼らが主の目の前に悪を行ったので、主はモアブの王エグロンを強くして、イスラエルに逆らわせた。 + エグロンはアモン人とアマレク人を集め、イスラエルを攻めて打ち破り、彼らはなつめやしの町を占領した。 + それで、イスラエル人は十八年の間、モアブの王エグロンに仕えた。 + イスラエル人が主に叫び求めたとき、主は彼らのために、ひとりの救助者、ベニヤミン人ゲラの子で、左ききのエフデを起こされた。イスラエル人は、彼を通してモアブの王エグロンにみつぎものを送った。 + エフデは長さ一キュビトの、一振りのもろ刃の剣を作り、それを着物の下の右ももの上の帯にはさんだ。 + こうして、彼はモアブの王エグロンにみつぎものをささげた。エグロンは非常に太っていた。 + みつぎものをささげ終わったとき、エフデはみつぎものを運んで来た者たちを帰らせ、 + 彼自身はギルガルのそばの石切り場から戻って来て言った。「王さま。私はあなたに秘密のお知らせがあります。」すると王は、「今、言うな」と言った。そこで、王のそばに立っていた者たちはみな、彼のところから出て行った。 + エフデは王のところへ行った。そのとき、王はひとりで涼しい屋上の部屋に座していた。エフデが、「私にあなたへの神のお告げがあります」と言うと、王はその座から立ち上がった。 + このとき、エフデは左手を伸ばして、右ももから剣を取り出し、王の腹を刺した。 + 柄も刃も、共に入ってしまった。彼が剣を王の腹から抜かなかったので、脂肪が刃をふさいでしまった。エフデは窓から出て、 + 廊下へ出て行き、王のいる屋上の部屋の戸を閉じ、かんぬきで締めた。 + 彼が出て行くと、王のしもべたちがやって来た。そして見ると、屋上の部屋にかんぬきがかけられていたので、彼らは、「王はきっと涼み部屋で用をたしておられるのだろう」と思った。 + それで、しもべたちはいつまでも待っていたが、王が屋上の部屋の戸をいっこうにあけないので、かぎを取ってあけると、なんと、彼らの主人は床の上に倒れて死んでいた。 + エフデはしもべたちが手間取っている間にのがれて、石切り場の所を通り過ぎ、セイラにのがれた。 + エフデは行って、エフライムの山地で角笛を吹き鳴らした。すると、イスラエル人は彼といっしょに山地から下って行き、彼はその先頭に立った。 + エフデは彼らに言った。「私を追って来なさい。主はあなたがたの敵モアブ人をあなたがたの手に渡された。」それで、彼らはエフデのあとについて下って行き、モアブへのヨルダン川の渡し場を攻め取って、ひとりも渡らせなかった。 + このとき彼らは約一万人のモアブ人を打った。彼らはみなたくましい、力ある者たちであったが、ひとりも助からなかった。 + このようにして、モアブはその日イスラエルによって征服され、この国は八十年の間、穏やかであった。 + エフデのあとにアナテの子シャムガルが起こり、牛の突き棒でペリシテ人六百人を打った。彼もまたイスラエルを救った。 + + + その後、イスラエル人はまた、主の目の前に悪を行った。エフデは死んでいた。 + それで、主はハツォルで治めていたカナンの王ヤビンの手に彼らを売り渡した。ヤビンの将軍はシセラで、彼はハロシェテ・ハゴイムに住んでいた。 + 彼は鉄の戦車九百両を持ち、そのうえ二十年の間、イスラエル人をひどく圧迫したので、イスラエル人は主に叫び求めた。 + そのころ、ラピドテの妻で女預言者デボラがイスラエルをさばいていた。 + 彼女はエフライムの山地のラマとベテルとの間にあるデボラのなつめやしの木の下にいつもすわっていたので、イスラエル人は彼女のところに上って来て、さばきを受けた。 + あるとき、デボラは使いを送って、ナフタリのケデシュからアビノアムの子バラクを呼び寄せ、彼に言った。「イスラエルの神、主はこう命じられたではありませんか。『タボル山に進軍せよ。ナフタリ族とゼブルン族のうちから一万人を取れ。 + わたしはヤビンの将軍シセラとその戦車と大軍とをキション川のあなたのところに引き寄せ、彼をあなたの手に渡す。』」 + バラクは彼女に言った。「もしあなたが私といっしょに行ってくださるなら、行きましょう。しかし、もしあなたが私といっしょに行ってくださらないなら、行きません。」 + そこでデボラは言った。「私は必ずあなたといっしょに行きます。けれども、あなたが行こうとしている道では、あなたは光栄を得ることはできません。主はシセラをひとりの女の手に売り渡されるからです。」こうして、デボラは立ってバラクといっしょにケデシュへ行った。 + バラクはゼブルンとナフタリをケデシュに呼び集め、一万人を引き連れて上った。デボラも彼といっしょに上った。 + ケニ人ヘベルは、モーセの義兄弟ホバブの子孫のカインから離れて、ケデシュの近くのツァアナニムの樫の木のそばで天幕を張っていた。 + 一方シセラは、アビノアムの子バラクがタボル山に登った、と知らされたので、 + シセラは鉄の戦車九百両全部と、自分といっしょにいた民をみな、ハロシェテ・ハゴイムからキション川に呼び集めた。 + そこで、デボラはバラクに言った。「さあ、やりなさい。きょう、主があなたの手にシセラを渡される。主はあなたの前に出て行かれるではありませんか。」それで、バラクはタボル山から下り、一万人が彼について行った。 + 主がシセラとそのすべての戦車と、すべての陣営の者をバラクの前に剣の刃でかき乱したので、シセラは戦車から飛び降り、徒歩で逃げた。 + バラクは戦車と陣営をハロシェテ・ハゴイムに追いつめた。こうして、シセラの陣営の者はみな剣の刃に倒れ、残された者はひとりもいなかった。 + しかし、シセラは徒歩でケニ人ヘベルの妻ヤエルの天幕に逃げて来た。ハツォルの王ヤビンとケニ人ヘベルの家とは親しかったからである。 + ヤエルはシセラを迎えに出て来て、彼に言った。「お立ち寄りください、ご主人さま。私のところにお立ち寄りください。ご心配には及びません。」シセラが彼女の天幕に入ったので、ヤエルは彼に毛布を掛けた。 + シセラはヤエルに言った。「どうか、水を少し飲ませてください。のどが渇いているから。」ヤエルは乳の皮袋をあけて、彼に飲ませ、また彼をおおった。 + シセラはまた彼女に言った。「天幕の入口に立っていてください。もしだれかが来て、『ここにだれかいないか』とあなたに尋ねたら、『いない』と言ってください。」 + だが、ヘベルの妻ヤエルは天幕の鉄のくいを取ると、手に槌を持ってそっと彼のところへ近づき、彼のこめかみに鉄のくいを打ち込んで地に刺し通した。彼は疲れていたので、熟睡していた。こうして彼は死んだ。 + ちょうどその時、バラクがシセラを追って来たので、ヤエルは彼を迎えに出て、言った。「さあ、あなたの捜している人をお見せしましょう。」彼がヤエルのところに来ると、そこに、シセラは倒れて死んでおり、そのこめかみには鉄のくいが刺さっていた。 + こうして神はその日、イスラエル人の前でカナンの王ヤビンを服従させた。 + それから、イスラエル人の勢力がますますカナンの王ヤビンを圧するようになり、ついにカナンの王ヤビンを断ち滅ぼした。 + + + その日、デボラとアビノアムの子バラクはこう歌った。 + 「イスラエルで髪の毛を乱すとき、民が進んで身をささげるとき、主をほめたたえよ。 + 聞け、王たちよ。耳を傾けよ、君主たちよ。私は主に向かって歌う。イスラエルの神、主にほめ歌を歌う。 + 主よ。あなたがセイルを出て、エドムの野を進み行かれたとき、大地は揺れ、天もまた、したたり、雲は水をしたたらせた。 + 山々は主の前に揺れ動いた。シナイもまた、イスラエルの神、主の前に。 + アナテの子シャムガルのとき、またヤエルのときに、隊商は絶え、旅人はわき道を通った。 + 農民は絶えた。イスラエルに絶えた。私、デボラが立ち、イスラエルに母として立つまでは。 + 新しい神々が選ばれたとき、城門で戦いがあった。イスラエルの四万人のうちに、盾と槍が見られたであろうか。 + 私の心はイスラエルの指導者たちに、民のうちの進んで身をささげる者たちに向かう。主をほめたたえよ。 + 黄かっ色のろばに乗る者、さばきの座に座する者、道を歩く者よ。よく聞け。 + 水汲み場での、水を汲む者たちの声に。そこで彼らは主の正しいみわざと、イスラエルの主の農民の正しいわざを唱えている。そのとき、主の民は城門におりて来た。 + 目ざめよ、目ざめよ。デボラ。目ざめよ、目ざめよ。歌声をあげよ。起きよ。バラク。とりこを捕らえて行け。アビノアムの子よ。 + そのとき、生き残った者は貴人のようにおりて来た。主の民は私のために勇士のようにおりて来た。 + その根がアマレクにある者もエフライムからおりて来た。ベニヤミンはあなたのあとに続いて、あなたの民のうちにいる。指導者たちはマキルからおりて来た。指揮をとる者たちもゼブルンから。 + イッサカルのつかさたちはデボラとともにいた。イッサカルはバラクと同じく歩兵とともに谷の中を突進した。ルベンの支族の間では、心の定めは大きかった。 + なぜ、あなたは二つの鞍袋の間にすわって、羊の群れに笛吹くのを聞いているのか。ルベンの支族の間では、心の秘密は大きかった。 + ギルアデはヨルダン川のかなたに住んでいた。なぜダンは舟にとどまったのか。アシェルは海辺にすわり、その波止場のそばに住んでいた。 + ゼブルンは、いのちをも賭して死ぬ民。野の高い所にいるナフタリも、そうである。 + 王たちはやって来て、戦った。そのとき、カナンの王たちは、メギドの流れのそばのタナクで戦って、銀の分捕り品を得なかった。 + 天からは、星が下って戦った。その軌道を離れて、シセラと戦った。 + キション川は彼らを押し流した。昔からの川、キションの川。私のたましいよ。力強く進め。 + そのとき、馬のひづめは地を踏み鳴らし、その荒馬はけりまくる。 + 主の使いは言った。『メロズをのろえ、その住民を激しくのろえ。彼らは主の手助けに来ず、勇士として主の手助けに来なかったからだ。』 + 女の中で最も祝福されたのはヤエル、ケニ人ヘベルの妻。天幕に住む女の中で最も祝福されている。 + シセラが水を求めると、ヤエルは乳を与え、高価な鉢で凝乳を勧めた。 + ヤエルは鉄のくいを手にし、右手に職人の槌をかざし、シセラを打って、その頭に打ち込み、こめかみを砕いて刺し通した。 + ヤエルの足もとに彼はひざをつき、倒れて、横たわった。その足もとにひざをつき、倒れた。ひざをついた所で、打ち殺された。 + シセラの母は窓越しに、格子窓越しに外を見おろして嘆いた。『なぜ、あれの車の来るのがおそいのか。なぜ、あれの車の歩みが遅れているのか。』 + 知恵のある姫君たちは彼女に答え、彼女も同じことばをくり返した。 + 『彼らは分捕り物を見つけ出し、それを分けているのではありませんか。めいめいひとりの勇士にひとりかふたりの娘を。シセラには染めた織物の分捕り物を。染めた織物の分捕り物、色とりどりに刺繍した織物。分捕り物として、首には二枚の刺繍した織物を。』 + 主よ。あなたの敵はみな滅び、主を愛する者は、力強く日がさし出るようにしてください。」こうして、この国は四十年の間、穏やかであった。 + + + イスラエル人はまた、主の目の前に悪を行った。そこで、主は七年の間、彼らをミデヤン人の手に渡した。 + こうして、ミデヤン人の勢力はイスラエルを押さえたので、イスラエル人はミデヤン人を避けて、山々にある洞窟や、ほら穴や、要害を自分たちのものにした。 + イスラエル人が種を蒔くと、いつでもミデヤン人や、アマレク人や、東の人々が上って来て、イスラエル人を襲った。 + そしてイスラエル人に対して陣を敷き、その地の産物を荒らして、ガザに至るまで、イスラエルに羊や牛やろばのためのえささえも残さなかった。 + 彼らが自分たちの家畜と天幕を持って上って来たからである。彼らはいなごの大群のようにしてやって来た。彼らとそのらくだは数えきれないほどであった。しかも、彼らは国を荒らすために入って来たのであった。 + それで、イスラエルはミデヤン人のために非常に弱くなっていった。すると、イスラエル人は主に叫び求めた。 + イスラエル人がミデヤン人のために主に叫び求めたとき、 + 主はイスラエル人にひとりの預言者を遣わした。預言者は彼らに言った。「イスラエルの神、主はこう仰せられる。/わたしはあなたがたをエジプトから上らせ、あなたがたを奴隷の家から連れ出した。 + わたしはあなたがたをエジプト人の手と、すべてあなたがたを圧迫する者の手から助け出し、あなたがたの前から彼らを追い出して、その国をあなたがたに与えた。 + それでわたしはあなたがたに言った。『わたしはあなたがたの神、主である。あなたがたが住んでいる国のエモリ人の神々を恐れてはならない。』ところが、あなたがたはわたしの声に聞き従わなかった。」 + さて主の使いが来て、アビエゼル人ヨアシュに属するオフラにある樫の木の下にすわった。このとき、ヨアシュの子ギデオンはミデヤン人からのがれて、酒ぶねの中で小麦を打っていた。 + 主の使いが彼に現れて言った。「勇士よ。主があなたといっしょにおられる。」 + ギデオンはその御使いに言った。「ああ、主よ。もし主が私たちといっしょにおられるなら、なぜこれらのことがみな、私たちに起こったのでしょうか。私たちの先祖たちが、『主は私たちをエジプトから上らせたではないか』と言って、私たちに話したあの驚くべきみわざはみな、どこにありますか。今、主は私たちを捨てて、ミデヤン人の手に渡されました。」 + すると、主は彼に向かって仰せられた。「あなたのその力で行き、イスラエルをミデヤン人の手から救え。わたしがあなたを遣わすのではないか。」 + ギデオンは言った。「ああ、主よ。私にどのようにしてイスラエルを救うことができましょう。ご存じのように、私の分団はマナセのうちで最も弱く、私は父の家で一番若いのです。」 + 主はギデオンに仰せられた。「わたしはあなたといっしょにいる。だからあなたはひとりを打ち殺すようにミデヤン人を打ち殺そう。」 + すると、ギデオンは言った。「お願いです。私と話しておられるのがあなたであるというしるしを、私に見せてください。 + どうか、私が贈り物を持って来て、あなたのところに戻り、御前にそれを供えるまで、ここを離れないでください。」それで、主は、「あなたが戻って来るまで待とう」と仰せられた。 + ギデオンはうちに入り、一匹のやぎの子を料理し、一エパの粉で種を入れないパンを作り、その肉をかごに入れ、また吸い物をなべに入れ、樫の木の下にいる方のところに持って来て、供えた。 + すると、神の使いはギデオンに言った。「肉と種を入れないパンを取って、この岩の上に置き、その吸い物を注げ。」それで彼はそのようにした。 + すると主の使いは、その手にしていた杖の先を伸ばして、肉と種を入れないパンに触れた。すると、たちまち火が岩から燃え上がって、肉と種を入れないパンを焼き尽くしてしまった。主の使いは去って見えなくなった。 + これで、この方が主の使いであったことがわかった。それで、ギデオンは言った。「ああ、神、主よ。私は面と向かって主の使いを見てしまいました。」 + すると、主はギデオンに仰せられた。「安心しなさい。恐れるな。あなたは死なない。」 + そこで、ギデオンはそこに主のために祭壇を築いて、これをアドナイ・シャロムと名づけた。これは今日まで、アビエゼル人のオフラに残っている。 + その夜、主はギデオンに仰せられた。「あなたの父の雄牛、七歳の第二の雄牛を取り、あなたの父が持っているバアルの祭壇を取りこわし、そのそばのアシェラ像を切り倒せ。 + そのとりでの頂上に、あなたの神、主のために石を積んで祭壇を築け。あの第二の雄牛を取り、切り倒したアシェラ像の木で全焼のいけにえをささげよ。」 + そこで、ギデオンは、自分のしもべの中から十人を引き連れて、主が言われたとおりにした。彼は父の家の者や、町の人々を恐れたので、昼間それをせず、夜それを行った。 + 町の人々が翌朝早く起きて見ると、バアルの祭壇は取りこわされ、そのそばにあったアシェラ像は切り倒され、新しく築かれた祭壇の上には、第二の雄牛がささげられていた。 + そこで、彼らは互いに言った。「だれがこういうことをしたのだろう。」それから、彼らは調べて、尋ね回り、「ヨアシュの子ギデオンがこれをしたのだ」と言った。 + ついで、町の人々はヨアシュに言った。「あなたの息子を引っ張り出して殺しなさい。あれはバアルの祭壇を取りこわし、そばにあったアシェラ像も切り倒したのだ。」 + すると、ヨアシュは自分に向かって立っているすべての者に言った。「あなたがたは、バアルのために争っているのか。それとも、彼を救おうとするのか。バアルのために争う者は、朝までに殺されてしまう。もしバアルが神であるなら、自分の祭壇が取りこわされたのだから、自分で争えばよいのだ。」 + こうして、その日、ギデオンはエルバアルと呼ばれた。自分の祭壇が取りこわされたのだから「バアルは自分で争えばよい」という意味である。 + ミデヤン人や、アマレク人や、東の人々がみな連合して、ヨルダン川を渡り、イズレエルの谷に陣を敷いた。 + 主の霊がギデオンをおおったので、彼が角笛を吹き鳴らすと、アビエゼル人が集まって来て、彼に従った。 + ギデオンはマナセの全域に使者を遣わした。それで彼らもまた呼び集められ、彼に従った。彼はまた、アシェル、ゼブルン、そしてナフタリに使者を遣わしたので、彼らは合流して上って来た。 + ギデオンは神に申し上げた。「もしあなたが仰せられたように、私の手でイスラエルを救おうとされるなら、 + 今、私は打ち場に刈り取った一頭分の羊の毛を置きます。もしその羊の毛の上にだけ露が降りていて、土全体がかわいていたら、あなたがおことばのとおりに私の手でイスラエルを救われることが、私にわかります。」 + すると、そのようになった。ギデオンが翌日、朝早く、その羊の毛を押しつけて、その羊の毛から露を絞ると、鉢いっぱいになるほど水が出た。 + ギデオンは神に言った。「私に向かって御怒りを燃やさないでください。私にもう一回言わせてください。どうぞ、この羊の毛でもう一回だけ試みさせてください。今度はこの羊の毛だけがかわいていて、土全体には露が降りるようにしてください。」 + それで、神はその夜、そのようにされた。すなわち、その羊の毛の上だけがかわいていて、土全体には露が降りていた。 + + + それで、エルバアル、すなわちギデオンと、彼といっしょにいた民はみな、朝早くハロデの泉のそばに陣を敷いた。ミデヤン人の陣営は、彼の北に当たり、モレの山沿いの谷にあった。 + そのとき、主はギデオンに仰せられた。「あなたといっしょにいる民は多すぎるから、わたしはミデヤン人を彼らの手に渡さない。イスラエルが『自分の手で自分を救った』と言って、わたしに向かって誇るといけないから。 + 今、民に聞こえるように告げ、『恐れ、おののく者はみな帰りなさい。ギルアデ山から離れなさい』と言え。」すると、民のうちから二万二千人が帰って行き、一万人が残った。4すると、主はギデオンに仰せられた。「民はまだ多すぎる。彼らを連れて水のところに下って行け。わたしはそこで、あなたのために彼らをためそう。わたしがあなたに、『この者はあなたといっしょに行かなければならない』と言うなら、その者は、あなたといっしょに行かなければならない。またわたしがあなたに、『この者はあなたといっしょに行ってはならない』と言う者はだれも、行ってはならない。」 + そこでギデオンは民を連れて、水のところに下って行った。すると、主はギデオンに仰せられた。「犬がなめるように、舌で水をなめる者は残らず別にしておき、また、ひざをついて飲む者も残らずそうせよ。」 + そのとき、口に手を当てて水をなめた者の数は三百人であった。残りの民はみな、ひざをついて水を飲んだ。 + そこで主はギデオンに仰せられた。「手で水をなめた三百人で、わたしはあなたがたを救い、ミデヤン人をあなたの手に渡す。残りの民はみな、それぞれ自分の家に帰らせよ。」 + そこで彼らは民の糧食と角笛を手に取った。こうして、ギデオンはイスラエル人をみな、それぞれ自分の天幕に送り返し、三百人の者だけを引き止めた。ミデヤン人の陣営は、彼から見て下の谷にあった。 + その夜、主はギデオンに仰せられた。「立って、あの陣営に攻め下れ。それをあなたの手に渡したから。 + しかし、もし下って行くことを恐れるなら、あなたに仕える若い者プラといっしょに陣営に下って行き、 + 彼らが何と言っているかを聞け。そのあとで、あなたは、勇気を出して、陣営に攻め下らなければならない。」そこで、ギデオンと若い者プラとは、陣営の中の編隊の端に下って行った。 + そこには、ミデヤン人や、アマレク人や、東の人々がみな、いなごのように大ぜい、谷に伏していた。そのらくだは、海辺の砂のように多くて数えきれなかった。 + ギデオンがそこに行ってみると、ひとりの者が仲間に夢の話をしていた。ひとりが言うには、「私は今、夢を見た。見ると、大麦のパンのかたまりが一つ、ミデヤン人の陣営にころがって来て、天幕の中にまで入り、それを打ったので、それは倒れた。ひっくり返って、天幕は倒れてしまった。」 + すると、その仲間は答えて言った。「それはイスラエル人ヨアシュの子ギデオンの剣にほかならない。神が彼の手にミデヤンと、陣営全部を渡されたのだ。」 + ギデオンはこの夢の話とその解釈を聞いたとき、主を礼拝した。そして、イスラエルの陣営に戻って言った。「立て。主はミデヤン人の陣営をあなたがたの手に下さった。」 + そして、彼は三百人を三隊に分け、全員の手に角笛とからつぼとを持たせ、そのつぼの中にたいまつを入れさせた。 + それから、彼らに言った。「私を見て、あなたがたも同じようにしなければならない。見よ。私が陣営の端に着いたら、私がするように、あなたがたもそうしなければならない。 + 私と、私といっしょにいる者がみな、角笛を吹いたなら、あなたがたもまた、全陣営の回りで角笛を吹き鳴らし、『主のためだ。ギデオンのためだ』と言わなければならない。」 + ギデオンと、彼といっしょにいた百人の者が、真夜中の夜番の始まる時、陣営の端に着いた。ちょうどその時、番兵の交替をしたばかりであった。それで、彼らは角笛を吹き鳴らし、その手に持っていたつぼを打ちこわした。 + 三隊の者が角笛を吹き鳴らして、つぼを打ち砕き、それから左手にたいまつを堅く握り、右手に吹き鳴らす角笛を堅く握って、「主の剣、ギデオンの剣だ」と叫び、 + それぞれ陣営の周囲の持ち場に着いたので、陣営の者はみな走り出し、大声をあげて逃げた。 + 三百人が角笛を吹き鳴らしている間に、主は、陣営の全面にわたって、同士打ちが起こるようにされた。それで陣営はツェレラのほうのベテ・ハシタや、タバテの近くのアベル・メホラの端まで逃げた。 + イスラエル人はナフタリと、アシェルと、全マナセから呼び集められ、彼らはミデヤン人を追撃した。 + ついで、ギデオンはエフライムの山地全域に使者を送って言った。「降りて来て、ミデヤン人を攻めなさい。ベテ・バラまでの流れと、ヨルダン川を攻め取りなさい。」そこでエフライム人はみな呼び集められ、彼らはベテ・バラまでの流れと、ヨルダン川を攻め取った。 + また彼らはミデヤン人のふたりの首長オレブとゼエブを捕らえ、オレブをオレブの岩で、ゼエブをゼエブの酒ぶねで殺し、こうしてミデヤン人を追撃した。彼らはヨルダン川の向こう側にいたギデオンのところに、オレブとゼエブの首を持って行った。 + + + そのとき、エフライム人はギデオンに言った。「あなたは、私たちに何ということをしたのですか。ミデヤン人と戦いに行ったとき、私たちに呼びかけなかったとは。」こうして彼らはギデオンを激しく責めた。 + ギデオンは彼らに言った。「今、あなたがたのしたことに比べたら、私がいったい何をしたというのですか。アビエゼルのぶどうの収穫よりも、エフライムの取り残した実のほうが、よかったのではありませんか。 + 神はあなたがたの手にミデヤン人の首長オレブとゼエブを渡されました。あなたがたに比べたら、私に何ができたのでしょう。」ギデオンがこのことを話すと、そのとき彼らの怒りは和らいだ。 + それからギデオンは、彼に従う三百人の人々とヨルダン川を渡った。彼らは疲れていたが、追撃を続けた。 + 彼はスコテの人々に言った。「どうか、私について来ている民にパンを下さい。彼らは疲れているが、私はミデヤン人の王ゼバフとツァルムナを追っているのです。」 + すると、スコテのつかさたちは言った。「ゼバフとツァルムナの手首を、今、あなたは手にしているのでしょうか。私たちがあなたの軍団にパンを与えなければならないなどとは。」 + そこでギデオンは言った。「そういうことなら、主が私の手にゼバフとツァルムナを渡されるとき、私は荒野のいばらやとげで、あなたがたを踏みつけてやる。」 + ギデオンはそこからペヌエルに上って行き、同じように彼らに言った。すると、ペヌエルの人々もスコテの人々が答えたように彼に答えた。 + それでギデオンはまたペヌエルの人々に言った。「私が無事に帰って来たら、このやぐらをたたきこわしてやる。」 + ゼバフとツァルムナはカルコルにいたが、約一万五千からなるその陣営の者も彼らといっしょにいた。これは東の人々の陣営全体のうち生き残った者のすべてであった。剣を使う者十二万人が、すでに倒されていたからである。 + そこでギデオンは、ノバフとヨグボハの東の天幕に住む人々の道に沿って上って行き、陣営を打った。陣営は油断していた。 + ゼバフとツァルムナは逃げたが、ギデオンは彼らを追って、ミデヤンのふたりの王ゼバフとツァルムナを捕らえ、その全陣営をろうばいさせた。 + それから、ヨアシュの子ギデオンは、ヘレスの坂道を通って戦いから帰って来た。 + そのとき、彼はスコテの人々の中からひとりの若者を捕らえ、尋問した。すると、彼はギデオンのために、スコテのつかさたちと七十七人の長老たちの名を書いた。 + そこで、ギデオンはスコテの人々のところに行って、言った。「あなたがたが、『ゼバフとツァルムナの手首を、今、あなたは手にしているのか。私たちがあなたに従う疲れた人たちにパンを与えなければならないなどとは』と言って、私をそしったそのゼバフとツァルムナが、ここにいる。」 + そしてギデオンは、その町の長老たちを捕らえ、また荒野のいばらや、とげを取って、それでスコテの人々に思い知らせた。 + また彼はペヌエルのやぐらをたたきこわして、町の人々を殺した。 + それから、ギデオンはゼバフとツァルムナに言った。「おまえたちがタボルで殺した人たちは、どこにいるのか。」すると彼らは答えた。「あの人たちは、あなたのような人でした。どの人も王の子たちに似ていました。」 + ギデオンは言った。「彼らは私の兄弟、私の母の息子たちだ。主は生きておられる。おまえたちが彼らを生かしておいてくれたなら、私はおまえたちを殺しはしないのだが。」 + そしてギデオンは自分の長男エテルに「立って、彼らを殺しなさい」と言ったが、その若者は自分の剣を抜かなかった。彼はまだ若かったので、恐ろしかったからである。 + そこで、ゼバフとツァルムナは言った。「立って、あなたが私たちに撃ちかかりなさい。人の勇気はそれぞれ違うのですから。」すると、ギデオンは立って、ゼバフとツァルムナを殺し、彼らのらくだの首に掛けてあった三日月形の飾りを取った。 + そのとき、イスラエル人はギデオンに言った。「あなたも、あなたのご子息も、あなたの孫も、私たちを治めてください。あなたが私たちをミデヤン人の手から救ったのですから。」 + しかしギデオンは彼らに言った。「私はあなたがたを治めません。また、私の息子もあなたがたを治めません。主があなたがたを治められます。」 + ついで、ギデオンは彼らに言った。「あなたがたに一つ、お願いしたい。ひとりひとり、自分の分捕り物の耳輪を私に下さい。」――殺された者たちはイシュマエル人であったので、金の耳輪をつけていたからである―― + すると、彼らは「差し上げますとも」と答えて、一枚の上着を広げ、ひとりひとりその分捕り物の耳輪をその中に投げ込んだ。 + ギデオンが願った金の耳輪の目方は金で一千七百シェケルであった。このほかに、三日月形の飾りや、垂れ飾りや、ミデヤンの王たちの着ていた赤紫の衣、またほかに、彼らのらくだの首の回りに掛けていた首飾りなどもあった。 + ギデオンはそれで、一つのエポデを作り、彼の町のオフラにそれを置いた。すると、イスラエルはみな、それを慕って、そこで淫行を行った。それはギデオンとその一族にとって、落とし穴となった。 + こうしてミデヤン人はイスラエル人によって屈服させられ、二度とその頭を上げなかった。この国はギデオンの時代、四十年の間、穏やかであった。 + ヨアシュの子エルバアルは帰って自分の家に住んだ。 + ギデオンには彼から生まれた息子が七十人いた。彼には大ぜいの妻がいたからである。 + シェケムにいたそばめもまた、彼にひとりの男の子を産んだ。そこで彼はアビメレクという名をつけた。 + やがて、ヨアシュの子ギデオンは長寿を全うして死に、アビエゼル人のオフラにある父ヨアシュの墓に葬られた。 + ギデオンが死ぬとすぐ、イスラエル人は再びバアルを慕って淫行を行い、バアル・ベリテを自分たちの神とした。 + イスラエル人は、周囲のすべての敵から自分たちを救い出した彼らの神、主を心に留めなかった。 + 彼らは、エルバアルすなわちギデオンがイスラエルに尽くした善意のすべてにふさわしい真実を、彼の家族に尽くさなかった。 + + + さて、エルバアルの子アビメレクは、シェケムにいる自分の母の身内の者たちのところに行き、彼らと母の一族の氏族全員に告げて言った。 + 「どうかシェケムのすべての者に、よく言って聞かせてください。/エルバアルの息子七十人がみなで、あなたがたを治めるのと、ただひとりがあなたがたを治めるのと、あなたがたにとって、どちらがよいか。私があなたがたの骨肉であることを思い起こしてください。」 + アビメレクの母の身内の者たちが、彼に代わって、これらのことをみな、シェケムのすべての者に言って聞かせたとき、彼らの心はアビメレクに傾いた。彼らは「彼は私たちの身内の者だ」と思ったからである。 + 彼らはバアル・ベリテの宮から銀七十シェケルを取り出して彼に与えた。アビメレクはそれで、ごろつきの、ずうずうしい者たちを雇った。彼らはアビメレクのあとについた。 + それから、アビメレクはオフラにある彼の父の家に行って、自分の兄弟であるエルバアルの息子たち七十人を一つの石の上で殺した。しかし、エルバアルの末子ヨタムは隠れていたので生き残った。 + それで、シェケムの者とベテ・ミロの者はみな集まり、出かけて行って、シェケムにある石の柱のそばの樫の木のところで、アビメレクを王とした。 + このことがヨタムに告げられたとき、彼は行って、ゲリジム山の頂上に立ち、声を張り上げ、彼らに叫んで言った。「シェケムの者たち。私に聞け。そうすれば神はあなたがたに聞いてくださろう。 + 木々が自分たちの王を立てて油をそそごうと出かけた。彼らはオリーブの木に言った。『私たちの王となってください。』 + すると、オリーブの木は彼らに言った。『私は神と人とをあがめるために使われる私の油を捨て置いて、木々の上にそよぐために出かけなければならないだろうか。』 + ついで、木々はいちじくの木に言った。『来て、私たちの王となってください。』 + しかし、いちじくの木は彼らに言った。『私は、私の甘みと私の良い実を捨て置いて、木々の上にそよぐために出かけなければならないだろうか。』 + それから、木々はぶどうの木に言った。『来て、私たちの王となってください。』 + しかし、ぶどうの木は彼らに言った。『私は、神と人とを喜ばせる私の新しいぶどう酒を捨て置いて、木々の上にそよぐために出かけなければならないだろうか。』 + そこで、すべての木がいばらに言った。『来て、私たちの王となってください。』 + すると、いばらは木々に言った。『もしあなたがたがまことをもって私に油をそそぎ、あなたがたの王とするなら、来て、私の陰に身を避けよ。そうでなければ、いばらから火が出て、レバノンの杉の木を焼き尽くそう。』 + 今、あなたがたはまことと真心をもって行動して、アビメレクを王にしたのか。あなたがたはエルバアルとその家族とを、ねんごろに取り扱い、彼のてがらに報いたのか。 + 私の父は、あなたがたのために戦い、自分のいのちをかけて、あなたがたをミデヤン人の手から助け出したのだ。 + あなたがたは、きょう、私の父の家にそむいて立ち上がり、その息子たち七十人を、一つの石の上で殺し、女奴隷の子アビメレクをあなたがたの身内の者だからというので、シェケムの者たちの王として立てた。 + もしあなたがたが、きょう、エルバアルと、その家族とにまことと真心をもって行動したのなら、あなたがたはアビメレクを喜び、彼もまた、あなたがたを喜ぶがよい。 + そうでなかったなら、アビメレクから火が出て、シェケムとベテ・ミロの者たちを食い尽くし、シェケムとベテ・ミロの者たちから火が出て、アビメレクを食い尽くそう。」 + それから、ヨタムは逃げ去り、ベエルに行き、兄弟アビメレクを避けてそこに住んだ。 + アビメレクは三年間、イスラエルを支配した。 + 神は、アビメレクとシェケムの者たちの間にわざわいの霊を送ったので、シェケムの者たちはアビメレクを裏切った。 + そのためエルバアルの七十人の息子たちへの暴虐が再現し、彼らの血が、彼らを殺した兄弟アビメレクと、アビメレクに加勢して彼の兄弟たちを殺したシェケムの者たちの上に臨んだ。 + シェケムの者たちは、山々の頂上に彼を待ち伏せる者たちを置いたので、彼らは道でそばを過ぎるすべての者を略奪した。やがて、このことがアビメレクに告げられた。 + エベデの子ガアルとその身内の者たちが来て、シェケムを通りかかったとき、シェケムの者たちは彼を信用した。 + そこで彼らは畑に出て行って、ぶどうを収穫して、踏んだ。そして祭りをし、自分たちの神の宮に入って行って、飲み食いし、アビメレクをののしった。 + そのとき、エベデの子ガアルは言った。「アビメレクとは何者か。シェケムとは何者か。われわれが彼に仕えなければならないとは。アビメレクはエルバアルの子、ゼブルはアビメレクの役人ではないか。シェケムの父ハモルの人々に仕えなさい。なぜわれわれはアビメレクに仕えなければならないのか。 + だれか、この民を私の手に与えてくれないものか。そうすれば私はアビメレクを追い出すのだが。」そして彼はアビメレクに言った。「おまえの軍勢をふやして、出て来い。」 + この町のつかさゼブルは、エベデの子ガアルの言ったことを聞いて、怒りを燃やし、 + トルマにいるアビメレクのところに使者を送って言わせた。「今、エベデの子ガアルとその身内の者たちがシェケムに来ています。今、彼らは町を、あなたにそむかせようとしています。 + 今、あなたとあなたとともにいる民は、夜のうちに立って、野で待ち伏せなさい。 + 朝早く、太陽が上るころ、町に突入しなさい。すると、ガアルと、彼とともにいる民は、あなたに向かって出て来るでしょう。あなたは好機をつかんで、彼らを攻撃することができます。」 + そこでアビメレクと、彼とともにいた民はみな、夜のうちに立って、四隊に分かれてシェケムに向かって待ち伏せた。 + エベデの子ガアルが出て来て、町の門の入口に立ったとき、アビメレクと、彼とともにいた民は、待ち伏せしていた所から立ち上がった。 + ガアルはその民を見て、ゼブルに言った。「あれ、山々の頂から民が降りて来る。」すると、ゼブルは彼に言った。「あなたは、山々の影が人のように見えるのです。」 + ガアルはまた言った。「いや。人々がこの地の一番高い所から降りて来る。また一隊がメオヌニムの樫の木のほうから来る。」 + すると、ゼブルは彼に言った。「『アビメレクとは何者か。われわれが彼に仕えなければならないとは』と言ったあなたの口は、いったいどこにあるのですか。あなたが見くびったのは、この民ではありませんか。さあ、今、出て行って、彼と戦いなさい。」 + そこで、ガアルはシェケムの者たちの先頭に立って出て行き、アビメレクと戦った。 + アビメレクが彼を追ったので、ガアルは彼の前から逃げた。そして多くの者が刺し殺されて倒れ、門の入口にまで及んだ。 + アビメレクはアルマにとどまったが、ゼブルは、ガアルとその身内の者たちを追い払って、彼らをシェケムに住ませなかった。 + 翌日、民は、野に出かけて行って、アビメレクに告げた。 + そこで、アビメレクは自分の民を引き連れて、それを三隊に分け、野で待ち伏せた。すると、民が町から出て来るのが見えたので、彼らを襲って打った。 + アビメレクと、彼とともにいた一隊は突入して、町の門の入口に立った。一方、他の二隊は野にいたすべての者を襲って、打ち殺した。 + アビメレクはその日、一日中、町で戦い、この町を攻め取り、そのうちにいた民を殺し、町を破壊して、そこに塩をまいた。 + シェケムのやぐらの者たちはみな、これを聞いて、エル・ベリテの宮の地下室に入って行った。 + シェケムのやぐらの者たちがみな集まったことがアビメレクに告げられたとき、 + アビメレクは、自分とともにいた民とツァルモン山に登って行った。アビメレクは手に斧を取って、木の枝を切り、これを持ち上げて、自分の肩に載せ、共にいる民に言った。「私がするのを見たとおりに、あなたがたも急いでそのとおりにしなさい。」 + それで民もまた、みなめいめい枝を切って、アビメレクについて行き、それを地下室の上に置き、火をつけて、地下室を焼いた。それでシェケムのやぐらの人たち、男女約一千人もみな死んだ。 + それから、アビメレクはテベツに行き、テベツに対して陣を敷き、これを攻め取った。 + この町の中に、一つ、堅固なやぐらがあった。すべての男、女、この町の者たちはみなそこへ逃げて、立てこもり、やぐらの屋根に上った。 + そこで、アビメレクはやぐらのところまで行って、これと戦い、やぐらの戸に近づいて、それを火で焼こうとした。 + そのとき、ひとりの女がアビメレクの頭にひき臼の上石を投げつけて、彼の頭蓋骨を砕いた。 + アビメレクは急いで道具持ちの若者を呼んで言った。「おまえの剣を抜いて、私を殺してくれ。女が殺したのだと私のことを人が言わないように。」それで、若者が彼を刺し通したので、彼は死んだ。 + イスラエル人はアビメレクが死んだのを見たとき、ひとりひとり自分のところへ帰った。 + こうして神は、アビメレクが彼の兄弟七十人を殺して、その父に行った悪を、彼に報いられた。 + 神はシェケムの人々のすべての悪を彼らの頭上に報いられた。こうしてエルバアルの子ヨタムののろいが彼らに実現した。 + + + さて、アビメレクの後、イスラエルを救うために、イッサカル人、ドドの子プワの息子トラが立ち上がった。彼はエフライムの山地にあるシャミルに住んだ。 + 彼は、二十三年間、イスラエルをさばいて後、死んでシャミルに葬られた。 + 彼の後にギルアデ人ヤイルが立ち上がり、二十二年間、イスラエルをさばいた。 + 彼には三十人の息子がいて、三十頭のろばに乗り、三十の町を持っていたが、それは今日まで、ハボテ・ヤイルと呼ばれ、ギルアデの地にある。 + ヤイルは死んでカモンに葬られた。 + またイスラエル人は、主の目の前に重ねて悪を行い、バアルや、アシュタロテ、アラムの神々、シドンの神々、モアブの神々、アモン人の神々、ペリシテ人の神々に仕えた。こうして彼らは主を捨て、主に仕えなかった。 + 主の怒りはイスラエルに向かって燃え上がり、彼らをペリシテ人の手とアモン人の手に売り渡された。 + それで彼らはその年、イスラエル人を打ち砕き、苦しめた。彼らはヨルダン川の向こう側のギルアデにあるエモリ人の地にいたイスラエル人をみな、十八年の間、苦しめた。 + アモン人がヨルダン川を渡って、ユダ、ベニヤミン、およびエフライムの家と戦ったとき、イスラエルは非常な苦境に立った。 + そのとき、イスラエル人は主に叫んで言った。「私たちは、あなたに罪を犯しました。私たちの神を捨ててバアルに仕えたのです。」 + すると、主はイスラエル人に仰せられた。「わたしは、かつてエジプト人、エモリ人、アモン人、ペリシテ人から、あなたがたを救ったではないか。 + シドン人、アマレク人、マオン人が、あなたがたをしいたげたが、あなたがたがわたしに叫んだとき、わたしはあなたがたを彼らの手から救った。 + しかし、あなたがたはわたしを捨てて、ほかの神々に仕えた。だから、わたしはこれ以上あなたがたを救わない。 + 行け。そして、あなたがたが選んだ神々に叫べ。あなたがたの苦難の時には、彼らが救うがよい。」 + すると、イスラエル人は主に言った。「私たちは罪を犯しました。あなたがよいと思われることを何でも私たちにしてください。ただ、どうか、きょう、私たちを救い出してください。」 + 彼らが自分たちのうちから外国の神々を取り去って、主に仕えたので、主は、イスラエルの苦しみを見るに忍びなくなった。 + このころ、アモン人が呼び集められ、ギルアデに陣を敷いた。一方、イスラエル人も集まって、ミツパに陣を敷いた。 + ギルアデの民や、その首長たちは互いに言った。「アモン人と戦いを始める者はだれか。その者がギルアデのすべての住民のかしらとなるのだ。」 + + + さて、ギルアデ人エフタは勇士であったが、彼は遊女の子であった。エフタの父親はギルアデであった。 + ギルアデの妻も、男の子たちを産んだ。この妻の子たちが成長したとき、彼らはエフタを追い出して、彼に言った。「あなたはほかの女の子だから、私たちの父の家を受け継いではいけない。」 + そこで、エフタは兄弟たちのところから逃げて行き、トブの地に住んだ。すると、エフタのところに、ごろつきが集まって来て、彼といっしょに出歩いた。 + それからしばらくたって、アモン人がイスラエルに戦争をしかけてきた。 + アモン人がイスラエルに戦争をしかけてきたとき、ギルアデの長老たちはトブの地からエフタを連れて来ようと出かけて行き、 + エフタに言った。「来て、私たちの首領になってください。そしてアモン人と戦いましょう。」 + エフタはギルアデの長老たちに言った。「あなたがたは私を憎んで、私の父の家から追い出したではありませんか。あなたがたが苦しみに会ったからといって、今なぜ私のところにやって来るのですか。」 + すると、ギルアデの長老たちはエフタに言った。「だからこそ、私たちは、今、あなたのところに戻って来たのです。あなたが私たちといっしょに行き、アモン人と戦ってくださるなら、あなたは、私たちギルアデの住民全体のかしらになるのです。」 + エフタはギルアデの長老たちに言った。「もしあなたがたが、私を連れ戻して、アモン人と戦わせ、主が彼らを私に渡してくださったら、私はあなたがたのかしらになりましょう。」 + ギルアデの長老たちはエフタに言った。「主が私たちの間の証人となられます。私たちは必ずあなたの言われるとおりにします。」 + エフタがギルアデの長老たちといっしょに行き、民が彼を自分たちのかしらとし、首領としたとき、エフタは自分が言ったことをみな、ミツパで主の前に告げた。 + それから、エフタはアモン人の王に使者たちを送って、言った。「あなたは私と、どういうかかわりがあって、私のところに攻めて来て、この国と戦おうとするのか。」 + すると、アモン人の王はエフタの使者たちに答えた。「イスラエルがエジプトから上って来たとき、アルノン川からヤボク川、それにヨルダン川に至るまでの私の国を取ったからだ。だから、今、これらの地を穏やかに返してくれ。」 + そこで、エフタは再びアモン人の王に使者たちを送って、 + 彼に、エフタはこう言うと言わせた。「イスラエルはモアブの地も、アモン人の地も取らなかった。 + イスラエルは、エジプトから上って来たとき、荒野を通って葦の海まで行き、それからカデシュに来た。 + そこで、イスラエルはエドムの王に使者たちを送って、言った。『どうぞ、あなたの国を通らせてください。』ところが、エドムの王は聞き入れなかった。イスラエルはモアブの王にも使者たちを送ったが、彼も好まなかった。それでイスラエルはカデシュにとどまった。 + それから、彼らは荒野を行き、エドムの地とモアブの地を回って、モアブの地の東に来て、アルノン川の向こう側に宿営した。しかし、モアブの領土には入らなかった。アルノンはモアブの領土だったから。 + そこでイスラエルは、ヘシュボンの王で、エモリ人の王シホンに使者たちを送って、彼に言った。『どうぞ、あなたの国を通らせて、私の目的地に行かせてください。』 + シホンはイスラエルを信用せず、その領土を通らせなかったばかりか、シホンは民をみな集めてヤハツに陣を敷き、イスラエルと戦った。 + しかし、イスラエルの神、主が、シホンとそのすべての民をイスラエルの手に渡されたので、イスラエルは彼らを打った。こうしてイスラエルはその地方に住んでいたエモリ人の全地を占領した。 + こうして彼らは、アルノン川からヤボク川までと、荒野からヨルダン川までのエモリ人の全領土を占領した。 + 今、イスラエルの神、主は、ご自分の民イスラエルの前からエモリ人を追い払われた。それをあなたは占領しようとしている。 + あなたは、あなたの神ケモシュがあなたに占領させようとする地を占領しないのか。私たちは、私たちの神、主が、私たちの前から追い払ってくださる土地をみな占領するのだ。 + 今、あなたはモアブの王ツィポルの子バラクよりもまさっているのか。バラクは、イスラエルと争ったことがあるのか。彼らと戦ったことがあるのか。 + イスラエルが、ヘシュボンとそれに属する村落、アロエルとそれに属する村落、アルノン川の川岸のすべての町々に、三百年間住んでいたのに、なぜあなたがたは、その期間中に、それを取り戻さなかったのか。 + 私はあなたに罪を犯してはいないのに、あなたは私に戦いをいどんで、私に害を加えようとしている。審判者である主が、きょう、イスラエル人とアモン人との間をさばいてくださるように。」 + アモン人の王はエフタが彼に送ったことばを聞き入れなかった。 + 主の霊がエフタの上に下ったとき、彼はギルアデとマナセを通り、ついで、ギルアデのミツパを通って、ギルアデのミツパからアモン人のところへ進んで行った。 + エフタは主に誓願を立てて言った。「もしあなたが確かにアモン人を私の手に与えてくださるなら、 + 私がアモン人のところから無事に帰って来たとき、私の家の戸口から私を迎えに出て来る、その者を主のものといたします。私はその者を全焼のいけにえとしてささげます。」 + こうして、エフタはアモン人のところに進んで行き、彼らと戦った。主は彼らをエフタの手に渡された。 + ついでエフタは、アロエルからミニテに至るまでの二十の町を、またアベル・ケラミムに至るまでを、非常に激しく打った。こうして、アモン人はイスラエル人に屈服した。 + エフタが、ミツパの自分の家に来たとき、なんと、自分の娘が、タンバリンを鳴らし、踊りながら迎えに出て来ているではないか。彼女はひとり子であって、エフタには彼女のほかに、男の子も女の子もなかった。 + エフタは彼女を見るや、自分の着物を引き裂いて言った。「ああ、娘よ。あなたはほんとうに、私を打ちのめしてしまった。あなたは私を苦しめる者となった。私は主に向かって口を開いたのだから、もう取り消すことはできないのだ。」 + すると、娘は父に言った。「お父さま。あなたは主に対して口を開かれたのです。お口に出されたとおりのことを私にしてください。主があなたのために、あなたの敵アモン人に復讐なさったのですから。」 + そして、父に言った。「このことを私にさせてください。私に二か月のご猶予を下さい。私は山々をさまよい歩き、私が処女であることを私の友だちと泣き悲しみたいのです。」 + エフタは、「行きなさい」と言って、娘を二か月の間、出してやったので、彼女は友だちといっしょに行き、山々の上で自分の処女であることを泣き悲しんだ。 + 二か月の終わりに、娘は父のところに帰って来たので、父は誓った誓願どおりに彼女に行った。彼女はついに男を知らなかった。こうしてイスラエルでは、 + 毎年、イスラエルの娘たちは出て行って、年に四日間、ギルアデ人エフタの娘のために嘆きの歌を歌うことがしきたりとなった。 + + + エフライム人が集まって、ツァフォンへ進んだとき、彼らはエフタに言った。「なぜ、あなたは、あなたとともに行くように私たちに呼びかけずに、進んで行ってアモン人と戦ったのか。私たちはあなたの家をあなたもろとも火で焼き払う。」 + そこでエフタは彼らに言った。「かつて、私と私の民とがアモン人と激しく争ったとき、私はあなたがたを呼び集めたが、あなたがたは私を彼らの手から救ってくれなかった。 + あなたがたが私を救ってくれないことがわかったので、私は自分のいのちをかけてアモン人のところへ進んで行った。そのとき、主は彼らを私の手に渡された。なぜ、あなたがたは、きょう、私のところに上って来て、私と戦おうとするのか。」 + そして、エフタはギルアデの人々をみな集めて、エフライムと戦った。ギルアデの人々はエフライムを打ち破った。これはエフライムが、「ギルアデ人よ。あなたがたはエフライムとマナセのうちにいるエフライムの逃亡者だ」と言ったからである。 + ギルアデ人はさらに、エフライムに面するヨルダン川の渡し場を攻め取った。エフライムの逃亡者が、「渡らせてくれ」と言うとき、ギルアデの人々はその者に、「あなたはエフライム人か」と尋ね、その者が「そうではない」と答えると、 + その者に、「『シボレテ』と言え」と言い、その者が「スィボレテ」と言って、正しく発音できないと、その者をつかまえて、ヨルダン川の渡し場で殺した。そのとき、四万二千人のエフライム人が倒れた。 + こうして、エフタはイスラエルを六年間、さばいた。ギルアデ人エフタは死んで、ギルアデの町に葬られた。 + 彼の後に、ベツレヘムの出のイブツァンがイスラエルをさばいた。 + 彼には三十人の息子がいた。また彼は三十人の娘を自分の氏族以外の者にとつがせ、自分の息子たちのために、よそから三十人の娘たちをめとった。彼は七年間、イスラエルをさばいた。 + イブツァンは死んで、ベツレヘムに葬られた。 + 彼の後に、ゼブルン人エロンがイスラエルをさばいた。彼は十年間、イスラエルをさばいた。 + ゼブルン人エロンは死んで、ゼブルンの地のアヤロンに葬られた。 + 彼の後に、ピルアトン人ヒレルの子アブドンがイスラエルをさばいた。 + 彼には四十人の息子と三十人の孫がいて、七十頭のろばに乗っていた。彼は八年間、イスラエルをさばいた。 + ピルアトン人ヒレルの子アブドンは死んで、アマレク人の山地にあるエフライムの地のピルアトンに葬られた。 + + + イスラエル人はまた、主の目の前に悪を行ったので、主は四十年間、彼らをペリシテ人の手に渡された。 + さて、ダン人の氏族で、その名をマノアというツォルアの出のひとりの人がいた。彼の妻は不妊の女で、子どもを産んだことがなかった。 + 主の使いがその女に現れて、彼女に言った。「見よ。あなたは不妊の女で、子どもを産まなかったが、あなたはみごもり、男の子を産む。 + 今、気をつけなさい。ぶどう酒や強い酒を飲んではならない。汚れた物をいっさい食べてはならない。 + 見よ。あなたはみごもっていて、男の子を産もうとしている。その子の頭にかみそりを当ててはならない。その子は胎内にいるときから神へのナジル人であるからだ。彼はイスラエルをペリシテ人の手から救い始める。」 + その女は夫のところに行き、次のように言った。「神の人が私のところに来られました。その姿は神の使いの姿のようで、とても恐ろしゅうございました。私はその方がどちらから来られたか伺いませんでした。その方も私に名をお告げになりませんでした。 + けれども、その方は私に言われました。『見よ。あなたはみごもっていて、男の子を産もうとしている。今、ぶどう酒や強い酒を飲んではならない。汚れた物をいっさい食べてはならない。その子は胎内にいるときから死ぬ日まで、神へのナジル人であるからだ。』」 + そこで、マノアは主に願って言った。「ああ、主よ。どうぞ、あなたが遣わされたあの神の人をまた、私たちのところに来させてください。私たちが、生まれて来る子に、何をすればよいか、教えてください。」 + 神は、マノアの声を聞き入れられたので、神の使いが再びこの女のところに来た。彼女は、畑にすわっており、夫マノアは彼女といっしょにいなかった。 + それで、この女は急いで走って行き、夫に告げて言った。「早く。あの日、私のところに来られたあの方が、また私に現れました。」 + マノアは立ち上がって妻のあとについて行き、その方のところに行って尋ねた。「この女にお話しになった方はあなたなのですか。」その方は言った。「わたしだ。」 + マノアは言った。「今、あなたのおことばは実現するでしょう。その子のための定めとならわしはどのようにすべきでしょうか。」 + すると、主の使いはマノアに言った。「わたしがこの女に言ったことすべてに気をつけなければならない。 + ぶどうの木からできる物はいっさい食べてはならない。ぶどう酒や、強い酒も飲んではならない。汚れた物はいっさい食べてはならない。わたしが彼女に命令したことはみな、守らなければならない。」 + マノアは主の使いに言った。「私たちにあなたをお引き止めできますでしょうか。あなたのために子やぎを料理したいのですが。」 + すると、主の使いはマノアに言った。「たとい、あなたがわたしを引き止めても、わたしはあなたの食物は食べない。もし全焼のいけにえをささげたいなら、それは主にささげなさい。」マノアはその方が主の使いであることを知らなかったのである。 + そこで、マノアは主の使いに言った。「お名まえは何とおっしゃるのですか。あなたのおことばが実現しましたら、私たちは、あなたをほめたたえたいのです。」 + 主の使いは彼に言った。「なぜ、あなたはそれを聞こうとするのか。わたしの名は不思議という。」 + そこでマノアは、子やぎと穀物のささげ物を取り、それを岩の上で主にささげた。主はマノアとその妻が見ているところで、不思議なことをされた。 + 炎が祭壇から天に向かって上ったとき、マノアとその妻の見ているところで、主の使いは祭壇の炎の中を上って行った。彼らは地にひれ伏した。 + ――主の使いは再びマノアとその妻に現れなかった――そのとき、マノアは、この方が主の使いであったのを知った。 + それで、マノアは妻に言った。「私たちは神を見たので、必ず死ぬだろう。」 + 妻は彼に言った。「もし私たちを殺そうと思われたのなら、主は私たちの手から、全焼のいけにえと穀物のささげ物をお受けにならなかったでしょう。これらのことをみな、私たちにお示しにならなかったでしょうし、いましがた、こうしたことを私たちにお告げにならなかったでしょう。」 + その後、この女は男の子を産み、その名をサムソンと呼んだ。その子は大きくなり、主は彼を祝福された。 + そして、主の霊は、ツォルアとエシュタオルとの間のマハネ・ダンで彼を揺り動かし始めた。 + + + サムソンはティムナに下って行ったとき、ペリシテ人の娘でティムナにいるひとりの女を見た。 + 彼は帰ったとき、父と母に告げて言った。「私はティムナで、ある女を見ました。ペリシテ人の娘です。今、あの女をめとって、私の妻にしてください。」 + すると、父と母は彼に言った。「あなたの身内の娘たちのうちに、または、私の民全体のうちに、女がひとりもいないというのか。割礼を受けていないペリシテ人のうちから、妻を迎えるとは。」サムソンは父に言った。「あの女を私にもらってください。あの女が私の気に入ったのですから。」 + 彼の父と母は、それが主によることだとは知らなかった。主はペリシテ人と事を起こす機会を求めておられたからである。そのころはペリシテ人がイスラエルを支配していた。 + こうして、サムソンは彼の父母とともに、ティムナに下って行き、ティムナのぶどう畑にやって来た。見よ。一頭の若い獅子がほえたけりながら彼に向かって来た。 + このとき、主の霊が激しく彼の上に下って、彼は、まるで子やぎを引き裂くように、それを引き裂いた。彼はその手に何も持っていなかった。サムソンは自分のしたことを父にも母にも言わなかった。 + サムソンは下って行って、その女と話し合った。彼女はサムソンの気に入った。 + しばらくたってから、サムソンは、彼女をめとろうと引き返して来た。そして、あの獅子の死体を見ようと、わき道に入って行くと、見よ、獅子のからだの中に、蜜蜂の群れと蜜があった。 + 彼はそれを手にかき集めて、歩きながら食べた。彼は自分の父母のところに来て、それを彼らに与えたので、彼らも食べた。その蜜を、獅子のからだからかき集めたことは彼らに言わなかった。 + 彼の父がその女のところに下って行ったとき、サムソンはそこで祝宴を催した。若い男たちはそのようにするのが常だった。 + 人々は、サムソンを見たとき、三十人の客を連れて来た。彼らはサムソンにつき添った。 + サムソンは彼らに言った。「さあ、あなたがたに、一つのなぞをかけましょう。もし、あなたがたが七日の祝宴の間に、それを解いて、私に明かすことができれば、あなたがたに亜麻布の着物三十着と、晴れ着三十着をあげましょう。 + もし、それを私に明かすことができなければ、あなたがたが亜麻布の着物三十着と晴れ着三十着とを私に下さい。」すると、彼らは言った。「あなたのなぞをかけて、私たちに聞かせてください。」 + そこで、サムソンは彼らに言った。「食らうものから食べ物が出、強いものから甘い物が出た。」彼らは三日たっても、そのなぞを明かすことができなかった。 + 四日目になって、彼らはサムソンの妻に言った。「あなたの夫をくどいて、あのなぞを私たちに明かしてください。さもないと、私たちは火であなたとあなたの父の家とを焼き払ってしまう。あなたがたは私たちからはぎ取るために招待したのですか。そうではないでしょう。」 + そこで、サムソンの妻は夫に泣きすがって言った。「あなたは私を憎んでばかりいて、私を愛してくださいません。あなたは私の民の人々に、なぞをかけて、それを私に解いてくださいません。」すると、サムソンは彼女に言った。「ご覧。私は父にも母にもそれを明かしてはいない。あなたに、明かさなければならないのか。」 + 彼女は祝宴の続いていた七日間、サムソンに泣きすがった。七日目になって、彼女がしきりにせがんだので、サムソンは彼女に明かした。それで、彼女はそのなぞを自分の民の人々に明かした。 + 町の人々は、七日目の日が沈む前にサムソンに言った。「蜂蜜よりも甘いものは何か。雄獅子よりも強いものは何か。」すると、サムソンは彼らに言った。「もし、私の雌の子牛で耕さなかったなら、私のなぞは解けなかったろうに。」 + そのとき、主の霊が激しくサムソンの上に下った。彼はアシュケロンに下って行って、そこの住民三十人を打ち殺し、彼らからはぎ取って、なぞを明かした者たちにその晴れ着をやり、彼は怒りを燃やして、父の家へ帰った。 + それで、サムソンの妻は、彼につき添った客のひとりの妻となった。 + + + しばらくたって、小麦の刈り入れの時に、サムソンは一匹の子やぎを持って自分の妻をたずね、「私の妻の部屋に入りたい」と言ったが、彼女の父は、入らせなかった。 + 彼女の父は言った。「私は、あなたがほんとうにあの娘をきらったものと思って、あれをあなたの客のひとりにやりました。あれの妹のほうが、あれよりもきれいではありませんか。どうぞ、あれの代わりに妹をあなたのものとしてください。」 + すると、サムソンは彼らに言った。「今度、私がペリシテ人に害を加えても、私には何の罪もない。」 + それからサムソンは出て行って、ジャッカルを三百匹捕らえ、たいまつを取り、尾と尾をつなぎ合わせて、二つの尾の間にそれぞれ一つのたいまつを取りつけ、 + そのたいまつに火をつけ、そのジャッカルをペリシテ人の麦畑の中に放して、たばねて積んである麦から、立穂、オリーブ畑に至るまでを燃やした。 + それで、ペリシテ人は言った。「だれがこういうことをしたのか。」また言った。「あのティムナ人の婿サムソンだ。あれが、彼の妻を取り上げて客のひとりにやったからだ。」それで、ペリシテ人は上って来て、彼女とその父を火で焼いた。 + すると、サムソンは彼らに言った。「あなたがたがこういうことをするなら、私は必ずあなたがたに復讐する。そのあとで、私は手を引こう。」 + そして、サムソンは彼らを取りひしいで、激しく打った。それから、サムソンは下って行って、エタムの岩の裂け目に住んだ。 + ペリシテ人が上って行って、ユダに対して陣を敷き、レヒを攻めたとき、 + ユダの人々は言った。「なぜ、あなたがたは、私たちを攻めに上って来たのか。」彼らは言った。「われわれはサムソンを縛って、彼がわれわれにしたように、彼にもしてやるために上って来たのだ。」 + そこで、ユダの人々三千人がエタムの岩の裂け目に下って行って、サムソンに言った。「あなたはペリシテ人が私たちの支配者であることを知らないのか。あなたはどうしてこんなことをしてくれたのか。」すると、サムソンは彼らに言った。「彼らが私にしたとおり、私は彼らにしたのだ。」 + 彼らはサムソンに言った。「私たちはあなたを縛って、ペリシテ人の手に渡すために下って来たのだ。」サムソンは彼らに言った。「あなたがたは私に撃ちかからないと誓いなさい。」 + すると、彼らはサムソンに言った。「決してしない。ただあなたをしっかり縛って、彼らの手に渡すだけだ。私たちは決してあなたを殺さない。」こうして、彼らは二本の新しい綱で彼を縛り、その岩から彼を引き上げた。 + サムソンがレヒに来たとき、ペリシテ人は大声をあげて彼に近づいた。すると、主の霊が激しく彼の上に下り、彼の腕にかかっていた綱は火のついた亜麻糸のようになって、そのなわめが手から解け落ちた。 + サムソンは、生新しいろばのあご骨を見つけ、手を差し伸べて、それを取り、それで千人を打ち殺した。 + そして、サムソンは言った。「ろばのあご骨で、山と積み上げた。ろばのあご骨で、千人を打ち殺した。」 + こう言い終わったとき、彼はそのあご骨を投げ捨てた。彼はその場所を、ラマテ・レヒと名づけた。 + そのとき、彼はひどく渇きを覚え、主に呼び求めて言った。「あなたは、しもべの手で、この大きな救いを与えられました。しかし、今、私はのどが渇いて死にそうで、無割礼の者どもの手に落ちようとしています。」 + すると、神はレヒにあるくぼんだ所を裂かれ、そこから水が出た。サムソンは水を飲んで元気を回復して生き返った。それゆえその名は、エン・ハコレと呼ばれた。それは今日もレヒにある。 + こうして、サムソンはペリシテ人の時代に二十年間、イスラエルをさばいた。 + + + サムソンは、ガザへ行ったとき、そこでひとりの遊女を見つけ、彼女のところに入った。 + このとき、「サムソンがここにやって来た」と、ガザの人々に告げる者があったので、彼らはサムソンを取り囲み、町の門で一晩中、彼を待ち伏せた。そして、「明け方まで待ち、彼を殺そう」と言いながら、一晩中、鳴りをひそめていた。 + しかしサムソンは真夜中まで寝て、真夜中に起き上がり、町の門のとびらと、二本の門柱をつかんで、かんぬきごと引き抜き、それを肩にかついで、ヘブロンに面する山の頂へ運んで行った。 + その後、サムソンはソレクの谷にいるひとりの女を愛した。彼女の名はデリラといった。 + すると、ペリシテ人の領主たちが彼女のところに来て、彼女に言った。「サムソンをくどいて、彼の強い力がどこにあるのか、またどうしたら私たちが彼に勝ち、彼を縛り上げて苦しめることができるかを見つけなさい。私たちはひとりひとり、あなたに銀千百枚をあげよう。」 + そこで、デリラはサムソンに言った。「あなたの強い力はどこにあるのですか。どうすればあなたを縛って苦しめることができるのでしょう。どうか私に教えてください。」 + サムソンは彼女に言った。「もし彼らが、まだ干されていない七本の新しい弓の弦で私を縛るなら、私は弱くなり、並みの人のようになろう。」 + そこで、ペリシテ人の領主たちは、干されていない七本の新しい弓の弦を彼女のところに持って来たので、彼女はそれでサムソンを縛り上げた。 + 彼女は、奥の部屋に待ち伏せしている者をおいていた。そこで彼女は、「サムソン。ペリシテ人があなたを襲ってきます」と言った。しかし、サムソンはちょうど麻くずの糸が火に触れて切れるように、弓の弦を断ち切った。こうして、彼の力のもとは知られなかった。 + デリラはサムソンに言った。「まあ、あなたは私をだまして、うそをつきました。さあ、今度は、どうしたらあなたを縛れるか、教えてください。」 + すると、サムソンは彼女に言った。「もし、彼らが仕事に使ったことのない新しい綱で、私をしっかり縛るなら、私は弱くなり、並みの人のようになろう。」 + そこで、デリラは新しい綱を取って、それで彼を縛り、「サムソン。ペリシテ人があなたを襲ってきます」と言った。奥の部屋には待ち伏せしている者がいた。しかし、サムソンはその綱を糸のように腕から切り落とした。 + デリラはまた、サムソンに言った。「今まで、あなたは私をだまして、うそをつきました。どうしたらあなたを縛れるか、私に教えてください。」サムソンは彼女に言った。「もしあなたが機の縦糸といっしょに私の髪の毛七ふさを織り込み、機のおさで突き刺しておけば、私は弱くなり、並みの人のようになろう。」 + 彼が深く眠っているとき、デリラは彼の髪の毛七ふさを取って、機の縦糸といっしょに織り込み、それを機のおさで突き刺し、彼に言った。「サムソン。ペリシテ人があなたを襲ってきます。」すると、サムソンは眠りからさめて、機のおさと機の縦糸を引き抜いた。 + そこで、彼女はサムソンに言った。「あなたの心は私を離れているのに、どうして、あなたは『おまえを愛する』と言えるのでしょう。あなたはこれで三回も私をだまして、あなたの強い力がどこにあるのかを教えてくださいませんでした。」 + こうして、毎日彼女が同じことを言って、しきりにせがみ、責め立てたので、彼は死ぬほどつらかった。 + それで、ついにサムソンは、自分の心をみな彼女に明かして言った。「私の頭には、かみそりが当てられたことがない。私は母の胎内にいるときから、神へのナジル人だからだ。もし私の髪の毛がそり落とされたら、私の力は私から去り、私は弱くなり、普通の人のようになろう。」 + デリラは、サムソンが自分の心をみな明かしたことがわかったので、人をやって、ペリシテ人の領主たちを呼んで言った。「今度は上って来てください。サムソンは彼の心をみな私に明かしました。」ペリシテ人の領主たちは、彼女のところに上って来た。そのとき、彼らはその手に銀を持って上って来た。 + 彼女は自分のひざの上でサムソンを眠らせ、ひとりの人を呼んで、彼の髪の毛七ふさをそり落とさせ、彼を苦しめ始めた。彼の力は彼を去っていた。 + 彼女が、「サムソン。ペリシテ人があなたを襲ってきます」と言ったとき、サムソンは眠りからさめて、「今度も前のように出て行って、からだをひとゆすりしてやろう」と言った。彼は主が自分から去られたことを知らなかった。 + そこで、ペリシテ人は彼をつかまえて、その目をえぐり出し、彼をガザに引き立てて行って、青銅の足かせをかけて、彼をつないだ。こうしてサムソンは牢の中で臼をひいていた。 + しかし、サムソンの頭の毛はそり落とされてから、また伸び始めた。 + さて、ペリシテ人の領主たちは、自分たちの神ダゴンに盛大ないけにえをささげて楽しもうと集まり、そして言った。「私たちの神は、私たちの敵サムソンを、私たちの手に渡してくださった。」 + 民はサムソンを見たとき、自分たちの神をほめたたえて言った。「私たちの神は、私たちの敵を、この国を荒らし、私たち大ぜいを殺した者を、私たちの手に渡してくださった。」 + 彼らは、心が陽気になったとき、「サムソンを呼んで来い。私たちのために見せものにしよう」と言って、サムソンを牢から呼び出した。彼は彼らの前で戯れた。彼らがサムソンを柱の間に立たせたとき、 + サムソンは自分の手を堅く握っている若者に言った。「私の手を放して、この宮をささえている柱にさわらせ、それに寄りかからせてくれ。」 + 宮は、男や女でいっぱいであった。ペリシテ人の領主たちもみなそこにいた。屋上にも約三千人の男女がいて、サムソンが演技するのを見ていた。 + サムソンは主に呼ばわって言った。「神、主よ。どうぞ、私を御心に留めてください。ああ、神よ。どうぞ、この一時でも、私を強めてください。私の二つの目のために、もう一度ペリシテ人に復讐したいのです。」 + そして、サムソンは、宮をささえている二本の中柱を、一本は右の手に、一本は左の手にかかえ、それに寄りかかった。 + そしてサムソンは、「ペリシテ人といっしょに死のう」と言って、力をこめて、それを引いた。すると、宮は、その中にいた領主たちと民全体との上に落ちた。こうしてサムソンが死ぬときに殺した者は、彼が生きている間に殺した者よりも多かった。 + そこで、彼の身内の者や父の家族の者たちがみな下って来て、彼を引き取り、ツォルアとエシュタオルとの間にある父マノアの墓に彼を運んで行って葬った。サムソンは二十年間、イスラエルをさばいた。 + + + エフライムの山地の出で、その名をミカという人がいた。 + 彼は母に言った。「あなたが、銀千百枚を盗まれたとき、のろって言われたことが、私の耳に入りました。実は、私がその銀を持っています。私がそれを盗んだのです。」すると、母は言った。「主が私の息子を祝福されますように。」 + 彼が母にその銀千百枚を返したとき、母は言った。「私の手でその銀を聖別して主にささげ、わが子のために、それで彫像と鋳像を造りましょう。今は、それをあなたに返します。」 + しかし彼は母にその銀を返した。そこで母は銀二百枚を取って、それを銀細工人に与えた。すると、彼はそれで彫像と鋳像を造った。それがミカの家にあった。 + このミカという人は神の宮を持っていた。それで彼はエポデとテラフィムを作り、その息子のひとりを任命して、自分の祭司としていた。 + そのころ、イスラエルには王がなく、めいめいが自分の目に正しいと見えることを行っていた。 + ユダのベツレヘムの出の、ユダの氏族に属するひとりの若者がいた。彼はレビ人で、そこに滞在していた。 + その人がユダのベツレヘムの町を出て、滞在する所を見つけに、旅を続けてエフライムの山地のミカの家まで来たとき、 + ミカは彼に言った。「あなたはどこから来たのですか。」彼は答えた。「私はユダのベツレヘムから来たレビ人です。私は滞在する所を見つけようとして、歩いているのです。」 + そこでミカは言った。「私といっしょに住んで、私のために父となり、また祭司となってください。あなたに毎年、銀十枚と、衣服ひとそろいと、あなたの生活費をあげます。」それで、このレビ人は同意した。 + このレビ人は心を決めてその人といっしょに住むことにした。この若者は彼の息子のひとりのようになった。 + ミカがこのレビ人を任命したので、この若者は彼の祭司となり、ミカの家にいた。 + そこで、ミカは言った。「私は主が私をしあわせにしてくださることをいま知った。レビ人を私の祭司に得たから。」 + + + そのころ、イスラエルには王がなかった。そのころ、ダン人の部族は、自分たちの住む相続地を求めていた。イスラエルの諸部族の中にあって、相続地はその時まで彼らに割り当てられていなかったからである。 + そこで、ダン族は、彼らの諸氏族全体のうちから五人の者、ツォルアとエシュタオルからの勇士たちを派遣して、土地を偵察し、調べることにした。それで、彼らに言った。「行って、あの地を調べなさい。」彼らはエフライムの山地のミカの家に行って、そこで一夜を明かした。 + 彼らはミカの家のそばに来、あのレビ人の若者の声に気づいた。そこで、そこに立ち寄り、彼に言った。「だれがあなたをここに連れて来たのですか。ここで何をしているのですか。ここに何の用事があるのですか。」 + その若者は彼らに言った。「ミカが、かくかくのことを私にしてくれて、私を雇い、私は彼の祭司になったのです。」 + 彼らはその若者に言った。「どうぞ、神に伺ってください。私たちのしているこの旅が、成功するかどうかを知りたいのです。」 + その祭司は彼らに言った。「安心して行きなさい。あなたがたのしている旅は、主が認めておられます。」 + 五人の者は進んで行って、ライシュに着き、そこの住民を見ると、彼らは安らかに住んでおり、シドン人のならわしに従って、平穏で安心しきっていた。この地には足りないものは何もなく、押さえつける者もなかった。彼らはシドン人から遠く離れており、そのうえ、だれとも交渉がなかった。 + 五人の者がツォルアとエシュタオルの身内の者たちのところに帰って来たとき、身内の者たちは彼らに、どうだったかと尋ねた。 + そこで、彼らは言った。「さあ、彼らのところへ攻め上ろう。私たちはその土地を見たが、実に、すばらしい。あなたがたはためらっている。ぐずぐずせずに進んで行って、あの地を占領しよう。 + あなたがたが行くときは、安心しきっている民のところに行けるのだ。しかもその地は広々としている。神はそれをあなたがたの手に渡しておられる。その場所には、地にあるもので足りないものは何もない。」 + そこで、ダン人の氏族の者六百人は武具を身に着けて、そこ、ツォルアとエシュタオルから旅立ち、 + 上って行って、ユダのキルヤテ・エアリムに宿営した。それで、その所はマハネ・ダンと呼ばれた。今日もそうである。それはキルヤテ・エアリムの西にある。 + 彼らはさらにそこからエフライムの山地へと進み、ミカの家に着いた。 + そのとき、あのライシュの地を偵察に行った五人の者は、その身内の者たちに告げて言った。「これらの建物の中にエポデやテラフィム、彫像や鋳像があるのを知っているか。今あなたがたは何をなすべきかを知りなさい。」 + そこで、彼らは、そちらのほうに行き、あのレビ人の若者の家ミカの家に来て、彼の安否を尋ねた。 + 武具を身に着けた六百人のダンの人々は、門の入口のところに立っていた。 + あの地を偵察に行った五人の者は上って行き、そこに入り、彫像とエポデとテラフィムと鋳像を取った。祭司は武具を身に着けた六百人の者と、門の入口のところに立っていた。 + 五人の者がミカの家に入り、彫像とエポデとテラフィムと鋳像を取った。そのとき祭司は彼らに言った。「あなたがたは何をしているのか。」 + 彼らは祭司に言った。「黙っていてください。あなたの手を口に当てて、私たちといっしょに来て、私たちのために父となり、また祭司となってください。あなたはひとりの家の祭司になるのと、イスラエルで部族または氏族の祭司になるのと、どちらがよいですか。」 + 祭司の心ははずんだ。彼はエポデとテラフィムと彫像を取り、この人々の中に入って行った。 + そこで、彼らは子どもや家畜や貴重品を先にして引き返して行った。 + 彼らがミカの家からかなり離れると、ミカは家の近くの家にいた人々を集め、ダン族に追いついた。 + 彼らがダン族に呼びかけたとき、彼らは振り向いて、ミカに言った。「あなたは、どうしたのだ。人を集めたりして。」 + すると、ミカは言った。「あなたがたは私の造った神々と、それに祭司とを取って行った。私のところには何が残っていますか。私に向かって『どうしたのだ』と言うのは、いったい何事です。」 + そこで、ダン族はミカに言った。「あなたの声が私たちの中で聞こえないようにせよ。でなければ、気の荒い連中があなたがたに撃ちかかろう。あなたは、自分のいのちも、家族のいのちも失おう。」 + こうして、ダン族は去って行った。ミカは、彼らが自分よりも強いのを見てとり、向きを変えて、自分の家に帰った。 + 彼らは、ミカが造った物と、ミカの祭司とを取って、ライシュに行き、平穏で安心しきっている民を襲い、剣の刃で彼らを打ち、火でその町を焼いた。 + その町はシドンから遠く離れており、そのうえ、だれとも交渉がなかったので、救い出す者がいなかった。その町はベテ・レホブの近くの谷にあった。彼らは町を建てて、そこに住んだ。 + そして、彼らはイスラエルに生まれた自分たちの先祖ダンの名にちなんで、その町にダンという名をつけた。その町のもとの名はライシュであった。 + さて、ダン族は自分たちのために彫像を立てた。モーセの子ゲルショムの子ヨナタンとその子孫が、国の捕囚の日まで、ダン部族の祭司であった。 + こうして、神の宮がシロにあった間中、彼らはミカの造った彫像を自分たちのために立てた。 + + + イスラエルに王がなかった時代のこと、ひとりのレビ人が、エフライムの山地の奥に滞在していた。この人は、そばめとして、ユダのベツレヘムからひとりの女をめとった。 + ところが、そのそばめは彼をきらって、彼のところを去り、ユダのベツレヘムの自分の父の家に行き、そこに四か月の間いた。 + そこで、彼女の夫は、ねんごろに話をして彼女を引き戻すために、若い者と一くびきのろばを連れ、彼女のあとを追って出かけた。彼女が夫を自分の父の家に連れて入ったとき、娘の父は彼を見て、喜んで迎えた。 + 娘の父であるしゅうとが引き止めたので、彼は、しゅうとといっしょに三日間とどまった。こうして、彼らは食べたり飲んだりして、夜を過ごした。 + 四日目になって朝早く、彼は出かけようとして立ち上がった。すると、娘の父は婿に言った。「少し食事をして元気をつけ、そのあとで出かけなさい。」 + それで、彼らふたりは、すわって共に食べたり飲んだりした。娘の父はその人に言った。「どうぞ、もう一晩泊まることにして、楽しみなさい。」 + その人が出かけようとして立ち上がると、しゅうとが彼にしきりに勧めたので、彼はまたそこに泊まって一夜を明かした。 + 五日目の朝早く、彼が出かけようとすると、娘の父は言った。「どうぞ、元気をつけて、日が傾くまで、ゆっくりしていなさい。」そこで、彼らふたりは食事をした。 + それから、その人が自分のそばめと、若い者を連れて、出かけようとすると、娘の父であるしゅうとは彼に言った。「ご覧なさい。もう日が暮れかかっています。どうぞ、もう一晩お泊まりなさい。もう日も傾いています。ここに泊まって、楽しみなさい。あすの朝早く旅立って、家に帰ればいいでしょう。」 + その人は泊まりたくなかったので、立ち上がって出て行き、エブスすなわちエルサレムの向かい側にやって来た。鞍をつけた一くびきのろばと彼のそばめとが、いっしょだった。 + 彼らがエブスの近くに来たとき、日は非常に低くなっていた。それで、若い者は主人に言った。「さあ、このエブス人の町に寄り道して、そこで一夜を明かしましょう。」 + すると、彼の主人は言った。「私たちは、イスラエル人ではない外国人の町には立ち寄らない。さあ、ギブアまで進もう。」 + それから、彼は若い者に言った。「さあ、ギブアかラマのどちらかの地に着いて、そこで一夜を明かそう。」 + こうして、彼らは進んで行った。彼らがベニヤミンに属するギブアの近くに来たとき、日は沈んだ。 + 彼らはギブアに行って泊まろうとして、そこに立ち寄り、町に入って行って、広場にすわった。だれも彼らを迎えて家に泊めてくれる者がいなかったからである。 + そこへ、夕暮れになって野ら仕事から帰ったひとりの老人がやって来た。この人はエフライムの山地の人で、ギブアに滞在していた。この土地の者たちはベニヤミン族であった。 + 目を上げて、町の広場にいる旅人を見たとき、この老人は、「どちらへおいでですか。どちらからおいでになったのですか」と尋ねた。 + そこで、その人は彼に言った。「私たちは、ユダのベツレヘムから、エフライムの山地の奥まで旅を続けているのです。私はその奥地の者です。ユダのベツレヘムまで行って来ました。今、主の宮へ帰る途中ですが、だれも私を家に迎えてくれる者がありません。 + 私たちのろばのためには、わらも飼葉もあり、また、私と、妻と、私たちといっしょにいる若い者とのためにはパンも酒もあります。足りないものは何もありません。」 + すると、この老人は言った。「安心なさい。ただ、足りないものはみな、私に任せて。ただ広場では夜を過ごさないでください。」 + こうして彼は、この人を自分の家に連れて行き、ろばに、まぐさをやった。彼らは足を洗って、食べたり飲んだりした。 + 彼らが楽しんでいると、町の者で、よこしまな者たちが、その家を取り囲んで、戸をたたき続けた。そして彼らは、その家の主人である老人に言った。「あなたの家に来たあの男を引き出せ。あの男を知りたい。」 + そこで、家の主人であるその人は彼らのところに出て行って言った。「いけない。兄弟たちよ。どうか悪いことはしないでくれ。この人が私の家に入って後に、そんな恥ずべきことはしないでくれ。 + ここに処女の私の娘と、あの人のそばめがいる。今、ふたりを連れ出すから、彼らをはずかしめて、あなたがたの好きなようにしなさい。あの人には、そのような恥ずべきことはしないでくれ。」 + しかし、人々は彼に聞こうとしなかった。そこで、その人は自分のそばめをつかんで、外の彼らのところへ出した。すると、彼らは彼女を犯して、夜通し、朝まで暴行を加え、夜が明けかかるころ彼女を放した。 + 夜明け前に、その女は自分の主人のいるその人の家の戸口に来て倒れ、明るくなるまでそこにいた。 + その女の主人は、朝になって起き、家の戸を開いて、旅に出ようとして外に出た。見ると、そこに自分のそばめであるその女が、手を敷居にかけて、家の入口に倒れていた。 + それで、彼はその女に、「立ちなさい。行こう」と言ったが、何の返事もなかった。それで、その人は彼女をろばに乗せ、立って自分の所へ向かって行った。 + 彼は自分の家に着くと、刀を取り、自分のそばめをつかんで、その死体を十二の部分に切り分けて、イスラエルの国中に送った。 + それを見た者はみな言った。「イスラエル人がエジプトの地から上って来た日から今日まで、こんなことは起こったこともなければ、見たこともない。このことをよく考えて、相談をし、意見を述べよ。」 + + + そこで、ダンからベエル・シェバ、およびギルアデの地に至るイスラエル人はみな、出て来て、その会衆は、こぞってミツパの主のところに集まった。 + イスラエルの全部族、民全体のかしらたち、四十万の剣を使う歩兵が神の民の集まりに出た。 + ――ベニヤミン族は、イスラエル人がミツパに上って来たことを聞いた――イスラエル人は、「こんな悪い事がどうして起こったのか、話してください」と言った。 + 殺された女の夫であるレビ人は答えて言った。「私は、そばめといっしょに、ベニヤミンに属するギブアに行き、一夜を明かそうとしました。 + すると、ギブアの者たちは私を襲い、夜中に私のいる家を取り囲み、私を殺そうと計りましたが、彼らは私のそばめに暴行を加えました。それで彼女は死にました。 + そこで私は、そばめをつかみ、彼女を切り分け、それをイスラエルの相続地の全地に送りました。これは、彼らがイスラエルの中で、みだらな恥ずべきことを行ったからです。 + さあ、あなたがたイスラエル人のすべてよ。今ここで、意見を述べて、相談してください。」 + そこで、民はみな、こぞって立ち上がって言った。「私たちは、だれも自分の天幕に帰らない。だれも自分の家に戻らない。 + 今、私たちがギブアに対してしようとしていることはこうだ。くじを引いて、攻め上ろう。 + 私たちは、イスラエルの全部族について、百人につき十人、千人につき百人、一万人につき千人をとって、民のための糧食を持って行かせ、民がベニヤミンのギブアに行って、ベニヤミンがイスラエルでしたこのすべての恥ずべき行いに対して、報復させよう。」 + こうして、イスラエル人はみな団結し、こぞってその町に集まって来た。 + それから、イスラエルの諸部族は、ベニヤミンの諸族のすべてに人をやって言わせた。「あなたがたのうちに起こったあの悪い事は、何ということか。 + 今、ギブアにいるあのよこしまな者たちを渡せ。彼らを殺して、イスラエルから悪を除き去ろう。」ベニヤミン族は、自分たちの同族イスラエル人の言うことに聞き従おうとしなかった。 + それどころか、ベニヤミン族は町々からギブアに集まり、イスラエル人との戦いに出て行こうとした。 + その日、ベニヤミン族は、町々から二万六千人の剣を使う者を召集した。そのほかにギブアの住民のうちから七百人の精鋭を召集した。 + この民全体のうちに、左ききの精鋭が七百人いた。彼らはみな、一本の毛をねらって石を投げて、失敗することがなかった。 + イスラエル人は、ベニヤミンを除いて、剣を使う者四十万人を召集した。彼らはみな、戦士であった。 + イスラエル人は立ち上がって、ベテルに上り、神に伺って言った。「私たちのため、だれが最初に上って行って、ベニヤミン族と戦うのでしょうか。」すると、主は仰せられた。「ユダが最初だ。」 + 朝になると、イスラエル人は立ち上がり、ギブアに対して陣を敷いた。 + イスラエル人はベニヤミンとの戦いに出て行った。そのとき、イスラエル人はギブアで彼らと戦うための陣ぞなえをした。 + ベニヤミン族はギブアから出て来て、その日、イスラエル人二万二千人をその場で殺した。 + しかし、この民、イスラエル人は奮い立って、初めの日に陣を敷いた場所で、再び戦いの備えをした。 + そしてイスラエル人は上って行って、主の前で夕方まで泣き、主に伺って言った。「私は再び、私の兄弟ベニヤミン族に近づいて戦うべきでしょうか。」すると、主は仰せられた。「攻め上れ。」 + そこで、イスラエル人は次の日、ベニヤミン族に攻め寄せたが、 + ベニヤミンも次の日、ギブアから出て来て、彼らを迎え撃ち、再びイスラエル人のうち一万八千人をその場で殺した。これらの者はみな、剣を使う者であった。 + それで、すべてのイスラエル人は、全民こぞってベテルに上って行って、泣き、その所で主の前にすわり、その日は、夕方まで断食をし、全焼のいけにえと和解のいけにえを主の前にささげた。 + そして、イスラエル人は主に伺い、――当時、神の契約の箱はそこにあった。 + 当時、アロンの子エルアザルの子ピネハスが、御前に仕えていた――そして言った。「私はまた、出て行って、私の兄弟ベニヤミン族と戦うべきでしょうか。それとも、やめるべきでしょうか。」主は仰せられた。「攻め上れ。あす、彼らをあなたがたの手に渡す。」 + そこで、イスラエルはギブアの回りに伏兵を置いた。 + 三日目にイスラエル人は、ベニヤミン族のところに攻め上り、先のようにギブアに対して陣ぞなえをした。 + すると、ベニヤミン族は、この民を迎え撃つために出て来た。彼らは町からおびき出された。彼らは、一つはベテルに、他の一つはギブアに上る大路で、この前のようにこの民を打ち始め、イスラエル人約三十人を戦場で刺し殺した。 + ベニヤミン族は、「彼らは最初のときのようにわれわれに打ち負かされる」と思った。イスラエル人は言った。「さあ、逃げよう。そして彼らを町から大路におびき出そう。」 + イスラエル人はみな、その持ち場を立ち、バアル・タマルで陣ぞなえをした。一方、イスラエルの伏兵たちは、自分たちの持ち場、マアレ・ゲバからおどり出た。 + こうして、全イスラエルの精鋭一万人がギブアに向かってやって来た。戦いは激しかった。ベニヤミン族は、わざわいが自分たちに迫っているのに気がつかなかった。 + こうして、主がイスラエルによってベニヤミンを打ったので、イスラエル人は、その日、ベニヤミンのうち二万五千百人を殺した。これらの者はみな、剣を使う者であった。 + ベニヤミン族は、自分たちが打ち負かされたのを見た。イスラエル人がベニヤミンの前から退却したのは、ギブアに対して伏せていた伏兵を信頼したからであった。 + 伏兵は急ぎギブアに突入した。伏兵はその勢いに乗って、町中を剣の刃で打ちまくった。 + イスラエル人と伏兵との間には、合図が決めてあって、町からのろしが上げられたら、 + イスラエル人は引き返して戦うようになっていた。ベニヤミンは、約三十人のイスラエル人を打ち殺し始めた。「彼らは、きっと最初の戦いのときのように、われわれに打ち負かされるに違いない」と思ったのである。 + そのころ、のろしが煙の柱となって町から上り始めた。ベニヤミンは、うしろを振り向いた。見よ。町全体から煙が天に上っていた。 + そこへ、イスラエル人が引き返して来たので、ベニヤミン人は、わざわいが自分たちに迫っているのを見て、うろたえた。 + それで、彼らはイスラエル人の前から荒野のほうへ向かったが、戦いは彼らに追い迫り、町々から出て来た者も合流して、彼らを殺した。 + イスラエル人はベニヤミンを包囲して追いつめ、ヌアから東のほうギブアの向こう側まで踏みにじった。 + こうして、一万八千人のベニヤミンが倒れた。これらの者はみな、力ある者たちであった。 + また残りの者は荒野のほうに向かってリモンの岩に逃げたが、イスラエル人は、大路でそのうちの五千人を打ち取り、なお残りをギデオムまで追跡して、そのうちの二千人を打ち殺した。 + こうして、その日ベニヤミンの中で倒れた者はみなで二万五千人、剣を使う力ある者たちであった。 + それでも、六百人の者は荒野のほうに向かってリモンの岩に逃げ、四か月間、リモンの岩にいた。 + イスラエル人は、ベニヤミン族のところへ引き返し、無傷のままだった町をはじめ、家畜、見つかったものすべてを剣の刃で打ち、また見つかったすべての町々に火を放った。 + + + イスラエル人はミツパで、「私たちはだれも、娘をベニヤミンにとつがせない」と言って誓っていた。 + そこで、民はベテルに来て、そこで夕方まで神の前にすわり、声をあげて激しく泣いた。 + そして、彼らは言った。「イスラエルの神、主よ。なぜイスラエルにこのようなことが起こって、きょう、イスラエルから一つの部族が欠けるようになったのですか。」 + 翌日になって、民は朝早く、そこに一つの祭壇を築き、全焼のいけにえと和解のいけにえをささげた。 + そこで、イスラエルの人々は、「イスラエルの全部族のうちで、主のところの集まりに上って来なかった者はだれか」と言った。彼らがミツパの主のところに上って来なかった者について、「その者は必ず殺されなければならない」と言って、重い誓いを立てていたからである。 + イスラエル人は、その兄弟ベニヤミンのことで悔やんだ。それで言った。「きょう、イスラエルから、一つの部族が切り捨てられた。 + あの残った者たちに妻をめとらせるにはどうすればよいだろうか。私たちは主にかけて、彼らに娘をとつがせないと誓ったのだ。」 + ついで、彼らは言った。「イスラエルの部族のうちで、どこの者がミツパの主のところに上って来なかったのか。」見ると、ヤベシュ・ギルアデからは、ひとりも陣営に、その集まりに、出ていなかった。 + 民は点呼したが、ヤベシュ・ギルアデの住民はひとりもそこにいなかった。 + 会衆は、一万二千人の勇士をそこに送り、彼らに命じて言った。「行って、ヤベシュ・ギルアデの住民を、剣の刃で打て。女や子どもも。 + あなたがたは、こうしなければならない。男はみな、そして男と寝たことのある女はみな、聖絶しなければならない。」 + こうして、彼らはヤベシュ・ギルアデの住民のうちから、男と寝たことがなく、男を知らない若い処女四百人を見つけ出した。彼らは、この女たちをカナンの地にあるシロの陣営に連れて来た。 + それから、全会衆は、リモンの岩にいるベニヤミン族に使いをやり、彼らに和解を呼びかけたが、 + そのとき、ベニヤミンは引き返して来たので、ヤベシュ・ギルアデの女のうちから生かしておいた女たちを彼らに与えた。しかし、彼らには足りなかった。 + 民はベニヤミンのことで悔やんでいた。主がイスラエルの部族の間を裂かれたからである。 + そこで、会衆の長老たちは言った。「あの残った者たちに妻をめとらせるにはどうしたらよかろう。ベニヤミンのうちから女が根絶やしにされたのだ。」 + ついで彼らは言った。「ベニヤミンののがれた者たちの跡継ぎがなければならない。イスラエルから一つの部族が消し去られてはならない。 + しかし、私たちの娘を彼らにとつがせることはできない。イスラエル人は、『ベニヤミンに妻を与える者はのろわれる』と言って誓っているからだ。」 + それで、彼らは言った。「そうだ。毎年、シロで主の祭りがある。」――この町はベテルの北にあって、ベテルからシェケムに上る大路の日の上る方、レボナの南にある―― + それから、彼らはベニヤミン族に命じて言った。「行って、ぶどう畑で待ち伏せして、 + 見ていなさい。もしシロの娘たちが踊りに出て来たら、あなたがたはぶどう畑から出て、めいめい自分の妻をシロの娘たちのうちから捕らえ、ベニヤミンの地に行きなさい。 + もし、女たちの父や兄弟が私たちに苦情を言いに来たら、私たちは彼らに、『私たちのため、彼らに情けをかけてやってください。私たちは戦争のときに彼らのひとりひとりに妻をとらせなかったし、あなたがたも娘を彼らに与えませんでした。もしそうしていたら、あなたがたは、罪に定められたでしょう』と言います。」 + ベニヤミン族はそのようにした。彼らは女たちを自分たちの数にしたがって、連れて来た。踊っているところを、彼らが略奪した女たちである。それから彼らは戻って、自分たちの相続地に帰り、町々を再建して、そこに住んだ。 + こうして、イスラエル人は、そのとき、そこを去って、めいめい自分の部族と氏族のところに帰って行き、彼らはそこからめいめい自分の相続地へ出て行った。 + そのころ、イスラエルには王がなく、めいめいが自分の目に正しいと見えることを行っていた。 + +
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+ + さばきつかさが治めていたころ、この地にききんがあった。それで、ユダのベツレヘムの人が妻とふたりの息子を連れてモアブの野へ行き、そこに滞在することにした。 + その人の名はエリメレク。妻の名はナオミ。ふたりの息子の名はマフロンとキルヨン。彼らはユダのベツレヘムの出のエフラテ人であった。彼らがモアブの野へ行き、そこにとどまっているとき、 + ナオミの夫エリメレクは死に、彼女とふたりの息子があとに残された。 + ふたりの息子はモアブの女を妻に迎えた。ひとりの名はオルパで、もうひとりの名はルツであった。こうして、彼らは約十年の間、そこに住んでいた。 + しかし、マフロンとキルヨンのふたりもまた死んだ。こうしてナオミはふたりの子どもと夫に先立たれてしまった。 + そこで、彼女は嫁たちと連れ立って、モアブの野から帰ろうとした。モアブの野でナオミは、主がご自分の民を顧みて彼らにパンを下さったと聞いたからである。 + そこで、彼女はふたりの嫁といっしょに、今まで住んでいた所を出て、ユダの地へ戻るため帰途についた。 + そのうちに、ナオミはふたりの嫁に、「あなたがたは、それぞれ自分の母の家へ帰りなさい。あなたがたが、なくなった者たちと私にしてくれたように、主があなたがたに恵みを賜り、 + あなたがたが、それぞれ夫の家で平和な暮らしができるように主がしてくださいますように」と言った。そしてふたりに口づけしたので、彼女たちは声をあげて泣いた。 + ふたりはナオミに言った。「いいえ。私たちは、あなたの民のところへあなたといっしょに帰ります。」 + しかしナオミは言った。「帰りなさい。娘たち。なぜ私といっしょに行こうとするのですか。あなたがたの夫になるような息子たちが、まだ、私のお腹にいるとでもいうのですか。 + 帰りなさい。娘たち。さあ、行きなさい。私は年をとって、もう夫は持てません。たとい私が、自分には望みがあると思って、今晩でも夫を持ち、息子たちを産んだとしても、 + それだから、あなたがたは息子たちの成人するまで待とうというのですか。だから、あなたがたは夫を持たないままでいるというのですか。娘たち。それはいけません。私をひどく苦しませるだけです。主の御手が私に下ったのですから。」 + 彼女たちはまた声をあげて泣き、オルパはしゅうとめに別れの口づけをしたが、ルツは彼女にすがりついていた。 + ナオミは言った。「ご覧なさい。あなたの弟嫁は、自分の民とその神のところへ帰って行きました。あなたも弟嫁にならって帰りなさい。」 + ルツは言った。「あなたを捨て、あなたから別れて帰るように、私にしむけないでください。あなたの行かれる所へ私も行き、あなたの住まれる所に私も住みます。あなたの民は私の民、あなたの神は私の神です。 + あなたの死なれる所で私は死に、そこに葬られたいのです。もし死によっても私があなたから離れるようなことがあったら、主が幾重にも私を罰してくださるように。」 + ナオミは、ルツが自分といっしょに行こうと堅く決心しているのを見ると、もうそれ以上は何も言わなかった。 + それから、ふたりは旅をして、ベツレヘムに着いた。彼女たちがベツレヘムに着くと、町中がふたりのことで騒ぎ出し、女たちは、「まあ。ナオミではありませんか」と言った。 + ナオミは彼女たちに言った。「私をナオミと呼ばないで、マラと呼んでください。全能者が私をひどい苦しみに会わせたのですから。 + 私は満ち足りて出て行きましたが、主は私を素手で帰されました。なぜ私をナオミと呼ぶのですか。主は私を卑しくし、全能者が私をつらいめに会わせられましたのに。」 + こうして、ナオミは、嫁のモアブの女ルツといっしょに、モアブの野から帰って来て、大麦の刈り入れの始まったころ、ベツレヘムに着いた。 + + + ナオミには、夫の親戚で、エリメレクの一族に属するひとりの有力者がいた。その人の名はボアズであった。 + モアブの女ルツはナオミに言った。「どうぞ、畑に行かせてください。私に親切にしてくださる方のあとについて落ち穂を拾い集めたいのです。」すると、ナオミは彼女に、「娘よ。行っておいで」と言った。 + ルツは出かけて行って、刈る人たちのあとについて、畑で落ち穂を拾い集めたが、それは、はからずもエリメレクの一族に属するボアズの畑のうちであった。 + ちょうどその時、ボアズはベツレヘムからやって来て、刈る者たちに言った。「主があなたがたとともにおられますように。」彼らは、「主があなたを祝福されますように」と答えた。 + ボアズは刈る者たちの世話をしている若者に言った。「これはだれの娘か。」 + 刈る者たちの世話をしている若者は答えて言った。「あれは、ナオミといっしょにモアブの野から帰って来たモアブの娘です。 + 彼女は、『どうぞ、刈る人たちのあとについて、束の間で、落ち穂を拾い集めさせてください』と言い、ここに来て、朝から今まで家で休みもせず、ずっと立ち働いています。」 + ボアズはルツに言った。「娘さん。よく聞きなさい。ほかの畑に落ち穂を拾いに行ったり、ここから出て行ったりしてはいけません。私のところの若い女たちのそばを離れないで、ここにいなさい。 + 刈り取っている畑を見つけて、あとについて行きなさい。私は若者たちに、あなたのじゃまをしてはならないと、きつく命じておきました。のどが渇いたら、水がめのところへ行って、若者たちの汲んだのを飲みなさい。」 + 彼女は顔を伏せ、地面にひれ伏して彼に言った。「私が外国人であるのを知りながら、どうして親切にしてくださるのですか。」 + ボアズは答えて言った。「あなたの夫がなくなってから、あなたがしゅうとめにしたこと、それにあなたの父母や生まれた国を離れて、これまで知らなかった民のところに来たことについて、私はすっかり話を聞いています。 + 主があなたのしたことに報いてくださるように。また、あなたがその翼の下に避け所を求めて来たイスラエルの神、主から、豊かな報いがあるように。」 + 彼女は言った。「ご主人さま。私はあなたのご好意にあずかりとう存じます。私はあなたのはしためのひとりでもありませんのに、あなたは私を慰め、このはしためにねんごろに話しかけてくださったからです。」 + 食事のとき、ボアズは彼女に言った。「ここに来て、このパンを食べ、あなたのパン切れを酢に浸しなさい。」彼女が刈る者たちのそばにすわったので、彼は炒り麦を彼女に取ってやった。彼女はそれを食べ、十分食べて、余りを残しておいた。 + 彼女が落ち穂を拾い集めようとして立ち上がると、ボアズは若者たちに命じて言った。「あの女には束の間でも穂を拾い集めさせなさい。あの女に恥ずかしい思いをさせてはならない。 + それだけでなく、あの女のために、束からわざと穂を抜き落としておいて、拾い集めさせなさい。あの女をしかってはいけない。」 + こうして彼女は、夕方まで畑で落ち穂を拾い集めた。拾ったのを打つと、大麦が一エパほどあった。 + 彼女はそれを持って町に行き、しゅうとめにその拾い集めたのを見せ、また、先に十分食べてから残しておいたのを取り出して、彼女に与えた。 + しゅうとめは彼女に言った。「きょう、どこで落ち穂を拾い集めたのですか。どこで働いたのですか。あなたに目を留めてくださった方に祝福がありますように。」彼女はしゅうとめに自分の働いてきた所のことを告げ、「きょう、私はボアズという名の人の所で働きました」と言った。 + ナオミは嫁に言った。「生きている者にも、死んだ者にも、御恵みを惜しまれない主が、その方を祝福されますように。」それから、ナオミは彼女に言った。「その方は私たちの近親者で、しかも買い戻しの権利のある私たちの親類のひとりです。」 + モアブの女ルツは言った。「その方はまた、『私のところの刈り入れが全部終わるまで、私の若者たちのそばを離れてはいけない』と私におっしゃいました。」 + ナオミは嫁のルツに言った。「娘よ。あの方のところの若い女たちといっしょに出かけるのは、けっこうなことです。ほかの畑でいじめられなくても済みます。」 + それで、彼女はボアズのところの若い女たちのそばを離れないで、大麦の刈り入れと小麦の刈り入れの終わるまで、落ち穂を拾い集めた。こうして、彼女はしゅうとめと暮らした。 + + + しゅうとめナオミは彼女に言った。「娘よ。あなたがしあわせになるために、身の落ち着く所を私が捜してあげなければならないのではないでしょうか。 + ところで、あなたが若い女たちといっしょにいた所のあのボアズは、私たちの親戚ではありませんか。ちょうど今夜、あの方は打ち場で大麦をふるい分けようとしています。 + あなたはからだを洗って、油を塗り、晴れ着をまとい、打ち場に下って行きなさい。しかし、あの方の食事が終わるまで、気づかれないようにしなさい。 + あの方が寝るとき、その寝る所を見届けてから入って行き、その足のところをまくって、そこに寝なさい。あの方はあなたのすべきことを教えてくれましょう。」 + ルツはしゅうとめに言った。「私におっしゃることはみないたします。」 + こうして、彼女は打ち場に下って行って、しゅうとめが命じたすべてのことをした。 + ボアズは飲み食いして、気持ちがよくなると、積み重ねてある麦の端に行って寝た。それで、彼女はこっそり行って、ボアズの足のところをまくって、そこに寝た。 + 夜中になって、その人はびっくりして起き直った。なんと、ひとりの女が、自分の足のところに寝ているではないか。 + 彼は言った。「あなたはだれか。」彼女は答えた。「私はあなたのはしためルツです。あなたのおおいを広げて、このはしためをおおってください。あなたは買い戻しの権利のある親類ですから。」 + すると、ボアズは言った。「娘さん。主があなたを祝福されるように。あなたのあとからの真実は、先の真実にまさっています。あなたは貧しい者でも、富む者でも、若い男たちのあとを追わなかったからです。 + さあ、娘さん。恐れてはいけません。あなたの望むことはみな、してあげましょう。この町の人々はみな、あなたがしっかりした女であることを知っているからです。 + ところで、確かに私は買い戻しの権利のある親類です。しかし、私よりももっと近い買い戻しの権利のある親類がおります。 + 今晩はここで過ごしなさい。朝になって、もしその人があなたに親類の役目を果たすなら、けっこうです。その人に親類の役目を果たさせなさい。しかし、もしその人があなたに親類の役目を果たすことを喜ばないなら、私があなたを買い戻します。主は生きておられる。とにかく、朝までおやすみなさい。」 + こうして、彼女は朝まで彼の足のところに寝たが、だれかれの見分けがつかないうちに起き上がった。彼は、「打ち場にこの女の来たことが知られてはならない」と思ったので、 + 「あなたの着ている外套を持って来て、それをしっかりつかんでいなさい」と言い、彼女がそれをしっかりつかむうちに、大麦六杯を量って、それを彼女に負わせた。こうして彼は町へ行った。 + 彼女がしゅうとめのところに行くと、しゅうとめは尋ねた。「娘よ。どうでしたか。」ルツは、その人が自分にしたことをみな、しゅうとめに告げて、 + 言った。「あなたのしゅうとめのところに素手で帰ってはならないと言って、あの方は、この大麦六杯を私に下さいました。」 + しゅうとめは言った。「娘よ。このことがどうおさまるかわかるまで待っていなさい。あの方は、きょう、そのことを決めてしまわなければ、落ち着かないでしょうから。」 + + + 一方、ボアズは門のところへ上って行って、そこにすわった。すると、ちょうど、ボアズが言ったあの買い戻しの権利のある親類の人が通りかかった。ボアズは、彼にことばをかけた。「ああ、もしもし、こちらに立ち寄って、おすわりになってください。」彼は立ち寄ってすわった。 + それから、ボアズは、町の長老十人を招いて、「ここにおすわりください」と言ったので、彼らもすわった。 + そこで、ボアズは、その買い戻しの権利のある親類の人に言った。「モアブの野から帰って来たナオミは、私たちの身内のエリメレクの畑を売ることにしています。4私はそれをあなたの耳に入れ、ここにすわっている人々と私の民の長老たちとの前で、それを買いなさいと、言おうと思ったのです。もし、あなたがそれを買い戻すつもりなら、それを買い戻してください。しかし、もしそれを買い戻さないのなら、私にそう言って知らせてください。あなたをさしおいて、それを買い戻す人はいないのです。私はあなたの次なのですから。」すると彼は言った。「私が買い戻しましょう。」 + そこで、ボアズは言った。「あなたがナオミの手からその畑を買うときには、死んだ者の名をその相続地に起こすために、死んだ者の妻であったモアブの女ルツをも買わなければなりません。」 + その買い戻しの権利のある親類の人は言った。「私には自分のために、その土地を買い戻すことはできません。私自身の相続地をそこなうことになるといけませんから。あなたが私に代わって買い戻してください。私は買い戻すことができませんから。」 + 昔、イスラエルでは、買い戻しや権利の譲渡をする場合、すべての取り引きを有効にするために、一方が自分のはきものを脱いで、それを相手に渡す習慣があった。これがイスラエルにおける証明の方法であった。 + それで、この買い戻しの権利のある親類の人はボアズに、「あなたがお買いなさい」と言って、自分のはきものを脱いだ。 + そこでボアズは、長老たちとすべての民に言った。「あなたがたは、きょう、私がナオミの手から、エリメレクのすべてのもの、それからキルヨンとマフロンのすべてのものを買い取ったことの証人です。 + さらに、死んだ者の名をその相続地に起こすために、私はマフロンの妻であったモアブの女ルツを買って、私の妻としました。死んだ者の名を、その身内の者たちの間から、また、その町の門から絶えさせないためです。きょう、あなたがたはその証人です。」 + すると、門にいた人々と長老たちはみな、言った。「私たちは証人です。どうか、主が、あなたの家に入る女を、イスラエルの家を建てたラケルとレアのふたりのようにされますように。あなたはエフラテで力ある働きをし、ベツレヘムで名をあげなさい。 + また、主がこの若い女を通してあなたに授ける子孫によって、あなたの家が、タマルがユダに産んだペレツの家のようになりますように。」 + こうしてボアズはルツをめとり、彼女は彼の妻となった。彼が彼女のところに入ったとき、主は彼女をみごもらせたので、彼女はひとりの男の子を産んだ。 + 女たちはナオミに言った。「イスラエルで、その名が伝えられるよう、きょう、買い戻す者をあなたに与えて、あなたの跡を絶やさなかった主が、ほめたたえられますように。 + その子は、あなたを元気づけ、あなたの老後をみとるでしょう。あなたを愛し、七人の息子にもまさるあなたの嫁が、その子を産んだのですから。」 + ナオミはその子をとり、胸に抱いて、養い育てた。 + 近所の女たちは、「ナオミに男の子が生まれた」と言って、その子に名をつけた。彼女たちは、その名をオベデと呼んだ。オベデはダビデの父エッサイの父である。 + ペレツの家系は次のとおりである。ペレツの子はヘツロン、 + ヘツロンの子はラム、ラムの子はアミナダブ、 + アミナダブの子はナフション、ナフションの子はサルモン、 + サルモンの子はボアズ、ボアズの子はオベデ、 + オベデの子はエッサイ、エッサイの子はダビデである。 + +
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+ + エフライムの山地ラマタイム・ツォフィムに、その名をエルカナというひとりの人がいた。この人はエロハムの子、順次さかのぼって、エリフの子、トフの子、エフライム人ツフの子であった。 + エルカナには、ふたりの妻があった。ひとりの妻の名はハンナ、もうひとりの妻の名はペニンナと言った。ペニンナには子どもがあったが、ハンナには子どもがなかった。 + この人は自分の町から毎年シロに上って、万軍の主を礼拝し、いけにえをささげていた。そこにはエリのふたりの息子、主の祭司ホフニとピネハスがいた。 + その日になると、エルカナはいけにえをささげ、妻のペニンナ、彼女のすべての息子、娘たちに、それぞれの受ける分を与えた。 + しかしハンナには特別の受け分を与えていた。主は彼女の胎を閉じておられたが、彼がハンナを愛していたからである。 + 彼女を憎むペニンナは、主がハンナの胎を閉じておられるというので、ハンナが気をもんでいるのに、彼女をひどくいらだたせるようにした。 + 毎年、このようにして、彼女が主の宮に上って行くたびに、ペニンナは彼女をいらだたせた。そのためハンナは泣いて、食事をしようともしなかった。 + それで夫エルカナは彼女に言った。「ハンナ。なぜ、泣くのか。どうして、食べないのか。どうして、ふさいでいるのか。あなたにとって、私は十人の息子以上の者ではないのか。」 + シロでの食事が終わって、ハンナは立ち上がった。そのとき、祭司エリは、主の宮の柱のそばの席にすわっていた。 + ハンナの心は痛んでいた。彼女は主に祈って、激しく泣いた。 + そして誓願を立てて言った。「万軍の主よ。もし、あなたが、はしための悩みを顧みて、私を心に留め、このはしためを忘れず、このはしために男の子を授けてくださいますなら、私はその子の一生を主におささげします。そして、その子の頭に、かみそりを当てません。」 + ハンナが主の前で長く祈っている間、エリはその口もとを見守っていた。 + ハンナは心のうちで祈っていたので、くちびるが動くだけで、その声は聞こえなかった。それでエリは彼女が酔っているのではないかと思った。 + エリは彼女に言った。「いつまで酔っているのか。酔いをさましなさい。」 + ハンナは答えて言った。「いいえ、祭司さま。私は心に悩みのある女でございます。ぶどう酒も、お酒も飲んではおりません。私は主の前に、私の心を注ぎ出していたのです。 + このはしためを、よこしまな女と思わないでください。私はつのる憂いといらだちのため、今まで祈っていたのです。」 + エリは答えて言った。「安心して行きなさい。イスラエルの神が、あなたの願ったその願いをかなえてくださるように。」 + 彼女は、「はしためが、あなたのご好意にあずかることができますように」と言った。それからこの女は帰って食事をした。彼女の顔は、もはや以前のようではなかった。 + 翌朝早く、彼らは主の前で礼拝をし、ラマにある自分たちの家へ帰って行った。エルカナは自分の妻ハンナを知った。主は彼女を心に留められた。 + 日が改まって、ハンナはみごもり、男の子を産んだ。そして「私がこの子を主に願ったから」と言って、その名をサムエルと呼んだ。 + 夫のエルカナは、家族そろって、年ごとのいけにえを主にささげ、自分の誓願を果たすために上って行こうとしたが、 + ハンナは夫に、「この子が乳離れし、私がこの子を連れて行き、この子が主の御顔を拝し、いつまでも、そこにとどまるようになるまでは」と言って、上って行かなかった。 + 夫のエルカナは彼女に言った。「あなたの良いと思うようにしなさい。この子が乳離れするまで待ちなさい。ただ、主のおことばのとおりになるように。」こうしてこの女は、とどまって、その子が乳離れするまで乳を飲ませた。 + その子が乳離れしたとき、彼女は雄牛三頭、小麦粉一エパ、ぶどう酒の皮袋一つを携え、その子を連れ上り、シロの主の宮に連れて行った。その子は幼かった。 + 彼らは、雄牛一頭をほふり、その子をエリのところに連れて行った。 + ハンナは言った。「おお、祭司さま。あなたは生きておられます。祭司さま。私はかつて、ここのあなたのそばに立って、主に祈った女でございます。 + この子のために、私は祈ったのです。主は私がお願いしたとおり、私の願いをかなえてくださいました。 + それで私もまた、この子を主にお渡しいたします。この子は一生涯、主に渡されたものです。」こうして彼らはそこで主を礼拝した。 + + + ハンナは祈って言った。「私の心は主を誇り、私の角は主によって高く上がります。私の口は敵に向かって大きく開きます。私はあなたの救いを喜ぶからです。 + 主のように聖なる方はありません。あなたに並ぶ者はないからです。私たちの神のような岩はありません。 + 高ぶって、多くを語ってはなりません。横柄なことばを口から出してはなりません。まことに主は、すべてを知る神。そのみわざは確かです。 + 勇士の弓が砕かれ、弱い者が力を帯び、 + 食べ飽いた者がパンのために雇われ、飢えていた者が働きをやめ、不妊の女が七人の子を産み、多くの子を持つ女が、しおれてしまいます。 + 主は殺し、また生かし、よみに下し、また上げる。 + 主は、貧しくし、また富ませ、低くし、また高くするのです。 + 主は、弱い者をちりから起こし、貧しい人を、あくたから引き上げ、高貴な者とともに、すわらせ、彼らに栄光の位を継がせます。/まことに、地の柱は主のもの、その上に主は世界を据えられました。 + 主は聖徒たちの足を守られます。/悪者どもは、やみの中に滅びうせます。/まことに人は、おのれの力によっては勝てません。 + 主は、はむかう者を打ち砕き、その者に、天から雷鳴を響かせられます。/主は地の果て果てまでさばき、ご自分の王に力を授け、主に油そそがれた者の角を高く上げられます。」 + その後、エルカナはラマの自分の家に帰った。幼子は、祭司エリのもとで主に仕えていた。 + さて、エリの息子たちは、よこしまな者で、主を知らず、 + 民にかかわる祭司の定めについてもそうであった。だれかが、いけにえをささげていると、まだ肉を煮ている間に、祭司の子が三又の肉刺しを手にしてやって来て、 + これを、大なべや、かまや、大がまや、なべに突き入れ、肉刺しで取り上げたものをみな、祭司が自分のものとして取っていた。彼らはシロで、そこに来るすべてのイスラエルに、このようにしていた。 + それどころか、人々が脂肪を焼いて煙にしないうちに祭司の子はやって来て、いけにえをささげる人に、「祭司に、その焼く肉を渡しなさい。祭司は煮た肉は受け取りません。生の肉だけです」と言うので、 + 人が、「まず、脂肪をすっかり焼いて煙にし、好きなだけお取りなさい」と言うと、祭司の子は、「いや、いま渡さなければならない。でなければ、私は力ずくで取る」と言った。 + このように、子たちの罪は、主の前で非常に大きかった。主へのささげ物を、この人たちが侮ったからである。 + サムエルはまだ幼く、亜麻布のエポデを身にまとい、主の前に仕えていた。 + サムエルの母は、彼のために小さな上着を作り、毎年、夫とともに、その年のいけにえをささげに上って行くとき、その上着を持って行くのだった。 + エリは、エルカナとその妻を祝福して、「主がお求めになった者の代わりに、主がこの女により、あなたに子どもを賜りますように」と言い、彼らは、自分の家に帰るのであった。 + 事実、主はハンナを顧み、彼女はみごもって、三人の息子と、ふたりの娘を産んだ。少年サムエルは、主のみもとで成長した。 + エリは非常に年をとっていた。彼は自分の息子たちがイスラエル全体に行っていることの一部始終、それに彼らが会見の天幕の入口で仕えている女たちと寝ているということを聞いた。 + それでエリは息子たちに言った。「なぜ、おまえたちはこんなことをするのだ。私はこの民全部から、おまえたちのした悪いことについて聞いている。 + 子たちよ。そういうことをしてはいけない。私が主の民の言いふらしているのを聞くそのうわさは良いものではない。 + 人がもし、ほかの人に対して罪を犯すと、神がその仲裁をしてくださる。だが、人が主に対して罪を犯したら、だれが、その者のために仲裁に立とうか。」しかし、彼らは父の言うことを聞こうとしなかった。彼らを殺すことが主のみこころであったからである。 + 一方、少年サムエルはますます成長し、主にも、人にも愛された。 + そのころ、神の人がエリのところに来て、彼に言った。「主はこう仰せられる。/あなたの父の家がエジプトでパロの家に属していたとき、わたしは、この身を明らかに彼らに示したではないか。 + また、イスラエルの全部族から、その家を選び、わたしの祭司とし、わたしの祭壇に上り、香をたき、わたしの前でエポデを着るようにした。こうして、イスラエル人のすべての火によるささげ物を、あなたの父の家に与えた。 + なぜ、あなたがたは、わたしが命じたわたしへのいけにえ、わたしへのささげ物を、わたしの住む所で軽くあしらい、またあなたは、わたしよりも自分の息子たちを重んじて、わたしの民イスラエルのすべてのささげ物のうち最上の部分で自分たちを肥やそうとするのか。 + それゆえ、――イスラエルの神、主の御告げだ――あなたの家と、あなたの父の家とは、永遠にわたしの前を歩む、と確かに言ったが、今や、――主の御告げだ――絶対にそんなことはない。わたしは、わたしを尊ぶ者を尊ぶ。わたしをさげすむ者は軽んじられる。 + 見よ。わたしがあなたの腕と、あなたの父の家の腕とを切り落とし、あなたの家には年寄りがいなくなる日が近づいている。 + イスラエルはしあわせにされるのに、あなたはわたしの住む所で敵を見るようになろう。あなたの家には、いつまでも、年寄りがいなくなる。 + わたしは、ひとりの人をあなたのために、わたしの祭壇から断ち切らない。その人はあなたの目を衰えさせ、あなたの心をやつれさせよう。あなたの家の多くの者はみな、壮年のうちに死ななければならない。 + あなたのふたりの息子、ホフニとピネハスの身にふりかかることが、あなたへのしるしである。ふたりとも一日のうちに死ぬ。 + わたしは、わたしの心と思いの中で事を行う忠実な祭司を、わたしのために起こそう。わたしは彼のために長く続く家を建てよう。彼は、いつまでもわたしに油そそがれた者の前を歩むであろう。 + あなたの家の生き残った者はみな、賃金とパン一個を求めて彼のところに来ておじぎをし、『どうか、祭司の務めの一つでも私にあてがって、一切れのパンを食べさせてください』と言おう。」 + + + 少年サムエルはエリの前で主に仕えていた。そのころ、主のことばはまれにしかなく、幻も示されなかった。 + その日、エリは自分の所で寝ていた。――彼の目はかすんできて、見えなくなっていた―― + 神のともしびは、まだ消えていず、サムエルは、神の箱の安置されている主の宮で寝ていた。 + そのとき、主はサムエルを呼ばれた。彼は、「はい。ここにおります」と言って、 + エリのところに走って行き、「はい。ここにおります。私をお呼びになったので」と言った。エリは、「私は呼ばない。帰って、おやすみ」と言った。それでサムエルは戻って、寝た。 + 主はもう一度、サムエルを呼ばれた。サムエルは起きて、エリのところに行き、「はい。ここにおります。私をお呼びになったので」と言った。エリは、「私は呼ばない。わが子よ。帰って、おやすみ」と言った。 + サムエルはまだ、主を知らず、主のことばもまだ、彼に示されていなかった。 + 主が三度目にサムエルを呼ばれたとき、サムエルは起きて、エリのところに行き、「はい。ここにおります。私をお呼びになったので」と言った。そこでエリは、主がこの少年を呼んでおられるということを悟った。 + それで、エリはサムエルに言った。「行って、おやすみ。今度呼ばれたら、『主よ。お話しください。しもべは聞いております』と申し上げなさい。」サムエルは行って、自分の所で寝た。 + そのうちに主が来られ、そばに立って、これまでと同じように、「サムエル。サムエル」と呼ばれた。サムエルは、「お話しください。しもべは聞いております」と申し上げた。 + 主はサムエルに仰せられた。「見よ。わたしは、イスラエルに一つの事をしようとしている。それを聞く者はみな、二つの耳が鳴るであろう。 + その日には、エリの家についてわたしが語ったことをすべて、初めから終わりまでエリに果たそう。 + わたしは彼の家を永遠にさばくと彼に告げた。それは自分の息子たちが、みずからのろいを招くようなことをしているのを知りながら、彼らを戒めなかった罪のためだ。 + だから、わたしはエリの家について誓った。エリの家の咎は、いけにえによっても、穀物のささげ物によっても、永遠に償うことはできない。」 + サムエルは朝まで眠り、それから主の宮のとびらをあけた。サムエルは、この黙示についてエリに語るのを恐れた。 + ところが、エリはサムエルを呼んで言った。「わが子サムエルよ。」サムエルは、「はい。ここにおります」と答えた。 + エリは言った。「おまえにお告げになったことは、どんなことだったのか。私に隠さないでくれ。もし、おまえにお告げになったことばの一つでも私に隠すなら、神がおまえを幾重にも罰せられるように。」 + それでサムエルは、すべてのことを話して、何も隠さなかった。エリは言った。「その方は主だ。主がみこころにかなうことをなさいますように。」 + サムエルは成長した。主は彼とともにおられ、彼のことばを一つも地に落とされなかった。 + こうして全イスラエルは、ダンからベエル・シェバまで、サムエルが主の預言者に任じられたことを知った。 + 主は再びシロで現れた。主のことばによって、主がご自身をシロでサムエルに現されたからである。 + + + サムエルのことばが全イスラエルに行き渡ったころ、イスラエルはペリシテ人を迎え撃つために戦いに出て、エベン・エゼルのあたりに陣を敷いた。ペリシテ人はアフェクに陣を敷いた。 + ペリシテ人はイスラエルを迎え撃つ陣ぞなえをした。戦いが始まると、イスラエルはペリシテ人に打ち負かされ、約四千人が野の陣地で打たれた。 + 民が陣営に戻って来たとき、イスラエルの長老たちは言った。「なぜ主は、きょう、ペリシテ人の前でわれわれを打ったのだろう。シロから主の契約の箱をわれわれのところに持って来よう。そうすれば、それがわれわれの真ん中に来て、われわれを敵の手から救おう。」 + そこで民はシロに人を送った。彼らはそこから、ケルビムに座しておられる万軍の主の契約の箱をかついで来た。エリのふたりの息子、ホフニとピネハスも、神の契約の箱といっしょにそこに来た。 + 主の契約の箱が陣営に着いたとき、全イスラエルは大歓声をあげた。それで地はどよめいた。 + ペリシテ人は、その歓声を聞いて、「ヘブル人の陣営の、あの大歓声は何だろう」と言った。そして、主の箱が陣営に着いたと知ったとき、 + ペリシテ人は、「神が陣営に来た」と言って、恐れた。そして言った。「ああ、困ったことだ。今まで、こんなことはなかった。 + ああ、困ったことだ。だれがこの力ある神々の手から、われわれを救い出してくれよう。これらの神々は、荒野で、ありとあらゆる災害をもってエジプトを打った神々だ。 + さあ、ペリシテ人よ。奮い立て。男らしくふるまえ。さもないと、ヘブル人がおまえたちに仕えたように、おまえたちがヘブル人に仕えるようになる。男らしくふるまって戦え。」 + こうしてペリシテ人は戦ったので、イスラエルは打ち負かされ、おのおの自分たちの天幕に逃げた。そのとき、非常に激しい疫病が起こり、イスラエルの歩兵三万人が倒れた。 + 神の箱は奪われ、エリのふたりの息子、ホフニとピネハスは死んだ。 + その日、ひとりのベニヤミン人が、戦場から走って来て、シロに着いた。その着物は裂け、頭には土をかぶっていた。 + 彼が着いたとき、エリは道のそばに設けた席にすわって、見張っていた。神の箱のことを気づかっていたからである。この男が町に入って敗戦を知らせたので、町中こぞって泣き叫んだ。 + エリが、この泣き叫ぶ声を聞いて、「この騒々しい声は何だ」と尋ねると、この者は大急ぎでやって来て、エリに知らせた。 + エリは九十八歳で、その目はこわばり、何も見えなくなっていた。 + その男はエリに言った。「私は戦場から来た者です。私は、きょう、戦場から逃げて来ました。」するとエリは、「状況はどうか。わが子よ」と聞いた。 + この知らせを持って来た者は答えて言った。「イスラエルはペリシテ人の前から逃げ、民のうちに打たれた者が多く出ました。それにあなたのふたりの子息、ホフニとピネハスも死に、神の箱は奪われました。」 + 彼が神の箱のことを告げたとき、エリはその席から門のそばにあおむけに落ち、首を折って死んだ。年寄りで、からだが重かったからである。彼は四十年間、イスラエルをさばいた。 + 彼の嫁、ピネハスの妻は身ごもっていて、出産間近であったが、神の箱が奪われ、しゅうとと、夫が死んだという知らせを聞いたとき、陣痛が起こり、身をかがめて子を産んだ。 + 彼女が死にかけているので、彼女の世話をしていた女たちが、「しっかりしなさい。男の子が生まれましたよ」と言ったが、彼女は答えもせず、気にも留めなかった。 + 彼女は、「栄光がイスラエルから去った」と言って、その子をイ・カボデと名づけた。これは神の箱が奪われたこと、それに、しゅうとと、夫のことをさしたのである。 + 彼女は、「栄光はイスラエルを去りました。神の箱が奪われたから」と言った。 + + + ペリシテ人は神の箱を奪って、それをエベン・エゼルからアシュドデに運んだ。 + それからペリシテ人は神の箱を取って、それをダゴンの宮に運び、ダゴンのかたわらに安置した。 + アシュドデの人たちが、翌日、朝早く起きて見ると、ダゴンは主の箱の前に、地にうつぶせになって倒れていた。そこで彼らはダゴンを取り、それをもとの所に戻した。 + 次の日、朝早く彼らが起きて見ると、やはり、ダゴンは主の箱の前に、地にうつぶせになって倒れていた。ダゴンの頭と両腕は切り離されて敷居のところにあり、ダゴンの胴体だけが、そこに残っていた。 + それで、ダゴンの祭司たちや、ダゴンの宮に行く者はだれでも、今日に至るまで、アシュドデにあるダゴンの敷居を踏まない。 + さらに主の手はアシュドデの人たちの上に重くのしかかり、アシュドデとその地域の人々とを腫物で打って脅かした。 + アシュドデの人々は、この有様を見て言った。「イスラエルの神の箱を、私たちのもとにとどめておいてはならない。その神の手が私たちと、私たちの神ダゴンを、ひどいめに会わせるから。」 + それで彼らは人をやり、ペリシテ人の領主を全部そこに集め、「イスラエルの神の箱をどうしたらよいでしょうか」と尋ねた。彼らは、「イスラエルの神の箱をガテに移したらよかろう」と答えた。そこで彼らはイスラエルの神の箱を移した。 + それがガテに移されて後、主の手はこの町に下り、非常な大恐慌を引き起こし、この町の人々を、上の者も下の者もみな打ったので、彼らに腫物ができた。 + そこで、彼らは神の箱をエクロンに送った。神の箱がエクロンに着いたとき、エクロンの人たちは大声で叫んで言った。「私たちのところにイスラエルの神の箱を回して、私たちと、この民を殺すのか。」 + そこで彼らは人をやり、ペリシテ人の領主を全部集めて、「イスラエルの神の箱を送って、もとの所に戻っていただきましょう。私たちと、この民とを殺すことがないように」と言った。町中に死の恐慌があったからである。神の手は、そこに非常に重くのしかかっていた。 + 死ななかった者も腫物で打たれ、町の叫び声は天にまで上った。 + + + 主の箱は七か月もペリシテ人の野にあった。 + ペリシテ人は祭司たちと占い師たちを呼び寄せて言った。「主の箱を、どうしたらよいだろう。どのようにして、それをもとの所に送り返せるか、教えてもらいたい。」 + すると彼らは答えた。「イスラエルの神の箱を送り返すのなら、何もつけないで送り返してはなりません。彼に対して償いをしなければなりません。そうすれば、あなたがたはいやされましょう。なぜ、神の手があなたがたから去らないかがわかるでしょう。」 + 人々は言った。「私たちのする償いとは何ですか。」彼らは言った。「ペリシテ人の領主の数によって、五つの金の腫物、すなわち五つの金のねずみです。あなたがたみなと、あなたがたの領主へのわざわいは同じであったからです。 + あなたがたの腫物の像、すなわちこの地を荒らしたねずみの像を作り、イスラエルの神に栄光を帰するなら、たぶん、あなたがたと、あなたがたの神々と、この国とに下される神の手は、軽くなるでしょう。 + なぜ、あなたがたは、エジプト人とパロが心をかたくなにしたように、心をかたくなにするのですか。神が彼らをひどいめに会わせたときに、彼らは、イスラエルを自由にして、彼らを去らせたではありませんか。 + それで今、一台の新しい車を仕立て、くびきをつけたことのない、乳を飲ませている二頭の雌牛を取り、その雌牛を車につなぎ、子牛は引き離して牛小屋に戻しなさい。 + また主の箱を取ってその車に載せなさい。償いとして返す金の品物を鞍袋に入れ、そのかたわらに置き、それを行くがままにさせなければならない。 + あなたがたは、箱がその国への道をベテ・シェメシュに上って行けば、私たちにこの大きなわざわいを起こしたのは、あの箱だと思わなければならない。もし、行かなければ、その手は私たちを打たず、それは私たちに偶然起こったことだと知ろう。」 + 人々はそのようにした。彼らは乳を飲ませている二頭の雌牛を取り、それを車につないだ。子牛は牛小屋に閉じ込めた。 + そして主の箱を車に載せ、また金のねずみ、すなわち腫物の像を入れた鞍袋を載せた。 + すると雌牛は、ベテ・シェメシュへの道、一筋の大路をまっすぐに進み、鳴きながら進み続け、右にも左にもそれなかった。ペリシテ人の領主たちは、ベテ・シェメシュの国境まで、そのあとについて行った。 + ベテ・シェメシュの人々は、谷間で小麦の刈り入れをしていたが、目を上げたとき、神の箱が見えた。彼らはそれを見て喜んだ。 + 車はベテ・シェメシュ人ヨシュアの畑に入り、そこにとどまった。そこには大きな石があった。その人たちは、その車の木を割り、その雌牛を全焼のいけにえとして主にささげた。 + レビ人たちは、主の箱と、そばにあった金の品物の入っている鞍袋とを降ろし、その大きな石の上に置いた。ベテ・シェメシュの人たちは全焼のいけにえをささげ、その日、ほかのいけにえも主にささげた。 + 五人のペリシテ人の領主たちは、これを見て、その日のうちにエクロンへ帰った。 + ペリシテ人が、償いとして主に返した金の腫物は、アシュドデのために一つ、ガザのために一つ、アシュケロンのために一つ、ガテのために一つ、エクロンのために一つであった。 + すなわち金のねずみは、五人の領主のものであるペリシテ人のすべての町――城壁のある町から城壁のない村まで――の数によっていた。終わりに主の箱が安置されたアベルの大きな台は、今日までベテ・シェメシュ人ヨシュアの畑にある。 + 主はベテ・シェメシュの人たちを打たれた。主の箱の中を見たからである。そのとき主は、その民五万七十人を打たれた。主が民を激しく打たれたので、民は喪に服した。 + ベテ・シェメシュの人々は言った。「だれが、この聖なる神、主の前に立ちえよう。私たちのところから、だれのところへ上って行かれるのか。」 + そこで、彼らはキルヤテ・エアリムの住民に使者を送って言った。「ペリシテ人が主の箱を返してよこしました。下って来て、それをあなたがたのところに運び上げてください。」 + + + キルヤテ・エアリムの人々は来て、主の箱を運び上げ、それを丘の上のアビナダブの家に運び、彼の子エルアザルを聖別して、主の箱を守らせた。 + その箱がキルヤテ・エアリムにとどまった日から長い年月がたって、二十年になった。イスラエルの全家は主を慕い求めていた。 + そのころ、サムエルはイスラエルの全家に次のように言った。「もし、あなたがたが心を尽くして主に帰り、あなたがたの間から外国の神々やアシュタロテを取り除き、心を主に向け、主にのみ仕えるなら、主はあなたがたをペリシテ人の手から救い出されます。」 + そこでイスラエル人は、バアルやアシュタロテを取り除き、主にのみ仕えた。 + それで、サムエルは言った。「イスラエル人をみな、ミツパに集めなさい。私はあなたがたのために主に祈りましょう。」 + 彼らはミツパに集まり、水を汲んで主の前に注ぎ、その日は断食した。そうして、その所で言った。「私たちは主に対して罪を犯しました。」こうしてサムエルはミツパでイスラエル人をさばいた。 + イスラエル人がミツパに集まったことをペリシテ人が聞いたとき、ペリシテ人の領主たちはイスラエルに攻め上った。イスラエル人はこれを聞いて、ペリシテ人を恐れた。 + そこでイスラエル人はサムエルに言った。「私たちの神、主に叫ぶのをやめないでください。私たちをペリシテ人の手から救ってくださるように。」 + サムエルは乳離れしていない子羊一頭を取り、焼き尽くす全焼のいけにえとして主にささげた。サムエルはイスラエルのために主に叫んだ。それで主は彼に答えられた。 + サムエルが全焼のいけにえをささげていたとき、ペリシテ人がイスラエルと戦おうとして近づいて来たが、主はその日、ペリシテ人の上に、大きな雷鳴をとどろかせ、彼らをかき乱したので、彼らはイスラエル人に打ち負かされた。 + イスラエルの人々は、ミツパから出て、ペリシテ人を追い、彼らを打って、ベテ・カルの下にまで行った。 + そこでサムエルは一つの石を取り、それをミツパとシェンの間に置き、それにエベン・エゼルという名をつけ、「ここまで主が私たちを助けてくださった」と言った。 + こうしてペリシテ人は征服され、二度とイスラエルの領内に、入って来なかった。サムエルの生きている間、主の手がペリシテ人を防いでいた。 + ペリシテ人がイスラエルから奪った町々は、エクロンからガテまで、イスラエルに戻った。イスラエルはペリシテ人の手から、領土を解放した。そのころ、イスラエル人とエモリ人の間には平和があった。 + サムエルは、一生の間、イスラエルをさばいた。 + 彼は毎年、ベテル、ギルガル、ミツパを巡回し、それらの地でイスラエルをさばき、 + ラマに帰った。そこに自分の家があったからである。彼はそこでイスラエルをさばいた。彼はまた、そこに主のために一つの祭壇を築いた。 + + + サムエルは、年老いたとき、息子たちをイスラエルのさばきつかさとした。 + 長男の名はヨエル、次男の名はアビヤである。彼らはベエル・シェバで、さばきつかさであった。 + この息子たちは父の道に歩まず、利得を追い求め、わいろを取り、さばきを曲げていた。 + そこでイスラエルの長老たちはみな集まり、ラマのサムエルのところに来て、 + 彼に言った。「今や、あなたはお年を召され、あなたのご子息たちは、あなたの道を歩みません。どうか今、ほかのすべての国民のように、私たちをさばく王を立ててください。」 + 彼らが、「私たちをさばく王を与えてください」と言ったとき、そのことばはサムエルの気に入らなかった。そこでサムエルは主に祈った。 + 主はサムエルに仰せられた。「この民があなたに言うとおりに、民の声を聞き入れよ。それはあなたを退けたのではなく、彼らを治めているこのわたしを退けたのであるから。 + わたしが彼らをエジプトから連れ上った日から今日に至るまで、彼らのした事といえば、わたしを捨てて、ほかの神々に仕えたことだった。そのように彼らは、あなたにもしているのだ。 + 今、彼らの声を聞け。ただし、彼らにきびしく警告し、彼らを治める王の権利を彼らに知らせよ。」 + そこでサムエルは、彼に王を求めるこの民に、主のことばを残らず話した。 + そして言った。「あなたがたを治める王の権利はこうだ。王はあなたがたの息子をとり、彼らを自分の戦車や馬に乗せ、自分の戦車の前を走らせる。 + 自分のために彼らを千人隊の長、五十人隊の長として、自分の耕地を耕させ、自分の刈り入れに従事させ、武具や、戦車の部品を作らせる。 + あなたがたの娘をとり、香料作りとし、料理女とし、パン焼き女とする。 + あなたがたの畑や、ぶどう畑や、オリーブ畑の良い所を取り上げて、自分の家来たちに与える。 + あなたがたの穀物とぶどうの十分の一を取り、それを自分の宦官や家来たちに与える。 + あなたがたの奴隷や、女奴隷、それに最もすぐれた若者や、ろばを取り、自分の仕事をさせる。 + あなたがたの羊の群れの十分の一を取り、あなたがたは王の奴隷となる。 + その日になって、あなたがたが、自分たちに選んだ王ゆえに、助けを求めて叫んでも、その日、主はあなたがたに答えてくださらない。」 + それでもこの民は、サムエルの言うことを聞こうとしなかった。そして言った。「いや。どうしても、私たちの上には王がいなくてはなりません。 + 私たちも、ほかのすべての国民のようになり、私たちの王が私たちをさばき、王が私たちの先に立って出陣し、私たちの戦いを戦ってくれるでしょう。」 + サムエルは、この民の言うことすべてを聞いて、それを主の耳に入れた。 + 主はサムエルに仰せられた。「彼らの言うことを聞き、彼らにひとりの王を立てよ。」そこで、サムエルはイスラエルの人々に、「おのおの自分の町に帰りなさい」と言った。 + + + ベニヤミン人で、その名をキシュという人がいた。――キシュはアビエルの子、順次さかのぼって、ツェロルの子、ベコラテの子、アフィアハの子。アフィアハは裕福なベニヤミン人であった―― + キシュにはひとりの息子がいて、その名をサウルと言った。彼は美しい若い男で、イスラエル人の中で彼より美しい者はいなかった。彼は民のだれよりも、肩から上だけ高かった。 + あるとき、サウルの父キシュの雌ろばがいなくなった。そこでキシュは、息子サウルに言った。「若い者をひとり連れて、雌ろばを捜しに行ってくれ。」 + そこで、彼らはエフライムの山地を巡り、シャリシャの地を巡り歩いたが、見つからなかった。さらに彼らはシャアリムの地を巡り歩いたが、いなかった。ベニヤミン人の地を巡り歩いたが、見つからなかった。 + 彼らがツフの地に来たとき、サウルは連れの若い者に言った。「さあ、もう帰ろう。父が雌ろばのことはさておき、私たちのことを心配するといけないから。」 + すると、彼は言った。「待ってください。この町には神の人がいます。この人は敬われている人です。この人の言うことはみな、必ず実現します。今そこへまいりましょう。たぶん、私たちの行くべき道を教えてくれるでしょう。」 + サウルは若い者に言った。「もし行くとすると、その人に何を持って行こうか。私たちの袋には、パンもなくなったし、その神の人に持って行く贈り物もない。何かあるか。」 + その若い者はまたサウルに答えて言った。「ご覧ください。私の手に四分の一シェケルの銀があります。私がこれを神の人に差し上げて、私たちの行く道を教えてもらいましょう。」 + ――昔イスラエルでは、神のみこころを求めに行く人は、「さあ、予見者のところへ行こう」と言った。今の預言者は、昔は予見者と呼ばれていたからである―― + するとサウルは若い者に言った。「それはいい。さあ、行こう。」こうして、ふたりは神の人のいる町へ出かけた。 + 彼らはその町の坂道を上って行った。水を汲みに出て来た娘たちに出会って、「ここに予見者がおられますか」と尋ねた。 + すると、娘たちは答えて言った。「ついこの先におられます。今、急いでください。きょう、町に来られました。きょう、あの高き所で民のためにいけにえをささげますから。 + 町にお入りになると、すぐ、あの方にお会いできるでしょう。あの方が食事のために高き所に上られる前に。民は、あの方が来て、いけにえを祝福されるまでは食事をしません。祝福のあとで招かれた者たちが食事をすることになっています。今、上ってください。すぐ、あの方に会えるでしょう。」 + 彼らが町へ上って行って、町にさしかかったとき、ちょうどサムエルは、高き所に上ろうとして彼らに向かって出て来た。 + 主は、サウルが来る前の日に、サムエルの耳を開いて仰せられた。 + 「あすの今ごろ、わたしはひとりの人をベニヤミンの地からあなたのところに遣わす。あなたは彼に油をそそいで、わたしの民イスラエルの君主とせよ。彼はわたしの民をペリシテ人の手から救うであろう。民の叫びがわたしに届いたので、わたしは自分の民を見たからだ。」 + サムエルがサウルを見たとき、主は彼に告げられた。「ここに、わたしがあなたに話した者がいる。この者がわたしの民を支配するのだ。」 + サウルは、門の中でサムエルに近づいたとき、言った。「予見者の家はどこですか。教えてください。」 + サムエルはサウルに答えて言った。「私がその予見者です。この先のあの高き所に上りなさい。きょう、あなたがたは私といっしょに食事をすることになっています。あしたの朝、私があなたをお送りしましょう。あなたの心にあることを全部、明かしましょう。 + 三日前にいなくなったあなたの雌ろばについては、もう気にかけないように。あれは見つかっています。イスラエルのすべてが望んでいるものは、だれのものでしょう。それはあなたのもの、あなたの父の全家のものではありませんか。」 + サウルは答えて言った。「私はイスラエルの部族のうちの最も小さいベニヤミン人ではありませんか。私の家族は、ベニヤミンの部族のどの家族よりも、つまらないものではありませんか。どうしてあなたはこのようなことを私に言われるのですか。」 + しかし、サムエルはサウルとその若い者を広間に連れて入り、三十人ほどの招かれた者の上座に彼らを着かせた。 + サムエルが料理人に、「取っておくようにと言って渡しておいた分を下さい」と言うと、 + 料理人は、ももとその上の部分とを取り出し、それをサウルの前に置いた。そこでサムエルは言った。「あなたの前に置かれたのは取っておいたものです。お食べなさい。私が客を招いたからと民に言って、この時のため、あなたに取っておいたのです。」その日、サウルはサムエルといっしょに食事をした。 + それから彼らは高き所から町に下って来た。サムエルはサウルと屋上で話をした。 + 朝早く、夜が明けかかると、サムエルは屋上のサウルを呼んで言った。「起きてください。お送りしましょう。」サウルは起きて、サムエルとふたりで外に出た。 + 彼らは、町はずれに下って来ていた。サムエルはサウルに言った。「この若い者に、私たちより先に行くように言ってください。若い者が先に行ったら、あなたは、ここにしばらくとどまってください。神のことばをお聞かせしますから。」 + + + サムエルは油のつぼを取ってサウルの頭にそそぎ、彼に口づけして言った。「主が、ご自身のものである民の君主として、あなたに油をそそがれたではありませんか。2あなたが、きょう、私のもとを離れて行くとき、ベニヤミンの領内のツェルツァフにあるラケルの墓のそばで、ふたりの人に会いましょう。そのふたりはあなたに、『あなたが捜して歩いておられるあの雌ろばは見つかりました。ところで、あなたの父上は、雌ろばのことなどあきらめて、息子のために、どうしたらよかろうと言って、あなたがたのことを心配しておられます』と言うでしょう。 + - + あなたがそこからなお進んで、タボルの樫の木のところまで来ると、そこでベテルの神のもとに上って行く三人の人に会います。ひとりは子やぎ三頭を持ち、ひとりは丸型のパン三つを持ち、ひとりはぶどう酒の皮袋一つを持っています。 + 彼らはあなたに安否を尋ね、あなたにパンを二つくれます。あなたは彼らの手から受け取りなさい。 + その後、ペリシテ人の守備隊のいる神のギブアに着きます。あなたがその町に入るとき、琴、タンバリン、笛、立琴を鳴らす者を先頭に、高き所から降りて来る預言者の一団に出会います。彼らは預言をしていますが、 + 主の霊があなたの上に激しく下ると、あなたも彼らといっしょに預言して、あなたは新しい人に変えられます。 + このしるしがあなたに起こったら、手当たりしだいに何でもしなさい。神があなたとともにおられるからです。 + あなたは私より先にギルガルに下りなさい。私も全焼のいけにえと和解のいけにえとをささげるために、あなたのところへ下って行きます。あなたは私が着くまで七日間、そこで待たなければなりません。私がなすべきことを教えます。」 + サウルがサムエルをあとにして去って行ったとき、神はサウルの心を変えて新しくされた。こうして、これらすべてのしるしは、その日に起こった。 + 彼らがそこ、ギブアに着くと、なんと、預言者の一団が彼に出会い、神の霊が彼の上に激しく下った。それで彼も彼らの間で預言を始めた。 + 以前からサウルを知っている者みなが、彼が預言者たちといっしょに預言しているのを見た。民は互いに言った。「キシュの息子は、いったいどうしたことか。サウルもまた、預言者のひとりなのか。」 + そこにいたひとりも、これに応じて、「彼らの父はだれだろう」と言った。こういうわけで、「サウルもまた、預言者のひとりなのか」ということが、ことわざになった。 + サウルは預言することを終えて、高き所に行った。 + サウルのおじは、彼とその若い者に言った。「どこへ行っていたのか。」するとサウルは答えた。「雌ろばを捜しにです。見つからないのでサムエルのところに行って来ました。」 + サウルのおじは言った。「サムエルはあなたがたに何と言ったか、私に話してくれ。」 + サウルはおじに言った。「雌ろばは見つかっていると、はっきり私たちに知らせてくれました。」サウルは、サムエルが語った王位のことについては、おじに話さなかった。 + サムエルはミツパで、民を主のもとに呼び集め、 + イスラエル人に言った。「イスラエルの神、主はこう仰せられる。『わたしはイスラエルをエジプトから連れ上り、あなたがたを、エジプトの手と、あなたがたをしいたげていたすべての王国の手から、救い出した。』 + ところで、あなたがたはきょう、すべてのわざわいと苦しみからあなたがたを救ってくださる、あなたがたの神を退けて、『いや、私たちの上に王を立ててください』と言った。今、あなたがたは、部族ごとに、分団ごとに、主の前に出なさい。」 + こうしてサムエルは、イスラエルの全部族を近づけた。するとベニヤミンの部族がくじで取り分けられた。 + それでベニヤミンの部族を、その氏族ごとに近づけたところ、マテリの氏族が取り分けられ、そしてキシュの子サウルが取り分けられた。そこで人々はサウルを捜したが、見つからなかった。 + それで人々がまた、主に、「あの人はもう、ここに来ているのですか」と尋ねた。主は、「見よ。彼は荷物の間に隠れている」と言われた。 + 人々は走って行って、そこから彼を連れて来た。サウルが民の中に立つと、民のだれよりも、肩から上だけ高かった。 + サムエルは民のすべてに言った。「見よ。主がお選びになったこの人を。民のうちだれも、この人に並ぶ者はいない。」民はみな、喜び叫んで、「王さま。ばんざい」と言った。 + サムエルは民に王の責任を告げ、それを文書にしるして主の前に納めた。こうしてサムエルは民をみな、それぞれ自分の家へ帰した。 + サウルもまた、ギブアの自分の家へ帰った。神に心を動かされた勇者は、彼について行った。 + しかし、よこしまな者たちは、「この者がどうしてわれわれを救えよう」と言って軽蔑し、彼に贈り物を持って来なかった。しかしサウルは黙っていた。 + + + その後、アモン人ナハシュが上って来て、ヤベシュ・ギルアデに対して陣を敷いた。ヤベシュの人々はみな、ナハシュに言った。「私たちと契約を結んでください。そうすれば、私たちはあなたに仕えましょう。」 + そこでアモン人ナハシュは彼らに言った。「次の条件で契約を結ぼう。おまえたちみなの者の右の目をえぐり取ることだ。それをもって全イスラエルにそしりを負わせよう。」 + ヤベシュの長老たちは彼に言った。「七日の猶予を与えてください。イスラエルの国中に使者を送りたいのです。もし、私たちを救う者がいなければ、あなたに降伏します。」 + 使者たちはサウルのギブアに来て、このことをそこの民の耳に入れた。民はみな、声をあげて泣いた。 + そこへ、サウルが牛を追って畑から帰って来た。サウルは言った。「民が泣いているが、どうしたのですか。」そこで、みなが、ヤベシュの人々のことを彼に話した。 + サウルがこれらのことを聞いたとき、神の霊がサウルの上に激しく下った。それで彼の怒りは激しく燃え上がった。 + 彼は一くびきの牛を取り、これを切り分け、それを使者に託してイスラエルの国中に送り、「サウルとサムエルとに従って出て来ない者の牛は、このようにされる」と言わせた。民は主を恐れて、いっせいに出て来た。 + サウルがベゼクで彼らを数えたとき、イスラエルの人々は三十万人、ユダの人々は三万人であった。 + 彼らは、やって来た使者たちに言った。「ヤベシュ・ギルアデの人にこう言わなければならない。あすの真昼ごろ、あなたがたに救いがある。」使者たちは帰って来て、ヤベシュの人々に告げたので、彼らは喜んだ。 + ヤベシュの人々は言った。「私たちは、あす、あなたがたに降伏します。あなたがたのよいと思うように私たちにしてください。」 + 翌日、サウルは民を三組に分け、夜明けの見張りの時、陣営に突入し、昼までアモン人を打った。残された者もいたが、散って行って、ふたりの者が共に残ることはなかった。 + そのとき、民はサムエルに言った。「サウルがわれわれを治めるのか、などと言ったのはだれでしたか。その者たちを引き渡してください。彼らを殺します。」 + しかしサウルは言った。「きょうは人を殺してはならない。きょう、主がイスラエルを救ってくださったのだから。」 + それからサムエルは民に言った。「さあ、われわれはギルガルへ行って、そこで王権を創設する宣言をしよう。」 + 民はみなギルガルへ行き、ギルガルで、主の前に、サウルを王とした。彼らはそこで主の前に和解のいけにえをささげ、サウルとイスラエルのすべての者が、そこで大いに喜んだ。 + + + サムエルはすべてのイスラエル人に言った。「見よ。あなたがたが私に言ったことを、私はことごとく聞き入れ、あなたがたの上にひとりの王を立てた。 + 今、見なさい。王はあなたがたの先に立って歩んでいる。この私は年をとり、髪も白くなった。それに私の息子たちは、あなたがたとともにいるようになった。私は若い時から今日まで、あなたがたの先に立って歩んだ。 + さあ、今、主の前、油そそがれた者の前で、私を訴えなさい。私はだれかの牛を取っただろうか。だれかのろばを取っただろうか。だれかを苦しめ、だれかを迫害しただろうか。だれかの手からわいろを取って自分の目をくらましただろうか。もしそうなら、私はあなたがたにお返しする。」 + 彼らは言った。「あなたは私たちを苦しめたことも、迫害したことも、人の手から何かを取ったこともありません。」 + そこでサムエルは彼らに言った。「あなたがたが私の手に何も見いださなかったことについては、きょう、あなたがたの間で主が証人であり、主に油そそがれた者が証人である。」すると彼らは言った。「その方が証人です。」 + サムエルは民に言った。「モーセとアロンを立てて、あなたがたの先祖をエジプトの地から上らせたのは主である。 + さあ、立ちなさい。私は、主があなたがたと、あなたがたの先祖とに行われたすべての正義のみわざを、主の前であなたがたに説き明かそう。 + ヤコブがエジプトに行ったとき、あなたがたの先祖は主に叫んだ。主はモーセとアロンを遣わされ、この人々はあなたがたの先祖をエジプトから連れ出し、この地に住まわせた。 + ところが、彼らは彼らの神、主を忘れたので、主は彼らをハツォルの将軍シセラの手、ペリシテ人の手、モアブの王の手に売り渡された。それで彼らが戦いをいどまれたのである。 + 彼らが、『私たちは主を捨て、バアルやアシュタロテなどに仕えて罪を犯しました。私たちを敵の手から救い出してください。私たちはあなたに仕えます』と言って、主に叫び求めたとき、 + 主はエルバアルとベダンとエフタとサムエルを遣わし、あなたがたを周囲の敵の手から救い出してくださった。それであなたがたは安らかに暮らしてきた。 + あなたがたは、アモン人の王ナハシュがあなたがたに向かって来るのを見たとき、あなたがたの神、主があなたがたの王であるのに、『いや、王が私たちを治めなければならない』と私に言った。 + 今、見なさい。あなたがたが選び、あなたがたが求めた王を。見なさい。主はあなたがたの上に王を置かれた。 + もし、あなたがたが主を恐れ、主に仕え、主の御声に聞き従い、主の命令に逆らわず、また、あなたがたも、あなたがたを治める王も、あなたがたの神、主のあとに従うなら、それで良い。 + もし、あなたがたが主の御声に聞き従わず、主の命令に逆らうなら、主の手があなたがたの先祖たちに下ったように、あなたがたの上にも下る。 + 今一度立って、主があなたがたの目の前で行われるこの大きなみわざを見なさい。 + 今は小麦の刈り入れ時ではないか。だが私が主に呼び求めると、主は雷と雨とを下される。あなたがたは王を求めて、主のみこころを大いにそこなったことを悟り、心に留めなさい。」 + それからサムエルは主に呼び求めた。すると、主はその日、雷と雨とを下された。民はみな、主とサムエルを非常に恐れた。 + 民はみな、サムエルに言った。「あなたのしもべどものために、あなたの神、主に祈り、私たちが死なないようにしてください。私たちのあらゆる罪の上に、王を求めるという悪を加えたからです。」 + サムエルは民に言った。「恐れてはならない。あなたがたは、このすべての悪を行った。しかし主に従い、わきにそれず、心を尽くして主に仕えなさい。 + 役にも立たず、救い出すこともできないむなしいものに従って、わきへそれてはならない。それはむなしいものだ。 + まことに主は、ご自分の偉大な御名のために、ご自分の民を捨て去らない。主はあえて、あなたがたをご自分の民とされるからだ。 + 私もまた、あなたがたのために祈るのをやめて主に罪を犯すことなど、とてもできない。私はあなたがたに、よい正しい道を教えよう。 + ただ、主を恐れ、心を尽くし、誠意をもって主に仕えなさい。主がどれほど偉大なことをあなたがたになさったかを見分けなさい。 + あなたがたが悪を重ねるなら、あなたがたも、あなたがたの王も滅ぼし尽くされる。」 + + + サウルは三十歳で王となり、十二年間イスラエルの王であった。 + サウルはイスラエルから三千人を選んだ。二千人はサウルとともにミクマスとベテルの山地におり、千人はヨナタンとともにベニヤミンのギブアにいた。残りの民は、それぞれ自分の天幕に帰した。 + ヨナタンはゲバにいたペリシテ人の守備隊長を打ち殺した。ペリシテ人はこれを聞いた。サウルは国中に角笛を吹き鳴らし、「ヘブル人よ。聞け」と言わせた。 + イスラエル人はみな、サウルがペリシテ人の守備隊長を打ち、イスラエルがペリシテ人の恨みを買った、ということを聞いた。こうして民はギルガルのサウルのもとに集合した。 + ペリシテ人もイスラエル人と戦うために集まった。戦車三万、騎兵六千、それに海辺の砂のように多い民であった。彼らは上って来て、ベテ・アベンの東、ミクマスに陣を敷いた。 + イスラエルの人々は、民がひどく圧迫されて、自分たちが危険なのを見た。そこで、ほら穴や、奥まった所、岩間、地下室、水ための中に隠れた。 + またあるヘブル人はヨルダン川を渡って、ガドとギルアデの地へ行った。サウルはなおギルガルにとどまり、民はみな、震えながら彼に従っていた。 + サウルは、サムエルが定めた日によって、七日間待ったが、サムエルはギルガルに来なかった。それで民は彼から離れて散って行こうとした。 + そこでサウルは、「全焼のいけにえと和解のいけにえを私のところに持って来なさい」と言った。こうして彼は全焼のいけにえをささげた。 + ちょうど彼が全焼のいけにえをささげ終わったとき、サムエルがやって来た。サウルは彼を迎えに出てあいさつした。 + サムエルは言った。「あなたは、なんということをしたのか。」サウルは答えた。「民が私から離れ去って行こうとし、また、あなたも定められた日にお見えにならず、ペリシテ人がミクマスに集まったのを見たからです。 + 今にもペリシテ人がギルガルの私のところに下って来ようとしているのに、私は、まだ主に嘆願していないと考え、思い切って全焼のいけにえをささげたのです。」 + サムエルはサウルに言った。「あなたは愚かなことをしたものだ。あなたの神、主が命じた命令を守らなかった。主は今、イスラエルにあなたの王国を永遠に確立されたであろうに。 + 今は、あなたの王国は立たない。主はご自分の心にかなう人を求め、主はその人をご自分の民の君主に任命しておられる。あなたが、主の命じられたことを守らなかったからだ。」 + こうしてサムエルは立って、ギルガルからベニヤミンのギブアへ上って行った。/サウルが彼とともにいる民を数えると、おおよそ六百人であった。 + サウルと、その子ヨナタン、および彼らとともにいた民は、ベニヤミンのゲバにとどまった。ペリシテ人はミクマスに陣を敷いていた。 + ペリシテ人の陣営から、三つの組に分かれて略奪隊が出て来た。一つの組はオフラへの道をとってシュアルの地に向かい、 + 一つの組はベテ・ホロンへの道に向かい、一つの組は荒野のほうツェボイムの谷を見おろす国境への道に向かった。 + イスラエルの地のどこにも鍛冶屋がいなかった。ヘブル人が剣や槍を作るといけないから、とペリシテ人が言っていたからである。 + それでイスラエルはみな、鋤や、くわや、斧や、かまをとぐために、ペリシテ人のところへ下って行っていた。 + 鋤や、くわや、三又のほこや、斧や、突き棒を直すのに、その料金は一ピムであった。 + 戦いの日に、サウルやヨナタンといっしょにいた民のうちだれの手にも、剣や槍が見あたらなかった。ただサウルとその子ヨナタンだけが持っていた。 + ペリシテ人の先陣はミクマスの渡しに出た。 + + + ある日のこと、サウルの子ヨナタンは、道具持ちの若者に言った。「さあ、この向こう側のペリシテ人の先陣のところへ渡って行こう。」ヨナタンは、このことを父に知らせなかった。 + サウルはギブアのはずれの、ミグロンにある、ざくろの木の下にとどまっていた。彼とともにいた民は、約六百人であった。 + シロで主の祭司であったエリの子ピネハスの子イ・カボデの兄弟アヒトブの子であるアヒヤが、エポデを持っていた。民はヨナタンが出て行ったことを知らなかった。 + ヨナタンがペリシテ人の先陣に渡って行こうとする渡し場の両側には、こちら側にも、向かい側にも、切り立った岩があり、片側の名はボツェツ、他の側の名はセネであった。 + 片側の切り立った岩はミクマスに面して北側に、他の側の切り立った岩はゲバに面して南側にそそり立っていた。 + ヨナタンは、道具持ちの若者に言った。「さあ、あの割礼を受けていない者どもの先陣のところへ渡って行こう。たぶん、主がわれわれに味方してくださるであろう。大人数によるのであっても、小人数によるのであっても、主がお救いになるのに妨げとなるものは何もない。」 + すると道具持ちが言った。「何でも、あなたのお心のままにしてください。さあ、お進みください。私もいっしょにまいります。お心のままに。」 + ヨナタンは言った。「今われわれは、あの者どものところに渡って行って、彼らの前に身を現すのだ。 + もしも彼らが、『おれたちがおまえらのところに行くまで、じっとしていろ』と言ったら、われわれはその場に立ちとどまり、彼らのところに上って行くまい。 + もし彼らが、『おれたちのところに上って来い』と言えば、われわれは上って行こう。主が彼らを、われわれの手に渡されたのだから。これがわれわれへのしるしである。」 + こうして、このふたりはペリシテ人の先陣に身を現した。するとペリシテ人が言った。「やあ、ヘブル人が、隠れていた穴から出て来るぞ。」 + 先陣の者たちは、ヨナタンと道具持ちとに呼びかけて言った。「おれたちのところに上って来い。思い知らせてやる。」ヨナタンは、道具持ちに言った。「私について上って来なさい。主がイスラエルの手に彼らを渡されたのだ。」 + ヨナタンは手足を使ってよじのぼり、道具持ちもあとに続いた。ペリシテ人はヨナタンの前に倒れ、道具持ちがそのあとから彼らを打ち殺した。 + ヨナタンと道具持ちが最初に殺したのは約二十人で、それも一くびきの牛が一日で耕す畑のおおよそ半分の場所で行われた。 + こうして陣営にも、野外にも、また民全体のうちにも恐れが起こった。先陣の者、略奪隊さえ恐れおののいた。地は震え、非常な恐れとなった。 + ベニヤミンのギブアにいるサウルのために見張りをしていた者たちが見ると、群集は震えおののいて右往左往していた。 + サウルは彼とともにいる民に言った。「だれがわれわれのところから出て行ったかを、調べて、見なさい。」そこで彼らが調べると、ヨナタンと道具持ちがそこにいなかった。 + サウルはアヒヤに言った。「神の箱を持って来なさい。」神の箱は、その日、イスラエル人の間にあったからである。 + サウルが祭司とまだ話しているうちに、ペリシテ人の陣営の騒動は、ますます大きくなっていった。/そこでサウルは祭司に、「もう手をしまいなさい」と言った。 + サウルと、彼とともにいた民がみな、集まって戦場に行くと、そこでは剣をもって同士打ちをしており、非常な大恐慌が起こっていた。 + それまでペリシテ人につき、彼らといっしょに陣営に上って来ていたヘブル人も転じて、サウルとヨナタンとともにいるイスラエル人の側につくようになった。 + また、エフライムの山地に隠れていたすべてのイスラエル人も、ペリシテ人が逃げたと聞いて、彼らもまた戦いに加わってペリシテ人に追い迫った。 + こうしてその日、主はイスラエルを救い、戦いはベテ・アベンに移った。 + その日、イスラエル人はひどく苦しんだ。サウルが民に誓わせて、「夕方、私が敵に復讐するまで、食物を食べる者はのろわれる」と言い、民はだれも食物を味見もしなかったからである。 + この地はどこでも、森に入って行くと、地面に蜜があった。 + 民が森に入ると、蜜がしたたっていたが、だれもそれを手につけて口に入れる者はなかった。民は誓いを恐れていたからである。 + ヨナタンは、父が民に誓わせていることを聞いていなかった。それで手にあった杖の先を伸ばして、それを蜜蜂の巣に浸し、それを手につけて口に入れた。すると彼の目が輝いた。 + そのとき、民のひとりが告げて言った。「あなたの父上は、民に堅く誓わせて、きょう、食物を食べる者はのろわれる、とおっしゃいました。それで民は疲れているのです。」 + ヨナタンは言った。「父はこの国を悩ませている。ご覧。私の目はこんなに輝いている。この蜜を少し味見しただけで。 + もしも、きょう、民が見つけた、敵からの分捕り物を十分食べていたなら、今ごろは、もっと多くのペリシテ人を打ち殺していたであろうに。」 + その日彼らは、ミクマスからアヤロンに至るまでペリシテ人を打った。それで民は非常に疲れていた。 + そこで民は分捕り物に飛びかかり、羊、牛、若い牛を取り、その場でほふった。民は血のままで、それを食べた。 + すると、「民が血のままで食べて、主に罪を犯しています」と言って、サウルに告げる者がいた。サウルは言った。「あなたがたは裏切った。今ここに大きな石をころがして来なさい。」 + サウルはまた言った。「民の中に散って行って、彼らに言いなさい。『めいめい自分の牛か羊かを私のところに連れて来て、ここでそれをほふって食べなさい。血のままで食べて主に罪を犯してはならない。』」そこで民はみな、その夜、それぞれ自分の牛を連れて来て、そこでほふった。 + サウルは主のために祭壇を築いた。これは彼が主のために築いた最初の祭壇であった。 + サウルは言った。「夜、ペリシテ人を追って下り、明け方までに彼らをかすめ奪い、ひとりも残しておくまい。」すると民は言った。「あなたのお気に召すことを、何でもしてください。」しかし祭司は言った。「ここで、われわれは神の前に出ましょう。」 + それでサウルは神に伺った。「私はペリシテ人を追って下って行くべきでしょうか。あなたは彼らをイスラエルの手に渡してくださるのでしょうか。」しかしその日は何の答えもなかった。 + そこでサウルは言った。「民のかしらたちはみな、ここに寄って来なさい。きょう、どうしてこのような罪が起こったかを確かめてみなさい。 + まことに、イスラエルを救う主は生きておられる。たとい、それが私の子ヨナタンであっても、彼は必ず死ななければならない。」しかし民のうちだれもこれに答える者はいなかった。 + サウルはすべてのイスラエル人に言った。「あなたがたは、こちら側にいなさい。私と、私の子ヨナタンは、あちら側にいよう。」民はサウルに言った。「あなたのお気に召すようにしてください。」 + そこでサウルはイスラエルの神、主に、「みこころをお示しください」と言った。すると、ヨナタンとサウルが取り分けられ、民ははずれた。 + それでサウルは言った。「私か、私の子ヨナタンかを決めてください。」するとヨナタンが取り分けられた。 + サウルはヨナタンに言った。「何をしたのか、私に告げなさい。」そこでヨナタンは彼に告げて言った。「私は手にあった杖の先で、少しばかりの蜜を、確かに味見しましたが。ああ、私は死ななければなりません。」 + サウルは言った。「神が幾重にも罰してくださるように。ヨナタン。おまえは必ず死ななければならない。」 + すると民はサウルに言った。「このような大勝利をイスラエルにもたらしたヨナタンが死ななければならないのですか。絶対にそんなことはありません。主は生きておられます。あの方の髪の毛一本でも地に落ちてはなりません。神が共におられたので、あの方は、きょう、これをなさったのです。」こうして民はヨナタンを救ったので、ヨナタンは死ななかった。 + こうして、サウルはペリシテ人を追うのをやめて引き揚げ、ペリシテ人は自分たちの所へ帰って行った。 + サウルは、イスラエルの王位を取ってから、周囲のすべての敵と戦った。すなわち、モアブ、アモン人、エドム、ツォバの王たち、ペリシテ人と戦い、どこに行っても彼らを懲らしめた。 + 彼は勇気を奮って、アマレク人を打ち、イスラエル人を略奪者の手から救い出した。 + さて、サウルの息子は、ヨナタン、イシュビ、マルキ・シュア、ふたりの娘の名は、姉がメラブ、妹がミカルであった。 + サウルの妻の名はアヒノアムで、アヒマアツの娘であった。将軍の名はアブネルでサウルのおじネルの子であった。 + サウルの父キシュとアブネルの父ネルとは、アビエルの子であった。 + サウルの一生の間、ペリシテ人との激しい戦いがあった。サウルは勇気のある者や、力のある者を見つけると、その者をみな、召しかかえた。 + + + サムエルはサウルに言った。「主は私を遣わして、あなたに油をそそぎ、その民イスラエルの王とされた。今、主の言われることを聞きなさい。 + 万軍の主はこう仰せられる。『わたしは、イスラエルがエジプトから上って来る途中、アマレクがイスラエルにしたことを罰する。 + 今、行って、アマレクを打ち、そのすべてのものを聖絶せよ。容赦してはならない。男も女も、子どもも乳飲み子も、牛も羊も、らくだもろばも殺せ。』」 + そこでサウルは民を呼び集めた。テライムで彼らを数えると、歩兵が二十万、ユダの兵士が一万であった。 + サウルはアマレクの町へ行って、谷で待ち伏せた。 + サウルはケニ人たちに言った。「さあ、あなたがたはアマレク人の中から離れて下って行きなさい。私があなたがたを彼らといっしょにするといけないから。あなたがたは、イスラエルの民がすべてエジプトから上って来るとき、彼らに親切にしてくれたのです。」そこでケニ人はアマレク人の中から離れた。 + サウルは、ハビラから、エジプトの東にあるシュルのほうのアマレク人を打ち、 + アマレク人の王アガグを生けどりにし、その民を残らず剣の刃で聖絶した。 + しかし、サウルと彼の民は、アガグと、それに、肥えた羊や牛の最も良いもの、子羊とすべての最も良いものを惜しみ、これらを聖絶するのを好まず、ただ、つまらない、値打ちのないものだけを聖絶した。 + そのとき、サムエルに次のような主のことばがあった。 + 「わたしはサウルを王に任じたことを悔いる。彼はわたしに背を向け、わたしのことばを守らなかったからだ。」それでサムエルは怒り、夜通し主に向かって叫んだ。 + 翌朝早く、サムエルがサウルに会いに行こうとしていたとき、サムエルに告げて言う者があった。「サウルはカルメルに行って、もう、自分のために記念碑を立てました。それから、引き返して、進んで、ギルガルに下りました。」 + サムエルがサウルのところに行くと、サウルは彼に言った。「主の祝福がありますように。私は主のことばを守りました。」 + しかしサムエルは言った。「では、私の耳に入るあの羊の声、私に聞こえる牛の声は、いったい何ですか。」 + サウルは答えた。「アマレク人のところから連れて来ました。民は羊と牛の最も良いものを惜しんだのです。あなたの神、主に、いけにえをささげるためです。そのほかの物は聖絶しました。」 + サムエルはサウルに言った。「やめなさい。昨夜、主が私に仰せられたことをあなたに知らせます。」サウルは彼に言った。「お話しください。」 + サムエルは言った。「あなたは、自分では小さい者にすぎないと思ってはいても、イスラエルの諸部族のかしらではありませんか。主があなたに油をそそぎ、イスラエルの王とされました。 + 主はあなたに使命を授けて言われました。『行って、罪人アマレク人を聖絶せよ。彼らを絶滅させるまで戦え。』 + あなたはなぜ、主の御声に聞き従わず、分捕り物に飛びかかり、主の目の前に悪を行ったのですか。」 + サウルはサムエルに答えた。「私は主の御声に聞き従いました。主が私に授けられた使命の道を進めました。私はアマレク人の王アガグを連れて来て、アマレクを聖絶しました。 + しかし民は、ギルガルであなたの神、主に、いけにえをささげるために、聖絶すべき物の最上の物として、分捕り物の中から、羊と牛を取って来たのです。」 + するとサムエルは言った。「主は主の御声に聞き従うことほどに、全焼のいけにえや、その他のいけにえを喜ばれるだろうか。見よ。聞き従うことは、いけにえにまさり、耳を傾けることは、雄羊の脂肪にまさる。 + まことに、そむくことは占いの罪、従わないことは偶像礼拝の罪だ。あなたが主のことばを退けたので、主もあなたを王位から退けた。」 + サウルはサムエルに言った。「私は罪を犯しました。私は主の命令と、あなたのことばにそむいたからです。私は民を恐れて、彼らの声に従ったのです。 + どうか今、私の罪を赦し、私といっしょに帰ってください。私は主を礼拝いたします。」 + すると、サムエルはサウルに言った。「私はあなたといっしょに帰りません。あなたが主のことばを退けたので、主もあなたをイスラエルの王位から退けたからです。」 + サムエルが引き返して行こうとしたとき、サウルはサムエルの上着のすそをつかんだので、それが裂けた。 + サムエルは彼に言った。「主は、きょう、あなたからイスラエル王国を引き裂いて、これをあなたよりすぐれたあなたの友に与えられました。 + 実に、イスラエルの栄光である方は、偽ることもなく、悔いることもない。この方は人間ではないので、悔いることがない。」 + サウルは言った。「私は罪を犯しました。しかし、どうか今は、私の民の長老とイスラエルとの前で私の面目を立ててください。どうか私といっしょに帰って、あなたの神、主を礼拝させてください。」 + それで、サムエルはサウルについて帰った。こうしてサウルは主を礼拝した。 + その後、サムエルは言った。「アマレク人の王アガグを私のところに連れて来なさい。」アガグはいやいやながら彼のもとに行き、「ああ、死の苦しみは去ろう」と言った。 + サムエルは言った。/「あなたの剣が、女たちから子を奪ったように、女たちのうちであなたの母は、子を奪われる。」/こうしてサムエルは、ギルガルの主の前で、アガグをずたずたに切った。 + サムエルはラマへ行き、サウルはサウルのギブアにある自分の家へ上って行った。 + サムエルは死ぬ日まで、二度とサウルを見なかった。しかしサムエルはサウルのことで悲しんだ。主もサウルをイスラエルの王としたことを悔やまれた。 + + + 主はサムエルに仰せられた。「いつまであなたはサウルのことで悲しんでいるのか。わたしは彼をイスラエルの王位から退けている。角に油を満たして行け。あなたをベツレヘム人エッサイのところへ遣わす。わたしは彼の息子たちの中に、わたしのために、王を見つけたから。」 + サムエルは言った。「私はどうして行けましょう。サウルが聞いたら、私を殺すでしょう。」主は仰せられた。「あなたは群れのうちから一頭の雌の子牛を取り、『主にいけにえをささげに行く』と言え。 + いけにえをささげるときに、エッサイを招け。あなたのなすべきことを、このわたしが教えよう。あなたはわたしのために、わたしが言う人に油をそそげ。」 + サムエルは主が告げられたとおりにして、ベツレヘムへ行った。すると町の長老たちは恐れながら彼を迎えて言った。「平和なことでおいでになったのですか。」 + サムエルは答えた。「平和なことです。主にいけにえをささげるために来ました。私がいけにえをささげるとき、あなたがたは身を聖別して私といっしょに来なさい。」こうして、サムエルはエッサイとその子たちを聖別し、彼らを、いけにえをささげるために招いた。 + 彼らが来たとき、サムエルはエリアブを見て、「確かに、主の前で油をそそがれる者だ」と思った。 + しかし主はサムエルに仰せられた。「彼の容貌や、背の高さを見てはならない。わたしは彼を退けている。人が見るようには見ないからだ。人はうわべを見るが、主は心を見る。」 + エッサイはアビナダブを呼んで、サムエルの前に進ませた。サムエルは、「この者もまた、主は選んでおられない」と言った。 + エッサイはシャマを進ませたが、サムエルは、「この者もまた、主は選んではおられない」と言った。 + こうしてエッサイは七人の息子をサムエルの前に進ませたが、サムエルはエッサイに言った。「主はこの者たちを選んではおられない。」 + サムエルはエッサイに言った。「子どもたちはこれで全部ですか。」エッサイは答えた。「まだ末の子が残っています。あれは今、羊の番をしています。」サムエルはエッサイに言った。「人をやって、その子を連れて来なさい。その子がここに来るまで、私たちは座に着かないから。」 + エッサイは人をやって、彼を連れて来させた。その子は血色の良い顔で、目が美しく、姿もりっぱだった。主は仰せられた。「さあ、この者に油をそそげ。この者がそれだ。」 + サムエルは油の角を取り、兄弟たちの真ん中で彼に油をそそいだ。主の霊がその日以来、ダビデの上に激しく下った。サムエルは立ち上がってラマへ帰った。 + 主の霊はサウルを離れ、主からの、わざわいの霊が彼をおびえさせた。 + そこでサウルの家来たちは彼に言った。「ご覧ください。わざわいをもたらす、神の霊があなたをおびえさせているのです。 + わが君。どうか御前にはべるこの家来どもに命じて、じょうずに立琴をひく者を捜させてください。わざわいをもたらす、神の霊があなたに臨むとき、その者が琴をひけば、あなたは良くなられるでしょう。」 + そこでサウルは家来たちに言った。「どうか、私のためにじょうずなひき手を見つけて、私のところに連れて来てくれ。」 + すると、若者のひとりが答えて言った。「おります。私はベツレヘム人エッサイの息子を見たことがあります。琴がじょうずで勇士であり、戦士です。ことばには分別があり、体格も良い人です。主がこの人とともにおられます。」 + そこでサウルは使いをエッサイのところに遣わし、「羊の番をしているあなたの子ダビデを私のところによこしてください」と言わせた。 + それでエッサイは、ろば一頭分のパンと、ぶどう酒の皮袋一つ、子やぎ一匹を取り、息子ダビデに託して、これをサウルに送った。 + ダビデはサウルのもとに来て、彼に仕えた。サウルは彼を非常に愛し、ダビデはサウルの道具持ちとなった。 + サウルはエッサイのところに人をやり、「どうか、ダビデを私に仕えさせてください。私の気に入ったから」と言わせた。 + 神の霊がサウルに臨むたびに、ダビデは立琴を手に取って、ひき、サウルは元気を回復して、良くなり、わざわいの霊は彼から離れた。 + + + ペリシテ人は戦いのために軍隊を召集した。彼らはユダのソコに集まり、ソコとアゼカとの間にあるエフェス・ダミムに陣を敷いた。 + サウルとイスラエル人は集まって、エラの谷に陣を敷き、ペリシテ人を迎え撃つため、戦いの備えをした。 + ペリシテ人は向こう側の山の上に、イスラエル人はこちら側の山の上に、谷を隔てて相対した。 + ときに、ペリシテ人の陣営から、ひとりの代表戦士が出て来た。その名はゴリヤテ、ガテの生まれで、その背の高さは六キュビト半。 + 頭には青銅のかぶとをかぶり、身にはうろことじのよろいを着けていた。よろいの重さは青銅で五千シェケル。 + 足には青銅のすね当て、背中には青銅の投げ槍。 + 槍の柄は機織りの巻き棒のようであり、槍の穂先は、鉄で六百シェケル。盾持ちが彼の先を歩いていた。 + ゴリヤテは立って、イスラエル人の陣に向かって叫んで言った。「おまえらは、なぜ、並んで出て来たのか。おれはペリシテ人だし、おまえらはサウルの奴隷ではないのか。ひとりを選んで、おれのところによこせ。 + おれと勝負して勝ち、おれを打ち殺すなら、おれたちはおまえらの奴隷となる。もし、おれが勝って、そいつを殺せば、おまえらがおれたちの奴隷となり、おれたちに仕えるのだ。」 + そのペリシテ人はまた言った。「きょうこそ、イスラエルの陣をなぶってやる。ひとりをよこせ。ひとつ勝負をしよう。」 + サウルとイスラエルのすべては、このペリシテ人のことばを聞いたとき、意気消沈し、非常に恐れた。 + ダビデはユダのベツレヘムのエフラテ人でエッサイという名の人の息子であった。エッサイには八人の息子がいた。この人はサウルの時代には、年をとって老人になっていた。 + エッサイの上の三人の息子たちは、サウルに従って戦いに出て行った。戦いに行った三人の息子の名は、長男エリアブ、次男アビナダブ、三男シャマであった。 + ダビデは末っ子で、上の三人がサウルに従って出ていた。 + ダビデは、サウルのところへ行ったり、帰ったりしていた。ベツレヘムの父の羊を飼うためであった。 + 例のペリシテ人は、四十日間、朝早くと夕暮れに出て来て姿を現した。 + エッサイは息子のダビデに言った。「さあ、兄さんたちのために、この炒り麦一エパと、このパン十個を取り、兄さんたちの陣営に急いで持って行きなさい。 + この十個のチーズは千人隊の長に届け、兄さんたちの安否を調べなさい。そしてしるしを持って来なさい。 + サウルと兄さんたち、それにイスラエルの人たちはみな、エラの谷でペリシテ人と戦っているのだから。」 + ダビデは翌朝早く、羊を番人に預け、エッサイが命じたとおりに、品物を持って出かけた。彼が野営地に来ると、軍勢はときの声をあげて、陣地に出るところであった。 + イスラエル人とペリシテ人とは、それぞれ向かい合って陣を敷いていた。 + ダビデは、その品物を武器を守る者に預け、陣地に走って行き、兄たちの安否を尋ねた。 + ダビデが兄たちと話していると、ちょうどその時、ガテのペリシテ人で、その名をゴリヤテという代表戦士が、ペリシテ人の陣地から上って来て、いつもと同じ文句をくり返した。ダビデはこれを聞いた。 + イスラエルの人はみな、この男を見たとき、その前を逃げて、非常に恐れた。 + イスラエルの人たちは言った。「あの上って来た男を見たか。イスラエルをなぶるために上って来たのだ。あれを殺す者がいれば、王はその者を大いに富ませ、その者に自分の娘を与え、その父の家にイスラエルでは何も義務を負わせないそうだ。」 + ダビデは、そばに立っている人たちに、こう言った。「このペリシテ人を打って、イスラエルのそしりをすすぐ者には、どうされるのですか。この割礼を受けていないペリシテ人は何者ですか。生ける神の陣をなぶるとは。」 + 民は、先のことばのように、彼を殺した者には、このようにされる、と答えた。 + 兄のエリアブは、ダビデが人々と話しているのを聞いた。エリアブはダビデに怒りを燃やして、言った。「いったいおまえはなぜやって来たのか。荒野にいるあのわずかな羊を、だれに預けて来たのか。私には、おまえのうぬぼれと悪い心がわかっている。戦いを見にやって来たのだろう。」 + ダビデは言った。「私が今、何をしたというのですか。一言も話してはいけないのですか。」 + ダビデはエリアブから、ほかの人のほうを振り向いて、同じことを尋ねた。すると民は、先ほどと同じ返事をした。 + ダビデが言ったことを人々が聞いて、それをサウルに知らせたので、サウルはダビデを呼び寄せた。 + ダビデはサウルに言った。「あの男のために、だれも気を落としてはなりません。このしもべが行って、あのペリシテ人と戦いましょう。」 + サウルはダビデに言った。「あなたは、あのペリシテ人のところへ行って、あれと戦うことはできない。あなたはまだ若いし、あれは若い時から戦士だったのだから。」 + ダビデはサウルに言った。「しもべは、父のために羊の群れを飼っています。獅子や、熊が来て、群れの羊を取って行くと、 + 私はそのあとを追って出て、それを殺し、その口から羊を救い出します。それが私に襲いかかるときは、そのひげをつかんで打ち殺しています。 + このしもべは、獅子でも、熊でも打ち殺しました。あの割礼を受けていないペリシテ人も、これらの獣の一匹のようになるでしょう。生ける神の陣をなぶったのですから。」 + ついで、ダビデは言った。「獅子や、熊の爪から私を救い出してくださった主は、あのペリシテ人の手からも私を救い出してくださいます。」サウルはダビデに言った。「行きなさい。主があなたとともにおられるように。」 + サウルはダビデに自分のよろいかぶとを着させた。頭には青銅のかぶとをかぶらせ、身にはよろいを着けさせた。 + ダビデは、そのよろいの上に、サウルの剣を帯び、思い切って歩いてみた。慣れていなかったからである。それから、ダビデはサウルに言った。「こんなものを着けては、歩くこともできません。慣れていないからです。」ダビデはそれを脱ぎ、 + 自分の杖を手に取り、川から五つのなめらかな石を選んできて、それを羊飼いの使う袋、投石袋に入れ、石投げを手にして、あのペリシテ人に近づいた。 + そのペリシテ人も盾持ちを先に立て、ダビデのほうにじりじりと進んで来た。 + ペリシテ人はあたりを見おろして、ダビデに目を留めたとき、彼をさげすんだ。ダビデが若くて、紅顔の美少年だったからである。 + ペリシテ人はダビデに言った。「おれは犬なのか。杖を持って向かって来るが。」ペリシテ人は自分の神々によってダビデをのろった。 + ペリシテ人はダビデに言った。「さあ、来い。おまえの肉を空の鳥や野の獣にくれてやろう。」 + ダビデはペリシテ人に言った。「おまえは、剣と、槍と、投げ槍を持って、私に向かって来るが、私は、おまえがなぶったイスラエルの戦陣の神、万軍の主の御名によって、おまえに立ち向かうのだ。 + きょう、主はおまえを私の手に渡される。私はおまえを打って、おまえの頭を胴体から離し、きょう、ペリシテ人の陣営のしかばねを、空の鳥、地の獣に与える。すべての国は、イスラエルに神がおられることを知るであろう。 + この全集団も、主が剣や槍を使わずに救うことを知るであろう。この戦いは主の戦いだ。主はおまえたちをわれわれの手に渡される。」 + そのペリシテ人は、立ち上がり、ダビデを迎え撃とうと近づいて来た。ダビデもすばやく戦場を走って行き、ペリシテ人に立ち向かった。 + ダビデは袋の中に手を差し入れ、石を一つ取り、石投げでそれを放ち、ペリシテ人の額を打った。石は額に食い込み、彼はうつぶせに倒れた。 + こうしてダビデは、石投げと一つの石で、このペリシテ人に勝った。ダビデの手には、一振りの剣もなかったが、このペリシテ人を打ち殺してしまった。 + ダビデは走って行って、このペリシテ人の上にまたがり、彼の剣を奪って、さやから抜き、とどめを刺して首をはねた。ペリシテ人たちは、彼らの勇士が死んだのを見て逃げた。 + イスラエルとユダの人々は立ち上がり、ときの声をあげて、ペリシテ人をガテに至るまで、エクロンの門まで追った。それでペリシテ人は、シャアライムからガテとエクロンに至る途上で刺し殺されて倒れた。 + イスラエル人はペリシテ人追撃から引き返して、ペリシテ人の陣営を略奪した。 + ダビデは、あのペリシテ人の首を取って、エルサレムに持ち帰った。武具は彼の天幕に置いた。 + サウルは、ダビデがあのペリシテ人に立ち向かって出て行くのを見たとき、将軍アブネルに言った。「アブネル。あの若者はだれの子だ。」アブネルは言った。「王さま。私はあなたに誓います。私は存じません。」 + すると王は命じた。「あなたは、あの少年がだれの子か尋ねなさい。」 + ダビデが、あのペリシテ人を打って帰って来たとき、アブネルは彼をサウルの前に連れて行った。ダビデはペリシテ人の首を手にしていた。 + サウルはダビデに言った。「若者。あなたはだれの子か。」ダビデは言った。「私は、あなたのしもべ、ベツレヘム人エッサイの子です。」 + + + ダビデがサウルと語り終えたとき、ヨナタンの心はダビデの心に結びついた。ヨナタンは、自分と同じほどにダビデを愛した。 + サウルはその日、ダビデを召しかかえ、父の家に帰らせなかった。 + ヨナタンは、自分と同じほどにダビデを愛したので、ダビデと契約を結んだ。 + ヨナタンは、着ていた上着を脱いで、それをダビデに与え、自分のよろいかぶと、さらに剣、弓、帯までも彼に与えた。 + ダビデは、どこでもサウルが遣わす所に出て行って、勝利を収めたので、サウルは彼を戦士たちの長とした。このことは、すべての民にも、サウルの家来たちにも喜ばれた。 + ダビデがあのペリシテ人を打って帰って来たとき、みなが戻ったが、女たちはイスラエルのすべての町々から出て来て、タンバリン、喜びの歌、三弦の琴をもって、歌い、喜び踊りながら、サウル王を迎えた。 + 女たちは、笑いながら、くり返してこう歌った。「サウルは千を打ち、ダビデは万を打った。」 + サウルは、このことばを聞いて、非常に怒り、不満に思って言った。「ダビデには万を当て、私には千を当てた。彼にないのは王位だけだ。」 + その日以来、サウルはダビデを疑いの目で見るようになった。 + その翌日、わざわいをもたらす、神の霊がサウルに激しく下り、彼は家の中で狂いわめいた。ダビデは、いつものように、琴を手にしてひいたが、サウルの手には槍があった。 + サウルはその槍を投げつけた。ダビデを壁に突き刺してやろう、と思ったからである。しかしダビデは二度も身をかわした。 + サウルはダビデを恐れた。主はダビデとともにおられ、サウルのところから去られたからである。 + それでサウルはダビデを自分のもとから離し、彼を千人隊の長にした。ダビデは民の先に立って行動していた。 + ダビデはその行く所、どこででも勝利を収めた。主が彼とともにおられた。 + ダビデが大勝利を収めるのを見て、サウルは彼を恐れた。 + イスラエルとユダの人々はみな、ダビデを愛した。彼が彼らの先に立って行動していたからである。 + あるとき、サウルはダビデに言った。「これは、私の上の娘メラブだ。これをあなたの妻として与えよう。ただ、私のために勇敢にふるまい、主の戦いを戦ってくれ。」サウルは、自分の手を下さないで、ペリシテ人の手を彼に下そう、と思ったのである。 + ダビデはサウルに言った。「私は何者なのでしょう。私の家族、私の父の氏族もイスラエルでは何者なのでしょう。私が王の婿になるなどとは。」 + ところが、サウルの娘メラブをダビデに与える、という時になって、彼女はメホラ人のアデリエルに妻として与えられた。 + サウルの娘ミカルはダビデを愛していた。そのことがサウルに知らされたとき、サウルはそれはちょうどよいと思った。 + サウルは、「ミカルを彼にやろう。ミカルは彼にとって落とし穴となり、ペリシテ人の手が彼に下るだろう」と思った。そこでサウルはもう一度ダビデに言った。「きょう、あなたは私の婿になるのだ。」 + そしてサウルは家来たちに命じた。「ダビデにひそかにこう告げなさい。『聞いてください。王はあなたが気に入り、家来たちもみな、あなたを愛しています。今、王の婿になってください。』」 + それでサウルの家来たちは、このことばをダビデの耳に入れた。するとダビデは言った。「王の婿になるのがたやすいことだと思っているのか。私は貧しく、身分の低い者だ。」 + サウルの家来たちは、ダビデがこのように言っています、と言ってサウルに報告した。 + それでサウルは言った。「ダビデにこう言うがよい。王は花嫁料を望んではいない。ただ王の敵に復讐するため、ペリシテ人の陽の皮百だけを望んでいる、と。」サウルは、ダビデをペリシテ人の手で倒そうと考えていた。 + サウルの家来たちが、このことばをダビデに告げると、ダビデは、王の婿になるために、それはちょうどよいと思った。そこで、期限が過ぎる前に、 + ダビデは立って、彼と部下とで、出て行き、ペリシテ人二百人を打ち殺し、その陽の皮を持ち帰り、王の婿になるためのことを、王に果たした。そこでサウルは娘ミカルを妻としてダビデに与えた。 + こうして、サウルは、主がダビデとともにおられ、サウルの娘ミカルがダビデを愛していることを見、また、知った。 + それでサウルは、ますますダビデを恐れた。サウルはいつまでもダビデの敵となった。 + ペリシテ人の首長たちが出て来るときは、そのたびごとに、ダビデはサウルの家来たちのすべてにまさる戦果をあげた。それで彼の名は非常に尊ばれた。 + + + サウルは、ダビデを殺すことを、息子ヨナタンや家来の全部に告げた。しかし、サウルの子ヨナタンはダビデを非常に愛していた。 + それでヨナタンはダビデに告げて言った。「私の父サウルは、あなたを殺そうとしています。それで、あしたの朝は、注意して、隠れ場にとどまり、身を隠していてください。 + 私はあなたのいる野原に出て行って、父のそばに立ち、あなたのことについて父に話しましょう。何かわかったら、あなたに知らせましょう。」 + ヨナタンは父サウルにダビデの良いことを話し、父に言った。「王よ。あなたのしもべダビデについて罪を犯さないでください。彼はあなたに対して罪を犯してはいません。かえって、彼のしたことは、あなたにとっては非常な益となっています。 + 彼が自分のいのちをかけて、ペリシテ人を打ったので、主は大勝利をイスラエル全体にもたらしてくださったのです。あなたはそれを見て、喜ばれました。なぜ何の理由もなくダビデを殺し、罪のない者の血を流して、罪を犯そうとされるのですか。」 + サウルはヨナタンの言うことを聞き入れた。サウルは誓った。「主は生きておられる。あれは殺されることはない。」 + それで、ヨナタンはダビデを呼んで、このことのすべてを告げた。ヨナタンがダビデをサウルのところに連れて行ったので、ダビデは以前のようにサウルに仕えることになった。 + それからまた、戦いが起こったが、ダビデは出て行って、ペリシテ人と戦い、彼らを打って大損害を与えた。それで、彼らはダビデの前から逃げた。 + ときに、わざわいをもたらす、主の霊がサウルに臨んだ。サウルは自分の家にすわっており、その手には槍を持っていた。ダビデは琴を手にしてひいていた。 + サウルが槍でダビデを壁に突き刺そうとしたとき、ダビデはサウルから身を避けたので、サウルは槍を壁に打ちつけた。ダビデは逃げ、その夜は難をのがれた。 + サウルはダビデの家に使者たちを遣わし、彼を見張らせ、朝になって彼を殺そうとした。ダビデの妻ミカルはダビデに告げて言った。「今夜、あなたのいのちを救わなければ、あすは、あなたは殺されてしまいます。」 + こうしてミカルはダビデを窓から降ろしたので、彼は逃げて行き、難をのがれた。 + ミカルはテラフィムを取って、それを寝床の上に置き、やぎの毛で編んだものを枕のところに置き、それを着物でおおった。 + サウルがダビデを捕らえようと使者たちを遣わしたとき、ミカルは、「あの人は病気です」と言った。 + サウルはダビデを見ようとして、「あれを寝床のまま、私のところに連れて来い。あれを殺すのだ」と言って使者たちを遣わした。 + 使者たちが入って見ると、なんと、テラフィムが寝床にあり、やぎの毛で編んだものが枕のところにあった。 + サウルはミカルに言った。「なぜ、このようにして私を欺き、私の敵を逃がし、のがれさせたのか。」ミカルはサウルに言った。「あの人は、『私を逃がしてくれ。私がどうしておまえを殺せよう』と私に言ったのです。」 + ダビデは逃げ、のがれて、ラマのサムエルのところに行き、サウルが自分にしたこといっさいをサムエルに話した。そしてサムエルと、ナヨテに行って住んだ。 + ところが、「ダビデは、なんと、ラマのナヨテにいます」とサウルに告げる者がいた。 + そこでサウルはダビデを捕らえようと使者たちを遣わした。彼らは、預言者の一団が預言しており、サムエルがその監督をする者として立っているのを見た。そのとき、神の霊がサウルの使者たちに臨み、彼らもまた、預言した。 + サウルにこのことが知らされたとき、彼はほかの使者たちを遣わしたが、彼らもまた、預言した。サウルはさらに三度目の使者たちを送ったが、彼らもまた、預言した。 + そこでサウル自身もまたラマへ行った。彼はセクにある大きな井戸まで来たとき、「サムエルとダビデはどこにいるか」と尋ねた。すると、「今、ラマのナヨテにいます」と言われた。 + サウルはそこからラマのナヨテへ出て行ったが、彼にも神の霊が臨み、彼は預言しながら歩いて、ラマのナヨテに着いた。 + 彼もまた着物を脱いで、サムエルの前で預言し、一昼夜の間、裸のまま倒れていた。このために、「サウルもまた、預言者のひとりなのか」と言われるようになった。 + + + ダビデはラマのナヨテから逃げて、ヨナタンのもとに来て言った。「私がどんなことをし、私にどんな咎があり、私があなたの父上に対してどんな罪を犯したというので、父上は私のいのちを求めておられるのでしょうか。」 + ヨナタンは彼に言った。「絶対にそんなことはありません。あなたが殺されるはずはありません。そうです。私の父は、事の大小を問わず、私の耳に入れないでするようなことはありません。どうして父が、このことを私に隠さなければならないでしょう。そんなことはありません。」 + ダビデはなおも誓って言った。「あなたの父上は、私があなたのご好意を得ていることを、よくご存じです。それで、ヨナタンが悲しまないように、このことを知らせないでおこう、と思っておられるのです。けれども、主とあなたに誓います。私と死との間には、ただ一歩の隔たりしかありません。」 + するとヨナタンはダビデに言った。「あなたの言われることは、何でもあなたのためにしましょう。」 + ダビデはヨナタンに言った。「あすはちょうど新月祭で、私は王といっしょに食事の席に着かなければなりません。私を行かせて、あさっての夕方まで、野に隠れさせてください。 + もし、父上が私のことをとがめられたら、おっしゃってください。『ダビデは自分の町ベツレヘムへ急いで行きたいと、しきりに頼みました。あそこで彼の氏族全体のために、年ごとのいけにえをささげることになっているからです』と。 + もし、父上が『よし』とおっしゃれば、このしもべは安全です。もし、激しくお怒りになれば、私に害を加える決心をしておられると思ってください。 + どうか、このしもべに真実を尽くしてください。あなたは主に誓って、このしもべと契約を結んでおられるからです。もし、私に咎があれば、あなたが私を殺してください。どうして私を父上のところにまで連れ出す必要がありましょう。」 + ヨナタンは言った。「絶対にそんなことはありません。父があなたに害を加える決心をしていることが確かにわかったら、あなたに知らせないでおくはずはありません。」 + ダビデはヨナタンに言った。「もし父上が、きびしい返事をなさったら、だれが私に知らせてくれましょう。」 + ヨナタンはダビデに言った。「さあ、野原に出ましょう。」こうしてふたりは野原に出た。 + ヨナタンはイスラエルの神、主に誓ってダビデに言った。「あすかあさってかの今ごろ、私は父の気持ちを探ってみます。ダビデに対して寛大であれば、必ず人をやって、あなたの耳に入れましょう。 + もし父が、あなたに害を加えようと思っているのに、それをあなたの耳に入れず、あなたを無事に逃がしてあげなかったなら、主がこのヨナタンを幾重にも罰せられるように。主が私の父とともにおられたように、あなたとともにおられますように。 + もし、私が生きながらえておれば、主の恵みを私に施してください。たとい、私が死ぬようなことがあっても、 + あなたの恵みをとこしえに私の家から断たないでください。主がダビデの敵を地の面からひとり残らず断ち滅ぼすときも。」 + こうしてヨナタンはダビデの家と契約を結んだ。「主がダビデの敵に血の責めを問われるように。」 + ヨナタンは、もう一度ダビデに誓った。ヨナタンは自分を愛するほどに、ダビデを愛していたからである。 + ヨナタンはダビデに言った。「あすは新月祭です。あなたの席があくので、あなたのいないのが気づかれるでしょう。 + あさってになれば、きびしく問いただすでしょうから、あなたは、あの事件の日に隠れたあの場所に行って、エゼルの石のそばにいてください。 + 私は的を射るように、三本の矢をそのあたりに放ちます。 + いいですか。私が子どもをやって、『行って矢を見つけて来い』と言い、もし私がその子どもに、『それ、矢はおまえのこちら側にある。それを取って来い』と言ったら、そのとき、あなたは出て来てください。主は生きておられます。あなたは安全で、何事もありませんから。 + しかし、私が少年に、『それ、矢はおまえの向こう側だ』と言ったら、あなたは行きなさい。主があなたを去らせるのです。 + 私とあなたが交わしたことばについては、主が私とあなたとの間の永遠の証人です。」 + こうしてダビデは野に隠れた。新月祭になって、王は食事の席に着いた。 + 王は、いつものように壁寄りの席の自分の席に着いた。ヨナタンはその向かい側、アブネルはサウルの横の席に着いたが、ダビデの場所はあいていた。 + その日、サウルは何も言わなかった。「あれに思わぬことが起こって身を汚したのだろう。きっと汚れているためだろう」と思ったからである。 + しかし、その翌日、新月祭の第二日にも、ダビデの席があいていたので、サウルは息子のヨナタンに尋ねた。「どうしてエッサイの子は、きのうも、きょうも食事に来ないのか。」 + ヨナタンはサウルに答えた。「ベツレヘムへ行かせてくれと、ダビデが私にしきりに頼みました。 + 『どうか、私を行かせてください。私たちの氏族はあの町で、いけにえをささげるのですが、私の兄弟が私に来るように命じています。今、お願いします。どうか私を行かせて、兄弟たちに会わせてください』と言ったのです。それでダビデは王の食卓に連ならないのです。」 + サウルはヨナタンに怒りを燃やして言った。「このばいたの息子め。おまえがエッサイの子にえこひいきをして、自分をはずかしめ、自分の母親の恥をさらしているのを、この私が知らないとでも思っているのか。 + エッサイの子がこの地上に生きているかぎり、おまえも、おまえの王位も危うくなるのだ。今、人をやって、あれを私のところに連れて来い。あれは殺さなければならない。」 + ヨナタンは父サウルに答えて言った。「なぜ、あの人は殺されなければならないのですか。あの人が何をしたというのですか。」 + すると、サウルは槍をヨナタンに投げつけて打ち殺そうとした。それでヨナタンは、父がダビデを殺そうと決心しているのを知った。 + ヨナタンは怒りに燃えて食卓から立ち上がり、新月祭の二日目には食事をとらなかった。父がダビデを侮辱したので、ダビデのために心を痛めたからである。 + 朝になると、ヨナタンは小さい子どもを連れて、ダビデと打ち合わせた時刻に野原に出て行った。 + そして子どもに言った。「私が射る矢を見つけておいで。」子どもが走って行くと、ヨナタンは、その子の向こうに矢を放った。 + 子どもがヨナタンの放った矢の所まで行くと、ヨナタンは子どものうしろから叫んで言った。「矢は、おまえより、もっと向こうではないのか。」 + ヨナタンは子どものうしろから、また叫んだ。「早く。急げ。止まってはいけない。」その子どもは矢を拾って、主人ヨナタンのところに来た。 + 子どもは何も知らず、ヨナタンとダビデだけに、その意味がわかっていた。 + ヨナタンは自分の弓矢を子どもに渡し、「さあ、これを町に持って行っておくれ」と言った。 + 子どもが行ってしまうと、ダビデは南側のほうから出て来て、地にひれ伏し、三度礼をした。ふたりは口づけして、抱き合って泣き、ダビデはいっそう激しく泣いた。 + ヨナタンはダビデに言った。「では、安心して行きなさい。私たちふたりは、『主が、私とあなた、また、私の子孫とあなたの子孫との間の永遠の証人です』と言って、主の御名によって誓ったのです。」こうしてダビデは立ち去った。ヨナタンは町へ帰って行った。 + + + ダビデはノブの祭司アヒメレクのところに行った。アヒメレクはダビデを迎え、恐る恐る彼に言った。「なぜ、おひとりで、だれもお供がいないのですか。」 + ダビデは祭司アヒメレクに言った。「王は、ある事を命じて、『おまえを遣わし、おまえに命じた事については、何事も人に知らせてはならない』と私に言われました。若い者たちとは、しかじかの場所で落ち合うことにしています。 + ところで、今、お手もとに何かあったら、五つのパンでも、何か、ある物を私に下さい。」 + 祭司はダビデに答えて言った。「普通のパンは手もとにありません。ですが、もし若い者たちが女から遠ざかっているなら、聖別されたパンがあります。」 + ダビデは祭司に答えて言った。「確かにこれまでのように、私が出かけて以来、私たちは女を遠ざけています。それで若い者たちは汚れていません。普通の旅でもそうですから、ましてきょうは確かに汚れていません。」 + そこで祭司は彼に聖別されたパンを与えた。そこには、その日、あたたかいパンと置きかえられて、主の前から取り下げられた供えのパンしかなかったからである。 + ――その日、そこにはサウルのしもべのひとりが主の前に引き止められていた。その名はドエグといって、エドム人であり、サウルの牧者たちの中のつわものであった―― + ダビデはアヒメレクに言った。「ここに、あなたの手もとに、槍か、剣はありませんか。私は自分の剣も武器も持って来なかったのです。王の命令があまり急だったので。」 + 祭司は言った。「あなたがエラの谷で打ち殺したペリシテ人ゴリヤテの剣が、ご覧なさい、エポデのうしろに布に包んであります。よろしければ、持って行ってください。ここには、それしかありませんから。」ダビデは言った。「それは何よりです。私に下さい。」 + ダビデはその日、すぐにサウルからのがれ、ガテの王アキシュのところへ行った。 + するとアキシュの家来たちがアキシュに言った。「この人は、あの国の王ダビデではありませんか。みなが踊りながら、『サウルは千を打ち、ダビデは万を打った』/と言って歌っていたのは、この人のことではありませんか。」 + ダビデは、このことばを気にして、ガテの王アキシュを非常に恐れた。 + それでダビデは彼らの前で気が違ったかのようにふるまい、捕らえられて狂ったふりをし、門のとびらに傷をつけたり、ひげによだれを流したりした。 + アキシュは家来たちに言った。「おい、おまえたちも見るように、この男は気が狂っている。なぜ、私のところに連れて来たのか。 + 私に気の狂った者が足りないとでもいうのか。私の前で狂っているのを見せるために、この男を連れて来るとは。この男を私の家に入れようとでもいうのか。」 + + + ダビデはそこを去って、アドラムのほら穴に避難した。彼の兄弟たちや、彼の父の家のみなの者が、これを聞いて、そのダビデのところに下って来た。 + また、困窮している者、負債のある者、不満のある者たちもみな、彼のところに集まって来たので、ダビデは彼らの長となった。こうして、約四百人の者が彼とともにいるようになった。 + ダビデはそこからモアブのミツパに行き、モアブの王に言った。「神が私にどんなことをされるかわかるまで、どうか、私の父と母とを出て来させて、あなたがたといっしょにおらせてください。」 + こうしてダビデが両親をモアブの王の前に連れて来たので、両親は、ダビデが要害にいる間、王のもとに住んだ。 + そのころ、預言者ガドはダビデに言った。「この要害にとどまっていないで、さあ、ユダの地に帰りなさい。」そこでダビデは出て、ハレテの森へ行った。 + サウルは、ダビデおよび彼とともにいる者たちが見つかった、ということを聞いた。そのとき、サウルはギブアにある高台の柳の木の下で、槍を手にしてすわっていた。彼の家来たちはみな、彼のそばに立っていた。 + サウルは、そばに立っている家来たちに言った。「聞け。ベニヤミン人。エッサイの子が、おまえたち全部に畑やぶどう畑をくれ、おまえたち全部を千人隊の長、百人隊の長にするであろうか。 + それなのに、おまえたちはみな、私に謀反を企てている。きょうのように、息子がエッサイの子と契約を結んだことも私の耳に入れず、息子が私のあのしもべを私に、はむかわせるようにしたことも、私の耳に入れず、だれも私のことを思って心を痛めない。」 + すると、サウルの家来のそばに立っていたエドム人ドエグが答えて言った。「私は、エッサイの子が、ノブのアヒトブの子アヒメレクのところに来たのを見ました。 + アヒメレクは彼のために主に伺って、彼に食料を与え、ペリシテ人ゴリヤテの剣も与えました。」 + そこで王は人をやって、祭司アヒトブの子アヒメレクと、彼の父の家の者全部、すなわち、ノブにいる祭司たちを呼び寄せたので、彼らはみな、王のところに来た。 + サウルは言った。「聞け。アヒトブの息子。」彼は答えた。「はい、王さま。ここにおります。」 + サウルは彼に言った。「おまえとエッサイの子は、なぜ私に謀反を企てるのか。おまえは彼にパンと剣を与え、彼がきょうあるように、私に、はむかうために彼のために神に伺ったりしている。」 + アヒメレクは王に答えて言った。「あなたの家来のうち、ダビデほど忠実な者が、ほかにだれかいるでしょうか。ダビデは王の婿であり、あなたの護衛の長であり、あなたの家では尊敬されているではありませんか。 + 私が彼のために神に伺うのは、きょうに始まったことでしょうか。決して、決して。王さま。私や、私の父の家の者全部に汚名を着せないでください。しもべは、この事件については、いっさい知らないのですから。」 + しかし王は言った。「アヒメレク。おまえは必ず死ななければならない。おまえも、おまえの父の家の者全部もだ。」 + それから、王はそばに立っていた近衛兵たちに言った。「近寄って、主の祭司たちを殺せ。彼らはダビデにくみし、彼が逃げているのを知りながら、それを私の耳に入れなかったからだ。」しかし王の家来たちは、主の祭司たちに手を出して撃ちかかろうとはしなかった。 + それで王はドエグに言った。「おまえが近寄って祭司たちに撃ちかかれ。」そこでエドム人ドエグが近寄って、祭司たちに撃ちかかった。その日、彼は八十五人を殺した。それぞれ亜麻布のエポデを着ていた人であった。 + 彼は祭司の町ノブを、男も女も、子どもも乳飲み子までも、剣の刃で打った。牛もろばも羊も、剣の刃で打った。 + ところが、アヒトブの子アヒメレクの息子のエブヤタルという名の人が、ひとりのがれてダビデのところに逃げて来た。 + エブヤタルはダビデに、サウルが主の祭司たちを虐殺したことを告げた。 + ダビデはエブヤタルに言った。「私はあの日、エドム人ドエグがあそこにいたので、あれがきっとサウルに知らせると思っていた。私が、あなたの父の家の者全部の死を引き起こしたのだ。 + 私といっしょにいなさい。恐れることはない。私のいのちをねらう者は、あなたのいのちをねらう。しかし私といっしょにいれば、あなたは安全だ。」 + + + その後、ダビデに次のような知らせがあった。「今、ペリシテ人がケイラを攻めて、打ち場を略奪しています。」 + そこでダビデは主に伺って言った。「私が行って、このペリシテ人を打つべきでしょうか。」主はダビデに仰せられた。「行け。ペリシテ人を打ち、ケイラを救え。」 + しかし、ダビデの部下は彼に言った。「ご覧のとおり、私たちは、ここユダにいてさえ、恐れているのに、ケイラのペリシテ人の陣地に向かって行けるでしょうか。」 + ダビデはもう一度、主に伺った。すると主は答えて言われた。「さあ、ケイラに下って行け。わたしがペリシテ人をあなたの手に渡すから。」 + ダビデとその部下はケイラに行き、ペリシテ人と戦い、彼らの家畜を連れ去り、ペリシテ人を打って大損害を与えた。こうしてダビデはケイラの住民を救った。 + アヒメレクの子エブヤタルがケイラのダビデのもとに逃げて来たとき、彼はエポデを携えていた。 + 一方、ダビデがケイラに行ったことがサウルに知らされると、サウルは、「神は彼を私の手に渡された。ダビデはとびらとかんぬきのある町に入って、自分自身を閉じ込めてしまったからだ」と言った。 + そこでサウルは民をみな呼び集め、ケイラへ下って行き、ダビデとその部下を攻めて封じ込めようとした。 + ダビデはサウルが自分に害を加えようとしているのを知り、祭司エブヤタルに言った。「エポデを持って来なさい。」 + そしてダビデは言った。「イスラエルの神、主よ。あなたのしもべは、サウルがケイラに来て、私のことで、この町を破壊しようとしていることを確かに聞きました。 + ケイラの者たちは私を彼の手に引き渡すでしょうか。サウルは、あなたのしもべが聞いたとおり下って来るでしょうか。イスラエルの神、主よ。どうか、あなたのしもべにお告げください。」主は仰せられた。「彼は下って来る。」 + ダビデは言った。「ケイラの者たちは、私と私の部下をサウルの手に引き渡すでしょうか。」主は仰せられた。「彼らは引き渡す。」 + そこでダビデとその部下およそ六百人はすぐに、ケイラから出て行き、そこここと、さまよった。ダビデがケイラからのがれたことがサウルに告げられると、サウルは討伐をやめた。 + ダビデは荒野や要害に宿ったり、ジフの荒野の山地に宿ったりした。サウルはいつもダビデを追ったが、神はダビデをサウルの手に渡さなかった。 + ダビデは、サウルが自分のいのちをねらって出て来たので恐れていた。そのときダビデはジフの荒野のホレシュにいた。 + サウルの子ヨナタンは、ホレシュのダビデのところに来て、神の御名によってダビデを力づけた。 + 彼はダビデに言った。「恐れることはありません。私の父サウルの手があなたの身に及ぶことはないからです。あなたこそ、イスラエルの王となり、私はあなたの次に立つ者となるでしょう。私の父サウルもまた、そうなることを確かに知っているのです。」 + こうして、ふたりは主の前で契約を結んだ。ダビデはホレシュにとどまり、ヨナタンは自分の家へ帰った。 + さて、ジフ人たちがギブアのサウルのところに上って来て言った。「ダビデは私たちのところに隠れているではありませんか。エシモンの南、ハキラの丘のホレシュにある要害に。 + 王さま。今、あなたが下って行こうとお思いでしたら、下って来てください。私たちは彼を王の手に渡します。」 + サウルは言った。「主の祝福があなたがたにあるように。あなたがたが私のことを思ってくれたからだ。 + さあ、行って、もっと確かめてくれ。彼がよく足を運ぶ所と、だれがそこで彼を見たかを、よく調べてくれ。彼は非常に悪賢いとの評判だから。 + 彼が潜んでいる隠れ場所をみな、よく調べて、確かな知らせを持って、ここに戻って来てくれ。そのとき、私はあなたがたといっしょに行こう。彼がこの地方にいるなら、ユダのすべての分団のうちから彼を捜し出そう。」 + こうして彼らはサウルに先立ってジフへ行った。ダビデとその部下はエシモンの南のアラバにあるマオンの荒野にいた。 + サウルとその部下がダビデを捜しに出て来たとき、このことがダビデに知らされたので、彼はマオンの荒野の中で、岩のところに下り、そこにとどまった。サウルはこれを聞き、ダビデを追ってマオンの荒野に来た。 + サウルは山の一方の側を進み、ダビデとその部下は山の他の側を進んだ。ダビデは急いでサウルから逃げようとしていた。サウルとその部下が、ダビデとその部下を捕らえようと迫って来ていたからである。 + そのとき、ひとりの使者がサウルのもとに来て告げた。「急いで来てください。ペリシテ人がこの国に突入して来ました。」 + それでサウルはダビデを追うのをやめて帰り、ペリシテ人を迎え撃つために出て行った。こういうわけで、この場所は、「仕切りの岩」と呼ばれた。 + ダビデはそこから上って行って、エン・ゲディの要害に住んだ。 + + + サウルがペリシテ人討伐から帰って来たとき、ダビデが今、エン・ゲディの荒野にいるということが知らされた。 + そこでサウルは、イスラエル全体から三千人の精鋭をえり抜いて、エエリムの岩の東に、ダビデとその部下を捜しに出かけた。 + 彼が、道ばたの羊の群れの囲い場に来たとき、そこにほら穴があったので、サウルは用をたすためにその中に入った。そのとき、ダビデとその部下は、そのほら穴の奥のほうにすわっていた。 + ダビデの部下はダビデに言った。「今こそ、主があなたに、『見よ。わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。彼をあなたのよいと思うようにせよ』と言われた、その時です。」そこでダビデは立ち上がり、サウルの上着のすそを、こっそり切り取った。 + こうして後、ダビデは、サウルの上着のすそを切り取ったことについて心を痛めた。 + 彼は部下に言った。「私が、主に逆らって、主に油そそがれた方、私の主君に対して、そのようなことをして、手を下すなど、主の前に絶対にできないことだ。彼は主に油そそがれた方だから。」 + ダビデはこう言って部下を説き伏せ、彼らがサウルに襲いかかるのを許さなかった。サウルは、ほら穴から出て道を歩いて行った。 + その後、ダビデもほら穴から出て行き、サウルのうしろから呼びかけ、「王よ」と言った。サウルがうしろを振り向くと、ダビデは地にひれ伏して、礼をした。 + そしてダビデはサウルに言った。「あなたはなぜ、『ダビデがあなたに害を加えようとしている』と言う人のうわさを信じられるのですか。 + 実はきょう、いましがた、主があのほら穴で私の手にあなたをお渡しになったのを、あなたはご覧になったのです。ある者はあなたを殺そうと言ったのですが、私は、あなたを思って、『私の主君に手を下すまい。あの方は主に油そそがれた方だから』と申しました。 + わが父よ。どうか、私の手にあるあなたの上着のすそをよくご覧ください。私はあなたの上着のすそを切り取りましたが、あなたを殺しはしませんでした。それによって私に悪いこともそむきの罪もないことを、確かに認めてください。私はあなたに罪を犯さなかったのに、あなたは私のいのちを取ろうとつけねらっておられます。 + どうか、主が、私とあなたの間をさばき、主が私の仇を、あなたに報いられますように。私はあなたを手にかけることはしません。 + 昔のことわざに、『悪は悪者から出る』と言っているので、私はあなたを手にかけることはしません。 + イスラエルの王はだれを追って出て来られたのですか。あなたはだれを追いかけておられるのですか。それは死んだ犬のあとを追い、一匹の蚤を追っておられるのにすぎません。 + どうか主が、さばき人となり、私とあなたの間をさばき、私の訴えを取り上げて、これを弁護し、正しいさばきであなたの手から私を救ってくださいますように。」 + ダビデがこのようにサウルに語り終えたとき、サウルは、「これはあなたの声なのか。わが子ダビデよ」と言った。サウルは声をあげて泣いた。 + そしてダビデに言った。「あなたは私より正しい。あなたは私に良くしてくれたのに、私はあなたに悪いしうちをした。 + あなたが私に良いことをしていたことを、きょう、あなたは知らせてくれた。主が私をあなたの手に渡されたのに、私を殺さなかったからだ。 + 人が自分の敵を見つけたとき、無事にその敵を去らせるであろうか。あなたがきょう、私にしてくれた事の報いとして、主があなたに幸いを与えられるように。 + あなたが必ず王になり、あなたの手によってイスラエル王国が確立することを、私は今、確かに知った。 + さあ、主にかけて私に誓ってくれ。私のあとの私の子孫を断たず、私の名を私の父の家から根絶やしにしないことを。」 + ダビデはこれをサウルに誓った。サウルは自分の家へ帰り、ダビデとその部下は要害へ上って行った。 + + + サムエルが死んだとき、イスラエル人はみな集まって、彼のためにいたみ悲しみ、ラマにある彼の屋敷に葬った。ダビデはそこを立ってパランの荒野に下って行った。 + マオンにひとりの人がいた。彼はカルメルで事業をしており、非常に裕福であった。彼は羊三千頭、やぎ一千頭を持っていた。そのころ、彼はカルメルで羊の毛の刈り取りの祝いをしていた。 + この人の名はナバルといい、彼の妻の名はアビガイルといった。この女は聡明で美人であったが、夫は頑迷で行状が悪かった。彼はカレブ人であった。 + ダビデはナバルがその羊の毛を刈っていることを荒野で聞いた。 + それで、ダビデは十人の若者を遣わし、その若者たちに言った。「カルメルへ上って行って、ナバルのところに行き、私の名で彼に安否を尋ね、 + わが同胞に、こうあいさつしなさい。『あなたに平安がありますように。あなたの家に平安がありますように。また、あなたのすべてのものに平安がありますように。 + 私は今、羊の毛を刈る者たちが、あなたのところにいるのを聞きました。あなたの羊飼いたちは、私たちといっしょにいましたが、私たちは彼らに恥ずかしい思いをさせたことはありませんでした。彼らがカルメルにいる間中、何もなくなりませんでした。 + あなたの若者に尋ねてみてください。きっと、そう言うでしょう。ですから、この若者たちに親切にしてやってください。私たちは祝いの日に来たのですから。どうか、このしもべたちと、あなたの子ダビデに、何かあなたの手もとにある物を与えてください。』」 + ダビデの若者たちは行って、言われたとおりのことをダビデの名によってナバルに告げ、答えを待った。 + ナバルはダビデの家来たちに答えて言った。「ダビデとは、いったい何者だ。エッサイの子とは、いったい何者だ。このごろは、主人のところを脱走する奴隷が多くなっている。 + 私のパンと私の水、それに羊の毛の刈り取りの祝いのためにほふったこの肉を取って、どこから来たかもわからない者どもに、くれてやらなければならないのか。」 + それでダビデの若者たちは、もと来た道を引き返し、戻って来て、これら一部始終をダビデに報告した。 + ダビデが部下に「めいめい自分の剣を身につけよ」と命じたので、みな剣を身につけた。ダビデも剣を身につけた。四百人ほどの者がダビデについて上って行き、二百人は荷物のところにとどまった。 + そのとき、ナバルの妻アビガイルに、若者のひとりが告げて言った。「ダビデが私たちの主人にあいさつをするために、荒野から使者たちを送ったのに、ご主人は彼らをののしりました。 + あの人たちは私たちにたいへん良くしてくれたのです。私たちは恥ずかしい思いをさせられたこともなく、私たちが彼らと野でいっしょにいて行動を共にしていた間中、何もなくしませんでした。 + 私たちが彼らといっしょに羊を飼っている間は、昼も夜も、あの人たちは私たちのために城壁となってくれました。 + 今、あなたはどうすればよいか、よくわきまえてください。わざわいが私たちの主人と、その一家に及ぶことは、もう、はっきりしています。ご主人はよこしまな者ですから、だれも話したがらないのです。」 + そこでアビガイルは急いでパン二百個、ぶどう酒の皮袋二つ、料理した羊五頭、炒り麦五セア、干しぶどう百ふさ、干しいちじく二百個を取って、これをろばに載せ、 + 自分の若者たちに言った。「私の先を進みなさい。私はあなたがたについて行くから。」ただ、彼女は夫ナバルには何も告げなかった。 + 彼女がろばに乗って山陰を下って来ると、ちょうど、ダビデとその部下が彼女のほうに降りて来るのに出会った。 + ダビデは、こう言ったばかりであった。「私が荒野で、あの男が持っていた物をみな守ってやったので、その持ち物は何一つなくならなかったが、それは全くむだだった。あの男は善に代えて悪を返した。 + もし私が、あしたの朝までに、あれのもののうちから小わっぱひとりでも残しておくなら、神がこのダビデを幾重にも罰せられるように。」 + アビガイルはダビデを見るやいなや、急いでろばから降り、ダビデの前で顔を伏せて地面にひれ伏した。 + 彼女はダビデの足もとにひれ伏して言った。「ご主人さま。あの罪は私にあるのです。どうか、このはしためが、あなたにじかに申し上げることをお許しください。このはしためのことばを聞いてください。 + ご主人さま。どうか、あのよこしまな者、ナバルのことなど気にかけないでください。あの人は、その名のとおりの男ですから。その名はナバルで、そのとおりの愚か者です。このはしための私は、ご主人さまがお遣わしになった若者たちを見ませんでした。 + 今、ご主人さま。あなたが血を流しに行かれるのをとどめ、ご自分の手を下して復讐なさることをとどめられた主は生きておられ、あなたのたましいも生きています。どうか、あなたの敵、ご主人さまに対して害を加えようとする者どもが、ナバルのようになりますように。 + どうぞ、この女奴隷が、ご主人さまに持ってまいりましたこの贈り物を、ご主人さまにつき従う若者たちにお与えください。 + どうか、このはしためのそむきの罪をお赦しください。主は必ずご主人さまのために、長く続く家をお建てになるでしょう。ご主人さまは主の戦いを戦っておられるのですから、一生の間、わざわいはあなたに起こりません。 + たとい、人があなたを追って、あなたのいのちをねらおうとしても、ご主人さまのいのちは、あなたの神、主によって、いのちの袋にしまわれており、主はあなたの敵のいのちを石投げのくぼみに入れて投げつけられるでしょう。 + 主が、あなたについて約束されたすべての良いことを、ご主人さまに成し遂げ、あなたをイスラエルの君主に任じられたとき、 + むだに血を流したり、ご主人さま自身で復讐されたりしたことが、あなたのつまずきとなり、ご主人さまの心の妨げとなりませんように。主がご主人さまをしあわせにされたなら、このはしためを思い出してください。」 + ダビデはアビガイルに言った。「きょう、あなたを私に会わせるために送ってくださったイスラエルの神、主がほめたたえられますように。 + あなたの判断が、ほめたたえられるように。また、きょう、私が血を流す罪を犯し、私自身の手で復讐しようとしたのをやめさせたあなたに、誉れがあるように。 + 私をとどめて、あなたに害を加えさせられなかったイスラエルの神、主は生きておられる。もし、あなたが急いで私に会いに来なかったなら、確かに、明け方までにナバルには小わっぱひとりも残らなかったであろう。」 + ダビデはアビガイルの手から彼女が持って来た物を受け取り、彼女に言った。「安心して、あなたの家へ上って行きなさい。ご覧なさい。私はあなたの言うことを聞き、あなたの願いを受け入れた。」 + アビガイルがナバルのところに帰って来ると、ちょうどナバルは自分の家で、王の宴会のような宴会を開いていた。ナバルが上きげんで、ひどく酔っていたので、アビガイルは明け方まで、何一つ彼に話さなかった。 + 朝になって、ナバルの酔いがさめたとき、妻がこれらの出来事を彼に告げると、彼は気を失って石のようになった。 + 十日ほどたって、主がナバルを打たれたので、彼は死んだ。 + ダビデはナバルが死んだことを聞いて言った。「私がナバルの手から受けたそしりに報復し、このしもべが悪を行うのを引き止めてくださった主が、ほめたたえられますように。主はナバルの悪を、その頭上に返された。」その後、ダビデは人をやって、アビガイルに自分の妻になるよう申し入れた。 + ダビデのしもべたちがカルメルのアビガイルのところに行ったとき、次のように話した。「ダビデはあなたを妻として迎えるために私たちを遣わしました。」 + 彼女はすぐに、地にひれ伏して礼をし、そして言った。「まあ。このはしためは、ご主人さまのしもべたちの足を洗う女奴隷となりましょう。」 + アビガイルは急いで用意をして、ろばに乗り、彼女の五人の侍女をあとに従え、ダビデの使いたちのあとに従って行った。こうして彼女はダビデの妻となった。 + ダビデはイズレエルの出のアヒノアムをめとっていたので、ふたりともダビデの妻となった。 + サウルはダビデの妻であった自分の娘ミカルを、ガリムの出のライシュの子パルティに与えていた。 + + + ジフ人がギブアにいるサウルのところに来て言った。「ダビデはエシモンの東にあるハキラの丘に隠れているではありませんか。」 + そこでサウルはすぐ、三千人のイスラエルの精鋭を率い、ジフの荒野にいるダビデを求めてジフの荒野へ下って行った。 + サウルは、エシモンの東にあるハキラの丘で、道のかたわらに陣を敷いた。一方、ダビデは荒野にとどまっていた。ダビデはサウルが自分を追って荒野に来たのを見たので、 + 斥候を送り、サウルが確かに来たことを知った。 + ダビデは、サウルが陣を敷いている場所へ出て行き、サウルと、その将軍ネルの子アブネルとが寝ている場所を見つけた。サウルは幕営の中で寝ており、兵士たちは、その回りに宿営していた。 + そこで、ダビデは、ヘテ人アヒメレクと、ヨアブの兄弟で、ツェルヤの子アビシャイとに言った。「だれか私といっしょに陣営のサウルのところへ下って行く者はいないか。」するとアビシャイが答えた。「私があなたといっしょに下って行きます。」 + ダビデとアビシャイは夜、民のところに行った。見ると、サウルは幕営の中で横になって寝ており、彼の槍が、その枕もとの地面に突き刺してあった。アブネルも兵士たちも、その回りに眠っていた。 + アビシャイはダビデに言った。「神はきょう、あなたの敵をあなたの手に渡されました。どうぞ私に、あの槍で彼を一気に地に刺し殺させてください。二度することはいりません。」 + しかしダビデはアビシャイに言った。「殺してはならない。主に油そそがれた方に手を下して、だれが無罪でおられよう。」 + ダビデは言った。「主は生きておられる。主は、必ず彼を打たれる。彼はその生涯の終わりに死ぬか、戦いに下ったときに滅ぼされるかだ。 + 私が、主に油そそがれた方に手を下すなど、主の前に絶対にできないことだ。さあ、今は、あの枕もとにある槍と水差しとを取って行くことにしよう。」 + こうしてダビデはサウルの枕もとの槍と水差しとを取り、ふたりは立ち去ったが、だれひとりとしてこれを見た者も、気づいた者も、目をさました者もなかった。主が彼らを深い眠りに陥れられたので、みな眠りこけていたからである。 + ダビデは向こう側へ渡って行き、遠く離れた山の頂上に立った。彼らの間には、かなりの隔たりがあった。 + そしてダビデは、兵士たちとネルの子アブネルに呼びかけて言った。「アブネル。返事をしろ。」アブネルは答えて言った。「王を呼びつけるおまえはだれだ。」 + ダビデはアブネルに言った。「おまえは男ではないか。イスラエル中で、おまえに並ぶ者があろうか。おまえはなぜ、自分の主君である王を見張っていなかったのだ。兵士のひとりが、おまえの主君である王を殺しに入り込んだのに。 + おまえのやったことは良くない。主に誓って言うが、おまえたちは死に値する。おまえたちの主君、主に油そそがれた方を見張っていなかったからだ。今、王の枕もとにあった王の槍と水差しが、どこにあるか見てみよ。」 + サウルは、それがダビデの声だとわかって言った。「わが子ダビデよ。これはおまえの声ではないか。」ダビデは答えた。「私の声です。王さま。」 + そして言った。「なぜ、わが君はこのしもべのあとを追われるのですか。私が何をしたというのですか。私の手に、どんな悪があるというのですか。 + 王さま。どうか今、このしもべの言うことを聞いてください。もし私にはむかうようにあなたに誘いかけられたのが主であれば、主はあなたのささげ物を受け入れられるでしょう。しかし、それが人によるのであれば、主の前で彼らがのろわれますように。彼らはきょう、私を追い払って、主のゆずりの地にあずからせず、行ってほかの神々に仕えよ、と言っているからです。 + どうか今、私が主の前から去って、この血を地面に流すことがありませんように。イスラエルの王が、山で、しゃこを追うように、一匹の蚤をねらって出て来られたからです。」 + サウルは言った。「私は罪を犯した。わが子ダビデ。帰って来なさい。私はもう、おまえに害を加えない。きょう、私のいのちがおまえによって助けられたからだ。ほんとうに私は愚かなことをして、たいへんなまちがいを犯した。」 + ダビデは答えて言った。「さあ、ここに王の槍があります。これを取りに、若者のひとりをよこしてください。 + 主は、おのおの、その人の正しさと真実に報いてくださいます。主はきょう、あなたを私の手に渡されましたが、私は、主に油そそがれた方に、この手を下したくはありませんでした。 + きょう、私があなたのいのちをたいせつにしたように、主は私のいのちをたいせつにして、すべての苦しみから私を救い出してくださいます。」 + サウルはダビデに言った。「わが子ダビデ。おまえに祝福があるように。おまえは多くのことをするだろうが、それはきっと成功しよう。」こうしてダビデは自分の旅を続け、サウルは自分の家へ帰って行った。 + + + ダビデは心の中で言った。「私はいつか、いまに、サウルの手によって滅ぼされるだろう。ペリシテ人の地にのがれるよりほかに道はない。そうすれば、サウルは、私をイスラエルの領土内で、くまなく捜すのをあきらめるであろう。こうして私は彼の手からのがれよう。」 + そこでダビデは、いっしょにいた六百人の者を連れて、ガテの王マオクの子アキシュのところへ渡って行った。 + ダビデとその部下たちは、それぞれ自分の家族とともに、ガテでアキシュのもとに住みついた。ダビデも、そのふたりの妻、イズレエル人アヒノアムと、ナバルの妻であったカルメル人アビガイルといっしょであった。 + ダビデがガテへ逃げたことが、サウルに知らされると、サウルは二度とダビデを追おうとはしなかった。 + ダビデはアキシュに言った。「もし、私の願いをかなえてくださるなら、地方の町の一つの場所を私に与えて、そこに私を住まわせてください。どうして、このしもべが王の都に、あなたといっしょに住めましょう。」 + それでアキシュは、その日、ツィケラグをダビデに与えた。それゆえ、ツィケラグは今日まで、ユダの王に属している。 + ダビデがペリシテ人の地に住んだ日数は一年四か月であった。 + ダビデは部下とともに上って行って、ゲシュル人、ゲゼル人、アマレク人を襲った。彼らは昔から、シュルのほうエジプトの国に及ぶ地域に住んでいた。 + ダビデは、これらの地方を打つと、男も女も生かしておかず、羊、牛、ろば、らくだ、それに着物などを奪って、いつもアキシュのところに帰って来ていた。 + アキシュが、「きょうは、どこを襲ったのか」と尋ねると、ダビデはいつも、ユダのネゲブとか、エラフメエル人のネゲブとか、ケニ人のネゲブとか答えていた。 + ダビデは男も女も生かしておかず、ガテにひとりも連れて来なかった。彼らが、「ダビデはこういうことをした」と言って、自分たちのことを告げるといけない、と思ったからである。ダビデはペリシテ人の地に住んでいる間、いつも、このようなやり方をしていた。 + アキシュはダビデを信用して、こう思った。「ダビデは進んで自分の同胞イスラエル人に忌みきらわれるようなことをしている。彼はいつまでも私のしもべになっていよう。」 + + + そのころ、ペリシテ人はイスラエルと戦おうとして、軍隊を召集した。アキシュはダビデに言った。「あなたと、あなたの部下は、私といっしょに出陣することになっているのを、よく承知していてもらいたい。」 + ダビデはアキシュに言った。「よろしゅうございます。このしもべが、どうするか、おわかりになるでしょう。」アキシュはダビデに言った。「よろしい。あなたをいつまでも、私の護衛に任命しておこう。」 + サムエルが死んだとき、全イスラエルは彼のためにいたみ悲しみ、彼をその町ラマに葬った。サウルは国内から霊媒や口寄せを追い出していた。 + ペリシテ人が集まって、シュネムに来て陣を敷いたので、サウルは全イスラエルを召集して、ギルボアに陣を敷いた。 + サウルはペリシテ人の陣営を見て恐れ、その心はひどくわなないた。 + それで、サウルは主に伺ったが、主が夢によっても、ウリムによっても、預言者によっても答えてくださらなかったので、 + サウルは自分の家来たちに言った。「霊媒をする女を捜して来い。私がその女のところに行って、その女に尋ねてみよう。」家来たちはサウルに言った。「エン・ドルに霊媒をする女がいます。」 + サウルは、変装して身なりを変え、ふたりの部下を連れて、夜、その女のところに行き、そして言った。「霊媒によって、私のために占い、私の名ざす人を呼び出してもらいたい。」 + すると、この女は彼に言った。「あなたは、サウルがこの国から霊媒や口寄せを断ち滅ぼされたことをご存じのはずです。それなのに、なぜ、私のいのちにわなをかけて、私を殺そうとするのですか。」 + サウルは主にかけて彼女に誓って言った。「主は生きておられる。このことにより、あなたが咎を負うことは決してない。」 + すると、女は言った。「だれを呼び出しましょうか。」サウルは言った。「サムエルを呼び出してもらいたい。」 + この女がサムエルを見たとき、大声で叫んだ。そしてこの女はサウルに次のように言った。「あなたはなぜ、私を欺いたのですか。あなたはサウルではありませんか。」 + 王は彼女に言った。「恐れることはない。何が見えるのか。」この女はサウルに言った。「こうごうしい方が地から上って来られるのが見えます。」 + サウルは彼女に尋ねた。「どんな様子をしておられるか。」彼女は言った。「年老いた方が上って来られます。外套を着ておられます。」サウルは、その人がサムエルであることがわかって、地にひれ伏して、おじぎをした。 + サムエルはサウルに言った。「なぜ、私を呼び出して、私を煩わすのか。」サウルは言った。「私は困りきっています。ペリシテ人が私を攻めて来るのに、神は私から去っておられます。預言者によっても、夢によっても、もう私に答えてくださらないのです。それで私がどうすればよいか教えていただくために、あなたをお呼びしました。」 + サムエルは言った。「なぜ、私に尋ねるのか。主はあなたから去り、あなたの敵になられたのに。 + 主は、私を通して告げられたとおりのことをなさったのだ。主は、あなたの手から王位をはぎ取って、あなたの友ダビデに与えられた。 + あなたは主の御声に聞き従わず、燃える御怒りをもってアマレクを罰しなかったからだ。それゆえ、主はきょう、このことをあなたにされたのだ。 + 主は、あなたといっしょにイスラエルをペリシテ人の手に渡される。あす、あなたも、あなたの息子たちも私といっしょになろう。そして主は、イスラエルの陣営をペリシテ人の手に渡される。」 + すると、サウルは突然、倒れて地上に棒のようになった。サムエルのことばを非常に恐れたからである。それに、その日、一昼夜、何の食事もしていなかったので、彼の力がうせていたからである。 + 女はサウルのところに来て、サウルが非常におびえているのを見て彼に言った。「あなたのはしためは、あなたの言われたことに聞き従いました。私は自分のいのちをかけて、あなたが言われた命令に従いました。 + 今度はどうか、あなたがこのはしための言うことを聞き入れてください。パンを少し差し上げますから、それを食べてください。お帰りのとき、元気になられるでしょう。」 + サウルは、これを断って、「食べたくない」と言った。しかし、彼の家来とこの女がしきりに勧めたので、サウルはその言うことを聞き入れて地面から立ち上がり、床の上にすわった。 + この女の家に肥えた子牛がいたので、急いでそれをほふり、また、小麦粉を取って練り、種を入れないパンを焼いた。 + それをサウルとその家来たちの前に差し出すと、彼らはそれを食べた。その夜、彼らは立ち去った。 + + + さて、ペリシテ人は全軍をアフェクに集結し、イスラエル人はイズレエルにある泉のほとりに陣を敷いた。 + ペリシテ人の領主たちは、百人隊、あるいは千人隊を率いて進み、ダビデとその部下は、アキシュといっしょに、そのあとに続いた。 + すると、ペリシテ人の首長たちは言った。「このヘブル人は何者ですか。」アキシュはペリシテ人の首長たちに言った。「確かにこれは、イスラエルの王サウルの家来ダビデであるが、この一、二年、私のところにいて、彼が私のところに落ちのびて来て以来、今日まで、私は彼に何のあやまちも見つけなかった。」 + しかし、ペリシテ人の首長たちはアキシュに対して腹を立てた。ペリシテ人の首長たちは彼に言った。「この男を帰らせてください。あなたが指定した場所に帰し、私たちといっしょに戦いに行かせないでください。戦いの最中に、私たちを裏切るといけませんから。この男は、どんなことをして、主君の好意を得ようとするでしょうか。ここにいる人々の首を使わないでしょうか。 + この男は、みなが踊りながら、『サウルは千を打ち、ダビデは万を打った』/と言って歌っていたダビデではありませんか。」 + そこでアキシュはダビデを呼んで言った。「主は生きておられる。あなたは正しい人だ。私は、あなたに陣営で、私と行動を共にしてもらいたかった。あなたが私のところに来てから今日まで、私はあなたに何の悪いところも見つけなかったのだから。しかし、あの領主たちは、あなたを良いと思っていない。 + だから今のところ、穏やかに帰ってくれ。ペリシテ人の領主たちの、気に入らないことはしないでくれ。」 + ダビデはアキシュに言った。「私が何をしたというのでしょうか。私があなたに仕えた日から今日まで、このしもべに何か、あやまちでもあったのでしょうか。王さまの敵と戦うために私が出陣できないとは。」 + アキシュはダビデに答えて言った。「私は、あなたが神の使いのように正しいということを知っている。だが、ペリシテ人の首長たちが、『彼はわれわれといっしょに戦いに行ってはならない』と言ったのだ。 + さあ、あなたは、いっしょに来たあなたの主君のしもべたちと、あしたの朝、早く起きなさい。朝早く起きて、明るくなったら出かけなさい。」 + そこで、ダビデとその部下は、翌朝早く、ペリシテ人の地へ帰って行った。ペリシテ人はイズレエルへ上って行った。 + + + ダビデとその部下が、三日目にツィケラグに帰ってみると、アマレク人がネゲブとツィケラグを襲ったあとだった。彼らはツィケラグを攻撃して、これを火で焼き払い、 + そこにいた女たちを、子どももおとなもみな、とりこにし、ひとりも殺さず、自分たちの所に連れて去った。 + ダビデとその部下が、この町に着いたとき、町は火で焼かれており、彼らの妻も、息子も、娘たちも連れ去られていた。 + ダビデも、彼といっしょにいた者たちも、声をあげて泣き、ついには泣く力もなくなった。 + ダビデのふたりの妻、イズレエル人アヒノアムも、ナバルの妻であったカルメル人アビガイルも連れ去られていた。 + ダビデは非常に悩んだ。民がみな、自分たちの息子、娘たちのことで心を悩まし、ダビデを石で打ち殺そうと言いだしたからである。しかし、ダビデは彼の神、主によって奮い立った。 + ダビデが、アヒメレクの子、祭司エブヤタルに、「エポデを持って来なさい」と言ったので、エブヤタルはエポデをダビデのところに持って来た。 + ダビデは主に伺って言った。「あの略奪隊を追うべきでしょうか。追いつけるでしょうか。」するとお答えになった。「追え。必ず追いつくことができる。必ず救い出すことができる。」 + そこでダビデは六百人の部下とともに出て行き、ベソル川まで来た。残された者は、そこにとどまった。 + ダビデと四百人の者は追撃を続け、疲れきってベソル川を渡ることのできなかった二百人の者は、そこにとどまった。 + 彼らはひとりのエジプト人を野原で見つけ、ダビデのところに連れて来た。彼らは彼にパンをやって、食べさせ、水も飲ませた。 + さらに、ひとかたまりの干しいちじくと、二ふさの干しぶどうをやると、彼はそれを食べて元気を回復した。三日三晩、パンも食べず、水も飲んでいなかったからである。 + ダビデは彼に言った。「おまえはだれのものか。どこから来たのか。」すると答えた。「私はエジプトの若者で、アマレク人の奴隷です。私が三日前に病気になったので、主人は私を置き去りにしたのです。 + 私たちは、ケレテ人のネゲブと、ユダに属する地と、カレブのネゲブを襲い、ツィケラグを火で焼き払いました。」 + ダビデは彼に言った。「その略奪隊のところに案内できるか。」彼は答えた。「私を殺さず、主人の手に私を渡さないと、神かけて私に誓ってください。そうすれば、あなたをあの略奪隊のところに案内いたしましょう。」 + 彼がダビデを案内して行くと、ちょうど、彼らはその地いっぱいに散って飲み食いし、お祭り騒ぎをしていた。彼らがペリシテ人の地やユダの地から、非常に多くの分捕り物を奪ったからである。 + そこでダビデは、その夕暮れから次の夕方まで彼らを打った。らくだに乗って逃げた四百人の若い者たちのほかは、ひとりものがれおおせなかった。 + こうしてダビデは、アマレクが奪い取ったものを全部、取り戻した。彼のふたりの妻も取り戻した。 + 彼らは、子どももおとなも、また息子、娘たちも、分捕り物も、彼らが奪われたものは、何一つ失わなかった。ダビデは、これらすべてを取り返した。 + ダビデはまた、すべての羊と牛を取った。彼らはこの家畜の先に立って導き、「これはダビデの分捕り物です」と言った。 + ダビデが、疲れてダビデについて来ることができずにベソル川のほとりにとどまっていた二百人の者のところに来たとき、彼らはダビデと彼に従った者たちを迎えに出て来た。ダビデはこの人たちに近づいて彼らの安否を尋ねた。 + そのとき、ダビデといっしょに行った者たちのうち、意地の悪い、よこしまな者たちがみな、口々に言った。「彼らはいっしょに行かなかったのだから、われわれが取り戻した分捕り物を、彼らに分けてやるわけにはいかない。ただ、めいめい自分の妻と子どもを連れて行くがよい。」 + ダビデは言った。「兄弟たちよ。主が私たちに賜った物を、そのようにしてはならない。主が私たちを守り、私たちを襲った略奪隊を私たちの手に渡されたのだ。 + だれが、このことについて、あなたがたの言うことを聞くだろうか。戦いに下って行った者への分け前も、荷物のそばにとどまっていた者への分け前も同じだ。共に同じく分け合わなければならない。」 + その日以来、ダビデはこれをイスラエルのおきてとし、定めとした。今日もそうである。 + ダビデはツィケラグに帰って、友人であるユダの長老たちに分捕り物のいくらかを送って言った。「これはあなたがたへの贈り物で、主の敵からの分捕り物の一部です。」 + その送り先は、ベテルの人々、ネゲブのラモテの人々、ヤティルの人々、 + アロエルの人々、シフモテの人々、エシュテモアの人々、 + ラカルの人々、エラフメエル人の町々の人たち、ケニ人の町々の人たち、 + ホルマの人々、ボル・アシャンの人々、アタクの人々、 + ヘブロンの人々、および、ダビデとその部下がさまよい歩いたすべての場所の人々であった。 + + + ペリシテ人はイスラエルと戦った。そのとき、イスラエルの人々はペリシテ人の前から逃げ、ギルボア山で刺し殺されて倒れた。 + ペリシテ人はサウルとその息子たちに追い迫って、サウルの息子ヨナタン、アビナダブ、マルキ・シュアを打ち殺した。 + 攻撃はサウルに集中し、射手たちが彼をねらい撃ちにしたので、彼は射手たちのためにひどい傷を負った。 + サウルは、道具持ちに言った。「おまえの剣を抜いて、それで私を刺し殺してくれ。あの割礼を受けていない者どもがやって来て、私を刺し殺し、私をなぶり者にするといけないから。」しかし、道具持ちは、非常に恐れて、とてもその気になれなかった。そこで、サウルは剣を取り、その上にうつぶせに倒れた。 + 道具持ちも、サウルの死んだのを見届けると、自分の剣の上にうつぶせに倒れて、サウルのそばで死んだ。 + こうしてその日、サウルと彼の三人の息子、道具持ち、それにサウルの部下たちはみな、共に死んだ。 + 谷の向こう側とヨルダン川の向こう側にいたイスラエルの人々は、イスラエルの兵士たちが逃げ、サウルとその息子たちが死んだのを見て、町々を捨てて逃げ去った。それでペリシテ人がやって来て、そこに住んだ。 + 翌日、ペリシテ人がその殺した者たちからはぎ取ろうとしてやって来たとき、サウルとその三人の息子がギルボア山で倒れているのを見つけた。 + 彼らはサウルの首を切り、その武具をはぎ取った。そして、ペリシテ人の地にあまねく人を送って、彼らの偶像の宮と民とに告げ知らせた。 + 彼らはサウルの武具をアシュタロテの宮に奉納し、彼の死体をベテ・シャンの城壁にさらした。 + ヤベシュ・ギルアデの住民が、ペリシテ人のサウルに対するしうちを聞いたとき、 + 勇士たちはみな、立ち上がり、夜通し歩いて行って、サウルの死体と、その息子たちの死体とをベテ・シャンの城壁から取りはずし、これをヤベシュに運んで、そこで焼いた。 + それから、その骨を取って、ヤベシュにある柳の木の下に葬り、七日間、断食した。 + +
+
+ + サウルの死後、ダビデはアマレク人を打ち破って帰り、二日間、ツィケラグに滞在した。 + 三日目に、突然、ひとりの男がサウルの陣営からやって来た。その着物は裂け、頭には土をかぶっていた。彼は、ダビデのところに来ると、地にひれ伏して、礼をした。 + ダビデは言った。「どこから来たのか。」彼はダビデに言った。「イスラエルの陣営からのがれて来ました。」 + ダビデは彼に言った。「状況はどうか、話してくれ。」すると彼は言った。「民は戦場から逃げ、また民の多くは倒れて死に、サウルも、その子ヨナタンも死にました。」 + ダビデは、その報告をもたらした若者に言った。「サウルとその子ヨナタンが死んだことを、どうして知ったのか。」 + 報告をもたらした若者は言った。「私は、たまたま、ギルボア山にいましたが、ちょうどその時、サウルは槍にもたれ、戦車と騎兵があの方に押し迫っていました。 + サウルが振り返って、私を見て呼びました。私が『はい』と答えると、 + サウルは私に、『おまえはだれだ』と言いましたので、『私はアマレク人です』と答えますと、 + サウルが、『さあ、近寄って、私を殺してくれ。まだ息があるのに、ひどいけいれんが起こった』と言いました。 + そこで私は近寄って、あの方を殺しました。もう倒れて生きのびることができないとわかったからです。私はその頭にあった王冠と、腕についていた腕輪を取って、ここに、あなたさまのところに持ってまいりました。」 + すると、ダビデは自分の衣をつかんで裂いた。そこにいた家来たちもみな、そのようにした。 + 彼らは、サウルのため、その子ヨナタンのため、また、主の民のため、イスラエルの家のためにいたみ悲しんで泣き、夕方まで断食した。彼らが剣に倒れたからである。 + ダビデは自分に報告した若者に言った。「おまえはどこの者か。」若者は答えた。「私はアマレク人で、在留異国人の子です。」 + ダビデは言った。「主に油そそがれた方に、手を下して殺すのを恐れなかったとは、どうしたことか。」 + ダビデは若者のひとりを呼んで言った。「近寄って、これを打て。」そこで彼を打ち殺した。 + そのとき、ダビデは彼に言った。「おまえの血は、おまえの頭にふりかかれ。おまえ自身の口で、『私は主に油そそがれた方を殺した』と言って証言したからである。」 + ダビデは、サウルのため、その子ヨナタンのために、この哀歌を作り、 + この弓の歌をユダの子らに教えるように命じた。これはヤシャルの書にしるされている。 + 「イスラエルの誉れは、おまえの高き所で殺された。/ああ、勇士たちは倒れた。 + これをガテに告げるな。/アシュケロンのちまたに告げ知らせるな。/ペリシテ人の娘らを喜ばせないために。/割礼のない者の娘らを勝ち誇らせないために。 + ギルボアの山々よ。/お前たちの上に、露は降りるな。雨も降るな。/いけにえがささげられた野の上にも。/そこでは勇士たちの盾は汚され、サウルの盾に油も塗られなかった。 + ただ、殺された者の血、勇士たちのあぶらのほかは。/ヨナタンの弓は、退いたことがなく、サウルの剣は、むなしく帰ったことがなかった。 + サウルもヨナタンも、愛される、りっぱな人だった。/生きているときにも、死ぬときにも離れることなく、鷲よりも速く、雄獅子よりも強かった。 + イスラエルの娘らよ。/サウルのために泣け。/サウルは紅の薄絹をおまえたちにまとわせ、おまえたちの装いに金の飾りをつけてくれた。 + ああ、勇士たちは戦いのさなかに倒れた。/ヨナタンはおまえの高き所で殺された。 + あなたのために私は悲しむ。/私の兄弟ヨナタンよ。/あなたは私を大いに喜ばせ、あなたの私への愛は、女の愛にもまさって、すばらしかった。 + ああ、勇士たちは倒れた。/戦いの器はうせた。」 + + + この後、ダビデは主に伺って言った。「ユダの一つの町へ上って行くべきでしょうか。」すると主は彼に、「上って行け」と仰せられた。ダビデが、「どこへ上るのでしょうか」と聞くと、主は、「ヘブロンへ」と仰せられた。 + そこでダビデは、ふたりの妻、イズレエル人アヒノアムと、ナバルの妻であったカルメル人アビガイルといっしょに、そこへ上って行った。 + ダビデは、自分とともにいた人々を、その家族といっしょに連れて上った。こうして彼らはヘブロンの町々に住んだ。 + そこへユダの人々がやって来て、ダビデに油をそそいでユダの家の王とした。/ヤベシュ・ギルアデの人々がサウルを葬った、ということがダビデに知らされたとき、 + ダビデはヤベシュ・ギルアデの人々に使いを送り、彼らに言った。「あなたがたの主君サウルに、このような真実を尽くして、彼を葬ったあなたがたに、主の祝福があるように。 + 今、主があなたがたに恵みとまことを施してくださるように。この私も、あなたがたがこのようなことをしたので、善をもって報いよう。 + さあ、強くあれ。勇気のある者となれ。あなたがたの主君サウルは死んだが、ユダの家は私に油をそそいで、彼らの王としたのだ。」 + 一方、サウルの将軍であったネルの子アブネルは、サウルの子イシュ・ボシェテをマハナイムに連れて行き、 + 彼をギルアデ、アシュル人、イズレエル、エフライム、ベニヤミン、全イスラエルの王とした。 + サウルの子イシュ・ボシェテは、四十歳でイスラエルの王となり、二年間、王であった。ただ、ユダの家だけはダビデに従った。 + ダビデがヘブロンでユダの家の王であった期間は、七年六か月であった。 + ネルの子アブネルは、サウルの子イシュ・ボシェテの家来たちといっしょにマハナイムを出て、ギブオンへ向かった。 + 一方、ツェルヤの子ヨアブも、ダビデの家来たちといっしょに出て行った。こうして彼らはギブオンの池のそばで出会った。一方は池のこちら側に、他方は池の向こう側にとどまった。 + アブネルはヨアブに言った。「さあ、若い者たちを出して、われわれの前で闘技をさせよう。」ヨアブは言った。「出そう。」 + そこで、ベニヤミンとサウルの子イシュ・ボシェテの側から十二人、ダビデの家来たちから十二人が順番に出て行った。 + 彼らは互いに相手の頭をつかみ、相手のわき腹に剣を刺し、一つになって倒れた。それでその所はヘルカテ・ハツリムと呼ばれた。それはギブオンにある。 + その日、戦いは激しさをきわめ、アブネルとイスラエルの兵士たちは、ダビデの家来たちに打ち負かされた。 + そこに、ツェルヤの三人の息子、ヨアブ、アビシャイ、アサエルが居合わせた。アサエルは野にいるかもしかのように、足が早かった。 + アサエルはアブネルのあとを追った。右にも左にもそれずに、アブネルを追った。 + アブネルは振り向いて言った。「おまえはアサエルか。」彼は答えた。「そうだ。」 + アブネルは彼に言った。「右か左にそれて、若者のひとりを捕らえ、その者からはぎ取れ。」しかしアサエルは、アブネルを追うのをやめず、ほかへ行こうともしなかった。 + アブネルはもう一度アサエルに言った。「私を追うのをやめて、ほかへ行け。なんでおまえを地に打ち倒すことができよう。どうしておまえの兄弟ヨアブに顔向けができよう。」 + それでもアサエルは、ほかへ行こうとはしなかった。それでアブネルは、槍の石突きで彼の下腹を突き刺した。槍はアサエルを突き抜けた。アサエルはその場に倒れて、そこで死んだ。アサエルが倒れて死んだ場所に来た者はみな、立ち止まった。 + しかしヨアブとアビシャイは、アブネルのあとを追った。彼らがアマの丘に来たとき太陽が沈んだ。アマはギブオンの荒野の道沿いにあるギアハの手前にあった。 + ベニヤミン人はアブネルに従って集まり、一団となって、そこの丘の頂上に立った。 + アブネルはヨアブに呼びかけて言った。「いつまでも剣が人を滅ぼしてよいものか。その果ては、ひどいことになるのを知らないのか。いつになったら、兵士たちに、自分の兄弟たちを追うのをやめて帰れ、と命じるつもりか。」 + ヨアブは言った。「神は生きておられる。もし、おまえが言いださなかったなら、確かに兵士たちは、あしたの朝まで、自分の兄弟たちを追うのをやめなかっただろう。」 + ヨアブが角笛を吹いたので、兵士たちはみな、立ち止まり、もうイスラエルのあとを追わず、戦いもしなかった。 + アブネルとその部下たちは、一晩中アラバを通って行き、ヨルダン川を渡り、午前中、歩き続けて、マハナイムに着いた。 + 一方、ヨアブはアブネルを追うのをやめて帰った。兵士たちを全部集めてみると、ダビデの家来十九人とアサエルがいなかった。 + ダビデの家来たちは、アブネルの部下であるベニヤミン人のうち三百六十人を打ち殺していた。 + 彼らはアサエルを運んで、ベツレヘムにある彼の父の墓に葬った。ヨアブとその部下たちは、一晩中歩いて、夜明けごろ、ヘブロンに着いた。 + + + サウルの家とダビデの家との間には、長く戦いが続いた。ダビデはますます強くなり、サウルの家はますます弱くなった。 + ヘブロンでダビデに子どもが生まれた。長子はイズレエル人アヒノアムによるアムノン。 + 次男はカルメル人でナバルの妻であったアビガイルによるキルアブ。三男はゲシュルの王タルマイの娘マアカの子アブシャロム。 + 四男はハギテの子アドニヤ。五男はアビタルの子シェファテヤ。 + 六男はダビデの妻エグラによるイテレアム。これらはヘブロンでダビデに生まれた子どもである。 + サウルの家とダビデの家とが戦っている間に、アブネルはサウルの家で勢力を増し加えていた。 + サウルには、そばめがあって、その名はリツパといい、アヤの娘であった。あるときイシュ・ボシェテはアブネルに言った。「あなたはなぜ、私の父のそばめと通じたのか。」 + アブネルはイシュ・ボシェテのことばを聞くと、激しく怒って言った。「この私が、ユダの犬のかしらだとでも言うのですか。今、私はあなたの父上サウルの家と、その兄弟と友人たちとに真実を尽くして、あなたをダビデの手に渡さないでいるのに、今、あなたは、あの女のことで私をとがめるのですか。 + 主がダビデに誓われたとおりのことを、もし私が彼に果たせなかったなら、神がこのアブネルを幾重にも罰せられますように。 + サウルの家から王位を移し、ダビデの王座を、ダンからベエル・シェバに至るイスラエルとユダの上に堅く立てるということを。」 + イシュ・ボシェテはアブネルに、もはや一言も返すことができなかった。アブネルを恐れたからである。 + アブネルはダビデのところに使いをやって言わせた。「この国はだれのものでしょう。私と契約を結んでください。そうすれば、私は全イスラエルをあなたに移すのに協力します。」 + ダビデは言った。「よろしい。あなたと契約を結ぼう。しかし、それには一つの条件がある。というのは、あなたが私に会いに来るとき、まずサウルの娘ミカルを連れて来なければ、あなたは私に会えないだろう。」 + それからダビデはサウルの子イシュ・ボシェテに使いをやって言わせた。「私がペリシテ人の陽の皮百をもってめとった私の妻ミカルを返していただきたい。」 + それでイシュ・ボシェテは人をやり、彼女をその夫、ライシュの子パルティエルから取り返した。 + その夫は泣きながら彼女についてバフリムまで来たが、アブネルが、「もう帰りなさい」と言ったので、彼は帰った。 + アブネルはイスラエルの長老たちと話してこう言った。「あなたがたは、かねてから、ダビデを自分たちの王とすることを願っていたが、 + 今、それをしなさい。主がダビデについて、『わたしのしもべダビデの手によって、わたしはわたしの民イスラエルをペリシテ人の手、およびすべての敵の手から救う』と仰せられているからだ。」 + アブネルはまた、ベニヤミン人とじかに話し合ってから、ヘブロンにいるダビデのところへ行き、イスラエルとベニヤミンの家全体とが望んでいることをすべて彼の耳に入れた。 + アブネルが二十人の部下を連れてヘブロンのダビデのもとに来たとき、ダビデはアブネルとその部下の者たちのために祝宴を張った。 + アブネルはダビデに言った。「私は、全イスラエルをわが主、王のもとに集めに出かけます。そうして彼らがあなたと契約を結び、あなたが、望みどおりに治められるようにしましょう。」それでダビデはアブネルを送り出し、彼は安心して出て行った。 + ちょうどそこへ、ダビデの家来たちとヨアブが略奪から帰り、たくさんの分捕り物を持って来た。しかしそのとき、アブネルはヘブロンのダビデのもとにはいなかった。ダビデがアブネルを送り出し、もう彼は安心して出て行ったからである。 + ヨアブと彼についていた軍勢がみな帰って来たとき、ネルの子アブネルが王のところに来たが、王がアブネルを送り出したので、彼は安心して出て行った、ということがヨアブに知らされた。 + それでヨアブは王のところに来て言った。「何ということをなさったのですか。ちょうどアブネルがあなたのところに来たのに、なぜ、彼を送り出して、出て行くままにしたのですか。 + ネルの子アブネルが、あなたを惑わし、あなたの動静を探り、あなたのなさることを残らず知るために来たのに、お気づきにならなかったのですか。」 + ヨアブはダビデのもとを出てから使者たちを遣わし、アブネルのあとを追わせ、彼をシラの井戸から連れ戻させた。しかしダビデはそのことを知らなかった。 + アブネルがヘブロンに戻ったとき、ヨアブは彼とひそかに話すと見せかけて、彼を門のとびらの内側に連れ込み、そこで、下腹を突いて死なせ、自分の兄弟アサエルの血に報いた。 + あとになって、ダビデはそのことを聞いて言った。「私にも私の王国にも、ネルの子アブネルの血については、主の前にとこしえまでも罪はない。 + それは、ヨアブの頭と彼の父の全家にふりかかるように。またヨアブの家に、漏出を病む者、ツァラアトに冒された者、糸巻きをつかむ者、剣で倒れる者、食に飢える者が絶えないように。」 + ヨアブとその兄弟アビシャイがアブネルを殺したのは、アブネルが彼らの兄弟アサエルをギブオンでの戦いで殺したからであった。 + ダビデはヨアブと彼とともにいたすべての民に言った。「あなたがたの着物を裂き、荒布をまとい、アブネルの前でいたみ悲しみなさい。」そしてダビデ王は、ひつぎのあとに従った。 + 彼らはアブネルをヘブロンに葬った。王はアブネルの墓で声をあげて泣き、民もみな泣いた。 + 王はアブネルのために悲しみ歌って言った。「愚か者の死のように、アブネルは死ななければならなかったのか。 + あなたの手は縛られず、あなたの足は足かせにつながれもせずに。不正な者の前に倒れる者のように、あなたは倒れた。」民はみな、また彼のために泣いた。 + 民はみな、まだ日のあるうちにダビデに食事をとらせようとしてやって来たが、ダビデは誓って言った。「もし私が、日の沈む前にパンでも、ほかの何物でも味わったなら、神がこの私を幾重にも罰せられますように。」 + 民はみな、それを認めて、それでよいと思った。王のしたことはすべて、民を満足させた。 + それで民はみな、すなわち、全イスラエルは、その日、ネルの子アブネルを殺したのは、王から出たことではないことを知った。 + 王は家来たちに言った。「きょう、イスラエルでひとりの偉大な将軍が倒れたのを知らないのか。 + この私は油そそがれた王であるが、今はまだ力が足りない。ツェルヤの子らであるこれらの人々は、私にとっては手ごわすぎる。主が、悪を行う者には、その悪にしたがって報いてくださるように。」 + + + サウルの子イシュ・ボシェテは、アブネルがヘブロンで死んだことを聞いて、気力を失った。イスラエル人もみな、うろたえた。 + サウルの子イシュ・ボシェテのもとに、ふたりの略奪隊の隊長がいた。ひとりの名はバアナ、もうひとりの名はレカブといって、ふたりともベニヤミン族のベエロテ人リモンの子であった。というのは、ベエロテもベニヤミンに属するとみなされていたからである。 + ベエロテ人はギタイムに逃げて、寄留者となった。今日もそうである。 + さて、サウルの子ヨナタンに、足の不自由な子がひとりいた。その子は、サウルとヨナタンの悲報がイズレエルからもたらされたとき五歳であった。うばがこの子を抱いて逃げるとき、あまり急いで逃げたので、この子を落とし、そのために足のなえた者になった。この子の名はメフィボシェテといった。 + ベエロテ人リモンの子のレカブとバアナが、日盛りに、イシュ・ボシェテの家にやって来たが、ちょうどその時、イシュ・ボシェテは昼寝をしていた。 + 彼らは、小麦を取りに家の中まで入り込み、そこで、彼の下腹を突いて殺した。レカブとその兄弟バアナはのがれた。 + 彼らが家に入ったとき、イシュ・ボシェテは寝室の寝床で寝ていたので、彼らは彼を突き殺して首をはね、その首を持って、一晩中、アラバへの道を歩いた。 + 彼らはイシュ・ボシェテの首をヘブロンのダビデのもとに持って来て、王に言った。「ご覧ください。これは、あなたのいのちをねらっていたあなたの敵、サウルの子イシュ・ボシェテの首です。主は、きょう、わが主、王のために、サウルとその子孫に復讐されたのです。」 + すると、ダビデは、ベエロテ人リモンの子レカブとその兄弟バアナに答えて言った。「私のいのちをあらゆる苦難から救い出してくださった主は生きておられる。 + かつて私に、『ご覧ください。サウルは死にました』と告げて、自分自身では、良い知らせをもたらしたつもりでいた者を、私は捕らえて、ツィケラグで殺した。それが、その良い知らせの報いであった。 + まして、この悪者どもが、ひとりの正しい人を、その家の中の、しかも寝床の上で殺したときはなおのこと、今、私は彼の血の責任をおまえたちに問い、この地からおまえたちを除き去らないでおられようか。」 + ダビデが命じたので、若者たちは彼らを殺し、手、足を切り離した。そして、ヘブロンの池のほとりで木につるした。しかし、イシュ・ボシェテの首は、ヘブロンにあるアブネルの墓に持って行き、そこに葬った。 + + + イスラエルの全部族は、ヘブロンのダビデのもとに来てこう言った。「ご覧のとおり、私たちはあなたの骨肉です。 + これまで、サウルが私たちの王であった時でさえ、イスラエルを動かしていたのは、あなたでした。しかも、主はあなたに言われました。『あなたがわたしの民イスラエルを牧し、あなたがイスラエルの君主となる。』」 + イスラエルの全長老がヘブロンの王のもとに来たとき、ダビデ王は、ヘブロンで主の前に、彼らと契約を結び、彼らはダビデに油をそそいでイスラエルの王とした。 + ダビデは三十歳で王となり、四十年間、王であった。 + ヘブロンで七年六か月、ユダを治め、エルサレムで三十三年、全イスラエルとユダを治めた。 + 王とその部下がエルサレムに来て、その地の住民エブス人のところに行ったとき、彼らはダビデに言った。「あなたはここに来ることはできない。目の見えない者、足のなえた者でさえ、あなたを追い出せる。」彼らは、ダビデがここに来ることができない、と考えていたからであった。 + しかし、ダビデはシオンの要害を攻め取った。これが、ダビデの町である。 + その日ダビデは、「だれでもエブス人を打とうとする者は、水汲みの地下道を抜けて、ダビデが憎む、目の見えない者、足のなえた者を打て」と言った。このため、「目の見えない者、足のなえた者は宮に入ってはならない」と言われている。 + こうしてダビデはこの要害を住まいとして、これをダビデの町と呼んだ。ダビデはミロから内側にかけて、回りに城壁を建てた。 + ダビデはますます大いなる者となり、万軍の神、主が彼とともにおられた。 + ツロの王ヒラムは、ダビデのもとに使者を送り、杉材、大工、石工を送った。彼らはダビデのために王宮を建てた。 + ダビデは、主が彼をイスラエルの王として堅く立て、ご自分の民イスラエルのために、彼の王国を盛んにされたのを知った。 + ダビデはヘブロンから来て後、エルサレムで、さらにそばめたちと妻たちをめとった。ダビデにはさらに、息子、娘たちが生まれた。 + エルサレムで彼に生まれた子の名は次のとおり。シャムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、 + イブハル、エリシュア、ネフェグ、ヤフィア、 + エリシャマ、エルヤダ、エリフェレテであった。 + ペリシテ人は、ダビデが油をそそがれてイスラエルの王となったことを聞いた。そこでペリシテ人はみな、ダビデをねらって上って来た。ダビデはそれと聞き、要害に下って行った。 + ペリシテ人は来て、レファイムの谷間に展開した。 + そこで、ダビデは主に伺って言った。「ペリシテ人を攻めに上るべきでしょうか。彼らを私の手に渡してくださるでしょうか。」すると主はダビデに仰せられた。「上れ。わたしは必ず、ペリシテ人をあなたの手に渡すから。」 + それで、ダビデはバアル・ペラツィムに行き、そこで彼らを打った。そして言った。「主は、水が破れ出るように、私の前で私の敵を破られた。」それゆえ彼は、その場所の名をバアル・ペラツィムと呼んだ。 + 彼らが自分たちの偶像を置き去りにして行ったので、ダビデとその部下はそれらを運んで捨てた。 + ところがペリシテ人は、なおもまた上って来て、レファイムの谷間に展開した。 + そこで、ダビデが主に伺ったところ、主は仰せられた。「上って行くな。彼らのうしろに回って行き、バルサム樹の林の前から彼らに向かえ。 + バルサム樹の林の上から行進の音が聞こえたら、そのとき、あなたは攻め上れ。そのとき、主はすでに、ペリシテ人の陣営を打つために、あなたより先に出ているから。」 + ダビデは、主が彼に命じたとおりにし、ゲバからゲゼルに至るまでのペリシテ人を打った。 + + + ダビデは再びイスラエルの精鋭三万をことごとく集めた。 + ダビデはユダのバアラから神の箱を運び上ろうとして、自分につくすべての民とともに出かけた。神の箱は、ケルビムの上に座しておられる万軍の主の名で呼ばれている。 + 彼らは、神の箱を、新しい車に載せて、丘の上にあるアビナダブの家から運び出した。アビナダブの子、ウザとアフヨが新しい車を御していた。 + 丘の上にあるアビナダブの家からそれを神の箱とともに運び出したとき、アフヨは箱の前を歩いていた。 + ダビデとイスラエルの全家は歌を歌い、立琴、琴、タンバリン、カスタネット、シンバルを鳴らして、主の前で、力の限り喜び踊った。 + こうして彼らがナコンの打ち場まで来たとき、ウザは神の箱に手を伸ばして、それを押さえた。牛がそれをひっくり返しそうになったからである。 + すると、主の怒りがウザに向かって燃え上がり、神は、その不敬の罪のために、彼をその場で打たれたので、彼は神の箱のかたわらのその場で死んだ。 + ダビデの心は激した。ウザによる割りこみに主が怒りを発せられたからである。それで、その場所はペレツ・ウザと呼ばれた。今日もそうである。 + その日ダビデは主を恐れて言った。「主の箱を、私のところにお迎えすることはできない。」 + ダビデは主の箱を彼のところ、ダビデの町に移したくなかったので、ガテ人オベデ・エドムの家にそれを回した。 + こうして、主の箱はガテ人オベデ・エドムの家に三か月とどまった。主はオベデ・エドムと彼の全家を祝福された。 + 主が神の箱のことで、オベデ・エドムの家と彼に属するすべてのものを祝福された、ということがダビデ王に知らされた。そこでダビデは行って、喜びをもって神の箱をオベデ・エドムの家からダビデの町へ運び上った。 + 主の箱をかつぐ者たちが六歩進んだとき、ダビデは肥えた牛をいけにえとしてささげた。 + ダビデは、主の前で、力の限り踊った。ダビデは亜麻布のエポデをまとっていた。 + ダビデとイスラエルの全家は、歓声をあげ、角笛を鳴らして、主の箱を運び上った。 + 主の箱はダビデの町に入った。サウルの娘ミカルは窓から見おろし、ダビデ王が主の前ではねたり踊ったりしているのを見て、心の中で彼をさげすんだ。 + こうして彼らは、主の箱を運び込み、ダビデがそのために張った天幕の真ん中の場所に安置した。それから、ダビデは主の前に、全焼のいけにえと和解のいけにえをささげた。 + ダビデは、全焼のいけにえと和解のいけにえをささげ終えてから、万軍の主の御名によって民を祝福した。 + そして民全部、イスラエルの群集全部に、男にも女にも、それぞれ、輪型のパン一個、なつめやしの菓子一個、干しぶどうの菓子一個を分け与えた。こうして民はみな、それぞれ自分の家に帰った。 + ダビデが自分の家族を祝福するために戻ると、サウルの娘ミカルがダビデを迎えに出て来て言った。「イスラエルの王は、きょう、ほんとうに威厳がございましたね。ごろつきが恥ずかしげもなく裸になるように、きょう、あなたは自分の家来のはしための目の前で裸におなりになって。」 + ダビデはミカルに言った。「あなたの父よりも、その全家よりも、むしろ私を選んで主の民イスラエルの君主に任じられた主の前なのだ。私はその主の前で喜び踊るのだ。 + 私はこれより、もっと卑しめられよう。私の目に卑しく見えても、あなたの言うそのはしためたちに、敬われたいのだ。」 + サウルの娘ミカルには死ぬまで子どもがなかった。 + + + 王が自分の家に住み、主が周囲のすべての敵から守って、彼に安息を与えられたとき、 + 王は預言者ナタンに言った。「ご覧ください。この私が杉材の家に住んでいるのに、神の箱は天幕の中にとどまっています。」 + すると、ナタンは王に言った。「さあ、あなたの心にあることをみな行いなさい。主があなたとともにおられるのですから。」 + その夜のことである。次のような主のことばがナタンにあった。 + 「行って、わたしのしもべダビデに言え。/主はこう仰せられる。あなたはわたしのために、わたしの住む家を建てようとしているのか。 + わたしは、エジプトからイスラエル人を導き上った日以来、今日まで、家に住んだことはなく、天幕、すなわち幕屋にいて、歩んできた。 + わたしがイスラエル人のすべてと歩んできたどんな所ででも、わたしが、民イスラエルを牧せよと命じたイスラエル部族の一つにでも、『なぜ、あなたがたはわたしのために杉材の家を建てなかったのか』と、一度でも、言ったことがあろうか。 + 今、わたしのしもべダビデにこう言え。/万軍の主はこう仰せられる。わたしはあなたを、羊の群れを追う牧場からとり、わたしの民イスラエルの君主とした。 + そして、あなたがどこに行っても、あなたとともにおり、あなたの前であなたのすべての敵を断ち滅ぼした。わたしは地上の大いなる者の名に等しい大いなる名をあなたに与える。 + わたしが、わたしの民イスラエルのために一つの場所を定め、民を住みつかせ、民がその所に住むなら、もはや民は恐れおののくことはない。不正な者たちも、初めのころのように重ねて民を苦しめることはない。 + それは、わたしが、わたしの民イスラエルの上にさばきつかさを任命したころのことである。わたしはあなたをすべての敵から守って、安息を与える。さらに主はあなたに告げる。『主はあなたのために一つの家を造る。』 + あなたの日数が満ち、あなたがあなたの先祖たちとともに眠るとき、わたしは、あなたの身から出る世継ぎの子を、あなたのあとに起こし、彼の王国を確立させる。 + 彼はわたしの名のために一つの家を建て、わたしはその王国の王座をとこしえまでも堅く立てる。 + わたしは彼にとって父となり、彼はわたしにとって子となる。もし彼が罪を犯すときは、わたしは人の杖、人の子のむちをもって彼を懲らしめる。 + しかし、わたしは、あなたの前からサウルを取り除いて、わたしの恵みをサウルから取り去ったが、わたしの恵みをそのように、彼から取り去ることはない。 + あなたの家とあなたの王国とは、わたしの前にとこしえまでも続き、あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ。」 + ナタンはこれらすべてのことばと、これらすべての幻とを、そのままダビデに告げた。 + ダビデ王は行って主の前に座し、そして言った。「神、主よ。私がいったい何者であり、私の家が何であるからというので、あなたはここまで私を導いてくださったのですか。 + 神、主よ。この私はあなたの御目には取るに足りない者でしたのに、あなたは、このしもべの家にも、はるか先のことまで告げてくださいました。神、主よ。これが人の定めでしょうか。 + 神、主よ。このダビデは、このうえ、あなたに何をつけ加えて申し上げることができましょう。あなたはこのしもべをよくご存じです。 + あなたは、ご自分の約束のために、あなたのみこころのままに、この大いなることのすべてを行い、このしもべにそれを知らせてくださいました。 + それゆえ、神、主よ。あなたは大いなる方です。私たちの耳に入るすべてについて、あなたのような方はほかになく、あなたのほかに神はありません。 + また、地上のどの国民があなたの民のよう、イスラエルのようでしょう。神ご自身が来られて、この民を贖い、これをご自身の民とし、これにご自身の名を置かれました。あなたは、ご自身の国のために、あなたの民の前で、大いなる恐るべきことを行い、この民をあなたのためにエジプトから、そして国々とその神々から贖ってくださいました。 + こうして、あなたの民イスラエルをとこしえまでもあなたの民として立てられました。主よ。あなたは彼らの神となられました。 + どうか、神、主よ。あなたが、このしもべとその家について約束されたことを、とこしえまでも守り、あなたの約束どおりに行ってください。 + あなたの御名がとこしえまでもあがめられ、『万軍の主はイスラエルの神』と言われますように。あなたのしもべダビデの家が御前に堅く立つことができますように。 + イスラエルの神、万軍の主よ。あなたは、このしもべの耳にはっきり、『わたしが、あなたのために家を建てる』と言われました。それゆえ、このしもべは、この祈りをあなたに祈る勇気を得たのです。 + 今、神、主よ。あなたこそ神であられます。あなたのおことばはまことです。あなたは、このしもべに、この良いことを約束してくださいました。 + 今、どうぞあなたのしもべの家を祝福して、とこしえに御前に続くようにしてください。神、主よ。あなたが、約束されました。あなたの祝福によって、あなたのしもべの家はとこしえに祝福されるのです。」 + + + その後、ダビデはペリシテ人を打って、これを屈服させた。ダビデはメテグ・ハアマをペリシテ人の手から奪った。 + 彼はモアブを打ったとき、彼らを地面に伏させて、なわで彼らを測った。なわ二本を伸ばして測った者を殺し、なわ一本を伸ばして測った者を生かしておいた。こうしてモアブはダビデのしもべとなり、みつぎものを納める者となった。 + ダビデは、ツォバの王レホブの子ハダデエゼルが、ユーフラテス川流域にその勢力を回復しようと出て来たとき、彼を打った。 + ダビデは、彼から騎兵千七百、歩兵二万を取った。ダビデは、その戦車全部の馬の足の筋を切った。ただし、戦車の馬百頭を残した。 + ダマスコのアラムがツォバの王ハダデエゼルを助けに来たが、ダビデはアラムの二万二千人を打った。 + ダビデはダマスコのアラムに守備隊を置いた。アラムはダビデのしもべとなり、みつぎものを納める者となった。こうして主は、ダビデの行く先々で、彼に勝利を与えられた。 + ダビデはハダデエゼルの家来たちの持っていた金の丸い小盾を奪い取り、エルサレムに持ち帰った。 + ダビデ王は、ハダデエゼルの町ベタフとベロタイから、非常に多くの青銅を奪い取った。 + ハマテの王トイは、ダビデがハダデエゼルの全軍勢を打ち破ったことを聞いた。 + そこでトイは、その子ヨラムをダビデ王のもとにやって、安否を尋ねさせ、ダビデがハダデエゼルと戦ってこれを打ち破ったことについて、祝福のことばを述べさせた。ハダデエゼルがトイに戦いをいどんでいたからである。ヨラムは銀の器、金の器、青銅の器を手にして来た。 + ダビデ王は、それをもまた、彼の征服したすべての国々から取って聖別する銀や金とともに主に聖別してささげた。 + それらは、アラム、モアブ、アモン人、ペリシテ人、アマレクから取った物、およびツォバの王レホブの子ハダデエゼルからの分捕り物であった。 + ダビデが塩の谷でエドム人一万八千を打ち殺して帰って来たとき、彼は名をあげた。 + 彼はエドムに守備隊を、すなわち、エドム全土に守備隊を置いた。こうして、エドムの全部がダビデのしもべとなった。このように主は、ダビデの行く先々で、彼に勝利を与えられた。 + ダビデはイスラエルの全部を治め、その民のすべての者に正しいさばきを行った。 + ツェルヤの子ヨアブは軍団長、アヒルデの子ヨシャパテは参議、 + アヒトブの子ツァドクとエブヤタルの子アヒメレクは祭司、セラヤは書記、 + エホヤダの子ベナヤはケレテ人とペレテ人の上に立つ者、ダビデの子らは祭司であった。 + + + ダビデが言った。「サウルの家の者で、まだ生き残っている者はいないか。私はヨナタンのために、その者に恵みを施したい。」 + サウルの家にツィバという名のしもべがいた。彼がダビデのところに召し出されたとき、王は彼に尋ねた。「あなたがツィバか。」すると彼は答えた。「はい、このしもべです。」 + 王は言った。「サウルの家の者で、まだ、だれかいないのか。私はその者に神の恵みを施したい。」ツィバは王に言った。「まだ、ヨナタンの子で足の不自由な方がおられます。」 + 王は彼に言った。「彼は、どこにいるのか。」ツィバは王に言った。「今、ロ・デバルのアミエルの子マキルの家におられます。」 + そこでダビデ王は人をやり、ロ・デバルのアミエルの子マキルの家から彼を連れて来させた。 + サウルの子ヨナタンの子メフィボシェテは、ダビデのところに来て、ひれ伏して礼をした。ダビデは言った。「メフィボシェテか。」彼は答えた。「はい、このしもべです。」 + ダビデは言った。「恐れることはない。私は、あなたの父ヨナタンのために、あなたに恵みを施したい。あなたの祖父サウルの地所を全部あなたに返そう。あなたはいつも私の食卓で食事をしてよい。」 + 彼は礼をして言った。「このしもべが何者だというので、あなたは、この死んだ犬のような私を顧みてくださるのですか。」 + そこで王はサウルのしもべツィバを呼び寄せて言った。「サウルと、その一家の所有になっていた物をみな、私はあなたの主人の子に与えた。 + あなたも、あなたの息子たちも、あなたの召使いたちも、彼のために地を耕して、作物を得たなら、それはあなたの主人の子のパン、また食物となる。あなたの主人の子メフィボシェテは、私の食卓で、いつも食事をすることになる。」ツィバには十五人の息子と二十人の召使いがあった。 + ツィバは王に言った。「王さま。あなたが、このしもべに申しつけられたとおりに、このしもべはいたします。」こうして、メフィボシェテは王の息子たちのひとりのように、王の食卓で食事をすることになった。 + メフィボシェテにはミカという名の小さな子どもがいた。ツィバの家に住む者はみな、メフィボシェテのしもべとなった。 + メフィボシェテはエルサレムに住み、いつも王の食卓で食事をした。彼は両足が共になえていた。 + + + この後、アモン人の王が死に、その子ハヌンが代わって王となった。 + ダビデは、「ナハシュの子ハヌンに真実を尽くそう。彼の父が私に真実を尽くしてくれたように」と考えた。そこで、ダビデは家来を派遣して、彼の父の悔やみを言わせた。ダビデの家来たちがアモン人の地に来たとき、 + アモン人のつかさたちは、彼らの主君ハヌンに言った。「ダビデがあなたのもとに悔やみの使者をよこしたからといって、彼が父君を敬っているとでもお考えですか。この町を調べ、探り、くつがえすために、ダビデはあなたのところに家来をよこしたのではありませんか。」 + そこでハヌンはダビデの家来たちを捕らえ、彼らのひげを半分そり落とし、その衣を半分に切って尻のあたりまでにし、彼らを送り返した。 + ダビデにこのことが知らされたので、彼は彼らを迎えに人をやった。この人たちが非常に恥じていたからである。王は言った。「あなたがたのひげが伸びるまで、エリコにとどまり、それから帰りなさい。」 + アモン人は、自分たちがダビデに憎まれるようになったのを見て取った。そこでアモン人は使いをやって、ベテ・レホブのアラムとツォバのアラムの歩兵二万、マアカの王の兵士一千、トブの兵士一万二千を雇った。 + ダビデはこれを聞き、ヨアブと勇士たちの全軍を送った。 + アモン人は出て、門の入口に戦いの備えをした。ツォバとレホブのアラムおよびトブとマアカの人たちは、別に野にいた。 + ヨアブは、彼の前とうしろに戦いの前面があるのを見て、イスラエルの精鋭全員からさらに兵を選び、アラムに立ち向かう陣ぞなえをし、 + 民の残りの者は彼の兄弟アブシャイの手に託して、アモン人に立ち向かう陣ぞなえをした。 + ヨアブは言った。「もし、アラムが私より強ければ、おまえが私を救ってくれ。もし、アモン人がおまえより強かったら、私がおまえを救いに行こう。 + 強くあれ。われわれの民のため、われわれの神の町々のために全力を尽くそう。主はみこころにかなうことをされる。」 + ヨアブと彼の部下の兵士たちがアラムと戦おうとして近づいたとき、アラムは彼の前から逃げた。 + アモン人はアラムが逃げるのを見て、アビシャイの前から逃げて、町に入り込んだ。そこでヨアブはアモン人を打つのをやめて、エルサレムに帰った。 + アラムは、自分たちがイスラエルに打ち負かされたのを見て団結した。 + ハダデエゼルは使いを送り、川向こうのアラムを連れ出したので、彼らはヘラムに来た。ハダデエゼルの将軍ショバクが彼らを率いていた。 + このことがダビデに報告された。すると、彼は全イスラエルを集結し、ヨルダン川を渡って、ヘラムへ行った。アラムはダビデに立ち向かう陣ぞなえをして、彼と戦った。 + アラムがイスラエルの前から逃げたので、ダビデはアラムの戦車兵七百と騎兵四万をほふり、将軍ショバクを打って、その場で殺した。 + ハダデエゼルに仕えていた王たちはみな、自分たちがイスラエルに打ち負かされたのを見て、イスラエルと和を講じ、彼らのしもべとなった。アラムは恐れて、それからはもう、アモン人を救おうとはしなかった。 + + + 年が改まり、王たちが出陣するころ、ダビデは、ヨアブと自分の家来たちとイスラエルの全軍とを戦いに出した。彼らはアモン人を滅ぼし、ラバを包囲した。しかしダビデはエルサレムにとどまっていた。 + ある夕暮れ時、ダビデは床から起き上がり、王宮の屋上を歩いていると、ひとりの女が、からだを洗っているのが屋上から見えた。その女は非常に美しかった。 + ダビデは人をやって、その女について調べたところ、「あれはヘテ人ウリヤの妻で、エリアムの娘バテ・シェバではありませんか」との報告を受けた。 + ダビデは使いの者をやって、その女を召し入れた。女が彼のところに来たので、彼はその女と寝た。――その女は月のものの汚れをきよめていた――それから女は自分の家へ帰った。 + 女はみごもったので、ダビデに人をやって、告げて言った。「私はみごもりました。」 + ダビデはヨアブのところに人をやって、「ヘテ人ウリヤを私のところに送れ」と言わせた。それでヨアブはウリヤをダビデのところに送った。 + ウリヤが彼のところに入って来ると、ダビデは、ヨアブは無事でいるか、兵士たちも変わりないか、戦いもうまくいっているか、と尋ねた。 + それからダビデはウリヤに言った。「家に帰って、あなたの足を洗いなさい。」ウリヤが王宮から出て行くと、王からの贈り物が彼のあとに続いた。 + しかしウリヤは、王宮の門のあたりで、自分の主君の家来たちみなといっしょに眠り、自分の家には帰らなかった。 + ダビデは、ウリヤが自分の家には帰らなかった、という知らせを聞いて、ウリヤに言った。「あなたは遠征して来たのではないか。なぜ、自分の家に帰らなかったのか。」 + ウリヤはダビデに言った。「神の箱も、イスラエルも、ユダも仮庵に住み、私の主人ヨアブも、私の主人の家来たちも戦場で野営しています。それなのに、私だけが家に帰り、飲み食いして、妻と寝ることができましょうか。あなたの前に、あなたのたましいの前に誓います。私は決してそのようなことをいたしません。」 + ダビデはウリヤに言った。「では、きょうもここにとどまるがよい。あすになったらあなたを送り出そう。」それでウリヤはその日と翌日エルサレムにとどまることになった。 + ダビデは彼を招いて、自分の前で食べたり飲んだりさせ、彼を酔わせた。夕方、ウリヤは出て行って、自分の主君の家来たちといっしょに自分の寝床で寝た。そして自分の家には行かなかった。 + 朝になって、ダビデはヨアブに手紙を書き、ウリヤに持たせた。 + その手紙にはこう書かれてあった。「ウリヤを激戦の真っ正面に出し、彼を残してあなたがたは退き、彼が打たれて死ぬようにせよ。」 + ヨアブは町を見張っていたので、その町の力ある者たちがいると知っていた場所に、ウリヤを配置した。 + その町の者が出て来てヨアブと戦ったとき、民のうちダビデの家来たちが倒れ、ヘテ人ウリヤも戦死した。 + そこでヨアブは、使いを送って戦いの一部始終をダビデに報告するとき、 + 使者に命じて言った。「戦いの一部始終を王に報告し終わったとき、 + もし王が怒りを発して、おまえに『なぜ、あなたがたはそんなに町に近づいて戦ったのか。城壁の上から彼らが射かけてくるのを知らなかったのか。 + エルベシェテの子アビメレクを打ち殺したのはだれであったか。ひとりの女が城壁の上からひき臼の上石を投げつけて、テベツで彼を殺したのではなかったか。なぜ、そんなに城壁に近づいたのか』と言われたら、『あなたの家来、ヘテ人ウリヤも死にました』と言いなさい。」 + こうして使者は出かけ、ダビデのところに来て、ヨアブの伝言をすべて伝えた。 + 使者はダビデに言った。「敵は私たちより優勢で、私たちに向かって野に出て来ましたが、私たちは門の入口まで彼らを攻めて行きました。 + すると城壁の上から射手たちが、あなたの家来たちに矢を射かけ、王の家来たちが死に、あなたの家来、ヘテ人ウリヤも死にました。」 + ダビデは使者に言った。「あなたはヨアブにこう言わなければならない。『このことで心配するな。剣はこちらの者も、あちらの者も滅ぼすものだ。あなたは町をいっそう激しく攻撃して、それを全滅せよ。』あなたは、彼を力づけなさい。」 + ウリヤの妻は、夫ウリヤが死んだことを聞いて、夫のためにいたみ悲しんだ。 + 喪が明けると、ダビデは人をやり、彼女を自分の家に迎え入れた。彼女は彼の妻となり、男の子を産んだ。しかし、ダビデの行ったことは主のみこころをそこなった。 + + + 主がナタンをダビデのところに遣わされたので、彼はダビデのところに来て言った。「ある町にふたりの人がいました。ひとりは富んでいる人、ひとりは貧しい人でした。 + 富んでいる人には、非常に多くの羊と牛の群れがいますが、 + 貧しい人は、自分で買って来て育てた一頭の小さな雌の子羊のほかは、何も持っていませんでした。子羊は彼とその子どもたちといっしょに暮らし、彼と同じ食物を食べ、同じ杯から飲み、彼のふところでやすみ、まるで彼の娘のようでした。 + あるとき、富んでいる人のところにひとりの旅人が来ました。彼は自分のところに来た旅人のために自分の羊や牛の群れから取って調理するのを惜しみ、貧しい人の雌の子羊を取り上げて、自分のところに来た人のために調理しました。」 + すると、ダビデは、その男に対して激しい怒りを燃やし、ナタンに言った。「主は生きておられる。そんなことをした男は死刑だ。 + その男は、あわれみの心もなく、そんなことをしたのだから、その雌の子羊を四倍にして償わなければならない。」 + ナタンはダビデに言った。「あなたがその男です。イスラエルの神、主はこう仰せられる。『わたしはあなたに油をそそいで、イスラエルの王とし、サウルの手からあなたを救い出した。 + さらに、あなたの主人の家を与え、あなたの主人の妻たちをあなたのふところに渡し、イスラエルとユダの家も与えた。それでも少ないというのなら、わたしはあなたにもっと多くのものを増し加えたであろう。 + それなのに、どうしてあなたは主のことばをさげすみ、わたしの目の前に悪を行ったのか。あなたはヘテ人ウリヤを剣で打ち、その妻を自分の妻にした。あなたが彼をアモン人の剣で切り殺したのだ。 + 今や剣は、いつまでもあなたの家から離れない。あなたがわたしをさげすみ、ヘテ人ウリヤの妻を取り、自分の妻にしたからである。』 + 主はこう仰せられる。『聞け。わたしはあなたの家の中から、あなたの上にわざわいを引き起こす。あなたの妻たちをあなたの目の前で取り上げ、あなたの友に与えよう。その人は、白昼公然と、あなたの妻たちと寝るようになる。 + あなたは隠れて、それをしたが、わたしはイスラエル全部の前で、太陽の前で、このことを行おう。』」 + ダビデはナタンに言った。「私は主に対して罪を犯した。」ナタンはダビデに言った。「主もまた、あなたの罪を見過ごしてくださった。あなたは死なない。 + しかし、あなたはこのことによって、主の敵に大いに侮りの心を起こさせたので、あなたに生まれる子は必ず死ぬ。」 + こうしてナタンは自分の家へ戻った。/主は、ウリヤの妻がダビデに産んだ子を打たれたので、その子は病気になった。 + ダビデはその子のために神に願い求め、断食をして、引きこもり、一晩中、地に伏していた。 + 彼の家の長老たちは彼のそばに立って、彼を地から起こそうとしたが、ダビデは起きようともせず、彼らといっしょに食事を取ろうともしなかった。 + 七日目に子どもは死んだが、ダビデの家来たちは、その子が死んだことをダビデに告げるのを恐れた。「王はあの子が生きている時、われわれが話しても、言うことを聞かなかった。どうしてあの子が死んだことを王に言えようか。王は何か悪い事をされるかもしれない」と彼らが思ったからである。 + しかしダビデは、家来たちがひそひそ話し合っているのを見て、子どもが死んだことを悟った。それでダビデは家来たちに言った。「子どもは死んだのか。」彼らは言った。「なくなられました。」 + するとダビデは地から起き上がり、からだを洗って身に油を塗り、着物を着替えて、主の宮に入り、礼拝をしてから、自分の家へ帰った。そして食事の用意をさせて、食事をとった。 + すると家来たちが彼に言った。「あなたのなさったこのことは、いったいどういうことですか。お子さまが生きておられる時は断食をして泣かれたのに、お子さまがなくなられると、起き上がり、食事をなさるとは。」 + ダビデは言った。「子どもがまだ生きている時に私が断食をして泣いたのは、もしかすると、主が私をあわれみ、子どもが生きるかもしれない、と思ったからだ。 + しかし今、子どもは死んでしまった。私はなぜ、断食をしなければならないのか。あの子をもう一度、呼び戻せるであろうか。私はあの子のところに行くだろうが、あの子は私のところに戻っては来ない。」 + ダビデは妻バテ・シェバを慰め、彼女のところに入り、彼女と寝た。彼女が男の子を産んだとき、彼はその名をソロモンと名づけた。主はその子を愛されたので、 + 預言者ナタンを遣わして、主のために、その名をエディデヤと名づけさせた。 + さて、ヨアブはアモン人のラバと戦い、この王の町を攻め取った。 + ヨアブはダビデに使者を送って言った。「私はラバと戦って、水の町を攻め取りました。 + しかし今、民の残りの者たちを集めて、この町に対して陣を敷き、あなたがこれを攻め取ってください。私がこの町を取り、この町に私の名がつけられるといけませんから。」 + そこでダビデは民のすべてを集めて、ラバに進んで行き、これと戦って、攻め取った。 + 彼は彼らの王の冠をその頭から取った。その重さは金一タラントで、宝石がはめ込まれていた。その冠はダビデの頭に置かれた。彼はまた、その町から非常に多くの分捕り物を持ってきた。 + 彼はその町の人々を連れてきて、石のこぎりや、鉄のつるはし、鉄の斧を使う仕事につかせ、れんが作りの仕事をさせた。ダビデはアモン人のすべての町々に対して、このようにした。こうして、ダビデと民のすべてはエルサレムに帰った。 + + + その後のことである。ダビデの子アブシャロムに、タマルという名の美しい妹がいたが、ダビデの子アムノンは彼女を恋していた。 + アムノンは、妹タマルのために、苦しんで、わずらうようになった。というのは、彼女が処女であって、アムノンには、彼女に何かするということはとてもできないと思われたからである。 + アムノンには、ダビデの兄弟シムアの子でヨナダブという名の友人がいた。ヨナダブは非常に悪賢い男であった。 + 彼はアムノンに言った。「王子さま。あなたは、なぜ、朝ごとにやつれていくのか、そのわけを話してくれませんか。」アムノンは彼に言った。「私は、兄弟アブシャロムの妹タマルを愛している。」 + ヨナダブは彼に言った。「あなたは床に伏せて、仮病を使いなさい。あなたの父君が見舞いに来られたら、こう言いなさい。『どうか、妹のタマルをよこして、私に食事をさせ、私に見えるように、この目の前で病人食を作らせてください。タマルの手から、それを食べたいのです。』」 + そこでアムノンは床につき、仮病を使った。王が見舞いに来ると、アムノンは王に言った。「どうか、妹のタマルをよこし、目の前で二つの甘いパンを作らせてください。私は彼女の手から食べたいのです。」 + そこでダビデは、タマルの家に人をやって言った。「兄さんのアムノンの家に行って、病人食を作ってあげなさい。」 + それでタマルが兄アムノンの家に行ったところ、彼は床についていた。彼女は粉を取って、それをこね、彼の目の前で甘いパンを作って、それを焼いた。 + 彼女は平なべを取り、彼の前に甘いパンを出したが、彼は食べようとしなかった。アムノンが、「みな、ここから出て行け」と言ったので、みなアムノンのところから出て行った。 + アムノンはタマルに言った。「食事を寝室に持って来ておくれ。私はおまえの手からそれを食べたい。」タマルは自分が作った甘いパンを兄のアムノンの寝室に持って行った。 + 彼女が食べさせようとして、彼に近づくと、彼は彼女をつかまえて言った。「妹よ。さあ、私と寝ておくれ。」 + 彼女は言った。「いけません。兄上。乱暴してはいけません。イスラエルでは、こんなことはしません。こんな愚かなことをしないでください。 + 私は、このそしりをどこに持って行けましょう。あなたもイスラエルで、愚か者のようになるのです。今、王に話してください。きっと王が私をあなたに会わせてくださいます。」 + しかし、アムノンは彼女の言うことを聞こうとはせず、力ずくで、彼女をはずかしめて、これと寝た。 + ところがアムノンは、ひどい憎しみにかられて、彼女をきらった。その憎しみは、彼がいだいた恋よりもひどかった。アムノンは彼女に言った。「さあ、出て行け。」 + 彼女は言った。「それはなりません。私を追い出すなど、あなたが私にしたあのことより、なおいっそう、悪いことです。」しかし、彼は彼女の言うことを聞こうともせず、 + 召使いの若い者を呼んで言った。「この女をここから外に追い出して、戸をしめてくれ。」 + 彼女は、そでつきの長服を着ていた。昔、処女である王女たちはそのような着物を着ていたからである。召使いは彼女を外に追い出して、戸をしめてしまった。 + タマルは頭に灰をかぶり、着ていたそでつきの長服を裂き、手を頭に置いて、歩きながら声をあげて泣いていた。 + 彼女の兄アブシャロムは彼女に言った。「おまえの兄アムノンが、おまえといっしょにいたのか。だが妹よ。今は黙っていなさい。あれはおまえの兄なのだ。あのことで心配しなくてもよい。」それでタマルは、兄アブシャロムの家で、ひとりわびしく暮らしていた。 + ダビデ王は、事の一部始終を聞いて激しく怒った。 + アブシャロムは、アムノンにこのことが良いとも悪いとも何も言わなかった。アブシャロムは、アムノンが妹タマルをはずかしめたことで、彼を憎んでいたからである。 + それから満二年たって、アブシャロムがエフライムの近くのバアル・ハツォルで羊の毛の刈り取りの祝いをしたとき、アブシャロムは王の息子たち全部を招くことにした。 + アブシャロムは王のもとに行って言った。「このたび、このしもべが羊の毛の刈り取りの祝いをすることになりました。どうか、王も、あなたの家来たちも、このしもべといっしょにおいでください。」 + すると王はアブシャロムに言った。「いや、わが子よ。われわれ全部が行くのは良くない。あなたの重荷になってはいけないから。」アブシャロムは、しきりに勧めたが、ダビデは行きたがらず、ただ彼に祝福を与えた。 + それでアブシャロムは言った。「それなら、どうか、私の兄弟アムノンを私どもといっしょに行かせてください。」王は彼に言った。「なぜ、彼があなたといっしょに行かなければならないのか。」 + しかし、アブシャロムが、しきりに勧めたので、王はアムノンと王の息子たち全部を彼といっしょに行かせた。 + アブシャロムは自分に仕える若い者たちに命じて言った。「よく注意して、アムノンが酔って上きげんになったとき、私が『アムノンを打て』と言ったら、彼を殺せ。恐れてはならない。この私が命じるのではないか。強くあれ。力ある者となれ。」 + アブシャロムの若い者たちが、アブシャロムの命じたとおりにアムノンにしたので、王の息子たちはみな立ち上がって、おのおの自分の騾馬に乗って逃げた。 + 彼らがまだ道の途中にいたとき、ダビデのところに次のような知らせが着いた。「アブシャロムは王の子たちを全部殺しました。残された方はひとりもありません。」 + そこで王は立ち上がり、着物を裂き、地に伏した。かたわらに立っていた家来たちもみな、着物を裂いた。 + しかしダビデの兄弟シムアの子ヨナダブは、証言をして言った。「王さま。彼らが王の子である若者たちを全部殺したとお思いなさいませんように。アムノンだけが死んだのです。それはアブシャロムの命令によるので、アムノンが妹のタマルをはずかしめた日から、胸に持っていたことです。 + 今、王さま。王子たち全部が殺された、という知らせを心に留めないでください。アムノンだけが死んだのです。」 + 一方、アブシャロムは逃げた。見張りの若者が目を上げて見ると、見よ、彼のうしろの山沿いの道から大ぜいの人々がやって来るところであった。 + ヨナダブは王に言った。「ご覧ください。王子たちが来られます。このしもべが申し上げたとおりになりました。」 + 彼が語り終えたとき、そこに王子たちが来て、声をあげて泣いた。王もその家来たちもみな、非常に激しく泣いた。 + アブシャロムは、ゲシュルの王アミフデの子タルマイのところに逃げた。ダビデは、いつまでもアムノンの死を嘆き悲しんでいた。 + アブシャロムは、ゲシュルに逃げて行き、三年の間そこにいた。 + ダビデ王はアブシャロムに会いに出ることはやめた。アムノンが死んだので、アムノンのために悔やんでいたからである。 + + + ツェルヤの子ヨアブは、王がアブシャロムに敵意をいだいているのに気づいた。 + ヨアブはテコアに人をやって、そこからひとりの知恵のある女を連れて来て、彼女に言った。「あなたは喪に服している者を装い、喪服を着て、身に油も塗らず、死んだ人のために長い間、喪に服している女のようになって、 + 王のもとに行き、王にこのように話してくれまいか。」こうしてヨアブは彼女の口にことばを授けた。 + テコアの女は、王に話したとき、地にひれ伏し、礼をして言った。「お救いください。王さま。」 + それで、王は彼女に言った。「いったい、どうしたのか。」彼女は答えた。「実は、この私は、やもめで、私の夫はなくなりました。 + このはしためには、ふたりの息子がありましたが、ふたりが野原でけんかをして、だれもふたりを仲裁する者がいなかったので、ひとりが相手を打ち殺してしまいました。 + そのうえ、親族全体がこのはしために詰め寄って、『兄弟を打った者を引き渡せ。あれが殺した兄弟のいのちのために、あれを殺し、この家の世継ぎをも根絶やしにしよう』と申します。あの人たちは残された私の一つの火種を消して、私の夫の名だけではなく、残りの者までも、この地上に残さないようにするのです。」 + 王は女に言った。「家に帰りなさい。あなたのことで命令を出そう。」 + テコアの女は王に言った。「王さま。刑罰は私と私の父の家に下り、王さまと王位には罪がありませんように。」 + 王は言った。「あなたに文句を言う者がいるなら、その者を、私のところに連れて来なさい。そうすれば、もう二度とあなたを煩わすことはなくなる。」 + そこで彼女は言った。「どうか王さま。あなたの神、主に心を留め、血の復讐をする者が殺すことをくり返さず、私の息子を根絶やしにしないようにしてください。」王は言った。「主は生きておられる。あなたの息子の髪の毛一本も決して地に落ちることはない。」 + するとその女は言った。「このはしために、一言、王さまに申し上げさせてください。」王は言った。「言いなさい。」 + 女は言った。「あなたはどうして、このような神の民に逆らうようなことを、計られたのですか。王は、先のようなことを語られて、ご自分を罪ある者とされています。王は追放された者を戻しておられません。 + 私たちは、必ず死ぬ者です。私たちは地面にこぼれて、もう集めることのできない水のようなものです。神は死んだ者をよみがえらせてはくださいません。どうか追放されている者を追放されたままにしておかないように、ご計画をお立てください。 + 今、私が、このことを王さまにお話しにまいりましたのも、人々が私をおどしたからです。それで、このはしためは、こう思いました。『王さまにお話ししてみよう。王さまは、このはしための願いをかなえてくださるかもしれない。 + 王さまは聞き入れて、私と私の子を神のゆずりの地から根絶やしにしようとする者の手から、このはしためをきっと助け出してくださるでしょうから。』 + それで、このはしためは、『王さまのことばは私の慰めとなろう』と思いました。王さまは、神の使いのように、善と悪とを聞き分けられるからです。あなたの神、主が、あなたとともにおられますように。」 + すると、王はこの女に答えて言った。「私が尋ねることを、私に隠さず言ってくれ。」女は言った。「王さま。どうぞおっしゃってください。」 + 王は言った。「これは全部、ヨアブの指図によるのであろう。」女は答えて言った。「王さま。あなたのたましいは生きておられます。王さまが言われることから、だれも右にも左にもそれることはできません。確かにあなたの家来ヨアブが私に命じ、あの方がこのはしための口に、これらすべてのことばを授けたのです。 + あなたの家来ヨアブは、事の成り行きを変えるために、このことをしたのです。あなたさまは、神の使いの知恵のような知恵があり、この地上のすべての事をご存じですから。」 + それで、王はヨアブに言った。「よろしい。その願いを聞き入れた。行って、若者アブシャロムを連れ戻しなさい。」 + ヨアブは地にひれ伏して、礼をし、王に祝福のことばを述べて言った。「きょう、このしもべは、私があなたのご好意にあずかっていることがわかりました。王さま。王さまはこのしもべの願いを聞き入れてくださったからです。」 + そこでヨアブはすぐゲシュルに出かけて行き、アブシャロムをエルサレムに連れて来た。 + 王は言った。「あれは自分の家に引きこもっていなければならない。私の顔を見ることはならぬ。」それでアブシャロムは家に引きこもり、王の顔を見なかった。 + さて、イスラエルのどこにも、アブシャロムほど、その美しさをほめはやされた者はいなかった。足の裏から頭の頂まで彼には非の打ちどころがなかった。 + 彼が頭を刈るとき、――毎年、年の終わりには、それが重いので刈っていた――その髪の毛を量ると、王のはかりで二百シェケルもあった。 + アブシャロムに、三人の息子と、ひとりの娘が生まれた。その娘の名はタマルといって非常に美しい娘であった。 + アブシャロムは二年間エルサレムに住んでいたが、王には一度も会わなかった。 + それで、アブシャロムは、ヨアブを王のところに遣わそうとして、ヨアブのもとに人をやったが、彼は来ようとしなかった。アブシャロムはもう一度、人をやったが、それでもヨアブは来ようとはしなかった。 + アブシャロムは家来たちに言った。「見よ。ヨアブの畑は私の畑のそばにあり、そこには大麦が植えてある。行ってそれに火をつけよ。」アブシャロムの家来たちは畑に火をつけた。 + するとヨアブはアブシャロムの家にやって来て、彼に言った。「なぜ、あなたの家来たちは、私の畑に火をつけたのですか。」 + アブシャロムはヨアブに答えた。「私はあなたのところに人をやり、ここに来てくれ、と言わせたではないか。私はあなたを王のもとに遣わし、『なぜ、私をゲシュルから帰って来させたのですか。あそこにとどまっていたほうが、まだ、ましでしたのに』と言ってもらいたかったのだ。今、私は王の顔を拝したい。もし私に咎があるなら、王に殺されてもかまわない。」 + それで、ヨアブは王のところに行き、王に告げたので、王はアブシャロムを呼び寄せた。アブシャロムは王のところに来て、王の前で地にひれ伏して礼をした。王はアブシャロムに口づけした。 + + + その後、アブシャロムは自分のために戦車と馬、それに自分の前を走る者五十人を手に入れた。 + アブシャロムはいつも、朝早く、門に通じる道のそばに立っていた。さばきのために王のところに来て訴えようとする者があると、アブシャロムは、そのひとりひとりを呼んで言っていた。「あなたはどこの町の者か。」その人が、「このしもべはイスラエルのこれこれの部族の者です」と答えると、 + アブシャロムは彼に、「ご覧。あなたの訴えはよいし、正しい。だが、王の側にはあなたのことを聞いてくれる者はいない」と言い、 + さらにアブシャロムは、「ああ、だれかが私をこの国のさばきつかさに立ててくれたら、訴えや申し立てのある人がみな、私のところに来て、私がその訴えを正しくさばくのだが」と言っていた。 + 人が彼に近づいて、あいさつしようとすると、彼は手を差し伸べて、その人を抱き、口づけをした。 + アブシャロムは、さばきのために王のところに来るすべてのイスラエル人にこのようにした。こうしてアブシャロムはイスラエル人の心を盗んだ。 + それから四年たって、アブシャロムは王に言った。「私が主に立てた誓願を果たすために、どうか私をヘブロンへ行かせてください。 + このしもべは、アラムのゲシュルにいたときに、『もし主が、私をほんとうにエルサレムに連れ帰ってくださるなら、私は主に仕えます』と言って誓願を立てたのです。」 + 王が、「元気で行って来なさい」と言ったので、彼は立って、ヘブロンへ行った。 + そのとき、アブシャロムはイスラエルの全部族に、ひそかに使いを送って言った。「角笛の鳴るのを聞いたら、『アブシャロムがヘブロンで王になった』と言いなさい。」 + アブシャロムは二百人の人々を連れてエルサレムを出て行った。その人たちはただ単に、招かれて行った者たちで、何も知らなかった。 + アブシャロムは、いけにえをささげている間に、人をやって、ダビデの議官をしているギロ人アヒトフェルを、彼の町ギロから呼び寄せた。この謀反は根強く、アブシャロムにくみする民が多くなった。 + ダビデのところに告げる者が来て、「イスラエル人の心はアブシャロムになびいています」と言った。 + そこでダビデはエルサレムにいる自分の家来全部に言った。「さあ、逃げよう。そうでないと、アブシャロムからのがれる者はなくなるだろう。すぐ出発しよう。彼がすばやく追いついて、私たちに害を加え、剣の刃でこの町を打つといけないから。」 + 王の家来たちは王に言った。「私たち、あなたの家来どもは、王さまの選ばれるままにいたします。」 + こうして王は出て行き、家族のすべての者も王に従った。しかし王は、王宮の留守番に十人のそばめを残した。 + 王と、王に従うすべての民は、出て行って町はずれの家にとどまった。 + 王のすべての家来は、王のかたわらを進み、すべてのケレテ人と、すべてのペレテ人、それにガテから王について来た六百人のガテ人がみな、王の前を進んだ。 + 王はガテ人イタイに言った。「どうして、あなたもわれわれといっしょに行くのか。戻って、あの王のところにとどまりなさい。あなたは外国人で、それに、あなたは、自分の国からの亡命者なのだから。 + あなたは、きのう来たばかりなのに、きょう、あなたをわれわれといっしょにさまよわせるに忍びない。私はこれから、あてどもなく旅を続けるのだから。あなたはあなたの同胞を連れて戻りなさい。恵みとまことが、あなたとともにあるように。」 + イタイは王に答えて言った。「主の前に誓います。王さまの前にも誓います。王さまがおられるところに、生きるためでも、死ぬためでも、しもべも必ず、そこにいます。」 + ダビデはイタイに言った。「それでは来なさい。」こうしてガテ人イタイは、彼の部下全部と、いっしょにいた子どもたち全部とを連れて、進んだ。 + この民がみな進んで行くとき、国中は大きな声をあげて泣いた。王はキデロン川を渡り、この民もみな、荒野のほうへ渡って行った。 + ツァドクも、すべてのレビ人といっしょに、神の契約の箱をかついでいたが、神の箱をそこに降ろした。エブヤタルも来て、民が全部、町から出て行ってしまうまでいた。 + 王はツァドクに言った。「神の箱を町に戻しなさい。もし、私が主の恵みをいただくことができれば、主は、私を連れ戻し、神の箱とその住まいとを見せてくださろう。 + もし主が、『あなたはわたしの心にかなわない』と言われるなら、どうか、この私に主が良いと思われることをしてくださるように。」 + 王は祭司ツァドクにまた言った。「先見者よ。あなたは安心して町に帰りなさい。あなたがたのふたりの子、あなたの子アヒマアツとエブヤタルの子ヨナタンも、あなたがたといっしょに。 + よく覚えていてもらいたい。私は、あなたがたから知らせのことばが来るまで、荒野の草原で、しばらく待とう。」 + そこで、ツァドクとエブヤタルは神の箱をエルサレムに持ち帰り、そこにとどまっていた。 + ダビデはオリーブ山の坂を登った。彼は泣きながら登り、その頭をおおい、はだしで登った。彼といっしょにいた民もみな、頭をおおい、泣きながら登った。 + ダビデは、「アヒトフェルがアブシャロムの謀反に荷担している」という知らせを受けたが、そのとき、ダビデは言った。「主よ。どうかアヒトフェルの助言を愚かなものにしてください。」 + ダビデが、神を礼拝する場所になっていた山の頂に来た、ちょうどその時、アルキ人フシャイが上着を裂き、頭に土をかぶってダビデに会いに来た。 + ダビデは彼に言った。「もしあなたが、私といっしょに行くなら、あなたは私の重荷になる。 + しかしもし、あなたが町に戻って、アブシャロムに、『王よ。私はあなたのしもべになります。これまであなたの父上のしもべであったように、今、私はあなたのしもべになります』と言うなら、あなたは、私のために、アヒトフェルの助言を打ちこわすことになる。 + あそこには祭司のツァドクとエブヤタルも、あなたといっしょにいるではないか。あなたは王の家から聞くことは何でも、祭司のツァドクとエブヤタルに告げなければならない。 + それにあそこには、彼らのふたりの息子、ツァドクの子アヒマアツとエブヤタルの子ヨナタンがいる。彼らをよこして、あなたがたが聞いたことを残らず私に伝えてくれ。」 + それで、ダビデの友フシャイは町へ帰った。そのころ、アブシャロムもエルサレムに着いた。 + + + ダビデは山の頂から少し下った。見ると、メフィボシェテのしもべツィバが王を迎えに来ていた。彼は、鞍を置いた一くびきのろばに、パン二百個、干しぶどう百ふさ、夏のくだもの百個、ぶどう酒一袋を載せていた。 + 王はツィバに尋ねた。「これらは何のためか。」ツィバは答えた。「二頭のろばは王の家族がお乗りになるため、パンと夏のくだものは若い者たちが食べるため、ぶどう酒は荒野で疲れた者が飲むためです。」 + 王は言った。「あなたの主人の息子はどこにいるか。」ツィバは王に言った。「今、エルサレムにおられます。あの人は、『きょう、イスラエルの家は、私の父の王国を私に返してくれる』と言っていました。」 + すると王はツィバに言った。「メフィボシェテのものはみな、今、あなたのものだ。」ツィバが言った。「王さま。あなたのご好意にあずかることができますように、伏してお願いいたします。」 + ダビデ王がバフリムまで来ると、ちょうど、サウルの家の一族のひとりが、そこから出て来た。その名はシムイといってゲラの子で、盛んにのろいのことばを吐きながら出て来た。 + そしてダビデとダビデ王のすべての家来たちに向かって石を投げつけた。民と勇士たちはみな、王の右左にいた。 + シムイはのろってこう言った。「出て行け、出て行け。血まみれの男、よこしまな者。 + 主がサウルの家のすべての血をおまえに報いたのだ。サウルに代わって王となったおまえに。主はおまえの息子アブシャロムの手に王位を渡した。今、おまえはわざわいに会うのだ。おまえは血まみれの男だから。」 + すると、ツェルヤの子アビシャイが王に言った。「この死に犬めが、王さまをのろってよいものですか。行って、あの首をはねさせてください。」 + 王は言った。「ツェルヤの子らよ。これは私のことで、あなたがたには、かかわりのないことだ。彼がのろうのは、主が彼に、『ダビデをのろえ』と言われたからだ。だれが彼に、『おまえはどうしてこういうことをするのだ』と言えようか。」 + ダビデはアビシャイと彼のすべての家来たちに言った。「見よ。私の身から出た私の子さえ、私のいのちをねらっている。今、このベニヤミン人としては、なおさらのことだ。ほうっておきなさい。彼にのろわせなさい。主が彼に命じられたのだから。 + たぶん、主は私の心をご覧になり、主は、きょうの彼ののろいに代えて、私にしあわせを報いてくださるだろう。」 + ダビデと彼の部下たちは道を進んで行った。シムイは、山の中腹をダビデと平行して歩きながら、のろったり、石を投げたり、ちりをかけたりしていた。 + 王も、王とともに行った民もみな、疲れたので、そこでひと息ついた。 + アブシャロムとすべての民、イスラエル人はエルサレムに入った。アヒトフェルもいっしょであった。 + ダビデの友アルキ人フシャイがアブシャロムのところに来たとき、フシャイはアブシャロムに言った。「王さま。ばんざい。王さま。ばんざい。」 + アブシャロムはフシャイに言った。「これが、あなたの友への忠誠のあらわれなのか。なぜ、あなたは、あなたの友といっしょに行かなかったのか。」 + フシャイはアブシャロムに答えた。「いいえ、主と、この民、イスラエルのすべての人々とが選んだ方に私はつき、その方といっしょにいたいのです。 + また、私はだれに仕えるべきでしょう。私の友の子に仕えるべきではありませんか。私はあなたの父上に仕えたように、あなたにもお仕えいたします。」 + それで、アブシャロムはアヒトフェルに言った。「あなたがたは相談して、われわれはどうしたらよいか、意見を述べなさい。」 + アヒトフェルはアブシャロムに言った。「父上が王宮の留守番に残したそばめたちのところにお入りください。全イスラエルが、あなたは父上に憎まれるようなことをされたと聞くなら、あなたに、くみする者はみな、勇気を出すでしょう。」 + こうしてアブシャロムのために屋上に天幕が張られ、アブシャロムは全イスラエルの目の前で、父のそばめたちのところに入った。 + 当時、アヒトフェルの進言する助言は、人が神のことばを伺って得ることばのようであった。アヒトフェルの助言はみな、ダビデにもアブシャロムにもそのように思われた。 + + + アヒトフェルはさらにアブシャロムに言った。「私に一万二千人を選ばせてください。私は今夜、ダビデのあとを追って出発し、 + 彼を襲います。ダビデは疲れて気力を失っているでしょう。私が、彼を恐れさせれば、彼といっしょにいるすべての民は逃げましょう。私は王だけを打ち殺します。 + 私はすべての民をあなたのもとに連れ戻します。すべての者が帰って来るとき、あなたが求めているのはただひとりだけですから、民はみな、穏やかになるでしょう。」 + このことばはアブシャロムとイスラエルの全長老の気に入った。 + しかしアブシャロムは言った。「アルキ人フシャイを呼び出し、彼の言うことも聞いてみよう。」 + フシャイがアブシャロムのところに来ると、アブシャロムは彼に次のように言った。「アヒトフェルはこのように言ったが、われわれは彼のことばに従ってよいものだろうか。もしいけなければ、あなたの意見を述べてみなさい。」 + するとフシャイはアブシャロムに言った。「このたびアヒトフェルの立てたはかりごとは良くありません。」 + フシャイはさらに言った。「あなたは父上とその部下が戦士であることをご存じです。しかも彼らは、野で子を奪われた雌熊のように気が荒くなっています。また、あなたの父上は戦いに慣れた方ですから、民といっしょには夜を過ごさないでしょう。 + きっと今、ほら穴か、どこか、そんな所に隠れておられましょう。もし、民のある者が最初に倒れたら、それを聞く者は、『アブシャロムに従う民のうちに打たれた者が出た』と言うでしょう。 + そうなると、たとい、獅子のような心を持つ力ある者でも、気がくじけます。全イスラエルは、あなたの父上が勇士であり、彼に従う者が力ある者であるのをよく知っています。 + 私のはかりごとはこうです。全イスラエルをダンからベエル・シェバに至るまで、海辺の砂のように数多くあなたのところに集めて、あなた自身が戦いに出られることです。 + われわれは、彼を見つけしだい、その場で彼を攻め、露が地面に降りるように彼を襲い、彼や、共にいるすべての兵士たちを、ひとりも生かしておかないのです。 + もし彼がさらにどこかの町に入るなら、全イスラエルでその町に綱をかけ、その町を川まで引きずって行って、そこに一つの石ころも残らないようにしましょう。」 + アブシャロムとイスラエルの民はみな言った。「アルキ人フシャイのはかりごとは、アヒトフェルのはかりごとよりも良い。」これは主がアブシャロムにわざわいをもたらそうとして、主がアヒトフェルのすぐれたはかりごとを打ちこわそうと決めておられたからであった。 + フシャイは祭司ツァドクとエブヤタルに言った。「アヒトフェルは、アブシャロムとイスラエルの長老たちにこれこれの助言をしたが、私は、これこれの助言をした。 + 今、急いで人をやり、ダビデに、『今夜は荒野の草原で夜を過ごしてはいけません。ほんとうに、ぜひ、あちらへ渡って行かなければなりません。でないと、王をはじめ、いっしょにいる民全部にわざわいが降りかかるでしょう』と告げなさい。」 + ヨナタンとアヒマアツはエン・ロゲルにとどまっていたが、ひとりの女奴隷が行って彼らに告げ、彼らがダビデ王に告げに行くようになっていた。これは彼らが町に入るのを見られることのないためであった。 + ところが、ひとりの若者が彼らを見て、アブシャロムに告げた。そこで彼らふたりは急いで去り、バフリムに住むある人の家に行った。その人の庭に井戸があったので、彼らはその中に降りた。 + その人の妻は、おおいを持って来て、井戸の口の上に広げ、その上に麦をまき散らしたので、だれにも知られなかった。 + アブシャロムの家来たちが、その女の家に来て言った。「アヒマアツとヨナタンはどこにいるのか。」女は彼らに答えた。「あの人たちは、ここを通り過ぎて川のほうへ行きました。」彼らは、捜したが見つけることができなかったので、エルサレムへ帰った。 + 彼らが去って後、ふたりは井戸から上がって来て、ダビデ王に知らせに行った。彼らはダビデに言った。「さあ、急いで川を渡ってください。アヒトフェルがあなたがたに対してこれこれのはかりごとを立てたからです。」 + そこで、ダビデと、ダビデのもとにいたすべての者たちとは出発して、ヨルダン川を渡った。夜明けまでにヨルダン川を渡りきれなかった者はひとりもいなかった。 + アヒトフェルは、自分のはかりごとが行われないのを見て、ろばに鞍を置き、自分の町の家に帰って行き、家を整理して、首をくくって死に、彼の父の墓に葬られた。 + ダビデがマハナイムに着いたとき、アブシャロムは、彼とともにいるイスラエルのすべての人々とヨルダン川を渡った。 + アブシャロムはアマサをヨアブの代わりに軍団長に任命していた。アマサは、ヨアブの母ツェルヤの妹ナハシュの娘アビガルと結婚したイシュマエル人イテラという人の息子であった。 + こうして、イスラエルとアブシャロムはギルアデの地に陣を敷いた。 + ダビデがマハナイムに来たとき、アモン人でラバの出のナハシュの子ショビと、ロ・デバルの出のアミエルの子マキルと、ログリムの出のギルアデ人バルジライとは、 + 寝台、鉢、土器、小麦、大麦、小麦粉、炒り麦、そら豆、レンズ豆、炒り麦、 + 蜂蜜、凝乳、羊、牛酪を、ダビデとその一行の食糧として持って来た。彼らは民が荒野で飢えて疲れ、渇いていると思ったからである。 + + + ダビデは彼とともにいる民を調べて、彼らの上に千人隊の長、百人隊の長を任命した。 + ダビデは民の三分の一をヨアブの指揮のもとに、三分の一をヨアブの兄弟ツェルヤの子アビシャイの指揮のもとに、三分の一をガテ人イタイの指揮のもとに配置した。王は民に言った。「私自身もあなたがたといっしょに出たい。」 + すると民は言った。「あなたが出てはいけません。私たちがどんなに逃げても、彼らは私たちのことは何とも思わないでしょう。たとい私たちの半分が死んでも、彼らは私たちのことは心に留めないでしょう。しかし、あなたは私たちの一万人に当たります。今、あなたは町にいて私たちを助けてくださるほうが良いのです。」 + 王は彼らに言った。「あなたがたが良いと思うことを、私はしよう。」王は門のそばに立ち、すべての民は、百人、千人ごとに出て行った。 + 王はヨアブ、アビシャイ、イタイに命じて言った。「私に免じて、若者アブシャロムをゆるやかに扱ってくれ。」民はみな、王が隊長たち全部にアブシャロムのことについて命じているのを聞いていた。 + こうして、民はイスラエルを迎え撃つために戦場へ出て行った。戦いはエフライムの森で行われた。 + イスラエルの民はそこでダビデの家来たちに打ち負かされ、その日、その場所で多くの打たれた者が出、二万人が倒れた。 + 戦いはこの地一帯に散り広がり、この日、剣で倒された者よりも、密林で行き倒れになった者のほうが多かった。 + アブシャロムはダビデの家来たちに出会った。アブシャロムは騾馬に乗っていたが、騾馬が大きな樫の木の茂った枝の下を通ったとき、アブシャロムの頭が樫の木に引っ掛かり、彼は宙づりになった。彼が乗っていた騾馬はそのまま行った。 + ひとりの男がそれを見て、ヨアブに告げて言った。「今、アブシャロムが樫の木に引っ掛かっているのを見て来ました。」 + ヨアブはこれを告げた者に言った。「いったい、おまえはそれを見ていて、なぜその場で地に打ち落とさなかったのか。私がおまえに銀十枚と帯一本を与えたのに。」 + その男はヨアブに言った。「たとい、私の手に銀千枚をいただいても、王のお子さまに手は下せません。王は私たちの聞いているところで、あなたとアビシャイとイタイとに、『若者アブシャロムに手を出すな』と言って、お命じになっているからです。 + もし、私が自分のいのちをかけて、命令にそむいていたとしても、王には、何も隠すことはできません。そのとき、あなたは知らぬ顔をなさるでしょう。」 + ヨアブは、「こうしておまえとぐずぐずしてはおられない」と言って、手に三本の槍を取り、まだ樫の木の真ん中に引っ掛かったまま生きていたアブシャロムの心臓を突き通した。 + ヨアブの道具持ちの十人の若者たちも、アブシャロムを取り巻いて彼を打ち殺した。 + ヨアブが角笛を吹き鳴らすと、民はイスラエルを追うのをやめて帰って来た。ヨアブが民を引き止めたからである。 + 人々はアブシャロムを取り降ろし、森の中の深い穴に投げ込み、その上に非常に大きな石くれの山を積み上げた。イスラエルはみな、おのおの自分の天幕に逃げ帰っていた。 + アブシャロムは存命中、王の谷に自分のために一本の柱を立てていた。「私の名を覚えてくれる息子が私にはいないから」と考えていたからである。彼はその柱に自分の名をつけていた。それは、アブシャロムの記念碑と呼ばれた。今日もそうである。 + ツァドクの子アヒマアツは言った。「私は王のところへ走って行って、主が敵の手から王を救って王のために正しいさばきをされたと知らせたいのですが。」 + ヨアブは彼に言った。「きょう、あなたは知らせるのではない。ほかの日に知らせなさい。きょうは、知らせないがよい。王子が死んだのだから。」 + ヨアブはクシュ人に言った。「行って、あなたの見たことを王に告げなさい。」クシュ人はヨアブに礼をして、走り去った。 + ツァドクの子アヒマアツは再びヨアブに言った。「どんなことがあっても、やはり私もクシュ人のあとを追って走って行きたいのです。」ヨアブは言った。「わが子よ。なぜ、あなたは走って行きたいのか。知らせに対して、何のほうびも得られないのに。」 + 「しかしどんなことがあっても、走って行きたいのです。」ヨアブは「走って行きなさい」と言った。アヒマアツは低地への道を走って行き、クシュ人を追い越した。 + ダビデは二つの門の間にすわっていた。見張りが城壁の門の屋根に上り、目を上げて見ていると、ただひとりで走って来る男がいた。 + 見張りが王に大声で告げると、王は言った。「ただひとりなら、吉報だろう。」その者がしだいに近づいて来たとき、 + 見張りは、もうひとりの男が走って来るのを見た。見張りは門衛に叫んで言った。「ひとりで走って来る男がいます。」すると王は言った。「それも吉報を持って来ているのだ。」 + 見張りは言った。「先に走っているのは、どうやらツァドクの子アヒマアツのように見えます。」王は言った。「あれは良い男だ。良い知らせを持って来るだろう。」 + アヒマアツは大声で王に「ごきげんはいかがでしょうか」と言って、地にひれ伏して、王に礼をした。彼は言った。「あなたの神、主がほめたたえられますように。主は、王さまに手向かった者どもを、引き渡してくださいました。」 + 王が、「若者アブシャロムは無事か」と聞くと、アヒマアツは答えた。「ヨアブが王の家来のこのしもべを遣わすとき、私は、何か大騒ぎの起こるのを見ましたが、何があったのか知りません。」 + 王は言った。「わきへ退いて、そこに立っていなさい。」そこで彼はわきに退いて立っていた。 + するとクシュ人が入って来て言った。「王さまにお知らせいたします。主は、きょう、あなたに立ち向かうすべての者の手から、あなたを救って、あなたのために正しいさばきをされました。」 + 王はクシュ人に言った。「若者アブシャロムは無事か。」クシュ人は答えた。「王さまの敵、あなたに立ち向かって害を加えようとする者はすべて、あの若者のようになりますように。」 + すると王は身震いして、門の屋上に上り、そこで泣いた。彼は泣きながら、こう言い続けた。「わが子アブシャロム。わが子よ。わが子アブシャロム。ああ、私がおまえに代わって死ねばよかったのに。アブシャロム。わが子よ。わが子よ。」 + + + そうこうするうちに、ヨアブに、「今、王は泣いて、アブシャロムのために、喪に服しておられる」という報告がされた。 + それで、この日の勝利は、すべての民の嘆きとなった。この日、民が、王がその子のために悲しんでいる、ということを聞いたからである。 + 民はその日、まるで戦場から逃げて恥じている民がこっそり帰るように、町にこっそり帰って来た。 + 王は顔をおおい、大声で、「わが子アブシャロム。アブシャロムよ。わが子よ。わが子よ」と叫んでいた。 + ヨアブは王の家に行き、王に言った。「あなたは、きょう、あなたのいのちと、あなたの息子、娘たちのいのち、それに、あなたの妻やそばめたちのいのちを救ったあなたの家来たち全部に、きょう、恥をかかせました。 + あなたは、あなたを憎む者を愛し、あなたを愛する者を憎まれるからです。あなたは、きょう、隊長たちも家来たちも、あなたにとっては取るに足りないことを明らかにされました。今、私は知りました。もしアブシャロムが生き、われわれがみな、きょう死んだのなら、あなたの目にかなったのでしょう。 + それで今、立って外に行き、あなたの家来たちに、ねんごろに語ってください。私は主によって誓います。あなたが外においでにならなければ、今夜、だれひとりあなたのそばに、とどまらないでしょう。そうなれば、そのわざわいは、あなたの幼いころから今に至るまでにあなたに降りかかった、どんなわざわいよりもひどいでしょう。」 + それで、王は立って、門のところにすわった。人々がすべての民に、「見よ。王は門のところにすわっておられる」と知らせたので、すべての民は、王の前にやって来た。/一方、イスラエル人は、おのおの自分たちの天幕に逃げ帰っていた。 + 民はみな、イスラエルの全部族の間で、こう言って争っていた。「王は敵の手から、われわれを救い出してくださった。王はわれわれをペリシテ人の手から助け出してくださった。ところが今、王はアブシャロムのために国外に逃げておられる。 + われわれが油をそそいで王としたアブシャロムは、戦いで死んでしまった。それなのに、あなたがたは今、王を連れ戻すために、なぜ何もしないでいるのか。」 + ダビデ王は祭司ツァドクとエブヤタルに人をやって言わせた。「ユダの長老たちにこう言って告げなさい。『全イスラエルの言っていることが、ここの家にいる王の耳に届いたのに、あなたがたは、なぜ王をその王宮に連れ戻すのをためらっているのか。 + あなたがたは、私の兄弟、私の骨肉だ。それなのに、なぜ王を連れ戻すのをためらっているのか。』 + またアマサにも言わなければならない。『あなたは、私の骨肉ではないか。もしあなたが、ヨアブに代わってこれからいつまでも、私の将軍にならないなら、神がこの私を幾重にも罰せられるように。』」 + こうしてダビデは、すべてのユダの人々を、あたかもひとりの人の心のように自分になびかせた。ユダの人々は王のもとに人をやって、「あなたも、あなたの家来たちもみな、お帰りください」と言った。 + そこで王は帰途につき、ヨルダン川に着くと、ユダの人々は、王を迎えてヨルダン川を渡らせるためにギルガルに来た。 + バフリムの出のベニヤミン人、ゲラの子シムイは、ダビデ王を迎えようと、急いでユダの人々といっしょに下って来た。 + 彼は千人のベニヤミン人を連れていた。サウルの家のしもべツィバも、十五人の息子、二十人の召使いを連れて、王が渡る前にヨルダン川に駆けつけた。 + そして彼は、王の家族を渡らせるために渡しを渡って行き、王が喜ぶことをした。ゲラの子シムイも、ヨルダン川を渡って行って、王の前に倒れ伏して、 + 王に言った。「わが君。どうか私の咎を罰しないでください。王さまが、エルサレムから出て行かれた日に、このしもべが犯した咎を、思い出さないでください。王さま。心に留めないでください。 + このしもべは、自分の犯した罪を認めましたから、ご覧のとおり、きょう、ヨセフのすべての家に先立って、王さまを迎えに下ってまいりました。」 + ツェルヤの子アビシャイは口をはさんで言った。「シムイは、主に油そそがれた方をのろったので、そのために死に値するのではありませんか。」 + しかしダビデは言った。「ツェルヤの子らよ。あれは私のことで、あなたがたには、かかわりのないことだ。あなたがたは、きょう、私に敵対しようとでもするのか。きょう、イスラエルのうちで、人が殺されてよいだろうか。私が、きょう、イスラエルの王であることを、私が知らないとでもいうのか。」 + そして王はシムイに、「あなたを殺さない」と言って彼に誓った。 + サウルの孫メフィボシェテは、王を迎えに下って来た。彼は、王が出て行った日から無事に帰って来た日まで、自分の足の手入れもせず、ひげもそらず、着物も洗っていなかった。 + 彼が王を迎えにエルサレムから来たとき、王は彼に言った。「メフィボシェテよ。あなたはなぜ、私といっしょに来なかったのか。」 + 彼は答えた。「王さま。私の家来が、私を欺いたのです。このしもべは『私のろばに鞍をつけ、それに乗って、王といっしょに行こう』と思ったのです。しもべは足のなえた者ですから。 + ところが彼は、このしもべのことを、王さまに中傷しました。しかし、王さまは、神の使いのような方です。あなたのお気に召すようにしてください。 + 私の父の家の者はみな、王さまから見れば、死刑に当たる者に過ぎなかったのですが、あなたは、このしもべをあなたの食卓で食事をする者のうちに入れてくださいました。ですから、この私に、どうして重ねて王さまに訴える権利がありましょう。」 + 王は彼に言った。「あなたはなぜ、自分の弁解をくり返しているのか。私は決めている。あなたとツィバとで、地所を分けなければならない。」 + メフィボシェテは王に言った。「王さまが無事に王宮に帰られて後なら、彼が全部でも取ってよいのです。」 + ギルアデ人バルジライは、ログリムから下って、ヨルダン川で王を見送るために、王といっしょにヨルダン川まで進んで来た。 + バルジライは非常に年をとっていて八十歳であった。彼は王がマハナイムにいる間、王を養っていた。彼は非常に富んでいたからである。 + 王はバルジライに言った。「私といっしょに渡って行ってください。エルサレムで私のもとであなたを養いたいのです。」 + バルジライは王に言った。「王といっしょにエルサレムへ上って行っても、私はあと何年生きられるでしょう。 + 私は今、八十歳です。私はもう善悪をわきまえることができません。しもべは食べる物も飲む物も味わうことができません。歌う男や女の声を聞くことさえできません。どうして、このうえ、しもべが王さまの重荷になれましょう。 + このしもべは、王とともにヨルダン川を渡って、ほんの少しだけまいりましょう。それ以上、王はどうして、そのような報酬を、この私にしてくださらなければならないのでしょうか。 + このしもべを帰らせてください。私は自分の町で、私の父と母の墓の近くで死にたいのです。しかしここに、あなたのしもべキムハムがおります。彼が、王さまといっしょに渡ってまいります。どうか彼に、あなたの良いと思われることをなさってください。」 + 王は言った。「キムハムは私といっしょに渡って来てよいのです。私は、あなたが良いと思うことを彼にしましょう。あなたが、私にしてもらいたいことは何でも、あなたにしてあげましょう。」 + こうして、みなはヨルダン川を渡った。王も渡った。それから、王はバルジライに口づけをして、彼を祝福した。バルジライは自分の町へ帰って行った。 + 王はギルガルへ進み、キムハムもいっしょに進んだ。ユダのすべての民とイスラエルの民の半分とが、王といっしょに進んだ。 + するとそこへ、イスラエルのすべての人が王のところにやって来て、王に言った。「われわれの兄弟、ユダの人々は、なぜ、あなたを奪い去り、王とその家族に、また王といっしょにダビデの部下たちに、ヨルダン川を渡らせたのですか。」 + ユダのすべての人々はイスラエルの人々に言い返した。「王は、われわれの身内だからだ。なぜ、このことでそんなに怒るのか。いったい、われわれが王の食物を食べたとでもいうのか。王が何かわれわれに贈り物をしたとでもいうのか。」 + イスラエルの人々はユダの人々に答えて言った。「われわれは、王に十の分け前を持っている。だからダビデにも、あなたがたよりも多くを持っているはずだ。それなのに、なぜ、われわれをないがしろにするのか。われわれの王を連れ戻そうと最初に言いだしたのは、われわれではないか。」しかし、ユダの人々のことばは、イスラエルの人々のことばより激しかった。 + + + たまたまそこに、よこしまな者で、名をシェバという者がいた。彼はベニヤミン人ビクリの子であった。彼は角笛を吹き鳴らして言った。「ダビデには、われわれのための割り当て地がない。エッサイの子には、われわれのためのゆずりの地がない。イスラエルよ。おのおの自分の天幕に帰れ。」 + そのため、すべてのイスラエル人は、ダビデから離れて、ビクリの子シェバに従って行った。しかし、ユダの人々はヨルダン川からエルサレムまで、自分たちの王につき従って行った。 + ダビデはエルサレムの自分の王宮に入った。王は、王宮の留守番に残しておいた十人のそばめをとり、監視つきの家を与えて養ったが、王は彼女たちのところには通わなかった。それで彼女たちは、一生、やもめとなって、死ぬ日まで閉じ込められていた。 + さて、王はアマサに言った。「私のために、ユダの人々を三日のうちに召集し、あなたも、ここに帰って来なさい。」 + そこでアマサは、ユダの人々を召集するために出て行ったが、指定された期限に間に合わなかった。 + ダビデはアビシャイに言った。「今や、ビクリの子シェバは、アブシャロムよりも、もっとひどいわざわいを、われわれにしかけるに違いない。あなたは、私の家来を引き連れて彼を追いなさい。でないと彼は城壁のある町に入って、のがれてしまうだろう。」 + それで、ヨアブの部下と、ケレテ人と、ペレテ人と、すべての勇士たちとは、アビシャイのあとに続いて出て行った。彼らはエルサレムを出て、ビクリの子シェバのあとを追った。 + 彼らがギブオンにある大きな石のそばに来たとき、アマサが彼らの前にやって来た。ヨアブは自分のよろいを身に着け、さやに納めた剣を腰の上に帯で結びつけていた。彼が進み出ると、剣が落ちた。 + ヨアブはアマサに、「兄弟。おまえは元気か」と言って、アマサに口づけしようとして、右手でアマサのひげをつかんだ。 + アマサはヨアブの手にある剣に気をつけていなかった。ヨアブが彼の下腹を刺したので、はらわたが地面に流れ出た。この一突きでアマサは死んだ。/それからヨアブとその兄弟アビシャイは、ビクリの子シェバのあとを追った。 + そのとき、ヨアブに仕える若い者のひとりがアマサのそばに立って言った。「ヨアブにつく者、ダビデに味方する者は、ヨアブに従え。」 + アマサは大路の真ん中で、血まみれになってころがっていた。この若い者は、民がみな立ち止まるのを見て、アマサを大路から野原に運んだ。そのかたわらを通る者がみな、立ち止まるのを見ると、彼の上に着物を掛けた。 + アマサが大路から移されると、みなヨアブのあとについて進み、ビクリの子シェバを追った。 + シェバはイスラエルの全部族のうちを通って、アベル・ベテ・マアカへ行った。すべてのベリ人は集まって来て、彼に従った。 + しかし、人々はアベル・ベテ・マアカに来て、彼を包囲し、この町に向かって塁を築いた。それは外壁に向かって立てられた。ヨアブにつく民はみな、城壁を破壊して倒そうとしていた。 + そのとき、この町から、ひとりの知恵のある女が叫んだ。「聞いてください。聞いてください。ヨアブにこう言ってください。ここまで近づいてください。あなたにお話ししたいのです。」 + ヨアブが彼女のほうに近づくと、この女は、「あなたがヨアブですか」と尋ねた。彼は答えた。「そうだ。」すると女は言った。「このはしためのことばを聞いてください。」彼は答えた。「私が聞こう。」 + すると女はこう言った。「昔、人々は『アベルで尋ねてみなければならない』と言って、事を決めるのがならわしでした。 + 私は、イスラエルのうちで平和な、忠実な者のひとりです。あなたは、イスラエルの母である町を滅ぼそうとしておられます。あなたはなぜ、主のゆずりの地を、のみ尽くそうとされるのですか。」 + ヨアブは答えて言った。「絶対にそんなことはない。のみ尽くしたり、滅ぼしたりするなど、とてもできないことだ。 + そうではない。実はビクリの子で、その名をシェバというエフライムの山地の出の男が、ダビデ王にそむいたのだ。この男だけを引き渡してくれたら、私はこの町から引き揚げよう。」するとこの女はヨアブに言った。「では、その男の首を城壁の上からあなたのところに投げ落としてごらんにいれます。」 + この女はその知恵を用いてすべての民のところに行った。それで彼らはビクリの子シェバの首をはね、それをヨアブのもとに投げた。ヨアブが角笛を吹き鳴らしたので、人々は町から散って行って、めいめい自分の天幕へ帰った。ヨアブはエルサレムの王のところに戻った。 + さて、ヨアブはイスラエルの全軍の長であった。エホヤダの子ベナヤはケレテ人とペレテ人の長。 + アドラムは役務長官。アヒルデの子ヨシャパテは参議。 + シェワは書記。ツァドクとエブヤタルは祭司。 + ヤイル人イラもダビデの祭司であった。 + + + ダビデの時代に、三年間引き続いてききんがあった。そこでダビデが主のみこころを伺うと、主は仰せられた。「サウルとその一族に、血を流した罪がある。彼がギブオン人たちを殺したからだ。」 + そこで王はギブオン人たちを呼び出して、彼らに言った。――ギブオンの人たちはイスラエル人ではなく、エモリ人の生き残りであって、イスラエル人は、彼らと盟約を結んでいたのであるが、サウルが、イスラエルとユダの人々への熱心のあまり、彼らを打ち殺してしまおうとしたのであった。―― + ダビデはギブオン人たちに言った。「あなたがたのために、私は何をしなければならないのか。私が何を償ったら、あなたがたは主のゆずりの地を祝福できるのか。」 + ギブオン人たちは彼に言った。「私たちとサウル、およびその一族との間の問題は、銀や金のことではありません。また私たちがイスラエルのうちで、人を殺すことでもありません。」そこでダビデが言った。「それでは私があなたがたに何をしたらよいと言うのか。」 + 彼らは王に言った。「私たちを絶ち滅ぼそうとした者、私たちを滅ぼしてイスラエルの領土のどこにも、おらせないようにたくらんだ者、 + その者の子ども七人を、私たちに引き渡してください。私たちは、主の選ばれたサウルのギブアで、主のために、彼らをさらし者にします。」王は言った。「引き渡そう。」 + しかし王は、サウルの子ヨナタンの子メフィボシェテを惜しんだ。それは、ダビデとサウルの子ヨナタンとの間で主に誓った誓いのためであった。 + 王は、アヤの娘リツパがサウルに産んだふたりの子アルモニとメフィボシェテ、それに、サウルの娘メラブがメホラ人バルジライの子アデリエルに産んだ五人の子を取って、 + 彼らをギブオン人の手に渡した。それで彼らは、この者たちを山の上で主の前に、さらし者にした。これら七人はいっしょに殺された。彼らは、刈り入れ時の初め、大麦の刈り入れの始まったころ、死刑に処せられた。 + アヤの娘リツパは、荒布を脱いで、それを岩の上に敷いてすわり、刈り入れの始まりから雨が天から彼らの上に降るときまで、昼には空の鳥が、夜には野の獣が死体に近寄らないようにした。 + サウルのそばめアヤの娘リツパのしたことはダビデに知らされた。 + すると、ダビデは行って、サウルの骨とその子ヨナタンの骨を、ヤベシュ・ギルアデの者たちのところから取って来た。これは、ペリシテ人がサウルをギルボアで殺した日に、ペリシテ人が彼らをさらしたベテ・シャンの広場から、彼らが盗んで行ったものであった。 + ダビデがサウルの骨とその子ヨナタンの骨をそこから携えて上ると、人々は、さらし者にされた者たちの骨を集めた。 + こうして、彼らはサウルとその子ヨナタンの骨を、ベニヤミンの地のツェラにあるサウルの父キシュの墓に葬り、すべて王が命じたとおりにした。その後、神はこの国の祈りに心を動かされた。 + ペリシテ人はまた、イスラエルに戦いをしかけた。ダビデは自分の家来たちを連れて下り、ペリシテ人と戦ったが、ダビデは疲れていた。 + それで、ラファの子孫のひとりであったイシュビ・ベノブは、ダビデを殺そうと考えた。彼の槍の重さは青銅で三百シェケル。そして彼は新しい剣を帯びていた。 + しかし、ツェルヤの子アビシャイはダビデを助け、このペリシテ人を打ち殺した。そのとき、ダビデの部下たちは彼に誓って言った。「あなたは、もうこれから、われわれといっしょに、戦いに出ないでください。あなたがイスラエルのともしびを消さないために。」 + その後、ゴブでまたペリシテ人との戦いがあり、そのとき、フシャ人シベカイは、ラファの子孫のサフを打ち殺した。 + ゴブでまたペリシテ人との戦いがあったとき、ベツレヘム人ヤイルの子エルハナンは、ガテ人ゴリヤテの兄弟ラフミを打ち殺した。ラフミの槍の柄は、機織りの巻き棒のようであった。 + さらにガテで戦いがあったとき、そこに、手の指、足の指が六本ずつで、合計二十四本指の闘士がいた。彼もまた、ラファの子孫であった。 + 彼はイスラエルをそしったが、ダビデの兄弟シムアの子ヨナタンが彼を打ち殺した。 + これら四人はガテのラファの子孫で、ダビデとその家来たちの手にかかって倒れた。 + + + 主が、ダビデのすべての敵の手、特にサウルの手から彼を救い出された日に、ダビデはこの歌のことばを主に歌った。 + 彼はこう歌った。「主はわが巌、わがとりで、わが救い主、 + わが身を避けるわが岩なる神。わが盾、わが救いの角、わがやぐら。私を暴虐から救う私の救い主、私の逃げ場。 + ほめたたえられる方、この主を呼び求めると、私は、敵から救われる。 + 死の波は私を取り巻き、滅びの川は、私を恐れさせた。 + よみの綱は私を取り囲み、死のわなは私に立ち向かった。 + 私は苦しみの中に主を呼び求め、わが神に叫んだ。主はその宮で私の声を聞かれ、私の叫びは、御耳に届いた。 + すると、地はゆるぎ、動いた。また、天の基も震え、揺れた。主がお怒りになったのだ。 + 煙は鼻から立ち上り、その口から出る火はむさぼり食い、炭火は主から燃え上がった。 + 主は、天を押し曲げて降りて来られた。暗やみをその足の下にして。 + 主は、ケルブに乗って飛び、風の翼の上に現れた。 + 主は、やみを回りに置かれた。仮庵は水の集まりと、濃い雲。 + 御前の輝きから、炭火が燃え上がった。 + 主は、天から雷鳴を響かせ、いと高き方は御声を発せられた。 + 主は、矢を放って彼らを散らし、いなずまで彼らをかき乱された。 + こうして、海の底が現れ、地の基があらわにされた。主のとがめにより、その鼻の荒いいぶきによって。 + 主は、いと高き所から御手を伸べて私を捕らえ、私を大水から引き上げられた。 + 主は、私の強い敵と、私を憎む者とから私を救い出された。彼らは私より強かったから。 + 彼らは私のわざわいの日に私に立ち向かった。だが、主は私のささえであった。 + 主は、私を広い所に連れ出し、私を助け出された。主が私を喜びとされたから。 + 主は、私の義にしたがって私に報い、私の手のきよさに従って私に償いをされた。 + 私は主の道を守り、私の神に対して悪を行わなかった。 + 主のすべてのさばきは私の前にあり、そのおきてから私は遠ざからなかった。 + 私は主の前に全く、私の罪から身を守る。 + 主は、私の義にしたがって、また、御目の前の私のきよさにしたがって私に償いをされた。 + あなたは、恵み深い者には、恵み深く、全き者には、全くあられ、 + きよい者には、きよく、曲がった者には、ねじ曲げる方。 + あなたは、悩む民を救われますが、高ぶる者に目を向けて、これを低くされます。 + 主よ。あなたは私のともしび。主は、私のやみを照らされます。 + あなたによって私は軍勢に襲いかかり、私の神によって私は城壁を飛び越えます。 + 神、その道は完全。主のみことばは純粋。主はすべて彼に身を避ける者の盾。 + まことに、主のほかにだれが神であろうか。私たちの神のほかにだれが岩であろうか。 + この神こそ、私の力強いとりで。私の道を完全に探り出される。 + 彼は私の足を雌鹿のようにし、私を高い所に立たせてくださる。 + 戦いのために私の手を鍛え、私の腕を青銅の弓でも引けるようにされる。 + こうしてあなたは、御救いの盾を私に下さいました。あなたの謙遜は、私を大きくされます。 + あなたは私を大またで歩かせます。私のくるぶしはよろけませんでした。 + 私は、敵を追って、これを根絶やしにし、絶ち滅ぼすまでは、引き返しませんでした。 + 私が彼らを絶ち滅ぼし、打ち砕いたため、彼らは立てず、私の足もとに倒れました。 + あなたは、戦いのために、私に力を帯びさせ、私に立ち向かう者を私のもとにひれ伏させました。 + また、敵が私に背を見せるようにされたので、私は私を憎む者を滅ぼしました。 + 彼らが叫んでも、救う者はなかった。主に叫んでも、答えはなかった。 + 私は、彼らを地のちりのように打ち砕き、道のどろのように、粉々に砕いて踏みつけた。 + あなたは、私の民の争いから、私を助け出し、私を国々のかしらとして保たれます。私の知らなかった民が私に仕えます。 + 外国人らは、私におもねり、耳で聞くとすぐ、私の言うことを聞き入れます。 + 外国人らはしなえて、彼らのとりでから震えて出て来ます。 + 主は生きておられる。ほむべきかな。わが岩。あがむべきかな。わが救いの岩なる神。 + この神は私のために、復讐する方。諸国の民を私のもとに下らせる方。 + 私の敵から私を携え出される方。あなたは私に立ち向かう者から私を引き上げ、暴虐の者から私を救い出されます。 + それゆえ、主よ。私は、国々の中であなたをほめたたえ、あなたの御名を、ほめ歌います。 + 主は、王に救いを増し加え、油そそがれた者、ダビデとそのすえに、とこしえに恵みを施されます。」 + + + これはダビデの最後のことばである。エッサイの子ダビデの告げたことば。高くあげられた者、ヤコブの神に油そそがれた者の告げたことば。イスラエルの麗しい歌。 + 「主の霊は、私を通して語り、そのことばは、私の舌の上にある。 + イスラエルの神は仰せられた。イスラエルの岩は私に語られた。『義をもって人を治める者、神を恐れて治める者は、 + 太陽の上る朝の光、雲一つない朝の光のようだ。雨の後に、地の若草を照らすようだ。』 + まことにわが家は、このように神とともにある。とこしえの契約が私に立てられているからだ。このすべては備えられ、また守られる。まことに神は、私の救いと願いとを、すべて、育て上げてくださる。 + よこしまな者はいばらのように、みな投げ捨てられる。手で取る値うちがないからだ。 + これに触れる者はだれでも、鉄や槍の柄でこれを集め、その場で、これらはことごとく火で焼かれてしまう。」 + ダビデの勇士たちの名は次のとおりであった。補佐官のかしら、ハクモニの子ヤショブアム。彼は槍をふるって一度に八百人を刺し殺した。 + 彼の次は、アホアハ人ドドの子エルアザル。ダビデにつく三勇士のひとりであった。彼がペリシテ人の間でそしったとき、ペリシテ人は戦うためにそこに集まった。そこで、イスラエル人は攻め上った。 + 彼は立ち上がり、自分の手が疲れて、手が剣について離れなくなるまでペリシテ人を打ち殺した。主はその日、大勝利をもたらされ、兵士たちが彼のところに引き返して来たのは、ただ、はぎ取るためであった。 + 彼の次はハラル人アゲの子シャマ。ペリシテ人が隊をなして集まったとき、そこにはレンズ豆の密生した一つの畑があり、民はペリシテ人の前から逃げたが、 + 彼はその畑の真ん中に踏みとどまって、これを救い、ペリシテ人を打ち殺した。こうして、主は大勝利をもたらされた。 + 三十人のうちのこの三人は、刈り入れのころ、アドラムのほら穴にいるダビデのところに下って来た。ペリシテ人の一隊は、レファイムの谷に陣を敷いていた。 + そのとき、ダビデは要害におり、ペリシテ人の先陣はそのとき、ベツレヘムにあった。 + ダビデはしきりに望んで言った。「だれか、ベツレヘムの門にある井戸の水を飲ませてくれたらなあ。」 + すると三人の勇士は、ペリシテ人の陣営を突き抜けて、ベツレヘムの門にある井戸から水を汲み、それを携えてダビデのところに持って来た。ダビデは、それを飲もうとはせず、それを注いで主にささげて、 + 言った。「主よ。私がこれを飲むなど、絶対にできません。いのちをかけて行った人たちの血ではありませんか。」彼は、それを飲もうとはしなかった。三勇士は、このようなことをしたのである。 + ツェルヤの子ヨアブの兄弟アビシャイ、彼は三人のかしらであった。彼は槍をふるって三百人を刺し殺し、あの三人とともに名をあげた。 + 彼は三人の中で最も誉れが高かった。そこで彼らの長になった。しかし、あの三人には及ばなかった。 + エホヤダの子ベナヤは、カブツェエルの出で、多くのてがらを立てた力ある人であった。彼は、モアブのふたりの英雄を打ち殺した。また、ある雪の日に、ほら穴の中に降りて行って雄獅子を打ち殺した。 + 彼はまた、あの堂々としたエジプト人を打ち殺した。このエジプト人は、手に槍を持っていた。彼は杖を持ってその男のところに下って行き、エジプト人の手から槍をもぎ取って、その槍で彼を殺した。 + エホヤダの子ベナヤは、これらのことをして、三勇士とともに名をあげた。 + 彼はあの三十人の中で最も誉れが高かったが、あの三人には及ばなかった。ダビデは彼を自分の護衛長にした。 + あの三十人の中には次の者がいた。ヨアブの兄弟アサエル。ベツレヘムの出のドドの子エルハナン。 + ハロデ人シャマ。ハロデ人エリカ。 + ペレテ人ヘレツ。テコア人イケシュの子イラ。 + アナトテ人アビエゼル。フシャ人メブナイ。 + アホアハ人ツァルモン。ネトファ人マフライ。 + ネトファ人バアナの子ヘレブ。ギブアの出のベニヤミン族リバイの子イタイ。 + ピルアトン人ベナヤ。ガアシュの谷の出のヒダイ。 + アラバ人アビ・アルボン。バルフム人アズマベテ。 + シャアルビム人エルヤフバ。ヤシェンの子ら。ヨナタン。 + ハラル人シャマ。アラル人シャラルの子アヒアム。 + マアカ人アハスバイの子エリフェレテ。ギロ人アヒトフェルの子エリアム。 + カルメル人ヘツライ。アラブ人パアライ。 + ツォバの出のナタンの子イグアル。ガド人バニ。 + アモン人ツェレク。ツェルヤの子ヨアブの道具持ちベエロテ人ナフライ。 + エテル人イラ。エテル人ガレブ。 + ヘテ人ウリヤ。全部で三十七人である。 + + + さて、再び主の怒りが、イスラエルに向かって燃え上がった。主は「さあ、イスラエルとユダの人口を数えよ」と言って、ダビデを動かして彼らに向かわせた。 + 王は側近の軍隊の長ヨアブに言った。「さあ、ダンからベエル・シェバに至るまでのイスラエルの全部族の間を行き巡り、その民を登録し、私に、民の数を知らせなさい。」 + すると、ヨアブは王に言った。「あなたの神、主が、この民を今より百倍も増してくださいますように。王さまが、親しくこれをご覧になりますように。ところで、王さまは、なぜ、このようなことを望まれるのですか。」 + しかし王は、ヨアブと将校たちを説き伏せたので、ヨアブと将校たちは、王の前から去って、イスラエルの民を登録しに出かけた。 + 彼らはヨルダン川を渡って、ガドの谷の真ん中にある町、ヤゼルに向かって右側にあるアロエルに宿営し、 + それから、ギルアデとタフティム・ホデシの地に行き、さらにダン・ヤアンに行き、シドンに回った。 + そしてツロの要塞に行き、ヒビ人やカナン人のすべての町々に行き、それからユダのネゲブへ出て行って、ベエル・シェバに来た。 + こうして彼らは全土を行き巡り、九か月と二十日の後にエルサレムに帰って来た。 + そして、ヨアブは民の登録人数を王に報告した。イスラエルには剣を使う兵士が八十万、ユダの兵士は五十万人であった。 + ダビデは、民を数えて後、良心のとがめを感じた。そこで、ダビデは主に言った。「私は、このようなことをして、大きな罪を犯しました。主よ。今、あなたのしもべの咎を見のがしてください。私はほんとうに愚かなことをしました。」 + 朝ダビデが起きると、次のような主のことばがダビデの先見者である預言者ガドにあった。 + 「行って、ダビデに告げよ。『主はこう仰せられる。わたしがあなたに負わせる三つのことがある。そのうち一つを選べ。わたしはあなたのためにそれをしよう。』」 + ガドはダビデのもとに行き、彼に告げて言った。「七年間のききんが、あなたの国に来るのがよいか。三か月間、あなたは仇の前を逃げ、仇があなたを追うのがよいか。三日間、あなたの国に疫病があるのがよいか。今、よく考えて、私を遣わされた方に、何と答えたらよいかを決めてください。」 + ダビデはガドに言った。「それは私には非常につらいことです。主の手に陥ることにしましょう。主のあわれみは深いからです。人の手には陥りたくありません。」 + すると、主は、その朝から、定められた時まで、イスラエルに疫病を下されたので、ダンからベエル・シェバに至るまで、民のうち七万人が死んだ。 + 御使いが、エルサレムに手を伸べて、これを滅ぼそうとしたとき、主はわざわいを下すことを思い直し、民を滅ぼしている御使いに仰せられた。「もう十分だ。あなたの手を引け。」主の使いは、エブス人アラウナの打ち場のかたわらにいた。 + ダビデは、民を打っている御使いを見たとき、主に言った。「罪を犯したのは、この私です。私が悪いことをしたのです。この羊の群れがいったい何をしたというのでしょう。どうか、あなたの御手を、私と私の一家に下してください。」 + その日、ガドはダビデのところに来て、彼に言った。「エブス人アラウナの打ち場に上って行って、主のために祭壇を築きなさい。」 + そこでダビデは、ガドのことばのとおりに、主が命じられたとおりに、上って行った。 + アラウナが見おろすと、王とその家来たちが自分のほうに進んで来るのが見えた。それで、アラウナは出て来て、地にひれ伏して、王に礼をした。 + アラウナは言った。「なぜ、王さまは、このしもべのところにおいでになるのですか。」そこでダビデは言った。「あなたの打ち場を買って、主のために祭壇を建てるためです。神罰が民に及ばないようになるためです。」 + アラウナはダビデに言った。「王さま。お気に召す物を取って、おささげください。ご覧ください。ここに全焼のいけにえのための牛がいます。たきぎにできる打穀機や牛の用具もあります。 + 王さま。このアラウナはすべてを王に差し上げます。」アラウナはさらに王に言った。「あなたの神、主が、あなたのささげ物を受け入れてくださいますように。」 + しかし王はアラウナに言った。「いいえ、私はどうしても、代金を払って、あなたから買いたいのです。費用もかけずに、私の神、主に、全焼のいけにえをささげたくありません。」そしてダビデは、打ち場と牛とを銀五十シェケルで買った。 + こうしてダビデは、そこに主のために祭壇を築き、全焼のいけにえと和解のいけにえとをささげた。主が、この国の祈りに心を動かされたので、神罰はイスラエルに及ばないようになった。 + +
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+ + ダビデ王は年を重ねて老人になっていた。それで夜着をいくら着せても暖まらなかった。 + そこで、彼の家来たちは彼に言った。「王さまのためにひとりの若い処女を捜して来て、王さまにはべらせ、王さまの世話をさせ、あなたのふところに寝させ、王さまを暖めるようにいたしましょう。」 + こうして、彼らは、イスラエルの国中に美しい娘を捜し求め、シュネム人の女アビシャグを見つけて、王のもとに連れて来た。 + この娘は非常に美しかった。彼女は王の世話をするようになり、彼に仕えたが、王は彼女を知ろうとしなかった。 + 一方、ハギテの子アドニヤは、「私が王になろう」と言って、野心をいだき、戦車、騎兵、それに、自分の前を走る者五十人を手に入れた。 + ――彼の父は存命中、「あなたはどうしてこんなことをしたのか」と言って、彼のことで心を痛めたことがなかった。そのうえ、彼は非常な美男子で、アブシャロムの次に生まれた子であった―― + 彼はツェルヤの子ヨアブと祭司エブヤタルに相談をしたので、彼らはアドニヤを支持するようになった。 + しかし、祭司ツァドクとエホヤダの子ベナヤと預言者ナタン、それにシムイとレイ、および、ダビデの勇士たちは、アドニヤにくみしなかった。 + アドニヤは、エン・ロゲルの近くにあるゾヘレテの石のそばで、羊、牛、肥えた家畜をいけにえとしてささげ、王の子らである自分の兄弟たちすべてと、王の家来であるユダのすべての人々とを招いた。 + しかし、預言者ナタンや、ベナヤ、それに勇士たちや、彼の兄弟ソロモンは招かなかった。 + それで、ナタンはソロモンの母バテ・シェバにこう言った。「私たちの君ダビデが知らないうちに、ハギテの子アドニヤが王となったということを聞きませんでしたか。 + さあ、今、私があなたに助言をいたしますから、あなたのいのちとあなたの子ソロモンのいのちを助けなさい。 + さあ、ダビデ王のもとに行って、『王さま。あなたは、このはしために、必ず、あなたの子ソロモンが私の跡を継いで王となる。彼が私の王座に着く、と言って誓われたではありませんか。それなのに、なぜ、アドニヤが王となったのですか』と言いなさい。 + あなたがまだそこで王と話しているうちに、私もあなたのあとから入って行って、あなたのことばの確かなことを保証しましょう。」 + そこで、バテ・シェバは寝室の王のもとに行った。――王は非常に年老いて、シュネム人の女アビシャグが王に仕えていた―― + バテ・シェバがひざまずいて、王におじぎをすると、王は、「何の用か」と言った。 + 彼女は答えた。「わが君。あなたは、あなたの神、主にかけて『必ず、あなたの子ソロモンが私の跡を継いで王となる。彼が私の王座に着く』と、このはしためにお誓いになりました。 + それなのに、今、アドニヤが王となっています。王さま。あなたはそれをご存じないのです。 + 彼は、牛や肥えた家畜や羊をたくさん、いけにえとしてささげ、王のお子さま全部と、祭司エブヤタルと、将軍ヨアブを招いたのに、あなたのしもべソロモンは招きませんでした。 + 王さま。王さまの跡を継いで、だれが王さまの王座に着くかを告げていただきたいと、今や、すべてのイスラエルの目はあなたの上に注がれています。 + そうでないと、王さまがご先祖たちとともに眠りにつかれるとき、私と私の子ソロモンは罪を犯した者とみなされるでしょう。」 + 彼女がまだ王と話しているうちに、預言者ナタンが入って来た。 + 家来たちは、「預言者ナタンがまいりました」と言って王に告げた。彼は王の前に出て、地にひれ伏して、王に礼をした。 + ナタンは言った。「王さま。あなたは『アドニヤが私の跡を継いで王となる。彼が私の王座に着く』と仰せられましたか。 + 実は、きょう、彼は下って行って、牛と肥えた家畜と羊とをたくさん、いけにえとしてささげ、王のお子さま全部と、将軍たちと、祭司エブヤタルとを招きました。そして、彼らは、彼の前で飲み食いし、『アドニヤ王。ばんざい』と叫びました。 + しかし、あなたのしもべのこの私や祭司ツァドクやエホヤダの子ベナヤや、それに、あなたのしもべソロモンは招きませんでした。 + このことは、王さまから出たことなのですか。あなたは、だれが王の跡を継いで、王さまの王座に着くかを、このしもべに告げておられませんのに。」 + ダビデ王は答えて言った。「バテ・シェバをここに呼びなさい。」彼女が王の前に来て、王の前に立つと、 + 王は誓って言った。「私のいのちをあらゆる苦難から救い出してくださった主は生きておられる。 + 私がイスラエルの神、主にかけて、『必ず、あなたの子ソロモンが私の跡を継いで王となる。彼が私に代わって王座に着く』と言ってあなたに誓ったとおり、きょう、必ずそのとおりにしよう。」 + バテ・シェバは地にひれ伏して、王に礼をし、そして言った。「わが君、ダビデ王さま。いつまでも生きておられますように。」 + それからダビデ王は言った。「祭司ツァドクと預言者ナタン、それに、エホヤダの子ベナヤをここに呼びなさい。」彼らが王の前に来ると、 + 王は彼らに言った。「あなたがたの主君の家来たちを連れ、私の子ソロモンを私の雌騾馬に乗せ、彼を連れてギホンへ下って行きなさい。 + 祭司ツァドクと預言者ナタンは、そこで彼に油をそそいでイスラエルの王としなさい。そうして、角笛を吹き鳴らし、『ソロモン王。ばんざい』と叫びなさい。 + それから、彼に従って上って来なさい。彼は来て、私の王座に着き、彼が私に代わって王となる。私は彼をイスラエルとユダの君主に任命した。」 + エホヤダの子ベナヤが王に答えて言った。「アーメン。王さまの神、主も、そう言われますように。 + 主が、王さまとともにおられたように、ソロモンとともにおられ、彼の王座を、わが君、ダビデ王の王座よりもすぐれたものとされますように。」 + そこで、祭司ツァドクと預言者ナタンとエホヤダの子ベナヤ、それに、ケレテ人とペレテ人とが下って行き、彼らはソロモンをダビデ王の雌騾馬に乗せ、彼を連れてギホンへ行った。 + 祭司ツァドクは天幕の中から油の角を取って来て、油をソロモンにそそいだ。そうして彼らが角笛を吹き鳴らすと、民はこぞって、「ソロモン王。ばんざい」と叫んだ。 + 民はみな、彼のあとに従って上って来た。民が笛を吹き鳴らしながら、大いに喜んで歌ったので、地がその声で裂けた。 + アドニヤと、彼に招待された者たちはみな、食事を終えたとき、これを聞いた。ヨアブは角笛の音を聞いて言った。「なぜ、都で騒々しい声が起こっているのだろう。」 + 彼がまだそう言っているうちに、祭司エブヤタルの子ヨナタンがやって来た。アドニヤは言った。「入りなさい。あなたは勇敢な人だから、良い知らせを持って来たのだろう。」 + ヨナタンはアドニヤに答えて言った。「いいえ、私たちの君、ダビデ王はソロモンを王としました。 + ダビデ王は、祭司ツァドクと預言者ナタンとエホヤダの子ベナヤ、それに、ケレテ人とペレテ人とをソロモンにつけて送り出しました。彼らはソロモンを王の雌騾馬に乗せ、 + 祭司ツァドクと預言者ナタンがギホンで彼に油をそそいで王としました。こうして彼らが大喜びで、そこから上って来たので、都が騒々しくなったのです。あなたがたの聞いたあの物音はそれです。 + しかも、ソロモンはすでに王の座に着きました。 + そのうえ、王の家来たちが来て、『神が、ソロモンの名をあなたの名よりも輝かせ、その王座をあなたの王座よりもすぐれたものとされますように』と言って、私たちの君、ダビデ王に祝福のことばを述べました。すると王は寝台の上で礼拝をしました。 + また、王はこう言われました。『きょう、私の王座に着く者を与えてくださって、私がこの目で見るようにしてくださったイスラエルの神、主はほむべきかな。』」 + すると、アドニヤの客たちはみな、身震いして立ち上がり、おのおの帰途についた。 + アドニヤもソロモンを恐れて立ち上がり、行って、祭壇の角をつかんだ。 + そのとき、ソロモンに次のように言って告げる者がいた。「アドニヤはソロモン王を恐れ、祭壇の角をしっかり握って、『ソロモン王がまず、このしもべを剣で殺さないと私に誓ってくださるように』と言っています。」 + すると、ソロモンは言った。「彼がりっぱな人物であれば、彼の髪の毛一本でも地に落ちることはない。しかし、彼のうちに悪があれば、彼は死ななければならない。」 + それから、ソロモン王は人をやってアドニヤを祭壇から降ろさせた。彼がソロモン王の前に来て礼をすると、ソロモンは彼に言った。「家へ帰りなさい。」 + + + ダビデの死ぬ日が近づいたとき、彼は息子のソロモンに次のように言いつけた。 + 「私は世のすべての人の行く道を行こうとしている。強く、男らしくありなさい。 + あなたの神、主の戒めを守り、モーセの律法に書かれているとおりに、主のおきてと、命令と、定めと、さとしとを守って主の道を歩まなければならない。あなたが何をしても、どこへ行っても、栄えるためである。 + そうすれば、主は私について語られた約束を果たしてくださろう。すなわち『もし、あなたの息子たちが彼らの道を守り、心を尽くし、精神を尽くして、誠実をもってわたしの前を歩むなら、あなたには、イスラエルの王座から人が断たれない。』 + また、あなたはツェルヤの子ヨアブが私にしたこと、すなわち、彼がイスラエルのふたりの将軍、ネルの子アブネルとエテルの子アマサとにしたことを知っている。彼は彼らを虐殺し、平和な時に、戦いの血を流し、自分の腰の帯と足のくつに戦いの血をつけたのだ。 + だから、あなたは自分の知恵に従って行動しなさい。彼のしらが頭を安らかによみに下らせてはならない。 + しかし、ギルアデ人バルジライの子らには恵みを施してやり、彼らをあなたの食事の席に連ならせなさい。私があなたの兄弟アブシャロムの前から逃げたとき、彼らは私の近くに来てくれたからだ。 + また、あなたのそばには、バフリムの出のベニヤミン人ゲラの子シムイがいる。彼は、私がマハナイムに行ったとき、非常に激しく私をのろった。しかし、彼は私を迎えにヨルダン川に下って来たので、私は主にかけて、『あなたを剣で殺さない』と言って彼に誓った。 + だが、今は、彼を罪のない者としてはならない。あなたは知恵のある人だから、彼にどうすれば彼のしらが頭を血に染めてよみに下らせるかを知るようになろう。」 + こうして、ダビデは彼の先祖たちとともに眠り、ダビデの町に葬られた。 + ダビデがイスラエルの王であった期間は四十年であった。ヘブロンで七年治め、エルサレムで三十三年治めた。 + ソロモンは父ダビデの王座に着き、その王位は確立した。 + あるとき、ハギテの子アドニヤがソロモンの母バテ・シェバのところにやって来た。彼女は、「平和なことで来たのですか」と尋ねた。彼は、「平和なことです」と答えて、 + さらに言った。「あなたにお話ししたいことがあるのですが。」すると彼女は言った。「話してごらんなさい。」 + 彼は言った。「ご存じのように、王位は私のものであるはずですし、すべてのイスラエルは私が王となるのを期待していました。それなのに、王位は転じて、私の弟のものとなりました。主によって彼のものとなったからです。 + 今、あなたに一つのお願いがあります。断らないでください。」彼女は彼に言った。「話してごらんなさい。」 + 彼は言った。「どうかソロモン王に頼んでください。あなたからなら断らないでしょうから。シュネム人の女アビシャグを私に与えて私の妻にしてください。」 + そこで、バテ・シェバは、「よろしい。私から王にあなたのことを話してあげましょう」と言った。 + バテ・シェバは、アドニヤのことを話すために、ソロモン王のところに行った。王は立ち上がって彼女を迎え、彼女におじぎをして、自分の王座に戻った。王の母のためにほかの王座を設けさせたので、彼女は彼の右にすわった。 + そこで、彼女は言った。「あなたに一つの小さなお願いがあります。断らないでください。」王は彼女に言った。「母上。その願い事を聞かせてください。お断りしないでしょうから。」 + 彼女は言った。「シュネム人の女アビシャグをあなたの兄のアドニヤに妻として与えてやってください。」 + ソロモン王は母に答えて言った。「なぜ、あなたはアドニヤのためにシュネム人の女アビシャグを求めるのですか。彼は私の兄ですから、彼のために、王位を求めたほうがよいのではありませんか。彼のためにも祭司エブヤタルやツェルヤの子ヨアブのためにも。」 + ソロモン王は主にかけて誓って言った。「アドニヤがこういうことを言って自分のいのちを失わなかったら、神がこの私を幾重にも罰せられるように。 + 私の父ダビデの王座に着かせて、私を堅く立て、お約束どおりに、王朝を建ててくださった主は生きておられる。アドニヤは、きょう、殺されなければなりません。」 + こうして、ソロモン王は、エホヤダの子ベナヤを遣わしてアドニヤを打ち取らせたので、彼は死んだ。 + それから、王は祭司エブヤタルに言った。「アナトテの自分の地所に帰りなさい。あなたは死に値する者であるが、きょうは、あなたを殺さない。あなたは私の父ダビデの前で神である主の箱をかつぎ、父といつも苦しみを共にしたからだ。」 + こうして、ソロモンはエブヤタルを主の祭司の職から罷免した。シロでエリの家族について語られた主のことばはこうして成就した。 + この知らせがヨアブのところに伝わると、――ヨアブはアドニヤについたが、アブシャロムにはつかなかった――ヨアブは主の天幕に逃げ、祭壇の角をつかんだ。 + ヨアブが主の天幕に逃げて、今、祭壇のかたわらにいる、とソロモン王に知らされたとき、ソロモンは、「行って、彼を打ち取れ」と命じて、エホヤダの子ベナヤを遣わした。 + そこで、ベナヤは主の天幕に入って、彼に言った。「王がこう言われる。『外に出よ。』」彼は、「いやだ。ここで死ぬ」と言った。ベナヤは王にこのことを報告して言った。「ヨアブはこう言って私に答えました。」 + 王は彼に言った。「では、彼が言ったとおりにして、彼を打ち取って、葬りなさい。こうして、ヨアブが理由もなく流した血を、私と、私の父の家から取り除きなさい。 + 主は、彼が流した血を彼の頭に注ぎ返されるであろう。彼は自分よりも正しく善良なふたりの者に撃ちかかり、剣で彼らを虐殺したからだ。彼は私の父ダビデが知らないうちに、ネルの子、イスラエルの将軍アブネルと、エテルの子、ユダの将軍アマサを虐殺した。 + ふたりの血は永遠にヨアブの頭と彼の子孫の頭とに注ぎ返されよう。しかし、ダビデとその子孫、およびその家と王座にはとこしえまで、主から平安が下されよう。」 + エホヤダの子ベナヤは上って行って、彼を打ち取った。彼は荒野にある自分の家に葬られた。 + 王はエホヤダの子ベナヤを彼の代わりに軍団長とし、王は祭司ツァドクをエブヤタルの代わりとした。 + 王は人をやって、シムイを呼び寄せ、彼に言った。「自分のためにエルサレムに家を建てて、そこに住むがよい。だが、そこからどこへも出てはならない。 + 出て、キデロン川を渡ったら、あなたは必ず殺されることを覚悟しておきなさい。あなたの血はあなた自身の頭に帰するのだ。」 + シムイは王に言った。「よろしゅうございます。しもべは、王さまのおっしゃるとおりにいたします。」このようにして、シムイは長い間エルサレムに住んだ。 + それから、三年たったころ、シムイのふたりの奴隷が、ガテの王マアカの子アキシュのところへ逃げた。シムイに、「あなたの奴隷たちが今、ガテにいる」という知らせがあったので、 + シムイはすぐ、ろばに鞍をつけ、奴隷たちを捜しにガテのアキシュのところへ行った。シムイは行って、奴隷たちをガテから連れ戻して帰って来た。 + シムイがエルサレムからガテに行って帰って来たことは、ソロモンに告げられた。 + すると、王は人をやって、シムイを呼び出して言った。「私はあなたに、主にかけて誓わせ、『あなたが出て、どこかへ行ったなら、あなたは必ず殺されることをよく承知しておくように』と言って警告しておいたではないか。すると、あなたは私に、『よろしゅうございます。従います』と言った。 + それなのに、なぜ、主への誓いと、私があなたに命じた命令を守らなかったのか。」 + 王はまた、シムイに言った。「あなたは自分の心に、あなたが私の父ダビデに対してなしたすべての悪を知っているはずだ。主はあなたの悪をあなたの頭に返されるが、 + ソロモン王は祝福され、ダビデの王座は主の前でとこしえまでも堅く立つであろう。」 + 王はエホヤダの子ベナヤに命じた。彼は出て行って、シムイを打ち取った。こうして、王国はソロモンによって確立した。 + + + ソロモンはエジプトの王パロと互いに縁を結び、パロの娘をめとって、彼女をダビデの町に連れて来、自分の家と主の宮、および、エルサレムの回りの城壁を建て終わるまで、そこにおらせた。 + 当時はまだ、主の名のための宮が建てられていなかったので、民はただ、高き所でいけにえをささげていた。 + ソロモンは主を愛し、父ダビデのおきてに歩んでいたが、ただし、彼は高き所でいけにえをささげ、香をたいていた。 + 王はいけにえをささげるためにギブオンへ行った。そこは最も重要な高き所であったからである。ソロモンはそこの祭壇の上に一千頭の全焼のいけにえをささげた。 + その夜、ギブオンで主は夢のうちにソロモンに現れた。神は仰せられた。「あなたに何を与えようか。願え。」 + ソロモンは言った。「あなたは、あなたのしもべ、私の父ダビデに大いなる恵みを施されました。それは、彼が誠実と正義と真心とをもって、あなたの御前を歩んだからです。あなたは、この大いなる恵みを彼のために取っておき、きょう、その王座に着く子を彼にお与えになりました。 + わが神、主よ。今、あなたは私の父ダビデに代わって、このしもべを王とされました。しかし、私は小さい子どもで、出入りするすべを知りません。 + そのうえ、しもべは、あなたの選んだあなたの民の中におります。しかも、彼らはあまりにも多くて、数えることも調べることもできないほど、おびただしい民です。 + 善悪を判断してあなたの民をさばくために聞き分ける心をしもべに与えてください。さもなければ、だれに、このおびただしいあなたの民をさばくことができるでしょうか。」 + この願い事は主の御心にかなった。ソロモンがこのことを願ったからである。 + 神は彼に仰せられた。「あなたがこのことを求め、自分のために長寿を求めず、自分のために富を求めず、あなたの敵のいのちをも求めず、むしろ、自分のために正しい訴えを聞き分ける判断力を求めたので、 + 今、わたしはあなたの言ったとおりにする。見よ。わたしはあなたに知恵の心と判断する心とを与える。あなたの先に、あなたのような者はなかった。また、あなたのあとに、あなたのような者も起こらない。 + そのうえ、あなたの願わなかったもの、富と誉れとをあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちの中であなたに並ぶ者はひとりもないであろう。 + また、あなたの父ダビデが歩んだように、あなたもわたしのおきてと命令を守って、わたしの道を歩むなら、あなたの日を長くしよう。」 + ソロモンが目をさますと、なんと、それは夢であった。そこで、彼はエルサレムに行き、主の契約の箱の前に立って、全焼のいけにえをささげ、和解のいけにえをささげ、すべての家来たちを招いて祝宴を開いた。 + そのころ、ふたりの遊女が王のところに来て、その前に立った。 + ひとりの女が言った。「わが君。私とこの女とは同じ家に住んでおります。私はこの女といっしょに家にいるとき子どもを産みました。 + ところが、私が子どもを産んで三日たつと、この女も子どもを産みました。家には私たちのほか、だれもいっしょにいた者はなく、家にはただ私たちふたりだけでした。 + ところが、夜の間に、この女の産んだ子が死にました。この女が自分の子の上に伏したからです。 + この女は夜中に起きて、はしためが眠っている間に、私のそばから私の子を取って、自分のふところに抱いて寝かせ、自分の死んだ子を私のふところに寝かせたのです。 + 朝、私が子どもに乳を飲ませようとして起きてみると、どうでしょう、子どもは死んでいるではありませんか。朝、その子をよく見てみると、まあ、その子は私が産んだ子ではないのです。」 + すると、もうひとりの女が言った。「いいえ、生きているのが私の子で、死んでいるのはあなたの子です。」先の女は言った。「いいえ、死んだのがあなたの子で、生きているのが私の子です。」こうして、女たちは王の前で言い合った。 + そこで王は言った。「ひとりは『生きているのが私の子で、死んでいるのはあなたの子だ』と言い、また、もうひとりは『いや、死んだのがあなたの子で、生きているのが私の子だ』と言う。」 + そして、王は、「剣をここに持って来なさい」と命じた。剣が王の前に持って来られると、 + 王は言った。「生きている子どもを二つに断ち切り、半分をこちらに、半分をそちらに与えなさい。」 + すると、生きている子の母親は、自分の子を哀れに思って胸が熱くなり、王に申し立てて言った。「わが君。どうか、その生きている子をあの女にあげてください。決してその子を殺さないでください。」しかし、もうひとりの女は、「それを私のものにも、あなたのものにもしないで、断ち切ってください」と言った。 + そこで王は宣告を下して言った。「生きている子どもを初めの女に与えなさい。決してその子を殺してはならない。彼女がその子の母親なのだ。」 + イスラエル人はみな、王が下したさばきを聞いて、王を恐れた。神の知恵が彼のうちにあって、さばきをするのを見たからである。 + + + こうして、ソロモン王は全イスラエルの王となった。 + 彼の高官たちは次のとおり。ツァドクの子アザルヤは祭司。 + シシャの子らエリホレフとアヒヤは書記。アヒルデの子ヨシャパテは参議。 + エホヤダの子ベナヤは軍団長。ツァドクとエブヤタルは祭司。 + ナタンの子アザルヤは政務長官。ナタンの子ザブデは祭司で、王の友。 + アヒシャルは宮内長官。アブダの子アドニラムは役務長官。 + ソロモンは、イスラエルの全土に十二人の守護を置いた。彼らは王とその一族に食糧を納めていた。すなわち、一年に一か月間、おのおの食糧を納めていた。 + 彼らの名は次のとおり。/エフライムの山地にはフルの子。 + マカツ、シャアルビム、ベテ・シェメシュ、エロン・ベテ・ハナンにはデケルの子。 + アルボテにはヘセデの子。――彼にはソコとヘフェルの全地が任せられていた―― + ドルの全高地にはアビナダブの子。――ソロモンの娘タファテが彼の妻であった―― + タナク、メギド、それに、イズレエルの下ツァレタンのそばのベテ・シェアンの全土、ベテ・シェアンからアベル・メホラ、ヨクモアムの向こうまでの地には、アヒルデの子バアナ。 + ラモテ・ギルアデにはゲベルの子。――彼にはギルアデのマナセの子ヤイルの村々と、バシャンにあるアルゴブの地域で、城壁と青銅のかんぬきを備えた六十の大きな町々が任せられた―― + マハナイムにはイドの子アヒナダブ。 + ナフタリにはアヒマアツ。――彼もまた、ソロモンの娘バセマテをめとっていた―― + アシェルとベアロテにはフシャイの子バアナ。 + イッサカルにはパルアハの子ヨシャパテ。 + ベニヤミンにはエラの子シムイ。 + エモリ人の王シホンと、バシャンの王オグの領地であったギルアデの地にはウリの子ゲベル。その地にはもうひとりの守備隊長がいた。 + ユダとイスラエルの人口は、海辺の砂のように多くなり、彼らは飲み食いして楽しんでいた。 + ソロモンは、大河からペリシテ人の地、さらには、エジプトの国境に至るすべての王国を支配した。これらの王国は、ソロモンの一生の間みつぎものを持って来て、彼に仕えた。 + ソロモンの一日分の食糧は、小麦粉三十コル、大麦粉六十コル。 + それに、肥えた牛十頭、放牧の牛二十頭、羊百頭。そのほか、雄鹿、かもしか、のろじかと、肥えた鳥であった。 + これはソロモンが、大河の西側、ティフサフからガザまでの全土、すなわち、大河の西側のすべての王たちを支配し、周辺のすべての地方に平和があったからである。 + ユダとイスラエルは、ソロモンの治世中、ダンからベエル・シェバまで、みな、おのおの自分のぶどうの木の下や、いちじくの木の下で安心して住むことができた。 + ソロモンは戦車用の馬のための馬屋四万、騎兵一万二千を持っていた。 + 守護たちは、それぞれ自分の当番月にソロモン王、およびソロモン王の食事の席に連なるすべての者たちのために、食糧を納め、不足させなかった。 + 彼らはまた、引き馬や早馬のために、それぞれ割り当てに従って、馬のいる所に大麦とわらを持って来た。 + 神は、ソロモンに非常に豊かな知恵と英知と、海辺の砂浜のように広い心とを与えられた。 + それでソロモンの知恵は、東のすべての人々の知恵と、エジプト人のすべての知恵とにまさっていた。 + 彼は、すべての人、すなわち、エズラフ人エタンや、ヘマンや、カルコルや、マホルの子ダルダよりも知恵があった。それで、彼の名声は周辺のすべての国々に広がった。 + 彼は三千の箴言を語り、彼の歌は一千五首もあった。 + 彼はレバノンの杉の木から、石垣に生えるヒソプに至るまでの草木について語り、獣や鳥やはうものや魚についても語った。 + ソロモンの知恵を聞くために、すべての国の人々や、彼の知恵のうわさを聞いた国のすべての王たちがやって来た。 + + + さて、ツロの王ヒラムは、ソロモンが油をそそがれ、彼の父に代わって王となったことを聞いて、自分の家来たちをソロモンのところへ遣わした。ヒラムはダビデといつも友情を保っていたからである。 + そこで、ソロモンはヒラムのもとに人をやって言わせた。 + 「あなたがご存じのように、私の父ダビデは、彼の回りからいつも戦いをいどまれていたため、主が彼らを私の足の裏の下に置かれるまで、彼の神、主の名のために宮を建てることができませんでした。 + ところが、今、私の神、主は、周囲の者から守って、私に安息を与えてくださり、敵対する者もなく、わざわいを起こす者もありません。 + 今、私は、私の神、主の名のために宮を建てようと思っています。主が私の父ダビデに『わたしが、あなたの代わりに、あなたの王座に着かせるあなたの子、彼がわたしの名のために宮を建てる』と言われたとおりです。 + どうか、私のために、レバノンから杉の木を切り出すように命じてください。私のしもべたちも、あなたのしもべたちといっしょに働きます。私はあなたのしもべたちに、あなたが言われるとおりの賃金を払います。ご存じのように、私たちの中にはシドン人のように木を切ることに熟練した者がいないのです。」 + ヒラムはソロモンの申し出を聞いて、非常に喜んで言った。「きょう、主はほむべきかな。このおびただしい民を治める知恵ある子をダビデに授けられたとは。」 + そして、ヒラムはソロモンのもとに人をやって言わせた。「あなたの申し送られたことを聞きました。私は、杉の木材ともみの木材なら、何なりとあなたのお望みどおりにいたしましょう。 + 私のしもべたちはそれをレバノンから海へ下らせます。私はそれをいかだに組んで、海路、あなたが指定される場所まで送り、そこで、それを解かせましょう。あなたはそれを受け取ってください。それから、あなたは、私の一族に食物を与え、私の願いをかなえてください。」 + こうしてヒラムは、ソロモンに杉の木材ともみの木材とを彼の望むだけ与えた。 + そこで、ソロモンはヒラムに、その一族の食糧として、小麦二万コルを与え、また、上質のオリーブ油二十コルを与えた。ソロモンはこれだけの物を毎年ヒラムに与えた。 + 主は約束どおり、ソロモンに知恵を賜ったので、ヒラムとソロモンとの間には平和が保たれ、ふたりは契約を結んだ。 + ソロモン王は全イスラエルから役務者を徴用した。役務者は三万人であった。 + ソロモンは彼らを一か月交替で、一万人ずつレバノンに送った。すなわち、一か月はレバノンに、二か月は家にいるようにした。役務長官はアドニラムであった。 + ソロモンには荷役人夫が七万人、山で石を切り出す者が八万人あった。 + そのほか、ソロモンには工事の監督をする者の長が三千三百人あって、工事に携わる者を指揮していた。 + 王は、切り石を神殿の礎に据えるために、大きな石、高価な石を切り出すように命じた。 + ソロモンの建築師と、ヒラムの建築師と、ゲバル人たちは石を切り、宮を建てるために木材と石材とを準備した。 + + + イスラエル人がエジプトの地を出てから四百八十年目、ソロモンがイスラエルの王となってから四年目のジブの月、すなわち第二の月に、ソロモンは主の家の建設に取りかかった。 + ソロモン王が主のために建設した神殿は、長さ六十キュビト、幅二十キュビト、高さ三十キュビトであった。 + 神殿の本堂の前につく玄関は、長さが神殿の幅と同じ二十キュビト、幅が神殿の前方に十キュビトであった。 + 神殿には格子を取りつけた窓を作った。 + さらに、神殿の壁の回り、つまり、本堂と内堂の回りの神殿の壁に脇屋を建て増しし、こうして階段式の脇間を造りめぐらした。 + 脇屋の一階は幅五キュビト、二階は幅六キュビト、三階は幅七キュビトであった。それは、神殿の外側の回りの壁に段を作り、神殿の壁を梁でささえないようにするためであった。 + 神殿は、建てるとき、石切り場で完全に仕上げられた石で建てられたので、工事中、槌や、斧、その他、鉄の道具の音は、いっさい神殿の中では聞かれなかった。 + 二階の脇間に通ずる入口は神殿の右側にあり、らせん階段で、二階に上り、二階から三階に上るようになっていた。 + 彼は神殿を建て、これを完成するにあたって、神殿の天井を杉材のたるきと厚板でおおった。 + 神殿の側面に脇屋を建てめぐらし、その各階の高さは五キュビトにして、これを杉材で神殿に固着させた。 + そのとき、ソロモンに次のような主のことばがあった。 + 「あなたが建てているこの神殿については、もし、あなたがわたしのおきてに歩み、わたしの定めを行い、わたしのすべての命令を守り、これによって歩むなら、わたしがあなたの父ダビデにあなたについて約束したことを成就しよう。 + わたしはイスラエルの子らのただ中に住み、わたしの民イスラエルを捨てることはしない。」 + こうして、ソロモンは神殿を建て、これを完成した。 + 彼は神殿の内側の壁を杉の板で張り、神殿の床から天井の壁に至るまで、内側を板で張った。なお神殿の床はもみの木の板で張った。 + ついで、彼は神殿の奥の部分二十キュビトを、床から天井の壁に至るまで、杉の板で張った。このようにして、彼は神殿に内堂、すなわち、至聖所を造り上げた。 + 神殿、すなわち、前面の本堂の長さは四十キュビトであった。 + 神殿内部の杉の板には、ひょうたん模様と花模様が浮き彫りにされており、全部、杉の板で、石は見えなかった。 + それから、彼は神殿内部の奥に内堂を設け、そこに主の契約の箱を置くことにした。 + 内堂の内部は、長さ二十キュビト、幅二十キュビト、高さ二十キュビトで、純金をこれに着せた。さらに杉材の祭壇にも純金を着せた。 + ソロモンは神殿の内側を純金でおおい、内堂の前に金の鎖を渡し、これを金でおおった。 + 神殿全体を、隅々まで金で張り、内堂にある祭壇もすっかり金をかぶせた。 + 内堂の中に二つのオリーブ材のケルビムを作った。その高さは十キュビトであった。 + そのケルブの一方の翼は五キュビト、もう一方の翼も五キュビト。一方の翼の端からもう一方の翼の端まで十キュビトあった。 + 他のケルブも十キュビトあり、両方のケルビムは全く同じ寸法、同じ形であった。 + 一方のケルブは高さ十キュビト、他方のケルブも同じであった。 + そのケルビムは奥の神殿の中に置かれた。ケルビムの翼は広がって、一つのケルブの翼は一方の壁に届き、もう一つのケルブの翼はもう一方の壁に届き、また彼らの翼は神殿の真ん中に届いて翼と翼が触れ合っていた。 + 彼はこのケルビムに金をかぶせた。 + 神殿の周囲の壁には、すべて、奥の間も外の間も、ケルビムの彫刻、なつめやしの木と花模様の彫り物を彫った。 + 神殿の床には、奥の間も外の間も、金をかぶせた。 + 彼は内堂の入口を、オリーブ材のとびらと五角形の戸口の柱で作った。 + 二つのオリーブ材のとびらである。彼はその上に、ケルビムの彫刻と、なつめやしの木と花模様を彫り、金をかぶせた。ケルビムと、なつめやしの木の上に金を延ばしつけたのである。 + 同じように、本堂の入口にも四角形のオリーブ材の戸口の柱を作った。 + もみの木の二つのとびらである。一方のとびらの二枚の戸は折りたたみ戸、片方のとびらの二枚の戸も折りたたみ戸であった。 + 彼はケルビムと、なつめやしの木と花模様を彫りつけ、その彫り物の上に、ぴったりと金を張りつけた。 + それから、彼は、切り石三段、杉角材一段の仕切りで内庭を造った。 + 第四年目のジブの月に、主の神殿の礎を据え、 + 第十一年目のブルの月、すなわち第八の月に、神殿のすべての部分が、その明細どおりに完成した。これを建てるのに七年かかった。 + + + ソロモンは自分の宮殿を建て、十三年かかって宮殿全部を完成した。 + 彼はレバノンの森の宮殿を建てた。その長さは百キュビト、幅は五十キュビト、高さは三十キュビトで、それは四列の杉材の柱の上にあり、その柱の上には杉材の梁があった。 + また四十五本の柱――一列に十五本ずつ――の上の階段式脇間の屋根は杉材でふかれていた。 + 戸口は三列、三階になって、向かい合っていた。 + 戸口のとびらと戸口の柱とはすべて四辺形で、三階になって向かい合っていた。 + 彼はまた、柱の広間を造った。その長さは五十キュビト、その幅は三十キュビトであった。その前に玄関があり、その前に柱とひさしとがあった。 + 彼はまた、さばきをするための王座の広間、さばきの広間を造り、床の隅々から天井まで杉材を張りつめた。 + 彼の住む家は、その広間のうしろの庭にあり、同じ造作であった。また、ソロモンは、彼がめとったパロの娘のためにも、この広間と同じような家を建てた。 + これらはすべて、内側も外側も、寸法どおりにのこぎりで切りそろえた切り石、高価な石で造られていた。礎から頂上に至るまで、さらに外庭から大庭に至るまでそうであった。 + 礎は高価な石、大きな石で、十キュビトも八キュビトもあった。 + その上には寸法どおりの切り石、高価な石と杉材が使われていた。 + 大庭の周囲には、三段の切り石と一段の杉角材とが使われ、主の宮の内庭や、神殿の玄関広間と同じであった。 + ソロモン王は人をやって、ツロからヒラムを呼んで来た。 + 彼はナフタリ族のやもめの子であった。彼の父はツロの人で、青銅の細工師であった。それでヒラムは青銅の細工物全般に関する知恵と、英知と、知識とに満ちていた。彼はソロモン王のもとにやって来て、そのいっさいの細工を行った。 + 彼は青銅で二本の柱を鋳造した。その一本の柱の高さは十八キュビト。周囲は他の柱といっしょに、ひもで測って十二キュビトであった。 + 彼は青銅で鋳造した二つの柱頭を作り、柱の頂に載せた。一つの柱頭の高さは五キュビト、もう一つの柱頭の高さも五キュビトであった。 + 柱の頂の柱頭に取りつけて、鎖で編んだ、ふさになった格子細工の網を、一方の柱頭に七つ、他の柱頭に七つ作った。 + こうして彼は柱を作り、柱の頂にある柱頭をおおうために、青銅のざくろが格子網の上を二段に取り巻くようにし、他の柱頭にも同じようにした。 + この玄関広間にある柱の頂の上の柱頭は、ゆりの花の細工であって、それは四キュビトであった。 + 二本の柱の上にある柱頭の格子網のあたりで丸い突出部の回りには、二百個のざくろが、両方の柱頭に段をなして並んでいた。 + この柱を本堂の玄関広間の前に立てた。彼は右側に立てた柱にヤキンという名をつけ、左側に立てた柱にボアズという名をつけた。 + この柱の頂の上には、ゆりの花の細工があり、このようにして、柱の造作を完成した。 + それから、鋳物の海を作った。縁から縁まで十キュビト。円形で、その高さは五キュビト。その周囲は測りなわで巻いて三十キュビトであった。 + その縁の下に沿って、ひょうたん模様が回りを取り巻いていた。すなわち、一キュビトにつき十ずつの割りでその海の周囲を取り巻いていた。このひょうたん模様は二段になっており、海を鋳たときに鋳込んだものである。 + これは十二頭の牛の上に据えられていた。三頭は北を向き、三頭は西を向き、三頭は南を向き、三頭は東を向いていた。この海は、これらの牛の上に載せられており、牛の後部はすべて内側に向いていた。 + その海の厚さは一手幅あり、その縁は、杯の縁のようにゆりの花の形をしていた。その容量は二千バテであった。 + 彼は青銅で十個の台を作った。おのおのの台は長さ四キュビト、幅四キュビト、高さ三キュビトであった。 + この台の構造は次のとおり。台には鏡板があり、鏡板はわくにはまっていた。 + わくにはめられている鏡板の上には、雄獅子と牛とケルビムとがあり、雄獅子と牛の上と下にあるわくの表面には花模様が鋳込んであった。 + それぞれ台には青銅の車輪四つと、青銅の軸がついており、台の四隅には洗盤のささえがあり、そのささえは洗盤の下にあって、各表面が花模様に鋳られていた。 + 洗盤の口はささえの内側にあって、一キュビト上に出ており、その口は丸く、花模様の細工があって、一キュビト半あり、また、その口の上にも彫刻がしてあり、わくの鏡板は四角で、丸くなかった。 + 鏡板の下には四つの車輪があり、車軸は台に取りつけられ、一つの車輪の高さは一キュビト半であった。 + その車輪の作りは戦車の車輪の作りと同じで、車軸も、輪縁も、輻も、こしきもみな、鋳物であった。 + それぞれ台の四隅には四本のささえがあり、ささえと台とは一体をなしていた。 + 台の上部には高さ半キュビトの丸い部分が取り巻いており、その台の上のささえと鏡板とは一体をなしていた。 + そのささえの表面と鏡板には、それぞれの場所に、ケルビムと、雄獅子と、なつめやしの木を刻み、その周囲には花模様を刻んだ。 + 彼は、以上のように、十個の台を作った。それらは全部、同じ鋳方、同じ寸法、同じ形であった。 + ついで、彼は青銅で十個の洗盤を作った。洗盤の容量はそれぞれ四十バテ、それぞれ直径四キュビトであった。洗盤は、一つの台の上に一つずつ、十個の台の上にあった。 + 彼はその台の五個を神殿の右側に、五個を神殿の左側に置き、海を神殿の右側、すなわち、東南の方角に置いた。 + さらに、ヒラムは灰つぼと十能と鉢を作った。こうして、ヒラムは主の宮のためにソロモン王が注文したすべての仕事を完成した。 + すなわち、二本の柱と、二本の柱の頂にある丸い柱頭、および、柱の頂にある丸い二つの柱頭をおおう二つの格子網、 + また、二つの格子網に取りつけた四百のざくろ、すなわち、柱の先端にある丸い二つの柱頭をおおうそれぞれの格子網のための二段のざくろ。 + また、十個の台と、その台の上の十個の洗盤、 + 一つの海と、その海の下の十二頭の牛、 + また、灰つぼと十能と鉢であった。ヒラムがソロモン王の注文により主の宮のために作ったすべての用具は、みがきをかけた青銅であった。 + 王は、ヨルダンの低地、スコテとツァレタンとの間の粘土の地で、これらを鋳造した。 + ソロモンは、この用具があまりにも多かったので、みなそれを量らないままにしておいた。青銅の重さは量られなかった。 + ついで、ソロモンは主の宮にあるすべての用具を作った。すなわち、金の祭壇と供えのパンを載せる金の机、 + 純金の燭台――内堂の右側に五つ、左側に五つ――、金の花模様、ともしび皿、心切りばさみを作った。 + また、純金の皿と、心取りばさみ、鉢、平皿、火皿を純金で作った。また、至聖所に通じる神殿のとびらのちょうつがい、神殿の本堂に通じるとびらのちょうつがいも金で作った。 + こうして、ソロモン王が主の宮のためにしたすべての工事が完成した。そこで、ソロモンは父ダビデが聖別した物、すなわち、銀、金、各種の器具類を運び入れ、主の宮の宝物倉に納めた。 + + + そのとき、ソロモンはイスラエルの長老たち、およびイスラエル人の部族のかしらたちと一族の長たちをすべて、エルサレムのソロモン王のもとに召集した。ダビデの町シオンから主の契約の箱を運び上るためであった。 + イスラエルのすべての人々は、エタニムの月、すなわち第七の新月の祭りに、ソロモン王のもとに集まった。 + こうして、イスラエルの長老全員が到着したところで、祭司たちは箱をにない、 + 主の箱と、会見の天幕と、天幕にあったすべての聖なる用具とを運び上った。これらの物を祭司たちとレビ人たちが運び上った。 + ソロモン王、そして彼のところに集まったイスラエルの全会衆が彼とともに、箱の前に行き、羊や牛をいけにえとしてささげたが、その数があまりに多くて数えることも調べることもできなかった。 + それから、祭司たちは主の契約の箱を、定めの場所、すなわち神殿の内堂である至聖所のケルビムの翼の下に運び入れた。 + ケルビムは箱の所の上に翼を広げた。ケルビムは箱とそのかつぎ棒とを上からおおった。 + そのかつぎ棒は長かったので、棒の先が内堂の前の聖所から見えていたが、外からは見えなかった。それは今日までそこにある。 + 箱の中には、二枚の石の板のほかには何も入っていなかった。これは、イスラエル人がエジプトの地から出て来たとき、主が彼らと契約を結ばれたときに、モーセがホレブでそこに納めたものである。 + 祭司たちが聖所から出て来たとき、雲が主の宮に満ちた。 + 祭司たちは、その雲にさえぎられ、そこに立って仕えることができなかった。主の栄光が主の宮に満ちたからである。 + そのとき、ソロモンは言った。「主は、暗やみの中に住む、と仰せられました。 + そこで私はあなたのお治めになる宮を、あなたがとこしえにお住みになる所を確かに建てました。」 + それから王は振り向いて、イスラエルの全集団を祝福した。イスラエルの全集団は起立していた。 + 彼は言った。「イスラエルの神、主はほむべきかな。主は御口をもって私の父ダビデに語り、御手をもってこれを成し遂げて言われた。 + 『わたしの民イスラエルを、エジプトから連れ出した日からこのかた、わたしはわたしの名を置く宮を建てるために、イスラエルの全部族のうちのどの町をも選ばなかった。わたしはダビデを選び、わたしの民イスラエルの上に立てた。』 + それで私の父ダビデは、イスラエルの神、主の名のために宮を建てることをいつも心がけていた。 + ところが、主は、私の父ダビデにこう仰せられた。『あなたは、わたしの名のために宮を建てることを心がけていたために、あなたはよくやった。あなたは確かに、そう心がけていた。 + しかし、あなたがその宮を建ててはならない。あなたの腰から出るあなたの子どもが、わたしの名のために宮を建てる。』 + 主は、お告げになった約束を果たされたので、私は父ダビデに代わって立ち、主の約束どおりイスラエルの王座に着いた。そして、イスラエルの神、主の名のために、この宮を建て、 + 主の契約が納められている箱のために、そこに一つの場所を設けた。その契約は、主が、私たちの先祖をエジプトの地から連れ出されたときに、彼らと結ばれたものである。」 + ソロモンはイスラエルの全集団の前で、主の祭壇の前に立ち、両手を天に差し伸べて、 + 言った。「イスラエルの神、主。上は天、下は地にも、あなたのような神はほかにありません。あなたは、心を尽くして御前に歩むあなたのしもべたちに対し、契約と愛とを守られる方です。 + あなたは、約束されたことを、あなたのしもべ、私の父ダビデのために守られました。それゆえ、あなたは御口をもって語られました。また御手をもって、これを今日のように、成し遂げられました。 + それで今、イスラエルの神、主よ。あなたのしもべ、私の父ダビデに約束して、『あなたがわたしの前に歩んだように、もしあなたの子孫がその道を守り、わたしの前に歩みさえするなら、あなたには、イスラエルの王座に着く人が、わたしの前から断たれない』と仰せられたことを、ダビデのために守ってください。 + 今、イスラエルの神。どうかあなたのしもべ、私の父ダビデに約束されたみことばが堅く立てられますように。 + それにしても、神ははたして地の上に住まわれるでしょうか。実に、天も、天の天も、あなたをお入れすることはできません。まして、私の建てたこの宮など、なおさらのことです。 + けれども、あなたのしもべの祈りと願いに御顔を向けてください。私の神、主よ。あなたのしもべが、きょう、御前にささげる叫びと祈りを聞いてください。 + そして、この宮、すなわち、あなたが『わたしの名をそこに置く』と仰せられたこの所に、夜も昼も御目を開いていてくださって、あなたのしもべがこの所に向かってささげる祈りを聞いてください。 + あなたのしもべとあなたの民イスラエルが、この所に向かってささげる願いを聞いてください。あなたご自身が、あなたのお住まいになる所、天にいまして、これを聞いてください。聞いて、お赦しください。 + ある人が隣人に罪を犯し、のろいの誓いを立てさせられることになって、この宮の中にあるあなたの祭壇の前に来て誓うとき、 + あなたご自身が天でこれを聞き、あなたのしもべたちにさばきを行って、悪者にはその生き方への報いとして、その頭上に悪を下し、正しい者にはその正しさにしたがって義を報いてください。 + また、あなたの民イスラエルが、あなたに罪を犯したために敵に打ち負かされたとき、彼らがあなたのもとに立ち返り、御名をほめたたえ、この宮で、あなたに祈り願ったなら、 + あなたご自身が天でこれを聞き、あなたの民イスラエルの罪を赦し、あなたが彼らの先祖たちにお与えになった地に、彼らを帰らせてください。 + 彼らがあなたに罪を犯したため、天が閉ざされて雨が降らない場合、彼らがこの所に向かって祈り、御名をほめたたえ、あなたの懲らしめによって彼らがその罪から立ち返るなら、 + あなたご自身が天でこれを聞き、あなたのしもべたち、あなたの民イスラエルの罪を赦し、彼らの歩むべき良い道を彼らに教え、あなたの民に相続地としてお与えになったあなたの地に雨を降らせてください。 + もし、この地に、ききんが起こり、疫病や立ち枯れや、黒穂病、いなごや油虫が発生した場合、また、敵がこの地の町々を攻め囲んだ場合、どんなわざわい、どんな病気の場合にも、 + だれでも、あなたの民イスラエルがおのおの自分の心の悩みを知り、この宮に向かって両手を差し伸べて祈るとき、どのような祈り、願いも、 + あなたご自身が、あなたの御住まいの所である天で聞いて、赦し、またかなえてください。ひとりひとりに、そのすべての生き方にしたがって報いてください。あなたはその心を知っておられます。あなただけがすべての人の子の心を知っておられるからです。 + それは、あなたが私たちの先祖に賜った地の上で彼らが生きながらえる間、いつも彼らがあなたを恐れるためです。 + また、あなたの民イスラエルの者でない外国人についても、彼があなたの御名のゆえに、遠方の地から来て、 + ――彼らは、あなたの大いなる御名と、力強い御手と、伸べられた腕について聞きますから――この宮に来て祈るとき、 + あなたご自身が、あなたの御住まいの所である天でこれを聞き、その外国人があなたに向かって願うことをすべてかなえてください。そうすれば、この地のすべての民が御名を知り、あなたの民イスラエルと同じように、あなたを恐れるようになり、私の建てたこの宮では、御名が呼び求められなくてはならないことを知るようになるでしょう。 + あなたの民が、敵に立ち向かい、あなたが遣わされる道に出て戦いに臨むとき、あなたの選ばれた町、私が御名のために建てた宮の方向に向かって、主に祈るなら、 + 天で、彼らの祈りと願いを聞いて、彼らの言い分を聞き入れてやってください。 + 彼らがあなたに対して罪を犯したため――罪を犯さない人間はひとりもいないのですから――あなたが彼らに対して怒られ、彼らを敵に渡し、彼らが、遠い、あるいは近い敵国に捕虜として捕らわれていった場合、 + 彼らが捕らわれていった地で、みずから反省して悔い改め、捕らわれていった地で、あなたに願い、『私たちは罪を犯しました。悪を行って、咎ある者となりました』と言って、 + 捕らわれていった敵国で、心を尽くし、精神を尽くして、あなたに立ち返り、あなたが彼らの先祖に与えられた彼らの地、あなたが選ばれたこの町、私が御名のために建てたこの宮のほうに向いて、あなたに祈るなら、 + あなたの御住まいの所である天で、彼らの祈りと願いを聞き、彼らの言い分を聞き入れ、 + あなたに対して罪を犯したあなたの民を赦し、あなたにそむいて犯したすべてのそむきの罪を赦し、彼らを捕らえていった者たちが、あわれみの心を起こし、彼らをあわれむようにしてください。 + 彼らは、あなたの民であり、あなたがエジプトから、すなわち鉄の炉の中から連れ出されたあなたご自身のものであるからです。 + どうか、あなたのしもべの願いと、あなたの民イスラエルの願いとに、御目を開き、彼らがあなたに叫び求めるとき、いつも彼らの願いを聞き入れてください。 + あなたが彼らを地上のすべての国々の民から区別してご自身のものとされたのです。神、主よ。あなたが私たちの先祖をエジプトから連れ出されたとき、あなたのしもべモーセを通して告げられたとおりです。」 + こうして、ソロモンは、この祈りと願いをことごとく主にささげ終わった。彼はそれまで、ひざまずいて、両手を天に差し伸ばしていた主の祭壇の前から立ち上がり、 + まっすぐ立って、イスラエルの全集団を大声で祝福して言った。 + 「約束どおり、ご自分の民イスラエルに安住の地をお与えになった主はほむべきかな。しもべモーセを通して告げられた良い約束はみな、一つもたがわなかった。 + 私たちの神、主は、私たちの先祖とともにおられたように、私たちとともにいて、私たちを見放さず、私たちを見捨てられませんように。 + 私たちの心を主に傾けさせ、私たちが主のすべての道に歩み、私たちの先祖にお命じになった命令と、おきてと、定めとを守るようにさせてください。 + 私が主の御前で願ったことばが、昼も夜も、私たちの神、主のみそば近くにあって、日常のことにおいても、しもべの言い分や、御民イスラエルの言い分を正しく聞き入れてくださいますように。 + 地上のすべての国々の民が、主こそ神であり、ほかに神はないことを知るようになるためです。 + あなたがたは、私たちの神、主と心を全く一つにし、主のおきてに歩み、今日のように、主の命令を守らなければならない。」 + それから、王と王のそばにいたイスラエル人はみな、主の前にいけにえをささげた。 + ソロモンは主へのいけにえとして和解のいけにえをささげた。すなわち牛二万二千頭と羊十二万頭。こうして、王とすべてのイスラエル人は主の宮を奉献した。 + その日、王は主の神殿の前の庭の中央部を聖別し、そこで、全焼のいけにえと、穀物のささげ物と、和解のいけにえの脂肪とをささげた。主の前にあった青銅の祭壇は、全焼のいけにえと、穀物のささげ物と、和解のいけにえの脂肪とを受け入れるには小さすぎたからである。 + ソロモンは、このとき、彼とともにいた全イスラエル、すなわち、レボ・ハマテからエジプト川に至るまでの大集団といっしょに、七日と七日、すなわち十四日間、私たちの神、主の前で祭りを行った。 + 八日目に、彼は民を去らせた。民は王に祝福のことばを述べ、主がそのしもべダビデと、その民イスラエルとに下さったすべての恵みを喜び、心楽しく彼らの天幕へ帰って行った。 + + + ソロモンが、主の宮と王宮、およびソロモンが造りたいと望んでいたすべてのものを完成したとき、 + 主は、かつてギブオンで彼に現れたときのように、ソロモンに再び現れた。 + 主は彼に仰せられた。「あなたがわたしの前で願った祈りと願いをわたしは聞いた。わたしは、あなたがわたしの名をとこしえまでもここに置くために建てたこの宮を聖別した。わたしの目とわたしの心は、いつもそこにある。 + あなたが、あなたの父ダビデが歩んだように、全き心と正しさをもって、わたしの前に歩み、わたしがあなたに命じたことをすべてそのまま実行し、わたしのおきてと定めとを守るなら、 + わたしが、あなたの父ダビデに、『あなたには、イスラエルの王座から人が断たれない』と言って約束したとおり、あなたの王国の王座をイスラエルの上に永遠に確立しよう。 + もし、あなたがたとあなたがたの子孫が、わたしにそむいて従わず、あなたがたに授けたわたしの命令とわたしのおきてとを守らず、行ってほかの神々に仕え、これを拝むなら、 + わたしが彼らに与えた地の面から、イスラエルを断ち、わたしがわたしの名のために聖別した宮を、わたしの前から投げ捨てよう。こうして、イスラエルはすべての国々の民の間で、物笑いとなり、なぶりものとなろう。 + この宮も廃墟となり、そのそばを通り過ぎる者はみな、驚いて、ささやき、『なぜ、主はこの地とこの宮とに、このような仕打ちをされたのだろう』と言うであろう。 + すると人々は、『あの人たちは、エジプトの地から自分たちの先祖を連れ出した彼らの神、主を捨てて、ほかの神々にたより、これを拝み、これに仕えた。そのために、主はこのすべてのわざわいをこの人たちに下されたのだ』と言うようになる。」 + ソロモンが主の宮と王宮との二つの家を二十年かかって建て終わったとき、 + ツロの王ヒラムが、ソロモンの要請に応じて、杉の木材、もみの木材、および、金をソロモンに用立てたので、ソロモン王はガリラヤの地方の二十の町をヒラムに与えた。 + しかし、ヒラムがツロからやって来て、ソロモンが彼に与えた町々を見たが、それは彼の気に入らなかった。 + それで彼は、「兄弟よ。あなたが私に下さったこの町々は、いったい何ですか」と言った。そのため、これらの町々はカブルの地と呼ばれた。今日もそうである。 + ヒラムは王に金百二十タラントを贈っていた。 + ソロモン王は役務者を徴用して次のような事業をした。彼は主の宮と、自分の宮殿、ミロと、エルサレムの城壁、ハツォルとメギドとゲゼルを建設した。 + ――エジプトの王パロは、かつて上って来て、ゲゼルを攻め取り、これを火で焼き、この町に住んでいたカナン人を殺し、ソロモンの妻である自分の娘に結婚の贈り物としてこれを与えていたので、 + ソロモンは、このゲゼルを再建した――また、下ベテ・ホロンと、 + バアラテ、およびこの地の荒野にあるタデモル、 + ソロモンの所有のすべての倉庫の町々、戦車のための町々、騎兵のための町々、ソロモンがエルサレムや、レバノンや、すべての領地に建てたいと切に願っていたものを建設した。 + イスラエル人でないエモリ人、ヘテ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の生き残りの民全員、 + すなわち、イスラエル人が聖絶することのできなかった人々の跡を継いで、この地に生き残った彼らの子孫を、ソロモンは奴隷の苦役に徴用した。今日もそうである。 + しかし、ソロモンはイスラエル人を奴隷にはしなかった。彼らは戦士であり、彼の家来であり、隊長であり、補佐官であり、戦車隊と騎兵隊の長であったからである。 + ソロモンの工事を監督する者の長は五百五十人であって、工事に携わる民を指揮していた。 + パロの娘が、ダビデの町から、彼女のために建てた家に上って来たとき、ソロモンはミロを建てた。 + ソロモンは、主のために建てた祭壇の上に、一年に三度、全焼のいけにえと和解のいけにえとをささげ、また、主の前にある壇で香をたいた。彼は宮を完成した。 + また、ソロモン王は、エドムの地の葦の海の岸辺にあるエラテに近いエツヨン・ゲベルに船団を設けた。 + この船団に、ヒラムは自分のしもべであり、海に詳しい水夫たちを、ソロモンのしもべたちといっしょに送り込んだ。 + 彼らはオフィルへ行き、そこから、四百二十タラントの金を取って、これをソロモン王のもとに持って来た。 + + + ときに、シェバの女王が、主の名に関連してソロモンの名声を伝え聞き、難問をもって彼をためそうとして、やって来た。 + 彼女は、非常に大ぜいの有力者たちを率い、らくだにバルサム油と、非常に多くの金および宝石を載せて、エルサレムにやって来た。彼女はソロモンのところに来ると、心にあったすべてのことを彼に質問した。 + ソロモンは、彼女のすべての質問を説き明かした。王がわからなくて、彼女に説き明かせなかったことは何一つなかった。 + シェバの女王は、ソロモンのすべての知恵と、彼が建てた宮殿と、 + その食卓の料理、列席の家来たち従者たちが仕えている態度とその服装、彼の献酌官たち、および、彼が主の宮でささげた全焼のいけにえを見て、息も止まるばかりであった。 + 彼女は王に言った。「私が国であなたの事績とあなたの知恵とについて聞き及んでおりましたことはほんとうでした。 + 実は、私は、自分で来て、自分の目で見るまでは、そのことを信じなかったのですが、驚いたことに、私にはその半分も知らされていなかったのです。あなたの知恵と繁栄は、私が聞いていたうわさよりはるかにまさっています。 + なんとしあわせなことでしょう。あなたにつく人たちは。なんとしあわせなことでしょう。いつもあなたの前に立って、あなたの知恵を聞くことのできる家来たちは。 + あなたを喜ばれ、イスラエルの王座にあなたを着かせられたあなたの神、主はほむべきかな。主はイスラエルをとこしえに愛しておられるので、あなたを王とし、公正と正義とを行わせられるのです。」 + 彼女は百二十タラントの金と、非常にたくさんのバルサム油と宝石とを王に贈った。シェバの女王がソロモン王に贈ったほどに多くのバルサム油は、二度と入って来なかった。 + オフィルから金を積んで来たヒラムの船団も、非常に多くのびゃくだんの木材と宝石とをオフィルから運んで来た。 + 王はこのびゃくだんの木材で、主の宮と王宮の柱を造り、歌うたいたちのために、立琴と十弦の琴を作った。今日まで、このようなびゃくだんの木材が入って来たこともなく、だれもこのようなものを見たこともなかった。 + ソロモン王は、その豊かさに相応したものをシェバの女王に与えたが、それ以外にも、彼女が求めた物は何でもその望みのままに与えた。彼女は、家来たちを連れて、自分の国へ戻って行った。 + 一年間にソロモンのところに入って来た金の重さは、金の目方で六百六十六タラントであった。 + このほかに、交易商人から得たもの、貿易商人の商いで得たもの、アラビヤのすべての王たち、およびその地の総督たちからのものがあった。 + ソロモン王は、延べ金で大盾二百を作り、その大盾一個に六百シェケルの金を使った。 + また、延べ金で盾三百を作り、その盾一個に三ミナの金を使った。王はそれらを、レバノンの森の宮殿に置いた。 + 王は大きな象牙の王座を作り、これに純粋な金をかぶせた。 + その王座には六つの段があり、王座の背には子牛の頭があり、座席の両側にひじかけがあり、そのひじかけのわきには二頭の雄獅子が立っていた。 + また、十二頭の雄獅子が、六つの段の両側に立っていた。このような物は、どこの王国でも作られたためしがなかった。 + ソロモン王が飲み物に用いる器はみな金であった。レバノンの森の宮殿にあった器物もすべて純金であって、銀の物はなかった。銀はソロモンの時代には、価値あるものとはみなされていなかった。 + 王は海に、ヒラムの船団のほか、タルシシュの船団を持っており、三年に一度、タルシシュの船団が金、銀、象牙、さる、くじゃくを運んで来たからである。 + ソロモン王は、富と知恵とにおいて、地上のどの王よりもまさっていた。 + 全世界の者は、神が彼の心に授けられた知恵を聞こうとして、ソロモンに謁見を求めた。 + 彼らはおのおの贈り物として、銀の器、金の器、衣服、武器、バルサム油、馬、騾馬などを、毎年きまって携えて来た。 + ソロモンは戦車と騎兵を集めたが、戦車一千四百台、騎兵一万二千人が彼のもとに集まった。そこで、彼はこれらを戦車の町々に配置し、また、エルサレムの王のもとにも置いた。 + 王は銀をエルサレムで石のように用い、杉の木を低地のいちじく桑の木のように大量に用いた。 + ソロモンの所有していた馬は、エジプトとケベの輸出品であった。それは王の御用達が代価を払って、ケベから手に入れたものであった。 + エジプトから買い上げられ、輸入された戦車は銀六百、馬は銀百五十であった。同様に、ヘテ人のすべての王も、アラムの王たちも、彼らの仲買で輸入した。 + + + ソロモン王は、パロの娘のほかに多くの外国の女、すなわちモアブ人の女、アモン人の女、エドム人の女、シドン人の女、ヘテ人の女を愛した。 + この女たちは、主がかつてイスラエル人に、「あなたがたは彼らの中に入って行ってはならない。彼らをもあなたがたの中に入れてはならない。さもないと、彼らは必ずあなたがたの心を転じて彼らの神々に従わせる」と言われたその国々の者であった。それなのに、ソロモンは彼女たちを愛して、離れなかった。 + 彼には七百人の王妃としての妻と、三百人のそばめがあった。その妻たちが彼の心を転じた。 + ソロモンが年をとったとき、その妻たちが彼の心をほかの神々のほうへ向けたので、彼の心は、父ダビデの心とは違って、彼の神、主と全く一つにはなっていなかった。 + ソロモンはシドン人の神アシュタロテと、アモン人のあの忌むべきミルコムに従った。 + こうしてソロモンは、主の目の前に悪を行い、父ダビデのようには、主に従い通さなかった。 + 当時、ソロモンは、モアブの、忌むべきケモシュと、アモン人の、忌むべきモレクのために、エルサレムの東にある山の上に高き所を築いた。 + 彼は外国人の自分のすべての妻のためにも、同じようなことをしたので、彼女たちは自分たちの神々に香をたき、いけにえをささげた。 + 主はソロモンに怒りを発せられた。それは彼の心がイスラエルの神、主から移り変わったからである。主は二度も彼に現れ、 + このことについて、ほかの神々に従って行ってはならないと命じておられたのに、彼は主の命令を守らなかったからである。 + それゆえ、主はソロモンに仰せられた。「あなたがこのようにふるまい、わたしが命じたわたしの契約とおきてとを守らなかったので、わたしは王国をあなたから必ず引き裂いて、あなたの家来に与える。 + しかし、あなたの父ダビデに免じて、あなたの存命中は、そうしないが、あなたの子の手からそれを引き裂こう。 + ただし、王国全部を引き裂くのではなく、わたしのしもべダビデと、わたしが選んだエルサレムのために、一つの部族だけをあなたの子に与えよう。」 + こうして、主は、ソロモンに敵対する者としてエドム人のハダデを起こされた。彼はエドムの王の子孫であった。 + ダビデがかつてエドムにいたころ、将軍ヨアブが戦死者を葬りに上って来て、エドムの男子をみな打ち殺したことがあった。 + ――ヨアブは全イスラエルとともに六か月の間、そこにとどまり、エドムの男子をみな断ち滅ぼした―― + しかしそのとき、ハダデは、彼の父のしもべの数人のエドム人と逃げ去ってエジプトへ行った。当時、ハダデは少年であった。 + 彼らはミデヤンを出立し、パランに行き、パランから幾人かの従者を従えてエジプトへ行き、エジプトの王パロのところに行った。するとパロは彼に家を与え、食料をあてがい、さらに、土地をも与えた。 + ハダデはパロにことのほか愛された。パロは自分の妻の妹、すなわち王妃タフペネスの妹を彼に妻として与えた。 + タフペネスの妹は彼に男の子ゲヌバテを産んだ。タフペネスはその子をパロの宮殿で育てた。ゲヌバテはパロの宮殿でパロの子どもたちといっしょにいた。 + さてハダデは、ダビデが彼の先祖たちとともに眠ったこと、また、将軍ヨアブも死んだことを、エジプトで聞いた。ハダデがパロに、「私を国へ帰らせてください」と言うと、 + パロは彼に言った。「あなたは、私に何か不満があるのか。自分の国へ帰ることを求めるとは。」すると、答えた。「違います。ただ、とにかく、私を帰らせてください。」 + 神はまた、ソロモンに敵対する者として、エリヤダの子レゾンを起こされた。彼は、自分の主人、ツォバの王ハダデエゼルのもとから逃亡した者であった。 + ダビデがハダデエゼルの兵士たちを殺害して後、彼は、人々を自分のところに集め、略奪隊の隊長となった。彼らはダマスコに行って、そこに住みつき、ダマスコを支配した。 + 彼は、ソロモンの生きている間、ハダデの悪を行って、イスラエルに敵対し、イスラエルを憎んだ。こうして彼は、アラムを支配していた。 + ツェレダの出のエフライム人ネバテの子ヤロブアムはソロモンの家来であった。彼の母の名はツェルアといい、やもめであった。ところが彼も王に反逆した。 + 彼が王に反逆するようになった事情はこうである。ソロモンはミロを建て、彼の父ダビデの町の破れ口をふさいでいた。 + ヤロブアムは手腕家であった。ソロモンはこの若者の働きぶりを見て、ヨセフの家のすべての役務を管理させた。 + そのころ、ヤロブアムがエルサレムから出て来ると、シロ人で預言者であるアヒヤが道で彼に会った。アヒヤは新しい外套を着ていた。そして彼らふたりだけが野原にいた。 + アヒヤは着ていた新しい外套をつかみ、それを十二切れに引き裂き、 + ヤロブアムに言った。「十切れを取りなさい。イスラエルの神、主は、こう仰せられます。『見よ。わたしはソロモンの手から王国を引き裂き、十部族をあなたに与える。 + しかし、彼には一つの部族だけが残る。それは、わたしのしもべダビデと、わたしがイスラエルの全部族の中から選んだ町、エルサレムに免じてのことである。 + というのは、彼がわたしを捨て、シドン人の神アシュタロテや、モアブの神ケモシュや、アモン人の神ミルコムを拝み、彼の父ダビデのようには、彼は、わたしの見る目にかなうことを行わず、わたしのおきてと定めを守らず、わたしの道を歩まなかったからである。 + しかし、わたしは、彼の手から、王国全部は取り上げない。わたしが選び、わたしの命令とおきてとを守ったわたしのしもべダビデに免じて、ソロモンが生きている間は、彼を君主としておこう。 + しかし、わたしは彼の子の手から王位を取り上げ、十部族をあなたに与える。 + 彼の子には一つの部族を与える。それはわたしの名を置くために選んだ町、エルサレムで、わたしのしもべダビデがわたしの前にいつも一つのともしびを保つためである。 + わたしがあなたを召したなら、あなたは自分の望むとおりに王となり、イスラエルを治める王とならなければならない。 + もし、わたしが命じるすべてのことにあなたが聞き従い、わたしの道に歩み、わたしのしもべダビデが行ったように、わたしのおきてと命令とを守って、わたしの見る目にかなうことを行うなら、わたしはあなたとともにおり、わたしがダビデのために建てたように、長く続く家をあなたのために建て、イスラエルをあなたに与えよう。 + このために、わたしはダビデの子孫を苦しめる。しかし、それを永久に続けはしない。』」 + ソロモンはヤロブアムを殺そうとしたが、ヤロブアムは立ち去り、エジプトにのがれ、エジプトの王シシャクのもとに行き、ソロモンが死ぬまでエジプトにいた。 + ソロモンのその他の業績、彼の行ったすべての事、および彼の知恵、それはソロモンの業績の書にしるされているではないか。 + ソロモンがエルサレムで全イスラエルの王であった期間は四十年であった。 + ソロモンは彼の先祖たちとともに眠り、彼の父ダビデの町に葬られた。彼の子レハブアムが代わって王となった。 + + + レハブアムはシェケムへ行った。全イスラエルが彼を王とするため、シェケムに来ていたからである。 + ネバテの子ヤロブアムが、そのことを聞いたころは、ヤロブアムはソロモン王の顔を避けてのがれ、まだエジプトにおり、エジプトに住んでいた。 + 人々は使いをやって、彼を呼び寄せた。それで、ヤロブアムはイスラエルの全集団とともにやって来て、レハブアムに言った。 + 「あなたの父上は、私たちのくびきをかたくしました。今、あなたは、父上が私たちに負わせた過酷な労働と重いくびきとを軽くしてください。そうすれば、私たちはあなたに仕えましょう。」 + すると、彼はこの人々に、「行って、もう三日したら私のところに戻って来なさい」と言った。そこで、民は出て行った。 + レハブアム王は、父ソロモンが生きている間ソロモンに仕えていた長老たちに相談して、「この民にどう答えたらよいと思うか」と言った。 + 彼らは王に答えて言った。「きょう、あなたが、この民のしもべとなって彼らに仕え、彼らに答え、彼らに親切なことばをかけてやってくださるなら、彼らはいつまでもあなたのしもべとなるでしょう。」 + しかし、彼はこの長老たちの与えた助言を退け、彼とともに育ち、彼に仕えている若者たちに相談して、 + 彼らに言った。「この民に何と返答したらよいと思うか。彼らは私に『あなたの父上が私たちに負わせたくびきを軽くしてください』と言って来たのだが。」 + 彼とともに育った若者たちは答えて言った。「『あなたの父上は私たちのくびきを重くした。だから、あなたは、それを私たちの肩から、軽くしてください』と言ってあなたに申し出たこの民に、こう答えたらいいでしょう。あなたは彼らにこう言ってやりなさい。『私の小指は父の腰よりも太い。 + 私の父はおまえたちに重いくびきを負わせたが、私はおまえたちのくびきをもっと重くしよう。私の父はおまえたちをむちで懲らしめたが、私はさそりでおまえたちを懲らしめよう』と。」 + ヤロブアムと、すべての民は、三日目にレハブアムのところに来た。王が、「三日目に私のところに戻って来なさい」と言って命じたからである。 + 王は荒々しく民に答え、長老たちが彼に与えた助言を退け、 + 若者たちの助言どおり、彼らに答えてこう言った。「私の父はおまえたちのくびきを重くしたが、私はおまえたちのくびきをもっと重くしよう。父はおまえたちをむちで懲らしめたが、私はさそりでおまえたちを懲らしめよう。」 + 王は民の願いを聞き入れなかった。それは、主がかつてシロ人アヒヤを通してネバテの子ヤロブアムに告げられた約束を実現するために、主がそうしむけられたからである。 + 全イスラエルは、王が自分たちに耳を貸さないのを見て取った。民は王に答えて言った。「ダビデには、われわれへのどんな割り当て地があろう。エッサイの子には、ゆずりの地がない。イスラエルよ。あなたの天幕に帰れ。ダビデよ。今、あなたの家を見よ。」こうして、イスラエルは自分たちの天幕へ帰って行った。 + しかし、ユダの町々に住んでいるイスラエル人は、レハブアムがその王であった。 + レハブアム王は役務長官アドラムを遣わしたが、全イスラエルは、彼を石で打ち殺した。それで、レハブアム王は、ようやくの思いで戦車に乗り込み、エルサレムに逃げた。 + このようにして、イスラエルはダビデの家にそむいた。今日もそうである。 + 全イスラエルは、ヤロブアムが戻って来たことを聞き、人をやって彼を会衆のところに招き、彼を全イスラエルの王とした。ユダの部族以外には、ダビデの家に従うものはなかった。 + レハブアムはエルサレムに帰り、ユダの全家とベニヤミンの部族から選抜戦闘員十八万を召集し、王位をソロモンの子レハブアムのもとに取り戻すため、イスラエルの家と戦おうとした。 + すると、神の人シェマヤに次のような神のことばがあった。 + 「ユダの王、ソロモンの子レハブアム、ユダとベニヤミンの全家、および、そのほかの民に告げて言え。 + 『主はこう仰せられる。上って行ってはならない。あなたがたの兄弟であるイスラエル人と戦ってはならない。おのおの自分の家に帰れ。わたしがこうなるようにしむけたのだから。』」そこで、彼らは主のことばに聞き従い、主のことばのとおりに帰って行った。 + ヤロブアムはエフライムの山地にシェケムを再建し、そこに住んだ。さらに、彼はそこから出て、ペヌエルを再建した。 + ヤロブアムは心に思った。「今のままなら、この王国はダビデの家に戻るだろう。 + この民が、エルサレムにある主の宮でいけにえをささげるために上って行くことになっていれば、この民の心は、彼らの主君、ユダの王レハブアムに再び帰り、私を殺し、ユダの王レハブアムのもとに帰るだろう。」 + そこで、王は相談して、金の子牛を二つ造り、彼らに言った。「もう、エルサレムに上る必要はない。イスラエルよ。ここに、あなたをエジプトから連れ上ったあなたの神々がおられる。」 + それから、彼は一つをベテルに据え、一つをダンに安置した。 + このことは罪となった。民はこの一つを礼拝するためダンにまで行った。 + それから、彼は高き所の宮を建て、レビの子孫でない一般の民の中から祭司を任命した。 + そのうえ、ヤロブアムはユダでの祭りにならって、祭りの日を第八の月の十五日と定め、祭壇でいけにえをささげた。こうして彼は、ベテルで自分が造った子牛にいけにえをささげた。また、彼が任命した高き所の祭司たちをベテルに常住させた。 + 彼は自分で勝手に考え出した月である第八の月の十五日に、ベテルに造った祭壇でいけにえをささげ、イスラエル人のために祭りの日を定め、祭壇でいけにえをささげ、香をたいた。 + + + ひとりの神の人が、主の命令によって、ユダからベテルにやって来た。ちょうどそのとき、ヤロブアムは香をたくために祭壇のそばに立っていた。 + すると、この人は、主の命令によって祭壇に向かい、これに呼ばわって言った。「祭壇よ。祭壇よ。主はこう仰せられる。『見よ。ひとりの男の子がダビデの家に生まれる。その名はヨシヤ。彼は、おまえの上で香をたく高き所の祭司たちをいけにえとしておまえの上にささげ、人の骨がおまえの上で焼かれる。』」 + その日、彼は次のように言って一つのしるしを与えた。「これが、主の告げられたしるしである。見よ。祭壇は裂け、その上の灰はこぼれ出る。」 + ヤロブアム王は、ベテルの祭壇に向かって叫んでいる神の人のことばを聞いたとき、祭壇から手を伸ばして、「彼を捕らえよ」と言った。すると、彼に向けて伸ばした手はしなび、戻すことができなくなった。 + 神の人が主のことばによって与えたしるしのとおり、祭壇は裂け、灰は祭壇からこぼれ出た。 + そこで、王はこの神の人に向かって言った。「どうか、あなたの神、主にお願いをして、私のために祈ってください。そうすれば、私の手はもとに戻るでしょう。」神の人が主に願ったので、王の手はもとに戻り、前と同じようになった。 + 王は神の人に言った。「私といっしょに家に来て、食事をして元気をつけてください。あなたに贈り物をしたい。」 + すると、神の人は王に言った。「たとい、あなたの家の半分を私に下さっても、あなたといっしょにまいりません。また、この所ではパンを食べず、水も飲みません。 + 主の命令によって、『パンを食べてはならない。水も飲んではならない。また、もと来た道を通って帰ってはならない』と命じられているからです。」 + こうして、彼はベテルに来たときの道は通らず、ほかの道を通って帰った。 + ひとりの年寄りの預言者がベテルに住んでいた。その息子たちが来て、その日、ベテルで神の人がしたことを残らず彼に話した。また、この人が王に告げたことばも父に話した。 + すると父は、「その人はどの道を行ったか」と彼らに尋ねた。息子たちはユダから来た神の人の帰って行った道を知っていた。 + 父は息子たちに、「ろばに鞍を置いてくれ」と言った。彼らがろばに鞍を置くと、父はろばに乗り、 + 神の人のあとを追って行った。その人が樫の木の下にすわっているのを見つけると、「あなたがユダからおいでになった神の人ですか」と尋ねた。その人は、「私です」と答えた。 + 彼はその人に、「私といっしょに家に来て、パンを食べてください」と言った。 + するとその人は、「私はあなたといっしょに引き返し、あなたといっしょに行くことはできません。この所では、あなたといっしょにパンも食べず、水も飲みません。 + というのは、私は主の命令によって、『そこではパンを食べてはならない。水も飲んではならない。もと来た道を通って帰ってはならない』と命じられているからです。」 + 彼はその人に言った。「私もあなたと同じく預言者です。御使いが主の命令を受けて、私に『その人をあなたの家に連れ帰り、パンを食べさせ、水を飲ませよ』と言って命じました。」こうしてその人をだました。 + そこで、その人は彼といっしょに帰り、彼の家でパンを食べ、水を飲んだ。 + 彼らが食卓についていたとき、その人を連れ戻した預言者に、主のことばがあったので、 + 彼はユダから来た神の人に叫んで言った。「主はこう仰せられる。『あなたは主のことばにそむき、あなたの神、主が命じられた命令を守らず、 + 主があなたに、パンを食べてはならない、水も飲んではならない、と命じられた場所に引き返して、そこであなたはパンを食べ、水を飲んだので、あなたのなきがらは、あなたの先祖の墓には、入らない。』」 + 彼はパンを食べ、水を飲んで後、彼が連れ帰った預言者のために、ろばに鞍を置いた。 + その人が出て行くと、獅子が道でその人に会い、その人を殺した。死体は道に投げ出され、ろばはそのそばに立っていた。獅子も死体のそばに立っていた。 + そこを、人々が通りかかり、道に投げ出されている死体と、その死体のそばに立っている獅子を見た。彼らはあの年寄りの預言者の住んでいる町に行って、このことを話した。 + その人を途中から連れ帰ったあの預言者は、それを聞いて言った。「それは、主のことばにそむいた神の人だ。主が彼に告げたことばどおりに、主が彼を獅子に渡し、獅子が彼を裂いて殺したのだ。」 + そして息子たちに、「ろばに鞍を置いてくれ」と言ったので、彼らは鞍を置いた。 + 彼は出かけて行って、道に投げ出されている死体と、その死体のそばに立っているろばと獅子とを見つけた。獅子はその死体を食べず、ろばを裂き殺してもいなかった。 + そこで、預言者は、神の人の死体を取り上げ、それをろばに乗せてこの年寄りの預言者の町に持ち帰り、いたみ悲しんで、葬った。 + 彼がなきがらを自分の墓に納めると、みなはその人のために、「ああ、わが兄弟」と言って、いたみ悲しんだ。 + 彼はその人を葬って後、息子たちに言った。「私が死んだら、あの神の人を葬った墓に私を葬り、あの人の骨のそばに私の骨を納めてくれ。 + あの人が主の命令によって、ベテルにある祭壇と、サマリヤの町々にあるすべての高き所の宮とに向かって呼ばわったことばは、必ず成就するからだ。」 + このことがあって後も、ヤロブアムは悪い道から立ち返ることもせず、引き続いて、一般の民の中から高き所の祭司たちを任命し、だれでも志願する者を任職して高き所の祭司にした。 + このことによって、ヤロブアムの家が罪を犯すこととなり、ついには、地の面から根絶やしにされるようになった。 + + + このころ、ヤロブアムの子アビヤが病気になったので、 + ヤロブアムは妻に言った。「さあ、変装して、ヤロブアムの妻だと悟られないようにしてシロへ行ってくれ。そこには、私がこの民の王となることを私に告げた預言者アヒヤがいる。 + パン十個と菓子数個、それに、蜜のびんを持って彼のところへ行ってくれ。彼は子どもがどうなるか教えてくれるだろう。」 + ヤロブアムの妻は言われたとおりにして、シロへ出かけ、アヒヤの家に行ったが、アヒヤは年をとって目がこわばり、見ることができなかった。 + しかし、主はアヒヤに言われた。「今、ヤロブアムの妻が子どものことで、あなたに尋ねるために来ている。その子が病気だからだ。あなたはこれこれのことを彼女に告げなければならない。入って来るときには、彼女は、ほかの女のようなふりをしている。」 + アヒヤは戸口に入って来る彼女の足音を聞いて言った。「お入りなさい。ヤロブアムの奥さん。なぜ、ほかの女のようなふりをしているのですか。私はあなたにきびしいことを伝えなければなりません。 + 帰って行ってヤロブアムに言いなさい。イスラエルの神、主は、こう仰せられます。『わたしは民の中からあなたを高くあげ、わたしの民イスラエルを治める君主とし、 + ダビデの家から王国を引き裂いてあなたに与えた。あなたは、わたしのしもべダビデのようではなかった。ダビデは、わたしの命令を守り、心を尽くしてわたしに従い、ただ、わたしの見る目にかなったことだけを行った。 + ところが、あなたはこれまでのだれよりも悪いことをし、行って、自分のためにほかの神々と、鋳物の像を造り、わたしの怒りを引き起こし、わたしをあなたのうしろに捨て去った。 + だから、見よ、わたしはヤロブアムの家にわざわいをもたらす。ヤロブアムに属する小わっぱから奴隷や自由の者に至るまで、イスラエルにおいて断ち滅ぼし、糞を残らず焼き去るように、ヤロブアムの家のあとを除き去る。 + ヤロブアムに属する者で、町で死ぬ者は犬がこれを食らい、野で死ぬ者は空の鳥がこれを食らう。』主がこう仰せられたのです。 + さあ、家へ帰りなさい。あなたの足が町に入るとき、あの子は死にます。 + イスラエルのすべてがその子のためにいたみ悲しんで葬りましょう。ヤロブアムの家の者で、墓に葬られるのは、彼だけでしょう。ヤロブアムの家で、彼は、イスラエルの神、主の御心にかなっていたからです。 + 主はご自分のためにイスラエルの上にひとりの王を起こされます。彼は、その日、そしてただちに、ヤロブアムの家を断ち滅ぼします。 + 主は、イスラエルを打って、水に揺らぐ葦のようにし、彼らの先祖たちに与えられたこの良い地からイスラエルを引き抜き、ユーフラテス川の向こうに散らされるでしょう。彼らがアシェラ像を造って主の怒りを引き起こしたからです。 + ヤロブアムが自分で犯した罪と、彼がイスラエルに犯させた罪のために、主はイスラエルを捨てられるのです。」 + ヤロブアムの妻は立ち去って、ティルツァに着いた。彼女が家の敷居に来たとき、その子どもは死んだ。 + 人々はその子を葬り、全イスラエルは彼のためにいたみ悲しんだ。主がそのしもべ、預言者アヒヤによって語られたことばのとおりであった。 + ヤロブアムのその他の業績、彼がいかに戦い、いかに治めたかは、イスラエルの王たちの年代記の書にまさしくしるされている。 + ヤロブアムが王であった期間は二十二年であった。彼は先祖たちとともに眠り、その子ナダブが代わって王となった。 + ユダではソロモンの子レハブアムが王になっていた。レハブアムは四十一歳で王となり、主がご自分の名を置くためにイスラエルの全部族の中から選ばれた都、エルサレムで十七年間、王であった。彼の母の名はナアマといい、アモン人であった。 + ユダの人々は主の目の前に悪を行い、彼らの先祖たちよりひどい罪を犯して主を怒らせた。 + 彼らもまた、すべての高い丘の上や青木の下に、高き所や、石の柱や、アシェラ像を立てた。 + この国には神殿男娼もいた。彼らは、主がイスラエル人の前から追い払われた異邦の民の、すべての忌みきらうべきならわしをまねて行っていた。 + レハブアム王の第五年に、エジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上って来て、 + 主の宮の財宝、王宮の財宝を奪い取り、何もかも奪って、ソロモンが作った金の盾も全部奪い取った。 + それで、レハブアム王は、その代わりに青銅の盾を作り、これを王宮の門を守る近衛兵の隊長の手に託した。 + 王が主の宮に入るたびごとに、近衛兵が、これを運んで行き、また、これを近衛兵の控え室に運び帰った。 + レハブアムのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + レハブアムとヤロブアムとの間には、いつまでも戦いがあった。 + レハブアムは彼の先祖たちとともに眠り、先祖たちとともにダビデの町に葬られた。彼の母の名はナアマといい、アモン人であった。彼の子アビヤムが代わって王となった。 + + + ネバテの子ヤロブアム王の第十八年に、アビヤムはユダの王となり、 + エルサレムで三年間、王であった。彼の母の名はマアカといい、アブシャロムの娘であった。 + 彼は父がかつて犯したすべての罪を行い、彼の心は父ダビデの心のようには、彼の神、主と全く一つにはなっていなかった。 + しかし、ダビデに免じて、彼の神、主は、エルサレムにおいて彼に一つのともしびを与え、彼の跡を継ぐ子を起こし、エルサレムを堅く立てられた。 + それはダビデが主の目にかなうことを行い、ヘテ人ウリヤのことのほかは、一生の間、主が命じられたすべてのことにそむかなかったからである。 + レハブアムとヤロブアムとの間には、一生の間、争いがあった。 + アビヤムのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。アビヤムとヤロブアムとの間には争いがあった。 + アビヤムは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をダビデの町に葬った。彼の子アサが代わって王となった。 + イスラエルの王ヤロブアムの第二十年に、ユダの王アサが王となった。 + 彼はエルサレムで四十一年間、王であった。彼の母の名はマアカといい、アブシャロムの娘であった。 + アサは父ダビデのように、主の目にかなうことを行った。 + 彼は神殿男娼を国から追放し、先祖たちが造った偶像をことごとく取り除いた。 + 彼はまた、彼の母マアカがアシェラのために憎むべき像を造ったので、彼女を王母の位から退けた。アサはその憎むべき像を切り倒し、これをキデロン川で焼いた。 + 高き所は取り除かれなかったが、アサの心は一生涯、主と全く一つになっていた。 + 彼は、彼の父が聖別した物と、彼が聖別した物、すなわち、銀、金、器類を、主の宮に運び入れた。 + アサとイスラエルの王バシャとの間には、彼らの生きている間、争いがあった。 + イスラエルの王バシャはユダに上って来て、ユダの王アサのもとにだれも出入りできないようにするためにラマを築いた。 + アサは主の宮の宝物倉と王宮の宝物倉とに残っていた銀と金をことごとく取って、自分の家来たちの手に渡した。アサ王は、彼らをダマスコに住んでいたアラムの王ヘズヨンの子タブリモンの子ベン・ハダデのもとに遣わして言わせた。 + 「私の父とあなたの父上の間にあったように、私とあなたの間に同盟を結びましょう。ご覧ください。私はあなたに銀と金の贈り物をしました。どうか、イスラエルの王バシャとの同盟を破棄し、彼が私のもとから離れ去るようにしてください。」 + ベン・ハダデはアサ王の願いを聞き入れ、自分の配下の将校たちをイスラエルの町々に差し向け、イヨンと、ダンと、アベル・ベテ・マアカ、および、キネレテ全土と、ナフタリの全土とを打った。 + バシャはこれを聞くと、ラマを築くのをやめて、ティルツァにとどまった。 + アサ王はユダ全土にもれなく布告し、バシャが建築に用いたラマの石材と木材を運び出させた。アサ王は、これを用いてベニヤミンのゲバとミツパとを建てた。 + アサのその他のすべての業績、すべての功績、彼の行ったすべての事、彼が建てた町々、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。ただ、彼は年をとったとき、足の病気にかかった。 + アサは彼の先祖たちとともに眠り、先祖たちとともに父ダビデの町に葬られた。彼の子ヨシャパテが代わって王となった。 + ユダの王アサの第二年に、ヤロブアムの子ナダブがイスラエルの王となり、二年間、イスラエルの王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行い、彼の父の道に歩み、父がイスラエルに犯させた彼の罪の道に歩んだ。 + それでイッサカルの家のアヒヤの子バシャは、彼に謀反を企てた。バシャはペリシテ人のギベトンで彼を打った。ナダブと全イスラエルはギベトンを攻め囲んでいた。 + こうしてバシャはユダの王アサの第三年に、彼を殺し、彼に代わって王となった。 + 彼は、王となったとき、ヤロブアムの全家を打ち、ヤロブアムに属する息のある者をひとりも残さず、根絶やしにした。主がそのしもべ、シロ人アヒヤを通して言われたことばのとおりであった。 + これはヤロブアムが犯した罪のため、またイスラエルに犯させた罪のためであり、またイスラエルの神、主の怒りを引き起こしたその怒りによるのであった。 + ナダブのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + アサとイスラエルの王バシャとの間には、彼らの生きている間、争いがあった。 + ユダの王アサの第三年に、アヒヤの子バシャがティルツァで全イスラエルの王となった。治世は二十四年。 + 彼は主の目の前に悪を行い、ヤロブアムの道に歩み、ヤロブアムがイスラエルに犯させた彼の罪の道に歩んだ。 + + + そのとき、ハナニの子エフーにバシャに対する次のような主のことばがあった。 + 「わたしはあなたをちりから引き上げ、わたしの民イスラエルの君主としたが、あなたはヤロブアムの道に歩み、わたしの民イスラエルに罪を犯させ、その罪によってわたしの怒りを引き起こした。 + それで今、わたしはバシャとその家族とを除き去り、あなたの家をネバテの子ヤロブアムの家のようにする。 + バシャに属する者で、町で死ぬ者は犬がこれを食らい、野で死ぬ者は空の鳥がこれを食らう。」 + バシャのその他の業績、彼の行った事、およびその功績、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + バシャは彼の先祖たちとともに眠り、ティルツァに葬られた。彼の子エラが代わって王となった。 + 主のことばはまた、ハナニの子、預言者エフーを通して、バシャとその家とに向けられた。それは、彼が主の目の前にあらゆる悪を行い、その手のわざによって主の怒りを引き起こし、ヤロブアムの家のようになり、また、彼がヤロブアムを打ち殺したからである。 + ユダの王アサの第二十六年に、バシャの子エラがティルツァで、イスラエルの王となった。治世は二年である。 + 彼がティルツァにいて、ティルツァの王の家のつかさアルツァの家で酒を飲んで酔っていたとき、彼の家来で、戦車隊の半分の長であるジムリが彼に謀反を企てた。 + ユダの王アサの第二十七年に、ジムリは入って来て、彼を打ち殺し、彼に代わって王となった。 + 彼が王となり、王座に着くとすぐ、彼はバシャの全家を打ち、小わっぱから、親類、友人に至るまで、ひとりも残さなかった。 + こうして、ジムリはバシャの全家を根絶やしにした。預言者エフーによってバシャに言われた主のことばのとおりであった。 + これは、バシャのすべての罪と、その子エラの罪のためであって、彼らが罪を犯し、また、彼らがイスラエルに罪を犯させ、彼らのむなしい神々によって、イスラエルの神、主の怒りを引き起こしたためである。 + エラのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + ユダの王アサの第二十七年に、ジムリが七日間ティルツァで王となった。そのとき、民はペリシテ人のギベトンに対して陣を敷いていた。 + 陣を敷いていたこの民は、「ジムリが謀反を起こして王を打ち殺した」と言うことを聞いた。すると、全イスラエルがその日、その陣営で将軍オムリをイスラエルの王とした。 + オムリは全イスラエルとともにギベトンから上って来て、ティルツァを包囲した。 + ジムリは町が攻め取られるのを見ると、王宮の高殿に入り、みずから王宮に火を放って死んだ。 + これは、彼が罪を犯して主の目の前に悪を行い、ヤロブアムの道に歩んだその罪のためであり、イスラエルに罪を犯させた彼の罪のためであった。 + ジムリのその他の業績、彼の企てた謀反、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + 当時、イスラエルの民は二派に分裂していた。民の半分はギナテの子ティブニに従って彼を王にしようとし、あとの半分はオムリに従った。 + オムリに従った民は、ギナテの子ティブニに従った民より強かったので、ティブニが死ぬとオムリが王となった。 + ユダの王アサの第三十一年に、オムリはイスラエルの王となり、十二年間、王であった。六年間はティルツァで王であった。 + 彼は銀二タラントでシェメルからサマリヤの山を買い、その山に町を建て、彼が建てたこの町の名を、その山の持ち主であったシェメルの名にちなんでサマリヤと名づけた。 + オムリは主の目の前に悪を行い、彼以前のだれよりも悪いことをした。 + 彼はネバテの子ヤロブアムのすべての道に歩み、イスラエルに罪を犯させ、彼らのむなしい神々によってイスラエルの神、主の怒りを引き起こした。 + オムリの行ったその他の業績、彼の立てた功績、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + オムリは彼の先祖たちとともに眠り、サマリヤに葬られた。彼の子アハブが代わって王となった。 + オムリの子アハブは、ユダの王アサの第三十八年に、イスラエルの王となった。オムリの子アハブはサマリヤで二十二年間、イスラエルの王であった。 + オムリの子アハブは、彼以前のだれよりも主の目の前に悪を行った。 + 彼にとっては、ネバテの子ヤロブアムの罪のうちを歩むことは軽いことであった。それどころか彼は、シドン人の王エテバアルの娘イゼベルを妻にめとり、行ってバアルに仕え、それを拝んだ。 + さらに彼は、サマリヤに建てたバアルの宮に、バアルのために祭壇を築いた。 + アハブはアシェラ像も造った。こうしてアハブは、彼以前のイスラエルのすべての王たちにまして、ますますイスラエルの神、主の怒りを引き起こすようなことを行った。 + 彼の時代に、ベテル人ヒエルがエリコを再建した。彼は、その礎を据えるとき、長子アビラムを失い、門を建てるとき、末の子セグブを失った。ヌンの子ヨシュアを通して語られた主のことばのとおりであった。 + + + ギルアデのティシュベの出のティシュベ人エリヤはアハブに言った。「私の仕えているイスラエルの神、主は生きておられる。私のことばによらなければ、ここ二、三年の間は露も雨も降らないであろう。」 + それから、彼に次のような主のことばがあった。 + 「ここを去って東へ向かい、ヨルダン川の東にあるケリテ川のほとりに身を隠せ。 + そして、その川の水を飲まなければならない。わたしは烏に、そこであなたを養うように命じた。」 + それで、彼は行って、主のことばのとおりにした。すなわち、彼はヨルダン川の東にあるケリテ川のほとりに行って住んだ。 + 幾羽かの烏が、朝になると彼のところにパンと肉とを運んで来、また、夕方になるとパンと肉とを運んで来た。彼はその川から水を飲んだ。 + しかし、しばらくすると、その川がかれた。その地方に雨が降らなかったからである。 + すると、彼に次のような主のことばがあった。 + 「さあ、シドンのツァレファテに行き、そこに住め。見よ。わたしは、そこのひとりのやもめに命じて、あなたを養うようにしている。」 + 彼はツァレファテへ出て行った。その町の門に着くと、ちょうどそこに、たきぎを拾い集めているひとりのやもめがいた。そこで、彼は彼女に声をかけて言った。「水差しにほんの少しの水を持って来て、私に飲ませてください。」 + 彼女が取りに行こうとすると、彼は彼女を呼んで言った。「一口のパンも持って来てください。」 + 彼女は答えた。「あなたの神、主は生きておられます。私は焼いたパンを持っておりません。ただ、かめの中に一握りの粉と、つぼにほんの少しの油があるだけです。ご覧のとおり、二、三本のたきぎを集め、帰って行って、私と私の息子のためにそれを調理し、それを食べて、死のうとしているのです。」 + エリヤは彼女に言った。「恐れてはいけません。行って、あなたが言ったようにしなさい。しかし、まず、私のためにそれで小さなパン菓子を作り、私のところに持って来なさい。それから後に、あなたとあなたの子どものために作りなさい。 + イスラエルの神、主が、こう仰せられるからです。『主が地の上に雨を降らせる日までは、そのかめの粉は尽きず、そのつぼの油はなくならない。』」 + 彼女は行って、エリヤのことばのとおりにした。彼女と彼、および彼女の家族も、長い間それを食べた。 + エリヤを通して言われた主のことばのとおり、かめの粉は尽きず、つぼの油はなくならなかった。 + これらのことがあって後、この家の主婦の息子が病気になった。その子の病気は非常に重くなり、ついに息を引き取った。 + 彼女はエリヤに言った。「神の人よ。あなたはいったい私にどうしようとなさるのですか。あなたは私の罪を思い知らせ、私の息子を死なせるために来られたのですか。」 + 彼は彼女に、「あなたの息子を私によこしなさい」と言って、その子を彼女のふところから受け取り、彼が泊まっていた屋上の部屋にかかえて上がり、その子を自分の寝台の上に横たえた。 + 彼は主に祈って言った。「私の神、主よ。私を世話してくれたこのやもめにさえもわざわいを下して、彼女の息子を死なせるのですか。」 + そして、彼は三度、その子の上に身を伏せて、主に祈って言った。「私の神、主よ。どうか、この子のいのちをこの子のうちに返してください。」 + 主はエリヤの願いを聞かれたので、子どものいのちはその子のうちに返り、その子は生き返った。 + そこで、エリヤはその子を抱いて、屋上の部屋から家の中に降りて来て、その子の母親に渡した。そして、エリヤは言った。「ご覧、あなたの息子は生きている。」 + その女はエリヤに言った。「今、私はあなたが神の人であり、あなたの口にある主のことばが真実であることを知りました。」 + + + それから、かなりたって、三年目に、次のような主のことばがエリヤにあった。「アハブに会いに行け。わたしはこの地に雨を降らせよう。」 + そこで、エリヤはアハブに会いに出かけた。そのころ、サマリヤではききんがひどかった。 + アハブは王宮をつかさどるオバデヤを呼び寄せた。――オバデヤは非常に主を恐れていた。 + イゼベルが主の預言者たちを殺したとき、オバデヤは百人の預言者を救い出し、五十人ずつほら穴の中にかくまい、パンと水で彼らを養った―― + アハブはオバデヤに言った。「国のうちのすべての水の泉や、すべての川に行ってみよ。たぶん、馬と騾馬とを生かしておく草を見つけて、家畜を殺さないで済むかもしれない。」 + ふたりはこの国を二分して巡り歩くことにし、アハブはひとりで一つの道を行き、オバデヤはひとりでほかの道を行った。 + オバデヤがその道にいたところ、そこへ、エリヤが彼に会いに来た。彼にはそれがエリヤだとわかったので、ひれ伏して言った。「あなたは私の主人エリヤではありませんか。」 + エリヤは彼に答えた。「そうだ。行って、エリヤがここにいると、あなたの主人に言いなさい。」 + すると、オバデヤが言った。「私がどんな罪を犯したというので、あなたはこのしもべをアハブの手に渡し、私を殺そうとされるのですか。 + あなたの神、主は生きておられます。私の主人があなたを捜すために、人をやらなかった民や王国は一つもありません。彼らがあなたはいないと言うと、主人はその王国や民に、あなたが見つからないという誓いをさせるのです。 + 今、あなたは『行って、エリヤがここにいると、あなたの主人に言え』と言われます。 + 私があなたから離れて行っている間に、主の霊はあなたを私の知らない所に連れて行くでしょう。私はアハブに知らせに行きますが、彼があなたを見つけることができないなら、彼は私を殺すでしょう。しもべは子どものころから主を恐れています。 + あなたさまには、イゼベルが主の預言者たちを殺したとき、私のしたことが知らされていないのですか。私は主の預言者百人を五十人ずつほら穴に隠し、パンと水で彼らを養いました。 + 今、あなたは『行って、エリヤがここにいると、あなたの主人に言え』と言われます。彼は私を殺すでしょう。」 + するとエリヤは言った。「私が仕えている万軍の主は生きておられます。必ず私は、きょう、彼の前に出ましょう。」 + そこで、オバデヤは行ってアハブに会い、彼に告げたので、アハブはエリヤに会うためにやって来た。 + アハブがエリヤを見るや、アハブは彼に言った。「これはおまえか。イスラエルを煩わすもの。」 + エリヤは言った。「私はイスラエルを煩わしません。あなたとあなたの父の家こそそうです。現にあなたがたは主の命令を捨て、あなたはバアルのあとについています。 + さあ、今、人をやって、カルメル山の私のところに、全イスラエルと、イゼベルの食卓につく四百五十人のバアルの預言者と、四百人のアシェラの預言者とを集めなさい。」 + そこで、アハブはイスラエルのすべての人に使いをやり、預言者たちをカルメル山に集めた。 + エリヤはみなの前に進み出て言った。「あなたがたは、いつまでどっちつかずによろめいているのか。もし、主が神であれば、それに従い、もし、バアルが神であれば、それに従え。」しかし、民は一言も彼に答えなかった。 + そこで、エリヤは民に向かって言った。「私ひとりが主の預言者として残っている。しかし、バアルの預言者は四百五十人だ。 + 彼らは、私たちのために、二頭の雄牛を用意せよ。彼らは自分たちで一頭の雄牛を選び、それを切り裂き、たきぎの上に載せよ。彼らは火をつけてはならない。私は、もう一頭の雄牛を同じようにして、たきぎの上に載せ、火をつけないでおく。 + あなたがたは自分たちの神の名を呼べ。私は主の名を呼ぼう。そのとき、火をもって答える神、その方が神である。」民はみな答えて、「それがよい」と言った。 + エリヤはバアルの預言者たちに言った。「あなたがたで一頭の雄牛を選び、あなたがたのほうからまず始めよ。人数が多いのだから。あなたがたの神の名を呼べ。ただし、火をつけてはならない。」 + そこで、彼らは与えられた雄牛を取ってそれを整え、朝から真昼までバアルの名を呼んで言った。「バアルよ。私たちに答えてください。」しかし、何の声もなく、答える者もなかった。そこで彼らは、自分たちの造った祭壇のあたりを、踊り回った。 + 真昼になると、エリヤは彼らをあざけって言った。「もっと大きな声で呼んでみよ。彼は神なのだから。きっと何かに没頭しているか、席をはずしているか、旅に出ているのだろう。もしかすると、寝ているのかもしれないから、起こしたらよかろう。」 + 彼らはますます大きな声で呼ばわり、彼らのならわしに従って、剣や槍で血を流すまで自分たちの身を傷つけた。 + このようにして、昼も過ぎ、ささげ物をささげる時まで騒ぎ立てたが、何の声もなく、答える者もなく、注意を払う者もなかった。 + エリヤが民全体に、「私のそばに近寄りなさい」と言ったので、民はみな彼に近寄った。それから、彼はこわれていた主の祭壇を建て直した。 + エリヤは、主がかつて、「あなたの名はイスラエルとなる」と言われたヤコブの子らの部族の数にしたがって十二の石を取った。 + その石で彼は主の名によって一つの祭壇を築き、その祭壇の回りに、二セアの種を入れるほどのみぞを掘った。 + ついで彼は、たきぎを並べ、一頭の雄牛を切り裂き、それをたきぎの上に載せ、 + 「四つのかめに水を満たし、この全焼のいけにえと、このたきぎの上に注げ」と命じた。ついで「それを二度せよ」と言ったので、彼らは二度そうした。そのうえに、彼は、「三度せよ」と言ったので、彼らは三度そうした。 + 水は祭壇の回りに流れ出した。彼はみぞにも水を満たした。 + ささげ物をささげるころになると、預言者エリヤは進み出て言った。「アブラハム、イサク、イスラエルの神、主よ。あなたがイスラエルにおいて神であり、私があなたのしもべであり、あなたのみことばによって私がこれらのすべての事を行ったということが、きょう、明らかになりますように。 + 私に答えてください。主よ。私に答えてください。この民が、あなたこそ、主よ、神であり、あなたが彼らの心を翻してくださることを知るようにしてください。」 + すると、主の火が降って来て、全焼のいけにえと、たきぎと、石と、ちりとを焼き尽くし、みぞの水もなめ尽くしてしまった。 + 民はみな、これを見て、ひれ伏し、「主こそ神です。主こそ神です」と言った。 + そこでエリヤは彼らに命じた。「バアルの預言者たちを捕らえよ。ひとりものがすな。」彼らがバアルの預言者たちを捕らえると、エリヤは彼らをキション川に連れて下り、そこで彼らを殺した。 + それから、エリヤはアハブに言った。「上って行って飲み食いしなさい。激しい大雨の音がするから。」 + そこで、アハブは飲み食いするために上って行った。エリヤはカルメル山の頂上に登り、地にひざまずいて自分の顔をひざの間にうずめた。 + それから、彼は若い者に言った。「さあ、上って行って、海のほうを見てくれ。」若い者は上って、見て来て、「何もありません」と言った。すると、エリヤが言った。「七たびくり返しなさい。」 + 七度目に彼は、「あれ。人の手のひらほどの小さな雲が海から上っています」と言った。それでエリヤは言った。「上って行って、アハブに言いなさい。『大雨に閉じ込められないうちに、車を整えて下って行きなさい。』」 + しばらくすると、空は濃い雲と風で暗くなり、やがて激しい大雨となった。アハブは車に乗ってイズレエルへ行った。 + 主の手がエリヤの上に下ったので、彼は腰をからげてイズレエルの入口までアハブの前を走って行った。 + + + アハブは、エリヤがしたすべての事と、預言者たちを剣で皆殺しにしたこととを残らずイゼベルに告げた。 + すると、イゼベルは使者をエリヤのところに遣わして言った。「もしも私が、あすの今ごろまでに、あなたのいのちをあの人たちのひとりのいのちのようにしなかったなら、神々がこの私を幾重にも罰せられるように。」 + 彼は恐れて立ち、自分のいのちを救うため立ち去った。ユダのベエル・シェバに来たとき、若い者をそこに残し、 + 自分は荒野へ一日の道のりを入って行った。彼は、えにしだの木の陰にすわり、自分の死を願って言った。「主よ。もう十分です。私のいのちを取ってください。私は先祖たちにまさっていませんから。」 + 彼がえにしだの木の下で横になって眠っていると、ひとりの御使いが彼にさわって、「起きて、食べなさい」と言った。 + 彼は見た。すると、彼の頭のところに、焼け石で焼いたパン菓子一つと、水の入ったつぼがあった。彼はそれを食べ、そして飲んで、また横になった。 + それから、主の使いがもう一度戻って来て、彼にさわり、「起きて、食べなさい。旅はまだ遠いのだから」と言った。 + そこで、彼は起きて、食べ、そして飲み、この食べ物に力を得て、四十日四十夜、歩いて神の山ホレブに着いた。 + 彼はそこにあるほら穴に入り、そこで一夜を過ごした。すると、彼への主のことばがあった。主は「エリヤよ。ここで何をしているのか」と仰せられた。 + エリヤは答えた。「私は万軍の神、主に、熱心に仕えました。しかし、イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、あなたの預言者たちを剣で殺しました。ただ私だけが残りましたが、彼らは私のいのちを取ろうとねらっています。」 + 主は仰せられた。「外に出て、山の上で主の前に立て。」すると、そのとき、主が通り過ぎられ、主の前で、激しい大風が山々を裂き、岩々を砕いた。しかし、風の中に主はおられなかった。風のあとに地震が起こったが、地震の中にも主はおられなかった。 + 地震のあとに火があったが、火の中にも主はおられなかった。火のあとに、かすかな細い声があった。 + エリヤはこれを聞くと、すぐに外套で顔をおおい、外に出て、ほら穴の入口に立った。すると、声が聞こえてこう言った。「エリヤよ。ここで何をしているのか。」 + エリヤは答えた。「私は万軍の神、主に、熱心に仕えました。しかし、イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、あなたの預言者たちを剣で殺しました。ただ私だけが残りましたが、彼らは私のいのちを取ろうとねらっています。」 + 主は彼に仰せられた。「さあ、ダマスコの荒野へ帰って行け。そこに行き、ハザエルに油をそそいで、アラムの王とせよ。 + また、ニムシの子エフーに油をそそいで、イスラエルの王とせよ。また、アベル・メホラの出のシャファテの子エリシャに油をそそいで、あなたに代わる預言者とせよ。 + ハザエルの剣をのがれる者をエフーが殺し、エフーの剣をのがれる者をエリシャが殺す。 + しかし、わたしはイスラエルの中に七千人を残しておく。これらの者はみな、バアルにひざをかがめず、バアルに口づけしなかった者である。」 + エリヤはそこを立って行って、シャファテの子エリシャを見つけた。エリシャは、十二くびきの牛を先に立て、その十二番目のくびきのそばで耕していた。エリヤが彼のところを通り過ぎて自分の外套を彼に掛けたので、 + エリシャは牛をほうっておいて、エリヤのあとを追いかけて行って言った。「私の父と母とに口づけさせてください。それから、あなたに従って行きますから。」エリヤは彼に言った。「行って来なさい。私があなたに何をしたというのか。」 + エリシャは引き返して来て、一くびきの牛を取り、それを殺し、牛の用具でその肉を調理し、家族の者たちに与えてそれを食べさせた。それから、彼は立って、エリヤについて行って、彼に仕えた。 + + + アラムの王ベン・ハダデは彼の全軍勢を集めた。彼には三十二人の王と、馬と戦車とがあった。彼はサマリヤに上って来て、これを包囲して攻め、 + 町に使者たちを遣わし、イスラエルの王アハブに、 + 言わせた。「ベン・ハダデはこう言われる。『あなたの銀と金は私のもの。あなたの妻たちや子どもたちの最も美しい者も私のものだ。』」 + イスラエルの王は答えて言った。「王よ。仰せのとおりです。この私、および、私に属するものはすべてあなたのものです。」 + 使者たちは再び戻って来て言った。「ベン・ハダデはこう言われる。『私は先に、あなたに人を遣わし、あなたの銀と金、および、あなたの妻たちや子どもたちを私に与えよ、と言った。 + あすの今ごろ、私の家来たちを遣わす。彼らは、あなたの家とあなたの家来たちの家とを捜し、たとい、あなたが最も大事にしているものでも、彼らは手に入れて奪い取るだろう。』」 + そこで、イスラエルの王は国のすべての長老たちを呼び寄せて言った。「あの男が、こんなにひどいことを要求しているのを知ってほしい。彼は人を遣わして、私の妻たちや子どもたち、および、私の銀や金を求めたが、私はそれを断りきれなかった。」 + すると長老たちや民はみな、彼に言った。「聞かないでください。承諾しないでください。」 + そこで、彼はベン・ハダデの使者たちに言った。「王に言ってくれ。『初めに、あなたが、このしもべに言ってよこされたことはすべて、そのようにするが、このたびのことはできません。』」使者たちは帰って行って、このことを報告した。 + するとベン・ハダデは、彼のところに人をやって言わせた。「サマリヤのちりが私に従うすべての民の手を満たすほどでもあったら、神々がこの私を幾重にも罰せられるように。」 + そこでイスラエルの王は答えて言った。「彼にこう伝えてくれ。『武装しようとする者は、武装を解く者のように誇ってはならない。』」 + ベン・ハダデは、このことばを聞いたとき、王たちと仮小屋で酒を飲んでいたが、家来たちに、「配置につけ」と命じたので、彼らは、この町に向かう配置についた。 + ちょうどそのころ、ひとりの預言者がイスラエルの王アハブに近づいて言った。「主はこう仰せられる。『あなたはこのおびただしい大軍をみな見たか。見よ。わたしは、きょう、これをあなたの手に引き渡す。あなたは、わたしこそ主であることを知ろう。』」 + アハブが、「それはだれによってでしょうか」と尋ねると、その預言者は言った。「主はこう仰せられる。『諸国の首長に属する若い者たちによって。』」アハブが、「だれが戦いをしかけるのでしょうか」と尋ねると、「あなただ」と答えた。 + 彼が諸国の首長に属する若い者たちを調べてみると、二百三十二人いた。そのほか、民の全部、すなわちイスラエル人全部を調べたところ、七千人いた。 + 彼らは真昼ごろ出陣した。そのとき、ベン・ハダデは味方の三十二人の王たちと仮小屋で酒を飲んで酔っていた。 + 諸国の首長に属する若い者たちが最初に出て行った。ベン・ハダデが人を遣わしてみると、「人々がサマリヤから出て来ている」との報告を受けた。 + それで彼は言った。「和平のために出て来ても、生けどりにし、戦うために出て来ても、生けどりにせよ。」 + 町から出て来たのは、諸国の首長に属する若い者たちと、これに続く軍勢であった。 + 彼らはおのおのその相手を打ったので、アラムは逃げ、イスラエル人は追った。アラムの王ベン・ハダデは馬に乗り、騎兵たちといっしょに、のがれた。 + イスラエルの王は出て来て、馬と戦車を分捕り、アラムを打って大損害を与えた。 + その後、あの預言者がイスラエルの王に近寄って来て言った。「さあ、奮い立って、これからなすべきことをわきまえ知りなさい。来年の今ごろ、アラムの王があなたを攻めに上って来るから。」 + そのころ、アラムの王の家来たちは王に言った。「彼らの神々は山の神です。だから、彼らは私たちより強いのです。しかしながら、私たちが平地で彼らと戦うなら、私たちのほうがきっと彼らより強いでしょう。 + こういうようにしてください。王たちをそれぞれ、その地位から退かせ、彼らの代わりに総督を任命し、 + あなたは失っただけの軍勢と馬と戦車とをそれだけ補充してください。彼らと平地で戦うなら、きっと私たちのほうが彼らより強いでしょう。」彼は彼らの言うことを聞き入れて、そのようにした。 + 翌年、ベン・ハダデはアラムを召集し、イスラエルと戦うために、アフェクに上って来た。 + 一方イスラエル人も召集され、糧食を受けて出て行き、彼らを迎えた。イスラエル人は彼らと向かい合って陣を敷いた。彼らは二つの群れのやぎのようであったが、アラムはその地に満ちていた。 + ときに、ひとりの神の人が近づいて来て、イスラエルの王に言った。「主はこう仰せられる。『アラムが、主は山の神であって、低地の神でない、と言っているので、わたしはこのおびただしい大軍を全部あなたの手に渡す。それによって、あなたがたは、わたしこそ主であることを知るであろう。』」 + 両軍は互いに向かい合って、七日間、陣を敷いていた。七日目になって、戦いを交えたが、イスラエル人は一日のうちにアラムの歩兵十万人を打ち殺した。 + 生き残った者たちはアフェクの町に逃げたが、その二万七千人の残った者の上に城壁がくずれ落ちた。ベン・ハダデは逃げて町に入り、奥の間に入った。 + 家来たちは彼に言った。「イスラエルの家の王たちはあわれみ深い王である、と聞いています。それで、私たちの腰に荒布をまとい、首になわをかけ、イスラエルの王のもとに出て行かせてください。そうすれば、あなたのいのちを助けてくれるかもしれません。」 + こうして彼らは腰に荒布を巻き、首になわをかけ、イスラエルの王のもとに行って願った。「あなたのしもべ、ベン・ハダデが、『どうか私のいのちを助けてください』と申しています。」するとアハブは言った。「彼はまだ生きているのか。彼は私の兄弟だ。」 + この人々は、これは吉兆だと見て、すぐにそのことばにより事が決まったと思い、「ベン・ハダデはあなたの兄弟です」と言った。王は言った。「行って、彼を連れて来なさい。」ベン・ハダデが彼のところに出て来ると、王は彼を戦車に乗せた。 + ベン・ハダデは彼に言った。「私の父が、あなたの父上から奪い取った町々をお返しします。あなたは私の父がサマリヤにしたように、ダマスコに市場を設けることもできます。」「では、契約を結んであなたを帰そう。」こうして、アハブは彼と契約を結び、彼を去らせた。 + 預言者のともがらのひとりが、主の命令によって、自分の仲間に、「私を打ってくれ」と言った。しかし、その人は彼を打つことを拒んだ。 + それで彼はその人に言った。「あなたは主の御声に聞き従わなかったので、あなたが私のもとから出て行くなら、すぐ獅子があなたを殺す。」その人が彼のそばから出て行くと、獅子がその人を見つけて殺した。 + ついで、彼はもうひとりの人に会ったので、「私を打ってくれ」と頼んだ。すると、その人は彼を打って傷を負わせた。 + それから、その預言者は行って道ばたで王を待っていた。彼は目の上にほうたいをして、だれかわからないようにしていた。 + 王が通りかかったとき、彼は王に叫んで言った。「しもべが戦場に出て行くと、ちょうどそこに、ある人がひとりの者を連れてやって来て、こう言いました。『この者を見張れ。もし、この者を逃がしでもしたら、この者のいのちの代わりにあなたのいのちを取るか、または、銀一タラントを払わせるぞ。』 + ところが、しもべが何やかやしているうちに、その者はいなくなってしまいました。」すると、イスラエルの王が彼に言った。「あなたはそのとおりにさばかれる。あなた自身が決めたとおりに。」 + 彼は急いで、ほうたいを目から取り除いた。そのとき、イスラエルの王は、彼が預言者のひとりであることを見た。 + 彼は王に言った。「主はこう仰せられる。『わたしが聖絶しようとした者をあなたが逃がしたから、あなたのいのちは彼のいのちの代わりとなり、あなたの民は彼の民の代わりとなる。』」 + イスラエルの王は不きげんになり、激しく怒って、自分の家に戻って行き、サマリヤに着いた。 + + + このことがあって後のこと。イズレエル人ナボテはイズレエルにぶどう畑を持っていた。それはサマリヤの王アハブの宮殿のそばにあった。 + アハブはナボテに次のように言って頼んだ。「あなたのぶどう畑を私に譲ってもらいたい。あれは私の家のすぐ隣にあるので、私の野菜畑にしたいのだが。その代わりに、あれよりもっと良いぶどう畑をあげよう。もしあなたがそれでよいと思うなら、それ相当の代価を銀で支払おう。」 + ナボテはアハブに言った。「主によって、私には、ありえないことです。私の先祖のゆずりの地をあなたに与えるとは。」 + アハブは不きげんになり、激しく怒りながら、自分の家に入った。イズレエル人ナボテが彼に、「私の先祖のゆずりの地をあなたに譲れません」と言ったからである。彼は寝台に横になり、顔をそむけて食事もしようとはしなかった。 + 彼の妻イゼベルは彼のもとに入って来て言った。「あなたはどうしてそんなに不きげんで、食事もなさらないのですか。」 + そこで、アハブは彼女に言った。「私がイズレエル人ナボテに『金を払うからあなたのぶどう畑を譲ってほしい。それとも、あなたが望むなら、その代わりのぶどう畑をやってもよい』と言ったのに、彼は『私のぶどう畑はあなたに譲れません』と答えたからだ。」 + 妻イゼベルは彼に言った。「今、あなたはイスラエルの王権をとっているのでしょう。さあ、起きて食事をし、元気を出してください。この私がイズレエル人ナボテのぶどう畑をあなたのために手に入れてあげましょう。」 + 彼女はアハブの名で手紙を書き、彼の印で封印し、ナボテの町に住む長老たちとおもだった人々にその手紙を送った。 + 手紙にはこう書いていた。「断食を布告し、ナボテを民の前に引き出してすわらせ、 + 彼の前にふたりのよこしまな者をすわらせ、彼らに『おまえは神と王をのろった』と言って証言させなさい。そして、彼を外に引き出し、石打ちにして殺しなさい。」 + そこで、その町の人々、つまり、その町に住んでいる長老たちとおもだった人々は、イゼベルが彼らに言いつけたとおり、彼女が手紙に書き送ったとおりを行った。 + 彼らは断食を布告し、ナボテを民の前に引き出してすわらせた。 + そこに、ふたりのよこしまな者が入って来て、彼の前にすわった。よこしまな者たちは民の前で、ナボテが神と王をのろった、と言って証言した。そこで人々は彼を町の外に引き出し、石打ちにして殺した。 + こうして、彼らはイゼベルに、「ナボテは石打ちにされて殺された」と言ってよこした。 + イゼベルはナボテが石打ちにされて殺されたことを聞くとすぐ、アハブに言った。「起きて、イズレエル人ナボテが、あなたに売ることを拒んだあのぶどう畑を取り上げなさい。もうナボテは生きていません。死んだのです。」 + アハブはナボテが死んだと聞いてすぐ、立って、イズレエル人ナボテのぶどう畑を取り上げようと下って行った。 + そのとき、ティシュベ人エリヤに次のような主のことばがあった。 + 「さあ、サマリヤにいるイスラエルの王アハブに会いに下って行け。今、彼はナボテのぶどう畑を取り上げようと、そこに下って来ている。 + 彼にこう言え。『主はこう仰せられる。あなたはよくも人殺しをして、取り上げたものだ。』また、彼に言え。『主はこう仰せられる。犬どもがナボテの血をなめたその場所で、その犬どもがまた、あなたの血をなめる。』」 + アハブがエリヤに、「あなたはまた、私を見つけたのか。わが敵よ」と言うと、エリヤは答えた。「あなたが裏切って主の目の前に悪を行ったので、私は見つけたのだ。 + 今、わたしはあなたにわざわいをもたらす。わたしはあなたの子孫を除き去り、アハブに属する小わっぱも奴隷も、自由の者も、イスラエルで断ち滅ぼし、 + あなたの家をネバテの子ヤロブアムの家のようにし、アヒヤの子バシャの家のようにする。それは、あなたがわたしの怒りを引き起こしたその怒りのため、イスラエルに罪を犯させたためだ。 + また、イゼベルについても主はこう仰せられる。『犬がイズレエルの領地でイゼベルを食らう。』 + アハブに属する者で、町で死ぬ者は犬どもがこれを食らい、野で死ぬ者は空の鳥がこれを食らう。」 + アハブのように、裏切って主の目の前に悪を行った者はだれもいなかった。彼の妻イゼベルが彼をそそのかしたからである。 + 彼は偶像につき従い、主がイスラエル人の前から追い払われたエモリ人がしたとおりのことをして、忌みきらうべきことを大いに行った。 + アハブは、これらのことばを聞くとすぐ、自分の外套を裂き、身に荒布をまとい、断食をし、荒布を着て伏し、また、打ちしおれて歩いた。 + そのとき、ティシュベ人エリヤに次のような主のことばがあった。 + 「あなたはアハブがわたしの前にへりくだっているのを見たか。彼がわたしの前にへりくだっているので、彼の生きている間は、わざわいを下さない。しかし、彼の子の時代に、彼の家にわざわいを下す。」 + + + アラムとイスラエルとの間には戦いがないまま三年が過ぎた。 + しかし、三年目になって、ユダの王ヨシャパテがイスラエルの王のところに下って来ると、 + イスラエルの王は自分の家来たちに言った。「あなたがたは、ラモテ・ギルアデが私たちのものであることを知っているではないか。それなのに、私たちはためらっていて、それをアラムの王の手から奪い返していない。」 + それから、彼はヨシャパテに言った。「私といっしょにラモテ・ギルアデに戦いに行ってくれませんか。」ヨシャパテはイスラエルの王に言った。「私とあなたとは同じようなもの、私の民とあなたの民、私の馬とあなたの馬も同じようなものです。」 + ヨシャパテは、イスラエルの王に言った。「まず、主のことばを伺ってみてください。」 + そこで、イスラエルの王は約四百人の預言者を召し集めて、彼らに尋ねた。「私はラモテ・ギルアデに戦いに行くべきだろうか。それとも、やめるべきだろうか。」彼らは答えた。「上って行きなさい。そうすれば、主は王の手にこれを渡されます。」 + ところが、ヨシャパテは、「ここには、私たちがみこころを求めることのできる主の預言者がほかにいないのですか」と言った。 + イスラエルの王はヨシャパテに答えた。「いや、ほかにもうひとり、私たちが主のみこころを求めることのできる者がいます。しかし、私は彼を憎んでいます。彼は私について良いことは預言せず、悪いことばかりを預言するからです。それは、イムラの子ミカヤです。」すると、ヨシャパテは言った。「王よ。そういうふうには言わないでください。」 + そこで、イスラエルの王はひとりの宦官を呼び寄せ、「急いで、イムラの子ミカヤを呼んで来なさい」と命じた。 + イスラエルの王と、ユダの王ヨシャパテは、おのおの王服を着て、サマリヤの門の入口にある打ち場の王の座に着き、預言者はみな、ふたりの前で預言していた。 + そのとき、ケナアナの子ゼデキヤは、王のために鉄の角を作って言った。「主はこう仰せられます。『これらの角で、あなたはアラムを突いて、絶滅させなければならない。』」 + ほかの預言者たちもみな、同じように預言して言った。「ラモテ・ギルアデに攻め上って勝利を得なさい。主は王の手にこれを渡されます。」 + さて、ミカヤを呼びに行った使いの者はミカヤに告げて言った。「いいですか。お願いです。預言者たちは口をそろえて、王に対し良いことを述べています。お願いですから、あなたもみなと全く同じように語り、良いことを述べてください。」 + すると、ミカヤは答えた。「主は生きておられる。主が私に告げられることを、そのまま述べよう。」 + 彼が王のもとに着くと、王は彼に言った。「ミカヤ。私たちはラモテ・ギルアデに戦いに行くべきだろうか。それとも、やめるべきだろうか。」すると、彼は王に答えた。「攻め上って勝利を得なさい。主は王の手にこれを渡されます。」 + すると、王は彼に言った。「いったい、私が何度あなたに誓わせたら、あなたは主の名によって真実だけを私に告げるようになるのか。」 + 彼は答えた。「私は全イスラエルが、山々に散らされているのを見た。まるで、飼い主のいない羊の群れのように。そのとき、主は仰せられた。『彼らには主人がいない。彼らをおのおのその家に無事に帰さなければならない。』」 + イスラエルの王はヨシャパテに言った。「彼は私について良いことを預言せず、悪いことばかりを預言すると、あなたに言っておいたではありませんか。」 + すると、ミカヤは言った。「それゆえ主のことばを聞きなさい。私は主が御座にすわり、天の万軍がその右左に立っているのを見ました。 + そのとき、主は仰せられました。『だれか、アハブを惑わして、攻め上らせ、ラモテ・ギルアデで倒れさせる者はいないか。』すると、あれこれと答えがありました。 + それからひとりの霊が進み出て、主の前に立ち、『この私が彼を惑わします』と言いますと、主が彼に『どういうふうにやるのか』と尋ねられました。 + 彼は答えました。『私が出て行き、彼のすべての預言者の口で偽りを言う霊となります。』すると、『あなたはきっと惑わすことができよう。出て行って、そのとおりにせよ』と仰せられました。 + 今、ご覧のとおり、主はここにいるあなたのすべての預言者の口に偽りを言う霊を授けられました。主はあなたに下るわざわいを告げられたのです。」 + すると、ケナアナの子ゼデキヤが近寄って来て、ミカヤの頬をなぐりつけて言った。「どのようにして、主の霊が私を離れて行き、おまえに語ったというのか。」 + ミカヤは答えた。「いまに、あなたが奥の間に入って身を隠すときに、思い知るであろう。」 + すると、イスラエルの王は言った。「ミカヤを連れて行け。町のつかさアモンと王の子ヨアシュのもとに下がらせよ。 + 王が『この男を獄屋に入れ、私が無事に帰って来るまで、わずかなパンと、わずかな水をあてがっておけ』と命じたと言え。」 + ミカヤは言った。「万が一、あなたが無事に戻って来られることがあるなら、主は私によって語られなかったのです。」そして、「みなの人々よ。聞いておきなさい」と言った。 + こうして、イスラエルの王とユダの王ヨシャパテは、ラモテ・ギルアデに攻め上った。 + そのとき、イスラエルの王はヨシャパテに言った。「私は変装して戦いに行こう。でも、あなたは、自分の王服を着ていてください。」こうして、イスラエルの王は変装して戦いに行った。 + アラムの王は、自分の配下の戦車隊長たち三十二人に命じて言った。「兵や将校とは戦うな。ただイスラエルの王を目ざして戦え。」 + 戦車隊長たちはヨシャパテを見つけたとき、「確かにあれはイスラエルの王に違いない」と思ったので、彼のほうに向かって行って戦おうとした。すると、ヨシャパテは助けを叫び求めた。 + それで、戦車隊長たちは、彼がイスラエルの王ではないことを知ったとき、彼を追うことをやめ、引き返した。 + ところが、ひとりの兵士が何げなく弓を放つと、イスラエルの王の胸当てと草摺の間を射抜いた。そこで、王は自分の戦車の御者に言った。「手綱を返して、私を敵陣から抜け出させてくれ。傷を負ってしまった。」 + その日、戦いはますます激しくなった。王はアラムに向かって、戦車の中に立っていたが、夕方になって死んだ。傷から出た血は戦車のくぼみに流れた。 + 日没のころ、陣営の中に、「めいめい自分の町、自分の国へ帰れ」という叫び声が伝わった。 + 王は死んでからサマリヤに着いた。人々はサマリヤで王を葬った。 + それから、戦車をサマリヤの池で洗った。すると、犬が彼の血をなめ、遊女たちがそこで身を洗った。主が語られたことばのとおりであった。 + アハブのその他の業績、彼の行ったすべての事、彼が建てた象牙の家、彼が建てたすべての町々、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + アハブは彼の先祖たちとともに眠り、その子アハズヤが代わって王となった。 + アサの子ヨシャパテがユダの王となったのは、イスラエルの王アハブの第四年であった。 + ヨシャパテは三十五歳で王となり、エルサレムで二十五年間、王であった。その母の名はアズバといい、シルヒの娘であった。 + 彼はその父アサのすべての道に歩み、その道からそれることなく、主の目にかなうことを行った。しかし、高き所は取り除かなかった。民はなおも、その高き所でいけにえをささげたり、香をたいたりしていた。 + ヨシャパテはイスラエルの王と友好関係を保っていた。 + ヨシャパテのその他の業績、彼の立てた功績とその戦績、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + 彼は、父アサの時代にまだ残っていた神殿男娼をこの国から除き去った。 + そのころ、エドムには王がなく、守護が王であった。 + ヨシャパテはタルシシュの船団をつくり、金を得るためにオフィルへ行こうとしたが、行けなかった。船団がエツヨン・ゲベルで難破したからである。 + そのとき、アハブの子アハズヤはヨシャパテに、「私の家来をあなたの家来といっしょに船で行かせましょう」と言ったが、ヨシャパテは承知しなかった。 + ヨシャパテは彼の先祖たちとともに眠り、先祖たちとともに父ダビデの町に葬られた。その子ヨラムが代わって王となった。 + アハブの子アハズヤは、ユダの王ヨシャパテの第十七年にサマリヤでイスラエルの王となり、二年間、イスラエルの王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行い、彼の父の道と彼の母の道、それに、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの道に歩んだ。 + すなわち、彼はバアルに仕え、それを拝み、彼の父が行ったと全く同じように行って、イスラエルの神、主の怒りを引き起こした。 + +
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+ + アハブの死後、モアブがイスラエルにそむいた。 + さて、アハズヤはサマリヤにある彼の屋上の部屋の欄干から落ちて病気になった。彼は使者たちを遣わし、「行って、エクロンの神、バアル・ゼブブに、私のこの病気が直るかどうか、伺いを立てなさい」と命じた。 + そのころ、主の使いがティシュベ人エリヤに告げた。「さあ、上って行って、サマリヤの王の使者たちに会い、彼らに言え。『あなたがたがエクロンの神、バアル・ゼブブに伺いを立てに行くのは、イスラエルに神がいないためか。 + それゆえ、主はこう仰せられる。あなたは上ったその寝台から降りることはない。あなたは必ず死ぬ。』」それで、エリヤは出て行った。 + 使者たちがアハズヤのもとに戻って来ると、彼は、「なぜあなたがたは帰って来たのか」と彼らに尋ねた。 + 彼らは答えた。「ひとりの人が私たちに会いに上って来て、こう言いました。『あなたがたを遣わした王のところに帰って行き、彼に告げなさい。主はこう仰せられる。あなたが人をやって、エクロンの神、バアル・ゼブブに伺いを立てるのは、イスラエルに神がいないためか。それゆえ、あなたは上ったその寝台から降りることはない。あなたは必ず死ぬ。』」 + アハズヤは彼らに尋ねた。「あなたがたに会いに上って来て、そんなことをあなたがたに告げた者は、どんな様子をしていたか。」 + 彼らが、「毛衣を着て、腰に皮帯を締めた人でした」と答えると、アハズヤは、「それはティシュベ人エリヤだ」と言った。 + そこで、アハズヤは五十人隊の長を、その部下五十人とともにエリヤのところに遣わした。彼がエリヤのところに上って行くと、そのとき、エリヤは山の頂にすわっていた。彼はエリヤに、「神の人よ。王のお告げです。降りて来てください」と言った。 + エリヤはその五十人隊の長に答えて言った。「もし、私が神の人であるなら、天から火が下って来て、あなたと、あなたの部下五十人を焼き尽くすだろう。」すると、天から火が下って来て、彼と、その部下五十人を焼き尽くした。 + 王はまた、もうひとりの五十人隊の長を、その部下五十人とともにエリヤのところに遣わした。彼はエリヤに答えて言った。「神の人よ。王がこう申しております。急いで降りて来てください。」 + エリヤは彼らに答えて言った。「もし、私が神の人であるなら、天から火が下って来て、あなたと、あなたの部下五十人を焼き尽くすだろう。」すると、天から神の火が下って来て、彼と、その部下五十人を焼き尽くした。 + 王はまた、第三の五十人隊の長と、その部下五十人を遣わした。この三人目の五十人隊の長は上って行き、エリヤの前にひざまずき、懇願して言った。「神の人よ。どうか私のいのちと、このあなたのしもべ五十人のいのちとをお助けください。 + ご承知のように、天から火が下って来て、先のふたりの五十人隊の長と、彼らの部下五十人ずつとを、焼き尽くしてしまいました。今、私のいのちはお助けください。」 + 主の使いがエリヤに、「彼といっしょに降りて行け。彼を恐れてはならない」と言ったので、エリヤは立って、彼といっしょに王のところに下って行き、 + 王に言った。「主はこう仰せられる。『あなたが使者たちをエクロンの神、バアル・ゼブブに伺いを立てにやったのは、イスラエルにみことばを伺う神がいないためか。それゆえ、あなたは、上ったその寝台から降りることはない。あなたは必ず死ぬ。』」 + 王はエリヤが告げた主のことばのとおりに死んだ。そしてヨラムが代わって王となった。それはユダの王ヨシャパテの子ヨラムの第二年であった。アハズヤには男の子がなかったからである。 + アハズヤの行ったその他の業績、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + + + 主がエリヤをたつまきに乗せて天に上げられるとき、エリヤはエリシャを連れてギルガルから出て行った。 + エリヤはエリシャに、「ここにとどまっていなさい。主が私をベテルに遣わされたから」と言ったが、エリシャは言った。「主は生きておられ、あなたのたましいも生きています。私は決してあなたから離れません。」こうして、彼らはベテルに下って行った。 + すると、ベテルの預言者のともがらがエリシャのところに出て来て、彼に言った。「きょう、主があなたの主人をあなたから取り上げられることを知っていますか。」エリシャは、「私も知っているが、黙っていてください」と答えた。 + それからエリヤは彼に、「エリシャ。ここにとどまっていなさい。主が私をエリコに遣わされたから」と言った。しかし、彼は言った。「主は生きておられ、あなたのたましいも生きています。私は決してあなたから離れません。」こうして、彼らはエリコに来た。 + エリコの預言者のともがらがエリシャに近づいて来て、彼に言った。「きょう、主があなたの主人をあなたから取り上げられることを知っていますか。」エリシャは、「私も知っているが、黙っていてください」と答えた。 + エリヤは彼に、「ここにとどまっていなさい。主が私をヨルダンへ遣わされたから」と言った。しかし、彼は言った。「主は生きておられ、あなたのたましいも生きています。私は決してあなたから離れません。」こうして、ふたりは進んで行った。 + 預言者のともがらのうち五十人が行って、遠く離れて立っていた。ふたりがヨルダン川のほとりに立ったとき、 + エリヤは自分の外套を取り、それを丸めて水を打った。すると、水は両側に分かれた。それでふたりはかわいた土の上を渡った。 + 渡り終わると、エリヤはエリシャに言った。「私はあなたのために何をしようか。私があなたのところから取り去られる前に、求めなさい。」すると、エリシャは、「では、あなたの霊の、二つの分け前が私のものになりますように」と言った。 + エリヤは言った。「あなたはむずかしい注文をする。しかし、もし、私があなたのところから取り去られるとき、あなたが私を見ることができれば、そのことがあなたにかなえられよう。できないなら、そうはならない。」 + こうして、彼らがなお進みながら話していると、なんと、一台の火の戦車と火の馬とが現れ、このふたりの間を分け隔て、エリヤは、たつまきに乗って天へ上って行った。 + エリシャはこれを見て、「わが父。わが父。イスラエルの戦車と騎兵たち」と叫んでいたが、彼はもう見えなかった。そこで、彼は自分の着物をつかみ、それを二つに引き裂いた。 + それから、彼はエリヤの身から落ちた外套を拾い上げ、引き返してヨルダン川の岸辺に立った。 + 彼はエリヤの身から落ちた外套を取って水を打ち、「エリヤの神、主はどこにおられるのですか」と言った。彼も水を打つと、水が両側に分かれたので、エリシャは渡った。 + エリコの預言者のともがらは、遠くから彼を見て、「エリヤの霊がエリシャの上にとどまっている」と言い、彼を迎えに行って、地に伏して彼に礼をした。 + 彼らはエリシャに言った。「しもべたちのところに五十人の力ある者がいます。どうか彼らをあなたのご主人を捜しに行かせてください。主の霊が彼を運んで、どこかの山か谷に彼を投げられたのかもしれません。」するとエリシャは、「人をやってはいけません」と言った。 + しかし、彼らがしつこく彼に願ったので、ついにエリシャは、「やりなさい」と言った。それで、彼らは五十人を遣わした。彼らは、三日間、捜したが、彼を見つけることはできなかった。 + 彼らはエリシャがエリコにとどまっているところへ帰って来た。エリシャは彼らに言った。「行かないようにと、あなたがたに言ったではありませんか。」 + この町の人々がエリシャに言った。「あなたさまもご覧のとおり、この町は住むのには良いのですが、水が悪く、この土地は流産が多いのです。」 + すると、エリシャは言った。「新しい皿に塩を盛って、私のところに持って来なさい。」人々は彼のところにそれを持って来た。 + エリシャは水の源のところに行って、塩をそこに投げ込んで言った。「主はこう仰せられる。『わたしはこの水をいやした。ここからは、もう、死も流産も起こらない。』」 + こうして、水は良くなり、今日に至っている。エリシャが言ったことばのとおりである。 + エリシャはそこからベテルへ上って行った。彼が道を上って行くと、この町から小さい子どもたちが出て来て、彼をからかって、「上って来い、はげ頭。上って来い、はげ頭」と言ったので、 + 彼は振り向いて、彼らをにらみ、主の名によって彼らをのろった。すると、森の中から二頭の雌熊が出て来て、彼らのうち、四十二人の子どもをかき裂いた。 + こうして彼は、そこからカルメル山に行き、そこからさらに、サマリヤへ帰った。 + + + ユダの王ヨシャパテの第十八年に、アハブの子ヨラムがサマリヤでイスラエルの王となり、十二年間、王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行ったが、彼の父母ほどではなかった。彼は父が造ったバアルの石の柱を取り除いた。 + しかし、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪を彼も犯し続け、それをやめようとはしなかった。 + モアブの王メシャは羊を飼っており、子羊十万頭と、雄羊十万頭分の羊毛とをイスラエルの王にみつぎものとして納めていた。 + しかし、アハブが死ぬと、モアブの王はイスラエルの王にそむいた。 + そこで、ヨラム王は、ただちにサマリヤを出発し、すべてのイスラエル人を動員した。 + そして、ユダの王ヨシャパテに使いをやって言った。「モアブの王が私にそむきました。私といっしょにモアブに戦いに行ってくれませんか。」ユダの王は言った。「行きましょう。私とあなたとは同じようなもの、私の民とあなたの民、私の馬とあなたの馬も同じようなものです。」 + そして言った。「私たちはどの道を上って行きましょうか。」するとヨラムは、「エドムの荒野の道を」と答えた。 + こうして、イスラエルの王は、ユダの王とエドムの王といっしょに出かけたが、七日間も回り道をしたので、陣営の者と、あとについて来る家畜のための水がなくなった。 + それで、イスラエルの王は、「ああ、主が、この三人の王を召されたのは、モアブの手に渡すためだったのだ」と言った。 + ヨシャパテは言った。「ここには主のみこころを求めることのできる主の預言者はいないのですか。」すると、イスラエルの王の家来のひとりが答えて言った。「ここには、シャファテの子エリシャがいます。エリヤの手に水を注いだ者です。」 + ヨシャパテが、「主のことばは彼とともにある」と言ったので、イスラエルの王と、ヨシャパテと、エドムの王とは彼のところに下って行った。 + エリシャはイスラエルの王に言った。「私とあなたとの間に何のかかわりがありましょうか。あなたの父上の預言者たちと、あなたの母上の預言者たちのところにおいでください。」すると、イスラエルの王は彼に言った。「いや、主がこの三人の王を召されたのは、モアブの手に渡すためだから。」 + エリシャは言った。「私が仕えている万軍の主は生きておられる。もし私がユダの王ヨシャパテのためにするのでなかったなら、私は決してあなたに目も留めず、あなたに会うこともしなかったでしょう。 + しかし、今、立琴をひく者をここに連れて来てください。」立琴をひく者が立琴をひき鳴らすと、主の手がエリシャの上に下り、 + 彼は次のように言った。「主はこう仰せられる。『この谷にみぞを掘れ。みぞを掘れ。』 + 主がこう仰せられるからだ。『風も見ず、大雨も見ないのに、この谷には水があふれる。あなたがたも、あなたがたの家畜も、獣もこれを飲む。』 + これは主の目には小さなことだ。主はモアブをあなたがたの手に渡される。 + あなたがたは、城壁のある町々、りっぱな町々をことごとく打ち破り、すべての良い木を切り倒し、すべての水の源をふさぎ、すべての良い畑を石ころでだいなしにしよう。」 + 朝になって、ささげ物をささげるころ、なんと、水がエドムのほうから流れて来て、この地は水で満たされた。 + モアブはみな、王たちが彼らを攻めに上って来たことを聞いた。よろいを着ることのできるほどの者は全部、呼び集められ、国境の守備についた。 + 彼らが翌朝早く起きてみると、太陽が水の面を照らしていた。モアブは向こう側の水が血のように赤いのを見て、 + 言った。「これは血だ。きっと王たちが切り合って、同士打ちをしたに違いない。さあ今、モアブよ、分捕りに行こう。」 + 彼らがイスラエルの陣営に攻め入ると、イスラエルは立ってモアブを打った。モアブはイスラエルの前から逃げた。それで、イスラエルは攻め入って、モアブを打った。 + さらに、彼らは町々を破壊し、すべての良い畑にひとりずつ石を投げ捨てて石だらけにし、すべての水の源をふさぎ、すべての良い木を切り倒した。ただキル・ハレセテにある石だけが残ったが、そこも、石を投げる者たちが取り囲み、これを打ち破った。 + モアブの王は、戦いが自分に不利になっていくのを見て、剣を使う者七百人を引き連れ、エドムの王のところに突き入ろうとしたが、果たさなかった。 + そこで、彼は自分に代わって王となる長男をとり、その子を城壁の上で全焼のいけにえとしてささげた。このため、イスラエル人に対する大きな怒りが起こった。それでイスラエル人は、そこから引き揚げて、自分の国へ帰って行った。 + + + 預言者のともがらの妻のひとりがエリシャに叫んで言った。「あなたのしもべである私の夫が死にました。ご存じのように、あなたのしもべは、主を恐れておりました。ところが、貸し主が来て、私のふたりの子どもを自分の奴隷にしようとしております。」 + エリシャは彼女に言った。「何をしてあげようか。あなたには、家にどんな物があるか、言いなさい。」彼女は答えた。「はしための家には何もありません。ただ、油のつぼ一つしかありません。」 + すると、彼は言った。「外に出て行って、隣の人みなから、器を借りて来なさい。からの器を。それも、一つ二つではいけません。 + 家に入ったなら、あなたと子どもたちのうしろの戸を閉じなさい。そのすべての器に油をつぎなさい。いっぱいになったものはわきに置きなさい。」 + そこで、彼女は彼のもとから去り、子どもたちといっしょにうしろの戸を閉じ、子どもたちが次々に彼女のところに持って来る器に油をついだ。 + 器がいっぱいになったので、彼女は子どもに言った。「もっと器を持って来なさい。」子どもが彼女に、「もう器はありません」と言うと、油は止まった。 + 彼女が神の人に知らせに行くと、彼は言った。「行って、その油を売り、あなたの負債を払いなさい。その残りで、あなたと子どもたちは暮らしていけます。」 + ある日、エリシャがシュネムを通りかかると、そこにひとりの裕福な女がいて、彼を食事に引き止めた。それからは、そこを通りかかるたびごとに、そこに寄って、食事をするようになった。 + 女は夫に言った。「いつも私たちのところに立ち寄って行かれるあの方は、きっと神の聖なる方に違いありません。 + ですから、屋上に壁のある小さな部屋を作り、あの方のために寝台と机といすと燭台とを置きましょう。あの方が私たちのところにおいでになるたびに、そこをお使いになれますから。」 + ある日、エリシャはそこに来て、その屋上の部屋に入り、そこで横になった。 + 彼は若い者ゲハジに言った。「ここのシュネムの女を呼びなさい。」彼が呼ぶと、彼女は彼の前に立った。 + エリシャはゲハジに言った。「彼女にこう伝えなさい。『ほんとうに、あなたはこのように、私たちのことでいっしょうけんめいほねおってくれたが、あなたのために何をしたらよいか。王か、それとも、将軍に、何か話してほしいことでもあるか。』」彼女は答えた。「私は私の民の中で、しあわせに暮らしております。」 + エリシャは言った。「では、彼女のために何をしたら良いだろうか。」ゲハジは言った。「彼女には子どもがなく、それに、彼女の夫も年をとっています。」 + エリシャが、「彼女を呼んで来なさい」と言ったので、ゲハジが彼女を呼ぶと、彼女は入口のところに立った。 + エリシャは言った。「来年の今ごろ、あなたは男の子を抱くようになろう。」彼女は言った。「いいえ。あなたさま。神の人よ。このはしために偽りを言わないでください。」 + しかし、この女はみごもり、エリシャが彼女に告げたとおり、翌年のちょうどそのころ、男の子を産んだ。 + その子が、大きくなって、ある日、刈り入れ人といっしょにいる父のところに出て行ったとき、 + 父親に、「私の頭が、頭が」と言ったので、父親は若者に、「この子を母親のところに抱いて行ってくれ」と命じた。 + 若者はその子を抱いて、母親のところに連れて行った。この子は昼まで母親のひざの上に休んでいたが、ついに死んだ。 + 彼女は屋上に上がって行って、神の人の寝台にその子を寝かし、戸をしめて出て来た。 + 彼女は夫に呼びかけて言った。「どうぞ、若者のひとりと、雌ろば一頭を私によこしてください。私は急いで、神の人のところに行って、すぐ戻って来ますから。」 + すると彼は、「どうして、きょう、あの人のところに行くのか。新月祭でもなく、安息日でもないのに」と言ったが、彼女は、「それでも、かまいません」と答えた。 + 彼女は雌ろばに鞍を置き、若者に命じた。「手綱を引いて、進んで行きなさい。私が命じなければ、手綱をゆるめてはいけません。」 + こうして、彼女は出かけ、カルメル山の神の人のところへ行った。神の人は、遠くから彼女を見つけると、若い者ゲハジに言った。「ご覧。あのシュネムの女があそこに来ている。 + さあ、走って行き、彼女を迎え、『あなたは無事ですか。あなたのご主人は無事ですか。お子さんは無事ですか』と言いなさい。」それで彼女は答えた。「無事です。」 + それから、彼女は山の上の神の人のところに来て、彼の足にすがりついた。ゲハジが彼女を追い払おうと近寄ると、神の人は言った。「そのままにしておきなさい。彼女の心に悩みがあるのだから。主はそれを私に隠され、まだ、私に知らせておられないのだ。」 + 彼女は言った。「私があなたさまに子どもを求めたでしょうか。この私にそんな気休めを言わないでくださいと申し上げたではありませんか。」 + そこで、彼はゲハジに言った。「腰に帯を引き締め、手に私の杖を持って行きなさい。たといだれに会っても、あいさつしてはならない。また、たといだれがあいさつしても、答えてはならない。そして、私の杖をあの子の顔の上に置きなさい。」 + その子の母親は言った。「主は生きておられ、あなたのたましいも生きています。私は決してあなたを離しません。」そこで、彼は立ち上がり、彼女のあとについて行った。 + ゲハジは、ふたりより先に行って、その杖を子どもの顔の上に置いたが、何の声もなく、何の応答もなかったので、引き返して、エリシャに会い、「子どもは目をさましませんでした」と言って彼に報告した。 + エリシャが家に着くと、なんと、その子は死んで、寝台の上に横たわっていた。 + エリシャは中に入り、戸をしめて、ふたりだけになって、主に祈った。 + それから、寝台の上に上がり、その子の上に身を伏せ、自分の口を子どもの口の上に、自分の目を子どもの目の上に、自分の両手を子どもの両手の上に重ねて、子どもの上に身をかがめると、子どものからだが暖かくなってきた。 + それから彼は降りて、部屋の中をあちら、こちらと歩き回り、また、寝台の上に上がり、子どもの上に身をかがめると、子どもは七回くしゃみをして目を開いた。 + 彼はゲハジを呼んで、「あのシュネムの女を呼んで来なさい」と言いつけた。ゲハジが彼女を呼んだので、彼女はエリシャのところに来た。そこで、エリシャは、「あなたの子どもを抱き上げなさい」と言った。 + 彼女は入って来て、彼の足もとにひれ伏し、地に伏しておじぎをした。そして、子どもを抱き上げて出て行った。 + エリシャがギルガルに帰って来たとき、この地にききんがあった。預言者のともがらが彼の前にすわっていたので、彼は若い者に命じた。「大きなかまを火にかけ、預言者のともがらのために、煮物を作りなさい。」 + 彼らのひとりが食用の草を摘みに野に出て行くと、野生のつる草を見つけたので、そのつるから野生のうりを前掛けにいっぱい取って、帰って来た。そして、彼は煮物のかまの中にそれを切り込んだ。彼らはそれが何であるか知らなかったからである。 + 彼らはみなに食べさせようとして、これをよそった。みながその煮物を口にするや、叫んで言った。「神の人よ。かまの中に毒が入っています。」彼らは食べることができなかった。 + エリシャは言った。「では、麦粉を持って来なさい。」彼はそれをかまに投げ入れて言った。「これをよそって、この人たちに食べさせなさい。」その時にはもう、かまの中には悪い物はなくなっていた。 + ある人がバアル・シャリシャから来て、神の人に初穂のパンである大麦のパン二十個と、一袋の新穀とを持って来た。神の人は、「この人たちに与えて食べさせなさい」と命じた。 + 彼の召使いは、「これだけで、どうして百人もの人に分けられましょう」と言った。しかし、エリシャは言った。「この人たちに与えて食べさせなさい。主はこう仰せられる。『彼らは食べて残すだろう。』」 + そこで、召使いが彼らに配ると、彼らは食べた。主のことばのとおり、それはあり余った。 + + + アラムの王の将軍ナアマンは、その主君に重んじられ、尊敬されていた。主がかつて彼によってアラムに勝利を得させられたからである。この人は勇士で、ツァラアトに冒されていた。 + アラムはかつて略奪に出たとき、イスラエルの地から、ひとりの若い娘を捕らえて来ていた。彼女はナアマンの妻に仕えていたが、 + その女主人に言った。「もし、ご主人さまがサマリヤにいる預言者のところに行かれたら、きっと、あの方がご主人さまのツァラアトを直してくださるでしょうに。」 + それで、ナアマンはその主君のところに行き、イスラエルの地から来た娘がこれこれのことを言いました、と告げた。 + アラムの王は言った。「行って来なさい。私がイスラエルの王にあてて手紙を送ろう。」そこで、ナアマンは銀十タラントと、金六千シェケルと、晴れ着十着とを持って出かけた。 + 彼はイスラエルの王あての次のような手紙を持って行った。「さて、この手紙があなたに届きましたら、実は家臣ナアマンをあなたのところに送りましたので、彼のツァラアトを直してくださいますように。」 + イスラエルの王はこの手紙を読むと、自分の服を引き裂いて言った。「私は殺したり、生かしたりすることのできる神であろうか。この人はこの男を送って、ツァラアトを直せと言う。しかし、考えてみなさい。彼は私に言いがかりをつけようとしているのだ。」 + 神の人エリシャは、イスラエルの王が服を引き裂いたことを聞くと、王のもとに人をやって言った。「あなたはどうして服を引き裂いたりなさるのですか。彼を私のところによこしてください。そうすれば、彼はイスラエルに預言者がいることを知るでしょう。」 + こうして、ナアマンは馬と戦車をもって来て、エリシャの家の入口に立った。 + エリシャは、彼に使いをやって、言った。「ヨルダン川へ行って七たびあなたの身を洗いなさい。そうすれば、あなたのからだが元どおりになってきよくなります。」 + しかしナアマンは怒って去り、そして言った。「何ということだ。私は彼がきっと出て来て、立ち、彼の神、主の名を呼んで、この患部の上で彼の手を動かし、このツァラアトに冒された者を直してくれると思っていたのに。 + ダマスコの川、アマナやパルパルは、イスラエルのすべての川にまさっているではないか。これらの川で洗って、私がきよくなれないのだろうか。」こうして、彼は怒って帰途についた。 + そのとき、彼のしもべたちが近づいて彼に言った。「わが父よ。あの預言者が、もしも、むずかしいことをあなたに命じたとしたら、あなたはきっとそれをなさったのではありませんか。ただ、彼はあなたに『身を洗って、きよくなりなさい』と言っただけではありませんか。」 + そこで、ナアマンは下って行き、神の人の言ったとおりに、ヨルダン川に七たび身を浸した。すると彼のからだは元どおりになって、幼子のからだのようになり、きよくなった。 + そこで、彼はその一行の者を全部連れて神の人のところに引き返し、彼の前に来て、立って言った。「私は今、イスラエルのほか、世界のどこにも神はおられないことを知りました。それで、どうか今、あなたのしもべからの贈り物を受け取ってください。」 + 神の人は言った。「私が仕えている主は生きておられる。私は決して受け取りません。」それでも、ナアマンは、受け取らせようとしきりに彼に勧めたが、彼は断った。 + そこでナアマンは言った。「だめでしたら、どうか二頭の騾馬に載せるだけの土をしもべに与えてください。しもべはこれからはもう、ほかの神々に全焼のいけにえや、その他のいけにえをささげず、ただ主にのみささげますから。 + 主が次のことをしもべにお許しくださいますように。私の主君がリモンの神殿に入って、そこで拝む場合、私の腕に寄りかかります。それで私もリモンの神殿で身をかがめます。私がリモンの神殿で身をかがめるとき、どうか、主がこのことをしもべにお許しくださいますように。」 + エリシャは彼に言った。「安心して行きなさい。」そこでナアマンは彼から離れて、かなりの道のりを進んで行った。 + そのとき、神の人エリシャに仕える若い者ゲハジはこう考えた。「なんとしたことか。私の主人は、あのアラム人ナアマンが持って来た物を受け取ろうとはしなかった。主は生きておられる。私は彼のあとを追いかけて行き、必ず何かをもらって来よう。」 + ゲハジはナアマンのあとを追って行った。ナアマンは、うしろから駆けて来る者を見つけると、戦車から降りて、彼を迎え、「何か変わったことでも」と尋ねた。 + そこで、ゲハジは言った。「変わったことはありませんが、私の主人は私にこう言ってよこしました。『たった今、エフライムの山地から、預言者のともがらのふたりの若い者が私のところにやって来ましたから、どうぞ、彼らに銀一タラントと、晴れ着二着をやってください。』」 + するとナアマンは、「どうぞ。思い切って二タラントを取ってください」と言って、しきりに勧め、二つの袋に入れた銀二タラントと、晴れ着二着を、自分のふたりの若い者に渡した。それで彼らはそれを背負ってゲハジの先に立って進んだ。 + ゲハジは丘に着くと、それを彼らから受け取って家の中にしまい込み、ふたりの者を帰らせたので、彼らは去って行った。 + 彼が家に入って主人の前に立つと、エリシャは彼に言った。「ゲハジ。あなたはどこへ行って来たのか。」彼は答えた。「しもべはどこへも行きませんでした。」 + エリシャは彼に言った。「あの人があなたを迎えに戦車から降りて来たとき、私の心もあなたといっしょに行っていたではないか。今は銀を受け、着物を受け、オリーブ畑やぶどう畑、羊や牛、男女の奴隷を受ける時だろうか。 + ナアマンのツァラアトは、いつまでもあなたとあなたの子孫とにまといつく。」彼はツァラアトに冒され、雪のようになって、エリシャの前から出て来た。 + + + 預言者のともがらがエリシャに、「ご覧のとおり、私たちがあなたといっしょに住んでいるこの場所は狭くなりましたので、 + ヨルダン川に行きましょう。そこからめいめい一本ずつ材木を切り出して、そこに、私たちの住む所を作りましょう」と言うと、エリシャは、「行きなさい」と言った。 + すると、そのひとりが、「あなたもどうか、思い切ってしもべたちといっしょに行ってください」と言ったので、エリシャは、「では、私も行こう」と言って、 + 彼らといっしょに出かけた。彼らは、ヨルダン川に着くと、木を切り倒した。 + ひとりが材木を倒しているとき、斧の頭を水の中に落としてしまった。彼は叫んで言った。「ああ、わが主。あれは借り物です。」 + 神の人は言った。「どこに落としたのか。」彼がその場所を示すと、エリシャは一本の枝を切って、そこに投げ込み、斧の頭を浮かばせた。 + 彼が、「それを拾い上げなさい」と言ったので、その人は手を伸ばして、それを取り上げた。 + アラムの王がイスラエルと戦っていたとき、王は家来たちと相談して言った。「これこれの所に陣を敷こう。」 + そのとき、神の人はイスラエルの王のもとに人をやって言った。「あの場所を通らないように注意しなさい。あそこにはアラムが下って来ますから。」 + イスラエルの王は神の人が告げたその場所に人をやった。神の人が警告すると、王はそこを警戒した。このようなことは一度や二度ではなかった。 + このことで、アラムの王の心は怒りに燃え、家来たちを呼んで言った。「われわれのうち、だれが、イスラエルの王と通じているのか、あなたがたは私に告げないのか。」 + すると家来のひとりが言った。「いいえ、王さま。イスラエルにいる預言者エリシャが、あなたが寝室の中で語られることばまでもイスラエルの王に告げているのです。」 + 王は言った。「行って、彼がどこにいるかを突き止めなさい。人をやって、彼をつかまえよう。」そのうちに、「今、彼はドタンにいる」という知らせが王にもたらされた。 + そこで王は馬と戦車と大軍とをそこに送った。彼らは夜のうちに来て、その町を包囲した。 + 神の人の召使いが、朝早く起きて、外に出ると、なんと、馬と戦車の軍隊がその町を包囲していた。若い者がエリシャに、「ああ、ご主人さま。どうしたらよいのでしょう」と言った。 + すると彼は、「恐れるな。私たちとともにいる者は、彼らとともにいる者よりも多いのだから」と言った。 + そして、エリシャは祈って主に願った。「どうぞ、彼の目を開いて、見えるようにしてください。」主がその若い者の目を開かれたので、彼が見ると、なんと、火の馬と戦車がエリシャを取り巻いて山に満ちていた。 + アラムがエリシャに向かって下って来たとき、彼は主に祈って言った。「どうぞ、この民を打って、盲目にしてください。」そこで主はエリシャのことばのとおり、彼らを打って、盲目にされた。 + エリシャは彼らに言った。「こちらの道でもない。あちらの町でもない。私について来なさい。あなたがたの捜している人のところへ連れて行ってやろう。」こうして、彼らをサマリヤへ連れて行った。 + 彼らがサマリヤに着くと、エリシャは言った。「主よ。この者たちの目を開いて、見えるようにしてください。」主が彼らの目を開かれたので、彼らが見ると、なんと、彼らはサマリヤの真ん中に来ていた。 + イスラエルの王は彼らを見て、エリシャに言った。「私が打ちましょうか。私が打ちましょうか。わが父よ。」 + エリシャは言った。「打ってはなりません。あなたは自分の剣と弓でとりこにした者を打ち殺しますか。彼らにパンと水をあてがい、飲み食いさせて、彼らの主君のもとに行かせなさい。」 + そこで、王は彼らのために盛大なもてなしをして、彼らに飲み食いをさせて後、彼らを帰した。こうして彼らは自分たちの主君のもとに戻って行った。それからはアラムの略奪隊は、二度とイスラエルの地に侵入して来なかった。 + この後、アラムの王ベン・ハダデは全軍を召集し、サマリヤに上って来て、これを包囲した。 + そのころ、サマリヤには、ひどいききんがあった。そのうえ、彼らが包囲していたので、ろばの頭一つが銀八十シェケルで売られ、鳩の糞一カブの四分の一が銀五シェケルで売られるようになった。 + イスラエルの王が城壁の上を通りかかると、ひとりの女が彼に叫んで言った。「王さま。お救いください。」 + 王は言った。「主があなたを救われないのなら、どのようにして、私があなたを救うことができようか。打ち場の物をもってか。それとも、酒ぶねの物をもってか。」 + それから王は彼女に尋ねた。「いったい、どうしたというのか。」彼女は答えた。「この女が私に『あなたの子どもをよこしなさい。私たちはきょう、それを食べて、あすは私の子どもを食べましょう』と言ったのです。 + それで、私たちは、私の子どもを煮て、食べました。その翌日、私は彼女に『さあ、あなたの子どもをよこしなさい。私たちはそれを食べましょう』と言ったのですが、彼女は自分の子どもを隠してしまったのです。」 + 王はこの女の言うことを聞くと、自分の服を引き裂いた。彼は城壁の上を通っていたので、民が見ると、なんと、王は服の下に荒布を着ていた。 + 彼は言った。「きょう、シャファテの子エリシャの首が彼の上についていれば、神がこの私を幾重にも罰せられますように。」32エリシャは自分の家にすわっており、長老たちも彼といっしょにすわっていた。王はひとりの者を自分のもとから遣わした。しかし、その使者がエリシャのところに着く前に、エリシャは長老たちに言った。「あの人殺しが、私の首をはねに人を遣わしたのをご存じですか。気をつけなさい。使者が来たら、戸をしめ、戸を押しても入れないようにしなさい。そのうしろに、彼の主君の足音がするではありませんか。」 + - + 彼がまだ彼らと話しているうちに、使者が彼のところに下って来て言った。「見よ。これは、主からのわざわいだ。これ以上、何を私は主に期待しなければならないのか。」 + + + エリシャは言った。「主のことばを聞きなさい。主はこう仰せられる。『あすの今ごろ、サマリヤの門で、上等の小麦粉一セアが一シェケルで、大麦二セアが一シェケルで売られるようになる。』」 + しかし、侍従で、王がその腕に寄りかかっていた者が、神の人に答えて言った。「たとい、主が天に窓を作られるにしても、そんなことがあるだろうか。」そこで、彼は言った。「確かに、あなたは自分の目でそれを見るが、それを食べることはできない。」 + さて、四人のツァラアトに冒された人が、町の門の入口にいた。彼らは互いに言った。「私たちはどうして死ぬまでここにすわっていなければならないのだろうか。 + たとい、私たちが町に入ろうと言っても、町はききんなので、私たちはそこで死ななければならない。ここにすわっていても死んでしまう。さあ今、アラムの陣営に入り込もう。もし彼らが私たちを生かしておいてくれるなら、私たちは生きのびられる。もし殺すなら、そのときは死ぬまでのことだ。」 + こうして、彼らはアラムの陣営に行こうと、夕暮れになって立ち上がり、アラムの陣営の端まで来た。見ると、なんと、そこにはだれもいなかった。 + 主がアラムの陣営に、戦車の響き、馬のいななき、大軍勢の騒ぎを聞かせられたので、彼らは口々に、「あれ。イスラエルの王が、ヘテ人の王たち、エジプトの王たちを雇って、われわれを襲うのだ」と言って、 + 夕暮れになると、彼らは立って逃げ、彼らの天幕や馬やろば、すなわち、陣営をそのまま置き去りにして、いのちからがら逃げ去ったのであった。 + このツァラアトに冒された人たちは、陣営の端に来て、一つの天幕に入り、食べたり飲んだりして、そこから、銀や金や衣服を持ち出し、それを隠しに行った。また、戻って来ては、ほかの天幕に入り、そこから持ち出し、それを隠しに行った。 + 彼らは話し合って言った。「私たちのしていることは正しくない。きょうは、良い知らせの日なのに、私たちはためらっている。もし明け方まで待っていたら、私たちは罰を受けるだろう。さあ、行って、王の家に知らせよう。」 + 彼らは町に行って、門衛を呼び、彼らに告げて言った。「私たちがアラムの陣営に入ってみると、もう、そこにはだれもおらず、人の声もありませんでした。ただ、馬やろばがつながれたままで、天幕もそっくりそのままでした。」 + そこで門衛たちは叫んで、門のうちの王の家に告げた。 + 王は夜中に起きて家来たちに言った。「アラムが私たちに対して計ったことをあなたがたに教えよう。彼らは私たちが飢えているのを知っているので、陣営から出て行って野に隠れ、あいつらが町から出て来たら、生けどりにし、それから町に押し入ろう、と考えているのだ。」 + すると、家来のひとりが答えて言った。「それでは、だれかにこの町に残っている馬の中から五頭だけ取らせ、その者たちを遣わして偵察してみましょう。どうせ彼らはこの町に残っているイスラエルの全民衆と同じめに会い、または、すでに滅ぼされたイスラエルの全民衆と同じめに会うのですから。」 + 彼らが二台分の戦車の馬を取ると、王は、「行って、偵察して来なさい」と命じ、アラムの陣営のあとを追わせた。 + 彼らはアラムのあとを追って、ヨルダン川まで行った。ところが、なんと、道は至る所、アラムがあわてて逃げるとき捨てていった衣服や武具でいっぱいであった。使者たちは帰って来て、このことを王に報告した。 + そこで、民は出て行き、アラムの陣営をかすめ奪ったので、主のことばのとおり、上等の小麦粉一セアが一シェケルで、大麦二セアが一シェケルで売られた。 + 王は例の侍従、その腕に王が寄りかかっていた侍従を門の管理に当たらせたが、民が門で彼を踏みつけたので、彼は死んだ。王が神の人のところに下って行ったとき話した神の人のことばのとおりであった。 + 神の人が王に、「あすの今ごろ、サマリヤの門で、大麦二セアが一シェケルで、上等の小麦粉一セアが一シェケルで売られるようになる」と言ったとき、 + 侍従は神の人に答えて、「たとい、主が天に窓を作られるにしても、そんなことがあるだろうか」と言った。そこで、彼は、「確かに、あなたは自分の目でそれを見るが、それを食べることはできない」と言った。 + そのとおりのことが彼に実現した。民が門で彼を踏みつけたので、彼は死んだ。 + + + エリシャは、かつて子どもを生き返らせてやったあの女に言った。「あなたは家族の者たちと旅に立ち、あなたがとどまっていたい所に、しばらくとどまっていなさい。主がききんを起こされたので、この国は七年間、ききんに見舞われるから。」 + そこで、この女は神の人のことばに従って出発し、家族の者を連れてペリシテ人の地に行き、七年間滞在した。 + 七年たって後、彼女はペリシテ人の地から戻って来て、自分の家と畑を得ようと王に訴え出た。 + そのころ、王は神の人に仕える若い者ゲハジに、「エリシャが行ったすばらしいことを、残らず私に聞かしてくれ」と言って、話していた。 + 彼が王に、死人を生き返らせたあのことを話していると、ちょうどそこに、子どもを生き返らせてもらった女が、自分の家と畑のことについて王に訴えに来た。そこで、ゲハジは言った。「王さま。これがその女です。これが、エリシャが生き返らせたその子どもです。」 + 王が彼女に尋ねると、彼女は王にそのことを話した。そこで、王は彼女のためにひとりの宦官に命じて言った。「彼女の物は全部返してやりなさい。それに、彼女がこの地を離れた日から、きょうまでの畑の収穫もみな、返してやりなさい。」 + エリシャがダマスコに行ったとき、アラムの王ベン・ハダデは病気であったが、彼に「神の人がここまで来ました」という知らせがあった。 + 王はハザエルに言った。「贈り物を持って行って、神の人を迎え、私のこの病気が直るかどうか、あの人を通して主のみこころを求めてくれ。」 + そこで、ハザエルはダマスコのあらゆる良い物をらくだ四十頭に載せ、贈り物として携えて、彼を迎えに行った。彼は神の人の前に行って立ち、そして言った。「あなたの子、アラムの王ベン・ハダデが、『この病気は直るであろうか』と言ってあなたのところへ私をよこしました。」 + エリシャは彼に言った。「行って、『あなたは必ず直る』と彼に告げなさい。しかし、主は私に、彼が必ず死ぬことも示された。」 + 神の人は、彼が恥じるほど、じっと彼を見つめ、そして泣き出したので、 + ハザエルは尋ねた。「あなたさまは、なぜ泣くのですか。」エリシャは答えた。「私は、あなたがイスラエルの人々に害を加えようとしていることを知っているからだ。あなたは、彼らの要塞に火を放ち、その若い男たちを剣で切り殺し、幼子たちを八つ裂きにし、妊婦たちを切り裂くだろう。」 + ハザエルは言った。「しもべは犬にすぎないのに、どうして、そんなだいそれたことができましょう。」しかし、エリシャは言った。「主は私に、あなたがアラムの王になると、示されたのだ。」 + 彼はエリシャのもとを去り、自分の主君のところに帰った。王が彼に、「エリシャはあなたに何と言ったか」と尋ねると、彼は、「あなたは必ず直る、と彼は言いました」と答えた。 + しかし、翌日、ハザエルは毛布を取って、それを水に浸し、王の顔にかぶせたので、王は死んだ。こうして、ハザエルは彼に代わって王となった。 + イスラエルの王アハブの子ヨラムの第五年に――ヨシャパテがユダの王であったが――ユダの王ヨシャパテの子ヨラムが王となった。 + 彼は三十二歳で王となり、エルサレムで八年間、王であった。 + 彼はアハブの家の者がしたように、イスラエルの王たちの道に歩んだ。アハブの娘が彼の妻であったからである。彼は主の目の前に悪を行ったが、 + 主は、そのしもべダビデに免じて、ユダを滅ぼすことを望まれなかった。主はダビデとその子孫にいつまでもともしびを与えようと、彼に約束されたからである。 + ヨラムの時代に、エドムがそむいて、ユダの支配から脱し、自分たちの上に王を立てた。 + ヨラムは、すべての戦車を率いてツァイルへ渡って行き、夜襲を試み、彼を包囲していたエドムと戦車隊長たちを打ったので、その民は自分の天幕に逃げ帰った。 + しかしなお、エドムはそむいて、ユダの支配から脱した。今日もそうである。リブナもまた、その時にそむこうとした。 + ヨラムのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + ヨラムは彼の先祖たちとともに眠り、先祖たちとともにダビデの町に葬られた。彼の子アハズヤが代わって王となった。 + イスラエルの王アハブの子ヨラムの第十二年に、ユダの王ヨラムの子アハズヤが王となった。 + アハズヤは二十二歳で王となり、エルサレムで一年間、王であった。彼の母の名はアタルヤといい、イスラエルの王オムリの孫娘であった。 + 彼はアハブの家の道に歩み、アハブの家にならって主の目の前に悪を行った。彼自身アハブ家の婿になっていたからである。 + 彼はアハブの子ヨラムとともに、アラムの王ハザエルと戦うため、ラモテ・ギルアデに行ったが、アラム人はヨラムに傷を負わせた。 + ヨラム王は、アラムの王ハザエルと戦ったときにラマでアラム人に負わされた傷をいやすため、イズレエルに帰って来た。ユダの王ヨラムの子アハズヤは、アハブの子ヨラムが病気であったので、彼を見舞いにイズレエルに下って行った。 + + + 預言者エリシャは預言者のともがらのひとりを呼んで言った。「腰に帯を引き締め、手にこの油のつぼを持って、ラモテ・ギルアデに行きなさい。 + そこに行ったら、ニムシの子ヨシャパテの子エフーを見つけ、家に入って、その同僚たちの中から彼を立たせ、奥の間に連れて行き、 + 油のつぼを取って、彼の頭の上に油をそそいで言いなさい。『主はこう仰せられる。わたしはあなたに油をそそいでイスラエルの王とする。』それから、戸をあけて、ぐずぐずしていないで逃げなさい。」 + そこで、その若い者、預言者に仕える若い者は、ラモテ・ギルアデに行った。 + 彼が来てみると、ちょうど、将校たちが会議中であった。彼は言った。「隊長。あなたに申し上げることがあります。」エフーは言った。「このわれわれのうちのだれにか。」若い者は、「隊長。あなたにです」と答えた。 + エフーは立って、家に入った。そこで若い者は油をエフーの頭にそそいで言った。「イスラエルの神、主は、こう仰せられる。『わたしはあなたに油をそそいで、主の民イスラエルの王とする。 + あなたは、主君アハブの家の者を打ち殺さなければならない。こうしてわたしは、わたしのしもべである預言者たちの血、イゼベルによって流された主のすべてのしもべたちの血の復讐をする。 + それでアハブの家はことごとく滅びうせる。わたしは、アハブに属する小わっぱから奴隷や自由の者に至るまでを、イスラエルで断ち滅ぼし、 + アハブの家をネバテの子ヤロブアムの家のようにし、アヒヤの子バシャの家のようにする。 + 犬がイズレエルの地所でイゼベルを食らい、だれも彼女を葬る者がいない。』」こう言って彼は戸をあけて逃げた。 + エフーが彼の主君の家来たちのところに出て来ると、ひとりが彼に尋ねた。「何事もなかったのですか。あの気の狂った者は何のために来たのですか。」すると、エフーは彼らに答えた。「あなたがたは、あの男も、あの男の言ったことも知っているはずだ。」 + 彼らは言った。「あなたは偽っている。われわれに教えてくれ。」そこで、彼は答えた。「あの男は私にこんなことを言った。『主はこう仰せられる。わたしはあなたに油をそそいでイスラエルの王とする』と。」 + すると、彼らは大急ぎで、みな自分の上着を脱ぎ、入口の階段の彼の足もとに敷き、角笛を吹き鳴らして、「エフーは王である」と言った。 + こうして、ニムシの子ヨシャパテの子エフーは、ヨラムに対して謀反を起こした。――ヨラムは全イスラエルを率いて、ラモテ・ギルアデでアラムの王ハザエルを防いだが、 + ヨラム王は、アラムの王ハザエルと戦ったときにアラム人に負わされた傷をいやすため、イズレエルに帰って来ていた――エフーは言った。「もし、これがあなたがたの本心であれば、だれもこの町からのがれ出て、イズレエルに知らせに行ってはならない。」 + それから、エフーは車に乗って、イズレエルへ行った。ヨラムがそこで床についており、ユダの王アハズヤもヨラムを見舞いに下っていたからである。 + イズレエルのやぐらの上に、ひとりの見張りが立っていたが、エフーの軍勢がやって来るのを見て、「軍勢が見える」と言った。ヨラムは、「騎兵ひとりを選んで彼らを迎えにやり、お元気ですかと、尋ねさせなさい」と言った。 + そこで、騎兵は彼を迎えに行って言った。「王が、お元気ですかと尋ねておられます。」エフーは言った。「元気かどうか、あなたの知ったことではない。私のうしろについて来い。」一方、見張りは報告して言った。「使者は彼らのところに着きましたが、帰って来ません。」 + そこでヨラムは、もうひとりの騎兵を送った。彼は彼らのところに行って言った。「王が、お元気ですかと尋ねておられます。」すると、エフーは言った。「元気かどうか、あなたの知ったことではない。私のうしろについて来い。」 + 見張りはまた、報告して言った。「あれは彼らのところに着きましたが、帰って来ません。しかし、車の御し方は、ニムシの子エフーの御し方に似ています。気が狂ったように御しています。」 + ヨラムは、「馬をつけよ」と命じた。馬を戦車につけると、イスラエルの王ヨラムとユダの王アハズヤは、おのおの自分の戦車に乗って出て行き、エフーを迎えに出て行った。彼らはイズレエル人ナボテの所有地で彼に出会った。 + ヨラムはエフーを見ると、「エフー。元気か」と尋ねた。エフーは答えた。「何が元気か。あなたの母イゼベルの姦淫と呪術とが盛んに行われているかぎり。」 + それでヨラムは手綱を返して逃げ、アハズヤに、「アハズヤ。悪巧みだ」と叫んだ。 + エフーは弓を力いっぱい引き絞り、ヨラムの両肩の間を射た。矢は彼の心臓を射抜いたので、彼は車の中にくずおれた。 + エフーは侍従のビデカルに命じた。「これを運んで行き、イズレエル人ナボテの所有地であった畑に投げ捨てよ。私とあなたが馬に乗って彼の父アハブのあとに並んで従って行ったとき、主が彼にこの宣告を下されたことを思い出すがよい。 + 『わたしは、きのう、ナボテの血とその子らの血とを確かに見届けた。――主の御告げだ――わたしは、この地所であなたに報復する。――主の御告げだ――』それで今、彼を運んで行って、主のことばのとおり、あの地所に彼を投げ捨てよ。」 + ユダの王アハズヤはこれを見ると、ベテ・ハガンの道へ逃げた。エフーはそのあとを追いかけて、「あいつも打ち取れ」と叫んだので、彼らはイブレアムのそばのグルの坂道で、車の上の彼に傷を負わせた。それでも彼はメギドに逃げたが、そこで死んだ。 + 彼の家来たちは彼を車に載せて、エルサレムに運び、ダビデの町の彼の墓に先祖たちといっしょに葬った。 + アハズヤはアハブの子ヨラムの第十一年に、ユダの王となっていた。 + エフーがイズレエルに来たとき、イゼベルはこれを聞いて、目の縁を塗り、髪を結い直し、窓から見おろしていた。 + エフーが門に入って来たので、彼女は、「元気かね。主君殺しのジムリ」と言った。 + 彼は窓を見上げて、「だれか私にくみする者はいないか。だれかいないか」と言った。二、三人の宦官が彼を見おろしていたので、 + 彼が、「その女を突き落とせ」と言うと、彼らは彼女を突き落とした。それで彼女の血は壁や馬にはねかかった。エフーは彼女を踏みつけた。 + 彼は内に入って飲み食いし、それから言った。「あののろわれた女を見に行って、彼女を葬ってやれ。あれは王の娘だから。」 + 彼らが彼女を葬りに行ってみると、彼女の頭蓋骨と両足と両方の手首しか残っていなかったので、 + 帰って来て、エフーにこのことを知らせた。すると、エフーは言った。「これは、主がそのしもべティシュベ人エリヤによって語られたことばのとおりだ。『イズレエルの地所で犬どもがイゼベルの肉を食らい、 + イゼベルの死体は、イズレエルの地所で畑の上にまかれた肥やしのようになり、だれも、これがイゼベルだと言えなくなる。』」 + + + アハブにはサマリヤに七十人の子どもがあった。エフーは手紙を書いてサマリヤに送り、イズレエルのつかさたちや長老たち、および、アハブの子の養育係たちにこう伝えた。 + 「この手紙が届いたら、あなたがたのところに、あなたがたの主君の子どもたちがおり、戦車も馬も城壁のある町も武器もあなたがたのところにあるのだから、すぐ、 + あなたがたの主君の子どもの中から最もすぐれた正しい人物を選んで、その父の王座に着かせ、あなたがたの主君の家のために戦え。」 + 彼らは非常に恐れて言った。「ふたりの王たちでさえ、彼に当たることができなかったのに、どうしてこのわれわれが当たることができよう。」 + そこで、宮内長官、町のつかさ、長老たち、および、養育係たちは、エフーに人を送って言った。「私どもはあなたのしもべです。あなたが私どもにお命じになることは何でもいたしますが、だれをも王に立てるつもりはありません。あなたのお気に召すようにしてください。」 + そこで、エフーは再び彼らに手紙を書いてこう言った。「もしあなたがたが私に味方し、私の命令に従うのなら、あなたがたの主君の子どもたちの首を取り、あすの今ごろ、イズレエルの私のもとに持って来い。」そのころ、王の子どもたち七十人は、彼らを養育していた町のおもだった人たちのもとにいた。 + その手紙が彼らに届くと、彼らは王の子どもたちを捕らえ、その七十人を切り殺し、その首を幾つかのかごに入れ、それをイズレエルのエフーのもとに送り届けた。 + 使者が来て、「彼らは王の子どもたちの首を持ってまいりました」とエフーに報告した。すると、彼は、「それを二つに分けて積み重ね、朝まで門の入口に置いておけ」と命じた。 + 朝になると、エフーは出て行って立ち、すべての民に言った。「あなたがたには罪はない。聞け。私が主君に対して謀反を起こして、彼を殺したのだ。しかしこれらの者を皆殺しにしたのはだれか。 + だから知れ。主がアハブの家について告げられた主のことばは一つも地に落ちないことを。主は、そのしもべエリヤによってお告げになったことをなされたのだ。」 + そして、エフーは、アハブの家に属する者でイズレエルに残っていた者全部、身分の高い者、親しい者、その祭司たちを、みな打ち殺し、ひとりも生き残る者がないまでにした。 + それから、エフーは立ってサマリヤへ行った。彼は途中、羊飼いのベテ・エケデという所にいた。 + その間に、エフーはユダの王アハズヤの身内の者たちに出会った。彼が「あなたがたはだれか」と聞くと、彼らは、「私たちはアハズヤの身内の者です。王の子どもたちと、王母の子どもたちの安否を気づかって下って来たのです」と答えた。 + エフーは「彼らを生けどりにせよ」と言った。それで人々は彼らを生けどりにした。そして、ベテ・エケデの水ためのところで、彼ら四十二人を殺し、ひとりも残さなかった。 + 彼がそこを去って行くと、彼を迎えに来たレカブの子ヨナダブに出会った。エフーは彼にあいさつして言った。「私の心があなたの心に結ばれているように、あなたの心もそうですか。」ヨナダブは、「そうです」と答えた。「それなら、こちらに手をよこしなさい。」ヨナダブが手を差し出すと、エフーは彼を戦車の上に引き上げて、 + 「私といっしょに来て、私の主に対する熱心さを見なさい」と言った。ふたりは、彼の戦車に乗って、 + サマリヤに行った。エフーはアハブに属する者で、サマリヤに残っていた者を皆殺しにし、その一族を根絶やしにした。主がエリヤにお告げになったことばのとおりであった。 + エフーは民全部を集めて、彼らに言った。「アハブは少ししかバアルに仕えなかったが、エフーは大いに仕えるつもりだ。 + だから今、バアルの預言者や、その信者、および、その祭司たちをみな、私のところに呼び寄せよ。ひとりでも欠けてはならない。私は大いなるいけにえをバアルにささげるつもりである。列席しない者は、だれでも生かしてはおかない。」これは、エフーがバアルの信者たちを滅ぼすために、悪巧みを計ったのである。 + エフーが、「バアルのためにきよめの集会を催しなさい」と命じると、彼らはこれを布告した。 + エフーが全イスラエルに人を遣わしたので、バアルの信者たちはみなやって来た。残っていて、来なかった者はひとりもいなかった。彼らがバアルの宮に入ると、バアルの宮は端から端までいっぱいになった。 + エフーが衣装係に、「バアルの信者全部に祭服を出してやりなさい」と命じたので、彼らのために祭服を取り出した。 + エフーとレカブの子ヨナダブは、バアルの宮に入り、バアルの信者たちに言った。「よく捜して見て、ここに、あなたがたといっしょに、主のしもべたちがひとりもいないようにし、ただ、バアルの信者たちだけがいるようにしなさい。」 + こうして、彼らはいけにえと、全焼のいけにえをささげる準備をした。エフーは八十人の者を宮の外に配置して言った。「私があなたがたの手に渡す者をひとりでものがす者があれば、そのいのちを、のがれた者のいのちに代える。」 + 全焼のいけにえをささげ終わったとき、エフーは近衛兵と侍従たちに言った。「入って行って、彼らを打ち取れ。ひとりも外に出すな。」そこで、近衛兵と侍従たちは剣の刃で彼らを打ち、これを外に投げ捨て、バアルの宮の奥の間にまで踏み込んだ。 + そしてバアルの宮の石の柱を運び出して、これを焼き、 + バアルの石の柱をこわし、バアルの宮もこわし、これを公衆便所とした。それは今日まで残っている。 + このようにして、エフーはバアルをイスラエルから根絶やしにした。 + ただし、エフーは、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪、すなわち、ベテルとダンにあった金の子牛に仕えることをやめようとはしなかった。 + 主はエフーに仰せられた。「あなたはわたしの見る目にかなったことをよくやり遂げ、アハブの家に対して、わたしが心に定めたことをことごとく行ったので、あなたの子孫は四代目まで、イスラエルの王座に着こう。」 + しかし、エフーは、心を尽くしてイスラエルの神、主の律法に歩もうと心がけず、イスラエルに罪を犯させたヤロブアムの罪から離れなかった。 + そのころ、主はイスラエルを少しずつ削り始めておられた。ハザエルがイスラエルの全領土を打ち破ったのである。 + すなわち、ヨルダン川の東側、ガド人、ルベン人、マナセ人のギルアデ全土、つまり、アルノン川のほとりにあるアロエルからギルアデ、バシャンの地方を打ち破った。 + エフーのその他の業績、彼の行ったすべての事、および彼のすべての功績、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + エフーは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をサマリヤに葬った。彼の子エホアハズが代わって王となった。 + エフーがサマリヤでイスラエルの王であった期間は二十八年であった。 + + + アハズヤの母アタルヤは、自分の子が死んだと知ると、ただちに王の一族をことごとく滅ぼした。 + しかし、ヨラム王の娘で、アハズヤの姉妹のエホシェバが、殺される王の子たちの中から、アハズヤの子ヨアシュを盗み出し、彼とそのうばとを寝具をしまう小部屋に入れて、彼をアタルヤから隠した。それで、彼は殺されなかった。 + こうして、彼はうばとともに、主の宮に六年間、身を隠していた。その間、アタルヤがこの国の王であった。 + その第七年目に、エホヤダは使いを遣わして、カリ人、近衛兵の百人隊の長たちを主の宮の自分のもとに連れて来させ、彼らと契約を結び、主の宮で彼らに誓いを立てさせ、彼らに王の子を見せた。 + それから、彼は命じて言った。「あなたがたのなすべきことはこうです。あなたがたのうちの三分の一は、安息日に勤務して王宮の護衛の任務につく者となる。 + 三分の一はスルの門におり、他の三分の一は近衛兵舎の裏の門にいる。あなたがたは交互に王宮の護衛の任務につく。 + あなたがたのうち二組は、みな、安息日に勤務しない者であるが、主の宮で王の護衛の任務につかなければならない。 + おのおの武器を手にし、王の回りを取り囲みなさい。その列を侵す者は殺されなければならない。あなたがたは、王が出るときにも、入るときにも、いつも王とともにいなさい。」 + 百人隊の長たちは、すべて祭司エホヤダが命じたとおりに行った。おのおの自分の部下、すなわち安息日に勤務する者、安息日に勤務しない者を率いて、祭司エホヤダのところに来た。 + 祭司は百人隊の長たちに、主の宮にあったダビデ王の槍と丸い小盾を与えた。 + 近衛兵たちは、ひとりひとり武器を手にして、神殿の右側から神殿の左側まで、祭壇と神殿に向かって王の回りに立った。 + こうしてエホヤダは、王の子を連れ出し、彼に王冠をかぶらせ、さとしの書を渡した。彼らは彼を王と宣言した。そして、彼に油をそそぎ、手をたたいて、「王さま。ばんざい」と叫んだ。 + アタルヤは近衛兵と民の声を聞いて、主の宮の民のところに行った。 + 見ると、なんと、王が定めのとおりに、柱のそばに立っていた。王のかたわらに、隊長たちやラッパ手たちがいた。一般の人々がみな喜んでラッパを吹き鳴らしていた。アタルヤは自分の衣服を引き裂き、「謀反だ。謀反だ」と叫んだ。 + すると、祭司エホヤダは、部隊をゆだねられた百人隊の長たちに命じて言った。「この女を列の間から連れ出せ。この女に従って来る者は剣で殺せ。」祭司が「この女は主の宮で殺されてはならない」と言ったからである。 + 彼らは彼女を取り押さえた。彼女が馬の出入口を通って、王宮に着くと、彼女はそこで殺された。 + エホヤダは、主と王と民との間で、主の民となるという契約を結び、王と民との間でも契約を結んだ。 + 一般の人々はみなバアルの宮に行って、それを取りこわし、その祭壇とその像を徹底的に打ち砕き、バアルの祭司マタンを祭壇の前で殺した。祭司エホヤダは、主の宮の管理を定めた。 + 彼は百人隊の長たち、カリ人、近衛兵たちとすべての一般の人々を率いた。彼らは王を主の宮から連れ下り、近衛兵の門を通って、王宮に入った。彼は王を王座に着けた。 + 一般の人々はみな喜び、この町は平穏であった。彼らはアタルヤを王宮で剣にかけて殺したからである。 + ヨアシュは七歳で王となった。 + + + ヨアシュはエフーの第七年に王となり、エルサレムで四十年間、王であった。彼の母の名はツィブヤといい、ベエル・シェバの出であった。 + ヨアシュは、祭司エホヤダが彼を教えた間はいつも、主の目にかなうことを行った。 + ただし、高き所は取り除かなかった。民はなおも、その高き所でいけにえをささげたり、香をたいたりしていた。 + ヨアシュは祭司たちに言った。「主の宮にささげられる聖別されたすべての金、すなわち、各人に割り当てを課せられた金や、自発的に主の宮にささげられるすべての金は、 + 祭司たちが、めいめい自分の担当する者から受け取り、宮のどこかが破損していれば、その破損の修理にそれを当てなければならない。」 + しかし、ヨアシュ王の第二十三年になっても、祭司たちは宮の破損を修理しなかった。 + それでヨアシュ王は、祭司エホヤダと、祭司たちを呼んで彼らに言った。「なぜ、宮の破損を修理しないのか。もう、あなたがたは、自分の担当する者たちから金を受け取ってはならない。宮の破損に、それを当てなければならないから。」 + 祭司たちは、民から金を受け取らないことと、宮の破損の修理の責任を持たないこととに同意した。 + 祭司エホヤダは、一つの箱を取り、そのふたに穴をあけ、それを祭壇のわき、主の宮の入口の右側に置いた。入口を守る祭司たちは、主の宮に納められる金をみな、そこに置いた。 + 箱の中に金が多くなるのを見て、王の書記と大祭司は、上って来て、それを袋に入れ、主の宮に納められている金を計算した。 + こうして、勘定された金は、主の宮で工事をしている監督者たちの手に渡された。彼らはそれを主の宮で働く木工や建築師たち、 + 石工や石切り工たちに支払い、また、主の宮の破損修理のための木材や切り石を買うために支払った。つまり、宮の修理のための出費全部のために支払った。 + ただし、主の宮に納められる金で、主の宮のために銀の皿、心切りばさみ、鉢、ラッパなど、すべての金の器、銀の器を作ることはなかった。 + ただ、これを工事する者に渡し、これを主の宮の修理に当てた。 + また、工事する者に支払うように金を渡した人々と、残高を勘定することもしなかった。彼らが忠実に働いていたからである。 + 罪過のためのいけにえの金と、罪のためのいけにえの金とは、主の宮に納められず、祭司たちのものとなった。 + そのとき、アラムの王ハザエルが上って来てガテを攻め、これを取った。それから、ハザエルはエルサレムを目ざして攻め上った。 + それでユダの王ヨアシュは、自分の先祖であるユダの王ヨシャパテ、ヨラム、アハズヤが聖別してささげたすべての物、および自分自身が聖別してささげた物、主の宮と王宮との宝物倉にあるすべての金を取って、アラムの王ハザエルに送ったので、ハザエルはエルサレムから去って行った。 + ヨアシュのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + ヨアシュの家来たちは立ち上がって謀反を起こし、シラに下って行くヨアシュをミロの家で打ち殺した。 + 彼の家来シムアテの子ヨザバデとショメルの子エホザバデが彼を打った。それで彼は死んだ。人々は彼をダビデの町に先祖たちといっしょに葬った。彼の子アマツヤが代わって王となった。 + + + ユダの王アハズヤの子ヨアシュの第二十三年に、エフーの子エホアハズがサマリヤでイスラエルの王となり、十七年間、王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪を犯し続けて、それをやめなかった。 + それで、主の怒りがイスラエルに向かって燃え上がり、主は彼らをアラムの王ハザエル、および、ハザエルの子ベン・ハダデの手にいつまでも渡しておられた。 + しかし、エホアハズが主に願ったので、主はこれを聞き入れられた。アラムの王のしいたげによって、イスラエルがしいたげられているのを見られたからである。 + 主がイスラエル人にひとりの救い手を与えられたとき、イスラエルの人々はアラムの支配を脱し、以前のように、自分たちの天幕に住むようになった。 + それにもかかわらず、彼らはイスラエルに罪を犯させたヤロブアム家の罪を離れず、なおそれを行い続け、アシェラ像もサマリヤに立ったままであった。 + また、アラムの王が彼らを滅ぼして、打穀のときのちりのようにしたので、エホアハズには騎兵五十、戦車十台、歩兵一万だけの軍隊しか残されていなかった。 + エホアハズのその他の業績、彼の行ったすべての事、およびその功績、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + エホアハズは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をサマリヤに葬った。彼の子ヨアシュが代わって王となった。 + ユダの王ヨアシュの第三十七年に、エホアハズの子ヨアシュがサマリヤでイスラエルの王となり、十六年間、王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムのすべての罪から離れず、なおそれを行い続けた。 + ヨアシュのその他の業績、彼の行ったすべての事、およびユダの王アマツヤと戦ったその功績、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + ヨアシュは彼の先祖たちとともに眠り、ヤロブアムがその王座に着いた。ヨアシュはイスラエルの王たちとともにサマリヤに葬られた。 + エリシャが死の病をわずらっていたときのことである。イスラエルの王ヨアシュは、彼のところに下って行き、彼の上に泣き伏して、「わが父。わが父。イスラエルの戦車と騎兵たち」と叫んだ。 + エリシャが王に、「弓と矢を取りなさい」と言ったので、彼は弓と矢をエリシャのところに持って行った。 + 彼はイスラエルの王に、「弓に手をかけなさい」と言ったので、彼は手をかけた。すると、エリシャは自分の手を王の手の上にのせて、 + 「東側の窓をあけなさい」と言ったので、彼がそれをあけると、エリシャはさらに言った。「矢を射なさい。」彼が矢を射ると、エリシャは言った。「主の勝利の矢。アラムに対する勝利の矢。あなたはアフェクでアラムを打ち、これを絶ち滅ぼす。」 + ついでエリシャは、「矢を取りなさい」と言った。彼が取ると、エリシャはイスラエルの王に、「それで地面を打ちなさい」と言った。すると彼は三回打ったが、それでやめた。 + 神の人は彼に向かい怒って言った。「あなたは、五回、六回、打つべきだった。そうすれば、あなたはアラムを打って、絶ち滅ぼしたことだろう。しかし、今は三度だけアラムを打つことになろう。」 + こうして、エリシャは死んで葬られた。モアブの略奪隊は、年が改まるたびにこの国に侵入していた。 + 人々が、ひとりの人を葬ろうとしていたちょうどその時、略奪隊を見たので、その人をエリシャの墓に投げ入れて去って行った。その人がエリシャの骨に触れるや、その人は生き返り、自分の足で立ち上がった。 + アラムの王ハザエルは、エホアハズの生きている間中、イスラエル人をしいたげたが、 + 主は、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約のために、彼らを恵み、あわれみ、顧みて、彼らを滅ぼし尽くすことは望まず、今日まで彼らから御顔をそむけられなかった。 + アラムの王ハザエルは死に、その子ベン・ハダデが代わって王となった。 + エホアハズの子ヨアシュは、その父エホアハズの手からハザエルが戦い取った町々を、ハザエルの子ベン・ハダデの手から取り返した。すなわち、ヨアシュは三度彼を打ち破って、イスラエルの町々を取り返した。 + + + イスラエルの王エホアハズの子ヨアシュの第二年に、ユダの王ヨアシュの子アマツヤが王となった。 + 彼は二十五歳で王となり、エルサレムで二十九年間、王であった。彼の母の名はエホアダンといい、エルサレムの出であった。 + 彼は主の目にかなうことを行ったが、彼の父祖、ダビデのようではなく、すべて父ヨアシュが行ったとおりを行った。 + ただし、高き所は取り除かなかった。民はなおも、その高き所でいけにえをささげたり、香をたいたりしていた。 + 王国が彼の手によって強くなると、彼は自分の父、王を打った家来たちを打ち殺した。 + しかし、その殺害者の子どもたちは殺さなかった。モーセの律法の書にしるされているところによったのである。主はこう命じておられた。「父親が子どものために殺されてはならない。子どもが父親のために殺されてはならない。人が殺されるのは、ただ、自分の罪のためにでなければならない。」 + アマツヤは塩の谷で一万人のエドム人を打ち殺し、セラを取り、その所をヨクテエルと呼んだ。今日もそうである。 + そのとき、アマツヤは、エフーの子エホアハズの子、イスラエルの王ヨアシュに、使者を送って言った。「さあ、勝敗を決めようではないか。」 + すると、イスラエルの王ヨアシュは、ユダの王アマツヤに使者を送って言った。「レバノンのあざみが、レバノンの杉に使者を送って、『あなたの娘を私の息子の嫁にくれないか』と言ったが、レバノンの野の獣が通り過ぎて、そのあざみを踏みにじった。 + あなたは、エドムを打ちに打って、それであなたの心は高ぶっている。誇ってもよいが、自分の家にとどまっていなさい。なぜ、争いをしかけてわざわいを求め、あなたもユダも共に倒れようとするのか。」 + しかし、アマツヤが聞き入れなかったので、イスラエルの王ヨアシュは攻め上った。それで彼とユダの王アマツヤは、ユダのベテ・シェメシュで対戦したが、 + ユダはイスラエルに打ち負かされ、おのおの自分の天幕に逃げ帰った。 + イスラエルの王ヨアシュは、アハズヤの子ヨアシュの子、ユダの王アマツヤを、ベテ・シェメシュで捕らえ、エルサレムに来て、エルサレムの城壁をエフライムの門から隅の門まで、四百キュビトにわたって打ちこわした。 + 彼は、主の宮と王宮の宝物倉にあったすべての金と銀、およびすべての器具、それに人質を取って、サマリヤに帰った。 + ヨアシュの行ったその他の業績、その功績、およびユダの王アマツヤと戦った戦績、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + ヨアシュは彼の先祖たちとともに眠り、イスラエルの王たちとともにサマリヤに葬られた。彼の子ヤロブアムが代わって王となった。 + ユダの王ヨアシュの子アマツヤは、イスラエルの王エホアハズの子ヨアシュが死んで後、なお十五年生きながらえた。 + アマツヤのその他の業績、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + エルサレムで人々が彼に対して謀反を企てたとき、彼はラキシュに逃げた。しかし、彼らはラキシュまで追いかけて、そこで彼を殺した。 + 彼らは彼を馬にのせて行った。彼はエルサレムで先祖たちとともにダビデの町に、葬られた。 + ユダの民はみな、当時十六歳であったアザルヤを立てて、その父アマツヤの代わりに王とした。 + 彼は、アマツヤが先祖たちとともに眠って後、エラテを再建し、それをユダに復帰させた。 + ユダの王ヨアシュの子アマツヤの第十五年に、イスラエルの王ヨアシュの子ヤロブアムが王となり、サマリヤで四十一年間、王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムのすべての罪をやめなかった。 + 彼は、レボ・ハマテからアラバの海までイスラエルの領土を回復した。それは、イスラエルの神、主が、そのしもべ、ガテ・ヘフェルの出の預言者アミタイの子ヨナを通して仰せられたことばのとおりであった。 + 主がイスラエルの悩みが非常に激しいのを見られたからである。そこには、奴隷も自由の者もいなくなり、イスラエルを助ける者もいなかった。 + 主はイスラエルの名を天の下から消し去ろうとは言っておられなかった。それで、ヨアシュの子ヤロブアムによって彼らを救われたのである。 + ヤロブアムのその他の業績、彼の行ったすべての事、および彼が戦いにあげた功績、すなわち、かつてユダのものであったダマスコとハマテをイスラエルに取り戻したこと、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + ヤロブアムは、彼の先祖たち、イスラエルの王たちとともに眠り、その子ゼカリヤが代わって王となった。 + + + イスラエルの王ヤロブアムの第二十七年に、ユダの王アマツヤの子アザルヤが王となった。 + 彼は十六歳で王となり、エルサレムで五十二年間、王であった。彼の母の名はエコルヤといい、エルサレムの出であった。 + 彼はすべて父アマツヤが行ったとおりに、主の目にかなうことを行った。 + ただし、高き所は取り除かなかった。民はなおも、その高き所でいけにえをささげたり、香をたいたりしていた。 + 主が王を打たれたので、彼は死ぬ日までツァラアトに冒された者となり、隔ての家に住んだ。王の子ヨタムが宮殿を管理し、この国の人々をさばいていた。 + アザルヤのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + アザルヤが彼の先祖たちとともに眠ったとき、人々は彼をダビデの町に先祖たちといっしょに葬った。彼の子ヨタムが代わって王となった。 + ユダの王アザルヤの第三十八年に、ヤロブアムの子ゼカリヤがサマリヤでイスラエルの王となり、六か月間、王であった。 + 彼は先祖たちがしたように、主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪を離れなかった。 + ヤベシュの子シャルムは、彼に対して謀反を企て、民の前で彼を打ち、彼を殺して、彼に代わって王となった。 + ゼカリヤのその他の業績は、イスラエルの王たちの年代記の書にまさしくしるされている。 + 主がかつてエフーに告げて仰せられたことばは、「あなたの子孫は四代までイスラエルの王座に着く」ということであったが、はたして、そのとおりになった。 + ユダの王ウジヤの第三十九年に、ヤベシュの子シャルムが王となり、サマリヤで一か月間、王であった。 + ガディの子メナヘムは、ティルツァから上ってサマリヤに至り、ヤベシュの子シャルムをサマリヤで打ち、彼を殺して、彼に代わって王となった。 + シャルムのその他の業績、彼の企てた謀反は、イスラエルの王たちの年代記の書にまさしくしるされている。 + そのとき、メナヘムはティルツァから出て行って、ティフサフ、その住民、その地境を打ち破った。彼らが城門を開かなかったのでこれを打ち、その中のすべての妊婦たちを切り裂いた。 + ユダの王アザルヤの第三十九年に、ガディの子メナヘムがイスラエルの王となり、サマリヤで十年間、王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行い、一生、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪から離れなかった。 + アッシリヤの王プルがこの国に来たとき、メナヘムは銀一千タラントをプルに与えた。それは、プルの援助によって、王国を強くするためであった。 + メナヘムは、イスラエルのすべての有力な資産家にそれぞれ銀五十シェケルを供出させ、これをアッシリヤの王に与えたので、アッシリヤの王は引き返して行き、この国にとどまらなかった。 + メナヘムのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはイスラエルの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + メナヘムは彼の先祖たちとともに眠り、その子ペカフヤが代わって王となった。 + ユダの王アザルヤの第五十年に、メナヘムの子ペカフヤがサマリヤでイスラエルの王となり、二年間、王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪を離れなかった。 + 彼の侍従、レマルヤの子ペカは、彼に対して謀反を企て、サマリヤの王宮の高殿で、ペカフヤとアルゴブとアルエとを打ち殺した。ペカには五十人のギルアデ人が加わっていた。ペカは彼を殺し、彼に代わって王となった。 + ペカフヤのその他の業績、彼の行ったすべての事は、イスラエルの王たちの年代記の書にまさしくしるされている。 + ユダの王アザルヤの第五十二年に、レマルヤの子ペカがサマリヤでイスラエルの王となり、二十年間、王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行い、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪を離れなかった。 + イスラエルの王ペカの時代に、アッシリヤの王ティグラテ・ピレセルが来て、イヨン、アベル・ベテ・マアカ、ヤノアハ、ケデシュ、ハツォル、ギルアデ、ガリラヤ、ナフタリの全土を占領し、その住民をアッシリヤへ捕らえ移した。 + そのとき、エラの子ホセアは、レマルヤの子ペカに対して謀反を企て、彼を打って、彼を殺し、ウジヤの子ヨタムの第二十年に、彼に代わって王となった。 + ペカのその他の業績、彼の行ったすべての事は、イスラエルの王たちの年代記の書にまさしくしるされている。 + イスラエルの王レマルヤの子ペカの第二年に、ユダの王ウジヤの子ヨタムが王となった。 + 彼は二十五歳で王となり、エルサレムで十六年間、王であった。彼の母の名はエルシャといい、ツァドクの娘であった。 + 彼は、すべて父ウジヤが行ったとおり、主の目にかなうことを行った。 + ただし、高き所は取り除かなかった。民はなおも高き所でいけにえをささげたり、香をたいたりしていた。彼は主の宮の上の門を建てた。 + ヨタムの行ったその他の業績、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + そのころ、主はアラムの王レツィンとレマルヤの子ペカをユダに送って、これを攻め始めておられた。 + ヨタムは彼の先祖たちとともに眠り、先祖たちとともにその父ダビデの町に葬られた。彼の子アハズが代わって王となった。 + + + レマルヤの子ペカの第十七年に、ユダの王ヨタムの子アハズが王となった。 + アハズは二十歳で王となり、エルサレムで十六年間、王であった。彼はその父祖ダビデとは違って、彼の神、主の目にかなうことを行わず、 + イスラエルの王たちの道に歩み、主がイスラエル人の前から追い払われた異邦の民の、忌みきらうべきならわしをまねて、自分の子どもに火の中をくぐらせることまでした。 + さらに彼は、高き所、丘の上、青々と茂ったすべての木の下で、いけにえをささげ、香をたいた。 + このとき、アラムの王レツィンと、イスラエルの王レマルヤの子ペカが、エルサレムに戦いに上って来てアハズを包囲したが、戦いに勝つことはできなかった。 + そのころ、アラムの王レツィンはエラテをアラムに取り返し、ユダ人をエラテから追い払った。ところが、エドム人がエラテに来て、そこに住みついた。今日もそのままである。 + アハズは使者たちをアッシリヤの王ティグラテ・ピレセルに遣わして言った。「私はあなたのしもべであり、あなたの子です。どうか上って来て、私を攻めているアラムの王とイスラエルの王の手から私を救ってください。」 + アハズが主の宮と王宮の宝物倉にある銀と金を取り出して、それを贈り物として、アッシリヤの王に送ったので、 + アッシリヤの王は彼の願いを聞き入れた。そこでアッシリヤの王はダマスコに攻め上り、これを取り、その住民をキルへ捕らえ移した。彼はレツィンを殺した。 + アハズ王がアッシリヤの王ティグラテ・ピレセルに会うためダマスコに行ったとき、ダマスコにある祭壇を見た。すると、アハズ王は、詳細な作り方のついた、祭壇の図面とその模型を、祭司ウリヤに送った。 + 祭司ウリヤは、アハズ王がダマスコから送ったものそっくりの祭壇を築いた。祭司ウリヤは、アハズ王がダマスコから帰って来るまでに、そのようにした。 + 王はダマスコから帰って来た。その祭壇を見て、王は祭壇に近づき、その上でいけにえをささげた。 + 彼は全焼のいけにえと、穀物のささげ物とを焼いて煙にし、注ぎのささげ物を注ぎ、自分のための和解のいけにえの血をこの祭壇の上に振りかけた。 + 主の前にあった青銅の祭壇は、神殿の前から、すなわち、この祭壇と主の神殿との間から持って来て、この祭壇の北側に据えた。15それから、アハズ王は祭司ウリヤに命じて言った。「朝の全焼のいけにえと夕方の穀物のささげ物、また、王の全焼のいけにえと穀物のささげ物、すべてのこの国の人々の全焼のいけにえとその穀物のささげ物、ならびにこれらに添える注ぎのささげ物を、この大祭壇の上で焼いて煙にしなさい。また全焼のいけにえの血と、他のいけにえの血はすべて、この祭壇の上に振りかけなければならない。青銅の祭壇は、私が伺いを立てるためである。」 + - + 祭司ウリヤは、すべてアハズ王が命じたとおりに行った。 + アハズ王は、車輪つきの台の鏡板を切り離し、その台の上から洗盤をはずし、またその下にある青銅の牛の上から海も降ろして、それを敷石の上に置いた。 + 彼は宮の中に造られていた安息日用のおおいのある道も、外側の王の出入口も、アッシリヤの王のために主の宮から取り除いた。 + アハズの行ったその他の業績、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + アハズは彼の先祖たちとともに眠り、先祖たちとともにダビデの町に葬られた。彼の子ヒゼキヤが代わって王となった。 + + + ユダの王アハズの第十二年に、エラの子ホセアがサマリヤでイスラエルの王となり、九年間、王であった。 + 彼は主の目の前に悪を行ったが、彼以前のイスラエルの王たちのようではなかった。 + アッシリヤの王シャルマヌエセルが攻め上って来た。そのとき、ホセアは彼に服従して、みつぎものを納めた。 + しかし、アッシリヤの王はホセアの謀反に気がついた。ホセアがエジプトの王ソに使者たちを遣わし、アッシリヤの王には年々のみつぎものを納めなかったからである。それで、アッシリヤの王は彼を逮捕して牢獄につないだ。 + アッシリヤの王はこの国全土に攻め上り、サマリヤに攻め上って、三年間これを包囲した。 + ホセアの第九年に、アッシリヤの王はサマリヤを取り、イスラエル人をアッシリヤに捕らえ移し、彼らをハラフと、ハボル、すなわちゴザンの川のほとり、メディヤの町々に住ませた。 + こうなったのは、イスラエルの人々が、彼らをエジプトの地から連れ上り、エジプトの王パロの支配下から解放した彼らの神、主に対して罪を犯し、ほかの神々を恐れ、 + 主がイスラエルの人々の前から追い払われた異邦人の風習、イスラエルの王たちが取り入れた風習に従って歩んだからである。 + イスラエルの人々は、彼らの神、主に対して、正しくないことをひそかに行い、見張りのやぐらから城壁のある町に至るまで、すべての町々に高き所を建て、 + すべての小高い丘の上や、青々と茂ったどの木の下にも石の柱やアシェラ像を立て、 + 主が彼らの前から移された異邦人のように、すべての高き所で香をたき、悪事を行って主の怒りを引き起こした。 + 主が彼らに、「このようなことをしてはならない」と命じておられたのに、彼らは偶像に仕えたのである。 + 主はすべての預言者とすべての先見者を通して、イスラエルとユダとに次のように警告して仰せられた。「あなたがたは悪の道から立ち返れ。わたしがあなたがたの先祖たちに命じ、また、わたしのしもべである預言者たちを通して、あなたがたに伝えた律法全体に従って、わたしの命令とおきてとを守れ。」 + しかし、彼らはこれを聞き入れず、彼らの神、主を信じなかった彼らの先祖たちよりも、うなじのこわい者となった。 + 彼らは主のおきてと、彼らの先祖たちと結ばれた主の契約と、彼らに与えられた主の警告とをさげすみ、むなしいものに従って歩んだので、自分たちもむなしいものとなり、主が、ならってはならないと命じられた周囲の異邦人にならって歩んだ。 + また、彼らの神、主のすべての命令を捨て、自分たちのために、鋳物の像、二頭の子牛の像を造り、さらに、アシェラ像を造り、天の万象を拝み、バアルに仕えた。 + また、自分たちの息子や娘たちに火の中をくぐらせ、占いをし、まじないをし、裏切って主の目の前に悪を行い、主の怒りを引き起こした。 + そこで、主はイスラエルに対して激しく怒り、彼らを御前から取り除いた。ただユダの部族だけしか残されなかった。 + ユダもまた、彼らの神、主の命令を守らず、イスラエルが取り入れた風習に従って歩んだ。 + そこで、主はイスラエルのすべての子孫をさげすみ、彼らを苦しめ、略奪者たちの手に渡し、ついに彼らを御前から投げ捨てられた。 + 主がイスラエルをダビデの家から引き裂かれたとき、彼らはネバテの子ヤロブアムを王としたが、ヤロブアムは、イスラエルを主に従わないようにしむけ、彼らに大きな罪を犯させた。 + イスラエルの人々は、ヤロブアムの犯したすべての罪に歩み、それをやめなかったので、 + ついに、主は、そのしもべであるすべての預言者を通して告げられたとおり、イスラエルを御前から取り除かれた。こうして、イスラエルは自分の土地からアッシリヤへ引いて行かれた。今日もそのままである。 + アッシリヤの王は、バビロン、クテ、アワ、ハマテ、そして、セファルワイムから人々を連れて来て、イスラエルの人々の代わりにサマリヤの町々に住ませた。それで、彼らは、サマリヤを占領して、その町々に住んだ。 + 彼らがそこに住み始めたとき、彼らは主を恐れなかったので、主は彼らのうちに獅子を送られた。獅子は彼らの幾人かを殺した。 + そこで、彼らはアッシリヤの王に報告して言った。「あなたがサマリヤの町々に移した諸国の民は、この国の神に関するならわしを知りません。それで、神が彼らのうちに獅子を送りました。今、獅子が彼らを殺しています。彼らがこの国の神に関するならわしを知らないからです。」 + そこで、アッシリヤの王は命じて言った。「あなたがたがそこから捕らえ移した祭司のひとりを、そこに連れて行きなさい。行かせて、そこに住ませ、その国の神に関するならわしを教えさせなさい。」 + こうして、サマリヤから捕らえ移された祭司のひとりが来て、ベテルに住み、どのようにして主を礼拝するかを教えた。 + しかし、それぞれの民は、めいめい自分たちの神々を造り、サマリヤ人が造った高き所の宮にそれを安置した。それぞれの民は自分たちの住んでいる町々でそのようにした。 + バビロンの人々はスコテ・ベノテを造り、クテの人々はネレガルを造り、ハマテの人々はアシマを造り、 + アワ人はニブハズとタルタクを造り、セファルワイム人はセファルワイムの神々アデラメレクとアナメレクとに自分たちの子どもを火で焼いてささげた。 + 彼らは主を礼拝し、自分たちの中から高き所の祭司たちを自分たちで任命し、この祭司たちが彼らのために高き所の宮で祭儀を行った。 + 彼らは主を礼拝しながら、同時に、自分たちがそこから移された諸国の民のならわしに従って、自分たちの神々にも仕えていた。 + 彼らは今日まで、最初のならわしのとおりに行っている。彼らは主を恐れているのでもなく、主が、その名をイスラエルと名づけたヤコブの子らに命じたおきてや、定めや、律法や、命令のとおりに行っているのでもない。 + 主は、イスラエル人と契約を結び、命じて言われた。「ほかの神々を恐れてはならない。これを拝みこれに仕えてはならない。これにいけにえをささげてはならない。 + 大きな力と、差し伸べた腕とをもって、あなたがたをエジプトの地から連れ上った主だけを恐れ、主を礼拝し、主にいけにえをささげなければならない。 + 主があなたがたのために書きしるしたおきてと、定めと、律法と、命令をいつも守り行わなければならない。ほかの神々を恐れてはならない。 + わたしがあなたがたと結んだ契約を忘れてはならない。ほかの神々を恐れてはならない。 + あなたがたの神、主だけを恐れなければならない。主はすべての敵の手からあなたがたを救い出される。」 + しかし、彼らは聞かず、先の彼らのならわしのとおりに行った。 + このようにして、これらの民は主を恐れ、同時に、彼らの刻んだ像に仕えた。その子たちも、孫たちも、その先祖たちがしたとおりに行った。今日もそうである。 + + + イスラエルの王エラの子ホセアの第三年に、ユダの王アハズの子ヒゼキヤが王となった。 + 彼は二十五歳で王となり、エルサレムで二十九年間、王であった。彼の母の名はアビといい、ゼカリヤの娘であった。 + 彼はすべて父祖ダビデが行ったとおりに、主の目にかなうことを行った。 + 彼は高き所を取り除き、石の柱を打ちこわし、アシェラ像を切り倒し、モーセの作った青銅の蛇を打ち砕いた。そのころまでイスラエル人は、これに香をたいていたからである。これはネフシュタンと呼ばれていた。 + 彼はイスラエルの神、主に信頼していた。彼のあとにも彼の先にも、ユダの王たちの中で、彼ほどの者はだれもいなかった。 + 彼は主に堅くすがって離れることなく、主がモーセに命じられた命令を守った。 + 主は彼とともにおられた。彼はどこへ出陣しても勝利を収めた。彼はアッシリヤの王に反逆し、彼に仕えなかった。 + 彼はペリシテ人を打ってガザにまで至り、見張りのやぐらから城壁のある町に至るその領土を打ち破った。 + ヒゼキヤ王の第四年、すなわち、イスラエルの王エラの子ホセアの第七年に、アッシリヤの王シャルマヌエセルがサマリヤに攻め上って、包囲し、 + 三年の後、これを攻め取った。つまり、ヒゼキヤの第六年、イスラエルの王ホセアの第九年に、サマリヤは攻め取られた。 + アッシリヤの王はイスラエル人をアッシリヤに捕らえ移し、彼らをハラフと、ハボル、すなわちゴザンの川のほとり、メディヤの町々に連れて行った。 + これは、彼らが彼らの神、主の御声に聞き従わず、その契約を破り、主のしもべモーセが命じたすべてのことに聞き従わず、これを行わなかったからである。 + ヒゼキヤ王の第十四年に、アッシリヤの王セナケリブが、ユダのすべての城壁のある町々を攻めて、これを取った。 + そこでユダの王ヒゼキヤはラキシュのアッシリヤの王のところに人をやって、言った。「私は罪を犯しました。私のところから引き揚げてください。あなたが私に課せられるものは何でも負いますから。」そこで、アッシリヤの王は銀三百タラントと、金三十タラントを、ユダの王ヒゼキヤに要求した。 + ヒゼキヤは主の宮と王宮の宝物倉にある銀を全部渡した。 + そのとき、ヒゼキヤは、ユダの王が金を張りつけた主の本堂のとびらと柱から金をはぎ取り、これをアッシリヤの王に渡した。 + アッシリヤの王は、タルタン、ラブ・サリス、およびラブ・シャケに大軍をつけて、ラキシュからエルサレムのヒゼキヤ王のところに送った。彼らはエルサレムに上って来た。彼らはエルサレムに上って来たとき、布さらしの野への大路にある上の池の水道のそばに立った。 + 彼らが王に呼びかけたので、ヒルキヤの子である宮内長官エルヤキム、書記シェブナ、アサフの子である参議ヨアフが、彼らのもとに出て行った。 + ラブ・シャケは彼らに言った。「ヒゼキヤに伝えよ。大王、アッシリヤの王がこう言っておられる。/いったい、おまえは何に拠り頼んでいるのか。 + 口先だけのことばが、戦略であり戦力だと思い込んでいるのか。今、おまえはだれに拠り頼んで私に反逆するのか。 + 今、おまえは、あのいたんだ葦の杖、エジプトに拠り頼んでいるが、これは、それに寄りかかる者の手を刺し通すだけだ。エジプトの王、パロは、すべて彼に拠り頼む者にそうするのだ。 + おまえたちは私に『われわれは、われわれの神、主に拠り頼む』と言う。その主とは、ヒゼキヤが高き所と祭壇を取り除いておいて、ユダとエルサレムに向かい『エルサレムにあるこの祭壇の前で拝め』と言ったそういう主ではないか、と。 + さあ、今、私の主君、アッシリヤの王と、かけをしないか。もしおまえのほうで乗り手をそろえることができれば、私はおまえに二千頭の馬を与えよう。 + おまえは戦車と騎兵のことでエジプトに拠り頼んでいるが、私の主君の最も小さい家来のひとりの総督をさえ撃退することはできないのだ。 + 今、私がこの所を滅ぼすために上って来たのは、主をさしおいてのことであろうか。主が私に『この国に攻め上って、これを滅ぼせ』と言われたのだ。」 + ヒルキヤの子エルヤキムとシェブナとヨアフとは、ラブ・シャケに言った。「どうかしもべたちには、アラム語で話してください。われわれはアラム語がわかりますから。城壁の上にいる民の聞いている所では、われわれにユダのことばで話さないでください。」 + すると、ラブ・シャケは彼らに言った。「私の主君がこれらのことを告げに私を遣わされたのは、おまえの主君や、おまえのためだろうか。むしろ、城壁の上にすわっている者たちのためではないか。彼らはおまえたちといっしょに、自分の糞を食らい、自分の尿を飲むようになるのだ。」 + こうして、ラブ・シャケはつっ立って、ユダのことばで大声に呼ばわって、語って言った。「大王、アッシリヤの王のことばを聞け。 + 王はこう言われる。ヒゼキヤにごまかされるな。あれはおまえたちを私の手から救い出すことはできない。 + ヒゼキヤが、主は必ずわれわれを救い出してくださる、この町は決してアッシリヤの王の手に渡されることはない、と言って、おまえたちに主を信頼させようとするが、そうはさせない。 + ヒゼキヤの言うことを聞くな。アッシリヤの王はこう言っておられるからだ。私と和を結び、私に降参せよ。そうすれば、おまえたちはみな、自分のぶどうと自分のいちじくを食べ、また、自分の井戸の水を飲めるのだ。 + その後、私が来て、おまえたちの国と同じような国におまえたちを連れて行こう。そこは穀物とぶどう酒の地、パンとぶどう畑の地、オリーブの木と蜜の地である。それはおまえたちが生きながらえて死なないためである。たとい、ヒゼキヤが、主がわれわれを救い出してくださると言って、おまえたちをそそのかしても、ヒゼキヤに聞き従ってはならない。 + 国々の神々が、だれか、自分の国をアッシリヤの王の手から救い出しただろうか。 + ハマテやアルパデの神々は今、どこにいるのか。セファルワイムやヘナやイワの神々はどこにいるのか。彼らはサマリヤを私の手から救い出したか。 + 国々のすべての神々のうち、だれが自分たちの国を私の手から救い出しただろうか。主がエルサレムを私の手から救い出すとでもいうのか。」 + 民は黙っており、彼に一言も答えなかった。「彼に答えるな」というのが、王の命令だったからである。 + ヒルキヤの子である宮内長官エルヤキム、書記シェブナ、アサフの子である参議ヨアフは、自分たちの衣を裂いてヒゼキヤのもとに行き、ラブ・シャケのことばを告げた。 + + + ヒゼキヤ王は、これを聞いて、自分の衣を裂き、荒布を身にまとって、主の宮に入った。 + 彼は、宮内長官エルヤキム、書記シェブナ、年長の祭司たちに、荒布をまとわせて、アモツの子、預言者イザヤのところに遣わした。 + 彼らはイザヤに言った。「ヒゼキヤはこう言っておられます。『きょうは、苦難と、懲らしめと、侮辱の日です。子どもが生まれようとするのに、それを産み出す力がないのです。 + おそらく、あなたの神、主は、ラブ・シャケのすべてのことばを聞かれたことでしょう。彼の主君、アッシリヤの王が、生ける神をそしるために彼を遣わしたのです。あなたの神、主は、その聞かれたことばを責められますが、あなたはまだいる残りの者のため、祈りをささげてください。』」 + ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、 + イザヤは彼らに言った。「あなたがたの主君にこう言いなさい。/主はこう仰せられる。『あなたが聞いたあのことば、アッシリヤの王の若い者たちがわたしを冒瀆したあのことばを恐れるな。 + 今、わたしは彼のうちに一つの霊を入れる。彼は、あるうわさを聞いて、自分の国に引き揚げる。わたしは、その国で彼を剣で倒す。』」 + ラブ・シャケは退いて、リブナを攻めていたアッシリヤの王と落ち合った。王がラキシュから移動したことを聞いたからである。 + 王は、クシュの王ティルハカについて、「今、彼はあなたと戦うために出て来ている」ということを聞いたとき、再び使者たちをヒゼキヤに送って言った。 + 「ユダの王ヒゼキヤにこう伝えよ。『おまえの信頼するおまえの神にごまかされるな。おまえは、エルサレムはアッシリヤの王の手に渡されないと言っている。 + おまえは、アッシリヤの王たちがすべての国々にしたこと、それらを絶滅させたことを聞いている。それでも、おまえは救い出されるというのか。 + 私の先祖たちはゴザン、ハラン、レツェフ、および、テラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々は彼らを救い出したのか。 + ハマテの王、アルパデの王、セファルワイムの町の王、また、ヘナやイワの王は、どこにいるか。』」 + ヒゼキヤは、使者の手からその手紙を受け取り、それを読み、主の宮に上って行って、それを主の前に広げた。 + ヒゼキヤは主の前で祈って言った。「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、主よ。ただ、あなただけが、地のすべての王国の神です。あなたが天と地を造られました。 + 主よ。御耳を傾けて聞いてください。主よ。御目を開いてご覧ください。生ける神をそしるために言ってよこしたセナケリブのことばを聞いてください。 + 主よ。アッシリヤの王たちが、国々と、その国土とを廃墟としたのは事実です。 + 彼らはその神々を火に投げ込みました。それらは神ではなく、人の手の細工、木や石にすぎなかったので、滅ぼすことができたのです。 + 私たちの神、主よ。どうか今、私たちを彼の手から救ってください。そうすれば、地のすべての王国は、主よ、あなただけが神であることを知りましょう。」 + アモツの子イザヤはヒゼキヤのところに人をやって言わせた。「イスラエルの神、主は、こう仰せられます。『あなたがアッシリヤの王セナケリブについて、わたしに祈ったことを、わたしは聞いた。』 + 主が彼について語られたことばは次のとおりである。/処女であるシオンの娘は/あなたをさげすみ、あなたをあざける。/エルサレムの娘は/あなたのうしろで、頭を振る。 + あなたはだれをそしり、ののしったのか。/だれに向かって声をあげ、高慢な目を上げたのか。/イスラエルの聖なる方に対してだ。 + あなたは使者たちを使って、主をそしって言った。/『多くの戦車を率いて、私は山々の頂に、レバノンの奥深く上って行った。/そのそびえる杉の木と/美しいもみの木を切り倒し、私はその果ての宿り場、木の茂った園にまで入って行った。 + 私は井戸を掘って、他国の水を飲み、足の裏で/エジプトのすべての川を干上がらせた』と。 + あなたは聞かなかったのか。/昔から、それをわたしがなし、大昔から、それをわたしが計画し、今、それを果たしたことを。/それであなたは城壁のある町々を荒らして/廃墟の石くれの山としたのだ。 + その住民は力うせ、おののいて、恥を見、野の草や青菜、育つ前に干からびる屋根の草のようになった。 + あなたがすわるのも、出て行くのも、入るのも、わたしは知っている。/あなたがわたしに向かっていきりたつのも。 + あなたがわたしに向かっていきりたち、あなたの高ぶりが、わたしの耳に届いたので、あなたの鼻には鉤輪を、あなたの口にはくつわをはめ、あなたを、もと来た道に引き戻そう。 + あなたへのしるしは次のとおりである。/ことしは、落ち穂から生えたものを食べ、二年目も、またそれから生えたものを食べ、三年目は、種を蒔いて刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べる。 + ユダの家ののがれて残った者は/下に根を張り、上に実を結ぶ。 + エルサレムから、残りの者が出て来、シオンの山から、のがれた者が出て来るからである。/万軍の主の熱心がこれをする。 + それゆえ、アッシリヤの王について、主はこう仰せられる。/彼はこの町に侵入しない。/また、ここに矢を放たず、これに盾をもって迫らず、塁を築いてこれを攻めることもない。 + 彼はもと来た道から引き返し、この町には入らない。/――主の御告げだ―― + わたしはこの町を守って、これを救おう。/わたしのために、わたしのしもべダビデのために。」 + その夜、主の使いが出て行って、アッシリヤの陣営で、十八万五千人を打ち殺した。人々が翌朝早く起きて見ると、なんと、彼らはみな、死体となっていた。 + アッシリヤの王セナケリブは立ち去り、帰ってニネベに住んだ。 + 彼がその神ニスロクの宮で拝んでいたとき、その子のアデラメレクとサルエツェルは、剣で彼を打ち殺し、アララテの地へのがれた。それで彼の子エサル・ハドンが代わって王となった。 + + + そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。そこへ、アモツの子、預言者イザヤが来て、彼に言った。「主はこう仰せられます。『あなたの家を整理せよ。あなたは死ぬ。直らない。』」 + そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて、主に祈って、言った。 + 「ああ、主よ。どうか思い出してください。私が、まことを尽くし、全き心をもって、あなたの御前に歩み、あなたがよいと見られることを行ってきたことを。」こうして、ヒゼキヤは大声で泣いた。 + イザヤがまだ中庭を出ないうちに、次のような主のことばが彼にあった。 + 「引き返して、わたしの民の君主ヒゼキヤに告げよ。/あなたの父ダビデの神、主は、こう仰せられる。『わたしはあなたの祈りを聞いた。あなたの涙も見た。見よ。わたしはあなたをいやす。三日目には、あなたは主の宮に上る。 + わたしは、あなたの寿命にもう十五年を加えよう。わたしはアッシリヤの王の手から、あなたとこの町を救い出し、わたしのために、また、わたしのしもべダビデのためにこの町を守る。』」 + イザヤが、「干しいちじくをひとかたまり、持って来なさい」と命じたので、人々はそれを持って来て、腫物に当てた。すると、彼は直った。 + ヒゼキヤはイザヤに言った。「主が私をいやしてくださり、私が三日目に主の宮に上れるしるしは何ですか。」 + イザヤは言った。「これがあなたへの主からのしるしです。主は約束されたことを成就されます。影が十度進むか、十度戻るかです。」 + ヒゼキヤは答えた。「影が十度伸びるのは容易なことです。むしろ、影が十度あとに戻るようにしてください。」 + 預言者イザヤが主に祈ると、主はアハズの日時計におりた日時計の影を十度あとに戻された。 + そのころ、バルアダンの子、バビロンの王メロダク・バルアダンは、使者を遣わし、手紙と贈り物をヒゼキヤに届けた。ヒゼキヤが病気だったことを聞いていたからである。 + ヒゼキヤは、彼らのことを聞いて、すべての宝庫、銀、金、香料、高価な油、武器庫、彼の宝物倉にあるすべての物を彼らに見せた。ヒゼキヤがその家の中、および国中で、彼らに見せなかった物は一つもなかった。 + そこで預言者イザヤが、ヒゼキヤ王のところに来て、彼に尋ねた。「あの人々は何を言いましたか。どこから来たのですか。」ヒゼキヤは答えた。「遠い国、バビロンから来たのです。」 + イザヤはまた言った。「彼らは、あなたの家で何を見たのですか。」ヒゼキヤは答えた。「私の家の中のすべての物を見ました。私の宝物倉の中で彼らに見せなかった物は一つもありません。」 + すると、イザヤはヒゼキヤに言った。「主のことばを聞きなさい。 + 見よ。あなたの家にある物、あなたの先祖たちが今日まで、たくわえてきた物がすべて、バビロンへ運び去られる日が来ている。何一つ残されまい、と主は仰せられます。 + また、あなたの生む、あなた自身の息子たちのうち、捕らえられてバビロンの王の宮殿で宦官となる者があろう。」 + ヒゼキヤはイザヤに言った。「あなたが告げてくれた主のことばはありがたい。」彼は、自分が生きている間は、平和で安全ではなかろうか、と思ったからである。 + ヒゼキヤのその他の業績、彼のすべての功績、彼が貯水池と水道を造り、町に水を引いたこと、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + こうして、ヒゼキヤは彼の先祖たちとともに眠り、その子マナセが代わって王となった。 + + + マナセは十二歳で王となり、エルサレムで五十五年間、王であった。彼の母の名はヘフツィ・バハといった。 + 彼は、主がイスラエル人の前から追い払われた異邦の民の忌みきらうべきならわしをまねて、主の目の前に悪を行った。 + 彼は、父ヒゼキヤが打ちこわした高き所を築き直し、バアルのために祭壇を立て、イスラエルの王アハブがしたようにアシェラ像を造り、天の万象を拝み、これに仕えた。 + 彼は、主がかつて、「エルサレムにわたしの名を置く」と言われた主の宮に、祭壇を築いたのである。 + こうして、彼は、主の宮の二つの庭に、天の万象のために祭壇を築いた。 + また、自分の子どもに火の中をくぐらせ、卜占をし、まじないをし、霊媒や口寄せをして、主の目の前に悪を行い、主の怒りを引き起こした。 + さらに彼は、自分が造ったアシェラの彫像を宮に安置した。主はかつてこの宮について、ダビデとその子ソロモンに言われた。「わたしは、この宮に、そしてわたしがイスラエルの全部族の中から選んだエルサレムに、わたしの名をとこしえに置く。 + もし彼らが、わたしの命じたすべてのこと、わたしのしもべモーセが彼らに命じたすべての律法を、守り行いさえするなら、わたしはもう二度と、彼らの先祖に与えた地から、イスラエルの足を迷い出させない。」 + しかし、彼らはこれに聞き従わず、マナセは彼らを迷わせて、主がイスラエル人の前で根絶やしにされた異邦人よりも、さらに悪いことを行わせた。 + 主は、そのしもべ預言者たちによって、次のように告げられた。 + 「ユダの王マナセは、これらの忌みきらうべきことを、彼以前にいたエモリ人が行ったすべてのことよりもさらに悪いことを行い、その偶像でユダにまで罪を犯させた。 + それゆえ、イスラエルの神、主は、こう仰せられる。見よ。わたしはエルサレムとユダにわざわいをもたらす。だれでもそれを聞く者は、二つの耳が鳴るであろう。 + わたしは、サマリヤに使った測りなわと、アハブの家に使ったおもりとをエルサレムの上に伸ばし、人が皿をぬぐい、それをぬぐって伏せるように、わたしはエルサレムをぬぐい去ろう。 + わたしは、わたしのものである民の残りの者を捨て去り、彼らを敵の手に渡す。彼らはそのすべての敵のえじきとなり、奪い取られる。 + それは、彼らの先祖がエジプトを出た日から今日まで、わたしの目の前に悪を行い、わたしの怒りを引き起こしたからである。」 + マナセは、ユダに罪を犯させ、主の目の前に悪を行わせて、罪を犯したばかりでなく、罪のない者の血まで多量に流し、それがエルサレムの隅々に満ちるほどであった。 + マナセのその他の業績、彼の行ったすべての事、および彼の犯した罪、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + マナセは彼の先祖たちとともに眠り、その家の園、ウザの園に葬られた。彼の子アモンが代わって王となった。 + アモンは二十二歳で王となり、エルサレムで二年間、王であった。彼の母の名はメシュレメテといい、ヨテバの出のハルツの娘であった。 + 彼は、その父マナセが行ったように、主の目の前に悪を行った。 + 彼は、父の歩んだすべての道に歩み、父が仕えた偶像に仕え、それらを拝み、 + 彼の父祖の神、主を捨てて、主の道に歩もうとはしなかった。 + アモンの家来たちは彼に謀反を起こし、その宮殿の中でこの王を殺した。 + しかし、民衆はアモン王に謀反を起こした者をみな打ち殺した。民衆はアモンの子ヨシヤを代わりに王とした。 + アモンの行ったその他の業績、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + 人々は彼をウザの園にある彼の墓に葬った。彼の子ヨシヤが代わって王となった。 + + + ヨシヤは八歳で王となり、エルサレムで三十一年間、王であった。彼の母の名はエディダといい、ボツカテの出のアダヤの娘であった。 + 彼は主の目にかなうことを行って、先祖ダビデのすべての道に歩み、右にも左にもそれなかった。 + ヨシヤ王の第十八年に、王はメシュラムの子アツァルヤの子である書記シャファンを主の宮に遣わして言った。 + 「大祭司ヒルキヤのもとに上って行き、主の宮に納められた金、すなわち、入口を守る者たちが民から集めたものを彼に計算させ、 + それを主の宮で工事している監督者たちの手に渡しなさい。それを主の宮で工事している者たちに渡し、宮の破損の修理をさせなさい。 + 木工、建築師、石工に渡し、また宮の修理のための木材や切り石を買わせなさい。 + ただし、彼らの手に渡した金を彼らといっしょに勘定してはならない。彼らは忠実に働いているからである。」 + そのとき、大祭司ヒルキヤは書記シャファンに、「私は主の宮で律法の書を見つけました」と言って、その書物をシャファンに渡したので、彼はそれを読んだ。 + 書記シャファンは王のもとに行って、王に報告して言った。「しもべたちは、宮にあった金を箱からあけて、これを主の宮で工事している監督者たちの手に渡しました。」 + ついで、書記シャファンは王に告げて、言った。「祭司ヒルキヤが私に一つの書物を渡してくれました。」そして、シャファンは王の前でそれを読み上げた。 + 王は律法の書のことばを聞いたとき、自分の衣を裂いた。 + 王は祭司ヒルキヤ、シャファンの子アヒカム、ミカヤの子アクボル、書記シャファン、王の家来アサヤに命じて言った。 + 「行って、この見つかった書物のことばについて、私のため、民のため、ユダ全体のために、主のみこころを求めなさい。私たちの先祖が、この書物のことばに聞き従わず、すべて私たちについてしるされているとおりに行わなかったため、私たちに向かって燃え上がった主の憤りは激しいから。」 + そこで、祭司ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シャファン、アサヤは、女預言者フルダのもとに行った。彼女は、ハルハスの子ティクワの子、装束係シャルムの妻で、エルサレムの第二区に住んでいた。彼らが彼女に伝えると、 + 彼女は彼らに答えた。「イスラエルの神、主は、こう仰せられます。『あなたがたをわたしのもとに遣わした人に告げよ。 + 主はこう仰せられる。見よ。わたしは、この場所とその住民の上にわざわいをもたらす。ユダの王が読み上げた書物のすべてのことばを成就する。 + 彼らはわたしを捨て、ほかの神々に香をたき、彼らのすべての手のわざで、わたしの怒りを引き起こすようにした。わたしの憤りはこの場所に燃え上がり、消えることがない。』 + 主のみこころを求めるために、あなたがたを遣わしたユダの王には、こう言わなければなりません。『あなたが聞いたことばについて、イスラエルの神、主は、こう仰せられます。 + あなたが、この場所とその住民について、これは恐怖となり、のろいとなると、わたしが言ったのを聞いたとき、あなたは心を痛め、主の前にへりくだり、自分の衣を裂き、わたしの前で泣いたので、わたしもまた、あなたの願いを聞き入れる。――主の御告げです―― + それゆえ、見よ、わたしは、あなたを先祖たちのもとに集めよう。あなたは安らかに自分の墓に集められる。それで、あなたは自分の目で、わたしがこの場所にもたらすすべてのわざわいを見ることがない。』」彼らはそれを王に報告した。 + + + すると、王は使者を遣わして、ユダとエルサレムの長老をひとり残らず彼のところに集めた。 + 王は主の宮へ上って行った。ユダのすべての人、エルサレムの住民のすべて、祭司と預言者、および、下の者も上の者も、すべての民が彼とともに行った。そこで彼は、主の宮で発見された契約の書のことばをみな、彼らに読み聞かせた。 + それから、王は柱のわきに立ち、主の前に契約を結び、主に従って歩み、心を尽くし、精神を尽くして、主の命令と、あかしと、おきてを守り、この書物にしるされているこの契約のことばを実行することを誓った。民もみな、この契約に加わった。 + それから、王は大祭司ヒルキヤと次席祭司たち、および、入口を守る者たちに命じて、バアルやアシェラや天の万象のために作られた器物をことごとく主の本堂から運び出させ、エルサレムの郊外、キデロンの野でそれを焼き、その灰をベテルへ持って行った。 + 彼はまた、ユダの王たちが任命して、ユダの町々やエルサレム周辺の高き所で香をたかせた、偶像に仕える祭司たちを、また、バアルや太陽や月や星座や天の万象に香をたく者どもを取り除いた。 + 彼は、アシェラ像を主の宮から、エルサレムの郊外、キデロン川に運び出し、それをキデロン川で焼いた。彼はそれを粉々に砕いて灰にし、その灰を共同墓地にまき散らした。 + さらに、彼は主の宮の中にあった神殿男娼の家をこわした。そこでは、女たちがアシェラ像のための蔽いを織っていたからである。 + 彼はユダの町々から祭司たちを全部連れて来て、ゲバからベエル・シェバに至るまでの、祭司たちが香をたいていた高き所を汚し、門にあった高き所をこわした。それは町のつかさヨシュアの門の入口にあり、町の門に入る人の左側にあった。 + 高き所の祭司たちは、エルサレムの主の祭壇に上ることはできなかったが、その同輩たちの間で種を入れないパンを食べた。 + 彼は、ベン・ヒノムの谷にあるトフェテを汚し、だれも自分の息子や娘に火の中をくぐらせて、モレクにささげることのないようにした。 + ついで、ユダの王たちが太陽に献納した馬を、前庭にある宦官ネタン・メレクの部屋のそばの主の宮の入口から取り除き、太陽の車を火で焼いた。 + 王は、ユダの王たちがアハズの屋上の部屋の上に造った祭壇と、マナセが主の宮の二つの庭に造った祭壇を取りこわし、そこから走っていって、そして、その灰をキデロン川に投げ捨てた。 + 王は、イスラエルの王ソロモンがシドン人の、忌むべき、アシュタロテ、モアブの、忌むべきケモシュ、アモン人の、忌みきらうべきミルコムのためにエルサレムの東、破壊の山の南に築いた高き所を汚した。 + また、石の柱を打ち砕き、アシェラ像を切り倒し、その場所を人の骨で満たした。 + なお彼は、ベテルにある祭壇と、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの造った高き所、すなわち、その祭壇も高き所もこわした。高き所を焼き、粉々に砕いて灰にし、アシェラ像を焼いた。 + ヨシヤが向き直ると、山の中に墓があるのが見えた。そこで彼は人をやってその墓から骨を取り出し、それを祭壇の上で焼き、祭壇を汚れたものとした。かつて、神の人がこのことを預言して呼ばわった主のことばのとおりであった。 + 彼は言った。「あそこに見える石碑は何か。」すると、町の人々は彼に答えた。「ユダから出て来て、あなたがベテルの祭壇に対してされた、あのことを預言した神の人の墓です。」 + 王は言った。「そのままにしておきなさい。だれも彼の骨を移してはならない。」それで人々は彼の骨を、サマリヤから出て来たあの預言者の骨といっしょにそのままにしておいた。 + なお、ヨシヤはイスラエルの王たちが造って主の怒りを引き起こした、サマリヤの町々の高き所の宮をすべて取り除き、彼がベテルでしたと全く同じように、それらに対してもした。 + それから、彼は、そこにいた高き所の祭司たちをみな、祭壇の上でほふり、その祭壇の上で人間の骨を焼いた。こうして、彼はエルサレムに帰った。 + 王は民全体に命じて言った。「この契約の書にしるされているとおりに、あなたがたの神、主に、過越のいけにえをささげなさい。」 + 事実、さばきつかさたちがイスラエルをさばいた時代からこのかた、イスラエルの王たちとユダの王たちのどの時代にも、このような過越のいけにえがささげられたことはなかった。 + ただ、ヨシヤ王の第十八年に、エルサレムでこの過越のいけにえが主にささげられただけであった。 + さらにヨシヤは、霊媒、口寄せ、テラフィム、偶像、それに、ユダの地とエルサレムに見られるすべての忌むべき物も除き去った。これは、祭司ヒルキヤが主の宮で見つけた書物にしるされている律法のことばを実行するためであった。 + ヨシヤのように心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くしてモーセのすべての律法に従って、主に立ち返った王は、彼の先にはいなかった。彼の後にも彼のような者は、ひとりも起こらなかった。 + それにもかかわらず、マナセが主の怒りを引き起こしたあのいらだたしい行いのために、主はユダに向けて燃やされた激しい怒りを静めようとはされなかった。 + 主は仰せられた。「わたしがイスラエルを移したと同じように、ユダもまた、わたしの前から移す。わたしが選んだこの町エルサレムも、わたしの名を置く、と言ったこの宮も、わたしは退ける。」 + ヨシヤのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + 彼の時代に、エジプトの王パロ・ネコが、アッシリヤの王のもとに行こうとユーフラテス川のほうに上って来た。そこで、ヨシヤ王は彼を迎え撃ちに行ったが、パロ・ネコは彼を見つけてメギドで殺した。 + ヨシヤの家来たちは、彼の死体を戦車にのせ、メギドからエルサレムに運んで来て、彼の墓に葬った。この国の民は、ヨシヤの子エホアハズを選んで、彼に油をそそぎ、彼の父に代えて、彼を王とした。 + エホアハズは二十三歳で王となり、エルサレムで三か月間、王であった。彼の母の名はハムタルといい、リブナの出のエレミヤの娘であった。 + 彼は、その先祖たちがしたように、主の目の前に悪を行った。 + パロ・ネコは、彼をエルサレムで王であったときに、ハマテの地リブラに幽閉し、この国に銀百タラントと金一タラントの科料を課した。 + ついで、パロ・ネコは、ヨシヤの子エルヤキムをその父ヨシヤに代えて王とし、その名をエホヤキムと改めさせた。エホアハズは捕らえられて、エジプトに来て、そこで死んだ。 + エホヤキムは銀と金をパロに贈ったが、パロの要求するだけの銀を与えるためには、この国に税を課さなければならなかった。彼は、パロ・ネコに贈るために、ひとりひとりに割り当てて、銀と金をこの国の人々から取り立てた。 + エホヤキムは二十五歳で王となり、エルサレムで十一年間、王であった。彼の母の名はゼブダといい、ルマの出のペダヤの娘であった。 + 彼は、その先祖たちがしたとおり、主の目の前に悪を行った。 + + + エホヤキムの時代に、バビロンの王ネブカデネザルが攻め上って来た。エホヤキムは三年間彼のしもべとなったが、その後、再び彼に反逆した。 + そこで主は、カルデヤ人の略奪隊、アラムの略奪隊、モアブの略奪隊、アモン人の略奪隊を遣わしてエホヤキムを攻められた。ユダを攻めて、これを滅ぼすために彼らを遣わされた。主がそのしもべである預言者たちによって告げられたことばのとおりであった。 + ユダを主の前から除くということは、実に主の命令によることであって、それは、マナセが犯したすべての罪のためであり、 + また、マナセが流した罪のない者の血のためであった。マナセはエルサレムを罪のない者の血で満たした。そのため主はその罪を赦そうとはされなかった。 + エホヤキムのその他の業績、彼の行ったすべての事、それはユダの王たちの年代記の書にしるされているではないか。 + エホヤキムは彼の先祖たちとともに眠り、その子エホヤキンが代わって王となった。 + エジプトの王は自分の国から再び出て来ることがなかった。バビロンの王が、エジプト川からユーフラテス川に至るまで、エジプトの王に属していた全領土を占領していたからである。 + エホヤキンは十八歳で王となり、エルサレムで三か月間、王であった。彼の母の名はネフシュタといい、エルサレムの出のエルナタンの娘であった。 + 彼は、すべて先祖たちがしたとおり、主の目の前に悪を行った。 + そのころ、バビロンの王ネブカデネザルの家来たちがエルサレムに攻め上り、町は包囲された。 + バビロンの王ネブカデネザルが町にやって来たときに、家来たちは町を包囲していた。 + ユダの王エホヤキンは、その母や、家来たちや、高官たち、宦官たちといっしょにバビロンの王に降伏したので、バビロンの王は彼を捕虜にした。これはネブカデネザルの治世の第八年であった。 + 彼は主の宮の財宝と王宮の財宝をことごとく運び出し、イスラエルの王ソロモンが造った主の本堂の中のすべての金の用具を断ち切った。主の告げられたとおりであった。 + 彼はエルサレムのすべて、つまり、すべての高官、すべての有力者一万人、それに職人や、鍛冶屋もみな、捕囚として捕らえ移した。貧しい民衆のほかは残されなかった。 + 彼はさらに、エホヤキンをバビロンへ引いて行き、王の母、王の妻たち、その宦官たち、この国のおもだった人々を、捕囚としてエルサレムからバビロンへ連れて行った。 + バビロンの王は、すべての兵士七千人、職人と鍛冶屋千人、勇敢な戦士を、すべて、捕囚としてバビロンへ連れて行った。 + バビロンの王は、エホヤキンのおじマタヌヤをエホヤキンの代わりに王とし、その名をゼデキヤと改めさせた。 + ゼデキヤは二十一歳で王となり、エルサレムで十一年間、王であった。彼の母の名はハムタルといい、リブナの出のエレミヤの娘であった。 + 彼は、すべてエホヤキムがしたように、主の目の前に悪を行った。 + エルサレムとユダにこのようなことが起こったのは、主の怒りによるもので、ついに主は彼らを御前から投げ捨てられたのである。その後、ゼデキヤはバビロンの王に反逆した。 + + + ゼデキヤの治世の第九年、第十の月の十日に、バビロンの王ネブカデネザルは、その全軍勢を率いてエルサレムを攻めに来て、これに対して陣を敷き、周囲に塁を築いた。 + こうして町はゼデキヤ王の第十一年まで包囲されていたが、 + 第四の月の九日、町の中では、ききんがひどくなり、民衆に食物がなくなった。 + そのとき、町が破られ、戦士たちはみな夜のうちに、王の園のほとりにある二重の城壁の間の門の道から町を出た。カルデヤ人が町を包囲していたので、王はアラバへの道を行った。 + カルデヤの軍勢が王のあとを追い、エリコの草原で彼に追いついたとき、王の軍隊はみな王から離れて散ってしまった。 + そこでカルデヤ人は王を捕らえ、リブラにいるバビロンの王のところへ彼を連れ上り、彼に宣告を下した。 + 彼らはゼデキヤの子らを彼の目の前で虐殺した。王はゼデキヤの目をつぶし、彼を青銅の足かせにつないで、バビロンへ連れて行った。 + 第五の月の七日――それは、バビロンの王ネブカデネザル王の第十九年であった――バビロンの王の家来、侍従長ネブザルアダンがエルサレムに来て、 + 主の宮と王宮とエルサレムのすべての家を焼き、そのおもだった建物をことごとく火で焼いた。 + 侍従長といっしょにいたカルデヤの全軍勢は、エルサレムの回りの城壁を取りこわした。 + 侍従長ネブザルアダンは、町に残されていた残りの民と、バビロンの王に降伏した者たちと、残りの群衆を捕らえ移した。 + しかし、侍従長は国の貧民の一部を残し、ぶどう作りと農夫とにした。 + カルデヤ人は、主の宮の青銅の柱と、主の宮にある青銅の車輪つきの台と、海とを砕いて、その青銅をバビロンへ運んだ。 + また、灰つぼ、十能、心切りばさみ、平皿、奉仕に用いるすべての青銅の器具を奪った。 + また、侍従長は火皿、鉢など、純金、純銀のものを奪った。 + ソロモンが主の宮のために作った二本の柱、一つの海、車輪つきの台、これらすべての器具の青銅の重さは、量りきれなかった。 + 一本の柱の高さは十八キュビトで、その上の柱頭も青銅で、その柱頭の高さは三キュビトであり、柱頭の回りに網細工と、ざくろがあって、それもみな青銅で、他の柱も、網細工までも同様であった。 + 侍従長はさらに、祭司のかしらセラヤと次席祭司ゼパニヤと三人の入口を守る者を捕らえ、 + 戦士の指揮官であったひとりの宦官と、町にいた王の五人の側近と、一般の人々を徴兵する将軍の書記と、町にいた一般の人々六十人を、町から捕らえ去った。 + 侍従長ネブザルアダンは彼らを捕らえ、リブラにいるバビロンの王のところへ連れて行った。 + バビロンの王は彼らを打ち、ハマテの地のリブラで殺した。こうして、ユダはその国から捕らえ移された。 + バビロンの王ネブカデネザルは、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤを、ユダの地に残った残りの民の上に総督とした。 + 将校たちと、その部下たちはみな、バビロンの王がゲダルヤを総督としたことを聞いて、ミツパにいるゲダルヤのもとに来た。すなわち、ネタヌヤの子イシュマエル、カレアハの子ヨハナン、ネトファ人タヌフメテの子セラヤ、マアカ人の子ヤアザヌヤ、これらとその部下たちであった。 + そこでゲダルヤは彼らとその部下たちに誓って、彼らに言った。「カルデヤ人の家来たちを恐れてはならない。この国に住んで、バビロンの王に仕えなさい。そうすれば、あなたがたはしあわせになる。」 + ところが第七の月に、王族のひとり、エリシャマの子ネタヌヤの子イシュマエルは、十人の部下を連れてやって来て、ゲダルヤを打ち殺し、ミツパで彼といっしょにいたユダ人たちと、カルデヤ人たちを打ち殺した。 + そこで、身分の下の者から上の者まで、民はみな、将校たちとともに、エジプトへ立って行った。カルデヤ人を恐れたからである。 + ユダの王エホヤキンが捕らえ移されて三十七年目の第十二の月の二十七日に、バビロンの王エビル・メロダクは、彼が王となったその年のうちに、ユダの王エホヤキンを牢獄から釈放し、 + 彼に優しいことばをかけ、彼の位をバビロンで彼とともにいた王たちの位よりも高くした。 + 彼は囚人の服を着替え、その一生の間、いつも王の前で食事をした。 + 彼の生活費は、その一生の間、日々の分をいつも王から支給されていた。 + +
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+ + アダム、セツ、エノシュ、 + ケナン、マハラルエル、エレデ、 + エノク、メトシェラ、レメク、 + ノア、セム、ハム、それにヤペテ。 + ヤペテの子孫は、ゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、トバル、メシェク、ティラス。 + ゴメルの子孫は、アシュケナズ、ディファテ、トガルマ。 + ヤワンの子孫は、エリシャ、タルシシュ、キティム人、ロダニム人。 + ハムの子孫は、クシュ、ミツライム、プテ、カナン。 + クシュの子孫は、セバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカ。ラマの子孫は、シェバ、デダン。 + クシュはニムロデを生んだ。ニムロデは地上で最初の権力者となった。 + ミツライムは、ルデ人、アナミム人、レハビム人、ナフトヒム人を生み、 + パテロス人、カスルヒム人――これからペリシテ人が出た――、カフトル人を生んだ。 + カナンは、長子シドン、ヘテ、 + エブス人、エモリ人、ギルガシ人、 + ヒビ人、アルキ人、シニ人、 + アルワデ人、ツェマリ人、ハマテ人を生んだ。 + セムの子孫は、エラム、アシュル、アルパクシャデ、ルデ、アラム、ウツ、フル、ゲテル、メシェク。 + アルパクシャデはシェラフを生み、シェラフはエベルを生んだ。 + エベルにはふたりの男の子が生まれ、ひとりの名はペレグであった。彼の時代に地が分けられたからである。もうひとりの兄弟の名はヨクタンであった。 + ヨクタンは、アルモダデ、シェレフ、ハツァルマベテ、エラフ、 + ハドラム、ウザル、ディクラ、 + エバル、アビマエル、シェバ、 + オフィル、ハビラ、ヨバブを生んだ。これらはみなヨクタンの子孫であった。 + セム、アルパクシャデ、シェラフ、 + エベル、ペレグ、レウ、 + セルグ、ナホル、テラ、 + アブラム、すなわちアブラハム。 + アブラハムの子は、イサク、イシュマエル。 + これは彼らの歴史である。イシュマエルの長子はネバヨテ。ケダル、アデベエル、ミブサム、 + ミシュマ、ドマ、マサ、ハダデ、テマ、 + エトル、ナフィシュ、ケデマ。これがイシュマエルの子孫である。 + アブラハムのそばめケトラの息子たち。彼女は、ジムラン、ヨクシャン、メダン、ミデヤン、イシュバク、シュアハを産んだ。ヨクシャンの子は、シェバ、デダン。 + ミデヤンの子は、エファ、エフェル、エノク、アビダ、エルダア。これらはみな、ケトラの子孫である。 + アブラハムはイサクを生んだ。イサクの子は、エサウ、イスラエル。 + エサウの子は、エリファズ、レウエル、エウシュ、ヤラムとコラ、 + エリファズの子は、テマン、オマル、ツェフィとガタム、ケナズ、ティムナ、アマレク。 + レウエルの子は、ナハテ、ゼラフ、シャマとミザ。 + セイルの子は、ロタン、ショバル、ツィブオン、アナ、ディション、エツェル、ディシャン。 + ロタンの子は、ホリ、ホマム。ロタンの妹はティムナ。 + ショバルの子は、アルヤンとマナハテとエバル、シェフィ、オナム。ツィブオンの子は、アヤ、アナ。 + アナの子は、ディション。ディションの子は、ハムラン、エシュバン、イテラン、ケラン。 + エツェルの子は、ビルハン、ザアワン、ヤアカン。ディションの子は、ウツ、アラン。 + イスラエル人の王が治める以前、エドムの地で治めた王たちは次のとおりである。ベオルの子ベラ。その町の名はディヌハバであった。 + ベラが死ぬと、代わりに、ボツラから出たゼラフの子ヨバブが王となった。 + ヨバブが死ぬと、代わりに、テマン人の地から出たフシャムが王となった。 + フシャムが死ぬと、代わりに、モアブの野でミデヤン人を打ち破ったベダデの子ハダデが王となった。その町の名はアビテであった。 + ハダデが死ぬと、代わりに、マスレカから出たサムラが王となった。 + サムラが死ぬと、代わりに、レホボテ・ハナハルから出たサウルが王となった。 + サウルが死ぬと、代わりに、アクボルの子バアル・ハナンが王となった。 + バアル・ハナンが死ぬと、代わりに、ハダデが王となった。その町の名はパイであった。彼の妻の名はメヘタブエルといい、メ・ザハブの娘マテレデの娘であった。 + そして、ハダデも死んだ。/エドムから出た首長たちは、首長ティムナ、首長アルワ、首長エテテ、 + 首長オホリバマ、首長エラ、首長ピノン、 + 首長ケナズ、首長テマン、首長ミブツァル、 + 首長マグディエル、首長イラム。これらがエドムから出た首長である。 + + + イスラエルの子は次のとおりである。ルベン、シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン、 + ダン、ヨセフ、ベニヤミン、ナフタリ、ガド、アシェル。 + ユダの子は、エル、オナン、シェラ。この三人は、カナンの女シュアの娘から彼に生まれた。しかし、ユダの長子エルは主の目の前に悪を行ったため、主が彼を殺された。 + 彼の嫁タマルは彼にペレツとゼラフとを産んだ。ユダの子は全部で五人。 + ペレツの子は、ヘツロン、ハムル。 + ゼラフの子は、ジムリ、エタン、ヘマン、カルコル、ダラで、全部で五人。 + カルミの子は、聖絶のもののことで罪を犯し、イスラエルにわざわいをもたらす者となったアカル。 + エタンの子は、アザルヤ。 + ヘツロンの子として生まれた者は、エラフメエル、ラム、カレブ。 + ラムはアミナダブを生み、アミナダブはユダ族の長ナフションを生み、 + ナフションはサルマを生み、サルマはボアズを生み、 + ボアズはオベデを生み、オベデはエッサイを生んだ。 + エッサイは、長子エリアブ、次男アビナダブ、三男シムア、 + 四男ネタヌエル、五男ラダイ、 + 六男オツェム、七男ダビデを生んだ。 + 彼らの姉妹はツェルヤとアビガイルであり、ツェルヤの子は、アブシャイ、ヨアブ、アサエルの三人であった。 + アビガイルはアマサを産んだが、アマサの父親はイシュマエル人エテルであった。 + ヘツロンの子カレブは妻アズバとエリオテによって子を生んだ。彼女の子は次のとおりである。エシェル、ショバブ、アルドン。 + アズバが死んだので、カレブはエフラテをめとった。彼女は彼にフルを産んだ。 + フルはウリを生み、ウリはベツァルエルを生んだ。 + その後、ヘツロンは、ギルアデの父マキルの娘のもとに行き、彼女をめとった。彼は六十歳であった。彼女は彼にセグブを産んだ。 + セグブはヤイルを生んだ。彼はギルアデの地に二十三の町を持っていた。 + ところが、ゲシュルとアラムは、その中からハボテ・ヤイルおよびケナテとそれに属する村落など六十の町を取った。これらはみな、ギルアデの父マキルの子であった。 + ヘツロンがエフラテのカレブで死んで後、ヘツロンの妻アビヤは、彼にテコアの父アシュフルを産んだ。 + ヘツロンの長子エラフメエルの子は、長子ラム、ブナ、オレン、オツェム、アヒヤ。 + エラフメエルには、もうひとり妻があった。その名はアタラ。彼女はオナムの母であった。 + エラフメエルの長子ラムの子は、マアツ、ヤミン、エケル。 + オナムの子は、シャマイ、ヤダ。シャマイの子は、ナダブ、アビシュル。 + アビシュルの妻の名はアビハイルで、彼女は彼にアフバンとモリデを産んだ。 + ナダブの子は、セレデとアパイムで、セレデは子がないままで死んだ。 + アパイムの子孫は、イシュイ。イシュイの子孫は、シェシャン。シェシャンの子孫は、アフライ。 + シャマイの兄弟ヤダの子は、エテルとヨナタンで、エテルは子がないままで死んだ。 + ヨナタンの子は、ペレテとザザ。これらがエラフメエルの子孫であった。 + シェシャンには息子がなく、娘だけであった。シェシャンにはエジプト人のしもべがいた。その名はヤルハ。 + シェシャンは彼の娘をそのしもべヤルハに妻として与えたので、彼女は彼にアタイを産んだ。 + アタイはナタンを生み、ナタンはザバデを生み、 + ザバデはエフラルを生み、エフラルはオベデを生み、 + オベデはエフーを生み、エフーはアザルヤを生み、 + アザルヤはヘレツを生み、ヘレツはエルアサを生み、 + エルアサはシセマイを生み、シセマイはシャルムを生み、 + シャルムはエカムヤを生み、エカムヤはエリシャマを生んだ。 + エラフメエルの兄弟カレブの子孫は、長子メシャ。彼はジフの父であった。ヘブロンの父マレシャの子たち。 + ヘブロンの子は、コラ、タプアハ、レケム、シェマ。 + シェマは、ヨルコアムの父ラハムを生み、レケムはシャマイを生んだ。 + シャマイの子はマオン。マオンはベテ・ツルの父であった。 + カレブのそばめエファは、ハラン、モツァ、ガゼズを産んだ。ハランはガゼズを生んだ。 + ヤフダイの子は、レゲム、ヨタム、ゲシャン、ペレテ、エファ、シャアフ。 + カレブのそばめマアカは、シェベルとティルハナを産み、 + マデマナの父シャアフと、マクベナの父でありギブアの父であるシェワを産んだ。カレブの娘はアクサであった。 + カレブの子孫は次のとおりである。エフラテによる長子フルの子はキルヤテ・エアリムの父ショバル、 + ベツレヘムの父サルマ、ベテ・ガデルの父ハレフ。 + キルヤテ・エアリムの父ショバルにも子どもたちがあった。メヌホテの半分のハロエであった。 + キルヤテ・エアリムの諸氏族は、エテル人、プテ人、シュマ人、ミシュラ人で、彼らの中から、ツォルア人とエシュタオル人が出た。 + サルマの子孫は、ベツレヘムとネトファ人、アテロテ・ベテ・ヨアブとマナハテ人の半氏族、ツォルア人。 + ヤベツに住んでいた書記の諸氏族は、ティルア人、シムア人、スカ人。彼らはレカブ家の父祖ハマテから出たケニ人である。 + + + ヘブロンで生まれたダビデの子は次のとおりである。長子はイズレエル人アヒノアムによるアムノン。次男はカルメル人アビガイルによるダニエル。 + 三男はゲシュルの王タルマイの娘マアカの子アブシャロム。四男はハギテの子アドニヤ。 + 五男はアビタルによるシェファテヤ。六男は彼の妻エグラによるイテレアム。 + 六人の子がヘブロンで彼に生まれた。ダビデはそこで七年六か月治め、エルサレムで三十三年治めた。 + エルサレムで彼に生まれた者は次のとおりである。シムア、ショバブ、ナタン、ソロモン。この四人はアミエルの娘バテ・シュアによる子である。 + イブハル、エリシャマ、エリフェレテ、 + ノガハ、ネフェグ、ヤフィア、 + エリシャマ、エルヤダ、エリフェレテの九人。 + みなダビデの子であるが、別にそばめたちの子もあり、タマルは彼らの姉妹であった。 + ソロモンの子はレハブアム。その子はアビヤ、その子はアサ、その子はヨシャパテ、 + その子はヨラム、その子はアハズヤ、その子はヨアシュ、 + その子はアマツヤ、その子はアザルヤ、その子はヨタム、 + その子はアハズ、その子はヒゼキヤ、その子はマナセ、 + その子はアモン、その子はヨシヤ。 + ヨシヤの子は、長子ヨハナン、次男エホヤキム、三男ゼデキヤ、四男シャルム。 + エホヤキムの子孫は、その子、エコヌヤ、その子のゼデキヤ。 + 捕らわれ人エコヌヤの子は、その子シェアルティエル、 + マルキラム、ペダヤ、シェヌアツァル、エカムヤ、ホシャマ、ネダブヤ。 + ペダヤの子は、ゼルバベル、シムイ。ゼルバベルの子は、メシュラム、ハナヌヤ。シェロミテは彼らの姉妹。 + それにハシュバ、オヘル、ベレクヤ、ハサデヤ、ユシャブ・ヘセデの五人。 + ハナヌヤの子たちは、ペラテヤ、エシャヤ、レファヤの子たち、アルナンの子たち、オバデヤの子たち、シェカヌヤの子たち。 + シェカヌヤの子たちは、シェマヤ。シェマヤの子は、ハトシュ、イグアル、バリアハ、ネアルヤ、シャファテなど六人。 + ネアルヤの子は、エルヨエナイ、ヒゼキヤ、アズリカムの三人。 + エルヨエナイの子は、ホダブヤ、エルヤシブ、ペラヤ、アクブ、ヨハナン、デラヤ、アナニの七人。 + + + ユダの子孫は、ペレツ、ヘツロン、カルミ、フル、ショバル。 + ショバルの子レアヤはヤハテを生み、ヤハテはアフマイとラハデを生んだ。これらはツォルア人の諸氏族である。 + エタムの父の子は次のとおりである。イズレエル、イシュマ、イデバシュ。彼らの姉妹の名はハツェレルポニ。 + ゲドルの父ペヌエルとフシャの父エゼル。これらがベツレヘムの父、エフラテの長子、フルの子である。 + テコアの父アシュフルにはふたりの妻、ヘルアとナアラがいた。 + ナアラは彼に、アフザム、ヘフェル、テメニ、アハシュタリを産んだ。これらがナアラの子である。 + ヘルアの子は、ツェレテ、ツォハル、エテナン。 + コツは、アヌブ、ツォベバ、それにハルムの子アハルヘルの諸氏族を生んだ。 + ヤベツは彼の兄弟たちよりも重んじられた。彼の母は、「私が悲しみのうちにこの子を産んだから」と言って、彼にヤベツという名をつけた。 + ヤベツはイスラエルの神に呼ばわって言った。「私を大いに祝福し、私の地境を広げてくださいますように。御手が私とともにあり、わざわいから遠ざけて私が苦しむことのないようにしてくださいますように。」そこで神は彼の願ったことをかなえられた。 + シュハの兄弟ケルブはメヒルを生んだ。彼はエシュトンの父であった。 + エシュトンは、ベテ・ラファ、パセアハ、イル・ナハシュの父テヒナを生んだ。これらはレカの人々である。 + ケナズの子たちは、オテニエル、セラヤ。オテニエルの子たちは、ハタテとメオノタイ。 + メオノタイはオフラを生み、セラヤはゲ・ハラシムの父ヨアブを生んだ。彼らは職人だったのである。 + エフネの子カレブの子たちは、イル、エラ、ナアム。エラの子たちは、ケナズ。 + エハレルエルの子は、ジフ、ジファ、ティルヤ、アサルエル。 + エズラの子は、エテル、メレデ、エフェル、ヤロン。彼女はみごもって、ミリヤムとシャマイとエシュテモアの父イシュバフを産んだ。 + 彼のユダヤ人の妻は、ゲドルの父エレデ、ソコの父ヘベル、ザノアハの父エクティエルを産んだ。これらはメレデがめとったパロの娘ビテヤの子であった。 + ナハムの姉妹に当たるホディヤの妻の子は、ガルミ人ケイラの父とマアカ人エシュテモア。 + シモンの子は、アムノン、リナ、ベン・ハナン、ティロン。イシュイの子は、ゾヘテ、ベン・ゾヘテ。 + ユダの子シェラの子孫は、レカの父エル、マレシャの父ラダ、および、アシュベア家に属する、白亜麻布業を営む家の氏族、 + モアブを治めたヨキム、コゼバの人々、ヨアシュ、サラフ、ヤシュビ・ラヘム。この記録は古い。 + 彼らは陶器師で、ネタイムとゲデラの住民であり、王の仕事をするため、王とともにそこに住んだ。 + シメオンの子は、ネムエル、ヤミン、ヤリブ、ゼラフ、サウル。 + その子はシャルム、その子はミブサム、その子はミシュマ。 + ミシュマの子孫は、その子、ハムエル、その子のザクル、その子のシムイ。 + シムイには十六人の息子と、六人の娘があったが、彼の兄弟たちには多くの息子がなかった。彼らの全氏族は、ユダの子らほどには多くならなかった。 + 彼らは、ベエル・シェバ、モラダ、ハツァル・シュアルに住み、 + ビルハ、エツェム、トラデ、 + ベトエル、ホルマ、ツィケラグ、 + ベテ・マルカボテ、ハツァル・スシム、ベテ・ビルイ、シャアライムに住んだ。これはダビデの治世に至るまで、彼らの町であった。 + また、彼らの村々は、エタム、アイン、リモン、トケン、アシャンの五つの町であり、 + その町々の回りにあってバアルにまで及ぶ彼らのすべての村々であった。これが彼らの住まいであった。彼らは系図に載せられた者であった。 + メショバブ、ヤムレク、アマツヤの子ヨシャ、 + ヨエル、アシエルの子セラヤの子ヨシブヤの子エフー、 + エルヨエナイ、ヤアコバ、エショハヤ、アサヤ、アディエル、エシミエル、ベナヤ、 + ジザ。彼はシフイの子、順次さかのぼって、アロンの子、エダヤの子、シムリの子、シェマヤの子。 + ここに名まえの出てくるこれらの人々は、彼らの諸氏族の長であった。彼ら一族は大いにふえた。 + 彼らは、その群れのために牧場を捜し求めて、ゲドルの入口に行き、谷の東方にまで行って、 + 豊かな良い牧場を発見した。その土地は広々としていて、静かで安らかだった。以前そこに住んでいた者はハム系の人々だったからである。 + そこで、ユダの王ヒゼキヤの時代に、ここに名のしるされた人々が来て、彼らの天幕と、そこにいたメウニム人を打ち、彼らを聖絶した。今日もそのままである。彼らはこの人々に代わってそこに住みついた。そこには、彼らの群れのために牧場があったからである。 + また、彼らシメオン族のうち、五百人の人々が、イシュイの子ペラテヤ、ネアルヤ、レファヤ、ウジエルを彼らのかしらとして、セイル山に行った。 + そして、アマレクの残っていた者、のがれた者を打ち、そこに住んだ。今日もそのままである。 + + + イスラエルの長子ルベンの子孫――彼は長子であったが、父の寝床を汚したことにより、その長子の権利はイスラエルの子ヨセフの子に与えられた。系図の記載は長子の権利に従って行うものではない。 + ユダは彼の兄弟たちにまさる者となり、君たる者も彼から出るのであるが、長子の権利はヨセフに帰したからである―― + イスラエルの長子ルベンの子は、エノク、パル、ヘツロン、カルミ。 + ヨエルの子は、その子はシェマヤ、その子はゴグ、その子はシムイ、 + その子はミカ、その子はレアヤ、その子はバアル、 + その子はアッシリヤの王ティグラテ・ピレセルが引いて行ったベエラ。彼はルベン人の族長であった。 + また、彼の兄弟たちは、氏族ごとに生まれた順に系図に載せられたかしらはエイエル、それにゼカリヤ、 + ベラ。彼はヨエルの子シェマの子アザズの子で、アロエルに住み、ネボやバアル・メオンにまで及び、 + 東は、ユーフラテス川から荒野の入口に及ぶ地に住んだ。ギルアデの地で彼らの家畜がふえたからである。 + 彼らはサウルの時代に、ハガル人と戦いを交え、ハガル人は彼らの手に倒れた。そこで、彼らは、ギルアデの東方一帯に、天幕を張って住んだ。 + ガド族は、彼らの真向かいに当たるバシャンの地に住み、サルカにまで及んだ。 + かしらヨエル、二番目のシャファム、そして、ヤナイ、シャファテが、バシャンに住んだ。 + 彼ら一族に属する彼らの兄弟たちは、ミカエル、メシュラム、シェバ、ヨライ、ヤカン、ジア、エベルの七人。 + これらは、アビハイルの子である。アビハイルはフリの子、順次さかのぼって、ヤロアハの子、ギルアデの子、ミカエルの子、エシシャイの子、ヤフドの子、ブズの子。 + アヒ。彼はグニの子アブディエルの子で、彼ら一族のかしらであった。 + そして、彼らはギルアデとバシャンとそれに属する村落、およびシャロンの放牧地全域にわたって、その境に住んだ。 + 彼らはみな、ユダの王ヨタムの時代、イスラエルの王ヤロブアムの時代に系図に載せられた。 + ルベン族、ガド人、マナセの半部族で、盾と剣を取り、弓を引き、戦いの訓練を受けた勇者たちのうち、従軍する者は、四万四千七百六十人であった。 + ここに、彼らはハガル人およびエトル、ナフィシュ、ノダブと戦いを交えたが、 + 助けを得てこれらに当たった。それで、ハガル人およびこれとともにいた者はみな彼らの手に渡された。それは、彼らがその戦いのときに、神に呼ばわったからである。彼らが神に拠り頼んだので、神は彼らの願いを聞き入れられた。 + 彼らはこの人々の家畜を奪い去った。らくだ五万、羊二十五万、ろば二千、人十万。 + この戦いは神から出ていたため、多くの者が刺し殺されて倒れたからである。彼らはこの人々に代わって、捕囚の時まで、そこに住んだ。 + マナセの半部族の人々は、この地、すなわち、バシャンからバアル・ヘルモン、セニル、ヘルモン山に至る地に住み、その数はふえた。 + 彼らの一族のかしらたちは次のとおり。エフェル、イシュイ、エリエル、アズリエル、エレミヤ、ホダブヤ、ヤフディエル。この人たちは、勇士であり、名のある人々であって、彼らの一族のかしらであった。 + ところが、彼らは、その父祖の神に対して不信の罪を犯し、神が彼らの前からぬぐい去って滅ぼされたその地の民の神々を慕って不貞を犯した。 + そこで、イスラエルの神は、アッシリヤの王プルの霊と、アッシリヤの王ティグラテ・ピレセルの霊を奮い立たせられた。それで、彼はルベン人とガド人、およびマナセの半部族を捕らえ移し、彼らをハラフと、ハボルとハラとゴザンの川に連れて行った。今日もそのままである。 + + + レビの子は、ゲルション、ケハテ、メラリ。 + ケハテの子は、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエル。 + アムラムの子は、アロン、モーセ、ミリヤム。アロンの子は、ナダブ、アビフ、エルアザル、イタマル。 + エルアザルはピネハスを生み、ピネハスはアビシュアを生み、 + アビシュアはブキを生み、ブキはウジを生み、 + ウジはゼラヘヤを生み、ゼラヘヤはメラヨテを生み、 + メラヨテはアマルヤを生み、アマルヤはアヒトブを生み、 + アヒトブはツァドクを生み、ツァドクはアヒマアツを生み、 + アヒマアツはアザルヤを生み、アザルヤはヨハナンを生み、 + ヨハナンはアザルヤを生んだ。これは、ソロモンがエルサレムに建てた宮で、祭司の務めを果たしたアザルヤのことである。 + アザルヤはアマルヤを生み、アマルヤはアヒトブを生み、 + アヒトブはツァドクを生み、ツァドクはシャルムを生み、 + シャルムはヒルキヤを生み、ヒルキヤはアザルヤを生み、 + アザルヤはセラヤを生み、セラヤはエホツァダクを生んだ。 + エホツァダクは、主がネブカデネザルの手によってユダとエルサレムとを捕らえ移したとき、連れ去られた。 + レビ族は、ゲルショム、ケハテ、メラリ。 + ゲルショム族の名は次のとおり。リブニとシムイ。 + ケハテ族は、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエル。 + メラリ族は、マフリ、ムシ。これが父祖の家ごとのレビ人の諸氏族である。 + ゲルショムに属する者は、その子、リブニ、その子のヤハテ、その子のジマ、 + その子のヨアフ、その子のイド、その子のゼラフ、その子のエオテライ。 + ケハテ族は、その子、アミナダブ、その子のコラ、その子のアシル、 + その子のエルカナ、その子のエブヤサフ、その子のアシル、 + その子のタハテ、その子のウリエル、その子のウジヤ、その子のサウル。 + エルカナの子孫は、アマサイ、アヒモテ。 + エルカナの子、エルカナ、その子のツォファイ、その子のナハテ、 + その子のエリアブ、その子のエロハム、その子のエルカナ。 + サムエルの子は、長子ヨエル、次男アビヤ。 + メラリの子は、マフリ、その子、リブニ、その子のシムイ、その子のウザ、 + その子のシムア、その子のハギヤ、その子のアサヤ。 + 箱が安置所に納められて後、ダビデが主の宮の歌をつかさどらせるために立てた人々は次のとおりである。 + 彼らはソロモンがエルサレムに主の宮を建てるまでは、会見の天幕である幕屋の前で、歌をもって仕え、おのおのその定めに従って、奉仕を担当した。 + 仕えた者たちとその一族は次のとおりである。ケハテ族からは歌い手ヘマン。彼はヨエルの子、順次さかのぼって、サムエルの子、 + エルカナの子、エロハムの子、エリエルの子、トアハの子、 + ツフの子、エルカナの子、マハテの子、アマサイの子、 + エルカナの子、ヨエルの子、アザルヤの子、ゼパニヤの子、 + タハテの子、アシルの子、エブヤサフの子、コラの子、 + イツハルの子、ケハテの子、レビの子、イスラエルの子。 + ヘマンの兄弟アサフは、彼の右に立って仕えた。アサフはベレクヤの子、順次さかのぼって、彼はシムアの子、 + ミカエルの子、バアセヤの子、マルキヤの子、 + エテニの子、ゼラフの子、アダヤの子、 + エタンの子、ジマの子、シムイの子、 + ヤハテの子、ゲルショムの子、レビの子。 + 左側には、彼らの同胞、メラリ族のエタンがいた。彼はキシの子、順次さかのぼって、アブディの子、マルクの子、 + ハシャブヤの子、アマツヤの子、ヒルキヤの子、 + アムツィの子、バニの子、シェメルの子、 + マフリの子、ムシの子、メラリの子、レビの子。 + 彼らの同胞のレビ人は、神の宮である幕屋のあらゆる奉仕につけられた。 + アロンとその子らは、全焼のいけにえの壇と香の壇の上に煙を立ち上らせて、至聖所のすべての仕事に当たり、イスラエルを贖った。すべて、神のしもべモーセが命じたとおりである。 + アロンの子孫は次のとおりである。その子、エルアザル、その子のピネハス、その子のアビシュア、 + その子のブキ、その子のウジ、その子のゼラヘヤ、 + その子のメラヨテ、その子のアマルヤ、その子のアヒトブ、 + その子のツァドク、その子のアヒマアツ。 + 彼らの居住地はおのおのの地域内の宿営ごとに次のとおりである。ケハテ氏族に属するアロンの子孫には、彼らにくじが当たったので、 + ユダの地にあるヘブロンとその回りの放牧地を与えた。 + しかし、この町の畑とその村々は、エフネの子カレブに与えた。 + アロンの子孫には、のがれの町ヘブロン、それにリブナとその放牧地、ヤティル、エシュテモアとその放牧地、 + ヒレズとその放牧地、デビルとその放牧地、 + アシャンとその放牧地、ベテ・シェメシュとその放牧地、 + ベニヤミン部族から、ゲバとその放牧地、アレメテとその放牧地、アナトテとその放牧地を与えた。彼らの諸氏族の町は、全部で十三の町であった。 + 残りのケハテ族には、あの半部族、すなわち、マナセの半部族に属する氏族から、くじによって十の町を与えた。 + ゲルショム族の諸氏族には、イッサカル部族、アシェル部族、ナフタリ部族、バシャンに住むマナセ部族から十三の町を与えた。 + メラリ族の諸氏族には、ルベン部族、ガド部族、ゼブルン部族から、くじによって十二の町を与えた。 + イスラエル人は、レビ人に町とその放牧地とを与えるとき、 + ユダ部族、シメオン部族、ベニヤミン部族から、これらの町々をくじによって与えた。彼らは、その町々の名を読み上げた。 + ケハテ諸氏族のうちのあるものには、エフライム部族からその地域の町々が与えられた。 + 彼らには、エフライムの山地にあるのがれの町シェケムとその放牧地、それに、ゲゼルとその放牧地、 + ヨクメアムとその放牧地、ベテ・ホロンとその放牧地、 + アヤロンとその放牧地、ガテ・リモンとその放牧地を与えた。 + 残りのケハテ族の氏族には、マナセの半部族から、アネルとその放牧地、バラムとその放牧地を与えた。 + ゲルショム族には、マナセの半部族に属する氏族から、バシャンのゴランとその放牧地、アシュタロテとその放牧地、 + イッサカル部族から、ケデシュとその放牧地、ダベラテとその放牧地、 + ラモテとその放牧地、アネムとその放牧地、 + アシェル部族から、マシャルとその放牧地、アブドンとその放牧地、 + フコクとその放牧地、レホブとその放牧地、 + ナフタリ部族から、ガリラヤにあるケデシュとその放牧地、ハモンとその放牧地、キルヤタイムとその放牧地を与えた。 + 残りのメラリ族には、ゼブルン部族から、リモノとその放牧地、タボルとその放牧地、 + エリコからヨルダン川を渡った地方、すなわち、ヨルダン川の東では、ルベン部族から、荒野にあるベツェルとその放牧地、ヤハツとその放牧地、 + ケデモテとその放牧地、メファアテとその放牧地、 + ガド部族から、ギルアデのラモテとその放牧地、マハナイムとその放牧地、 + ヘシュボンとその放牧地、ヤゼルとその放牧地を与えた。 + + + イッサカル族の者は、トラ、プア、ヤシュブ、シムロンの四人。 + トラの子は、ウジ、レファヤ、エリエル、ヤフマイ、イブサム、シェムエル。これは彼ら一族の、すなわち、トラのかしらであって、彼らの家系の勇士であった。その数はダビデの時代には二万二千六百人であった。 + ウジの子たちは、イゼラヘヤ。イゼラヘヤの子たちは、ミカエル、オバデヤ、ヨエル、イシヤ。合わせて五人。彼らはみなかしらであった。 + この人々に加えて、彼ら一族の者、彼らの家系の者で、戦いに備えた軍隊は三万六千人であった。彼らは多くの妻子を得たからである。 + イッサカル全氏族の同胞で、系図に載せられた勇士は全部で八万七千人であった。 + ベニヤミンは、ベラ、ベケル、エディアエルの三人。 + ベラの子は、エツボン、ウジ、ウジエル、エリモテ、イリの五人。これらは彼ら一族のかしらであり、勇士であった。系図に載せられた者は二万二千三十四人であった。 + ベケルの子は、ゼミラ、ヨアシュ、エリエゼル、エルヨエナイ、オムリ、エレモテ、アビヤ、アナトテ、アレメテ。これらはみなベケルの子であった。 + その子孫のうち、彼らの系図に載せられた一族のかしらで勇士である者の数は、二万二百人であった。 + エディアエルの子たちは、ビルハン。ビルハンの子たちは、エウシュ、ベニヤミン、エフデ、ケナアナ、ゼタン、タルシシュ、アヒシャハル。 + これらはみなエディアエルの子であった。彼らは、一族のかしらであり勇士であって、一万七千二百人、従軍して戦いに出る者であった。 + シュピムとフピムは、イルの子であり、フシムがアヘルの子であった。 + ナフタリの子は、ヤハツィエル、グニ、エツェル、シャルム。これらはビルハの子であった。 + マナセの子は、アスリエル、――彼のアラム人のそばめが産んだ。彼女はギルアデの父マキルを産んだ。 + マキルはフピムとシュピムのために妻をめとった。彼の妹の名をマアカと言った――それから次男の名はツェロフハデ。ツェロフハデには女の子どもたちがあった。 + マキルの妻マアカは男の子を産み、その名をペレシュと呼んだ。その弟の名はシェレシュであり、その子はウラムとレケムであった。 + ウラムの子は、ベダン。これらがマナセの子マキルの子ギルアデの子であった。 + また、彼の妹モレケテは、イシュホデ、アビエゼル、マフラを産んだ。 + それから、シェミダの子は、アフヤン、シェケム、リクヒ、アニアムであった。 + エフライムの子たちは、シュテラフ、その子、ベレデ、その子のタハテ、その子のエルアダ、その子のタハテ、 + その子のザバデ、その子のシュテラフ。それに、エゼル、エルアデであるが、彼らはこの地の生まれであるガテの人々に殺された。彼らが家畜を奪おうとして下って行ったからである。 + 彼らの父エフライムは、何日もの間、喪に服したので、彼の兄弟たちが来て、彼を慰めた。 + その後、エフライムは、妻のところに入った。彼女はみごもって男の子を産んだ。彼はその子をベリアと名づけた。その家がわざわいのさなかにあったからである。 + 彼の娘はシェエラであった。彼女は上および下ベテ・ホロン、およびウゼン・シェエラを建てた。 + 彼の子はレファフ、レシェフ。その子はテラフ、その子はタハン、 + その子はラダン、その子はアミフデ、その子はエリシャマ、 + その子はヌン、その子はヨシュア。 + また、彼らの所有地と居住地は、ベテルとそれに属する村落、東方ではナアラン、西方ではゲゼルとそれに属する村落、それからシェケムとそれに属する村落、そしてアヤとそれに属する村落に至る。 + マナセ族との境では、ベテ・シェアンとそれに属する村落、タナクとそれに属する村落、メギドとそれに属する村落、ドルとそれに属する村落であった。これらの地に、イスラエルの子ヨセフの子孫は住んだ。 + アシェルの子は、イムナ、イシュワ、イシュビ、ベリアと彼らの姉妹セラフ。 + ベリアの子は、ヘベル、マルキエル。マルキエルはビルザイテの父。 + ヘベルは、ヤフレテ、ショメル、ホタムと彼らの姉妹シュアを生んだ。 + ヤフレテの子は、パサク、ビムハル、アシュワテ。これがヤフレテの子らであった。 + ショメルの子は、アヒ、ロフガ、フバ、アラム。 + 彼の兄弟ヘレムの子は、ツォファフ、イムナ、シェレシュ、アマル。 + ツォファフの子は、スアハ、ハルネフェル、シュアル、ベリ、イムラ、 + ベツェル、ホデ、シャマ、シルシャ、イテラン、ベエラ。 + エテルの子は、エフネ、ピスパ、アラ。 + ウラの子は、アラフ、ハニエル、リツヤ。 + これらはみなアシェルの子で、一族のかしら、えり抜きの勇士、長たちのかしらであった。戦いのとき軍務につく者として彼らの系図に載せられた者の数は、二万六千人であった。 + + + ベニヤミンは、その長子ベラ、次男アシュベル、三男アフラフ、 + 四男ノハ、五男ラファを生んだ。 + ベラの子は、アダル、ゲラ、アビフデ、 + アビシュア、ナアマン、アホアハ、 + ゲラ、シェフファンとフラムであった。 + エフデの子は次のとおりである。――彼らはゲバの住民の一族のかしらで、マナハテに捕らえ移された者たちである。 + すなわち、この人々を捕らえ移したのはナアマンとアヒヤとゲラである――エフデは、ウザとアヒフデを生んだ。 + シャハライムは、その妻フシムとバアラを去らせて後、モアブの野で子をもうけた。 + 彼は、その妻ホデシュによって、ヨバブ、ツィブヤ、メシャ、マルカム、 + エウツ、サケヤ、ミルマを生んだ。これらは彼の子であって、一族のかしらであった。 + 彼はフシムによって、アビトブとエルパアルを生んだ。 + エルパアルの子は、エベル、ミシュアム、シェメデ、――彼はオノとロデおよびそれに属する村落を建てた―― + ベリア、シェマ、――彼らはアヤロンの住民の一族のかしらで、ガテの住民を追い払った者。 + アフヨ、シャシャク、エレモテ、 + ゼバデヤ、アラデ、エデル、 + ミカエル、イシュパ、ヨハはベリアの子―― + ゼバデヤ、メシュラム、ヒズキ、ヘベル、 + イシュメライ、イズリア、ヨバブ。これらはエルパアルの子であった。 + ヤキム、ジクリ、ザブディ、 + エリエナイ、ツィルタイ、エリエル、 + アダヤ、ベラヤ、シムラテ。これらはシムイの子であった。 + イシュパン、エベル、エリエル、 + アブドン、ジクリ、ハナン、 + ハナヌヤ、エラム、アヌトティヤ、 + イフデヤ、ペヌエル。これらはシャシャクの子であった。 + シャムシェライ、シェハルヤ、アタルヤ、 + ヤアレシュヤ、エリヤ、ジクリ。これらはエロハムの子であった。 + これらは、彼らの家系の一族のかしらで、おもだった者たちである。彼らはエルサレムに住んだ。 + ギブオンにはギブオンの父が住んだ。その妻の名はマアカ。 + その子は、長子がアブドン、それにツル、キシュ、バアル、ナダブ、 + ゲドル、アフヨ、ゼケル。 + ミクロテはシムアを生んだ。彼らも、その兄弟たちとともにエルサレムに住み、その兄弟たちのすぐ前にいた。 + ネルはキシュを生み、キシュはサウルを生み、サウルはヨナタン、マルキ・シュア、アビナダブ、エシュバアルを生んだ。 + ヨナタンの子はメリブ・バアル。メリブ・バアルはミカを生んだ。 + ミカの子は、ピトン、メレク、タアレア、アハズ。 + アハズはエホアダを生み、エホアダは、アレメテ、アズマベテ、ジムリを生み、ジムリはモツァを生んだ。 + モツァはビヌアを生んだ。その子はラファ、その子はエルアサ、その子はアツェル。 + アツェルには六人の子がいた。その名まえは次のとおりである。アズリカム、ボクル、イシュマエル、シェアルヤ、オバデヤ、ハナン。これらはみな、アツェルの子であった。 + 彼の兄弟エシェクの子は、長子がウラム、次男がエウシュ、三男がエリフェレテ。 + ウラムの子たちは勇士であり、弓を引く人々であった。子や孫が多く、百五十人であった。以上はみな、ベニヤミン族の者であった。 + + + 全イスラエルは系図に載せられた。それはイスラエルの王たちの書にまさしくしるされている。ユダは、不信の罪のために、バビロンに捕らえ移されていた。 + ところで、彼らの所有地である彼らの町々に最初に住みついたのは、イスラエル、祭司たち、レビ人および宮に仕えるしもべたちであった。 + エルサレムには、ユダ族、ベニヤミン族、エフライムおよびマナセ族の者が住みついた。 + すなわち、ウタイ。彼はアミフデの子、順次さかのぼって、オムリの子、イムリの子、バニの子、バニはユダの子ペレツの子孫である。 + シェラ人からは、長子アサヤとその子孫。 + ゼラフ族からは、エウエルとその同族、六百九十人。 + ベニヤミン族からは、サル、彼はセヌアの子ホダブヤの子メシュラムの子。 + それにエロハムの子イブネヤ。ミクリの子ウジの子エラ。シェファテヤの子メシュラ。シェファテヤはイブニヤの子レウエルの子である。 + 彼らの家系の同族九百五十六人。これはみな、父祖の家ごとの一族のかしらに当たる人々であった。 + 祭司たちからは、エダヤ、エホヤリブ、ヤキン、 + アザルヤ。彼はヒルキヤの子、順次さかのぼって、メシュラムの子、ツァドクの子、メラヨテの子、神の宮のつかさアヒトブの子。 + アダヤ。彼はマルキヤの子パシュフルの子エロハムの子。マサイ。彼はアディエルの子、順次さかのぼって、ヤフゼラの子、メシュラムの子、メシレミテの子、イメルの子。 + 彼らの同族で一族のかしらたち、千七百六十人。彼らは神の宮の奉仕の仕事に熟練した、力のある人々であった。 + レビ人からは、メラリ族のハシャブヤの子アズリカムの子ハシュブの子シェマヤ。 + それにバクバカル、ヘレシュ、ガラル、マタヌヤ、彼はアサフの子ジクリの子ミカの子。 + オバデヤ。彼はエドトンの子ガラルの子シェマヤの子。それにベレクヤ。彼はネトファ人の村々に住んだエルカナの子アサの子。 + 門衛はシャルム、アクブ、タルモン、アヒマンで、彼らの兄弟シャルムがかしらであった。 + 彼は今日に至るまで、東方にある王の門にいる。この人々はレビ族の宿営の門衛であった。 + コラの子エブヤサフの子コレの子シャルム、その父の家に属する彼の兄弟たち、すなわちコラ人は、その奉仕の仕事につき、天幕の入口を守る者となった。彼らの一族は主の宿営をつかさどり、その門口を守る者であった。 + かつてはエルアザルの子ピネハスが彼らのつかさであり、主は彼とともにおられた。 + メシェレムヤの子ゼカリヤは会見の天幕の戸口を守る門衛であった。 + 入口にいる門衛として選ばれたこれらの人々は、全部で二百十二人であった。彼らは、彼らの村々で系図に載せられた。ダビデと予見者サムエルが彼らの職責を定めたのである。 + 彼らとその子らは、守衛として主の宮すなわち天幕の家の門をつかさどった。 + 四方、すなわち、東方、西方、北方、南方に門衛がいた。 + 彼らの村々の同胞は、七日目ごとに来て、決まった時から決まった時まで彼らとともにいなければならなかった。 + その職責では、彼らは、門衛の勇士たちの四人で、レビ人であり、脇部屋および神の宮の宝物倉をつかさどった。 + 彼らは神の宮の回りで夜を過ごした。彼らには任務が課せられており、彼らは朝ごとにかぎをあけた。 + 彼らの中のある者は、務めの器具をつかさどった。数を合わせてこれらを運び入れ、数を合わせてこれらを運び出した。 + 彼らの中のある者は、器具、すなわち聖所のすべての器具と、小麦粉、ぶどう酒、油、乳香、バルサム油の管理を割り当てられた。 + 祭司の子の中には、バルサム油の香料を調合する者たちもいた。 + レビ人のひとり、コラ人シャルムの長男マティテヤは、その職責として手なべの仕事をつかさどった。 + また、ケハテ族の彼らの同胞のうちには、並べ供えるパンをつかさどり、安息日ごとにこれを用意する者たちもいた。 + この人々は歌うたいであって、レビ人の一族のかしらであり、各部屋にいて、自由にされていた。昼となく夜となく彼らはその仕事に携わったからである。 + この人々は、レビ人の一族のかしらであって、その家系のうちのおもだった者であった。この人々はエルサレムに住んだ。 + ギブオンにはギブオンの父エイエルが住んだ。その妻の名はマアカ。 + その子は、長子がアブドン、それにツル、キシュ、バアル、ネル、ナダブ、 + ゲドル、アフヨ、ゼカリヤ、ミクロテ。 + ミクロテはシムアムを生んだ。彼らも、その兄弟たちとともにエルサレムに住み、その兄弟たちのすぐ前にいた。 + ネルはキシュを生み、キシュはサウルを生み、サウルはヨナタン、マルキ・シュア、アビナダブ、エシュバアルを生んだ。 + ヨナタンの子はメリブ・バアル。メリブ・バアルはミカを生んだ。 + ミカの子は、ピトン、メレク、タフレア。 + アハズはヤラを生み、ヤラは、アレメテ、アズマベテ、ジムリを生み、ジムリはモツァを生んだ。 + モツァはビヌアを生んだ。その子はレファヤ、その子はエルアサ、その子はアツェル。 + アツェルには六人の子がいた。その名まえは次のとおりである。アズリカム、ボクル、イシュマエル、シェアルヤ、オバデヤ、ハナン。これらはアツェルの子であった。 + + + ペリシテ人はイスラエルと戦った。そのときイスラエル人は、ペリシテ人の前から逃げ、ギルボア山で刺し殺されて倒れた。 + ペリシテ人はサウルとその息子たちに追い迫って、サウルの息子ヨナタン、アビナダブ、マルキ・シュアを打ち殺した。 + 攻撃はサウルに集中し、射手たちが彼をねらい撃ちにしたので、彼は射手たちのために傷を負った。 + サウルは、道具持ちに言った。「おまえの剣を抜いて、それで私を刺し殺してくれ。あの割礼を受けていない者どもがやって来て、私をなぶり者にするといけないから。」しかし、道具持ちは、非常に恐れて、とてもその気になれなかった。そこで、サウルは剣を取り、その上にうつぶせに倒れた。 + 道具持ちも、サウルの死んだのを見届けると、剣の上にうつぶせに倒れて死んだ。 + こうしてサウルは死に、彼の三人の息子も、彼の全家も、共に死んだ。 + 谷にいたイスラエル人はみな、彼らが逃げ、サウルとその息子たちが死んだのを見て、彼らの町々を捨てて逃げた。それで、ペリシテ人がやって来て、そこに住んだ。 + 翌日、ペリシテ人が、その殺した者たちからはぎ取ろうとしてやって来たとき、サウルとその息子たちがギルボア山で倒れているのを見つけた。 + 彼らは、彼の衣服をはぎ取り、彼の首と彼の武具を取った。そしてペリシテ人の地にあまねく人を送って、彼らの偶像と民とに告げ知らせた。 + 彼らはサウルの武具を彼らの神々の宮に奉納し、彼の首をダゴンの宮にさらした。 + 全ヤベシュ・ギルアデが、ペリシテ人のサウルに対するしうちをことごとく聞いたとき、 + 勇士たちはみな、立ち上がり、サウルのなきがらとその息子たちのなきがらとを取り上げ、これをヤベシュに運んで、彼らの骨をヤベシュにある樫の木の下に葬り、七日間、断食した。 + このように、サウルは主に逆らったみずからの不信の罪のために死んだ。主のことばを守らず、そのうえ、霊媒によって伺いを立て、 + 主に尋ねなかった。それで、主は彼を殺し、王位をエッサイの子ダビデに回された。 + + + 全イスラエルは、ヘブロンのダビデのもとに集まって来て言った。「ご覧のとおり、私たちはあなたの骨肉です。 + これまで、サウルが王であった時でさえ、イスラエルを動かしていたのは、あなたでした。しかもあなたの神、主は、あなたに言われました。『あなたがわたしの民イスラエルを牧し、あなたがわたしの民イスラエルの君主となる。』」 + イスラエルの全長老がヘブロンの王のもとに来たとき、ダビデは、ヘブロンで主の前に彼らと契約を結び、彼らは、サムエルによる主のことばのとおりに、ダビデに油をそそいでイスラエルの王とした。 + ダビデと全イスラエルがエルサレム――それはエブスのことで、そこには、この地の住民エブス人がいた――に行ったとき、 + エブスの住民はダビデに言った。「あなたはここに来ることはできない。」しかし、ダビデはシオンの要害を攻め取った。これがダビデの町である。 + そのとき、ダビデは言った。「だれでも真っ先にエブス人を打つ者をかしらとし、つかさとしよう。」ツェルヤの子ヨアブが真っ先に上って行ったので、彼がかしらとなった。 + こうしてダビデはこの要害を住まいとした。このため、これはダビデの町と呼ばれた。 + 彼は、ミロから周辺に至るまで、町の周囲を建て上げ、町の他の部分はヨアブが再建した。 + ダビデはますます大いなる者となり、万軍の主が彼とともにおられた。 + ダビデの勇士のかしらたちは次のとおりである。彼らは、彼とともに全イスラエルに対する彼の王権を強固にし、イスラエルについての主のことばのとおりに、彼を王とした人々である。 + ダビデの勇士たちの名簿は次のとおりである。補佐官のかしら、ハクモニの子ヤショブアム。彼は槍をふるって一度に三百人を刺し殺した。 + 彼の次は、アホアハ人ドドの子エルアザル。彼は三勇士のひとりであった。 + 彼はダビデとともにパス・ダミムにいた。ペリシテ人はそこに集まって来て戦いをいどんだ。そこには大麦の密生した一つの畑があり、民はペリシテ人の前から逃げたが、 + 彼らはその畑の真ん中に踏みとどまって、これを救い、ペリシテ人を打ち殺した。こうして、主は大勝利を収められた。 + 三十人のうちのこの三人は、岩場にあるアドラムのほら穴にいるダビデのところに下って来た。ペリシテ人の陣営は、レファイムの谷に張られていた。 + そのとき、ダビデは要害におり、ペリシテ人の守備隊長はそのとき、ベツレヘムにいた。 + ダビデはしきりに望んで言った。「だれか、ベツレヘムの門にある井戸の水を飲ませてくれたらなあ。」 + すると、この三人は、ペリシテ人の陣営を突き抜けて、ベツレヘムの門にある井戸から水を汲み、それを携えてダビデのところに持って来た。ダビデはそれを飲もうとはせず、それを注いで主にささげて、 + 言った。「そんなことをするなど、わが神の御前に、絶対にできません。これらいのちをかけた人たちの血が、私に飲めましょうか。彼らはいのちをかけてこれを運んで来たのです。」彼は、それを飲もうとはしなかった。三勇士は、このようなことをしたのである。 + ヨアブの兄弟アブシャイ、彼は三人のかしらであった。彼は槍をふるって三百人に向かい、これを刺し殺したが、あの三人の中には、その名がなかった。 + 彼は三人の中で最も誉れが高かった。そこで彼らの長になった。しかし、あの三人には及ばなかった。 + エホヤダの子ベナヤは、カブツェエルの出で、多くのてがらを立てた力ある人であった。彼は、モアブのふたりの英雄を打ち殺した。また、ある雪の日に、ほら穴の中に降りて行って雄獅子を打ち殺した。 + 彼はまた、あのエジプト人――背の高い男で、五キュビトあった――を打ち殺した。このエジプト人は、手に機織りの巻き棒に似た槍を持っていた。彼は杖を持ってその男のところに下って行き、エジプト人の手から槍をもぎ取って、その槍で彼を殺した。 + エホヤダの子ベナヤは、これらのことをして、三勇士とともに名をあげた。 + 彼は、実に、あの三十人の中で最も誉れが高かったが、あの三人には及ばなかった。ダビデは彼を自分の護衛長にした。 + 勇士たちは、ヨアブの兄弟アサエル。ベツレヘムの出のドドの子エルハナン。 + ハロリ人シャモテ。ペロニ人ヘレツ。 + テコア人イケシュの子イラ。アナトテ人アビエゼル。 + フシャ人シベカイ。アホアハ人イライ。 + ネトファ人マフライ。ネトファ人バアナの子ヘレデ。 + ギブアの出のベニヤミン族リバイの子イタイ。ピルアトン人ベナヤ。 + ガアシュの谷の出のフライ。アラバ人アビエル。 + バハルム人アズマベテ。シャアルビム人エルヤフバ。 + ギゾ人ハシェムの子ら。ハラル人シャゲの子ヨナタン。 + ハラル人サカルの子アヒアム。ウルの子エリファル。 + メケラ人ヘフェル。ペロニ人アヒヤ。 + カルメル人ヘツロ。エズバイの子ナアライ。 + ナタンの兄弟ヨエル。ハグリの子ミブハル。 + アモン人ツェレク。ツェルヤの子ヨアブの道具持ちベロテ人ナフライ。 + エテル人イラ。エテル人ガレブ。 + ヘテ人ウリヤ。アフライの子ザバデ。 + ルベン人シザの子アディナ、すなわちルベン人のかしらで、三十人の上に立つ者であった。 + マアカの子ハナン。ミテニ人ヨシャパテ。 + アシュタロテ人ウジヤ。アロエル人ホタムの子らシャマとエイエル。 + ティツ人シムリの子エディアエルとその兄弟ヨハ。 + マハビム人エリエル。エルナアムの子らエリバイとヨシャブヤ。モアブ人イテマ。 + エリエル、オベデ。それにメツォバヤ人ヤアシエル。 + + + ダビデがキシュの子サウルのゆえに、まだツィケラグに引きこもっていたとき、ツィケラグの彼のもとに来た人々は次のとおりである。彼らは勇士たちの中で、戦いの加勢をした人々であり、 + 弓を持った者、石投げ、弓矢に、右手も左手も使う者で、サウルの同族、ベニヤミンの出であった。 + かしらはアヒエゼル、次はヨアシュ。彼らはギブア人シェマアの子。エジエル、ペレテ。彼らはアズマベテの子。次にベラカとアナトテ人エフー。 + ギブオン人イシュマヤ、彼は三十人の中の勇士で、三十人の長であった。/次に、エレミヤ、ヤハジエル、ヨハナン、ゲデラ人エホザバデ、 + エルウザイ、エリモテ、ベアルヤ、シェマルヤ、ハリフ人シェファテヤ、 + エルカナ、イシヤ、アザルエル、ヨエゼル、ヤショブアム。これらはコラ人である。 + ヨエラ、ゼバデヤ。これらはゲドルから出たエロハムの子らである。 + また、ガド人から離れて、荒野の要害をさしてダビデのもとに来た人々は、勇士であって戦いのために従軍している人であり、大盾と槍の備えのある者であった。彼らの顔は獅子の顔で、早く走ることは、山のかもしかのようであった。 + そのかしらはエゼル。第二はオバデヤ。第三はエリアブ。 + 第四はミシュマナ。第五はエレミヤ。 + 第六はアタイ。第七はエリエル。 + 第八はヨハナン。第九はエルザバデ。 + 第十はエレミヤ。第十一はマクバナイ。 + これらはガド族から出た軍のかしらたちで、その最も小さい者もひとりが百人に匹敵し、最も大いなる者は千人に匹敵した。 + この人々は、第一の月、すなわちヨルダン川がどこの岸もいっぱいにあふれるとき、これを渡った者たちである。彼らは谷にいた人々を全部、東に西に追い払った。 + さらに、ベニヤミン族とユダ族からも、要害のダビデのもとに来た者があった。 + そこで、ダビデは彼らの前に出て行き、彼らに答えて言った。「もし、あなたがたが穏やかな心で、私を助けるために私のもとに来たのなら、私の心はあなたがたと一つだ。もし、私の手に暴虐がないのに、私を欺いて、私の敵に渡すためなら、私たちの父祖の神が見て、おさばきくださるように。」 + そのとき、御霊が補佐官の長アマサイを捕らえた。「ダビデよ。私たちはあなたの味方。エッサイの子よ。私たちはあなたとともにいる。平安があるように。あなたに平安があるように。あなたを助ける者に平安があるように。まことにあなたの神はあなたを助ける。」そこで、ダビデは彼らを受け入れ、隊のかしらとした。 + ダビデがペリシテ人とともに、サウルとの戦いに出たとき、マナセからも、何人かの者がダビデをたよって来た。しかし、彼らはペリシテ人を助けなかった。ペリシテ人の領主たちが、「彼はわれわれの首を持って、主君サウルのもとに下って行くのだ」と言い、わざわざ彼を送り返したからである。 + 彼がツィケラグに行ったとき、マナセからアデナフ、エホザバデ、エディアエル、ミカエル、エホザバデ、エリフ、ツィルタイが彼をたよって来た。彼らは、マナセに属する千人隊のかしらであった。 + 彼らはダビデを助けて、あの略奪隊に当たった。みな勇士であり、将軍であった。 + 日に日に、人々がダビデを助けるため彼のもとに来て、ついに神の陣営のような大陣営となった。 + 主のことばのとおり、サウルの支配をダビデに回そうと、ヘブロンにいるダビデのもとに来た、武装した者のかしらの数は次のとおりである。 + ユダ族で、大盾と槍を手にし武装した者六千八百人。 + シメオン族から軍務につく勇士七千百人。 + レビ族から四千六百人。 + エホヤダはアロンのつかさで、彼とともにいた者は三千七百人。 + ツァドクは若い勇士で、その一族には二十二人のつかさがいた。 + サウルの同胞、ベニヤミン族から三千人。これまで、彼らの大多数は、サウルの家の任務についていた。 + エフライム族から二万八百人。勇士で、その一族に名のある人々であった。 + マナセの半部族から、ダビデを王にしようとしてやって来た名の示された者一万八千人。 + イッサカル族から、時を悟り、イスラエルが何をなすべきかを知っている彼らのかしら二百人。彼らの同胞はみな、彼らの命令に従った。 + ゼブルンから、従軍する者で、完全に武装し、戦いの備えをした者五万人。彼らは心を一つにして集まった。 + ナフタリから、つかさ一千人。彼らのもとに、大盾と槍を持つ者三万七千人。 + ダン人から、戦いの備えをした者二万八千六百人。 + アシェルから、従軍する者で、戦いの備えをした者四万人。 + ヨルダン川の向こう側、ルベン人、ガド人、マナセの半部族から、戦いのために完全軍装をした者十二万人。 + 誠実な心で、並び集まったこれらの戦士たちは、ヘブロンに来て、ダビデを全イスラエルの王にした。イスラエルの残りの者たちもまた、心を一つにしてダビデを王にした。 + 彼らはそこに、ダビデとともに三日間とどまり、飲み食いした。彼らの兄弟たちが彼らのために用意したからである。 + 彼らに近い者たちも、イッサカル、ゼブルン、ナフタリに至るまで、ろば、らくだ、騾馬、牛に載せて食べ物を運んで来た。小麦粉の菓子、干しいちじく、干しぶどう、ぶどう酒、油、牛、羊などがたくさん運ばれた。イスラエルに喜びがあったからである。 + + + ここに、ダビデは千人隊の長、百人隊の長たち、すべての隊長と合議し、 + イスラエルの全集団に向かって、言った。「もしも、このことが、あなたがたによく、私たちの神、主の御旨から出たことなら、イスラエル全土に残っている私たちの同胞にいっせいに使者を送ろう。彼らのうちには、放牧地のある町々の祭司やレビ人もいる。彼らを私たちのもとに集めよう。 + 私たちの神の箱を私たちのもとに持ち帰ろう。私たちは、サウルの時代には、これを顧みなかったから。」 + すると全集団は、そうしようと言った。すべての民がそのことを正しいと見たからである。 + そこで、ダビデは、神の箱をキルヤテ・エアリムから運ぶため、エジプトのシホルからレボ・ハマテに至るまでの全イスラエルを召集した。 + ダビデと全イスラエルは、バアラ、すなわち、ユダに属するキルヤテ・エアリムに上って行き、そこから、「ケルビムに座しておられる主」と呼ばれていた神の箱を運び上ろうとした。 + そこで彼らはアビナダブの家から神の箱を新しい車に載せた。ウザとアフヨがその車を御していた。 + ダビデと全イスラエルは、歌を歌い、立琴、十弦の琴、タンバリン、シンバル、ラッパを鳴らして、神の前で力の限り喜び踊った。 + こうして彼らがキドンの打ち場まで来たとき、ウザは手を伸ばして、箱を押さえた。牛がそれをひっくり返しそうになったからである。 + すると、主の怒りがウザに向かって燃え上がり、彼を打った。彼が手を箱に伸べたからである。彼はその場で神の前に死んだ。 + ダビデの心は激した。ウザによる割りこみに主が怒りを発せられたからである。それでその場所はペレツ・ウザと呼ばれた。今日もそうである。 + その日ダビデは神を恐れて言った。「私はどうして、私のところに神の箱をお運びできましょうか。」 + そこで、ダビデは箱を彼のところダビデの町には移さず、ガテ人オベデ・エドムの家にそれを回した。 + このようにして、神の箱はオベデ・エドムの家族とともに、彼の家に三か月間とどまった。主はオベデ・エドムの家と、彼に属するすべてのものを祝福された。 + + + ツロの王ヒラムは、ダビデのもとに使者を送り、ダビデの王宮を建てるために杉材、石工、大工を送った。 + ダビデは、主が彼をイスラエルの王として堅く立て、主の民イスラエルのために、彼の王権がいよいよ盛んにされているのを知った。 + ダビデはエルサレムで、さらに妻たちをめとった。ダビデはさらに、息子、娘たちを生んだ。 + エルサレムで彼に生まれた子の名は次のとおり。シャムア、ショバブ、ナタン、ソロモン、 + イブハル、エリシュア、エルペレテ、 + ノガハ、ネフェグ、ヤフィア、 + エリシャマ、ベエルヤダ、エリフェレテ。 + ペリシテ人は、ダビデが油をそそがれて全イスラエルの王となったことを聞いた。そこでペリシテ人はみな、ダビデをねらって上って来た。ダビデはそれと聞き、彼らを迎え撃ちに出た。 + ペリシテ人は来て、レファイムの谷間に突入した。 + そこで、ダビデは神に伺って言った。「ペリシテ人を攻めに上るべきでしょうか。彼らを私の手に渡してくださるでしょうか。」すると主は彼に仰せられた。「上れ。わたしは彼らをあなたの手に渡す。」 + それで、みなはバアル・ペラツィムに上り、ダビデはそこで彼らを打った。そして、ダビデは言った。「神は、水が破れ出るように、私の手を用いて私の敵を破られた。」それゆえ、その場所の名はバアル・ペラツィムと呼ばれた。 + 彼らが自分たちの神々を置き去りにして行ったので、ダビデは命じて、これを火で焼いた。 + ところがペリシテ人は、なおもまたその谷間に突入して来た。 + そこで、ダビデがさらに神に伺ったところ、神は彼に仰せられた。「彼らを追って上って行くな。彼らには面と向かわず、回って行き、バルサム樹の林の前から彼らに向かえ。 + バルサム樹の林の上から行進の音が聞こえたら、そのとき、あなたは戦いに行け。神はすでに、ペリシテ人の陣営を打つために、あなたより先に出ているから。」 + ダビデは、神が彼に命じたとおりにし、彼らはギブオンからゲゼルまでのペリシテ人の陣営を打った。 + こうして、ダビデの名声はあまねく全地に及んだ。主はすべての国々に、彼に対する恐怖を起こされた。 + + + 彼はダビデの町に自分のために家を造り、また、神の箱のために場所を定め、そのために天幕を張った。 + そのとき、ダビデは言った。「レビ人でなければ、神の箱をかついではならない。主は、主の箱をかつがせ、とこしえまでも、ご自身に仕えさせるために、彼らを選ばれたからである。」 + ダビデは全イスラエルをエルサレムに呼び出して、主の箱を定めておいた場所へ運び上らせようとした。 + そこで、ダビデは、アロンの子らとレビ人とを集めた。 + ケハテ族から、そのつかさウリエルと、彼の同族の者百二十人。 + メラリ族から、そのつかさアサヤと、彼の同族の者二百二十人。 + ゲルショム族から、そのつかさヨエルと、彼の同族の者百三十人。 + エリツァファン族から、そのつかさシェマヤと、彼の同族の者二百人。 + ヘブロン族から、そのつかさエリエルと、彼の同族の者八十人。 + ウジエル族から、そのつかさアミナダブと、彼の同族の者百十二人。 + ダビデは祭司ツァドクとエブヤタル、それにレビ人たち、ウリエルとアサヤ、ヨエルとシェマヤ、エリエル、アミナダブを呼び、 + 彼らに言った。「あなたがたはレビ人の家のかしらです。あなたがた自身も、あなたがたの同族の者たちも、身を聖別し、イスラエルの神、主の箱を、私がそのために定めておいた所に運び上りなさい。 + 最初の時には、あなたがたがいなかったため、私たちの神、主が、私たちに怒りを発せられたのです。私たちがこの方を定めのとおりに求めなかったからです。」 + そこで、祭司たちとレビ人たちは、イスラエルの神、主の箱を運び上るために身を聖別した。 + そして、レビ族は、モーセが主のことばに従って命じたとおり、神の箱をにない棒で肩にかついだ。 + ここに、ダビデはレビ人のつかさたちに、彼らの同族の者たちを十弦の琴、立琴、シンバルなどの楽器を使う歌うたいとして立て、喜びの声をあげて歌わせるよう命じた。 + そこで、レビ人は、ヨエルの子ヘマン、彼の同族からベレクヤの子アサフ、メラリ族から彼らの同族クシャヤの子エタンを立てた。 + 第二の部類に属する彼らの同族の者たちも、彼らとともにいた。すなわち、ゼカリヤ、ベン、ヤアジエル、シェミラモテ、エヒエル、ウニ、エリアブ、ベナヤ、マアセヤ、マティテヤ、エリフェレフ、ミクネヤ、門衛オベデ・エドムとエイエル。 + 歌うたいは、ヘマン、アサフ、エタン。彼らは青銅のシンバルを用いて歌った。 + ゼカリヤ、アジエル、シェミラモテ、エヒエル、ウニ、エリアブ、マアセヤ、ベナヤは、十弦の琴を用いてアラモテに合わせた。 + マティテヤ、エリフェレフ、ミクネヤ、オベデ・エドム、エイエル、アザズヤは、八弦の立琴に合わせて指揮した。 + レビ人のつかさケナヌヤは荷物の係りで、荷物のことを指図した。彼はそれに通じていたからである。 + ベレクヤとエルカナは、箱を守る門衛であった。 + 祭司たち、すなわち、シェバヌヤ、ヨシャパテ、ネタヌエル、アマサイ、ゼカリヤ、ベナヤ、エリエゼルは、神の箱の前でラッパを吹き鳴らす者、オベデ・エドムとエヒヤは箱を守る門衛であった。 + こうして、ダビデとイスラエルの長老たち、千人隊の長たちは行って、喜びをもって主の契約の箱をオベデ・エドムの家から運び上ろうとした。 + 神が、主の契約の箱をかつぐレビ人を助けられたとき、彼らは七頭の雄牛と七頭の雄羊とをいけにえとしてささげた。 + ダビデは白亜麻布の衣を身にまとっていた。箱をかつぐすべてのレビ人、歌うたいたち、荷物係長ケナヌヤ、歌うたいたちも、同様であった。ダビデは亜麻布のエポデを着けていた。 + 全イスラエルは、歓声をあげ、角笛、ラッパ、シンバルを鳴らし、十弦の琴と立琴とを響かせて、主の契約の箱を運び上った。 + こうして、主の契約の箱はダビデの町に入った。サウルの娘ミカルは、窓から見おろし、ダビデ王がとびはねて喜び踊っているのを見て、心の中で彼をさげすんだ。 + + + こうして、彼らは、神の箱を運び込み、ダビデがそのために張った天幕の真ん中に安置した。それから、彼らは神の前に、全焼のいけにえと和解のいけにえをささげた。 + ダビデは、全焼のいけにえと和解のいけにえをささげ終えてから、主の名によって民を祝福した。 + そしてイスラエルのひとりひとりみなに、男にも女にも、それぞれ、丸型のパン、なつめやしの菓子、干しぶどうの菓子を分け与えた。 + それから、レビ人の中のある者たちを、主の箱の前で仕えさせ、イスラエルの神、主を覚えて感謝し、ほめたたえるようにした。 + かしらはアサフ、彼に次ぐ者は、ゼカリヤ、エイエル、シェミラモテ、エヒエル、マティテヤ、エリアブ、ベナヤ、オベデ・エドム、エイエル。彼らは十弦の琴や、立琴などの楽器を携え、アサフはシンバルを響かせた。 + 祭司ベナヤとヤハジエルは、ラッパを携え、常に神の契約の箱の前にいた。 + その日その時、ダビデは初めてアサフとその兄弟たちを用いて、主をほめたたえた。 + 主に感謝して、御名を呼び求めよ。/そのみわざを国々の民の中に知らせよ。 + 主に歌え。主にほめ歌を歌え。/そのすべての奇しいみわざに思いを潜めよ。 + 主の聖なる名を誇りとせよ。/主を慕い求める者の心を喜ばせよ。 + 主とその御力を尋ね求めよ。/絶えず御顔を慕い求めよ。 + 主が行われた奇しいみわざを思い起こせ。/その奇蹟と御口のさばきとを。 + 主のしもべイスラエルのすえよ。/主に選ばれた者、ヤコブの子らよ。 + この方こそ、私たちの神、主。/そのさばきは全地にわたる。 + 覚えよ。/主の契約をとこしえに。/お命じになったみことばは千代にも及ぶ。 + その契約はアブラハムと結んだもの、イサクへの誓い。 + 主はヤコブのためにそれをおきてとして立て、イスラエルに対する永遠の契約とされた。 + そのとき主は仰せられた。「わたしはあなたがたの相続地としてあなたに、カナンの地を与える。」 + そのころ、あなたがたの数は少なかった。まことにわずかで、そのうえそこでは、寄留の他国人であった。 + 彼らは、国から国へ、一つの王国から他の民へと渡り歩いた。 + しかし主は、だれにも彼らをしいたげさせず、かえって、彼らのために王たちを責められた。 + 「わたしの油そそがれた者たちに触れるな。わたしの預言者たちに危害を加えるな。」 + 全地よ。主に歌え。日から日へと、御救いの良い知らせを告げよ。 + 主の栄光を国々の中で語り告げよ。その奇しいみわざを、すべての国々の民の中で。 + まことに主は大いなる方、大いに賛美されるべき方。すべての神々にまさって恐れられる方だ。 + まことに、国々の民の神々はみな、むなしい。しかし主は天をお造りになった。 + 尊厳と威光は御前にあり、力と歓喜はみもとにある。 + 国々の民の諸族よ。主にささげよ。栄光と力を主にささげよ。 + 御名の栄光を主にささげよ。ささげ物を携えて、御前に行け。聖なる飾り物を着けて、主にひれ伏せ。 + 全地よ。主の御前に、おののけ。まことに、世界は堅く建てられ、揺らぐことはない。 + 天は喜び、地は、こおどりせよ。国々の中で言え。主は王である。 + 海とそれに満ちているものは鳴りとどろけ。野とその中にあるものはみな、勝ち誇れ。 + そのとき、森の木々も、主の御前で、喜び歌おう。確かに、主は地をさばくために来られる。 + 主に感謝せよ。主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで。 + 言え。「私たちの救いの神よ。私たちをお救いください。国々から私たちを集め、私たちを救い出してください。あなたの聖なる御名に感謝し、あなたの誉れを誇るために。」 + ほむべきかな。イスラエルの神、主。とこしえから、とこしえまで。それから、すべての民はアーメンと言い、主をほめたたえた。 + 彼は、その場所、すなわち、主の契約の箱の前に、アサフとその兄弟たちをとどめておき、毎日の日課として、常に箱の前で仕えさせた。 + オベデ・エドムと彼らの兄弟たちは六十八人いたが、エドトンの子オベデ・エドムとホサを門衛とした。 + 祭司ツァドクと彼の兄弟である祭司たちを、ギブオンの高き所にある主の住まいの前におらせ、 + 全焼のいけにえを、朝ごと、夕ごとに、絶えず、また、すべて主のイスラエルに命じた律法に書かれているとおりに、全焼のいけにえの壇上で、主にささげさせた。 + 彼らとともにヘマン、エドトン、その他、はっきりと名の示された者で、選ばれた者たちを置き、主をほめたたえさせた。「まことに主の恵みは、とこしえまで。」 + ヘマンとエドトンの手には、歌う者たちのためにラッパとシンバルとがあり、また、神の歌に用いる楽器があった。また、エドトンの子らは門にいた。 + 民がみなそれぞれ自分の家に帰ってから、ダビデは自分の家族を祝福するために戻って行った。 + + + ダビデが自分の家に住んでいたとき、ダビデは預言者ナタンに言った。「ご覧のように、この私が杉材の家に住んでいるのに、主の契約の箱は天幕の下にあります。」 + すると、ナタンはダビデに言った。「あなたの心にあることをみな行いなさい。神があなたとともにおられるのですから。」 + その夜のことである。次のような神のことばがナタンにあった。 + 「行って、わたしのしもべダビデに言え。/主はこう仰せられる。あなたはわたしのために住む家を建ててはならない。 + わたしは、イスラエルを導き上った日以来、今日まで、家に住んだことはなく、天幕から天幕に、幕屋から幕屋にいた。 + わたしが全イスラエルと歩んできたどんな所ででも、わたしの民を牧せよとわたしが命じたイスラエルのさばきつかさのひとりにでも、『なぜ、あなたがたはわたしのために杉材の家を建てなかったのか』と、一度でも、言ったことがあろうか。 + 今、わたしのしもべダビデにこう言え。/万軍の主はこう仰せられる。わたしはあなたを、羊の群れを追う牧場からとり、わたしの民イスラエルの君主とした。 + そして、あなたがどこに行っても、あなたとともにおり、あなたの前で、あなたのすべての敵を断ち滅ぼした。わたしは地上の大いなる者の名に等しい名をあなたに与える。 + わたしが、わたしの民イスラエルのために一つの場所を定め、民を住みつかせ、民がその所に住むなら、もはや民は恐れおののくことはない。不正な者たちも、初めのころのように、重ねて民を押さえつけることはない。 + それは、わたしが、わたしの民イスラエルの上にさばきつかさを任命したころのことである。わたしはあなたのすべての敵を屈服させる。わたしはあなたに告げる。『主があなたのために一つの家を建てる。』 + あなたの日数が満ち、あなたがあなたの先祖たちのもとに行くようになるなら、わたしは、あなたの息子の中から、あなたの世継ぎの子を、あなたのあとに起こし、彼の王国を確立させる。 + 彼はわたしのために一つの家を建て、わたしはその王座をとこしえまでも堅く立てる。 + わたしは彼にとって父となり、彼はわたしにとって子となる。わたしはわたしの恵みをあなたの先にいた者から取り去ったが、わたしの恵みをそのように、彼から取り去ることはない。 + わたしは、彼をわたしの家とわたしの王国の中に、とこしえまでも立たせる。彼の王座は、とこしえまでも堅く立つ。」 + ナタンはこれらすべてのことばと、これらすべての幻とを、そのままダビデに告げた。 + ダビデ王は行って、主の前に座し、そして言った。「神、主よ。私がいったい何者であり、私の家が何であるからというので、あなたはここまで私を導いてくださったのですか。 + 神よ。この私はあなたの御目には取るに足りない者でしたのに、あなたは、このしもべの家について、はるか先のことまで告げてくださいました。神、主よ。あなたは私を、高い者として見ておられます。 + このしもべに誉れを与えてくださったことについて、ダビデはこのうえあなたに向かって何をつけ加えることができましょう。あなたはこのしもべをよくご存じです。 + 主よ。あなたは、このしもべのために、あなたのみこころのままに、この大いなることのすべてを行い、この大いなることをすべて知らせてくださいました。 + 主よ。私たちの耳に入るすべてについて、あなたのような方はほかになく、あなたのほかに神はありません。 + また、地上のどの国民があなたの民イスラエルのようでしょう。神ご自身が来られて、この民を贖い、これをご自身の民となさいました。あなたがエジプトから贖い出してくださったあなたの民の前から、国々を追い払うという大いなる恐るべきことを行って、名を得られるためでした。 + こうして、あなたの民イスラエルをとこしえまでもあなたの民とされました。主よ。あなたは彼らの神となられました。 + どうか、主よ。あなたが、このしもべとその家について約束されたことが、とこしえまでも真実をもって行われますように。あなたの約束どおりに行ってください。 + あなたの御名がとこしえまでも真実なものとされ、あがめられ、『イスラエルの神、万軍の主は、イスラエルの神』と言われますように。あなたのしもべダビデの家が御前に堅く立ちますように。 + わが神よ。あなたは、このしもべの耳にはっきり、しもべのために家を建てようと言われました。それゆえ、このしもべは、御前に祈りえたのです。 + 今、主よ。あなたこそ神であられます。あなたは、このしもべに、この良いことを約束してくださいました。 + 今、あなたは、おぼしめしにより、あなたのしもべの家を祝福して、とこしえに御前に続くようにしてくださいました。主よ。あなたが、祝福してくださいました。それはとこしえに祝福されています。」 + + + その後、ダビデはペリシテ人を打って、これを屈服させ、ガテとそれに属する村落をペリシテ人の手から奪った。 + 彼がモアブを打ったとき、モアブはダビデのしもべとなり、みつぎものを納める者となった。 + ダビデは、ツォバの王ハダデエゼルが、ユーフラテス川流域にその勢力を確保しようと出て来たとき、ハマテに出て、彼を打った。 + ダビデは、彼から戦車一千、騎兵七千、歩兵二万を取った。ダビデは、その戦車全部の馬の足の筋を切った。ただし、戦車の馬百頭を残した。 + ダマスコのアラムが、ツォバの王ハダデエゼルを助けに来たが、ダビデはアラムの二万二千人を打った。 + ダビデはダマスコのアラムに守備隊を置いた。アラムはダビデのしもべとなり、みつぎものを納める者となった。こうして主は、ダビデの行く先々で、彼に勝利を与えられた。 + ダビデはハダデエゼルの家来たちの持っていた金の丸い小盾を奪い取り、エルサレムに持ち帰った。 + ダビデは、ハダデエゼルの町ティブハテとクンから、非常に多くの青銅を奪い取った。これを用いて、ソロモンは青銅の海や柱、および青銅の器を作った。 + ハマテの王トウは、ダビデがツォバの王ハダデエゼルの全軍勢を打ち破ったことを聞いた。 + そこで、その子ハドラムをダビデ王のもとにやって、安否を尋ねさせ、ダビデがハダデエゼルと戦ってこれを打ち破ったことについて、祝福のことばを述べさせた。ハダデエゼルがトウに戦いをいどんでいたからである。トウは金、銀、青銅のすべての器を贈り物とした。 + ダビデ王は、それをもまた、彼がすべての異邦の民、すなわちエドム、モアブ、アモン人、ペリシテ人、アマレクのところから運んで来た銀や金とともに、主に聖別してささげた。 + また、ツェルヤの子アブシャイは、塩の谷でエドム人一万八千を打ち殺した。 + 彼はエドムに守備隊を置いた。こうして、エドムの全部がダビデのしもべとなった。このように主は、ダビデの行く先々で、彼に勝利を与えられた。 + ダビデはイスラエルの全部を治め、その民のすべての者に正しいさばきを行った。 + ツェルヤの子ヨアブは軍団長、アヒルデの子ヨシャパテは参議、 + アヒトブの子ツァドクとエブヤタルの子アビメレクは祭司、シャウシャは書記、 + エホヤダの子ベナヤはケレテ人とペレテ人の上に立つ者、ダビデの子らは王の側近の者であった。 + + + この後、アモン人の王ナハシュが死に、その子が代わって王となった。 + ダビデは、「ナハシュの子ハヌンに真実を尽くそう。彼の父が私に真実を尽くしてくれたのだから」と考えた。そこで、ダビデは使者を送って、彼の父の悔やみを言わせた。ダビデの家来たちがハヌンに悔やみを言うため、彼のもと、アモン人の地に来たとき、 + アモン人のつかさたちは、ハヌンに言った。「ダビデがあなたのもとに悔やみの使者をよこしたからといって、彼が父君を敬っているとでもお考えですか。この地を調べ、くつがえし、探るために、彼の家来たちがあなたのところに来たのではありませんか。」 + そこでハヌンはダビデの家来たちを捕らえ、彼らのひげをそり落とし、その衣を半分に切って腰のあたりまでにし、彼らを送り返した。 + 人々が来て、ダビデにこの人たちのことを告げたので、彼は彼らを迎えに人をやった。この人たちが非常に恥じていたからである。王は言った。「あなたがたのひげが伸びるまで、エリコにとどまり、それから帰りなさい。」 + アモン人は、自分たちがダビデの憎しみを買ったのを見て取った。そこでハヌンおよびアモン人は、銀一千タラントを送って、アラム・ナハライムとアラム・マアカとツォバとから戦車と騎兵を雇った。 + 彼らは自分たちのもとに、戦車三万二千台とマアカの王とその軍勢を雇った。彼らは出て来て、メデバの前に陣を敷いた。アモン人も、彼らの町々から集まり、いくさに臨もうと出て来た。 + ダビデはこれを聞き、ヨアブと勇士たちの全軍を送った。 + アモン人は出て、町の入口に戦いの備えをした。共に来た王たちは、別に野にいた。 + ヨアブは、彼の前とうしろに戦いの前面があるのを見て、イスラエルの精鋭全員からさらに兵を選び、アラムに立ち向かう陣ぞなえをし、 + 民の残りの者は彼の兄弟アブシャイの手に託して、アモン人に立ち向かう陣ぞなえをした。 + ヨアブは言った。「もし、アラムが私より強ければ、おまえが私を救ってくれ。もし、アモン人がおまえより強かったら、私がおまえを救おう。 + 強くあれ。われわれの民のため、われわれの神の町々のために全力を尽くそう。主はみこころにかなうことをされる。」 + ヨアブと彼の部下の兵士たちが戦おうとしてアラムの前方に近づいたとき、アラムは彼の前から逃げた。 + アモン人はアラムが逃げるのを見て、彼らもまた、ヨアブの兄弟アブシャイの前から逃げて、町に入り込んだ。そこでヨアブはエルサレムに帰った。 + アラムは、自分たちがイスラエルに打ち負かされたのを見て、使いを送り、川向こうのアラムを連れ出した。ハダデエゼルの将軍ショファクが彼らを率いていた。 + このことがダビデに報告された。すると、彼は全イスラエルを集結し、ヨルダン川を渡って、彼らのほうに進み、彼らに向かって陣ぞなえをした。ダビデはアラムに立ち向かうために戦いの備えをした。彼らは彼と戦った。 + アラムがイスラエルの前から逃げたので、ダビデはアラムの戦車兵七千と歩兵四万をほふり、将軍ショファクを殺した。 + ハダデエゼルのしもべたちは、彼らがイスラエルに打ち負かされたのを見て、ダビデと和を講じ、彼のしもべとなった。アラムはそれからはもう、アモン人を救おうと思わなかった。 + + + 年が改まり、王たちが出陣するころ、ヨアブは軍勢を率いてアモン人の地を荒らし、さらに進んで、ラバを包囲した。ダビデはエルサレムにとどまっていた。ヨアブはラバを打ち、これを破壊した。 + ダビデが、彼らの王の冠をその頭から取ったとき、それは金一タラントの重さがあり、それには宝石がはめ込まれているのがわかった。その冠はダビデの頭に置かれた。彼はまた、その町から非常に多くの分捕り物を持って来た。 + 彼はその町の人々を連れて来て、石のこぎりや、鉄のつるはしや斧を使う仕事につかせた。ダビデはアモン人のすべての町々に対して、このようにした。こうして、ダビデと民のすべてはエルサレムに帰った。 + その後、ゲゼルでペリシテ人との戦いが起こり、そのとき、フシャ人シベカイは、ラファの子孫のひとりシパイを打ち殺した。こうして、彼らは征服された。 + またペリシテ人との戦いがあったとき、ヤイルの子エルハナンは、ガテ人ゴリヤテの兄弟ラフミを打ち殺した。ラフミの槍の柄は、機織りの巻き棒のようであった。 + さらに、ガテで戦いがあったとき、そこに、指が六本ずつ、二十四本ある背の高い男がいた。彼もまたラファの子孫であった。 + 彼はイスラエルをそしったが、ダビデの兄弟シムアの子ヨナタンが彼を打ち殺した。 + これらはガテのラファの子孫で、ダビデとその家来たちの手にかかって倒れた。 + + + ここに、サタンがイスラエルに逆らって立ち、ダビデを誘い込んで、イスラエルの人口を数えさせた。 + ダビデはヨアブと民のつかさたちに言った。「さあ、ベエル・シェバからダンに至るまでのイスラエルを数えなさい。そして、その人数を私に報告して、知らせてほしい。」 + すると、ヨアブは言った。「主が、御民を今より百倍も増してくださいますように。王さま。彼らはみな、わが君のもの、そのしもべではないのでしょうか。なぜ、わが君はこんなことを要求なさるのですか。なぜ、イスラエルに対し罪過ある者となられるのですか。」 + 王はヨアブを説き伏せた。そこでヨアブは出て行って、イスラエルをあまねく行き巡り、エルサレムに帰って来た。 + そして、ヨアブは民の登録人数をダビデに報告した。全イスラエルには剣を使う者が百十万人、ユダには剣を使う者が四十七万人であった。 + 彼はレビとベニヤミンとを、その中に登録しなかった。ヨアブは王の命令を忌みきらったからである。 + この命令で、王は神のみこころをそこなった。神はイスラエルを打たれた。 + そこで、ダビデは神に言った。「私は、このようなことをして、大きな罪を犯しました。今、あなたのしもべの咎を見のがしてください。私はほんとうに愚かなことをしました。」 + そこで、主はダビデの先見者ガドに告げて仰せられた。 + 「行って、ダビデに告げて言え。『主はこう仰せられる。わたしがあなたに出す三つのことがある。そのうち一つを選べ。わたしはあなたのためにそれをしよう。』」 + ガドはダビデのもとに行き、彼に言った。「主はこう仰せられる。『受け入れよ。 + 三年間のききんか。三か月間、あなたが仇の前で取り去られ、あなたに敵の剣が追い迫ることか。あるいは三日間、主の剣、疫病がこの地に及び、主の使いがイスラエルの国中を荒らすことか。』今、私を遣わされた方に何と答えたらよいかを決めてください。」 + ダビデはガドに言った。「それは私には非常につらいことです。私を主の手に陥らせてください。主のあわれみは深いからです。人の手には陥りたくありません。」 + すると、主はイスラエルに疫病を下されたので、イスラエルのうち七万の人が倒れた。 + 神はエルサレムに御使いを遣わして、これを滅ぼそうとされた。主は御使いが滅ぼしているのをご覧になって、わざわいを下すことを思い直し、滅ぼしている御使いに仰せられた。「もう十分だ。あなたの手を引け。」主の使いは、エブス人オルナンの打ち場のかたわらに立っていた。 + ダビデは、目を上げたとき、主の使いが、抜き身の剣を手に持ち、それをエルサレムの上に差し伸べて、地と天の間に立っているのを見た。ダビデと長老たちは、荒布で身をおおい、ひれ伏した。 + ダビデは神に言った。「民を数えよと命じたのは私ではありませんか。罪を犯したのは、はなはだしい悪を行ったのは、この私です。この羊の群れがいったい何をしたというのでしょう。わが神、主よ。どうか、あなたの御手を、私と私の一家に下してください。あなたの民は、疫病に渡さないでください。」 + すると、主の使いはガドに、ダビデに言うようにと言った。「ダビデは上って行って、エブス人オルナンの打ち場に、主のために祭壇を築かなければならない。」 + そこでダビデは、ガドが主の御名によって語ったことばに従って上って行った。 + オルナンが振り返ると御使いが見えた。彼とともにいた彼の四人の子は身を隠し、オルナンは小麦の打穀をしていた。 + ダビデがオルナンのもとに行くと、オルナンは目を留めてダビデを見、打ち場から出て来て、地にひれ伏して、ダビデに礼をした。 + そこで、ダビデはオルナンに言った。「私に打ち場の地所を下さい。そこに主のために祭壇を建てたいのです。十分な金額で、それを私に下さい。神罰が民に及ばないようになるためです。」 + オルナンはダビデに言った。「王さま。どうぞ、お取りになってお気に召すようになさってください。ご覧ください。私は、全焼のいけにえのための牛、たきぎにできる打穀機、穀物のささげ物のための小麦を差し上げます。すべてを差し上げます。」 + しかし、ダビデ王はオルナンに言った。「いいえ、私はどうしても、十分な金額を払って買いたいのです。あなたのものを主にささげるわけにはいきません。費用もかけずに全焼のいけにえをささげたくないのです。」 + そしてダビデは、その地所代として、金のシェケルで重さ六百シェケルに当たるものを、オルナンに与えた。 + こうしてダビデは、そこに主のために祭壇を築き、全焼のいけにえと和解のいけにえとをささげて、主に呼ばわった。すると、主は全焼のいけにえの祭壇の上に天から火を下して、彼に答えられた。 + 主が御使いに命じられたので、御使いは剣をさやに納めた。 + そのとき、ダビデは主がエブス人オルナンの打ち場で彼に答えられたのを見て、そこでいけにえをささげた。 + モーセが荒野で造った主の幕屋と全焼のいけにえの祭壇は、その時、ギブオンの高き所にあった。 + ダビデは神を求めて、その前に出て行くことができなかった。主の使いの剣を恐れたからである。 + + + そこで、ダビデは言った。「これこそ、神である主の宮だ。これこそ、イスラエルの全焼のいけにえの祭壇だ。」 + そして、ダビデは命じて、イスラエルの地にいる在留異国人を召集し、神の宮を建てるため石材を切り出す石切り工を任命した。 + ダビデは、門のとびらの釘および留め金用の鉄をたくさん用意し、青銅も、量りきれないほどおびただしく用意した。 + また、杉の木も数えきれないほど用意した。シドン人とツロ人がダビデのもとに杉の木をおびただしく運んで来たからである。 + ダビデは言った。「わが子ソロモンは、まだ若く力もない。主のために建てる宮は、全地の名となり栄えとなるように大いなるものとしなければならない。それで私は、そのために用意をしておく。」こうして、ダビデは彼が死ぬ前に多くの用意をしておいた。 + 彼はその子ソロモンを呼び、イスラエルの神、主のために宮を建てるように彼に命じた。 + ダビデはソロモンに言った。「わが子よ。私は、わが神、主の御名のために宮を建てようとする志を持ち続けてきた。 + ある時、私に次のような主のことばがあった。『あなたは多くの血を流し、大きな戦いをしてきた。あなたはわたしの名のために家を建ててはならない。あなたは、わたしの前に多くの血を地に流してきたからである。 + 見よ。あなたにひとりの子が生まれる。彼は穏やかな人になり、わたしは、彼に安息を与えて、回りのすべての敵に煩わされないようにする。彼の名がソロモンと呼ばれるのはそのためである。彼の世に、わたしはイスラエルに平和と平穏を与えよう。 + 彼がわたしの名のために家を建てる。彼はわたしにとって子となり、わたしは彼にとって父となる。わたしはイスラエルの上に彼の王座をとこしえまでも堅く立てる。』 + そこで今、わが子よ、主があなたとともにおられ、主があなたについて語られたとおり、あなたが、あなたの神、主の宮をりっぱに建て上げることができるように。 + ただ、主があなたに思慮と分別を与えて、あなたをイスラエルの上に任命し、あなたの神、主の律法を守らせてくださるように。 + 主がイスラエルについてモーセに命じられたおきてと定めをあなたが守り行うなら、あなたは栄える。強くあれ。雄々しくあれ。恐れてはならない。おののいてはならない。 + 見なさい。私は困難な中にも主の家のために、金十万タラント、銀百万タラントを用意した。また、青銅と鉄はあまりに多くて量りきれない。それに、木材と石材も用意した。あなたが、これらにもっと加えてほしい。 + あなたのもとには、石を切り出す者、石や木に細工する者、各種の仕事に熟練した者など、多くの仕事をする者がいて、 + 金、銀、青銅、鉄を扱うが、その人数は数えきれない。立ち上がって、行いなさい。主があなたとともにおられるように。」 + そして、ダビデはイスラエルのすべてのつかさたちに、その子ソロモンを助けるよう命じた。 + 「あなたがたの神、主は、あなたがたとともにおられ、周囲の者から守ってあなたがたに安息を与えられたではありませんか。主はこの地の住民を私の手に渡され、この地は主の前とその民の前に服したからです。 + そこで今、あなたがたは心を尽くし、精神を尽くして、あなたがたの神、主に求めなさい。立ち上がって、神である主の聖所を建て上げ、主の御名のために建てられた宮に、主の契約の箱と神の聖なる器具を運び入れなさい。」 + + + ダビデは老年を迎え、長寿を全うして、その子ソロモンをイスラエルの王とした。 + ついで、彼はイスラエルのすべてのつかさ、祭司、レビ人を集めた。 + レビ人のうち、三十歳以上の者を数えたところ、ひとりずつ人数を調べた合計は三万八千であった。 + 「そのうち、主の宮の仕事を指揮する者は二万四千、つかさとさばきつかさは六千、 + そして、四千人は門衛となり、四千人は私が賛美するために作った楽器を手にして、主を賛美する者となりなさい。」 + そして、ダビデは彼らを組に分けた。レビ族を、ゲルション、ケハテ、メラリに分け、 + ゲルション人をラダンとシムイに分けた。 + ラダンの子は、そのかしらエヒエルと、ゼタム、ヨエルの三人。 + シムイの子は、シェロミテ、ハジエル、ハランの三人。これらはラダンの一族のかしらであった。 + シムイの子は、ヤハテ、ジザ、エウシュ、ベリア。これらの四人はシムイの子であった。 + ヤハテはそのかしら、ジザはその次であった。エウシュとベリアは子どもを多く持たなかった。そこで父の家にいて、同じ役についた。 + ケハテの子は、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエルの四人。 + アムラムの子は、アロンとモーセ。アロンは、至聖所を聖別するために取り分けられた。それは、彼とその子らが、とこしえまでも主の前に香をたき、主に仕え、主の御名によって、とこしえまでも祝福するためである。 + 神の人モーセの子孫は、レビ部族の者として名を呼ばれた。 + モーセの子は、ゲルショムとエリエゼル。 + ゲルショムの子は、かしらがシェブエル。 + エリエゼルの子は、かしらがレハブヤで、エリエゼルにはほかに男の子がなかった。レハブヤの子は非常に多かった。 + イツハルの子は、かしらがシェロミテ。 + ヘブロンの子は、かしらがエリヤ、第二はアマルヤ、第三はヤハジエル、第四はエカムアム。 + ウジエルの子は、かしらがミカ、第二はイシヤ。 + メラリの子は、マフリとムシ。マフリの子はエルアザルとキシュ。 + エルアザルは死に、彼には息子がなく、娘だけであったので、彼らのいとこであるキシュの子らが彼らをめとった。 + ムシの子は、マフリ、エデル、エレモテの三人。 + これは、それぞれ父祖の家に属するレビ族で二十歳以上になり、主の宮の奉仕の仕事をした者であり、ひとりひとり、その名が数えられ登録された一族のかしらたちであった。 + ダビデがこう言ったからである。「イスラエルの神、主は、御民に安息を与え、とこしえまでもエルサレムに住まわれる。 + レビ人も、幕屋を運んだり、奉仕に用いるすべての器具を運んだりする必要はない。」 + これらは、ダビデの最後のことばに従って数えられた二十歳以上のレビ族の数である。 + 彼らの役目は、アロンの子らを助け、庭のこと、脇部屋のこと、きよめて聖なるものとすることに関する主の宮の奉仕をし、神の宮で奉仕をすることである。 + 並べ供えるパン、穀物のささげ物である小麦粉、種を入れないせんべい、平なべ、混ぜ合わせたもの、また、各種の量や大きさを計ること。 + 立って朝ごとに主をほめたたえ、賛美し、夕べにも同じようにすること。 + 安息日、新月の祭りおよび例祭の時に、定められた数にしたがって絶やさずに主の前にささげる主へのすべての全焼のいけにえのこと。 + 彼らは、会見の天幕の任務、聖所の任務、および、主の宮で奉仕をする彼らの同族アロンの子らの任務を果たさなければならない。 + + + アロンの子らの組分け。アロンの子らは、ナダブ、アビフ、エルアザル、イタマル。 + ナダブとアビフはその父に先立って死に、彼らには子どもがなかったので、エルアザルとイタマルが祭司の務めについた。 + ダビデは、エルアザルの子孫のひとりツァドク、およびイタマルの子孫のひとりアヒメレクと協力して、彼らをそれぞれの奉仕に任命し、それぞれの組に分けた。 + エルアザルの子孫のほうが、イタマルの子孫よりも一族のかしらが多かったので、エルアザルの子孫は、父祖の家のかしらごとに十六組に、イタマルの子孫は、父祖の家ごとに八組に分けられた。 + 彼らはくじを引いて互いにそれぞれの組に分かれた。聖所の組のつかさたち、神の組のつかさたちは、エルアザルの子孫の中にも、イタマルの子孫の中にもいたからである。 + レビ人の出の書記、ネタヌエルの子シェマヤが、王とつかさたち、および祭司ツァドクとエブヤタルの子アヒメレク、それに祭司とレビ人の一族のかしらたちの前で、それらを書きしるした。エルアザルの父祖の家を一つ一つ、イタマルのを一つ一つ。 + 第一のくじは、エホヤリブに当たった。第二はエダヤに、 + 第三はハリムに、第四はセオリムに、 + 第五はマルキヤに、第六はミヤミンに、 + 第七はコツに、第八はアビヤに、 + 第九はヨシュアに、第十はシェカヌヤに、 + 第十一はエルヤシブに、第十二はヤキムに、 + 第十三はフパに、第十四はエシェブアブに、 + 第十五はビルガに、第十六はイメルに、 + 第十七はヘジルに、第十八はピツェツに、 + 第十九はペタフヤに、第二十はエヘズケルに、 + 第二十一はヤキンに、第二十二はガムルに、 + 第二十三はデラヤに、第二十四はマアズヤに当たった。 + これは主の宮に入る彼らの奉仕のために登録された者たちで、彼らの先祖アロンがイスラエルの神、主の彼に命じられたところによって、定めたとおりである。 + 残りのレビ族については、アムラムの子孫ではシュバエル。シュバエルの子ではエフデヤ。 + レハブヤについて、レハブヤの子では、そのかしらイシヤ。 + イツハル人では、シェロミテ。シェロミテの子ではヤハテ。 + ヘブロンの子は、そのかしらがエリヤ、第二はアマルヤ、第三はヤハジエル、第四はエカムアム。 + ウジエルの子孫はミカ。ミカの子ではシャミル。 + ミカの兄弟はイシヤ。イシヤの子ではゼカリヤ。 + メラリの子はマフリとムシ。彼の子ヤアジヤの子孫、 + すなわち、メラリの子孫で、彼の子ヤアジヤから出た者は、ショハム、ザクル、イブリ。 + マフリからは、エルアザル。彼には子どもがなかった。 + キシュからは、キシュの子孫のエラフメエル。 + ムシの子孫は、マフリ、エデル、エリモテ。これが、それぞれその父祖の家に属するレビの子孫である。 + 彼らもまた、彼らの同族であるアロンの子らと全く同じように、ダビデ王とツァドクとアヒメレク、および祭司とレビ人の一族のかしらたちの前で、くじを引いた。一族では、かしらもその弟と全く同じであった。 + + + また、ダビデと将軍たちは、アサフとヘマンとエドトンの子らを奉仕のために取り分け、立琴と十弦の琴とシンバルをもって預言する者とした。その奉仕に従って、仕事についた者の数は次のとおりである。 + アサフの子では、ザクル、ヨセフ、ネタヌヤ、アサルエラ。これらはアサフの子で、王の指揮に従って、預言するアサフの指揮下にあった。 + エドトンについて。エドトンの子は、ゲダルヤ、ツェリ、エシャヤ、シムイ、ハシャブヤ、マティテヤの六人。立琴をもって主をほめたたえ、賛美しながら預言する彼らの父エドトンの指揮下にあった。 + ヘマンについて。ヘマンの子は、ブキヤ、マタヌヤ、ウジエル、シェブエル、エリモテ、ハナヌヤ、ハナニ、エリヤタ、ギダルティ、ロマムティ・エゼル、ヨシュベカシャ、マロティ、ホティル、マハジオテ。 + これらはみな、神のことばに従って、角笛を高く上げる王の先見者ヘマンの子らであった。神はヘマンに息子十四人と、娘三人を与えられた。 + これらはみな、その父の指揮下にあって、シンバル、十弦の琴、立琴を手に、主の宮で歌を歌って、王の指揮の下に神の宮の奉仕に当たる者たちである。アサフ、エドトン、ヘマン、 + 彼らおよび主にささげる歌の訓練を受けた彼らの同族――彼らはみな達人であった――の人数は二百八十八人であった。 + 彼らは、下の者も上の者も、達人も弟子も、みな同じように任務のためのくじを引いた。 + 第一のくじは、アサフに属するヨセフに当たり、第二はゲダルヤに当たった。彼と兄弟たち、子たち、十二人。 + 第三はザクル、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第四はイツェリ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第五はネタヌヤ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第六はブキヤ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第七はエサルエラ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第八はエシャヤ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第九はマタヌヤ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十はシムイ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十一はアザルエル、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十二はハシャブヤ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十三はシュバエル、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十四はマティテヤ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十五はエレモテ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十六はハナヌヤ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十七はヨシュベカシャ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十八はハナニ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第十九はマロティ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第二十はエリヤタ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第二十一はホティル、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第二十二はギダルティ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第二十三はマハジオテ、その子たち、兄弟たち、十二人。 + 第二十四はロマムティ・エゼル、その子たち、兄弟たち、十二人に当たった。 + + + 門衛の組分け。コラ人ではアサフ族のコレの子メシェレムヤ。 + メシェレムヤには子どもがあった。長男ゼカリヤ、次男エディアエル、三男ゼバデヤ、四男ヤテニエル、 + 五男エラム、六男ヨハナン、七男エルエホエナイ。 + オベデ・エドムには子どもがあった。長男シェマヤ、次男エホザバデ、三男ヨアフ、四男サカル、五男ネタヌエル、 + 六男アミエル、七男イッサカル、八男ペウルタイ。神が彼を祝福されたからである。 + 彼の子シェマヤに子どもたちが生まれた。彼らは勇士だったので、その父の家を治める者となった。 + シェマヤの子は、オテニ、レファエル、オベデ、エルザバデ――彼の兄弟は勇者、エリフとセマクヤ。 + これはみな、オベデ・エドムの子たちで、彼らとその子、兄弟たちは、その奉仕にふさわしい力のある勇敢な人であった。オベデ・エドムに属する者は六十二人であった。 + メシェレムヤには子どもと兄弟たちがあり、彼らは勇者で、十八人であった。 + また、メラリ族のホサには、子どもがあり、そのかしらはシムリであった。彼は長男ではなかったが、父が彼をかしらにしたからである。 + 第二はヒルキヤ、第三はテバルヤ、第四はゼカリヤであった。ホサの子ども、兄弟たちは合計十三人であった。 + 門衛のこれらの各組に対し、主の宮で仕える任務が、彼らのかしらごとに、彼らの兄弟たちと全く同じように割り当てられた。 + こうして、彼らは、下の者も上の者もひとしく、その父祖の家ごとに、一つ一つの門についてくじを引いた。 + すると、東方のくじはシェレムヤに当たった。彼の子で思慮深い議官ゼカリヤのためにくじが引かれ、彼のくじは北方と出た。 + オベデ・エドムには南方、彼の子らには倉、 + シュピムとホサには西方、それに上り坂の大路のシャレケテ門が当たった。見張りの組と組とは並び合っていた。 + 東方には六人のレビ人、北方には毎日四人、南方には毎日四人、倉にはふたりずつ、 + 西方の前庭には、大路に四人、前庭にふたりであった。 + 以上は、コラ族とメラリ族の門衛の組分けである。 + レビ人のアヒヤは、神の宮の宝物倉および聖なるささげ物の宝物倉をつかさどった。 + ゲルション族でラダンに属するラダンの子ら、ゲルション人ラダンに属する一族のかしらたち、すなわちエヒエル人、 + エヒエル人の子孫、その兄弟ゼタムとヨエルは、主の宮の宝物倉をつかさどった。 + アムラム人、イツハル人、ヘブロン人、ウジエル人については、 + モーセの子ゲルショムの子シェブエルが宝物倉のつかさであった。 + 彼の同族で、エリエゼルに属する者は、その子レハブヤ、その子エシャヤ、その子ヨラム、その子ジクリ、その子シェロミテであるが、 + このシェロミテと彼の兄弟たちは、ダビデ王と一族のかしらたち、および、千人隊の長、百人隊の長たち、将軍たちが聖別してささげた聖なるささげ物のすべての宝物倉をつかさどった。 + 彼らは、戦いで得た分捕り物を、主の宮を修理するために聖別してささげた。 + すべて予見者サムエル、キシュの子サウル、ネルの子アブネル、ツェルヤの子ヨアブが聖別してささげた物、すなわち、すべての聖なるささげ物は、シェロミテとその兄弟たちにゆだねられた。 + イツハル人のうち、ケナヌヤとその子らは、イスラエルに関する外の仕事につき、つかさとさばきつかさとなった。 + ヘブロン人のうち、ハシャブヤとその同族の者は勇者であり、千七百人いたが、ヨルダン川を渡った所から西方に至る地域のイスラエルの管理に当たり、すべての主の仕事、王への奉仕に当たった。 + ヘブロン人のうち、エリヤは、その一族その家系によるヘブロン人のかしらであった。ダビデの治世の第四十年に、彼らは調べられ、そのとき彼らのうちにギルアデのヤゼルで勇士が見いだされた。 + 彼の同族の者たちは勇者であって、二千七百人いたが、一族のかしらたちであった。ダビデ王は彼らを、ルベン人、ガド人、マナセ人の半部族の上に任命し、すべて神に関する事がら、王に関する事がらに当たらせた。 + + + イスラエル人、すなわち、一族のかしらたち、千人隊の長、百人隊の長たち、および彼らのつかさたちは、王に仕えて一年のすべての月を通じ、月ごとの交替制にしたがって、各分団のすべての事に当たったが、その人数は一つの分団が二万四千人であった。 + 第一の月、第一分団の長、ザブディエルの子ヤショブアム。彼の分団は二万四千人。 + 彼はペレツの子孫のひとりで、第一の月を受け持つ将軍たちすべてのかしらであった。 + 第二の月、分団の長、アホアハ人ドダイ、――彼の分団といえば、つかさミクロテがいた。彼の分団は二万四千人。 + 第三の月、第三軍団の長は祭司エホヤダの子ベナヤ。彼がかしらであった。彼の分団は二万四千人。 + 彼は、あの三十人の勇士のひとり、三十人の長のベナヤである。彼の分団には、その子アミザバデがいた。 + 第四の月、第四軍は、ヨアブの兄弟アサエル。その子ゼバデヤが彼の跡を継いだ。彼の分団は二万四千人。 + 第五の月、第五軍は、あの長イズラフ人シャムフテ。彼の分団は二万四千人。 + 第六の月、第六軍は、テコア人イケシュの子イラ。彼の分団は二万四千人。 + 第七の月、第七軍は、エフライム族の出であるペロニ人ヘレツ。彼の分団は二万四千人。 + 第八の月、第八軍は、ゼラフ人に属するフシャ人シベカイ。彼の分団は二万四千人。 + 第九の月、第九軍は、ベニヤミン人に属するアナトテ人アビエゼル。彼の分団は二万四千人。 + 第十の月、第十軍は、ゼラフ人に属するネトファ人マフライ。彼の分団は二万四千人。 + 第十一の月、第十一軍は、エフライム族の出であるピルアトン人ベナヤ。彼の分団は二万四千人。 + 第十二の月、第十二軍は、オテニエルに属するネトファ人ヘルダイ。彼の分団は二万四千人。 + なお、イスラエルの各部族の長は、ルベン人では、ジクリの子エリエゼルがつかさ。シメオン人ではマアカの子シェファテヤ。 + レビではケムエルの子ハシャブヤ。アロンではツァドク。 + ユダではダビデの兄弟のひとりエリフ。イッサカルではミカエルの子オムリ。 + ゼブルンではオバデヤの子イシェマヤ。ナフタリではアズリエルの子エリモテ。 + エフライム族ではアザズヤの子ホセア。マナセの半部族ではペダヤの子ヨエル。 + ギルアデのマナセの半部族ではゼカリヤの子イド。ベニヤミンではアブネルの子ヤアシエル。 + ダンではエロハムの子アザルエル。これがイスラエル各部族のつかさたちであった。 + ダビデは二十歳以下の人々は数に入れなかった。主がイスラエルを天の星のようにふやそうと言われたからである。 + ツェルヤの子ヨアブが数え始めたが、終わらなかった。このため、御怒りがイスラエルの上に下って、その数はダビデ王の年代記の統計には載らなかった。 + 王の宝物倉をつかさどったのは、アディエルの子アズマベテ。野と町々と村々とおのおののやぐらにある宝物倉をつかさどったのは、ウジヤの子ヨナタン。 + 土地を耕して畑仕事をする者たちをつかさどったのは、ケルブの子エズリ。 + ぶどう畑をつかさどったのは、ラマ人シムイ。ぶどう酒の倉にあるぶどう畑の産物をつかさどったのは、シェファム人ザブディ。 + 低地にあるオリーブの木といちじく桑の木をつかさどったのは、ゲデル人バアル・ハナン。油の倉をつかさどったのはヨアシュ。 + シャロンで飼われる牛の群れをつかさどったのは、シャロン人シルタイ。谷にいる牛の群れをつかさどったのは、アデライの子シャファテ。 + らくだをつかさどったのは、イシュマエル人オビル。雌ろばをつかさどったのは、メロノテ人エフデヤ。 + 羊の群れをつかさどったのは、ハガル人ヤジズ。これらはみな、ダビデ王の所有する財産の係長であった。 + ダビデのおじヨナタンは議官であり、英知の人で、彼は書記でもあった。ハクモニの子エヒエルは王の子らとともにいた。 + アヒトフェルは王の議官で、アルキ人フシャイは王の友であった。 + アヒトフェルの跡を継いだのは、ベナヤの子エホヤダとエブヤタルであり、王の将軍はヨアブであった。 + + + さて、ダビデはイスラエルのすべてのつかさ、すなわち、各部族のつかさ、王に仕える各組のつかさ、千人隊の長、百人隊の長、王とその子らが所有している財産、家畜全体の係長たち、宦官たち、勇士たち、つまり、すべての勇士をエルサレムに召集した。 + ダビデ王は立ち上がって、こう言った。「私の兄弟たち、私の民よ。私の言うことを聞きなさい。私は主の契約の箱のため、私たちの神の足台のために、安息の家を建てる志を持っていた。私は建築の用意をした。 + しかし、神は私に仰せられた。『あなたはわたしの名のために家を建ててはならない。あなたは戦士であって、血を流してきたからである。』 + けれども、イスラエルの神、主は、私の父の全家から私を選び、とこしえにイスラエルを治める王としてくださった。ユダの中から君たる者を選ばれたからである。私の父の家はユダの家に属している。主は私の父の子どもたちのうちで、私を愛し、全イスラエルを治める王としてくださった。 + 主は私に多くの子どもを授けてくださったが、私のすべての子どもの中から、私の子ソロモンを選び、イスラエルを治める主の王座に着けてくださった。 + そして、私にこう仰せられた。『あなたの子ソロモンが、わたしの家とわたしの庭を建てる。わたしが彼をわたしの子として選び、わたしが彼の父となるからだ。 + もし彼が今日のようにわたしの命令と定めを行おうと堅く決心しているなら、わたしは彼の王位をとこしえまでも確立しよう。』 + 今、主の集会、全イスラエルの前で、私たちの神が聞いてくださるこの所で、あなたがたは、あなたがたの神、主の命令をことごとく守り、求めなさい。それは、あなたがたがこの良い地を所有し、あなたがたの後、とこしえまでもあなたがたの子たちにゆずりとして与えるためである。 + わが子ソロモンよ。今あなたはあなたの父の神を知りなさい。全き心と喜ばしい心持ちをもって神に仕えなさい。主はすべての心を探り、すべての思いの向かうところを読み取られるからである。もし、あなたが神を求めるなら、神はあなたにご自分を現される。もし、あなたが神を離れるなら、神はあなたをとこしえまでも退けられる。 + 今、心に留めなさい。主は聖所となる宮を建てさせるため、あなたを選ばれた。勇気を出して実行しなさい。」 + ダビデはその子ソロモンに、玄関広間、その神殿、宝物室、屋上の間、内部屋、贖いの間などの仕様書を授けた。 + 御霊により彼が示されていたすべてのものの仕様書であった。すなわち、主の宮の庭のこと、回りにあるすべての脇部屋のこと、神の宮の宝物倉のこと、聖なるささげ物の宝物倉のこと、 + 祭司とレビ人の組分けのこと、主の宮の奉仕のすべての仕事のこと、主の宮の奉仕に用いるすべての器具のことである。 + 金については、各種の奉仕に用いるすべての器具に使う金の目方が、すべての銀の器具については、各種の奉仕に用いるすべての器具の目方が示され、 + 金の燭台とその上にある金のともしび皿の目方は、一つ一つの燭台とその上にあるともしび皿の目方が、銀の燭台については、一つ一つの燭台の用途別に燭台とその上にあるともしび皿の目方が示されていた。 + また、並べ供えるパンの机、一つ一つの机に使う金の目方、銀の机に使うその銀、 + 純金の、肉刺し、鉢、びん、金の杯については、それぞれの杯の目方、銀の杯について、それぞれの杯の目方、 + 精金の香の壇についてはその目方、主の契約の箱の上で翼を伸べ、防ぎ守っているケルビムの車のひな型の金のことが示されていた。 + 「これらすべては、私に与えられた主の手による書き物にある。彼は、この仕様書のすべての仕事を賢く行う。」 + それから、ダビデはその子ソロモンに言った。「強く、雄々しく、事を成し遂げなさい。恐れてはならない。おののいてはならない。神である主、私の神が、あなたとともにおられるのだから――。主は、あなたを見放さず、あなたを見捨てず、主の宮の奉仕のすべての仕事を完成させてくださる。 + 見なさい。神の宮のあらゆる奉仕のために祭司とレビ人の各組がいる。あらゆる奉仕のために知恵のある、進んで事に当たるすべての人が、どんな仕事にも、あなたとともにいる。つかさたちとすべての民は、あなたのすべての命令に従う。」 + + + 次に、ダビデ王は全集団に言った。「わが子ソロモンは、神が選ばれたただひとりの者であるが、まだ若く、力もなく、この仕事は大きい。この城は、人のためでなく、神である主のためだからである。 + 私は全力を尽くして、私の神の宮のために用意をした。すなわち、金製品のための金、銀製品のための銀、青銅製品のための青銅、鉄製品のための鉄、木製品のための木、しまめのう、色とりどりのモルタルの石の象眼細工、あらゆる宝石、大理石をおびただしく用意した。 + そのうえ、私は、私の神の宮を喜ぶあまり、聖なる宮のために私が用意したすべてのものに加えて、私の宝としていた金銀を、私の神の宮のためにささげた。 + 家々の壁に着せるため、オフィルの金の中から金三千タラントと、精銀七千タラントを、 + 金は金製品のため、銀は銀製品のために、またすべて職人の手による仕事のために、ささげた。そこで、きょう、だれか、みずから進んでその手にあふれるほど、主にささげる者はないだろうか。」 + すると、一族の長たち、イスラエル各部族の長たち、千人隊、百人隊の長たち、王の仕事の係長たちは、みずから進んで、 + 神の宮の奉仕のために、金五千タラント一万ダリク、銀一万タラント、青銅一万八千タラント、鉄十万タラントをささげた。 + 宝石を持っている者は、これを主の宮の宝物倉にささげ、ゲルション人エヒエルの手に託した。 + こうして、民は自分たちのみずから進んでささげた物について喜んだ。彼らは全き心を持ち、みずから進んで主にささげたからである。ダビデ王もまた、大いに喜んだ。 + ダビデは全集団の目の前で主をほめたたえた。ダビデは言った。「私たちの父イスラエルの神、主よ。あなたはとこしえからとこしえまでほむべきかな。 + 主よ。偉大さと力と栄えと栄光と尊厳とはあなたのものです。天にあるもの地にあるものはみなそうです。主よ。王国もあなたのものです。あなたはすべてのものの上に、かしらとしてあがむべき方です。 + 富と誉れは御前から出ます。あなたはすべてのものの支配者であられ、御手には勢いと力があり、あなたの御手によって、すべてが偉大にされ、力づけられるのです。 + 今、私たちの神、私たちはあなたに感謝し、あなたの栄えに満ちた御名をほめたたえます。 + まことに、私は何者なのでしょう。私の民は何者なのでしょう。このようにみずから進んでささげる力を保っていたとしても。すべてはあなたから出たのであり、私たちは、御手から出たものをあなたにささげたにすぎません。 + 私たちは、すべての父祖たちのように、あなたの前では異国人であり、居留している者です。地上での私たちの日々は影のようなもので、望みもありません。 + 私たちの神、主よ。あなたの聖なる御名のために家をお建てしようと私たちが用意をしたこれらすべてのおびただしいものは、あなたの御手から出たものであり、すべてはあなたのものです。 + 私の神。あなたは心をためされる方で、直ぐなことを愛されるのを私は知っています。私は直ぐな心で、これらすべてをみずから進んでささげました。今、ここにいるあなたの民が、みずから進んであなたにささげるのを、私は喜びのうちに見ました。 + 私たちの父祖アブラハム、イサク、イスラエルの神、主よ。御民のその心に計る思いをとこしえにお守りください。彼らの心をしっかりとあなたに向けさせてください。 + わが子ソロモンに、全き心を与えて、あなたの命令とさとしと定めを守らせ、すべてを行わせて、私が用意した城を建てさせてください。」 + そして、ダビデは全集団に向かって、「あなたがたの神、主をほめたたえなさい」と言った。すると全集団は、父祖の神、主をほめたたえ、ひざまずいて、主と王とを礼拝した。 + その日の翌日、彼らは主にいけにえをささげ、全焼のいけにえをささげた。雄牛千頭、雄羊千頭、子羊千頭、これらに添える注ぎのぶどう酒、それに全イスラエルのためのおびただしいいけにえをささげた。 + 彼らはその日、大いに喜んで、主の前に食べたり飲んだりし、あらためてダビデの子ソロモンを王とし、油をそそいで、主のために、君主とし、ツァドクを祭司とした。 + こうしてソロモンは、主の設けられた王座に着き、父ダビデに代わり、王となって、栄えた。全イスラエルは彼に聞き従った。 + すべてのつかさたち、勇士たち、および、ダビデ王のすべての子たちまでも、ソロモン王に服した。 + 主はソロモンを全イスラエルの目の前に非常に大いなる者とし、彼より先にイスラエルを治めたどの王にも見られなかった王の尊厳を、彼に与えられた。 + このようにして、エッサイの子ダビデは全イスラエルを治めた。 + 彼がイスラエルの王であった期間は四十年であった。ヘブロンで七年治め、エルサレムで三十三年治めた。 + 彼は長寿に恵まれ、齢も富も誉れも満ち満ちて死んだ。彼の子ソロモンが代わって王となった。 + ダビデ王の業績は、最初から最後まで、予見者サムエルの言行録、預言者ナタンの言行録、先見者ガドの言行録にまさしくしるされている。 + それには、彼のすべての統治、彼の力、また、彼およびイスラエル、それに各地の諸王国が過ごした時代についてしるされている。 + +
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+ + さて、ダビデの子ソロモンは、ますます王権を強固にした。彼の神、主は彼とともにおられ、彼を並みはずれて偉大な者とされた。 + ソロモンは全イスラエル、千人隊、百人隊の長、さばきつかさ、および一族のかしらである、全イスラエルの上に立つ者すべてに向かって語り、 + ソロモンおよび彼とともにいた全集団はギブオンにある高き所に行った。そこには、主のしもべモーセが荒野で造った神の会見の天幕があったからである。 + ――しかし、神の箱については、ダビデはこれをキルヤテ・エアリムから、ダビデがそのために定めておいた場所に運び上らせた。箱のために天幕をエルサレムに張っておいたからである―― + また、フルの子ウリの子のベツァルエルが造った青銅の祭壇を主の幕屋の前に置き、ソロモンと会衆は主に求めた。 + ソロモンはその所で主の前にある青銅の祭壇の上に――その壇は会見の天幕の所にあった――いけにえをささげた。すなわち、その上で一千頭の全焼のいけにえをささげた。 + その夜、神がソロモンに現れて、彼に仰せられた。「あなたに何を与えようか。願え。」 + ソロモンは神に言った。「あなたは私の父ダビデに大いなる恵みを施されましたが、今度は父に代わって私を王とされました。 + そこで今、神、主よ、私の父ダビデになさったあなたの約束を堅く守ってください。あなたは、地のちりのようにおびただしい民の上に、私を王とされたからです。 + 今、知恵と知識を私に下さい。そうすれば、私はこの民の前に出はいりいたします。さもなければ、だれに、この大いなる、あなたの民をさばくことができましょうか。」 + 神はソロモンに仰せられた。「そのようなことがあなたの心にあり、あなたが富をも、財宝をも、誉れをも、あなたを憎む者たちのいのちをも求めず、さらに長寿をも求めず、むしろ、わたしがあなたを立ててわたしの民の王とした、その民をさばくことができるようにと、自分のために知恵と知識を求めたので、 + その知恵と知識とはあなたのものとなった。そのうえ、わたしはあなたの前の、また後の王たちにもないほどの富と財宝と誉れとをあなたに与えよう。」 + こうして、ソロモンはギブオンにある高き所から出て行き、会見の天幕の前を去ってエルサレムに行き、イスラエルの王となった。 + ソロモンは戦車と騎兵を集めたが、戦車一千四百台と、騎兵一万二千人が彼のもとに集まった。そこで、彼はこれらを戦車の町々に配置し、また、エルサレムの王のもとにも置いた。 + 王は銀と金とをエルサレムで石のように用い、杉の木を低地のいちじく桑の木のように大量に用いた。 + ソロモンの所有していた馬は、エジプトとケベの輸出品であった。それは王の御用達が代価を払って、ケベから手に入れたものであった。 + 彼らはエジプトから、戦車を銀六百、馬を銀百五十で買い上げ、輸入していた。同様に、ヘテ人のすべての王も、アラムの王たちも、彼らの仲買で輸入した。 + + + さて、ソロモンは主の名のための宮と自分の王国のための宮殿とを建てようと考えた。 + ソロモンは、荷役人夫七万人、山で石を切り出す者八万人、彼らを指揮する者三千六百人の人数をそろえた。 + ソロモンはツロの王フラムのもとに人をやって言わせた。「あなたが私の父ダビデに行い、父の住む家を建てるための杉材を送ってくださったように、私にもしていただけないでしょうか。 + 実は、私も、私の神、主の名のために宮を建てて、これを主にささげ、主の前にかおりの高い香をたき、パンを常に並べ供え、また、朝ごと夕ごとに、また安息日ごと新月の祭りごとに、私たちの神、主の例祭ごとに、全焼のいけにえをささげようとしています。このことは、とこしえにイスラエルに命じられているのです。 + 私が建てる宮は壮大な宮です。私たちの神は、すべての神々にまさって偉大な神だからです。 + 天も、天の天も主をお入れできないのに、いったいだれが主のために宮を建てる力を持っているというのでしょうか。また、主のために宮を建てるというこの私は、いったい何者でしょう。ただ主の前に香をたくためだけの者です。 + そこで今、私のもとに、金、銀、青銅、鉄の細工に長じ、紫、紅、青などの製造に熟練した人で、各種の彫り物の技術を心得ている人を送ってください。私の父ダビデが備えておいたユダとエルサレムにいるこちらの熟練した者たちもいっしょに働きます。 + それから、私のもとに、杉、もみ、びゃくだんの木材をレバノンから送ってください。私はあなたのしもべたちがレバノンの木を切ることに熟練していることを知っております。もちろん、私のしもべたちも、あなたのしもべたちといっしょに働きます。 + 私のために、木材を多量に用意させるためです。私の建てる宮は壮大であり、みごとなものだからです。 + お聞きください。私は、木を切り出し、材木を切る者たちのため、あなたのしもべたちのために食糧として小麦二万コル、大麦二万コル、ぶどう酒二万バテ、油二万バテを提供します。」 + ツロの王フラムは文書を送ってソロモンに言った。「主はご自身の民を愛しておられるので、あなたを彼らの上に立てて王とされました。」 + さらに、フラムは言った。「天と地とをお造りになったイスラエルの神、主はほむべきかな。主はダビデ王に、思慮と悟りとを備えた知恵ある子を授け、主のための宮と、自分の王国のための宮殿とを建てさせられるのです。 + 今、私は才知に恵まれた熟練工、職人の長フラムを遣わします。 + 彼はダンの娘たちのうちのひとりの女から生まれた者であり、彼の父はツロの人です。彼は、あなたの熟練工と、あなたの父、私の主ダビデの熟練工とともに、金、銀、青銅、鉄、石材、木材の細工を心得、紫、青、白亜麻布、紅などの製造を心得、彼にゆだねられたあらゆる種類の彫り物を刻み、彼の創案に任されたすべてのものを巧みに設計することのできる男です。 + 今、私の主が語られた小麦と大麦、油とぶどう酒を、そのしもべたちにお送りください。 + 私たちのほうでは、お入用なだけレバノンから木材を切り、これをいかだに組んで、海路をヤフォまであなたのもとにお届けします。そこからあなたがこれをエルサレムに運び上ってください。」 + ソロモンは、彼の父ダビデが行った人口調査の後、イスラエルの地にいる在留異国人全員の人数を調べたが、十五万三千六百人いた。 + 彼は、その中から七万人を荷役人夫に、八万人を山で石を切り出す者に、三千六百人を民の労働を指揮する者にした。 + + + こうして、ソロモンは、主がその父ダビデにご自身を現された所、すなわちエルサレムのモリヤ山上で主の家の建設に取りかかった。彼はそのため、エブス人オルナンの打ち場にある、ダビデの指定した所に、場所を定めた。 + 彼が建設に取りかかったのは、その治世の第四年、第二の月の二日であった。 + 神の家を建てるために、ソロモンの据えた礎は次のとおりである。長さは先代の尺度のキュビトにしたがって六十キュビト。幅は二十キュビト。 + 前の玄関は、長さが神殿の幅と同じ二十キュビト、高さは百二十キュビトとし、その内側には純金を着せた。 + この大きな家はもみの木材でおおい、良質の金を着せ、さらに、その上になつめやしの木の彫刻と鎖を置き、 + 宝石の装飾でこの神殿をおおった。ここに用いた金はパルワイムの金であった。 + この神殿の梁にも、敷居にも、壁にも、とびらにも金を着せ、壁にはケルビムを刻んだ。 + ついで、至聖所を造ったが、その長さはこの神殿の幅と同じ二十キュビト、その幅も二十キュビトとし、これに六百タラントに当たる良質の金を着せた。 + 釘の重さは金五十シェケルであった。屋上の間にも金を着せた。 + 至聖所の中に、鋳物のケルビムを二つ作り、これに金を着せた。 + そのケルビムの翼は、長さが二十キュビトあった。一方のケルブの一つの翼は五キュビトであって、神殿の壁にまで届いており、片方の翼も五キュビトであって、他方のケルブの翼にまで届いていた。 + もう一方のケルブの一つの翼も五キュビトであって、神殿の壁にまで届いており、片方の翼も五キュビトであって、他方のケルブの翼につながっていた。 + これらのケルビムの翼は、広げられており、二十キュビトあった。これらは、その足で立ち、その顔は神殿のほうに向いていた。 + それから彼は、青、紫、紅、および白亜麻布の垂れ幕を作り、その上にケルビムの模様を縫いつけた。 + 彼は、神殿の前に柱を二本作った。三十五キュビトの高さのもので、その頂にある柱頭は五キュビトであった。 + さらに、彼は内堂に鎖を作り、これを柱の頂に取りつけ、ざくろを百作り、鎖のところに取りつけた。 + それから、彼はこれらの柱を本堂の前に、一つを右側に、もう一つを左側に立てた。右側の柱にヤキンという名をつけ、左側の柱にボアズという名をつけた。 + + + さらに、青銅の祭壇を作った。その長さは二十キュビト、幅も二十キュビト、高さは十キュビトであった。 + それから、鋳物の海を作った。縁から縁まで十キュビト。円形で、その高さは五キュビト。その周囲は細なわで巻いて三十キュビトであった。 + その下に沿って、牛の型が回りを取り巻いていた。すなわち、一キュビトにつき十ずつの割りでその海の周囲を取り巻いていた。この牛は二段になっており、海を鋳たときに鋳込んだものである。 + これは、十二頭の牛の上に据えられていた。三頭は北を向き、三頭は西を向き、三頭は南を向き、三頭は東を向いていた。この海は、これらの牛の上に載せられており、牛の後部はすべて内側に向いていた。 + その海の厚さは一手幅あり、その縁は、杯の縁のようにゆりの花の形をしていた。その容量は三千バテであった。 + それから、洗盤を十個作り、五個を右側に、五個を左側に置いた。その中で洗うためである。全焼のいけにえに用いるものは、その中ですすぎ清めた。海は祭司たちがその中で身を洗うためのものであった。 + さらに、金の燭台十個を、規格どおりに作って、本堂の中に置き、五個を右側に、五個を左側に置いた。 + 机を十個作り、本堂の中に置き、五個を右側に、五個を左側に置いた。それから、金の鉢を百個作った。 + さらに、祭司たちの庭と大庭およびその庭の戸を作り、その戸に青銅を着せた。 + 海は右側、すなわち、東南の方角に置いた。 + さらに、フラムは灰つぼと十能と鉢を作った。こうして、フラムは神の宮のためにソロモン王が注文した仕事を完成した。 + すなわち、二本の柱と、二本の柱の頂にある丸い柱頭、および、柱の頂にある丸い二つの柱頭をおおう二つの格子網、 + また、二つの格子網に取りつけた四百のざくろ、すなわち、柱の先端にある丸い二つの柱頭をおおうそれぞれの格子網のための二段のざくろ。 + また、台を作り、またその台の上の洗盤を作り、 + 一つの海と、その下の十二頭の牛、 + また、灰つぼと十能と肉刺し、およびそれらに属するすべての用具を、ソロモン王の注文により主の宮のために、彼の職人の長フラムがみがき上げた青銅で作った。 + 王は、ヨルダンの低地、スコテとツェレダとの間の粘土層の地で、これらを鋳造した。 + こうして、ソロモンはこれらすべての用具を大量に作った。青銅の重さは量りきれなかった。 + ついで、ソロモンは神の宮にあるすべての用具を作った。すなわち、金の祭壇と供えのパンを載せる机、 + 内堂の前で火をともすための燭台と、その上のともしび皿を規格どおりに純金で作った。 + さらに、金の花模様、ともしび皿、心切りばさみ。この金は混じりけのない純金であった。 + また、心取りばさみ、鉢、平皿、火皿を純金で作った。また、神殿の開き戸は、至聖所に通じるとびらも、本堂に通じる神殿のとびらも、金で作った。 + + + こうして、ソロモンが主の宮のためにしたすべての工事が完成した。そこで、ソロモンは父ダビデが聖別した物、すなわち、銀、金、各種の器具類を運び入れ、神の宮の宝物倉に納めた。 + そのとき、ソロモンはイスラエルの長老たち、およびイスラエル人の部族のかしらたちと一族の長たちをすべて、エルサレムに召集した。ダビデの町シオンから主の契約の箱を運び上るためであった。 + イスラエルのすべての人々は、第七の新月の祭りに王のもとに集まった。 + こうして、イスラエルの長老全員が到着したところで、レビ人たちは箱をにない、 + 箱と会見の天幕と天幕にあったすべての聖なる用具とを運び上った。これらのものを祭司たち、レビ人たちが運び上った。 + ソロモン王と彼のところに集まったイスラエルの全会衆は、箱の前に行き、羊や牛の群れをいけにえとしてささげたが、その数があまりに多くて数えることも調べることもできなかった。 + それから、祭司たちは主の契約の箱を、定めの場所、すなわち神殿の内堂である至聖所のケルビムの翼の下に運び入れた。 + ケルビムは箱の所の上に翼を広げた。ケルビムは箱とそのかつぎ棒とを上からおおった。 + そのかつぎ棒は長かったので、棒の先が内堂の前の聖所から見えていたが、外からは見えなかった。それは、今日までそこにある。 + 箱の中には、二枚の板のほかには何も入っていなかった。これは、イスラエル人がエジプトから出て来たとき、主が彼らと契約を結ばれたときに、モーセがホレブで入れたものである。 + 祭司たちが聖所から出て来たとき、――列席したすべての祭司が各組の務めの順序にかかわらず身を聖別した。 + また、歌うたいであるレビ人全員も、すなわち、アサフもヘマンもエドトンも彼らの子らも彼らの兄弟たちも、白亜麻布を身にまとい、シンバル、十弦の琴および立琴を手にして、祭壇の東側に立ち、百二十人の祭司たちも彼らとともにいて、ラッパを吹き鳴らしていた―― + ラッパを吹き鳴らす者、歌うたいたちが、まるでひとりででもあるかのように一致して歌声を響かせ、主を賛美し、ほめたたえた。そして、ラッパとシンバルとさまざまの楽器をかなでて声をあげ、「主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで」と主に向かって賛美した。そのとき、その宮、すなわち主の宮は雲で満ちた。 + 祭司たちは、その雲にさえぎられ、そこに立って仕えることができなかった。主の栄光が神の宮に満ちたからである。 + + + そのとき、ソロモンは言った。「主は、暗やみの中に住む、と仰せられました。 + そこでこの私があなたのお治めになる宮を建てました。あなたがとこしえにお住みになる所を。」 + それから王は振り向いて、イスラエルの全集団を祝福した。イスラエルの全集団は起立していた。 + 彼は言った。「イスラエルの神、主はほむべきかな。主は御口をもって私の父ダビデに語り、御手をもってこれを成し遂げて言われた。 + 『わたしの民を、エジプトの地から連れ出した日からこのかた、わたしはわたしの名を置く宮を建てるために、イスラエルの全部族のうちのどの町をも選ばず、また、わたしの民イスラエルの上に立つ君主とするためにどんな人も選ばず、 + ただ、エルサレムを選んでそこにわたしの名を置き、ダビデを選んでわたしの民イスラエルの上に立てた。』 + それで、私の父ダビデは、イスラエルの神、主の名のために宮を建てることを、いつも心がけていた。 + ところが、主は、私の父ダビデにこう仰せられた。『あなたは、わたしの名のために宮を建てることを心がけていたために、よくやった。あなたは確かに、そう心がけていた。 + しかし、あなたがその宮を建ててはならない。あなたの腰から出るあなたの子どもが、わたしの名のためにその宮を建てる。』 + 主は、お告げになった約束を果たされたので、私は父ダビデに代わって立ち、主の約束どおりイスラエルの王座に着いた。そして、イスラエルの神、主の名のために、この宮を建て、 + 主がイスラエル人と結ばれた主の契約が納められている箱をそこに置いた。」 + 彼はイスラエルの全集団の前で、主の祭壇の前に立ち、両手を差し伸べた。 + ソロモンは、長さ五キュビト、幅五キュビト、高さ三キュビトの青銅の足台を作って、これを庭の中央に据えておいたが、その上に立って、イスラエルの全集団の前でひざまずき、両手を天に差し伸べて、 + 言った。「イスラエルの神、主。天にも地にも、あなたのような神はほかにありません。あなたは、心を尽くして御前に歩むあなたのしもべたちに対し、契約と愛とを守られる方です。 + あなたは、約束されたことを、あなたのしもべ、私の父ダビデのために守られました。それゆえ、あなたは御口をもって語られました。また御手をもって、これを今日のように、成し遂げられました。 + 今、イスラエルの神、主よ。あなたのしもべ、私の父ダビデに約束して、『あなたがわたしの前に歩んだように、あなたの子孫がその道を守り、わたしの律法に歩みさえするなら、あなたには、イスラエルの王座に着く者が、わたしの前から、絶えることはない』と仰せられたことを、ダビデのために守ってください。 + 今、イスラエルの神、主よ。あなたのしもべダビデに約束されたみことばが堅く立てられますように。 + それにしても、神ははたして人間とともに地の上に住まわれるでしょうか。実に、天も、天の天も、あなたをお入れすることはできません。まして、私の建てたこの宮など、なおさらのことです。 + けれども、あなたのしもべの祈りと願いに御顔を向けてください。私の神、主よ。あなたのしもべが御前にささげる叫びと祈りを聞いてください。 + そして、この宮、すなわち、あなたが御名をそこに置くと仰せられたこの所に、昼も夜も御目を開いていてくださって、あなたのしもべがこの所に向かってささげる祈りを聞いてください。 + あなたのしもべとあなたの民イスラエルが、この所に向かってささげる願いを聞いてください。あなたご自身が、あなたのお住まいになる所、天からこれを聞いてください。聞いて、お赦しください。 + もし、ある人が隣人に罪を犯し、のろいの誓いを立てさせられることになって、この宮の中にあるあなたの祭壇の前に来て、誓うなら、 + あなたご自身が天からこれを聞き、あなたのしもべたちにさばきを行って、悪者にはその生き方への報いをその頭上に返し、正しい者にはその正しさにしたがって義を報いてください。 + また、もし、あなたの民イスラエルが、あなたに罪を犯したため、敵に打ち負かされるようなとき、立ち返って御名をほめたたえ、この宮で、御前に祈り願うなら、 + あなたご自身が天からこれを聞き、あなたの民イスラエルの罪を赦し、あなたが彼らとその先祖たちにお与えになった地に、彼らを帰らせてください。 + 彼らがあなたに罪を犯したため、天が閉ざされ、雨が降らない場合、彼らがこの所に向かって祈り、御名をほめたたえ、あなたの懲らしめによって、彼らがその罪から立ち返るなら、 + あなたご自身が天でこれを聞き、あなたのしもべたち、あなたの民イスラエルの罪を赦し、彼らの歩むべき良い道を彼らに教え、あなたの民に相続地としてお与えになったあなたの地に、雨を降らせてください。 + もし、この地に、ききんが起こり、疫病や立ち枯れや、黒穂病、いなごや油虫が発生した場合、また、敵がこの地の町々を攻め囲んだ場合、どんなわざわい、どんな病気の場合にも、 + だれでも、あなたの民イスラエルがおのおの自分の疫病と痛みを思い知らされて、この宮に向かって両手を差し伸べて祈るとき、どのような祈り、願いも、 + あなたご自身が、あなたの御住まいの所である天から聞いて、赦し、ひとりひとりに、そのすべての生き方にしたがって報いてください。あなたはその心を知っておられます。あなただけが人の子らの心を知っておられるからです。 + それは、あなたが私たちの先祖に賜った地の上で彼らが生きながらえる間、いつも彼らがあなたを恐れて、あなたの道に歩むためです。 + また、あなたの民イスラエルの者でない外国人についても、彼があなたの大いなる御名と、力強い御手と、伸べられた腕のゆえに、遠方の地から来て、この宮に来て祈るとき、 + あなたご自身が、あなたの御住まいの所である天からこれを聞き、その外国人があなたに向かって願うことをすべてかなえてください。そうすれば、この地のすべての民が御名を知り、あなたの民イスラエルと同じように、あなたを恐れるようになり、私の建てたこの宮では、御名が呼び求められなくてはならないことを知るようになるでしょう。 + あなたの民が、敵に立ち向かい、あなたが遣わされる道に出て戦いに臨むとき、あなたの選ばれたこの町、私が御名のために建てた宮の方向に向かって、あなたに祈るなら、 + 天から彼らの祈りと願いを聞いて、彼らの言い分を聞き入れてやってください。 + 彼らがあなたに対して罪を犯したため――罪を犯さない人間はひとりもいないのですから――あなたが彼らに対して怒り、彼らを敵に渡し、彼らが、遠くの地、あるいは近くの地に、捕虜として捕らわれていった場合、 + 彼らが捕らわれていった地で、みずから反省して悔い改め、その捕囚の地で、あなたに願い、『私たちは罪を犯しました。悪を行って、咎ある者となりました』と言って、 + 捕らわれていった捕囚の地で、心を尽くし、精神を尽くして、あなたに立ち返り、あなたが彼らの先祖に与えられた彼らの地、あなたが選ばれたこの町、私が御名のために建てたこの宮のほうに向いて祈るなら、 + あなたの御住まいの所である天から、彼らの祈りと願いを聞き、彼らの言い分を聞き入れ、あなたに対して罪を犯したあなたの民をお赦しください。 + 今、私の神よ。お願いします。どうか、この所でささげる祈りに目を開き、耳を傾けてください。 + そこで今、神、主よ。あなたもあなたの御力の箱も立ち上がって、休み所にお入りください。神、主よ。あなたの祭司たちの身に救いをまとわせてください。あなたの聖徒たちにいつくしみを喜ばせてください。 + 神、主よ。あなたに油そそがれた者たちの顔を退けないでください。あなたのしもべダビデの忠実なわざの数々を思い起こしてください。」 + + + ソロモンが祈り終えると、火が天から下って来て、全焼のいけにえと、数々のいけにえとを焼き尽くした。そして、主の栄光がこの宮に満ちた。 + 祭司たちは主の宮に入ることができなかった。主の栄光が主の宮に満ちたからである。 + イスラエル人はみな、火が下り、主の栄光がこの宮の上に現れたのを見て、ひざをかがめて顔を地面の敷石につけ、伏し拝んで、「主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで」と主をほめたたえた。 + それから、王と民はみな、主の前にいけにえをささげた。 + ソロモン王は牛二万二千頭と羊十二万頭のいけにえをささげた。こうして、王とすべての民は、神の宮を奉献した。 + 祭司たちは、その務めに従って立ち、レビ人も、主の楽を奏する楽器を手にして立っていた。これは、ダビデ王が作ったものであり、ダビデが彼らの奏楽によって賛美したとき、「主の恵みはとこしえまで」と主をほめたたえるための楽器であった。また、祭司たちは、彼らの前でラッパを吹き鳴らしており、全イスラエルは起立していた。 + ソロモンは、主の神殿の前の庭の中央部を聖別し、そこで、全焼のいけにえと、和解のいけにえの脂肪とをささげた。ソロモンが作った青銅の祭壇では、全焼のいけにえと、穀物のささげ物と、脂肪とを受け入れることができなかったからである。 + ソロモンは、このとき、彼とともにいた全イスラエル、すなわち、レボ・ハマテからエジプト川に至るまでの大集団といっしょに、七日間の祭りを行った。 + 彼らは第八日目にきよめの集会を開いた。七日間、祭壇の奉献を行い、七日間、祭りを行ったからである。 + 第七の月の二十三日に、彼は民をおのおのの天幕に帰した。彼らは主がダビデと、ソロモンと、その民イスラエルに下さった恵みを喜び、心楽しく帰って行った。 + こうしてソロモンは、主の宮と、王宮とを建て終え、主の宮と自分の宮殿に対して実施しようとソロモンが思っていたすべてのことをみごとに実現した。 + すると、主が夜ソロモンに現れ、彼に仰せられた。「わたしはあなたの祈りを聞いた。また、わたしのために、この所をいけにえをささげる宮として選んだ。 + もし、わたしが天を閉ざしたため雨が降らなくなった場合、また、いなごに命じてこの地を食い尽くさせた場合、また、もし、わたしの民に対して疫病を送った場合、 + わたしの名を呼び求めているわたしの民がみずからへりくだり、祈りをささげ、わたしの顔を慕い求め、その悪い道から立ち返るなら、わたしが親しく天から聞いて、彼らの罪を赦し、彼らの地をいやそう。 + 今や、わたしはこの所でささげられる祈りに目を留め、耳を傾けよう。 + 今、わたしは、とこしえまでもそこにわたしの名を置くためにこの宮を選んで聖別した。わたしの目とわたしの心は、いつもそこにある。 + あなたが、あなたの父ダビデが歩んだように、わたしの前に歩み、わたしがあなたに命じたことをすべてそのまま実行し、わたしのおきてと定めとを守るなら、 + わたしが、あなたの父ダビデに、『あなたには、イスラエルを支配する者となる人が絶えることはない』と言って契約を結んだとおり、あなたの王座を確立しよう。 + しかし、もし、あなたがたがそむいて、あなたがたに授けたわたしのおきてとわたしの命令とを捨て去り、行ってほかの神々に仕え、これを拝むなら、 + わたしが彼らに与えた地から、彼らを根こぎにし、わたしがわたしの名のために聖別したこの宮をわたしの前から投げ捨て、これをすべての国々の民の間で、物笑いとし、なぶりものとする。 + かつては並びもなく高かったこの宮も、そのときには、そのそばを通り過ぎる者がみな、驚いて、『どういうわけで、主はこの地とこの宮とに、このような仕打ちをされたのだろう』と言うであろう。 + すると人々は、『あの人たちは、エジプトの地から連れ出した彼らの父祖の神、主を捨てて、ほかの神々にたより、これを拝み、これに仕えた。そのために、主はこのすべてのわざわいをこの人たちに下されたのだ』と言うようになる。」 + + + ソロモンが主の宮と自分の宮殿を二十年かかって建て終わったとき、 + ソロモンは、フラムがソロモンに返した町々を建て直し、そこにイスラエル人を住ませた。 + ソロモンはハマテ・ツォバに出て行き、これに打ち勝った。 + ついで、彼は荒野にタデモルを建て、倉庫の町々はすべて、これをハマテに建てた。 + さらに、彼は上ベテ・ホロンと下ベテ・ホロンを建てた。これは、城壁と門とかんぬきのある防備の町々であった。 + バアラテ、およびソロモンの所有のすべての倉庫の町々、戦車のためのすべての町々、騎兵のための町々、ソロモンがエルサレムや、レバノンや、すべての領地に建てたいと切に願っていたものすべてを彼は建設した。 + イスラエルの出でないヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の生き残りの民全員、 + すなわち、イスラエル人が滅ぼし尽くさなかった人々の跡を継いでこの地に生き残った彼らの子孫に当たる人々を、ソロモンは苦役に徴用した。今日もそうである。 + しかし、ソロモンはイスラエル人を自分の仕事をさせる奴隷にはしなかった。彼らは戦士であり、彼の補佐官の長であり、戦車隊と騎兵隊の長であったからである。 + また、ソロモン王に属する者で、監督をする者の長は二百五十人であって、民を指揮していた。 + ソロモンはパロの娘を、ダビデの町から彼女のために建てた家に連れて上った。「私の妻はイスラエルの王ダビデの家に住んではならない。主の箱を迎え入れた所は聖なる所だからである」と彼が言ったからである。 + それから、ソロモンは、彼が玄関の前に建てた主の祭壇の上に、主のために全焼のいけにえをささげた。 + すなわち、モーセの命令どおりに、毎日の日課により、これをささげ、安息日ごとに、新月の祭りごとに、年三回の例祭、すなわち、種を入れないパンの祭り、七週の祭り、仮庵の祭りごとに、これをささげた。 + 彼はその父ダビデの定めに従い、祭司たちの組分けを定めてその務めにつかせ、レビ人もその任務につかせ、毎日の日課として、祭司たちの前で賛美と奉仕をさせた。門衛たちも、その組分けに従って、おのおのの門に立たせた。神の人ダビデの命令がこうだったからである。 + 彼らは、王がすべてのことにつき、また宝物倉のことについて、祭司たちとレビ人たちに命じたことにそむかなかった。 + このように、ソロモンの工事は、主の宮の礎を据える日まで、また、その完成まで、すべてが整えられていた。主の宮は完全であった。 + それから、ソロモンはエドムの地の海岸にあるエツヨン・ゲベルとエラテへ行った。 + フラムはそのしもべたちを通して、何隻かの船と海に詳しいしもべたちを彼のもとに送り届けた。彼らはソロモンのしもべたちといっしょにオフィルへ行き、そこから、金四百五十タラントを取って、これをソロモン王のもとに持って来た。 + + + ときに、シェバの女王が、ソロモンの名声を伝え聞き、難問をもってソロモンをためそうとして、非常に大ぜいの有力者たちを率い、らくだにバルサム油と、多くの金および宝石を載せて、エルサレムにやって来た。彼女は、ソロモンのところに来ると、心にあるすべてのことを彼に質問した。 + ソロモンは、彼女のすべての質問を説き明かした。ソロモンがわからなくて、彼女に説き明かせなかったことは何一つなかった。 + シェバの女王は、ソロモンの知恵と、彼が建てた宮殿と、 + その食卓の料理、列席の家来たち従者たちが仕えている態度とその服装、彼の献酌官たちとその服装、主の宮に上る階段を見て、息も止まるばかりであった。 + 彼女は王に言った。「私が国であなたの事績とあなたの知恵とについて聞き及んでおりましたことはほんとうでした。 + 実は、私は、自分で来て、自分の目で見るまでは、彼らの言うことを信じなかったのですが、驚いたことに、私にはあなたの知恵の半分も知らされていなかったのです。あなたは、私の聞いていたうわさを上回る方でした。 + なんとしあわせなことでしょう。あなたにつく人たちは。なんとしあわせなことでしょう。いつもあなたの前に立って、あなたの知恵を聞くことのできるこの、あなたの家来たちは。 + あなたを喜ばれ、その王座にあなたを着かせて、あなたの神、主のために王とされたあなたの神、主はほむべきかな。あなたの神はイスラエルを愛して、これをとこしえにゆるがぬものとされたので、彼らの上にあなたを王として与え、公正と正義とを行わせられるのです。」 + 彼女は百二十タラントの金と、非常に多量のバルサム油と宝石とを王に贈った。シェバの女王がソロモン王に贈ったこのバルサム油のようなものはなかった。 + オフィルから金を運んで来たフラムのしもべたちと、ソロモンのしもべたちも、びゃくだんの木材と宝石とを運んで来た。 + 王はこのびゃくだんの木材で、主の宮と王宮への大路を造り、歌うたいたちのために、立琴と十弦の琴を作った。このようなものは、これまで、ユダの地でだれも見たことがなかった。 + ソロモン王は、シェバの女王に、彼女が王のもとに携えて来た品物以外のもので、彼女が求めた物は何でもその望みのままに与えた。彼女は、家来たちを連れて、自分の国へ戻って行った。 + 一年間にソロモンのところに入って来た金の重さは、金の目方で六百六十六タラントであった。 + このほかに、交易商人や仕入れ商人たちが携えて来たものがあり、また、アラビヤのすべての王たち、およびその地の総督たちも、ソロモンのもとに金銀を携えて来た。 + ソロモン王は、延べ金で大盾二百を作り、その大盾一個に六百シェケルの延べ金を使った。 + また、延べ金で盾三百を作り、その盾一個に三百シェケルの金を使った。王はそれらを、レバノンの森の宮殿に置いた。 + 王は大きな象牙の王座を作り、これに純金をかぶせた。 + その王座には六つの段があり、その王座には金の足台が取りつけられており、座席の両側にはひじかけがあり、そのひじかけのわきには二頭の雄獅子が立っていた。 + また、十二頭の雄獅子が、六つの段の両側に立っていた。このような物は、どこの王国でも作られたためしがなかった。 + ソロモン王が飲み物に用いる器はみな金であった。レバノンの森の宮殿にあった器物もすべて純金であった。銀はソロモンの時代には、価値あるものとはみなされていなかった。 + 王は、フラムのしもべたちを乗せてタルシシュへ行く船を持っており、三年に一度、タルシシュの船が金、銀、象牙、さる、くじゃくを運んで来たからである。 + ソロモン王は、富と知恵とにおいて、地上のどの王よりもまさっていた。 + 地上のすべての王は、神が彼の心に授けられた知恵を聞こうとして、ソロモンに謁見を求めた。 + 彼らはおのおの贈り物として、銀の器、金の器、衣服、武器、バルサム油、馬、騾馬などを、毎年きまって携えて来た。 + ソロモンは四千の馬屋と戦車、および騎兵一万二千を持っていた。彼はこれらを戦車の町々に配置し、またエルサレムの王のもとにも置いた。 + 彼は大河からペリシテ人の地、さらには、エジプトの国境に至るすべての王を支配していた。 + 王は銀をエルサレムで石のように用い、杉の木を低地のいちじく桑の木のように大量に用いた。 + 人々は馬をエジプトや諸国からソロモンのもとに運んで来た。 + そのほか、ソロモンの業績、それは最初から最後まで、預言者ナタンの言行録、シロ人アヒヤの預言、および、先見者イドが見たネバテの子ヤロブアムについての幻の記録にしるされているではないか。 + ソロモンはエルサレムで、四十年の間、全イスラエルの王であった。 + ソロモンは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をその父ダビデの町に葬った。彼の子レハブアムが代わって王となった。 + + + レハブアムはシェケムへ行った。全イスラエルが彼を王とするため、シェケムに来ていたからである。 + ネバテの子ヤロブアムがそのことを聞くと、――彼はソロモン王の顔を避けて逃げて行き、エジプトにいたのである――ヤロブアムはエジプトから戻って来た。 + 人々が使いをやって、彼を呼び寄せたので、ヤロブアムは全イスラエルとともにやって来て、レハブアムに言った。 + 「あなたの父上は、私たちのくびきをかたくしました。今、父上が私たちに負わせた過酷な労働と重いくびきを軽くしてください。そうすれば、私たちはあなたに仕えましょう。」 + すると、彼はこの人々に、「もう三日したら、私のところに戻って来なさい」と言った。そこで、民は出て行った。 + レハブアム王は、父ソロモンが生きている間ソロモンに仕えていた長老たちに相談して、「この民にどう答えたらよいと思うか」と言った。 + 彼らは王に答えて言った。「もし、あなたがこの民に優しくし、彼らに好意を示し、彼らに親切なことばをかけてやってくださるなら、彼らはいつまでもあなたのしもべとなるでしょう。」 + しかし、彼はこの長老たちの与えた助言を退け、彼とともに育ち、彼に仕えている若者たちに相談して、 + 彼らに言った。「この民に何と返答したらよいと思うか。彼らは私に『あなたの父上が私たちに負わせたくびきを軽くしてください』と言って来たのだが。」 + 彼とともに育った若者たちは彼に答えて言った。「『あなたの父上は私たちのくびきを重くした。だから、あなたは、それを私たちの肩から軽くしてください』と言ってあなたに申し出た民に、こう答えたらいいでしょう。あなたは彼らにこう言いなさい。『私の小指は父の腰よりも太い。 + 私の父はおまえたちに重いくびきを負わせたが、私はおまえたちのくびきをもっと重くしよう。私の父はおまえたちをむちで懲らしめたが、私はさそりを使うつもりだ』と。」 + ヤロブアムと、すべての民は、三日目にレハブアムのところに来た。王が、「三日目に私のところに戻って来なさい」と言って命じたからである。 + 王は彼らに荒々しく答えた。レハブアム王は長老たちの助言を退け、 + 若者たちの助言どおり、彼らに答えてこう言った。「私はおまえたちのくびきを重くする。私はそれをもっと重くしよう。私の父はおまえたちをむちで懲らしめたが、私はさそりを使うつもりだ。」 + 王は民の願いを聞き入れなかった。それは、かつてシロ人アヒヤを通してネバテの子ヤロブアムに告げられた約束を主が実現するために、神がそうしむけられたからである。 + 全イスラエルは、王が自分たちに耳を貸さないのを見て取った。民は王に答えた。「ダビデには、われわれへのどんな割り当て地があろう。エッサイの子には、ゆずりの地がない。イスラエルよ。おのおのあなたの天幕に帰れ。ダビデよ。今、あなたの家を見よ。」こうして、全イスラエルは自分たちの天幕へ帰って行った。 + しかし、ユダの町々に住んでいるイスラエル人は、レハブアムがその王であった。 + レハブアム王は、役務長官ハドラムを遣わしたが、イスラエル人は、彼を石で打ち殺した。それで、レハブアム王は、ようやくの思いで戦車に乗り込み、エルサレムに逃げた。 + このようにして、イスラエルはダビデの家にそむいた。今日もそうである。 + + + レハブアムはエルサレムに帰り、ユダとベニヤミンの家から選抜戦闘員十八万を召集し、王国をレハブアムのもとに取り戻すため、イスラエルと戦おうとした。 + すると、神の人シェマヤに次のような主のことばがあった。 + 「ユダの王、ソロモンの子レハブアム、および、ユダとベニヤミンに属する全イスラエルに告げて言え。 + 『主はこう仰せられる。上って行ってはならない。あなたがたの兄弟たちと戦ってはならない。おのおの自分の家に帰れ。わたしがこうなるようにしむけたのだから。』」そこで、彼らは主のことばに聞き従い、ヤロブアムを目ざして進む行軍を中止して、引き返した。 + レハブアムはエルサレムに住み、ユダの中に防備の町々を建てた。 + すなわち、ベツレヘムとエタムとテコア、 + ベテ・ツルとソコとアドラム、 + ガテとマレシャとジフ、 + アドライムとラキシュとアゼカ、 + ツォルアとアヤロンとヘブロン。これらはユダとベニヤミンの中にあり、防備の町々であった。 + さらに、彼は防備を固めて、その中に隊長を置き、糧食、油、ぶどう酒をたくわえた。 + またすべての町ごとに大盾と槍を置き、これらの町をますます強固にした。こうして、ユダとベニヤミンは彼の側についた。 + イスラエル全土の祭司たち、レビ人たちは、あらゆる地域から出て来て、彼の側についた。 + 実は、レビ人は自分たちの放牧地と所有地を捨てて、ユダとエルサレムに来たのである。ヤロブアムとその子らが、主の祭司としての彼らの職を解き、 + 自分のために祭司たちを任命して、彼が造った高き所と雄やぎと子牛に仕えさせたからである。 + さらに、彼らのあとに続いて、イスラエルの全部族の中から、その心をささげてイスラエルの神、主を尋ね求める者たちが、その父祖の神、主にいけにえをささげるためエルサレムに出て来た。 + 彼らは三年の間、ユダの王権を強固にし、ソロモンの子レハブアムを励ました。三年の間、彼らがダビデとソロモンの道に歩んだからである。 + レハブアムは、ダビデの子エリモテとエッサイの子エリアブの娘アビハイルとの間にできた娘マハラテをめとって妻とした。 + 彼女は彼に男の子を産んだ。エウシュ、シェマルヤ、ザハムである。 + 彼女をめとって後、彼はアブシャロムの娘マアカをめとった。彼女はアビヤとアタイとジザとシェロミテを産んだ。 + レハブアムは彼のすべての妻、そばめにまさってアブシャロムの娘マアカを愛した。彼は妻を十八人、そばめを六十人持っており、二十八人の息子、六十人の娘をもうけた。 + レハブアムはマアカの子アビヤを立ててかしらとし、彼の兄弟たちの間でつかさとした。彼を王にしようと考えたからである。 + 彼は賢く事を行い、その子どもたちを全部、ユダとベニヤミンの全土、すなわちすべての防備の町々に分散させたうえ、彼らにたくさんの食糧を供給し、多くの妻を捜し与えた。 + + + レハブアムの王位が確立し、彼が強くなるに及んで、彼は主の律法を捨て去った。そして、全イスラエルが彼にならった。 + レハブアム王の第五年に、エジプトの王シシャクがエルサレムに攻め上って来た。彼らが主に対して不信の罪を犯したからである。 + 戦車一千二百台、騎兵六万がこれに従った。また、彼とともにエジプトから出陣した民、すなわちルブ人、スキ人、クシュ人の人数は数えきれないほどであった。 + 彼はユダに属する防備の町々を攻め取り、エルサレムまで攻め寄せて来た。 + そのとき、預言者シェマヤが、レハブアムと、シシャクを前にしてエルサレムに集まったユダのつかさたちのもとに来て、彼らに言った。「主はこう仰せられる。『あなたがたがわたしを捨て去ったので、わたしもまたあなたがたを捨ててシシャクの手に渡した。』」 + すると、イスラエルのつかさたちと王とはへりくだり、「主は正しい」と言った。 + 主が、彼らのへりくだった様子をご覧になると、シェマヤに次のような主のことばがあった。「彼らがへりくだったので、わたしは彼らを滅ぼさない。間もなく彼らに救いを与えよう。シシャクの手によって、わたしの怒りをエルサレムに注ぐことはやめよう。 + ただし、彼らは彼のしもべとなる。わたしに仕えることと地の諸王国に仕えることとの違いを思い知るためである。」 + エジプトの王シシャクはエルサレムに攻め上って来て、主の宮の財宝、王宮の財宝を奪い取り、何もかも奪って、ソロモンが作った金の盾をも奪い取った。 + それで、レハブアム王は、その代わりに青銅の盾を作り、これを王宮の門を守る近衛兵の隊長の手に託した。 + 王が主の宮に入るたびごとに、近衛兵が来て、これを運んで行き、また、これを近衛兵の控え室に運び帰った。 + このように、彼がへりくだったとき、主の怒りは彼の身を離れ、彼を徹底的に滅ぼすことはされなかった。ユダにも良いことがあったからである。 + こうして、レハブアム王はエルサレムで勢力を増し加え、国を治めた。レハブアムは四十一歳で王となり、主がご自分の名を置くためにイスラエルの全部族の中から選ばれた都、エルサレムで十七年間、王であった。彼の母の名はナアマといい、アモン人であった。 + 彼は悪事を行った。すなわち、その心を定めて常に主を求めることをしなかった。 + レハブアムの業績、それは最初から最後まで、預言者シェマヤと先見者イドの言行録にしるされて、系図に載せられているではないか。レハブアムとヤロブアムとの間には、いつまでも争いがあった。 + レハブアムは彼の先祖たちとともに眠り、ダビデの町に葬られた。彼の子アビヤが代わって王となった。 + + + ヤロブアム王の第十八年に、アビヤはユダの王となり、 + エルサレムで三年間、王であった。彼の母の名はミカヤといい、ギブアの出のウリエルの娘であった。/アビヤとヤロブアムとの間には争いがあった。 + アビヤは精鋭四十万の勇敢な戦士の部隊を率いて戦争を始めた。一方、ヤロブアムも八十万の精鋭、勇士を率いて彼に対抗し、戦いの備えをした。 + アビヤはエフライムの山地にあるツェマライム山の頂上に立って、言った。「ヤロブアムおよび全イスラエルよ。私の言うことを聞け。 + イスラエルの神、主が、イスラエルの王国をとこしえにダビデに与えられたこと、すなわち、塩の契約をもって、彼とその子らとに与えられたことは、あなたがたが知らないはずはあるまい。 + ところが、ダビデの子ソロモンのしもべであったネバテの子ヤロブアムが立ち上がって、自分の主君に反逆したが、 + 彼のもとに、ごろつき、よこしまな者たちが集まり、ソロモンの子レハブアムより優勢となった。それに、レハブアムは若くて、おくびょうであり、彼らに対抗して自分の力を増し加えることがなかった。 + そこで今、あなたがたは、ダビデの子らの支配下にある主の王国に敵対して、力を増し加えようとしており、また、あなたがたはおびただしい群れをなしており、ヤロブアムが造ってあなたがたのために神とした金の子牛もあなたがたとともにある。 + あなたがたは、アロンの子らである主の祭司たちとレビ人を追放し、諸国の民にならって自分たちのために祭司を任命したではないか。だれでも若い雄牛一頭と雄羊七頭を携えて来て祭司職につこうとする者は、神ならぬものの祭司となったのである。 + しかし、私たちの場合は、主が私たちの神である。私たちはこの方を捨てなかった。また、アロンの子らである祭司たちが主に仕えており、レビ人が仕事をしている。 + 彼らは朝ごとに夕ごとに全焼のいけにえを主にささげ、かおりの高い香をたき、並べ供えたパンを純金の机の上に整え、金の燭台とその上のともしび皿には、夕ごとに火をともしている。私たちは、私たちの神、主の戒めを守っている。それに反し、あなたがたはこの方を捨て去った。 + 見よ。神は私たちとともにいて、かしらとなっておられる。また、神の祭司たちも私たちの側におり、合図のラッパを手にして、あなたがたに対し進撃の合図を吹き鳴らそうとしている。イスラエル人よ。あなたがたの父祖の神、主と戦ってはならない。とうてい勝ち目はないからである。」 + ヤロブアムは伏兵を回して、この人々の背後から攻めるようにさせた。こうして、彼らはユダの正面におり、伏兵はその背後にいた。 + ユダが向き直ると、見よ、戦いは前後から迫っていた。それで、彼らは主に叫び求め、祭司たちはラッパを吹き鳴らした。 + そして、ユダの人々はときの声をあげた。ユダの人々がときの声をあげたとき、神はヤロブアムと全イスラエルを、アビヤとユダの前に打ち破られた。 + こうして、イスラエル人はユダの前から逃げ去り、神はこの人々を彼らの手に渡された。 + アビヤとその民は彼らをおびただしく打ち殺した。その結果、イスラエルのうち、精鋭五十万が殺されて倒れた。 + イスラエル人は、このとき征服され、ユダ人は、勝利を得た。彼らがその父祖の神、主に拠り頼んだからである。 + アビヤはヤロブアムのあとを追い、ベテルとそれに属する村落、エシャナとそれに属する村落、エフラインとそれに属する村落など、幾つかの町々を彼から取った。 + こうして、ヤロブアムはアビヤの時代には、もはや力をとどめておくことができなかった。主が彼を打たれたので、彼は死んだ。 + 一方、アビヤは勢力を増し加えた。十四人の妻をめとり、二十二人の息子、十六人の娘をもうけた。 + アビヤのその他の業績、彼の行いとことばは、預言者イドの注解にしるされている。 + + + アビヤは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をダビデの町に葬った。彼の子アサが代わって王となった。彼の時代には、この地は十年の間、平安を保った。 + アサは、彼の神、主がよいと見られること、御目にかなうことを行い、 + 異教の祭壇と高き所を取り除き、柱を砕き、アシェラ像を打ちこわした。 + それから、ユダに命じて、彼らの父祖の神、主を求めさせ、その律法と命令を行わせた。 + さらに、彼はユダのすべての町々から高き所と香の台を取り除いた。こうして、王国は彼の前に平安を保った。 + 彼はユダに防備の町々を築いた。当時数年の間、その地は平安を保ち、主が彼に安息を与えられたので、彼に戦いをいどむ者はなかったからである。 + 彼はユダに向かってこう言った。「さあ、これらの町々を建てようではないか。そして、その回りに城壁とやぐらと門とかんぬきを設けよう。この地はなおも私たちの前にある。私たちが私たちの神、主を求めたからである。私たちが求めたところ、神は、周囲の者から守って私たちに安息を下さった。」こうして、彼らは建設し、繁栄した。 + アサには、ユダの、大盾と槍を帯びる軍勢が三十万、ベニヤミンの、盾を持ち、弓を引く者が二十八万あって、これらすべてが勇士であった。 + 時がたって、クシュ人ゼラフが、百万の軍勢と三百台の戦車を率いて、彼らに向かって出陣し、マレシャにまで寄せて来た。 + そこで、アサは彼に対抗して出陣し、マレシャにあるツェファテの谷で戦いの備えをした。 + アサはその神、主に叫び求めて言った。「主よ。力の強い者を助けるのも、力のない者を助けるのも、あなたにあっては変わりはありません。私たちの神、主よ。私たちを助けてください。私たちはあなたに拠り頼み、御名によってこの大軍に当たります。主よ。あなたは私たちの神です。人間にすぎない者に、あなたに並ぶようなことはできないようにしてください。」 + 主はアサの前とユダの前に、クシュ人を打ち破られたので、クシュ人は逃げ去った。 + アサおよび彼とともにいた民は、彼らをゲラルまで追いつめた。クシュ人は倒れ、生きている者はなかった。主の前、その宿営の前に、打ち砕かれたからである。そこで、彼らは非常に多くの分捕り物を持ち帰った。 + さらに、彼らはゲラル周辺のすべての町々を攻め打った。主の恐れが彼らに臨んだからである。そこで、彼らはすべての町々をかすめ奪った。その中には多くの獲物があったからである。 + また、彼らは家畜の天幕も打ち、多くの羊とらくだを奪い去って、エルサレムに帰って来た。 + + + すると、神の霊がオデデの子アザルヤの上に臨んだ。 + そこで、彼はアサの前に出て行き、彼に言った。「アサおよび、すべてユダとベニヤミンの人々よ。私の言うことを聞きなさい。あなたがたが主とともにいる間は、主はあなたがたとともにおられます。もし、あなたがたがこの方を求めるなら、あなたがたにご自身を示してくださいます。もし、あなたがたがこの方を捨て去るなら、この方はあなたがたを捨ててしまわれます。 + 長年の間、イスラエルにはまことの神なく、教師となる祭司もなく、律法もありませんでした。 + しかし、その悩みのときに、彼らがイスラエルの神、主に立ち返り、この方を尋ね求めたところ、彼らにご自身を示してくださいました。 + この時期には、出て行く者にも、入って来る者にも平安がありませんでした。国々に住むすべての人々に大きな恐慌があったからです。 + そして彼らは、民は民に、町は町に相逆らい、共に打ち砕かれてしまいました。神があらゆる苦しみをもって、彼らをかき乱されたからです。 + しかし、あなたがたこそ強くあってほしいのです。力を落としてはなりません。あなたがたの働きには報いが伴っているからです。」 + アサは、これらのことばと預言者オデデによって預言されたことを聞いたとき、奮い立って、ユダとベニヤミンの全地から、また彼がエフライムの山地で攻め取った町々から、忌むべき物を除いた。そして、主の玄関の前にあった主の祭壇を新しくした。 + さらに、彼はユダとベニヤミンのすべての人々、および、エフライム、マナセ、シメオンから来て彼らのもとに身を寄せている人々を集めた。彼の神、主が彼とともにおられるのを見て、イスラエルから多くの人々が彼をたよって来たからである。 + こうして、アサの治世の第十五年の第三の月に、彼らはエルサレムに集まった。 + その日、自分たちが携えて来た分捕り物の中から、牛七百頭と羊七千頭を主にいけにえとしてささげた。 + さらに、彼らは、心を尽くし、精神を尽くしてその父祖の神、主を求め、 + だれでもイスラエルの神、主に求めようとしない者は、小さな者も大きな者も、男も女も、殺されるという契約を結んだ。 + それから、彼らは、大声をあげ、喜び叫び、ラッパと角笛を吹いて、主に誓いを立てた。 + ユダの人々はみなその誓いを喜んだ。彼らは心を尽くして誓いを立て、ただ一筋に喜んで主を慕い求め、主は彼らにご自身を示されたからである。主は周囲の者から守って彼らに安息を与えられた。 + アサ王の母マアカがアシェラのために憎むべき像を造ったので、彼は王母の位から彼女を退けた。アサはその憎むべき像を切り倒し、粉々に砕いて、キデロン川で焼いた。 + 高き所はイスラエルから取り除かれなかったが、アサの心は一生涯、完全であった。 + 彼は、彼の父が聖別した物と、彼が聖別した物、すなわち、銀、金、器類を、神の宮に運び入れた。 + アサの治世の第三十五年まで、戦いは起こらなかった。 + + + アサの治世の第三十六年に、イスラエルの王バシャはユダに上って来て、ユダの王アサのもとにだれも出入りできないようにするためにラマを築いた。 + アサは主の宮と王宮との宝物倉から銀と金を取り出し、ダマスコに住むアラムの王ベン・ハダデのもとに送り届けて言った。 + 「私の父とあなたの父上の間にあったように、私とあなたの間に同盟を結びましょう。ご覧ください。私はあなたに銀と金を送りました。どうか、イスラエルの王バシャとの同盟を破棄し、彼が私のもとから離れ去るようにしてください。」 + ベン・ハダデはアサ王の願いを聞き入れ、自分の配下の将校たちをイスラエルの町々に差し向けたところ、彼らはイヨンと、ダンと、アベル・マイム、および、ナフタリに属するすべての倉庫の町々を打った。 + バシャはこれを聞くと、ラマを築くのを中止し、その工事をやめさせた。 + アサ王はユダの人々をみな連れて行き、バシャが建築に用いたラマの石材と木材を運び出させたうえ、これを用いてゲバとミツパを建てた。 + そのとき、予見者ハナニがユダの王アサのもとに来て、彼に言った。「あなたはアラムの王に拠り頼み、あなたの神、主に拠り頼みませんでした。それゆえ、アラム王の軍勢はあなたの手からのがれ出たのです。 + あのクシュ人とルブ人は大軍勢ではなかったでしょうか。戦車と騎兵は非常におびただしかったではありませんか。しかし、あなたが主に拠り頼んだとき、主は彼らをあなたの手に渡されたのです。 + 主はその御目をもって、あまねく全地を見渡し、その心がご自分と全く一つになっている人々に御力をあらわしてくださるのです。あなたは、このことについて愚かなことをしました。今から、あなたは数々の戦いに巻き込まれます。」 + すると、アサはこの予見者に対して怒りを発し、彼に足かせをかけた。このことで、彼に対し激しい怒りをいだいたからである。アサはこのとき、民のうちのある者を踏みにじった。 + 見よ。アサの業績は、最初から最後まで、ユダとイスラエルの王たちの書にまさしくしるされている。 + それから、アサはその治世の第三十九年に、両足とも病気にかかった。彼の病は重かった。ところが、その病の中でさえ、彼は主を求めることをしないで、逆に医者を求めた。 + アサは、彼の先祖たちとともに眠った。すなわち、その治世の第四十一年に死んだ。 + そこで、人々は、彼が自分のためにダビデの町に掘っておいた墓に彼を葬り、香料の混合法にしたがって作ったかおりの高い香油や香料に満ちたふしどに彼を横たえた。そして、彼のために非常にたくさんの香をたいた。 + + + そこで、彼の子ヨシャパテが代わって王となり、イスラエルに対して勢力を増し加えた。 + 彼はユダにあるすべての城壁のある町々に軍隊を置き、ユダの地と、彼の父アサが攻め取ったエフライムの町々に守備隊を置いた。 + 主はヨシャパテとともにおられた。彼がその先祖ダビデの最初の道に歩んで、バアルに求めず、 + その父の神に求め、その命令に従って歩み、イスラエルのしわざにならわなかったからである。 + そこで、主は、王国を彼の手によって確立された。ユダの人々はみなヨシャパテに贈り物をささげた。彼には、富と誉れが豊かに与えられた。 + 彼の心は主の道にいよいよ励み、彼はさらに、高き所とアシェラ像をユダから取り除いた。 + それから、彼はその治世の第三年に、彼のつかさたち、すなわち、ベン・ハイル、オバデヤ、ゼカリヤ、ネタヌエル、ミカヤなどを遣わし、ユダの町々で教えさせた。 + また、彼らとともにレビ人も同行した。すなわち、シェマヤ、ネタヌヤ、ゼバデヤ、アサエル、シェミラモテ、ヨナタン、アドニヤ、トビヤ、トブ・アドニヤなどのレビ人である。それから、彼らとともにエリシャマ、ヨラムなどの祭司も同行した。 + 彼らはユダで教えた。すなわち、主の律法の書を携えて行き、ユダのすべての町々を巡回して、民の間で教えた。 + そこで、主の恐れが、ユダの回りの地のすべての王国に臨んだため、ヨシャパテに戦いをしかける者はだれもなかった。 + また、ペリシテ人の中から、ヨシャパテに贈り物とみつぎの銀を携えて来る者があり、アラビヤ人も、彼のもとに羊の群れ、すなわち、雄羊七千七百頭、雄やぎ七千七百頭を携えて来た。 + こうして、ヨシャパテはしだいに並みはずれて強大になり、ユダに城塞や倉庫の町々を築いた。 + 彼には、ユダの町々で多くの工事があり、エルサレムには勇士である戦士たちをかかえていた。 + 彼らの父祖の家ごとの登録は次のとおりである。ユダでは、千人隊の長たちは、隊長アデナ。その配下には勇士三十万人。 + 王の指揮下に、隊長ヨハナン。その配下には二十八万人。 + その指揮下に、みずから進んで主に身をささげたジクリの子アマスヤ。その配下には二十万人の勇士。 + ベニヤミンには、勇士エルヤダ。その配下には、弓と盾を持った者が二十万人。 + 王の指揮下に、隊長エホザバデ。その配下には十八万人の武装した者。 + これらは、王がユダ全国にある城壁のある町々に配属した人々とは別に、王に仕えた人々であった。 + + + こうして、ヨシャパテには富と誉れとが豊かに与えられたが、彼はアハブと縁を結んだ。 + 何年かたって後、彼が、サマリヤに下ってアハブのもとに行ったとき、アハブは彼および彼とともにいた民のために、おびただしい羊や牛の群れをほふったうえ、彼を誘い込んで、ラモテ・ギルアデに攻め上らせようとした。 + そのとき、イスラエルの王アハブはユダの王ヨシャパテに言った。「私とともにラモテ・ギルアデに行ってくれませんか。」すると、彼は答えた。「私とあなたとは同じようなもの、私の民はあなたの民と同じようなものです。あなたとともに戦いに臨みましょう。」 + ヨシャパテは、イスラエルの王に言った。「まず、主のことばを伺ってみてください。」 + そこで、イスラエルの王は四百人の預言者を召し集めて、彼らに尋ねた。「私たちはラモテ・ギルアデに戦いに行くべきだろうか。それとも、私はやめるべきだろうか。」彼らは答えた。「上って行きなさい。そうすれば、神は王の手にこれを渡されます。」 + ところが、ヨシャパテは、「ここには、私たちがみこころを求めることのできる主の預言者がほかにいないのですか」と言った。 + イスラエルの王はヨシャパテに答えた。「いや、ほかにもうひとり、私たちが主のみこころを求めることのできる者がいます。しかし、私は彼を憎んでいます。彼は私について、決して良いことは預言せず、いつも悪いことばかりを預言するからです。それは、イムラの子ミカヤです。」すると、ヨシャパテは言った。「王よ。そういうふうには言わないでください。」 + そこで、イスラエルの王はひとりの宦官を呼び寄せ、「急いで、イムラの子ミカヤを呼んで来なさい」と命じた。 + イスラエルの王と、ユダの王ヨシャパテは、おのおの王服を着て、王の座に着き、サマリヤの門の入口にある打ち場にすわっていた。預言者はみな、ふたりの前で預言していた。 + そのとき、ケナアナの子ゼデキヤは、王のために鉄の角を作って言った。「主はこう仰せられます。『これらの角で、あなたはアラムを突いて、絶滅させなければならない。』」 + ほかの預言者たちもみな、同じように預言して言った。「ラモテ・ギルアデに攻め上って勝利を得なさい。主は王の手にこれを渡されます。」 + さて、ミカヤを呼びに行った使いの者はミカヤに告げて言った。「いいですか。預言者たちは口をそろえて、王に対し良いことを述べています。お願いですから、あなたもみなと同じように語り、良いことを述べてください。」 + すると、ミカヤは答えた。「主は生きておられる。私の神が告げられることを、そのまま述べよう。」 + 彼が王のもとに着くと、王は彼に言った。「ミカヤ。私たちはラモテ・ギルアデに戦いに行くべきだろうか。それとも、私はやめるべきだろうか。」すると、彼は答えた。「攻め上って勝利を得なさい。彼らはあなたがたの手に渡されます。」 + すると、王は彼に言った。「いったい、私が何度あなたに誓わせたら、あなたは主の名によって真実だけを私に告げるようになるのか。」 + 彼は答えた。「私は全イスラエルが、山々に散らされているのを見た。まるで、飼い主のいない羊の群れのように。そのとき、主は仰せられた。『彼らには主人がいない。彼らをおのおのその家に無事に帰さなければならない。』」 + イスラエルの王はヨシャパテに言った。「彼は私について良いことを預言せず、悪いことばかりを預言すると、あなたに言っておいたではありませんか。」 + すると、ミカヤは言った。「それゆえ主のことばを聞きなさい。私は主が御座に着き、天の万軍がその右左に立っているのを見ました。 + そのとき、主は仰せられました。『だれか、イスラエルの王アハブを惑わして、攻め上らせ、ラモテ・ギルアデで倒れさせる者はいないか。』すると、ある者は一つの案を述べ、他の者は別の案を述べました。 + それから、ひとりの霊が進み出て、主の前に立ち、『この私が彼を惑わします』と言いますと、主が彼に『どういうふうにやるのか』と尋ねられました。 + 彼は答えました。『私が出て行き、彼のすべての預言者の口で偽りを言う霊となります。』すると、『あなたはきっと惑わすことができよう。出て行って、そのとおりにせよ』と仰せられました。 + 今、ご覧のとおり、主はここにいるあなたの預言者たちの口に偽りを言う霊を授けられました。主はあなたに下るわざわいを告げられたのです。」 + すると、ケナアナの子ゼデキヤが近寄って来て、ミカヤの頬をなぐりつけて言った。「どの道を通って、主の霊が私を離れて行き、おまえに語ったというのか。」 + ミカヤは答えた。「いまに、あなたが奥の間に入って身を隠すときに、思い知るであろう。」 + すると、イスラエルの王は言った。「ミカヤを連れて行け。町のつかさアモンと王の子ヨアシュのもとに下がらせよ。 + 王が『この男を獄屋に入れ、私が無事に戻って来るまで、わずかなパンとわずかな水をあてがっておけ』と命じたと言え。」 + ミカヤは言った。「万が一、あなたが無事に戻って来られることがあるなら、主は私によって語られなかったのです。」そして、「みなの人々よ。聞いておきなさい」と言った。 + こうして、イスラエルの王とユダの王ヨシャパテは、ラモテ・ギルアデに攻め上った。 + そのとき、イスラエルの王はヨシャパテに言った。「私は変装して戦いに行こう。でも、あなたは、自分の王服を着ていてください。」こうして、イスラエルの王は変装し、彼らは戦いに行った。 + アラムの王は、自分の配下の戦車隊長たちに命じて言った。「兵や将校とは戦うな。ただイスラエルの王を目ざして戦え。」 + 戦車隊長たちはヨシャパテを見たとき、「あれはイスラエルの王に違いない」と思ったので、彼を取り囲んで戦おうとした。すると、ヨシャパテは助けを叫び求めた。主は彼を助けられた。神は彼らを、彼から離れるように仕向けられた。 + 戦車隊長たちは、彼がイスラエルの王ではないことを知ったとき、彼を追うことをやめ、引き返した。 + ところが、ひとりの兵士が何げなく弓を放つと、イスラエルの王の胸当てと草摺の間を射抜いた。そこで、王は戦車の御者に言った。「手綱を返して、私を敵陣から抜け出させてくれ。傷を負ってしまった。」 + その日、戦いはますます激しくなった。イスラエルの王はアラムに向かって、夕方まで戦車の中に立っていたが、日没のころになって死んだ。 + + + ユダの王ヨシャパテは無事に自分の家に帰り、エルサレムに戻った。 + すると、先見者ハナニの子エフーが彼の前に出向いて来て、ヨシャパテ王に言った。「悪者を助けるべきでしょうか。あなたは主を憎む者たちを愛してよいのでしょうか。これによって、あなたの上に、主の前から怒りが下ります。 + しかし、あなたには、良いことも幾つか見られます。あなたはこの地からアシェラ像を除き去り、心を定めて常に神を求めて来られました。」 + ヨシャパテはエルサレムに住んだ。それから、彼はもう一度ベエル・シェバからエフライムの山地に至る民の中へ出て行き、彼らをその父祖の神、主に立ち返らせた。 + さらに、彼はこの地、すなわち、ユダにあるすべての城壁のある町々にさばきつかさを立て、町ごとにこれを任命し、 + さばきつかさたちにこう言った。「あなたがたは自分のする事に注意しなさい。あなたがたがさばくのは、人のためではなく、主のためだからです。この方は、さばきが行われるとき、あなたがたとともにおられるのです。 + 今、主への恐れがあなたがたにあるように。忠実に行いなさい。私たちの神、主には、不正も、えこひいきも、わいろを取ることもないからです。」 + なお、ヨシャパテはエルサレムでは、レビ人と祭司の中から、またイスラエルに属する一族のかしらたちの中から、主のさばき、および訴訟に携わる者たちを任命していた。エルサレムに帰ったとき、 + 彼はこの人々に次のように命じた。「あなたがたは、主を恐れ、忠実に、また全き心をもって、このように行わなければなりません。10おのおのの町に住んでいるあなたがたの兄弟たちから、あるいは互いの流血事件について、あるいは律法、命令、おきて、定めなどについて、あなたがたのところに訴訟が持ち込まれた場合には、いつでも、あなたがたは、彼らが主に対して罪を負い、その結果、あなたがたとあなたがたの兄弟たちの上に御怒りが下ることのないよう、彼らに警告を与えなければなりません。あなたがたはこのように行いなさい。そうすれば罪を負わずに済むのです。 + ご覧なさい。あなたがたの上のかしら、祭司アマルヤは、主の事がら全体に当たります。また、ユダの家のつかさイシュマエルの子ゼバデヤは王の事がら全体に当たってくれます。さらに、あなたがたの前のレビ人はつかさです。勇気を出して実行しなさい。主が善人とともにいてくださるように。」 + + + この後、モアブ人とアモン人、および彼らに合流したアモン人の一部が、ヨシャパテと戦おうとして攻めて来た。 + そこで、人々は来て、ヨシャパテに告げて言った。「海の向こうのアラムからおびただしい大軍があなたに向かって攻めて来ました。早くも、彼らはハツァツォン・タマル、すなわちエン・ゲディに来ています。」 + ヨシャパテは恐れて、ただひたすら主に求め、ユダ全国に断食を布告した。 + ユダの人々は集まって来て、主の助けを求めた。すなわち、ユダのすべての町々から人々が出て来て、主を求めた。 + ヨシャパテは、主の宮にある新しい庭の前で、ユダとエルサレムの集団の中に立って、 + 言った。「私たちの父祖の神、主よ。あなたは天におられる神であり、また、あなたはすべての異邦の王国を支配なさる方ではありませんか。あなたの御手には力があり、勢いがあります。だれも、あなたと対抗してもちこたえうる者はありません。 + 私たちの神よ。あなたはこの地の住民をあなたの民イスラエルの前から追い払い、これをとこしえにあなたの友アブラハムのすえに賜ったのではありませんか。 + 彼らはそこに住み、あなたのため、御名のために、そこに聖所を建てて言いました。 + 『もし、剣、さばき、疫病、ききんなどのわざわいが私たちに襲うようなことがあれば、私たちはこの宮の前、すなわち、あなたの御前に立って――あなたの御名はこの宮にあるからです――私たちの苦難の中から、あなたに呼ばわります。そのときには、あなたは聞いてお救いくださいます。』 + ところが今、アモン人とモアブ人、およびセイル山の人々をご覧ください。この者たちは、イスラエルがエジプトの地を出て来たとき、イスラエルがそこに侵入することをあなたがお許しにならなかった者たちです。事実、イスラエルは彼らから離れ去り、これを根絶やしにすることはしませんでした。 + ご覧ください。彼らが私たちにしようとしていることを。彼らは、あなたが私たちに得させてくださったあなたの所有地から私たちを追い払おうとして来ました。 + 私たちの神よ。あなたは彼らをさばいてくださらないのですか。私たちに立ち向かって来たこのおびただしい大軍に当たる力は、私たちにはありません。私たちとしては、どうすればよいかわかりません。ただ、あなたに私たちの目を注ぐのみです。」 + ユダの人々は全員主の前に立っていた。彼らの幼子たち、妻たち、子どもたちも共にいた。 + ときに、主の霊が集団の中で、アサフ族の出のレビ人ヤハジエルの上に臨んだ。彼はマタヌヤの子エイエルの子ベナヤの子ゼカリヤの子である。 + 彼は言った。「ユダのすべての人々とエルサレムの住民およびヨシャパテ王よ。よく聞きなさい。主はあなたがたにこう仰せられます。『あなたがたはこのおびただしい大軍のゆえに恐れてはならない。気落ちしてはならない。この戦いはあなたがたの戦いではなく、神の戦いであるから。 + あす、彼らのところに攻め下れ。見よ。彼らはツィツの上り道から上って来る。あなたがたはエルエルの荒野の前の谷のはずれで、彼らに会う。 + この戦いではあなたがたが戦うのではない。しっかり立って動かずにいよ。あなたがたとともにいる主の救いを見よ。ユダおよびエルサレムよ。恐れてはならない。気落ちしてはならない。あす、彼らに向かって出陣せよ。主はあなたがたとともにいる。』」 + それで、ヨシャパテは地にひれ伏した。ユダのすべての人々とエルサレムの住民も主の前にひれ伏して主を礼拝し、 + ケハテ族、コラ族のレビ人たちが立ち上がり、大声を張り上げてイスラエルの神、主を賛美した。 + こうして、彼らは翌朝早く、テコアの荒野へ出陣した。出陣のとき、ヨシャパテは立ち上がって言った。「ユダおよびエルサレムの住民よ。私の言うことを聞きなさい。あなたがたの神、主を信じ、忠誠を示しなさい。その預言者を信じ、勝利を得なさい。」 + それから、彼は民と相談し、主に向かって歌う者たち、聖なる飾り物を着けて賛美する者たちを任命した。彼らが武装した者の前に出て行って、こう歌うためであった。「主に感謝せよ。その恵みはとこしえまで。」 + 彼らが喜びの声、賛美の声をあげ始めたとき、主は伏兵を設けて、ユダに攻めて来たアモン人、モアブ人、セイル山の人々を襲わせたので、彼らは打ち負かされた。 + アモン人とモアブ人はセイル山の住民に立ち向かい、これを聖絶し、根絶やしにしたが、セイルの住民を全滅させると、互いに力を出して滅ぼし合った。 + ユダが荒野に面した物見の塔に上ってその大軍のほうを見渡すと、なんと、死体が野にころがっている。のがれた者はひとりもない。 + ヨシャパテとその民が分捕りをしに行くと、その所に、武具、死体、高価な器具を数多く見つけたので、これを負いきれないほど、はぎ取って、自分のものとした。あまりにも多かったので、彼らはその分捕りに三日かかった。 + 四日目に、彼らはベラカの谷に集まり、その所で主をほめたたえた。それゆえ、人々はその所の名をベラカの谷と呼んだ。今日もそうである。 + それから、ユダとエルサレムの人々はひとり残らず、ヨシャパテを先頭にして、喜びのうちにエルサレムに凱旋した。主が彼らに、その敵のことについて喜びを与えられたからである。 + 彼らは、十弦の琴、立琴、ラッパを携えてエルサレムに入り、主の宮に行った。 + 地のすべての王国が、主はイスラエルの敵と戦われたということを聞いたとき、神の恐れが彼らの上に臨んだ。 + このようなわけで、ヨシャパテの治世は平穏であった。彼の神は、周囲の者から守って、彼に安息を与えられた。 + このようにして、ヨシャパテはユダを治めた。彼は三十五歳で王となり、エルサレムで二十五年間、王であった。その母の名はアズバといい、シルヒの娘であった。 + 彼はその父アサの道に歩み、その道からそれることなく、主の目にかなうことを行った。 + しかし、高き所は取り除かなかったので、民はなおも、彼らの父祖の神にその心を定めようとしなかった。 + ヨシャパテのその他の業績は、最初から最後まで、イスラエルの王たちの書に載せられたハナニの子エフーの言行録にまさしくしるされている。 + その後、ユダの王ヨシャパテは、悪事を行ったイスラエルの王アハズヤと同盟を結んだ。 + 彼はタルシシュへ行くための船団をつくるためにこの王と結んだ。彼らはエツヨン・ゲベルで船団をつくった。 + そのとき、マレシャの出のドダワの子エリエゼルがヨシャパテに向かって預言し、こう言った。「あなたがアハズヤと同盟を結んだので、主はあなたの造ったものを打ちこわされました。」そうこうするうちに、船は難破し、タルシシュへそのまま行くことができなかった。 + + + ヨシャパテは彼の先祖たちとともに眠り、先祖たちとともにダビデの町に葬られた。その子ヨラムが代わって王となった。 + 彼には、兄弟たちがいた。ヨシャパテの子たちで、アザルヤ、エヒエル、ゼカリヤ、アザルヤ、ミカエル、シェファテヤであった。これらはみな、ユダの王ヨシャパテの子たちであった。 + 彼らの父は、彼らに銀、金、えりすぐりの品々など多くの賜り物を与え、また、それとともにユダにある防備の町々を与えたが、王国はヨラムに与えた。彼は長男だったからである。 + ヨラムはその父の王国に立つと勢力を増し加え、その兄弟たちをひとり残らず剣にかけて殺し、また、イスラエルのつかさたちのうち幾人かを殺した。 + ヨラムは三十二歳で王となり、エルサレムで八年間、王であった。 + 彼はアハブの家の者がしたように、イスラエルの王たちの道に歩んだ。アハブの娘が彼の妻であったからである。彼は主の目の前に悪を行ったが、 + 主は、ダビデと結ばれた契約のゆえに、ダビデの家を滅ぼすことを望まれなかった。主はダビデとその子孫にいつまでもともしびを与えようと、約束されたからである。 + ヨラムの時代に、エドムがそむいて、ユダの支配から脱し、自分たちの上に王を立てた。 + ヨラムは、彼のつかさたちとともに、すべての戦車を率いて渡って行き、夜襲を試み、彼を包囲していたエドムと戦車隊長たちを打った。 + しかしなお、エドムはそむいて、ユダの支配から脱した。今日もそうである。リブナもまた、その時にそむいて、その支配から脱しようとした。これは彼がその父祖の神、主を捨て去ったからである。 + そのうえ、彼はユダの山々に高き所を造り、エルサレムの住民に淫行を行わせ、ユダを迷わせた。 + ときに、預言者エリヤのもとから彼のところに書状が届いたが、そこには次のようにしるされていた。「あなたの父ダビデの神、主は、こう仰せられます。『あなたが、あなたの父ヨシャパテの道にも、ユダの王アサの道にも歩まず、 + イスラエルの王たちの道に歩み、アハブの家が淫行を行わせたように、ユダとエルサレムの住民に淫行を行わせたので、また、そればかりでなく、あなたは、自分よりも善良なあなたの兄弟たち、あなたの父の家の者を殺したので、 + 見よ、主は大きな災害をもってあなたの民、あなたの子たち、あなたの妻たち、あなたの全財産を打つ。 + あなた自身は、内臓の病気で大病をわずらい、日々にその病が進んで、内臓が外に出るまでになる。』」 + 主はクシュ人の近くにいたペリシテ人とアラビヤ人の霊を奮い立たせて、ヨラムに敵対させられたので、 + 彼らは、ユダに上って攻め入り、王宮の中で目に留まったすべての財産と彼の子や妻たちを奪い去った。その結果、彼には末子のエホアハズのほか、男の子はだれも残らなかった。 + これらすべてのことの後、主は彼を、その内臓を打たれた。彼は不治の病になった。 + 年は巡り、二年の終わりが来ると、彼の内臓は病のために外に出てしまい、ついに彼は重病の床で死んだ。彼の民は、彼の父祖たちのために香をたいたようには、彼のために香をたかなかった。 + 彼は三十二歳で王となり、エルサレムで八年間、王であった。彼は人々に愛されることなく世を去った。人々は彼をダビデの町に葬ったが、王たちの墓には納めなかった。 + + + エルサレムの住民は、彼の末子アハズヤを彼の代わりに王とした。アラビヤ人とともに陣営に攻めて来た略奪隊が年長の子らを全部殺してしまったからである。こうして、ユダの王ヨラムの子アハズヤが王となった。 + アハズヤは四十二歳で王となり、エルサレムで一年間、王であった。彼の母の名はアタルヤといい、オムリの孫娘であった。 + 彼もまた、アハブの家の道に歩んだ。彼の母が彼の助言者で、悪を行わせたからである。 + 彼はアハブの家にならって主の目の前に悪を行った。その父の死後、彼らが助言者となって、彼を滅びに至らせたのである。 + 彼はこの人々の助言を重んじて行動し、イスラエルの王アハブの子ヨラムとともに、アラムの王ハザエルと戦うため、ラモテ・ギルアデに行ったが、アラム人はヨラムに傷を負わせた。 + 彼は、アラムの王ハザエルと戦ったときにラマで負わされた傷をいやすため、イズレエルに帰って来た。ユダの王ヨラムの子アハズヤは、アハブの子ヨラムが病気であったので、彼を見舞いにイズレエルに下って行った。 + ヨラムのもとに行くことによって、アハズヤが滅びたのは、神から出たことであった。彼はそこに着くと、ヨラムとともにニムシの子エフーに向かって出て行った。これは、主がアハブの家を断ち滅ぼすために油をそそがれた人である。 + エフーは、アハブの家にさばきを行ったとき、アハズヤに仕えていたユダのつかさたちと、アハズヤの兄弟たちの子らとを見つけたので、これらの人々を殺した。 + 彼がアハズヤを捜したので、人々は彼を捕らえた。彼はサマリヤに身を隠していたのである。こうして、人々は、彼をエフーのもとに引いて来て殺したが、これは心を尽くして主を求めたヨシャパテの子であると言って、彼を葬った。アハズヤの家は王国を治める力を失った。 + アハズヤの母アタルヤは、自分の子が死んだと知ると、ただちにユダの家に属する王の一族をことごとく滅ぼした。 + しかし、王の娘エホシェバが、殺される王の子たちの中から、アハズヤの子ヨアシュを盗み出し、彼とそのうばとを寝具をしまう小部屋に入れた。こうして、ヨラム王の娘、祭司エホヤダの妻、エホシェバは、――彼女がアハズヤの妹であったので――ヨアシュをアタルヤから隠した。アタルヤはこの子を殺さなかった。 + こうして、彼はこの人々とともに、神の宮に六年の間、身を隠していた。その間、アタルヤがこの国の王であった。 + + + その第七年目に、エホヤダは奮い立って、エロハムの子アザルヤ、ヨハナンの子イシュマエル、オベデの子アザルヤ、アダヤの子マアセヤ、ジクリの子エリシャファテなど、百人隊の長たちを連れて来て、彼と契約を結ばせた。 + それで彼らはユダを巡回し、ユダのすべての町々からレビ人を集め、イスラエルの一族のかしらたちを集めたので、彼らはエルサレムに来た。 + こうして、全集団が神の宮で王と契約を結んだ。そのとき、彼はこう言った。「ご覧のとおり、主がダビデの子孫について約束されたように、王の子が王となるのです。 + あなたがたのなすべきことはこうです。あなたがた、祭司、レビ人の三分の一は安息日に勤務し、入口にいる門衛となる。 + 三分の一は王宮におり、他の三分の一は礎の門にいる。すべての民は主の宮の庭にいる。 + 祭司と、レビ人で仕えている者たちは聖であるから、入ってもよいが、それ以外の者は、主の宮に入ってはならない。すべての民は主の戒めを守らなければならない。 + レビ人は、おのおの武器を手にし、王の回りを取り囲みなさい。宮に入って来る者は殺されなければならない。あなたがたは、王が入るときにも、出るときにも、いつも王とともにいなさい。」 + レビ人およびすべてのユダの人々は、すべて祭司エホヤダが命じたとおりに行った。おのおの自分の部下、すなわち安息日に勤務する者、安息日に勤務しない者を率いていた。祭司エホヤダが各組の任を解かなかったからである。 + 祭司エホヤダは百人隊の長たちに、神の宮にあったダビデ王の槍、盾、および丸い小盾を与えた。 + 彼はすべての民にひとりひとり手に投げ槍を持たせて、神殿の右側から神殿の左側まで、祭壇と神殿に向かって王の回りに立たせた。 + こうして彼らは、王の子を連れ出し、彼に王冠をかぶらせ、さとしの書を渡して、彼を王と宣言した。そしてエホヤダとその子たちが彼に油をそそぎ、「王さま。ばんざい」と叫んだ。 + アタルヤは、王をほめたたえている民と近衛兵の声を聞いて、主の宮の民のところに行った。 + 見ると、なんと、王が入口の柱のそばに立っていた。王のかたわらに、隊長たちやラッパ手たちがいた。一般の人々がみな喜んでラッパを吹き鳴らしており、歌うたいたちが楽器を手にし、賛美の拍子をとっていた。アタルヤは自分の衣服を引き裂き、「謀反だ。謀反だ」と言った。 + すると、祭司エホヤダは、部隊をゆだねられた百人隊の長たちを呼び出して、彼らに言った。「この女を列の間から連れ出せ。この女に従って来る者は剣で殺されなければならない。」祭司が「この女を主の宮で殺してはならない」と言ったからである。 + 彼らは彼女を取り押さえ、彼女が馬の門の出入口を通って、王宮に着いたとき、そこで彼女を殺した。 + エホヤダは、彼とすべての民と王との間で、主の民となるという契約を結んだ。 + 民はみなバアルの宮に行って、それを取りこわし、その祭壇とその像を打ち砕き、バアルの祭司マタンを祭壇の前で殺した。 + エホヤダは、主の宮の管理を定めて、これをレビ人の祭司の手にゆだねた。彼らは、モーセの律法にしるされているとおり、ダビデの指示に基づいて、喜びと歌とをもって主の全焼のいけにえをささげさせるようにと、ダビデが組分けをして主の宮に配属した人々である。 + さらに、彼は主の宮の門に、門衛たちを立て、どんなことで汚れた者であっても、だれひとり入り込ませないようにした。 + 彼は百人隊の長たち、貴人たち、民の支配者たちとすべての一般の人々を率いて、王を主の宮から連れ下った。彼らは上の門をくぐって王宮に入り、王を王国の王座に着かせた。 + 一般の人々はみな喜び、この町は平穏であった。彼らはアタルヤを剣にかけて殺したからである。 + + + ヨアシュは七歳で王となり、エルサレムで四十年間、王であった。彼の母の名はツィブヤといい、ベエル・シェバの出であった。 + ヨアシュは、祭司エホヤダの生きている間は、主の目にかなうことを行った。 + エホヤダは、彼のためにふたりの妻をめとらせた。彼は息子たちと娘たちを生んだ。 + その後のことであるが、ヨアシュは主の宮を新しくすることを志し、 + 祭司とレビ人を集めて、彼らに言った。「ユダの町々へ出て行き、毎年あなたがたの神の宮を修理するために、全イスラエルから金を集めて来なさい。あなたがたは急いでそのことをしなければならない。」ところが、レビ人は急がなかった。 + それで、王はかしらエホヤダを呼んで彼に言った。「なぜ、あなたはレビ人に要求して、主のしもべモーセとイスラエルの集団の、あかしの天幕のための税金を、ユダとエルサレムから持って来させないのですか。」 + というのは、あの悪女アタルヤ、その子たちが、神の宮を打ちこわし、主の宮の聖なるものをもすべてバアルのために用いたからである。 + 王は命令した。すると、彼らは一つの箱を作り、それを主の宮の門の外側に置いた。 + そして、神のしもべモーセが荒野でイスラエルに課した税金を主のみもとに持って来るように、ユダとエルサレムに布告した。 + すると、すべてのつかさたち、すべての民が喜んで、それを持って来て、箱に投げ入れ、ついにいっぱいにした。 + 金が多くなったのを見て、レビ人たちが箱を王の役所に運んで行ったとき、王の書記と祭司のかしらに仕える管理人が来て、箱をからにし、それを持ち上げ、もとの場所に返した。彼らは毎日このように行い、多くの金を集めた。 + そこで、王とエホヤダは、これを主の宮の奉仕の仕事を行う者に渡した。彼らは、主の宮を新しくするために石切り工と木工を、主の宮を修理するために鉄と青銅の細工師を雇った。 + こうして、仕事をする人々は仕事をし、彼らの手によって、細工物の修復がされた。彼らは、神の宮を元のとおりに建て、これを堅固にした。 + 彼らは、完工の際、残った金を王とエホヤダの前に持って来た。彼らは、それで、主の宮の器具、すなわち、ささげる務めに用いる用具、深皿、金銀の器などを作った。こうして、人々はエホヤダの生きている間、絶えず、主の宮で全焼のいけにえをささげた。 + さて、エホヤダは老年を迎え、長寿を全うして死んだ。彼は死んだとき、百三十歳であった。 + 人々は彼をダビデの町に王たちといっしょに葬った。彼がイスラエルにあって、神とその宮とに対して良いことを行ったからである。 + エホヤダが死んで後、ユダのつかさたちが来て、王を伏し拝んだ。それで、王は彼らの言うことを聞き入れた。 + 彼らはその父祖の神、主の宮を捨て、アシェラと偶像に仕えたので、彼らのこの罪過のため、御怒りがユダとエルサレムの上に下った。 + 主は、彼らを主に立ち返らせようと預言者たちを彼らの中に遣わし、預言者たちは彼らを戒めたが、彼らは耳を貸さなかった。 + 神の霊が祭司エホヤダの子ゼカリヤを捕らえたので、彼は民よりも高い所に立って、彼らにこう言った。「神はこう仰せられる。『あなたがたは、なぜ、主の命令を犯して、繁栄を取り逃がすのか。』あなたがたが主を捨てたので、主もあなたがたを捨てられた。」 + ところが、彼らは彼に対して陰謀を企て、主の宮の庭で、王の命令により、彼を石で打ち殺した。 + ヨアシュ王は、ゼカリヤの父エホヤダが自分に尽くしてくれたまことを心に留めず、かえってその子を殺した。その子は死ぬとき、「主がご覧になり、言い開きを求められるように」と言った。 + その年の改まるころ、アラムの軍勢が彼に向かって攻め上り、ユダとエルサレムに来て、民の中の、民のつかさをひとり残らず殺し、分捕り物を全部、ダマスコの王のもとに送った。 + アラムの軍勢は少人数で来たが、主が、非常に大きな軍勢を彼らの手に渡されたからである。それは、この人々がその父祖の神、主を捨てたからである。彼らはヨアシュを裁判にかけた。 + 彼らが重病の状態にあるヨアシュを捨てて、離れて行ったとき、彼の家来たちは、祭司エホヤダの子たちの血のために、彼に謀反を企てた。彼らは、病床で彼を殺し、彼が死んだので、彼をダビデの町に葬ったが、王たちの墓には葬らなかった。 + 彼に謀反を企てたのは次の者たちである。アモンの女シムアテの子ザバデ、モアブの女シムリテの子エホザバデ。 + 彼の子たちのこと、彼について述べられた多くの預言のこと、神の宮の再建のことなどは、王たちの書の注解にまさしくしるされている。/ついで彼の子アマツヤが代わって王となった。 + + + アマツヤは二十五歳で王となり、エルサレムで二十九年間、王であった。彼の母の名はエホアダンといい、エルサレムの出であった。 + 彼は主の目にかなうことを行ったが、全き心をもってではなかった。 + 彼の王国が強くなると、彼は自分の父、王を打ち殺した家来たちを殺した。 + しかし、彼らの子どもたちは殺さなかった。それは、モーセの書の律法にしるされているところによったからである。主はこう命じておられた。「父親が子どものために殺されてはならない。子どもが父親のために殺されてはならない。人が殺されるのは、自分の罪のためでなければならないからである。」 + アマツヤはユダを召集し、ユダおよびベニヤミン全員を、千人隊の長、百人隊の長の下に、父祖の家ごとに整列させた。こうして、二十歳以上の者を登録し、従軍して槍と大盾を手にする精鋭三十万人を得た。 + さらに、彼はイスラエルから、銀百タラントで、十万人の勇士を雇った。 + 神の人が彼のもとに来て言った。「王よ。イスラエルの軍勢をあなたとともに行かせてはなりません。主は、イスラエル、すなわち、すべてのエフライム族とは、共におられないからです。 + それでも、あなたが行くと言われるのなら、そうしなさい。雄々しく戦いなさい。神は敵の前にあなたをつまずかせられます。神には、助ける力があり、つまずかせる力もあるからです。」 + アマツヤは神の人に言った。「では、イスラエルの軍勢に与えた百タラントはどうしたらよいのか。」神の人は答えた。「主はそれよりも多くのものをあなたに与えることがおできになります。」 + そこで、アマツヤは、エフライムから彼のもとに来た軍隊を取り分けて、彼らの所に帰したので、彼らはユダに向かって怒りを激しく燃やし、怒りに燃えながら、自分たちのところへ帰った。 + アマツヤは奮い立って、その民を率いて塩の谷に行き、セイルの者たち一万人を打った。 + ユダ族は一万人を生けどりにして、彼らを岩の頂上に連れて行き、その岩の頂上から、彼らを投げ落とした。彼らはひとり残らず砕かれてしまった。 + アマツヤが自分とともに戦いに行かせずに帰した軍隊の者たちは、サマリヤからベテ・ホロンに及ぶユダの町々に突入し、三千人を打って、多くの物をかすめ奪った。 + アマツヤは、エドム人を打ち殺して帰って来て後、セイルの者たちの神々を持ち帰り、これを自分の神々として立て、その前に伏し拝み、これに香をたいた。 + そこで、主はアマツヤに向かって怒りを燃やし、彼のもとに預言者を遣わして、彼に仰せられた。「なぜ、あなたは、あなたの手からその民を救い出すこともできないような神々を求めたのか。」 + 彼が王に語っているうちに、王は彼に言った。「私たちはあなたを王の議官に任じたのか。身のためを思ってやめなさい。なぜ、打ち殺されるようなことをするのか。」そこで、預言者はやめて言った。「私は神があなたを滅ぼそうと計画しておられるのを知りました。あなたがこれを行い、私の勧めを聞かなかったからです。」 + そののち、ユダの王アマツヤは、よく考えたうえで、エフーの子エホアハズの子、イスラエルの王ヨアシュに、使者を送って言った。「さあ、勝敗を決めようではないか。」 + すると、イスラエルの王ヨアシュは、ユダの王アマツヤに使者を送って言った。「レバノンのあざみが、レバノンの杉に使者を送って、『あなたの娘を私の息子の嫁にくれないか』と言ったが、レバノンの野の獣が通り過ぎて、そのあざみを踏みにじった。 + あなたは、どうだ、自分はエドムを打ち破ったと言った。あなたの心は高ぶり、誇っている。今は、自分の家にとどまっていなさい。なぜ、争いをしかけてわざわいを求め、あなたもユダも共に倒れようとするのか。」 + しかし、アマツヤは聞き入れなかった。それは、神から出たことで、彼らがエドムの神々を求めたので、彼らを敵の手に渡すためであった。 + そこで、イスラエルの王ヨアシュは攻め上った。それで彼とユダの王アマツヤは、ユダのベテ・シェメシュで対戦したが、 + ユダはイスラエルに打ち負かされ、おのおの自分の天幕に逃げ帰った。 + イスラエルの王ヨアシュは、エホアハズの子ヨアシュの子、ユダの王アマツヤを、ベテ・シェメシュで捕らえ、エルサレムに連れて来たうえ、エルサレムの城壁をエフライムの門から隅の門まで、四百キュビトにわたって打ちこわした。 + またオベデ・エドムの管理していた神の宮にあったすべての金と銀、およびすべての器具、それに王宮の財宝と人質を取って、サマリヤに帰った。 + ユダの王ヨアシュの子アマツヤは、イスラエルの王エホアハズの子ヨアシュの死んで後、なお十五年生きながらえた。 + アマツヤのその他の業績は、最初から最後まで、ユダとイスラエルの王たちの書にまさしくしるされているではないか。 + アマツヤが主から離れた時、エルサレムで人々が彼に対して謀反を企てたので、彼はラキシュに逃げた。しかし、彼らはラキシュまで追いかけて、そこで彼を殺した。 + 彼らは、彼を馬にのせて行って、ユダの町に先祖たちといっしょに葬った。 + + + ユダの民はみな、当時十六歳であったウジヤを立てて、その父アマツヤの代わりに王とした。 + 彼は、アマツヤが先祖たちとともに眠って後、エラテを再建し、それをユダに復帰させた。 + ウジヤは十六歳で王となり、エルサレムで五十二年間、王であった。彼の母の名はエコルヤといい、エルサレムの出であった。 + 彼はすべて父アマツヤが行ったとおりに、主の目にかなうことを行った。 + 彼は神を認めることを教えたゼカリヤの存命中は、神を求めた。彼が主を求めていた間、神は彼を栄えさせた。 + 彼は出陣してペリシテ人と戦ったとき、ガテの城壁、ヤブネの城壁、アシュドデの城壁を打ちこわし、アシュドデの中の、ペリシテ人たちの間に、町々を築いた。 + 神は彼を助けて、ペリシテ人、グル・バアルに住むアラビヤ人、メウニム人に立ち向かわせた。 + アモン人はウジヤのもとにみつぎものを納めた。こうして、彼の名はエジプトの入口にまで届いた。その勢力が並みはずれて強くなったからである。 + ウジヤはエルサレムの隅の門、谷の門および曲がりかどの上にやぐらを建て、これを強固にし、 + 荒野にやぐらを建て、多くの水ためを掘った。彼は低地にも平野にも多くの家畜を持っていたからである。山地や果樹園には農夫やぶどう作りがいた。彼が農業を好んだからである。 + さらに、ウジヤは戦闘部隊をかかえていたが、彼らは、書記エイエルとつかさマアセヤによって登録された人数にしたがって各隊に分かれ、王の隊長のひとり、ハナヌヤの指揮下にいくさに出る者たちであった。 + 勇士である一族のかしらたちの数はみなで二千六百人であった。 + その指揮下には三十万七千五百人の軍勢があり、王を助けて敵に当たる強力な戦闘部隊であった。 + ウジヤは、彼ら全軍のために、盾、槍、かぶと、よろい、弓および石投げの石を用意した。 + さらに、彼はエルサレムで、巧みに考案された兵器を作り、矢や大石を打ち出すために、やぐらの上や、城壁のかどにある塔の上にこれを据えた。こうして、彼の名は遠くにまで鳴り響いた。彼がすばらしいしかたで、助けを得て強くなったからである。 + しかし、彼が強くなると、彼の心は高ぶり、ついに身に滅びを招いた。彼は彼の神、主に対して不信の罪を犯した。彼は香の壇の上で香をたこうとして主の神殿に入った。 + すると彼のあとから、祭司アザルヤが、主に仕える八十人の有力な祭司たちとともに入って来た。 + 彼らはウジヤ王の前に立ちふさがって、彼に言った。「ウジヤよ。主に香をたくのはあなたのすることではありません。香をたくのは、聖別された祭司たち、アロンの子らのすることです。聖所から出てください。あなたは不信の罪を犯したのです。あなたには神である主の誉れは与えられません。」 + ウジヤは激しく怒って、手に香炉を取って香をたこうとした。彼が祭司たちに対して激しい怒りをいだいたとき、その祭司たちの前、主の神殿の中、香の壇のかたわらで、突然、彼の額にツァラアトが現れた。 + 祭司のかしらアザルヤと祭司たち全員が彼のほうを見ると、なんと、彼の額はツァラアトに冒されていた。そこで彼らは急いで彼をそこから連れ出した。彼も自分から急いで出て行った。主が彼を打たれたからである。 + ウジヤ王は死ぬ日までツァラアトに冒され、ツァラアトに冒された者として隔ての家に住んだ。彼は主の宮から絶たれたからである。その子ヨタムが王宮を管理し、この国の人々をさばいていた。 + ウジヤのその他の業績は、最初から最後まで、アモツの子預言者イザヤが書きしるした。 + ウジヤは彼の先祖たちとともに眠った。人々は彼を王たちの墓地の野に先祖たちとともに葬った。彼がツァラアトに冒された者だと言われていたからである。彼の子ヨタムが代わって王となった。 + + + ヨタムは、二十五歳で王となり、エルサレムで十六年間、王であった。彼の母の名はエルシャといい、ツァドクの娘であった。 + 彼はすべて、主の目にかなうことを行った。父ウジヤが行ったとおりである。ただし、彼は、主の神殿に入るようなことはしなかった。民はなお滅びに向かっていた。 + 彼は主の宮の上の門を建てた。また、オフェルの城壁上に、多くのものを建てた。 + 彼はユダの山地に町々を建て、森林地帯には城塞とやぐらを築いた。 + 彼はアモン人の王と戦い、彼らに打ち勝ったので、アモン人は、その年に、銀百タラント、小麦一万コル、大麦一万コルを彼に贈った。アモン人はこれだけのものを彼に納めた。第二年にも第三年にも同様にした。 + このように、ヨタムは勢力を増し加えた。彼が、彼の神、主の前に、自分の道を確かなものとしたからである。 + ヨタムのその他の業績、彼の戦いと彼の行いは、イスラエルとユダの王たちの書にまさしくしるされている。 + 彼は二十五歳で王となり、エルサレムで十六年間、王であった。 + ヨタムは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をダビデの町に葬った。彼の子アハズが代わって王となった。 + + + アハズは二十歳で王となり、エルサレムで十六年間、王であった。彼はその父祖ダビデとは違って、主の目にかなうことを行わず、 + イスラエルの王たちの道に歩み、そのうえ、バアルのために鋳物の像を造った。 + 彼は、ベン・ヒノムの谷で香をたき、主がイスラエル人の前から追い払われた異邦の民の、忌みきらうべきならわしをまねて、自分の子どもたちに火の中をくぐらせた。 + さらに彼は、高き所、丘の上、青々と茂ったすべての木の下で、いけにえをささげ、香をたいた。 + 彼の神、主は、彼をアラムの王の手に渡されたので、彼らは彼を打ち、彼のところから多くのとりこを捕らえて行き、ダマスコへ帰った。彼はイスラエルの王の手にも渡されたので、イスラエルの王は彼を打って大損害を与えた。 + レマルヤの子ペカはユダで一日のうちに十二万人を殺した。みな勇者たちであった。彼らはその父祖の神、主を捨て去っていた。 + ついで、エフライムの勇士ジクリは、王の子マアセヤ、その家のつかさアズリカム、王の補佐官エルカナを殺した。 + さらに、イスラエル人は、自分の同胞の中から女たち、男女の子どもたちを二十万人とりこにし、また、彼らの中から多くの物をかすめ奪って、その分捕り物をサマリヤに持って行った。 + そこには主の預言者で、その名をオデデという者がいた。この人はサマリヤに入って来た軍勢の前に出て行って、彼らに言った。「見よ。あなたがたの父祖の神、主がユダに対して憤られたため、主はあなたがたの手に彼らを渡された。ところが、あなたがたは天に達するほどの激しい怒りをもって彼らを殺した。 + 今、あなたがたはユダとエルサレムの人々を従えて自分たちの男女の奴隷にしようとしている。しかし、実はあなたがた自身にも、あなたがたの神、主に対して罪過があるのではないか。 + 今、私に聞きなさい。あなたがたが自分の同胞をとりこにしたそのとりこを帰しなさい。主の燃える怒りがあなたがたに臨むからです。」 + そのとき、エフライム族のかしらたちの中から、ヨハナンの子アザルヤ、メシレモテの子ベレクヤ、シャルムの子ヒゼキヤ、ハデライの子アマサなどの人々が、いくさから帰って来た者たちに向かって立ち上がり、 + 彼らに言った。「あなたがたは、とりこをここに連れて来てはならない。私たちを、主に対して罪過のある者とするようなことをあなたがたは考えて、私たちの罪と私たちの罪過に、もう一つを加えようとしている。私たちの罪過は大きい。燃える怒りがイスラエルに下される。」 + そこで、武装した者はつかさたちと全集団の前で、とりこと、かすめ奪った物を手放した。 + 指名された人々が立ち上がって、とりこの世話をし、その中で裸の者にはみな、分捕り物を用いて衣服を着せた。彼らに衣服を着せてから、くつをはかせ、食べさせ、飲ませ、油を塗ってやった。そのうえ、足の弱い者はみな、ろばに乗せて運び、彼らの兄弟たちのもと、なつめやしの町エリコに連れて行った。こうして、彼らはサマリヤに帰った。 + その時、アハズ王はアッシリヤの王たちに人を遣わして、助けを求めた。 + エドム人はなおも攻めて来て、ユダを打ち、とりこを捕らえて行った。 + ペリシテ人は、ユダの低地およびネゲブにある町々に突入し、ベテ・シェメシュとアヤロンとゲデロテ、およびソコとそれに属する村落、ティムナとそれに属する村落、ギムゾとそれに属する村落を取って、そこに住んだ。 + これは、主がユダの王アハズのゆえにユダを低くされたためであり、彼がユダでほしいままに事を行い、主に対して不信の罪を犯したからである。 + アッシリヤの王ティグラテ・ピレセルは、彼を攻め、彼を悩ました。彼の力にはならなかった。 + アハズは主の宮と王およびつかさたちの家から物を取って、アッシリヤの王に贈ったが、何の助けにもならなかったのである。 + アッシリヤの王が彼を悩ましたとき、このアハズ王は、ますます主に対して不信の罪を犯した。 + 彼は自分を打ったダマスコの神々にいけにえをささげて言った。「アラムの王たちの神々は彼らを助けている。この神々に私もいけにえをささげよう。そうすれば私を助けてくれるだろう。」この神々が彼を、また全イスラエルをつまずかせるものとなった。 + ついで、アハズは神の宮の器具を集めた。彼は神の宮の器具を断ち切ってから、主の宮の戸を閉じ、エルサレムの町かどの至る所に祭壇を造った。 + ユダの町という町にはすべて、ほかの神々に香をたくため高き所を造り、彼の父祖の神、主の怒りをひき起こした。 + 彼のその他の業績と彼のすべての行いは、最初から最後まで、ユダとイスラエルの王たちの書にまさしくしるされている。 + アハズは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をエルサレムの町に葬った。彼をイスラエルの王たちの墓に運び入れなかったからである。彼の子ヒゼキヤが代わって王となった。 + + + ヒゼキヤは二十五歳で王となり、エルサレムで二十九年間、王であった。彼の母の名はアビヤといい、ゼカリヤの娘であった。 + 彼はすべて父祖ダビデが行ったとおりに、主の目にかなうことを行った。 + 彼はその治世の第一年の第一の月に主の宮の戸を開き、これらを修理した。 + さらに、彼は祭司とレビ人を連れて来て、東側の広場に集め、 + 彼らに言った。「レビ人たち。聞きなさい。今、あなたがたは自分自身を聖別しなさい。あなたがたの父祖の神、主の宮を聖別し、聖所から忌まわしいものを出してしまいなさい。 + というのも、私たちの父たちが不信の罪を犯し、私たちの神、主の目の前に悪を行い、この方を捨て去って、その顔を主の御住まいからそむけ、背を向けたからです。 + また、彼らは玄関の戸を閉じ、ともしびの火を消し、聖所でイスラエルの神に香をたかず、全焼のいけにえをささげることをしなかったのです。 + そこで、主の怒りがユダとエルサレムの上に下り、あなたがたが自分の目で見るとおり、主は彼らを人々のおののき、恐怖、あざけりとされました。 + 見なさい。私たちの父たちは剣に倒れ、そのため、私たちの息子たち、娘たち、妻たちは、とりこになっています。 + 今、私の願いは、イスラエルの神、主と契約を結ぶことです。そうすれば、主の燃える怒りが私たちから離れるでしょう。 + 子たちよ。今は、手をこまねいていてはなりません。主はあなたがたを選んでご自分の前に立たせ、ご自分に仕えさせ、ご自分のために、仕える者、香をたく者とされたからです。」 + そこで、レビ人は立ち上がった。ケハテ族からはアマサイの子マハテとアザルヤの子ヨエル、メラリ族からはアブディの子キシュとエハレルエルの子アザルヤ、ゲルション族からはジマの子ヨアフとヨアフの子エデン、 + エリツァファン族からはシムリとエイエル、アサフ族からはゼカリヤとマタヌヤ、 + ヘマン族からはエヒエルとシムイ、エドトン族からはシェマヤとウジエルであった。 + こうして、彼らは自分の兄弟たちを集め、身を聖別して、主のことばによる王の命令のとおりに、主の宮をきよめに来た。 + 祭司たちが主の宮の中に入って、これをきよめ、主の本堂にあった汚れたものをみな、主の宮の庭に出すと、レビ人が受け取って外に持ち出し、キデロン川へ持って行った。 + 彼らは第一の月の一日に聖別し始めた。その月の八日に主の玄関に入り、八日間にわたって主の宮を聖別した。第一の月の十六日に終わった。 + そこで、彼らは中に入って、ヒゼキヤ王のところに行って言った。「私たちは主の宮を全部きよめました。全焼のいけにえの祭壇とそのすべての器具、並べ供えるパンの机とそのすべての器具をきよめました。 + また、アハズ王が、その治世に、不信の罪を犯して取り除いたすべての器具を整えて、聖別しました。ご覧ください。それらは主の祭壇の前にあります。」 + そこで、ヒゼキヤ王は朝早く、この町のつかさたちを集め、主の宮に上って行った。 + 彼らは、王国と聖所とユダのための、罪のためのいけにえとして七頭の雄牛、七頭の雄羊、七頭の子羊、七頭の雄やぎを引いて来たので、彼は祭司であるアロンの子らに命じて、主の祭壇の上でいけにえをささげさせた。 + 彼らが牛をほふり、祭司たちがその血を受け取って、祭壇に注ぎかけた。ついで雄羊をほふり、その血を祭壇に注ぎかけた。ついで子羊をほふり、その血を祭壇に注ぎかけた。 + それから、彼らは王および集団の前に、罪のためのいけにえとする雄やぎを引いて来て、それらの上に自分たちの手を置いた。 + それから、祭司たちはこれらをほふり、その血を祭壇にささげて、罪のためのいけにえとし、全イスラエルのために贖いをした。全焼のいけにえと罪のためのいけにえを、王が全イスラエルのために命じたからである。 + さらに、彼は、ダビデおよび王の先見者ガド、預言者ナタンの命令のとおりに、レビ人にシンバルと十弦の琴と立琴を持たせて、主の宮に立たせた。この命令は主から出たものであり、その預言者たちを通して与えられたものだからである。 + こうして、レビ人はダビデの楽器を手にし、祭司はラッパを手にして立った。 + そこで、ヒゼキヤは全焼のいけにえを、祭壇でささげるよう命じた。全焼のいけにえをささげ始めた時に、主の歌が始まり、ラッパがイスラエルの王ダビデの楽器とともに鳴り始めた。 + 全集団は伏し拝み、歌うたいは歌い、ラッパ手はラッパを吹き鳴らした。これらはみな、全焼のいけにえが終わるまで、続いた。 + ささげ終わると、王および彼とともにいたすべての者はひざをかがめ、伏し拝んだ。 + ヒゼキヤ王とつかさたちが、ダビデおよび先見者アサフのことばをもって主をほめたたえるようにレビ人に命じると、彼らは喜びつつほめたたえた。そして、一同はひざまずき、伏し拝んだ。 + そのようなことのあとで、ヒゼキヤは言った。「今、あなたがたは主に身をささげました。近寄って来て、感謝のいけにえを主の宮に携えて来なさい。」そこで集団は感謝のいけにえを携えて来た。心から進んでささげる者がみな、全焼のいけにえを携えて来た。 + 集団が携えて来た全焼のいけにえの数は、牛七十頭、雄羊百頭、子羊二百頭であり、これらはみな、主への全焼のいけにえであった。 + また、聖なるささげ物は、牛六百頭、羊三千頭であった。 + ただ、祭司たちは、少なかったので、すべての全焼のいけにえの皮をはぎ尽くすことができなかった。そこで、彼らの兄弟に当たるレビ人が、その仕事を終え、祭司たちが身を聖別し終わるまで、彼らに加勢した。レビ人は、祭司たちよりも直ぐな心をもって、身を聖別したからである。 + また、多くの全焼のいけにえ、その全焼のいけにえに添える和解のいけにえの脂肪、注ぎのぶどう酒。こうして、主の宮の奉仕の用意ができた。 + ヒゼキヤとすべての民は、神が民のために整えてくださったことを喜んだ。このことが即座に行われたからである。 + + + さて、ヒゼキヤは全イスラエルとユダに使いを遣わし、またエフライムとマナセに手紙を書いて、エルサレムにある主の宮に来て、イスラエルの神、主に過越のいけにえをささげるよう呼びかけた。 + 王とそのつかさたちとエルサレムの全集団は、第二の月に過越のいけにえをささげようと決議した。 + というのは、身を聖別した祭司たちは十分な数に達しておらず、民もエルサレムに集まっていなかったので、そのときには、ささげることができなかったからである。 + こうして、王と、全集団がこれを正しいと見たので、 + 彼らはベエル・シェバからダンに至るまで、全イスラエルにおふれを出し、上って来て、エルサレムでイスラエルの神、主に過越のいけにえをささげるよう呼びかけることに決定した。しるされているとおりにささげる者が、多くはいなかったからである。 + そこで、近衛兵は、王とそのつかさたちの手紙を携えて、イスラエルとユダの全土を行き巡り、王の命令のとおりに言った。「イスラエルの人たちよ。アブラハム、イサク、イスラエルの神、主に立ち返りなさい。そうすれば、主は、あなたがたに残された、アッシリヤの王たちの手をのがれた者たちのところに、帰って来てくださいます。 + あなたがたは、父祖の神、主に対して不信の罪を犯したあなたがたの父たち、兄弟たちのようになってはいけません。あなたがたが自分の目で見ているとおり、主は彼らを恐怖に渡されたのです。 + 今、あなたがたは、自分の父たちのようにうなじのこわい者であってはなりません。主に服従しなさい。主がとこしえに聖別された聖所に入り、あなたがたの神、主に仕えなさい。そうすれば、主の燃える怒りがあなたがたから離れるでしょう。 + あなたがたが主に立ち返るなら、あなたがたの兄弟や子たちは、彼らをとりこにした人々のあわれみを受け、この地に帰って来るでしょう。あなたがたの神、主は、情け深く、あわれみ深い方であり、もし、あなたがたが主に立ち返るなら、あなたがたから御顔をそむけるようなことは決してなさいません。」 + こうして、近衛兵は、エフライムとマナセから、ゼブルンの地に至るまで、町から町へと行き巡ったが、人々は彼らを物笑いにし、あざけった。 + ただ、アシェル、マナセおよびゼブルンのある人々はへりくだって、エルサレムに上って来た。 + また、ユダには、神の御手が臨み、人々は心を一つにして、主のことばのとおりに王とそのつかさたちの命令を行った。 + こうして、多くの民が第二の月に、種を入れないパンの祭りを行おうとエルサレムに集まった。おびただしい大集団であった。 + 彼らは立ち上がり、エルサレムにあった祭壇を取り除き、すべての香の壇を取り除いて、キデロン川に投げ捨てた。 + そして、第二の月の十四日に、過越のいけにえをほふった。祭司とレビ人は恥じて身を聖別し、全焼のいけにえを主の宮に携えて来た。 + 彼らは、神の人モーセの律法に従って、おのおのその定めの場所に立った。祭司はレビ人の手から受け取った血を注いだ。 + 集団の中には、身を聖別していなかった者が多かったので、レビ人が、きよくないすべての人々のために、過越のいけにえをほふる役目につき、これを聖別して主にささげた。 + 民のうち大ぜいの者、すなわち、エフライムとマナセ、イッサカルとゼブルンの多くの者は、身をきよめておらず、しかも、しるされているのと異なったやり方で、過越のいけにえを食べてしまったので、ヒゼキヤは、彼らのために祈って言った。「いつくしみ深い主よ。このことの贖いをしてください。 + 彼らは、心を定めて神、彼らの父祖の神、主を求めたのですが、聖なるもののきよめのとおりにはいたしませんでした。」 + 主はヒゼキヤの願いを聞かれ、民をいやされた。 + こうして、エルサレムにいたイスラエル人は、大きな喜びをもって七日の間、種を入れないパンの祭りを行った。レビ人と祭司は、毎日、主に向かって強い調べの楽器をかなで、主をほめたたえた。 + ヒゼキヤは、主の務めによく通じているすべてのレビ人の心に語りかけた。そこで彼らは、和解のいけにえをささげ、彼らの父祖の神、主に告白をしつつ、七日間、祝いの食物にあずかった。 + それから、全集団は、あと七日間祭りを行うことを決議し、喜びをもって七日間、祭りを行った。 + ユダの王ヒゼキヤは集団に一千頭の雄牛と七千頭の羊を贈り、つかさたちは集団に雄牛一千頭と羊一万頭を贈り、多くの祭司は身を聖別した。 + こうして、ユダの全集団と祭司とレビ人、およびイスラエルから来た全集団、イスラエルの地から来た在留異国人、ユダに在住している者たちは、喜んだ。 + エルサレムには大きな喜びがあった。イスラエルの王、ダビデの子ソロモンの時代からこのかた、こうしたことはエルサレムになかった。 + それから、レビ人の祭司たちが立ち上がって民を祝福した。彼らの声は聞き届けられ、彼らの祈りは、主の聖なる御住まい、天に届いた。 + + + これらすべてのことが終わると、そこにいた全イスラエルは、ユダの町々に出て行き、石の柱を打ちこわし、アシェラ像を切り落とし、全ユダとベニヤミンの中から、エフライムとマナセの中から、高き所と祭壇を取りこわして、絶ち滅ぼした。そして、イスラエル人はみな、おのおのその所有地、それぞれの町へ帰って行った。 + ヒゼキヤは、祭司とレビ人の組を定め、祭司とレビ人に、それぞれその奉仕に応じて、おのおのの組ごとに、全焼のいけにえと和解のいけにえをささげさせ、さらに、主の宿営の門で仕え、感謝し、ほめたたえさせた。 + また、主の律法にしるされているとおりに、朝夕の全焼のいけにえ、安息日、新月の祭り、例祭ごとにささげる全焼のいけにえのため、王の分は王の財産から出した。 + さらに彼は、エルサレムに住む民に、祭司とレビ人の分を与えるように命じた。祭司とレビ人が主の律法に専念するためであった。 + この命令が広まるとともに、イスラエルの人たちは、穀物、新しいぶどう酒、油、蜜など、すべての野の収穫の初物をたくさん持って来た。彼らはすべてのものの十分の一を豊富に携えて来た。 + ユダの町々に住むイスラエルと、ユダの人たちもまた、牛や羊の十分の一と、彼らの神、主に聖別した聖なるささげ物の十分の一を携えて来て、あちらこちらに山と積んだ。 + 第三の月に、彼らは積み始め、第七の月に終わった。 + ヒゼキヤとつかさたちは、入って来て、積んだ山を見、主とその民イスラエルをほめたたえ、祝福した。 + それから、ヒゼキヤは、その積んだ山について、祭司とレビ人に説明を求めた。 + すると、ツァドクの家のかしら、祭司アザルヤが彼に答えて言った。「人々が奉納物を主の宮に携えて来始めてから、食べて、満ち足り、たくさん残りました。主が御民を祝福されたからです。その残りがこんなにたくさんあるのです。」 + そこで、ヒゼキヤが主の宮の脇部屋を整えるよう命じたので、彼らは整えて、 + その奉納物と十分の一と聖なるささげ物を忠実に携え入れた。彼らを指図したつかさは、レビ人カナヌヤであり、その兄弟シムイは、副指揮者であった。 + エヒエル、アザズヤ、ナハテ、アサエル、エリモテ、エホザバデ、エリエル、イスマクヤ、マハテ、ベナヤは、ヒゼキヤ王と神の宮のつかさアザルヤの任命によって、カナヌヤとその兄弟シムイを助けて、管理者となった。 + また、レビ人イムナの子コレは東の門の門衛であったが、神に進んでささげるささげ物をつかさどり、主の奉納物と最も聖なるささげ物を分配した。 + 彼の下には、エデン、ミヌヤミン、ヨシュア、シェマヤ、アマルヤ、シェカヌヤがいて、忠実に祭司の町々にとどまり、彼らの兄弟たちに、各組にしたがい、上の者にも下の者にも分配した。 + ただし、三歳以上の男子で、すべて毎日の日課として、組ごとに任務につき奉仕に当たるために、主の宮に入る者として系図に載せられた人々は、別であった。 + 父祖の家ごとに祭司として系図に載せられた者、および、二十歳以上のレビ人で系図に載せられた者で、組別にその任務につく人々も別であった。 + また、全集団のうち、すべて系図に載せられた幼児、妻たち、息子たち、娘たちに分配した。彼らは、聖なるささげ物を、忠実に、聖なる物として扱ったからである。 + おのおのの町の放牧地の野にいたアロンの子らである祭司たちのためには、どの町にも、その名の示された者たちがいて、祭司たちのすべての男子、および、レビ人ですべて系図に載せられている者に、その受ける分を与えた。 + ヒゼキヤはユダ全国にこのように行い、その神、主の目の前に、良いこと、正しいこと、誠実なことを行った。 + 彼は、彼が始めたすべてのわざにおいて、すなわち、神の宮の奉仕、律法、命令において神に求め、心を尽くして行い、その目的を果たした。 + + + これらの誠実なことが示されて後、アッシリヤの王セナケリブが来て、ユダに入り、城壁のある町々に対して陣を敷いた。そこに攻め入ろうと思ったのである。 + ヒゼキヤは、セナケリブが攻め入って、エルサレムに向かって戦おうとしているのを見たので、 + 彼のつかさたち、勇士たちと相談し、この町の外にある泉の水をふさごうとした。彼らは王を支持した。 + そこで、多くの民が集まり、すべての泉と、この地を流れている川をふさいで言った。「アッシリヤの王たちに、攻め入らせ、豊富な水を見つけさせてたまるものか。」 + それから、彼は奮い立って、くずれていた城壁を全部建て直し、さらに、やぐらを上に上げ、外側にもう一つの城壁を築き、ダビデの町ミロを強固にした。そのうえ、彼は大量の投げ槍と盾を作った。 + 彼は、民の上に戦時の隊長たちを立て、彼らを町の門の広場に召集し、彼らに励ましのことばを与えて言った。 + 「強くあれ。雄々しくあれ。アッシリヤの王に、彼とともにいるすべての大軍に、恐れをなしてはならない。おびえてはならない。彼とともにいる者よりも大いなる方が私たちとともにおられるからである。 + 彼とともにいる者は肉の腕であり、私たちとともにおられる方は、私たちの神、主、私たちを助け、私たちの戦いを戦ってくださる方である。」民はユダの王ヒゼキヤのことばによって奮い立った。 + この後、アッシリヤの王セナケリブは、その家来たちをエルサレムに遣わして、――彼自身はその全軍を率いてラキシュを攻めていた――ユダの王ヒゼキヤとエルサレムにいたすべてのユダの人々に向かって言わせた。 + 「アッシリヤの王セナケリブはこう言っておられる。おまえたちは何に拠り頼んで、エルサレムの包囲の中でじっとしているのか。 + ヒゼキヤは、『私たちの神、主は、アッシリヤの王の手から私たちを救い出される』と言って、おまえたちをそそのかし、飢えと渇きで、おまえたちを死なせようとしているではないか。 + あの主ではないのか。その高き所と祭壇をヒゼキヤは取り除いておいて、ユダとエルサレムに向かい、『あなたがたは、ただ一つの祭壇の前で拝み、その上で香をたかなければならない』と言ったのだ。 + おまえたちは、私と私の先祖たちが地のすべての国々の民に対して、何をしてきたかを知らないのか。地の国々の神々が彼らの国を私の手から救い出すことができたか。 + 私の先祖たちが聖絶したこれらの国々の神々のうち、どの神が私の手からその民を救い出すことができたか。おまえたちの神が私の手からおまえたちを救い出すことができるというのか。 + 今、おまえたちは、ヒゼキヤにごまかされるな。このようにそそのかされてはならない。彼を信じてはならない。どのような国、どのような王国のどのような神も、その民を私の手から、私の先祖たちの手から救い出すことはできない。まして、おまえたちの神は、おまえたちを私の手から救い出すことはできない。」 + 彼の家来たちは、なおも、神である主とそのしもべヒゼキヤに逆らって弁舌をふるった。 + 彼は手紙を書いて、イスラエルの神、主をそしり、主に逆らって言った。「私の手から自分たちの民を救い出さなかった地の国々の神々と同じように、ヒゼキヤの神も、その民を私の手から救い出せない。」 + さらに、彼らは城壁の上にいたエルサレムの民に向かい、ユダのことばで大声に呼ばわり、彼らを恐れさせ、おじけさせて、この町を取ろうとした。 + このように、彼らは、エルサレムの神について、人の手で造ったこの地の民の神々についてと同じように、語ったのである。 + そこで、ヒゼキヤ王とアモツの子預言者イザヤは、このことのゆえに、祈りをささげ、天に叫び求めた。 + すると、主はひとりの御使いを遣わし、アッシリヤの王の陣営にいたすべての勇士、隊長、首長を全滅させた。そこで、彼は恥じて国へ帰り、彼の神の宮に入ったが、自分の身から出た子どもたちが、その所で、彼を剣にかけて倒した。 + こうして、主は、アッシリヤの王セナケリブの手、および、すべての者の手から、ヒゼキヤとエルサレムの住民とを救い、四方から彼らを守り導かれた。 + 多くの人々が主への贈り物を携え、ユダの王ヒゼキヤに贈るえりすぐりの品々を持って、エルサレムに来るようになり、この時以来、彼はすべての国々から尊敬の目で見られるようになった。 + そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかったが、彼が主に祈ったとき、主は彼に答え、しるしを与えられた。 + ところが、ヒゼキヤは、自分に与えられた恵みにしたがって報いようとせず、かえってその心を高ぶらせた。そこで、彼の上に、また、ユダとエルサレムの上に御怒りが下った。 + しかしヒゼキヤが、その心の高ぶりを捨ててへりくだり、彼およびエルサレムの住民もそうしたので、主の怒りは、ヒゼキヤの時代には彼らの上に臨まなかった。 + さて、ヒゼキヤは、富と誉れに非常に恵まれた。彼は銀、金、宝石、バルサム油、盾、すべての尊い器を納める宝物倉、 + 穀物、新しいぶどう酒、油の収穫のための倉庫、および、すべての家畜のそれぞれの小屋、群れの小屋を造った。 + 彼は町々を建て、羊や牛の家畜もおびただしいものであった。神が、非常に多くの財産を彼に与えられたからである。 + このヒゼキヤこそ、ギホンの上流の水の源をふさいで、これをダビデの町の西側に向けて、まっすぐに流した人である。こうして、ヒゼキヤはそのすべての仕事をみごとに成し遂げた。 + バビロンのつかさたちが彼のもとに代言者を遣わし、この地に示されたしるしについて説明を求めたとき、神は彼を試みて、その心にあることをことごとく知るために彼を捨て置かれた。 + ヒゼキヤのその他の業績、その忠実な行いは、アモツの子預言者イザヤの幻、すなわちユダとイスラエルの王たちの書に、まさしくしるされている。 + こうして、ヒゼキヤは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をダビデの子らの墓地の上り坂に葬った。ユダのすべての人々とエルサレムの住民は、彼が死んだとき、彼に栄光を与えた。彼の子マナセが代わって王となった。 + + + マナセは十二歳で王となり、エルサレムで五十五年間、王であった。 + 彼は、主がイスラエル人の前から追い払われた異邦の民の忌みきらうべきならわしをまねて、主の目の前に悪を行った。 + 彼は、父ヒゼキヤが取りこわした高き所を築き直し、バアルのために祭壇を立て、アシェラ像を造り、天の万象を拝み、これに仕えた。 + 彼は、主がかつて、「エルサレムにわたしの名がとこしえにあるように」と言われた主の宮に、祭壇を築いたのである。 + こうして、彼は、主の宮の二つの庭に、天の万象のために、祭壇を築いた。 + また、彼はベン・ヒノムの谷で、自分の子どもたちに火の中をくぐらせ、卜占をし、まじないをし、呪術を行い、霊媒や口寄せをして、主の目の前に悪を行い、主の怒りを引き起こした。 + さらに、彼は自分が造った偶像の彫像を神の宮に安置した。神はかつてこの宮について、ダビデとその子ソロモンに言われた。「わたしは、この宮に、わたしがイスラエルの全部族の中から選んだエルサレムに、わたしの名をとこしえに置く。 + もし彼らが、わたしの命じたすべてのこと、わたしがモーセを通して与えたすべての律法とおきてと定めとを、守り行いさえするなら、わたしは、もう二度と、わたしがあなたがたの先祖たちのものと定めた地から、イスラエルを取り除かない。」 + しかし、マナセはユダとエルサレムの住民を迷わせて、主がイスラエル人の前で根絶やしにされた異邦人よりも、さらに悪いことを行わせた。 + 主はマナセとその民に語られたが、彼らは聞こうともしなかった。 + そこで、主はアッシリヤの王の配下にある将軍たちを彼らのところに連れて来られた。彼らはマナセを鉤で捕らえ、青銅の足かせにつないで、バビロンへ引いて行った。 + しかし、悩みを身に受けたとき、彼はその神、主に嘆願し、その父祖の神の前に大いにへりくだって、 + 神に祈ったので、神は彼の願いを聞き入れ、その切なる求めを聞いて、彼をエルサレムの彼の王国に戻された。こうして、マナセは、主こそ神であることを知った。 + その後、彼はダビデの町に外側の城壁を築いた。それはギホンの西側の谷の中に、さらには、魚の門の入口に達し、オフェルを取り巻いた。彼はこれを非常に高く築き上げた。そして、彼はすべてのユダの城壁のある町々に将校を置いた。 + さらに、彼は主の宮から外国の神々と偶像、および、彼が主の宮のある山とエルサレムに築いたすべての祭壇を取り除いて、町の外に投げ捨てた。 + そして、主の祭壇を築き、その上で和解のいけにえと感謝のいけにえをささげ、ユダに命じてイスラエルの神、主に仕えさせた。 + しかし、民は、彼らの神、主にではあったが、高き所でなおいけにえをささげていた。 + マナセのその他の業績、彼が神にささげたその祈り、イスラエルの神、主の名によって彼に語った先見者たちのことばは、まさしくイスラエルの王たちの言行録にある。 + 彼の祈り、その願いが聞き入れられたこと、および、彼がへりくだる前に犯したその罪、その不信の罪、高き所を築き、アシェラ像と刻んだ像を立てた場所については、ホザイの言行録にまさしくしるされている。 + マナセは彼の先祖たちとともに眠り、人々は彼をその家に葬った。彼の子アモンが代わって王となった。 + アモンは二十二歳で王となり、エルサレムで二年間、王であった。 + 彼は、その父マナセが行ったように、主の目の前に悪を行った。彼は、その父マナセが造ったすべての刻んだ像にいけにえをささげ、これに仕えた。 + 彼はその父マナセがへりくだったようには、主の前にへりくだらず、かえって、彼アモンは罪過を大きくした。 + 彼の家来たちは彼に謀反を起こし、その宮殿の中で彼を殺した。 + しかし、民衆はアモン王に謀反を起こした者をみな打ち殺した。民衆はアモンの子ヨシヤを代わりに王とした。 + + + ヨシヤは八歳で王となり、エルサレムで三十一年間、王であった。 + 彼は主の目にかなうことを行って、先祖ダビデの道に歩み、右にも左にもそれなかった。 + 彼の治世の第八年に、彼はまだ若かったが、その先祖ダビデの神に求め始め、第十二年に、ユダとエルサレムをきよめ始めて、高き所、アシェラ像、刻んだ像、および、鋳物の像を除いた。 + 人々は彼の面前で、バアルの祭壇を取りこわした。彼は、その上にあった香の台を切り倒し、アシェラ像と刻んだ像と鋳物の像を打ちこわし、粉々に砕いて、これらのいけにえをささげた者たちの墓の上にまき散らした。 + 彼は、祭司たちの骨を彼らの祭壇の上で焼いて、ユダとエルサレムをきよめた。 + 彼は、マナセ、エフライム、シメオン、さらにはナフタリの町々でも、至る所で、彼らの剣を用いて同様にした。 + イスラエルの全地で、祭壇を取りこわし、アシェラ像と刻んだ像を粉々に砕き、すべての香の台を切り倒してから、彼はエルサレムに帰った。 + この地とこの宮とをきよめたのは、彼の治世の第十八年で、彼は、その神、主の宮を修理するため、アツァルヤの子シャファン、この町のつかさマアセヤ、エホアハズの子参議ヨアフを遣わした。 + 彼らは、大祭司ヒルキヤのもとに来て、神の宮に納められた金を渡した。これは入口を守るレビ人が、マナセとエフライム、すべてのイスラエルの残りの者、全ユダとベニヤミンから集めたものである。それから、彼らはエルサレムに帰って、 + 主の宮で工事している監督者たちの手に渡し、さらにそれを主の宮で行われる工事をしている者たちに渡して、宮を繕い、修理させた。 + 彼らは、木工や建築師たちに渡して、切り石やつなぎ材を買わせ、ユダの王たちが荒らした家々に、梁を置いて、これを建てさせた。 + この人々は、この仕事を忠実に行った。彼らの上には、監督者、メラリ族のレビ人ヤハテとオバデヤ、ケハテ族のゼカリヤとメシュラムがいて、指揮をした。また、すべて楽器を奏するのに巧みなレビ人がいた。 + 彼らはまた、荷をになう者たちをもつかさどり、各分野の仕事に当たるすべての職人たちの指揮をする役目についた。レビ人の中には、書記、つかさ、門衛などもいた。 + 彼らが、主の宮に携え入れられた金を取り出していたとき、祭司ヒルキヤは、モーセを通して示された主の律法の書を発見した。 + そのときすぐ、ヒルキヤは書記シャファンに対してこう言った。「私は主の宮で律法の書を見つけました。」ヒルキヤがその書物をシャファンに渡すと、 + シャファンは、その書物を王のもとに携えて行き、さらに王に報告して言った。「しもべにゆだねられたことは、すべてやらせております。 + 彼らは主の宮にあった金を箱からあけて、これを監督者たちの手に、工事をしている者たちの手に渡しました。」 + ついで、書記シャファンは王に告げて、言った。「祭司ヒルキヤが私に一つの書物を渡してくれました。」そして、シャファンは王の前でそれを朗読した。 + 王は律法のことばを聞いたとき、自分の衣を裂いた。 + 王はヒルキヤ、シャファンの子アヒカム、ミカの子アブドン、書記シャファン、王の家来アサヤに命じて言った。 + 「行って、見つかった書物のことばについて、私のため、イスラエルとユダの残りの者のために、主のみこころを求めなさい。私たちの先祖が、主のことばを守らず、すべてこの書にしるされているとおりに行わなかったため、私たちの上に注がれた主の憤りは激しいから。」 + そこで、ヒルキヤ、および、王の指名した人々は、女預言者フルダのもとに行った。彼女は、ハスラの子トクハテの子、装束係シャルムの妻で、エルサレムの第二区に住んでいた。彼らがその旨を彼女に伝えると、 + 彼女は彼らに答えた。「イスラエルの神、主は、こう仰せられます。『あなたがたをわたしのもとに遣わした人に告げよ。 + 主はこう仰せられる。見よ。わたしは、この場所とその住民の上にわざわいをもたらす。彼らがユダの王の前で読み上げた書物にしるされているすべてののろいをもたらす。 + 彼らはわたしを捨て、ほかの神々に香をたき、彼らのすべての手のわざで、わたしの怒りを引き起こすようにした。わたしの憤りはこの場所に注がれ、消えることがない。』 + 主に尋ねるために、あなたがたを遣わしたユダの王には、こう言わなければなりません。『あなたが聞いたことばについて、イスラエルの神、主は、こう仰せられます。 + あなたが、この場所とその住民についての神のことばを聞いたとき、あなたは心を痛め、神の前にへりくだり、わたしの前にへりくだって自分の衣を裂き、わたしの前で泣いたので、わたしもまた、あなたの願いを聞き入れる。――主の御告げです―― + 見よ。わたしは、あなたを先祖たちのもとに集めよう。あなたは安らかに自分の墓に集められる。それで、あなたは自分の目で、わたしがこの場所とその住民にもたらすすべてのわざわいを見ることがない。』」彼らはそれを王に報告した。 + すると、王は使者を遣わして、ユダとエルサレムの長老をひとり残らず集めた。 + 王は主の宮へ上って行った。ユダのすべての人、エルサレムの住民、祭司とレビ人、および、上の者も下の者も、すべての民が行った。そこで彼は主の宮で発見された契約の書のことばをみな、彼らに読み聞かせた。 + それから、王はその定めの場所に立ち、主の前に契約を結び、主に従って歩み、心を尽くし、精神を尽くして、主の命令と、あかしと、おきてを守り、この書物にしるされている契約のことばを行うことを誓った。 + 彼はエルサレムとベニヤミンにいるすべての者を堅く立たせた。エルサレムの住民は、その父祖の神である神の契約に従って行動した。 + ヨシヤはイスラエル人の全地から、忌みきらうべきものを除き去り、イスラエルにいるすべての者を、その神、主に仕えさせた。彼の生きている間、彼らはその父祖の神、主に従う道からはずれなかった。 + + + さて、ヨシヤはエルサレムで主に過越のいけにえをささげた。人々は第一の月の十四日に過越のいけにえをほふった。 + 彼は祭司たちを任命してその任務につかせ、彼らを力づけて、主の宮の奉仕に当たらせた。 + それから、彼は、全イスラエルを教え導く者であり、主の聖なる者であるレビ人たちに言った。「聖なる箱を、イスラエルの王ダビデの子ソロモンが建てた宮に据えなさい。もう、あなたがたにとって肩の重荷にはなるまい。そこで今、あなたがたの神、主と、主の民イスラエルに仕えなさい。 + イスラエルの王ダビデの文書およびその子ソロモンの書きつけのとおりに、父祖の家ごとに、組分けに従って、用意をしなさい。 + あなたがたの同胞であるこの民の者たちが属している父祖の家の区分に従って、聖所に立ちなさい。レビ人にとって、一族の分があるようにしなさい。 + それから、過越のいけにえをほふり、身を聖別し、あなたがたの同胞のために用意をして、モーセを通して示された主のことばのとおりに行いなさい。」 + ヨシヤは民の者たちに羊の群れ、すなわち、子羊とやぎの子を贈った。すべては、そこにいたすべての人の過越のいけにえのためであった。その数は三万、牛は三千。これらは王の財産の中から出された。 + 彼のつかさたちも、民および祭司たち、レビ人たちに、進んでささげるささげ物として贈り物をした。神の宮のつかさ、ヒルキヤ、ゼカリヤ、エヒエルも、祭司たちに過越のいけにえとして羊二千六百頭、牛三百頭を与えた。 + さらに、レビ人のつかさたち、すなわち、カナヌヤとその兄弟シェマヤ、ネタヌエル、およびハシャブヤ、エイエル、エホザバデも、レビ人に過越のいけにえとして羊五千頭、牛五百頭を贈った。 + こうして、奉仕の用意ができたので、王の命令のとおりに、祭司たちはおのおのの定めの場所に立ち、レビ人はおのおのの組分けに従って立った。 + 彼らが過越のいけにえをほふると、祭司たちは彼らの手から血を受け取って注ぎかけ、レビ人は皮をはいだ。 + それから、彼らは全焼のいけにえを取り除き、これを民の者たちの父祖の家の各区分に渡し、モーセの書にしるされているとおりに主にささげさせた。牛についても同様にした。 + それから、彼らは定めのとおりに、過越のいけにえに火を加えて調理し、聖別されたささげ物を、なべ、かま、平なべなどで調理して、民たち全員のもとに急いで運んだ。 + そのあとで、彼らは自分たちや祭司たちのための用意をした。アロンの子らである祭司たちは、夜になるまで、全焼のいけにえと脂肪をささげていたからである。そこでレビ人は、自分たちや、アロンの子らである祭司たちのための用意をした。 + アサフの子らである歌うたいたちは、ダビデ、アサフ、ヘマン、および、王の先見者エドトンの命令のとおりに、その役目についていた。また、門衛たちは、それぞれの門を守っていた。彼らのうちだれも、その奉仕を離れる必要がなかった。彼らの同族であるレビ人が彼らのための用意をしたからである。 + こうして、この日に、すべて主への奉仕の用意ができ、ヨシヤ王の命令のとおりに過越のいけにえをささげ、主の祭壇で全焼のいけにえをささげるばかりになったので、 + そこにいたイスラエル人は、そのとき、過越のいけにえをささげ、七日間、種を入れないパンの祭りを行った。 + 預言者サムエルの時代からこのかた、イスラエルでこのような過越のいけにえがささげられたことはなかった。イスラエルのどの王も、ここでヨシヤが行い、祭司たちとレビ人、および、そこにいた全ユダとイスラエル、さらに、エルサレムの住民たちがささげたような過越のいけにえをささげたことはなかった。 + ヨシヤの治世の第十八年に、この過越のいけにえがささげられた。 + すべてこのように、ヨシヤが宮を整えて後、エジプトの王ネコが、ユーフラテス河畔のカルケミシュで戦うために上って来た。そこでヨシヤは、彼を迎え撃ちに出て行った。 + ところが、ネコは彼のもとに使者を遣わして言った。「ユダの王よ。私とあなたと何の関係があるのですか。きょうは、あなたを攻めに来たのではありません。私の戦う家へ行くところなのです。神は、早く行けと命じておられます。私とともにおられる神に逆らわずに、控えていなさい。さもなければ、神があなたを滅ぼされます。」 + しかし、ヨシヤは身を引かず、かえって、彼と戦おうとして変装し、神の御口から出たネコのことばを聞かなかった。そして、メギドの平地で戦うために行った。 + 射手たちがヨシヤ王を射たとき、王は家来たちに言った。「私を降ろしてくれ。傷を負ったのだ。」 + そこで、家来たちは彼を戦車から降ろし、彼の持っていた第二の車に乗せた。そして、彼をエルサレムに連れ帰った。彼は死んだので、その先祖たちの墓に葬られた。全ユダとエルサレムはヨシヤのために喪に服した。 + エレミヤはヨシヤのために哀歌を作った。そして、男女の歌うたいはみな、今日に至るまで、彼らの哀歌の中でヨシヤのことを語り、これをイスラエルのために慣例としている。これらは哀歌にまさしくしるされている。 + ヨシヤのその他の業績、すなわち、主の律法にしるされているところに従った彼の忠実な行為、 + 彼の業績は、最初から最後まで、イスラエルとユダの王たちの書にまさしくしるされている。 + + + さて、この国の民は、ヨシヤの子エホアハズを選んで、彼の父に代えて、エルサレムで彼を王とした。 + エホアハズは二十三歳で王となり、エルサレムで三か月間、王であった。 + しかし、エジプトの王は、エルサレムで彼を退け、この国に、銀百タラントと金一タラントの科料を課した。 + ついで、エジプトの王は、彼の兄弟エルヤキムをユダとエルサレムの王とし、その名をエホヤキムと改めさせた。ネコは、その兄弟エホアハズを捕らえて、エジプトへ連れて行った。 + エホヤキムは二十五歳で王となり、エルサレムで十一年間、王であった。彼は、その神、主の目の前に悪を行った。 + この彼のもとに、バビロンの王ネブカデネザルが攻め上って来て、彼を青銅の足かせにつなぎ、バビロンへ引いて行った。 + ネブカデネザルは、主の宮の器具をバビロンに持ち去り、バビロンにある彼の宮殿に置いた。 + エホヤキムのその他の業績、彼の行った忌みきらうべきしわざ、彼について露見したことは、イスラエルとユダの王たちの書にまさしくしるされている。彼の子エホヤキンが代わって王となった。 + エホヤキンは十八歳で王となり、エルサレムで三か月と十日の間、王であった。彼は主の目の前に悪を行った。 + 年が改まるに及んで、ネブカデネザル王は使者を遣わし、彼を主の宮にあった尊い器とともにバビロンに連れて行った。そして、エホヤキンの兄弟ゼデキヤをユダとエルサレムの王とした。 + ゼデキヤは二十一歳で王となり、エルサレムで十一年間、王であった。 + 彼はその神、主の目の前に悪を行い、主のことばを告げた預言者エレミヤの前にへりくだらなかった。 + 彼はまた、ネブカデネザルが、彼に、神にかけて誓わせたにもかかわらず、この王に反逆した。このように、彼はうなじのこわい者となり、心を閉ざして、イスラエルの神、主に立ち返らなかった。 + そのうえ、祭司長全員と民も、異邦の民の、忌みきらうべきすべてのならわしをまねて、不信に不信を重ね、主がエルサレムで聖別された主の宮を汚した。 + 彼らの父祖の神、主は、彼らのもとに、使者たちを遣わし、早くからしきりに使いを遣わされた。それは、ご自分の民と、ご自分の御住まいをあわれまれたからである。 + ところが、彼らは神の使者たちを笑いものにし、そのみことばを侮り、その預言者たちをばかにしたので、ついに、主の激しい憤りが、その民に対して積み重ねられ、もはや、いやされることがないまでになった。 + そこで、主は、彼らのもとにカルデヤ人の王を攻め上らせた。彼は、剣で、彼らのうちの若い男たちを、その聖所の家の中で殺した。若い男も若い女も、年寄りも老衰の者も容赦しなかった。主は、すべての者を彼の手に渡された。 + 彼は、神の宮のすべての大小の器具、主の宮の財宝と、王とそのつかさたちの財宝、これらすべてをバビロンへ持ち去った。 + 彼らは神の宮を焼き、エルサレムの城壁を取りこわした。その高殿を全部火で燃やし、その中の宝としていた器具を一つ残らず破壊した。 + 彼は、剣をのがれた残りの者たちをバビロンへ捕らえ移した。こうして、彼らは、ペルシヤ王国が支配権を握るまで、彼とその子たちの奴隷となった。 + これは、エレミヤにより告げられた主のことばが成就して、この地が安息を取り戻すためであった。この荒れ果てた時代を通じて、この地は七十年が満ちるまで安息を得た。 + ペルシヤの王クロスの第一年に、エレミヤにより告げられた主のことばを実現するために、主はペルシヤの王クロスの霊を奮い立たせたので、王は王国中におふれを出し、文書にして言った。 + 「ペルシヤの王クロスは言う。『天の神、主は、地のすべての王国を私に賜った。この方はユダにあるエルサレムに、ご自分のために宮を建てることを私にゆだねられた。あなたがた、すべて主の民に属する者はだれでも、その神、主がその者とともにおられるように。その者は上って行くようにせよ。』」 + +
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+ + ペルシヤの王クロスの第一年に、エレミヤにより告げられた主のことばを実現するために、主はペルシヤの王クロスの霊を奮い立たせたので、王は王国中におふれを出し、文書にして言った。 + 「ペルシヤの王クロスは言う。『天の神、主は、地のすべての王国を私に賜った。この方はユダにあるエルサレムに、ご自分のために宮を建てることを私にゆだねられた。 + あなたがた、すべて主の民に属する者はだれでも、その神がその者とともにおられるように。その者はユダにあるエルサレムに上り、イスラエルの神、主の宮を建てるようにせよ。この方はエルサレムにおられる神である。 + 残る者はみな、その者を援助するようにせよ。どこに寄留しているにしても、その所から、その土地の人々が、エルサレムにある神の宮のために進んでささげるささげ物のほか、銀、金、財貨、家畜をもって援助せよ。』」 + そこで、ユダとベニヤミンの一族のかしらたち、祭司たち、レビ人たち、すなわち、神にその霊を奮い立たされた者はみな、エルサレムにある主の宮を建てるために上って行こうと立ち上がった。 + 彼らの回りの人々はみな、銀の器具、金、財貨、家畜、えりすぐりの品々、そのほか進んでささげるあらゆるささげ物をもって彼らを力づけた。 + クロス王は、ネブカデネザルがエルサレムから持って来て、自分の神々の宮に置いていた主の宮の用具を運び出した。 + すなわち、ペルシヤの王クロスは宝庫係ミテレダテに命じてこれを取り出し、その数を調べさせ、それをユダの君主シェシュバツァルに渡した。 + その数は次のとおりであった。金の皿三十、銀の皿一千、香炉二十九、 + 金の鉢三十、二級品の銀の鉢四百十、その他の用具一千。 + 金、銀の用具は全部で五千四百あった。捕囚の民がバビロンからエルサレムに連れて来られたとき、シェシュバツァルはこれらの物をみないっしょに携えて上った。 + + + バビロンの王ネブカデネザルがバビロンに引いて行った捕囚の民で、その捕囚の身から解かれて上り、エルサレムとユダに戻り、めいめい自分の町に戻ったこの州の人々は次のとおりである。 + ゼルバベルといっしょに帰って来た者は、ヨシュア、ネヘミヤ、セラヤ、レエラヤ、モルデカイ、ビルシャン、ミスパル、ビグワイ、レフム、バアナ。/イスラエルの民の人数は次のとおりである。 + パルオシュ族、二千百七十二名。 + シェファテヤ族、三百七十二名。 + アラフ族、七百七十五名。 + ヨシュアとヨアブの二族からなるパハテ・モアブ族、二千八百十二名。 + エラム族、一千二百五十四名。 + ザト族、九百四十五名。 + ザカイ族、七百六十名。 + バニ族、六百四十二名。 + ベバイ族、六百二十三名。 + アズガデ族、一千二百二十二名。 + アドニカム族、六百六十六名。 + ビグワイ族、二千五十六名。 + アディン族、四百五十四名。 + ヒゼキヤ族、すなわちアテル族、九十八名。 + ベツァイ族、三百二十三名。 + ヨラ族、百十二名。 + ハシュム族、二百二十三名。 + ギバル族、九十五名。 + ベツレヘムの人、百二十三名。 + ネトファの人々、五十六名。 + アナトテの人々、百二十八名。 + アズマベテの人、四十二名。 + キルヤテ・アリムと、ケフィラと、ベエロテの人、七百四十三名。 + ラマとゲバの人、六百二十一名。 + ミクマスの人々、百二十二名。 + ベテルとアイの人々、二百二十三名。 + ネボの人、五十二名。 + マグビシュ族、百五十六名。 + 別のエラム族、一千二百五十四名。 + ハリム族、三百二十名。 + ロデと、ハディデと、オノの人、七百二十五名。 + エリコの人、三百四十五名。 + セナアの人、三千六百三十名。 + 祭司は、ヨシュアの家系のエダヤ族、九百七十三名。 + イメル族、一千五十二名。 + パシュフル族、一千二百四十七名。 + ハリム族、一千十七名。 + レビ人は、ホダブヤ族のヨシュアとカデミエルの二族、七十四名。 + 歌うたいは、アサフ族、百二十八名。 + 門衛の人々は、シャルム族、アテル族、タルモン族、アクブ族、ハティタ族、ショバイ族、合計百三十九名。 + 宮に仕えるしもべたちは、ツィハ族、ハスファ族、タバオテ族、 + ケロス族、シアハ族、パドン族、 + レバナ族、ハガバ族、アクブ族、 + ハガブ族、サルマイ族、ハナン族、 + ギデル族、ガハル族、レアヤ族、 + レツィン族、ネコダ族、ガザム族、 + ウザ族、パセアハ族、ベサイ族、 + アスナ族、メウニム族、ネフシム族、 + バクブク族、ハクファ族、ハルフル族、 + バツルテ族、メヒダ族、ハルシャ族、 + バルコス族、シセラ族、テマフ族、 + ネツィアハ族、ハティファ族。 + ソロモンのしもべたちの子孫は、ソタイ族、ソフェレテ族、ペルダ族、 + ヤラ族、ダルコン族、ギデル族、 + シェファテヤ族、ハティル族、ポケレテ・ハツェバイム族、アミ族。 + 宮に仕えるしもべたちと、ソロモンのしもべたちの子孫は、合計三百九十二名。 + 次の人々は、テル・メラフ、テル・ハルシャ、ケルブ、アダン、イメルから引き揚げて来たが、自分たちの先祖の家系と血統がイスラエル人であったかどうかを、証明することができなかった。 + すなわち、デラヤ族、トビヤ族、ネコダ族、六百五十二名。 + 祭司の子孫のうちでは、ホバヤ族、コツ族、バルジライ族。――このバルジライは、ギルアデ人バルジライの娘のひとりを妻にめとったので、その名をもって呼ばれていた―― + これらの人々は、自分たちの系図書きを捜してみたが、見つからなかったので、彼らは祭司職を果たす資格がない者とされた。 + それで、総督は、ウリムとトンミムを使える祭司が起こるまでは最も聖なるものを食べてはならない、と命じた。 + 全集団の合計は四万二千三百六十名であった。 + このほかに、彼らの男女の奴隷が七千三百三十七名いた。また彼らには男女の歌うたいが二百名いた。 + 彼らの馬は七百三十六頭。彼らの騾馬は二百四十五頭。 + 彼らのらくだは四百三十五頭。ろばは六千七百二十頭であった。 + 一族のかしらのある者たちは、エルサレムにある主の宮に着いたとき、それをもとの所に建てるために、神の宮のために自分から進んでささげ物をした。 + すなわち、彼らは自分たちにできることとして工事の資金のために金六万一千ダリク、銀五千ミナ、祭司の長服百着をささげた。 + こうして、祭司、レビ人、民のある者たち、歌うたい、門衛、宮に仕えるしもべたちは、自分たちのもとの町々に住みつき、すべてのイスラエル人は、自分たちのもとの町々に住みついた。 + + + イスラエル人は自分たちの町々にいたが、第七の月が近づくと、民はいっせいにエルサレムに集まって来た。 + そこで、エホツァダクの子ヨシュアとその兄弟の祭司たち、またシェアルティエルの子ゼルバベルとその兄弟たちは、神の人モーセの律法に書かれているとおり、全焼のいけにえをささげるために、こぞってイスラエルの神の祭壇を築いた。 + 彼らは回りの国々の民を恐れていたので、祭壇をもとの所に設けた。彼らはその上で主に全焼のいけにえ、すなわち、朝ごと夕ごとの全焼のいけにえをささげた。 + 彼らは、書かれているとおりに仮庵の祭りを祝い、毎日の分として定められた数にしたがって、日々の全焼のいけにえをささげた。 + その後、常供の全焼のいけにえと、新月の祭りのいけにえと、主の例祭のすべての聖なるささげ物、それからめいめいが喜んで進んでささげるささげ物を主にささげた。 + 彼らは第七の月の第一日から全焼のいけにえを主にささげ始めたが、主の神殿の礎はまだ据えられていなかった。 + 彼らは石切り工や木工には金を与え、シドンとツロの人々には食べ物や飲み物や油を与えた。それはペルシヤの王クロスが与えた許可によって、レバノンから海路、ヤフォに杉材を運ぶためであった。 + 彼らがエルサレムにある神の宮のところに着いた翌年の第二の月に、シェアルティエルの子ゼルバベルと、エホツァダクの子ヨシュアと、その他の兄弟たちの祭司とレビ人たち、および捕囚からエルサレムに帰って来たすべての人々は、主の宮の工事を指揮するために二十歳以上のレビ人を立てて工事を始めた。 + こうして、ユダヤ人ヨシュアと、その子、その兄弟たち、カデミエルと、その子たちは、一致して立ち、神の宮の工事をする者を指揮した。レビ人ヘナダデの一族と、その子、その兄弟たちもそうした。 + 建築師たちが主の神殿の礎を据えたとき、イスラエルの王ダビデの規定によって主を賛美するために、祭服を着た祭司たちはラッパを持ち、アサフの子らのレビ人たちはシンバルを持って出て来た。 + そして、彼らは主を賛美し、感謝しながら、互いに、「主はいつくしみ深い。/その恵みはとこしえまでもイスラエルに」/と歌い合った。こうして、主の宮の礎が据えられたので、民はみな、主を賛美して大声で喜び叫んだ。 + しかし、祭司、レビ人、一族のかしらたちのうち、最初の宮を見たことのある多くの老人たちは、彼らの目の前でこの宮の基が据えられたとき、大声をあげて泣いた。一方、ほかの多くの人々は喜びにあふれて声を張り上げた。 + そのため、だれも喜びの叫び声と民の泣き声とを区別することができなかった。民が大声をあげて喜び叫んだので、その声は遠い所まで聞こえた。 + + + ユダとベニヤミンの敵たちは、捕囚から帰って来た人々が、イスラエルの神、主のために神殿を建てていると聞いて、 + ゼルバベルと一族のかしらたちのところに近づいて来て、言った。「私たちも、あなたがたといっしょに建てたい。私たちは、あなたがたと同様、あなたがたの神を求めているのです。アッシリヤの王エサル・ハドンが、私たちをここに連れて来た時以来、私たちはあなたがたの神に、いけにえをささげてきました。」 + しかし、ゼルバベルとヨシュアとその他のイスラエルの一族のかしらたちは、彼らに言った。「私たちの神のために宮を建てることについて、あなたがたと私たちとは何の関係もない。ペルシヤの王、クロス王が私たちに命じたとおり、私たちだけで、イスラエルの神、主のために宮を建てるつもりだ。」 + すると、その地の民は、建てさせまいとして、ユダの民の気力を失わせ、彼らをおどした。 + さらに、議官を買収して彼らに反対させ、この計画を打ちこわそうとした。このことはペルシヤの王クロスの時代からペルシヤの王ダリヨスの治世の時まで続いた。 + アハシュエロスの治世、すなわちその治世の初めに、彼らはユダとエルサレムの住民を非難する一通の告訴状を書いた。 + また、アルタシャスタの時代に、ビシュラム、ミテレダテ、タベエルとその他の同僚は、ペルシヤの王アルタシャスタに書き送った。その手紙はアラム語の文字で書かれ、アラム語で述べられていた。 + 参事官レフム、書記官シムシャイはエルサレムを非難して、次のような手紙をアルタシャスタ王に書き送った。 + すなわち、参事官レフム、書記官シムシャイ、その他の同僚、裁判官、使節、役人、官吏、エレク人、バビロン人、シュシャンの人々、すなわち、エラム人、 + その他、名声高い大王オスナパルがサマリヤの町と川向こうのその他の地に引いて行って住まわせた民たちが、書き送った。さて、 + 彼らが送ったその手紙の写しは次のとおりである。/「川向こうの者、あなたのしもべたちから、アルタシャスタ王へ。さて、 + 王にお知らせいたします。あなたのところから、こちらに来たユダヤ人たちはエルサレムに行き、あの反抗的で危険な町を再建しています。その城壁を修復し、その礎もすでに据えられています。 + 今、王にお知らせいたします。もしこの町が再建され、城壁が修復されたら、彼らはみつぎ、関税、税金を納めなくなるでしょう。そうすれば、王の収入に損害を与えることになりましょう。 + さて、私たちは王宮の恩恵を受けておりますから、王のはずかしめを見るのに耐えられません。それゆえ、私たちは人を遣わして、王にお知らせするのです。 + あなたの先祖の記録文書をお調べになれば、この町が反抗的な町で、王たちと諸州に損害を与え、また昔からこの町で反逆が行われたことを、その記録文書の中に見て、おわかりになるでしょう。この町が滅ぼされたのも、そのためです。 + 私たちは王にお知らせします。もしこの町が再建され、城壁が修復されたら、あなたはこのために川向こうの領土を失ってしまわれるでしょう。」 + 王は参事官レフム、書記官シムシャイ、およびサマリヤと川向こうのその他の地に住んでいる彼らの同僚に返事を送った。/「平安があるように。さて、 + あなたがたが、私たちに送ったあの書状は、私の前で説明して読まれた。 + 私は命令を下し、調べさせたところ、その町は昔から王たちに対して謀反を企て、その町で暴動と反逆が行われたことがわかった。 + またエルサレムにはかつて勢力のある王たちがいて、川向こうの地を全部支配し、みつぎ、関税、税金が彼らに納められていたこともわかった。 + 今、あなたがたは命令を下して、その者たちの働くのをやめさせ、私が再び命令を下すまで、この町が再建されないようにせよ。 + あなたがたは、よく注意してこのことを怠ってはならない。損害を増して王を傷つけるといけないから。」 + アルタシャスタ王の書状の写しがレフムと、書記官シムシャイと、その同僚の前で読まれると、彼らは急いでエルサレムのユダヤ人のところに行って、武力をもって彼らの働きをやめさせた。 + こうして、エルサレムにある神の宮の工事は中止され、ペルシヤの王ダリヨスの治世の第二年まで中止された。 + + + さて、預言者ハガイとイドの子ゼカリヤの、ふたりの預言者は、ユダとエルサレムにいるユダヤ人に、彼らとともにおられるイスラエルの神の名によって預言した。 + そこで、シェアルティエルの子ゼルバベルと、エホツァダクの子ヨシュアは立ち上がり、エルサレムにある神の宮を建て始めた。神の預言者たちも彼らといっしょにいて、彼らを助けた。 + そのとき、川向こうの総督タテナイと、シェタル・ボズナイと、その同僚とがやって来て、こう言った。「だれがあなたがたに命令を下して、この宮を建て、この城壁を修復させようとしたのか。」 + そしてまた、「この建物を建てている者たちの名は何というのか」と尋ねた。 + しかし、ユダヤ人の長老たちの上には神の目が注がれていたので、このことがダリヨスに報告され、ついで、このことについての書状が来るまで、この者たちは彼らの働きをやめさせることができなかった。 + 川向こうの総督タテナイと、シェタル・ボズナイと、その同僚の川向こうにいる知事たちが、ダリヨス王に書き送った手紙の写しは次のとおりである。 + すなわち、彼らが王に送った報告には次のように書かれてあった。/「ダリヨス王に全き平安がありますように。 + 王にお知らせいたします。私たちはユダの州に行き、あの大いなる神の宮に行ってみましたが、それは大きな石で建てられており、壁には木材が組まれていました。その工事は彼らの手で着々と進められ、順調にはかどっています。 + そこで、私たちはその長老たちに尋ねて、彼らに次のように言いました。『だれがあなたがたに命令を下して、この宮を建て、この城壁を修復させようとしたのか。』 + 私たちはまた、あなたにお知らせするために彼らにその名を尋ねました。それは、彼らのかしらになっている者の名を書きしるすためでした。 + すると、彼らは次のように私たちに返事をよこして言いました。『私たちは天と地の神のしもべであり、ずっと昔から建てられていた宮を建て直しているのです。それはイスラエルの大王が建てて、完成させたものです。 + しかし、私たちの先祖が、天の神を怒らせたので、神は彼らをカルデヤ人であるバビロンの王ネブカデネザルの手に渡されました。そこで、彼はこの宮を破壊し、民を捕らえてバビロンに移したのです。 + しかし、バビロンの王クロスの第一年に、クロス王はこの神の宮を再建するよう命令を下しました。 + クロス王はまた、ネブカデネザルがエルサレムの神殿から取って、バビロンの神殿に運んで来た神の宮の金、銀の器具を、バビロンの神殿から取り出し、自分が総督に任命したシェシュバツァルという名の者にそれを渡しました。 + そして、シェシュバツァルに、これらの器具を携えて行って、エルサレムの神殿に納め、神の宮をもとの所に再建せよと言いました。 + そこで、このシェシュバツァルは来て、エルサレムの神の宮の礎を据えました。その時から今に至るまで、建て続けていますが、まだ完成していません。』 + ですから今、王さま、もしもよろしければ、あのバビロンにある王の宝物倉を捜させて、エルサレムにあるこの神の宮を建てるためにクロス王からの命令が下されたかどうかをお調べください。そして、このことについての王のご意見を私たちにお伝えください。」 + + + それで、ダリヨス王は命令を下し、宝物を納めてあるバビロンの文書保管所を調べさせたところ、 + メディヤ州の城の中のアフメタで、一つの巻き物が発見された。その中に次のように書かれていた。/「記録。 + クロス王の第一年に、クロス王は命令を下した。エルサレムにある神の宮、いけにえがささげられる宮を建て、その礎を定めよ。宮の高さは六十キュビト、その幅も六十キュビト。 + 大きな石の層は三段。木材の層は一段にする。その費用は王家から支払う。 + また、ネブカデネザルがエルサレムの神殿から取って、バビロンに運んで来た神の宮の金、銀の器具は返し、エルサレムの神殿に運び、一つ一つもとの所に戻す。こうして、それらを神の宮に納める。」 + 「それゆえ、今、川向こうの総督タテナイと、シェタル・ボズナイと、その同僚で川向こうにいる知事たちよ。そこから遠ざかれ。 + この神の宮の工事をそのままやらせておけ。ユダヤ人の総督とユダヤ人の長老たちにこの神の宮をもとの所に建てさせよ。 + 私は、さらに、この神の宮を建てるために、あなたがたがこれらユダヤ人の長老たちにどうすべきか、命令を下す。王の収益としての川向こうの地のみつぎの中から、その費用をまちがいなくそれらの者たちに支払って、滞らぬようにせよ。 + また、その必要とする物、すなわち、天の神にささげる全焼のいけにえのための子牛、雄羊、子羊、また、小麦、塩、ぶどう酒、油を、エルサレムにいる祭司たちの求めに応じて、毎日怠りなく彼らに与えよ。 + こうして彼らが天の神になだめのかおりをささげ、王と王子たちの長寿を祈るようにせよ。 + 私は命令を下す。だれであれ、この法令を犯す者があれば、その家から梁を引き抜き、その者をその上にはりつけにしなければならない。このことのため、その家はごみの山としなければならない。 + エルサレムに御名を住まわせられた神は、この命令をあえて犯しエルサレムにあるこの神の宮を破壊しようとして手を出す王や民をみな、くつがえされますように。私ダリヨスは命令を下す。まちがいなくこれを守れ。」 + このように、ダリヨス王が書き送ったので、川向こうの総督タテナイと、シェタル・ボズナイと、その同僚たちとは、これをまちがいなく行った。 + ユダヤ人の長老たちは、預言者ハガイとイドの子ゼカリヤの預言によって、これを建てて成功した。彼らはイスラエルの神の命令により、また、クロスと、ダリヨスと、ペルシヤの王アルタシャスタの命令によって、これを建て終えた。 + こうして、この宮はダリヨス王の治世の第六年、アダルの月の三日に完成した。 + そこで、イスラエル人、すなわち、祭司、レビ人、その他、捕囚から帰って来た人々は、この神の宮の奉献式を喜んで祝った。 + 彼らはこの神の宮の奉献式のために、牛百頭、雄羊二百頭、子羊四百頭をささげた。また、イスラエルの部族の数にしたがって、イスラエル人全体の罪のためのいけにえとして、雄やぎ十二頭もささげた。 + また彼らは、エルサレムでの神への奉仕のため、祭司をその区分にしたがって、レビ人をその組にしたがってそれぞれ任命した。モーセの書にしるされているとおりである。 + 捕囚から帰って来た人々は、第一の月の十四日に過越のいけにえをささげた。 + 祭司とレビ人たちは、ひとり残らず身をきよめて、みなきよくなっていたので、彼らは捕囚から帰って来たすべての人々のため、また、彼らの兄弟の祭司たちのため、また、彼ら自身のために、過越のいけにえをほふった。 + 捕囚から戻って来たイスラエル人と、イスラエルの神、主を求めて、この国の異邦人の汚れから縁を絶って彼らに加わったすべての者たちとは、これを食べた。 + そして、彼らは七日間、種を入れないパンの祭りを喜んで守った。これは、主が彼らを喜ばせ、また、アッシリヤの王の心を彼らに向かわせて、イスラエルの神である神の宮の工事にあたって、彼らを力づけるようにされたからである。 + + + これらの出来事の後、ペルシヤの王アルタシャスタの治世に、エズラという人がいた。このエズラはセラヤの子、順次さかのぼって、アザルヤの子、ヒルキヤの子、 + シャルムの子、ツァドクの子、アヒトブの子、 + アマルヤの子、アザルヤの子、メラヨテの子、 + ゼラヘヤの子、ウジの子、ブキの子、 + アビシュアの子、ピネハスの子、エルアザルの子、このエルアザルは祭司のかしらアロンの子である。 + エズラはバビロンから上って来た者であるが、イスラエルの神、主が賜ったモーセの律法に通じている学者であった。彼の神、主の御手が彼の上にあったので、王は彼の願いをみなかなえた。 + アルタシャスタ王の第七年にも、イスラエル人のある者たち、および、祭司、レビ人、歌うたい、門衛、宮に仕えるしもべたちのある者たちが、エルサレムに上って来た。 + エズラは王の第七年の第五の月にエルサレムに着いた。 + すなわち、彼は第一の月の一日にバビロンを出発して、第五の月の一日にエルサレムに着いた。彼の神の恵みの御手が確かに彼の上にあった。 + エズラは、主の律法を調べ、これを実行し、イスラエルでおきてと定めを教えようとして、心を定めていたからである。 + アルタシャスタ王が、祭司であり、学者であるエズラに与えた手紙の写しは次のとおりである。――エズラは、主の命令のことばと、イスラエルに関する主のおきてに精通した学者であった―― + 「王の王アルタシャスタ。天の神の律法の学者である祭司エズラへ。この件は完了した。さて、 + 私は命令を下す。私の国にいるイスラエルの民、その祭司、レビ人のうち、だれでも自分から進んでエルサレムに上って行きたい者は、あなたといっしょに行ってよい。 + なぜなら、あなたは、あなたの手にあるあなたの神の律法に従ってユダとエルサレムを調査するよう、王とその七人の議官によって遣わされており、 + また、王とその議官たちが、エルサレムに住まれるイスラエルの神に進んでささげた銀と金、 + バビロンのすべての州で、あなたが得るすべての銀と金、それに、エルサレムにある自分たちの神の宮のために、民と祭司たちが進んでささげたささげ物をも合わせて携えて行くために遣わされているからである。 + それゆえ、あなたはその献金で、牛、雄羊、子羊、また、そのための穀物のささげ物と注ぎのぶどう酒を心して買い求め、エルサレムにあるあなたがたの神の宮の祭壇の上で、それをささげなければならない。 + また、残りの銀と金の使い方については、あなたとあなたの兄弟たちがよいと思うことは何でも、あなたがたの神の御心に従って行うがよい。 + また、あなたの神の宮での礼拝のために、あなたに与えられた器具は、エルサレムの神の前に供えよ。 + その他、あなたの神の宮のために必要なもので、どうしても調達しなければならないものは、王の宝物倉からそれを調達してよい。 + 私、アルタシャスタ王は、川向こうの宝庫係全員に命令を下す。/天の神の律法の学者である祭司エズラが、あなたがたに求めることは何でも、心してそれを行え。 + すなわち、銀は百タラントまで、小麦は百コルまで、ぶどう酒は百バテまで、油も百バテまで、塩は制限なし。 + 天の神の宮のために、天の神によって命じられていることは何でも、熱心に行え。御怒りが王とその子たちの国に下るといけないから。 + また、次のことを知らせる。祭司、レビ人、歌うたい、門衛、宮に仕えるしもべたち、つまり、この神の宮に仕える者にはだれにも、みつぎ、関税、税金を課してはならない。 + エズラよ。あなたは、あなたの手にあるあなたの神の知恵にしたがってさばきつかさや裁判官を任命し、川向こうにいるすべての民、すなわち、あなたの神の律法を知っているすべての者をさばかせよ。また、これを知らない者に、あなたがたは教えよ。 + あなたの神の律法と、王の律法を守らない者には、だれにでも、死刑でも、追放でも、財産の没収でも、または投獄でも、その判決を厳格に執行せよ。」 + 私たちの父祖の神、主はほむべきかな。主はエルサレムにある主の宮に栄光を与えるために、このようなことを王の心に起こさせ、 + 王と、その議官と、すべての王の有力な首長の好意を私に得させてくださった。私の神、主の御手が私の上にあったので、私は奮い立って、私といっしょに上るイスラエル人のかしらたちを集めることができた。 + + + アルタシャスタ王の治世に、バビロンから私といっしょに上って来た一族のかしらとその系図の記載は次のとおりである。 + ピネハス族からはゲルショム。イタマル族からはダニエル。ダビデ族からは、ハトシュ。 + ハトシュはシェカヌヤの孫。パルオシュ族からは、ゼカリヤと、系図に載せられた同行の者、男子百五十名。 + パハテ・モアブ族からは、ゼラヘヤの子エルエホエナイと、同行の男子二百名。 + ザト族からは、ヤハジエルの子シェカヌヤと、同行の男子三百名。 + アディン族からは、ヨナタンの子エベデと、同行の男子五十名。 + エラム族からは、アタルヤの子エシャヤと、同行の男子七十名。 + シェファテヤ族からは、ミカエルの子ゼバデヤと、同行の男子八十名。 + ヨアブ族からは、エヒエルの子オバデヤと、同行の男子二百十八名。 + バニ族からは、ヨシフヤの子シェロミテと、同行の男子百六十名。 + ベバイ族からは、ベバイの子ゼカリヤと、同行の男子二十八名。 + アズガデ族からは、カタンの子ヨハナンと、同行の男子百十名。 + アドニカム族からの者は最後の者たちで、その名はエリフェレテ、エイエル、シェマヤ、および彼らと同行の男子六十名。 + ビグワイ族からは、ウタイとザクルと、同行の男子七十名。 + 私はアハワに流れる川のほとりに彼らを集め、私たちはそこに三日間、宿営した。私はそこに、民と祭司たちとを認めたが、レビ人をひとりも見つけることができなかった。 + それで、私はかしらのエリエゼル、アリエル、シェマヤ、エルナタン、ヤリブ、エルナタン、ナタン、ゼカリヤ、メシュラムと、教師エホヤリブ、エルナタンを呼び集め、 + 彼らをカシフヤ地方のかしらイドのもとに遣わした。私は彼らにことばを授けて、私たちの神の宮に仕える者たちを連れて来るように、カシフヤ地方にいるイドとその兄弟の宮に仕えるしもべたちに命じた。 + 私たちの神の恵みの御手が私たちの上にあったので、彼らはイスラエルの子、レビの子、マフリの子孫のうちから思慮深い人、シェレベヤと、その子たち、およびその兄弟たち十八名を私たちのところに連れて来た。 + また、ハシャブヤとともに、メラリの子孫のうちからエシャヤと、その兄弟と、その子たち二十名、 + および、ダビデとつかさたちにより、レビ人に奉仕するよう任命されていた宮に仕えるしもべたちのうちから、二百二十名の宮に仕えるしもべたちを連れて来た。これらの者はみな、指名された者であった。 + そこで、私はその所、アハワ川のほとりで断食を布告した。それは、私たちの神の前でへりくだり、私たちのために、私たちの子どもたちと、私たちのすべての持ち物のために、道中の無事を神に願い求めるためであった。 + 私は道中の敵から私たちを助ける部隊と騎兵たちを王に求めるのを恥じたからである。私たちは、かつて王に、「私たちの神の御手は、神を尋ね求めるすべての者の上に幸いを下し、その力と怒りとは、神を捨てるすべての者の上に下る」と言っていたからである。 + だから、私たちはこのことのために断食して、私たちの神に願い求めた。すると神は私たちの願いを聞き入れてくださった。 + 私は祭司長たちのうちから十二人、すなわち、シェレベヤとハシャブヤ、および彼らの同僚十人を選び出し、 + 王や、議官たち、つかさたち、および、そこにいたすべてのイスラエル人がささげた、私たちの神の宮への奉納物の銀、金、器類を量って彼らに渡した。 + 私は銀六百五十タラント、また、百タラント相当の銀の器類、および、金百タラントを量って彼らに渡した。 + それにまた、一千ダリク相当の金の鉢二十。また、金のように高価な、光り輝くみごとな青銅の器類二個を彼らに渡した。 + ついで、私は彼らに言った。「あなたがたは主の聖なるものである。この器類も聖なるものとされている。この銀と金は、あなたがたの父祖の神、主への進んでささげるささげ物である。 + あなたがたは、エルサレムの主の宮の部屋で、祭司長たち、レビ人たち、イスラエルの一族の長たちの前で量るまで、寝ずの番をして守りなさい。」 + 祭司とレビ人たちは、その銀、金、器類を、エルサレムの私たちの神の宮に持って行くために、量って、受け取った。 + 私たちはエルサレムに行こうと、第一の月の十二日にアハワ川を出発した。私たちの神の御手が私たちの上にあって、その道中、敵の手、待ち伏せする者の手から、私たちを救い出してくださった。 + こうして、私たちはエルサレムに着いて、そこに三日間とどまった。 + 四日目に銀と金と器類が、私たちの神の宮の中で量られ、ウリヤの子の祭司メレモテの手に渡された。彼とともにピネハスの子エルアザルがおり、彼らとともにレビ人であるヨシュアの子エホザバデと、ビヌイの子ノアデヤがいた。 + 全部が数えられ、量られた。そのとき、全重量が書き留められた。 + 捕囚の人々で、捕囚から帰って来た者は、イスラエルの神に全焼のいけにえをささげた。すなわち、イスラエル全体のために雄牛十二頭、雄羊九十六頭、子羊七十七頭、罪のためのいけにえとして雄やぎ十二頭をささげた。これはすべて主への全焼のいけにえであった。 + それから、彼らは王の命令書を、王の太守たちと、川向こうの総督たちに渡した。この人たちは、この民と神の宮とに援助を与えた。 + + + これらのことが終わって後、つかさたちが私のところに近づいて来て次のように言った。「イスラエルの民や、祭司や、レビ人は、カナン人、ヘテ人、ペリジ人、エブス人、アモン人、モアブ人、エジプト人、エモリ人などの、忌みきらうべき国々の民と縁を絶つことなく、 + かえって、彼らも、その息子たちも、これらの国々の娘をめとり、聖なる種族がこれらの国々の民と混じり合ってしまいました。しかも、つかさたち、代表者たちがこの不信の罪の張本人なのです。」 + 私はこのことを聞いて、着物と上着を裂き、髪の毛とひげを引き抜き、色を失ってすわってしまった。 + 捕囚から帰って来た人々の不信の罪のことで、イスラエルの神のことばを恐れている者はみな、私のところに集まって来た。私は夕方のささげ物の時刻まで、色を失ってじっとすわっていた。 + 夕方のささげ物の時刻になって、私は気を取り戻し、着物と上着を裂いたまま、ひざまずき、私の神、主に向かって手を差し伸ばし、祈って、 + 言った。「私の神よ。私は恥を受け、私の神であるあなたに向かって顔を上げるのも恥ずかしく思います。私たちの咎は私たちの頭より高く増し加わり、私たちの罪過は大きく天にまで達したからです。 + 私たちの先祖の時代から今日まで、私たちは大きな罪過の中にありました。私たちのその咎のため、私たちや、私たちの王、祭司たちは、よその国々の王たちの手に渡され、剣にかけられ、とりこにされ、かすめ奪われ、恥を見せられて、今日あるとおりです。 + しかし、今、しばらくの間、私たちの神、主のあわれみによって、私たちに、のがれた者を残しておき、私たちのためにご自分の聖なる所の中に一つの釘を与えてくださいました。これは、私たちの神が私たちの目を明るくし、奴隷の身の私たちをしばらく生き返らせてくださるためでした。 + 事実、私たちは奴隷です。しかし、私たちの神は、この奴隷の身の私たちを見捨てることなく、かえって、ペルシヤの王たちによって、私たちに恵みを施し、私たちを生かして、私たちの神の宮を再建させ、その廃墟を建て直させ、ユダとエルサレムに石垣を下さいました。 + 今、こうなってからは、何と申し上げたらよいのでしょう。私たちの神よ。私たちはあなたの命令を捨てたからです。 + あなたは、あなたのしもべ、預言者たちによって、こう命じておられました。『あなたがたが、入って行って所有しようとしている地は、そこの国々の民の、忌みきらうべき行いによって汚された汚らわしい地であり、その隅々まで、彼らの汚れで満たされている。 + だから、今、あなたがたの娘を彼らの息子にとつがせてはならない。また、彼らの娘をあなたがたの息子にめとってはならない。永久に彼らの平安も、しあわせも求めてはならない。そうすれば、あなたがたは強くなり、その地の良い物を食べ、これを永久にあなたがたの子孫のために所有することができる』と。 + 私たちの悪い行いと、大きな罪過のために、これらすべてのことが私たちの上に起こって後、――事実、私たちの神、あなたは、私たちの咎の受けるべき刑罰よりも軽く罰し、このようにのがれた者を私たちに残してくださいました―― + 私たちは再び、あなたの命令を破って、忌みきらうべき行いをするこれらの民と互いに縁を結んでよいのでしょうか。あなたは私たちを怒り、ついには私たちを絶ち滅ぼし、生き残った者も、のがれた者もいないようにされるのではないでしょうか。 + イスラエルの神、主。あなたは正しい方です。まことに、今日あるように、私たちは、のがれた者として残されています。ご覧ください。私たちは罪過の中であなたの御前におります。このような状態で、だれもあなたの御前に立つことはできないのに。」 + + + エズラが神の宮の前でひれ伏し、涙ながらに祈って告白しているとき、イスラエルのうちから男や女や子どもの大集団が彼のところに集まって来て、民は激しく涙を流して泣いた。 + そのとき、エラムの子孫のひとりエヒエルの子シェカヌヤが、エズラに答えて言った。「私たちは、私たちの神に対して不信の罪を犯し、この地の民である外国の女をめとりました。しかし、このことについては、イスラエルに、今なお望みがあります。 + 今、私たちは、私たちの神に契約を結び、主の勧告と、私たちの神の命令を恐れる人々の勧告に従って、これらの妻たちと、その子どもたちをみな、追い出しましょう。律法に従ってこれを行いましょう。 + 立ち上がってください。このことはあなたの肩にかかっています。私たちはあなたに協力します。勇気を出して、実行してください。」 + そこで、エズラは立ち上がり、祭司や、レビ人や、全イスラエルのつかさたちに、この提案を実行するように誓わせたので、彼らは誓った。 + エズラは神の宮の前を去って、エルヤシブの子ヨハナンの部屋に行き、パンも食べず、水も飲まずにそこで夜を過ごした。捕囚から帰って来た人々の不信の罪を嘆き悲しんでいたからである。 + そこで、彼らは、捕囚から帰って来た者はみなエルサレムに集合するようにと、ユダとエルサレムにおふれを出した。 + それには、つかさたちや長老たちの勧告に従って、三日のうちに出頭しない者はだれでも、その全財産は聖絶され、その者は、捕囚から帰って来た人々の集団から切り離されることになっていた。 + それで、ユダとベニヤミンの男はみな、三日のうちに、エルサレムに集まって来た。それは第九の月の二十日であった。こうして、すべての民は神の宮の前の広場にすわり、このことと、大雨のために震えていた。 + 祭司エズラは立ち上がって、彼らに言った。「あなたがたは、不信の罪を犯した。外国の女をめとって、イスラエルの罪過を増し加えた。 + だから今、あなたがたの父祖の神、主に告白して、その御旨にかなったことをしなさい。この地の民と、外国の女から離れなさい。」 + 全集団は大声をあげて答えて言った。「必ずあなたの言われたとおりにします。 + しかし、民は大ぜいであり、また、大雨の季節ですから、私たちは外に立っていることができません。しかも、これは一日や二日の仕事でもありません。このことでは、私たちの多くの者がそむいているのですから。 + 私たちのつかさたちは全集団に代わって、ここにとどまっていただきたい。そして、私たちの町で外国の女をめとった者がみな、定まった時に、それぞれの町の長老たちとさばきつかさたちといっしょに出て来るようにしていただきたい。そうすれば、このことについての私たちの神の燃える怒りは、私たちから遠ざかるでしょう。」 + アサエルの子ヨナタンとティクワの子ヤフゼヤだけは、メシュラムとレビ人シャベタイの支持を得て、これに反対したが、 + 捕囚から帰って来た人々は、その提案どおりにした。祭司エズラは、彼らの一族のために、一族のかしらのある者たちをみな、名ざしで選び出した。こうして、彼らはこのことを調べるために、第十の月の一日に会議を始め、 + 第一の月の一日までに、外国の女をめとった男たちについて、みな調べ終えた。 + 祭司の子らのうちで、外国の女をめとった者がわかったが、それはエホツァダクの子ヨシュアの子たちと、その兄弟たちのうちから、マアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダルヤであった。 + 彼らはその妻を出すという誓いをして、彼らの罪過のために、雄羊一頭を罪過のためのいけにえとしてささげた。 + イメル族のうちでは、ハナニとゼバデヤ。 + ハリム族のうちでは、マアセヤ、エリヤ、シェマヤ、エヒエル、ウジヤ。 + パシュフル族のうちでは、エルヨエナイ、マアセヤ、イシュマエル、ネタヌエル、エホザバデ、エルアサ。 + レビ人のうちでは、エホザバデ、シムイ、ケラヤ――すなわちケリタ――、ペタヘヤ、ユダ、エリエゼル。 + 歌うたいのうちでは、エルヤシブ。門衛のうちでは、シャルム、テレム、ウリ。 + 一般のイスラエル人のうち、パルオシュ族のうちでは、ラムヤ、イジヤ、マルキヤ、ミヤミン、エルアザル、マルキヤ、ベナヤ。 + エラム族のうちでは、マタヌヤ、ゼカリヤ、エヒエル、アブディ、エレモテ、エリヤ。 + ザト族のうちでは、エルヨエナイ、エルヤシブ、マタヌヤ、エレモテ、ザバデ、アジザ。 + ベバイ族のうちでは、ヨハナン、ハナヌヤ、ザバイ、アテライ。 + バニ族のうちでは、メシュラム、マルク、アダヤ、ヤシュブ、シェアル、ラモテ。 + パハテ・モアブ族のうちでは、アデナ、ケラル、ベナヤ、マアセヤ、マタヌヤ、ベツァルエル、ビヌイ、マナセ。 + ハリム族のうちでは、エリエゼル、イシヤ、マルキヤ、シェマヤ、シメオン、 + ベニヤミン、マルク、シェマルヤ。 + ハシュム族のうちでは、マテナイ、マタタ、ザバデ、エリフェレテ、エレマイ、マナセ、シムイ。 + バニ族のうちでは、マアダイ、アムラム、ウエル、 + ベナヤ、ベデヤ、ケルフ、 + ワヌヤ、メレモテ、エルヤシブ、 + マタヌヤ、マテナイ、ヤアサイ。 + ビヌイ族のうちでは、シムイ、 + シェレムヤ、ナタン、アダヤ、 + マクナデバイ、シャシャイ、シャライ、 + アザルエル、シェレムヤ、シェマルヤ、 + シャルム、アマルヤ、ヨセフ。 + ネボ族のうちでは、エイエル、マティテヤ、ザバデ、ゼビナ、ヤダイ、ヨエル、ベナヤ。 + これらの者はみな、外国の女をめとった者である。彼らの妻たちのうちには、すでに子どもを産んだ者もいた。 + +
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+ + ハカルヤの子ネヘミヤのことば。/第二十年のキスレウの月に、私がシュシャンの城にいたとき、 + 私の親類のひとりハナニが、ユダから来た数人の者といっしょにやって来た。そこで私は、捕囚から残ってのがれたユダヤ人とエルサレムのことについて、彼らに尋ねた。 + すると、彼らは私に答えた。「あの州の捕囚からのがれて生き残った残りの者たちは、非常な困難の中にあり、またそしりを受けています。そのうえ、エルサレムの城壁はくずされ、その門は火で焼き払われたままです。」 + 私はこのことばを聞いたとき、すわって泣き、数日の間、喪に服し、断食して天の神の前に祈って、 + 言った。「ああ、天の神、主。大いなる、恐るべき神。主を愛し、主の命令を守る者に対しては、契約を守り、いつくしみを賜る方。 + どうぞ、あなたの耳を傾け、あなたの目を開いて、このしもべの祈りを聞いてください。私は今、あなたのしもべイスラエル人のために、昼も夜も御前に祈り、私たちがあなたに対して犯した、イスラエル人の罪を告白しています。まことに、私も私の父の家も罪を犯しました。 + 私たちは、あなたに対して非常に悪いことをして、あなたのしもべモーセにお命じになった命令も、おきても、定めも守りませんでした。 + しかしどうか、あなたのしもべモーセにお命じになったことばを、思い起こしてください。『あなたがたが不信の罪を犯すなら、わたしはあなたがたを諸国民の間に散らす。 + あなたがたがわたしに立ち返り、わたしの命令を守り行うなら、たとい、あなたがたのうちの散らされた者が天の果てにいても、わたしはそこから彼らを集め、わたしの名を住ませるためにわたしが選んだ場所に、彼らを連れて来る』と。 + これらの者たちは、あなたの偉大な力とその力強い御手をもって、あなたが贖われたあなたのしもべ、あなたの民です。 + ああ、主よ。どうぞ、このしもべの祈りと、あなたの名を喜んで敬うあなたのしもべたちの祈りとに、耳を傾けてください。どうぞ、きょう、このしもべに幸いを見せ、この人の前に、あわれみを受けさせてくださいますように。」そのとき、私は王の献酌官であった。 + + + アルタシャスタ王の第二十年のニサンの月に、王の前に酒が出たとき、私は酒を取り上げ、それを王に差し上げた。これまで、私は王の前でしおれたことはなかった。 + そのとき、王は私に言った。「あなたは病気でもなさそうなのに、なぜ、そのように悲しい顔つきをしているのか。きっと心に悲しみがあるに違いない。」私はひどく恐れて、 + 王に言った。「王よ。いつまでも生きられますように。私の先祖の墓のある町が廃墟となり、その門が火で焼き尽くされているというのに、どうして悲しい顔をしないでおられましょうか。」 + すると、王は私に言った。「では、あなたは何を願うのか。」そこで私は、天の神に祈ってから、 + 王に答えた。「王さま。もしもよろしくて、このしもべをいれてくださいますなら、私をユダの地、私の先祖の墓のある町へ送って、それを再建させてください。」 + 王は私に言った。――王妃もそばにすわっていた――「旅はどのくらいかかるのか。いつ戻って来るのか。」私が王にその期間を申し出ると、王は快く私を送り出してくれた。 + それで、私は王に言った。「もしも、王さまがよろしければ、川向こうの総督たちへの手紙を私に賜り、私がユダに着くまで、彼らが私を通らせるようにしてください。 + また、王に属する御園の番人アサフへの手紙も賜り、宮の城門の梁を置くため、また、あの町の城壁と、私が入る家のために、彼が材木を私に与えるようにしてください。」私の神の恵みの御手が私の上にあったので、王はそれをかなえてくれた。 + 私は、川向こうの総督たちのところに行き、王の手紙を彼らに手渡した。それに、王は将校たちと騎兵を私につけてくれた。 + ホロン人サヌバラテと、アモン人で役人のトビヤは、これを聞いて、非常に不きげんになった。イスラエル人の利益を求める人がやって来たからである。 + こうして、私はエルサレムにやって来て、そこに三日間とどまった。 + あるとき、私は夜中に起きた。ほかに数人の者もいっしょにいた。しかし、私の神が、私の心を動かしてエルサレムのためにさせようとされることを、私はだれにも告げなかった。また、私が乗った獣のほかには、一頭の獣も連れて行かなかった。 + 私は夜、谷の門を通って竜の泉のほう、糞の門のところに出て行き、エルサレムの城壁を調べると、それはくずされ、その門は火で焼け尽きていた。 + さらに、私は泉の門と王の池のほうへ進んで行ったが、私の乗っている獣の通れる所がなかった。 + そこで、私は夜のうちに流れを上って行き、城壁を調べた。そしてまた引き返し、谷の門を通って戻って来た。 + 代表者たちは、私がどこへ行っていたか、また私が何をしていたか知らなかった。それに、私は、それをユダヤ人にも、祭司たちにも、おもだった人たちにも、代表者たちにも、その他工事をする者たちにも、まだ知らせていなかった。 + それから、私は彼らに言った。「あなたがたは、私たちの当面している困難を見ている。エルサレムは廃墟となり、その門は火で焼き払われたままである。さあ、エルサレムの城壁を建て直し、もうこれ以上そしりを受けないようにしよう。」 + そして、私に恵みを下さった私の神の御手のことと、また、王が私に話したことばを、彼らに告げた。そこで彼らは、「さあ、再建に取りかかろう」と言って、この良い仕事に着手した。 + ところが、ホロン人サヌバラテと、アモン人で役人のトビヤ、および、アラブ人ゲシェムは、これを聞いて、私たちをあざけり、私たちをさげすんで言った。「おまえたちのしているこのことは何だ。おまえたちは王に反逆しようとしているのか。」 + そこで、私は彼らにことばを返して言った。「天の神ご自身が、私たちを成功させてくださる。だから、そのしもべである私たちは、再建に取りかかっているのだ。しかし、あなたがたにはエルサレムの中に何の分け前も、権利も、記念もないのだ。」 + + + こうして、大祭司エルヤシブは、その兄弟の祭司たちと、羊の門の再建に取りかかった。彼らはそれを聖別して、とびらを取りつけた。彼らはメアのやぐらまで聖別し、ハナヌエルのやぐらにまで及んだ。 + 彼の次にエリコの人々が建て、その次にイムリの子ザクルが建てた。 + 魚の門はセナアの子らが建てた。彼らは梁を置き、とびら、かんぬき、横木を取りつけた。 + 彼らの次に、コツの子ウリヤの子であるメレモテが修理し、その次に、メシェザブエルの子ベレクヤの子であるメシュラムが修理し、その次に、バアナの子ツァドクが修理した。 + その次に、テコア人たちが修理したが、そのすぐれた人たちは彼らの主人たちの工事に協力しなかった。 + エシャナの門はパセアハの子エホヤダと、ベソデヤの子メシュラムが修理した。彼らは梁を置き、とびら、かんぬき、横木を取りつけた。 + 彼らの次に、ギブオン人メラテヤと、メロノテ人ヤドン、それに川向こうの総督の管轄に属するギブオンとミツパの人々が修理した。 + その次に、金細工人のハルハヤの子ウジエルが修理し、その次に、香料作りのひとりハナヌヤが修理した。こうして、彼らはエルサレムを、広い城壁のところまで修復した。 + 彼らの次に、エルサレム地区の半区の長、フルの子レファヤが修理した。 + その次に、ハルマフの子エダヤが自分の家に面する所を修理し、その次に、ハシャブネヤの子ハトシュが修理した。 + ハリムの子マルキヤと、パハテ・モアブの子ハシュブは、その続きの部分と炉のやぐらを修理した。 + その次に、エルサレムの残りの半区の長、ロヘシュの子シャルムが、自分の娘たちといっしょに修理した。 + 谷の門はハヌンと、ザノアハの住民が修理した。彼らはそれを建て直し、とびら、かんぬき、横木を取りつけ、糞の門までの城壁一千キュビトを修理した。 + 糞の門はベテ・ハケレム地区の長、レカブの子マルキヤが修理した。彼はそれを建て直し、とびら、かんぬき、横木を取りつけた。 + 泉の門はミツパ地区の長、コル・ホゼの子シャルンが修理した。彼はそれを建て直し、屋根をつけ、とびら、かんぬき、横木を取りつけた。また、王の園のシェラフの池の城壁を、ダビデの町から下って来る階段のところまで修理した。 + そのあとに、ベテ・ツル地区の半区の長、アズブクの子ネヘミヤが、ダビデの墓地に面する所と、人工貯水池と、勇士たちの家のところまで修理した。 + そのあとに、バニの子レフムなど、レビ人たちが修理した。その次に、ケイラ地区の半区の長、ハシャブヤが、自分の区域のために修理した。 + そのあとに、ケイラの残りの半地区の長、ヘナダデの子バワイなど、彼らの同僚たちが修理した。 + その次に、ミツパの長、ヨシュアの子エゼルが、城壁の曲がりかどにある武器倉への上り坂に面した続きの部分を修理した。 + そのあとに、ザカイの子バルクが、城壁の曲がりかどから大祭司エルヤシブの家の門のところまでの続きの部分を、熱心に修理した。 + そのあとに、コツの子ウリヤの子メレモテが、エルヤシブの家の門からエルヤシブの家の端までの続きの部分を修理した。 + そのあとに、低地の人々である祭司たちが修理した。 + そのあとに、ベニヤミンとハシュブが、彼らの家に面する所を修理した。そのあとに、アナネヤの子マアセヤの子アザルヤが、自分の家の近くを修理した。 + そのあとに、ヘナダデの子ビヌイが、アザルヤの家から城壁の曲がりかどの、隅までの続きの部分を修理した。 + ウザイの子パラルは、城壁の曲がりかどに面した所と、監視の庭のそばにあって、王宮から高く突き出ているやぐらを修理した。そのあとに、パルオシュの子ペダヤと、 + オフェルの住民で宮に仕えるしもべたちとは、東のほうの水の門、および突き出ているやぐらに面する所までを修理した。 + そのあとに、テコア人が、突き出ている大きなやぐらに面している所から、オフェルの城壁までの続きの部分を修理した。 + 馬の門から上のほうは、祭司たちがそれぞれ、自分の家に面する所を修理した。 + そのあとに、イメルの子ツァドクが、自分の家に面する所を修理した。そのあとに、シェカヌヤの子、東の門を守る者シェマヤが修理した。 + そのあとに、シェレムヤの子ハナヌヤと、ツァラフの六男ハヌンが、その続きの部分を修理した。そのあとに、ベレクヤの子メシュラムが、自分の部屋に面する部分を修理した。 + そのあとに、金細工人のひとりマルキヤは、召集の門の向かい側にある宮に仕えるしもべたちや商人たちの家を、かどの二階の部屋のところまで修理した。 + かどの二階の部屋と羊の門の間は、金細工人と商人たちが修理した。 + + + サヌバラテは私たちが城壁を修復していることを聞くと、怒り、また非常に憤慨して、ユダヤ人たちをあざけった。 + 彼はその同胞と、サマリヤの有力者たちの前で言った。「この哀れなユダヤ人たちは、いったい何をしているのか。あれを修復して、いけにえをささげようとするのか。一日で仕上げようとするのか。焼けてしまった石をちりあくたの山から生き返らせようとするのか。」 + 彼のそばにいたアモン人トビヤもまた、「彼らの建て直している城壁なら、一匹の狐が上っても、その石垣をくずしてしまうだろう」と言った。 + 「お聞きください、私たちの神。私たちは軽蔑されています。彼らのそしりを彼らの頭に返し、彼らが捕囚の地でかすめ奪われるようにしてください。 + 彼らの咎を赦すことなく、彼らの罪を御前からぬぐい去らないでください。彼らは建て直す者たちを侮辱したからです。」 + こうして、私たちは城壁を建て直し、城壁はみな、その高さの半分まで継ぎ合わされた。民に働く気があったからである。 + ところが、サヌバラテ、トビヤ、アラブ人、アモン人、アシュドデ人たちは、エルサレムの城壁の修復がはかどり、割れ目もふさがり始めたことを聞いたとき、非常に怒り、 + 彼らはみな共にエルサレムに攻め入り、混乱を起こそうと陰謀を企てた。 + しかし私たちは、私たちの神に祈り、彼らに備えて日夜見張りを置いた。 + そのとき、ユダの人々は言った。「荷をになう者の力は衰えているのに、ちりあくたは山をなしている。私たちは城壁を築くことはできない。」 + 一方、私たちの敵は言った。「彼らの知らないうちに、また見ないうちに、彼らの真ん中に入り込んで、彼らを殺し、その工事をやめさせよう。」 + そこで、彼らの近くに住んでいたユダヤ人たちがやって来て、四方から十回も私たちに言った。「私たちのところに戻って来てほしい。」 + そこで私は、民をその家族ごとに、城壁のうしろの低い所の、空地に、剣や槍や弓を持たせて配置した。 + 私は彼らが恐れているのを見て立ち上がり、おもだった人々や、代表者たち、およびその他の人々に言った。「彼らを恐れてはならない。大いなる恐るべき主を覚え、自分たちの兄弟、息子、娘、妻、また家のために戦いなさい。」 + 私たちの敵が、彼らのたくらみは私たちに悟られ、神がそれを打ちこわされたということを聞いたとき、私たちはみな、城壁に帰り、それぞれ自分の工事に戻った。 + その日以来、私に仕える若い者の半分は工事を続け、他の半分は、槍や、盾、弓、よろいで身を固めていた。一方、隊長たちはユダの全家を守った。 + 城壁を築く者たち、荷をかついで運ぶ者たちは、片手で仕事をし、片手に投げ槍を堅く握っていた。 + 築く者は、それぞれ剣を腰にして築き、角笛を吹き鳴らす者は、私のそばにいた。 + 私はおもだった人々や、代表者たち、およびその他の人々に言った。「この工事は大きく、また広がっている。私たちは城壁の上で互いに遠く離れ離れになっている。 + どこででも、あなたがたが角笛の鳴るのを聞いたら、私たちのところに集まって来なさい。私たちの神が私たちのために戦ってくださるのだ。」 + こうして、私たちはこの工事を進めたが、その半分の者は、夜明けから星の現れる時まで、槍を手に取っていた。 + そのときまた、私は民に言った。「だれでも自分に仕える若い者といっしょにエルサレムのうちで夜を明かすようにしなさい。そうすれば、夜にも見張りがおり、昼には働くことができる。」 + 私も、私の親類の者も、私に仕える若い者たちも、私を守る見張りの人々も、私たちのうちのだれも、服を脱がず、それぞれ投げ槍を手にしていた。 + + + ときに、民とその妻たちは、その同胞のユダヤ人たちに対して強い抗議の声をあげた。 + ある者は、「私たちには息子や娘が大ぜいいる。私たちは、食べて生きるために、穀物を手に入れなければならない」と言い、 + またある者は、「このききんに際し、穀物を手に入れるために、私たちの畑も、ぶどう畑も、家も抵当に入れなければならない」と言った。 + またある者は言った。「私たちは、王に支払う税金のために、私たちの畑とぶどう畑をかたにして、金を借りなければならなかった。 + 現に、私たちの肉は私たちの兄弟の肉と同じであり、私たちの子どもも彼らの子どもと同じなのだ。それなのに、今、私たちは自分たちの息子や娘を奴隷に売らなければならない。事実、私たちの娘で、もう奴隷にされている者もいる。しかし、私たちの畑もぶどう畑も他人の所有となっているので、私たちにはどうする力もない。」 + 私は彼らの不平と、これらのことばを聞いて、非常に怒った。 + 私は十分考えたうえで、おもだった者たちや代表者たちを非難して言った。「あなたがたはみな、自分の兄弟たちに、担保を取って金を貸している」と。私は大集会を開いて彼らを責め、 + 彼らに言った。「私たちは、異邦人に売られた私たちの兄弟、ユダヤ人を、できるかぎり買い取った。それなのに、あなたがたはまた、自分の兄弟たちを売ろうとしている。私たちが彼らを買わなければならないのだ。」すると、彼らは黙ってしまい、一言も言いだせなかった。 + 私は言い続けた。「あなたがたのしていることは良くない。あなたがたは、私たちの敵である異邦人のそしりを受けないために、私たちの神を恐れながら歩むべきではないか。 + 私も、私の親類の者も、私に仕える若い者たちも、彼らに金や穀物を貸してやったが、私たちはその負債を帳消しにしよう。 + だから、あなたがたも、きょう、彼らの畑、ぶどう畑、オリーブ畑、家、それにまた、あなたがたが彼らに貸していた金や、穀物、新しいぶどう酒、油などの利子を彼らに返してやりなさい。」 + すると彼らは、「私たちは返します。彼らから何も要求しません。私たちはあなたの言われるとおりにします」と言った。そこで、私は祭司たちを呼び、彼らにこの約束を実行する誓いを立てさせた。 + 私はまた、私のすそを振って言った。「この約束を果たさない者を、ひとり残らず、神がこのように、その家とその勤労の実とから振り落としてくださいますように。このように、その者は振り落とされて、むなしいものとなりますように。」すると全集団は、「アーメン」と言って、主をほめたたえた。こうして、民はこの約束を実行した。 + また、私がユダの地の総督として任命された時から、すなわち、アルタシャスタ王の第二十年から第三十二年までの十二年間、私も私の親類も、総督としての手当を受けなかった。 + 私の前任の総督たちは民の負担を重くし、民から、パンとぶどう酒のために取り立て、そのうえ、銀四十シェケルを取った。しかも、彼らに仕える若い者たちは民にいばりちらした。しかし、私は神を恐れて、そのようなことはしなかった。 + また、私はこの城壁の工事に専念し、私たちは農地を買わなかった。私に仕える若い者たちはみな、工事に集まっていた。 + ユダヤ人の代表者たち百五十人と、私たちの回りの国々から来る者が、私の食卓についていた。 + それで、一日に牛一頭、えり抜きの羊六頭が料理され、私のためには鶏が料理された。それに、十日ごとに、あらゆる種類のぶどう酒をたくさん用意した。それでも私は、この民に重い労役がかかっていたので、総督としての手当を要求しなかった。 + 私の神。どうか私がこの民のためにしたすべてのことを覚えて、私をいつくしんでください。 + + + さて、私が城壁を建て直し、破れ口は残されていないということが、サヌバラテ、トビヤ、アラブ人ゲシェム、その他の私たちの敵に聞こえると、――その時まで、私はまだ、門にとびらを取りつけていなかった―― + サヌバラテとゲシェムは私のところに使いをよこして言った。「さあ、オノの平地にある村の一つで会見しよう。」彼らは私に害を加えようとたくらんでいたのである。 + そこで、私は彼らのところに使者たちをやって言った。「私は大工事をしているから、下って行けない。私が工事をそのままにして、あなたがたのところへ下って行ったため、工事が止まるようなことがあってよいものだろうか。」 + すると、彼らは同じようにして、四度も私のところに人をよこした。それで私も同じように彼らに答えた。 + サヌバラテは五度目にも同じようにして、若い者を私のところによこした。その手には一通の開封した手紙を持っていた。 + それには次のように書いてあった。「諸国民の間に言いふらされ、また、ゲシェムも言っているが、あなたとユダヤ人たちは反逆をたくらんでおり、そのために、あなたは城壁を建て直している。このうわさによれば、あなたは彼らの王になろうとしている。 + また、あなたはエルサレムで、自分について宣言させるために、預言者たちを任命して、『ユダに王がいる』と言わせている。今にこのようなことが王に聞こえるであろう。さあ、来なさい。いっしょに相談しよう。」 + そこで、私は彼のところに人をやって言わせた。「あなたが言っているようなことはされていない。あなたはそのことを自分でかってに考え出したのだ」と。 + 事実、これらのことはみな、「あの者たちが気力を失って工事をやめ、中止するだろう」と考えて、私たちをおどすためであった。ああ、今、私を力づけてください。 + 私がメヘタブエルの子デラヤの子シェマヤの家に行ったところ、彼は引きこもっており、そして言った。「私たちは、神の宮、本堂の中で会い、本堂の戸を閉じておこう。彼らがあなたを殺しにやって来るからだ。きっと夜分にあなたを殺しにやって来る。」 + そこで、私は言った。「私のような者が逃げてよいものか。私のような者で、だれが本堂に入って生きながらえようか。私は入って行かない。」 + 私にはわかっている。今、彼を遣わしたのは、神ではない。彼がこの預言を私に伝えたのは、トビヤとサヌバラテが彼を買収したからである。 + 彼が買収されたのは、私が恐れ、言われるとおりにして、私が罪を犯すようにするためであり、彼らの悪口の種とし、私をそしるためであった。 + わが神よ。トビヤやサヌバラテのあのしわざと、また、私を恐れさせようとした女預言者ノアデヤや、その他の預言者たちのしわざを忘れないでください。 + こうして、城壁は五十二日かかって、エルルの月の二十五日に完成した。 + 私たちの敵がみな、これを聞いたとき、私たちの回りの諸国民はみな恐れ、大いに面目を失った。この工事が、私たちの神によってなされたことを知ったからである。 + また、そのころ、ユダのおもだった人々は、トビヤのところにひんぱんに手紙を送っており、トビヤも彼らに返事をしていた。 + それは、トビヤがアラフの子シェカヌヤの婿であり、また、トビヤの子ヨハナンもベレクヤの子メシュラムの娘を妻にめとっていたので、彼と誓いを立てていた者がユダの中に大ぜいいたからである。 + 彼らはまた、私の前でトビヤの善行を語り、私の言うことを彼に伝えていた。トビヤは私をおどそうと、たびたび手紙を送って来た。 + + + 城壁が再建され、私がとびらを取りつけたとき、門衛と、歌うたいと、レビ人が任命された。 + 私は、兄弟ハナニと、この城のつかさハナヌヤとに、エルサレムを治めるように命じた。これは、ハナヌヤが誠実な人であり、多くの人にまさって神を恐れていたからである。 + 私はふたりに言った。「太陽が高く上って暑くなる前に、エルサレムの門をあけてはならない。そして住民が警備に立っている間に、門を閉じ、かんぬきを差しなさい。エルサレムの住民のうちから、それぞれの見張り所と自分の家の前に見張りを立てなさい。」 + この町は広々としていて大きかったが、そのうちの住民は少なく、家もまだ十分に建てられていなかった。 + 私の神は、私の心を動かして、私がおもだった人々や、代表者たちや、民衆を集めて、彼らの系図を記載するようにされた。私は最初に上って来た人々の系図を発見し、その中に次のように書かれているのを見つけた。 + バビロンの王ネブカデネザルが引いて行った捕囚の民で、その捕囚の身から解かれて上り、エルサレムとユダに戻り、めいめい自分の町に戻ったこの州の人々は次のとおりである。 + ゼルバベルといっしょに帰って来た者は、ヨシュア、ネヘミヤ、アザルヤ、ラアムヤ、ナハマニ、モルデカイ、ビルシャン、ミスペレテ、ビグワイ、ネフム、バアナ。/イスラエルの民の人数は次のとおりである。 + パルオシュ族、二千百七十二名。 + シェファテヤ族、三百七十二名。 + アラフ族、六百五十二名。 + ヨシュアとヨアブの二族からなるパハテ・モアブ族、二千八百十八名。 + エラム族、一千二百五十四名。 + ザト族、八百四十五名。 + ザカイ族、七百六十名。 + ビヌイ族、六百四十八名。 + ベバイ族、六百二十八名。 + アズガデ族、二千三百二十二名。 + アドニカム族、六百六十七名。 + ビグワイ族、二千六十七名。 + アディン族、六百五十五名。 + ヒゼキヤ族、すなわちアテル族、九十八名。 + ハシュム族、三百二十八名。 + ベツァイ族、三百二十四名。 + ハリフ族、百十二名。 + ギブオン族、九十五名。 + ベツレヘムとネトファの人々、百八十八名。 + アナトテの人々、百二十八名。 + ベテ・アズマベテの人々、四十二名。 + キルヤテ・エアリムと、ケフィラと、ベエロテの人々、七百四十三名。 + ラマとゲバの人々、六百二十一名。 + ミクマスの人々、百二十二名。 + ベテルとアイの人々、百二十三名。 + 別のネボの人々、五十二名。 + 別のエラム族、一千二百五十四名。 + ハリム族、三百二十名。 + エリコの人、三百四十五名。 + ロデと、ハディデと、オノの人、七百二十一名。 + セナアの人、三千九百三十名。 + 祭司は、ヨシュアの家のエダヤ族、九百七十三名。 + イメル族、一千五十二名。 + パシュフル族、一千二百四十七名。 + ハリム族、一千十七名。 + レビ人は、ホデヤ族のヨシュアとカデミエルの二族、七十四名。 + 歌うたいは、アサフ族、百四十八名。 + 門衛は、シャルム族、アテル族、タルモン族、アクブ族、ハティタ族、ショバイ族、百三十八名。 + 宮に仕えるしもべたちは、ツィハ族、ハスファ族、タバオテ族、 + ケロス族、シア族、パドン族、 + レバナ族、ハガバ族、サルマイ族、 + ハナン族、ギデル族、ガハル族、 + レアヤ族、レツィン族、ネコダ族、 + ガザム族、ウザ族、パセアハ族、 + ベサイ族、メウニム族、ネフィシェシム族、 + バクブク族、ハクファ族、ハルフル族、 + バツリテ族、メヒダ族、ハルシャ族、 + バルコス族、シセラ族、テマフ族、 + ネツィアハ族、ハティファ族。 + ソロモンのしもべたちの子孫は、ソタイ族、ソフェレテ族、ペリダ族、 + ヤアラ族、ダルコン族、ギデル族、 + シェファテヤ族、ハティル族、ポケレテ・ハツェバイム族、アモン族。 + 宮に仕えるしもべたちと、ソロモンのしもべたちの子孫は、合計三百九十二名。 + 次の人々は、テル・メラフ、テル・ハルシャ、ケルブ、アドン、イメルから引き揚げて来たが、自分たちの先祖の家系と血統がイスラエル人であったかどうかを、証明することができなかった。 + すなわち、デラヤ族、トビヤ族、ネコダ族、六百四十二名。 + 祭司のうちでは、ホバヤ族、コツ族、バルジライ族。――このバルジライは、ギルアデ人バルジライの娘のひとりを妻にめとったので、その名をもって呼ばれていた―― + これらの人々は、自分たちの系図書きを捜してみたが、見つからなかったので、彼らは祭司職を果たす資格がない者とされた。 + それで、総督は、ウリムとトンミムを使える祭司が起こるまでは最も聖なるものを食べてはならない、と命じた。 + 全集団の合計は四万二千三百六十名であった。 + このほかに、彼らの男女の奴隷が七千三百三十七名いた。また彼らには男女の歌うたいが二百四十五名いた。 + らくだは四百三十五頭。ろばは六千七百二十頭であった。 + 一族のかしらの何人かは、工事のためにささげ物をした。総督は資金のために金一千ダリク、鉢五十、祭司の長服五百三十着をささげ、 + また、一族のかしらのある者は、工事の資金のために金二万ダリク、銀二千二百ミナをささげた。 + そのほかの民のささげたものは、金二万ダリク、銀二千ミナ、祭司の長服六十七着であった。 + こうして、祭司、レビ人、門衛、歌うたい、民のある者たち、宮に仕えるしもべたち、および、すべてのイスラエル人は、自分たちのもとの町々に住みついた。/イスラエル人は自分たちの町々にいたが、第七の月が近づくと、 + + + 民はみな、いっせいに、水の門の前の広場に集まって来た。そして彼らは、主がイスラエルに命じたモーセの律法の書を持って来るように、学者エズラに願った。 + そこで、第七の月の一日目に祭司エズラは、男も女も、すべて聞いて理解できる人たちからなる集団の前に律法を持って来て、 + 水の門の前の広場で、夜明けから真昼まで、男や女で理解できる人たちの前で、これを朗読した。民はみな、律法の書に耳を傾けた。 + 学者エズラは、このために作られた木の台の上に立った。彼のそばには、右手にマティテヤ、シェマ、アナヤ、ウリヤ、ヒルキヤ、マアセヤが立ち、左手にペダヤ、ミシャエル、マルキヤ、ハシュム、ハシュバダナ、ゼカリヤ、メシュラムが立った。 + エズラはすべての民の面前で、その書を開いた。彼はすべての民よりも高い所にいたからである。彼がそれを開くと、民はみな立ち上がった。 + エズラが大いなる神、主をほめたたえると、民はみな、手を上げながら、「アーメン、アーメン」と答えてひざまずき、地にひれ伏して主を礼拝した。 + ヨシュア、バニ、シェレベヤ、ヤミン、アクブ、シャベタイ、ホディヤ、マアセヤ、ケリタ、アザルヤ、エホザバデ、ハナン、ペラヤなどレビ人たちは、民に律法を解き明かした。その間、民はそこに立っていた。 + 彼らが神の律法の書をはっきりと読んで説明したので、民は読まれたことを理解した。 + 総督であるネヘミヤと、祭司であり学者であるエズラと、民に解き明かすレビ人たちは、民全部に向かって言った。「きょうは、あなたがたの神、主のために聖別された日である。悲しんではならない。泣いてはならない。」民が律法のことばを聞いたときに、みな泣いていたからである。 + さらに、ネヘミヤは彼らに言った。「行って、上等な肉を食べ、甘いぶどう酒を飲みなさい。何も用意できなかった者にはごちそうを贈ってやりなさい。きょうは、私たちの主のために聖別された日である。悲しんではならない。あなたがたの力を主が喜ばれるからだ。」 + レビ人たちも、民全部を静めながら言った。「静まりなさい。きょうは神聖な日だから。悲しんではならない。」 + こうして、民はみな、行き、食べたり飲んだり、ごちそうを贈ったりして、大いに喜んだ。これは、彼らが教えられたことを理解したからである。 + 二日目に、すべての民の一族のかしらたちと、祭司たち、レビ人たちは、律法のことばをよく調べるために、学者エズラのところに集まって来た。 + こうして彼らは、主がモーセを通して命じた律法に、イスラエル人は第七の月の祭りの間、仮庵の中に住まなければならない、と書かれているのを見つけ出した。 + これを聞くと、彼らは、自分たちのすべての町々とエルサレムに、次のようなおふれを出した。「山へ出て行き、オリーブ、野生のオリーブの木、ミルトス、なつめやし、また、枝の茂った木などの枝を取って来て、書かれているとおりに仮庵を作りなさい。」 + そこで、民は出て行って、それを持って帰り、それぞれ自分の家の屋根の上や、庭の中、または、神の宮の庭や、水の門の広場、エフライムの門の広場などに、自分たちのために仮庵を作った。 + 捕囚から帰って来た全集団は、仮庵を作り、その仮庵に住んだ。ヌンの子ヨシュアの時代から今日まで、イスラエル人はこのようにしていなかったので、それは非常に大きな喜びであった。 + 神の律法の書は、最初の日から最後の日まで、毎日朗読された。祭りは七日間、祝われ、八日目には定めに従って、きよめの集会が行われた。 + + + その月の二十四日に、イスラエル人は断食をし、荒布を着け、土をかぶって集まった。 + そして、すべての外国人との縁を絶ったイスラエルの子孫は立ち上がって、自分たちの罪と、先祖の咎を告白した。 + 彼らはその所に立ったままで、昼の四分の一は、彼らの神、主の律法の書を朗読し、次の四分の一は、告白をして、彼らの神、主を礼拝した。 + ヨシュア、バニ、カデミエル、シェバヌヤ、ブニ、シェレベヤ、バニ、ケナニは、レビ人の台の上に立ち上がり、彼らの神、主に対し大声で叫んだ。 + それからまた、レビ人のヨシュア、カデミエル、バニ、ハシャブネヤ、シェレベヤ、ホディヤ、シェバヌヤ、ペタヘヤは言った。「立ち上がって、とこしえからとこしえまでいますあなたがたの神、主をほめたたえよ。すべての祝福と賛美を越えるあなたの栄光の御名はほむべきかな。」 + 「ただ、あなただけが主です。あなたは天と、天の天と、その万象、地とその上のすべてのもの、海とその中のすべてのものを造り、そのすべてを生かしておられます。そして、天の軍勢はあなたを伏し拝んでおります。 + あなたこそ神である主です。あなたはアブラムを選んでカルデヤ人のウルから連れ出し、彼にアブラハムという名を与えられました。 + あなたは、彼の心が御前に真実であるのを見て、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、エブス人、ギルガシ人の地を、彼と彼の子孫に与えるとの契約を彼と結び、あなたの約束を果たされました。あなたは正しい方だからです。 + あなたはエジプトで私たちの先祖が受けた悩みを見、また、葦の海のほとりでの彼らの叫びを聞かれました。 + あなたは、パロとそのすべての家臣、その国のすべての民に対して、しるしと不思議を行われました。これは、彼らが私たちの先祖に対して、かってなことをしていたのをあなたが知られたからです。こうして、今日あるとおり、あなたは名をあげられました。 + あなたが彼らの前で海を分けたので、彼らは海の中のかわいた地を通って行きました。しかし、あなたは、奔流に石を投げ込むように、彼らの追っ手を海の深みに投げ込まれました。 + 昼間は雲の柱によって彼らを導き、夜は火の柱によって彼らにその行くべき道を照らされました。 + あなたはシナイ山の上に下り、天から彼らと語り、正しい定めと、まことの律法、良きおきてと命令を彼らにお与えになりました。 + あなたの聖なる安息を彼らに教え、あなたのしもべモーセを通して、命令とおきてと律法を彼らに命じられました。 + 彼らが飢えたときには、天からパンを彼らに与え、彼らが渇いたときには、岩から水を出し、こうして、彼らに与えると誓われたその地を所有するために進んで行くよう彼らに命じられました。 + しかし、彼ら、すなわち私たちの先祖は、かってにふるまい、うなじをこわくし、あなたの命令に聞き従いませんでした。 + 彼らは聞き従うことを拒み、あなたが彼らの間で行われた奇しいみわざを記憶もせず、かえってうなじをこわくし、ひとりのかしらを立ててエジプトでの奴隷の身に戻ろうとしました。それにもかかわらず、あなたは赦しの神であり、情け深く、あわれみ深く、怒るのにおそく、恵み豊かであられるので、彼らをお捨てになりませんでした。 + 彼らが自分たちのために、一つの鋳物の子牛を造り、『これがあなたをエジプトから導き上ったあなたの神だ』と言って、ひどい侮辱を加えたときでさえ、 + あなたは、大きなあわれみをかけ、彼らを荒野に見捨てられませんでした。昼間は雲の柱が彼らから離れないで、道中、彼らを導き、夜には火の柱が彼らの行くべき道を照らしました。 + あなたは、彼らに悟らせようと、あなたのいつくしみ深い霊を賜り、彼らの口からあなたのマナを絶やさず、彼らが渇いたときには、彼らに水を与えられました。 + 四十年の間、あなたは彼らを荒野で養われたので、彼らは何も不足することなく、彼らの着物もすり切れず、足もはれませんでした。 + あなたは彼らに王国や国々の民を与え、それらを領地として割り当てられました。こうして、彼らはシホンの地、すなわちヘシュボンの王の地と、バシャンの王オグの地を占領しました。 + あなたは彼らの子孫を空の星のようにふやし、彼らの先祖たちに、入って行って所有せよ、と言われた地に、彼らを導き入れられました。 + こうして、その子孫は、入って行って、その地を所有しました。あなたは、彼らの前でこの地の住民、カナン人を屈服させ、これを彼らの手に渡し、その王たちや、この地の人々も渡して、これを思いどおりに扱うようにされました。 + こうして、彼らは城壁のある町々と、肥えた土地を攻め取り、あらゆる良い物の満ちた家、掘り井戸、ぶどう畑、オリーブ畑、および果樹をたくさん手に入れました。それで、彼らは食べて、満腹し、肥え太って、あなたの大いなる恵みを楽しみました。 + しかし、彼らは反抗的で、あなたに反逆し、あなたの律法をうしろに投げ捨て、あなたに立ち返らせようとして彼らを戒めたあなたの預言者たちを殺し、ひどい侮辱を加えました。 + そこで、あなたは彼らを敵の手に渡され、敵が彼らを苦しめました。彼らがその苦難の時にあなたに叫び求めると、あなたは天からこれを聞き入れ、あなたの大いなるあわれみによって、彼らに救う者たちを与え、彼らを敵の手から救ってくださいました。 + しかし、ひと息つくと、彼らはまた、あなたの前に悪事を行いました。そこで、あなたは彼らを敵の手にゆだねられ、敵が彼らを支配しました。しかし、彼らが立ち返って、あなたに叫び求めると、あなたは天からこれを聞き入れ、あなたのあわれみによって、たびたび彼らを救い出されました。 + あなたは彼らを戒めて、彼らをあなたの律法に立ち返らせようとされましたが、彼らはかってなふるまいをして、あなたの命令に聞き従わず、もし人がこれを行うなら、これによって生きる、というあなたの定めにそむいて罪を犯し、肩を怒らして、うなじをこわくし、聞き入れようとはしませんでした。 + それでも、あなたは何年も彼らを忍び、あなたの預言者たちを通して、あなたの霊によって彼らを戒められましたが、彼らは耳を傾けませんでした。それであなたは、彼らを国々の民の手に渡されました。 + しかし、あなたは大いなるあわれみをかけて、彼らを滅ぼし尽くさず、彼らを捨てられませんでした。あなたは、情け深く、あわれみ深い神であられますから。 + 私たちの神、契約と恵みを守られる、大いなる、力強い、恐るべき神よ。アッシリヤの王たちの時代から今日まで、私たちと私たちの王たち、私たちのつかさ、祭司、預言者たち、また、私たちの先祖と、あなたの民全部に降りかかったすべての困難を、どうか今、小さい事とみなさないでください。 + 私たちに降りかかって来たすべての事において、あなたは正しかったのです。あなたは誠実をもって行われたのに、私たちは悪を行ったのです。 + 私たちの王たち、つかさたち、祭司たち、先祖たちは、あなたの律法を守らず、あなたの命令と、あなたが彼らに与えた警告を心に留めませんでした。 + 彼らは、自分たちの王国のうちと、あなたが彼らに与えたその大きな恵みのうちに、また、あなたが彼らの前に置かれた広くて肥えた土地のうちにありながら、あなたに仕えず、また自分たちの悪い行いから、立ち返りもしませんでした。 + ご覧ください。私たちは今、奴隷です。あなたが私たちの先祖に与えて、その実りと、その良い物を食べるようにされたこの地で、ご覧ください、私たちは奴隷です。 + 私たちが罪を犯したので、あなたは私たちの上に王たちを立てられましたが、その王たちのために、この地は多くの収穫を与えています。彼らは私たちのからだと、私たちの家畜を思いどおりに支配しております。それで私たちは非常な苦しみの中におります。」 + これらすべてのことのゆえに、私たちは堅い盟約を結び、それを書きしるした。そして、私たちのつかさたち、レビ人たち、祭司たちはそれに印を押した。 + + + 印を押した者は次のとおりである。ハカルヤの子の総督ネヘミヤ、およびゼデキヤ、 + セラヤ、アザルヤ、エレミヤ、 + パシュフル、アマルヤ、マルキヤ、 + ハトシュ、シェバヌヤ、マルク、 + ハリム、メレモテ、オバデヤ、 + ダニエル、ギネトン、バルク、 + メシュラム、アビヤ、ミヤミン、 + マアズヤ、ビルガイ、シェマヤ。以上は祭司たちであった。 + 次にレビ人たちでは、アザヌヤの子ヨシュア、ヘナダデの子らのうちのビヌイ、カデミエル、 + および、彼らの親類シェバヌヤ、ホディヤ、ケリタ、ペラヤ、ハナン、 + ミカ、レホブ、ハシャブヤ、 + ザクル、シェレベヤ、シェバヌヤ、 + ホディヤ、バニ、ベニヌ。 + 次に民のかしらたちでは、パルオシュ、パハテ・モアブ、エラム、ザト、バニ、 + ブニ、アズガデ、ベバイ、 + アドニヤ、ビグワイ、アディン、 + アテル、ヒゼキヤ、アズル、 + ホディヤ、ハシュム、ベツァイ、 + ハリフ、アナトテ、ネバイ、 + マグピアシュ、メシュラム、ヘジル、 + メシェザブエル、ツァドク、ヤドア、 + ペラテヤ、ハナン、アナヤ、 + ホセア、ハナヌヤ、ハシュブ、 + ロヘシュ、ピルハ、ショベク、 + レフム、ハシャブナ、マアセヤ、 + アヒヤ、ハナン、アナン、 + マルク、ハリム、バアナ。 + このほかの民、祭司、レビ人、門衛、歌うたい、宮に仕えるしもべたち、また、国々の民と縁を絶って神の律法についた者全員、その妻、息子、娘たち、すべて理解できるまでになった者は、 + 彼らの親類のすぐれた人々にたより、神のしもべモーセを通して与えられた神の律法に従って歩み、私たちの主、主のすべての命令、その定めとおきてを守り行うための、のろいと誓いとに加わった。 + すなわち、私たちの娘をこの地の民たちにとつがせず、また、彼らの娘を私たちの息子にめとらない。 + たとい、この地の民たちが安息日に、品物、すなわち、いろいろな穀物を売りに持って来ても、私たちは安息日や聖日には彼らから買わない。また、私たちは七年目には土地を休ませ、すべての負債を取り立てない。 + 私たちは、私たちの神の宮の礼拝のために、毎年シェケルの三分の一をささげるとの命令を自分たちで定めた。 + これは、並べ供えるパンと、常供の穀物のささげ物、また常供の全焼のいけにえ、また、安息日、新月の祭り、例祭のいけにえ、聖なるささげ物、また、イスラエルの贖いをなす罪のためのいけにえ、さらに、私たちの神の宮のすべての用途のためであった。 + また私たち、祭司とレビ人と民とは、律法にしるされているとおり、私たちの神、主の、祭壇の上で燃やすたきぎのささげ物についてのくじを引き、毎年、定まった時に、私たちの父祖の家ごとに、それを私たちの神の宮に携えて来ることに決めた。 + また、私たちの土地の初なりと、あらゆる木の初なりの果実とをみな、毎年、主の宮に携えて来ることに決めた。 + また、律法にしるされているとおり、私たちの子どもと家畜の初子、および、私たちの牛や羊の初子を、私たちの神の宮に、私たちの神の宮で仕えている祭司たちのところに携えて来ることに決めた。 + また、私たちの初物の麦粉と、私たちの奉納物、およびあらゆる木の果実、新しいぶどう酒と油を、祭司たちのところに、私たちの神の宮の部屋に携えて来ることにした。また、私たちの土地の十分の一はレビ人たちのものとした。レビ人が、彼ら自身で私たちの農耕するすべての町から、その十分の一を集めることにした。 + レビ人が十分の一を集めるとき、アロンの子孫である祭司が、そのレビ人とともにいなければならない。レビ人はその十分の一の十分の一を、私たちの神の宮へ携え上り、宝物倉の部屋に納めなければならない。 + この部屋に、イスラエル人とレビ人たちは、穀物や、新しいぶどう酒や油の奉納物を携えて来るようになっているからである。そこには聖所の器具があり、また、当番の祭司や門衛や歌うたいもいる。こうして私たちは、私たちの神の宮をなおざりにしないのである。 + + + 民のつかさたちはエルサレムに住んでいたが、ほかの民は、くじを引いて、十人のうちからひとりずつ、聖なる都エルサレムに来て住むようにし、あとの九人をほかの町々に住まわせた。 + すると民は、自分から進んでエルサレムに住もうとする人々をみな、祝福した。 + エルサレムに住んだこの州のかしらたちは次のとおりである。ユダの町々には、イスラエル人、祭司、レビ人、宮に仕えるしもべたち、ソロモンのしもべたちの子孫が、それぞれ、自分たちの町々の自分の所有地に住んだ。 + ユダ族とベニヤミン族のうちのある者は、エルサレムに住んだ。すなわち、ユダ族では、ウジヤの子アタヤであった。このウジヤはゼカリヤの子、順次さかのぼって、アマルヤの子、シェファテヤの子、マハラルエルの子。マハラルエルはペレツの子孫のひとりである。 + 次にバルクの子マアセヤであった。このバルクはコル・ホゼの子、順次さかのぼって、ハザヤの子、アダヤの子、エホヤリブの子、ゼカリヤの子。ゼカリヤはシェラ人の子孫である。 + エルサレムに住んだペレツの子孫は合計四百六十八名の勇士であった。 + ベニヤミン族では次のとおりである。メシュラムの子サル。このメシュラムはヨエデの子、順次さかのぼって、ペダヤの子、コラヤの子、マアセヤの子、イティエルの子、エシャヤの子である。 + 彼の次には、ガバイとサライで、九百二十八名。 + ジクリの子ヨエルが彼らの監督者であり、セヌアの子ユダが、彼の副監督者としてこの町を治めた。 + 祭司のうちでは、エホヤリブの子エダヤと、ヤキン、 + 神の宮のつかさセラヤであった。このセラヤはヒルキヤの子、順次さかのぼって、メシュラムの子、ツァドクの子、メラヨテの子、アヒトブの子である。 + なお、宮の務めをする彼らの同族で、八百二十二名。また、エロハムの子アダヤがいた。このエロハムはペラルヤの子、順次さかのぼって、アムツィの子、ゼカリヤの子、パシュフルの子、マルキヤの子である。 + アダヤの同族で一族のかしらたちは二百四十二名。また、アザルエルの子アマシュサイがいた。このアザルエルはアフザイの子、順次さかのぼって、メシレモテの子、イメルの子である。 + 彼らの同族の勇士たちは百二十八名。彼らの監督者はハゲドリムの子ザブディエルであった。 + レビ人のうちでは、ハシュブの子シェマヤ。このハシュブはアズリカムの子、順次さかのぼって、ハシャブヤの子、ブニの子である。 + また、レビ人のかしらのシャベタイとエホザバデは、神の宮の外の仕事を監督していた。 + また、ミカの子マタヌヤがいた。ミカはアサフの子のザブディの子である。マタヌヤは、祈りのために感謝の歌を始める指揮者、バクブクヤはその兄弟たちの副指揮者であった。またシャムアの子アブダがいた。シャムアは、エドトンの子のガラルの子である。 + 聖なる都にいるレビ人は合計二百八十四名であった。 + 門の見張りをする門衛では、アクブとタルモン、および、彼らの同族百七十二名であった。 + そのほかのイスラエル人、祭司、レビ人たちは、ユダのすべての町々で、それぞれ自分のゆずりの地にいた。 + 宮に仕えるしもべたちはオフェルに住み、ツィハとギシュパは宮に仕えるしもべたちを監督していた。 + エルサレムにいるレビ人の監督者はバニの子ウジであった。バニはハシャブヤの子、ハシャブヤはマタヌヤの子、マタヌヤはミカの子である。ウジはアサフの子孫の歌うたいのひとりで、神の宮の礼拝を指導していた。 + 彼らについては王の命令があり、歌うたいたちには日課が定められていた。 + またユダの子ゼラフの子孫のひとりで、メシェザブエルの子ペタヘヤは、王に代わって民に関するすべての事がらを取り扱った。 + ユダの子孫のある者は、自分の畑に近い村々に住んだ。すなわち、キルヤテ・アルバとそれに属する村落、ディボンとそれに属する村落、エカブツェエルとその村々、 + ヨシュア、モラダ、ベテ・ペレテ、 + ハツァル・シュアル、およびベエル・シェバとそれに属する村落、 + ツィケラグ、およびメコナとそれに属する村落、 + エン・リモン、ツォルア、ヤルムテ、 + ザノアハ、アドラムとその村々、ラキシュとその農地、アゼカとそれに属する村落。こうして、彼らはベエル・シェバとヒノムの谷の間に住みついた。 + ベニヤミンの子孫は、ゲバから、ミクマス、アヤ、およびベテルとそれに属する村落、 + アナトテ、ノブ、アナネヤ、 + ハツォル、ラマ、ギタイム、 + ハディデ、ツェボイム、ネバラテ、 + ロデとオノ、および職人の谷に住んだ。 + レビ人のうち、ユダにいたある組はベニヤミンに加わった。 + + + シェアルティエルの子ゼルバベル、およびヨシュアといっしょに上って来た祭司とレビ人は次のとおりである。セラヤ、エレミヤ、エズラ、 + アマルヤ、マルク、ハトシュ、 + シェカヌヤ、レフム、メレモテ、 + イド、ギネトイ、アビヤ、 + ミヤミン、マアデヤ、ビルガ、 + シェマヤ、エホヤリブ、エダヤ、 + サル、アモク、ヒルキヤ、エダヤ。以上はヨシュアの時代に、祭司たちとその同族のかしらであった。 + また、レビ人では、ヨシュア、ビヌイ、カデミエル、シェレベヤ、ユダ、マタヌヤで、マタヌヤはその兄弟たちといっしょに感謝の歌を受け持っていた。 + また彼らの兄弟のバクブクヤとウニは、務めのときには、彼らの向かい側に立った。 + ヨシュアはエホヤキムを生み、エホヤキムはエルヤシブを生み、エルヤシブはエホヤダを生み、 + エホヤダはヨナタンを生み、ヨナタンはヤドアを生んだ。 + 次に、エホヤキムの時代に祭司で一族のかしらであった者は次のとおりである。セラヤ族ではメラヤ。エレミヤ族ではハナヌヤ。 + エズラ族ではメシュラム。アマルヤ族ではヨハナン。 + メリク族ではヨナタン。シェバヌヤ族ではヨセフ。 + ハリム族ではアデナ。メラヨテ族ではヘルカイ。 + イド族ではゼカリヤ。ギネトン族ではメシュラム。 + アビヤ族ではジクリ。ミヌヤミン族、モアデヤ族ではピルタイ。 + ビルガ族ではシャムア。シェマヤ族ではヨナタン。 + エホヤリブ族ではマテナイ。エダヤ族ではウジ。 + サライ族ではカライ。アモク族ではエベル。 + ヒルキヤ族ではハシャブヤ。エダヤ族ではネタヌエル。 + エルヤシブの時代に、レビ人エホヤダ、ヨハナン、ヤドアは、一族のかしらとして登録され、また、ペルシヤ人ダリヨスの治世に祭司として登録された。 + レビの子孫で、一族のかしらたちは、エルヤシブの子ヨハナンの時代まで、年代記の書にしるされていた。 + レビ人のかしらたちは、ハシャブヤ、シェレベヤ、およびカデミエルの子ヨシュアであり、その前方に彼らの兄弟がいて、組と組が相応じて、神の人ダビデの命令に従い、賛美をし、感謝をささげた。 + マタヌヤ、バクブクヤ、オバデヤ、メシュラム、タルモン、アクブは門衛で、門の倉を見張っていた。 + 以上はエホツァダクの子ヨシュアの子エホヤキムの時代と、総督ネヘミヤ、および、学者である祭司エズラの時代の人々である。 + 彼らはエルサレムの城壁の奉献式のときに、レビ人を、彼らのいるすべての所から捜し出してエルサレムに来させ、シンバルと十弦の琴と立琴に合わせて、感謝の歌を歌いながら喜んで、奉献式を行おうとした。 + そこで、歌うたいたちは、エルサレムの周辺の地方や、ネトファ人の村々から集まって来た。 + また、ベテ・ギルガルや、ゲバとアズマベテの農地からも集まって来た。この歌うたいたちは、エルサレムの周辺に自分たちの村々を建てていたからである。 + 祭司とレビ人は、自分たちの身をきよめ、また民と門と城壁をきよめた。 + そこで私は、ユダのつかさたちを城壁の上に上らせ、二つの大きな聖歌隊を編成した。一組は城壁の上を右のほうに糞の門に向かって進んだ。 + 彼らのうしろに続いて進んだ者は、ホシャヤと、ユダのつかさたちの半分、 + アザルヤ、エズラ、メシュラム、 + および、ユダ、ベニヤミン、シェマヤとエレミヤであった。 + 祭司のうちのある者もラッパを持って進んだ。すなわち、ヨナタンの子ゼカリヤであった。このヨナタンはシェマヤの子、順次さかのぼって、マタヌヤの子、ミカヤの子、ザクルの子、アサフの子である。 + また、ゼカリヤの兄弟たちシェマヤ、アザルエル、ミラライ、ギラライ、マアイ、ネタヌエル、ユダ、ハナニであって、神の人ダビデの楽器を持って続いて行った。学者エズラが彼らの先頭に立った。 + 彼らは泉の門のところで、城壁の上り口にあるダビデの町の階段をまっすぐに上って行き、ダビデの家の上を通って、東のほうの水の門に来た。 + もう一組の聖歌隊は左のほうに進んだ。私は民の半分といっしょに、そのうしろに従った。そして城壁の上を進んで、炉のやぐらの上を通り、広い城壁のところに行き、 + エフライムの門の上を過ぎ、エシャナの門を過ぎ、魚の門と、ハナヌエルのやぐらと、メアのやぐらを過ぎて、羊の門に行った。そして彼らは監視の門で立ち止まった。 + こうして、二つの聖歌隊は神の宮でその位置に着いた。私も、私とともにいた代表者たちの半分も位置に着いた。 + また祭司たち、エルヤキム、マアセヤ、ミヌヤミン、ミカヤ、エルヨエナイ、ゼカリヤ、ハナヌヤも、ラッパを持って位置に着いた。 + また、マアセヤ、シェマヤ、エルアザル、ウジ、ヨハナン、マルキヤ、エラム、エゼルも位置に着いた。それから、歌うたいたちは、監督者イゼラフヤの指揮で歌った。 + こうして、彼らはその日、数多くのいけにえをささげて喜び歌った。神が彼らを大いに喜ばせてくださったからである。女も子どもも喜び歌ったので、エルサレムの喜びの声ははるか遠くまで聞こえた。 + その日、備品や、奉納物、初物や十分の一を納める部屋を管理する人々が任命され、彼らは祭司とレビ人のために、律法で定められた分を、町々の農地からそこに集めた。これは、職務についている祭司とレビ人をユダ人が見て喜んだからである。 + 彼らおよび歌うたいや門衛たちは、ダビデとその子ソロモンの命令のとおりに、彼らの神への任務と、きよめの任務を果たした。 + 昔から、ダビデとアサフの時代から、神に賛美と感謝をささげる歌うたいたちのかしらがいた。 + ゼルバベルの時代とネヘミヤの時代には、イスラエル人はみな、歌うたいと門衛のために定められた日当を支給していた。彼らはまた、レビ人には聖別したささげ物を与え、レビ人はその聖別したささげ物をアロンの子孫に渡していた。 + + + その日、民に聞こえるように、モーセの書が朗読されたが、その中に、アモン人とモアブ人は決して神の集会に加わってはならない、と書かれているのが見つかった。 + それは、彼らがパンと水をもってイスラエル人を迎えず、かえって彼らをのろうためにバラムを雇ったからである。しかし、私たちの神はそののろいを祝福に変えられた。 + 彼らはこの律法を聞くと、混血の者をみな、イスラエルから取り分けた。 + これより以前、私たちの神の宮の部屋を任されていた祭司エルヤシブは、トビヤと親しい関係にあったので、 + トビヤのために大きな部屋を一つあてがった。その部屋にはかつて、穀物のささげ物、乳香、器物、および、レビ人や歌うたいや門衛たちのために定められていた穀物と新しいぶどう酒と油の十分の一、および祭司のための奉納物が保管されていた。 + その間、私はエルサレムにいなかった。私は、バビロンの王アルタシャスタの三十二年に、王のところに行き、その後しばらくたって、王にいとまを請い、 + エルサレムに帰って来たからである。そのとき、エルヤシブがトビヤのために行った悪、すなわち、神の宮の庭にある一つの部屋を彼にあてがったことに気づいた。 + 私は大いにきげんを悪くし、トビヤ家の器具類を全部、その部屋から外へ投げ出し、 + 命じて、その部屋をきよめさせた。そして、私は、神の宮の器物を、穀物のささげ物や乳香といっしょに、再びそこに納めた。 + 私は、レビ人の分が支給されないので、仕事をするレビ人と歌うたいたちが、それぞれ自分の農地に逃げ去ったことを知った。 + 私は代表者たちを詰問し、「どうして神の宮が見捨てられているのか」と言った。そして私はレビ人たちを集め、もとの持ち場に戻らせた。 + ユダの人々はみな、穀物と新しいぶどう酒と油の十分の一を宝物倉に持って来た。 + そこで私は、祭司シェレムヤと、学者ツァドクと、レビ人のひとりペダヤに宝物倉を管理させ、マタヌヤの子ザクルの子ハナンを彼らの助手とした。彼らは忠実な者と認められていたからであった。彼らの任務は、兄弟たちに分け前を分配することであった。 + 私の神。どうか、このことのために私を覚えていてください。私の神の宮と、その務めのためにしたいろいろな私の愛のわざを、ぬぐい去らないでください。 + そのころ私は、ユダのうちで安息日に酒ぶねを踏んでいる者や、麦束を運んでいる者、また、ろばに荷物を負わせている者、さらに、ぶどう酒、ぶどうの実、いちじくなど、あらゆる品物を積んで、安息日にエルサレムに運び込んでいる者を見つけた。それで私は、彼らが食物を売ったその日、彼らをとがめた。 + また、そこに住んでいたツロの人々も、魚や、いろいろな商品を運んで来て、安息日に、しかもエルサレムで、ユダの人々に売っていた。 + そこで私は、ユダのおもだった人たちを詰問して言った。「あなたがたはなぜ、このような悪事を働いて安息日を汚しているのか。 + あなたがたの先祖も、このようなことをしたので、私たちの神はこのすべてのわざわいを、私たちとこの町の上に送られたではないか。それなのに、あなたがたは安息日を汚して、イスラエルに下る怒りを加えている。」 + 安息日の前、エルサレムの門に夕やみが迫ると、私は命じて、とびらをしめさせ、安息日が済むまでは開いてはならないと命じた。そして、私の若い者の幾人かを門の見張りに立て、安息日に荷物が持ち込まれないようにした。 + それで、商人や、あらゆる品物を売る者たちは、一度か二度エルサレムの外で夜を過ごした。 + そこで、私は彼らをとがめて言った。「なぜあなたがたは、城壁の前で夜を過ごすのか。再びそうするなら、私はあなたがたに手を下す。」その時から、彼らはもう、安息日には来なくなった。 + 私はレビ人に命じて、身をきよめさせ、安息日をきよく保つために、門の守りにつかせた。私の神。どうか、このことにおいてもまた、私を覚えていてください。そして、あなたの大いなるいつくしみによって私をあわれんでください。 + そのころまた、私はアシュドデ人、アモン人、モアブ人の女をめとっているユダヤ人たちのいるのに気がついた。 + 彼らの子どもの半分はアシュドデのことばを話し、あるいは、それぞれ他の国語を話して、ユダヤのことばがわからなかった。 + そこで、私は彼らを詰問してのろい、そのうちの数人を打ち、その毛を引き抜き、彼らを神にかけて誓わせて言った。「あなたがたの娘を彼らの息子にとつがせてはならない。また、あなたがたの息子、あるいは、あなたがた自身が、彼らの娘をめとってはならない。 + イスラエルの王ソロモンは、このことによって罪を犯したではないか。多くの国々のうちで彼のような王はいなかった。彼は神に愛され、神は彼をイスラエル全土を治める王としたのに、外国の女たちが彼に罪を犯させてしまった。 + だから、あなたがたが外国の女をめとって、私たちの神に対して不信の罪を犯し、このような大きな悪を行っていることを聞き流しにできようか。」 + 大祭司エルヤシブの子エホヤダの子のひとりは、ホロン人サヌバラテの婿であった。それで、私は彼を私のところから追い出した。 + 私の神。どうか彼らのことを思い出してください。彼らは祭司職を汚し、祭司やレビ人たちの契約を汚したからです。 + 私はすべての異教的なものから彼らをきよめ、祭司とレビ人のそれぞれの務めの規程を定め、 + 定まった時に行うたきぎのささげ物と、初物についての規程も定めた。私の神。どうか私を覚えて、いつくしんでください。 + +
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+ + アハシュエロスの時代のこと――このアハシュエロスは、ホドからクシュまで百二十七州を治めていた―― + アハシュエロス王がシュシャンの城で、王座に着いていたころ、 + その治世の第三年に、彼はすべての首長と家臣たちのために宴会を催した。それにはペルシヤとメディヤの有力者、貴族たちおよび諸州の首長たちが出席した。 + そのとき、王は輝かしい王国の富と、そのきらびやかな栄誉を幾日も示して、百八十日に及んだ。 + この期間が終わると、王は、シュシャンの城にいた身分の高い者から低い者に至るまですべての民のために、七日間、王宮の園の庭で、宴会を催した。 + そこには白綿布や青色の布が、白や紫色の細ひもで大理石の柱の銀の輪に結びつけられ、金と銀でできた長いすが、緑色石、白大理石、真珠貝や黒大理石のモザイクの床の上に置かれていた。 + 彼は金の杯で酒をふるまったが、その杯は一つ一つ違っていた。そして王の勢力にふさわしく王室の酒がたくさんあった。 + それを飲むとき、法令によって、だれも強いられなかった。だれでもめいめい自分の好みのままにするようにと、王が宮殿のすべての役人に命じておいたからである。 + 王妃ワシュティも、アハシュエロス王の王宮で婦人たちのために宴会を催した。 + 七日目に、王は酒で心が陽気になり、アハシュエロス王に仕える七人の宦官メフマン、ビゼタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタル、カルカスに命じて、 + 王妃ワシュティに王冠をかぶらせ、彼女を王の前に連れて来るようにと言った。それは、彼女の容姿が美しかったので、その美しさを民と首長たちに見せるためであった。 + しかし、王妃ワシュティが宦官から伝えられた王の命令を拒んで来ようとしなかったので、王は非常に怒り、その憤りが彼のうちで燃え立った。 + そこで王は法令に詳しい、知恵のある者たちに相談した。――このように、法令と裁判に詳しいすべての者に計るのが、王のならわしであった。 + 王の側近の者はペルシヤとメディヤの七人の首長たちカルシェナ、シェタル、アデマタ、タルシシュ、メレス、マルセナ、メムカンで、彼らは王と面接ができ、王国の最高の地位についていた―― + 「王妃ワシュティは、宦官によって伝えられたアハシュエロス王の命令に従わなかったが、法令により、彼女をどう処分すべきだろうか。」 + メムカンは王と首長たちの前で答えた。「王妃ワシュティは王ひとりにではなく、すべての首長とアハシュエロス王のすべての州の全住民にも悪いことをしました。 + なぜなら、王妃の行いが女たちみなに知れ渡り、『アハシュエロス王が王妃ワシュティに王の前に来るようにと命じたが、来なかった』と言って、女たちは自分の夫を軽く見るようになるでしょう。 + きょうにでも、王妃のことを聞いたペルシヤとメディヤの首長の夫人たちは、王のすべての首長たちに、このことを言って、ひどい軽蔑と怒りが起こることでしょう。 + もしも王によろしければ、ワシュティはアハシュエロス王の前に出てはならないという勅令をご自身で出し、ペルシヤとメディヤの法令の中に書き入れて、変更することのないようにし、王は王妃の位を彼女よりもすぐれた婦人に授けてください。 + 王が出される詔勅が、この大きな王国の隅々まで告げ知らされると、女たちは、身分の高い者から低い者に至るまでみな、自分の夫を尊敬するようになりましょう。」 + この進言は、王と首長たちの心にかなったので、王はメムカンの言ったとおりにした。 + そこで王は、王のすべての州に書簡を送った。各州にはその文字で、各民族にはそのことばで書簡を送り、男子はみな、一家の主人となること、また、自分の民族のことばで話すことを命じた。 + + + この出来事の後、アハシュエロス王の憤りがおさまると、王は、ワシュティのこと、彼女のしたこと、また、彼女に対して決められたことを思い出した。 + そのとき、王に仕える若い者たちは言った。「王のために容姿の美しい未婚の娘たちを捜しましょう。 + 王は、王国のすべての州に役人を任命し、容姿の美しい未婚の娘たちをみな、シュシャンの城の婦人部屋に集めさせ、女たちの監督官である王の宦官ヘガイの管理のもとに置き、化粧に必要な品々を彼女たちに与えるようにしてください。 + そして、王のお心にかなうおとめをワシュティの代わりに王妃としてください。」このことは王の心にかなったので、彼はそのようにした。 + シュシャンの城にひとりのユダヤ人がいた。その名をモルデカイといって、ベニヤミン人キシュの子シムイの子ヤイルの子であった。 + このキシュは、バビロンの王ネブカデネザルが捕らえ移したユダの王エコヌヤといっしょに捕らえ移された捕囚の民とともに、エルサレムから捕らえ移された者であった。 + モルデカイはおじの娘ハダサ、すなわち、エステルを養育していた。彼女には父も母もいなかったからである。このおとめは、姿も顔だちも美しかった。彼女の父と母が死んだとき、モルデカイは彼女を引き取って自分の娘としたのである。 + 王の命令、すなわちその法令が伝えられて、多くのおとめたちがシュシャンの城に集められ、ヘガイの管理のもとに置かれたとき、エステルも王宮に連れて行かれて、女たちの監督官ヘガイの管理のもとに置かれた。 + このおとめは、ヘガイの心にかない、彼の好意を得た。そこで、彼は急いで化粧に必要な品々とごちそうを彼女に与え、また王宮から選ばれた七人の侍女を彼女にあてがった。そして、ヘガイは彼女とその侍女たちを、婦人部屋の最も良い所に移した。 + エステルは自分の民族をも、自分の生まれをも明かさなかった。モルデカイが、明かしてはならないと彼女に命じておいたからである。 + モルデカイは毎日婦人部屋の庭の前を歩き回り、エステルの安否と、彼女がどうされるかを知ろうとしていた。 + おとめたちは、婦人の規則に従って、十二か月の期間が終わって後、ひとりずつ順番にアハシュエロス王のところに、入って行くことになっていた。これは、準備の期間が、六か月は没薬の油で、次の六か月は香料と婦人の化粧に必要な品々で化粧することで終わることになっていたからである。 + このようにして、おとめが王のところに入って行くとき、おとめの願うものはみな与えられ、それを持って婦人部屋から王宮に行くことができた。 + おとめは夕方入って行き、朝になると、ほかの婦人部屋に帰っていた。そこは、そばめたちの監督官である王の宦官シャアシュガズの管理のもとにあった。そこの女は、王の気に入り、指名されるのでなければ、二度と王のところには行けなかった。 + さて、モルデカイが引き取って、自分の娘とした彼のおじアビハイルの娘エステルが、王のところに入って行く順番が来たとき、彼女は女たちの監督官である王の宦官ヘガイの勧めたもののほかは、何一つ求めなかった。こうしてエステルは、彼女を見るすべての者から好意を受けていた。 + エステルがアハシュエロス王の王宮に召されたのは、王の治世の第七年の第十の月、すなわちテベテの月であった。 + 王はほかのどの女たちよりもエステルを愛した。このため、彼女はどの娘たちよりも王の好意と恵みを受けた。こうして、王はついに王冠を彼女の頭に置き、ワシュティの代わりに彼女を王妃とした。 + それから、王はすべての首長と家臣たちの大宴会、すなわち、エステルの宴会を催し、諸州には休日を与えて、王の勢力にふさわしい贈り物を配った。 + 娘たちが二度目に集められたとき、モルデカイは王の門のところにすわっていた。 + エステルは、モルデカイが彼女に命じていたように、まだ自分の生まれをも、自分の民族をも明かしていなかった。エステルはモルデカイに養育されていた時と同じように、彼の言いつけに従っていた。 + そのころ、モルデカイが王の門のところにすわっていると、入口を守っていた王のふたりの宦官ビグタンとテレシュが怒って、アハシュエロス王を殺そうとしていた。 + このことがモルデカイに知れたので、彼はこれを王妃エステルに知らせた。エステルはこれをモルデカイの名で王に告げた。 + このことが追及されて、その事実が明らかになったので、彼らふたりは木にかけられた。このことは王の前で年代記の書に記録された。 + + + この出来事の後、アハシュエロス王は、アガグ人ハメダタの子ハマンを重んじ、彼を昇進させて、その席を、彼とともにいるすべての首長たちの上に置いた。 + それで、王の門のところにいる王の家来たちはみな、ハマンに対してひざをかがめてひれ伏した。王が彼についてこのように命じたからである。しかし、モルデカイはひざもかがめず、ひれ伏そうともしなかった。 + 王の門のところにいる王の家来たちはモルデカイに、「あなたはなぜ、王の命令にそむくのか」と言った。 + 彼らは、毎日そう言ったが、モルデカイが耳を貸さなかったので、モルデカイのこの態度が続けられてよいものかどうかを見ようと、これをハマンに告げた。モルデカイは自分がユダヤ人であることを彼らに打ち明けていたからである。 + ハマンはモルデカイが自分に対してひざもかがめず、ひれ伏そうともしないのを見て、憤りに満たされた。 + ところが、ハマンはモルデカイひとりに手を下すことだけで満足しなかった。彼らがモルデカイの民族のことを、ハマンに知らせていたからである。それでハマンは、アハシュエロスの王国中のすべてのユダヤ人、すなわちモルデカイの民族を、根絶やしにしようとした。 + アハシュエロス王の第十二年の第一の月、すなわちニサンの月に、日と月とを決めるためにハマンの前で、プル、すなわちくじが投げられ、くじは第十二の月、すなわちアダルの月に当たった。 + ハマンはアハシュエロス王に言った。「あなたの王国のすべての州にいる諸民族の間に、散らされて離れ離れになっている一つの民族がいます。彼らの法令は、どの民族のものとも違っていて、彼らは王の法令を守っていません。それで、彼らをそのままにさせておくことは、王のためになりません。 + もしも王さま、よろしければ、彼らを滅ぼすようにと書いてください。私はその仕事をする者たちに銀一万タラントを量って渡します。そうして、それを王の金庫に納めさせましょう。」 + そこで、王は自分の手から指輪をはずして、アガグ人ハメダタの子で、ユダヤ人の敵であるハマンに、それを渡した。 + そして、王はハマンに言った。「その銀はあなたに授けよう。また、その民族もあなたの好きなようにしなさい。」 + そこで、第一の月の十三日に、王の書記官が召集され、ハマンが、王の太守や、各州を治めている総督や、各民族の首長たちに命じたことが全部、各州にはその文字で、各民族にはそのことばでしるされた。それは、アハシュエロスの名で書かれ、王の指輪で印が押された。 + 書簡は急使によって王のすべての州へ送られた。それには、第十二の月、すなわちアダルの月の十三日の一日のうちに、若い者も年寄りも、子どもも女も、すべてのユダヤ人を根絶やしにし、殺害し、滅ぼし、彼らの家財をかすめ奪えとあった。 + 各州に法令として発布される文書の写しが、この日の準備のために、すべての民族に公示された。 + 急使は王の命令によって急いで出て行った。この法令はシュシャンの城でも発布された。このとき、王とハマンは酒をくみかわしていたが、シュシャンの町は混乱に陥った。 + + + モルデカイは、なされたすべてのことを知った。すると、モルデカイは着物を引き裂き、荒布をまとい、灰をかぶり、大声でひどくわめき叫びながら町の真ん中に出て行き、 + 王の門の前まで来た。だれも荒布をまとったままでは、王の門に入ることができなかったからである。 + 王の命令とその法令が届いたどの州においても、ユダヤ人のうちに大きな悲しみと、断食と、泣き声と、嘆きとが起こり、多くの者は荒布を着て灰の上にすわった。 + そのとき、エステルの侍女たちと、その宦官たちが入って来て、彼女にこのことを告げたので、王妃はひどく悲しみ、モルデカイに着物を送って、それを着させ、荒布を脱がせようとしたが、彼はそれを受け取らなかった。 + そこでエステルは、王の宦官のひとりで、王が彼女に仕えさせるために任命していたハタクを呼び寄せ、モルデカイのところへ行って、これはどういうわけか、また何のためかと聞いて来るように命じた。 + それで、ハタクは王の門の前の町の広場にいるモルデカイのところに出て行った。 + モルデカイは自分の身に起こったことを全部、彼に告げ、ハマンがユダヤ人を滅ぼすために、王の金庫に納めると約束した正確な金額をも告げた。 + モルデカイはまた、ユダヤ人を滅ぼすためにシュシャンで発布された法令の文書の写しをハタクに渡し、それをエステルに見せて、事情を知らせてくれと言い、また、彼女が王のところに行って、自分の民族のために王にあわれみを求めるように彼女に言いつけてくれと頼んだ。 + ハタクは帰って来て、モルデカイの伝言をエステルに伝えた。 + するとエステルはハタクに命じて、モルデカイにこう伝えさせた。 + 「王の家臣も、王の諸州の民族もみな、男でも女でも、だれでも、召されないで内庭に入り、王のところに行く者は死刑に処せられるという一つの法令があることを知っております。しかし、王がその者に金の笏を差し伸ばせば、その者は生きます。でも、私はこの三十日間、まだ、王のところへ行くようにと召されていません。」 + 彼がエステルのことばをモルデカイに伝えると、 + モルデカイはエステルに返事を送って言った。「あなたはすべてのユダヤ人から離れて王宮にいるから助かるだろうと考えてはならない。 + もし、あなたがこのような時に沈黙を守るなら、別の所から、助けと救いがユダヤ人のために起ころう。しかしあなたも、あなたの父の家も滅びよう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない。」 + エステルはモルデカイに返事を送って言った。 + 「行って、シュシャンにいるユダヤ人をみな集め、私のために断食をしてください。三日三晩、食べたり飲んだりしないように。私も、私の侍女たちも、同じように断食をしましょう。たとい法令にそむいても私は王のところへまいります。私は、死ななければならないのでしたら、死にます。」 + そこで、モルデカイは出て行って、エステルが彼に命じたとおりにした。 + + + さて、三日目にエステルは王妃の衣装を着て、王室の正面にある王宮の内庭に立った。王は王室の入口の正面にある王宮の玉座にすわっていた。 + 王が、庭に立っている王妃エステルを見たとき、彼女は王の好意を受けたので、王は手に持っていた金の笏をエステルに差し伸ばした。そこで、エステルは近寄って、その笏の先にさわった。 + 王は彼女に言った。「どうしたのだ。王妃エステル。何がほしいのか。王国の半分でも、あなたにやれるのだが。」 + エステルは答えた。「もしも、王さまがよろしければ、きょう、私が王さまのために設ける宴会にハマンとごいっしょにお越しください。」 + すると、王は、「ハマンをせきたてて、エステルの言ったようにしよう」と言った。王とハマンはエステルが設けた宴会に出た。 + その酒宴の席上、王はエステルに尋ねた。「あなたは何を願っているのか。それを授けてやろう。何を望んでいるのか。王国の半分でも、それをかなえてやろう。」 + エステルは答えて言った。「私が願い、望んでいることは、 + もしも王さまのお許しが得られ、王さまがよろしくて、私の願いをゆるし、私の望みをかなえていただけますなら、私が設ける宴会に、ハマンとごいっしょに、もう一度お越しください。そうすれば、あす、私は王さまのおっしゃったとおりにいたします。」 + ハマンはその日、喜び、上きげんで出て行った。ところが、ハマンは、王の門のところにいるモルデカイが立ち上がろうともせず、自分を少しも恐れていないのを見て、モルデカイに対する憤りに満たされた。 + しかし、ハマンはがまんして家に帰り、人をやって、友人たちと妻ゼレシュを連れて来させた。 + ハマンは自分の輝かしい富について、また、子どもが大ぜいいることや、王が自分を重んじ、王の首長や家臣たちの上に自分を昇進させてくれたことなどを全部彼らに話した。 + そして、ハマンは言った。「しかも、王妃エステルは、王妃が設けた宴会に、私のほかはだれも王といっしょに来させなかった。あすもまた、私は王といっしょに王妃に招かれている。 + しかし、私が、王の門のところにすわっているあのユダヤ人モルデカイを見なければならない間は、これらのことはいっさい私のためにならない。」 + すると、彼の妻ゼレシュとすべての友人たちは、彼に言った。「高さ五十キュビトの柱を立てさせ、あしたの朝、王に話して、モルデカイをそれにかけ、それから、王といっしょに喜んでその宴会においでなさい。」この進言はハマンの気に入ったので、彼はその柱を立てさせた。 + + + その夜、王は眠れなかったので、記録の書、年代記を持って来るように命じ、王の前でそれを読ませた。 + その中に、入口を守っていた王のふたりの宦官ビグタナとテレシュが、アハシュエロス王を殺そうとしていることをモルデカイが報告した、と書かれてあるのが見つかった。 + そこで王は尋ねた。「このために、栄誉とか昇進とか、何かモルデカイにしたか。」王に仕える若い者たちは答えた。「彼には何もしていません。」 + 王は言った。「庭にいるのはだれか。」ちょうど、ハマンが、モルデカイのために準備した柱に彼をかけることを王に上奏しようと、王宮の外庭に入って来たところであった。 + 王に仕える若い者たちは彼に言った。「今、庭に立っているのはハマンです。」王は言った。「ここに通せ。」 + ハマンが入って来たので、王は彼に言った。「王が栄誉を与えたいと思う者には、どうしたらよかろう。」そのとき、ハマンは心のうちで思った。「王が栄誉を与えたいと思われる者は、私以外にだれがあろう。」 + そこでハマンは王に言った。「王が栄誉を与えたいと思われる人のためには、 + 王が着ておられた王服を持って来させ、また、王の乗られた馬を、その頭に王冠をつけて引いて来させてください。 + その王服と馬を、貴族である王の首長のひとりの手に渡し、王が栄誉を与えたいと思われる人に王服を着させ、その人を馬に乗せて、町の広場に導かせ、その前で『王が栄誉を与えたいと思われる人はこのとおりである』と、ふれさせてください。」 + すると、王はハマンに言った。「あなたが言ったとおりに、すぐ王服と馬を取って来て、王の門のところにすわっているユダヤ人モルデカイにそうしなさい。あなたの言ったことを一つもたがえてはならない。」 + それで、ハマンは王服と馬を取って来て、モルデカイに着せ、彼を馬に乗せて町の広場に導き、その前で「王が栄誉を与えたいと思われる人はこのとおりである」と叫んだ。 + それからモルデカイは王の門に戻ったが、ハマンは嘆いて、頭をおおい、急いで家に帰った。 + そして、ハマンは自分の身に起こった一部始終を妻ゼレシュとすべての友人たちに話した。すると、彼の知恵のある者たちと、妻ゼレシュは彼に言った。「あなたはモルデカイに負けかけておいでですが、このモルデカイが、ユダヤ民族のひとりであるなら、あなたはもう彼に勝つことはできません。きっと、あなたは彼に負けるでしょう。」 + 彼らがまだハマンと話しているうちに、王の宦官たちがやって来て、ハマンを急がせ、エステルの設けた宴会に連れて行った。 + + + 王とハマンはやって来て、王妃エステルと酒をくみかわした。 + この酒宴の二日目にもまた、王はエステルに尋ねた。「あなたは何を願っているのか。王妃エステル。それを授けてやろう。何を望んでいるのか。王国の半分でも、それをかなえてやろう。」 + 王妃エステルは答えて言った。「もしも王さまのお許しが得られ、王さまがよろしければ、私の願いを聞き入れて、私にいのちを与え、私の望みを聞き入れて、私の民族にもいのちを与えてください。 + 私も私の民族も、売られて、根絶やしにされ、殺害され、滅ぼされることになっています。私たちが男女の奴隷として売られるだけなら、私は黙っていたでしょうに。事実、その迫害者は王の損失を償うことができないのです。」 + アハシュエロス王は王妃エステルに尋ねて言った。「そんなことをあえてしようとたくらんでいる者は、いったいだれか。どこにいるのか。」 + エステルは答えた。「その迫害する者、その敵は、この悪いハマンです。」ハマンは王と王妃の前で震え上がった。 + 王は憤って酒宴の席を立って、宮殿の園に出て行った。ハマンは王妃エステルにいのち請いをしようとして、居残った。王が彼にわざわいを下す決心をしたのがわかったからである。 + 王が宮殿の園から酒宴の広間に戻って来ると、エステルのいた長いすの上にハマンがひれ伏していたので、王は言った。「私の前で、この家の中で、王妃に乱暴しようとするのか。」このことばが王の口から出るやいなや、ハマンの顔はおおわれた。 + そのとき、王の前にいた宦官のひとりハルボナが言った。「ちょうど、王に良い知らせを告げたモルデカイのために、ハマンが用意した高さ五十キュビトの柱がハマンの家に立っています。」すると王は命じた。「彼をそれにかけよ。」 + こうしてハマンは、モルデカイのために準備しておいた柱にかけられた。それで王の憤りはおさまった。 + + + その日、アハシュエロス王は王妃エステルに、ユダヤ人を迫害する者ハマンの家を与えた。モルデカイは王の前に来た。エステルが自分と彼との関係を明かしたからである。 + 王はハマンから取り返した自分の指輪をはずして、それをモルデカイに与え、エステルはモルデカイにハマンの家の管理を任せた。 + エステルが再び王に告げて、その足もとにひれ伏し、アガグ人ハマンがユダヤ人に対してたくらんだわざわいとそのたくらみを取り除いてくれるように、泣きながら嘆願したので、 + 王はエステルに金の笏を差し伸ばした。そこで、エステルは身を起こして、王の前に立って、 + 言った。「もしも王さま、よろしくて、お許しが得られ、このことを王さまがもっともとおぼしめされ、私をおいれくださるなら、アガグ人ハメダタの子ハマンが、王のすべての州にいるユダヤ人を滅ぼしてしまえと書いたあのたくらみの書簡を取り消すように、詔書を出してください。 + どうして私は、私の民族に降りかかるわざわいを見てがまんしておられましょう。また、私の同族の滅びるのを見てがまんしておられましょうか。」 + アハシュエロス王は、王妃エステルとユダヤ人モルデカイに言った。「ハマンがユダヤ人を殺そうとしたので、今、私はハマンの家をエステルに与え、彼は柱にかけられたではないか。 + あなたがたはユダヤ人についてあなたがたのよいと思うように、王の名で書き、王の指輪でそれに印を押しなさい。王の名で書かれ、王の指輪で印が押された文書は、だれも取り消すことができないのだ。」 + そのとき、王の書記官が召集された。それは第三の月、すなわちシワンの月の二十三日であった。そしてすべてモルデカイが命じたとおりに、ユダヤ人と、太守や、総督たち、およびホドからクシュまで百二十七州の首長たちとに詔書が書き送られた。各州にはその文字で、各民族にはそのことばで、ユダヤ人にはその文字とことばで書き送られた。 + モルデカイはアハシュエロス王の名で書き、王の指輪でそれに印を押し、その手紙を、速く走る御用馬の早馬に乗る急使に託して送った。 + その中で王は、どこの町にいるユダヤ人にも、自分たちのいのちを守るために集まって、彼らを襲う民や州の軍隊を、子どもも女たちも含めて残らず根絶やしにし、殺害し、滅ぼすことを許し、また、彼らの家財をかすめ奪うことも許した。 + このことは、アハシュエロス王のすべての州において、第十二の月、すなわちアダルの月の十三日の一日のうちに行うようになっていた。 + 各州に法令として発布される文書の写しが、すべての民族に公示された。それはユダヤ人が、自分たちの敵に復讐するこの日の準備をするためであった。 + 御用馬の早馬に乗った急使は、王の命令によってせきたてられ、急いで出て行った。この法令はシュシャンの城でも発布された。 + モルデカイは、青色と白色の王服を着、大きな金の冠をかぶり、白亜麻布と紫色のマントをまとって、王の前から出て来た。するとシュシャンの町は喜びの声にあふれた。 + ユダヤ人にとって、それは光と、喜びと、楽しみと、栄誉であった。 + 王の命令とその法令が届いたどの州、どの町でも、ユダヤ人は喜び、楽しみ、祝宴を張って、祝日とした。この国の民のうちで、自分がユダヤ人であることを宣言する者が大ぜいいた。それは彼らがユダヤ人を恐れるようになったからである。 + + + 第十二の月、すなわちアダルの月の十三日、この日に王の命令とその法令が実施された。この日に、ユダヤ人の敵がユダヤ人を征服しようと望んでいたのに、それが一変して、ユダヤ人が自分たちを憎む者たちを征服することとなった。 + その日、ユダヤ人が自分たちに害を加えようとする者たちを殺そうと、アハシュエロス王のすべての州にある自分たちの町々で集まったが、だれもユダヤ人に抵抗する者はいなかった。民はみなユダヤ人を恐れていたからである。 + 諸州の首長、太守、総督、王の役人もみな、ユダヤ人を助けた。彼らはモルデカイを恐れたからである。 + というのは、モルデカイは王宮で勢力があり、その名声はすべての州に広がっており、モルデカイはますます勢力を伸ばす人物だったからである。 + ユダヤ人は彼らの敵をみな剣で打ち殺し、虐殺して滅ぼし、自分たちを憎む者を思いのままに処分した。 + ユダヤ人はシュシャンの城でも五百人を殺して滅ぼし、 + また、パルシャヌダタ、ダルフォン、アスパタ、 + ポラタ、アダルヤ、アリダタ、 + パルマシュタ、アリサイ、アリダイ、ワイザタ、 + すなわち、ハメダタの子で、ユダヤ人を迫害する者ハマンの子十人を虐殺した。しかし、彼らは獲物には手をかけなかった。 + その日、シュシャンの城で殺された者の数が王に報告されると、 + 王は王妃エステルに尋ねた。「ユダヤ人はシュシャンの城で、五百人とハマンの子十人を殺して滅ぼした。王のほかの諸州では、彼らはどうしたであろう。あなたは何を願っているのか。それを授けてやろう。あなたはなおも何を望んでいるのか。それをかなえてやろう。」 + エステルは答えた。「もしも王さま、よろしければ、あすも、シュシャンにいるユダヤ人に、きょうの法令どおりにすることを許してください。また、ハマンの十人の子を柱にかけてください。」 + そこで王が、そのようにせよ、と命令したので、法令がシュシャンで布告され、ハマンの十人の子は柱にかけられた。 + シュシャンにいるユダヤ人は、アダルの月の十四日にも集まって、シュシャンで三百人を殺したが、獲物には手をかけなかった。 + 王の諸州にいるほかのユダヤ人も団結して、自分たちのいのちを守り、彼らの敵を除いて休みを得た。すなわち、自分たちを憎む者七万五千人を殺したが、獲物には手をかけなかった。 + これは、アダルの月の十三日のことであって、その十四日には彼らは休んで、その日を祝宴と喜びの日とした。 + しかし、シュシャンにいるユダヤ人は、その十三日にも十四日にも集まり、その十五日に休んで、その日を祝宴と喜びの日とした。 + それゆえ、城壁のない町々に住むいなかのユダヤ人は、アダルの月の十四日を喜びと祝宴の日、つまり祝日とし、互いにごちそうを贈りかわす日とした。 + モルデカイは、これらのことを書いて、アハシュエロス王のすべての州の、近い所や、遠い所にいるユダヤ人全部に手紙を送った。 + それは、ユダヤ人が毎年アダルの月の十四日と十五日を、 + 自分たちの敵を除いて休みを得た日、悲しみが喜びに、喪の日が祝日に変わった月として、祝宴と喜びの日、互いにごちそうを贈り、貧しい者に贈り物をする日と定めるためであった。 + ユダヤ人は、すでに守り始めていたことを、モルデカイが彼らに書き送ったとおりに実行した。 + なぜなら、アガグ人ハメダタの子で、全ユダヤ人を迫害する者ハマンが、ユダヤ人を滅ぼそうとたくらんで、プル、すなわちくじを投げ、彼らをかき乱し、滅ぼそうとしたが、 + そのことが、王の耳に入ると、王は書簡で命じ、ハマンがユダヤ人に対してたくらんだ悪い計略をハマンの頭上に返し、彼とその子らを柱にかけたからである。 + こういうわけで、ユダヤ人はプルの名を取って、これらの日をプリムと呼んだ。こうして、この書簡のすべてのことばにより、また、このことについて彼らが見たこと、また彼らに起こったことにより、 + ユダヤ人は、彼らと、その子孫、および彼らにつく者たちがその文書のとおり、毎年定まった時期に、この両日を守って、これを廃止してはならないと定め、これを実行することにした。 + また、この両日は、代々にわたり、すべての家族、諸州、町々においても記念され、祝われなければならないとし、これらのプリムの日が、ユダヤ人の間で廃止されることがなく、この記念が彼らの子孫の中でとだえてしまわないようにした。 + アビハイルの娘である王妃エステルと、ユダヤ人モルデカイは、プリムについてのこの第二の書簡を確かなものとするために、いっさいの権威をもって書いた。 + この手紙は、平和と誠実のことばをもって、アハシュエロスの王国の百二十七州にいるすべてのユダヤ人に送られ、 + ユダヤ人モルデカイと王妃エステルがユダヤ人に命じたとおり、また、ユダヤ人が自分たちとその子孫のために断食と哀悼に関して定めたとおり、このプリムの両日を定まった時期に守るようにした。 + エステルの命令は、このプリムのことを規定し、それは書物にしるされた。 + + + 後に、アハシュエロス王は、本土と海の島々に苦役を課した。 + 彼の権威と勇気によるすべての功績と、王に重んじられたモルデカイの偉大さについての詳細とは、メディヤとペルシヤの王の年代記の書にしるされているではないか。 + それはユダヤ人モルデカイが、アハシュエロス王の次に位し、ユダヤ人の中でも大いなる者であり、彼の多くの同胞たちに敬愛され、自分の民の幸福を求め、自分の全民族に平和を語ったからである。 + +
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+ + ウツの地にヨブという名の人がいた。この人は潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっていた。 + 彼には七人の息子と三人の娘が生まれた。 + 彼は羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭、それに非常に多くのしもべを持っていた。それでこの人は東の人々の中で一番の富豪であった。 + 彼の息子たちは互いに行き来し、それぞれ自分の日に、その家で祝宴を開き、人をやって彼らの三人の姉妹も招き、彼らといっしょに飲み食いするのを常としていた。 + こうして祝宴の日が一巡すると、ヨブは彼らを呼び寄せ、聖別することにしていた。彼は翌朝早く、彼らひとりひとりのために、それぞれの全焼のいけにえをささげた。ヨブは、「私の息子たちが、あるいは罪を犯し、心の中で神をのろったかもしれない」と思ったからである。ヨブはいつもこのようにしていた。 + ある日、神の子らが主の前に来て立ったとき、サタンも来てその中にいた。 + 主はサタンに仰せられた。「おまえはどこから来たのか。」サタンは主に答えて言った。「地を行き巡り、そこを歩き回って来ました。」 + 主はサタンに仰せられた。「おまえはわたしのしもべヨブに心を留めたか。彼のように潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっている者はひとりも地上にはいないのだが。」 + サタンは主に答えて言った。「ヨブはいたずらに神を恐れましょうか。 + あなたは彼と、その家とそのすべての持ち物との回りに、垣を巡らしたではありませんか。あなたが彼の手のわざを祝福されたので、彼の家畜は地にふえ広がっています。 + しかし、あなたの手を伸べ、彼のすべての持ち物を打ってください。彼はきっと、あなたに向かってのろうに違いありません。」 + 主はサタンに仰せられた。「では、彼のすべての持ち物をおまえの手に任せよう。ただ彼の身に手を伸ばしてはならない。」そこで、サタンは主の前から出て行った。 + ある日、彼の息子、娘たちが、一番上の兄の家で食事をしたり、ぶどう酒を飲んだりしていたとき、 + 使いがヨブのところに来て言った。「牛が耕し、そのそばで、ろばが草を食べていましたが、 + シェバ人が襲いかかり、これを奪い、若い者たちを剣の刃で打ち殺しました。私ひとりだけがのがれて、お知らせするのです。」 + この者がまだ話している間に、他のひとりが来て言った。「神の火が天から下り、羊と若い者たちを焼き尽くしました。私ひとりだけがのがれて、お知らせするのです。」 + この者がまだ話している間に、また他のひとりが来て言った。「カルデヤ人が三組になって、らくだを襲い、これを奪い、若い者たちを剣の刃で打ち殺しました。私ひとりだけがのがれて、お知らせするのです。」 + この者がまだ話している間に、また他のひとりが来て言った。「あなたのご子息や娘さんたちは一番上のお兄さんの家で、食事をしたりぶどう酒を飲んだりしておられました。 + そこへ荒野のほうから大風が吹いて来て、家の四隅を打ち、それがお若い方々の上に倒れたので、みなさまは死なれました。私ひとりだけがのがれて、あなたにお知らせするのです。」 + このとき、ヨブは立ち上がり、その上着を引き裂き、頭をそり、地にひれ伏して礼拝し、 + そして言った。「私は裸で母の胎から出て来た。また、裸で私はかしこに帰ろう。主は与え、主は取られる。主の御名はほむべきかな。」 + ヨブはこのようになっても罪を犯さず、神に愚痴をこぼさなかった。 + + + ある日のこと、神の子らが主の前に来て立ったとき、サタンもいっしょに来て、主の前に立った。 + 主はサタンに仰せられた。「おまえはどこから来たのか。」サタンは主に答えて言った。「地を行き巡り、そこを歩き回って来ました。」 + 主はサタンに仰せられた。「おまえはわたしのしもべヨブに心を留めたか。彼のように潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっている者はひとりも地上にはいない。彼はなお、自分の誠実を堅く保っている。おまえは、わたしをそそのかして、何の理由もないのに彼を滅ぼそうとしたが。」 + サタンは主に答えて言った。「皮の代わりには皮をもってします。人は自分のいのちの代わりには、すべての持ち物を与えるものです。 + しかし、今あなたの手を伸べ、彼の骨と肉とを打ってください。彼はきっと、あなたをのろうに違いありません。」 + 主はサタンに仰せられた。「では、彼をおまえの手に任せる。ただ彼のいのちには触れるな。」 + サタンは主の前から出て行き、ヨブの足の裏から頭の頂まで、悪性の腫物で彼を打った。 + ヨブは土器のかけらを取って自分の身をかき、また灰の中にすわった。 + すると彼の妻が彼に言った。「それでもなお、あなたは自分の誠実を堅く保つのですか。神をのろって死になさい。」 + しかし、彼は彼女に言った。「あなたは愚かな女が言うようなことを言っている。私たちは幸いを神から受けるのだから、わざわいをも受けなければならないではないか。」ヨブはこのようになっても、罪を犯すようなことを口にしなかった。 + そのうちに、ヨブの三人の友は、ヨブに降りかかったこのすべてのわざわいのことを聞き、それぞれ自分の所からたずねて来た。すなわち、テマン人エリファズ、シュアハ人ビルダデ、ナアマ人ツォファルである。彼らはヨブに悔やみを言って慰めようと互いに打ち合わせて来た。 + 彼らは遠くから目を上げて彼を見たが、それがヨブであることが見分けられないほどだった。彼らは声をあげて泣き、おのおの、自分の上着を引き裂き、ちりを天に向かって投げ、自分の頭の上にまき散らした。 + こうして、彼らは彼とともに七日七夜、地にすわっていたが、だれも一言も彼に話しかけなかった。彼の痛みがあまりにもひどいのを見たからである。 + + + その後、ヨブは口を開いて自分の生まれた日をのろった。 + ヨブは声を出して言った。 + 私の生まれた日は滅びうせよ。/「男の子が胎に宿った」と言ったその夜も。 + その日はやみになれ。/神もその日を顧みるな。/光もその上を照らすな。 + やみと暗黒がこれを取り戻し、雲がこの上にとどまれ。/昼を暗くするものもそれをおびやかせ。 + その夜は、暗やみがこれを奪い取るように。/これを年の日のうちで喜ばせるな。/月の数のうちにも入れるな。 + ああ、その夜は、はらむことのないように。/その夜には喜びの声も起こらないように。 + 日をのろう者、レビヤタンを呼び起こせる者が/これをのろうように。 + その夜明けの星は暗くなれ。/光を待ち望んでも、それはなく、暁のまぶたのあくのを見ることがないように。 + それは、私の母の胎の戸が閉じられず、私の目から苦しみが隠されなかったからだ。 + なぜ、私は、胎から出たとき、死ななかったのか。/なぜ、私は、生まれ出たとき、息絶えなかったのか。 + なぜ、ひざが私を受けたのか。/なぜ、私の吸う乳房があったのか。 + 今ごろ、私は安らかに横になり、眠って休み、 + 自分たちのためにあの廃墟を築いた/この世の王たち、また議官たち、 + あるいは黄金を持ち、自分の家を銀で満たした/首長たちといっしょにいたことであろうに。 + それとも、私は、ひそかにおろされた流産の子のよう、光を見なかった嬰児のようでなかったのか。 + かしこでは、悪者どもはいきりたつのをやめ、かしこでは、力のなえた者はいこい、 + 捕らわれ人も共に休み、追い使う者の声も聞かない。 + かしこでは、下の者も上の者も同じで、奴隷も主人から解き放たれる。 + なぜ、苦しむ者に光が与えられ、心の痛んだ者にいのちが与えられるのだろう。 + 死を待ち望んでも、死は来ない。/それを掘り求めても、隠された宝を掘り求めるのにすぎないとは。 + 彼らは墓を見つけると、なぜ、歓声をあげて喜び、楽しむのだろう。 + 神が囲いに閉じ込めて、自分の道が隠されている人に、なぜ、光が与えられるのだろう。 + 実に、私には食物の代わりに嘆きが来て、私のうめき声は水のようにあふれ出る。 + 私の最も恐れたものが、私を襲い、私のおびえたものが、私の身にふりかかったからだ。 + 私には安らぎもなく、休みもなく、いこいもなく、心はかき乱されている。 + + + すると、テマン人エリファズが話しかけて言った。 + もし、だれかがあなたにあえて語りかけたら、あなたはそれに耐えられようか。/しかし、だれが黙っておられよう。 + 見よ。あなたは多くの人を訓戒し、弱った手を力づけた。 + あなたのことばはつまずく者を起こし、くずおれるひざをしっかり立たせた。 + だが、今これがあなたにふりかかると、あなたは、これに耐えられない。/これがあなたを打つと、あなたはおびえている。 + あなたが神を恐れていることは/あなたの確信ではないか。/あなたの望みは/あなたの潔白な行いではないか。 + さあ思い出せ。/だれか罪がないのに滅びた者があるか。/どこに正しい人で絶たれた者があるか。 + 私の見るところでは、不幸を耕し、害毒を蒔く者が、それを刈り取るのだ。 + 彼らは神のいぶきによって滅び、その怒りの息によって消えうせる。 + 獅子のほえる声、たける獅子の声は共にやみ、若い獅子のきばも砕かれる。 + 雄獅子は獲物がなくて滅び、雌獅子の子らは散らされる。 + 一つのことばが私に忍び寄り、そのささやきが私の耳を捕らえた。 + 夜の幻で思い乱れ、深い眠りが人々を襲うとき、 + 恐れとおののきが私にふりかかり、私の骨々は、わなないた。 + そのとき、一つの霊が私の顔の上を通り過ぎ、私の身の毛がよだった。 + それは立ち止まったが、私はその顔だちを見分けることができなかった。/しかし、その姿は、私の目の前にあった。/静寂…、そして私は一つの声を聞いた。 + 人は神の前に正しくありえようか。/人はその造り主の前にきよくありえようか。 + 見よ。神はご自分のしもべさえ信頼せず、その御使いたちにさえ誤りを認められる。 + まして、ちりの中に土台を据える泥の家に住む者は/なおさらのことである。/彼らはしみのようにたやすく押しつぶされ、 + 彼らは朝から夕方までに打ち砕かれ、永遠に滅ぼされて、だれも顧みない。 + 彼らの幕屋の綱も/彼らのうちから取り去られないであろうか。/彼らは知恵がないために死ぬ。 + + + さあ、呼んでみよ。/だれかあなたに答える者があるか。/聖者のうちのだれに/あなたは向かって行こうとするのか。 + 憤りは愚か者を殺し、ねたみはあさはかな者を死なせる。 + 私は愚か者が根を張るのを見た。/しかし、その住みかは、たちまち腐った。 + その子たちは危険にさらされ、門で押しつぶされても、彼らを救い出す者もいない。 + 彼の刈り入れる物は飢えた人が食べ、いばらの中からさえこれを奪う。/渇いた者が彼らの富をあえぎ求める。 + なぜなら、不幸はちりから出て来ず、苦しみは土から芽を出さないからだ。 + 人は生まれると苦しみに会う。/火花が上に飛ぶように。 + 私なら、神に尋ね、私のことを神に訴えよう。 + 神は大いなる事をなして測り知れず、その奇しいみわざは数えきれない。 + 神は地の上に雨を降らし、野の面に水を送る。 + 神は低い者を高く上げ、悲しむ者を引き上げて救う。 + 神は悪賢い者のたくらみを打ちこわす。/それで彼らの手は、何の効果ももたらさない。 + 神は知恵のある者を/彼ら自身の悪知恵を使って捕らえる。/彼らのずるいはかりごとはくつがえされる。 + 彼らは昼間にやみに会い、真昼に、夜のように手さぐりする。 + 神は貧しい者を剣から、彼らの口から、強い者の手から救われる。 + こうして寄るべのない者は望みを持ち、不正はその口をつぐむ。 + ああ、幸いなことよ。神に責められるその人は。/だから全能者の懲らしめを/ないがしろにしてはならない。 + 神は傷つけるが、それを包み、打ち砕くが、その手でいやしてくださるからだ。 + 神は六つの苦しみから、あなたを救い出し、七つ目のわざわいはあなたに触れない。 + ききんのときには死からあなたを救い、戦いのときにも剣の力からあなたを救う。 + 舌でむち打たれるときも、あなたは隠され、破壊の来るときにも、あなたはそれを恐れない。 + あなたは破壊とききんとをあざ笑い、地の獣をも恐れない。 + 野の石とあなたは契りを結び、野の獣はあなたと和らぐからだ。 + あなたは自分の天幕が安全であるのを知り、あなたの牧場を見回っても何も失っていない。 + あなたは自分の子孫が多くなり、あなたのすえが地の草のようになるのを知ろう。 + あなたは長寿を全うして墓に入ろう。/あたかも麦束がその時期に収められるように。 + さあ、私たちが調べ上げたことはこのとおりだ。/これを聞き、あなた自身でこれを知れ。 + + + ヨブは答えて言った。 + ああ、私の苦悶の重さが量られ、私の災害も共にはかりにかけられたら。 + それは、きっと海の砂よりも重かろう。/だから、私のことばが激しかったのだ。 + 全能者の矢が私に刺さり、私のたましいがその毒を飲み、神の脅かしが私に備えられている。 + 野ろばは若草の上で鳴くだろうか。/牛は飼葉の上でうなるだろうか。 + 味のない物は塩がなくて食べられようか。/卵のしろみに味があろうか。 + 私はそんなものに触れるまい。/それは私には腐った食物のようだ。 + ああ、私の願いがかなえられ、私の望むものを神が与えてくださるとよいのに。 + 私を砕き、御手を伸ばして私を絶つことが/神のおぼしめしであるなら、 + 私はなおも、それに慰めを得、容赦ない苦痛の中でも、こおどりして喜ぼう。/私は聖なる方のことばを/拒んだことがないからだ。 + 私にどんな力があるからといって、私は待たなければならないのか。/私にどんな終わりがあるからといって、私は耐え忍ばなければならないのか。 + 私の力は石の力であろうか。/私の肉は青銅であろうか。 + 私のうちには、何の助けもないではないか。/すぐれた知性も/私から追い散らされているではないか。 + 落胆している者には、その友から友情を。/さもないと、彼は全能者への恐れを捨てるだろう。 + 私の兄弟たちは川のように裏切った。/流れている川筋の流れのように。 + 氷で黒ずみ、雪がその上を隠している。 + 炎天のころになると、それはなくなり、暑くなると、その所から消える。 + 隊商はその道を変え、荒地に行って、滅びる。 + テマの隊商はこれを目当てとし、シェバの旅人はこれに期待をかける。 + 彼らはこれにたよったために恥を見、そこまで来て、はずかしめを受ける。 + 今あなたがたは、そのようになった。/あなたがたは恐ろしいことを見ておびえている。 + 私が言ったことがあるか。/「私に与えよ」とか、「あなたがたの持ち物の中から、私のために贈り物をせよ」と。 + あるいは「敵の手から私を救い出せ。/横暴な者の手から私を贖え」と。 + 私に教えよ。そうすれば、私は黙ろう。/私がどんなあやまちを犯したか、私に悟らせよ。 + まっすぐなことばはなんと痛いことか。/あなたがたは何を責めたてているのか。 + あなたがたはことばで私を責めるつもりか。/絶望した者のことばは風のようだ。 + あなたがたはみなしごをくじ引きにし、自分の友さえ売りに出す。 + 今、思い切って私のほうを向いてくれ。/あなたがたの顔に向かって、私は決してまやかしを言わない。 + どうか、思い直してくれ。/不正があってはならない。/もう一度、思い返してくれ。/私の正しい訴えを。 + 私の舌に不正があるだろうか。/私の口はわざわいをわきまえないだろうか。 + + + 地上の人には苦役があるではないか。/その日々は日雇い人の日々のようではないか。 + 日陰をあえぎ求める奴隷のように、賃金を待ち望む日雇い人のように、 + 私にはむなしい月々が割り当てられ、苦しみの夜が定められている。 + 横たわるとき、私は言う。/「私はいつ起きられるだろうか」と。/夜は長く、私は暁まで寝返りをうち続ける。 + 私の肉はうじと土くれをまとい、私の皮は固まっては、またくずれる。 + 私の日々は機の杼よりも速く、望みもなく過ぎ去る。 + 思い出してください。/私のいのちはただの息であることを。/私の目は再び幸いを見ないでしょう。 + 私を見る者の目は、私を認めることができないでしょう。/あなたの目が私に向けられても、私はもういません。 + 雲が消え去ってしまうように、よみに下る者は、もう上って来ないでしょう。 + 彼はもう自分の家に帰らず、彼の家も、もう彼を認めないでしょう。 + それゆえ、私も自分の口を制することをせず、私の霊の苦しみの中から語り、私のたましいの苦悩の中から嘆きます。 + 私は海でしょうか、海の巨獣でしょうか、あなたが私の上に見張りを置かれるとは。 + 「私のふしどが私を慰め、私の寝床が私の嘆きを軽くする」と私が言うと、 + あなたは夢で私をおののかせ、幻によって私をおびえさせます。 + それで私のたましいは、むしろ窒息を選び、私の骨よりも死を選びます。 + 私はいのちをいといます。/私はいつまでも生きたくありません。/私にかまわないでください。/私の日々はむなしいものです。 + 人とは何者なのでしょう。あなたがこれを尊び、これに御心を留められるとは。 + また、朝ごとにこれを訪れ、そのつどこれをためされるとは。 + いつまで、あなたは私から目をそらされないのですか。/つばをのみこむ間も、私を捨てておかれないのですか。 + 私が罪を犯したといっても、人を見張るあなたに、私は何ができましょう。/なぜ、私をあなたの的とされるのですか。/私が重荷を負わなければならないのですか。 + どうして、あなたは私のそむきの罪を赦さず、私の不義を除かれないのですか。/今、私はちりの中に横たわります。/あなたが私を捜されても、私はもうおりません。 + + + シュアハ人ビルダデが答えて言った。 + いつまであなたはこのようなことを語るのか。/あなたが口にすることばは激しい風のようだ。 + 神は公義を曲げるだろうか。/全能者は義を曲げるだろうか。 + もし、あなたの子らが神に罪を犯し、神が彼らを/そのそむきの罪の手中に送り込まれたのなら、 + もし、あなたが、熱心に神に求め、全能者にあわれみを請うなら、 + もし、あなたが純粋で正しいなら、まことに神は今すぐあなたのために起き上がり、あなたの義の住まいを回復される。 + あなたの始めは小さくても、その終わりは、はなはだ大きくなる。 + さあ、先代の人に尋ねよ。/その先祖たちの探究したことを確かめよ。 + 私たちは、きのう生まれた者で、何も知らず、私たちの地上にある日は影だからである。 + 彼らはあなたに教え、あなたに語りかけ、その心からことばを出さないだろうか。 + パピルスは沼地でなくても育つだろうか。/葦は水がなくても伸びるだろうか。 + これは、まだ若芽のときには刈られないのに、ほかの草に先立って枯れる。 + すべて神を忘れる者の道はこのようだ。/神を敬わない者の望みは消えうせる。 + その確信は、くもの糸、その信頼は、くもの巣だ。 + 彼が自分の家に寄りかかると、家はそれに耐えきれない。/これにすがりつくと、それはもちこたえない。 + 彼が日に当たって青々と茂り、その若枝は庭に生えいで、 + その根は石くれの山にからまり、それが岩間に生えても、 + 神がもし、その場所からそれを取り除くと、その場所は/「私はあなたを見たことがない」と否む。 + 見よ。これが彼の道の喜びである。/ほかのものがその地から芽を出そう。 + 見よ。神は潔白な人を退けない。/悪を行う者の手を取らない。 + ついには、神は笑いをあなたの口に満たし、喜びの叫びをあなたのくちびるに満たす。 + あなたを憎む者は恥を見、悪者どもの天幕は、なくなってしまう。 + + + ヨブは答えて言った。 + まことに、そのとおりであることを私は知っている。/しかし、どうして人は自分の正しさを/神に訴えることができようか。 + たとい神と言い争おうと思っても、千に一つも答えられまい。 + 神は心に知恵のある方、力の強い方。/神に身をこわくして、だれがそのままで済むだろうか。 + 神が山々を移されるが、だれもこれに気づかない。/神は怒ってこれをくつがえされる。 + 神が地をその基から震わすと、その柱は揺れ動く。 + 神が太陽に命じると、それは上らない。/星もまた封じ込められる。 + 神はただひとりで天を張り延ばし、海の大波を踏まれる。 + 神は牡牛座、オリオン座、すばる座、それに、南の天の室を造られた。 + 神は大いなることを行って測り知れず、その奇しいみわざは数えきれない。 + たとい神が私のそばを通り過ぎても、私には見えない。/神が進んで行っても、私は認めることができない。 + ああ、神が奪い取ろうとするとき、だれがそれを引き止めることができようか。/だれが神に向かって、「何をされるのか」と言いえよう。 + 神は怒りを翻さない。/ラハブを助ける者たちは、みもとに身をかがめる。 + いったい、この私が神に答えられようか。/私が神とことばを交せようか。 + たとい、私が正しくても、神に答えることはできない。/私をさばく方にあわれみを請うだけだ。 + たとい、私が呼び、私に答えてくださったとしても、神が私の声に耳を傾けられたとは、信じられない。 + 神はあらしをもって私を打ち砕き、理由もないのに、私の傷を増し加え、 + 私に息もつかせず、私を苦しみで満たしておられる。 + もし、力について言えば、見よ、神は力強い。/もし、さばきについて言えば、だれが私を呼び出すことができるか。 + たとい私が正しくても、私自身の口が私を罪ある者とし、たとい私が潔白でも、神は私を曲がった者とされる。 + 私は潔白だ。/しかし、私には自分自身がわからない。/私は自分のいのちをいとう。 + みな同じことだ。だから私は言う。/神は、潔白な者をも悪者をも/共に絶ち滅ぼされる。 + にわか水が突然出て人を殺すと、神は罪のない者の受ける試練をあざける。 + 地は悪者の手にゆだねられ、神はそのさばきつかさらの顔をおおう。/もし、神がそうするのでなければ、そうするのはだれか。 + 私の日々は飛脚よりも速い。/それは飛び去って、しあわせを見ない。 + それは葦の舟のように通り過ぎ、獲物に襲いかかる鷲のように通り過ぎる。 + たとい「不平を忘れ、憂うつな顔を捨てて、明るくなりたい」と私が言いましても、 + 私の受けたすべての苦痛を思うと、私はおびえます。/私は知っています。/あなたは、私を罪のない者とは/してくださいません。 + 私はきっと、罪ある者とされましょう。/ではなぜ、私はいたずらに労するのでしょうか。 + たとい私が雪の水で身を洗っても、灰汁で私の手をきよめても、 + あなたは私を墓の穴に突き落とし、私の着物は私を忌みきらいます。 + 神は私のように人間ではないから、私は「さあ、さばきの座にいっしょに行こう」/と申し入れることはできない。 + 私たちふたりの上に手を置く仲裁者が/私たちの間にはいない。 + 神がその杖を私から取り去られるように。/その恐ろしさで私をおびえさせないように。 + そうすれば、私は語りかけ、神を恐れまい。/いま私はそうではないからだ。 + + + 私は自分のいのちをいとう。/私は自分の不平をぶちまけ、私のたましいの苦しみを語ろう。 + 私は神に言おう。/「私を罪ある者となさらないように。/なぜ私と争われるかを、知らせてください。 + あなたが人をしいたげ、御手のわざをさげすみ、悪者のはかりごとに光を添えることは/良いことでしょうか。 + あなたは肉の目を持っておられるのですか。/あるいは、人間が見るように、あなたも見られるのですか。 + あなたの日々は人間の日々と同じですか。/あるいは、あなたの年は人の年と同じですか。 + それで、あなたは私の咎を捜し、私の罪を探られるのですか。 + あなたは、私に罪のないことを知っておられ、だれもあなたの手から/救い出せる者はいないのに。 + あなたの御手は私を形造り、造られました。/それなのにあなたは私を滅ぼそうとされます。 + 思い出してください。/あなたは私を粘土で造られました。/あなたは、私をちりに帰そうとされるのですか。 + あなたは私を乳のように注ぎ出し、チーズのように固め、 + 皮と肉とを私に着せ、骨と筋とで私を編まれたではありませんか。 + あなたはいのちと恵みとを私に与え、私を顧みて私の霊を守られました。 + しかし、あなたはこれらのことを/御心に秘めておられました。/私はこのことがあなたのうちにあるのを/知っています。 + もし、私が罪を犯すと、あなたは私を待ちもうけておられ、私の咎を見のがされません。 + もし、私が罪ある者とされるのなら、ああ、悲しいことです。/私は、正しくても、私の頭をもたげることはできません。/自分の恥に飽き飽きし、私の悩みを見ていますから。 + 私の頭が上がると、あなたはたける獅子のように、私を駆り立て、再び私に驚くべき力をふるわれるでしょう。 + あなたは私の前に/あなたの新しい証人たちを立て、私に向かってあなたの怒りを増し、私をいよいよ苦しめられるでしょう。 + なぜ、あなたは/私を母の胎から出されたのですか。/私が息絶えていたら、だれにも見られなかったでしょうに。 + 私が生まれて来なかったかのように、母の胎から墓に運び去られていたら/よかったものを。 + 私の生きる日はいくばくもないのですか。/それではやめてください。/私にかまわないでください。/私はわずかでも明るくなりたいのです。 + 私が、再び帰らぬところ、やみと死の陰の地に行く前に。 + そこは暗やみのように真っ暗な地、死の陰があり、秩序がなく、光も暗やみのようです。」 + + + ナアマ人ツォファルが答えて言った。 + ことば数が多ければ、言い返しがないであろうか。/舌の人が義とされるのだろうか。 + あなたのおしゃべりは人を黙らせる。/あなたはあざけるが、だれもあなたを恥じさせる者がない。 + あなたは言う。/「私の主張は純粋だ。/あなたの目にも、きよい」と。 + ああ、神がもし語りかけ、あなたに向かって/くちびるを開いてくださったなら、 + 神は知恵の奥義をあなたに告げ、すぐれた知性を倍にしてくださるものを。/知れ。神はあなたのために、あなたの罪を忘れてくださることを。 + あなたは神の深さを見抜くことができようか。/全能者の極限を見つけることができようか。 + それは天よりも高い。あなたに何ができよう。/それはよみよりも深い。あなたが何を知りえよう。 + それを計れば、地よりも長く、海よりも広い。 + もし、神が通り過ぎ、あるいは閉じ込め、あるいは呼び集めるなら、だれがそれを引き止めえようか。 + 神は不信実な者どもを知っておられる。/神はその悪意を見て、これに気がつかないであろうか。 + 無知な人間も賢くなり、野ろばの子も、人として生まれる。 + もし、あなたが心を定め、あなたの手を神に向かって差し伸べるなら、 + ――あなたの手に悪があれば、それを捨て、あなたの天幕に不正を住まわせるな―― + そうすれば、あなたは必ず、汚れのないあなたの顔を上げることができ、堅く立って恐れることがない。 + こうしてあなたは労苦を忘れ、流れ去った水のように、これを思い出そう。 + あなたの一生は真昼よりも輝き、暗くても、それは朝のようになる。 + 望みがあるので、あなたは安らぎ、あなたは守られて、安らかに休む。 + あなたが横たわっても、だれもあなたを脅かさない。/多くの者があなたの好意を求める。 + しかし悪者どもの目は衰え果て、彼らは逃げ場を失う。/彼らの望みは、あえぐ息に等しい。 + + + そこでヨブが答えて言った。 + 確かにあなたがたは人だ。/あなたがたが死ぬと、知恵も共に死ぬ。 + 私にも、あなたがたと同様に、悟りがある。/私はあなたがたに劣らない。/だれかこれくらいのことを/知らない者があろうか。 + 私は、神を呼び、神が答えてくださった者であるのに、私は自分の友の物笑いとなっている。/潔白で正しい者が物笑いとなっている。 + 安らかだと思っている者は/衰えている者をさげすみ、足のよろめく者を押し倒す。 + 荒らす者の天幕は栄え、神を怒らせる者は安らかである。/神がご自分の手でそうさせる者は。 + しかし、獣に尋ねてみよ。/それがあなたに教えるだろう。/空の鳥に尋ねてみよ。/それがあなたに告げるだろう。 + あるいは地に話しかけよ。/それがあなたに教えるだろう。/海の魚もあなたに語るだろう。 + これらすべてのもののうち、主の御手がこれをなさったことを、知らないものがあろうか。 + すべての生き物のいのちと、すべての人間の息とは、その御手のうちにある。 + 口が食物の味を知るように、耳はことばを聞き分けないだろうか。 + 老いた者に知恵があり、年のたけた者に英知があるのか。 + 知恵と力とは神とともにあり、思慮と英知も神のものだ。 + 見よ。神が打ちこわすと、それは二度と建て直せない。/人を閉じ込めると、それはあけられない。 + 見よ。神が水を引き止めると、それはかれ、水を送ると、地をくつがえす。 + 力とすぐれた知性とは神とともにあり、あやまって罪を犯す者も、迷わす者も、神のものだ。 + 神は議官たちをはだしで連れて行き、さばきつかさたちを愚かにし、 + 王たちの帯を解き、その腰に腰布を巻きつけ、 + 祭司たちをはだしで連れて行き、勢力ある者を滅ぼす。 + 神は信頼されている者の弁舌を取り除き、長老たちの分別を取り去り、 + 君主たちをさげすみ、力ある者たちの腰帯を解き、 + やみの中から秘密をあらわし、暗黒を光に引き出す。 + 神は国々を富ませ、また、これを滅ぼし、国々を広げ、また、これを連れ去り、 + この国の民のかしらたちの悟りを取り除き、彼らを道のない荒地にさまよわせる。 + 彼らは光のない所、やみに手さぐりする。/神は彼らを酔いどれのように、よろけさせる。 + + + 見よ。私の目はこれをことごとく見た。/私の耳はこれを聞いて悟った。 + あなたがたの知っていることは/私も知っている。/私はあなたがたに劣っていない。 + だが、私は全能者に語りかけ、神と論じ合ってみたい。 + しかし、あなたがたは偽りをでっちあげる者、あなたがたはみな、能なしの医者だ。 + ああ、あなたがたが全く黙っていたら、それがあなたがたの知恵であったろうに。 + さあ、私の論ずるところを聞き、私のくちびるの訴えに耳を貸せ。 + あなたがたは神の代わりに、なんと、不正を言うのか。/神の代わりに、欺きを語るのか。 + 神の顔を、あなたがたは立てるつもりなのか。/神の代わりに言い争うのか。 + 神があなたがたを調べても、大丈夫か。/あなたがたは、人が人を欺くように、神を欺こうとするのか。 + もし、あなたがたが隠れて/自分の顔を立てようとするなら、神は必ずあなたがたを責める。 + 神の威厳は/あなたがたを震え上がらせないだろうか。/その恐れがあなたがたを襲わないだろうか。 + あなたがたの格言は灰のことわざだ。/あなたがたの盾は粘土の盾だ。 + 黙れ。私にかかわり合うな。/この私が話そう。/何が私にふりかかってもかまわない。 + それゆえ、私は自分の肉を自分の歯にのせ、私のいのちを私の手に置こう。 + 見よ。神が私を殺しても、私は神を待ち望み、なおも、私の道を神の前に主張しよう。 + 神もまた、私の救いとなってくださる。/神を敬わない者は、神の前に出ることができないからだ。 + あなたがたは私の言い分をよく聞け。/私の述べることをあなたがたの耳に入れよ。 + 今、私は訴えを並べたてる。/私が義とされることを私は知っている。 + 私と論争する者はいったいだれだ。/もしあれば、そのとき、私は黙って息絶えよう。 + ただ二つの事を私にしないでください。/そうすれば、私は御顔を避けて隠れません。 + あなたの手を私の上から遠ざけてください。/あなたの恐ろしさで/私をおびえさせないでください。 + 呼んでください。私は答えます。/あるいは、私に言わせ、あなたが私に答えてください。 + 私の不義と罪とはどれほどでしょうか。/私のそむきの罪と咎とを私に知らせてください。 + なぜ、あなたは御顔を隠し、私をあなたの敵とみなされるのですか。 + あなたは吹き散らされた木の葉をおどし、かわいたわらを追われるのですか。 + 実にあなたは私に対してひどい宣告を書きたて、私の若い時の咎を/私に受け継がせようとされます。 + あなたは私の足にかせをはめ、私の歩く小道をことごとく見張り、私の足跡にしるしをつけられます。 + そのような者は、腐った物のように朽ち、しみが食い尽くす着物のようになります。 + + + 女から生まれた人間は、日が短く、心がかき乱されることでいっぱいです。 + 花のように咲き出ては切り取られ、影のように飛び去ってとどまりません。 + あなたはこのような者にさえ、あなたの目を開き、私をご自身とともに、さばきの座に連れて行かれるのですか。 + だれが、きよい物を汚れた物から出せましょう。/だれひとり、できません。 + もし、彼の日数が限られ、その月の数もあなたが決めておられ、越えることのできない限界を、あなたが定めておられるなら、 + 彼から目をそらして、かまわないでください。/そうすれば、彼は日雇い人のように/自分の日を楽しむでしょう。 + 木には望みがある。/たとい切られても、また芽を出し、その若枝は絶えることがない。 + たとい、その根が地中で老い、その根株が土の中で枯れても、 + 水分に出会うと芽をふき、苗木のように枝を出す。 + しかし、人間は死ぬと、倒れたきりだ。/人は、息絶えると、どこにいるか。 + 水は海から消え去り、川は干上がり、かれる。 + 人は伏して起き上がらず、天がなくなるまで目ざめず、また、その眠りから起きない。 + ああ、あなたが私をよみに隠し、あなたの怒りが過ぎ去るまで私を潜ませ、私のために時を定め、私を覚えてくださればよいのに。 + 人が死ぬと、生き返るでしょうか。/私の苦役の日の限り、私の代わりの者が来るまで待ちましょう。 + あなたが呼んでくだされば、私は答えます。/あなたはご自分の手で造られたものを/慕っておられるでしょう。 + 今、あなたは私の歩みを数えておられますが、私の罪に目を留めず、 + 私のそむきの罪を袋の中に封じ込め、私の咎をおおってください。 + しかし、山は倒れてくずれ去り、岩もその所から移される。 + 水は石をうがち、大水は地の泥を押し流す。/そのようにあなたは/人の望みを絶ち滅ぼされます。 + あなたは、いつまでも人を打ち負かすので、人は過ぎ去って行きます。/あなたは彼の顔を変えて、彼を追いやられます。 + 自分の子らが尊ばれても、彼にはそれがわからず、彼らが卑しめられても、彼には見分けがつきません。 + ただ、彼は自分の肉の痛みを覚え、そのたましいは自分のために嘆くだけです。 + + + テマン人エリファズが答えて言った。 + 知恵のある者は/むなしい知識をもって答えるだろうか。/東風によってその腹を満たすだろうか。 + 彼は無益なことばを使って論じ、役に立たない論法で論じるだろうか。 + ところが、あなたは信仰を捨て、神に祈ることをやめている。 + それは、あなたの罪があなたの口に教え、あなたが悪賢い人の舌を選び取るからだ。 + あなたの口があなたを罪に定める。私ではない。/あなたのくちびるがあなたに不利な証言をする。 + あなたは最初に生まれた人か。/あなたは丘より先に生み出されたのか。 + あなたは神の会議にあずかり、あなたは知恵をひとり占めにしているのか。 + あなたが知っていることを、私たちは知らないのだろうか。/あなたが悟るものは、私たちのうちに、ないのだろうか。 + 私たちの中には白髪の者も、老いた者もいる。/あなたの父よりもはるかに年上なのだ。 + 神の慰めと、あなたに優しく話しかけられたことばとは、あなたにとっては取るに足りないものだろうか。 + なぜ、あなたは理性を失ったのか。/なぜ、あなたの目はぎらつくのか。 + あなたが神に向かっていらだち、口からあのようなことばを吐くとは。 + 人がどうして、きよくありえようか。/女から生まれた者が、どうして、正しくありえようか。 + 見よ。神はご自身の聖なる者たちをも信頼しない。/天も神の目にはきよくない。 + まして忌みきらうべき汚れた者、不正を水のように飲む人間は、なおさらだ。 + 私はあなたに告げよう。私に聞け。/私の見たところを述べよう。 + それは知恵のある者たちが告げたもの、彼らの先祖が隠さなかったものだ。 + 彼らにだけ、この地は与えられ、他国人はその中を通り過ぎなかった。 + 悪者はその一生の間、もだえ苦しむ。/横暴な者にも、ある年数がたくわえられている。 + その耳には恐ろしい音が聞こえ、平和なときにも荒らす者が彼を襲う。 + 彼はやみから帰って来ることを信ぜず、彼は剣につけねらわれている。 + 彼は食物を求めて、「どこだ」と言いながら、さまよい、やみの日がすぐそこに用意されているのを/知っている。 + 苦難と苦悩とが彼をおびえさせ、戦いの備えをした王のように彼に打ち勝つ。 + それは彼が神に手向かい、全能者に対して高慢にふるまい、 + 厚い盾の取っ手を取って/おこがましくも神に向かって馳せかかるからだ。 + また、彼は顔をあぶらでおおい、腰の回りは脂肪でふくれさせ、 + 荒らされた町、人の住まない家に、石くれの山となる所に、住んだからだ。 + 彼は富むこともなく、その財産も長くもたず、その影を地上に投げかけない。 + 彼はやみからのがれることができず、炎がその若枝を枯らし、神の御口の息によって彼は追い払われる。 + 迷わされて、むなしいことに信頼するな。/その報いはむなしい。 + 彼の時が来ないうちに、それは成し遂げられ、その葉は茂らない。 + 彼は、ぶどうの木のように、その未熟の実は振り落とされ、オリーブの木のように、その花は落とされる。 + 実に、神を敬わない者の仲間には実りがない。/わいろを使う者の天幕は火で焼き尽くされる。 + 彼らは害毒をはらみ、悪意を生み、その腹は欺きの備えをしている。 + + + ヨブは答えて言った。 + そのようなことを、私は何度も聞いた。/あなたがたはみな、煩わしい慰め手だ。 + むなしいことばに終わりがあろうか。/あなたは何に興奮して答えるのか。 + 私もまた、あなたがたのように語ることができる。/もし、あなたがたが私の立場にあったなら、私はことばを連ねてあなたがたを攻撃し、あなたがたに向かって、頭を振ったことだろう。 + 私は口先だけであなたがたを強くし、私のくちびるでの慰めを/やめなかったことだろう。 + たとい、私が語っても、私の痛みは押さえられない。/たとい、私が忍んでも、どれだけ私からそれが去るだろう。 + まことに神は今、私を疲れさせた。/あなたは私の仲間の者を/ことごとく荒らされました。 + あなたは私を、つかみました。/私のやせ衰えた姿が、証人となり、私に向かって立ち、面と向かって答えをします。 + 神は怒って私を引き裂き、私を攻めたて、私に向かって歯ぎしりした。/私の敵は私に向かって目をぎらつかせる。 + 彼らは私に向かって口を大きくあけ、そしって私の頬を打ち、相集まって私を攻める。 + 神は私を小僧っ子に渡し、悪者の手に投げ込まれる。 + 私は安らかな身であったが、神は私を打ち砕き、私の首をつかまえて粉々にし、私を立ててご自分の的とされた。 + その射手たちは私を巡り囲み、神は私の内臓を容赦なく射抜き、私の胆汁を地に流した。 + 神は私を打ち破って、破れに破れを加え、勇士のように私に向かって馳せかかる。 + 私は荒布をはだに縫いつけ、私の角をちりの中に突き刺した。 + 私の顔は泣いて赤くなり、私のまぶたには死の陰がある。 + しかし、私の手には暴虐がなく、私の祈りはきよい。 + 地よ。私の血をおおうな。/私の叫びに休み場所を与えるな。 + 今でも天には、私の証人がおられます。/私を保証してくださる方は高い所におられます。 + 私の友は私をあざけります。/しかし、私の目は神に向かって涙を流します。 + その方が、人のために/神にとりなしをしてくださいますように。/人の子がその友のために。 + 数年もたてば、私は帰らぬ旅路につくからです。 + + + 私の霊は乱れ、私の日は尽き、私のものは墓場だけ。 + しかも、あざける者らが、私とともにおり、私の目は彼らの敵意の中で夜を過ごす。 + どうか、私を保証する者を/あなたのそばに置いてください。/ほかにだれか誓ってくれる者がありましょうか。 + あなたが彼らの心を閉じて/悟ることがないようにされたからです。/それゆえ、あなたは彼らを高められないでしょう。 + 分け前を得るために友の告げ口をする者、その子らの目は衰え果てる。 + 神は私を民の物笑いとされた。/私は顔につばきをかけられる者となった。 + 私の目は悲しみのためにかすみ、私のからだは影のようだ。 + 正しい者はこのことに驚き、罪のない者は神を敬わない者に向かって憤る。 + 義人は自分の道を保ち、手のきよい人は力を増し加える。 + だが、あなたがたはみな、帰って来るがよい。/私はあなたがたの中に/ひとりの知恵のある者も見いだすまい。 + 私の日は過ぎ去り、私の企て、私の心に抱いたことも破れ去った。 + 「夜は昼に変えられ、やみから光が近づく」と言うが、 + もし私が、よみを私の住みかとして望み、やみに私の寝床をのべ、 + その穴に向かって、「おまえは私の父だ」と言い、うじに向かって、「私の母、私の姉妹」と言うのなら、 + 私の望みはいったいどこにあるのか。/だれが、私の望みを見つけよう。 + よみの深みに下っても、あるいは、共にちりの上に降りて行っても。 + + + そこでシュアハ人ビルダデが答えて言った。 + いつ、あなたがたはその話にけりをつけるのか。/まず悟れ。それから私たちは語り合おう。 + なぜ、私たちは獣のようにみなされるのか。/なぜ、あなたがたの目には汚れて見えるのか。 + 怒って自分自身を引き裂く者よ。/あなたのために地が見捨てられようか。/岩がその所から移されようか。 + 悪者どもの光は消え、その火の炎も輝かない。 + 彼の天幕のうちでは、光は暗くなり、彼を照らすともしびも消える。 + 彼の力強い歩みはせばめられ、おのれのはかりごとが彼を投げ倒す。 + 彼は自分の足で網にかかる。/落とし穴の上を歩むからだ。 + わなは彼のかかとを捕らえ、しかけ網は彼をつかまえる。 + 地には彼のための輪繩が、その通り道には彼のためのわなが隠されている。 + 恐怖が回りから彼を脅かし、彼の足を追い立てる。 + 彼の精力は飢え、わざわいが/彼をつまずかせようとしている。 + 彼の皮膚を食らおうとしている。/死の初子が彼のからだを食らおうとしている。 + 彼はその拠り頼む天幕から引き抜かれ、恐怖の王のもとへ追いやられる。 + 彼の天幕には、彼のものではない者が住み、硫黄が彼の住まいの上にまき散らされる。 + 下ではその根が枯れ、上ではその枝がしなびる。 + 彼についての記憶は地から消えうせ、彼の名はちまたから消える。 + 彼は光からやみに追いやられ、世から追い出される。 + 彼には自分の民の中に親類縁者がなくなり、その住みかにはひとりの生存者もなくなる。 + 西に住む者は彼の日について驚き、東に住む者は恐怖に取りつかれる。 + 不正をする者の住みかは、まことに、このようであり、これが神を知らない者の住まいである。 + + + そこでヨブは答えて言った。 + いつまで、あなたがたは私のたましいを悩まし、そんな論法で私を砕くのか。 + もう、十度もあなたがたは/私に恥ずかしい思いをさせ、恥知らずにも私をいじめる。 + もし、私がほんとうに/あやまって罪を犯したとしても、私のあやまって犯した罪が/私のうちにとどまっているだろうか。 + あなたがたがほんとうに私に向かって高ぶり、私の受けたそしりのことで、私を責めるのなら、 + いま知れ。「神が私を迷わせ、神の網で私を取り囲まれた」ことを。 + 見よ。私が、「これは暴虐だ」と叫んでも/答えはなく、助けを求めて叫んでも、それは正されない。 + 神が私の道をふさがれたので、私は過ぎ行くことができない。/私の通り道にやみを置いておられる。 + 神は私の栄光を私からはぎ取り、私の頭から冠を取り去られた。 + 神が四方から私を打ち倒すので、私は去って行く。/神は私の望みを木のように根こそぎにする。 + 神は私に向かって怒りを燃やし、私をご自分の敵のようにみなされる。 + その軍勢は一つとなって進んで来、私に向かって彼らの道を築き上げ、私の天幕の回りに陣を敷く。 + 神は私の兄弟たちを私から遠ざけた。/私の知人は全く私から離れて行った。 + 私の親族は来なくなり、私の親しい友は私を忘れた。 + 私の家に寄宿している者も、私のはしためたちも、私を他国人のようにみなし、私は彼らの目には外国人のようになった。 + 私が自分のしもべを呼んでも、彼は返事もしない。/私は私の口で彼に請わなければならない。 + 私の息は私の妻にいやがられ、私の身内の者らにきらわれる。 + 小僧っ子までが私をさげすみ、私が起き上がると、私に言い逆らう。 + 私の親しい仲間はみな、私を忌みきらい、私の愛した人々も私にそむいた。 + 私の骨は皮と肉とにくっついてしまい、私はただ歯の皮だけでのがれた。 + あなたがた、私の友よ。/私をあわれめ、私をあわれめ。/神の御手が私を打ったからだ。 + なぜ、あなたがたは神のように、私を追いつめ、私の肉で満足しないのか。 + ああ、今、できれば、私のことばが書き留められればよいのに。/ああ、書き物に刻まれればよいのに。 + 鉄の筆と鉛とによって、いつまでも岩に刻みつけられたい。 + 私は知っている。/私を贖う方は生きておられ、後の日に、ちりの上に立たれることを。 + 私の皮が、このようにはぎとられて後、私は、私の肉から神を見る。 + この方を私は自分自身で見る。/私の目がこれを見る。ほかの者の目ではない。/私の内なる思いは私のうちで/絶え入るばかりだ。 + もし、あなたがたが、事の原因を私のうちに見つけて、「彼をどのようにして追いつめようか」/と言うなら、 + あなたがたは剣を恐れよ。/その剣は刑罰の憤りだから。/これによって、あなたがたは/さばきのあることを知るだろう。 + + + そこでナアマ人ツォファルは答えて言った。 + それで、いらだつ思いが私に答えを促し、そのため、私は心あせる。 + 私の侮辱となる訓戒を聞いて、私の悟りの霊が私に答えさせる。 + あなたはこのことを知っているはずだ。/昔から、地の上に人が置かれてから、 + 悪者の喜びは短く、神を敬わない者の楽しみはつかのまだ。 + たとい彼の高ぶりが天まで上り、その頭が雲まで及んでも、 + 彼は自分の糞のようにとこしえに滅びる。/彼を見たことのある者たちは言う。/彼はどこにいるのかと。 + 彼は夢のように飛び去り、だれにも彼は見つけられない。/彼は夜の幻のように追い払われ、 + 彼を見慣れていた目は再び彼を見ず、彼のいた所はもはや彼を認めない。 + 彼の子らは貧民たちにあわれみを請い、彼の手は自分の財産を/取り戻さなければならない。 + 彼の骨が若さに満ちても、それも彼とともにちりに横たわる。 + たとい悪が彼の口に甘く、彼がそれを舌の裏に隠しても、 + あるいは、彼がこれを惜しんで、捨てず、その口の中にとどめていても、 + 彼の食べた物は、彼の腹の中で変わり、彼の中でコブラの毒となる。 + 彼は富をのみこんでも、またこれを吐き出す。/神がこれを彼の腹から追い払われる。 + 彼はコブラの毒を吸い、まむしの舌が彼を殺す。 + 彼は川を見ることがない。/すなわち、蜜と凝乳の流れる川を見ることがない。 + 彼は骨折って得たものを取り戻しても、それをのみこめない。/商いで得た富によっても楽しめない。 + 彼が寄るべのない者を踏みにじって見捨て、自分で建てなかった家をかすめたからだ。 + 彼の腹は足ることを知らないので、欲しがっている物は何一つ、彼はのがさない。 + 彼のむさぼりからのがれる物は一つもない。/だから、彼の繁栄は続かない。 + 満ち足りているときに、彼は貧乏になって苦しみ、苦しむ者の手がことごとく彼に押し寄せる。 + 彼が腹を満たそうとすると、神はその燃える怒りを彼の上に送り、憤りを彼の上に降らす。 + 彼は鉄の武器を免れても、青銅の弓が彼を射通す。 + 彼がそれを引き抜くと、それは彼の背中から出る。/きらめく矢じりが腹から出て、恐れが彼を襲う。 + すべてのやみが彼の宝として隠され、人が吹きおこしたのではない火が/彼を焼き尽くし、彼の天幕に生き残っているものをも/そこなってしまう。 + 天は彼の罪をあらわし、地は彼に逆らって立つ。 + 彼の家の作物はさらわれ、御怒りの日に消えうせる。 + これが悪者の、神からの分け前、神によって定められた彼の相続財産である。 + + + ヨブは答えて言った。 + あなたがたは、私の言い分をよく聞け。/これをあなたがたの私への慰めとしてくれ。 + まず、私が語るのを許してくれ。/私が語って後、あなたはあざけってもよい。 + 私の不平は人に向かってであろうか。/なぜ、私がいらだってはならないのか。 + 私のほうを見て驚け。/そして手を口に当てよ。 + 私は思い出すとおびえ、おののきが私の肉につかみかかる。 + なぜ悪者どもが生きながらえ、年をとっても、なお力を増すのか。 + 彼らのすえは彼らとともに堅く立ち、その子孫は彼らの前に堅く立つ。 + 彼らの家は平和で恐れがなく、神の杖は彼らの上に下されない。 + その牛は、はらませて、失敗することがなく、その雌牛は、子を産んで、仕損じがない。 + 彼らは自分の幼子たちを/羊の群れのように自由にさせ、彼らの子どもたちはとびはねる。 + 彼らはタンバリンと立琴に合わせて歌い、笛の音で楽しむ。 + 彼らはしあわせのうちに寿命を全うし、すぐによみに下る。 + しかし、彼らは神に向かって言う。/「私たちから離れよ。/私たちは、あなたの道を知りたくない。 + 全能者が何者なので、私たちは彼に仕えなければならないのか。/私たちが彼に祈って、どんな利益があるのか」と。 + 見よ。彼らの繁栄はその手の中にない。/悪者のはかりごとは、私と何の関係もない。 + 幾たび、悪者のともしびが消え、わざわいが彼らの上に下り、神が怒って彼らに滅びを分け与えることか。 + 彼らは、風の前のわらのようではないか。/つむじ風に吹き去られる/もみがらのようではないか。 + 神はそのような者の子らのために、彼のわざわいをたくわえておられるのか。/彼自身が報いを受けて/思い知らなければならない。 + 彼の目が自分の滅びを見、彼が全能者の憤りをのまなければならない。 + 彼の日の数が短く定められているのに、自分の後の家のことに何の望みがあろうか。 + 彼は神に知識を教えようとするのか。/高い所におられる方がさばきを下すのだ。 + ある者は元気盛りの時に、全く平穏のうちに死ぬだろう。 + 彼のからだは脂肪で満ち、その骨の髄は潤っている。 + ある者は苦悩のうちに死に、何の幸いも味わうことがない。 + 彼らは共にちりに伏し、うじが彼らをおおう。 + ああ、私はあなたがたの計画を知っている。/私をそこなおうとするたくらみを。 + あなたがたは言う。「権門の家はどこにあるか。/悪者の住んだ天幕はどこにあるか」と。 + あなたがたは道行く人に尋ねなかったか。/彼らのあかしをよく調べないのか。 + 「悪人はわざわいの日を免れ、激しい怒りの日から連れ出される」という。 + だれが彼に面と向かって彼の道を告げえようか。/だれが彼のなしたことを彼に報いえようか。 + 彼は墓に運ばれ、その塚の上には見張りが立つ。 + 谷の土くれは彼に快く、すべての人が彼のあとについて行く。/彼より先に行った者も数えきれない。 + どうしてあなたがたは、私を慰めようとするのか。むだなことだ。/あなたがたの答えることは、ただ不信実だ。 + + + テマン人エリファズが答えて言った。 + 人は神の役に立つことができようか。/賢い人さえ、ただ自分自身の役に立つだけだ。 + あなたが正しくても、それが全能者に何の喜びであろうか。/あなたの道が潔白であっても、それが何の益になろう。 + あなたとともに、さばきの座に、入って行かれ、あなたを責められるのは、あなたが神を恐れているためか。 + いや、それはあなたの悪が大きくて、あなたの不義が果てしないからではないか。 + あなたは理由もないのに/あなたの兄弟から質を取り、裸の者から着物をはぎ取り、 + 疲れている者に水も飲ませず、飢えている者に食物を拒んだからだ。 + 土地を持っている有力者のように、そこに住む有名人のように、 + あなたはやもめを素手で去らせ、みなしごの腕を折った。 + それでわながあなたを取り巻き、恐れが、にわかにあなたを脅かす。 + あるいは、やみがあって、あなたは見ることもできず、みなぎる水があなたをおおう。 + 神は天の高きにおられるではないか。/見よ、星の頂を。それはなんと高いことか。 + あなたは言う。「神に何がわかろうか。/黒雲を通してさばくことができようか。 + 濃い雲が神をおおっているので、神は見ることができない。/神は天の回りを歩き回るだけだ」と。 + あなたは悪人が歩いたあの昔からの道を/守っていこうとするのか。 + 彼らは時がまだ来ないうちに取り去られ、彼らの土台は流れに押し流された。 + 彼らは神に向かって言った。/「私たちから離れよ。/全能者が私たちに何ができようか」と。 + しかし、神は彼らの家を良い物で満たされた。/だが、悪者のはかりごとは私と何の関係もない。 + 正しい者は見て喜び、罪のない者は彼らをあざけって言う。 + 「まことに、私たちに立ち向かった者は滅ぼされ、彼らの残した物は火が焼き尽くした。」 + さあ、あなたは神と和らぎ、平和を得よ。/そうすればあなたに幸いが来よう。 + 神の御口からおしえを受け、そのみことばを心にとどめよ。 + あなたがもし全能者に立ち返るなら、あなたは再び立ち直る。/あなたは自分の天幕から不正を遠ざけ、 + 宝をちりの上に置き、オフィルの金を川の小石の間に置け。 + そうすれば全能者はあなたの黄金となり、尊い銀があなたのものとなる。 + そのとき、あなたは全能者をあなたの喜びとし、神に向かってあなたの顔を上げる。 + あなたが神に祈れば、神はあなたに聞き、あなたは自分の誓願を果たせよう。 + あなたが事を決めると、それは成り、あなたの道の上には光が輝く。 + あなたが低くされると、あなたは高められたと言おう。/神はへりくだる者を救われるからだ。 + 神は罪ある者さえ救う。/その人はあなたの手のきよいことによって/救われる。 + + + ヨブは答えて言った。 + きょうもまた、私はそむく心でうめき、私の手は自分の嘆きのために重い。 + ああ、できれば、どこで神に会えるかを知り、その御座にまで行きたい。 + 私は御前に訴えを並べたて、ことばの限り討論したい。 + 私は神が答えることばを知り、私に言われることが何であるかを悟りたい。 + 神は力強く私と争われるだろうか。/いや、むしろ私に心を留めてくださろう。 + そこでは正しい人が神と論じ合おう。/そうすれば私は、とこしえにさばきを免れる。 + ああ、私が前へ進んでも、神はおられず、うしろに行っても、神を認めることができない。 + 左に向かって行っても、私は神を見ず、右に向きを変えても、私は会うことができない。 + しかし、神は、私の行く道を知っておられる。/神は私を調べられる。/私は金のように、出て来る。 + 私の足は神の歩みにつき従い、神の道を守って、それなかった。 + 私は神のくちびるの命令から離れず、私の定めよりも、御口のことばをたくわえた。 + しかし、みこころは一つである。/だれがそれを翻すことができようか。/神はこころの欲するところを行われる。 + 神は、私について定めたことを、成し遂げられるからだ。/このような多くの定めが神のうちにある。 + だから、私は神の前でおびえ、これを思って、神を恐れているのだ。 + 神は私の心を弱くし、全能者は私をおびえさせた。 + 私はやみによって消されず、彼が、暗黒を私の前からなくされたからだ。 + + + なぜ、全能者によって時が隠されていないのに、神を知る者たちがその日を見ないのか。 + ある者は地境を動かし、群れを奪い取ってこれを飼い、 + みなしごのろばを連れ去り、やもめの牛を質に取り、 + 貧しい者を道から押しのける。/その地の哀れな人々は、共に身を隠す。 + 見よ。荒野の野ろばを。/彼らは、出て行き、荒れた地で獲物を求めて捜し回り、自分の子らのためにえさを求める。 + 飼葉を畑で刈り取り、悪者のぶどう畑をかすめる。 + 彼らは着る物もなく、裸で夜を明かし、寒さの中でも身をおおう物がない。 + 山のあらしでずぶぬれになり、避け所もなく、岩を抱く。 + 彼らはみなしごを乳房からもぎ取り、貧しい者の持ち物を質に取る。 + 彼らは着る物もなく、裸で歩き、飢えながら麦束をになう。 + その植え込みの間で油をしぼり、酒ぶねを踏みながら、なお渇く。 + 人の住む町からうめき声が起こり、傷ついた者のたましいは助けを求めて叫ぶ。/しかし、神はその愚痴に心を留められない。 + これらの者は光に反逆する者で、光の道を認めず、また、その通り道にとどまらない。 + 人殺しは、夜明けに起き上がり、哀れな者や貧しい者を殺し、夜には盗人のようになる。 + 姦通する者の目は夕暮れを待ちもうけ、「私に気づく目はない」と言い、その顔におおう物を当てる。 + 彼は暗くなってから、家々に侵入する。/昼間は閉じこもって光を知らない。 + すべて彼にとっては暗黒が朝である。/彼は暗黒の恐怖と親しいからだ。 + 彼は水の面をすばやく過ぎ去り、彼の割り当ての地は国の中でのろわれる。/彼はぶどう畑の道のほうに向かわない。 + ひでりと暑さは雪の水を奪い、よみは罪を犯した者を奪う。 + 母の胎は彼を忘れ、うじは彼を好んで食べ、彼はもう思い出されない。/不正な者は木のように折られてしまう。 + 彼は子を産まない不妊の女を食いものにし、やもめによくしてやらない。 + しかし、神は力をもって/暴虐な者たちを生きのびるようにされる。/彼はいのちがあるとは信じられないときにも/立ち上がる。 + 神が彼に安全を与える。/それで、彼は休むことができる。/神の目は彼らの道の上に注がれる。 + 彼らはしばらくの間、高められるが、消えうせる。/彼らは低くされ、ほかのすべての者と同じように刈り集められる。/麦の穂先のように枯れてしまう。 + 今そうでないからといって、だれが私をまやかし者だと言えよう。/だれが私のことばを/たわごとにしようとするのか。 + + + シュアハ人ビルダデが答えて言った。 + 主権と恐れとは神のもの。/神はその高き所で平和をつくる。 + その軍勢の数ほどのものがほかにあろうか。/その光に照らされないものがだれかいようか。 + 人はどうして神の前に正しくありえようか。/女から生まれた者が、どうしてきよくありえようか。 + ああ、神の目には/月さえも輝きがなく、星もきよくない。 + ましてうじである人間、虫けらの人の子はなおさらである。 + + + ヨブは答えて言った。 + あなたは無力な者をどのようにして助けたのか。/力のない腕をどのようにして救ったのか。 + 知恵のない者をどのようにしていさめ、豊かなすぐれた知性を示したのか。 + あなたはだれに対してことばを告げているのか。/だれの息があなたから出たのか。 + 死者の霊は、水とそこに住むものとの下にあって震える。 + よみも神の前では裸であり、滅びの淵もおおわれない。 + 神は北を虚空に張り、地を何もない上に掛けられる。 + 神は水を濃い雲の中に包まれるが、その下の雲は裂けない。 + 神は御座の面をおおい、その上に雲を広げ、 + 水の面に円を描いて、光とやみとの境とされた。 + 神がしかると、天の柱は震い、恐れる。 + 神は御力によって海をかき立て、神の英知をもってラハブを打ち砕く。 + その息によって天は晴れ渡り、御手は逃げる蛇を刺し通す。 + 見よ。これらはただ神の道の外側にすぎない。/私たちはただ、神についてのささやきしか聞いていない。/だれが、その力ある雷を聞き分けえようか。 + + + ヨブはまた、自分の格言を取り上げて言った。 + 私の権利を取り去った神、私のたましいを苦しめた全能者をさして誓う。 + 私の息が私のうちにあり、神の霊が私の鼻にあるかぎり、 + 私のくちびるは不正を言わず、私の舌は決して欺きを告げない。 + あなたがたを義と認めることは、私には絶対にできない。/私は息絶えるまで、自分の潔白を離さない。 + 私は自分の義を堅く保って、手放さない。/私の良心は生涯私を責めはしない。 + 私の敵は不正をする者のようになれ。/私に立ち向かう者はよこしまな者のようになれ。 + 神を敬わない者の望みはどうなるであろうか。/神が彼を断ち切り、そのいのちを取り去るときは。 + 苦しみが彼にふりかかるとき、神は彼の叫びを聞かれるであろうか。 + 彼は全能者を彼の喜びとするだろうか。/どんな時にも神を呼ぶだろうか。 + 私は神の御手について/あなたがたに教えよう。/全能者のもとにあるものを私は隠すまい。 + ああ、あなたがたはみな、それを見たのに、なぜ、あなたがたは全くむなしいことを言うのか。 + 悪者の神からの分け前、横暴な者が全能者から受け取る相続財産は/次のとおりだ。 + たとい、彼の子どもたちがふえても、剣にかかる。/その子孫はパンに飽き足ることはない。 + その生き残った者も死んで葬られ、そのやもめらは泣きもしない。 + 彼が銀をちりのように積み上げ、衣装を土のようにたくわえても、 + 彼がたくわえたものは、正しい者がこれを着、銀は、罪のない者が分け取る。 + 彼はしみが建てるような家を建てる。/それは番人が作る仮小屋のようだ。 + 富む者が寝ると、もうそれきりだ。/彼が目を開くと、もうそれはない。 + 恐怖が洪水のように彼を襲い、夜にはつむじ風が彼を運び去る。 + 東風が彼を吹き上げると、彼は去り、彼をそのいる所から吹き払う。 + 神は容赦なくそれを彼に投げつけ、彼は御手からなんとかしてのがれようとする。 + 人々は彼に向かって手をたたき、彼をあざけって、そのいる所から追い出す。 + + + まことに、銀には鉱山があり、金には精錬する所がある。 + 鉄は土から取られ、銅は石を溶かして取る。 + 人はやみを目当てとし、その隅々にまで行って、暗やみと暗黒の石を捜し出す。 + 彼は、人里離れた所に、縦坑を掘り込み、行きかう人に忘れられ、人から離れてそこにぶら下がり、揺れ動く。 + 地そのものは、そこから食物を出すが、その下は火のように沸き返っている。 + その石はサファイヤの出るもと、そのちりには金がある。 + その通り道は猛禽も知らず、はやぶさの目もこれをねらったことがない。 + 誇り高い獣もこれを踏まず、たける獅子もここを通ったことがない。 + 彼は堅い岩に手を加え、山々をその基からくつがえす。 + 彼は岩に坑道を切り開き、その目はすべての宝を見る。 + 彼は川をせきとめ、したたることもないようにし、隠されている物を明るみに持ち出す。 + しかし、知恵はどこから見つけ出されるのか。/悟りのある所はどこか。 + 人はその評価ができない。/それは生ける者の地では見つけられない。 + 深い淵は言う。「私の中にはそれはない。」/海は言う。「私のところにはない。」 + それは純金をもってしても得られない。/銀を量ってもその代価とすることができない。 + オフィルの金でも/その値踏みをすることができず、高価なしまめのうや、サファイヤでもできない。 + 金も玻璃もこれと並ぶことができず、純金の器とも、これは取り替えられない。 + さんごも水晶も言うに足りない。/知恵を獲得するのは真珠にまさる。 + クシュのトパーズもこれと並ぶことができず、純金でもその値踏みをすることはできない。 + では、知恵はどこから来るのか。/悟りのある所はどこか。 + それはすべての生き物の目に隠され、空の鳥にもわからない。 + 滅びの淵も、死も言う。「私たちはそのうわさをこの耳で聞いたことがある。」 + しかし、神はその道をわきまえておられ、神はその所を知っておられる。 + 神は地の隅々まで見渡し、天の下をことごとく見られるからだ。 + 神は風を重くし、水をはかりで量られる。 + 神は、雨のためにその降り方を決め、いなびかりのために道を決められた。 + そのとき、神は知恵を見て、これを見積もり、これを定めて、調べ上げられた。 + こうして、神は人に仰せられた。「見よ。主を恐れること、これが知恵である。悪から離れることは悟りである。」 + + + ヨブはまた、自分の格言を取り上げて言った。 + ああ、できれば、私は、昔の月日のようであったらよいのに。/神が私を守ってくださった/日々のようであったらよいのに。 + あのとき、神のともしびが私の頭を照らし、その光によって私はやみを歩いた。 + 私がまだ壮年であったころ、神は天幕の私に語りかけてくださった。 + 全能者がまだ私とともにおられたとき、私の子どもたちは、私の回りにいた。 + あのとき、私の足跡は乳で洗われ、岩は私に油の流れを注ぎ出してくれたのに。 + 私は町の門に出て行き、私のすわる所を広場に設けた。 + 若者たちは私を見て身をひき、年老いた者も起き上がって立った。 + つかさたちは黙ってしまい、手を口に当てていた。 + 首長たちの声もひそまり、その舌は上あごについた。 + 私について聞いた耳は、私を賞賛し、私を見た目は、それをあかしした。 + それは私が、助けを叫び求める貧しい者を助け出し、身寄りのないみなしごを助け出したからだ。 + 死にかかっている者の祝福が私に届き、やもめの心を私は喜ばせた。 + 私は義をまとい、義は私をおおった。/私の公義は上着であり、かぶり物であった。 + 私は目の見えない者の目となり、足のなえた者の足となった。 + 私は貧しい者の父であり、見知らぬ者の訴訟を調べてやった。 + 私はまた、不正をする者のあごを砕き、その歯の間から獲物を引き抜いた。 + そこで私は考えた。/私は私の巣とともに息絶えるが、不死鳥のように、私は日をふやそう。 + 私の根は水に向かって根を張り、夜露が私の枝に宿ろう。 + 私の栄光は私とともに新しくなり、私の弓は私の手で次々に矢を放つ。 + 人々は、私に聞き入って待ち、私の意見にも黙っていた。 + 私が言ったあとでも言い返さず、私の話は彼らの上に降り注いだ。 + 彼らは雨を待つように私を待ち、後の雨を待つように/彼らは口を大きくあけて待った。 + 私が彼らにほほえみかけても、彼らはそれを信じることができなかった。/私の顔の光はかげらなかった。 + 私は彼らの道を選んでやり、首長として座に着いた。/また、王として軍勢とともに住まい、しかも、嘆く者を慰める者のようであった。 + + + しかし今は、私よりも若い者たちが、私をあざ笑う。/彼らの父は、私が軽く見て、私の群れの番犬とともにいさせたものだ。 + 彼らの手の力も私に何の役に立とうか。/彼らから気力が消えうせた。 + 彼らは欠乏とききんでやつれ、荒れ果てた廃墟の暗やみで砂漠をかじる。 + 彼らはやぶの中のおかひじきを摘み、えにしだの根を彼らの食物とする。 + 彼らは世間から追い出され、人々は盗人を追うように、彼らに大声で叫ぶ。 + 彼らは谷の斜面や、土や岩の穴に住み、 + やぶの中でつぶやき、いらくさの下に群がる。 + 彼らはしれ者の子たち、つまらぬ者の子たち、国からむちでたたき出された者たちだ。 + それなのに、今や、私は彼らのあざけりの歌となり、その笑いぐさとなっている。 + 彼らは私を忌みきらって、私から遠ざかり、私の顔に情け容赦もなくつばきを吐きかける。 + 神が私の綱を解いて、私を悩まされたので、彼らも手綱を私の前に投げ捨てた。 + この悪童どもは、私の右手に立ち、私の足をもつれさせ、私に向かって滅びの道を築いた。 + 彼らは私の通り道をこわし、私の滅びを推し進める。/だれも彼らを押し止める者はいない。 + 彼らは、広い破れ口から入って来るように、あらしの中を押し寄せて来る。 + 恐怖が私にふりかかり、私の威厳を、あの風のように追い立てる。/私の繁栄は雨雲のように過ぎ去った。 + 今、私は心を自分に注ぐ。/悩みの日に私は捕らえられた。 + 夜は私の骨を私からえぐりとり、私をむしばむものは、休まない。 + それは大きな力で、私の着物に姿を変え、まるで長服のように/私に巻きついている。 + 神は私を泥の中に投げ込み、私はちりや灰のようになった。 + 私はあなたに向かって叫びますが、あなたはお答えになりません。/私が立っていても、あなたは私に目を留めてくださいません。 + あなたは、私にとって、残酷な方に変わられ、御手の力で、私を攻めたてられます。 + あなたは私を吹き上げて風に乗せ、すぐれた知性で、私をきりもみにされます。 + 私は知っています、あなたは私を死に帰らせ、すべての生き物の集まる家に帰らせることを。 + それでも、廃墟の中で/人は手を差し伸べないだろうか。/その衰えているとき、助けを叫ばないだろうか。 + 私は不運な人のために/泣かなかっただろうか。/私のたましいは貧しい者のために/悲しまなかっただろうか。 + 私が善を望んだのに、悪が来、光を待ち望んだのに、暗やみが来た。 + 私のはらわたは、休みなく煮えたぎる。/悩みの日が私に立ち向かっている。 + 私は、日にも当たらず、泣き悲しんで歩き回り、つどいの中に立って助けを叫び求める。 + 私はジャッカルの兄弟となり、だちょうの仲間となった。 + 私の皮膚は黒ずんではげ落ち、骨は熱で焼けている。 + 私の立琴は喪のためとなり、私の笛は泣き悲しむ声となった。 + + + 私は自分の目と契約を結んだ。/どうしておとめに目を留めよう。 + 神が上から分けてくださる分け前は何か。/全能者が高い所から下さる相続財産は何か。 + 不正をする者にはわざわいが、不法を行う者には/災難が来るのではないか。 + 神は私の道を見られないのだろうか。/私の歩みをことごとく/数えられないのだろうか。 + もし私がうそとともに歩み、この足が欺きに急いだのなら、 + 正しいはかりで私を量るがよい。/そうすれば神に私の潔白がわかるだろう。 + もし、私の歩みが道からそれ、私の心が自分の目に従って歩み、私の手によごれがついていたなら、 + 私が種を蒔いて他の人が食べるがよい。/私の作物は根こぎにされるがよい。 + もしも、私の心が女に惑わされ、隣人の門で待ち伏せしたことがあったなら、 + 私の妻が他人のために粉をひいてもよい。/また、他人が彼女と寝てもよい。 + これは恥ずべき行い、裁判にかけて罰せられる罪だ。 + 実に、それは滅びの淵まで焼き尽くす火だ。/私の収穫をことごとく根こぎにする。 + 私のしもべや、はしためが、私と争ったとき、もし、私が彼らの言い分を/ないがしろにしたことがあるなら、 + 神が立たれるとき、私はどうすればよいか。/また、神がお調べになるとき、何と答えたらよいか。 + 私を胎内で造られた方は、彼らをも造られたのではないか。/私たちを母の胎内に形造られた方は、ただひとりではないか。 + もし、私が寄るべのない者の望みを退け、やもめの目を衰え果てさせ、 + 私ひとりだけで食物を食べて、みなしごにそれを食べさせなかったのなら、 + ――私の若いときから、彼は私を父のようにして育ち、私は、母の胎にいたときから、彼女を導いた―― + もし、私が、着る物がなくて死にかかっている者や、身をおおう物を持っていない/貧しい者を見たとき、 + 彼の腰が私にあいさつをせず、私の子羊の毛で/それが暖められなかったのなら、 + あるいは、私を助ける者が/門のところにいるのを見ながら、みなしごに向かって私の手を/振り上げたことがあるなら、 + 私の肩の骨が肩から落ち、私の腕がつけ根から折れてもよい。 + 神からのわざわいは私をおびえさせ、その威厳のゆえに、私は何もすることができないからだ。 + もし、私が金をおのれの頼みとし、黄金に向かって、私の拠り頼むもの、と言ったことがあるなら、 + あるいは、私の富が多いので喜び、私の手が多くの物を得たので、喜んだことがあるなら、 + あるいは、輝く日の光を見、照りながら動く月を見て、 + 私の心がひそかに惑わされ、手をもって口づけを投げかけたことがあるなら、 + これもまた裁判にかけて罰せられる罪だ。/私が上なる神を否んだためだ。 + あるいは、私を憎む者の衰えているのを/私が見て喜び、彼にわざわいが下ったとき、喜び勇んだことがあろうか。 + 私は自分の口に罪を犯させなかった。/のろって彼のいのちを求めようともしなかった。 + いったい、私の天幕の人々で、「だれか、彼の肉に/飽き足りなかった者はいないか」/と言わなかったことがあろうか。 + 異国人は外で夜を過ごさず、私は戸口を通りに向けてあけている。 + あるいは、私がアダムのように、自分のそむきの罪をおおい隠し、自分の咎を胸の中に秘めたことがあろうか。 + 私が群集の騒ぎにおびえ、一族のさげすみを恐れて黙り、門を出なかったことがあろうか。 + だれか私に聞いてくれる者はないものか。/見よ。私を確認してくださる方、全能者が私に答えてくださる。/私を訴える者が書いた告訴状があれば、 + 私はそれを肩に負い、冠のように、それをこの身に結びつけ、 + 私の歩みの数をこの方に告げ、君主のようにして近づきたい。 + もし、私の土地が私に向かって叫び、そのうねが共に泣くことがあるなら、 + あるいは、私が金を払わないで/その産物を食べ、その持ち主のいのちを失わせたことがあるなら、 + 小麦の代わりにいばらが生え、大麦の代わりに雑草がはびこるように。/ヨブのことばは終わった。 + + + この三人の者はヨブに答えるのをやめた。それはヨブが自分は正しいと思っていたからである。 + すると、ラム族のブズ人、バラクエルの子エリフが怒りを燃やした。彼がヨブに向かって怒りを燃やしたのは、ヨブが神よりもむしろ自分自身を義としたからである。 + 彼はまた、その三人の友に向かっても怒りを燃やした。彼らがヨブを罪ある者としながら、言い返すことができなかったからである。 + エリフはヨブに語りかけようと待っていた。彼らが自分よりも年長だったからである。 + しかし、エリフは三人の者の口に答えがないのを見て、怒りを燃やした。 + ブズ人、バラクエルの子エリフは答えて言った。/私は若く、あなたがたは年寄りだ。/だから、わきに控えて、遠慮し、あなたがたに私の意見を述べなかった。 + 私は思った。/「日を重ねた者が語り、年の多い者が知恵を教える」と。 + しかし、人の中には確かに霊がある。/全能者の息が人に悟りを与える。 + 年長者が知恵深いわけではない。/老人が道理をわきまえるわけでもない。 + だから、私は言う。「私の言うことを聞いてくれ。私も、また私の意見を述べよう。」 + 今まで私はあなたがたの言うことに期待し、あなたがたの言い分を調べ上げるまで、あなたがたの意見に耳を傾けていた。 + 私はあなたがたに注意を払っていたのに、ヨブに罪を認めさせる者はなく、あなたがたのうちで/彼のことばに答える者もいない。 + だが、おそらくあなたがたは言おう。/「私たちは知恵を見いだした。/人ではなく、神が彼を吹き払った」と。 + 彼はまだ私に向かって/ことばを並べたててはいない。/私はあなたがたのような言い方では/彼に答えまい。 + 彼らはあきれて、もう答えない。/彼らの言うことばもなくなった。 + 彼らが語らず、そのままじっと答えないからといって、私は待っていなければならないだろうか。 + 私は私で自分の言い分を言い返し、私の意見を述べてみよう。 + 私にはことばがあふれており、一つの霊が私を圧迫している。私の腹を。 + 今、私の腹は抜け口のないぶどう酒のようだ。/新しいぶどう酒の皮袋のように、今にも張り裂けようとしている。 + 私は語って、気分を晴らしたい。/くちびるを開いて答えたい。 + 私はだれをもひいきしない。/どんな人にもへつらわない。 + へつらうことを知らないから。/そうでなければ、私を造った方は/今すぐ、私を奪い去ろう。 + + + そこでヨブよ。/どうか、私の言い分を聞いてほしい。/私のすべてのことばに耳を傾けてほしい。 + さあ、私は口を開き、私の舌はこの口の中で語ろう。 + 私の言うことは真心からだ。/私のくちびるは、きよく知識を語る。 + 神の霊が私を造り、全能者の息が私にいのちを与える。 + あなたにできれば、私に返事をし、ことばを並べたて、私の前に立ってみよ。 + 実に、神にとって、私はあなたと同様だ。/私もまた粘土で形造られた。 + 見よ。私のおどしも、あなたをおびえさせない。/私が強く圧しても、あなたには重くない。 + 確かにあなたは、この耳に言った。/私はあなたの話す声を聞いた。 + 「私はきよく、そむきの罪を犯さなかった。/私は純潔で、よこしまなことがない。 + それなのに、神は私を攻める口実を見つけ、私を敵のようにみなされる。 + 神は私の足にかせをはめ、私の歩みをことごとく見張る。」 + 聞け。私はあなたに答える。/このことであなたは正しくない。/神は人よりも偉大だからである。 + なぜ、あなたは神と言い争うのか。/自分のことばに/神がいちいち答えてくださらないといって。 + 神はある方法で語られ、また、ほかの方法で語られるが、人はそれに気づかない。 + 夜の幻と、夢の中で、または深い眠りが人々を襲うとき、あるいは寝床の上でまどろむとき、 + そのとき、神はその人たちの耳を開き、このような恐ろしいかたちで彼らをおびえさせ、 + 人にその悪いわざを取り除かせ、人間から高ぶりを離れさせる。 + 神は人のたましいが、よみの穴に、入らないようにし、そのいのちが槍で滅びないようにされる。 + あるいは、人を床の上で痛みによって責め、その骨の多くをしびれさせる。 + 彼のいのちは食物をいとい、そのたましいはうまい物をいとう。 + その肉は衰え果てて見えなくなり、見えなかった骨があらわになる。 + そのたましいはよみの穴に近づき、そのいのちは殺す者たちに近づく。 + もし彼のそばに、ひとりの御使い、すなわち千人にひとりの代言者がおり、それが人に代わって/その正しさを告げてくれるなら、 + 神は彼をあわれんで仰せられる。「彼を救って、よみの穴に下って行かないようにせよ。わたしは身代金を得た。」 + 彼の肉は幼子のように、まるまる太り、彼は青年のころに返る。 + 彼が神に祈ると、彼は受け入れられる。/彼は喜びをもって御顔を見、神はその人に彼の義を報いてくださる。 + 彼は人々を見つめて言う。/「私は罪を犯し、正しい事を曲げた。/しかし、神は私のようではなかった。 + 神は私のたましいを贖ってよみの穴に下らせず、私のいのちは光を見る」と。 + 見よ。神はこれらすべてのことを、二度も三度も人に行われ、 + 人のたましいをよみの穴から引き戻し、いのちの光で照らされる。 + 耳を貸せ。ヨブ。私に聞け。/黙れ。私が語ろう。 + もし、言い分があるならば、私に言い返せ。/言ってみよ。/あなたの正しいことを示してほしいからだ。 + そうでなければ私に聞け。/黙れ。あなたに知恵を教えよう。 + + + エリフは続けて言った。 + 知恵のある人々よ。私の言い分を聞け。/知識のある人々よ。私に耳を傾けよ。 + 口が食物の味を知るように、耳はことばを聞き分ける。 + さあ、私たちは一つの定めを選び取り、私たちの間で/何が良いことであるかを見分けよう。 + ヨブはかつてこう言った。/「私は正しい。/神が私の正義を取り去った。 + 私は自分の正義に反して、まやかしを言えようか。/私はそむきの罪を犯していないが、私の矢傷は直らない。」 + ヨブのような人がほかにあろうか。/彼はあざけりを水のようにのみ、 + 不法を行う者どもとよく交わり、悪人たちとともに歩んだ。 + 彼は言った。「神と親しんでも、それは人の役に立たない。」 + だから、あなたがた分別のある人々よ。/私に聞け。/神が悪を行うなど、全能者が不正をするなど、絶対にそういうことはない。 + 神は、人の行いをその身に報い、人に、それぞれ自分の道を見つけるようにされる。 + 神は決して悪を行わない。/全能者は公義を曲げない。 + だれが、この地を神にゆだねたのか。/だれが、全世界を神に任せたのか。 + もし、神がご自分だけに心を留め、その霊と息をご自分に集められたら、 + すべての肉なるものは共に息絶え、人はちりに帰る。 + あなたに悟りがあるなら、これを聞け。/私の話す声に耳を傾けよ。 + いったい、公義を憎む者が/治めることができようか。/正しく力ある方を、あなたは罪に定めることができようか。 + 人が王に向かって、「よこしまな者」と言い、高貴な人に向かって、「悪者」と言えるだろうか。 + この方は首長たちを、えこひいきせず、貧民よりも上流の人を重んじることはない。/なぜなら、彼らはみな、神の御手のわざだから。 + 彼らはまたたくまに、それも真夜中に死に、民は震えて過ぎ去る。/強い者たちも人の手によらないで取り去られる。 + 神の御目が人の道の上にあり、その歩みをすべて見ているからだ。 + 不法を行う者どもが身を隠せるような、やみもなく、暗黒もない。 + 人がさばきのときに神のみもとに出るのに、神は人について、そのほか何も定めておられないからだ。 + 神は力ある者を取り調べることなく打ち滅ぼし、これに代えて他の者を立てられる。 + 神は彼らのしたことを知っておられるので、夜、彼らをくつがえされる。/こうして彼らは砕かれる。 + 神は、人々の見ているところで、彼らを、悪者として打たれる。 + それは、彼らが神にそむいて従わず、神のすべての道に心を留めなかったからである。 + こうして彼らは寄るべのない者の叫びを/神の耳に入れるようにし、神は悩める者の叫びを聞き入れられる。 + 神が黙っておられるとき、だれが神をとがめえよう。/神が御顔を隠されるとき、だれが神を認めえよう。/一つの国民にも、ひとりの人にも同様だ。 + 神を敬わない人間が治めないために、民をわなにかける者がいなくなるために。 + 神に向かってだれが言ったのか。/「私は懲らしめを受けました。/私はもう罪を犯しません。 + 私の見ないことをあなたが私に教えてください。/私が不正をしたのでしたら、もういたしません」と。 + あなたが反対するからといって、神はあなたの願うとおりに報復なさるだろうか。/私ではなく、あなたが選ぶがよい。/あなたの知っていることを言うがよい。 + 分別のある人々や、私に聞く、知恵のある人は私に言う。 + 「ヨブは知識がなくて語る。/彼のことばには思慮がない」と。 + どうか、ヨブが最後までためされるように。/彼は不法者のように/言い返しをするから。 + 彼は、自分の罪にそむきの罪を加え、私たちの間で手を打ち鳴らし、神に対してことば数を多くする。 + + + エリフはさらに続けて言った。 + あなたはこのことを正義によると思うのか。/「私の義は神からだ」とでも言うのか。 + あなたは言っている。/「何があなたの役に立つのでしょうか。/私が罪を犯さないと、どんな利益がありましょうか」と。 + 私はあなたと、またあなたとともにいるあなたの友人たちに/答えて言おう。 + 天を仰ぎ見よ。/あなたより、はるかに高い雲を見よ。 + あなたが罪を犯しても、神に対して何ができよう。/あなたのそむきの罪が多くても、あなたは神に何をなしえようか。 + あなたが正しくても、あなたは神に何を与ええようか。/神は、あなたの手から何を受けられるだろうか。 + あなたの悪は、ただ、あなたのような人間に、あなたの正しさは、ただ、人の子に、かかわりを持つだけだ。 + 人々は、多くのしいたげのために泣き叫び、力ある者の腕のために助けを叫び求める。 + しかし、だれも問わない。/「私の造り主である神はどこにおられるか。/夜には、ほめ歌を与え、 + 地の獣よりも、むしろ、私たちに教え、空の鳥よりも、むしろ、私たちに知恵を/授けてくださる方は」と。 + そこでは、彼らが泣き叫んでも答えはない。/悪人がおごり高ぶっているからだ。 + 神は決してむなしい叫びを聞き入れず、全能者はこれに心を留めない。 + しかも、あなたは/神を見ることができないと言っている。/訴えは神の前にある。/あなたは神を待て。 + しかし今、神は怒って罰しないだろうか。/ひどい罪を知らないだろうか。 + ヨブはいたずらに口を大きく開き、知識もなく、自分の言い分を述べたてる。 + + + エリフはさらに続けて言った。 + しばらく待て。あなたに示そう。/まだ、神のために言い分があるからだ。 + 私は遠くから私の意見を持って来て、私の造り主に義を返そう。 + 確かに私の言い分は偽りではない。/完全な知識を持つ方が/あなたのそばにいるからだ。 + 見よ。神は強い。/だが、だれをもさげすまない。/その理解の力は強い。 + 神は悪者を生かしてはおかず、しいたげられている者には権利を与えられる。 + 神は、正しい者から目を離さず、彼らを王たちとともに王座に着け、永遠に座に着かせて、高められる。 + もし、彼らが鎖で縛られ、悩みのなわに捕らえられると、 + そのとき、神は、彼らのしたことを彼らに告げ、彼らがおごり高ぶったそむきの罪を告げる。 + 神は彼らの耳を開いて戒め、悪から立ち返るように命じる。 + もし彼らが聞き入れて仕えるなら、彼らはその日々をしあわせのうちに全うし、その年々を楽しく過ごす。 + しかし、もし聞き入れなければ、彼らは槍によって滅び、知識を持たないで息絶える。 + 心で神を敬わない者は、怒りをたくわえ、神が彼らを縛るとき、彼らは助けを求めて叫ばない。 + 彼らのたましいは若くして死に、そのいのちは腐れている。 + 神は悩んでいる者をその悩みの中で助け出し、そのしいたげの中で彼らの耳を開かれる。 + まことに、神はあなたを苦しみの中から誘い出し、束縛のない広い所に導き、あなたの食卓には、あぶらぎった食物が備えられる。 + しかし、あなたには/悪者の受けるさばきが満ちている。/それでさばきと公義があなたをつかまえる。 + だから、あなたは憤って、懲らしめに誘い込まれないようにせよ。/身代金が多いからといって、あなたはそれに惑わされないようにせよ。 + あなたの叫びが並べたてられても、力の限りが尽くされても、それが役に立つだろうか。 + 国々の民が取り去られる夜を/あえぎ求めてはならない。 + 悪に向かわないように注意せよ。/あなたは悩みよりも、これを選んだのだから。 + 見よ。神は力にすぐれておられる。/神のような教師が、だれかいようか。 + だれが、神にその道を指図したのか。/だれが、「あなたは不正をした」と言ったのか。 + 人々がほめ歌った神のみわざを覚えて賛美せよ。 + すべての人がこれを見、人が遠くからこれをながめる。 + 見よ。神はいと高く、私たちには知ることができない。/その年の数も測り知ることができない。 + 神は水のしずくを引き上げ、それが神の霧となって雨をしたたらせる。 + 雨雲がこれを降らせ、人の上に豊かに注ぐ。 + いったい、だれが雲の広がりと、その幕屋のとどろきとを悟りえよう。 + 見よ。神はご自分の光をその上にまき散らし、また、海の底をおおう。 + 神はこれらによって民をさばき、食物を豊かに与える。 + 神はいなずまを両手に包み、これに命じて的を打たせる。 + その雷鳴は、神について告げ、家畜もまた、その起こることを告げる。 + + + これによって私の心はおののき、その所からとびのく。 + しかと聞け。その御声の荒れ狂うのを。/その御口から出るとどろきを。 + 神はそのいなずまを全天の下、まっすぐに進ませる。/それを地の果て果てまでも。 + そのあとでかみなりが鳴りとどろく。/神はそのいかめしい声で雷鳴をとどろかせ、その声の聞こえるときも、いなずまを引き止めない。 + 神は、御声で驚くほどに雷鳴をとどろかせ、私たちの知りえない大きな事をされる。 + 神は雪に向かって、地に降れ、と命じ、夕立に、激しい大雨に命じる。 + 神はすべての人の手を封じ込める。/神の造った人間が知るために。 + 獣は巣にもぐり、ほら穴にうずくまる。 + つむじ風は天の室から吹き、寒さは北から来る。 + 神の息によって氷が張り、広い水が凍りつく。 + 神は濃い雲に水気を負わせ、雲が、そのいなずまをまき散らす。 + これは神の指図によって巡り回り、命じられるままに世界の地の面で事を行う。 + 神がこれを起こさせるのは、懲らしめのため、あるいは、ご自身の地のため、あるいは、恵みを施すためである。 + これに耳を傾けよ。ヨブ。/神の奇しいみわざを、じっと考えよ。 + あなたは知っているか。/神がどのようにこれらに命じ、その雲にいなずまをひらめかせるかを。 + あなたは濃い雲のつり合いを知っているか。/完全な知識を持つ方の不思議なみわざを。 + また、南風で地がもだすとき、あなたの着物がいかに熱くなるかを。 + あなたは、鋳た鏡のように堅い大空を/神とともに張り延ばすことができるのか。 + 神に何と言うべきかを私たちに教えよ。/やみのために、私たちはことばを並べることができない。 + 私が語りたいと、神にどうして伝えられようか。/人が尋ねるなら、必ず彼は滅ぼされる。 + 今、雨雲の中に輝いている光を/見ることはできない。/しかし、風が吹き去るとこれをきよめる。 + 北から黄金の輝きが現れ、神の回りには恐るべき尊厳がある。 + 私たちが見つけることのできない全能者は、力とさばきにすぐれた方。/義に富み、苦しめることをしない。 + だから、人々は神を恐れなければならない。/神は心のこざかしい者を決して顧みない。 + + + 主はあらしの中からヨブに答えて仰せられた。 + 知識もなく言い分を述べて、摂理を暗くするこの者はだれか。 + さあ、あなたは勇士のように腰に帯を締めよ。/わたしはあなたに尋ねる。わたしに示せ。 + わたしが地の基を定めたとき、あなたはどこにいたのか。/あなたに悟ることができるなら、告げてみよ。 + あなたは知っているか。/だれがその大きさを定め、だれが測りなわをその上に張ったかを。 + その台座は何の上にはめ込まれたか。/その隅の石はだれが据えたか。 + そのとき、明けの星々が共に喜び歌い、神の子たちはみな喜び叫んだ。 + 海がふき出て、胎内から流れ出たとき、だれが戸でこれを閉じ込めたか。 + そのとき、わたしは雲をその着物とし、黒雲をそのむつきとした。 + わたしは、これをくぎって境を定め、かんぬきと戸を設けて、 + 言った。「ここまでは来てもよい。/しかし、これ以上はいけない。/あなたの高ぶる波はここでとどまれ」と。 + あなたが生まれてこのかた、朝に対して命令を下し、暁に対してその所をさし示し、 + これに地の果て果てをつかまえさせ、悪者をそこから振り落とさせたことがあるか。 + 地は刻印を押された粘土のように変わり、衣服のように色づけられる。 + 悪者からはその光が退けられ、振りかざす腕は折られる。 + あなたは海の源まで行ったことがあるのか。/深い淵の奥底を歩き回ったことがあるのか。 + 死の門があなたに現れたことがあるのか。/あなたは死の陰の門を見たことがあるのか。 + あなたは地の広さを見きわめたことがあるのか。/そのすべてを知っているなら、告げてみよ。 + 光の住む所に至る道はどこか。/やみのあるその場所はどこか。 + あなたはわたしを/その国まで連れて行くというのか。/また、その家に至る通り道を見分けるというのか。 + あなたが知っている……/そのとき、あなたが生まれ、あなたの日数が多い、といって。 + あなたは雪の倉に入ったことがあるか。/雹の倉を見たことがあるか。 + これらは苦難の時のために、いくさと戦いの日のために、わたしが押さえているのだ。 + 光が分かれる道はどこか。/東風が地の上で散り広がる道はどこか。 + だれが、大水のために水路を通し、いなびかりのために道を開き、 + 人のいない地にも、人間のいない荒野にも、雨を降らせ、 + 荒れ果てた廃墟の地を満ち足らせ、それに若草を生やすのか。 + 雨に父があるか。露のしずくはだれが生んだか。 + 氷はだれの胎から生まれ出たか。/空の白い霜はだれが生んだか。 + 水は姿を変えて石のようになり、深い淵の面は凍る。 + あなたはすばる座の鎖を/結びつけることができるか。/オリオン座の綱を解くことができるか。 + あなたは十二宮をその時々にしたがって/引き出すことができるか。/牡牛座をその子の星とともに/導くことができるか。 + あなたは天の法令を知っているか。/地にその法則を立てることができるか。 + あなたの声を雲にまであげ、みなぎる水に/あなたをおおわせることができるか。 + あなたはいなずまを向こうに行かせ、「私たちはここです」と/あなたに言わせることができるか。 + だれが心のうちに知恵を置いたか。/だれが心の奥に悟りを与えたか。 + だれが知恵をもって/雨雲を数えることができるか。/だれが天のかめを傾けることができるか。 + ちりが溶け合ってかたまりとなり、土くれが堅く固まるとき。 + あなたは雌獅子のために獲物を狩り、若い獅子の食欲を満たすことができるか。 + それらがほら穴に伏し、茂みの中で待ち伏せしているときに。 + 烏の子が神に向かって鳴き叫び、食物がなくてさまようとき、烏にえさを備えるのはだれか。 + + + あなたは岩間の野やぎが子を産む時を/知っているか。/雌鹿が子を産むのを見守ったことがあるか。 + あなたはこれらがはらんでいる月を/数えることができるか。/それらが子を産む時を知っているか。 + それらは身をかがめて子を産み落とし、その胎児を放り出す。 + その子らは強くなり、野原で大きくなると、出て行って、もとの所には帰らない。 + だれが野ろばを解き放ったのか。/だれが野生のろばの綱をほどいたのか。 + わたしは荒れた地をそれの家とし、不毛の地をその住みかとした。 + それは町の騒ぎをあざ笑い、追い立てる者の叫び声を聞かない。 + 山岳地帯はその牧場、それは青い物を何でも捜す。 + 野牛は喜んであなたに仕え、あなたの飼葉おけのそばで夜を過ごすだろうか。 + あなたはあぜみぞで/野牛に手綱をかけることができるか。/それが、あなたに従って/谷間を耕すだろうか。 + その力が強いからといって、あなたはそれに拠り頼むだろうか。/また、あなたの働きをこれに任せるだろうか。 + あなたはそれがあなたの穀物を持ち帰り、あなたの打ち場で、これを集めるとでも/信じているのか。 + だちょうの翼は誇らしげにはばたく。/しかし、それらはこうのとりの羽と/羽毛であろうか。 + だちょうは卵を土に置き去りにし、これを砂で暖めさせ、 + 足がそれをつぶすことも、野の獣がこれを踏みつけることも忘れている。 + だちょうは自分の子を/自分のものでないかのように荒く扱い、その産みの苦しみが/むだになることも気にしない。 + 神がこれに知恵を忘れさせ、悟りをこれに授けなかったからだ。 + それが高くとびはねるとき、馬とその乗り手をあざ笑う。 + あなたが馬に力を与えるのか。/その首にたてがみをつけるのか。 + あなたは、これをいなごのように、とびはねさせることができるか。/そのいかめしいいななきは恐ろしい。 + 馬は谷で前掻きをし、力を喜び、武器に立ち向かって出て行く。 + それは恐れをあざ笑って、ひるまず、剣の前から退かない。 + 矢筒はその上でうなり、槍と投げ槍はきらめく。 + それはいきりたって、地を駆け回り、角笛の音を聞いても信じない。 + 角笛が鳴るごとに、ヒヒーンといななき、遠くから戦いをかぎつけ、隊長の怒号と、ときの声を聞きつける。 + あなたの悟りによってか。/たかが舞い上がり、南にその翼を広げるのは。 + あなたの命令によってか。/鷲が高く上がり、その巣を高い所に作るのは。 + それは岩に宿って住み、近寄りがたい切り立つ岩の上にいる。 + そこから獲物をうかがい、その目は遠くまで見通す。 + そのひなは血を吸い、殺されたものがある所に、それはいる。 + + + 主はさらに、ヨブに答えて仰せられた。 + 非難する者が全能者と争おうとするのか。/神を責める者は、それを言いたててみよ。 + ヨブは主に答えて言った。 + ああ、私はつまらない者です。/あなたに何と口答えできましょう。/私はただ手を口に当てるばかりです。 + 一度、私は語りましたが、もう口答えしません。/二度と、私はくり返しません。 + 主はあらしの中からヨブに答えて仰せられた。 + さあ、あなたは勇士のように腰に帯を締めよ。/わたしはあなたに尋ねる。わたしに示せ。 + あなたはわたしのさばきを無効にするつもりか。/自分を義とするために、わたしを罪に定めるのか。 + あなたには神のような腕があるのか。/神のような声で雷鳴をとどろき渡らせるのか。 + さあ、誉れ、気高さで身を装い、尊厳と威光を身につけよ。 + あなたの激しい怒りを吐き散らし、すべて高ぶる者を見て、これを低くせよ。 + すべて高ぶる者を見て、これを押さえ、悪者どもを、その場で踏みにじれ。 + 彼らを共にちりの中に隠し、その顔を隠れた所につなぎとめよ。 + そうすれば、わたしはあなたをたたえて言おう。/あなたの右の手があなたを救えると。 + さあ、河馬を見よ。/これはあなたと並べてわたしが造ったもの、牛のように草を食らう。 + 見よ。その力は腰にあり、その強さは腹の筋にある。 + 尾は杉の木のように垂れ、ももの筋はからみ合っている。 + 骨は青銅の管、肋骨は鉄の棒のようだ。 + これは神が造られた第一の獣、これを造られた方が、ご自分の剣でこれに近づく。 + 山々は、これのために産物をもたらし、野の獣もみな、そこで戯れる。 + 彼ははすの下、あるいは、葦の茂みや沼に横たわる。 + はすはその陰で、これをおおい、川の柳はこれを囲む。 + たとい川があふれても、それはあわてない。/その口にヨルダン川が注ぎ込んでも、動じない。 + だれがその目をつかんでこれを捕らええようか。/だれがわなにかけて、その鼻を突き通すことができようか。 + + + あなたは釣り針で/レビヤタンを釣り上げることができるか。/輪繩でその舌を押さえつけることができるか。 + あなたは葦をその鼻に通すことができるか。/鉤をそのあごに突き通すことができるか。 + これがあなたに、しきりに哀願し、優しいことばで、あなたに語りかけるだろうか。 + これがあなたと契約を結び、あなたはこれを捕らえて/いつまでも奴隷とすることができようか。 + あなたは鳥と戯れるようにこれと戯れ、あなたの娘たちのために/これをつなぐことができるか。 + 漁師仲間はこれを売りに出し、商人たちの間でこれを分けるだろうか。 + あなたはもりでその皮を、やすでその頭を十分に突くことができようか。 + その上にあなたの手を置いてみよ。/その戦いを思い出して、二度と手を出すな。 + 見よ。その望みは裏切られる。/それを見ただけで投げ倒されるではないか。 + これを起こすほどの狂った者はいない。/だから、だれがいったい、わたしの前に立つことができよう。 + だれがわたしにささげたのか、わたしが報いなければならないほどに。/天の下にあるものはみな、わたしのものだ。 + わたしは彼のおしゃべりと、雄弁と、美辞麗句に黙っていることはできない。 + だれがその外套をはぎ取ることができるか。/だれがその胸当ての折り目の間に、入れるか。 + だれがその顔の戸をあけることができるか。/その歯の回りは恐ろしい。 + その背は並んだ盾、封印したように堅く閉じている。 + 一つ一つぴったりついて、風もその間を通らない。 + 互いにくっつき合い、堅くついて離せない。 + そのくしゃみはいなずまを放ち、その目は暁のまぶたのようだ。 + その口からは、たいまつが燃え出し、火花を散らす。 + その鼻からは煙が出て、煮え立つかまや、燃える葦のようだ。 + その息は炭火をおこし、その口から炎が出る。 + その首には力が宿り、その前には恐れが踊る。 + その肉のひだはくっつき合い、その身にしっかりついて、動かない。 + その心臓は石のように堅く、臼の下石のように堅い。 + それが起き上がると、力ある者もおじけづき、ぎょっとしてとまどう。 + それを剣で襲っても、ききめがなく、槍も投げ槍も矢じりもききめがない。 + それは鉄をわらのように、青銅を腐った木のようにみなす。 + 矢もそれを逃げさせることができず、石投げの石も、それにはわらのようになる。 + こん棒をもわらのようにみなし、投げ槍のうなる音をあざ笑う。 + その下腹は鋭い土器のかけら、それは打穀機のように泥の上に身を伸ばす。 + それは深みをかまのように沸き立たせ、海を香油をかき混ぜるなべのようにする。 + その通ったあとは輝き、深い淵は白髪のように思われる。 + 地の上には、これと似たものはなく、恐れを知らないものとして造られた。 + それは、すべて高いものを見おろし、それは、すべての誇り高い獣の王である。 + + + ヨブは主に答えて言った。 + あなたには、すべてができること、あなたは、どんな計画も成し遂げられることを、私は知りました。 + 知識もなくて、摂理をおおい隠す者は、だれか。/まことに、私は、自分で悟りえないことを告げました。/自分でも知りえない不思議を。 + さあ聞け。わたしが語る。/わたしがあなたに尋ねる。わたしに示せ。 + 私はあなたのうわさを耳で聞いていました。/しかし、今、この目であなたを見ました。 + それで私は自分をさげすみ、ちりと灰の中で悔いています。 + さて、主がこれらのことばをヨブに語られて後、主はテマン人エリファズに仰せられた。「わたしの怒りはあなたとあなたのふたりの友に向かって燃える。それは、あなたがたがわたしについて真実を語らず、わたしのしもべヨブのようではなかったからだ。 + 今、あなたがたは雄牛七頭、雄羊七頭を取って、わたしのしもべヨブのところに行き、あなたがたのために全焼のいけにえをささげよ。わたしのしもべヨブはあなたがたのために祈ろう。わたしは彼を受け入れるので、わたしはあなたがたの恥辱となることはしない。あなたがたはわたしについて真実を語らず、わたしのしもべヨブのようではなかったが。」 + テマン人エリファズと、シュアハ人ビルダデと、ナアマ人ツォファルが行って、主の彼らに命じたようにすると、主はヨブの祈りを受け入れられた。 + ヨブがその友人たちのために祈ったとき、主はヨブの繁栄を元どおりにされた。主はヨブの所有物もすべて二倍に増された。 + こうして彼のすべての兄弟、すべての姉妹、それに以前のすべての知人は、彼のところに来て、彼の家で彼とともに食事をした。そして彼をいたわり、主が彼の上にもたらしたすべてのわざわいについて、彼を慰めた。彼らはめいめい一ケシタと金の輪一つずつを彼に与えた。 + 主はヨブの前の半生よりあとの半生をもっと祝福された。それで彼は羊一万四千頭、らくだ六千頭、牛一千くびき、雌ろば一千頭を持つことになった。 + また、息子七人、娘三人を持った。 + 彼はその第一の娘をエミマ、第二の娘をケツィア、第三の娘をケレン・ハプクと名づけた。 + ヨブの娘たちほど美しい女はこの国のどこにもいなかった。彼らの父は、彼女たちにも、その兄弟たちの間に相続地を与えた。 + この後ヨブは百四十年生き、自分の子と、その子の子たちを四代目まで見た。 + こうしてヨブは老年を迎え、長寿を全うして死んだ。 + +
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+ + 幸いなことよ。悪者のはかりごとに歩まず、罪人の道に立たず、あざける者の座に着かなかった、その人。 + まことに、その人は主のおしえを喜びとし、昼も夜もそのおしえを口ずさむ。 + その人は、水路のそばに植わった木のようだ。時が来ると実がなり、その葉は枯れない。その人は、何をしても栄える。 + 悪者は、それとは違い、まさしく、風が吹き飛ばすもみがらのようだ。 + それゆえ、悪者は、さばきの中に立ちおおせず、罪人は、正しい者のつどいに立てない。 + まことに、主は、正しい者の道を知っておられる。しかし、悪者の道は滅びうせる。 + + + なぜ国々は騒ぎ立ち、国民はむなしくつぶやくのか。 + 地の王たちは立ち構え、治める者たちは相ともに集まり、主と、主に油をそそがれた者とに逆らう。 + 「さあ、彼らのかせを打ち砕き、彼らの綱を、解き捨てよう。」 + 天の御座に着いている方は笑い、主はその者どもをあざけられる。 + ここに主は、怒りをもって彼らに告げ、燃える怒りで彼らを恐れおののかせる。 + 「しかし、わたしは、わたしの王を立てた。わたしの聖なる山、シオンに。」 + 「わたしは主の定めについて語ろう。主はわたしに言われた。『あなたは、わたしの子。きょう、わたしがあなたを生んだ。 + わたしに求めよ。わたしは国々をあなたへのゆずりとして与え、地をその果て果てまで、あなたの所有として与える。 + あなたは鉄の杖で彼らを打ち砕き、焼き物の器のように粉々にする。』」 + それゆえ、今、王たちよ、悟れ。地のさばきづかさたちよ、慎め。 + 恐れつつ主に仕えよ。おののきつつ喜べ。 + 御子に口づけせよ。主が怒り、おまえたちが道で滅びないために。怒りは、いまにも燃えようとしている。幸いなことよ。すべて主に身を避ける人は。 + + + (ダビデがその子アブシャロムからのがれたときの賛歌)主よ。なんと私の敵がふえてきたことでしょう。私に立ち向かう者が多くいます。 + 多くの者が私のたましいのことを言っています。「彼に神の救いはない」と。セラ + しかし、主よ。あなたは私の回りを囲む盾、私の栄光、そして私のかしらを高く上げてくださる方です。 + 私は声をあげて、主に呼ばわる。すると、聖なる山から私に答えてくださる。セラ + 私は身を横たえて、眠る。私はまた目をさます。主がささえてくださるから。 + 私を取り囲んでいる幾万の民をも私は恐れない。 + 主よ。立ち上がってください。私の神。私をお救いください。あなたは私のすべての敵の頬を打ち、悪者の歯を打ち砕いてくださいます。 + 救いは主にあります。あなたの祝福があなたの民の上にありますように。セラ + + + (指揮者のために。弦楽器に合わせて。ダビデの賛歌)私が呼ぶとき、答えてください。私の義なる神。あなたは、私の苦しみのときにゆとりを与えてくださいました。私をあわれみ、私の祈りを聞いてください。 + 人の子たちよ。いつまでわたしの栄光をはずかしめ、むなしいものを愛し、まやかしものを慕い求めるのか。セラ + 知れ。主は、ご自分の聖徒を特別に扱われるのだ。私が呼ぶとき、主は聞いてくださる。 + 恐れおののけ。そして罪を犯すな。床の上で自分の心に語り、静まれ。セラ + 義のいけにえをささげ、主に拠り頼め。 + 多くの者は言っています。「だれかわれわれに良い目を見せてくれないものか。」主よ。どうか、あなたの御顔の光を、私たちの上に照らしてください。 + あなたは私の心に喜びを下さいました。それは穀物と新しいぶどう酒が豊かにあるときにもまさっています。 + 平安のうちに私は身を横たえ、すぐ、眠りにつきます。主よ。あなただけが、私を安らかに住まわせてくださいます。 + + + (指揮者のために。フルートに合わせて。ダビデの賛歌)私の言うことを耳に入れてください。主よ。私のうめきを聞き取ってください。 + 私の叫びの声を心に留めてください。私の王、私の神。私はあなたに祈っています。 + 主よ。朝明けに、私の声を聞いてください。朝明けに、私はあなたのために備えをし、見張りをいたします。 + あなたは悪を喜ぶ神ではなく、わざわいは、あなたとともに住まないからです。 + 誇り高ぶる者たちは御目の前に立つことはできません。あなたは不法を行うすべての者を憎まれます。 + あなたは偽りを言う者どもを滅ぼされます。主は血を流す者と欺く者とを忌みきらわれます。 + しかし、私は、豊かな恵みによって、あなたの家に行き、あなたを恐れつつ、あなたの聖なる宮に向かってひれ伏します。 + 主よ。私を待ち伏せている者がおりますから、あなたの義によって私を導いてください。私の前に、あなたの道をまっすぐにしてください。 + 彼らの口には真実がなく、その心には破滅があるのです。彼らののどは、開いた墓で、彼らはその舌でへつらいを言うのです。 + 神よ。彼らを罪に定めてください。彼らがおのれのはかりごとで倒れますように。彼らのはなはだしいそむきのゆえに彼らを追い散らしてください。彼らはあなたに逆らうからです。 + こうして、あなたに身を避ける者がみな喜び、とこしえまでも喜び歌いますように。あなたが彼らをかばってくださり、御名を愛する者たちがあなたを誇りますように。 + 主よ。まことに、あなたは正しい者を祝福し、大盾で囲むように愛で彼を囲まれます。 + + + (指揮者のために。八弦の立琴に合わせて。ダビデの賛歌)主よ。御怒りで私を責めないでください。激しい憤りで私を懲らしめないでください。 + 主よ。私をあわれんでください。私は衰えております。主よ。私をいやしてください。私の骨は恐れおののいています。 + 私のたましいはただ、恐れおののいています。主よ。いつまでですか。あなたは。 + 帰って来てください。主よ。私のたましいを助け出してください。あなたの恵みのゆえに、私をお救いください。 + 死にあっては、あなたを覚えることはありません。よみにあっては、だれが、あなたをほめたたえるでしょう。 + 私は私の嘆きで疲れ果て、私の涙で、夜ごとに私の寝床を漂わせ、私のふしどを押し流します。 + 私の目は、いらだちで衰え、私のすべての敵のために弱まりました。 + 不法を行う者ども。みな私から離れて行け。主は私の泣く声を聞かれたのだ。 + 主は私の切なる願いを聞かれた。主は私の祈りを受け入れられる。 + 私の敵は、みな恥を見、ただ、恐れおののきますように。彼らは退き、恥を見ますように。またたくまに。 + + + (ベニヤミン人クシュのことについてダビデが主に歌ったシガヨンの歌)私の神、主よ。私はあなたのもとに身を避けました。どうか、追い迫るすべての者から私を救ってください。私を救い出してください。 + 救い出す者がいない間に彼らが獅子のように、私のたましいを引き裂き、さらって行くことがないように。 + 私の神、主よ。もし私がこのことをしたのなら、もし私の手に不正があるのなら、 + もし私が親しい友に悪い仕打ちをしたのなら、また、私に敵対する者から、ゆえなく奪ったのなら、 + 敵に私を追わせ、追いつかせ、私のいのちを地に踏みにじらせてください。私のたましいをちりの中にとどまらせてください。セラ + 主よ。御怒りをもって立ち上がってください。私の敵の激しい怒りに向かって立ち、私のために目をさましてください。あなたはさばきを定められました。 + 国民のつどいをあなたの回りに集め、その上の高いみくらにお帰りください。 + 主は諸国の民をさばかれる。主よ。私の義と、私にある誠実とにしたがって、私を弁護してください。 + どうか、悪者の悪があとを絶ち、あなたが正しい者を堅く立てられますように。正しい神は、心と思いを調べられます。 + 私の盾は神にあり、神は心の直ぐな人を救われる。 + 神は正しい審判者、日々、怒る神。 + 悔い改めない者には剣をとぎ、弓を張って、ねらいを定め、 + その者に向かって、死の武器を構え、矢を燃える矢とされる。 + 見よ。彼は悪意を宿し、害毒をはらみ、偽りを生む。 + 彼は穴を掘って、それを深くし、おのれの作った穴に落ち込む。 + その害毒は、おのれのかしらに戻り、その暴虐は、おのれの脳天に下る。 + その義にふさわしく、主を、私はほめたたえよう。いと高き方、主の御名をほめ歌おう。 + + + (指揮者のために。ギテトの調べに合わせて。ダビデの賛歌)私たちの主、主よ。あなたの御名は全地にわたり、なんと力強いことでしょう。あなたのご威光は天でたたえられています。 + あなたは幼子と乳飲み子たちの口によって、力を打ち建てられました。それは、あなたに敵対する者のため、敵と復讐する者とをしずめるためでした。 + あなたの指のわざである天を見、あなたが整えられた月や星を見ますのに、 + 人とは、何者なのでしょう。あなたがこれを心に留められるとは。人の子とは、何者なのでしょう。あなたがこれを顧みられるとは。 + あなたは、人を、神よりいくらか劣るものとし、これに栄光と誉れの冠をかぶらせました。 + あなたの御手の多くのわざを人に治めさせ、万物を彼の足の下に置かれました。 + すべて、羊も牛も、また、野の獣も、 + 空の鳥、海の魚、海路を通うものも。 + 私たちの主、主よ。あなたの御名は全地にわたり、なんと力強いことでしょう。 + + + (指揮者のために。「ムテ・ラベン」の調べに合わせて。ダビデの賛歌)私は心を尽くして主に感謝します。あなたの奇しいわざを余すことなく語り告げます。 + 私は、あなたを喜び、誇ります。いと高き方よ。あなたの御名をほめ歌います。 + 私の敵は退くとき、つまずき、あなたの前で、ついえ去ります。 + あなたが私の正しい訴えを支持し、義の審判者として王座に着かれるからです。 + あなたは国々をお叱りになり、悪者を滅ぼし、彼らの名を、とこしえに、消し去られました。 + 敵は、絶え果てて永遠の廃墟。あなたが根こぎにされた町々、その記憶さえ、消えうせました。 + しかし、主はとこしえに御座に着き、さばきのためにご自身の王座を堅く立てられた。 + 主は義によって世界をさばき、公正をもって国民にさばきを行われる。 + 主はしいたげられた者のとりで、苦しみのときのとりで。 + 御名を知る者はあなたに拠り頼みます。主よ。あなたはあなたを尋ね求める者をお見捨てになりませんでした。 + 主にほめ歌を歌え、シオンに住まうその方に。国々の民にみわざを告げ知らせよ。 + 血に報いる方は、彼らを心に留め、貧しい者の叫びをお忘れにならない。 + 主よ。私をあわれんでください。私を憎む者から来る私の悩みを見てください。主は死の門から私を引き上げてくださる。 + 私は、あなたのすべての誉れを語り告げるために、シオンの娘の門で、あなたの救いに歓声をあげましょう。 + 国々はおのれの作った穴に陥り、おのれの隠した網に、わが足をとられる。 + 主はご自身を知らせ、さばきを行われた。悪者はおのれの手で作ったわなにかかった。ヒガヨンセラ + 悪者どもは、よみに帰って行く。神を忘れたあらゆる国々も。 + 貧しい者は決して忘れられない。悩む者の望みは、いつまでもなくならない。 + 主よ。立ち上がってください。人間が勝ち誇らないために。国々が御前で、さばかれるために。 + 主よ。彼らに恐れを起こさせてください。おのれが、ただ、人間にすぎないことを、国々に思い知らせてください。セラ + + + 主よ。なぜ、あなたは遠く離れてお立ちなのですか。苦しみのときに、なぜ、身を隠されるのですか。 + 悪者は高ぶって、悩む人に追い迫ります。彼らが、おのれの設けたたくらみにみずから捕らえられますように。 + 悪者はおのれの心の欲望を誇り、貪欲な者は、主をのろい、また、侮る。 + 悪者は高慢を顔に表して、神を尋ね求めない。その思いは「神はいない」の一言に尽きる。 + 彼の道はいつも栄え、あなたのさばきは高くて、彼の目に、入らない。敵という敵を、彼は吹き飛ばす。 + 彼は心の中で言う。「私はゆるぐことがなく、代々にわたって、わざわいに会わない。」 + 彼の口は、のろいと欺きとしいたげに満ち、彼の舌の裏には害毒と悪意がある。 + 彼は村はずれの待ち伏せ場にすわり、隠れた所で、罪のない人を殺す。彼の目は不幸な人をねらっている。 + 彼は茂みの中の獅子のように隠れ場で待ち伏せている。彼は悩む人を捕らえようと待ち伏せる。悩む人を、その網にかけて捕らえてしまう。 + 不幸な人は、強い者によって砕かれ、うずくまり、倒れる。 + 彼は心の中で言う。「神は忘れている。顔を隠している。彼は決して見はしないのだ。」 + 主よ。立ち上がってください。神よ。御手を上げてください。どうか、貧しい者を、忘れないでください。 + なぜ、悪者は、神を侮るのでしょうか。彼は心の中で、あなたは追い求めないと言っています。 + あなたは、見ておられました。害毒と苦痛を。彼らを御手の中に収めるためにじっと見つめておられました。不幸な人は、あなたに身をゆだねます。あなたはみなしごを助ける方でした。 + 悪者と、よこしまな者の腕を折り、その悪を捜し求めて一つも残らぬようにしてください。 + 主は世々限りなく王である。国々は、主の地から滅びうせた。 + 主よ。あなたは貧しい者の願いを聞いてくださいました。あなたは彼らの心を強くしてくださいます。耳を傾けて、 + みなしごと、しいたげられた者をかばってくださいます。地から生まれた人間がもはや、脅かすことができないように。 + + + (指揮者のために。ダビデによる)主に私は身を避ける。どうして、あなたたちは私のたましいに言うのか。「鳥のように、おまえたちの山に飛んで行け。 + それ、見よ。悪者どもが弓を張り、弦に矢をつがえ、暗やみで心の直ぐな人を射ぬこうとしている。 + 拠り所がこわされたら正しい者に何ができようか。」 + 主は、その聖座が宮にあり、主は、その王座が天にある。その目は見通し、そのまぶたは、人の子らを調べる。 + 主は正しい者と悪者を調べる。そのみこころは、暴虐を好む者を憎む。 + 主は、悪者の上に網を張る。火と硫黄。燃える風が彼らの杯への分け前となろう。 + 主は正しく、正義を愛される。直ぐな人は、御顔を仰ぎ見る。 + + + (指揮者のために。八弦の立琴に合わせて。ダビデの賛歌)主よ。お救いください。聖徒はあとを絶ち、誠実な人は人の子らの中から消え去りました。 + 人は互いにうそを話し、へつらいのくちびると、二心で話します。 + 主が、へつらいのくちびると傲慢の舌とを、ことごとく断ち切ってくださいますように。 + 彼らはこう言うのです。「われらはこの舌で勝つことができる。われらのくちびるはわれらのものだ。だれが、われらの支配者なのか。」 + 主は仰せられる。「悩む人が踏みにじられ、貧しい人が嘆くから、今、わたしは立ち上がる。わたしは彼を、その求める救いに入れよう。」 + 主のみことばは混じりけのないことば。土の炉で七回もためされて、純化された銀。 + あなたが、主よ、彼らをお守りになります。あなたはこの時代からとこしえまでも彼らを保たれます。 + 人の子の間で、卑しいことがあがめられているときには、悪者が、至る所で横行します。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)主よ。いつまでですか。あなたは私を永久にお忘れになるのですか。いつまで御顔を私からお隠しになるのですか。 + いつまで私は自分のたましいのうちで思い計らなければならないのでしょう。私の心には、一日中、悲しみがあります。いつまで敵が私の上に、勝ちおごるのでしょう。 + 私に目を注ぎ、私に答えてください。私の神、主よ。私の目を輝かせてください。私が死の眠りにつかないように。 + また私の敵が、「おれは彼に勝った」と言わないように。私がよろめいた、と言って私の仇が喜ばないように。 + 私はあなたの恵みに拠り頼みました。私の心はあなたの救いを喜びます。 + 私は主に歌を歌います。主が私を豊かにあしらわれたゆえ。 + + + (指揮者のために。ダビデによる)愚か者は心の中で、「神はいない」と言っている。彼らは腐っており、忌まわしい事を行っている。善を行う者はいない。 + 主は天から人の子らを見おろして、神を尋ね求める、悟りのある者がいるかどうかをご覧になった。 + 彼らはみな、離れて行き、だれもかれも腐り果てている。善を行う者はいない。ひとりもいない。 + 不法を行う者らはだれも知らないのか。彼らはパンを食らうように、わたしの民を食らい、主を呼び求めようとはしない。 + 見よ。彼らが、いかに恐れたかを。神は、正しい者の一族とともにおられるからだ。 + おまえたちは、悩む者のはかりごとをはずかしめようとするだろう。しかし、主が彼の避け所である。 + ああ、イスラエルの救いがシオンから来るように。主が御民の繁栄を元どおりにされるとき、ヤコブは楽しめ。イスラエルは喜べ。 + + + (ダビデの賛歌)主よ。だれが、あなたの幕屋に宿るのでしょうか。だれが、あなたの聖なる山に住むのでしょうか。 + 正しく歩み、義を行い、心の中の真実を語る人。 + その人は、舌をもってそしらず、友人に悪を行わず、隣人への非難を口にしない。 + 神に捨てられた人を、その目はさげすみ、主を恐れる者を尊ぶ。損になっても、立てた誓いは変えない。 + 金を貸しても利息を取らず、罪を犯さない人にそむいて、わいろを取らない。このように行う人は、決してゆるがされない。 + + + (ダビデのミクタム)神よ。私をお守りください。私は、あなたに身を避けます。 + 私は、主に申し上げました。「あなたこそ、私の主。私の幸いは、あなたのほかにはありません。」 + 地にある聖徒たちには威厳があり、私の喜びはすべて、彼らの中にあります。 + ほかの神へ走った者の痛みは増し加わりましょう。私は、彼らの注ぐ血の酒を注がず、その名を口に唱えません。 + 主は、私へのゆずりの地所、また私への杯です。あなたは、私の受ける分を、堅く保っていてくださいます。 + 測り綱は、私の好む所に落ちた。まことに、私への、すばらしいゆずりの地だ。 + 私は助言を下さった主をほめたたえる。まことに、夜になると、私の心が私に教える。 + 私はいつも、私の前に主を置いた。主が私の右におられるので、私はゆるぐことがない。 + それゆえ、私の心は喜び、私のたましいは楽しんでいる。私の身もまた安らかに住まおう。 + まことに、あなたは、私のたましいをよみに捨ておかず、あなたの聖徒に墓の穴をお見せにはなりません。 + あなたは私に、いのちの道を知らせてくださいます。あなたの御前には喜びが満ち、あなたの右には、楽しみがとこしえにあります。 + + + (ダビデの祈り)主よ。聞いてください、正しい訴えを。耳に留めてください、私の叫びを。耳に入れてください、欺きのくちびるからでない私の祈りを。 + 私のためのさばきが御前から出て、公正に御目が注がれますように。 + あなたは私の心を調べ、夜、私を問いただされました。あなたは私をためされましたが、何も見つけ出されません。私は、口のあやまちをしまいと心がけました。 + 人としての行いについては、あなたのくちびるのことばによりました。私は無法な者の道を避けました。 + 私の歩みは、あなたの道を堅く守り、私の足はよろけませんでした。 + 神よ。私はあなたを呼び求めました。あなたは私に答えてくださるからです。耳を傾けて、私の申し上げることを聞いてください。 + あなたの奇しい恵みをお示しください。立ち向かう者から身を避けて右の手に来る者を救う方。 + 私を、ひとみのように見守り、御翼の陰に私をかくまってください。 + 私を襲う悪者から。私を取り巻く貪欲な敵から。 + 彼らは、鈍い心を堅く閉ざし、その口をもって高慢に語ります。 + 彼らは、あとをつけて来て、今、私たちを取り囲みました。彼らは目をすえて、私たちを地に投げ倒そうとしています。 + 彼は、あたかも、引き裂こうとねらっている獅子、待ち伏せしている若い獅子のようです。 + 主よ。立ち上がってください。彼に立ち向かい、彼を打ちのめしてください。あなたの剣で、悪者から私のたましいを助け出してください。 + 主よ。人々から、あなたの御手で。相続分がこの世のいのちであるこの世の人々から。彼らの腹は、あなたの宝で満たされ、彼らは、子どもらに満ち足り、その豊かさを、その幼子らに残します。 + しかし、私は、正しい訴えで、御顔を仰ぎ見、目ざめるとき、あなたの御姿に満ち足りるでしょう。 + + + (指揮者のために。主のしもべダビデによる。主が、彼のすべての敵の手、特にサウルの手から彼を救い出された日に、この歌のことばを主に歌った)彼はこう言った。主、わが力。私は、あなたを慕います。 + 主はわが巌、わがとりで、わが救い主、身を避けるわが岩、わが神。わが盾、わが救いの角、わがやぐら。 + ほめたたえられる方、この主を呼び求めると、私は、敵から救われる。 + 死の綱は私を取り巻き、滅びの川は、私を恐れさせた。 + よみの綱は私を取り囲み、死のわなは私に立ち向かった。 + 私は苦しみの中に主を呼び求め、助けを求めてわが神に叫んだ。主はその宮で私の声を聞かれ、御前に助けを求めた私の叫びは、御耳に届いた。 + すると、地はゆるぎ、動いた。また、山々の基も震え、揺れた。主がお怒りになったのだ。 + 煙は鼻から立ち上り、その口から出る火はむさぼり食い、炭火は主から燃え上がった。 + 主は、天を押し曲げて降りて来られた。暗やみをその足の下にして。 + 主は、ケルブに乗って飛び、風の翼に乗って飛びかけられた。 + 主はやみを隠れ家として、回りに置かれた。その仮庵は雨雲の暗やみ、濃い雲。 + 御前の輝きから、密雲を突き抜けて来たもの。それは雹と火の炭。 + 主は天に雷鳴を響かせ、いと高き方は御声を発せられた。雹、そして、火の炭。 + 主は、矢を放って彼らを散らし、すさまじいいなずまで彼らをかき乱された。 + こうして、水の底が現れ、地の基があらわにされた。主よ。あなたのとがめ、あなたの鼻の荒いいぶきで。 + 主は、いと高き所から御手を伸べて私を捕らえ、私を大水から引き上げられた。 + 主は私の強い敵と、私を憎む者とから私を救い出された。彼らは私より強かったから。 + 彼らは私のわざわいの日に私に立ち向かった。だが、主は私のささえであった。 + 主は私を広い所に連れ出し、私を助け出された。主が私を喜びとされたから。 + 主は私の義にしたがって私に報い、私の手のきよさにしたがって私に償いをされた。 + 私は主の道を守り、私の神に対して悪を行わなかった。 + 主のすべてのさばきは私の前にあり、主のおきてを私は遠ざけなかった。 + 私は主の前に全く、私の罪から身を守る。 + 主は、私の義にしたがって、また、御目の前の私の手のきよさにしたがって私に償いをされた。 + あなたは、恵み深い者には、恵み深く、全き者には、全くあられ、 + きよい者には、きよく、曲がった者には、ねじ曲げる方。 + あなたは、悩む民をこそ救われますが、高ぶる目は低くされます。 + あなたは私のともしびをともされ、主、私の神は、私のやみを照らされます。 + あなたによって私は軍勢に襲いかかり、私の神によって私は城壁を飛び越えます。 + 神、その道は完全。主のみことばは純粋。主はすべて彼に身を避ける者の盾。 + まことに、主のほかにだれが神であろうか。私たちの神を除いて、だれが岩であろうか。 + この神こそ、私に力を帯びさせて私の道を完全にされる。 + 彼は私の足を雌鹿のようにし、私を高い所に立たせてくださる。 + 戦いのために私の手を鍛え、私の腕を青銅の弓をも引けるようにされる。 + こうしてあなたは、御救いの盾を私に下さいました。あなたの右の手は私をささえ、あなたの謙遜は、私を大きくされます。 + あなたは私を大またで歩かせます。私のくるぶしはよろけませんでした。 + 私は、敵を追って、これに追いつき、絶ち滅ぼすまでは引き返しませんでした。 + 私が彼らを打ち砕いたため、彼らは立つことができず、私の足もとに倒れました。 + あなたは、戦いのために、私に力を帯びさせ、私に立ち向かう者を私のもとにひれ伏させました。 + また、敵が私に背を見せるようにされたので、私は私を憎む者を滅ぼしました。 + 彼らが叫んでも、救う者はなかった。主に叫んでも、答えはなかった。 + 私は、彼らを風の前のちりのように、打ち砕き、道のどろのように除き去った。 + あなたは、民の争いから、私を助け出し、私を国々のかしらに任ぜられました。私の知らなかった民が私に仕えます。 + 彼らは、耳で聞くとすぐ、私の言うことを聞き入れます。外国人らは、私におもねります。 + 外国人らはしなえて、彼らのとりでから震えて出て来ます。 + 主は生きておられる。ほむべきかな。わが岩。あがむべきかな。わが救いの神。 + この神は私のために、復讐する方。神は諸国の民を私のもとに従わせてくださる。 + 神は、私の敵から私を助け出される方。まことに、あなたは私に立ち向かう者から私を引き上げ、暴虐の者から私を救い出されます。 + それゆえ、主よ。私は、国々の中であなたをほめたたえ、あなたの御名を、ほめ歌います。 + 主は、王に救いを増し加え、油そそがれた者、ダビデとそのすえに、とこしえに恵みを施されます。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)天は神の栄光を語り告げ、大空は御手のわざを告げ知らせる。 + 昼は昼へ、話を伝え、夜は夜へ、知識を示す。 + 話もなく、ことばもなく、その声も聞かれない。 + しかし、その呼び声は全地に響き渡り、そのことばは、地の果てまで届いた。神はそこに、太陽のために、幕屋を設けられた。 + 太陽は、部屋から出て来る花婿のようだ。勇士のように、その走路を喜び走る。 + その上るのは、天の果てから、行き巡るのは、天の果て果てまで。その熱を、免れるものは何もない。 + 主のみおしえは完全で、たましいを生き返らせ、主のあかしは確かで、わきまえのない者を賢くする。 + 主の戒めは正しくて、人の心を喜ばせ、主の仰せはきよくて、人の目を明るくする。 + 主への恐れはきよく、とこしえまでも変わらない。主のさばきはまことであり、ことごとく正しい。 + それらは、金よりも、多くの純金よりも好ましい。蜜よりも、蜜蜂の巣のしたたりよりも甘い。 + また、それによって、あなたのしもべは戒めを受ける。それを守れば、報いは大きい。 + だれが自分の数々のあやまちを悟ることができましょう。どうか、隠れている私の罪をお赦しください。 + あなたのしもべを、傲慢の罪から守ってください。それらが私を支配しませんように。そうすれば、私は全き者となり、大きな罪を、免れて、きよくなるでしょう。 + 私の口のことばと、私の心の思いとが御前に、受け入れられますように。わが岩、わが贖い主、主よ。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)苦難の日に主があなたにお答えになりますように。ヤコブの神の名が、あなたを高く上げますように。 + 主が聖所から、あなたに助けを送り、シオンから、あなたをささえられますように。 + あなたの穀物のささげ物をすべて心に留め、あなたの全焼のいけにえを受け入れてくださいますように。セラ + 主があなたの願いどおりにしてくださいますように。あなたのすべてのはかりごとを遂げさせてくださいますように。 + 私たちは、あなたの勝利を喜び歌いましょう。私たちの神の御名により旗を高く掲げましょう。主があなたの願いのすべてを遂げさせてくださいますように。 + 今こそ、私は知る。主は、油をそそがれた者を、お救いになる。主は、右の手の救いの力をもって聖なる天から、お答えになる。 + ある者はいくさ車を誇り、ある者は馬を誇る。しかし、私たちは私たちの神、主の御名を誇ろう。 + 彼らは、ひざをつき、そして倒れた。しかし、私たちは、立ち上がり、まっすぐに立った。 + 主よ。王をお救いください。私たちが呼ぶときに私たちに答えてください。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)主よ。王はあなたの御力を、喜びましょう。あなたの御救いをどんなに楽しむことでしょう。 + あなたは彼の心の願いをかなえ、彼のくちびるの願いを、退けられません。セラ + あなたは彼を迎えてすばらしい祝福を与え、彼のかしらに純金の冠を置かれます。 + 彼はあなたに、いのちを請い求めました。あなたは彼に、とこしえまでの長い日々を与えられました。 + 御救いによって彼の栄光は、大きい。あなたは、尊厳と威光を彼の上に置かれます。 + あなたは、とこしえに彼を祝福し、御前の喜びで彼を楽しませてくださいます。 + まことに、王は主に信頼し、いと高き方の恵みによってゆるがないでしょう。 + あなたの手は、あなたのすべての敵を見つけ出し、あなたの右の手は、あなたを憎む者どもを見つけ出します。 + あなたの御怒りのとき、彼らを、燃える炉のようにされましょう。主は御怒りによって彼らをのみ尽くし、火は彼らを食い尽くすでしょう。 + あなたは、地の上から、彼らのすえを滅ぼされましょう。また、人の子らの中から、彼らの子孫をも。 + 彼らが、あなたに対して悪を企て、たくらみを設けたとしても、彼らには、できません。 + あなたは彼らが背を見せるようにし、弓弦を張って彼らの顔をねらわれるでしょう。 + 主よ。御力のゆえに、あなたがあがめられますように。私たちは歌い、あなたの威力をほめ歌います。 + + + (指揮者のために。「暁の雌鹿」の調べに合わせて。ダビデの賛歌)わが神、わが神。どうして、私をお見捨てになったのですか。遠く離れて私をお救いにならないのですか。私のうめきのことばにも。 + わが神。昼、私は呼びます。しかし、あなたはお答えになりません。夜も、私は黙っていられません。 + けれども、あなたは聖であられ、イスラエルの賛美を住まいとしておられます。 + 私たちの先祖は、あなたに信頼しました。彼らは信頼し、あなたは彼らを助け出されました。 + 彼らはあなたに叫び、彼らは助け出されました。彼らはあなたに信頼し、彼らは恥を見ませんでした。 + しかし、私は虫けらです。人間ではありません。人のそしり、民のさげすみです。 + 私を見る者はみな、私をあざけります。彼らは口をとがらせ、頭を振ります。 + 「主に身を任せよ。彼が助け出したらよい。彼に救い出させよ。彼のお気に入りなのだから。」 + しかし、あなたは私を母の胎から取り出した方。母の乳房に拠り頼ませた方。 + 生まれる前から、私はあなたに、ゆだねられました。母の胎内にいた時から、あなたは私の神です。 + どうか、遠く離れないでください。苦しみが近づいており、助ける者がいないのです。 + 数多い雄牛が、私を取り囲み、バシャンの強いものが、私を囲みました。 + 彼らは私に向かって、その口を開きました。引き裂き、ほえたける獅子のように。 + 私は、水のように注ぎ出され、私の骨々はみな、はずれました。私の心は、ろうのようになり、私の内で溶けました。 + 私の力は、土器のかけらのように、かわききり、私の舌は、上あごにくっついています。あなたは私を死のちりの上に置かれます。 + 犬どもが私を取り囲み、悪者どもの群れが、私を取り巻き、私の手足を引き裂きました。 + 私は、私の骨を、みな数えることができます。彼らは私をながめ、私を見ています。 + 彼らは私の着物を互いに分け合い、私の一つの着物を、くじ引きにします。 + 主よ。あなたは、遠く離れないでください。私の力よ、急いで私を助けてください。 + 私のたましいを、剣から救い出してください。私のいのちを、犬の手から。 + 私を救ってください。獅子の口から、野牛の角から。あなたは私に答えてくださいます。 + 私は、御名を私の兄弟たちに語り告げ、会衆の中で、あなたを賛美しましょう。 + 主を恐れる人々よ。主を賛美せよ。ヤコブのすべてのすえよ。主をあがめよ。イスラエルのすべてのすえよ。主の前におののけ。 + まことに、主は悩む者の悩みをさげすむことなく、いとうことなく、御顔を隠されもしなかった。むしろ、彼が助けを叫び求めたとき、聞いてくださった。 + 大会衆の中での私の賛美はあなたからのものです。私は主を恐れる人々の前で私の誓いを果たします。 + 悩む者は、食べて、満ち足り、主を尋ね求める人々は、主を賛美しましょう。あなたがたの心が、いつまでも生きるように。 + 地の果て果てもみな、思い起こし、主に帰って来るでしょう。また、国々の民もみな、あなたの御前で伏し拝みましょう。 + まことに、王権は主のもの。主は、国々を統べ治めておられる。 + 地の裕福な者もみな、食べて、伏し拝み、ちりに下る者もみな、主の御前に、ひれ伏す。おのれのいのちを保つことのできない人も。 + 子孫たちも主に仕え、主のことが、次の世代に語り告げられよう。 + 彼らは来て、主のなされた義を、生まれてくる民に告げ知らせよう。 + + + (ダビデの賛歌)主は私の羊飼い。私は、乏しいことがありません。 + 主は私を緑の牧場に伏させ、いこいの水のほとりに伴われます。 + 主は私のたましいを生き返らせ、御名のために、私を義の道に導かれます。 + たとい、死の陰の谷を歩くことがあっても、私はわざわいを恐れません。あなたが私とともにおられますから。あなたのむちとあなたの杖、それが私の慰めです。 + 私の敵の前で、あなたは私のために食事をととのえ、私の頭に油をそそいでくださいます。私の杯は、あふれています。 + まことに、私のいのちの日の限り、いつくしみと恵みとが、私を追って来るでしょう。私は、いつまでも、主の家に住まいましょう。 + + + (ダビデの賛歌)地とそれに満ちているもの、世界とその中に住むものは主のものである。 + まことに主は、海に地の基を据え、また、もろもろの川の上に、それを築き上げられた。 + だれが、主の山に登りえようか。だれが、その聖なる所に立ちえようか。 + 手がきよく、心がきよらかな者、そのたましいをむなしいことに向けず、欺き誓わなかった人。 + その人は主から祝福を受け、その救いの神から義を受ける。 + これこそ、神を求める者の一族、あなたの御顔を慕い求める人々、ヤコブである。セラ + 門よ。おまえたちのかしらを上げよ。永遠の戸よ。上がれ。栄光の王が入って来られる。 + 栄光の王とは、だれか。強く、力ある主。戦いに力ある主。 + 門よ。おまえたちのかしらを上げよ。永遠の戸よ。上がれ。栄光の王が入って来られる。 + その栄光の王とはだれか。万軍の主。これぞ、栄光の王。セラ + + + (ダビデによる)主よ。私のたましいは、あなたを仰いでいます。 + わが神。私は、あなたに信頼いたします。どうか私が恥を見ないようにしてください。私の敵が私に勝ち誇らないようにしてください。 + まことに、あなたを待ち望む者はだれも恥を見ません。ゆえもなく裏切る者は恥を見ます。 + 主よ。あなたの道を私に知らせ、あなたの小道を私に教えてください。 + あなたの真理のうちに私を導き、私を教えてください。あなたこそ、私の救いの神、私は、あなたを一日中待ち望んでいるのです。 + 主よ。あなたのあわれみと恵みを覚えていてください。それらはとこしえからあったのですから。 + 私の若い時の罪やそむきを覚えていないでください。あなたの恵みによって、私を覚えていてください。主よ。あなたのいつくしみのゆえに。 + 主は、いつくしみ深く、正しくあられる。それゆえ、罪人に道を教えられる。 + 主は貧しい者を公義に導き、貧しい者にご自身の道を教えられる。 + 主の小道はみな恵みと、まことである。その契約とそのさとしを守る者には。 + 主よ。御名のために、私の咎をお赦しください。大きな咎を。 + 主を恐れる人は、だれか。主はその人に選ぶべき道を教えられる。 + その人のたましいは、しあわせの中に住み、その子孫は地を受け継ごう。 + 主はご自身を恐れる者と親しくされ、ご自身の契約を彼らにお知らせになる。 + 私の目はいつも主に向かう。主が私の足を網から引き出してくださるから。 + 私に御顔を向け、私をあわれんでください。私はただひとりで、悩んでいます。 + 私の心の苦しみが大きくなりました。どうか、苦悩のうちから私を引き出してください。 + 私の悩みと労苦を見て、私のすべての罪を赦してください。 + 私の敵がどんなに多いかを見てください。彼らは暴虐な憎しみで、私を憎んでいます。 + 私のたましいを守り、私を救い出してください。私が恥を見ないようにしてください。私はあなたに身を避けています。 + 誠実と正しさが私を保ちますように。私はあなたを待ち望んでいます。 + 神よ。イスラエルを、そのすべての苦しみから贖い出してください。 + + + (ダビデによる)私を弁護してください。主よ。私が誠実に歩み、よろめくことなく、主に信頼したことを。 + 主よ。私を調べ、私を試みてください。私の思いと私の心をためしてください。 + あなたの恵みが私の目の前にあり、私はあなたの真理のうちを歩み続けました。 + 私は、不信実な人とともにすわらず、偽善者とともに行きません。 + 私は、悪を行う者の集まりを憎み、悪者とともにすわりません。 + 主よ。私は手を洗ってきよくし、あなたの祭壇の回りを歩きましょう。 + 感謝の声を聞こえさせ、あなたの奇しいみわざを余すことなく、語り告げましょう。 + 主よ。私は、あなたのおられる家と、あなたの栄光の住まう所を愛します。 + どうか私のたましいを罪人とともに、また、私のいのちを血を流す人々とともに、取り集めないでください。 + 彼らの両手には放らつがあり、彼らの右の手はわいろで満ちています。 + しかし、私は、誠実に歩みます。どうか私を贖い出し、私をあわれんでください。 + 私の足は平らな所に立っています。私は、数々の集まりの中で、主をほめたたえましょう。 + + + (ダビデによる)主は、私の光、私の救い。だれを私は恐れよう。主は、私のいのちのとりで。だれを私はこわがろう。 + 悪を行う者が私の肉を食らおうと、私に襲いかかったとき、私の仇、私の敵、彼らはつまずき、倒れた。 + たとい、私に向かって陣営が張られても、私の心は恐れない。たとい、戦いが私に向かって起こっても、それにも、私は動じない。 + 私は一つのことを主に願った。私はそれを求めている。私のいのちの日の限り、主の家に住むことを。主の麗しさを仰ぎ見、その宮で、思いにふける、そのために。 + それは、主が、悩みの日に私を隠れ場に隠し、その幕屋のひそかな所に私をかくまい、岩の上に私を上げてくださるからだ。 + 今、私のかしらは、私を取り囲む敵の上に高く上げられる。私は、その幕屋で、喜びのいけにえをささげ、歌うたい、主に、ほめ歌を歌おう。 + 聞いてください。主よ。私の呼ぶこの声を。私をあわれみ、私に答えてください。 + あなたに代わって、私の心は申します。「わたしの顔を、慕い求めよ」と。主よ。あなたの御顔を私は慕い求めます。 + どうか、御顔を私に隠さないでください。あなたのしもべを、怒って、押しのけないでください。あなたは私の助けです。私を見放さないでください。見捨てないでください。私の救いの神。 + 私の父、私の母が、私を見捨てるときは、主が私を取り上げてくださる。 + 主よ。あなたの道を私に教えてください。私を待ち伏せている者どもがおりますから、私を平らな小道に導いてください。 + 私を、私の仇の意のままに、させないでください。偽りの証人どもが私に立ち向かい、暴言を吐いているのです。 + ああ、私に、生ける者の地で主のいつくしみを見ることが信じられなかったなら―― + 待ち望め。主を。雄々しくあれ。心を強くせよ。待ち望め。主を。 + + + (ダビデによる)主よ。私はあなたに呼ばわります。私の岩よ。どうか私に耳を閉じないでください。私に口をつぐまれて、私が、穴に下る者と同じにされないように。 + 私の願いの声を聞いてください。私があなたに助けを叫び求めるとき。私の手をあなたの聖所の奥に向けて上げるとき。 + どうか、悪者どもや不法を行う者どもといっしょに、私をかたづけないでください。彼らは隣人と平和を語りながら、その心には悪があるのです。 + 彼らのすることと、彼らの行う悪にしたがって、彼らに報いてください。その手のしわざにしたがって彼らに報い、その仕打ちに報復してください。 + 彼らは、主のなさることもその御手のわざをも悟らないので、主は、彼らを打ちこわし、建て直さない。 + ほむべきかな。主。まことに主は私の願いの声を聞かれた。 + 主は私の力、私の盾。私の心は主に拠り頼み、私は助けられた。それゆえ私の心はこおどりして喜び、私は歌をもって、主に感謝しよう。 + 主は、彼らの力。主は、その油そそがれた者の、救いのとりで。 + どうか、御民を救ってください。あなたのものである民を祝福してください。どうか彼らの羊飼いとなって、いつまでも、彼らを携えて行ってください。 + + + (ダビデの賛歌)力ある者の子らよ。主に帰せよ。栄光と力とを主に帰せよ。 + 御名の栄光を、主に帰せよ。聖なる飾り物を着けて主にひれ伏せ。 + 主の声は、水の上にあり、栄光の神は、雷鳴を響かせる。主は、大水の上にいます。 + 主の声は、力強く、主の声は、威厳がある。 + 主の声は、杉の木を引き裂く。まことに、主はレバノンの杉の木を打ち砕く。 + 主は、それらを、子牛のように、はねさせる。レバノンとシルヨンを若い野牛のように。 + 主の声は、火の炎を、ひらめかせる。 + 主の声は、荒野をゆすぶり、主は、カデシュの荒野を、ゆすぶられる。 + 主の声は、雌鹿に産みの苦しみをさせ、大森林を裸にする。その宮で、すべてのものが、「栄光」と言う。 + 主は、大洪水のときに御座に着かれた。まことに、主は、とこしえに王として御座に着いておられる。 + 主は、ご自身の民に力をお与えになる。主は、平安をもって、ご自身の民を祝福される。 + + + (ダビデの賛歌。家をささげる歌)主よ。私はあなたをあがめます。あなたが私を引き上げ、私の敵を喜ばせることはされなかったからです。 + 私の神、主よ。私があなたに叫び求めると、あなたは私を、いやされました。 + 主よ。あなたは私のたましいをよみから引き上げ、私が穴に下って行かないように、私を生かしておかれました。 + 聖徒たちよ。主をほめ歌え。その聖なる御名に感謝せよ。 + まことに、御怒りはつかの間、いのちは恩寵のうちにある。夕暮れには涙が宿っても、朝明けには喜びの叫びがある。 + 私が栄えたときに、私はこう言った。「私は決してゆるがされない。」 + 主よ。あなたはご恩寵のうちに、私の山を強く立たせてくださいました。あなたが御顔を隠され、私はおじ惑っていましたが。 + 主よ。私はあなたを呼び求めます。私の主にあわれみを請います。 + 私が墓に下っても、私の血に何の益があるのでしょうか。ちりが、あなたを、ほめたたえるでしょうか。あなたのまことを、告げるでしょうか。 + 聞いてください。主よ。私をあわれんでください。主よ。私の助けとなってください。 + あなたは私のために、嘆きを踊りに変えてくださいました。あなたは私の荒布を解き、喜びを私に着せてくださいました。 + 私のたましいがあなたをほめ歌い、黙っていることがないために。私の神、主よ。私はとこしえまでも、あなたに感謝します。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)主よ。私はあなたに身を避けています。私が決して恥を見ないようにしてください。あなたの義によって、私を助け出してください。 + 私に耳を傾け、早く私を救い出してください。私の力の岩となり、強いとりでとなって、私を救ってください。 + あなたこそ、私の巌、私のとりでです。あなたの御名のゆえに、私を導き、私を伴ってください。 + 私をねらってひそかに張られた網から、私を引き出してください。あなたは私の力ですから。 + 私の霊を御手にゆだねます。真実の神、主よ。あなたは私を贖い出してくださいました。 + 私は、むなしい偶像につく者を憎み、主に信頼しています。 + あなたの恵みを私は楽しみ、喜びます。あなたは、私の悩みをご覧になり、私のたましいの苦しみを知っておられました。 + あなたは私を敵の手に渡さず、私の足を広い所に立たせてくださいました。 + 私をあわれんでください。主よ。私には苦しみがあるのです。私の目はいらだちで衰えてしまいました。私のたましいも、また私のからだも。 + まことに私のいのちは悲しみで尽き果てました。私の年もまた、嘆きで。私の力は私の咎によって弱まり、私の骨々も衰えてしまいました。 + 私は、敵対するすべての者から、非難されました。わけても、私の隣人から。私の親友には恐れられ、外で私に会う者は、私を避けて逃げ去ります。 + 私は死人のように、人の心から忘れられ、こわれた器のようになりました。 + 私は多くの者のそしりを聞きました。「四方八方みな恐怖だ」と。彼らは私に逆らって相ともに集まったとき、私のいのちを取ろうと図りました。 + しかし、主よ。私は、あなたに信頼しています。私は告白します。「あなたこそ私の神です。」 + 私の時は、御手の中にあります。私を敵の手から、また追い迫る者の手から、救い出してください。 + 御顔をあなたのしもべの上に照り輝かせてください。あなたの恵みによって私をお救いください。 + 主よ。私が恥を見ないようにしてください。私はあなたを呼び求めていますから。悪者をはずかしめてください。彼らをよみで静まらせてください。 + 偽りのくちびるを封じてください。それは正しい者に向かって、横柄に語っています。高ぶりとさげすみをもって。 + あなたのいつくしみは、なんと大きいことでしょう。あなたはそれを、あなたを恐れる者のためにたくわえ、あなたに身を避ける者のために人の子の前で、それを備えられました。 + あなたは彼らを人のそしりから、あなたのおられるひそかな所にかくまい、舌の争いから、隠れ場に隠されます。 + ほむべきかな。主。主は包囲された町の中で私に奇しい恵みを施されました。 + 私はあわてて言いました。「私はあなたの目の前から断たれたのだ」と。しかし、あなたは私の願いの声を聞かれました。私があなたに叫び求めたときに。 + すべて、主の聖徒たちよ。主を愛しまつれ。主は誠実な者を保たれるが、高ぶる者には、きびしく報いをされる。 + 雄々しくあれ。心を強くせよ。すべて主を待ち望む者よ。 + + + (ダビデのマスキール)幸いなことよ。そのそむきを赦され、罪をおおわれた人は。 + 幸いなことよ。主が、咎をお認めにならない人、その霊に欺きのない人は。 + 私は黙っていたときには、一日中、うめいて、私の骨々は疲れ果てました。 + それは、御手が昼も夜も私の上に重くのしかかり、私の骨髄は、夏のひでりでかわききったからです。セラ + 私は、自分の罪を、あなたに知らせ、私の咎を隠しませんでした。私は申しました。「私のそむきの罪を主に告白しよう。」すると、あなたは私の罪のとがめを赦されました。セラ + それゆえ、聖徒は、みな、あなたに祈ります。あなたにお会いできる間に。まことに、大水の濁流も、彼の所に届きません。 + あなたは私の隠れ場。あなたは苦しみから私を守り、救いの歓声で、私を取り囲まれます。セラ + わたしは、あなたがたに悟りを与え、行くべき道を教えよう。わたしはあなたがたに目を留めて、助言を与えよう。 + あなたがたは、悟りのない馬や騾馬のようであってはならない。それらは、くつわや手綱の馬具で押さえなければ、あなたに近づかない。 + 悪者には心の痛みが多い。しかし、主に信頼する者には、恵みが、その人を取り囲む。 + 正しい者たち。主にあって、喜び、楽しめ。すべて心の直ぐな人たちよ。喜びの声をあげよ。 + + + 正しい者たち。主にあって、喜び歌え。賛美は心の直ぐな人たちにふさわしい。 + 立琴をもって主に感謝せよ。十弦の琴をもって、ほめ歌を歌え。 + 新しい歌を主に向かって歌え。喜びの叫びとともに、巧みに弦をかき鳴らせ。 + まことに、主のことばは正しく、そのわざはことごとく真実である。 + 主は正義と公正を愛される。地は主の恵みに満ちている。 + 主のことばによって、天は造られた。天の万象もすべて、御口のいぶきによって。 + 主は海の水をせきのように集め、深い水を倉に収められる。 + 全地よ。主を恐れよ。世界に住む者よ。みな、主の前におののけ。 + まことに、主が仰せられると、そのようになり、主が命じられると、それは堅く立つ。 + 主は国々のはかりごとを無効にし、国々の民の計画をむなしくされる。 + 主のはかりごとはとこしえに立ち、御心の計画は代々に至る。 + 幸いなことよ。主をおのれの神とする、その国は。神が、ご自身のものとしてお選びになった、その民は。 + 主は天から目を注ぎ、人の子らを残らずご覧になる。 + 御住まいの所から地に住むすべての者に目を注がれる。 + 主は、彼らの心をそれぞれみな造り、彼らのわざのすべてを読み取る方。 + 王は軍勢の多いことによっては救われない。勇者は力の強いことによっては救い出されない。 + 軍馬も勝利の頼みにはならない。その大きな力も救いにならない。 + 見よ。主の目は主を恐れる者に注がれる。その恵みを待ち望む者に。 + 彼らのたましいを死から救い出し、ききんのときにも彼らを生きながらえさせるために。 + 私たちのたましいは主を待ち望む。主は、われらの助け、われらの盾。 + まことに私たちの心は主を喜ぶ。私たちは、聖なる御名に信頼している。 + 主よ。あなたの恵みが私たちの上にありますように。私たちがあなたを待ち望んだときに。 + + + (ダビデによる。彼がアビメレクの前で気が違ったかのようにふるまい、彼に追われて去ったとき)私はあらゆる時に主をほめたたえる。私の口には、いつも、主への賛美がある。 + 私のたましいは主を誇る。貧しい者はそれを聞いて喜ぶ。 + 私とともに主をほめよ。共に、御名をあがめよう。 + 私が主を求めると、主は答えてくださった。私をすべての恐怖から救い出してくださった。 + 彼らが主を仰ぎ見ると、彼らは輝いた。「彼らの顔をはずかしめないでください。」 + この悩む者が呼ばわったとき、主は聞かれた。こうして、主はすべての苦しみから彼を救われた。 + 主の使いは主を恐れる者の回りに陣を張り、彼らを助け出される。 + 主のすばらしさを味わい、これを見つめよ。幸いなことよ。彼に身を避ける者は。 + 主を恐れよ。その聖徒たちよ。彼を恐れる者には乏しいことはないからだ。 + 若い獅子も乏しくなって飢える。しかし、主を尋ね求める者は、良いものに何一つ欠けることはない。 + 来なさい。子たちよ。私に聞きなさい。主を恐れることを教えよう。 + いのちを喜びとし、しあわせを見ようと、日数の多いのを愛する人は、だれか。 + あなたの舌に悪口を言わせず、くちびるに欺きを語らせるな。 + 悪を離れ、善を行え。平和を求め、それを追い求めよ。 + 主の目は正しい者に向き、その耳は彼らの叫びに傾けられる。 + 主の御顔は悪をなす者からそむけられ、彼らの記憶を地から消される。 + 彼らが叫ぶと、主は聞いてくださる。そして、彼らをそのすべての苦しみから救い出される。 + 主は心の打ち砕かれた者の近くにおられ、霊の砕かれた者を救われる。 + 正しい者の悩みは多い。しかし、主はそのすべてから彼を救い出される。 + 主は、彼の骨をことごとく守り、その一つさえ、砕かれることはない。 + 悪は悪者を殺し、正しい者を憎む者は罪に定められる。 + 主はそのしもべのたましいを贖い出される。主に身を避ける者は、だれも罪に定められない。 + + + (ダビデによる)主よ。私と争う者と争い、私と戦う者と戦ってください。 + 盾と大盾とを手に取って、私を助けに、立ち上がってください。 + 槍を抜き、私に追い迫る者を封じてください。私のたましいに言ってください。「わたしがあなたの救いだ」と。 + 私のいのちを求める者どもが恥を見、卑しめられますように。私のわざわいを図る者が退き、はずかしめを受けますように。 + 彼らを風の前のもみがらのようにし、主の使いに押しのけさせてください。 + 彼らの道をやみとし、また、すべるようにし、主の使いに彼らを追わせてください。 + まことに、彼らはゆえもなく、私にひそかに網を張り、ゆえもなく、私のたましいを陥れようと、穴を掘りました。 + 思わぬときに、滅びが彼を襲いますように。ひそかに張ったおのれの網が彼を捕らえ、滅びの中に彼が落ち込みますように。 + こうして私のたましいは、主にあって喜び、御救いの中にあって楽しむことでしょう。 + 私のすべての骨は言いましょう。「主よ。だれか、あなたのような方があるでしょうか。悩む者を、彼よりも強い者から救い出す方。そうです。悩む者、貧しい者を、奪い取る者から。」 + 暴虐な証人どもが立ち私の知らないことを私に問う。 + 彼らは善にかえて悪を報い、私のたましいは見捨てられる。 + しかし、私は――、彼らの病のとき、私の着物は荒布だった。私は断食してたましいを悩ませ、私の祈りは私の胸を行き来していた。 + 私の友、私の兄弟にするように、私は歩き回り、母の喪に服するように、私はうなだれて泣き悲しんだ。 + だが、彼らは私がつまずくと喜び、相つどい、私の知らない攻撃者どもが、共に私を目ざして集まり、休みなく私を中傷した。 + 私の回りの、あざけり、ののしる者どもは私に向かって歯ぎしりした。 + わが主よ。いつまでながめておられるのですか。どうか私のたましいを彼らの略奪から、私のただ一つのものを若い獅子から、奪い返してください。 + 私は大きな会衆の中で、あなたに感謝し、強い人々の間で、あなたを賛美します。 + 偽り者の、私の敵を、私のことで喜ばせないでください。ゆえもなく私を憎む人々が目くばせしないようにしてください。 + 彼らは平和を語らず、地の平穏な人々に、欺きごとをたくらむからです。 + 彼らは私に向かって、大きく口を開き、「あはは、あはは。この目で見たぞ」と言います。 + 主よ。あなたはそれをご覧になったのです。黙っていないでください。わが主よ。私から遠く離れないでください。 + 奮い立ってください。目をさましてください。私のさばきのために。わが神、わが主よ。私の訴えのために。 + あなたの義にしたがって、私を弁護してください。わが神、主よ。彼らを私のことで喜ばせないでください。 + 彼らに心のうちで言わせないでください。「あはは。われわれの望みどおりだ」と。また、言わせないでください。「われわれは彼を、のみこんだ」と。 + 私のわざわいを楽しんでいる者らは、みな恥を見、はずかしめを受けますように。私に向かって高ぶる者は、恥と侮辱をこうむりますように。 + 私の義を喜びとする者は、喜びの声をあげ、楽しむようにしてください。彼らにいつも言わせてください。「ご自分のしもべの繁栄を喜ばれる主は、大いなるかな」と。 + 私の舌はあなたの義とあなたの誉れを日夜、口ずさむことでしょう。 + + + (指揮者のために。主のしもべ、ダビデによる)罪は悪者の心の中に語りかける。彼の目の前には、神に対する恐れがない。 + 彼はおのれの目で自分にへつらっている。おのれの咎を見つけ出し、それを憎むことで。 + 彼の口のことばは、不法と欺きだ。彼は知恵を得ることも、善を行うこともやめてしまっている。 + 彼は寝床で、不法を図り、よくない道に堅く立っていて、悪を捨てようとしない。 + 主よ。あなたの恵みは天にあり、あなたの真実は雲にまで及びます。 + あなたの義は高くそびえる山のようで、あなたのさばきは深い海のようです。あなたは人や獣を栄えさせてくださいます。主よ。 + 神よ。あなたの恵みは、なんと尊いことでしょう。人の子らは御翼の陰に身を避けます。 + 彼らはあなたの家の豊かさを心ゆくまで飲むでしょう。あなたの楽しみの流れを、あなたは彼らに飲ませなさいます。 + いのちの泉はあなたにあり、私たちは、あなたの光のうちに光を見るからです。 + 注いでください。あなたの恵みを、あなたを知る者に。あなたの義を、心の直ぐな人に。 + 高ぶりの足が私に追いつかず、悪者の手が私を追いやらないようにしてください。 + そこでは、不法を行う者は倒れ、押し倒されて立ち上がれません。 + + + (ダビデによる)悪を行う者に対して腹を立てるな。不正を行う者に対してねたみを起こすな。 + 彼らは草のようにたちまちしおれ、青草のように枯れるのだ。 + 主に信頼して善を行え。地に住み、誠実を養え。 + 主をおのれの喜びとせよ。主はあなたの心の願いをかなえてくださる。 + あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる。 + 主は、あなたの義を光のように、あなたのさばきを真昼のように輝かされる。 + 主の前に静まり、耐え忍んで主を待て。おのれの道の栄える者に対して、悪意を遂げようとする人に対して、腹を立てるな。 + 怒ることをやめ、憤りを捨てよ。腹を立てるな。それはただ悪への道だ。 + 悪を行う者は断ち切られる。しかし主を待ち望む者、彼らは地を受け継ごう。 + ただしばらくの間だけで、悪者はいなくなる。あなたが彼の居所を調べても、彼はそこにはいないだろう。 + しかし、貧しい人は地を受け継ごう。また、豊かな繁栄をおのれの喜びとしよう。 + 悪者は正しい者に敵対して事を図り、歯ぎしりして彼に向かう。 + 主は彼を笑われる。彼の日が迫っているのをご覧になるから。 + 悪者どもは剣を抜き、弓を張った。悩む者、貧しい者を打ち倒し、行いの正しい者を切り殺すために。 + 彼らの剣はおのれの心臓を貫き、彼らの弓は折られよう。 + ひとりの正しい者の持つわずかなものは、多くの悪者の豊かさにまさる。 + なぜなら、悪者の腕は折られるが、主は正しい者をささえられるからだ。 + 主は全き人の日々を知っておられ、彼らのゆずりは永遠に残る。 + 彼らはわざわいのときにも恥を見ず、ききんのときにも満ち足りよう。 + しかし悪者は滅びる。主の敵は牧場の青草のようだ。彼らは消えうせる。煙となって消えうせる。 + 悪者は、借りるが返さない。正しい者は、情け深くて人に施す。 + 主に祝福された者は地を受け継ごう。しかし主にのろわれた者は断ち切られる。 + 人の歩みは主によって確かにされる。主はその人の道を喜ばれる。 + その人は倒れてもまっさかさまに倒されはしない。主がその手をささえておられるからだ。 + 私が若かったときも、また年老いた今も、正しい者が見捨てられたり、その子孫が食べ物を請うのを見たことがない。 + その人はいつも情け深く人に貸す。その子孫は祝福を得る。 + 悪を離れて善を行い、いつまでも住みつくようにせよ。 + まことに、主は公義を愛し、ご自身の聖徒を見捨てられない。彼らは永遠に保たれるが、悪者どもの子孫は断ち切られる。 + 正しい者は地を受け継ごう。そして、そこにいつまでも住みつこう。 + 正しい者の口は知恵を語り、その舌は公義を告げる。 + 心に神のみおしえがあり、彼の歩みはよろけない。 + 悪者は正しい者を待ち伏せ、彼を殺そうとする。 + 主は、彼をその者の手の中に捨ておかず、彼がさばかれるとき、彼を罪に定められない。 + 主を待ち望め。その道を守れ。そうすれば、主はあなたを高く上げて、地を受け継がせてくださる。あなたは悪者が断ち切られるのを見よう。 + 私は悪者の横暴を見た。彼は、おい茂る野生の木のようにはびこっていた。 + だが、彼は過ぎ去った。見よ。彼はもういない。私は彼を捜し求めたが見つからなかった。 + 全き人に目を留め、直ぐな人を見よ。平和の人には子孫ができる。 + しかし、そむく者は、相ともに滅ぼされる。悪者どもの子孫は断ち切られる。 + 正しい者の救いは、主から来る。苦難のときの彼らのとりでは主である。 + 主は彼らを助け、彼らを解き放たれる。主は、悪者どもから彼らを解き放ち、彼らを救われる。彼らが主に身を避けるからだ。 + + + (記念のためのダビデの賛歌)主よ。あなたの大きな怒りで私を責めないでください。あなたの激しい憤りで私を懲らしめないでください。 + あなたの矢が私の中に突き刺さり、あなたの手が私の上に激しく下って来ました。 + あなたの憤りのため、私の肉には完全なところがなく、私の罪のため私の骨には健全なところがありません。 + 私の咎が、私の頭を越え、重荷のように、私には重すぎるからです。 + 私の傷は、悪臭を放ち、ただれました。それは私の愚かしさのためです。 + 私はかがみ、深くうなだれ、一日中、嘆いて歩いています。 + 私の腰はやけどでおおい尽くされ、私の肉には完全なところがありません。 + 私はしびれ、砕き尽くされ、心の乱れのためにうめいています。 + 主よ。私の願いはすべてあなたの御前にあり、私の嘆きはあなたから隠されていません。 + 私の心はわななきにわななき、私の力は私を見捨て、目の光さえも、私にはなくなりました。 + 私の愛する者や私の友も、私のえやみを避けて立ち、私の近親の者も遠く離れて立っています。 + 私のいのちを求める者はわなを仕掛け、私を痛めつけようとする者は私の破滅を告げ、一日中、欺きを語っています。 + しかし私には聞こえません。私は耳の聞こえない者のよう。口を開かず、話せない者のよう。 + まことに私は、耳が聞こえず、口で言い争わない人のようです。 + それは、主よ、私があなたを待ち望んでいるからです。わが神、主よ。あなたが答えてくださいますように。 + 私は申しました。「私の足がよろけるとき、彼らが私のことで喜ばず、私に対して高ぶらないようにしてください。」 + 私はつまずき倒れそうであり、私の痛みはいつも私の前にあります。 + 私は自分の咎を言い表し、私の罪で私は不安になっています。 + しかし私の敵は、活気に満ちて、強く、私を憎む偽り者が多くいます。 + また、善にかえて悪を報いる者どもは、私が善を追い求めるからといって、私をなじっています。 + 私を見捨てないでください。主よ。わが神よ。私から遠く離れないでください。 + 急いで私を助けてください。主よ、私の救いよ。 + + + (指揮者エドトンのために。ダビデの賛歌)私は言った。私は自分の道に気をつけよう。私が舌で罪を犯さないために。私の口に口輪をはめておこう。悪者が私の前にいる間は。 + 私はひたすら沈黙を守った。よいことにさえ、黙っていた。それで私の痛みは激しくなった。 + 私の心は私のうちで熱くなり、私がうめく間に、火は燃え上がった。そこで私は自分の舌で、こう言った。 + 主よ。お知らせください。私の終わり、私の齢が、どれだけなのか。私が、どんなに、はかないかを知ることができるように。 + ご覧ください。あなたは私の日を手幅ほどにされました。私の一生は、あなたの前では、ないのも同然です。まことに、人はみな、盛んなときでも、全くむなしいものです。セラ + まことに、人は幻のように歩き回り、まことに、彼らはむなしく立ち騒ぎます。人は、積みたくわえるが、だれがそれを集めるのかを知りません。 + 主よ。今、私は何を待ち望みましょう。私の望み、それはあなたです。 + 私のすべてのそむきの罪から私を助け出してください。私を愚か者のそしりとしないでください。 + 私は黙し、口を開きません。あなたが、そうなさったからです。 + どうか、あなたのむちを私から取り除いてください。あなたの手に打たれて、私は衰え果てました。 + あなたは、不義を責めて人を懲らしめ、その人の望むものを、しみが食うように、なくしてしまわれます。まことに、人はみな、むなしいものです。セラ + 私の祈りを聞いてください。主よ。私の叫びを耳に入れてください。私の涙に、黙っていないでください。私はあなたとともにいる旅人で、私のすべての先祖たちのように、寄留の者なのです。 + 私を見つめないでください。私が去って、いなくなる前に、私がほがらかになれるように。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)私は切なる思いで主を待ち望んだ。主は私のほうに身を傾け、私の叫びを聞き、 + 私を滅びの穴から、泥沼から、引き上げてくださった。そして私の足を巌の上に置き、私の歩みを確かにされた。 + 主は、私の口に、新しい歌、われらの神への賛美を授けられた。多くの者は見、そして恐れ、主に信頼しよう。 + 幸いなことよ。主に信頼し、高ぶる者や、偽りに陥る者たちのほうに向かなかった、その人は。 + わが神、主よ。あなたがなさった奇しいわざと、私たちへの御計りは、数も知れず、あなたに並ぶ者はありません。私が告げても、また語っても、それは多くて述べ尽くせません。 + あなたは、いけにえや穀物のささげ物をお喜びにはなりませんでした。あなたは私の耳を開いてくださいました。あなたは、全焼のいけにえも、罪のためのいけにえも、お求めになりませんでした。 + そのとき私は申しました。「今、私はここに来ております。巻き物の書に私のことが書いてあります。 + わが神。私はみこころを行うことを喜びとします。あなたのおしえは私の心のうちにあります。」 + 私は大きな会衆の中で、義の良い知らせを告げました。ご覧ください。私は私のくちびるを押さえません。主よ。あなたはご存じです。 + 私は、あなたの義を心の中に隠しませんでした。あなたの真実とあなたの救いを告げました。私は、あなたの恵みとあなたのまことを大いなる会衆に隠しませんでした。 + あなたは、主よ。私にあわれみを惜しまないでください。あなたの恵みと、あなたのまことが、絶えず私を見守るようにしてください。 + 数えきれないほどのわざわいが私を取り囲み、私の咎が私に追いついたので、私は見ることさえできません。それは私の髪の毛よりも多く、私の心も私を見捨てました。 + 主よ。どうかみこころによって私を救い出してください。主よ。急いで、私を助けてください。 + 私のいのちを求め、滅ぼそうとする者どもが、みな恥を見、はずかしめを受けますように。私のわざわいを喜ぶ者どもが退き、卑しめられますように。 + 私を「あはは」とあざ笑う者どもが、おのれの恥のために、色を失いますように。 + あなたを慕い求める人がみな、あなたにあって楽しみ、喜びますように。あなたの救いを愛する人たちが、「主をあがめよう」と、いつも言いますように。 + 私は悩む者、貧しい者です。主よ。私を顧みてください。あなたは私の助け、私を助け出す方。わが神よ。遅れないでください。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)幸いなことよ。弱っている者に心を配る人は。主はわざわいの日にその人を助け出される。 + 主は彼を見守り、彼を生きながらえさせ、地上でしあわせな者とされる。どうか彼を敵の意のままにさせないでください。 + 主は病の床で彼をささえられる。病むときにどうか彼を全くいやしてくださるように。 + 私は言った。「主よ、あわれんでください。私のたましいをいやしてください。私はあなたに罪を犯したからです。」 + 私の敵は、私の悪口を言います。「いつ、彼は死に、その名は滅びるのだろうか。」 + たとい、人が見舞いに来ても、その人はうそを言い、その心のうちでは、悪意をたくわえ、外に出ては、それを言いふらす。 + 私を憎む者はみな、私について共にささやき、私に対して、悪をたくらむ。 + 「邪悪なものが、彼に取りついている。彼が床に着いたからには、もう二度と起き上がれまい。」 + 私が信頼し、私のパンを食べた親しい友までが、私にそむいて、かかとを上げた。 + しかし、主よ。あなたは私をあわれんでください。私を立ち上がらせてください。そうすれば私は、彼らに仕返しができます。 + このことによって、あなたは私を喜んでおられるのが、わかります。私の敵が私に勝ちどきをあげないからです。 + 誠実を尽くしている私を強くささえ、いつまでも、あなたの御顔の前に立たせてください。 + ほむべきかな。イスラエルの神、主。とこしえから、とこしえまで。アーメン。アーメン。||第二巻 + + + (指揮者のために。コラの子たちのマスキール)鹿が谷川の流れを慕いあえぐように、神よ。私のたましいはあなたを慕いあえぎます。 + 私のたましいは、神を、生ける神を求めて渇いています。いつ、私は行って、神の御前に出ましょうか。 + 私の涙は、昼も夜も、私の食べ物でした。人が一日中「おまえの神はどこにいるのか」と私に言う間。 + 私はあの事などを思い起こし、私の前で心を注ぎ出しています。私があの群れといっしょに行き巡り、喜びと感謝の声をあげて、祭りを祝う群集とともに神の家へとゆっくり歩いて行ったことなどを。 + わがたましいよ。なぜ、おまえはうなだれているのか。私の前で思い乱れているのか。神を待ち望め。私はなおも神をほめたたえる。御顔の救いを。 + 私の神よ。私のたましいは私の前でうなだれています。それゆえ、ヨルダンとヘルモンの地から、またミツァルの山から私はあなたを思い起こします。 + あなたの大滝のとどろきに、淵が淵を呼び起こし、あなたの波、あなたの大波は、みな私の上を越えて行きました。 + 昼には、主が恵みを施し、夜には、その歌が私とともにあります。私のいのち、神への、祈りが。 + 私は、わが巌の神に申し上げます。「なぜ、あなたは私をお忘れになったのですか。なぜ私は敵のしいたげに、嘆いて歩くのですか。」 + 私に敵対する者どもは、私の骨々が打ち砕かれるほど、私をそしり、一日中、「おまえの神はどこにいるのか」と私に言っています。 + わがたましいよ。なぜ、おまえはうなだれているのか。なぜ、私の前で思い乱れているのか。神を待ち望め。私はなおも神をほめたたえる。私の顔の救い、私の神を。 + + + 神よ。私のためにさばいてください。私の訴えを取り上げ、神を恐れない民の言い分を退けてください。欺きと不正の人から私を助け出してください。 + あなたは私の力の神であられるからです。なぜあなたは私を拒まれたのですか。なぜ私は敵のしいたげに、嘆いて歩き回るのですか。 + どうか、あなたの光とまことを送り、私を導いてください。あなたの聖なる山、あなたのお住まいに向かってそれらが、私を連れて行きますように。 + こうして、私は神の祭壇、私の最も喜びとする神のみもとに行き、立琴に合わせて、あなたをほめたたえましょう。神よ。私の神よ。 + わがたましいよ。なぜ、おまえはうなだれているのか。なぜ、私の前で思い乱れているのか。神を待ち望め。私はなおも神をほめたたえる。私の顔の救い、私の神を。 + + + (指揮者のために。コラの子たちのマスキール)神よ。私たちはこの耳で、先祖たちが語ってくれたことを聞きました。あなたが昔、彼らの時代になさったみわざを。 + あなたは御手をもって、国々を追い払い、そこに彼らを植え、国民にわざわいを与え、そこに彼らを送り込まれました。 + 彼らは、自分の剣によって地を得たのでもなく、自分の腕が彼らを救ったのでもありません。ただあなたの右の手、あなたの腕、あなたの御顔の光が、そうしたのです。あなたが彼らを愛されたからです。 + 神よ。あなたこそ私の王です。ヤコブの勝利を命じてください。 + あなたによって私たちは、敵を押し返し、御名によって私たちに立ち向かう者どもを踏みつけましょう。 + 私は私の弓にたよりません。私の剣も私を救いません。 + しかしあなたは、敵から私たちを救い、私たちを憎む者らをはずかしめなさいました。 + 私たちはいつも神によって誇りました。また、あなたの御名をとこしえにほめたたえます。セラ + それなのに、あなたは私たちを拒み、卑しめました。あなたはもはや、私たちの軍勢とともに出陣なさいません。 + あなたは私たちを敵から退かせ、私たちを憎む者らは思うままにかすめ奪いました。 + あなたは私たちを食用の羊のようにし、国々の中に私たちを散らされました。 + あなたはご自分の民を安値で売り、その代価で何の得もなさいませんでした。 + あなたは私たちを、隣人のそしりとし、回りの者のあざけりとし、笑いぐさとされます。 + あなたは私たちを国々の中で物笑いの種とし、民の中で笑い者とされるのです。 + 私の前には、一日中、はずかしめがあって、私の顔の恥が私をおおってしまいました。 + それはそしる者とののしる者の声のため、敵と復讐者のためでした。 + これらのことすべてが私たちを襲いました。しかし私たちはあなたを忘れませんでした。また、あなたの契約を無にしませんでした。 + 私たちの心はたじろがず、私たちの歩みはあなたの道からそれませんでした。 + しかも、あなたはジャッカルの住む所で私たちを砕き、死の陰で私たちをおおわれたのです。 + もし、私たちが私たちの神の名を忘れ、ほかの神に私たちの手を差し伸ばしたなら、 + 神はこれを探り出されないでしょうか。神は心の秘密を知っておられるからです。 + だが、あなたのために、私たちは一日中、殺されています。私たちは、ほふられる羊とみなされています。 + 起きてください。主よ。なぜ眠っておられるのですか。目をさましてください。いつまでも拒まないでください。 + なぜ御顔をお隠しになるのですか。私たちの悩みとしいたげをお忘れになるのですか。 + 私たちのたましいはちりに伏し、私たちの腹は地にへばりついています。 + 立ち上がって私たちをお助けください。あなたの恵みのために私たちを贖い出してください。 + + + (指揮者のために。「ゆりの花」の調べに合わせて。コラの子たちのマスキール。愛の歌)私の心はすばらしいことばでわき立っている。私は王に私の作ったものを語ろう。私の舌は巧みな書記の筆。 + あなたは人の子らにまさって麗しい。あなたのくちびるからは優しさが流れ出る。神がとこしえにあなたを祝福しておられるからだ。 + 雄々しい方よ。あなたの剣を腰に帯びよ。あなたの尊厳と威光を。 + あなたの威光は、真理と柔和と義のために、勝利のうちに乗り進め。あなたの右の手は、恐ろしいことをあなたに教えよ。 + あなたの矢は鋭い。国々の民はあなたのもとに倒れ、王の敵は気を失う。 + 神よ。あなたの王座は世々限りなく、あなたの王国の杖は公正の杖。 + あなたは義を愛し、悪を憎んだ。それゆえ、神よ。あなたの神は喜びの油をあなたのともがらにまして、あなたにそそがれた。 + あなたの着物はみな、没薬、アロエ、肉桂のかおりを放ち、象牙のやかたから聞こえる緒琴はあなたを喜ばせた。 + 王たちの娘があなたの愛する女たちの中にいる。王妃はオフィルの金を身に着けて、あなたの右に立つ。 + 娘よ。聞け。心して、耳を傾けよ。あなたの民と、あなたの父の家を忘れよ。 + そうすれば王は、あなたの美を慕おう。彼はあなたの夫であるから、彼の前にひれ伏せ。 + ツロの娘は贈り物を携えて来、民のうちの富んだ者はあなたの好意を求めよう。 + 王の娘は奥にいて栄華を窮め、その衣には黄金が織り合わされている。 + 彼女は綾織物を着て、王の前に導かれ、彼女に付き添うおとめらもあなたのもとに連れて来られよう。 + 喜びと楽しみをもって彼らは導かれ、王の宮殿に入って行く。 + あなたの息子らがあなたの父祖に代わろう。あなたは彼らを全地の君主に任じよう。 + わたしはあなたの名を代々にわたって覚えさせよう。それゆえ、国々の民は世々限りなく、あなたをほめたたえよう。 + + + (指揮者のために。コラの子たちによる。アラモテに合わせて。歌)神はわれらの避け所、また力。苦しむとき、そこにある助け。 + それゆえ、われらは恐れない。たとい、地は変わり山々が海のまなかに移ろうとも。 + たとい、その水が立ち騒ぎ、あわだっても、その水かさが増して山々が揺れ動いても。セラ + 川がある。その流れは、いと高き方の聖なる住まい、神の都を喜ばせる。 + 神はそのまなかにいまし、その都はゆるがない。神は夜明け前にこれを助けられる。 + 国々は立ち騒ぎ、諸方の王国は揺らいだ。神が御声を発せられると、地は溶けた。 + 万軍の主はわれらとともにおられる。ヤコブの神はわれらのとりでである。セラ + 来て、主のみわざを見よ。主は地に荒廃をもたらされた。 + 主は地の果てまでも戦いをやめさせ、弓をへし折り、槍を断ち切り、戦車を火で焼かれた。 + 「やめよ。わたしこそ神であることを知れ。わたしは国々の間であがめられ、地の上であがめられる。」 + 万軍の主はわれらとともにおられる。ヤコブの神はわれらのとりでである。セラ + + + (指揮者のために。コラの子たちの賛歌)すべての国々の民よ。手をたたけ。喜びの声をあげて神に叫べ。 + まことに、いと高き方主は、恐れられる方。全地の大いなる王。 + 国々の民を私たちのもとに、国民を私たちの足もとに従わせる。 + 主は、私たちのためにお選びになる。私たちの受け継ぐ地を。主の愛するヤコブの誉れを。セラ + 神は喜びの叫びの中を、主は角笛の音の中を、上って行かれた。 + 神にほめ歌を歌え。ほめ歌を歌え。われらの王にほめ歌を歌え。ほめ歌を歌え。 + まことに神は全地の王。巧みな歌でほめ歌を歌え。 + 神は国々を統べ治めておられる。神はその聖なる王座に着いておられる。 + 国々の民の尊き者たちは、アブラハムの神の民として集められた。 + まことに、地の盾は神のもの。神は大いにあがめられる方。 + + + (歌。コラの子たちの賛歌)主は大いなる方。大いにほめたたえられるべき方。その聖なる山、われらの神の都において。 + 高嶺の麗しさは、全地の喜び。北の端なるシオンの山は大王の都。 + 神は、その宮殿で、ご自身をやぐらとして示された。 + 見よ。王たちは相つどい、ともどもにそこを通り過ぎた。 + 彼らは、見るとたちまち驚き、おじ惑って急いで逃げた。 + その場で恐怖が彼らを捕らえた。産婦のような苦痛。 + あなたは東風でタルシシュの船を打ち砕かれる。 + 私たちは、聞いたとおりを、そのまま見た。万軍の主の都、われらの神の都で。神は都を、とこしえに堅く建てられる。セラ + 神よ。私たちは、あなたの宮の中で、あなたの恵みを思い巡らしました。 + 神よ。あなたの誉れはあなたの御名と同じく、地の果てにまで及んでいます。あなたの右の手は義に満ちています。 + あなたのさばきがあるために、シオンの山が喜び、ユダの娘が楽しむようにしてください。 + シオンを巡り、その回りを歩け。そのやぐらを数えよ。 + その城壁に心を留めよ。その宮殿を巡り歩け。後の時代に語り伝えるために。 + この方こそまさしく神。世々限りなくわれらの神であられる。神は私たちをとこしえに導かれる。 + + + (指揮者のために。コラの子たちの賛歌)すべての国々の民よ。これを聞け。世界に住むすべての者よ。耳を傾けよ。 + 低い者も、尊い者も、富む者も、貧しい者も、ともどもに。 + 私の口は知恵を語り、私の心は英知を告げる。 + 私はたとえに耳を傾け、立琴に合わせて私のなぞを解き明かそう。 + どうして私は、わざわいの日に、恐れなければならないのか。私を取り囲んで中傷する者の悪意を。 + おのれの財産に信頼する者どもや、豊かな富を誇る者どもを。 + 人は自分の兄弟をも買い戻すことはできない。自分の身代金を神に払うことはできない。 + ――たましいの贖いしろは、高価であり、永久にあきらめなくてはならない―― + 人はとこしえまでも生きながらえるであろうか。墓を見ないであろうか。 + 彼は見る。知恵のある者たちが死に、愚か者もまぬけ者もひとしく滅び、自分の財産を他人に残すのを。 + 彼らは、心の中で、彼らの家は永遠に続き、その住まいは代々にまで及ぶと思い、自分たちの土地に、自分たちの名をつける。 + しかし人は、その栄華のうちにとどまれない。人は滅びうせる獣に等しい。 + これが愚か者どもの道、彼らに従い、彼らの言うことを受け入れる者どもの道である。セラ + 彼らは羊のようによみに定められ、死が彼らの羊飼いとなる。朝は、直ぐな者が彼らを支配する。彼らのかたちはなくなり、よみがその住む所となる。 + しかし神は私のたましいをよみの手から買い戻される。神が私を受け入れてくださるからだ。セラ + 恐れるな。人が富を得ても、その人の家の栄誉が増し加わっても。 + 人は、死ぬとき、何一つ持って行くことができず、その栄誉も彼に従って下っては行かないのだ。 + 彼が生きている間、自分を祝福できても、また、あなたが幸いな暮らしをしているために、人々があなたをほめたたえても。 + あなたは、自分の先祖の世代に行き、彼らは決して光を見ないであろう。 + 人はその栄華の中にあっても、悟りがなければ、滅びうせる獣に等しい。 + + + (アサフの賛歌)神の神、主は語り、地を呼び寄せられた。日の上る所から沈む所まで。 + 麗しさの窮み、シオンから、神は光を放たれた。 + われらの神は来て、黙ってはおられない。御前には食い尽くす火があり、その回りには激しいあらしがある。 + 神はご自分の民をさばくため、上なる天と、地とを呼び寄せられる。 + 「わたしの聖徒たちをわたしのところに集めよ。いけにえにより、わたしの契約を結んだ者たちを。」 + 天は神の義を告げ知らせる。まことに神こそは審判者である。セラ + 「聞け。わが民よ。わたしは語ろう。イスラエルよ。わたしはあなたを戒めよう。わたしは神、あなたの神である。 + いけにえのことで、あなたを責めるのではない。あなたの全焼のいけにえは、いつも、わたしの前にある。 + わたしは、あなたの家から、若い雄牛を取り上げはしない。あなたの囲いから、雄やぎをも。 + 森のすべての獣は、わたしのもの、千の丘の家畜らも。 + わたしは、山の鳥も残らず知っている。野に群がるものもわたしのものだ。 + わたしはたとい飢えても、あなたに告げない。世界とそれに満ちるものはわたしのものだから。 + わたしが雄牛の肉を食べ、雄やぎの血を飲むだろうか。 + 感謝のいけにえを神にささげよ。あなたの誓いをいと高き方に果たせ。 + 苦難の日にはわたしを呼び求めよ。わたしはあなたを助け出そう。あなたはわたしをあがめよう。」 + しかし、悪者に対して神は言われる。「何事か。おまえがわたしのおきてを語り、わたしの契約を口にのせるとは。 + おまえは戒めを憎み、わたしのことばを自分のうしろに投げ捨てた。 + おまえは盗人に会うと、これとくみし、姦通する者と親しくする。 + おまえの口は悪を放ち、おまえの舌は欺きを仕組んでいる。 + おまえは座して、おのれの兄弟の悪口を言い、おのれの母の子をそしる。 + こういうことをおまえはしてきたが、わたしは黙っていた。わたしがおまえと等しい者だとおまえは、思っていたのだ。わたしはおまえを責める。おまえの目の前でこれを並べ立てる。 + 神を忘れる者よ。さあ、このことをよくわきまえよ。さもないと、わたしはおまえを引き裂き、救い出す者もいなくなろう。 + 感謝のいけにえをささげる人は、わたしをあがめよう。その道を正しくする人に、わたしは神の救いを見せよう。」 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌。ダビデがバテ・シェバのもとに通ったのちに、預言者ナタンが彼のもとに来たとき)神よ。御恵みによって、私に情けをかけ、あなたの豊かなあわれみによって、私のそむきの罪をぬぐい去ってください。 + どうか私の咎を、私から全く洗い去り、私の罪から、私をきよめてください。 + まことに、私は自分のそむきの罪を知っています。私の罪は、いつも私の目の前にあります。 + 私はあなたに、ただあなたに、罪を犯し、あなたの御目に悪であることを行いました。それゆえ、あなたが宣告されるとき、あなたは正しく、さばかれるとき、あなたはきよくあられます。 + ああ、私は咎ある者として生まれ、罪ある者として母は私をみごもりました。 + ああ、あなたは心のうちの真実を喜ばれます。それゆえ、私の心の奥に知恵を教えてください。 + ヒソプをもって私の罪を除いてきよめてください。そうすれば、私はきよくなりましょう。私を洗ってください。そうすれば、私は雪よりも白くなりましょう。 + 私に、楽しみと喜びを、聞かせてください。そうすれば、あなたがお砕きになった骨が、喜ぶことでしょう。 + 御顔を私の罪から隠し、私の咎をことごとく、ぬぐい去ってください。 + 神よ。私にきよい心を造り、ゆるがない霊を私のうちに新しくしてください。 + 私をあなたの御前から、投げ捨てず、あなたの聖霊を、私から取り去らないでください。 + あなたの救いの喜びを、私に返し、喜んで仕える霊が、私をささえますように。 + 私は、そむく者たちに、あなたの道を教えましょう。そうすれば、罪人は、あなたのもとに帰りましょう。 + 神よ。私の救いの神よ。血の罪から私を救い出してください。そうすれば、私の舌は、あなたの義を、高らかに歌うでしょう。 + 主よ。私のくちびるを開いてください。そうすれば、私の口は、あなたの誉れを告げるでしょう。 + たとい私がささげても、まことに、あなたはいけにえを喜ばれません。全焼のいけにえを、望まれません。 + 神へのいけにえは、砕かれた霊。砕かれた、悔いた心。神よ。あなたは、それをさげすまれません。 + どうか、ご恩寵により、シオンにいつくしみを施し、エルサレムの城壁を築いてください。 + そのとき、あなたは、全焼のいけにえと全焼のささげ物との、義のいけにえを喜ばれるでしょう。そのとき、雄の子牛があなたの祭壇にささげられましょう。 + + + (指揮者のために。ダビデのマスキール。エドム人ドエグがサウルのもとに来て、彼に告げて「ダビデがアヒメレクの家に来た」と言ったときに)なぜ、おまえは悪を誇るのか。勇士よ。神の恵みは、いつも、あるのだ。 + 欺く者よ。おまえの舌は破滅を図っている。さながら鋭い刃物のようだ。 + おまえは、善よりも悪を、義を語るよりも偽りを愛している。セラ + 欺きの舌よ。おまえはあらゆるごまかしのことばを愛している。 + それゆえ、神はおまえを全く打ち砕き、打ち倒し、おまえを幕屋から引き抜かれる。こうして、生ける者の地から、おまえを根こぎにされる。セラ + 正しい者らは見て、恐れ、彼を笑う。 + 「見よ。彼こそは、神を力とせず、おのれの豊かな富にたより、おのれの悪に強がる。」 + しかし、この私は、神の家にあるおい茂るオリーブの木のようだ。私は、世々限りなく、神の恵みに拠り頼む。 + 私は、とこしえまでも、あなたに感謝します。あなたが、こうしてくださったのですから。私はあなたの聖徒たちの前で、いつくしみ深いあなたの御名を待ち望みます。 + + + (指揮者のために。「マハラテ」の調べに合わせて。ダビデのマスキール)愚か者は心の中で「神はいない」と言っている。彼らは腐っており、忌まわしい不正を行っている。善を行う者はいない。 + 神は天から人の子らを見おろして、神を尋ね求める、悟りのある者がいるかどうかをご覧になった。 + 彼らはみな、そむき去り、だれもかれも腐り果てている。善を行う者はいない。ひとりもいない。 + 不法を行う者らは知らないのか。彼らはパンを食らうように、わたしの民を食らい、神を呼び求めようとはしない。 + 見よ。彼らが恐れのないところで、いかに恐れたかを。それは神が、あなたに対して陣を張る者の骨をまき散らされたからだ。あなたは彼らをはずかしめた。それは神が彼らを捨てられたからだ。 + ああ、イスラエルの救いがシオンから来るように。神が御民の繁栄を元どおりにされるとき、ヤコブは楽しめ。イスラエルは喜べ。 + + + (指揮者のために。弦楽器に合わせて。ダビデのマスキール。ジフの人たちが来て、「ダビデはわれらの所に隠れているではないか」とサウルに言ったとき)神よ。御名によって、私をお救いください。あなたの権威によって、私を弁護してください。 + 神よ。私の祈りを聞いてください。私の口のことばに、耳を傾けてください。 + 見知らぬ者たちが、私に立ち向かい、横暴な者たちが私のいのちを求めます。彼らは自分の前に神を置いていないからです。セラ + まことに、神は私を助ける方、主は私のいのちをささえる方です。 + 神は、私を待ち伏せている者どもにわざわいを報いられます。あなたの真実をもって、彼らを滅ぼしてください。 + 私は、進んでささげるささげ物をもって、あなたにいけにえをささげます。主よ。いつくしみ深いあなたの御名に、感謝します。 + 神は、すべての苦難から私を救い出し、私の目が私の敵をながめるようになったからです。 + + + (指揮者のために。弦楽器に合わせて。ダビデのマスキール)神よ。私の祈りを耳に入れ、私の切なる願いから、身を隠さないでください。 + 私に御心を留め、私に答えてください。私は苦しんで、心にうめき、泣きわめいています。 + それは敵の叫びと、悪者の迫害のためです。彼らは私にわざわいを投げかけ、激しい怒りをもって私に恨みをいだいています。 + 私の心は、うちにもだえ、死の恐怖が、私を襲っています。 + 恐れとおののきが私に臨み、戦慄が私を包みました。 + そこで私は言いました。「ああ、私に鳩のように翼があったなら。そうしたら、飛び去って、休むものを。 + ああ、私は遠くの方へのがれ去り、荒野の中に宿りたい。セラ + あらしとはやてを避けて、私ののがれ場に急ぎたい。」 + 主よ。どうか、彼らのことばを混乱させ、分裂させてください。私はこの町の中に暴虐と争いを見ています。 + 彼らは昼も夜も、町の城壁の上を歩き回り、町の真ん中には、罪悪と害毒があります。 + 破滅は町の真ん中にあり、虐待と詐欺とは、その市場から離れません。 + まことに、私をそしる者が敵ではありません。それなら私は忍べたでしょう。私に向かって高ぶる者が私を憎む者ではありません。それなら私は、彼から身を隠したでしょう。 + そうではなくて、おまえが。私の同輩、私の友、私の親友のおまえが。 + 私たちは、いっしょに仲良く語り合い、神の家に群れといっしょに歩いて行ったのに。 + 死が、彼らをつかめばよい。彼らが生きたまま、よみに下るがよい。悪が、彼らの住まいの中、彼らのただ中にあるから。 + 私が、神に呼ばわると、主は私を救ってくださる。 + 夕、朝、真昼、私は嘆き、うめく。すると、主は私の声を聞いてくださる。 + 主は、私のたましいを、敵の挑戦から、平和のうちに贖い出してくださる。私と争う者が多いから。 + 神は聞き、彼らを悩まされる。昔から王座に着いている者をも。セラ彼らは改めず、彼らは神を恐れない。 + 彼は、自分の親しい者にまで手を伸ばし、自分の誓約を破った。 + 彼の口は、バタよりもなめらかだが、その心には、戦いがある。彼のことばは、油よりも柔らかいが、それは抜き身の剣である。 + あなたの重荷を主にゆだねよ。主は、あなたのことを心配してくださる。主は決して、正しい者がゆるがされるようにはなさらない。 + しかし、神よ。あなたは彼らを、滅びの穴に落とされましょう。血を流す者と欺く者どもは、おのれの日数の半ばも生きながらえないでしょう。けれども、私は、あなたに拠り頼みます。 + + + (指揮者のために。「遠くの人の、もの言わぬ鳩」の調べに合わせて。ダビデのミクタム。ペリシテ人が、ガテでダビデを捕らえたときに)神よ。私をあわれんでください。人が私を踏みつけ、一日中、戦って、私をしいたげます。 + 私の敵は、一日中、私を踏みつけています。誇らしげに私に戦いをいどんでいる者が、多くいます。 + 恐れのある日に、私は、あなたに信頼します。 + 神にあって、私はみことばを、ほめたたえます。私は神に信頼し、何も恐れません。肉なる者が、私に何をなしえましょう。 + 一日中、彼らは私のことばを痛めつけています。彼らの思い計ることはみな、私にわざわいを加えることです。 + 彼らは襲い、彼らは待ち伏せ、私のあとをつけています。私のいのちをねらっているように。 + 神よ。彼らの不法のゆえに、彼らを投げつけてください。御怒りをもって、国々の民を打ち倒してください。 + あなたは、私のさすらいをしるしておられます。どうか私の涙を、あなたの皮袋にたくわえてください。それはあなたの書には、ないのでしょうか。 + それで、私が呼ばわる日に、私の敵は退きます。神が私の味方であることを私は知っています。 + 神にあって、私はみことばをほめたたえます。主にあって、私はみことばをほめたたえます。 + 私は、神に信頼しています。それゆえ、恐れません。人が、私に何をなしえましょう。 + 神よ。あなたへの誓いは、私の上にあります。私は、感謝のいけにえを、あなたにささげます。 + あなたは、私のいのちを死から、まことに私の足を、つまずきから、救い出してくださいました。それは、私が、いのちの光のうちに、神の御前を歩むためでした。 + + + (指揮者のために。「滅ぼすな」の調べに合わせて。ダビデのミクタム。ダビデがサウルからのがれて洞窟にいたときに)神よ。私をあわれんでください。私をあわれんでください。私のたましいはあなたに身を避けていますから。まことに、滅びが過ぎ去るまで、私は御翼の陰に身を避けます。 + 私はいと高き方、神に呼ばわります。私のために、すべてを成し遂げてくださる神に。 + 神は、天からの送りで、私を救われます。神は私を踏みつける者どもを、責めておられます。セラ神は恵みとまことを送られるのです。 + 私は、獅子の中にいます。私は、人の子らをむさぼり食う者の中で横になっています。彼らの歯は、槍と矢、彼らの舌は鋭い剣です。 + 神よ。あなたが、天であがめられ、あなたの栄光が、全世界であがめられますように。 + 彼らは私の足をねらって網を仕掛けました。私のたましいは、うなだれています。彼らは私の前に穴を掘りました。そして自分で、その中に落ちました。セラ + 神よ。私の心はゆるぎません。私の心はゆるぎません。私は歌い、ほめ歌を歌いましょう。 + 私のたましいよ。目をさませ。十弦の琴よ。立琴よ、目をさませ。私は暁を呼びさましたい。 + 主よ。私は国々の民の中にあって、あなたに感謝し、国民の中にあって、あなたにほめ歌を歌いましょう。 + あなたの恵みは大きく、天にまで及び、あなたのまことは雲にまで及ぶからです。 + 神よ。あなたが、天であがめられ、あなたの栄光が、全世界であがめられますように。 + + + (指揮者のために。「滅ぼすな」の調べに合わせて。ダビデのミクタム)力ある者よ。ほんとうに、おまえたちは義を語り、人の子らを公正にさばくのか。 + いや、心では不正を働き、地上では、おまえたちの手の暴虐を、はびこらせている。 + 悪者どもは、母の胎を出たときから、踏み迷い、偽りを言う者どもは生まれたときからさまよっている。 + 彼らは蛇の毒のような毒を持ち、耳をふさぐ、耳の聞こえないコブラのよう。 + これは、蛇使いの声も、巧みに呪文を唱える者の声も、聞こうとしない。 + 神よ。彼らの歯を、その口の中で折ってください。主よ。若獅子のきばを、打ち砕いてください。 + 彼らを、流れて行く水のように消え去らせてください。彼が矢を放つときは、それを折れた矢のようにしてください。 + 彼らを、溶けて、消えていくかたつむりのように、また、日の目を見ない、死産の子のようにしてください。 + おまえたちの釜が、いばらの火を感じる前に、神は、生のものも、燃えているものも、ひとしくつむじ風で吹き払われる。 + 正しい者は、復讐を見て喜び、その足を、悪者の血で洗おう。 + こうして人々は言おう。「まことに、正しい者には報いがある。まことに、さばく神が、地におられる。」 + + + (指揮者のために。「滅ぼすな」の調べに合わせて。ダビデのミクタム。ダビデを殺そうと、サウルが人々を遣わし、彼らがその家の見張りをしたときに)わが神。私を敵から救い出してください。私に立ち向かう者が届かぬほど、私を高く上げてください。 + 不法を行う者どもから、私を救い出してください。血を流す者どもから、私を救ってください。 + 今や、彼らは私のいのちを取ろうと、待ち伏せています。力ある者どもが、私に襲いかかろうとしています。主よ。それは私のそむきの罪のためでもなく、私の罪のためでもありません。 + 私には、咎がないのに、彼らは走り回り、身を構えているのです。どうか目をさまして、私を助けてください。どうか、見てください。 + あなたは万軍の神、主。イスラエルの神。どうか目をさまして、すべての国々を罰してください。悪い裏切り者は、だれをもあわれまないでください。セラ + 彼らは、夕べには帰って来て、犬のようにほえ、町をうろつき回る。 + 見よ。彼らは自分の口で放言し、彼らのくちびるには、剣がある。そして、「だれが聞くものか」と言っている。 + しかし主よ。あなたは、彼らを笑い、すべての国々を、あざけられます。 + 私の力、あなたを私は、見守ります。神は私のとりでです。 + 私の恵みの神は、私を迎えに来てくださる。神は、私の敵の敗北を見せてくださる。 + 彼らを殺してしまわないでください。私の民が、忘れることのないためです。御力によって、彼らを放浪させてください。彼らを打ち倒してください。主よ。私たちの盾よ。 + 彼らの口の罪は、彼らのくちびるのことばです。彼らは高慢に取りつかれるがよい。彼らの述べる、のろいとへつらいのために。 + 激しい憤りをもって滅ぼし尽くしてください。滅ぼし尽くして、彼らをなくしてください。そうして、神が地の果て果てまでもヤコブを治められることを、彼らが知るようにしてください。セラ + こうして、彼らは夕べには帰って来て、犬のようにほえ、町をうろつき回る。 + 彼らは、食を求めて、うろつき回り、満ち足りなければ、うなる。 + しかし、この私は、あなたの力を歌います。まことに、朝明けには、あなたの恵みを喜び歌います。それは、私の苦しみの日に、あなたは私のとりで、また、私の逃げ場であられたからです。 + 私の力、あなたに、私はほめ歌を歌います。神は私のとりで、私の恵みの神であられます。 + + + (指揮者のために。「さとしは、ゆりの花」の調べに合わせて。教えのためのダビデのミクタム。ダビデがアラム・ナハライムやアラム・ツォバと戦っていたとき、ヨアブが帰って来て、塩の谷でエドムを一万二千人打ち殺したときに)神よ。あなたは私たちを拒み、私たちを破り、怒って、私たちから顔をそむけられました。 + あなたは地をゆるがせ、それを引き裂かれました。その裂け目を、いやしてください。地がぐらついているのです。 + あなたは、御民に苦難をなめさせられました。よろめかす酒を、私たちに飲ませられました。 + あなたは、あなたを恐れる者のために旗を授けられました。それは、弓にかえて、これをひらめかせるためです。セラ + あなたの愛する者が助け出されるために、あなたの右の手で救ってください。そして私に答えてください。 + 神は聖所から告げられた。「わたしは、喜び勇んで、シェケムを分割し、スコテの谷を配分しよう。 + ギルアデはわたしのもの。マナセもわたしのもの。エフライムもまた、わたしの頭のかぶと。ユダはわたしの杖。 + モアブはわたしの足を洗うたらい。エドムの上に、わたしのはきものを投げつけよう。ペリシテよ。わたしのゆえに大声で叫べ。」 + だれが私を防備の町に連れて行くでしょう。だれが私をエドムまで導くでしょう。 + 神よ。あなたご自身が私たちを拒まれたのではありませんか。神よ。あなたは、もはや私たちの軍勢とともに、出陣なさらないのですか。 + どうか、敵から私たちを助けてください。まことに、人の救いはむなしいものです。 + 神によって、私たちは力ある働きをします。神こそ、私たちの敵を踏みつけられる方です。 + + + (指揮者のために。弦楽器に合わせて。ダビデによる)神よ。私の叫びを聞き、私の祈りを心に留めてください。 + 私の心が衰え果てるとき、私は地の果てから、あなたに呼ばわります。どうか、私の及びがたいほど高い岩の上に、私を導いてください。 + まことに、あなたは私の避け所、敵に対して強いやぐらです。 + 私は、あなたの幕屋に、いつまでも住み、御翼の陰に、身を避けたいのです。セラ + まことに、神よ。あなたは私の誓いを聞き入れ、御名を恐れる者の受け継ぐ地を私に下さいました。 + どうか王のいのちを延ばし、その齢を代々に至らせてください。 + 彼が、神の御前で、いつまでも王座に着いているようにしてください。恵みとまこととを彼に授け、彼を保つようにしてください。 + こうして、私は、あなたの御名を、とこしえまでもほめ歌い、私の誓いを日ごとに果たしましょう。 + + + (指揮者のために。エドトンによって。ダビデの賛歌)私のたましいは黙って、ただ神を待ち望む。私の救いは神から来る。 + 神こそ、わが岩。わが救い。わがやぐら。私は決して、ゆるがされない。 + おまえたちは、いつまでひとりの人を襲うのか。おまえたちはこぞって打ち殺そうとしている。あたかも、傾いた城壁か、ぐらつく石垣のように。 + まことに、彼らは彼を高い地位から突き落とそうとたくらんでいる。彼らは偽りを好み、口では祝福し、心の中ではのろう。セラ + 私のたましいは黙って、ただ神を待ち望む。私の望みは神から来るからだ。 + 神こそ、わが岩。わが救い。わがやぐら。私はゆるがされることはない。 + 私の救いと、私の栄光は、神にかかっている。私の力の岩と避け所は、神のうちにある。 + 民よ。どんなときにも、神に信頼せよ。あなたがたの心を神の御前に注ぎ出せ。神は、われらの避け所である。セラ + まことに、身分の低い人々は、むなしく、高い人々は、偽りだ。はかりにかけると、彼らは上に上がる。彼らを合わせても、息より軽い。 + 圧制にたよるな。略奪にむなしい望みをかけるな。富がふえても、それに心を留めるな。 + 神は、一度告げられた。二度、私はそれを聞いた。力は、神のものであることを。 + 主よ。恵みも、あなたのものです。あなたは、そのしわざに応じて、人に報いられます。 + + + (ダビデの賛歌。彼がユダの荒野にいたときに)神よ。あなたは私の神。私はあなたを切に求めます。水のない、砂漠の衰え果てた地で、私のたましいは、あなたに渇き、私の身も、あなたを慕って気を失うばかりです。 + 私は、あなたの力と栄光を見るために、こうして聖所で、あなたを仰ぎ見ています。 + あなたの恵みは、いのちにもまさるゆえ、私のくちびるは、あなたを賛美します。 + それゆえ私は生きているかぎり、あなたをほめたたえ、あなたの御名により、両手を上げて祈ります。 + 私のたましいが脂肪と髄に満ち足りるかのように、私のくちびるは喜びにあふれて賛美します。 + ああ、私は床の上であなたを思い出し、夜ふけて私はあなたを思います。 + あなたは私の助けでした。御翼の陰で、私は喜び歌います。 + 私のたましいは、あなたにすがり、あなたの右の手は、私をささえてくださいます。 + しかし、私のいのちを求める者らは滅んでしまい、地の深い所に行くでしょう。 + 彼らは、剣の力に渡され、きつねのえじきとなるのです。 + しかし王は、神にあって喜び、神にかけて誓う者は、みな誇ります。偽りを言う者の口は封じられるからです。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)神よ。私の嘆くとき、その声を聞いてください。恐るべき敵から、私のいのちを守ってください。 + 悪を行う者どものはかりごとから、不法を行う者らの騒ぎから、私をかくまってください。 + 彼らは、その舌を剣のように、とぎすまし、苦いことばの矢を放っています。 + 全き人に向けて、隠れた所から射掛け、不意に射て恐れません。 + 彼らは悪事に凝っています。語り合ってひそかにわなをかけ、「だれに、見破ることができよう」と言っています。 + 彼らは不正をたくらみ、「たくらんだ策略がうまくいった」と言っています。人の内側のものと心とは、深いものです。 + しかし神は、矢を彼らに射掛けられるので、彼らは、不意に傷つきましょう。 + 彼らは、おのれの舌を、みずからのつまずきとしたのです。彼らを見る者はみな、頭を振ってあざけります。 + こうして、すべての人は恐れ、神のみわざを告げ知らせ、そのなさったことを悟ります。 + 正しい者は主にあって喜び、主に身を避けます。心の直ぐな人はみな、誇ることができましょう。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌。歌)神よ。あなたの御前には静けさがあり、シオンには賛美があります。あなたに誓いが果たされますように。 + 祈りを聞かれる方よ。みもとにすべての肉なる者が参ります。 + 咎が私を圧倒しています。しかし、あなたは、私たちのそむきの罪を赦してくださいます。 + 幸いなことよ。あなたが選び、近寄せられた人、あなたの大庭に住むその人は。私たちは、あなたの家、あなたの聖なる宮の良いもので満ち足りるでしょう。 + 私たちの救いの神よ。あなたは、恐ろしい事柄をもって、義のうちに私たちに答えられます。あなたは、地のすべての果て果て、遠い大海の、信頼の的です。 + あなたは、御力によって山々を堅く建て、力を帯びておられます。 + あなたは、海のとどろき、その大波のとどろき、また国々の民の騒ぎを静められます。 + 地の果て果てに住む者もあなたの数々のしるしを恐れます。あなたは、朝と夕べの起こる所を、高らかに歌うようにされます。 + あなたは、地を訪れ、水を注ぎ、これを大いに豊かにされます。神の川は水で満ちています。あなたは、こうして地の下ごしらえをし、彼らの穀物を作ってくださいます。 + 地のあぜみぞを水で満たし、そのうねをならし、夕立で地を柔らかにし、その生長を祝福されます。 + あなたは、その年に、御恵みの冠をかぶらせ、あなたの通られた跡にはあぶらがしたたっています。 + 荒野の牧場はしたたり、もろもろの丘も喜びをまとっています。 + 牧草地は羊の群れを着、もろもろの谷は穀物をおおいとしています。まことに喜び叫び、歌っています。 + + + (指揮者のために。歌。賛歌)全地よ。神に向かって喜び叫べ。 + 御名の栄光をほめ歌い、神への賛美を栄光に輝かせよ。 + 神に申し上げよ。「あなたのみわざは、なんと恐ろしいことでしょう。偉大な御力のために、あなたの敵は、御前にへつらい服します。 + 全地はあなたを伏し拝み、あなたにほめ歌を歌います。あなたの御名をほめ歌います。」セラ + さあ、神のみわざを見よ。神の人の子らになさることは恐ろしい。 + 神は海を変えて、かわいた地とされた。人々は川の中を歩いて渡る。さあ、私たちは、神にあって喜ぼう。 + 神はその権力をもってとこしえに統べ治め、その目は国々を監視される。頑迷な者を、高ぶらせないでください。セラ + 国々の民よ。私たちの神をほめたたえよ。神への賛美の声を聞こえさせよ。 + 神は、私たちを、いのちのうちに保ち、私たちの足をよろけさせない。 + 神よ。まことに、あなたは私たちを調べ、銀を精錬するように、私たちを練られました。 + あなたは私たちを網に引き入れ、私たちの腰に重荷をつけられました。 + あなたは人々に、私たちの頭の上を乗り越えさせられました。私たちは、火の中を通り、水の中を通りました。しかし、あなたは豊かな所へ私たちを連れ出されました。 + 私は全焼のいけにえを携えて、あなたの家に行き、私の誓いを果たします。 + それは、私の苦しみのときに、私のくちびるが言ったもの、私の口が申し上げた誓いです。 + 私はあなたに肥えた獣の全焼のいけにえを、雄羊のいけにえの煙とともにささげます。雄牛を雄やぎといっしょに、ささげます。セラ + さあ、神を恐れる者は、みな聞け。神が私のたましいになさったことを語ろう。 + 私は、この口で神に呼ばわり、この舌であがめた。 + もしも私の心にいだく不義があるなら、主は聞き入れてくださらない。 + しかし、確かに、神は聞き入れ、私の祈りの声を心に留められた。 + ほむべきかな。神。神は、私の祈りを退けず、御恵みを私から取り去られなかった。 + + + (指揮者のために。弦楽器によって。賛歌。歌)どうか、神が私たちをあわれみ、祝福し、御顔を私たちの上に照り輝かしてくださるように。セラ + それは、あなたの道が地の上に、あなたの御救いがすべての国々の間に知られるためです。 + 神よ。国々の民があなたをほめたたえ、国々の民がこぞってあなたをほめたたえますように。 + 国民が喜び、また、喜び歌いますように。それはあなたが公正をもって国々の民をさばかれ、地の国民を導かれるからです。セラ + 神よ。国々の民があなたをほめたたえ、国々の民がこぞってあなたをほめたたえますように。 + 地はその産物を出しました。神、私たちの神が、私たちを祝福してくださいますように。 + 神が私たちを祝福してくださって、地の果て果てが、ことごとく神を恐れますように。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌。歌)神よ。立ち上がってください。神の敵は、散りうせよ。神を憎む者どもは御前から逃げ去れ。 + 煙が追い払われるように彼らを追い払ってください。悪者どもは火の前で溶け去るろうのように、神の御前から滅びうせよ。 + しかし、正しい者たちは喜び、神の御前で、こおどりせよ。喜びをもって楽しめ。 + 神に向かって歌い、御名をほめ歌え。雲に乗って来られる方のために道を備えよ。その御名は、主。その御前で、こおどりして喜べ。 + みなしごの父、やもめのさばき人は聖なる住まいにおられる神。 + 神は孤独な者を家に住まわせ、捕らわれ人を導き出して栄えさせられる。しかし、頑迷な者だけは、焦げつく地に住む。 + 神よ。あなたが御民に先立って出て行かれ、荒れ地を進み行かれたとき、セラ + 地は揺れ動き、天もまた神の御前に雨を降らせ、シナイもイスラエルの神であられる神の御前で震えました。 + 神よ。あなたは豊かな雨を注ぎ、疲れきったあなたのゆずりの地をしっかりと立てられました。 + あなたの群れはその地に住みました。神よ。あなたは、いつくしみによって悩む者のために備えをされました。 + 主はみことばを賜る。良いおとずれを告げる女たちは大きな群れをなしている。 + 万軍の王たちは逃げ去り、また逃げ去る。そして家に居残っている女が獲物を分ける。 + あなたがたは羊のおりの間に横たわるとき、銀でおおわれた、鳩の翼。その羽はきらめく黄金でおおわれている。 + 全能者が王たちをかしこで散らされたとき、ツァルモンには雪が降っていた。 + 神の山はバシャンの山。峰々の連なる山はバシャンの山。 + 峰々の連なる山々。なぜ、おまえたちは神がその住まいとして望まれたあの山を、ねたみ見るのか。まことに、主はとこしえに住まわれる。 + 神のいくさ車は幾千万と数知れず、主がその中に、おられる。シナイが聖の中にあるように。 + あなたは、いと高き所に上り、捕らわれた者をとりこにし、人々から、みつぎを受けられました。頑迷な者どもからさえも。神であられる主が、そこに住まわれるために。 + ほむべきかな。日々、私たちのために、重荷をになわれる主。私たちの救いであられる神。セラ + 神は私たちにとって救いの神。死を免れるのは、私の主、神による。 + 神は必ず敵の頭を打ち砕かれる。おのれの罪過のうちを歩む者の毛深い脳天を。 + 主は仰せられた。「わたしはバシャンから彼らを連れ帰る。わたしは海の底から連れ帰る。 + それは、あなたが、足を血に染めて、彼らを打ち砕くために。あなたの犬の舌が敵からその分け前を得るために。」 + 神よ。人々は、あなたの行列を見ました。聖所でわが王わが神の行列を。 + 歌う者が先に立ち、楽人があとになり、その間にタンバリンを鳴らしておとめらが行く。 + 「相つどうて、神をほめたたえよ。イスラエルの泉から出た者よ。主をほめたたえよ。」 + そこには、彼らを導く末子のベニヤミンがおり、その群れの中にはユダの君主たち、ゼブルンの君主たち、ナフタリの君主たちもいる。 + 神よ。御力を奮い起こしてください。私たちのために、事を行われた神よ。御力を示してください。 + エルサレムにあるあなたの宮のために、王たちは、あなたに贈り物を持って来ましょう。 + 葦の中の獣、それに、国々の民の子牛とともにいる雄牛の群れを、叱ってください。銀の品々を踏み汚す戦いを喜ぶ、国々の民を散らしてください。 + 使節らはエジプトから来、クシュはその手を神に向かって急いで差し伸ばす。 + この世の王国よ。神に向かって歌え。主に、ほめ歌を歌え。セラ + 昔から、いと高き天に乗っておられる方に向かい、ほめ歌を歌え。聞け。神は御声を発せられる。力強い声を。 + 神の力を認めよ。みいつはイスラエルの上に、御力は雲の上にある。 + 神よ。あなたはご自身の聖なる所におられ、恐れられる方です。イスラエルの神こそ力と勢いとを御民にお与えになる方です。ほむべきかな。神。 + + + (指揮者のために。「ゆりの花」の調べに合わせて。ダビデによる)神よ。私を救ってください。水が、私ののどにまで、入って来ましたから。 + 私は深い泥沼に沈み、足がかりもありません。私は大水の底に陥り奔流が私を押し流しています。 + 私は呼ばわって疲れ果て、のどが渇き、私の目は、わが神を待ちわびて、衰え果てました。 + ゆえなく私を憎む者は私の髪の毛よりも多く、私を滅ぼそうとする者、偽り者の私の敵は強いのです。それで、私は盗まなかった物をも返さなければならないのですか。 + 神よ。あなたは私の愚かしさをご存じです。私の数々の罪過は、あなたに隠されてはいません。 + 万軍の神、主よ。あなたを待ち望む者たちが、私のために恥を見ないようにしてください。イスラエルの神よ。あなたを慕い求める者たちが、私のために卑しめられないようにしてください。 + 私は、あなたのためにそしりを負い、侮辱が私の顔をおおっていますから。 + 私は自分の兄弟からは、のけ者にされ、私の母の子らにはよそ者となりました。 + それは、あなたの家を思う熱心が私を食い尽くし、あなたをそしる人々のそしりが、私に降りかかったからです。 + 私が、断食して、わが身を泣き悲しむと、それが私へのそしりとなりました。 + 私が荒布を自分の着物とすると、私は彼らの物笑いの種となりました。 + 門にすわる者たちは私のうわさ話をしています。私は酔いどれの歌になりました。 + しかし主よ。この私は、あなたに祈ります。神よ。みこころの時に。あなたの豊かな恵みにより、御救いのまことをもって、私に答えてください。 + 私を泥沼から救い出し、私が沈まないようにしてください。私を憎む者ども、また大水の底から、私が救い出されるようにしてください。 + 大水の流れが私を押し流さず、深い淵は私をのみこまず、穴がその口を私の上で閉じないようにしてください。 + 主よ。私に答えてください。あなたの恵みはまことに深いのです。あなたの豊かなあわれみにしたがって私に御顔を向けてください。 + あなたのしもべに御顔を隠さないでください。私は苦しんでいます。早く私に答えてください。 + どうか、私のたましいに近づき、贖ってください。私の敵のゆえに、私を贖ってください。 + あなたは私へのそしりと、私の恥と私への侮辱とをご存じです。私に敵対する者はみな、あなたの御前にいます。 + そしりが私の心を打ち砕き、私は、ひどく病んでいます。私は同情者を待ち望みましたが、ひとりもいません。慰める者を待ち望みましたが、見つけることはできませんでした。 + 彼らは私の食物の代わりに、苦味を与え、私が渇いたときには酢を飲ませました。 + 彼らの前の食卓はわなとなれ。彼らが栄えるときには、それが落とし穴となれ。 + 彼らの目は暗くなって、見えなくなれ。彼らの腰をいつもよろけさせてください。 + あなたの憤りを彼らの上に注いでください。あなたの燃える怒りが、彼らに追いつくようにしてください。 + 彼らの陣営を荒れ果てさせ、彼らの宿営にはだれも住む者がないようにしてください。 + 彼らはあなたが打った者を迫害し、あなたに傷つけられた者の痛みを数え上げるからです。 + どうか、彼らの咎に咎を加え、彼らをあなたの義の中に入れないでください。 + 彼らがいのちの書から消し去られ、正しい者と並べて、書きしるされることがありませんように。 + しかし私は悩み、痛んでいます。神よ。御救いが私を高く上げてくださるように。 + 私は神の御名を歌をもってほめたたえ、神を感謝をもってあがめます。 + それは雄牛、角と割れたひづめのある若い雄牛にまさって主に喜ばれるでしょう。 + 心の貧しい人たちは、見て、喜べ。神を尋ね求める者たちよ。あなたがたの心を生かせ。 + 主は、貧しい者に耳を傾け、その捕らわれ人らをさげすみなさらないのだから。 + 天と地は、主をほめたたえよ。海とその中に動くすべてのものも。 + まことに神がシオンを救い、ユダの町々を建てられる。こうして彼らはそこに住み、そこを自分たちの所有とする。 + 主のしもべの子孫はその地を受け継ぎ、御名を愛する者たちはそこに住みつこう。 + + + (指揮者のために。ダビデによる。記念のために)神よ。私を救い出してください。主よ。急いで私を助けてください。 + 私のいのちを求める者どもが、恥を見、はずかしめを受けますように。私のわざわいを喜ぶ者どもが退き卑しめられますように。 + 「あはは」とあざ笑う者どもが、おのれの恥のためにうしろに退きますように。 + あなたを慕い求める人がみな、あなたにあって楽しみ、喜びますように。あなたの救いを愛する人たちが、「神をあがめよう」と、いつも言いますように。 + 私は、悩む者、貧しい者です。神よ。私のところに急いでください。あなたは私の助け、私を救う方。主よ。遅れないでください。 + + + 主よ。私はあなたに身を避けています。私が決して恥を見ないようにしてください。 + あなたの義によって、私を救い出し、私を助け出してください。あなたの耳を私に傾け、私をお救いください。 + 私の住まいの岩となり、強いとりでとなって、私を救ってください。あなたこそ私の巌、私のとりでです。 + わが神よ。私を悪者の手から助け出してください。不正をする者や残虐な者の手からも。 + 神なる主よ。あなたは、私の若いころからの私の望み、私の信頼の的です。 + 私は生まれたときから、あなたにいだかれています。あなたは私を母の胎から取り上げた方。私はいつもあなたを賛美しています。 + 私は多くの人にとっては奇蹟と思われました。あなたが、私の力強い避け所だからです。 + 私の口には一日中、あなたの賛美と、あなたの光栄が満ちています。 + 年老いた時も、私を見放さないでください。私の力の衰え果てたとき、私を見捨てないでください。 + 私の敵が私のことを話し合い、私のいのちをつけねらう者どもが共にたくらんでいるからです。 + 彼らはこう言っています。「神は彼を見捨てたのだ。追いかけて、彼を捕らえよ。救い出す者はいないから。」 + 神よ。私から遠く離れないでください。わが神よ。急いで私を助けてください。 + 私をなじる者どもが恥を見、消えうせますように。私を痛めつけようとする者どもが、そしりと侮辱で、おおわれますように。 + しかし、私自身は絶えずあなたを待ち望み、いよいよ切に、あなたを賛美しましょう。 + 私の口は一日中、あなたの義と、あなたの救いを語り告げましょう。私は、その全部を知ってはおりませんが。 + 神なる主よ。私は、あなたの大能のわざを携えて行き、あなたの義を、ただあなただけを心に留めましょう。 + 神よ。あなたは、私の若いころから、私を教えてくださいました。私は今もなお、あなたの奇しいわざを告げ知らせています。 + 年老いて、しらがになっていても、神よ、私を捨てないでください。私はなおも、あなたの力を次の世代に、あなたの大能のわざを、後に来るすべての者に告げ知らせます。 + 神よ。あなたの義は天にまで届きます。あなたは大いなることをなさいました。神よ。だれが、あなたと比べられましょうか。 + あなたは私を多くの苦しみと悩みとに、会わせなさいましたが、私を再び生き返らせ、地の深みから、再び私を引き上げてくださいます。 + あなたが私の偉大さを増し、ふり向いて私を慰めてくださいますように。 + 私もまた、六弦の立琴をもって、あなたをほめたたえます。わが神よ。あなたのまことを。イスラエルの聖なる方よ。私は、立琴をもって、あなたにほめ歌を歌います。 + 私があなたにほめ歌を歌うとき、私のくちびるは、高らかに歌います。また、あなたが贖い出された私のたましいも。 + 私の舌もまた、一日中、あなたの義を言い表しましょう。それは彼らが恥を見、私を痛めつけようとする者どもがはずかしめを受けるからです。 + + + (ソロモンによる)神よ。あなたの公正を王に、あなたの義を王の子に授けてください。 + 彼があなたの民を義をもって、あなたの、悩む者たちを公正をもってさばきますように。 + 山々、丘々は義によって、民に平和をもたらしますように。 + 彼が民の悩む者たちを弁護し、貧しい者の子らを救い、しいたげる者どもを、打ち砕きますように。 + 彼らが、日と月の続くかぎり、代々にわたって、あなたを恐れますように。 + 彼は牧草地に降る雨のように、地を潤す夕立のように下って来る。 + 彼の代に正しい者が栄え、月のなくなるときまで、豊かな平和がありますように。 + 彼は海から海に至るまで、また、川から地の果て果てに至るまで統べ治めますように。 + 荒野の民は彼の前にひざをつき、彼の敵はちりをなめますように。 + タルシシュと島々の王たちは贈り物をささげ、シェバとセバの王たちは、みつぎを納めましょう。 + こうして、すべての王が彼にひれ伏し、すべての国々が彼に仕えましょう。 + これは、彼が、助けを叫び求める貧しい者や、助ける人のない悩む者を救い出すからです。 + 彼は、弱っている者や貧しい者をあわれみ、貧しい者たちのいのちを救います。 + 彼はしいたげと暴虐とから、彼らのいのちを贖い出し、彼らの血は彼の目に尊ばれましょう。 + それゆえ、彼が生きながらえ、彼にシェバの黄金がささげられますように。彼のためにいつも彼らは祈り、一日中、彼をほめたたえますように。 + 地では、山々の頂に穀物が豊かにあり、その実りはレバノンのように豊かで、町の人々は地の青草のように栄えますように。 + 彼の名はとこしえに続き、その名は日の照るかぎり、いや増し、人々は彼によって祝福され、すべての国々は彼をほめたたえますように。 + ほむべきかな。神、主、イスラエルの神。ただ、主ひとり、奇しいわざを行う。 + とこしえに、ほむべきかな。その栄光の御名。その栄光は地に満ちわたれ。アーメン。アーメン。 + エッサイの子ダビデの祈りは終わった。||第三巻 + + + (アサフの賛歌)まことに神は、イスラエルに、心のきよい人たちに、いつくしみ深い。 + しかし、私自身は、この足がたわみそうで、私の歩みは、すべるばかりだった。 + それは、私が誇り高ぶる者をねたみ、悪者の栄えるのを見たからである。 + 彼らの死には、苦痛がなく、彼らのからだは、あぶらぎっているからだ。 + 人々が苦労するとき、彼らはそうではなく、ほかの人のようには打たれない。 + それゆえ、高慢が彼らの首飾りとなり、暴虐の着物が彼らをおおっている。 + 彼らの目は脂肪でふくらみ、心の思いはあふれ出る。 + 彼らはあざけり、悪意をもって語り、高い所からしいたげを告げる。 + 彼らはその口を天にすえ、その舌は地を行き巡る。 + それゆえ、その民は、ここに帰り、豊かな水は、彼らによって飲み干された。 + こうして彼らは言う。「どうして神が知ろうか。いと高き方に知識があろうか。」 + 見よ。悪者とは、このようなものだ。彼らはいつまでも安らかで、富を増している。 + 確かに私は、むなしく心をきよめ、手を洗って、きよくしたのだ。 + 私は一日中打たれどおしで、朝ごとに責められた。 + もしも私が、「このままを述べよう」と言ったなら、確かに私は、あなたの子らの世代の者を裏切ったことだろう。 + 私は、これを知ろうと思い巡らしたが、それは、私の目には、苦役であった。 + 私は、神の聖所に入り、ついに、彼らの最後を悟った。 + まことに、あなたは彼らをすべりやすい所に置き、彼らを滅びに突き落とされます。 + まことに、彼らは、またたくまに滅ぼされ、突然の恐怖で滅ぼし尽くされましょう。 + 目ざめの夢のように、主よ、あなたは、奮い立つとき、彼らの姿をさげすまれましょう。 + 私の心が苦しみ、私の内なる思いが突き刺されたとき、 + 私は、愚かで、わきまえもなく、あなたの前で獣のようでした。 + しかし私は絶えずあなたとともにいました。あなたは私の右の手をしっかりつかまえられました。 + あなたは、私をさとして導き、後には栄光のうちに受け入れてくださいましょう。 + 天では、あなたのほかに、だれを持つことができましょう。地上では、あなたのほかに私はだれをも望みません。 + この身とこの心とは尽き果てましょう。しかし神はとこしえに私の心の岩、私の分の土地です。 + それゆえ、見よ。あなたから遠く離れている者は滅びます。あなたはあなたに不誠実な者をみな滅ぼされます。 + しかし私にとっては、神の近くにいることが、しあわせなのです。私は、神なる主を私の避け所とし、あなたのすべてのみわざを語り告げましょう。 + + + (アサフのマスキール)神よ。なぜ、いつまでも拒み、あなたの牧場の羊に御怒りを燃やされるのですか。 + どうか思い起こしてください。昔あなたが買い取られた、あなたの会衆、あなたがご自分のものである部族として贖われた民を。また、あなたがお住まいになったシオンの山を。 + 永遠の廃墟に、あなたの足を向けてください。敵は聖所であらゆる害を加えています。 + あなたに敵対する者どもは、あなたの集会のただ中でほえたけり、おのれらの目じるしを、しるしとして掲げ、 + 森の中で斧を振り上げるかのようです。 + そうして今や、手斧と槌で、聖所の彫り物をことごとく打ち砕き、 + あなたの聖所に火を放ち、あなたの御名の住まいを、その地まで汚しました。 + 彼らは心の中で、「彼らを、ことごとく征服しよう」と言い、国中の神の集会所をみな、焼き払いました。 + もう私たちのしるしは見られません。もはや預言者もいません。いつまでそうなのかを知っている者も、私たちの間にはいません。 + 神よ。いつまで、仇はそしるのでしょうか。敵は、永久に御名を侮るのでしょうか。 + なぜ、あなたは御手を、右の御手を、引っ込めておられるのですか。その手をふところから出して彼らを滅ぼし尽くしてください。 + 確かに、神は、昔から私の王、地上のただ中で、救いのわざを行われる方です。 + あなたは、御力をもって海を分け、海の巨獣の頭を砕かれました。 + あなたは、レビヤタンの頭を打ち砕き、荒野の民のえじきとされました。 + あなたは泉と谷を切り開き、絶えず流れる川をからされました。 + 昼はあなたのもの、夜もまたあなたのもの。あなたは月と太陽とを備えられました。 + あなたは地のすべての境を定め、夏と冬とを造られました。 + 主よ。どうか、心に留めてください。敵がそしり、愚かな民が御名を侮っていることを。 + あなたの山鳩のいのちを獣に引き渡さないでください。あなたの悩む者たちのいのちを永久に忘れないでください。 + どうか、契約に目を留めてください。地の暗い所には暴虐が横行していますから。 + しいたげられる者が卑しめられて帰ることがなく、悩む者、貧しい者が御名をほめたたえますように。 + 神よ。立ち上がり、あなたの言い分を立ててください。愚か者が一日中あなたをそしっていることを心に留めてください。 + あなたに敵対する者どもの声や、あなたに立ち向かう者どもの絶えずあげる叫びを、お忘れにならないでください。 + + + (指揮者のために。「滅ぼすな」の調べに合わせて。アサフの賛歌。歌)私たちは、あなたに感謝します。神よ。私たちは感謝します。御名は、近くにあり、人々は、あなたの奇しいわざを語り告げます。 + 「わたしが、定めの時を決め、わたしみずから公正にさばく。 + 地とこれに住むすべての者が揺らぐとき、わたしは地の柱を堅く立てる。セラ + わたしは、誇る者には、『誇るな』と言い、悪者には、『角を上げるな。 + おまえたちの角を、高く上げるな。横柄な態度で語るな』と言う。」 + 高く上げることは、東からでもなく、西からでもなく、荒野からでもない。 + それは、神が、さばく方であり、これを低くし、かれを高く上げられるからだ。 + 主の御手には、杯があり、よく混ぜ合わされた、あわだつぶどう酒がある。主が、これを注ぎ出されると、この世の悪者どもは、こぞって、そのかすまで飲んで、飲み干してしまう。 + しかし私は、とこしえまでも告げよう。ヤコブの神を、ほめ歌おう。 + 悪者どもの角を、ことごとく切り捨てよう。しかし、正しい者の角は、高く上げられる。 + + + (指揮者のために。弦楽器によって。アサフの賛歌。歌)神はユダにおいて知られ、御名はイスラエルにおいて大きい。 + 神の仮庵はシャレムにあり、その住まいはシオンにある。 + その所で神は弓につがえる火矢、盾と剣、また戦いを打ち砕かれた。セラ + あなたは輝かしく、えじきの山々にまさって威厳があります。 + 剛胆な者らは略奪に会い、彼らは全く眠りこけました。勇士たちはだれも、手の施しようがありませんでした。 + ヤコブの神よ。あなたが、お叱りになると、騎手も馬も、深い眠りに陥りました。 + あなたは、あなたは、恐ろしい方。あなたが怒られたら、だれが御前に立ちえましょう。 + あなたの宣告が天から聞こえると、地は恐れて、沈黙を守りました。 + 神が、さばきのために、そして地上の貧しい者たちをみな、救うために、立ち上がられたそのときに。セラ + まことに、人の憤りまでもが、あなたをほめたたえ、あなたは、憤りの余りまでをも身に締められます。 + あなたがたの神、主に、誓いを立て、それを果たせ。主の回りにいる者はみな、恐るべき方に、贈り物をささげよ。 + 主は君主たちのいのちを絶たれる。地の王たちにとって、恐ろしい方。 + + + (指揮者のために。エドトンの調べによって。アサフの賛歌)私は神に向かい声をあげて、叫ぶ。私が神に向かって声をあげると、神は聞かれる。 + 苦難の日に、私は主を尋ね求め、夜には、たゆむことなく手を差し伸ばしたが、私のたましいは慰めを拒んだ。 + 私は神を思い起こして嘆き、思いを潜めて、私の霊は衰え果てる。セラ + あなたは、私のまぶたを閉じさせない。私の心は乱れて、もの言うこともできない。 + 私は、昔の日々、遠い昔の年々を思い返した。 + 夜には私の歌を思い起こし、自分の心と語り合い、私の霊は探り求める。 + 「主は、いつまでも拒まれるのだろうか。もう決して愛してくださらないのだろうか。 + 主の恵みは、永久に絶たれたのだろうか。約束は、代々に至るまで、果たされないのだろうか。 + 神は、いつくしみを忘れたのだろうか。もしや、怒ってあわれみを閉じてしまわれたのだろうか。」セラ + そのとき私は言った。「私の弱いのはいと高き方の右の手が変わったことによる。」 + 私は、主のみわざを思い起こそう。まことに、昔からのあなたの奇しいわざを思い起こそう。 + 私は、あなたのなさったすべてのことに思いを巡らし、あなたのみわざを、静かに考えよう。 + 神よ。あなたの道は聖です。神のように大いなる神が、ほかにありましょうか。 + あなたは奇しいわざを行われる神、国々の民の中に御力を現される方です。 + あなたは御腕をもって、ご自分の民、ヤコブとヨセフの子らを贖われました。セラ + 神よ。水はあなたを見たのです。水はあなたを見て、わななきました。わたつみもまた、震え上がりました。 + 雲は水を注ぎ出し、雷雲は雷をとどろかし、あなたの矢もまた、ひらめき飛びました。 + あなたの雷の声は、いくさ車のように鳴り、いなずまは世界を照らし、地は震え、揺れ動きました。 + あなたの道は海の中にあり、あなたの小道は大水の中にありました。それで、あなたの足跡を見た者はありません。 + あなたは、ご自分の民を、モーセとアロンの手によって、羊の群れのように導かれました。 + + + (アサフのマスキール)私の民よ。私の教えを耳に入れ、私の口のことばに耳を傾けよ。 + 私は、口を開いて、たとえ話を語り、昔からのなぞを物語ろう。 + それは、私たちが聞いて、知っていること、私たちの先祖が語ってくれたこと。 + それを私たちは彼らの子孫に隠さず、後の時代に語り告げよう。主への賛美と御力と、主の行われた奇しいわざとを。 + 主はヤコブのうちにさとしを置き、みおしえをイスラエルのうちに定め、私たちの先祖たちに命じて、これをその子らに教えるようにされた。 + 後の世代の者、生まれてくる子らが、これを知り、彼らが興り、これをその子らにまた語り告げるため、 + 彼らが神に信頼し、神のみわざを忘れず、その仰せを守るためである。 + また先祖たちのように、彼らが、かたくなで、逆らう世代の者、心定まらず、その霊が神に忠実でない世代の者とならないためである。 + エフライムの人々は、矢をつがえて弓を射る者であったが、戦いの日には退却した。 + 彼らは、神の契約を守らず、神のおしえに従って歩むことを拒み、 + 神の数々のみわざと、神が見せてくださった多くの奇しいこととを忘れてしまった。 + 神は、彼らの先祖たちの前で、エジプトの地、ツォアンの野で、奇しいわざを行われた。 + 神は海を分けて彼らを通らせ、せきのように水を立てられた。 + 神は、昼は雲をもって、彼らを導き、夜は、夜通し炎の光で彼らを導いた。 + 荒野では岩を割り、深い水からのように豊かに飲ませられた。 + また、岩から数々の流れを出し、水を川のように流された。 + それなのに、彼らはなおも神に罪を犯し、砂漠で、いと高き方に逆らった。 + 彼らは欲するままに食べ物を求め、心のうちで神を試みた。 + そのとき彼らは神に逆らって、こう言った。「神は荒野の中で食事を備えることができようか。 + 確かに、岩を打たれると、水がほとばしり出て流れがあふれた。だが、神は、パンをも与えることができようか。ご自分の民に肉を備えることができようか。」 + それゆえ、主は、これを聞いて激しく怒られた。火はヤコブに向かって燃え上がり、怒りもまた、イスラエルに向かって立ち上った。 + これは、彼らが神を信ぜず、御救いに信頼しなかったからである。 + しかし神は、上の雲に命じて天の戸を開き、 + 食べ物としてマナを、彼らの上に降らせ、天の穀物を彼らに与えられた。 + それで人々は御使いのパンを食べた。神は飽きるほど食物を送られた。 + 神は、東風を天に起こし、御力をもって、南風を吹かせられた。 + 神は彼らの上に肉をちりのように、翼のある鳥をも海辺の砂のように降らせた。 + それを宿営の中、住まいの回りに落とした。 + そこで彼らは食べ、十分に満ち足りた。こうして彼らの欲望を、かなえてくださった。 + 彼らがその欲望から離れず、まだ、その食べ物が口にあるうちに、 + 神の怒りは彼らに向かって燃え上がり、彼らのうちの最もがんじょうな者たちを殺し、イスラエルの若い男たちを打ちのめされた。 + このすべてのことにもかかわらず、彼らはなおも罪を犯し、神の奇しいわざを信じなかった。 + それで神は、彼らの日をひと息のうちに、彼らの齢を、突然の恐怖のうちに、終わらせた。 + 神が彼らを殺されると、彼らは神を尋ね求め、立ち返って、神を切に求めた。 + 彼らは、神が自分たちの岩であり、いと高き神が自分たちを贖う方であることを思い出した。 + しかしまた彼らは、その口で神を欺き、その舌で神に偽りを言った。 + 彼らの心は神に誠実でなく、神の契約にも忠実でなかった。 + しかし、あわれみ深い神は、彼らの咎を赦して、滅ぼさず、幾度も怒りを押さえ、憤りのすべてをかき立てられはしなかった。 + 神は、彼らが肉にすぎず、吹き去れば、返って来ない風であることを心に留めてくださった。 + 幾たび彼らは、荒野で神に逆らい、荒れ地で神を悲しませたことか。 + 彼らはくり返して、神を試み、イスラエルの聖なる方を痛めた。 + 彼らは神の力をも、神が敵から贖い出してくださった日をも、覚えてはいなかった。 + 神が、エジプトでしるしを、ツォアンの野で奇蹟を行われたことを。 + 神がそこの川を血に変わらせたので、その流れを飲むことができなかった。 + 神は彼らに、あぶの群れを送って彼らを食わせ、かえるを送って彼らを滅ぼされた。 + また、彼らの作物を、油虫に、彼らの勤労の実を、いなごに与えられた。 + 神は、雹で、彼らのぶどうの木を、いなずまで、彼らのいちじく桑の木を滅ぼされた。 + 神は、彼らの家畜を、雹に、彼らの家畜の群れを、疫病に渡された。 + 神は、彼らの上に、燃える怒りと激しい怒り、憤りと苦しみ、それに、わざわいの御使いの群れを送られた。 + 神は御怒りのために道をならし、彼らのたましいに死を免れさせず、彼らのいのちを疫病に渡された。 + また、エジプトのすべての初子、ハムの天幕の彼らの力の初めの子らを打ち殺された。 + しかし神は、ご自分の民を、羊の群れのように連れ出し、家畜の群れのように荒野の中を連れて行かれた。 + 彼らを安らかに導かれたので、彼らは恐れなかった。彼らの敵は、海が包んでしまった。 + こうして神は、ご自分の聖なる国、右の御手で造られたこの山に、彼らを連れて行かれた。 + 神はまた、彼らの前から国々を追い出し、その地を相続地として彼らに分け与え、イスラエルの諸族をおのおのの天幕に住まわせた。 + それなのに、彼らはいと高き神を試み、神に逆らって、神のさとしを守らず、 + もとに戻って、彼らの先祖たちのように裏切りをし、たるんだ弓の矢のようにそれてしまった。 + また彼らは、高き所を築いて神の怒りを引き起こし、刻んだ像で、神のねたみを引き起こした。 + 神は、聞いて激しく怒り、イスラエルを全く捨てられた。 + それで、シロの御住まい、人々の中にお建てになったその幕屋を見放し、 + 御力をとりこに、御栄えを敵の手に、ゆだねられた。 + 神はまた、御民を剣に渡し、ご自分のものである民に対して激しく怒られた。 + 火はその若い男たちを食い尽くし、その若い女たちは婚姻の歌を歌わなかった。 + その祭司たちは剣に倒れ、やもめたちは泣き悲しむこともできなかった。 + そのとき主は眠りから目をさまされた。ぶどう酒に酔った勇士がさめたように。 + その敵を打ち退け、彼らに永遠のそしりを与えられた。 + それで、ヨセフの天幕を捨て、エフライム族をお選びにならず、 + ユダ族を選び、主が愛されたシオンの山を、選ばれた。 + 主はその聖所を、高い天のように、ご自分が永遠に基を据えた堅い地のように、お建てになった。 + 主はまた、しもべダビデを選び、羊のおりから彼を召し、 + 乳を飲ませる雌羊の番から彼を連れて来て、御民ヤコブとご自分のものであるイスラエルを牧するようにされた。 + 彼は、正しい心で彼らを牧し、英知の手で彼らを導いた。 + + + (アサフの賛歌)神よ。国々は、ご自身のものである地に侵入し、あなたの聖なる宮をけがし、エルサレムを廃墟としました。 + 彼らは、あなたのしもべたちのしかばねを空の鳥のえじきとし、あなたの聖徒たちの肉を野の獣に与え、 + 聖徒たちの血を、エルサレムの回りに、水のように注ぎ出しました。彼らを葬る者もいません。 + 私たちは隣人のそしりとなり、回りの者のあざけりとなり、笑いぐさとなりました。 + 主よ。いつまででしょうか。あなたは、いつまでもお怒りなのでしょうか。いつまで、あなたのねたみは火のように燃えるのでしょうか。 + どうか、あなたを知らない国々に、御名を呼び求めない王国の上に、あなたの激しい憤りを注ぎ出してください。 + 彼らはヤコブを食い尽くし、その住む所を荒らしたからです。 + 先祖たちの咎を、私たちのものとして、思い出さないでください。あなたのあわれみが、すみやかに、私たちを迎えますように。私たちは、ひどくおとしめられていますから。 + 私たちの救いの神よ。御名の栄光のために、私たちを助けてください。御名のために、私たちを救い出し、私たちの罪をお赦しください。 + なぜ、国々は、「彼らの神はどこにいるのか」と言うのでしょう。あなたのしもべたちの、流された血の復讐が、私たちの目の前で、国々に思い知らされますように。 + 捕らわれ人のうめきが御前に届きますように。あなたの偉大な力によって、死に定められた人々を生きながらえさせてください。 + 主よ。あなたをそしった、そのそしりの七倍を、私たちの隣人らの胸に返してください。 + そうすれば、あなたの民、あなたの牧場の羊である私たちは、とこしえまでも、あなたに感謝し、代々限りなくあなたの誉れを語り告げましょう。 + + + (指揮者のために。「さとしは、ゆりの花」の調べに合わせて。アサフの賛歌)イスラエルの牧者よ。聞いてください。ヨセフを羊の群れのように導かれる方よ。光を放ってください。ケルビムの上の御座に着いておられる方よ。 + エフライムとベニヤミンとマナセの前で、御力を呼びさまし、私たちを救うために来てください。 + 神よ。私たちをもとに返し、御顔を照り輝かせてください。そうすれば、私たちは救われます。 + 万軍の神、主よ。いつまで、あなたの民の祈りに怒りを燃やしておられるのでしょう。 + あなたは彼らに涙のパンを食べさせ、あふれる涙を飲ませられました。 + あなたは、私たちを隣人らの争いの的とし、私たちの敵は敵で、私たちをあざけっています。 + 万軍の神よ。私たちをもとに返し、御顔を照り輝かせてください。そうすれば、私たちは救われます。 + あなたは、エジプトから、ぶどうの木を携え出し、国々を追い出して、それを植えられました。 + あなたがそのために、地を切り開かれたので、ぶどうの木は深く根を張り、地にはびこりました。 + 山々もその影におおわれ、神の杉の木もその大枝におおわれました。 + ぶどうの木はその枝を海にまで、若枝をあの川にまで伸ばしました。 + なぜ、あなたは、石垣を破り、道を行くすべての者に、その実を摘み取らせなさるのですか。 + 林のいのししはこれを食い荒らし、野に群がるものも、これを食べます。 + 万軍の神よ。どうか、帰って来てください。天から目を注ぎ、よく見てください。そして、このぶどうの木を育ててください。 + また、あなたの右の手が植えた苗と、ご自分のために強くされた枝とを。 + それは火で焼かれ、切り倒されました。彼らは、御顔のとがめによって、滅びるのです。 + あなたの右の手の人の上に、御手が、ご自分のため強くされた人の子の上に、御手がありますように。 + そうすれば、私たちはあなたを裏切りません。私たちを生かしてください。私たちは御名を呼び求めます。 + 万軍の神、主よ。私たちをもとに返し、御顔を照り輝かせてください。そうすれば、私たちは救われます。 + + + (指揮者のために。ギテトの調べに合わせて。アサフによる)われらの力であられる神に喜び歌え。ヤコブの神に喜び叫べ。 + 声高らかにほめ歌を歌え。タンバリンを打ち鳴らせ。六弦の琴に合わせて、良い音の立琴をかき鳴らせ。 + われらの祭りの日の、新月と満月に、角笛を吹き鳴らせ。 + それは、イスラエルのためのおきて、ヤコブの神の定めである。 + 神が、エジプトの地に出て行かれたとき、ヨセフの中に、それをあかしとして授けられた。私は、まだ知らなかったことばを聞いた。 + 「わたしは、彼の肩から重荷を取り除き、彼の手を荷かごから離してやった。 + あなたは苦しみのときに、呼び求め、わたしは、あなたを助け出した。わたしは、雷の隠れ場から、あなたに答え、メリバの水のほとりで、あなたをためした。セラ + 聞け。わが民よ。わたしは、あなたをたしなめよう。イスラエルよ。よくわたしの言うことを聞け。 + あなたのうちに、ほかの神があってはならない。あなたは、外国の神を拝んではならない。 + わたしが、あなたの神、主である。わたしはあなたをエジプトの地から連れ上った。あなたの口を大きくあけよ。わたしが、それを満たそう。 + しかしわが民は、わたしの声を聞かず、イスラエルは、わたしに従わなかった。 + それでわたしは、彼らをかたくなな心のままに任せ、自分たちのおもんぱかりのままに歩かせた。 + ああ、ただ、わが民がわたしに聞き従い、イスラエルが、わたしの道を歩いたのだったら。 + わたしはただちに、彼らの敵を征服し、彼らの仇に、わたしの手を向けたのに。」 + 主を憎む者どもは、主にへつらっているが、彼らの刑罰の時は永遠に続く。 + しかし主は、最良の小麦をイスラエルに食べさせる。「わたしは岩の上にできる蜜で、あなたを満ち足らせよう。」 + + + (アサフの賛歌)神は神の会衆の中に立つ。神は神々の真ん中で、さばきを下す。 + いつまでおまえたちは、不正なさばきを行い、悪者どもの顔を立てるのか。セラ + 弱い者とみなしごとのためにさばき、悩む者と乏しい者の権利を認めよ。 + 弱い者と貧しい者とを助け出し、悪者どもの手から救い出せ。 + 彼らは、知らない。また、悟らない。彼らは、暗やみの中を歩き回る。地の基は、ことごとく揺らいでいる。 + わたしは言った。「おまえたちは神々だ。おまえたちはみな、いと高き方の子らだ。 + にもかかわらず、おまえたちは、人のように死に、君主たちのひとりのように倒れよう。」 + 神よ。立ち上がって、地をさばいてください。まことに、すべての国々はあなたが、ご自分のものとしておられます。 + + + (歌。アサフの賛歌)神よ。沈黙を続けないでください。黙っていないでください。神よ。じっとしていないでください。 + 今、あなたの敵どもが立ち騒ぎ、あなたを憎む者どもが頭をもたげています。 + 彼らは、あなたの民に対して悪賢いはかりごとを巡らし、あなたのかくまわれる者たちに悪だくみをしています。 + 彼らは言っています。「さあ、彼らの国を消し去って、イスラエルの名がもはや覚えられないようにしよう。」 + 彼らは心を一つにして悪だくみをし、あなたに逆らって、契約を結んでいます。 + それは、エドムの天幕の者たちとイシュマエル人、モアブとハガル人、 + ゲバルとアモン、それにアマレク、ツロの住民といっしょにペリシテもです。 + アッシリヤもまた、彼らにくみし、彼らはロトの子らの腕となりました。セラ + どうか彼らを、ミデヤンや、キション川でのシセラとヤビンのようにしてください。 + 彼らは、エン・ドルで滅ぼされ、土地の肥やしとなりました。 + 彼らの貴族らを、オレブとゼエブのように、彼らの君主らをみな、ゼバフとツァルムナのようにしてください。 + 彼らは言っています。「神の牧場をわれわれのものとしよう。」 + わが神よ。彼らを吹きころがされる枯れあざみのように、風の前の、わらのようにしてください。 + 林を燃やす火のように、山々を焼き尽くす炎のように、 + そのように、あなたのはやてで、彼らを追い、あなたのあらしで彼らを恐れおののかせてください。 + 彼らの顔を恥で満たしてください。主よ。彼らがあなたの御名を慕い求めるようにしてください。 + 彼らが恥を見、いつまでも恐れおののきますように。彼らがはずかしめを受け、滅びますように。 + こうして彼らが知りますように。その名、主であるあなただけが、全地の上にいますいと高き方であることを。 + + + (指揮者のために。ギテトの調べに合わせて。コラの子たちの賛歌)万軍の主。あなたのお住まいはなんと、慕わしいことでしょう。 + 私のたましいは、主の大庭を恋い慕って絶え入るばかりです。私の心も、身も、生ける神に喜びの歌を歌います。 + 雀さえも、住みかを見つけました。つばめも、ひなを入れる巣、あなたの祭壇を見つけました。万軍の主。私の王、私の神よ。 + なんと幸いなことでしょう。あなたの家に住む人たちは。彼らは、いつも、あなたをほめたたえています。セラ + なんと幸いなことでしょう。その力が、あなたにあり、その心の中にシオンへの大路のある人は。 + 彼らは涙の谷を過ぎるときも、そこを泉のわく所とします。初めの雨もまたそこを祝福でおおいます。 + 彼らは、力から力へと進み、シオンにおいて、神の御前に現れます。 + 万軍の神、主よ。私の祈りを聞いてください。ヤコブの神よ。耳を傾けてください。セラ + 神よ。われらの盾をご覧ください。あなたに油そそがれた者の顔に目を注いでください。 + まことに、あなたの大庭にいる一日は千日にまさります。私は悪の天幕に住むよりはむしろ神の宮の門口に立ちたいのです。 + まことに、神なる主は太陽です。盾です。主は恵みと栄光を授け、正しく歩く者たちに、良いものを拒まれません。 + 万軍の主よ。なんと幸いなことでしょう。あなたに信頼するその人は。 + + + (指揮者のために。コラの子たちの賛歌)主よ。あなたは御国に恵みを施し、ヤコブの繁栄を元どおりにされました。 + あなたは、御民の咎を赦し、彼らのすべての罪を、おおわれました。セラ + あなたは、激しい怒りをことごとく取り去り、燃える御怒りを、押しとどめられました。 + われらの救いの神よ。どうか、私たちを生き返らせ、私たちに対する御怒りをやめてください。 + あなたは、いつまでも、私たちに対して怒っておられるのですか。代々に至るまで、あなたの御怒りを引き延ばされるのですか。 + あなたは、私たちを再び生かされないのですか。あなたの民があなたによって喜ぶために。 + 主よ。私たちに、あなたの恵みを示し、あなたの救いを私たちに与えてください。 + 私は、主であられる神の仰せを聞きたい。主は、御民と聖徒たちとに平和を告げ、彼らを再び愚かさには戻されない。 + まことに御救いは主を恐れる者たちに近い。それは、栄光が私たちの国にとどまるためです。 + 恵みとまこととは、互いに出会い、義と平和とは、互いに口づけしています。 + まことは地から生えいで、義は天から見おろしています。 + まことに、主は、良いものを下さるので、私たちの国は、その産物を生じます。 + 義は、主の御前に先立って行き、主の足跡を道とします。 + + + (ダビデの祈り)主よ。あなたの耳を傾けて、私に答えてください。私は悩み、そして貧しいのです。 + 私のたましいを守ってください。私は神を恐れる者です。わが神よ。どうかあなたに信頼するあなたのしもべを救ってください。 + 主よ。私をあわれんでください。私は一日中あなたに呼ばわっていますから。 + あなたのしもべのたましいを喜ばせてください。主よ。私のたましいはあなたを仰いでいますから。 + 主よ。まことにあなたはいつくしみ深く、赦しに富み、あなたを呼び求めるすべての者に、恵み豊かであられます。 + 主よ。私の祈りを耳に入れ、私の願いの声を心に留めてください。 + 私は苦難の日にあなたを呼び求めます。あなたが答えてくださるからです。 + 主よ。神々のうちで、あなたに並ぶ者はなく、あなたのみわざに比ぶべきものはありません。 + 主よ。あなたが造られたすべての国々はあなたの御前に来て、伏し拝み、あなたの御名をあがめましょう。 + まことに、あなたは大いなる方、奇しいわざを行われる方です。あなただけが神です。 + 主よ。あなたの道を私に教えてください。私はあなたの真理のうちを歩みます。私の心を一つにしてください。御名を恐れるように。 + わが神、主よ。私は心を尽くしてあなたに感謝し、とこしえまでも、あなたの御名をあがめましょう。 + それは、あなたの恵みが私に対して大きく、あなたが私のたましいを、よみの深みから救い出してくださったからです。 + 神よ。高ぶる者どもは私に逆らって立ち、横暴な者の群れは私のいのちを求めます。彼らは、あなたを自分の前に置いていません。 + しかし主よ。あなたは、あわれみ深く、情け深い神。怒るのにおそく、恵みとまことに富んでおられます。 + 私に御顔を向け、私をあわれんでください。あなたのしもべに御力を与え、あなたのはしための子をお救いください。 + 私に、いつくしみのしるしを行ってください。そうすれば、私を憎む者らは見て、恥を受けるでしょう。まことに主よ。あなたは私を助け、私を慰めてくださいます。 + + + (コラの子たちの賛歌。歌)主は聖なる山に基を置かれる。 + 主は、ヤコブのすべての住まいにまさって、シオンのもろもろの門を愛される。 + 神の都よ。あなたについては、すばらしいことが語られている。セラ + 「わたしはラハブとバビロンをわたしを知っている者の数に入れよう。見よ。ペリシテとツロ、それにクシュもともに。これらをもここで生まれた者として。」 + しかし、シオンについては、こう言われる。「だれもかれもが、ここで生まれた」と。こうして、いと高き方ご自身がシオンを堅くお建てになる。 + 主が国々の民を登録されるとき、「この民はここで生まれた」としるされる。セラ + 踊りながら歌う者は、「私の泉はことごとく、あなたにある」と言おう。 + + + (歌。コラの子たちの賛歌。指揮者のため。マハラテ・レアノテの調べに合わせて。エズラフ人ヘマンのマスキール)主、私の救いの神。私は昼は、叫び、夜は、あなたの御前にいます。 + 私の祈りがあなたの御前に届きますように。どうか、あなたの耳を私の叫びに傾けてください。 + 私のたましいは、悩みに満ち、私のいのちは、よみに触れていますから。 + 私は穴に下る者とともに数えられ、力のない者のようになっています。 + 死人の中でも見放され、墓の中に横たわる殺された者のようになっています。あなたは彼らをもはや覚えてはおられません。彼らはあなたの御手から断ち切られています。 + あなたは私を最も深い穴に置いておられます。そこは暗い所、深い淵です。 + あなたの激しい憤りが私の上にとどまり、あなたのすべての波であなたは私を悩ましておられます。セラ + あなたは私の親友を私から遠ざけ、私を彼らの忌みきらう者とされました。私は閉じ込められて、出て行くことができません。 + 私の目は悩みによって衰えています。主よ。私は日ごとにあなたを呼び求めています。あなたに向かって私の両手を差し伸ばしています。 + あなたは死人のために奇しいわざを行われるでしょうか。亡霊が起き上がって、あなたをほめたたえるでしょうか。セラ + あなたの恵みが墓の中で宣べられましょうか、あなたの真実が滅びの中で。 + あなたの奇しいわざが、やみの中で知られるでしょうか、あなたの義が忘却の地で。 + しかし、主よ。この私は、あなたに叫んでいます。朝明けに、私の祈りはあなたのところに届きます。 + 主よ。なぜ、私のたましいを拒み、私に御顔を隠されるのですか。 + 私は若いころから悩み、そして死にひんしています。私はあなたの恐ろしさに耐えてきて、心が乱れています。 + あなたの燃える怒りが私の上を越え、あなたからの恐怖が私を滅ぼし尽くしました。 + これらが日夜、大水のように私を囲み、私を全く取り巻いてしまいました。 + あなたは私から愛する者や友を遠ざけてしまわれました。私の知人たちは暗い所にいます。 + + + (エズラフ人エタンのマスキール)私は、主の恵みを、とこしえに歌います。あなたの真実を代々限りなく私の口で知らせます。 + 私はこう言います。「御恵みは、とこしえに建てられ、あなたは、その真実を天に堅く立てられる」と。 + 「わたしは、わたしの選んだ者と契約を結び、わたしのしもべダビデに誓っている。 + わたしは、おまえのすえを、とこしえに堅く立て、おまえの王座を代々限りなく建てる。」セラ + 主よ。天は、あなたの奇しいわざをほめたたえます。また、聖徒たちの集まりで、あなたの真実をも。 + まことに、雲の上ではだれが主と並びえましょう。力ある者の子らの中でだれが主に似ているでしょう。 + 主は、聖徒たちのつどいで大いに恐れられている神。主の回りのすべての者にまさって恐れられている方です。 + 万軍の神、主。だれが、あなたのように力がありましょう。主よ。あなたの真実はあなたを取り囲んでいます。 + あなたは海の高まりを治めておられます。その波がさかまくとき、あなたはそれを静められます。 + あなたご自身が、ラハブを殺された者のように打ち砕き、あなたの敵を力ある御腕によって散らされました。 + 天はあなたのもの、地もあなたのもの。世界とそれを満たすものは、あなたがその基を据えられました。 + 北と南、これらをあなたが造られました。タボルとヘルモンはあなたの御名を高らかに歌います。 + あなたは力ある腕を持っておられます。あなたの御手は強く、あなたの右の手は高く上げられています。 + 義と公正は、あなたの王座の基。恵みとまことは、御前に先立ちます。 + 幸いなことよ、喜びの叫びを知る民は。主よ。彼らは、あなたの御顔の光の中を歩みます。 + 彼らは、あなたの御名をいつも喜び、あなたの義によって、高く上げられます。 + あなたが彼らの力の光栄であり、あなたのご恩寵によって、私たちの角が高く上げられているからです。 + 私たちの盾は主のもの、私たちの王はイスラエルの聖なる方のものだからです。 + あなたは、かつて、幻のうちに、あなたの敬虔な者たちに告げて、仰せられました。「わたしは、ひとりの勇士に助けを与え、民の中から選ばれた者を高く上げた。 + わたしは、わたしのしもべダビデを見いだし、わたしの聖なる油を彼にそそいだ。 + わたしの手は彼とともに堅く立てられ、わたしの腕もまた彼を強くしよう。 + 敵が彼に害を与えることはなく、不正な者も彼を悩ますことはない。 + わたしは彼の前で彼の仇を打ち砕き、彼を憎む者を打ち倒そう。 + わたしの真実とわたしの恵みとは彼とともにあり、わたしの名によって、彼の角は高く上げられる。 + わたしは彼の手を海の上に、彼の右の手を川の上に置こう。 + 彼は、わたしを呼ぼう。『あなたはわが父、わが神、わが救いの岩』と。 + わたしもまた、彼をわたしの長子とし、地の王たちのうちの最も高い者としよう。 + わたしの恵みを彼のために永遠に保とう。わたしの契約は彼に対して真実である。 + わたしは彼の子孫をいつまでも、彼の王座を天の日数のように、続かせよう。 + もし、その子孫がわたしのおしえを捨て、わたしの定めのうちを歩かないならば、 + また、もし彼らがわたしのおきてを破り、わたしの命令を守らないならば、 + わたしは杖をもって、彼らのそむきの罪を、むちをもって、彼らの咎を罰しよう。 + しかし、わたしは恵みを彼からもぎ取らず、わたしの真実を偽らない。 + わたしは、わたしの契約を破らない。くちびるから出たことを、わたしは変えない。 + わたしは、かつて、わが聖によって誓った。わたしは決してダビデに偽りを言わない。 + 彼の子孫はとこしえまでも続き、彼の王座は、太陽のようにわたしの前にあろう。 + それは月のようにとこしえに、堅く立てられる。雲の中の証人は真実である。」セラ + しかし、あなたは拒んでお捨てになりました。あなたによって油そそがれた者に向かって、あなたは激しく怒っておられます。 + あなたは、あなたのしもべの契約を廃棄し、彼の冠を地に捨てて汚しておられます。 + あなたは彼の城壁をことごとく打ちこわし、その要塞を廃墟とされました。 + 道を通り過ぎる者はみな、彼から奪い取り、彼は隣人のそしりとなっています。 + あなたは彼の仇の右の手を高く上げ、彼の敵をみな喜ばせておられます。 + そればかりか、あなたは彼の剣の刃を折り曲げ、彼が戦いに立てないようにされています。 + あなたは、彼の輝きを消し、彼の王座を地に投げ倒してしまわれました。 + あなたは、彼の若い日を短くし、恥で彼をおおわれました。セラ + いつまでですか。主よ。あなたがどこまでも身を隠し、あなたの憤りが火のように燃えるのは。 + どうか、心に留めていてください。私がどれだけ長く生きるかを。あなたはすべての人の子らをいかにむなしいものとして創造されたかを。 + いったい、生きていて死を見ない者はだれでしょう。だれがおのれ自身を、よみの力から救い出せましょう。セラ + 主よ。あなたのさきの恵みはどこにあるのでしょうか。それはあなたが真実をもってダビデに誓われたものです。 + 主よ。心に留めてください。あなたのしもべたちの受けるそしりを。私が多くの国々の民のすべてをこの胸にこらえていることを。 + 主よ。あなたの敵どもは、そのようにそしり、そのように、あなたに油そそがれた者の足跡をそしりました。 + ほむべきかな。主。とこしえまでも。アーメン。アーメン。||第四巻 + + + (神の人モーセの祈り)主よ。あなたは代々にわたって私たちの住まいです。 + 山々が生まれる前から、あなたが地と世界とを生み出す前から、まことに、とこしえからとこしえまであなたは神です。 + あなたは人をちりに帰らせて言われます。「人の子らよ、帰れ。」 + まことに、あなたの目には、千年も、きのうのように過ぎ去り、夜回りのひとときのようです。 + あなたが人を押し流すと、彼らは、眠りにおちます。朝、彼らは移ろう草のようです。 + 朝は、花を咲かせているが、また移ろい、夕べには、しおれて枯れます。 + まことに、私たちはあなたの御怒りによって消えうせ、あなたの激しい憤りにおじ惑います。 + あなたは私たちの不義を御前に、私たちの秘めごとを御顔の光の中に置かれます。 + まことに、私たちのすべての日はあなたの激しい怒りの中に沈み行き、私たちは自分の齢をひと息のように終わらせます。 + 私たちの齢は七十年。健やかであっても八十年。しかも、その誇りとするところは労苦とわざわいです。それは早く過ぎ去り、私たちも飛び去るのです。 + だれが御怒りの力を知っているでしょう。だれがあなたの激しい怒りを知っているでしょう。その恐れにふさわしく。 + それゆえ、私たちに自分の日を正しく数えることを教えてください。そうして私たちに知恵の心を得させてください。 + 帰って来てください。主よ。いつまでこのようなのですか。あなたのしもべらを、あわれんでください。 + どうか、朝には、あなたの恵みで私たちを満ち足らせ、私たちのすべての日に、喜び歌い、楽しむようにしてください。 + あなたが私たちを悩まされた日々と、私たちがわざわいに会った年々に応じて、私たちを楽しませてください。 + あなたのみわざをあなたのしもべらに、あなたの威光を彼らの子らに見せてください。 + 私たちの神、主のご慈愛が私たちの上にありますように。そして、私たちの手のわざを確かなものにしてください。どうか、私たちの手のわざを確かなものにしてください。 + + + いと高き方の隠れ場に住む者は、全能者の陰に宿る。 + 私は主に申し上げよう。「わが避け所、わがとりで、私の信頼するわが神」と。 + 主は狩人のわなから、恐ろしい疫病から、あなたを救い出されるからである。 + 主は、ご自分の羽で、あなたをおおわれる。あなたは、その翼の下に身を避ける。主の真実は、大盾であり、とりでである。 + あなたは夜の恐怖も恐れず、昼に飛び来る矢も恐れない。 + また、暗やみに歩き回る疫病も、真昼に荒らす滅びをも。 + 千人が、あなたのかたわらに、万人が、あなたの右手に倒れても、それはあなたには、近づかない。 + あなたはただ、それを目にし、悪者への報いを見るだけである。 + それはあなたが私の避け所である主を、いと高き方を、あなたの住まいとしたからである。 + わざわいは、あなたにふりかからず、えやみも、あなたの天幕に近づかない。 + まことに主は、あなたのために、御使いたちに命じて、すべての道で、あなたを守るようにされる。 + 彼らは、その手で、あなたをささえ、あなたの足が石に打ち当たることのないようにする。 + あなたは、獅子とコブラとを踏みつけ、若獅子と蛇とを踏みにじろう。 + 彼がわたしを愛しているから、わたしは彼を助け出そう。彼がわたしの名を知っているから、わたしは彼を高く上げよう。 + 彼が、わたしを呼び求めれば、わたしは、彼に答えよう。わたしは苦しみのときに彼とともにいて、彼を救い彼に誉れを与えよう。 + わたしは、彼を長いいのちで満ち足らせ、わたしの救いを彼に見せよう。 + + + (賛歌。安息日のための歌)主に感謝するのは、良いことです。いと高き方よ。あなたの御名にほめ歌を歌うことは。 + 朝に、あなたの恵みを、夜ごとに、あなたの真実を言い表すことは。 + 十弦の琴や六弦の琴、それに立琴によるたえなる調べに合わせて。 + 主よ。あなたは、あなたのなさったことで、私を喜ばせてくださいましたから、私は、あなたの御手のわざを、喜び歌います。 + 主よ。あなたのみわざはなんと大きいことでしょう。あなたの御計らいは、いとも深いのです。 + まぬけ者は知らず、愚か者にはこれがわかりません。 + 悪者どもが青草のようにもえいでようと、不法を行う者どもがみな栄えようと、それは彼らが永遠に滅ぼされるためです。 + しかし主よ。あなたはとこしえに、いと高き所におられます。 + おお、主よ。今、あなたの敵が、今、あなたの敵が滅びます。不法を行う者どもがみな、散らされるのです。 + しかし、あなたは私の角を野牛の角のように高く上げ、私に新しい油をそそがれました。 + 私の目は私を待ち伏せている者どもを見下し、私の耳は私に立ち向かう悪人どもの悲鳴を聞きます。 + 正しい者は、なつめやしの木のように栄え、レバノンの杉のように育ちます。 + 彼らは、主の家に植えられ、私たちの神の大庭で栄えます。 + 彼らは年老いてもなお、実を実らせ、みずみずしく、おい茂っていましょう。 + こうして彼らは、主の正しいことを告げましょう。主は、わが岩。主には不正がありません。 + + + 主は、王であられ、みいつをまとっておられます。主はまとっておられます。力を身に帯びておられます。まことに、世界は堅く建てられ、揺らぐことはありません。 + あなたの御座は、いにしえから堅く立ち、あなたは、とこしえからおられます。 + 主よ。川は、声をあげました。川は、叫び声をあげました。川は、とどろく声をあげています。 + 大水のとどろきにまさり、海の力強い波にもまさって、いと高き所にいます主は、力強くあられます。 + あなたのあかしは、まことに確かです。聖なることがあなたの家にはふさわしいのです。主よ、いつまでも。 + + + 復讐の神、主よ。復讐の神よ。光を放ってください。 + 地をさばく方よ。立ち上がってください。高ぶる者に報復してください。 + 主よ。悪者どもはいつまで、いつまで、悪者どもは、勝ち誇るのでしょう。 + 彼らは放言し、横柄に語り、不法を行う者はみな自慢します。 + 主よ。彼らはあなたの民を打ち砕き、あなたのものである民を悩まします。 + 彼らは、やもめや在留異国人を殺し、みなしごたちを打ち殺します。 + こうして彼らは言っています。「主は見ることはない。ヤコブの神は気づかない。」 + 気づけ。民のうちのまぬけ者ども。愚か者ども。おまえらは、いつになったら、わかるのか。 + 耳を植えつけられた方が、お聞きにならないだろうか。目を造られた方が、ご覧にならないだろうか。 + 国々を戒める方が、お責めにならないだろうか。人に知識を教えるその方が。 + 主は、人の思い計ることがいかにむなしいかを、知っておられる。 + 主よ。なんと幸いなことでしょう。あなたに、戒められ、あなたのみおしえを教えられる、その人は。 + わざわいの日に、あなたがその人に平安を賜るからです。その間に、悪者のためには穴が掘られます。 + まことに、主は、ご自分の民を見放さず、ご自分のものである民を、お見捨てになりません。 + さばきは再び義に戻り、心の直ぐな人はみな、これに従うでしょう。 + だれが、私のために、悪を行う者に向かって立ち上がるのでしょうか。だれが、私のために、不法を行う者に向かって堅く立つのでしょうか。 + もしも主が私の助けでなかったなら、私のたましいはただちに沈黙のうちに住んだことでしょう。 + もしも私が、「私の足はよろけています」と言ったとすれば、主よ、あなたの恵みが私をささえてくださいますように。 + 私のうちで、思い煩いが増すときに、あなたの慰めが、私のたましいを喜ばせてくださいますように。 + おきてにしたがって悪をたくらむ破滅の法廷が、あなたを仲間に加えるでしょうか。 + 彼らは、正しい者のいのちを求めて共に集まり、罪に定めて、罪を犯さない人の血を流します。 + しかし主は、わがとりでとなり、わが神は、わが避け所の岩となられました。 + 主は彼らの不義をその身に返し、彼らの悪のゆえに、彼らを滅ぼされます。われらの神、主が、彼らを滅ぼされます。 + + + さあ、主に向かって、喜び歌おう。われらの救いの岩に向かって、喜び叫ぼう。 + 感謝の歌をもって、御前に進み行き、賛美の歌をもって、主に喜び叫ぼう。 + 主は大いなる神であり、すべての神々にまさって、大いなる王である。 + 地の深みは主の御手のうちにあり、山々の頂も主のものである。 + 海は主のもの。主がそれを造られた。陸地も主の御手が造られた。 + 来たれ。私たちは伏し拝み、ひれ伏そう。私たちを造られた方、主の御前に、ひざまずこう。 + 主は、私たちの神。私たちは、その牧場の民、その御手の羊である。きょう、もし御声を聞くなら、 + メリバでのときのように、荒野のマサでの日のように、あなたがたの心をかたくなにしてはならない。 + あのとき、あなたがたの先祖たちはすでにわたしのわざを見ておりながら、わたしを試み、わたしをためした。 + わたしは四十年の間、その世代の者たちを忌みきらい、そして言った。「彼らは、心の迷っている民だ。彼らは、わたしの道を知ってはいない」と。 + それゆえ、わたしは怒って誓った。「確かに彼らは、わたしの安息に、入れない」と。 + + + 新しい歌を主に歌え。全地よ。主に歌え。 + 主に歌え。御名をほめたたえよ。日から日へと、御救いの良い知らせを告げよ。 + 主の栄光を国々の中で語り告げよ。その奇しいわざを、すべての国々の民の中で。 + まことに主は大いなる方、大いに賛美されるべき方。すべての神々にまさって恐れられる方だ。 + まことに、国々の民の神々はみな、むなしい。しかし主は天をお造りになった。 + 尊厳と威光は御前にあり、力と光栄は主の聖所にある。 + 国々の民の諸族よ。主にささげよ。栄光と力を主にささげよ。 + 御名の栄光を主にささげよ。ささげ物を携えて、主の大庭に入れ。 + 聖なる飾り物を着けて、主にひれ伏せ。全地よ。主の御前に、おののけ。 + 国々の中で言え。「主は王である。まことに、世界は堅く建てられ、揺らぐことはない。主は公正をもって国々の民をさばく。」 + 天は喜び、地は、こおどりし、海とそれに満ちているものは鳴りとどろけ。 + 野とその中にあるものはみな、喜び勇め。そのとき、森の木々もみな、主の御前で、喜び歌おう。 + 確かに、主は来られる。確かに、地をさばくために来られる。主は、義をもって世界をさばき、その真実をもって国々の民をさばかれる。 + + + 主は、王だ。地は、こおどりし、多くの島々は喜べ。 + 雲と暗やみが主を取り囲み、義とさばきが御座の基である。 + 火は御前に先立って行き主を取り囲む敵を焼き尽くす。 + 主のいなずまは世界を照らし、地は見て、おののく。 + 山々は主の御前に、ろうのように溶けた。全地の主の御前に。 + 天は主の義を告げ、すべての国々の民は主の栄光を見る。 + 偶像に仕える者、むなしいものを誇りとする者は、みな恥を見よう。すべての神々よ。主にひれ伏せ。 + シオンは聞いて、喜び、ユダの娘たちも、こおどりしました。主よ。あなたのさばきのために。 + まことに主よ。あなたは全地の上に、すぐれて高い方。すべての神々をはるかに抜いて、高きにおられます。 + 主を愛する者たちよ。悪を憎め。主は聖徒たちのいのちを守り、悪者どもの手から、彼らを救い出される。 + 光は、正しい者のために、種のように蒔かれている。喜びは、心の直ぐな人のために。 + 正しい者たち。主にあって喜べ。その聖なる御名に感謝せよ。 + + + (賛歌)新しい歌を主に歌え。主は、奇しいわざをなさった。その右の御手と、その聖なる御腕とが、主に勝利をもたらしたのだ。 + 主は御救いを知らしめ、その義を国々の前に現された。 + 主はイスラエルの家への恵みと真実を覚えておられる。地の果て果てまでもが、みな、われらの神の救いを見ている。 + 全地よ。主に喜び叫べ。大声で叫び、喜び歌い、ほめ歌を歌え。 + 立琴に合わせて、主にほめ歌を歌え。立琴と歌の調べに合わせて。 + ラッパと角笛の音に合わせて、主である王の御前で喜び叫べ。 + 海と、それに満ちているもの。世界と、その中に住むものよ。鳴りとどろけ。 + もろもろの川よ。手を打ち鳴らせ。山々も、こぞって主の御前で喜び歌え。 + 確かに、主は地をさばくために来られる。主は義をもって世界をさばき、公正をもって国々の民を、さばかれる。 + + + 主は王である。国々の民は恐れおののけ。主は、ケルビムの上の御座に着いておられる。地よ、震えよ。 + 主はシオンにおいて、大いなる方。主はすべての国々の民の上に高くいます。 + 国々の民よ。大いなる、おそれおおい御名をほめたたえよ。主は聖である。 + 王の力は、さばきを愛する。あなたは公正を堅く立てられた。あなたは、ヤコブの中で、さばきと正義を行われた。 + われらの神、主をあがめよ。その足台のもとにひれ伏せ。主は聖である。 + モーセとアロンは主の祭司の中に、サムエルは御名を呼ぶ者の中にいた。彼らは主を呼び、主は彼らに答えられた。 + 主は、雲の柱から、彼らに語られた。彼らは、主のさとしと、彼らに賜ったおきてとを守った。 + われらの神、主。あなたは、彼らに答えられた。あなたは、彼らにとって赦しの神であられた。しかし、彼らのしわざに対してはそれに報いる方であった。 + われらの神、主をあがめよ。その聖なる山に向かって、ひれ伏せ。われらの神、主は聖である。 + + + (感謝の賛歌)全地よ。主に向かって喜びの声をあげよ。 + 喜びをもって主に仕えよ。喜び歌いつつ御前に来たれ。 + 知れ。主こそ神。主が、私たちを造られた。私たちは主のもの、主の民、その牧場の羊である。 + 感謝しつつ、主の門に、賛美しつつ、その大庭に、入れ。主に感謝し、御名をほめたたえよ。 + 主はいつくしみ深くその恵みはとこしえまで、その真実は代々に至る。 + + + (ダビデの賛歌)私は、恵みとさばきを歌いましょう。主よ。あなたに、ほめ歌を歌いましょう。 + 私は、全き道に心を留めます。いつ、あなたは私のところに来てくださいますか。私は、正しい心で、自分の家の中を歩みます。 + 私の目の前に卑しいことを置きません。私は曲がったわざを憎みます。それは私にまといつきません。 + 曲がった心は私から離れて行きます。私は悪を知ろうともしません。 + 陰で自分の隣人をそしる者を、私は滅ぼします。高ぶる目と誇る心の者に、私は耐えられません。 + 私の目は、国の中の真実な人たちに注がれます。彼らが私とともに住むために。全き道を歩む者は、私に仕えます。 + 欺く者は、私の家の中には住みえず、偽りを語る者は、私の目の前に堅く立つことができません。 + 朝ごとに、私は国の中の悪者をことごとく滅ぼします。それは主の都から、不法を行う者をことごとく断ち切るためです。 + + + (悩む者の祈り。彼が気落ちして、自分の嘆きを主の前に注ぎ出したときのもの)主よ。私の祈りを聞いてください。私の叫びが、あなたに届きますように。 + 私が苦しんでいるときに、御顔を私に隠さないでください。私に耳を傾けてください。私が呼ぶときに、早く私に答えてください。 + 私の日は煙の中に尽き果て、私の骨は炉のように燃えていますから。 + 私の心は、青菜のように打たれ、しおれ、パンを食べることさえ忘れました。 + 私の嘆く声で私の骨と皮はくっついてしまいました。 + 私は荒野のペリカンのようになり、廃墟のふくろうのようになっています。 + 私はやせ衰えて、屋根の上のひとりぼっちの鳥のようになりました。 + 私の敵は一日中私をそしり、私をあざける者は私を名ざして毒づきます。 + これはみな、私が、パンを食べるように灰を食べ、私の飲み物に涙を混ぜ合わせたからです。 + それはあなたの憤りと怒りとのゆえに、あなたが私を持ち上げ、投げ出されたからです。 + 私の日は、伸びていく夕影のようです。私は、青菜のようにしおれています。 + しかし、主よ。あなたはとこしえに御座に着き、あなたの御名は代々に及びます。 + あなたは立ち上がり、シオンをあわれんでくださいます。今やいつくしみの時です。定めの時が来たからです。 + まことに、あなたのしもべはシオンの石を愛し、シオンのちりをいつくしみます。 + こうして、国々は主の御名を恐れ、地のすべての王はあなたの栄光を恐れましょう。 + なぜなら、主はシオンを建て、その栄光のうちに現れ、 + 窮した者の祈りを顧み、彼らの祈りをないがしろにされなかったからです。 + 次のことが、後の時代のために書きしるされ、新しく造られる民が主を賛美しますように。 + 主はその聖なるいと高き所から見おろし、天から地の上に目を注がれました。 + 捕らわれ人のうめきを聞き、死に定められた者を解き放つために。 + 人々が、主の名をシオンで語り、エルサレムで主を賛美するために。 + また、国々の民や、王国が共に集められるとき、主に仕えるために。 + 主は私の力を道の途中で弱くされ、私の日数を短くされました。 + 私は申しました。「わが神よ。私の日の半ばに私を取り去らないでください。あなたの年は代々に至ります。 + あなたははるか以前に地の基を据えられました。天も、あなたの御手のわざです。 + これらのものは滅びるでしょう。しかし、あなたはながらえられます。すべてのものは衣のようにすり切れます。あなたが着物のように取り替えられると、それらは変わってしまいます。 + しかし、あなたは変わることがなく、あなたの年は尽きることがありません。 + あなたのしもべらの子孫は住みつき、彼らのすえは、あなたの前に堅く立てられましょう。」 + + + (ダビデによる)わがたましいよ。主をほめたたえよ。私のうちにあるすべてのものよ。聖なる御名をほめたたえよ。 + わがたましいよ。主をほめたたえよ。主の良くしてくださったことを何一つ忘れるな。 + 主は、あなたのすべての咎を赦し、あなたのすべての病をいやし、 + あなたのいのちを穴から贖い、あなたに、恵みとあわれみとの冠をかぶらせ、 + あなたの一生を良いもので満たされる。あなたの若さは、鷲のように、新しくなる。 + 主はすべてしいたげられている人々のために、正義とさばきを行われる。 + 主は、ご自身の道をモーセに、そのみわざをイスラエルの子らに知らされた。 + 主は、あわれみ深く、情け深い。怒るのにおそく、恵み豊かである。 + 主は、絶えず争ってはおられない。いつまでも、怒ってはおられない。 + 私たちの罪にしたがって私たちを扱うことをせず、私たちの咎にしたがって私たちに報いることもない。 + 天が地上はるかに高いように、御恵みは、主を恐れる者の上に大きい。 + 東が西から遠く離れているように、私たちのそむきの罪を私たちから遠く離される。 + 父がその子をあわれむように、主は、ご自分を恐れる者をあわれまれる。 + 主は、私たちの成り立ちを知り、私たちがちりにすぎないことを心に留めておられる。 + 人の日は、草のよう。野の花のように咲く。 + 風がそこを過ぎると、それは、もはやない。その場所すら、それを、知らない。 + しかし、主の恵みは、とこしえから、とこしえまで、主を恐れる者の上にある。主の義はその子らの子に及び、 + 主の契約を守る者、その戒めを心に留めて、行う者に及ぶ。 + 主は天にその王座を堅く立て、その王国はすべてを統べ治める。 + 主をほめたたえよ。御使いたちよ。みことばの声に聞き従い、みことばを行う力ある勇士たちよ。 + 主をほめたたえよ。主のすべての軍勢よ。みこころを行い、主に仕える者たちよ。 + 主をほめたたえよ。すべて造られたものたちよ。主の治められるすべての所で。わがたましいよ。主をほめたたえよ。 + + + わがたましいよ。主をほめたたえよ。わが神、主よ。あなたはまことに偉大な方。あなたは尊厳と威光を身にまとっておられます。 + あなたは光を衣のように着、天を、幕のように広げておられます。 + 水の中にご自分の高殿の梁を置き、雲をご自分の車とし、風の翼に乗って歩かれます。 + 風をご自分の使いとし、焼き尽くす火をご自分の召使いとされます。 + また地をその基の上に据えられました。地はそれゆえ、とこしえにゆるぎません。 + あなたは、深い水を衣のようにして、地をおおわれました。水は、山々の上にとどまっていました。 + 水は、あなたに叱られて逃げ、あなたの雷の声で急ぎ去りました。 + 山は上がり、谷は沈みました。あなたが定めたその場所へと。 + あなたは境を定め、水がそれを越えないようにされました。水が再び地をおおうことのないようにされました。 + 主は泉を谷に送り、山々の間を流れさせ、 + 野のすべての獣に飲ませられます。野ろばも渇きをいやします。 + そのかたわらには空の鳥が住み、枝の間でさえずっています。 + 主はその高殿から山々に水を注ぎ、地はあなたのみわざの実によって満ち足りています。 + 主は家畜のために草を、また、人に役立つ植物を生えさせられます。人が地から食物を得るために。 + また、人の心を喜ばせるぶどう酒をも。油によるよりも顔をつややかにするために。また、人の心をささえる食物をも。 + 主の木々は満ち足りています。主の植えたレバノンの杉の木も。 + そこに、鳥は巣をかけ、こうのとりは、もみの木をその宿としています。 + 高い山は野やぎのため、岩は岩だぬきの隠れ場。 + 主は季節のために月を造られました。太陽はその沈む所を知っています。 + あなたがやみを定められると、夜になります。夜には、あらゆる森の獣が動きます。 + 若い獅子はおのれのえじきのためにほえたけり、神におのれの食物を求めます。 + 日が上ると、彼らは退いて、自分のねぐらに横になります。 + 人はおのれの仕事に出て行き、夕暮れまでその働きにつきます。 + 主よ。あなたのみわざはなんと多いことでしょう。あなたは、それらをみな、知恵をもって造っておられます。地はあなたの造られたもので満ちています。 + そこには大きく、広く広がる海があり、その中で、はうものは数知れず、大小の生き物もいます。 + そこを船が通い、あなたが造られたレビヤタンも、そこで戯れます。 + 彼らはみな、あなたを待ち望んでいます。あなたが時にしたがって食物をお与えになることを。 + あなたがお与えになると、彼らは集め、あなたが御手を開かれると、彼らは良いもので満ち足ります。 + あなたが御顔を隠されると、彼らはおじ惑い、彼らの息を取り去られると、彼らは死に、おのれのちりに帰ります。 + あなたが御霊を送られると、彼らは造られます。また、あなたは地の面を新しくされます。 + 主の栄光が、とこしえにありますように。主がそのみわざを喜ばれますように。 + 主が地に目を注がれると、地は震え、山々に触れられると、山々は煙を上げます。 + 私は生きているかぎり、主に歌い、いのちのあるかぎり、私の神にほめ歌を歌いましょう。 + 私の心の思いが神のみこころにかないますように。私自身は、主を喜びましょう。 + 罪人らが地から絶え果て、悪者どもが、もはやいなくなりますように。わがたましいよ。主をほめたたえよ。ハレルヤ。 + + + 主に感謝して、御名を呼び求めよ。そのみわざを国々の民の中に知らせよ。 + 主に歌え。主にほめ歌を歌え。そのすべての奇しいみわざに思いを潜めよ。 + 主の聖なる名を誇りとせよ。主を慕い求める者の心を喜ばせよ。 + 主とその御力を尋ね求めよ。絶えず御顔を慕い求めよ。 + 主が行われた奇しいみわざを思い起こせ。その奇蹟と御口のさばきとを。 + 主のしもべアブラハムのすえよ。主に選ばれた者、ヤコブの子らよ。 + この方こそ、われらの神、主。そのさばきは全地にわたる。 + 主は、ご自分の契約をとこしえに覚えておられる。お命じになったみことばは千代にも及ぶ。 + その契約はアブラハムと結んだもの、イサクへの誓い。 + 主はヤコブのためにそれをおきてとして立て、イスラエルに対する永遠の契約とされた。 + そのとき主は仰せられた。「わたしはあなたがたの相続地としてあなたに、カナンの地を与える。」 + そのころ彼らの数は少なかった。まことにわずかで、そのうえそこでは、寄留の他国人であった。 + 彼らは、国から国へ、一つの王国から他の民へと渡り歩いた。 + しかし主は、だれにも彼らをしいたげさせず、かえって、彼らのために王たちを責められた。 + 「わたしの油そそがれた者たちに触れるな。わたしの預言者たちに危害を加えるな。」 + こうして主はききんを地の上に招き、パンのための棒をことごとく折られた。 + 主はひとりの人を彼らにさきがけて送られた。ヨセフが奴隷に売られたのだ。 + 彼らは足かせで、ヨセフの足を悩まし、ヨセフは鉄のかせの中に入った。 + 彼のことばがそのとおりになる時まで、主のことばは彼をためした。 + 王は人をやってヨセフを解放し、国々の民の支配者が、彼を自由にした。 + 王はヨセフを自分の家のかしらとし、自分の全財産の支配者とした。 + これはヨセフが意のままに王の高官を縛り、王の長老たちに知恵を与えるためだった。 + イスラエルもエジプトに行き、ヤコブはハムの地に寄留した。 + 主はその民を大いにふやし、彼らの敵よりも強くされた。 + 主は人々の心を変えて、御民を憎ませ、彼らに主のしもべたちを、ずるくあしらわせた。 + 主は、そのしもべモーセと、主が選んだアロンを遣わされた。 + 彼らは人々の間で、主の数々のしるしを行い、ハムの地で、もろもろの奇蹟を行った。 + 主はやみを送って、暗くされた。彼らは主のことばに逆らわなかった。 + 主は人々の水を血に変わらせ、彼らの魚を死なせた。 + 彼らの地に、かえるが群がった。王族たちの奥の間にまで。 + 主が命じられると、あぶの群れが来た。ぶよが彼らの国中に入った。 + 主は雨にかえて雹を彼らに降らせ、燃える火を彼らの地に下された。 + 主は彼らのぶどうの木と、いちじくの木を打ち、彼らの国の木を砕かれた。 + 主が命じられると、いなごが来た。若いいなごで、数知れず、 + それが彼らの国の青物を食い尽くし、彼らの地の果実を食い尽くした。 + 主は彼らの国の初子をことごとく打たれた。彼らのすべての力の初めを。 + 主は銀と金とを持たせて御民を連れ出された。その部族の中でよろける者はひとりもなかった。 + エジプトは彼らが出たときに喜んだ。エジプトに彼らへの恐れが生じたからだ。 + 主は、雲を広げて仕切りの幕とし、夜には火を与えて照らされた。 + 民が願い求めると、主はうずらをもたらし、また、天からのパンで彼らを満ち足らわせた。 + 主が岩を開かれると、水がほとばしり出た。水は砂漠を川となって流れた。 + これは主が、そのしもべアブラハムへの聖なることばを、覚えておられたからである。 + 主は御民を喜びのうちに連れ出された。その選ばれた民を喜びの叫びのうちに。 + 主は、彼らに国々の地を与えられた。彼らが国々の民の労苦の実を自分の所有とするために。 + これは、彼らが主のおきてを守り、そのみおしえを守るためである。ハレルヤ。 + + + ハレルヤ。主に感謝せよ。主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで。 + だれが主の大能のわざを語り、そのすべての誉れをふれ知らせることができよう。 + 幸いなことよ。さばきを守り、正義を常に行う人々は。 + 主よ。あなたが御民を愛されるとき、私を心に留め、あなたの御救いのとき、私を顧みてください。 + そうすれば、私はあなたに選ばれた者たちのしあわせを見、あなたの国民の喜びを喜びとし、あなたのものである民とともに、誇ることができるでしょう。 + 私たちは先祖と同じように罪を犯し、不義をなし、悪を行った。 + 私たちの先祖はエジプトにおいて、あなたの奇しいわざを悟らず、あなたの豊かな恵みを思い出さず、かえって、海のほとり、葦の海で、逆らった。 + しかし主は、御名のために彼らを救われた。それは、ご自分の力を知らせるためだった。 + 主が葦の海を叱ると、海は干上がった。主は、彼らを行かせた。深みの底を。さながら荒野を行くように。 + 主は、憎む者の手から彼らを救い、敵の手から彼らを贖われた。 + 水は彼らの仇をおおい、そのひとりさえも残らなかった。 + そこで、彼らはみことばを信じ、主への賛美を歌った。 + しかし、彼らはすぐに、みわざを忘れ、そのさとしを待ち望まなかった。 + 彼らは、荒野で激しい欲望にかられ、荒れ地で神を試みた。 + そこで、主は彼らにその願うところを与え、また彼らに病を送ってやせ衰えさせた。 + 彼らが宿営でモーセをねたみ、主の聖徒、アロンをねたんだとき、 + 地は開き、ダタンをのみこみ、アビラムの仲間を包んでしまった。 + その仲間の間で火が燃え上がり、炎が悪者どもを焼き尽くした。 + 彼らはホレブで子牛を造り、鋳物の像を拝んだ。 + こうして彼らは彼らの栄光を、草を食らう雄牛の像に取り替えた。 + 彼らは自分たちの救い主である神を忘れた。エジプトで大いなることをなさった方を。 + ハムの地では奇しいわざを、葦の海のほとりでは恐ろしいわざを、行われた方を。 + それゆえ、神は、「彼らを滅ぼす」と言われた。もし、神に選ばれた人モーセが、滅ぼそうとする激しい憤りを避けるために、御前の破れに立たなかったなら、どうなっていたことか。 + しかも彼らは麗しい地をさげすみ、神のみことばを信ぜず、 + 自分たちの天幕でつぶやき、主の御声を聞かなかった。 + それゆえ、主は彼らにこう誓われた。彼らを荒野で打ち倒し、 + その子孫を国々の中に投げ散らし、彼らをもろもろの地にまき散らそうと。 + 彼らはまた、バアル・ペオルにつき従い、死者へのいけにえを食べた。 + こうして、その行いによって御怒りを引き起こし、彼らの間に神罰が下った。 + そのとき、ピネハスが立ち、なかだちのわざをしたので、その神罰はやんだ。 + このことは、代々永遠に、彼の義と認められた。 + 彼らはさらにメリバの水のほとりで主を怒らせた。それで、モーセは彼らのためにわざわいをこうむった。 + 彼らが主の心に逆らったとき、彼が軽率なことを口にしたからである。 + 彼らは、主が命じたのに、国々の民を滅ぼさず、 + かえって、異邦の民と交わり、そのならわしにならい、 + その偶像に仕えた。それが彼らに、わなであった。 + 彼らは自分たちの息子、娘を悪霊のいけにえとしてささげ、 + 罪のない血を流した。カナンの偶像のいけにえにした彼らの息子、娘の血。こうしてその国土は血で汚された。 + このように彼らは、その行いによっておのれを汚し、その行いによって姦淫を犯した。 + それゆえ、主の怒りは御民に向かって燃え上がり、ご自分のものである民を忌みきらわれた。 + それで彼らを国々の手に渡し、彼らを憎む者たちが彼らを支配した。 + 敵どもは彼らをしいたげ、その力のもとに彼らは征服された。 + 主は幾たびとなく彼らを救い出されたが、彼らは相計って、逆らい、自分たちの不義の中におぼれた。 + それでも彼らの叫びを聞かれたとき、主は彼らの苦しみに目を留められた。 + 主は、彼らのために、ご自分の契約を思い起こし、豊かな恵みゆえに、彼らをあわれまれた。 + また、彼らを、捕らえ移したすべての者たちから、彼らがあわれまれるようにされた。 + 私たちの神、主よ。私たちをお救いください。国々から私たちを集めてください。あなたの聖なる御名に感謝し、あなたの誉れを勝ち誇るために。 + ほむべきかな。イスラエルの神、主。とこしえから、とこしえまで。すべての民が、「アーメン」と言え。ハレルヤ。||第五巻 + + + 「主に感謝せよ。主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで。」 + 主に贖われた者はこのように言え。主は彼らを敵の手から贖い、 + 彼らを国々から、東から、西から、北から、南から、集められた。 + 彼らは荒野や荒れ地をさまよい、住むべき町へ行く道を見つけなかった。 + 飢えと渇きに彼らのたましいは衰え果てた。 + この苦しみのときに、彼らが主に向かって叫ぶと、主は彼らを苦悩から救い出された。 + また彼らをまっすぐな道に導き、住むべき町へ行かせられた。 + 彼らは、主の恵みと、人の子らへの奇しいわざを主に感謝せよ。 + まことに主は渇いたたましいを満ち足らせ、飢えたたましいを良いもので満たされた。 + やみと死の陰に座す者、悩みと鉄のかせとに縛られている者、 + 彼らは、神のことばに逆らい、いと高き方のさとしを侮ったのである。 + それゆえ主は苦役をもって彼らの心を低くされた。彼らはよろけたが、だれも助けなかった。 + この苦しみのときに、彼らが主に向かって叫ぶと、主は彼らを苦悩から救われた。 + 主は彼らをやみと死の陰から連れ出し、彼らのかせを打ち砕かれた。 + 彼らは、主の恵みと、人の子らへの奇しいわざを主に感謝せよ。 + まことに主は青銅のとびらを打ち砕き、鉄のかんぬきを粉々に砕かれた。 + 愚か者は、自分のそむきの道のため、また、その咎のために悩んだ。 + 彼らのたましいは、あらゆる食物を忌みきらい、彼らは死の門にまで着いていた。 + この苦しみのときに、彼らが主に向かって叫ぶと、主は彼らを苦悩から救われた。 + 主はみことばを送って彼らをいやし、その滅びの穴から彼らを助け出された。 + 彼らは、主の恵みと、人の子らへの奇しいわざを主に感謝せよ。 + 彼らは、感謝のいけにえをささげ、喜び叫びながら主のみわざを語れ。 + 船に乗って海に出る者、大海であきないする者、 + 彼らは主のみわざを見、深い海でその奇しいわざを見た。 + 主が命じてあらしを起こすと、風が波を高くした。 + 彼らは天に上り、深みに下り、そのたましいはみじめにも、溶け去った。 + 彼らは酔った人のようによろめき、ふらついて分別が乱れた。 + この苦しみのときに、彼らが主に向かって叫ぶと、主は彼らを苦悩から連れ出された。 + 主があらしを静めると、波はないだ。 + 波がないだので彼らは喜んだ。そして主は、彼らをその望む港に導かれた。 + 彼らは、主の恵みと、人の子らへの奇しいわざを主に感謝せよ。 + また、主を民の集会であがめ、長老たちの座で、主を賛美せよ。 + 主は川を荒野に、水のわき上がる所を潤いのない地に、 + 肥沃な地を不毛の地に変えられる。その住民の悪のために。 + 主は荒野を水のある沢に、砂漠の地を水のわき上がる所に変え、 + そこに飢えた者を住まわせる。彼らは住むべき町を堅く建て、 + 畑に種を蒔き、ぶどう畑を作り、豊かな実りを得る。 + 主が祝福されると、彼らは大いにふえ、主はその家畜を減らされない。 + 彼らが、しいたげとわざわいと悲しみによって、数が減り、またうなだれるとき、 + 主は君主たちをさげすみ、道なき荒れ地に彼らをさまよわせる。 + しかし、貧しい者を悩みから高く上げ、その一族を羊の群れのようにされる。 + 直ぐな人はそれを見て喜び、不正な者はすべてその口を閉じる。 + 知恵のある者はだれか。その者はこれらのことに心を留め、主の恵みを悟れ。 + + + (歌。ダビデの賛歌)神よ。私の心はゆるぎません。私は歌い、私のたましいもまた、ほめ歌を歌いましょう。 + 十弦の琴よ、立琴よ。目をさませ。私は暁を呼びさましたい。 + 主よ。私は、国々の民の中にあって、あなたに感謝し、国民の中にあって、あなたにほめ歌を歌いましょう。 + あなたの恵みは大きく、天の上にまで及び、あなたのまことは雲にまで及ぶからです。 + 神よ。あなたが天であがめられ、あなたの栄光が全世界であがめられますように。 + あなたの愛する者が助け出されるために、あなたの右の手で救ってください。そして私に答えてください。 + 神は聖所から告げられた。「わたしは、喜び勇んで、シェケムを分割し、スコテの谷を配分しよう。 + ギルアデはわたしのもの。マナセもわたしのもの。エフライムもまた、わたしの頭のかぶと。ユダはわたしの杖。 + モアブはわたしの足を洗うたらい。エドムの上に、わたしのはきものを投げつけよう。ペリシテの上で、わたしは大声で叫ぼう。」 + だれが私を要塞の町に連れて行くでしょう。だれが私をエドムまで導くでしょう。 + 神よ。あなたは私たちを拒まれたのではありませんか。神よ。あなたは、もはや私たちの軍勢とともに、出陣なさらないのですか。 + どうか敵から私たちを助けてください。まことに、人の救いはむなしいものです。 + 神によって、私たちは力ある働きをします。神が私たちの敵を踏みつけられます。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)私の賛美する神よ。黙っていないでください。 + 彼らは邪悪な口と、欺きの口を、私に向けて開き、偽りの舌をもって、私に語ったからです。 + 彼らはまた、憎しみのことばで私を取り囲み、ゆえもなく私と戦いました。 + 彼らは、私の愛への報いとして私をなじります。私は祈るばかりです。 + 彼らは、善にかえて悪を、私の愛にかえて憎しみを、私に報いました。 + どうか、悪者を彼に遣わしてください。なじる者が彼の右に立つようにしてください。 + 彼がさばかれるとき、彼は罪ある者とされ、その祈りが罪となりますように。 + 彼の日はわずかとなり、彼の仕事は他人が取り、 + その子らはみなしごとなり、彼の妻はやもめとなりますように。 + 彼の子らは、さまよい歩いて、物ごいをしますように。その荒れ果てた家から離れて、物ごいをしますように。 + 債権者が、彼のすべての持ち物を没収し、見知らぬ者が、その勤労の実をかすめますように。 + 彼には恵みを注ぐ者もなく、そのみなしごをあわれむ者もいませんように。 + その子孫は断ち切られ、次の世代には彼らの名が消し去られますように。 + 彼の父たちの咎が、主に覚えられ、その母の罪が消し去られませんように。 + それらがいつも主の御前にあり、主が彼らの記憶を地から消されますように。 + それは、彼が愛のわざを行うことに心を留めず、むしろ、悩む者、貧しい人、心ひしがれた者を追いつめ、殺そうとしたからです。 + 彼はまたのろうことを愛したので、それが自分に返って来ました。祝福することを喜ばなかったので、それは彼から遠く離れました。 + 彼はおのれの衣のようにのろいを身にまといました。それは水のように彼の内臓へ、油のように、その骨々にしみ込みました。 + それが彼の着る着物となり、いつも、締めている帯となりますように。 + このことが、私をなじる者や私のたましいについて悪口を言う者への、主からの刑罰でありますように。 + しかし、私の主、神よ。どうかあなたは、御名のために私に優しくしてください。あなたの恵みは、まことに深いのですから、私を救い出してください。 + 私は悩み、そして貧しく、私の心は、私のうちで傷ついています。 + 私は、伸びていく夕日の影のように去り行き、いなごのように振り払われます。 + 私のひざは、断食のためによろけ、私の肉は脂肪がなく、やせ衰えています。 + 私はまた、彼らのそしりとなり、彼らは私を見て、その頭を振ります。 + わが神、主よ。私を助けてください。あなたの恵みによって、私を救ってください。 + こうして、これがあなたの手であること、主よ、あなたがそれをなされたことを彼らが知りますように。 + 彼らはのろいましょう。しかし、あなたは祝福してくださいます。彼らは立ち上がると、恥を見ます。しかしあなたのしもべは喜びます。 + 私をなじる者が侮辱をこうむり、おのれの恥を上着として着ますように。 + 私は、この口をもって、大いに主に感謝します。私は多くの人々の真ん中で、賛美します。 + 主は貧しい者の右に立ち、死刑を宣告する者たちから、彼を救われるからです。 + + + (ダビデの賛歌)主は、私の主に仰せられる。「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまでは、わたしの右の座に着いていよ。」 + 主は、あなたの力強い杖をシオンから伸ばされる。「あなたの敵の真ん中で治めよ。」 + あなたの民は、あなたの戦いの日に、聖なる飾り物を着けて、夜明け前から喜んで仕える。あなたの若者は、あなたにとっては、朝露のようだ。 + 主は誓い、そしてみこころを変えない。「あなたは、メルキゼデクの例にならい、とこしえに祭司である。」 + あなたの右にいます主は御怒りの日に、王たちを打ち砕かれる。 + 主は国々の間をさばき、それらをしかばねで満たし、広い国を治めるかしらを打ち砕かれる。 + 主は道のほとりの流れから水を飲まれよう。それゆえ、その頭を高く上げられる。 + + + ハレルヤ。私は心を尽くして主に感謝しよう。直ぐな人のつどいと集会において。 + 主のみわざは偉大で、みわざを喜ぶすべての人々に尋ね求められる。 + そのみわざは尊厳と威光。その義は永遠に堅く立つ。 + 主は、その奇しいわざを記念とされた。主は情け深く、あわれみ深く、 + 主を恐れる者に食べ物を与え、その契約をとこしえに覚えておられる。 + 異邦の民のゆずりの地を、ご自分の民に与え、彼らに、そのみわざの力を告げ知らせられた。 + 御手のわざは真実、公正、そのすべての戒めは確かである。 + それらは世々限りなく保たれ、まことと正しさをもって行われる。 + 主は、御民に贖いを送り、ご自分の契約をとこしえに定められた。主の御名は聖であり、おそれおおい。 + 主を恐れることは、知恵の初め。これを行う人はみな、良い明察を得る。主の誉れは永遠に堅く立つ。 + + + ハレルヤ。幸いなことよ。主を恐れ、その仰せを大いに喜ぶ人は。 + その人の子孫は地上で力ある者となり、直ぐな人たちの世代は祝福されよう。 + 繁栄と富とはその家にあり、彼の義は永遠に堅く立つ。 + 主は直ぐな人たちのために、光をやみの中に輝かす。主は情け深く、あわれみ深く、正しくあられる。 + しあわせなことよ。情け深く、人には貸し、自分のことを公正に取り行う人は。 + 彼は決してゆるがされない。正しい者はとこしえに覚えられる。 + その人は悪い知らせを恐れず、主に信頼して、その心はゆるがない。 + その心は堅固で、恐れることなく、自分の敵をものともしないまでになる。 + 彼は貧しい人々に惜しみなく分け与えた。彼の義は永遠に堅く立つ。その角は栄光のうちに高く上げられる。 + 悪者はそれを見ていらだち、歯ぎしりして溶け去る。悪者の願いは滅びうせる。 + + + ハレルヤ。主のしもべたちよ。ほめたたえよ。主の御名をほめたたえよ。 + 今よりとこしえまで、主の御名はほめられよ。 + 日の上る所から沈む所まで、主の御名がほめたたえられるように。 + 主はすべての国々の上に高くいまし、その栄光は天の上にある。 + だれが、われらの神、主のようであろうか。主は高い御位に座し、 + 身を低くして天と地をご覧になる。 + 主は、弱い者をちりから起こし、貧しい人をあくたから引き上げ、 + 彼らを、君主たちとともに、御民の君主たちとともに、王座に着かせられる。 + 主は子を産まない女を、子をもって喜ぶ母として家に住まわせる。ハレルヤ。 + + + イスラエルがエジプトから、ヤコブの家が異なることばの民のうちから、出て来たとき、 + ユダは神の聖所となり、イスラエルはその領地となった。 + 海は見て逃げ去り、ヨルダン川はさかさに流れた。 + 山々は雄羊のように、丘は子羊のように、はねた。 + 海よ。なぜ、おまえは逃げ去るのか。ヨルダン川よ。なぜ、さかさに流れるのか。 + 山々よ。おまえはなぜ雄羊のようにはねるのか。丘よ。なぜ子羊のようにはねるのか。 + 地よ。主の御前におののけ。ヤコブの神の御前に。 + 神は、岩を水のある沢に変えられた。堅い石を水の出る泉に。 + + + 私たちにではなく、主よ、私たちにではなく、あなたの恵みとまことのために、栄光を、ただあなたの御名にのみ帰してください。 + なぜ、国々は言うのか。「彼らの神は、いったいどこにいるのか」と。 + 私たちの神は、天におられ、その望むところをことごとく行われる。 + 彼らの偶像は銀や金で、人の手のわざである。 + 口があっても語れず、目があっても見えない。 + 耳があっても聞こえず、鼻があってもかげない。 + 手があってもさわれず、足があっても歩けない。のどがあっても声をたてることもできない。 + これを造る者も、これに信頼する者もみな、これと同じである。 + イスラエルよ。主に信頼せよ。この方こそ、彼らの助け、また盾である。 + アロンの家よ。主に信頼せよ。この方こそ、彼らの助け、また盾である。 + 主を恐れる者たちよ。主に信頼せよ。この方こそ、彼らの助け、また盾である。 + 主はわれらを御心に留められた。主は祝福してくださる。イスラエルの家を祝福し、アロンの家を祝福し、 + 主を恐れる者を祝福してくださる。小さな者も、大いなる者も。 + 主があなたがたをふやしてくださるように。あなたがたと、あなたがたの子孫とを。 + あなたがたが主によって祝福されるように。主は、天と地を造られた方である。 + 天は、主の天である。しかし、地は、人の子らに与えられた。 + 死人は主をほめたたえることがない。沈黙へ下る者もそうだ。 + しかし、私たちは、今よりとこしえまで、主をほめたたえよう。ハレルヤ。 + + + 私は主を愛する。主は私の声、私の願いを聞いてくださるから。 + 主は、私に耳を傾けられるので、私は生きるかぎり主を呼び求めよう。 + 死の綱が私を取り巻き、よみの恐怖が私を襲い、私は苦しみと悲しみの中にあった。 + そのとき、私は主の御名を呼び求めた。「主よ。どうか私のいのちを助け出してください。」 + 主は情け深く、正しい。まことに、私たちの神はあわれみ深い。 + 主はわきまえのない者を守られる。私がおとしめられたとき、私をお救いになった。 + 私のたましいよ。おまえの全きいこいに戻れ。主はおまえに、良くしてくださったからだ。 + まことに、あなたは私のたましいを死から、私の目を涙から、私の足をつまずきから、救い出されました。 + 私は、生ける者の地で、主の御前を歩き進もう。 + 「私は大いに悩んだ」と言ったときも、私は信じた。 + 私はあわてて「すべての人は偽りを言う者だ」と言った。 + 主が、ことごとく私に良くしてくださったことについて、私は主に何をお返ししようか。 + 私は救いの杯をかかげ、主の御名を呼び求めよう。 + 私は、自分の誓いを主に果たそう。ああ、御民すべてのいる所で。 + 主の聖徒たちの死は主の目に尊い。 + ああ、主よ。私はまことにあなたのしもべです。私は、あなたのしもべ、あなたのはしための子です。あなたは私のかせを解かれました。 + 私はあなたに感謝のいけにえをささげ、主の御名を呼び求めます。 + 私は自分の誓いを主に果たそう。ああ、御民すべてのいる所で。 + 主の家の大庭で。エルサレムよ。あなたの真ん中で。ハレルヤ。 + + + すべての国々よ。主をほめたたえよ。すべての民よ。主をほめ歌え。 + その恵みは私たちに大きく、主のまことはとこしえに。ハレルヤ。 + + + 主に感謝せよ。主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで。 + さあ。イスラエルよ、言え。「主の恵みはとこしえまで」と。 + さあ。アロンの家よ、言え。「主の恵みはとこしえまで」と。 + さあ。主を恐れる者たちよ、言え。「主の恵みはとこしえまで」と。 + 苦しみのうちから、私は主を呼び求めた。主は、私に答えて、私を広い所に置かれた。 + 主は私の味方。私は恐れない。人は、私に何ができよう。 + 主は、私を助けてくださる私の味方。私は、私を憎む者をものともしない。 + 主に身を避けることは、人に信頼するよりもよい。 + 主に身を避けることは、君主たちに信頼するよりもよい。 + すべての国々が私を取り囲んだ。確かに私は主の御名によって、彼らを断ち切ろう。 + 彼らは私を取り囲んだ。まことに、私を取り囲んだ。確かに私は主の御名によって、彼らを断ち切ろう。 + 彼らは蜂のように、私を取り囲んだ。しかし、彼らはいばらの火のように消された。確かに私は主の御名によって、彼らを断ち切ろう。 + おまえは、私をひどく押して倒そうとしたが、主が私を助けられた。 + 主は、私の力であり、ほめ歌である。主は、私の救いとなられた。 + 喜びと救いの声は、正しい者の幕屋のうちにある。主の右の手は力ある働きをする。 + 主の右の手は高く上げられ、主の右の手は力ある働きをする。 + 私は死ぬことなく、かえって生き、そして主のみわざを語り告げよう。 + 主は私をきびしく懲らしめられた。しかし、私を死に渡されなかった。 + 義の門よ。私のために開け。私はそこから入り、主に感謝しよう。 + これこそ主の門。正しい者たちはこれより入る。 + 私はあなたに感謝します。あなたが私に答えられ、私の救いとなられたからです。 + 家を建てる者たちの捨てた石。それが礎の石になった。 + これは主のなさったことだ。私たちの目には不思議なことである。 + これは、主が設けられた日である。この日を楽しみ喜ぼう。 + ああ、主よ。どうぞ救ってください。ああ、主よ。どうぞ栄えさせてください。 + 主の御名によって来る人に、祝福があるように。私たちは主の家から、あなたがたを祝福した。 + 主は神であられ、私たちに光を与えられた。枝をもって、祭りの行列を組め。祭壇の角のところまで。 + あなたは、私の神。私はあなたに感謝します。あなたは私の神、私はあなたをあがめます。 + 主に感謝せよ。主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで。 + + + 幸いなことよ。全き道を行く人々、主のみおしえによって歩む人々。 + 幸いなことよ。主のさとしを守り、心を尽くして主を尋ね求める人々。 + まことに、彼らは不正を行わず、主の道を歩む。 + あなたは堅く守るべき戒めを仰せつけられた。 + どうか、私の道を堅くしてください。あなたのおきてを守るように。 + そうすれば、私はあなたのすべての仰せを見ても恥じることがないでしょう。 + あなたの義のさばきを学ぶとき、私は直ぐな心であなたに感謝します。 + 私は、あなたのおきてを守ります。どうか私を、見捨てないでください。 + どのようにして若い人は自分の道をきよく保てるでしょうか。あなたのことばに従ってそれを守ることです。 + 私は心を尽くしてあなたを尋ね求めています。どうか私が、あなたの仰せから迷い出ないようにしてください。 + あなたに罪を犯さないため、私は、あなたのことばを心にたくわえました。 + 主よ。あなたは、ほむべき方。あなたのおきてを私に教えてください。 + 私は、このくちびるで、あなたの御口の決めたことをことごとく語り告げます。 + 私は、あなたのさとしの道を、どんな宝よりも、楽しんでいます。 + 私は、あなたの戒めに思いを潜め、あなたの道に私の目を留めます。 + 私は、あなたのおきてを喜びとし、あなたのことばを忘れません。 + あなたのしもべを豊かにあしらい、私を生かし、私があなたのことばを守るようにしてください。 + 私の目を開いてください。私が、あなたのみおしえのうちにある奇しいことに目を留めるようにしてください。 + 私は地では旅人です。あなたの仰せを私に隠さないでください。 + 私のたましいは、いつもあなたのさばきを慕い、砕かれています。 + あなたは、あなたの仰せから迷い出る高ぶる者、のろわるべき者をお叱りになります。 + どうか、私から、そしりとさげすみとを取り去ってください。私はあなたのさとしを守っているからです。 + たとい君主たちが座して、私に敵対して語り合ってもあなたのしもべはあなたのおきてに思いを潜めます。 + まことに、あなたのさとしは私の喜び、私の相談相手です。 + 私のたましいは、ちりに打ち伏しています。あなたのみことばのとおりに私を生かしてください。 + 私は私の道を申し上げました。すると、あなたは、私に答えてくださいました。どうか、あなたのおきてを私に教えてください。 + あなたの戒めの道を私に悟らせてください。私が、あなたの奇しいわざに思いを潜めることができるようにしてください。 + 私のたましいは悲しみのために涙を流しています。みことばのとおりに私を堅くささえてください。 + 私から偽りの道を取り除いてください。あなたのみおしえのとおりに、私をあわれんでください。 + 私は真実の道を選び取り、あなたのさばきを私の前に置きました。 + 私は、あなたのさとしを堅く守ります。主よ。どうか私をはずかしめないでください。 + 私はあなたの仰せの道を走ります。あなたが、私の心を広くしてくださるからです。 + 主よ。あなたのおきての道を私に教えてください。そうすれば、私はそれを終わりまで守りましょう。 + 私に悟りを与えてください。私はあなたのみおしえを守り、心を尽くしてそれを守ります。 + 私に、あなたの仰せの道を踏み行かせてください。私はその道を喜んでいますから。 + 私の心をあなたのさとしに傾かせ、不正な利得に傾かないようにしてください。 + むなしいものを見ないように私の目をそらせ、あなたの道に私を生かしてください。 + あなたのことばを、あなたのしもべに果たし、あなたを恐れるようにしてください。 + 私が恐れているそしりを取り去ってください。あなたのさばきはすぐれて良いからです。 + このとおり、私は、あなたの戒めを慕っています。どうかあなたの義によって、私を生かしてください。 + 主よ。あなたの恵みと、あなたの救いとが、みことばのとおりに、私にもたらされますように。 + こうして、私をそしる者に対して、私に答えさせてください。私はあなたのことばに信頼していますから。 + 私の口から、真理のみことばを取り去ってしまわないでください。私は、あなたのさばきを待ち望んでいますから。 + こうして私は、あなたのみおしえをいつも、とこしえまでも、守りましょう。 + そうして私は広やかに歩いて行くでしょう。それは私が、あなたの戒めを求めているからです。 + 私はまた、あなたのさとしを王たちの前で述べ、しかも私は恥を見ることはないでしょう。 + 私は、あなたの仰せを喜びとします。それは私の愛するものです。 + 私は私の愛するあなたの仰せに手を差し伸べ、あなたのおきてに思いを潜めましょう。 + どうか、あなたのしもべへのみことばを思い出してください。あなたは私がそれを待ち望むようになさいました。 + これこそ悩みのときの私の慰め。まことに、みことばは私を生かします。 + 高ぶる者どもは、ひどく私をあざけりました。しかし私は、あなたのみおしえからそれませんでした。 + 主よ。私は、あなたのとこしえからの定めを思い出し、慰めを得ました。 + あなたのみおしえを捨てる悪者どものために、激しい怒りが私を捕らえます。 + あなたのおきては、私の旅の家では、私の歌となりました。 + 主よ。私は、夜には、あなたの御名を思い出し、また、あなたのみおしえを守っています。 + これこそ、私のものです。私があなたの戒めを守っているからです。 + 主は私の受ける分です。私は、あなたのことばを守ると申しました。 + 私は心を尽くして、あなたに請い求めます。どうか、みことばのとおりに、私をあわれんでください。 + 私は、自分の道を顧みて、あなたのさとしのほうへ私の足を向けました。 + 私は急いで、ためらわずに、あなたの仰せを守りました。 + 悪者の綱が私に巻き付きましたが、私は、あなたのみおしえを忘れませんでした。 + 真夜中に、私は起きて、あなたの正しいさばきについて感謝します。 + 私は、あなたを恐れるすべての者と、あなたの戒めを守る者とのともがらです。 + 主よ。地はあなたの恵みに満ちています。あなたのおきてを私に教えてください。 + 主よ。あなたは、みことばのとおりに、あなたのしもべに良くしてくださいました。 + よい分別と知識を私に教えてください。私はあなたの仰せを信じていますから。 + 苦しみに会う前には、私はあやまちを犯しました。しかし今は、あなたのことばを守ります。 + あなたはいつくしみ深くあられ、いつくしみを施されます。どうか、あなたのおきてを私に教えてください。 + 高ぶる者どもは、私を偽りで塗り固めましたが、私は心を尽くして、あなたの戒めを守ります。 + 彼らの心は脂肪のように鈍感です。しかし、私は、あなたのみおしえを喜んでいます。 + 苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました。 + あなたの御口のおしえは、私にとって幾千の金銀にまさるものです。 + あなたの御手が私を造り、私を形造りました。どうか私に、悟りを与えてください。私があなたの仰せを学ぶようにしてください。 + あなたを恐れる人々は、私を見て喜ぶでしょう。私が、あなたのことばを待ち望んでいるからです。 + 主よ。私は、あなたのさばきの正しいことと、あなたが真実をもって私を悩まされたこととを知っています。 + どうか、あなたのしもべへのみことばのとおりに、あなたの恵みが私の慰めとなりますように。 + 私にあなたのあわれみを臨ませ、私を生かしてください。あなたのみおしえが私の喜びだからです。 + どうか高ぶる者どもが、恥を見ますように。彼らは偽りごとをもって私を曲げたからです。しかし私は、あなたの戒めに思いを潜めます。 + あなたを恐れる人々と、あなたのさとしを知る者たちが、私のところに帰りますように。 + どうか、私の心が、あなたのおきてのうちに全きものとなりますように。それは、私が恥を見ることのないためです。 + 私のたましいは、あなたの救いを慕って絶え入るばかりです。私はあなたのみことばを待ち望んでいます。 + 私の目は、みことばを慕って絶え入るばかりです。「いつあなたは私を慰めてくださるのですか」と言っています。 + たとい私は煙の中の皮袋のようになっても、あなたのおきてを忘れません。 + あなたのしもべの日数は、どれだけでしょうか。あなたはいつ、私を迫害する者どもをさばかれるのでしょうか。 + 高ぶる者は私のために穴を掘りました。彼らはあなたのみおしえに従わないのです。 + あなたの仰せはことごとく真実です。彼らは偽りごとをもって私を迫害しています。どうか私を助けてください。 + 彼らはこの地上で私を滅ぼしてしまいそうです。しかしこの私は、あなたの戒めを捨てませんでした。 + あなたの恵みによって、私を生かしてください。私はあなたの御口のさとしを守ります。 + 主よ。あなたのことばは、とこしえから、天において定まっています。 + あなたの真実は代々に至ります。あなたが地を据えたので、地は堅く立っています。 + それらはきょうも、あなたの定めにしたがって堅く立っています。すべては、あなたのしもべだからです。 + もしあなたのみおしえが私の喜びでなかったら、私は自分の悩みの中で滅んでいたでしょう。 + 私はあなたの戒めを決して忘れません。それによって、あなたは私を生かしてくださったからです。 + 私はあなたのもの。どうか私をお救いください。私は、あなたの戒めを、求めています。 + 悪者どもは、私を滅ぼそうと、私を待ち伏せています。しかし私はあなたのさとしを聞き取ります。 + 私は、すべての全きものにも、終わりのあることを見ました。しかし、あなたの仰せは、すばらしく広いのです。 + どんなにか私は、あなたのみおしえを愛していることでしょう。これが一日中、私の思いとなっています。 + あなたの仰せは、私を私の敵よりも賢くします。それはとこしえに、私のものだからです。 + 私は私のすべての師よりも悟りがあります。それはあなたのさとしが私の思いだからです。 + 私は老人よりもわきまえがあります。それは、私があなたの戒めを守っているからです。 + 私はあらゆる悪の道から私の足を引き止めました。あなたのことばを守るためです。 + 私はあなたの定めから離れませんでした。それは、あなたが私を教えられたからです。 + あなたのみことばは、私の上あごに、なんと甘いことでしょう。蜜よりも私の口に甘いのです。 + 私には、あなたの戒めがあるので、わきまえがあります。それゆえ、私は偽りの道をことごとく憎みます。 + あなたのみことばは、私の足のともしび、私の道の光です。 + 私は誓い、そして果たしてきました。あなたの義のさばきを守ることを。 + 私はひどく悩んでいます。主よ。みことばのとおりに私を生かしてください。 + どうか、私の口の進んでささげるささげ物を受け入れてください。主よ。あなたのさばきを私に教えてください。 + 私は、いつもいのちがけでいなければなりません。しかし私は、あなたのみおしえを忘れません。 + 悪者は私に対してわなを設けました。しかし私は、あなたの戒めから迷い出ませんでした。 + 私は、あなたのさとしを永遠のゆずりとして受け継ぎました。これこそ、私の心の喜びです。 + 私は、あなたのおきてを行うことに、心を傾けます。いつまでも、終わりまでも。 + 私は二心の者どもを憎みます。しかし、あなたのみおしえを愛します。 + あなたは私の隠れ場、私の盾。私は、あなたのみことばを待ち望みます。 + 悪を行う者どもよ。私から離れて行け。私は、わが神の仰せを守る。 + みことばのとおりに私をささえ、私を生かしてください。私の望みのことで私をはずかしめないようにしてください。 + 私をささえてください。そうすれば私は救われ、いつもあなたのおきてに目を留めることができましょう。 + あなたは、あなたのおきてから迷い出る者をみな卑しめられます。彼らの欺きは、偽りごとだからです。 + あなたは、地上のすべての悪者を金かすのように、取り除かれます。それゆえ私は、あなたのさとしを愛します。 + 私の肉は、あなたへの恐れで、震えています。私はあなたのさばきを恐れています。 + 私は公正と義とを行いました。私をしいたげる者どもに私をゆだねないでください。 + あなたのしもべの幸いの保証人となってください。高ぶる者どもが私をしいたげないようにしてください。 + 私の目は、あなたの救いと、あなたの義のことばとを慕って絶え入るばかりです。 + あなたの恵みによってあなたのしもべをあしらってください。私にあなたのおきてを教えてください。 + 私はあなたのしもべです。私に悟りを授けてください。そうすれば私は、あなたのさとしを知るでしょう。 + 今こそ主が事をなさる時です。彼らはあなたのおしえを破りました。 + それゆえ、私は、金よりも、純金よりも、あなたの仰せを愛します。 + それゆえ私は、すべてのことについて、あなたの戒めを正しいとします。私は偽りの道をことごとく憎みます。 + あなたのさとしは奇しく、それゆえ、私のたましいはそれを守ります。 + みことばの戸が開くと、光が差し込み、わきまえのない者に悟りを与えます。 + 私は口を大きくあけて、あえぎました。あなたの仰せを愛したからです。 + 御名を愛する者たちのためにあなたが決めておられるように、私に御顔を向け、私をあわれんでください。 + あなたのみことばによって、私の歩みを確かにし、どんな罪にも私を支配させないでください。 + 私を人のしいたげから贖い出し、私があなたの戒めを守れるようにしてください。 + 御顔をあなたのしもべの上に照り輝かし、あなたのおきてを教えてください。 + 私の目から涙が川のように流れます。彼らがあなたのみおしえを守らないからです。 + 主よ。あなたは正しくあられます。あなたのさばきはまっすぐです。 + あなたの仰せられるさとしは、なんと正しく、なんと真実なことでしょう。 + 私の熱心は私を滅ぼし尽くしてしまいました。私の敵があなたのことばを忘れているからです。 + あなたのみことばは、よく練られていて、あなたのしもべは、それを愛しています。 + 私はつまらない者で、さげすまれています。しかし、あなたの戒めを忘れてはいません。 + あなたの義は、永遠の義、あなたのみおしえは、まことです。 + 苦難と窮乏とが私に襲いかかっています。しかしあなたの仰せは、私の喜びです。 + あなたのさとしは、とこしえに義です。私に悟りを与えて、私を生かしてください。 + 私は心を尽くして呼びました。主よ。私に答えてください。私はあなたのおきてを守ります。 + 私はあなたを呼びました。私をお救いください。私はあなたのさとしを守ります。 + 私は夜明け前に起きて叫び求めます。私はあなたのことばを待ち望んでいます。 + 私の目は夜明けの見張りよりも先に目覚め、みことばに思いを潜めます。 + あなたの恵みによって私の声を聞いてください。主よ。あなたの決めておられるように、私を生かしてください。 + 悪を追い求める者が近づきました。彼らはあなたのみおしえから遠く離れています。 + しかし、主よ。あなたは私に近くおられます。あなたの仰せはことごとくまことです。 + 私は昔から、あなたのあかしで知っています。あなたはとこしえからこれを定めておられることを。 + 私の悩みを顧み、私を助け出してください。私はあなたのみおしえを忘れません。 + 私の言い分を取り上げ、私を贖ってください。みことばにしたがって、私を生かしてください。 + 救いは悪者から遠くかけ離れています。彼らがあなたのおきてを求めないからです。 + あなたのあわれみは大きい。主よ。あなたが決めておられるように、私を生かしてください。 + 私を迫害する者と私の敵は多い。しかし私は、あなたのさとしから離れません。 + 私は裏切る者どもを見て、彼らを忌みきらいました。彼らがあなたのみことばを守らないからです。 + ご覧ください。どんなに私があなたの戒めを愛しているかを。主よ。あなたの恵みによって、私を生かしてください。 + みことばのすべてはまことです。あなたの義のさばきはことごとく、とこしえに至ります。 + 君主らは、ゆえもなく私を迫害しています。しかし私の心は、あなたのことばを恐れています。 + 私は、大きな獲物を見つけた者のように、あなたのみことばを喜びます。 + 私は偽りを憎み、忌みきらい、あなたのみおしえを愛しています。 + あなたの義のさばきのために、私は日に七度、あなたをほめたたえます。 + あなたのみおしえを愛する者には豊かな平和があり、つまずきがありません。 + 私はあなたの救いを待ち望んでいます。主よ。私はあなたの仰せを行っています。 + 私のたましいはあなたのさとしを守っています。しかも、限りなくそれを愛しています。 + 私はあなたの戒めと、さとしとを守っています。私の道はすべて、あなたの御前にあるからです。 + 私の叫びが御前に近づきますように。主よ。みことばのとおりに、私に悟りを与えてください。 + 私の切なる願いが御前に届きますように。みことばのとおりに私を救い出してください。 + 私のくちびるに賛美がわきあふれるようにしてください。あなたが私にみおきてを教えてくださるから。 + 私の舌はあなたのみことばを歌うようにしてください。あなたの仰せはことごとく正しいから。 + あなたの御手が私の助けとなりますように。私はあなたの戒めを選びました。 + 私はあなたの救いを慕っています。主よ。あなたのみおしえは私の喜びです。 + 私のたましいが生き、あなたをほめたたえますように。そしてあなたのさばきが私の助けとなりますように。 + 私は、滅びる羊のように、迷い出ました。どうかあなたのしもべを捜し求めてください。私はあなたの仰せを忘れません。 + + + (都上りの歌)苦しみのうちに、私が主に呼ばわると、主は私に答えられた。 + 主よ。私を偽りのくちびる、欺きの舌から、救い出してください。 + 欺きの舌よ。おまえに何が与えられ、おまえに何が加えられるのか。 + 勇士の鋭い矢、それに、えにしだの熱い炭火だ。 + ああ、哀れな私よ。メシェクに寄留し、ケダルの天幕で暮らすとは。 + 私は、久しく、平和を憎む者とともに住んでいた。 + 私は平和を――、私が話すと、彼らは戦いを望むのだ。 + + + (都上りの歌)私は山に向かって目を上げる。私の助けは、どこから来るのだろうか。 + 私の助けは、天地を造られた主から来る。 + 主はあなたの足をよろけさせず、あなたを守る方は、まどろむこともない。 + 見よ。イスラエルを守る方は、まどろむこともなく、眠ることもない。 + 主は、あなたを守る方。主は、あなたの右の手をおおう陰。 + 昼も、日が、あなたを打つことがなく、夜も、月が、あなたを打つことはない。 + 主は、すべてのわざわいから、あなたを守り、あなたのいのちを守られる。 + 主は、あなたを、行くにも帰るにも、今よりとこしえまでも守られる。 + + + (都上りの歌。ダビデによる)人々が私に、「さあ、主の家に行こう」と言ったとき、私は喜んだ。 + エルサレムよ。私たちの足は、おまえの門のうちに立っている。 + エルサレム、それは、よくまとめられた町として建てられている。 + そこに、多くの部族、主の部族が、上って来る。イスラエルのあかしとして、主の御名に感謝するために。 + そこには、さばきの座、ダビデの家の王座があったからだ。 + エルサレムの平和のために祈れ。「おまえを愛する人々が栄えるように。 + おまえの城壁のうちには、平和があるように。おまえの宮殿のうちには、繁栄があるように。」 + 私の兄弟、私の友人のために、さあ、私は言おう。「おまえのうちに平和があるように。」 + 私たちの神、主の家のために、私は、おまえの繁栄を求めよう。 + + + (都上りの歌)あなたに向かって、私は目を上げます。天の御座に着いておられる方よ。 + ご覧ください。奴隷の目が主人の手に向けられ、女奴隷の目が女主人の手に向けられているように、私たちの目は私たちの神、主に向けられています。主が私たちをあわれまれるまで。 + 私たちをあわれんでください。主よ。私たちをあわれんでください。私たちはさげすみで、もういっぱいです。 + 私たちのたましいは、安逸をむさぼる者たちのあざけりと、高ぶる者たちのさげすみとで、もういっぱいです。 + + + (都上りの歌。ダビデによる)「もしも主が私たちの味方でなかったなら。」さあ、イスラエルは言え。 + 「もしも主が私たちの味方でなかったなら、人々が私たちに逆らって立ち上がったとき、 + そのとき、彼らは私たちを生きたままのみこんだであろう。彼らの怒りが私たちに向かって燃え上がったとき、 + そのとき、大水は私たちを押し流し、流れは私たちを越えて行ったであろう。 + そのとき、荒れ狂う水は私たちを越えて行ったであろう。」 + ほむべきかな。主。主は私たちを彼らの歯のえじきにされなかった。 + 私たちは仕掛けられたわなから鳥のように助け出された。わなは破られ、私たちは助け出された。 + 私たちの助けは、天地を造られた主の御名にある。 + + + (都上りの歌)主に信頼する人々はシオンの山のようだ。ゆるぐことなく、とこしえにながらえる。 + 山々がエルサレムを取り囲むように、主は御民を今よりとこしえまでも囲まれる。 + 悪の杖が正しい者の地所の上にとどまることなく、正しい者が不正なことに、手を伸ばさないためである。 + 主よ。善良な人々や心の直ぐな人々に、いつくしみを施してください。 + しかし、主は、曲がった道にそれる者どもを不法を行う者どもとともに、連れ去られよう。イスラエルの上に平和があるように。 + + + (都上りの歌)主がシオンの繁栄を元どおりにされたとき、私たちは夢を見ている者のようであった。 + そのとき、私たちの口は笑いで満たされ、私たちの舌は喜びの叫びで満たされた。そのとき、国々の間で、人々は言った。「主は彼らのために大いなることをなされた。」 + 主は私たちのために大いなることをなされ、私たちは喜んだ。 + 主よ。ネゲブの流れのように、私たちの繁栄を元どおりにしてください。 + 涙とともに種を蒔く者は、喜び叫びながら刈り取ろう。 + 種入れをかかえ、泣きながら出て行く者は、束をかかえ、喜び叫びながら帰って来る。 + + + (都上りの歌。ソロモンによる)主が家を建てるのでなければ、建てる者の働きはむなしい。主が町を守るのでなければ、守る者の見張りはむなしい。 + あなたがたが早く起きるのも、おそく休むのも、辛苦の糧を食べるのも、それはむなしい。主はその愛する者には、眠っている間に、このように備えてくださる。 + 見よ。子どもたちは主の賜物、胎の実は報酬である。 + 若い時の子らはまさに勇士の手にある矢のようだ。 + 幸いなことよ。矢筒をその矢で満たしている人は。彼らは、門で敵と語る時にも、恥を見ることがない。 + + + (都上りの歌)幸いなことよ。すべて主を恐れ、主の道を歩む者は。 + あなたは、自分の手の勤労の実を食べるとき、幸福で、しあわせであろう。 + あなたの妻は、あなたの家の奥にいて、豊かに実を結ぶぶどうの木のようだ。あなたの子らは、あなたの食卓を囲んで、オリーブの木を囲む若木のようだ。 + 見よ。主を恐れる人は、確かに、このように祝福を受ける。 + 主はシオンからあなたを祝福される。あなたは、いのちの日の限り、エルサレムの繁栄を見よ。 + あなたの子らの子たちを見よ。イスラエルの上に平和があるように。 + + + (都上りの歌)「彼らは私の若いころからひどく私を苦しめた。」さあ、イスラエルは言え。 + 「彼らは私の若いころからひどく私を苦しめた。彼らは私に勝てなかった。 + 耕す者は私の背に鋤をあて、長いあぜを作った。」 + 主は、正しくあり、悪者の綱を断ち切られた。 + シオンを憎む者はみな、恥を受けて、退け。 + 彼らは伸びないうちに枯れる屋根の草のようになれ。 + 刈り取る者は、そんなものを、つかみはしない。たばねる者も、かかえはしない。 + 通りがかりの人も、「主の祝福があなたがたにあるように。主の名によってあなたがたを祝福します」とは言わない。 + + + (都上りの歌)主よ。深い淵から、私はあなたを呼び求めます。 + 主よ。私の声を聞いてください。私の願いの声に耳を傾けてください。 + 主よ。あなたがもし、不義に目を留められるなら、主よ、だれが御前に立ちえましょう。 + しかし、あなたが赦してくださるからこそあなたは人に恐れられます。 + 私は主を待ち望みます。私のたましいは、待ち望みます。私は主のみことばを待ちます。 + 私のたましいは、夜回りが夜明けを待つのにまさり、まことに、夜回りが夜明けを待つのにまさって、主を待ちます。 + イスラエルよ。主を待て。主には恵みがあり、豊かな贖いがある。 + 主は、すべての不義からイスラエルを贖い出される。 + + + (都上りの歌。ダビデによる)主よ。私の心は誇らず、私の目は高ぶりません。及びもつかない大きなことや、奇しいことに、私は深入りしません。 + まことに私は、自分のたましいを和らげ、静めました。乳離れした子が母親の前にいるように、私のたましいは乳離れした子のように私の前におります。 + イスラエルよ。今よりとこしえまで主を待て。 + + + (都上りの歌)主よ。ダビデのために、彼のすべての苦しみを思い出してください。 + 彼は主に誓い、ヤコブの全能者に誓いを立てました。 + 「私は決して、わが家の天幕に入りません。私のために備えられた寝床にも上がりません。 + 私の目に眠りを与えません。私のまぶたにまどろみをも。 + 私が主のために、一つの場所を見いだし、ヤコブの全能者のために、御住まいを見いだすまでは。」 + 今や、私たちはエフラテでそれを聞き、ヤアルの野で、それを見いだした。 + さあ、主の住まいに行き、主の足台のもとにひれ伏そう。 + 主よ。立ち上がってください。あなたの安息の場所に、お入りください。あなたと、あなたの御力の箱も。 + あなたの祭司たちは、義を身にまとい、あなたの聖徒たちは、喜び歌いますように。 + あなたのしもべダビデのために、あなたに油そそがれた者の顔を、うしろへ向けないでください。 + 主はダビデに誓われた。それは、主が取り消すことのない真理である。「あなたの身から出る子をあなたの位に着かせよう。 + もし、あなたの子らが、わたしの契約と、わたしの教えるさとしを守るなら、彼らの子らもまた、とこしえにあなたの位に着くであろう。」 + 主はシオンを選び、それをご自分の住みかとして望まれた。 + 「これはとこしえに、わたしの安息の場所、ここにわたしは住もう。わたしがそれを望んだから。 + わたしは豊かにシオンの食物を祝福し、その貧しい者をパンで満ち足らせよう。 + その祭司らに救いを着せよう。その聖徒らは大いに喜び歌おう。 + そこにわたしはダビデのために、一つの角を生えさせよう。わたしは、わたしに油そそがれた者のために、一つのともしびを備えている。 + わたしは彼の敵に恥を着せる。しかし、彼の上には、彼の冠が光り輝くであろう。」 + + + (都上りの歌。ダビデによる)見よ。兄弟たちが一つになって共に住むことは、なんというしあわせ、なんという楽しさであろう。 + それは頭の上にそそがれた尊い油のようだ。それはひげに、アロンのひげに流れてその衣のえりにまで流れしたたる。 + それはまたシオンの山々におりるヘルモンの露にも似ている。主がそこにとこしえのいのちの祝福を命じられたからである。 + + + (都上りの歌)さあ、主をほめたたえよ。主のすべてのしもべたち、夜ごとに主の家で仕える者たちよ。 + 聖所に向かってあなたがたの手を上げ、主をほめたたえよ。 + 天地を造られた主がシオンからあなたを祝福されるように。 + + + ハレルヤ。主の御名をほめたたえよ。ほめたたえよ。主のしもべたち。 + 主の家で仕え、私たちの神の家の大庭で仕える者よ。 + ハレルヤ。主はまことにいつくしみ深い。主の御名にほめ歌を歌え。その御名はいかにも麗しい。 + まことに、主はヤコブを選び、ご自分のものとされ、イスラエルを選んで、ご自分の宝とされた。 + まことに、私は知る。主は大いなる方、私たちの主はすべての神々にまさっておられる。 + 主は望むところをことごとく行われる。天で、地で、海で、またすべての淵で。 + 主は地の果てから、雲を上らせ、雨のためにいなずまを造り、その倉から風を出される。 + 主はエジプトの初子を人から獣に至るまで打たれた。 + エジプトよ。おまえの真っただ中に、主はしるしと奇蹟を送られた。パロとそのすべてのしもべらに。 + 主は多くの国々を打ち、力ある王たちを殺された。 + エモリ人の王シホン、バシャンの王オグ、カナンのすべての王国を。 + 主は彼らの地を、相続の地とし、御民イスラエルに相続の地として与えられた。 + 主よ。あなたの御名はとこしえまで、主よ。あなたの呼び名は代々に及びます。 + まことに、主はご自分の民をさばき、そのしもべらをあわれまれます。 + 異邦の民の偶像は、銀や金で、人の手のわざです。 + 口があっても語れず、目があっても見えません。 + 耳があっても聞こえず、また、その口には息がありません。 + これを造る者もこれに信頼する者もみな、これと同じです。 + イスラエルの家よ。主をほめたたえよ。アロンの家よ。主をほめたたえよ。 + レビの家よ。主をほめたたえよ。主を恐れる者よ。主をほめたたえよ。 + ほむべきかな。主。シオンにて。エルサレムに住む方。ハレルヤ。 + + + 主に感謝せよ。主はまことにいつくしみ深い。その恵みはとこしえまで。 + 神の神であられる方に感謝せよ。その恵みはとこしえまで。 + 主の主であられる方に感謝せよ。その恵みはとこしえまで。 + ただひとり、大いなる不思議を行われる方に。その恵みはとこしえまで。 + 英知をもって天を造られた方に。その恵みはとこしえまで。 + 地を水の上に敷かれた方に。その恵みはとこしえまで。 + 大いなる光を造られた方に。その恵みはとこしえまで。 + 昼を治める太陽を造られた方に。その恵みはとこしえまで。 + 夜を治める月と星を造られた方に。その恵みはとこしえまで。 + エジプトの初子を打たれた方に。その恵みはとこしえまで。 + 主はイスラエルをエジプトの真ん中から連れ出された。その恵みはとこしえまで。 + 力強い手と差し伸ばされた腕をもって。その恵みはとこしえまで。 + 葦の海を二つに分けられた方に。その恵みはとこしえまで。 + 主はイスラエルにその中を通らせられた。その恵みはとこしえまで。 + パロとその軍勢を葦の海に投げ込まれた。その恵みはとこしえまで。 + 荒野で御民を導かれた方に。その恵みはとこしえまで。 + 大いなる王たちを打たれた方に。その恵みはとこしえまで。 + 主は力ある王たちを、殺された。その恵みはとこしえまで。 + エモリ人の王シホンを殺された。その恵みはとこしえまで。 + バシャンの王オグを殺された。その恵みはとこしえまで。 + 主は彼らの地を、相続の地として与えられた。その恵みはとこしえまで。 + 主のしもべイスラエルに相続の地として。その恵みはとこしえまで。 + 主は私たちが卑しめられたとき、私たちを御心に留められた。その恵みはとこしえまで。 + 主は私たちを敵から救い出された。その恵みはとこしえまで。 + 主はすべての肉なる者に食物を与えられる。その恵みはとこしえまで。 + 天の神に感謝せよ。その恵みはとこしえまで。 + + + バビロンの川のほとり、そこで、私たちはすわり、シオンを思い出して泣いた。 + その柳の木々に私たちは立琴を掛けた。 + それは、私たちを捕らえ移した者たちが、そこで、私たちに歌を求め、私たちを苦しめる者たちが、興を求めて、「シオンの歌を一つ歌え」と言ったからだ。 + 私たちがどうして、異国の地にあって主の歌を歌えようか。 + エルサレムよ。もしも、私がおまえを忘れたら、私の右手がその巧みさを忘れるように。 + もしも、私がおまえを思い出さず、私がエルサレムを最上の喜びにもまさってたたえないなら、私の舌が上あごについてしまうように。 + 主よ。エルサレムの日に、「破壊せよ、破壊せよ、その基までも」と言ったエドムの子らを思い出してください。 + バビロンの娘よ。荒れ果てた者よ。おまえの私たちへの仕打ちを、おまえに仕返しする人は、なんと幸いなことよ。 + おまえの子どもたちを捕らえ、岩に打ちつける人は、なんと幸いなことよ。 + + + (ダビデによる)私は心を尽くしてあなたに感謝します。天使たちの前であなたをほめ歌います。 + 私はあなたの聖なる宮に向かってひれ伏し、あなたの恵みとまことをあなたの御名に感謝します。あなたは、ご自分のすべての御名のゆえに、あなたのみことばを高く上げられたからです。 + 私が呼んだその日に、あなたは私に答え、私のたましいに力を与えて強くされました。 + 主よ。地のすべての王たちは、あなたに感謝しましょう。彼らがあなたの口のみことばを聞いたからです。 + 彼らは主の道について歌うでしょう。主の栄光が大きいからです。 + まことに、主は高くあられるが、低い者を顧みてくださいます。しかし、高ぶる者を遠くから見抜かれます。 + 私が苦しみの中を歩いても、あなたは私を生かしてくださいます。私の敵の怒りに向かって御手を伸ばし、あなたの右の手が私を救ってくださいます。 + 主は私にかかわるすべてのことを、成し遂げてくださいます。主よ。あなたの恵みはとこしえにあります。あなたの御手のわざを捨てないでください。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)主よ。あなたは私を探り、私を知っておられます。 + あなたこそは私のすわるのも、立つのも知っておられ、私の思いを遠くから読み取られます。 + あなたは私の歩みと私の伏すのを見守り、私の道をことごとく知っておられます。 + ことばが私の舌にのぼる前に、なんと主よ、あなたはそれをことごとく知っておられます。 + あなたは前からうしろから私を取り囲み、御手を私の上に置かれました。 + そのような知識は私にとってあまりにも不思議、あまりにも高くて、及びもつきません。 + 私はあなたの御霊から離れて、どこへ行けましょう。私はあなたの御前を離れて、どこへのがれましょう。 + たとい、私が天に上っても、そこにあなたはおられ、私がよみに床を設けても、そこにあなたはおられます。 + 私が暁の翼をかって、海の果てに住んでも、 + そこでも、あなたの御手が私を導き、あなたの右の手が私を捕らえます。 + たとい私が「おお、やみよ。私をおおえ。私の回りの光よ。夜となれ」と言っても、 + あなたにとっては、やみも暗くなく夜は昼のように明るいのです。暗やみも光も同じことです。 + それはあなたが私の内臓を造り、母の胎のうちで私を組み立てられたからです。 + 私は感謝します。あなたは私に、奇しいことをなさって恐ろしいほどです。私のたましいは、それをよく知っています。 + 私がひそかに造られ、地の深い所で仕組まれたとき、私の骨組みはあなたに隠れてはいませんでした。 + あなたの目は胎児の私を見られ、あなたの書物にすべてが、書きしるされました。私のために作られた日々が、しかも、その一日もないうちに。 + 神よ。あなたの御思いを知るのはなんとむずかしいことでしょう。その総計は、なんと多いことでしょう。 + それを数えようとしても、それは砂よりも数多いのです。私が目ざめるとき、私はなおも、あなたとともにいます。 + 神よ。どうか悪者を殺してください。血を流す者どもよ。私から離れて行け。 + 彼らはあなたに悪口を言い、あなたの敵は、みだりに御名を口にします。 + 主よ。私は、あなたを憎む者たちを憎まないでしょうか。私は、あなたに立ち向かう者を忌みきらわないでしょうか。 + 私は憎しみの限りを尽くして彼らを憎みます。彼らは私の敵となりました。 + 神よ。私を探り、私の心を知ってください。私を調べ、私の思い煩いを知ってください。 + 私のうちに傷のついた道があるか、ないかを見て、私をとこしえの道に導いてください。 + + + (指揮者のために。ダビデの賛歌)主よ。私をよこしまな人から助け出し、暴虐の者から、私を守ってください。 + 彼らは心の中で悪をたくらみ、日ごとに戦いを仕掛けています。 + 蛇のように、その舌を鋭くし、そのくちびるの下には、まむしの毒があります。セラ + 主よ。私を悪者の手から守り、暴虐の者から、私を守ってください。彼らは私の足を押し倒そうとたくらんでいます。 + 高ぶる者は、私にわなと綱を仕掛け、道ばたに網を広げ、私に落とし穴を設けました。セラ + 私は主に申し上げます。「あなたは私の神。主よ。私の願いの声を聞いてください。 + 私の主、神、わが救いの力よ。あなたは私が武器をとる日に、私の頭をおおわれました。 + 主よ。悪者の願いをかなえさせないでください。そのたくらみを遂げさせないでください。彼らは高ぶっています。セラ + 私を取り囲んでいる者の頭。これを彼のくちびるの害毒がおおいますように。 + 燃えている炭火が彼らの上にふりかかりますように。彼らが火の中に、また、深い淵に落とされ、彼らが立ち上がれないようにしてください。 + そしる者が地上で栄えないように。わざわいが暴虐の者を急いで捕らえるようにしてください。」 + 私は知っています。主は悩む者の訴えを支持し、貧しい者に、さばきを行われることを。 + まことに、正しい者はあなたの御名に感謝し、直ぐな人はあなたの御前に住むでしょう。 + + + (ダビデの賛歌)主よ。私はあなたを呼び求めます。私のところに急いでください。私があなたに呼ばわるとき、私の声を聞いてください。 + 私の祈りが、御前への香として、私が手を上げることが、夕べのささげ物として立ち上りますように。 + 主よ。私の口に見張りを置き、私のくちびるの戸を守ってください。 + 私の心を悪いことに向けさせず、不法を行う者どもとともに、悪い行いに携わらないようにしてください。私が彼らのうまい物を食べないようにしてください。 + 正しい者が愛情をもって私を打ち、私を責めますように。それは頭にそそがれる油です。私の頭がそれを拒まないようにしてください。彼らが悪行を重ねても、なおも私は祈ります。 + 彼らのさばきづかさらが岩のかたわらに投げ落とされたとき、彼らは私のいかにも喜ばしいことばを聞くことでしょう。 + 人が地を掘り起こして砕くときのように、私たちの骨はよみの入口にまき散らされました。 + 私の主、神よ。まことに、私の目はあなたに向いています。私はあなたに身を避けます。私を放り出さないでください。 + どうか、彼らが私に仕掛けたわなから、不法を行う者の落とし穴から、私を守ってください。 + 私が通り過ぎるそのときに、悪者はおのれ自身の網に落ち込みますように。 + + + (ダビデのマスキール。彼が洞窟にいたときに。祈り)私は主に向かい、声をあげて叫びます。声をあげ、主にあわれみを請います。 + 私は御前に自分の嘆きを注ぎ出し、私の苦しみを御前に言い表します。 + 私の霊が私のうちで衰え果てたとき、あなたこそ、私の道を知っておられる方です。私が歩く、その道に、彼らは、私に、わなを仕掛けているのです。 + 私の右のほうに目を注いで、見てください。私を顧みる者もなく、私の逃げる所もなくなり、私のたましいに気を配る者もいません。 + 主よ。私はあなたに叫んで、言いました。「あなたは私の避け所、生ける者の地で、私の分の土地です。 + 私の叫びに耳を留めてください。私はひどく、おとしめられていますから。どうか、私を迫害する者から救い出してください。彼らは私よりも強いのです。 + 私のたましいを、牢獄から連れ出し、私があなたの御名に感謝するようにしてください。正しい者たちが私の回りに集まることでしょう。あなたが私に良くしてくださるからです。」 + + + (ダビデの賛歌)主よ。私の祈りを聞き、私の願いに耳を傾けてください。あなたの真実と義によって、私に答えてください。 + あなたのしもべをさばきにかけないでください。生ける者はだれひとり、あなたの前に義と認められないからです。 + 敵は私のたましいを追いつめ、私のいのちを地に打ち砕き、長く死んでいる者のように、私を暗い所に住まわせたからです。 + それゆえ、私の霊は私のうちで衰え果て、私の心は私のうちでこわばりました。 + 私は昔の日々を思い出し、あなたのなさったすべてのことに思いを巡らし、あなたの御手のわざを静かに考えています。 + あなたに向かって、私は手を差し伸べ、私のたましいは、かわききった地のように、あなたを慕います。セラ + 主よ。早く私に答えてください。私の霊は滅びてしまいます。どうか、御顔を私に隠さないでください。私が穴に下る者と等しくならないため。 + 朝にあなたの恵みを聞かせてください。私はあなたに信頼していますから。私に行くべき道を知らせてください。私のたましいはあなたを仰いでいますから。 + 主よ。私を敵から救い出してください。私はあなたの中に、身を隠します。 + あなたのみこころを行うことを教えてください。あなたこそ私の神であられますから。あなたのいつくしみ深い霊が、平らな地に私を導いてくださるように。 + 主よ。あなたの御名のゆえに、私を生かし、あなたの義によって、私のたましいを苦しみから連れ出してください。 + あなたの恵みによって、私の敵を滅ぼし、私のたましいに敵対するすべての者を消し去ってください。私はあなたのしもべですから。 + + + (ダビデによる)ほむべきかな。わが岩である主。主は、戦いのために私の手を、いくさのために私の指を、鍛えられる。 + 主は私の恵み、私のとりで。私のやぐら、私を救う方。私の盾、私の身の避け所。私の民を私に服させる方。 + 主よ。人とは何者なのでしょう。あなたがこれを知っておられるとは。人の子とは何者なのでしょう。あなたがこれを顧みられるとは。 + 人はただ息に似て、その日々は過ぎ去る影のようです。 + 主よ。あなたの天を押し曲げて降りて来てください。山々に触れて、煙を出させてください。 + いなずまを放って、彼らを散らし、あなたの矢を放って、彼らをかき乱してください。 + いと高き所からあなたの御手を伸べ、大水から、また外国人の手から、私を解き放し、救い出してください。 + 彼らの口はうそを言い、その右の手は偽りの右の手です。 + 神よ。あなたに、私は新しい歌を歌い、十弦の琴をもってあなたに、ほめ歌を歌います。 + 神は王たちに救いを与え、神のしもべダビデを、悪の剣から解き放されます。 + 私を、外国人の手から解き放し、救い出してください。彼らの口はうそを言い、その右の手は偽りの右の手です。 + 私たちの息子らが、若いときに、よく育った若木のようになりますように。私たちの娘らが、宮殿の建物にふさわしく刻まれた隅の柱のようになりますように。 + 私たちの倉は満ち、あらゆる産物を備えますように。私たちの羊の群れは、私たちの野原で、幾千幾万となりますように。 + 私たちの牛が子牛を産み、死ぬこともなく、出て行くこともなく、また、哀れな叫び声が私たちの町にありませんように。 + 幸いなことよ。このようになる民は。幸いなことよ。主をおのれの神とするその民は。 + + + (ダビデの賛美)私の神、王よ。私はあなたをあがめます。あなたの御名を世々限りなく、ほめたたえます。 + 日ごとにあなたをほめたたえ、あなたの御名を世々限りなく賛美します。 + 主は大いなる方。大いに賛美されるべき方。その偉大さを測り知ることができません。 + 代は代へと、あなたのみわざをほめ歌い、あなたの大能のわざを告げ知らせるでしょう。 + 私は栄光輝くあなたの主権と、あなたの奇しいわざに思いを潜めます。 + 人々はあなたの恐ろしいみわざの力を語り、私はあなたの偉大さを述べるでしょう。 + 人々はあなたの豊かないつくしみの思い出を熱心に語り、あなたの義を高らかに歌うでしょう。 + 主は情け深く、あわれみ深く、怒るのにおそく、恵みに富んでおられます。 + 主はすべてのものにいつくしみ深く、そのあわれみは、造られたすべてのものの上にあります。 + 主よ。あなたの造られたすべてのものは、あなたに感謝し、あなたの聖徒はあなたをほめたたえます。 + 彼らはあなたの王国の栄光を告げ、あなたの大能のわざを、語るでしょう。 + こうして人の子らに、主の大能のわざと、主の王国の輝かしい栄光を、知らせましょう。 + あなたの王国は、永遠にわたる王国。あなたの統治は、代々限りなく続きます。 + 主は倒れる者をみなささえ、かがんでいる者をみな起こされます。 + すべての目は、あなたを待ち望んでいます。あなたは時にかなって、彼らに食物を与えられます。 + あなたは御手を開き、すべての生けるものの願いを満たされます。 + 主はご自分のすべての道において正しく、またすべてのみわざにおいて恵み深い。 + 主を呼び求める者すべて、まことをもって主を呼び求める者すべてに主は近くあられる。 + また主を恐れる者の願いをかなえ、彼らの叫びを聞いて、救われる。 + すべて主を愛する者は主が守られる。しかし、悪者はすべて滅ぼされる。 + 私の口が主の誉れを語り、すべて肉なる者が聖なる御名を世々限りなくほめたたえますように。 + + + ハレルヤ。私のたましいよ。主をほめたたえよ。 + 私は生きているかぎり、主をほめたたえよう。いのちのあるかぎり、私の神に、ほめ歌を歌おう。 + 君主たちにたよってはならない。救いのない人間の子に。 + 霊が出て行くと、人はおのれの土に帰り、その日のうちに彼のもろもろの計画は滅びうせる。 + 幸いなことよ。ヤコブの神を助けとし、その神、主に望みを置く者は。 + 主は天と地と海とその中のいっさいを造った方。とこしえまでも真実を守り、 + しいたげられる者のためにさばきを行い、飢えた者にパンを与える方。主は捕らわれ人を解放される。 + 主は盲人の目をあけ、主はかがんでいる者を起こされる。主は正しい者を愛し、 + 主は在留異国人を守り、みなしごとやもめをささえられる。しかし主は悪者の道を曲げられる。 + 主は、とこしえまでも統べ治められる。シオンよ。あなたの神は代々にいます。ハレルヤ。 + + + ハレルヤ。まことに、われらの神にほめ歌を歌うのは良い。まことに楽しく、賛美は麗しい。 + 主はエルサレムを建てイスラエルの追い散らされた者を集める。 + 主は心の打ち砕かれた者をいやし彼らの傷を包む。 + 主は星の数を数え、そのすべてに名をつける。 + われらの主は偉大であり、力に富み、その英知は測りがたい。 + 主は心の貧しい者をささえ、悪者を地面に引き降ろす。 + 感謝をもって主に歌え。立琴でわれらの神にほめ歌を歌え。 + 神は雲で天をおおい、地のために雨を備え、また、山々に草を生えさせ、 + 獣に、また、鳴く烏の子に食物を与える方。 + 神は馬の力を喜ばず、歩兵を好まない。 + 主を恐れる者と御恵みを待ち望む者とを主は好まれる。 + エルサレムよ。主をほめ歌え。シオンよ。あなたの神をほめたたえよ。 + 主は、あなたの門のかんぬきを強め、あなたの中にいる子らを祝福しておられるからだ。 + 主は、あなたの地境に平和を置き、最良の小麦であなたを満たされる。 + 主は地に命令を送られる。そのことばはすみやかに走る。 + 主は羊毛のように雪を降らせ、灰のように霜をまかれる。 + 主は氷をパンくずのように投げつける。だれがその寒さに耐ええようか。 + 主が、みことばを送って、これらを溶かし、ご自分の風を吹かせると、水は流れる。 + 主はヤコブには、みことばを、イスラエルには、おきてとさばきを告げられる。 + 主は、どんな国々にも、このようには、なさらなかった。さばきについて彼らは知っていない。ハレルヤ。 + + + ハレルヤ。天において主をほめたたえよ。いと高き所で主をほめたたえよ。 + 主をほめたたえよ。すべての御使いよ。主をほめたたえよ。主の万軍よ。 + 主をほめたたえよ。日よ。月よ。主をほめたたえよ。すべての輝く星よ。 + 主をほめたたえよ。天の天よ。天の上にある水よ。 + 彼らに主の名をほめたたえさせよ。主が命じて、彼らが造られた。 + 主は彼らを、世々限りなく立てられた。主は過ぎ去ることのない定めを置かれた。 + 地において主をほめたたえよ。海の巨獣よ。すべての淵よ。 + 火よ。雹よ。雪よ。煙よ。みことばを行うあらしよ。 + 山々よ。すべての丘よ。実のなる木よ。すべての杉よ。 + 獣よ。すべての家畜よ。はうものよ。翼のある鳥よ。 + 地の王たちよ。すべての国民よ。君主たちよ。地のすべてのさばきづかさよ。 + 若い男よ。若い女よ。年老いた者と幼い者よ。 + 彼らに主の名をほめたたえさせよ。主の御名だけがあがめられ、その威光は地と天の上にあるからだ。 + 主は、その民の角を上げられた。主のすべての聖徒たち、主の近くにいる民、イスラエルの子らの賛美を。ハレルヤ。 + + + ハレルヤ。主に新しい歌を歌え。聖徒の集まりで主への賛美を。 + イスラエルは、おのれの造り主にあって喜べ。シオンの子らは、おのれの王にあって楽しめ。 + 踊りをもって、御名を賛美せよ。タンバリンと立琴をかなでて、主にほめ歌を歌え。 + 主は、ご自分の民を愛し、救いをもって貧しい者を飾られる。 + 聖徒たちは栄光の中で喜び勇め。おのれの床の上で、高らかに歌え。 + 彼らの口には、神への称賛、彼らの手には、もろ刃の剣があるように。 + それは国々に復讐し、国民を懲らすため、 + また、鎖で彼らの王たちを、鉄のかせで彼らの貴族たちを縛るため。 + また書きしるされたさばきを彼らの間で行うため。それは、すべての聖徒の誉れである。ハレルヤ。 + + + ハレルヤ。神の聖所で、神をほめたたえよ。御力の大空で、神をほめたたえよ。 + その大能のみわざのゆえに、神をほめたたえよ。そのすぐれた偉大さのゆえに、神をほめたたえよ。 + 角笛を吹き鳴らして、神をほめたたえよ。十弦の琴と立琴をかなでて、神をほめたたえよ。 + タンバリンと踊りをもって、神をほめたたえよ。緒琴と笛とで、神をほめたたえよ。 + 音の高いシンバルで、神をほめたたえよ。鳴り響くシンバルで、神をほめたたえよ。 + 息のあるものはみな、主をほめたたえよ。ハレルヤ。 + +
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+ + イスラエルの王、ダビデの子、ソロモンの箴言。 + これは、知恵と訓戒とを学び、悟りのことばを理解するためであり、 + 正義と公義と公正と、思慮ある訓戒を体得するためであり、 + わきまえのない者に分別を与え、若い者に知識と思慮を得させるためである。 + 知恵のある者はこれを聞いて理解を深め、悟りのある者は指導を得る。 + これは箴言と、比喩と、知恵のある者のことばと、そのなぞとを/理解するためである。 + 主を恐れることは知識の初めである。/愚か者は知恵と訓戒をさげすむ。 + わが子よ。あなたの父の訓戒に聞き従え。/あなたの母の教えを捨ててはならない。 + それらは、あなたの頭の麗しい花輪、あなたの首飾りである。 + わが子よ。罪人たちがあなたを惑わしても、彼らに従ってはならない。 + もしも、彼らがこう言っても。「いっしょに来い。/われわれは人の血を流すために待ち伏せし、罪のない者を、理由もなく、こっそりねらい、 + よみのように、彼らを生きたままで、のみこみ、墓に下る者のように、彼らをそのまま丸のみにしよう。 + あらゆる宝物を見つけ出し、分捕り物で、われわれの家を満たそう。 + おまえも、われわれの間でくじを引き、われわれみなで一つの財布を持とう。」 + わが子よ。/彼らといっしょに道を歩いてはならない。/あなたの足を/彼らの通り道に踏み入れてはならない。 + 彼らの足は悪に走り、血を流そうと急いでいるからだ。 + 鳥がみな見ているところで、網を張っても、むだなことだ。 + 彼らは待ち伏せして自分の血を流し、自分のいのちを、こっそり、ねらっているのにすぎない。 + 利得をむさぼる者の道はすべてこのようだ。/こうして、持ち主のいのちを取り去ってしまう。 + 知恵は、ちまたで大声で叫び、広場でその声をあげ、 + 騒がしい町かどで叫び、町の門の入口で語りかけて言う。 + 「わきまえのない者たち。/あなたがたは、いつまで、わきまえのないことを好むのか。/あざける者は、いつまで、あざけりを楽しみ、愚かな者は、いつまで、知識を憎むのか。 + わたしの叱責に心を留めるなら、今すぐ、あなたがたにわたしの霊を注ぎ、あなたがたにわたしのことばを知らせよう。 + わたしが呼んだのに、あなたがたは拒んだ。/わたしは手を伸べたが、顧みる者はない。 + あなたがたはわたしのすべての忠告を無視し、わたしの叱責を受け入れなかった。 + それで、わたしも、あなたがたが災難に会うときに笑い、あなたがたを恐怖が襲うとき、あざけろう。 + 恐怖があらしのようにあなたがたを襲うとき、災難がつむじ風のようにあなたがたを襲うとき、苦難と苦悩があなたがたの上に下るとき、 + そのとき、彼らはわたしを呼ぶが、わたしは答えない。/わたしを捜し求めるが、彼らはわたしを見つけることができない。 + なぜなら、彼らは知識を憎み、主を恐れることを選ばず、 + わたしの忠告を好まず、わたしの叱責を、ことごとく侮ったからである。 + それで、彼らは自分の行いの実を食らい、自分のたくらみに飽きるであろう。 + わきまえのない者の背信は自分を殺し、愚かな者の安心は自分を滅ぼす。 + しかし、わたしに聞き従う者は、安全に住まい、わざわいを恐れることもなく、安らかである。」 + + + わが子よ。もしあなたが、私のことばを受け入れ、私の命令をあなたのうちにたくわえ、 + あなたの耳を知恵に傾け、あなたの心を英知に向けるなら、 + もしあなたが悟りを呼び求め、英知を求めて声をあげ、 + 銀のように、これを捜し、隠された宝のように、これを探り出すなら、 + そのとき、あなたは、主を恐れることを悟り、神の知識を見いだそう。 + 主が知恵を与え、御口を通して知識と英知を与えられるからだ。 + 彼は正しい者のために、すぐれた知性をたくわえ、正しく歩む者の盾となり、 + 公義の小道を保ち、その聖徒たちの道を守る。 + そのとき、あなたは正義と公義と公正と、すべての良い道筋を悟る。 + 知恵があなたの心に入り、知識があなたのたましいを楽しませるからだ。 + 思慮があなたを守り、英知があなたを保って、 + 悪の道からあなたを救い出し、ねじれごとを言う者からあなたを救い出す。 + 彼らはまっすぐな道を捨て、やみの道に歩み、 + 悪を行うことを喜び、悪いねじれごとを楽しむ。 + 彼らの道は曲がり、その道筋は曲がりくねっている。 + あなたは、他人の妻から身を避けよ。/ことばのなめらかな、見知らぬ女から。 + 彼女は若いころの連れ合いを捨て、その神との契約を忘れている。 + 彼女の家は死に下り、その道筋はやみにつながる。 + 彼女のもとへ行く者はだれも帰って来ない。/いのちの道に至らない。 + だから、あなたは良い人々の道に歩み、正しい人々の道を守るがよい。 + 正直な人は地に住みつき、潔白な人は地に生き残る。 + しかし、悪者どもは地から絶やされ、裏切り者は地から根こぎにされる。 + + + わが子よ。私のおしえを忘れるな。/私の命令を心に留めよ。 + そうすれば、あなたに長い日と、いのちの年と平安が増し加えられる。 + 恵みとまことを捨ててはならない。/それをあなたの首に結び、あなたの心の板に書きしるせ。 + 神と人との前に/好意と聡明を得よ。 + 心を尽くして主に拠り頼め。/自分の悟りにたよるな。 + あなたの行く所どこにおいても、主を認めよ。/そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにされる。 + 自分を知恵のある者と思うな。/主を恐れて、悪から離れよ。 + それはあなたのからだを健康にし、あなたの骨に元気をつける。 + あなたの財産とすべての収穫の初物で、主をあがめよ。 + そうすれば、あなたの倉は豊かに満たされ、あなたの酒ぶねは新しいぶどう酒であふれる。 + わが子よ。主の懲らしめをないがしろにするな。/その叱責をいとうな。 + 父がかわいがる子をしかるように、主は愛する者をしかる。 + 幸いなことよ。知恵を見いだす人、英知をいただく人は。 + それの儲けは銀の儲けにまさり、その収穫は黄金にまさるからだ。 + 知恵は真珠よりも尊く、あなたの望むどんなものも、これとは比べられない。 + その右の手には長寿があり、その左の手には富と誉れがある。 + その道は楽しい道であり、その通り道はみな平安である。 + 知恵は、これを堅く握る者には/いのちの木である。/これをつかんでいる者は幸いである。 + 主は知恵をもって地の基を定め、英知をもって天を堅く立てられた。 + 深淵はその知識によって張り裂け、雲は露を注ぐ。 + わが子よ。すぐれた知性と思慮とをよく見張り、これらを見失うな。 + それらは、あなたのたましいのいのちとなり、あなたの首の麗しさとなる。 + こうして、あなたは安らかに自分の道を歩み、あなたの足はつまずかない。 + あなたが横たわるとき、あなたに恐れはない。/休むとき、眠りは、ここちよい。 + にわかに起こる恐怖におびえるな。/悪者どもが襲いかかってもおびえるな。 + 主があなたのわきにおられ、あなたの足がわなにかからないように、守ってくださるからだ。 + あなたの手に善を行う力があるとき、求める者に、それを拒むな。 + あなたに財産があるとき、あなたの隣人に向かい、「去って、また来なさい。/あす、あげよう」と言うな。 + あなたの隣人が、あなたのそばで/安心して住んでいるとき、その人に、悪をたくらんではならない。 + あなたに悪いしうちをしていないのなら、理由もなく、人と争うな。 + 暴虐の者をうらやむな。/そのすべての道を選ぶな。 + 主は、よこしまな者を忌みきらい、直ぐな者と親しくされるからだ。 + 悪者の家には、主ののろいがある。/正しい人の住まいは、主が祝福される。 + あざける者を主はあざけり、へりくだる者には恵みを授ける。 + 知恵のある者は誉れを受け継ぎ、愚かな者は恥を得る。 + + + 子どもらよ。父の訓戒に聞き従い、悟りを得るように心がけよ。 + 私は良い教訓をあなたがたに授けるからだ。/私のおしえを捨ててはならない。 + 私が、私の父には、子であり、私の母にとっては、おとなしいひとり子であったとき、 + 父は私を教えて言った。/「私のことばを心に留め、私の命令を守って、生きよ。 + 知恵を得よ。悟りを得よ。忘れてはならない。/私の口の授けたことばからそれてはならない。 + 知恵を捨てるな。/それがあなたを守る。/これを愛せ。これがあなたを保つ。 + 知恵の初めに、知恵を得よ。/あなたのすべての財産をかけて、悟りを得よ。 + それを尊べ。/そうすれば、それはあなたを高めてくれる。/それを抱きしめると、それはあなたに誉れを与える。 + それはあなたの頭に麗しい花輪を与え、光栄の冠をあなたに授けよう。」 + わが子よ。聞け。私の言うことを受け入れよ。/そうすれば、あなたのいのちの年は多くなる。 + 私は知恵の道をあなたに教え、正しい道筋にあなたを導いた。 + あなたが歩むとき、その歩みは妨げられず、走るときにも、つまずくことはない。 + 訓戒を堅く握って、手放すな。/それを見守れ。それはあなたのいのちだから。 + 悪者どもの道に入るな。/悪人たちの道を歩むな。 + それを無視せよ。そこを通るな。/それを避けて通れ。 + 彼らは悪を行わなければ、眠ることができず、人をつまずかせなければ、眠りが得られない。 + 彼らは不義のパンを食べ、暴虐の酒を飲むからだ。 + 義人の道は、あけぼのの光のようだ。/いよいよ輝きを増して真昼となる。 + 悪者の道は暗やみのようだ。/彼らは何につまずくかを知らない。 + わが子よ。私のことばをよく聞け。/私の言うことに耳を傾けよ。 + それをあなたの目から離さず、あなたの心のうちに保て。 + 見いだす者には、それはいのちとなり、その全身を健やかにする。 + 力の限り、見張って、あなたの心を見守れ。/いのちの泉はこれからわく。 + 偽りを言う口をあなたから取り除き、曲がったことを言うくちびるを/あなたから切り離せ。 + あなたの目は前方を見つめ、あなたのまぶたはあなたの前をまっすぐに見よ。 + あなたの足の道筋に心を配り、あなたのすべての道を堅く定めよ。 + 右にも左にもそれてはならない。/あなたの足を悪から遠ざけよ。 + + + わが子よ。私の知恵に心を留め、私の英知に耳を傾けよ。 + これは、分別を守り、あなたのくちびるが知識を保つためだ。 + 他国の女のくちびるは蜂の巣の蜜をしたたらせ、その口は油よりもなめらかだ。 + しかし、その終わりは苦よもぎのように苦く、もろ刃の剣のように鋭い。 + その足は死に下り、その歩みはよみに通じている。 + その女はいのちの道に心を配らず、その道筋は確かでないが、彼女はそれを知らない。 + 子どもらよ。今、私に聞け。/私の言うことばから離れるな。 + あなたの道を彼女から遠ざけ、その家の門に近づくな。 + そうでないと、あなたの尊厳を他人に渡し、あなたの年を残忍な者に渡すだろう。 + そうでないと、他国人があなたの富で満たされ、あなたの労苦の実は見知らぬ者の家に渡るだろう。 + そして、あなたの終わりに、あなたの肉とからだが滅びるとき、あなたは嘆くだろう。 + そのとき、あなたは言おう。/「ああ、私は訓戒を憎み、私の心は叱責を侮った。 + 私は私の教師の声に聞き従わず、私を教える者に耳を傾けなかった。 + 私は、集会、会衆のただ中で、ほとんど最悪の状態であった」と。 + あなたの水ためから、水を飲め。/豊かな水をあなたの井戸から。 + あなたの泉を外に散らし、通りを水路にしてよいものか。 + それを自分だけのものにせよ。/あなたのところにいる他国人のものにするな。 + あなたの泉を祝福されたものとし、あなたの若い時の妻と喜び楽しめ。 + 愛らしい雌鹿、いとしいかもしかよ。/その乳房がいつもあなたを酔わせ、いつも彼女の愛に夢中になれ。 + わが子よ。あなたはどうして他国の女に夢中になり、見知らぬ女の胸を抱くのか。 + 人の道は主の目の前にあり、主はその道筋のすべてに心を配っておられる。 + 悪者は自分の咎に捕らえられ、自分の罪のなわにつながれる。 + 彼は懲らしめがないために死に、その愚かさが大きいためにあやまちを犯す。 + + + わが子よ。もし、あなたが/隣人のために保証人となり、他国人のために誓約をし、 + あなたの口のことばによって、あなた自身がわなにかかり、あなたの口のことばによって、捕らえられたなら、 + わが子よ、そのときにはすぐこうして、自分を救い出すがよい。/あなたは隣人の手に陥ったのだから、行って、伏して隣人にしつこくせがむがよい。 + あなたの目を眠らせず、あなたのまぶたをまどろませず、 + かもしかが狩人の手からのがれるように、鳥が鳥を取る者の手からのがれるように/自分を救い出せ。 + なまけ者よ。蟻のところへ行き、そのやり方を見て、知恵を得よ。 + 蟻には首領もつかさも支配者もいないが、 + 夏のうちに食物を確保し、刈り入れ時に食糧を集める。 + なまけ者よ。いつまで寝ているのか。/いつ目をさまして起きるのか。 + しばらく眠り、しばらくまどろみ、しばらく手をこまねいて、また休む。 + だから、あなたの貧しさは浮浪者のように、あなたの乏しさは横着者のようにやって来る。 + よこしまな者や不法の者は、曲がったことを言って歩き回り、 + 目くばせをし、足で合図し、指でさし、 + そのねじれた心は、いつも悪を計り、争いをまき散らす。 + それゆえ、災害は突然やって来て、彼はたちまち滅ぼされ、いやされることはない。 + 主の憎むものが六つある。/いや、主ご自身の忌みきらうものが七つある。 + 高ぶる目、偽りの舌、罪のない者の血を流す手、 + 邪悪な計画を細工する心、悪へ走るに速い足、 + まやかしを吹聴する偽りの証人、兄弟の間に争いをひき起こす者。 + わが子よ。あなたの父の命令を守れ。/あなたの母の教えを捨てるな。 + それをいつも、あなたの心に結び、あなたの首の回りに結びつけよ。 + これは、あなたが歩くとき、あなたを導き、あなたが寝るとき、あなたを見守り、あなたが目ざめるとき、あなたに話しかける。 + 命令はともしびであり、おしえは光であり、訓戒のための叱責はいのちの道であるからだ。 + これはあなたを悪い女から守り、見知らぬ女のなめらかな舌から守る。 + 彼女の美しさを心に慕うな。/そのまぶたに捕らえられるな。 + 遊女はひとかたまりのパンで買えるが、人妻は尊いいのちをあさるからだ。 + 人は火をふところにかき込んで、その着物が焼けないだろうか。 + また人が、熱い火を踏んで、その足が焼けないだろうか。 + 隣の人の妻と姦通する者は、これと同じこと、その女に触れた者はだれでも罰を免れない。 + 盗人が飢え、自分の飢えを満たすために盗んだとしたら、人々はその者をさげすまないであろうか。 + もし、つかまえられたなら、彼は七倍を償い、自分の家の財産をことごとく/与えなければならない。 + 女と姦通する者は思慮に欠けている。/これを行う者は自分自身を滅ぼす。 + 彼は傷と恥辱とを受けて、そのそしりを消し去ることができない。 + 嫉妬が、その夫を激しく憤らせて、夫が復讐するとき、彼を容赦しないからだ。 + 彼はどんな償い物も受けつけず、多くの贈り物をしても、彼は和らがない。 + + + わが子よ。私のことばを守り、私の命令をあなたのうちにたくわえよ。 + 私の命令を守って、生きよ。/私のおしえを、あなたのひとみのように守れ。 + それをあなたの指に結び、あなたの心の板に書きしるせ。 + 知恵に向かって、「あなたは私の姉妹だ」と言い、悟りを「身内の者」と呼べ。 + それは、あなたを他人の妻から守り、ことばのなめらかな見知らぬ女から守るためだ。 + 私が私の家の窓の/格子窓から見おろして、 + わきまえのない者たちを見ていると、若者のうちに、思慮に欠けたひとりの若い者のいるのを認めた。 + 彼は女の家への曲がりかどに近い通りを過ぎ行き、女の家のほうに歩いて行った。 + それは、たそがれの、日の沈むころ、夜がふける、暗やみのころだった。 + すると、遊女の装いをした/心にたくらみのある女が彼を迎えた。 + この女は騒がしくて、御しにくく、その足は自分の家にとどまらず、 + あるときは通りに、あるときは市場にあり、あるいは、あちこちの町かどに立って待ち伏せる。 + この女は彼をつかまえて口づけし、臆面もなく彼に言う。 + 「和解のいけにえをささげて、きょう、私の誓願を果たしました。 + それで私はあなたに会いに出て来たのです。/あなたを捜して、やっとあなたを見つけました。 + 私は長いすに敷き物を敷き、あや織りのエジプトの亜麻布を敷き、 + 没薬、アロエ、肉桂で、私の床をにおわせました。 + さあ、私たちは朝になるまで、愛に酔いつぶれ、愛撫し合って楽しみましょう。 + 夫は家にいません。/遠くへ旅に出ていますから。 + 金の袋を持って出ました。/満月になるまでは帰って来ません」と。 + 女はくどき続けて彼を惑わし、へつらいのくちびるで彼をいざなう。 + 彼はほふり場に引かれる牛のように、愚か者を懲らしめるための足かせのように、ただちに女につき従い、 + ついには、矢が肝を射通し、鳥がわなに飛び込むように、自分のいのちがかかっているのを知らない。 + 子どもらよ。今、私に聞き従い、私の言うことに心を留めよ。 + あなたの心は、彼女の道に迷い込んではならない。/その通り道に迷ってはならない。 + 彼女は多くの者を切り倒した。/彼女に殺された者は数えきれない。 + 彼女の家はよみへの道、死の部屋に下って行く。 + + + 知恵は呼ばわらないだろうか。/英知はその声をあげないだろうか。 + これは丘の頂、道のかたわら、通り道の四つかどに立ち、 + 門のかたわら、町の入口、正門の入口で大声で呼ばわって言う。 + 「人々よ。わたしはあなたがたに呼ばわり、人の子らに声をかける。 + わきまえのない者よ。分別をわきまえよ。/愚かな者よ。思慮をわきまえよ。 + 聞け。わたしは高貴なことについて語り、わたしのくちびるは正しいことを述べよう。 + わたしの口は真実を告げ、わたしのくちびるは悪を忌みきらうからだ。 + わたしの言うことはみな正しい。/そのうちには曲がったことやよこしまはない。 + これはみな、識別する者には、正直、知識を見いだす者には、正しい。 + 銀を受けるよりも、わたしの懲らしめを受けよ。/えり抜きの黄金よりも知識を。 + 知恵は真珠にまさり、どんな喜びも、これには比べられないからだ。 + 知恵であるわたしは分別を住みかとする。/そこには知識と思慮とがある。 + 主を恐れることは悪を憎むことである。/わたしは高ぶりと、おごりと、悪の道と、ねじれたことばを憎む。 + 摂理とすぐれた知性とはわたしのもの。/わたしは分別であって、わたしには力がある。 + わたしによって、王たちは治め、君主たちは正義を制定する。 + わたしによって、支配者たちは支配する。/高貴な人たちはすべて正義のさばきつかさ。 + わたしを愛する者を、わたしは愛する。/わたしを熱心に捜す者は、わたしを見つける。 + 富と誉れとはわたしとともにあり、尊い宝物と義もわたしとともにある。 + わたしの実は黄金よりも、純金よりも良く、わたしの生み出すものはえり抜きの銀にまさる。 + わたしは正義の道、公正の通り道の真ん中を歩み、 + わたしを愛する者には財産を受け継がせ、彼らの財宝を満たす。 + 主は、その働きを始める前から、そのみわざの初めから、わたしを得ておられた。 + 大昔から、初めから、大地の始まりから、わたしは立てられた。 + 深淵もまだなく、水のみなぎる源もなかったとき、わたしはすでに生まれていた。 + 山が立てられる前に、丘より先に、わたしはすでに生まれていた。 + 神がまだ地も野原も、この世の最初のちりも造られなかったときに。 + 神が天を堅く立て、深淵の面に円を描かれたとき、わたしはそこにいた。 + 神が上のほうに大空を固め、深淵の源を堅く定め、 + 海にその境界を置き、水がその境を越えないようにし、地の基を定められたとき、 + わたしは神のかたわらで、これを組み立てる者であった。/わたしは毎日喜び、いつも御前で楽しみ、 + 神の地、この世界で楽しみ、人の子らを喜んだ。 + 子どもらよ。今、わたしに聞き従え。/幸いなことよ。わたしの道を守る者は。 + 訓戒を聞いて知恵を得よ。/これを無視してはならない。 + 幸いなことよ。/日々わたしの戸口のかたわらで見張り、わたしの戸口の柱のわきで見守って、わたしの言うことを聞く人は。 + なぜなら、わたしを見いだす者は、いのちを見いだし、主から恵みをいただくからだ。 + わたしを見失う者は自分自身をそこない、わたしを憎む者はみな、死を愛する。」 + + + 知恵は自分の家を建て、七つの柱を据え、 + いけにえをほふり、ぶどう酒に混ぜ物をし、その食卓も整え、 + 小娘にことづけて、町の高い所で告げさせた。 + 「わきまえのない者はだれでも、ここに来なさい」と。/また、思慮に欠けた者に言う。 + 「わたしの食事を食べに来なさい。/わたしの混ぜ合わせたぶどう酒を飲み、 + わきまえのないことを捨てて、生きなさい。/悟りのある道を、まっすぐ歩みなさい」と。 + あざける者を戒める者は、自分が恥を受け、悪者を責める者は、自分が傷を受ける。 + あざける者を責めるな。/おそらく、彼はあなたを憎むだろう。/知恵のある者を責めよ。/そうすれば、彼はあなたを愛するだろう。 + 知恵のある者に与えよ。/彼はますます知恵を得よう。/正しい者を教えよ。/彼は理解を深めよう。 + 主を恐れることは知恵の初め、聖なる方を知ることは悟りである。 + わたしによって、あなたの日は多くなり、あなたのいのちの年は増すからだ。 + もし、あなたが知恵を得れば、その知恵はあなたのものだ。/もし、あなたがこれをあざけるなら、あなただけが、その責任を負うことになる。 + 愚かな女は、騒がしく、わきまえがなく、何も知らない。 + 彼女は自分の家の戸口にすわり、町の高い所にある座にすわり、 + まっすぐに歩いて行く往来の人を招いて言う。 + 「わきまえのない者はだれでも/ここに来なさい」と。/また思慮に欠けた者に向かって、彼女は言う。 + 「盗んだ水は甘く、こっそり食べる食べ物はうまい」と。 + しかしその人は、そこに死者の霊がいることを、彼女の客がよみの深みにいることを、知らない。 + + + ソロモンの箴言/知恵のある子は父を喜ばせ、愚かな子は母の悲しみである。 + 不義によって得た財宝は役に立たない。/しかし正義は人を死から救い出す。 + 主は正しい者を飢えさせない。/しかし悪者の願いを突き放す。 + 無精者の手は人を貧乏にし、勤勉な者の手は人を富ます。 + 夏のうちに集める者は思慮深い子であり、刈り入れ時に眠る者は恥知らずの子である。 + 正しい者の頭には祝福があり、悪者の口は暴虐を隠す。 + 正しい者の呼び名はほめたたえられ、悪者の名は朽ち果てる。 + 心に知恵のある者は命令を受け入れる。/むだ口をたたく愚か者は踏みつけられる。 + まっすぐに歩む者の歩みは安全である。/しかし自分の道を曲げる者は思い知らされる。 + 目くばせする者は人を痛め、むだ口をたたく愚か者は踏みつけられる。 + 正しい者の口はいのちの泉。/悪者の口は暴虐を隠す。 + 憎しみは争いをひき起こし、愛はすべてのそむきの罪をおおう。 + 悟りのある者のくちびるには知恵があり、思慮に欠けた者の背には杖がある。 + 知恵のある者は知識をたくわえ、愚か者の口は滅びに近い。 + 富む者の財産はその堅固な城。/貧民の滅びは彼らの貧困。 + 正しい者の報酬はいのち。/悪者の収穫は罪。 + 訓戒を大事にする者はいのちへの道にあり、叱責を捨てる者は迷い出る。 + 憎しみを隠す者は偽りのくちびるを持ち、そしりを口に出す者は愚かな者である。 + ことば数が多いところには、そむきの罪がつきもの。/自分のくちびるを制する者は思慮がある。 + 正しい者の舌はえり抜きの銀。/悪者の心は価値がない。 + 正しい者のくちびるは多くの人を養い、愚か者は思慮がないために死ぬ。 + 主の祝福そのものが人を富ませ、人の苦労は何もそれに加えない。 + 愚かな者には悪事が楽しみ。/英知のある者には知恵が楽しみ。 + 悪者の恐れていることはその身にふりかかり、正しい者の望みはかなえられる。 + つむじ風が過ぎ去るとき、悪者はいなくなるが、正しい者は永遠の礎である。 + 使いにやる者にとって、なまけ者は、歯に酢、目に煙のようなものだ。 + 主を恐れることは日をふやし、悪者の年は縮められる。 + 正しい者の望みは喜びであり、悪者の期待は消えうせる。 + 主の道は、潔白な人にはとりでであり、不法を行う者には滅びである。 + 正しい者はいつまでも動かされない。/しかし悪者はこの地に住みつくことができない。 + 正しい者の口は知恵を実らせる。/しかしねじれた舌は抜かれる。 + 正しい者のくちびるは好意を、悪者の口はねじれごとを知っている。 + + + 欺きのはかりは主に忌みきらわれる。/正しいおもりは主に喜ばれる。 + 高ぶりが来れば、恥もまた来る。/知恵はへりくだる者とともにある。 + 直ぐな人の誠実は、その人を導き、裏切り者のよこしまは、その人を破滅させる。 + 財産は激しい怒りの日には役に立たない。/しかし正義は人を死から救い出す。 + 潔白な人の道は、その正しさによって平らにされ、悪者は、その悪事によって倒れる。 + 直ぐな人は、その正しさによって救い出され、裏切り者は、自分の欲によって捕らえられる。 + 悪者が死ぬとき、その期待は消えうせ、邪悪な者たちの望みもまた消えうせる。 + 正しい者は苦しみから救い出され、彼に代わって悪者がそれに陥る。 + 神を敬わない者は/その口によって隣人を滅ぼそうとするが、正しい者は知識によって彼らを救おうとする。 + 町は、正しい者が栄えると、こおどりし、悪者が滅びると、喜びの声をあげる。 + 直ぐな人の祝福によって、町は高くあげられ、悪者の口によって、滅ぼされる。 + 隣人をさげすむ者は思慮に欠けている。/しかし英知のある者は沈黙を守る。 + 歩き回って人を中傷する者は秘密を漏らす。/しかし真実な心の人は事を秘める。 + 指導がないことによって民は倒れ、多くの助言者によって救いを得る。 + 他国人の保証人となる者は苦しみを受け、保証をきらう者は安全だ。 + 優しい女は誉れをつかみ、横暴な者は富をつかむ。 + 真実な者は自分のたましいに報いを得るが、残忍な者は自分の身に煩いをもたらす。 + 悪者は偽りの報酬を得るが、義を蒔く者は確かな賃金を得る。 + このように、義を追い求める者はいのちに至り、悪を追い求める者は死に至る。 + 心の曲がった者は主に忌みきらわれる。/しかしまっすぐに道を歩む者は主に喜ばれる。 + 確かに悪人は罰を免れない。/しかし正しい者のすえは救いを得る。 + 美しいが、たしなみのない女は、金の輪が豚の鼻にあるようだ。 + 正しい者の願い、ただ良いこと。/悪者の望み、激しい怒り。 + ばらまいても、なお富む人があり、正当な支払いを惜しんでも、かえって乏しくなる者がある。 + おおらかな人は肥え、人を潤す者は自分も潤される。 + 穀物を売り惜しむ者は民にのろわれる。/しかしそれを売る者の頭には祝福がある。 + 熱心に善を捜し求める者は恵みを見つけるが、悪を求める者には悪が来る。 + 自分の富に拠り頼む者は倒れる。/しかし正しい者は若葉のように芽を出す。 + 自分の家族を煩わせる者は風を相続し、愚か者は心に知恵のある者のしもべとなる。 + 正しい者の結ぶ実はいのちの木である。/知恵のある者は人の心をとらえる。 + もし正しい者がこの世で報いを受けるなら、悪者や罪人は、なおさら、その報いを受けよう。 + + + 訓戒を愛する人は知識を愛する。/叱責を憎む者はまぬけ者だ。 + 善人は主から恵みをいただき、悪をたくらむ者は罰を受ける。 + 人は悪をもって身を堅く立てることはできず、正しい人の根はゆるがない。 + しっかりした妻は夫の冠。/恥をもたらす妻は、夫の骨の中の腐れのようだ。 + 正しい人の計画することは公正で、悪者の指導には欺きがある。 + 悪者のことばは血に飢えている。/しかし正しい者の口は彼らを救い出す。 + 悪者はくつがえされて、いなくなる。/しかし正しい者の家は立ち続ける。 + 人はその思慮深さによってほめられ、心のねじけた者はさげすまれる。 + 身分の低い人で職を持っている者は、高ぶっている人で食に乏しい者にまさる。 + 正しい者は、自分の家畜のいのちに気を配る。/悪者のあわれみは、残忍である。 + 自分の畑を耕す者は食糧に飽き足り、むなしいものを追い求める者は思慮に欠ける。 + 悪者は、悪の網を張るのを好み、正しい者の根は、芽を出す。 + 悪人はくちびるでそむきの罪を犯して、わなにかかる。/しかし正しい者は苦しみを免れる。 + 人はその口の実によって良いものに満ち足りる。/人の手の働きはその人に報いを与える。 + 愚か者は自分の道を正しいと思う。/しかし知恵のある者は忠告を聞き入れる。 + 愚か者は自分の怒りをすぐ現す。/利口な者ははずかしめを受けても黙っている。 + 真実の申し立てをする人は正しいことを告げ、偽りの証人は欺き事を告げる。 + 軽率に話して人を剣で刺すような者がいる。/しかし知恵のある人の舌は人をいやす。 + 真実のくちびるはいつまでも堅く立つ。/偽りの舌はまばたきの間だけ。 + 悪をたくらむ者の心には欺きがあり、平和を図る人には喜びがある。 + 正しい者は何の災害にも会わない。/悪者はわざわいで満たされる。 + 偽りのくちびるは主に忌みきらわれる。/真実を行う者は主に喜ばれる。 + 利口な者は知識を隠し、愚かな者は自分の愚かさを言いふらす。 + 勤勉な者の手は支配する。/無精者は苦役に服する。 + 心に不安のある人は沈み、親切なことばは人を喜ばす。 + 正しい者はその友を探り出し、悪者の道は彼らを迷わせる。 + 無精者は獲物を捕らえない。/しかし勤勉な人は多くの尊い人を捕らえる。 + 正義の道にはいのちがある。/その道筋には死がない。 + + + 知恵のある子は父の訓戒に従い、あざける者は叱責を聞かない。 + 人はその口の実によって良いものを食べ、裏切り者は暴虐を食べる。 + 自分の口を見張る者は自分のいのちを守り、くちびるを大きく開く者には滅びが来る。 + なまけ者は欲を起こしても心に何もない。/しかし勤勉な者の心は満たされる。 + 正しい者は偽りのことばを憎む。/悪者は悪臭を放ちながら恥ずべきふるまいをする。 + 正義は潔白な生き方を保ち、悪は罪人を滅ぼす。 + 富んでいるように見せかけ、何も持たない者がいる。/貧しいように見せかけ、多くの財産を持つ者がいる。 + 富はその人のいのちの身代金である。/しかし貧しい者は叱責を聞かない。 + 正しい者の光は輝き、悪者のともしびは消える。 + 高ぶりは、ただ争いを生じ、知恵は勧告を聞く者とともにある。 + 急に得た財産は減るが、働いて集める者は、それを増す。 + 期待が長びくと心は病む。/望みがかなうことは、いのちの木である。 + みことばをさげすむ者は身を滅ぼし、命令を敬う者は報いを受ける。 + 知恵のある者のおしえはいのちの泉、これによって、死のわなをのがれることができる。 + 良い思慮は好意を生む。/裏切り者の行いは荒い。 + すべて利口な者は知識によって行動し、愚かな者は自分の愚かさを言い広める。 + 悪い使者はわざわいに陥り、忠実な使者は人をいやす。 + 貧乏と恥とは訓戒を無視する者に来る。/しかし叱責を大事にする者はほめられる。 + 望みがかなえられるのはここちよい。/愚かな者は悪から離れることを忌みきらう。 + 知恵のある者とともに歩む者は知恵を得る。/愚かな者の友となる者は害を受ける。 + わざわいは罪人を追いかけ、幸いは正しい者に報いる。 + 善良な人は子孫にゆずりの地を残す。/罪人の財宝は正しい者のためにたくわえられる。 + 貧しい者の開拓地に、多くの食糧がある。/公義がないところで、財産は滅ぼし尽くされる。 + むちを控える者はその子を憎む者である。/子を愛する者はつとめてこれを懲らしめる。 + 正しい者は食べてその食欲を満たし、悪者は腹をすかせる。 + + + 知恵のある女は自分の家を建て、愚かな女は自分の手でこれをこわす。 + まっすぐに歩む者は、主を恐れ、曲がって歩む者は、主をさげすむ。 + 愚か者の口には誇りの若枝がある。/知恵のある者のくちびるは身を守る。 + 牛がいなければ飼葉おけはきれいだ。/しかし牛の力によって収穫は多くなる。 + 真実な証人はまやかしを言わない。/偽りの証人はまやかしを吹聴する。 + あざける者は知恵を捜しても得られない。/しかし悟りのある者はたやすく知識を得る。 + 愚かな者の前を離れ去れ。/知識のことばはそこにはない。 + 利口な者は自分の知恵で自分の道をわきまえ、愚かな者は自分の愚かさで自分を欺く。 + 罪過のためのいけにえは愚か者をあざけり、正しい者の間には恩恵がある。 + 心がその人自身の苦しみを知っている。/その喜びにもほかの者はあずからない。 + 悪者の家は滅ぼされ、正しい者の天幕は栄える。 + 人の目にはまっすぐに見える道がある。/その道の終わりは死の道である。 + 笑うときにも心は痛み、終わりには喜びが悲しみとなる。 + 心の堕落している者は自分の道に甘んじる。/善良な人は彼から離れる。 + わきまえのない者は何でも言われたことを信じ、利口な者は自分の歩みをわきまえる。 + 知恵のある者は用心深くて悪を避け、愚かな者は怒りやすくて自信が強い。 + 短気な者は愚かなことをする。/悪をたくらむ者は憎まれる。 + わきまえのない者は愚かさを受け継ぎ、利口な者は知識の冠をかぶる。 + 悪人はよい人の前で、悪者は正しい人の門のところで身をかがめる。 + 貧しい者はその隣人にさえ憎まれるが、富む者を愛する人は多い。 + 自分の隣人をさげすむ人は罪人。/貧しい者をあわれむ人は幸いだ。 + 悪をたくらむ者は迷い出るではないか。/善を計る者には恵みとまことがある。 + すべての勤労には利益がある。/おしゃべりは欠損を招くだけだ。 + 知恵のある者の冠はその知恵。/愚かな者のかぶり物はその愚かさ。 + 誠実な証人は人のいのちを救い出す。/欺く者はまやかしを吹聴する。 + 力強い信頼は主を恐れることにあり、子たちの避け所となる。 + 主を恐れることはいのちの泉、死のわなからのがれさせる。 + 民の多いことは王の栄え。/民がなくなれば君主は滅びる。 + 怒りをおそくする者は英知を増し、気の短い者は愚かさを増す。 + 穏やかな心は、からだのいのち。/激しい思いは骨をむしばむ。 + 寄るべのない者をしいたげる者は/自分の造り主をそしり、貧しい者をあわれむ者は造り主を敬う。 + 悪者は自分の悪によって打ち倒され、正しい者は、自分の死の中にものがれ場がある。 + 知恵は悟りのある者の心にいこう。/愚かな者の間でもそれは知られている。 + 正義は国を高め、罪は国民をはずかしめる。 + 思慮深いしもべは王の好意を受け、恥知らずの者は王の激しい怒りに会う。 + + + 柔らかな答えは憤りを静める。/しかし激しいことばは怒りを引き起こす。 + 知恵のある者の舌は知識をよく用い、愚かな者の口は愚かさを吐き出す。 + 主の御目はどこにでもあり、悪人と善人とを見張っている。 + 穏やかな舌はいのちの木。/偽りの舌はたましいの破滅。 + 愚か者は自分の父の訓戒を侮る。/叱責を大事にする者は利口になる。 + 正しい者の家には多くの富がある。/悪者の収穫は煩いをもたらす。 + 知恵のある者のくちびるは知識を広める。/愚かな者の心はそうではない。 + 悪者のいけにえは主に忌みきらわれる。/正しい者の祈りは主に喜ばれる。 + 主は悪者の行いを忌みきらい、義を追い求める者を愛する。 + 正しい道を捨てる者にはきびしい懲らしめがあり、叱責を憎む者は死に至る。 + よみと滅びの淵とは主の前にある。/人の子らの心はなおさらのこと。 + あざける者はしかってくれる者を愛さない。/知恵のある者にも近づかない。 + 心に喜びがあれば顔色を良くする。/心に憂いがあれば気はふさぐ。 + 悟りのある者の心は知識を求めるが、愚かな者の口は愚かさを食いあさる。 + 悩む者には毎日が不吉の日であるが、心に楽しみのある人には毎日が宴会である。 + わずかな物を持っていて主を恐れるのは、多くの財宝を持っていて恐慌があるのにまさる。 + 野菜を食べて愛し合うのは、肥えた牛を食べて憎み合うのにまさる。 + 激しやすい者は争いを引き起こし、怒りをおそくする者はいさかいを静める。 + なまけ者の道はいばらの生け垣のよう。/実直な者の小道は平らな大路。 + 知恵のある子は父を喜ばせ、愚かな者はその母をさげすむ。 + 思慮に欠けている者は愚かさを喜び、英知のある者はまっすぐに歩む。 + 密議をこらさなければ、計画は破れ、多くの助言者によって、成功する。 + 良い返事をする人には喜びがあり、時宜にかなったことばは、いかにも麗しい。 + 悟りのある者はいのちの道を上って行く。/これは下にあるよみを離れるためだ。 + 主は高ぶる者の家を打ちこわし、やもめの地境を決められる。 + 悪人の計画は主に忌みきらわれる。/親切なことばは、きよい。 + 利得をむさぼる者は自分の家族を煩わし、まいないを憎む者は生きながらえる。 + 正しい者の心は、どう答えるかを思い巡らす。/悪者の口は悪を吐き出す。 + 主は悪者から遠ざかり、正しい者の祈りを聞かれる。 + 目の光は心を喜ばせ、良い知らせは人を健やかにする。 + いのちに至る叱責を聞く耳のある者は、知恵のある者の間に宿る。 + 訓戒を無視する者は/自分のいのちをないがしろにする。/叱責を聞き入れる者は思慮を得る。 + 主を恐れることは知恵の訓戒である。/謙遜は栄誉に先立つ。 + + + 人は心に計画を持つ。/主はその舌に答えを下さる。 + 人は自分の行いがことごとく純粋だと思う。/しかし主は人のたましいの値うちをはかられる。 + あなたのしようとすることを主にゆだねよ。/そうすれば、あなたの計画はゆるがない。 + 主はすべてのものを、ご自分の目的のために造り、悪者さえもわざわいの日のために造られた。 + 主はすべて心おごる者を忌みきらわれる。/確かに、この者は罰を免れない。 + 恵みとまことによって、咎は贖われる。/主を恐れることによって、人は悪を離れる。 + 主は、人の行いを喜ぶとき、その人の敵をも、その人と和らがせる。 + 正義によって得たわずかなものは、不正によって得た多くの収穫にまさる。 + 人は心に自分の道を思い巡らす。/しかし、その人の歩みを確かなものにするのは/主である。 + 王のくちびるには神の宣告がある。/さばくとき、その口に不実があってはならない。 + 正しいてんびんとはかりとは、主のもの。/袋の中の重り石もみな、主が造られたもの。 + 悪を行うことは王たちの忌みきらうこと。/王座は義によって堅く立つからだ。 + 正しいことばは王たちの喜び。/まっすぐに語る者は愛される。 + 王の憤りは死の使者である。/しかし知恵のある人はそれをなだめる。 + 王の顔の光にはいのちがある。/彼のいつくしみは後の雨をもたらす雲のようだ。 + 知恵を得ることは、黄金を得るよりはるかにまさる。/悟りを得ることは銀を得るよりも望ましい。 + 直ぐな者の大路は悪から離れている。/自分のいのちを守る者は自分の道を監視する。 + 高ぶりは破滅に先立ち、心の高慢は倒れに先立つ。 + へりくだって貧しい者とともにいるのは、高ぶる者とともにいて、分捕り物を分けるのにまさる。 + みことばに心を留める者は幸いを見つける。/主に拠り頼む者は幸いである。 + 心に知恵のある者は悟りのある者ととなえられ、その快いことばは理解を増し加える。 + 思慮を持つ者にはいのちが泉となり、愚か者には愚かさが懲らしめとなる。 + 知恵のある者の心はその口をさとし、そのことばに理解を増し加える。 + 親切なことばは蜂蜜、たましいに甘く、骨を健やかにする。 + 人の目にはまっすぐに見える道がある。/その道の終わりは死の道である。 + 働く者は食欲のために働く。/その口が彼を駆り立てるからだ。 + よこしまな者は悪をたくらむ。/その言うことは焼き尽くす火のようだ。 + ねじれ者は争いを巻き起こし、陰口をたたく者は親しい友を離れさせる。 + 暴虐の者は自分の隣人を惑わし、良くない道へ導く。 + 目くばせする者はねじれごとをたくらみ、くちびるをすぼめている者は悪を成し遂げた者だ。 + しらがは光栄の冠、それは正義の道に見いだされる。 + 怒りをおそくする者は勇士にまさり、自分の心を治める者は町を攻め取る者にまさる。 + くじは、ひざに投げられるが、そのすべての決定は、主から来る。 + + + 一切れのかわいたパンがあって、平和であるのは、ごちそうと争いに満ちた家にまさる。 + 思慮のあるしもべは、恥知らずの子を治め、その兄弟たちの間にあって、資産の分け前を受け継ぐ。 + 銀にはるつぼ、金には炉、人の心をためすのは主。 + 悪を行う者は邪悪なくちびるに聞き入り、偽り者は人を傷つける舌に耳を傾ける。 + 貧しい者をあざける者は自分の造り主をそしる。/人の災害を喜ぶ者は罰を免れない。 + 孫たちは老人の冠、子らの光栄は彼らの父である。 + すぐれたことばは、しれ者にふさわしくない。/偽りのくちびるは、高貴な人には/なおさらふさわしくない。 + わいろは、その贈り主の目には宝石、その向かう所、どこにおいても、うまくいく。 + そむきの罪をおおう者は、愛を追い求める者。/同じことをくり返して言う者は、親しい友を離れさせる。 + 悟りのある者を一度責めることは、愚かな者を百度むち打つよりもききめがある。 + ただ逆らうことだけを求める悪人には、残忍な使者が送られる。 + 愚かさにふけっている愚かな者に会うよりは、子を奪われた雌熊に会うほうがましだ。 + 善に代えて悪を返すなら、その家から悪が離れない。 + 争いの初めは水が吹き出すようなものだ。/争いが起こらないうちに争いをやめよ。 + 悪者を正しいと認め、正しい者を悪いとする、この二つを、主は忌みきらう。 + 愚かな者が思慮もないのに、知恵を買おうとして、手に代金を持っている。/これはいったいどうしたことか。 + 友はどんなときにも愛するものだ。/兄弟は苦しみを分け合うために生まれる。 + 思慮に欠けている者はすぐ誓約をして、隣人の前で保証人となる。 + そむきの罪を愛する者はけんかを愛する。/自分の門を高くする者は破滅を求める。 + 心の曲がった者は幸いを見つけない。/偽りを口にする者はわざわいに陥る。 + 愚かな者を生む者には悲しみがあり、しれ者の父には喜びがない。 + 陽気な心は健康を良くし、陰気な心は骨を枯らす。 + 悪者は人のふところからわいろを受け、さばきの道を曲げる。 + 悟りのある者はその顔を知恵に向け、愚かな者は目を地の果てに注ぐ。 + 愚かな子はその父の憂い、これを産んだ母の痛みである。 + 正しい人に罰金を科し、高貴な人をその正しさのゆえにむち打つのは、どちらもよくない。 + 自分のことばを控える者は知識に富む者。/心の冷静な人は英知のある者。 + 愚か者でも、黙っていれば、知恵のある者と思われ、そのくちびるを閉じていれば、悟りのある者と思われる。 + + + おのれを閉ざす者は自分の欲望のままに求め、すべてのすぐれた知性と仲たがいする。 + 愚かな者は英知を喜ばない。/ただ自分の意見だけを表す。 + 悪者が来ると、侮りも来る。/恥とともに、そしりも来る。 + 人の口のことばは深い水のようだ。/知恵の泉はわいて流れる川のようだ。 + 悪者をえこひいきすることはよくない。/正しい者をさばきのときに否むこともよくない。 + 愚かな者のくちびるは争いを起こし、その口はむち打つ者を呼び寄せる。 + 愚かな者の口は自分の滅びとなり、そのくちびるは自分のたましいのわなとなる。 + 陰口をたたく者のことばは/おいしい食べ物のようだ。/腹の奥に下っていく。 + 自分の仕事をなまける者は、滅びをもたらす者の兄弟である。 + 主の名は堅固なやぐら。/正しい者はその中に走って行って安全である。 + 富む者の財産はその堅固な城。/自分ではそそり立つ城壁のように思っている。 + 人の心の高慢は破滅に先立ち、謙遜は栄誉に先立つ。 + よく聞かないうちに返事をする者は、愚かであって、侮辱を受ける。 + 人の心は病苦をも忍ぶ。/しかし、ひしがれた心にだれが耐えるだろうか。 + 悟りのある者の心は知識を得、知恵のある者の耳は知識を求める。 + 人の贈り物はその人のために道を開き、高貴な人の前にも彼を導く。 + 最初に訴える者は、その相手が来て彼を調べるまでは、正しく見える。 + くじは争いをやめさせ、強い者の間を解決する。 + 反抗する兄弟は堅固な城よりも近寄りにくい。/敵意は宮殿のかんぬきのようだ。 + 人はその口の結ぶ実によって腹を満たし、そのくちびるによる収穫に満たされる。 + 死と生は舌に支配される。/どちらかを愛して、人はその実を食べる。 + 良い妻を見つける者はしあわせを見つけ、主からの恵みをいただく。 + 貧しい者は哀願するが、富む者は荒々しく答える。 + 滅びに至らせる友人たちもあれば、兄弟よりも親密な者もいる。 + + + 貧しくても、誠実に歩む者は、曲がったことを言う愚かな者にまさる。 + 熱心だけで知識のないのはよくない。/急ぎ足の者はつまずく。 + 人は自分の愚かさによってその生活を滅ぼす。/しかもその心は主に向かって激しく怒る。 + 財産は多くの友を増し加え、寄るべのない者は、その友からも引き離される。 + 偽りの証人は罰を免れない。/まやかしを吹聴する者も、のがれられない。 + 高貴な人の好意を求める者は多く、だれでも贈り物をしてくれる人の友となる。 + 貧しい者は自分の兄弟たちみなから憎まれる。/彼の友人が彼から遠ざかるのは、なおさらのこと。/彼がことばをもって追い求めても、彼らはいない。 + 思慮を得る者は自分自身を愛する者、英知を保つ者は幸いを見つける。 + 偽りの証人は罰を免れない。/まやかしを吹聴する者は滅びる。 + 愚かな者にぜいたくな暮らしはふさわしくない。/奴隷が主人を支配するのは、なおさらのこと。 + 人に思慮があれば、怒りをおそくする。/その人の光栄は、そむきを赦すことである。 + 王の激しい怒りは若い獅子がうなるよう。/しかし、その恵みは草の上に置く露のよう。 + 愚かな息子は父のわざわい。/妻のいさかいは、したたり続ける雨漏り。 + 家と財産とは先祖から受け継ぐもの。/思慮深い妻は主からのもの。 + 怠惰は人を深い眠りに陥らせ、なまけ者は飢える。 + 命令を守る者は自分のいのちを保ち、自分の道をさげすむ者は死ぬ。 + 寄るべのない者に施しをするのは、主に貸すことだ。/主がその善行に報いてくださる。 + 望みのあるうちに、自分の子を懲らしめよ。/しかし、殺す気を起こしてはならない。 + 激しく憤る者は罰を受ける。/たとい彼を救い出しても、ただ、これをくり返さなければならない。 + 忠告を聞き、訓戒を受け入れよ。/そうすれば、あなたはあとで知恵を得よう。 + 人の心には多くの計画がある。/しかし主のはかりごとだけが成る。 + 人の望むものは、人の変わらぬ愛である。/貧しい人は、まやかしを言う者にまさる。 + 主を恐れるなら、いのちに至る。/満ち足りて住み、わざわいに会わない。 + なまけ者は手を皿に差し入れても、それを口に持っていこうとしない。 + あざける者を打て。/そうすれば、わきまえのない者は利口になる。/悟りのある者を責めよ。/そうすれば、彼は知識をわきまえる。 + 父に乱暴し、母を追い出す者は、恥を見、はずかしめを受ける子である。 + わが子よ。訓戒を聞くのをやめてみよ。/そうすれば、知識のことばから迷い出る。 + よこしまな証人は、さばきをあざけり、悪者の口は、わざわいをのみこむ。 + さばきはあざける者のために準備され、むち打ちは愚かな者の背のために準備されている。 + + + ぶどう酒は、あざける者。/強い酒は、騒ぐ者。/これに惑わされる者は、みな知恵がない。 + 王の恐ろしさは若い獅子がうなるようだ。/彼を怒らせる者は自分のいのちを失う。 + 争いを避けることは人の誉れ、愚か者はみな争いを引き起こす。 + なまけ者は冬には耕さない。/それゆえ、刈り入れ時に求めても、何もない。 + 人の心にあるはかりごとは深い水、英知のある人はこれを汲み出す。 + 多くの人は自分の親切を吹聴する。/しかし、だれが忠実な人を見つけえよう。 + 正しい人が潔白な生活をするときに、彼の子孫はなんと幸いなことだろう。 + さばきの座に着く王は、自分の目ですべての悪をふるい分ける。 + だれが、「私は自分の心をきよめた。/私は罪からきよめられた」/と言うことができよう。 + 異なる二種類のおもり、異なる二種類の枡、そのどちらも主に忌みきらわれる。 + 幼子でさえ、何かするとき、その行いが純粋なのかどうか、正しいのかどうかを明らかにする。 + 聞く耳と、見る目とは、二つとも主が造られたもの。 + 眠りを愛してはいけない。さもないと貧しくなる。/目を開け。そうすればパンに飽き足りる。 + 買う者は「悪い、悪い」と言うが、買ってしまえば、それを自慢する。 + 金があり、多くの真珠があっても、知識のくちびるが宝の器。 + 他国人の保証人となるときは、その者の着物を取れ。/見知らぬ女のためにも、着物を抵当に取れ。 + だまし取ったパンはうまい。/しかし、後にはその口はじゃりでいっぱいになる。 + 相談して計画を整え、すぐれた指揮のもとに戦いを交えよ。 + 歩き回って人を中傷する者は秘密を漏らす。/くちびるを開く者とは交わるな。 + 自分の父や母をのろう者、そのともしびは、やみが近づくと消える。 + 初めに急に得た相続財産は、終わりには祝福されない。 + 「悪に報いてやろう」と言ってはならない。/主を待ち望め。主があなたを救われる。 + 異なる二種類のおもりは主に忌みきらわれる。/欺きのはかりはよくない。 + 人の歩みは主によって定められる。/人間はどうして自分の道を理解できようか。 + 軽々しく、聖なるささげ物をすると言い、誓願を立てて後に、それを考え直す者は、わなにかかっている人だ。 + 知恵のある王は悪者どもをふるいにかけ、彼らの上で車輪を引き回す。 + 人間の息は主のともしび、腹の底まで探り出す。 + 恵みとまこととは王を守る。/彼は恵みによって王位をささえる。 + 若い男の光栄は彼らの力。/年寄りの飾りはそのしらが。 + 打って傷つけるのは悪を洗い落とすため。/腹の底まで打ちたたけ。 + + + 王の心は主の手の中にあって、水の流れのようだ。/みこころのままに向きを変えられる。 + 人は自分の道はみな正しいと思う。/しかし主は人の心の値うちをはかられる。 + 正義と公義を行うことは、いけにえにまさって主に喜ばれる。 + 高ぶる目とおごる心――/悪者のともしびは罪である。 + 勤勉な人の計画は利益をもたらし、すべてあわてる者は欠損を招くだけだ。 + 偽りの舌をもって財宝を得る者は、吹き払われる息のようで、死を求める者だ。 + 悪者は自分の暴虐に引きずられる。/公義を行おうとしないからだ。 + 罪人の道はねじれている。/しかし、きよい人の行いはまっすぐだ。 + 争い好きな女と社交場にいるよりは、屋根の片隅に住むほうがよい。 + 悪者のたましいは悪事にあこがれ、隣人をあわれもうとはしない。 + あざける者が罰を受けるとき、わきまえのない者が知恵を得る。/知恵のある者が学ぶとき、その人は知識を得る。 + 正しい人は悪者の家を見抜く。/悪者どもは自分の悪事のために滅ぼされる。 + 寄るべのない者の叫びに耳を閉じる者は、自分が呼ぶときに答えられない。 + ひそかな贈り物は怒りをなだめ、ふところのわいろは激しい憤りをなだめる。 + 公義が行われることは、正しい者には喜びであり、不法を行う者には滅びである。 + 悟りの道から迷い出る者は、死者の霊たちの集会の中で休む。 + 快楽を愛する者は貧しい人となり、ぶどう酒や油を愛する者は富むことがない。 + 悪者が正しい人のための身代金となり、裏切り者が直ぐな人の身代わりとなる。 + 争い好きで、うるさい女といるよりは、荒野に住むほうがまだましだ。 + 知恵のある者の住まいには、好ましい財宝と油がある。/しかし愚かな者はこれをのみ尽くす。 + 正義と誠実を追い求める者は、いのちと正義と誉れとを得る。 + 知恵のある者は勇士たちの町に攻め上って、その頼みとするとりでを倒す。 + 自分の口と舌とを守る者は、自分自身を守って苦しみに会わない。 + 高ぶった横柄な者――その名は「あざける者」、彼はいばって、横柄なふるまいをする。 + なまけ者の欲望はその身を殺す。/その手が働くことを拒むからだ。 + この者は一日中、自分の欲望に明け暮れている。/しかし、正しい人は人に与えて惜しまない。 + 悪者のいけにえは忌みきらわれる。/悪意をもってささげるときは、なおさらのこと。 + まやかしの証人は滅びる。/しかし、よく聞く者はいつまでも語る。 + 悪者はあつかましく、正しい者は自分の道をわきまえる。 + 主の前では、どんな知恵も英知もはかりごとも、役に立たない。 + 馬は戦いの日のために備えられる。/しかし救いは主による。 + + + 名声は多くの富よりも望ましい。/愛顧は銀や金にまさる。 + 富む者と貧しい者とは互いに出会う。/これらすべてを造られたのは主である。 + 利口な者はわざわいを見て、これを避け、わきまえのない者は進んで行って、罰を受ける。 + 謙遜と、主を恐れることの報いは、富と誉れといのちである。 + 曲がった者の道にはいばらとわながある。/たましいを守る者はこれらから遠ざかる。 + 若者をその行く道にふさわしく教育せよ。/そうすれば、年老いても、それから離れない。 + 富む者は貧しい者を支配する。/借りる者は貸す者のしもべとなる。 + 不正を蒔く者はわざわいを刈り取る。/彼の怒りの杖はすたれる。 + 善意の人は祝福を受ける。/自分のパンを寄るべのない者に与えるから。 + あざける者を追い出せ。/そうすれば、争いも出て行く。/けんかも、悪口もやむ。 + 心のきよさを愛し、優しく話をする者は、王がその友となる。 + 主の目は知識を見守り、裏切り者のことばをくつがえす。 + なまけ者は言う。「獅子が外にいる。/私はちまたで殺される」と。 + 他国の女の口車は深い穴のようだ。/主の憤りに触れた者がそこに落ち込む。 + 愚かさは子どもの心につながれている。/懲らしめの杖がこれを断ち切る。 + 自分を富まそうと寄るべのない者をしいたげる人、富む人に与える者は、必ず乏しくなる。 + 耳を傾けて、知恵のある者のことばを聞け。/あなたの心を私の知識に向けよ。 + これらをあなたのうちに保つなら、楽しいことだ。/これらをみな、あなたのくちびるに備えておけ。 + あなたが主に拠り頼むことができるように、私はきょう、特にあなたに教える。 + 私はあなたのために、勧告と知識についての三十句を書いたではないか。 + これはあなたに真理のことばの確かさを教え、あなたを遣わした者に/真理のことばを持ち帰らせるためである。 + 貧しい者を、彼が貧しいからといって、かすめ取るな。/悩む者を門のところで押さえつけるな。 + 主が彼らの訴えを弁護し、彼らを奪う者のいのちを奪うからだ。 + おこりっぽい者と交わるな。/激しやすい者といっしょに行くな。 + あなたがそのならわしにならって、自分自身がわなにかかるといけないから。 + あなたは人と誓約をしてはならない。/他人の負債の保証人となってはならない。 + あなたに、償うものがないとき、人があなたの下から/寝床を奪い取ってもよかろうか。 + あなたの先祖が立てた昔からの地境を/移してはならない。 + じょうずな仕事をする人を見たことがあるか。/その人は王の前には立つが、身分の卑しい人の前には立たない。 + + + あなたが支配者と食事の席に着くときは、あなたの前にある物に、よく注意するがよい。 + あなたが食欲の盛んな人であるなら、あなたののどに短刀を当てよ。 + そのごちそうをほしがってはならない。/それはまやかす食物だから。 + 富を得ようと苦労してはならない。/自分の悟りによって、これをやめよ。 + あなたがこれに目を留めると、それはもうないではないか。/富は必ず翼をつけて、鷲のように天へ飛んで行く。 + 貪欲な人の食物を食べるな。/彼のごちそうをほしがるな。 + 彼は、心のうちでは勘定ずくだから。/あなたに、「食え、飲め」と言っても、その心はあなたとともにない。 + あなたは、食べた食物を吐き出し、あなたの快いことばをむだにする。 + 愚かな者に話しかけるな。/彼はあなたの思慮深いことばをさげすむからだ。 + 昔からの地境を移してはならない。/みなしごの畑に入り込んではならない。 + 彼らの贖い主は力強く、あなたに対する彼らの訴えを弁護されるからだ。 + あなたは訓戒に意を用い、知識のことばに耳を傾けよ。 + 子どもを懲らすことを差し控えてはならない。/むちで打っても、彼は死ぬことはない。 + あなたがむちで彼を打つなら、彼のいのちをよみから救うことができる。 + わが子よ。もし、あなたの心に知恵があれば、私の心も喜び、 + あなたのくちびるが正しいことを語るなら、私の心はおどる。 + あなたは心のうちで罪人をねたんではならない。/ただ主をいつも恐れていよ。 + 確かに終わりがある。/あなたの望みは断ち切られることはない。 + わが子よ。よく聞いて、知恵を得、あなたの心に、まっすぐ道を歩ませよ。 + 大酒飲みや、肉をむさぼり食う者と交わるな。 + 大酒飲みとむさぼり食う者とは貧しくなり、惰眠をむさぼる者は、ぼろをまとうようになるからだ。 + あなたを生んだ父の言うことを聞け。/あなたの年老いた母をさげすんではならない。 + 真理を買え。それを売ってはならない。/知恵と訓戒と悟りも。 + 正しい者の父は大いに楽しみ、知恵のある子を生んだ者はその子を喜ぶ。 + あなたの父と母を喜ばせ、あなたを産んだ母を楽しませよ。 + わが子よ。あなたの心をわたしに向けよ。/あなたの目は、わたしの道を見守れ。 + 遊女は深い穴、見知らぬ女は狭い井戸だから。 + 彼女は強盗のように待ち伏せて、人々の間に裏切り者を多くする。 + わざわいのある者はだれか。嘆く者はだれか。/争いを好む者はだれか。不平を言う者はだれか。/ゆえなく傷を受ける者はだれか。/血走った目をしている者はだれか。 + ぶどう酒を飲みふける者、混ぜ合わせた酒の味見をしに行く者だ。 + ぶどう酒が赤く、杯の中で輝き、なめらかにこぼれるとき、それを見てはならない。 + あとでは、これが蛇のようにかみつき、まむしのように刺す。 + あなたの目は、異様な物を見、あなたの心は、ねじれごとをしゃべり、 + 海の真ん中で寝ている人のように、帆柱のてっぺんで寝ている人のようになる。 + 「私はなぐられたが、痛くなかった。/私はたたかれたが、知らなかった。/いつ、私はさめるだろうか。/もっと飲みたいものだ。」 + + + 悪い者たちをねたんではならない。/彼らとともにいることを望んではならない。 + 彼らの心は暴虐を図り、彼らのくちびるは害毒を語るからだ。 + 家は知恵によって建てられ、英知によって堅くされる。 + 部屋は知識によって/すべて尊い、好ましい宝物で満たされる。 + 知恵のある人は力強い。/知識のある人は力を増す。 + あなたはすぐれた指揮のもとに戦いを交え、多くの助言者によって勝利を得る。 + 愚か者には知恵はさんごのようだ。/彼は門のところで、口を開くことができない。 + 悪事を働こうとたくらむ者は、陰謀家と言われている。 + 愚かなはかりごとは罪だ。/あざける者は人に忌みきらわれる。 + もしあなたが苦難の日に気落ちしたら、あなたの力は弱い。 + 捕らえられて殺されようとする者を救い出し、虐殺されようとする貧困者を助け出せ。 + もしあなたが、「私たちはそのことを知らなかった」と言っても、人の心を評価する方は、それを見抜いておられないだろうか。/あなたのたましいを見守る方は、それを知らないだろうか。/この方は/おのおの、人の行いに応じて報いないだろうか。 + わが子よ。蜜を食べよ。それはおいしい。/蜂の巣の蜜はあなたの口に甘い。 + 知恵もあなたのたましいにとっては、そうだと知れ。/それを見つけると、良い終わりがあり、あなたの望みは断たれることがない。 + 悪者よ。正しい人の住まいをねらうな。/彼のいこいの場所を荒らすな。 + 正しい者は七たび倒れても、また起き上がるからだ。/悪者はつまずいて滅びる。 + あなたの敵が倒れるとき、喜んではならない。/彼がつまずくとき、あなたは心から楽しんではならない。 + 主がそれを見て、御心を痛め、彼への怒りをやめられるといけないから。 + 悪を行う者に対して腹を立てるな。/悪者に対してねたみを起こすな。 + 悪い者には良い終わりがなく、悪者のともしびは消えるから。 + わが子よ。主と王とを恐れよ。/そむく者たちと交わってはならない。 + たちまち彼らに災難が起こるからだ。/このふたりから来る滅びをだれが知りえようか。 + これらもまた、知恵ある者による。/さばくときに、人をかたより見るのはよくない。 + 悪者に向かって、「あなたは正しい」と言う者を、人々はののしり、民はのろう。 + しかし、悪者を責める者は喜ばれ、彼らにはしあわせな祝福が与えられる。 + 正しい答えをする者は、そのくちびるに口づけされる。 + 外であなたの仕事を確かなものとし、あなたの畑を整え、そのあとで、あなたは家を建てよ。 + あなたは、理由もないのに、あなたの隣人をそこなう証言をしてはならない。/あなたのくちびるで惑わしてはならない。 + 「彼が私にしたように、私も彼にしよう。/私は彼の行いに応じて、仕返しをしよう」/と言ってはならない。 + 私は、なまけ者の畑と、思慮に欠けている者のぶどう畑のそばを、通った。 + すると、いばらが一面に生え、いらくさが地面をおおい、その石垣はこわれていた。 + 私はこれを見て、心に留め、これを見て、戒めを受けた。 + しばらく眠り、しばらくまどろみ、しばらく手をこまねいて、また休む。 + だから、あなたの貧しさは浮浪者のように、あなたの乏しさは横着者のようにやって来る。 + + + 次もまたソロモンの箴言であり、ユダの王ヒゼキヤの人々が書き写したものである。 + 事を隠すのは神の誉れ。/事を探るのは王の誉れ。 + 天が高く、地が深いように、王の心は測り知れない。 + 銀から、かなかすを除け。/そうすれば、練られて良い器ができる。 + 王の前から悪者を除け。/そうすれば、その王座は義によって堅く据えられる。 + 王の前で横柄ぶってはならない。/偉い人のいる所に立っていてはならない。 + 高貴な人の前で下に下げられるよりは、「ここに上って来なさい」/と言われるほうがよいからだ。/あなたがその目で見たことを、 + 軽々しく訴えて出るな。そうでないと、あとになって、あなたの隣人があなたに/恥ずかしい思いをさせたとき、あなたはどうしようとするのか。 + あなたは隣人と争っても、他人の秘密を漏らしてはならない。 + そうでないと、聞く者があなたを侮辱し、あなたの評判は取り返しのつかないほど悪くなる。 + 時宜にかなって語られることばは、銀の彫り物にはめられた金のりんごのようだ。 + 知恵のある叱責は、それを聞く者の耳にとって、金の耳輪、黄金の飾りのようだ。 + 忠実な使者はこれを遣わす者にとって、夏の暑い日の冷たい雪のようだ。/彼は主人の心を生き返らせる。 + 贈りもしない贈り物を自慢する者は、雨を降らせない雲や風のようだ。 + 忍耐強く説けば、首領も納得する。/柔らかな舌は骨を砕く。 + 蜜を見つけたら、十分、食べよ。/しかし、食べすぎて吐き出すことがないように。 + 隣人の家に、足しげく通うな。/彼があなたに飽きて、あなたを憎むことがないようにせよ。 + 隣人に対し、偽りの証言をする人は、こん棒、剣、また鋭い矢のようだ。 + 苦難の日に、裏切り者に拠り頼むのは、悪い歯やよろける足を頼みとするようなもの。 + 心配している人の前で歌を歌うのは、寒い日に着物を脱ぐようであり、ソーダの上に酢を注ぐようなものだ。 + もしあなたを憎む者が飢えているなら、パンを食べさせ、渇いているなら、水を飲ませよ。 + あなたはこうして彼の頭に/燃える炭火を積むことになり、主があなたに報いてくださる。 + 北風は大雨を起こし、陰口をきく舌は人を怒らす。 + 争い好きな女と社交場にいるよりは、屋根の片隅に住むほうがよい。 + 遠い国からの良い消息は、疲れた人への冷たい水のようだ。 + 正しい人が悪者の前に屈服するのは、きたなくされた泉、荒らされた井戸のようだ。 + あまり多くの蜜を食べるのはよくない。/しかし、りっぱなことばは尊重しなければならない。 + 自分の心を制することができない人は、城壁のない、打ちこわされた町のようだ。 + + + 誉れが愚かな者にふさわしくないのは、夏の雪、刈り入れ時の雨のようだ。 + 逃げる雀のように、飛び去るつばめのように、いわれのないのろいはやって来ない。 + 馬には、むち。ろばには、くつわ。/愚かな者の背には、むち。 + 愚かな者には、その愚かさにしたがって答えるな。/あなたも彼と同じようにならないためだ。 + 愚かな者には、その愚かさにしたがって答えよ。/そうすれば彼は、自分を知恵のある者と思わないだろう。 + 愚かな者にことづけする者は、自分の両足を切り、身に害を受ける。 + 愚かな者が口にする箴言は、足のなえた者の垂れ下がった足のようだ。 + 愚かな者に誉れを与えるのは、石投げ器に石をゆわえるようだ。 + 愚かな者が口にする箴言は、酔った人が手にして振り上げるいばらのようだ。 + 愚かな者や通りすがりの者を雇う者は、すべての人を傷つける投げ槍のようだ。 + 犬が自分の吐いた物に帰って来るように、愚かな者は自分の愚かさをくり返す。 + 自分を知恵のある者と思っている人を見ただろう。/彼よりも、愚かな者のほうが、まだ望みがある。 + なまけ者は「道に獅子がいる。/ちまたに雄獅子がいる」と言う。 + 戸がちょうつがいで回転するように、なまけ者は寝台の上でころがる。 + なまけ者は手を皿に差し入れても、それを口に持っていくことをいとう。 + なまけ者は、分別のある答えをする七人の者よりも、自分を知恵のある者と思う。 + 自分に関係のない争いに干渉する者は、通りすがりの犬の耳をつかむ者のようだ。 + 気が狂った者は、燃え木を死の矢として投げるが、 + 隣人を欺きながら、「ただ、戯れただけではないか」/と言う者も、それと同じだ。 + たきぎがなければ火が消えるように、陰口をたたく者がなければ争いはやむ。 + おき火に炭を、火にたきぎをくべるように、争い好きな人は争いをかき立てる。 + 陰口をたたく者のことばは、おいしい食べ物のようだ。腹の奥に下っていく。 + 燃えるくちびるも、心が悪いと、銀の上薬を塗った土の器のようだ。 + 憎む者は、くちびるで身を装い、心のうちでは欺きを図っている。 + 声を和らげて語りかけても、それを信じるな。/その心には七つの忌みきらわれるものがあるから。 + 憎しみは、うまくごまかし隠せても、その悪は集会の中に現れる。 + 穴を掘る者は、自分がその穴に陥り、石をころがす者は、自分の上にそれをころがす。 + 偽りの舌は、真理を憎み、へつらう口は滅びを招く。 + + + あすのことを誇るな。/一日のうちに何が起こるか、あなたは知らないからだ。 + 自分の口でではなく、ほかの者にあなたをほめさせよ。/自分のくちびるでではなく、よその人によって。 + 石は重く、砂も重い。/しかし愚か者の怒りはそのどちらよりも重い。 + 憤りは残忍で、怒りはあふれ出る。/しかし、ねたみの前には/だれが立ちはだかることができよう。 + あからさまに責めるのは、ひそかに愛するのにまさる。 + 憎む者が口づけしてもてなすよりは、愛する者が傷つけるほうが真実である。 + 飽き足りている者は蜂の巣の蜜も踏みつける。/しかし飢えている者には苦い物もみな甘い。 + 自分の家を離れてさまよう人は、自分の巣を離れてさまよう鳥のようだ。 + 香油と香料は心を喜ばせ、友の慰めはたましいを力づける。 + あなたの友、あなたの父の友を捨てるな。/あなたが災難に会うとき、兄弟の家に行くな。/近くにいる隣人は、遠くにいる兄弟にまさる。 + わが子よ。知恵を得よ。私の心を喜ばせよ。/そうすれば、私をそしる者に、私は言い返すことができよう。 + 利口な者はわざわいを見て、これを避け、わきまえのない者は進んで行って、罰を受ける。 + 他国人の保証人となるときは、その者の着物を取れ。/見知らぬ女のためにも、着物を抵当に取れ。 + 朝早くから、大声で友人を祝福すると、かえってのろいとみなされる。 + 長雨の日にしたたり続ける雨漏りは、争い好きな女に似ている。 + その女を制する者は、風を制し、右手に油をつかむことができる。 + 鉄は鉄によってとがれ、人はその友によってとがれる。 + いちじくの木の番人はその実を食う。/主人の身を守る者は誉れを得る。 + 顔が、水に映る顔と同じように、人の心は、その人に映る。 + よみと滅びの淵は飽くことがなく、人の目も飽くことがない。 + るつぼは銀のため、炉は金のためにあるように、他人の称賛によって人はためされる。 + 愚か者を臼に入れ、きねでこれを麦といっしょについても、その愚かさは彼から離れない。 + あなたの羊の様子をよく知り、群れに心を留めておけ。 + 富はいつまでも続くものではなく、王冠も代々に続かないからだ。 + 草が刈り取られ、若草が現れ、山々の青草も集められると、 + 子羊はあなたに着物を着させ、やぎは畑の代価となる。 + やぎの乳は十分あって、あなたの食物、あなたの家族の食物となり、あなたの召使いの女たちを養う。 + + + 悪者は追う者もないのに逃げる。/しかし、正しい人は若獅子のように頼もしい。 + 国にそむきがあるときは、多くの首長たちがいる。/しかし、分別と知識のあるひとりの人によって、それは長く安定する。 + 寄るべのない者をしいたげる貧しい者は、押し流して食物を残さない豪雨のようだ。 + おしえを捨てる者は悪者をほめる。/おしえを守る者は彼らと争う。 + 悪人は公義を悟らない。/主を尋ね求める者はすべての事を悟る。 + 貧しくても、誠実に歩む者は、富んでいても、曲がった道を歩む者にまさる。 + おしえを守る者は分別のある子、放蕩者と交わる者は、その父に恥ずかしい思いをさせる。 + 利息や高利によって財産をふやす者は、寄るべのない者たちに恵む者のために/それをたくわえる。 + 耳をそむけておしえを聞かない者は、その者の祈りさえ忌みきらわれる。 + 正直な人を悪い道に迷わす者は、自分の掘った穴に陥る。/しかし潔白な人たちはしあわせを継ぐ。 + 富む者は自分を知恵のある者と思い込む。/分別のある貧しい者は、自分を調べる。 + 正しい者が喜ぶときには、大いなる光栄があり、悪者が起き上がるときには、人は身を隠す。 + 自分のそむきの罪を隠す者は成功しない。/それを告白して、それを捨てる者は/あわれみを受ける。 + 幸いなことよ。/いつも主を恐れている人は。/しかし心をかたくなにする人はわざわいに陥る。 + うなる雄獅子、襲いかかる熊、寄るべのない民を治める悪い支配者。 + 英知を欠く君主は、多くの物を強奪する。/不正な利得を憎む者は、長生きをする。 + 流血の罪に苦しむ者は、墓まで逃げるが、だれも彼をつかまえない。 + 潔白な生活をする者は救われ、曲がった生活をする者は墓穴に陥る。 + 自分の畑を耕す者は食糧に飽き足り、むなしいものを追い求める者は貧しさに飽きる。 + 忠実な人は多くの祝福を得る。/しかし富を得ようとあせる者は罰を免れない。 + 人をかたより見るのは良くない。/人は一切れのパンで、そむく。 + 貪欲な人は財産を得ようとあせり、欠乏が自分に来るのを知らない。 + 人を責める者は、へつらいを言う者より後に、恵みを得る。 + 自分の父母の物を盗んで、「私は罪を犯していない」と言う者は、滅びをもたらす者の仲間である。 + 欲の深い人は争いを引き起こす。/しかし主に拠り頼む人は豊かになる。 + 自分の心にたよる者は愚かな者、知恵をもって歩む者は救われる。 + 貧しい者に施す者は不足することがない。/しかし目をそむける者は多くののろいを受ける。 + 悪者が起こると、人は身を隠し、彼らが滅びると、正しい人がふえる。 + + + 責められても、なお、うなじのこわい者は、たちまち滅ぼされて、いやされることはない。 + 正しい人がふえると、民は喜び、悪者が治めると、民は嘆く。 + 知恵を愛する人は、その父を喜ばせ、遊女と交わる者は、財産を滅ぼす。 + 王は正義によって国を建てる。/しかし重税を取り立てる者は国を滅ぼす。 + 自分の友人にへつらう者は、自分の足もとに網を張る。 + 悪人はそむきの罪を犯して自分のわなをかける。/しかし正しい人は喜びの声をあげ、楽しむ。 + 正しい人は/寄るべのない者を正しくさばくことを知っている。/しかし悪者はそのような知識をわきまえない。 + あざける者たちは町を騒がし、知恵のある人々は怒りを静める。 + 知恵のある人が愚か者を訴えて争うと、愚か者は怒り、あざ笑い、休むことがない。 + 血に飢えた者たちは潔白な人を憎み、正直な人のいのちをねらう。 + 愚かな者は怒りをぶちまける。/しかし知恵のある者はそれを内におさめる。 + 支配者が偽りのことばに聞き入るなら、従者たちもみな悪者になる。 + 貧しい者としいたげる者とは互いに出会う。/主は、この両者に日の光を見させる。 + 誠実をもって寄るべのない者をさばく王、その王座はとこしえまでも堅く立つ。 + むちと叱責とは知恵を与える。/わがままにさせた子は、母に恥を見させる。 + 悪者がふえると、そむきの罪も増す。/しかし正しい者は彼らの滅びを見る。 + あなたの子を懲らせ。/そうすれば、彼はあなたを安らかにし、あなたの心に喜びを与える。 + 幻がなければ、民はほしいままにふるまう。/しかし律法を守る者は幸いである。 + しもべをことばだけで戒めることはできない。/彼はそれがわかっても、反応がない。 + 軽率に話をする人を見ただろう。/彼よりも愚かな者のほうが、まだ望みがある。 + 自分のしもべを幼い時から甘やかすと、ついには彼は手におえない者になる。 + 怒る者は争いを引き起こし、憤る者は多くのそむきの罪を犯す。 + 人の高ぶりはその人を低くし、心の低い人は誉れをつかむ。 + 盗人にくみする者は自分自身を憎む者だ。/彼はのろいを聞いても何も言わない。 + 人を恐れるとわなにかかる。/しかし主に信頼する者は守られる。 + 支配者の顔色をうかがう者は多い。/しかし人をさばくのは主である。 + 不正な人は正しい人に忌みきらわれ、行いの正しい人は悪者に忌みきらわれる。 + + + マサの人ヤケの子アグルのことば。イティエルに告げ、イティエルとウカルに告げたことば。 + 確かに、私は人間の中でも最も愚かで、私には人間の悟りがない。 + 私はまだ知恵も学ばず、聖なる方の知識も知らない。 + だれが天に上り、また降りて来ただろうか。/だれが風をたなごころに集めただろうか。/だれが水を衣のうちに包んだだろうか。/だれが地のすべての限界を堅く定めただろうか。/その名は何か、その子の名は何か。/あなたは確かに知っている。 + 神のことばは、すべて純粋。/神は拠り頼む者の盾。 + 神のことばにつけ足しをしてはならない。/神が、あなたを責めないように、あなたがまやかし者とされないように。 + 二つのことをあなたにお願いします。/私が死なないうちに、それをかなえてください。 + 不信実と偽りとを私から遠ざけてください。/貧しさも富も私に与えず、ただ、私に定められた分の食物で/私を養ってください。 + 私が食べ飽きて、あなたを否み、「主とはだれだ」と言わないために。/また、私が貧しくて、盗みをし、私の神の御名を汚すことのないために。 + しもべのことを、その主人に中傷してはならない。/そうでないと、彼はあなたをのろい、あなたは罰せられる。 + 自分の父をのろい、自分の母を祝福しない世代。 + 自分をきよいと見、汚れを洗わない世代。 + なんとも、その目が高く、まぶたが上がっている世代。 + 歯が剣のようで、きばが刀のような世代。/彼らは地の苦しむ者を、人のうちの貧しい者を/食い尽くす。 + 蛭にはふたりの娘がいて、「くれろ、くれろ」と言う。/飽くことを知らないものが、三つある。/いや、四つあって、「もう十分だ」と言わない。 + よみと、不妊の胎、水に飽くことを知らない地と、「もう十分だ」と言わない火。 + 自分の父をあざけり、母への従順をさげすむ目は、谷の烏にえぐりとられ、鷲の子に食われる。 + 私にとって不思議なことが三つある。/いや、四つあって、私はそれを知らない。 + 天にある鷲の道、岩の上にある蛇の道、海の真ん中にある舟の道、おとめへの男の道。 + 姦通する女の道もそのとおり。/彼女は食べて口をぬぐい、「私は不法を行わなかった」と言う。 + この地は三つのことによって震える。/いや、四つのことによって耐えられない。 + 奴隷が王となり、しれ者がパンに飽き、 + きらわれた女が夫を得、女奴隷が女主人の代わりとなることによって。 + この地上には小さいものが四つある。/しかし、それは知恵者中の知恵者だ。 + 蟻は力のない種族だが、夏のうちに食糧を確保する。 + 岩だぬきは強くない種族だが、その巣を岩間に設ける。 + いなごには王はないが、みな隊を組んで出て行く。 + やもりは手でつかまえることができるが、王の宮殿にいる。 + 歩きぶりの堂々としているものが三つある。/いや、その歩みの堂々としているものが四つある。 + 獣のうちで最も強く、何ものからも退かない雄獅子、 + いばって歩くおんどりと、雄やぎ、軍隊を率いる王である。 + もし、あなたが高ぶって、愚かなことをしたり、たくらんだりしたら、手を口に当てよ。 + 乳をかき回すと凝乳ができる。/鼻をねじると血が出る。/怒りをかき回すと争いが起こる。 + + + マサの王レムエルが母から受けた戒めのことば。 + 私の子よ、何を言おうか。/私の胎の子よ、何を言おうか。/私の誓願の子よ、何を言おうか。 + あなたの力を女に費やすな。/あなたの生き方を/王たちを消し去る者にゆだねるな。 + レムエルよ。/酒を飲むことは王のすることではない。/王のすることではない。/「強い酒はどこだ」とは、君子の言うことではない。 + 酒を飲んで勅令を忘れ、すべて悩む者のさばきを曲げるといけないから。 + 強い酒は滅びようとしている者に与え、ぶどう酒は心の痛んでいる者に与えよ。 + 彼はそれを飲んで自分の貧しさを忘れ、自分の苦しみをもう思い出さないだろう。 + あなたは口のきけない者のために、また、すべての不幸な人の訴えのために、口を開け。 + 口を開いて、正しくさばき、悩んでいる人や貧しい者の権利を守れ。 + しっかりした妻をだれが見つけることができよう。/彼女の値うちは真珠よりもはるかに尊い。 + 夫の心は彼女を信頼し、彼は「収益」に欠けることがない。 + 彼女は生きながらえている間、夫に良いことをし、悪いことをしない。 + 彼女は羊毛や亜麻を手に入れ、喜んで自分の手でそれを仕上げる。 + 彼女は商人の舟のように、遠い所から食糧を運んで来る。 + 彼女は夜明け前に起き、家の者に食事を整え、召使いの女たちに用事を言いつける。 + 彼女は畑をよく調べて、それを手に入れ、自分がかせいで、ぶどう畑を作り、 + 腰に帯を強く引き締め、勇ましく腕をふるう。 + 彼女は収入がよいのを味わい、そのともしびは夜になっても消えない。 + 彼女は糸取り棒に手を差し伸べ、手に糸巻きをつかむ。 + 彼女は悩んでいる人に手を差し出し、貧しい者に手を差し伸べる。 + 彼女は家の者のために雪を恐れない。/家の者はみな、あわせの着物を着ているからだ。 + 彼女は自分のための敷き物を作り、彼女の着物は亜麻布と紫色の撚り糸でできている。 + 夫は町囲みのうちで人々によく知られ、土地の長老たちとともに座に着く。 + 彼女は亜麻布の着物を作って、売り、帯を作って、商人に渡す。 + 彼女は力と気品を身につけ、ほほえみながら後の日を待つ。 + 彼女は口を開いて知恵深く語り、その舌には恵みのおしえがある。 + 彼女は家族の様子をよく見張り、怠惰のパンを食べない。 + その子たちは立ち上がって、彼女を幸いな者と言い、夫も彼女をほめたたえて言う。 + 「しっかりしたことをする女は多いけれど、あなたはそのすべてにまさっている」と。 + 麗しさはいつわり。/美しさはむなしい。/しかし、主を恐れる女はほめたたえられる。 + 彼女の手でかせいだ実を彼女に与え、彼女のしたことを町囲みのうちでほめたたえよ。 + +
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+ + エルサレムでの王、ダビデの子、伝道者のことば。 + 空の空。伝道者は言う。/空の空。すべては空。 + 日の下で、どんなに労苦しても、それが人に何の益になろう。 + 一つの時代は去り、次の時代が来る。/しかし地はいつまでも変わらない。 + 日は上り、日は沈み、またもとの上る所に帰って行く。 + 風は南に吹き、巡って北に吹く。/巡り巡って風は吹く。/しかし、その巡る道に風は帰る。 + 川はみな海に流れ込むが、海は満ちることがない。/川は流れ込む所に、また流れる。 + すべての事はものうい。/人は語ることさえできない。/目は見て飽きることもなく、耳は聞いて満ち足りることもない。 + 昔あったものは、これからもあり、昔起こったことは、これからも起こる。/日の下には新しいものは一つもない。 + 「これを見よ。これは新しい」と言われるものがあっても、それは、私たちよりはるか先の時代に、すでにあったものだ。 + 先にあったことは記憶に残っていない。これから後に起こることも、それから後の時代の人々には記憶されないであろう。 + 伝道者である私は、エルサレムでイスラエルの王であった。 + 私は、天の下で行われるいっさいの事について、知恵を用いて、一心に尋ね、探り出そうとした。これは、人の子らが労苦するようにと神が与えたつらい仕事だ。 + 私は、日の下で行われたすべてのわざを見たが、なんと、すべてがむなしいことよ。風を追うようなものだ。 + 曲がっているものを、まっすぐにはできない。/なくなっているものを、数えることはできない。 + 私は自分の心にこう語って言った。「今や、私は、私より先にエルサレムにいただれよりも知恵を増し加えた。私の心は多くの知恵と知識を得た。」 + 私は、一心に知恵と知識を、狂気と愚かさを知ろうとした。それもまた風を追うようなものであることを知った。 + 実に、知恵が多くなれば悩みも多くなり、知識を増す者は悲しみを増す。 + + + 私は心の中で言った。「さあ、快楽を味わってみるがよい。楽しんでみるがよい。」しかし、これもまた、なんとむなしいことか。 + 笑いか。ばからしいことだ。快楽か。それがいったい何になろう。 + 私は心の中で、私の心は知恵によって導かれているが、からだはぶどう酒で元気づけようと考えた。人の子が短い一生の間、天の下でする事について、何が良いかを見るまでは、愚かさを身につけていようと考えた。 + 私は事業を拡張し、邸宅を建て、ぶどう畑を設け、 + 庭と園を造り、そこにあらゆる種類の果樹を植えた。 + 木の茂った森を潤すために池も造った。 + 私は男女の奴隷を得た。私には家で生まれた奴隷があった。私には、私より先にエルサレムにいただれよりも多くの牛や羊もあった。 + 私はまた、銀や金、それに王たちや諸州の宝も集めた。私は男女の歌うたいをつくり、人の子らの快楽である多くのそばめを手に入れた。 + 私は、私より先にエルサレムにいただれよりも偉大な者となった。しかも、私の知恵は私から離れなかった。 + 私は、私の目の欲するものは何でも拒まず、心のおもむくままに、あらゆる楽しみをした。実に私の心はどんな労苦をも喜んだ。これが、私のすべての労苦による私の受ける分であった。 + しかし、私が手がけたあらゆる事業と、そのために私が骨折った労苦とを振り返ってみると、なんと、すべてがむなしいことよ。風を追うようなものだ。日の下には何一つ益になるものはない。 + 私は振り返って、知恵と、狂気と、愚かさとを見た。いったい、王の跡を継ぐ者も、すでになされた事をするのにすぎないではないか。 + 私は見た。光がやみにまさっているように、知恵は愚かさにまさっていることを。 + 知恵ある者は、その頭に目があるが、愚かな者はやみの中を歩く。しかし、みな、同じ結末に行き着くことを私は知った。 + 私は心の中で言った。「私も愚かな者と同じ結末に行き着くのなら、それでは私の知恵は私に何の益になろうか。」私は心の中で語った。「これもまたむなしい」と。 + 事実、知恵ある者も愚かな者も、いつまでも記憶されることはない。日がたつと、いっさいは忘れられてしまう。知恵ある者も愚かな者とともに死んでいなくなる。 + 私は生きていることを憎んだ。日の下で行われるわざは、私にとってはわざわいだ。すべてはむなしく、風を追うようなものだから。 + 私は、日の下で骨折ったいっさいの労苦を憎んだ。後継者のために残さなければならないからである。 + 後継者が知恵ある者か愚か者か、だれにわかろう。しかも、私が日の下で骨折り、知恵を使ってしたすべての労苦を、その者が支配するようになるのだ。これもまた、むなしい。 + 私は日の下で骨折ったいっさいの労苦を思い返して絶望した。 + どんなに人が知恵と知識と才能をもって労苦しても、何の労苦もしなかった者に、自分の分け前を譲らなければならない。これもまた、むなしく、非常に悪いことだ。 + 実に、日の下で骨折ったいっさいの労苦と思い煩いは、人に何になろう。 + その一生は悲しみであり、その仕事には悩みがあり、その心は夜も休まらない。これもまた、むなしい。 + 人には、食べたり飲んだりし、自分の労苦に満足を見いだすよりほかに、何も良いことがない。これもまた、神の御手によることがわかった。 + 実に、神から離れて、だれが食べ、だれが楽しむことができようか。 + なぜなら、神は、みこころにかなう人には、知恵と知識と喜びを与え、罪人には、神のみこころにかなう者に渡すために、集め、たくわえる仕事を与えられる。これもまた、むなしく、風を追うようなものだ。 + + + 天の下では、何事にも定まった時期があり、すべての営みには時がある。 + 生まれるのに時があり、死ぬのに時がある。/植えるのに時があり、植えた物を引き抜くのに時がある。 + 殺すのに時があり、いやすのに時がある。/くずすのに時があり、建てるのに時がある。 + 泣くのに時があり、ほほえむのに時がある。/嘆くのに時があり、踊るのに時がある。 + 石を投げ捨てるのに時があり、石を集めるのに時がある。/抱擁するのに時があり、抱擁をやめるのに時がある。 + 捜すのに時があり、失うのに時がある。/保つのに時があり、投げ捨てるのに時がある。 + 引き裂くのに時があり、縫い合わせるのに時がある。/黙っているのに時があり、話をするのに時がある。 + 愛するのに時があり、憎むのに時がある。/戦うのに時があり、和睦するのに時がある。 + 働く者は労苦して何の益を得よう。 + 私は神が人の子らに与えて労苦させる仕事を見た。 + 神のなさることは、すべて時にかなって美しい。神はまた、人の心に永遠を与えられた。しかし人は、神が行われるみわざを、初めから終わりまで見きわめることができない。 + 私は知った。人は生きている間に喜び楽しむほか何も良いことがないのを。 + また、人がみな、食べたり飲んだりし、すべての労苦の中にしあわせを見いだすこともまた神の賜物であることを。 + 私は知った。神のなさることはみな永遠に変わらないことを。それに何かをつけ加えることも、それから何かを取り去ることもできない。神がこのことをされたのだ。人は神を恐れなければならない。 + 今あることは、すでにあったこと。これからあることも、すでにあったこと。神は、すでに追い求められたことをこれからも捜し求められる。 + さらに私は日の下で、さばきの場に不正があり、正義の場に不正があるのを見た。 + 私は心の中で言った。「神は正しい人も悪者もさばく。そこでは、すべての営みと、すべてのわざには、時があるからだ。」 + 私は心の中で人の子らについて言った。「神は彼らを試み、彼らが獣にすぎないことを、彼らが気づくようにされたのだ。」 + 人の子の結末と獣の結末とは同じ結末だ。これも死ねば、あれも死ぬ。両方とも同じ息を持っている。人は何も獣にまさっていない。すべてはむなしいからだ。 + みな同じ所に行く。すべてのものはちりから出て、すべてのものはちりに帰る。 + だれが知っているだろうか。人の子らの霊は上に上り、獣の霊は地の下に降りて行くのを。 + 私は見た。人は、自分の仕事を楽しむよりほかに、何も良いことがないことを。それが人の受ける分であるからだ。だれが、これから後に起こることを人に見せてくれるだろう。 + + + 私は再び、日の下で行われるいっさいのしいたげを見た。見よ、しいたげられている者の涙を。彼らには慰める者がいない。しいたげる者が権力をふるう。しかし、彼らには慰める者がいない。 + 私は、まだいのちがあって生きながらえている人よりは、すでに死んだ死人のほうに祝いを申し述べる。 + また、この両者よりもっと良いのは、今までに存在しなかった者、日の下で行われる悪いわざを見なかった者だ。 + 私はまた、あらゆる労苦とあらゆる仕事の成功を見た。それは人間同士のねたみにすぎない。これもまた、むなしく、風を追うようなものだ。 + 愚かな者は、手をこまねいて、自分の肉を食べる。 + 片手に安楽を満たすことは、両手に労苦を満たして風を追うのにまさる。 + 私は再び、日の下にむなしさのあるのを見た。 + ひとりぼっちで、仲間もなく、子も兄弟もない人がいる。それでも彼のいっさいの労苦には終わりがなく、彼の目は富を求めて飽き足りることがない。そして、「私はだれのために労苦し、楽しみもなくて自分を犠牲にしているのか」とも言わない。これもまた、むなしく、つらい仕事だ。 + ふたりはひとりよりもまさっている。ふたりが労苦すれば、良い報いがあるからだ。 + どちらかが倒れるとき、ひとりがその仲間を起こす。倒れても起こす者のいないひとりぼっちの人はかわいそうだ。 + また、ふたりがいっしょに寝ると暖かいが、ひとりでは、どうして暖かくなろう。 + もしひとりなら、打ち負かされても、ふたりなら立ち向かえる。三つ撚りの糸は簡単には切れない。 + 貧しくても知恵のある若者は、もう忠言を受けつけない年とった愚かな王にまさる。 + たとい、彼が牢獄から出て来て王になったにしても、たとい、彼が王国で貧しく生まれた者であったにしても。 + 私は、日の下に生息するすべての生きものが、王に代わって立つ後継の若者の側につくのを見た。 + すべての民には果てしがない。彼が今あるすべての民の先頭に立っても、これから後の者たちは、彼を喜ばないであろう。これもまた、むなしく、風を追うようなものだ。 + + + 神の宮へ行くときは、自分の足に気をつけよ。近寄って聞くことは、愚かな者がいけにえをささげるのにまさる。彼らは自分たちが悪を行っていることを知らないからだ。 + 神の前では、軽々しく、心あせってことばを出すな。神は天におられ、あなたは地にいるからだ。だから、ことばを少なくせよ。 + 仕事が多いと夢を見る。/ことばが多いと愚かな者の声となる。 + 神に誓願を立てるときには、それを果たすのを遅らせてはならない。神は愚かな者を喜ばないからだ。誓ったことは果たせ。 + 誓って果たさないよりは、誓わないほうがよい。 + あなたの口が、あなたに罪を犯させないようにせよ。使者の前で「あれは過失だ」と言ってはならない。神が、あなたの言うことを聞いて怒り、あなたの手のわざを滅ぼしてもよいだろうか。 + 夢が多くなると、むなしいことばも多くなる。/ただ、神を恐れよ。 + ある州で、貧しい者がしいたげられ、権利と正義がかすめられるのを見ても、そのことに驚いてはならない。その上役には、それを見張るもうひとりの上役がおり、彼らよりももっと高い者たちもいる。 + 何にもまして、国の利益は農地を耕させる王である。 + 金銭を愛する者は金銭に満足しない。富を愛する者は収益に満足しない。これもまた、むなしい。 + 財産がふえると、寄食者もふえる。持ち主にとって何の益になろう。彼はそれを目で見るだけだ。 + 働く者は、少し食べても多く食べても、ここちよく眠る。富む者は、満腹しても、安眠をとどめられる。 + 私は日の下に、痛ましいことがあるのを見た。所有者に守られている富が、その人に害を加えることだ。 + その富は不幸な出来事で失われ、子どもが生まれても、自分の手もとには何もない。 + 母の胎から出て来たときのように、また裸でもとの所に帰る。彼は、自分の労苦によって得たものを、何一つ手に携えて行くことができない。 + これも痛ましいことだ。出て来たときと全く同じようにして去って行く。風のために労苦して何の益があるだろう。 + しかも、人は一生、やみの中で食事をする。多くの苦痛、病気、そして怒り。 + 見よ。私がよいと見たこと、好ましいことは、神がその人に許されるいのちの日数の間、日の下で骨折るすべての労苦のうちに、しあわせを見つけて、食べたり飲んだりすることだ。これが人の受ける分なのだ。 + 実に神はすべての人間に富と財宝を与え、これを楽しむことを許し、自分の受ける分を受け、自分の労苦を喜ぶようにされた。これこそが神の賜物である。 + こういう人は、自分の生涯のことをくよくよ思わない。神が彼の心を喜びで満たされるからだ。 + + + 私は日の下で、もう一つの悪があるのを見た。それは人の上に重くのしかかっている。 + 神が富と財宝と誉れとを与え、彼の望むもので何一つ欠けたもののない人がいる。しかし、神は、この人がそれを楽しむことを許さず、外国人がそれを楽しむようにされる。これはむなしいことで、それは悪い病だ。 + もし人が百人の子どもを持ち、多くの年月を生き、彼の年が多くなっても、彼が幸いで満たされることなく、墓にも葬られなかったなら、私は言う、死産の子のほうが彼よりはましだと。 + その子はむなしく生まれて来て、やみの中に去り、その名はやみの中に消される。 + 太陽も見ず、何も知らずに。しかし、この子のほうが彼よりは安らかである。 + 彼が千年の倍も生きても、――しあわせな目に会わなければ――両者とも同じ所に行くのではないか。 + 人の労苦はみな、自分の口のためである。/しかし、その食欲は決して満たされない。 + 知恵ある者は、愚かな者より何がまさっていよう。人々の前での生き方を知っている貧しい人も、何がまさっていよう。 + 目が見るところは、心があこがれることにまさる。これもまた、むなしく、風を追うようなものだ。 + 今あるものは、何であるか、すでにその名がつけられ、また彼がどんな人であるかも知られている。彼は彼よりも力のある者と争うことはできない。 + 多く語れば、それだけむなしさを増す。それは、人にとって何の益になるだろう。 + だれが知ろうか。影のように過ごすむなしいつかのまの人生で、何が人のために善であるかを。だれが人に告げることができようか。彼の後に、日の下で何が起こるかを。 + + + 良い名声は良い香油にまさり、死の日は生まれる日にまさる。 + 祝宴の家に行くよりは、喪中の家に行くほうがよい。/そこには、すべての人の終わりがあり、生きている者が/それを心に留めるようになるからだ。 + 悲しみは笑いにまさる。/顔の曇りによって心は良くなる。 + 知恵ある者の心は喪中の家に向き、愚かな者の心は楽しみの家に向く。 + 知恵ある者の叱責を聞くのは、愚かな者の歌を聞くのにまさる。 + 愚かな者の笑いは、なべの下のいばらがはじける音に似ている。/これもまた、むなしい。 + しいたげは知恵ある者を愚かにし、まいないは心を滅ぼす。 + 事の終わりは、その初めにまさり、忍耐は、うぬぼれにまさる。 + 軽々しく心をいらだててはならない。/いらだちは愚かな者の胸にとどまるから。 + 「どうして、昔のほうが今より良かったのか」と言ってはならない。このような問いは、知恵によるのではない。 + 資産を伴う知恵は良い。/日を見る人に益となる。 + 知恵の陰にいるのは、金銭の陰にいるようだ。/知識の益は、知恵がその持ち主を生かすことにある。 + 神のみわざに目を留めよ。神が曲げたものをだれがまっすぐにできようか。 + 順境の日には喜び、逆境の日には反省せよ。これもあれも神のなさること。それは後の事を人にわからせないためである。 + 私はこのむなしい人生において、すべての事を見てきた。正しい人が正しいのに滅び、悪者が悪いのに長生きすることがある。 + あなたは正しすぎてはならない。知恵がありすぎてはならない。なぜあなたは自分を滅ぼそうとするのか。 + 悪すぎてもいけない。愚かすぎてもいけない。自分の時が来ないのに、なぜ死のうとするのか。 + 一つをつかみ、もう一つを手放さないがよい。神を恐れる者は、この両方を会得している。 + 知恵は町の十人の権力者よりも知恵者を力づける。 + この地上には、善を行い、罪を犯さない正しい人はひとりもいないから。 + 人の語ることばにいちいち心を留めてはならない。あなたのしもべがあなたをのろうのを聞かないためだ。 + あなた自身も他人を何度ものろったことを知っているからだ。 + 私は、これらのいっさいを知恵によって試み、そして言った。「私は知恵ある者になりたい」と。しかし、それは私の遠く及ばないことだった。 + 今あることは、遠くて非常に深い。だれがそれを見きわめることができよう。 + 私は心を転じて、知恵と道理を学び、探り出し、捜し求めた。愚かな者の悪行と狂った者の愚かさを学びとろうとした。 + 私は女が死よりも苦々しいことに気がついた。女はわなであり、その心は網、その手はかせである。神に喜ばれる者は女からのがれるが、罪を犯す者は女に捕らえられる。 + 見よ。「私は道理を見いだそうとして、一つ一つに当たり、見いだしたことは次のとおりである」と伝道者は言う。 + 私はなおも捜し求めているが、見いださない。私は千人のうちに、ひとりの男を見いだしたが、そのすべてのうちに、ひとりの女も見いださなかった。 + 私が見いだした次の事だけに目を留めよ。神は人を正しい者に造られたが、人は多くの理屈を捜し求めたのだ。 + + + だれが知恵ある者にふさわしいだろう。/だれが事物の意義を知りえよう。/人の知恵は、その人の顔を輝かし、その顔の固さを和らげる。 + 私は言う。王の命令を守れ。神の誓約があるから。 + 王の前からあわてて退出するな。悪事に荷担するな。王は自分の望むままを何でもするから。 + 王のことばには権威がある。だれが彼に、「あなたは何をするのですか」と言えようか。 + 命令を守る者はわざわいを知らない。/知恵ある者の心は時とさばきを知っている。 + すべての営みには時とさばきがある。人に降りかかるわざわいが多いからだ。 + 何が起こるかを知っている者はいない。いつ起こるかをだれも告げることはできない。 + 風を支配し、風を止めることのできる人はいない。死の日も支配することはできない。この戦いから放免される者はいない。悪は悪の所有者を救いえない。 + 私はこのすべてを見て、日の下で行われるいっさいのわざ、人が人を支配して、わざわいを与える時について、私の心を用いた。 + そこで、私は見た。悪者どもが葬られて、行くのを。しかし、正しい行いの者が、聖なる方の所を去り、そうして、町で忘れられるのを。これもまた、むなしい。 + 悪い行いに対する宣告がすぐ下されないので、人の子らの心は悪を行う思いで満ちている。 + 罪人が、百度悪事を犯しても、長生きしている。しかし私は、神を恐れる者も、神を敬って、しあわせであることを知っている。 + 悪者にはしあわせがない。その生涯を影のように長くすることはできない。彼らは神を敬わないからだ。 + しかし、むなしいことが地上で行われている。悪者の行いに対する報いを正しい人がその身に受け、正しい人の行いに対する報いを悪者がその身に受けることがある。これもまた、むなしい、と私は言いたい。 + 私は快楽を賛美する。日の下では、食べて、飲んで、楽しむよりほかに、人にとって良いことはない。これは、日の下で、神が人に与える一生の間に、その労苦に添えてくださるものだ。 + 私は一心に知恵を知り、昼も夜も眠らずに、地上で行われる人の仕事を見ようとしたとき、 + すべては神のみわざであることがわかった。人は日の下で行われるみわざを見きわめることはできない。人は労苦して捜し求めても、見いだすことはない。知恵ある者が知っていると思っても、見きわめることはできない。 + + + というのは、私はこのいっさいを心に留め、正しい人も、知恵のある者も、彼らの働きも、神の御手の中にあることを確かめたからである。彼らの前にあるすべてのものが愛であるか、憎しみであるか、人にはわからない。 + すべての事はすべての人に同じように起こる。同じ結末が、正しい人にも、悪者にも、善人にも、きよい人にも、汚れた人にも、いけにえをささげる人にも、いけにえをささげない人にも来る。善人にも、罪人にも同様である。誓う者にも、誓うのを恐れる者にも同様である。 + 同じ結末がすべての人に来るということ、これは日の下で行われるすべての事のうちで最も悪い。だから、人の子らの心は悪に満ち、生きている間、その心には狂気が満ち、それから後、死人のところに行く。 + すべて生きている者に連なっている者には希望がある。生きている犬は死んだ獅子にまさるからである。 + 生きている者は自分が死ぬことを知っているが、死んだ者は何も知らない。彼らにはもはや何の報いもなく、彼らの呼び名も忘れられる。 + 彼らの愛も憎しみも、ねたみもすでに消えうせ、日の下で行われるすべての事において、彼らには、もはや永遠に受ける分はない。 + さあ、喜んであなたのパンを食べ、愉快にあなたのぶどう酒を飲め。/神はすでにあなたの行いを喜んでおられる。 + いつもあなたは白い着物を着、頭には油を絶やしてはならない。 + 日の下であなたに与えられたむなしい一生の間に、あなたの愛する妻と生活を楽しむがよい。それが、生きている間に、日の下であなたがする労苦によるあなたの受ける分である。 + あなたの手もとにあるなすべきことはみな、自分の力でしなさい。あなたが行こうとしているよみには、働きも企ても知識も知恵もないからだ。 + 私は再び、日の下を見たが、競走は足の早い人のものではなく、戦いは勇士のものではなく、またパンは知恵ある人のものではなく、また富は悟りのある人のものではなく、愛顧は知識のある人のものではないことがわかった。すべての人が時と機会に出会うからだ。 + しかも、人は自分の時を知らない。悪い網にかかった魚のように、わなにかかった鳥のように、人の子らもまた、わざわいの時が突然彼らを襲うと、それにかかってしまう。 + 私はまた、日の下で知恵についてこのようなことを見た。それは私にとって大きなことであった。 + わずかな人々が住む小さな町があった。そこに大王が攻めて来て、これを包囲し、これに対して大きなとりでを築いた。 + ところが、その町に、貧しいひとりの知恵ある者がいて、自分の知恵を用いてその町を解放した。しかし、だれもこの貧しい人を記憶しなかった。 + 私は言う。「知恵は力にまさる。しかし貧しい者の知恵はさげすまれ、彼の言うことも聞かれない。」 + 知恵ある者の静かなことばは、愚かな者の間の支配者の叫びよりは、よく聞かれる。 + 知恵は武器にまさり、ひとりの罪人は多くの良いことを打ちこわす。 + + + 死んだはえは、調合した香油を臭くし、発酵させる。/少しの愚かさは、知恵や栄誉よりも重い。 + 知恵ある者の心は右に向き、愚かな者の心は左に向く。 + 愚か者が道を行くとき、思慮に欠けている。/自分が愚かであることを、みなに知らせる。 + 支配者があなたに向かって立腹しても、あなたはその場を離れてはならない。/冷静は大きな罪を犯さないようにするから。 + 私は、日の下に一つの悪があるのを見た。/それは/権力者の犯す過失のようなものである。 + 愚か者が非常に高い位につけられ、富む者が低い席に着けられている。 + 私は奴隷たちが馬に乗り、君主たちが奴隷のように地を歩くのを見た。 + 穴を掘る者はそれに落ち込み、石垣をくずす者は蛇にかまれる。 + 石を切り出す者は石で傷つき、木を割る者は木で危険にさらされる。 + もし斧が鈍くなったとき、その刃をとがないと、もっと力がいる。/しかし知恵は人を成功させるのに益になる。 + もし蛇がまじないにかからずにかみつくなら、それは蛇使いに何の益にもならない。 + 知恵ある者が口にすることばは優しく、愚かな者のくちびるはその身を滅ぼす。 + 彼が口にすることばの始まりは、愚かなこと、彼の口の終わりは、みじめな狂気。 + 愚か者はよくしゃべる。/人はこれから起こることを知らない。/これから後に起こることを/だれが告げることができよう。 + 愚かな者の労苦は、おのれを疲れさせる。/彼は町に行く道さえ知らない。 + わざわいなことよ。/あなたの王が子どもであって、あなたの首長たちが朝から食事をする国は。 + 幸いなことよ。/あなたの王が貴族の出であって、あなたの首長たちが、酔うためではなく、力をつけるために、定まった時に、食事をする国は。 + なまけていると天井が落ち、手をこまねいていると雨漏りがする。 + 食事をするのは笑うため。/ぶどう酒は人生を楽しませる。/金銭はすべての必要に応じる。 + 王をのろおうと、ひそかに思ってはならない。/寝室でも富む者をのろってはならない。/なぜなら、空の鳥がその声を持ち運び、翼のあるものがそのことを告げるからだ。 + + + あなたのパンを水の上に投げよ。/ずっと後の日になって、あなたはそれを見いだそう。 + あなたの受ける分を七人か八人に分けておけ。/地上でどんなわざわいが起こるか/あなたは知らないのだから。 + 雲が雨で満ちると、それは地上に降り注ぐ。/木が南風や北風で倒されると、その木は倒れた場所にそのままにある。 + 風を警戒している人は種を蒔かない。/雲を見ている者は刈り入れをしない。 + あなたは妊婦の胎内の骨々のことと同様、風の道がどのようなものかを知らない。そのように、あなたはいっさいを行われる神のみわざを知らない。 + 朝のうちにあなたの種を蒔け。夕方も手を放してはいけない。あなたは、あれか、これか、どこで成功するのか、知らないからだ。二つとも同じようにうまくいくかもわからない。 + 光は快い。太陽を見ることは目のために良い。 + 人は長年生きて、ずっと楽しむがよい。だが、やみの日も数多くあることを忘れてはならない。すべて起こることはみな、むなしい。 + 若い男よ。若いうちに楽しめ。若い日にあなたの心を喜ばせよ。あなたの心のおもむくまま、あなたの目の望むままに歩め。しかし、これらすべての事において、あなたは神のさばきを受けることを知っておけ。 + だから、あなたの心から悲しみを除き、あなたの肉体から痛みを取り去れ。若さも、青春も、むなしいからだ。 + + + あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ。わざわいの日が来ないうちに、また「何の喜びもない」と言う年月が近づく前に。 + 太陽と光、月と星が暗くなり、雨の後にまた雨雲がおおう前に。 + その日には、家を守る者は震え、力のある男たちは身をかがめ、粉ひき女たちは少なくなって仕事をやめ、窓からながめている女の目は暗くなる。 + 通りのとびらは閉ざされ、臼をひく音も低くなり、人は鳥の声に起き上がり、歌を歌う娘たちはみなうなだれる。 + 彼らはまた高い所を恐れ、道でおびえる。アーモンドの花は咲き、いなごはのろのろ歩き、ふうちょうぼくは花を開く。だが、人は永遠の家へと歩いて行き、嘆く者たちが通りを歩き回る。 + こうしてついに、銀のひもは切れ、金の器は打ち砕かれ、水がめは泉のかたわらで砕かれ、滑車が井戸のそばでこわされる。 + ちりはもとあった地に帰り、霊はこれを下さった神に帰る。 + 空の空。伝道者は言う。すべては空。 + 伝道者は知恵ある者であったが、そのうえ、知識を民に教えた。彼は思索し、探求し、多くの箴言をまとめた。 + 伝道者は適切なことばを見いだそうとし、真理のことばを正しく書き残した。 + 知恵ある者のことばは突き棒のようなもの、編集されたものはよく打ちつけられた釘のようなものである。これらはひとりの羊飼いによって与えられた。 + わが子よ。これ以外のことにも注意せよ。多くの本を作ることには、限りがない。多くのものに熱中すると、からだが疲れる。 + 結局のところ、もうすべてが聞かされていることだ。神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである。 + 神は、善であれ悪であれ、すべての隠れたことについて、すべてのわざをさばかれるからだ。 + +
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+ + ソロモンの雅歌 + あの方が私に/口づけしてくださったらよいのに。/あなたの愛はぶどう酒よりも快く、 + あなたの香油のかおりはかぐわしく、あなたの名はそそがれる香油のよう。/それで、おとめらはあなたを愛しています。 + 私を引き寄せてください。/私たちはあなたのあとから急いでまいります。/王は私を奥の間に連れて行かれました。/私たちはあなたによって楽しみ喜び、あなたの愛をぶどう酒にまさってほめたたえ、真心からあなたを愛しています。 + エルサレムの娘たち。/私はケダルの天幕のように、ソロモンの幕のように、黒いけれども美しい。 + 私をご覧にならないでください。/私は日に焼けて、黒いのです。/私の母の子らが私に向かっていきりたち、私をぶどう畑の見張りに立てたのです。/しかし、私は自分のぶどう畑は/見張りませんでした。 + 私の愛している人。どうか教えてください。/どこで羊を飼い、昼の間は、どこでそれを休ませるのですか。/あなたの仲間の群れのかたわらで、私はなぜ、顔おおいをつけた女のようにしていなければ/ならないのでしょう。 + 女のなかで最も美しい人よ。/あなたがこれを知らないのなら、羊の群れの足跡について行き、羊飼いの住まいのかたわらで、あなたの子やぎを飼いなさい。 + わが愛する者よ。私はあなたを/パロの戦車の雌馬になぞらえよう。 + あなたの頬には飾り輪がつき、首には宝石をちりばめた/首飾りがつけてあって、美しい。 + 私たちは銀をちりばめた金の飾り輪を/あなたのために作ろう。 + 王がうたげの座に着いておられる間、私のナルドはかおりを放ちました。 + 私の愛する方は、私にとっては、この乳房の間に宿る没薬の袋のようです。 + 私の愛する方は、私にとっては、エン・ゲディのぶどう畑にある/ヘンナ樹の花ぶさのようです。 + ああ、わが愛する者。/あなたはなんと美しいことよ。/なんと美しいことよ。あなたの目は鳩のようだ。 + 私の愛する方。/あなたはなんと美しく、慕わしい方でしょう。/私たちの長いいすは青々としています。 + 私たちの家の梁は杉の木、そのたるきは糸杉です。 + + + 私はシャロンのサフラン、谷のゆりの花。 + わが愛する者が娘たちの間にいるのは、いばらの中のゆりの花のようだ。 + 私の愛する方が/若者たちの間におられるのは、林の木の中のりんごの木のようです。/私はその陰にすわりたいと切に望みました。/その実は私の口に甘いのです。 + あの方は私を酒宴の席に伴われました。/私の上に翻るあの方の旗じるしは愛でした。 + 干しぶどうの菓子で私を力づけ、りんごで私を元気づけてください。/私は愛に病んでいるのです。 + ああ、あの方の左の腕が私の頭の下にあり、右の手が私を抱いてくださるとよいのに。 + エルサレムの娘たち。/私は、かもしかや野の雌鹿をさして、あなたがたに誓っていただきます。/揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。/愛が目ざめたいと思うときまでは。 + 愛する方の声。/ご覧、あの方が来られます。/山々をとび越え、丘々の上をはねて。 + 私の愛する方は、かもしかや若い鹿のようです。/ご覧、あの方は私たちの壁のうしろに/じっと立ち、窓からのぞき、格子越しにうかがっています。 + 私の愛する方は、私に語りかけて言われます。/「わが愛する者、美しいひとよ。/さあ、立って、出ておいで。 + ほら、冬は過ぎ去り、大雨も通り過ぎて行った。 + 地には花が咲き乱れ、歌の季節がやって来た。/山鳩の声が、私たちの国に聞こえる。 + いちじくの木は実をならせ、ぶどうの木は、花をつけてかおりを放つ。/わが愛する者、美しいひとよ。/さあ、立って、出ておいで。 + 岩の裂け目、がけの隠れ場にいる私の鳩よ。/私に、顔を見せておくれ。/あなたの声を聞かせておくれ。/あなたの声は愛らしく、あなたの顔は美しい。 + 『私たちのために、ぶどう畑を荒らす狐や小狐を捕らえておくれ。』/私たちのぶどう畑は花盛りだから。」 + 私の愛する方は私のもの。/私はあの方のもの。/あの方はゆりの花の間で群れを飼っています。 + 私の愛する方よ。/そよ風が吹き始め、影が消え去るころまでに、あなたは帰って来て、険しい山々の上のかもしかや、若い鹿のようになってください。 + + + 私は、夜、床についても、私の愛している人を捜していました。/私が捜しても、あの方は見あたりませんでした。 + 「さあ、起きて町を行き巡り、通りや広場で、私の愛している人を捜して来よう。」/私が捜しても、あの方は見あたりませんでした。 + 町を行き巡る夜回りたちが私を見つけました。「私の愛している人を、あなたがたはお見かけになりませんでしたか。」 + 彼らのところを通り過ぎると間もなく、私の愛している人を私は見つけました。/この方をしっかりつかまえて、放さず、とうとう、私の母の家に、私をみごもった人の奥の間に、お連れしました。 + エルサレムの娘たち。/私は、かもしかや野の雌鹿をさして、あなたがたに誓っていただきます。/揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。/愛が目ざめたいと思うときまでは。 + 没薬や乳香、貿易商人のあらゆる香料の粉末をくゆらして、煙の柱のように荒野から上って来るひとはだれ。 + 見なさい。あれはソロモンの乗るみこし。/その回りには、イスラエルの勇士、六十人の勇士がいる。 + 彼らはみな剣を帯びている練達の戦士たち。/夜襲に備えて、おのおの腰に剣を帯びている。 + ソロモン王は、レバノンの木で/自分のためにみこしを作った。 + その支柱は銀、背は金、その座席は紫色の布で作った。/その内側はエルサレムの娘たちによって/美しく切りばめ細工がされている。 + シオンの娘たち。ソロモン王を見に出かけなさい。/ご自分の婚礼の日、心の喜びの日のために、母上からかぶらせてもらった冠をかぶっている。 + + + ああ、わが愛する者。/あなたはなんと美しいことよ。/なんと美しいことよ。/あなたの目は、顔おおいのうしろで鳩のようだ。/あなたの髪は、ギルアデの山から降りて来る/やぎの群れのよう、 + あなたの歯は、洗い場から上って来て/毛を刈られる雌羊の群れのようだ。/それはみな、ふたごを産み、ふたごを産まないものは一頭もいない。 + あなたのくちびるは紅の糸。/あなたの口は愛らしい。/あなたの頬は、顔おおいのうしろにあって、ざくろの片割れのようだ。 + あなたの首は、兵器庫のために建てられた/ダビデのやぐらのようだ。/その上には千の盾が掛けられていて、みな勇士の丸い小盾だ。 + あなたの二つの乳房は、ゆりの花の間で草を食べているふたごのかもしか、二頭の子鹿のようだ。 + そよ風が吹き始め、影が消え去るころまでに、私は没薬の山、乳香の丘に行こう。 + わが愛する者よ。あなたのすべては美しく、あなたには何の汚れもない。 + 花嫁よ。私といっしょにレバノンから、私といっしょにレバノンから来なさい。/アマナの頂から、セニル、すなわちヘルモンの頂から、獅子のほら穴、ひょうの山から降りて来なさい。 + 私の妹、花嫁よ。/あなたは私の心を奪った。/あなたのただ一度のまなざしと、あなたの首飾りのただ一つの宝石で、私の心を奪ってしまった。 + 私の妹、花嫁よ。/あなたの愛は、なんと麗しいことよ。/あなたの愛は、ぶどう酒よりもはるかにまさり、あなたの香油のかおりは、すべての香料にもまさっている。 + 花嫁よ。あなたのくちびるは蜂蜜をしたたらせ、あなたの舌の裏には蜜と乳がある。/あなたの着物のかおりは、レバノンのかおりのようだ。 + 私の妹、花嫁は、閉じられた庭、閉じられた源、封じられた泉。 + あなたの産み出すものは、最上の実をみのらすざくろの園、ヘンナ樹にナルド、 + ナルド、サフラン、菖蒲、肉桂に、乳香の取れるすべての木、没薬、アロエに、香料の最上のものすべて、 + 庭の泉、湧き水の井戸、レバノンからの流れ。 + 北風よ、起きよ。南風よ、吹け。/私の庭に吹き、そのかおりを漂わせておくれ。/私の愛する方が庭に入り、その最上の実を食べることができるように。 + + + 私の妹、花嫁よ。/私は、私の庭に入り、没薬と香料を集め、蜂の巣と蜂蜜を食べ、ぶどう酒と乳を飲む。/友よ、食べよ。/飲め。愛する人たちよ。大いに飲め。 + 私は眠っていましたが、心はさめていました。/戸をたたいている愛する方の声。「わが妹、わが愛する者よ。戸をあけておくれ。私の鳩よ。汚れのないものよ。私の頭は露にぬれ、髪の毛も夜のしずくでぬれている。」 + 私は着物を脱いでしまった。/どうしてまた、着られましょう。/足も洗ってしまった。/どうしてまた、よごせましょう。 + 私の愛する方が戸の穴から手を差し入れました。/私の心は、あの方のために立ち騒ぎました。 + 私は起きて、私の愛する方のために戸をあけました。/私の手から没薬が、私の指から没薬の液が、かんぬきの取っ手の上にしたたりました。 + 私が、愛する方のために戸をあけると、愛する方は、背を向けて去って行きました。/あの方のことばで、私は気を失いました。/私が捜しても、あの方は見あたりませんでした。/私が呼んでも、答えはありませんでした。 + 町を行き巡る夜回りたちが私を見つけました。/彼らは私を打ち、傷つけました。/城壁を守る者たちも、私のかぶり物をはぎ取りました。 + エルサレムの娘たち。誓ってください。/あなたがたが私の愛する方を見つけたら、あの方に何と言ってくださるでしょう。/私が愛に病んでいる、と言ってください。 + 女のなかで最も美しい人よ。/あなたの愛する方は、ほかの愛人より/何がすぐれているのですか。/あなたがそのように私たちに切に願うとは。/あなたの愛する方は、ほかの愛人より/何がすぐれているのですか。 + 私の愛する方は、輝いて、赤く、万人よりすぐれ、 + その頭は純金です。/髪の毛はなつめやしの枝で、烏のように黒く、 + その目は、乳で洗われ、池のほとりで休み、水の流れのほとりにいる鳩のようです。 + その頬は、良いかおりを放つ香料の花壇のよう。/くちびるは没薬の液をしたたらせるゆりの花。 + その腕は、タルシシュの宝石をはめ込んだ/金の棒。/からだは、サファイヤでおおった象牙の細工。 + その足は、純金の台座に据えられた大理石の柱。/その姿はレバノンのよう。杉のようにすばらしい。 + そのことばは甘いぶどう酒。/あの方のすべてがいとしい。/エルサレムの娘たち。/これが私の愛する方、これが私の連れ合いです。 + + + 女のなかで最も美しい人よ。/あなたの愛する方は、どこへ行かれたのでしょう。/あなたの愛する方は、どこへ向かわれたのでしょう。/私たちも、あなたといっしょに捜しましょう。 + 私の愛する方は、自分の庭、香料の花壇へ下って行かれました。/庭の中で群れを飼い、ゆりの花を集めるために。 + 私は、私の愛する方のもの。/私の愛する方は私のもの。/あの方はゆりの花の間で群れを飼っています。 + わが愛する者よ。/あなたはティルツァのように美しく、エルサレムのように愛らしい。/だが、旗を掲げた軍勢のように恐ろしい。 + あなたの目を私からそらしておくれ。/それが私をひきつける。/あなたの髪は、ギルアデから降りて来る/やぎの群れのよう、 + あなたの歯は、洗い場から上って来た/雌羊の群れのようだ。/それはみな、ふたごを産み、ふたごを産まないものは一頭もいない。 + あなたの頬は、顔おおいのうしろにあって、ざくろの片割れのようだ。 + 王妃は六十人、そばめは八十人、おとめたちは数知れない。 + 汚れのないもの、私の鳩はただひとり。/彼女は、その母のひとり子、彼女を産んだ者の愛する子。/娘たちは彼女を見て、幸いだと言い、王妃たち、そばめたちも彼女をほめた。 + 「暁の光のように見おろしている、月のように美しい、太陽のように明るい、旗を掲げた軍勢のように恐ろしいもの。/それはだれか。」 + 私はくるみの木の庭へ下って行きました。/谷の新緑を見るために。/ぶどうの木が芽を出したか、ざくろの花が咲いたかを見るために。 + 私自身が知らないうちに、私は民の高貴な人の車に乗せられていました。 + 帰れ。帰れ。シュラムの女よ。/帰れ。帰れ。私たちはあなたを見たい。/どうしてあなたがたはシュラムの女を見るのです。/二つの陣営の舞のように。 + + + 高貴な人の娘よ。/サンダルの中のあなたの足はなんと美しいことよ。/あなたの丸みを帯びたももは、名人の手で作られた飾りのようだ。 + あなたのほぞは、混ぜ合わせたぶどう酒の/尽きることのない丸い杯。/あなたの腹は、ゆりの花で囲まれた小麦の山。 + あなたの二つの乳房は、ふたごのかもしか、二頭の子鹿。 + あなたの首は、象牙のやぐらのようだ。/あなたの目は、バテ・ラビムの門のほとり、ヘシュボンの池。/あなたの鼻は、ダマスコのほうを見張っている/レバノンのやぐらのようだ。 + あなたの頭はカルメル山のようにそびえ、あなたの乱れた髪は紫色。/王はそのふさふさした髪のとりこになった。 + ああ、慰めに満ちた愛よ。/あなたはなんと美しく、快いことよ。 + あなたの背たけはなつめやしの木のよう、あなたの乳房はぶどうのふさのようだ。 + 私は言った。/「なつめやしの木に登り、その枝をつかみたい。/あなたの乳房はぶどうのふさのように、あなたの息はりんごのかおりのようであれ。 + あなたのことばは、良いぶどう酒のようだ。/私の愛に対して、なめらかに流れる。/眠っている者のくちびるを流れる。」 + 私は、私の愛する方のもの。/あの方は私を恋い慕う。 + さあ、私の愛する方よ。野に出て行って、ヘンナ樹の花の中で夜を過ごしましょう。 + 私たちは朝早くからぶどう畑に行き、ぶどうの木が芽を出したか、花が咲いたか、ざくろの花が咲いたかどうかを見て、そこで私の愛をあなたにささげましょう。 + 恋なすびは、かおりを放ち、私たちの門のそばには、新しいのも、古いのも、すべて、最上の物があります。/私の愛する方よ。/これはあなたのためにたくわえたものです。 + + + ああ、もし、あなたが私の母の乳房を吸った/私の兄弟のようであったなら、私が外であなたに出会い、あなたに口づけしても、だれも私をさげすまないでしょうに。 + 私はあなたを導き、私を育てた私の母の家にお連れして、香料を混ぜたぶどう酒、ざくろの果汁を/あなたに飲ませてあげましょう。 + ああ、あの方の左の腕が私の頭の下にあり、右の手が私を抱いてくださるとよいのに。 + エルサレムの娘たち。/私はあなたがたに誓っていただきます。/揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。/愛が目ざめたいと思うときまでは。 + 自分の愛する者に寄りかかって、荒野から上って来るひとはだれでしょう。/私はりんごの木の下で/あなたの目をさまさせた。/そこはあなたの母があなたのために/産みの苦しみをした所。/そこはあなたを産んだ者が/産みの苦しみをした所。 + 私を封印のようにあなたの心臓の上に、封印のようにあなたの腕につけてください。/愛は死のように強く、ねたみはよみのように激しいからです。/その炎は火の炎、すさまじい炎です。 + 大水もその愛を消すことができません。/洪水も押し流すことができません。/もし、人が愛を得ようとして、自分の財産をことごとく与えても、ただのさげすみしか得られません。 + 私たちの妹は若く、乳房もない。/私たちの妹に縁談のある日には、彼女のために何をしてあげよう。 + もし、彼女が城壁だったら、その上に銀の胸壁を建てよう。/彼女が戸であったら、杉の板で囲もう。 + 私は城壁、私の乳房はやぐらのよう。/それで、私はあの方の目には/平安をもたらす者のようになりました。 + ソロモンにはバアル・ハモンにぶどう畑があった。/彼はぶどう畑を、守る者に任せ、おのおのその収穫によって/銀千枚を納めることになっていた。 + 私が持っているぶどう畑が私の前にある。/ソロモンよ。あなたには銀千枚、その実を守る者には銀二百枚。 + 庭の中に住む仲間たちは、あなたの声に耳を傾けている。/私にそれを聞かせよ。 + 私の愛する方よ。急いでください。/香料の山々の上のかもしかや、若い鹿のようになってください。 + +
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+ + アモツの子イザヤの幻。これは彼が、ユダとエルサレムについて、ユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に見たものである。 + 天よ、聞け。地も耳を傾けよ。/主が語られるからだ。/「子らはわたしが大きくし、育てた。/しかし彼らはわたしに逆らった。 + 牛はその飼い主を、ろばは持ち主の飼葉おけを知っている。/それなのに、イスラエルは知らない。/わたしの民は悟らない。」 + ああ。罪を犯す国、咎重き民、悪を行う者どもの子孫、堕落した子ら。/彼らは主を捨て、イスラエルの聖なる方を侮り、背を向けて離れ去った。 + あなたがたは、なおも/どこを打たれようというのか。/反逆に反逆を重ねて。/頭は残すところなく病にかかり、心臓もすっかり弱り果てている。 + 足の裏から頭まで、健全なところはなく、傷と、打ち傷と、打たれた生傷。/絞り出してももらえず、包んでももらえず、油で和らげてももらえない。 + あなたがたの国は荒れ果てている。/あなたがたの町々は火で焼かれ、畑は、あなたがたの前で、他国人が食い荒らし、他国人の破滅にも似て荒れ果てている。 + しかし、シオンの娘は残された。/あたかもぶどう畑の小屋のように、きゅうり畑の番小屋のように、包囲された町のように。 + もしも、万軍の主が、少しの生き残りの者を/私たちに残されなかったら、私たちもソドムのようになり、ゴモラと同じようになっていた。 + 聞け。ソドムの首領たち。主のことばを。/耳を傾けよ。ゴモラの民。/私たちの神のみおしえに。 + 「あなたがたの多くのいけにえは、わたしに何になろう」と、主は仰せられる。/「わたしは、雄羊の全焼のいけにえや、肥えた家畜の脂肪に飽きた。/雄牛、子羊、雄やぎの血も喜ばない。 + あなたがたは、わたしに会いに出て来るが、だれが、わたしの庭を踏みつけよ、と/あなたがたに求めたのか。 + もう、むなしいささげ物を携えて来るな。/香の煙――それもわたしの忌みきらうもの。/新月の祭りと安息日――会合の召集、不義と、きよめの集会、これにわたしは耐えられない。 + あなたがたの新月の祭りや例祭を、わたしの心は憎む。/それはわたしの重荷となり、わたしは負うのに疲れ果てた。 + あなたがたが手を差し伸べて祈っても、わたしはあなたがたから目をそらす。/どんなに祈りを増し加えても、聞くことはない。/あなたがたの手は血まみれだ。 + 洗え。身をきよめよ。/わたしの前で、あなたがたの悪を取り除け。/悪事を働くのをやめよ。 + 善をなすことを習い、公正を求め、しいたげる者を正し、みなしごのために正しいさばきをなし、やもめのために弁護せよ。」 + 「さあ、来たれ。論じ合おう」と主は仰せられる。/「たとい、あなたがたの罪が緋のように赤くても、雪のように白くなる。/たとい、紅のように赤くても、羊の毛のようになる。 + もし喜んで聞こうとするなら、あなたがたは、この国の良い物を食べることができる。 + しかし、もし拒み、そむくなら、あなたがたは剣にのまれる」と、主の御口が語られたからである。 + どうして、遊女になったのか、忠信な都が。/公正があふれ、正義がそこに宿っていたのに。/今は人殺しばかりだ。 + おまえの銀は、かなかすになった。/おまえの良い酒も、水で割ってある。 + おまえのつかさたちは反逆者、盗人の仲間。/みな、わいろを愛し、報酬を追い求める。/みなしごのために正しいさばきをせず、やもめの訴えも彼らは取り上げない。 + それゆえに、――万軍の主、イスラエルの全能者、主の御告げ――/「ああ。/わたしの仇に思いを晴らし、わたしの敵に復讐しよう。 + しかし、おまえの上に再びわが手を伸ばし、おまえのかなかすを灰汁のように溶かし、その浮きかすをみな除こう。 + こうして、おまえのさばきつかさたちを初めのように、おまえの議官たちを昔のようにしよう。/そうして後、おまえは正義の町、忠信な都と呼ばれよう。」 + シオンは公正によって贖われ、その町の悔い改める者は/正義によって贖われる。 + そむく者は罪人とともに破滅し、主を捨てる者は、うせ果てる。 + まことに、彼らは、あなたがたの慕った樫の木で恥を見、あなたがたは、みずから選んだ園によって/はずかしめを受けよう。 + あなたがたは葉のしぼんだ樫の木のように、水のない園のようになるからだ。 + つわものは麻くずに、そのわざは火花になり、その二つとも燃え立って、これを消す者がいない。 + + + アモツの子イザヤが、ユダとエルサレムについて示された先見のことば。 + 終わりの日に、主の家の山は、山々の頂に堅く立ち、丘々よりもそびえ立ち、すべての国々がそこに流れて来る。 + 多くの民が来て言う。「さあ、主の山、ヤコブの神の家に上ろう。主はご自分の道を、私たちに教えてくださる。私たちはその小道を歩もう。」それは、シオンからみおしえが出、エルサレムから主のことばが出るからだ。 + 主は国々の間をさばき、多くの国々の民に、判決を下す。/彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。 + 来たれ。ヤコブの家よ。/私たちも主の光に歩もう。 + まことに、あなたは、あなたの民、ヤコブの家を捨てられた。/彼らがペリシテ人のように/東方からの者、卜者で満ち、外国人の子らであふれているからだ。 + その国は金や銀で満ち、その財宝は限りなく、その国は馬で満ち、その戦車も数限りない。 + その国は偽りの神々で満ち、彼らは、自分の手で造った物、指で造った物を拝んでいる。 + こうして人はかがめられ、人間は低くされた。/――彼らをお赦しにならないように。―― + 岩の間に入り、ちりの中に身を隠せ。/主の恐るべき御顔を避け、そのご威光の輝きを避けて。 + その日には、高ぶる者の目も低くされ、高慢な者もかがめられ、主おひとりだけが高められる。 + まことに、万軍の主の日は、すべておごり高ぶる者、すべて誇る者に/襲いかかり、これを低くする。 + 高くそびえるレバノンのすべての杉の木と、バシャンのすべての樫の木、 + すべての高い山々と、すべてのそびえる峰々、 + すべてのそそり立つやぐらと、堅固な城壁、 + タルシシュのすべての船、すべての慕わしい船に襲いかかる。 + その日には、高ぶる者はかがめられ、高慢な者は低くされ、主おひとりだけが高められる。 + 偽りの神々は消えうせる。 + 主が立ち上がり、地をおののかせるとき、人々は主の恐るべき御顔を避け、ご威光の輝きを避けて、岩のほら穴や、土の穴に入る。 + その日、人は、拝むために造った/銀の偽りの神々と金の偽りの神々を、もぐらや、こうもりに投げやる。 + 主が立ち上がり、地をおののかせるとき、人々は主の恐るべき御顔を避け、ご威光の輝きを避けて、岩の割れ目、巌の裂け目に入る。 + 鼻で息をする人間をたよりにするな。/そんな者に、何の値うちがあろうか。 + + + まことに、見よ、万軍の主、主は、エルサレムとユダから、ささえとたよりを除かれる。/――すべて頼みのパン、すべて頼みの水、 + 勇士と戦士、さばきつかさと預言者、占い師と長老、 + 五十人隊の長と高官、議官と賢い細工人、巧みにまじないをかける者。 + わたしは、若い者たちを彼らのつかさとし、気まぐれ者に彼らを治めさせる。 + 民はおのおの、仲間同士で相しいたげ、若い者は年寄りに向かって高ぶり、身分の低い者は高貴な者に向かって高ぶる。 + そのとき、人が父の家で、自分の兄弟をとらえて言う。「あなたは着る物を持っている。私たちの首領になってくれ。この乱れた世を、あなたの手で治めてくれ。」 + その日、彼は声を張り上げて言う。「私は医者にはなれない。私の家にはパンもなく、着る物もない。私を民の首領にはしてくれるな。」 + これはエルサレムがつまずき、ユダが倒れたからであり、彼らの舌と行いとが主にそむき、主のご威光に逆らったからである。 + 彼らの顔つきが、そのことを表している。/彼らは罪を、ソドムのように現して、隠そうともしなかった。/ああ、彼らにわざわいあれ。/彼らは悪の報いを受けるからだ。 + 義人は幸いだと言え。/彼らは、その行いの実を食べる。 + 悪者にはわざわいあれ。/わざわいが彼にふりかかり、その手の報いがふりかかる。 + わが民よ。幼子が彼をしいたげ、女たちが彼を治める。/わが民よ。あなたの指導者は迷わす者、あなたの歩む道をかき乱す。 + 主は論争するために立ち上がり、民をさばくために立つ。 + 主は民の長老たちや、民のつかさたちと、さばきの座に入る。/「あなたがたは、ぶどう畑を荒れすたらせ、貧しい者からかすめた物を、あなたがたの家に置いている。 + なぜ、あなたがたは、わが民を砕き、貧しい者の顔をすりつぶすのか。/――万軍の神、主の御告げ――」 + 主は仰せられた。/「シオンの娘たちは高ぶり、首を伸ばし、色目を使って歩き、足に鈴を鳴らしながら小またで歩いている。」/それゆえ、 + 主はシオンの娘たちの頭の頂を/かさぶただらけにし、主はその額をむき出しにされる。 + その日、主はもろもろの飾り――足飾り、髪の輪飾り、三日月形の飾り物、 + 耳輪、腕輪、ベール、 + 頭飾り、くるぶしの鎖、飾り帯、香の入れ物、お守り札、 + 指輪、鼻輪、 + 礼服、羽織、外套、財布、 + 手鏡、亜麻布の着物、ターバン、かぶり物を除かれる。 + こうして、良いかおりは腐ったにおいとなり、帯は荒なわ、結い上げた髪ははげ頭、晴れ着は荒布の腰巻きとなる。/その美しさは焼け傷となる。 + あなたの男たちは剣に倒れ、あなたの勇士たちは戦いに倒れ、 + その門はみな、悲しみ嘆き、シオンはさびれ果てて地に座す。 + + + その日、七人の女が/ひとりの男にすがりついて言う。「私たちは自分たちのパンを食べ、自分たちの着物を着ます。私たちをあなたの名で呼ばれるようにし、私たちへのそしりを除いてください。」 + その日、主の若枝は、麗しく、栄光に輝き、地の実は、イスラエルののがれた者の/威光と飾りになる。 + シオンに残された者、エルサレムに残った者は、聖と呼ばれるようになる。みなエルサレムでいのちの書にしるされた者である。 + 主が、さばきの霊と焼き尽くす霊によって、シオンの娘たちの汚れを洗い、エルサレムの血をその中からすすぎ清めるとき、 + 主は、シオンの山のすべての場所とその会合の上に、昼は雲、夜は煙と燃える火の輝きを創造される。それはすべての栄光の上に、おおいとなり、仮庵となり、 + 昼は暑さを避ける陰となり、あらしと雨を防ぐ避け所と隠れ家になるからだ。 + + + 「さあ、わが愛する者のためにわたしは歌おう。/そのぶどう畑についてのわが愛の歌を。/わが愛する者は、よく肥えた山腹に、ぶどう畑を持っていた。 + 彼はそこを掘り起こし、石を取り除き、そこに良いぶどうを植え、その中にやぐらを立て、酒ぶねまでも掘って、甘いぶどうのなるのを待ち望んでいた。/ところが、酸いぶどうができてしまった。 + そこで今、エルサレムの住民とユダの人よ、さあ、わたしとわがぶどう畑との間をさばけ。 + わがぶどう畑になすべきことで、なお、何かわたしがしなかったことがあるのか。/なぜ、甘いぶどうのなるのを待ち望んだのに、酸いぶどうができたのか。 + さあ、今度はわたしが、あなたがたに知らせよう。/わたしがわがぶどう畑に対してすることを。/その垣を除いて、荒れすたれるに任せ、その石垣をくずして、踏みつけるままにする。 + わたしは、これを滅びるままにしておく。/枝はおろされず、草は刈られず、いばらとおどろが生い茂る。/わたしは雲に命じて、この上に雨を降らせない。」 + まことに、万軍の主のぶどう畑はイスラエルの家。/ユダの人は、主が喜んで植えつけたもの。/主は公正を待ち望まれたのに、見よ、流血。/正義を待ち望まれたのに、見よ、泣き叫び。 + ああ。家に家を連ね、畑に畑を寄せている者たち。/あなたがたは余地も残さず、自分たちだけが国の中に住もうとしている。 + 私の耳に、万軍の主は告げられた。/「必ず、多くの家は荒れすたれ、大きな美しい家々も住む人がなくなる。 + 十ツェメドのぶどう畑が一バテを産し、一ホメルの種が一エパを産するからだ。」 + ああ。朝早くから強い酒を追い求め、夜をふかして、ぶどう酒をあおっている者たち。 + 彼らの酒宴には、立琴と十弦の琴、タンバリンと笛とぶどう酒がある。/彼らは、主のみわざを見向きもせず、御手のなされたことを見もしない。 + それゆえ、わが民は無知のために捕らえ移される。/その貴族たちは、飢えた人々。/その群衆は、渇きで干からびる。 + それゆえ、よみは、のどを広げ、口を限りなくあける。/その威光も、その騒音も、そのどよめきも、そこでの歓声も、よみに落ち込む。 + こうして人はかがめられ、人間は低くされ、高ぶる者の目も低くされる。 + しかし、万軍の主は、さばきによって高くなり、聖なる神は正義によって、みずから聖なることを示される。 + 子羊は自分の牧場にいるように草を食べ、肥えた獣は廃墟にとどまって食をとる。 + ああ。/うそを綱として咎を引き寄せ、車の手綱でするように、罪を引き寄せている者たち。 + 彼らは言う。「彼のすることを早くせよ。/急がせよ。それを見たいものだ。/イスラエルの聖なる方のはかりごとが、近づけばよい。それを知りたいものだ」と。 + ああ。/悪を善、善を悪と言っている者たち。/彼らはやみを光、光をやみとし、苦みを甘み、甘みを苦みとしている。 + ああ。おのれを知恵ある者とみなし、おのれを、悟りがある者と見せかける者たち。 + ああ。酒を飲むことでの勇士、強い酒を混ぜ合わせることにかけての豪の者。 + 彼らはわいろのために、悪者を正しいと宣言し、義人からその義を取り去っている。 + それゆえ、火の舌が刈り株を焼き尽くし、炎が枯れ草をなめ尽くすように、彼らの根は腐れ、その花も、ちりのように舞い上がる。/彼らが万軍の主のみおしえをないがしろにし、イスラエルの聖なる方のみことばを/侮ったからだ。 + このゆえに、主の怒りが、その民に向かって燃え、これに御手を伸ばして打った。/山々は震え、彼らのしかばねは、ちまたで、あくたのようになった。/それでも、御怒りは去らず、なおも、御手は伸ばされている。 + 主が遠く離れた国に旗を揚げ、地の果てから来るように合図されると、見よ、それは急いで、すみやかに来る。 + その中には、疲れる者もなく、つまずく者もない。/それはまどろまず、眠らず、その腰の帯は解けず、くつひもも切れない。 + その矢はとぎすまされ、弓はみな張ってあり、馬のひづめは火打石のように、その車輪はつむじ風のように思われる。 + それは、獅子のようにほえる。/若獅子のようにほえ、うなり、獲物を捕らえる。/救おうとしても救い出す者がいない。 + その日、その民は海のとどろきのように、イスラエルにうなり声をあげる。/地を見やると、見よ、やみと苦しみ。/光さえ雨雲の中で暗くなる。 + + + ウジヤ王が死んだ年に、私は、高くあげられた王座に座しておられる主を見た。そのすそは神殿に満ち、 + セラフィムがその上に立っていた。彼らはそれぞれ六つの翼があり、おのおのその二つで顔をおおい、二つで両足をおおい、二つで飛んでおり、 + 互いに呼びかわして言っていた。「聖なる、聖なる、聖なる、万軍の主。その栄光は全地に満つ。」 + その叫ぶ者の声のために、敷居の基はゆるぎ、宮は煙で満たされた。 + そこで、私は言った。「ああ。私は、もうだめだ。私はくちびるの汚れた者で、くちびるの汚れた民の間に住んでいる。しかも万軍の主である王を、この目で見たのだから。」 + すると、私のもとに、セラフィムのひとりが飛んで来たが、その手には、祭壇の上から火ばさみで取った燃えさかる炭があった。 + 彼は、私の口に触れて言った。「見よ。これがあなたのくちびるに触れたので、あなたの不義は取り去られ、あなたの罪も贖われた。」 + 私は、「だれを遣わそう。だれが、われわれのために行くだろう」と言っておられる主の声を聞いたので、言った。「ここに、私がおります。私を遣わしてください。」 + すると仰せられた。/「行って、この民に言え。/『聞き続けよ。だが悟るな。/見続けよ。だが知るな。』 + この民の心を肥え鈍らせ、その耳を遠くし、その目を堅く閉ざせ。/自分の目で見ず、自分の耳で聞かず、自分の心で悟らず、立ち返っていやされることのないように。」 + 私が「主よ、いつまでですか」と言うと、主は仰せられた。/「町々は荒れ果てて、住む者がなく、家々も人がいなくなり、土地も滅んで荒れ果て、 + 主が人を遠くに移し、国の中に捨てられた所がふえるまで。 + そこにはなお、十分の一が残るが、それもまた、焼き払われる。/テレビンの木や樫の木が/切り倒されるときのように。/しかし、その中に切り株がある。/聖なるすえこそ、その切り株。」 + + + ウジヤの子のヨタムの子、ユダの王アハズの時のこと、アラムの王レツィンと、イスラエルの王レマルヤの子ペカが、エルサレムに上って来てこれを攻めたが、戦いに勝てなかった。 + ところが、「エフライムにアラムがとどまった」という報告がダビデの家に告げられた。すると、王の心も民の心も、林の木々が風で揺らぐように動揺した。 + そこで主はイザヤに仰せられた。「あなたとあなたの子シェアル・ヤシュブとは出かけて行って、布さらしの野への大路のそばにある上の池の水道の端でアハズに会い、 + そこで彼に言え。/気をつけて、静かにしていなさい。恐れてはなりません。あなたは、これら二つの木切れの煙る燃えさし、レツィンすなわちアラムとレマルヤの子との燃える怒りに、心を弱らせてはなりません。 + アラムはエフライムすなわちレマルヤの子とともに、あなたに対して悪事を企ててこう言っています。 + 『われわれはユダに上って、これを脅かし、これに攻め入り、わがものとし、タベアルの子をそこの王にしよう』と。 + 神である主はこう仰せられる。/『そのことは起こらないし、ありえない。 + 実に、アラムのかしらはダマスコ、ダマスコのかしらはレツィン。/――六十五年のうちに、エフライムは粉砕されて、もう民ではなくなる。―― + また、エフライムのかしらはサマリヤ、サマリヤのかしらはレマルヤの子。/もし、あなたがたが信じなければ、長く立つことはできない。』」 + 主は再び、アハズに告げてこう仰せられた。 + 「あなたの神、主から、しるしを求めよ。よみの深み、あるいは、上の高いところから。」 + するとアハズは言った。「私は求めません。主を試みません。」 + そこでイザヤは言った。「さあ、聞け。ダビデの家よ。あなたがたは、人々を煩わすのは小さなこととし、私の神までも煩わすのか。 + それゆえ、主みずから、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ。処女がみごもっている。そして男の子を産み、その名を『インマヌエル』と名づける。 + この子は、悪を退け、善を選ぶことを知るころまで、凝乳と蜂蜜を食べる。 + それは、まだその子が、悪を退け、善を選ぶことも知らないうちに、あなたが恐れているふたりの王の土地は、捨てられるからだ。 + 主は、あなたとあなたの民とあなたの父の家に、エフライムがユダから離れた日以来、まだ来たこともない日を来させる。それは、アッシリヤの王だ。」 + その日になると、主はエジプトの川々の果てにいるあのはえ、アッシリヤの地にいるあの蜂に合図される。 + すると、彼らはやって来て、みな、険しい谷、岩の割れ目、すべてのいばらの茂み、すべての牧場に巣くう。 + その日、主はユーフラテス川の向こうで雇ったかみそり、すなわち、アッシリヤの王を使って、頭と足の毛をそり、ひげまでもそり落とす。 + その日になると、ひとりの人が雌の子牛一頭と羊二頭を飼う。 + これらが乳を多く出すので、凝乳を食べるようになる。/国のうちに残されたすべての者が/凝乳と蜂蜜を食べるようになる。 + その日になると、ぶどう千株のある、銀千枚に値する地所もみな、いばらとおどろのものとなる。 + 全土がいばらとおどろになるので、人々は弓矢を持ってそこに行く。 + くわで耕されたすべての山も、あなたはいばらとおどろを恐れて、そこに行かない。/そこは牛の放牧地、羊の踏みつける所となる。 + + + 主は私に仰せられた。「一つの大きな板を取り、その上に普通の文字で、『マヘル・シャラル・ハシュ・バズのため』と書け。 + そうすれば、わたしは、祭司ウリヤとエベレクヤの子ゼカリヤをわたしの確かな証人として証言させる。」 + そののち、私は女預言者に近づいた。彼女はみごもった。そして男の子を産んだ。すると、主は私に仰せられた。「その名を、『マヘル・シャラル・ハシュ・バズ』と呼べ。 + それは、この子がまだ『お父さん。お母さん』と呼ぶことも知らないうちに、ダマスコの財宝とサマリヤの分捕り物が、アッシリヤの王の前に持ち去られるからである。」 + 主はさらに、続けて私に仰せられた。 + 「この民は、ゆるやかに流れるシロアハの水を/ないがしろにして、レツィンとレマルヤの子を喜んでいる。 + それゆえ、見よ、主は、あの強く水かさの多いユーフラテス川の水、アッシリヤの王と、そのすべての栄光を、彼らの上にあふれさせる。/それはすべての運河にあふれ、すべての堤を越え、 + ユダに流れ込み、押し流して進み、首にまで達する。/インマヌエル。その広げた翼は/あなたの国の幅いっぱいに広がる。」 + 国々の民よ。打ち破られて、わななけ。/遠く離れたすべての国々よ。耳を傾けよ。/腰に帯をして、わななけ。/腰に帯をして、わななけ。 + はかりごとを立てよ。/しかし、それは破られる。/申し出をせよ。しかし、それは成らない。/神が、私たちとともにおられるからだ。 + まことに主は強い御手をもって私を捕らえ、私にこう仰せられた。この民の道に歩まないよう、私を戒めて仰せられた。 + 「この民が謀反と呼ぶことをみな、謀反と呼ぶな。/この民の恐れるものを恐れるな。おののくな。 + 万軍の主、この方を、聖なる方とし、この方を、あなたがたの恐れ、この方を、あなたがたのおののきとせよ。 + そうすれば、この方が聖所となられる。/しかし、イスラエルの二つの家には/妨げの石とつまずきの岩、エルサレムの住民には/わなとなり、落とし穴となる。 + 多くの者がそれにつまずき、倒れて砕かれ、わなにかけられて捕らえられる。 + このあかしをたばねよ。/このおしえを/わたしの弟子たちの心のうちに封ぜよ。」 + 私は主を待つ。/ヤコブの家から御顔を隠しておられる方を。/私はこの方に、望みをかける。 + 見よ。私と、主が私に下さった子たちとは、シオンの山に住む万軍の主からの/イスラエルでのしるしとなり、不思議となっている。 + 人々があなたがたに、「霊媒や、さえずり、ささやく口寄せに尋ねよ」と言うとき、民は自分の神に尋ねなければならない。生きている者のために、死人に伺いを立てなければならないのか。 + おしえとあかしに尋ねなければならない。もし、このことばに従って語らなければ、その人には夜明けがない。 + 彼は、迫害され、飢えて、国を歩き回り、飢えて、怒りに身をゆだねる。上を仰いでは自分の王と神をのろう。 + 地を見ると、見よ、苦難とやみ、苦悩の暗やみ、暗黒、追放された者。 + + + しかし、苦しみのあった所に、やみがなくなる。先にはゼブルンの地とナフタリの地は、はずかしめを受けたが、後には海沿いの道、ヨルダン川のかなた、異邦人のガリラヤは光栄を受けた。 + やみの中を歩んでいた民は、大きな光を見た。/死の陰の地に住んでいた者たちの上に/光が照った。 + あなたはその国民をふやし、その喜びを増し加えられた。/彼らは刈り入れ時に喜ぶように、分捕り物を分けるときに楽しむように、あなたの御前で喜んだ。 + あなたが彼の重荷のくびきと、肩のむち、彼をしいたげる者の杖を、ミデヤンの日になされたように/粉々に砕かれたからだ。 + 戦場ではいたすべてのくつ、血にまみれた着物は、焼かれて、火のえじきとなる。 + ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。/ひとりの男の子が、私たちに与えられる。/主権はその肩にあり、その名は「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる。 + その主権は増し加わり、その平和は限りなく、ダビデの王座に着いて、その王国を治め、さばきと正義によってこれを堅く立て、これをささえる。今より、とこしえまで。/万軍の主の熱心がこれを成し遂げる。 + 主がヤコブに一つのことばを送られた。/それはイスラエルに落ちた。 + この民、エフライムとサマリヤに住む者たちは/みな、それを知り、高ぶり、思い上がって言う。 + 「れんがが落ちたから、切り石で建て直そう。/いちじく桑の木が切り倒されたから、杉の木でこれに代えよう。」 + そこで主は、レツィンに仇する者たちをのし上がらせ、その敵たちをあおりたてる。 + 東からはアラムが、西からはペリシテ人が、イスラエルをほおばって食らう。/それでも、御怒りは去らず、なおも、御手は伸ばされている。 + しかし、この民は、自分を打った方に帰らず、万軍の主を求めなかった。 + そこで、主はイスラエルから、かしらも尾も、なつめやしの葉も葦も、ただ一日で切り取られた。 + そのかしらとは、長老や身分の高い者。/その尾とは、偽りを教える預言者。 + この民の指導者は迷わす者となり、彼らに導かれる者は惑わされる。 + それゆえ、主はその若い男たちを喜ばず、そのみなしごをも、やもめをもあわれまない。/みなが神を敬わず、悪を行い、すべての口が恥ずべきことを語っているからだ。/それでも、御怒りは去らず、なおも、御手は伸ばされている。 + 悪は火のように燃えさかり、いばらとおどろをなめ尽くし、林の茂みに燃えついて、煙となって巻き上がる。 + 万軍の主の激しい怒りによって地は焼かれ、民は火のえじきのようになり、だれも互いにいたわり合わない。 + 右にかぶりついても、飢え、左に食いついても、満ち足りず、おのおの自分の腕の肉を食べる。 + マナセはエフライムとともに、エフライムはマナセとともに、彼らはいっしょにユダを襲う。/それでも、御怒りは去らず、なおも、御手は伸ばされている。 + + + ああ。不義のおきてを制定する者、わざわいを引き起こす判決を書いている者たち。 + 彼らは、寄るべのない者の正しい訴えを退け、わたしの民のうちの悩む者の権利をかすめ、やもめを自分のとりこにし、みなしごたちをかすめ奪っている。 + 刑罰の日、遠くからあらしが来るときに、あなたがたはどうするのか。/だれに助けを求めて逃げ、どこに自分の栄光を残すのか。 + ただ、捕らわれ人の足もとにひざをつき、殺された者たちのそばに倒れるだけだ。/それでも、御怒りは去らず、なおも、御手は伸ばされている。 + ああ。/アッシリヤ、わたしの怒りの杖。/彼らの手にあるわたしの憤りのむち。 + わたしはこれを神を敬わない国に送り、わたしの激しい怒りの民を襲えと、これに命じ、物を分捕らせ、獲物を奪わせ、ちまたの泥のように、これを踏みにじらせる。 + しかし、彼自身はそうとは思わず、彼の心もそうは考えない。/彼の心にあるのは、滅ぼすこと、多くの国々を断ち滅ぼすことだ。 + なぜなら、彼はこう思っている。/「私の高官たちはみな、王ではないか。 + カルノもカルケミシュのよう、ハマテもアルパデのようではないか。/サマリヤもダマスコのようではないか。 + エルサレム、サマリヤにまさる刻んだ像を持つ/偽りの神々の王国を私が手に入れたように、 + サマリヤとその偽りの神々に私がしたように、エルサレムとその多くの偶像にも/私が同じようにしないだろうか」と。 + 主はシオンの山、エルサレムで、ご自分のすべてのわざを成し遂げられるとき、アッシリヤの王の高慢の実、その誇らしげな高ぶりを罰する。 + それは、彼がこう言ったからである。/「私は自分の手の力でやった。私の知恵でやった。/私は賢いからだ。/私が、国々の民の境を除き、彼らのたくわえを奪い、全能者のように、住民をおとしめた。 + 私の手は国々の民の財宝を巣のようにつかみ、また私は、捨てられた卵を集めるように、すべての国々を集めたが、翼を動かす者も、くちばしを大きく開く者も、さえずる者もいなかった。」 + 斧は、それを使って切る人に向かって/高ぶることができようか。/のこぎりは、それをひく人に向かって/おごることができようか。/それは棒が、それを振り上げる人を動かし、杖が、木でない人を/持ち上げるようなものではないか。 + それゆえ、万軍の主、主は、その最もがんじょうな者たちのうちに/やつれを送り、その栄光のもとで、火が燃えるように、それを燃やしてしまう。 + イスラエルの光は火となり、その聖なる方は炎となる。/燃え上がって、そのおどろといばらを/一日のうちになめ尽くす。 + 主はその美しい林も、果樹園も、また、たましいも、からだも滅ぼし尽くす。/それは病人がやせ衰えるようになる。 + その林の木の残りは数えるほどになり、子どもでもそれらを書き留められる。 + その日になると、イスラエルの残りの者、ヤコブの家ののがれた者は、もう再び、自分を打つ者にたよらず、イスラエルの聖なる方、主に、まことをもって、たよる。 + 残りの者、ヤコブの残りの者は、力ある神に立ち返る。 + たとい、あなたの民イスラエルが/海辺の砂のようであっても、その中の残りの者だけが立ち返る。/壊滅は定められており、義があふれようとしている。 + すでに定められた全滅を、万軍の神、主が、全世界のただ中で行おうとしておられるからだ。 + それゆえ、万軍の神、主は、こう仰せられる。「シオンに住むわたしの民よ。アッシリヤを恐れるな。彼がむちであなたを打ち、エジプトがしたように杖をあなたに振り上げても。 + もうしばらくすれば、憤りは終わり、わたしの怒りが彼らを滅ぼしてしまうから。 + オレブの岩でミデヤンを打ったときのように、万軍の主がアッシリヤにむちを振り上げる。杖を海にかざして、エジプトにしたように、それを上げる。 + その日になると、彼の重荷はあなたの肩から、彼のくびきはあなたの首から除かれる。/くびきはあなたの肩からもぎ取られる。」 + 彼はアヤテに着き、ミグロンを過ぎ、ミクマスに荷を置く。 + 彼らは渡し場を過ぎ、ゲバで野営する。/ラマはおののき、サウルのギブアは逃げる。 + ガリムの娘よ。かん高く叫べ。/よく聞け、ラユシャよ。/哀れなアナトテ。 + マデメナは逃げ去り、ゲビムの住民は身を避ける。 + その日、彼はノブで立ちとどまり、シオンの娘の山、エルサレムの丘に向かって、こぶしを振り上げる。 + 見よ。万軍の主、主が/恐ろしい勢いで枝を切り払う。/たけの高いものは切り落とされ、そびえたものは低くされる。 + 主は林の茂みを斧で切り落とし、レバノンは力強い方によって倒される。 + + + エッサイの根株から新芽が生え、その根から若枝が出て実を結ぶ。 + その上に、主の霊がとどまる。/それは知恵と悟りの霊、はかりごとと能力の霊、主を知る知識と主を恐れる霊である。 + この方は主を恐れることを喜び、その目の見るところによってさばかず、その耳の聞くところによって判決を下さず、 + 正義をもって寄るべのない者をさばき、公正をもって国の貧しい者のために判決を下し、口のむちで国を打ち、くちびるの息で悪者を殺す。 + 正義はその腰の帯となり、真実はその胴の帯となる。 + 狼は子羊とともに宿り、ひょうは子やぎとともに伏し、子牛、若獅子、肥えた家畜が共にいて、小さい子どもがこれを追っていく。 + 雌牛と熊とは共に草をはみ、その子らは共に伏し、獅子も牛のようにわらを食う。 + 乳飲み子はコブラの穴の上で戯れ、乳離れした子はまむしの子に手を伸べる。 + わたしの聖なる山のどこにおいても、これらは害を加えず、そこなわない。/主を知ることが、海をおおう水のように、地を満たすからである。 + その日、エッサイの根は、国々の民の旗として立ち、国々は彼を求め、彼のいこう所は栄光に輝く。 + その日、主は再び御手を伸ばし、ご自分の民の残りを買い取られる。/残っている者をアッシリヤ、エジプト、パテロス、クシュ、エラム、シヌアル、ハマテ、海の島々から買い取られる。 + 主は、国々のために旗を揚げ、イスラエルの散らされた者を取り集め、ユダの追い散らされた者を/地の四隅から集められる。 + エフライムのねたみは去り、ユダに敵する者は断ち切られる。/エフライムはユダをねたまず、ユダもエフライムを敵としない。 + 彼らは、西の方、ペリシテ人の肩に飛びかかり、共に東の人々をかすめ奪う。/彼らはエドムとモアブにも手を伸ばし、アモン人も彼らに従う。 + 主はエジプトの海の入江を干上がらせ、また、その焼けつく風の中に/御手を川に向かって振り動かし、それを打って、七つの水無し川とし、くつばきのままで歩けるようにする。 + 残される御民の残りの者のために/アッシリヤからの大路が備えられる。/イスラエルがエジプトの国から上って来た日に、イスラエルのために備えられたように。 + + + その日、あなたは言おう。「主よ。感謝します。あなたは、私を怒られたのに、あなたの怒りは去り、私を慰めてくださいました。」 + 見よ。神は私の救い。/私は信頼して恐れることはない。/ヤハ、主は、私の力、私のほめ歌。/私のために救いとなられた。 + あなたがたは喜びながら/救いの泉から水を汲む。 + その日、あなたがたは言う。/「主に感謝せよ。/その御名を呼び求めよ。/そのみわざを、国々の民の中に知らせよ。/御名があがめられていることを語り告げよ。 + 主をほめ歌え。/主はすばらしいことをされた。/これを、全世界に知らせよ。 + シオンに住む者。/大声をあげて、喜び歌え。/イスラエルの聖なる方は、あなたの中におられる、大いなる方。」 + + + アモツの子イザヤの見たバビロンに対する宣告。 + はげ山の上に旗を掲げ、彼らに向かって声をあげ、手を振って、彼らを貴族の門に、入らせよ。 + わたしは怒りを晴らすために、わたしに聖別された者たちに命じ、またわたしの勇士、わたしの勝利を誇る者たちを呼び集めた。 + 聞け。おびただしい民にも似た山々のとどろきを。/聞け。寄り合った王国、国々のどよめきを。/万軍の主が、軍隊を召集しておられるのだ。 + 彼らは遠い国、天の果てからやって来る。/彼らは全世界を滅ぼすための、主とその憤りの器だ。 + 泣きわめけ。主の日は近い。/全能者から破壊が来る。 + それゆえ、すべての者は気力を失い、すべての者の心がしなえる。 + 彼らはおじ惑い、子を産む女が身もだえするように、苦しみと、ひどい痛みが彼らを襲う。/彼らは驚き、燃える顔で互いを見る。 + 見よ。主の日が来る。残酷な日だ。/憤りと燃える怒りをもって、地を荒れすたらせ、罪人たちをそこから根絶やしにする。 + 天の星、天のオリオン座は光を放たず、太陽は日の出から暗く、月も光を放たない。 + わたしは、その悪のために世を罰し、その罪のために悪者を罰する。/不遜な者の誇りをやめさせ、横暴な者の高ぶりを低くする。 + わたしは、人間を純金よりもまれにし、人をオフィルの金よりも少なくする。 + それゆえ、わたしは天を震わせる。/万軍の主の憤りによって、その燃える怒りの日に、大地はその基から揺れ動く。 + 追い立てられたかもしかのように、集める者のいない羊の群れのようになって、彼らはおのおの自分の民に向かい、おのおの自分の国に逃げ去る。 + 見つけられた者はみな、刺され、連れて行かれた者はみな、剣に倒れる。 + 彼らの幼子たちは目の前で八つ裂きにされ、彼らの家は略奪され、彼らの妻は犯される。 + 見よ。わたしは彼らに対して、メディヤ人を奮い立たせる。/彼らは銀をものともせず、金をも喜ばず、 + その弓は若者たちをなぎ倒す。/彼らは胎児もあわれまず、子どもたちを見ても惜しまない。 + こうして、王国の誉れ、カルデヤ人の誇らかな栄えであるバビロンは、神がソドム、ゴモラを滅ぼした時のようになる。 + そこには永久に住む者もなく、代々にわたり、住みつく者もなく、アラビヤ人も、そこには天幕を張らず、牧者たちも、そこには群れを伏させない。 + そこには荒野の獣が伏し、そこの家々にはみみずくが満ち、そこにはだちょうが住み、野やぎがそこにとびはねる。 + 山犬は、そこのとりでで、ジャッカルは、豪華な宮殿で、ほえかわす。/その時の来るのは近く、その日はもう延ばされない。 + + + まことに、主はヤコブをあわれみ、再びイスラエルを選び、彼らを自分たちの土地にいこわせる。在留異国人も彼らに連なり、ヤコブの家に加わる。 + 国々の民は彼らを迎え、彼らの所に導き入れる。イスラエルの家は主の土地でこの異国人を奴隷、女奴隷として所有し、自分たちをとりこにした者をとりこにし、自分たちをしいたげた者を支配するようになる。 + 主が、あなたの痛み、あなたへの激しい怒りを除き、あなたに負わせた過酷な労役を解いてあなたをいこわせる日に、 + あなたは、バビロンの王について、このようなあざけりの歌を歌って言う。/「しいたげる者はどのようにして果てたのか。/横暴はどのようにして終わったのか。 + 主が悪者の杖と、支配者の笏とを折られたのだ。 + 彼は憤って、国々の民を打ち、絶え間なく打ち、怒って、国々を容赦なくしいたげて/支配したのだが。 + 全地は安らかにいこい、喜びの歌声をあげている。 + もみの木も、レバノンの杉も、あなたのことを喜んで、言う。/『あなたが倒れ伏したので、もう、私たちを切る者は上って来ない。』 + 下界のよみは、あなたの来るのを迎えようとざわめき、死者の霊たち、地のすべての指導者たちを/揺り起こし、国々のすべての王を、その王座から立ち上がらせる。 + 彼らはみな、あなたに告げて言う。/『あなたもまた、私たちのように弱くされ、私たちに似た者になってしまった。』 + あなたの誇り、あなたの琴の音はよみに落とされ、あなたの下には、うじが敷かれ、虫けらが、あなたのおおいとなる。 + 暁の子、明けの明星よ。/どうしてあなたは天から落ちたのか。/国々を打ち破った者よ。/どうしてあなたは地に切り倒されたのか。 + あなたは心の中で言った。/『私は天に上ろう。/神の星々のはるか上に私の王座を上げ、北の果てにある会合の山にすわろう。 + 密雲の頂に上り、いと高き方のようになろう。』 + しかし、あなたはよみに落とされ、穴の底に落とされる。 + あなたを見る者は、あなたを見つめ、あなたを見きわめる。/『この者が、地を震わせ、王国を震え上がらせ、 + 世界を荒野のようにし、町々を絶滅し、捕虜たちを家に帰さなかった者なのか。』 + すべての国の王たちはみな、おのおの自分の墓で、尊ばれて眠っている。 + しかし、あなたは、忌みきらわれる若枝のように/墓の外に投げ出された。/剣で刺し殺されて墓穴に下る者でおおわれ、踏みつけられるしかばねのようだ。 + あなたは墓の中で彼らとともになることはない。/あなたは自分の国を滅ぼし、自分の民を虐殺したからだ。/悪を行う者どもの子孫については/永久に語られない。 + 先祖の咎のゆえに、彼の子らのために、ほふり場を備えよ。/彼らが立って地を占領し、世界の面を彼らの町々で満たさないためだ。」 + 「わたしは彼らに向かって立ち上がる。――万軍の主の御告げ――わたしはバビロンからその名と、残りの者、および、後に生まれる子孫とを断ち滅ぼす。――主の御告げ―― + わたしはこれを針ねずみの領地、水のある沢とし、滅びのほうきで一掃する。――万軍の主の御告げ――」 + 万軍の主は誓って仰せられた。/「必ず、わたしの考えたとおりに事は成り、わたしの計ったとおりに成就する。 + わたしはアッシリヤをわたしの国で打ち破り、わたしの山で踏みつける。/アッシリヤのくびきは彼らの上から除かれ、その重荷は彼らの肩から除かれる。 + これが、全地に対して立てられたはかりごと、これが、万国に対して伸ばされた御手。 + 万軍の主が立てられたことを、だれが破りえよう。/御手が伸ばされた。/だれがそれを戻しえよう。」 + アハズ王が死んだ年、この宣告があった。 + 「喜ぶな、ペリシテの全土よ。/おまえを打った杖が折られたからと言って。/蛇の子孫からまむしが出、その子は飛びかける燃える蛇となるからだ。 + 寄るべのない者たちの初子は養われ、貧しい者は安らかに伏す。/しかし、わたしは、おまえの子孫を/飢えで、死なせる。/おまえの残りの者は殺される。 + 門よ、泣きわめけ。町よ、叫べ。/ペリシテの全土は、震えおののけ。/北から煙が上がり、その編隊から抜ける者がないからだ。 + 異邦の使者たちに何と答えようか。/『主はシオンの礎を据えられた。/主の民の悩む者たちは、これに身を避ける。』」 + + + モアブに対する宣告。/ああ、一夜のうちに/アルは荒らされ、モアブは滅びうせた。/ああ、一夜のうちに/キル・モアブは荒らされ、滅びうせた。 + モアブは宮に、ディボンは高き所に、泣くために上る。/ネボとメデバのことで、モアブは泣きわめく。/頭をみなそり落とし、ひげもみな切り取って。 + そのちまたでは、荒布を腰にまとい、その屋上や広場では、みな涙を流して泣きわめく。 + ヘシュボンとエルアレは叫び、その叫び声がヤハツまで聞こえる。/それで、モアブの武装した者たちはわめく。/そのたましいはわななく。 + わたしの心はモアブのために叫ぶ。/その逃げ延びる者はツォアルまで、エグラテ・シェリシヤまでのがれる。/ああ、彼らはルヒテの坂を泣きながら上り、ホロナイムの道で、破滅の叫びをあげる。 + ああ、ニムリムの水は荒廃した地となり、草は枯れ、若草も尽き果て、緑もなくなった。 + それゆえ彼らは、残していた物や、たくわえていた物を、アラビム川を越えて運んで行く。 + ああ、叫ぶ声がモアブの領土に響き渡り、その泣き声がエグライムまで、その泣き声がベエル・エリムまで届いた。 + ああ、ディモンの水は血で満ちた。/わたしはさらにディモンにわざわいを増し加え、モアブののがれた者と、その土地の残りの者とに獅子を向けよう。 + + + 子羊を、この国の支配者に送れ。/セラから荒野を経てシオンの娘の山に。 + モアブの娘たちはアルノンの渡し場で、逃げ惑う鳥、投げ出された巣のようになる。 + 助言を与え、事を決めよ。/昼のさなかにも、あなたの影を夜のようにせよ。/散らされた者をかくまい、のがれて来る者を渡すな。 + あなたの中に、モアブの散らされた者を宿らせ、荒らす者からのがれて来る者の隠れ家となれ。/しいたげる者が死に、破壊も終わり、踏みつける者が地から消えうせるとき、 + 一つの王座が恵みによって堅く立てられ、さばきをなし、公正を求め、正義をすみやかに行う者が、ダビデの天幕で、真実をもって、そこにすわる。 + われわれはモアブの高ぶりを聞いた。/彼は実に高慢だ。/その誇りと高ぶりとおごり、その自慢話は正しくない。 + それゆえ、モアブは、モアブ自身のために泣きわめく。/みなが泣きわめく。/あなたがたは打ちのめされて、キル・ハレセテの干しぶどうの菓子のために嘆く。 + ヘシュボンの畑も、シブマのぶどうの木も、しおれてしまった。/国々の支配者たちがそのふさを打ったからだ。/それらはヤゼルまで届き、荒野をさまよい、そのつるは伸びて海を越えた。 + それゆえ、わたしはヤゼルのために、シブマのぶどうの木のために、涙を流して泣く。/ヘシュボンとエルアレ。/わたしはわたしの涙であなたを潤す。/あなたの夏のくだものと刈り入れとを喜ぶ声が/やんでしまったからだ。 + 喜びと楽しみは果樹園から取り去られ、ぶどう畑の中では、喜び歌うこともなく、大声で叫ぶこともない。/酒ぶねで酒を踏む者も、もう踏まない。/わたしが喜びの声をやめさせたのだ。 + それゆえ、わたしのはらわたはモアブのために、わたしの内臓はキル・ヘレスのために/立琴のようにわななく。 + モアブが高き所にもうでて身を疲れさせても、祈るためにその聖所に入って行っても、もうむだだ。 + これが、以前から主がモアブに対して語っておられたみことばである。 + 今や、主は次のように告げられる。「雇い人の年期のように、三年のうちに、モアブの栄光は、そのおびただしい群衆とともに軽んじられ、残りの者もしばらくすれば、力がなくなる。」 + + + ダマスコに対する宣告。/見よ。ダマスコは取り去られて町でなくなり、廃墟となる。 + アロエルの町々は捨てられて、家畜の群れのものとなり、群れはそこに伏すが、それを脅かす者もいなくなる。 + エフライムは要塞を失い、ダマスコは王国を失う。/アラムの残りの者は、イスラエル人の栄光のように扱われる。/――万軍の主の御告げ―― + その日、ヤコブの栄光は衰え、その肉の脂肪はやせ細る。 + 刈り入れ人が立穂を集め、その腕が穂を刈り入れるときのように、レファイムの谷で落穂を拾うときのようになる。 + オリーブを打ち落とすときのように、取り残された実がその中に残される。/二つ三つのうれた実がこずえに、四つ五つが実りのある枝に残される。/――イスラエルの神、主の御告げ―― + その日、人は自分を造られた方に目を向け、その目はイスラエルの聖なる方を見、 + 自分の手で造った祭壇に目を向けず、自分の指で造ったもの、アシェラ像や香の台を見もしない。 + その日、その堅固な町々は、森の中の見捨てられた所のようになり、かつてイスラエル人によって捨てられた山の頂のようになり、そこは荒れ果てた地となる。 + あなたが救いの神を忘れて/あなたの力の岩を覚えていなかったからだ。/それで、あなたは好ましい植木を植え、他国のぶどうのつるをさす。 + あなたが植えたものを育てるときに、朝、あなたの種を花咲かせても、病といやしがたい痛みの日に、その刈り入れは逃げうせる。 + ああ。多くの国々の民がざわめき――/海のとどろきのように、ざわめいている。/ああ、国民の騒ぎ――/大水の騒ぐように、騒いでいる。 + 国民は、大水が騒ぐように、騒いでいる。/しかし、それをしかると、遠くへ逃げる。/山の上で風に吹かれるもみがらのよう、つむじ風の前でうず巻くちりのように、彼らは吹き飛ばされる。 + 夕暮れには、見よ、突然の恐怖。/夜明けの前に、彼らはいなくなる。/これこそ、私たちから奪い取る者たちの分け前、私たちをかすめ奪う者たちの受ける割り当て。 + + + ああ。/クシュの川々のかなたにある羽こおろぎの国。 + この国は、パピルスの船を水に浮かべて、海路、使いを送る。/すばやい使者よ、行け。/背の高い、はだのなめらかな国民のところに。/あちこちで恐れられている民のところに。/多くの川の流れる国、力の強い、踏みにじる国に。 + 世界のすべての住民よ。/地に住むすべての者よ。/山々に旗の揚がるときは見よ。/角笛が吹き鳴らされるときは聞け。 + 主が私にこう仰せられたからだ。「わたしは静まって、わたしの所からながめよう。照りつける暑さで暑いころ、刈り入れ時の暑いときの露の濃い雲のように。」 + 刈り入れ前につぼみが開き、花ぶさが育って、酸いぶどうになるとき、人はその枝をかまで切り、そのつるを取り去り、切り除くからだ。 + それらはいっしょにして、山々の猛禽や野獣のために投げ捨てられ、猛禽はその上で夏を過ごし、野獣はみな、その上で冬を過ごす。 + そのとき、万軍の主のために、背の高い、はだのなめらかな民、あちこちで恐れられている民、多くの川の流れる国、力の強い、踏みにじる国から、万軍の主の名のある所、シオンの山に、贈り物が運ばれて来る。 + + + エジプトに対する宣告。/見よ。主は速い雲に乗って/エジプトに来る。/エジプトの偽りの神々はその前にわななき、エジプト人の心も真底からしなえる。 + わたしは、エジプト人を駆り立てて/エジプト人にはむかわせる。/兄弟は兄弟と、友人は友人と、町は町と、王国は王国と、相逆らって争う。 + エジプトの霊はその中で衰える。/わたしがその計画をかき乱す。/彼らは偽りの神々や死霊、霊媒や口寄せに伺いを立てる。 + わたしは、エジプト人を/きびしい主人の手に引き渡す。/力ある王が彼らを治める。/――万軍の主、主の御告げ―― + 海から水が干され、川は干上がり、かれる。 + 多くの運河は臭くなり、エジプトの川々は、水かさが減って、干上がり、葦や蘆も枯れ果てる。 + ナイル川やその河口のほとりの水草も、その川の種床もみな枯れ、吹き飛ばされて何もない。 + 漁夫たちは悲しみ、ナイル川で釣りをする者もみな嘆き、水の上に網を打つ者も打ちしおれる。 + 亜麻をすく労務者や、白布を織る者は恥を見、 + この国の機織人たちは砕かれ、雇われて働く者はみな、心を痛める。 + ツォアンの首長たちは全く愚か者だ。/パロの知恵ある議官たちも/愚かなはかりごとをする。/どうして、あなたがたはパロに向かって、「私は、知恵ある者の子、昔の王たちの子です」と言えようか。 + あなたの知恵ある者たちは/いったいどこにいて、あなたに告げ知らせようというのか。/万軍の主がエジプトに何を計られたかを。 + ツォアンの首長たちは愚か者、ノフの首長たちはごまかす者。/その諸族のかしらたちは、エジプトを迷わせた。 + 主が、彼らの中に、よろめく霊を吹き入れられたので、彼らは、あらゆることでエジプトを迷わせ、酔いどれがへどを吐き吐きよろめくようにした。 + それで、頭も尾も、なつめやしの葉も葦も、エジプト人のために、なすべきわざがない。 + その日、エジプト人は、女のようになり、万軍の主が自分たちに向かって振り上げる御手を見て、恐れおののく。 + ユダの地はエジプトにとっては恐れとなる。これを思い出す者はみな、万軍の主がエジプトに対して計るはかりごとのためにおののく。 + その日、エジプトの国には、カナン語を話し、万軍の主に誓いを立てる五つの町が起こり、その一つは、イル・ハヘレスと言われる。 + その日、エジプトの国の真ん中に、主のために、一つの祭壇が建てられ、その国境のそばには、主のために一つの石の柱が立てられ、 + それがエジプトの国で、万軍の主のしるしとなり、あかしとなる。彼らがしいたげられて主に叫ぶとき、主は、彼らのために戦って彼らを救い出す救い主を送られる。 + そのようにして主はエジプト人にご自身を示し、その日、エジプト人は主を知り、いけにえとささげ物をもって仕え、主に誓願を立ててこれを果たす。 + 主はエジプト人を打ち、打って彼らをいやされる。彼らが主に立ち返れば、彼らの願いを聞き入れ、彼らをいやされる。 + その日、エジプトからアッシリヤへの大路ができ、アッシリヤ人はエジプトに、エジプト人はアッシリヤに行き、エジプト人はアッシリヤ人とともに主に仕える。 + その日、イスラエルはエジプトとアッシリヤと並んで、第三のものとなり、大地の真ん中で祝福を受ける。 + 万軍の主は祝福して言われる。「わたしの民エジプト、わたしの手でつくったアッシリヤ、わたしのものである民イスラエルに祝福があるように。」 + + + アッシリヤの王サルゴンによって派遣されたタルタンがアシュドデに来て、アシュドデを攻め、これを取った年―― + そのとき、主はアモツの子イザヤによって、語られた。こうである。「行って、あなたの腰の荒布を解き、あなたの足のはきものを脱げ。」それで、彼はそのようにし、裸になり、はだしで歩いた。 + そのとき、主は仰せられた。「わたしのしもべイザヤが、三年間、エジプトとクシュに対するしるしとして、また前兆として、裸になり、はだしで歩いたように、 + アッシリヤの王は、エジプトのとりことクシュの捕囚の民を、若い者も年寄りも裸にし、はだしにし、尻をまくり、エジプトの隠しどころをむき出しにして連れて行く。 + 人々は、クシュを頼みとし、エジプトを栄えとしていたので、おののき恥じる。 + その日、この海辺の住民は言う。『見よ。アッシリヤの王の手から救ってもらおうと、助けを求めて逃げて来た私たちの拠り所は、この始末だ。私たちはどうしてのがれることができようか。』」 + + + 海の荒野に対する宣告。/ネゲブに吹きまくるつむじ風のように、それは、荒野から、恐ろしい地からやって来る。 + きびしい幻が、私に示された。/裏切る者は裏切り、荒らす者は荒らす。/エラムよ、上れ。メディヤよ、囲め。/すべての嘆きを、私は終わらせる。 + それゆえ、私の腰は苦痛で満ちた。/女の産みの苦しみのような苦しみが/私を捕らえた。/私は、心乱れて聞くにたえない。/恐ろしさのあまり、見るにたえない。 + 私の心は迷い、恐怖が私を震え上がらせた。/私が恋い慕っていたたそがれも、私にとっては恐れとなった。 + 彼らは食卓を整え、座席を並べて、飲み食いしている。「立ち上がれ、首長たち。盾に油を塗れ。」 + 主は私にこう仰せられた。/「さあ、見張りを立たせ、見たことを告げさせよ。 + 戦車や、二列に並んだ騎兵、ろばに乗った者や、らくだに乗った者を見たなら、よくよく注意を払わせよ。」 + すると獅子が叫んだ。/「主よ。私は昼間はずっと物見の塔の上に立ち、夜はいつも私の見張り所についています。 + ああ、今、戦車や兵士、二列に並んだ騎兵がやって来ます。/彼らは互いに言っています。/『倒れた。バビロンは倒れた。/その神々のすべての刻んだ像も/地に打ち砕かれた』と。」 + 踏みにじられた私の民、打ち場の私の子らよ。/私はイスラエルの神、万軍の主から聞いた事を、あなたがたに告げたのだ。 + ドマに対する宣告。/セイルから、私に叫ぶ者がある。「夜回りよ。今は夜の何時か。夜回りよ。今は夜の何時か。」 + 夜回りは言った。「朝が来、また夜も来る。尋ねたければ尋ねよ。もう一度、来るがよい。」 + アラビヤに対する宣告。/デダン人の隊商よ。アラビヤの林に宿れ。 + テマの地の住民よ。/渇いている者に会って、水をやれ。/のがれて来た者にパンを与えてやれ。 + 彼らは、剣や、抜き身の剣から、張られた弓や激しい戦いから/のがれて来たのだから。 + まことに主は私に、こう仰せられる。「雇い人の年季のように、もう一年のうちに、ケダルのすべての栄光は尽き果て、 + ケダル人の勇士たちで、残った射手たちの数は少なくなる。」/イスラエルの神、主が告げられたのだ。 + + + 幻の谷に対する宣告。/これはいったいどうしたことか。/おまえたちみな、屋根に上って。 + 喧噪に満ちた、騒がしい町、おごった都よ。/おまえのうちの殺された者たちは、剣で刺し殺されたのでもなく、戦死したのでもない。 + おまえの首領たちは、こぞって逃げた。/彼らは弓を引かないうちに捕らえられ、おまえのうちの見つけられた者も、遠くへ逃げ去る前に、みな捕らえられた。 + それで、私は言う。「私から目をそらしてくれ、私は激しく泣きたいのだ。私の民、この娘の破滅のことで、無理に私を慰めてくれるな。」 + なぜなら、恐慌と蹂躙と混乱の日は、万軍の神、主から来るからだ。/幻の谷では、城壁の崩壊、山への叫び。 + エラムは矢筒を負い、戦車と兵士と騎兵を引き連れ、キルは盾のおおいを取った。 + おまえの最も美しい谷は戦車で満ち、騎兵は城門で立ち並んだ。 + こうしてユダのおおいは除かれ、その日、おまえは森の宮殿の武器に目を向けた。 + おまえたちは、ダビデの町の破れの多いのを見て、下の池の水を集めた。 + また、エルサレムの家を数え、その家をこわして城壁を補強し、 + 二重の城壁の間に貯水池を造って、古い池の水を引いた。/しかし、おまえたちは、これをなさった方に目もくれず、昔からこれを計画された方を/目にも留めなかった。 + その日、万軍の神、主は、「泣け。悲しめ。頭を丸めて、荒布をまとえ」と/呼びかけられたのに、 + なんと、おまえたちは楽しみ喜び、牛を殺し、羊をほふり、肉を食らい、ぶどう酒を飲み、「飲めよ。食らえよ。/どうせ、あすは死ぬのだから」と言っている。 + そこで万軍の主は、私の耳を開かれた。/「この罪は、おまえたちが死ぬまでは決して赦されない」と、万軍の神、主は仰せられた。 + 万軍の神、主は、こう仰せられる。/さあ、宮廷をつかさどる/あの執事シェブナのところに行け。 + あなたは自分のために、ここに墓を掘ったが、ここはあなたに何のかかわりがあるのか。/ここはあなたのだれにかかわりがあるのか。/高い所に自分の墓を掘り、岩に自分の住まいを刻んで。 + ああ、ますらおよ。/主はあなたを遠くに投げやる。/主はあなたをわしづかみにし、 + あなたをまりのように、くるくる丸めて、広い広い地に投げ捨てる。/あなたはそこで死ぬ。/あなたの誇った車もそこで。/主人の家の恥さらしよ。 + わたしはあなたをその職から追放し、あなたの地位から引き降ろす。 + その日、わたしは、わたしのしもべ、ヒルキヤの子エルヤキムを召し、 + あなたの長服を彼に着せ、あなたの飾り帯を彼に締め、あなたの権威を彼の手にゆだねる。/彼はエルサレムの住民とユダの家の父となる。 + わたしはまた、ダビデの家のかぎを彼の肩に置く。/彼が開くと、閉じる者はなく、彼が閉じると、開く者はない。 + わたしは、彼を一つの釘として、確かな場所に打ち込む。/彼はその父の家にとって栄光の座となる。 + 彼の上に、父の家のすべての栄光がかけられる。/子も孫も、すべての小さい器も、鉢の類からすべてのつぼの類に至るまで。 + その日、――万軍の主の御告げ――/確かな場所に打ち込まれた一つの釘は/抜き取られ、折られて落ち、その上にかかっていた荷も取りこわされる。/主が語られたのだ。 + + + ツロに対する宣告。/タルシシュの船よ。泣きわめけ。/ツロは荒らされて、家も港もなくなった、と/キティムの地から、彼らに示されたのだ。 + 海辺の住民よ。黙せ。/海を渡るシドンの商人はあなたを富ませていた。 + 大海によって、シホルの穀物、ナイルの刈り入れがあなたの収穫となり、あなたは諸国と商いをしていた。 + シドンよ、恥を見よ、と海が言う。/海のとりでがこう言っている。「私は産みの苦しみをせず、子を産まず、若い男を育てず、若い女を養ったこともない。」 + エジプトがこのツロのうわさを聞いたなら、ひどく苦しもう。 + 海辺の住民よ。/タルシシュへ渡り、泣きわめけ。 + これが、あなたがたのおごった町なのか。/その起こりは古く、その足を遠くに運んで移住したものを。 + だれが、王冠をいただくツロに対して/これを計ったのか。/その商人は君主たち、そのあきゅうどは世界で最も尊ばれていたのに。 + 万軍の主がそれを計り、すべての麗しい誇りを汚し、すべて世界で最も尊ばれている者を/卑しめられた。 + タルシシュの娘よ。/ナイル川のように、自分の国にあふれよ。/だが、もうこれを制する者がいない。 + 主は御手を海の上に伸ばし、王国をおののかせた。/主は命令を下してカナンのとりでを滅ぼした。 + そして仰せられた。「もう二度とこおどりして喜ぶな。しいたげられたおとめ、シドンの娘よ。立ってキティムに渡れ。そこでもあなたは休めない。」 + 見よ、カルデヤ人の国を。/――この民はもういない。/アッシリヤ人が/これを荒野の獣の住む所にした。――/彼らは、やぐらを立てて、その宮殿をかすめ、そこを廃墟にした。 + タルシシュの船よ。泣きわめけ。/あなたがたのとりでが荒らされたからだ。 + その日になると、ツロは、ひとりの王の年代の七十年の間忘れられる。七十年が終わって、ツロは遊女の歌のようになる。 + 「立琴を取り、町を巡れ、忘れられた遊女よ。/うまくひけ、もっと歌え、思い出してもらうために。」 + 七十年がたつと、主はツロを顧みられるので、彼女は再び遊女の報酬を得、地のすべての王国と地上で淫行を行う。 + その儲け、遊女の報酬は、主にささげられ、それはたくわえられず、積み立てられない。その儲けは、主の前に住む者たちが、飽きるほど食べ、上等の着物を着るためのものとなるからだ。 + + + 見よ。主は地を荒れすたらせ、その面をくつがえして、その住民を散らされる。 + 民は祭司と等しくなり、奴隷はその主人と、女奴隷はその女主人と、買い手は売り手と、貸す者は借りる者と、債権者は債務者と等しくなる。 + 地は荒れに荒れ、全くかすめ奪われる。/主がこのことばを語られたからである。 + 地は嘆き悲しみ、衰える。/世界はしおれ、衰える。/天も地とともにしおれる。 + 地はその住民によって汚された。/彼らが律法を犯し、定めを変え、とこしえの契約を破ったからである。 + それゆえ、のろいは地を食い尽くし、その地の住民は罪ある者とされる。/それゆえ、地の住民は減り、わずかな者が残される。 + 新しいぶどう酒は嘆き悲しみ、ぶどうの木はしおれ、心楽しむ者はみな、ため息をつく。 + 陽気なタンバリンの音は終わり、はしゃぐ者の騒ぎもやみ、陽気な立琴の音も終わる。 + 歌いながらぶどう酒を飲むこともなく、強い酒を飲んでも、それは苦い。 + 都はこわされて荒地のようになり、すべての家は閉ざされて、入れない。 + ちまたには、ぶどう酒はなく、悲しみの叫び。/すべての喜びは薄れ、地の楽しみは取り去られる。 + 町はただ荒れ果てたままに残され、城門は打ち砕かれて荒れ果てる。 + それは、世界の真ん中で、国々の民の間で、オリーブの木を打つときのように、ぶどうの取り入れが終わって、取り残しの実を集めるときのようになるからだ。 + 彼らは、声を張り上げて喜び歌い、海の向こうから主の威光をたたえて叫ぶ。 + それゆえ、東の国々で主をあがめ、西の島々で、イスラエルの神、主の御名をあがめよ。 + 私たちは、「正しい者に誉れあれ」という/地の果てからのほめ歌を聞く。/しかし、私は言った。「私はだめだ、私はだめだ。なんと私は不幸なことか。裏切る者は裏切り、裏切り者は、裏切り、裏切った。」 + 地上の住民よ。/恐れと、落とし穴と、わなとがあなたにかけられ、 + その恐れの叫びから逃げる者は、その落とし穴に落ち、落とし穴からはい上がる者は、そのわなに捕らえられる。/天の窓が開かれ、地の基が震えるからだ。 + 地は裂けに裂け、地はゆるぎにゆるぎ、地はよろめきによろめく。 + 地は酔いどれのように、ふらふら、ふらつき、仮小屋のように揺り動かされる。/そのそむきの罪が地の上に重くのしかかり、地は倒れて、再び起き上がれない。 + その日、主は天では天の大軍を、地では地上の王たちを罰せられる。 + 彼らは囚人が地下牢に集められるように/集められ、牢獄に閉じ込められ、それから何年かたって後、罰せられる。 + 月ははずかしめを受け、日も恥を見る。/万軍の主がシオンの山、エルサレムで王となり、栄光がその長老たちの前に輝くからである。 + + + 主よ。あなたは私の神。/私はあなたをあがめ、あなたの御名をほめたたえます。/あなたは遠い昔からの不思議なご計画を、まことに、忠実に成し遂げられました。 + あなたは町を石くれの山とし、城壁のある都を廃墟にされたので、他国人の宮殿は町からうせ、もう、永久に建てられることはありません。 + それで、力強い民も、あなたをほめたたえ、横暴な国々の都も、あなたを恐れます。 + あなたは弱っている者のとりで、貧しい者の悩みのときのとりで、あらしのときの避け所、暑さを避ける陰となられたからです。/横暴な者たちの息は、壁に吹きつけるあらしのようだからです。 + 砂漠のひでりのように、あなたは他国人の騒ぎを押さえ、濃い雲の陰になってしずまる暑さのように、横暴な者たちの歌はしずめられます。 + 万軍の主はこの山の上で万民のために、あぶらの多い肉の宴会、良いぶどう酒の宴会、髄の多いあぶらみと/よくこされたぶどう酒の宴会を催される。 + この山の上で、万民の上をおおっている顔おおいと、万国の上にかぶさっているおおいを取り除き、 + 永久に死を滅ぼされる。/神である主はすべての顔から涙をぬぐい、ご自分の民へのそしりを全地の上から除かれる。/主が語られたのだ。 + その日、人は言う。「見よ。この方こそ、私たちが救いを待ち望んだ私たちの神。この方こそ、私たちが待ち望んだ主。その御救いを楽しみ喜ぼう。」 + 主の御手がこの山にとどまるとき、わらが肥だめの水の中で踏みつけられるように、モアブはその所で踏みつけられる。 + 泳ぐ者が泳ごうとして手を伸ばすように、モアブはその中で手を伸ばすが、その手を伸ばしてみるごとに、主はその高ぶりを低くされる。 + 主はあなたの城壁のそそり立つ要塞を/引き倒して、低くし、地に投げつけて、ちりにされる。 + + + その日、ユダの国でこの歌が歌われる。/私たちには強い町がある。/神はその城壁と塁で私たちを救ってくださる。 + 城門をあけて、誠実を守る正しい民を入らせよ。 + 志の堅固な者を、あなたは全き平安のうちに守られます。/その人があなたに信頼しているからです。 + いつまでも主に信頼せよ。/ヤハ、主は、とこしえの岩だから。 + 主は高い所、そびえ立つ都に住む者を引き倒し、これを下して地に倒し、これを投げつけて、ちりにされる。 + 貧しい者の足、弱い者の歩みが、これを踏みつける。 + 義人の道は平らです。/あなたは義人の道筋をならして平らにされます。 + 主よ。まことにあなたのさばきの道で、私たちはあなたを待ち望み、私たちのたましいは、あなたの御名、あなたの呼び名を慕います。 + 私のたましいは、夜あなたを慕います。/まことに、私の内なる霊は/あなたを切に求めます。/あなたのさばきが地に行われるとき、世界の住民は義を学んだからです。 + 悪者はあわれみを示されても、義を学びません。/正直の地で不正をし、主のご威光を見ようともしません。 + 主よ。あなたの御手が上げられても、彼らは認めません。/どうか彼らが、この民へのあなたの熱心を認めて/恥じますように。/まことに火が、あなたに逆らう者を/なめ尽くしますように。 + 主よ。あなたは、私たちのために平和を備えておられます。/私たちのなすすべてのわざも、あなたが私たちのために/してくださったのですから。 + 私たちの神、主よ。/あなた以外の多くの君主が、私たちを治めましたが、私たちは、ただあなたによってのみ、御名を唱えます。 + 死人は生き返りません。/死者の霊はよみがえりません。/それゆえ、あなたは彼らを罰して滅ぼし、彼らについてのすべての記憶を/消し去られました。 + 主よ。あなたはこの国民を増し加え、増し加えて、この国民に栄光を現し、この国のすべての境を広げられました。 + 主よ。苦難の時に、彼らはあなたを求め、あなたが彼らを懲らしめられたので、彼らは祈ってつぶやきました。 + 子を産む時が近づいて、そのひどい痛みに、苦しみ叫ぶ妊婦のように。/主よ。私たちは御前にそのようでした。 + 私たちもみごもり、産みの苦しみをしましたが、それはあたかも、風を産んだようなものでした。/私たちは救いを地にもたらさず、世界の住民はもう生まれません。 + あなたの死人は生き返り、私のなきがらはよみがえります。/さめよ、喜び歌え。ちりに住む者よ。/あなたの露は光の露。/地は死者の霊を生き返らせます。 + さあ、わが民よ。/あなたの部屋に入り、うしろの戸を閉じよ。/憤りの過ぎるまで、ほんのしばらく、身を隠せ。 + 見よ。主はご自分の住まいから出て来て、地に住む者の罪を罰せられるからだ。/地はその上に流された血を現し、その上で殺された者たちを、もう、おおうことをしない。 + + + その日、主は、鋭い大きな強い剣で、逃げ惑う蛇レビヤタン、曲がりくねる蛇レビヤタンを罰し、海にいる竜を殺される。 + その日、麗しいぶどう畑、これについて歌え。 + わたし、主は、それを見守る者。/絶えずこれに水を注ぎ、だれも、それをそこなわないように、夜も昼もこれを見守っている。 + わたしはもう怒らない。/もしも、いばらとおどろが、わたしと戦えば、わたしはそれを踏みつぶし、それをみな焼き払う。 + しかし、もし、わたしのとりでにたよりたければ、わたしと和を結ぶがよい。/和をわたしと結ぶがよい。 + 時が来れば、ヤコブは根を張り、イスラエルは芽を出し、花を咲かせ、世界の面に実を満たす。 + 主は、イスラエルを打った者を打つように、イスラエルを打たれただろうか。/あるいは、イスラエルを殺した者を殺すように、イスラエルを殺されただろうか。 + あなたは彼らを追い立て、追い出し、彼らと争い、東風の日、激しい風で彼らを追放された。 + それゆえ、次のことによってヤコブの不義は赦される。/祭壇のすべての石を/粉々にされた石灰のようにし、アシェラ像と香の台をもう立てなくすること、これが、自分の罪を除いて得られる報酬の/すべてだ。 + 城壁のある町は、ひとり寂しく、ほうっておかれる牧場のようになり、荒野のように見捨てられる。/子牛はそこで草をはみ、そこに伏して、木の枝を食い尽くす。 + その大枝が枯れると、それは折られ、女たちが来てこれを燃やす。/これは悟りのない民だからだ。/それゆえ、これを造った方は、これをあわれまず、これを形造った方は、これに恵みを与えない。 + その日、主はユーフラテス川からエジプト川までの/穀物の穂を打ち落とされる。/イスラエルの子らよ。/あなたがたは、ひとりひとり拾い上げられる。 + その日、大きな角笛が鳴り渡り、アッシリヤの地に失われていた者や、エジプトの地に散らされていた者たちが来て、エルサレムの聖なる山で、主を礼拝する。 + + + ああ。/エフライムの酔いどれの誇りとする冠、その美しい飾りのしぼんでゆく花。/これは、酔いつぶれた者たちの/肥えた谷の頂にある。 + 見よ。主は強い、強いものを持っておられる。/それは、刺し通して荒れ狂う雹のあらしのようだ。/激しい勢いで押し流す豪雨のようだ。/主はこれを力いっぱい地に投げつける。 + エフライムの酔いどれの誇りとする冠は、足の下に踏みにじられ、 + 肥えた谷の頂にあって/これを美しく飾る花もしぼみ、夏前の初なりのいちじくの実のようになる。/だれかがそれを見つけると、それを手に取って、すぐのみこんでしまう。 + その日、万軍の主は、民の残りの者にとって、美しい冠、栄えの飾り輪となり、 + さばきの座に着く者にとって、さばきの霊となり、攻撃して来る者を城門で追い返す者にとって、力となられる。 + しかし、これらの者もまた、ぶどう酒のためによろめき、強い酒のためにふらつき、祭司も預言者も、強い酒のためによろめき、ぶどう酒のために混乱し、強い酒のためにふらつき、幻を見ながらよろめき、さばきを下すときよろける。 + どの食卓も吐いた汚物でいっぱいで、余す所もない。 + 「彼はだれに知識を教えようとしているのか。/だれに啓示を悟らせようとしているのか。/乳離れした子にか。乳房を離された子にか。 + 彼は言っている。/『戒めに戒め、戒めに戒め、規則に規則、規則に規則、ここに少し、あそこに少し』と。」 + まことに主は、もつれた舌で、外国のことばで、この民に語られる。 + 主は、彼らに「ここにいこいがある。/疲れた者をいこわせよ。ここに休みがある」/と仰せられたのに、彼らは聞こうとはしなかった。 + 主は彼らに告げられる。/「戒めに戒め、戒めに戒め、規則に規則、規則に規則、ここに少し、あそこに少し。」/これは、彼らが歩くとき、うしろざまに倒れ、手足を折られ、わなにかかって/捕らえられるためである。 + それゆえ、あざける者たち――/エルサレムにいてこの民を/物笑いの種にする者たちよ。/主のことばを聞け。 + あなたがたは、こう言ったからだ。「私たちは死と契約を結び、よみと同盟を結んでいる。たとい、にわか水があふれ、越えて来ても、それは私たちには届かない。私たちは、まやかしを避け所とし、偽りに身を隠してきたのだから。」 + だから、神である主は、こう仰せられる。/「見よ。わたしはシオンに/一つの石を礎として据える。/これは、試みを経た石、堅く据えられた礎の、尊いかしら石。/これを信じる者は、あわてることがない。 + わたしは公正を、測りなわとし、正義を、おもりとする。/雹は、まやかしの避け所を一掃し、水は隠れ家を押し流す。 + あなたがたの死との契約は解消され、よみとの同盟は成り立たない。/にわか水があふれ、越えて来ると、あなたがたはそれに踏みにじられる。 + それは押し寄せるたびに、あなたがたを捕らえる。/それは朝ごとに押し寄せる。昼も夜も。/この啓示を悟らせることは全く恐ろしい。」 + 寝床は、身を伸ばすには短すぎ、毛布も、身をくるむには狭すぎるようになる。 + 実に、主はペラツィムの山でのように起き上がり、ギブオンの谷でのように奮い立ち、そのみわざを行われる。/そのみわざは異なっている。/また、その働きをされる。/その働きは比類がない。 + だから今、あなたがたはあざけり続けるな。/あなたがたを縛るかせが、きつくされるといけないから。/私は万軍の神、主から、全世界に下る決定的な全滅について/聞いているのだ。 + あなたがたは、私の声に耳を傾けて聞け。/私の言うことを、注意して聞け。 + 農夫は、種を蒔くために、いつも耕して、その土地を起こし、まぐわでならしてばかりいるだろうか。 + その地面をならしたら、ういきょうを蒔き、クミンの種を蒔き、小麦をうねに、大麦を定まった場所に、裸麦をその境に植えるではないか。 + 農夫を指図する神は、彼に正しく教えておられる。 + ういきょうは打穀機で打たれず、クミンの上では脱穀車の車輪を回さない。/ういきょうは杖で、クミンは棒で打たれるからである。 + パンのための麦は砕かれない。/打穀をいつまでも続けることがないからだ。/脱穀車の車輪を回しても、馬がこれを砕きはしない。 + これもまた、万軍の主のもとから出ることで、そのはかりごとは奇しく、そのおもんぱかりはすばらしい。 + + + ああ。アリエル、アリエル。/ダビデが陣を敷いた都よ。/年に年を加え、祭りを巡って来させよ。 + わたしはアリエルをしいたげるので、そこにはうめきと嘆きが起こり、そこはわたしにとっては祭壇の炉のようになる。 + わたしは、あなたの回りに陣を敷き、あなたを前哨部隊で囲み、あなたに対して塁を築く。 + あなたは倒れて、地の中から語りかけるが、あなたの言うことは、ちりで打ち消される。/あなたが地の中から出す声は、死人の霊の声のようになり、あなたの言うことは、ちりの中からのささやきのようになる。 + しかし、あなたの敵の群れも、細かいほこりのようになり、横暴な者の群れは、吹き飛ぶもみがらのようになる。/しかも、それはにわかに、急に起こる。 + 万軍の主は、雷と地震と大きな音をもって、つむじ風と暴風と焼き尽くす火の炎をもって、あなたを訪れる。 + アリエルに戦いをいどむすべての民の群れ、これを攻めて、これを取り囲み、これをしいたげる者たちはみな、夢のようになり、夜の幻のようになる。 + 飢えた者が、夢の中で食べ、目がさめると、その腹はからであるように、渇いている者が、夢の中で飲み、目がさめると、なんとも疲れて、のどが干からびているように、シオンの山に戦いをいどむすべての民の群れも、そのようになる。 + のろくなれ。驚け。/目を堅くつぶって見えなくなれ。/彼らは酔うが、ぶどう酒によるのではない。/ふらつくが、強い酒によるのではない。 + 主が、あなたがたの上に深い眠りの霊を注ぎ、あなたがたの目、預言者たちを閉じ、あなたがたの頭、先見者たちをおおわれたから。 + そこで、あなたがたにとっては、すべての幻が、封じられた書物のことばのようになった。これを、読み書きのできる人に渡して、「どうぞ、これを読んでください」と言っても、「これは、封じられているから読めない」と言い、 + また、その書物を、読み書きのできない人に渡して、「どうぞ、これを読んでください」と言っても、「私は、読み書きができない」と答えよう。 + そこで主は仰せられた。/「この民は口先で近づき、くちびるでわたしをあがめるが、その心はわたしから遠く離れている。/彼らがわたしを恐れるのは、人間の命令を教え込まれてのことにすぎない。 + それゆえ、見よ、わたしはこの民に再び不思議なこと、驚き怪しむべきことをする。/この民の知恵ある者の知恵は滅び、悟りある者の悟りは隠される。」 + ああ。/主に自分のはかりごとを深く隠す者たち。/彼らはやみの中で事を行い、そして言う。「だれが、私たちを見ていよう。/だれが、私たちを知っていよう」と。 + ああ、あなたがたは、物をさかさに考えている。/陶器師を粘土と同じにみなしてよかろうか。/造られた者が、それを造った者に、「彼は私を造らなかった」と言い、陶器が陶器師に、「彼はわからずやだ」と言えようか。 + もうしばらくすれば、確かに、レバノンは果樹園に変わり、果樹園は森とみなされるようになる。 + その日、耳の聞こえない者が書物のことばを聞き、目の見えない者の目が暗黒とやみから物を見る。 + へりくだる者は主によっていよいよ喜び、貧しい人はイスラエルの聖なる方によって/楽しむ。 + 横暴な者はいなくなり、あざける者は滅びてしまい、悪をしようとうかがう者はみな、断ち滅ぼされるからだ。 + 彼らは、うわさ話で他人を罪に陥れ、城門でさばきをする者のあげあしを取り、正しい人を、むなしい理由でくつがえす。 + それゆえ、アブラハムを贖われた主は、ヤコブの家について、こう仰せられる。「今からは、ヤコブは恥を見ることがない。今からは、顔色を失うことがない。 + 彼が自分の子らを見、自分たちの中で、わたしの手のわざを見るとき、彼らはわたしの名を聖とし、ヤコブの聖なる方を聖とし、イスラエルの神を恐れるからだ。 + 心の迷っている者は悟りを得、つぶやく者もおしえを学ぶ。」 + + + 「ああ。反逆の子ら。/――主の御告げ――/彼らははかりごとをめぐらすが、わたしによらず、同盟を結ぶが、わたしの霊によらず、罪に罪を増し加えるばかりだ。 + 彼らはエジプトに下って行こうとするが、わたしの指示をあおごうとしない。/パロの保護のもとに身を避け、エジプトの陰に隠れようとする。 + しかし、パロの保護にたよることは、あなたがたの恥をもたらし、エジプトの陰に身を隠すことは、侮辱をもたらす。 + その首長たちがツォアンにいても、その使者たちがハネスに着いても、 + 彼らはみな、自分たちの役に立たない民のため、はずかしめられる。/その民は彼らの助けとならず、役にも立たない。/かえって、恥となり、そしりとなる。」 + ネゲブの獣に対する宣告。「苦難と苦悩の地を通り、雌獅子や雄獅子、まむしや飛びかける燃える蛇のいる所を通り、彼らはその財宝をろばの背に載せ、宝物をらくだのこぶに載せて、役にも立たない民のところに運ぶ。 + そのエジプトの助けはむなしく、うつろ。だから、わたしはこれを『何もしないラハブ』と呼んでいる。」 + 今、行って、これを彼らの前で板に書き、書物にこれを書きしるし、後の日のためとせよ。世々限りなく。 + 彼らは反逆の民、うそつきの子ら、主のおしえを聞こうとしない子らだから。 + 彼らは予見者に「見るな」と言い、先見者にはこう言う。「私たちに正しいことを預言するな。私たちの気に入ることを語り、偽りの預言をせよ。 + 道から離れ、小道からそれ、私たちの前からイスラエルの聖なる方を消せ。」 + それゆえ、イスラエルの聖なる方は、こう仰せられる。「あなたがたはわたしの言うことをないがしろにし、しいたげと悪巧みに拠り頼み、これにたよった。 + それゆえ、このあなたがたの不義は、そそり立つ城壁に広がって今にもそれを倒す裂け目のようになる。それは、にわかに、急に、破滅をもたらす。 + その破滅は、陶器師のつぼが容赦なく打ち砕かれるときのような破滅。その破片で、炉から火を集め、水ためから水を汲むほどのかけらさえ見いだされない。」 + 神である主、イスラエルの聖なる方は、こう仰せられる。「立ち返って静かにすれば、あなたがたは救われ、落ち着いて、信頼すれば、あなたがたは力を得る。」しかし、あなたがたは、これを望まなかった。 + あなたがたは言った。「いや、私たちは馬に乗って逃げよう。」それなら、あなたがたは逃げてみよ。「私たちは早馬に乗って。」それなら、あなたがたの追っ手はなお速い。 + ひとりのおどしによって千人が逃げ、五人のおどしによってあなたがたが逃げ、ついに、山の頂の旗ざお、丘の上の旗ぐらいしか残るまい。 + それゆえ、主は/あなたがたに恵もうと待っておられ、あなたがたをあわれもうと立ち上がられる。/主は正義の神であるからだ。/幸いなことよ。主を待ち望むすべての者は。 + ああ、シオンの民、エルサレムに住む者。もうあなたは泣くことはない。あなたの叫び声に応じて、主は必ずあなたに恵み、それを聞かれるとすぐ、あなたに答えてくださる。 + たとい主があなたがたに、乏しいパンとわずかな水とを賜っても、あなたの教師はもう隠れることなく、あなたの目はあなたの教師を見続けよう。 + あなたが右に行くにも左に行くにも、あなたの耳はうしろから「これが道だ。これに歩め」と言うことばを聞く。 + あなたは、銀をかぶせた刻んだ像と、金をかぶせた鋳物の像を汚し、汚れた物としてそれをまき散らし、これに「出て行け」と言うであろう。 + 主は、あなたが畑に蒔く種に雨を降らせ、その土地の産する食物は豊かで滋養がある。その日、あなたの家畜の群れは、広々とした牧場で草をはみ、 + 畑を耕す牛やろばは、シャベルや熊手でふるい分けられた味の良いまぐさを食べる。 + 大いなる虐殺の日、やぐらの倒れる日に、すべての高い山、すべてのそびえる丘の上にも、水の流れる運河ができる。 + 主がその民の傷を包み、その打たれた傷をいやされる日に、月の光は日の光のようになり、日の光は七倍になって、七つの日の光のようになる。 + 見よ。主の御名が遠くから来る。/その怒りは燃え、その燃え上がることはものすごく、くちびるは憤りで満ち、舌は焼き尽くす火のようだ。 + その息は、ほとばしって、首に達するあふれる流れのようだ。/破滅のふるいで国々をふるい、迷い出させる手綱を、国々の民のあごにかける。 + あなたがたは、祭りを祝う夜のように歌い、主の山、イスラエルの岩に行くために、笛に合わせて進む者のように心楽しむ。 + しかし、主は威厳のある御声を聞かせ、激しい怒りと、焼き尽くす火の炎と、大雨と、あらしと、雹の石をもって、御腕の下るのを示される。 + 主の御声を聞いてアッシリヤはおののく。/主が杖でこれを打たれるからだ。 + 主がこれに下す懲らしめのむちのしなうごとに、タンバリンと立琴が鳴らされる。/主は武器を振り動かして、これと戦う。 + すでにトフェテも整えられ、特に王のために備えられているからだ。/それは深く、広くされてあり、そこには火とたきぎとが多く積んである。/主の息は硫黄の流れのように、それを燃やす。 + + + ああ。/助けを求めてエジプトに下る者たち。/彼らは馬にたより、多数の戦車と、非常に強い騎兵隊とに拠り頼み、イスラエルの聖なる方に目を向けず、主を求めない。 + しかし主は、知恵ある方、わざわいをもたらし、みことばを取り消さない。/主は、悪を行う者の家と、不法を行う者を助ける者とを攻めたてられる。 + エジプト人は人間であって神ではなく、彼らの馬も、肉であって霊ではない。/主が御手を伸ばすと、助ける者はつまずき、助けられる者は倒れて、みな共に滅び果てる。 + まことに主は、私にこう仰せられる。/「獅子、あるいは若獅子が/獲物に向かってほえるとき、牧者がみなそのところに集められても、それは、彼らの声に脅かされず、彼らの騒ぎにも動じない。/そのように、万軍の主は下って来て、シオンの山とその丘を攻める。 + 万軍の主は飛びかける鳥のように、エルサレムを守り、これを守って救い出し、これを助けて解放する。」 + イスラエルの子らよ。あなたがたが反逆を深めているその方のもとに帰れ。 + その日、イスラエルの子らは、おのおの自分のために自分の手で造って罪を犯した銀の偽りの神々や金の偽りの神々を退けるからだ。 + アッシリヤは人間のものでない剣に倒れ、人間のものでない剣が彼らを食い尽くす。/アッシリヤは剣の前から逃げ、若い男たちは苦役につく。 + 岩も恐れのために過ぎ去り、首長たちも旗を捨てておののき逃げる。/――シオンに火を持ち、エルサレムにかまどを持つ主の御告げ―― + + + 見よ。ひとりの王が正義によって治め、首長たちは公義によってつかさどる。 + 彼らはみな、風を避ける避け所、あらしを避ける隠れ場のようになり、砂漠にある水の流れ、かわききった地にある/大きな岩の陰のようになる。 + 見る者は目を堅く閉ざさず、聞く者は耳を傾ける。 + 気短な者の心も知識を悟り、どもりの舌も、はっきりと早口で語ることができる。 + もはや、しれ者が/高貴な人と呼ばれることがなく、ならず者が上流の人と言われることもない。 + なぜなら、しれ者は恥ずべきことを語り、その心は不法をたくらんで、神を敬わず、主に向かって迷いごとを語り、飢えている者を飢えさせ、渇いている者に飲み物を飲ませないからだ。 + ならず者、そのやり方は悪い。/彼はみだらなことをたくらみ、貧しい者が正しいことを申し立てても、偽りを語って身分の低い者を滅ぼす。 + しかし、高貴な人は高貴なことを計画し、高貴なことを、いつもする。 + のんきな女たちよ。/立ち上がって、わたしの声を聞け。/うぬぼれている娘たちよ。/わたしの言うことに耳を傾けよ。 + うぬぼれている女たちよ。/一年と少しの日がたつと、あなたがたはわななく。/ぶどうの収穫がなくなり、その取り入れもできなくなるからだ。 + のんきな女たちよ。おののけ。/うぬぼれている女たちよ。わななけ。/着物を脱ぎ、裸になり、腰に荒布をまとえ。 + 胸を打って嘆け。/麗しい畑、実りの多いぶどうの木のために。 + いばらやおどろの生い茂る/わたしの民の土地のために。/そして、すべての楽しい家々、おごる都のために。 + なぜなら、宮殿は見捨てられ、町の騒ぎもさびれ、オフェルと見張りの塔は、いつまでも荒地となり、野ろばの喜ぶ所、羊の群れの牧場となるからだ。 + しかし、ついには、上から霊が私たちに注がれ、荒野が果樹園となり、果樹園が森とみなされるようになる。 + 公正は荒野に宿り、義は果樹園に住む。 + 義は平和をつくり出し、義はとこしえの平穏と信頼をもたらす。 + わたしの民は、平和な住まい、安全な家、安らかないこいの場に住む。 + ――雹が降ってあの森を倒し、あの町は全く卑しめられる。―― + ああ、幸いなことよ。/すべての水のほとりに種を蒔き、牛とろばとを放し飼いするあなたがたは。 + + + ああ。/自分は踏みにじられなかったのに、人を踏みにじり、自分は裏切られなかったのに、人を裏切るあなたは。/あなたが踏みにじることを終えるとき、あなたは踏みにじられ、あなたが裏切りをやめるとき、あなたは裏切られる。 + 主よ。私たちをあわれんでください。/私たちはあなたを待ち望みます。/朝ごとに、私たちの腕となり、苦難の時の私たちの救いとなってください。 + 騒ぎの声に国々の民は逃げ、あなたが立ち上がると、国は散らされます。 + あなたがたの分捕り物は、油虫が物を集めるように集められ、いなごの群れが飛びつくように飛びつかれる。 + 主はいと高き方で、高い所に住み、シオンを公正と正義で満たされる。 + あなたの時代は堅く立つ。/知恵と知識とが、救いの富である。/主を恐れることが、その財宝である。 + 見よ。彼らの勇士はちまたで叫び、平和の使者たちは激しく泣く。 + 大路は荒れ果て、道行く者はとだえ、契約は破られ、町々は捨てられ、人は顧みられない。 + 国は喪に服し、しおれ、レバノンははずかしめを受けて、しなび、シャロンは荒地のようになり、バシャンもカルメルも葉を振り落とす。 + 「今、わたしは立ち上がる」と主は仰せられる。/「今、わたしは自分を高め、今、あがめられるようにしよう。 + あなたがたは枯れ草をはらみ、わらを産む。/あなたがたの息は、あなたがたを食い尽くす火だ。 + 国々の民は焼かれて石灰となり、刈り取られて火をつけられるいばらとなる。 + 遠くの者よ。わたしのしたことを聞け。/近くの者よ。わたしの力を知れ。」 + 罪人たちはシオンでわななき、神を敬わない者は恐怖に取りつかれる。「私たちのうち、だれが焼き尽くす火に耐えられよう。私たちのうち、だれがとこしえに燃える炉に耐えられよう。」 + 正義を行う者、まっすぐに語る者、強奪による利得を退ける者、手を振ってわいろを取らない者、耳を閉じて血なまぐさいことを聞かない者、目を閉じて悪いことを見ない者、 + このような人は、高い所に住み、そのとりでは岩の上の要害である。/彼のパンは与えられ、その水は確保される。 + あなたの目は、麗しい王を見、遠く広がった国を見る。 + あなたの心は、恐ろしかった事どもを思い起こす。「数えた者はどこへ行ったのか。測った者はどこへ行ったのか。やぐらを数えた者はどこへ行ったのか。」 + あなたは、もう横柄な民を見ない。/この民のことばはわかりにくく、その舌はどもって、わけがわからない。 + 私たちの祝祭の都、シオンを見よ。/あなたの目は、安らかな住まい、取り払われることのない天幕、エルサレムを見る。/その鉄のくいはとこしえに抜かれず、その綱は一つも切られない。 + しかも、そこには威厳のある主が/私たちとともにおられる。/そこには多くの川があり、広々とした川がある。/櫓をこぐ船もそこを通わず、大船もそこを通らない。 + まことに、主は私たちをさばく方、主は私たちの立法者、主は私たちの王、この方が私たちを救われる。 + あなたの帆の綱は解け、帆柱の基は、結びつけることができず、帆は、張ることもできない。/そのとき、おびただしい分捕り物や獲物は/分け取られ、足のなえた者も獲物をかすめる。 + そこに住む者は、だれも/「私は病気だ」とは言わず、そこに住む民の罪は赦される。 + + + 国々よ。近づいて聞け。/諸国の民よ。耳を傾けよ。/地と、それに満ちるもの、世界と、そこから生え出たすべてのものよ。聞け。 + 主がすべての国に向かって怒り、すべての軍勢に向かって憤り、彼らを聖絶し、彼らが虐殺されるままにされたからだ。 + 彼らの殺された者は投げやられ、その死体は悪臭を放ち、山々は、その血によって溶ける。 + 天の万象は朽ち果て、天は巻き物のように巻かれる。/その万象は、枯れ落ちる。/ぶどうの木から葉が枯れ落ちるように。/いちじくの木から葉が枯れ落ちるように。 + 天ではわたしの剣に血がしみ込んでいる。/見よ。これがエドムの上に下り、わたしが聖絶すると定めた民の上に下るからだ。 + 主の剣は血で満ち、脂肪で肥えている。/子羊ややぎの血と、雄羊の腎臓の脂肪で肥えている。/主がボツラでいけにえをほふり、エドムの地で大虐殺をされるからだ。 + 野牛は彼らとともに、雄牛は荒馬とともに倒れる。/彼らの地には血がしみ込み、その土は脂肪で肥える。 + それは主の復讐の日であり、シオンの訴えのために仇を返す年である。 + エドムの川はピッチに、その土は硫黄に変わり、その地は燃えるピッチになる。 + それは夜も昼も消えず、いつまでもその煙は立ち上る。/そこは代々にわたって、廃墟となり、だれも、もうそこを通る者はない。 + ペリカンと針ねずみがそこをわがものとし、みみずくと烏がそこに住む。/主はその上に虚空の測りなわを張り、虚無のおもりを下げられる。 + そのおもだった人たちのうち、王権を宣言する者が、だれもそこにはいない。/すべての首長たちもいなくなる。 + そこの宮殿にはいばらが生え、要塞にはいらくさやあざみが生え、ジャッカルの住みか、だちょうの住む所となる。 + 荒野の獣は山犬に会い、野やぎはその友を呼ぶ。/そこにはこうもりもいこい、自分の休み場を見つける。 + 蛇もそこに巣を作って卵を産み、それをかえして、自分の陰に集める。/とびもそれぞれ自分の連れ合いとそこに集まる。 + 主の書物を調べて読め。/これらのもののうちどれも失われていない。/それぞれ自分の連れ合いを欠くものはいない。/それは、主の口がこれを命じ、主の御霊が、これらを集めたからである。 + 主はこれらのもののために/受ける割り当てをくじで定め、御手が測りなわで測ってこれを分け与えたので、とこしえまでも彼らはこれを所有し、代々にわたって、ここに住む。 + + + 荒野と砂漠は楽しみ、荒地は喜び、サフランのように花を咲かせる。 + 盛んに花を咲かせ、喜び喜んで歌う。/レバノンの栄光と、カルメルやシャロンの威光をこれに賜るので、彼らは主の栄光、私たちの神の威光を見る。 + 弱った手を強め、よろめくひざをしっかりさせよ。 + 心騒ぐ者たちに言え。「強くあれ、恐れるな。見よ、あなたがたの神を。復讐が、神の報いが来る。神は来て、あなたがたを救われる。」 + そのとき、目の見えない者の目は開き、耳の聞こえない者の耳はあく。 + そのとき、足のなえた者は鹿のようにとびはね、口のきけない者の舌は喜び歌う。/荒野に水がわき出し、荒地に川が流れるからだ。 + 焼けた地は沢となり/潤いのない地は水のわく所となり、ジャッカルの伏したねぐらは、葦やパピルスの茂みとなる。 + そこに大路があり、その道は聖なる道と呼ばれる。/汚れた者はそこを通れない。/これは、贖われた者たちのもの。/旅人も愚か者も、これに迷い込むことはない。 + そこには獅子もおらず、猛獣もそこに上って来ず、そこで出会うこともない。/ただ、贖われた者たちがそこを歩む。 + 主に贖われた者たちは帰って来る。/彼らは喜び歌いながらシオンに入り、その頭にはとこしえの喜びをいただく。/楽しみと喜びがついて来、悲しみと嘆きとは逃げ去る。 + + + ヒゼキヤ王の第十四年に、アッシリヤの王セナケリブが、ユダのすべての城壁のある町々を攻めて、これを取った。 + アッシリヤの王は、ラブ・シャケに大軍をつけて、ラキシュからエルサレムに、ヒゼキヤ王のところへ送った。ラブ・シャケは布さらしの野への大路にある上の池の水道のそばに立った。 + そこで、ヒルキヤの子である宮内長官エルヤキム、書記シェブナ、および、アサフの子である参議ヨアフが、彼のもとに出て行った。 + ラブ・シャケは彼らに言った。「ヒゼキヤに伝えよ。大王、アッシリヤの王がこう言っておられる。/いったい、おまえは何に拠り頼んでいるのか。 + 口先だけのことばが、戦略であり戦力だと思い込んでいるのか。今、おまえはだれに拠り頼んで私に反逆するのか。 + おまえは、あのいたんだ葦の杖、エジプトに拠り頼んでいるが、これは、それに寄りかかる者の手を刺し通すだけだ。エジプトの王、パロは、すべて彼に拠り頼む者たちにそうするのだ。 + おまえは私に『われわれは、われわれの神、主に拠り頼む』と言う。その主とは、ヒゼキヤが高き所と祭壇を取り除いておいて、ユダとエルサレムに向かい『この祭壇の前で拝め』と言ったそういう主ではないか、と。 + さあ、今、私の主君、アッシリヤの王と、かけをしないか。もしおまえのほうで乗り手をそろえることができれば、私はおまえに二千頭の馬を与えよう。 + おまえは戦車と騎兵のことでエジプトに拠り頼んでいるが、私の主君の最も小さい家来のひとりの総督をさえ撃退することはできないのだ。 + 今、私がこの国を滅ぼすために上って来たのは、主をさしおいてのことであろうか。主が私に『この国に攻め上って、これを滅ぼせ』と言われたのだ。」 + エルヤキムとシェブナとヨアフとは、ラブ・シャケに言った。「どうかしもべたちには、アラム語で話してください。われわれはアラム語がわかりますから。城壁の上にいる民の聞いている所では、われわれにユダのことばで話さないでください。」 + すると、ラブ・シャケは言った。「私の主君がこれらのことを告げに私を遣わされたのは、おまえの主君や、おまえのためだろうか。むしろ、城壁の上にすわっている者たちのためではないか。彼らはおまえたちといっしょに、自分の糞を食らい、自分の尿を飲むようになるのだ。」 + こうして、ラブ・シャケはつっ立って、ユダのことばで大声に呼ばわって、言った。「大王、アッシリヤの王のことばを聞け。 + 王はこう言われる。ヒゼキヤにごまかされるな。あれはおまえたちを救い出すことはできない。 + ヒゼキヤが、主は必ずわれわれを救い出してくださる、この町は決してアッシリヤの王の手に渡されることはない、と言って、おまえたちに主を信頼させようとするが、そうはさせない。 + ヒゼキヤの言うことを聞くな。アッシリヤの王はこう言っておられるからだ。私と和を結び、私に降参せよ。そうすれば、おまえたちはみな、自分のぶどうと自分のいちじくを食べ、また、自分の井戸の水を飲めるのだ。 + その後、私が来て、おまえたちの国と同じような国におまえたちを連れて行こう。そこは穀物とぶどう酒の地、パンとぶどう畑の地である。 + おまえたちは、ヒゼキヤが、主がわれわれを救い出してくださると言っているのに、そそのかされないようにせよ。国々の神々が、だれか、自分の国をアッシリヤの王の手から救い出しただろうか。 + ハマテやアルパデの神々は今、どこにいるのか。セファルワイムの神々はどこにいるのか。彼らはサマリヤを私の手から救い出したか。 + これらの国々のすべての神々のうち、だれが自分たちの国を私の手から救い出しただろうか。主がエルサレムを私の手から救い出すとでもいうのか。」 + しかし人々は黙っており、彼に一言も答えなかった。「彼に答えるな」というのが、王の命令だったからである。 + ヒルキヤの子である宮内長官エルヤキム、書記シェブナ、アサフの子である参議ヨアフは、自分たちの衣を裂いてヒゼキヤのもとに行き、ラブ・シャケのことばを告げた。 + + + ヒゼキヤ王は、これを聞いて、自分の衣を裂き、荒布を身にまとって、主の宮に入った。 + 彼は、宮内長官エルヤキム、書記シェブナ、年長の祭司たちに荒布をまとわせて、アモツの子、預言者イザヤのところに遣わした。 + 彼らはイザヤに言った。「ヒゼキヤはこう言っておられます。『きょうは、苦難と、懲らしめと、侮辱の日です。子どもが生まれようとするのに、それを産み出す力がないのです。 + おそらく、あなたの神、主は、ラブ・シャケのことばを聞かれたことでしょう。彼の主君、アッシリヤの王が、生ける神をそしるために彼を遣わしたのです。あなたの神、主は、その聞かれたことばを責められますが、あなたはまだいる残りの者のため、祈りをささげてください。』」 + ヒゼキヤ王の家来たちがイザヤのもとに来たとき、 + イザヤは彼らに言った。「あなたがたの主君にこう言いなさい。/主はこう仰せられる。『あなたが聞いたあのことば、アッシリヤの王の若い者たちがわたしを冒瀆したあのことばを恐れるな。 + 今、わたしは彼のうちに一つの霊を入れる。彼は、あるうわさを聞いて、自分の国に引き揚げる。わたしは、その国で彼を剣で倒す。』」 + ラブ・シャケは退いて、リブナを攻めていたアッシリヤの王と落ち合った。王がラキシュから移動したことを聞いたからである。 + 王は、クシュの王ティルハカについて、「彼はあなたと戦うために出て来ている」と聞いた。彼はそれを聞くと、使者たちをヒゼキヤに送って言った。 + 「ユダの王ヒゼキヤにこう伝えよ。『おまえの信頼するおまえの神にごまかされるな。おまえは、エルサレムはアッシリヤの王の手に渡されないと言っている。 + おまえは、アッシリヤの王たちがすべての国々にしたこと、それらを絶滅させたことを聞いている。それでも、おまえは救い出されるというのか。 + 私の先祖たちはゴザン、ハラン、レツェフ、および、テラサルにいたエデンの人々を滅ぼしたが、その国々の神々が彼らを救い出したのか。 + ハマテの王、アルパデの王、セファルワイムの町の王、また、ヘナやイワの王は、どこにいるか。』」 + ヒゼキヤは、使者の手からその手紙を受け取り、それを読み、主の宮に上って行って、それを主の前に広げた。 + ヒゼキヤは主に祈って言った。 + 「ケルビムの上に座しておられるイスラエルの神、万軍の主よ。ただ、あなただけが、地のすべての王国の神です。あなたが天と地を造られました。 + 主よ。御耳を傾けて聞いてください。主よ。御目を開いてご覧ください。生ける神をそしるために言ってよこしたセナケリブのことばをみな聞いてください。 + 主よ。アッシリヤの王たちが、すべての国々と、その国土とを廃墟としたのは事実です。 + 彼らはその神々を火に投げ込みました。それらは神ではなく、人の手の細工、木や石にすぎなかったので、滅ぼすことができたのです。 + 私たちの神、主よ。今、私たちを彼の手から救ってください。そうすれば、地のすべての王国は、あなただけが主であることを知りましょう。」 + アモツの子イザヤはヒゼキヤのところに人をやって言わせた。「イスラエルの神、主は、こう仰せられます。あなたがアッシリヤの王セナケリブについて、わたしに祈ったことを、わたしは聞いた。 + 主が彼について語られたことばは次のとおりである。/処女であるシオンの娘は/あなたをさげすみ、あなたをあざける。/エルサレムの娘は、あなたのうしろで、頭を振る。 + あなたはだれをそしり、ののしったのか。/だれに向かって声をあげ、高慢な目を上げたのか。/イスラエルの聖なる方に対してだ。 + あなたはしもべたちを使って、主をそしって言った。/『多くの戦車を率いて、私は山々の頂に、レバノンの奥深く上って行った。/そのそびえる杉の木と、美しいもみの木を切り倒し、私はその果ての高地、木の茂った園にまで入って行った。 + 私は井戸を掘って水を飲み、足の裏で/エジプトのすべての川を干上がらせた』と。 + あなたは聞かなかったのか。/昔から、それをわたしがなし、大昔から、それをわたしが計画し、今、それを果たしたことを。/それであなたは城壁のある町々を荒らして/廃墟の石くれの山としたのだ。 + その住民は力うせ、おののいて、恥を見、野の草や青菜、育つ前に干からびる屋根の草のようになった。 + あなたがすわるのも、出て行くのも、入るのも、わたしは知っている。/あなたがわたしに向かっていきりたつのも。 + あなたがわたしに向かっていきりたち、あなたの高ぶりが、わたしの耳に届いたので、あなたの鼻には鉤輪を、あなたの口にはくつわをはめ、あなたを、もと来た道に引き戻そう。 + あなたへのしるしは次のとおりである。/ことしは、落ち穂から生えたものを食べ、二年目も、またそれから生えたものを食べ、三年目は、種を蒔いて刈り入れ、ぶどう畑を作ってその実を食べる。 + ユダの家ののがれて残った者は/下に根を張り、上に実を結ぶ。 + エルサレムから、残りの者が出て来、シオンの山から、のがれた者が出て来るからである。/万軍の主の熱心がこれをする。 + それゆえ、アッシリヤの王について、主はこう仰せられる。/彼はこの町に侵入しない。/また、ここに矢を放たず、これに盾をもって迫らず、塁を築いてこれを攻めることもない。 + 彼はもと来た道から引き返し、この町には入らない。/――主の御告げ―― + わたしはこの町を守って、これを救おう。/わたしのために、わたしのしもべダビデのために。」 + 主の使いが出て行って、アッシリヤの陣営で、十八万五千人を打ち殺した。人々が翌朝早く起きて見ると、なんと、彼らはみな、死体となっていた。 + アッシリヤの王セナケリブは立ち去り、帰ってニネベに住んだ。 + 彼がその神ニスロクの宮で拝んでいたとき、その子のアデラメレクとサルエツェルは、剣で彼を打ち殺し、アララテの地へのがれた。それで彼の子エサル・ハドンが代わって王となった。 + + + そのころ、ヒゼキヤは病気になって死にかかっていた。そこへ、アモツの子、預言者イザヤが来て、彼に言った。「主はこう仰せられます。『あなたの家を整理せよ。あなたは死ぬ。直らない。』」 + そこでヒゼキヤは顔を壁に向けて、主に祈って、 + 言った。「ああ、主よ。どうか思い出してください。私が、まことを尽くし、全き心をもって、あなたの御前に歩み、あなたがよいと見られることを行ってきたことを。」こうして、ヒゼキヤは大声で泣いた。 + そのとき、イザヤに次のような主のことばがあった。 + 「行って、ヒゼキヤに告げよ。/あなたの父ダビデの神、主は、こう仰せられます。『わたしはあなたの祈りを聞いた。あなたの涙も見た。見よ。わたしはあなたの寿命にもう十五年を加えよう。 + わたしはアッシリヤの王の手から、あなたとこの町を救い出し、この町を守る。』 + これがあなたへの主からのしるしです。主は約束されたこのことを成就されます。 + 見よ。わたしは、アハズの日時計におりた時計の影を、十度あとに戻す。」すると、日時計におりた日が十度戻った。 + ユダの王ヒゼキヤが、病気になって、その病気から回復したときにしるしたもの。 + 私は言った。/私は生涯の半ばで、よみの門に入る。/私は、私の残りの年を失ってしまった。 + 私は言った。/私は主を見ない。生ける者の地で主を見ない。/死人の国の住人とともに、再び人を見ることがない。 + 私の住みかは牧者の天幕のように引き抜かれ、私から取り去られた。/私は、私のいのちを機織りのように巻いた。/主は私を、機から断ち切る。/あなたは昼も夜も、私を全く捨てておかれます。 + 私は朝まで叫びました。/主は、雄獅子のように/私のすべての骨を砕かれます。/あなたは昼も夜も、私を全く捨てておかれます。 + つばめや、つるのように、私は泣き、鳩のように、うめきました。/私の目は、上を仰いで衰えました。/主よ。私はしいたげられています。/私の保証人となってください。 + 何を私は語れましょう。/主が私に語り、主みずから行われたのに。/私は私のすべての年月、私のたましいの苦しみのために、静かに歩みます。 + 主よ。これらによって、人は生きるのです。/私の息のいのちも、すべてこれらに従っています。/どうか、私を健やかにし、私を生かしてください。 + ああ、私の苦しんだ苦しみは/平安のためでした。/あなたは、滅びの穴から、私のたましいを引き戻されました。/あなたは私のすべての罪を、あなたのうしろに投げやられました。 + よみはあなたをほめたたえず、死はあなたを賛美せず、穴に下る者たちは、あなたのまことを待ち望みません。 + 生きている者、ただ生きている者だけが/今日の私のように、あなたをほめたたえるのです。/父は子らにあなたのまことについて知らせます。 + 主は、私を救ってくださる。/私たちの生きている日々の間、主の宮で琴をかなでよう。 + イザヤは言った。「ひとかたまりの干しいちじくを持って来させ、腫物の上に塗りつけなさい。そうすれば直ります。」 + ヒゼキヤは言った。「私が主の宮に上れるそのしるしは何ですか。」 + + + そのころ、バルアダンの子、バビロンの王メロダク・バルアダンは、使者を遣わし、手紙と贈り物をヒゼキヤに届けた。彼が病気だったが、元気になった、ということを聞いたからである。 + ヒゼキヤはそれらを喜び、宝庫、銀、金、香料、高価な油、いっさいの武器庫、彼の宝物倉にあるすべての物を彼らに見せた。ヒゼキヤがその家の中、および国中で、彼らに見せなかった物は一つもなかった。 + そこで預言者イザヤが、ヒゼキヤ王のところに来て、彼に尋ねた。「あの人々は何を言いましたか。どこから来たのですか。」ヒゼキヤは答えた。「遠い国、バビロンから、私のところに来たのです。」 + イザヤはまた言った。「彼らは、あなたの家で何を見たのですか。」ヒゼキヤは答えた。「私の家の中のすべての物を見ました。私の宝物倉の中で彼らに見せなかった物は一つもありません。」 + すると、イザヤはヒゼキヤに言った。「万軍の主のことばを聞きなさい。 + 見よ。あなたの家にある物、あなたの先祖たちが今日まで、たくわえてきた物がすべて、バビロンへ運び去られる日が来ている。何一つ残されまい、と主は仰せられます。 + また、あなたの生む、あなた自身の息子たちのうち、捕らえられてバビロンの王の宮殿で宦官となる者があろう。」 + ヒゼキヤはイザヤに言った。「あなたが告げてくれた主のことばはありがたい。」彼は、自分が生きている間は、平和で安全だろう、と思ったからである。 + + + 「慰めよ。慰めよ。わたしの民を」と/あなたがたの神は仰せられる。 + 「エルサレムに優しく語りかけよ。/これに呼びかけよ。/その労苦は終わり、その咎は償われた。/そのすべての罪に引き替え、二倍のものを主の手から受けたと。」 + 荒野に呼ばわる者の声がする。「主の道を整えよ。荒地で、私たちの神のために、大路を平らにせよ。 + すべての谷は埋め立てられ、すべての山や丘は低くなる。盛り上がった地は平地に、険しい地は平野となる。 + このようにして、主の栄光が現されると、すべての者が共にこれを見る。主の御口が語られたからだ。」 + 「呼ばわれ」と言う者の声がする。/私は、「何と呼ばわりましょう」と答えた。「すべての人は草、その栄光は、みな野の花のようだ。 + 主のいぶきがその上に吹くと、草は枯れ、花はしぼむ。まことに、民は草だ。 + 草は枯れ、花はしぼむ。だが、私たちの神のことばは永遠に立つ。」 + シオンに良い知らせを伝える者よ。高い山に登れ。エルサレムに良い知らせを伝える者よ。力の限り声をあげよ。声をあげよ。恐れるな。ユダの町々に言え。「見よ。あなたがたの神を。」 + 見よ。神である主は力をもって来られ、その御腕で統べ治める。見よ。その報いは主とともにあり、その報酬は主の前にある。 + 主は羊飼いのように、その群れを飼い、御腕に子羊を引き寄せ、ふところに抱き、乳を飲ませる羊を優しく導く。 + だれが、手のひらで水を量り、手の幅で天を推し量り、地のちりを枡に盛り、山をてんびんで量り、丘をはかりで量ったのか。 + だれが主の霊を推し量り、主の顧問として教えたのか。 + 主はだれと相談して悟りを得られたのか。/だれが公正の道筋を主に教えて、知識を授け、英知の道を知らせたのか。 + 見よ。国々は、手おけの一しずく、はかりの上のごみのようにみなされる。/見よ。主は島々を細かいちりのように取り上げる。 + レバノンも、たきぎにするには、足りない、その獣も、全焼のいけにえにするには、足りない。 + すべての国々も主の前では無いに等しく、主にとっては/むなしく形もないものとみなされる。 + あなたがたは、神をだれになぞらえ、神をどんな似姿に似せようとするのか。 + 鋳物師は偶像を鋳て造り、金細工人はそれに金をかぶせ、銀の鎖を作る。 + 貧しい者は、奉納物として、朽ちない木を選び、巧みな細工人を捜して、動かない偶像を据える。 + あなたがたは知らないのか。聞かないのか。/初めから、告げられなかったのか。/地の基がどうして置かれたかを/悟らなかったのか。 + 主は地をおおう天蓋の上に住まわれる。/地の住民はいなごのようだ。/主は天を薄絹のように延べ、これを天幕のように広げて住まわれる。 + 君主たちを無に帰し、地のさばきつかさをむなしいものにされる。 + 彼らが、やっと植えられ、やっと蒔かれ、やっと地に根を張ろうとするとき、主はそれに風を吹きつけ、彼らは枯れる。/暴風がそれを、わらのように散らす。 + 「それなのに、わたしを、だれになぞらえ、だれと比べようとするのか」と/聖なる方は仰せられる。 + 目を高く上げて、だれがこれらを創造したかを見よ。/この方は、その万象を数えて呼び出し、一つ一つ、その名をもって、呼ばれる。/この方は精力に満ち、その力は強い。/一つももれるものはない。 + ヤコブよ。なぜ言うのか。/イスラエルよ。なぜ言い張るのか。/「私の道は主に隠れ、私の正しい訴えは、私の神に見過ごしにされている」と。 + あなたは知らないのか。聞いていないのか。/主は永遠の神、地の果てまで創造された方。/疲れることなく、たゆむことなく、その英知は測り知れない。 + 疲れた者には力を与え、精力のない者には活気をつける。 + 若者も疲れ、たゆみ、若い男もつまずき倒れる。 + しかし、主を待ち望む者は新しく力を得、鷲のように翼をかって上ることができる。/走ってもたゆまず、歩いても疲れない。 + + + 島々よ。わたしの前で静まれ。/諸国の民よ。新しい力を得よ。/近寄って、今、語れ。/われわれは、こぞって、さばきの座に近づこう。 + だれが、ひとりの者を東から起こし、彼の行く先々で勝利を収めさせるのか。/彼の前に国々を渡し、王たちを踏みにじらせ、その剣で彼らをちりのようにし、その弓でわらのように吹き払う。 + 彼は彼らを追い、まだ歩いて行ったことのない道を/安全に通って行く。 + だれが、これを成し遂げたのか。/初めから代々の人々に呼びかけた者ではないか。/わたし、主こそ初めであり、また終わりとともにある。わたしがそれだ。 + 島々は見て恐れた。/地の果ては震えながら/近づいて来た。 + 彼らは互いに助け合い、その兄弟に「強くあれ」と言う。 + 鋳物師は金細工人を力づけ、金槌で打つ者は、鉄床をたたく者に、はんだづけについて「それで良い」と言い、釘で打ちつけて動かないようにする。 + しかし、わたしのしもべ、イスラエルよ。/わたしが選んだヤコブ、わたしの友、アブラハムのすえよ。 + わたしは、あなたを地の果てから連れ出し、地のはるかな所からあなたを呼び出して言った。「あなたは、わたしのしもべ。わたしはあなたを選んで、捨てなかった。」 + 恐れるな。わたしはあなたとともにいる。/たじろぐな。わたしがあなたの神だから。/わたしはあなたを強め、あなたを助け、わたしの義の右の手で、あなたを守る。 + 見よ。あなたに向かっていきりたつ者はみな、恥を見、はずかしめを受け、あなたと争う者たちは、無いもののようになって滅びる。 + あなたと言い争いをする者を捜しても、あなたは見つけることはできず、あなたと戦う者たちは、全くなくなってしまう。 + あなたの神、主であるわたしが、あなたの右の手を堅く握り、「恐れるな。わたしがあなたを助ける」/と言っているのだから。 + 恐れるな。虫けらのヤコブ、イスラエルの人々。/わたしはあなたを助ける。/――主の御告げ――/あなたを贖う者はイスラエルの聖なる者。 + 見よ。わたしはあなたを/鋭い、新しいもろ刃の打穀機とする。/あなたは、山々を踏みつけて粉々に砕く。/丘をもみがらのようにする。 + あなたがそれをあおぐと、風が運び去り、暴風がそれをまき散らす。/あなたは主によって喜び、イスラエルの聖なる者によって誇る。 + 悩んでいる者や貧しい者が水を求めても/水はなく、その舌は渇きで干からびるが、わたし、主は、彼らに答え、イスラエルの神は、彼らを見捨てない。 + わたしは、裸の丘に川を開き、平地に泉をわかせる。/荒野を水のある沢とし、砂漠の地を水の源とする。 + わたしは荒野の中に杉や、アカシヤ、ミルトス、オリーブの木を植え、荒地にもみの木、すずかけ、檜も共に植える。 + 主の手がこのことをし、イスラエルの聖なる者がこれを創造したことを、彼らが見て知り、心に留めて、共に悟るためである。 + あなたがたの訴えを出せ、と主は仰せられる。/あなたがたの証拠を持って来い、と/ヤコブの王は仰せられる。 + 持って来て、後に起ころうとする事を告げよ。/先にあった事は何であったのかを告げよ。/そうすれば、われわれもそれに心を留め、また後の事どもを知ることができよう。/または、来たるべき事をわたしたちに聞かせよ。 + 後に起ころうとする事を告げよ。/そうすれば、われわれは、あなたがたが神であることを知ろう。/良いことでも、悪いことでもしてみよ。/そうすれば、われわれは共に見て驚こう。 + 見よ。あなたがたは無に等しい。/あなたがたのわざはむなしい。/あなたがたを選んだことは忌まわしい。 + わたしが北から人を起こすと、彼は来て、日の出る所から、わたしの名を呼ぶ。/彼は長官たちを/しっくいのように踏む。/陶器師が粘土を踏みつけるように。 + だれか、初めから告げて、われわれに/このことを知るようにさせただろうか。/だれか、あらかじめ、われわれに/「それは正しい」と言うようにさせただろうか。/告げた者はひとりもなく、聞かせた者もひとりもなく、あなたがたの言うことを聞いた者も/だれひとり、いなかった。 + わたしが、最初にシオンに、「見よ。これを見よ」と言い、わたしが、エルサレムに、良い知らせを伝える者を与えよう。 + わたしが見回しても、だれもいない。/彼らの中には、わたしが尋ねても返事のできる助言者もいない。 + 見よ。彼らはみな、偽りを言い、彼らのなすことはむなしい。/彼らの鋳た像は風のように形もない。 + + + 見よ。わたしのささえるわたしのしもべ、わたしの心の喜ぶわたしが選んだ者。/わたしは彼の上にわたしの霊を授け、彼は国々に公義をもたらす。 + 彼は叫ばず、声をあげず、ちまたにその声を聞かせない。 + 彼はいたんだ葦を折ることもなく、くすぶる燈心を消すこともなく、まことをもって公義をもたらす。 + 彼は衰えず、くじけない。/ついには、地に公義を打ち立てる。/島々も、そのおしえを待ち望む。 + 天を造り出し、これを引き延べ、地とその産物を押し広め、その上の民に息を与え、この上を歩む者に霊を授けた神なる主は/こう仰せられる。 + 「わたし、主は、義をもってあなたを召し、あなたの手を握り、あなたを見守り、あなたを民の契約とし、国々の光とする。 + こうして、見えない目を開き、囚人を牢獄から、やみの中に住む者を獄屋から連れ出す。 + わたしは主、これがわたしの名。/わたしの栄光を他の者に、わたしの栄誉を刻んだ像どもに与えはしない。 + 先の事は、見よ、すでに起こった。/新しい事を、わたしは告げよう。/それが起こる前に、あなたがたに聞かせよう。」 + 主に向かって新しい歌を歌え、その栄誉を地の果てから。/海に下る者、そこを渡るすべての者、島々とそこに住む者よ。 + 荒野とその町々、ケダル人の住む村々よ。声をあげよ。/セラに住む者は喜び歌え。/山々の頂から声高らかに叫べ。 + 主に栄光を帰し、島々にその栄誉を告げ知らせよ。 + 主は勇士のようにいで立ち、戦士のように激しく奮い立ち、ときの声をあげて叫び、敵に向かって威力を現す。 + わたしは久しく黙っていた。/静かに自分を押さえていた。/今は、子を産む女のようにうめき、激しい息づかいであえぐ。 + わたしは山や丘を荒らし、そのすべての青草を枯らし、川をかわいた地とし、沢をからす。 + わたしは目の見えない者に、彼らの知らない道を歩ませ、彼らの知らない通り道を行かせる。/彼らの前でやみを光に、でこぼこの地を平らにする。/これらのことをわたしがして、彼らを見捨てない。 + 彫像に拠り頼み、鋳像に、「あなたがたこそ、私たちの神々」と言う者は、退けられて、恥を見る。 + 耳の聞こえない者たちよ、聞け。/目の見えない者たちよ、目をこらして見よ。 + わたしのしもべほどの盲目の者が、だれかほかにいようか。/わたしの送る使者のような耳の聞こえない者が、ほかにいようか。/わたしに買い取られた者のような盲目の者、主のしもべのような盲目の者が、だれかほかにいようか。 + あなたは多くのことを見ながら、心に留めず、耳を開きながら、聞こうとしない。 + 主は、ご自分の義のために、みおしえを広め、これを輝かすことを望まれた。 + これは、かすめ奪われ、略奪された民のことであって、若い男たちはみな、わなにかかり、獄屋に閉じ込められた。/彼らはかすめ奪われたが、助け出す者もなく、奪い取られても、それを返せと言う者もいない。 + あなたがたのうち、だれが、これに耳を傾け、だれが、後々のために注意して聞くだろうか。 + だれが、ヤコブを、奪い取る者に渡し、イスラエルを、かすめ奪う者に渡したのか。/それは主ではないか。/この方に、私たちは罪を犯し、主の道に歩むことを望まず、そのおしえに聞き従わなかった。 + そこで主は、燃える怒りをこれに注ぎ、激しい戦いをこれに向けた。/それがあたりを焼き尽くしても、彼は悟らず、自分に燃えついても、心に留めなかった。 + + + だが、今、ヤコブよ。/あなたを造り出した方、主はこう仰せられる。/イスラエルよ。/あなたを形造った方、主はこう仰せられる。/「恐れるな。わたしがあなたを贖ったのだ。/わたしはあなたの名を呼んだ。/あなたはわたしのもの。 + あなたが水の中を過ぎるときも、わたしはあなたとともにおり、川を渡るときも、あなたは押し流されない。/火の中を歩いても、あなたは焼かれず、炎はあなたに燃えつかない。 + わたしが、あなたの神、主、イスラエルの聖なる者、あなたの救い主であるからだ。/わたしは、エジプトをあなたの身代金とし、クシュとセバをあなたの代わりとする。 + わたしの目には、あなたは高価で尊い。/わたしはあなたを愛している。/だからわたしは人をあなたの代わりにし、国民をあなたのいのちの代わりにするのだ。 + 恐れるな。/わたしがあなたとともにいるからだ。/わたしは東から、あなたの子孫を来させ、西から、あなたを集める。 + わたしは、北に向かって『引き渡せ』と言い、南に向かって『引き止めるな』と言う。/わたしの子らを遠くから来させ、わたしの娘らを地の果てから来させよ。 + わたしの名で呼ばれるすべての者は、わたしの栄光のために、わたしがこれを創造し、これを形造り、これを造った。 + 目があっても盲目の民、耳があっても聞こえない者たちを連れ出せ。 + すべての国々をつどわせ、諸国の民を集めよ。/彼らのうちのだれが、このことを告げ、先の事をわれわれに聞かせることができようか。/彼らの証人を出して証言させ、それを聞く者に『ほんとうだ』と言わせよ。 + あなたがたはわたしの証人、――主の御告げ――/わたしが選んだわたしのしもべである。/これは、あなたがたが知って、わたしを信じ、わたしがその者であることを悟るためだ。/わたしより先に造られた神はなく、わたしより後にもない。 + わたし、このわたしが、主であって、わたしのほかに救い主はいない。 + このわたしが、告げ、救い、聞かせたのだ。/あなたがたのうちに、異なる神はなかった。/だから、あなたがたはわたしの証人。/――主の御告げ――わたしは神だ。 + これから後もわたしは神だ。/わたしの手から救い出せる者はなく、わたしが事を行えば、だれがそれを戻しえよう。」 + あなたがたを贖われたイスラエルの聖なる方、主はこう仰せられる。/「あなたがたのために、わたしはバビロンに使いを送り、彼らの横木をみな突き落とし、カルデヤ人を喜び歌っている船から突き落とす。 + わたしは主、あなたがたの聖なる者、イスラエルの創造者、あなたがたの王である。」 + 海の中に道を、激しく流れる水の中に通り道を設け、 + 戦車と馬、強力な軍勢を連れ出した主は/こう仰せられる。/「彼らはみな倒れて起き上がれず、燈心のように消える。 + 先の事どもを思い出すな。/昔の事どもを考えるな。 + 見よ。わたしは新しい事をする。/今、もうそれが起ころうとしている。/あなたがたは、それを知らないのか。/確かに、わたしは荒野に道を、荒地に川を設ける。 + 野の獣、ジャッカルや、だちょうも、わたしをあがめる。/わたしが荒野に水をわき出させ、荒地に川を流し、わたしの民、わたしの選んだ者に飲ませるからだ。 + わたしのために造ったこの民は/わたしの栄誉を宣べ伝えよう。 + しかしヤコブよ。/あなたはわたしを呼び求めなかった。/イスラエルよ。/あなたはわたしのために労苦しなかった。 + あなたはわたしに、全焼のいけにえの羊を携えて来ず、いけにえをささげて、わたしをあがめようともしなかった。/わたしは穀物のささげ物のことで、あなたに苦労をさせず、乳香のことであなたを煩わせもしなかった。 + あなたはわたしのために、金を払って菖蒲を買わず、いけにえの脂肪で、わたしを満足させなかった。/かえって、あなたの罪で、わたしに苦労をさせ、あなたの不義で、わたしを煩わせただけだ。 + わたし、このわたしは、わたし自身のために/あなたのそむきの罪をぬぐい去り、もうあなたの罪を思い出さない。 + わたしに思い出させよ。/共に論じ合おう。/身の潔白を明かすため、あなたのほうから述べたてよ。 + あなたの最初の先祖は罪を犯し、あなたの代言者たちは、わたしにそむいた。 + それで、わたしは聖所のつかさたちを汚し、ヤコブが聖絶されるようにし、イスラエルが、ののしられるようにした。」 + + + 今、聞け、わたしのしもべヤコブ、わたしの選んだイスラエルよ。 + あなたを造り、あなたを母の胎内にいる時から形造って、あなたを助ける主はこう仰せられる。/「恐れるな。わたしのしもべヤコブ、わたしの選んだエシュルンよ。 + わたしは潤いのない地に水を注ぎ、かわいた地に豊かな流れを注ぎ、わたしの霊をあなたのすえに、わたしの祝福をあなたの子孫に注ごう。 + 彼らは、流れのほとりの柳の木のように、青草の間に芽ばえる。 + ある者は『私は主のもの』と言い、ある者はヤコブの名を名のり、ある者は手に『主のもの』としるして、イスラエルの名を名のる。」 + イスラエルの王である主、これを贖う方、万軍の主はこう仰せられる。/「わたしは初めであり、わたしは終わりである。/わたしのほかに神はない。 + わたしが永遠の民を起こしたときから、だれが、わたしのように宣言して、これを告げることができたか。/これをわたしの前で並べたててみよ。/彼らに未来の事、来たるべき事を/告げさせてみよ。 + 恐れるな、おののくな。/わたしが、もう古くからあなたに聞かせ、告げてきたではないか。/あなたがたはわたしの証人。/わたしのほかに神があろうか。/ほかに岩はない。わたしは知らない。 + 偶像を造る者はみな、むなしい。彼らの慕うものは何の役にも立たない。彼らの仕えるものは、見ることもできず、知ることもできない。彼らはただ恥を見るだけだ。 + だれが、いったい、何の役にも立たない神を造り、偶像を鋳たのだろうか。 + 見よ。その信徒たちはみな、恥を見る。それを細工した者が人間にすぎないからだ。彼らはみな集まり、立つがよい。彼らはおののいて共に恥を見る。 + 鉄で細工する者はなたを使い、炭火の上で細工し、金槌でこれを形造り、力ある腕でそれを造る。彼も腹がすくと力がなくなり、水を飲まないと疲れてしまう。 + 木で細工する者は、測りなわで測り、朱で輪郭をとり、かんなで削り、コンパスで線を引き、人の形に造り、人間の美しい姿に仕上げて、神殿に安置する。 + 彼は杉の木を切り、あるいはうばめがしや樫の木を選んで、林の木の中で自分のために育てる。また、月桂樹を植えると、大雨が育てる。 + それは人間のたきぎになり、人はそのいくらかを取って暖まり、また、これを燃やしてパンを焼く。また、これで神を造って拝み、それを偶像に仕立てて、これにひれ伏す。 + その半分は火に燃やし、その半分で肉を食べ、あぶり肉をあぶって満腹する。また、暖まって、『ああ、暖まった。熱くなった』と言う。 + その残りで神を造り、自分の偶像とし、それにひれ伏して拝み、それに祈って『私を救ってください。あなたは私の神だから』と言う。 + 彼らは知りもせず、悟りもしない。彼らの目は固くふさがって見ることもできず、彼らの心もふさがって悟ることもできない。 + 彼らは考えてもみず、知識も英知もないので、『私は、その半分を火に燃やし、その炭火でパンを焼き、肉をあぶって食べた。その残りで忌みきらうべき物を造り、木の切れ端の前にひれ伏すのだろうか』とさえ言わない。 + 灰にあこがれる者の心は欺かれ、惑わされて、自分を救い出すことができず、『私の右の手には偽りがないのだろうか』とさえ言わない。 + ヤコブよ。これらのことを覚えよ。/イスラエルよ。あなたはわたしのしもべ。/わたしが、あなたを造り上げた。/あなたは、わたし自身のしもべだ。/イスラエルよ。/あなたはわたしに忘れられることがない。 + わたしは、あなたのそむきの罪を雲のように、あなたの罪をかすみのようにぬぐい去った。/わたしに帰れ。/わたしは、あなたを贖ったからだ。」 + 天よ。喜び歌え。/主がこれを成し遂げられたから。/地のどん底よ。喜び叫べ。/山々よ。喜びの歌声をあげよ。/林とそのすべての木も。/主がヤコブを贖い、イスラエルのうちに、その栄光を現されるからだ。 + あなたを贖い、あなたを母の胎内にいる時から形造った方、主は/こう仰せられる。/「わたしは万物を造った主だ。/わたしはひとりで天を張り延ばし、ただ、わたしだけで、地を押し広げた。 + わたしは自慢する者らのしるしを破り、占い師を狂わせ、知恵ある者を退けて、その知識を愚かにする。 + わたしは、わたしのしもべのことばを成就させ、わたしの使者たちの計画を成し遂げさせる。/エルサレムに向かっては、『人が住むようになる』と言い、ユダの町々に向かっては、『町々は再建され、その廃墟はわたしが復興させる』と言う。 + 淵に向かっては、『干上がれ。/わたしはおまえの川々をからす』と言う。 + わたしはクロスに向かっては、『わたしの牧者、わたしの望む事をみな成し遂げる』と言う。/エルサレムに向かっては、『再建される。/神殿は、その基が据えられる』と言う。」 + + + 主は、油そそがれた者クロスに、こう仰せられた。「わたしは彼の右手を握り、彼の前に諸国を下らせ、王たちの腰の帯を解き、彼の前にとびらを開いて、その門を閉じさせないようにする。 + わたしはあなたの前に進んで、険しい地を平らにし、青銅のとびらを打ち砕き、鉄のかんぬきをへし折る。 + わたしは秘められている財宝と、ひそかな所の隠された宝をあなたに与える。それは、わたしが主であり、あなたの名を呼ぶ者、イスラエルの神であることをあなたが知るためだ。 + わたしのしもべヤコブ、わたしが選んだイスラエルのために、わたしはあなたをあなたの名で呼ぶ。あなたはわたしを知らないが、わたしはあなたに肩書を与える。 + わたしが主である。ほかにはいない。わたしのほかに神はいない。あなたはわたしを知らないが、わたしはあなたに力を帯びさせる。 + それは、日の上る方からも、西からも、わたしのほかには、だれもいないことを、人々が知るためだ。わたしが主である。ほかにはいない。 + わたしは光を造り出し、やみを創造し、平和をつくり、わざわいを創造する。わたしは主、これらすべてを造る者。」 + 「天よ。上から、したたらせよ。雲よ。正義を降らせよ。地よ。開いて救いを実らせよ。正義も共に芽ばえさせよ。わたしは主、わたしがこれを創造した。」 + ああ。/陶器が陶器を作る者に抗議するように/自分を造った者に抗議する者。/粘土は、形造る者に、「何を作るのか」とか、「あなたの作った物には、手がついていない」/などと言うであろうか。 + ああ。/自分の父に「なぜ、子どもを生むのか」と言い、母に「なぜ、産みの苦しみをするのか」と言う者。 + イスラエルの聖なる方、これを形造った方、主はこう仰せられる。「これから起こる事を、わたしに尋ねようとするのか。わたしの子らについて、わたしの手で造ったものについて、わたしに命じるのか。 + このわたしが地を造り、その上に人間を創造した。わたしはわたしの手で天を引き延べ、その万象に命じた。 + わたしは勝利のうちに彼を奮い立たせ、彼の道をみな、平らにする。彼はわたしの町を建て、わたしの捕囚の民を解放する。代価を払ってでもなく、わいろによってでもない」と万軍の主は仰せられる。 + 主はこう仰せられる。「エジプトの産物と、クシュの商品、それに背の高いセバ人も、あなたのところにやって来て、あなたのものとなる。彼らは鎖につながれて、あなたに従って来、あなたにひれ伏して、あなたに祈って言う。『神はただあなたのところにだけおられ、ほかにはなく、ほかに神々はいない。』」 + イスラエルの神、救い主よ。/まことに、あなたはご自身を隠す神。 + 偶像を細工する者どもはみな、恥を見、みな共に、はずかしめを受け、恥の中に去る。 + イスラエルは主によって救われ、永遠の救いに入る。/あなたがたは恥を見ることがなく、いつまでも、はずかしめを受けることがない。 + 天を創造した方、すなわち神、地を形造り、これを仕上げた方、すなわちこれを堅く立てた方、これを茫漠としたものに創造せず、人の住みかにこれを形造った方、まことに、この主がこう仰せられる。/「わたしが主である。ほかにはいない。 + わたしは隠れた所、やみの地の場所で語らなかった。/荒地で、ヤコブの子らに/わたしを尋ね求めよと言わなかった。/わたしは主、正義を語り、公正を告げる者。 + 諸国からの逃亡者たちよ。/集まって来て、共に近づけ。/木の偶像をになう者、救えもしない神に祈る者らは、何も知らない。 + 告げよ。証拠を出せ。共に相談せよ。/だれが、これを昔から聞かせ、以前からこれを告げたのか。/わたし、主ではなかったか。/わたしのほかに神はいない。/正義の神、救い主、わたしをおいてほかにはいない。 + 地の果てのすべての者よ。/わたしを仰ぎ見て救われよ。/わたしが神である。ほかにはいない。 + わたしは自分にかけて誓った。/わたしの口から出ることばは正しく、取り消すことはできない。/すべてのひざはわたしに向かってかがみ、すべての舌は誓い、 + わたしについて、『ただ、主にだけ、正義と力がある』と言う。/主に向かっていきりたつ者はみな、主のもとに来て恥じ入る。 + イスラエルの子孫はみな、主によって義とされ、誇る。」 + + + 「ベルはひざまずき、ネボはかがむ。/彼らの偶像は獣と家畜に載せられ、あなたがたの運ぶものは荷物となり、疲れた獣の重荷となる。 + 彼らは共にかがみ、ひざまずく。/彼らは重荷を解くこともできず、彼ら自身もとりことなって行く。 + わたしに聞け、ヤコブの家と、イスラエルの家の/すべての残りの者よ。/胎内にいる時からになわれており、生まれる前から運ばれた者よ。 + あなたがたが年をとっても、わたしは同じようにする。/あなたがたがしらがになっても、わたしは背負う。/わたしはそうしてきたのだ。/なお、わたしは運ぼう。/わたしは背負って、救い出そう。 + わたしをだれになぞらえて比べ、わたしをだれと並べて、なぞらえるのか。 + 袋から金を惜しげなく出し、銀をてんびんで量る者たちは、金細工人を雇って、それで神を造り、これにひざまずいて、すぐ拝む。 + 彼らはこれを肩にかついで運び、下に置いて立たせる。/これはその場からもう動けない。/これに叫んでも答えず、悩みから救ってもくれない。 + このことを思い出し、しっかりせよ。/そむく者らよ。心に思い返せ。 + 遠い大昔の事を思い出せ。/わたしが神である。ほかにはいない。/わたしのような神はいない。 + わたしは、終わりの事を初めから告げ、まだなされていない事を昔から告げ、『わたしのはかりごとは成就し、わたしの望む事をすべて成し遂げる』と言う。 + わたしは、東から猛禽を、遠い地から、わたしのはかりごとを行う者を呼ぶ。/わたしが語ると、すぐそれを行い、わたしが計ると、すぐそれをする。 + わたしに聞け。/強情な者、正義から遠ざかっている者たちよ。 + わたしは、わたしの勝利を近づける。/それは遠くはない。/わたしの救いは遅れることがない。/わたしはシオンに救いを与え、イスラエルにわたしの光栄を与える。」 + + + 「おとめバビロンの娘よ。/下って、ちりの上にすわれ。/カルデヤ人の娘よ。王座のない地にすわれ。/もうあなたは、優しい上品な女と呼ばれないからだ。 + ひき臼を取って粉をひけ。/顔おおいを取り去り、すそをまくって、すねを出し、川を渡れ。 + あなたの裸は現れ、あなたの恥もあらわになる。/わたしは復讐をする。だれひとり容赦しない。」 + 私たちを贖う方、その名は万軍の主、イスラエルの聖なる方。 + 「カルデヤ人の娘よ。/黙ってすわり、やみに入れ。/あなたはもう、王国の女王と呼ばれることはないからだ。 + わたしは、わたしの民を怒って、わたしのゆずりの民を汚し、彼らをあなたの手に渡したが、あなたは彼らをあわれまず、老人にも、ひどく重いくびきを負わせた。 + あなたは『いつまでも、私は女王でいよう』/と考えて、これらのことを心に留めず、自分の終わりのことを思ってもみなかった。 + だから今、これを聞け。/楽しみにふけり、安心して住んでいる女。/心の中で、『私だけは特別だ。/私はやもめにはならないし、子を失うことも知らなくて済もう』と言う者よ。 + 子を失うことと、やもめになること、この二つが一日のうちに、またたくまにあなたに来る。/あなたがどんなに多く呪術を行っても、どんなに強く呪文を唱えても、これらは突然、あなたを見舞う。 + あなたは自分の悪に拠り頼み、『私を見る者はない』と言う。/あなたの知恵と知識、これがあなたを迷わせた。/だから、あなたは心の中で言う。/『私だけは特別だ。』 + しかしわざわいがあなたを見舞う。/それを払いのけるまじないをあなたは知らない。/災難があなたを襲うが、あなたはそれを避けることはできない。/破滅はあなたの知らないうちに、突然あなたにやって来る。 + さあ、若い時からの使い古しの呪文や、多くの呪術を使って、立ち上がれ。/あるいは役立つかもしれない。/おびえさせることができるかもしれない。 + あなたに助言する者が多すぎて、あなたは疲れている。/さあ、天を観測する者、星を見る者、新月ごとにあなたに起こる事を知らせる者を/並べたてて、あなたを救わせてみよ。 + 見よ。彼らは刈り株のようになり、火が彼らを焼き尽くす。/彼らは自分のいのちを/炎の手から救い出すこともできない。/これは身を暖める炭火でもなく、その前にすわれる火でもない。 + あなたが若い時から仕え、行き来してきた者たちは、このようになる。/彼らはおのおの自分かってに迷い出て、あなたを救う者はひとりもいない。」 + + + これを聞け。ヤコブの家よ。/あなたはイスラエルの名で呼ばれ、ユダの源から出て、主の御名によって誓い、イスラエルの神を呼び求めるが、誠実をもってせず、また正義をもってしない。 + 確かに彼らは聖なる都の名を名のり、イスラエルの神――その名は万軍の主――に/寄りかかっている。 + 「先に起こった事は、前からわたしが告げていた。/それらはわたしの口から出、わたしはそれらを聞かせた。/にわかに、わたしは行い、それは成就した。 + あなたがかたくなであり、首筋は鉄の腱、額は青銅だと知っているので、 + わたしは、かねてからあなたに告げ、まだ起こらないうちに、聞かせたのだ。/『私の偶像がこれをした』とか、『私の彫像や鋳た像がこれを命じた』とか/あなたが言わないためだ。 + あなたは聞いた。さあ、これらすべてを見よ。/あなたがたは告げ知らせないのか。/わたしは今から、新しい事、あなたの知らない秘め事をあなたに聞かせよう。 + それは今、創造された。ずっと前からではない。/きょうまで、あなたはこれを聞いたこともない。/『ああ、私は知っていた』と/あなたが言わないためだ。 + あなたは聞いたこともなく、知っていたこともない。/ずっと前から、あなたの耳は開かれていなかった。/わたしは、あなたがきっと裏切ること、母の胎内にいる時から/そむく者と呼ばれていることを、知っていたからだ。 + わたしは、わたしの名のために、怒りを遅らせ、わたしの栄誉のために、これを押さえて、あなたを断ち滅ぼさなかった。 + 見よ。わたしはあなたを練ったが、銀の場合とは違う。/わたしは悩みの炉であなたを試みた。 + わたしのため、わたしのために、わたしはこれを行う。/どうしてわたしの名が汚されてよかろうか。/わたしはわたしの栄光を他の者には与えない。 + わたしに聞け。ヤコブよ。/わたしが呼び出したイスラエルよ。/わたしがそれだ。/わたしは初めであり、また、終わりである。 + まことに、わたしの手が地の基を定め、わたしの右の手が天を引き延ばした。/わたしがそれらに呼びかけると、それらはこぞって立ち上がる。 + あなたがた、みな集まって聞け。/だれがこれらの事を告げたのか。/主に愛される者が、主の喜ばれる事をバビロンにしむける。/主の御腕はカルデヤ人に向かう。 + わたしが、このわたしが語り、そして彼を呼んだのだ。/わたしは彼を来させ、彼の行うことを成功させる。 + わたしに近づいて、これを聞け。/わたしは初めから、隠れた所で語らなかった。/それが起こった時から、わたしはそこにいた。」/今、神である主は私を、その御霊とともに遣わされた。 + あなたを贖う主、イスラエルの聖なる方は/こう仰せられる。「わたしは、あなたの神、主である。わたしは、あなたに益になることを教え、あなたの歩むべき道にあなたを導く。 + あなたがわたしの命令に耳を傾けさえすれば、あなたのしあわせは川のように、あなたの正義は海の波のようになるであろうに。 + あなたの子孫は砂のように、あなたの身から出る者は、真砂のようになるであろうに。その名はわたしの前から断たれることも、滅ぼされることもないであろうに。」 + バビロンから出よ。カルデヤからのがれよ。/喜びの歌声をあげて、これを告げ知らせよ。/地の果てにまで響き渡らせよ。/「主が、そのしもべヤコブを贖われた」と言え。 + 主がかわいた地を通らせたときも、彼らは渇かなかった。/主は彼らのために岩から水を流れ出させ、岩を裂いて水をほとばしり出させた。 + 「悪者どもには平安がない」と主は仰せられる。 + + + 島々よ。私に聞け。遠い国々の民よ。耳を傾けよ。主は、生まれる前から私を召し、母の胎内にいる時から私の名を呼ばれた。 + 主は私の口を鋭い剣のようにし、御手の陰に私を隠し、私をとぎすました矢として、矢筒の中に私を隠した。 + そして、私に仰せられた。「あなたはわたしのしもべ、イスラエル。わたしはあなたのうちに、わたしの栄光を現す。」 + しかし、私は言った。「私はむだな骨折りをして、いたずらに、むなしく、私の力を使い果たした。それでも、私の正しい訴えは、主とともにあり、私の報酬は、私の神とともにある。」 + 今、主は仰せられる。/――主はヤコブをご自分のもとに帰らせ、イスラエルをご自分のもとに集めるために、私が母の胎内にいる時、私をご自分のしもべとして造られた。/私は主に尊ばれ、私の神は私の力となられた。―― + 主は仰せられる。「ただ、あなたがわたしのしもべとなって、ヤコブの諸部族を立たせ、イスラエルのとどめられている者たちを帰らせるだけではない。わたしはあなたを諸国の民の光とし、地の果てにまでわたしの救いをもたらす者とする。」 + イスラエルを贖う、その聖なる方、主は、人にさげすまれている者、民に忌みきらわれている者、支配者たちの奴隷に向かってこう仰せられる。「王たちは見て立ち上がり、首長たちもひれ伏す。主が真実であり、イスラエルの聖なる方があなたを選んだからである。」 + 主はこう仰せられる。/「恵みの時に、わたしはあなたに答え、救いの日にあなたを助けた。/わたしはあなたを見守り、あなたを民の契約とし、国を興し、荒れ果てたゆずりの地を継がせよう。 + わたしは捕らわれ人には『出よ』と言い、やみの中にいる者には『姿を現せ』と言う。/彼らは道すがら羊を飼い、裸の丘の至る所が、彼らの牧場となる。 + 彼らは飢えず、渇かず、熱も太陽も彼らを打たない。/彼らをあわれむ者が彼らを導き、水のわく所に連れて行くからだ。 + わたしは、わたしの山々をすべて道とし、わたしの大路を高くする。 + 見よ。ある者は遠くから来る。/また、ある者は北から西から、また、ある者はシニムの地から来る。」 + 天よ。喜び歌え。地よ。楽しめ。/山々よ。喜びの歌声をあげよ。/主がご自分の民を慰め、その悩める者をあわれまれるからだ。 + しかし、シオンは言った。/「主は私を見捨てた。主は私を忘れた」と。 + 「女が自分の乳飲み子を忘れようか。/自分の胎の子をあわれまないだろうか。/たとい、女たちが忘れても、このわたしはあなたを忘れない。 + 見よ。わたしは手のひらに/あなたを刻んだ。/あなたの城壁は、いつもわたしの前にある。 + あなたの子どもたちは急いで来る。/あなたを滅ぼし、あなたを廃墟とした者は、あなたのところから出て行く。 + 目を上げて、あたりを見回せ。/彼らはみな集まって、あなたのところに来る。/わたしは生きている。――主の御告げ――/あなたは必ず、彼らをみな飾り物として身につけ、花嫁のように彼らを帯に結ぶ。 + 必ず、あなたの廃墟と荒れ跡と滅びた地は、いまに、人が住むには狭すぎるようになり、あなたを滅ぼした者たちは/遠くへ離れ去る。 + あなたが子を失って後に生まれた子らが、再びあなたの耳に言おう。/『この場所は、私には狭すぎる。/私が住めるように、場所をあけてもらいたい』と。 + そのとき、あなたは心の中で言おう。/『だれが私に、この者たちを/生んでくれたのだろう。/私は子に死なれた女、うまずめ、亡命のさすらい者であったのに。/だれがこの者たちを育てたのだろう。/見よ。私は、ただひとり、残されていたのに、この者たちはどこから来たのだろう。』」 + 神である主はこう仰せられる。/「見よ。わたしは国々に向かって手を上げ、わたしの旗を国々の民に向かって揚げる。/彼らは、あなたの息子たちを/ふところに抱いて来、あなたの娘たちは肩に負われて来る。 + 王たちはあなたの世話をする者となり、王妃たちはあなたのうばとなる。/彼らは顔を地につけて、あなたを伏し拝み、あなたの足のちりをなめる。/あなたは、わたしが主であることを知る。/わたしを待ち望む者は恥を見ることがない。」 + 奪われた物を勇士から取り戻せようか。/罪のないとりこたちを助け出せようか。 + まことに、主はこう仰せられる。/「勇士のとりこは取り戻され、横暴な者に奪われた物も奪い返される。/あなたの争う者とわたしは争い、あなたの子らをこのわたしが救う。 + わたしは、あなたをしいたげる者に、彼ら自身の肉を食らわせる。/彼らは甘いぶどう酒に酔うように、自分自身の血に酔う。/すべての者が、わたしが主、あなたの救い主、あなたの贖い主、ヤコブの力強き者であることを知る。」 + + + 主はこう仰せられる。/「あなたがたの母親の離婚状は、どこにあるか。/わたしが彼女を追い出したというのなら。/あるいは、その債権者はだれなのか。/わたしがあなたがたを売ったというのなら。/見よ。あなたがたは、自分の咎のために売られ、あなたがたのそむきの罪のために、あなたがたの母親は追い出されたのだ。 + なぜ、わたしが来たとき、だれもおらず、わたしが呼んだのに、だれも答えなかったのか。/わたしの手が短くて贖うことができないのか。/わたしには救い出す力がないと言うのか。/見よ。わたしは、しかって海を干上がらせ、多くの川を荒野とする。/その魚は水がなくて臭くなり、渇きのために死に絶える。 + わたしは天をやみでおおい、荒布をそのおおいとする。」 + 神である主は、私に弟子の舌を与え、疲れた者をことばで励ますことを教え、朝ごとに、私を呼びさまし、私の耳を開かせて、私が弟子のように聞くようにされる。 + 神である主は、私の耳を開かれた。/私は逆らわず、うしろに退きもせず、 + 打つ者に私の背中をまかせ、ひげを抜く者に私の頬をまかせ、侮辱されても、つばきをかけられても、私の顔を隠さなかった。 + しかし、神である主は、私を助ける。/それゆえ、私は、侮辱されなかった。/それゆえ、私は顔を火打石のようにし、恥を見てはならないと知った。 + 私を義とする方が近くにおられる。/だれが私と争うのか。/さあ、さばきの座に共に立とう。/どんな者が、私を訴えるのか。/私のところに出て来い。 + 見よ。神である主が、私を助ける。/だれが私を罪に定めるのか。/見よ。彼らはみな、衣のように古び、しみが彼らを食い尽くす。 + あなたがたのうち、だれが主を恐れ、そのしもべの声に聞き従うのか。/暗やみの中を歩き、光を持たない者は、主の御名に信頼し、自分の神に拠り頼め。 + 見よ。あなたがたはみな、火をともし、燃えさしを身に帯びている。/あなたがたは自分たちの火のあかりを持ち、火をつけた燃えさしを持って歩くがよい。/このことはわたしの手によって/あなたがたに起こり、あなたがたは、苦しみのうちに伏し倒れる。 + + + 義を追い求める者、主を尋ね求める者よ。/わたしに聞け。/あなたがたの切り出された岩、掘り出された穴を見よ。 + あなたがたの父アブラハムと、あなたがたを産んだサラのことを考えてみよ。/わたしが彼ひとりを呼び出し、わたしが彼を祝福し、彼の子孫をふやしたことを。 + まことに主はシオンを慰め、そのすべての廃墟を慰めて、その荒野をエデンのようにし、その砂漠を主の園のようにする。/そこには楽しみと喜び、感謝と歌声とがある。 + わたしの民よ。わたしに心を留めよ。/わたしの国民よ。わたしに耳を傾けよ。/おしえはわたしから出、わたしはわたしの公義を定め、国々の民の光とする。 + わたしの義は近い。/わたしの救いはすでに出ている。/わたしの腕は国々の民をさばく。/島々はわたしを待ち望み、わたしの腕に拠り頼む。 + 目を天に上げよ。また下の地を見よ。/天は煙のように散りうせ、地も衣のように古びて、その上に住む者は、ぶよのように死ぬ。/しかし、わたしの救いはとこしえに続き、わたしの義はくじけないからだ。 + 義を知る者、心にわたしのおしえを持つ民よ。/わたしに聞け。/人のそしりを恐れるな。/彼らのののしりにくじけるな。 + しみが彼らを衣のように食い尽くし、虫が彼らを羊毛のように食い尽くす。/しかし、わたしの義はとこしえに続き、わたしの救いは代々にわたるからだ。 + さめよ。さめよ。力をまとえ。主の御腕よ。/さめよ。昔の日、いにしえの代のように。/ラハブを切り刻み、竜を刺し殺したのは、あなたではないか。 + 海と大いなる淵の水を干上がらせ、海の底に道を設けて、贖われた人々を通らせたのは、あなたではないか。 + 主に贖われた者たちは帰って来る。/彼らは喜び歌いながらシオンに入り、その頭にはとこしえの喜びをいただく。/楽しみと喜びがついて来、悲しみと嘆きとは逃げ去る。 + わたし、このわたしが、あなたがたを慰める。/あなたは、何者なのか。/死ななければならない人間や、草にも等しい人の子を恐れるとは。 + 天を引き延べ、地の基を定め、あなたを造った主を、あなたは忘れ、一日中、絶えず、しいたげる者の憤りを恐れている。/まるで滅びに定められているかのようだ。/そのしいたげる者の憤りはどこにあるのか。 + 捕らわれ人は、すぐ解き放たれ、死んで穴に下ることがなく、パンにも事欠かない。 + わたしは、あなたの神、主であって、海をかき立て、波をとどろかせる。/その名は万軍の主。 + わたしは、わたしのことばをあなたの口に置き、わたしの手の陰にあなたをかばい、天を引き延べ、地の基を定め、「あなたはわたしの民だ」とシオンに言う。 + さめよ。さめよ。立ち上がれ。エルサレム。/あなたは、主の手から、憤りの杯を飲み、よろめかす大杯を飲み干した。 + 彼女が産んだすべての子らのうち、だれも彼女を導く者がなく、彼女が育てたすべての子らのうち、だれも彼女の手を取る者がない。 + これら二つの事が、あなたを見舞う。/だれが、あなたのために嘆くだろうか。/滅亡と破滅、ききんと剣――/わたしはどのようにしてあなたを慰めようか。 + あなたの子らは/網にかかった大かもしかのように気を失って、すべての町かどに倒れ伏す。/彼らには、主の憤りと、あなたの神のとがめとが満ちている。 + それゆえ、さあ、これを聞け。悩んでいる者、酔ってはいても、酒のせいではない者よ。 + あなたの主、ご自分の民を弁護するあなたの神、主は、こう仰せられる。/「見よ。わたしはあなたの手から、よろめかす杯を取り上げた。/あなたはわたしの憤りの大杯を/もう二度と飲むことはない。 + わたしはこれを、あなたを悩ます者たちの手に渡す。/彼らはかつてあなたに、『ひれ伏せ。われわれは乗り越えて行こう』/と言ったので、あなたは背中を地面のようにし、また、歩道のようにして、彼らが乗り越えて行くのにまかせた。」 + + + さめよ。さめよ。力をまとえ。シオン。/あなたの美しい衣を着よ。/聖なる都エルサレム。/無割礼の汚れた者が、もう、あなたの中に入って来ることはない。 + ちりを払い落として立ち上がり、もとの座に着け、エルサレム。/あなたの首からかせをふりほどけ、捕囚のシオンの娘よ。 + まことに主はこう仰せられる。「あなたがたは、ただで売られた。だから、金を払わずに買い戻される。」 + まことに神である主がこう仰せられる。「わたしの民は昔、エジプトに下って行ってそこに寄留した。またアッシリヤ人がゆえなく彼らを苦しめた。 + さあ、今、ここでわたしは何をしよう。――主の御告げ――わたしの民はただで奪い取られ、彼らを支配する者たちはわめいている。――主の御告げ――また、わたしの名は一日中絶えず侮られている。 + それゆえ、わたしの民はわたしの名を知るようになる。その日、『ここにわたしがいる』と告げる者がわたしであることを知るようになる。」 + 良い知らせを伝える者の足は/山々の上にあって、なんと美しいことよ。/平和を告げ知らせ、幸いな良い知らせを伝え、救いを告げ知らせ、「あなたの神が王となる」と/シオンに言う者の足は。 + 聞け。あなたの見張り人たちが、声を張り上げ、共に喜び歌っている。/彼らは、主がシオンに帰られるのを、まのあたりに見るからだ。 + エルサレムの廃墟よ。/共に大声をあげて喜び歌え。/主がその民を慰め、エルサレムを贖われたから。 + 主はすべての国々の目の前に、聖なる御腕を現した。/地の果て果てもみな、私たちの神の救いを見る。 + 去れよ。去れよ。そこを出よ。/汚れたものに触れてはならない。/その中から出て、身をきよめよ。/主の器をになう者たち。 + あなたがたは、あわてて出なくてもよい。/逃げるようにして去らなくてもよい。/主があなたがたの前に進み、イスラエルの神が、あなたがたのしんがりとなられるからだ。 + 見よ。わたしのしもべは栄える。/彼は高められ、上げられ、非常に高くなる。 + 多くの者があなたを見て驚いたように、――その顔だちは、そこなわれて人のようではなく、その姿も人の子らとは違っていた―― + そのように、彼は多くの国々を驚かす。/王たちは彼の前で口をつぐむ。/彼らは、まだ告げられなかったことを見、まだ聞いたこともないことを悟るからだ。 + + + 私たちの聞いたことを、だれが信じたか。/主の御腕は、だれに現れたのか。 + 彼は主の前に若枝のように芽ばえ、砂漠の地から出る根のように育った。/彼には、私たちが見とれるような姿もなく、輝きもなく、私たちが慕うような見ばえもない。 + 彼はさげすまれ、人々からのけ者にされ、悲しみの人で病を知っていた。/人が顔をそむけるほどさげすまれ、私たちも彼を尊ばなかった。 + まことに、彼は私たちの病を負い、私たちの痛みをになった。/だが、私たちは思った。/彼は罰せられ、神に打たれ、苦しめられたのだと。 + しかし、彼は、私たちのそむきの罪のために刺し通され、私たちの咎のために砕かれた。/彼への懲らしめが私たちに平安をもたらし、彼の打ち傷によって、私たちはいやされた。 + 私たちはみな、羊のようにさまよい、おのおの、自分かってな道に向かって行った。/しかし、主は、私たちのすべての咎を/彼に負わせた。 + 彼は痛めつけられた。/彼は苦しんだが、口を開かない。/ほふり場に引かれて行く羊のように、毛を刈る者の前で黙っている雌羊のように、彼は口を開かない。 + しいたげと、さばきによって、彼は取り去られた。/彼の時代の者で、だれが思ったことだろう。/彼がわたしの民のそむきの罪のために打たれ、生ける者の地から絶たれたことを。 + 彼の墓は悪者どもとともに設けられ、彼は富む者とともに葬られた。/彼は暴虐を行わず、その口に欺きはなかったが。 + しかし、彼を砕いて、痛めることは/主のみこころであった。/もし彼が、自分のいのちを/罪過のためのいけにえとするなら、彼は末長く、子孫を見ることができ、主のみこころは彼によって成し遂げられる。 + 彼は、自分のいのちの/激しい苦しみのあとを見て、満足する。/わたしの正しいしもべは、その知識によって多くの人を義とし、彼らの咎を彼がになう。 + それゆえ、わたしは、多くの人々を彼に分け与え、彼は強者たちを分捕り物としてわかちとる。/彼が自分のいのちを死に明け渡し、そむいた人たちとともに数えられたからである。/彼は多くの人の罪を負い、そむいた人たちのためにとりなしをする。 + + + 「子を産まない不妊の女よ。喜び歌え。/産みの苦しみを知らない女よ。/喜びの歌声をあげて叫べ。/夫に捨てられた女の子どもは、夫のある女の子どもよりも多いからだ」/と主は仰せられる。 + 「あなたの天幕の場所を広げ、あなたの住まいの幕を惜しみなく張り伸ばし、綱を長くし、鉄のくいを強固にせよ。 + あなたは右と左にふえ広がり、あなたの子孫は、国々を所有し、荒れ果てた町々を人の住む所とするからだ。 + 恐れるな。あなたは恥を見ない。/恥じるな。あなたははずかしめを受けないから。/あなたは自分の若かったころの恥を忘れ、やもめ時代のそしりを、もう思い出さない。 + あなたの夫はあなたを造った者、その名は万軍の主。/あなたの贖い主は、イスラエルの聖なる方で、全地の神と呼ばれている。 + 主は、あなたを、夫に捨てられた、心に悲しみのある女と呼んだが、若い時の妻をどうして見捨てられようか」/とあなたの神は仰せられる。 + 「わたしはほんのしばらくの間、あなたを見捨てたが、大きなあわれみをもって、あなたを集める。 + 怒りがあふれて、ほんのしばらく、わたしの顔をあなたから隠したが、永遠に変わらぬ愛をもって、あなたをあわれむ」と/あなたを贖う主は仰せられる。 + 「このことは、わたしにとっては、ノアの日のようだ。/わたしは、ノアの洪水を/もう地上に送らないと誓ったが、そのように、あなたを怒らず、あなたを責めないとわたしは誓う。 + たとい山々が移り、丘が動いても、わたしの変わらぬ愛はあなたから移らず、わたしの平和の契約は動かない」と/あなたをあわれむ主は仰せられる。 + 「苦しめられ、もてあそばれて、慰められなかった女よ。/見よ。わたしはあなたの石を/アンチモニーでおおい、サファイヤであなたの基を定め、 + あなたの塔をルビーにし、あなたの門を紅玉にし、あなたの境をすべて宝石にする。 + あなたの子どもたちはみな、主の教えを受け、あなたの子どもたちには、豊かな平安がある。 + あなたは義によって堅く立ち、しいたげから遠ざかれ。恐れることはない。/恐れから遠ざかれ。それが近づくことはない。 + 見よ。攻め寄せる者があっても、それはわたしから出た者ではない。/あなたを攻める者は、あなたによって倒される。 + 見よ。/炭火を吹きおこし武器を作り出す職人を/創造したのはわたしである。/それをこわしてしまう破壊者を/創造したのもわたしである。 + あなたを攻めるために作られる武器は、どれも役に立たなくなる。/また、さばきの時、あなたを責めたてるどんな舌でも、あなたはそれを罪に定める。/これが、主のしもべたちの受け継ぐ分、わたしから受ける彼らの義である。/――主の御告げ――」 + + + ああ。渇いている者はみな、水を求めて出て来い。金のない者も。/さあ、穀物を買って食べよ。/さあ、金を払わないで、穀物を買い、代価を払わないで、ぶどう酒と乳を買え。 + なぜ、あなたがたは、食糧にもならない物のために金を払い、腹を満たさない物のために労するのか。/わたしに聞き従い、良い物を食べよ。/そうすれば、あなたがたは脂肪で元気づこう。 + 耳を傾け、わたしのところに出て来い。/聞け。そうすれば、あなたがたは生きる。/わたしはあなたがたととこしえの契約、ダビデへの変わらない愛の契約を結ぶ。 + 見よ。わたしは彼を諸国の民への証人とし、諸国の民の君主とし、司令官とした。 + 見よ。/あなたの知らない国民をあなたが呼び寄せると、あなたを知らなかった国民が、あなたのところに走って来る。/これは、あなたの神、主のため、また、あなたを輝かせた/イスラエルの聖なる方のためである。 + 主を求めよ。お会いできる間に。/近くにおられるうちに、呼び求めよ。 + 悪者はおのれの道を捨て、不法者はおのれのはかりごとを捨て去れ。/主に帰れ。そうすれば、主はあわれんでくださる。/私たちの神に帰れ。豊かに赦してくださるから。 + 「わたしの思いは、あなたがたの思いと異なり、わたしの道は、あなたがたの道と異なるからだ。/――主の御告げ―― + 天が地よりも高いように、わたしの道は、あなたがたの道よりも高く、わたしの思いは、あなたがたの思いよりも高い。 + 雨や雪が天から降ってもとに戻らず、必ず地を潤し、それに物を生えさせ、芽を出させ、種蒔く者には種を与え、食べる者にはパンを与える。 + そのように、わたしの口から出るわたしのことばも、むなしく、わたしのところに帰っては来ない。/必ず、わたしの望む事を成し遂げ、わたしの言い送った事を成功させる。 + まことに、あなたがたは喜びをもって出て行き、安らかに導かれて行く。/山と丘は、あなたがたの前で喜びの歌声をあげ、野の木々もみな、手を打ち鳴らす。 + いばらの代わりにもみの木が生え、おどろの代わりにミルトスが生える。/これは主の記念となり、絶えることのない永遠のしるしとなる。」 + + + 主はこう仰せられる。「公正を守り、正義を行え。わたしの救いが来るのは近く、わたしの義が現れるのも近いからだ。」 + 幸いなことよ。/安息日を守ってこれを汚さず、どんな悪事にもその手を出さない、このように行う人、これを堅く保つ人の子は。 + 主に連なる外国人は言ってはならない。/「主はきっと、私をその民から切り離される」と。/宦官も言ってはならない。/「ああ、私は枯れ木だ」と。 + まことに主はこう仰せられる。/「わたしの安息日を守り、わたしの喜ぶ事を選び、わたしの契約を堅く保つ宦官たちには、 + わたしの家、わたしの城壁のうちで、息子、娘たちにもまさる分け前と名を与え、絶えることのない永遠の名を与える。 + また、主に連なって主に仕え、主の名を愛して、そのしもべとなった外国人がみな、安息日を守ってこれを汚さず、わたしの契約を堅く保つなら、 + わたしは彼らを、わたしの聖なる山に連れて行き、わたしの祈りの家で彼らを楽しませる。彼らの全焼のいけにえやその他のいけにえは、わたしの祭壇の上で受け入れられる。わたしの家は、すべての民の祈りの家と呼ばれるからだ。 + ――イスラエルの散らされた者たちを集める神である主の御告げ――わたしは、すでに集められた者たちに、さらに集めて加えよう。」 + 野のすべての獣、林の中のすべての獣よ。/食べに来い。 + 見張り人はみな目が見えず、知ることがない。/彼らはみな口のきけない犬、ほえることもできない。/あえいで、横になり、眠りをむさぼる。 + この貪欲な犬どもは、足ることを知らない。/彼らは、悟ることも知らない牧者で、みな、自分かってな道に向かい、ひとり残らず自分の利得に向かって行く。 + 「やって来い。ぶどう酒を持って来るから、強い酒を浴びるほど飲もう。/あすもきょうと同じだろう。/もっと、すばらしいかもしれない。」 + + + 義人が滅びても心に留める者はなく、誠実な人が取り去られても、心を向ける者もいない。/まことに、義人はわざわいから取り去られて、 + 平安に入り、まっすぐに歩む人は、自分の寝床で休むことができる。 + しかし、あなたがた、女卜者の子ら、姦夫と遊女のすえよ。/ここに近寄れ。 + あなたがたは、だれをからかい、だれに向かって口を大きく開いて、舌を出すのか。/あなたがたはそむきの子ら、偽りのすえではないか。 + あなたがたは、樫の木の間や、すべての生い茂る木の下で、身を焦がし、谷や、岩のはざまで/子どもをほふっているではないか。 + 谷川のなめらかな石がおまえの分け前、そこいらの石が、おまえの受ける割り当て。/それらに、おまえは、注ぎのぶどう酒を注ぎ、穀物のささげ物をささげているが、こんな物で、わたしが慰められようか。 + そびえる高い山の上に、あなたは寝床を設け、そこにも、上って行って/あなたはいけにえをささげた。 + あなたは、とびらと柱のうしろに、あなたを象徴する像を置いた。/あなたはわたしを捨てて、裸になり、寝床に上ってそれを広げ、彼らと契りを結び、彼らの寝床を愛し、その象徴物を見た。 + あなたは油を携えてモレクのところまで旅し、香料を増し加え、あなたの使者たちを遠くまで送り出し、よみにまでも下らせた。 + あなたは、長い旅に疲れても、「あきらめた」とは言わなかった。/あなたは元気を回復し、弱らなかった。 + あなたは、だれにおじけ、だれを恐れて、まやかしを言うのか。/あなたはわたしを思い出さず、心にも留めなかった。/わたしが久しく、黙っていたので、わたしを恐れないのではないか。 + わたしは、あなたの義と、あなたのした事どもを告げよう。/しかし、それはあなたの益にはならない。 + あなたが叫ぶとき、あなたが集めたものどもに、あなたを救わせよ。/風が、それらをみな運び去り、息がそれらを連れ去ってしまう。/しかし、わたしに身を寄せる者は、地を受け継ぎ、わたしの聖なる山を所有することができる。 + 主は仰せられる。「盛り上げよ。土を盛り上げて、道を整えよ。わたしの民の道から、つまずきを取り除け。」 + いと高くあがめられ、永遠の住まいに住み、その名を聖ととなえられる方が、こう仰せられる。/「わたしは、高く聖なる所に住み、心砕かれて、へりくだった人とともに住む。/へりくだった人の霊を生かし、砕かれた人の心を生かすためである。 + わたしはいつまでも争わず、いつも怒ってはいない。/わたしから出る霊と、わたしが造ったたましいが衰え果てるから。 + 彼のむさぼりの罪のために、わたしは、怒って彼を打ち、顔を隠して怒った。/しかし、彼はなおそむいて、自分の思う道を行った。 + わたしは彼の道を見たが、彼をいやそう。/わたしは彼を導き、彼と、その悲しむ者たちとに、慰めを報いよう。 + わたしはくちびるの実を創造した者。/平安あれ。遠くの者にも近くの者にも平安あれ。/わたしは彼をいやそう」と主は仰せられる。 + しかし悪者どもは、荒れ狂う海のようだ。/静まることができず、水が海草と泥を吐き出すからである。 + 「悪者どもには平安がない」と/私の神は仰せられる。 + + + せいいっぱい大声で叫べ。/角笛のように、声をあげよ。/わたしの民に彼らのそむきの罪を告げ、ヤコブの家にその罪を告げよ。 + しかし、彼らは日ごとにわたしを求め、わたしの道を知ることを望んでいる。/義を行い、神の定めを捨てたことのない国のように、彼らはわたしの正しいさばきをわたしに求め、神に近づくことを望んでいる。 + 「なぜ、私たちが断食したのに、あなたはご覧にならなかったのですか。/私たちが身を戒めたのに、どうしてそれを認めてくださらないのですか。」/見よ。あなたがたは/断食の日に自分の好むことをし、あなたがたの労働者をみな、圧迫する。 + 見よ。あなたがたが断食をするのは、争いとけんかをするためであり、不法にこぶしを打ちつけるためだ。/あなたがたは今、断食をしているが、あなたがたの声はいと高き所に届かない。 + わたしの好む断食、人が身を戒める日は、このようなものだろうか。/葦のように頭を垂れ、荒布と灰を敷き広げることだけだろうか。/これを、あなたがたは断食と呼び、主に喜ばれる日と呼ぶのか。 + わたしの好む断食は、これではないか。/悪のきずなを解き、くびきのなわめをほどき、しいたげられた者たちを自由の身とし、すべてのくびきを砕くことではないか。 + 飢えた者にはあなたのパンを分け与え、家のない貧しい人々を家に入れ、裸の人を見て、これに着せ、あなたの肉親の世話をすることではないか。 + そのとき、暁のようにあなたの光がさしいで、あなたの傷はすみやかにいやされる。/あなたの義はあなたの前に進み、主の栄光が、あなたのしんがりとなられる。 + そのとき、あなたが呼ぶと、主は答え、あなたが叫ぶと、「わたしはここにいる」と仰せられる。/もし、あなたの中から、くびきを除き、うしろ指をさすことや、つまらないおしゃべりを除き、 + 飢えた者に心を配り、悩む者の願いを満足させるなら、あなたの光は、やみの中に輝き上り、あなたの暗やみは、真昼のようになる。 + 主は絶えず、あなたを導いて、焼けつく土地でも、あなたの思いを満たし、あなたの骨を強くする。/あなたは、潤された園のようになり、水のかれない源のようになる。 + あなたのうちのある者は、昔の廃墟を建て直し、あなたは古代の礎を築き直し、「破れを繕う者、市街を住めるように回復する者」と呼ばれよう。 + もし、あなたが安息日に出歩くことをやめ、わたしの聖日に自分の好むことをせず、安息日を「喜びの日」と呼び、主の聖日を「はえある日」と呼び、これを尊んで旅をせず、自分の好むことを求めず、むだ口を慎むなら、 + そのとき、あなたは主をあなたの喜びとしよう。/「わたしはあなたに地の高い所を踏み行かせ、あなたの父ヤコブのゆずりの地で/あなたを養う」と/主の御口が語られたからである。 + + + 見よ。主の御手が短くて救えないのではない。/その耳が遠くて、聞こえないのではない。 + あなたがたの咎が、あなたがたと、あなたがたの神との仕切りとなり、あなたがたの罪が御顔を隠させ、聞いてくださらないようにしたのだ。 + 実に、あなたがたの手は血で汚れ、指は咎で汚れ、あなたがたのくちびるは偽りを語り、舌は不正をつぶやく。 + 正しい訴えをする者はなく、真実をもって弁護する者もなく、むなしいことにたより、うそを言い、害毒をはらみ、悪意を産む。 + 彼らはまむしの卵をかえし、くもの巣を織る。/その卵を食べる者は死に、卵をつぶすと、毒蛇がとび出す。 + そのくもの巣は着物にはならず、自分の作ったもので身をおおうこともできない。/彼らのわざは不義のわざ、彼らの手のなすことは、ただ暴虐。 + 彼らの足は悪に走り、罪のない者の血を流すのに速い。/彼らの思いは不義の思い。/破壊と破滅が彼らの大路にある。 + 彼らは平和の道を知らず、その道筋には公義がない。/彼らは自分の通り道を曲げ、そこを歩む者はだれも、平和を知らない。 + それゆえ、公義は私たちから遠ざかり、義は私たちに追いつかない。/私たちは光を待ち望んだが、見よ、やみ。/輝きを待ち望んだが、暗やみの中を歩む。 + 私たちは盲人のように壁を手さぐりし、目のない者のように手さぐりする。/真昼でも、たそがれ時のようにつまずき、やみの中にいる死人のようだ。 + 私たちはみな、熊のようにほえ、鳩のようにうめきにうめく。/公義を待ち望むが、それはなく、救いを待ち望むが、それは私たちから遠く離れている。 + それは、私たちがあなたの御前で/多くのそむきの罪を犯し、私たちの罪が、私たちに不利な証言をするからです。/私たちのそむきの罪は、私たちとともにあり、私たちは自分の咎を知っている。 + 私たちは、そむいて、主を否み、私たちの神に従うことをやめ、しいたげと反逆を語り、心に偽りのことばを抱いて、つぶやいている。 + こうして公正は退けられ、正義は遠く離れて立っている。/真理は広場でつまずき、正直は中に入ることもできない。 + そこでは真理は失われ、悪から離れる者も、そのとりこになる。/主はこれを見て、公義のないのに心を痛められた。 + 主は人のいないのを見、とりなす者のいないのに驚かれた。/そこで、ご自分の御腕で救いをもたらし、ご自分の義を、ご自分のささえとされた。 + 主は義をよろいのように着、救いのかぶとを頭にかぶり、復讐の衣を身にまとい、ねたみを外套として身をおおわれた。 + 主は彼らのしうちに応じて報い、その仇には憤りを報い、その敵には報復をし、島々にも報復をする。 + そうして、西のほうでは、主の御名が、日の上るほうでは、主の栄光が恐れられる。/主は激しい流れのように来られ、その中で主の息が吹きまくっている。 + 「しかし、シオンには贖い主として来る。/ヤコブの中の/そむきの罪を悔い改める者のところに来る。」/――主の御告げ―― + 「これは、彼らと結ぶわたしの契約である」と/主は仰せられる。/「あなたの上にあるわたしの霊、わたしがあなたの口に置いたわたしのことばは、あなたの口からも、あなたの子孫の口からも、すえのすえの口からも、今よりとこしえに離れない」と主は仰せられる。 + + + 起きよ。光を放て。/あなたの光が来て、主の栄光があなたの上に輝いているからだ。 + 見よ。やみが地をおおい、暗やみが諸国の民をおおっている。/しかし、あなたの上には主が輝き、その栄光があなたの上に現れる。 + 国々はあなたの光のうちに歩み、王たちはあなたの輝きに照らされて歩む。 + 目を上げて、あたりを見よ。/彼らはみな集まって、あなたのもとに来る。/あなたの息子たちは遠くから来、娘たちはわきに抱かれて来る。 + そのとき、あなたはこれを見て、晴れやかになり、心は震えて、喜ぶ。/海の富はあなたのところに移され、国々の財宝はあなたのものとなるからだ。 + らくだの大群、ミデヤンとエファの若いらくだが、あなたのところに押し寄せる。/これらシェバから来るものはみな、金と乳香を携えて来て、主の奇しいみわざを宣べ伝える。 + ケダルの羊の群れもみな、あなたのところに集まり、ネバヨテの雄羊は、あなたに仕え、これらは受け入れられるいけにえとして、わたしの祭壇にささげられる。/わたしは、わたしの美しい家を輝かす。 + 雲のように飛び、巣に帰る鳩のように飛んでくる者は、だれか。 + まことに、島々はわたしを待ち望み、タルシシュの船は真っ先に、あなたの子らを遠くから来させ、彼らの金銀もいっしょに、あなたの神、主の名のために、イスラエルの聖なる者のために運んでくる。/主があなたを輝かされたからである。 + 外国人もあなたの城壁を建て直し、その王たちもあなたに仕える。/実に、わたしは怒って、あなたを打ったが、恵みをもって、あなたをあわれんだ。 + あなたの門はいつも開かれ、昼も夜も閉じられない。/国々の財宝があなたのところに運ばれ、その王たちが導かれて来るためである。 + あなたに仕えない国民や王国は滅び、これらの国々は荒廃する。 + レバノンの栄光は、もみの木、すずかけ、檜も、共に、あなたのもとに来て、わたしの聖所を美しくする。/わたしは、わたしの足台を尊くする。 + あなたを苦しめた者たちの子らは、身をかがめてあなたのところに来、あなたを侮った者どもはみな、あなたの足もとにひれ伏し、あなたを、主の町、イスラエルの聖なる方のシオン、と呼ぶ。 + あなたは捨てられ、憎まれ、通り過ぎる人もなかったが、わたしはあなたを永遠の誇り、代々の喜びの町に変える。 + あなたは国々の乳を吸い、王たちの乳房を吸う。/あなたは、わたしが、あなたを救う主、あなたを贖うヤコブの全能者であることを知る。 + わたしは青銅の代わりに金を運び入れ、鉄の代わりに銀、木の代わりに青銅、石の代わりに鉄を運び入れ、平和をあなたの管理者とし、義をあなたの監督者とする。 + あなたの国の中の暴虐、あなたの領土のうちの破壊と破滅は、もう聞かれない。/あなたは、あなたの城壁を救いと呼び、あなたの門を賛美と呼ぼう。 + 太陽がもうあなたの昼の光とはならず、月の輝きもあなたを照らさず、主があなたの永遠の光となり、あなたの神があなたの光栄となる。 + あなたの太陽はもう沈まず、あなたの月はかげることがない。/主があなたの永遠の光となり、あなたの嘆き悲しむ日が終わるからである。 + あなたの民はみな正しくなり、とこしえにその地を所有しよう。/彼らはわたしの栄光を現す、わたしの植えた枝。/わたしの手で造ったもの。 + 最も小さい者も氏族となり、最も弱い者も強国となる。/時が来れば、わたし、主が、すみやかにそれをする。 + + + 神である主の霊が、わたしの上にある。/主はわたしに油をそそぎ、貧しい者に良い知らせを伝え、心の傷ついた者をいやすために、わたしを遣わされた。/捕らわれ人には解放を、囚人には釈放を告げ、 + 主の恵みの年と、われわれの神の復讐の日を告げ、すべての悲しむ者を慰め、 + シオンの悲しむ者たちに、灰の代わりに頭の飾りを、悲しみの代わりに喜びの油を、憂いの心の代わりに賛美の外套を/着けさせるためである。/彼らは、義の樫の木、栄光を現す主の植木と呼ばれよう。 + 彼らは昔の廃墟を建て直し、先の荒れ跡を復興し、廃墟の町々、代々の荒れ跡を一新する。 + 他国人は、あなたがたの羊の群れを/飼うようになり、外国人が、あなたがたの農夫となり、ぶどう作りとなる。 + しかし、あなたがたは主の祭司ととなえられ、われわれの神に仕える者と呼ばれる。/あなたがたは国々の力を食い尽くし、その富を誇る。 + あなたがたは恥に代えて、二倍のものを受ける。/人々は侮辱に代えて、その分け前に喜び歌う。/それゆえ、その国で二倍のものを所有し、とこしえの喜びが彼らのものとなる。 + まことに、わたしは公義を愛する主だ。/わたしは不法な略奪を憎む。/わたしは誠実を尽くして彼らに報い、とこしえの契約を彼らと結ぶ。 + 彼らの子孫は国々のうちで、彼らのすえは国々の民のうちで知れ渡る。/彼らを見る者はみな、彼らが主に祝福された子孫であることを認める。 + わたしは主によって大いに楽しみ、わたしのたましいも、わたしの神によって喜ぶ。/主がわたしに、救いの衣を着せ、正義の外套をまとわせ、花婿のように栄冠をかぶらせ、花嫁のように宝玉で飾ってくださるからだ。 + 地が芽を出し、園が蒔かれた種を芽ばえさせるように、神である主が義と賛美とを、すべての国の前に芽ばえさせるからだ。 + + + シオンのために、わたしは黙っていない。/エルサレムのために、黙りこまない。/その義が朝日のように光を放ち、その救いが、たいまつのように燃えるまでは。 + そのとき、国々はあなたの義を見、すべての王があなたの栄光を見る。/あなたは、主の口が名づける新しい名で呼ばれよう。 + あなたは主の手にある輝かしい冠となり、あなたの神の手のひらにある/王のかぶり物となる。 + あなたはもう、「見捨てられている」と言われず、あなたの国はもう、「荒れ果てている」とは言われない。/かえって、あなたは/「わたしの喜びは、彼女にある」と呼ばれ、あなたの国は夫のある国と呼ばれよう。/主の喜びがあなたにあり、あなたの国が夫を得るからである。 + 若い男が若い女をめとるように、あなたの子らはあなたをめとり、花婿が花嫁を喜ぶように、あなたの神はあなたを喜ぶ。 + エルサレムよ。/わたしはあなたの城壁の上に見張り人を置いた。/昼の間も、夜の間も、彼らは決して黙っていてはならない。/主に覚えられている者たちよ。/黙りこんではならない。 + 主がエルサレムを堅く立て、この地でエルサレムを栄誉とされるまで、黙っていてはならない。 + 主は右の手と、力強い腕によって誓われた。/「わたしは再びあなたの穀物を、あなたの敵に食物として与えない。/あなたの労して作った新しいぶどう酒を、外国人に決して飲ませない。 + 取り入れをした者がそれを食べて、主をほめたたえ、ぶどうを取り集めた者が、わたしの聖所の庭で、それを飲む。」 + 通れ、通れ、城門を。/この民の道を整え、盛り上げ、土を盛り上げ、大路を造れ。/石を取り除いて国々の民の上に旗を揚げよ。 + 見よ。/主は、地の果てまで聞こえるように仰せられた。/「シオンの娘に言え。/『見よ。あなたの救いが来る。/見よ。その報いは主とともにあり、その報酬は主の前にある』と。 + 彼らは、聖なる民、主に贖われた者と呼ばれ、あなたは、尋ね求められる者、見捨てられない町と呼ばれる。」 + + + 「エドムから来る者、ボツラから深紅の衣を着て来るこの者は、だれか。/その着物には威光があり、大いなる力をもって進んで来るこの者は。」「正義を語り、救うに力強い者、それがわたしだ。」 + 「なぜ、あなたの着物は赤く、あなたの衣は酒ぶねを踏む者のようなのか。」 + 「わたしはひとりで酒ぶねを踏んだ。/国々の民のうちに、わたしと事を共にする者はいなかった。/わたしは怒って彼らを踏み、憤って彼らを踏みにじった。/それで、彼らの血のしたたりが、わたしの衣にふりかかり、わたしの着物を、すっかり汚してしまった。 + わたしの心のうちに復讐の日があり、わたしの贖いの年が来たからだ。 + わたしは見回したが、だれも助ける者はなく、いぶかったが、だれもささえる者はいなかった。/そこで、わたしの腕で救いをもたらし、わたしの憤りを、わたしのささえとした。 + わたしは、怒って国々の民を踏みつけ、憤って彼らを踏みつぶし、彼らの血のしたたりを地に流した。」 + 私は、主の恵みと、主の奇しいみわざをほめ歌おう。/主が私たちに報いてくださった/すべての事について、そのあわれみと、豊かな恵みによって/報いてくださったイスラエルの家への/豊かないつくしみについて。 + 主は仰せられた。/「まことに彼らはわたしの民、偽りのない子たちだ」と。/こうして、主は彼らの救い主になられた。 + 彼らが苦しむときには、いつも主も苦しみ、ご自身の使いが彼らを救った。/その愛とあわれみによって主は彼らを贖い、昔からずっと、彼らを背負い、抱いて来られた。 + しかし、彼らは逆らい、主の聖なる御霊を痛ませたので、主は彼らの敵となり、みずから彼らと戦われた。 + そのとき、主の民は、いにしえのモーセの日を思い出した。/「羊の群れの牧者たちとともに、彼らを海から上らせた方は、どこにおられるのか。/その中に主の聖なる御霊を置かれた方は、どこにおられるのか。 + その輝かしい御腕をモーセの右に進ませ、彼らの前で水を分け、永遠の名を成し、 + 荒野の中を行く馬のように、つまずくことなく彼らに深みの底を/歩ませた方は、どこにおられるのか。 + 家畜が谷に下るように、主の御霊が彼らをいこわせた。」/このようにして、あなたは、あなたの民を導き、あなたの輝かしい御名をあげられたのです。 + どうか、天から見おろし、聖なる輝かしい御住まいからご覧ください。/あなたの熱心と、力あるみわざは、どこにあるのでしょう。/私へのあなたのたぎる思いとあわれみを、あなたは押さえておられるのですか。 + まことに、あなたは私たちの父です。/たとい、アブラハムが私たちを知らず、イスラエルが私たちを認めなくても、主よ、あなたは、私たちの父です。/あなたの御名は、とこしえから/私たちの贖い主です。 + 主よ。なぜあなたは、私たちをあなたの道から迷い出させ、私たちの心をかたくなにして、あなたを恐れないようにされるのですか。/あなたのしもべたち、あなたのゆずりの地の部族のために、どうかお帰りください。 + あなたの聖なる民がこの地を所有して間もなく、私たちの敵は、あなたの聖所を踏みつけました。 + 私たちは、とこしえからあなたに支配されたことも、あなたの御名で呼ばれたこともない者のように/なりました。 + + + ああ、あなたが天を裂いて降りて来られると、山々は御前で揺れ動くでしょう。 + 火が柴に燃えつき、火が水を沸き立たせるように、あなたの御名はあなたの敵に知られ、国々は御前で震えるでしょう。 + 私たちが予想もしなかった恐ろしい事を/あなたが行われるとき、あなたが降りて来られると、山々は御前で揺れ動くでしょう。 + 神を待ち望む者のために、このようにしてくださる神は、あなた以外にとこしえから聞いたこともなく、耳にしたこともなく、目で見たこともありません。 + あなたは迎えてくださいます。/喜んで正義を行う者、あなたの道を歩み、あなたを忘れない者を。/ああ、あなたは怒られました。/私たちは昔から罪を犯し続けています。/それでも私たちは救われるでしょうか。 + 私たちはみな、汚れた者のようになり、私たちの義はみな、不潔な着物のようです。/私たちはみな、木の葉のように枯れ、私たちの咎は風のように私たちを吹き上げます。 + しかし、あなたの御名を呼ぶ者もなく、奮い立って、あなたにすがる者もいません。/あなたは私たちから御顔を隠し、私たちの咎のゆえに、私たちを弱められました。 + しかし、主よ。/今、あなたは私たちの父です。/私たちは粘土で、あなたは私たちの陶器師です。/私たちはみな、あなたの手で造られたものです。 + 主よ。どうかひどく怒らないでください。/いつまでも、咎を覚えないでください。/どうか今、私たちがみな、あなたの民であることに/目を留めてください。 + あなたの聖なる町々は荒野となっています。/シオンは荒野となり、エルサレムは荒れ果てています。 + 私たちの先祖があなたをほめたたえた/私たちの聖なる美しい宮は、火で焼かれ、私たちの宝とした物すべてが荒廃しました。 + 主よ。これでも、あなたはじっとこらえ、黙って、私たちをこんなにも悩まされるのですか。 + + + わたしに問わなかった者たちに、わたしは尋ねられ、わたしを捜さなかった者たちに、見つけられた。/わたしは、わたしの名を呼び求めなかった国民に向かって、「わたしはここだ、わたしはここだ」と言った。 + わたしは、反逆の民、自分の思いに従って良くない道を歩む者たちに、一日中、わたしの手を差し伸べた。 + この民は、いつもわたしに逆らって/わたしの怒りを引き起こし、園の中でいけにえをささげ、れんがの上で香をたき、 + 墓地にすわり、見張り小屋に宿り、豚の肉を食べ、汚れた肉の吸い物を器に入れ、 + 「そこに立っておれ。私に近寄るな。/私はあなたより/聖なるものになっている」と言う。/「これらは、わたしの怒りの煙、一日中燃え続ける火である。 + 見よ。これは、わたしの前に書かれている。/わたしは黙っていない。必ず報復する。/わたしは彼らのふところに報復する。―― + 山の上で香をたき、丘の上でわたしをそしったあなたがたの咎と、あなたがたの先祖の咎とをともどもに。/わたしは、彼らの先のしわざを量って、彼らのふところに、報復する」と主は仰せられる。 + 主はこう仰せられる。/「ぶどうのふさの中に甘い汁があるのを見れば、『それをそこなうな。その中に祝福があるから』/と言うように、わたしも、わたしのしもべたちのために、その全部は滅ぼさない。 + わたしは、ヤコブから子孫を、ユダからわたしの山々を所有する者を/生まれさせよう。/わたしの選んだ者がこれを所有し、わたしのしもべたちがそこに住む。 + わたしを求めたわたしの民にとって、シャロンは羊の群れの牧場、アコルの谷は牛の群れの伏す所となる。 + しかし、あなたがた、主を捨てる者、わたしの聖なる山を忘れる者、ガドのために食卓を整える者、メニのために、混ぜ合わせた酒を盛る者たちよ。 + わたしはあなたがたを剣に渡す。/それであなたがたはみな、虐殺されて倒れる。/わたしが呼んでも答えず、わたしが語りかけても聞かず、わたしの目の前に悪を行い、わたしの喜ばない事を選んだからだ。」 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。/「見よ。わたしのしもべたちは食べる。/しかし、あなたがたは飢える。/見よ。わたしのしもべたちは飲む。/しかし、あなたがたは渇く。/見よ。わたしのしもべたちは喜ぶ。/しかし、あなたがたは恥を見る。 + 見よ。わたしのしもべたちは/心の楽しみによって喜び歌う。/しかし、あなたがたは心の痛みによって叫び、たましいの傷によって泣きわめく。 + あなたがたは自分の名を、わたしの選んだ者たちののろいとして残す。/それで神である主は、あなたがたを殺される。/ご自分のしもべたちを、ほかの名で呼ばれるようにされる。 + この世にあって祝福される者は、まことの神によって祝福され、この世にあって誓う者は、まことの神によって誓う。/先の苦難は忘れられ、わたしの目から隠されるからだ。 + 見よ。まことにわたしは新しい天と新しい地を/創造する。/先の事は思い出されず、心に上ることもない。 + だから、わたしの創造するものを、いついつまでも楽しみ喜べ。/見よ。わたしはエルサレムを創造して喜びとし、その民を楽しみとする。 + わたしはエルサレムを喜び、わたしの民を楽しむ。/そこにはもう、泣き声も叫び声も聞かれない。 + そこにはもう、数日しか生きない乳飲み子も、寿命の満ちない老人もない。/百歳で死ぬ者は若かったとされ、百歳にならないで死ぬ者は、のろわれた者とされる。 + 彼らは家を建てて住み、ぶどう畑を作って、その実を食べる。 + 彼らが建てて他人が住むことはなく、彼らが植えて他人が食べることはない。/わたしの民の寿命は、木の寿命に等しく、わたしの選んだ者は、自分の手で作った物を/存分に用いることができるからだ。 + 彼らはむだに労することもなく、子を産んで、突然その子が死ぬこともない。/彼らは主に祝福された者のすえであり、その子孫たちは彼らとともにいるからだ。 + 彼らが呼ばないうちに、わたしは答え、彼らがまだ語っているうちに、わたしは聞く。 + 狼と子羊は共に草をはみ、獅子は牛のように、わらを食い、蛇は、ちりをその食べ物とし、わたしの聖なる山のどこにおいても、これらは害を加えず、そこなわない」/と主は仰せられる。 + + + 主はこう仰せられる。/「天はわたしの王座、地はわたしの足台。/わたしのために、あなたがたの建てる家は、いったいどこにあるのか。/わたしのいこいの場は、いったいどこにあるのか。 + これらすべては、わたしの手が造ったもの、これらすべてはわたしのものだ。/――主の御告げ――/わたしが目を留める者は、へりくだって心砕かれ、わたしのことばにおののく者だ。 + 牛をほふる者は、人を打ち殺す者。/羊をいけにえにする者は、犬をくびり殺す者。/穀物のささげ物をささげる者は、豚の血をささげる者。/乳香をささげる者は、偶像をほめたたえる者。/実に彼らは自分かってな道を選び、その心は忌むべき物を喜ぶ。 + わたしも、彼らを虐待することを選び、彼らに恐怖をもたらす。/わたしが呼んでもだれも答えず、わたしが語りかけても聞かず、わたしの目の前に悪を行い、わたしの喜ばない事を彼らが選んだからだ。」 + 主のことばにおののく者たちよ。/主のことばを聞け。「あなたがたを憎み、わたしの名のためにあなたがたを押しのける、あなたがたの同胞は言った。『主に栄光を現させよ。そうすれば、あなたがたの楽しみを見てやろう。』しかし、彼らは恥を見る。」 + 聞け。町からの騒ぎ、宮からの声、敵に報復しておられる主の御声を。 + 彼女は産みの苦しみをする前に産み、陣痛の起こる前に男の子を産み落とした。 + だれが、このような事を聞き、だれが、これらの事を見たか。/地は一日の陣痛で産み出されようか。/国は一瞬にして生まれようか。/ところがシオンは、陣痛を起こすと同時に子らを産んだのだ。 + 「わたしが産み出させるようにしながら、産ませないだろうか」と主は仰せられる。/「わたしは産ませる者なのに、胎を閉ざすだろうか」と/あなたの神は仰せられる。 + エルサレムとともに喜べ。/すべてこれを愛する者よ。これとともに楽しめ。/すべてこれのために悲しむ者よ。/これとともに喜び喜べ。 + あなたは、彼女の慰めの乳房から乳を飲んで飽き足り、その豊かな乳房から吸って喜んだからだ。 + 主はこう仰せられる。/「見よ。わたしは川のように繁栄を彼女に与え、あふれる流れのように国々の富を与える。/あなたがたは乳を飲み、わきに抱かれ、ひざの上でかわいがられる。 + 母に慰められる者のように、わたしはあなたがたを慰め、エルサレムであなたがたは慰められる。 + あなたがたはこれを見て、心喜び、あなたがたの骨は若草のように生き返る。/主の御手は、そのしもべたちに知られ、その憤りは敵たちに向けられる。」 + 見よ。まことに、主は火の中を進んで来られる。/その戦車はつむじ風のようだ。/その怒りを激しく燃やし、火の炎をもって責めたてる。 + 実に、主は火をもってさばき、その剣ですべての肉なる者をさばく。/主に刺し殺される者は多い。 + おのが身を聖別し、身をきよめて、園に行き、その中にある一つのものに従って、豚の肉や、忌むべき物や、ねずみを食らう者たちはみな、絶ち滅ぼされる。/――主の御告げ―― + 「わたしは、彼らのわざと、思い計りとを知っている。わたしは、すべての国々と種族とを集めに来る。彼らは来て、わたしの栄光を見る。 + わたしは彼らの中にしるしを置き、彼らのうちののがれた者たちを諸国に遣わす。すなわち、タルシシュ、プル、弓を引く者ルデ、トバル、ヤワン、遠い島々に。これらはわたしのうわさを聞いたこともなく、わたしの栄光を見たこともない。彼らはわたしの栄光を諸国の民に告げ知らせよう。 + 彼らは、すべての国々から、あなたがたの同胞をみな、主への贈り物として、馬、車、かご、騾馬、らくだに乗せて、わたしの聖なる山、エルサレムに連れて来る」と主は仰せられる。「それはちょうど、イスラエル人がささげ物をきよい器に入れて主の宮に携えて来るのと同じである。 + わたしは彼らの中からある者を選んで祭司とし、レビ人とする」と主は仰せられる。 + 「わたしの造る新しい天と新しい地が、わたしの前にいつまでも続くように、――主の御告げ――/あなたがたの子孫と、あなたがたの名も/いつまでも続く。 + 毎月の新月の祭りに、毎週の安息日に、すべての人が、わたしの前に礼拝に来る」と/主は仰せられる。 + 「彼らは出て行って、わたしにそむいた者たちのしかばねを見る。/そのうじは死なず、その火も消えず、それはすべての人に、忌みきらわれる。」 + +
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+ + ベニヤミンの地アナトテにいた祭司のひとり、ヒルキヤの子エレミヤのことば。 + アモンの子、ユダの王ヨシヤの時代、その治世の第十三年に、エレミヤに主のことばがあった。 + それはさらに、ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの時代にもあり、ヨシヤの子、ユダの王ゼデキヤの第十一年の終わりまで、すなわち、その年の第五の月、エルサレムの民の捕囚の時まであった。 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「わたしは、あなたを胎内に形造る前から、あなたを知り、あなたが腹から出る前から、あなたを聖別し、あなたを国々への預言者と定めていた。」 + そこで、私は言った。「ああ、神、主よ。ご覧のとおり、私はまだ若くて、どう語っていいかわかりません。」 + すると、主は私に仰せられた。/「まだ若い、と言うな。/わたしがあなたを遣わすどんな所へでも行き、わたしがあなたに命じるすべての事を語れ。 + 彼らの顔を恐れるな。/わたしはあなたとともにいて、あなたを救い出すからだ。/――主の御告げ――」 + そのとき、主は御手を伸ばして、私の口に触れ、主は私に仰せられた。/「今、わたしのことばをあなたの口に授けた。 + 見よ。わたしは、きょう、あなたを諸国の民と王国の上に任命し、あるいは引き抜き、あるいは引き倒し、あるいは滅ぼし、あるいはこわし、あるいは建て、また植えさせる。」 + 次のような主のことばが私にあった。「エレミヤ。あなたは何を見ているのか。」そこで私は言った。「アーモンドの枝を見ています。」 + すると主は私に仰せられた。「よく見たものだ。わたしのことばを実現しようと、わたしは見張っているからだ。」 + 再び、私に次のような主のことばがあった。「何を見ているのか。」そこで私は言った。「煮え立っているかまを見ています。それは北のほうからこちらに傾いています。」 + すると主は私に仰せられた。/「わざわいが、北からこの地の全住民の上に、降りかかる。 + 今、わたしは北のすべての王国の民に/呼びかけているからだ。/――主の御告げ――/彼らは来て、エルサレムの門の入口と、周囲のすべての城壁と、ユダのすべての町に向かって、それぞれの王座を設ける。 + しかし、わたしは、彼らのすべての悪にさばきを下す。/彼らはわたしを捨てて、ほかの神々にいけにえをささげ、自分の手で造った物を拝んだからだ。 + さあ、あなたは腰に帯を締め、立ち上がって、わたしがあなたに命じることをみな語れ。/彼らの顔におびえるな。/さもないと、わたしはあなたを彼らの面前で打ち砕く。 + 見よ。わたしはきょう、あなたを、全国に、ユダの王たち、首長たち、祭司たち、この国の人々に対して、城壁のある町、鉄の柱、青銅の城壁とした。 + だから、彼らがあなたと戦っても、あなたには勝てない。/わたしがあなたとともにいて、――主の御告げ――/あなたを救い出すからだ。」 + + + ついで、私に次のような主のことばがあった。 + 「さあ、行って、主はこう仰せられると言って、エルサレムの人々の耳に呼ばわれ。/わたしは、あなたの若かったころの誠実、婚約時代の愛、荒野の種も蒔かれていない地での/わたしへの従順を覚えている。 + イスラエルは主の聖なるもの、その収穫の初穂であった。/これを食らう者はだれでも罪に定められ、わざわいをこうむったものだ。/――主の御告げ――」 + ヤコブの家と、イスラエルの家のすべてのやからよ。/主のことばを聞け。 + 主はこう仰せられる。/「あなたがたの先祖は、わたしにどんな不正を見つけて、わたしから遠く離れ、むなしいものに従って行って、むなしいものとなったのか。 + 彼らは尋ねもしなかった。/『主はどこにおられるのか。/私たちをエジプトの国から上らせた方、私たちに、荒野の荒れた穴だらけの地、砂漠の死の陰の地、人も通らず、だれも住まない地を/行かせた方は』と。 + しかし、わたしはあなたがたを、実り豊かな地に連れて入り、その良い実を食べさせた。/ところが、あなたがたは、入って来て、わたしの国を汚し、わたしのゆずりの地を/忌みきらうべきものにした。 + 祭司たちは、『主はどこにおられるのか』と言わず、律法を取り扱う者たちも、わたしを知らず、牧者たちもわたしにそむき、預言者たちはバアルによって預言して、無益なものに従って行った。 + そのため、わたしはなお、あなたがたと争う。/――主の御告げ――/また、あなたがたの子孫と争う。 + キティムの島々に渡ってよく見よ。/ケダルに人を遣わして調べてみよ。/このようなことがあったかどうか、よく見よ。 + かつて、神々を神々でないものに、取り替えた国民があっただろうか。/ところが、わたしの民は、その栄光を/無益なものに取り替えた。 + 天よ。このことに色を失え。/おぞ気立て。干上がれ。/――主の御告げ―― + わたしの民は二つの悪を行った。/湧き水の泉であるわたしを捨てて、多くの水ためを、水をためることのできない、こわれた水ためを、自分たちのために掘ったのだ。 + イスラエルは奴隷なのか。/それとも家に生まれたしもべなのか。/なぜ、獲物にされたのか。 + 若獅子は、これに向かってほえたけり、叫び声をあげて、その地を荒れ果てさせ、その町々は焼かれて住む者もいなくなる。 + ノフとタフパヌヘスの子らも、あなたの頭の頂をそり上げる。 + あなたの神、主が、あなたを道に進ませたとき、あなたは主を捨てたので、このことがあなたに起こるのではないか。 + 今、ナイル川の水を飲みに/エジプトの道に向かうとは、いったいどうしたことか。/ユーフラテス川の水を飲みに/アッシリヤの道に向かうとは、いったいどうしたことか。 + あなたの悪が、あなたを懲らし、あなたの背信が、あなたを責める。/だから、知り、見きわめよ。/あなたが、あなたの神、主を捨てて、わたしを恐れないのは、どんなに悪く、苦々しいことかを。/――万軍の神、主の御告げ―― + 実に、あなたは昔から自分のくびきを砕き、自分のなわめを断ち切って、『私は逃げ出さない』と言いながら、すべての高い丘の上や、すべての青々とした木の下で、寝そべって淫行を行っている。 + わたしは、あなたをことごとく/純良種の良いぶどうとして植えたのに、どうしてあなたは、わたしにとって、質の悪い雑種のぶどうに変わったのか。 + たとい、あなたがソーダで身を洗い、たくさんの灰汁を使っても、あなたの咎は、わたしの前では汚れている。/――神である主の御告げ―― + どうしてあなたは、『私は汚れていない。/バアルたちには従わなかった』と言えようか。/谷の中でのあなたの道を省み、何をしたかを知れ。/あなたは、道をあちこち走り回る/すばやい雌のらくだ、 + また、荒野に慣れた野ろばだ。/欲情に息はあえぐ。/そのさかりのとき、だれがこれを静めえようか。/これを捜す者は苦労しない。/その発情期に、これを見つけることができる。 + はだしにならないよう、のどが渇かないようにせよ。/しかし、あなたは言う。/『あきらめられません。/私は他国の男たちが好きです。/それについて行きたいのです』と。 + 盗人が、見つけられたときに、はずかしめられるように、イスラエルの家もはずかしめられる。/彼らの王たち、首長たち、祭司たち、預言者たちがそうである。 + 彼らは木に向かっては、『あなたは私の父』、石に向かっては、『あなたは私を生んだ』と/言っている。/実に、彼らはわたしに背を向けて、顔を向けなかった。/それなのに、わざわいのときには、『立って、私たちを救ってください』と言う。 + では、あなたが造った神々はどこにいるのか。/あなたのわざわいのときには、彼らが立って救えばよい。/ユダよ。あなたの神々は、あなたの町の数ほどもいるからだ。 + なぜ、あなたがたは、わたしと争うのか。/あなたがたはみな、わたしにそむいている。/――主の御告げ―― + わたしはあなたがたの子らを打ったが、むだだった。/その懲らしめは役に立たなかった。/あなたがたの剣は、食い滅ぼす獅子のように、あなたがたの預言者たちを食い尽くした。 + あなたがた、この時代の人々よ。/主のことばに心せよ。/わたしはイスラエルにとって、荒野であったのか。/あるいは暗黒の地であったのか。/どうしてわたしの民は、『私たちはさまよい出て、もうあなたのところには帰りません』と/言うのか。 + おとめが自分の飾り物を忘れ、花嫁が自分の飾り帯を忘れるだろうか。/それなのに、わたしの民が/わたしを忘れた日数は数えきれない。 + あなたが愛を求める方法は、なんと巧みなことか。/それであなたは、悪い女にも、自分の方法を巧みに教えたのだ。 + あなたのすそには、罪のない貧しい人たちの、いのちの血が見える。/彼らの押し入るのを、あなたが見つけたわけでもないのに。/しかも、これらのことがあるにもかかわらず、 + あなたは『私には罪がない。/確かに、御怒りは私から去った』と言っている。/『私は罪を犯さなかった』と言うから、今、わたしはあなたをさばく。 + なんと、簡単に自分の道を変えることか。/あなたは/アッシリヤによってはずかしめられたと同様に、エジプトによってもはずかしめられる。 + そこからもあなたは、両手を頭にのせて出て来よう。/主があなたの拠り頼む者を退けるので、あなたは彼らによって栄えることは決してない。 + + + もし、人が自分の妻を去らせ、彼女が彼のもとを去って、ほかの男のものになれば、この人は再び先の妻のもとに戻れるだろうか。/この国も大いに汚れていないだろうか。/あなたは、多くの愛人と淫行を行って、しかも、わたしのところに帰ると言っている。/――主の御告げ―― + 目を上げて裸の丘を見よ。/どこに、あなたが共寝をしなかった所があろう。/荒野のアラビヤ人がするように、道ばたで相手を待ってすわり込み、あなたの淫行と悪行によって、この地を汚した。 + それで夕立はとどめられ、後の雨はなかった。/それでも、あなたは遊女の額をしていて、恥じようともしない。 + 今でも、わたしに、こう呼びかけているではないか。/『父よ。/あなたは私の若いころの連れ合いです。 + いつまでも怒られるのですか。/永久に怒り続けるのですか』と。/なんと、あなたはこう言っていても、できるだけ多くの悪を行っている。」 + ヨシヤ王の時代に、主は私に仰せられた。「あなたは、背信の女イスラエルが行ったことを見たか。彼女はすべての高い山の上、すべての茂った木の下に行って、そこで淫行を行った。 + わたしは、彼女がすべてこれらのことをしたあとで、わたしに帰って来るだろうと思ったのに、帰らなかった。また裏切る女、妹のユダもこれを見た。 + 背信の女イスラエルは、姦通したというその理由で、わたしが離婚状を渡してこれを追い出したのに、裏切る女、妹のユダは恐れもせず、自分も行って、淫行を行ったのをわたしは見た。 + 彼女は、自分の淫行を軽く見て、国を汚し、石や木と姦通した。 + このようなことをしながら、裏切る女、妹のユダは、心を尽くしてわたしに帰らず、ただ偽っていたにすぎなかった。――主の御告げ――」 + 主はまた、私に仰せられた。「背信の女イスラエルは、裏切る女ユダよりも正しかった。 + 行って、次のことばを北のほうに呼ばわって言え。/背信の女イスラエル。帰れ。/――主の御告げ――/わたしはあなたがたをしからない。/わたしは恵み深いから。/――主の御告げ――/わたしは、いつまでも怒ってはいない。 + ただ、あなたは自分の咎を知れ。/あなたは自分の神、主にそむいて、すべての茂った木の下で、他国の男とかってなまねをし、わたしの声を聞き入れなかった。/――主の御告げ―― + 背信の子らよ。帰れ。――主の御告げ――わたしが、あなたがたの夫になるからだ。わたしはあなたがたを、町からひとり、氏族からふたり選び取り、シオンに連れて行こう。 + また、あなたがたに、わたしの心にかなった牧者たちを与える。彼らは知識と分別をもってあなたがたを育てよう。 + その日、あなたがたが国中にふえて多くなるとき、――主の御告げ――彼らはもう、主の契約の箱について何も言わず、心にも留めず、思い出しもせず、調べもせず、再び作ろうともしない。 + そのとき、エルサレムは『主の御座』と呼ばれ、万国の民はこの御座、主の名のあるエルサレムに集められ、二度と彼らは悪いかたくなな心のままに歩むことはない。 + その日、ユダの家はイスラエルの家といっしょになり、彼らはともどもに、北の国から、わたしが彼らの先祖に継がせた国に帰って来る。」 + 「わたしはどのようにして、あなたを息子たちの中に入れ、あなたに、慕わしい地、諸国のうちで最も麗しいゆずりの地を授けようかと思っていた。また、わたしは、あなたがわたしを父と呼び、わたしに従って、もう離れまい、と思っていた。 + ところが、なんと、妻が夫を裏切るように、あなたがたはわたしを裏切った。イスラエルの家よ。――主の御告げ―― + 一つの声が裸の丘の上で聞こえる。/イスラエルの子らの哀願の泣き声だ。/彼らは自分たちの道を曲げ、自分たちの神、主を忘れたからだ。 + 背信の子らよ。帰れ。/わたしがあなたがたの背信をいやそう。」/「今、私たちはあなたのもとにまいります。/あなたこそ、私たちの神、主だからです。 + 確かに、もろもろの丘も、山の騒ぎも、偽りでした。/確かに、私たちの神、主に、イスラエルの救いがあります。 + しかし、私たちの若いころから、バアルが、私たちの先祖の勤労の実、彼らの羊の群れ、牛の群れ、息子、娘たちを食い尽くしました。 + 私たちは恥の中に伏し、侮辱が私たちのおおいとなっています。/私たちの神、主に対し、私たちも先祖たちも、私たちの若いころから今日まで罪を犯して、私たちの神、主の御声に/聞き従わなかったからです。」 + + + 「イスラエルよ。もし帰るのなら、――主の御告げ――/わたしのところに帰って来い。/もし、あなたが忌むべき物を/わたしの前から除くなら、あなたは迷うことはない。 + あなたが真実と公義と正義とによって/『主は生きておられる』と誓うなら、国々は主によって互いに祝福し合い、主によって誇り合う。」 + まことに主は、ユダの人とエルサレムとに、こう仰せられる。/「耕地を開拓せよ。いばらの中に種を蒔くな。 + ユダの人とエルサレムの住民よ。/主のために割礼を受け、心の包皮を取り除け。/さもないと、あなたがたの悪い行いのため、わたしの憤りが火のように出て燃え上がり、消す者もいないだろう。」 + 「ユダに告げ、エルサレムに聞かせて言え。/国中に角笛を吹け。大声で叫んで言え。/『集まれ。城壁のある町に行こう。』 + シオンのほうに旗を掲げよ。/のがれよ。立ち止まるな。/わたしがわざわいを北からもたらし、大いなる破滅をもたらすから。 + 獅子はその茂みから上って来、国々を滅ぼす者は彼らの国から進み出た。/あなたの国を荒れ果てさせるために。/あなたの町々は滅び、住む者もいなくなろう。」 + そのために荒布をまとい、悲しみ嘆け。/主の燃える怒りが、私たちから去らないからだ。 + 「その日には、――主の御告げ――/王の心、つかさたちの心は、ついえ去り、祭司はおののき、預言者は驚く。」 + そこで、私は言った。「ああ、神、主よ。まことに、あなたはこの民とエルサレムを全く欺かれました――『あなたがたには平和が来る』と仰せられて。それなのに、剣が私ののどに触れています。」 + その時、この民とエルサレムにこう告げられる。/荒野にある裸の丘の熱風が、わたしの民の娘のほうに吹いて来る。――/吹き分けるためでもなく、清めるためでもない。 + これよりも、もっと激しい風が、わたしのために吹いて来る。/今、わたしは彼らにさばきを下そう。 + 見よ。それは雲のように上って来る。/その戦車はつむじ風のよう、その馬は鷲よりも速い。/ああ。私たちは荒らされる。 + エルサレムよ。救われるために、心を洗って悪を除け。/いつまで、あなたの中には邪念が宿っているのか。 + ああ、ダンから告げる声がある。/エフライムの山から/わざわいを告げ知らせている。 + 国々に知らせよ。/さあ、エルサレムに告げ知らせよ。/包囲する者たちが遠くの地から来て、ユダの町々に叫び声をあげる。 + 彼らは畑の番人のように、ユダを取り囲む。/それは、ユダがわたしに逆らったからだ。/――主の御告げ―― + あなたの行いと、あなたのわざが、あなたの身にこれを招いたのだ。/これがあなたへのわざわいで、実に苦い。/もう、あなたの心臓にまで達している。 + 私のはらわた、私のはらわた。/私は痛み苦しむ。私の心臓の壁よ。/私の心は高鳴り、私はもう、黙っていられない。/私のたましいよ。/おまえが角笛の音と、戦いの雄たけびを聞くからだ。 + 破滅に次ぐ破滅が知らされる。/全国が荒らされるからだ。/たちまち、私の天幕も荒らされ、私の幕屋も倒される。 + いつまで私は、旗を見、角笛の音を聞かなければならないのだ。 + 実に、わたしの民は愚か者で、わたしを知らない。/彼らは、ばかな子らで、彼らは悟りがない。/彼らは悪事を働くのに賢くて、善を行うことを知らない。 + 私が地を見ると、見よ、茫漠として何もなく、天を見ると、その光はなかった。 + 私が山々を見ると、見よ、揺れ動き、すべての丘は震えていた。 + 私が見ると、見よ、人はひとりもいなく、空の鳥もみな飛び去っていた。 + 私が見ると、見よ、果樹園は荒野となり、町々は主の御前で、その燃える怒りによって、取りこわされていた。 + まことに主はこう仰せられる。/「全地は荒れ果てる。/しかし、わたしはことごとくは滅ぼさない。 + このために、地は嘆き悲しみ、上の天も暗くなる。/わたしが語り、わたしが企てたからだ。/わたしは悔いず、取りやめもしない。」 + 騎兵と射手の叫びに、町中の人が逃げ去った。/彼らは草むらに入り、岩によじのぼった。/すべての町が捨てられ、そこに住む人もない。 + 踏みにじられた女よ。/あなたが緋の衣をまとい、金の飾りで身を飾りたてても、それが何の役に立とう。/目を塗って大きく見せても、美しく見せても、かいがない。/恋人たちは、あなたをうとみ、あなたのいのちを取ろうとしている。 + まことに、わたしは、産みの苦しみをする女のような声、初子を産む女のようなうめき、シオンの娘の声を聞いた。/彼女はあえぎ、手を伸べて言う。「ああ。私は殺す者たちのために疲れ果てた。」 + + + エルサレムのちまたを行き巡り、さあ、見て知るがよい。/その広場で捜して、だれか公義を行い、真実を求める者を見つけたら、わたしはエルサレムを赦そう。 + たとい彼らが、「主は生きておられる」と言っても、実は、彼らは偽って誓っているのだ。 + 主よ。あなたの目は、真実に向けられていないのでしょうか。/あなたが彼らを打たれたのに、彼らは痛みもしませんでした。/彼らを絶ち滅ぼそうとされたのに、彼らは懲らしめを受けようともしませんでした。/彼らは顔を岩よりも堅くし、悔い改めようともしませんでした。 + そこで、私は思いました。/「彼らは、実に卑しい愚か者だ。/主の道も、神のさばきも知りもしない。 + だから、身分の高い者たちのところへ行って、彼らと語ろう。/彼らなら、主の道も、神のさばきも知っているから。」/ところが、彼らもみな、くびきを砕き、なわめを断ち切っていました。 + それゆえ、森の獅子が彼らを殺し、荒れた地の狼が彼らを荒らす。/ひょうが彼らの町々をうかがう。/町から出る者をみな、引き裂こう。/彼らが多くの罪を犯し、その背信がはなはだしかったからだ。 + これでは、どうして、わたしがあなたを赦せよう。/あなたの子らはわたしを捨て、神でないものによって誓っていた。/わたしが彼らを満ち足らせたときも、彼らは姦通をし、遊女の家で身を傷つけた。 + 彼らは、肥え太ってさかりのついた馬のように、おのおの隣の妻を慕っていななく。 + これらに対して、わたしが罰しないだろうか。/――主の御告げ――/このような国に、わたしが復讐しないだろうか。 + ぶどう畑の石垣に上って滅ぼせ。/しかし、ことごとく滅ぼしてはならない。/そのつるを除け。/それらは主のものではないからだ。 + イスラエルの家とユダの家とは、大いにわたしを裏切ったからだ。/――主の御告げ―― + 彼らは主を否んでこう言った。/「主が何だ。/わざわいは私たちを襲わない。/剣もききんも、私たちは、見はしない。 + 預言者たちは風になり、みことばは彼らのうちにない。/彼らはこのようになる。」 + それゆえ、万軍の神、主は、こう仰せられる。/「あなたがたが、このようなことを言ったので、見よ、わたしは、あなたの口にあるわたしのことばを火とし、この民をたきぎとする。/火は彼らを焼き尽くす。 + イスラエルの家よ。/見よ。わたしはあなたがたを攻めに、遠くの地から一つの国民を連れて来る。/――主の御告げ――/それは古くからある国、昔からある国、そのことばをあなたは知らず、何を話しているのか聞き取れない国。 + その矢筒は開いた墓のようだ。/彼らはみなつわもの。 + 彼らはあなたの刈り入れたものと/あなたのパンを食らい、あなたの息子、娘を食らい、あなたの羊の群れと牛の群れを食らい、あなたのぶどうと、いちじくを食らい、あなたの拠り頼む城壁のある町々を、剣で打ち破る。 + しかし、その日にも、――主の御告げ――/わたしはあなたがたを、ことごとくは滅ぼさない。」 + 「あなたがたが、『何のために、私たちの神、主は、これらすべての事を私たちにしたのか』と尋ねるときは、あなたは彼らにこう言え。『あなたがたが、わたしを捨て、あなたがたの国内で、外国の神々に仕えたように、あなたがたの国ではない地で、他国人に仕えるようになる。』 + ヤコブの家にこう告げ、ユダに言い聞かせよ。 + さあ、これを聞け。/愚かで思慮のない民よ。/彼らは、目があっても見えず、耳があっても聞こえない。 + あなたがたは、わたしを恐れないのか。/――主の御告げ――/それとも、わたしの前でおののかないのか。/わたしは砂を、海の境とした。/越えられない永遠の境界として。/波が逆巻いても勝てず、鳴りとどろいても越えられない。 + ところが、この民には、かたくなで、逆らう心があり、彼らは、そむいて去って行った。 + 彼らは心の中でも、こう言わなかった。/『さあ、私たちの神、主を恐れよう。/主は大雨を、先の雨と後の雨を、季節にしたがって与え、刈り入れのために定められた数週を/私たちのために守ってくださる』と。 + あなたがたの咎が、これを追い払い、あなたがたの罪が、この良い物を拒んだのだ。 + それは、わたしの民のうちに、悪者たちがいるからだ。/彼らは、待ち伏せして鳥を取る者のように、わなをしかけて人々を捕らえる。 + 鳥でいっぱいの鳥かごのように、彼らの家は欺きでいっぱいだ。/だから、彼らは偉い者となって富む。 + 彼らは、肥えて、つややかになり、悪事に進み、さばきについては、みなしごのためにさばいて幸いを見させず、貧しい者たちの権利を弁護しない。 + これらに対して、わたしが罰しないだろうか。/――主の御告げ――/このような国に、わたしが復讐しないだろうか。 + 恐怖と、戦慄が、この国のうちにある。 + 預言者は偽りの預言をし、祭司は自分かってに治め、わたしの民はそれを愛している。/その末には、あなたがたは、どうするつもりだ。」 + + + ベニヤミンの子らよ。/エルサレムの中からのがれよ。/テコアで角笛を吹き、ベテ・ハケレムでのろしを上げよ。/わざわいと大いなる破滅が、北から見おろしているからだ。 + 私は、シオンの娘を、麗しい牧場になぞらえる。 + 羊飼いは自分の群れを連れて、そこに行き、その回りに天幕を張り、その群れはおのおの、自分の草を食べる。 + 「シオンに向かって聖戦をふれよ。/立て。われわれは真昼に上ろう。」「ああ、残念だ。日が傾いた。夕べの影も伸びる。」 + 「立て。われわれは夜の間に上って、その宮殿を滅ぼそう。」 + まことに万軍の主はこう仰せられる。/「木を切って、エルサレムに対して塁を築け。/これは罰せられる町。/その中には、しいたげだけがある。 + 井戸が水をわき出させるように、エルサレムは自分の悪をわき出させた。/暴虐と暴行が、その中で聞こえる。/わたしの前には、いつも病と打ち傷がある。 + エルサレムよ。戒めを受けよ。/さもないと、わたしの心はおまえから離れ、おまえを住む人もない荒れ果てた地とする。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「ぶどうの残りを摘むように、イスラエルの残りの者をすっかり摘み取れ。ぶどうを収穫する者のように、あなたの手をもう一度、その枝に伸ばせ。」 + 私はだれに語りかけ、だれをさとして、聞かせようか。/見よ。彼らの耳は閉じたままで、聞くこともできない。/見よ。主のことばは、彼らにとって、そしりとなる。/彼らはそれを喜ばない。 + 私の身には主の憤りが満ち、これに耐えるのに、私は疲れ果てた。/「それを、道ばたにいる子どもの上にも、若い男の集まりの上にも、ぶちまけよ。/夫も妻も、ともどもに、年寄りも齢の満ちた者も共に捕らえられ、 + 彼らの家は、畑や妻もろともに、他人のものとなる。/それは、わたしが/この国の住民に手を伸ばすからだ。/――主の御告げ―― + なぜなら、身分の低い者から高い者まで、みな利得をむさぼり、預言者から祭司に至るまで、みな偽りを行っているからだ。 + 彼らは、わたしの民の傷を手軽にいやし、平安がないのに、『平安だ、平安だ』と言っている。 + 彼らは忌みきらうべきことをして、恥を見ただろうか。/彼らは少しも恥じず、恥じることも知らない。/だから、彼らは、倒れる者の中に倒れ、わたしが彼らを罰する時に、よろめき倒れる」と/主は仰せられる。 + 主はこう仰せられる。/「四つ辻に立って見渡し、昔からの通り道、幸いの道はどこにあるかを尋ね、それを歩んで、あなたがたのいこいを見いだせ。/しかし、彼らは『そこを歩まない』と言った。 + また、わたしは、あなたがたの上に/見張り人を立て、『角笛の音に注意せよ』と言わせたのに、彼らは『注意しない』と言った。 + それゆえ、諸国の民よ。聞け。/会衆よ。知れ。/彼らに何が起こるかを。 + この国よ。聞け。/見よ。わたしはこの民にわざわいをもたらす。/これは彼らのたくらみの実。/彼らが、わたしのことばに注意せず、わたしの律法を退けたからだ。 + いったい、何のため、シェバから乳香や、遠い国からかおりの良い菖蒲が/わたしのところに来るのか。/あなたがたの全焼のいけにえは受け入れられず、あなたがたのいけにえはわたしを喜ばせない。」 + それゆえ、主はこう仰せられる。「見よ。わたしはこの民につまずきを与える。父も子も共にこれにつまずき、隣人も友人も滅びる。」 + 主はこう仰せられる。/「見よ。一つの民が北の地から来る。/大きな国が地の果てから奮い立つ。 + 彼らは弓と投げ槍を堅く握り、残忍で、あわれみがない。/その声は海のようにとどろく。/シオンの娘よ。彼らは馬にまたがり、ひとりのように陣備えをして、あなたを攻める。」 + 私たちは、そのうわさを聞いて、気力を失い、産婦のような苦しみと苦痛が私たちを捕らえた。 + 畑に出るな。道を歩くな。/敵の剣がそこにあり、恐れが回りにあるからだ。 + 私の民の娘よ。/荒布を身にまとい、灰の中をころび回れ。/ひとり子のために苦しみ嘆いて、喪に服せ。/たちまち、荒らす者が私たちに襲いかかるからだ。 + 「わたしはあなたを、わたしの民の中で、ためす者とし、試みる者とした。/彼らの行いを知り、これをためせ。」 + 彼らはみな、かたくなな反逆者、中傷して歩き回り、青銅や鉄のようだ。/彼らはみな、堕落した者たちだ。 + ふいごで激しく吹いて、鉛を火で溶かす。/鉛は溶けた。溶けたが、むだだった。/悪いものは除かれなかった。 + 彼らは廃物の銀と呼ばれている。/主が彼らを退けたからだ。 + + + 主からエレミヤにあったみことばは、こうである。 + 「主の家の門に立ち、そこでこのことばを叫んで言え。/主を礼拝するために、この門に入るすべてのユダの人々よ。主のことばを聞け。 + イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。あなたがたの行いと、わざとを改めよ。そうすれば、わたしは、あなたがたをこの所に住ませよう。 + あなたがたは、『これは主の宮、主の宮、主の宮だ』と言っている偽りのことばを信頼してはならない。 + もし、ほんとうに、あなたがたが行いとわざとを改め、あなたがたの間で公義を行い、 + 在留異国人、みなしご、やもめをしいたげず、罪のない者の血をこの所で流さず、ほかの神々に従って自分の身にわざわいを招くようなことをしなければ、 + わたしはこの所、わたしがあなたがたの先祖に与えたこの地に、とこしえからとこしえまで、あなたがたを住ませよう。 + なんと、あなたがたは、役にも立たない偽りのことばにたよっている。 + しかも、あなたがたは盗み、殺し、姦通し、偽って誓い、バアルのためにいけにえを焼き、あなたがたの知らなかったほかの神々に従っている。 + それなのに、あなたがたは、わたしの名がつけられているこの家のわたしの前にやって来て立ち、『私たちは救われている』と言う。それは、このようなすべての忌みきらうべきことをするためか。 + わたしの名がつけられているこの家は、あなたがたの目には強盗の巣と見えたのか。そうだ。わたしにも、そう見えていた。――主の御告げ―― + それなら、さあ、シロにあったわたしの住まい、先にわたしの名を住ませた所へ行って、わたしの民イスラエルの悪のために、そこでわたしがしたことを見よ。 + 今、あなたがたは、これらの事をみな行っている。――主の御告げ――わたしがあなたがたに絶えず、しきりに語りかけたのに、あなたがたは聞こうともせず、わたしが呼んだのに、答えもしなかった。 + それで、あなたがたの頼みとするこの家、わたしの名がつけられているこの家、また、わたしが、あなたがたと、あなたがたの先祖に与えたこの場所に、わたしはシロにしたのと同様なことを行おう。 + わたしは、かつて、あなたがたのすべての兄弟、エフライムのすべての子孫を追い払ったように、あなたがたを、わたしの前から追い払おう。 + あなたは、この民のために祈ってはならない。彼らのために叫んだり、祈りをささげたりしてはならない。わたしにとりなしをしてはならない。わたしはあなたの願いを聞かないからだ。 + 彼らがユダの町々や、エルサレムのちまたで何をしているのか、あなたは見ていないのか。 + 子どもたちはたきぎを集め、父たちは火をたき、女たちは麦粉をこねて『天の女王』のための供えのパン菓子を作り、わたしの怒りを引き起こすために、ほかの神々に注ぎのぶどう酒を注いでいる。 + 彼らはわたしの怒りを引き起こすのか。――主の御告げ――自分たちを怒らせ、自分たちの赤恥をさらすためではないか。」 + それで、神である主はこう仰せられる。「見よ。わたしの怒りと憤りは、この場所と、人間と、家畜と、畑の木と、地の産物とに注がれ、それは燃えて、消えることがない。」 + イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。「全焼のいけにえを、あなたがたのほかのいけにえに加えて、その肉を食べよ。 + わたしは、あなたがたの先祖をエジプトの国から連れ出したとき、全焼のいけにえや、ほかのいけにえについては何も語らず、命じもしなかった。 + ただ、次のことを彼らに命じて言った。『わたしの声に聞き従え。そうすれば、わたしは、あなたがたの神となり、あなたがたは、わたしの民となる。あなたがたをしあわせにするために、わたしが命じるすべての道を歩め。』 + しかし、彼らは聞かず、耳を傾けず、悪いかたくなな心のはかりごとのままに歩み、前進するどころか後退した。 + あなたがたの先祖がエジプトの国を出た日から今日まで、わたしはあなたがたに、わたしのしもべであるすべての預言者たちを、毎日朝早くから、たびたび送ったが、 + 彼らはわたしに聞かず、耳を傾けず、うなじのこわい者となって、先祖たちよりも悪くなった。 + あなたが彼らにこれらのことをすべて語っても、彼らはあなたに聞かず、彼らを呼んでも、彼らはあなたに答えまい。 + そこであなたは彼らに言え。この民は、自分の神、主の声を聞かず、懲らしめを受けなかった民だ。真実は消えうせ、彼らの口から断たれた。 + 『あなたの長い髪を切り捨て、裸の丘の上で哀歌を唱えよ。/主は、この世代の者を、激しく怒って、退け、捨てたからだ。』 + それは、ユダの子らが、わたしの目の前に悪を行ったからだ。――主の御告げ――彼らは、わたしの名がつけられているこの家に自分たちの忌むべき物を置いて、これを汚した。 + また自分の息子、娘を火で焼くために、ベン・ヒノムの谷にあるトフェテに高き所を築いたが、これは、わたしが命じたこともなく、思いつきもしなかったことだ。 + それゆえ、見よ、その日が来る。――主の御告げ――その日には、もはや、そこはトフェテとかベン・ヒノムの谷と呼ばれない。ただ虐殺の谷と呼ばれる。人々はトフェテに、余地がないほどに葬る。 + この民のしかばねは、空の鳥、地の獣のえじきとなるが、これを追い払う者もない。 + わたしは、ユダの町々とエルサレムのちまたから、楽しみの声と喜びの声、花婿の声と花嫁の声を絶やす。この国は廃墟となるからである。 + + + その時、――主の御告げ――人々は、ユダの王たちの骨、首長たちの骨、祭司たちの骨、預言者たちの骨、エルサレムの住民の骨を、彼らの墓からあばき、 + それらを、彼らが愛し、仕え、従い、伺いを立て、拝んだ日や月や天の万象の前にさらす。それらは集められることなく、葬られることもなく、地面の肥やしとなる。 + また、この悪い一族の中から残された残りの者はみな、わたしが追い散らした残りの者のいるどんな所でも、いのちよりも死を選ぶようになる。――万軍の主の御告げ――」 + あなたは、彼らに言え。/主はこう仰せられる。/「倒れたら、起き上がらないのだろうか。/背信者となったら、悔い改めないのだろうか。 + なぜ、この民エルサレムは、背信者となり、背信を続けているのか。/彼らは欺きにすがりつき、帰って来ようとしない。 + わたしは注意して聞いたが、彼らは正しくないことを語り、『私はなんということをしたのか』と言って、自分の悪行を悔いる者は、ひとりもいない。/彼らはみな、戦いに突入する馬のように、自分の走路に走り去る。 + 空のこうのとりも、自分の季節を知っており、山鳩、つばめ、つるも、自分の帰る時を守るのに、わたしの民は主の定めを知らない。 + どうして、あなたがたは、『私たちは知恵ある者だ。/私たちには主の律法がある』と言えようか。/確かにそうだが、書記たちの偽りの筆が、これを偽りにしてしまっている。 + 知恵ある者たちは恥を見、驚きあわてて、捕らえられる。/見よ。主のことばを退けたからには、彼らに何の知恵があろう。 + それゆえ、わたしは彼らの妻を他人に与え、彼らの畑を侵略者に与える。/なぜなら、身分の低い者から高い者まで、みな利得をむさぼり、預言者から祭司に至るまで、みな偽りを行っているからだ。 + 彼らは、わたしの民の娘の傷を手軽にいやし、平安がないのに、『平安だ、平安だ』と言っている。 + 彼らは忌みきらうべきことをして、恥を見ただろうか。/彼らは少しも恥じず、恥じることも知らない。/だから、彼らは、倒れる者の中に倒れ、彼らの刑罰の時、よろめき倒れる」と/主は仰せられる。 + 「わたしは彼らを、刈り入れたい。/――主の御告げ――/しかし、ぶどうの木には、ぶどうがなく、いちじくの木には、いちじくがなく、葉はしおれている。/わたしはそれをなるがままにする。」 + どうして、私たちはすわっているのか。/集まって、城壁のある町々に行き、そこで死のう。/私たちの神、主が、私たちを滅ぼす。/主が私たちに毒の水を飲ませられる。/私たちが主に罪を犯したからだ。 + 平安を待ち望んでも、幸いはなく、いやしの時を待ち望んでも、見よ、恐怖しかない。 + 「ダンから馬の鼻息が聞こえる。/その荒馬のいななきの声に、全地は震える。/彼らは来て、地と、それに満ちるもの、町と、その住民を食らう。 + 見よ。わたしが、まじないのきかないコブラや、まむしを、あなたがたの中に送り、あなたがたをかませるからだ。/――主の御告げ――」 + 私の悲しみはいやされず、私の心は弱り果てている。 + 聞け。遠くの地からの/私の民の娘の叫び声を。「主はシオンにおられないのか。シオンの王は、その中におられないのか。」「なぜ、彼らは自分たちの刻んだ像により、外国のむなしいものによって、わたしの怒りを引き起こしたのか。」 + 「刈り入れ時は過ぎ、夏も終わった。/それなのに、私たちは救われない。」 + 私の民の娘の傷のために、私も傷つき、私は憂え、恐怖が、私を捕らえた。 + 乳香はギルアデにないのか。/医者はそこにいないのか。/それなのに、なぜ、私の民の娘の傷はいやされなかったのか。 + + + ああ、私の頭が水であったなら、私の目が涙の泉であったなら、私は昼も夜も、私の娘、私の民の殺された者のために/泣こうものを。 + ああ、私が荒野に旅人の宿を持っていたなら、私の民を見捨てて、彼らから離れることができようものを。/彼らはみな姦通者、裏切り者の集会だから。 + 彼らは舌を弓のように曲げ、真実でなく、偽りをもって、地にはびこる。/まことに彼らは、悪から悪へ進み、わたしを知らない。――主の御告げ―― + おのおの互いに警戒せよ。/どの兄弟も信用するな。/どの兄弟も人を押しのけ、どの友も中傷して歩き回るからだ。 + 彼らはおのおの、だまし合って、真実を語らない。/偽りを語ることを舌に教え、悪事を働き、依然として悔い改めない。 + 彼らはしいたげに、しいたげを重ね、欺きに欺きを重ねて、わたしを知ろうともしなかった。/――主の御告げ―― + それゆえ、万軍の主はこう仰せられる。/「見よ。わたしは彼らを溶かしてためす。/いったい、わたしの民の娘に対し、ほかに何ができようか。 + 彼らの舌はとがった矢で、欺きを語る。/口先では友人に平和を語るが、腹の中では待ち伏せを計る。 + これらのために、わたしは彼らを罰しないだろうか。/――主の御告げ――/このような国に対して、わたしが復讐しないだろうか。」 + 私は山々のために泣き声をあげて嘆き、荒野の牧草地のために哀歌を唱える。/そこは、焼き払われて通る人もなく、群れの声も聞こえず、空の鳥から家畜まで、みな逃げ去っているからだ。 + わたしはエルサレムを石くれの山とし、ジャッカルの住みかとする。/ユダの町々を荒れ果てさせ、住む者もなくする。 + 知恵があって、これを悟ることのできる者はだれか。/主の御口が語られたことを/告げ知らせることのできる者はだれか。/どうしてこの国は滅びたのか。/どうして荒野のように焼き払われて、通る人もないのか。 + 主は仰せられる。「彼らは、わたしが彼らの前に与えたわたしの律法を捨て、わたしの声に聞き従わず、それに歩まず、 + 彼らのかたくなな心のままに歩み、先祖たちが彼らに教えたバアルに従って歩んだ。」 + それゆえ、イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。「見よ。わたしは、この民に、苦よもぎを食べさせ、毒の水を飲ませる。 + 彼らも先祖たちも知らなかった国々に彼らを散らし、剣を彼らのうしろに送り、ついに彼らを絶滅させる。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「よく考えて、泣き女を呼んで来させ、使いをやって巧みな女たちを連れて来させよ。」 + 彼らをせきたて、私たちのために嘆きの声をあげさせ、私たちの目に涙をしたたらせ、私たちのまぶたに水をあふれさせよ。 + シオンから嘆きの声が聞こえるからだ。/ああ、私たちは踏みにじられ、いたく恥を見た。/私たちが国を見捨て、彼らが私たちの住まいを投げやったからだ。 + 女たちよ。主のことばを聞き、あなたがたの耳は、主の言われることばを受けとめよ。/あなたがたの娘に嘆きの歌を教え、隣の女にも哀歌を教えよ。 + 死が、私たちの窓によじのぼり、私たちの高殿に入って来、道ばたで子どもを、広場で若い男を/断ち滅ぼすからだ。 + 語れ。――主の御告げはこうだ――/人間のしかばねは、畑の肥やしのように、刈り入れ人のあとの、集める者もない束のように、横たわる。 + 主はこう仰せられる。/「知恵ある者は自分の知恵を誇るな。/つわものは自分の強さを誇るな。/富む者は自分の富を誇るな。 + 誇る者は、ただ、これを誇れ。/悟りを得て、わたしを知っていることを。/わたしは主であって、地に恵みと公義と正義を行う者であり、わたしがこれらのことを喜ぶからだ。/――主の御告げ―― + 見よ。その日が来る。――主の御告げ――/その日、わたしは、すべて包皮に割礼を受けている者を罰する。 + エジプト、ユダ、エドム、アモン人、モアブ、および/荒野の住人でこめかみを刈り上げている/すべての者を罰する。/すべての国々は無割礼であり、イスラエルの全家も/心に割礼を受けていないからだ。」 + + + イスラエルの家よ。主があなたがたに語られたことばを聞け。 + 主はこう仰せられる。/「異邦人の道を見習うな。/天のしるしにおののくな。/異邦人がそれらにおののいていても。 + 国々の民のならわしはむなしいからだ。/それは、林から切り出された木、木工が、なたで造った物にすぎない。 + それは銀と金で飾られ、釘や、槌で、動かないように打ちつけられる。 + それは、きゅうり畑のかかしのようで、ものも言えず、歩けないので、いちいち運んでやらなければならない。/そんな物を恐れるな。/わざわいも幸いも下せないからだ。」 + 主よ。あなたに並ぶ者はありません。/あなたは大いなる方。/あなたの御名は、力ある大いなるものです。 + 諸国の民の王よ。/だれかあなたを恐れない者がありましょうか。/それは、あなたに対して当然なことです。/諸国の民のすべての知恵ある者たちの中にも、そのすべての王国の中にも、あなたと並ぶような者はいないからです。 + 彼らはみなまぬけ者で愚かなことをする。/むなしい神々の戒め――それは木にすぎない。 + 銀箔はタルシシュから、金はウファズから運ばれる。/偶像は木工と金細工人の手の作。/その衣は青色と紫色、これらはみな、名匠の作。 + しかし、主はまことの神、生ける神、とこしえの王。/その怒りに地は震え、その憤りに国々は耐えられない。 + あなたがたは、彼らにこう言え。「天と地を造らなかった神々は、地からも、これらの天の下からも滅びる」と。 + 主は、御力をもって地を造り、知恵をもって世界を堅く建て、英知をもって天を張られた。 + 主が声を出すと、水のざわめきが天に起こる。/主は地の果てから雲を上らせ、雨のためにいなずまを造り、その倉から風を出される。 + すべての人間は愚かで無知だ。/すべての金細工人は、偶像のために恥を見る。/その鋳た像は偽りで、その中に息がないからだ。 + それは、むなしいもの、物笑いの種だ。/刑罰の時に、それらは滅びる。 + ヤコブの分け前はこんなものではない。/主は万物を造る方。/イスラエルは主ご自身の部族。/その御名は万軍の主である。 + 包囲されている女よ。/あなたの荷物を地から取り集めよ。 + まことに主はこう仰せられる。「見よ。わたしはこの国の住民を、今度こそ放り出し、彼らを悩ます。彼らに思い知らせてやるためだ。」 + ああ、私は悲しい。この傷のために。/この打ち傷はいやしがたい。/そこで、私は言った。「まことに、これこそ私が、負わなければならない病だ。」 + 私の天幕は荒らされ、すべての綱は断ち切られ、私の子らも私から去って、もういない。/再び私の天幕を張る者はなく、私の幕屋を建てる者もいない。 + 牧者たちは愚かで、主を求めなかった。/それで彼らは栄えず、彼らの飼うものはみな散らされる。 + 聞け、うわさを。/見よ。大いなる騒ぎが北の地からやって来る。/ユダの町々を荒れ果てた地とし、ジャッカルの住みかとするために。 + 主よ。私は知っています。/人間の道は、その人によるのでなく、歩くことも、その歩みを確かにすることも、人によるのではないことを。 + 主よ。御怒りによらず、ただ公義によって、私を懲らしてください。/そうでないと、私は無に帰してしまうでしょう。 + あなたを知らない諸国の民の上に、あなたの御名を呼ばない諸氏族の上に、あなたの憤りを注いでください。/彼らはヤコブを食らい、これを食らって、これを絶滅させ、その住まいを荒らしたからです。 + + + 主からエレミヤにあったみことばは、こうである。 + 「この契約のことばを聞け。これをユダの人とエルサレムの住民に語って、 + 彼らに言え。/イスラエルの神、主は、こう仰せられる。この契約のことばを聞かない者は、のろわれよ。 + これは、わたしがあなたがたの先祖をエジプトの国、鉄の炉から連れ出した日に、『わたしの声に聞き従い、すべてわたしがあなたがたに命ずるように、それを行え。そうすれば、あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる』と言って、彼らに命じたものだ。 + それは、わたしがあなたがたの先祖に対して、乳と蜜の流れる地を彼らに与えると誓った誓いを、今日あるとおり成就するためであった。」そこで、私は答えて言った。「主よ。アーメン。」 + すると主は私に仰せられた。「これらのことばのすべてを、ユダの町々と、エルサレムのちまたで叫んで、こう言え。『この契約のことばを聞いて、これを行え。』 + わたしは、あなたがたの先祖をエジプトの国から導き出した日に、彼らをはっきり戒め、また今日まで、『わたしの声を聞け』と言って、しきりに戒めてきた。 + しかし彼らは聞かず、耳を傾けず、おのおの悪いかたくなな心のままに歩んだ。それで、わたしはこの契約のことばをみな、彼らに実現させた。わたしが行うように命じたのに、彼らが行わなかったからである。」 + ついで、主は私に仰せられた。「ユダの人、エルサレムの住民の間に、謀反がある。 + 彼らは、わたしのことばを聞こうとしなかった彼らの先祖たちの咎をくり返し、彼ら自身も、ほかの神々に従って、これに仕えた。イスラエルの家とユダの家は、わたしが彼らの先祖たちと結んだわたしの契約を破った。」 + それゆえ、主はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らにわざわいを下す。彼らはそれからのがれることはできない。彼らはわたしに叫ぶだろうが、わたしは彼らに聞かない。 + そこで、ユダの町々とエルサレムの住民は、彼らが香をたいた神々のもとに行って叫ぶだろうが、これらは、彼らのわざわいの時に、彼らを決して救うことはできない。 + なぜなら、ユダよ、あなたの神々は、あなたの町の数ほどもあり、あなたがたは、恥ずべきもののための祭壇、バアルのためにいけにえを焼く祭壇を、エルサレムの通りの数ほども設けたからである。 + あなたは、この民のために祈ってはならない。彼らのために叫んだり祈りをささげたりしてはならない。彼らがわざわいに会ってわたしを呼ぶときにも、わたしは聞かないからだ。 + わたしの愛する者は、わたしの家で、何をしているのか。何をたくらんでいるのか。/誓願のささげ物や、いけにえの肉が、わざわいをあなたから過ぎ去らせるのか。/その時には、こおどりして喜ぶがよい。 + 主はかつてあなたの名を、『良い実をみのらせる/美しい緑のオリーブの木』と呼ばれたが、大きな騒ぎの声が起こると、主はこれに火をつけ、その枝を焼かれる。 + あなたを植えた万軍の主が、あなたにわざわいを言い渡す。これはイスラエルの家とユダの家が、悪を行い、バアルにいけにえをささげて、わたしの怒りを引き起こしたからである。」 + 主が私に知らせてくださったので、私はそれを知りました。今、あなたは、彼らのわざを、私に見せてくださいました。 + 私は、ほふり場に引かれて行くおとなしい子羊のようでした。彼らが私に敵対して、「木を実とともに滅ぼそう。彼を生ける者の地から断って、その名が二度と思い出されないようにしよう」と計画していたことを、私は知りませんでした。 + しかし、正しいさばきをし、思いと心をためされる万軍の主よ。/あなたが彼らに復讐するのを/私は見ることでしょう。/私が、あなたに私の訴えを打ち明けたからです。 + それゆえ、主はアナトテの人々について、こう仰せられた。「彼らはあなたのいのちをねらい、『主の名によって預言するな。われわれの手にかかってあなたが死なないように』と言っている。」 + それで、万軍の主はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らを罰する。若い男は剣で殺され、彼らの息子、娘は飢えて死に、 + 彼らには残る者がいなくなる。わたしがアナトテの人々にわざわいを下し、刑罰の年をもたらすからだ。」 + + + 主よ。私があなたと論じても、あなたのほうが正しいのです。/それでも、さばきについて、一つのことを私はあなたにお聞きしたいのです。/なぜ、悪者の道は栄え、裏切りを働く者が、みな安らかなのですか。 + あなたは彼らを植え、彼らは根を張り、伸びて、実を結びました。/あなたは、彼らの口には近いのですが、彼らの思いからは遠く離れておられます。 + 主よ。あなたは私を知り、私を見ておられ、あなたへの私の心をためされます。/どうか彼らを、ほふられる羊のように/引きずり出して、虐殺の日のために取り分けてください。 + いつまで、この地は喪に服し、すべての畑の青草は枯れているのでしょうか。/そこに住む者たちの悪のために、家畜も鳥も取り去られています。/人々は、「彼は私たちの最期を見ない」と/言っているのです。 + あなたは徒歩の人たちと走っても疲れるのに、どうして騎馬の人と競走できよう。/あなたは平穏な地で安心して過ごしているのに、どうしてヨルダンの密林で過ごせよう。 + あなたの兄弟や、父の家の者さえ、彼らさえ、あなたを裏切り、彼らさえ、あなたのあとから大声で呼ばわるのだから、彼らがあなたに親切そうに語りかけても、彼らを信じてはならない。 + 私は、私の家を捨て、私の相続地を見放し、私の心の愛するものを、敵の手中に渡した。 + 私の相続地は、私にとって、林の中の獅子のようだ。/これは私に向かって、うなり声をあげる。/それで、私はこの地を憎む。 + 私の相続地は、私にとって、まだらの猛禽なのか。/猛禽がそれを取り巻いているではないか。/さあ、すべての野の獣を集めよ。/連れて来て、食べさせよ。 + 多くの牧者が、私のぶどう畑を荒らし、私の地所を踏みつけ、私の慕う地所を、恐怖の荒野にした。 + それは恐怖と化し、荒れ果てて、私に向かって嘆いている。/全地は荒らされてしまった。/だれも心に留める者がいないのだ。 + 荒野にあるすべての裸の丘の上に、荒らす者が来た。/主の剣が、地の果てから地の果てに至るまで/食い尽くすので、すべての者には平安がない。 + 小麦を蒔いても、いばらを刈り取り、労苦してもむだになる。/あなたがたは、自分たちの収穫で恥を見よう。/主の燃える怒りによって。 + 「主はこう仰せられる。わたしが、わたしの民イスラエルに継がせた相続地を侵す悪い隣国の民について。見よ、わたしは彼らをその土地から引き抜き、ユダの家も彼らの中から引き抜く。 + しかし、彼らを引き抜いて後、わたしは再び彼らをあわれみ、彼らをそれぞれ、彼らの相続地、彼らの国に帰らせよう。 + 彼らが、かつて、わたしの民にバアルによって誓うことを教えたように、もし彼らがわたしの民の道をよく学び、わたしの名によって、『主は生きておられる』と誓うなら、彼らは、わたしの民のうちに建てられよう。 + しかし、彼らが聞かなければ、わたしはその国を根こぎにして滅ぼしてしまう。――主の御告げ――」 + + + 主は私にこう仰せられた。「行って、亜麻布の帯を買い、それを腰に締めよ。水に浸してはならない。」 + 私は主のことばのとおり、帯を買って、腰に締めた。 + すると、私に次のような主のことばがあった。 + 「あなたが買って腰に着けているその帯を取り、すぐ、ユーフラテス川へ行き、それをそこの岩の割れ目に隠せ。」 + そこで、主が私に命じられたように、私は行って、それをユーフラテス川のほとりに隠した。 + 多くの日を経て、主は私に仰せられた。「すぐ、ユーフラテス川へ行き、わたしが隠せとあなたに命じたあの帯を取り出せ。」 + 私はユーフラテス川に行って、掘り、隠した所から帯を取り出したが、なんと、その帯は腐って、何の役にも立たなくなっていた。 + すると、私に次のような主のことばがあった。 + 「主はこう仰せられる。わたしはユダとエルサレムの大きな誇りを腐らせる。 + わたしのことばを聞こうともせず、自分たちのかたくなな心のままに歩み、ほかの神々に従って、それに仕え、それを拝むこの悪い民は、何の役にも立たないこの帯のようになる。 + なぜなら、帯が人の腰に結びつくように、わたしは、イスラエルの全家とユダの全家をわたしに結びつけた。――主の御告げ――それは、彼らがわたしの民となり、名となり、栄誉となり、栄えとなるためだったのに、彼らがわたしに聞き従わなかったからだ。 + あなたは彼らにこのことばを伝えよ。『イスラエルの神、主は、こう仰せられる。すべてのつぼには酒が満たされる。』彼らはあなたに、『すべてのつぼに酒が満たされることくらい、私たちは知りぬいていないだろうか』と言うが、 + あなたは彼らに言え。『主はこう仰せられる。見よ。わたしは、この国の全住民、ダビデの王座に着いている王たち、祭司、預言者、およびエルサレムの全住民をすっかり酔わせ、 + 彼らを互いにぶつけ合わせて砕く。父も子もともどもに。――主の御告げ――わたしは容赦せず、惜しまず、あわれまないで、彼らを滅ぼしてしまおう。』」 + 耳を傾けて聞け。高ぶるな。/主が語られたからだ。 + あなたがたの神、主に、栄光を帰せよ。/まだ主がやみを送らないうちに、まだあなたがたの足が、暗い山でつまずかないうちに。/そのとき、あなたがたが光を待ち望んでも、主はそれを死の陰に変え、暗やみとされる。 + もし、あなたがたがこれに聞かなければ、私は隠れた所で、あなたがたの高ぶりのために泣き、涙にくれ、私の目は涙を流そう。/主の群れが、とりこになるからだ。 + 王と王母に告げよ。「低い座に着け。あなたがたの頭から、あなたがたの輝かしい冠が落ちたから。」 + ネゲブの町々は閉ざされて、だれもあける者はいない。/ユダはことごとく捕らえ移され、ひとり残らず捕らえ移される。 + あなたがたの目を上げ、北から来る者たちを見よ。/――あなたに賜った群れ、あなたの美しい羊の群れは/どこにいるのか―― + あなたは彼らを最も親しい友として、自分に教えこんでいたのに。/主があなたを罰するとき、あなたは何と言おうとするのか。/苦痛があなたを捕らえないだろうか。/子を産む女のように。 + あなたが心の中で、「なぜ、こんなことが、私の身に起こったのか」と/言うなら、それは、あなたの多くの咎のために、あなたのすそはまくられ、あなたのかかとがそこなわれたからだ。 + クシュ人がその皮膚を、ひょうがその斑点を、変えることができようか。/もしできたら、悪に慣れたあなたがたでも、善を行うことができるだろう。 + わたしは、彼らを、荒野の風に吹き飛ばされるわらのように散らす。 + これがあなたの受ける割り当て、わたしがあなたに量り与える分である。/――主の御告げ――/あなたがわたしを忘れ、偽りに拠り頼んだためだ。 + わたしも、あなたのすそを、顔の上までまくるので、あなたの恥ずべき所が現れる。 + あなたの姦淫、あなたのいななき、あなたの淫行のわざ――/この忌むべき行いを、わたしは、丘の上や野原で見た。/ああ。エルサレムよ。あなたは/いつまでたっても、きよめられないのか。 + + + 日照りのことについて、エレミヤにあった主のことば。 + ユダは喪に服し、その門は打ちしおれ、地に伏して嘆き悲しみ、エルサレムは哀れな叫び声をあげる。 + その貴人たちは、召使いを、水を汲みにやるが、彼らが水ためのほとりに来ても、水は見つからず、からの器のままで帰る。/彼らは恥を見、侮られて、頭をおおう。 + 国に秋の大雨が降らず、地面が割れたため、農夫たちも恥を見、頭をおおう。 + 若草がないために、野の雌鹿さえ、子を産んでも捨てる。 + 野ろばは裸の丘の上に立ち、ジャッカルのようにあえぎ、目も衰え果てる。/青草がないためだ。 + 私たちの咎が、私たちに不利な証言をしても、主よ、あなたの御名のために事をなしてください。/私たちの背信ははなはだしく、私たちはあなたに罪を犯しました。 + イスラエルの望みである方、苦難の時の救い主よ。/なぜあなたは、この国にいる在留異国人のように、また、一夜を過ごすため立ち寄った旅人のように、すげなくされるのですか。 + なぜ、あなたはあわてふためく人のように、また、人を救うこともできない勇士のように、されるのですか。/主よ。あなたは私たちの真ん中におられ、私たちはあなたの御名をもって、呼ばれているのです。/私たちを、置き去りにしないでください。 + この民について、主はこう仰せられる。「このように、彼らはさすらうことを愛し、その足を制することもしない。それで、主は彼らを喜ばず、今、彼らの咎を覚えて、その罪を罰する。」 + 主はさらに、私に仰せられた。「この民のために幸いを祈ってはならない。 + 彼らが断食しても、わたしは彼らの叫びを聞かない。全焼のいけにえや、穀物のささげ物をささげても、わたしはそれを受け入れない。かえって、剣とききんと疫病で、彼らをことごとく絶ち滅ぼす。」 + 私は言った。「ああ、神、主よ。預言者たちは、『あなたがたは剣を見ず、ききんもあなたがたに起こらない。かえって、わたしはこの所でまことの平安をあなたがたに与える』と人々に言っているではありませんか。」 + 主は私に仰せられた。「あの預言者たちは、わたしの名によって偽りを預言している。わたしは彼らを遣わしたこともなく、彼らに命じたこともなく、語ったこともない。彼らは、偽りの幻と、むなしい占いと、自分の心の偽りごとを、あなたがたに預言しているのだ。 + それゆえ、わたしの名によって預言はするが、わたしが遣わしたのではない預言者たち、『剣やききんがこの国に起こらない』と言っているこの預言者たちについて、主はこう仰せられる。『剣とききんによって、その預言者たちは滅びうせる。』 + 彼らの預言を聞いた民も、ききんと剣によってエルサレムの道ばたに投げ出され、彼らを葬る者もいなくなる。彼らも、その妻も、息子、娘もそのようになる。わたしは、彼らの上にわざわいを注ぎかける。 + あなたは彼らに、このことばを言え。/『私の目は夜も昼も涙を流して、やむことがない。/私の民の娘、おとめの打たれた傷は大きく、いやしがたい、ひどい打ち傷。 + 野に出ると、見よ、剣で刺し殺された者たち。/町に入ると、見よ、飢えて病む者たち。/しかし、預言者も祭司も、地にさまよって、途方にくれている。』」 + あなたはユダを全く退けたのですか。/あなたはシオンをきらわれたのですか。/なぜ、あなたは、私たちを打って、いやされないのですか。/私たちが平安を待ち望んでも、幸いはなく、いやしの時を待ち望んでも、なんと、恐怖しかありません。 + 主よ。私たちは自分たちの悪と、先祖の咎とを知っています。/ほんとうに私たちは、あなたに罪を犯しています。 + 御名のために、私たちを退けないでください。/あなたの栄光の御座を/はずかしめないでください。/あなたが私たちに立てられた契約を覚えて、それを破らないでください。 + 異国のむなしい神々の中で、大雨を降らせる者がいるでしょうか。/それとも、天が夕立を降らせるでしょうか。/私たちの神、主よ。/それは、あなたではありませんか。/私たちはあなたを待ち望みます。/あなたがこれらすべてをなさるからです。 + + + 主は私に仰せられた。「たといモーセとサムエルがわたしの前に立っても、わたしはこの民を顧みない。彼らをわたしの前から追い出し、立ち去らせよ。 + 彼らがあなたに、『どこへ去ろうか』と言うなら、あなたは彼らに言え。『主はこう仰せられる。/死に定められた者は死に、剣に定められた者は剣に、ききんに定められた者はききんに、とりこに定められた者はとりこに。』 + わたしは四つの種類のもので彼らを罰する。――主の御告げ――すなわち、切り殺すために剣、引きずるために犬、食い尽くし、滅ぼすために空の鳥と地の獣である。 + わたしは彼らを、地のすべての王国のおののきとする。ユダの王ヒゼキヤの子マナセがエルサレムで行ったことのためである。 + エルサレムよ。/いったい、だれがおまえをあわれもう。/だれがおまえのために嘆こう。/だれが立ち寄って、おまえの安否を尋ねよう。 + おまえがわたしを捨てたのだ、――主の御告げ――/おまえはわたしに背を向けた。/わたしはおまえに手を伸ばし、おまえを滅ぼす。/わたしはあわれむのに飽いた。 + わたしはこの国の町囲みのうちで、熊手で彼らを追い散らし、彼らの子を失わせ、わたしの民を滅ぼした。/彼らがその行いを悔い改めなかったからだ。 + わたしはそのやもめの数を/海の砂よりも多くした。/わたしは若い男の母親に対し、真昼に荒らす者を送り、にわかに、苦痛と恐怖を彼女の上に襲わせた。 + 七人の子を産んだ女は打ちしおれ、その息はあえいだ。/彼女の太陽は、まだ昼のうちに没し、彼女は恥を見、はずかしめを受けた。/また、わたしは、彼らの残りの者を/彼らの敵の前で剣に渡す。/――主の御告げ――」 + ああ、悲しいことだ。/私の母が私を産んだので、私は国中の争いの相手、けんかの相手となっている。/私は貸したことも、借りたこともないのに、みな、私をのろっている。 + 主は仰せられた。/「必ずわたしはあなたを解き放って、しあわせにする。/必ずわたしは、わざわいの時、苦難の時に、敵があなたにとりなしを頼むようにする。 + だれが鉄、北からの鉄や青銅を/砕くことができようか。 + わたしは、あなたの財宝、あなたの宝物を/獲物として、ただで引き渡す。/それは、あなたの国中で、あなたが犯した罪のためだ。 + わたしはあなたを/あなたの知らない国で敵に仕えさせる。/わたしの怒りによって火がつき、あなたがたに向かって燃えるからだ。」 + 主よ。あなたはご存じです。/私を思い出し、私を顧み、私を追う者たちに復讐してください。/あなたの御怒りをおそくして、私を取り去らないでください。/私があなたのためにそしりを受けているのを、知ってください。 + 私はあなたのみことばを見つけ出し、それを食べました。/あなたのみことばは、私にとって/楽しみとなり、心の喜びとなりました。/万軍の神、主よ。/私にはあなたの名がつけられているからです。 + 私は、戯れる者たちの集まりにすわったことも、こおどりして喜んだこともありません。/私はあなたの御手によって、ひとりすわっていました。/あなたが憤りで私を満たされたからです。 + なぜ、私の痛みはいつまでも続き、私の打ち傷は直らず、いえようともしないのでしょう。/あなたは、私にとって、欺く者、当てにならない小川のようになられるのですか。 + それゆえ、主はこう仰せられた。/「もし、あなたが帰って来るなら、わたしはあなたを帰らせ、わたしの前に立たせよう。/もし、あなたが、卑しいことではなく、尊いことを言うなら、あなたはわたしの口のようになる。/彼らがあなたのところに帰ることがあっても、あなたは彼らのところに帰ってはならない。 + わたしはあなたを、この民に対し、堅固な青銅の城壁とする。/彼らは、あなたと戦っても、勝てない。/わたしがあなたとともにいて、あなたを救い、あなたを助け出すからだ。/――主の御告げ―― + また、わたしは、あなたを悪人どもの手から救い出し、横暴な者たちの手から助け出す。」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「あなたは妻をめとるな。またこの所で、息子や娘を持つな。」 + まことに、主は、この所で生まれる息子や娘につき、また、この国で、彼らを産む母親たちや、彼らを生ませる父親たちについて、こう仰せられる。 + 「彼らはひどい病気で死ぬ。彼らはいたみ悲しまれることなく、葬られることもなく、地面の肥やしとなる。また、剣とききんで滅ぼされ、しかばねは空の鳥や地の獣のえじきとなる。」 + まことに主はこう仰せられる。「あなたは、服喪中の家に入ってはならない。悼みに行ってはならない。彼らのために嘆いてはならない。わたしはこの民から、わたしの平安と、――主の御告げ――いつくしみと、あわれみとを取り去った。 + この国の身分の高い者や低い者が死んでも葬られず、だれも彼らをいたみ悲しまず、彼らのために身を傷つけず、髪もそらない。 + だれも、死んだ者を悔やむために葬儀に出て、パンを裂くこともなく、その父や母を慰める杯を彼らに飲ませることもないだろう。 + あなたは宴会の家に行き、いっしょにすわって食べたり飲んだりしてはならない。」 + まことにイスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。「見よ。わたしは、この所から、あなたがたの目の前で、あなたがたが生きているうちに、楽しみの声と喜びの声、花婿の声と花嫁の声を絶やす。 + あなたがこの民にこのすべてのことばを告げるとき、彼らがあなたに、『なぜ、主は私たちに、この大きなわざわいを語られたのか。私たちの咎とは何か。私たちの神、主に犯したという、私たちの罪とは何か』と尋ねたら、 + あなたは彼らにこう言え。『あなたがたの先祖がわたしを捨て、――主の御告げ――ほかの神々に従い、これに仕え、これを拝み、わたしを捨てて、わたしの律法を守らなかったためだ。 + また、あなたがた自身、あなたがたの先祖以上に悪事を働き、しかも、おのおの悪い、かたくなな心のままに歩み、わたしに聞き従わないので、 + わたしはあなたがたをこの国から投げ出して、あなたがたも、先祖も知らなかった国へ行かせる。あなたがたは、そこで日夜、ほかの神々に仕える。わたしはあなたがたに、いつくしみを施さない。』 + それゆえ、見よ、その日が来る。――主の御告げ――その日にはもはや、『イスラエルの子らをエジプトの国から上らせた主は生きておられる』とは言わないで、 + ただ『イスラエルの子らを北の国や、彼らの散らされたすべての地方から上らせた主は生きておられる』と言うようになる。わたしは彼らの先祖に与えた彼らの土地に彼らを帰らせる。 + 見よ。わたしは多くの漁夫をやって、――主の御告げ――彼らをすなどらせる。その後、わたしは多くの狩人をやって、すべての山、すべての丘、岩の割れ目から彼らをかり出させる。 + わたしの目は彼らのすべての行いを見ているからだ。彼らはわたしの前から隠れることはできない。また、彼らの咎もわたしの目の前から隠されはしない。 + わたしはまず、彼らの咎と罪に対し二倍の報復をする。それは彼らがわたしの国を忌むべきもののしかばねで汚し、忌みきらうべきものを、わたしの与えた相続地に、満たしたからである。」 + 主よ、私の力、私のとりで、苦難の日の私の逃げ場よ。/あなたのもとに、諸国の民は地の果てから来て言うでしょう。/「私たちの先祖が受け継いだものは、ただ偽るもの、何の役にも立たないむなしいものばかりだった。 + 人間は、自分のために神々を造れようか。/そんなものは神ではない」と。 + 「だから、見よ、わたしは彼らに知らせる。/今度こそ彼らに、わたしの手と、わたしの力を知らせる。/彼らは、わたしの名が主であることを知る。」 + + + ユダの罪は鉄の筆と金剛石のとがりでしるされ、彼らの心の板と彼らの祭壇の角に刻まれている。 + 彼らの子たちまで、その祭壇や、高い丘の茂った木のほとりにある/アシェラ像を覚えているほどだ。 + 野にあるわたしの山よ。/わたしは、あなたの財宝、すべての宝物を、獲物として引き渡す。/あなたの国中にある高き所の罪のために。 + あなたは、わたしが与えたあなたの相続地を、手放さなければならない。/また、わたしは、あなたの知らない国で、あなたを敵に仕えさせる。/あなたがたが、わたしの怒りに火をつけたので、それはとこしえまでも燃えよう。 + 主はこう仰せられる。/「人間に信頼し、肉を自分の腕とし、心が主から離れる者はのろわれよ。 + そのような者は荒地のむろの木のように、しあわせが訪れても会うことはなく、荒野の溶岩地帯、住む者のない塩地に住む。 + 主に信頼し、主を頼みとする者に/祝福があるように。 + その人は、水のほとりに植わった木のように、流れのほとりに根を伸ばし、暑さが来ても暑さを知らず、葉は茂って、日照りの年にも心配なく、いつまでも実をみのらせる。 + 人の心は何よりも陰険で、それは直らない。/だれが、それを知ることができよう。 + わたし、主が心を探り、思いを調べ、それぞれその生き方により、行いの結ぶ実によって報いる。 + しゃこが自分で産まなかった卵を抱くように、公義によらないで富を得る者がある。/彼の一生の半ばで、富が彼を置き去りにし、そのすえはしれ者となる。」 + 私たちの聖所のある所は、初めから高く上げられた栄光の王座である。 + イスラエルの望みである主よ。/あなたを捨てる者は、みな恥を見ます。「わたしから離れ去る者は、地にその名がしるされる。いのちの水の泉、主を捨てたからだ。」 + 私をいやしてください。主よ。/そうすれば、私はいえましょう。/私をお救いください。/そうすれば、私は救われます。/あなたこそ、私の賛美だからです。 + ああ、彼らは私に言っています。「主のことばはどこへ行ったのか。さあ、それを来させよ。」 + しかし、私は、あなたに従う牧者となることを、避けたことはありません。/私は、いやされない日を望んだこともありません。/あなたは、私のくちびるから出るものは、あなたの御前にあるのをご存じです。 + 私を恐れさせないでください。/あなたは、わざわいの日の、私の身の避け所です。 + 私に追い迫る者たちが恥を見、私が恥を見ないようにしてください。/彼らがうろたえ、私がうろたえないようにしてください。/彼らの上にわざわいの日を来たらせ、破れを倍にして、彼らを打ち破ってください。 + 主は私にこう仰せられる。「行って、ユダの王たちが出入りする、この民の子らの門と、エルサレムのすべての門に立ち、 + 彼らに言え。/これらの門のうちに入るユダの王たち、ユダ全体、エルサレムの全住民よ。主のことばを聞け。 + 主はこう仰せられる。『あなたがた自身、気をつけて、安息日に荷物を運ぶな。また、それをエルサレムの門のうちに持ち込むな。 + また、安息日に荷物を家から出すな。何の仕事もするな。わたしがあなたがたの先祖に命じたとおりに安息日をきよく保て。 + しかし、彼らは聞かず、耳も傾けず、うなじのこわい者となって聞こうとせず、懲らしめを受けなかった。 + もし、あなたがたが、ほんとうにわたしに聞き従い、――主の御告げ――安息日にこの町の門のうちに荷物を持ち込まず、安息日をきよく保ち、この日に何の仕事もしないなら、 + ダビデの王座に着く王たちや、車や馬に乗る首長たち、すなわち王たちとその首長たち、ユダの人、エルサレムの住民は、この町の門のうちに入り、この町はとこしえに人の住む所となる。 + ユダの町々やエルサレムの周辺から、ベニヤミンの地や低地から、また山地やネゲブから、全焼のいけにえや、ほかのいけにえ、穀物のささげ物や乳香を携えて来る者、感謝のいけにえを携えて来る者が、主の宮に来る。 + しかし、もし、わたしの言うことを聞き入れず、安息日をきよく保たずに、安息日に荷物を運んでエルサレムの門のうちに入るなら、わたしはその門に火をつけ、火はエルサレムの宮殿をなめ尽くして、消えることがないであろう。』」 + + + 主からエレミヤにあったみことばは、こうである。 + 「立って、陶器師の家に下れ。そこで、あなたに、わたしのことばを聞かせよう。」 + 私が陶器師の家に下って行くと、ちょうど、彼はろくろで仕事をしているところだった。 + 陶器師は、粘土で制作中の器を自分の手でこわし、再びそれを陶器師自身の気に入ったほかの器に作り替えた。 + それから、私に次のような主のことばがあった。 + 「イスラエルの家よ。この陶器師のように、わたしがあなたがたにすることができないだろうか。――主の御告げ――見よ。粘土が陶器師の手の中にあるように、イスラエルの家よ、あなたがたも、わたしの手の中にある。 + わたしが、一つの国、一つの王国について、引き抜き、引き倒し、滅ぼすと語ったその時、 + もし、わたしがわざわいを予告したその民が、悔い改めるなら、わたしは、下そうと思っていたわざわいを思い直す。 + わたしが、一つの国、一つの王国について、建て直し、植えると語ったその時、 + もし、それがわたしの声に聞き従わず、わたしの目の前に悪を行うなら、わたしは、それに与えると言ったしあわせを思い直す。 + さあ、今、ユダの人とエルサレムの住民に言え。『主はこう仰せられる。見よ。わたしはあなたがたに対してわざわいを考え、あなたがたを攻める計画を立てている。さあ、おのおの悪の道から立ち返り、あなたがたの行いとわざとを改めよ。』 + しかし、彼らは言う。『だめだ。私たちは自分の計画に従い、おのおの悪いかたくなな心のままに行うのだから』と。 + それゆえ、主はこう仰せられる。/『さあ、国々の中で尋ねてみよ。/だれが、こんなことを聞いたことがあるか。/おとめイスラエルは、実に恐るべきことを行った。 + レバノンの雪は、野の岩から消え去るだろうか。/ほかの国から流れて来る冷たい水が、引き抜かれるだろうか。 + それなのに、わたしの民はわたしを忘れ、むなしいものに香をたく。/それらは、彼らをその道、いにしえの道でつまずかせ、小道に、まだ築かれていない道に行かせ、 + 彼らの国を恐怖とし、永久にあざけりとする。/そこを通り過ぎる者はみな色を失い、頭を振る。 + 東風のように、わたしは彼らを敵の前で散らす。/彼らの災難の日に、わたしは彼らに背を向け、顔を向けない。』」 + 彼らは言った。「さあ、私たちは計画を立ててエレミヤを倒そう。祭司から律法が、知恵ある者からはかりごとが、預言者からことばが滅びうせることはないはずだから。さあ、舌で彼を打ち、彼のことばにはどれにも耳を傾けまい。」 + 主よ。私に耳を傾け、私と争う者の声を聞いてください。 + 善に悪を報いてよいでしょうか。/まことに彼らは、私のいのちを取ろうとして/穴を掘ったのです。/私があなたの御前に立って、彼らに対するあなたの憤りをやめていただき、彼らについて良いことを語ったことを、覚えてください。 + それゆえ、彼らの子らをききんに渡し、彼らを剣で殺してください。/妻たちは子を失い、また、やもめになり、夫たちは虐殺されて死に、若い男たちは戦いで剣に殺されますように。 + あなたが突然、略奪隊に彼らを襲わせるとき、彼らの家からの叫びが聞こえます。/彼らは私を捕らえようと穴を掘り、私の足もとに、わなを隠したからです。 + しかし、主よ。あなたは、私を殺そうとする彼らの計画を/みな、ご存じです。/彼らの咎をおおわず、彼らの罪を御前からぬぐい去らないでください。/彼らを、御前で打ち倒し、あなたの御怒りの時に、彼らを罰してください。 + + + 主はこう仰せられる。「行って、土の焼き物のびんを買い、民の長老と年長の祭司のうちの数人といっしょに、 + 『瀬戸のかけらの門』の入口にあるベン・ヒノムの谷に出かけ、そこで、わたしがあなたに語ることばを呼ばわって、 + 言え。『ユダの王たちとエルサレムの住民よ。主のことばを聞け。イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。見よ。わたしはこの所にわざわいをもたらす。だれでも、そのことを聞く者は、耳鳴りがする。 + 彼らがわたしを捨ててこの所を見分けがつかないほどにし、この所で、彼らも彼らの先祖も、ユダの王たちも知らなかったほかの神々にいけにえをささげ、この所を罪のない者の血で満たし、 + バアルのために自分の子どもたちを全焼のいけにえとして火で焼くため、バアルの高き所を築いたからである。このような事は、わたしが命じたこともなく、語ったこともなく、思いつきもしなかったことだ。 + それゆえ、見よ、その日が来る。――主の御告げ――その日には、この所はもはや、トフェテとかベン・ヒノムの谷とか呼ばれない。ただ虐殺の谷と呼ばれる。 + また、わたしはこの所で、ユダとエルサレムのはかりごとをこぼち、彼らを敵の前で、剣で倒し、またいのちをねらう者の手によって倒し、そのしかばねを、空の鳥や地の獣にえじきとして与える。 + また、わたしはこの町を恐怖とし、あざけりとする。そこを通り過ぎる者はみな、色を失い、そのすべての打ち傷を見てあざける。 + またわたしは、包囲と、彼らの敵、いのちをねらう者がもたらす窮乏のために、彼らに自分の息子の肉、娘の肉を食べさせる。彼らは互いにその友の肉を食べ合う。』 + そこであなたは、同行の人々の目の前で、そのびんを砕いて、 + 彼らに言え。『万軍の主はこう仰せられる。陶器師の器が砕かれると、二度と直すことができない。このように、わたしはこの民と、この町を砕く。人々はトフェテに葬る余地がないほどに葬る。 + わたしはこの所と、――主の御告げ――その住民にこうしよう。わたしはこの町をトフェテのようにする。 + エルサレムの家々とユダの王の家々、すなわち、彼らが屋上で天の万象に香をたき、ほかの神々に注ぎのぶどう酒を注いだすべての家々は、トフェテの地のように汚される。』」 + そこでエレミヤは、主が預言のために遣わしたトフェテから帰って来て、主の宮の庭に立ち、すべての民に言った。 + 「イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。『見よ。わたしはこの町と、すべての町々に、わたしが告げたすべてのわざわいをもたらす。彼らがうなじのこわい者となって、わたしのことばに聞き従おうとしなかったからである。』」 + + + 祭司であり、主の宮のつかさ、監督者であるイメルの子パシュフルは、エレミヤがこれらのことばを預言するのを聞いた。 + パシュフルは、預言者エレミヤを打ち、彼を主の宮にある上のベニヤミンの門にある足かせにつないだ。 + 翌日になって、パシュフルがエレミヤを足かせから解いたとき、エレミヤは彼に言った。「主はあなたの名をパシュフルではなくて、『恐れが回りにある』と呼ばれる。 + まことに主がこう仰せられる。『見よ。わたしはあなたを、あなた自身とあなたの愛するすべての者への恐れとする。彼らは、あなたの目の見る所で、敵の剣に倒れる。また、わたしはユダの人全部をバビロンの王の手に渡す。彼は彼らをバビロンへ引いて行き、剣で打ち殺す。 + また、わたしはこの町のすべての富と、すべての勤労の実と、すべての宝を渡し、またユダの王たちの財宝を敵の手に渡す。彼らはそれをかすめ奪い、略奪し、バビロンへ運ぶ。 + パシュフルよ。あなたとあなたの家に住むすべての者は、とりことなって、バビロンに行き、そこで死に、そこで葬られる。あなたも、あなたが偽りの預言をした相手の、あなたの愛するすべての人も。』」 + 主よ。あなたが私を惑わしたので、私はあなたに惑わされました。/あなたは私をつかみ、私を思いのままにしました。/私は一日中、物笑いとなり、みなが私をあざけります。 + 私は、語るごとに、わめき、「暴虐だ。暴行だ」と叫ばなければなりません。/私への主のみことばが、一日中、そしりとなり、笑いぐさとなるのです。 + 私は、「主のことばを宣べ伝えまい。/もう主の名で語るまい」と思いましたが、主のみことばは私の心のうちで、骨の中に閉じ込められて/燃えさかる火のようになり、私はうちにしまっておくのに/疲れて耐えられません。 + 私が多くの人のささやきを聞いたからです。「恐れが回りにあるぞ。訴えよ。われわれもあいつを訴えよう。」私の親しい者もみな、私のつまずくのを待ちもうけています。/「たぶん、彼は惑わされるから、われわれが彼に勝って、復讐してやろう」と。 + しかし、主は私とともにあって、横暴な勇士のようです。/ですから、私を追う者たちは、つまずいて、勝つことはできません。/彼らは成功しないので、大いに恥をかき、それが忘れられない永久の恥となりましょう。 + 正しい者を調べ、思いと心を見ておられる万軍の主よ。/あなたが彼らに復讐されるのを/私に見せてください。/あなたに私の訴えを打ち明けたのですから。 + 主に向かって歌い、主をほめたたえよ。/主が貧しい者のいのちを、悪を行う者どもの手から救い出されたからだ。 + 私の生まれた日は、のろわれよ。/母が私を産んだその日は、祝福されるな。 + 私の父に、「あなたに男の子が生まれた」と言って伝え、彼を大いに喜ばせた人は、のろわれよ。 + その人は、主がくつがえして/悔いない町々のようになれ。/朝には彼に叫びを聞かせ、真昼にはときの声を聞かせよ。 + 彼は、私が胎内にいるとき、私を殺さず、私の母を私の墓とせず、彼女の胎を、永久に/みごもったままにして/おかなかったのだから。 + なぜ、私は労苦と苦悩に会うために/胎を出たのか。/私の一生は恥のうちに終わるのか。 + + + 主からエレミヤにあったみことば。ゼデキヤ王は、マルキヤの子パシュフルと、マアセヤの子、祭司ゼパニヤをエレミヤのもとに遣わしてこう言わせた。 + 「どうか、私たちのために主に尋ねてください。バビロンの王ネブカデレザルが私たちを攻めています。主がかつて、あらゆる奇しいみわざを行われたように、私たちにも行い、彼を私たちから離れ去らせてくださるかもしれませんから。」 + エレミヤは彼らに言った。「あなたがたは、ゼデキヤにこう言いなさい。 + イスラエルの神、主は、こう仰せられる。『見よ。あなたがたは、城壁の外からあなたがたを囲んでいるバビロンの王とカルデヤ人とに向かって戦っているが、わたしは、あなたがたの手にしている武具を取り返して、それをこの町の中に集め、 + わたし自身が、伸ばした手と強い腕と、怒りと、憤りと、激怒とをもって、あなたがたと戦い、 + この町に住むものは、人間も獣も打ち、彼らはひどい疫病で死ぬ。 + そのあとで、――主の御告げ――わたしはユダの王ゼデキヤと、その家来と、その民と、この町で、疫病や剣やききんからのがれて生き残った者たちとを、バビロンの王ネブカデレザルの手、敵の手、いのちをねらう者たちの手に渡す。彼は彼らを剣の刃で打ち、彼らを惜しまず、容赦せず、あわれまない。』」 + 「あなたは、この民に言え。/主はこう仰せられる。『見よ。わたしはあなたがたの前に、いのちの道と死の道を置く。 + この町にとどまる者は、剣とききんと疫病によって死ぬが、出て、あなたがたを囲んでいるカルデヤ人にくだる者は、生きて、そのいのちは彼の分捕り物となる。 + なぜならわたしは、幸いのためにではなく、わざわいのためにこの町から顔をそむけるからである。――主の御告げ――この町は、バビロンの王の手に渡され、彼はこれを火で焼くであろう。』」 + ユダの王家のために――/「主のことばを聞け。 + ダビデの家よ。主はこう仰せられる。/朝ごとに、正しいさばきを行い、かすめられている者を、しいたげる者の手から救い出せ。/さもないと、あなたがたの悪行のために、わたしの憤りが火のように燃えて焼き尽くし、消す者はいない。」 + 「ああ、この谷に住む者、平地の岩よ。/あなたに言う。――主の御告げ――/あなたがたは、『だれが、私たちのところに下って来よう。/だれが、私たちの住まいに入れよう』と/言っている。 + わたしはあなたがたを、その行いの実にしたがって罰する。/――主の御告げ――/また、わたしは、その林に火をつける。/火はその周辺をことごとく焼き尽くす。」 + + + 主はこう仰せられる。「ユダの王の家に下り、そこで、このことばを語って + 言え。『ダビデの王座に着いているユダの王よ。あなたも、この門のうちに入って来るあなたの家来、あなたの民も、主のことばを聞け。 + 主はこう仰せられる。公義と正義を行い、かすめられている者を、しいたげる者の手から救い出せ。在留異国人、みなしご、やもめを苦しめたり、いじめたりしてはならない。また罪のない者の血をこの所に流してはならない。 + もし、あなたがたがこのことばを忠実に行うなら、ダビデの王座に着いている王たちは、車や馬に乗り、彼らも、その家来、その民も、この家の門のうちに入ることができよう。 + しかし、もしこのことばを聞かなければ、わたしは自分にかけて誓うが、――主の御告げ――この家は必ず廃墟となる。』」 + まことに、ユダの王の家について、主はこう仰せられる。/「あなたは、わたしにとってはギルアデ、レバノンの頂。/しかし必ず、わたしはあなたを荒野にし、住む者もない町々にする。 + わたしはあなたを攻めるため、おのおの武具を持つ破壊者たちを準備する。/彼らは、最も美しいあなたの杉の木を切り倒し、これを火に投げ入れる。 + 多くの国々の民がこの町のそばを過ぎ、彼らが互いに、『なぜ、主はこの大きな町をこのようにしたのだろう』と言うと、 + 人々は、『彼らが彼らの神、主の契約を捨て、ほかの神々を拝み、これに仕えたからだ』と言おう。」 + 死んだ者のために泣くな。/彼のために嘆くな。/去って行く者のために、大いに泣け。/彼は二度と、帰って、故郷を見ることがないからだ。 + 父ヨシヤに代わって王となり、この所から出て行った、ヨシヤの子、ユダの王シャルムについて、主はまことにこう仰せられる。「彼は二度とここには帰らない。 + 彼は引いて行かれた所で死に、二度とこの国を見ることはない。」 + 「ああ。/不義によって自分の家を建て、不正によって自分の高殿を建てる者。/隣人をただで働かせて報酬も払わず、 + 『私は自分のために、広い家、ゆったりした高殿を建て、それに窓を取りつけ、杉の板でおおい、朱を塗ろう』と言う者。 + あなたは杉の木で競って、王になるのか。/あなたの父は飲み食いしたが、公義と正義を行ったではないか。/そのとき、彼は幸福だった。 + 彼はしいたげられた人、貧しい人の訴えをさばき、そのとき、彼は幸福だった。/それが、わたしを知ることではなかったのか。/――主の御告げ―― + しかし、あなたの目と心とは、自分の利得だけに向けられ、罪のない者の血を流し、しいたげと暴虐を行うだけだ。 + それゆえ、ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムについて、主はこう仰せられる。/だれも、『ああ、悲しいかな、私の兄弟。/ああ、悲しいかな、私の姉妹』/と言って彼をいたまず、だれも、『ああ、悲しいかな、主よ。/ああ、悲しいかな、陛下よ』/と言って彼をいたまない。 + 彼はここからエルサレムの門まで、引きずられ、投げやられて、ろばが埋められるように埋められる。 + レバノンに上って叫び、バシャンで声をあげ、アバリムから叫べ。/あなたの恋人はみな、砕かれたからである。 + あなたが繁栄していたときに、わたしはあなたに語りかけたが、あなたは『私は聞かない』と言った。/わたしの声に聞き従わないということ、これが、若いころからのあなたの生き方だった。 + あなたの牧者はみな風が追い立て、あなたの恋人はとりこになって行く。/そのとき、あなたは自分のすべての悪のゆえに、恥を見、はずかしめを受ける。 + レバノンの中に住み、杉の木の中に巣ごもりする女よ。/陣痛があなたに起こるとき、産婦のような苦痛が襲うとき、あなたはどんなにうめくことだろう。」 + 「わたしは生きている、――主の御告げ――たとい、エホヤキムの子、ユダの王エコヌヤが、わたしの右手の指輪の印であっても、わたしは必ず、あなたをそこから抜き取り、 + あなたのいのちをねらう者たちの手、あなたが恐れている者たちの手、バビロンの王ネブカデレザルの手、カルデヤ人の手に渡し、 + あなたと、あなたの産みの母を、あなたがたの生まれた所ではないほかの国に投げ出し、そこであなたがたは死ぬことになる。 + 彼らが帰りたいと心から望むこの国に、彼らは決して帰らない。」 + このエコヌヤという人は、さげすまれて砕かれる像なのか。それとも、だれにも喜ばれない器なのか。なぜ、彼と、その子孫は投げ捨てられて、見も知らぬ国に投げやられるのか。 + 地よ、地よ、地よ。主のことばを聞け。 + 主はこう仰せられる。「この人を『子を残さず、一生栄えない男』と記録せよ。彼の子孫のうちひとりも、ダビデの王座に着いて、栄え、再びユダを治める者はいないからだ。」 + + + 「ああ。わたしの牧場の群れを滅ぼし散らす牧者たち。――主の御告げ――」 + それゆえ、イスラエルの神、主は、この民を牧する牧者たちについて、こう仰せられる。「あなたがたは、わたしの群れを散らし、これを追い散らして顧みなかった。見よ。わたしは、あなたがたの悪い行いを罰する。――主の御告げ―― + しかし、わたしは、わたしの群れの残りの者を、わたしが追い散らしたすべての国から集め、もとの牧場に帰らせる。彼らは多くの子を生んでふえよう。 + わたしは彼らの上に牧者たちを立て、彼らを牧させる。彼らは二度と恐れることなく、おののくことなく、失われることもない。――主の御告げ―― + 見よ。その日が来る。/――主の御告げ――/その日、わたしは、ダビデに一つの正しい若枝を起こす。/彼は王となって治め、栄えて、この国に公義と正義を行う。 + その日、ユダは救われ、イスラエルは安らかに住む。/その王の名は、『主は私たちの正義』と呼ばれよう。 + それゆえ、見よ、このような日が来る。――主の御告げ――その日には、彼らは、『イスラエルの子らをエジプトの国から上らせた主は生きておられる』とはもう言わないで、 + 『イスラエルの家のすえを北の国や、彼らの散らされたすべての地方から上らせた主は生きておられる』と言って、自分たちの土地に住むようになる。」 + 預言者たちに対して――/私の心は、うちに砕かれ、私の骨はみな震える。/私は酔いどれのようだ。/ぶどう酒に負けた男のようになった。/主と、主の聖なることばのために。 + 国は姦通する者で満ちているからだ。/地はのろわれて喪に服し、荒野の牧草地は乾ききる。/彼らの走る道は悪で、正しくないものをその力とする。 + 実に、預言者も祭司も汚れている。/わたしの家の中にも、わたしは彼らの悪を見いだした。/――主の御告げ―― + それゆえ、彼らの道は、暗やみの中のすべりやすい所のようになり、彼らは追い散らされて、そこに倒れる。/わたしが彼らにわざわいをもたらし、刑罰の年をもたらすからだ。/――主の御告げ―― + サマリヤの預言者たちの中に、みだらな事をわたしは見た。/彼らはバアルによって預言し、わたしの民イスラエルを惑わした。 + エルサレムの預言者たちの中にも、恐ろしい事をわたしは見た。/彼らは姦通し、うそをついて歩き、悪を行う者どもの手を強くして、その悪からだれをも戻らせない。/彼らはみな、わたしには、ソドムのようであり、その住民はゴモラのようである。 + それゆえ、万軍の主は、預言者たちについて、こう仰せられる。「見よ。わたしは彼らに、苦よもぎを食べさせ、毒の水を飲ませる。汚れがエルサレムの預言者たちから出て、この全土に広がったからだ。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「あなたがたに預言する預言者たちのことばを聞くな。彼らはあなたがたをむなしいものにしようとしている。主の口からではなく、自分の心の幻を語っている。 + 彼らは、わたしを侮る者に向かって、『主はあなたがたに平安があると告げられた』としきりに言っており、また、かたくなな心のままに歩むすべての者に向かって、『あなたがたにはわざわいが来ない』と言っている。」 + いったいだれが、主の会議に連なり、主のことばを見聞きしたか。/だれが、耳を傾けて主のことばを聞いたか。 + 見よ。主の暴風、――憤り――/うずを巻く暴風が起こり、悪者の頭上にうずを巻く。 + 主の怒りは、御心の思うところを行って、成し遂げるまで/去ることはない。/終わりの日に、あなたがたはそれを明らかに悟ろう。 + わたしはこのような預言者たちを/遣わさなかったのに、彼らは走り続け、わたしは彼らに語らなかったのに、彼らは預言している。 + もし彼らがわたしの会議に連なったのなら、彼らはわたしの民にわたしのことばを聞かせ、民をその悪の道から、その悪い行いから/立ち返らせたであろうに。 + わたしは近くにいれば、神なのか。/――主の御告げ――/遠くにいれば、神ではないのか。 + 人が隠れた所に身を隠したら、わたしは彼を見ることができないのか。/――主の御告げ――/天にも地にも、わたしは満ちているではないか。/――主の御告げ―― + 「わたしの名によって偽りを預言する預言者たちが、『私は夢を見た。夢を見た』と言ったのを、わたしは聞いた。 + いつまで偽りの預言が、あの預言者たちの心にあるのだろうか。いつまで欺きの預言が、彼らの心にあるのだろうか。 + 彼らの先祖がバアルのためにわたしの名を忘れたように、彼らはおのおの自分たちの夢を述べ、わたしの民にわたしの名を忘れさせようと、たくらんでいるのだろうか。 + 夢を見る預言者は夢を述べるがよい。しかし、わたしのことばを聞く者は、わたしのことばを忠実に語らなければならない。麦はわらと何のかかわりがあろうか。――主の御告げ―― + わたしのことばは火のようではないか。また、岩を砕く金槌のようではないか。――主の御告げ―― + それゆえ、見よ、――主の御告げ――わたしは、おのおのわたしのことばを盗む預言者たちの敵となる。 + 見よ。――主の御告げ――わたしは、自分たちの舌を使って御告げを告げる預言者たちの敵となる。 + 見よ。わたしは偽りの夢を預言する者たちの敵となる。――主の御告げ――彼らは、偽りと自慢話をわたしの民に述べて惑わしている。わたしは彼らを遣わさず、彼らに命じもしなかった。彼らはこの民にとって、何の役にも立ちはしない。――主の御告げ―― + この民、あるいは預言者、あるいは祭司が、『主の宣告とは何か』とあなたに尋ねたら、あなたは彼らに、『あなたがたが重荷だ。だから、わたしはあなたがたを捨てる』と言え。――主の御告げ―― + 預言者でも、祭司でも、民でも、『主の宣告』と言う者があれば、その者とその家とを、わたしは罰する。」 + あなたがたは互いに「主は何と答えられたか。主は何と語られたか」と言うがよい。 + しかし「主の宣告」ということを二度と述べてはならない。主のことばが人の重荷となり、あなたがたが、生ける神、万軍の主、私たちの神のことばを曲げるからだ。 + 「あの預言者たちにこう言え。/主は何と答えられたか。主は何と語られたか。 + もし、あなたがたが『主の宣告』と言うなら、それに対して、主はこう仰せられる。『わたしはあなたがたに、主の宣告、と言うなと言い送ったのに、あなたがたは主の宣告というこのことばを語っている。 + それゆえ、見よ、わたしはあなたがたを全く忘れ、あなたがたと、あなたがたや先祖たちに与えたこの町とを、わたしの前から捨て、 + 永遠のそしり、忘れられることのない、永遠の侮辱をあなたがたに与える。』」 + + + バビロンの王ネブカデレザルが、エホヤキムの子、ユダの王エコヌヤと、ユダのつかさたちや、職人や、鍛冶屋をエルサレムから捕らえ移し、バビロンに連れて行って後、主は私に示された。見ると、主の宮の前に、二かごのいちじくが置かれている。 + 一つのかごのは非常に良いいちじくで、初なりのいちじくの実のようであり、もう一つのかごのは非常に悪いいちじくで、悪くて食べられないものである。 + そのとき、主が私に、「エレミヤ。あなたは何を見ているのか」と言われたので、私は言った。「いちじくです。良いいちじくは非常に良く、悪いのは非常に悪く、悪くて食べられないものです。」 + すると、私に次のような主のことばがあった。 + 「イスラエルの神、主は、こう仰せられる。この良いいちじくのように、わたしは、この所からカルデヤ人の地に送ったユダの捕囚の民を良いものにしようと思う。 + わたしは、良くするために彼らに目をかけて、彼らをこの国に帰らせ、彼らを建て直し、倒れないように植えて、もう引き抜かない。 + また、わたしは彼らに、わたしが主であることを知る心を与える。彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。彼らが心を尽くしてわたしに立ち返るからである。 + しかし、悪くて食べられないあの悪いいちじくのように、――まことに主はこう仰せられる――わたしは、ユダの王ゼデキヤと、そのつかさたち、エルサレムの残りの者と、この国に残されている者、およびエジプトの国に住みついている者とを、このようにする。 + わたしは彼らを地のすべての王国のおののき、悩みとし、また、わたしが追い散らすすべての所で、そしり、物笑いの種、なぶりもの、のろいとする。 + わたしは彼らのうちに、剣と、ききんと、疫病を送り、彼らとその先祖に与えた地から彼らを滅ぼし尽くす。」 + + + ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの第四年、すなわち、バビロンの王ネブカデレザルの元年に、ユダの民全体についてエレミヤにあったみことば。 + これを預言者エレミヤは、ユダの民全体とエルサレムの全住民に語って言った。 + アモンの子、ユダの王ヨシヤの第十三年から今日まで、この二十三年間、私に主のことばがあり、私はあなたがたに絶えず、しきりに語りかけたのに、あなたがたは聞かなかった。 + また、主はあなたがたに、主のしもべである預言者たちを早くからたびたび送ったのに、あなたがたは聞かず、聞こうと耳を傾けることもなかった。 + 主は仰せられた。「さあ、おのおの、悪の道から、あなたがたの悪い行いから立ち返り、主があなたがたと先祖たちに与えた土地で、いつまでも、とこしえに住め。 + ほかの神々に従い、それに仕え、それを拝んではならない。あなたがたが手で造った物によって、わたしの怒りを引き起こしてはならない。そうでないと、わたしもあなたがたにわざわいを与える。 + それでも、あなたがたはわたしに聞き従わなかった。――主の御告げ――それで、あなたがたは手で造った物でわたしの怒りを引き起こし、身にわざわいを招いた。」 + それゆえ、万軍の主はこう仰せられる。「あなたがたがわたしのことばに聞き従わなかったために、 + 見よ、わたしは北のすべての種族を呼び寄せる。――主の御告げ――すなわち、わたしのしもべバビロンの王ネブカデレザルを呼び寄せて、この国と、その住民と、その回りのすべての国々とを攻めさせ、これを聖絶して、恐怖とし、あざけりとし、永遠の廃墟とする。 + わたしは彼らの楽しみの声と喜びの声、花婿の声と花嫁の声、ひき臼の音と、ともしびの光を消し去る。 + この国は全部、廃墟となって荒れ果て、これらの国々はバビロンの王に七十年仕える。 + 七十年の終わりに、わたしはバビロンの王とその民、――主の御告げ――またカルデヤ人の地を、彼らの咎のゆえに罰し、これを永遠に荒れ果てた地とする。 + わたしは、この国について語ったすべてのことば、すなわち、エレミヤが万国について預言し、この書にしるされている事をみな、この地にもたらす。 + 多くの国々と大王たちが彼らを奴隷に使い、わたしも彼らに、そのしわざに応じ、その手のわざに応じて報いよう。」 + まことにイスラエルの神、主は、私にこう仰せられた。「この憤りのぶどう酒の杯をわたしの手から取り、わたしがあなたを遣わすすべての国々に、これを飲ませよ。 + 彼らは飲んで、ふらつき、狂ったようになる。わたしが彼らの間に送る剣のためである。」 + そこで、私は主の御手からその杯を取り、主が私を遣わされたすべての国々に飲ませた。 + エルサレムとユダの町々とその王たち、つかさたちに。――彼らを今日のように廃墟とし、恐怖とし、あざけりとし、のろいとするためであった。―― + エジプトの王パロと、その家来たち、つかさたち、すべての民に、 + すべての混血の民、ウツの地のすべての王たち、ペリシテ人の地のすべての王たち――アシュケロン、ガザ、エクロン、アシュドデの残りの者――に、 + エドム、モアブ、アモン人に、 + ツロのすべての王たち、シドンのすべての王たち、海のかなたにある島の王たちに、 + デダン、テマ、ブズ、こめかみを刈り上げているすべての者に、 + アラビヤのすべての王たち、荒野に住む混血の民のすべての王たちに、 + ジムリのすべての王たち、エラムのすべての王たち、メディヤのすべての王たちに、 + 北国のすべての王たち、近い者も遠い者もひとりひとりに、地上のすべての王国に飲ませ、彼らのあとでバビロンの王が飲む。 + 「あなたは彼らに言え。『イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。飲んで酔い、へどを吐いて倒れよ。起き上がるな。わたしがあなたがたの間に剣を送るからだ。』 + もし、彼らが、あなたの手からその杯を取って飲もうとしなければ、彼らに言え。『万軍の主はこう仰せられる。あなたがたは必ず飲まなければならない。 + 見よ。わたしの名がつけられているこの町にも、わたしはわざわいを与え始めているからだ。あなたがたが、どんなに罰を免れようとしても、免れることはできない。わたしが、この地の全住民の上に、剣を呼び寄せているからだ。――万軍の主の御告げ――』 + あなたは彼らにこのすべてのことばを預言して、言え。/『主は高い所から叫び、その聖なる御住まいから声をあげられる。/その牧場に向かって大声で叫び、酒ぶねを踏む者のように、地の全住民に向かって叫び声をあげられる。 + その騒ぎは地の果てまでも響き渡る。/主が諸国の民と争い、すべての者をさばき、悪者どもを剣に渡されるからだ。/――主の御告げ―― + 万軍の主はこう仰せられる。/見よ。わざわいが国から国へと移り行き、大暴風が地の果てから起こる。 + その日、主に殺される者が地の果てから地の果てまでに及び、彼らはいたみ悲しまれることなく、集められることなく、葬られることもなく、地面の肥やしとなる。』」 + 牧者たちよ。泣きわめけ。/群れのあるじたちよ。灰の中にころげ回れ。/あなたがたがほふられ、あなたがたが散らされる日が来たからだ。/あなたがたは美しい雄羊のように倒れる。 + 逃げ場は牧者たちから、のがれ場は群れのあるじたちから消えうせる。 + 聞け。牧者たちの叫び、群れのあるじたちの泣き声を。/主が彼らの牧場を荒らしておられるからだ。 + 平和な牧場も、主の燃える怒りによって荒れすたれる。 + 主は、若獅子のように、仮庵を捨てた。/主の燃える剣、主の燃える怒りによって、彼らの国が荒れ果てるからだ。 + + + ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの治世の初めに、主から次のようなことばがあった。 + 「主はこう仰せられる。主の宮の庭に立ち、主の宮に礼拝しに来るユダのすべての町の者に、わたしがあなたに語れと命じたことばを残らず語れ。一言も省くな。 + 彼らがそれを聞いて、それぞれ悪の道から立ち返るかもしれない。そうすれば、わたしは、彼らの悪い行いのために彼らに下そうと考えていたわざわいを思い直そう。 + だから彼らに言え。『主はこう仰せられる。もし、あなたがたがわたしに聞き従わず、あなたがたの前に置いたわたしの律法に歩まず、 + わたしがあなたがたに早くからたびたび送っているわたしのしもべである預言者たちのことばに聞き従わないなら、――あなたがたは聞かなかった―― + わたしはこの宮をシロのようにし、この町を地の万国ののろいとする。』」 + 祭司と預言者とすべての民は、エレミヤがこのことばを主の宮で語っているのを聞いた。 + 主がすべての民に語れと命じたことをみな、エレミヤが語り終えたとき、祭司と預言者とすべての民は彼を捕らえて言った。「あなたは必ず死ななければならない。 + なぜ、主の御名により、この宮がシロのようになり、この町もだれも住む者のいない廃墟となると言って預言したのか。」こうしてすべての民がエレミヤを攻撃しに、主の宮に集まった。 + ユダの首長たちはこれらのことを聞いて、王宮から主の宮に上り、主の宮の新しい門の入口にすわった。 + 祭司や預言者たちは、首長たちやすべての民に次のように言った。「この者は死刑に当たる。彼がこの町に対して、あなたがたが自分の耳で聞いたとおりの預言をしたからだ。」 + エレミヤは、すべての首長とすべての民に告げてこう言った。「主が、あなたがたの聞いたすべてのことばを、この宮とこの町に対して預言するよう、私を遣わされたのです。 + さあ、今、あなたがたの行いとわざを改め、あなたがたの神、主の御声に聞き従いなさい。そうすれば、主も、あなたがたに語ったわざわいを思い直されるでしょう。 + このとおり、私はあなたがたの手の中にあります。私をあなたがたがよいと思うよう、正しいと思うようにしなさい。 + ただ、もしあなたがたが私を殺すなら、あなたがた自身が罪のない者の血の報いを、自分たちと、この町と、その住民とに及ぼすのだということを、はっきり知っていてください。なぜなら、ほんとうに主が、私をあなたがたのもとに送り、あなたがたの耳にこれらすべてのことばを語らせたのですから。」 + すると、首長たちとすべての民は、祭司や預言者たちに言った。「この人は死刑に当たらない。私たちの神、主の名によって、彼は私たちに語ったのだから。」 + それで、その地の長老たちの幾人かが立って、民の全集団に語って言った。 + 「かつてモレシェテ人ミカも、ユダの王ヒゼキヤの時代に預言して、ユダのすべての民に語って言ったことがある。/『万軍の主はこう仰せられる。/シオンは畑のように耕され、エルサレムは廃墟となり、この宮の山は森の丘となる。』 + そのとき、ユダの王ヒゼキヤとユダのすべての人は彼を殺しただろうか。ヒゼキヤが主を恐れ、主に願ったので、主も彼らに語ったわざわいを思い直されたではないか。ところが、私たちはわが身に大きなわざわいを招こうとしている。」 + ほかにも主の名によって預言している人がいた。すなわち、キルヤテ・エアリムの出のシェマヤの子ウリヤで、彼はこの町とこの国に対して、エレミヤのことばと全く同じような預言をしていた。 + エホヤキム王と、そのすべての勇士や、首長たちは、彼のことばを聞いた。王は彼を殺そうとしたが、ウリヤはこれを聞いて恐れ、エジプトへ逃げて行った。 + そこでエホヤキム王は人々をエジプトにやった。すなわち、アクボルの子エルナタンに人々を同行させて、エジプトに送った。 + 彼らはウリヤをエジプトから連れ出し、エホヤキム王のところに連れて来たので、王は彼を剣で打ち殺し、そのしかばねを共同墓地に捨てさせた。 + しかし、シャファンの子アヒカムはエレミヤをかばい、エレミヤが民の手に渡されて殺されないようにした。 + + + ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの治世の初めに、主からエレミヤに次のようなことばがあった。 + 主は私にこう仰せられる。「あなたはなわとかせとを作り、それをあなたの首につけよ。 + そうして、エルサレムのユダの王ゼデキヤのところに来る使者たちによって、エドムの王、モアブの王、アモン人の王、ツロの王、シドンの王に伝言を送り、 + 彼らがそれぞれの主君に次のことを言うように命じよ。『イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。あなたがたは主君にこう言え。 + わたしは、大いなる力と、伸ばした腕とをもって、地と、地の面にいる人間と獣を造った。それで、わたしの見る目にかなった者に、この地を与えるのだ。 + 今、わたしは、これらすべての国をわたしのしもべ、バビロンの王ネブカデネザルの手に与え、野の獣も彼に与えて仕えさせる。 + ――彼の国に時が来るまで、すべての国は、彼と、その子と、その子の子に仕えよう。しかし時が来ると、多くの民や大王たちが彼を自分たちの奴隷とする。―― + バビロンの王ネブカデネザルに仕えず、またバビロンの王のくびきに首を差し出さない民や王国があれば、わたしはその民を剣と、ききんと、疫病で罰し、――主の御告げ――彼らを彼の手で皆殺しにする。 + だから、あなたがたは、バビロンの王に仕えることはない、と言っているあなたがたの預言者、占い師、夢見る者、卜者、呪術者に聞くな。 + 彼らは、あなたがたに偽りを預言しているからだ。それで、あなたがたは、あなたがたの土地から遠くに移され、わたしはあなたがたを追い散らして、あなたがたが滅びるようにする。 + しかし、バビロンの王のくびきに首を差し出して彼に仕える民を、わたしはその土地にいこわせる。――主の御告げ――こうして、その土地を耕し、その中に住む。』」 + ユダの王ゼデキヤにも、私はこのことばのとおりに語って言った。「あなたがたはバビロンの王のくびきに首を差し出し、彼とその民に仕えて生きよ。 + どうして、あなたとあなたの民は、バビロンの王に仕えない国について主が語られたように、剣とききんと疫病で死んでよかろうか。 + 『バビロンの王に仕えることはない』とあなたがたに語る預言者たちのことばに聞くな。彼らはあなたがたに偽りを預言しているからだ。」 + 「わたしは彼らを遣わさなかったのに、――主の御告げ――彼らは、わたしの名によって偽りを預言している。それでわたしはあなたがたを追い散らし、あなたがたも、あなたがたに預言している預言者たちも滅びるようにする。」 + 私はまた、祭司たちとこのすべての民に語って言った。「主はこう仰せられた。『見よ。主の宮の器は、今すみやかにバビロンから持ち帰られる』と言って、あなたがたに預言しているあなたがたの預言者のことばに聞いてはならない。彼らはあなたがたに、偽りを預言しているからだ。 + 彼らに聞くな。バビロンの王に仕えて生きよ。どうして、この町が廃墟となってよかろうか。 + もし彼らが預言者であり、もし彼らに主のことばがあるのなら、彼らは、主の宮や、ユダの王の家や、エルサレムに残されている器がバビロンに持って行かれないよう、万軍の主にとりなしの祈りをするはずだ。 + まことに万軍の主は、宮の柱や、海や、車輪つきの台や、そのほかのこの町に残されている器について、こう仰せられる。 + ――これらの物は、バビロンの王ネブカデネザルがエホヤキムの子、ユダの王エコヌヤ、およびユダとエルサレムのすべてのおもだった人々をエルサレムからバビロンへ引いて行ったときに、携えて行かなかったものである。―― + まことに、イスラエルの神、万軍の主は、主の宮とユダの王の家とエルサレムとに残された器について、こう仰せられる。 + 『それらはバビロンに運ばれて、わたしがそれを顧みる日まで、そこにある。――主の御告げ――そうして、わたしは、それらを携え上り、この所に帰らせる。』」 + + + その同じ年、すなわち、ユダの王ゼデキヤの治世の初め、第四年の第五の月に、ギブオンの出の預言者、アズルの子ハナヌヤが、主の宮で、祭司たちとすべての民の前で、私に語って言った。 + 「イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。わたしは、バビロンの王のくびきを打ち砕く。 + 二年のうちに、わたしは、バビロンの王ネブカデネザルがこの所から取って、バビロンに運んだ主の宮のすべての器をこの所に帰らせる。 + バビロンに行ったエホヤキムの子、ユダの王エコヌヤと、ユダのすべての捕囚の民も、わたしはこの所に帰らせる。――主の御告げ――わたしがバビロンの王のくびきを打ち砕くからだ。」 + そこで預言者エレミヤは、主の宮に立っている祭司たちや、すべての民の前で、預言者ハナヌヤに言った。 + 預言者エレミヤは言った。「アーメン。そのとおりに主がしてくださるように。あなたが預言したことばを主が成就させ、主の宮の器と、すべての捕囚の民がバビロンからこの所に帰って来るように。 + しかし、私があなたの耳と、すべての民の耳に語っているこのことばを聞きなさい。 + 昔から、私と、あなたの先に出た預言者たちは、多くの国と大きな王国について、戦いとわざわいと疫病とを預言した。 + 平安を預言する預言者については、その預言者のことばが成就して初めて、ほんとうに主が遣わされた預言者だ、と知られるのだ。」 + しかし預言者ハナヌヤは、預言者エレミヤの首から例のかせを取り、それを砕いた。 + そしてハナヌヤは、すべての民の前でこう言った。「主はこう仰せられる。『このとおり、わたしは二年のうちに、バビロンの王ネブカデネザルのくびきを、すべての国の首から砕く。』」そこで、預言者エレミヤは立ち去った。 + 預言者ハナヌヤが預言者エレミヤの首からかせを取ってこれを砕いて後、エレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「行って、ハナヌヤに次のように言え。『主はこう仰せられる。あなたは木のかせを砕いたが、その代わりに、鉄のかせを作ることになる。 + まことに、イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。わたしは鉄のくびきをこれらすべての国の首にはめて、バビロンの王ネブカデネザルに仕えさせる。それで彼らは彼に仕える。野の獣まで、わたしは彼に与えた。』」 + そこで預言者エレミヤは、預言者ハナヌヤに言った。「ハナヌヤ。聞きなさい。主はあなたを遣わされなかった。あなたはこの民を偽りに拠り頼ませた。 + それゆえ、主はこう仰せられる。『見よ。わたしはあなたを地の面から追い出す。ことし、あなたは死ぬ。主への反逆をそそのかしたからだ。』」 + 預言者ハナヌヤはその年の第七の月に死んだ。 + + + 預言者エレミヤは、ネブカデネザルがエルサレムからバビロンへ引いて行った捕囚の民、長老たちで生き残っている者たち、祭司たち、預言者たち、およびすべての民に、エルサレムから手紙を送ったが、そのことばは次のとおりである。 + ――これは、エコヌヤ王と王母と宦官たち、ユダとエルサレムの貴族たち、職人と鍛冶屋たちが、エルサレムを出て後、 + ユダの王ゼデキヤがバビロンの王ネブカデネザルのもとに、バビロンへ遣わした、シャファンの子エルアサとヒルキヤの子ゲマルヤの手に託したもので、次のように言っている―― + イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。「エルサレムからバビロンへわたしが引いて行かせたすべての捕囚の民に。 + 家を建てて住みつき、畑を作って、その実を食べよ。 + 妻をめとって、息子、娘を生み、あなたがたの息子には妻をめとり、娘には夫を与えて、息子、娘を産ませ、そこでふえよ。減ってはならない。 + わたしがあなたがたを引いて行ったその町の繁栄を求め、そのために主に祈れ。そこの繁栄は、あなたがたの繁栄になるのだから。」 + まことに、イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。「あなたがたのうちにいる預言者たちや、占い師たちにごまかされるな。あなたがたが夢を見させている、あなたがたの夢見る者の言うことを聞くな。 + なぜなら、彼らはわたしの名を使って偽りをあなたがたに預言しているのであって、わたしが彼らを遣わしたのではないからだ。――主の御告げ――」 + まことに、主はこう仰せられる。「バビロンに七十年の満ちるころ、わたしはあなたがたを顧み、あなたがたにわたしの幸いな約束を果たして、あなたがたをこの所に帰らせる。 + わたしはあなたがたのために立てている計画をよく知っているからだ。――主の御告げ――それはわざわいではなくて、平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ。 + あなたがたがわたしを呼び求めて歩き、わたしに祈るなら、わたしはあなたがたに聞こう。 + もし、あなたがたが心を尽くしてわたしを捜し求めるなら、わたしを見つけるだろう。 + わたしはあなたがたに見つけられる。――主の御告げ――わたしは、あなたがたの繁栄を元どおりにし、わたしがあなたがたを追い散らした先のすべての国々と、すべての場所から、あなたがたを集める。――主の御告げ――わたしはあなたがたを引いて行った先から、あなたがたをもとの所へ帰らせる。」 + あなたがたは、「主は私たちのために、バビロンでも預言者を起こされた」と言っているが、 + まことに、主は、ダビデの王座に着いている王と、この町に住んでいるすべての民と、捕囚としてあなたがたといっしょに出て行かなかったあなたがたの兄弟について、こう仰せられる。 + 万軍の主はこう仰せられる。「見よ。わたしは彼らの中に、剣とききんと疫病を送り、彼らを悪くて食べられない割れたいちじくのようにする。 + わたしは剣とききんと疫病で彼らを追い、彼らを、地のすべての王国のおののきとし、わたしが彼らを追い散らしたすべての国の間で、のろいとし、恐怖とし、あざけりとし、そしりとする。 + 彼らがわたしのことばを聞かなかったからだ。――主の御告げ――わたしが彼らにわたしのしもべである預言者たちを早くからたびたび送ったのに、あなたがたが聞かなかったからだ。――主の御告げ―― + わたしがエルサレムからバビロンへ送ったすべての捕囚の民よ。主のことばを聞け。」 + イスラエルの神、万軍の主は、わたしの名によってあなたがたに偽りを預言している者であるコラヤの子アハブと、マアセヤの子ゼデキヤについて、こう仰せられる。「見よ。わたしは彼らを、バビロンの王ネブカデレザルの手に渡す。彼はあなたがたの目の前で、彼らを打ち殺す。 + バビロンにいるユダの捕囚の民はみな、のろうときに彼らの名を使い、『主がおまえをバビロンの王が火で焼いたゼデキヤやアハブのようにされるように』と言うようになる。 + それは、彼らがイスラエルのうちで、恥ずべきことを行い、隣人の妻たちと姦通し、わたしの命じもしなかった偽りのことばをわたしの名によって語ったからである。わたしはそれを知っており、その証人である。――主の御告げ――」 + あなたはネヘラム人シェマヤに次のように言わなければならない。 + 「イスラエルの神、万軍の主は、次のように仰せられる。あなたは、あなたの名によって、エルサレムにいるすべての民と、マアセヤの子、祭司ゼパニヤ、および、すべての祭司に次のような手紙を送った。 + 『主は、祭司エホヤダの代わりに、あなたを祭司とされましたが、それは、あなたを主の宮の監督者に任じて、すべて狂って預言をする者に備え、そういう者に足かせや、首かせをはめるためでした。 + それなのに、なぜ、今あなたは、あなたがたに預言しているアナトテ人エレミヤを責めないのですか。 + それで、彼はバビロンの私たちのところに使いをよこして、それは長く続く。家を建てて住みつき、畑を作ってその実を食べなさいと、言わせたのです。』」 + ――祭司ゼパニヤがこの手紙を預言者エレミヤに読んで聞かせたとき、 + エレミヤに次のような主のことばがあった。―― + 「すべての捕囚の民に言い送れ。主はネヘラム人シェマヤにこう仰せられる。わたしはシェマヤを遣わさなかったのに、シェマヤがあなたがたに預言し、あなたがたを偽りに拠り頼ませた。 + それゆえ、主はこう仰せられる。『見よ。わたしはネヘラム人シェマヤと、その子孫とを罰する。彼に属する者で、だれもこの民の中に住んで、わたしがわたしの民に行おうとしている良いことを見る者はいない。――主の御告げ――彼が主に対する反逆をそそのかしたからである。』」 + + + 主からエレミヤにあったみことばは、次のとおりである。 + イスラエルの神、主はこう仰せられる。「わたしがあなたに語ったことばをみな、書物に書きしるせ。 + 見よ。その日が来る。――主の御告げ――その日、わたしは、わたしの民イスラエルとユダの繁栄を元どおりにすると、主は言う。わたしは彼らをその先祖たちに与えた地に帰らせる。彼らはそれを所有する。」 + 主がイスラエルとユダについて語られたことばは次のとおりである。 + まことに主はこう仰せられる。/「おののきの声を、われわれは聞いた。/恐怖があって平安はない。 + 男が子を産めるか、さあ、尋ねてみよ。/わたしが見るのに、なぜ、男がみな、産婦のように/腰に手を当てているのか。/なぜ、みなの顔が青く変わっているのか。 + ああ。/その日は大いなる日、比べるものもない日だ。/それはヤコブにも苦難の時だ。/しかし彼はそれから救われる。 + その日になると、――万軍の主の御告げ――わたしは彼らの首のくびきを砕き、彼らのなわめを解く。他国人は二度と彼らを奴隷にしない。 + 彼らは彼らの神、主と、わたしが彼らのために立てる彼らの王ダビデに仕えよう。 + わたしのしもべヤコブよ。恐れるな。/――主の御告げ――/イスラエルよ。おののくな。/見よ。わたしが、あなたを遠くから、あなたの子孫を捕囚の地から、救うからだ。/ヤコブは帰って来て、平穏に安らかに生き、おびえさせる者はだれもいない。 + わたしがあなたとともにいて、――主の御告げ――/あなたを救うからだ。/わたしは、あなたを散らした先の/すべての国々を滅ぼし尽くすからだ。/しかし、わたしはあなたを滅ぼし尽くさない。/公義によって、あなたを懲らしめ、あなたを罰せずにおくことは決してないが。」 + まことに主はこう仰せられる。/「あなたの傷はいやしにくく、あなたの打ち傷は痛んでいる。 + あなたの訴えを弁護する者もなく、はれものに薬をつけて、あなたをいやす者もいない。 + あなたの恋人はみな、あなたを忘れ、あなたを尋ねようともしない。/わたしが、敵を打つようにあなたを打ち、ひどい懲らしめをしたからだ。/あなたの咎が大きく、あなたの罪が重いために。 + なぜ、あなたは自分の傷のために叫ぶのか。/あなたの痛みは直らないのか。/あなたの咎が大きく、あなたの罪が重いため、わたしはこれらの事を、あなたにしたのだ。 + しかし、あなたを食う者はみな、かえって食われ、あなたの敵はみな、とりことなって行き、あなたから略奪した者は、略奪され、あなたをかすめ奪った者は、わたしがみな獲物として与える。 + わたしがあなたの傷を直し、あなたの打ち傷をいやすからだ。/――主の御告げ――/あなたが、捨てられた女、だれも尋ねて来ないシオン、と呼ばれたからだ。」 + 主はこう仰せられる。/「見よ。/わたしはヤコブの天幕の繁栄を元どおりにし、その住まいをあわれもう。/町はその廃墟の上に建て直され、宮殿は、その定められている所に建つ。 + 彼らの中から、感謝と、喜び笑う声がわき出る。/わたしは人をふやして減らさず、彼らを尊くして、軽んじられないようにする。 + その子たちは昔のようになり、その会衆はわたしの前で堅く立てられる。/わたしはこれを圧迫する者をみな罰する。 + その権力者は、彼らのうちのひとり、その支配者はその中から出る。/わたしは彼を近づけ、彼はわたしに近づく。/わたしに近づくためにいのちをかける者は、いったいだれなのか。――主の御告げ―― + あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる。」 + 見よ。主の暴風、――憤り――/吹きつける暴風が起こり、悪者の頭上にうずを巻く。 + 主の燃える怒りは、御心の思うところを行って、成し遂げるまで/去ることはない。/終わりの日に、あなたがたはそれを悟ろう。 + + + 「その時、――主の御告げ――わたしはイスラエルのすべての部族の神となり、彼らはわたしの民となる。」 + 主はこう仰せられる。「剣を免れて生き残った民は荒野で恵みを得た。イスラエルよ。出て行って休みを得よ。」 + 主は遠くから、私に現れた。/「永遠の愛をもって、わたしはあなたを愛した。/それゆえ、わたしはあなたに、誠実を尽くし続けた。 + おとめイスラエルよ。/わたしは再びあなたを建て直し、あなたは建て直される。/再びあなたはタンバリンで身を飾り、喜び笑う者たちの踊りの輪に出て行こう。 + 再びあなたはサマリヤの山々に/ぶどう畑を作り、植える者たちは植えて、その実を食べることができる。 + エフライムの山では見張る者たちが、『さあ、シオンに上って、私たちの神、主のもとに行こう』と/呼ばわる日が来るからだ。」 + まことに主はこう仰せられる。/「ヤコブのために喜び歌え。/国々のかしらのために叫べ。/告げ知らせ、賛美して、言え。/『主よ。あなたの民を救ってください。/イスラエルの残りの者を。』 + 見よ。わたしは彼らを北の国から連れ出し、地の果てから彼らを集める。/その中には目の見えない者も足のなえた者も、妊婦も産婦も共にいる。/彼らは大集団をなして、ここに帰る。 + 彼らは泣きながらやって来る。/わたしは彼らを、慰めながら連れ戻る。/わたしは彼らを、水の流れのほとりに導き、彼らは平らな道を歩いて、つまずかない。/わたしはイスラエルの父となろう。/エフライムはわたしの長子だから。」 + 諸国の民よ。主のことばを聞け。/遠くの島々に告げ知らせて言え。/「イスラエルを散らした者がこれを集め、牧者が群れを飼うように、これを守る」と。 + 主はヤコブを贖い、ヤコブより強い者の手から、これを買い戻されたからだ。 + 彼らは来て、シオンの丘で喜び歌い、穀物と新しいぶどう酒とオリーブ油と、羊の子、牛の子とに対する主の恵みに喜び輝く。/彼らのたましいは潤った園のようになり、もう再び、しぼむことはない。 + そのとき、若い女は踊って楽しみ、若い男も年寄りも共に楽しむ。/「わたしは彼らの悲しみを喜びに変え、彼らの憂いを慰め、楽しませる。 + また祭司のたましいを髄で飽かせ、わたしの民は、わたしの恵みに満ち足りる。/――主の御告げ――」 + 主はこう仰せられる。「聞け。ラマで聞こえる。苦しみの嘆きと泣き声が。ラケルがその子らのために泣いている。慰められることを拒んで。子らがいなくなったので、その子らのために泣いている。」 + 主はこう仰せられる。/「あなたの泣く声をとどめ、目の涙をとどめよ。/あなたの労苦には報いがあるからだ。/――主の御告げ――/彼らは敵の国から帰って来る。 + あなたの将来には望みがある。/――主の御告げ――/あなたの子らは自分の国に帰って来る。 + わたしは、エフライムが嘆いているのを/確かに聞いた。/『あなたが私を懲らしめられたので、くびきに慣れない子牛のように、私は懲らしめを受けました。/私を帰らせてください。/そうすれば、帰ります。/主よ。あなたは私の神だからです。 + 私は、そむいたあとで、悔い、悟って後、ももを打ちました。/私は恥を見、はずかしめを受けました。/私の若いころのそしりを/負っているからです』と。 + エフライムは、わたしの大事な子なのだろうか。/それとも、喜びの子なのだろうか。/わたしは彼のことを語るたびに、いつも必ず彼のことを思い出す。/それゆえ、わたしのはらわたは/彼のためにわななき、わたしは彼をあわれまずにはいられない。/――主の御告げ―― + あなたは自分のために標柱を立て、道しるべを置き、あなたの歩んだ道の大路に心を留めよ。/おとめイスラエルよ。帰れ。/これら、あなたの町々に帰れ。 + 裏切り娘よ。いつまで迷い歩くのか。/主は、この国に、一つの新しい事を創造される。/ひとりの女がひとりの男を抱こう。」 + イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。「わたしが彼らの繁栄を元どおりにするとき、彼らは再び次のことばを、ユダの国とその町々で語ろう。『義の住みか、聖なる山よ。主があなたを祝福されるように。』 + ユダと、そのすべての町の者は、そこに住み、農夫も、群れを連れて旅する者も、そこに住む。 + わたしが疲れたたましいを潤し、すべてのしぼんだたましいを満たすからだ。 + ――ここで、私は目ざめて、見渡した。私の眠りはここちよかった。―― + 見よ。その日が来る。――主の御告げ――その日、わたしは、イスラエルの家とユダの家に、人間の種と家畜の種を蒔く。 + かつてわたしが、引き抜き、引き倒し、こわし、滅ぼし、わざわいを与えようと、彼らを見張っていたように、今度は、彼らを建て直し、また植えるために見守ろう。――主の御告げ―― + その日には、彼らはもう、『父が酸いぶどうを食べたので、子どもの歯が浮く』とは言わない。 + 人はそれぞれ自分の咎のために死ぬ。だれでも、酸いぶどうを食べる者は歯が浮くのだ。 + 見よ。その日が来る。――主の御告げ――その日、わたしは、イスラエルの家とユダの家とに、新しい契約を結ぶ。 + その契約は、わたしが彼らの先祖の手を握って、エジプトの国から連れ出した日に、彼らと結んだ契約のようではない。わたしは彼らの主であったのに、彼らはわたしの契約を破ってしまった。――主の御告げ―― + 彼らの時代の後に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこうだ。――主の御告げ――わたしはわたしの律法を彼らの中に置き、彼らの心にこれを書きしるす。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。 + そのようにして、人々はもはや、『主を知れ』と言って、おのおの互いに教えない。それは、彼らがみな、身分の低い者から高い者まで、わたしを知るからだ。――主の御告げ――わたしは彼らの咎を赦し、彼らの罪を二度と思い出さないからだ。」 + 主はこう仰せられる。/主は太陽を与えて昼間の光とし、月と星を定めて夜の光とし、海をかき立てて波を騒がせる方、その名は万軍の主。 + 「もし、これらの定めがわたしの前から/取り去られるなら、――主の御告げ――/イスラエルの子孫も、絶え、いつまでもわたしの前で/一つの民をなすことはできない。」 + 主はこう仰せられる。/「もし、上の天が測られ、下の地の基が探り出されるなら、わたしも、イスラエルのすべての子孫を、彼らの行ったすべての事のために退けよう。/――主の御告げ―― + 見よ。その日が来る。――主の御告げ――その日、この町は、ハナヌエルのやぐらから隅の門まで、主のために建て直される。 + 測りなわは、さらにそれよりガレブの丘に伸び、ゴアのほうに向かう。 + 死体と灰との谷全体、キデロン川と東の方、馬の門の隅までの畑は、みな主に聖別され、もはやとこしえに根こぎにされず、こわされることもない。」 + + + ユダの王ゼデキヤの第十年、すなわち、ネブカデレザルの第十八年に、主からエレミヤにあったみことば。 + そのとき、バビロンの王の軍勢がエルサレムを包囲中で、預言者エレミヤは、ユダの王の家にある監視の庭に監禁されていた。 + 彼が監禁されたのは、ユダの王ゼデキヤがエレミヤに、「なぜ、あなたは預言をするのか」と尋ねたとき、エレミヤが次のように答えたからである。「主はこう仰せられる。『見よ。わたしはこの町をバビロンの王の手に渡す。それで、彼はこれを攻め取る。 + ユダの王ゼデキヤは、カルデヤ人の手からのがれることはできない。彼は必ずバビロンの王の手に渡され、彼と口と口で語り、目と目で、彼を見る。 + 彼はまた、ゼデキヤをバビロンへ連れて行く。それでゼデキヤは、わたしが彼を顧みる時まで、そこにいる。――主の御告げ――あなたがたはカルデヤ人と戦っても、勝つことはできない。』」 + そのとき、エレミヤは言った。「私に次のような主のことばがあった。 + 見よ。あなたのおじシャルムの子ハナムエルが、あなたのところに来て、『アナトテにある私の畑を買ってくれ。あなたには買い戻す権利があるのだから』と言おう。 + すると、主のことばのとおり、おじの子ハナムエルが私のところ、監視の庭に来て、私に言った。『どうか、ベニヤミンの地のアナトテにある私の畑を買ってください。あなたには所有権もあり、買い戻す権利もありますから、あなたが買い取ってください。』私は、それが主のことばであると知った。 + そこで私は、おじの子ハナムエルから、アナトテにある畑を買い取り、彼に銀十七シェケルを払った。 + すなわち、証書に署名し、それに封印し、証人を立て、はかりで銀を量り、 + 命令と規則に従って、封印された購入証書と、封印のない証書を取り、 + おじの子ハナムエルと、購入証書に署名した証人たちと、監視の庭に座しているすべてのユダヤ人の前で、購入証書をマフセヤの子ネリヤの子バルクに渡し、 + 彼らの前で、バルクに命じて言った。 + 『イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。これらの証書、すなわち封印されたこの購入証書と、封印のない証書を取って、土の器の中に入れ、これを長い間、保存せよ。 + まことに、イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。再びこの国で、家や、畑や、ぶどう畑が買われるようになるのだ』と。」 + 私は、購入証書をネリヤの子バルクに渡して後、主に祈って言った。 + 「ああ、神、主よ。まことに、あなたは大きな力と、伸ばした御腕とをもって天と地を造られました。あなたには何一つできないことはありません。 + あなたは、恵みを千代にまで施し、先祖の咎をその後の子らのふところに報いる方、偉大な力強い神、その名は万軍の主です。 + おもんぱかりは大きく、みわざは力があり、御目は人の子のすべての道に開いており、人それぞれの生き方にしたがい、行いの結ぶ実にしたがって、すべてに報いをされます。 + あなたは今日まで、エジプトの国で、イスラエルと、人の中で、しるしと不思議を行われ、ご自身の名を、今日のようにされました。 + あなたはまた、御民イスラエルを、しるしと、不思議と、強い御手と、伸べた御腕と、大いなる恐れとをもって、エジプトの国から連れ出し、 + あなたが彼らの先祖に与えると誓われたこの国、乳と蜜の流れる国を彼らに授けられました。 + 彼らは、そこに行って、これを所有しましたが、あなたの声に聞き従わず、あなたの律法に歩まず、あなたが彼らにせよと命じた事を何一つ行わなかったので、あなたは彼らを、このようなあらゆるわざわいに会わせなさいました。 + ご覧ください。この町を攻め取ろうとして、塁が築かれました。この町は、剣とききんと疫病のために、攻めているカルデヤ人の手に渡されようとしています。あなたの告げられた事は成就しました。ご覧のとおりです。 + 神、主よ。あなたはこの町がカルデヤ人の手に渡されようとしているのに、私に、『銀を払ってあの畑を買い、証人を立てよ』と仰せられます。」 + エレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「見よ。わたしは、すべての肉なる者の神、主である。わたしにとってできないことが一つでもあろうか。」 + 「それゆえ、主はこう仰せられる。見よ。わたしはこの町を、カルデヤ人の手と、バビロンの王ネブカデレザルの手に渡す。彼はこれを取ろう。 + また、この町を攻めているカルデヤ人は、来て、この町に火をつけて焼く。また、人々が屋上でバアルに香をたき、ほかの神々に注ぎのぶどう酒を注いで、わたしの怒りを引き起こしたその家々にも火をつけて焼く。 + なぜなら、イスラエルの子らとユダの子らは、若いころから、わたしの目の前に悪のみを行い、イスラエルの子らは、その手のわざをもってわたしの怒りを引き起こすのみであったからだ。――主の御告げ―― + この町は、建てられた日から今日まで、わたしの怒りと憤りを引き起こしてきたので、わたしはこれをわたしの顔の前から取り除く。 + それは、イスラエルの子らとユダの子らが、すなわち彼ら自身と、その王、首長、祭司、預言者が、またユダの人もエルサレムの住民も、わたしの怒りを引き起こすために行った、すべての悪のゆえである。 + 彼らはわたしに、顔ではなくて背を向け、わたしがしきりに彼らに教えるが、聞いて懲らしめを受ける者もなく、 + わたしの名がつけられている宮に忌むべき物を置いて、これを汚し、 + わたしが命じもせず、心に思い浮かべもしなかったことだが、彼らはモレクのために自分の息子、娘をささげて、この忌みきらうべきことを行うために、ベン・ヒノムの谷にバアルの高き所を築き、ユダを迷わせた。」 + それゆえ、今、イスラエルの神、主は、あなたがたが、「剣とききんと疫病により、バビロンの王の手に渡される」と言っているこの町について、こう仰せられる。 + 「見よ。わたしは、わたしの怒りと、憤りと、激怒とをもって散らしたすべての国々から彼らを集め、この所に帰らせ、安らかに住まわせる。 + 彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。 + わたしは、いつもわたしを恐れさせるため、彼らと彼らの後の子らの幸福のために、彼らに一つの心と一つの道を与え、 + わたしが彼らから離れず、彼らを幸福にするため、彼らととこしえの契約を結ぶ。わたしは、彼らがわたしから去らないようにわたしに対する恐れを彼らの心に与える。 + わたしは彼らを幸福にして、彼らをわたしの喜びとし、真実をもって、心を尽くし思いを尽くして、彼らをこの国に植えよう。」 + まことに、主はこう仰せられる。「わたしがこの大きなわざわいをみな、この民にもたらしたように、わたしが彼らに語っている幸福もみな、わたしが彼らにもたらす。 + あなたがたが、『この地は荒れ果てて、人間も家畜もいなくなり、カルデヤ人の手に渡される』と言っているこの国で、再び畑が買われるようになる。 + ベニヤミンの地でも、エルサレム近郊でも、ユダの町々でも、山地の町々でも、低地の町々でも、ネゲブの町々でも、銀で畑が買われ、証書に署名し、封印し、証人を立てるようになる。それは、わたしが彼らの繁栄を元どおりにするからだ。――主の御告げ――」 + + + エレミヤがまだ監視の庭に閉じ込められていたとき、再びエレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「地を造られた主、それを形造って確立させた主、その名は主である方がこう仰せられる。 + わたしを呼べ。そうすれば、わたしは、あなたに答え、あなたの知らない、理解を越えた大いなる事を、あなたに告げよう。 + まことにイスラエルの神、主は、塁と剣で引き倒されるこの町の家々と、ユダの王たちの家々について、こう仰せられる。 + 彼らはカルデヤ人と戦おうとして出て行くが、彼らはわたしの怒りと憤りによって打ち殺されたしかばねをその家々に満たす。それは、彼らのすべての悪のために、わたしがこの町から顔を隠したからだ。 + 見よ。わたしはこの町の傷をいやして直し、彼らをいやして彼らに平安と真実を豊かに示す。 + わたしはユダとイスラエルの繁栄を元どおりにし、初めのように彼らを建て直す。 + わたしは、彼らがわたしに犯したすべての咎から彼らをきよめ、彼らがわたしに犯し、わたしにそむいたすべての咎を赦す。 + この町は世界の国々の間で、わたしにとって喜びの名となり、栄誉となり栄えとなる。彼らはわたしがこの民に与えるすべての祝福のことを聞き、わたしがこの町に与えるすべての祝福と平安のために、恐れおののこう。」 + 主はこう仰せられる。「あなたがたが、『人間も家畜もいなくて廃墟となった』と言っているこの所、人間も住民も家畜もいなくて荒れすたれたユダの町々とエルサレムのちまたで、 + 楽しみの声と喜びの声、花婿の声と花嫁の声、『万軍の主に感謝せよ。主はいつくしみ深く、その恵みはとこしえまで』と言って、主の宮に感謝のいけにえを携えて来る人たちの声が再び聞こえる。それは、わたしがこの国の繁栄を元どおりにし、初めのようにするからだ」と主は仰せられる。 + 万軍の主はこう仰せられる。「人間も家畜もいなくて廃墟となったこの所と、そのすべての町々に、再び、群れを伏させる牧者たちの住まいができる。 + この山の町々でも、低地の町々、ネゲブの町々、ベニヤミンの地、エルサレム近郊、ユダの町々でも、再び群れが、数を数える者の手を通り過ぎる」と主は仰せられる。 + 「見よ。その日が来る。――主の御告げ――その日、わたしは、イスラエルの家とユダの家に語ったいつくしみのことばを成就する。 + その日、その時、わたしはダビデのために正義の若枝を芽ばえさせる。彼はこの国に公義と正義を行う。 + その日、ユダは救われ、エルサレムは安らかに住み、こうしてこの町は、『主は私たちの正義』と名づけられる。」 + まことに主はこう仰せられる。「ダビデには、イスラエルの家の王座に着く人が絶えることはない。 + またレビ人の祭司たちにも、わたしの前で全焼のいけにえをささげ、穀物のささげ物を焼き、いつもいけにえをささげる人が絶えることはない。」 + エレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「主はこう仰せられる。もし、あなたがたが、昼と結んだわたしの契約と、夜と結んだわたしの契約とを破ることができ、昼と夜とが定まった時に来ないようにすることができるなら、 + わたしのしもべダビデと結んだわたしの契約も破られ、彼には、その王座に着く子がいなくなり、わたしに仕えるレビ人の祭司たちとのわたしの契約も破られよう。 + 天の万象が数えきれず、海の砂が量れないように、わたしは、わたしのしもべダビデの子孫と、わたしに仕えるレビ人とをふやす。」 + エレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「あなたは、この民が、『主は選んだ二つの部族を退けた』と言って話しているのを知らないのか。彼らはわたしの民をもはや一つの民ではないとみなして侮っている。」 + 主はこう仰せられる。「もしわたしが昼と夜とに契約を結ばず、天と地との諸法則をわたしが定めなかったのなら、 + わたしは、ヤコブの子孫と、わたしのしもべダビデの子孫とを退け、その子孫の中から、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫を治める者を選ばないようなこともあろう。しかし、わたしは彼らの繁栄を元どおりにし、彼らをあわれむ。」 + + + バビロンの王ネブカデレザルと、その全軍勢、および彼の支配下にある地のすべての王国とすべての国々の民が、エルサレムとそのすべての町々を攻めていたとき、主からエレミヤにあったみことばは、こうである。 + 「イスラエルの神、主は、こう仰せられる。行って、ユダの王ゼデキヤに告げて言え。/主はこう仰せられる。『見よ。わたしはこの町をバビロンの王の手に渡す。彼はこれを火で焼こう。 + あなたはその手からのがれることができない。あなたは必ず捕らえられて、彼の手に渡されるからだ。あなたの目はバビロンの王の目を見、彼の口はあなたの口と語り、あなたはバビロンへ行く。』 + ユダの王ゼデキヤ。ただ、主のことばを聞きなさい。主はあなたについてこう仰せられる。『あなたは剣で死ぬことはない。 + あなたは安らかに死んで、人々は、あなたの先祖たち、あなたの先にいた王たちのために香をたいたように、あなたのためにも香をたき、ああ主君よと言ってあなたをいたむ。このことを語るのはわたしだ。』――主の御告げ――」 + そこで預言者エレミヤは、これらすべてのことばを、エルサレムでユダの王ゼデキヤに語った。 + そのとき、バビロンの王の軍勢は、エルサレムとユダの残されたすべての町、ラキシュとアゼカを攻めていた。これらがユダの町々で城壁のある町として残っていたからである。 + ゼデキヤ王がエルサレムにいるすべての民と契約を結んで、彼らに奴隷の解放を宣言して後、主からエレミヤにあったみことば。 + ――それは各自が、ヘブル人である自分の奴隷や女奴隷を自由の身にし、同胞のユダヤ人を奴隷にしないという契約であった。 + 契約に加入したすべての首長、すべての民は、それぞれ、自分の奴隷や女奴隷を自由の身にして、二度と彼らを奴隷にしないことに同意し、同意してから彼らを去らせた。 + しかし、彼らは、そのあとで心を翻した。そして、いったん自由の身にした奴隷や女奴隷を連れ戻して、彼らを奴隷や女奴隷として使役した。―― + そこで、主からエレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「イスラエルの神、主は、こう仰せられる。『わたしが、あなたがたの先祖をエジプトの国、奴隷の家から連れ出した日に、わたしは彼らと契約を結んで言った。 + 七年の終わりには、各自、自分のところに売られて来た同胞のヘブル人を去らせなければならない。六年の間、あなたに仕えさせ、その後、あなたは彼を自由の身にせよと。しかし、あなたがたの先祖は、わたしに聞かず、耳を傾けなかった。 + しかし、あなたがたは、きょう悔い改め、各自、隣人の解放を告げてわたしが正しいと見ることを行い、わたしの名がつけられているこの家で、わたしの前に契約を結んだ。 + それなのに、あなたがたは心を翻して、わたしの名を汚し、いったん自由の身にした奴隷や女奴隷をかってに連れ戻し、彼らをあなたがたの奴隷や女奴隷として使役した。』 + それゆえ、主はこう仰せられる。『あなたがたはわたしに聞き従わず、各自、自分の同胞や隣人に解放を告げなかったので、見よ、わたしはあなたがたに――主の御告げ――剣と疫病とききんの解放を宣言する。わたしは、あなたがたを地のすべての王国のおののきとする。 + また、わたしの前で結んだ契約のことばを守らず、わたしの契約を破った者たちを、二つに断ち切られた子牛の間を通った者のようにする。 + 二つに分けた子牛の間を通った者は、ユダの首長たち、エルサレムの首長たち、宦官と祭司と一般の全民衆であった。 + わたしは彼らを、敵の手、いのちをねらう者たちの手に渡す。そのしかばねは空の鳥、地の獣のえじきとなる。 + わたしはまた、ユダの王ゼデキヤとそのつかさたちを敵の手、いのちをねらう者たちの手、あなたがたのところから退却したバビロンの王の軍勢の手に渡す。 + 見よ。わたしは命じ、――主の御告げ――彼らをこの町に引き返させる。彼らはこの町を攻め、これを取り、火で焼く。わたしはユダの町々を、住む者もいない荒れ果てた地とする。』」 + + + ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの時代に、主からエレミヤにあったみことばは、こうである。 + 「レカブ人の家に行って、彼らに語り、彼らを主の宮の一室に連れて来て、彼らに酒を飲ませよ。」 + そこで私は、ハバツィヌヤの子エレミヤの子であるヤアザヌヤと、その兄弟と、そのすべての息子と、レカブ人の全家を率い、 + 彼らを主の宮のイグダルヤの子、神の人ハナンの子らの部屋に連れて来た。それは、首長たちの部屋の隣にあり、入口を守る者シャルムの子マアセヤの部屋の上にあった。 + 私は、レカブ人の家の子たちの前に、ぶどう酒を満たしたつぼと杯とを出して、彼らに「酒を飲みなさい」と言った。 + すると彼らは言った。「私たちはぶどう酒を飲みません。それは、私たちの先祖レカブの子ヨナダブが私たちに命じて、『あなたがたも、あなたがたの子らも、永久にぶどう酒を飲んではならない。 + あなたがたは家を建てたり、種を蒔いたり、ぶどう畑を作ったり、また所有したりしてはならない。あなたがたが寄留している地の面に末長く生きるために、一生、天幕に住め』と言ったからです。 + それで、私たちは、私たちの先祖レカブの子ヨナダブが私たちに命じたすべての命令に聞き従い、私たちも、妻も、息子、娘たちも、一生、ぶどう酒を飲まず、 + 住む家も建てず、ぶどう畑も、畑も、種も持ちません。 + 私たちは天幕に住み、すべて先祖ヨナダブが私たちに命じたとおりに、聞いて行ってきました。 + しかし、バビロンの王ネブカデレザルがこの国に攻め上ったとき、私たちは『さあ、カルデヤの軍勢とアラムの軍勢を避けてエルサレムに行こう』と言って、エルサレムに住んだのです。」 + そこで、エレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。行って、ユダの人とエルサレムの住民に言え。『あなたがたはわたしのことばを聞いて懲らしめを受けようとしないのか。――主の御告げ―― + レカブの子ヨナダブが、酒を飲むなと子らに命じた命令は守られた。彼らは先祖の命令に聞き従ったので、今日まで飲まなかった。ところが、わたしがあなたがたにたびたび語っても、あなたがたはわたしに聞かなかった。 + わたしはあなたがたに、わたしのしもべであるすべての預言者たちを早くからたびたび送って、さあ、おのおの悪の道から立ち返り、行いを改めよ。ほかの神々を慕ってそれに仕えてはならない。わたしがあなたがたと先祖たちに与えた土地に住めと言ったのに、あなたがたは耳を傾けず、わたしに聞かなかった。 + レカブの子ヨナダブの子たちは、先祖が命じた命令を守ってきたのに、この民はわたしに聞かなかった。』 + それゆえ、イスラエルの神、万軍の神、主は、こう仰せられる。『見よ。わたしはユダと、エルサレムの全住民に、わたしが彼らについて語ったすべてのわざわいを下す。わたしが彼らに語ったのに、彼らが聞かず、わたしが彼らに呼びかけたのに、彼らが答えなかったからだ。』」 + エレミヤはレカブ人の家の者に言った。「イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。『あなたがたは、先祖ヨナダブの命令に聞き従い、そのすべての命令を守り、すべて彼があなたがたに命じたとおりに行った。』 + それゆえ、イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。『レカブの子、ヨナダブには、いつも、わたしの前に立つ人が絶えることはない。』」 + + + ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの第四年に、主からエレミヤに次のようなみことばがあった。 + 「あなたは巻き物を取り、わたしがあなたに語った日、すなわちヨシヤの時代から今日まで、わたしがイスラエルとユダとすべての国々について、あなたに語ったことばをみな、それに書きしるせ。 + ユダの家は、わたしが彼らに下そうと思っているすべてのわざわいを聞いて、それぞれ悪の道から立ち返るかもしれない。そうすれば、わたしも、彼らの咎と罪とを赦すことができる。」 + それでエレミヤは、ネリヤの子バルクを呼んだ。バルクはエレミヤの口述に従って、彼に語られた主のことばを、ことごとく巻き物に書きしるした。 + そしてエレミヤは、バルクに命じて言った。「私は閉じ込められていて、主の宮に行けない。 + だから、あなたが行って、主の宮で、断食の日に、あなたが私の口述によって巻き物に書きしるした主のことばを、民の耳に読み聞かせ、また町々から来るユダ全体の耳にもそれを読み聞かせよ。 + そうすれば、彼らは主の前に祈願をささげ、それぞれ悪の道から立ち返るかもしれない。主がこの民に語られた怒りと憤りは大きいからである。」 + そこでネリヤの子バルクは、すべて預言者エレミヤが命じたとおりに、主の宮で主のことばの巻き物を読んだ。 + ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの第五年、第九の月、エルサレムのすべての民と、ユダの町々からエルサレムに来ているすべての民に、主の前での断食が布告された。 + そのとき、バルクは、主の宮の、書記シャファンの子ゲマルヤの部屋で、――その部屋は主の宮の新しい門の入口にある上の庭にあった――すべての民に聞こえるように、その書物からエレミヤのことばを読んだ。 + シャファンの子ゲマルヤの子ミカヤは、その書物にあるすべての主のことばを聞き、 + 王宮の、書記の部屋に下ったが、ちょうど、そこには、すべての首長たちがすわっていた。すなわち書記エリシャマ、シェマヤの子デラヤ、アクボルの子エルナタン、シャファンの子ゲマルヤ、ハナヌヤの子ゼデキヤ、およびすべての首長たちである。 + ミカヤは、バルクがあの巻き物を民に読んで聞かせたときに聞いたすべてのことばを彼らに告げた。 + すべての首長たちは、バルクのもとにクシの子シェレムヤの子ネタヌヤの子エフディを遣わして言わせた。「あなたが民に読んで聞かせたあの巻き物、あれを手に持って来なさい。」そこで、ネリヤの子バルクは、巻き物を手に持って彼らのところに入って来た。 + 彼らはバルクに言った。「さあ、すわって、私たちにそれを読んで聞かせてくれ。」そこで、バルクは彼らに読んで聞かせた。 + 彼らがそのすべてのことばを聞いたとき、みな互いに恐れ、バルクに言った。「私たちは、これらのことばをみな、必ず王に告げなければならない。」 + 彼らはバルクに尋ねて言った。「さあ、どのようにして、あなたはこれらのことばをみな、彼の口から書きとったのか、私たちに教えてくれ。」 + バルクは彼らに言った。「エレミヤがこれらすべてのことばを私に口述し、私が墨でこの巻き物に書きしるしました。」 + すると、首長たちはバルクに言った。「行って、あなたも、エレミヤも身を隠しなさい。だれにも、あなたがたがどこにいるか知られないように。」 + 彼らは巻き物を書記エリシャマの部屋に置き、庭の王のところに行ってこのすべての事を王に報告した。 + 王はエフディに、その巻き物を取りに行かせたので、彼はそれを書記エリシャマの部屋から取って来た。エフディはそれを、王と王のかたわらに立つすべての首長たちに読んで聞かせた。 + 第九の月であったので、王は冬の家の座に着いていた。彼の前には暖炉の火が燃えていた。 + エフディが三、四段を読むごとに、王は書記の小刀でそれを裂いては、暖炉の火に投げ入れ、ついに、暖炉の火で巻き物全部を焼き尽くした。 + 王も、彼のすべての家来たちも、これらのすべてのことばを聞きながら、恐れようともせず、衣を裂こうともしなかった。 + エルナタンとデラヤとゲマルヤは、巻き物を焼かないように、王に願ったが、王は聞き入れなかった。 + 王は、王子エラフメエルと、アズリエルの子セラヤと、アブデエルの子シェレムヤに、書記バルクと預言者エレミヤを捕らえるよう命じたが、主はふたりを隠された。 + 王が、あの巻き物、バルクがエレミヤの口述で書きしるしたことばを焼いて後、エレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「あなたは再びもう一つの巻き物を取り、ユダの王エホヤキムが焼いた先の巻き物にあった先のことばを残らず、それに書きしるせ。 + ユダの王エホヤキムについてはこう言え。/主はこう仰せられる。あなたはこの巻き物を焼いて言った。『あなたはなぜ、バビロンの王は必ず来てこの国を滅ぼし、ここから人間も家畜も絶やすと書いたのか』と。 + それゆえ、主はユダの王エホヤキムについてこう仰せられる。彼には、ダビデの王座に着く者がなくなり、彼のしかばねは捨てられて、昼は暑さに、夜は寒さにさらされる。 + わたしは、彼とその子孫、その家来たちを、彼らの咎のゆえに罰し、彼らとエルサレムの住民とユダの人々に、彼らが聞かなかったが、わたしが彼らに告げたあのすべてのわざわいをもたらす。」 + エレミヤは、もう一つの巻き物を取り、それをネリヤの子、書記バルクに与えた。彼はエレミヤの口述により、ユダの王エホヤキムが火で焼いたあの書物のことばを残らず書きしるした。さらにこれと同じような多くのことばもそれに書き加えた。 + + + ヨシヤの子ゼデキヤは、エホヤキムの子エコヌヤに代わって王となった。バビロンの王ネブカデレザルが彼をユダの国の王にしたのである。 + 彼も、その家来たちも、一般の民衆も、預言者エレミヤによって語られた主のことばに聞き従わなかった。 + ゼデキヤ王は、シェレムヤの子エフカルと、マアセヤの子、祭司ゼパニヤを預言者エレミヤのもとに遣わして言った。「どうか、私たちのために、私たちの神、主に、祈ってください。」 + ――そのとき、エレミヤは民のうちに出入りしていて、まだ獄屋に入れられていなかった。 + パロの軍勢がエジプトから出て来たので、エルサレムを包囲中のカルデヤ人は、そのうわさを聞いて、エルサレムから退却したときであった。―― + そのとき、預言者エレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「イスラエルの神、主は、こう仰せられる。『わたしに尋ねるために、あなたがたをわたしのもとに遣わしたユダの王にこう言え。見よ。あなたがたを助けに出て来たパロの軍勢は、自分たちの国エジプトへ帰り、 + カルデヤ人が引き返して来て、この町を攻め取り、これを火で焼く。』 + 主はこう仰せられる。『あなたがたは、カルデヤ人は必ず私たちから去る、と言って、みずから欺くな。彼らは去ることはないからだ。 + たとい、あなたがたが、あなたがたを攻めるカルデヤの全軍勢を打ち、その中に重傷を負った兵士たちだけが残ったとしても、彼らがそれぞれ、その天幕で立ち上がり、この町を火で焼くようになる。』」 + カルデヤの軍勢がパロの軍勢の来るのを聞いてエルサレムから退却したとき、 + エレミヤは、ベニヤミンの地に行き、民の間で割り当ての地を決めるためにエルサレムから出て行った。 + 彼がベニヤミンの門に来たとき、そこにハナヌヤの子シェレムヤの子のイルイヤという名の当直の者がいて、「あなたはカルデヤ人のところへ落ちのびるのか」と言って、預言者エレミヤを捕らえた。 + エレミヤは、「違う。私はカルデヤ人のところに落ちのびるのではない」と言ったが、イルイヤは聞かず、エレミヤを捕らえて、首長たちのところに連れて行った。 + 首長たちはエレミヤに向かって激しく怒り、彼を打ちたたき、書記ヨナタンの家にある牢屋に入れた。そこを獄屋にしていたからである。 + エレミヤは丸天井の地下牢に入れられ、長い間そこにいた。 + ゼデキヤ王は人をやって彼を召し寄せた。王は自分の家でひそかに彼に尋ねて言った。「主から、みことばがあったか。」エレミヤは、「ありました」と言った。そして「あなたはバビロンの王の手に渡されます」と言った。 + エレミヤはゼデキヤ王に言った。「あなたや、あなたの家来たちや、この民に、私が何の罪を犯したというので、私を獄屋に入れたのですか。 + あなたがたに『バビロンの王は、あなたがたと、この国とを攻めに来ない』と言って預言した、あなたがたの預言者たちは、どこにいますか。 + 今、王さま、どうぞ聞いてください。どうぞ、私の願いを御前にかなえて、私を書記ヨナタンの家へ帰らせないでください。そうすれば、私はあそこで死ぬことはないでしょう。」 + そこでゼデキヤ王は命じて、エレミヤを監視の庭に入れさせ、町からすべてのパンが絶えるまで、パン屋街から、毎日パン一個を彼に与えさせた。こうして、エレミヤは監視の庭にとどまっていた。 + + + さて、マタンの子シェファテヤと、パシュフルの子ゲダルヤと、シェレムヤの子ユカルと、マルキヤの子パシュフルは、すべての民にエレミヤが次のように告げていることばを聞いた。 + 「主はこう仰せられる。『この町にとどまる者は、剣とききんと疫病で死ぬが、カルデヤ人のところに出て行く者は生きる。そのいのちは彼の分捕り物として彼のものになり、彼は生きる。』 + 主はこう仰せられる。『この町は、必ず、バビロンの王の軍勢の手に渡される。彼はこれを攻め取る。』」 + そこで、首長たちは王に言った。「どうぞ、あの男を殺してください。彼はこのように、こんなことばをみなに語り、この町に残っている戦士や、民全体の士気をくじいているからです。あの男は、この民のために平安を求めず、かえってわざわいを求めているからです。」 + するとゼデキヤ王は言った。「今、彼はあなたがたの手の中にある。王は、あなたがたに逆らっては何もできない。」 + そこで彼らはエレミヤを捕らえ、監視の庭にある王子マルキヤの穴に投げ込んだ。彼らはエレミヤを綱で降ろしたが、穴の中には水がなくて泥があったので、エレミヤは泥の中に沈んだ。 + 王宮にいたクシュ人の宦官エベデ・メレクは、エレミヤが穴に入れられたこと、また王がベニヤミンの門にすわっていることを聞いた。 + そこでエベデ・メレクは、王宮から出て行き、王に告げて言った。 + 「王さま。あの人たちが預言者エレミヤにしたことは、みな悪いことばかりです。彼らはあの方を穴に投げ込みました。もう町にパンはありませんので、あの方は、下で、飢え死にするでしょう。」 + すると、王は、クシュ人エベデ・メレクに命じて言った。「あなたはここから三十人を連れて行き、預言者エレミヤを、まだ死なないうちに、その穴から引き上げなさい。」 + エベデ・メレクは人々を率いて、王宮の宝物倉の下に行き、そこから着ふるした着物やぼろ切れを取り、それらを綱で穴の中のエレミヤのところに降ろした。 + クシュ人エベデ・メレクはエレミヤに、「さあ、古着やぼろ切れをあなたのわきの下にはさんで、綱を当てなさい」と言ったので、エレミヤがそのとおりにすると、 + 彼らはエレミヤを綱で穴から引き上げた。こうして、エレミヤは監視の庭にすわっていた。 + ゼデキヤ王は人をやって、預言者エレミヤを自分のところ、主の宮の第三の入口に召し寄せた。王がエレミヤに、「私はあなたに一言尋ねる。私に何事も隠してはならない」と言うと、 + エレミヤはゼデキヤに言った。「もし私があなたに告げれば、あなたは必ず、私を殺すではありませんか。私があなたに忠告しても、あなたは私の言うことを聞きません。」 + そこで、ゼデキヤ王は、ひそかにエレミヤに誓って言った。「私たちのこのいのちを造られた主は生きておられる。私は決してあなたを殺さない。また、あなたのいのちをねらうあの人々の手に、あなたを渡すことも絶対にしない。」 + するとエレミヤはゼデキヤに言った。「イスラエルの神、万軍の神、主は、こう仰せられる。『もし、あなたがバビロンの王の首長たちに降伏するなら、あなたのいのちは助かり、この町も火で焼かれず、あなたも、あなたの家族も生きのびる。 + あなたがバビロンの王の首長たちに降伏しないなら、この町はカルデヤ人の手に渡され、彼らはこれを火で焼き、あなたも彼らの手からのがれることができない。』」 + しかし、ゼデキヤ王はエレミヤに言った。「私は、カルデヤ人に投降したユダヤ人たちを恐れる。カルデヤ人が私を彼らの手に渡し、彼らが私をなぶりものにするかもしれない。」 + エレミヤは言った。「彼らはあなたを渡しません。どうぞ、主の声、私があなたに語っていることに聞き従ってください。そうすれば、あなたはしあわせになり、あなたのいのちは助かるのです。 + しかし、もしあなたが降伏するのを拒むなら、これが、主の私に示されたみことばです。 + 『見よ。ユダの王の家に残された女たちはみな、バビロンの王の首長たちのところに引き出される。聞け。彼女らは言う。――/あなたの親友たちが、あなたをそそのかし、あなたに勝った。/彼らはあなたの足を泥の中に沈ませ、背を向けてしまった。 + あなたの妻たちや、子どもたちはみな、カルデヤ人のところに引き出され、あなたも彼らの手からのがれることができずに、バビロンの王の手に捕らえられ、この町も火で焼かれる。』」 + ゼデキヤはエレミヤに言った。「だれにも、これらのことを知らせてはならない。そうすれば、あなたは殺されることはない。 + もし、あの首長たちが、私があなたと話したことを聞いて、あなたのところに行き、あなたに『さあ、何を王と話したのか、教えてくれ。私たちに隠すな。あなたを殺しはしない。王はあなたに何を話したのだ』と言っても、 + あなたは彼らに、『私をヨナタンの家に返してそこで私が死ぬことがないようにしてくださいと、王の前に嘆願していた』と言いなさい。」 + 首長たちがみなエレミヤのところに来て、彼に尋ねたとき、彼は、王が命じたことばのとおりに、彼らに告げたので、彼らは黙ってしまった。あのことはだれにも聞かれなかったからである。 + エレミヤは、エルサレムが攻め取られる日まで、監視の庭にとどまっていた。彼はエルサレムが攻め取られたときも、そこにいた。 + + + ユダの王ゼデキヤの第九年、その第十の月に、バビロンの王ネブカデレザルは、その全軍勢を率いてエルサレムに攻めて来て、これを包囲した。 + ゼデキヤの第十一年、第四の月の九日に、町は破られた。 + そのとき、バビロンの王のすべての首長たちが入って来て、中央の門に座を占めた。すなわち、ネルガル・サル・エツェル、サムガル・ネブ、ラブ・サリスのサル・セキム、ラブ・マグのネルガル・サル・エツェル、およびバビロンの王の首長の残り全員である。 + ユダの王ゼデキヤとすべての戦士は、彼らを見て逃げ、夜の間に、王の園の道伝いに、二重の城壁の間の門を通って町を出、アラバへの道に出た。 + しかし、カルデヤの軍勢は彼らのあとを追い、エリコの草原でゼデキヤに追いつき、彼を捕らえて、ハマテの地のリブラにいるバビロンの王ネブカデレザルのもとに連れ上った。そこで、王は彼に宣告を下した。 + バビロンの王はリブラで、ゼデキヤの子たちをその目の前で虐殺し、またユダのおもだった人たちもみな虐殺し、 + ゼデキヤの目をつぶし、彼を青銅の足かせにつないで、バビロンに連れて行った。 + カルデヤ人は、王宮も民の家も火で焼き、エルサレムの城壁を取りこわした。 + 侍従長ネブザルアダンは、町に残されていた残りの民と、王に降伏した投降者たちと、そのほかの残されていた民を、バビロンへ捕らえ移した。 + しかし侍従長ネブザルアダンは、何も持たない貧民の一部をユダの地に残し、その日、彼らにぶどう畑と畑を与えた。 + バビロンの王ネブカデレザルは、エレミヤについて、侍従長ネブザルアダンに次のように命じた。 + 「彼を連れ出し、目をかけてやれ。何も悪いことをするな。ただ、彼があなたに語るとおりに、彼にせよ。」 + こうして、侍従長ネブザルアダンと、ラブ・サリスのネブシャズ・バンと、ラブ・マグのネルガル・サル・エツェルと、バビロンの王のすべての高官たちは、 + 人を遣わして、エレミヤを、監視の庭から連れ出し、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤに渡して、その家に連れて行かせた。こうして彼は民の間に住んだ。 + エレミヤが監視の庭に閉じ込められているとき、エレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「行って、クシュ人エベデ・メレクに話して言え。『イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。見よ。わたしはこの町にわたしのことばを実現する。幸いのためではなく、わざわいのためだ。それらは、その日、あなたの前で起こる。 + しかしその日、わたしはあなたを救い出す。――主の御告げ――あなたはあなたが恐れている者たちの手に渡されることはない。 + わたしは必ずあなたを助け出す。あなたは剣に倒れず、あなたのいのちはあなたの分捕り物としてあなたのものになる。それは、あなたがわたしに信頼したからだ。――主の御告げ――』」 + + + 侍従長ネブザルアダンがラマからエレミヤを釈放して後に、主からエレミヤにあったみことば。――彼がエレミヤを連れ出したとき、エレミヤは、バビロンへ引いて行かれるエルサレムとユダの捕囚の民の中で、鎖につながれていた。―― + 侍従長はエレミヤを連れ出して、彼に言った。「あなたの神、主は、この所にこのわざわいを下すと語られたが、 + 主はこれを下し、語られたとおりに行われた。あなたがたが主に罪を犯して、その御声に聞き従わなかったので、このことがあなたがたに下ったのだ。 + そこで今、見よ、私はきょう、あなたの手にある鎖を解いてあなたを釈放する。もし、私とともにバビロンへ行くのがよいと思うなら、行きなさい。私はあなたに目をかけよう。しかし、もし、私といっしょにバビロンへ行くのが気に入らないならやめなさい。見よ。全地はあなたの前に広がっている。あなたが行くのによいと思う、気に入った所へ行きなさい。」 + しかし彼がまだ帰ろうとしないので、「では、バビロンの王がユダの町々をゆだねたシャファンの子アヒカムの子ゲダルヤのところへ帰り、彼とともに民の中に住みなさい。でなければ、あなたが行きたいと思う所へ、どこへでも行きなさい。」こうして侍従長は、食糧と贈り物を与えて、彼を去らせた。 + そこでエレミヤは、ミツパにいるアヒカムの子ゲダルヤのところに行って、彼とともに、国に残された民の中に住んだ。 + 野にいた将校たちとその部下たちはみな、バビロンの王がアヒカムの子ゲダルヤをその国の総督にし、彼に、バビロンに捕らえ移されなかった男、女、子どもたち、国の貧民たちをゆだねたことを聞いた。 + ネタヌヤの子イシュマエル、カレアハの子らヨハナンとヨナタン、タヌフメテの子セラヤ、ネトファ人エファイの子ら、マアカ人の子エザヌヤと、彼らの部下たちは、ミツパにいるゲダルヤのもとに来た。 + そこで、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤは、彼らとその部下たちに誓って言った。「カルデヤ人に仕えることを恐れてはならない。この国に住んで、バビロンの王に仕えなさい。そうすれば、あなたがたはしあわせになる。 + 私も、このように、ミツパに住んで、私たちのところに来るカルデヤ人の前に立とう。あなたがたも、ぶどう酒、夏のくだもの、油を集めて、自分の器に納め、あなたがたの取った町々に住むがよい。」 + モアブや、アモン人のところや、エドムや、あらゆる地方にいたユダヤ人はみな、バビロンの王がユダに人を残したこと、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤを彼らの総督に任命したことを聞いた。 + そこで、ユダヤ人はみな、散らされていたすべての所からユダの地に帰って来て、ミツパのゲダルヤのもとに行き、ぶどう酒と夏のくだものを非常に多く集めた。 + さて、野にいたカレアハの子ヨハナンと、すべての将校たちは、ミツパのゲダルヤのもとに来て、 + 彼に言った。「あなたは、アモン人の王バアリスがネタヌヤの子イシュマエルを送って、あなたを打ち殺そうとしているのを、いったい、ご存じですか。」しかし、アヒカムの子ゲダルヤは、彼らの言うことを信じなかった。 + カレアハの子ヨハナンは、ミツパでひそかにゲダルヤに話して言った。「では、私が行って、ネタヌヤの子イシュマエルを、だれにもわからないように、打ち殺しましょう。どうして、彼があなたを打ち殺し、あなたのもとに集められた全ユダヤ人が散らされ、ユダの残りの者が滅びてよいでしょうか。」 + しかし、アヒカムの子ゲダルヤは、カレアハの子ヨハナンに言った。「そんなことをしてはならない。あなたこそ、イシュマエルについて偽りを語っているからだ。」 + + + ところが第七の月に、王族のひとり、エリシャマの子ネタヌヤの子イシュマエルは、王の高官と十人の部下を連れて、ミツパにいるアヒカムの子ゲダルヤのもとに来て、ミツパで食事を共にした。 + そのとき、ネタヌヤの子イシュマエルと、彼とともにいた十人の部下は立ち上がって、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤを剣で打ち殺した。イシュマエルは、バビロンの王がこの国の総督にした者を殺した。 + ミツパでゲダルヤとともにいたすべてのユダヤ人と、そこに居合わせたカルデヤ人の戦士たちをも、イシュマエルは打ち殺した。 + ゲダルヤが殺された次の日、まだだれも知らないとき、 + シェケムや、シロや、サマリヤから八十人の者がやって来た。彼らはみな、ひげをそり、衣を裂き、身に傷をつけ、手に穀物のささげ物や乳香を持って、主の宮に持って行こうとしていた。 + ネタヌヤの子イシュマエルは、彼らを迎えにミツパを出て、泣きながら歩いて行き、彼らに出会ったとき、言った。「アヒカムの子ゲダルヤのところにおいでなさい。」 + 彼らが町の中に入ったとき、ネタヌヤの子イシュマエルと、彼とともにいた部下たちは、彼らを殺して穴の中に投げ入れた。 + 彼らのうちの十人がイシュマエルに、「私たちを殺さないでください。私たちは、小麦、大麦、油、蜜を畑に隠していますから」と言ったので、彼は、彼らをその仲間とともに殺すのはやめた。 + イシュマエルが打ち殺した、ゲダルヤの指揮下の人たちのすべての死体を投げ入れた穴は、アサ王がイスラエルの王バシャを恐れて作ったものであった。ネタヌヤの子イシュマエルはそれを、殺された者で満たした。 + イシュマエルは、ミツパに残っていたすべての民、すなわち王の娘たちと、侍従長ネブザルアダンがアヒカムの子ゲダルヤにゆだねた、ミツパに残っていたすべての民とをとりこにした。ネタヌヤの子イシュマエルは彼らをとりこにして、アモン人のところに渡ろうとして出かけて行った。 + カレアハの子ヨハナンと、彼とともにいたすべての将校は、ネタヌヤの子イシュマエルが行ったすべての悪を聞いたので、 + 部下をみな連れて、ネタヌヤの子イシュマエルと戦うために出て行き、ギブオンにある大池のほとりで彼を見つけた。 + イシュマエルとともにいたすべての民は、カレアハの子ヨハナンと、彼とともにいるすべての将校を見て喜んだ。 + イシュマエルがミツパからとりこにして来たすべての民は身を翻して、カレアハの子ヨハナンのもとに帰って行った。 + ネタヌヤの子イシュマエルは、八人の者とともにヨハナンの前をのがれて、アモン人のところへ行った。 + カレアハの子ヨハナンと、彼とともにいたすべての将校は、ネタヌヤの子イシュマエルがアヒカムの子ゲダルヤを打ち殺して後、ミツパから、ネタヌヤの子イシュマエルから取り返したすべての残りの民、すなわちギブオンから連れ帰った勇士たち、戦士たち、女たち、子どもたち、および宦官たちを連れて、 + エジプトに行こうとして、ベツレヘムのかたわらにあるゲルテ・キムハムへ行って、そこにとどまった。 + それは、バビロンの王がこの国の総督としたアヒカムの子ゲダルヤをネタヌヤの子イシュマエルが打ち殺したので、カルデヤ人を恐れて、彼らから逃げるためであった。 + + + すべての将校たち、カレアハの子ヨハナン、ホシャヤの子イザヌヤ、および身分の低い者も高い者もみな、寄って来て、 + 預言者エレミヤに言った。「どうぞ、私たちの願いを聞いてください。私たちのため、この残った者みなのために、あなたの神、主に、祈ってください。ご覧のとおり、私たちは多くの者の中からごくわずかだけ残ったのです。 + あなたの神、主が、私たちの歩むべき道と、なすべきことを私たちに告げてくださいますように。」 + そこで、預言者エレミヤは彼らに言った。「承知しました。今、私は、あなたがたのことばのとおり、あなたがたの神、主に祈り、主があなたがたに答えられることはみな、あなたがたに告げましょう。何事も、あなたがたに隠しません。」 + 彼らはエレミヤに言った。「主が私たちの間で真実な確かな証人でありますように。私たちは、すべてあなたの神、主が私たちのためにあなたを送って告げられることばのとおりに、必ず行います。 + 私たちは良くても悪くても、あなたを遣わされた私たちの神、主の御声に聞き従います。私たちが私たちの神、主の御声に聞き従ってしあわせを得るためです。」 + 十日の後、主のことばがエレミヤにあった。 + 彼はカレアハの子ヨハナンと、彼とともにいるすべての将校と、身分の低い者や高い者をみな呼び寄せて、 + 彼らに言った。「あなたがたが私を遣わして、あなたがたの願いを御前に述べさせたイスラエルの神、主は、こう仰せられる。 + 『もし、あなたがたがこの国にとどまるなら、わたしはあなたがたを建てて、倒さず、あなたがたを植えて、引き抜かない。わたしはあなたがたに下したあのわざわいを思い直したからだ。 + あなたがたが恐れているバビロンの王を恐れるな。彼をこわがるな。――主の御告げ――わたしはあなたがたとともにいて、彼の手からあなたがたを救い、彼の手からあなたがたを救い出すからだ。 + わたしがあなたがたにあわれみを施すので、彼は、あなたがたをあわれみ、あなたがたをあなたがたの土地に帰らせる。』 + しかしあなたがたが、『私たちはこの国にとどまらない』と言って、あなたがたの神、主の御声を聞かず、 + 『いや、エジプトの国に行こう。あそこでは戦いに会わず、角笛の音も聞かず、パンにも飢えることがないから、あそこに、私たちは住もう』と言っているのなら、 + 今、ユダの残りの者よ、主のことばを聞け。イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。『もし、あなたがたがエジプトに行こうと堅く決心し、そこに行って寄留するなら、 + あなたがたの恐れている剣が、あのエジプトの国であなたがたに追いつき、あなたがたの心配しているききんが、あのエジプトであなたがたに追いすがり、あなたがたはあそこで死のう。 + エジプトに行ってそこに寄留しようと決心した者たちはみな、そこで剣とききんと疫病で死に、わたしが彼らに下すわざわいをのがれて生き残る者はいない。』 + まことに、イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。『わたしの怒りと憤りが、エルサレムの住民の上に注がれたように、あなたがたがエジプトに行くとき、わたしの憤りはあなたがたの上に注がれ、あなたがたは、のろいと、恐怖と、ののしりと、そしりになり、二度とこの所を見ることができない。』 + ユダの残りの者よ。主はあなたがたに『エジプトへ行ってはならない』と仰せられた。きょう、私があなたがたにあかししたことを、確かに知らなければならない。 + あなたがたは迷い出てしまっている。あなたがたは私をあなたがたの神、主のもとに遣わして、『私たちのために、私たちの神、主に祈り、すべて私たちの神、主の仰せられるとおりに、私たちに告げてください。私たちはそれを行います』と言ったのだ。 + だから、私は、きょう、あなたがたに告げたのに、あなたがたは、あなたがたの神、主の御声を聞かず、すべてそのために主が私をあなたがたに遣わされたことを聞かなかった。 + だから今、確かに知れ。あなたがたは、行って寄留したいと思っているその所で、剣とききんと疫病で死ぬことを。」 + + + エレミヤはすべての民に、彼らの神、主のことばを語り終えた。それは彼らの神、主が、このすべてのことばをもって彼を遣わされたものであった。 + すると、ホシャヤの子アザルヤと、カレアハの子ヨハナンと、高ぶった人たちはみな、エレミヤに告げて言った。「あなたは偽りを語っている。私たちの神、主は『エジプトに行って寄留してはならない』と言わせるために、あなたを遣わされたのではない。 + ネリヤの子バルクが、あなたをそそのかして私たちに逆らわせ、私たちをカルデヤ人の手に渡して、私たちを死なせ、また、私たちをバビロンへ引いて行かせようとしているのだ。」 + カレアハの子ヨハナンと、すべての将校と、すべての民は、「ユダの国にとどまれ」という主の御声に聞き従わなかった。 + そして、カレアハの子ヨハナンと、すべての将校は、散らされていた国々からユダの国に住むために帰っていたユダの残りの者すべてを、 + 男も女も子どもも、王の娘も、それに、侍従長ネブザルアダンが、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤに託したすべての者、預言者エレミヤと、ネリヤの子バルクをも連れて、 + エジプトの国に行った。彼らは主の御声に聞き従わなかったのである。こうして、彼らはタフパヌヘスまで来た。 + タフパヌヘスで、エレミヤに次のような主のことばがあった。 + 「あなたは手に大きな石を取り、それらを、ユダヤ人たちの目の前で、タフパヌヘスにあるパロの宮殿の入口にある敷石のしっくいの中に隠して、 + 彼らに言え。/イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。見よ。わたしは人を送り、わたしのしもべバビロンの王ネブカデレザルを連れて来て、彼の王座を、わたしが隠したこれらの石の上に据える。彼はその石の上に本営を張ろう。 + 彼は来てエジプトの国を打ち、死に定められた者を死に渡し、とりこに定められた者をとりこにし、剣に定められた者を剣に渡す。 + 彼はエジプトの神々の宮に火をつけて、それらを焼き、彼らをとりこにする。彼は牧者が自分の着物のしらみをつぶすようにエジプトの国をつぶして、ここから無事に去って行こう。 + 彼はエジプトの国にある太陽の宮の柱を砕き、エジプトの神々の宮を火で焼こう。」 + + + エジプトの国に住むすべてのユダヤ人、すなわちミグドル、タフパヌヘス、ノフ、およびパテロス地方に住む者たちについて、エレミヤにあったみことばは、次のとおりである。 + 「イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。『あなたがたは、わたしがエルサレムとユダのすべての町に下したあのすべてのわざわいを見た。見よ。それらはきょう、廃墟となって、そこに住む者もない。 + それは、彼らが悪を行ってわたしの怒りを引き起こし、彼ら自身も、あなたがたも先祖も知らなかったほかの神々のところに行き、香をたいて仕えたためだ。 + それでわたしはあなたがたに、わたしのしもべであるすべての預言者たちを早くからたびたび送り、どうか、わたしの憎むこの忌みきらうべきことを行わないように、と言ったのに、 + 彼らは聞かず、耳も傾けず、ほかの神々に香をたいて、その悪から立ち返らなかった。 + それで、わたしの憤りと怒りが、ユダの町々とエルサレムのちまたに注がれて燃え上がり、それらは今日のように廃墟となり荒れ果ててしまった。』 + それで今、イスラエルの神、万軍の神、主は、こう仰せられる。『あなたがたは自分自身に大きなわざわいを招こうとしているのか。なぜユダの中から男も女も、幼子も乳飲み子も断ち、残りの者を生かしておかないようにするのか。 + なぜ、あなたがたの手のわざによってわたしの怒りを引き起こし、寄留しに来たエジプトの国でも、ほかの神々に香をたき、あなたがた自身を断ち滅ぼし、地のすべての国の中で、ののしりとなり、そしりとなろうとするのか。 + あなたがたは、ユダの国とエルサレムのちまたで行ったあなたがたの先祖の悪、ユダの王たちの悪、王妃たちの悪、あなたがたの悪、妻たちの悪を忘れたのか。 + 彼らは今日まで心砕かれず、恐れず、わたしがあなたがたとあなたがたの先祖の前に与えたわたしの律法と定めに歩まなかった。』 + それゆえ、イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。『見よ。わたしは、わたしの顔をあなたがたからそむけて、わざわいを下し、ユダのすべての民を断ち滅ぼそう。 + わたしは、寄留しにエジプトの国へ行こうと決心したユダの残りの者を取り除く。彼らはみな、エジプトの国で、剣とききんに倒れて滅びる。身分の低い者も高い者もみな、剣とききんで死に、のろい、恐怖、ののしり、そしりとなる。 + わたしは、エルサレムを罰したと同じように、エジプトの国に住んでいる者たちを、剣とききんと疫病で罰する。 + エジプトの国に来てそこに寄留しているユダの残りの者のうち、のがれて生き残る者、帰って行って住みたいと願っているユダの地へ帰れる者はいない。ただのがれる者だけが帰れよう。』」 + すると、自分たちの妻がほかの神々に香をたいていることを知っているすべての男たちと、大集団をなしてそばに立っているすべての女たち、すなわち、エジプトの国とパテロスに住むすべての民は、エレミヤに答えて言った。 + 「あなたが主の御名によって私たちに語ったことばに、私たちは従うわけにはいかない。 + 私たちは、私たちの口から出たことばをみな必ず行って、私たちも、先祖たちも、私たちの王たちも、首長たちも、ユダの町々やエルサレムのちまたで行っていたように、天の女王にいけにえをささげ、それに注ぎのぶどう酒を注ぎたい。私たちはその時、パンに飽き足り、しあわせでわざわいに会わなかったから。 + 私たちが天の女王にいけにえをささげ、それに注ぎのぶどう酒を注ぐのをやめた時から、私たちは万事に不足し、剣とききんに滅ぼされた。」 + 「私たち女が、天の女王にいけにえをささげ、それに注ぎのぶどう酒を注ぐとき、女王にかたどった供えのパン菓子を作り、注ぎのぶどう酒を注いだのは、私たちの夫と相談せずにしたことでしょうか。」 + そこでエレミヤは、男女のすべての民と、彼に口答えしたすべての民に語って言った。 + 「ユダの町々やエルサレムのちまたで、あなたがたや、あなたがたの先祖や、王たちや、首長たち、それに一般の人々がいけにえをささげたことを主は覚え、心に思い浮かべられたのではないか。 + 主は、あなたがたの悪い行い、あなたがたが行ったあの忌みきらうべきことのために、もう耐えられず、それであなたがたの国は今日のように、住む者もなく、廃墟となり、恐怖、ののしりとなった。 + あなたがたがいけにえをささげ、主に罪を犯して、主の御声に聞き従わず、主の律法と定めとあかしに歩まなかったために、あなたがたに、このわざわいが今日のように来たのだ。」 + ついで、エレミヤは、すべての民、すべての女に言った。「エジプトの国にいるすべてのユダの人々よ。主のことばを聞け。 + イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。『あなたがたとあなたがたの妻は、自分たちの口で約束したことをその手で果たせ。あなたがたは、私たちは天の女王にいけにえをささげ、それに注ぎのぶどう酒を注ごうと誓った誓願を、必ず実行すると言っている。では、あなたがたの誓願を確かに果たし、あなたがたの誓願を必ず実行せよ。』 + それゆえ、エジプトの国に住むすべてのユダの人々。主のことばを聞け。『見よ。わたしはわたしの偉大な名によって誓う。――主は仰せられる――エジプトの全土において、神である主は生きておられると言って、わたしの名がユダヤ人の口にとなえられることはもうなくなる。 + 見よ。わたしは彼らを見張っている。わざわいのためであって、幸いのためではない。エジプトの国にいるすべてのユダヤ人は、剣とききんによって、ついには滅び絶える。 + 剣をのがれる少数の者だけが、エジプトの国からユダの国に帰る。こうして、エジプトの国に来て寄留しているユダの残りの者たちはみな、わたしのと彼らのと、どちらのことばが成就するかを知る。 + これがあなたがたへのしるしである。――主の御告げ――わたしはこの所であなたがたを罰する。それは、あなたがたにわざわいを下すというわたしのことばは必ず成就することをあなたがたが知るためである。』 + 主はこう仰せられる。『見よ。わたしは、ユダの王ゼデキヤを、そのいのちをねらっていた彼の敵、バビロンの王ネブカデレザルの手に渡したように、エジプトの王パロ・ホフラをその敵の手、そのいのちをねらう者たちの手に渡す。』」 + + + ネリヤの子バルクが、ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの第四年に、エレミヤの口述によってこれらのことばを書物に書いたときに、預言者エレミヤが彼に語ったことばは、こうである。 + 「バルクよ。イスラエルの神、主は、あなたについてこう仰せられる。 + あなたは言った。『ああ、哀れなこの私。主は私の痛みに悲しみを加えられた。私は嘆きで疲れ果て、いこいもない。』 + あなたが主にこう言うので、主はこう仰せられる。『見よ。わたしは自分が建てた物を自分でこわし、わたしが植えた物を自分で引き抜く。この全土をそうする。 + あなたは、自分のために大きなことを求めるのか。求めるな。見よ。わたしがすべての肉なる者に、わざわいを下すからだ。――主の御告げ――しかし、わたしは、あなたの行くどんな所ででも、あなたのいのちを分捕り物としてあなたに与える。』」 + + + 諸国の民について、預言者エレミヤにあった主のことば。 + エジプトについて、すなわちユーフラテス河畔のカルケミシュにいたエジプトの王パロ・ネコの軍勢について。ヨシヤの子、ユダの王エホヤキムの第四年に、バビロンの王ネブカデレザルはこれを打ち破った。 + 「盾と大盾を整えて、戦いに向かえ。 + 騎兵よ。馬に鞍をつけて乗れ。/かぶとを着けて部署につけ。/槍をみがき、よろいを着よ。 + 何ということか、この有様。/彼らはおののき、うしろに退く。/勇士たちは打たれ、うしろも振り向かずに逃げ去った。/恐れが回りにある。――主の御告げ―― + 足の速い者も逃げることができない。/勇士たちものがれることができない。/北のほう、ユーフラテス川のほとりで、彼らはつまずき倒れた。 + ナイル川のようにわき上がり、川々のように寄せては返すこの者はだれか。 + エジプトだ。――ナイル川のようにわき上がり、川々のように寄せては返す。/彼は言った。『わき上がって地をおおい、町も住民も滅ぼしてしまおう。』 + 馬よ、上れ。戦車よ、走れ。/勇士たちよ、出陣だ。/盾を取るクシュ人、プテ人、弓を引き張るルデ人よ。 + その日は、万軍の神、主の日、仇に復讐する復讐の日。/剣は食らって飽き、彼らの血に酔う。/北の地、ユーフラテス川のほとりでは、万軍の神、主に、いけにえがささげられる。 + おとめエジプトの娘よ。/ギルアデに上って乳香を取れ。/多くの薬を使ってもむなしい。/あなたはいやされない。 + 国々は、あなたの恥を聞いた。/あなたの哀れな叫び声は地に満ちた。/勇士は勇士につまずき、共に倒れたからだ。」 + バビロンの王ネブカデレザルが来て、エジプトの国を打つことについて、主が預言者エレミヤに語られたみことば。 + エジプトで告げ、ミグドルで聞かせ、ノフとタフパヌヘスで聞かせて言え。/「立ち上がって備えをせよ。/剣があなたの回りを食い尽くしたからだ。 + なぜ、あなたの雄牛は押し流されたのか。/立たなかったのか。/主が彼を追い払われたからだ。 + 多くの者がつまずき、倒れた。/彼らは互いに言った。/『さあ、私たちの民のところ、生まれ故郷に帰ろう。/あのしいたげる者の剣を避けて。』 + 彼らは、そこで叫んだ。/エジプトの王パロは、時期を逸して騒ぐ者。 + わたしは生きている。/――その名を万軍の主という王の御告げ――/彼は山々の中のタボルのように、海のほとりのカルメルのように、必ず来る。 + エジプトに住む娘よ。捕虜になる身支度をせよ。/ノフは荒れ果て、廃墟となって住む人もなくなるからだ。 + エジプトはかわいい雌の子牛。/北からあぶが襲って来る。 + その中にいた傭兵も、肥えた子牛のようだった。/彼らもまた、背を向けて共に逃げ、立ち止まろうともしなかった。/彼らの滅びの日、刑罰の時が、彼らの上に来たからだ。 + 彼女の声は蛇のように消え去る。/彼らは軍勢を率いて来る。/きこりのように、斧を持って入って来る。 + 彼らはその森を切り倒す。――主の御告げ――/それは測り知られず、いなごより多くて数えることができないからだ。 + 娘エジプトは、はずかしめられ、北の民の手に渡された。」 + イスラエルの神、万軍の主は、仰せられる。「見よ。わたしは、ノのアモンと、パロとエジプト、その神々と王たち、パロと彼に拠り頼む者たちとを罰する。 + わたしは彼らを、そのいのちをねらっている者たちの手、すなわちバビロンの王ネブカデレザルの手とその家来たちの手に渡す。その後、エジプトは、昔の日のように人が住むようになる。――主の御告げ―― + わたしのしもべヤコブよ。恐れるな。/イスラエルよ。おののくな。/見よ。わたしが、あなたを遠くから、あなたの子孫を捕囚の地から、救うからだ。/ヤコブは帰って来て、平穏に安らかに生き、おびえさせる者はだれもいない。 + わたしのしもべヤコブよ。恐れるな。/――主の御告げ――/わたしがあなたとともにいるからだ。/わたしは、あなたを追いやった先の/すべての国々を滅ぼし尽くすからだ。/わたしはあなたを滅ぼし尽くさない。/公義によって、あなたを懲らしめ、あなたを罰せずにおくことは決してないが。」 + + + パロがまだガザを打たないうちに、ペリシテ人について、預言者エレミヤにあった主のことば。 + 主はこう仰せられる。/「見よ。北から水が上って来て、あふれる流れとなり、地と、それに満ちるもの、町とその住民とにあふれかかる。/人々は泣き叫び、地の住民はみな泣きわめく。 + 荒馬のひづめの音、戦車の響き、車輪の騒音のため、父たちは気力を失って、子らを顧みない。 + すべてのペリシテ人を破滅させる日が/来たからだ。/その日には、ツロとシドンを、生き残って助ける者もみな、断ち滅ぼされる。/主が、カフトルの島に残っているペリシテ人も/破滅させるからだ。 + ガザは頭をそられ、アシュケロンは滅びうせた。/アナク人の残りの者よ。/いつまで、あなたは身を傷つけるのか。」 + 「ああ。主の剣よ。/いつまで、おまえは休まないのか。/さやに納まり、静かに休め。」 + どうして、おまえは休めよう。/主が剣に命じられたのだ。/アシュケロンとその海岸――/そこに剣を向けられたのだ。 + + + モアブについて。イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。「ああ、悲しいかな、ネボ。これは荒らされた。キルヤタイムもはずかしめられ、攻め取られた。そのとりでは、はずかしめられて打ちのめされた。 + もはやモアブの栄誉はない。ヘシュボンでは、これに悪事をたくらんでいる。『行って、あの国民を断ち滅ぼして無き者にしよう。』マデメンよ。おまえも黙る。剣がおまえのあとを追っている。」 + 聞け。ホロナイムからの悲鳴。/「破壊だ。大破滅だ」と。 + モアブは打ち破られた。/その叫びはツォアルまで聞こえた。 + ルヒテの坂を泣きながら嘆きが上る。/敵はホロナイムの下り坂では、いたいたしい破滅の叫びを聞いた。 + 逃げて、おまえたちのいのちを救え。/荒野の中の野ろばのようになれ。 + おまえは自分の作った物や/財宝に拠り頼んだので、おまえまで捕らえられ、ケモシュはその祭司や首長たちとともに、捕囚となって出て行く。 + 荒らす者がすべての町に入って来る。/一つの町ものがれることができない。/谷は滅びうせ、平地は根絶やしにされる。/主が仰せられるからだ。 + モアブに翼を与えて、飛び去らせよ。/その町々は住む者もなくて荒れ果てる。 + 主のみわざをおろそかにする者は、のろわれよ。その剣をとどめて血を流さないようにする者は、のろわれよ。 + モアブは若い時から安らかであった。/彼はぶどう酒のかすの上にじっとたまっていて、器から器へあけられたこともなく、捕囚として連れて行かれたこともなかった。/それゆえ、その味はそのまま残り、かおりも変わらなかった。 + 「それゆえ、見よ、その日が来る。――主の御告げ――その日、わたしは、彼に酒蔵の番人を送る。彼らはそれを器から移し、その器をあけ、そのつぼを砕く。 + モアブは、ケモシュのために恥を見る。イスラエルの家が、彼らの拠り頼むベテルのために恥を見たように。」 + どうして、あなたがたは「われわれは勇士、戦いの豪の者」と言えようか。 + モアブは荒らされ、その町々は襲われて、えり抜きの若者たちも、ほふり場に下って行く。/――その名を万軍の主という王の御告げ―― + モアブの災難は近づいた。/そのわざわいは、すみやかに来る。 + その回りの者、その名を知る者はみな、これのために嘆け。/「どうして力ある杖、美しい笏が砕かれたのか」/と言え。 + ディボンに住む娘よ。/栄光の座からおりて、潤いのない地にすわれ。/モアブを荒らす者が、あなたを襲い、あなたの要塞を滅ぼしたからだ。 + アロエルに住む女よ。/道のかたわらに立って見張れ。/逃げて来る男、のがれて来る女に尋ねて、「何が起こったのか」と言え。 + モアブは打ちのめされて、はずかしめられた。/泣きわめき、叫べ。/アルノンで、「モアブは荒らされた」と告げよ。 + さばきは次の平地に来た。ホロン、ヤハツ、メファアテ、 + ディボン、ネボ、ベテ・ディブラタイム、 + キルヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオン、 + ケリヨテ、ボツラ、モアブの国の遠近のすべての町々に。 + 「モアブの角は切り落とされ、その腕は砕かれた。――主の御告げ――」 + 彼を酔わせよ。主に対して高ぶったからだ。モアブは、へどを吐き散らし、彼もまた物笑いとなる。 + イスラエルは、あなたの物笑いではなかったのか。それとも、あなたが彼のことを語るたびごとに彼に向かって頭を振っていたのは、彼が見つけられた盗人のひとりであったためか。 + モアブの住民よ。/町を見捨てて岩間に住め。/穴の入口のそばに巣を作る鳩のようになれ。 + 私たちはモアブの高ぶりを聞いた。/実に高慢だ。/その高慢、その高ぶり、その誇り、その心の高ぶりを。 + 「わたしは、彼の高ぶりを知っている。――主の御告げ――その自慢話は正しくない。その行いも正しくない。」 + それゆえ、モアブのために私は泣きわめき、モアブ全体のために私は叫ぶ。キル・ヘレスの人々のために嘆く。 + シブマのぶどうの木よ。/ヤゼルの涙にまさって、私はおまえのために泣く。/おまえのつるは伸びて海を越えた。/ヤゼルの海に達した。/おまえの夏のくだものとぶどうの取り入れを、荒らす者が襲った。 + 「モアブの果樹園とその国から、喜びと楽しみは取り去られ、私は酒ぶねから酒を絶やした。/喜びの声をあげてぶどうを踏む者もなく、ぶどう踏みの喜びの声は、もう喜びの声ではない。」 + ヘシュボンが叫んだため、その声はエルアレとヤハツまで、ツォアルからホロナイムやエグラテ・シェリシヤまで届いた。ニムリムの水さえ、荒廃した地となるからだ。 + 「またわたしは、モアブの、――主の御告げ――高き所でいけにえをささげ、その神々に香をたく者を取り除く。」 + それゆえ、私の心はモアブのために笛のように鳴り、私の心はキル・ヘレスの人々のために笛のように鳴る。彼らの得た富も消えうせたからだ。 + 彼らは頭の毛をみなそり、ひげもみな切り取り、手にもみな傷をつけ、腰に荒布を着けているからだ。 + モアブのすべての屋根の上や、広場には、ただ嘆きだけがある。「わたしがモアブを、だれにも喜ばれない器のように、砕いたからだ。――主の御告げ――」 + どうしてこうも打ちのめされて、泣きわめくのか。どうして、モアブは恥を見、背を見せたのか。モアブは、その回りのすべての者の物笑いとなり、恐れとなってしまった。 + まことに、主はこう仰せられる。「見よ。彼は鷲のように飛びかかり、モアブに向かって翼を広げる。 + 町々は攻め取られ、要害は取られる。/その日、モアブの勇士の心も、産みの苦しみをする女の心のようになる。 + モアブは滅ぼされて、民でなくなった。/主に対して高ぶったからだ。 + モアブの住民よ。恐れと穴とわなとが、あなたを襲う。――主の御告げ―― + その恐れから逃げた者は、穴に落ち、穴から上る者は、わなに捕らえられる。/わたしがモアブに、彼らの刑罰の年を来させるからだ。/――主の御告げ―― + ヘシュボンの陰には、のがれる者たちが力尽きて立ち止まる。/火がヘシュボンから、炎がシホンのうちから出て、モアブのこめかみと、騒がしい子らの頭の頂を焼いた。 + ああ。モアブ。/ケモシュの民は滅びた。/あなたの息子はとりこにされ、娘は捕虜になって連れ去られた。 + しかし終わりの日に、わたしはモアブの繁栄を元どおりにする。/――主の御告げ――」/ここまではモアブへのさばきである。 + + + アモン人について。主はこう仰せられる。/「イスラエルには子がないのか。/世継ぎがないのか。/なぜ、彼らの王がガドを所有し、その民が町々に住んだのか。 + それゆえ、見よ、その日が来る。/――主の御告げ――/その日、わたしは、アモン人のラバに/戦いの雄たけびを聞かせる。/そこは荒れ果てた廃墟となり、その娘たちは火で焼かれる。/イスラエルがその跡を継ぐ」と/主は仰せられる。 + 「ヘシュボンよ。泣きわめけ。/アイが荒らされたから。/ラバの娘たちよ。叫べ。荒布をまとえ。/嘆いて囲い場の中を走り回れ。/彼らの王が、その祭司や首長たちとともに、捕囚として連れて行かれるからだ。 + 裏切り娘よ。/あなたの谷には水が流れているからといって、なぜ、その多くの谷を誇るのか。/あなたは自分の財宝に拠り頼んで、言う。/『だれが、私のところに来よう。』 + 見よ。わたしは四方からあなたに/恐怖をもたらす。――万軍の神、主の御告げ――/あなたがたはみな、散らされて、逃げる者を集める者もいない。 + そうして後、わたしはアモン人の繁栄を元どおりにする。/――主の御告げ――」 + エドムについて。万軍の主はこう仰せられた。/「テマンには、もう知恵がないのか。/賢い者から分別が消えうせ、彼らの知恵は朽ちたのか。 + デダンの住民よ。逃げよ、のがれよ。/深く潜め。/わたしがエサウの災難をもたらすからだ。/彼を罰する時だ。 + ぶどうを収穫する者たちが、あなたのところに来るなら、彼らは取り残しの実を残さない。/盗人は、夜中に来るなら、彼らの気のすむまで荒らす。 + わたしがエサウを裸にし、その隠し所をあらわにし、身を隠すこともできないようにするからだ。/彼の子孫も兄弟も隣人も/踏みにじられてひとりもいなくなる。 + あなたのみなしごたちを見捨てよ。/わたしが彼らを生きながらえさせる。/あなたのやもめたちは、わたしに拠り頼まなければならない。」 + まことに主はこう仰せられる。「見よ。あの杯を飲むように定められていない者も、それを飲まなければならない。あなただけが罰を免れることができようか。罰を受けずには済まない。いや、あなたは必ずそれを飲まなければならない。 + わたしは自分にかけて誓ったからだ。――主の御告げ――必ずボツラは恐怖、そしりとなり、廃墟、ののしりとなる。そのすべての町々は、永遠の廃墟となる。」 + 私は主から知らせを聞いた。/「使者が国々の間に送られた。/『集まって、エドムに攻め入れ。/戦いに立ち上がれ。』 + 見よ。わたしはあなたを国々の中の小さい者、人にさげすまれる者とするからだ。 + 岩の住みかに住む者、丘の頂を占める者よ。/あなたの脅かしが、あなた自身を欺いた。/あなたの心は高慢だ。/あなたが鷲のように巣を高くしても、わたしは、そこから引き降ろす。/――主の御告げ――」 + エドムは恐怖となり、そこを通り過ぎる者はみな、色を失い、そのすべての打ち傷を見てあざける。 + ソドムとゴモラとその近隣の破滅のように、――主は仰せられる――そこに人は住まず、そこに人の子は宿らない。 + 「見よ。獅子がヨルダンの密林から水の絶えず流れる牧場に上って来るように、わたしは一瞬にして彼らをそこから追い出そう。わたしは、選ばれた人をそこに置く。なぜなら、だれかわたしのような者があろうか。だれかわたしを呼びつける者があろうか。だれかわたしの前に立つことのできる牧者があろうか。」 + それゆえ、エドムに対してめぐらされた主のはかりごとと、テマンの住民に対して立てられたご計画を聞け。/必ず、群れの小さい者まで引きずって行かれ、必ず、彼らの牧場はそのことでおびえる。 + 彼らの倒れる音で地は震え、その叫び声が葦の海でも聞こえた。 + 見よ。彼は鷲のように舞い上がっては襲い、ボツラの上に翼を広げる。その日、エドムの勇士の心も、産みの苦しみをする女の心のようになる。 + ダマスコについて。/「ハマテとアルパデは恥を見た。/悪い知らせを聞いたからだ。/彼らは海のように震えおののいて恐れ、静まることもできない。 + ダマスコは弱り、恐怖に捕らわれ、身を巡らして逃げた。/産婦のような苦しみと苦痛に捕らえられて。 + いったい、どうして、栄誉の町、わたしの喜びの都は捨てられたのか。 + それゆえ、その日、その若い男たちは町の広場に倒れ、その戦士たちもみな、断ち滅ぼされる。/――万軍の主の御告げ―― + わたしは、ダマスコの城壁に火をつける。/その火はベン・ハダデの宮殿をなめ尽くす。」 + バビロンの王ネブカデレザルが打ったケダルとハツォルの王国について。主はこう仰せられる。/「さあ、ケダルへ攻め上り、東の人々を荒らせ。 + その天幕と羊の群れは奪われ、その幕屋もそのすべての器も、らくだも、運び去られる。/人々は彼らに向かって/『恐れが回りにある』と叫ぶ。 + ハツォルの住民よ。逃げよ。遠くへのがれよ。/深く潜め。――主の御告げ――/バビロンの王ネブカデレザルは、あなたがたに対してはかりごとをめぐらし、あなたがたに対して/たくらみを設けているからだ。 + さあ、安心して住んでいるのんきな国に攻め上れ。/――主の御告げ――/そこにはとびらもなく、かんぬきもなく、その民は孤立して住んでいる。 + 彼らのらくだは獲物に、その家畜の群れは分捕り物になる。/わたしは、こめかみを刈り上げている者たちを/四方に吹き散らし、彼らに災難を各方面から来させる。/――主の御告げ―― + ハツォルはとこしえまでも荒れ果てて、ジャッカルの住みかとなり、そこに人は住まず、そこに人の子は宿らない。」 + ユダの王ゼデキヤの治世の初めに、エラムについて預言者エレミヤにあった主のことば。 + 万軍の主はこう仰せられる。/「見よ。/わたしはエラムの力の源であるその弓を砕く。 + わたしは天の四隅から、四方の風をエラムに来させ、彼らをこの四方の風で吹き散らし、エラムの散らされた者が入らない国は/ないようにする。 + わたしは、エラムを敵の前におののかせ、そのいのちをねらう者たちの前におののかせ、彼らの上にわざわいを下し、わたしの燃える怒りをその上に下す。/――主の御告げ――/わたしは、彼らのうしろに剣を送って、彼らを絶ち滅ぼす。 + わたしはエラムにわたしの王座を置き、王や首長たちをそこから滅ぼす。/――主の御告げ―― + しかし、終わりの日になると、わたしはエラムの繁栄を元どおりにする。/――主の御告げ――」 + + + 主が預言者エレミヤを通して、バビロンについて、すなわちカルデヤ人の国について語られたみことば。 + 「諸国の民の間に告げ、旗を掲げて知らせよ。/隠さずに言え。/『バビロンは捕らえられた。/ベルははずかしめられ、メロダクは砕かれた。/その像ははずかしめられ、その偶像は砕かれた。』 + なぜなら、北から一つの国がここに攻め上り、この地を荒れ果てさせたからだ。ここには住む者もない。人間から家畜に至るまで逃げ去った。 + その日、その時、――主の御告げ――/イスラエルの民もユダの民も共に来て、泣きながら歩み、その神、主を、尋ね求める。 + 彼らはシオンを求め、その道に顔を向けて、『来たれ。忘れられることのないとこしえの契約によって、主に連なろう』と言う。 + わたしの民は、迷った羊の群れであった。その牧者が彼らを迷わせ、山々へ連れ去った。彼らは山から丘へと行き巡って、休み場も忘れてしまった。 + 彼らを見つける者はみな彼らを食らい、敵は『私たちには罪がない。彼らが、正しい牧場である主、彼らの先祖の望みであった主に、罪を犯したためだ』と言った。 + バビロンの中から逃げ、カルデヤ人の国から出よ。/群れの先頭に立つやぎのようになれ。 + 見よ。わたしが、大国の集団を奮い立たせて、北の地からバビロンに攻め上らせる。/彼らはこれに向かって陣ぞなえをし、これを攻め取る。/彼らの矢は、練達の勇士の矢のようで、むなしくは帰らない。 + カルデヤは略奪され、これを略奪する者はみな満ち足りる。/――主の御告げ―― + わたしの相続地を略奪する者たち。/あなたがたは楽しみ、こおどりして喜び、穀物を打つ雌の子牛のようにはしゃぎ、荒馬のようにいなないても、 + あなたがたの母はいたく恥を見、あなたがたを産んだ者ははずかしめを受けた。/見よ。彼女は国々のうちの最後の者、荒野となり、砂漠と荒れた地となる。 + 主の怒りによって、そこに住む者はなく、ことごとく廃墟と化する。/バビロンのあたりを通り過ぎる者は/みな、色を失い、そのすべての打ち傷を見てあざける。 + すべて弓を張る者よ。/バビロンの回りに陣ぞなえをし、これを射よ。/矢を惜しむな。/彼女は主に罪を犯したのだから。 + その回りに、ときの声をあげよ。/彼女は降伏した。/その柱は倒れ、その城壁はこわれた。/これこそ主の復讐だ。/彼女に復讐せよ。/彼女がしたとおりに、これにせよ。 + 種を蒔く者や、刈り入れの時にかまを取る者を、バビロンから切り取れ。/しいたげる者の剣を避けて、人はおのおの自分の民に帰り、自分の国へ逃げて行く。」 + イスラエルは雄獅子に散らされた羊。先にはアッシリヤの王がこれを食らったが、今度はついに、バビロンの王ネブカデレザルがその骨まで食らった。 + それゆえ、イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。「見よ。わたしはアッシリヤの王を罰したように、バビロンの王とその国を罰する。 + わたしはイスラエルをその牧場に帰らせる。彼はカルメルとバシャンで草を食べ、エフライムの山とギルアデで、その願いは満たされる。 + その日、その時、――主の御告げ――イスラエルの咎は見つけようとしても、それはなく、ユダの罪も見つけることはできない。わたしが残す者の罪を、わたしが赦すからだ。」 + 「メラタイムの地、ペコデの住民のところに/攻め上れ。/彼らを追って、殺し、彼らを聖絶せよ。/――主の御告げ――/すべて、わたしがあなたに命じたとおりに、行え。」 + 「国中には戦いの声、大いなる破滅。 + 万国を打った鉄槌は、どうして折られ、砕かれたのか。/バビロンよ。/どうして国々の恐怖となったのか。 + バビロンよ。/わたしがおまえにわなをかけ、おまえは捕らえられた。/おまえはそれを知らなかった。/おまえは見つけられてつかまえられた。/おまえが主に争いをしかけたからだ。 + 主はその倉を開いて、その憤りの武器を持ち出された。/それは、カルデヤ人の国で、万軍の神、主の、される仕事があるからだ。 + 四方からそこに攻め入れ。その穀物倉を開け。/これを麦束のように積み上げ、これを聖絶して、何一つ残すな。 + その雄牛をみな滅ぼせ。ほふり場に下らせよ。/ああ。哀れな彼ら。/彼らの日、その刑罰の時が来たからだ。」 + 聞け。バビロンの国からのがれて来た者が、シオンで、私たちの神、主の、復讐のこと、その宮の復讐のことを告げ知らせている。 + 射手を呼び集めて/バビロンを攻め、弓を張る者はみな、これを囲んで陣を敷き、ひとりものがすな。/そのしわざに応じてこれに報い、これがしたとおりに、これにせよ。/主に向かい、イスラエルの聖なる方に向かって/高ぶったからだ。 + 「それゆえ、その日、その若い男たちは町の広場に倒れ、その戦士もみな、断ち滅ぼされる。――主の御告げ―― + 高ぶる者よ。見よ。わたしはあなたを攻める。/――万軍の神、主の御告げ――/あなたの日、わたしがあなたを罰する時が来たからだ。 + そこで、高ぶる者はつまずき倒れ、これを起こす者もいない。/わたしは、その町に火をつける。/火はその回りのものをすべて焼き尽くす。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「イスラエルの民とユダの民は、共にしいたげられている。彼らをとりこにした者はみな、彼らを捕らえて解放しようとはしない。」 + 彼らを贖う方は強く、その名は万軍の主。主は、確かに彼らの訴えを支持し、この国をいこわせるが、バビロンの住民を震え上がらせる。 + 剣が、カルデヤ人にも、――主の御告げ――/バビロンの住民、その首長たち、知恵ある者たちにも下る。 + 剣が自慢する者たちにも下り、彼らは愚かになる。/剣がその勇士たちにも下り、彼らはおののく。 + 剣がその馬と車と、そこに住む混血の民にも下り、彼らは女のようになる。/剣がその財宝にも下り、それらはかすめ取られる。 + その水の上には、ひでりが下り、それはかれる。/ここは刻んだ像の国で、彼らは偶像の神に狂っているからだ。 + それゆえ、そこには荒野の獣が山犬とともに住み、だちょうがそこに住む。もう、いつまでも人は住まず、代々にわたって、住む人はない。 + 神がソドムと、ゴモラと、その近隣を滅ぼされたように、――主の御告げ――そこには人が住まず、そこには人の子が宿らない。 + 見よ。一つの民が北から来る。大きな国と多くの王が地の果て果てから奮い立つ。 + 彼らは弓と投げ槍を堅く握り、残忍で、あわれみがない。その声は海のようにとどろく。バビロンの娘よ。彼らは馬に乗り、ひとりのように陣ぞなえをして、あなたを攻める。 + バビロンの王は、彼らのうわさを聞いて気力を失い、産婦のような苦しみと苦痛に捕らえられる。 + 「見よ。獅子がヨルダンの密林から水の絶えず流れる牧場に上って来るように、わたしは一瞬にして彼らをそこから追い出そう。わたしは、選ばれた人をそこに置く。なぜなら、だれかわたしのような者があろうか。だれかわたしを呼びつける者があろうか。だれかわたしの前に立つことのできる牧者があろうか。」 + それゆえ、バビロンに対してめぐらされた主のはかりごとと、カルデヤ人の国に対して立てられたご計画を聞け。/必ず、群れの小さい者まで引きずって行かれ、必ず、彼らの牧場はそのことでおびえる。 + バビロンの捕らえられる音で地は震え、その叫びが国々の間でも聞こえた。 + + + 主はこう仰せられる。/「見よ。わたしはバビロンとその住民に対し、破壊する者の霊を奮い立たせ、 + 他国人たちをバビロンに送る。/彼らはこれを吹き散らし、その国を滅ぼす。/彼らは、わざわいの日に、四方からこれを攻める。」 + 射手には弓を張らせ、よろいを着けてこれを襲わせよ。/そこの若い男を惜しむことなく、その全軍を聖絶せよ。 + 刺し殺された者たちが、カルデヤ人の国に倒れ、突き刺された者たちが、そのちまたに倒れる。 + しかし、イスラエルもユダも、その神、万軍の主から、決して見捨てられない。/彼らの国は、イスラエルの聖なる方にそむいた罪に/満ちていたが。 + バビロンの中から逃げ、それぞれ自分のいのちを救え。/バビロンの咎のために断ち滅ぼされるな。/これこそ、主の復讐の時、報いを主が返される。 + バビロンは主の御手にある金の杯。/すべての国々はこれに酔い、国々はそのぶどう酒を飲んで、酔いしれた。 + たちまち、バビロンは倒れて砕かれた。/このために泣きわめけ。/その痛みのために乳香を取れ。/あるいはいやされるかもしれない。 + 私たちは、バビロンをいやそうとしたのに、それはいやされなかった。/私たちはこれを見捨てて、おのおの自分の国へ帰ろう。/バビロンへの罰は、天に達し、大空まで上ったからだ。 + 主は、私たちの正義の主張を明らかにされた。/来たれ。私たちはシオンで、私たちの神、主のみわざを語ろう。 + 矢をとぎ、丸い小盾を取れ。/主はメディヤ人の王たちの霊を/奮い立たせられた。/主の御思いは、バビロンを滅ぼすこと。/それは主の復讐、その宮のための復讐である。 + バビロンの城壁に向かって旗を揚げよ。/見張りを強くし、番兵を立てよ。伏兵を備えよ。/主ははかりごとを立て、バビロンの住民について語られたことを/実行されたからだ。 + 大水のほとりに住む財宝豊かな者よ。/あなたの最期、あなたの断ち滅ぼされる時が来た。 + 万軍の主はご自分をさして誓って言われた。「必ず、わたしはばったのような大群の人をあなたに満たす。彼らはあなたに向かって叫び声をあげる。」 + 主は、御力をもって地を造り、知恵をもって世界を堅く建て、英知をもって天を張られた。 + 主が声を出すと、水のざわめきが天に起こる。/主は地の果てから雲を上らせ、雨のためにいなずまを造り、その倉から風を出される。 + すべての人間は愚かで無知だ。/すべての金細工人は、偶像のために恥を見る。/その鋳た像は偽りで、その中に息がないからだ。 + それは、むなしいもの、物笑いの種だ。/刑罰の時に、それらは滅びる。 + ヤコブの分け前はこんなものではない。/主は万物を造る方。/イスラエルは主ご自身の部族。/その御名は万軍の主である。 + 「あなたはわたしの鉄槌、戦いの道具だ。/わたしはあなたを使って国々を砕き、あなたを使って諸王国を滅ぼす。 + あなたを使って馬も騎手も砕き、あなたを使って戦車も御者も砕き、 + あなたを使って男も女も砕き、あなたを使って年寄りも幼い者も砕き、あなたを使って若い男も若い女も砕き、 + あなたを使って牧者も群れも砕き、あなたを使って農夫もくびきを負う牛も砕き、あなたを使って総督や長官たちも砕く。 + わたしはバビロンとカルデヤの全住民に、彼らがシオンで行ったすべての悪のために、あなたがたの目の前で報復する。/――主の御告げ―― + 全地を破壊する、破壊の山よ。/見よ。わたしはおまえを攻める。/――主の御告げ――/わたしはおまえに手を伸べ、おまえを岩から突き落とし、おまえを焼け山とする。 + だれもおまえから石を取って、隅の石とする者はなく、礎の石とする者もない。/おまえは永遠に荒れ果てる。/――主の御告げ―― + この地に旗を掲げ、国々の中に角笛を鳴らせ。/国々を整えてこれを攻めよ。/アララテ、ミニ、アシュケナズの王国を/召集してこれを攻めよ。/ひとりの長を立ててこれを攻めよ。/群がるばったのように、馬を上らせよ。 + 国々を整えてこれを攻めよ。/メディヤ人の王たち、その総督やすべての長官たち、その支配する全土の民を整えて、これを攻めよ。 + 地は震え、もだえる。/主はご計画をバビロンに成し遂げ、バビロンの国を/住む者もない荒れ果てた地とされる。 + バビロンの勇士たちは戦いをやめて、とりでの中にすわり込み、彼らの力も干からびて、女のようになる。/その住まいは焼かれ、かんぬきは砕かれる。 + 飛脚はほかの飛脚に走り次ぎ、使者もほかの使者に取り次いで、バビロンの王に告げて言う。/「都はくまなく取られ、 + 渡し場も取られ、葦の舟も火で焼かれ、戦士たちはおじ惑っている。」 + イスラエルの神、万軍の主が、こう仰せられたからだ。/「バビロンの娘は、踏まれるときの打ち場のようだ。/もうしばらくで、刈り入れの時が来る。 + 『バビロンの王ネブカデレザルは、私を食い尽くし、私をかき乱して、からの器にした。/竜のように私をのみこみ、私のおいしい物で腹を満たし、私を洗い流した。』 + シオンに住む者は、『私と私の肉親になされた暴虐は、バビロンにふりかかれ』と言え。/エルサレムは、『私の血はカルデヤの住民に注がれよ』と言え。」 + それゆえ、主はこう仰せられる。/「見よ。わたしはあなたの訴えを取り上げ、あなたのために報復する。/わたしはその海を干上がらせ、その泉をからす。 + バビロンは石くれの山となり、ジャッカルの住みかとなり、恐怖、あざけりとなる。 + 彼らは共に、若獅子のようにほえ、雄獅子のように叫ぶ。 + 彼らがいらだっているとき、わたしは彼らに宴会を開き、彼らを酔わせて踊らせ、永遠の眠りについて、目ざめないようにする。/――主の御告げ―― + わたしは彼らを、子羊のように、また雄羊か雄やぎのように、ほふり場に下らせる。 + ああ、バビロンは攻め取られ、全地の栄誉となっていた者は捕らえられた。/ああ、バビロンは国々の間で恐怖となった。 + 海がバビロンの上にのしかかり、その波のざわめきにそれはおおわれた。 + その町々は荒れ果て、地は砂漠と荒れた地となり、だれも住まず、人の子が通りもしない地となる。 + わたしはバビロンでベルを罰し、のみこんだ物を吐き出させる。/国々はもう、そこに流れ込むことはない。/ああ、バビロンの城壁は倒れてしまった。 + わたしの民よ。/その中から出よ。/主の燃える怒りを免れて、おのおの自分のいのちを救え。 + そうでないと、あなたがたの心は弱まり、この国に聞こえるうわさを恐れよう。うわさは今年も来、その後の年にも、うわさは来る。この国には暴虐があり、支配者はほかの支配者を攻める。 + それゆえ、見よ、その日が来る。その日、わたしは、バビロンの刻んだ像を罰する。この国全土は恥を見、その刺し殺された者はみな、そこに倒れる。 + 天と地とその中のすべてのものは、バビロンのことで喜び歌う。北からこれに向かって、荒らす者たちが来るからだ。――主の御告げ―― + バビロンは、イスラエルの刺し殺された者たちのために、倒れなければならない。バビロンによって、全地の刺し殺された者たちが倒れたように。 + 剣からのがれた者よ。行け。立ち止まるな。遠くから主を思い出せ。エルサレムを心に思い浮かべよ。 + 『私たちは、そしりを聞いて、はずかしめを受けた。他国人が主の宮の聖所に入ったので、侮辱が私たちの顔をおおった。』」 + 「それゆえ、見よ、その日が来る。――主の御告げ――その日、わたしは、その刻んだ像を罰する。刺された者がその全土でうめく。 + たといバビロンが天に上っても、たとい、そのとりでを高くして近寄りがたくしても、わたしのもとから荒らす者たちが、ここに来る。――主の御告げ――」 + 聞け。バビロンからの叫び、カルデヤ人の地からの大いなる破滅の響きを。 + 主がバビロンを荒らして、そこから大いなる声を絶やされるからだ。その波は大水のように鳴りとどろき、その声は鳴りどよめく。 + 荒らす者がバビロンを攻めに来て、その勇士たちは捕らえられ、その弓も折られる。主は報復の神で、必ず報復されるからだ。 + 「わたしは、その首長たちや、知恵ある者、総督や長官、勇士たちを酔わせる。彼らは永遠の眠りについて、目ざめることはない。――その名を万軍の主という王の御告げ――」 + 万軍の主はこう仰せられる。「バビロンの広い城壁は、全くくつがえされ、その高い門も火で焼かれる。国々の民はむなしく労し、諸国の民は、ただ火に焼かれるために疲れ果てる。」 + マフセヤの子ネリヤの子セラヤが、ユダの王ゼデキヤとともに、その治世の第四年に、バビロンへ行くとき、預言者エレミヤがセラヤに命じたことば。そのとき、セラヤは宿営の長であった。 + エレミヤはバビロンに下るわざわいのすべてを一つの巻き物にしるした。すなわち、バビロンについてこのすべてのことばが書いてあった。 + エレミヤはセラヤに言った。「あなたがバビロンに入ったときに、これらすべてのことばをよく注意して読み、 + 『主よ。あなたはこの所について、これを滅ぼし、人間から獣に至るまで住むものがないようにし、永遠に荒れ果てさせる、と語られました』と言い、 + この書物を読み終わったなら、それに石を結びつけて、ユーフラテス川の中に投げ入れ、 + 『このように、バビロンは沈み、浮かび上がれない。わたしがもたらすわざわいのためだ。彼らは疲れ果てる』と言いなさい。」/ここまでが、エレミヤのことばである。 + + + ゼデキヤは二十一歳で王となり、エルサレムで十一年間、王であった。彼の母の名はハムタルといい、リブナの出のエレミヤの娘であった。 + 彼は、すべてエホヤキムがしたように、主の目の前に悪を行った。 + エルサレムとユダにこのようなことが起こったのは、主の怒りによるもので、ついに主は彼らを御前から投げ捨てられたのである。/そののち、ゼデキヤはバビロンの王に反逆した。 + ゼデキヤの治世の第九年、第十の月の十日に、バビロンの王ネブカデレザルは、その全軍勢を率いてエルサレムを攻めに来て、これに対して陣を敷き、周囲に塁を築いた。 + こうして町はゼデキヤ王の第十一年まで包囲されていたが、 + 第四の月の九日、町の中では、ききんがひどくなり、民衆に食物がなくなった。 + そのとき、町が破られ、戦士たちはみな逃げて、夜のうちに、王の園のほとりにある二重の城壁の間の門の道から町を出た。カルデヤ人が町を包囲していたので、彼らはアラバへの道を行った。 + カルデヤの軍勢が王のあとを追い、エリコの草原でゼデキヤに追いついたとき、王の軍隊はみな王から離れて散ってしまった。 + そこでカルデヤ人は王を捕らえ、ハマテの地のリブラにいるバビロンの王のところへ彼を連れ上った。バビロンの王は彼に宣告を下した。 + バビロンの王は、ゼデキヤの子らを彼の目の前で虐殺し、ユダのすべての首長たちをリブラで虐殺した。 + またゼデキヤの目をつぶし、彼を青銅の足かせにつないだ。バビロンの王は、彼をバビロンへ連れて行き、彼を死ぬ日まで獄屋に入れておいた。 + 第五の月の十日――それは、バビロンの王ネブカデレザル王の第十九年であった。――バビロンの王に仕えていた侍従長ネブザルアダンがエルサレムに来て、 + 主の宮と王宮とエルサレムのすべての家を焼き、そのおもだった建物をことごとく火で焼いた。 + 侍従長といっしょにいたカルデヤの全軍勢は、エルサレムの回りの城壁を全部取りこわした。 + 侍従長ネブザルアダンは、民の貧民の一部と、町に残されていた残りの民と、バビロンの王に降伏した者たちと、残りの群衆を捕らえ移した。 + しかし、侍従長ネブザルアダンは、国の貧民の一部を残し、ぶどう作りと農夫とにした。 + カルデヤ人は、主の宮の青銅の柱と、主の宮にある青銅の車輪つきの台と、海とを砕いて、その青銅をみなバビロンへ運んだ。 + また、灰つぼ、十能、心切りばさみ、鉢、平皿、奉仕に用いるすべての青銅の器具を奪った。 + また、侍従長は小鉢、火皿、鉢、灰つぼ、燭台、平皿、水差しなど、純金、純銀のものを奪った。 + ソロモン王が主の宮のために作った二本の柱、一つの海、車輪つきの台の下にある十二の青銅の牛、これらすべての器具の青銅の重さは、量りきれなかった。 + その柱は、一本の柱の高さが十八キュビトで、その回りを測るには十二キュビトのひもがいり、その厚さは指四本分で、中は空洞になっていた。 + その上に青銅の柱頭があり、一つの柱頭の高さは五キュビトであり、柱頭の回りに、網細工とざくろがあって、それもみな青銅で、他の柱もざくろもこれと同様であった。 + 回りには九十六のざくろがあり、回りの網細工の上には全部で百のざくろがあった。 + 侍従長はさらに、祭司のかしらセラヤと次席祭司ゼパニヤと三人の入口を守る者を捕らえ、 + 戦士の指揮官であったひとりの宦官と、町にいた王の七人の側近と、一般の人々を徴兵する将軍の書記と、町の中にいた一般の人々六十人を、町から捕らえ去った。 + 侍従長ネブザルアダンは彼らを捕らえ、リブラにいるバビロンの王のもとへ連れて行った。 + バビロンの王は彼らを打ち、ハマテの地のリブラで殺した。こうして、ユダはその国から捕らえ移された。 + ネブカデレザルが捕らえ移した民の数は次のとおり。第七年には、三千二十三人のユダヤ人。 + ネブカデレザルの第十八年には、エルサレムから八百三十二人。 + ネブカデレザルの第二十三年には、侍従長ネブザルアダンが、七百四十五人のユダヤ人を捕らえ移し、その合計は四千六百人であった。 + ユダの王エホヤキンが捕らえ移されて三十七年目の第十二の月の二十五日に、バビロンの王エビル・メロダクは、彼が即位した年のうちに、ユダの王エホヤキンを釈放し、獄屋から出し、 + 彼に優しいことばをかけ、彼の位をバビロンで彼とともにいた王たちの位よりも高くした。 + 彼は囚人の服を着替え、その一生の間、いつも王の前で食事をした。 + 彼の生活費は、死ぬ日までその一生の間、日々の分をいつもバビロンの王から支給されていた。 + +
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+ + ああ、人の群がっていたこの町は、ひとり寂しくすわっている。/国々の中で大いなる者であったのに、やもめのようになった。/諸州のうちの女王は、苦役に服した。 + 彼女は泣きながら夜を過ごし、涙は頬を伝っている。/彼女の愛する者は、だれも慰めてくれない。/その友もみな彼女を裏切り、彼女の敵となってしまった。 + ユダは悩みと多くの労役のうちに/捕らえ移された。/彼女は異邦の民の中に住み、いこうこともできない。/苦しみのうちにあるときに、彼女に追い迫る者たちがみな、彼女に追いついた。 + シオンへの道は喪に服し、だれも例祭に行かない。/その門はみな荒れ果て、その祭司たちはうめき、おとめたちは憂いに沈んでいる。/シオンは苦しんでいる。 + 彼女の仇がかしらとなり、彼女の敵が栄えている。/彼女の多くのそむきの罪のために、主が彼女を悩ましたのだ。/彼女の幼子たちも、仇によって/とりことなって行った。 + シオンの娘からは、すべての輝きがなくなり、首長たちは、牧場のない鹿のようになって、追う者の前を力なく歩む。 + エルサレムは、悩みとさすらいの日にあたって、昔から持っていた自分のすべての宝を思い出す。/その民が仇の手によって倒れ、だれも彼女を助ける者がないとき、仇はその破滅を見てあざ笑う。 + エルサレムは罪に罪を重ねて、汚らわしいものとなった。/彼女を尊んだ者たちもみな、その裸を見て、これを卑しめる。/彼女もうめいてたじろいだ。 + 彼女の汚れはすそにまでついている。/彼女は自分の末路を思わなかった。/それで、驚くほど落ちぶれて、だれも慰める者がない。「主よ。私の悩みを顧みてください。敵は勝ち誇っています。」 + 仇が彼女の宝としているものすべてに/手を伸ばしました。/異邦の民が、その聖所に入ったのを/彼女は見ました。/あなたの集団に加わってはならないと、あなたがかつて命じられたものが。 + 彼女の民はみなうめき、食べ物を捜しています。/気力を取り戻そうとして、自分の宝としているものを食物に代えています。「主よ。私が、卑しい女になり果てたのをよく見てください。」 + 道行くみなの人よ。よく見よ。/主が燃える怒りの日に私を悩まし、私をひどいめに会わされた/このような痛みがほかにあるかどうかを。 + 主は高い所から火を送り、私の骨の中にまで送り込まれた。/私の足もとに網を張り、私をうしろにのけぞらせ、私を荒れすさんだ女、終日、病んでいる女とされた。 + 私のそむきの罪のくびきは重く、主の御手で、私の首に結びつけられた。/主は、私の力をくじき、私を、彼らの手にゆだね、もう立ち上がれないようにされた。 + 主は、私のうちにいたつわものをみな追い払い、一つの群れを呼び集めて、私を攻め、私の若い男たちを滅ぼされた。/主は、酒ぶねを踏むように、おとめユダの娘を踏みつぶされた。 + このことで、私は泣いている。/私の目、この目から涙があふれる。/私を元気づけて慰めてくれる者が、私から遠ざかったからだ。/敵に打ち負かされて、私の子らは荒れすさんでいる。 + シオンが手を差し出しても、これを慰める者はない。/主は仇に命じて、四方からヤコブを攻めさせた。/エルサレムは彼らの間で、汚らわしいものとなった。 + 主は正義を行われる。/しかし、私は主の命令に逆らった。/だが、すべての国々の民よ、聞け。/私の痛みを見よ。/私の若い女たちも、若い男たちも、とりことなって行った。 + 私は愛する者たちを呼んだのに、彼らは私を欺いた。/私の祭司も長老たちも、町の中で息絶えた。/気力を取り戻そうとして、自分の食物を捜していたときに。 + 「主よ。ご覧ください。/私は苦しみ、私のはらわたは煮え返り、私の心は私のうちで転倒しています。/私が逆らい続けたからです。/外では剣が子を奪い、家の中は死のようです。 + 彼らは私のため息を聞いても、だれも私を慰めてくれません。/私の敵はみな、私のわざわいを聞いて、喜びました。/あなたが、そうなさったからです。/あなたが、かつて告げられた日を来させてください。/そうすれば、彼らも私と同じようになるでしょう。 + 彼らのすべての悪を、御前に出させ、あなたが、私のすべてのそむきの罪に対して、報い返されたように、彼らにも報い返してください。/私のため息は大きく、私の心は痛みます。」 + + + ああ、主はシオンの娘を/御怒りで曇らせ、イスラエルの栄えを天から地に投げ落とし、御怒りの日に、ご自分の足台を思い出されなかった。 + 主は、ヤコブのすべての住まいを、容赦なく滅ぼし、ユダの娘の要塞を、憤って打ちこわし、王国とその首長たちを、地に打ちつけて汚された。 + 燃える怒りをもって、イスラエルのすべての角を折り、敵の前で、右の手を引き戻し、あたりを焼き尽くす燃える火で、ヤコブを焼かれた。 + 主は敵のように、弓を張り、右の手でしっかり構え、仇のように、いとしい者たちのすべてを虐殺し、シオンの娘の天幕に/火のように憤りを注がれた。 + 主は、敵のようになって、イスラエルを滅ぼし、そのすべての宮殿を滅ぼし、その要塞を荒れすたらせて、ユダの娘の中にうめきと嘆きをふやされた。 + 主は、畑の仮小屋のように、ご自分の幕屋を投げ捨てて、例祭の場所を荒れすたらせた。/主はシオンでの例祭と安息日とを忘れさせ、激しい憤りで、王と祭司を退けられた。 + 主は、その祭壇を拒み、聖所を汚し、その宮殿の城壁を敵の手に渡された。/すると、例祭の日のように、彼らは、主の宮でほえたけった。 + 主は、シオンの娘の城壁を荒れすたらせようと決め、測りなわでこれを測り、これを滅ぼして手を引かれなかった。/塁と城壁は悲しみ嘆き、これらは共にくずれ落ちた。 + その城門も地にめり込み、主はそのかんぬきを打ちこわし、打ち砕いた。/その王も首長たちも異邦人の中にあり、もう律法はない。/預言者にも、主からの幻がない。 + シオンの娘の長老たちは、地にすわって黙りこみ、頭にはちりをまき散らし、身には荒布をまとった。/エルサレムのおとめたちは、その頭を地に垂れた。 + 私の目は涙でつぶれ、私のはらわたは煮え返り、私の肝は、私の民の娘の傷を見て、地に注ぎ出された。/幼子や乳飲み子が都の広場で衰え果てている。 + 彼らは母親に、穀物とぶどう酒はどこにあるのか、と言い続け、町の広場で傷つけられて衰え果てた者のように、母のふところで息も絶えようとしている。 + エルサレムの娘よ。/私はあなたを何にたとえ、あなたを何になぞらえよう。/おとめ、シオンの娘よ。/私は何にあなたを比べて、あなたを慰めることができよう。/あなたの傷は海のように大きい。/だれがあなたをいやすことができよう。 + あなたの預言者たちは、あなたのために、むなしい、ごまかしばかりを預言して、あなたの繁栄を元どおりにするために、あなたの咎をあばこうともせず、あなたのために、むなしい、人を惑わすことばを預言した。 + 道行く人はみな、あなたに向かって手を打ち鳴らし、エルサレムの娘をあざけって頭を振り、「これが、美のきわみと言われた町、全地の喜びの町であったのか」と言う。 + あなたの敵はみな、あなたに向かって大きく口を開いて、あざけり、歯ぎしりして言う。/「われわれはこれを滅ぼした。/ああ、これこそ、われわれの待ち望んでいた日。/われわれはこれに巡り会い、じかに見た」と。 + 主は企てたことを行い、昔から告げておいたみことばを成し遂げられた。/滅ぼして、容赦せず、あなたのことで敵を喜ばせ、あなたの仇の角を高く上げられた。 + 彼らは主に向かって心の底から叫んだ。/シオンの娘の城壁よ。/昼も夜も、川のように涙を流せ。/ぼんやりしてはならない。/目を閉じてはならない。 + 夜の間、夜の見張りが立つころから、立って大声で叫び、あなたの心を水のように、主の前に注ぎ出せ。/主に向かって手を差し上げ、あなたの幼子たちのために祈れ。/彼らは、あらゆる街頭で、飢えのために弱り果てている。 + 「主よ。ご覧ください。顧みてください。/あなたはだれに/このようなしうちをされたでしょうか。/女が、自分の産んだ子、養い育てた幼子を/食べてよいでしょうか。/主の聖所で、祭司や預言者が/虐殺されてよいでしょうか。 + 幼い者も年寄りも道ばたで地に横たわり、私の若い女たちも若い男たちも剣に倒れました。/あなたは御怒りの日に虐殺し、彼らを容赦なくほふりました。 + あなたは、例祭の日のように、私の恐れる者たちを、四方から呼び集めました。/主の御怒りの日に、のがれた者も生き残った者もいませんでした。/私が養い育てた者を、私の敵は絶ち滅ぼしてしまいました。」 + + + 私は主の激しい怒りのむちを受けて/悩みに会った者。 + 主は私を連れ去って、光のないやみを歩ませ、 + 御手をもって一日中、くり返して私を攻めた。 + 主は私の肉と皮とをすり減らし、骨を砕き、 + 苦味と苦難で私を取り囲んだ。 + ずっと前に死んだ者のように、私を暗い所に住まわせた。 + 主は私を囲いに入れて、出られないようにし、私の青銅の足かせを重くした。 + 私が助けを求めて叫んでも、主は私の祈りを聞き入れず、 + 私の道を切り石で囲み、私の通り道をふさいだ。 + 主は、私にとっては、待ち伏せしている熊、隠れている獅子。 + 主は、私の道をかき乱し、私を耕さず、私を荒れすたれさせた。 + 主は弓を張り、私を矢の的のようにし、 + 矢筒の矢を、私の腎臓に射込んだ。 + 私は、私の民全体の物笑いとなり、一日中、彼らのあざけりの歌となった。 + 主は私を苦味で飽き足らせ、苦よもぎで私を酔わせ、 + 私の歯を小石で砕き、灰の中に私をすくませた。 + 私のたましいは平安から遠のき、私はしあわせを忘れてしまった。 + 私は言った。/「私の誉れと、主から受けた望みは消えうせた」と。 + 私の悩みとさすらいの思い出は、苦よもぎと苦味だけ。 + 私のたましいは、ただこれを思い出しては沈む。 + 私はこれを思い返す。/それゆえ、私は待ち望む。 + 私たちが滅びうせなかったのは、主の恵みによる。/主のあわれみは尽きないからだ。 + それは朝ごとに新しい。/「あなたの真実は力強い。 + 主こそ、私の受ける分です」と/私のたましいは言う。/それゆえ、私は主を待ち望む。 + 主はいつくしみ深い。/主を待ち望む者、主を求めるたましいに。 + 主の救いを黙って待つのは良い。 + 人が、若い時に、くびきを負うのは良い。 + それを負わされたなら、ひとり黙ってすわっているがよい。 + 口をちりにつけよ。/もしや希望があるかもしれない。 + 自分を打つ者に頬を与え、十分そしりを受けよ。 + 主は、いつまでも見放してはおられない。 + たとい悩みを受けても、主は、その豊かな恵みによって、あわれんでくださる。 + 主は人の子らを、ただ苦しめ悩まそうとは、思っておられない。 + 地上のすべての捕らわれ人を足の下に踏みにじり、 + 人の権利を、いと高き方の前で曲げ、 + 人がそのさばきをゆがめることを、主は見ておられないだろうか。 + 主が命じたのでなければ、だれがこのようなことを語り、このようなことを起こしえようか。 + わざわいも幸いも、いと高き方の御口から出るのではないか。 + 生きている人間は、なぜつぶやくのか。/自分自身の罪のためにか。 + 私たちの道を尋ね調べて、主のみもとに立ち返ろう。 + 私たちの手をも心をも/天におられる神に向けて上げよう。 + 「私たちはそむいて逆らいました。/あなたは私たちを赦してくださいませんでした。 + あなたは、御怒りを身にまとい、私たちを追い、容赦なく殺されました。 + あなたは雲を身にまとい、私たちの祈りをさえぎり、 + 私たちを国々の民の間で、あくたとし、いとわれる者とされました。」 + 私たちの敵はみな、私たちに向かって口を大きく開き、 + 恐れと穴、荒廃と破滅が私たちのものになった。 + 私の民の娘の破滅のために、私の目から涙が川のように流れ、 + 私の目は絶えず涙を流して、やむことなく、 + 主が天から見おろして、顧みてくださる時まで続く。 + 私の目は私の町のすべての娘を見て、この心を苦しめる。 + わけもないのに、私の敵となった者たちは、鳥をねらうように、私をつけねらった。 + 彼らは私を穴に入れて殺そうとし、私の上に石を投げつけた。 + 水は私の頭の上にあふれ、私は「もう絶望だ」と言った。 + 「主よ。私は深い穴から御名を呼びました。 + あなたは私の声を聞かれました。/救いを求める私の叫びに/耳を閉じないでください。 + 私があなたに呼ばわるとき、あなたは近づいて、『恐れるな』と仰せられました。 + 主よ。あなたは、私のたましいの訴えを弁護して、私のいのちを贖ってくださいました。 + 主よ。あなたは、私がしいたげられるのをご覧になりました。/どうか、私の訴えを正しくさばいてください。 + あなたは、私に対する彼らの復讐と、たくらみとをことごとくご覧になりました。 + 主よ。あなたは、私に対する彼らのそしりと/すべてのたくらみとを聞かれました。 + 私の敵のくちびると彼らのつぶやきが、一日中、私に向けられています。 + 彼らの起き伏しに目を留めてください。/私は彼らのからかいの歌となっています。 + 主よ。彼らの手のわざに応じて、彼らに報復し、 + 横着な心を彼らに与え、彼らに、あなたののろいを下してください。 + 主よ。御怒りをもって彼らを追い、天の下から彼らを根絶やしにしてください。」 + + + ああ、金は曇り、美しい黄金は色を変え、聖なる石は、あらゆる道ばたに投げ出されている。 + 純金で値踏みされる高価なシオンの子らは、ああ、陶器師の手で作られた土のつぼのように/みなされている。 + ジャッカルさえも乳房をあらわし、その子に乳を飲ませるのに、私の民の娘は、荒野のだちょうのように無慈悲になった。 + 乳飲み子の舌は渇いて上あごにつき、幼子たちがパンを求めても、それを裂いて彼らにやる者もない。 + ごちそうを食べていた者は道ばたでしおれ、紅の衣で育てられた者は、堆肥をかき集めるようになった。 + 私の民の娘の咎は、人手によらず、たちまちくつがえされた/ソドムの罪より大きい。 + そのナジル人は雪よりもきよく、乳よりも白かった。/そのからだは、紅真珠より赤く、その姿はサファイヤのようであった。 + しかし、彼らの顔は、すすよりも黒くなり、道ばたでも見分けがつかない。/彼らの皮膚は干からびて骨につき、かわいて枯れ木のようになった。 + 剣で殺される者は、飢え死にする者よりも、しあわせであった。/彼らは、畑の実りがないので、やせ衰えて死んで行く。 + 私の民の娘の破滅のとき、あわれみ深い女たちさえ、自分の手で自分の子どもを煮て、自分たちの食物とした。 + 主は憤りを尽くして燃える怒りを注ぎ出し、シオンに火をつけられたので、火はその礎までも焼き尽くした。 + 地の王たちも、世に住むすべての者も、仇や敵がエルサレムの門に、入って来ようとは信じなかった。 + これはその預言者たちの罪、祭司たちの咎のためである。/彼らがその町のただ中で、正しい人の血を流したからだ。 + 彼らは血に汚れ、盲人のようにちまたをさまよい、だれも彼らの着物に触れようとしなかった。 + 「あっちへ行け。汚れた者」と/人々は彼らに叫ぶ。「あっちへ行け。あっちへ行け。さわるな。」彼らは、立ち去って、なおもさまよい歩く。諸国の民の中で人々は言う。「彼らはもう立ち寄ってはならない。」 + 主ご自身も彼らを散らし、もう彼らに目を留めなかった。/祭司たちも尊ばれず、長老たちも敬われなかった。 + それに、私たちの目は、衰え果てた。/助けを求めたが、むなしかった。/私たちは見張り所で、見張った。/救いをもたらさない国の来るのを。 + 私たちの歩みはつけねらわれて、私たちは広場を歩くことができなかった。/私たちの終わりは近づいた。/私たちの日は満ちた。/私たちの終わりが来たからだ。 + 私たちを追う者は、大空の鷲よりも速く、山々の上まで追い迫り、荒野で私たちを待ち伏せた。 + 私たちの鼻の息である者、主に油そそがれた者までも、彼らの落とし穴で捕らえられた。/「この者のおかげで、諸国の民の中でも/私たちは生きのびる」と/私たちが言った者なのに。 + ウツの地に住むエドムの娘よ。楽しみ喜べ。/だが、あなたにも杯は巡って来る。/あなたも酔って裸になる。 + シオンの娘。あなたの刑罰は果たされた。/主はもう、あなたを捕らえ移さない。/エドムの娘。主はあなたの咎を罰する。/主はあなたの不義をあばく。 + + + 主よ。私たちに起こったことを思い出してください。/私たちのそしりに目を留めてください。/顧みてください。 + 私たちの相続地は他国人の手に渡り、私たちの家もよそ者の手に渡りました。 + 私たちは父親のないみなしごとなり、私たちの母はやもめになりました。 + 私たちは自分たちの水を、金を払って飲み、自分たちのたきぎも、代価を払って/手に入れなければなりません。 + 私たちはくびきを負って、追い立てられ、疲れ果てても、休むことができません。 + 私たちは足りるだけの食物を得ようと、エジプトやアッシリヤに手を伸ばしました。 + 私たちの先祖は罪を犯しました。/彼らはもういません。/彼らの咎を私たちが背負いました。 + 奴隷たちが私たちを支配し、だれも彼らの手から/私たちを救い出してくれません。 + 私たちは、荒野に剣があるために、いのちがけで自分の食物を得なければなりません。 + 私たちの皮膚は、飢えの苦痛のために、かまどのように熱くなりました。 + 女たちはシオンで、おとめたちはユダの町々で、はずかしめられました。 + 首長たちは彼らの手でつるされ、長老たちも尊ばれませんでした。 + 若い男たちはひき臼をひかされ、幼い者たちはたきぎを背負ってよろめき、 + 年寄りたちは、城門に集まるのをやめ、若い男たちは、楽器を鳴らすのをやめました。 + 私たちの心から、喜びは消え、踊りは喪に変わり、 + 私たちの頭から冠も落ちました。/ああ、私たちにわざわいあれ。/私たちが罪を犯したからです。 + 私たちの心が病んでいるのはこのためです。/私たちの目が暗くなったのもこのためです。 + シオンの山は荒れ果て、狐がそこを歩き回っているからです。 + しかし、主よ。/あなたはとこしえに御座に着き、あなたの御座は代々に続きます。 + なぜ、いつまでも、私たちを忘れておられるのですか。/私たちを長い間、捨てられるのですか。 + 主よ。あなたのみもとに帰らせてください。/私たちは帰りたいのです。/私たちの日を昔のように新しくしてください。 + それとも、あなたはほんとうに、私たちを退けられるのですか。/きわみまで私たちを怒られるのですか。 + +
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+ + 第三十年の第四の月の五日、私がケバル川のほとりで、捕囚の民とともにいたとき、天が開け、私は神々しい幻を見た。 + それはエホヤキン王が捕囚となって連れて行かれてから五年目であった。その月の五日に、 + カルデヤ人の地のケバル川のほとりで、ブジの子、祭司エゼキエルにはっきりと主のことばがあり、主の御手が彼の上にあった。 + 私が見ていると、見よ、激しい風とともに、大きな雲と火が、ぐるぐるとひらめき渡りながら北から来た。その回りには輝きがあり、火の中央には青銅の輝きのようなものがあった。 + その中に何か四つの生きもののようなものが現れ、その姿はこうであった。彼らは何か人間のような姿をしていた。 + 彼らはおのおの四つの顔を持ち、四つの翼を持っていた。 + その足はまっすぐで、足の裏は子牛の足の裏のようであり、みがかれた青銅のように輝いていた。 + その翼の下から人間の手が四方に出ていた。そして、その四つのものの顔と翼は次のようであった。 + 彼らの翼は互いに連なり、彼らが進むときには向きを変えず、おのおの正面に向かってまっすぐ進んだ。 + 彼らの顔かたちは、人間の顔であり、四つとも、右側に獅子の顔があり、四つとも、左側に牛の顔があり、四つとも、うしろに鷲の顔があった。 + これが彼らの顔であった。彼らの翼は上方に広げられ、それぞれ、二つは互いに連なり、他の二つはおのおののからだをおおっていた。 + 彼らはおのおの前を向いてまっすぐに行き、霊が行かせる所に彼らは行き、行くときには向きを変えなかった。 + それらの生きもののようなものは、燃える炭のように見え、たいまつのように見え、それが生きものの間を行き来していた。火が輝き、その火から、いなずまが出ていた。 + それらの生きものは、いなずまのひらめきのように走って行き来していた。 + 私が生きものを見ていると、地の上のそれら四つの生きもののそばに、それぞれ一つずつの輪があった。 + それらの輪の形と作りは、緑柱石の輝きのようで、四つともよく似ていて、それらの形と作りは、ちょうど、一つの輪が他の輪の中にあるようであった。 + それらは四方に向かって行き、行くときには、それらは向きを変えなかった。 + その輪のわくは高くて、恐ろしく、その四つの輪のわくの回りには目がいっぱいついていた。 + 生きものが行くときには、輪もそのそばを行き、生きものが地の上から上がるときには、輪も上がった。 + これらは霊が行かせる所に行き、霊が行かせる所には、輪もまたそれらとともに上がった。生きものの霊が輪の中にあったからである。 + 生きものが行くときには、輪も行き、生きものが立ち止まるときには、輪も立ち止まり、生きものが地の上から上がるときには、輪も共に上がった。生きものの霊が輪の中にあったからである。 + 生きものの頭の上には、澄んだ水晶のように輝く大空のようなものがあり、彼らの頭の上のほうへ広がっていた。 + その大空の下には、互いにまっすぐに伸ばし合った彼らの翼があり、それぞれ、ほかの二つの翼は、彼らのからだをおおっていた。 + 彼らが進むとき、私は彼らの翼の音を聞いた。それは大水のとどろきのようであり、全能者の声のようであった。それは陣営の騒音のような大きな音で、彼らが立ち止まるときには、その翼を垂れた。 + 彼らの頭の上方の大空から声があると、彼らは立ち止まり、翼を垂れた。 + 彼らの頭の上、大空のはるか上のほうには、サファイヤのような何か王座に似たものがあり、その王座に似たもののはるか上には、人間の姿に似たものがあった。 + 私が見ると、その腰と見える所から上のほうは、その中と回りとが青銅のように輝き、火のように見えた。その腰と見える所から下のほうに、私は火のようなものを見た。その方の回りには輝きがあった。 + その方の回りにある輝きのさまは、雨の日の雲の間にある虹のようであり、それは主の栄光のように見えた。私はこれを見て、ひれ伏した。そのとき、私は語る者の声を聞いた。 + + + その方は私に仰せられた。「人の子よ。立ち上がれ。わたしがあなたに語るから。」 + その方が私に語りかけられると、すぐ霊が私のうちに入り、私を立ち上がらせた。そのとき、私は私に語りかけることばを聞いた。 + その方は私に仰せられた。「人の子よ。わたしはあなたをイスラエルの民、すなわち、わたしにそむいた反逆の国民に遣わす。彼らも、その先祖たちも、わたしにそむいた。今日もそうである。 + 彼らはあつかましくて、かたくなである。わたしはあなたを彼らに遣わす。あなたは彼らに『神である主はこう仰せられる』と言え。 + 彼らは反逆の家だから、彼らが聞いても、聞かなくても、彼らは、彼らのうちに預言者がいることを知らなければならない。 + 人の子よ。彼らや、彼らのことばを恐れるな。たとい、あざみといばらがあなたといっしょにあっても、またあなたがさそりの中に住んでも、恐れるな。彼らは反逆の家だから、そのことばを恐れるな。彼らの顔にひるむな。 + 彼らは反逆の家だから、彼らが聞いても、聞かなくても、あなたはわたしのことばを彼らに語れ。 + 人の子よ。わたしがあなたに語ることを聞け。反逆の家のようにあなたは逆らってはならない。あなたの口を大きく開いて、わたしがあなたに与えるものを食べよ。」 + そこで私が見ると、なんと、私のほうに手が伸ばされていて、その中に一つの巻き物があった。 + それが私の前で広げられると、その表にも裏にも字が書いてあって、哀歌と、嘆きと、悲しみとがそれに書いてあった。 + + + その方は私に仰せられた。「人の子よ。あなたの前にあるものを食べよ。この巻き物を食べ、行って、イスラエルの家に告げよ。」 + そこで、私が口をあけると、その方は私にその巻き物を食べさせ、 + そして仰せられた。「人の子よ。わたしがあなたに与えるこの巻き物で腹ごしらえをし、あなたの腹を満たせ。」そこで、私はそれを食べた。すると、それは私の口の中で蜜のように甘かった。 + その方はまた、私に仰せられた。「人の子よ。さあ、イスラエルの家に行き、わたしのことばのとおりに彼らに語れ。 + わたしはあなたを、むずかしい外国語を話す民に遣わすのではなく、イスラエルの家に遣わすのだ。 + あなたを、そのことばを聞いてもわからないようなむずかしい外国語を話す多くの国々の民に、遣わすのではない。もし、これらの民にあなたを遣わすなら、彼らはあなたの言うことを聞くであろう。 + しかし、イスラエルの家はあなたの言うことを聞こうとはしない。彼らはわたしの言うことを聞こうとはしないからだ。イスラエルの全家は鉄面皮で、心がかたくなだからだ。 + 見よ。わたしはあなたの顔を、彼らの顔と同じように堅くし、あなたの額を、彼らの額と同じように堅くする。 + わたしはあなたの額を、火打石よりも堅い金剛石のようにする。彼らは反逆の家だから、彼らを恐れるな。彼らの顔にひるむな。」 + その方は私に仰せられた。「人の子よ。わたしがあなたに告げるすべてのことばを、あなたの心に納め、あなたの耳で聞け。 + さあ、捕囚になっているあなたの民のところへ行って、彼らに告げよ。彼らが聞いても、聞かなくても、『神である主はこう仰せられる』と彼らに言え。」 + それから、霊が私を引き上げた。そのとき、私は、うしろのほうで、「御住まいの主の栄光はほむべきかな」という大きなとどろきの音を聞いた。 + それは、互いに触れ合う生きものたちの翼の音と、そのそばの輪の音で、大きなとどろきの音であった。 + 霊が私を持ち上げ、私を捕らえたので、私は憤って、苦々しい思いで出て行った。しかし、主の御手が強く私の上にのしかかっていた。 + そこで、私はテル・アビブの捕囚の民のところへ行った。彼らはケバル川のほとりに住んでいたので、私は彼らが住んでいるその所で、七日間、ぼう然として、彼らの中にとどまっていた。 + 七日目の終わりになって、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。わたしはあなたをイスラエルの家の見張り人とした。あなたは、わたしの口からことばを聞くとき、わたしに代わって彼らに警告を与えよ。 + わたしが悪者に、『あなたは必ず死ぬ』と言うとき、もしあなたが彼に警告を与えず、悪者に悪の道から離れて生きのびるように語って、警告しないなら、その悪者は自分の不義のために死ぬ。そして、わたしは彼の血の責任をあなたに問う。 + もしあなたが悪者に警告を与えても、彼がその悪を悔い改めず、その悪の道から立ち返らないなら、彼は自分の不義のために死ななければならない。しかしあなたは自分のいのちを救うことになる。 + もし、正しい人がその正しい行いをやめて、不正を行うなら、わたしは彼の前につまずきを置く。彼は死ななければならない。それはあなたが彼に警告を与えなかったので、彼は自分の罪のために死に、彼が行った正しい行いも覚えられないのである。わたしは、彼の血の責任をあなたに問う。 + しかし、もしあなたが正しい人に罪を犯さないように警告を与えて、彼が罪を犯さないようになれば、彼は警告を受けたのであるから、彼は生きながらえ、あなたも自分のいのちを救うことになる。」 + その所で主の御手が私の上にあった。主は私に仰せられた。「さあ、谷間に出て行け。そこでわたしはあなたに語ろう。」 + 私はすぐ、谷間に出て行った。すると、そこに、主の栄光が、かつて私がケバル川のほとりで見た栄光のように、現れた。それで私はひれ伏した。 + しかし、霊が私のうちに入り、私を立ち上がらせた。主は私に語りかけて仰せられた。「行って、あなたの家に閉じこもっていよ。 + 人の子よ。今、あなたに、なわがかけられ、あなたはそれで縛られて、彼らのところに出て行けなくなる。 + わたしがあなたの舌を上あごにつかせるので、あなたは話せなくなり、彼らを責めることができなくなる。彼らが反逆の家だからだ。 + しかし、わたしは、あなたと語るときあなたの口を開く。あなたは彼らに、『神である主はこう仰せられる』と言え。聞く者には聞かせ、聞かない者には聞かせるな。彼らが反逆の家だからだ。 + + + 人の子よ。一枚の粘土板を取り、それをあなたの前に置き、その上にエルサレムの町を彫りつけよ。 + それから、それを包囲し、それに向かって塁を築き、塹壕を掘り、陣営を設け、その回りに城壁くずしを配置せよ。 + また、一枚の鉄の平なべを取り、それをあなたと町との間に鉄の壁として立て、あなたの顔をしっかりとこの町に向けよ。この町を包囲し、これを攻め囲め。これがイスラエルの家のしるしだ。 + あなたは左わきを下にして横たわり、イスラエルの家の咎を自分の身の上に置け。あなたがそこに横たわっている日数だけ彼らの咎を負え。 + わたしは彼らの咎の年数を日数にして三百九十日とする。その間、あなたはイスラエルの家の咎を負わなければならない。 + あなたがその日数を終えたら、次にまた、あなたの右わきを下にして横たわり、ユダの家の咎を四十日間、負わなければならない。わたしは、あなたのために一年に対して一日とした。 + それから、あなたは顔を、包囲されているエルサレムのほうにしっかりと向け、腕をまくり、これに向かって預言せよ。 + 見よ。わたしはあなたになわをかけ、あなたの包囲の期間が終わるまで寝返りができないようにする。 + あなたは小麦、大麦、そら豆、レンズ豆、あわ、裸麦を取り、それらを一つの器に入れ、それでパンを作り、あなたがわきを下にして横たわっている日数、すなわち、三百九十日間それを食べよ。 + あなたが食べる食物は、一日分二十シェケルを量って、一日一回それを食べよ。 + あなたの飲む水も、一日分一ヒンの六分の一を量って、それを一日一回飲め。 + あなたの食物は大麦のパン菓子のようにして食べよ。それを彼らの目の前で、人の糞で焼け。」 + それから主は仰せられた。「このように、イスラエルの民は、わたしが追いやる国々の中で、彼らの汚れたパンを食べなければならない。」 + そこで、私は言った。「ああ、神、主よ。私はかつて、自分を汚したことはありません。幼い時から今まで、死んだ獣や、野獣に裂き殺されたものを食べたことはありません。また、いけにえとして汚れている肉を口にしたこともありません。」 + すると、主は私に仰せられた。「では、人の糞の代わりに牛の糞でやらせよう。あなたはその上で自分のパンを焼け。」 + そして、私に仰せられた。「人の子よ。見よ。わたしはエルサレムで、パンのたくわえをなくしてしまおう。それで彼らはこわごわパンを量って食べ、おびえながら水を量って飲むであろう。 + それはパンと水が乏しくなるからだ。彼らは自分たちの咎のために、みなやせ衰え、朽ち果てよう。 + + + 人の子よ。あなたは鋭い剣を取り、それを床屋のかみそりのように使って、あなたの頭と、ひげをそり、その毛をはかりで量って等分せよ。 + その三分の一を、包囲の期間の終わるとき、町の中で焼き、またほかの三分の一を取り、町の回りでそれを剣で打ち、残りの三分の一を、風に吹き散らせ。わたしは剣を抜いて彼らのあとを追う。 + あなたはそこから少しの毛を取り、それをあなたの衣のすそで包み、 + そのうちからいくらかを取って、火の中にくべ、それを火で焼け。火がその中から出て、イスラエルの全家に燃え移ろう。」 + 神である主はこう仰せられる。「これがエルサレムだ。わたしはこれを諸国の民の真ん中に置き、その回りを国々で取り囲ませた。 + エルサレムは諸国の民よりも悪事を働いて、わたしの定めに逆らい、その回りの国々よりもわたしのおきてに逆らった。実に、エルサレムは、わたしの定めをないがしろにし、わたしのおきてに従って歩まなかった。」 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。「あなたがたは、あなたがたの回りの諸国の民よりも狂暴で、わたしのおきてに従って歩まず、わたしの定めを行わず、それどころか、あなたがたの回りの諸国の民の定めさえ行わなかった。」 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。「今、わたしもあなたを攻め、諸国の民の目の前で、あなたにさばきを下す。 + あなたのしたすべての忌みきらうべきことのために、今までしたこともなく、これからもしないようなことを、あなたのうちで行う。 + それで、あなたのうちの父たちは自分の子どもを食べ、子どもたちは、自分の父を食べるようになる。わたしは、あなたにさばきを下し、あなたのうちの残りの者をすべて四方に散らす。 + それゆえ、――わたしは生きている。神である主の御告げ――あなたはあなたのすべての忌むべきものと、すべての忌みきらうべきことで、わたしの聖所を汚したので、わたしはあなたを取り去り、わたしはあなたを惜しまず、また、あわれまない。 + あなたの三分の一はあなたのうちで疫病で死ぬか、あるいは、ききんで滅び、三分の一はあなたの回りで剣に倒れ、残りの三分の一を、わたしは四方に散らし、剣を抜いて彼らのあとを追う。 + わたしの怒りが全うされると、わたしは彼らに対するわたしの憤りを静めて満足する。わたしが彼らに対する憤りを全うするとき、彼らは、主であるわたしが熱心に語ったことを知ろう。 + わたしは、あなたの回りの諸国の民の中で、通り過ぎるすべての者の目の前で、あなたを廃墟とし、そしりとする。 + わたしが怒りと憤りと譴責とをもって、あなたにさばきを下すとき、あなたは回りの諸国の民のそしりとなり、ののしりとなり、戒め、恐れとなる。主であるわたしがこれを告げる。 + わたしがひどいききんの矢をあなたがたに放つとき、あなたがたは滅びてしまおう。わたしがそれを放つのは、ききんをいっそうひどくして、あなたがたのパンのたくわえをなくし、あなたがたを滅ぼすためである。 + わたしはあなたがたにききんと、悪い獣を送る。彼らはあなたに子を失わせる。疫病と虐殺とがあなたのうちに起こる。わたしはあなたに剣を臨ませる。主であるわたしがこれを告げる。」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。あなたの顔をイスラエルの山々に向け、それらに向かって預言して、 + 言え。/イスラエルの山々よ。神である主のことばを聞け。神である主は、山や丘、谷川や谷に向かってこう仰せられる。見よ。わたしは剣をあなたがたにもたらし、あなたがたの高き所を打ちこわす。 + あなたがたの祭壇は荒らされ、あなたがたの香の台は砕かれる。わたしはあなたがたのうちの刺し殺された者どもを、あなたがたの偶像の前に投げ倒す。 + わたしは、イスラエルの民の死体を彼らの偶像の前に置き、あなたがたの骨をあなたがたの祭壇の回りにまき散らす。 + あなたがたがどこに住もうとも、町々は廃墟となり、高き所は荒らされる。あなたがたの祭壇は廃墟となり、罪に定められる。あなたがたの偶像が砕きに砕かれ、あなたがたの香の台は切り倒され、あなたがたのしたわざは消し去られ、 + 刺し殺された者があなたがたのうちに横たわるとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + しかし、わたしは、あなたがたのある者を残しておく。わたしがあなたがたを国々に追い散らすとき、剣をのがれた者たちを諸国の民の中におらせる。 + あなたがたのうちののがれた者たちは、とりこになって行く国々で、わたしを思い出そう。それは、わたしから離れる彼らの姦淫の心と、偶像を慕う彼らの姦淫の目をわたしが打ち砕くからだ。彼らが自分たちのあらゆる忌みきらうべきことをしたその悪をみずからいとうようになるとき、 + 彼らは、わたしが主であること、また、わたしがゆえもなくこのわざわいを彼らに下すと言ったのではないことを知ろう。」 + 神である主はこう仰せられる。「あなたは、手をたたき、足を踏み鳴らして、剣とききんと疫病とによって倒れるイスラエルの家の忌みきらうべきすべての悪に対して、『ああ』と叫べ。 + 遠くにいる者は疫病で死に、近くにいる者は剣に倒れ、生き残ってとどめられている者はききんで死ぬ。彼らへのわたしの憤りは全うされる。 + 彼らのうちの刺し殺された者が、彼らの偶像の間、その祭壇の回りや、すべての高い丘の上、山々のすべての頂、すべての青木の下や、すべての茂った樫の木の下、彼らがすべての偶像になだめのかおりをたいた所に横たわるとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + わたしが彼らの上に手を伸ばし、すべて彼らの住む所、荒野からリブラまで、その地を荒れ果てさせて荒廃した地とするとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。」 + + + ついで、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。イスラエルの地について神である主はこう仰せられる。『もう終わりだ。この国の四隅にまで終わりが来た。 + 今、あなたに終わりが来た。わたしの怒りをあなたのうちに送り、あなたの行いにしたがって、あなたをさばき、あなたのすべての忌みきらうべきわざに報いをする。 + わたしはあなたを惜しまず、あわれまない。わたしがあなたの行いに仕返しをし、あなたのうちの忌みきらうべきわざをあらわにするとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。』」 + 神である主はこう仰せられる。「わざわいが、ただわざわいが来る。 + 終わりが来る。その終わりが来る。あなたを起こしに、今、やって来る。 + この地に住む者よ。あなたの上に終局が来る。その時が来る。その日は近い。しかし、山々での歓声の日ではなく、恐慌の日だ。 + 今、わたしはただちに、憤りをあなたに注ぎ、あなたへのわたしの怒りを全うする。わたしはあなたの行いにしたがって、あなたをさばき、あなたのすべての忌みきらうべきわざに報いをする。 + わたしは惜しまず、あわれまない。わたしがあなたの行いに仕返しをし、あなたのうちの忌みきらうべきわざをあらわにするとき、あなたがたは、わたしがあなたがたを打っている主であることを知ろう。 + 見よ。その日だ。その日が来る。あなたの終局がやって来ている。杖が花を咲かせ、高慢がつぼみを出した。 + 暴虐はつのって悪の杖となり、彼らも、その群集も、彼らの富もなくなり、彼らのために嘆く者もいなくなる。 + その時が来た。その日が近づいた。買う者も喜ぶな。売る者も嘆くな。燃える怒りがそのすべての群集にふりかかるから。 + 売る者は、生きながらえても、売った物を取り返せない。幻がそのすべての群集にあっても、群集は帰らない。だれも、自分の不義のうちにいながら、奮い立って生きることはできないからだ。 + ラッパが吹き鳴らされ、みなの準備ができても、だれも戦いに行かない。わたしの燃える怒りがそのすべての群集にふりかかるからだ。 + 外には剣、内には疫病とききんがあり、野にいる者は剣に死に、町にいる者はききんと疫病に滅ぼし尽くされる。 + それをのがれた者が逃げて、山々に行っても、彼らは谷間の鳩のようになって、みな自分の不義のために泣き悲しむ。 + 彼らはみな気力を失い、彼らのひざもみな震える。 + 彼らは荒布を身にまとい、恐怖に包まれ、彼らはみな恥じて顔を赤くし、彼らの頭はみなそられてしまう。 + 彼らは銀を道ばたに投げ捨て、彼らの金は汚物のようになる。銀も金も、主の激しい怒りの日に彼らを救い出すことはできない。それらは彼らの飢えを飽き足らせることも、彼らの腹を満たすこともできない。それらが彼らを不義に引き込んだからだ。 + 彼らはこれを、美しい飾り物として誇り、これで彼らの忌みきらうべきもの、忌むべきものの像を造った。それで、わたしはそれを、彼らにとって汚物とする。 + わたしはそれを他国人の手に獲物として渡し、この国の悪者どもに分捕り物として渡し、それを汚させる。 + わたしは彼らから顔をそむけ、わたしの聖なる所を汚させる。強盗はそこに入り込み、そこを汚そう。 + 鎖を作れ。この国は虐殺に満ち、この町は暴虐に満ちているからだ。 + わたしは異邦の民の中で最も悪い者どもを来させて、彼らの家々を占領させ、有力者たちの高ぶりをくじき、彼らの聖所を汚させよう。 + 苦悩がやって来る。彼らは平和を求めるが、それはない。 + 災難の上に災難が来、うわさがうわさを生み、彼らは預言者に幻を求めるようになる。祭司は律法を失い、長老はさとしを失う。 + 王は喪に服し、君主は恐れにつつまれ、その地の民の手はわななく。わたしが彼らの行いにしたがって彼らに報い、彼らのやり方にしたがって彼らをさばくとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。」 + + + 第六年の第六の月の五日、私が自分の家にすわっていて、ユダの長老たちも私の前にすわっていたとき、神である主の御手が私の上に下った。 + 私が見ると、火のように見える姿があった。その腰と見える所から下のほうは火で、その腰から上のほうは青銅の輝きのように輝いて見えた。 + すると、その方は手の形をしたものを伸ばし、私の髪のふさをつかんだ。すると、霊が私を地と天との間に持ち上げ、神々しい幻のうちに私をエルサレムへ携え行き、ねたみを引き起こすねたみの偶像のある、北に面する内庭の門の入口に連れて行った。 + なんと、そこには、私がかつて谷間で見た姿と同じようなイスラエルの神の栄光があった。 + その方は私に仰せられた。「人の子よ。さあ、目を上げて北のほうを見よ。」そこで、私が目を上げて北のほうを見ると、北のほうの祭壇の門の入口にねたみの偶像があった。 + この方は私に仰せられた。「人の子よ。あなたは彼らのしていることが見えるか。イスラエルの家は、わたしの聖所から遠く離れようとして、ここで大きな忌みきらうべきことをしているではないか。あなたはなおまた、大きな忌みきらうべきことを見るだろう。」 + それから、この方は私を庭の入口に連れて行った。私が見ると、壁に一つの穴があった。 + この方は私に仰せられた。「人の子よ。さあ、壁に穴をあけて通り抜けよ。」私が壁に穴をあけて通り抜けると、一つの入口があった。 + この方は私に仰せられた。「入って行き、彼らがそこでしている悪い忌みきらうべきことを見よ。」 + 私が入って行って見ると、なんと、はうものや忌むべき獣のあらゆる像や、イスラエルの家のすべての偶像が、回りの壁一面に彫られていた。 + また、イスラエルの家の七十人の長老が、その前に立っており、その中にはシャファンの子ヤアザヌヤも立っていて、彼らはみなその手に香炉を持ち、その香の濃い雲が立ち上っていた。 + この方は私に仰せられた。「人の子よ。あなたは、イスラエルの家の長老たちがおのおの、暗い所、その石像の部屋で行っていることを見たか。彼らは、『主は私たちを見ておられない。主はこの国を見捨てられた』と言っている。」 + さらに、私に仰せられた。「あなたはなおまた、彼らが行っている大きな忌みきらうべきことを見るだろう。」 + ついでこの方は私を、主の宮の北の門の入口へ連れて行った。するとそこには、女たちがタンムズのために泣きながらすわっていた。 + この方は私に仰せられた。「人の子よ。これを見たであろうが、あなたはなおまた、これよりも大きな忌みきらうべきことを見るだろう。」 + そして、この方は私を主の宮の内庭に連れて行った。すると、主の宮の本堂の入口の玄関と祭壇との間に二十五人ばかりの人がおり、彼らは主の宮の本堂に背を向け、顔を東のほうに向けて、東のほうの太陽を拝んでいた。 + この方は私に仰せられた。「人の子よ。あなたはこれを見たか。ユダの家にとって、彼らがここでしているような忌みきらうべきことをするのは、ささいなことだろうか。彼らはこの地を暴虐で満たし、わたしの怒りをいっそう駆り立てている。見よ。彼らはぶどうのつるを自分たちの鼻にさしている。 + だから、わたしも憤って事を行う。わたしは惜しまず、あわれまない。彼らがわたしの耳に大声で叫んでも、わたしは彼らの言うことを聞かない。」 + + + この方は私の耳に大声で叫んで仰せられた。「この町を罰する者たちよ。おのおの破壊する武器を手に持って近づいて来い。」 + 見ると、六人の男が、おのおの打ちこわす武器を手に持って、北に面する上の門を通ってやって来た。もうひとりの人が亜麻布の衣を着、腰には書記の筆入れをつけて、彼らの中にいた。彼らは入って来て、青銅の祭壇のそばに立った。 + そのとき、ケルブの上にあったイスラエルの神の栄光が、ケルブから立ち上り、神殿の敷居へ向かった。それから、腰に書記の筆入れをつけ、亜麻布の衣を着ている者を呼び寄せて、 + 主は彼にこう仰せられた。「町の中、エルサレムの中を行き巡り、この町で行われているすべての忌みきらうべきことのために嘆き、悲しんでいる人々の額にしるしをつけよ。」 + また、私が聞いていると、ほかの者たちに、こう仰せられた。「彼のあとについて町の中を行き巡って、打ち殺せ。惜しんではならない、あわれんではならない。 + 年寄りも、若い男も、若い女も、子どもも、女たちも殺して滅ぼせ。しかし、あのしるしのついた者にはだれにも近づいてはならない。まずわたしの聖所から始めよ。」そこで、彼らは神殿の前にいた老人たちから始めた。 + ついで主は彼らに仰せられた。「宮を汚し、死体で庭を満たせ。さあ行け。」彼らは出て行って、町の中で打ち殺した。 + 彼らが打ち殺しているとき、私は残っていて、ひれ伏し、叫んで言った。「ああ、神、主よ。あなたはエルサレムの上にあなたの憤りを注ぎ出して、イスラエルの残りの者たちを、ことごとく滅ぼされるのでしょうか。」 + すると、主は私に仰せられた。「イスラエルとユダの家の咎は非常に大きく、この国は虐殺の血で満ち、町も罪悪で満ちている。それは、彼らが、『主はこの国を見捨てられた。主は見ておられない』と言ったからだ。 + だから、わたしも惜しまず、あわれまない。わたしは彼らの頭上に彼らの行いを返す。」 + ちょうどそのとき、腰に筆入れをつけ、亜麻布の衣を着ているその人が報告してこう言った。「あなたが私に命じたとおりに私は行いました。」 + + + 私が見ていると、ケルビムの頭の上の大空に、サファイヤのような何か王座に似たものがあって、それが、ケルビムの上に現れた。 + 主は亜麻布の衣を着た者に命じて言われた。「ケルブの下にある車輪の間に入り、ケルビムの間の炭火をあなたの両手に満たし、それを町の上にまき散らせ。」すると、この人は私の目の前でそこに入って行った。 + その人が入って行ったとき、ケルビムは神殿の右側に立っていて、雲がその内庭を満たしていた。 + 主の栄光がケルブの上から上り、神殿の敷居に向かうと、神殿は雲で満たされ、また、庭は主の栄光の輝きで満たされた。 + そのとき、ケルビムの翼の音が、全能の神の語る声のように、外庭にまで聞こえた。 + 主が亜麻布の衣を着た者に命じて、「車輪の間、すなわちケルビムの間から火を取れ」と仰せられたとき、この人は入って行って、一つの輪のそばに立った。 + すると、一つのケルブはケルビムの間から、ケルビムの間にある火のほうに手を伸ばして、その火を取り、亜麻布の衣を着た者の両手にそれを盛った。この人はそれを受け取ると、出て行った。 + さらに、ケルビムの翼の下から人の手の形のものが現れた。 + 私が見ると、ケルビムのそばに四つの輪があり、一つの輪は一つのケルブのそばに、他の輪は他のケルブのそばにそれぞれあった。その輪は緑柱石の輝きのように見えた。 + それらの形は、四つともよく似ていて、ちょうど一つの輪が他の輪の中にあるようであった。 + それらが行くとき、それらは四方に向かって行き、行くときには、それらは向きを変えなかった。なぜなら、頭の向かう所に、他の輪も従い、それらが行くときには向きを変えなかったからである。 + それらのからだ全体と、その背、その手、その翼、さらに輪、すなわちその四つの輪には、その回りに目がいっぱいついていた。 + 私はそれらの輪が「車輪」と呼ばれているのを聞いた。 + そのおのおのには四つの顔があり、第一の顔はケルブの顔、第二の顔は人間の顔、第三の顔は獅子の顔、第四の顔は鷲の顔であった。 + そのとき、ケルビムが飛び立ったが、それは、私がかつてケバル川のほとりで見た生きものであった。 + ケルビムが行くと、輪もそのそばを行き、ケルビムが翼を広げて地上から上るとき、輪もそのそばを離れず向きを変えなかった。 + ケルビムが立ち止まると、輪も立ち止まり、ケルビムが上ると、輪もいっしょに上った。それは、生きものの霊が輪の中にあったからである。 + 主の栄光が神殿の敷居から出て行って、ケルビムの上にとどまった。 + すると、ケルビムが翼を広げて、私の前で、地上から上って行った。彼らが出て行くと、輪もそのそばについて行った。彼らが主の宮の東の門の入口で立ち止まると、イスラエルの神の栄光がその上をおおった。 + 彼らは、かつて私がケバル川のほとりで、イスラエルの神の下に見た生きものであった。私は彼らがケルビムであることを知った。 + 彼らはおのおの四つずつ顔を持ち、おのおの四つの翼を持っていた。その翼の下には、人間の手のようなものがあった。 + 彼らの顔かたちは、私がかつてケバル川のほとりでその容貌としるしを見たとおりの顔であった。彼らはみな、前のほうへまっすぐ進んで行った。 + + + そのとき、霊が私を引き上げて、主の宮の東に面した東の門に連れて行った。ちょうど、その門の入口には二十五人の者がいて、その中に、私は、民の長であるアズルの子ヤアザヌヤと、ベナヤの子ペラテヤがいるのを見た。 + 主は私に仰せられた。「人の子よ。この者たちは、この町で、邪悪な計画を立て、悪いはかりごとをめぐらし、 + 『家を建てるにはまだ間がある。この町はなべであり、私たちはその肉だ』と言っている。 + だから、彼らに向かって預言せよ。人の子よ。預言せよ。」 + ついで主の霊が私に下り、私に仰せられた。「主はこう仰せられる、と言え。イスラエルの家よ。あなたがたはあのように言ったが、わたしは、あなたがたの心に浮かぶことどもをよく知っている。 + あなたがたはこの町に刺し殺された者をふやし、死体でその道ばたを満たした。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。あなたがたが町の中に置いた死体は肉であり、この町はなべである。しかしわたしは、あなたがたをその中から取り出そう。 + あなたがたは剣を恐れるが、わたしはあなたがたの上に剣をもたらす。――神である主の御告げ―― + わたしはあなたがたを町から連れ出して、他国人の手に渡し、あなたがたにさばきを下す。 + あなたがたが剣に倒れ、わたしがイスラエルの国境であなたがたをさばくとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + この町はあなたがたにとってなべとはならず、あなたがたはその中の肉とはならない。わたしは、イスラエルの国境であなたがたをさばこう。 + あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。あなたがたが、わたしのおきてに従って歩まず、わたしの定めを守らず、あなたがたの回りにいる諸国の民のならわしに従ったからである。」 + こうして、私が預言しているとき、ベナヤの子ペラテヤが死んだ。そこで、私はひれ伏し、大声で叫んで言った。「ああ、神、主よ。あなたはイスラエルの残りの者たちを、ことごとく滅ぼされるのでしょうか。」 + そのとき、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。あなたの兄弟、あなたの同胞、あなたの身近な親類の者たち、またイスラエルの全家のすべての者に対して、エルサレムの住民は、『主から遠く離れよ。この地は私たちの所有として与えられているのだ』と言った。 + それゆえ言え。『神である主はこう仰せられる。わたしは彼らを遠く異邦の民の中へ移し、国々の中に散らした。しかし、わたしは彼らが行ったその国々で、しばらくの間、彼らの聖所となっていた。』 + それゆえ言え。『神である主はこう仰せられる。わたしはあなたがたを、国々の民のうちから集め、あなたがたが散らされていた国々からあなたがたを連れ戻し、イスラエルの地をあなたがたに与える。』 + 彼らがそこに来るとき、すべての忌むべきもの、すべての忌みきらうべきものをそこから取り除こう。 + わたしは彼らに一つの心を与える。すなわち、わたしはあなたがたのうちに新しい霊を与える。わたしは彼らのからだから石の心を取り除き、彼らに肉の心を与える。 + それは、彼らがわたしのおきてに従って歩み、わたしの定めを守り行うためである。こうして、彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。 + しかし、彼らの忌むべきものや、忌みきらうべきものの心を、自分の心として歩む者には、彼らの頭上に彼らの行いを返そう。――神である主の御告げ――」 + ケルビムが翼を広げると、輪もそれといっしょに動き出し、イスラエルの神の栄光がその上のほうにあった。 + 主の栄光はその町の真ん中から上って、町の東にある山の上にとどまった。 + また、霊が私を引き上げ、神の霊によって幻のうちに私をカルデヤの捕囚の民のところへ連れて行った。そして、私が見たその幻は、私から去って上って行った。 + そこで私は、主が私に示されたことをことごとく捕囚の民に告げた。 + + + ついで、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。あなたは反逆の家の中に住んでいる。彼らは反逆の家だから、見る目があるのに見ず、聞く耳があるのに聞こうとしない。 + 人の子よ。あなたは捕囚のための荷物を整え、彼らの見ている前で、昼のうちに移れ。彼らの見ている前で、今いる所から他の所へ移れ。もしかしたら、彼らに自分たちが反逆の家であることがわかるかもしれない。 + あなたは、自分の荷物を昼のうちに彼らの見ている前で、捕囚のための荷物のようにして持ち出し、捕囚に行く人々のように、彼らの見ている前で、夕方、出て行け。 + 彼らの見ている前で、あなたは壁に穴をあけ、そこから出て行け。 + 彼らの見ている前で、あなたは荷物を肩に負い、暗いうちに出て行き、顔をおおって地を見るな。わたしがあなたをイスラエルの家のためにしるしとしたからだ。」 + そこで、私は命じられたとおりに、私の荷物を捕囚のための荷物のようにして昼のうちに持ち出し、夕方、自分の手で壁に穴をあけ、彼らの見ている前で、暗いうちに荷物を背負って出て行った。 + 翌朝、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。反逆の家、イスラエルの家は、あなたに、『何をしているのか』と尋ねなかったか。 + 彼らに言え。『神である主はこう仰せられる。この宣告は、エルサレムの君主、およびそこにいるイスラエルの全家にかかわるものである。』 + また言え。『私はあなたがたへのしるしである。私がしたようなことが彼らにもなされる。彼らはとりことなって引いて行かれる。 + 彼らのうちにいる君主は、暗いうちに荷物を背負って出て行く。出て行けるように壁に穴があけられる。彼は顔をおおうであろう。彼は自分の目でその地をもう見ないからである。』 + わたしはまた、彼の上にわたしの網をかけ、彼はわたしのわなにかかる。わたしは彼をカルデヤ人の地のバビロンへ連れて行く。しかし、彼はその地を見ないで、そこで死のう。 + わたしはまた、彼の回りにいて彼を助ける者たちや、彼の軍隊をみな、四方に追い散らし、剣を抜いて彼らのあとを追う。 + わたしが彼らを諸国の民の中に散らし、国々に追い散らすとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。 + 彼らが行く先の諸国の民の中で、自分たちの、忌みきらうべきわざをことごとく知らせるために、わたしが彼らのうちのわずかな者を、剣やききんや疫病から免れさせるとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。」 + ついで、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。震えながらあなたのパンを食べ、おののきながら、こわごわあなたの水を飲め。 + この地の人々に言え。『神である主は、イスラエルの地のエルサレムの住民について、こう仰せられる。彼らは自分たちのパンをこわごわ食べ、自分たちの水をおびえながら飲むようになる。その地が、そこに住むすべての者の暴虐のために、やせ衰えるからである。 + 人の住んでいた町々が廃墟となり、その地が荒れ果てるそのとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。』」 + さらに、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。あなたがたがイスラエルの地について、『日は延ばされ、すべての幻は消えうせる』と言っているあのことわざは、どういうことなのか。 + それゆえ、神である主はこう仰せられると言え。『わたしは、あのことわざをやめさせる。それで、彼らはイスラエルでは、もうくり返してそれを言わなくなる。かえって、その日は近づき、すべての幻は実現する』と彼らに告げよ。 + もう、むなしい幻も、へつらいの占いもことごとく、イスラエルの家からなくなるからだ。 + それは、主であるわたしが語り、わたしが語ったことを実現し、決して延ばさないからだ。反逆の家よ。あなたがたが生きているうちに、わたしは言ったことを成就する。――神である主の御告げ――」 + さらに、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。今、イスラエルの家は言っている。『彼が見ている幻はずっと後のことについてであり、はるか遠い将来について預言しているのだ。』 + それゆえ、彼らに言え。『神である主はこう仰せられる。わたしが言ったことはすべてもう延びることはなく、必ず成就する。』――神である主の御告げ――」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。預言をしているイスラエルの預言者どもに対して預言せよ。自分の心のままに預言する者どもに向かって、主のことばを聞けと言え。 + 神である主はこう仰せられる。自分で何も見ないのに、自分の霊に従う愚かな預言者どもにわざわいが来る。 + イスラエルよ。あなたの預言者どもは、廃墟にいる狐のようだ。 + あなたがたは、主の日に、戦いに耐えるために、破れ口を修理もせず、イスラエルの家の石垣も築かなかった。 + 彼らはむなしい幻を見、まやかしの占いをして、『主の御告げ』と言っている。主が彼らを遣わされないのに。しかも、彼らはそのことが成就するのを待ち望んでいる。 + あなたがたはむなしい幻を見、まやかしの占いをしていたではないか。わたしが語りもしないのに『主の御告げ』と言っている。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。あなたがたは、むなしいことを語り、まやかしの幻を見ている。それゆえ今、わたしはあなたがたに立ち向かう。――神である主の御告げ―― + わたしは、むなしい幻を見、まやかしの占いをしている預言者どもに手を下す。彼らはわたしの民の交わりに加えられず、イスラエルの家の籍にも入れられない。イスラエルの地にも入ることができない。このとき、あなたがたは、わたしが神、主であることを知ろう。 + 実に、彼らは、平安がないのに『平安』と言って、わたしの民を惑わし、壁を建てると、すぐ、それをしっくいで上塗りしてしまう。 + しっくいで上塗りする者どもに言え。『それは、すぐはげ落ちる。』大雨が降り注ぎ、わたしが雹を降らせ、激しい風を吹きつける。 + すると、壁が倒れ落ちる。人々はあなたがたに向かって、『上塗りしたしっくいはどこにあるのか』と言わないだろうか。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしは、憤って激しい風を吹きつけ、怒って大雨を降り注がせ、憤って雹を降らせて、こわしてしまう。 + あなたがたがしっくいで上塗りした壁を、わたしが打ちこわし、地に倒してしまうので、その土台までもあばかれてしまう。それが倒れ落ちて、あなたがたがその中で滅びるとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + わたしは、その壁と、それをしっくいで上塗りした者どもへのわたしの憤りを全うして、あなたがたに言う。壁もなくなり、それにしっくいを塗った者どもも、いなくなった。 + エルサレムについて預言し、平安がないのに平安の幻を見ていたイスラエルの預言者どもよ。――神である主の御告げ―― + 人の子よ。自分の心のままに預言するあなたの民の娘たちに、あなたの顔を向け、彼らに預言して、 + 言え。神である主はこう仰せられる。みなの手首に呪法のひもを縫い合わせ、あらゆる高さの頭に合うようにベールを作って、人々をわなにかける女たちにわざわいが来る。あなたがたは、わたしの民である人々をわなにかけて、自分たちのために人々を生かしているのだ。 + あなたがたは、ひとつかみの大麦のため、少しばかりのパンのために、まやかしに聞き従うわたしの民にまやかしを行い、死んではならない者たちを死なせ、生きてはならない者たちを生かして、わたしの民のうちでわたしを汚した。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、あなたがたが、人々を鳥を取るようにわなにかけたのろいのひもに立ち向かう。それらをあなたがたの腕からもぎ取り、あなたがたが鳥を取るようにわなにかけた人々を、わたしが放す。 + わたしは、あなたがたのベールをはがし、わたしの民をあなたがたの手から救い出す。わなにかかった者たちは、もうあなたがたの手のうちにいなくなる。このとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + あなたがたは、わたしが悲しませなかったのに、正しい人の心を偽りで悲しませ、悪者を力づけ、彼が悪の道から立ち返って生きるようにしなかった。 + それゆえ、あなたがたは、もう、むなしい幻も見ることができず、占いもできなくなる。わたしは、わたしの民をあなたがたの手から救い出す。このとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。」 + + + イスラエルの長老たちの幾人かが来て、私の前にすわった。 + そのとき、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。これらの者たちは、自分たちの偶像を心の中に秘め、自分たちを不義に引き込むものを、顔の前に置いている。わたしは、どうして彼らの願いを聞いてやれようか。 + それゆえ、彼らに告げよ。神である主はこう仰せられると言え。心の中に偶像を秘め、不義に引き込むものを自分の顔の前に置きながら、預言者のところに来るすべてのイスラエルの家の者には、主であるわたしが、その多くの偶像に応じて答えよう。 + 偶像のために、みなわたしから離されてしまったイスラエルの家の心をわたしがとらえるためである。 + それゆえ、イスラエルの家に言え。神である主はこう仰せられる。悔い改めよ。偶像を捨て去り、すべての忌みきらうべきものをあなたがたの前から遠ざけよ。 + イスラエルの家の者でも、イスラエルにいる在留異国人でも、だれでもわたしから離れ、心の中に偶像を秘め、不義に引き込むものを顔の前に置きながら、わたしに尋ね求めようと、預言者のところに来る者には、主であるわたしが答えよう。 + わたしがそのような者から顔をそむけ、彼をしるしとし、語りぐさとして、わたしの民のうちから彼を断ち滅ぼすとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + もし預言者が惑わされて、ことばを語るなら、――主であるわたしがその預言者を惑わしたのである――わたしは彼に手を伸ばして、わたしの民イスラエルのうちから彼を根絶やしにする。 + こういう者たちは、自分たちの咎を負う。この預言者の咎は、尋ね求めた者の咎と同じである。 + それは、イスラエルの家が、二度とわたしから迷い出ず、重ねて自分たちのそむきの罪によって自分自身を汚さないためであり、彼らがわたしの民となり、わたしも彼らの神となるためである。――神である主の御告げ――」 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。国が、不信に不信を重ねてわたしに罪を犯し、そのためわたしがその国に手を伸ばし、そこのパンのたくわえをなくし、その国にききんを送り、人間や獣をそこから断ち滅ぼすなら、 + たとい、そこに、ノアとダニエルとヨブの、これら三人の者がいても、彼らは自分たちの義によって自分たちのいのちを救い出すだけだ。――神である主の御告げ―― + もし、その地にわたしが悪い獣を行き巡らせ、その地を不毛にし、荒れ果てさせ、獣のために通り過ぎる者もなくなるとき、 + たとい、その地にこれら三人の者がいても、――わたしは生きている。神である主の御告げ――彼らは決して自分の息子も娘も救い出すことができない。ただ彼ら自身だけが救い出され、その地は荒れ果てる。 + あるいは、わたしがその地に剣を送り、『剣よ。この地を行き巡れ』と言って、人間や獣をそこから断ち滅ぼすとき、 + たとい、その地にこれら三人の者がいても、――わたしは生きている。神である主の御告げ――彼らは決して自分の息子も娘も救い出すことができない。ただ彼ら自身だけが救い出される。 + あるいは、わたしがその地に疫病を送って、人間や獣をそこから断ち滅ぼすために、血を流してわたしの憤りをその地に注ぐとき、 + たとい、そこに、ノアとダニエルとヨブがいても、――わたしは生きている。神である主の御告げ――彼らは決して息子も娘も救い出すことができない。彼らは自分たちの義によって自分たちのいのちを救い出すだけだ。 + まことに、神である主はこう仰せられる。人間や獣を断ち滅ぼすために、わたしが剣とききんと悪い獣と疫病との四つのひどい刑罰をエルサレムに送るとき、 + 見よ、そこに、のがれた者が残っていて、息子や娘たちを連れ出し、あなたがたのところにやって来よう。あなたがたは彼らの行いとわざとを見るとき、わたしがエルサレムにもたらしたわざわいと、わたしがそこにもたらしたすべての事について、慰められよう。 + あなたがたは、彼らの行いとわざとを見て慰められる。このとき、あなたがたは、わたしがそこでしたすべての事はゆえもなくしたのではないことを知ろう。――神である主の御告げ――」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 人の子よ。ぶどうの木は、森の木立ちの間にあって、その枝が、ほかの木よりどれだけすぐれているのか。 + その木を使って何かを作るために/その木は切り出されるだろうか。/それとも、あらゆる器具を掛けるために/これを使って木かぎを作るだろうか。 + 見よ。それは、たきぎとして火に投げ入れられ、火がその両端を焼き尽くす。/その中ほども焦げてしまえば、それは何の役に立つだろうか。 + 見よ。それが完全なときでも、何も作れないのに、まして、火がそれを燃やして、焦がせば、もう、それで何が作れよう。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。/わたしはエルサレムの住民を、わたしがたきぎとして火に投げ入れた、森の木立ちの間のぶどうの木のように、火に投げ入れてしまう。 + わたしは彼らから顔をそむける。/彼らが火からのがれても、火は彼らを焼き尽くしてしまう。/わたしが彼らから顔をそむけるそのとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + 彼らがわたしに不信に不信を重ねたので、わたしはこの地を荒れ果てさせる。/――神である主の御告げ―― + + + ついで、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。エルサレムにその忌みきらうべきわざをよく知らせて、 + 言え。神である主はエルサレムについてこう仰せられる。あなたの起こりと、あなたの生まれはカナン人の地である。あなたの父はエモリ人、あなたの母はヘテ人であった。 + あなたの生まれは、あなたが生まれた日に、へその緒を切る者もなく、水で洗ってきよめる者もなく、塩でこする者もなく、布で包んでくれる者もいなかった。 + だれもあなたを惜しまず、これらの事の一つでもあなたにしてやって、あなたにあわれみをかけようともしなかった。あなたの生まれた日に、あなたはきらわれて、野原に捨てられた。 + わたしがあなたのそばを通りかかったとき、あなたが自分の血の中でもがいているのを見て、血に染まっているあなたに、『生きよ』と言い、血に染まっているあなたに、くり返して、『生きよ』と言った。 + わたしはあなたを野原の新芽のように育て上げた。あなたは成長して、大きくなり、十分に円熟して、乳房はふくらみ、髪も伸びた。しかし、あなたはまる裸であった。 + わたしがあなたのそばを通りかかってあなたを見ると、ちょうど、あなたの年ごろは恋をする時期になっていた。わたしは衣のすそをあなたの上に広げ、あなたの裸をおおい、わたしはあなたに誓って、あなたと契りを結んだ。――神である主の御告げ――そして、あなたはわたしのものとなった。 + それでわたしはあなたを水で洗い、あなたの血を洗い落とし、あなたに油を塗った。 + わたしはまた、あや織りの着物をあなたに着せ、じゅごんの皮のはきものをはかせ、亜麻布をかぶらせ、絹の着物を着せた。 + それから、わたしは飾り物であなたを飾り、腕には腕輪をはめ、首には首飾りをかけ、 + 鼻には鼻輪、両耳には耳輪をつけ、頭には輝かしい冠をかぶせた。 + こうして、あなたは金や銀で飾られ、あなたは亜麻布や絹やあや織り物を着て、上等の小麦粉や蜜や油を食べた。こうして、あなたは非常に美しくなり、栄えて、女王の位についた。 + その美しさのために、あなたの名は諸国の民の間に広まった。それは、わたしがあなたにまとわせたわたしの飾り物が完全であったからだ。――神である主の御告げ―― + ところが、あなたは、自分の美しさに拠り頼み、自分の名声を利用して姦淫を行い、通りかかる人があれば、だれにでも身を任せて姦淫をした。 + あなたはまた、自分の衣服のいくらかを取り出して、自分のために、まだらに色どった高き所を造り、その上で姦淫を行った。こんな事はあったことがなく、あってはならないことだ。 + あなたは、わたしが与えた金や銀の美しい品々を取って、自分のために男の像を造り、それと姦淫を行った。 + あなたはまた、あや織りの着物を取って、それをおおい、わたしの油と、わたしの香とをその前にささげた。 + あなたは、わたしが与えたわたしのパンや、あなたに食べさせた上等の小麦粉や、油や、蜜までも、その前にささげてなだめのかおりとした。そうしたのだ。――神である主の御告げ―― + あなたはまた、わたしのために産んだ自分の息子や娘たちを取り、その像にいけにえとしてささげて食べさせた。あなたの姦淫はささいなことだろうか。 + あなたは、わたしの子どもたちを殺し、これを焼いて、ささげ物とした。 + あなたは、あらゆる忌みきらうべきことや姦淫をしているとき、かつて自分がまる裸のまま、血の中でもがいていた若かった時のことを思い出さなかった。 + あなたはこのすべての悪行の後――ああ。わざわいがあなたに来る。神である主の御告げ―― + あなたは自分のために小高い家を建て、どこの広場にも高台を造り、 + どこの辻にも高台を築き、通りかかるすべての人に身を任せ、姦淫を重ねて自分の美しさを忌みきらうべきものとした。 + あなたは、良いからだをした隣のエジプト人と姦通し、ますます姦淫を重ねてわたしの怒りを引き起こした。 + 見よ。わたしは、あなたに手を伸ばして、あなたの食糧を減らした。そして、あなたを憎む者、あなたのみだらな行いによってはずかしめを受けたペリシテ人の娘たちの思いのままに、あなたを任せた。 + あなたはそれでもまだ飽き足らず、アッシリヤ人と姦通した。彼らと姦通しても、まだあなたは飽き足らず、 + 商業の地カルデヤとますます姦淫を重ねたが、それでも、あなたは飽き足らなかった。 + なんとあなたの心は、あえいでいることよ。――神である主の御告げ――あつかましい遊女のするようなこれらのことをことごとく行って。 + あなたは、どこの辻にも自分の小高い家を建て、どこの広場にも高台を造った。しかし、あなたは報酬をあざけったので、遊女のようではなかった。 + 姦婦は、自分の夫の代わりに、ほかの男と通じるものだ。 + 遊女には、すべて代価が支払われるのに、あなたは、自分のほうから持参金をすべての愛人たちに与え、彼らに贈り物をして、四方からあなたのところに来させて姦淫をした。 + だから、あなたの姦淫は、ほかの女の場合と反対だ。だれもあなたを求めて姦淫をする者はいなかった。あなたが報酬を支払い、だれもあなたに報酬を支払わなかった。だからあなたは反対のことをしたのだ。 + それゆえ、遊女よ、主のことばを聞け。 + 神である主はこう仰せられる。あなたは、愛人たちや、忌みきらうべき偶像と姦淫をして、自分の恥ずかしい所を見せ、自分の裸をあらわにし、それらに自分の子をささげて血を流したため、 + それゆえ、見よ、わたしは今、あなたが戯れたすべての愛人たちや、あなたが恋した者や、憎んだ者をすべて寄せ集め、彼らを四方から集めて、あなたの裸を彼らにさらけ出し、彼らにあなたの裸をすっかり見せよう。 + わたしは、姦通した女と殺人をした女に下す罰であなたをさばき、ねたみと憤りの血をあなたに注ぐ。 + わたしは、あなたを彼らの手にゆだねる。彼らはあなたの小高い家をくつがえし、高台をこわし、あなたの着物をはぎ取り、あなたの美しい品々を奪い取り、あなたをまる裸にしておこう。 + 彼らは、集団をあおってあなたを襲わせ、石であなたを打ち殺し、剣であなたを切り倒そう。 + そのうえ、あなたの家々を火で焼き、多くの女たちの見ている前であなたにさばきを下そう。わたしはあなたの淫行をやめさせる。あなたはもう、報酬を支払わなくなろう。 + わたしは、あなたに対するわたしの憤りを静め、わたしのねたみをあなたから遠のける。わたしは心を休め、二度と怒るまい。 + あなたが、自分の若かった時のことを思い出さず、かえって、これらすべてのことでわたしを怒らせたので、見よ、わたしもまた、あなたの頭上にあなたの行いを返す。――神である主の御告げ――あなたはすべての忌みきらうべきわざに、みだらな行いを加えることは、もうすまい。 + 見よ。ことわざを用いる者は、あなたについてこういうことわざを用いよう。『あの母だから、この娘』と。 + あなたは、自分の夫と子どもをきらった母の娘。自分たちの夫や子どもをきらった姉妹があなたの姉妹。あなたがたの母はヘテ人、あなたがたの父はエモリ人であった。 + あなたの姉は、その娘たちといっしょに、あなたの左に住んでいるサマリヤであり、あなたの妹は、その娘たちといっしょにあなたの右に住んでいるソドムである。 + あなたは、ほんのしばらくの間だけ、彼らの道に歩まず、彼らの、忌みきらうべきわざをまねなかったが、ついにあなたのすべての道において、彼らよりも堕落してしまった。 + わたしは誓って言うが、――神である主の御告げ――あなたの妹ソドムとその娘たちは決して、あなたと、あなたの娘たちがしたほどのことはしなかった。 + だが、あなたの妹ソドムの不義はこうだった。彼女とその娘たちは高慢で、食物に飽き、安逸をむさぼり、乏しい者や、貧しい者の世話をしなかった。 + 彼女たちは高ぶって、わたしの前で忌みきらうべきことをしたので、わたしはこれを見たとき、彼らを取り除いた。 + サマリヤもまた、あなたの罪の半分ほども罪を犯さなかった。あなたが彼女たち以上に多くの忌みきらうべきことをしたので、あなたのしたすべての忌みきらうべきことが、あなたの姉妹たちを正しいとした。 + あなたも、あなたの姉妹たちをかばった恥を負え。あなたが彼女たちよりももっと忌みきらうべきことをして罪を犯したため、彼女たちがあなたよりも正しいとされたからだ。あなたもはずかしめを受けよ。あなたの姉妹たちを正しいとしたあなたの恥を負え。 + わたしは彼女たちの繁栄を元どおりにする。ソドムとその娘たちの繁栄、サマリヤとその娘たちの繁栄、また彼女たちの中にいるあなたの繁栄を元どおりにする。 + それは、あなたが、あなた自身の恥を負い、あなたが彼女たちを慰めたときにしたすべての事によって、あなたが恥じるためである。 + あなたの姉妹たち、ソドムとその娘たちは、もとの所に帰り、サマリヤとその娘たちも、もとの所に帰り、あなたとあなたの娘たちも、もとの所に帰って来る。 + あなたは、高ぶっていたときには、あなたの妹ソドムを悪いうわさの種にしていたではないか。 + しかしそれは、あなたの悪があばかれる前のことであって、今はアラムの娘たちや、その回りのすべての者、およびあなたを回りから侮るペリシテ人の娘たちのそしりとなっている。 + あなたは、自分のみだらな行いと忌みきらうべきわざの報いを受けている。――主の御告げ―― + まことに、神である主はこう仰せられる。わたしはあなたがしたとおりの事をあなたに返す。あなたは誓いをさげすんで、契約を破った。 + だが、わたしは、あなたの若かった時にあなたと結んだわたしの契約を覚え、あなたととこしえの契約を立てる。 + わたしが、あなたの姉と妹とを選び取り、あなたとの契約には含まれていないが、わたしが彼女たちをあなたの娘としてあなたに与えるとき、あなたは自分の行いを思い出し、恥じることになろう。 + わたしがあなたとの契約を新たにするとき、あなたは、わたしが主であることを知ろう。 + それは、わたしが、あなたの行ったすべての事について、あなたを赦すとき、あなたがこれを思い出して、恥を見、自分の恥のためにもう口出ししないためである。――神である主の御告げ――」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。イスラエルの家になぞをかけ、たとえを語り、 + 神である主はこう仰せられると言え。/大きな翼、長い羽、色とりどりの豊かな羽毛の大鷲が、レバノンに飛んで来て、杉のこずえを取り、 + その若枝の先を摘み取り、それを商業の地へ運び、商人の町に置いた。 + ついで、その地の種も取って来て、肥えた土地に植え、豊かな水のそばに、柳のように植えた。 + それは生長し、たけは低いが、よくはびこるぶどうの木となった。/その枝は鷲のほうに向き、その根は鷲の下に張り、こうして、ぶどうの木となって、枝を伸ばし、若枝を出した。 + さて、もう一羽の大きな翼と豊かな羽毛を持つ/大鷲がいた。/見よ。このぶどうの木は、潤いを得るために、根を、その鷲のほうに向けて伸ばし、その枝を、自分が植わっている所から、その鷲のほうに伸ばした。 + このぶどうの木は、枝を伸ばし、実を結び、みごとなぶどうの木となるために、水の豊かな良い地に植えつけられていた。 + 神である主はこう仰せられると言え。それは栄えている。しかし、主はその根を抜き取り、その実を摘み取り、芽のついた若枝をことごとく枯らしてしまわないだろうか。それは枯れる。それを根こそぎ引き抜くのに、大きな力や多くの軍勢を必要としない。 + 見よ。それが移し植えられたら、栄えるだろうか。東風がそれに吹きつけると、それはすっかり枯れてしまわないだろうか。その芽を出した苗床で、それは枯れてしまう。」 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「さあ、反逆の家に言え。これらがどういうことなのか、あなたがたは知らないのか。言え。見よ。バビロンの王がエルサレムに来て、その王とその首長たちを捕らえ、バビロンの自分のところへ彼らを連れて行った。 + そして彼は王族のひとりを選んで、その者と契約を結び、忠誠を誓わせた。バビロンの王はこの国のおもだった者たちも連れ去っていた。 + それは、この王国を低くして、立ち上がれないようにし、その契約を守らせて、仕えさせるためであった。 + ところが、彼はバビロンの王に反逆し、使者をエジプトに送り、馬と多くの軍勢を得ようとした。そんなことをして彼は成功するだろうか。助かるだろうか。契約を破って罰を免れるだろうか。 + わたしは生きている、――神である主の御告げ――彼は、自分を王位につけた王の住む所、彼が誓いをさげすみ、契約を破ったその相手の王の住む所、バビロンで必ず死ぬ。 + 戦争になって、多くの者を断ち滅ぼそうと、彼が塁を築き塹壕を掘っても、パロは決して大軍勢と大集団で彼をかばわない。 + 彼は誓いをさげすみ、契約を破った。彼は、誓っていながら、しかも、これらすべての事をしたから、決して罰を免れない。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしは生きている。彼がさげすんだわたしの誓い、彼が破ったわたしの契約、これを必ず彼の頭上に果たそう。 + わたしは彼の上にわたしの網をかけ、彼はわたしのわなにかかる。わたしは彼をバビロンへ連れて行き、わたしに逆らった不信の罪についてそこで彼をさばく。 + 彼の軍隊ののがれた者もみな剣に倒れ、残された者も四方に散らされる。このとき、あなたがたは、主であるわたしが語ったことを知ろう。」 + 神である主はこう仰せられる。「わたしは、高い杉のこずえを取り、そのうちから、柔らかい若枝の先を摘み取り、わたしはみずからそれを、高くてりっぱな山に植える。 + わたしがそれをイスラエルの高い山に植えると、それは枝を伸ばし、実を結び、みごとな杉の木となり、その下にはあらゆる種類の鳥が住みつき、その枝の陰に宿る。 + このとき、野のすべての木は、主であるわたしが、高い木を低くし、低い木を高くし、緑の木を枯らし、枯れ木に芽を出させることを知るようになる。主であるわたしが語り、わたしが行う。」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「あなたがたは、イスラエルの地について、『父が酸いぶどうを食べたので、子どもの歯が浮く』という、このことわざをくり返し言っているが、いったいどうしたことか。 + わたしは誓って言う。――神である主の御告げ――あなたがたはこのことわざを、イスラエルで、もう決して用いないようになる。 + 見よ。すべてのいのちはわたしのもの。父のいのちも、子のいのちもわたしのもの。罪を犯した者は、その者が死ぬ。 + もし、正しい者なら、その人は公義と正義とを行い、 + 丘の上で食事をせず、イスラエルの家の偶像を仰ぎ見ず、隣人の妻を汚さず、さわりのある女に近寄らず、 + だれをもしいたげず、質物を返し、物をかすめず、飢えている者に自分の食物を与え、裸の者に着物を着せ、 + 利息をつけて貸さず、高利を取らず、不正から手を引き、人と人との間を正しくさばき、 + わたしのおきてに従って歩み、まことをもってわたしの定めを守り行おう。こういう人が正しい人で、必ず生きる。――神である主の御告げ―― + しかし、彼が子を生み、その子が無法の者で、人の血を流し、先に述べたことの一つにでも違反する場合、 + すなわち、それらすべてのことをしようともせず、かえって丘の上で食事をし、隣人の妻を汚し、 + 乏しい者や貧しい者をしいたげ、物をかすめ、質物を返さず、偶像を仰ぎ見て、忌みきらうべきことをし、 + 利息をつけて貸し、高利を取るなら、こういう者ははたして生きるだろうか。彼は生きられない。自分がこれらすべての忌みきらうべきことをしたのだから、彼は必ず死に、その血の責任は彼自身に帰する。 + しかし、彼が子を生み、その子が父の行ったすべての罪を見て反省し、そのようなことを行わず、 + 丘の上で食事をせず、イスラエルの家の偶像を仰ぎ見ず、隣人の妻を汚さず、 + だれをもしいたげず、質物をとどめておかず、物をかすめず、飢えている者に自分の食物を与え、裸の者に着物を着せ、 + 卑しいことから手を引き、利息や高利を取らず、わたしの定めを行い、わたしのおきてに従って歩むなら、こういう者は自分の父の咎のために死ぬことはなく、必ず生きる。 + 彼の父は、しいたげを行い、兄弟の物をかすめ、良くないことを自分の民の中で行ったので、彼は確かに自分の咎のために死ぬ。 + あなたがたは、『なぜ、その子は父の咎の罰を負わなくてよいのか』と言う。その子は、公義と正義とを行い、わたしのすべてのおきてを守り行ったので、必ず生きる。 + 罪を犯した者は、その者が死に、子は父の咎について負いめがなく、父も子の咎について負いめがない。正しい者の義はその者に帰し、悪者の悪はその者に帰する。 + しかし、悪者でも、自分の犯したすべての罪から立ち返り、わたしのすべてのおきてを守り、公義と正義を行うなら、彼は必ず生きて、死ぬことはない。 + 彼が犯したすべてのそむきの罪は覚えられることはなく、彼が行った正しいことのために、彼は生きる。 + わたしは悪者の死を喜ぶだろうか。――神である主の御告げ――彼がその態度を悔い改めて、生きることを喜ばないだろうか。 + しかし、正しい人が、正しい行いから遠ざかり、不正をし、悪者がするようなあらゆる忌みきらうべきことをするなら、彼は生きられるだろうか。彼が行ったどの正しいことも覚えられず、彼の不信の逆らいと、犯した罪のために、死ななければならない。 + あなたがたは、『主の態度は公正でない』と言っている。さあ、聞け。イスラエルの家よ。わたしの態度は公正でないのか。公正でないのはあなたがたの態度ではないのか。 + 正しい人が自分の正しい行いから遠ざかり、不正をし、そのために死ぬなら、彼は自分の行った不正によって死ぬ。 + しかし、悪者でも、自分がしている悪事をやめ、公義と正義とを行うなら、彼は自分のいのちを生かす。 + 彼は反省して、自分のすべてのそむきの罪を悔い改めたのだから、彼は必ず生き、死ぬことはない。 + それでも、イスラエルの家は、『主の態度は公正でない』と言う。イスラエルの家よ。わたしの態度は公正でないのか。公正でないのはあなたがたの態度ではないのか。 + それゆえ、イスラエルの家よ、わたしはあなたがたをそれぞれその態度にしたがってさばく。――神である主の御告げ――悔い改めて、あなたがたのすべてのそむきの罪を振り捨てよ。不義に引き込まれることがないようにせよ。 + あなたがたの犯したすべてのそむきの罪をあなたがたの中から放り出せ。こうして、新しい心と新しい霊を得よ。イスラエルの家よ。なぜ、あなたがたは死のうとするのか。 + わたしは、だれが死ぬのも喜ばないからだ。――神である主の御告げ――だから、悔い改めて、生きよ。 + + + あなたはイスラエルの君主たちのために哀歌を唱えて、 + 言え。/あなたの母である雌獅子は何なのか。/雄獅子の間に伏し、若い獅子の間で子獅子を養った。 + 雌獅子が子獅子のうちの一頭を育て上げると、それは若い獅子となり、獲物を引き裂くことを習い、人を食べた。 + 諸国の民はその獅子のうわさを聞いた。/その獅子は彼らの落とし穴で捕らえられた。/彼らは鉤でこれを/エジプトの地へ引きずって行った。 + 雌獅子は、待ちくたびれ、自分の望みが消えうせたことを知ったとき、子獅子のうちのほかの一頭を取り、若い獅子とした。 + これも、雄獅子の間を歩き回り、若い獅子となって、獲物を引き裂くことを習い、人を食べた。 + この獅子は人のやもめたちを犯し、町々を廃墟とした。/そのほえる声のために、地と、それに満ちているものはおののいた。 + そこで、諸国の民は、回りの州から攻め上り、その獅子に彼らの網を打ちかけた。/その獅子は彼らの落とし穴で捕らえられた。 + 彼らはそれを鉤にかけておりに入れ、バビロンの王のもとに引いて行った。/彼らはそれをとりでに閉じ込め、二度とその声が/イスラエルの山々に聞こえないようにした。 + あなたの母は、まさしく、水のほとりに植えられた/ぶどうの木のようだった。/水が豊かなために実りが良く、枝も茂った。 + その強い枝は王の杖となり、そのたけは茂みの中できわだって高く、多くの小枝をつけてきわだって見えた。 + しかし、それは憤りのうちに引き抜かれ、地に投げ捨てられ、東風はその実を枯らし、その強い枝も折られて枯れ、火に焼き尽くされた。 + 今や、それは、荒野と砂漠と、潤いのない地に移し植えられ、 + 火がその枝から出て、その若枝と実を焼き尽くした。/もう、それには/王の杖となる強い枝がなくなった。」/これは悲しみの歌、哀歌となった。 + + + 第七年の第五の月の十日、イスラエルの長老たちの幾人かが、主に尋ねるために来て、私の前にすわった。 + そのとき、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。イスラエルの長老たちに語って言え。神である主はこう仰せられる。あなたがたが来たのは、わたしに願いを聞いてもらうためなのか。わたしは生きている、わたしは決してあなたがたの願いを聞き入れない。――神である主の御告げ―― + あなたは彼らをさばこうとするのか。人の子よ。あなたはさばこうとするのか。彼らの先祖たちの、忌みきらうべきわざを彼らに知らせよ。 + 彼らに言え。神である主はこう仰せられる。わたしがイスラエルを選んだとき、ヤコブの家の子孫に誓い、エジプトの地で彼らにわたしを知らせ、わたしがあなたがたの神、主であると言って彼らに誓った。 + その日、彼らをエジプトの地から連れ出し、わたしが彼らのために探り出した乳と蜜の流れる地、どの地よりも麗しい地に入れることを、彼らに誓った。 + わたしは彼らに言った。『おのおのその目の慕う忌まわしいものを投げ捨てよ。エジプトの偶像で身を汚すな。わたしがあなたがたの神、主である』と。 + それでも、彼らはわたしに逆らい、わたしに聞き従おうともせず、みな、その目の慕う忌まわしいものを投げ捨てようともせず、エジプトの偶像を捨てようともしなかった。だから、わたしは、エジプトの地でわたしの憤りを彼らの上に注ぎ、彼らへのわたしの怒りを全うしようと思った。 + しかし、わたしはわたしの名のために、彼らが住んでいる諸国の民の目の前で、わたしの名を汚そうとはしなかった。わたしは諸国の民の目の前で彼らをエジプトの地から連れ出す、と知らせていたからだ。 + こうして、わたしはエジプトの地から彼らを連れ出し、荒野に導き入れ、 + わたしのおきてを彼らに与え、それを実行すれば生きることのできるそのわたしの定めを彼らに教えた。 + わたしはまた、彼らにわたしの安息日を与えてわたしと彼らとの間のしるしとし、わたしが彼らを聖別する主であることを彼らが知るようにした。 + それなのに、イスラエルの家は荒野でわたしに逆らい、わたしのおきてに従って歩まず、それを行えば生きることのできるそのわたしの定めをもないがしろにし、わたしの安息日をひどく汚した。だから、わたしは、荒野でわたしの憤りを彼らの上に注ぎ、彼らを絶ち滅ぼそうと考えた。 + しかし、わたしはわたしの名のために、彼らを連れ出すのを見ていた諸国の民の目の前でわたしの名を汚そうとはしなかった。 + だが、わたしは、わたしが与えた、乳と蜜の流れる地、どの地よりも麗しい地に彼らを導き入れないと荒野で彼らに誓った。 + それは、彼らがわたしの定めをないがしろにし、わたしのおきてを踏み行わず、わたしの安息日を汚したからだ。それほど彼らの心は偶像を慕っていた。 + それでも、わたしは彼らを惜しんで、滅ぼさず、わたしは荒野で彼らを絶やさなかった。 + わたしは彼らの子どもたちに荒野で言った。『あなたがたの父たちのおきてに従って歩むな。彼らのならわしを守るな。彼らの偶像で身を汚すな。 + わたしがあなたがたの神、主である。わたしのおきてに従って歩み、わたしの定めを守り行え。 + また、わたしの安息日をきよく保て。これをわたしとあなたがたとの間のしるしとし、わたしがあなたがたの神、主であることを知れ』と。 + それなのに、その子どもたちはわたしに逆らい、わたしのおきてに従って歩まず、それを行えば生きることのできるそのわたしの定めを守り行わず、わたしの安息日を汚した。だから、わたしは、荒野でわたしの憤りを彼らの上に注ぎ、彼らへのわたしの怒りを全うしようと思った。 + しかし、わたしは手を引いて、わたしの名のために、彼らを連れ出すのを見ていた諸国の民の目の前でわたしの名を汚そうとはしなかった。 + だが、わたしは、彼らを諸国の民の中に散らし、国々へ追い散らすと荒野で彼らに誓った。 + 彼らがわたしの定めを行わず、わたしのおきてをないがしろにし、わたしの安息日を汚し、彼らの心が父たちの偶像を慕ったからだ。 + わたしもまた、良くないおきて、それによっては生きられない定めを、彼らに与えた。 + 彼らがすべての初子に火の中を通らせたとき、わたしは彼らのささげ物によって彼らを汚した。それは、わたしが彼らを滅ぼすため、わたしが主であることを彼らが知るためである。 + それゆえ、人の子よ、イスラエルの家に語って言え。神である主はこう仰せられる。あなたがたの先祖は、なお、このようにして、わたしに不信に不信を重ね、わたしを冒瀆した。 + わたしが、彼らに与えると誓った地に彼らを連れて行ったとき、彼らは、高い丘や茂った木を見ると、どこででも、いけにえをささげ、主の怒りを引き起こすささげ物をささげ、なだめのかおりを供え、注ぎのぶどう酒を注いだ。 + そこで、わたしは彼らに言った。あなたがたが通う高き所は何なのか。今日でもその名をバマと呼ばれているが。 + それゆえ、イスラエルの家に言え。神である主はこう仰せられる。あなたがたは父たちの行いをまねて自分自身を汚し、彼らの忌まわしいものを慕って姦淫を犯している。 + しかも、ささげ物を供え、幼子に火の中を通らせ、今日まであらゆる偶像で身を汚している。イスラエルの家よ。わたしはどうして、あなたがたの願いを聞いてやれようか。わたしは生きている、――神である主の御告げ――わたしは決してあなたがたの願いを聞き入れない。 + あなたがたが、『私たちは木や石を拝んでいる異邦の民、国々の諸族のようになろう』と言って心に思い浮かべていることは決して実現しない。 + わたしは生きている、――神である主の御告げ――わたしは憤りを注ぎ、力強い手と伸ばした腕をもって、必ずあなたがたを治める。 + わたしは、力強い手と伸ばした腕、注ぎ出る憤りをもって、あなたがたを国々の民の中から連れ出し、その散らされている国々からあなたがたを集める。 + わたしはあなたがたを国々の民の荒野に連れて行き、そこで、顔と顔とを合わせて、あなたがたをさばく。 + わたしがあなたがたの先祖をエジプトの地の荒野でさばいたように、あなたがたをさばく。――神である主の御告げ―― + わたしはまた、あなたがたにむちの下を通らせ、あなたがたと契約を結び、 + あなたがたのうちから、わたしにそむく反逆者を、えり分ける。わたしは彼らをその寄留している地から連れ出すが、彼らはイスラエルの地に入ることはできない。このとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + さあ、イスラエルの家よ。神である主はこう仰せられる。おのおの自分の偶像に行って仕えるがよい。後にはきっと、あなたがたはわたしに聞くようになる。あなたがたは二度と自分たちのささげ物や偶像で、わたしの聖なる名を汚さなくなる。 + わたしの聖なる山、イスラエルの高い山の上で、――神である主の御告げ――その所で、この地にいるイスラエルの全家はみな、わたしに仕えるからだ。その所で、わたしは彼らを喜んで受け入れ、その所で、あなたがたのすべての聖なる物とともに、あなたがたの奉納物と最上のささげ物を求める。 + わたしがあなたがたを国々の民の中から連れ出し、その散らされている国々からあなたがたを集めるとき、わたしは、あなたがたをなだめのかおりとして喜んで受け入れる。わたしは、諸国の民が見ている前で、あなたがたのうちに、わたしの聖なることを示す。 + わたしが、あなたがたの先祖に与えると誓った地、イスラエルの地に、あなたがたを入らせるとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + その所であなたがたは、自分の身を汚した自分たちの行いと、すべてのわざとを思い起こし、自分たちの行ったすべての悪のために、自分自身をいとうようになろう。 + わたしが、あなたがたの悪い行いや、腐敗したわざによってでなく、ただわたしの名のために、あなたがたをあしらうとき、イスラエルの家よ、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。――神である主の御告げ――」 + さらに、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。顔を右のほうに向け、南に向かって語りかけ、ネゲブの野の森に向かって預言し、 + ネゲブの森に言え。『主のことばを聞け。神である主はこう仰せられる。見よ。わたしはおまえのうちに火をつける。その火はおまえのうち、すべての緑の木と、すべての枯れ木を焼き尽くす。その燃える炎は消されず、ネゲブから北まですべての地面は焼かれてしまう。 + そのとき、すべての者は、主であるわたしが燃やしたことを見るであろう。その火は消されない。』」 + そこで、私は叫んだ。「ああ、神、主よ。彼らは私について、『彼はたとえ話をくり返している者ではないか』と言っています。」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。顔をエルサレムに向け、聖所に向かって語りかけよ。イスラエルの地に向かって預言せよ。 + イスラエルの地に言え。『主はこう仰せられる。今、わたしはあなたに立ち向かう。わたしは剣をさやから抜き、あなたのうちから、正しい者も悪者も断ち滅ぼす。 + わたしがあなたのうちから、正しい者も悪者も断ち滅ぼすために、わたしの剣はさやを離れて、ネゲブから北まですべての者に立ち向かう。 + このとき、すべての者は、主であるわたしが剣をさやから抜いたことを知ろう。剣はもう、さやに納められない。』 + 人の子よ。嘆け。彼らが見ているところで腰が砕けるほど激しく嘆け。 + 彼らがあなたに、『なぜあなたは嘆くのか』と言うなら、そのとき、あなたは言え。『この知らせのためだ。それが来ると、すべての者は心がしなえ、すべての者は気力を失い、みな意気消沈し、だれのひざも震える。今、それが来る。それは実現する。――神である主の御告げ――』」 + ついで、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。預言して言え。/主はこう仰せられると言え。/剣、一振りの剣が研がれ、みがかれている。 + 虐殺のために研がれ、いなずまのようにそれはみがかれた。/われわれはそれを喜ぼうか。/わたしの子の杖も、すべての木のように、退けられる。 + その剣はみがかれて手に握られ、それは、研がれて、みがかれ、殺す者の手に渡される。 + 叫べ。泣きわめけ。人の子よ。/それはわたしの民の上に下り、イスラエルのすべての君主たちの上に/下るからだ。/剣への恐れがわたしの民に起こる。/それゆえ、あなたはももを打って嘆け。 + ためされるとき、杖まで退けられたなら、いったいどうなることだろう。/――神である主の御告げ―― + 人の子よ。預言して手を打ち鳴らせ。/剣を二倍にし、三倍にして、人を刺し殺す剣とし、大いに人を刺し殺す剣として、彼らを取り囲め。 + 彼らの心が震えおののくように、彼らのすべての門に、つまずきをふやせ。/ああ、わたしは剣の先をいなずまのようにして、虐殺のためにみがきをかける。 + あなたの顔の向くところ、右に向け、左に向けて切りまくれ。 + わたしもまた、手を打ち鳴らし、わたしの憤りを静めよう。/主であるわたしが語るのだ。」 + ついで、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。バビロンの王の剣が来るために、二つの道にしるしをつけ、二つとも一つの国から出るようにせよ。町に向かう道の始まりに一つの道しるべを刻みつけておけ。 + 剣がアモン人のラバか、ユダ、すなわち、城壁のあるエルサレムに行けるように道にしるしをつけておけ。 + バビロンの王は、道の分かれ目、二つの道の辻に立って占いをしよう。彼は矢を振り混ぜて、テラフィムに伺いを立て、肝を調べる。 + 彼の右の手にエルサレムへの占いが当たり、彼は城壁くずしを配置し、虐殺を命じて口を開き、叫び声をあげて、城壁くずしを門に向かわせ、塹壕を掘り、塁を築く。 + 彼らは、何回となく誓われても、その占いはうそだと思う。だが、彼は彼らを捕らえて、彼らの不義を思い出させる。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。あなたがたのそむきの罪があばかれるとき、彼が、あなたがたの不義を思い出させて、あなたがたのすべてのわざに罪が表れるようにするため、また、あなたがたが思い出すため、あなたがたは彼らの手に捕らえられる。 + 悪に汚れたイスラエルの君主よ。あなたの日、最後の刑罰の時が来た。 + 神である主はこう仰せられる。かぶり物は脱がされ、冠は取り去られる。すべてがすっかり変わり、低い者は高くされ、高い者は低くされる。 + 廃墟だ。廃墟だ。わたしはこの国を廃墟にする。このようなことは、わたしが授ける権威を持つ者が来るまでは、かつてなかったことだ。 + 人の子よ。預言して言え。神である主はアモン人と、彼らのそしりについてこう仰せられると言え。剣、一振りの剣が、虐殺のために抜き放たれた。いなずまのようにして、絶ち滅ぼすためにとぎすまされた。 + 彼らがあなたにむなしい幻を見せ、あなたにまやかしの占いをするとき、その剣は汚れた悪者どもの首に当てられ、彼らの日、最後の刑罰の時が来る。 + 剣は、さやに納められる。あなたの造られた所、あなたの出身地で、わたしはあなたをさばく。 + わたしはあなたの上にわたしの憤りを注ぎ、激しい怒りの火を吹きつけ、滅ぼすことに巧みな残忍な者たちの手に、あなたを渡す。 + あなたは火のたきぎとなり、あなたの血はその国の中で流され、もう思い出されることはない。主であるわたしがこう語ったからだ。」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。あなたはさばくのか。この流血の町をさばくのか。それなら、これにその忌みきらうべきわざを残らず知らせ、 + 神である主はこう仰せられる、と言え。自分の中で血を流して、自分の刑罰の時を招き、自分の町に偶像を造って自分を汚す町よ。 + おまえは自分の流した血で罪に定められ、自分の造った偶像で身を汚し、自分の刑罰の日を近づかせ、自分の刑罰の年を来させた。だから、わたしはおまえを諸国の民のそしりとし、すべての国の笑いぐさとする。 + おまえの近くにいる者も、遠くにいる者も、名の汚れた、ひどくかき乱されたおまえをあざ笑う。 + 見よ。イスラエルの君主たちはみな、おまえの中で暴力をふるって血を流している。 + おまえの中では、父や母は軽んじられ、おまえのところにいる在留異国人は虐待され、おまえの中にいるみなしごや、やもめはしいたげられている。 + おまえはわたしの聖なるものをさげすみ、わたしの安息日を汚した。 + おまえのうちのある者たちは、血を流そうと他人を中傷し、ある者は丘の上で食事をし、おまえの中でみだらなことをした。 + おまえの中では父が裸をあらわされ、おまえの中では、さわりのある女が犯された。 + ある者は隣人の妻と忌みきらうべきことをし、またある者は嫁とみだらなことをして身を汚し、ある者はおまえの中で、自分の父の娘である自分の姉妹をはずかしめた。 + おまえの中では、血を流すためにわいろが使われ、おまえは利息と高利を取り、隣人を虐待して利得をむさぼった。おまえはわたしを忘れた。――神である主の御告げ―― + 見よ。おまえが得た不正な利得と、おまえの中に流された血のために、わたしは手を打ち鳴らす。 + わたしがおまえを罰する日に、おまえの心は耐えられようか。おまえの手は強くありえようか。主であるわたしがこれを語り、これをする。 + わたしはおまえを諸国の民の中に散らし、国々に追い散らし、おまえの汚れを全く取り除き、 + 諸国の民が見ている前でおまえにゆずりの地を与える。このとき、おまえは、わたしが主であることを知ろう。」 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。イスラエルの家はわたしにとってかなかすとなった。彼らはみな、炉の中の青銅、すず、鉄、鉛であって、銀のかなかすとなった。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。あなたがたはみな、かなかすとなったから、今、わたしはあなたがたをエルサレムの中に集める。 + 銀、青銅、鉄、鉛、すずが炉の中に集められるのは、火を吹きつけて溶かすためだ。そのように、わたしは怒りと憤りをもってあなたがたを集め、そこに入れて溶かす。 + わたしはあなたがたをかり集め、あなたがたに向かって激しい怒りの火を吹きつけ、あなたがたを町の中で溶かす。 + 銀が炉の中で溶かされるように、あなたがたも町の中で溶かされる。このとき、あなたがたは、主であるわたしがあなたがたの上に憤りを注いだことを知ろう。」 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。この町に言え。おまえは憤りの日にきよめられず、雨も降らない地である。 + そこには預言者たちの陰謀がある。彼らは、獲物を引き裂きながらほえたける雄獅子のように人々を食い、富と宝を奪い取り、その町にやもめの数をふやした。 + その祭司たちは、わたしの律法を犯し、わたしの聖なるものを汚し、聖なるものと俗なるものとを区別せず、汚れたものときよいものとの違いを教えなかった。また、彼らはわたしの安息日をないがしろにした。こうして、わたしは彼らの間で汚されている。 + その町の首長たちは、獲物を引き裂いている狼のように血を流し、人々を殺して自分の利得をむさぼっている。 + その町の預言者たちは、むなしい幻を見、まやかしの占いをして、しっくいで上塗りをし、主が語られないのに『神である主がこう仰せられる』と言っている。 + 一般の人々も、しいたげを行い、物をかすめ、乏しい者や貧しい者を苦しめ、不法にも在留異国人をしいたげた。 + わたしがこの国を滅ぼさないように、わたしは、この国のために、わたしの前で石垣を築き、破れ口を修理する者を彼らの間に捜し求めたが、見つからなかった。 + それで、わたしは彼らの上に憤りを注ぎ、激しい怒りの火で彼らを絶滅し、彼らの頭上に彼らの行いを返した。――神である主の御告げ――」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。同じ母の娘である、ふたりの女がいた。 + 彼女たちはエジプトで淫行をし、若いときから淫行をし、その地で彼女たちの胸は抱きしめられ、その処女の乳房はもてあそばれた。 + その名は、姉はオホラ、妹はオホリバで、ふたりはわたしのものとなり、息子や娘たちを産んだ。その名のオホラはサマリヤのこと、オホリバはエルサレムのことである。 + オホラは、わたしのものであったのに、姦通し、その恋人、隣のアッシリヤ人を恋い慕った。 + 彼らは、青色の衣を着た総督や長官で、すべて麗しい若い男たちであり、馬に乗る騎兵であった。 + 彼女は彼らと姦通した。彼らはみなアッシリヤのえり抜きの者であった。彼女は恋い慕った者のすべての偶像で自分の身を汚した。 + 彼女はエジプト以来の淫行をやめようとしなかった。それは、彼女の若いとき、エジプト人が彼女と寝てその処女の乳房をもてあそび、彼女に情欲を注いだからである。 + それでわたしは、彼女が恋い慕う恋人たちの手、アッシリヤ人の手に彼女を渡した。 + 彼らは彼女の裸をさらけ出し、その息子や娘たちを奪い取り、彼女を剣で殺してしまった。こうして、彼女にさばきが下され、彼女は女たちの語りぐさとなった。 + 妹のオホリバはこれを見たが、姉よりいっそう恋情を腐らせ、その淫行は姉の淫行よりひどかった。 + 彼女は隣のアッシリヤ人の総督や長官を恋い慕った。彼らはみな盛装をし、馬に乗る騎兵たちで、麗しい若い男であった。 + わたしは彼女が身を汚すのを見たが、ふたりとも同じやり方であった。 + 彼女は淫行を増し加え、壁に彫られた人々、朱で描かれているカルデヤ人の肖像を見た。 + それらは腰に帯を締め、頭には垂れるほどのターバンをつけ、みな侍従のように見え、彼らの出生地カルデヤのバビロン人の姿をしていた。 + 彼女はそれを一目見ると、彼らを恋い慕い、使者たちをカルデヤの彼らのもとに遣わした。 + バビロン人は、彼女のもとに来て、恋の床につき、彼女を情欲で汚した。彼女が彼らによって汚れたものとなったときに、彼女の心は彼らから離れ去った。 + それでも、彼女は自分の淫行をさらけ出し、自分の裸をあらわした。それで、わたしの心は、かつて彼女の姉から離れ去ったように、彼女からも離れ去ってしまった。 + しかし、彼女は、かつてエジプトの地で淫行をしたあの若かった日々を思い出して、淫行を重ね、 + ろばのからだのようなからだを持ち、馬の精力のような精力を持つ彼らのそばめになりたいとあこがれた。 + このように、あなたはエジプト人があなたの若い胸を抱きしめ、あなたの乳房をもてあそんだあの若い時のみだらな行いをしきりに望んだ。 + それゆえ、オホリバよ、神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、あなたの心がすでに離れ去ったあなたの恋人たちを駆り立ててあなたを攻めさせ、四方からあなたを攻めによこす。 + 彼らはバビロン人、すべてのカルデヤ人、ペコデや、ショアや、コアの人々、それに加えてアッシリヤのすべての人々である。またすべての麗しい若い男、総督、長官、侍従、議官、馬に乗る者たちである。 + 彼らは、軍馬、戦車、車両、および民の大集団を率いてあなたを攻めに来、大盾、盾、かぶとを着けて四方からあなたを攻める。わたしが彼らにさばきをゆだねるので、彼らは自分たちのさばきに従ってあなたをさばく。 + わたしはあなたをわたしのねたみとする。彼らは怒って、あなたを罰し、あなたの鼻と耳とを切り取り、残りの者を剣で切り倒す。彼らはあなたの息子や娘たちを連れ去り、残りの者は火で焼き尽くされる。 + 彼らはあなたの着物をはぎ取り、あなたの美しい品々を奪い取る。 + わたしはあなたのみだらな行いと、エジプトの地以来の淫行をやめさせ、あなたが彼らを仰ぎ見ず、もうエジプトを思い出さないようにする。 + 神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、あなたが憎む者の手、あなたの心が離れ去った者の手に、あなたを渡す。 + 彼らは憎しみをもってあなたを罰し、あなたの勤労の実をことごとく奪い取り、あなたをまる裸にして捨て去ろう。あなたの淫行と淫乱と売淫の恥はあばかれる。 + これらのことがなされるのは、あなたが異邦の民を慕って姦淫をし、彼らの偶像であなたの身を汚したからである。 + あなたが姉の道を歩んだので、わたしは彼女の杯をあなたの手にも渡す。 + 神である主はこう仰せられる。/あなたは姉の杯、深くて大きい杯を飲み、物笑いとなり、あざけりとなる。/この杯はあふれるほどに満ちている。 + あなたは酔いと悲しみに満たされる。/恐怖と荒廃の杯、これがあなたの姉サマリヤの杯。 + あなたはこれを飲み、飲み干して、杯のかけらまでかみ、自分の乳房をかき裂く。/わたしがこれを語ったからだ。/――神である主の御告げ―― + それゆえ、神である主はこう仰せられる。あなたはわたしを忘れ、わたしをあなたのうしろに投げやったから、あなたも自分のみだらな行いと、淫行の責めを負え。」 + 主は私に仰せられた。「人の子よ。あなたはオホラとオホリバをさばくか。それなら、ふたりに彼女たちの、忌みきらうべきわざを告げ知らせよ。 + 彼女たちは姦通し、その手は血に染まっている。彼女たちは自分たちの偶像と姦通し、わたしのために産んだ子どもをさえ、それらのために火の中を通らせて、焼き尽くした。 + なお、彼らはわたしに対してこんなことまでし、同じ日に、わたしの聖所を汚し、わたしの安息日を汚した。 + 偶像のために、自分たちの子どもを殺し、その同じ日にわたしの聖所に来て、これを汚した。彼らはなんと、このようなことをわたしの家の中でした。 + それなのに、あなたがたは、遠くから来る人々を、使者を遣わして招いた。彼らが来ると、あなたは、彼らのために身を洗い、目の縁を塗り、飾り物で身を飾り、 + 豪奢な寝台に横たわり、その前に食卓を整え、その上にわたしの香と油とを置いた。 + そこでは、のんきなばか騒ぎが聞こえ、都会からの者に、荒野からの大酒飲みが加わった。そして、彼らは、彼女たちの腕に腕輪をはめ、頭には、輝かしい冠をかぶせた。 + そこで、わたしは、姦通で疲れきった彼女について考えた。彼らは今、その女と姦淫をしているのではないかと。 + 彼らは遊女のもとに行くように、彼女のもとに行った。彼らは、みだらな女たち、オホラとオホリバのもとに行った。 + しかし、正しい人たちは、姦通した女に下す罰と殺人をした女に下す罰で彼らをさばく。彼女たちが姦通し、彼女たちの手が血に染まっているからだ。」 + まことに神である主はこう仰せられる。「わたしは一つの集団を彼らに向けて攻め上らせ、彼女たちを人々のおののきとし、えじきとする。 + 集団は彼女たちを石で打ち殺し、剣で切り倒し、その息子や娘たちを殺し、その家々を火で焼き払おう。 + わたしはこの地からみだらな行いをやめさせる。すべての女たちは自分自身を戒めて、あなたがたがしたような、みだらな行いをしなくなる。 + あなたがたのみだらな行いの報いはあなたがたの上に下り、あなたがたはあなたがたの偶像の罪の罰を負わなければならない。このとき、あなたがたは、わたしが神、主であることを知ろう。」 + + + 第九年の第十の月の十日、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。この日、ちょうどこの日の日づけを書きしるせ。ちょうどこの日に、バビロンの王がエルサレムに攻め寄せたからだ。 + あなたは、反逆の家に一つのたとえを語って言え。/神である主はこう仰せられる。/なべを火にかけ、これを据え、水をこれに注ぎ入れよ。 + これに肉の切れ、ももと肩の良い肉の切れを/みないっしょに入れ、えり抜きの骨でこれを満たせ。 + えり抜きの羊を取れ。/なべの下には、まきを積み、よく沸騰させて、その中の骨も煮よ。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。/ああ。/流血の町、さびついているなべ。/そのさびは落とせない。/一切れずつそれを取り出せ。/くじで引いてはならない。 + 彼女の血はまだ、そこにある。/彼女はそれを裸岩の上に流し、地面にそれを流さず、これに土をかぶせようともしなかった。 + わたしは、憤りをつのらせ、復讐するため、その血を裸岩の上に流させて、これに土をかぶせなかった。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。/ああ。流血の町。/わたしもこれにたきぎを積み上げよう。 + まきをふやし、火を燃え立たせ、肉をよく煮、味をつけ、骨も燃やせ。 + なべをからにして炭火にかけ、その青銅を熱くして、その中の汚れを溶かし、さびがなくなるようにせよ。 + しかし、その骨折りはむだだった。そのひどいさびはそれから落ちず、そのさびは、なお、火の中にあった。 + あなたのみだらな汚れを見て、わたしはあなたをきよめようとしたが、あなたはきよくなろうともしなかった。それでわたしがあなたに対するわたしの憤りを静めるまで、あなたは決してきよめられない。 + 主であるわたしは言った。それは必ず起こる。わたしはそれを行って、なおざりにせず、惜しまず、思い直しもしない。あなたの行いや、わざにしたがって、あなたをさばく。――神である主の御告げ――」 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。見よ。わたしは一打ちで、あなたの愛する者を取り去る。嘆くな。泣くな。涙を流すな。 + 声をたてずに悲しめ。死んだ者のために喪に服するな。頭に布を巻きつけ、足にサンダルをはけ。口ひげをおおってはならない。人々からのパンを食べてはならない。」 + その朝、私は民に語ったが、夕方、私の妻が死んだ。翌朝、私は命じられたとおりにした。 + すると、民は私に尋ねた。「あなたがしていることは、私たちにとってどんな意味があるのか、説明してくれませんか。」 + そこで、私は彼らに答えた。「次のような主のことばが私にあった。 + 『神である主がこう仰せられるとイスラエルの家に言え。見よ。わたしは、あなたがたの力の誇りであり、あなたがたが愛し、心に慕っているわたしの聖所を、汚す。あなたがたが見捨てた息子や娘たちは剣で倒される。 + あなたがたは私がするとおりすることになる。あなたがたは自分の口ひげをおおわず、人々からのパンを食べなくなる。 + 頭に布を巻きつけ、足にサンダルをはき、嘆いたり泣いたりしないようになる。ただ、自分たちの咎のために朽ち果て、互いに嘆き合うようになる。 + エゼキエルはあなたがたのためのしるしとなり、彼がしたとおりを、あなたがたもするようになる。このとき、あなたがたは、わたしが神、主であることを知ろう。 + 人の子よ。わたしが、彼らの力とするもの、栄えに満ちた喜び、愛するもの、心に慕うもの、彼らの息子や娘たちを取り去る日、 + その日、のがれた者が、この知らせを告げにあなたのもとにやって来る。 + その日、あなたはのがれて来た者に口を開いて言え。もう黙っていてはならない。あなたが彼らのしるしとなるとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。』」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。顔をアモン人に向け、彼らに預言せよ。 + あなたはアモン人に言え。神である主のことばを聞け。神である主はこう仰せられる。わたしの聖所が汚されたとき、イスラエルの地が荒れ果てたとき、ユダの家が捕囚となって行ったとき、あなたは、あはは、と言ってあざけった。 + それゆえ、わたしは、あなたを東の人々に渡して、彼らの所有とする。彼らはあなたのうちに宿営を張り、あなたのうちに住まいを作り、あなたの産物を食べ、あなたの乳を飲むようになる。 + わたしがラバを、らくだの牧場とし、アモン人の地を羊のおりとするとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + まことに、神である主はこう仰せられる。あなたは手を打ち、足を踏み鳴らし、イスラエルの地を心の底からあざけって喜んだ。 + それゆえ、わたしは、あなたに手を伸ばし、異邦の民にあなたをえじきとして与え、あなたを国々の民の中から断ち滅ぼし、国々の間から消えうせさせる。このとき、あなたは、わたしが主であることを知ろう。 + 神である主はこう仰せられる。モアブとセイルは、『見よ、ユダの家は異邦の民と変わらない』と言った。 + それゆえ、わたしは、モアブの山地の町々、その国の誉れであるベテ・ハエシモテ、バアル・メオン、キルヤタイムの町々をことごとくあけ放ち、 + アモン人といっしょに、東の人々に渡して、その所有とし、諸国の民の間でアモン人が記憶されないようにする。 + わたしがモアブにさばきを下すとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。 + 神である主はこう仰せられる。エドムはユダの家に復讐を企て、罪を犯し続け、復讐をした。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしはエドムに手を伸ばし、そこから人も獣も断ち滅ぼし、そこを廃墟にする。テマンからデダンに至るまで人々は剣で倒される。 + わたしは、わたしの民イスラエルの手によってエドムに復讐する。わたしの怒りと憤りのままに彼らがエドムに事を行うとき、エドムは、わたしが復讐するということを知る。――神である主の御告げ―― + 神である主はこう仰せられる。ペリシテ人は、復讐を企て、心の底からあざけって、ひどい復讐をし、いつまでも敵意をもって滅ぼそうとした。 + それゆえ神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、ペリシテ人に手を伸ばし、ケレテ人を断ち滅ぼし、海辺の残った者を消えうせさせる。 + わたしは憤って彼らを責め、ひどい復讐をする。彼らは、わたしが彼らに復讐するとき、わたしが主であることを知ろう。」 + + + 第十一年のその月の一日、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。ツロはエルサレムについて、『あはは。/国々の民の門はこわされ、私に明け渡された。/私は豊かになり、エルサレムは廃墟となった』と言って/あざけった。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。/ツロよ。わたしはおまえに立ち向かう。/海の波が打ち寄せるように、多くの国々をおまえに向けて攻め上らせる。 + 彼らはツロの城壁を破壊し、そのやぐらをくつがえす。/わたしはそのちりを払い去って、そこを裸岩にする。 + ツロは海の中の網を引く場所となる。/わたしが語ったからだ。/――神である主の御告げ――/ツロは諸国のえじきとなり、 + 畑にいる娘たちも剣で殺される。/このとき、彼らはわたしが主であることを知ろう。 + まことに、神である主はこう仰せられる。/見よ。わたしは、王の王、バビロンの王ネブカデレザルを、馬、戦車、騎兵をもって/多くの民の集団とともに、北からツロに連れて来る。 + 彼は畑にいる娘たちを剣で殺し、おまえに向かって塁を築き、塹壕を掘り、大盾を立て、 + 城壁くずしをおまえの城壁に向けて配置し、やぐらを斧で取りこわす。 + その馬の大群の土煙はおまえをおおう。/彼が城門に入るとき、打ち破られた町に入る者のように、騎兵と、車両と、戦車の響きに、おまえの城壁は震え上がる。 + 彼は、馬のひづめで、おまえのちまたをすべて踏みにじり、剣でおまえの民を殺し、おまえの力強い柱を地に倒す。 + おまえの財宝は略奪され、商品はかすめ奪われ、城壁はくつがえされ、住みごこちのよい家は取りこわされ、石や、木や、ちりまでも、水の中に投げ込まれる。 + わたしはおまえの騒がしい歌をやめさせる。/おまえの立琴の音ももう聞かれない。 + わたしはおまえを裸岩とする。/おまえは網を引く場所となり、二度と建て直されない。/主であるわたしが語ったからだ。/――神である主の御告げ―― + 神である主はツロにこう仰せられる。刺された者がうめき、おまえの中で虐殺が続けられ、おまえがくずれ落ちるとき、その響きに、島々は身震いしないだろうか。 + 海辺の君主たちはみな、その王座をおり、上着を脱ぎ、あや織りの着物を脱ぎ、恐れを身にまとい、地面にすわり、身震いしながら、おまえのことでおののき、 + おまえについて、哀歌を唱えて言う。/海に住む者よ。/おまえはどうして海から消えうせたのか。/海で強くなり、ほめはやされた町よ。/すべての住民を恐れさせたその町とその住民よ。 + 今、島々はおまえがくずれ落ちる日に身震いし、海沿いの島々は/おまえの最期を見ておびえている。 + まことに、神である主はこう仰せられる。わたしがおまえを廃墟の町とし、住む者のない町々のようにするとき、深淵をおまえの上にわき上がらせ、大水がおまえをおおうとき、 + わたしがおまえを穴に下る者たちとともに昔の民のもとに下らせるとき、わたしはおまえを穴に下る者たちとともに、昔から廃墟であったような地下の国に住ませる。わたしが誉れを与える生ける者の地におまえが住めないようにするためだ。 + わたしはおまえを恐怖とする。おまえはもう存在しなくなり、人がおまえを尋ねても、永久におまえを見つけることはない。――神である主の御告げ――」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。ツロについて、哀歌を唱えよ。 + あなたはツロに言え。/海の出入口に住み、多くの島々の民と取り引きをする者よ。/神である主はこう仰せられる。/ツロよ。/『私は全く美しい』とおまえは言った。 + おまえの領土は海の真ん中にあり、おまえを築いた者は、おまえを全く美しく仕上げた。 + 彼らはセニルのもみの木で/おまえのすべての船板を作り、レバノンの杉を使って、おまえの帆柱を作った。 + バシャンの樫の木でおまえのかいを作り、キティムの島々の檜に象牙をはめ込んで、おまえの甲板を作った。 + エジプトのあや織りの亜麻布が、おまえの帆であり、おまえの旗じるしであった。/エリシャの島々からの青色と紫色の布が、おまえのおおいであった。 + シドンとアルワデの住民が、おまえのこぎ手であった。/ツロよ。おまえのうちの熟練者が、おまえの船員であった。 + ゲバルの長老と、その熟練者が/おまえのうちにあって、破損を修理し、海のすべての船とその水夫たちが、おまえのうちにあって、おまえの商品を商った。 + ペルシヤ、ルデ、プテの人々は、おまえの軍隊の戦士であり、おまえに盾とかぶとを掛け、彼らはおまえに輝きを添えた。 + アルワデとヘレクの人々はおまえの回りの城壁の上に、また、ガマデ人はおまえのやぐらの中にいて、回りの城壁に丸い小盾を掛け、おまえを全く美しくした。 + タルシシュは、おまえがあらゆる財宝に豊かであったので、おまえと商いをし、銀、鉄、すず、鉛を、おまえの品物と交換した。 + ヤワン、トバル、メシェクはおまえと取り引きをし、人材と青銅の器具とをおまえの商品と交換した。 + ベテ・トガルマは馬、軍馬、騾馬を、おまえの品物と交換した。 + デダン人はおまえと取り引きをし、多くの島々はおまえの支配する市場であり、彼らは象牙と黒檀とをおまえにみつぎとして持って来た。 + アラムは、おまえの製品が豊かであったので、おまえと商いをし、トルコ玉、紫色の布、あや織り物、白亜麻布、さんご、ルビーを、おまえの品物と交換した。 + ユダとイスラエルの地もおまえと取り引きをし、ミニテの小麦、いちじく、蜜、香油、乳香を、おまえの商品と交換した。 + ダマスコも、おまえの製品が多く、あらゆる財宝が豊かなので、ヘルボンのぶどう酒と、ツァハルの羊毛でおまえと商いをした。 + ダンとヤワンもおまえの品物と交換した。その商品の中には、ウザルからの銑鉄、桂枝、菖蒲があった。 + デダンは鞍に敷く織り布でおまえと取り引きをした。 + アラビヤ人と、ケダルの君主たちもみな、おまえの御用商人であり、子羊、雄羊、やぎの商いをした。 + シェバとラマの商人たちはおまえと取り引きをし、あらゆる上等の香料、宝石、金を、おまえの品物と交換した。 + ハラン、カネ、エデン、それにシェバの商人たち、アッシリヤとキルマデはおまえと取り引きをした。 + 彼らは豪華な衣服や、青色の着物、あや織り物、多彩な敷き物、堅く撚った綱とおまえの商品とをもっておまえと取り引きをした。 + タルシシュの船がおまえの品物を運んだ。/おまえは海の真ん中で富み、大いに栄えた。 + おまえのこぎ手はおまえを大海原に連れ出し、東風は海の真ん中でおまえを打ち破った。 + おまえのくずれ落ちる日に、おまえの財宝、貨物、商品、おまえの水夫、船員、修繕工、おまえの商品を商う者、おまえの中にいるすべての戦士、おまえの中にいる全集団も、海の真ん中に沈んでしまう。 + おまえの船員の叫び声に海辺は身震いする。 + かいを取る者、水夫、海の船員はみな、船から降りて陸に立ち、 + おまえのために大声をあげて激しく泣き、頭にちりを振りかけ、灰の中をころび回る。 + 彼らはおまえのために頭をそり、荒布をまとい、おまえのために心を痛めて泣き、いたく嘆き、 + 泣き声をあげて哀歌を唱え、おまえのために悲しんで歌う。/だれかツロのように海の真ん中で/滅ぼされたものがあろうか。 + おまえの貨物が陸揚げされると、おまえは多くの国々の民を満ち足らせ、その豊かな財宝と商品で/地の王たちを富ませた。 + おまえが海で打ち破られたとき、おまえの商品、全集団は、おまえとともに海の深みに沈んでしまった。 + 島々の住民はすべて/おまえのことでおぞ気立ち、その王たちはひどく恐れて、あわてふためいた。 + 国々の民の商人たちはおまえをあざけり、おまえは恐怖となり、とこしえになくなってしまう。」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。ツロの君主に言え。/神である主はこう仰せられる。/あなたは心高ぶり、『私は神だ。/海の真ん中で神の座に着いている』と言った。/あなたは自分の心を神のようにみなしたが、あなたは人であって、神ではない。 + あなたはダニエルよりも知恵があり、どんな秘密もあなたに隠されていない。 + あなたは自分の知恵と英知によって財宝を積み、金や銀を宝物倉にたくわえた。 + 商いに多くの知恵を使って財宝をふやし、あなたの心は、財宝で高ぶった。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。/あなたは自分の心を神の心のようにみなした。 + それゆえ、他国人、最も横暴な異邦の民を/連れて来て、あなたを攻めさせる。/彼らはあなたの美しい知恵に向かって剣を抜き、あなたの輝きを汚し、 + あなたを穴に投げ入れる。/あなたは海の真ん中で、刺し殺される者の死を遂げる。 + それでもあなたは、自分を殺す者の前で、『私は神だ』と言うのか。/あなたは人であって、神ではない。/あなたはあなたを刺し殺す者たちの/手の中にある。 + あなたは異邦人の手によって/割礼を受けていない者の死を遂げる。/わたしがこれを語ったからだ。/――神である主の御告げ――」 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。ツロの王について哀歌を唱えて、彼に言え。/神である主はこう仰せられる。/あなたは全きものの典型であった。/知恵に満ち、美の極みであった。 + あなたは神の園、エデンにいて、あらゆる宝石があなたをおおっていた。/赤めのう、トパーズ、ダイヤモンド、緑柱石、しまめのう、碧玉、サファイヤ、トルコ玉、エメラルド。/あなたのタンバリンと笛とは金で作られ、これらはあなたが造られた日に整えられていた。 + わたしはあなたを/油そそがれた守護者ケルブとともに、神の聖なる山に置いた。/あなたは火の石の間を歩いていた。 + あなたの行いは、あなたが造られた日から/あなたに不正が見いだされるまでは、完全だった。 + あなたの商いが繁盛すると、あなたのうちに暴虐が満ち、あなたは罪を犯した。/そこで、わたしはあなたを汚れたものとして/神の山から追い出し、守護者ケルブが/火の石の間からあなたを消えうせさせた。 + あなたの心は自分の美しさに高ぶり、その輝きのために自分の知恵を腐らせた。/そこで、わたしはあなたを地に投げ出し、王たちの前に見せものとした。 + あなたは不正な商いで不義を重ね、あなたの聖所を汚した。/わたしはあなたのうちから火を出し、あなたを焼き尽くした。/こうして、すべての者が見ている前で、わたしはあなたを地上の灰とした。 + 国々の民のうちであなたを知る者はみな、あなたのことでおののいた。/あなたは恐怖となり、とこしえになくなってしまう。」 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。顔をシドンに向け、それに預言して、 + 言え。/神である主はこう仰せられる。/シドンよ。わたしはおまえに立ち向かい、おまえのうちでわたしの栄光を現す。/わたしがシドンにさばきを下し、わたしの聖なることをそこに示すとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。 + わたしはそこに疫病を送り込む。/そのちまたには血が流れ、四方から攻める剣のため、刺し殺された者がその中に倒れる。/このとき、彼らはわたしが主であることを知ろう。 + イスラエルの家にとって、突き刺すいばらも、その回りから彼らに痛みを与え、侮るとげもなくなるとき、彼らは、わたしが神、主であることを知ろう。 + 神である主はこう仰せられる。わたしがイスラエルの家を、散らされていた国々の民の中から集めるとき、わたしは諸国の民の目の前で、わたしの聖なることを示そう。彼らは、わたしがわたしのしもべヤコブに与えた土地に住みつこう。 + 彼らはそこに安らかに住み、家々を建て、ぶどう畑を作る。彼らは安らかにそこに住みつこう。回りで彼らを侮るすべての者にわたしがさばきを下すとき、彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知ろう。」 + + + 第十年の第十の月の十二日、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。顔をエジプトの王パロに向け、彼およびエジプト全体に預言し、 + こう語って言え。/神である主はこう仰せられる。/エジプトの王パロよ。/わたしはあなたに立ち向かう。/あなたは、自分の川の中に横たわる大きなわにで、『川は私のもの。/私がこれを造った』と言っている。 + わたしはあなたのあごに鉤をかけ、あなたの川の魚をあなたのうろこにつけ、あなたと、あなたのうろこについている川のすべての魚とを/川の中から引き上げる。 + あなたとあなたの川のすべての魚とを/荒野に投げ捨てる。/あなたは野原に倒れ、集められず、葬られることもない。/わたしがあなたを/地の獣と空の鳥のえじきとするとき、 + エジプトの住民はみな、わたしが主であることを知ろう。/彼らが、イスラエルの家に対して、葦の杖にすぎなかったからだ。 + 彼らがあなたの手をつかむと、あなたは折れ、彼らのすべての肩を砕いた。/彼らがあなたに寄りかかると、あなたは折れ、彼らのすべての腰をいためた。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしは剣を送ってあなたを攻め、人も獣も、あなたのうちから断ち滅ぼす。 + エジプトの地は荒れ果てて廃墟となる。このとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。それは彼が、『川は私のもの。私がこれを造った』と言ったからだ。 + それゆえ、わたしは、あなたにもあなたの川にも立ち向かい、エジプトの地を、ミグドルからセベネ、さらにクシュの国境に至るまで、荒れ果てさせて廃墟にする。 + 人の足もそこを通らず、獣の足もそこを通らず、四十年の間だれも住まなくなる。 + わたしはエジプトの地を、荒れ果てた国々の間で荒れ果てさせ、その町々も四十年の間、廃墟となった町々の間で荒れ果てる。わたしはエジプト人を諸国の民の中に散らし、国々に追い散らす。 + まことに、神である主はこう仰せられる。四十年の終わりになって、わたしはエジプト人を、散らされていた国々の民の中から集め、 + エジプトの繁栄を元どおりにする。彼らをその出身地パテロスの地に帰らせる。彼らはそこで、取るに足りない王国となる。 + どの王国にも劣り、二度と諸国の民の上にぬきんでることはない。彼らが諸国の民を支配しないように、わたしは彼らを小さくする。 + イスラエルの家は、これに助けを求めるとき、咎を思い起こして、もう、これを頼みとしなくなる。このとき、彼らは、わたしが神、主であることを知ろう。」 + 第二十七年の第一の月の一日、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。バビロンの王ネブカデレザルはツロ攻撃に自分の軍隊を大いに働かせた。それで、みなの頭ははげ、みなの肩はすりむけた。それなのに、彼にも彼の軍隊にも、ツロ攻撃に働いた報いは何もなかった。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしはバビロンの王ネブカデレザルにエジプトの地を与えよう。彼はその富を取り上げ、物を分捕り、獲物をかすめ奪う。それが彼の軍隊への報いとなる。 + 彼が働いた報酬として、わたしは彼にエジプトの地を与える。彼らがわたしのために働いたからだ。――神である主の御告げ―― + その日、わたしはイスラエルの家のために、一つの角を生えさせ、彼らの間であなたに口を開かせる。このとき彼らは、わたしが主であることを知ろう。」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。預言して言え。/神である主はこう仰せられる。/泣きわめけ。ああ、その日よ。 + その日は近い。主の日は近い。/その日は曇った日、諸国の民の終わりの時だ。 + 剣がエジプトに下り、刺し殺される者がエジプトで倒れ、その富は奪われ、その基がくつがえされるとき、クシュには苦痛が起きる。 + クシュ、プテ、ルデ、アラビヤ全体、クブ、彼らの同盟国の人々も、彼らとともに剣に倒れる。 + 主はこう仰せられる。/エジプトをささえる者は倒れ、その力強い誇りは見下げられ、ミグドルからセベネに至るまで/みな剣に倒れる。/――神である主の御告げ―― + エジプトは荒れ果てた国々の間で荒れ果て、その町々も、廃墟となった町々の間にあって荒れ果てる。 + わたしがエジプトに火をつけ、これを助ける者たちがみな滅ぼされるとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。 + その日、わたしのもとから使者たちが船で送り出され、安心しているクシュ人をおののかせる。エジプトの日に、彼らの間に苦痛が起きる。今、その日が来ている。 + 神である主はこう仰せられる。/わたしはバビロンの王ネブカデレザルによって、エジプトの富を取り除く。 + 彼と、彼の民、すなわち、最も横暴な異邦の民が/その地を滅ぼすために遣わされる。/彼らは剣を抜いてエジプトを攻め、その地を刺し殺された者で満たす。 + わたしはナイル川を干上がった地とし、その国を悪人どもの手に売り、他国人の手によって、その国とそこにあるすべての物を/荒れ果てさせる。/主であるわたしがこれを語る。 + 神である主はこう仰せられる。/わたしは偶像を打ちこわし、ノフから偽りの神々を取り除く。/エジプトの国には、もう君主が立たなくなる。/わたしはエジプトの地に恐怖を与える。 + わたしはパテロスを荒らし、ツォアンに火をつけ、ノにさばきを下す。 + わたしはエジプトのとりでシンに/わたしの憤りを注ぎ、ノの群集を断ち滅ぼす。 + わたしはエジプトに火をつける。/シンは大いに苦しみ、ノは砕かれ、ノフは昼間、敵に襲われる。 + オンとピ・ベセテの若い男たちは剣に倒れ、女たちはとりことなって行く。 + わたしがエジプトのくびきを砕き、その力強い誇りが絶やされるとき、タフパヌヘスでは日は暗くなり、雲がそこをおおい、その娘たちはとりことなって行く。 + わたしがエジプトにさばきを下すとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。」 + 第十一年の第一の月の七日、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。わたしはエジプトの王パロの腕を砕いた。見よ。それは包まれず、手当をされず、ほうたいを当てて包まれず、元気になって剣を取ることもできない。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしはエジプトの王パロに立ち向かい、強いが砕かれている彼の腕を砕き、その手から剣を落とさせる。 + わたしはエジプト人を諸国の民の中に散らし、国々に追い散らす。 + しかし、わたしはバビロンの王の腕を強くし、わたしの剣を彼の手に渡し、パロの腕を砕く。彼は刺された者がうめくようにバビロンの王の前でうめく。 + わたしはバビロンの王の腕を強くし、パロの腕を垂れさせる。このとき、わたしがバビロンの王の手にわたしの剣を渡し、彼がそれをエジプトの地に差し向けると、彼らは、わたしが主であることを知ろう。 + わたしがエジプト人を諸国の民の中に散らし、彼らを国々に追い散らすとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。」 + + + 第十一年の第三の月の一日、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。エジプトの王パロと彼の大軍に言え。/あなたの偉大さは何に比べられよう。 + 見よ。アッシリヤはレバノンの杉。/美しい枝、茂った木陰、そのたけは高く、そのこずえは雲の中にある。 + 水がそれを育て、地下水がこれを高くした。/川々は、その植わっている地の回りを流れ、その流れを野のすべての木に送った。 + それで、そのたけは、野のすべての木よりも高くそびえ、その送り出す豊かな水によって、その小枝は茂り、その大枝は伸びた。 + その小枝には空のあらゆる鳥が巣を作り、大枝の下では野のすべての獣が子を産み、その木陰には多くの国々がみな住んだ。 + それは大きくなり、枝も伸びて美しかった。/その根を豊かな水におろしていたからだ。 + 神の園の杉の木も、これとは比べ物にならない。/もみの木も、この小枝とさえ比べられない。/すずかけの木も、この大枝のようではなく、神の園にあるどの木も、その美しさにはかなわない。 + わたしが、その枝を茂らせ、美しく仕立てたので、神の園にあるエデンのすべての木々は、これをうらやんだ。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。そのたけが高くなり、そのこずえが雲の中にそびえ、その心がおごり高ぶったから、 + わたしは、これを諸国の民のうちの力ある者の手に渡した。彼はこれをひどく罰し、わたしも、その悪行に応じてこれを追い出した。 + こうして、他国人、最も横暴な異邦の民がこれを切り倒し、山々の上にこれを捨てた。その枝はすべての谷間に落ち、その大枝はこの国のすべての谷川で砕かれた。この国のすべての民は、その木陰から出て行き、これを振り捨てた。 + その倒れ落ちた所に、空のあらゆる鳥が住み、その大枝のそばに、野のあらゆる獣がいるようになる。 + このことは、水のほとりのどんな木も、そのたけが高くならないためであり、そのこずえが雲の中にそびえないようにするためであり、すべて、水に潤う木が高ぶってそびえ立たないためである。これらはみな、死ぬべき人間と、穴に下る者たちとともに、地下の国、死に渡された。 + 神である主はこう仰せられる。それがよみに下る日に、わたしはこれをおおって深淵を喪に服させ、川をせきとめて、豊かな水をかわかした。わたしがこれのためにレバノンを憂いに沈ませたので、野のすべての木も、これのためにしおれた。 + わたしがこれを穴に下る者たちとともによみに下らせたとき、わたしは諸国の民をその落ちる音で震えさせた。エデンのすべての木、レバノンのえり抜きの良い木、すべての水に潤う木は、地下の国で慰められた。 + それらもまた、剣で刺し殺された者や、これを助けた者、諸国の民の間にあって、その陰に住んだ者たちとともに、よみに下った。 + エデンの木のうち、その栄えと偉大さで、あなたはどれに似ているだろうか。あなたもエデンの木とともに地下の国に落とされ、剣で刺し殺された者とともに、割礼を受けていない者たちの間に横たわるようになる。これは、パロと、そのすべての大軍のことである。――神である主の御告げ――」 + + + 第十二年の第十二の月の一日、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。エジプトの王パロについて哀歌を唱えて彼に言え。/諸国の民の若い獅子よ。/あなたは滅びうせた。/あなたは海の中のわにのようだ。/川の中であばれ回り、足で水をかき混ぜ、その川々を濁らせた。 + 神である主はこう仰せられる。/わたしは、多くの国々の民の集団を集めて、あなたの上にわたしの網を打ちかけ、彼らはあなたを地引き網で引き上げる。 + わたしは、あなたを地に投げ捨て、野に放り出し、空のあらゆる鳥をあなたの上に止まらせ、全地の獣をあなたで飽かせよう。 + あなたの肉を山々に捨て、あなたのしかばねで谷を満たし、 + あなたから流れ出る血で地を浸し、その血で山々を潤す。/谷川もあなたの血で満たされる。 + あなたが滅び去るとき、わたしは空をおおい、星を暗くし、太陽を雲で隠し、月に光を放たせない。 + わたしは空に輝くすべての光を/あなたの上で暗くし、あなたの地をやみでおおう。/――神である主の御告げ―― + わたしが、諸国の民、あなたの知らない国々の中であなたの破滅をもたらすとき、わたしは多くの国々の民の心を痛ませる。 + わたしは多くの国々の民をあなたのことでおののかせる。彼らの王たちも、わたしが彼らの前でわたしの剣を振りかざすとき、あなたのことでおぞ気立つ。あなたのくずれ落ちる日に、彼らはみな、自分のいのちを思って身震いし続ける。 + まことに、神である主はこう仰せられる。/バビロンの王の剣があなたに下る。 + わたしは勇士の剣で、あなたの群集を倒す。/彼らはみな最も横暴な異邦の民だ。/彼らはエジプトの誇りを踏みにじり、その群集はみな滅ぼされる。 + わたしはあらゆる家畜を、豊かな水のほとりで滅ぼす。/人の足は二度とこれを濁さず、家畜のひづめも、これを濁さない。 + そのとき、わたしはこの水を静める。/その川を油のように静かに流れさせる。/――神である主の御告げ―― + わたしがエジプトの国を荒れ果てさせ、この国にある物がみなはぎ取られ、わたしがそこの住民をみな打ち破るとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。 + これは人々が悲しんで歌う哀歌である。諸国の民の娘たちはこれを悲しんで歌う。エジプトとそのすべての群集のために、彼女らはこの哀歌を悲しんで歌う。――神である主の御告げ――」 + 第十二年の第一の月の十五日、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。エジプトの群集のために嘆け。/その民と強国の民の娘たちとを、穴に下る者たちとともに地下の国に下らせよ。 + 『あなたはだれよりもすぐれているのか。/下って行って、割礼を受けていない者たちとともに横たわれ。』 + その国は剣に渡され、彼らは剣で刺し殺された者たちの間に倒れる。その国とそのすべての群集を引きずり降ろせ。 + 勇敢な勇士たちは、その国を助けた者たちとともに、よみの中から語りかける。『降りて来て、剣で刺し殺された者、割礼を受けていない者たちとともに横たわれ』と。 + その墓の回りには、アッシリヤとその全集団がいる。みな、刺し殺された者、剣に倒れた者たちである。 + 彼らの墓は穴の奥のほうにあり、その集団はその墓の回りにいる。彼らはみな、刺し殺された者、剣に倒れた者、かつて生ける者の地で恐怖を巻き起こした者たちである。 + そこには、エラムがおり、そのすべての群集もその墓の回りにいる。彼らはみな、刺し殺された者、剣に倒れた者、割礼を受けないで地下の国に下った者、生ける者の地で恐怖を巻き起こした者たちである。それで彼らは穴に下る者たちとともに自分たちの恥を負っている。 + その寝床は刺し殺された者たちの間に置かれ、そのすべての群集も、その墓の回りにいる。みな、割礼を受けていない者、剣で刺し殺された者である。彼らの恐怖が生ける者の地にあったからである。それで彼らは穴に下る者たちとともに自分たちの恥を負っている。彼らは刺し殺された者たちの間に置かれた。 + そこには、メシェクとトバルがおり、そのすべての群集もその墓の回りにいる。彼らはみな、割礼を受けていない者、剣で刺し殺された者である。彼らは生ける者の地で恐怖を巻き起こしたからである。 + 彼らは、ずっと昔に倒れた勇士たちとともに横たわることはできない。勇士たちは武具を持ってよみに下り、剣は頭の下に置かれ、盾は彼らの骨に置かれている。勇士たちは生ける者の地で恐れられていたからである。 + あなたは、割礼を受けていない者たちの間で砕かれ、剣で刺し殺された者たちとともに横たわる。 + そこには、エドムとその王たち、そのすべての族長たちがいる。彼らは勇敢であったが、剣で刺し殺された者たちとともに、割礼を受けていない者たち、および穴に下る者たちとともに横たわる。 + そこには、北のすべての君主たち、およびすべてのシドン人がいる。彼らの勇敢さは恐怖を巻き起こしたが、恥を見、刺し殺された者たちとともに下ったのである。それで割礼を受けていない彼らは、剣で刺し殺された者たちとともに横たわり、穴に下る者たちとともに自分たちの恥を負っている。 + パロは彼らを見、剣で刺し殺された自分の群集、パロとその全軍勢のことで慰められる。――神である主の御告げ―― + わたしが生ける者の地に恐怖を与えたので、パロとその群集は、割礼を受けていない者たちの間で、剣で刺し殺された者たちとともに横たわる。――神である主の御告げ――」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。あなたの民の者たちに告げて言え。わたしが一つの国に剣を送るとき、その国の民は彼らの中からひとりを選び、自分たちの見張り人とする。 + 剣がその国に来るのを見たなら、彼は角笛を吹き鳴らし、民に警告を与えなければならない。 + だれかが、角笛の音を聞いても警告を受けないなら、剣が来て、その者を打ち取るとき、その血の責任はその者の頭上に帰する。 + 角笛の音を聞きながら、警告を受けなければ、その血の責任は彼自身に帰する。しかし、警告を受けていれば、彼は自分のいのちを救う。 + しかし、見張り人が、剣の来るのを見ながら角笛を吹き鳴らさず、そのため民が警告を受けないとき、剣が来て、彼らの中のひとりを打ち取れば、その者は自分の咎のために打ち取られ、わたしはその血の責任を見張り人に問う。 + 人の子よ。わたしはあなたをイスラエルの家の見張り人とした。あなたは、わたしの口からことばを聞くとき、わたしに代わって彼らに警告を与えよ。 + わたしが悪者に、『悪者よ。あなたは必ず死ぬ』と言うとき、もし、あなたがその悪者にその道から離れるように語って警告しないなら、その悪者は自分の咎のために死ぬ。そしてわたしは彼の血の責任をあなたに問う。 + あなたが、悪者にその道から立ち返るよう警告しても、彼がその道から立ち返らないなら、彼は自分の咎のために死ななければならない。しかし、あなたは自分のいのちを救うことになる。 + 人の子よ。イスラエルの家に言え。あなたがたはこう言っている。『私たちのそむきと罪は私たちの上にのしかかり、そのため、私たちは朽ち果てた。私たちはどうして生きられよう』と。 + 彼らにこう言え。『わたしは誓って言う。――神である主の御告げ――わたしは決して悪者の死を喜ばない。かえって、悪者がその態度を悔い改めて、生きることを喜ぶ。悔い改めよ。悪の道から立ち返れ。イスラエルの家よ。なぜ、あなたがたは死のうとするのか。』 + 人の子よ。あなたの民の者たちに言え。正しい人の正しさも、彼がそむきの罪を犯したら、それは彼を救うことはできない。悪者の悪も、彼がその悪から立ち返るとき、その悪は彼を倒すことはできない。正しい人でも、罪を犯すとき、彼は自分の正しさによって生きることはできない。 + わたしが正しい人に、『あなたは必ず生きる』と言っても、もし彼が自分の正しさに拠り頼み、不正をするなら、彼の正しい行いは何一つ覚えられず、彼は自分の行った不正によって死ななければならない。 + わたしが悪者に、『あなたは必ず死ぬ』と言っても、もし彼が自分の罪を悔い改め、公義と正義とを行い、 + その悪者が質物を返し、かすめた物を償い、不正をせず、いのちのおきてに従って歩むなら、彼は必ず生き、死ぬことはない。 + 彼が犯した罪は何一つ覚えられず、公義と正義とを行った彼は必ず生きる。 + あなたの民の者たちは、『主の態度は公正でない』と言っている。しかし、彼らの態度こそ公正でない。 + 正しい人でも、自分の正しい行いから遠ざかり、不正をするなら、彼はそのために死ぬ。 + 悪者でも、自分の悪から遠ざかり、公義と正義とを行うなら、そのために彼は生きる。 + それでもあなたがたは、『主の態度は公正でない』と言う。イスラエルの家よ。わたしはあなたがたをそれぞれの態度にしたがってさばく。」 + 私たちが捕囚となって十二年目の第十の月の五日、エルサレムからのがれた者が、私のもとに来て、「町は占領された」と言った。 + そののがれた者が来る前の夕方、主の御手が私の上にあり、朝になって彼が私のもとに来る前に、私の口は開かれた。こうして、私の口は開かれ、もう私は黙っていなかった。 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。イスラエルの地のこの廃墟に住む者たちは、『アブラハムはひとりでこの地を所有していた。私たちは多いのに、この地を所有するように与えられている』と言っている。 + それゆえ、彼らに言え。神である主はこう仰せられる。あなたがたは血がついたままで食べ、自分たちの偶像を仰ぎ見、血を流しているのに、この地を所有しようとするのか。 + あなたがたは自分の剣に拠り頼み、忌みきらうべきことをし、おのおの隣人の妻を汚していながら、この地を所有しようとするのか。 + あなたは彼らにこう言え。神である主はこう仰せられる。わたしは誓って言うが、あの廃墟にいる者は必ず剣に倒れる。野にいる者も、わたしは獣に与えてそのえじきとする。要害とほら穴にいる者は疫病で死ぬ。 + わたしはその地を荒れ果てさせ、荒廃した地とする。その力強い誇りは消えうせ、イスラエルの山々は荒れ果て、だれもそこを通らなくなる。 + このとき、わたしが、彼らの行ったすべての忌みきらうべきわざのためにその国を荒れ果てさせ、荒廃した地とすると、彼らは、わたしが主であることを知ろう。 + 人の子よ。あなたの民の者たちは城壁のそばや、家々の入口で、あなたについて互いに語り合ってこう言っている。『さあ、どんなことばが主から出るか聞きに行こう。』 + 彼らは群れをなしてあなたのもとに来、わたしの民はあなたの前にすわり、あなたのことばを聞く。しかし、それを実行しようとはしない。彼らは、口では恋をする者であるが、彼らの心は利得を追っている。 + あなたは彼らにとっては、音楽に合わせて美しく歌われる恋の歌のようだ。彼らはあなたのことばを聞くが、それを実行しようとはしない。 + しかし、あのことは起こり、もう来ている。彼らは、自分たちの間にひとりの預言者がいたことを知ろう。」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。イスラエルの牧者たちに向かって預言せよ。預言して、彼ら、牧者たちに言え。神である主はこう仰せられる。ああ。自分を肥やしているイスラエルの牧者たち。牧者は羊を養わなければならないのではないか。 + あなたがたは脂肪を食べ、羊の毛を身にまとい、肥えた羊をほふるが、羊を養わない。 + 弱った羊を強めず、病気のものをいやさず、傷ついたものを包まず、迷い出たものを連れ戻さず、失われたものを捜さず、かえって力ずくと暴力で彼らを支配した。 + 彼らは牧者がいないので、散らされ、あらゆる野の獣のえじきとなり、散らされてしまった。 + わたしの羊はすべての山々やすべての高い丘をさまよい、わたしの羊は地の全面に散らされた。尋ねる者もなく、捜す者もない。 + それゆえ、牧者たちよ、主のことばを聞け。 + わたしは生きている、――神である主の御告げ――わたしの羊はかすめ奪われ、牧者がいないため、あらゆる野の獣のえじきとなっている。それなのに、わたしの牧者たちは、わたしの羊を捜し求めず、かえって牧者たちは自分自身を養い、わたしの羊を養わない。 + それゆえ、牧者たちよ、主のことばを聞け。 + 神である主はこう仰せられる。わたしは牧者たちに立ち向かい、彼らの手からわたしの羊を取り返し、彼らに羊を飼うのをやめさせる。牧者たちは二度と自分自身を養えなくなる。わたしは彼らの口からわたしの羊を救い出し、彼らのえじきにさせない。 + まことに、神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは自分でわたしの羊を捜し出し、これの世話をする。 + 牧者が昼間、散らされていた自分の羊の中にいて、その群れの世話をするように、わたしはわたしの羊を、雲と暗やみの日に散らされたすべての所から救い出して、世話をする。 + わたしは国々の民の中から彼らを連れ出し、国々から彼らを集め、彼らを彼らの地に連れて行き、イスラエルの山々や谷川のほとり、またその国のうちの人の住むすべての所で彼らを養う。 + わたしは良い牧場で彼らを養い、イスラエルの高い山々が彼らのおりとなる。彼らはその良いおりに伏し、イスラエルの山々の肥えた牧場で草をはむ。 + わたしがわたしの羊を飼い、わたしが彼らをいこわせる。――神である主の御告げ―― + わたしは失われたものを捜し、迷い出たものを連れ戻し、傷ついたものを包み、病気のものを力づける。わたしは、肥えたものと強いものを滅ぼす。わたしは正しいさばきをもって彼らを養う。 + わたしの群れよ。あなたがたについて、神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、羊と羊、雄羊と雄やぎとの間をさばく。 + あなたがたは、良い牧場で草を食べて、それで足りないのか。その牧場の残った分を足で踏みにじり、澄んだ水を飲んで、その残りを足で濁すとは。 + わたしの群れは、あなたがたの足が踏みつけた草を食べ、あなたがたの足が濁した水を飲んでいる。 + それゆえ、神である主は彼らにこう仰せられる。見よ。わたし自身、肥えた羊とやせた羊との間をさばく。 + あなたがたがわき腹と肩で押しのけ、その角ですべての弱いものを突き倒し、ついに彼らを外に追い散らしてしまったので、 + わたしはわたしの群れを救い、彼らが二度とえじきとならないようにし、羊と羊との間をさばく。 + わたしは、彼らを牧するひとりの牧者、わたしのしもべダビデを起こす。彼は彼らを養い、彼らの牧者となる。 + 主であるわたしが彼らの神となり、わたしのしもべダビデはあなたがたの間で君主となる。主であるわたしがこう告げる。 + わたしは彼らと平和の契約を結び、悪い獣をこの国から取り除く。彼らは安心して荒野に住み、森の中で眠る。 + わたしは彼らと、わたしの丘の回りとに祝福を与え、季節にかなって雨を降らせる。それは祝福の雨となる。 + 野の木は実をみのらせ、地は産物を生じ、彼らは安心して自分たちの土地にいるようになる。わたしが彼らのくびきの横木を打ち砕き、彼らを奴隷にした者たちの手から救い出すとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。 + 彼らは二度と諸国の民のえじきとならず、この国の獣も彼らを食い殺さない。彼らは安心して住み、もう彼らを脅かす者もいない。 + わたしは、彼らのためにりっぱな植物を生やす。彼らは、二度とその国でききんに会うこともなく、二度と諸国の民の侮辱を受けることもない。 + このとき、彼らは、わたしが主で、彼らとともにいる彼らの神であり、彼らイスラエルの家がわたしの民であることを知ろう。――神である主の御告げ―― + あなたがたはわたしの羊、わたしの牧場の羊である。あなたがたは人で、わたしはあなたがたの神である。――神である主の御告げ――」 + + + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。顔をセイルの山に向け、これについて預言して、 + 言え。/神である主はこう仰せられる。/セイルの山よ。/わたしはおまえに立ち向かい、おまえにわたしは手を伸ばし、おまえを荒れ果てさせ、荒廃した地とする。 + わたしがおまえの町々を廃墟にし、おまえを荒れ果てさせるとき、おまえは、わたしが主であることを知ろう。 + おまえはいつまでも敵意を抱き、イスラエル人が災難に会うとき、彼らの最後の刑罰の時、彼らを剣に渡した。 + それゆえ、――わたしは生きている。神である主の御告げ――わたしは必ずおまえを血に渡す。血はおまえを追う。おまえは血を憎んだが、血はおまえを追いかける。 + わたしはセイルの山を荒れ果てさせ、廃墟とし、そこを行き来する者を断ち滅ぼす。 + わたしはその山々を死体で満たし、剣で刺し殺された者たちがおまえの丘や谷や、すべての谷川に倒れる。 + わたしはおまえを永遠に荒れ果てさせる。おまえの町々は回復しない。おまえたちは、わたしが主であることを知ろう。 + おまえは、『これら二つの民、二つの国は、われわれのものだ。われわれはそれを占領しよう』と言ったが、そこに主がおられた。 + それゆえ、――わたしは生きている。神である主の御告げ――おまえが彼らを憎んだのと同じほどの怒りとねたみで、わたしはおまえを必ず罰し、わたしがおまえをさばくとき、わたし自身を現そう。 + おまえはイスラエルの山々に向かって、『これは荒れ果てて、われわれのえじきとなる』と言って、侮辱したが、主であるわたしがこれをみな聞いたことを、おまえは知るようになる。 + おまえたちは、わたしに向かって高慢なことばを吐いたが、わたしはそれを聞いている。 + 神である主はこう仰せられる。わたしはおまえを荒れ果てさせて、全土を喜ばせよう。 + おまえは、イスラエルの家の相続地が荒れ果てたのを喜んだが、わたしはおまえに同じようにしよう。セイルの山よ。おまえは荒れ果て、エドム全体もそうなる。人々は、わたしが主であることを知ろう。 + + + 人の子よ。イスラエルの山々に預言して言え。イスラエルの山々よ。主のことばを聞け。 + 神である主はこう仰せられる。敵がおまえたちに向かって、『あはは、昔からの高き所がわれわれの所有となった』と言っている。 + それゆえ、預言して言え。神である主はこう仰せられる。実にそのために、おまえたちは、回りの民に荒らされ、踏みつけられ、ほかの国々の所有にされたので、おまえたちは、民の語りぐさとなり、そしりとなった。 + それゆえ、イスラエルの山々よ、神である主のことばを聞け。神である主は、山や丘、谷川や谷、荒れ果てた廃墟、また、回りのほかの国々にかすめ奪われ、あざけられて見捨てられた町々に、こう仰せられる。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしは燃えるねたみをもって、ほかの国々、エドム全土に告げる。彼らは心の底から喜び、思い切りあざけって、わたしの国を自分たちの所有とし、牧場をかすめ奪ったのだ。 + それゆえ、イスラエルの地について預言し、山や丘、谷川や谷に向かって言え。神である主はこう仰せられる。見よ。おまえたちが諸国の民の侮辱を受けているので、わたしはねたみと憤りとをもって告げる。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。わたしは誓う。おまえたちを取り囲む諸国の民は、必ず自分たちの恥を負わなければならない。 + だが、おまえたち、イスラエルの山々よ。おまえたちは枝を出し、わたしの民イスラエルのために実を結ぶ。彼らが帰って来るのが近いからだ。 + わたしはおまえたちのところに行き、おまえたちのところに向かう。おまえたちは耕され、種が蒔かれる。 + わたしは、おまえたちの上に人をふやし、イスラエルの全家に人をふやす。町々には人が住みつき、廃墟は建て直される。 + わたしは、おまえたちの上に人と獣をふやす。彼らはふえ、多くの子を生む。わたしはおまえたちのところに、昔のように人を住まわせる。いや、以前よりも栄えさせる。このとき、おまえたちは、わたしが主であることを知ろう。 + わたしは、わたしの民イスラエル人に、おまえたちの上を歩かせる。彼らはおまえを所有し、おまえは彼らの相続地となる。おまえはもう二度と彼らに子を失わせてはならない。 + 神である主はこう仰せられる。彼らはおまえたちに、『おまえは人間を食らい、自分の国民の子どもを失わせている』と言っている。 + それゆえ、おまえは二度と人間を食らわず、二度とおまえの国民の子どもを失わせてはならない。――神である主の御告げ―― + わたしは、二度と諸国の民の侮辱をおまえに聞こえさせない。おまえは国々の民のそしりを二度と受けてはならない。おまえの国民をもうつまずかせてはならない。――神である主の御告げ――」 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。イスラエルの家が、自分の土地に住んでいたとき、彼らはその行いとわざとによって、その地を汚した。その行いは、わたしにとっては、さわりのある女のように汚れていた。 + それでわたしは、彼らがその国に流した血のために、また偶像でこれを汚したことのために、わたしの憤りを彼らに注いだ。 + わたしは彼らを諸国の民の間に散らし、彼らを国々に追い散らし、彼らの行いとわざとに応じて彼らをさばいた。 + 彼らは、その行く先の国々に行っても、わたしの聖なる名を汚した。人々は彼らについて、『この人々は主の民であるのに、主の国から出されたのだ』と言ったのだ。 + わたしは、イスラエルの家がその行った諸国の民の間で汚したわたしの聖なる名を惜しんだ。 + それゆえ、イスラエルの家に言え。神である主はこう仰せられる。イスラエルの家よ。わたしが事を行うのは、あなたがたのためではなく、あなたがたが行った諸国の民の間であなたがたが汚した、わたしの聖なる名のためである。 + わたしは、諸国の民の間で汚され、あなたがたが彼らの間で汚したわたしの偉大な名の聖なることを示す。わたしが彼らの目の前であなたがたのうちにわたしの聖なることを示すとき、諸国の民は、わたしが主であることを知ろう。――神である主の御告げ―― + わたしはあなたがたを諸国の民の間から連れ出し、すべての国々から集め、あなたがたの地に連れて行く。 + わたしがきよい水をあなたがたの上に振りかけるそのとき、あなたがたはすべての汚れからきよめられる。わたしはすべての偶像の汚れからあなたがたをきよめ、 + あなたがたに新しい心を与え、あなたがたのうちに新しい霊を授ける。わたしはあなたがたのからだから石の心を取り除き、あなたがたに肉の心を与える。 + わたしの霊をあなたがたのうちに授け、わたしのおきてに従って歩ませ、わたしの定めを守り行わせる。 + あなたがたは、わたしがあなたがたの先祖に与えた地に住み、あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる。 + わたしはあなたがたをすべての汚れから救い、穀物を呼び寄せてそれをふやし、ききんをあなたがたに送らない。 + わたしは木の実と畑の産物をふやす。それであなたがたは、諸国の民の間で二度とききんのためにそしりを受けることはない。 + あなたがたは、自分たちの悪い行いと、良くなかったわざとを思い出し、自分たちの不義と忌みきらうべきわざをいとうようになる。 + わたしが事を行うのは、あなたがたのためではない。――神である主の御告げ――イスラエルの家よ。あなたがたは知らなければならない。恥じよ。あなたがたの行いによってはずかしめを受けよ。 + 神である主はこう仰せられる。わたしが、あなたがたをすべての不義からきよめる日に、わたしは町々を人が住めるようにし、廃墟を建て直す。 + この荒れ果てた地は、通り過ぎるすべての者に荒地とみなされていたが、耕されるようになる。 + このとき、人々はこう言おう。『荒れ果てていたこの国は、エデンの園のようになった。廃墟となり、荒れ果て、くつがえされていた町々も城壁が築かれ、人が住むようになった』と。 + あなたがたの回りに残された諸国の民も、主であるわたしが、くつがえされた所を建て直し、荒れ果てていた所に木を植えたことを知るようになる。主であるわたしがこれを語り、これを行う。 + 神である主はこう仰せられる。わたしはイスラエルの家の願いを聞き入れて、次のことをしよう。わたしは、羊の群れのように人をふやそう。 + ちょうど、聖別された羊の群れのように、例祭のときのエルサレムの羊の群れのように、廃墟であった町々を人の群れで満たそう。このとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。」 + + + 主の御手が私の上にあり、主の霊によって、私は連れ出され、谷間の真ん中に置かれた。そこには骨が満ちていた。 + 主は私にその上をあちらこちらと行き巡らせた。なんと、その谷間には非常に多くの骨があり、ひどく干からびていた。 + 主は私に仰せられた。「人の子よ。これらの骨は生き返ることができようか。」私は答えた。「神、主よ。あなたがご存じです。」 + 主は私に仰せられた。「これらの骨に預言して言え。干からびた骨よ。主のことばを聞け。 + 神である主はこれらの骨にこう仰せられる。見よ。わたしがおまえたちの中に息を吹き入れるので、おまえたちは生き返る。 + わたしがおまえたちに筋をつけ、肉を生じさせ、皮膚でおおい、おまえたちの中に息を与え、おまえたちが生き返るとき、おまえたちはわたしが主であることを知ろう。」 + 私は、命じられたように預言した。私が預言していると、音がした。なんと、大きなとどろき。すると、骨と骨とが互いにつながった。 + 私が見ていると、なんと、その上に筋がつき、肉が生じ、皮膚がその上をすっかりおおった。しかし、その中に息はなかった。 + そのとき、主は仰せられた。「息に預言せよ。人の子よ。預言してその息に言え。神である主はこう仰せられる。息よ。四方から吹いて来い。この殺された者たちに吹きつけて、彼らを生き返らせよ。」 + 私が命じられたとおりに預言すると、息が彼らの中に入った。そして彼らは生き返り、自分の足で立ち上がった。非常に多くの集団であった。 + 主は私に仰せられた。「人の子よ。これらの骨はイスラエルの全家である。ああ、彼らは、『私たちの骨は干からび、望みは消えうせ、私たちは断ち切られる』と言っている。 + それゆえ、預言して彼らに言え。神である主はこう仰せられる。わたしの民よ。見よ。わたしはあなたがたの墓を開き、あなたがたをその墓から引き上げて、イスラエルの地に連れて行く。 + わたしの民よ。わたしがあなたがたの墓を開き、あなたがたを墓から引き上げるとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。 + わたしがまた、わたしの霊をあなたがたのうちに入れると、あなたがたは生き返る。わたしは、あなたがたをあなたがたの地に住みつかせる。このとき、あなたがたは、主であるわたしがこれを語り、これを成し遂げたことを知ろう。――主の御告げ――」 + 次のような主のことばが私にあった。 + 「人の子よ。一本の杖を取り、その上に、『ユダと、それにつくイスラエル人のために』と書きしるせ。もう一本の杖を取り、その上に、『エフライムの杖、ヨセフと、それにつくイスラエルの全家のために』と書きしるせ。 + その両方をつなぎ、一本の杖とし、あなたの手の中でこれを一つとせよ。 + あなたの民の者たちがあなたに向かって、『これはどういう意味か、私たちに説明してくれませんか』と言うとき、 + 彼らに言え。神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、エフライムの手にあるヨセフの杖と、それにつくイスラエルの諸部族とを取り、それらをユダの杖に合わせて、一本の杖とし、わたしの手の中で一つとする。 + あなたが書きしるした杖を、彼らの見ている前であなたの手に取り、 + 彼らに言え。神である主はこう仰せられる。見よ。わたしは、イスラエル人を、その行っていた諸国の民の間から連れ出し、彼らを四方から集め、彼らの地に連れて行く。 + わたしが彼らを、その地、イスラエルの山々で、一つの国とするとき、ひとりの王が彼ら全体の王となる。彼らはもはや二つの国とはならず、もはや決して二つの王国に分かれない。 + 彼らは二度と、その偶像や忌まわしいもの、またあらゆるそむきの罪によって身を汚さない。わたしは、彼らがかつて罪を犯したその滞在地から彼らを救い、彼らをきよめる。彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。 + わたしのしもべダビデが彼らの王となり、彼ら全体のただひとりの牧者となる。彼らはわたしの定めに従って歩み、わたしのおきてを守り行う。 + 彼らは、わたしがわたしのしもべヤコブに与えた国、あなたがたの先祖が住んだ国に住むようになる。そこには彼らとその子らとその子孫たちとがとこしえに住み、わたしのしもべダビデが永遠に彼らの君主となる。 + わたしは彼らと平和の契約を結ぶ。これは彼らとのとこしえの契約となる。わたしは彼らをかばい、彼らをふやし、わたしの聖所を彼らのうちに永遠に置く。 + わたしの住まいは彼らとともにあり、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。 + わたしの聖所が永遠に彼らのうちにあるとき、諸国の民は、わたしがイスラエルを聖別する主であることを知ろう。」 + + + さらに、私に次のような主のことばがあった。 + 「人の子よ。メシェクとトバルの大首長であるマゴグの地のゴグに顔を向け、彼に預言して、 + 言え。神である主はこう仰せられる。メシェクとトバルの大首長であるゴグよ。今、わたしは、あなたに立ち向かう。 + わたしはあなたを引き回し、あなたのあごに鉤をかけ、あなたと、あなたの全軍勢を出陣させる。それはみな武装した馬や騎兵、大盾と盾を持ち、みな剣を取る大集団だ。 + ペルシヤとクシュとプテも彼らとともにおり、みな盾とかぶとを着けている。 + ゴメルと、そのすべての軍隊、北の果てのベテ・トガルマと、そのすべての軍隊、それに多くの国々の民があなたとともにいる。 + 備えをせよ。あなたも、あなたのところに集められた全集団も備えをせよ。あなたは彼らを監督せよ。 + 多くの日が過ぎて、あなたは命令を受け、終わりの年に、一つの国に侵入する。その国は剣の災害から立ち直り、その民は多くの国々の民の中から集められ、久しく廃墟であったイスラエルの山々に住んでいる。その民は国々の民の中から連れ出され、彼らはみな安心して住んでいる。 + あなたは、あらしのように攻め上り、あなたと、あなたの全部隊、それに、あなたにつく多くの国々の民は、地をおおう雲のようになる。 + 神である主はこう仰せられる。その日には、あなたの心にさまざまな思いが浮かぶ。あなたは悪巧みを設け、 + こう言おう。『私は城壁のない町々の国に攻め上り、安心して住んでいる平和な国に侵入しよう。彼らはみな、城壁もかんぬきも門もない所に住んでいる。』 + あなたは物を分捕り、獲物をかすめ奪い、今は人の住むようになった廃墟や、国々から集められ、その国の中心に住み、家畜と財産を持っている民に向かって、あなたの腕力をふるおうとする。 + シェバやデダンやタルシシュの商人たち、およびそのすべての若い獅子たちは、あなたに聞こう。『あなたは物を分捕るために来たのか。獲物をかすめ奪うために集団を集め、銀や金を運び去り、家畜や財産を取り、大いに略奪をしようとするのか』と。 + それゆえ、人の子よ、預言してゴグに言え。神である主はこう仰せられる。わたしの民イスラエルが安心して住んでいるとき、実に、その日、あなたは奮い立つのだ。 + あなたは、北の果てのあなたの国から、多くの国々の民を率いて来る。彼らはみな馬に乗る者で、大集団、大軍勢だ。 + あなたは、わたしの民イスラエルを攻めに上り、終わりの日に、あなたは地をおおう雲のようになる。ゴグよ。わたしはあなたに、わたしの地を攻めさせる。それは、わたしがあなたを使って諸国の民の目の前にわたしの聖なることを示し、彼らがわたしを知るためだ。 + 神である主はこう仰せられる。あなたは、わたしが昔、わたしのしもべ、イスラエルの預言者たちを通して語った当の者ではないか。この預言者たちは、わたしがあなたに彼らを攻めさせると、長年にわたり預言していたのだ。 + ゴグがイスラエルの地を攻めるその日、――神である主の御告げ――わたしは怒りを燃え上がらせる。 + わたしは、ねたみと激しい怒りの火を吹きつけて言う。その日には必ずイスラエルの地に大きな地震が起こる。 + 海の魚も、空の鳥も、野の獣も、地面をはうすべてのものも、地上のすべての人間も、わたしの前で震え上がり、山々はくつがえり、がけは落ち、すべての城壁は地に倒れる。 + わたしは剣を呼び寄せて、わたしのすべての山々でゴグを攻めさせる。――神である主の御告げ――彼らは剣で同士打ちをするようになる。 + わたしは疫病と流血で彼に罰を下し、彼と、彼の部隊と、彼の率いる多くの国々の民の上に、豪雨や雹や火や硫黄を降り注がせる。 + わたしがわたしの大いなることを示し、わたしの聖なることを示して、多くの国々の見ている前で、わたしを知らせるとき、彼らは、わたしが主であることを知ろう。」 + + + 「人の子よ。ゴグに向かって預言して言え。神である主はこう仰せられる。メシェクとトバルの大首長であるゴグよ。わたしはあなたに立ち向かう。 + わたしはあなたを引き回し、あなたを押しやり、北の果てから上らせ、イスラエルの山々に連れて来る。 + あなたの左手から弓をたたき落とし、右手から矢を落とす。 + あなたと、あなたのすべての部隊、あなたの率いる国々の民は、イスラエルの山々に倒れ、わたしはあなたをあらゆる種類の猛禽や野獣のえじきとする。 + あなたは野に倒れる。わたしがこれを語るからだ。/――神である主の御告げ―― + わたしはマゴグと、島々に安住している者たちとに火を放つ。彼らは、わたしが主であることを知ろう。 + わたしは、わたしの聖なる名をわたしの民イスラエルの中に知らせ、二度とわたしの聖なる名を汚させない。諸国の民は、わたしが主であり、イスラエルの聖なる者であることを知ろう。 + 今、それは来、それは成就する。――神である主の御告げ――それは、わたしが語った日である。 + イスラエルの町々の住民は出て来て、武器、すなわち、盾と大盾、弓と矢、手槍と槍を燃やして焼き、七年間、それらで火を燃やす。 + 彼らは野から木を取り、森からたきぎを集める必要はない。彼らは武器で火を燃やすからだ。彼らは略奪された物を略奪し返し、かすめ奪われた物をかすめ奪う。――神である主の御告げ―― + その日、わたしは、イスラエルのうちに、ゴグのために墓場を設ける。それは海の東の旅人の谷である。そこは人が通れなくなる。そこにゴグと、そのすべての群集が埋められ、そこはハモン・ゴグの谷と呼ばれる。 + イスラエルの家は、その国をきよめるために、七か月かかって彼らを埋める。 + その国のすべての民が埋め、わたしの栄光が現されるとき、彼らは有名になる。――神である主の御告げ―― + 彼らは、常時、国を巡り歩く者たちを選び出す。彼らは地の面に取り残されているもの、旅人たちを埋めて国をきよめる。彼らは七か月の終わりまで捜す。 + 巡り歩く者たちは国中を巡り歩き、人間の骨を見ると、そのそばに標識を立て、埋める者たちがそれをハモン・ゴグの谷に埋めるようにする。 + そこの町の名はハモナとも言われる。彼らは国をきよめる。 + 神である主はこう仰せられる。人の子よ。あらゆる種類の鳥と、あらゆる野の獣に言え。集まって来い。わたしがおまえたちのために切り殺した者、イスラエルの山々の上にある多くの切り殺された者に、四方から集まって来い。おまえたちはその肉を食べ、その血を飲め。 + 勇士たちの肉を食べ、国の君主たちの血を飲め。雄羊、子羊、雄やぎ、雄牛、すべてバシャンの肥えたものをそうせよ。 + わたしがおまえたちのために切り殺したものの脂肪を飽きるほど食べ、その血を酔うほど飲むがよい。 + おまえたちはわたしの食卓で、馬や、騎手や、勇士や、すべての戦士に食べ飽きる。――神である主の御告げ―― + わたしが諸国の民の間にわたしの栄光を現すとき、諸国の民はみな、わたしが行うわたしのさばきと、わたしが彼らに置くわたしの手とを見る。 + その日の後、イスラエルの家は、わたしが彼らの神、主であることを知ろう。 + 諸国の民は、イスラエルの家が、わたしに不信の罪を犯したために咎を得て捕らえ移されたこと、それから、わたしが彼らにわたしの顔を隠し、彼らを敵の手に渡したので、彼らがみな剣に倒れたことを知ろう。 + わたしは、彼らの汚れとそむきの罪に応じて彼らを罰し、わたしの顔を彼らに隠した。 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。今わたしはヤコブの繁栄を元どおりにし、イスラエルの全家をあわれむ。これは、わたしの聖なる名のための熱心による。 + 彼らは、自分たちの地に安心して住み、彼らを脅かす者がいなくなるとき、わたしに逆らった自分たちの恥とすべての不信の罪との責めを負おう。 + わたしが彼らを国々の民の間から帰らせ、彼らの敵の地から集め、多くの国々が見ている前で、彼らのうちにわたしの聖なることを示すとき、 + 彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知ろう。わたしは彼らを国々に引いて行ったが、また彼らを彼らの地に集め、そこにひとりも残しておかないようにするからだ。 + わたしは二度とわたしの顔を彼らから隠さず、わたしの霊をイスラエルの家の上に注ぐ。――神である主の御告げ――」 + + + 私たちが捕囚となって二十五年目の年の初め、その月の十日、町が占領されてから十四年目のちょうどその日、主の御手が私の上にあり、私をそこへ連れて行った。 + すなわち、神々しい幻のうちに、私はイスラエルの地へ連れて行かれ、非常に高い山の上に降ろされた。その南のほうに町が建てられているようであった。 + 主が私をそこに連れて行かれると、そこに、ひとりの人がいた。その姿は青銅でできているようであり、その手に麻のひもと測りざおとを持って門のところに立っていた。 + その人は私に話しかけた。「人の子よ。あなたの目で見、耳で聞き、わたしがあなたに見せるすべての事を心に留めよ。わたしがあなたを連れて来たのは、あなたにこれを見せるためだ。あなたが見ることをみな、イスラエルの家に告げよ。」 + そこに、神殿の外側を巡って取り囲んでいる壁があった。その人は手に六キュビトの測りざおを持っていた。その一キュビトは、普通の一キュビトに一手幅を足した長さであった。彼がその外壁の厚さを測ると、一さおであり、その高さも一さおであった。 + それから、彼が東向きの門に行き、その階段を上って、門の敷居を測ると、その幅は一さおで、もう一つの門の敷居も幅は一さおであった。 + 控え室は長さ一さお、幅一さおであり、控え室と控え室の間は五キュビトであった。門の内側の玄関の間に続く門の敷居は一さおであった。 + 彼が門の内側の玄関の間を測ると、一さお、 + すなわち、門の玄関の間を測ると、八キュビト、その壁柱は二キュビトで、門の玄関の間は内側にあった。 + 東のほうにある門の控え室は両側に三つずつあり、三つとも同じ寸法であった。壁柱も、両側とも、同じ寸法であった。 + 彼が門の入口の幅を測ると、十キュビト、門の内のり幅の長さは十三キュビトであった。 + 控え室の前に出た仕切りは両側ともそれぞれ一キュビトであった。控え室は両側とも六キュビトであった。 + 彼がその門を、片側の控え室の屋根の端から他の側の屋根の端まで測ると、一つの入口から他の入口までの幅は二十五キュビトであった。 + 彼は壁柱を六十キュビトとした。門の周囲を巡る壁柱は庭に面していた。 + 入口の門の前から内側の門の玄関の間の前までは五十キュビトであり、 + 門の内側にある控え室と壁柱には格子窓が取りつけられ、玄関の間もそうであった。内側の回りには窓があり、壁柱には、なつめやしの木が彫刻してあった。 + それから、彼は私を外庭に連れて行った。そこには部屋があり、庭の回りには石だたみが敷かれていた。石だたみの上に、三十の部屋があった。 + 石だたみは門のわきにあり、ちょうど門の長さと同じであった。これは下の石だたみである。 + 彼が下の門の端から内庭の外の端までその幅を測ると、東も北も百キュビトであった。 + 彼は外庭にある北向きの門の長さと幅を測った。 + それには両側に三つずつ控え室があり、壁柱も玄関の間も先の門と同じ寸法であった。その長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトであった。 + その窓も玄関の間もなつめやしの木の彫刻も、東向きの門と同じ寸法であった。七段の階段を上って行くと、その先に玄関の間があった。 + 東に面する門と同様に、北に面する門にも内庭の門が向かい合っており、彼が門から門まで測ると、百キュビトであった。 + 次に、彼は私を南のほうへ連れて行った。すると、そこにも南向きの門があり、その壁柱と玄関の間を彼が測ると、それは、ほかの門と同じ寸法であった。 + 壁柱と玄関の間の周囲に窓があり、それはほかの窓と同じであった。門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトであった。 + そこに上るのに七段の階段があり、その先に玄関の間があった。その両側の壁柱には、なつめやしの木が彫刻してあった。 + 内庭には南向きの門があり、彼がこの門から南のほうに他の門まで測ると、百キュビトであった。 + 彼が私を南の門から内庭に連れて行き、南の門を測ると、ほかの門と同じ寸法であった。 + その控え室も壁柱も玄関の間もほかのと同じ寸法で、壁柱と玄関の間の周囲に窓があった。門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトであった。 + 玄関の間の周囲は長さ二十五キュビト、幅五キュビトであった。 + その玄関の間は外庭に面し、その壁柱にはなつめやしの木が彫刻してあった。その階段は八段であった。 + 次に、彼は私を内庭の東のほうに連れて行った。そこの門を測ると、ほかの門と同じ寸法であった。 + その控え室も壁柱も玄関の間もほかのと同じ寸法で、壁柱と玄関の間の周囲に窓があった。門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトであった。 + その玄関の間は外庭に面し、両側の壁柱にはなつめやしの木が彫刻してあった。階段は八段であった。 + 彼は私を北の門に連れて行った。それを測ると、ほかの門と同じ寸法であった。 + その控え室も壁柱も玄関の間もほかのと同じ寸法で、その周囲に窓があった。門の長さは五十キュビト、幅は二十五キュビトであった。 + その玄関の間は外庭に面し、両側の壁柱にはなつめやしの木が彫刻してあった。階段は八段であった。 + 門の壁柱のそばに戸のある部屋があり、そこは全焼のいけにえをすすぎ清める所であった。 + 門の玄関の間には、全焼のいけにえ、罪のためのいけにえ、罪過のためのいけにえをほふるために、両側にそれぞれ二つずつの台があった。 + 北の門の入口へ上って行くと、外側に二つの台があり、門の玄関の間の他の側にも二つの台があった。 + すなわち、門の片側に四つの台があり、他の側に四つの台があり、この八つの台の上でいけにえをほふるのである。 + また、全焼のいけにえのための四つの切り石の台があり、その長さは一キュビト半、幅は一キュビト半、その高さは一キュビトであった。その上に全焼のいけにえや、ほかのいけにえをほふるための道具が置かれていた。 + 内側には、周囲に一手幅の縁が取りつけてあり、ささげ物の肉は台の上に置かれるようになっていた。 + 彼は私を内庭に連れて行った。内庭には二つの部屋があり、北の門のわきにある部屋は南を向き、南の門のわきのは北を向いていた。 + 彼は私に言った。「この南向きの部屋は、宮の任務を果たす祭司たちのためであり、 + 北向きの部屋は、祭壇の任務を果たす祭司たちのためである。彼らはツァドクの子孫であり、レビの子孫の中で主に近づいて仕える者たちである。」 + 彼が庭を測ると、長さ百キュビト、幅百キュビトの正方形であった。神殿の前には祭壇があった。 + 彼が私を神殿の玄関の間に連れて行って、玄関の間の壁柱を測ると、両側とも五キュビトであり、その門の幅は十四キュビト、その門の両わきの壁は、それぞれ三キュビトであった。 + 玄関の間の間口は二十キュビト、奥行は十二キュビトであった。そこへ上るのに階段があり、両側の壁柱のそばにはそれぞれ円柱が立っていた。 + + + 彼は私を本堂へ連れて行った。その壁柱を測ると、その幅は両側とも六キュビトであった。これが壁柱の幅であった。 + 入口の幅は十キュビト、入口の両わきの壁はそれぞれ五キュビトであり、本堂の長さを測ると、四十キュビト、幅は二十キュビトであった。 + 彼が奥に入り、入口の壁柱を測ると、二キュビト、入口は六キュビト、入口の両わきの壁は七キュビトであった。 + 彼はまた、本堂に面して長さ二十キュビト、幅二十キュビトを測って、私に「これが至聖所だ」と言った。 + 彼が神殿の壁を測ると、六キュビト、神殿の周囲を囲む階段式の脇間の幅は四キュビトであった。 + 階段式の脇間は三段に重なり、各段に三十あった。神殿の周囲の階段式の脇間は壁に固定してささえられ、神殿の壁は梁でささえられていなかった。 + 階段式の脇間の幅は階段を上るごとに広くなっていた。それは神殿の周囲にあるらせん階段を上るごとに、その段の幅も広くなり、その下の段から上の段へは中央の階段を通って上るのである。 + 私は神殿の回りが高くなっているのを見た。階段式の脇間の土台は、長めの六キュビトの測りざおいっぱいであった。 + 階段式の脇間の外側の壁の厚さは五キュビトであった。神殿の階段式の脇間と、 + 部屋との間には空地があり、それが神殿の周囲を幅二十キュビトで囲んでいた。 + 階段式の脇間の入口は空地のほうに向き、一つの入口は北向きで、他の入口は南のほうに向き、その空地は幅五キュビトで周囲を囲んでいた。 + 西側の聖域にある建物は、その奥行が七十キュビト、その建物の回りの壁は、厚さ五キュビト、その間口は九十キュビトであった。 + 彼が神殿を測ると、長さは百キュビト、その聖域と建物とその壁とで、長さ百キュビトであった。 + また、東側の聖域と神殿に面する幅も百キュビトであった。 + 彼が神殿の裏にある聖域に面した建物の長さと、両側の回廊とを測ると、百キュビトであった。本堂の内側と、庭の玄関の間、 + 門口と格子窓と三段になった回廊とは、床から窓まで羽目板が張り巡らされていた。また、窓にはおおいがあった。 + 入口の上部にも、神殿の内側にも外側にも、これを囲むすべての壁の内側にも外側にも彫刻がしてあり、 + ケルビムと、なつめやしの木とが彫刻してあった。なつめやしの木はケルブとケルブとの間にあり、おのおのケルブには二つの顔があった。 + 人間の顔は一方のなつめやしの木に向かい、若い獅子の顔は他方のなつめやしの木に向かい、このように、神殿全体の回りに彫刻してあった。 + 床から入口の上まで、本堂の壁にケルビムとなつめやしの木が彫刻してあった。 + 本堂の戸口の柱は四角で、至聖所の前には何かに似たものがあった。 + それは木の祭壇のようであり、高さは三キュビト、長さは二キュビトで、その四隅も台も側面も木でできていた。彼は私に、「これが主の前にある机だ」と言った。 + また、本堂と至聖所にそれぞれ二つのとびらがあり、 + それらのとびらにはそれぞれ二つの戸が折りたたむようになっていた。すなわち、一つのとびらには二つの戸があり、ほかのとびらにも二つの戸があった。 + 本堂のとびらには、壁に彫刻されていたのと同じようなケルビムとなつめやしの木が彫刻してあった。外側の玄関の間の前には木のひさしがあった。 + 玄関の間の両わきの壁には格子窓となつめやしの木があり、神殿の階段式の脇間とひさしも同様であった。 + + + 彼は私を北のほうの外庭に連れ出し、聖域に面し、北方の建物に面している部屋へ連れて行った。 + その長さは百キュビト、その端に北の入口があり、幅は五十キュビトであった。 + 二十キュビトの内庭に面し、外庭の石だたみに面して、三階になった回廊があった。 + 部屋の前には幅十キュビトの通路が内側にあり、その長さは百キュビトであった。その部屋の入口は北に向いていた。 + 上の部屋は、回廊が場所を取ったので、建物の下の部屋よりも、また二階の部屋よりも狭かった。 + なぜなら、これらは三階建てであり、庭の柱のような柱がないためである。それで、上の部屋は下の部屋よりも、また二階の部屋よりも狭かった。 + 部屋に沿った外側の石垣は、外庭のほうにあって、部屋に面し、その長さは五十キュビトであった。 + したがって、外庭に面する部屋の長さは五十キュビトであった。しかし、本堂に面する側は百キュビトであった。 + これらの部屋の下には、外庭から入れるように、東側に出入口があった。 + 聖域や建物に面している南側の庭の厚い石垣の中には、部屋があった。 + その部屋の通路は、北側の部屋と同じように見え、長さも同じ、幅も同じで、そのすべての出口も構造も入口も、同様であった。 + 南側の部屋の入口も同様で、通路の先端に入口があり、東側の石垣に面し、そこから入れる通路があった。 + 彼は私に言った。「聖域に面している北の部屋と南の部屋は、聖なる部屋であって、主に近づく祭司たちが最も聖なるささげ物を食べる所である。その場所は神聖であるから、彼らはそこに最も聖なる物、すなわち穀物のささげ物、罪のためのいけにえ、罪過のためのいけにえを置く。 + 祭司たちは聖所に入ったなら、そこから外庭に出てはならない。彼らが奉仕に用いる服は神聖だから、それを脱いで他の服に着替えてから民の所に近づかなければならない。」 + 彼は、神殿の内側を測り終えると、東向きの門に私を連れ出し、神殿の周囲を測った。 + 彼が測りざおで東側を測ると、測りざおで五百さおであった。 + 北側を測ると、測りざおで五百さおであった。 + 南側を測ると、測りざおで五百さおであった。 + 彼が西側に回って測りざおで測ると、五百さおであった。 + 彼が外壁の回りを巡って四方を測ると、その長さは五百さお、幅も五百さおで、聖なるものと俗なるものとを区別していた。 + + + 彼は私を東向きの門に連れて行った。 + すると、イスラエルの神の栄光が東のほうから現れた。その音は大水のとどろきのようであって、地はその栄光で輝いた。 + 私が見た幻の様子は、私がかつてこの町を滅ぼすために来たときに見た幻のようであり、またその幻は、かつて私がケバル川のほとりで見た幻のようでもあった。それで、私はひれ伏した。 + 主の栄光が東向きの門を通って宮に入って来た。 + 霊は私を引き上げ、私を内庭に連れて行った。なんと、主の栄光は神殿に満ちていた。 + ある人が私のそばに立っているとき、私は、神殿からだれかが私に語りかけておられるのを聞いた。 + その方は私に言われた。「人の子よ。ここはわたしの玉座のある所、わたしの足の踏む所、わたしが永遠にイスラエルの子らの中で住む所である。イスラエルの家は、その民もその王たちも、もう二度と、淫行や高き所の王たちの死体で、わたしの聖なる名を汚さない。 + 彼らは、自分たちの門口をわたしの門口のそばに設け、自分たちの戸口の柱をわたしの戸口の柱のかたわらに立て、わたしと彼らとの間には、ただ壁があるだけとなり、彼らの忌みきらうべきわざによってわたしの聖なる名を汚した。そこでわたしは怒って、彼らを絶ち滅ぼした。 + 今、彼らにその淫行や王たちの死体をわたしから遠く取り除かせなければならない。わたしは永遠に彼らの中に住もう。 + 人の子よ。イスラエルの家が自分たちの不義を恥じるために、彼らに神殿を示し、彼らにその模型を測らせよ。 + もし彼らが、自分たちの行ったあらゆることを恥じるなら、あなたは彼らに神殿の構造とその模型、その出口と入口、すなわち、そのすべての構造、すべての定め、すべての構造、すべての律法を示し、彼らの目の前でそれを書きしるせ。彼らが、そのすべての構造と定めとを守って、これを造るためである。 + 宮に関する律法は次のとおりである。山の頂のその回りの全地域は最も神聖である。これが宮に関する律法である。 + キュビトによる祭壇の寸法は次のとおりである。――このキュビトは、普通のキュビトに一手幅足したものである。――その土台の深さは一キュビト、その回りの縁の幅は一キュビト、みぞは一あたりである。祭壇の高さは次のとおりである。 + この地面の土台から下の台座までは二キュビト、回りの幅は一キュビト。この低い台座から高い台座までは四キュビト、その回りの幅は一キュビト。 + 祭壇の炉は高さ四キュビトであり、祭壇の炉から上のほうへ四本の角が出ていた。 + 祭壇の炉は長さ十二キュビト、幅十二キュビトの正方形である。 + その台座は長さ十四キュビト、幅十四キュビトの正方形で、その回りのみぞは半キュビト、その縁は一キュビトであり、その階段は東に面している。」 + 彼は私に言った。「人の子よ。神である主はこう仰せられる。祭壇の上で全焼のいけにえをささげ、血をそれに注ぎかけるために祭壇を立てる日には、次のことが祭壇に関する定めとなる。 + わたしに仕えるために、わたしに近づくツァドクの子孫のレビ人の祭司たちに、あなたは、罪のためのいけにえとして若い雄牛一頭を与えよ。――神である主の御告げ―― + あなたは、その血を取って、祭壇の四本の角と、台座の四隅と、回りのみぞにつけ、祭壇をきよめ、そのための贖いをしなければならない。 + またあなたは、罪のためのいけにえの雄牛を取り、これを聖所の外の宮の一定の所で焼かなければならない。 + 二日目に、あなたは、傷のない雄やぎを罪のためのいけにえとしてささげ、雄牛できよめたように、祭壇をきよめよ。 + きよめ終えたら、あなたは、傷のない若い雄牛と群れのうちの傷のない雄羊とをささげよ。 + あなたは、それらを主の前にささげ、祭司たちがそれらの上に塩をまき、全焼のいけにえとして主にささげなければならない。 + 七日間、あなたは毎日、罪のためのいけにえとして雄やぎをささげ、傷のない若い雄牛と群れのうちの傷のない雄羊とをささげなければならない。 + 七日間にわたって祭壇の贖いをし、それをきよめて使い始めなければならない。 + この期間が終わり、八日目と、その後は、祭司たちが祭壇の上で、あなたがたの全焼のいけにえと和解のいけにえとをささげなければならない。そうすれば、わたしはあなたがたを受け入れる。――神である主の御告げ――」 + + + 彼が私を聖所の東向きの外の門に連れ戻ると、門は閉じていた。 + 主は私に仰せられた。「この門は閉じたままにしておけ。あけてはならない。だれもここから入ってはならない。イスラエルの神、主がここから入られたからだ。これは閉じたままにしておかなければならない。 + ただ、君主だけが、君主として主の前でパンを食べるためにそこにすわることができる。彼は門の玄関の間を通って入り、またそこを通って出て行かなければならない。」 + 彼は私を、北の門を通って神殿の前に連れて行った。私が見ると、なんと、主の栄光が主の神殿に満ちていた。そこで、私はひれ伏した。 + すると主は私に仰せられた。「人の子よ。主の宮のすべての定めとそのすべての律法について、わたしがあなたに告げていることをことごとく心に留め、それに目を注ぎ、耳を傾けよ。宮に入れる者と、聖所に入れないすべての者を心に留めよ。 + あなたは、反逆の家、イスラエルの家にこう言え。神である主はこう仰せられる。イスラエルの家よ。あなたがたのあらゆる忌みきらうべきわざは、もうたくさんだ。 + あなたがたは、心にも肉体にも割礼を受けていない外国人を連れて来て、わたしの聖所におらせ、わたしの宮を汚した。あなたがたは、わたしのパンと脂肪と血とをささげたが、あなたがたのすべての忌みきらうべきわざによって、わたしとの契約を破った。 + あなたがたは、わたしの聖所での任務も果たさず、かえって、自分たちの代わりにわたしの聖所で任務を果たす者たちを置いた。 + 神である主はこう仰せられる。心にも肉体にも割礼を受けていない外国人は、だれもわたしの聖所に入ってはならない。イスラエル人の中にいる外国人はみなそうだ。 + レビ人でも、イスラエルが迷って自分たちの偶像を慕って、わたしから迷い出たとき、わたしを捨て去ったので、彼らは自分たちの咎を負わなければならない。 + 彼らは宮の門で番をし、宮で奉仕をして、わたしの聖所で仕えるはずなのだ。彼らは民のために、全焼のいけにえや、ほかのいけにえをほふり、民に仕えて彼らに奉仕しなければならない。 + それなのにレビ人たちは、民の偶像の前で民に仕え、イスラエルの家を不義に引き込んだ。それゆえ、わたしは彼らに誓う。――神である主の御告げ――彼らは自分たちの咎を負わなければならない。 + 彼らは、祭司としてわたしに仕えるために、わたしに近づいてはならない。わたしのあらゆる聖なる物、または最も聖なる物に触れてはならない。彼らは自分たちの恥と自分たちの行った忌みきらうべきわざの責めとを負わなければならない。 + わたしは彼らに、宮のあらゆる奉仕とそこで行われるすべての宮の任務を果たさせる。 + しかし、イスラエル人が迷ってわたしから離れたときもわたしの聖所の任務を果たした、ツァドクの子孫のレビ人の祭司たちは、わたしに近づいてわたしに仕え、わたしに脂肪と血とをささげてわたしに仕えることができる。――神である主の御告げ―― + 彼らはわたしの聖所に入り、わたしの机に近づいてわたしに仕え、わたしへの任務を果たすことができる。 + 彼らは内庭の門に入るときには、亜麻布の服を着なければならない。内庭の門、および神殿の中で務めをするときは、毛織り物を身に着けてはならない。 + 頭には亜麻布のかぶり物をかぶり、腰には亜麻布のももひきをはかなければならない。汗の出るような物を身に着けてはならない。 + 彼らが外庭に出て、外庭の民のところに出て行くときは、務めのときに着ていた服を脱ぎ、それを聖所の部屋にしまい、ほかの服を着なければならない。その服によって民を聖なるものとしないためである。 + 彼らは頭をそってはならない。髪を長く伸ばしすぎてもいけない。頭は適当に刈らなければならない。 + 祭司はだれも、内庭に入るときには、ぶどう酒を飲んではならない。 + やもめや、離婚された女を妻にしてはならない。ただ、イスラエルの民のうちの処女をめとらなければならない。しかし、やもめでも、それが祭司のやもめであれば、めとってもよい。 + 彼らは、わたしの民に、聖なるものと俗なるものとの違いを教え、汚れたものときよいものとの区別を教えなければならない。 + 争いがあるときには、彼らは、わたしの定めに従ってさばきの座に着き、これをさばかなければならない。わたしのすべての例祭には、わたしの律法とおきてとを守り、わたしの安息日を聖別しなければならない。 + 彼らは、死人に近づいて身を汚してはならない。ただし、自分の父、母、息子、娘、兄弟、未婚の姉妹のためには汚れてもよい。 + その場合、その人は、きよめられて後、さらに七日間待たなければならない。 + 聖所で仕えるために聖所の内庭に入る日には、彼は罪のためのいけにえをささげなければならない。――神である主の御告げ―― + これが彼らの相続地となる。わたしが彼らの相続地である。あなたがたはイスラエルの中で彼らに所有地を与えてはならない。わたしが彼らの所有地である。 + 彼らの食物は、穀物のささげ物、罪のためのいけにえ、罪過のためのいけにえである。イスラエルのうちのすべての献納物は彼らのものである。 + あらゆる種類の初物、あなたがたのあらゆる奉納物のうちの最上の奉納物は、すべて祭司たちのものであり、あなたがたの麦粉の初物も祭司に与えなければならない。あなたの家に祝福が宿るためである。 + 祭司たちは、死んだものや裂き殺されたものはすべて、鳥であれ獣であれ、食べてはならない。 + + + あなたがたがその地を相続地として、くじで分けるとき、その地の聖なる区域を奉納地として主にささげなければならない。その長さは二万五千キュビト、幅は一万キュビト。その周囲の全域は聖なる地である。 + このうち、縦横五百キュビトの正方形を聖所に当て、その回りを五十キュビトの空地にしなければならない。 + 先に測った区域から、長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトを測れ。そして、その中に聖なる至聖所があるようにせよ。 + これは国の聖なる所である。これは、聖所で仕え、主に近づいて仕える祭司たちのものとしなければならない。ここを彼らの家の敷地とし、聖所のために聖別しなければならない。 + また、長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトの地は、宮で奉仕をするレビ人のものとし、二十の部屋を彼らの所有としなければならない。 + 聖なる奉納地に沿って、幅五千キュビト、長さ二万五千キュビトを町の所有とし、これをイスラエルの全家のものとする。 + 君主の土地は、聖なる奉納地と町の所有地との両側にあり、聖なる奉納地と町の所有地に面し、西側は西のほうへ、東側は東のほうへ延びている。その長さは一つの部族の割り当て地と同じで、この国の西の境界線から東の境界線にまで及んでいる。 + これがイスラエルの中の彼の所有地である。わたしの君主たちは、二度とわたしの民をしいたげることなく、この地は部族ごとに、イスラエルの家に与えられる。 + 神である主はこう仰せられる。イスラエルの君主たちよ。もうたくさんだ。暴虐と暴行を取り除き、公義と正義とを行え。わたしの民を重税で追い立てることをやめよ。――神である主の御告げ―― + 正しいはかり、正しいエパ、正しいバテを使え。 + エパとバテとを同一量にせよ。バテはホメルの十分の一、エパもホメルの十分の一とせよ。その量はホメルを単位とせよ。 + 一シェケルは二十ゲラである。二十シェケルと二十五シェケルと十五シェケルとで一ミナとせよ。 + あなたがたがささげる奉納物は次のとおりである。小麦一ホメルから六分の一エパ、大麦一ホメルから六分の一エパをささげ、 + 油の単位により、油のバテで、一コルから十分の一バテをささげよ。一コルは一ホメルと同じく十バテである。 + また、イスラエルの潤った地の羊の群れから二百頭ごとに一頭の羊を、ささげ物、全焼のいけにえ、和解のいけにえのためにささげ、彼らのための贖いとせよ。――神である主の御告げ―― + 国のすべての民に、この奉納物をイスラエルの君主に納めさせよ。 + 君主は、祭りの日、新月の祭り、安息日、すなわちイスラエルの家のあらゆる例祭に、全焼のいけにえ、穀物のささげ物、注ぎのぶどう酒を供える義務がある。彼はイスラエルの家の贖いのため、罪のためのいけにえ、穀物のささげ物、全焼のいけにえ、和解のいけにえをささげなければならない。 + 神である主はこう仰せられる。第一の月の第一日に、あなたは傷のない若い雄牛を取り、聖所をきよめなければならない。 + 祭司は罪のためのいけにえから、血を取り、それを宮の戸口の柱や、祭壇の台座の四隅や、内庭の門の脇柱に塗らなければならない。 + その月の七日にも、あなたは、あやまって罪を犯した者やわきまえのない者のためにこのようにし、宮のために贖いをしなければならない。 + 第一の月の十四日に、あなたがたは過越の祭りを守り、その祭りの七日間、種を入れないパンを食べなければならない。 + その日に君主は、自分のためと国のすべての民のために、罪のためのいけにえとして雄牛をささげなければならない。 + その祭りの七日間、彼は全焼のいけにえとして傷のない七頭の雄牛と七頭の雄羊を、七日間、毎日、主にささげなければならない。また一頭の雄やぎを、罪のためのいけにえとして、毎日ささげなければならない。 + 穀物のささげ物は、雄牛一頭に一エパ、雄羊一頭に一エパをささげなければならない。油は一エパごとに一ヒンとする。 + 第七の月の十五日の祭りにも、七日間、これと同じようにささげなければならない。すなわち、罪のためのいけにえ、全焼のいけにえ、穀物のささげ物、それに油を、同じようにささげなければならない。 + + + 神である主はこう仰せられる。内庭の東向きの門は、労働をする六日間は閉じておき、安息日と、新月の祭りの日にはあけなければならない。 + 君主は外側の門の玄関の間を通って入り、門の戸口の柱のそばに立っていなければならない。祭司たちは彼の全焼のいけにえと、和解のいけにえをささげ、彼は門の敷居のところで礼拝して出て行かなければならない。門は夕暮れまで閉じてはならない。 + 一般の人々も、安息日と新月の祭りの日には、その門の入口で、主の前に礼拝をしなければならない。 + 君主が安息日に主にささげる全焼のいけにえは、傷のない子羊六頭と、傷のない雄羊一頭である。 + また、穀物のささげ物は、雄羊一頭について一エパ。子羊のためには、彼が与えることのできるだけの穀物のささげ物。油は一エパごとに一ヒンである。 + 新月の祭りの日には、傷のない若い雄牛一頭と、傷のない子羊六頭と雄羊一頭である。 + 穀物のささげ物をするために、雄牛一頭に一エパ。雄羊一頭に一エパ。子羊のためには、手に入れることのできただけでよい。油は一エパごとに一ヒンである。 + 君主が入るときには、門の玄関の間を通って入り、そこを通って出て行かなければならない。 + しかし、一般の人々が例祭の日に主の前に入って来るとき、北の門を通って礼拝に来る者は南の門を通って出て行き、南の門を通って入って来る者は北の門を通って出て行かなければならない。自分の入って来た門を通って帰ってはならない。その反対側から出て行かなければならない。 + 君主は、彼らが入るとき、いっしょに入り、彼らが出るとき、いっしょに出なければならない。 + 祭りと例祭には、穀物のささげ物は、雄牛一頭に一エパ、雄羊一頭に一エパ。子羊のためには与えることのできるだけのもの。油は一エパごとに一ヒンである。 + また、君主が、全焼のいけにえを、進んでささげるささげ物として、あるいは和解のいけにえを、進んでささげるささげ物として主にささげるときには、彼のために東向きの門をあけなければならない。彼は安息日にささげると同じように、全焼のいけにえと和解のいけにえとをささげなければならない。彼が出て行くなら、彼が出て行って後、その門は閉じられる。 + あなたは毎日、傷のない一歳の子羊一頭を全焼のいけにえとして、主にささげなければならない。これを毎朝ささげなければならない。 + それに添えて、毎朝、六分の一エパの穀物のささげ物、上等の小麦粉に振りかけるための油三分の一ヒンをささげなければならない。これが主への穀物のささげ物であり、永遠に続く定めである。 + こうして、子羊や穀物のささげ物や油を、常供の全焼のいけにえとして、毎朝ささげなければならない。 + 神である主はこう仰せられる。もし、君主が、贈り物として自分の相続地を自分の息子たちに与えるなら、それは息子たちのものとなり、それは相続地として彼らの所有地となる。 + しかし、もし、彼が自分の相続地の一部を贈り物として奴隷のひとりに与えるなら、それは解放の年まで彼のものであるが、その後、それは君主に返される。ただ息子たちだけが、相続地を自分のものとすることができる。 + 君主は、民の相続地を奪って彼らをその所有地から押しのけてはならない。彼は自分の所有地から自分の息子たちに相続地を与えなければならない。それは、わたしの民がひとりでも、その所有地から散らされないためである。」 + それから、彼は私を、門のわきにある出入口から、北向きになっている祭司たちの聖所の部屋に連れて行った。すると、西のほうの隅に一つの場所があった。 + 彼は私に言った。「ここは祭司たちが、罪過のためのいけにえや、罪のためのいけにえを煮たり、穀物のささげ物を焼いたりする場所である。これらの物を外庭に持ち出して民を聖なるものとしないためである。」 + 彼は私を外庭に連れ出し、庭の四隅を通らせた。すると庭の隅には、それぞれまた、ほかの庭があった。 + 庭の四隅に仕切られた庭があり、それは長さ四十キュビト、幅三十キュビトであって、四つともみな同じ寸法であった。 + その四つとも、回りは石の壁で囲まれ、石の壁の下のほうには料理場が作られていた。 + 彼は私に言った。「これは、宮で奉仕をしている者が、民からのいけにえを煮る料理場である。」 + + + 彼は私を神殿の入口に連れ戻した。見ると、水が神殿の敷居の下から東のほうへと流れ出ていた。神殿が東に向いていたからである。その水は祭壇の南、宮の右側の下から流れていた。 + ついで、彼は私を北の門から連れ出し、外を回らせ、東向きの外の門に行かせた。見ると、水は右側から流れ出ていた。 + その人は手に測りなわを持って東へ出て行き、一千キュビトを測り、私にその水を渡らせると、それは足首まであった。 + 彼がさらに一千キュビトを測り、私にその水を渡らせると、水はひざに達した。彼がさらに一千キュビトを測り、私を渡らせると、水は腰に達した。 + 彼がさらに一千キュビトを測ると、渡ることのできない川となった。水かさは増し、泳げるほどの水となり、渡ることのできない川となった。 + 彼は私に、「人の子よ。あなたはこれを見たか」と言って、私を川の岸に沿って連れ帰った。 + 私が帰って来て見ると、川の両岸に非常に多くの木があった。 + 彼は私に言った。「この水は東の地域に流れ、アラバに下り、海に入る。海に注ぎ込むとそこの水は良くなる。 + この川が流れて行く所はどこででも、そこに群がるあらゆる生物は生き、非常に多くの魚がいるようになる。この水が入ると、そこの水が良くなるからである。この川が入る所では、すべてのものが生きる。 + 漁師たちはそのほとりに住みつき、エン・ゲディからエン・エグライムまで網を引く場所となる。そこの魚は大海の魚のように種類も数も非常に多くなる。 + しかし、その沢と沼とはその水が良くならないで、塩のままで残る。 + 川のほとり、その両岸には、あらゆる果樹が生長し、その葉も枯れず、実も絶えることがなく、毎月、新しい実をつける。その水が聖所から流れ出ているからである。その実は食物となり、その葉は薬となる。 + 神である主はこう仰せられる。あなたがたがイスラエルの十二の部族にこの国を相続地として与える地域は次のとおりである。ヨセフには二つの分を与える。 + あなたがたはそれを等分に割り当てなければならない。それはわたしがかつてあなたがたの先祖に与えると誓ったものである。この地は相続地としてあなたがたのものである。 + その地の境界線は次のとおりである。北側は、大海からヘテロンの道を経て、ツェダデの入口に至り、 + ハマテ、ベロタ、およびダマスコの領土とハマテの領土の間にあるシブライム、さらにハウランの領土に面したハツェル・ハティコンに至る。 + 海から始まる境界線はダマスコの境界のハツァル・エナンに至り、北は北のほうへ、ハマテの境界にまで至る。これが北側である。 + 東側は、ハウランとダマスコの間と、ギルアデとイスラエルの地の間のヨルダン川が、東の海を経てタマルに至るまでの境界線である。これが東側である。 + 南側は、タマルから南に向かってメリバテ・カデシュの水と川に至り、大海に至るまでである。これが南側である。 + 西側は、大海が境界となり、レボ・ハマテにまで至る。これが西側である。 + あなたがたは、この地をイスラエルの部族ごとに割り当てなければならない。 + あなたがたと、あなたがたの間で子を生んだ、あなたがたの間の在留異国人とは、この地を自分たちの相続地として、くじで割り当てなければならない。あなたがたは彼らをイスラエル人のうちに生まれた者と同じように扱わなければならない。彼らはイスラエルの部族の中にあって、あなたがたといっしょに、くじで相続地の割り当てを受けなければならない。 + 在留異国人には、その在留している部族の中で、その相続地を与えなければならない。――神である主の御告げ―― + + + 部族の名は次のとおりである。北の端からヘテロンの道を経てレボ・ハマテに至り、ハマテを経て北のほうへダマスコの境界のハツァル・エナンまで――東側から西側まで――これがダンの分である。 + ダンの地域に接して、東側から西側までがアシェルの分。 + アシェルの地域に接して、東側から西側までがナフタリの分。 + ナフタリの地域に接して、東側から西側までがマナセの分。 + マナセの地域に接して、東側から西側までがエフライムの分。 + エフライムの地域に接して、東側から西側までがルベンの分。 + ルベンの地域に接して、東側から西側までがユダの分である。 + ユダの地域に接して、東側から西側までが、あなたがたのささげる奉納地となる。その幅は二万五千キュビト、その長さは東側から西側にかけて部族の割り当て地の一つと同じである。聖所はその中央にある。 + あなたがたが主にささげる奉納地は、長さ二万五千キュビト、幅二万キュビトである。 + 祭司たちへの聖なる奉納地は次のとおりである。北側は二万五千キュビト、西側は一万キュビトの幅、東側は一万キュビトの幅、南側は二万五千キュビトの長さである。主の聖所はその中央にある。 + この区域はツァドクの子孫の聖別された祭司たちのものである。彼らは、イスラエル人が迷い出たときいっしょに迷い出たレビ人とは異なり、わたしへの任務を果たしている。 + 彼らの地域はレビの部族の地域に接し、奉納地のうちでも最も聖なる地である。 + レビの部族の分は、祭司たちの地域に接して、長さ二万五千キュビト、幅一万キュビトである。すなわち、全体の長さは二万五千キュビト、幅は一万キュビトである。 + 彼らはそのどの部分も、売ったり取り替えたりしてはならない。その初めの土地を手放してはならない。主への聖なるものだからである。 + 幅五千キュビト、長さ二万五千キュビトの残りの地所は、町の一般用であり、住まいと放牧地のためである。町はその中央に建てられなければならない。 + その大きさは次のとおりである。北側は四千五百キュビト、南側は四千五百キュビト、東側は四千五百キュビト、西側は四千五百キュビトである。 + また、町の放牧地は、北へ二百五十キュビト、南へ二百五十キュビト、東へ二百五十キュビト、西へ二百五十キュビトである。 + 聖なる奉納地に接する残りの地所の長さは、東へ一万キュビト、西へ一万キュビトである。それは聖なる奉納地に接している。そこから収穫した物は町の働き人の食物となる。 + その町の働き人は、イスラエルの全部族から出て、これを耕す。 + 奉納地の全体は二万五千キュビト四方であり、あなたがたは、聖なる奉納地と町の所有地とをささげることになる。 + 聖なる奉納地と町の所有地の両側にある残りの地所は、君主のものである。これは二万五千キュビトの奉納地に面し、そこから東の境界までである。西のほうも、その二万五千キュビトに面し、そこから西の境界までである。これは部族の割り当て地にも接していて、君主のものである。聖なる奉納地と宮の聖所とは、その中央にある。 + 君主の所有する地区の中にあるレビ人の所有地と、町の所有地を除いて、ユダの地域とベニヤミンの地域との間にある部分は、君主のものである。 + なお、残りの部族は、東側から西側までがベニヤミンの分。 + ベニヤミンの地域に接して、東側から西側までがシメオンの分。 + シメオンの地域に接して、東側から西側までがイッサカルの分。 + イッサカルの地域に接して、東側から西側までがゼブルンの分。 + ゼブルンの地域に接して、東側から西側までがガドの分。 + ガドの地域に接して南側、その南の境界線はタマルからメリバテ・カデシュの水、さらに川に沿って大海に至る。 + 以上が、あなたがたがイスラエルの部族ごとに、くじで相続地として分ける土地であり、以上が彼らの割り当て地である。――神である主の御告げ―― + 町の出口は次のとおりである。北側は四千五百キュビトの長さで、 + 町の門にはイスラエルの部族の名がつけられている。北側の三つの門はルベンの門、ユダの門、レビの門である。 + 東側も四千五百キュビトで、三つの門がある。ヨセフの門、ベニヤミンの門、ダンの門である。 + 南側も四千五百キュビトの長さで、三つの門がある。シメオンの門、イッサカルの門、ゼブルンの門である。 + 西側も四千五百キュビトで、三つの門がある。ガドの門、アシェルの門、ナフタリの門である。 + 町の周囲は一万八千キュビトあり、その日からこの町の名は、『主はここにおられる』と呼ばれる。」 + +
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+ + ユダの王エホヤキムの治世の第三年に、バビロンの王ネブカデネザルがエルサレムに来て、これを包囲した。 + 主がユダの王エホヤキムと神の宮の器具の一部とを彼の手に渡されたので、彼はそれをシヌアルの地にある彼の神の宮に持ち帰り、その器具を彼の神の宝物倉に納めた。 + 王は宦官の長アシュペナズに命じて、イスラエル人の中から、王族か貴族を数人選んで連れて来させた。 + その少年たちは、身に何の欠陥もなく、容姿は美しく、あらゆる知恵に秀で、知識に富み、思慮深く、王の宮廷に仕えるにふさわしい者であり、また、カルデヤ人の文学とことばとを教えるにふさわしい者であった。 + 王は、王の食べるごちそうと王の飲むぶどう酒から、毎日の分を彼らに割り当て、三年間、彼らを養育することにし、そのあとで彼らが王に仕えるようにした。 + 彼らのうちには、ユダ部族のダニエル、ハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤがいた。 + 宦官の長は彼らにほかの名をつけ、ダニエルにはベルテシャツァル、ハナヌヤにはシャデラク、ミシャエルにはメシャク、アザルヤにはアベデ・ネゴと名をつけた。 + ダニエルは、王の食べるごちそうや王の飲むぶどう酒で身を汚すまいと心に定め、身を汚さないようにさせてくれ、と宦官の長に願った。 + 神は宦官の長に、ダニエルを愛しいつくしむ心を与えられた。 + 宦官の長はダニエルに言った。「私は、あなたがたの食べ物と飲み物とを定めた王さまを恐れている。もし王さまが、あなたがたの顔に、あなたがたと同年輩の少年より元気がないのを見たなら、王さまはきっと私を罰するだろう。」 + そこで、ダニエルは、宦官の長がダニエル、ハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤのために任命した世話役に言った。 + 「どうか十日間、しもべたちをためしてください。私たちに野菜を与えて食べさせ、水を与えて飲ませてください。 + そのようにして、私たちの顔色と、王さまの食べるごちそうを食べている少年たちの顔色とを見比べて、あなたの見るところに従ってこのしもべたちを扱ってください。」 + 世話役は彼らのこの申し出を聞き入れて、十日間、彼らをためしてみた。 + 十日の終わりになると、彼らの顔色は、王の食べるごちそうを食べているどの少年よりも良く、からだも肥えていた。 + そこで世話役は、彼らの食べるはずだったごちそうと、飲むはずだったぶどう酒とを取りやめて、彼らに野菜を与えることにした。 + 神はこの四人の少年に、知識と、あらゆる文学を悟る力と知恵を与えられた。ダニエルは、すべての幻と夢とを解くことができた。 + 彼らを召し入れるために王が命じておいた日数の終わりになって、宦官の長は彼らをネブカデネザルの前に連れて来た。 + 王が彼らと話してみると、みなのうちでだれもダニエル、ハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤに並ぶ者はなかった。そこで彼らは王に仕えることになった。 + 王が彼らに尋ねてみると、知恵と悟りのあらゆる面で、彼らは国中のどんな呪法師、呪文師よりも十倍もまさっているということがわかった。 + ダニエルはクロス王の元年までそこにいた。 + + + ネブカデネザルの治世の第二年に、ネブカデネザルは、幾つかの夢を見、そのために心が騒ぎ、眠れなかった。 + そこで王は、呪法師、呪文師、呪術者、カルデヤ人を呼び寄せて、王のためにその夢を解き明かすように命じた。彼らが来て王の前に立つと、 + 王は彼らに言った。「私は夢を見たが、その夢を解きたくて私の心は騒いでいる。」 + カルデヤ人たちは王に告げて言った。――アラム語で――「王よ。永遠に生きられますように。どうぞその夢をしもべたちにお話しください。そうすれば、私たちはその解き明かしをいたしましょう。」 + 王は答えてカルデヤ人たちに言った。「私の言うことにまちがいはない。もし、あなたがたがその夢とその解き明かしとを私に知らせることができなければ、あなたがたの手足を切り離させ、あなたがたの家を滅ぼしてごみの山とさせる。 + しかし、もし夢と解き明かしとを知らせたら、贈り物と報酬と大きな光栄とを私から受けよう。だから、夢と解き明かしとを私に知らせよ。」 + 彼らは再び答えて言った。「王よ。しもべたちにその夢をお話しください。そうすれば、解き明かしてごらんにいれます。」 + 王は答えて言った。「私には、はっきりわかっている。あなたがたは私の言うことにまちがいはないのを見てとって、時をかせごうとしているのだ。 + もしあなたがたがその夢を私に知らせないなら、あなたがたへの判決はただ一つ。あなたがたは時が移り変わるまで、偽りと欺きのことばを私の前に述べようと決めてかかっている。だから、どんな夢かを私に話せ。そうすれば、あなたがたがその解き明かしを私に示せるかどうか、私にわかるだろう。」 + カルデヤ人たちは王の前に答えて言った。「この地上には、王の言われることを示すことのできる者はひとりもありません。どんな偉大な権力のある王でも、このようなことを呪法師や呪文師、あるいはカルデヤ人に尋ねたことはかつてありません。 + 王のお尋ねになることは、むずかしいことです。肉なる者とその住まいを共にされない神々以外には、それを王の前に示すことのできる者はいません。」 + 王は怒り、大いにたけり狂い、バビロンの知者をすべて滅ぼせと命じた。 + この命令が発せられたので、知者たちは殺されることになった。また人々はダニエルとその同僚をも捜して殺そうとした。 + そのとき、ダニエルは、バビロンの知者たちを殺すために出て来た王の侍従長アルヨクに、知恵と思慮とをもって応対した。 + 彼は王の全権を受けたアルヨクにこう言った。「どうしてそんなにきびしい命令が王から出たのでしょうか。」それで、アルヨクは事の次第をダニエルに知らせた。 + ダニエルは王のところに行き、王にその解き明かしをするため、しばらくの時を与えてくれるように願った。 + それから、ダニエルは自分の家に帰り、彼の同僚のハナヌヤ、ミシャエル、アザルヤにこのことを知らせた。 + 彼らはこの秘密について、天の神のあわれみを請い、ダニエルとその同僚が他のバビロンの知者たちとともに滅ぼされることのないようにと願った。 + そのとき、夜の幻のうちにこの秘密がダニエルに啓示されたので、ダニエルは天の神をほめたたえた。 + ダニエルはこう言った。/「神の御名は/とこしえからとこしえまで/ほむべきかな。/知恵と力は神のもの。 + 神は季節と時を変え、王を廃し、王を立て、知者には知恵を、理性のある者には知識を授けられる。 + 神は、深くて測り知れないことも、隠されていることもあらわし、暗黒にあるものを知り、ご自身に光を宿す。 + 私の先祖の神。/私はあなたに感謝し、あなたを賛美します。/あなたは私に知恵と力とを賜い、今、私たちがあなたに請いねがったことを/私に知らせ、王のことを私たちに知らせてくださいました。」 + それからダニエルは、王がバビロンの知者たちを滅ぼすように命じておいたアルヨクのもとに行き、彼にこう言った。「バビロンの知者たちを滅ぼしてはなりません。私を王の前に連れて行ってください。私が王に解き明かしを示します。」 + そこで、アルヨクは急いでダニエルを王の前に連れて行き、王にこう言った。「ユダからの捕虜の中に、王に解き明かしのできるひとりの男を見つけました。」 + それで王は、ベルテシャツァルという名のダニエルに言った。「あなたは私が見た夢と、その解き明かしを私に示すことができるのか。」 + ダニエルは王に答えて言った。「王が求められる秘密は、知者、呪文師、呪法師、星占いも王に示すことはできません。 + しかし、天に秘密をあらわすひとりの神がおられ、この方が終わりの日に起こることをネブカデネザル王に示されたのです。あなたの夢と、寝床であなたの頭に浮かんだ幻はこれです。 + 王さま。あなたは寝床で、この後、何が起こるのかと思い巡らされましたが、秘密をあらわされる方が、後に起こることをあなたにお示しになったのです。 + この秘密が私にあらわされたのは、ほかのどの人よりも私に知恵があるからではなく、その解き明かしが王に知らされることによって、あなたの心の思いをあなたがお知りになるためです。 + 王さま。あなたは一つの大きな像をご覧になりました。見よ。その像は巨大で、その輝きは常ならず、それがあなたの前に立っていました。その姿は恐ろしいものでした。 + その像は、頭は純金、胸と両腕とは銀、腹とももとは青銅、 + すねは鉄、足は一部が鉄、一部が粘土でした。 + あなたが見ておられるうちに、一つの石が人手によらずに切り出され、その像の鉄と粘土の足を打ち、これを打ち砕きました。 + そのとき、鉄も粘土も青銅も銀も金もみな共に砕けて、夏の麦打ち場のもみがらのようになり、風がそれを吹き払って、あとかたもなくなりました。そして、その像を打った石は大きな山となって全土に満ちました。 + これがその夢でした。私たちはその解き明かしを王さまの前に申し上げましょう。 + 王の王である王さま。天の神はあなたに国と権威と力と光栄とを賜い、 + また人の子ら、野の獣、空の鳥がどこに住んでいても、これをことごとく治めるようにあなたの手に与えられました。あなたはあの金の頭です。 + あなたの後に、あなたより劣るもう一つの国が起こります。次に青銅の第三の国が起こって、全土を治めるようになります。 + 第四の国は鉄のように強い国です。鉄はすべてのものを打ち砕いて粉々にするからです。その国は鉄が打ち砕くように、先の国々を粉々に打ち砕いてしまいます。 + あなたがご覧になった足と足の指は、その一部が陶器師の粘土、一部が鉄でしたが、それは分裂した国のことです。その国には鉄の強さがあるでしょうが、あなたがご覧になったように、その鉄はどろどろの粘土と混じり合っているのです。 + その足の指が一部は鉄、一部は粘土であったように、その国は一部は強く、一部はもろいでしょう。 + 鉄とどろどろの粘土が混じり合っているのをあなたがご覧になったように、それらは人間の種によって、互いに混じり合うでしょう。しかし鉄が粘土と混じり合わないように、それらが互いに団結することはありません。 + この王たちの時代に、天の神は一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国は他の民に渡されず、かえってこれらの国々をことごとく打ち砕いて、絶滅してしまいます。しかし、この国は永遠に立ち続けます。 + あなたがご覧になったとおり、一つの石が人手によらずに山から切り出され、その石が鉄と青銅と粘土と銀と金を打ち砕いたのは、大いなる神が、これから後に起こることを王に知らされたのです。その夢は正夢で、その解き明かしも確かです。」 + それで、ネブカデネザル王はひれ伏してダニエルに礼をし、彼に、穀物のささげ物となだめのかおりとをささげるように命じた。 + 王はダニエルに答えて言った。「あなたがこの秘密をあらわすことができたからには、まことにあなたの神は、神々の神、王たちの主、また秘密をあらわす方だ。」 + そこで王は、ダニエルを高い位につけ、彼に多くのすばらしい贈り物を与えて、彼にバビロン全州を治めさせ、また、バビロンのすべての知者たちをつかさどる長官とした。 + 王は、ダニエルの願いによって、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴに、バビロン州の事務をつかさどらせた。しかしダニエルは王の宮廷にとどまった。 + + + ネブカデネザル王は金の像を造った。その高さは六十キュビト、その幅は六キュビトであった。彼はこれをバビロン州のドラの平野に立てた。 + そして、ネブカデネザル王は人を遣わして、太守、長官、総督、参議官、財務官、司法官、保安官、および諸州のすべての高官を召集し、ネブカデネザル王が立てた像の奉献式に出席させることにした。 + そこで太守、長官、総督、参議官、財務官、司法官、保安官、および諸州のすべての高官は、ネブカデネザル王が立てた像の奉献式に集まり、ネブカデネザルが立てた像の前に立った。 + 伝令官は大声で叫んだ。「諸民、諸国、諸国語の者たちよ。あなたがたにこう命じられている。 + あなたがたが角笛、二管の笛、立琴、三角琴、ハープ、風笛、および、もろもろの楽器の音を聞くときは、ひれ伏して、ネブカデネザル王が立てた金の像を拝め。 + ひれ伏して拝まない者はだれでも、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる。」 + それで、民がみな、角笛、二管の笛、立琴、三角琴、ハープ、および、もろもろの楽器の音を聞いたとき、諸民、諸国、諸国語の者たちは、ひれ伏して、ネブカデネザル王が立てた金の像を拝んだ。 + こういうことがあったその時、あるカルデヤ人たちが進み出て、ユダヤ人たちを訴えた。 + 彼らはネブカデネザル王に告げて言った。「王よ。永遠に生きられますように。 + 王よ。あなたは、『角笛、二管の笛、立琴、三角琴、ハープ、風笛、および、もろもろの楽器の音を聞く者は、すべてひれ伏して金の像を拝め。 + ひれ伏して拝まない者はだれでも、火の燃える炉の中へ投げ込め』と命令されました。 + ここに、あなたが任命してバビロン州の事務をつかさどらせたユダヤ人シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴがおります。王よ。この者たちはあなたを無視して、あなたの神々に仕えず、あなたが立てた金の像を拝みもいたしません。」 + そこでネブカデネザルは怒りたけり、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴを連れて来いと命じた。それでこの人たちは王の前に連れて来られた。 + ネブカデネザルは彼らに言った。「シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴ。あなたがたは私の神々に仕えず、また私が立てた金の像を拝みもしないというが、ほんとうか。 + もしあなたがたが、角笛、二管の笛、立琴、三角琴、ハープ、風笛、および、もろもろの楽器の音を聞くときに、ひれ伏して、私が造った像を拝むなら、それでよし。しかし、もし拝まないなら、あなたがたはただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる。どの神が、私の手からあなたがたを救い出せよう。」 + シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴはネブカデネザル王に言った。「私たちはこのことについて、あなたにお答えする必要はありません。 + もし、そうなれば、私たちの仕える神は、火の燃える炉から私たちを救い出すことができます。王よ。神は私たちをあなたの手から救い出します。 + しかし、もしそうでなくても、王よ、ご承知ください。私たちはあなたの神々に仕えず、あなたが立てた金の像を拝むこともしません。」 + すると、ネブカデネザルは怒りに満ち、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴに対する顔つきが変わった。彼は炉を普通より七倍熱くせよと命じた。 + また彼の軍隊の中の力強い者たちに、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴを縛って、火の燃える炉に投げ込めと命じた。 + そこで、この人たちは、上着や下着やかぶり物の衣服を着たまま縛られて、火の燃える炉の中に投げ込まれた。 + 王の命令がきびしく、炉がはなはだ熱かったので、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴを連れて来た者たちは、その火炎に焼き殺された。 + シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの三人は、縛られたままで、火の燃える炉の中に落ち込んだ。 + そのとき、ネブカデネザル王は驚き、急いで立ち上がり、その顧問たちに尋ねて言った。「私たちは三人の者を縛って火の中に投げ込んだのではなかったか。」彼らは王に答えて言った。「王さま。そのとおりでございます。」 + すると王は言った。「だが、私には、火の中をなわを解かれて歩いている四人の者が見える。しかも彼らは何の害も受けていない。第四の者の姿は神々の子のようだ。」 + それから、ネブカデネザルは火の燃える炉の口に近づいて言った。「シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴ。いと高き神のしもべたち。すぐ出て来なさい。」そこで、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴは火の中から出て来た。 + 太守、長官、総督、王の顧問たちが集まり、この人たちを見たが、火は彼らのからだにはききめがなく、その頭の毛も焦げず、上着も以前と変わらず、火のにおいもしなかった。 + ネブカデネザルは言った。「ほむべきかな、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの神。神は御使いを送って、王の命令にそむき、自分たちのからだを差し出しても、神に信頼し、自分たちの神のほかはどんな神にも仕えず、また拝まないこのしもべたちを救われた。 + それゆえ、私は命令する。諸民、諸国、諸国語の者のうち、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの神を侮る者はだれでも、その手足は切り離され、その家をごみの山とさせる。このように救い出すことのできる神は、ほかにないからだ。」 + それから王は、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴをバビロン州で栄えさせた。 + + + ネブカデネザル王が、全土に住むすべての諸民、諸国、諸国語の者たちに書き送る。/あなたがたに平安が豊かにあるように。 + いと高き神が私に行われたしるしと奇蹟とを知らせることは、私の喜びとするところである。 + そのしるしのなんと偉大なことよ。/その奇蹟のなんと力強いことよ。/その国は永遠にわたる国、その主権は代々限りなく続く。 + 私、ネブカデネザルが私の家で気楽にしており、私の宮殿で栄えていたとき、 + 私は一つの夢を見たが、それが私を恐れさせた。私の寝床での様々な幻想と頭に浮かんだ幻が、私を脅かした。 + それで、私は命令を下し、バビロンの知者をことごとく私の前に連れて来させて、その夢の解き明かしをさせようとした。 + そこで、呪法師、呪文師、カルデヤ人、星占いたちが来たとき、私は彼らにその夢を告げたが、彼らはその解き明かしを私に知らせることができなかった。 + しかし最後に、ダニエルが私の前に来た。――彼の名は私の神の名にちなんでベルテシャツァルと呼ばれ、彼には聖なる神の霊があった。――私はその夢を彼に告げた。 + 「呪法師の長ベルテシャツァル。私は、聖なる神の霊があなたにあり、どんな秘密もあなたにはむずかしくないことを知っている。私の見た夢の幻はこうだ。その解き明かしをしてもらいたい。 + 私の寝床で頭に浮かんだ幻、私の見た幻はこうだ。見ると、地の中央に木があった。それは非常に高かった。 + その木は生長して強くなり、その高さは天に届いて、地の果てのどこからもそれが見えた。 + 葉は美しく、実も豊かで、それにはすべてのものの食糧があった。その下では野の獣がいこい、その枝には空の鳥が住み、すべての肉なるものはそれによって養われた。 + 私が見た幻、寝床で頭に浮かんだ幻の中に、見ると、ひとりの見張りの者、聖なる者が天から降りて来た。 + 彼は大声で叫んで、こう言った。『その木を切り倒し、枝を切り払え。その葉を振り落とし、実を投げ散らせ。獣をその下から、鳥をその枝から追い払え。 + ただし、その根株を地に残し、これに鉄と青銅の鎖をかけて、野の若草の中に置き、天の露にぬれさせて、地の草を獣と分け合うようにせよ。 + その心を、人間の心から変えて、獣の心をそれに与え、七つの時をその上に過ごさせよ。 + この宣言は見張りの者たちの布告によるもの、この決定は聖なる者たちの命令によるものだ。それは、いと高き方が人間の国を支配し、これをみこころにかなう者に与え、また人間の中の最もへりくだった者をその上に立てることを、生ける者が知るためである。』 + 私、ネブカデネザル王が見た夢とはこれだ。ベルテシャツァルよ。あなたはその解き明かしを述べよ。私の国の知者たちはだれも、その解き明かしを私に知らせることができない。しかし、あなたにはできる。あなたには、聖なる神の霊があるからだ。」 + そのとき、ベルテシャツァルと呼ばれていたダニエルは、しばらくの間、驚きすくみ、おびえた。王は話しかけて言った。「ベルテシャツァル。あなたはこの夢と解き明かしを恐れることはない。」ベルテシャツァルは答えて言った。「わが主よ。どうか、この夢があなたを憎む者たちに当てはまり、その解き明かしがあなたの敵に当てはまりますように。 + あなたがご覧になった木、すなわち、生長して強くなり、その高さは天に届いて、地のどこからも見え、 + その葉は美しく、実も豊かで、それにはすべてのものの食糧があり、その下に野の獣が住み、その枝に空の鳥が宿った木、 + 王さま、その木はあなたです。あなたは大きくなって強くなり、あなたの偉大さは増し加わって天に達し、あなたの主権は地の果てにまで及んでいます。 + しかし王は、ひとりの見張りの者、聖なる者が天から降りて来てこう言うのをご覧になりました。『この木を切り倒して滅ぼせ。ただし、その根株を地に残し、これに鉄と青銅の鎖をかけて、野の若草の中に置き、天の露にぬれさせて、七つの時がその上を過ぎるまで野の獣と草を分け合うようにせよ。』 + 王さま。その解き明かしは次のとおりです。これは、いと高き方の宣言であって、わが主、王さまに起こることです。 + あなたは人間の中から追い出され、野の獣とともに住み、牛のように草を食べ、天の露にぬれます。こうして、七つの時が過ぎ、あなたは、いと高き方が人間の国を支配し、その国をみこころにかなう者にお与えになることを知るようになります。 + ただし、木の根株は残しておけと命じられていますから、天が支配するということをあなたが知るようになれば、あなたの国はあなたのために堅く立ちましょう。 + それゆえ、王さま、私の勧告を快く受け入れて、正しい行いによってあなたの罪を除き、貧しい者をあわれんであなたの咎を除いてください。そうすれば、あなたの繁栄は長く続くでしょう。」 + このことがみな、ネブカデネザル王の身に起こった。 + 十二か月の後、彼がバビロンの王の宮殿の屋上を歩いていたとき、 + 王はこう言っていた。「この大バビロンは、私の権力によって、王の家とするために、また、私の威光を輝かすために、私が建てたものではないか。」 + このことばがまだ王の口にあるうちに、天から声があった。「ネブカデネザル王。あなたに告げる。国はあなたから取り去られた。 + あなたは人間の中から追い出され、野の獣とともに住み、牛のように草を食べ、こうして七つの時があなたの上を過ぎ、ついに、あなたは、いと高き方が人間の国を支配し、その国をみこころにかなう者にお与えになることを知るようになる。」 + このことばは、ただちにネブカデネザルの上に成就した。彼は人間の中から追い出され、牛のように草を食べ、そのからだは天の露にぬれて、ついに、彼の髪の毛は鷲の羽のようになり、爪は鳥の爪のようになった。 + その期間が終わったとき、私、ネブカデネザルは目を上げて天を見た。すると私に理性が戻って来た。それで、私はいと高き方をほめたたえ、永遠に生きる方を賛美し、ほめたたえた。/その主権は永遠の主権。/その国は代々限りなく続く。 + 地に住むものはみな、無きものとみなされる。/彼は、天の軍勢も、地に住むものも、みこころのままにあしらう。/御手を差し押さえて、「あなたは何をされるのか」と言う者もいない。 + 私が理性を取り戻したとき、私の王国の光栄のために、私の威光も輝きも私に戻って来た。私の顧問も貴人たちも私を迎えたので、私は王位を確立し、以前にもまして大いなる者となった。 + 今、私、ネブカデネザルは、天の王を賛美し、あがめ、ほめたたえる。そのみわざはことごとく真実であり、その道は正義である。また、高ぶって歩む者をへりくだった者とされる。 + + + ベルシャツァル王は、千人の貴人たちのために大宴会を催し、その千人の前でぶどう酒を飲んでいた。 + ベルシャツァルは、ぶどう酒を飲みながら、父ネブカデネザルがエルサレムの宮から取って来た金、銀の器を持って来るように命じた。王とその貴人たち、および王の妻とそばめたちがその器で飲むためであった。 + そこで、エルサレムの神の宮の本堂から取って来た金の器が運ばれて来たので、王とその貴人たち、および王の妻とそばめたちはその器で飲んだ。 + 彼らはぶどう酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石の神々を賛美した。 + すると突然、人間の手の指が現れ、王の宮殿の塗り壁の、燭台の向こう側の所に物を書いた。王が物を書くその手の先を見たとき、 + 王の顔色は変わり、それにおびえて、腰の関節がゆるみ、ひざはがたがた震えた。 + 王は、大声で叫び、呪文師、カルデヤ人、星占いたちを連れて来させた。王はバビロンの知者たちに言った。「この文字を読み、その解き明かしを示す者にはだれでも、紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけ、この国の第三の権力を持たせよう。」 + その時、王の知者たちがみな入って来たが、彼らは、その文字を読むことも、王にその解き明かしを告げることもできなかった。 + それで、ベルシャツァル王はひどくおびえて、顔色が変わり、貴人たちも途方にくれた。 + 王母は、王とその貴人たちのことを聞いて、宴会の広間に入って来た。王母は言った。「王よ。永遠に生きられますように。おびえてはいけません。顔色を変えてはなりません。 + あなたの王国には、聖なる神の霊の宿るひとりの人がいます。あなたの父上の時代、彼のうちに、光と理解力と神々の知恵のような知恵のあることがわかりました。ネブカデネザル王、あなたの父上、王は、彼を呪法師、呪文師、カルデヤ人、星占いたちの長とされました。 + 王がベルテシャツァルと名づけたダニエルのうちに、すぐれた霊と、知識と、夢を解き明かし、なぞを解き、難問を解く理解力のあることがわかりましたから、今、ダニエルを召してください。そうすれば、彼がその解き明かしをいたしましょう。」 + そこで、ダニエルは王の前に連れて来られた。王はダニエルに話しかけて言った。「あなたは、私の父である王がユダから連れて来たユダからの捕虜のひとり、あのダニエルか。 + あなたのうちには神の霊が宿り、また、あなたのうちに、光と理解力と、すぐれた知恵のあることがわかった、と聞いている。 + 先に、知者、呪文師たちを私の前に召して、この文字を読ませ、その解き明かしを私に教えさせようとしたが、彼らはそのことばの解き明かしを示すことができなかった。 + しかし、あなたは解き明かしができ、難問を解くことができると聞いた。今、もしあなたが、その文字を読み、その解き明かしを私に知らせることができたなら、あなたに紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけさせ、国の第三の権力を持たせよう。」 + そのとき、ダニエルは王の前に答えて言った。「あなたの贈り物はあなた自身で取っておき、あなたの報酬は他の人にお与えください。しかし、私はその文字を王のために読み、その解き明かしをお知らせしましょう。 + 王さま。いと高き神は、あなたの父上ネブカデネザルに、国と偉大さと光栄と権威とをお与えになりました。 + 神が彼に賜った偉大さによって、諸民、諸国、諸国語の者たちはことごとく、彼の前に震え、おののきました。彼は思いのままに人を殺し、思いのままに人を生かし、思いのままに人を高め、思いのままに人を低くしました。 + こうして、彼の心が高ぶり、彼の霊が強くなり、高慢にふるまったので、彼はその王座から退けられ、栄光を奪われました。 + そして、人の中から追い出され、心は獣と等しくなり、野ろばとともに住み、牛のように草を食べ、からだは天の露にぬれて、ついに、いと高き神が人間の国を支配し、みこころにかなう者をその上にお立てになることを知るようになりました。 + その子であるベルシャツァル。あなたはこれらの事をすべて知っていながら、心を低くしませんでした。 + それどころか、天の主に向かって高ぶり、主の宮の器をあなたの前に持って来させて、あなたも貴人たちもあなたの妻もそばめたちも、それを使ってぶどう酒を飲みました。あなたは、見ることも、聞くことも、知ることもできない銀、金、青銅、鉄、木、石の神々を賛美しましたが、あなたの息と、あなたのすべての道をその手に握っておられる神をほめたたえませんでした。 + それで、神の前から手の先が送られて、この文字が書かれたのです。 + その書かれた文字はこうです。『メネ、メネ、テケル、ウ・パルシン。』 + そのことばの解き明かしはこうです。『メネ』とは、神があなたの治世を数えて終わらせられたということです。 + 『テケル』とは、あなたがはかりで量られて、目方の足りないことがわかったということです。 + 『パルシン』とは、あなたの国が分割され、メディヤとペルシヤとに与えられるということです。」 + そこでベルシャツァルは命じて、ダニエルに紫の衣を着せ、金の鎖を彼の首にかけさせ、彼はこの国の第三の権力者であると布告した。 + その夜、カルデヤ人の王ベルシャツァルは殺され、 + メディヤ人ダリヨスが、およそ六十二歳でその国を受け継いだ。 + + + ダリヨスは、全国に任地を持つ百二十人の太守を任命して国を治めさせるのがよいと思った。 + 彼はまた、彼らの上に三人の大臣を置いたが、ダニエルは、そのうちのひとりであった。太守たちはこの三人に報告を出すことにして、王が損害を受けないようにした。 + ときに、ダニエルは、他の大臣や太守よりも、きわだってすぐれていた。彼のうちにすぐれた霊が宿っていたからである。そこで王は、彼を任命して全国を治めさせようと思った。 + 大臣や太守たちは、国政についてダニエルを訴える口実を見つけようと努めたが、何の口実も欠点も見つけることができなかった。彼は忠実で、彼には何の怠慢も欠点も見つけられなかったからである。 + そこでこの人たちは言った。「私たちは、彼の神の律法について口実を見つけるのでなければ、このダニエルを訴えるどんな口実も見つけられない。」 + それで、この大臣と太守たちは申し合わせて王のもとに来てこう言った。「ダリヨス王。永遠に生きられますように。 + 国中の大臣、長官、太守、顧問、総督はみな、王が一つの法令を制定し、禁令として実施してくださることに同意しました。すなわち今から三十日間、王よ、あなた以外に、いかなる神にも人にも、祈願をする者はだれでも、獅子の穴に投げ込まれると。 + 王よ。今、その禁令を制定し、変更されることのないようにその文書に署名し、取り消しのできないメディヤとペルシヤの法律のようにしてください。」 + そこで、ダリヨス王はその禁令の文書に署名した。 + ダニエルは、その文書の署名がされたことを知って自分の家に帰った。――彼の屋上の部屋の窓はエルサレムに向かってあいていた。――彼は、いつものように、日に三度、ひざまずき、彼の神の前に祈り、感謝していた。 + すると、この者たちは申し合わせてやって来て、ダニエルが神に祈願し、哀願しているのを見た。 + そこで、彼らは王の前に進み出て、王の禁令について言った。「王よ。今から三十日間、あなた以外に、いかなる神にも人にも、祈願をする者はだれでも、獅子の穴に投げ込まれるという禁令にあなたは署名されたではありませんか。」王は答えて言った。「取り消しのできないメディヤとペルシヤの法律のように、そのことは確かである。」 + そこで、彼らは王に告げて言った。「ユダからの捕虜のひとりダニエルは、王よ、あなたとあなたの署名された禁令とを無視して、日に三度、祈願をささげています。」 + このことを聞いて、王は非常に憂え、ダニエルを救おうと決心し、日暮れまで彼を助けようと努めた。 + そのとき、あの者たちは申し合わせて王のもとに来て言った。「王よ。王が制定したどんな禁令も法令も、決して変更されることはない、ということが、メディヤやペルシヤの法律であることをご承知ください。」 + そこで、王が命令を出すと、ダニエルは連れ出され、獅子の穴に投げ込まれた。王はダニエルに話しかけて言った。「あなたがいつも仕えている神が、あなたをお救いになるように。」 + 一つの石が運ばれて来て、その穴の口に置かれた。王は王自身の印と貴人たちの印でそれを封印し、ダニエルについての処置が変えられないようにした。 + こうして王は宮殿に帰り、一晩中断食をして、食事を持って来させなかった。また、眠けも催さなかった。 + 王は夜明けに日が輝き出すとすぐ、獅子の穴へ急いで行った。 + その穴に近づくと、王は悲痛な声でダニエルに呼びかけ、ダニエルに言った。「生ける神のしもべダニエル。あなたがいつも仕えている神は、あなたを獅子から救うことができたか。」 + すると、ダニエルは王に答えた。「王さま。永遠に生きられますように。 + 私の神は御使いを送り、獅子の口をふさいでくださったので、獅子は私に何の害も加えませんでした。それは私に罪のないことが神の前に認められたからです。王よ。私はあなたにも、何も悪いことをしていません。」 + そこで王は非常に喜び、ダニエルをその穴から出せと命じた。ダニエルは穴から出されたが、彼に何の傷も認められなかった。彼が神に信頼していたからである。 + 王が命じたので、ダニエルを訴えた者たちは、その妻子とともに捕らえられ、獅子の穴に投げ込まれた。彼らが穴の底に落ちないうちに、獅子は彼らをわがものにして、その骨をことごとくかみ砕いてしまった。 + そのとき、ダリヨス王は、全土に住むすべての諸民、諸国、諸国語の者たちに次のように書き送った。/「あなたがたに平安が豊かにあるように。 + 私は命令する。私の支配する国においてはどこででも、ダニエルの神の前に震え、おののけ。/この方こそ生ける神。/永遠に堅く立つ方。/その国は滅びることなく、その主権はいつまでも続く。 + この方は人を救って解放し、天においても、地においても/しるしと奇蹟を行い、獅子の力からダニエルを救い出された。」 + このダニエルは、ダリヨスの治世とペルシヤ人クロスの治世に栄えた。 + + + バビロンの王ベルシャツァルの元年に、ダニエルは寝床で、一つの夢、頭に浮かんだ幻を見て、その夢を書きしるし、そのあらましを語った。 + ダニエルは言った。「私が夜、幻を見ていると、突然、天の四方の風が大海をかき立て、 + 四頭の大きな獣が海から上がって来た。その四頭はそれぞれ異なっていた。 + 第一のものは獅子のようで、鷲の翼をつけていた。見ていると、その翼は抜き取られ、地から起こされ、人間のように二本の足で立たされて、人間の心が与えられた。 + また突然、熊に似たほかの第二の獣が現れた。その獣は横ざまに寝ていて、その口のきばの間には三本の肋骨があった。するとそれに、『起き上がって、多くの肉を食らえ』との声がかかった。 + この後、見ていると、また突然、ひょうのようなほかの獣が現れた。その背には四つの鳥の翼があり、その獣には四つの頭があった。そしてそれに主権が与えられた。 + その後また、私が夜の幻を見ていると、突然、第四の獣が現れた。それは恐ろしく、ものすごく、非常に強くて、大きな鉄のきばを持っており、食らって、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは前に現れたすべての獣と異なり、十本の角を持っていた。 + 私がその角を注意して見ていると、その間から、もう一本の小さな角が出て来たが、その角のために、初めの角のうち三本が引き抜かれた。よく見ると、この角には、人間の目のような目があり、大きなことを語る口があった。 + 私が見ていると、幾つかの御座が備えられ、年を経た方が座に着かれた。/その衣は雪のように白く、頭の毛は混じりけのない羊の毛のようであった。/御座は火の炎、その車輪は燃える火で、 + 火の流れがこの方の前から流れ出ていた。/幾千のものがこの方に仕え、幾万のものがその前に立っていた。/さばく方が座に着き、幾つかの文書が開かれた。 + 私は、あの角が語る大きなことばの声がするので、見ていると、そのとき、その獣は殺され、からだはそこなわれて、燃える火に投げ込まれるのを見た。 + 残りの獣は、主権を奪われたが、いのちはその時と季節まで延ばされた。 + 私がまた、夜の幻を見ていると、見よ、人の子のような方が天の雲に乗って来られ、年を経た方のもとに進み、その前に導かれた。 + この方に、主権と光栄と国が与えられ、諸民、諸国、諸国語の者たちがことごとく、彼に仕えることになった。/その主権は永遠の主権で、過ぎ去ることがなく、その国は滅びることがない。 + 私、ダニエルの心は、私のうちで悩み、頭に浮かんだ幻は、私を脅かした。 + 私は、かたわらに立つ者のひとりに近づき、このことのすべてについて、彼に願って確かめようとした。すると彼は、私に答え、そのことの解き明かしを知らせてくれた。 + 『これら四頭の大きな獣は、地から起こる四人の王である。 + しかし、いと高き方の聖徒たちが、国を受け継ぎ、永遠に、その国を保って世々限りなく続く。』 + それから私は、第四の獣について確かめたいと思った。それは、ほかのすべての獣と異なっていて、非常に恐ろしく、きばは鉄、爪は青銅であって、食らって、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。 + その頭には十本の角があり、もう一本の角が出て来て、そのために三本の角が倒れた。その角には目があり、大きなことを語る口があった。その角はほかの角よりも大きく見えた。 + 私が見ていると、その角は、聖徒たちに戦いをいどんで、彼らに打ち勝った。 + しかし、それは年を経た方が来られるまでのことであって、いと高き方の聖徒たちのために、さばきが行われ、聖徒たちが国を受け継ぐ時が来た。 + 彼はこう言った。/『第四の獣は地に起こる第四の国。/これは、ほかのすべての国と異なり、全土を食い尽くし、これを踏みつけ、かみ砕く。 + 十本の角は、この国から立つ十人の王。/彼らのあとに、もうひとりの王が立つ。/彼は先の者たちと異なり、三人の王を打ち倒す。 + 彼は、いと高き方に逆らうことばを吐き、いと高き方の聖徒たちを滅ぼし尽くそうとする。/彼は時と法則を変えようとし、聖徒たちは、ひと時とふた時と半時の間、彼の手にゆだねられる。 + しかし、さばきが行われ、彼の主権は奪われて、彼は永久に絶やされ、滅ぼされる。 + 国と、主権と、天下の国々の権威とは、いと高き方の聖徒である民に与えられる。/その御国は永遠の国。/すべての主権は彼らに仕え、服従する。』 + ここでこの話は終わる。私、ダニエルは、ひどくおびえ、顔色が変わった。しかし、私はこのことを心に留めていた。」 + + + ベルシャツァル王の治世の第三年、初めに私に幻が現れて後、私、ダニエルにまた、一つの幻が現れた。 + 私は一つの幻を見たが、見ていると、私がエラム州にあるシュシャンの城にいた。なお幻を見ていると、私はウライ川のほとりにいた。 + 私が目を上げて見ると、なんと一頭の雄羊が川岸に立っていた。それには二本の角があって、この二本の角は長かったが、一つはほかの角よりも長かった。その長いほうは、あとに出て来たのであった。 + 私はその雄羊が、西や、北や、南のほうへ突き進んでいるのを見た。どんな獣もそれに立ち向かうことができず、また、その手から救い出すことのできるものもいなかった。それは思いのままにふるまって、高ぶっていた。 + 私が注意して見ていると、見よ、一頭の雄やぎが、地には触れずに、全土を飛び回って、西からやって来た。その雄やぎには、目と目の間に、著しく目だつ一本の角があった。 + この雄やぎは、川岸に立っているのを私が見たあの二本の角を持つ雄羊に向かって来て、勢い激しく、これに走り寄った。 + 見ていると、これは雄羊に近づき、怒り狂って、この雄羊を打ち殺し、その二本の角をへし折ったが、雄羊には、これに立ち向かう力がなかった。雄やぎは雄羊を地に打ち倒し、踏みにじった。雄羊を雄やぎの手から救い出すものは、いなかった。 + この雄やぎは、非常に高ぶったが、その強くなったときに、あの大きな角が折れた。そしてその代わりに、天の四方に向かって、著しく目だつ四本の角が生え出た。 + そのうちの一本の角から、また一本の小さな角が芽を出して、南と、東と、麗しい国とに向かって、非常に大きくなっていった。 + それは大きくなって、天の軍勢に達し、星の軍勢のうちの幾つかを地に落として、これを踏みにじり、 + 軍勢の長にまでのし上がった。それによって、常供のささげ物は取り上げられ、その聖所の基はくつがえされる。 + 軍勢は渡され、常供のささげ物に代えてそむきの罪がささげられた。その角は真理を地に投げ捨て、ほしいままにふるまって、それを成し遂げた。 + 私は、ひとりの聖なる者が語っているのを聞いた。すると、もうひとりの聖なる者が、その語っている者に言った。「常供のささげ物や、あの荒らす者のするそむきの罪、および、聖所と軍勢が踏みにじられるという幻は、いつまでのことだろう。」 + すると彼は答えて言った。「二千三百の夕と朝が過ぎるまで。そのとき聖所はその権利を取り戻す。」 + 私、ダニエルは、この幻を見ていて、その意味を悟りたいと願っていた。ちょうどそのとき、人間のように見える者が私の前に立った。 + 私は、ウライ川の中ほどから、「ガブリエルよ。この人に、その幻を悟らせよ」と呼びかけて言っている人の声を聞いた。 + 彼は私の立っている所に来た。彼が来たとき、私は恐れて、ひれ伏した。すると彼は私に言った。「悟れ。人の子よ。その幻は、終わりの時のことである。」 + 彼が私に語りかけたとき、私は意識を失って、地に倒れた。しかし、彼は私に手をかけて、その場に立ち上がらせ、 + そして言った。「見よ。私は、終わりの憤りの時に起こることを、あなたに知らせる。それは、終わりの定めの時にかかわるからだ。 + あなたが見た雄羊の持つあの二本の角は、メディヤとペルシヤの王である。 + 毛深い雄やぎはギリシヤの王であって、その目と目の間にある大きな角は、その第一の王である。 + その角が折れて、代わりに四本の角が生えたが、それは、その国から四つの国が起こることである。しかし、第一の王のような勢力はない。 + 彼らの治世の終わりに、彼らのそむきが窮まるとき、横柄で狡猾なひとりの王が立つ。 + 彼の力は強くなるが、彼自身の力によるのではない。彼は、あきれ果てるような破壊を行い、事をなして成功し、有力者たちと聖徒の民を滅ぼす。 + 彼は悪巧みによって欺きをその手で成功させ、心は高ぶり、不意に多くの人を滅ぼし、君の君に向かって立ち上がる。しかし、人手によらずに、彼は砕かれる。 + 先に告げられた夕と朝の幻、それは真実である。しかし、あなたはこの幻を秘めておけ。これはまだ、多くの日の後のことだから。」 + 私、ダニエルは、幾日かの間、病気になったままでいた。その後、起きて王の事務をとった。しかし、私はこの幻のことで、驚きすくんでいた。それを悟れなかったのである。 + + + メディヤ族のアハシュエロスの子ダリヨスが、カルデヤ人の国の王となったその元年、 + すなわち、その治世の第一年に、私、ダニエルは、預言者エレミヤにあった主のことばによって、エルサレムの荒廃が終わるまでの年数が七十年であることを、文書によって悟った。 + そこで私は、顔を神である主に向けて祈り、断食をし、荒布を着、灰をかぶって、願い求めた。 + 私は、私の神、主に祈り、告白して言った。「ああ、私の主、大いなる恐るべき神。あなたを愛し、あなたの命令を守る者には、契約を守り、恵みを下さる方。 + 私たちは罪を犯し、不義をなし、悪を行い、あなたにそむき、あなたの命令と定めとを離れました。 + 私たちはまた、あなたのしもべである預言者たちが御名によって、私たちの王たち、首長たち、先祖たち、および一般の人すべてに語ったことばに、聞き従いませんでした。 + 主よ。正義はあなたのものですが、不面目は私たちのもので、今日あるとおり、ユダの人々、エルサレムの住民のもの、また、あなたが追い散らされたあらゆる国々で、近く、あるいは遠くにいるすべてのイスラエル人のものです。これは、彼らがあなたに逆らった不信の罪のためです。 + 主よ。不面目は、あなたに罪を犯した私たちと私たちの王たち、首長たち、および先祖たちのものです。 + あわれみと赦しとは、私たちの神、主のものです。これは私たちが神にそむいたからです。 + 私たちは、私たちの神、主の御声に聞き従わず、神がそのしもべである預言者たちによって私たちに下さった律法に従って歩みませんでした。 + イスラエル人はみな、あなたの律法を犯して離れ去り、御声に聞き従いませんでした。そこで、神のしもべモーセの律法に書かれているのろいと誓いが、私たちの上にふりかかりました。私たちが神に罪を犯したからです。 + 神は、大きなわざわいを私たちにもたらすと、かつて私たちと、私たちをさばいたさばきつかさたちに対して告げられたみことばを、成就されたのです。エルサレムの上に下ったほどのわざわいは、今まで天下になかったことです。 + このわざわいはすべて、モーセの律法に書かれているように、私たちの上に下りましたが、私たちは、不義から立ち返り、あなたの真理を悟れるよう、私たちの神、主に、お願いもしませんでした。 + 主はそのわざわいの見張りをしておられ、それを私たちの上に下しました。私たちの神、主のみわざは、すべて正しいのです。私たちが、御声に聞き従わなかったからです。 + しかし今、私たちの神、主よ、あなたは、力強い御手をもって、あなたの民をエジプトの地から連れ出し、今日あるとおり、あなたの名をあげられました。私たちは罪を犯し、悪を行いました。 + 主よ。あなたのすべての正義のみわざによって、どうか御怒りと憤りを、あなたの町エルサレム、あなたの聖なる山からおさめてください。私たちの罪と私たちの先祖たちの悪のために、エルサレムとあなたの民が、私たちを取り囲むすべての者のそしりとなっているからです。 + 私たちの神よ。今、あなたのしもべの祈りと願いとを聞き入れ、主ご自身のために、御顔の光を、あなたの荒れ果てた聖所に輝かせてください。 + 私の神よ。耳を傾けて聞いてください。目を開いて私たちの荒れすさんださまと、あなたの御名がつけられている町をご覧ください。私たちが御前に伏して願いをささげるのは、私たちの正しい行いによるのではなく、あなたの大いなるあわれみによるのです。 + 主よ。聞いてください。主よ。お赦しください。主よ。心に留めて行ってください。私の神よ。あなたご自身のために遅らせないでください。あなたの町と民とには、あなたの名がつけられているからです。」 + 私がまだ語り、祈り、自分の罪と自分の民イスラエルの罪を告白し、私の神の聖なる山のために、私の神、主の前に伏して願いをささげていたとき、 + すなわち、私がまだ祈って語っているとき、私が初めに幻の中で見たあの人、ガブリエルが、夕方のささげ物をささげるころ、すばやく飛んで来て、私に近づき、 + 私に告げて言った。「ダニエルよ。私は今、あなたに悟りを授けるために出て来た。 + あなたが願いの祈りを始めたとき、一つのみことばが述べられたので、私はそれを伝えに来た。あなたは、神に愛されている人だからだ。そのみことばを聞き分け、幻を悟れ。 + あなたの民とあなたの聖なる都については、七十週が定められている。それは、そむきをやめさせ、罪を終わらせ、咎を贖い、永遠の義をもたらし、幻と預言とを確証し、至聖所に油をそそぐためである。 + それゆえ、知れ。悟れ。引き揚げてエルサレムを再建せよ、との命令が出てから、油そそがれた者、君主の来るまでが七週。また六十二週の間、その苦しみの時代に再び広場とほりが建て直される。 + その六十二週の後、油そそがれた者は断たれ、彼には何も残らない。やがて来たるべき君主の民が町と聖所を破壊する。その終わりには洪水が起こり、その終わりまで戦いが続いて、荒廃が定められている。 + 彼は一週の間、多くの者と堅い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物とをやめさせる。荒らす忌むべき者が翼に現れる。ついに、定められた絶滅が、荒らす者の上にふりかかる。」 + + + ペルシヤの王クロスの第三年に、ベルテシャツァルと名づけられていたダニエルに、一つのことばが啓示された。そのことばは真実で、大きないくさのことであった。彼はそのことばを理解し、その幻を悟っていた。 + そのころ、私、ダニエルは、三週間の喪に服していた。 + 満三週間、私は、ごちそうも食べず、肉もぶどう酒も口にせず、また身に油も塗らなかった。 + 第一の月の二十四日に、私はティグリスという大きな川の岸にいた。 + 私が目を上げて、見ると、そこに、ひとりの人がいて、亜麻布の衣を着、腰にはウファズの金の帯を締めていた。 + そのからだは緑柱石のようであり、その顔はいなずまのようであり、その目は燃えるたいまつのようであった。また、その腕と足は、みがき上げた青銅のようで、そのことばの声は群集の声のようであった。 + この幻は、私、ダニエルひとりだけが見て、私といっしょにいた人々は、その幻を見なかったが、彼らは震え上がって逃げ隠れた。 + 私は、ひとり残って、この大きな幻を見たが、私は、うちから力が抜け、顔の輝きもうせ、力を失った。 + 私はそのことばの声を聞いた。そのことばの声を聞いたとき、私は意識を失って、うつぶせに地に倒れた。 + ちょうどそのとき、一つの手が私に触れ、私のひざと手をゆさぶった。 + それから彼は私に言った。「神に愛されている人ダニエルよ。私が今から語ることばをよくわきまえよ。そこに立ち上がれ。私は今、あなたに遣わされたのだ。」彼が、このことばを私に語ったとき、私は震えながら立ち上がった。 + 彼は私に言った。「恐れるな。ダニエル。あなたが心を定めて悟ろうとし、あなたの神の前でへりくだろうと決めたその初めの日から、あなたのことばは聞かれているからだ。私が来たのは、あなたのことばのためだ。 + ペルシヤの国の君が二十一日間、私に向かって立っていたが、そこに、第一の君のひとり、ミカエルが私を助けに来てくれたので、私は彼をペルシヤの王たちのところに残しておき、 + 終わりの日にあなたの民に起こることを悟らせるために来たのだ。なお、その日についての幻があるのだが。」 + 彼が私にこのようなことを語っている間、私はうつむいていて、何も言えなかった。 + ちょうどそのとき、人の姿をとった者が、私のくちびるに触れた。それで、私は口を開いて話し出し、私に向かって立っていた者に言った。「わが主よ。この幻によって、私は苦痛に襲われ、力を失いました。 + わが主のしもべが、どうしてわが主と話せましょう。私には、もはや、力もうせてしまい、息も残っていないのです。」 + すると、人間のように見える者が、再び私に触れ、私を力づけて、 + 言った。「神に愛されている人よ。恐れるな。安心せよ。強くあれ。強くあれ。」彼が私にこう言ったとき、私は奮い立って言った。「わが主よ。お話しください。あなたは私を力づけてくださいましたから。」 + そこで、彼は言った。「私が、なぜあなたのところに来たかを知っているか。今は、ペルシヤの君と戦うために帰って行く。私が出かけると、見よ、ギリシヤの君がやって来る。 + しかし、真理の書に書かれていることを、あなたに知らせよう。あなたがたの君ミカエルのほかには、私とともに奮い立って、彼らに立ち向かう者はひとりもいない。 + + + ――私はメディヤ人ダリヨスの元年に、彼を強くし、彼を力づけるために立ち上がった。―― + 今、私は、あなたに真理を示す。見よ。なお三人の王がペルシヤに起こり、第四の者は、ほかのだれよりも、はるかに富む者となる。この者がその富によって強力になったとき、すべてのものを扇動してギリシヤの国に立ち向かわせる。 + ひとりの勇敢な王が起こり、大きな権力をもって治め、思いのままにふるまう。 + しかし、彼が起こったとき、その国は破れ、天の四方に向けて分割される。それは彼の子孫のものにはならず、また、彼が支配したほどの権力もなく、彼の国は根こぎにされて、その子孫以外のものとなる。 + 南の王が強くなる。しかし、その将軍のひとりが彼よりも強くなり、彼の権力よりも大きな権力をもって治める。 + 何年かの後、彼らは同盟を結び、和睦をするために南の王の娘が北の王にとつぐが、彼女は勢力をとどめておくことができず、彼の力もとどまらない。この女と、彼女を連れて来た者、彼女を生んだ者、そのころ彼女を力づけた者は、死に渡される。 + しかし、この女の根から一つの芽が起こって、彼に代わり、軍隊を率いて北の王のとりでに攻め入ろうとし、これと戦って勝つ。 + なお、彼は彼らの神々や彼らの鋳た像、および金銀の尊い器を分捕り品としてエジプトに運び去る。彼は何年かの間、北の王から遠ざかっている。 + しかし、北の王は南の王の国に侵入し、また、自分の地に帰る。 + しかし、その息子たちは、戦いをしかけて、強力なおびただしい大軍を集め、進みに進んで押し流して越えて行き、そうしてまた敵のとりでに戦いをしかける。 + それで、南の王は大いに怒り、出て来て、彼、すなわち北の王と戦う。北の王はおびただしい大軍を起こすが、その大軍は敵の手に渡される。 + その大軍を連れ去ると、南の王の心は高ぶり、数万人を倒す。しかし、勝利を得ない。 + 北の王がまた、初めより大きなおびただしい大軍を起こし、何年かの後、大軍勢と多くの武器をもって必ず攻めて来るからである。 + そのころ、多くの者が南の王に反抗して立ち上がり、あなたの民の暴徒たちもまた、高ぶってその幻を実現させようとするが、失敗する。 + しかし、北の王が来て塁を築き、城壁のある町を攻め取ると、南の軍勢は立ち向かうことができず、精兵たちも対抗する力がない。 + そのようにして、これを攻めて来る者は、思うままにふるまう。彼に立ち向かう者はいない。彼は麗しい国にとどまり、彼の手で絶滅しようとする。 + 彼は自分の国の総力をあげて攻め入ろうと決意し、まず相手と和睦をし、娘のひとりを与えて、その国を滅ぼそうとする。しかし、そのことは成功せず、彼のためにもならない。 + それで、彼は島々に顔を向けて、その多くを攻め取る。しかし、ひとりの首領が、彼にそしりをやめさせるばかりか、かえってそのそしりを彼の上に返す。 + それで、彼は自分の国のとりでに引き返して行くが、つまずき、倒れ、いなくなる。 + 彼に代わって、ひとりの人が起こる。彼は輝かしい国に、税を取り立てる者を行き巡らすが、数日のうちに、怒りにもよらず、戦いにもよらないで、破られる。 + 彼に代わって、ひとりの卑劣な者が起こる。彼には国の尊厳は与えられないが、彼は不意にやって来て、巧言を使って国を堅く握る。 + 洪水のような軍勢も、彼によって一掃され、打ち砕かれ、契約の君主もまた、打ち砕かれる。 + 彼は、同盟しては、これを欺き、ますます小国の間で勢力を得る。 + 彼は不意に州の肥沃な地域に侵入し、彼の父たちも、父の父たちもしなかったことを行う。彼は、そのかすめ奪った物、分捕り物、財宝を、彼らの間で分け合う。彼はたくらみを設けて、要塞を攻めるが、それは、時が来るまでのことである。 + 彼は勢力と勇気を駆り立て、大軍勢を率いて南の王に立ち向かう。南の王もまた、非常に強い大軍勢を率い、奮い立ってこれと戦う。しかし、彼は抵抗することができなくなる。彼に対してたくらみを設ける者たちがあるからである。 + 彼のごちそうを食べる者たちが彼を滅ぼし、彼の軍勢は押し流され、多くの者が刺し殺されて倒れる。 + このふたりの王は、心では悪事を計りながら、一つ食卓につき、まやかしを言うが、成功しない。その終わりは、まだ定めの時にかかっているからだ。 + 彼は多くの財宝を携えて自分の国に帰るが、彼の心は聖なる契約を敵視して、ほしいままにふるまい、自分の国に帰る。 + 定めの時になって、彼は再び南へ攻めて行くが、この二度目は、初めのときのようではない。 + キティムの船が彼に立ち向かって来るので、彼は落胆して引き返し、聖なる契約にいきりたち、ほしいままにふるまう。彼は帰って行って、その聖なる契約を捨てた者たちを重く取り立てるようになる。 + 彼の軍隊は立ち上がり、聖所ととりでを汚し、常供のささげ物を取り除き、荒らす忌むべきものを据える。 + 彼は契約を犯す者たちを巧言をもって堕落させるが、自分の神を知る人たちは、堅く立って事を行う。 + 民の中の思慮深い人たちは、多くの人を悟らせる。彼らは、長い間、剣にかかり、火に焼かれ、とりことなり、かすめ奪われて倒れる。 + 彼らが倒れるとき、彼らへの助けは少ないが、多くの人は、巧言を使って思慮深い人につく。 + 思慮深い人のうちのある者は、終わりの時までに彼らを練り、清め、白くするために倒れるが、それは、定めの時がまだ来ないからである。 + この王は、思いのままにふるまい、すべての神よりも自分を高め、大いなるものとし、神の神に向かってあきれ果てるようなことを語り、憤りが終わるまで栄える。定められていることが、なされるからである。 + 彼は、先祖の神々を心にかけず、女たちの慕うものも、どんな神々も心にかけない。すべてにまさって自分を大きいものとするからだ。 + その代わりに、彼はとりでの神をあがめ、金、銀、宝石、宝物で、彼の先祖たちの知らなかった神をあがめる。 + 彼は外国の神の助けによって、城壁のあるとりでを取り、彼が認める者には、栄誉を増し加え、多くのものを治めさせ、代価として国土を分け与える。 + 終わりの時に、南の王が彼と戦いを交える。北の王は戦車、騎兵、および大船団を率いて、彼を襲撃し、国々に侵入し、押し流して越えて行く。 + 彼は麗しい国に攻め入り、多くの国々が倒れる。しかし、エドムとモアブ、またアモン人のおもだった人々は、彼の手から逃げる。 + 彼は国々に手を伸ばし、エジプトの国ものがれることはない。 + 彼は金銀の秘蔵物と、エジプトのすべての宝物を手に入れ、ルブ人とクシュ人が彼につき従う。 + しかし、東と北からの知らせが彼を脅かす。彼は、多くのものを絶滅しようとして、激しく怒って出て行く。 + 彼は、海と聖なる麗しい山との間に、本営の天幕を張る。しかし、ついに彼の終わりが来て、彼を助ける者はひとりもない。 + + + その時、あなたの国の人々を守る大いなる君、ミカエルが立ち上がる。国が始まって以来、その時まで、かつてなかったほどの苦難の時が来る。しかし、その時、あなたの民で、あの書にしるされている者はすべて救われる。 + 地のちりの中に眠っている者のうち、多くの者が目をさます。ある者は永遠のいのちに、ある者はそしりと永遠の忌みに。 + 思慮深い人々は大空の輝きのように輝き、多くの者を義とした者は、世々限りなく、星のようになる。 + ダニエルよ。あなたは終わりの時まで、このことばを秘めておき、この書を封じておけ。多くの者は知識を増そうと探り回ろう。」 + 私、ダニエルが見ていると、見よ、ふたりの人が立っていて、ひとりは川のこちら岸に、ほかのひとりは川の向こう岸にいた。 + それで私は、川の水の上にいる、あの亜麻布の衣を着た人に言った。「この不思議なことは、いつになって終わるのですか。」 + すると私は、川の水の上にいる、あの亜麻布の衣を着た人が語るのを聞いた。彼は、その右手と左手を天に向けて上げ、永遠に生きる方をさして誓って言った。「それは、ひと時とふた時と半時である。聖なる民の勢力を打ち砕くことが終わったとき、これらすべてのことが成就する。」 + 私はこれを聞いたが、悟ることができなかった。そこで、私は尋ねた。「わが主よ。この終わりは、どうなるのでしょう。」 + 彼は言った。「ダニエルよ。行け。このことばは、終わりの時まで、秘められ、封じられているからだ。 + 多くの者は、身を清め、白くし、こうして練られる。悪者どもは悪を行い、ひとりも悟る者がいない。しかし、思慮深い人々は悟る。 + 常供のささげ物が取り除かれ、荒らす忌むべきものが据えられる時から千二百九十日がある。 + 幸いなことよ。忍んで待ち、千三百三十五日に達する者は。 + あなたは終わりまで歩み、休みに入れ。あなたは時の終わりに、あなたの割り当ての地に立つ。」 + +
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+ + ユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代、イスラエルの王、ヨアシュの子ヤロブアムの時代に、ベエリの子ホセアにあった主のことば。 + 主がホセアに語り始められたとき、主はホセアに仰せられた。「行って、姦淫の女をめとり、姦淫の子らを引き取れ。この国は主を見捨てて、はなはだしい淫行にふけっているからだ。」 + そこで彼は行って、ディブライムの娘ゴメルをめとった。彼女はみごもって、彼に男の子を産んだ。 + 主は彼に仰せられた。「あなたはその子をイズレエルと名づけよ。しばらくして、わたしはイズレエルの血をエフーの家に報い、イスラエルの家の王国を取り除くからだ。 + その日、わたしは、イズレエルの谷でイスラエルの弓を折る。」 + ゴメルはまたみごもって、女の子を産んだ。主は彼に仰せられた。「その子をロ・ルハマと名づけよ。わたしはもう二度とイスラエルの家を愛することはなく、決して彼らを赦さないからだ。 + しかし、わたしはユダの家を愛し、彼らの神、主によって彼らを救う。しかし、わたしは弓、剣、戦い、および馬、騎兵によって彼らを救うのではない。」 + ゴメルは、ロ・ルハマを乳離れさせてから、みごもって男の子を産んだ。 + 主は仰せられた。「その子をロ・アミと名づけよ。あなたがたはわたしの民ではなく、わたしはあなたがたの神ではないからだ。」 + イスラエル人の数は、海の砂のようになり、量ることも数えることもできなくなる。彼らは、「あなたがたはわたしの民ではない」と言われた所で、「あなたがたは生ける神の子らだ」と言われるようになる。 + ユダの人々とイスラエルの人々は、一つに集められ、彼らは、ひとりのかしらを立てて、国々から上って来る。イズレエルの日は大いなるものとなるからである。 + + + あなたがたの兄弟には、「わたしの民」と言い、あなたがたの姉妹には、「愛される者」と言え。 + 「あなたがたの母をとがめよ。とがめよ。/彼女はわたしの妻ではなく、わたしは彼女の夫ではないからだ。/彼女の顔から姦淫を取り除き、その乳房の間から姦通を取り除け。 + そうでなければ、わたしは、彼女の着物をはいで裸にし、生まれた日のようにして彼女をさらし、彼女を荒野のようにし、砂漠のようにし、渇きで彼女を死なせよう。 + わたしは彼女の子らを愛さない。/彼らは姦淫の子らであるから。 + 彼らの母は姦淫をし、彼らをはらんで恥をさらし、そして言った。/『私は恋人たちのあとを追う。/彼らは私にパンと水、羊毛と麻、油と飲み物を与えてくれる』と。 + それゆえ、わたしは、いばらで彼女の道に垣を立て、彼女が通い路を見いださないように、石垣を立てよう。 + 彼女は恋人たちのあとを追って行こう。/しかし、彼らに追いつくことはない。/彼らを捜し求めよう。/しかし、見つけ出すことはない。/彼女は言う。/『私は行って、初めの夫に戻ろう。/あの時は、今よりも私はしあわせだったから。』 + 彼女に穀物と新しいぶどう酒と油とを与えた者、また、バアルのために使った銀と金とを/多く与えた者が、わたしであるのを、彼女は知らなかった。 + それゆえ、わたしは、その時になって、わたしの穀物を、その季節になって、わたしの新しいぶどう酒を取り戻し、また、彼女の裸をおおうための/わたしの羊毛と麻とをはぎ取ろう。 + 今、わたしは彼女の恥を、恋人たちの目の前にあばく。/だれも彼女を/わたしの手から救い出せる者はない。 + わたしは彼女のすべての喜び、祭り、新月の祭り、安息日、すべての例祭を、やめさせる。 + それから、わたしは彼女が/『これは私の恋人たちが払ってくれた報酬』/と言っていた彼女のぶどうの木と、いちじくの木とを荒れすたらせ、これを林にして、野の獣にこれを食べさせる。 + わたしは、彼女がバアルに香をたき、耳輪や飾りを身につけて、恋人たちを慕って行き、わたしを忘れてバアルに仕えた日々に報いる。/――主の御告げ―― + それゆえ、見よ、わたしは彼女をくどいて/荒野に連れて行き、優しく彼女に語ろう。 + わたしはその所を彼女のためにぶどう畑にし、アコルの谷を望みの門としよう。/彼女が若かった日のように、彼女がエジプトの国から/上って来たときのように、彼女はその所で答えよう。 + その日、――主の御告げ――/あなたはわたしを『私の夫』と呼び、もう、わたしを『私のバアル』とは呼ぶまい。 + わたしはバアルたちの名を/彼女の口から取り除く。/その名はもう覚えられることはない。 + その日、わたしは彼らのために、野の獣、空の鳥、地をはうものと契約を結び、弓と剣と戦いを地から絶やし、彼らを安らかに休ませる。 + わたしはあなたと永遠に契りを結ぶ。/正義と公義と、恵みとあわれみをもって、契りを結ぶ。 + わたしは真実をもってあなたと契りを結ぶ。/このとき、あなたは主を知ろう。 + その日、わたしは答える。――主の御告げ――/わたしは天に答え、天は地に答える。 + 地は穀物と新しいぶどう酒と油とに答え、それらはイズレエルに答える。 + わたしは彼をわたしのために地にまき散らし、『愛されない者』を愛し、『わたしの民でない者』を、『あなたはわたしの民』と言う。/彼は『あなたは私の神』と言おう。」 + + + 主は私に仰せられた。「再び行って、夫に愛されていながら姦通している女を愛せよ。ちょうど、ほかの神々に向かい、干しぶどうの菓子を愛しているイスラエルの人々を主が愛しておられるように。」 + そこで、私は銀十五シェケルと大麦一ホメル半で彼女を買い取った。 + 私は彼女に言った。「これから長く、私のところにとどまって、もう姦淫をしたり、ほかの男と通じたりしてはならない。私も、あなたにそうしよう。」 + それは、イスラエル人は長い間、王もなく、首長もなく、いけにえも、石の柱も、エポデも、テラフィムもなく過ごすからだ。 + その後、イスラエル人は帰って来て、彼らの神、主と、彼らの王ダビデを尋ね求め、終わりの日に、おののきながら主とその恵みに来よう。 + + + イスラエル人よ。/主のことばを聞け。/主はこの地に住む者と言い争われる。/この地には真実がなく、誠実がなく、神を知ることもないからだ。 + ただ、のろいと、欺きと、人殺しと、盗みと、姦通がはびこり、流血に流血が続いている。 + それゆえ、この地は喪に服し、ここに住む者はみな、野の獣、空の鳥とともに/打ちしおれ、海の魚さえも絶え果てる。 + だれもとがめてはならない。/だれも責めてはならない。/しかし祭司よ。わたしはあなたをなじる。 + あなたは昼つまずき、預言者もまた、あなたとともに夜つまずく。/わたしはあなたの母を滅ぼす。 + わたしの民は知識がないので滅ぼされる。/あなたが知識を退けたので、わたしはあなたを退けて、わたしの祭司としない。/あなたは神のおしえを忘れたので、わたしもまた、あなたの子らを忘れよう。 + 彼らはふえるにしたがって、ますます、わたしに罪を犯した。/わたしは彼らの栄光を恥に変える。 + 彼らはわたしの民の罪を食いものにし、彼らの咎に望みをかけている。 + だから、民も祭司も同じようになる。/わたしはその行いに報い、そのわざの仕返しをする。 + 彼らは食べても、満たされず、姦淫しても、ふえることはない。/彼らは主を捨てて、姦淫を続けるからだ。 + ぶどう酒と新しいぶどう酒は思慮を失わせる。 + わたしの民は木に伺いを立て、その杖は彼らに事を告げる。/これは、姦淫の霊が彼らを迷わせ、彼らが自分たちの神を見捨てて/姦淫をしたからだ。 + 彼らは山々の頂でいけにえをささげ、丘の上、また、樫の木、ポプラ、テレビンの木の下で香をたく。/その木陰がここちよいからだ。/それゆえ、あなたがたの娘は姦淫をし、あなたがたの嫁は姦通をする。 + わたしは、あなたがたの娘が姦淫をしても/罰しない。/また、あなたがたの嫁が姦通をしても罰しない。/それは男たちが遊女とともに離れ去り、神殿娼婦とともに/いけにえをささげているからだ。/悟りのない民は踏みつけられる。 + イスラエルよ。あなたは姦淫をしても、ユダに罪を犯させてはならない。/ギルガルに行ってはならない。/ベテ・アベンに上ってはならない。/「主は生きておられる」と言って/誓ってはならない。 + まことに、イスラエルは/かたくなな雌牛のようにかたくなだ。/しかし今、主は、彼らを広い所にいる子羊のように養う。 + エフライムは偶像に、くみしている。/そのなすにまかせよ。 + 彼らは飲酒にふけり、淫行を重ね、彼らのみだらなふるまいで恥を愛した。 + 風はその翼で彼らを吹き飛ばす。/彼らは自分たちの祭壇のために恥を見る。 + + + 祭司たちよ。これを聞け。/イスラエルの家よ。心せよ。/王の家よ。耳を傾けよ。/あなたがたにさばきが下る。/あなたがたはミツパでわなとなり、タボルの上に張られた網となったからだ。 + 曲がった者たちは落とし穴を深くした。/わたしは彼らをことごとく懲らしめる。 + わたしはエフライムを知っていた。/イスラエルはわたしに隠されていなかった。/しかし、エフライムよ、今、あなたは姦淫をし、イスラエルは身を汚してしまった。 + 彼らは自分のわざを捨てて神に帰ろうとしない。/姦淫の霊が彼らのうちにあって、彼らは主を知らないからだ。 + イスラエルの高慢はその顔に現れている。/イスラエルとエフライムは、おのれの不義につまずき、ユダもまた彼らとともにつまずく。 + 彼らは羊の群れ、牛の群れを連れて行き、主を尋ね求めるが、見つけることはない。/主は彼らを離れ去ったのだ。 + 彼らは主を裏切り、他国の男の子を生んだ。/今や、新月が彼らとその地所を食い尽くす。 + ギブアで角笛を吹き、ラマでラッパを鳴らし、ベテ・アベンでときの声をあげよ。/ベニヤミンよ。警戒せよ。 + エフライムは懲らしめの日に、恐怖となる。/わたしはイスラエルの部族に、確かに起こることを知らせる。 + ユダの首長たちは地境を移す者のようになった。/わたしは彼らの上に/激しい怒りを水のように注ぐ。 + エフライムはしいたげられ、さばかれて打ち砕かれる。/彼はあえてむなしいものを慕って行ったからだ。 + わたしは、エフライムには、しみのように、ユダの家には、腐れのようになる。 + エフライムがおのれの病を見、ユダがおのれのはれものを見たとき、エフライムはアッシリヤに行き、大王に人を遣わした。/しかし、彼はあなたがたをいやすことができず、あなたがたのはれものを直せない。 + わたしは、エフライムには、獅子のように、ユダの家には、若い獅子のようになるからだ。/このわたしが引き裂いて去る。/わたしがかすめ去るが、だれも助け出す者はいない。 + 彼らが自分の罪を認め、わたしの顔を慕い求めるまで、わたしはわたしの所に戻っていよう。/彼らは苦しみながら、わたしを捜し求めよう。 + + + 「さあ、主に立ち返ろう。/主は私たちを引き裂いたが、また、いやし、私たちを打ったが、また、包んでくださるからだ。 + 主は二日の後、私たちを生き返らせ、三日目に私たちを立ち上がらせる。/私たちは、御前に生きるのだ。 + 私たちは、知ろう。/主を知ることを切に追い求めよう。/主は暁の光のように、確かに現れ、大雨のように、私たちのところに来、後の雨のように、地を潤される。」 + エフライムよ。わたしはあなたに何をしようか。/ユダよ。わたしはあなたに何をしようか。/あなたがたの誠実は朝もやのようだ。/朝早く消え去る露のようだ。 + それゆえ、わたしは預言者たちによって、彼らを切り倒し、わたしの口のことばで彼らを殺す。/わたしのさばきは光のように現れる。 + わたしは誠実を喜ぶが、いけにえは喜ばない。/全焼のいけにえより、むしろ神を知ることを喜ぶ。 + ところが、彼らはアダムのように契約を破り、その時わたしを裏切った。 + ギルアデは不法を行う者の町、血の足跡に満ちている。 + 盗賊が人を待ち伏せするように、祭司たちは仲間を組み、シェケムへの道で人を殺し、彼らは実にみだらなことをする。 + イスラエルの家にわたしは恐るべきことを見た。/エフライムは姦淫をし、イスラエルは身を汚している。 + ユダよ。わたしが、わたしの民の繁栄を元どおりにするとき、あなたのためにも刈り入れが定まっている。 + + + わたしがイスラエルをいやすとき、エフライムの不義と、サマリヤの悪とは、あらわにされる。/彼らは偽りを行い、盗人が押し入り、外では略奪隊が襲うからだ。 + しかし、彼らは心に言い聞かせない、わたしが彼らのすべての悪を覚えていることを。/今、彼らのわざは彼らを取り巻いて、わたしの前にある。 + 彼らは悪を行って王を喜ばせ、偽りごとを言って首長たちを喜ばせる。 + 彼らはみな姦通する者だ。/彼らは燃えるかまどのようだ。/彼らはパン焼きであって、練り粉をこねてから、それがふくれるまで、火をおこすのをやめている。 + われわれの王の日に、首長たちは酒の熱に病み、王はあざける者たちと手を握る。 + 彼らは陰謀をもって近づく。/彼らの心はかまどのようで、その怒りは夜通しくすぶり、朝になると、燃える火のように燃える。 + 彼らはみな、かまどのように熱くなって、自分たちのさばきつかさを焼き尽くす。/その王たちもみな倒れる。/彼らのうちだれひとり、わたしを呼び求める者はいない。 + エフライムは国々の民の中に入り混じり、エフライムは生焼けのパン菓子となる。 + 他国人が彼の力を食い尽くすが、彼はそれに気づかない。/しらがが生えても、彼はそれに気づかない。 + イスラエルの高慢はその顔に現れ、彼らは、彼らの神、主に立ち返らず、こうなっても、主を尋ね求めない。 + エフライムは、愚かで思慮のない鳩のようになった。/彼らはエジプトを呼び立て、アッシリヤへ行く。 + 彼らが行くとき、わたしは彼らの上に網を張り、空の鳥のように彼らを引き落とし、その群れが騒々しくなるとき、わたしはこれを懲らす。 + ああ、彼らは。/彼らはわたしから逃げ去ったからだ。/彼らは踏みにじられよ。/彼らはわたしにそむいたからだ。/わたしは彼らを贖おうとするが/彼らはわたしにまやかしを言う。 + 彼らはわたしに向かって心から叫ばず、ただ、床の上で泣きわめく。/彼らは、穀物と新しいぶどう酒のためには/集まって来るが、わたしからは離れ去る。 + わたしが訓戒し、わたしが彼らの腕を強くしたのに、彼らはわたしに対して悪事をたくらむ。 + 彼らはむなしいものに立ち返る。/彼らはたるんだ弓のようだ。/彼らの首長たちは、神をののしったために、剣に倒れる。/これはエジプトの国であざけりとなる。 + + + 角笛を口に当てよ。/鷲のように敵は主の宮を襲う。/彼らがわたしの契約を破り、わたしのおしえにそむいたからだ。 + 彼らは、わたしに向かって、「私の神よ。/私たちイスラエルは、あなたを知っている」と叫ぶが、 + イスラエルは善を拒んだ。/敵は、彼らに追い迫っている。 + 彼らは王を立てた。/だが、わたしによってではない。/彼らは首長を立てた。/だが、わたしは知らなかった。/彼らは銀と金で自分たちのために偶像を造った。/彼らが断たれるために。 + サマリヤよ。/わたしはあなたの子牛をはねつける。/わたしはこれに向かって怒りを燃やす。/彼らはいつになれば、罪のない者となれるのか。 + 彼らはイスラエルの出。/それは職人が造ったもの。/それは神ではない。/サマリヤの子牛は粉々に砕かれる。 + 彼らは風を蒔いて、つむじ風を刈り取る。/麦には穂が出ない。/麦粉も作れない。/たといできても、他国人がこれを食い尽くす。 + イスラエルはのみこまれた。/今、彼らは諸国の民の間にあって、だれにも喜ばれない器のようだ。 + 彼らは、ひとりぼっちの野ろばで、アッシリヤへ上って行った。/エフライムは愛の贈り物をした。 + 彼らが諸国の民の間で物を贈っても、今、わたしは彼らを寄せ集める。/しばらくすれば、彼らは/王や首長たちの重荷を/負わなくなるであろう。 + エフライムは罪のために多くの祭壇を造ったが、これがかえって罪を犯すための祭壇となった。 + わたしが彼のために、多くのおしえを書いても、彼らはこれを他国人のもののようにみなす。 + 彼らがわたしにいけにえをささげ、肉を食べても、主はこれを喜ばない。/今、主は彼らの不義を覚え、その罪を罰せられる。/彼らはエジプトに帰るであろう。 + イスラエルは自分の造り主を忘れて、多くの神殿を建て、ユダは城壁のある町々を増し加えた。/しかし、わたしはその町々に火を放ち、その宮殿を焼き尽くす。 + + + イスラエルよ。/国々の民のように喜び楽しむな。/あなたは自分の神にそむいて姦淫をし、すべての麦打ち場で受ける姦淫の報酬を/愛したからだ。 + 麦打ち場も酒ぶねも彼らを養わない。/新しいぶどう酒も欺く。 + 彼らは主の地にとどまらず、エフライムはエジプトに帰り、アッシリヤで汚れた物を食べよう。 + 彼らは主にぶどう酒を注がず、彼らのいけにえで主を喜ばせない。/彼らのパンは喪中のパンのようで、すべてこれを食べる者は汚れた者になる。/彼らのパンは彼ら自身のためだけであって、主の宮に持ち込むことはできない。 + あなたがたは例祭の日、主の祭りの日には何をしようとするのか。 + 見よ。彼らが破壊をのがれても、エジプトは彼らを集め、モフが彼らを葬る。/彼らの宝としている銀は、いらくさが勝ち取り、あざみが彼らの天幕に生える。 + 刑罰の日が来た。報復の日が来た。/イスラエルは知るがよい。/預言者は愚か者、霊の人は狂った者だ。/これはあなたのひどい不義のため、ひどい憎しみのためである。 + エフライムの見張り人は、私の神とともにある。/しかし、預言者は、すべての道にしかけるわなだ。/彼の神の家には憎しみがある。 + 彼らはギブアの日のように、真底まで堕落した。/主は彼らの不義を覚え、その罪を罰する。 + わたしはイスラエルを、荒野のぶどうのように見、あなたがたの先祖を、いちじくの木の初なりの実のように見ていた。/ところが彼らはバアル・ペオルへ行き、恥ずべきものに身をゆだね、彼らの愛している者と同じように、彼ら自身、忌むべきものとなった。 + エフライムの栄光は鳥のように飛び去り、もう産むことも、みごもることも、はらむこともない。 + たとい彼らが子を育てても、わたしはひとり残らずその子を失わせる。/わたしが彼らを離れるとき、まことに、彼らにわざわいが来る。 + わたしが見たエフライムは、牧場に植えられたツロのようであったが、今や、エフライムはその子らを、ほふり場に連れて行かなければならない。 + 主よ。彼らに与えてください。/何をお与えになりますか。/はらまない胎と、乳の出ない乳房とを/彼らに与えてください。 + 彼らのすべての悪はギルガルにある。/わたしはその所で彼らを憎んだ。/彼らの悪い行いのために、彼らをわたしの宮から追い出し、重ねて彼らを愛さない。/その首長たちはみな頑迷な者だ。 + エフライムは打たれ、その根は枯れて、実を結ばない。/たとい彼らが子を産んでも、わたしはその胎の中のいとし子を殺す。 + 私の神は彼らを退ける。/それは、彼らが神に聞き従わなかったからだ。/彼らは諸国の民のうちに、さすらい人となる。 + + + イスラエルは/多くの実を結ぶよく茂ったぶどうの木であった。/多く実を結ぶにしたがって、それだけ祭壇をふやし、その地が豊かになるにしたがって、それだけ多くの美しい石の柱を立てた。 + 彼らの心は二心だ。/今、彼らはその刑罰を受けなければならない。/主は彼らの祭壇をこわし、彼らの石の柱を砕かれる。 + 今、彼らは言う。/「私たちには王がない。/私たちが主を恐れなかったからだ。/だが、王は私たちに何ができよう」と。 + 彼らはむだ口をきき、むなしい誓いを立てて契約を結ぶ。/だから、さばきは/畑のうねの毒草のように生いでる。 + サマリヤの住民は、ベテ・アベンの子牛のためにおののく。/その民はこのために喪に服し、偶像に仕える祭司たちもこのために喪に服する。/彼らは、その栄光のために悲しもう。/栄光が子牛から去ったからだ。 + その子牛はアッシリヤに持ち去られ、大王への贈り物となる。/エフライムは恥を受け取り、イスラエルは自分のはかりごとで恥を見る。 + サマリヤは滅びうせ、その王は水の面の木切れのようだ。 + イスラエルの罪である/アベンの高き所も滅ぼされ、いばらとあざみが、彼らの祭壇の上におい茂る。/彼らは山々に向かって、「私たちをおおえ」と言い、丘に向かって、「私たちの上に落ちかかれ」と言おう。 + イスラエルよ。ギブアの日々よりこのかた、あなたは罪を犯してきた。/彼らはそこで同じことを行っている。/戦いはギブアで、この不法な民を襲わないだろうか。 + わたしは彼らを懲らしめようと思う。/彼らが二つの不義のために捕らえられるとき、国々の民は集められて彼らを攻める。 + エフライムは飼いならされた雌の子牛であって、麦打ち場で踏むことを好んでいた。/わたしはその美しい首にくびきを掛けた。/わたしはエフライムに乗り、ユダは耕し、ヤコブはまぐわをひく。 + あなたがたは正義の種を蒔き、誠実の実を刈り入れよ。/あなたがたは耕地を開拓せよ。/今が、主を求める時だ。/ついに、主は来て、正義をあなたがたに注がれる。 + あなたがたは悪を耕し、不正を刈り取り、偽りの実を食べていた。/これはあなたが、自分の行いや、多くの勇士に拠り頼んだからだ。 + あなたの民の中では騒動が起こり、あなたの要塞はみな打ち滅ぼされる。/シャレマンが/ベテ・アレベルを踏みにじったように。/その戦いの日には、母親が、その子どもたちの上で/八つ裂きにされた。 + イスラエルの家よ。/あなたがたの悪があまりにもひどいので、わたしはこのようにあなたがたにも行う。/イスラエルの王は夜明けに全く滅ぼされる。 + + + イスラエルが幼いころ、わたしは彼を愛し、わたしの子をエジプトから呼び出した。 + それなのに、彼らを呼べば呼ぶほど、彼らはいよいよ遠ざかり、バアルたちにいけにえをささげ、刻んだ像に香をたいた。 + それでも、わたしはエフライムに歩くことを教え、彼らを腕に抱いた。/しかし、彼らは/わたしがいやしたのを知らなかった。 + わたしは、人間の綱、愛のきずなで/彼らを引いた。/わたしは彼らにとっては、そのあごのくつこをはずす者のようになり、優しくこれに食べさせてきた。 + 彼はエジプトの地には帰らない。/アッシリヤが彼の王となる。/彼らがわたしに立ち返ることを拒んだからだ。 + 剣は、その町々で荒れ狂い、そのかんぬきを絶ち滅ぼし、彼らのはかりごとを食い尽くす。 + わたしの民はわたしに対する背信から/どうしても離れない。/人々が上にいます方に彼を招いても、彼は、共にあがめようとはしない。 + エフライムよ。わたしはどうして/あなたを引き渡すことができようか。/イスラエルよ。どうして/あなたを見捨てることができようか。/どうしてわたしはあなたを/アデマのように引き渡すことができようか。/どうしてあなたをツェボイムのように/することができようか。/わたしの心はわたしのうちで沸き返り、わたしはあわれみで胸が熱くなっている。 + わたしは燃える怒りで罰しない。/わたしは再びエフライムを滅ぼさない。/わたしは神であって、人ではなく、あなたがたのうちにいる聖なる者であるからだ。/わたしは怒りをもっては来ない。 + 彼らは主のあとについて来る。/主は獅子のようにほえる。/まことに、主がほえると、子らは西から震えながらやって来る。 + 彼らは鳥のようにエジプトから、鳩のようにアッシリヤの地から、震えながらやって来る。/わたしは、彼らを自分たちの家に住ませよう。/――主の御告げ―― + わたしは、エフライムの偽りと、イスラエルの家の欺きで、取り囲まれている。/しかし、ユダはなおさまよっているが、神とともにあり、聖徒たちとともに堅く立てられる。 + + + エフライムは風を食べて生き、いつも東風を追い、まやかしと暴虐とを増し加えている。/彼らはアッシリヤと契約を結び、エジプトへは油を送っている。 + 主は、ヤコブを罰するためにユダと言い争う。/ヤコブの行いと、そのなすことに応じて、主は彼に報いる。 + 彼は母の胎にいたとき、兄弟を押しのけた。/彼はその力で神と争った。 + 彼は御使いと格闘して勝ったが、泣いて、これに願った。/彼はベテルで神に出会い、その所で神は彼に語りかけた。 + 主は万軍の神。その呼び名は主。 + あなたはあなたの神に立ち返り、誠実と公義とを守り、絶えずあなたの神を待ち望め。 + 商人は手に欺きのはかりを持ち、しいたげることを好む。 + エフライムは言った。「しかし、私は富む者となった。私は自分のために財産を得た。私のすべての勤労の実は、罪となるような不義を私にもたらさない。」 + しかし、わたしは、エジプトの国にいたときから、あなたの神、主である。/わたしは例祭の日のように、再びあなたを天幕に住ませよう。 + わたしは預言者たちに語り、多くの幻を示し、預言者たちによってたとえを示そう。 + まことに、ギルアデは不法そのもの、ただ、むなしい者にすぎなかった。/彼らはギルガルで牛にいけにえをささげた。/彼らの祭壇も、畑のうねの石くれの山のようになる。 + ヤコブはアラムの野に逃げて行き、イスラエルは妻をめとるために働いた。/彼は妻をめとるために羊の番をした。 + 主はひとりの預言者によって、イスラエルをエジプトから連れ上り、ひとりの預言者によって、これを守られた。 + エフライムは主の激しい怒りを引き起こした。/主は、その血の報いを彼に下し、彼のそしりに仕返しをする。 + + + エフライムが震えながら語ったとき、主はイスラエルの中であがめられた。/しかし、エフライムは、バアルにより罪を犯して死んだ。 + 彼らは今も罪を重ね、銀で鋳物の像を造り、自分の考えで偶像を造った。/これはみな、職人の造った物。/彼らはこれについて言う。/「いけにえをささげる者は子牛に口づけせよ」と。 + それゆえ、彼らは朝もやのように、朝早く消え去る露のように、打ち場から吹き散らされるもみがらのように、また、窓から出て行く煙のようになる。 + しかし、わたしは、エジプトの国にいたときから、あなたの神、主である。/あなたはわたしのほかに神を知らない。/わたしのほかに救う者はいない。 + このわたしは荒野で、かわいた地で、あなたを知っていた。 + しかし、彼らは牧草を食べて、食べ飽きたとき、彼らの心は高ぶり、わたしを忘れた。 + わたしは、彼らには獅子のようになり、道ばたで待ち伏せするひょうのようになる。 + わたしは、子を奪われた雌熊のように/彼らに出会い、その胸をかき裂き、その所で、雌獅子のようにこれを食い尽くす。/野の獣は彼らを引き裂く。 + イスラエルよ。/わたしがあなたを滅ぼしたら、だれがあなたを助けよう。 + あなたを救うあなたの王は、すべての町々のうち、今、どこにいるのか。/あなたのさばきつかさたちは。/あなたがかつて、「私に王と首長たちを与えよ」と言った者たちは。 + わたしは怒ってあなたに王を与えたが、憤ってこれを奪い取る。 + エフライムの不義はしまい込まれ、その罪はたくわえられている。 + 子を産む女のひどい痛みが彼を襲うが、彼は知恵のない子で、時が来ても、彼は母胎から出て来ない。 + わたしはよみの力から、彼らを解き放ち、彼らを死から贖おう。/死よ。おまえのとげはどこにあるのか。/よみよ。おまえの針はどこにあるのか。/あわれみはわたしの目から隠されている。 + 彼は兄弟たちの中で栄えよう。/だが、東風が吹いて来、主の息が荒野から立ち上り、その水源はかれ、その泉は干上がる。/それはすべての尊い器の宝物倉を略奪する。 + サマリヤは自分の神に逆らったので、刑罰を受ける。/彼らは剣に倒れ、幼子たちは八つ裂きにされ、妊婦たちは切り裂かれる。 + + + イスラエルよ。/あなたの神、主に立ち返れ。/あなたの不義がつまずきのもとであったからだ。 + あなたがたはことばを用意して、主に立ち返り、そして言え。/「すべての不義を赦して、良いものを受け入れてください。/私たちはくちびるの果実をささげます。 + アッシリヤは私たちを救えません。/私たちはもう、馬にも乗らず、自分たちの手で造った物に/『私たちの神』とは言いません。/みなしごが愛されるのは/あなたによってだけです。」 + わたしは彼らの背信をいやし、喜んでこれを愛する。/わたしの怒りは彼らを離れ去ったからだ。 + わたしはイスラエルには露のようになる。/彼はゆりのように花咲き、ポプラのように根を張る。 + その若枝は伸び、その美しさはオリーブの木のように、そのかおりはレバノンのようになる。 + 彼らは帰って来て、その陰に住み、穀物のように生き返り、ぶどうの木のように芽をふき、その名声はレバノンのぶどう酒のようになる。 + エフライムよ。/もう、わたしは偶像と何のかかわりもない。/わたしが答え、わたしが世話をする。/わたしは緑のもみの木のようだ。/あなたはわたしから実を得るのだ。 + 知恵ある者はだれか。/その人はこれらのことを悟るがよい。/悟りある者はだれか。/その人はそれらを知るがよい。/主の道は平らだ。/正しい者はこれを歩み、そむく者はこれにつまずく。 + +
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+ + ペトエルの子ヨエルにあった主のことば。 + 長老たちよ。これを聞け。/この地に住む者もみな、耳を貸せ。/このようなことがあなたがたの時代に、また、あなたがたの先祖の時代にあったろうか。 + これをあなたがたの子どもたちに伝え、子どもたちはその子どもたちに、その子どもたちは後の世代に伝えよ。 + かみつくいなごが残した物は、いなごが食い、いなごが残した物は、ばったが食い、ばったが残した物は、食い荒らすいなごが食った。 + 酔っぱらいよ。目をさまして、泣け。/すべてぶどう酒を飲む者よ。泣きわめけ。/甘いぶどう酒が/あなたがたの口から断たれたからだ。 + 一つの国民がわたしの国に攻め上った。/力強く、数えきれない国民だ。/その歯は雄獅子の歯、それには雄獅子のきばがある。 + それはわたしのぶどうの木を荒れすたれさせ、わたしのいちじくの木を引き裂き、これをまる裸に引きむいて投げ倒し、その枝々を白くした。 + 若い時の夫のために、荒布をまとったおとめのように、泣き悲しめ。 + 穀物のささげ物と注ぎのぶどう酒は/主の宮から断たれ、主に仕える祭司たちは喪に服する。 + 畑は荒らされ、地も喪に服する。/これは穀物が荒らされ、新しいぶどう酒も干上がり、油もかれてしまうからだ。 + 農夫たちよ。恥を見よ。/ぶどう作りたちよ。泣きわめけ。/小麦と大麦のために。/畑の刈り入れがなくなったからだ。 + ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれ、ざくろ、なつめやし、りんご、あらゆる野の木々は枯れた。/人の子らから喜びが消えうせた。 + 祭司たちよ。荒布をまとっていたみ悲しめ。/祭壇に仕える者たちよ。泣きわめけ。/神に仕える者たちよ。宮に行き、荒布をまとって夜を過ごせ。/穀物のささげ物も注ぎのぶどう酒も/あなたがたの神の宮から退けられたからだ。 + 断食の布告をし、きよめの集会のふれを出せ。/長老たちとこの国に住むすべての者を、あなたがたの神、主の宮に集め、主に向かって叫べ。 + ああ、その日よ。主の日は近い。/全能者からの破壊のように、その日が来る。 + 私たちの目の前で食物が断たれたではないか。/私たちの神の宮から/喜びも楽しみも消えうせたではないか。 + 穀物の種は土くれの下に干からび、倉は荒れすたれ、穴倉はこわされた。/穀物がしなびたからだ。 + ああ、なんと、家畜がうめいていることよ。/牛の群れはさまよう。/それに牧場がないからだ。/羊の群れも滅びる。 + 主よ。私はあなたに呼び求めます。/火が荒野の牧草地を焼き尽くし、炎が野のすべての木をなめ尽くしました。 + 野の獣も、あなたにあえぎ求めています。/水の流れがかれ、火が荒野の牧草地を焼き尽くしたからです。 + + + シオンで角笛を吹き鳴らし、わたしの聖なる山でときの声をあげよ。/この地に住むすべての者は、わななけ。/主の日が来るからだ。その日は近い。 + やみと、暗黒の日。/雲と、暗やみの日。/山々に広がる暁の光のように数多く強い民。/このようなことは昔から起こったことがなく、これから後の代々の時代にも再び起こらない。 + 彼らの前では、火が焼き尽くし、彼らのうしろでは、炎がなめ尽くす。/彼らの来る前には、この国はエデンの園のようであるが、彼らの去ったあとでは、荒れ果てた荒野となる。/これからのがれるものは一つもない。 + その有様は馬のようで、軍馬のように、駆け巡る。 + さながら戦車のきしるよう、彼らは山々の頂をとびはねる。/それは刈り株を焼き尽くす火の炎の音のよう、戦いの備えをした強い民のようである。 + その前で国々の民はもだえ苦しみ、みなの顔は青ざめる。 + それは勇士のように走り、戦士のように城壁をよじのぼる。/それぞれ自分の道を進み、進路を乱さない。 + 互いに押し合わず、めいめい自分の大路を進んで行く。/投げ槍がふりかかっても、止まらない。 + それは町を襲い、城壁の上を走り、家々によじのぼり、盗人のように窓から入り込む。 + その面前で地は震い、天は揺れる。/太陽も月も暗くなり、星もその光を失う。 + 主は、ご自身の軍勢の先頭に立って/声をあげられる。/その隊の数は非常に多く、主の命令を行う者は力強い。/主の日は偉大で、非常に恐ろしい。/だれがこの日に耐えられよう。 + 「しかし、今、――主の御告げ――/心を尽くし、断食と、涙と、嘆きとをもって、わたしに立ち返れ。」 + あなたがたの着物ではなく、あなたがたの心を引き裂け。/あなたがたの神、主に立ち返れ。/主は情け深く、あわれみ深く、怒るのにおそく、恵み豊かで、わざわいを思い直してくださるからだ。 + 主が思い直して、あわれみ、そのあとに祝福を残し、また、あなたがたの神、主への/穀物のささげ物と注ぎのぶどう酒とを/残してくださらないとだれが知ろう。 + シオンで角笛を吹き鳴らせ。/断食の布告をし、きよめの集会のふれを出せ。 + 民を集め、集会を召集せよ。/老人たちを集め、幼子、乳飲み子も寄せ集めよ。/花婿を寝室から、花嫁を自分の部屋から呼び出せ。 + 主に仕える祭司たちは、神殿の玄関の間と祭壇との間で、泣いて言え。「主よ。あなたの民をあわれんでください。あなたのゆずりの地を、諸国の民のそしりとしたり、物笑いの種としたりしないでください。国々の民の間に、『彼らの神はどこにいるのか』と言わせておいてよいのでしょうか。」 + 主はご自分の地をねたむほど愛し、ご自分の民をあわれまれた。 + 主は民に答えて仰せられた。「今、わたしは穀物と新しいぶどう酒と油とをあなたがたに送る。あなたがたは、それで満足する。わたしは、二度とあなたがたを、諸国の民の間で、そしりとしない。 + わたしは北から来るものを、あなたがたから遠ざけ、それを荒廃した砂漠の地へ追いやり、その前衛を東の海に、その後衛を西の海に追いやる。その悪臭が立ち上り、その腐ったにおいが立ち上る。主が大いなることをしたからだ。」 + 地よ。恐れるな。楽しみ喜べ。/主が大いなることをされたからだ。 + 野の獣たちよ。恐れるな。/荒野の牧草はもえ出る。/木はその実をみのらせ、いちじくの木と、ぶどうの木とは豊かにみのる。 + シオンの子らよ。/あなたがたの神、主にあって、楽しみ喜べ。/主は、あなたがたを義とするために、初めの雨を賜り、大雨を降らせ、前のように、初めの雨と後の雨とを/降らせてくださるからだ。 + 打ち場は穀物で満ち、石がめは新しいぶどう酒と油とであふれる。 + いなご、ばった、食い荒らすいなご、かみつくいなご、わたしがあなたがたの間に送った大軍勢が、食い尽くした年々を、わたしはあなたがたに償おう。 + あなたがたは飽きるほど食べて満足し、あなたがたに不思議なことをしてくださった/あなたがたの神、主の名をほめたたえよう。/わたしの民は永遠に恥を見ることはない。 + あなたがたは、イスラエルの真ん中にわたしがいることを知り、わたしがあなたがたの神、主であり、ほかにはないことを知る。/わたしの民は永遠に恥を見ることはない。 + その後、わたしは、わたしの霊をすべての人に注ぐ。/あなたがたの息子や娘は預言し、年寄りは夢を見、若い男は幻を見る。 + その日、わたしは、しもべにも、はしためにも、わたしの霊を注ぐ。 + わたしは天と地に、不思議なしるしを現す。/血と火と煙の柱である。 + 主の大いなる恐るべき日が来る前に、太陽はやみとなり、月は血に変わる。 + しかし、主の名を呼ぶ者はみな救われる。/主が仰せられたように、シオンの山、エルサレムに、のがれる者があるからだ。/その生き残った者のうちに、主が呼ばれる者がいる。 + + + 見よ。わたしがユダとエルサレムの/繁栄を元どおりにする、その日、その時、 + わたしはすべての国民を集め、彼らをヨシャパテの谷に連れ下り、その所で、彼らがわたしの民、わたしのゆずりの地イスラエルにしたことで/彼らをさばく。/彼らはわたしの民を諸国の民の間に散らし、わたしの地を自分たちの間で分け取ったからだ。 + 彼らはわたしの民をくじ引きにし、子どもを遊女のために与え、酒のために少女を売って飲んだ。 + ツロとシドンよ。おまえたちは、わたしに何をしようとするのか。ペリシテの全地域よ。おまえたちはわたしに報復しようとするのか。もしおまえたちがわたしに報復するなら、わたしはただちに、おまえたちの報いを、おまえたちの頭上に返す。 + おまえたちはわたしの銀と金とを奪い、わたしのすばらしい宝としている物をおまえたちの宮へ運んで行き、 + しかも、ユダの人々とエルサレムの人々を、ギリシヤ人に売って、彼らの国から遠く離れさせたからだ。 + 見よ。わたしは、おまえたちが彼らを売ったその所から、彼らを呼び戻して、おまえたちの報いを、おまえたちの頭上に返し、 + おまえたちの息子、娘たちを、ユダの人々に売り渡そう。彼らはこれを、遠くの民、シェバ人に売る、と主は仰せられる。 + 諸国の民の間で、こう叫べ。/聖戦をふれよ。勇士たちを奮い立たせよ。/すべての戦士たちを集めて上らせよ。 + あなたがたの鋤を剣に、あなたがたのかまを槍に、打ち直せ。/弱い者に「私は勇士だ」と言わせよ。 + 回りのすべての国々よ。/急いで来て、そこに集まれ。/――主よ。/あなたの勇士たちを下してください―― + 諸国の民は起き上がり、ヨシャパテの谷に上って来い。/わたしが、そこで、回りのすべての国々をさばくために、さばきの座に着くからだ。 + かまを入れよ。刈り入れの時は熟した。/来て、踏め。/酒ぶねは満ち、石がめはあふれている。/彼らの悪がひどいからだ。 + さばきの谷には、群集また群集。/主の日がさばきの谷に近づくからだ。 + 太陽も月も暗くなり、星もその光を失う。 + 主はシオンから叫び、エルサレムから声を出される。/天も地も震える。/だが、主は、その民の避け所、イスラエルの子らのとりでである。 + あなたがたは、わたしがあなたがたの神、主であり、わたしの聖なる山、シオンに住むことを知ろう。/エルサレムは聖地となり、他国人はもう、そこを通らない。 + その日、山々には甘いぶどう酒がしたたり、丘々には乳が流れ、ユダのすべての谷川には水が流れ、主の宮から泉がわきいで、シティムの渓流を潤す。 + エジプトは荒れ果てた地となり、エドムは荒れ果てた荒野となる。/彼らのユダの人々への暴虐のためだ。/彼らが彼らの地で、罪のない血を流したためだ。 + だが、ユダは永遠に人の住む所となり、エルサレムは代々にわたって人の住む所となる。 + わたしは彼らの血の復讐をし、罰しないではおかない。/主はシオンに住む。 + +
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+ + テコアの牧者のひとりであったアモスのことば。これはユダの王ウジヤの時代、イスラエルの王、ヨアシュの子ヤロブアムの時代、地震の二年前に、イスラエルについて彼が見たものである。 + 彼は言った。「主はシオンから叫び、エルサレムから声を出される。羊飼いの牧場はかわき、カルメルの頂は枯れる。」 + 主はこう仰せられる。/「ダマスコの犯した三つのそむきの罪、四つのそむきの罪のために、わたしはその刑罰を取り消さない。/彼らが鉄の打穀機で/ギルアデを踏みにじったからだ。 + わたしはハザエルの家に火を送ろう。/火はベン・ハダデの宮殿を焼き尽くす。 + わたしは、ダマスコのかんぬきを折り、アベンの谷から、王座についている者を、ベテ・エデンから、笏を持っている者を/断ち滅ぼす。/アラムの民はキルへ捕らえ移される」と/主は仰せられる。 + 主はこう仰せられる。/「ガザの犯した三つのそむきの罪、四つのそむきの罪のために、わたしはその刑罰を取り消さない。/彼らがすべての者を捕囚の民として捕らえ移し、エドムに引き渡したからだ。 + わたしはガザの城壁に火を送ろう。/火はその宮殿を焼き尽くす。 + わたしはアシュドデから、王座についている者を、アシュケロンから、笏を持っている者を/断ち滅ぼす。/わたしはエクロンにわたしの手を向け、ペリシテ人の残った者を滅ぼす」と/神である主は仰せられる。 + 主はこう仰せられる。/「ツロの犯した三つのそむきの罪、四つのそむきの罪のために、わたしはその刑罰を取り消さない。/彼らがすべての者を捕囚の民として、エドムに引き渡し、兄弟の契りを覚えていなかったからだ。 + わたしはツロの城壁に火を送ろう。/火はその宮殿を焼き尽くす。」 + 主はこう仰せられる。/「エドムの犯した三つのそむきの罪、四つのそむきの罪のために、わたしはその刑罰を取り消さない。/彼が剣で自分の兄弟を追い、肉親の情をそこない、怒り続けて/いつまでも激しい怒りを保っていたからだ。 + わたしはテマンに火を送ろう。/火はボツラの宮殿を焼き尽くす。」 + 主はこう仰せられる。/「アモン人の犯した三つのそむきの罪、四つのそむきの罪のために、わたしはその刑罰を取り消さない。/彼らが、自分たちの領土を広げるために、ギルアデの妊婦たちを切り裂いたからだ。 + わたしはラバの城壁に火を放とう。/火はその宮殿を焼き尽くす。/これは戦いの日のときの声と、つむじ風の日の暴風のうちに起こる。 + 彼らの王は、その首長たちとともに、捕囚として連れて行かれる」と主は仰せられる。 + + + 主はこう仰せられる。/「モアブの犯した三つのそむきの罪、四つのそむきの罪のために、わたしはその刑罰を取り消さない。/彼がエドムの王の骨を焼いて灰にしたからだ。 + わたしはモアブに火を送ろう。/火はケリヨテの宮殿を焼き尽くす。/モアブは、どよめきのうちに、角笛の音と、ときの声のうちに死ぬ。 + わたしはさばきつかさを/そのうちから断ち滅ぼし、そのすべての首長たちを、彼とともに切り殺す」と主は仰せられる。 + 主はこう仰せられる。/「ユダの犯した三つのそむきの罪、四つのそむきの罪のために、わたしはその刑罰を取り消さない。/彼らが主のおしえを捨て、そのおきてを守らず、彼らの先祖たちが従ったまやかしものが/彼らを惑わしたからだ。 + わたしはユダに火を送ろう。/火はエルサレムの宮殿を焼き尽くす。」 + 主はこう仰せられる。/「イスラエルの犯した三つのそむきの罪、四つのそむきの罪のために、わたしはその刑罰を取り消さない。/彼らが金と引き換えに正しい者を売り、一足のくつのために貧しい者を売ったからだ。 + 彼らは弱い者の頭を地のちりに踏みつけ、貧しい者の道を曲げ、父と子が同じ女のところに通って、わたしの聖なる名を汚している。 + 彼らは、すべての祭壇のそばで、質に取った着物の上に横たわり、罰金で取り立てたぶどう酒を/彼らの神の宮で飲んでいる。 + エモリ人を彼らの前から滅ぼしたのは、このわたしだ。/彼らの背たけは杉の木のように高く、樫の木のように強かった。/しかし、わたしは/その上の実と下の根とを滅ぼした。 + あなたがたをエジプトの地から連れ上り、荒野の中で四十年間あなたがたを導き、エモリ人の地を所有させたのは、このわたしだ。 + わたしは、あなたがたの子たちから/預言者を起こし、あなたがたの若者から、ナジル人を起こした。/イスラエルの子らよ。/そうではなかったのか。――主の御告げ―― + それなのに、あなたがたはナジル人に酒を飲ませ、預言者には、命じて、預言するなと言った。 + 見よ。束を満載した車が押さえつけるように、わたしはあなたがたを押さえつける。 + 足の速い者も逃げ場を失い、強い者も力をふるうことができず、勇士もいのちを救うことができない。 + 弓を取る者も立っていることができず、足の速い者ものがれることができず、馬に乗る者もいのちを救うことができない。 + 勇士の中の強い者も、その日には裸で逃げる。/――主の御告げ――」 + + + イスラエルの子らよ。主があなたがた、すなわちわたしがエジプトの地から連れ上ったすべての氏族について言った、このことばを聞け。 + わたしは地上のすべての部族の中から、あなたがただけを選び出した。/それゆえ、わたしはあなたがたのすべての咎を/あなたがたに報いる。 + ふたりの者は、仲がよくないのに、いっしょに歩くだろうか。 + 獅子は、獲物がないのに、森の中でほえるだろうか。/若い獅子は、何も捕らえないのに、そのほら穴から叫ぶだろうか。 + 鳥は、わながかけられないのに、地の鳥網にかかるだろうか。/鳥網は、何も捕らえないのに、地からはね上がるだろうか。 + 町で角笛が鳴ったら、民は驚かないだろうか。/町にわざわいが起これば、それは主が下されるのではないだろうか。 + まことに、神である主は、そのはかりごとを、ご自分のしもべ、預言者たちに示さないでは、何事もなさらない。 + 獅子がほえる。/だれが恐れないだろう。/神である主が語られる。/だれが預言しないでいられよう。 + アシュドデの宮殿と、エジプトの地の宮殿に告げて言え。/「サマリヤの山々の上に集まり、そのうちの大恐慌と、その中のしいたげを見よ。 + 彼らは正しいことを行うことを知らない。/――主の御告げ――/彼らは自分たちの宮殿で、暴虐と暴行を重ねている。」 + それゆえ、神である主はこう仰せられる。「敵だ。この国を取り囲んでいる。彼はあなたの権威を地に落とし、あなたの宮殿はかすめ奪われる。」 + 主はこう仰せられる。「羊飼いが、雄獅子の口から、二本の足、あるいは耳たぶを取り返すように、サマリヤに住んでいるイスラエルの子らは、寝台の隅やダマスコの長いすから救い出される。」 + 「聞け。/そして、これをヤコブの家に証言せよ。/――神である主、万軍の神の御告げ―― + まことに、イスラエルがわたしに犯したそむきの罪を、わたしが罰する日に、わたしはベテルの祭壇を罰する。/その祭壇の角は折られて、地に落ちる。 + わたしは冬の家と夏の家とを打つ。/象牙の家々は滅び、多くの家々は消えうせる。/――主の御告げ――」 + + + 聞け。このことばを。/サマリヤの山にいるバシャンの雌牛ども。/彼女らは弱い者たちをしいたげ、貧しい者たちを迫害し、自分の主人たちに、「何か持って来て、飲ませよ」と言う。 + 神である主は、ご自分の聖にかけて/誓われた。/見よ。その日があなたがたの上にやって来る。/その日、彼らはあなたがたを釣り針にかけ、あなたがたを最後のひとりまで、もりにかけて引いて行く。 + あなたがたはみな、城壁の破れ口からまっすぐ出て行き、ハルモンは投げ出される。/――主の御告げ―― + ベテルへ行って、そむけ。/ギルガルへ行って、ますますそむけ。/朝ごとにいけにえをささげ、三日ごとに十分の一のささげ物をささげよ。 + 感謝のささげ物として、種を入れたパンを焼き、進んでささげるささげ物を布告し、ふれ知らせよ。/イスラエルの子ら。/あなたがたはそうすることを好んでいる。/――神である主の御告げ―― + わたしもまた、あなたがたのあらゆる町で、あなたがたの歯をきれいにしておき、あなたがたのすべての場所で、パンに欠乏させた。/それでも、あなたがたは/わたしのもとに帰って来なかった。/――主の御告げ―― + わたしはまた、刈り入れまでなお三か月あるのに、あなたがたには雨をとどめ、一つの町には雨を降らせ、他の町には雨を降らせなかった。/一つの畑には雨が降り、雨の降らなかった他の畑はかわききった。 + 二、三の町は水を飲むために/一つの町によろめいて行ったが、満ち足りることはなかった。/それでも、あなたがたは/わたしのもとに帰って来なかった。/――主の御告げ―― + わたしは立ち枯れと黒穂病で、あなたがたを打った。/あなたがたの果樹園とぶどう畑、いちじくの木とオリーブの木がふえても、かみつくいなごが食い荒らした。/それでも、あなたがたは/わたしのもとに帰って来なかった。/――主の御告げ―― + わたしは、エジプトにしたように、疫病をあなたがたに送り、剣であなたがたの若者たちを殺し、あなたがたの馬を奪い去り、あなたがたの陣営に悪臭を上らせ、あなたがたの鼻をつかせた。/それでも、あなたがたは/わたしのもとに帰って来なかった。/――主の御告げ―― + わたしは、あなたがたをくつがえした。/神がソドムとゴモラをくつがえしたように。/あなたがたは炎の中から取り出された/燃えさしのようであった。/それでも、あなたがたは/わたしのもとに帰って来なかった。/――主の御告げ―― + それゆえ、イスラエルよ、わたしはあなたにこうしよう。/わたしはあなたにこのことをするから、イスラエル、あなたはあなたの神に会う備えをせよ。 + 見よ。山々を造り、風を造り出し、人にその思いが何であるかを告げ、暁と暗やみを造り、地の高い所を歩まれる方、その名は万軍の神、主。 + + + イスラエルの家よ。聞け。私があなたがたについて哀歌を唱えるこのことばを。 + 「おとめイスラエルは倒れて、二度と起き上がれない。/彼女はおのれの地に投げ倒されて、これを起こしてくれる者もいない。」 + まことに、神である主はこう仰せられる。「イスラエルの家で、千人を出征させていた町には百人が残り、百人を出征させていた町には十人が残ろう。」 + まことに主は、イスラエルの家にこう仰せられる。/「わたしを求めて生きよ。 + ベテルを求めるな。ギルガルに行くな。/ベエル・シェバにおもむくな。/ギルガルは必ず捕らえ移され、ベテルは無に帰するからだ。」 + 主を求めて生きよ。/さもないと、主は火のように、ヨセフの家に激しく下り、これを焼き尽くし、ベテルのためにこれを消す者がいなくなる。 + 彼らは公義を苦よもぎに変え、正義を地に投げ捨てている。 + すばる座やオリオン座を造り、暗黒を朝に変え、昼を暗い夜にし、海の水を呼んで、それを地の面に注ぐ方、その名は主。 + 主は強い者を踏みにじり、要塞を破壊する。 + 彼らは門で戒めを与える者を憎み、正しく語る者を忌みきらう。 + あなたがたは貧しい者を踏みつけ、彼から小作料を取り立てている。/それゆえあなたがたは、切り石の家々を建てても、その中に住めない。/美しいぶどう畑を作っても、その酒を飲めない。 + 私は、あなたがたのそむきの罪がいかに多く、あなたがたの罪がいかに重いかを知っている。/あなたがたは正しい者をきらい、まいないを取り、門で貧しい者を押しのける。 + それゆえ、このようなときには、賢い者は沈黙を守る。/それは時代が悪いからだ。 + 善を求めよ。悪を求めるな。/そうすれば、あなたがたは生き、あなたがたが言うように、万軍の神、主が、あなたがたとともにおられよう。 + 悪を憎み、善を愛し、門で正しいさばきをせよ。/万軍の神、主は、もしや、ヨセフの残りの者を/あわれまれるかもしれない。 + それゆえ、主なる万軍の神、主は、こう仰せられる。/「すべての広場に嘆きが起こり、すべての通りで、人々は『ああ、ああ』と言い、農夫を呼んで来て泣かせ、泣き方を知っている者たちを呼んで来て、嘆かせる。 + すべてのぶどう畑に嘆きが起こる。/それは、わたしがあなたがたの中を/通り過ぎるからだ」と主は仰せられる。 + ああ。/主の日を待ち望む者。/主の日はあなたがたにとっていったい何になる。/それはやみであって、光ではない。 + 人が獅子の前を逃げても、熊が彼に会い、家に入って手を壁につけると、蛇が彼にかみつくようなものである。 + ああ、まことに、主の日はやみであって、光ではない。/暗やみであって、輝きではない。 + わたしはあなたがたの祭りを憎み、退ける。/あなたがたのきよめの集会のときのかおりも、わたしは、かぎたくない。 + たとい、あなたがたが全焼のいけにえや、穀物のささげ物をわたしにささげても、わたしはこれらを喜ばない。/あなたがたの肥えた家畜の和解のいけにえにも、目もくれない。 + あなたがたの歌の騒ぎを、わたしから遠ざけよ。/わたしはあなたがたの琴の音を聞きたくない。 + 公義を水のように、正義をいつも水の流れる川のように、流れさせよ。 + 「イスラエルの家よ。/あなたがたは、荒野にいた四十年の間に、ほふられた獣とささげ物とを/わたしにささげたことがあったか。 + あなたがたはあなたがたの王サクテと、あなたがたのために造った星の神、キウンの像を/かついでいた。 + わたしはあなたがたを、ダマスコのかなたへ捕らえ移す」と/その名を万軍の神、主という方が仰せられる。 + + + ああ。/シオンで安らかに住んでいる者、サマリヤの山に信頼している者、イスラエルの家が行って仕える国々の/最高の首長たち。 + カルネに渡って行って見よ。/そこから大ハマテに行き、またペリシテ人のガテに下って行け。/あなたがたはこれらの王国より/すぐれているだろうか。/あるいは、彼らの領土は/あなたがたの領土より大きいだろうか。 + あなたがたは、わざわいの日を押しのけている、と思っているが、暴虐の時代を近づけている。 + 象牙の寝台に横たわり、長いすに身を伸ばしている者は、群れのうちから子羊を、牛舎の中から子牛を取って食べている。 + 彼らは十弦の琴の音に合わせて即興の歌を作り、ダビデのように新しい楽器を考え出す。 + 彼らは鉢から酒を飲み、最上の香油を身に塗るが、ヨセフの破滅のことで悩まない。 + それゆえ、今、彼らは、最初の捕らわれ人として引いて行かれる。/身を伸ばしている者どもの宴会は/取り除かれる。 + 神である主は、ご自分にかけて誓われる。/――万軍の神、主の御告げ――/わたしはヤコブの誇りを忌みきらい、その宮殿を憎む。/わたしはこの町と、その中のすべての者を引き渡す。 + 一つの家に十人残っても、その者たちも死ぬ。 + 親戚の者でこれを焼く者が/家から死体を持ち出すために、これを取り上げ、その家の奥にいる者に向かって言う。「あなたのところに、まだいるか。」彼は言う。「だれもいない。」また言う。「口をつぐめ。主の名を口にするな。」 + まことに、見よ、主は命じる。/大きな家を打ち砕き、小さな家を粉々にせよ。 + 馬は岩の上を走るだろうか。/人は牛で海を耕すだろうか。/あなたがたは、公義を毒に変え、正義の実を苦よもぎに変えた。 + あなたがたは、ロ・ダバルを喜び、「私たちは自分たちの力で/カルナイムを取ったではないか」と言う。 + 「まことに、イスラエルの家よ、今、わたしは一つの民を起こして/あなたがたを攻める。/――万軍の神、主の御告げ――/彼らはレボ・ハマテからアラバの川筋まで、あなたがたをしいたげる。」 + + + 神である主は、私にこのように示された。見よ。王が刈り取ったあとの二番草が生え始めたころ、主はいなごを造っておられた。 + そのいなごが地の青草を食い尽くそうとしたとき、私は言った。「神、主よ。どうぞお赦しください。ヤコブはどうして生き残れましょう。彼は小さいのです。」 + 主はこのことについて思い直し、「そのことは起こらない」と主は仰せられた。 + 神である主は、私にこのように示された。見よ。神である主は燃える火を呼んでおられた。火は大淵を焼き尽くし、割り当て地を焼き尽くそうとしていた。 + 私は言った。「神、主よ。どうか、おやめください。ヤコブはどうして生き残れましょう。彼は小さいのです。」 + 主はこのことについて思い直し、「このことも起こらない」と/神である主は仰せられた。 + 主は私にこのように示された。見よ。主は手に重りなわを持ち、重りなわで築かれた城壁の上に立っておられた。 + 主は私に仰せられた。「アモス。何を見ているのか。」私が「重りなわです」と言うと、主は仰せられた。/「見よ。わたしは重りなわを、わたしの民イスラエルの真ん中に垂れ下げよう。/わたしはもう二度と彼らを見過ごさない。 + イサクの高き所は荒らされ、イスラエルの聖所は廃墟となる。/わたしは剣をもって、ヤロブアムの家に立ち向かう。」 + ベテルの祭司アマツヤは、イスラエルの王ヤロブアムに人を遣わしてこう言った。「イスラエルの家のただ中で、アモスはあなたに謀反を企てています。この国は彼のすべてのことばを受け入れることはできません。 + アモスはこう言っています。『ヤロブアムは剣で死に、イスラエルはその国から必ず捕らえられて行く。』」 + アマツヤはアモスに言った。「先見者よ。ユダの地へ逃げて行け。その地でパンを食べ、その地で預言せよ。 + ベテルでは二度と預言するな。ここは王の聖所、王宮のある所だから。」 + アモスはアマツヤに答えて言った。「私は預言者ではなかった。預言者の仲間でもなかった。私は牧者であり、いちじく桑の木を栽培していた。 + ところが、主は群れを追っていた私をとり、主は私に仰せられた。『行って、わたしの民イスラエルに預言せよ』と。 + 今、主のことばを聞け。あなたは『イスラエルに向かって預言するな。イサクの家に向かって預言するな』と言っている。 + それゆえ、主はこう仰せられる。/『あなたの妻は町で遊女となり、あなたの息子、娘たちは剣に倒れ、あなたの土地は測りなわで分割される。/あなたは汚れた地で死に、イスラエルはその国から/必ず捕らえられて行く。』」 + + + 神である主は、私にこのように示された。そこに一かごの夏のくだものがあった。 + 主は仰せられた。「アモス。何を見ているのか。」私が、「一かごの夏のくだものです」と言うと、主は私に仰せられた。/「わたしの民イスラエルに、終わりが来た。/わたしはもう二度と彼らを見過ごさない。 + その日には、神殿の歌声は泣きわめきとなる。/――神である主の御告げ――/多くのしかばねが、至る所に投げ捨てられる。/口をつぐめ。」 + 聞け。貧しい者たちを踏みつけ、地の悩む者たちを絶やす者よ。 + あなたがたは言っている。/「新月の祭りはいつ終わるのか。/私たちは穀物を売りたいのだが。/安息日はいつ終わるのか。/麦を売りに出したいのだが。/エパを小さくし、シェケルを重くし、欺きのはかりで欺こう。 + 弱い者を金で買い、貧しい者を一足のくつで買い取り、くず麦を売るために。」 + 主はヤコブの誇りにかけて誓われる。/「わたしは、彼らのしていることをみな、いつまでも、決して忘れない。 + このために地は震えないだろうか。/地に住むすべての者は/泣き悲しまないだろうか。/地のすべてのものは/ナイル川のようにわき上がり、エジプト川のように、みなぎっては、また沈まないだろうか。 + その日には、――神である主の御告げ――/わたしは真昼に太陽を沈ませ、日盛りに地を暗くし、 + あなたがたの祭りを喪に変え、あなたがたのすべての歌を哀歌に変え、すべての腰に荒布をまとわせ、すべての人の頭をそらせ、その日を、ひとり子を失ったときの喪のようにし、その終わりを苦い日のようにする。 + 見よ。その日が来る。/――神である主の御告げ――/その日、わたしは、この地にききんを送る。/パンのききんではない。/水に渇くのでもない。/実に、主のことばを聞くことのききんである。 + 彼らは海から海へとさまよい歩き、北から東へと、主のことばを捜し求めて、行き巡る。/しかしこれを見いだせない。 + その日には、美しい若い女も、若い男も、渇きのために衰え果てる。 + サマリヤの罪過にかけて誓い、『ダンよ。あなたの神は生きている』と言い、『ベエル・シェバの道は生きている』と言う者は、倒れて、二度と起き上がれない。」 + + + 私は、祭壇のかたわらに立っておられる主を見た。/主は仰せられた。/「柱頭を打って、敷居が震えるようにせよ。/そのすべてを頭上で打ち砕け。/わたしは彼らの残った者を、剣で殺す。/彼らのうち、ひとりも逃げる者はなく、のがれる者もない。 + 彼らが、よみに入り込んでも、わたしの手はそこから彼らを引き出し、彼らが天に上っても、わたしはそこから彼らを引き降ろす。 + 彼らがカルメルの頂に身を隠しても、わたしは捜して、そこから彼らを捕らえ出し、彼らがわたしの目を避けて/海の底に身を隠しても、わたしは蛇に命じて、そこで彼らをかませる。 + もし、彼らが敵のとりことなって行っても、わたしは剣に命じて、その所で彼らを殺させる。/わたしはこの目で彼らを見る。/それは、わざわいのためで、幸いのためではない。」 + 万軍の神、主が、地に触れると、それは溶け、そこに住むすべての者は泣き悲しみ、地のすべてのものは/ナイル川のようにわき上がり、エジプト川のように沈む。 + 天に高殿を建て、地の上に丸天井を据え、海の水を呼んで、地の面に注がれる方、その名は主。 + 「イスラエルの子ら。/あなたがたは、わたしにとって、クシュ人のようではないのか。/――主の御告げ――/わたしはイスラエルをエジプトの国から、ペリシテ人をカフトルから、アラムをキルから連れ上ったではないか。 + 見よ。神である主の目が、罪を犯した王国に向けられている。/わたしはこれを地の面から根絶やしにする。/しかし、わたしはヤコブの家を、全く根絶やしにはしない。/――主の御告げ―― + 見よ。わたしは命じて、ふるいにかけるように、すべての国々の間でイスラエルの家をふるい、一つの石ころも地に落とさない。 + わたしの民の中の罪人はみな、剣で死ぬ。/彼らは『わざわいは私たちに近づかない。/私たちまでは及ばない』と言っている。 + その日、わたしは/ダビデの倒れている仮庵を起こし、その破れを繕い、その廃墟を復興し、昔の日のようにこれを建て直す。 + これは彼らが、エドムの残りの者と、わたしの名がつけられた/すべての国々を手に入れるためだ。/――これをなされる主の御告げ―― + 見よ。その日が来る。/――主の御告げ――/その日には、耕す者が刈る者に近寄り、ぶどうを踏む者が種蒔く者に近寄る。/山々は甘いぶどう酒をしたたらせ、すべての丘もこれを流す。 + わたしは、わたしの民イスラエルの繁栄を元どおりにする。/彼らは荒れた町々を建て直して住み、ぶどう畑を作って、そのぶどう酒を飲み、果樹園を作って、その実を食べる。 + わたしは彼らを彼らの地に植える。/彼らは、わたしが彼らに与えたその土地から、もう、引き抜かれることはない」と/あなたの神、主は、仰せられる。 + +
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+ + オバデヤの幻。/神である主は、エドムについてこう仰せられる。/私たちは主から知らせを聞いた。/使者が国々の間に送られた。「立ち上がれ。エドムに立ち向かい戦おう。」 + 見よ。わたしはあなたを国々の中の小さい者、ひどくさげすまれる者とする。 + あなたの心の高慢は自分自身を欺いた。/あなたは岩の裂け目に住み、高い所を住まいとし、「だれが私を地に引きずり降ろせようか」と/心のうちに言っている。 + あなたが鷲のように高く上っても、星の間に巣を作っても、わたしはそこから引き降ろす。/――主の御告げ―― + 盗人があなたのところに来れば、夜、荒らす者が来れば、あなたは荒らされ、彼らは気のすむまで盗まないだろうか。/ぶどうを収穫する者が/あなたのところに来るなら、彼らは取り残しの実を残さないだろうか。 + ああ、エサウは捜し出され、その宝は見つけ出される。 + あなたの同盟者がみな、あなたを欺き、あなたを国境まで送り返し、あなたの親しい友があなたを征服し、あなたのパンを食べていた者が、あなたの足の下にわなをしかける。/それでも彼はそれを悟らない。 + その日には、――主の御告げ――/わたしは、エドムから知恵ある者たちを、エサウの山から英知を/消し去らないであろうか。 + テマンよ。あなたの勇士たちはおびえる。/虐殺によって、エサウの山から、ひとり残らず絶やされよう。 + あなたの兄弟、ヤコブへの暴虐のために、恥があなたをおおい、あなたは永遠に絶やされる。 + 他国人がエルサレムの財宝を奪い去り、外国人がその門に押し入り、エルサレムをくじ引きにして取った日、あなたもまた彼らのうちのひとりのように、知らぬ顔で立っていた。 + あなたの兄弟の日、その災難の日を、あなたはただ、ながめているな。/ユダの子らの滅びの日に、彼らのことで喜ぶな。/その苦難の日に大口を開くな。 + 彼らのわざわいの日に、あなたは、わたしの民の門に、入るな。/そのわざわいの日に、あなたは、その困難をながめているな。/そのわざわいの日に、彼らの財宝に手を伸ばすな。 + そののがれる者を断つために、別れ道に立ちふさがるな。/その苦難の日に、彼らの生き残った者を引き渡すな。 + 主の日はすべての国々の上に近づいている。/あなたがしたように、あなたにもされる。/あなたの報いは、あなたの頭上に返る。 + あなたがたがわたしの聖なる山で飲んだように、すべての国々も飲み続け、飲んだり、すすったりして、彼らは今までになかった者のようになるだろう。 + しかし、シオンの山には、のがれた者がいるようになり、そこは聖地となる。/ヤコブの家はその領地を所有する。 + ヤコブの家は火となり、ヨセフの家は炎となり、エサウの家は刈り株となる。/火と炎はわらに燃えつき、これを焼き尽くし、エサウの家には生き残る者がいなくなる、と/主は告げられた。 + ネゲブの人々はエサウの山を、低地の人々はペリシテ人の国を占領する。/また彼らはエフライムの平野と、サマリヤの平野とを占領し、ベニヤミンはギルアデを占領する。 + イスラエルの子らで、この塁の捕囚の民は/カナン人の国をツァレファテまで、セファラデにいるエルサレムの捕囚の民は/南の町々を占領する。 + 救う者たちは、エサウの山をさばくために、シオンの山に上り、王権は主のものとなる。 + +
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+ + アミタイの子ヨナに次のような主のことばがあった。 + 「立って、あの大きな町ニネベに行き、これに向かって叫べ。彼らの悪がわたしの前に上って来たからだ。」 + しかしヨナは、主の御顔を避けてタルシシュへのがれようとし、立って、ヨッパに下った。彼は、タルシシュ行きの船を見つけ、船賃を払ってそれに乗り、主の御顔を避けて、みなといっしょにタルシシュへ行こうとした。 + さて、主は大風を海に吹きつけられた。それで海に激しい暴風が起こり、船は難破しそうになった。 + 水夫たちは恐れ、彼らはそれぞれ、自分の神に向かって叫び、船を軽くしようと船の積荷を海に投げ捨てた。しかし、ヨナは船底に降りて行って横になり、ぐっすり寝込んでいた。 + 船長が近づいて来て彼に言った。「いったいどうしたことか。寝込んだりして。起きて、あなたの神にお願いしなさい。あるいは、神が私たちに心を留めてくださって、私たちは滅びないですむかもしれない。」 + みなは互いに言った。「さあ、くじを引いて、だれのせいで、このわざわいが私たちに降りかかったかを知ろう。」彼らがくじを引くと、そのくじはヨナに当たった。 + そこで彼らはヨナに言った。「だれのせいで、このわざわいが私たちに降りかかったのか、告げてくれ。あなたの仕事は何か。あなたはどこから来たのか。あなたの国はどこか。いったいどこの民か。」 + ヨナは彼らに言った。「私はヘブル人です。私は海と陸を造られた天の神、主を恐れています。」 + それで人々は非常に恐れて、彼に言った。「何でそんなことをしたのか。」人々は、彼が主の御顔を避けてのがれようとしていることを知っていた。ヨナが先に、これを彼らに告げていたからである。 + 彼らはヨナに言った。「海が静まるために、私たちはあなたをどうしたらいいのか。」海がますます荒れてきたからである。 + ヨナは彼らに言った。「私を捕らえて、海に投げ込みなさい。そうすれば、海はあなたがたのために静かになるでしょう。わかっています。この激しい暴風は、私のためにあなたがたを襲ったのです。」 + その人たちは船を陸に戻そうとこいだがだめだった。海がますます、彼らに向かって荒れたからである。 + そこで彼らは主に願って言った。「ああ、主よ。どうか、この男のいのちのために、私たちを滅ぼさないでください。罪のない者の血を私たちに報いないでください。主よ。あなたはみこころにかなったことをなさるからです。」 + こうして、彼らはヨナをかかえて海に投げ込んだ。すると、海は激しい怒りをやめて静かになった。 + 人々は非常に主を恐れ、主にいけにえをささげ、誓願を立てた。 + 主は大きな魚を備えて、ヨナをのみこませた。ヨナは三日三晩、魚の腹の中にいた。 + + + ヨナは魚の腹の中から、彼の神、主に祈って、 + 言った。/「私が苦しみの中から主にお願いすると、主は答えてくださいました。/私がよみの腹の中から叫ぶと、あなたは私の声を聞いてくださいました。 + あなたは私を海の真ん中の深みに/投げ込まれました。/潮の流れが私を囲み、あなたの波と大波がみな、私の上を越えて行きました。 + 私は言った。/『私はあなたの目の前から追われました。/しかし、もう一度、私はあなたの聖なる宮を/仰ぎ見たいのです』と。 + 水は、私ののどを絞めつけ、深淵は私を取り囲み、海草は私の頭にからみつきました。 + 私は山々の根元まで下り、地のかんぬきが、いつまでも私の上にありました。/しかし、私の神、主よ。/あなたは私のいのちを/穴から引き上げてくださいました。 + 私のたましいが私のうちに衰え果てたとき、私は主を思い出しました。/私の祈りはあなたに、あなたの聖なる宮に届きました。 + むなしい偶像に心を留める者は、自分への恵みを捨てます。 + しかし、私は、感謝の声をあげて、あなたにいけにえをささげ、私の誓いを果たしましょう。/救いは主のものです。」 + 主は、魚に命じ、ヨナを陸地に吐き出させた。 + + + 再びヨナに次のような主のことばがあった。 + 「立って、あの大きな町ニネベに行き、わたしがあなたに告げることばを伝えよ。」 + ヨナは、主のことばのとおりに、立ってニネベに行った。ニネベは、行き巡るのに三日かかるほどの非常に大きな町であった。 + ヨナはその町に入って、まず一日目の道のりを歩き回って叫び、「もう四十日すると、ニネベは滅ぼされる」と言った。 + そこで、ニネベの人々は神を信じ、断食を呼びかけ、身分の高い者から低い者まで荒布を着た。 + このことがニネベの王の耳に入ると、彼は王座から立って、王服を脱ぎ、荒布をまとい、灰の中にすわった。 + 王と大臣たちの命令によって、次のような布告がニネベに出された。「人も、獣も、牛も、羊もみな、何も味わってはならない。草をはんだり、水を飲んだりしてはならない。 + 人も、家畜も、荒布を身にまとい、ひたすら神にお願いし、おのおの悪の道と、暴虐な行いから立ち返れ。 + もしかすると、神が思い直してあわれみ、その燃える怒りをおさめ、私たちは滅びないですむかもしれない。」 + 神は、彼らが悪の道から立ち返るために努力していることをご覧になった。それで、神は彼らに下すと言っておられたわざわいを思い直し、そうされなかった。 + + + ところが、このことはヨナを非常に不愉快にさせた。ヨナは怒って、 + 主に祈って言った。「ああ、主よ。私がまだ国にいたときに、このことを申し上げたではありませんか。それで、私は初めタルシシュへのがれようとしたのです。私は、あなたが情け深くあわれみ深い神であり、怒るのにおそく、恵み豊かであり、わざわいを思い直されることを知っていたからです。 + 主よ。今、どうぞ、私のいのちを取ってください。私は生きているより死んだほうがましですから。」 + 主は仰せられた。「あなたは当然のことのように怒るのか。」 + ヨナは町から出て、町の東のほうにすわり、そこに自分で仮小屋を作り、町の中で何が起こるかを見きわめようと、その陰の下にすわっていた。 + 神である主は一本のとうごまを備え、それをヨナの上をおおうように生えさせ、彼の頭の上の陰として、ヨナの不きげんを直そうとされた。ヨナはこのとうごまを非常に喜んだ。 + しかし、神は、翌日の夜明けに、一匹の虫を備えられた。虫がそのとうごまをかんだので、とうごまは枯れた。 + 太陽が上ったとき、神は焼けつくような東風を備えられた。太陽がヨナの頭に照りつけたので、彼は衰え果て、自分の死を願って言った。「私は生きているより死んだほうがましだ。」 + すると、神はヨナに仰せられた。「このとうごまのために、あなたは当然のことのように怒るのか。」ヨナは言った。「私が死ぬほど怒るのは当然のことです。」 + 主は仰せられた。「あなたは、自分で骨折らず、育てもせず、一夜で生え、一夜で滅びたこのとうごまを惜しんでいる。 + まして、わたしは、この大きな町ニネベを惜しまないでいられようか。そこには、右も左もわきまえない十二万以上の人間と、数多くの家畜とがいるではないか。」 + +
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+ + ユダの王ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に、モレシェテ人ミカにあった主のことば。これは彼がサマリヤとエルサレムについて見た幻である。 + すべての国々の民よ。聞け。/地と、それに満ちるものよ。耳を傾けよ。/神である主は、あなたがたのうちで証人となり、主はその聖なる宮から来て証人となる。 + 見よ。主は御住まいを出、降りて来て、地の高い所を踏まれる。 + 山々は主の足もとに溶け去り、谷々は裂ける。/ちょうど、火の前の、ろうのように。/坂に注がれた水のように。 + これはみな、ヤコブのそむきの罪のため、イスラエルの家の罪のためだ。/ヤコブのそむきの罪は何か。/サマリヤではないか。/ユダの高き所は何か。/エルサレムではないか。 + わたしはサマリヤを野原の廃墟とし、ぶどうを植える畑とする。/わたしはその石を谷に投げ入れ、その基をあばく。 + そのすべての刻んだ像は打ち砕かれ、その儲けはみな、火で焼かれる。/わたしはそのすべての偶像を荒廃させる。/それらは遊女の儲けで集められたのだから、遊女の儲けに返る。 + このために、わたしは嘆き、泣きわめき、はだしで、裸で歩こう。/わたしはジャッカルのように嘆き、だちょうのように悲しみ泣こう。 + まことに、その打ち傷はいやしがたく、それはユダにまで及び、わたしの民の門、エルサレムにまで達する。 + ガテで告げるな。/激しく泣きわめくな。/ベテ・レアフラでちりの中にころび回れ。 + シャフィルに住む者よ。/裸で恥じながら過ぎて行け。/ツァアナンに住む者は出て来ない。/ベテ・エツェルの嘆きは、あなたがたから、立つ所を奪い取る。 + マロテに住む者が、どうして、しあわせを待ち望めよう。/エルサレムの門に、主からわざわいが下ったのに。 + ラキシュに住む者よ。戦車に早馬をつなげ。/それはシオンの娘にとって罪の初めであった。/イスラエルの犯したそむきの罪が、あなたのうちに見つけられたからだ。 + それゆえ、あなたは贈り物をモレシェテ・ガテに与える。/アクジブの家々は、イスラエルの王たちにとって、欺く者となる。 + マレシャに住む者よ。/わたしはまた、侵略者をあなたのところに送る。/イスラエルの栄光はアドラムまで行こう。 + あなたの喜びとする子らのために、あなたの頭をそれ。/そのそった所を、はげ鷲のように大きくせよ。/彼らが捕らえられて、あなたから去って行ったから。 + + + ああ。/悪巧みを計り、寝床の上で悪を行う者。/朝の光とともに、彼らはこれを実行する。/自分たちの手に力があるからだ。 + 彼らは畑を欲しがって、これをかすめ、家々をも取り上げる。/彼らは人とその持ち家を、人とその相続地をゆすり取る。 + それゆえ、主はこう仰せられる。「見よ。わたしは、こういうやからに、わざわいを下そうと考えている。あなたがたは首をもたげることも、いばって歩くこともできなくなる。それはわざわいの時だからだ。」 + その日、あなたがたについて、あざけりの声があがり、嘆きの歌が起こって言う。「私たちはすっかり荒らされてしまい、私の民の割り当て地は取り替えられてしまった。どうしてそれは私から移され、私たちの畑は裏切る者に分け与えられるのか。」 + それゆえ、主の集会で、あなたのために、くじを引いて測り綱を張る者がいなくなる。 + 「たわごとを言うな」と言って、彼らはたわごとを言っている。/そんなたわごとを言ってはならない。/恥を避けることはできない。 + ヤコブの家がそんなことを言われてよいものか。/主がこれをがまんされるだろうか。/これは主のみわざだろうか。/私のことばは、正しく歩む者に益とならないだろうか。 + 以前から、わたしの民は/敵として立ち上がっている。/しかし、あなたがたは、戦いをやめて安らかに過ごしている者たちの/みごとな上着をはぎ取る。 + あなたがたは、わたしの民の女たちを、その楽しみの家から追い出し、その幼子たちから、わたしの誉れを永遠に取り去る。 + さあ、立ち去れ。ここはいこいの場所ではない。/ここは汚れているために滅びる。/それはひどい滅びだ。 + もし人が風のまにまに歩き回り、偽りを言って、「私はあなたがたに、ぶどう酒と強い酒について/一言しよう」と言うなら、その者こそ、この民のたわごとを言う者だ。 + ヤコブよ。/わたしはあなたをことごとく必ず集める。/わたしはイスラエルの残りの者を必ず集める。/わたしは彼らを、おりの中の羊のように、牧場の中の群れのように一つに集める。/こうして人々のざわめきが起ころう。 + 打ち破る者は、彼らの先頭に立って上って行き、彼らは門を打ち破って進んで行き、そこを出て行く。/彼らの王は彼らの前を進み、主が彼らの真っ先に進まれる。 + + + わたしは言った。/聞け。ヤコブのかしらたち、イスラエルの家の首領たち。/あなたがたは公義を知っているはずではないか。 + あなたがたは善を憎み、悪を愛し、人々の皮をはぎ、その骨から肉をそぎ取り、 + わたしの民の肉を食らい、皮をはぎ取り、その骨を粉々に砕き、鉢の中にあるように、また大がまの中の肉切れのように、切れ切れに裂く。 + それで、彼らが主に叫んでも、主は彼らに答えない。/その時、主は彼らから顔を隠される。/彼らの行いが悪いからだ。 + 預言者たちについて、主はこう仰せられる。/彼らはわたしの民を惑わせ、歯でかむ物があれば、「平和があるように」と叫ぶが、彼らの口に何も与えない者には、聖戦を宣言する。 + それゆえ、夜になっても、あなたがたには幻がなく、暗やみになっても、あなたがたには占いがない。/太陽も預言者たちの上に沈み、昼も彼らの上で暗くなる。 + 先見者たちは恥を見、占い師たちははずかしめを受ける。/彼らはみな、口ひげをおおう。/神の答えがないからだ。 + しかし、私は、力と、主の霊と、公義と、勇気とに満ち、ヤコブにはそのそむきの罪を、イスラエルにはその罪を告げよう。 + これを聞け。ヤコブの家のかしらたち、イスラエルの家の首領たち。/あなたがたは公義を忌みきらい、あらゆる正しいことを曲げている。 + 血を流してシオンを建て、不正を行ってエルサレムを建てている。 + そのかしらたちはわいろを取ってさばき、その祭司たちは代金を取って教え、その預言者たちは金を取って占いをする。/しかもなお、彼らは主に寄りかかって、「主は私たちの中におられるではないか。/わざわいは私たちの上にかかって来ない」/と言う。 + それゆえ、シオンは、あなたがたのために、畑のように耕され、エルサレムは廃墟となり、この宮の山は森の丘となる。 + + + 終わりの日に、主の家の山は、山々の頂に堅く立ち、丘々よりもそびえ立ち、国々の民はそこに流れて来る。 + 多くの異邦の民が来て言う。「さあ、主の山、ヤコブの神の家に上ろう。主はご自分の道を、私たちに教えてくださる。私たちはその小道を歩もう。」それは、シオンからみおしえが出、エルサレムから主のことばが出るからだ。 + 主は多くの国々の民の間をさばき、遠く離れた強い国々に、判決を下す。/彼らはその剣を鋤に、その槍をかまに打ち直し、国は国に向かって剣を上げず、二度と戦いのことを習わない。 + 彼らはみな、おのおの自分のぶどうの木の下や、いちじくの木の下にすわり、彼らを脅かす者はいない。/まことに、万軍の主の御口が告げられる。 + まことに、すべての国々の民は、おのおの自分の神の名によって歩む。/しかし、私たちは、世々限りなく、私たちの神、主の御名によって歩もう。 + その日、――主の御告げ――/わたしは足のなえた者を集め、追いやられた者、また、わたしが苦しめた者を寄せ集める。 + わたしは足のなえた者を、残りの者とし、遠くへ移された者を、強い国民とする。/主はシオンの山で、今よりとこしえまで、彼らの王となる。 + 羊の群れのやぐら、シオンの娘の丘よ。/あなたに、以前の主権、エルサレムの娘の王国が帰って来る。 + なぜ、あなたは今、大声で泣き叫ぶのか。/あなたのうちに王がいないのか。/あなたの議官は滅びうせたのか。/子を産む女のような苦痛が/あなたを捕らえたのか。 + シオンの娘よ。子を産む女のように、身もだえし、もがき回れ。/今、あなたは町を出て、野に宿り、バビロンまで行く。/そこであなたは救われる。/そこで主はあなたを敵の手から贖われる。 + 今、多くの異邦の民があなたを攻めに集まり、そして言う。/「シオンが犯されるのをこの目で見よう」と。 + しかし彼らは主の御計らいを知らず、そのはかりごとを悟らない。/主が彼らを打ち場の麦束のように/集められたことを。 + シオンの娘よ。立って麦を打て。/わたしはあなたの角を鉄とし、あなたのひづめを青銅とする。/あなたは多くの国々の民を粉々に砕き、彼らの利得を主にささげ、彼らの財宝を全地の主にささげる。 + + + 今、軍隊の娘よ。勢ぞろいせよ。/とりでが私たちに対して設けられ、彼らは、イスラエルのさばきつかさの頬を/杖で打つ。 + ベツレヘム・エフラテよ。/あなたはユダの氏族の中で最も小さいものだが、あなたのうちから、わたしのために、イスラエルの支配者になる者が出る。/その出ることは、昔から、永遠の昔からの定めである。 + それゆえ、産婦が子を産む時まで、彼らはそのままにしておかれる。/彼の兄弟のほかの者は/イスラエルの子らのもとに帰るようになる。 + 彼は立って、主の力と、彼の神、主の御名の威光によって群れを飼い、彼らは安らかに住まう。/今や、彼の威力が地の果てまで及ぶからだ。 + 平和は次のようにして来る。/アッシリヤが私たちの国に来て、私たちの宮殿を踏みにじるとき、私たちはこれに対して/七人の牧者と八人の指導者を立てる。 + 彼らはアッシリヤの地を剣で、ニムロデの地を抜き身の剣で飼いならす。/アッシリヤが私たちの国に来、私たちの領土に踏み込んで来たとき、彼は、私たちをアッシリヤから救う。 + そのとき、ヤコブの残りの者は、多くの国々の民のただ中で、主から降りる露、青草に降り注ぐ夕立のようだ。/彼らは人に望みをおかず、人の子らに期待をかけない。 + ヤコブの残りの者は異邦の民の中、多くの国々の民のただ中で、森の獣の中の獅子、羊の群れの中の若い獅子のようだ。/通り過ぎては踏みにじり、引き裂いては、一つも、のがさない。 + あなたの手を仇に向けて上げると、あなたの敵はみな、断ち滅ぼされる。 + その日、――主の御告げ――/わたしは、あなたのただ中から、あなたの馬を断ち滅ぼし、あなたの戦車を打ちこわし、 + あなたの国の町々を断ち滅ぼし、要塞をみなくつがえす。 + わたしはあなたの手から呪術師を断ち、占い師をあなたのところからなくする。 + わたしは、あなたのただ中から、刻んだ像と石の柱を断ち滅ぼす。/あなたはもう、自分の手の造った物を拝まない。 + わたしは、あなたのアシェラ像を/あなたのただ中から根こぎにし、あなたの町々を滅ぼし尽くす。 + わたしは怒りと憤りをもって、わたしに聞き従わなかった国々に復讐する。 + + + さあ、主の言われることを聞け。/立ち上がって、山々に訴え、丘々にあなたの声を聞かせよ。 + 山々よ。聞け。主の訴えを。/地の変わることのない基よ。/主はその民を訴え、イスラエルと討論される。 + わたしの民よ。/わたしはあなたに何をしたか。/どのようにしてあなたを煩わせたか。/わたしに答えよ。 + わたしはあなたをエジプトの地から上らせ、奴隷の家からあなたを買い戻し、あなたの前にモーセと、アロンと、ミリヤムを送った。 + わたしの民よ。思い起こせ。/モアブの王バラクが何をたくらんだか。/ベオルの子バラムが彼に何と答えたか。/シティムからギルガルまでに何があったか。/それは主の正しいみわざを知るためであった。 + 私は何をもって主の前に進み行き、いと高き神の前にひれ伏そうか。/全焼のいけにえ、一歳の子牛をもって/御前に進み行くべきだろうか。 + 主は幾千の雄羊、幾万の油を喜ばれるだろうか。/私の犯したそむきの罪のために、私の長子をささげるべきだろうか。/私のたましいの罪のために、私に生まれた子をささげるべきだろうか。 + 主はあなたに告げられた。/人よ。何が良いことなのか。/主は何をあなたに求めておられるのか。/それは、ただ公義を行い、誠実を愛し、へりくだって/あなたの神とともに歩むことではないか。 + 聞け。主が町に向かって叫ばれる。/――御名を恐れることがすぐれた知性だ――/聞け。部族、町を治める者。 + まだ、悪者の家には、不正の財宝と、のろわれた枡目不足の枡があるではないか。 + 不正なはかりと、欺きの重り石の袋を使っている者を/罪なしとすることがわたしにできようか。 + 富む者たちは暴虐に満ち、住民は偽りを言う。/彼らの口の中の舌は欺く。 + わたしもそこで、あなたを打って痛め、あなたの罪のために荒れ果てさせる。 + あなたは食べても満ち足りず、あなたの腹は飢える。/あなたは、移しても、のがすことはできない。/あなたがのがした者は、わたしが剣に渡す。 + あなたは種を蒔いても、刈ることがなく、オリーブをしぼっても、油を身に塗ることがない。/新しいぶどう酒を造っても、ぶどう酒を飲むことができない。 + あなたがたはオムリのおきてと、アハブの家のすべてのならわしを守り、彼らのはかりごとに従って歩んだ。/それは、わたしがあなたを荒れ果てさせ、住民をあざけりとするためだ。/あなたがたは、国々の民のそしりを負わなければならない。 + + + ああ、悲しいことだ。/私は夏のくだものを集める者のよう、ぶどうの取り残しの実を/取り入れる者のようになった。/もう食べられるふさは一つもなく、私の好きな初なりのいちじくの実もない。 + 敬虔な者はこの地から消えうせ、人の間に、正しい者はひとりもいない。/みな血を流そうと待ち伏せし、互いに網をかけ合って捕らえようとする。 + 彼らの手は悪事を働くのに巧みで、役人は物を求め、さばきつかさは報酬に応じてさばき、有力者は自分の欲するままを語り、こうして事を曲げている。 + 彼らのうちの善人もいばらのようだ。/正しい者もいばらの生け垣のようだ。/あなたの刑罰の日が、あなたを見張る者の日が来る。/今、彼らに混乱が起きる。 + 友を信用するな。/親しい友をも信頼するな。/あなたのふところに寝る者にも、あなたの口の戸を守れ。 + 息子は父親を侮り、娘は母親に、嫁はしゅうとめに逆らい、それぞれ自分の家の者を敵としている。 + しかし、私は主を仰ぎ見、私の救いの神を待ち望む。/私の神は私の願いを聞いてくださる。 + 私の敵。私のことで喜ぶな。/私は倒れても起き上がり、やみの中にすわっていても、主が私の光であるからだ。 + 私は主の激しい怒りを身に受けている。/私が主に罪を犯したからだ。/しかし、それは、主が私の訴えを取り上げ、私を正しくさばいてくださるまでだ。/主は私を光に連れ出し、私はその義を見ることができる。 + それで、私に向かい、「あなたの神、主は、どこにいるのか。」/と言った私の敵は、これを見て恥に包まれる。/私もこの目で敵をながめる。/今、敵は道の泥のように踏みにじられる。 + あなたの石垣を建て直す日、その日、国境が広げられる。 + その日、アッシリヤからエジプトまで、エジプトから大川まで、海から海まで、山から山まで、人々はあなたのところに来る。 + しかし、その地は荒れ果てる。/そこに住んでいた者たちのゆえに。/これが彼らの行いの結んだ実である。 + どうか、あなたの杖で、あなたの民、あなたご自身のものである羊を飼ってください。/彼らは林の中、果樹園の中に、ひとり離れて住んでいます。/彼らが昔の日のように、バシャンとギルアデで/草をはむようにしてください。 + 「あなたがエジプトの国から出た日のように、わたしは奇しいわざを彼に見せよう。」 + 異邦の民も見て、自分たちのすべての力を恥じ、手を口に当て、彼らの耳は聞こえなくなりましょう。 + 彼らは、蛇のように、地をはうもののように、ちりをなめ、震えながら彼らのとりでから、私たちの神、主のみもとに出て来て、わなないて、あなたを恐れましょう。 + あなたのような神が、ほかにあるでしょうか。/あなたは、咎を赦し、ご自分のものである残りの者のために、そむきの罪を見過ごされ、怒りをいつまでも持ち続けず、いつくしみを喜ばれるからです。 + もう一度、私たちをあわれみ、私たちの咎を踏みつけて、すべての罪を海の深みに投げ入れてください。 + 昔、私たちの先祖に誓われたように、真実をヤコブに、いつくしみをアブラハムに与えてください。 + +
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+ + ニネベに対する宣告。エルコシュ人ナホムの幻の書。 + 主はねたみ、復讐する神。/主は復讐し、憤る方。/主はその仇に復讐する方。/敵に怒りを保つ方。 + 主は怒るのにおそく、力強い。/主は決して罰せずにおくことはしない方。/主の道はつむじ風とあらしの中にある。/雲はその足でかき立てられる砂ほこり。 + 主は海をしかって、これをからし、すべての川を干上がらせる。/バシャンとカルメルはしおれ、レバノンの花はしおれる。 + 山々は主の前に揺れ動き、丘々は溶け去る。/大地は御前でくつがえり、世界とこれに住むすべての者もくつがえる。 + だれがその憤りの前に立ちえよう。/だれがその燃える怒りに耐えられよう。/その憤りは火のように注がれ、岩も主によって打ち砕かれる。 + 主はいつくしみ深く、苦難の日のとりでである。/主に身を避ける者たちを/主は知っておられる。 + しかし、主は、あふれみなぎる洪水で、その場所を滅ぼし尽くし、その敵をやみに追いやられる。 + あなたがたは主に対して何をたくらむのか。/主はすべてを滅ぼし尽くす。/仇は二度と立ち上がれない。 + 彼らは、からみついたいばら。/大酒を飲んだ酔っぱらいのようであっても、かわいた刈り株のように、全く焼き尽くされる。 + あなたのうちから、主に対して悪巧みをし、よこしまなことを計る者が出たからだ。 + 主はこう仰せられる。/「彼らは安らかで、数が多くても、刈り取られて消えうせる。/わたしはあなたを苦しめたが、再び、あなたを苦しめない。 + 今、わたしは彼のくびきを/あなたからはずして打ち砕き、あなたをなわめから解き放す。」 + 主はあなたについて命じられた。「あなたの子孫はもう散らされない。あなたの神々の宮から、わたしは彫像や鋳像を断ち滅ぼす。あなたはつまらない者であったが、わたしはあなたの墓を設けよう。」 + 見よ。良い知らせを伝える者、平和を告げ知らせる者の足が山々の上にある。/ユダよ。あなたの祭りを祝い、あなたの誓願を果たせ。/よこしまな者は、もう二度と、あなたの間を通り過ぎない。/彼らはみな、断ち滅ぼされた。 + + + 散らす者が、あなたを攻めに上って来る。/塁を守り、道を見張り、腰をからげ、大いに力を奮い立たせよ。 + 主は、ヤコブの栄えを、イスラエルの栄えのように回復される。/――かすめる者が彼らをかすめ、彼らのぶどうのつるをそこなったからだ。 + その勇士の盾は赤く、兵士は緋色の服をまとい、戦車は整えられて鉄の火のようだ。/槍は揺れ、 + 戦車は通りを狂い走り、広場を駆け巡る。/その有様はたいまつのようで、いなずまのように走り回る。 + 貴人たちは呼び出され、途上でつまずき倒れる。/彼らはその城壁へ急ぎ、防柵を設ける。 + 町々の門は開かれ、宮殿は消え去る。 + 王妃は捕らえられて連れ去られ、そのはしためは鳩のような声で嘆き、胸を打って悲しむ。 + ニネベは水の流れ出る池のようだ。/みな逃げ出して、「止まれ、立ち止まれ」と言っても、だれも振り返りもしない。 + 銀を奪え。金も奪え。/その財宝は限りない。/あらゆる尊い品々が豊富だ。 + 破壊、滅亡、荒廃。/心はしなえ、ひざは震え、すべての腰はわななき、だれの顔も青ざめる。 + 雄獅子の住みかはどこにあるのか。/それは若い獅子のためのほら穴。/雄獅子が出歩くとき、雌獅子と子獅子はそこにいるが、だれも脅かす者はない。 + 雄獅子は子獅子のために、十分な獲物を引き裂き、雌獅子のためにかみ殺し、そのほら穴を、獲物で、その巣を、引き裂いた物で満たした。 + 見よ。わたしはあなたに立ち向かう。/――万軍の主の御告げ――/わたしはあなたの戦車を燃やして煙とする。/剣はあなたの若い獅子を食い尽くす。/わたしはあなたの獲物を地から絶やす。/あなたの使者たちの声はもう聞かれない。 + + + ああ。流血の町。/虚偽に満ち、略奪を事とし、強奪をやめない。 + むちの音。車輪の響き。/駆ける馬。飛び走る戦車。 + 突進する騎兵。/剣のきらめき。槍のひらめき。/おびただしい戦死者。山なすしかばね。/数えきれない死体。/死体に人はつまずく。 + これは、すぐれて麗しい遊女、呪術を行う女の多くの淫行によるものだ。/彼女はその淫行によって国々を、その魅力によって諸部族を売った。 + 見よ。わたしはあなたに立ち向かう。/――万軍の主の御告げ――/わたしはあなたのすそを顔の上までまくり上げ、あなたの裸を諸国の民に見せ、あなたの恥を諸王国に見せる。 + わたしはあなたに汚物をかけ、あなたをはずかしめ、あなたを見せものとする。 + あなたを見る者はみな、あなたから逃げて言う。/「ニネベは滅びた」と。/だれが彼女を慰めよう。/あなたのために悔やむ者を、どこにわたしは捜そうか。 + あなたは、ナイル川のほとりにある/ノ・アモンよりもすぐれているか。/水がこれを取り囲む。/その塁は海、その城壁は水。 + クシュとエジプトはその力。/それは限りがない。/プテ人、ルブ人もその助け手。 + しかし、これもまた、捕囚となり、とりことなって行き、その幼子たちもあらゆる町かどで八つ裂きにされ、その高貴な人たちもくじ引きにされ、そのおもだった者たちもみな、鎖につながれた。 + あなたも酔いしれて身を隠し、敵から逃げてとりでを捜し求めよう。 + あなたのすべての要塞は、初なりのいちじくを持ついちじくの木。/それをゆさぶると、食べる者の口に落ちる。 + 見よ。あなたの兵士は、あなたの中にいる女だ。/あなたの国のもろもろの門は、敵のために広くあけ放たれ、火はあなたのかんぬきを焼き尽くす。 + 包囲の日のための水を汲み、要塞を強固にせよ。/泥の中に入り、粘土を踏みつけ、れんがの型を取っておけ。 + その時、火はあなたを焼き尽くし、剣はあなたを切り倒し、火はばったのようにあなたを焼き尽くす。/あなたは、ばったのように数を増し、いなごのようにふえよ。 + あなたの商人を天の星より多くしても、ばったがこれを襲って飛び去る。 + あなたの衛兵は、いなごのように、あなたの役人たちは、群がるいなごのように、寒い日には城壁の上でたむろし、日が出ると飛び去り、だれも、どこへ行くか行く先を知らない。 + アッシリヤの王よ。/あなたの牧者たちは眠り、あなたの貴人たちは寝込んでいる。/あなたの民は山々の上に散らされ、だれも集める者はいない。 + あなたの傷は、いやされない。/あなたの打ち傷は、いやしがたい。/あなたのうわさを聞く者はみな、あなたに向かって手をたたく。/だれもかれも、あなたに絶えずいじめられていたからだ。 + +
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+ + 預言者ハバククが預言した宣告。 + 主よ。私が助けを求めて叫んでいますのに、あなたはいつまで、聞いてくださらないのですか。/私が「暴虐」とあなたに叫んでいますのに、あなたは救ってくださらないのですか。 + なぜ、あなたは私に、わざわいを見させ、労苦をながめておられるのですか。/暴行と暴虐は私の前にあり、闘争があり、争いが起こっています。 + それゆえ、律法は眠り、さばきはいつまでも行われません。/悪者が正しい人を取り囲み、さばきが曲げて行われています。 + 異邦の民を見、目を留めよ。/驚き、驚け。/わたしは一つの事をあなたがたの時代にする。/それが告げられても、あなたがたは信じまい。 + 見よ。わたしはカルデヤ人を起こす。/強暴で激しい国民だ。/これは、自分のものでない住まいを占領しようと、地を広く行き巡る。 + これは、ひどく恐ろしい。/自分自身でさばきを行い、威厳を現す。 + その馬は、ひょうよりも速く、日暮れの狼よりも敏しょうだ。/その軍馬は、はね回る。/その騎兵は遠くからやって来て、鷲のように獲物を食おうと飛びかかる。 + 彼らは来て、みな暴虐をふるう。/彼らの顔を東風のように向け、彼らは砂のようにとりこを集める。 + 彼らは王たちをあざけり、君主たちをあざ笑う。/彼らはすべての要塞をあざ笑い、土を積み上げて、それを攻め取る。 + それから、風のように移って来て、過ぎて行く。/自分の力を自分の神とする者は罰せられる。 + 主よ。あなたは昔から、私の神、私の聖なる方ではありませんか。/私たちは死ぬことはありません。/主よ。あなたはさばきのために、彼を立て、岩よ、あなたは叱責のために、彼を据えられました。 + あなたの目はあまりきよくて、悪を見ず、労苦に目を留めることができないのでしょう。/なぜ、裏切り者をながめておられるのですか。/悪者が自分より正しい者をのみこむとき、なぜ黙っておられるのですか。 + あなたは人を海の魚のように、治める者のないはう虫のようにされます。 + 彼は、このすべての者を釣り針で釣り上げ、これを網で引きずり上げ、引き網で集める。/こうして、彼は喜び楽しむ。 + それゆえ、彼はその網にいけにえをささげ、その引き網に香をたく。/これらによって、彼の分け前が豊かになり、その食物も豊富になるからだ。 + それゆえ、彼はいつもその網を使い続け、容赦なく、諸国の民を殺すのだろうか。 + + + 私は、見張り所に立ち、とりでにしかと立って見張り、主が私に何を語り、私の訴えに何と答えるかを見よう。 + 主は私に答えて言われた。/幻を板の上に書いて確認せよ。/これを読む者が急使として走るために。 + この幻は、定めの時について証言しており、終わりについて告げ、まやかしを言ってはいない。/もしおそくなっても、それを待て。/それは必ず来る。遅れることはない。 + 見よ。彼の心はうぬぼれていて、まっすぐでない。/しかし、正しい人はその信仰によって生きる。 + 実にぶどう酒は欺くものだ。/高ぶる者は定まりがない。/彼はよみのようにのどを広げ、死のように、足ることを知らない。/彼はすべての国々を自分のもとに集め、すべての国々の民を自分のもとにかき集める。 + これらはみな、彼についてあざけりの声をあげ、彼を皮肉り、風刺してこう言わないだろうか。「わざわいだ。自分のものでないものを増し加える者。――いつまでだろうか――その上に担保を重くする者。」 + あなたをかむ者が突然起き上がり、あなたを揺り動かす者が目ざめないだろうか。/あなたは彼らに奪い取られる。 + あなたが多くの国々を略奪したので、ほかのすべての国々の民が、あなたを略奪する。/あなたが人の血を流し、国や町や、そのすべての住民に/暴力をふるったためだ。 + わざわいだ。/自分の家のために不正な利得をむさぼり、わざわいの手からのがれるために、自分の巣を高い所に据える者。 + あなたは自分の家のために恥ずべきことを計り、多くの国々の民を滅ぼした。/あなたのたましいは罪を犯した。 + まことに、石は石垣から叫び、梁は家からこれに答える。 + わざわいだ。/血で町を建て、不正で都を築き上げる者。 + これは、万軍の主によるのではないか。/国々の民は、ただ火で焼かれるために労し、諸国の民は、むなしく疲れ果てる。 + まことに、水が海をおおうように、地は、主の栄光を知ることで満たされる。 + わざわいだ。/自分の友に飲ませ、毒を混ぜて酔わせ、その裸を見ようとする者。 + あなたは栄光よりも恥で満ち足りている。/あなたも飲んで、陽の皮を見せよ。/主の右の手の杯は、あなたの上に巡って来て、恥があなたの栄光をおおう。 + レバノンへの暴虐があなたをおおい、獣への残虐があなたを脅かす。/あなたが人の血を流し、国や町や、そのすべての住民に/暴力をふるったためだ。 + 彫刻師の刻んだ彫像や鋳像、偽りを教える者が、何の役に立とう。/物言わぬ偽りの神々を造って、これを造った者が、それにたよったところで、何の役に立とう。 + わざわいだ。/木に向かって目をさませと言い、黙っている石に向かって起きろと言う者よ。/それは像だ。/それは金や銀をかぶせたもの。/その中には何の息もない。 + しかし主は、その聖なる宮におられる。/全地よ。その御前に静まれ。 + + + 預言者ハバククの祈り。シグヨノテに合わせて。 + 主よ。私はあなたのうわさを聞き、主よ、あなたのみわざを恐れました。/この年のうちに、それをくり返してください。/この年のうちに、それを示してください。/激しい怒りのうちにも、あわれみを忘れないでください。 + 神はテマンから来られ、聖なる方はパランの山から来られる。セラ/その尊厳は天をおおい、その賛美は地に満ちている。 + 輝きは光のよう。/ひらめきはその手から放たれ、そこに力が隠されている。 + その御前を疫病が行き、熱病はそのうしろに従う。 + 神は立って、地を測り、見渡して、諸国の民を震え上がらせる。/とこしえの山は打ち砕かれ、永遠の丘は低くされる。/しかし、その軌道は昔のまま。 + 私が見ると、クシャンの天幕は乱れ騒ぎ、ミデヤンの地の幕屋はわなないている。 + 主よ。川に怒りを燃やされるのですか。/あなたの怒りを川に向けられるのですか。/それとも、あなたの憤りを海に向けられるのですか。/あなたは、馬に乗り、あなたの救いの戦車に乗って来られます。 + あなたの弓はおおいを取り払われ、ことばの杖の誓いが果たされます。セラ/あなたは地を裂いて川々とされます。 + 山々はあなたを見て震え、豪雨は流れ去り、深い淵はその声を出し、その手を高く上げます。 + 太陽と月はその住みかにとどまります。/あなたの矢の光によって、あなたのきらめく槍の輝きによって、それらは動きます。 + あなたは、憤って、地を行き巡り、怒って、国々を踏みつけられます。 + あなたは、ご自分の民を救うために出て来られ、あなたに油そそがれた者を救うために/出て来られます。/あなたは、悪者の家の頭を粉々に砕き、足もとから首まで裸にされます。セラ + あなたは、戦士たちの頭に矢を刺し通されます。/彼らは隠れている貧しい者を/食い尽くす者のように、私をほしいままに追い散らそうと荒れ狂います。 + あなたは、あなたの馬で海を踏みつけ、大水に、あわを立たせられます。 + 私は聞き、私のはらわたはわななき、私のくちびるはその音のために震える。/腐れは私の骨のうちに入り、私の足もとはぐらつく。/私たちを攻める民に襲いかかる悩みの日を、私は静かに待とう。 + そのとき、いちじくの木は花を咲かせず、ぶどうの木は実をみのらせず、オリーブの木も実りがなく、畑は食物を出さない。/羊は囲いから絶え、牛は牛舎にいなくなる。 + しかし、私は主にあって喜び勇み、私の救いの神にあって喜ぼう。 + 私の主、神は、私の力。/私の足を雌鹿のようにし、私に高い所を歩ませる。/指揮者のために。弦楽器に合わせて。 + +
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+ + ユダの王、アモンの子ヨシヤの時代に、クシの子ゼパニヤにあった主のことば。クシはゲダルヤの子、ゲダルヤはアマルヤの子、アマルヤはヒゼキヤの子である。 + わたしは必ず地の面から、すべてのものを取り除く。/――主の御告げ―― + わたしは人と獣を取り除き、空の鳥と海の魚を取り除く。/わたしは、悪者どもをつまずかせ、人を地の面から断ち滅ぼす。/――主の御告げ―― + わたしの手を、ユダの上に、エルサレムのすべての住民の上に伸ばす。/わたしはこの場所から、バアルの残りの者と、偶像に仕える祭司たちの名とを、その祭司たちとともに断ち滅ぼす。 + また、屋上で天の万象を拝む者ども、また、主に誓いを立てて礼拝しながら、ミルコムに誓いを立てる者ども、 + また、主に従うことをやめ、主を尋ね求めず、主を求めない者どもを断ち滅ぼす。 + 神である主の前に静まれ。/主の日は近い。主が一頭のほふる獣を備え、主に招かれた者を聖別されたからだ。 + 主が獣をほふる日に、わたしは首長たちや王子たち、外国の服をまとったすべての者を罰する。 + その日、わたしは、神殿の敷居によじのぼるすべての者、自分の主人の家を暴虐と欺きで満たす者どもを/罰する。 + その日には、――主の御告げ――/魚の門から叫び声が、第二区から嘆き声が、丘からは大いなる破滅の響きが起こる。 + 泣きわめけ。マクテシュ区に住む者どもよ。/商人はみな滅びうせ、銀を量る者もみな断ち滅ぼされるからだ。 + その時、わたしは、ともしびをかざして、エルサレムを捜し、そのぶどう酒のかすの上によどんでいて、「主は良いことも、悪いこともしない」と/心の中で言っている者どもを罰する。 + 彼らの財産は略奪され、彼らの家は荒れ果てる。/彼らは家を建てても、それに住めず、ぶどう畑を作っても、そのぶどう酒を飲めない。 + 主の大いなる日は近い。/それは近く、非常に早く来る。/聞け。主の日を。勇士も激しく叫ぶ。 + その日は激しい怒りの日、苦難と苦悩の日、荒廃と滅亡の日、やみと暗黒の日、雲と暗やみの日、 + 角笛とときの声の日、城壁のある町々と高い四隅の塔が襲われる日だ。 + わたしは人を苦しめ、人々は盲人のように歩く。/彼らは主に罪を犯したからだ。/彼らの血はちりのように振りまかれ、彼らのはらわたは糞のようにまき散らされる。 + 彼らの銀も、彼らの金も、主の激しい怒りの日に彼らを救い出せない。/そのねたみの火で、全土は焼き払われる。/主は実に、地に住むすべての者を/たちまち滅ぼし尽くす。 + + + 恥知らずの国民よ。こぞって集まれ、集まれ。 + 昼間、吹き散らされるもみがらのように、あなたがたがならないうちに。/主の燃える怒りが、まだあなたがたを襲わないうちに。/主の怒りの日が、まだあなたがたを襲わないうちに。 + 主の定めを行う/この国のすべてのへりくだる者よ。/主を尋ね求めよ。/義を求めよ。柔和を求めよ。/そうすれば、主の怒りの日にかくまわれるかもしれない。 + だが、ガザは捨てられ、アシュケロンは荒れ果てる。/アシュドデは真昼に追い払われ、エクロンは根こぎにされる。 + ああ。海辺に住む者たち。/ケレテ人の国。/主のことばはおまえたちに向けられている。/ペリシテ人の国カナン。/わたしはおまえを消し去って、住む者がいないようにする。 + 海辺よ。おまえは牧場となり、牧者たちの牧草地となり、羊の囲い場となる。 + 海辺はユダの家の残りの者の所有となる。/彼らは海辺で羊を飼い、日が暮れると、アシュケロンの家々で横になる。/彼らの神、主が、彼らを訪れ、彼らの繁栄を元どおりにするからだ。 + わたしはモアブのそしりと、アモン人のののしりを聞いた。/彼らはわたしの民をそしり、その領土に向かって高ぶった。 + それゆえ、わたしは誓って言う。/――イスラエルの神、万軍の主の御告げ――/モアブは必ずソドムのようになり、アモン人はゴモラのようになり、いらくさの茂る所、塩の穴、とこしえの荒れ果てた地となる。/わたしの民の残りの者が、そこをかすめ奪う。/わたしの国民の生き残りの者が、そこを受け継ぐ。 + これは、彼らの高慢のためだ。彼らが万軍の主の民をそしり、これに向かって高ぶったからだ。 + 主は彼らを脅かし、地のすべての神々を消し去る。そのとき、人々はみな、自分のいる所で主を礼拝し、国々のすべての島々も主を礼拝する。 + あなたがた、クシュ人も、わたしの剣で刺し殺される。 + 主は手を北に差し伸べ、アッシリヤを滅ぼし、ニネベを荒れ果てた地とし、荒野のようにし、砂漠とする。 + その中に、獣の群れ、あらゆる地の獣が伏し、ペリカンと針ねずみはその柱頭をねぐらとし、ふくろうはその窓で鳴き、烏は敷居で鳴く。/主が、杉でつくったこの町をあばかれたからだ。 + これが、安らかに過ごし、心の中で、「私だけは特別だ」と言った/あのおごった町なのか。/ああ、その町は荒れ果てて、獣の伏す所となる。/そこを通り過ぎる者はみな、あざけって、手を振ろう。 + + + ああ。/反逆と汚れに満ちた暴力の町。 + 呼びかけを聞こうともせず、懲らしめを受け入れようともせず、主に信頼せず、神に近づこうともしない。 + その首長たちは、町の中にあってほえたける雄獅子。/そのさばきつかさたちは、日暮れの狼だ。/朝まで骨をかじってはいない。 + その預言者たちは、ずうずうしく、裏切る者。/その祭司たちは、聖なる物を汚し、律法を犯す。 + 主は、その町の中にあって正しく、不正を行わない。/朝ごとに、ご自分の公義を残らず明るみに示す。/しかし、不正をする者は恥を知らない。 + わたしは諸国の民を断ち滅ぼした。/その四隅の塔は荒れ果てた。/わたしが彼らの通りを廃墟としたので、通り過ぎる者はだれもいない。/彼らの町々は荒れすたれてひとりの人もおらず、住む者もない。 + わたしは言った。「あなたはただ、わたしを恐れ、懲らしめを受けよ。そうすれば、わたしがこの町を罰したにもかかわらず、その住まいは断ち滅ぼされまい。確かに、彼らは、くり返してあらゆる悪事を行ったが。」 + それゆえ、わたしを待て。/――主の御告げ――/わたしが証人として立つ日を待て。/わたしは諸国の民を集め、もろもろの王国をかき集めてさばき、わたしの憤りと燃える怒りを/ことごとく彼らに注ぐ。/まことに、全地はわたしのねたみの火によって、焼き尽くされる。 + そのとき、わたしは、国々の民のくちびるを変えてきよくする。/彼らはみな主の御名によって祈り、一つになって主に仕える。 + クシュの川の向こうから、わたしに願い事をする者、わたしに散らされた者たちが/贈り物を持って来る。 + その日には、あなたは、わたしに逆らったすべてのしわざのために、恥を見ることはない。/そのとき、わたしは、あなたの中からおごり高ぶる者どもを取り去り、あなたはわたしの聖なる山で、二度と高ぶることはない。 + わたしは、あなたのうちに、へりくだった、寄るべのない民を残す。/彼らはただ主の御名に身を避ける。 + イスラエルの残りの者は不正を行わず、偽りを言わない。/彼らの口の中には欺きの舌はない。/まことに彼らは草を食べて伏す。/彼らを脅かす者はない。 + シオンの娘よ。喜び歌え。/イスラエルよ。喜び叫べ。/エルサレムの娘よ。心の底から、喜び勝ち誇れ。 + 主はあなたへの宣告を取り除き、あなたの敵を追い払われた。/イスラエルの王、主は、あなたのただ中におられる。/あなたはもう、わざわいを恐れない。 + その日、エルサレムはこう言われる。/シオンよ。恐れるな。気力を失うな。 + あなたの神、主は、あなたのただ中におられる。/救いの勇士だ。/主は喜びをもってあなたのことを楽しみ、その愛によって安らぎを与える。/主は高らかに歌ってあなたのことを喜ばれる。 + 例祭から離れて悲しむ者たちをわたしは集める。/彼らはあなたからのもの。/そしりはシオンへの警告である。 + 見よ。その時、わたしはあなたを苦しめたすべての者を罰し、足のなえた者を救い、散らされた者を集める。/わたしは彼らの恥を栄誉に変え、全地でその名をあげさせよう。 + その時、わたしはあなたがたを連れ帰り、その時、わたしはあなたがたを集める。/わたしがあなたがたの目の前で、あなたがたの繁栄を元どおりにするとき、地のすべての民の間で/あなたがたに、名誉と栄誉を与えよう、と/主は仰せられる。 + +
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+ + ダリヨス王の第二年の第六の月の一日に、預言者ハガイを通して、シェアルティエルの子、ユダの総督ゼルバベルと、エホツァダクの子、大祭司ヨシュアとに、次のような主のことばがあった。 + 「万軍の主はこう仰せられる。この民は、主の宮を建てる時はまだ来ない、と言っている。」 + ついで預言者ハガイを通して、次のような主のことばがあった。 + 「この宮が廃墟となっているのに、あなたがただけが板張りの家に住むべき時であろうか。 + 今、万軍の主はこう仰せられる。あなたがたの現状をよく考えよ。 + あなたがたは、多くの種を蒔いたが少ししか取り入れず、食べたが飽き足らず、飲んだが酔えず、着物を着たが暖まらない。かせぐ者がかせいでも、穴のあいた袋に入れるだけだ。 + 万軍の主はこう仰せられる。あなたがたの現状をよく考えよ。 + 山に登り、木を運んで来て、宮を建てよ。そうすれば、わたしはそれを喜び、わたしの栄光を現そう。主は仰せられる。 + あなたがたは多くを期待したが、見よ、わずかであった。あなたがたが家に持ち帰ったとき、わたしはそれを吹き飛ばした。それはなぜか。――万軍の主の御告げ――それは、廃墟となったわたしの宮のためだ。あなたがたがみな、自分の家のために走り回っていたからだ。 + それゆえ、天はあなたがたのために露を降らすことをやめ、地は産物を差し止めた。 + わたしはまた、地にも、山々にも、穀物にも、新しいぶどう酒にも、油にも、地が生やす物にも、人にも、家畜にも、手によるすべての勤労の実にも、ひでりを呼び寄せた。」 + そこで、シェアルティエルの子ゼルバベルと、エホツァダクの子、大祭司ヨシュアと、民のすべての残りの者とは、彼らの神、主の御声と、また、彼らの神、主が遣わされた預言者ハガイのことばとに聞き従った。民は主の前で恐れた。 + そのとき、主の使いハガイは、主から使命を受けて、民にこう言った。「わたしは、あなたがたとともにいる。――主の御告げ――」 + 主は、シェアルティエルの子、ユダの総督ゼルバベルの心と、エホツァダクの子、大祭司ヨシュアの心と、民のすべての残りの者の心とを奮い立たせたので、彼らは彼らの神、万軍の主の宮に行って、仕事に取りかかった。 + それは第六の月の二十四日のことであった。 + + + ダリヨス王の第二年の第七の月の二十一日に、預言者ハガイを通して、次のような主のことばがあった。 + 「シェアルティエルの子、ユダの総督ゼルバベルと、エホツァダクの子、大祭司ヨシュアと、民の残りの者とに次のように言え。 + あなたがたのうち、以前の栄光に輝くこの宮を見たことのある、生き残った者はだれか。あなたがたは、今、これをどう見ているのか。あなたがたの目には、まるで無いに等しいのではないか。 + しかし、ゼルバベルよ、今、強くあれ。――主の御告げ――エホツァダクの子、大祭司ヨシュアよ。強くあれ。この国のすべての民よ。強くあれ。――主の御告げ――仕事に取りかかれ。わたしがあなたがたとともにいるからだ。――万軍の主の御告げ―― + あなたがたがエジプトから出て来たとき、わたしがあなたがたと結んだ約束により、わたしの霊があなたがたの間で働いている。恐れるな。 + まことに、万軍の主はこう仰せられる。しばらくして、もう一度、わたしは天と地と、海と陸とを揺り動かす。 + わたしは、すべての国々を揺り動かす。すべての国々の宝物がもたらされ、わたしはこの宮を栄光で満たす。万軍の主は仰せられる。 + 銀はわたしのもの。金もわたしのもの。――万軍の主の御告げ―― + この宮のこれから後の栄光は、先のものよりまさろう。万軍の主は仰せられる。わたしはまた、この所に平和を与える。――万軍の主の御告げ――」 + ダリヨスの第二年の第九の月の二十四日、預言者ハガイに次のような主のことばがあった。 + 「万軍の主はこう仰せられる。次の律法について、祭司たちに尋ねて言え。 + もし人が聖なる肉を自分の着物のすそで運ぶとき、そのすそがパンや煮物、ぶどう酒や油、またどんな食物にでも触れたなら、それは聖なるものとなるか。」祭司たちは答えて「否」と言った。 + そこでハガイは言った。「もし死体によって汚れた人が、これらのどれにでも触れたなら、それは汚れるか。」祭司たちは答えて「汚れる」と言った。 + ハガイはそれに応じて言った。「わたしにとっては、この民はそのようなものだ。この国もそのようである。――主の御告げ――彼らの手で作ったすべての物もそのようだ。彼らがそこにささげる物、それは汚れている。 + さあ、今、あなたがたは、きょうから後のことをよく考えよ。主の神殿で石が積み重ねられる前は、 + あなたがたはどうであったか。二十の麦束の積んである所に行っても、ただ十束しかなく、五十おけを汲もうと酒ぶねに行っても、二十おけ分しかなかった。 + わたしは、あなたがたを立ち枯れと黒穂病とで打ち、あなたがたの手がけた物をことごとく雹で打った。しかし、あなたがたのうちだれひとり、わたしに帰って来なかった。――主の御告げ―― + さあ、あなたがたは、きょうから後のことをよく考えよ。すなわち、第九の月の二十四日、主の神殿の礎が据えられた日から後のことをよく考えよ。 + 種はまだ穀物倉にあるだろうか。ぶどうの木、いちじくの木、ざくろの木、オリーブの木は、まだ実を結ばないだろうか。きょうから後、わたしは祝福しよう。」 + その月の二十四日、ハガイに再び次のような主のことばがあった。 + 「ユダの総督ゼルバベルに次のように言え。わたしは天と地とを揺り動かし、 + もろもろの王国の王座をくつがえし、異邦の民の王国の力を滅ぼし、戦車と、それに乗る者をくつがえす。馬と騎兵は彼ら仲間同士の剣によって倒れる。 + その日、――万軍の主の御告げ――シェアルティエルの子、わたしのしもべゼルバベルよ、わたしはあなたを選び取る。――主の御告げ――わたしはあなたを印形のようにする。わたしがあなたを選んだからだ。――万軍の主の御告げ――」 + +
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+ + ダリヨスの第二年の第八の月に、イドの子ベレクヤの子、預言者ゼカリヤに、次のような主のことばがあった。 + 主はあなたがたの先祖たちを激しく怒られた。 + あなたは、彼らに言え。万軍の主はこう仰せられる。わたしに帰れ。――万軍の主の御告げ――そうすれば、わたしもあなたがたに帰る、と万軍の主は仰せられる。 + あなたがたの先祖たちのようであってはならない。先の預言者たちが彼らに叫んで、「万軍の主はこう仰せられる。あなたがたの悪の道から立ち返り、あなたがたの悪いわざを悔い改めよ」と言ったのに、彼らはわたしに聞き従わず、わたしに耳を傾けもしなかった。――主の御告げ―― + あなたがたの先祖たちは今、どこにいるのか。預言者たちは永遠に生きているだろうか。 + しかし、わたしのしもべ、預言者たちにわたしが命じた、わたしのことばとおきてとは、あなたがたの先祖たちに追い迫ったではないか。そこで彼らは立ち返って言った。「万軍の主は、私たちの行いとわざに応じて、私たちにしようと考えられたとおりを、私たちにされた」と。 + ダリヨスの第二年のシェバテの月である第十一の月の二十四日に、イドの子ベレクヤの子、預言者ゼカリヤに、次のような主のことばがあった。 + 夜、私が見ると、なんと、ひとりの人が赤い馬に乗っていた。その人は谷底にあるミルトスの木の間に立っていた。彼のうしろに、赤や、栗毛や、白い馬がいた。 + 私が、「主よ。これらは何ですか」と尋ねると、私と話していた御使いが、「これらが何か、あなたに示そう」と私に言った。 + ミルトスの木の間に立っていた人が答えて言った。「これらは、地を行き巡るために主が遣わされたものだ。」 + すると、これらは、ミルトスの木の間に立っている主の使いに答えて言った。「私たちは地を行き巡りましたが、まさに、全地は安らかで、穏やかでした。」 + 主の使いは答えて言った。「万軍の主よ。いつまで、あなたはエルサレムとユダの町々に、あわれみを施されないのですか。あなたがのろって、七十年になります。」 + すると主は、私と話していた御使いに、良いことば、慰めのことばで答えられた。 + 私と話していた御使いは私に言った。「叫んで言え。万軍の主はこう仰せられる。『わたしは、エルサレムとシオンを、ねたむほど激しく愛した。 + しかし、安逸をむさぼっている諸国の民に対しては大いに怒る。わたしが少ししか怒らないでいると、彼らはほしいままに悪事を行った。』 + それゆえ、主はこう仰せられる。『わたしは、あわれみをもってエルサレムに帰る。そこにわたしの宮が建て直される。――万軍の主の御告げ――測りなわはエルサレムの上に張られる。』 + もう一度叫んで言え。万軍の主はこう仰せられる。『わたしの町々には、再び良いものが散り乱れる。主は、再びシオンを慰め、エルサレムを再び選ぶ。』」 + 私が目を上げて見ると、なんと、四つの角があった。 + 私が、私と話していた御使いに、「これらは何ですか」と尋ねると、彼は私に言った。「これらは、ユダとイスラエルとエルサレムとを散らした角だ。」 + そのとき、主は四人の職人を私に見せてくださった。 + 私が、「この者たちは、何をしに来たのですか」と尋ねると、主はこう仰せられた。「これらはユダを散らして、だれにも頭をもたげさせなかった角だ。この者たちは、これらの角を恐れさせ、また、ユダの地を散らそうと角をもたげる国々の角を打ち滅ぼすためにやって来たのだ。」 + + + 私が目を上げて見ると、なんと、ひとりの人がいて、その手に一本の測り綱があった。 + 私がその人に、「あなたはどこへ行かれるのですか」と尋ねると、彼は答えた。「エルサレムを測りに行く。その幅と長さがどれほどあるかを見るために。」 + 私と話していた御使いが出て行くと、すぐ、もうひとりの御使いが、彼に会うために出て行った。 + そして彼に言った。「走って行って、あの若者にこう告げなさい。『エルサレムは、その中の多くの人と家畜のため、城壁のない町とされよう。 + しかし、わたしが、それを取り巻く火の城壁となる。――主の御告げ――わたしがその中の栄光となる。』 + さあ、さあ。北の国から逃げよ。――主の御告げ――天の四方の風のように、わたしがあなたがたを散らしたからだ。――主の御告げ―― + さあ、シオンにのがれよ。バビロンの娘とともに住む者よ。 + 主の栄光が、あなたがたを略奪した国々に私を遣わして後、万軍の主はこう仰せられる。『あなたがたに触れる者は、わたしのひとみに触れる者だ。 + 見よ。わたしは、こぶしを彼らに振り上げる。彼らは自分に仕えた者たちのとりことなる』と。このとき、あなたがたは、万軍の主が私を遣わされたことを知ろう。 + シオンの娘よ。喜び歌え。楽しめ。見よ。わたしは来て、あなたのただ中に住む。――主の御告げ―― + その日、多くの国々が主につき、彼らはわたしの民となり、わたしはあなたのただ中に住む。あなたは、万軍の主が私をあなたに遣わされたことを知ろう。 + 主は、聖なる地で、ユダに割り当て地を分け与え、エルサレムを再び選ばれる。」 + すべての肉なる者よ。主の前で静まれ。主が立ち上がって、その聖なる住まいから来られるからだ。 + + + 主は私に、主の使いの前に立っている大祭司ヨシュアと、彼を訴えようとしてその右手に立っているサタンとを見せられた。 + 主はサタンに仰せられた。「サタンよ。主がおまえをとがめている。エルサレムを選んだ主が、おまえをとがめている。これは、火から取り出した燃えさしではないか。」 + ヨシュアは、よごれた服を着て、御使いの前に立っていた。 + 御使いは、自分の前に立っている者たちに答えてこう言った。「彼のよごれた服を脱がせよ。」そして彼はヨシュアに言った。「見よ。わたしは、あなたの不義を除いた。あなたに礼服を着せよう。」 + 私は言った。「彼の頭に、きよいターバンをかぶらせなければなりません。」すると彼らは、彼の頭にきよいターバンをかぶらせ、彼に服を着せた。そのとき、主の使いはそばに立っていた。 + 主の使いはヨシュアをさとして言った。 + 「万軍の主はこう仰せられる。もし、あなたがわたしの道に歩み、わたしの戒めを守るなら、あなたはまた、わたしの宮を治め、わたしの庭を守るようになる。わたしは、あなたをこれらの立っている者たちの間で、宮に出入りする者とする。 + 聞け。大祭司ヨシュアよ。あなたとあなたの前にすわっているあなたの同僚たちは、しるしとなる人々だ。見よ。わたしは、わたしのしもべ、一つの若枝を来させる。 + 見よ。わたしがヨシュアの前に置いた石。その一つの石の上に七つの目があり、見よ、わたしはそれに彫り物を刻む。――万軍の主の御告げ――わたしはまた、その国の不義を一日のうちに取り除く。 + その日には、――万軍の主の御告げ――あなたがたは互いに自分の友を、ぶどうの木の下といちじくの木の下に招き合うであろう。」 + + + 私と話していた御使いが戻って来て、私を呼びさましたので、私は眠りからさまされた人のようであった。 + 彼は私に言った。「あなたは何を見ているのか。」そこで私は答えた。「私が見ますと、全体が金でできている一つの燭台があります。その上部には、鉢があり、その鉢の上には七つのともしび皿があり、この上部にあるともしび皿には、それぞれ七つの管がついています。 + また、そのそばには二本のオリーブの木があり、一本はこの鉢の右に、他の一本はその左にあります。」 + さらに私は、私と話していた御使いにこう言った。「主よ。これらは何ですか。」 + 私と話していた御使いが答えて言った。「あなたは、これらが何か知らないのか。」私は言った。「主よ。知りません。」 + すると彼は、私に答えてこう言った。「これは、ゼルバベルへの主のことばだ。『権力によらず、能力によらず、わたしの霊によって』と万軍の主は仰せられる。 + 大いなる山よ。おまえは何者だ。ゼルバベルの前で平地となれ。彼は、『恵みあれ。これに恵みあれ』と叫びながら、かしら石を運び出そう。」 + ついで私に次のような主のことばがあった。 + 「ゼルバベルの手が、この宮の礎を据えた。彼の手が、それを完成する。このとき、あなたは、万軍の主が私をあなたがたに遣わされたことを知ろう。 + だれが、その日を小さな事としてさげすんだのか。これらは、ゼルバベルの手にある下げ振りを見て喜ぼう。これらの七つは、全地を行き巡る主の目である。」 + 私はまた、彼に尋ねて言った。「燭台の右左にある、この二本のオリーブの木は何ですか。」 + 私は再び尋ねて言った。「二本の金の管によって油をそそぎ出すこのオリーブの二本の枝は何ですか。」 + すると彼は、私にこう言った。「あなたは、これらが何か知らないのか。」私は言った。「主よ。知りません。」 + 彼は言った。「これらは、全地の主のそばに立つ、ふたりの油そそがれた者だ。」 + + + 私が再び目を上げて見ると、なんと、巻き物が飛んでいた。 + 彼は私に言った。「何を見ているのか。」私は答えた。「飛んでいる巻き物を見ています。その長さは二十キュビト、その幅は十キュビトです。」 + すると彼は、私に言った。「これは、全地の面に出て行くのろいだ。盗む者はだれでも、これに照らし合わせて取り除かれ、また、偽って誓う者はだれでも、これに照らし合わせて取り除かれる。」 + 「わたしが、それを出て行かせる。――万軍の主の御告げ――それは、盗人の家に入り、また、わたしの名を使って偽りの誓いを立てる者の家に入り、その家の真ん中にとどまり、その家を梁と石とともに絶ち滅ぼす。」 + 私と話していた御使いが出て来て、私に言った。「目を上げて、この出て行く物が何かを見よ。」 + 私が、「それは何ですか」と尋ねると、彼は言った。「これは、出て行くエパ枡だ。」そして言った。「これは、全地にある彼らの罪だ。」 + 見よ。鉛のふたが持ち上げられ、エパ枡の中にひとりの女がすわっていた。 + 彼は、「これは罪悪だ」と言って、その女をエパ枡の中に閉じ込め、その口の上に鉛の重しをかぶせた。 + それから、私が目を上げて見ると、なんと、ふたりの女が出て来た。その翼は風をはらんでいた。彼女たちには、こうのとりの翼のような翼があり、彼女たちは、あのエパ枡を地と天との間に持ち上げた。 + そこで私は、私と話していた御使いに尋ねた。「あの者たちは、エパ枡をどこへ持って行くのですか。」 + 彼は私に言った。「シヌアルの地で、あの女のために神殿を建てる。それが整うと、そこの台の上に安置するためだ。」 + + + 私が再び目を上げて見ると、なんと、四台の戦車が二つの山の間から出て来ていた。山は青銅の山であった。 + 第一の戦車は赤い馬が、第二の戦車は黒い馬が、 + 第三の戦車は白い馬が、第四の戦車はまだら毛の強い馬が引いていた。 + 私は、私と話していた御使いに尋ねて言った。「主よ。これらは何ですか。」 + 御使いは答えて言った。「これらは、全地の主の前に立って後、天の四方に出て行くものだ。 + そのうち、黒い馬は北の地へ出て行き、白い馬はそのあとに出て行き、まだら毛の馬は南の地へ出て行く。 + この強い馬が出て行き、地を駆け巡ろうとしているのだ。」そこで彼が、「行って、地を駆け巡れ」と言うと、それらは地を駆け巡った。 + そのとき、彼は私にこう告げた。「見よ。北の地へ出て行ったものを。それらは北の地で、わたしの怒りを静める。」 + ついで私に次のような主のことばがあった。 + 「捕囚の民であったヘルダイ、トビヤ、エダヤからささげ物を受け取り、その日、あなたはバビロンから帰って来たゼパニヤの子ヨシヤの家へ行け。 + あなたは金と銀を取って、冠を作り、それをエホツァダクの子、大祭司ヨシュアの頭にかぶらせ、 + 彼にこう言え。『万軍の主はこう仰せられる。見よ。ひとりの人がいる。その名は若枝。彼のいる所から芽を出し、主の神殿を建て直す。 + 彼は主の神殿を建て、彼は尊厳を帯び、その王座に着いて支配する。その王座のかたわらに、ひとりの祭司がいて、このふたりの間には平和の一致がある。』 + その冠は、ヘルダイ、トビヤ、エダヤ、ゼパニヤの子ヨシヤの記念として、主の神殿のうちに残ろう。 + また、遠く離れていた者たちも来て、主の神殿を建て直そう。このとき、あなたがたは、万軍の主が私をあなたがたに遣わされたことを知ろう。もし、あなたがたが、あなたがたの神、主の御声に、ほんとうに聞き従うなら、そのようになる。」 + + + ダリヨス王の第四年の第九の月、すなわち、キスレウの月の四日に、ゼカリヤに主のことばがあった。 + そのとき、ベテルは、サル・エツェルとレゲム・メレクおよびその従者たちを、主に願うために遣わし、 + 万軍の主の宮に仕える祭司たちと、預言者たちに尋ねさせた。「私が長年やってきたように、第五の月にも、断食をして泣かなければならないでしょうか。」 + すると、私に次のような万軍の主のことばがあった。 + 「この国のすべての民と祭司たちに向かってこう言え。この七十年の間、あなたがたが、第五の月と第七の月に断食して嘆いたとき、このわたしのために断食したのか。 + あなたがたが食べたり飲んだりするとき、食べるのも飲むのも、自分たちのためではなかったか。 + エルサレムとその回りの町々に人が住み、平和であったとき、また、ネゲブや低地に人が住んでいたとき、主が先の預言者たちを通して告げられたのは、次のことではなかったか。」 + ついで、ゼカリヤに次のような主のことばがあった。 + 万軍の主はこう仰せられる。「正しいさばきを行い、互いに誠実を尽くし、あわれみ合え。 + やもめ、みなしご、在留異国人、貧しい者をしいたげるな。互いに心の中で悪をたくらむな。」 + それなのに、彼らはこれを聞こうともせず、肩を怒らし、耳をふさいで聞き入れなかった。 + 彼らは心を金剛石のようにして、万軍の主がその御霊により、先の預言者たちを通して送られたおしえとみことばを、聞き入れなかった。そこで、万軍の主から大きな怒りが下った。 + 「呼ばれたときも、彼らは聞かなかった。そのように、彼らが呼んでも、わたしは聞かない」と万軍の主は仰せられる。 + 「わたしは、彼らを知らないすべての国々に彼らを追い散らす。この国は、彼らが去ったあと、荒れすたれて、行き来する者もいなくなる。こうして彼らはこの慕わしい国を荒れすたらせた。」 + + + 次のような万軍の主のことばがあった。 + 万軍の主はこう仰せられる。「わたしは、シオンをねたむほど激しく愛し、ひどい憤りでこれをねたむ。」 + 主はこう仰せられる。「わたしはシオンに帰り、エルサレムのただ中に住もう。エルサレムは真実の町と呼ばれ、万軍の主の山は聖なる山と呼ばれよう。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「再び、エルサレムの広場には、老いた男、老いた女がすわり、年寄りになって、みな手に杖を持とう。 + 町の広場は、広場で遊ぶ男の子や女の子でいっぱいになろう。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「もし、これが、その日、この民の残りの者の目に不思議に見えても、わたしの目に、これが不思議に見えるだろうか。――万軍の主の御告げ――」 + 万軍の主はこう仰せられる。「見よ。わたしは、わたしの民を日の出る地と日の入る地から救い、 + 彼らを連れ帰り、エルサレムの中に住ませる。このとき、彼らはわたしの民となり、わたしは真実と正義をもって彼らの神となる。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「勇気を出せ。あなたがたは、万軍の主の家である神殿を建てるための礎が据えられた日以来、預言者たちの口から、これらのことばを日ごろ聞いているではないか。 + その日以前は、人がかせいでも報酬がなく、家畜がかせいでも報酬がなかった。出て行く者にも、帰って来る者にも、敵がいるために平安はなかった。わたしがすべての人を互いに争わせたからだ。 + しかし、今は、わたしはこの民の残りの者に対して、先の日のようではない。――万軍の主の御告げ―― + それは、平安の種が蒔かれ、ぶどうの木は実を結び、地は産物を出し、天は露を降らすからだ。わたしはこの民の残りの者に、これらすべてを継がせよう。 + ユダの家よ。イスラエルの家よ。あなたがたは諸国の民の間でのろいとなったが、そのように、わたしはあなたがたを救って、祝福とならせる。恐れるな。勇気を出せ。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「あなたがたの先祖がわたしを怒らせたとき、わたしはあなたがたにわざわいを下そうと考えた。――万軍の主は仰せられる――そしてわたしは思い直さなかった。 + しかし、このごろ、わたしはエルサレムとユダの家とに幸いを下そうと考えている。恐れるな。 + これがあなたがたのしなければならないことだ。互いに真実を語り、あなたがたの町囲みのうちで、真実と平和のさばきを行え。 + 互いに心の中で悪を計るな。偽りの誓いを愛するな。これらはみな、わたしが憎むからだ。――主の御告げ――」 + さらに、私に次のような万軍の主のことばがあった。 + 万軍の主はこう仰せられる。「第四の月の断食、第五の月の断食、第七の月の断食、第十の月の断食は、ユダの家にとっては、楽しみとなり、喜びとなり、うれしい例祭となる。だから、真実と平和を愛せよ。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「再び、国々の民と多くの町々の住民がやって来る。 + 一つの町の住民は他の町の住民のところへ行き、『さあ、行って、主の恵みを請い、万軍の主を尋ね求めよう。私も行こう』と言う。 + 多くの国々の民、強い国々がエルサレムで万軍の主を尋ね求め、主の恵みを請うために来よう。」 + 万軍の主はこう仰せられる。「その日には、外国語を話すあらゆる民のうちの十人が、ひとりのユダヤ人のすそを堅くつかみ、『私たちもあなたがたといっしょに行きたい。神があなたがたとともにおられる、と聞いたからだ』と言う。」 + + + 宣告。/主のことばはハデラクの地にあり、ダマスコは、そのとどまる所。/主の目は人に向けられ、イスラエルの全部族に向けられている。 + これに境を接するハマテにも、また、非常に知恵のあるツロやシドンにも/向けられている。 + ツロは自分のために、とりでを築き、銀をちりのように積み、黄金を道ばたの泥のように積み上げた。 + 見よ。主はツロを占領し、その塁を打ち倒して海に入れる。/ツロは火で焼き尽くされる。 + アシュケロンは見て恐れ、ガザもひどくおののく。エクロンもそうだ。/その頼みにしていたものが/はずかしめられたのだから。/ガザからは王が消えうせ、アシュケロンには人が住まなくなる。 + アシュドデには混血の民が住むようになる。/わたしはペリシテ人の誇りを絶やし、 + その口から流血の罪を除き、その歯の間から忌まわしいものを取り除く。/彼も、私たちの神のために残され、ユダの中の一首長のようになる。/エクロンもエブス人のようになる。 + わたしは、わたしの家のために、行き来する者を見張る衛所に立つ。/それでもう、しいたげる者はそこを通らない。/今わたしがこの目で見ているからだ。 + シオンの娘よ。大いに喜べ。/エルサレムの娘よ。喜び叫べ。/見よ。あなたの王があなたのところに来られる。/この方は正しい方で、救いを賜り、柔和で、ろばに乗られる。/それも、雌ろばの子の子ろばに。 + わたしは戦車をエフライムから、軍馬をエルサレムから絶やす。/戦いの弓も断たれる。/この方は諸国の民に平和を告げ、その支配は海から海へ、大川から地の果てに至る。 + あなたについても、あなたとの契約の血によって、わたしはあなたの捕らわれ人を、水のない穴から解き放つ。 + 望みを持つ捕らわれ人よ。とりでに帰れ。/わたしは、きょうもまた告げ知らせる。/わたしは二倍のものをあなたに返すと。 + わたしはユダを曲げてわたしの弓とし、これにエフライムをつがえたのだ。/シオンよ。わたしはあなたの子らを奮い立たせる。/ヤワンはあなたの子らを攻めるが、わたしはあなたを勇士の剣のようにする。 + 主は彼らの上に現れ、その矢はいなずまのように放たれる。/神である主は角笛を吹き鳴らし、南の暴風の中を進まれる。 + 万軍の主が彼らをかばうので、彼らは石投げを使う者を滅ぼして踏みつけ、彼らの血をぶどう酒のように飲み、鉢のように、祭壇の四隅の角のように、満たされる。 + その日、彼らの神、主は、彼らを/主の民の群れとして救われる。/彼らはその地で、きらめく王冠の宝石となる。 + それは、なんとしあわせなことよ。/それは、なんと麗しいことよ。/穀物は若い男たちを栄えさせ、新しいぶどう酒は若い女たちを栄えさせる。 + + + 後の雨の時に、主に雨を求めよ。/主はいなびかりを造り、大雨を人々に与え、野の草をすべての人に下さる。 + テラフィムはつまらないことをしゃべり、占い師は偽りを見、夢見る者はむなしいことを語り、むなしい慰めを与えた。/それゆえ、人々は羊のようにさまよい、羊飼いがいないので悩む。 + わたしの怒りは羊飼いたちに向かって燃える。/わたしは雄やぎを罰しよう。/万軍の主はご自分の群れであるユダの家を訪れ、彼らを戦場のすばらしい馬のようにされる。 + この群れからかしら石が、この群れから鉄のくいが、この群れからいくさ弓が、この群れからすべての指揮者が、ともどもに出て来る。 + 道ばたの泥を踏みつける勇士のようになって、彼らは戦場で戦う。/主が彼らとともにおられるからだ。/馬に乗る者どもは恥を見る。 + わたしはユダの家を強め、ヨセフの家を救う。/わたしは彼らを連れ戻す。/わたしが彼らをあわれむからだ。/彼らは、わたしに捨てられなかった者のようになる。/わたしが、彼らの神、主であり、彼らに答えるからだ。 + エフライムは勇士のようになり、その心はぶどう酒に酔ったように喜ぶ。/彼らの子らは見て喜び、その心は主にあって大いに楽しむ。 + わたしは彼らに合図して、彼らを集める。/わたしが彼らを贖ったからだ。/彼らは以前のように数がふえる。 + わたしは彼らを国々の民の間にまき散らすが、彼らは遠くの国々でわたしを思い出し、その子らとともに生きながらえて帰って来る。 + わたしは彼らをエジプトの地から連れ帰り、アッシリヤから彼らを寄せ集める。/わたしはギルアデの地とレバノンへ/彼らを連れて行くが、そこも彼らには足りなくなる。 + 彼らは苦難の海を渡り、海では波を打つ。/彼らはナイル川のすべての淵をからす。/アッシリヤの誇りは低くされ、エジプトの杖は離れる。 + 彼らの力は主にあり、彼らは主の名によって歩き回る。/――主の御告げ―― + + + レバノンよ。おまえの門をあけよ。/火が、おまえの杉の木を焼き尽くそう。 + もみの木よ。泣きわめけ。/杉の木は倒れ、みごとな木々が荒らされたからだ。/バシャンの樫の木よ。泣きわめけ。/深い森が倒れたからだ。 + 聞け。牧者たちの嘆きを。/彼らのみごとな木々が荒らされたからだ。/聞け。若い獅子のほえる声を。/ヨルダンの茂みが荒らされたからだ。 + 私の神、主は、こう仰せられる。「ほふるための羊の群れを養え。 + これを買った者が、これをほふっても、罪にならない。これを売る者は、『主はほむべきかな。私も富みますように』と言っている。その牧者たちは、これを惜しまない。 + わたしが、もう、この地の住民を惜しまないからだ。――主の御告げ――見よ。わたしは、人をそれぞれ隣人の手に渡し、王の手に渡す。彼らはこの地を打ち砕くが、わたしは彼らの手からこれを救い出さない。」 + 私は羊の商人たちのために、ほふられる羊の群れを飼った。私は二本の杖を取り、一本を「慈愛」と名づけ、他の一本を、「結合」と名づけた。こうして、私は群れを飼った。 + 私は一月のうちに三人の牧者を消し去った。私の心は、彼らにがまんできなくなり、彼らの心も、私をいやがった。 + 私は言った。「私はもう、あなたがたを飼わない。死にたい者は死ね。隠されたい者は隠されよ。残りの者は、互いに相手の肉を食べるがよい。」 + 私は、私の杖、慈愛の杖を取り上げ、それを折った。私がすべての民と結んだ私の契約を破るためである。 + その日、それは破られた。そのとき、私を見守っていた羊の商人たちは、それが主のことばであったことを知った。 + 私は彼らに言った。「あなたがたがよいと思うなら、私に賃金を払いなさい。もし、そうでないなら、やめなさい。」すると彼らは、私の賃金として、銀三十シェケルを量った。 + 主は私に仰せられた。「彼らによってわたしが値積もりされた尊い価を、陶器師に投げ与えよ。」そこで、私は銀三十を取り、それを主の宮の陶器師に投げ与えた。 + そして私は、結合という私のもう一本の杖を折った。これはユダとイスラエルとの間の兄弟関係を破るためであった。 + 主は私に仰せられた。「あなたは、もう一度、愚かな牧者の道具を取れ。 + 見よ。わたしはひとりの牧者をこの地に起こすから。彼は迷い出たものを尋ねず、散らされたものを捜さず、傷ついたものをいやさず、飢えているものに食べ物を与えない。かえって肥えた獣の肉を食らい、そのひづめを裂く。 + ああ。/羊の群れを見捨てる、能なしの牧者。/剣がその腕とその右の目を打ち、その腕はなえ、その右の目は視力が衰える。」 + + + 宣告。/イスラエルについての主のことば。/――天を張り、地の基を定め、人の霊をその中に造られた方、主の御告げ―― + 見よ。わたしはエルサレムを、その回りのすべての国々の民をよろめかす杯とする。ユダについてもそうなる。エルサレムの包囲されるときに。 + その日、わたしはエルサレムを、すべての国々の民にとって重い石とする。すべてそれをかつぐ者は、ひどく傷を受ける。地のすべての国々は、それに向かって集まって来よう。 + その日、――主の御告げ――わたしは、すべての馬を打って驚かせ、その乗り手を打って狂わせる。しかし、わたしはユダの家の上に目を開き、国々の民のすべての馬を打って盲目にする。 + ユダの首長たちは心の中で言おう。エルサレムの住民の力は彼らの神、万軍の主にある、と。 + その日、わたしは、ユダの首長たちを、たきぎの中にある火鉢のようにし、麦束の中にある燃えているたいまつのようにする。彼らは右も左も、回りのすべての国々の民を焼き尽くす。しかし、エルサレムは、エルサレムのもとの所にそのまま残る。 + 主は初めに、ユダの天幕を救われる。それは、ダビデの家の栄えと、エルサレムの住民の栄えとが、ユダ以上に大きくならないためである。 + その日、主は、エルサレムの住民をかばわれる。その日、彼らのうちのよろめき倒れた者もダビデのようになり、ダビデの家は神のようになり、彼らの先頭に立つ主の使いのようになる。 + その日、わたしは、エルサレムに攻めて来るすべての国々を捜して滅ぼそう。 + わたしは、ダビデの家とエルサレムの住民の上に、恵みと哀願の霊を注ぐ。彼らは、自分たちが突き刺した者、わたしを仰ぎ見、ひとり子を失って嘆くように、その者のために嘆き、初子を失って激しく泣くように、その者のために激しく泣く。 + その日、エルサレムでの嘆きは、メギドの平地のハダデ・リモンのための嘆きのように大きいであろう。 + この地はあの氏族もこの氏族も/ひとり嘆く。/ダビデの家の氏族はひとり嘆き、その妻たちもひとり嘆く。/ナタンの家の氏族はひとり嘆き、その妻たちもひとり嘆く。 + レビの家の氏族はひとり嘆き、その妻たちもひとり嘆く。/シムイの氏族はひとり嘆き、その妻たちもひとり嘆く。 + 残りのすべての氏族は/あの氏族もこの氏族もひとり嘆き、その妻たちもひとり嘆く。 + + + その日、ダビデの家とエルサレムの住民のために、罪と汚れをきよめる一つの泉が開かれる。 + その日、――万軍の主の御告げ――わたしは、偶像の名をこの国から断ち滅ぼす。その名はもう覚えられない。わたしはまた、その預言者たちと汚れの霊をこの国から除く。 + なお預言する者があれば、彼を生んだ父と母とが彼に向かって言うであろう。「あなたは生きていてはならない。主の名を使ってうそを告げたから」と。彼を生んだ父と母が、彼の預言しているときに、彼を刺し殺そう。 + その日、その預言者たちはみな、預言するときに見るその幻で恥を見よう。彼らはもう人を欺くための毛衣を着なくなる。 + また、彼は、「私は預言者ではない。私は土地を耕す者だ。若い時から土地を持っている」と言う。 + だれかが彼に、「あなたの両腕の間にあるこの打ち傷は何か」と聞くなら、彼は、「私の愛人の家で打たれた傷です」と言おう。 + 剣よ。目をさましてわたしの牧者を攻め、わたしの仲間の者を攻めよ。/――万軍の主の御告げ――/牧者を打ち殺せ。/そうすれば、羊は散って行き、わたしは、この手を子どもたちに向ける。 + 全地はこうなる。/――主の御告げ――/その三分の二は断たれ、死に絶え、三分の一がそこに残る。 + わたしは、その三分の一を火の中に入れ、銀を練るように彼らを練り、金をためすように彼らをためす。/彼らはわたしの名を呼び、わたしは彼らに答える。/わたしは「これはわたしの民」と言い、彼らは「主は私の神」と言う。 + + + 見よ。主の日が来る。その日、あなたから分捕った物が、あなたの中で分けられる。 + わたしは、すべての国々を集めて、エルサレムを攻めさせる。町は取られ、家々は略奪され、婦女は犯される。町の半分は捕囚となって出て行く。しかし、残りの民は町から断ち滅ぼされない。 + 主が出て来られる。決戦の日に戦うように、それらの国々と戦われる。 + その日、主の足は、エルサレムの東に面するオリーブ山の上に立つ。オリーブ山は、その真ん中で二つに裂け、東西に延びる非常に大きな谷ができる。山の半分は北へ移り、他の半分は南へ移る。 + 山々の谷がアツァルにまで達するので、あなたがたは、わたしの山々の谷に逃げよう。ユダの王ウジヤの時、地震を避けて逃げたように、あなたがたは逃げよう。私の神、主が来られる。すべての聖徒たちも主とともに来る。 + その日には、光も、寒さも、霜もなくなる。 + これはただ一つの日であって、これは主に知られている。昼も夜もない。夕暮れ時に、光がある。 + その日には、エルサレムから湧き水が流れ出て、その半分は東の海に、他の半分は西の海に流れ、夏にも冬にも、それは流れる。 + 主は地のすべての王となられる。その日には、主はただひとり、御名もただ一つとなる。 + 全土はゲバからエルサレムの南リモンまで、アラバのように変わる。エルサレムは高められ、もとの所にあって、ベニヤミンの門から第一の門まで、隅の門まで、またハナヌエルのやぐらから王の酒ぶねのところまで、そのまま残る。 + そこには人々が住み、もはや絶滅されることはなく、エルサレムは安らかに住む。 + 主は、エルサレムを攻めに来るすべての国々の民にこの災害を加えられる。彼らの肉をまだ足で立っているうちに腐らせる。彼らの目はまぶたの中で腐り、彼らの舌は口の中で腐る。 + その日、主は、彼らの間に大恐慌を起こさせる。彼らは互いに手でつかみ合い、互いになぐりかかる。 + ユダもエルサレムに戦いをしかけ、回りのすべての国々の財宝は、金、銀、衣服など非常に多く集められる。 + 馬、騾馬、らくだ、ろば、彼らの宿営にいるすべての家畜のこうむる災害は、先の災害と同じである。 + エルサレムに攻めて来たすべての民のうち、生き残った者はみな、毎年、万軍の主である王を礼拝し、仮庵の祭りを祝うために上って来る。 + 地上の諸氏族のうち、万軍の主である王を礼拝しにエルサレムへ上って来ない氏族の上には、雨が降らない。 + もし、エジプトの氏族が上って来ないなら、雨は彼らの上に降らず、仮庵の祭りを祝いに上って来ない諸国の民を主が打つその災害が彼らに下る。 + これが、エジプトへの刑罰となり、仮庵の祭りを祝いに上って来ないすべての国々への刑罰となる。 + その日、馬の鈴の上には、「主への聖なるもの」と刻まれ、主の宮の中のなべは、祭壇の前の鉢のようになる。 + エルサレムとユダのすべてのなべは、万軍の主への聖なるものとなる。いけにえをささげる者はみな来て、その中から取り、それで煮るようになる。その日、万軍の主の宮にはもう商人がいなくなる。 + +
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+ + 宣告。マラキを通してイスラエルにあった主のことば。 + 「わたしはあなたがたを愛している」と/主は仰せられる。/あなたがたは言う。/「どのように、あなたが私たちを/愛されたのですか」と。/「エサウはヤコブの兄ではなかったか。/――主の御告げ――/わたしはヤコブを愛した。 + わたしはエサウを憎み、彼の山を荒れ果てた地とし、彼の継いだ地を荒野のジャッカルのものとした。」 + たといエドムが、「私たちは打ち砕かれた。/だが、廃墟を建て直そう」と言っても、万軍の主はこう仰せられる。「彼らは建てるが、わたしは打ちこわす。彼らは、悪の国と言われ、主のとこしえにのろう民と呼ばれる。」 + あなたがたの目はこれを見て言おう。/「主はイスラエルの地境を越えて偉大な方だ」と。 + 「子は父を敬い、しもべはその主人を敬う。/もし、わたしが父であるなら、どこに、わたしへの尊敬があるのか。/もし、わたしが主人であるなら、どこに、わたしへの恐れがあるのか。/――万軍の主は、あなたがたに仰せられる――/わたしの名をさげすむ祭司たち。/あなたがたは言う。/『どのようにして、私たちがあなたの名をさげすみましたか』と。 + あなたがたは、わたしの祭壇の上に汚れたパンをささげて、『どのようにして、私たちがあなたを汚しましたか』と言う。/『主の食卓はさげすまれてもよい』と/あなたがたは思っている。 + あなたがたは、盲目の獣をいけにえにささげるが、それは悪いことではないか。/足のなえたものや病気のものをささげるのは、悪いことではないか。/さあ、あなたの総督のところに/それを差し出してみよ。/彼はあなたをよみし、あなたを受け入れるだろうか。/――万軍の主は仰せられる―― + さあ、今、恵みを受けるために神に願ってみよ。/これはあなたがたの手によることだ。/神はあなたがたのうちだれかを、受け入れてくださるだろうか。/――万軍の主は仰せられる―― + あなたがたのうちにさえ、あなたがたがわたしの祭壇に、いたずらに火を点ずることがないように、戸を閉じる人は、だれかいないのか。/わたしは、あなたがたを喜ばない。/――万軍の主は仰せられる――/わたしは、あなたがたの手からのささげ物を/受け入れない。 + 日の出る所から、その沈む所まで、わたしの名は諸国の民の間であがめられ、すべての場所で、わたしの名のために、きよいささげ物がささげられ、香がたかれる。/わたしの名が諸国の民の間で/あがめられているからだ。/――万軍の主は仰せられる―― + しかし、あなたがたは、『主の食卓は汚れている。/その果実も食物もさげすまれている』と言って、祭壇を冒瀆している。 + あなたがたはまた、『見よ。なんとうるさいことか』と言って、それを軽蔑する。/――万軍の主は仰せられる――/あなたがたは、かすめたもの、足のなえたもの、病気のものを連れて来て、ささげ物としてささげている。/わたしが、それをあなたがたの手から、喜んで、受け入れるだろうか。/――主は仰せられる―― + 群れのうちに雄の獣がいて、これをささげると誓いながら、損傷のあるのを主にささげるずるい者は、のろわれる。/わたしが大いなる王であり、わたしの名が諸国の民の間で、恐れられているからだ。/――万軍の主は仰せられる―― + + + 祭司たちよ。/今、この命令があなたがたに下される。 + もし、あなたがたが聞き入れず、もし、わたしの名に栄光を帰することを/心に留めないなら、――万軍の主は仰せられる――/わたしは、あなたがたの中にのろいを送り、あなたがたへの祝福をのろいに変える。/もう、それをのろいに変えている。/あなたがたが、これを心に留めないからだ。 + 見よ。わたしは、あなたがたの子孫を責め、あなたがたの顔に糞をまき散らす。/あなたがたの祭りの糞を。/あなたがたはそれとともに投げ捨てられる。 + このとき、あなたがたは、わたしが、レビとのわたしの契約を保つために、あなたがたにこの命令を送ったことを知ろう。/――万軍の主は仰せられる―― + わたしの彼との契約は、いのちと平和であって、わたしは、それらを彼に与えた。/それは恐れであったので、彼は、わたしを恐れ、わたしの名の前におののいた。 + 彼の口には真理の教えがあり、彼のくちびるには不正がなかった。/平和と公正のうちに、彼はわたしとともに歩み、多くの者を罪から立ち返らせた。 + 祭司のくちびるは知識を守り、人々は彼の口から教えを求める。/彼は万軍の主の使いであるからだ。 + しかし、あなたがたは道からはずれ、多くの者を教えによってつまずかせ、レビとの契約をそこなった。/――万軍の主は仰せられる―― + わたしもまた、あなたがたを、すべての民にさげすまれ、軽んじられる者とする。/あなたがたがわたしの道を守らず、えこひいきをして教えたからだ。」 + 私たちはみな、ただひとりの父を持っているではないか。/ただひとりの神が、私たちを創造したではないか。/なぜ私たちは、互いに裏切り合い、私たちの先祖の契約を汚すのか。 + ユダは裏切り、イスラエルとエルサレムの中では/忌まわしいことが行われている。/まことにユダは、主の愛された主の聖所を汚し、外国の神の娘をめとった。 + どうか主が、このようなことをする者を、たといその者が/万軍の主にささげ物をささげても、ひとり残らずヤコブの天幕から/断ってくださるように。 + あなたがたはもう一つのことをしている。/あなたがたは、涙と、悲鳴と、嘆きで/主の祭壇をおおっている。/主がもうささげ物を顧みず、あなたがたの手から、それを喜んで受け取らないからだ。 + 「なぜなのか」とあなたがたは言う。/それは主が、あなたとあなたの若い時の妻との証人であり、あなたがその妻を裏切ったからだ。/彼女はあなたの伴侶であり、あなたの契約の妻であるのに。 + 神は人を一体に造られたのではないか。彼には、霊の残りがある。その一体の人は何を求めるのか。神の子孫ではないか。あなたがたは、あなたがたの霊に注意せよ。あなたの若い時の妻を裏切ってはならない。 + 「わたしは、離婚を憎む」とイスラエルの神、主は仰せられる。「わたしは、暴力でその着物をおおう」と万軍の主は仰せられる。あなたがたは、あなたがたの霊に注意せよ。裏切ってはならない。 + あなたがたは、あなたがたのことばで主を煩わした。/しかし、あなたがたは言う。/「どのようにして、私たちは煩わしたのか。」/「悪を行う者もみな主の心にかなっている。/主は彼らを喜ばれる。/さばきの神はどこにいるのか」と/あなたがたは言っているのだ。 + + + 「見よ。わたしは、わたしの使者を遣わす。/彼はわたしの前に道を整える。/あなたがたが尋ね求めている主が、突然、その神殿に来る。/あなたがたが望んでいる契約の使者が、見よ、来ている」と万軍の主は仰せられる。 + だれが、この方の来られる日に耐えられよう。/だれが、この方の現れるとき立っていられよう。/まことに、この方は、精錬する者の火、布をさらす者の灰汁のようだ。 + この方は、銀を精錬し、これをきよめる者として座に着き、レビの子らをきよめ、彼らを金のように、銀のように純粋にする。/彼らは、主に、義のささげ物をささげる者となり、 + ユダとエルサレムのささげ物は、昔の日のように、ずっと前の年のように、主を喜ばせる。 + 「わたしは、さばきのため、あなたがたのところに近づく。/わたしは、ためらうことなく証人となり、呪術者、姦淫を行う者、偽って誓う者、不正な賃金で雇い人をしいたげ、やもめやみなしごを苦しめる者、在留異国人を押しのけて、わたしを恐れない者たちに、向かう。/――万軍の主は仰せられる―― + 主であるわたしは変わることがない。/ヤコブの子らよ。/あなたがたは、滅ぼし尽くされない。 + あなたがたの先祖の時代から、あなたがたは、わたしのおきてを離れ、それを守らなかった。/わたしのところに帰れ。そうすれば、わたしもあなたがたのところに帰ろう。/――万軍の主は仰せられる――/しかし、あなたがたは、『どのようにして、私たちは帰ろうか』と言う。 + 人は神のものを盗むことができようか。/ところが、あなたがたは/わたしのものを盗んでいる。/しかも、あなたがたは言う。/『どのようにして、私たちはあなたのものを盗んだでしょうか。』/それは、十分の一と奉納物によってである。 + あなたがたはのろいを受けている。/あなたがたは、わたしのものを盗んでいる。/この民全体が盗んでいる。 + 十分の一をことごとく、宝物倉に携えて来て、わたしの家の食物とせよ。/こうしてわたしをためしてみよ。/――万軍の主は仰せられる――/わたしがあなたがたのために、天の窓を開き、あふれるばかりの祝福を/あなたがたに注ぐかどうかをためしてみよ。 + わたしはあなたがたのために、いなごをしかって、あなたがたの土地の産物を滅ぼさないようにし、畑のぶどうの木が不作とならないようにする。/――万軍の主は仰せられる―― + すべての国民は、あなたがたをしあわせ者と言うようになる。/あなたがたが喜びの地となるからだ」と/万軍の主は仰せられる。 + 「あなたがたはわたしに/かたくななことを言う」と主は仰せられる。/あなたがたは言う。「私たちはあなたに対して、何を言いましたか。」 + あなたがたは言う。/「神に仕えるのはむなしいことだ。/神の戒めを守っても、万軍の主の前で悲しんで歩いても、何の益になろう。 + 今、私たちは、高ぶる者をしあわせ者と言おう。/悪を行っても栄え、神を試みても罰を免れる」と。 + そのとき、主を恐れる者たちが、互いに語り合った。/主は耳を傾けて、これを聞かれた。/主を恐れ、主の御名を尊ぶ者たちのために、主の前で、記憶の書がしるされた。 + 「彼らは、わたしのものとなる。/――万軍の主は仰せられる――/わたしが事を行う日に、わたしの宝となる。/人が自分に仕える子をあわれむように、わたしは彼らをあわれむ。 + あなたがたは再び、正しい人と悪者、神に仕える者と仕えない者との違いを/見るようになる。 + + + 見よ。その日が来る。/かまどのように燃えながら。/その日、すべて高ぶる者、すべて悪を行う者は、わらとなる。/来ようとしているその日は、彼らを焼き尽くし、根も枝も残さない。/――万軍の主は仰せられる―― + しかし、わたしの名を恐れるあなたがたには、義の太陽が上り、その翼には、いやしがある。/あなたがたは外に出て、牛舎の子牛のようにはね回る。 + あなたがたはまた、悪者どもを踏みつける。/彼らは、わたしが事を行う日に、あなたがたの足の下で灰となるからだ。/――万軍の主は仰せられる―― + あなたがたは、わたしのしもべモーセの律法を記憶せよ。/それは、ホレブで、イスラエル全体のために、わたしが彼に命じたおきてと定めである。 + 見よ。わたしは、主の大いなる恐ろしい日が来る前に、預言者エリヤをあなたがたに遣わす。 + 彼は、父の心を子に向けさせ、子の心をその父に向けさせる。/それは、わたしが来て、のろいでこの地を打ち滅ぼさないためだ。」 + +
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+ + アブラハムの子孫、ダビデの子孫、イエス・キリストの系図。 + アブラハムにイサクが生まれ、イサクにヤコブが生まれ、ヤコブにユダとその兄弟たちが生まれ、 + ユダに、タマルによってパレスとザラが生まれ、パレスにエスロンが生まれ、エスロンにアラムが生まれ、 + アラムにアミナダブが生まれ、アミナダブにナアソンが生まれ、ナアソンにサルモンが生まれ、 + サルモンに、ラハブによってボアズが生まれ、ボアズに、ルツによってオベデが生まれ、オベデにエッサイが生まれ、 + エッサイにダビデ王が生まれた。/ダビデに、ウリヤの妻によってソロモンが生まれ、 + ソロモンにレハブアムが生まれ、レハブアムにアビヤが生まれ、アビヤにアサが生まれ、 + アサにヨサパテが生まれ、ヨサパテにヨラムが生まれ、ヨラムにウジヤが生まれ、 + ウジヤにヨタムが生まれ、ヨタムにアハズが生まれ、アハズにヒゼキヤが生まれ、 + ヒゼキヤにマナセが生まれ、マナセにアモンが生まれ、アモンにヨシヤが生まれ、 + ヨシヤに、バビロン移住のころエコニヤとその兄弟たちが生まれた。 + バビロン移住の後、エコニヤにサラテルが生まれ、サラテルにゾロバベルが生まれ、 + ゾロバベルにアビウデが生まれ、アビウデにエリヤキムが生まれ、エリヤキムにアゾルが生まれ、 + アゾルにサドクが生まれ、サドクにアキムが生まれ、アキムにエリウデが生まれ、 + エリウデにエレアザルが生まれ、エレアザルにマタンが生まれ、マタンにヤコブが生まれ、 + ヤコブにマリヤの夫ヨセフが生まれた。キリストと呼ばれるイエスはこのマリヤからお生まれになった。 + それで、アブラハムからダビデまでの代が全部で十四代、ダビデからバビロン移住までが十四代、バビロン移住からキリストまでが十四代になる。 + イエス・キリストの誕生は次のようであった。その母マリヤはヨセフの妻と決まっていたが、ふたりがまだいっしょにならないうちに、聖霊によって身重になったことがわかった。 + 夫のヨセフは正しい人であって、彼女をさらし者にはしたくなかったので、内密に去らせようと決めた。 + 彼がこのことを思い巡らしていたとき、主の使いが夢に現れて言った。「ダビデの子ヨセフ。恐れないであなたの妻マリヤを迎えなさい。その胎に宿っているものは聖霊によるのです。 + マリヤは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です。」 + このすべての出来事は、主が預言者を通して言われた事が成就するためであった。 + 「見よ、処女がみごもっている。そして男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる。」(訳すと、神は私たちとともにおられる、という意味である。) + ヨセフは眠りからさめ、主の使いに命じられたとおりにして、その妻を迎え入れ、 + そして、子どもが生まれるまで彼女を知ることがなく、その子どもの名をイエスとつけた。 + + + イエスが、ヘロデ王の時代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東方の博士たちがエルサレムにやって来て、こう言った。 + 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方はどこにおいでになりますか。私たちは、東のほうでその方の星を見たので、拝みにまいりました。」 + それを聞いて、ヘロデ王は恐れ惑った。エルサレム中の人も王と同様であった。 + そこで、王は、民の祭司長たち、学者たちをみな集めて、キリストはどこで生まれるのかと問いただした。 + 彼らは王に言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者によってこう書かれているからです。 + 『ユダの地、ベツレヘム。/あなたはユダを治める者たちの中で、決して一番小さくはない。/わたしの民イスラエルを治める支配者が、あなたから出るのだから。』」 + そこで、ヘロデはひそかに博士たちを呼んで、彼らから星の出現の時間を突き止めた。 + そして、こう言って彼らをベツレヘムに送った。「行って幼子のことを詳しく調べ、わかったら知らせてもらいたい。私も行って拝むから。」 + 彼らは王の言ったことを聞いて出かけた。すると、見よ、東方で見た星が彼らを先導し、ついに幼子のおられる所まで進んで行き、その上にとどまった。 + その星を見て、彼らはこの上もなく喜んだ。 + そしてその家に入って、母マリヤとともにおられる幼子を見、ひれ伏して拝んだ。そして、宝の箱をあけて、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげた。 + それから、夢でヘロデのところへ戻るなという戒めを受けたので、別の道から自分の国へ帰って行った。 + 彼らが帰って行ったとき、見よ、主の使いが夢でヨセフに現れて言った。「立って、幼子とその母を連れ、エジプトへ逃げなさい。そして、私が知らせるまで、そこにいなさい。ヘロデがこの幼子を捜し出して殺そうとしています。」 + そこで、ヨセフは立って、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトに立ちのき、 + ヘロデが死ぬまでそこにいた。これは、主が預言者を通して、「わたしはエジプトから、わたしの子を呼び出した」と言われた事が成就するためであった。 + その後、ヘロデは、博士たちにだまされたことがわかると、非常におこって、人をやって、ベツレヘムとその近辺の二歳以下の男の子をひとり残らず殺させた。その年齢は博士たちから突き止めておいた時間から割り出したのである。 + そのとき、預言者エレミヤを通して言われた事が成就した。 + 「ラマで声がする。/泣き、そして嘆き叫ぶ声。/ラケルがその子らのために泣いている。/ラケルは慰められることを拒んだ。/子らがもういないからだ。」 + ヘロデが死ぬと、見よ、主の使いが、夢でエジプトにいるヨセフに現れて、言った。 + 「立って、幼子とその母を連れて、イスラエルの地に行きなさい。幼子のいのちをつけねらっていた人たちは死にました。」 + そこで、彼は立って、幼子とその母を連れて、イスラエルの地に入った。 + しかし、アケラオが父ヘロデに代わってユダヤを治めていると聞いたので、そこに行ってとどまることを恐れた。そして、夢で戒めを受けたので、ガリラヤ地方に立ちのいた。 + そして、ナザレという町に行って住んだ。これは預言者たちを通して「この方はナザレ人と呼ばれる」と言われた事が成就するためであった。 + + + そのころ、バプテスマのヨハネが現れ、ユダヤの荒野で教えを宣べて、言った。 + 「悔い改めなさい。天の御国が近づいたから。」 + この人は預言者イザヤによって、「荒野で叫ぶ者の声がする。/『主の道を用意し、主の通られる道をまっすぐにせよ。』」/と言われたその人である。 + このヨハネは、らくだの毛の着物を着、腰には皮の帯を締め、その食べ物はいなごと野蜜であった。 + さて、エルサレム、ユダヤ全土、ヨルダン川沿いの全地域の人々がヨハネのところへ出て行き、 + 自分の罪を告白して、ヨルダン川で彼からバプテスマを受けた。 + しかし、パリサイ人やサドカイ人が大ぜいバプテスマを受けに来るのを見たとき、ヨハネは彼らに言った。/「まむしのすえたち。だれが必ず来る御怒りをのがれるように教えたのか。 + それなら、悔い改めにふさわしい実を結びなさい。 + 『われわれの父はアブラハムだ』と心の中で言うような考えではいけない。あなたがたに言っておくが、神は、この石ころからでも、アブラハムの子孫を起こすことがおできになるのです。 + 斧もすでに木の根元に置かれています。だから、良い実を結ばない木は、みな切り倒されて、火に投げ込まれます。 + 私は、あなたがたが悔い改めるために、水のバプテスマを授けていますが、私のあとから来られる方は、私よりもさらに力のある方です。私はその方のはきものを脱がせてあげる値うちもありません。その方は、あなたがたに聖霊と火とのバプテスマをお授けになります。 + 手に箕を持っておられ、ご自分の脱穀場をすみずみまできよめられます。麦を倉に納め、殻を消えない火で焼き尽くされます。」 + さて、イエスは、ヨハネからバプテスマを受けるために、ガリラヤからヨルダンにお着きになり、ヨハネのところに来られた。 + しかし、ヨハネはイエスにそうさせまいとして、言った。「私こそ、あなたからバプテスマを受けるはずですのに、あなたが、私のところにおいでになるのですか。」 + ところが、イエスは答えて言われた。「今はそうさせてもらいたい。このようにして、すべての正しいことを実行するのは、わたしたちにふさわしいのです。」そこで、ヨハネは承知した。 + こうして、イエスはバプテスマを受けて、すぐに水から上がられた。すると、天が開け、神の御霊が鳩のように下って、自分の上に来られるのをご覧になった。 + また、天からこう告げる声が聞こえた。「これは、わたしの愛する子、わたしはこれを喜ぶ。」 + + + さて、イエスは、悪魔の試みを受けるため、御霊に導かれて荒野に上って行かれた。 + そして、四十日四十夜断食したあとで、空腹を覚えられた。 + すると、試みる者が近づいて来て言った。「あなたが神の子なら、この石がパンになるように、命じなさい。」 + イエスは答えて言われた。「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』と書いてある。」 + すると、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、神殿の頂に立たせて、 + 言った。「あなたが神の子なら、下に身を投げてみなさい。『神は御使いたちに命じて、その手にあなたをささえさせ、あなたの足が石に打ち当たることのないようにされる』と書いてありますから。」 + イエスは言われた。「『あなたの神である主を試みてはならない』とも書いてある。」 + 今度は悪魔は、イエスを非常に高い山に連れて行き、この世のすべての国々とその栄華を見せて、 + 言った。「もしひれ伏して私を拝むなら、これを全部あなたに差し上げましょう。」 + イエスは言われた。「引き下がれ、サタン。『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えよ』と書いてある。」 + すると悪魔はイエスを離れて行き、見よ、御使いたちが近づいて来て仕えた。 + ヨハネが捕らえられたと聞いてイエスは、ガリラヤへ立ちのかれた。 + そしてナザレを去って、カペナウムに来て住まわれた。ゼブルンとナフタリとの境にある、湖のほとりの町である。 + これは、預言者イザヤを通して言われた事が、成就するためであった。すなわち、 + 「ゼブルンの地とナフタリの地、湖に向かう道、ヨルダンの向こう岸、異邦人のガリラヤ。 + 暗やみの中にすわっていた民は偉大な光を見、死の地と死の陰にすわっていた人々に、光が上った。」 + この時から、イエスは宣教を開始して、言われた。「悔い改めなさい。天の御国が近づいたから。」 + イエスがガリラヤ湖のほとりを歩いておられたとき、ふたりの兄弟、ペテロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレをご覧になった。彼らは湖で網を打っていた。漁師だったからである。 + イエスは彼らに言われた。「わたしについて来なさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう。」 + 彼らはすぐに網を捨てて従った。 + そこからなお行かれると、イエスは、別のふたりの兄弟、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネが、父ゼベダイといっしょに舟の中で網を繕っているのをご覧になり、ふたりをお呼びになった。 + 彼らはすぐに舟も父も残してイエスに従った。 + イエスはガリラヤ全土を巡って、会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、民の中のあらゆる病気、あらゆるわずらいを直された。 + イエスのうわさはシリヤ全体に広まった。それで人々は、さまざまな病気や痛みに苦しむ病人、悪霊につかれた人、てんかんの人、中風の人などをみな、みもとに連れて来た。イエスは彼らをいやされた。 + こうしてガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤおよびヨルダンの向こう岸から大ぜいの群衆がイエスにつき従った。 + + + この群衆を見て、イエスは山に登り、おすわりになると、弟子たちがみもとに来た。 + そこで、イエスは口を開き、彼らに教えて、言われた。 + 「心の貧しい者は幸いです。天の御国はその人たちのものだから。 + 悲しむ者は幸いです。その人たちは慰められるから。 + 柔和な者は幸いです。その人たちは地を受け継ぐから。 + 義に飢え渇く者は幸いです。その人たちは満ち足りるから。 + あわれみ深い者は幸いです。その人たちはあわれみを受けるから。 + 心のきよい者は幸いです。その人たちは神を見るから。 + 平和をつくる者は幸いです。その人たちは神の子どもと呼ばれるから。 + 義のために迫害されている者は幸いです。天の御国はその人たちのものだから。 + わたしのために人々があなたがたをののしり、迫害し、ありもしないことで悪口を浴びせるとき、あなたがたは幸いです。 + 喜びなさい。喜びおどりなさい。天ではあなたがたの報いは大きいから。あなたがたより前にいた預言者たちを、人々はそのように迫害したのです。 + あなたがたは、地の塩です。もし塩が塩けをなくしたら、何によって塩けをつけるのでしょう。もう何の役にも立たず、外に捨てられて、人々に踏みつけられるだけです。 + あなたがたは、世界の光です。山の上にある町は隠れる事ができません。 + また、あかりをつけて、それを枡の下に置く者はありません。燭台の上に置きます。そうすれば、家にいる人々全部を照らします。 + このように、あなたがたの光を人々の前で輝かせ、人々があなたがたの良い行いを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい。 + わたしが来たのは律法や預言者を廃棄するためだと思ってはなりません。廃棄するためにではなく、成就するために来たのです。 + まことに、あなたがたに告げます。天地が滅びうせない限り、律法の中の一点一画でも決してすたれることはありません。全部が成就されます。 + だから、戒めのうち最も小さいものの一つでも、これを破ったり、また破るように人に教えたりする者は、天の御国で、最も小さい者と呼ばれます。しかし、それを守り、また守るように教える者は、天の御国で、偉大な者と呼ばれます。 + まことに、あなたがたに告げます。もしあなたがたの義が、律法学者やパリサイ人の義にまさるものでないなら、あなたがたは決して天の御国に、入れません。 + 昔の人々に、『人を殺してはならない。人を殺す者はさばきを受けなければならない』と言われたのを、あなたがたは聞いています。 + しかし、わたしはあなたがたに言います。兄弟に向かって腹を立てる者は、だれでもさばきを受けなければなりません。兄弟に向かって『能なし』と言うような者は、最高議会に引き渡されます。また、『ばか者』と言うような者は燃えるゲヘナに投げ込まれます。 + だから、祭壇の上に供え物をささげようとしているとき、もし兄弟に恨まれていることをそこで思い出したなら、 + 供え物はそこに、祭壇の前に置いたままにして、出て行って、まずあなたの兄弟と仲直りをしなさい。それから、来て、その供え物をささげなさい。 + あなたを告訴する者とは、あなたが彼といっしょに途中にある間に早く仲良くなりなさい。そうでないと、告訴する者は、あなたを裁判官に引き渡し、裁判官は下役に引き渡して、あなたはついに牢に入れられることになります。 + まことに、あなたに告げます。あなたは最後の一コドラントを支払うまでは、そこから出ては来られません。 + 『姦淫してはならない』と言われたのを、あなたがたは聞いています。 + しかし、わたしはあなたがたに言います。だれでも情欲をいだいて女を見る者は、すでに心の中で姦淫を犯したのです。 + もし、右の目が、あなたをつまずかせるなら、えぐり出して、捨ててしまいなさい。からだの一部を失っても、からだ全体ゲヘナに投げ込まれるよりは、よいからです。 + もし、右の手があなたをつまずかせるなら、切って、捨ててしまいなさい。からだの一部を失っても、からだ全体ゲヘナに落ちるよりは、よいからです。 + また『だれでも、妻を離別する者は、妻に離婚状を与えよ』と言われています。 + しかし、わたしはあなたがたに言います。だれであっても、不貞以外の理由で妻を離別する者は、妻に姦淫を犯させるのです。また、だれでも、離別された女と結婚すれば、姦淫を犯すのです。 + さらにまた、昔の人々に、『偽りの誓いを立ててはならない。あなたの誓ったことを主に果たせ』と言われていたのを、あなたがたは聞いています。 + しかし、わたしはあなたがたに言います。決して誓ってはいけません。すなわち、天をさして誓ってはいけません。そこは神の御座だからです。 + 地をさして誓ってもいけません。そこは神の足台だからです。エルサレムをさして誓ってもいけません。そこは偉大な王の都だからです。 + あなたの頭をさして誓ってもいけません。あなたは、一本の髪の毛すら、白くも黒くもできないからです。 + だから、あなたがたは、『はい』は『はい』、『いいえ』は『いいえ』とだけ言いなさい。それ以上のことは悪いことです。 + 『目には目で、歯には歯で』と言われたのを、あなたがたは聞いています。 + しかし、わたしはあなたがたに言います。悪い者に手向かってはいけません。あなたの右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい。 + あなたを告訴して下着を取ろうとする者には、上着もやりなさい。 + あなたに一ミリオン行けと強いるような者とは、いっしょに二ミリオン行きなさい。 + 求める者には与え、借りようとする者は断らないようにしなさい。 + 『自分の隣人を愛し、自分の敵を憎め』と言われたのを、あなたがたは聞いています。 + しかし、わたしはあなたがたに言います。自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。 + それでこそ、天におられるあなたがたの父の子どもになれるのです。天の父は、悪い人にも良い人にも太陽を上らせ、正しい人にも正しくない人にも雨を降らせてくださるからです。 + 自分を愛してくれる者を愛したからといって、何の報いが受けられるでしょう。取税人でも、同じことをしているではありませんか。 + また、自分の兄弟にだけあいさつしたからといって、どれだけまさったことをしたのでしょう。異邦人でも同じことをするではありませんか。 + だから、あなたがたは、天の父が完全なように、完全でありなさい。 + + + 人に見せるために人前で善行をしないように気をつけなさい。そうでないと、天におられるあなたがたの父から、報いが受けられません。 + だから、施しをするときには、人にほめられたくて会堂や通りで施しをする偽善者たちのように、自分の前でラッパを吹いてはいけません。まことに、あなたがたに告げます。彼らはすでに自分の報いを受け取っているのです。 + あなたは、施しをするとき、右の手のしていることを左の手に知られないようにしなさい。 + あなたの施しが隠れているためです。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます。 + また、祈るときには、偽善者たちのようであってはいけません。彼らは、人に見られたくて会堂や通りの四つ角に立って祈るのが好きだからです。まことに、あなたがたに告げます。彼らはすでに自分の報いを受け取っているのです。 + あなたは、祈るときには自分の奥まった部屋に入りなさい。そして、戸をしめて、隠れた所におられるあなたの父に祈りなさい。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が、あなたに報いてくださいます。 + また、祈るとき、異邦人のように同じことばを、ただくり返してはいけません。彼らはことば数が多ければ聞かれると思っているのです。 + だから、彼らのまねをしてはいけません。あなたがたの父なる神は、あなたがたがお願いする先に、あなたがたに必要なものを知っておられるからです。 + だから、こう祈りなさい。/『天にいます私たちの父よ。/御名があがめられますように。 + 御国が来ますように。/みこころが天で行われるように地でも行われますように。 + 私たちの日ごとの糧をきょうもお与えください。 + 私たちの負いめをお赦しください。/私たちも、私たちに負いめのある人たちを赦しました。 + 私たちを試みに会わせないで、悪からお救いください。』〔国と力と栄えは、とこしえにあなたのものだからです。アーメン。〕 + もし人の罪を赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたを赦してくださいます。 + しかし、人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの罪をお赦しになりません。 + 断食するときには、偽善者たちのようにやつれた顔つきをしてはいけません。彼らは、断食していることが人に見えるようにと、その顔をやつすのです。まことに、あなたがたに告げます。彼らはすでに自分の報いを受け取っているのです。 + しかし、あなたが断食するときには、自分の頭に油を塗り、顔を洗いなさい。 + それは、断食していることが、人には見られないで、隠れた所におられるあなたの父に見られるためです。そうすれば、隠れた所で見ておられるあなたの父が報いてくださいます。 + 自分の宝を地上にたくわえるのはやめなさい。そこでは虫とさびで、きず物になり、また盗人が穴をあけて盗みます。 + 自分の宝は、天にたくわえなさい。そこでは、虫もさびもつかず、盗人が穴をあけて盗むこともありません。 + あなたの宝のあるところに、あなたの心もあるからです。 + からだのあかりは目です。それで、もしあなたの目が健全なら、あなたの全身が明るいが、 + もし、目が悪ければ、あなたの全身が暗いでしょう。それなら、もしあなたのうちの光が暗ければ、その暗さはどんなでしょう。 + だれも、ふたりの主人に仕えることはできません。一方を憎んで他方を愛したり、一方を重んじて他方を軽んじたりするからです。あなたがたは、神にも仕え、また富にも仕えるということはできません。 + だから、わたしはあなたがたに言います。自分のいのちのことで、何を食べようか、何を飲もうかと心配したり、また、からだのことで、何を着ようかと心配したりしてはいけません。いのちは食べ物よりたいせつなもの、からだは着物よりたいせつなものではありませんか。 + 空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。けれども、あなたがたの天の父がこれを養っていてくださるのです。あなたがたは、鳥よりも、もっとすぐれたものではありませんか。 + あなたがたのうちだれが、心配したからといって、自分のいのちを少しでも延ばすことができますか。 + なぜ着物のことで心配するのですか。野のゆりがどうして育つのか、よくわきまえなさい。働きもせず、紡ぎもしません。 + しかし、わたしはあなたがたに言います。栄華を窮めたソロモンでさえ、このような花の一つほどにも着飾ってはいませんでした。 + きょうあっても、あすは炉に投げ込まれる野の草さえ、神はこれほどに装ってくださるのだから、ましてあなたがたに、よくしてくださらないわけがありましょうか。信仰の薄い人たち。 + そういうわけだから、何を食べるか、何を飲むか、何を着るか、などと言って心配するのはやめなさい。 + こういうものはみな、異邦人が切に求めているものなのです。しかし、あなたがたの天の父は、それがみなあなたがたに必要であることを知っておられます。 + だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。 + だから、あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその日その日に、十分あります。 + + + さばいてはいけません。さばかれないためです。 + あなたがたがさばくとおりに、あなたがたもさばかれ、あなたがたが量るとおりに、あなたがたも量られるからです。 + また、なぜあなたは、兄弟の目の中のちりに目をつけるが、自分の目の中の梁には気がつかないのですか。 + 兄弟に向かって、『あなたの目のちりを取らせてください』などとどうして言うのですか。見なさい、自分の目には梁があるではありませんか。 + 偽善者よ。まず自分の目から梁を取りのけなさい。そうすれば、はっきり見えて、兄弟の目からも、ちりを取り除くことができます。 + 聖なるものを犬に与えてはいけません。また豚の前に、真珠を投げてはなりません。それを足で踏みにじり、向き直ってあなたがたを引き裂くでしょうから。 + 求めなさい。そうすれば与えられます。捜しなさい。そうすれば見つかります。たたきなさい。そうすれば開かれます。 + だれであれ、求める者は受け、捜す者は見つけ出し、たたく者には開かれます。 + あなたがたも、自分の子がパンを下さいと言うときに、だれが石を与えるでしょう。 + また、子が魚を下さいと言うのに、だれが蛇を与えるでしょう。 + してみると、あなたがたは、悪い者ではあっても、自分の子どもには良い物を与えることを知っているのです。とすれば、なおのこと、天におられるあなたがたの父が、どうして、求める者たちに良いものを下さらないことがありましょう。 + それで、何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。これが律法であり預言者です。 + 狭い門から入りなさい。滅びに至る門は大きく、その道は広いからです。そして、そこから入って行く者が多いのです。 + いのちに至る門は小さく、その道は狭く、それを見いだす者はまれです。 + にせ預言者たちに気をつけなさい。彼らは羊のなりをしてやって来るが、うちは貪欲な狼です。 + あなたがたは、実によって彼らを見分けることができます。ぶどうは、いばらからは取れないし、いちじくは、あざみから取れるわけがないでしょう。 + 同様に、良い木はみな良い実を結ぶが、悪い木は悪い実を結びます。 + 良い木が悪い実をならせることはできないし、また、悪い木が良い実をならせることもできません。 + 良い実を結ばない木は、みな切り倒されて、火に投げ込まれます。 + こういうわけで、あなたがたは、実によって彼らを見分けることができるのです。 + わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う者がみな天の御国に入るのではなく、天におられるわたしの父のみこころを行う者が入るのです。 + その日には、大ぜいの者がわたしに言うでしょう。『主よ、主よ。私たちはあなたの名によって預言をし、あなたの名によって悪霊を追い出し、あなたの名によって奇蹟をたくさん行ったではありませんか。』 + しかし、その時、わたしは彼らにこう宣告します。『わたしはあなたがたを全然知らない。不法をなす者ども。わたしから離れて行け。』 + だから、わたしのこれらのことばを聞いてそれを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができます。 + 雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけたが、それでも倒れませんでした。岩の上に建てられていたからです。 + また、わたしのこれらのことばを聞いてそれを行わない者はみな、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができます。 + 雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまいました。しかもそれはひどい倒れ方でした。」 + イエスがこれらのことばを語り終えられると、群衆はその教えに驚いた。 + というのは、イエスが、律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように教えられたからである。 + + + イエスが山から降りて来られると、多くの群衆がイエスに従った。 + すると、ツァラアトに冒された人がみもとに来て、ひれ伏して言った。「主よ。お心一つで、私をきよくしていただけます。」 + イエスは手を伸ばして、彼にさわり、「わたしの心だ。きよくなれ」と言われた。すると、すぐに彼のツァラアトはきよめられた。 + イエスは彼に言われた。「気をつけて、だれにも話さないようにしなさい。ただ、人々へのあかしのために、行って、自分を祭司に見せなさい。そして、モーセの命じた供え物をささげなさい。」 + イエスがカペナウムに入られると、ひとりの百人隊長がみもとに来て、懇願して、 + 言った。「主よ。私のしもべが中風で、家に寝ていて、ひどく苦しんでいます。」 + イエスは彼に言われた。「行って、直してあげよう。」 + しかし、百人隊長は答えて言った。「主よ。あなたを私の屋根の下にお入れする資格は、私にはありません。ただ、おことばを下さい。そうすれば、私のしもべは直ります。 + と申しますのは、私も権威の下にある者ですが、私自身の下にも兵士たちがいまして、そのひとりに『行け』と言えば行きますし、別の者に『来い』と言えば来ます。また、しもべに『これをせよ』と言えば、そのとおりにいたします。」 + イエスは、これを聞いて驚かれ、ついて来た人たちにこう言われた。「まことに、あなたがたに告げます。わたしはイスラエルのうちのだれにも、このような信仰を見たことがありません。 + あなたがたに言いますが、たくさんの人が東からも西からも来て、天の御国で、アブラハム、イサク、ヤコブといっしょに食卓に着きます。 + しかし、御国の子らは外の暗やみに放り出され、そこで泣いて歯ぎしりするのです。」 + それから、イエスは百人隊長に言われた。「さあ行きなさい。あなたの信じたとおりになるように。」すると、ちょうどその時、そのしもべはいやされた。 + それから、イエスは、ペテロの家に来られて、ペテロのしゅうとめが熱病で床に着いているのをご覧になった。 + イエスが手にさわられると、熱がひき、彼女は起きてイエスをもてなした。 + 夕方になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れて来た。そこで、イエスはみことばをもって霊どもを追い出し、また病気の人々をみないやされた。 + これは、預言者イザヤを通して言われた事が成就するためであった。「彼が私たちのわずらいを身に引き受け、私たちの病を背負った。」 + さて、イエスは群衆が自分の回りにいるのをご覧になると、向こう岸に行くための用意をお命じになった。 + そこに、ひとりの律法学者が来てこう言った。「先生。私はあなたのおいでになる所なら、どこにでもついてまいります。」 + すると、イエスは彼に言われた。「狐には穴があり、空の鳥には巣があるが、人の子には枕する所もありません。」 + また、別のひとりの弟子がイエスにこう言った。「主よ。まず行って、私の父を葬ることを許してください。」 + ところが、イエスは彼に言われた。「わたしについて来なさい。死人たちに彼らの中の死人たちを葬らせなさい。」 + イエスが舟にお乗りになると、弟子たちも従った。 + すると、見よ、湖に大暴風が起こって、舟は大波をかぶった。ところが、イエスは眠っておられた。 + 弟子たちはイエスのみもとに来て、イエスを起こして言った。「主よ。助けてください。私たちはおぼれそうです。」 + イエスは言われた。「なぜこわがるのか、信仰の薄い者たちだ。」それから、起き上がって、風と湖をしかりつけられると、大なぎになった。 + 人々は驚いてこう言った。「風や湖までが言うことをきくとは、いったいこの方はどういう方なのだろう。」 + それから、向こう岸のガダラ人の地にお着きになると、悪霊につかれた人がふたり墓から出て来て、イエスに出会った。彼らはひどく狂暴で、だれもその道を通れないほどであった。 + すると、見よ、彼らはわめいて言った。「神の子よ。いったい私たちに何をしようというのです。まだその時ではないのに、もう私たちを苦しめに来られたのですか。」 + ところで、そこからずっと離れた所に、たくさんの豚の群れが飼ってあった。 + それで、悪霊どもはイエスに願ってこう言った。「もし私たちを追い出そうとされるのでしたら、どうか豚の群れの中にやってください。」 + イエスは彼らに「行け」と言われた。すると、彼らは出て行って豚に入った。すると、見よ、その群れ全体がどっとがけから湖へ駆け降りて行って、水におぼれて死んだ。 + 飼っていた者たちは逃げ出して町に行き、悪霊につかれた人たちのことなどを残らず知らせた。 + すると、見よ、町中の者がイエスに会いに出て来た。そして、イエスに会うと、どうかこの地方を立ち去ってくださいと願った。 + + + イエスは舟に乗って湖を渡り、自分の町に帰られた。 + すると、人々が中風の人を床に寝かせたままで、みもとに運んで来た。イエスは彼らの信仰を見て、中風の人に、「子よ。しっかりしなさい。あなたの罪は赦された」と言われた。 + すると、律法学者たちは、心の中で、「この人は神をけがしている」と言った。 + イエスは彼らの心の思いを知って言われた。「なぜ、心の中で悪いことを考えているのか。 + 『あなたの罪は赦された』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらがやさしいか。 + 人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを、あなたがたに知らせるために。」こう言って、それから中風の人に、「起きなさい。寝床をたたんで、家に帰りなさい」と言われた。 + すると、彼は起きて家に帰った。 + 群衆はそれを見て恐ろしくなり、こんな権威を人にお与えになった神をあがめた。 + イエスは、そこを去って道を通りながら、収税所にすわっているマタイという人をご覧になって、「わたしについて来なさい」と言われた。すると彼は立ち上がって、イエスに従った。 + イエスが家で食事の席に着いておられるとき、見よ、取税人や罪人が大ぜい来て、イエスやその弟子たちといっしょに食卓に着いていた。 + すると、これを見たパリサイ人たちが、イエスの弟子たちに言った。「なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人といっしょに食事をするのですか。」 + イエスはこれを聞いて言われた。「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。 + 『わたしはあわれみは好むが、いけにえは好まない』とはどういう意味か、行って学んで来なさい。わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招くために来たのです。」 + するとまた、ヨハネの弟子たちが、イエスのところに来てこう言った。「私たちとパリサイ人は断食するのに、なぜ、あなたの弟子たちは断食しないのですか。」 + イエスは彼らに言われた。「花婿につき添う友だちは、花婿がいっしょにいる間は、どうして悲しんだりできましょう。しかし、花婿が取り去られる時が来ます。そのときには断食します。 + だれも、真新しい布切れで古い着物の継ぎをするようなことはしません。そんな継ぎ切れは着物を引き破って、破れがもっとひどくなるからです。 + また、人は新しいぶどう酒を古い皮袋に入れるようなことはしません。そんなことをすれば、皮袋は裂けて、ぶどう酒が流れ出てしまい、皮袋もだめになってしまいます。新しいぶどう酒を新しい皮袋に入れれば、両方とも保ちます。」 + イエスがこれらのことを話しておられると、見よ、ひとりの会堂管理者が来て、ひれ伏して言った。「私の娘がいま死にました。でも、おいでくださって、娘の上に御手を置いてやってください。そうすれば娘は生き返ります。」 + イエスが立って彼について行かれると、弟子たちもついて行った。 + すると、見よ。十二年の間長血をわずらっている女が、イエスのうしろに来て、その着物のふさにさわった。 + 「お着物にさわることでもできれば、きっと直る」と心のうちで考えていたからである。 + イエスは、振り向いて彼女を見て言われた。「娘よ。しっかりしなさい。あなたの信仰があなたを直したのです。」すると、女はその時から全く直った。 + イエスはその管理者の家に来られて、笛吹く者たちや騒いでいる群衆を見て、 + 言われた。「あちらに行きなさい。その子は死んだのではない。眠っているのです。」すると、彼らはイエスをあざ笑った。 + イエスは群衆を外に出してから、うちにお入りになり、少女の手を取られた。すると少女は起き上がった。 + このうわさはその地方全体に広まった。 + イエスがそこを出て、道を通って行かれると、ふたりの盲人が大声で、「ダビデの子よ。私たちをあわれんでください」と叫びながらついて来た。 + 家に入られると、その盲人たちはみもとにやって来た。イエスが「わたしにそんなことができると信じるのか」と言われると、彼らは「そうです。主よ」と言った。 + そこで、イエスは彼らの目にさわって、「あなたがたの信仰のとおりになれ」と言われた。 + すると、彼らの目があいた。イエスは彼らをきびしく戒めて、「決してだれにも知られないように気をつけなさい」と言われた。 + ところが、彼らは出て行って、イエスのことをその地方全体に言いふらした。 + この人たちが出て行くと、見よ、悪霊につかれて口のきけない人が、みもとに連れて来られた。 + 悪霊が追い出されると、その人はものを言った。群衆は驚いて、「こんなことは、イスラエルでいまだかつて見たことがない」と言った。 + しかし、パリサイ人たちは、「彼は悪霊どものかしらを使って、悪霊どもを追い出しているのだ」と言った。 + それから、イエスは、すべての町や村を巡って、会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやされた。 + また、群衆を見て、羊飼いのない羊のように弱り果てて倒れている彼らをかわいそうに思われた。 + そのとき、弟子たちに言われた。「収穫は多いが、働き手が少ない。 + だから、収穫の主に、収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい。」 + + + イエスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊どもを制する権威をお授けになった。霊どもを追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやすためであった。 + さて、十二使徒の名は次のとおりである。まず、ペテロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレ、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ、 + ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、 + 熱心党員シモンとイエスを裏切ったイスカリオテ・ユダである。 + イエスは、この十二人を遣わし、そのとき彼らにこう命じられた。「異邦人の道に行ってはいけません。サマリヤ人の町に入ってはいけません。 + イスラエルの家の失われた羊のところに行きなさい。 + 行って、『天の御国が近づいた』と宣べ伝えなさい。 + 病人をいやし、死人を生き返らせ、ツァラアトに冒された者をきよめ、悪霊を追い出しなさい。あなたがたは、ただで受けたのだから、ただで与えなさい。 + 胴巻に金貨や銀貨や銅貨を入れてはいけません。 + 旅行用の袋も、二枚目の下着も、くつも、杖も持たずに行きなさい。働く者が食べ物を与えられるのは当然だからです。 + どんな町や村に入っても、そこでだれが適当な人かを調べて、そこを立ち去るまで、その人のところにとどまりなさい。 + その家に入るときには、平安を祈るあいさつをしなさい。 + その家がそれにふさわしい家なら、その平安はきっとその家に来るし、もし、ふさわしい家でないなら、その平安はあなたがたのところに返って来ます。 + もしだれも、あなたがたを受け入れず、あなたがたのことばに耳を傾けないなら、その家またはその町を出て行くときに、あなたがたの足のちりを払い落としなさい。 + まことに、あなたがたに告げます。さばきの日には、ソドムとゴモラの地でも、その町よりはまだ罰が軽いのです。 + いいですか。わたしが、あなたがたを遣わすのは、狼の中に羊を送り出すようなものです。ですから、蛇のようにさとく、鳩のようにすなおでありなさい。 + 人々には用心しなさい。彼らはあなたがたを議会に引き渡し、会堂でむち打ちますから。 + また、あなたがたは、わたしのゆえに、総督たちや王たちの前に連れて行かれます。それは、彼らと異邦人たちにあかしをするためです。 + 人々があなたがたを引き渡したとき、どのように話そうか、何を話そうかと心配するには及びません。話すべきことは、そのとき示されるからです。 + というのは、話すのはあなたがたではなく、あなたがたのうちにあって話されるあなたがたの父の御霊だからです。 + 兄弟は兄弟を死に渡し、父は子を死に渡し、子どもたちは両親に立ち逆らって、彼らを死なせます。 + また、わたしの名のために、あなたがたはすべての人々に憎まれます。しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます。 + 彼らがこの町であなたがたを迫害するなら、次の町にのがれなさい。というわけは、確かなことをあなたがたに告げるのですが、人の子が来るときまでに、あなたがたは決してイスラエルの町々を巡り尽くせないからです。 + 弟子はその師にまさらず、しもべはその主人にまさりません。 + 弟子がその師のようになれたら十分だし、しもべがその主人のようになれたら十分です。彼らは家長をベルゼブルと呼ぶぐらいですから、ましてその家族の者のことは、何と呼ぶでしょう。 + だから、彼らを恐れてはいけません。おおわれているもので、現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはありません。 + わたしが暗やみであなたがたに話すことを明るみで言いなさい。また、あなたがたが耳もとで聞くことを屋上で言い広めなさい。 + からだを殺しても、たましいを殺せない人たちなどを恐れてはなりません。そんなものより、たましいもからだも、ともにゲヘナで滅ぼすことのできる方を恐れなさい。 + 二羽の雀は一アサリオンで売っているでしょう。しかし、そんな雀の一羽でも、あなたがたの父のお許しなしには地に落ちることはありません。 + また、あなたがたの頭の毛さえも、みな数えられています。 + だから恐れることはありません。あなたがたは、たくさんの雀よりもすぐれた者です。 + ですから、わたしを人の前で認める者はみな、わたしも、天におられるわたしの父の前でその人を認めます。 + しかし、人の前でわたしを知らないと言うような者なら、わたしも天におられるわたしの父の前で、そんな者は知らないと言います。 + わたしが来たのは地に平和をもたらすためだと思ってはなりません。わたしは、平和をもたらすために来たのではなく、剣をもたらすために来たのです。 + なぜなら、わたしは人をその父に、娘をその母に、嫁をそのしゅうとめに逆らわせるために来たからです。 + さらに、家族の者がその人の敵となります。 + わたしよりも父や母を愛する者は、わたしにふさわしい者ではありません。また、わたしよりも息子や娘を愛する者は、わたしにふさわしい者ではありません。 + 自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしにふさわしい者ではありません。 + 自分のいのちを自分のものとした者はそれを失い、わたしのために自分のいのちを失った者は、それを自分のものとします。 + あなたがたを受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。また、わたしを受け入れる者は、わたしを遣わした方を受け入れるのです。 + 預言者を預言者だというので受け入れる者は、預言者の受ける報いを受けます。また、義人を義人だということで受け入れる者は、義人の受ける報いを受けます。 + わたしの弟子だというので、この小さい者たちのひとりに、水一杯でも飲ませるなら、まことに、あなたがたに告げます。その人は決して報いに漏れることはありません。」 + + + イエスはこのように十二弟子に注意を与え、それを終えられると、彼らの町々で教えたり宣べ伝えたりするため、そこを立ち去られた。 + さて、獄中でキリストのみわざについて聞いたヨハネは、その弟子たちに託して、 + イエスにこう言い送った。「おいでになるはずの方は、あなたですか。それとも、私たちは別の方を待つべきでしょうか。」 + イエスは答えて、彼らに言われた。「あなたがたは行って、自分たちの聞いたり見たりしていることをヨハネに報告しなさい。 + 目の見えない者が見、足のなえた者が歩き、ツァラアトに冒された者がきよめられ、耳の聞こえない者が聞き、死人が生き返り、貧しい者たちに福音が宣べ伝えられている。 + だれでもわたしにつまずかない者は幸いです。」 + この人たちが行ってしまうと、イエスは、ヨハネについて群衆に話しだされた。「あなたがたは、何を見に荒野に出て行ったのですか。風に揺れる葦ですか。 + でなかったら、何を見に行ったのですか。柔らかい着物を着た人ですか。柔らかい着物を着た人なら王の宮殿にいます。 + でなかったら、なぜ行ったのですか。預言者を見るためですか。そのとおり。だが、わたしが言いましょう。預言者よりもすぐれた者をです。 + この人こそ、『見よ、わたしは使いをあなたの前に遣わし、あなたの道を、あなたの前に備えさせよう。』/と書かれているその人です。 + まことに、あなたがたに告げます。女から生まれた者の中で、バプテスマのヨハネよりすぐれた人は出ませんでした。しかも、天の御国の一番小さい者でも、彼より偉大です。 + バプテスマのヨハネの日以来今日まで、天の御国は激しく攻められています。そして、激しく攻める者たちがそれを奪い取っています。 + ヨハネに至るまで、すべての預言者たちと律法とが預言をしたのです。 + あなたがたが進んで受け入れるなら、実はこの人こそ、きたるべきエリヤなのです。 + 耳のある者は聞きなさい。 + この時代は何にたとえたらよいでしょう。市場にすわっている子どもたちのようです。彼らは、ほかの子どもたちに呼びかけて、 + こう言うのです。/『笛を吹いてやっても、君たちは踊らなかった。/弔いの歌を歌ってやっても、悲しまなかった。』 + ヨハネが来て、食べも飲みもしないと、人々は『あれは悪霊につかれているのだ』と言い、 + 人の子が来て食べたり飲んだりしていると、『あれ見よ。食いしんぼうの大酒飲み、取税人や罪人の仲間だ』と言います。でも、知恵の正しいことは、その行いが証明します。」 + それから、イエスは、数々の力あるわざの行われた町々が悔い改めなかったので、責め始められた。 + 「ああコラジン。ああベツサイダ。おまえたちのうちで行われた力あるわざが、もしもツロとシドンで行われたのだったら、彼らはとうの昔に荒布をまとい、灰をかぶって悔い改めていたことだろう。 + しかし、そのツロとシドンのほうが、おまえたちに言うが、さばきの日には、まだおまえたちよりは罰が軽いのだ。 + カペナウム。どうしておまえが天に上げられることがありえよう。ハデスに落とされるのだ。おまえの中でなされた力あるわざが、もしもソドムでなされたのだったら、ソドムはきょうまで残っていたことだろう。 + しかし、そのソドムの地のほうが、おまえたちに言うが、さばきの日には、まだおまえよりは罰が軽いのだ。」 + そのとき、イエスはこう言われた。「天地の主であられる父よ。あなたをほめたたえます。これらのことを、賢い者や知恵のある者には隠して、幼子たちに現してくださいました。 + そうです、父よ。これがみこころにかなったことでした。 + すべてのものが、わたしの父から、わたしに渡されています。それで、父のほかには、子を知る者がなく、子と、子が父を知らせようと心に定めた人のほかは、だれも父を知る者がありません。 + すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。 + わたしは心優しく、へりくだっているから、あなたがたもわたしのくびきを負って、わたしから学びなさい。そうすればたましいに安らぎが来ます。 + わたしのくびきは負いやすく、わたしの荷は軽いからです。」 + + + そのころ、イエスは、安息日に麦畑を通られた。弟子たちはひもじくなったので、穂を摘んで食べ始めた。 + すると、パリサイ人たちがそれを見つけて、イエスに言った。「ご覧なさい。あなたの弟子たちが、安息日にしてはならないことをしています。」 + しかし、イエスは言われた。「ダビデとその連れの者たちが、ひもじかったときに、ダビデが何をしたか、読まなかったのですか。 + 神の家に入って、祭司のほかは自分も供の者たちも食べてはならない供えのパンを食べました。 + また、安息日に宮にいる祭司たちは安息日の神聖を冒しても罪にならないということを、律法で読んだことはないのですか。 + あなたがたに言いますが、ここに宮より大きな者がいるのです。 + 『わたしはあわれみは好むが、いけにえは好まない』ということがどういう意味かを知っていたら、あなたがたは、罪のない者たちを罪に定めはしなかったでしょう。 + 人の子は安息日の主です。」 + イエスはそこを去って、会堂に入られた。 + そこに片手のなえた人がいた。そこで彼らはイエスに質問して「安息日にいやすのは正しいことでしょうか」と言った。イエスを訴えるためであった。 + イエスは彼らに言われた。「あなたがたのうち、だれかが一匹の羊を持っていて、もしその羊が安息日に穴に落ちたら、それを引き上げてやらないでしょうか。 + 人間は羊より、はるかに値うちのあるものでしょう。それなら、安息日に良いことをすることは、正しいのです。」 + それから、イエスはその人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。彼が手を伸ばすと、手は直って、もう一方の手と同じようになった。 + パリサイ人は出て行って、どのようにしてイエスを滅ぼそうかと相談した。 + イエスはそれを知って、そこを立ち去られた。すると多くの人がついて来たので、彼らをみないやし、 + そして、ご自分のことを人々に知らせないようにと、彼らを戒められた。 + これは、預言者イザヤを通して言われた事が成就するためであった。 + 「これぞ、わたしの選んだわたしのしもべ、わたしの心の喜ぶわたしの愛する者。/わたしは彼の上にわたしの霊を置き、彼は異邦人に公義を宣べる。 + 争うこともなく、叫ぶこともせず、大路でその声を聞く者もない。 + 彼はいたんだ葦を折ることもなく、くすぶる燈心を消すこともない、公義を勝利に導くまでは。 + 異邦人は彼の名に望みをかける。」 + そのとき、悪霊につかれて、目も見えず、口もきけない人が連れて来られた。イエスが彼をいやされたので、その人はものを言い、目も見えるようになった。 + 群衆はみな驚いて言った。「この人は、ダビデの子なのだろうか。」 + これを聞いたパリサイ人は言った。「この人は、ただ悪霊どものかしらベルゼブルの力で、悪霊どもを追い出しているだけだ。」 + イエスは彼らの思いを知ってこう言われた。「どんな国でも、内輪もめして争えば荒れすたれ、どんな町でも家でも、内輪もめして争えば立ち行きません。 + もし、サタンがサタンを追い出していて仲間割れしたのだったら、どうしてその国は立ち行くでしょう。 + また、もしわたしがベルゼブルによって悪霊どもを追い出しているのなら、あなたがたの子らはだれによって追い出すのですか。だから、あなたがたの子らが、あなたがたをさばく人となるのです。 + しかし、わたしが神の御霊によって悪霊どもを追い出しているのなら、もう神の国はあなたがたのところに来ているのです。 + 強い人の家に入って家財を奪い取ろうとするなら、まずその人を縛ってしまわないで、どうしてそのようなことができましょうか。そのようにして初めて、その家を略奪することもできるのです。 + わたしの味方でない者はわたしに逆らう者であり、わたしとともに集めない者は散らす者です。 + だから、わたしはあなたがたに言います。人はどんな罪も冒?も赦していただけます。しかし、御霊に逆らう冒?は赦されません。 + また、人の子に逆らうことばを口にする者でも、赦されます。しかし、聖霊に逆らうことを言う者は、だれであっても、この世であろうと次に来る世であろうと、赦されません。 + 木が良ければ、その実も良いとし、木が悪ければその実も悪いとしなさい。木のよしあしはその実によって知られるからです。 + まむしのすえたち。おまえたち悪い者に、どうして良いことが言えましょう。心に満ちていることを口が話すのです。 + 良い人は、良い倉から良い物を取り出し、悪い人は、悪い倉から悪い物を取り出すものです。 + わたしはあなたがたに、こう言いましょう。人はその口にするあらゆるむだなことばについて、さばきの日には言い開きをしなければなりません。 + あなたが正しいとされるのは、あなたのことばによるのであり、罪に定められるのも、あなたのことばによるのです。」 + そのとき、律法学者、パリサイ人たちのうちのある者がイエスに答えて言った。「先生。私たちは、あなたからしるしを見せていただきたいのです。」 + しかし、イエスは答えて言われた。「悪い、姦淫の時代はしるしを求めています。だが預言者ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられません。 + ヨナは三日三晩大魚の腹の中にいましたが、同様に、人の子も三日三晩、地の中にいるからです。 + ニネベの人々が、さばきのときに、今の時代の人々とともに立って、この人々を罪に定めます。なぜなら、ニネベの人々はヨナの説教で悔い改めたからです。しかし、見なさい。ここにヨナよりもまさった者がいるのです。 + 南の女王が、さばきのときに、今の時代の人々とともに立って、この人々を罪に定めます。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てから来たからです。しかし、見なさい。ここにソロモンよりもまさった者がいるのです。 + 汚れた霊が人から出て行って、水のない地をさまよいながら休み場を捜しますが、見つかりません。 + そこで、『出て来た自分の家に帰ろう』と言って、帰って見ると、家はあいていて、掃除してきちんとかたづいていました。 + そこで、出かけて行って、自分よりも悪いほかの霊を七つ連れて来て、みな入り込んでそこに住みつくのです。そうなると、その人の後の状態は、初めよりもさらに悪くなります。邪悪なこの時代もまた、そういうことになるのです。」 + イエスがまだ群衆に話しておられるときに、イエスの母と兄弟たちが、イエスに何か話そうとして、外に立っていた。 + すると、だれかが言った。「ご覧なさい。あなたのお母さんと兄弟たちが、あなたに話そうとして外に立っています。」 + しかし、イエスはそう言っている人に答えて言われた。「わたしの母とはだれですか。また、わたしの兄弟たちとはだれですか。」 + それから、イエスは手を弟子たちのほうに差し伸べて言われた。「見なさい。わたしの母、わたしの兄弟たちです。 + 天におられるわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです。」 + + + その日、イエスは家を出て、湖のほとりにすわっておられた。 + すると、大ぜいの群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に移って腰をおろされた。それで群衆はみな浜に立っていた。 + イエスは多くのことを、彼らにたとえで話して聞かされた。/「種を蒔く人が種蒔きに出かけた。 + 蒔いているとき、道ばたに落ちた種があった。すると鳥が来て食べてしまった。 + また、別の種が土の薄い岩地に落ちた。土が深くなかったので、すぐに芽を出した。 + しかし、日が上ると、焼けて、根がないために枯れてしまった。 + また、別の種はいばらの中に落ちたが、いばらが伸びて、ふさいでしまった。 + 別の種は良い地に落ちて、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍の実を結んだ。 + 耳のある者は聞きなさい。」 + すると、弟子たちが近寄って来て、イエスに言った。「なぜ、彼らにたとえでお話しになったのですか。」 + イエスは答えて言われた。「あなたがたには、天の御国の奥義を知ることが許されているが、彼らには許されていません。 + というのは、持っている者はさらに与えられて豊かになり、持たない者は持っているものまでも取り上げられてしまうからです。 + わたしが彼らにたとえで話すのは、彼らは見てはいるが見ず、聞いてはいるが聞かず、また、悟ることもしないからです。 + こうしてイザヤの告げた預言が彼らの上に実現したのです。/『あなたがたは確かに聞きはするが、決して悟らない。/確かに見てはいるが、決してわからない。 + この民の心は鈍くなり、その耳は遠く、目はつぶっているからである。/それは、彼らがその目で見、その耳で聞き、その心で悟って立ち返り、わたしにいやされることのないためである。』 + しかし、あなたがたの目は見ているから幸いです。また、あなたがたの耳は聞いているから幸いです。 + まことに、あなたがたに告げます。多くの預言者や義人たちが、あなたがたの見ているものを見たいと、切に願ったのに見られず、あなたがたの聞いていることを聞きたいと、切に願ったのに聞けなかったのです。 + ですから、種蒔きのたとえを聞きなさい。 + 御国のことばを聞いても悟らないと、悪い者が来て、その人の心に蒔かれたものを奪って行きます。道ばたに蒔かれるとは、このような人のことです。 + また岩地に蒔かれるとは、みことばを聞くと、すぐに喜んで受け入れる人のことです。 + しかし、自分のうちに根がないため、しばらくの間そうするだけで、みことばのために困難や迫害が起こると、すぐにつまずいてしまいます。 + また、いばらの中に蒔かれるとは、みことばを聞くが、この世の心づかいと富の惑わしとがみことばをふさぐため、実を結ばない人のことです。 + ところが、良い地に蒔かれるとは、みことばを聞いてそれを悟る人のことで、その人はほんとうに実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍の実を結びます。」 + イエスは、また別のたとえを彼らに示して言われた。/「天の御国は、こういう人にたとえることができます。ある人が自分の畑に良い種を蒔いた。 + ところが、人々の眠っている間に、彼の敵が来て麦の中に毒麦を蒔いて行った。 + 麦が芽ばえ、やがて実ったとき、毒麦も現れた。 + それで、その家の主人のしもべたちが来て言った。/『ご主人。畑には良い麦を蒔かれたのではありませんか。どうして毒麦が出たのでしょう。』 + 主人は言った。『敵のやったことです。』すると、しもべたちは言った。『では、私たちが行ってそれを抜き集めましょうか。』 + だが、主人は言った。『いやいや。毒麦を抜き集めるうちに、麦もいっしょに抜き取るかもしれない。 + だから、収穫まで、両方とも育つままにしておきなさい。収穫の時期になったら、私は刈る人たちに、まず、毒麦を集め、焼くために束にしなさい。麦のほうは、集めて私の倉に納めなさい、と言いましょう。』」 + イエスは、また別のたとえを彼らに示して言われた。「天の御国は、からし種のようなものです。それを取って、畑に蒔くと、 + どんな種よりも小さいのですが、生長すると、どの野菜よりも大きくなり、空の鳥が来て、その枝に巣を作るほどの木になります。」 + イエスは、また別のたとえを話された。「天の御国は、パン種のようなものです。女が、パン種を取って、三サトンの粉の中に入れると、全体がふくらんで来ます。」 + イエスは、これらのことをみな、たとえで群衆に話され、たとえを使わずには何もお話しにならなかった。 + それは、預言者を通して言われた事が成就するためであった。「わたしはたとえ話をもって口を開き、世の初めから隠されていることどもを物語ろう。」 + それから、イエスは群衆と別れて家に入られた。すると、弟子たちがみもとに来て、「畑の毒麦のたとえを説明してください」と言った。 + イエスは答えてこう言われた。「良い種を蒔く者は人の子です。 + 畑はこの世界のことで、良い種とは御国の子どもたち、毒麦とは悪い者の子どもたちのことです。 + 毒麦を蒔いた敵は悪魔であり、収穫とはこの世の終わりのことです。そして、刈り手とは御使いたちのことです。 + ですから、毒麦が集められて火で焼かれるように、この世の終わりにもそのようになります。 + 人の子はその御使いたちを遣わします。彼らは、つまずきを与える者や不法を行う者たちをみな、御国から取り集めて、 + 火の燃える炉に投げ込みます。彼らはそこで泣いて歯ぎしりするのです。 + そのとき、正しい者たちは、彼らの父の御国で太陽のように輝きます。耳のある者は聞きなさい。 + 天の御国は、畑に隠された宝のようなものです。人はその宝を見つけると、それを隠しておいて、大喜びで帰り、持ち物を全部売り払ってその畑を買います。 + また、天の御国は、良い真珠を捜している商人のようなものです。 + すばらしい値うちの真珠を一つ見つけた者は、行って持ち物を全部売り払ってそれを買ってしまいます。 + また、天の御国は、海におろしてあらゆる種類の魚を集める地引き網のようなものです。 + 網がいっぱいになると岸に引き上げ、すわり込んで、良いものは器に入れ、悪いものは捨てるのです。 + この世の終わりにもそのようになります。御使いたちが来て、正しい者の中から悪い者をえり分け、 + 火の燃える炉に投げ込みます。彼らはそこで泣いて歯ぎしりするのです。 + あなたがたは、これらのことがみなわかりましたか。」彼らは「はい」とイエスに言った。 + そこで、イエスは言われた。「だから、天の御国の弟子となった学者はみな、自分の倉から新しい物でも古い物でも取り出す一家の主人のようなものです。」 + これらのたとえを話し終えると、イエスはそこを去られた。 + それから、ご自分の郷里に行って、会堂で人々を教え始められた。すると、彼らは驚いて言った。「この人は、こんな知恵と不思議な力をどこで得たのでしょう。 + この人は大工の息子ではありませんか。彼の母親はマリヤで、彼の兄弟は、ヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダではありませんか。 + 妹たちもみな私たちといっしょにいるではありませんか。とすると、いったいこの人は、これらのものをどこから得たのでしょう。」 + こうして、彼らはイエスにつまずいた。しかし、イエスは彼らに言われた。「預言者が尊敬されないのは、自分の郷里、家族の間だけです。」 + そして、イエスは、彼らの不信仰のゆえに、そこでは多くの奇蹟をなさらなかった。 + + + そのころ、国主ヘロデは、イエスのうわさを聞いて、 + 侍従たちに言った。「あれはバプテスマのヨハネだ。ヨハネが死人の中からよみがえったのだ。だから、あんな力が彼のうちに働いているのだ。」 + 実は、このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕らえて縛り、牢に入れたのであった。 + それは、ヨハネが彼に、「あなたが彼女をめとるのは不法です」と言い張ったからである。 + ヘロデはヨハネを殺したかったが、群衆を恐れた。というのは、彼らはヨハネを預言者と認めていたからである。 + たまたまヘロデの誕生祝いがあって、ヘロデヤの娘がみなの前で踊りを踊ってヘロデを喜ばせた。 + それで、彼は、その娘に、願う物は何でも必ず上げると、誓って堅い約束をした。 + ところが、娘は母親にそそのかされて、こう言った。「今ここに、バプテスマのヨハネの首を盆に載せて私に下さい。」 + 王は心を痛めたが、自分の誓いもあり、また列席の人々の手前もあって、与えるように命令した。 + 彼は人をやって、牢の中でヨハネの首をはねさせた。 + そして、その首は盆に載せて運ばれ、少女に与えられたので、少女はそれを母親のところに持って行った。 + それから、ヨハネの弟子たちがやって来て、死体を引き取って葬った。そして、イエスのところに行って報告した。 + イエスはこのことを聞かれると、舟でそこを去り、自分だけで寂しい所に行かれた。すると、群衆がそれと聞いて、町々から、歩いてイエスのあとを追った。 + イエスは舟から上がると、多くの群衆を見、彼らを深くあわれんで、彼らの病気をいやされた。 + 夕方になったので、弟子たちはイエスのところに来て言った。「ここは寂しい所ですし、時刻ももう回っています。ですから群衆を解散させてください。そして村に行ってめいめいで食物を買うようにさせてください。」 + しかし、イエスは言われた。「彼らが出かけて行く必要はありません。あなたがたで、あの人たちに何か食べる物を上げなさい。」 + しかし、弟子たちはイエスに言った。「ここには、パンが五つと魚が二匹よりほかありません。」 + すると、イエスは言われた。「それを、ここに持って来なさい。」 + そしてイエスは、群衆に命じて草の上にすわらせ、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて、それらを祝福し、パンを裂いてそれを弟子たちに与えられたので、弟子たちは群衆に配った。 + 人々はみな、食べて満腹した。そして、パン切れの余りを取り集めると、十二のかごにいっぱいあった。 + 食べた者は、女と子どもを除いて、男五千人ほどであった。 + それからすぐ、イエスは弟子たちを強いて舟に乗り込ませて、自分より先に向こう岸へ行かせ、その間に群衆を帰してしまわれた。 + 群衆を帰したあとで、祈るために、ひとりで山に登られた。夕方になったが、まだそこに、ひとりでおられた。 + しかし、舟は、陸からもう何キロメートルも離れていたが、風が向かい風なので、波に悩まされていた。 + すると、夜中の三時ごろ、イエスは湖の上を歩いて、彼らのところに行かれた。 + 弟子たちは、イエスが湖の上を歩いておられるのを見て、「あれは幽霊だ」と言って、おびえてしまい、恐ろしさのあまり、叫び声を上げた。 + しかし、イエスはすぐに彼らに話しかけ、「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない」と言われた。 + すると、ペテロが答えて言った。「主よ。もし、あなたでしたら、私に、水の上を歩いてここまで来い、とお命じになってください。」 + イエスは「来なさい」と言われた。そこで、ペテロは舟から出て、水の上を歩いてイエスのほうに行った。 + ところが、風を見て、こわくなり、沈みかけたので叫び出し、「主よ。助けてください」と言った。 + そこで、イエスはすぐに手を伸ばして、彼をつかんで言われた。「信仰の薄い人だな。なぜ疑うのか。」 + そして、ふたりが舟に乗り移ると、風がやんだ。 + そこで、舟の中にいた者たちは、イエスを拝んで、「確かにあなたは神の子です」と言った。 + 彼らは湖を渡ってゲネサレの地に着いた。 + すると、その地の人々は、イエスと気がついて、付近の地域にくまなく知らせ、病人という病人をみな、みもとに連れて来た。 + そして、せめて彼らに、着物のふさにでもさわらせてやってくださいと、イエスにお願いした。そして、さわった人々はみな、いやされた。 + + + そのころ、パリサイ人や律法学者たちが、エルサレムからイエスのところに来て、言った。 + 「あなたのお弟子たちは、なぜ長老たちの言い伝えを犯すのですか。パンを食べるときに手を洗っていないではありませんか。」 + そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「なぜ、あなたがたも、自分たちの言い伝えのために神の戒めを犯すのですか。 + 神は『あなたの父と母を敬え』、また『父や母をののしる者は死刑に処せられる』と言われたのです。 + それなのに、あなたがたは、『だれでも、父や母に向かって、私からあなたのために差し上げられる物は、供え物になりましたと言う者は、 + その物をもって父や母を尊んではならない』と言っています。こうしてあなたがたは、自分たちの言い伝えのために、神のことばを無にしてしまいました。 + 偽善者たち。イザヤはあなたがたについて預言しているが、まさにそのとおりです。 + 『この民は、口先ではわたしを敬うが、その心は、わたしから遠く離れている。 + 彼らが、わたしを拝んでも、むだなことである。/人間の教えを、教えとして教えるだけだから。』」 + イエスは群衆を呼び寄せて言われた。「聞いて悟りなさい。 + 口に入る物は人を汚しません。しかし、口から出るもの、これが人を汚します。」 + そのとき、弟子たちが、近寄って来て、イエスに言った。「パリサイ人が、みことばを聞いて、腹を立てたのをご存じですか。」 + しかし、イエスは答えて言われた。「わたしの天の父がお植えにならなかった木は、みな根こそぎにされます。 + 彼らのことは放っておきなさい。彼らは盲人を手引きする盲人です。もし、盲人が盲人を手引きするなら、ふたりとも穴に落ち込むのです。」 + そこで、ペテロは、イエスに答えて言った。「私たちに、そのたとえを説明してください。」 + イエスは言われた。「あなたがたも、まだわからないのですか。 + 口に入る物はみな、腹に入り、かわやに捨てられることを知らないのですか。 + しかし、口から出るものは、心から出て来ます。それは人を汚します。 + 悪い考え、殺人、姦淫、不品行、盗み、偽証、ののしりは心から出て来るからです。 + これらは、人を汚すものです。しかし、洗わない手で食べることは人を汚しません。」 + それから、イエスはそこを去って、ツロとシドンの地方に立ちのかれた。 + すると、その地方のカナン人の女が出て来て、叫び声をあげて言った。「主よ。ダビデの子よ。私をあわれんでください。娘が、ひどく悪霊に取りつかれているのです。」 + しかし、イエスは彼女に一言もお答えにならなかった。そこで、弟子たちはみもとに来て、「あの女を帰してやってください。叫びながらあとについて来るのです」と言ってイエスに願った。 + しかし、イエスは答えて、「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外のところには遣わされていません」と言われた。 + しかし、その女は来て、イエスの前にひれ伏して、「主よ。私をお助けください」と言った。 + すると、イエスは答えて、「子どもたちのパンを取り上げて、小犬に投げてやるのはよくないことです」と言われた。 + しかし、女は言った。「主よ。そのとおりです。ただ、小犬でも主人の食卓から落ちるパンくずはいただきます。」 + そのとき、イエスは彼女に答えて言われた。「ああ、あなたの信仰はりっぱです。その願いどおりになるように。」すると、彼女の娘はその時から直った。 + それから、イエスはそこを去って、ガリラヤ湖の岸を行き、山に登って、そこにすわっておられた。 + すると大ぜいの人の群れが、足のなえた者、手足の不自由な者、盲人、口のきけない者、そのほか多くの人をみもとに連れて来た。そして彼らをイエスの足もとに置いたので、イエスは彼らをいやされた。 + それで群衆は、口のきけない者がものを言い、手足の不自由な者が直り、足のなえた者が歩き、盲人たちが見えるようになるのを見て驚いた。そして彼らはイスラエルの神をあがめた。 + イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた。「かわいそうに、この群衆はもう三日間もわたしといっしょにいて、食べる物を持っていないのです。彼らを空腹のままで帰らせたくありません。途中で動けなくなるといけないから。」 + そこで弟子たちは言った。「このへんぴな所で、こんなに大ぜいの人に、十分食べさせるほどたくさんのパンが、どこから手に入るでしょう。」 + すると、イエスは彼らに言われた。「どれぐらいパンがありますか。」彼らは言った。「七つです。それに、小さい魚が少しあります。」 + すると、イエスは群衆に、地面にすわるように命じられた。 + それから、七つのパンと魚とを取り、感謝をささげてからそれを裂き、弟子たちに与えられた。そして、弟子たちは群衆に配った。 + 人々はみな、食べて満腹した。そして、パン切れの余りを取り集めると、七つのかごにいっぱいあった。 + 食べた者は、女と子どもを除いて、男四千人であった。 + それから、イエスは群衆を解散させて舟に乗り、マガダン地方に行かれた。 + + + パリサイ人やサドカイ人たちがみそばに寄って来て、イエスをためそうとして、天からのしるしを見せてくださいと頼んだ。 + しかし、イエスは彼らに答えて言われた。「あなたがたは、夕方には、『夕焼けだから晴れる』と言うし、 + 朝には、『朝焼けでどんよりしているから、きょうは荒れ模様だ』と言う。そんなによく、空模様の見分け方を知っていながら、なぜ時のしるしを見分けることができないのですか。 + 悪い、姦淫の時代はしるしを求めています。しかし、ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられません。」そう言って、イエスは彼らを残して去って行かれた。 + 弟子たちは向こう岸に行ったが、パンを持って来るのを忘れた。 + イエスは彼らに言われた。「パリサイ人やサドカイ人たちのパン種には注意して気をつけなさい。」 + すると、彼らは、「これは私たちがパンを持って来なかったからだ」と言って、議論を始めた。 + イエスはそれに気づいて言われた。「あなたがた、信仰の薄い人たち。パンがないからだなどと、なぜ論じ合っているのですか。 + まだわからないのですか、覚えていないのですか。五つのパンを五千人に分けてあげて、なお幾かご集めましたか。 + また、七つのパンを四千人に分けてあげて、なお幾かご集めましたか。 + わたしの言ったのは、パンのことなどではないことが、どうしてあなたがたには、わからないのですか。ただ、パリサイ人やサドカイ人たちのパン種に気をつけることです。」 + 彼らはようやく、イエスが気をつけよと言われたのは、パン種のことではなくて、パリサイ人やサドカイ人たちの教えのことであることを悟った。 + さて、ピリポ・カイザリヤの地方に行かれたとき、イエスは弟子たちに尋ねて言われた。「人々は人の子をだれだと言っていますか。」 + 彼らは言った。「バプテスマのヨハネだと言う人もあり、エリヤだと言う人もあります。またほかの人たちはエレミヤだとか、また預言者のひとりだとも言っています。」 + イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」 + シモン・ペテロが答えて言った。「あなたは、生ける神の御子キリストです。」 + するとイエスは、彼に答えて言われた。「バルヨナ・シモン。あなたは幸いです。このことをあなたに明らかに示したのは人間ではなく、天にいますわたしの父です。 + ではわたしもあなたに言います。あなたはペテロです。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます。ハデスの門もそれには打ち勝てません。 + わたしは、あなたに天の御国のかぎを上げます。何でもあなたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたが地上で解くなら、それは天においても解かれています。」 + そのとき、イエスは、ご自分がキリストであることをだれにも言ってはならない、と弟子たちを戒められた。 + その時から、イエス・キリストは、ご自分がエルサレムに行って、長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受け、殺され、そして三日目によみがえらなければならないことを弟子たちに示し始められた。 + するとペテロは、イエスを引き寄せて、いさめ始めた。「主よ。神の御恵みがありますように。そんなことが、あなたに起こるはずはありません。」 + しかし、イエスは振り向いて、ペテロに言われた。「下がれ。サタン。あなたはわたしの邪魔をするものだ。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている。」 + それから、イエスは弟子たちに言われた。「だれでもわたしについて来たいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負い、そしてわたしについて来なさい。 + いのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしのためにいのちを失う者は、それを見いだすのです。 + 人は、たとい全世界を手に入れても、まことのいのちを損じたら、何の得がありましょう。そのいのちを買い戻すのには、人はいったい何を差し出せばよいでしょう。 + 人の子は父の栄光を帯びて、御使いたちとともに、やがて来ようとしているのです。その時には、おのおのその行いに応じて報いをします。 + まことに、あなたがたに告げます。ここに立っている人々の中には、人の子が御国とともに来るのを見るまでは、決して死を味わわない人々がいます。」 + + + それから六日たって、イエスは、ペテロとヤコブとその兄弟ヨハネだけを連れて、高い山に導いて行かれた。 + そして彼らの目の前で、御姿が変わり、御顔は太陽のように輝き、御衣は光のように白くなった。 + しかも、モーセとエリヤが現れてイエスと話し合っているではないか。 + すると、ペテロが口出ししてイエスに言った。「先生。私たちがここにいることは、すばらしいことです。もし、およろしければ、私が、ここに三つの幕屋を造ります。あなたのために一つ、モーセのために一つ、エリヤのために一つ。」 + 彼がまだ話している間に、見よ、光り輝く雲がその人々を包み、そして、雲の中から、「これは、わたしの愛する子、わたしはこれを喜ぶ。彼の言うことを聞きなさい」と言う声がした。 + 弟子たちは、この声を聞くと、ひれ伏して非常にこわがった。 + すると、イエスが来られて、彼らに手を触れ、「起きなさい。こわがることはない」と言われた。 + それで、彼らが目を上げて見ると、だれもいなくて、ただイエスおひとりだけであった。 + 彼らが山を降りるとき、イエスは彼らに、「人の子が死人の中からよみがえるときまでは、いま見た幻をだれにも話してはならない」と命じられた。 + そこで、弟子たちは、イエスに尋ねて言った。「すると、律法学者たちが、まずエリヤが来るはずだと言っているのは、どうしてでしょうか。」 + イエスは答えて言われた。「エリヤが来て、すべてのことを立て直すのです。 + しかし、わたしは言います。エリヤはもうすでに来たのです。ところが彼らはエリヤを認めようとせず、彼に対して好き勝手なことをしたのです。人の子もまた、彼らから同じように苦しめられようとしています。」 + そのとき、弟子たちは、イエスがバプテスマのヨハネのことを言われたのだと気づいた。 + 彼らが群衆のところに来たとき、ひとりの人がイエスのそば近くに来て、御前にひざまずいて言った。 + 「主よ。私の息子をあわれんでください。てんかんで、たいへん苦しんでおります。何度も何度も火の中に落ちたり、水の中に落ちたりいたします。 + そこで、その子をお弟子たちのところに連れて来たのですが、直すことができませんでした。」 + イエスは答えて言われた。「ああ、不信仰な、曲がった今の世だ。いつまであなたがたといっしょにいなければならないのでしょう。いつまであなたがたにがまんしていなければならないのでしょう。その子をわたしのところに連れて来なさい。」 + そして、イエスがその子をおしかりになると、悪霊は彼から出て行き、その子はその時から直った。 + そのとき、弟子たちはそっとイエスのもとに来て、言った。「なぜ、私たちには悪霊を追い出せなかったのですか。」 + イエスは言われた。「あなたがたの信仰が薄いからです。まことに、あなたがたに告げます。もし、からし種ほどの信仰があったら、この山に、『ここからあそこに移れ』と言えば移るのです。どんなことでも、あなたがたにできないことはありません。 + 〔ただし、この種のものは、祈りと断食によらなければ出て行きません。〕」 + 彼らがガリラヤに集まっていたとき、イエスは彼らに言われた。「人の子は、いまに人々の手に渡されます。 + そして彼らに殺されるが、三日目によみがえります。」すると、彼らは非常に悲しんだ。 + また、彼らがカペナウムに来たとき、宮の納入金を集める人たちが、ペテロのところに来て言った。「あなたがたの先生は、宮の納入金を納めないのですか。」 + 彼は「納めます」と言って、家に入ると、先にイエスのほうからこう言い出された。「シモン。どう思いますか。世の王たちはだれから税や貢を取り立てますか。自分の子どもたちからですか、それともほかの人たちからですか。」 + ペテロが「ほかの人たちからです」と言うと、イエスは言われた。「では、子どもたちにはその義務がないのです。 + しかし、彼らにつまずきを与えないために、湖に行って釣りをして、最初に釣れた魚を取りなさい。その口をあけるとスタテル一枚が見つかるから、それを取って、わたしとあなたとの分として納めなさい。」 + + + そのとき、弟子たちがイエスのところに来て言った。「それでは、天の御国では、だれが一番偉いのでしょうか。」 + そこで、イエスは小さい子どもを呼び寄せ、彼らの真ん中に立たせて、 + 言われた。「まことに、あなたがたに告げます。あなたがたも悔い改めて子どもたちのようにならない限り、決して天の御国には、入れません。 + だから、この子どものように、自分を低くする者が、天の御国で一番偉い人です。 + また、だれでも、このような子どものひとりを、わたしの名のゆえに受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。 + しかし、わたしを信じるこの小さい者たちのひとりにでもつまずきを与えるような者は、大きい石臼を首にかけられて、湖の深みでおぼれ死んだほうがましです。 + つまずきを与えるこの世はわざわいだ。つまずきが起こるのは避けられないが、つまずきをもたらす者はわざわいだ。 + もし、あなたの手か足の一つがあなたをつまずかせるなら、それを切って捨てなさい。片手片足でいのちに入るほうが、両手両足そろっていて永遠の火に投げ入れられるよりは、あなたにとってよいことです。 + また、もし、あなたの一方の目が、あなたをつまずかせるなら、それをえぐり出して捨てなさい。片目でいのちに入るほうが、両目そろっていて燃えるゲヘナに投げ入れられるよりは、あなたにとってよいことです。 + あなたがたは、この小さい者たちを、ひとりでも見下げたりしないように気をつけなさい。まことに、あなたがたに告げます。彼らの天の御使いたちは、天におられるわたしの父の御顔をいつも見ているからです。 + 〔人の子は、失われている者を救うために来たのです。〕 + あなたがたはどう思いますか。もし、だれかが百匹の羊を持っていて、そのうちの一匹が迷い出たとしたら、その人は九十九匹を山に残して、迷った一匹を捜しに出かけないでしょうか。 + そして、もし、いたとなれば、まことに、あなたがたに告げます。その人は迷わなかった九十九匹の羊以上にこの一匹を喜ぶのです。 + このように、この小さい者たちのひとりが滅びることは、天にいますあなたがたの父のみこころではありません。 + また、もし、あなたの兄弟が罪を犯したなら、行って、ふたりだけのところで責めなさい。もし聞き入れたら、あなたは兄弟を得たのです。 + もし聞き入れないなら、ほかにひとりかふたりをいっしょに連れて行きなさい。ふたりか三人の証人の口によって、すべての事実が確認されるためです。 + それでもなお、言うことを聞き入れようとしないなら、教会に告げなさい。教会の言うことさえも聞こうとしないなら、彼を異邦人か取税人のように扱いなさい。 + まことに、あなたがたに告げます。何でもあなたがたが地上でつなぐなら、それは天においてもつながれており、あなたがたが地上で解くなら、それは天においても解かれているのです。 + まことに、あなたがたにもう一度、告げます。もし、あなたがたのうちふたりが、どんな事でも、地上で心を一つにして祈るなら、天におられるわたしの父は、それをかなえてくださいます。 + ふたりでも三人でも、わたしの名において集まる所には、わたしもその中にいるからです。」 + そのとき、ペテロがみもとに来て言った。「主よ。兄弟が私に対して罪を犯した場合、何度まで赦すべきでしょうか。七度まででしょうか。」 + イエスは言われた。「七度まで、などとはわたしは言いません。七度を七十倍するまでと言います。 + このことから、天の御国は、地上の王にたとえることができます。/王はそのしもべたちと清算をしたいと思った。 + 清算が始まると、まず一万タラントの借りのあるしもべが、王のところに連れて来られた。 + しかし、彼は返済することができなかったので、その主人は彼に、自分も妻子も持ち物全部も売って返済するように命じた。 + それで、このしもべは、主人の前にひれ伏して、『どうかご猶予ください。そうすれば全部お払いいたします』と言った。 + しもべの主人は、かわいそうに思って、彼を赦し、借金を免除してやった。 + ところが、そのしもべは、出て行くと、同じしもべ仲間で、彼から百デナリの借りのある者に出会った。彼はその人をつかまえ、首を絞めて、『借金を返せ』と言った。 + 彼の仲間は、ひれ伏して、『もう少し待ってくれ。そうしたら返すから』と言って頼んだ。 + しかし彼は承知せず、連れて行って、借金を返すまで牢に投げ入れた。 + 彼の仲間たちは事の成り行きを見て、非常に悲しみ、行って、その一部始終を主人に話した。 + そこで、主人は彼を呼びつけて言った。『悪いやつだ。おまえがあんなに頼んだからこそ借金全部を赦してやったのだ。 + 私がおまえをあわれんでやったように、おまえも仲間をあわれんでやるべきではないか。』 + こうして、主人は怒って、借金を全部返すまで、彼を獄吏に引き渡した。 + あなたがたもそれぞれ、心から兄弟を赦さないなら、天のわたしの父も、あなたがたに、このようになさるのです。」 + + + イエスはこの話を終えると、ガリラヤを去って、ヨルダンの向こうにあるユダヤ地方に行かれた。 + すると、大ぜいの群衆がついて来たので、そこで彼らをいやされた。 + パリサイ人たちがみもとにやって来て、イエスを試みて、こう言った。「何か理由があれば、妻を離別することは律法にかなっているでしょうか。」 + イエスは答えて言われた。「創造者は、初めから人を男と女に造って、 + 『それゆえ、人は父と母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりは一体となる』と言われたのです。それを、あなたがたは読んだことがないのですか。 + それで、もはやふたりではなく、ひとりなのです。こういうわけで、人は、神が結び合わせたものを引き離してはなりません。」 + 彼らはイエスに言った。「では、モーセはなぜ、離婚状を渡して妻を離別せよ、と命じたのですか。」 + イエスは彼らに言われた。「モーセは、あなたがたの心がかたくななので、その妻を離別することをあなたがたに許したのです。しかし、初めからそうだったのではありません。 + まことに、あなたがたに告げます。だれでも、不貞のためでなくて、その妻を離別し、別の女を妻にする者は姦淫を犯すのです。」 + 弟子たちはイエスに言った。「もし妻に対する夫の立場がそんなものなら、結婚しないほうがましです。」 + しかし、イエスは言われた。「そのことばは、だれでも受け入れることができるわけではありません。ただ、それが許されている者だけができるのです。 + というのは、母の胎内から、そのように生まれついた独身者がいます。また、人から独身者にさせられた者もいます。また、天の御国のために、自分から独身者になった者もいるからです。それができる者はそれを受け入れなさい。」 + そのとき、イエスに手を置いて祈っていただくために、子どもたちが連れて来られた。ところが、弟子たちは彼らをしかった。 + しかし、イエスは言われた。「子どもたちを許してやりなさい。邪魔をしないでわたしのところに来させなさい。天の御国はこのような者たちの国なのです。」 + そして、手を彼らの上に置いてから、そこを去って行かれた。 + すると、ひとりの人がイエスのもとに来て言った。「先生。永遠のいのちを得るためには、どんな良いことをしたらよいのでしょうか。」 + イエスは彼に言われた。「なぜ、良いことについて、わたしに尋ねるのですか。良い方は、ひとりだけです。もし、いのちに入りたいと思うなら、戒めを守りなさい。」 + 彼は「どの戒めですか」と言った。そこで、イエスは言われた。「殺してはならない。姦淫してはならない。盗んではならない。偽証をしてはならない。 + 父と母を敬え。あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。」 + この青年はイエスに言った。「そのようなことはみな、守っております。何がまだ欠けているのでしょうか。」 + イエスは彼に言われた。「もし、あなたが完全になりたいなら、帰って、あなたの持ち物を売り払って貧しい人たちに与えなさい。そうすれば、あなたは天に宝を積むことになります。そのうえで、わたしについて来なさい。」 + ところが、青年はこのことばを聞くと、悲しんで去って行った。この人は多くの財産を持っていたからである。 + それから、イエスは弟子たちに言われた。「まことに、あなたがたに告げます。金持ちが天の御国に入るのはむずかしいことです。 + まことに、あなたがたにもう一度、告げます。金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうがもっとやさしい。」 + 弟子たちは、これを聞くと、たいへん驚いて言った。「それでは、だれが救われることができるのでしょう。」 + イエスは彼らをじっと見て言われた。「それは人にはできないことです。しかし、神にはどんなことでもできます。」 + そのとき、ペテロはイエスに答えて言った。「ご覧ください。私たちは、何もかも捨てて、あなたに従ってまいりました。私たちは何がいただけるでしょうか。」 + そこで、イエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに告げます。世が改まって人の子がその栄光の座に着く時、わたしに従って来たあなたがたも十二の座に着いて、イスラエルの十二の部族をさばくのです。 + また、わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、あるいは畑を捨てた者はすべて、その幾倍もを受け、また永遠のいのちを受け継ぎます。 + ただ、先の者があとになり、あとの者が先になることが多いのです。 + + + 天の御国は、自分のぶどう園で働く労務者を雇いに朝早く出かけた主人のようなものです。 + 彼は、労務者たちと一日一デナリの約束ができると、彼らをぶどう園にやった。 + それから、九時ごろに出かけてみると、別の人たちが市場に立っており、何もしないでいた。 + そこで、彼はその人たちに言った。『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。相当のものを上げるから。』 + 彼らは出て行った。それからまた、十二時ごろと三時ごろに出かけて行って、同じようにした。 + また、五時ごろ出かけてみると、別の人たちが立っていたので、彼らに言った。『なぜ、一日中仕事もしないでここにいるのですか。』 + 彼らは言った。『だれも雇ってくれないからです。』彼は言った。『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。』 + こうして、夕方になったので、ぶどう園の主人は、監督に言った。『労務者たちを呼んで、最後に来た者たちから順に、最初に来た者たちにまで、賃金を払ってやりなさい。』 + そこで、五時ごろに雇われた者たちが来て、それぞれ一デナリずつもらった。 + 最初の者たちがもらいに来て、もっと多くもらえるだろうと思ったが、彼らもやはりひとり一デナリずつであった。 + そこで、彼らはそれを受け取ると、主人に文句をつけて、 + 言った。『この最後の連中は一時間しか働かなかったのに、あなたは私たちと同じにしました。私たちは一日中、労苦と焼けるような暑さを辛抱したのです。』 + しかし、彼はそのひとりに答えて言った。『友よ。私はあなたに何も不当なことはしていない。あなたは私と一デナリの約束をしたではありませんか。 + 自分の分を取って帰りなさい。ただ私としては、この最後の人にも、あなたと同じだけ上げたいのです。 + 自分のものを自分の思うようにしてはいけないという法がありますか。それとも、私が気前がいいので、あなたの目にはねたましく思われるのですか。』 + このように、あとの者が先になり、先の者があとになるものです。」 + さて、イエスは、エルサレムに上ろうとしておられたが、十二弟子だけを呼んで、道々彼らに話された。 + 「さあ、これから、わたしたちはエルサレムに向かって行きます。人の子は、祭司長、律法学者たちに引き渡されるのです。彼らは人の子を死刑に定めます。 + そして、あざけり、むち打ち、十字架につけるため、異邦人に引き渡します。しかし、人の子は三日目によみがえります。」 + そのとき、ゼベダイの子たちの母が、子どもたちといっしょにイエスのもとに来て、ひれ伏して、お願いがありますと言った。 + イエスが彼女に、「どんな願いですか」と言われると、彼女は言った。「私のこのふたりの息子が、あなたの御国で、ひとりはあなたの右に、ひとりは左にすわれるようにおことばを下さい。」 + けれども、イエスは答えて言われた。「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていないのです。わたしが飲もうとしている杯を飲むことができますか。」彼らは「できます」と言った。 + イエスは言われた。「あなたがたはわたしの杯を飲みはします。しかし、わたしの右と左にすわることは、このわたしの許すことではなく、わたしの父によってそれに備えられた人々があるのです。」 + このことを聞いたほかの十人は、このふたりの兄弟のことで腹を立てた。 + そこで、イエスは彼らを呼び寄せて、言われた。「あなたがたも知っているとおり、異邦人の支配者たちは彼らを支配し、偉い人たちは彼らの上に権力をふるいます。 + あなたがたの間では、そうではありません。あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、みなに仕える者になりなさい。 + あなたがたの間で人の先に立ちたいと思う者は、あなたがたのしもべになりなさい。 + 人の子が来たのが、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためであるのと同じです。」 + 彼らがエリコを出て行くと、大ぜいの群衆がイエスについて行った。 + すると、道ばたにすわっていたふたりの盲人が、イエスが通られると聞いて、叫んで言った。「主よ。私たちをあわれんでください。ダビデの子よ。」 + そこで、群衆は彼らを黙らせようとして、たしなめたが、彼らはますます、「主よ。私たちをあわれんでください。ダビデの子よ」と叫び立てた。 + すると、イエスは立ち止まって、彼らを呼んで言われた。「わたしに何をしてほしいのか。」 + 彼らはイエスに言った。「主よ。この目をあけていただきたいのです。」 + イエスはかわいそうに思って、彼らの目にさわられた。すると、すぐさま彼らは見えるようになり、イエスについて行った。 + + + それから、彼らはエルサレムに近づき、オリーブ山のふもとのベテパゲまで来た。そのとき、イエスは、弟子をふたり使いに出して、 + 言われた。「向こうの村へ行きなさい。そうするとすぐに、ろばがつながれていて、いっしょにろばの子がいるのに気がつくでしょう。それをほどいて、わたしのところに連れて来なさい。 + もしだれかが何か言ったら、『主がお入用なのです』と言いなさい。そうすれば、すぐに渡してくれます。」 + これは、預言者を通して言われた事が成就するために起こったのである。 + 「シオンの娘に伝えなさい。/『見よ。あなたの王があなたのところに来られる。/柔和で、ろばの背に乗って、それも、荷物を運ぶろばの子に乗って。』」 + そこで、弟子たちは行って、イエスが命じられたとおりにした。 + そして、ろばと、ろばの子とを連れて来て、自分たちの上着をその上に掛けた。イエスはそれに乗られた。 + すると、群衆のうち大ぜいの者が、自分たちの上着を道に敷き、また、ほかの人々は、木の枝を切って来て、道に敷いた。 + そして、群衆は、イエスの前を行く者も、あとに従う者も、こう言って叫んでいた。「ダビデの子にホサナ。祝福あれ。主の御名によって来られる方に。ホサナ。いと高き所に。」 + こうして、イエスがエルサレムに入られると、都中がこぞって騒ぎ立ち、「この方は、どういう方なのか」と言った。 + 群衆は、「この方は、ガリラヤのナザレの、預言者イエスだ」と言った。 + それから、イエスは宮に入って、宮の中で売り買いする者たちをみな追い出し、両替人の台や、鳩を売る者たちの腰掛けを倒された。 + そして彼らに言われた。「『わたしの家は祈りの家と呼ばれる』と書いてある。それなのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしている。」 + また、宮の中で、盲人や足のなえた人たちがみもとに来たので、イエスは彼らをいやされた。 + ところが、祭司長、律法学者たちは、イエスのなさった驚くべきいろいろのことを見、また宮の中で子どもたちが「ダビデの子にホサナ」と言って叫んでいるのを見て腹を立てた。 + そしてイエスに言った。「あなたは、子どもたちが何と言っているか、お聞きですか。」イエスは言われた。「聞いています。『あなたは幼子と乳飲み子たちの口に賛美を用意された』とあるのを、あなたがたは読まなかったのですか。」 + イエスは彼らをあとに残し、都を出てベタニヤに行き、そこに泊まられた。 + 翌朝、イエスは都に帰る途中、空腹を覚えられた。 + 道ばたにいちじくの木が見えたので、近づいて行かれたが、葉のほかは何もないのに気づかれた。それで、イエスはその木に「おまえの実は、もういつまでも、ならないように」と言われた。すると、たちまちいちじくの木は枯れた。 + 弟子たちは、これを見て、驚いて言った。「どうして、こうすぐにいちじくの木が枯れたのでしょうか。」 + イエスは答えて言われた。「まことに、あなたがたに告げます。もし、あなたがたが、信仰を持ち、疑うことがなければ、いちじくの木になされたようなことができるだけでなく、たとい、この山に向かって、『動いて、海に入れ』と言っても、そのとおりになります。 + あなたがたが信じて祈り求めるものなら、何でも与えられます。」 + それから、イエスが宮に入って、教えておられると、祭司長、民の長老たちが、みもとに来て言った。「何の権威によって、これらのことをしておられるのですか。だれが、あなたにその権威を授けたのですか。」 + イエスは答えて、こう言われた。「わたしも一言あなたがたに尋ねましょう。もし、あなたがたが答えるなら、わたしも何の権威によって、これらのことをしているかを話しましょう。 + ヨハネのバプテスマは、どこから来たものですか。天からですか。それとも人からですか。」すると、彼らはこう言いながら、互いに論じ合った。「もし、天から、と言えば、それならなぜ、彼を信じなかったか、と言うだろう。 + しかし、もし、人から、と言えば、群衆がこわい。彼らはみな、ヨハネを預言者と認めているのだから。」 + そこで、彼らはイエスに答えて、「わかりません」と言った。イエスもまた彼らにこう言われた。「わたしも、何の権威によってこれらのことをするのか、あなたがたに話すまい。 + ところで、あなたがたは、どう思いますか。/ある人にふたりの息子がいた。その人は兄のところに来て、『きょう、ぶどう園に行って働いてくれ』と言った。 + 兄は答えて『行きます。お父さん』と言ったが、行かなかった。 + それから、弟のところに来て、同じように言った。ところが、弟は答えて『行きたくありません』と言ったが、あとから悪かったと思って出かけて行った。 + ふたりのうちどちらが、父の願ったとおりにしたのでしょう。」彼らは言った。「あとの者です。」イエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに告げます。取税人や遊女たちのほうが、あなたがたより先に神の国に入っているのです。 + というのは、あなたがたは、ヨハネが義の道を持って来たのに、彼を信じなかった。しかし、取税人や遊女たちは彼を信じたからです。しかもあなたがたは、それを見ながら、あとになって悔いることもせず、彼を信じなかったのです。 + もう一つのたとえを聞きなさい。/ひとりの、家の主人がいた。彼はぶどう園を造って、垣を巡らし、その中に酒ぶねを掘り、やぐらを建て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。 + さて、収穫の時が近づいたので、主人は自分の分を受け取ろうとして、農夫たちのところへしもべたちを遣わした。 + すると、農夫たちは、そのしもべたちをつかまえて、ひとりは袋だたきにし、もうひとりは殺し、もうひとりは石で打った。 + そこでもう一度、前よりももっと多くの別のしもべたちを遣わしたが、やはり同じような扱いをした。 + しかし、そのあと、その主人は、『私の息子なら、敬ってくれるだろう』と言って、息子を遣わした。 + すると、農夫たちは、その子を見て、こう話し合った。『あれはあと取りだ。さあ、あれを殺して、あれのものになるはずの財産を手に入れようではないか。』 + そして、彼をつかまえて、ぶどう園の外に追い出して殺してしまった。 + この場合、ぶどう園の主人が帰って来たら、その農夫たちをどうするでしょう。」 + 彼らはイエスに言った。「その悪党どもを情け容赦なく殺して、そのぶどう園を、季節にはきちんと収穫を納める別の農夫たちに貸すに違いありません。」 + イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、次の聖書のことばを読んだことがないのですか。/『家を建てる者たちの見捨てた石。/それが礎の石になった。/これは主のなさったことだ。/私たちの目には、不思議なことである。』 + だから、わたしはあなたがたに言います。神の国はあなたがたから取り去られ、神の国の実を結ぶ国民に与えられます。 + また、この石の上に落ちる者は、粉々に砕かれ、この石が人の上に落ちれば、その人を粉みじんに飛ばしてしまいます。」 + 祭司長たちとパリサイ人たちは、イエスのこれらのたとえを聞いたとき、自分たちをさして話しておられることに気づいた。 + それでイエスを捕らえようとしたが、群衆を恐れた。群衆はイエスを預言者と認めていたからである。 + + + イエスはもう一度たとえをもって彼らに話された。 + 「天の御国は、王子のために結婚の披露宴を設けた王にたとえることができます。 + 王は、招待しておいたお客を呼びに、しもべたちを遣わしたが、彼らは来たがらなかった。 + それで、もう一度、次のように言いつけて、別のしもべたちを遣わした。『お客に招いておいた人たちにこう言いなさい。「さあ、食事の用意ができました。雄牛も太った家畜もほふって、何もかも整いました。どうぞ宴会にお出かけください。」』 + ところが、彼らは気にもかけず、ある者は畑に、別の者は商売に出て行き、 + そのほかの者たちは、王のしもべたちをつかまえて恥をかかせ、そして殺してしまった。 + 王は怒って、兵隊を出して、その人殺しどもを滅ぼし、彼らの町を焼き払った。 + そのとき、王はしもべたちに言った。『宴会の用意はできているが、招待しておいた人たちは、それにふさわしくなかった。 + だから、大通りに行って、出会った者をみな宴会に招きなさい。』 + それで、しもべたちは、通りに出て行って、良い人でも悪い人でも出会った者をみな集めたので、宴会場は客でいっぱいになった。 + ところで、王が客を見ようとして入って来ると、そこに婚礼の礼服を着ていない者がひとりいた。 + そこで、王は言った。『あなたは、どうして礼服を着ないで、ここに入って来たのですか。』しかし、彼は黙っていた。 + そこで、王はしもべたちに、『あれの手足を縛って、外の暗やみに放り出せ。そこで泣いて歯ぎしりするのだ』と言った。 + 招待される者は多いが、選ばれる者は少ないのです。」 + そのころ、パリサイ人たちは出て来て、どのようにイエスをことばのわなにかけようかと相談した。 + 彼らはその弟子たちを、ヘロデ党の者たちといっしょにイエスのもとにやって、こう言わせた。「先生。私たちは、あなたが真実な方で、真理に基づいて神の道を教え、だれをもはばからない方だと存じています。あなたは、人の顔色を見られないからです。 + それで、どう思われるのか言ってください。税金をカイザルに納めることは、律法にかなっていることでしょうか。かなっていないことでしょうか。」 + イエスは彼らの悪意を知って言われた。「偽善者たち。なぜ、わたしをためすのか。 + 納め金にするお金をわたしに見せなさい。」そこで彼らは、デナリを一枚イエスのもとに持って来た。 + そこで彼らに言われた。「これは、だれの肖像ですか。だれの銘ですか。」 + 彼らは、「カイザルのです」と言った。そこで、イエスは言われた。「それなら、カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」 + 彼らは、これを聞いて驚嘆し、イエスを残して立ち去った。 + その日、復活はないと言っているサドカイ人たちが、イエスのところに来て、質問して、 + 言った。「先生。モーセは『もし、ある人が子のないままで死んだなら、その弟は兄の妻をめとって、兄のための子をもうけねばならない』と言いました。 + ところで、私たちの間に七人兄弟がありました。長男は結婚しましたが、死んで、子がなかったので、その妻を弟に残しました。 + 次男も三男も、七人とも同じようになりました。 + そして、最後に、その女も死にました。 + すると復活の際には、その女は七人のうちだれの妻なのでしょうか。彼らはみな、その女を妻にしたのです。」 + しかし、イエスは彼らに答えて言われた。「そんな思い違いをしているのは、聖書も神の力も知らないからです。 + 復活の時には、人はめとることも、とつぐこともなく、天の御使いたちのようです。 + それに、死人の復活については、神があなたがたに語られた事を、あなたがたは読んだことがないのですか。 + 『わたしは、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあります。神は死んだ者の神ではありません。生きている者の神です。」 + 群衆はこれを聞いて、イエスの教えに驚いた。 + しかし、パリサイ人たちは、イエスがサドカイ人たちを黙らせたと聞いて、いっしょに集まった。 + そして、彼らのうちのひとりの律法の専門家が、イエスをためそうとして、尋ねた。 + 「先生。律法の中で、たいせつな戒めはどれですか。」 + そこで、イエスは彼に言われた。「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』 + これがたいせつな第一の戒めです。 + 『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです。 + 律法全体と預言者とが、この二つの戒めにかかっているのです。」 + パリサイ人たちが集まっているときに、イエスは彼らに尋ねて言われた。 + 「あなたがたは、キリストについて、どう思いますか。彼はだれの子ですか。」彼らはイエスに言った。「ダビデの子です。」 + イエスは彼らに言われた。「それでは、どうしてダビデは、御霊によって、彼を主と呼び、 + 『主は私の主に言われた。/「わたしがあなたの敵を/あなたの足の下に従わせるまでは、わたしの右の座に着いていなさい。」』/と言っているのですか。 + ダビデがキリストを主と呼んでいるのなら、どうして彼はダビデの子なのでしょう。」 + それで、だれもイエスに一言も答えることができなかった。また、その日以来、もはやだれも、イエスにあえて質問をする者はなかった。 + + + そのとき、イエスは群衆と弟子たちに話をして、 + こう言われた。「律法学者、パリサイ人たちは、モーセの座を占めています。 + ですから、彼らがあなたがたに言うことはみな、行い、守りなさい。けれども、彼らの行いをまねてはいけません。彼らは言うことは言うが、実行しないからです。 + また、彼らは重い荷をくくって、人の肩に載せ、自分はそれに指一本さわろうとはしません。 + 彼らのしていることはみな、人に見せるためです。経札の幅を広くしたり、衣のふさを長くしたりするのもそうです。 + また、宴会の上座や会堂の上席が大好きで、 + 広場であいさつされたり、人から先生と呼ばれたりすることが好きです。 + しかし、あなたがたは先生と呼ばれてはいけません。あなたがたの教師はただひとりしかなく、あなたがたはみな兄弟だからです。 + あなたがたは地上のだれかを、われらの父と呼んではいけません。あなたがたの父はただひとり、すなわち天にいます父だけだからです。 + また、師と呼ばれてはいけません。あなたがたの師はただひとり、キリストだからです。 + あなたがたのうちの一番偉大な者は、あなたがたに仕える人でなければなりません。 + だれでも、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされます。 + わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは人々から天の御国をさえぎっているのです。自分も入らず、入ろうとしている人々をも入らせません。 + 〔わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちはやもめの家を食いつぶし、見えのために長い祈りをしています。だから、おまえたちは人一倍ひどい罰を受けます。〕 + わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは改宗者をひとりつくるのに、海と陸とを飛び回り、改宗者ができると、彼を自分より倍も悪いゲヘナの子にするのです。 + わざわいだ。目の見えぬ手引きども。おまえたちは言う。『だれでも、神殿をさして誓ったのなら、何でもない。しかし、神殿の黄金をさして誓ったら、その誓いを果たさなければならない。』 + 愚かで、目の見えぬ者たち。黄金と、黄金を聖いものにする神殿と、どちらがたいせつなのか。 + また、言う。『だれでも、祭壇をさして誓ったのなら、何でもない。しかし、祭壇の上の供え物をさして誓ったら、その誓いを果たさなければならない。』 + 目の見えぬ者たち。供え物と、その供え物を聖いものにする祭壇と、どちらがたいせつなのか。 + だから、祭壇をさして誓う者は、祭壇をも、その上のすべての物をもさして誓っているのです。 + また、神殿をさして誓う者は、神殿をも、その中に住まわれる方をもさして誓っているのです。 + 天をさして誓う者は、神の御座とそこに座しておられる方をさして誓うのです。 + わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは、はっか、いのんど、クミンなどの十分の一を納めているが、律法の中ではるかに重要なもの、正義とあわれみと誠実を、おろそかにしているのです。これこそしなければならないことです。ただし、十分の一もおろそかにしてはいけません。 + 目の見えぬ手引きども。ぶよは、こして除くが、らくだは飲み込んでいます。 + わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは杯や皿の外側はきよめるが、その中は強奪と放縦でいっぱいです。 + 目の見えぬパリサイ人たち。まず、杯の内側をきよめなさい。そうすれば、外側もきよくなります。 + わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは白く塗った墓のようなものです。墓はその外側は美しく見えても、内側は、死人の骨や、あらゆる汚れたものがいっぱいです。 + そのように、おまえたちも外側は人に正しく見えても、内側は偽善と不法でいっぱいです。 + わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは預言者の墓を建て、義人の記念碑を飾って、 + 『私たちが、父祖たちの時代に生きていたら、預言者たちの血を流すような仲間にはならなかっただろう』と言います。 + こうして、預言者を殺した者たちの子孫だと、自分で証言しています。 + おまえたちも父祖たちの罪の目盛りの不足分を満たしなさい。 + おまえたち蛇ども、まむしのすえども。おまえたちは、ゲヘナの刑罰をどうしてのがれることができよう。 + だから、わたしが預言者、知者、律法学者たちを遣わすと、おまえたちはそのうちのある者を殺し、十字架につけ、またある者を会堂でむち打ち、町から町へと迫害して行くのです。 + それは、義人アベルの血からこのかた、神殿と祭壇との間で殺されたバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上で流されるすべての正しい血の報復がおまえたちの上に来るためです。 + まことに、おまえたちに告げます。これらの報いはみな、この時代の上に来ます。 + ああ、エルサレム、エルサレム。預言者たちを殺し、自分に遣わされた人たちを石で打つ者。わたしは、めんどりがひなを翼の下に集めるように、あなたの子らを幾たび集めようとしたことか。それなのに、あなたがたはそれを好まなかった。 + 見なさい。あなたがたの家は荒れ果てたままに残される。 + あなたがたに告げます。『祝福あれ。主の御名によって来られる方に』とあなたがたが言うときまで、あなたがたは今後決してわたしを見ることはありません。」 + + + イエスが宮を出て行かれるとき、弟子たちが近寄って来て、イエスに宮の建物をさし示した。 + そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「このすべての物に目をみはっているのでしょう。まことに、あなたがたに告げます。ここでは、石がくずされずに、積まれたまま残ることは決してありません。」 + イエスがオリーブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとに来て言った。「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのでしょう。あなたの来られる時や世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。」 + そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「人に惑わされないように気をつけなさい。 + わたしの名を名のる者が大ぜい現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わすでしょう。 + また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。これらは必ず起こることです。しかし、終わりが来たのではありません。 + 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。 + しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。 + そのとき、人々は、あなたがたを苦しいめに会わせ、殺します。また、わたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。 + また、そのときは、人々が大ぜいつまずき、互いに裏切り、憎み合います。 + また、にせ預言者が多く起こって、多くの人々を惑わします。 + 不法がはびこるので、多くの人たちの愛は冷たくなります。 + しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます。 + この御国の福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての国民にあかしされ、それから、終わりの日が来ます。 + それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべきもの』が、聖なる所に立つのを見たならば、(読者はよく読み取るように。) + そのときは、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。 + 屋上にいる者は家の中の物を持ち出そうと下に降りてはいけません。 + 畑にいる者は着物を取りに戻ってはいけません。 + だがその日、哀れなのは身重の女と乳飲み子を持つ女です。 + ただ、あなたがたの逃げるのが、冬や安息日にならぬよう祈りなさい。 + そのときには、世の初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないような、ひどい苦難があるからです。 + もし、その日数が少なくされなかったら、ひとりとして救われる者はないでしょう。しかし、選ばれた者のために、その日数は少なくされます。 + そのとき、『そら、キリストがここにいる』とか、『そこにいる』とか言う者があっても、信じてはいけません。 + にせキリスト、にせ預言者たちが現れて、できれば選民をも惑わそうとして、大きなしるしや不思議なことをして見せます。 + さあ、わたしは、あなたがたに前もって話しました。 + だから、たとい、『そら、荒野にいらっしゃる』と言っても、飛び出して行ってはいけません。『そら、へやにいらっしゃる』と聞いても、信じてはいけません。 + 人の子の来るのは、いなずまが東から出て、西にひらめくように、ちょうどそのように来るのです。 + 死体のある所には、はげたかが集まります。 + だが、これらの日の苦難に続いてすぐに、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、天の万象は揺り動かされます。 + そのとき、人の子のしるしが天に現れます。すると、地上のあらゆる種族は、悲しみながら、人の子が大能と輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見るのです。 + 人の子は大きなラッパの響きとともに、御使いたちを遣わします。すると御使いたちは、天の果てから果てまで、四方からその選びの民を集めます。 + いちじくの木から、たとえを学びなさい。枝が柔らかになって、葉が出て来ると、夏の近いことがわかります。 + そのように、これらのことのすべてを見たら、あなたがたは、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。 + まことに、あなたがたに告げます。これらのことが全部起こってしまうまでは、この時代は過ぎ去りません。 + この天地は滅び去ります。しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません。 + ただし、その日、その時がいつであるかは、だれも知りません。天の御使いたちも子も知りません。ただ父だけが知っておられます。 + 人の子が来るのは、ちょうど、ノアの日のようだからです。 + 洪水前の日々は、ノアが箱舟に入るその日まで、人々は、飲んだり、食べたり、めとったり、とついだりしていました。 + そして、洪水が来てすべての物をさらってしまうまで、彼らはわからなかったのです。人の子が来るのも、そのとおりです。 + そのとき、畑にふたりいると、ひとりは取られ、ひとりは残されます。 + ふたりの女が臼をひいていると、ひとりは取られ、ひとりは残されます。 + だから、目をさましていなさい。あなたがたは、自分の主がいつ来られるか、知らないからです。 + しかし、このことは知っておきなさい。家の主人は、どろぼうが夜の何時に来ると知っていたら、目を見張っていたでしょうし、また、おめおめと自分の家に押し入られはしなかったでしょう。 + だから、あなたがたも用心していなさい。なぜなら、人の子は、思いがけない時に来るのですから。 + 主人から、その家のしもべたちを任されて、食事時には彼らに食事をきちんと与えるような忠実な賢いしもべとは、いったいだれでしょう。 + 主人が帰って来たときに、そのようにしているのを見られるしもべは幸いです。 + まことに、あなたがたに告げます。その主人は彼に自分の全財産を任せるようになります。 + ところが、それが悪いしもべで、『主人はまだまだ帰るまい』と心の中で思い、 + その仲間を打ちたたき、酒飲みたちと飲んだり食べたりし始めていると、 + そのしもべの主人は、思いがけない日の思わぬ時間に帰って来ます。 + そして、彼をきびしく罰して、その報いを偽善者たちと同じにするに違いありません。しもべはそこで泣いて歯ぎしりするのです。 + + + そこで、天の御国は、たとえて言えば、それぞれがともしびを持って、花婿を出迎える十人の娘のようです。 + そのうち五人は愚かで、五人は賢かった。 + 愚かな娘たちは、ともしびは持っていたが、油を用意しておかなかった。 + 賢い娘たちは、自分のともしびといっしょに、入れ物に油を入れて持っていた。 + 花婿が来るのが遅れたので、みな、うとうとして眠り始めた。 + ところが、夜中になって、『そら、花婿だ。迎えに出よ』と叫ぶ声がした。 + 娘たちは、みな起きて、自分のともしびを整えた。 + ところが愚かな娘たちは、賢い娘たちに言った。『油を少し私たちに分けてください。私たちのともしびは消えそうです。』 + しかし、賢い娘たちは答えて言った。『いいえ、あなたがたに分けてあげるにはとうてい足りません。それよりも店に行って、自分のをお買いなさい。』 + そこで、買いに行くと、その間に花婿が来た。用意のできていた娘たちは、彼といっしょに婚礼の祝宴に行き、戸がしめられた。 + そのあとで、ほかの娘たちも来て、『ご主人さま、ご主人さま。あけてください』と言った。 + しかし、彼は答えて、『確かなところ、私はあなたがたを知りません』と言った。 + だから、目をさましていなさい。あなたがたは、その日、その時を知らないからです。 + 天の御国は、しもべたちを呼んで、自分の財産を預け、旅に出て行く人のようです。 + 彼は、おのおのその能力に応じて、ひとりには五タラント、ひとりには二タラント、もうひとりには一タラントを渡し、それから旅に出かけた。 + 五タラント預かった者は、すぐに行って、それで商売をして、さらに五タラントもうけた。 + 同様に、二タラント預かった者も、さらに二タラントもうけた。 + ところが、一タラント預かった者は、出て行くと、地を掘って、その主人の金を隠した。 + さて、よほどたってから、しもべたちの主人が帰って来て、彼らと清算をした。 + すると、五タラント預かった者が来て、もう五タラント差し出して言った。『ご主人さま。私に五タラント預けてくださいましたが、ご覧ください。私はさらに五タラントもうけました。』 + その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』 + 二タラントの者も来て言った。『ご主人さま。私は二タラント預かりましたが、ご覧ください。さらに二タラントもうけました。』 + その主人は彼に言った。『よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。』 + ところが、一タラント預かっていた者も来て、言った。『ご主人さま。あなたは、蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めるひどい方だとわかっていました。 + 私はこわくなり、出て行って、あなたの一タラントを地の中に隠しておきました。さあどうぞ、これがあなたの物です。』 + ところが、主人は彼に答えて言った。『悪いなまけ者のしもべだ。私が蒔かない所から刈り取り、散らさない所から集めることを知っていたというのか。 + だったら、おまえはその私の金を、銀行に預けておくべきだった。そうすれば私は帰って来たときに、利息がついて返してもらえたのだ。 + だから、そのタラントを彼から取り上げて、それを十タラント持っている者にやりなさい。』 + だれでも持っている者は、与えられて豊かになり、持たない者は、持っているものまでも取り上げられるのです。 + 役に立たぬしもべは、外の暗やみに追い出しなさい。そこで泣いて歯ぎしりするのです。 + 人の子が、その栄光を帯びて、すべての御使いたちを伴って来るとき、人の子はその栄光の位に着きます。 + そして、すべての国々の民が、その御前に集められます。彼は、羊飼いが羊と山羊とを分けるように、彼らをより分け、 + 羊を自分の右に、山羊を左に置きます。 + そうして、王は、その右にいる者たちに言います。『さあ、わたしの父に祝福された人たち。世の初めから、あなたがたのために備えられた御国を継ぎなさい。 + あなたがたは、わたしが空腹であったとき、わたしに食べる物を与え、わたしが渇いていたとき、わたしに飲ませ、わたしが旅人であったとき、わたしに宿を貸し、 + わたしが裸のとき、わたしに着る物を与え、わたしが病気をしたとき、わたしを見舞い、わたしが牢にいたとき、わたしをたずねてくれたからです。』 + すると、その正しい人たちは、答えて言います。『主よ。いつ、私たちは、あなたが空腹なのを見て、食べる物を差し上げ、渇いておられるのを見て、飲ませてあげましたか。 + いつ、あなたが旅をしておられるときに、泊まらせてあげ、裸なのを見て、着る物を差し上げましたか。 + また、いつ、私たちは、あなたのご病気やあなたが牢におられるのを見て、おたずねしましたか。』 + すると、王は彼らに答えて言います。『まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。』 + それから、王はまた、その左にいる者たちに言います。『のろわれた者ども。わたしから離れて、悪魔とその使いたちのために用意された永遠の火に入れ。 + おまえたちは、わたしが空腹であったとき、食べる物をくれず、渇いていたときにも飲ませず、 + わたしが旅人であったときにも泊まらせず、裸であったときにも着る物をくれず、病気のときや牢にいたときにもたずねてくれなかった。』 + そのとき、彼らも答えて言います。『主よ。いつ、私たちは、あなたが空腹であり、渇き、旅をし、裸であり、病気をし、牢におられるのを見て、お世話をしなかったのでしょうか。』 + すると、王は彼らに答えて言います。『まことに、おまえたちに告げます。おまえたちが、この最も小さい者たちのひとりにしなかったのは、わたしにしなかったのです。』 + こうして、この人たちは永遠の刑罰に入り、正しい人たちは永遠のいのちに入るのです。」 + + + イエスは、これらの話をすべて終えると、弟子たちに言われた。 + 「あなたがたの知っているとおり、二日たつと過越の祭りになります。人の子は十字架につけられるために引き渡されます。」 + そのころ、祭司長、民の長老たちは、カヤパという大祭司の家の庭に集まり、 + イエスをだまして捕らえ、殺そうと相談した。 + しかし、彼らは、「祭りの間はいけない。民衆の騒ぎが起こるといけないから」と話していた。 + さて、イエスがベタニヤで、ツァラアトに冒された人シモンの家におられると、 + ひとりの女がたいへん高価な香油の入った石膏のつぼを持ってみもとに来て、食卓に着いておられたイエスの頭に香油を注いだ。 + 弟子たちはこれを見て、憤慨して言った。「何のために、こんなむだなことをするのか。 + この香油なら、高く売れて、貧しい人たちに施しができたのに。」 + するとイエスはこれを知って、彼らに言われた。「なぜ、この女を困らせるのです。わたしに対してりっぱなことをしてくれたのです。 + 貧しい人たちは、いつもあなたがたといっしょにいます。しかし、わたしは、いつもあなたがたといっしょにいるわけではありません。 + この女が、この香油をわたしのからだに注いだのは、わたしの埋葬の用意をしてくれたのです。 + まことに、あなたがたに告げます。世界中のどこででも、この福音が宣べ伝えられる所なら、この人のした事も語られて、この人の記念となるでしょう。」 + そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテ・ユダという者が、祭司長たちのところへ行って、 + こう言った。「彼をあなたがたに売るとしたら、いったいいくらくれますか。」すると、彼らは銀貨三十枚を彼に支払った。 + そのときから、彼はイエスを引き渡す機会をねらっていた。 + さて、種なしパンの祝いの第一日に、弟子たちがイエスのところに来て言った。「過越の食事をなさるのに、私たちはどこで用意をしましょうか。」 + イエスは言われた。「都に入って、これこれの人のところに行って、『先生が「わたしの時が近づいた。わたしの弟子たちといっしょに、あなたのところで過越を守ろう」と言っておられる』と言いなさい。」 + そこで、弟子たちはイエスに言いつけられたとおりにして、過越の食事の用意をした。 + さて、夕方になって、イエスは十二弟子といっしょに食卓に着かれた。 + みなが食事をしているとき、イエスは言われた。「まことに、あなたがたに告げます。あなたがたのうちひとりが、わたしを裏切ります。」 + すると、弟子たちは非常に悲しんで、「主よ。まさか私のことではないでしょう」とかわるがわるイエスに言った。 + イエスは答えて言われた。「わたしといっしょに鉢に手を浸した者が、わたしを裏切るのです。 + 確かに、人の子は、自分について書いてあるとおりに、去って行きます。しかし、人の子を裏切るような人間はわざわいです。そういう人は生まれなかったほうがよかったのです。」 + すると、イエスを裏切ろうとしていたユダが答えて言った。「先生。まさか私のことではないでしょう。」イエスは彼に、「いや、そうだ」と言われた。 + また、彼らが食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福して後、これを裂き、弟子たちに与えて言われた。「取って食べなさい。これはわたしのからだです。」 + また杯を取り、感謝をささげて後、こう言って彼らにお与えになった。「みな、この杯から飲みなさい。 + これは、わたしの契約の血です。罪を赦すために多くの人のために流されるものです。 + ただ、言っておきます。わたしの父の御国で、あなたがたと新しく飲むその日までは、わたしはもはや、ぶどうの実で造った物を飲むことはありません。」 + そして、賛美の歌を歌ってから、みなオリーブ山へ出かけて行った。 + そのとき、イエスは弟子たちに言われた。「あなたがたはみな、今夜、わたしのゆえにつまずきます。『わたしが羊飼いを打つ。すると、羊の群れは散り散りになる』と書いてあるからです。 + しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先に、ガリラヤへ行きます。」 + すると、ペテロがイエスに答えて言った。「たとい全部の者があなたのゆえにつまずいても、私は決してつまずきません。」 + イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに告げます。今夜、鶏が鳴く前に、あなたは三度、わたしを知らないと言います。」 + ペテロは言った。「たとい、ごいっしょに死ななければならないとしても、私は、あなたを知らないなどとは決して申しません。」弟子たちはみなそう言った。 + それからイエスは弟子たちといっしょにゲツセマネという所に来て、彼らに言われた。「わたしがあそこに行って祈っている間、ここにすわっていなさい。」 + それから、ペテロとゼベダイの子ふたりとをいっしょに連れて行かれたが、イエスは悲しみもだえ始められた。 + そのとき、イエスは彼らに言われた。「わたしは悲しみのあまり死ぬほどです。ここを離れないで、わたしといっしょに目をさましていなさい。」 + それから、イエスは少し進んで行って、ひれ伏して祈って言われた。「わが父よ。できますならば、この杯をわたしから過ぎ去らせてください。しかし、わたしの願うようにではなく、あなたのみこころのように、なさってください。」 + それから、イエスは弟子たちのところに戻って来て、彼らの眠っているのを見つけ、ペテロに言われた。「あなたがたは、そんなに、一時間でも、わたしといっしょに目をさましていることができなかったのか。 + 誘惑に陥らないように、目をさまして、祈っていなさい。心は燃えていても、肉体は弱いのです。」 + イエスは二度目に離れて行き、祈って言われた。「わが父よ。どうしても飲まずには済まされぬ杯でしたら、どうぞみこころのとおりをなさってください。」 + イエスが戻って来て、ご覧になると、彼らはまたも眠っていた。目をあけていることができなかったのである。 + イエスは、またも彼らを置いて行かれ、もう一度同じことをくり返して三度目の祈りをされた。 + それから、イエスは弟子たちのところに来て言われた。「まだ眠って休んでいるのですか。見なさい。時が来ました。人の子は罪人たちの手に渡されるのです。 + 立ちなさい。さあ、行くのです。見なさい。わたしを裏切る者が近づきました。」 + イエスがまだ話しておられるうちに、見よ、十二弟子のひとりであるユダがやって来た。剣や棒を手にした大ぜいの群衆もいっしょであった。群衆はみな、祭司長、民の長老たちから差し向けられたものであった。 + イエスを裏切る者は、彼らと合図を決めて、「私が口づけをするのが、その人だ。その人をつかまえるのだ」と言っておいた。 + それで、彼はすぐにイエスに近づき、「先生。お元気で」と言って、口づけした。 + イエスは彼に、「友よ。何のために来たのですか」と言われた。そのとき、群衆が来て、イエスに手をかけて捕らえた。 + すると、イエスといっしょにいた者のひとりが、手を伸ばして剣を抜き、大祭司のしもべに撃ってかかり、その耳を切り落とした。 + そのとき、イエスは彼に言われた。「剣をもとに納めなさい。剣を取る者はみな剣で滅びます。 + それとも、わたしが父にお願いして、十二軍団よりも多くの御使いを、今わたしの配下に置いていただくことができないとでも思うのですか。 + だが、そのようなことをすれば、こうならなければならないと書いてある聖書が、どうして実現されましょう。」 + そのとき、イエスは群衆に言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持ってわたしをつかまえに来たのですか。わたしは毎日、宮ですわって教えていたのに、あなたがたは、わたしを捕らえなかったのです。 + しかし、すべてこうなったのは、預言者たちの書が実現するためです。」そのとき、弟子たちはみな、イエスを見捨てて、逃げてしまった。 + イエスをつかまえた人たちは、イエスを大祭司カヤパのところへ連れて行った。そこには、律法学者、長老たちが集まっていた。 + しかし、ペテロも遠くからイエスのあとをつけながら、大祭司の中庭まで入って行き、成り行きを見ようと役人たちといっしょにすわった。 + さて、祭司長たちと全議会は、イエスを死刑にするために、イエスを訴える偽証を求めていた。 + 偽証者がたくさん出て来たが、証拠はつかめなかった。しかし、最後にふたりの者が進み出て、 + 言った。「この人は、『わたしは神の神殿をこわして、それを三日のうちに建て直せる』と言いました。」 + そこで、大祭司は立ち上がってイエスに言った。「何も答えないのですか。この人たちが、あなたに不利な証言をしていますが、これはどうなのですか。」 + しかし、イエスは黙っておられた。それで、大祭司はイエスに言った。「私は、生ける神によって、あなたに命じます。あなたは神の子キリストなのか、どうか。その答えを言いなさい。」 + イエスは彼に言われた。「あなたの言うとおりです。なお、あなたがたに言っておきますが、今からのち、人の子が、力ある方の右の座に着き、天の雲に乗って来るのを、あなたがたは見ることになります。」 + すると、大祭司は、自分の衣を引き裂いて言った。「神への冒?だ。これでもまだ、証人が必要でしょうか。あなたがたは、今、神をけがすことばを聞いたのです。 + どう考えますか。」彼らは答えて、「彼は死刑に当たる」と言った。 + そうして、彼らはイエスの顔につばきをかけ、こぶしでなぐりつけ、また、他の者たちは、イエスを平手で打って、 + こう言った。「当ててみろ。キリスト。あなたを打ったのはだれか。」 + ペテロが外の中庭にすわっていると、女中のひとりが来て言った。「あなたも、ガリラヤ人イエスといっしょにいましたね。」 + しかし、ペテロはみなの前でそれを打ち消して、「何を言っているのか、私にはわからない」と言った。 + そして、ペテロが入口まで出て行くと、ほかの女中が、彼を見て、そこにいる人々に言った。「この人はナザレ人イエスといっしょでした。」 + それで、ペテロは、またもそれを打ち消し、誓って、「そんな人は知らない」と言った。 + しばらくすると、そのあたりに立っている人々がペテロに近寄って来て、「確かに、あなたもあの仲間だ。ことばのなまりではっきりわかる」と言った。 + すると彼は、「そんな人は知らない」と言って、のろいをかけて誓い始めた。するとすぐに、鶏が鳴いた。 + そこでペテロは、「鶏が鳴く前に三度、あなたは、わたしを知らないと言います」とイエスの言われたあのことばを思い出した。そうして、彼は出て行って、激しく泣いた。 + + + さて、夜が明けると、祭司長、民の長老たち全員は、イエスを死刑にするために協議した。 + それから、イエスを縛って連れ出し、総督ピラトに引き渡した。 + そのとき、イエスを売ったユダは、イエスが罪に定められたのを知って後悔し、銀貨三十枚を、祭司長、長老たちに返して、 + 「私は罪を犯した。罪のない人の血を売ったりして」と言った。しかし、彼らは、「私たちの知ったことか。自分で始末することだ」と言った。 + それで、彼は銀貨を神殿に投げ込んで立ち去った。そして、外に出て行って、首をつった。 + 祭司長たちは銀貨を取って、「これを神殿の金庫に入れるのはよくない。血の代価だから」と言った。 + 彼らは相談して、その金で陶器師の畑を買い、旅人たちの墓地にした。 + それで、その畑は、今でも血の畑と呼ばれている。 + そのとき、預言者エレミヤを通して言われた事が成就した。「彼らは銀貨三十枚を取った。イスラエルの人々に値積もりされた人の値段である。 + 彼らは、主が私にお命じになったように、その金を払って、陶器師の畑を買った。」 + さて、イエスは総督の前に立たれた。すると、総督はイエスに「あなたは、ユダヤ人の王ですか」と尋ねた。イエスは彼に「そのとおりです」と言われた。 + しかし、祭司長、長老たちから訴えがなされたときは、何もお答えにならなかった。 + そのとき、ピラトはイエスに言った。「あんなにいろいろとあなたに不利な証言をしているのに、聞こえないのですか。」 + それでも、イエスは、どんな訴えに対しても一言もお答えにならなかった。それには総督も非常に驚いた。 + ところで総督は、その祭りには、群衆のために、いつも望みの囚人をひとりだけ赦免してやっていた。 + そのころ、バラバという名の知れた囚人が捕らえられていた。 + それで、彼らが集まったとき、ピラトが言った。「あなたがたは、だれを釈放してほしいのか。バラバか、それともキリストと呼ばれているイエスか。」 + ピラトは、彼らがねたみからイエスを引き渡したことに気づいていたのである。 + また、ピラトが裁判の席に着いていたとき、彼の妻が彼のもとに人をやって言わせた。「あの正しい人にはかかわり合わないでください。ゆうべ、私は夢で、あの人のことで苦しいめに会いましたから。」 + しかし、祭司長、長老たちは、バラバのほうを願うよう、そして、イエスを死刑にするよう、群衆を説きつけた。 + しかし、総督は彼らに答えて言った。「あなたがたは、ふたりのうちどちらを釈放してほしいのか。」彼らは言った。「バラバだ。」 + ピラトは彼らに言った。「では、キリストと言われているイエスを私はどのようにしようか。」彼らはいっせいに言った。「十字架につけろ。」 + だが、ピラトは言った。「あの人がどんな悪い事をしたというのか。」しかし、彼らはますます激しく「十字架につけろ」と叫び続けた。 + そこでピラトは、自分では手の下しようがなく、かえって暴動になりそうなのを見て、群衆の目の前で水を取り寄せ、手を洗って、言った。「この人の血について、私には責任がない。自分たちで始末するがよい。」 + すると、民衆はみな答えて言った。「その人の血は、私たちや子どもたちの上にかかってもいい。」 + そこで、ピラトは彼らのためにバラバを釈放し、イエスをむち打ってから、十字架につけるために引き渡した。 + それから、総督の兵士たちは、イエスを官邸の中に連れて行って、イエスの回りに全部隊を集めた。 + そして、イエスの着物を脱がせて、緋色の上着を着せた。 + それから、いばらで冠を編み、頭にかぶらせ、右手に葦を持たせた。そして、彼らはイエスの前にひざまずいて、からかって言った。「ユダヤ人の王さま。ばんざい。」 + また彼らはイエスにつばきをかけ、葦を取り上げてイエスの頭をたたいた。 + こんなふうに、イエスをからかったあげく、その着物を脱がせて、もとの着物を着せ、十字架につけるために連れ出した。 + そして、彼らが出て行くと、シモンというクレネ人を見つけたので、彼らは、この人にイエスの十字架を、むりやりに背負わせた。 + ゴルゴタという所(「どくろ」と言われている場所)に来てから、 + 彼らはイエスに、苦みを混ぜたぶどう酒を飲ませようとした。イエスはそれをなめただけで、飲もうとはされなかった。 + こうして、イエスを十字架につけてから、彼らはくじを引いて、イエスの着物を分け、 + そこにすわって、イエスの見張りをした。 + また、イエスの頭の上には、「これはユダヤ人の王イエスである」と書いた罪状書きを掲げた。 + そのとき、イエスといっしょに、ふたりの強盗が、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけられた。 + 道を行く人々は、頭を振りながらイエスをののしって、 + 言った。「神殿を打ちこわして三日で建てる人よ。もし、神の子なら、自分を救ってみろ。十字架から降りて来い。」 + 同じように、祭司長たちも律法学者、長老たちといっしょになって、イエスをあざけって言った。 + 「彼は他人を救ったが、自分は救えない。イスラエルの王だ。今、十字架から降りてもらおうか。そうしたら、われわれは信じるから。 + 彼は神により頼んでいる。もし神のお気に入りなら、いま救っていただくがいい。『わたしは神の子だ』と言っているのだから。」 + イエスといっしょに十字架につけられた強盗どもも、同じようにイエスをののしった。 + さて、十二時から、全地が暗くなって、三時まで続いた。 + 三時ごろ、イエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれた。これは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。 + すると、それを聞いて、そこに立っていた人々のうち、ある人たちは、「この人はエリヤを呼んでいる」と言った。 + また、彼らのひとりがすぐ走って行って、海綿を取り、それに酸いぶどう酒を含ませて、葦の棒につけ、イエスに飲ませようとした。 + ほかの者たちは、「私たちはエリヤが助けに来るかどうか見ることとしよう」と言った。 + そのとき、イエスはもう一度大声で叫んで、息を引き取られた。 + すると、見よ。神殿の幕が上から下まで真っ二つに裂けた。そして、地が揺れ動き、岩が裂けた。 + また、墓が開いて、眠っていた多くの聖徒たちのからだが生き返った。 + そして、イエスの復活の後に墓から出て来て、聖都に入って多くの人に現れた。 + 百人隊長および彼といっしょにイエスの見張りをしていた人々は、地震やいろいろの出来事を見て、非常な恐れを感じ、「この方はまことに神の子であった」と言った。 + そこには、遠くからながめている女たちがたくさんいた。イエスに仕えてガリラヤからついて来た女たちであった。 + その中に、マグダラのマリヤ、ヤコブとヨセフとの母マリヤ、ゼベダイの子らの母がいた。 + 夕方になって、アリマタヤの金持ちでヨセフという人が来た。彼もイエスの弟子になっていた。 + この人はピラトのところに行って、イエスのからだの下げ渡しを願った。そこで、ピラトは、渡すように命じた。 + ヨセフはそれを取り降ろして、きれいな亜麻布に包み、 + 岩を掘って造った自分の新しい墓に納めた。墓の入口には大きな石をころがしかけて帰った。 + そこにはマグダラのマリヤとほかのマリヤとが墓のほうを向いてすわっていた。 + さて、次の日、すなわち備えの日の翌日、祭司長、パリサイ人たちはピラトのところに集まって、 + こう言った。「閣下。あの、人をだます男がまだ生きていたとき、『自分は三日の後によみがえる』と言っていたのを思い出しました。 + ですから、三日目まで墓の番をするように命じてください。そうでないと、弟子たちが来て、彼を盗み出して、『死人の中からよみがえった』と民衆に言うかもしれません。そうなると、この惑わしのほうが、前の場合より、もっとひどいことになります。」 + ピラトは「番兵を出してやるから、行ってできるだけの番をさせるがよい」と彼らに言った。 + そこで、彼らは行って、石に封印をし、番兵が墓の番をした。 + + + さて、安息日が終わって、週の初めの日の明け方、マグダラのマリヤと、ほかのマリヤが墓を見に来た。 + すると、大きな地震が起こった。それは、主の使いが天から降りて来て、石をわきへころがして、その上にすわったからである。 + その顔は、いなずまのように輝き、その衣は雪のように白かった。 + 番兵たちは、御使いを見て恐ろしさのあまり震え上がり、死人のようになった。 + すると、御使いは女たちに言った。「恐れてはいけません。あなたがたが十字架につけられたイエスを捜しているのを、私は知っています。 + ここにはおられません。前から言っておられたように、よみがえられたからです。来て、納めてあった場所を見てごらんなさい。 + ですから急いで行って、お弟子たちにこのことを知らせなさい。イエスが死人の中からよみがえられたこと、そして、あなたがたより先にガリラヤに行かれ、あなたがたは、そこで、お会いできるということです。では、これだけはお伝えしました。」 + そこで、彼女たちは、恐ろしくはあったが大喜びで、急いで墓を離れ、弟子たちに知らせに走って行った。 + すると、イエスが彼女たちに出会って、「おはよう」と言われた。彼女たちは近寄って御足を抱いてイエスを拝んだ。 + すると、イエスは言われた。「恐れてはいけません。行って、わたしの兄弟たちに、ガリラヤに行くように言いなさい。そこでわたしに会えるのです。」 + 女たちが行き着かないうちに、もう、数人の番兵が都に来て、起こった事を全部、祭司長たちに報告した。 + そこで、祭司長たちは民の長老たちとともに集まって協議し、兵士たちに多額の金を与えて、 + こう言った。「『夜、私たちが眠っている間に、弟子たちがやって来て、イエスを盗んで行った』と言うのだ。 + もし、このことが総督の耳に入っても、私たちがうまく説得して、あなたがたには心配をかけないようにするから。」 + そこで、彼らは金をもらって、指図されたとおりにした。それで、この話が広くユダヤ人の間に広まって今日に及んでいる。 + しかし、十一人の弟子たちは、ガリラヤに行って、イエスの指示された山に登った。 + そして、イエスにお会いしたとき、彼らは礼拝した。しかし、ある者は疑った。 + イエスは近づいて来て、彼らにこう言われた。「わたしには天においても、地においても、いっさいの権威が与えられています。 + それゆえ、あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。そして、父、子、聖霊の御名によってバプテスマを授け、 + また、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように、彼らを教えなさい。見よ。わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます。」 + +
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+ + 神の子イエス・キリストの福音のはじめ。 + 預言者イザヤの書にこう書いてある。/「見よ。わたしは使いをあなたの前に遣わし、あなたの道を整えさせよう。 + 荒野で叫ぶ者の声がする。/『主の道を用意し、主の通られる道をまっすぐにせよ。』」/そのとおりに、 + バプテスマのヨハネが荒野に現れて、罪の赦しのための悔い改めのバプテスマを宣べ伝えた。 + そこでユダヤ全国の人々とエルサレムの全住民が彼のところへ行き、自分の罪を告白して、ヨルダン川で彼からバプテスマを受けていた。 + ヨハネは、らくだの毛で織った物を着て、腰に皮の帯を締め、いなごと野蜜を食べていた。 + 彼は宣べ伝えて言った。「私よりもさらに力のある方が、あとからおいでになります。私には、かがんでその方のくつのひもを解く値うちもありません。 + 私はあなたがたに水でバプテスマを授けましたが、その方は、あなたがたに聖霊のバプテスマをお授けになります。」 + そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来られ、ヨルダン川で、ヨハネからバプテスマをお受けになった。 + そして、水の中から上がられると、すぐそのとき、天が裂けて御霊が鳩のように自分の上に下られるのを、ご覧になった。 + そして天から声がした。「あなたは、わたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ。」 + そしてすぐ、御霊はイエスを荒野に追いやられた。 + イエスは四十日間荒野にいて、サタンの誘惑を受けられた。野の獣とともにおられたが、御使いたちがイエスに仕えていた。 + ヨハネが捕らえられて後、イエスはガリラヤに行き、神の福音を宣べて言われた。 + 「時が満ち、神の国は近くなった。悔い改めて福音を信じなさい。」 + ガリラヤ湖のほとりを通られると、シモンとシモンの兄弟アンデレが湖で網を打っているのをご覧になった。彼らは漁師であった。 + イエスは彼らに言われた。「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしてあげよう。」 + すると、すぐに、彼らは網を捨て置いて従った。 + また少し行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネをご覧になった。彼らも舟の中で網を繕っていた。 + すぐに、イエスがお呼びになった。すると彼らは父ゼベダイを雇い人たちといっしょに舟に残して、イエスについて行った。 + それから、一行はカペナウムに入った。そしてすぐに、イエスは安息日に会堂に入って教えられた。 + 人々は、その教えに驚いた。それはイエスが、律法学者たちのようにではなく、権威ある者のように教えられたからである。 + すると、すぐにまた、その会堂に汚れた霊につかれた人がいて、叫んで言った。 + 「ナザレの人イエス。いったい私たちに何をしようというのです。あなたは私たちを滅ぼしに来たのでしょう。私はあなたがどなたか知っています。神の聖者です。」 + イエスは彼をしかって、「黙れ。この人から出て行け」と言われた。 + すると、その汚れた霊はその人をひきつけさせ、大声をあげて、その人から出て行った。 + 人々はみな驚いて、互いに論じ合って言った。「これはどうだ。権威のある、新しい教えではないか。汚れた霊をさえ戒められる。すると従うのだ。」 + こうして、イエスの評判は、すぐに、ガリラヤ全地の至る所に広まった。 + イエスは会堂を出るとすぐに、ヤコブとヨハネを連れて、シモンとアンデレの家に入られた。 + ところが、シモンのしゅうとめが熱病で床に着いていたので、人々はさっそく彼女のことをイエスに知らせた。 + イエスは、彼女に近寄り、その手を取って起こされた。すると熱がひき、彼女は彼らをもてなした。 + 夕方になった。日が沈むと、人々は病人や悪霊につかれた人をみな、イエスのもとに連れて来た。 + こうして町中の者が戸口に集まって来た。 + イエスは、さまざまの病気にかかっている多くの人をいやし、また多くの悪霊を追い出された。そして悪霊どもがものを言うのをお許しにならなかった。彼らがイエスをよく知っていたからである。 + さて、イエスは、朝早くまだ暗いうちに起きて、寂しい所へ出て行き、そこで祈っておられた。 + シモンとその仲間は、イエスを追って来て、 + 彼を見つけ、「みんながあなたを捜しております」と言った。 + イエスは彼らに言われた。「さあ、近くの別の村里へ行こう。そこにも福音を知らせよう。わたしは、そのために出て来たのだから。」 + こうしてイエスは、ガリラヤ全地にわたり、その会堂に行って、福音を告げ知らせ、悪霊を追い出された。 + さて、ツァラアトに冒された人がイエスのみもとにお願いに来て、ひざまずいて言った。「お心一つで、私をきよくしていただけます。」 + イエスは深くあわれみ、手を伸ばして、彼にさわって言われた。「わたしの心だ。きよくなれ。」 + すると、すぐに、そのツァラアトが消えて、その人はきよくなった。 + そこでイエスは、彼をきびしく戒めて、すぐに彼を立ち去らせた。 + そのとき彼にこう言われた。「気をつけて、だれにも何も言わないようにしなさい。ただ行って、自分を祭司に見せなさい。そして、人々へのあかしのために、モーセが命じた物をもって、あなたのきよめの供え物をしなさい。」 + ところが、彼は出て行って、この出来事をふれ回り、言い広め始めた。そのためイエスは表立って町の中に入ることができず、町はずれの寂しい所におられた。しかし、人々は、あらゆる所からイエスのもとにやって来た。 + + + 数日たって、イエスがカペナウムにまた来られると、家におられることが知れ渡った。 + それで多くの人が集まったため、戸口のところまですきまもないほどになった。この人たちに、イエスはみことばを話しておられた。 + そのとき、ひとりの中風の人が四人の人にかつがれて、みもとに連れて来られた。 + 群衆のためにイエスに近づくことができなかったので、その人々はイエスのおられるあたりの屋根をはがし、穴をあけて、中風の人を寝かせたままその床をつり降ろした。 + イエスは彼らの信仰を見て、中風の人に、「子よ。あなたの罪は赦されました」と言われた。 + ところが、その場に律法学者が数人すわっていて、心の中で理屈を言った。 + 「この人は、なぜ、あんなことを言うのか。神をけがしているのだ。神おひとりのほか、だれが罪を赦すことができよう。」 + 彼らが心の中でこのように理屈を言っているのを、イエスはすぐにご自分の霊で見抜いて、こう言われた。「なぜ、あなたがたは心の中でそんな理屈を言っているのか。 + 中風の人に、『あなたの罪は赦された』と言うのと、『起きて、寝床をたたんで歩け』と言うのと、どちらがやさしいか。 + 人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを、あなたがたに知らせるために。」こう言ってから、中風の人に、 + 「あなたに言う。起きなさい。寝床をたたんで、家に帰りなさい」と言われた。 + すると彼は起き上がり、すぐに床を取り上げて、みなの見ている前を出て行った。それでみなの者がすっかり驚いて、「こういうことは、かつて見たことがない」と言って神をあがめた。 + イエスはまた湖のほとりに出て行かれた。すると群衆がみな、みもとにやって来たので、彼らに教えられた。 + イエスは、道を通りながら、アルパヨの子レビが収税所にすわっているのをご覧になって、「わたしについて来なさい」と言われた。すると彼は立ち上がって従った。 + それから、イエスは、彼の家で食卓に着かれた。取税人や罪人たちも大ぜい、イエスや弟子たちといっしょに食卓に着いていた。こういう人たちが大ぜいいて、イエスに従っていたのである。 + パリサイ派の律法学者たちは、イエスが罪人や取税人たちといっしょに食事をしておられるのを見て、イエスの弟子たちにこう言った。「なぜ、あの人は取税人や罪人たちといっしょに食事をするのですか。」 + イエスはこれを聞いて、彼らにこう言われた。「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招くために来たのです。」 + ヨハネの弟子たちとパリサイ人たちは断食をしていた。そして、イエスのもとに来て言った。「ヨハネの弟子たちやパリサイ人の弟子たちは断食するのに、あなたの弟子たちはなぜ断食しないのですか。」 + イエスは彼らに言われた。「花婿が自分たちといっしょにいる間、花婿につき添う友だちが断食できるでしょうか。花婿といっしょにいる時は、断食できないのです。 + しかし、花婿が彼らから取り去られる時が来ます。その日には断食します。 + だれも、真新しい布切れで古い着物の継ぎをするようなことはしません。そんなことをすれば、新しい継ぎ切れは古い着物を引き裂き、破れはもっとひどくなります。 + また、だれも新しいぶどう酒を古い皮袋に入れるようなことはしません。そんなことをすれば、ぶどう酒は皮袋を張り裂き、ぶどう酒も皮袋もだめになってしまいます。新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるのです。」 + ある安息日のこと、イエスは麦畑の中を通って行かれた。すると、弟子たちが道々穂を摘み始めた。 + すると、パリサイ人たちがイエスに言った。「ご覧なさい。なぜ彼らは、安息日なのに、してはならないことをするのですか。」 + イエスは彼らに言われた。「ダビデとその連れの者たちが、食物がなくてひもじかったとき、ダビデが何をしたか、読まなかったのですか。 + アビヤタルが大祭司のころ、ダビデは神の家に入って、祭司以外の者が食べてはならない供えのパンを、自分も食べ、またともにいた者たちにも与えたではありませんか。」 + また言われた。「安息日は人間のために設けられたのです。人間が安息日のために造られたのではありません。 + 人の子は安息日にも主です。」 + + + イエスはまた会堂に入られた。そこに片手のなえた人がいた。 + 彼らは、イエスが安息日にその人を直すかどうか、じっと見ていた。イエスを訴えるためであった。 + イエスは手のなえたその人に「立って真ん中に出なさい」と言われた。 + それから彼らに、「安息日にしてよいのは、善を行うことなのか、それとも悪を行うことなのか。いのちを救うことなのか、それとも殺すことなのか」と言われた。彼らは黙っていた。 + イエスは怒って彼らを見回し、その心のかたくななのを嘆きながら、その人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。彼は手を伸ばした。するとその手が元どおりになった。 + そこでパリサイ人たちは出て行って、すぐにヘロデ党の者たちといっしょになって、イエスをどのようにして葬り去ろうかと相談を始めた。 + それから、イエスは弟子たちとともに湖のほうに退かれた。すると、ガリラヤから出て来た大ぜいの人々がついて行った。また、ユダヤから、 + エルサレムから、イドマヤから、ヨルダンの川向こうやツロ、シドンあたりから、大ぜいの人々が、イエスの行っておられることを聞いて、みもとにやって来た。 + イエスは、大ぜいの人なので、押し寄せて来ないよう、ご自分のために小舟を用意しておくように弟子たちに言いつけられた。 + それは、多くの人をいやされたので、病気に悩む人たちがみな、イエスにさわろうとして、みもとに押しかけて来たからである。 + また、汚れた霊どもが、イエスを見ると、みもとにひれ伏し、「あなたこそ神の子です」と叫ぶのであった。 + イエスは、ご自身のことを知らせないようにと、きびしく彼らを戒められた。 + さて、イエスは山に登り、ご自身のお望みになる者たちを呼び寄せられたので、彼らはみもとに来た。 + そこでイエスは十二弟子を任命された。それは、彼らを身近に置き、また彼らを遣わして福音を宣べさせ、 + 悪霊を追い出す権威を持たせるためであった。 + こうして、イエスは十二弟子を任命された。そして、シモンにはペテロという名をつけ、 + ゼベダイの子ヤコブとヤコブの兄弟ヨハネ、このふたりにはボアネルゲ、すなわち、雷の子という名をつけられた。 + 次に、アンデレ、ピリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、アルパヨの子ヤコブ、タダイ、熱心党員シモン、 + イスカリオテ・ユダ。このユダが、イエスを裏切ったのである。 + イエスが家に戻られると、また大ぜいの人が集まって来たので、みなは食事する暇もなかった。 + イエスの身内の者たちが聞いて、イエスを連れ戻しに出て来た。「気が狂ったのだ」と言う人たちがいたからである。 + また、エルサレムから下って来た律法学者たちも、「彼は、ベルゼブルに取りつかれている」と言い、「悪霊どものかしらによって、悪霊どもを追い出しているのだ」とも言った。 + そこでイエスは彼らをそばに呼んで、たとえによって話された。「サタンがどうしてサタンを追い出せましょう。 + もし国が内部で分裂したら、その国は立ち行きません。 + また、家が内輪もめをしたら、家は立ち行きません。 + サタンも、もし内輪の争いが起こって分裂していれば、立ち行くことができないで滅びます。 + 確かに、強い人の家に押し入って家財を略奪するには、まずその強い人を縛り上げなければなりません。そのあとでその家を略奪できるのです。 + まことに、あなたがたに告げます。人はその犯すどんな罪も赦していただけます。また、神をけがすことを言っても、それはみな赦していただけます。 + しかし、聖霊をけがす者はだれでも、永遠に赦されず、とこしえの罪に定められます。」 + このように言われたのは、彼らが、「イエスは、汚れた霊につかれている」と言っていたからである。 + さて、イエスの母と兄弟たちが来て、外に立っていて、人をやり、イエスを呼ばせた。 + 大ぜいの人がイエスを囲んですわっていたが、「ご覧なさい。あなたのお母さんと兄弟たちが、外であなたをたずねています」と言った。 + すると、イエスは彼らに答えて言われた。「わたしの母とはだれのことですか。また、兄弟たちとはだれのことですか。」 + そして、自分の回りにすわっている人たちを見回して言われた。「ご覧なさい。わたしの母、わたしの兄弟たちです。 + 神のみこころを行う人はだれでも、わたしの兄弟、姉妹、また母なのです。」 + + + イエスはまた湖のほとりで教え始められた。おびただしい数の群衆がみもとに集まった。それでイエスは湖の上の舟に乗り、そこに腰をおろされ、群衆はみな岸べの陸地にいた。 + イエスはたとえによって多くのことを教えられた。その教えの中でこう言われた。 + 「よく聞きなさい。種を蒔く人が種蒔きに出かけた。 + 蒔いているとき、種が道ばたに落ちた。すると、鳥が来て食べてしまった。 + また、別の種が土の薄い岩地に落ちた。土が深くなかったので、すぐに芽を出した。 + しかし日が上ると、焼けて、根がないために枯れてしまった。 + また、別の種がいばらの中に落ちた。ところが、いばらが伸びて、それをふさいでしまったので、実を結ばなかった。 + また、別の種が良い地に落ちた。すると芽ばえ、育って、実を結び、三十倍、六十倍、百倍になった。」 + そしてイエスは言われた。「聞く耳のある者は聞きなさい。」 + さて、イエスだけになったとき、いつもつき従っている人たちが、十二弟子とともに、これらのたとえのことを尋ねた。 + そこで、イエスは言われた。「あなたがたには、神の国の奥義が知らされているが、ほかの人たちには、すべてがたとえで言われるのです。 + それは、『彼らは確かに見るには見るがわからず、聞くには聞くが悟らず、悔い改めて赦されることのないため』です。」 + そして彼らにこう言われた。「このたとえがわからないのですか。そんなことで、いったいどうしてたとえの理解ができましょう。 + 種蒔く人は、みことばを蒔くのです。 + みことばが道ばたに蒔かれるとは、こういう人たちのことです――みことばを聞くと、すぐサタンが来て、彼らに蒔かれたみことばを持ち去ってしまうのです。 + 同じように、岩地に蒔かれるとは、こういう人たちのことです――みことばを聞くと、すぐに喜んで受けるが、 + 根を張らないで、ただしばらく続くだけです。それで、みことばのために困難や迫害が起こると、すぐにつまずいてしまいます。 + もう一つの、いばらの中に種を蒔かれるとは、こういう人たちのことです――みことばを聞いてはいるが、 + 世の心づかいや、富の惑わし、その他いろいろな欲望が入り込んで、みことばをふさぐので、実を結びません。 + 良い地に蒔かれるとは、みことばを聞いて受け入れ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶ人たちです。」 + また言われた。「あかりを持って来るのは、枡の下や寝台の下に置くためでしょうか。燭台の上に置くためではありませんか。 + 隠れているのは、必ず現れるためであり、おおい隠されているのは、明らかにされるためです。 + 聞く耳のある者は聞きなさい。」 + また彼らに言われた。「聞いていることによく注意しなさい。あなたがたは、人に量ってあげるその量りで、自分にも量り与えられ、さらにその上に増し加えられます。 + 持っている人は、さらに与えられ、持たない人は、持っているものまでも取り上げられてしまいます。」 + また言われた。「神の国は、人が地に種を蒔くようなもので、 + 夜は寝て、朝は起き、そうこうしているうちに、種は芽を出して育ちます。どのようにしてか、人は知りません。 + 地は人手によらず実をならせるもので、初めに苗、次に穂、次に穂の中に実が入ります。 + 実が熟すると、人はすぐにかまを入れます。収穫の時が来たからです。」 + また言われた。「神の国は、どのようなものと言えばよいでしょう。何にたとえたらよいでしょう。 + それはからし種のようなものです。地に蒔かれるときには、地に蒔かれる種の中で、一番小さいのですが、 + それが蒔かれると、生長してどんな野菜よりも大きくなり、大きな枝を張り、その陰に空の鳥が巣を作れるほどになります。」 + イエスは、このように多くのたとえで、彼らの聞く力に応じて、みことばを話された。 + たとえによらないで話されることはなかった。ただ、ご自分の弟子たちにだけは、すべてのことを解き明かされた。 + さて、その日のこと、夕方になって、イエスは弟子たちに、「さあ、向こう岸へ渡ろう」と言われた。 + そこで弟子たちは、群衆をあとに残し、舟に乗っておられるままで、イエスをお連れした。他の舟もイエスについて行った。 + すると、激しい突風が起こり、舟は波をかぶって、水でいっぱいになった。 + ところがイエスだけは、とものほうで、枕をして眠っておられた。弟子たちはイエスを起こして言った。「先生。私たちがおぼれて死にそうでも、何とも思われないのですか。」 + イエスは起き上がって、風をしかりつけ、湖に「黙れ、静まれ」と言われた。すると風はやみ、大なぎになった。 + イエスは彼らに言われた。「どうしてそんなにこわがるのです。信仰がないのは、どうしたことです。」 + 彼らは大きな恐怖に包まれて、互いに言った。「風や湖までが言うことをきくとは、いったいこの方はどういう方なのだろう。」 + + + こうして彼らは湖の向こう岸、ゲラサ人の地に着いた。 + イエスが舟から上がられると、すぐに、汚れた霊につかれた人が墓場から出て来て、イエスを迎えた。 + この人は墓場に住みついており、もはやだれも、鎖をもってしても、彼をつないでおくことができなかった。 + 彼はたびたび足かせや鎖でつながれたが、鎖を引きちぎり、足かせも砕いてしまったからで、だれにも彼を押さえるだけの力がなかったのである。 + それで彼は、夜昼となく、墓場や山で叫び続け、石で自分のからだを傷つけていた。 + 彼はイエスを遠くから見つけ、駆け寄って来てイエスを拝し、 + 大声で叫んで言った。「いと高き神の子、イエスさま。いったい私に何をしようというのですか。神の御名によってお願いします。どうか私を苦しめないでください。」 + それは、イエスが、「汚れた霊よ。この人から出て行け」と言われたからである。 + それで、「おまえの名は何か」とお尋ねになると、「私の名はレギオンです。私たちは大ぜいですから」と言った。 + そして、自分たちをこの地方から追い出さないでくださいと懇願した。 + ところで、そこの山腹に、豚の大群が飼ってあった。 + 彼らはイエスに願って言った。「私たちを豚の中に送って、彼らに乗り移らせてください。」 + イエスがそれを許されたので、汚れた霊どもは出て行って、豚に乗り移った。すると、二千匹ほどの豚の群れが、険しいがけを駆け降り、湖へなだれ落ちて、湖におぼれてしまった。 + 豚を飼っていた者たちは逃げ出して、町や村々でこの事を告げ知らせた。人々は何事が起こったのかと見にやって来た。 + そして、イエスのところに来て、悪霊につかれていた人、すなわちレギオンを宿していた人が、着物を着て、正気に返ってすわっているのを見て、恐ろしくなった。 + 見ていた人たちが、悪霊につかれていた人に起こったことや、豚のことを、つぶさに彼らに話して聞かせた。 + すると、彼らはイエスに、この地方から離れてくださるよう願った。 + それでイエスが舟に乗ろうとされると、悪霊につかれていた人が、お供をしたいとイエスに願った。 + しかし、お許しにならないで、彼にこう言われた。「あなたの家、あなたの家族のところに帰り、主があなたに、どんなに大きなことをしてくださったか、どんなにあわれんでくださったかを、知らせなさい。」 + そこで、彼は立ち去り、イエスが自分にどんなに大きなことをしてくださったかを、デカポリスの地方で言い広め始めた。人々はみな驚いた。 + イエスが舟でまた向こう岸へ渡られると、大ぜいの人の群れがみもとに集まった。イエスは岸べにとどまっておられた。 + すると、会堂管理者のひとりでヤイロという者が来て、イエスを見て、その足もとにひれ伏し、 + いっしょうけんめい願ってこう言った。「私の小さい娘が死にかけています。どうか、おいでくださって、娘の上に御手を置いてやってください。娘が直って、助かるようにしてください。」 + そこで、イエスは彼といっしょに出かけられたが、多くの群衆がイエスについて来て、イエスに押し迫った。 + ところで、十二年の間長血をわずらっている女がいた。 + この女は多くの医者からひどいめに会わされて、自分の持ち物をみな使い果たしてしまったが、何のかいもなく、かえって悪くなる一方であった。 + 彼女は、イエスのことを耳にして、群衆の中に紛れ込み、うしろから、イエスの着物にさわった。 + 「お着物にさわることでもできれば、きっと直る」と考えていたからである。 + すると、すぐに、血の源がかれて、ひどい痛みが直ったことを、からだに感じた。 + イエスも、すぐに、自分のうちから力が外に出て行ったことに気づいて、群衆の中を振り向いて、「だれがわたしの着物にさわったのですか」と言われた。 + そこで弟子たちはイエスに言った。「群衆があなたに押し迫っているのをご覧になっていて、それでも『だれがわたしにさわったのか』とおっしゃるのですか。」 + イエスは、それをした人を知ろうとして、見回しておられた。 + 女は恐れおののき、自分の身に起こった事を知り、イエスの前に出てひれ伏し、イエスに真実を余すところなく打ち明けた。 + そこで、イエスは彼女にこう言われた。「娘よ。あなたの信仰があなたを直したのです。安心して帰りなさい。病気にかからず、すこやかでいなさい。」 + イエスが、まだ話しておられるときに、会堂管理者の家から人がやって来て言った。「あなたのお嬢さんはなくなりました。なぜ、このうえ先生を煩わすことがありましょう。」 + イエスは、その話のことばをそばで聞いて、会堂管理者に言われた。「恐れないで、ただ信じていなさい。」 + そして、ペテロとヤコブとヤコブの兄弟ヨハネのほかは、だれも自分といっしょに行くのをお許しにならなかった。 + 彼らはその会堂管理者の家に着いた。イエスは、人々が、取り乱し、大声で泣いたり、わめいたりしているのをご覧になり、 + 中に入って、彼らにこう言われた。「なぜ取り乱して、泣くのですか。子どもは死んだのではない。眠っているのです。」 + 人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスはみんなを外に出し、ただその子どもの父と母、それにご自分の供の者たちだけを伴って、子どものいる所へ入って行かれた。 + そして、その子どもの手を取って、「タリタ、クミ」と言われた。(訳して言えば、「少女よ。あなたに言う。起きなさい」という意味である。) + すると、少女はすぐさま起き上がり、歩き始めた。十二歳にもなっていたからである。彼らはたちまち非常な驚きに包まれた。 + イエスは、このことをだれにも知らせないようにと、きびしくお命じになり、さらに、少女に食事をさせるように言われた。 + + + イエスはそこを去って、郷里に行かれた。弟子たちもついて行った。 + 安息日になったとき、会堂で教え始められた。それを聞いた多くの人々は驚いて言った。「この人は、こういうことをどこから得たのでしょう。この人に与えられた知恵や、この人の手で行われるこのような力あるわざは、いったい何でしょう。 + この人は大工ではありませんか。マリヤの子で、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではありませんか。その妹たちも、私たちとここに住んでいるではありませんか。」こうして彼らはイエスにつまずいた。 + イエスは彼らに言われた。「預言者が尊敬されないのは、自分の郷里、親族、家族の間だけです。」 + それで、そこでは何一つ力あるわざを行うことができず、少数の病人に手を置いていやされただけであった。 + イエスは彼らの不信仰に驚かれた。/それからイエスは、近くの村々を教えて回られた。 + また、十二弟子を呼び、ふたりずつ遣わし始め、彼らに汚れた霊を追い出す権威をお与えになった。 + また、彼らにこう命じられた。「旅のためには、杖一本のほかは、何も持って行ってはいけません。パンも、袋も、胴巻に金も持って行ってはいけません。 + くつは、はきなさい。しかし二枚の下着を着てはいけません。」 + また、彼らに言われた。「どこででも一軒の家に入ったら、そこの土地から出て行くまでは、その家にとどまっていなさい。 + もし、あなたがたを受け入れない場所、また、あなたがたに聞こうとしない人々なら、そこから出て行くときに、そこの人々に対する証言として、足の裏のちりを払い落としなさい。」 + こうして十二人が出て行き、悔い改めを説き広め、 + 悪霊を多く追い出し、大ぜいの病人に油を塗っていやした。 + イエスの名が知れ渡ったので、ヘロデ王の耳にも入った。人々は、「バプテスマのヨハネが死人の中からよみがえったのだ。だから、あんな力が、彼のうちに働いているのだ」と言っていた。 + 別の人々は、「彼はエリヤだ」と言い、さらに別の人々は、「昔の預言者の中のひとりのような預言者だ」と言っていた。 + しかし、ヘロデはうわさを聞いて、「私が首をはねたあのヨハネが生き返ったのだ」と言っていた。 + 実は、このヘロデが、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、――ヘロデはこの女を妻としていた――人をやってヨハネを捕らえ、牢につないだのであった。 + これは、ヨハネがヘロデに、「あなたが兄弟の妻を自分のものとしていることは不法です」と言い張ったからである。 + ところが、ヘロデヤはヨハネを恨み、彼を殺したいと思いながら、果たせないでいた。 + それはヘロデが、ヨハネを正しい聖なる人と知って、彼を恐れ、保護を加えていたからである。また、ヘロデはヨハネの教えを聞くとき、非常に当惑しながらも、喜んで耳を傾けていた。 + ところが、良い機会が訪れた。ヘロデがその誕生日に、重臣や、千人隊長や、ガリラヤのおもだった人などを招いて、祝宴を設けたとき、 + ヘロデヤの娘が入って来て、踊りを踊ったので、ヘロデも列席の人々も喜んだ。そこで王は、この少女に、「何でもほしい物を言いなさい。与えよう」と言った。 + また、「おまえの望む物なら、私の国の半分でも、与えよう」と言って、誓った。 + そこで少女は出て行って、「何を願いましょうか」とその母親に言った。すると母親は、「バプテスマのヨハネの首」と言った。 + そこで少女はすぐに、大急ぎで王の前に行き、こう言って頼んだ。「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆に載せていただきとうございます。」 + 王は非常に心を痛めたが、自分の誓いもあり、列席の人々の手前もあって、少女の願いを退けることを好まなかった。 + そこで王は、すぐに護衛兵をやって、ヨハネの首を持って来るように命令した。護衛兵は行って、牢の中でヨハネの首をはね、 + その首を盆に載せて持って来て、少女に渡した。少女は、それを母親に渡した。 + ヨハネの弟子たちは、このことを聞いたので、やって来て、遺体を引き取り、墓に納めたのであった。 + さて、使徒たちは、イエスのもとに集まって来て、自分たちのしたこと、教えたことを残らずイエスに報告した。 + そこでイエスは彼らに、「さあ、あなたがただけで、寂しい所へ行って、しばらく休みなさい」と言われた。人々の出入りが多くて、ゆっくり食事する時間さえなかったからである。 + そこで彼らは、舟に乗って、自分たちだけで寂しい所へ行った。 + ところが、多くの人々が、彼らの出て行くのを見、それと気づいて、方々の町々からそこへ徒歩で駆けつけ、彼らよりも先に着いてしまった。 + イエスは、舟から上がられると、多くの群衆をご覧になった。そして彼らが羊飼いのいない羊のようであるのを深くあわれみ、いろいろと教え始められた。 + そのうち、もう時刻もおそくなったので、弟子たちはイエスのところに来て言った。「ここはへんぴな所で、もう時刻もおそくなりました。 + みんなを解散させてください。そして、近くの部落や村に行って何か食べる物をめいめいで買うようにさせてください。」 + すると、彼らに答えて言われた。「あなたがたで、あの人たちに何か食べる物を上げなさい。」そこで弟子たちは言った。「私たちが出かけて行って、二百デナリものパンを買ってあの人たちに食べさせるように、ということでしょうか。」 + するとイエスは彼らに言われた。「パンはどれぐらいありますか。行って見て来なさい。」彼らは確かめて言った。「五つです。それと魚が二匹です。」 + イエスは、みなを、それぞれ組にして青草の上にすわらせるよう、弟子たちにお命じになった。 + そこで人々は、百人、五十人と固まって席に着いた。 + するとイエスは、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて祝福を求め、パンを裂き、人々に配るように弟子たちに与えられた。また、二匹の魚もみなに分けられた。 + 人々はみな、食べて満腹した。 + そして、パン切れを十二のかごにいっぱい取り集め、魚の残りも取り集めた。 + パンを食べたのは、男が五千人であった。 + それからすぐに、イエスは弟子たちを強いて舟に乗り込ませ、先に向こう岸のベツサイダに行かせ、ご自分は、その間に群衆を解散させておられた。 + それから、群衆に別れ、祈るために、そこを去って山のほうに向かわれた。 + 夕方になったころ、舟は湖の真ん中に出ており、イエスだけが陸地におられた。 + イエスは、弟子たちが、向かい風のために漕ぎあぐねているのをご覧になり、夜中の三時ごろ、湖の上を歩いて、彼らに近づいて行かれたが、そのままそばを通り過ぎようとのおつもりであった。 + しかし、弟子たちは、イエスが湖の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと思い、叫び声をあげた。 + というのは、みなイエスを見ておびえてしまったからである。しかし、イエスはすぐに彼らに話しかけ、「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない」と言われた。 + そして舟に乗り込まれると、風がやんだ。彼らの心中の驚きは非常なものであった。 + というのは、彼らはまだパンのことから悟るところがなく、その心は堅く閉じていたからである。 + 彼らは湖を渡って、ゲネサレの地に着き、舟をつないだ。 + そして、彼らが舟から上がると、人々はすぐにイエスだと気がついて、 + そのあたりをくまなく走り回り、イエスがおられると聞いた場所へ、病人を床に載せて運んで来た。 + イエスが入って行かれると、村でも町でも部落でも、人々は病人たちを広場に寝かせ、そして、せめて、イエスの着物の端にでもさわらせてくださるようにと願った。そして、さわった人々はみな、いやされた。 + + + さて、パリサイ人たちと幾人かの律法学者がエルサレムから来ていて、イエスの回りに集まった。 + イエスの弟子のうちに、汚れた手で、すなわち洗わない手でパンを食べている者があるのを見て、 + ――パリサイ人をはじめユダヤ人はみな、昔の人たちの言い伝えを堅く守って、手をよく洗わないでは食事をせず、 + また、市場から帰ったときには、からだをきよめてからでないと食事をしない。まだこのほかにも、杯、水差し、銅器を洗うことなど、堅く守るように伝えられた、しきたりがたくさんある―― + パリサイ人と律法学者たちは、イエスに尋ねた。「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人たちの言い伝えに従って歩まないで、汚れた手でパンを食べるのですか。」 + イエスは彼らに言われた。「イザヤはあなたがた偽善者について預言をして、こう書いているが、まさにそのとおりです。/『この民は、口先ではわたしを敬うが、その心は、わたしから遠く離れている。 + 彼らが、わたしを拝んでも、むだなことである。/人間の教えを、教えとして教えるだけだから。』 + あなたがたは、神の戒めを捨てて、人間の言い伝えを堅く守っている。」 + また言われた。「あなたがたは、自分たちの言い伝えを守るために、よくも神の戒めをないがしろにしたものです。 + モーセは、『あなたの父と母を敬え』、また『父や母をののしる者は死刑に処せられる』と言っています。 + それなのに、あなたがたは、もし人が父や母に向かって、私からあなたのために上げられる物は、コルバン(すなわち、ささげ物)になりました、と言えば、 + その人には、父や母のために、もはや何もさせないようにしています。 + こうしてあなたがたは、自分たちが受け継いだ言い伝えによって、神のことばを空文にしています。そして、これと同じようなことを、たくさんしているのです。」 + イエスは再び群衆を呼び寄せて言われた。「みな、わたしの言うことを聞いて、悟るようになりなさい。 + 外側から人に入って、人を汚すことのできる物は何もありません。人から出て来るものが、人を汚すものなのです。」 + 七・一五後代の写本に一六節として、「聞く耳のある者は聞きなさい」を加える。 + イエスが群衆を離れて、家に入られると、弟子たちは、このたとえについて尋ねた。 + イエスは言われた。「あなたがたまで、そんなにわからないのですか。外側から人に入って来る物は人を汚すことができない、ということがわからないのですか。 + そのような物は、人の心には、入らないで、腹に入り、そして、かわやに出されてしまうのです。」イエスは、このように、すべての食物をきよいとされた。 + また言われた。「人から出るもの、これが、人を汚すのです。 + 内側から、すなわち、人の心から出て来るものは、悪い考え、不品行、盗み、殺人、 + 姦淫、貪欲、よこしま、欺き、好色、ねたみ、そしり、高ぶり、愚かさであり、 + これらの悪はみな、内側から出て、人を汚すのです。」 + イエスは、そこを出てツロの地方へ行かれた。家に入られたとき、だれにも知られたくないと思われたが、隠れていることはできなかった。 + 汚れた霊につかれた小さい娘のいる女が、イエスのことを聞きつけてすぐにやって来て、その足もとにひれ伏した。 + この女はギリシヤ人で、スロ・フェニキヤの生まれであった。そして、自分の娘から悪霊を追い出してくださるようにイエスに願い続けた。 + するとイエスは言われた。「まず子どもたちに満腹させなければなりません。子どもたちのパンを取り上げて、小犬に投げてやるのはよくないことです。」 + しかし、女は答えて言った。「主よ。そのとおりです。でも、食卓の下の小犬でも、子どもたちのパンくずをいただきます。」 + そこでイエスは言われた。「そうまで言うのですか。それなら家にお帰りなさい。悪霊はあなたの娘から出て行きました。」 + 女が家に帰ってみると、その子は床の上に伏せっており、悪霊はもう出ていた。 + それから、イエスはツロの地方を去り、シドンを通って、もう一度、デカポリス地方のあたりのガリラヤ湖に来られた。 + 人々は、耳が聞こえず、口のきけない人を連れて来て、彼の上に手を置いてくださるよう、願った。 + そこで、イエスは、その人だけを群衆の中から連れ出し、その両耳に指を差し入れ、それからつばきをして、その人の舌にさわられた。 + そして、天を見上げ、深く嘆息して、その人に「エパタ」すなわち、「開け」と言われた。 + すると彼の耳が開き、舌のもつれもすぐに解け、はっきりと話せるようになった。 + イエスは、このことをだれにも言ってはならない、と命じられたが、彼らは口止めされればされるほど、かえって言いふらした。 + 人々は非常に驚いて言った。「この方のなさったことは、みなすばらしい。耳の聞こえない者を聞こえるようにし、口のきけない者を話せるようにされた。」 + + + そのころ、また大ぜいの人の群れが集まっていたが、食べる物がなかったので、イエスは弟子たちを呼んで言われた。 + 「かわいそうに、この群衆はもう三日間もわたしといっしょにいて、食べる物を持っていないのです。 + 空腹のまま家に帰らせたら、途中で動けなくなるでしょう。それに遠くから来ている人もいます。」 + 弟子たちは答えた。「こんなへんぴな所で、どこからパンを手に入れて、この人たちに十分食べさせることができましょう。」 + すると、イエスは尋ねられた。「パンはどれぐらいありますか。」弟子たちは、「七つです」と答えた。 + すると、イエスは群衆に、地面にすわるようにおっしゃった。それから、七つのパンを取り、感謝をささげてからそれを裂き、人々に配るように弟子たちに与えられたので、弟子たちは群衆に配った。 + また、魚が少しばかりあったので、そのために感謝をささげてから、これも配るように言われた。 + 人々は食べて満腹した。そして余りのパン切れを七つのかごに取り集めた。 + 人々はおよそ四千人であった。それからイエスは、彼らを解散させられた。 + そしてすぐに弟子たちとともに舟に乗り、ダルマヌタ地方へ行かれた。 + パリサイ人たちがやって来て、イエスに議論をしかけ、天からのしるしを求めた。イエスをためそうとしたのである。 + イエスは、心の中で深く嘆息して、こう言われた。「なぜ、今の時代はしるしを求めるのか。まことに、あなたがたに告げます。今の時代には、しるしは絶対に与えられません。」 + イエスは彼らを離れて、また舟に乗って向こう岸へ行かれた。 + 弟子たちは、パンを持って来るのを忘れ、舟の中には、パンがただ一つしかなかった。 + そのとき、イエスは彼らに命じて言われた。「パリサイ人のパン種とヘロデのパン種とに十分気をつけなさい。」 + そこで弟子たちは、パンを持っていないということで、互いに議論し始めた。 + それに気づいてイエスは言われた。「なぜ、パンがないといって議論しているのですか。まだわからないのですか、悟らないのですか。心が堅く閉じているのですか。 + 目がありながら見えないのですか。耳がありながら聞こえないのですか。あなたがたは、覚えていないのですか。 + わたしが五千人に五つのパンを裂いて上げたとき、パン切れを取り集めて、幾つのかごがいっぱいになりましたか。」彼らは答えた。「十二です。」 + 「四千人に七つのパンを裂いて上げたときは、パン切れを取り集めて幾つのかごがいっぱいになりましたか。」彼らは答えた。「七つです。」 + イエスは言われた。「まだ悟らないのですか。」 + 彼らはベツサイダに着いた。すると人々が盲人を連れて来て、彼にさわってくださるよう、イエスに願った。 + イエスは盲人の手を取って村の外に連れて行かれた。そしてその両目につばきをつけ、両手を彼に当てて「何か見えるか」と聞かれた。 + すると彼は、見えるようになって、「人が見えます。木のようですが、歩いているのが見えます」と言った。 + それから、イエスはもう一度彼の両目に両手を当てられた。そして、彼が見つめていると、すっかり直り、すべてのものがはっきり見えるようになった。 + そこでイエスは、彼を家に帰し、「村に入って行かないように」と言われた。 + それから、イエスは弟子たちとピリポ・カイザリヤの村々へ出かけられた。その途中、イエスは弟子たちに尋ねて言われた。「人々はわたしをだれだと言っていますか。」 + 彼らは答えて言った。「バプテスマのヨハネだと言っています。エリヤだと言う人も、また預言者のひとりだと言う人もいます。」 + するとイエスは、彼らに尋ねられた。「では、あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」ペテロが答えてイエスに言った。「あなたは、キリストです。」 + するとイエスは、自分のことをだれにも言わないようにと、彼らを戒められた。 + それから、人の子は必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、殺され、三日の後によみがえらなければならないと、弟子たちに教え始められた。 + しかも、はっきりとこの事がらを話された。するとペテロは、イエスをわきにお連れして、いさめ始めた。 + しかし、イエスは振り向いて、弟子たちを見ながら、ペテロをしかって言われた。「下がれ。サタン。あなたは神のことを思わないで、人のことを思っている。」 + それから、イエスは群衆を弟子たちといっしょに呼び寄せて、彼らに言われた。「だれでもわたしについて来たいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負い、そしてわたしについて来なさい。 + いのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしと福音とのためにいのちを失う者はそれを救うのです。 + 人は、たとい全世界を得ても、いのちを損じたら、何の得がありましょう。 + 自分のいのちを買い戻すために、人はいったい何を差し出すことができるでしょう。 + このような姦淫と罪の時代にあって、わたしとわたしのことばを恥じるような者なら、人の子も、父の栄光を帯びて聖なる御使いたちとともに来るときには、そのような人のことを恥じます。」 + + + イエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに告げます。ここに立っている人々の中には、神の国が力をもって到来しているのを見るまでは、決して死を味わわない者がいます。」 + それから六日たって、イエスは、ペテロとヤコブとヨハネだけを連れて、高い山に導いて行かれた。そして彼らの目の前で御姿が変わった。 + その御衣は、非常に白く光り、世のさらし屋では、とてもできないほどの白さであった。 + また、エリヤが、モーセとともに現れ、彼らはイエスと語り合っていた。 + すると、ペテロが口出ししてイエスに言った。「先生。私たちがここにいることは、すばらしいことです。私たちが、幕屋を三つ造ります。あなたのために一つ、モーセのために一つ、エリヤのために一つ。」 + 実のところ、ペテロは言うべきことがわからなかったのである。彼らは恐怖に打たれたのであった。 + そのとき雲がわき起こってその人々をおおい、雲の中から、「これは、わたしの愛する子である。彼の言うことを聞きなさい」と言う声がした。 + 彼らが急いであたりを見回すと、自分たちといっしょにいるのはイエスだけで、そこにはもはやだれも見えなかった。 + さて、山を降りながら、イエスは彼らに、人の子が死人の中からよみがえるときまでは、いま見たことをだれにも話してはならない、と特に命じられた。 + そこで彼らは、そのおことばを心に堅く留め、死人の中からよみがえると言われたことはどういう意味かを論じ合った。 + 彼らはイエスに尋ねて言った。「律法学者たちは、まずエリヤが来るはずだと言っていますが、それはなぜでしょうか。」 + イエスは言われた。「エリヤがまず来て、すべてのことを立て直します。では、人の子について、多くの苦しみを受け、さげすまれると書いてあるのは、どうしてなのですか。 + しかし、あなたがたに告げます。エリヤはもう来たのです。そして人々は、彼について書いてあるとおりに、好き勝手なことを彼にしたのです。」 + さて、彼らが、弟子たちのところに帰って来て、見ると、その回りに大ぜいの人の群れがおり、また、律法学者たちが弟子たちと論じ合っていた。 + そしてすぐ、群衆はみな、イエスを見ると驚き、走り寄って来て、あいさつをした。 + イエスは彼らに、「あなたがたは弟子たちと何を議論しているのですか」と聞かれた。 + すると群衆のひとりが、イエスに答えて言った。「先生。口をきけなくする霊につかれた私の息子を、先生のところに連れて来ました。 + その霊が息子にとりつくと、所かまわず彼を押し倒します。そして彼はあわを吹き、歯ぎしりして、からだをこわばらせます。それでお弟子たちに、霊を追い出すよう願ったのですが、できませんでした。」 + イエスは答えて言われた。「ああ、不信仰な世だ。いつまであなたがたといっしょにいなければならないのでしょう。いつまであなたがたにがまんしていなければならないのでしょう。その子をわたしのところに連れて来なさい。」 + そこで、人々はイエスのところにその子を連れて来た。その子がイエスを見ると、霊はすぐに彼をひきつけさせたので、彼は地面に倒れ、あわを吹きながら、ころげ回った。 + イエスはその子の父親に尋ねられた。「この子がこんなになってから、どのくらいになりますか。」父親は言った。「幼い時からです。 + この霊は、彼を滅ぼそうとして、何度も火の中や水の中に投げ込みました。ただ、もし、おできになるものなら、私たちをあわれんで、お助けください。」 + するとイエスは言われた。「できるものなら、と言うのか。信じる者には、どんなことでもできるのです。」 + するとすぐに、その子の父は叫んで言った。「信じます。不信仰な私をお助けください。」 + イエスは、群衆が駆けつけるのをご覧になると、汚れた霊をしかって言われた。「口をきけなくし、耳を聞こえなくする霊。わたしがおまえに命じる。この子から出て行け。二度とこの子に入るな。」 + するとその霊は、叫び声をあげ、その子を激しくひきつけさせて、出て行った。するとその子が死人のようになったので、多くの人々は、「この子は死んでしまった」と言った。 + しかし、イエスは、彼の手を取って起こされた。するとその子は立ち上がった。 + イエスが家に入られると、弟子たちがそっとイエスに尋ねた。「どうしてでしょう。私たちには追い出せなかったのですが。」 + すると、イエスは言われた。「この種のものは、祈りによらなければ、何によっても追い出せるものではありません。」 + さて、一行はそこを去って、ガリラヤを通って行った。イエスは、人に知られたくないと思われた。 + それは、イエスは弟子たちを教えて、「人の子は人々の手に引き渡され、彼らはこれを殺す。しかし、殺されて、三日の後に、人の子はよみがえる」と話しておられたからである。 + しかし、弟子たちは、このみことばが理解できなかった。また、イエスに尋ねるのを恐れていた。 + カペナウムに着いた。イエスは、家に入った後、弟子たちに質問された。「道で何を論じ合っていたのですか。」 + 彼らは黙っていた。道々、だれが一番偉いかと論じ合っていたからである。 + イエスはおすわりになり、十二弟子を呼んで、言われた。「だれでも人の先に立ちたいと思うなら、みなのしんがりとなり、みなに仕える者となりなさい。」 + それから、イエスは、ひとりの子どもを連れて来て、彼らの真ん中に立たせ、腕に抱き寄せて、彼らに言われた。 + 「だれでも、このような幼子たちのひとりを、わたしの名のゆえに受け入れるならば、わたしを受け入れるのです。また、だれでも、わたしを受け入れるならば、わたしを受け入れるのではなく、わたしを遣わされた方を受け入れるのです。」 + ヨハネがイエスに言った。「先生。先生の名を唱えて悪霊を追い出している者を見ましたが、私たちの仲間ではないので、やめさせました。」 + しかし、イエスは言われた。「やめさせることはありません。わたしの名を唱えて、力あるわざを行いながら、すぐあとで、わたしを悪く言える者はないのです。 + わたしたちに反対しない者は、わたしたちの味方です。 + あなたがたがキリストの弟子だからというので、あなたがたに水一杯でも飲ませてくれる人は、決して報いを失うことはありません。これは確かなことです。 + また、わたしを信じるこの小さい者たちのひとりにでもつまずきを与えるような者は、むしろ大きい石臼を首にゆわえつけられて、海に投げ込まれたほうがましです。 + もし、あなたの手があなたのつまずきとなるなら、それを切り捨てなさい。片手でいのちに入るほうが、両手そろっていてゲヘナの消えぬ火の中に落ち込むよりは、あなたにとってよいことです。 + 九・四三、四五節として、四八節と同じことばを加える異本がある。 + もし、あなたの足があなたのつまずきとなるなら、それを切り捨てなさい。片足でいのちに入るほうが、両足そろっていてゲヘナに投げ入れられるよりは、あなたにとってよいことです。 + 九・四四、四六節として、四八節と同じことばを加える異本がある。 + もし、あなたの目があなたのつまずきを引き起こすのなら、それをえぐり出しなさい。片目で神の国に入るほうが、両目そろっていてゲヘナに投げ入れられるよりは、あなたにとってよいことです。 + そこでは、彼らを食ううじは、尽きることがなく、火は消えることがありません。 + すべては、火によって、塩けをつけられるのです。 + 塩は、ききめのあるものです。しかし、もし塩に塩けがなくなったら、何によって塩けを取り戻せましょう。あなたがたは、自分自身のうちに塩けを保ちなさい。そして、互いに和合して暮らしなさい。」 + + + イエスは、そこを立って、ユダヤ地方とヨルダンの向こうに行かれた。すると、群衆がまたもみもとに集まって来たので、またいつものように彼らを教えられた。 + すると、パリサイ人たちがみもとにやって来て、夫が妻を離別することは許されるかどうかと質問した。イエスをためそうとしたのである。 + イエスは答えて言われた。「モーセはあなたがたに、何と命じていますか。」 + 彼らは言った。「モーセは、離婚状を書いて妻を離別することを許しました。」 + イエスは言われた。「モーセは、あなたがたの心がかたくななので、この命令をあなたがたに書いたのです。 + しかし、創造の初めから、神は、人を男と女に造られたのです。 + それゆえ、人はその父と母を離れ、 + ふたりは一体となるのです。それで、もはやふたりではなく、ひとりなのです。 + こういうわけで、人は、神が結び合わせたものを引き離してはなりません。」 + 家に戻った弟子たちが、この問題についてイエスに尋ねた。 + そこで、イエスは彼らに言われた。「だれでも、妻を離別して別の女を妻にするなら、前の妻に対して姦淫を犯すのです。 + 妻も、夫を離別して別の男にとつぐなら、姦淫を犯しているのです。」 + さて、イエスにさわっていただこうとして、人々が子どもたちを、みもとに連れて来た。ところが、弟子たちは彼らをしかった。 + イエスはそれをご覧になり、憤って、彼らに言われた。「子どもたちを、わたしのところに来させなさい。止めてはいけません。神の国は、このような者たちのものです。 + まことに、あなたがたに告げます。子どものように神の国を受け入れる者でなければ、決してそこに、入ることはできません。」 + そしてイエスは子どもたちを抱き、彼らの上に手を置いて祝福された。 + イエスが道に出て行かれると、ひとりの人が走り寄って、御前にひざまずいて、尋ねた。「尊い先生。永遠のいのちを自分のものとして受けるためには、私は何をしたらよいでしょうか。」 + イエスは彼に言われた。「なぜ、わたしを『尊い』と言うのですか。尊い方は、神おひとりのほかには、だれもありません。 + 戒めはあなたもよく知っているはずです。『殺してはならない。姦淫してはならない。盗んではならない。偽証を立ててはならない。欺き取ってはならない。父と母を敬え。』」 + すると、その人はイエスに言った。「先生。私はそのようなことをみな、小さい時から守っております。」 + イエスは彼を見つめ、その人をいつくしんで言われた。「あなたには、欠けたことが一つあります。帰って、あなたの持ち物をみな売り払い、貧しい人たちに与えなさい。そうすれば、あなたは天に宝を積むことになります。そのうえで、わたしについて来なさい。」 + すると彼は、このことばに顔を曇らせ、悲しみながら立ち去った。なぜなら、この人は多くの財産を持っていたからである。 + イエスは、見回して、弟子たちに言われた。「裕福な者が神の国に入ることは、何とむずかしいことでしょう。」 + 弟子たちは、イエスのことばに驚いた。しかし、イエスは重ねて、彼らに答えて言われた。「子たちよ。神の国に入ることは、何とむずかしいことでしょう。 + 金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうがもっとやさしい。」 + 弟子たちは、ますます驚いて互いに言った。「それでは、だれが救われることができるのだろうか。」 + イエスは、彼らをじっと見て言われた。「それは人にはできないことですが、神は、そうではありません。どんなことでも、神にはできるのです。」 + ペテロがイエスにこう言い始めた。「ご覧ください。私たちは、何もかも捨てて、あなたに従ってまいりました。」 + イエスは言われた。「まことに、あなたがたに告げます。わたしのために、また福音のために、家、兄弟、姉妹、母、父、子、畑を捨てた者で、 + その百倍を受けない者はありません。今のこの時代には、家、兄弟、姉妹、母、子、畑を迫害の中で受け、後の世では永遠のいのちを受けます。 + しかし、先の者があとになり、あとの者が先になることが多いのです。」 + さて、一行は、エルサレムに上る途中にあった。イエスは先頭に立って歩いて行かれた。弟子たちは驚き、また、あとについて行く者たちは恐れを覚えた。すると、イエスは再び十二弟子をそばに呼んで、ご自分に起ころうとしていることを、話し始められた。 + 「さあ、これから、わたしたちはエルサレムに向かって行きます。人の子は、祭司長、律法学者たちに引き渡されるのです。彼らは、人の子を死刑に定め、そして、異邦人に引き渡します。 + すると彼らはあざけり、つばきをかけ、むち打ち、ついに殺します。しかし、人の子は三日の後に、よみがえります。」 + さて、ゼベダイのふたりの子、ヤコブとヨハネが、イエスのところに来て言った。「先生。私たちの頼み事をかなえていただきたいと思います。」 + イエスは彼らに言われた。「何をしてほしいのですか。」 + 彼らは言った。「あなたの栄光の座で、ひとりを先生の右に、ひとりを左にすわらせてください。」 + しかし、イエスは彼らに言われた。「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていないのです。あなたがたは、わたしの飲もうとする杯を飲み、わたしの受けようとするバプテスマを受けることができますか。」 + 彼らは「できます」と言った。イエスは言われた。「なるほどあなたがたは、わたしの飲む杯を飲み、わたしの受けるべきバプテスマを受けはします。 + しかし、わたしの右と左にすわることは、わたしが許すことではありません。それに備えられた人々があるのです。」 + 十人の者がこのことを聞くと、ヤコブとヨハネのことで腹を立てた。 + そこで、イエスは彼らを呼び寄せて、言われた。「あなたがたも知っているとおり、異邦人の支配者と認められた者たちは彼らを支配し、また、偉い人たちは彼らの上に権力をふるいます。 + しかし、あなたがたの間では、そうでありません。あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、みなに仕える者になりなさい。 + あなたがたの間で人の先に立ちたいと思う者は、みなのしもべになりなさい。 + 人の子が来たのも、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためなのです。」 + 彼らはエリコに来た。イエスが、弟子たちや多くの群衆といっしょにエリコを出られると、テマイの子のバルテマイという盲人の物ごいが、道ばたにすわっていた。 + ところが、ナザレのイエスだと聞くと、「ダビデの子のイエスさま。私をあわれんでください」と叫び始めた。 + そこで、彼を黙らせようと、大ぜいでたしなめたが、彼はますます、「ダビデの子よ。私をあわれんでください」と叫び立てた。 + すると、イエスは立ち止まって、「あの人を呼んで来なさい」と言われた。そこで、彼らはその盲人を呼び、「心配しないでよい。さあ、立ちなさい。あなたをお呼びになっている」と言った。 + すると、盲人は上着を脱ぎ捨て、すぐ立ち上がって、イエスのところに来た。 + そこでイエスは、さらにこう言われた。「わたしに何をしてほしいのか。」すると、盲人は言った。「先生。目が見えるようになることです。」 + するとイエスは、彼に言われた。「さあ、行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです。」すると、すぐさま彼は見えるようになり、イエスの行かれる所について行った。 + + + さて、彼らがエルサレムの近くに来て、オリーブ山のふもとのベテパゲとベタニヤに近づいたとき、イエスはふたりの弟子を使いに出して、 + 言われた。「向こうの村へ行きなさい。村に入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない、ろばの子が、つないであるのに気がつくでしょう。それをほどいて、引いて来なさい。 + もし、『なぜそんなことをするのか』と言う人があったら、『主がお入用なのです。すぐに、またここに送り返されます』と言いなさい。」 + そこで、出かけて見ると、表通りにある家の戸口に、ろばの子が一匹つないであったので、それをほどいた。 + すると、そこに立っていた何人かが言った。「ろばの子をほどいたりして、どうするのですか。」 + 弟子たちが、イエスの言われたとおりを話すと、彼らは許してくれた。 + そこで、ろばの子をイエスのところへ引いて行って、自分たちの上着をその上に掛けた。イエスはそれに乗られた。 + すると、多くの人が、自分たちの上着を道に敷き、またほかの人々は、木の葉を枝ごと野原から切って来て、道に敷いた。 + そして、前を行く者も、あとに従う者も、叫んでいた。「ホサナ。祝福あれ。主の御名によって来られる方に。 + 祝福あれ。いま来た、われらの父ダビデの国に。ホサナ。いと高き所に。」 + こうして、イエスはエルサレムに着き、宮に入られた。そして、すべてを見て回った後、時間ももうおそかったので、十二弟子といっしょにベタニヤに出て行かれた。 + 翌日、彼らがベタニヤを出たとき、イエスは空腹を覚えられた。 + 葉の茂ったいちじくの木が遠くに見えたので、それに何かありはしないかと見に行かれたが、そこに来ると、葉のほかは何もないのに気づかれた。いちじくのなる季節ではなかったからである。 + イエスは、その木に向かって言われた。「今後、いつまでも、だれもおまえの実を食べることのないように。」弟子たちはこれを聞いていた。 + それから、彼らはエルサレムに着いた。イエスは宮に入り、宮の中で売り買いしている人々を追い出し始め、両替人の台や、鳩を売る者たちの腰掛けを倒し、 + また宮を通り抜けて器具を運ぶことをだれにもお許しにならなかった。 + そして、彼らに教えて言われた。「『わたしの家は、すべての民の祈りの家と呼ばれる』と書いてあるではありませんか。それなのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしたのです。」 + 祭司長、律法学者たちは聞いて、どのようにしてイエスを殺そうかと相談した。イエスを恐れたからであった。なぜなら、群衆がみなイエスの教えに驚嘆していたからである。 + 夕方になると、イエスとその弟子たちは、いつも都から外に出た。 + 朝早く、通りがかりに見ると、いちじくの木が根まで枯れていた。 + ペテロは思い出して、イエスに言った。「先生。ご覧なさい。あなたののろわれたいちじくの木が枯れました。」 + イエスは答えて言われた。「神を信じなさい。 + まことに、あなたがたに告げます。だれでも、この山に向かって、『動いて、海に入れ』と言って、心の中で疑わず、ただ、自分の言ったとおりになると信じるなら、そのとおりになります。 + だからあなたがたに言うのです。祈って求めるものは何でも、すでに受けたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになります。 + また立って祈っているとき、だれかに対して恨み事があったら、赦してやりなさい。そうすれば、天におられるあなたがたの父も、あなたがたの罪を赦してくださいます。」 + 一一・二五異本に二六節として、「しかし、もし赦してやらないなら、あなたがたの天の父も、あなたがたの罪を赦してくださいません」を加える。 + 彼らはまたエルサレムに来た。イエスが宮の中を歩いておられると、祭司長、律法学者、長老たちが、イエスのところにやって来た。 + そして、イエスに言った。「何の権威によって、これらのことをしておられるのですか。だれが、あなたにこれらのことをする権威を授けたのですか。」 + そこでイエスは彼らに言われた。「一言尋ねますから、それに答えなさい。そうすれば、わたしも、何の権威によってこれらのことをしているかを、話しましょう。 + ヨハネのバプテスマは、天から来たのですか、人から出たのですか。答えなさい。」 + すると、彼らは、こう言いながら、互いに論じ合った。「もし、天から、と言えば、それならなぜ、彼を信じなかったかと言うだろう。 + だからといって、人から、と言ってよいだろうか。」――彼らは群衆を恐れていたのである。というのは、人々がみな、ヨハネは確かに預言者だと思っていたからである。 + そこで彼らは、イエスに答えて、「わかりません」と言った。そこでイエスは彼らに、「わたしも、何の権威によってこれらのことをするのか、あなたがたに話すまい」と言われた。 + + + それからイエスは、たとえを用いて彼らに話し始められた。/「ある人がぶどう園を造って、垣を巡らし、酒ぶねを掘り、やぐらを建て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。 + 季節になると、ぶどう園の収穫の分けまえを受け取りに、しもべを農夫たちのところへ遣わした。 + ところが、彼らは、そのしもべをつかまえて袋だたきにし、何も持たせないで送り帰した。 + そこで、もう一度別のしもべを遣わしたが、彼らは、頭をなぐり、はずかしめた。 + また別のしもべを遣わしたところが、彼らは、これも殺してしまった。続いて、多くのしもべをやったけれども、彼らは袋だたきにしたり、殺したりした。 + その人には、なおもうひとりの者がいた。それは愛する息子であった。彼は、『私の息子なら、敬ってくれるだろう』と言って、最後にその息子を遣わした。 + すると、その農夫たちはこう話し合った。『あれはあと取りだ。さあ、あれを殺そうではないか。そうすれば、財産はこちらのものだ。』 + そして、彼をつかまえて殺してしまい、ぶどう園の外に投げ捨てた。 + ところで、ぶどう園の主人は、どうするでしょう。彼は戻って来て、農夫どもを打ち滅ぼし、ぶどう園をほかの人たちに与えてしまいます。 + あなたがたは、次の聖書のことばを読んだことがないのですか。/『家を建てる者たちの見捨てた石、それが礎の石になった。 + これは主のなさったことだ。/私たちの目には、不思議なことである。』」 + 彼らは、このたとえ話が、自分たちをさして語られたことに気づいたので、イエスを捕らえようとしたが、やはり群衆を恐れた。それで、イエスを残して、立ち去った。 + さて、彼らは、イエスに何か言わせて、わなに陥れようとして、パリサイ人とヘロデ党の者数人をイエスのところへ送った。 + 彼らはイエスのところに来て、言った。「先生。私たちは、あなたが真実な方で、だれをもはばからない方だと存じています。あなたは人の顔色を見ず、真理に基づいて神の道を教えておられるからです。ところで、カイザルに税金を納めることは律法にかなっていることでしょうか、かなっていないことでしょうか。納めるべきでしょうか、納めるべきでないのでしょうか。」 + イエスは彼らの擬装を見抜いて言われた。「なぜ、わたしをためすのか。デナリ銀貨を持って来て見せなさい。」 + 彼らは持って来た。そこでイエスは彼らに言われた。「これはだれの肖像ですか。だれの銘ですか。」彼らは、「カイザルのです」と言った。 + するとイエスは言われた。「カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」彼らはイエスに驚嘆した。 + また、復活はないと主張していたサドカイ人たちが、イエスのところに来て、質問した。 + 「先生。モーセは私たちのためにこう書いています。『もし、兄が死んで妻をあとに残し、しかも子がない場合には、その弟はその女を妻にして、兄のための子をもうけなければならない。』 + さて、七人の兄弟がいました。長男が妻をめとりましたが、子を残さないで死にました。 + そこで次男がその女を妻にしたところ、やはり子を残さずに死にました。三男も同様でした。 + こうして、七人とも子を残しませんでした。最後に、女も死にました。 + 復活の際、彼らがよみがえるとき、その女はだれの妻なのでしょうか。七人ともその女を妻にしたのですが。」 + イエスは彼らに言われた。「そんな思い違いをしているのは、聖書も神の力も知らないからではありませんか。 + 人が死人の中からよみがえるときには、めとることも、とつぐこともなく、天の御使いたちのようです。 + それに、死人がよみがえることについては、モーセの書にある柴の個所で、神がモーセにどう語られたか、あなたがたは読んだことがないのですか。『わたしは、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である』とあります。 + 神は死んだ者の神ではありません。生きている者の神です。あなたがたはたいへんな思い違いをしています。」 + 律法学者がひとり来て、その議論を聞いていたが、イエスがみごとに答えられたのを知って、イエスに尋ねた。「すべての命令の中で、どれが一番たいせつですか。」 + イエスは答えられた。「一番たいせつなのはこれです。『イスラエルよ。聞け。われらの神である主は、唯一の主である。 + 心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』 + 次にはこれです。『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。』この二つより大事な命令は、ほかにありません。」 + そこで、この律法学者は、イエスに言った。「先生。そのとおりです。『主は唯一であって、そのほかに、主はない』と言われたのは、まさにそのとおりです。 + また『心を尽くし、知恵を尽くし、力を尽くして主を愛し、また隣人をあなた自身のように愛する』ことは、どんな全焼のいけにえや供え物よりも、ずっとすぐれています。」 + イエスは、彼が賢い返事をしたのを見て、言われた。「あなたは神の国から遠くない。」それから後は、だれもイエスにあえて尋ねる者がなかった。 + イエスが宮で教えておられたとき、こう言われた。「律法学者たちは、どうしてキリストをダビデの子と言うのですか。 + ダビデ自身、聖霊によって、こう言っています。/『主は私の主に言われた。/「わたしがあなたの敵を/あなたの足の下に従わせるまでは、わたしの右の座に着いていなさい。」』 + ダビデ自身がキリストを主と呼んでいるのに、どういうわけでキリストがダビデの子なのでしょう。」大ぜいの群衆は、イエスの言われることを喜んで聞いていた。 + イエスはその教えの中でこう言われた。「律法学者たちには気をつけなさい。彼らは、長い衣をまとって歩き回ったり、広場であいさつされたりすることが大好きで、 + また会堂の上席や、宴会の上座が大好きです。 + また、やもめの家を食いつぶし、見えを飾るために長い祈りをします。こういう人たちは人一倍きびしい罰を受けるのです。」 + それから、イエスは献金箱に向かってすわり、人々が献金箱へ金を投げ入れる様子を見ておられた。多くの金持ちが大金を投げ入れていた。 + そこへひとりの貧しいやもめが来て、レプタ銅貨を二つ投げ入れた。それは一コドラントに当たる。 + すると、イエスは弟子たちを呼び寄せて、こう言われた。「まことに、あなたがたに告げます。この貧しいやもめは、献金箱に投げ入れていたどの人よりもたくさん投げ入れました。 + みなは、あり余る中から投げ入れたのに、この女は、乏しい中から、あるだけを全部、生活費の全部を投げ入れたからです。」 + + + イエスが、宮から出て行かれるとき、弟子のひとりがイエスに言った。「先生。これはまあ、何とみごとな石でしょう。何とすばらしい建物でしょう。」 + すると、イエスは彼に言われた。「この大きな建物を見ているのですか。石がくずされずに、積まれたまま残ることは決してありません。」 + イエスがオリーブ山で宮に向かってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにイエスに質問した。 + 「お話しください。いつ、そういうことが起こるのでしょう。また、それがみな実現するようなときには、どんな前兆があるのでしょう。」 + そこで、イエスは彼らに話し始められた。「人に惑わされないように気をつけなさい。 + わたしの名を名のる者が大ぜい現れ、『私こそそれだ』と言って、多くの人を惑わすでしょう。 + また、戦争のことや戦争のうわさを聞いても、あわててはいけません。それは必ず起こることです。しかし、終わりが来たのではありません。 + 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々に地震があり、ききんも起こるはずだからです。これらのことは、産みの苦しみの初めです。 + だが、あなたがたは、気をつけていなさい。人々は、あなたがたを議会に引き渡し、また、あなたがたは会堂でむち打たれ、また、わたしのゆえに、総督や王たちの前に立たされます。それは彼らに対してあかしをするためです。 + こうして、福音がまずあらゆる民族に宣べ伝えられなければなりません。 + 彼らに捕らえられ、引き渡されたとき、何と言おうかなどと案じるには及びません。ただ、そのとき自分に示されることを、話しなさい。話すのはあなたがたではなく、聖霊です。 + また兄弟は兄弟を死に渡し、父は子を死に渡し、子は両親に逆らって立ち、彼らを死に至らせます。 + また、わたしの名のために、あなたがたはみなの者に憎まれます。しかし、最後まで耐え忍ぶ人は救われます。 + 『荒らす憎むべきもの』が、自分の立ってはならない所に立っているのを見たならば(読者はよく読み取るように。)ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。 + 屋上にいる者は降りてはいけません。家から何かを取り出そうとして中に入ってはいけません。 + 畑にいる者は着物を取りに戻ってはいけません。 + だがその日、哀れなのは身重の女と乳飲み子を持つ女です。 + ただ、このことが冬に起こらないように祈りなさい。 + その日は、神が天地を創造された初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないような苦難の日だからです。 + そして、もし主がその日数を少なくしてくださらないなら、ひとりとして救われる者はないでしょう。しかし、主は、ご自分で選んだ選びの民のために、その日数を少なくしてくださったのです。 + そのとき、あなたがたに、『そら、キリストがここにいる』とか、『ほら、あそこにいる』とか言う者があっても、信じてはいけません。 + にせキリスト、にせ預言者たちが現れて、できれば選民を惑わそうとして、しるしや不思議なことをして見せます。 + だから、気をつけていなさい。わたしは、何もかも前もって話しました。 + だが、その日には、その苦難に続いて、太陽は暗くなり、月は光を放たず、 + 星は天から落ち、天の万象は揺り動かされます。 + そのとき、人々は、人の子が偉大な力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを見るのです。 + そのとき、人の子は、御使いたちを送り、地の果てから天の果てまで、四方からその選びの民を集めます。 + いちじくの木から、たとえを学びなさい。枝が柔らかになって、葉が出て来ると、夏の近いことがわかります。 + そのように、これらのことが起こるのを見たら、人の子が戸口まで近づいていると知りなさい。 + まことに、あなたがたに告げます。これらのことが全部起こってしまうまでは、この時代は過ぎ去りません。 + この天地は滅びます。しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません。 + ただし、その日、その時がいつであるかは、だれも知りません。天の御使いたちも子も知りません。ただ父だけが知っておられます。 + 気をつけなさい。目をさまし、注意していなさい。その定めの時がいつだか、あなたがたは知らないからです。 + それはちょうど、旅に立つ人が、出がけに、しもべたちにはそれぞれ仕事を割り当てて責任を持たせ、門番には目をさましているように言いつけるようなものです。 + だから、目をさましていなさい。家の主人がいつ帰って来るか、夕方か、夜中か、鶏の鳴くころか、明け方か、わからないからです。 + 主人が不意に帰って来たとき眠っているのを見られないようにしなさい。 + わたしがあなたがたに話していることは、すべての人に言っているのです。目をさましていなさい。」 + + + さて、過越の祭りと種なしパンの祝いが二日後に迫っていたので、祭司長、律法学者たちは、どうしたらイエスをだまして捕らえ、殺すことができるだろうか、とけんめいであった。 + 彼らは、「祭りの間はいけない。民衆の騒ぎが起こるといけないから」と話していた。 + イエスがベタニヤで、ツァラアトに冒された人シモンの家におられたとき、食卓に着いておられると、ひとりの女が、純粋で、非常に高価なナルド油の入った石膏のつぼを持って来て、そのつぼを割り、イエスの頭に注いだ。 + すると、何人かの者が憤慨して互いに言った。「何のために、香油をこんなにむだにしたのか。 + この香油なら、三百デナリ以上に売れて、貧しい人たちに施しができたのに。」そうして、その女をきびしく責めた。 + すると、イエスは言われた。「そのままにしておきなさい。なぜこの人を困らせるのですか。わたしのために、りっぱなことをしてくれたのです。 + 貧しい人たちは、いつもあなたがたといっしょにいます。それで、あなたがたがしたいときは、いつでも彼らに良いことをしてやれます。しかし、わたしは、いつもあなたがたといっしょにいるわけではありません。 + この女は、自分にできることをしたのです。埋葬の用意にと、わたしのからだに、前もって油を塗ってくれたのです。 + まことに、あなたがたに告げます。世界中のどこででも、福音が宣べ伝えられる所なら、この人のした事も語られて、この人の記念となるでしょう。」 + ところで、イスカリオテ・ユダは、十二弟子のひとりであるが、イエスを売ろうとして祭司長たちのところへ出向いて行った。 + 彼らはこれを聞いて喜んで、金をやろうと約束した。そこでユダは、どうしたら、うまいぐあいにイエスを引き渡せるかと、ねらっていた。 + 種なしパンの祝いの第一日、すなわち、過越の小羊をほふる日に、弟子たちはイエスに言った。「過越の食事をなさるのに、私たちは、どこへ行って用意をしましょうか。」 + そこで、イエスは、弟子のうちふたりを送って、こう言われた。「都に入りなさい。そうすれば、水がめを運んでいる男に会うから、その人について行きなさい。 + そして、その人が入って行く家の主人に、『弟子たちといっしょに過越の食事をする、わたしの客間はどこか、と先生が言っておられる』と言いなさい。 + するとその主人が自分で、席が整って用意のできた二階の広間を見せてくれます。そこでわたしたちのために用意をしなさい。」 + 弟子たちが出かけて行って、都に入ると、まさしくイエスの言われたとおりであった。それで、彼らはそこで過越の食事の用意をした。 + 夕方になって、イエスは十二弟子といっしょにそこに来られた。 + そして、みなが席に着いて、食事をしているとき、イエスは言われた。「まことに、あなたがたに告げます。あなたがたのうちのひとりで、わたしといっしょに食事をしている者が、わたしを裏切ります。」 + 弟子たちは悲しくなって、「まさか私ではないでしょう」とかわるがわるイエスに言いだした。 + イエスは言われた。「この十二人の中のひとりで、わたしといっしょに鉢に浸している者です。 + 確かに、人の子は、自分について書いてあるとおりに、去って行きます。しかし、人の子を裏切るような人間はわざわいです。そういう人は生まれなかったほうがよかったのです。」 + それから、みなが食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福して後、これを裂き、彼らに与えて言われた。「取りなさい。これはわたしのからだです。」 + また、杯を取り、感謝をささげて後、彼らに与えられた。彼らはみなその杯から飲んだ。 + イエスは彼らに言われた。「これはわたしの契約の血です。多くの人のために流されるものです。 + まことに、あなたがたに告げます。神の国で新しく飲むその日までは、わたしはもはや、ぶどうの実で造った物を飲むことはありません。」 + そして、賛美の歌を歌ってから、みなでオリーブ山へ出かけて行った。 + イエスは、弟子たちに言われた。「あなたがたはみな、つまずきます。『わたしが羊飼いを打つ。すると、羊は散り散りになる』と書いてありますから。 + しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先に、ガリラヤへ行きます。」 + すると、ペテロがイエスに言った。「たとい全部の者がつまずいても、私はつまずきません。」 + イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに告げます。あなたは、きょう、今夜、鶏が二度鳴く前に、わたしを知らないと三度言います。」 + ペテロは力を込めて言い張った。「たとい、ごいっしょに死ななければならないとしても、私は、あなたを知らないなどとは決して申しません。」みなの者もそう言った。 + ゲツセマネという所に来て、イエスは弟子たちに言われた。「わたしが祈る間、ここにすわっていなさい。」 + そして、ペテロ、ヤコブ、ヨハネをいっしょに連れて行かれた。イエスは深く恐れもだえ始められた。 + そして彼らに言われた。「わたしは悲しみのあまり死ぬほどです。ここを離れないで、目をさましていなさい。」 + それから、イエスは少し進んで行って、地面にひれ伏し、もしできることなら、この時が自分から過ぎ去るようにと祈り、 + またこう言われた。「アバ、父よ。あなたにおできにならないことはありません。どうぞ、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願うことではなく、あなたのみこころのままを、なさってください。」 + それから、イエスは戻って来て、彼らの眠っているのを見つけ、ペテロに言われた。「シモン。眠っているのか。一時間でも目をさましていることができなかったのか。 + 誘惑に陥らないように、目をさまして、祈り続けなさい。心は燃えていても、肉体は弱いのです。」 + イエスは再び離れて行き、前と同じことばで祈られた。 + そして、また戻って来て、ご覧になると、彼らは眠っていた。ひどく眠けがさしていたのである。彼らは、イエスにどう言ってよいか、わからなかった。 + イエスは三度目に来て、彼らに言われた。「まだ眠って休んでいるのですか。もう十分です。時が来ました。見なさい。人の子は罪人たちの手に渡されます。 + 立ちなさい。さあ、行くのです。見なさい。わたしを裏切る者が近づきました。」 + そしてすぐ、イエスがまだ話しておられるうちに、十二弟子のひとりのユダが現れた。剣や棒を手にした群衆もいっしょであった。群衆はみな、祭司長、律法学者、長老たちから差し向けられたものであった。 + イエスを裏切る者は、彼らと前もって次のような合図を決めておいた。「私が口づけをするのが、その人だ。その人をつかまえて、しっかりと引いて行くのだ。」 + それで、彼はやって来るとすぐに、イエスに近寄って、「先生」と言って、口づけした。 + すると人々は、イエスに手をかけて捕らえた。 + そのとき、イエスのそばに立っていたひとりが、剣を抜いて大祭司のしもべに撃ちかかり、その耳を切り落とした。 + イエスは彼らに向かって言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持ってわたしを捕らえに来たのですか。 + わたしは毎日、宮であなたがたといっしょにいて、教えていたのに、あなたがたは、わたしを捕らえなかったのです。しかし、こうなったのは聖書のことばが実現するためです。」 + すると、みながイエスを見捨てて、逃げてしまった。 + ある青年が、素はだに亜麻布を一枚まとったままで、イエスについて行ったところ、人々は彼を捕らえようとした。 + すると、彼は亜麻布を脱ぎ捨てて、はだかで逃げた。 + 彼らがイエスを大祭司のところに連れて行くと、祭司長、長老、律法学者たちがみな、集まって来た。 + ペテロは、遠くからイエスのあとをつけながら、大祭司の庭の中まで入って行った。そして、役人たちといっしょにすわって、火にあたっていた。 + さて、祭司長たちと全議会は、イエスを死刑にするために、イエスを訴える証拠をつかもうと努めたが、何も見つからなかった。 + イエスに対する偽証をした者は多かったが、一致しなかったのである。 + すると、数人が立ち上がって、イエスに対する偽証をして、次のように言った。 + 「私たちは、この人が『わたしは手で造られたこの神殿をこわして、三日のうちに、手で造られない別の神殿を造ってみせる』と言うのを聞きました。」 + しかし、この点でも証言は一致しなかった。 + そこで大祭司が立ち上がり、真ん中に進み出てイエスに尋ねて言った。「何も答えないのですか。この人たちが、あなたに不利な証言をしていますが、これはどうなのですか。」 + しかし、イエスは黙ったままで、何もお答えにならなかった。大祭司は、さらにイエスに尋ねて言った。「あなたは、ほむべき方の子、キリストですか。」 + そこでイエスは言われた。「わたしは、それです。人の子が、力ある方の右の座に着き、天の雲に乗って来るのを、あなたがたは見るはずです。」 + すると、大祭司は、自分の衣を引き裂いて言った。「これでもまだ、証人が必要でしょうか。 + あなたがたは、神をけがすこのことばを聞いたのです。どう考えますか。」すると、彼らは全員で、イエスには死刑に当たる罪があると決めた。 + そうして、ある人々は、イエスにつばきをかけ、御顔をおおい、こぶしでなぐりつけ、「言い当ててみろ」などと言ったりし始めた。また、役人たちは、イエスを受け取って、平手で打った。 + ペテロが下の庭にいると、大祭司の女中のひとりが来て、 + ペテロが火にあたっているのを見かけ、彼をじっと見つめて、言った。「あなたも、あのナザレ人、あのイエスといっしょにいましたね。」 + しかし、ペテロはそれを打ち消して、「何を言っているのか、わからない。見当もつかない」と言って、出口のほうへと出て行った。 + すると女中は、ペテロを見て、そばに立っていた人たちに、また、「この人はあの仲間です」と言いだした。 + しかし、ペテロは再び打ち消した。しばらくすると、そばに立っていたその人たちが、またペテロに言った。「確かに、あなたはあの仲間だ。ガリラヤ人なのだから。」 + しかし、彼はのろいをかけて誓い始め、「私は、あなたがたの話しているその人を知りません」と言った。 + するとすぐに、鶏が、二度目に鳴いた。そこでペテロは、「鶏が二度鳴く前に、あなたは、わたしを知らないと三度言います」というイエスのおことばを思い出した。それに思い当たったとき、彼は泣き出した。 + + + 夜が明けるとすぐに、祭司長たちをはじめ、長老、律法学者たちと、全議会とは協議をこらしたすえ、イエスを縛って連れ出し、ピラトに引き渡した。 + ピラトはイエスに尋ねた。「あなたは、ユダヤ人の王ですか。」イエスは答えて言われた。「そのとおりです。」 + そこで、祭司長たちはイエスをきびしく訴えた。 + ピラトはもう一度イエスに尋ねて言った。「何も答えないのですか。見なさい。彼らはあんなにまであなたを訴えているのです。」 + それでも、イエスは何もお答えにならなかった。それにはピラトも驚いた。 + ところでピラトは、その祭りには、人々の願う囚人をひとりだけ赦免するのを例としていた。 + たまたま、バラバという者がいて、暴動のとき人殺しをした暴徒たちといっしょに牢に入っていた。 + それで、群衆は進んで行って、いつものようにしてもらうことを、ピラトに要求し始めた。 + そこでピラトは、彼らに答えて、「このユダヤ人の王を釈放してくれというのか」と言った。 + ピラトは、祭司長たちが、ねたみからイエスを引き渡したことに、気づいていたからである。 + しかし、祭司長たちは群衆を扇動して、むしろバラバを釈放してもらいたいと言わせた。 + そこで、ピラトはもう一度答えて、「ではいったい、あなたがたがユダヤ人の王と呼んでいるあの人を、私にどうせよというのか」と言った。 + すると彼らはまたも「十字架につけろ」と叫んだ。 + だが、ピラトは彼らに、「あの人がどんな悪い事をしたというのか」と言った。しかし、彼らはますます激しく「十字架につけろ」と叫んだ。 + それで、ピラトは群衆のきげんをとろうと思い、バラバを釈放した。そして、イエスをむち打って後、十字架につけるようにと引き渡した。 + 兵士たちはイエスを、邸宅、すなわち総督官邸の中に連れて行き、全部隊を呼び集めた。 + そしてイエスに紫の衣を着せ、いばらの冠を編んでかぶらせ、 + それから、「ユダヤ人の王さま。ばんざい」と叫んであいさつをし始めた。 + また、葦の棒でイエスの頭をたたいたり、つばきをかけたり、ひざまずいて拝んだりしていた。 + 彼らはイエスを嘲弄したあげく、その紫の衣を脱がせて、もとの着物をイエスに着せた。それから、イエスを十字架につけるために連れ出した。 + そこへ、アレキサンデルとルポスとの父で、シモンというクレネ人が、いなかから出て来て通りかかったので、彼らはイエスの十字架を、むりやりに彼に背負わせた。 + そして、彼らはイエスをゴルゴタの場所(訳すと、「どくろ」の場所)へ連れて行った。 + そして彼らは、没薬を混ぜたぶどう酒をイエスに与えようとしたが、イエスはお飲みにならなかった。 + それから、彼らは、イエスを十字架につけた。そして、だれが何を取るかをくじ引きで決めたうえで、イエスの着物を分けた。 + 彼らがイエスを十字架につけたのは、午前九時であった。 + イエスの罪状書きには、「ユダヤ人の王」と書いてあった。 + また彼らは、イエスとともにふたりの強盗を、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけた。 + 一五・二七異本に二八節として「こうして『この人は罪人とともに数えられた』とある聖書が実現したのである」を加えるものもある。 + 道を行く人々は、頭を振りながらイエスをののしって言った。「おお、神殿を打ちこわして三日で建てる人よ。 + 十字架から降りて来て、自分を救ってみろ。」 + また、祭司長たちも同じように、律法学者たちといっしょになって、イエスをあざけって言った。「他人は救ったが、自分は救えない。 + キリスト、イスラエルの王さま。今、十字架から降りてもらおうか。われわれは、それを見たら信じるから。」また、イエスといっしょに十字架につけられた者たちもイエスをののしった。 + さて、十二時になったとき、全地が暗くなって、午後三時まで続いた。 + そして、三時に、イエスは大声で、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」と叫ばれた。それは訳すと「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。 + そばに立っていた幾人かが、これを聞いて、「そら、エリヤを呼んでいる」と言った。 + すると、ひとりが走って行って、海綿に酸いぶどう酒を含ませ、それを葦の棒につけて、イエスに飲ませようとしながら言った。「エリヤがやって来て、彼を降ろすかどうか、私たちは見ることにしよう。」 + それから、イエスは大声をあげて息を引き取られた。 + 神殿の幕が上から下まで真っ二つに裂けた。 + イエスの正面に立っていた百人隊長は、イエスがこのように息を引き取られたのを見て、「この方はまことに神の子であった」と言った。 + また、遠くのほうから見ていた女たちもいた。その中にマグダラのマリヤと、小ヤコブとヨセの母マリヤと、またサロメもいた。 + イエスがガリラヤにおられたとき、いつもつき従って仕えていた女たちである。このほかにも、イエスといっしょにエルサレムに上って来た女たちがたくさんいた。 + すっかり夕方になった。その日は備えの日、すなわち安息日の前日であったので、 + アリマタヤのヨセフは、思い切ってピラトのところに行き、イエスのからだの下げ渡しを願った。ヨセフは有力な議員であり、みずからも神の国を待ち望んでいた人であった。 + ピラトは、イエスがもう死んだのかと驚いて、百人隊長を呼び出し、イエスがすでに死んでしまったかどうかを問いただした。 + そして、百人隊長からそうと確かめてから、イエスのからだをヨセフに与えた。 + そこで、ヨセフは亜麻布を買い、イエスを取り降ろしてその亜麻布に包み、岩を掘って造った墓に納めた。墓の入口には石をころがしかけておいた。 + マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスの納められる所をよく見ていた。 + + + さて、安息日が終わったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとは、イエスに油を塗りに行こうと思い、香料を買った。 + そして、週の初めの日の早朝、日が上ったとき、墓に着いた。 + 彼女たちは、「墓の入口からあの石をころがしてくれる人が、だれかいるでしょうか」とみなで話し合っていた。 + ところが、目を上げて見ると、あれほど大きな石だったのに、その石がすでにころがしてあった。 + それで、墓の中に入ったところ、真っ白な長い衣をまとった青年が右側にすわっているのが見えた。彼女たちは驚いた。 + 青年は言った。「驚いてはいけません。あなたがたは、十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのでしょう。あの方はよみがえられました。ここにはおられません。ご覧なさい。ここがあの方の納められた所です。 + ですから行って、お弟子たちとペテロに、『イエスは、あなたがたより先にガリラヤへ行かれます。前に言われたとおり、そこでお会いできます』とそう言いなさい。」 + 女たちは、墓を出て、そこから逃げ去った。すっかり震え上がって、気も転倒していたからである。そしてだれにも何も言わなかった。恐ろしかったからである。 + 〔さて、週の初めの日の朝早くによみがえったイエスは、まずマグダラのマリヤにご自分を現された。イエスは、以前に、この女から七つの悪霊を追い出されたのであった。 + マリヤはイエスといっしょにいた人たちが嘆き悲しんで泣いているところに行き、そのことを知らせた。 + ところが、彼らは、イエスが生きておられ、お姿をよく見た、と聞いても、それを信じようとはしなかった。 + その後、彼らのうちのふたりがいなかのほうへ歩いていたおりに、イエスは別の姿でご自分を現された。 + そこでこのふたりも、残りの人たちのところへ行ってこれを知らせたが、彼らはふたりの話も信じなかった。 + しかしそれから後になって、イエスは、その十一人が食卓に着いているところに現れて、彼らの不信仰とかたくなな心をお責めになった。それは、彼らが、よみがえられたイエスを見た人たちの言うところを信じなかったからである。 + それから、イエスは彼らにこう言われた。「全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい。 + 信じてバプテスマを受ける者は、救われます。しかし、信じない者は罪に定められます。 + 信じる人々には次のようなしるしが伴います。すなわち、わたしの名によって悪霊を追い出し、新しいことばを語り、 + 蛇をもつかみ、たとい毒を飲んでも決して害を受けず、また、病人に手を置けば病人はいやされます。」 + 主イエスは、彼らにこう話されて後、天に上げられて神の右の座に着かれた。 + そこで、彼らは出て行って、至る所で福音を宣べ伝えた。主は彼らとともに働き、みことばに伴うしるしをもって、みことばを確かなものとされた。〕別の追加文/〔さて、女たちは、命じられたすべてのことを、ペテロとその仲間の人々にさっそく知らせた。その後、イエスご自身、彼らによって、きよく、朽ちることのない、永遠の救いのおとずれを、東の果てから、西の果てまで送り届けられた。〕 + +
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+ + 私たちの間ですでに確信されている出来事については、初めからの目撃者で、みことばに仕える者となった人々が、私たちに伝えたそのとおりを、多くの人が記事にまとめて書き上げようと、すでに試みておりますので、 + - + 私も、すべてのことを初めから綿密に調べておりますから、あなたのために、順序を立てて書いて差し上げるのがよいと思います。尊敬するテオピロ殿。 + それによって、すでに教えを受けられた事がらが正確な事実であることを、よくわかっていただきたいと存じます。 + ユダヤの王ヘロデの時に、アビヤの組の者でザカリヤという祭司がいた。彼の妻はアロンの子孫で、名をエリサベツといった。 + ふたりとも、神の御前に正しく、主のすべての戒めと定めを落度なく踏み行っていた。 + エリサベツは不妊の女だったので、彼らには子がなく、ふたりとももう年をとっていた。 + さて、ザカリヤは、自分の組が当番で、神の御前に祭司の務めをしていたが、 + 祭司職の習慣によって、くじを引いたところ、主の神殿に入って香をたくことになった。 + 彼が香をたく間、大ぜいの民はみな、外で祈っていた。 + ところが、主の使いが彼に現れて、香壇の右に立った。 + これを見たザカリヤは不安を覚え、恐怖に襲われたが、 + 御使いは彼に言った。「こわがることはない。ザカリヤ。あなたの願いが聞かれたのです。あなたの妻エリサベツは男の子を産みます。名をヨハネとつけなさい。 + その子はあなたにとって喜びとなり楽しみとなり、多くの人もその誕生を喜びます。 + 彼は主の御前にすぐれた者となるからです。彼は、ぶどう酒も強い酒も飲まず、まだ母の胎内にあるときから聖霊に満たされ、 + そしてイスラエルの多くの子らを、彼らの神である主に立ち返らせます。 + 彼こそ、エリヤの霊と力で主の前ぶれをし、父たちの心を子どもたちに向けさせ、逆らう者を義人の心に立ち戻らせ、こうして、整えられた民を主のために用意するのです。」 + そこで、ザカリヤは御使いに言った。「私は何によってそれを知ることができましょうか。私ももう年寄りですし、妻も年をとっております。」 + 御使いは答えて言った。「私は神の御前に立つガブリエルです。あなたに話をし、この喜びのおとずれを伝えるように遣わされているのです。 + ですから、見なさい。これらのことが起こる日までは、あなたは、ものが言えず、話せなくなります。私のことばを信じなかったからです。私のことばは、その時が来れば実現します。」 + 人々はザカリヤを待っていたが、神殿であまり暇取るので不思議に思った。 + やがて彼は出て来たが、人々に話すことができなかった。それで、彼は神殿で幻を見たのだとわかった。ザカリヤは、彼らに合図を続けるだけで、口がきけないままであった。 + やがて、務めの期間が終わったので、彼は自分の家に帰った。 + その後、妻エリサベツはみごもり、五か月の間引きこもって、こう言った。 + 「主は、人中で私の恥を取り除こうと心にかけられ、今、私をこのようにしてくださいました。」 + ところで、その六か月目に、御使いガブリエルが、神から遣わされてガリラヤのナザレという町のひとりの処女のところに来た。 + この処女は、ダビデの家系のヨセフという人のいいなずけで、名をマリヤといった。 + 御使いは、入って来ると、マリヤに言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。」 + しかし、マリヤはこのことばに、ひどくとまどって、これはいったい何のあいさつかと考え込んだ。 + すると御使いが言った。「こわがることはない。マリヤ。あなたは神から恵みを受けたのです。 + ご覧なさい。あなたはみごもって、男の子を産みます。名をイエスとつけなさい。 + その子はすぐれた者となり、いと高き方の子と呼ばれます。また、神である主は彼にその父ダビデの王位をお与えになります。 + 彼はとこしえにヤコブの家を治め、その国は終わることがありません。」 + そこで、マリヤは御使いに言った。「どうしてそのようなことになりえましょう。私はまだ男の人を知りませんのに。」 + 御使いは答えて言った。「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力があなたをおおいます。それゆえ、生まれる者は、聖なる者、神の子と呼ばれます。 + ご覧なさい。あなたの親類のエリサベツも、あの年になって男の子を宿しています。不妊の女といわれていた人なのに、今はもう六か月です。 + 神にとって不可能なことは一つもありません。」 + マリヤは言った。「ほんとうに、私は主のはしためです。どうぞ、あなたのおことばどおりこの身になりますように。」こうして御使いは彼女から去って行った。 + そのころ、マリヤは立って、山地にあるユダの町に急いだ。 + そしてザカリヤの家に行って、エリサベツにあいさつした。 + エリサベツがマリヤのあいさつを聞いたとき、子が胎内でおどり、エリサベツは聖霊に満たされた。 + そして大声をあげて言った。「あなたは女の中の祝福された方。あなたの胎の実も祝福されています。 + 私の主の母が私のところに来られるとは、何ということでしょう。 + ほんとうに、あなたのあいさつの声が私の耳に入ったとき、私の胎内で子どもが喜んでおどりました。 + 主によって語られたことは必ず実現すると信じきった人は、何と幸いなことでしょう。」 + マリヤは言った。/「わがたましいは主をあがめ、 + わが霊は、わが救い主なる神を喜びたたえます。 + 主はこの卑しいはしために/目を留めてくださったからです。/ほんとうに、これから後、どの時代の人々も、私をしあわせ者と思うでしょう。 + 力ある方が、私に大きなことをしてくださいました。/その御名は聖く、 + そのあわれみは、主を恐れかしこむ者に、代々にわたって及びます。 + 主は、御腕をもって力強いわざをなし、心の思いの高ぶっている者を追い散らし、 + 権力ある者を王位から引き降ろされます。/低い者を高く引き上げ、 + 飢えた者を良いもので満ち足らせ、富む者を何も持たせないで追い返されました。 + 主はそのあわれみをいつまでも忘れないで、そのしもべイスラエルをお助けになりました。 + 私たちの父祖たち、アブラハムとその子孫に/語られたとおりです。」 + マリヤは三か月ほどエリサベツと暮らして、家に帰った。 + さて月が満ちて、エリサベツは男の子を産んだ。 + 近所の人々や親族は、主がエリサベツに大きなあわれみをおかけになったと聞いて、彼女とともに喜んだ。 + さて八日目に、人々は幼子に割礼するためにやって来て、幼子を父の名にちなんでザカリヤと名づけようとしたが、 + 母は答えて、「いいえ、そうではなくて、ヨハネという名にしなければなりません」と言った。 + 彼らは彼女に、「あなたの親族にはそのような名の人はひとりもいません」と言った。 + そして、身振りで父親に合図して、幼子に何という名をつけるつもりかと尋ねた。 + すると、彼は書き板を持って来させて、「彼の名はヨハネ」と書いたので、人々はみな驚いた。 + すると、たちどころに、彼の口が開け、舌は解け、ものが言えるようになって神をほめたたえた。 + そして、近所の人々はみな恐れた。さらにこれらのことの一部始終が、ユダヤの山地全体にも語り伝えられて行った。 + 聞いた人々はみな、それを心にとどめて、「いったいこの子は何になるのでしょう」と言った。主の御手が彼とともにあったからである。 + さて父ザカリヤは、聖霊に満たされて、預言して言った。 + 「ほめたたえよ。イスラエルの神である主を。/主はその民を顧みて、贖いをなし、 + 救いの角を、われらのために、しもべダビデの家に立てられた。 + 古くから、その聖なる預言者たちの口を通して、主が話してくださったとおりに。 + この救いはわれらの敵からの、すべてわれらを憎む者の手からの救いである。 + 主はわれらの父祖たちにあわれみを施し、その聖なる契約を、 + われらの父アブラハムに誓われた誓いを覚えて、 + われらを敵の手から救い出し、われらの生涯のすべての日に、きよく、正しく、恐れなく、主の御前に仕えることを許される。 + - + 幼子よ。あなたもまた、いと高き方の預言者と呼ばれよう。/主の御前に先立って行き、その道を備え、 + 神の民に、罪の赦しによる/救いの知識を与えるためである。 + これはわれらの神の深いあわれみによる。/そのあわれみにより、日の出がいと高き所からわれらを訪れ、 + 暗黒と死の陰にすわる者たちを照らし、われらの足を平和の道に導く。」 + さて、幼子は成長し、その霊は強くなり、イスラエルの民の前に公に出現する日まで荒野にいた。 + + + そのころ、全世界の住民登録をせよという勅令が、皇帝アウグストから出た。 + これは、クレニオがシリヤの総督であったときの最初の住民登録であった。 + それで、人々はみな、登録のために、それぞれ自分の町に向かって行った。 + ヨセフもガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。彼は、ダビデの家系であり血筋でもあったので、 + 身重になっているいいなずけの妻マリヤもいっしょに登録するためであった。 + ところが、彼らがそこにいる間に、マリヤは月が満ちて、 + 男子の初子を産んだ。それで、布にくるんで、飼葉おけに寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである。 + さて、この土地に、羊飼いたちが、野宿で夜番をしながら羊の群れを見守っていた。 + すると、主の使いが彼らのところに来て、主の栄光が回りを照らしたので、彼らはひどく恐れた。 + 御使いは彼らに言った。「恐れることはありません。今、私はこの民全体のためのすばらしい喜びを知らせに来たのです。 + きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。 + あなたがたは、布にくるまって飼葉おけに寝ておられるみどりごを見つけます。これが、あなたがたのためのしるしです。」 + すると、たちまち、その御使いといっしょに、多くの天の軍勢が現れて、神を賛美して言った。 + 「いと高き所に、栄光が、神にあるように。/地の上に、平和が、御心にかなう人々にあるように。」 + 御使いたちが彼らを離れて天に帰ったとき、羊飼いたちは互いに話し合った。「さあ、ベツレヘムに行って、主が私たちに知らせてくださったこの出来事を見て来よう。」 + そして急いで行って、マリヤとヨセフと、飼葉おけに寝ておられるみどりごとを捜し当てた。 + それを見たとき、羊飼いたちは、この幼子について告げられたことを知らせた。 + それを聞いた人たちはみな、羊飼いの話したことに驚いた。 + しかしマリヤは、これらのことをすべて心に納めて、思いを巡らしていた。 + 羊飼いたちは、見聞きしたことが、全部御使いの話のとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。 + 八日が満ちて幼子に割礼を施す日となり、幼子はイエスという名で呼ばれることになった。胎内に宿る前に御使いがつけた名である。 + さて、モーセの律法による彼らのきよめの期間が満ちたとき、両親は幼子を主にささげるために、エルサレムへ連れて行った。 + ――それは、主の律法に「母の胎を開く男子の初子は、すべて、主に聖別された者、と呼ばれなければならない」と書いてあるとおりであった―― + また、主の律法に「山ばと一つがい、または、家ばとのひな二羽」と定められたところに従って犠牲をささげるためであった。 + そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい、敬虔な人で、イスラエルの慰められることを待ち望んでいた。聖霊が彼の上にとどまっておられた。 + また、主のキリストを見るまでは、決して死なないと、聖霊のお告げを受けていた。 + 彼が御霊に感じて宮に入ると、幼子イエスを連れた両親が、その子のために律法の慣習を守るために、入って来た。 + すると、シメオンは幼子を腕に抱き、神をほめたたえて言った。 + 「主よ。今こそあなたは、あなたのしもべを、みことばどおり、安らかに去らせてくださいます。 + 私の目があなたの御救いを見たからです。 + 御救いはあなたが/万民の前に備えられたもので、 + 異邦人を照らす啓示の光、御民イスラエルの光栄です。」 + 父と母は、幼子についていろいろ語られる事に驚いた。 + また、シメオンは両親を祝福し、母マリヤに言った。「ご覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人が倒れ、また、立ち上がるために定められ、また、反対を受けるしるしとして定められています。 + 剣があなたの心さえも刺し貫くでしょう。それは多くの人の心の思いが現れるためです。」 + また、アセル族のパヌエルの娘で女預言者のアンナという人がいた。この人は非常に年をとっていた。処女の時代のあと七年間、夫とともに住み、 + その後やもめになり、八十四歳になっていた。そして宮を離れず、夜も昼も、断食と祈りをもって神に仕えていた。 + ちょうどこのとき、彼女もそこにいて、神に感謝をささげ、そして、エルサレムの贖いを待ち望んでいるすべての人々に、この幼子のことを語った。 + さて、彼らは主の律法による定めをすべて果たしたので、ガリラヤの自分たちの町ナザレに帰った。 + 幼子は成長し、強くなり、知恵に満ちていった。神の恵みがその上にあった。 + さて、イエスの両親は、過越の祭りには毎年エルサレムに行った。 + イエスが十二歳になられたときも、両親は祭りの慣習に従って都へ上り、 + 祭りの期間を過ごしてから、帰路についたが、少年イエスはエルサレムにとどまっておられた。両親はそれに気づかなかった。 + イエスが一行の中にいるものと思って、一日の道のりを行った。それから、親族や知人の中を捜し回ったが、 + 見つからなかったので、イエスを捜しながら、エルサレムまで引き返した。 + そしてようやく三日の後に、イエスが宮で教師たちの真ん中にすわって、話を聞いたり質問したりしておられるのを見つけた。 + 聞いていた人々はみな、イエスの知恵と答えに驚いていた。 + 両親は彼を見て驚き、母は言った。「まあ、あなたはなぜ私たちにこんなことをしたのです。見なさい。父上も私も、心配してあなたを捜し回っていたのです。」 + するとイエスは両親に言われた。「どうしてわたしをお捜しになったのですか。わたしが必ず自分の父の家にいることを、ご存じなかったのですか。」 + しかし両親には、イエスの話されたことばの意味がわからなかった。 + それからイエスは、いっしょに下って行かれ、ナザレに帰って、両親に仕えられた。母はこれらのことをみな、心に留めておいた。 + イエスはますます知恵が進み、背たけも大きくなり、神と人とに愛された。 + + + 皇帝テベリオの治世の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの国主、その兄弟ピリポがイツリヤとテラコニテ地方の国主、ルサニヤがアビレネの国主であり、 + アンナスとカヤパが大祭司であったころ、神のことばが、荒野でザカリヤの子ヨハネに下った。 + そこでヨハネは、ヨルダン川のほとりのすべての地方に行って、罪が赦されるための悔い改めに基づくバプテスマを説いた。 + そのことは預言者イザヤのことばの書に書いてあるとおりである。/「荒野で叫ぶ者の声がする。/『主の道を用意し、主の通られる道をまっすぐにせよ。 + すべての谷はうずめられ、すべての山と丘とは低くされ、曲がった所はまっすぐになり、でこぼこ道は平らになる。 + こうして、あらゆる人が、神の救いを見るようになる。』」 + それで、ヨハネは、彼からバプテスマを受けようとして出て来た群衆に言った。「まむしのすえたち。だれが必ず来る御怒りをのがれるように教えたのか。 + それならそれで、悔い改めにふさわしい実を結びなさい。『われわれの父はアブラハムだ』などと心の中で言い始めてはいけません。よく言っておくが、神は、こんな石ころからでも、アブラハムの子孫を起こすことがおできになるのです。 + 斧もすでに木の根元に置かれています。だから、良い実を結ばない木は、みな切り倒されて、火に投げ込まれます。」 + 群衆はヨハネに尋ねた。「それでは、私たちはどうすればよいのでしょう。」 + 彼は答えて言った。「下着を二枚持っている者は、一つも持たない者に分けなさい。食べ物を持っている者も、そうしなさい。」 + 取税人たちも、バプテスマを受けに出て来て、言った。「先生。私たちはどうすればよいのでしょう。」 + ヨハネは彼らに言った。「決められたもの以上には、何も取り立ててはいけません。」 + 兵士たちも、彼に尋ねて言った。「私たちはどうすればよいのでしょうか。」ヨハネは言った。「だれからも、力ずくで金をゆすったり、無実の者を責めたりしてはいけません。自分の給料で満足しなさい。」 + 民衆は救い主を待ち望んでおり、みな心の中で、ヨハネについて、もしかするとこの方がキリストではあるまいか、と考えていたので、 + ヨハネはみなに答えて言った。「私は水であなたがたにバプテスマを授けています。しかし、私よりもさらに力のある方がおいでになります。私などは、その方のくつのひもを解く値うちもありません。その方は、あなたがたに聖霊と火とのバプテスマをお授けになります。 + また手に箕を持って脱穀場をことごとくきよめ、麦を倉に納め、殻を消えない火で焼き尽くされます。」 + ヨハネは、そのほかにも多くのことを教えて、民衆に福音を知らせた。 + さて国主ヘロデは、その兄弟の妻ヘロデヤのことについて、また、自分の行った悪事のすべてを、ヨハネに責められたので、 + ヨハネを牢に閉じ込め、すべての悪事にもう一つこの悪事を加えた。 + さて、民衆がみなバプテスマを受けていたころ、イエスもバプテスマをお受けになり、そして祈っておられると、天が開け、 + 聖霊が、鳩のような形をして、自分の上に下られるのをご覧になった。また、天から声がした。「あなたは、わたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ。」 + 教えを始められたとき、イエスはおよそ三十歳で、人々からヨセフの子と思われていた。このヨセフは、ヘリの子、順次さかのぼって、 + マタテの子、レビの子、メルキの子、ヤンナイの子、ヨセフの子、 + マタテヤの子、アモスの子、ナホムの子、エスリの子、ナンガイの子、 + マハテの子、マタテヤの子、シメイの子、ヨセクの子、ヨダの子、 + ヨハナンの子、レサの子、ゾロバベルの子、サラテルの子、ネリの子、 + メルキの子、アデイの子、コサムの子、エルマダムの子、エルの子、 + ヨシュアの子、エリエゼルの子、ヨリムの子、マタテの子、レビの子、 + シメオンの子、ユダの子、ヨセフの子、ヨナムの子、エリヤキムの子、 + メレヤの子、メナの子、マタタの子、ナタンの子、ダビデの子、 + エッサイの子、オベデの子、ボアズの子、サラの子、ナアソンの子、 + アミナダブの子、アデミンの子、アルニの子、エスロンの子、パレスの子、ユダの子、 + ヤコブの子、イサクの子、アブラハムの子、テラの子、ナホルの子、 + セルグの子、レウの子、ペレグの子、エベルの子、サラの子、 + カイナンの子、アルパクサデの子、セムの子、ノアの子、ラメクの子、 + メトセラの子、エノクの子、ヤレデの子、マハラレルの子、カイナンの子、 + エノスの子、セツの子、アダムの子、このアダムは神の子である。 + + + さて、聖霊に満ちたイエスは、ヨルダンから帰られた。そして御霊に導かれて荒野におり、 + 四十日間、悪魔の試みに会われた。その間何も食べず、その時が終わると、空腹を覚えられた。 + そこで、悪魔はイエスに言った。「あなたが神の子なら、この石に、パンになれと言いつけなさい。」 + イエスは答えられた。「『人はパンだけで生きるのではない』と書いてある。」 + また、悪魔はイエスを連れて行き、またたくまに世界の国々を全部見せて、 + こう言った。「この、国々のいっさいの権力と栄光とをあなたに差し上げましょう。それは私に任されているので、私がこれと思う人に差し上げるのです。 + ですから、もしあなたが私を拝むなら、すべてをあなたのものとしましょう。」 + イエスは答えて言われた。「『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えなさい』と書いてある。」 + また、悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、神殿の頂に立たせて、こう言った。「あなたが神の子なら、ここから飛び降りなさい。 + 『神は、御使いたちに命じてあなたを守らせる』とも、 + 『あなたの足が石に打ち当たることのないように、彼らの手で、あなたをささえさせる』とも書いてあるからです。」 + するとイエスは答えて言われた。「『あなたの神である主を試みてはならない』と言われている。」 + 誘惑の手を尽くしたあとで、悪魔はしばらくの間イエスから離れた。 + イエスは御霊の力を帯びてガリラヤに帰られた。すると、その評判が回り一帯に、くまなく広まった。 + イエスは、彼らの会堂で教え、みなの人にあがめられた。 + それから、イエスはご自分の育ったナザレに行き、いつものとおり安息日に会堂に入り、朗読しようとして立たれた。 + すると、預言者イザヤの書が手渡されたので、その書を開いて、こう書いてある所を見つけられた。 + 「わたしの上に主の御霊がおられる。/主が、貧しい人々に福音を伝えるようにと、わたしに油をそそがれたのだから。/主はわたしを遣わされた。/捕らわれ人には赦免を、盲人には目の開かれることを告げるために。/しいたげられている人々を自由にし、 + 主の恵みの年を告げ知らせるために。」 + イエスは書を巻き、係りの者に渡してすわられた。会堂にいるみなの目がイエスに注がれた。 + イエスは人々にこう言って話し始められた。「きょう、聖書のこのみことばが、あなたがたが聞いたとおり実現しました。」 + みなイエスをほめ、その口から出て来る恵みのことばに驚いた。そしてまた、「この人は、ヨセフの子ではないか」と彼らは言った。 + イエスは言われた。「きっとあなたがたは、『医者よ。自分を直せ』というたとえを引いて、カペナウムで行われたと聞いていることを、あなたの郷里のここでもしてくれ、と言うでしょう。」 + また、こう言われた。「まことに、あなたがたに告げます。預言者はだれでも、自分の郷里では歓迎されません。 + わたしが言うのは真実のことです。エリヤの時代に、三年六か月の間天が閉じて、全国に大ききんが起こったとき、イスラエルにもやもめは多くいたが、 + エリヤはだれのところにも遣わされず、シドンのサレプタにいたやもめ女にだけ遣わされたのです。 + また、預言者エリシャのときに、イスラエルには、ツァラアトに冒された人がたくさんいたが、そのうちのだれもきよめられないで、シリヤ人ナアマンだけがきよめられました。」 + これらのことを聞くと、会堂にいた人たちはみな、ひどく怒り、 + 立ち上がってイエスを町の外に追い出し、町が立っていた丘のがけのふちまで連れて行き、そこから投げ落とそうとした。 + しかしイエスは、彼らの真ん中を通り抜けて、行ってしまわれた。 + それからイエスは、ガリラヤの町カペナウムに下られた。そして、安息日ごとに、人々を教えられた。 + 人々は、その教えに驚いた。そのことばに権威があったからである。 + また、会堂に、汚れた悪霊につかれた人がいて、大声でわめいた。 + 「ああ、ナザレ人のイエス。いったい私たちに何をしようというのです。あなたは私たちを滅ぼしに来たのでしょう。私はあなたがどなたか知っています。神の聖者です。」 + イエスは彼をしかって、「黙れ。その人から出て行け」と言われた。するとその悪霊は人々の真ん中で、その人を投げ倒して出て行ったが、その人は別に何の害も受けなかった。 + 人々はみな驚いて、互いに話し合った。「今のおことばはどうだ。権威と力とでお命じになったので、汚れた霊でも出て行ったのだ。」 + こうしてイエスのうわさは、回りの地方の至る所に広まった。 + イエスは立ち上がって会堂を出て、シモンの家に入られた。すると、シモンのしゅうとめが、ひどい熱で苦しんでいた。人々は彼女のためにイエスにお願いした。 + イエスがその枕もとに来て、熱をしかりつけられると、熱がひき、彼女はすぐに立ち上がって彼らをもてなし始めた。 + 日が暮れると、いろいろな病気で弱っている者をかかえた人たちがみな、その病人をみもとに連れて来た。イエスは、ひとりひとりに手を置いて、いやされた。 + また、悪霊どもも、「あなたこそ神の子です」と大声で叫びながら、多くの人から出て行った。イエスは、悪霊どもをしかって、ものを言うのをお許しにならなかった。彼らはイエスがキリストであることを知っていたからである。 + 朝になって、イエスは寂しい所に出て行かれた。群衆は、イエスを捜し回って、みもとに来ると、イエスが自分たちから離れて行かないよう引き止めておこうとした。 + しかしイエスは、彼らにこう言われた。「ほかの町々にも、どうしても神の国の福音を宣べ伝えなければなりません。わたしは、そのために遣わされたのですから。」 + そしてユダヤの諸会堂で、福音を告げ知らせておられた。 + + + 群衆がイエスに押し迫るようにして神のことばを聞いたとき、イエスはゲネサレ湖の岸べに立っておられたが、 + 岸べに小舟が二そうあるのをご覧になった。漁師たちは、その舟から降りて網を洗っていた。 + イエスは、そのうちの一つの、シモンの持ち舟に乗り、陸から少し漕ぎ出すように頼まれた。そしてイエスはすわって、舟から群衆を教えられた。 + 話が終わると、シモンに、「深みに漕ぎ出して、網をおろして魚をとりなさい」と言われた。 + するとシモンが答えて言った。「先生。私たちは、夜通し働きましたが、何一つとれませんでした。でもおことばどおり、網をおろしてみましょう。」 + そして、そのとおりにすると、たくさんの魚が入り、網は破れそうになった。 + そこで別の舟にいた仲間の者たちに合図をして、助けに来てくれるように頼んだ。彼らがやって来て、そして魚を両方の舟いっぱいに上げたところ、二そうとも沈みそうになった。 + これを見たシモン・ペテロは、イエスの足もとにひれ伏して、「主よ。私のような者から離れてください。私は、罪深い人間ですから」と言った。 + それは、大漁のため、彼もいっしょにいたみなの者も、ひどく驚いたからである。 + シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブやヨハネも同じであった。イエスはシモンにこう言われた。「こわがらなくてもよい。これから後、あなたは人間をとるようになるのです。」 + 彼らは、舟を陸に着けると、何もかも捨てて、イエスに従った。 + さて、イエスがある町におられたとき、全身ツァラアトの人がいた。イエスを見ると、ひれ伏してお願いした。「主よ。お心一つで、私をきよくしていただけます。」 + イエスは手を伸ばして、彼にさわり、「わたしの心だ。きよくなれ」と言われた。すると、すぐに、そのツァラアトが消えた。 + イエスは、彼にこう命じられた。「だれにも話してはいけない。ただ祭司のところに行って、自分を見せなさい。そして人々へのあかしのため、モーセが命じたように、あなたのきよめの供え物をしなさい。」 + しかし、イエスのうわさは、ますます広まり、多くの人の群れが、話を聞きに、また、病気を直してもらいに集まって来た。 + しかし、イエスご自身は、よく荒野に退いて祈っておられた。 + ある日のこと、イエスが教えておられると、パリサイ人と律法の教師たちも、そこにすわっていた。彼らは、ガリラヤとユダヤとのすべての村々や、エルサレムから来ていた。イエスは、主の御力をもって、病気を直しておられた。 + するとそこに、男たちが、中風をわずらっている人を、床のままで運んで来た。そして、何とかして家の中に運び込み、イエスの前に置こうとしていた。 + しかし、大ぜい人がいて、どうにも病人を運び込む方法が見つからないので、屋上に上って屋根の瓦をはがし、そこから彼の寝床を、ちょうど人々の真ん中のイエスの前に、つり降ろした。 + 彼らの信仰を見て、イエスは「友よ。あなたの罪は赦されました」と言われた。 + ところが、律法学者、パリサイ人たちは、理屈を言い始めた。「神をけがすことを言うこの人は、いったい何者だ。神のほかに、だれが罪を赦すことができよう。」 + その理屈を見抜いておられたイエスは、彼らに言われた。「なぜ、心の中でそんな理屈を言っているのか。 + 『あなたの罪は赦された』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらがやさしいか。 + 人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを、あなたがたに悟らせるために」と言って、中風の人に、「あなたに命じる。起きなさい。寝床をたたんで、家に帰りなさい」と言われた。 + すると彼は、たちどころに人々の前で立ち上がり、寝ていた床をたたんで、神をあがめながら自分の家に帰った。 + 人々はみな、ひどく驚き、神をあがめ、恐れに満たされて、「私たちは、きょう、驚くべきことを見た」と言った。 + この後、イエスは出て行き、収税所にすわっているレビという取税人に目を留めて、「わたしについて来なさい」と言われた。 + するとレビは、何もかも捨て、立ち上がってイエスに従った。 + そこでレビは、自分の家でイエスのために大ぶるまいをしたが、取税人たちや、ほかに大ぜいの人たちが食卓に着いていた。 + すると、パリサイ人やその派の律法学者たちが、イエスの弟子たちに向かって、つぶやいて言った。「なぜ、あなたがたは、取税人や罪人どもといっしょに飲み食いするのですか。」 + そこで、イエスは答えて言われた。「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。 + わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招いて、悔い改めさせるために来たのです。」 + 彼らはイエスに言った。「ヨハネの弟子たちは、よく断食をしており、祈りもしています。また、パリサイ人の弟子たちも同じなのに、あなたの弟子たちは食べたり飲んだりしています。」 + イエスは彼らに言われた。「花婿がいっしょにいるのに、花婿につき添う友だちに断食させることが、あなたがたにできますか。 + しかし、やがてその時が来て、花婿が取り去られたら、その日には彼らは断食します。」 + イエスはまた一つのたとえを彼らに話された。「だれも、新しい着物から布切れを引き裂いて、古い着物に継ぎをするようなことはしません。そんなことをすれば、その新しい着物を裂くことになるし、また新しいのを引き裂いた継ぎ切れも、古い物には合わないのです。 + また、だれも新しいぶどう酒を古い皮袋に入れるようなことはしません。そんなことをすれば、新しいぶどう酒は皮袋を張り裂き、ぶどう酒は流れ出て、皮袋もだめになってしまいます。 + 新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れなければなりません。 + また、だれでも古いぶどう酒を飲んでから、新しい物を望みはしません。『古い物は良い』と言うのです。」 + + + ある安息日に、イエスが麦畑を通っておられたとき、弟子たちは麦の穂を摘んで、手でもみ出しては食べていた。 + すると、あるパリサイ人たちが言った。「なぜ、あなたがたは、安息日にしてはならないことをするのですか。」 + イエスは彼らに答えて言われた。「あなたがたは、ダビデが連れの者といっしょにいて、ひもじかったときにしたことを読まなかったのですか。 + ダビデは神の家に入って、祭司以外の者はだれも食べてはならない供えのパンを取って、自分も食べたし、供の者にも与えたではありませんか。」 + そして、彼らに言われた。「人の子は、安息日の主です。」 + 別の安息日に、イエスは会堂に入って教えておられた。そこに、右手のなえた人がいた。 + そこで律法学者、パリサイ人たちは、イエスが安息日に人を直すかどうか、じっと見ていた。彼を訴える口実を見つけるためであった。 + イエスは彼らの考えをよく知っておられた。それで、手のなえた人に、「立って、真ん中に出なさい」と言われた。その人は、起き上がって、そこに立った。 + イエスは人々に言われた。「あなたがたに聞きますが、安息日にしてよいのは、善を行うことなのか、それとも悪を行うことなのか。いのちを救うことなのか、それとも失うことなのか、どうですか。」 + そして、みなの者を見回してから、その人に、「手を伸ばしなさい」と言われた。そのとおりにすると、彼の手は元どおりになった。 + すると彼らはすっかり分別を失ってしまって、イエスをどうしてやろうかと話し合った。 + このころ、イエスは祈るために山に行き、神に祈りながら夜を明かされた。 + 夜明けになって、弟子たちを呼び寄せ、その中から十二人を選び、彼らに使徒という名をつけられた。 + すなわち、ペテロという名をいただいたシモンとその兄弟アンデレ、ヤコブとヨハネ、ピリポとバルトロマイ、 + マタイとトマス、アルパヨの子ヤコブと熱心党員と呼ばれるシモン、 + ヤコブの子ユダとイエスを裏切ったイスカリオテ・ユダである。 + それから、イエスは、彼らとともに山を下り、平らな所にお立ちになったが、多くの弟子たちの群れや、ユダヤ全土、エルサレム、さてはツロやシドンの海べから来た大ぜいの民衆がそこにいた。 + イエスの教えを聞き、また病気を直していただくために来た人々である。また、汚れた霊に悩まされていた人たちもいやされた。 + 群衆のだれもが何とかしてイエスにさわろうとしていた。大きな力がイエスから出て、すべての人をいやしたからである。 + イエスは目を上げて弟子たちを見つめながら、話しだされた。「貧しい者は幸いです。神の国はあなたがたのものだから。 + いま飢えている者は幸いです。やがてあなたがたは満ち足りるから。/いま泣く者は幸いです。やがてあなたがたは笑うから。 + 人の子のため、人々があなたがたを憎むとき、あなたがたを除名し、辱め、あなたがたの名をあしざまにけなすとき、あなたがたは幸いです。 + その日には喜びなさい、おどり上がって喜びなさい。天ではあなたがたの報いは大きいから。彼らの父祖たちも、預言者たちに同じことをしたのです。 + しかし、あなたがた富む者は哀れです。慰めをすでに受けているから。 + いま食べ飽きているあなたがたは哀れです。やがて飢えるようになるから。/いま笑うあなたがたは哀れです。やがて悲しみ泣くようになるから。 + みなの人がほめるとき、あなたがたは哀れです。彼らの父祖たちも、にせ預言者たちに同じことをしたのです。 + しかし、いま聞いているあなたがたに、わたしはこう言います。あなたの敵を愛しなさい。あなたを憎む者に善を行いなさい。 + あなたをのろう者を祝福しなさい。あなたを侮辱する者のために祈りなさい。 + あなたの片方の頬を打つ者には、ほかの頬をも向けなさい。上着を奪い取る者には、下着も拒んではいけません。 + すべて求める者には与えなさい。奪い取る者からは取り戻してはいけません。 + 自分にしてもらいたいと望むとおり、人にもそのようにしなさい。 + 自分を愛する者を愛したからといって、あなたがたに何の良いところがあるでしょう。罪人たちでさえ、自分を愛する者を愛しています。 + 自分に良いことをしてくれる者に良いことをしたからといって、あなたがたに何の良いところがあるでしょう。罪人たちでさえ、同じことをしています。 + 返してもらうつもりで人に貸してやったからといって、あなたがたに何の良いところがあるでしょう。貸した分を取り返すつもりなら、罪人たちでさえ、罪人たちに貸しています。 + ただ、自分の敵を愛しなさい。彼らによくしてやり、返してもらうことを考えずに貸しなさい。そうすれば、あなたがたの受ける報いはすばらしく、あなたがたは、いと高き方の子どもになれます。なぜなら、いと高き方は、恩知らずの悪人にも、あわれみ深いからです。 + あなたがたの天の父があわれみ深いように、あなたがたも、あわれみ深くしなさい。 + さばいてはいけません。そうすれば、自分もさばかれません。人を罪に定めてはいけません。そうすれば、自分も罪に定められません。赦しなさい。そうすれば、自分も赦されます。 + 与えなさい。そうすれば、自分も与えられます。人々は量りをよくして、押しつけ、揺すり入れ、あふれるまでにして、ふところに入れてくれるでしょう。あなたがたは、人を量る量りで、自分も量り返してもらうからです。」 + イエスはまた一つのたとえを話された。「いったい、盲人に盲人の手引きができるでしょうか。ふたりとも穴に落ち込まないでしょうか。 + 弟子は師以上には出られません。しかし十分訓練を受けた者はみな、自分の師ぐらいにはなるのです。 + あなたは、兄弟の目にあるちりが見えながら、どうして自分の目にある梁には気がつかないのですか。 + 自分の目にある梁が見えずに、どうして兄弟に、『兄弟。あなたの目のちりを取らせてください』と言えますか。偽善者たち。まず自分の目から梁を取りのけなさい。そうしてこそ、兄弟の目のちりがはっきり見えて、取りのけることができるのです。 + 悪い実を結ぶ良い木はないし、良い実を結ぶ悪い木もありません。 + 木はどれでも、その実によってわかるものです。いばらからいちじくは取れず、野ばらからぶどうを集めることはできません。 + 良い人は、その心の良い倉から良い物を出し、悪い人は、悪い倉から悪い物を出します。なぜなら人の口は、心に満ちているものを話すからです。 + なぜ、わたしを『主よ、主よ』と呼びながら、わたしの言うことを行わないのですか。 + わたしのもとに来て、わたしのことばを聞き、それを行う人たちがどんな人に似ているか、あなたがたに示しましょう。 + その人は、地面を深く掘り下げ、岩の上に土台を据えて、それから家を建てた人に似ています。洪水になり、川の水がその家に押し寄せたときも、しっかり建てられていたから、びくともしませんでした。 + 聞いても実行しない人は、土台なしで地面に家を建てた人に似ています。川の水が押し寄せると、家は一ぺんに倒れてしまい、そのこわれ方はひどいものとなりました。」 + + + イエスは、耳を傾けている民衆にこれらのことばをみな話し終えられると、カペナウムに入られた。 + ところが、ある百人隊長に重んじられているひとりのしもべが、病気で死にかけていた。 + 百人隊長は、イエスのことを聞き、みもとにユダヤ人の長老たちを送って、しもべを助けに来てくださるようお願いした。 + イエスのもとに来たその人たちは、熱心にお願いして言った。「この人は、あなたにそうしていただく資格のある人です。 + この人は、私たちの国民を愛し、私たちのために会堂を建ててくれた人です。」 + イエスは、彼らといっしょに行かれた。そして、百人隊長の家からあまり遠くない所に来られたとき、百人隊長は友人たちを使いに出して、イエスに伝えた。「主よ。わざわざおいでくださいませんように。あなたを私の屋根の下にお入れする資格は、私にはありません。 + ですから、私のほうから伺うことさえ失礼と存じました。ただ、おことばをいただかせてください。そうすれば、私のしもべは必ずいやされます。 + と申しますのは、私も権威の下にある者ですが、私の下にも兵士たちがいまして、そのひとりに『行け』と言えば行きますし、別の者に『来い』と言えば来ます。また、しもべに『これをせよ』と言えば、そのとおりにいたします。」 + これを聞いて、イエスは驚かれ、ついて来ていた群衆のほうに向いて言われた。「あなたがたに言いますが、このようなりっぱな信仰は、イスラエルの中にも見たことがありません。」 + 使いに来た人たちが家に帰ってみると、しもべはよくなっていた。 + それから間もなく、イエスはナインという町に行かれた。弟子たちと大ぜいの人の群れがいっしょに行った。 + イエスが町の門に近づかれると、やもめとなった母親のひとり息子が、死んでかつぎ出されたところであった。町の人たちが大ぜいその母親につき添っていた。 + 主はその母親を見てかわいそうに思い、「泣かなくてもよい」と言われた。 + そして近寄って棺に手をかけられると、かついでいた人たちが立ち止まったので、「青年よ。あなたに言う、起きなさい」と言われた。 + すると、その死人が起き上がって、ものを言い始めたので、イエスは彼を母親に返された。 + 人々は恐れを抱き、「大預言者が私たちのうちに現れた」とか、「神がその民を顧みてくださった」などと言って、神をあがめた。 + イエスについてこの話がユダヤ全土と回りの地方一帯に広まった。 + さて、ヨハネの弟子たちは、これらのことをすべてヨハネに報告した。 + すると、ヨハネは、弟子の中からふたりを呼び寄せて、主のもとに送り、「おいでになるはずの方は、あなたですか。それとも、私たちはほかの方を待つべきでしょうか」と言わせた。 + ふたりはみもとに来て言った。「バプテスマのヨハネから遣わされてまいりました。『おいでになるはずの方は、あなたですか。それとも私たちはなおほかの方を待つべきでしょうか』とヨハネが申しております。」 + ちょうどそのころ、イエスは、多くの人々を病気と苦しみと悪霊からいやし、また多くの盲人を見えるようにされた。 + そして、答えてこう言われた。「あなたがたは行って、自分たちの見たり聞いたりしたことをヨハネに報告しなさい。目の見えない者が見、足のなえた者が歩き、ツァラアトに冒された者がきよめられ、耳の聞こえない者が聞き、死人が生き返り、貧しい者たちに福音が宣べ伝えられている。 + だれでもわたしにつまずかない者は幸いです。」 + ヨハネの使いが帰ってから、イエスは群衆に、ヨハネについて話しだされた。「あなたがたは、何を見に荒野に出て行ったのですか。風に揺れる葦ですか。 + でなかったら、何を見に行ったのですか。柔らかい着物を着た人ですか。きらびやかな着物を着て、ぜいたくに暮らしている人たちなら宮殿にいます。 + でなかったら、何を見に行ったのですか。預言者ですか。そのとおり。だが、わたしが言いましょう。預言者よりもすぐれた者をです。 + その人こそ、『見よ、わたしは使いをあなたの前に遣わし、あなたの道を、あなたの前に備えさせよう』/と書かれているその人です。 + あなたがたに言いますが、女から生まれた者の中で、ヨハネよりもすぐれた人は、ひとりもいません。しかし、神の国で一番小さい者でも、彼よりすぐれています。 + ヨハネの教えを聞いたすべての民は、取税人たちさえ、ヨハネのバプテスマを受けて、神の正しいことを認めたのです。 + これに反して、パリサイ人、律法の専門家たちは、彼からバプテスマを受けないで、神の自分たちに対するみこころを拒みました。 + では、この時代の人々は、何にたとえたらよいでしょう。何に似ているでしょう。 + 市場にすわって、互いに呼びかけながら、こう言っている子どもたちに似ています。/『笛を吹いてやっても、君たちは踊らなかった。/弔いの歌を歌ってやっても、泣かなかった。』 + というわけは、バプテスマのヨハネが来て、パンも食べず、ぶどう酒も飲まずにいると、『あれは悪霊につかれている』とあなたがたは言うし、 + 人の子が来て、食べもし、飲みもすると、『あれ見よ。食いしんぼうの大酒飲み、取税人や罪人の仲間だ』と言うのです。 + だが、知恵の正しいことは、そのすべての子どもたちが証明します。」 + さて、あるパリサイ人が、いっしょに食事をしたい、とイエスを招いたので、そのパリサイ人の家に入って食卓に着かれた。 + すると、その町にひとりの罪深い女がいて、イエスがパリサイ人の家で食卓に着いておられることを知り、香油の入った石膏のつぼを持って来て、 + 泣きながら、イエスのうしろで御足のそばに立ち、涙で御足をぬらし始め、髪の毛でぬぐい、御足に口づけして、香油を塗った。 + イエスを招いたパリサイ人は、これを見て、「この方がもし預言者なら、自分にさわっている女がだれで、どんな女であるか知っておられるはずだ。この女は罪深い者なのだから」と心ひそかに思っていた。 + するとイエスは、彼に向かって、「シモン。あなたに言いたいことがあります」と言われた。シモンは、「先生。お話しください」と言った。 + 「ある金貸しから、ふたりの者が金を借りていた。ひとりは五百デナリ、ほかのひとりは五十デナリ借りていた。 + 彼らは返すことができなかったので、金貸しはふたりとも赦してやった。/では、ふたりのうちどちらがよけいに金貸しを愛するようになるでしょうか。」 + シモンが、「よけいに赦してもらったほうだと思います」と答えると、イエスは、「あなたの判断は当たっています」と言われた。 + そしてその女のほうを向いて、シモンに言われた。「この女を見ましたか。わたしがこの家に入って来たとき、あなたは足を洗う水をくれなかったが、この女は、涙でわたしの足をぬらし、髪の毛でぬぐってくれました。 + あなたは、口づけしてくれなかったが、この女は、わたしが入って来たときから足に口づけしてやめませんでした。 + あなたは、わたしの頭に油を塗ってくれなかったが、この女は、わたしの足に香油を塗ってくれました。 + だから、わたしは『この女の多くの罪は赦されている』と言います。それは彼女がよけい愛したからです。しかし少ししか赦されない者は、少ししか愛しません。」 + そして女に、「あなたの罪は赦されています」と言われた。 + すると、いっしょに食卓にいた人たちは、心の中でこう言い始めた。「罪を赦したりするこの人は、いったいだれだろう。」 + しかし、イエスは女に言われた。「あなたの信仰が、あなたを救ったのです。安心して行きなさい。」 + + + その後、イエスは、神の国を説き、その福音を宣べ伝えながら、町や村を次から次に旅をしておられた。十二弟子もお供をした。 + また、悪霊や病気を直していただいた女たち、すなわち、七つの悪霊を追い出していただいたマグダラの女と呼ばれるマリヤ、 + 自分の財産をもって彼らに仕えているヘロデの執事クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか大ぜいの女たちもいっしょであった。 + さて、大ぜいの人の群れが集まり、また方々の町からも人々がみもとにやって来たので、イエスはたとえを用いて話された。 + 「種を蒔く人が種蒔きに出かけた。蒔いているとき、道ばたに落ちた種があった。すると、人に踏みつけられ、空の鳥がそれを食べてしまった。 + また、別の種は岩の上に落ち、生え出たが、水分がなかったので、枯れてしまった。 + また、別の種はいばらの真ん中に落ちた。ところが、いばらもいっしょに生え出て、それを押しふさいでしまった。 + また、別の種は良い地に落ち、生え出て、百倍の実を結んだ。」/イエスは、これらのことを話しながら「聞く耳のある者は聞きなさい」と叫ばれた。 + さて、弟子たちは、このたとえがどんな意味かをイエスに尋ねた。 + そこでイエスは言われた。「あなたがたに、神の国の奥義を知ることが許されているが、ほかの者には、たとえで話します。彼らが見ていても見えず、聞いていても悟らないためです。 + このたとえの意味はこうです。種は神のことばです。 + 道ばたに落ちるとは、こういう人たちのことです。みことばを聞いたが、あとから悪魔が来て、彼らが信じて救われることのないように、その人たちの心から、みことばを持ち去ってしまうのです。 + 岩の上に落ちるとは、こういう人たちのことです。聞いたときには喜んでみことばを受け入れるが、根がないので、しばらくは信じていても、試練のときになると、身を引いてしまうのです。 + いばらの中に落ちるとは、こういう人たちのことです。みことばを聞きはしたが、とかくしているうちに、この世の心づかいや、富や、快楽によってふさがれて、実が熟するまでにならないのです。 + しかし、良い地に落ちるとは、こういう人たちのことです。正しい、良い心でみことばを聞くと、それをしっかりと守り、よく耐えて、実を結ばせるのです。 + あかりをつけてから、それを器で隠したり、寝台の下に置いたりする者はありません。燭台の上に置きます。入って来る人々に、その光が見えるためです。 + 隠れているもので、あらわにならぬものはなく、秘密にされているもので、知られず、また現れないものはありません。 + だから、聞き方に注意しなさい。というのは、持っている人は、さらに与えられ、持たない人は、持っていると思っているものまでも取り上げられるからです。」 + イエスのところに母と兄弟たちが来たが、群衆のためにそばへ近寄れなかった。 + それでイエスに、「あなたのお母さんと兄弟たちが、あなたに会おうとして、外に立っています」という知らせがあった。 + ところが、イエスは人々にこう答えられた。「わたしの母、わたしの兄弟たちとは、神のことばを聞いて行う人たちです。」 + そのころのある日のこと、イエスは弟子たちといっしょに舟に乗り、「さあ、湖の向こう岸へ渡ろう」と言われた。それで弟子たちは舟を出した。 + 舟で渡っている間にイエスはぐっすり眠ってしまわれた。ところが突風が湖に吹きおろして来たので、弟子たちは水をかぶって危険になった。 + そこで、彼らは近寄って行ってイエスを起こし、「先生、先生。私たちはおぼれて死にそうです」と言った。イエスは、起き上がって、風と荒波とをしかりつけられた。すると風も波も収まり、なぎになった。 + イエスは彼らに、「あなたがたの信仰はどこにあるのです」と言われた。弟子たちは驚き恐れて互いに言った。「風も水も、お命じになれば従うとは、いったいこの方はどういう方なのだろう。」 + こうして彼らは、ガリラヤの向こう側のゲラサ人の地方に着いた。 + イエスが陸に上がられると、この町の者で悪霊につかれている男がイエスに出会った。彼は、長い間着物も着けず、家には住まないで、墓場に住んでいた。 + 彼はイエスを見ると、叫び声をあげ、御前にひれ伏して大声で言った。「いと高き神の子、イエスさま。いったい私に何をしようというのです。お願いです。どうか私を苦しめないでください。」 + それは、イエスが、汚れた霊に、この人から出て行け、と命じられたからである。汚れた霊が何回となくこの人を捕らえたので、彼は鎖や足かせでつながれて看視されていたが、それでもそれらを断ち切っては悪霊によって荒野に追いやられていたのである。 + イエスが、「何という名か」とお尋ねになると、「レギオンです」と答えた。悪霊が大ぜい彼に入っていたからである。 + 悪霊どもはイエスに、底知れぬ所に行け、とはお命じになりませんようにと願った。 + ちょうど、山のそのあたりに、おびただしい豚の群れが飼ってあったので、悪霊どもは、その豚に入ることを許してくださいと願った。イエスはそれを許された。 + 悪霊どもは、その人から出て、豚に入った。すると、豚の群れはいきなりがけを駆け下って湖に入り、おぼれ死んだ。 + 飼っていた者たちは、この出来事を見て逃げ出し、町や村々でこの事を告げ知らせた。 + 人々が、この出来事を見に来て、イエスのそばに来たところ、イエスの足もとに、悪霊の去った男が着物を着て、正気に返って、すわっていた。人々は恐ろしくなった。 + 目撃者たちは、悪霊につかれていた人の救われた次第を、その人々に知らせた。 + ゲラサ地方の民衆はみな、すっかりおびえてしまい、イエスに自分たちのところから離れていただきたいと願った。そこで、イエスは舟に乗って帰られた。 + そのとき、悪霊を追い出された人が、お供をしたいとしきりに願ったが、イエスはこう言って彼を帰された。 + 「家に帰って、神があなたにどんなに大きなことをしてくださったかを、話して聞かせなさい。」そこで彼は出て行って、イエスが自分にどんなに大きなことをしてくださったかを、町中に言い広めた。 + さて、イエスが帰られると、群衆は喜んで迎えた。みなイエスを待ちわびていたからである。 + するとそこに、ヤイロという人が来た。この人は会堂管理者であった。彼はイエスの足もとにひれ伏して自分の家に来ていただきたいと願った。 + 彼には十二歳ぐらいのひとり娘がいて、死にかけていたのである。イエスがお出かけになると、群衆がみもとに押し迫って来た。 + ときに、十二年の間長血をわずらった女がいた。だれにも直してもらえなかったこの女は、 + イエスのうしろに近寄って、イエスの着物のふさにさわった。すると、たちどころに出血が止まった。 + イエスは、「わたしにさわったのは、だれですか」と言われた。みな自分ではないと言ったので、ペテロは、「先生。この大ぜいの人が、ひしめき合って押しているのです」と言った。 + しかし、イエスは、「だれかが、わたしにさわったのです。わたしから力が出て行くのを感じたのだから」と言われた。 + 女は、隠しきれないと知って、震えながら進み出て、御前にひれ伏し、すべての民の前で、イエスにさわったわけと、たちどころにいやされた次第とを話した。 + そこで、イエスは彼女に言われた。「娘よ。あなたの信仰があなたを直したのです。安心して行きなさい。」 + イエスがまだ話しておられるときに、会堂管理者の家から人が来て言った。「あなたのお嬢さんはなくなりました。もう、先生を煩わすことはありません。」 + これを聞いて、イエスは答えられた。「恐れないで、ただ信じなさい。そうすれば、娘は直ります。」 + イエスは家に入られたが、ペテロとヨハネとヤコブ、それに子どもの父と母のほかは、だれもいっしょに入ることをお許しにならなかった。 + 人々はみな、娘のために泣き悲しんでいた。しかし、イエスは言われた。「泣かなくてもよい。死んだのではない。眠っているのです。」 + 人々は、娘が死んだことを知っていたので、イエスをあざ笑っていた。 + しかしイエスは、娘の手を取って、叫んで言われた。「子どもよ。起きなさい。」 + すると、娘の霊が戻って、娘はただちに起き上がった。それでイエスは、娘に食事をさせるように言いつけられた。 + 両親がひどく驚いていると、イエスは、この出来事をだれにも話さないように命じられた。 + + + イエスは、十二人を呼び集めて、彼らに、すべての悪霊を追い出し、病気を直すための、力と権威とをお授けになった。 + それから、神の国を宣べ伝え、病気を直すために、彼らを遣わされた。 + イエスは、こう言われた。「旅のために何も持って行かないようにしなさい。杖も、袋も、パンも、金も。また下着も、二枚は、いりません。 + どんな家に入っても、そこにとどまり、そこから次の旅に出かけなさい。 + 人々があなたがたを受け入れない場合は、その町を出て行くときに、彼らに対する証言として、足のちりを払い落としなさい。」 + 十二人は出かけて行って、村から村へと回りながら、至る所で福音を宣べ伝え、病気を直した。 + さて、国主ヘロデは、このすべての出来事を聞いて、ひどく当惑していた。それは、ある人々が、「ヨハネが死人の中からよみがえったのだ」と言い、 + ほかの人々は、「エリヤが現れたのだ」と言い、さらに別の人々は、「昔の預言者のひとりがよみがえったのだ」と言っていたからである。 + ヘロデは言った。「ヨハネなら、私が首をはねたのだ。そうしたことがうわさされているこの人は、いったいだれなのだろう。」ヘロデはイエスに会ってみようとした。 + さて、使徒たちは帰って来て、自分たちのして来たことを報告した。それからイエスは彼らを連れてベツサイダという町へひそかに退かれた。 + ところが、多くの群衆がこれを知って、ついて来た。それで、イエスは喜んで彼らを迎え、神の国のことを話し、また、いやしの必要な人たちをおいやしになった。 + そのうち、日も暮れ始めたので、十二人はみもとに来て、「この群衆を解散させてください。そして回りの村や部落にやって、宿をとらせ、何か食べることができるようにさせてください。私たちは、こんな人里離れた所にいるのですから」と言った。 + しかしイエスは、彼らに言われた。「あなたがたで、何か食べる物を上げなさい。」彼らは言った。「私たちには五つのパンと二匹の魚のほか何もありません。私たちが出かけて行って、この民全体のために食物を買うのでしょうか。」 + それは、男だけでおよそ五千人もいたからである。しかしイエスは、弟子たちに言われた。「人々を、五十人ぐらいずつ組にしてすわらせなさい。」 + 弟子たちは、そのようにして、全部をすわらせた。 + するとイエスは、五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて、それらを祝福して裂き、群衆に配るように弟子たちに与えられた。 + 人々はみな、食べて満腹した。そして、余ったパン切れを取り集めると、十二かごあった。 + さて、イエスがひとりで祈っておられたとき、弟子たちがいっしょにいた。イエスは彼らに尋ねて言われた。「群衆はわたしのことをだれだと言っていますか。」 + 彼らは、答えて言った。「バプテスマのヨハネだと言っています。ある者はエリヤだと言い、またほかの人々は、昔の預言者のひとりが生き返ったのだとも言っています。」 + イエスは、彼らに言われた。「では、あなたがたは、わたしをだれだと言いますか。」ペテロが答えて言った。「神のキリストです。」 + するとイエスは、このことをだれにも話さないようにと、彼らを戒めて命じられた。 + そして言われた。「人の子は、必ず多くの苦しみを受け、長老、祭司長、律法学者たちに捨てられ、殺され、そして三日目によみがえらねばならないのです。」 + イエスは、みなの者に言われた。「だれでもわたしについて来たいと思うなら、自分を捨て、日々自分の十字架を負い、そしてわたしについて来なさい。 + 自分のいのちを救おうと思う者は、それを失い、わたしのために自分のいのちを失う者は、それを救うのです。 + 人は、たとい全世界を手に入れても、自分自身を失い、損じたら、何の得がありましょう。 + もしだれでも、わたしとわたしのことばとを恥と思うなら、人の子も、自分と父と聖なる御使いとの栄光を帯びて来るときには、そのような人のことを恥とします。 + しかし、わたしは真実をあなたがたに告げます。ここに立っている人々の中には、神の国を見るまでは、決して死を味わわない者たちがいます。」 + これらの教えがあってから八日ほどして、イエスは、ペテロとヨハネとヤコブとを連れて、祈るために、山に登られた。 + 祈っておられると、御顔の様子が変わり、御衣は白く光り輝いた。 + しかも、ふたりの人がイエスと話し合っているではないか。それはモーセとエリヤであって、 + 栄光のうちに現れて、イエスがエルサレムで遂げようとしておられるご最期についていっしょに話していたのである。 + ペテロと仲間たちは、眠くてたまらなかったが、はっきり目がさめると、イエスの栄光と、イエスといっしょに立っているふたりの人を見た。 + それから、ふたりがイエスと別れようとしたとき、ペテロがイエスに言った。「先生。ここにいることは、すばらしいことです。私たちが三つの幕屋を造ります。あなたのために一つ、モーセのために一つ、エリヤのために一つ。」ペテロは何を言うべきかを知らなかったのである。 + 彼がこう言っているうちに、雲がわき起こってその人々をおおった。彼らが雲に包まれると、弟子たちは恐ろしくなった。 + すると雲の中から、「これは、わたしの愛する子、わたしの選んだ者である。彼の言うことを聞きなさい」と言う声がした。 + この声がしたとき、そこに見えたのはイエスだけであった。彼らは沈黙を守り、その当時は、自分たちの見たこのことをいっさい、だれにも話さなかった。 + 次の日、一行が山から降りて来ると、大ぜいの人の群れがイエスを迎えた。 + すると、群衆の中から、ひとりの人が叫んで言った。「先生。お願いです。息子を見てやってください。ひとり息子です。 + ご覧ください。霊がこの子に取りつきますと、突然叫び出すのです。そしてひきつけさせてあわを吹かせ、かき裂いて、なかなか離れようとしません。 + お弟子たちに、この霊を追い出してくださるようお願いしたのですが、お弟子たちにはできませんでした。」 + イエスは答えて言われた。「ああ、不信仰な、曲がった今の世だ。いつまで、あなたがたといっしょにいて、あなたがたにがまんしていなければならないのでしょう。あなたの子をここに連れて来なさい。」 + その子が近づいて来る間にも、悪霊は彼を打ち倒して、激しくひきつけさせてしまった。それで、イエスは汚れた霊をしかって、その子をいやし、父親に渡された。 + 人々はみな、神のご威光に驚嘆した。/イエスのなさったすべてのことに、人々がみな驚いていると、イエスは弟子たちにこう言われた。 + 「このことばを、しっかりと耳に入れておきなさい。人の子は、いまに人々の手に渡されます。」 + しかし、弟子たちは、このみことばが理解できなかった。このみことばの意味は、わからないように、彼らから隠されていたのである。また彼らは、このみことばについてイエスに尋ねるのを恐れた。 + さて、弟子たちの間に、自分たちの中で、だれが一番偉いかという議論が持ち上がった。 + しかしイエスは、彼らの心の中の考えを知っておられて、ひとりの子どもの手を取り、自分のそばに立たせ、 + 彼らに言われた。「だれでも、このような子どもを、わたしの名のゆえに受け入れる者は、わたしを受け入れる者です。また、わたしを受け入れる者は、わたしを遣わされた方を受け入れる者です。あなたがたすべての中で一番小さい者が一番偉いのです。」 + ヨハネが答えて言った。「先生。私たちは、先生の名を唱えて悪霊を追い出している者を見ましたが、やめさせました。私たちの仲間ではないので、やめさせたのです。」 + しかしイエスは、彼に言われた。「やめさせることはありません。あなたがたに反対しない者は、あなたがたの味方です。」 + さて、天に上げられる日が近づいて来たころ、イエスは、エルサレムに行こうとして御顔をまっすぐ向けられ、 + ご自分の前に使いを出された。彼らは行って、サマリヤ人の町に入り、イエスのために準備した。 + しかし、イエスは御顔をエルサレムに向けて進んでおられたので、サマリヤ人はイエスを受け入れなかった。 + 弟子のヤコブとヨハネが、これを見て言った。「主よ。私たちが天から火を呼び下して、彼らを焼き滅ぼしましょうか。」 + しかし、イエスは振り向いて、彼らを戒められた。 + そして一行は別の村に行った。 + さて、彼らが道を進んで行くと、ある人がイエスに言った。「私はあなたのおいでになる所なら、どこにでもついて行きます。」 + すると、イエスは彼に言われた。「狐には穴があり、空の鳥には巣があるが、人の子には枕する所もありません。」 + イエスは別の人に、こう言われた。「わたしについて来なさい。」しかしその人は言った。「まず行って、私の父を葬ることを許してください。」 + すると彼に言われた。「死人たちに彼らの中の死人たちを葬らせなさい。あなたは出て行って、神の国を言い広めなさい。」 + 別の人はこう言った。「主よ。あなたに従います。ただその前に、家の者にいとまごいに帰らせてください。」 + するとイエスは彼に言われた。「だれでも、手を鋤につけてから、うしろを見る者は、神の国にふさわしくありません。」 + + + その後、主は、別に七十人を定め、ご自分が行くつもりのすべての町や村へ、ふたりずつ先にお遣わしになった。 + そして、彼らに言われた。「実りは多いが、働き手が少ない。だから、収穫の主に、収穫のために働き手を送ってくださるように祈りなさい。 + さあ、行きなさい。いいですか。わたしがあなたがたを遣わすのは、狼の中に小羊を送り出すようなものです。 + 財布も旅行袋も持たず、くつもはかずに行きなさい。だれにも、道であいさつしてはいけません。 + どんな家に入っても、まず、『この家に平安があるように』と言いなさい。 + もしそこに平安の子がいたら、あなたがたの祈った平安は、その人の上にとどまります。だが、もしいないなら、その平安はあなたがたに返って来ます。 + その家に泊まっていて、出してくれる物を飲み食いしなさい。働く者が報酬を受けるのは、当然だからです。家から家へと渡り歩いてはいけません。 + どの町に入っても、あなたがたを受け入れてくれたら、出される物を食べなさい。 + そして、その町の病人を直し、彼らに、『神の国が、あなたがたに近づいた』と言いなさい。 + しかし、町に入っても、人々があなたがたを受け入れないならば、大通りに出て、こう言いなさい。 + 『私たちは足についたこの町のちりも、あなたがたにぬぐい捨てて行きます。しかし、神の国が近づいたことは承知していなさい。』 + あなたがたに言うが、その日には、その町よりもソドムのほうがまだ罰が軽いのです。 + ああコラジン。ああベツサイダ。おまえたちの間に起こった力あるわざが、もしもツロとシドンでなされたのだったら、彼らはとうの昔に荒布をまとい、灰の中にすわって、悔い改めていただろう。 + しかし、さばきの日には、そのツロとシドンのほうが、まだおまえたちより罰が軽いのだ。 + カペナウム。どうしておまえが天に上げられることがありえよう。ハデスにまで落とされるのだ。 + あなたがたに耳を傾ける者は、わたしに耳を傾ける者であり、あなたがたを拒む者は、わたしを拒む者です。わたしを拒む者は、わたしを遣わされた方を拒む者です。」 + さて、七十人が喜んで帰って来て、こう言った。「主よ。あなたの御名を使うと、悪霊どもでさえ、私たちに服従します。」 + イエスは言われた。「わたしが見ていると、サタンが、いなずまのように天から落ちました。 + 確かに、わたしは、あなたがたに、蛇やさそりを踏みつけ、敵のあらゆる力に打ち勝つ権威を授けたのです。だから、あなたがたに害を加えるものは何一つありません。 + だがしかし、悪霊どもがあなたがたに服従するからといって、喜んではなりません。ただあなたがたの名が天に書きしるされていることを喜びなさい。」 + ちょうどこのとき、イエスは、聖霊によって喜びにあふれて言われた。「天地の主であられる父よ。あなたをほめたたえます。これらのことを、賢い者や知恵のある者には隠して、幼子たちに現してくださいました。そうです、父よ。これがみこころにかなったことでした。 + すべてのものが、わたしの父から、わたしに渡されています。それで、子がだれであるかは、父のほかには知る者がありません。また父がだれであるかは、子と、子が父を知らせようと心に定めた人たちのほかは、だれも知る者がありません。」 + それからイエスは、弟子たちのほうに向いて、ひそかに言われた。「あなたがたの見ていることを見る目は幸いです。 + あなたがたに言いますが、多くの預言者や王たちがあなたがたの見ていることを見たいと願ったのに、見られなかったのです。また、あなたがたの聞いていることを聞きたいと願ったのに、聞けなかったのです。」 + すると、ある律法の専門家が立ち上がり、イエスをためそうとして言った。「先生。何をしたら永遠のいのちを自分のものとして受けることができるでしょうか。」 + イエスは言われた。「律法には、何と書いてありますか。あなたはどう読んでいますか。」 + すると彼は答えて言った。「『心を尽くし、思いを尽くし、力を尽くし、知性を尽くして、あなたの神である主を愛せよ』、また『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』とあります。」 + イエスは言われた。「そのとおりです。それを実行しなさい。そうすれば、いのちを得ます。」 + しかし彼は、自分の正しさを示そうとしてイエスに言った。「では、私の隣人とは、だれのことですか。」 + イエスは答えて言われた。/「ある人が、エルサレムからエリコへ下る道で、強盗に襲われた。強盗どもは、その人の着物をはぎ取り、なぐりつけ、半殺しにして逃げて行った。 + たまたま、祭司がひとり、その道を下って来たが、彼を見ると、反対側を通り過ぎて行った。 + 同じようにレビ人も、その場所に来て彼を見ると、反対側を通り過ぎて行った。 + ところが、あるサマリヤ人が、旅の途中、そこに来合わせ、彼を見てかわいそうに思い、 + 近寄って傷にオリーブ油とぶどう酒を注いで、ほうたいをし、自分の家畜に乗せて宿屋に連れて行き、介抱してやった。 + 次の日、彼はデナリ二つを取り出し、宿屋の主人に渡して言った。『介抱してあげてください。もっと費用がかかったら、私が帰りに払います。』 + この三人の中でだれが、強盗に襲われた者の隣人になったと思いますか。」 + 彼は言った。「その人にあわれみをかけてやった人です。」するとイエスは言われた。「あなたも行って同じようにしなさい。」 + さて、彼らが旅を続けているうち、イエスがある村に入られると、マルタという女が喜んで家にお迎えした。 + 彼女にマリヤという妹がいたが、主の足もとにすわって、みことばに聞き入っていた。 + ところが、マルタは、いろいろともてなしのために気が落ち着かず、みもとに来て言った。「主よ。妹が私だけにおもてなしをさせているのを、何ともお思いにならないのでしょうか。私の手伝いをするように、妹におっしゃってください。」 + 主は答えて言われた。「マルタ、マルタ。あなたは、いろいろなことを心配して、気を使っています。 + しかし、どうしても必要なことはわずかです。いや、一つだけです。マリヤはその良いほうを選んだのです。彼女からそれを取り上げてはいけません。」 + + + さて、イエスはある所で祈っておられた。その祈りが終わると、弟子のひとりが、イエスに言った。「主よ。ヨハネが弟子たちに教えたように、私たちにも祈りを教えてください。」 + そこでイエスは、彼らに言われた。「祈るときには、こう言いなさい。/『父よ。御名があがめられますように。/御国が来ますように。 + 私たちの日ごとの糧を毎日お与えください。 + 私たちの罪をお赦しください。私たちも私たちに負いめのある者をみな赦します。/私たちを試みに会わせないでください。』」 + また、イエスはこう言われた。「あなたがたのうち、だれかに友だちがいるとして、真夜中にその人のところに行き、『君。パンを三つ貸してくれ。 + 友人が旅の途中、私のうちへ来たのだが、出してやるものがないのだ』と言ったとします。 + すると、彼は家の中からこう答えます。『めんどうをかけないでくれ。もう戸締まりもしてしまったし、子どもたちも私も寝ている。起きて、何かをやることはできない。』 + あなたがたに言いますが、彼は友だちだからということで起きて何かを与えることはしないにしても、あくまで頼み続けるなら、そのためには起き上がって、必要な物を与えるでしょう。 + わたしは、あなたがたに言います。求めなさい。そうすれば与えられます。捜しなさい。そうすれば見つかります。たたきなさい。そうすれば開かれます。 + だれであっても、求める者は受け、捜す者は見つけ出し、たたく者には開かれます。 + あなたがたの中で、子どもが魚を下さいと言うときに、魚の代わりに蛇を与えるような父親が、いったいいるでしょうか。 + 卵を下さいと言うのに、だれが、さそりを与えるでしょう。 + してみると、あなたがたも、悪い者ではあっても、自分の子どもには良い物を与えることを知っているのです。とすれば、なおのこと、天の父が、求める人たちに、どうして聖霊を下さらないことがありましょう。」 + イエスは悪霊、それも口をきけなくする悪霊を追い出しておられた。悪霊が出て行くと、口がきけなかった者がものを言い始めたので、群衆は驚いた。 + しかし、彼らのうちには、「悪霊どものかしらベルゼブルによって、悪霊どもを追い出しているのだ」と言う者もいた。 + また、イエスをためそうとして、彼に天からのしるしを求める者もいた。 + しかし、イエスは、彼らの心を見抜いて言われた。「どんな国でも、内輪もめしたら荒れすたれ、家にしても、内輪で争えばつぶれます。 + サタンも、もし仲間割れしたのだったら、どうしてサタンの国が立ち行くことができましょう。それなのにあなたがたは、わたしがベルゼブルによって悪霊どもを追い出していると言います。 + もしもわたしが、ベルゼブルによって悪霊どもを追い出しているのなら、あなたがたの仲間は、だれによって追い出すのですか。だから、あなたがたの仲間が、あなたがたをさばく人となるのです。 + しかし、わたしが、神の指によって悪霊どもを追い出しているのなら、神の国はあなたがたに来ているのです。 + 強い人が十分に武装して自分の家を守っているときには、その持ち物は安全です。 + しかし、もっと強い者が襲って来て彼に打ち勝つと、彼の頼みにしていた武具を奪い、分捕り品を分けます。 + わたしの味方でない者はわたしに逆らう者であり、わたしとともに集めない者は散らす者です。 + 汚れた霊が人から出て行って、水のない所をさまよいながら、休み場を捜します。一つも見つからないので、『出て来た自分の家に帰ろう』と言います。 + 帰って見ると、家は、掃除をしてきちんとかたづいていました。 + そこで、出かけて行って、自分よりも悪いほかの霊を七つ連れて来て、みな入り込んでそこに住みつくのです。そうなると、その人の後の状態は、初めよりもさらに悪くなります。」 + イエスが、これらのことを話しておられると、群衆の中から、ひとりの女が声を張り上げてイエスに言った。「あなたを産んだ腹、あなたが吸った乳房は幸いです。」 + しかし、イエスは言われた。「いや、幸いなのは、神のことばを聞いてそれを守る人たちです。」 + さて、群衆の数がふえてくると、イエスは話し始められた。「この時代は悪い時代です。しるしを求めているが、ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられません。 + というのは、ヨナがニネベの人々のために、しるしとなったように、人の子がこの時代のために、しるしとなるからです。 + 南の女王が、さばきのときに、この時代の人々とともに立って、彼らを罪に定めます。なぜなら、彼女はソロモンの知恵を聞くために地の果てから来たからです。しかし、見なさい。ここにソロモンよりもまさった者がいるのです。 + ニネベの人々が、さばきのときに、この時代の人々とともに立って、この人々を罪に定めます。なぜなら、ニネベの人々はヨナの説教で悔い改めたからです。しかし、見なさい。ここにヨナよりもまさった者がいるのです。 + だれも、あかりをつけてから、それを穴倉や、枡の下に置く者はいません。燭台の上に置きます。入って来る人々に、その光が見えるためです。 + からだのあかりは、あなたの目です。目が健全なら、あなたの全身も明るいが、しかし、目が悪いと、からだも暗くなります。 + だから、あなたのうちの光が、暗やみにならないように、気をつけなさい。 + もし、あなたの全身が明るくて何の暗い部分もないなら、その全身はちょうどあかりが輝いて、あなたを照らすときのように明るく輝きます。」 + イエスが話し終えられると、ひとりのパリサイ人が、食事をいっしょにしてください、とお願いした。そこでイエスは家に入って、食卓に着かれた。 + そのパリサイ人は、イエスが食事の前に、まずきよめの洗いをなさらないのを見て、驚いた。 + すると、主は言われた。「なるほど、あなたがたパリサイ人は、杯や大皿の外側はきよめるが、その内側は、強奪と邪悪とでいっぱいです。 + 愚かな人たち。外側を造られた方は、内側も造られたのではありませんか。 + とにかく、うちのものを施しに用いなさい。そうすれば、いっさいが、あなたがたにとってきよいものとなります。 + だが、わざわいだ。パリサイ人。おまえたちは、はっか、うん香、あらゆる野菜などの十分の一を納めているが、公義と神への愛はなおざりにしています。これこそしなければならないことです。ただし、十分の一もなおざりにしてはいけません。 + わざわいだ。パリサイ人。おまえたちは会堂の上席や、市場であいさつされることが好きです。 + わざわいだ。おまえたちは人目につかぬ墓のようで、その上を歩く人々も気がつかない。」 + すると、ある律法の専門家が、答えて言った。「先生。そのようなことを言われることは、私たちをも侮辱することです。」 + しかし、イエスは言われた。「おまえたちもわざわいだ。律法の専門家たち。人々には負いきれない荷物を負わせるが、自分は、その荷物に指一本さわろうとはしない。 + わざわいだ。おまえたちは預言者たちの墓を建てている。しかし、おまえたちの父祖たちが彼らを殺しました。 + したがって、おまえたちは父祖たちがしたことの証人となり、同意しているのです。彼らが預言者たちを殺し、おまえたちが墓を建てているのだから。 + だから、神の知恵もこう言いました。『わたしは預言者たちや使徒たちを彼らに遣わすが、彼らは、そのうちのある者を殺し、ある者を迫害する。 + それは、アベルの血から、祭壇と神の家との間で殺されたザカリヤの血に至るまでの、世の初めから流されたすべての預言者の血の責任を、この時代が問われるためである。そうだ。わたしは言う。この時代はその責任を問われる。』 + - + わざわいだ。律法の専門家たち。おまえたちは知識のかぎを持ち去り、自分も入らず、入ろうとする人々をも妨げたのです。」 + イエスがそこを出て行かれると、律法学者、パリサイ人たちのイエスに対する激しい敵対と、いろいろのことについてのしつこい質問攻めとが始まった。 + 彼らは、イエスの口から出ることに、言いがかりをつけようと、ひそかに計った。 + + + そうこうしている間に、おびただしい数の群衆が集まって来て、互いに足を踏み合うほどになった。イエスはまず弟子たちに対して、話しだされた。「パリサイ人のパン種に気をつけなさい。それは彼らの偽善のことです。 + おおいかぶされているもので、現されないものはなく、隠されているもので、知られずに済むものはありません。 + ですから、あなたがたが暗やみで言ったことが、明るみで聞かれ、家の中でささやいたことが、屋上で言い広められます。 + そこで、わたしの友であるあなたがたに言います。からだを殺しても、あとはそれ以上何もできない人間たちを恐れてはいけません。 + 恐れなければならない方を、あなたがたに教えてあげましょう。殺したあとで、ゲヘナに投げ込む権威を持っておられる方を恐れなさい。そうです。あなたがたに言います。この方を恐れなさい。 + 五羽の雀は二アサリオンで売っているでしょう。そんな雀の一羽でも、神の御前には忘れられてはいません。 + それどころか、あなたがたの頭の毛さえも、みな数えられています。恐れることはありません。あなたがたは、たくさんの雀よりもすぐれた者です。 + そこで、あなたがたに言います。だれでも、わたしを人の前で認める者は、人の子もまた、その人を神の御使いたちの前で認めます。 + しかし、わたしを人の前で知らないと言う者は、神の御使いたちの前で知らないと言われます。 + たとい、人の子をそしることばを使う者があっても、赦されます。しかし、聖霊をけがす者は赦されません。 + また、人々があなたがたを、会堂や役人や権力者などのところに連れて行ったとき、何をどう弁明しようか、何を言おうかと心配するには及びません。 + 言うべきことは、そのときに聖霊が教えてくださるからです。」 + 群衆の中のひとりが、「先生。私と遺産を分けるように私の兄弟に話してください」と言った。 + すると彼に言われた。「いったいだれが、わたしをあなたがたの裁判官や調停者に任命したのですか。」 + そして人々に言われた。「どんな貪欲にも注意して、よく警戒しなさい。なぜなら、いくら豊かな人でも、その人のいのちは財産にあるのではないからです。」 + それから人々にたとえを話された。/「ある金持ちの畑が豊作であった。 + そこで彼は、心の中でこう言いながら考えた。『どうしよう。作物をたくわえておく場所がない。』 + そして言った。『こうしよう。あの倉を取りこわして、もっと大きいのを建て、穀物や財産はみなそこにしまっておこう。 + そして、自分のたましいにこう言おう。「たましいよ。これから先何年分もいっぱい物がためられた。さあ、安心して、食べて、飲んで、楽しめ。」』 + しかし神は彼に言われた。『愚か者。おまえのたましいは、今夜おまえから取り去られる。そうしたら、おまえが用意した物は、いったいだれのものになるのか。』 + 自分のためにたくわえても、神の前に富まない者はこのとおりです。」 + それから弟子たちに言われた。「だから、わたしはあなたがたに言います。いのちのことで何を食べようかと心配したり、からだのことで何を着ようかと心配したりするのはやめなさい。 + いのちは食べ物よりたいせつであり、からだは着物よりたいせつだからです。 + 烏のことを考えてみなさい。蒔きもせず、刈り入れもせず、納屋も倉もありません。けれども、神が彼らを養っていてくださいます。あなたがたは、鳥よりも、はるかにすぐれたものです。 + あなたがたのうちのだれが、心配したからといって、自分のいのちを少しでも延ばすことができますか。 + こんな小さなことさえできないで、なぜほかのことまで心配するのですか。 + ゆりの花のことを考えてみなさい。どうして育つのか。紡ぎもせず、織りもしないのです。しかし、わたしはあなたがたに言います。栄華を窮めたソロモンでさえ、このような花の一つほどにも着飾ってはいませんでした。 + しかし、きょうは野にあって、あすは炉に投げ込まれる草をさえ、神はこのように装ってくださるのです。ましてあなたがたには、どんなによくしてくださることでしょう。ああ、信仰の薄い人たち。 + 何を食べたらよいか、何を飲んだらよいか、と捜し求めることをやめ、気をもむことをやめなさい。 + これらはみな、この世の異邦人たちが切に求めているものです。しかし、あなたがたの父は、それがあなたがたにも必要であることを知っておられます。 + 何はともあれ、あなたがたは、神の国を求めなさい。そうすれば、これらの物は、それに加えて与えられます。 + 小さな群れよ。恐れることはない。あなたがたの父は、喜んであなたがたに御国をお与えになるからです。 + 持ち物を売って、施しをしなさい。自分のために、古くならない財布を作り、朽ちることのない宝を天に積み上げなさい。そこには、盗人も近寄らず、しみもいためることがありません。 + あなたがたの宝のあるところに、あなたがたの心もあるからです。 + 腰に帯を締め、あかりをともしていなさい。 + 主人が婚礼から帰って来て戸をたたいたら、すぐに戸をあけようと、その帰りを待ち受けている人たちのようでありなさい。 + 帰って来た主人に、目をさましているところを見られるしもべたちは幸いです。まことに、あなたがたに告げます。主人のほうが帯を締め、そのしもべたちを食卓に着かせ、そばにいて給仕をしてくれます。 + 主人が真夜中に帰っても、夜明けに帰っても、いつでもそのようであることを見られるなら、そのしもべたちは幸いです。 + このことを知っておきなさい。もしも家の主人が、どろぼうの来る時間を知っていたなら、おめおめと自分の家に押し入られはしなかったでしょう。 + あなたがたも用心していなさい。人の子は、思いがけない時に来るのですから。」 + そこで、ペテロが言った。「主よ。このたとえは私たちのために話してくださるのですか。それともみなのためなのですか。」 + 主は言われた。「では、主人から、その家のしもべたちを任されて、食事時には彼らに食べ物を与える忠実な賢い管理人とは、いったいだれでしょう。 + 主人が帰って来たときに、そのようにしているのを見られるしもべは幸いです。 + わたしは真実をあなたがたに告げます。主人は彼に自分の全財産を任せるようになります。 + ところが、もし、そのしもべが、『主人の帰りはまだだ』と心の中で思い、下男や下女を打ちたたき、食べたり飲んだり、酒に酔ったりし始めると、 + しもべの主人は、思いがけない日の思わぬ時間に帰って来ます。そして、彼をきびしく罰して、不忠実な者どもと同じめに会わせるに違いありません。 + 主人の心を知りながら、その思いどおりに用意もせず、働きもしなかったしもべは、ひどくむち打たれます。 + しかし、知らずにいたために、むち打たれるようなことをしたしもべは、打たれても、少しで済みます。すべて、多く与えられた者は多く求められ、多く任された者は多く要求されます。 + わたしが来たのは、地に火を投げ込むためです。だから、その火が燃えていたらと、どんなに願っていることでしょう。 + しかし、わたしには受けるバプテスマがあります。それが成し遂げられるまでは、どんなに苦しむことでしょう。 + あなたがたは、地に平和を与えるためにわたしが来たと思っているのですか。そうではありません。あなたがたに言いますが、むしろ、分裂です。 + 今から、一家五人は、三人がふたりに、ふたりが三人に対抗して分かれるようになります。 + 父は息子に、息子は父に対抗し、母は娘に、娘は母に対抗し、しゅうとめは嫁に、嫁はしゅうとめに対抗して分かれるようになります。」 + 群衆にもこう言われた。「あなたがたは、西に雲が起こるのを見るとすぐに、『にわか雨が来るぞ』と言い、事実そのとおりになります。 + また南風が吹きだすと、『暑い日になるぞ』と言い、事実そのとおりになります。 + 偽善者たち。あなたがたは地や空の現象を見分けることを知りながら、どうして今のこの時代を見分けることができないのですか。 + また、なぜ自分から進んで、何が正しいかを判断しないのですか。 + あなたを告訴する者といっしょに役人の前に行くときは、途中でも、熱心に彼と和解するよう努めなさい。そうでないと、その人はあなたを裁判官のもとにひっぱって行きます。裁判官は執行人に引き渡し、執行人は牢に投げ込んでしまいます。 + あなたに言います。最後の一レプタを支払うまでは、そこから決して出られないのです。」 + + + ちょうどそのとき、ある人たちがやって来て、イエスに報告した。ピラトがガリラヤ人たちの血をガリラヤ人たちのささげるいけにえに混ぜたというのである。 + イエスは彼らに答えて言われた。「そのガリラヤ人たちがそのような災難を受けたから、ほかのどのガリラヤ人よりも罪深い人たちだったとでも思うのですか。 + そうではない。わたしはあなたがたに言います。あなたがたも悔い改めないなら、みな同じように滅びます。 + また、シロアムの塔が倒れ落ちて死んだあの十八人は、エルサレムに住んでいるだれよりも罪深い人たちだったとでも思うのですか。 + そうではない。わたしはあなたがたに言います。あなたがたも悔い改めないなら、みな同じように滅びます。」 + イエスはこのようなたとえを話された。/「ある人が、ぶどう園にいちじくの木を植えておいた。実を取りに来たが、何も見つからなかった。 + そこで、ぶどう園の番人に言った。『見なさい。三年もの間、やって来ては、このいちじくの実のなるのを待っているのに、なっていたためしがない。これを切り倒してしまいなさい。何のために土地をふさいでいるのですか。』 + 番人は答えて言った。『ご主人。どうか、ことし一年そのままにしてやってください。木の回りを掘って、肥やしをやってみますから。 + もしそれで来年、実を結べばよし、それでもだめなら、切り倒してください。』」 + イエスは安息日に、ある会堂で教えておられた。 + すると、そこに十八年も病の霊につかれ、腰が曲がって、全然伸ばすことのできない女がいた。 + イエスは、その女を見て、呼び寄せ、「あなたの病気はいやされました」と言って、 + 手を置かれると、女はたちどころに腰が伸びて、神をあがめた。 + すると、それを見た会堂管理者は、イエスが安息日にいやされたのを憤って、群衆に言った。「働いてよい日は六日です。その間に来て直してもらうがよい。安息日には、いけないのです。」 + しかし、主は彼に答えて言われた。「偽善者たち。あなたがたは、安息日に、牛やろばを小屋からほどき、水を飲ませに連れて行くではありませんか。 + この女はアブラハムの娘なのです。それを十八年もの間サタンが縛っていたのです。安息日だからといってこの束縛を解いてやってはいけないのですか。」 + こう話されると、反対していた者たちはみな、恥じ入り、群衆はみな、イエスのなさったすべての輝かしいみわざを喜んだ。 + そこで、イエスはこう言われた。「神の国は、何に似ているでしょう。何に比べたらよいでしょう。 + それは、からし種のようなものです。それを取って庭に蒔いたところ、生長して木になり、空の鳥が枝に巣を作りました。」 + またこう言われた。「神の国を何に比べましょう。 + パン種のようなものです。女がパン種を取って、三サトンの粉に混ぜたところ、全体がふくれました。」 + イエスは、町々村々を次々に教えながら通り、エルサレムへの旅を続けられた。 + すると、「主よ。救われる者は少ないのですか」と言う人があった。イエスは、人々に言われた。 + 「努力して狭い門から入りなさい。なぜなら、あなたがたに言いますが、入ろうとしても、入れなくなる人が多いのですから。 + 家の主人が、立ち上がって、戸をしめてしまってからでは、外に立って、『ご主人さま。あけてください』と言って、戸をいくらたたいても、もう主人は、『あなたがたがどこの者か、私は知らない』と答えるでしょう。 + すると、あなたがたは、こう言い始めるでしょう。『私たちは、ごいっしょに、食べたり飲んだりいたしましたし、私たちの大通りで教えていただきました。』 + だが、主人はこう言うでしょう。『私はあなたがたがどこの者だか知りません。不正を行う者たち。みな出て行きなさい。』 + 神の国にアブラハムやイサクやヤコブや、すべての預言者たちが入っているのに、あなたがたは外に投げ出されることになったとき、そこで泣き叫んだり、歯ぎしりしたりするのです。 + 人々は、東からも西からも、また南からも北からも来て、神の国で食卓に着きます。 + いいですか、今しんがりの者があとで先頭になり、いま先頭の者がしんがりになるのです。」 + ちょうどそのとき、何人かのパリサイ人が近寄って来て、イエスに言った。「ここから出てほかの所へ行きなさい。ヘロデがあなたを殺そうと思っています。」 + イエスは言われた。「行って、あの狐にこう言いなさい。『よく見なさい。わたしは、きょうと、あすとは、悪霊どもを追い出し、病人をいやし、三日目に全うされます。 + だが、わたしは、きょうもあすも次の日も進んで行かなければなりません。なぜなら、預言者がエルサレム以外の所で死ぬことはありえないからです。』 + ああ、エルサレム、エルサレム。預言者たちを殺し、自分に遣わされた人たちを石で打つ者、わたしは、めんどりがひなを翼の下にかばうように、あなたの子らを幾たび集めようとしたことか。それなのに、あなたがたはそれを好まなかった。 + 見なさい。あなたがたの家は荒れ果てたままに残される。わたしはあなたがたに言います。『祝福あれ。主の御名によって来られる方に』とあなたがたの言うときが来るまでは、あなたがたは決してわたしを見ることができません。」 + + + ある安息日に、食事をしようとして、パリサイ派のある指導者の家に入られたとき、みんながじっとイエスを見つめていた。 + そこには、イエスの真っ正面に、水腫をわずらっている人がいた。 + イエスは、律法の専門家、パリサイ人たちに、「安息日に病気を直すことは正しいことですか、それともよくないことですか」と言われた。 + しかし、彼らは黙っていた。それで、イエスはその人を抱いていやし、帰された。 + それから、彼らに言われた。「自分の息子や牛が井戸に落ちたのに、安息日だからといって、すぐに引き上げてやらない者があなたがたのうちにいるでしょうか。」 + 彼らは答えることができなかった。 + 招かれた人々が上座を選んでいる様子に気づいておられたイエスは、彼らにたとえを話された。 + 「婚礼の披露宴に招かれたときには、上座にすわってはいけません。あなたより身分の高い人が、招かれているかもしれないし、 + あなたやその人を招いた人が来て、『この人に席を譲ってください』とあなたに言うなら、そのときあなたは恥をかいて、末席に着かなければならないでしょう。 + 招かれるようなことがあって、行ったなら、末席に着きなさい。そうしたら、あなたを招いた人が来て、『どうぞもっと上席にお進みください』と言うでしょう。そのときは、満座の中で面目を施すことになります。 + なぜなら、だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるからです。」 + また、イエスは、自分を招いてくれた人にも、こう話された。「昼食や夕食のふるまいをするなら、友人、兄弟、親族、近所の金持ちなどを呼んではいけません。でないと、今度は彼らがあなたを招いて、お返しすることになるからです。 + 祝宴を催す場合には、むしろ、貧しい者、からだの不自由な者、足のなえた者、盲人たちを招きなさい。 + その人たちはお返しができないので、あなたは幸いです。義人の復活のときお返しを受けるからです。」 + イエスといっしょに食卓に着いていた客のひとりはこれを聞いて、イエスに、「神の国で食事する人は、何と幸いなことでしょう」と言った。 + するとイエスはこう言われた。/「ある人が盛大な宴会を催し、大ぜいの人を招いた。 + 宴会の時刻になったのでしもべをやり、招いておいた人々に、『さあ、おいでください。もうすっかり、用意ができましたから』と言わせた。 + ところが、みな同じように断り始めた。最初の人はこう言った。『畑を買ったので、どうしても見に出かけなければなりません。すみませんが、お断りさせていただきます。』 + もうひとりはこう言った。『五くびきの牛を買ったので、それをためしに行くところです。すみませんが、お断りさせていただきます。』 + また、別の人はこう言った。『結婚したので、行くことができません。』 + しもべは帰って、このことを主人に報告した。すると、おこった主人は、そのしもべに言った。『急いで町の大通りや路地に出て行って、貧しい者や、からだの不自由な者や、盲人や、足のなえた者たちをここに連れて来なさい。』 + しもべは言った。『ご主人さま。仰せのとおりにいたしました。でも、まだ席があります。』 + 主人は言った。『街道や垣根のところに出かけて行って、この家がいっぱいになるように、無理にでも人々を連れて来なさい。 + 言っておくが、あの招待されていた人たちの中で、私の食事を味わう者は、ひとりもいないのです。』」 + さて、大ぜいの群衆が、イエスといっしょに歩いていたが、イエスは彼らのほうに向いて言われた。 + 「わたしのもとに来て、自分の父、母、妻、子、兄弟、姉妹、そのうえ自分のいのちまでも憎まない者は、わたしの弟子になることができません。 + 自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしの弟子になることはできません。 + 塔を築こうとするとき、まずすわって、完成に十分な金があるかどうか、その費用を計算しない者が、あなたがたのうちにひとりでもあるでしょうか。 + 基礎を築いただけで完成できなかったら、見ていた人はみな彼をあざ笑って、 + 『この人は、建て始めはしたものの、完成できなかった』と言うでしょう。 + また、どんな王でも、ほかの王と戦いを交えようとするときは、二万人を引き連れて向かって来る敵を、一万人で迎え撃つことができるかどうかを、まずすわって、考えずにいられましょうか。 + もし見込みがなければ、敵がまだ遠くに離れている間に、使者を送って講和を求めるでしょう。 + そういうわけで、あなたがたはだれでも、自分の財産全部を捨てないでは、わたしの弟子になることはできません。 + ですから、塩は良いものですが、もしその塩が塩けをなくしたら、何によってそれに味をつけるのでしょうか。 + 土地にも肥やしにも役立たず、外に投げ捨てられてしまいます。聞く耳のある人は聞きなさい。」 + + + さて、取税人、罪人たちがみな、イエスの話を聞こうとして、みもとに近寄って来た。 + すると、パリサイ人、律法学者たちは、つぶやいてこう言った。「この人は、罪人たちを受け入れて、食事までいっしょにする。」 + そこでイエスは、彼らにこのようなたとえを話された。 + 「あなたがたのうちに羊を百匹持っている人がいて、そのうちの一匹をなくしたら、その人は九十九匹を野原に残して、いなくなった一匹を見つけるまで捜し歩かないでしょうか。 + 見つけたら、大喜びでその羊をかついで、 + 帰って来て、友だちや近所の人たちを呼び集め、『いなくなった羊を見つけましたから、いっしょに喜んでください』と言うでしょう。 + あなたがたに言いますが、それと同じように、ひとりの罪人が悔い改めるなら、悔い改める必要のない九十九人の正しい人にまさる喜びが天にあるのです。 + また、女の人が銀貨を十枚持っていて、もしその一枚をなくしたら、あかりをつけ、家を掃いて、見つけるまで念入りに捜さないでしょうか。 + 見つけたら、友だちや近所の女たちを呼び集めて、『なくした銀貨を見つけましたから、いっしょに喜んでください』と言うでしょう。 + あなたがたに言いますが、それと同じように、ひとりの罪人が悔い改めるなら、神の御使いたちに喜びがわき起こるのです。」 + またこう話された。/「ある人に息子がふたりあった。 + 弟が父に、『お父さん。私に財産の分け前を下さい』と言った。それで父は、身代をふたりに分けてやった。 + それから、幾日もたたぬうちに、弟は、何もかもまとめて遠い国に旅立った。そして、そこで放蕩して湯水のように財産を使ってしまった。 + 何もかも使い果たしたあとで、その国に大ききんが起こり、彼は食べるにも困り始めた。 + それで、その国のある人のもとに身を寄せたところ、その人は彼を畑にやって、豚の世話をさせた。 + 彼は豚の食べるいなご豆で腹を満たしたいほどであったが、だれひとり彼に与えようとはしなかった。 + しかし、我に返ったとき彼は、こう言った。『父のところには、パンのあり余っている雇い人が大ぜいいるではないか。それなのに、私はここで、飢え死にしそうだ。 + 立って、父のところに行って、こう言おう。「お父さん。私は天に対して罪を犯し、またあなたの前に罪を犯しました。 + もう私は、あなたの子と呼ばれる資格はありません。雇い人のひとりにしてください。」』 + こうして彼は立ち上がって、自分の父のもとに行った。ところが、まだ家までは遠かったのに、父親は彼を見つけ、かわいそうに思い、走り寄って彼を抱き、口づけした。 + 息子は言った。『お父さん。私は天に対して罪を犯し、またあなたの前に罪を犯しました。もう私は、あなたの子と呼ばれる資格はありません。』 + ところが父親は、しもべたちに言った。『急いで一番良い着物を持って来て、この子に着せなさい。それから、手に指輪をはめさせ、足にくつをはかせなさい。 + そして肥えた子牛を引いて来てほふりなさい。食べて祝おうではないか。 + この息子は、死んでいたのが生き返り、いなくなっていたのが見つかったのだから。』/そして彼らは祝宴を始めた。 + ところで、兄息子は畑にいたが、帰って来て家に近づくと、音楽や踊りの音が聞こえて来た。 + それで、しもべのひとりを呼んで、これはいったい何事かと尋ねると、 + しもべは言った。『弟さんがお帰りになったのです。無事な姿をお迎えしたというので、お父さんが、肥えた子牛をほふらせなさったのです。』 + すると、兄はおこって、家に入ろうともしなかった。それで、父が出て来て、いろいろなだめてみた。 + しかし兄は父にこう言った。『ご覧なさい。長年の間、私はお父さんに仕え、戒めを破ったことは一度もありません。その私には、友だちと楽しめと言って、子山羊一匹下さったことがありません。 + それなのに、遊女におぼれてあなたの身代を食いつぶして帰って来たこのあなたの息子のためには、肥えた子牛をほふらせなさったのですか。』 + 父は彼に言った。『子よ。おまえはいつも私といっしょにいる。私のものは、全部おまえのものだ。 + だがおまえの弟は、死んでいたのが生き返って来たのだ。いなくなっていたのが見つかったのだから、楽しんで喜ぶのは当然ではないか。』」 + + + イエスは、弟子たちにも、こういう話をされた。/「ある金持ちにひとりの管理人がいた。この管理人が主人の財産を乱費している、という訴えが出された。 + 主人は、彼を呼んで言った。『おまえについてこんなことを聞いたが、何ということをしてくれたのだ。もう管理を任せておくことはできないから、会計の報告を出しなさい。』 + 管理人は心の中で言った。『主人にこの管理の仕事を取り上げられるが、さてどうしよう。土を掘るには力がないし、物ごいをするのは恥ずかしいし。 + ああ、わかった。こうしよう。こうしておけば、いつ管理の仕事をやめさせられても、人がその家に私を迎えてくれるだろう。』 + そこで彼は、主人の債務者たちをひとりひとり呼んで、まず最初の者に、『私の主人に、いくら借りがありますか』と言うと、 + その人は、『油百バテ』と言った。すると彼は、『さあ、あなたの証文だ。すぐにすわって五十と書きなさい』と言った。 + それから、別の人に、『さて、あなたは、いくら借りがありますか』と言うと、『小麦百コル』と言った。彼は、『さあ、あなたの証文だ。八十と書きなさい』と言った。 + この世の子らは、自分たちの世のことについては、光の子らよりも抜けめがないものなので、主人は、不正な管理人がこうも抜けめなくやったのをほめた。 + そこで、わたしはあなたがたに言いますが、不正の富で、自分のために友をつくりなさい。そうしておけば、富がなくなったとき、彼らはあなたがたを、永遠の住まいに迎えるのです。 + 小さい事に忠実な人は、大きい事にも忠実であり、小さい事に不忠実な人は、大きい事にも不忠実です。 + ですから、あなたがたが不正の富に忠実でなかったら、だれがあなたがたに、まことの富を任せるでしょう。 + また、あなたがたが他人のものに忠実でなかったら、だれがあなたがたに、あなたがたのものを持たせるでしょう。 + しもべは、ふたりの主人に仕えることはできません。一方を憎んで他方を愛したり、または一方を重んじて他方を軽んじたりするからです。あなたがたは、神にも仕え、また富にも仕えるということはできません。」 + さて、金の好きなパリサイ人たちが、一部始終を聞いて、イエスをあざ笑っていた。 + イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、人の前で自分を正しいとする者です。しかし神は、あなたがたの心をご存じです。人間の間であがめられるものは、神の前で憎まれ、きらわれます。 + 律法と預言者はヨハネまでです。それ以来、神の国の福音は宣べ伝えられ、だれもかれも、無理にでも、これに入ろうとしています。 + しかし律法の一画が落ちるよりも、天地の滅びるほうがやさしいのです。 + だれでも妻を離別してほかの女と結婚する者は、姦淫を犯す者であり、また、夫から離別された女と結婚する者も、姦淫を犯す者です。 + ある金持ちがいた。いつも紫の衣や細布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮らしていた。 + ところが、その門前にラザロという全身おできの貧しい人が寝ていて、 + 金持ちの食卓から落ちる物で腹を満たしたいと思っていた。犬もやって来ては、彼のおできをなめていた。 + さて、この貧しい人は死んで、御使いたちによってアブラハムのふところに連れて行かれた。金持ちも死んで葬られた。 + その金持ちは、ハデスで苦しみながら目を上げると、アブラハムが、はるかかなたに見えた。しかも、そのふところにラザロが見えた。 + 彼は叫んで言った。『父アブラハムさま。私をあわれんでください。ラザロが指先を水に浸して私の舌を冷やすように、ラザロをよこしてください。私はこの炎の中で、苦しくてたまりません。』 + アブラハムは言った。『子よ。思い出してみなさい。おまえは生きている間、良い物を受け、ラザロは生きている間、悪い物を受けていました。しかし、今ここで彼は慰められ、おまえは苦しみもだえているのです。 + そればかりでなく、私たちとおまえたちの間には、大きな淵があります。ここからそちらへ渡ろうとしても、渡れないし、そこからこちらへ越えて来ることもできないのです。』 + 彼は言った。『父よ。ではお願いです。ラザロを私の父の家に送ってください。 + 私には兄弟が五人ありますが、彼らまでこんな苦しみの場所に来ることのないように、よく言い聞かせてください。』 + しかしアブラハムは言った。『彼らには、モーセと預言者があります。その言うことを聞くべきです。』 + 彼は言った。『いいえ、父アブラハム。もし、だれかが死んだ者の中から彼らのところに行ってやったら、彼らは悔い改めるに違いありません。』 + アブラハムは彼に言った。『もしモーセと預言者との教えに耳を傾けないのなら、たといだれかが死人の中から生き返っても、彼らは聞き入れはしない。』」 + + + イエスは弟子たちにこう言われた。「つまずきが起こるのは避けられない。だが、つまずきを起こさせる者はわざわいだ。 + この小さい者たちのひとりに、つまずきを与えるようであったら、そんな者は石臼を首にゆわえつけられて、海に投げ込まれたほうがましです。 + 気をつけていなさい。もし兄弟が罪を犯したなら、彼を戒めなさい。そして悔い改めれば、赦しなさい。 + かりに、あなたに対して一日に七度罪を犯しても、『悔い改めます』と言って七度あなたのところに来るなら、赦してやりなさい。」 + 使徒たちは主に言った。「私たちの信仰を増してください。」 + しかし主は言われた。「もしあなたがたに、からし種ほどの信仰があったなら、この桑の木に、『根こそぎ海の中に植われ』と言えば、言いつけどおりになるのです。 + ところで、あなたがたのだれかに、耕作か羊飼いをするしもべがいるとして、そのしもべが野らから帰って来たとき、『さあ、さあ、ここに来て、食事をしなさい』としもべに言うでしょうか。 + かえって、『私の食事の用意をし、帯を締めて私の食事が済むまで給仕しなさい。あとで、自分の食事をしなさい』と言わないでしょうか。 + しもべが言いつけられたことをしたからといって、そのしもべに感謝するでしょうか。 + あなたがたもそのとおりです。自分に言いつけられたことをみな、してしまったら、『私たちは役に立たないしもべです。なすべきことをしただけです』と言いなさい。」 + そのころイエスはエルサレムに上られる途中、サマリヤとガリラヤの境を通られた。 + ある村に入ると、十人のツァラアトに冒された人がイエスに出会った。彼らは遠く離れた所に立って、 + 声を張り上げて、「イエスさま、先生。どうぞあわれんでください」と言った。 + イエスはこれを見て言われた。「行きなさい。そして自分を祭司に見せなさい。」彼らは行く途中できよめられた。 + そのうちのひとりは、自分のいやされたことがわかると、大声で神をほめたたえながら引き返して来て、 + イエスの足もとにひれ伏して感謝した。彼はサマリヤ人であった。 + そこでイエスは言われた。「十人きよめられたのではないか。九人はどこにいるのか。 + 神をあがめるために戻って来た者は、この外国人のほかには、だれもいないのか。」 + それからその人に言われた。「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰が、あなたを直したのです。」 + さて、神の国はいつ来るのか、とパリサイ人たちに尋ねられたとき、イエスは答えて言われた。「神の国は、人の目で認められるようにして来るものではありません。 + 『そら、ここにある』とか、『あそこにある』とか言えるようなものではありません。いいですか。神の国は、あなたがたのただ中にあるのです。」 + イエスは弟子たちに言われた。「人の子の日を一日でも見たいと願っても、見られない時が来ます。 + 人々が『こちらだ』とか、『あちらだ』とか言っても行ってはなりません。あとを追いかけてはなりません。 + いなずまが、ひらめいて、天の端から天の端へと輝くように、人の子は、人の子の日には、ちょうどそのようであるからです。 + しかし、人の子はまず、多くの苦しみを受け、この時代に捨てられなければなりません。 + 人の子の日に起こることは、ちょうど、ノアの日に起こったことと同様です。 + ノアが箱舟に入るその日まで、人々は、食べたり、飲んだり、めとったり、とついだりしていたが、洪水が来て、すべての人を滅ぼしてしまいました。 + また、ロトの時代にあったことと同様です。人々は食べたり、飲んだり、売ったり、買ったり、植えたり、建てたりしていたが、 + ロトがソドムから出て行くと、その日に、火と硫黄が天から降って、すべての人を滅ぼしてしまいました。 + 人の子の現れる日にも、全くそのとおりです。 + その日には、屋上にいる者は家に家財があっても、取り出しに降りてはいけません。同じように、畑にいる者も家に帰ってはいけません。 + ロトの妻を思い出しなさい。 + 自分のいのちを救おうと努める者はそれを失い、それを失う者はいのちを保ちます。 + あなたがたに言うが、その夜、同じ寝台でふたりの人が寝ていると、ひとりは取られ、他のひとりは残されます。 + 女がふたりいっしょに臼をひいていると、ひとりは取られ、他のひとりは残されます。」 + 一七・三五異本に三六節として「ふたりの男が畑にいると、ひとりは取られ、他のひとりは残されます」を加えるものもある。 + 弟子たちは答えて言った。「主よ。どこでですか。」主は言われた。「死体のある所、そこに、はげたかも集まります。」 + + + いつでも祈るべきであり、失望してはならないことを教えるために、イエスは彼らにたとえを話された。 + 「ある町に、神を恐れず、人を人とも思わない裁判官がいた。 + その町に、ひとりのやもめがいたが、彼のところにやって来ては、『私の相手をさばいて、私を守ってください』と言っていた。 + 彼は、しばらくは取り合わないでいたが、後には心ひそかに『私は神を恐れず人を人とも思わないが、 + どうも、このやもめは、うるさくてしかたがないから、この女のために裁判をしてやることにしよう。でないと、ひっきりなしにやって来てうるさくてしかたがない』と言った。」 + 主は言われた。「不正な裁判官の言っていることを聞きなさい。 + まして神は、夜昼神を呼び求めている選民のためにさばきをつけないで、いつまでもそのことを放っておかれることがあるでしょうか。 + あなたがたに言いますが、神は、すみやかに彼らのために正しいさばきをしてくださいます。しかし、人の子が来たとき、はたして地上に信仰が見られるでしょうか。」 + 自分を義人だと自任し、他の人々を見下している者たちに対しては、イエスはこのようなたとえを話された。 + 「ふたりの人が、祈るために宮に上った。ひとりはパリサイ人で、もうひとりは取税人であった。 + パリサイ人は、立って、心の中でこんな祈りをした。『神よ。私はほかの人々のようにゆする者、不正な者、姦淫する者ではなく、ことにこの取税人のようではないことを、感謝します。 + 私は週に二度断食し、自分の受けるものはみな、その十分の一をささげております。』 + ところが、取税人は遠く離れて立ち、目を天に向けようともせず、自分の胸をたたいて言った。『神さま。こんな罪人の私をあわれんでください。』 + あなたがたに言うが、この人が、義と認められて家に帰りました。パリサイ人ではありません。なぜなら、だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるからです。」 + イエスにさわっていただこうとして、人々がその幼子たちを、みもとに連れて来た。ところが、弟子たちがそれを見てしかった。 + しかしイエスは、幼子たちを呼び寄せて、こう言われた。「子どもたちをわたしのところに来させなさい。止めてはいけません。神の国は、このような者たちのものです。 + まことに、あなたがたに告げます。子どものように神の国を受け入れる者でなければ、決してそこに、入ることはできません。」 + またある役人が、イエスに質問して言った。「尊い先生。私は何をしたら、永遠のいのちを自分のものとして受けることができるでしょうか。」 + イエスは彼に言われた。「なぜ、わたしを『尊い』と言うのですか。尊い方は、神おひとりのほかにはだれもありません。 + 戒めはあなたもよく知っているはずです。『姦淫してはならない。殺してはならない。盗んではならない。偽証を立ててはならない。父と母を敬え。』」 + すると彼は言った。「そのようなことはみな、小さい時から守っております。」 + イエスはこれを聞いて、その人に言われた。「あなたには、まだ一つだけ欠けたものがあります。あなたの持ち物を全部売り払い、貧しい人々に分けてやりなさい。そうすれば、あなたは天に宝を積むことになります。そのうえで、わたしについて来なさい。」 + すると彼は、これを聞いて、非常に悲しんだ。たいへんな金持ちだったからである。 + イエスは彼を見てこう言われた。「裕福な者が神の国に入ることは、何とむずかしいことでしょう。 + 金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通るほうがもっとやさしい。」 + これを聞いた人々が言った。「それでは、だれが救われることができるでしょう。」 + イエスは言われた。「人にはできないことが、神にはできるのです。」 + すると、ペテロが言った。「ご覧ください。私たちは自分の家を捨てて従ってまいりました。」 + イエスは彼らに言われた。「まことに、あなたがたに告げます。神の国のために、家、妻、兄弟、両親、子どもを捨てた者で、だれひとりとして、 + この世にあってその幾倍かを受けない者はなく、後の世で永遠のいのちを受けない者はありません。」 + さてイエスは、十二弟子をそばに呼んで、彼らに話された。「さあ、これから、わたしたちはエルサレムに向かって行きます。人の子について預言者たちが書いているすべてのことが実現されるのです。 + 人の子は異邦人に引き渡され、そして彼らにあざけられ、はずかしめられ、つばきをかけられます。 + 彼らは人の子をむちで打ってから殺します。しかし、人の子は三日目によみがえります。」 + しかし弟子たちには、これらのことが何一つわからなかった。彼らには、このことばは隠されていて、話された事が理解できなかった。 + イエスがエリコに近づかれたころ、ある盲人が、道ばたにすわり、物ごいをしていた。 + 群衆が通って行くのを耳にして、これはいったい何事ですか、と尋ねた。 + ナザレのイエスがお通りになるのだ、と知らせると、 + 彼は大声で、「ダビデの子のイエスさま。私をあわれんでください」と言った。 + 彼を黙らせようとして、先頭にいた人々がたしなめたが、盲人は、ますます「ダビデの子よ。私をあわれんでください」と叫び立てた。 + イエスは立ち止まって、彼をそばに連れて来るように言いつけられた。 + 彼が近寄って来たので、「わたしに何をしてほしいのか」と尋ねられると、彼は、「主よ。目が見えるようになることです」と言った。 + イエスが彼に、「見えるようになれ。あなたの信仰があなたを直したのです」と言われると、 + 彼はたちどころに目が見えるようになり、神をあがめながらイエスについて行った。これを見て民はみな神を賛美した。 + + + それからイエスは、エリコに入って、町をお通りになった。 + ここには、ザアカイという人がいたが、彼は取税人のかしらで、金持ちであった。 + 彼は、イエスがどんな方か見ようとしたが、背が低かったので、群衆のために見ることができなかった。 + それで、イエスを見るために、前方に走り出て、いちじく桑の木に登った。ちょうどイエスがそこを通り過ぎようとしておられたからである。 + イエスは、ちょうどそこに来られて、上を見上げて彼に言われた。「ザアカイ。急いで降りて来なさい。きょうは、あなたの家に泊まることにしてあるから。」 + ザアカイは、急いで降りて来て、そして大喜びでイエスを迎えた。 + これを見て、みなは、「あの方は罪人のところに行って客となられた」と言ってつぶやいた。 + ところがザアカイは立って、主に言った。「主よ。ご覧ください。私の財産の半分を貧しい人たちに施します。また、だれからでも、私がだまし取った物は、四倍にして返します。」 + イエスは、彼に言われた。「きょう、救いがこの家に来ました。この人もアブラハムの子なのですから。 + 人の子は、失われた人を捜して救うために来たのです。」 + 人々がこれらのことに耳を傾けているとき、イエスは、続けて一つのたとえを話された。それは、イエスがエルサレムに近づいておられ、そのため人々は神の国がすぐにでも現れるように思っていたからである。 + それで、イエスはこう言われた。/「ある身分の高い人が、遠い国に行った。王位を受けて帰るためであった。 + 彼は自分の十人のしもべを呼んで、十ミナを与え、彼らに言った。『私が帰るまで、これで商売しなさい。』 + しかし、その国民たちは、彼を憎んでいたので、あとから使いをやり、『この人に、私たちの王にはなってもらいたくありません』と言った。 + さて、彼が王位を受けて帰って来たとき、金を与えておいたしもべたちがどんな商売をしたかを知ろうと思い、彼らを呼び出すように言いつけた。 + さて、最初の者が現れて言った。『ご主人さま。あなたの一ミナで、十ミナをもうけました。』 + 主人は彼に言った。『よくやった。良いしもべだ。あなたはほんの小さな事にも忠実だったから、十の町を支配する者になりなさい。』 + 二番目の者が来て言った。『ご主人さま。あなたの一ミナで、五ミナをもうけました。』 + 主人はこの者にも言った。『あなたも五つの町を治めなさい。』 + もうひとりが来て言った。『ご主人さま。さあ、ここにあなたの一ミナがございます。私はふろしきに包んでしまっておきました。 + あなたは計算の細かい、きびしい方ですから、恐ろしゅうございました。あなたはお預けにならなかったものをも取り立て、お蒔きにならなかったものをも刈り取る方ですから。』 + 主人はそのしもべに言った。『悪いしもべだ。私はあなたのことばによって、あなたをさばこう。あなたは、私が預けなかったものを取り立て、蒔かなかったものを刈り取るきびしい人間だと知っていた、というのか。 + だったら、なぜ私の金を銀行に預けておかなかったのか。そうすれば私は帰って来たときに、それを利息といっしょに受け取れたはずだ。』 + そして、そばに立っていた者たちに言った。『その一ミナを彼から取り上げて、十ミナ持っている人にやりなさい。』 + すると彼らは、『ご主人さま。その人は十ミナも持っています』と言った。 + 彼は言った。『あなたがたに言うが、だれでも持っている者は、さらに与えられ、持たない者からは、持っている物までも取り上げられるのです。 + ただ、私が王になるのを望まなかったこの敵どもは、みなここに連れて来て、私の目の前で殺してしまえ。』」 + これらのことを話して後、イエスは、さらに進んで、エルサレムへと上って行かれた。 + オリーブという山のふもとのベテパゲとベタニヤに近づかれたとき、イエスはふたりの弟子を使いに出して、 + 言われた。「向こうの村に行きなさい。そこに入ると、まだだれも乗ったことのない、ろばの子がつないであるのに気がつくでしょう。それをほどいて連れて来なさい。 + もし、『なぜ、ほどくのか』と尋ねる人があったら、こう言いなさい。『主がお入用なのです。』」 + 使いに出されたふたりが行って見ると、イエスが話されたとおりであった。 + 彼らがろばの子をほどいていると、その持ち主が、「なぜ、このろばの子をほどくのか」と彼らに言った。 + 弟子たちは、「主がお入用なのです」と言った。 + そしてふたりは、それをイエスのもとに連れて来た。そして、そのろばの子の上に自分たちの上着を敷いて、イエスをお乗せした。 + イエスが進んで行かれると、人々は道に自分たちの上着を敷いた。 + イエスがすでにオリーブ山のふもとに近づかれたとき、弟子たちの群れはみな、自分たちの見たすべての力あるわざのことで、喜んで大声に神を賛美し始め、 + こう言った。「祝福あれ。主の御名によって来られる王に。天には平和。栄光は、いと高き所に。」 + するとパリサイ人のうちのある者たちが、群衆の中から、イエスに向かって、「先生。お弟子たちをしかってください」と言った。 + イエスは答えて言われた。「わたしは、あなたがたに言います。もしこの人たちが黙れば、石が叫びます。」 + エルサレムに近くなったころ、都を見られたイエスは、その都のために泣いて、 + 言われた。「おまえも、もし、この日のうちに、平和のことを知っていたのなら。しかし今は、そのことがおまえの目から隠されている。 + やがておまえの敵が、おまえに対して塁を築き、回りを取り巻き、四方から攻め寄せ、 + そしておまえとその中の子どもたちを地にたたきつけ、おまえの中で、一つの石もほかの石の上に積まれたままでは残されない日が、やって来る。それはおまえが、神の訪れの時を知らなかったからだ。」 + 宮に入られたイエスは、商売人たちを追い出し始め、 + こう言われた。「『わたしの家は、祈りの家でなければならない』と書いてある。それなのに、あなたがたはそれを強盗の巣にした。」 + イエスは毎日、宮で教えておられた。祭司長、律法学者、民のおもだった者たちは、イエスを殺そうとねらっていたが、 + どうしてよいかわからなかった。民衆がみな、熱心にイエスの話に耳を傾けていたからである。 + + + イエスは宮で民衆を教え、福音を宣べ伝えておられたが、ある日、祭司長、律法学者たちが、長老たちといっしょにイエスに立ち向かって、 + イエスに言った。「何の権威によって、これらのことをしておられるのですか。あなたにその権威を授けたのはだれですか。それを言ってください。」 + そこで答えて言われた。「わたしも一言尋ねますから、それに答えなさい。 + ヨハネのバプテスマは、天から来たのですか、人から出たのですか。」 + すると彼らは、こう言って、互いに論じ合った。「もし、天から、と言えば、それならなぜ、彼を信じなかったか、と言うだろう。 + しかし、もし、人から、と言えば、民衆がみなで私たちを石で打ち殺すだろう。ヨハネを預言者と信じているのだから。」 + そこで、「どこからか知りません」と答えた。 + するとイエスは、「わたしも、何の権威によってこれらのことをするのか、あなたがたに話すまい」と言われた。 + また、イエスは、民衆にこのようなたとえを話された。/「ある人がぶどう園を造り、それを農夫たちに貸して、長い旅に出た。 + そして季節になったので、ぶどう園の収穫の分けまえをもらうために、農夫たちのところへひとりのしもべを遣わした。ところが、農夫たちは、そのしもべを袋だたきにし、何も持たせないで送り帰した。 + そこで、別のしもべを遣わしたが、彼らは、そのしもべも袋だたきにし、はずかしめたうえで、何も持たせないで送り帰した。 + 彼はさらに三人目のしもべをやったが、彼らは、このしもべにも傷を負わせて追い出した。 + ぶどう園の主人は言った。『どうしたものか。よし、愛する息子を送ろう。彼らも、この子はたぶん敬ってくれるだろう。』 + ところが、農夫たちはその息子を見て、議論しながら言った。『あれはあと取りだ。あれを殺そうではないか。そうすれば、財産はこちらのものだ。』 + そして、彼をぶどう園の外に追い出して、殺してしまった。/こうなると、ぶどう園の主人は、どうするでしょう。 + 彼は戻って来て、この農夫どもを打ち滅ぼし、ぶどう園をほかの人たちに与えてしまいます。」これを聞いた民衆は、「そんなことがあってはなりません」と言った。 + イエスは、彼らを見つめて言われた。「では、『家を建てる者たちの見捨てた石、それが礎の石となった。』/と書いてあるのは、何のことでしょう。 + この石の上に落ちれば、だれでも粉々に砕け、またこの石が人の上に落ちれば、その人を粉みじんに飛び散らしてしまうのです。」 + 律法学者、祭司長たちは、イエスが自分たちをさしてこのたとえを話されたと気づいたので、この際イエスに手をかけて捕らえようとしたが、やはり民衆を恐れた。 + さて、機会をねらっていた彼らは、義人を装った間者を送り、イエスのことばを取り上げて、総督の支配と権威にイエスを引き渡そう、と計った。 + その間者たちは、イエスに質問して言った。「先生。私たちは、あなたがお話しになり、お教えになることは正しく、またあなたは分け隔てなどせず、真理に基づいて神の道を教えておられることを知っています。 + ところで、私たちが、カイザルに税金を納めることは、律法にかなっていることでしょうか。かなっていないことでしょうか。」 + イエスはそのたくらみを見抜いて彼らに言われた。 + 「デナリ銀貨をわたしに見せなさい。これはだれの肖像ですか。だれの銘ですか。」彼らは、「カイザルのです」と言った。 + すると彼らに言われた。「では、カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」 + 彼らは、民衆の前でイエスのことばじりをつかむことができず、お答えに驚嘆して黙ってしまった。 + ところが、復活があることを否定するサドカイ人のある者たちが、イエスのところに来て、質問して、 + こう言った。「先生。モーセは私たちのためにこう書いています。『もし、ある人の兄が妻をめとって死に、しかも子がなかった場合は、その弟はその女を妻にして、兄のための子をもうけなければならない。』 + ところで、七人の兄弟がいました。長男は妻をめとりましたが、子どもがなくて死にました。 + 次男も、 + 三男もその女をめとり、七人とも同じようにして、子どもを残さずに死にました。 + あとで、その女も死にました。 + すると復活の際、その女はだれの妻になるでしょうか。七人ともその女を妻としたのですが。」 + イエスは彼らに言われた。「この世の子らは、めとったり、とついだりするが、 + 次の世に入るのにふさわしく、死人の中から復活するのにふさわしい、と認められる人たちは、めとることも、とつぐこともありません。 + 彼らはもう死ぬことができないからです。彼らは御使いのようであり、また、復活の子として神の子どもだからです。 + それに、死人がよみがえることについては、モーセも柴の個所で、主を、『アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神』と呼んで、このことを示しました。 + 神は死んだ者の神ではありません。生きている者の神です。というのは、神に対しては、みなが生きているからです。」 + 律法学者のうちのある者たちが答えて、「先生。りっぱなお答えです」と言った。 + 彼らはもうそれ以上何も質問する勇気がなかった。 + すると、イエスが彼らに言われた。「どうして人々は、キリストをダビデの子と言うのですか。 + ダビデ自身が詩篇の中でこう言っています。/『主は私の主に言われた。 + 「わたしが、あなたの敵を/あなたの足台とする時まで、わたしの右の座に着いていなさい。」』 + こういうわけで、ダビデがキリストを主と呼んでいるのに、どうしてキリストがダビデの子でしょう。」 + また、民衆がみな耳を傾けているときに、イエスは弟子たちにこう言われた。 + 「律法学者たちには気をつけなさい。彼らは、長い衣をまとって歩き回ったり、広場であいさつされたりすることが好きで、また会堂の上席や宴会の上座が好きです。 + また、やもめの家を食いつぶし、見えを飾るために長い祈りをします。こういう人たちは人一倍きびしい罰を受けるのです。」 + + + さてイエスが、目を上げてご覧になると、金持ちたちが献金箱に献金を投げ入れていた。 + また、ある貧しいやもめが、そこにレプタ銅貨二つを投げ入れているのをご覧になった。 + それでイエスは言われた。「わたしは真実をあなたがたに告げます。この貧しいやもめは、どの人よりもたくさん投げ入れました。 + みなは、あり余る中から献金を投げ入れたのに、この女は、乏しい中から、持っていた生活費の全部を投げ入れたからです。」 + 宮がすばらしい石や奉納物で飾ってあると話していた人々があった。するとイエスはこう言われた。 + 「あなたがたの見ているこれらの物について言えば、石がくずされずに積まれたまま残ることのない日がやって来ます。」 + 彼らは、イエスに質問して言った。「先生。それでは、これらのことは、いつ起こるのでしょう。これらのことが起こるときは、どんな前兆があるのでしょう。」 + イエスは言われた。「惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名のる者が大ぜい現れ、『私がそれだ』とか『時は近づいた』とか言います。そんな人々のあとについて行ってはなりません。 + 戦争や暴動のことを聞いても、こわがってはいけません。それは、初めに必ず起こることです。だが、終わりは、すぐには来ません。」 + それから、イエスは彼らに言われた。「民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、 + 大地震があり、方々に疫病やききんが起こり、恐ろしいことや天からのすさまじい前兆が現れます。 + しかし、これらのすべてのことの前に、人々はあなたがたを捕らえて迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために、あなたがたを王たちや総督たちの前に引き出すでしょう。 + それはあなたがたのあかしをする機会となります。 + それで、どう弁明するかは、あらかじめ考えないことに、心を定めておきなさい。 + どんな反対者も、反論もできず、反証もできないようなことばと知恵を、わたしがあなたがたに与えます。 + しかしあなたがたは、両親、兄弟、親族、友人たちにまで裏切られます。中には殺される者もあり、 + わたしの名のために、みなの者に憎まれます。 + しかし、あなたがたの髪の毛一筋も失われることはありません。 + あなたがたは、忍耐によって、自分のいのちを勝ち取ることができます。 + しかし、エルサレムが軍隊に囲まれるのを見たら、そのときには、その滅亡が近づいたことを悟りなさい。 + そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。都の中にいる人々は、そこから立ちのきなさい。いなかにいる者たちは、都に入ってはいけません。 + これは、書かれているすべてのことが成就する報復の日だからです。 + その日、哀れなのは身重の女と乳飲み子を持つ女です。この地に大きな苦難が臨み、この民に御怒りが臨むからです。 + 人々は、剣の刃に倒れ、捕虜となってあらゆる国に連れて行かれ、異邦人の時の終わるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます。 + そして、日と月と星には、前兆が現れ、地上では、諸国の民が、海と波が荒れどよめくために不安に陥って悩み、 + 人々は、その住むすべての所を襲おうとしていることを予想して、恐ろしさのあまり気を失います。天の万象が揺り動かされるからです。 + そのとき、人々は、人の子が力と輝かしい栄光を帯びて雲に乗って来るのを見るのです。 + これらのことが起こり始めたなら、からだをまっすぐにし、頭を上に上げなさい。贖いが近づいたのです。」 + それからイエスは、人々にたとえを話された。「いちじくの木や、すべての木を見なさい。 + 木の芽が出ると、それを見て夏の近いことがわかります。 + そのように、これらのことが起こるのを見たら、神の国は近いと知りなさい。 + まことに、あなたがたに告げます。すべてのことが起こってしまうまでは、この時代は過ぎ去りません。 + この天地は滅びます。しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません。 + あなたがたの心が、放蕩や深酒やこの世の煩いのために沈み込んでいるところに、その日がわなのように、突然あなたがたに臨むことのないように、よく気をつけていなさい。 + その日は、全地の表に住むすべての人に臨むからです。 + しかし、あなたがたは、やがて起ころうとしているこれらすべてのことからのがれ、人の子の前に立つことができるように、いつも油断せずに祈っていなさい。」 + さてイエスは、昼は宮で教え、夜はいつも外に出てオリーブという山で過ごされた。 + 民衆はみな朝早く起きて、教えを聞こうとして、宮におられるイエスのもとに集まって来た。 + + + さて、過越の祭りといわれる、種なしパンの祝いが近づいていた。 + 祭司長、律法学者たちは、イエスを殺すための良い方法を捜していた。というのは、彼らは民衆を恐れていたからである。 + さて、十二弟子のひとりで、イスカリオテと呼ばれるユダに、サタンが入った。 + ユダは出かけて行って、祭司長たちや宮の守衛長たちと、どのようにしてイエスを彼らに引き渡そうかと相談した。 + 彼らは喜んで、ユダに金をやる約束をした。 + ユダは承知した。そして群衆のいないときにイエスを彼らに引き渡そうと機会をねらっていた。 + さて、過越の小羊のほふられる、種なしパンの日が来た。 + イエスは、こう言ってペテロとヨハネを遣わされた。「わたしたちの過越の食事ができるように、準備をしに行きなさい。」 + 彼らはイエスに言った。「どこに準備しましょうか。」 + イエスは言われた。「町に入ると、水がめを運んでいる男に会うから、その人が入る家にまでついて行きなさい。 + そして、その家の主人に、『弟子たちといっしょに過越の食事をする客間はどこか、と先生があなたに言っておられる』と言いなさい。 + すると主人は、席が整っている二階の大広間を見せてくれます。そこで準備をしなさい。」 + 彼らが出かけて見ると、イエスの言われたとおりであった。それで、彼らは過越の食事の用意をした。 + さて時間になって、イエスは食卓に着かれ、使徒たちもイエスといっしょに席に着いた。 + イエスは言われた。「わたしは、苦しみを受ける前に、あなたがたといっしょに、この過越の食事をすることをどんなに望んでいたことか。 + あなたがたに言いますが、過越が神の国において成就するまでは、わたしはもはや二度と過越の食事をすることはありません。」 + そしてイエスは、杯を取り、感謝をささげて後、言われた。「これを取って、互いに分けて飲みなさい。 + あなたがたに言いますが、今から、神の国が来る時までは、わたしはもはや、ぶどうの実で造った物を飲むことはありません。」 + それから、パンを取り、感謝をささげてから、裂いて、弟子たちに与えて言われた。「これは、あなたがたのために与える、わたしのからだです。わたしを覚えてこれを行いなさい。」 + 食事の後、杯も同じようにして言われた。「この杯は、あなたがたのために流されるわたしの血による新しい契約です。 + しかし、見なさい。わたしを裏切る者の手が、わたしとともに食卓にあります。 + 人の子は、定められたとおりに去って行きます。しかし、人の子を裏切るような人間はわざわいです。」 + そこで弟子たちは、そんなことをしようとしている者は、いったいこの中のだれなのかと、互いに議論をし始めた。 + また、彼らの間には、この中でだれが一番偉いだろうかという論議も起こった。 + すると、イエスは彼らに言われた。「異邦人の王たちは人々を支配し、また人々の上に権威を持つ者は守護者と呼ばれています。 + だが、あなたがたは、それではいけません。あなたがたの間で一番偉い人は一番年の若い者のようになりなさい。また、治める人は仕える人のようでありなさい。 + 食卓に着く人と給仕する者と、どちらが偉いでしょう。むろん、食卓に着く人でしょう。しかしわたしは、あなたがたのうちにあって給仕する者のようにしています。 + けれども、あなたがたこそ、わたしのさまざまの試練の時にも、わたしについて来てくれた人たちです。 + わたしの父がわたしに王権を与えてくださったように、わたしもあなたがたに王権を与えます。 + それであなたがたは、わたしの国でわたしの食卓に着いて食事をし、王座に着いて、イスラエルの十二の部族をさばくのです。 + シモン、シモン。見なさい。サタンが、あなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って聞き届けられました。 + しかし、わたしは、あなたの信仰がなくならないように、あなたのために祈りました。だからあなたは、立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」 + シモンはイエスに言った。「主よ。ごいっしょになら、牢であろうと、死であろうと、覚悟はできております。」 + しかし、イエスは言われた。「ペテロ。あなたに言いますが、きょう鶏が鳴くまでに、あなたは三度、わたしを知らないと言います。」 + それから、弟子たちに言われた。「わたしがあなたがたを、財布も旅行袋もくつも持たせずに旅に出したとき、何か足りない物がありましたか。」彼らは言った。「いいえ。何もありませんでした。」 + そこで言われた。「しかし、今は、財布のある者は財布を持ち、同じく袋を持ち、剣のない者は着物を売って剣を買いなさい。 + あなたがたに言いますが、『彼は罪人たちの中に数えられた』と書いてあるこのことが、わたしに必ず実現するのです。わたしにかかわることは実現します。」 + 彼らは言った。「主よ。このとおり、ここに剣が二振りあります。」イエスは彼らに、「それで十分」と言われた。 + それからイエスは出て、いつものようにオリーブ山に行かれ、弟子たちも従った。 + いつもの場所に着いたとき、イエスは彼らに、「誘惑に陥らないように祈っていなさい」と言われた。 + そしてご自分は、弟子たちから石を投げて届くほどの所に離れて、ひざまずいて、こう祈られた。 + 「父よ。みこころならば、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願いではなく、みこころのとおりにしてください。」 + すると、御使いが天からイエスに現れて、イエスを力づけた。 + イエスは、苦しみもだえて、いよいよ切に祈られた。汗が血のしずくのように地に落ちた。 + イエスは祈り終わって立ち上がり、弟子たちのところに来て見ると、彼らは悲しみの果てに、眠り込んでしまっていた。 + それで、彼らに言われた。「なぜ、眠っているのか。起きて、誘惑に陥らないように祈っていなさい。」 + イエスがまだ話をしておられるとき、群衆がやって来た。十二弟子のひとりで、ユダという者が、先頭に立っていた。ユダはイエスに口づけしようとして、みもとに近づいた。 + だが、イエスは彼に、「ユダ。口づけで、人の子を裏切ろうとするのか」と言われた。 + イエスの回りにいた者たちは、事の成り行きを見て、「主よ。剣で撃ちましょうか」と言った。 + そしてそのうちのある者が、大祭司のしもべに撃ってかかり、その右の耳を切り落とした。 + するとイエスは、「やめなさい。それまで」と言われた。そして、耳にさわって彼をいやされた。 + そして押しかけて来た祭司長、宮の守衛長、長老たちに言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持ってやって来たのですか。 + あなたがたは、わたしが毎日宮でいっしょにいる間は、わたしに手出しもしなかった。しかし、今はあなたがたの時です。暗やみの力です。」 + 彼らはイエスを捕らえ、引いて行って、大祭司の家に連れて来た。ペテロは、遠く離れてついて行った。 + 彼らは中庭の真ん中に火をたいて、みなすわり込んだので、ペテロも中に混じって腰をおろした。 + すると、女中が、火あかりの中にペテロのすわっているのを見つけ、まじまじと見て言った。「この人も、イエスといっしょにいました。」 + ところが、ペテロはそれを打ち消して、「いいえ、私はあの人を知りません」と言った。 + しばらくして、ほかの男が彼を見て、「あなたも、彼らの仲間だ」と言った。しかしペテロは、「いや、違います」と言った。 + それから一時間ほどたつと、また別の男が、「確かにこの人も彼といっしょだった。この人もガリラヤ人だから」と言い張った。 + しかしペテロは、「あなたの言うことは私にはわかりません」と言った。それといっしょに、彼がまだ言い終えないうちに、鶏が鳴いた。 + 主が振り向いてペテロを見つめられた。ペテロは、「きょう、鶏が鳴くまでに、あなたは、三度わたしを知らないと言う」と言われた主のおことばを思い出した。 + 彼は、外に出て、激しく泣いた。 + さて、イエスの監視人どもは、イエスをからかい、むちでたたいた。 + そして目隠しをして、「言い当ててみろ。今たたいたのはだれか」と聞いたりした。 + また、そのほかさまざまな悪口をイエスに浴びせた。 + 夜が明けると、民の長老会、それに祭司長、律法学者たちが、集まった。彼らはイエスを議会に連れ出し、 + こう言った。「あなたがキリストなら、そうだと言いなさい。」しかしイエスは言われた。「わたしが言っても、あなたがたは決して信じないでしょうし、 + わたしが尋ねても、あなたがたは決して答えないでしょう。 + しかし今から後、人の子は、神の大能の右の座に着きます。」 + 彼らはみなで言った。「ではあなたは神の子ですか。」すると、イエスは彼らに「あなたがたの言うとおり、わたしはそれです」と言われた。 + すると彼らは「これでもまだ証人が必要でしょうか。私たち自身が彼の口から直接それを聞いたのだから」と言った。 + + + そこで、彼らは全員が立ち上がり、イエスをピラトのもとに連れて行った。 + そしてイエスについて訴え始めた。彼らは言った。「この人はわが国民を惑わし、カイザルに税金を納めることを禁じ、自分は王キリストだと言っていることがわかりました。」 + するとピラトはイエスに、「あなたは、ユダヤ人の王ですか」と尋ねた。イエスは答えて、「そのとおりです」と言われた。 + ピラトは祭司長たちや群衆に、「この人には何の罪も見つからない」と言った。 + しかし彼らはあくまで言い張って、「この人は、ガリラヤからここまで、ユダヤ全土で教えながら、この民を扇動しているのです」と言った。 + それを聞いたピラトは、この人はガリラヤ人かと尋ねて、 + ヘロデの支配下にあるとわかると、イエスをヘロデのところに送った。ヘロデもそのころエルサレムにいたからである。 + ヘロデはイエスを見ると非常に喜んだ。ずっと前からイエスのことを聞いていたので、イエスに会いたいと思っていたし、イエスの行う何かの奇蹟を見たいと考えていたからである。 + それで、いろいろと質問したが、イエスは彼に何もお答えにならなかった。 + 祭司長たちと律法学者たちは立って、イエスを激しく訴えていた。 + ヘロデは、自分の兵士たちといっしょにイエスを侮辱したり嘲弄したりしたあげく、はでな衣を着せて、ピラトに送り返した。 + この日、ヘロデとピラトは仲よくなった。それまでは互いに敵対していたのである。 + ピラトは祭司長たちと指導者たちと民衆とを呼び集め、 + こう言った。「あなたがたは、この人を、民衆を惑わす者として、私のところに連れて来たけれども、私があなたがたの前で取り調べたところ、あなたがたが訴えているような罪は別に何も見つかりません。 + ヘロデとても同じです。彼は私たちにこの人を送り返しました。見なさい。この人は、死罪に当たることは、何一つしていません。 + だから私は、懲らしめたうえで、釈放します。」 + 二三・一六異本に一七節として「さて、ピラトは祭りのときにひとりを彼らのために釈放してやらなければならなかった」を挿入する。 + しかし彼らは、声をそろえて叫んだ。「この人を除け。バラバを釈放しろ。」 + バラバとは、都に起こった暴動と人殺しのかどで、牢に入っていた者である。 + ピラトは、イエスを釈放しようと思って、彼らに、もう一度呼びかけた。 + しかし、彼らは叫び続けて、「十字架だ。十字架につけろ」と言った。 + しかしピラトは三度目に彼らにこう言った。「あの人がどんな悪いことをしたというのか。あの人には、死に当たる罪は、何も見つかりません。だから私は、懲らしめたうえで、釈放します。」 + ところが、彼らはあくまで主張し続け、十字架につけるよう大声で要求した。そしてついにその声が勝った。 + ピラトは、彼らの要求どおりにすることを宣告した。 + すなわち、暴動と人殺しのかどで牢に入っていた男を願いどおりに釈放し、イエスを彼らに引き渡して好きなようにさせた。 + 彼らは、イエスを引いて行く途中、いなかから出て来たシモンというクレネ人をつかまえ、この人に十字架を負わせてイエスのうしろから運ばせた。 + 大ぜいの民衆やイエスのことを嘆き悲しむ女たちの群れが、イエスのあとについて行った。 + しかしイエスは、女たちのほうに向いて、こう言われた。「エルサレムの娘たち。わたしのことで泣いてはいけない。むしろ自分自身と、自分の子どもたちのことのために泣きなさい。 + なぜなら人々が、『不妊の女、子を産んだことのない胎、飲ませたことのない乳房は、幸いだ』と言う日が来るのですから。 + そのとき、人々は山に向かって、『われわれの上に倒れかかってくれ』と言い、丘に向かって、『われわれをおおってくれ』と言い始めます。 + 彼らが生木にこのようなことをするのなら、枯れ木には、いったい、何が起こるでしょう。」 + ほかにもふたりの犯罪人が、イエスとともに死刑にされるために、引かれて行った。 + 「どくろ」と呼ばれている所に来ると、そこで彼らは、イエスと犯罪人とを十字架につけた。犯罪人のひとりは右に、ひとりは左に。 + そのとき、イエスはこう言われた。「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです。」彼らは、くじを引いて、イエスの着物を分けた。 + 民衆はそばに立ってながめていた。指導者たちもあざ笑って言った。「あれは他人を救った。もし、神のキリストで、選ばれた者なら、自分を救ってみろ。」 + 兵士たちもイエスをあざけり、そばに寄って来て、酸いぶどう酒を差し出し、 + 「ユダヤ人の王なら、自分を救え」と言った。 + 「これはユダヤ人の王」と書いた札もイエスの頭上に掲げてあった。 + 十字架にかけられていた犯罪人のひとりはイエスに悪口を言い、「あなたはキリストではないか。自分と私たちを救え」と言った。 + ところが、もうひとりのほうが答えて、彼をたしなめて言った。「おまえは神をも恐れないのか。おまえも同じ刑罰を受けているではないか。 + われわれは、自分のしたことの報いを受けているのだからあたりまえだ。だがこの方は、悪いことは何もしなかったのだ。」 + そして言った。「イエスさま。あなたの御国の位にお着きになるときには、私を思い出してください。」 + イエスは、彼に言われた。「まことに、あなたに告げます。あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます。」 + そのときすでに十二時ごろになっていたが、全地が暗くなって、三時まで続いた。 + 太陽は光を失っていた。また、神殿の幕は真っ二つに裂けた。 + イエスは大声で叫んで、言われた。「父よ。わが霊を御手にゆだねます。」こう言って、息を引き取られた。 + この出来事を見た百人隊長は、神をほめたたえ、「ほんとうに、この人は正しい方であった」と言った。 + また、この光景を見に集まっていた群衆もみな、こういういろいろの出来事を見たので、胸をたたいて悲しみながら帰った。 + しかし、イエスの知人たちと、ガリラヤからイエスについて来ていた女たちとはみな、遠く離れて立ち、これらのことを見ていた。 + さてここに、ヨセフという、議員のひとりで、りっぱな、正しい人がいた。 + この人は議員たちの計画や行動には同意しなかった。彼は、アリマタヤというユダヤ人の町の人で、神の国を待ち望んでいた。 + この人が、ピラトのところに行って、イエスのからだの下げ渡しを願った。 + それから、イエスを取り降ろして、亜麻布で包み、そして、まだだれをも葬ったことのない、岩に掘られた墓にイエスを納めた。 + この日は準備の日で、もう安息日が始まろうとしていた。 + ガリラヤからイエスといっしょに出て来た女たちは、ヨセフについて行って、墓と、イエスのからだの納められる様子を見届けた。 + そして、戻って来て、香料と香油を用意した。/安息日には、戒めに従って、休んだが、 + + + 週の初めの日の明け方早く、女たちは、準備しておいた香料を持って墓に着いた。 + 見ると、石が墓からわきにころがしてあった。 + 入って見ると、主イエスのからだはなかった。 + そのため女たちが途方にくれていると、見よ、まばゆいばかりの衣を着たふたりの人が、女たちの近くに来た。 + 恐ろしくなって、地面に顔を伏せていると、その人たちはこう言った。「あなたがたは、なぜ生きている方を死人の中で捜すのですか。 + ここにはおられません。よみがえられたのです。まだガリラヤにおられたころ、お話しになったことを思い出しなさい。 + 人の子は必ず罪人らの手に引き渡され、十字架につけられ、三日目によみがえらなければならない、と言われたでしょう。」 + 女たちはイエスのみことばを思い出した。 + そして、墓から戻って、十一弟子とそのほかの人たち全部に、一部始終を報告した。 + この女たちは、マグダラのマリヤとヨハンナとヤコブの母マリヤとであった。彼女たちといっしょにいたほかの女たちも、このことを使徒たちに話した。 + ところが使徒たちにはこの話はたわごとと思われたので、彼らは女たちを信用しなかった。 + 〔しかしペテロは、立ち上がると走って墓へ行き、かがんでのぞき込んだところ、亜麻布だけがあった。それで、この出来事に驚いて家に帰った。〕 + ちょうどこの日、ふたりの弟子が、エルサレムから十一キロメートル余り離れたエマオという村に行く途中であった。 + そして、ふたりでこのいっさいの出来事について話し合っていた。 + 話し合ったり、論じ合ったりしているうちに、イエスご自身が近づいて、彼らとともに道を歩いておられた。 + しかしふたりの目はさえぎられていて、イエスだとはわからなかった。 + イエスは彼らに言われた。「歩きながらふたりで話し合っているその話は、何のことですか。」すると、ふたりは暗い顔つきになって、立ち止まった。 + クレオパというほうが答えて言った。「エルサレムにいながら、近ごろそこで起こった事を、あなただけが知らなかったのですか。」 + イエスが、「どんな事ですか」と聞かれると、ふたりは答えた。「ナザレ人イエスのことです。この方は、神とすべての民の前で、行いにもことばにも力のある預言者でした。 + それなのに、私たちの祭司長や指導者たちは、この方を引き渡して、死刑に定め、十字架につけたのです。 + しかし私たちは、この方こそイスラエルを贖ってくださるはずだ、と望みをかけていました。事実、そればかりでなく、その事があってから三日目になりますが、 + また仲間の女たちが私たちを驚かせました。その女たちは朝早く墓に行ってみましたが、 + イエスのからだが見当たらないので、戻って来ました。そして御使いたちの幻を見たが、御使いたちがイエスは生きておられると告げた、と言うのです。 + それで、仲間の何人かが墓に行ってみたのですが、はたして女たちの言ったとおりで、イエスさまは見当たらなかった、というのです。」 + するとイエスは言われた。「ああ、愚かな人たち。預言者たちの言ったすべてを信じない、心の鈍い人たち。 + キリストは、必ず、そのような苦しみを受けて、それから、彼の栄光に入るはずではなかったのですか。」 + それから、イエスは、モーセおよびすべての預言者から始めて、聖書全体の中で、ご自分について書いてある事がらを彼らに説き明かされた。 + 彼らは目的の村に近づいたが、イエスはまだ先へ行きそうなご様子であった。 + それで、彼らが、「いっしょにお泊まりください。そろそろ夕刻になりますし、日もおおかた傾きましたから」と言って無理に願ったので、イエスは彼らといっしょに泊まるために中に入られた。 + 彼らとともに食卓に着かれると、イエスはパンを取って祝福し、裂いて彼らに渡された。 + それで、彼らの目が開かれ、イエスだとわかった。するとイエスは、彼らには見えなくなった。 + そこでふたりは話し合った。「道々お話しになっている間も、聖書を説明してくださった間も、私たちの心はうちに燃えていたではないか。」 + すぐさまふたりは立って、エルサレムに戻ってみると、十一使徒とその仲間が集まって、 + 「ほんとうに主はよみがえって、シモンにお姿を現された」と言っていた。 + 彼らも、道であったいろいろなことや、パンを裂かれたときにイエスだとわかった次第を話した。 + これらのことを話している間に、イエスご自身が彼らの真ん中に立たれた。 + 彼らは驚き恐れて、霊を見ているのだと思った。 + すると、イエスは言われた。「なぜ取り乱しているのですか。どうして心に疑いを起こすのですか。 + わたしの手やわたしの足を見なさい。まさしくわたしです。わたしにさわって、よく見なさい。霊ならこんな肉や骨はありません。わたしは持っています。」 + 二四・三九異本に四〇節として「イエスはこう言われて、その手と足を彼らにお示しになった」を加えるものもある。 + それでも、彼らは、うれしさのあまりまだ信じられず、不思議がっているので、イエスは、「ここに何か食べ物がありますか」と言われた。 + それで、焼いた魚を一切れ差し上げると、 + イエスは、彼らの前で、それを取って召し上がった。 + さて、そこでイエスは言われた。「わたしがまだあなたがたといっしょにいたころ、あなたがたに話したことばはこうです。わたしについてモーセの律法と預言者と詩篇とに書いてあることは、必ず全部成就するということでした。」 + そこで、イエスは、聖書を悟らせるために彼らの心を開いて、 + こう言われた。「次のように書いてあります。キリストは苦しみを受け、三日目に死人の中からよみがえり、 + その名によって、罪の赦しを得させる悔い改めが、エルサレムから始まってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる。 + あなたがたは、これらのことの証人です。 + さあ、わたしは、わたしの父の約束してくださったものをあなたがたに送ります。あなたがたは、いと高き所から力を着せられるまでは、都にとどまっていなさい。」 + それから、イエスは、彼らをベタニヤまで連れて行き、手を上げて祝福された。 + そして祝福しながら、彼らから離れて行かれた。 + 彼らは、非常な喜びを抱いてエルサレムに帰り、 + いつも宮にいて神をほめたたえていた。 + +
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+ + 初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。 + この方は、初めに神とともにおられた。 + すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもない。 + この方にいのちがあった。このいのちは人の光であった。 + 光はやみの中に輝いている。やみはこれに打ち勝たなかった。 + 神から遣わされたヨハネという人が現れた。 + この人はあかしのために来た。光についてあかしするためであり、すべての人が彼によって信じるためである。 + 彼は光ではなかった。ただ光についてあかしするために来たのである。 + すべての人を照らすそのまことの光が世に来ようとしていた。 + この方はもとから世におられ、世はこの方によって造られたのに、世はこの方を知らなかった。 + この方はご自分のくにに来られたのに、ご自分の民は受け入れなかった。 + しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとされる特権をお与えになった。 + この人々は、血によってではなく、肉の欲求や人の意欲によってでもなく、ただ、神によって生まれたのである。 + ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた。 + ヨハネはこの方について証言し、叫んで言った。「『私のあとから来る方は、私にまさる方である。私より先におられたからである』と私が言ったのは、この方のことです。」 + 私たちはみな、この方の満ち満ちた豊かさの中から、恵みの上にさらに恵みを受けたのである。 + というのは、律法はモーセによって与えられ、恵みとまことはイエス・キリストによって実現したからである。 + いまだかつて神を見た者はいない。父のふところにおられるひとり子の神が、神を説き明かされたのである。 + ヨハネの証言は、こうである。ユダヤ人たちが祭司とレビ人をエルサレムからヨハネのもとに遣わして、「あなたはどなたですか」と尋ねさせた。 + 彼は告白して否まず、「私はキリストではありません」と言明した。 + また、彼らは聞いた。「では、いったい何ですか。あなたはエリヤですか。」彼は言った。「そうではありません。」「あなたはあの預言者ですか。」彼は答えた。「違います。」 + そこで、彼らは言った。「あなたはだれですか。私たちを遣わした人々に返事をしたいのですが、あなたは自分を何だと言われるのですか。」 + 彼は言った。「私は、預言者イザヤが言ったように『主の道をまっすぐにせよ』と荒野で叫んでいる者の声です。」 + 彼らは、パリサイ人の中から遣わされたのであった。 + 彼らはまた尋ねて言った。「キリストでもなく、エリヤでもなく、またあの預言者でもないなら、なぜ、あなたはバプテスマを授けているのですか。」 + ヨハネは答えて言った。「私は水でバプテスマを授けているが、あなたがたの中に、あなたがたの知らない方が立っておられます。 + その方は私のあとから来られる方で、私はその方のくつのひもを解く値うちもありません。」 + この事があったのは、ヨルダンの向こう岸のベタニヤであって、ヨハネはそこでバプテスマを授けていた。 + その翌日、ヨハネは自分のほうにイエスが来られるのを見て言った。「見よ、世の罪を取り除く神の小羊。 + 私が『私のあとから来る人がある。その方は私にまさる方である。私より先におられたからだ』と言ったのは、この方のことです。 + 私もこの方を知りませんでした。しかし、この方がイスラエルに明らかにされるために、私は来て、水でバプテスマを授けているのです。」 + またヨハネは証言して言った。「御霊が鳩のように天から下って、この方の上にとどまられるのを私は見ました。 + 私もこの方を知りませんでした。しかし、水でバプテスマを授けさせるために私を遣わされた方が、私に言われました。『御霊がある方の上に下って、その上にとどまられるのがあなたに見えたなら、その方こそ、聖霊によってバプテスマを授ける方である。』 + 私はそれを見たのです。それで、この方が神の子であると証言しているのです。」 + その翌日、またヨハネは、ふたりの弟子とともに立っていたが、 + イエスが歩いて行かれるのを見て、「見よ、神の小羊」と言った。 + ふたりの弟子は、彼がそう言うのを聞いて、イエスについて行った。 + イエスは振り向いて、彼らがついて来るのを見て、言われた。「あなたがたは何を求めているのですか。」彼らは言った。「ラビ(訳して言えば、先生)。今どこにお泊まりですか。」 + イエスは彼らに言われた。「来なさい。そうすればわかります。」そこで、彼らはついて行って、イエスの泊まっておられる所を知った。そして、その日彼らはイエスといっしょにいた。時は第十時ごろであった。 + ヨハネから聞いて、イエスについて行ったふたりのうちのひとりは、シモン・ペテロの兄弟アンデレであった。 + 彼はまず自分の兄弟シモンを見つけて、「私たちはメシヤ(訳して言えば、キリスト)に会った」と言った。 + 彼はシモンをイエスのもとに連れて来た。イエスはシモンに目を留めて言われた。「あなたはヨハネの子シモンです。あなたをケパ(訳すとペテロ)と呼ぶことにします。」 + その翌日、イエスはガリラヤに行こうとされた。そして、ピリポを見つけて「わたしに従って来なさい」と言われた。 + ピリポは、ベツサイダの人で、アンデレやペテロと同じ町の出身であった。 + 彼はナタナエルを見つけて言った。「私たちは、モーセが律法の中に書き、預言者たちも書いている方に会いました。ナザレの人で、ヨセフの子イエスです。」 + ナタナエルは彼に言った。「ナザレから何の良いものが出るだろう。」ピリポは言った。「来て、そして、見なさい。」 + イエスはナタナエルが自分のほうに来るのを見て、彼について言われた。「これこそ、ほんとうのイスラエル人だ。彼のうちには偽りがない。」 + ナタナエルはイエスに言った。「どうして私をご存じなのですか。」イエスは言われた。「わたしは、ピリポがあなたを呼ぶ前に、あなたがいちじくの木の下にいるのを見たのです。」 + ナタナエルは答えた。「先生。あなたは神の子です。あなたはイスラエルの王です。」 + イエスは答えて言われた。「あなたがいちじくの木の下にいるのを見た、とわたしが言ったので、あなたは信じるのですか。あなたは、それよりもさらに大きなことを見ることになります。」 + そして言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。天が開けて、神の御使いたちが人の子の上を上り下りするのを、あなたがたはいまに見ます。」 + + + それから三日目に、ガリラヤのカナで婚礼があって、そこにイエスの母がいた。 + イエスも、また弟子たちも、その婚礼に招かれた。 + ぶどう酒がなくなったとき、母がイエスに向かって「ぶどう酒がありません」と言った。 + すると、イエスは母に言われた。「あなたはわたしと何の関係があるのでしょう。女の方。わたしの時はまだ来ていません。」 + 母は手伝いの人たちに言った。「あの方が言われることを、何でもしてあげてください。」 + さて、そこには、ユダヤ人のきよめのしきたりによって、それぞれ八十リットルから百二十リットル入りの石の水がめが六つ置いてあった。 + イエスは彼らに言われた。「水がめに水を満たしなさい。」彼らは水がめを縁までいっぱいにした。 + イエスは彼らに言われた。「さあ、今くみなさい。そして宴会の世話役のところに持って行きなさい。」彼らは持って行った。 + 宴会の世話役はぶどう酒になったその水を味わってみた。それがどこから来たのか、知らなかったので、――しかし、水をくんだ手伝いの者たちは知っていた――彼は、花婿を呼んで、 + 言った。「だれでも初めに良いぶどう酒を出し、人々が十分飲んだころになると、悪いのを出すものだが、あなたは良いぶどう酒をよくも今まで取っておきました。」 + イエスはこのことを最初のしるしとしてガリラヤのカナで行い、ご自分の栄光を現された。それで、弟子たちはイエスを信じた。 + その後、イエスは母や兄弟たちや弟子たちといっしょに、カペナウムに下って行き、長い日数ではなかったが、そこに滞在された。 + ユダヤ人の過越の祭りが近づき、イエスはエルサレムに上られた。 + そして、宮の中に、牛や羊や鳩を売る者たちと両替人たちがすわっているのをご覧になり、 + 細なわでむちを作って、羊も牛もみな、宮から追い出し、両替人の金を散らし、その台を倒し、 + また、鳩を売る者に言われた。「それをここから持って行け。わたしの父の家を商売の家としてはならない。」 + 弟子たちは、「あなたの家を思う熱心がわたしを食い尽くす」と書いてあるのを思い起こした。 + そこで、ユダヤ人たちが答えて言った。「あなたがこのようなことをするからには、どんなしるしを私たちに見せてくれるのですか。」 + イエスは彼らに答えて言われた。「この神殿をこわしてみなさい。わたしは、三日でそれを建てよう。」 + そこで、ユダヤ人たちは言った。「この神殿は建てるのに四十六年かかりました。あなたはそれを、三日で建てるのですか。」 + しかし、イエスはご自分のからだの神殿のことを言われたのである。 + それで、イエスが死人の中からよみがえられたとき、弟子たちは、イエスがこのように言われたことを思い起こして、聖書とイエスが言われたことばとを信じた。 + イエスが、過越の祭りの祝いの間、エルサレムにおられたとき、多くの人々が、イエスの行われたしるしを見て、御名を信じた。 + しかし、イエスは、ご自身を彼らにお任せにならなかった。なぜなら、イエスはすべての人を知っておられたからであり、 + また、イエスはご自身で、人のうちにあるものを知っておられたので、人についてだれの証言も必要とされなかったからである。 + + + さて、パリサイ人の中にニコデモという人がいた。ユダヤ人の指導者であった。 + この人が、夜、イエスのもとに来て言った。「先生。私たちは、あなたが神のもとから来られた教師であることを知っています。神がともにおられるのでなければ、あなたがなさるこのようなしるしは、だれも行うことができません。」 + イエスは答えて言われた。「まことに、まことに、あなたに告げます。人は、新しく生まれなければ、神の国を見ることはできません。」 + ニコデモは言った。「人は、老年になっていて、どのようにして生まれることができるのですか。もう一度、母の胎に入って生まれることができましょうか。」 + イエスは答えられた。「まことに、まことに、あなたに告げます。人は、水と御霊によって生まれなければ、神の国に入ることができません。 + 肉によって生まれた者は肉です。御霊によって生まれた者は霊です。 + あなたがたは新しく生まれなければならない、とわたしが言ったことを不思議に思ってはなりません。 + 風はその思いのままに吹き、あなたはその音を聞くが、それがどこから来てどこへ行くかを知らない。御霊によって生まれる者もみな、そのとおりです。」 + ニコデモは答えて言った。「どうして、そのようなことがありうるのでしょう。」 + イエスは答えて言われた。「あなたはイスラエルの教師でありながら、こういうことがわからないのですか。 + まことに、まことに、あなたに告げます。わたしたちは、知っていることを話し、見たことをあかししているのに、あなたがたは、わたしたちのあかしを受け入れません。 + あなたがたは、わたしが地上のことを話したとき、信じないくらいなら、天上のことを話したとて、どうして信じるでしょう。 + だれも天に上った者はいません。しかし天から下った者はいます。すなわち人の子です。 + モーセが荒野で蛇を上げたように、人の子もまた上げられなければなりません。 + それは、信じる者がみな、人の子にあって永遠のいのちを持つためです。」 + 神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。 + 神が御子を世に遣わされたのは、世をさばくためではなく、御子によって世が救われるためである。 + 御子を信じる者はさばかれない。信じない者は神のひとり子の御名を信じなかったので、すでにさばかれている。 + そのさばきというのは、こうである。光が世に来ているのに、人々は光よりもやみを愛した。その行いが悪かったからである。 + 悪いことをする者は光を憎み、その行いが明るみに出されることを恐れて、光のほうに来ない。 + しかし、真理を行う者は、光のほうに来る。その行いが神にあってなされたことが明らかにされるためである。 + その後、イエスは弟子たちと、ユダヤの地に行き、彼らとともにそこに滞在して、バプテスマを授けておられた。 + 一方ヨハネもサリムに近いアイノンでバプテスマを授けていた。そこには水が多かったからである。人々は次々にやって来て、バプテスマを受けていた。 + ――ヨハネは、まだ投獄されていなかったからである―― + それで、ヨハネの弟子たちが、あるユダヤ人ときよめについて論議した。 + 彼らはヨハネのところに来て言った。「先生。見てください。ヨルダンの向こう岸であなたといっしょにいて、あなたが証言なさったあの方が、バプテスマを授けておられます。そして、みなあの方のほうへ行きます。」 + ヨハネは答えて言った。「人は、天から与えられるのでなければ、何も受けることはできません。 + あなたがたこそ、『私はキリストではなく、その前に遣わされた者である』と私が言ったことの証人です。 + 花嫁を迎える者は花婿です。そこにいて、花婿のことばに耳を傾けているその友人は、花婿の声を聞いて大いに喜びます。それで、私もその喜びで満たされているのです。 + あの方は盛んになり私は衰えなければなりません。」 + 上から来る方は、すべてのものの上におられ、地から出る者は地に属し、地のことばを話す。天から来る方は、すべてのものの上におられる。 + この方は見たこと、また聞いたことをあかしされるが、だれもそのあかしを受け入れない。 + そのあかしを受け入れた者は、神は真実であるということに確認の印を押したのである。 + 神がお遣わしになった方は、神のことばを話される。神が御霊を無限に与えられるからである。 + 父は御子を愛しておられ、万物を御子の手にお渡しになった。 + 御子を信じる者は永遠のいのちを持つが、御子に聞き従わない者は、いのちを見ることがなく、神の怒りがその上にとどまる。 + + + イエスがヨハネよりも弟子を多くつくって、バプテスマを授けていることがパリサイ人の耳に入った。それを主が知られたとき、 + ――イエスご自身はバプテスマを授けておられたのではなく、弟子たちであったが―― + 主はユダヤを去って、またガリラヤへ行かれた。 + しかし、サマリヤを通って行かなければならなかった。 + それで主は、ヤコブがその子ヨセフに与えた地所に近いスカルというサマリヤの町に来られた。 + そこにはヤコブの井戸があった。イエスは旅の疲れで、井戸のかたわらに腰をおろしておられた。時は第六時ごろであった。 + ひとりのサマリヤの女が水をくみに来た。イエスは「わたしに水を飲ませてください」と言われた。 + 弟子たちは食物を買いに、町へ出かけていた。 + そこで、そのサマリヤの女は言った。「あなたはユダヤ人なのに、どうしてサマリヤの女の私に、飲み水をお求めになるのですか。」――ユダヤ人はサマリヤ人とつきあいをしなかったからである―― + イエスは答えて言われた。「もしあなたが神の賜物を知り、また、あなたに水を飲ませてくれと言う者がだれであるかを知っていたなら、あなたのほうでその人に求めたことでしょう。そしてその人はあなたに生ける水を与えたことでしょう。」 + 彼女は言った。「先生。あなたはくむ物を持っておいでにならず、この井戸は深いのです。その生ける水をどこから手にお入れになるのですか。 + あなたは、私たちの父ヤコブよりも偉いのでしょうか。ヤコブは私たちにこの井戸を与え、彼自身も、彼の子たちも家畜も、この井戸から飲んだのです。」 + イエスは答えて言われた。「この水を飲む者はだれでも、また渇きます。 + しかし、わたしが与える水を飲む者はだれでも、決して渇くことがありません。わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠のいのちへの水がわき出ます。」 + 女はイエスに言った。「先生。私が渇くことがなく、もうここまでくみに来なくてもよいように、その水を私に下さい。」 + イエスは彼女に言われた。「行って、あなたの夫をここに呼んで来なさい。」 + 女は答えて言った。「私には夫はありません。」イエスは言われた。「私には夫がないというのは、もっともです。 + あなたには夫が五人あったが、今あなたといっしょにいるのは、あなたの夫ではないからです。あなたが言ったことはほんとうです。」 + 女は言った。「先生。あなたは預言者だと思います。 + 私たちの父祖たちはこの山で礼拝しましたが、あなたがたは、礼拝すべき場所はエルサレムだと言われます。」 + イエスは彼女に言われた。「わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが父を礼拝するのは、この山でもなく、エルサレムでもない、そういう時が来ます。 + 救いはユダヤ人から出るのですから、わたしたちは知って礼拝していますが、あなたがたは知らないで礼拝しています。 + しかし、真の礼拝者たちが霊とまことによって父を礼拝する時が来ます。今がその時です。父はこのような人々を礼拝者として求めておられるからです。 + 神は霊ですから、神を礼拝する者は、霊とまことによって礼拝しなければなりません。」 + 女はイエスに言った。「私は、キリストと呼ばれるメシヤの来られることを知っています。その方が来られるときには、いっさいのことを私たちに知らせてくださるでしょう。」 + イエスは言われた。「あなたと話しているこのわたしがそれです。」 + このとき、弟子たちが帰って来て、イエスが女の人と話しておられるのを不思議に思った。しかし、だれも、「何を求めておられるのですか」とも、「なぜ彼女と話しておられるのですか」とも言わなかった。 + 女は、自分の水がめを置いて町へ行き、人々に言った。 + 「来て、見てください。私のしたこと全部を私に言った人がいるのです。この方がキリストなのでしょうか。」 + そこで、彼らは町を出て、イエスのほうへやって来た。 + そのころ、弟子たちはイエスに、「先生。召し上がってください」とお願いした。 + しかし、イエスは彼らに言われた。「わたしには、あなたがたの知らない食物があります。」 + そこで、弟子たちは互いに言った。「だれか食べる物を持って来たのだろうか。」 + イエスは彼らに言われた。「わたしを遣わした方のみこころを行い、そのみわざを成し遂げることが、わたしの食物です。 + あなたがたは、『刈り入れ時が来るまでに、まだ四か月ある』と言ってはいませんか。さあ、わたしの言うことを聞きなさい。目を上げて畑を見なさい。色づいて、刈り入れるばかりになっています。 + すでに、刈る者は報酬を受け、永遠のいのちに入れられる実を集めています。それは蒔く者と刈る者がともに喜ぶためです。 + こういうわけで、『ひとりが種を蒔き、ほかの者が刈り取る』ということわざは、ほんとうなのです。 + わたしは、あなたがたに自分で労苦しなかったものを刈り取らせるために、あなたがたを遣わしました。ほかの人々が労苦して、あなたがたはその労苦の実を得ているのです。」 + さて、その町のサマリヤ人のうち多くの者が、「あの方は、私がしたこと全部を私に言った」と証言したその女のことばによってイエスを信じた。 + そこで、サマリヤ人たちはイエスのところに来たとき、自分たちのところに滞在してくださるように願った。そこでイエスは二日間そこに滞在された。 + そして、さらに多くの人々が、イエスのことばによって信じた。 + そして彼らはその女に言った。「もう私たちは、あなたが話したことによって信じているのではありません。自分で聞いて、この方がほんとうに世の救い主だと知っているのです。」 + さて、二日の後、イエスはここを去って、ガリラヤへ行かれた。 + イエスご自身が、「預言者は自分の故郷では尊ばれない」と証言しておられたからである。 + そういうわけで、イエスがガリラヤに行かれたとき、ガリラヤ人はイエスを歓迎した。彼らも祭りに行っていたので、イエスが祭りの間にエルサレムでなさったすべてのことを見ていたからである。 + イエスは再びガリラヤのカナに行かれた。そこは、かつて水をぶどう酒にされた所である。さて、カペナウムに病気の息子がいる王室の役人がいた。 + この人は、イエスがユダヤからガリラヤに来られたと聞いて、イエスのところへ行き、下って来て息子をいやしてくださるように願った。息子が死にかかっていたからである。 + そこで、イエスは彼に言われた。「あなたがたは、しるしと不思議を見ないかぎり、決して信じない。」 + その王室の役人はイエスに言った。「主よ。どうか私の子どもが死なないうちに下って来てください。」 + イエスは彼に言われた。「帰って行きなさい。あなたの息子は直っています。」その人はイエスが言われたことばを信じて、帰途についた。 + 彼が下って行く途中、そのしもべたちが彼に出会って、彼の息子が直ったことを告げた。 + そこで子どもがよくなった時刻を彼らに尋ねると、「きのう、第七時に熱がひきました」と言った。 + それで父親は、イエスが「あなたの息子は直っている」と言われた時刻と同じであることを知った。そして彼自身と彼の家の者がみな信じた。 + イエスはユダヤを去ってガリラヤに入られてから、またこのことを第二のしるしとして行われたのである。 + + + その後、ユダヤ人の祭りがあって、イエスはエルサレムに上られた。 + さて、エルサレムには、羊の門の近くに、ヘブル語でベテスダと呼ばれる池があって、五つの回廊がついていた。 + その中に大ぜいの病人、盲人、足のなえた者、やせ衰えた者たちが伏せっていた。五・三異本に三節後半、四節として、次の一部または全部を含むものがある。「彼らは水の動くのを待っていた。 + 主の使いが時々この池に降りて来て、水を動かすのであるが、水が動かされたあとで最初に入った者は、どのような病気にかかっている者でもいやされたからである。」 + そこに、三十八年もの間、病気にかかっている人がいた。 + イエスは彼が伏せっているのを見、それがもう長い間のことなのを知って、彼に言われた。「よくなりたいか。」 + 病人は答えた。「主よ。私には、水がかき回されたとき、池の中に私を入れてくれる人がいません。行きかけると、もうほかの人が先に降りて行くのです。」 + イエスは彼に言われた。「起きて、床を取り上げて歩きなさい。」 + すると、その人はすぐに直って、床を取り上げて歩き出した。/ところが、その日は安息日であった。 + そこでユダヤ人たちは、そのいやされた人に言った。「きょうは安息日だ。床を取り上げてはいけない。」 + しかし、その人は彼らに答えた。「私を直してくださった方が、『床を取り上げて歩け』と言われたのです。」 + 彼らは尋ねた。「『取り上げて歩け』と言った人はだれだ。」 + しかし、いやされた人は、それがだれであるか知らなかった。人が大ぜいそこにいる間に、イエスは立ち去られたからである。 + その後、イエスは宮の中で彼を見つけて言われた。「見なさい。あなたはよくなった。もう罪を犯してはなりません。そうでないともっと悪い事があなたの身に起こるから。」 + その人は行って、ユダヤ人たちに、自分を直してくれた方はイエスだと告げた。 + このためユダヤ人たちは、イエスを迫害した。イエスが安息日にこのようなことをしておられたからである。 + イエスは彼らに答えられた。「わたしの父は今に至るまで働いておられます。ですからわたしも働いているのです。」 + このためユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうとするようになった。イエスが安息日を破っておられただけでなく、ご自身を神と等しくして、神を自分の父と呼んでおられたからである。 + そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。子は、父がしておられることを見て行う以外には、自分からは何事も行うことができません。父がなさることは何でも、子も同様に行うのです。 + それは、父が子を愛して、ご自分のなさることをみな、子にお示しになるからです。また、これよりもさらに大きなわざを子に示されます。それは、あなたがたが驚き怪しむためです。 + 父が死人を生かし、いのちをお与えになるように、子もまた、与えたいと思う者にいのちを与えます。 + また、父はだれをもさばかず、すべてのさばきを子にゆだねられました。 + それは、すべての者が、父を敬うように子を敬うためです。子を敬わない者は、子を遣わした父をも敬いません。 + まことに、まことに、あなたがたに告げます。わたしのことばを聞いて、わたしを遣わした方を信じる者は、永遠のいのちを持ち、さばきに会うことがなく、死からいのちに移っているのです。 + まことに、まことに、あなたがたに告げます。死人が神の子の声を聞く時が来ます。今がその時です。そして、聞く者は生きるのです。 + それは、父がご自分のうちにいのちを持っておられるように、子にも、自分のうちにいのちを持つようにしてくださったからです。 + また、父はさばきを行う権を子に与えられました。子は人の子だからです。 + このことに驚いてはなりません。墓の中にいる者がみな、子の声を聞いて出て来る時が来ます。 + 善を行った者は、よみがえっていのちを受け、悪を行った者は、よみがえってさばきを受けるのです。 + わたしは、自分からは何事も行うことができません。ただ聞くとおりにさばくのです。そして、わたしのさばきは正しいのです。わたし自身の望むことを求めず、わたしを遣わした方のみこころを求めるからです。 + もしわたしだけが自分のことを証言するのなら、わたしの証言は真実ではありません。 + わたしについて証言する方がほかにあるのです。その方のわたしについて証言される証言が真実であることは、わたしが知っています。 + あなたがたは、ヨハネのところに人をやりましたが、彼は真理について証言しました。 + といっても、わたしは人の証言を受けるのではありません。わたしは、あなたがたが救われるために、そのことを言うのです。 + 彼は燃えて輝くともしびであり、あなたがたはしばらくの間、その光の中で楽しむことを願ったのです。 + しかし、わたしにはヨハネの証言よりもすぐれた証言があります。父がわたしに成し遂げさせようとしてお与えになったわざ、すなわちわたしが行っているわざそのものが、わたしについて、父がわたしを遣わしたことを証言しているのです。 + また、わたしを遣わした父ご自身がわたしについて証言しておられます。あなたがたは、まだ一度もその御声を聞いたこともなく、御姿を見たこともありません。 + また、そのみことばをあなたがたのうちにとどめてもいません。父が遣わした者をあなたがたが信じないからです。 + あなたがたは、聖書の中に永遠のいのちがあると思うので、聖書を調べています。その聖書が、わたしについて証言しているのです。 + それなのに、あなたがたは、いのちを得るためにわたしのもとに来ようとはしません。 + わたしは人からの栄誉は受けません。 + ただ、わたしはあなたがたを知っています。あなたがたのうちには、神の愛がありません。 + わたしはわたしの父の名によって来ましたが、あなたがたはわたしを受け入れません。ほかの人がその人自身の名において来れば、あなたがたはその人を受け入れるのです。 + 互いの栄誉は受けても、唯一の神からの栄誉を求めないあなたがたは、どうして信じることができますか。 + わたしが、父の前にあなたがたを訴えようとしていると思ってはなりません。あなたがたを訴える者は、あなたがたが望みをおいているモーセです。 + もしあなたがたがモーセを信じているのなら、わたしを信じたはずです。モーセが書いたのはわたしのことだからです。 + しかし、あなたがたがモーセの書を信じないのであれば、どうしてわたしのことばを信じるでしょう。」 + + + その後、イエスはガリラヤの湖、すなわち、テベリヤの湖の向こう岸へ行かれた。 + 大ぜいの人の群れがイエスにつき従っていた。それはイエスが病人たちになさっていたしるしを見たからである。 + イエスは山に登り、弟子たちとともにそこにすわられた。 + さて、ユダヤ人の祭りである過越が間近になっていた。 + イエスは目を上げて、大ぜいの人の群れがご自分のほうに来るのを見て、ピリポに言われた。「どこからパンを買って来て、この人々に食べさせようか。」 + もっとも、イエスは、ピリポをためしてこう言われたのであった。イエスは、ご自分では、しようとしていることを知っておられたからである。 + ピリポはイエスに答えた。「めいめいが少しずつ取るにしても、二百デナリのパンでは足りません。」 + 弟子のひとりシモン・ペテロの兄弟アンデレがイエスに言った。 + 「ここに少年が大麦のパンを五つと小さい魚を二匹持っています。しかし、こんなに大ぜいの人々では、それが何になりましょう。」 + イエスは言われた。「人々をすわらせなさい。」その場所には草が多かった。そこで男たちはすわった。その数はおよそ五千人であった。 + そこで、イエスはパンを取り、感謝をささげてから、すわっている人々に分けてやられた。また、小さい魚も同じようにして、彼らにほしいだけ分けられた。 + そして、彼らが十分食べたとき、弟子たちに言われた。「余ったパン切れを、一つもむだに捨てないように集めなさい。」 + 彼らは集めてみた。すると、大麦のパン五つから出て来たパン切れを、人々が食べたうえ、なお余ったもので十二のかごがいっぱいになった。 + 人々は、イエスのなさったしるしを見て、「まことに、この方こそ、世に来られるはずの預言者だ」と言った。 + そこで、イエスは、人々が自分を王とするために、むりやりに連れて行こうとしているのを知って、ただひとり、また山に退かれた。 + 夕方になって、弟子たちは湖畔に降りて行った。 + そして、舟に乗り込み、カペナウムのほうへ湖を渡っていた。すでに暗くなっていたが、イエスはまだ彼らのところに来ておられなかった。 + 湖は吹きまくる強風に荒れ始めた。 + こうして、四、五キロメートルほどこぎ出したころ、彼らは、イエスが湖の上を歩いて舟に近づいて来られるのを見て、恐れた。 + しかし、イエスは彼らに言われた。「わたしだ。恐れることはない。」 + それで彼らは、イエスを喜んで舟に迎えた。舟はほどなく目的の地に着いた。 + その翌日、湖の向こう岸にいた群衆は、そこには小舟が一隻あっただけで、ほかにはなかったこと、また、その舟にイエスは弟子たちといっしょに乗られないで、弟子たちだけが行ったということに気づいた。 + しかし、主が感謝をささげられてから、人々がパンを食べた場所の近くに、テベリヤから数隻の小舟が来た。 + 群衆は、イエスがそこにおられず、弟子たちもいないことを知ると、自分たちもその小舟に乗り込んで、イエスを捜してカペナウムに来た。 + そして湖の向こう側でイエスを見つけたとき、彼らはイエスに言った。「先生。いつここにおいでになりましたか。」 + イエスは答えて言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。あなたがたがわたしを捜しているのは、しるしを見たからではなく、パンを食べて満腹したからです。 + なくなる食物のためではなく、いつまでも保ち、永遠のいのちに至る食物のために働きなさい。それこそ、人の子があなたがたに与えるものです。この人の子を父すなわち神が認証されたからです。」 + すると彼らはイエスに言った。「私たちは、神のわざを行うために、何をすべきでしょうか。」 + イエスは答えて言われた。「あなたがたが、神が遣わした者を信じること、それが神のわざです。」 + そこで彼らはイエスに言った。「それでは、私たちが見てあなたを信じるために、しるしとして何をしてくださいますか。どのようなことをなさいますか。 + 私たちの父祖たちは荒野でマナを食べました。『彼は彼らに天からパンを与えて食べさせた』と書いてあるとおりです。」 + イエスは彼らに言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。モーセはあなたがたに天からのパンを与えたのではありません。しかし、わたしの父は、あなたがたに天からまことのパンをお与えになります。 + というのは、神のパンは、天から下って来て、世にいのちを与えるものだからです。」 + そこで彼らはイエスに言った。「主よ。いつもそのパンを私たちにお与えください。」 + イエスは言われた。「わたしがいのちのパンです。わたしに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者はどんなときにも、決して渇くことがありません。 + しかし、あなたがたはわたしを見ながら信じようとしないと、わたしはあなたがたに言いました。 + 父がわたしにお与えになる者はみな、わたしのところに来ます。そしてわたしのところに来る者を、わたしは決して捨てません。 + わたしが天から下って来たのは、自分のこころを行うためではなく、わたしを遣わした方のみこころを行うためです。 + わたしを遣わした方のみこころは、わたしに与えてくださったすべての者を、わたしがひとりも失うことなく、ひとりひとりを終わりの日によみがえらせることです。 + 事実、わたしの父のみこころは、子を見て信じる者がみな永遠のいのちを持つことです。わたしはその人たちをひとりひとり終わりの日によみがえらせます。」 + ユダヤ人たちは、イエスが「わたしは天から下って来たパンである」と言われたので、イエスについてつぶやいた。 + 彼らは言った。「あれはヨセフの子で、われわれはその父も母も知っている、そのイエスではないか。どうしていま彼は『わたしは天から下って来た』と言うのか。」 + イエスは彼らに答えて言われた。「互いにつぶやくのはやめなさい。 + わたしを遣わした父が引き寄せられないかぎり、だれもわたしのところに来ることはできません。わたしは終わりの日にその人をよみがえらせます。 + 預言者の書に、『そして、彼らはみな神によって教えられる』と書かれていますが、父から聞いて学んだ者はみな、わたしのところに来ます。 + だれも父を見た者はありません。ただ神から出た者、すなわち、この者だけが、父を見たのです。 + まことに、まことに、あなたがたに告げます。信じる者は永遠のいのちを持ちます。 + わたしはいのちのパンです。 + あなたがたの父祖たちは荒野でマナを食べたが、死にました。 + しかし、これは天から下って来たパンで、それを食べると死ぬことがないのです。 + わたしは、天から下って来た生けるパンです。だれでもこのパンを食べるなら、永遠に生きます。またわたしが与えようとするパンは、世のいのちのための、わたしの肉です。」 + すると、ユダヤ人たちは、「この人は、どのようにしてその肉を私たちに与えて食べさせることができるのか」と言って互いに議論し合った。 + イエスは彼らに言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。人の子の肉を食べ、またその血を飲まなければ、あなたがたのうちに、いのちはありません。 + わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠のいのちを持っています。わたしは終わりの日にその人をよみがえらせます。 + わたしの肉はまことの食物、わたしの血はまことの飲み物だからです。 + わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、わたしのうちにとどまり、わたしも彼のうちにとどまります。 + 生ける父がわたしを遣わし、わたしが父によって生きているように、わたしを食べる者も、わたしによって生きるのです。 + これは天から下って来たパンです。あなたがたの父祖たちが食べて死んだようなものではありません。このパンを食べる者は永遠に生きます。」 + これは、イエスがカペナウムで教えられたとき、会堂で話されたことである。 + そこで、弟子たちのうちの多くの者が、これを聞いて言った。「これはひどいことばだ。そんなことをだれが聞いておられようか。」 + しかし、イエスは、弟子たちがこうつぶやいているのを、知っておられ、彼らに言われた。「このことであなたがたはつまずくのか。 + それでは、もし人の子がもといた所に上るのを見たら、どうなるのか。 + いのちを与えるのは御霊です。肉は何の益ももたらしません。わたしがあなたがたに話したことばは、霊であり、またいのちです。 + しかし、あなたがたのうちには信じない者がいます。」――イエスは初めから、信じない者がだれであるか、裏切る者がだれであるかを、知っておられたのである―― + そしてイエスは言われた。「それだから、わたしはあなたがたに、『父のみこころによるのでないかぎり、だれもわたしのところに来ることはできない』と言ったのです。」 + こういうわけで、弟子たちのうちの多くの者が離れ去って行き、もはやイエスとともに歩かなかった。 + そこで、イエスは十二弟子に言われた。「まさか、あなたがたも離れたいと思うのではないでしょう。」 + すると、シモン・ペテロが答えた。「主よ。私たちがだれのところに行きましょう。あなたは、永遠のいのちのことばを持っておられます。 + 私たちは、あなたが神の聖者であることを信じ、また知っています。」 + イエスは彼らに答えられた。「わたしがあなたがた十二人を選んだのではありませんか。しかしそのうちのひとりは悪魔です。」 + イエスはイスカリオテ・シモンの子ユダのことを言われたのであった。このユダは十二弟子のひとりであったが、イエスを売ろうとしていた。 + + + その後、イエスはガリラヤを巡っておられた。それは、ユダヤ人たちがイエスを殺そうとしていたので、ユダヤを巡りたいとは思われなかったからである。 + さて、仮庵の祭りというユダヤ人の祝いが近づいていた。 + そこで、イエスの兄弟たちはイエスに向かって言った。「あなたの弟子たちもあなたがしているわざを見ることができるように、ここを去ってユダヤに行きなさい。 + 自分から公の場に出たいと思いながら、隠れた所で事を行う者はありません。あなたがこれらの事を行うのなら、自分を世に現しなさい。」 + 兄弟たちもイエスを信じていなかったのである。 + そこでイエスは彼らに言われた。「わたしの時はまだ来ていません。しかし、あなたがたの時はいつでも来ているのです。 + 世はあなたがたを憎むことはできません。しかしわたしを憎んでいます。わたしが、世について、その行いが悪いことをあかしするからです。 + あなたがたは祭りに上って行きなさい。わたしはこの祭りには行きません。わたしの時がまだ満ちていないからです。」 + こう言って、イエスはガリラヤにとどまられた。 + しかし、兄弟たちが祭りに上ったとき、イエスご自身も、公にではなく、いわば内密に上って行かれた。 + ユダヤ人たちは、祭りのとき、「あの方はどこにおられるのか」と言って、イエスを捜していた。 + そして群衆の間には、イエスについて、いろいろとひそひそ話がされていた。「良い人だ」と言う者もあり、「違う。群衆を惑わしているのだ」と言う者もいた。 + しかし、ユダヤ人たちを恐れたため、イエスについて公然と語る者はひとりもいなかった。 + しかし、祭りもすでに中ごろになったとき、イエスは宮に上って教え始められた。 + ユダヤ人たちは驚いて言った。「この人は正規に学んだことがないのに、どうして学問があるのか。」 + そこでイエスは彼らに答えて言われた。「わたしの教えは、わたしのものではなく、わたしを遣わした方のものです。 + だれでも神のみこころを行おうと願うなら、その人には、この教えが神から出たものか、わたしが自分から語っているのかがわかります。 + 自分から語る者は、自分の栄光を求めます。しかし自分を遣わした方の栄光を求める者は真実であり、その人には不正がありません。 + モーセがあなたがたに律法を与えたではありませんか。それなのに、あなたがたはだれも、律法を守っていません。あなたがたは、なぜわたしを殺そうとするのですか。」 + 群衆は答えた。「あなたは悪霊につかれています。だれがあなたを殺そうとしているのですか。」 + イエスは彼らに答えて言われた。「わたしは一つのわざをしました。それであなたがたはみな驚いています。 + モーセはこのためにあなたがたに割礼を与えました。――ただし、それはモーセから始まったのではなく、父祖たちからです――それで、あなたがたは安息日にも人に割礼を施しています。 + もし、人がモーセの律法が破られないようにと、安息日にも割礼を受けるのなら、わたしが安息日に人の全身をすこやかにしたからといって、何でわたしに腹を立てるのですか。 + うわべによって人をさばかないで、正しいさばきをしなさい。」 + そこで、エルサレムのある人たちが言った。「この人は、彼らが殺そうとしている人ではないか。 + 見なさい。この人は公然と語っているのに、彼らはこの人に何も言わない。議員たちは、この人がキリストであることを、ほんとうに知ったのだろうか。 + けれども、私たちはこの人がどこから来たのか知っている。しかし、キリストが来られるとき、それが、どこからか知っている者はだれもいないのだ。」 + イエスは、宮で教えておられるとき、大声をあげて言われた。「あなたがたはわたしを知っており、また、わたしがどこから来たかも知っています。しかし、わたしは自分で来たのではありません。わたしを遣わした方は真実です。あなたがたは、その方を知らないのです。 + わたしはその方を知っています。なぜなら、わたしはその方から出たのであり、その方がわたしを遣わしたからです。」 + そこで人々はイエスを捕らえようとしたが、しかし、だれもイエスに手をかけた者はなかった。イエスの時が、まだ来ていなかったからである。 + 群衆のうちの多くの者がイエスを信じて言った。「キリストが来られても、この方がしているよりも多くのしるしを行われるだろうか。」 + パリサイ人は、群衆がイエスについてこのようなことをひそひそと話しているのを耳にした。それで祭司長、パリサイ人たちは、イエスを捕らえようとして、役人たちを遣わした。 + そこでイエスは言われた。「まだしばらくの間、わたしはあなたがたといっしょにいて、それから、わたしを遣わした方のもとに行きます。 + あなたがたはわたしを捜すが、見つからないでしょう。また、わたしがいる所に、あなたがたは来ることができません。」 + そこで、ユダヤ人たちは互いに言った。「私たちには、見つからないという。それならあの人はどこへ行こうとしているのか。まさかギリシヤ人の中に離散している人々のところへ行って、ギリシヤ人を教えるつもりではあるまい。 + 『あなたがたはわたしを捜すが、見つからない』、また『わたしのいる所にあなたがたは来ることができない』とあの人が言ったこのことばは、どういう意味だろうか。」 + さて、祭りの終わりの大いなる日に、イエスは立って、大声で言われた。「だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい。 + わたしを信じる者は、聖書が言っているとおりに、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる。」 + これは、イエスを信じる者が後になってから受ける御霊のことを言われたのである。イエスはまだ栄光を受けておられなかったので、御霊はまだ注がれていなかったからである。 + このことばを聞いて、群衆のうちのある者は、「あの方は、確かにあの預言者なのだ」と言い、 + またある者は、「この方はキリストだ」と言った。またある者は言った。「まさか、キリストはガリラヤからは出ないだろう。 + キリストはダビデの子孫から、またダビデがいたベツレヘムの村から出る、と聖書が言っているではないか。」 + そこで、群衆の間にイエスのことで分裂が起こった。 + その中にはイエスを捕らえたいと思った者もいたが、イエスに手をかけた者はなかった。 + それから役人たちは祭司長、パリサイ人たちのもとに帰って来た。彼らは役人たちに言った。「なぜあの人を連れて来なかったのか。」 + 役人たちは答えた。「あの人が話すように話した人は、いまだかつてありません。」 + すると、パリサイ人が答えた。「おまえたちも惑わされているのか。 + 議員とかパリサイ人のうちで、だれかイエスを信じた者があったか。 + だが、律法を知らないこの群衆は、のろわれている。」 + 彼らのうちのひとりで、イエスのもとに来たことのあるニコデモが彼らに言った。 + 「私たちの律法では、まずその人から直接聞き、その人が何をしているのか知ったうえでなければ、判決を下さないのではないか。」 + 彼らは答えて言った。「あなたもガリラヤの出身なのか。調べてみなさい。ガリラヤから預言者は起こらない。」 + 七・五三古い写本のほとんど全部が七・五三?八・一一を欠いている。この部分を含む異本も相互間の相違が大きい。〔そして人々はそれぞれ家に帰った。 + + + イエスはオリーブ山に行かれた。 + そして、朝早く、イエスはもう一度宮に入られた。民衆はみな、みもとに寄って来た。イエスはすわって、彼らに教え始められた。 + すると、律法学者とパリサイ人が、姦淫の場で捕らえられたひとりの女を連れて来て、真ん中に置いてから、 + イエスに言った。「先生。この女は姦淫の現場でつかまえられたのです。 + モーセは律法の中で、こういう女を石打ちにするように命じています。ところで、あなたは何と言われますか。」 + 彼らはイエスをためしてこう言ったのである。それは、イエスを告発する理由を得るためであった。しかし、イエスは身をかがめて、指で地面に書いておられた。 + けれども、彼らが問い続けてやめなかったので、イエスは身を起こして言われた。「あなたがたのうちで罪のない者が、最初に彼女に石を投げなさい。」 + そしてイエスは、もう一度身をかがめて、地面に書かれた。 + 彼らはそれを聞くと、年長者たちから始めて、ひとりひとり出て行き、イエスがひとり残された。女はそのままそこにいた。 + イエスは身を起こして、その女に言われた。「婦人よ。あの人たちは今どこにいますか。あなたを罪に定める者はなかったのですか。」 + 彼女は言った。「だれもいません。」そこで、イエスは言われた。「わたしもあなたを罪に定めない。行きなさい。今からは決して罪を犯してはなりません。」〕 + イエスはまた彼らに語って言われた。「わたしは、世の光です。わたしに従う者は、決してやみの中を歩むことがなく、いのちの光を持つのです。」 + そこでパリサイ人はイエスに言った。「あなたは自分のことを自分で証言しています。だから、あなたの証言は真実ではありません。」 + イエスは答えて、彼らに言われた。「もしこのわたしが自分のことを証言するなら、その証言は真実です。わたしは、わたしがどこから来たか、また、どこへ行くかを知っているからです。しかしあなたがたは、わたしがどこから来たのか、またどこへ行くのか知りません。 + あなたがたは肉によってさばきます。わたしはだれをもさばきません。 + しかし、もしわたしがさばくなら、そのさばきは正しいのです。なぜなら、わたしひとりではなく、わたしとわたしを遣わした方とがさばくのだからです。 + あなたがたの律法にも、ふたりの証言は真実であると書かれています。 + わたしが自分の証人であり、また、わたしを遣わした父が、わたしについてあかしされます。」 + すると、彼らはイエスに言った。「あなたの父はどこにいるのですか。」イエスは答えられた。「あなたがたは、わたしをも、わたしの父をも知りません。もし、あなたがたがわたしを知っていたなら、わたしの父をも知っていたでしょう。」 + イエスは宮で教えられたとき、献金箱のある所でこのことを話された。しかし、だれもイエスを捕らえなかった。イエスの時がまだ来ていなかったからである。 + イエスはまた彼らに言われた。「わたしは去って行きます。あなたがたはわたしを捜すけれども、自分の罪の中で死にます。わたしが行く所に、あなたがたは来ることができません。」 + そこで、ユダヤ人たちは言った。「あの人は『わたしが行く所に、あなたがたは来ることができない』と言うが、自殺するつもりなのか。」 + それでイエスは彼らに言われた。「あなたがたが来たのは下からであり、わたしが来たのは上からです。あなたがたはこの世の者であり、わたしはこの世の者ではありません。 + それでわたしは、あなたがたが自分の罪の中で死ぬと、あなたがたに言ったのです。もしあなたがたが、わたしのことを信じなければ、あなたがたは自分の罪の中で死ぬのです。」 + そこで、彼らはイエスに言った。「あなたはだれですか。」イエスは言われた。「それは初めからわたしがあなたがたに話そうとしていることです。 + わたしには、あなたがたについて言うべきこと、さばくべきことがたくさんあります。しかし、わたしを遣わした方は真実であって、わたしはその方から聞いたことをそのまま世に告げるのです。」 + 彼らは、イエスが父のことを語っておられたことを悟らなかった。 + イエスは言われた。「あなたがたが人の子を上げてしまうと、その時、あなたがたは、わたしが何であるか、また、わたしがわたし自身からは何事もせず、ただ父がわたしに教えられたとおりに、これらのことを話していることを、知るようになります。 + わたしを遣わした方はわたしとともにおられます。わたしをひとり残されることはありません。わたしがいつも、そのみこころにかなうことを行うからです。」 + イエスがこれらのことを話しておられると、多くの者がイエスを信じた。 + そこでイエスは、その信じたユダヤ人たちに言われた。「もしあなたがたが、わたしのことばにとどまるなら、あなたがたはほんとうにわたしの弟子です。 + そして、あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします。」 + 彼らはイエスに答えた。「私たちはアブラハムの子孫であって、決してだれの奴隷になったこともありません。あなたはどうして、『あなたがたは自由になる』と言われるのですか。」 + イエスは彼らに答えられた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。罪を行っている者はみな、罪の奴隷です。 + 奴隷はいつまでも家にいるのではありません。しかし、息子はいつまでもいます。 + ですから、もし子があなたがたを自由にするなら、あなたがたはほんとうに自由なのです。 + わたしは、あなたがたがアブラハムの子孫であることを知っています。しかしあなたがたはわたしを殺そうとしています。わたしのことばが、あなたがたのうちに入っていないからです。 + わたしは父のもとで見たことを話しています。ところが、あなたがたは、あなたがたの父から示されたことを行うのです。」 + 彼らは答えて言った。「私たちの父はアブラハムです。」イエスは彼らに言われた。「あなたがたがアブラハムの子どもなら、アブラハムのわざを行いなさい。 + ところが今あなたがたは、神から聞いた真理をあなたがたに話しているこのわたしを、殺そうとしています。アブラハムはそのようなことはしなかったのです。 + あなたがたは、あなたがたの父のわざを行っています。」彼らは言った。「私たちは不品行によって生まれた者ではありません。私たちにはひとりの父、神があります。」 + イエスは言われた。「神がもしあなたがたの父であるなら、あなたがたはわたしを愛するはずです。なぜなら、わたしは神から出て来てここにいるからです。わたしは自分で来たのではなく、神がわたしを遣わしたのです。 + あなたがたは、なぜわたしの話していることがわからないのでしょう。それは、あなたがたがわたしのことばに耳を傾けることができないからです。 + あなたがたは、あなたがたの父である悪魔から出た者であって、あなたがたの父の欲望を成し遂げたいと願っているのです。悪魔は初めから人殺しであり、真理に立ってはいません。彼のうちには真理がないからです。彼が偽りを言うときは、自分にふさわしい話し方をしているのです。なぜなら彼は偽り者であり、また偽りの父であるからです。 + しかし、このわたしは真理を話しているために、あなたがたはわたしを信じません。 + あなたがたのうちだれか、わたしに罪があると責める者がいますか。わたしが真理を話しているなら、なぜわたしを信じないのですか。 + 神から出た者は、神のことばに聞き従います。ですから、あなたがたが聞き従わないのは、あなたがたが神から出た者でないからです。」 + ユダヤ人たちは答えて、イエスに言った。「私たちが、あなたはサマリヤ人で、悪霊につかれていると言うのは当然ではありませんか。」 + イエスは答えられた。「わたしは悪霊につかれてはいません。わたしは父を敬っています。しかしあなたがたは、わたしを卑しめています。 + しかし、わたしはわたしの栄誉を求めません。それをお求めになり、さばきをなさる方がおられます。 + まことに、まことに、あなたがたに告げます。だれでもわたしのことばを守るならば、その人は決して死を見ることがありません。」 + ユダヤ人たちはイエスに言った。「あなたが悪霊につかれていることが、今こそわかりました。アブラハムは死に、預言者たちも死にました。しかし、あなたは、『だれでもわたしのことばを守るならば、その人は決して死を味わうことがない』と言うのです。 + あなたは、私たちの父アブラハムよりも偉大なのですか。そのアブラハムは死んだのです。預言者たちもまた死にました。あなたは、自分自身をだれだと言うのですか。」 + イエスは答えられた。「わたしがもし自分自身に栄光を帰するなら、わたしの栄光はむなしいものです。わたしに栄光を与える方は、わたしの父です。この方のことを、あなたがたは『私たちの神である』と言っています。 + けれどもあなたがたはこの方を知ってはいません。しかし、わたしは知っています。もしわたしがこの方を知らないと言うなら、わたしはあなたがたと同様に偽り者となるでしょう。しかし、わたしはこの方を知っており、そのみことばを守っています。 + あなたがたの父アブラハムは、わたしの日を見ることを思って大いに喜びました。彼はそれを見て、喜んだのです。」 + そこで、ユダヤ人たちはイエスに向かって言った。「あなたはまだ五十歳になっていないのにアブラハムを見たのですか。」 + イエスは彼らに言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。アブラハムが生まれる前から、わたしはいるのです。」 + すると彼らは石を取ってイエスに投げつけようとした。しかし、イエスは身を隠して、宮から出て行かれた。 + + + またイエスは道の途中で、生まれつきの盲人を見られた。 + 弟子たちは彼についてイエスに質問して言った。「先生。彼が盲目に生まれついたのは、だれが罪を犯したからですか。この人ですか。その両親ですか。」 + イエスは答えられた。「この人が罪を犯したのでもなく、両親でもありません。神のわざがこの人に現れるためです。 + わたしたちは、わたしを遣わした方のわざを、昼の間に行わなければなりません。だれも働くことのできない夜が来ます。 + わたしが世にいる間、わたしは世の光です。」 + イエスは、こう言ってから、地面につばきをして、そのつばきで泥を作られた。そしてその泥を盲人の目に塗って言われた。 + 「行って、シロアム(訳して言えば、遣わされた者)の池で洗いなさい。」そこで、彼は行って、洗った。すると、見えるようになって、帰って行った。 + 近所の人たちや、前に彼が物ごいをしていたのを見ていた人たちが言った。「これはすわって物ごいをしていた人ではないか。」 + ほかの人は、「これはその人だ」と言い、またほかの人は、「そうではない。ただその人に似ているだけだ」と言った。当人は、「私がその人です」と言った。 + そこで、彼らは言った。「それでは、あなたの目はどのようにしてあいたのですか。」 + 彼は答えた。「イエスという方が、泥を作って、私の目に塗り、『シロアムの池に行って洗いなさい』と私に言われました。それで、行って洗うと、見えるようになりました。」 + また彼らは彼に言った。「その人はどこにいるのですか。」彼は「私は知りません」と言った。 + 彼らは、前に盲目であったその人を、パリサイ人たちのところに連れて行った。 + ところで、イエスが泥を作って彼の目をあけられたのは、安息日であった。 + こういうわけでもう一度、パリサイ人も彼に、どのようにして見えるようになったかを尋ねた。彼は言った。「あの方が私の目に泥を塗ってくださって、私が洗いました。私はいま見えるのです。」 + すると、パリサイ人の中のある人々が、「その人は神から出たのではない。安息日を守らないからだ」と言った。しかし、ほかの者は言った。「罪人である者に、どうしてこのようなしるしを行うことができよう。」そして、彼らの間に、分裂が起こった。 + そこで彼らはもう一度、盲人に言った。「あの人が目をあけてくれたことで、あの人を何だと思っているのか。」彼は言った。「あの方は預言者です。」 + しかしユダヤ人たちは、目が見えるようになったこの人について、彼が盲目であったが見えるようになったということを信ぜず、ついにその両親を呼び出して、 + 尋ねて言った。「この人はあなたがたの息子で、生まれつき盲目だったとあなたがたが言っている人ですか。それでは、どうしていま見えるのですか。」 + そこで両親は答えた。「私たちは、これが私たちの息子で、生まれつき盲目だったことを知っています。 + しかし、どのようにしていま見えるのかは知りません。また、だれがあれの目をあけたのか知りません。あれに聞いてください。あれはもうおとなです。自分のことは自分で話すでしょう。」 + 彼の両親がこう言ったのは、ユダヤ人たちを恐れたからであった。すでにユダヤ人たちは、イエスをキリストであると告白する者があれば、その者を会堂から追放すると決めていたからである。 + そのために彼の両親は、「あれはもうおとなです。あれに聞いてください」と言ったのである。 + そこで彼らは、盲目であった人をもう一度呼び出して言った。「神に栄光を帰しなさい。私たちはあの人が罪人であることを知っているのだ。」 + 彼は答えた。「あの方が罪人かどうか、私は知りません。ただ一つのことだけ知っています。私は盲目であったのに、今は見えるということです。」 + そこで彼らは言った。「あの人はおまえに何をしたのか。どのようにしてその目をあけたのか。」 + 彼は答えた。「もうお話ししたのですが、あなたがたは聞いてくれませんでした。なぜもう一度聞こうとするのです。あなたがたも、あの方の弟子になりたいのですか。」 + 彼らは彼をののしって言った。「おまえもあの者の弟子だ。しかし私たちはモーセの弟子だ。 + 私たちは、神がモーセにお話しになったことは知っている。しかし、あの者については、どこから来たのか知らないのだ。」 + 彼は答えて言った。「これは、驚きました。あなたがたは、あの方がどこから来られたのか、ご存じないと言う。しかし、あの方は私の目をおあけになったのです。 + 神は、罪人の言うことはお聞きになりません。しかし、だれでも神を敬い、そのみこころを行うなら、神はその人の言うことを聞いてくださると、私たちは知っています。 + 盲目に生まれついた者の目をあけた者があるなどとは、昔から聞いたこともありません。 + もしあの方が神から出ておられるのでなかったら、何もできないはずです。」 + 彼らは答えて言った。「おまえは全く罪の中に生まれていながら、私たちを教えるのか。」そして、彼を外に追い出した。 + イエスは、彼らが彼を追放したことを聞き、彼を見つけ出して言われた。「あなたは人の子を信じますか。」 + その人は答えた。「主よ。その方はどなたでしょうか。私がその方を信じることができますように。」 + イエスは彼に言われた。「あなたはその方を見たのです。あなたと話しているのがそれです。」 + 彼は言った。「主よ。私は信じます。」そして彼はイエスを拝した。 + そこで、イエスは言われた。「わたしはさばきのためにこの世に来ました。それは、目の見えない者が見えるようになり、見える者が盲目となるためです。」 + パリサイ人の中でイエスとともにいた人々が、このことを聞いて、イエスに言った。「私たちも盲目なのですか。」 + イエスは彼らに言われた。「もしあなたがたが盲目であったなら、あなたがたに罪はなかったでしょう。しかし、あなたがたは今、『私たちは目が見える』と言っています。あなたがたの罪は残るのです。」 + + + 「まことに、まことに、あなたがたに告げます。羊の囲いに門から入らないで、ほかの所を乗り越えて来る者は、盗人で強盗です。 + しかし、門から入る者は、その羊の牧者です。 + 門番は彼のために開き、羊はその声を聞き分けます。彼は自分の羊をその名で呼んで連れ出します。 + 彼は、自分の羊をみな引き出すと、その先頭に立って行きます。すると羊は、彼の声を知っているので、彼について行きます。 + しかし、ほかの人には決してついて行きません。かえって、その人から逃げ出します。その人たちの声を知らないからです。」 + イエスはこのたとえを彼らにお話しになったが、彼らは、イエスの話されたことが何のことかよくわからなかった。 + そこで、イエスはまた言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。わたしは羊の門です。 + わたしの前に来た者はみな、盗人で強盗です。羊は彼らの言うことを聞かなかったのです。 + わたしは門です。だれでも、わたしを通って入るなら、救われます。また安らかに出入りし、牧草を見つけます。 + 盗人が来るのは、ただ盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするだけのためです。わたしが来たのは、羊がいのちを得、またそれを豊かに持つためです。 + わたしは、良い牧者です。良い牧者は羊のためにいのちを捨てます。 + 牧者でなく、また、羊の所有者でない雇い人は、狼が来るのを見ると、羊を置き去りにして、逃げて行きます。それで、狼は羊を奪い、また散らすのです。 + それは、彼が雇い人であって、羊のことを心にかけていないからです。 + わたしは良い牧者です。わたしはわたしのものを知っています。また、わたしのものは、わたしを知っています。 + それは、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同様です。また、わたしは羊のためにわたしのいのちを捨てます。 + わたしにはまた、この囲いに属さないほかの羊があります。わたしはそれをも導かなければなりません。彼らはわたしの声に聞き従い、一つの群れ、ひとりの牧者となるのです。 + わたしが自分のいのちを再び得るために自分のいのちを捨てるからこそ、父はわたしを愛してくださいます。 + だれも、わたしからいのちを取った者はいません。わたしが自分からいのちを捨てるのです。わたしには、それを捨てる権威があり、それをもう一度得る権威があります。わたしはこの命令をわたしの父から受けたのです。」 + このみことばを聞いて、ユダヤ人たちの間にまた分裂が起こった。 + 彼らのうちの多くの者が言った。「あれは悪霊につかれて気が狂っている。どうしてあなたがたは、あの人の言うことに耳を貸すのか。」 + ほかの者は言った。「これは悪霊につかれた人のことばではない。悪霊がどうして盲人の目をあけることができようか。」 + そのころ、エルサレムで、宮きよめの祭りがあった。 + 時は冬であった。イエスは、宮の中で、ソロモンの廊を歩いておられた。 + それでユダヤ人たちは、イエスを取り囲んで言った。「あなたは、いつまで私たちに気をもませるのですか。もしあなたがキリストなら、はっきりとそう言ってください。」 + イエスは彼らに答えられた。「わたしは話しました。しかし、あなたがたは信じないのです。わたしが父の御名によって行うわざが、わたしについて証言しています。 + しかし、あなたがたは信じません。それは、あなたがたがわたしの羊に属していないからです。 + わたしの羊はわたしの声を聞き分けます。またわたしは彼らを知っています。そして彼らはわたしについて来ます。 + わたしは彼らに永遠のいのちを与えます。彼らは決して滅びることがなく、また、だれもわたしの手から彼らを奪い去るようなことはありません。 + わたしに彼らをお与えになった父は、すべてにまさって偉大です。だれもわたしの父の御手から彼らを奪い去ることはできません。 + わたしと父とは一つです。」 + ユダヤ人たちは、イエスを石打ちにしようとして、また石を取り上げた。 + イエスは彼らに答えられた。「わたしは、父から出た多くの良いわざを、あなたがたに示しました。そのうちのどのわざのために、わたしを石打ちにしようとするのですか。」 + ユダヤ人たちはイエスに答えた。「良いわざのためにあなたを石打ちにするのではありません。冒?のためです。あなたは人間でありながら、自分を神とするからです。」 + イエスは彼らに答えられた。「あなたがたの律法に、『わたしは言った、おまえたちは神々である』と書いてはいないか。 + もし、神のことばを受けた人々を、神々と呼んだとすれば、聖書は廃棄されるものではないから、 + 『わたしは神の子である』とわたしが言ったからといって、どうしてあなたがたは、父が、聖であることを示して世に遣わした者について、『神を冒?している』と言うのですか。 + もしわたしが、わたしの父のみわざを行っていないのなら、わたしを信じないでいなさい。 + しかし、もし行っているなら、たといわたしの言うことが信じられなくても、わざを信用しなさい。それは、父がわたしにおられ、わたしが父にいることを、あなたがたが悟り、また知るためです。」 + そこで、彼らはまたイエスを捕らえようとした。しかし、イエスは彼らの手からのがれられた。 + そして、イエスはまたヨルダンを渡って、ヨハネが初めにバプテスマを授けていた所に行かれ、そこに滞在された。 + 多くの人々がイエスのところに来た。彼らは、「ヨハネは何一つしるしを行わなかったけれども、彼がこの方について話したことはみな真実であった」と言った。 + そして、その地方で多くの人々がイエスを信じた。 + + + さて、ある人が病気にかかっていた。ラザロといって、マリヤとその姉妹マルタとの村の出で、ベタニヤの人であった。 + このマリヤは、主に香油を塗り、髪の毛でその足をぬぐったマリヤであって、彼女の兄弟ラザロが病んでいたのである。 + そこで姉妹たちは、イエスのところに使いを送って、言った。「主よ。ご覧ください。あなたが愛しておられる者が病気です。」 + イエスはこれを聞いて、言われた。「この病気は死で終わるだけのものではなく、神の栄光のためのものです。神の子がそれによって栄光を受けるためです。」 + イエスはマルタとその姉妹とラザロとを愛しておられた。 + そのようなわけで、イエスは、ラザロが病んでいることを聞かれたときも、そのおられた所になお二日とどまられた。 + その後、イエスは、「もう一度ユダヤに行こう」と弟子たちに言われた。 + 弟子たちはイエスに言った。「先生。たった今ユダヤ人たちが、あなたを石打ちにしようとしていたのに、またそこにおいでになるのですか。」 + イエスは答えられた。「昼間は十二時間あるでしょう。だれでも、昼間歩けば、つまずくことはありません。この世の光を見ているからです。 + しかし、夜歩けばつまずきます。光がその人のうちにないからです。」 + イエスは、このように話され、それから、弟子たちに言われた。「わたしたちの友ラザロは眠っています。しかし、わたしは彼を眠りからさましに行くのです。」 + そこで弟子たちはイエスに言った。「主よ。眠っているのなら、彼は助かるでしょう。」 + しかし、イエスは、ラザロの死のことを言われたのである。だが、彼らは眠った状態のことを言われたものと思った。 + そこで、イエスはそのとき、はっきりと彼らに言われた。「ラザロは死んだのです。 + わたしは、あなたがたのため、すなわちあなたがたが信じるためには、わたしがその場に居合わせなかったことを喜んでいます。さあ、彼のところへ行きましょう。」 + そこで、デドモと呼ばれるトマスが、弟子の仲間に言った。「私たちも行って、主といっしょに死のうではないか。」 + それで、イエスがおいでになってみると、ラザロは墓の中に入れられて四日もたっていた。 + ベタニヤはエルサレムに近く、三キロメートルほど離れた所にあった。 + 大ぜいのユダヤ人がマルタとマリヤのところに来ていた。その兄弟のことについて慰めるためであった。 + マルタは、イエスが来られたと聞いて迎えに行った。マリヤは家ですわっていた。 + マルタはイエスに向かって言った。「主よ。もしここにいてくださったなら、私の兄弟は死ななかったでしょうに。 + 今でも私は知っております。あなたが神にお求めになることは何でも、神はあなたにお与えになります。」 + イエスは彼女に言われた。「あなたの兄弟はよみがえります。」 + マルタはイエスに言った。「私は、終わりの日のよみがえりの時に、彼がよみがえることを知っております。」 + イエスは言われた。「わたしは、よみがえりです。いのちです。わたしを信じる者は、死んでも生きるのです。 + また、生きていてわたしを信じる者は、決して死ぬことがありません。このことを信じますか。」 + 彼女はイエスに言った。「はい。主よ。私は、あなたが世に来られる神の子キリストである、と信じております。」 + こう言ってから、帰って行って、姉妹マリヤを呼び、「先生が見えています。あなたを呼んでおられます」とそっと言った。 + マリヤはそれを聞くと、すぐ立ち上がって、イエスのところに行った。 + さてイエスは、まだ村に入らないで、マルタが出迎えた場所におられた。 + マリヤとともに家にいて、彼女を慰めていたユダヤ人たちは、マリヤが急いで立ち上がって出て行くのを見て、マリヤが墓に泣きに行くのだろうと思い、彼女について行った。 + マリヤは、イエスのおられた所に来て、お目にかかると、その足もとにひれ伏して言った。「主よ。もしここにいてくださったなら、私の兄弟は死ななかったでしょうに。」 + そこでイエスは、彼女が泣き、彼女といっしょに来たユダヤ人たちも泣いているのをご覧になると、霊の憤りを覚え、心の動揺を感じて、 + 言われた。「彼をどこに置きましたか。」彼らはイエスに言った。「主よ。来てご覧ください。」 + イエスは涙を流された。 + そこで、ユダヤ人たちは言った。「ご覧なさい。主はどんなに彼を愛しておられたことか。」 + しかし、「盲人の目をあけたこの方が、あの人を死なせないでおくことはできなかったのか」と言う者もいた。 + そこでイエスは、またも心のうちに憤りを覚えながら、墓に来られた。墓はほら穴であって、石がそこに立てかけてあった。 + イエスは言われた。「その石を取りのけなさい。」死んだ人の姉妹マルタは言った。「主よ。もう臭くなっておりましょう。四日になりますから。」 + イエスは彼女に言われた。「もしあなたが信じるなら、あなたは神の栄光を見る、とわたしは言ったではありませんか。」 + そこで、彼らは石を取りのけた。イエスは目を上げて、言われた。「父よ。わたしの願いを聞いてくださったことを感謝いたします。 + わたしは、あなたがいつもわたしの願いを聞いてくださることを知っておりました。しかしわたしは、回りにいる群衆のために、この人々が、あなたがわたしをお遣わしになったことを信じるようになるために、こう申したのです。」 + そして、イエスはそう言われると、大声で叫ばれた。「ラザロよ。出て来なさい。」 + すると、死んでいた人が、手と足を長い布で巻かれたままで出て来た。彼の顔は布切れで包まれていた。イエスは彼らに言われた。「ほどいてやって、帰らせなさい。」 + そこで、マリヤのところに来ていて、イエスがなさったことを見た多くのユダヤ人が、イエスを信じた。 + しかし、そのうちの幾人かは、パリサイ人たちのところへ行って、イエスのなさったことを告げた。 + そこで、祭司長とパリサイ人たちは議会を召集して言った。「われわれは何をしているのか。あの人が多くのしるしを行っているというのに。 + もしあの人をこのまま放っておくなら、すべての人があの人を信じるようになる。そうなると、ローマ人がやって来て、われわれの土地も国民も奪い取ることになる。」 + しかし、彼らのうちのひとりで、その年の大祭司であったカヤパが、彼らに言った。「あなたがたは全然何もわかっていない。 + ひとりの人が民の代わりに死んで、国民全体が滅びないほうが、あなたがたにとって得策だということも、考えに入れていない。」 + ところで、このことは彼が自分から言ったのではなくて、その年の大祭司であったので、イエスが国民のために死のうとしておられること、 + また、ただ国民のためだけでなく、散らされている神の子たちを一つに集めるためにも死のうとしておられることを、預言したのである。 + そこで彼らは、その日から、イエスを殺すための計画を立てた。 + そのために、イエスはもはやユダヤ人たちの間を公然と歩くことをしないで、そこから荒野に近い地方に去り、エフライムという町に入り、弟子たちとともにそこに滞在された。 + さて、ユダヤ人の過越の祭りが間近であった。多くの人々が、身を清めるために、過越の祭りの前にいなかからエルサレムに上って来た。 + 彼らはイエスを捜し、宮の中に立って、互いに言った。「あなたがたはどう思いますか。あの方は祭りに来られることはないでしょうか。」 + さて、祭司長、パリサイ人たちはイエスを捕らえるために、イエスがどこにいるかを知っている者は届け出なければならないという命令を出していた。 + + + イエスは過越の祭りの六日前にベタニヤに来られた。そこには、イエスが死人の中からよみがえらせたラザロがいた。 + 人々はイエスのために、そこに晩餐を用意した。そしてマルタは給仕していた。ラザロは、イエスとともに食卓に着いている人々の中に混じっていた。 + マリヤは、非常に高価な、純粋なナルドの香油三百グラムを取って、イエスの足に塗り、彼女の髪の毛でイエスの足をぬぐった。家は香油のかおりでいっぱいになった。 + ところが、弟子のひとりで、イエスを裏切ろうとしているイスカリオテ・ユダが言った。 + 「なぜ、この香油を三百デナリに売って、貧しい人々に施さなかったのか。」 + しかしこう言ったのは、彼が貧しい人々のことを心にかけていたからではなく、彼は盗人であって、金入れを預かっていたが、その中に収められたものを、いつも盗んでいたからである。 + イエスは言われた。「そのままにしておきなさい。マリヤはわたしの葬りの日のために、それを取っておこうとしていたのです。 + あなたがたは、貧しい人々とはいつもいっしょにいるが、わたしとはいつもいっしょにいるわけではないからです。」 + 大ぜいのユダヤ人の群れが、イエスがそこにおられることを聞いて、やって来た。それはただイエスのためだけではなく、イエスによって死人の中からよみがえったラザロを見るためでもあった。 + 祭司長たちはラザロも殺そうと相談した。 + それは、彼のために多くのユダヤ人が去って行き、イエスを信じるようになったからである。 + その翌日、祭りに来ていた大ぜいの人の群れは、イエスがエルサレムに来ようとしておられると聞いて、 + しゅろの木の枝を取って、出迎えのために出て行った。そして大声で叫んだ。「ホサナ。祝福あれ。主の御名によって来られる方に。イスラエルの王に。」 + イエスは、ろばの子を見つけて、それに乗られた。それは次のように書かれているとおりであった。 + 「恐れるな。シオンの娘。/見よ。あなたの王が来られる。/ろばの子に乗って。」 + 初め、弟子たちにはこれらのことがわからなかった。しかし、イエスが栄光を受けられてから、これらのことがイエスについて書かれたことであって、人々がそのとおりにイエスに対して行ったことを、彼らは思い出した。 + イエスがラザロを墓から呼び出し、死人の中からよみがえらせたときにイエスといっしょにいた大ぜいの人々は、そのことのあかしをした。 + そのために群衆もイエスを出迎えた。イエスがこのしるしを行われたことを聞いたからである。 + そこで、パリサイ人たちは互いに言った。「どうしたのだ。何一つうまくいっていない。見なさい。世はあげてあの人のあとについて行ってしまった。」 + さて、祭りのとき礼拝のために上って来た人々の中に、ギリシヤ人が幾人かいた。 + この人たちがガリラヤのベツサイダの人であるピリポのところに来て、「先生。イエスにお目にかかりたいのですが」と言って頼んだ。 + ピリポは行ってアンデレに話し、アンデレとピリポとは行って、イエスに話した。 + すると、イエスは彼らに答えて言われた。「人の子が栄光を受けるその時が来ました。 + まことに、まことに、あなたがたに告げます。一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一つのままです。しかし、もし死ねば、豊かな実を結びます。 + 自分のいのちを愛する者はそれを失い、この世でそのいのちを憎む者はそれを保って永遠のいのちに至るのです。 + わたしに仕えるというのなら、その人はわたしについて来なさい。わたしがいる所に、わたしに仕える者もいるべきです。もしわたしに仕えるなら、父はその人に報いてくださいます。 + 今わたしの心は騒いでいる。何と言おうか。『父よ。この時からわたしをお救いください』と言おうか。いや。このためにこそ、わたしはこの時に至ったのです。 + 父よ。御名の栄光を現してください。」そのとき、天から声が聞こえた。「わたしは栄光をすでに現したし、またもう一度栄光を現そう。」 + そばに立っていてそれを聞いた群衆は、雷が鳴ったのだと言った。ほかの人々は、「御使いがあの方に話したのだ」と言った。 + イエスは答えて言われた。「この声が聞こえたのは、わたしのためにではなくて、あなたがたのためにです。 + 今がこの世のさばきです。今、この世を支配する者は追い出されるのです。 + わたしが地上から上げられるなら、わたしはすべての人を自分のところに引き寄せます。」 + イエスは自分がどのような死に方で死ぬかを示して、このことを言われたのである。 + そこで、群衆はイエスに答えた。「私たちは、律法で、キリストはいつまでも生きておられると聞きましたが、どうしてあなたは、人の子は上げられなければならない、と言われるのですか。その人の子とはだれですか。」 + イエスは彼らに言われた。「まだしばらくの間、光はあなたがたの間にあります。やみがあなたがたを襲うことのないように、あなたがたは、光がある間に歩きなさい。やみの中を歩く者は、自分がどこに行くのかわかりません。 + あなたがたに光がある間に、光の子どもとなるために、光を信じなさい。」/イエスは、これらのことをお話しになると、立ち去って、彼らから身を隠された。 + イエスが彼らの目の前でこのように多くのしるしを行われたのに、彼らはイエスを信じなかった。 + それは、「主よ。だれが私たちの知らせを信じましたか。また主の御腕はだれに現されましたか」と言った預言者イザヤのことばが成就するためであった。 + 彼らが信じることができなかったのは、イザヤがまた次のように言ったからである。 + 「主は彼らの目を盲目にされた。また、彼らの心をかたくなにされた。それは、彼らが目で見ず、心で理解せず、回心せず、そしてわたしが彼らをいやすことのないためである。」 + イザヤがこう言ったのは、イザヤがイエスの栄光を見たからで、イエスをさして言ったのである。 + しかし、それにもかかわらず、指導者たちの中にもイエスを信じる者がたくさんいた。ただ、パリサイ人たちをはばかって、告白はしなかった。会堂から追放されないためであった。 + 彼らは、神からの栄誉よりも、人の栄誉を愛したからである。 + また、イエスは大声で言われた。「わたしを信じる者は、わたしではなく、わたしを遣わした方を信じるのです。 + また、わたしを見る者は、わたしを遣わした方を見るのです。 + わたしは光として世に来ました。わたしを信じる者が、だれもやみの中にとどまることのないためです。 + だれかが、わたしの言うことを聞いてそれを守らなくても、わたしはその人をさばきません。わたしは世をさばくために来たのではなく、世を救うために来たからです。 + わたしを拒み、わたしの言うことを受け入れない者には、その人をさばくものがあります。わたしが話したことばが、終わりの日にその人をさばくのです。 + わたしは、自分から話したのではありません。わたしを遣わした父ご自身が、わたしが何を言い、何を話すべきかをお命じになりました。 + わたしは、父の命令が永遠のいのちであることを知っています。それゆえ、わたしが話していることは、父がわたしに言われたとおりを、そのままに話しているのです。」 + + + さて、過越の祭りの前に、この世を去って父のみもとに行くべき自分の時が来たことを知られたので、世にいる自分のものを愛されたイエスは、その愛を残るところなく示された。 + 夕食の間のことであった。悪魔はすでにシモンの子イスカリオテ・ユダの心に、イエスを売ろうとする思いを入れていたが、 + イエスは、父が万物を自分の手に渡されたことと、ご自分が神から出て神に行くことを知られ、 + 夕食の席から立ち上がって、上着を脱ぎ、手ぬぐいを取って腰にまとわれた。 + それから、たらいに水を入れ、弟子たちの足を洗って、腰にまとっておられる手ぬぐいで、ふき始められた。 + こうして、イエスはシモン・ペテロのところに来られた。ペテロはイエスに言った。「主よ。あなたが、私の足を洗ってくださるのですか。」 + イエスは答えて言われた。「わたしがしていることは、今はあなたにはわからないが、あとでわかるようになります。」 + ペテロはイエスに言った。「決して私の足をお洗いにならないでください。」イエスは答えられた。「もしわたしが洗わなければ、あなたはわたしと何の関係もありません。」 + シモン・ペテロは言った。「主よ。私の足だけでなく、手も頭も洗ってください。」 + イエスは彼に言われた。「水浴した者は、足以外は洗う必要がありません。全身きよいのです。あなたがたはきよいのですが、みながそうではありません。」 + イエスはご自分を裏切る者を知っておられた。それで、「みながきよいのではない」と言われたのである。 + イエスは、彼らの足を洗い終わり、上着を着けて、再び席に着いて、彼らに言われた。「わたしがあなたがたに何をしたか、わかりますか。 + あなたがたはわたしを先生とも主とも呼んでいます。あなたがたがそう言うのはよい。わたしはそのような者だからです。 + それで、主であり師であるこのわたしが、あなたがたの足を洗ったのですから、あなたがたもまた互いに足を洗い合うべきです。 + わたしがあなたがたにしたとおりに、あなたがたもするように、わたしはあなたがたに模範を示したのです。 + まことに、まことに、あなたがたに告げます。しもべはその主人にまさらず、遣わされた者は遣わした者にまさるものではありません。 + あなたがたがこれらのことを知っているのなら、それを行うときに、あなたがたは祝福されるのです。 + わたしは、あなたがた全部の者について言っているのではありません。わたしは、わたしが選んだ者を知っています。しかし聖書に『わたしのパンを食べている者が、わたしに向かってかかとを上げた』と書いてあることは成就するのです。 + わたしは、そのことが起こる前に、今あなたがたに話しておきます。そのことが起こったときに、わたしがその人であることをあなたがたが信じるためです。 + まことに、まことに、あなたがたに告げます。わたしの遣わす者を受け入れる者は、わたしを受け入れるのです。わたしを受け入れる者は、わたしを遣わした方を受け入れるのです。」 + イエスは、これらのことを話されたとき、霊の激動を感じ、あかしして言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。あなたがたのうちのひとりが、わたしを裏切ります。」 + 弟子たちは、だれのことを言われたのか、わからずに当惑して、互いに顔を見合わせていた。 + 弟子のひとりで、イエスが愛しておられた者が、イエスの右側で席に着いていた。 + そこで、シモン・ペテロが彼に合図をして言った。「だれのことを言っておられるのか、知らせなさい。」 + その弟子は、イエスの右側で席に着いたまま、イエスに言った。「主よ。それはだれですか。」 + イエスは答えられた。「それはわたしがパン切れを浸して与える者です。」それからイエスは、パン切れを浸し、取って、イスカリオテ・シモンの子ユダにお与えになった。 + 彼がパン切れを受けると、そのとき、サタンが彼に入った。そこで、イエスは彼に言われた。「あなたがしようとしていることを、今すぐしなさい。」 + 席に着いている者で、イエスが何のためにユダにそう言われたのか知っている者は、だれもなかった。 + ユダが金入れを持っていたので、イエスが彼に、「祭りのために入用の物を買え」と言われたのだとか、または、貧しい人々に何か施しをするように言われたのだとか思った者も中にはいた。 + ユダは、パン切れを受けるとすぐ、外に出て行った。すでに夜であった。 + ユダが出て行ったとき、イエスは言われた。「今こそ人の子は栄光を受けました。また、神は人の子によって栄光をお受けになりました。 + 神が、人の子によって栄光をお受けになったのであれば、神も、ご自身によって人の子に栄光をお与えになります。しかも、ただちにお与えになります。 + 子どもたちよ。わたしはいましばらくの間、あなたがたといっしょにいます。あなたがたはわたしを捜すでしょう。そして、『わたしが行く所へは、あなたがたは来ることができない』とわたしがユダヤ人たちに言ったように、今はあなたがたにも言うのです。 + あなたがたに新しい戒めを与えましょう。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。 + もし互いの間に愛があるなら、それによってあなたがたがわたしの弟子であることを、すべての人が認めるのです。」 + シモン・ペテロがイエスに言った。「主よ。どこにおいでになるのですか。」イエスは答えられた。「わたしが行く所に、あなたは今はついて来ることができません。しかし後にはついて来ます。」 + ペテロはイエスに言った。「主よ。なぜ今はあなたについて行くことができないのですか。あなたのためにはいのちも捨てます。」 + イエスは答えられた。「わたしのためにはいのちも捨てる、と言うのですか。まことに、まことに、あなたに告げます。鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしを知らないと言います。」 + + + 「あなたがたは心を騒がしてはなりません。神を信じ、またわたしを信じなさい。 + わたしの父の家には、住まいがたくさんあります。もしなかったら、あなたがたに言っておいたでしょう。あなたがたのために、わたしは場所を備えに行くのです。 + わたしが行って、あなたがたに場所を備えたら、また来て、あなたがたをわたしのもとに迎えます。わたしのいる所に、あなたがたをもおらせるためです。 + わたしの行く道はあなたがたも知っています。」 + トマスはイエスに言った。「主よ。どこへいらっしゃるのか、私たちにはわかりません。どうして、その道が私たちにわかりましょう。」 + イエスは彼に言われた。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれひとり父のみもとに来ることはありません。 + あなたがたは、もしわたしを知っていたなら、父をも知っていたはずです。しかし、今や、あなたがたは父を知っており、また、すでに父を見たのです。」 + ピリポはイエスに言った。「主よ。私たちに父を見せてください。そうすれば満足します。」 + イエスは彼に言われた。「ピリポ。こんなに長い間あなたがたといっしょにいるのに、あなたはわたしを知らなかったのですか。わたしを見た者は、父を見たのです。どうしてあなたは、『私たちに父を見せてください』と言うのですか。 + わたしが父におり、父がわたしにおられることを、あなたは信じないのですか。わたしがあなたがたに言うことばは、わたしが自分から話しているのではありません。わたしのうちにおられる父が、ご自分のわざをしておられるのです。 + わたしが父におり、父がわたしにおられるとわたしが言うのを信じなさい。さもなければ、わざによって信じなさい。 + まことに、まことに、あなたがたに告げます。わたしを信じる者は、わたしの行うわざを行い、またそれよりもさらに大きなわざを行います。わたしが父のもとに行くからです。 + またわたしは、あなたがたがわたしの名によって求めることは何でも、それをしましょう。父が子によって栄光をお受けになるためです。 + あなたがたが、わたしの名によって何かをわたしに求めるなら、わたしはそれをしましょう。 + もしあなたがたがわたしを愛するなら、あなたがたはわたしの戒めを守るはずです。 + わたしは父にお願いします。そうすれば、父はもうひとりの助け主をあなたがたにお与えになります。その助け主がいつまでもあなたがたと、ともにおられるためにです。 + その方は、真理の御霊です。世はその方を受け入れることができません。世はその方を見もせず、知りもしないからです。しかし、あなたがたはその方を知っています。その方はあなたがたとともに住み、あなたがたのうちにおられるからです。 + わたしは、あなたがたを捨てて孤児にはしません。わたしは、あなたがたのところに戻って来るのです。 + いましばらくで世はもうわたしを見なくなります。しかし、あなたがたはわたしを見ます。わたしが生きるので、あなたがたも生きるからです。 + その日には、わたしが父におり、あなたがたがわたしにおり、わたしがあなたがたにおることが、あなたがたにわかります。 + わたしの戒めを保ち、それを守る人は、わたしを愛する人です。わたしを愛する人はわたしの父に愛され、わたしもその人を愛し、わたし自身を彼に現します。」 + イスカリオテでないユダがイエスに言った。「主よ。あなたは、私たちにはご自分を現そうとしながら、世には現そうとなさらないのは、どういうわけですか。」 + イエスは彼に答えられた。「だれでもわたしを愛する人は、わたしのことばを守ります。そうすれば、わたしの父はその人を愛し、わたしたちはその人のところに来て、その人とともに住みます。 + わたしを愛さない人は、わたしのことばを守りません。あなたがたが聞いていることばは、わたしのものではなく、わたしを遣わした父のことばなのです。 + このことをわたしは、あなたがたといっしょにいる間に、あなたがたに話しました。 + しかし、助け主、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、また、わたしがあなたがたに話したすべてのことを思い起こさせてくださいます。 + わたしは、あなたがたに平安を残します。わたしは、あなたがたにわたしの平安を与えます。わたしがあなたがたに与えるのは、世が与えるのとは違います。あなたがたは心を騒がしてはなりません。恐れてはなりません。 + 『わたしは去って行き、また、あなたがたのところに来る』とわたしが言ったのを、あなたがたは聞きました。あなたがたは、もしわたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くことを喜ぶはずです。父はわたしよりも偉大な方だからです。 + そして今わたしは、そのことの起こる前にあなたがたに話しました。それが起こったときに、あなたがたが信じるためです。 + わたしは、もう、あなたがたに多くは話すまい。この世を支配する者が来るからです。彼はわたしに対して何もすることはできません。 + しかしそのことは、わたしが父を愛しており、父の命じられたとおりに行っていることを世が知るためです。立ちなさい。さあ、ここから行くのです。 + + + わたしはまことのぶどうの木であり、わたしの父は農夫です。 + わたしの枝で実を結ばないものはみな、父がそれを取り除き、実を結ぶものはみな、もっと多く実を結ぶために、刈り込みをなさいます。 + あなたがたは、わたしがあなたがたに話したことばによって、もうきよいのです。 + わたしにとどまりなさい。わたしも、あなたがたの中にとどまります。枝がぶどうの木についていなければ、枝だけでは実を結ぶことができません。同様にあなたがたも、わたしにとどまっていなければ、実を結ぶことはできません。 + わたしはぶどうの木で、あなたがたは枝です。人がわたしにとどまり、わたしもその人の中にとどまっているなら、そういう人は多くの実を結びます。わたしを離れては、あなたがたは何もすることができないからです。 + だれでも、もしわたしにとどまっていなければ、枝のように投げ捨てられて、枯れます。人々はそれを寄せ集めて火に投げ込むので、それは燃えてしまいます。 + あなたがたがわたしにとどまり、わたしのことばがあなたがたにとどまるなら、何でもあなたがたのほしいものを求めなさい。そうすれば、あなたがたのためにそれがかなえられます。 + あなたがたが多くの実を結び、わたしの弟子となることによって、わたしの父は栄光をお受けになるのです。 + 父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛しました。わたしの愛の中にとどまりなさい。 + もし、あなたがたがわたしの戒めを守るなら、あなたがたはわたしの愛にとどまるのです。それは、わたしがわたしの父の戒めを守って、わたしの父の愛の中にとどまっているのと同じです。 + わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、わたしの喜びがあなたがたのうちにあり、あなたがたの喜びが満たされるためです。 + わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合うこと、これがわたしの戒めです。 + 人がその友のためにいのちを捨てるという、これよりも大きな愛はだれも持っていません。 + わたしがあなたがたに命じることをあなたがたが行うなら、あなたがたはわたしの友です。 + わたしはもはや、あなたがたをしもべとは呼びません。しもべは主人のすることを知らないからです。わたしはあなたがたを友と呼びました。なぜなら父から聞いたことをみな、あなたがたに知らせたからです。 + あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命したのです。それは、あなたがたが行って実を結び、そのあなたがたの実が残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものは何でも、父があなたがたにお与えになるためです。 + あなたがたが互いに愛し合うこと、これが、わたしのあなたがたに与える戒めです。 + もし世があなたがたを憎むなら、世はあなたがたよりもわたしを先に憎んだことを知っておきなさい。 + もしあなたがたがこの世のものであったなら、世は自分のものを愛したでしょう。しかし、あなたがたは世のものではなく、かえってわたしが世からあなたがたを選び出したのです。それで世はあなたがたを憎むのです。 + しもべはその主人にまさるものではない、とわたしがあなたがたに言ったことばを覚えておきなさい。もし人々がわたしを迫害したなら、あなたがたをも迫害します。もし彼らがわたしのことばを守ったなら、あなたがたのことばをも守ります。 + しかし彼らは、わたしの名のゆえに、あなたがたに対してそれらのことをみな行います。それは彼らがわたしを遣わした方を知らないからです。 + もしわたしが来て彼らに話さなかったら、彼らに罪はなかったでしょう。しかし今では、その罪について弁解の余地はありません。 + わたしを憎んでいる者は、わたしの父をも憎んでいるのです。 + もしわたしが、ほかのだれも行ったことのないわざを、彼らの間で行わなかったのなら、彼らには罪がなかったでしょう。しかし今、彼らはわたしをも、わたしの父をも見て、そのうえで憎んだのです。 + これは、『彼らは理由なしにわたしを憎んだ』と彼らの律法に書かれていることばが成就するためです。 + わたしが父のもとから遣わす助け主、すなわち父から出る真理の御霊が来るとき、その御霊がわたしについてあかしします。 + あなたがたもあかしするのです。初めからわたしといっしょにいたからです。 + + + これらのことをあなたがたに話したのは、あなたがたがつまずくことのないためです。 + 人々はあなたがたを会堂から追放するでしょう。事実、あなたがたを殺す者がみな、そうすることで自分は神に奉仕しているのだと思う時が来ます。 + 彼らがこういうことを行うのは、父をもわたしをも知らないからです。 + しかし、わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、その時が来れば、わたしがそれについて話したことを、あなたがたが思い出すためです。わたしが初めからこれらのことをあなたがたに話さなかったのは、わたしがあなたがたといっしょにいたからです。 + しかし今わたしは、わたしを遣わした方のもとに行こうとしています。しかし、あなたがたのうちには、ひとりとして、どこに行くのですかと尋ねる者がありません。 + かえって、わたしがこれらのことをあなたがたに話したために、あなたがたの心は悲しみでいっぱいになっています。 + しかし、わたしは真実を言います。わたしが去って行くことは、あなたがたにとって益なのです。それは、もしわたしが去って行かなければ、助け主があなたがたのところに来ないからです。しかし、もし行けば、わたしは助け主をあなたがたのところに遣わします。 + その方が来ると、罪について、義について、さばきについて、世にその誤りを認めさせます。 + 罪についてというのは、彼らがわたしを信じないからです。 + また、義についてとは、わたしが父のもとに行き、あなたがたがもはやわたしを見なくなるからです。 + さばきについてとは、この世を支配する者がさばかれたからです。 + わたしには、あなたがたに話すことがまだたくさんありますが、今あなたがたはそれに耐える力がありません。 + しかし、その方、すなわち真理の御霊が来ると、あなたがたをすべての真理に導き入れます。御霊は自分から語るのではなく、聞くままを話し、また、やがて起ころうとしていることをあなたがたに示すからです。 + 御霊はわたしの栄光を現します。わたしのものを受けて、あなたがたに知らせるからです。 + 父が持っておられるものはみな、わたしのものです。ですからわたしは、御霊がわたしのものを受けて、あなたがたに知らせると言ったのです。 + しばらくするとあなたがたは、もはやわたしを見なくなります。しかし、またしばらくするとわたしを見ます。」 + そこで、弟子たちのうちのある者は互いに言った。「『しばらくするとあなたがたは、わたしを見なくなる。しかし、またしばらくするとわたしを見る』、また『わたしは父のもとに行くからだ』と主が言われるのは、どういうことなのだろう。」 + そこで、彼らは「しばらくすると、と主が言われるのは何のことだろうか。私たちには主の言われることがわからない」と言った。 + イエスは、彼らが質問したがっていることを知って、彼らに言われた。「『しばらくするとあなたがたは、わたしを見なくなる。しかし、またしばらくするとわたしを見る』とわたしが言ったことについて、互いに論じ合っているのですか。 + まことに、まことに、あなたがたに告げます。あなたがたは泣き、嘆き悲しむが、世は喜ぶのです。あなたがたは悲しむが、しかし、あなたがたの悲しみは喜びに変わります。 + 女が子を産むときには、その時が来たので苦しみます。しかし、子を産んでしまうと、ひとりの人が世に生まれた喜びのために、もはやその激しい苦痛を忘れてしまいます。 + あなたがたにも、今は悲しみがあるが、わたしはもう一度あなたがたに会います。そうすれば、あなたがたの心は喜びに満たされます。そして、その喜びをあなたがたから奪い去る者はありません。 + その日には、あなたがたはもはや、わたしに何も尋ねません。まことに、まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが父に求めることは何でも、父は、わたしの名によってそれをあなたがたにお与えになります。 + あなたがたは今まで、何もわたしの名によって求めたことはありません。求めなさい。そうすれば受けるのです。それはあなたがたの喜びが満ち満ちたものとなるためです。 + これらのことを、わたしはあなたがたにたとえで話しました。もはやたとえでは話さないで、父についてはっきりと告げる時が来ます。 + その日には、あなたがたはわたしの名によって求めるのです。わたしはあなたがたに代わって父に願ってあげようとは言いません。 + それはあなたがたがわたしを愛し、また、わたしを神から出て来た者と信じたので、父ご自身があなたがたを愛しておられるからです。 + わたしは父から出て、世に来ました。もう一度、わたしは世を去って父のみもとに行きます。」 + 弟子たちは言った。「ああ、今あなたははっきりとお話しになって、何一つたとえ話はなさいません。 + いま私たちは、あなたがいっさいのことをご存じで、だれもあなたにお尋ねする必要がないことがわかりました。これで、私たちはあなたが神から来られたことを信じます。」 + イエスは彼らに答えられた。「あなたがたは今、信じているのですか。 + 見なさい。あなたがたが散らされて、それぞれ自分の家に帰り、わたしをひとり残す時が来ます。いや、すでに来ています。しかし、わたしはひとりではありません。父がわたしといっしょにおられるからです。 + わたしがこれらのことをあなたがたに話したのは、あなたがたがわたしにあって平安を持つためです。あなたがたは、世にあっては患難があります。しかし、勇敢でありなさい。わたしはすでに世に勝ったのです。」 + + + イエスはこれらのことを話してから、目を天に向けて、言われた。「父よ。時が来ました。あなたの子があなたの栄光を現すために、子の栄光を現してください。 + それは子が、あなたからいただいたすべての者に、永遠のいのちを与えるため、あなたは、すべての人を支配する権威を子にお与えになったからです。 + その永遠のいのちとは、彼らが唯一のまことの神であるあなたと、あなたの遣わされたイエス・キリストとを知ることです。 + あなたがわたしに行わせるためにお与えになったわざを、わたしは成し遂げて、地上であなたの栄光を現しました。 + 今は、父よ、みそばで、わたしを栄光で輝かせてください。世界が存在する前に、ごいっしょにいて持っていましたあの栄光で輝かせてください。 + わたしは、あなたが世から取り出してわたしに下さった人々に、あなたの御名を明らかにしました。彼らはあなたのものであって、あなたは彼らをわたしに下さいました。彼らはあなたのみことばを守りました。 + いま彼らは、あなたがわたしに下さったものはみな、あなたから出ていることを知っています。 + それは、あなたがわたしに下さったみことばを、わたしが彼らに与えたからです。彼らはそれを受け入れ、わたしがあなたから出て来たことを確かに知り、また、あなたがわたしを遣わされたことを信じました。 + わたしは彼らのためにお願いします。世のためにではなく、あなたがわたしに下さった者たちのためにです。なぜなら彼らはあなたのものだからです。 + わたしのものはみなあなたのもの、あなたのものはわたしのものです。そして、わたしは彼らによって栄光を受けました。 + わたしはもう世にいなくなります。彼らは世におりますが、わたしはあなたのみもとにまいります。聖なる父。あなたがわたしに下さっているあなたの御名の中に、彼らを保ってください。それはわたしたちと同様に、彼らが一つとなるためです。 + わたしは彼らといっしょにいたとき、あなたがわたしに下さっている御名の中に彼らを保ち、また守りました。彼らのうちだれも滅びた者はなく、ただ滅びの子が滅びました。それは、聖書が成就するためです。 + わたしは今みもとにまいります。わたしは彼らの中でわたしの喜びが全うされるために、世にあってこれらのことを話しているのです。 + わたしは彼らにあなたのみことばを与えました。しかし、世は彼らを憎みました。わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものでないからです。 + 彼らをこの世から取り去ってくださるようにというのではなく、悪い者から守ってくださるようにお願いします。 + わたしがこの世のものでないように、彼らもこの世のものではありません。 + 真理によって彼らを聖め別ってください。あなたのみことばは真理です。 + あなたがわたしを世に遣わされたように、わたしも彼らを世に遣わしました。 + わたしは、彼らのため、わたし自身を聖め別ちます。彼ら自身も真理によって聖め別たれるためです。 + わたしは、ただこの人々のためだけでなく、彼らのことばによってわたしを信じる人々のためにもお願いします。 + それは、父よ、あなたがわたしにおられ、わたしがあなたにいるように、彼らがみな一つとなるためです。また、彼らもわたしたちにおるようになるためです。そのことによって、あなたがわたしを遣わされたことを、世が信じるためなのです。 + またわたしは、あなたがわたしに下さった栄光を、彼らに与えました。それは、わたしたちが一つであるように、彼らも一つであるためです。 + わたしは彼らにおり、あなたはわたしにおられます。それは、彼らが全うされて一つとなるためです。それは、あなたがわたしを遣わされたことと、あなたがわたしを愛されたように彼らをも愛されたこととを、この世が知るためです。 + 父よ。お願いします。あなたがわたしに下さったものをわたしのいる所にわたしといっしょにおらせてください。あなたがわたしを世の始まる前から愛しておられたためにわたしに下さったわたしの栄光を、彼らが見るようになるためです。 + 正しい父よ。この世はあなたを知りません。しかし、わたしはあなたを知っています。また、この人々は、あなたがわたしを遣わされたことを知りました。 + そして、わたしは彼らにあなたの御名を知らせました。また、これからも知らせます。それは、あなたがわたしを愛してくださったその愛が彼らの中にあり、またわたしが彼らの中にいるためです。」 + + + イエスはこれらのことを話し終えられると、弟子たちとともに、ケデロンの川筋の向こう側に出て行かれた。そこに園があって、イエスは弟子たちといっしょに、そこに入られた。 + ところで、イエスを裏切ろうとしていたユダもその場所を知っていた。イエスがたびたび弟子たちとそこで会合されたからである。 + そこで、ユダは一隊の兵士と、祭司長、パリサイ人たちから送られた役人たちを引き連れて、ともしびとたいまつと武器を持って、そこに来た。 + イエスは自分の身に起ころうとするすべてのことを知っておられたので、出て来て、「だれを捜すのか」と彼らに言われた。 + 彼らは、「ナザレ人イエスを」と答えた。イエスは彼らに「それはわたしです」と言われた。イエスを裏切ろうとしていたユダも彼らといっしょに立っていた。 + イエスが彼らに、「それはわたしです」と言われたとき、彼らはあとずさりし、そして地に倒れた。 + そこで、イエスがもう一度、「だれを捜すのか」と問われると、彼らは「ナザレ人イエスを」と言った。 + イエスは答えられた。「それはわたしだと、あなたがたに言ったでしょう。もしわたしを捜しているのなら、この人たちはこのままで去らせなさい。」 + それは、「あなたがわたしに下さった者のうち、ただのひとりをも失いませんでした」とイエスが言われたことばが実現するためであった。 + シモン・ペテロは、剣を持っていたが、それを抜き、大祭司のしもべを撃ち、右の耳を切り落とした。そのしもべの名はマルコスであった。 + そこで、イエスはペテロに言われた。「剣をさやに収めなさい。父がわたしに下さった杯を、どうして飲まずにいられよう。」 + そこで、一隊の兵士と千人隊長、それにユダヤ人から送られた役人たちは、イエスを捕らえて縛り、 + まずアンナスのところに連れて行った。彼がその年の大祭司カヤパのしゅうとだったからである。 + カヤパは、ひとりの人が民に代わって死ぬことが得策である、とユダヤ人に助言した人である。 + シモン・ペテロともうひとりの弟子は、イエスについて行った。この弟子は大祭司の知り合いで、イエスといっしょに大祭司の中庭に入った。 + しかし、ペテロは外で門のところに立っていた。それで、大祭司の知り合いである、もうひとりの弟子が出て来て、門番の女に話して、ペテロを連れて入った。 + すると、門番のはしためがペテロに、「あなたもあの人の弟子ではないでしょうね」と言った。ペテロは、「そんな者ではない」と言った。 + 寒かったので、しもべたちや役人たちは、炭火をおこし、そこに立って暖まっていた。ペテロも彼らといっしょに、立って暖まっていた。 + そこで、大祭司はイエスに、弟子たちのこと、また、教えのことについて尋問した。 + イエスは彼に答えられた。「わたしは世に向かって公然と話しました。わたしはユダヤ人がみな集まって来る会堂や宮で、いつも教えたのです。隠れて話したことは何もありません。 + なぜ、あなたはわたしに尋ねるのですか。わたしが人々に何を話したかは、わたしから聞いた人たちに尋ねなさい。彼らならわたしが話した事がらを知っています。」 + イエスがこう言われたとき、そばに立っていた役人のひとりが、「大祭司にそのような答え方をするのか」と言って、平手でイエスを打った。 + イエスは彼に答えられた。「もしわたしの言ったことが悪いなら、その悪い証拠を示しなさい。しかし、もし正しいなら、なぜ、わたしを打つのか。」 + アンナスはイエスを、縛ったままで大祭司カヤパのところに送った。 + 一方、シモン・ペテロは立って、暖まっていた。すると、人々は彼に言った。「あなたもあの人の弟子ではないでしょうね。」ペテロは否定して、「そんな者ではない」と言った。 + 大祭司のしもべのひとりで、ペテロに耳を切り落とされた人の親類に当たる者が言った。「私が見なかったとでもいうのですか。あなたは園であの人といっしょにいました。」 + それで、ペテロはもう一度否定した。するとすぐ鶏が鳴いた。 + さて、彼らはイエスを、カヤパのところから総督官邸に連れて行った。時は明け方であった。彼らは、過越の食事が食べられなくなることのないように、汚れを受けまいとして、官邸に入らなかった。 + そこで、ピラトは彼らのところに出て来て言った。「あなたがたは、この人に対して何を告発するのですか。」 + 彼らはピラトに答えた。「もしこの人が悪いことをしていなかったら、私たちはこの人をあなたに引き渡しはしなかったでしょう。」 + そこでピラトは彼らに言った。「あなたがたがこの人を引き取り、自分たちの律法に従ってさばきなさい。」ユダヤ人たちは彼に言った。「私たちには、だれを死刑にすることも許されてはいません。」 + これは、ご自分がどのような死に方をされるのかを示して話されたイエスのことばが成就するためであった。 + そこで、ピラトはもう一度官邸に入って、イエスを呼んで言った。「あなたは、ユダヤ人の王ですか。」 + イエスは答えられた。「あなたは、自分でそのことを言っているのですか。それともほかの人が、あなたにわたしのことを話したのですか。」 + ピラトは答えた。「私はユダヤ人ではないでしょう。あなたの同国人と祭司長たちが、あなたを私に引き渡したのです。あなたは何をしたのですか。」 + イエスは答えられた。「わたしの国はこの世のものではありません。もしこの世のものであったなら、わたしのしもべたちが、わたしをユダヤ人に渡さないように、戦ったことでしょう。しかし、事実、わたしの国はこの世のものではありません。」 + そこでピラトはイエスに言った。「それでは、あなたは王なのですか。」イエスは答えられた。「わたしが王であることは、あなたが言うとおりです。わたしは、真理のあかしをするために生まれ、このことのために世に来たのです。真理に属する者はみな、わたしの声に聞き従います。」 + ピラトはイエスに言った。「真理とは何ですか。」/彼はこう言ってから、またユダヤ人たちのところに出て行って、彼らに言った。「私は、あの人には罪を認めません。 + しかし、過越の祭りに、私があなたがたのためにひとりの者を釈放するのがならわしになっています。それで、あなたがたのために、ユダヤ人の王を釈放することにしましょうか。」 + すると彼らはみな、また大声をあげて、「この人ではない。バラバだ」と言った。このバラバは強盗であった。 + + + そこで、ピラトはイエスを捕らえて、むち打ちにした。 + また、兵士たちは、いばらで冠を編んで、イエスの頭にかぶらせ、紫色の着物を着せた。 + 彼らは、イエスに近寄っては、「ユダヤ人の王さま。ばんざい」と言い、またイエスの顔を平手で打った。 + ピラトは、もう一度外に出て来て、彼らに言った。「よく聞きなさい。あなたがたのところにあの人を連れ出して来ます。あの人に何の罪も見られないということを、あなたがたに知らせるためです。」 + それでイエスは、いばらの冠と紫色の着物を着けて、出て来られた。するとピラトは彼らに「さあ、この人です」と言った。 + 祭司長たちや役人たちはイエスを見ると、激しく叫んで、「十字架につけろ。十字架につけろ」と言った。ピラトは彼らに言った。「あなたがたがこの人を引き取り、十字架につけなさい。私はこの人には罪を認めません。」 + ユダヤ人たちは彼に答えた。「私たちには律法があります。この人は自分を神の子としたのですから、律法によれば、死に当たります。」 + ピラトは、このことばを聞くと、ますます恐れた。 + そして、また官邸に入って、イエスに言った。「あなたはどこの人ですか。」しかし、イエスは彼に何の答えもされなかった。 + そこで、ピラトはイエスに言った。「あなたは私に話さないのですか。私にはあなたを釈放する権威があり、また十字架につける権威があることを、知らないのですか。」 + イエスは答えられた。「もしそれが上から与えられているのでなかったら、あなたにはわたしに対して何の権威もありません。ですから、わたしをあなたに渡した者に、もっと大きい罪があるのです。」 + こういうわけで、ピラトはイエスを釈放しようと努力した。しかし、ユダヤ人たちは激しく叫んで言った。「もしこの人を釈放するなら、あなたはカイザルの味方ではありません。自分を王だとする者はすべて、カイザルにそむくのです。」 + そこでピラトは、これらのことばを聞いたとき、イエスを外に引き出し、敷石(ヘブル語ではガバタ)と呼ばれる場所で、裁判の席に着いた。 + その日は過越の備え日で、時は第六時ごろであった。ピラトはユダヤ人たちに言った。「さあ、あなたがたの王です。」 + 彼らは激しく叫んだ。「除け。除け。十字架につけろ。」ピラトは彼らに言った。「あなたがたの王を私が十字架につけるのですか。」祭司長たちは答えた。「カイザルのほかには、私たちに王はありません。」 + そこでピラトは、そのとき、イエスを、十字架につけるため彼らに引き渡した。 + 彼らはイエスを受け取った。そして、イエスはご自分で十字架を負って、「どくろの地」という場所(ヘブル語でゴルゴタと言われる)に出て行かれた。 + 彼らはそこでイエスを十字架につけた。イエスといっしょに、ほかのふたりの者をそれぞれ両側に、イエスを真ん中にしてであった。 + ピラトは罪状書きも書いて、十字架の上に掲げた。それには「ユダヤ人の王ナザレ人イエス」と書いてあった。 + それで、大ぜいのユダヤ人がこの罪状書きを読んだ。イエスが十字架につけられた場所は都に近かったからである。またそれはヘブル語、ラテン語、ギリシヤ語で書いてあった。 + そこで、ユダヤ人の祭司長たちがピラトに、「ユダヤ人の王、と書かないで、彼はユダヤ人の王と自称した、と書いてください」と言った。 + ピラトは答えた。「私の書いたことは私が書いたのです。」 + さて、兵士たちは、イエスを十字架につけると、イエスの着物を取り、ひとりの兵士に一つずつあたるよう四分した。また下着をも取ったが、それは上から全部一つに織った、縫い目なしのものであった。 + そこで彼らは互いに言った。「それは裂かないで、だれの物になるか、くじを引こう。」それは、「彼らはわたしの着物を分け合い、わたしの下着のためにくじを引いた」という聖書が成就するためであった。 + 兵士たちはこのようなことをしたが、イエスの十字架のそばには、イエスの母と母の姉妹と、クロパの妻のマリヤとマグダラのマリヤが立っていた。 + イエスは、母と、そばに立っている愛する弟子とを見て、母に「女の方。そこに、あなたの息子がいます」と言われた。 + それからその弟子に「そこに、あなたの母がいます」と言われた。その時から、この弟子は彼女を自分の家に引き取った。 + この後、イエスは、すべてのことが完了したのを知って、聖書が成就するために、「わたしは渇く」と言われた。 + そこには酸いぶどう酒のいっぱい入った入れ物が置いてあった。そこで彼らは、酸いぶどう酒を含んだ海綿をヒソプの枝につけて、それをイエスの口もとに差し出した。 + イエスは、酸いぶどう酒を受けられると、「完了した」と言われた。そして、頭をたれて、霊をお渡しになった。 + その日は備え日であったため、ユダヤ人たちは安息日に(その安息日は大いなる日であったので)、死体を十字架の上に残しておかないように、すねを折ってそれを取りのける処置をピラトに願った。 + それで、兵士たちが来て、イエスといっしょに十字架につけられた第一の者と、もうひとりの者とのすねを折った。 + しかし、イエスのところに来ると、イエスがすでに死んでおられるのを認めたので、そのすねを折らなかった。 + しかし、兵士のうちのひとりがイエスのわき腹を槍で突き刺した。すると、ただちに血と水が出て来た。 + それを目撃した者があかしをしているのである。そのあかしは真実である。その人が、あなたがたにも信じさせるために、真実を話すということをよく知っているのである。 + この事が起こったのは、「彼の骨は一つも砕かれない」という聖書のことばが成就するためであった。 + また聖書の別のところには、「彼らは自分たちが突き刺した方を見る」と言われているからである。 + そのあとで、イエスの弟子ではあったがユダヤ人を恐れてそのことを隠していたアリマタヤのヨセフが、イエスのからだを取りかたづけたいとピラトに願った。それで、ピラトは許可を与えた。そこで彼は来て、イエスのからだを取り降ろした。 + 前に、夜イエスのところに来たニコデモも、没薬とアロエを混ぜ合わせたものをおよそ三十キログラムばかり持って、やって来た。 + そこで、彼らはイエスのからだを取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従って、それを香料といっしょに亜麻布で巻いた。 + イエスが十字架につけられた場所に園があって、そこには、まだだれも葬られたことのない新しい墓があった。 + その日がユダヤ人の備え日であったため、墓が近かったので、彼らはイエスをそこに納めた。 + + + さて、週の初めの日に、マグダラのマリヤは、朝早くまだ暗いうちに墓に来た。そして、墓から石が取りのけてあるのを見た。 + それで、走って、シモン・ペテロと、イエスが愛された、もうひとりの弟子とのところに来て、言った。「だれかが墓から主を取って行きました。主をどこに置いたのか、私たちにはわかりません。」 + そこでペテロともうひとりの弟子は外に出て来て、墓のほうへ行った。 + ふたりはいっしょに走ったが、もうひとりの弟子がペテロよりも速かったので、先に墓に着いた。 + そして、からだをかがめてのぞき込み、亜麻布が置いてあるのを見たが、中に入らなかった。 + シモン・ペテロも彼に続いて来て、墓に入り、亜麻布が置いてあって、 + イエスの頭に巻かれていた布切れは、亜麻布といっしょにはなく、離れた所に巻かれたままになっているのを見た。 + そのとき、先に墓に着いたもうひとりの弟子も入って来た。そして、見て、信じた。 + 彼らは、イエスが死人の中からよみがえらなければならないという聖書を、まだ理解していなかったのである。 + それで、弟子たちはまた自分のところに帰って行った。 + しかし、マリヤは外で墓のところにたたずんで泣いていた。そして、泣きながら、からだをかがめて墓の中をのぞき込んだ。 + すると、ふたりの御使いが、イエスのからだが置かれていた場所に、ひとりは頭のところに、ひとりは足のところに、白い衣をまとってすわっているのが見えた。 + 彼らは彼女に言った。「なぜ泣いているのですか。」彼女は言った。「だれかが私の主を取って行きました。どこに置いたのか、私にはわからないのです。」 + 彼女はこう言ってから、うしろを振り向いた。すると、イエスが立っておられるのを見た。しかし、彼女にはイエスであることがわからなかった。 + イエスは彼女に言われた。「なぜ泣いているのですか。だれを捜しているのですか。」彼女は、それを園の管理人だと思って言った。「あなたが、あの方を運んだのでしたら、どこに置いたのか言ってください。そうすれば私が引き取ります。」 + イエスは彼女に言われた。「マリヤ。」彼女は振り向いて、ヘブル語で、「ラボニ(すなわち、先生)」とイエスに言った。 + イエスは彼女に言われた。「わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないからです。わたしの兄弟たちのところに行って、彼らに『わたしは、わたしの父またあなたがたの父、わたしの神またあなたがたの神のもとに上る』と告げなさい。」 + マグダラのマリヤは、行って、「私は主にお目にかかりました」と言い、また、主が彼女にこれらのことを話されたと弟子たちに告げた。 + その日、すなわち週の初めの日の夕方のことであった。弟子たちがいた所では、ユダヤ人を恐れて戸がしめてあったが、イエスが来られ、彼らの中に立って言われた。「平安があなたがたにあるように。」 + こう言ってイエスは、その手とわき腹を彼らに示された。弟子たちは、主を見て喜んだ。 + イエスはもう一度、彼らに言われた。「平安があなたがたにあるように。父がわたしを遣わしたように、わたしもあなたがたを遣わします。」 + そして、こう言われると、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。 + あなたがたがだれかの罪を赦すなら、その人の罪は赦され、あなたがたがだれかの罪をそのまま残すなら、それはそのまま残ります。」 + 十二弟子のひとりで、デドモと呼ばれるトマスは、イエスが来られたときに、彼らといっしょにいなかった。 + それで、ほかの弟子たちが彼に「私たちは主を見た」と言った。しかし、トマスは彼らに「私は、その手に釘の跡を見、私の指を釘のところに差し入れ、また私の手をそのわきに差し入れてみなければ、決して信じません」と言った。 + 八日後に、弟子たちはまた室内におり、トマスも彼らといっしょにいた。戸が閉じられていたが、イエスが来て、彼らの中に立って「平安があなたがたにあるように」と言われた。 + それからトマスに言われた。「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手を伸ばして、わたしのわきに差し入れなさい。信じない者にならないで、信じる者になりなさい。」 + トマスは答えてイエスに言った。「私の主。私の神。」 + イエスは彼に言われた。「あなたはわたしを見たから信じたのですか。見ずに信じる者は幸いです。」 + この書には書かれていないが、まだほかの多くのしるしをも、イエスは弟子たちの前で行われた。 + しかし、これらのことが書かれたのは、イエスが神の子キリストであることを、あなたがたが信じるため、また、あなたがたが信じて、イエスの御名によっていのちを得るためである。 + + + この後、イエスはテベリヤの湖畔で、もう一度ご自分を弟子たちに現された。その現された次第はこうであった。 + シモン・ペテロ、デドモと呼ばれるトマス、ガリラヤのカナのナタナエル、ゼベダイの子たち、ほかにふたりの弟子がいっしょにいた。 + シモン・ペテロが彼らに言った。「私は漁に行く。」彼らは言った。「私たちもいっしょに行きましょう。」彼らは出かけて、小舟に乗り込んだ。しかし、その夜は何もとれなかった。 + 夜が明けそめたとき、イエスは岸べに立たれた。けれども弟子たちには、それがイエスであることがわからなかった。 + イエスは彼らに言われた。「子どもたちよ。食べる物がありませんね。」彼らは答えた。「はい。ありません。」 + イエスは彼らに言われた。「舟の右側に網をおろしなさい。そうすれば、とれます。」そこで、彼らは網をおろした。すると、おびただしい魚のために、網を引き上げることができなかった。 + そこで、イエスの愛されたあの弟子がペテロに言った。「主です。」すると、シモン・ペテロは、主であると聞いて、裸だったので、上着をまとって、湖に飛び込んだ。 + しかし、ほかの弟子たちは、魚の満ちたその網を引いて、小舟でやって来た。陸地から遠くなく、百メートル足らずの距離だったからである。 + こうして彼らが陸地に上がったとき、そこに炭火とその上に載せた魚と、パンがあるのを見た。 + イエスは彼らに言われた。「あなたがたの今とった魚を幾匹か持って来なさい。」 + シモン・ペテロは舟に上がって、網を陸地に引き上げた。それは百五十三匹の大きな魚でいっぱいであった。それほど多かったけれども、網は破れなかった。 + イエスは彼らに言われた。「さあ来て、朝の食事をしなさい。」弟子たちは主であることを知っていたので、だれも「あなたはどなたですか」とあえて尋ねる者はいなかった。 + イエスは来て、パンを取り、彼らにお与えになった。また、魚も同じようにされた。 + イエスが、死人の中からよみがえってから、弟子たちにご自分を現されたのは、すでにこれで三度目である。 + 彼らが食事を済ませたとき、イエスはシモン・ペテロに言われた。「ヨハネの子シモン。あなたは、この人たち以上に、わたしを愛しますか。」ペテロはイエスに言った。「はい。主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」イエスは彼に言われた。「わたしの小羊を飼いなさい。」 + イエスは再び彼に言われた。「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛しますか。」ペテロはイエスに言った。「はい。主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」イエスは彼に言われた。「わたしの羊を牧しなさい。」 + イエスは三度ペテロに言われた。「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛しますか。」ペテロは、イエスが三度「あなたはわたしを愛しますか」と言われたので、心を痛めてイエスに言った。「主よ。あなたはいっさいのことをご存じです。あなたは、私があなたを愛することを知っておいでになります。」イエスは彼に言われた。「わたしの羊を飼いなさい。 + まことに、まことに、あなたに告げます。あなたは若かった時には、自分で帯を締めて、自分の歩きたい所を歩きました。しかし年をとると、あなたは自分の手を伸ばし、ほかの人があなたに帯をさせて、あなたの行きたくない所に連れて行きます。」 + これは、ペテロがどのような死に方をして、神の栄光を現すかを示して、言われたことであった。こうお話しになってから、ペテロに言われた。「わたしに従いなさい。」 + ペテロは振り向いて、イエスが愛された弟子があとについて来るのを見た。この弟子はあの晩餐のとき、イエスの右側にいて、「主よ。あなたを裏切る者はだれですか」と言った者である。 + ペテロは彼を見て、イエスに言った。「主よ。この人はどうですか。」 + イエスはペテロに言われた。「わたしの来るまで彼が生きながらえるのをわたしが望むとしても、それがあなたに何のかかわりがありますか。あなたは、わたしに従いなさい。」 + そこで、その弟子は死なないという話が兄弟たちの間に行き渡った。しかし、イエスはペテロに、その弟子が死なないと言われたのでなく、「わたしの来るまで彼が生きながらえるのをわたしが望むとしても、それがあなたに何のかかわりがありますか」と言われたのである。 + これらのことについてあかしした者、またこれらのことを書いた者は、その弟子である。そして、私たちは、彼のあかしが真実であることを、知っている。 + イエスが行われたことは、ほかにもたくさんあるが、もしそれらをいちいち書きしるすなら、世界も、書かれた書物を入れることができまい、と私は思う。 + +
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+ + テオピロよ。私は前の書で、イエスが行い始め、教え始められたすべてのことについて書き、 + お選びになった使徒たちに聖霊によって命じてから、天に上げられた日のことにまで及びました。 + イエスは苦しみを受けた後、四十日の間、彼らに現れて、神の国のことを語り、数多くの確かな証拠をもって、ご自分が生きていることを使徒たちに示された。 + 彼らといっしょにいるとき、イエスは彼らにこう命じられた。「エルサレムを離れないで、わたしから聞いた父の約束を待ちなさい。 + ヨハネは水でバプテスマを授けたが、もう間もなく、あなたがたは聖霊のバプテスマを受けるからです。」 + そこで、彼らは、いっしょに集まったとき、イエスにこう尋ねた。「主よ。今こそ、イスラエルのために国を再興してくださるのですか。」 + イエスは言われた。「いつとか、どんなときとかいうことは、あなたがたは知らなくてもよいのです。それは、父がご自分の権威をもってお定めになっています。 + しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」 + こう言ってから、イエスは彼らが見ている間に上げられ、雲に包まれて、見えなくなられた。 + イエスが上って行かれるとき、弟子たちは天を見つめていた。すると、見よ、白い衣を着た人がふたり、彼らのそばに立っていた。 + そして、こう言った。「ガリラヤの人たち。なぜ天を見上げて立っているのですか。あなたがたを離れて天に上げられたこのイエスは、天に上って行かれるのをあなたがたが見たときと同じ有様で、またおいでになります。」 + そこで、彼らはオリーブという山からエルサレムに帰った。この山はエルサレムの近くにあって、安息日の道のりほどの距離であった。 + 彼らは町に入ると、泊まっている屋上の間に上がった。この人々は、ペテロとヨハネとヤコブとアンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコブと熱心党員シモンとヤコブの子ユダであった。 + この人たちは、婦人たちやイエスの母マリヤ、およびイエスの兄弟たちとともに、みな心を合わせ、祈りに専念していた。 + そのころ、百二十名ほどの兄弟たちが集まっていたが、ペテロはその中に立ってこう言った。 + 「兄弟たち。イエスを捕らえた者どもの手引きをしたユダについて、聖霊がダビデの口を通して預言された聖書のことばは、成就しなければならなかったのです。 + ユダは私たちの仲間として数えられており、この務めを受けていました。 + (ところがこの男は、不正なことをして得た報酬で地所を手に入れたが、まっさかさまに落ち、からだは真っ二つに裂け、はらわたが全部飛び出してしまった。 + このことが、エルサレムの住民全部に知れて、その地所は彼らの国語でアケルダマ、すなわち『血の地所』と呼ばれるようになった。) + 実は詩篇には、こう書いてあるのです。『彼の住まいは荒れ果てよ、そこには住む者がいなくなれ。』また、『その職は、ほかの人に取らせよ。』 + ですから、主イエスが私たちといっしょに生活された間、 + すなわち、ヨハネのバプテスマから始まって、私たちを離れて天に上げられた日までの間、いつも私たちと行動をともにした者の中から、だれかひとりが、私たちとともにイエスの復活の証人とならなければなりません。」 + そこで、彼らは、バルサバと呼ばれ別名をユストというヨセフと、マッテヤとのふたりを立てた。 + そして、こう祈った。「すべての人の心を知っておられる主よ。 + この務めと使徒職の地位を継がせるために、このふたりのうちのどちらをお選びになるか、お示しください。ユダは自分のところへ行くために脱落して行きましたから。」 + そしてふたりのためにくじを引くと、くじはマッテヤに当たったので、彼は十一人の使徒たちに加えられた。 + + + 五旬節の日になって、みなが一つ所に集まっていた。 + すると突然、天から、激しい風が吹いて来るような響きが起こり、彼らのいた家全体に響き渡った。 + また、炎のような分かれた舌が現れて、ひとりひとりの上にとどまった。 + すると、みなが聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした。 + さて、エルサレムには、敬虔なユダヤ人たちが、天下のあらゆる国から来て住んでいたが、 + この物音が起こると、大ぜいの人々が集まって来た。彼らは、それぞれ自分の国のことばで弟子たちが話すのを聞いて、驚きあきれてしまった。 + 彼らは驚き怪しんで言った。「どうでしょう。いま話しているこの人たちは、みなガリラヤの人ではありませんか。 + それなのに、私たちめいめいの国の国語で話すのを聞くとは、いったいどうしたことでしょう。 + 私たちは、パルテヤ人、メジヤ人、エラム人、またメソポタミヤ、ユダヤ、カパドキヤ、ポントとアジヤ、 + フルギヤとパンフリヤ、エジプトとクレネに近いリビヤ地方などに住む者たち、また滞在中のローマ人たちで、 + ユダヤ人もいれば改宗者もいる。またクレテ人とアラビヤ人なのに、あの人たちが、私たちのいろいろな国ことばで神の大きなみわざを語るのを聞こうとは。」 + 人々はみな、驚き惑って、互いに「いったいこれはどうしたことか」と言った。 + しかし、ほかに「彼らは甘いぶどう酒に酔っているのだ」と言ってあざける者たちもいた。 + そこで、ペテロは十一人とともに立って、声を張り上げ、人々にはっきりとこう言った。「ユダヤの人々、ならびにエルサレムに住むすべての人々。あなたがたに知っていただきたいことがあります。どうか、私のことばに耳を貸してください。 + 今は朝の九時ですから、あなたがたの思っているようにこの人たちは酔っているのではありません。 + これは、預言者ヨエルによって語られた事です。 + 『神は言われる。終わりの日に、わたしの霊をすべての人に注ぐ。すると、あなたがたの息子や娘は預言し、青年は幻を見、老人は夢を見る。 + その日、わたしのしもべにも、はしためにも、わたしの霊を注ぐ。すると、彼らは預言する。 + また、わたしは、上は天に不思議なわざを示し、下は地にしるしを示す。それは、血と火と立ち上る煙である。 + 主の大いなる輝かしい日が来る前に、太陽はやみとなり、月は血に変わる。 + しかし、主の名を呼ぶ者は、みな救われる。』 + イスラエルの人たち。このことばを聞いてください。神はナザレ人イエスによって、あなたがたの間で力あるわざと不思議としるしを行われました。それらのことによって、神はあなたがたに、この方のあかしをされたのです。これは、あなたがた自身がご承知のことです。 + あなたがたは、神の定めた計画と神の予知とによって引き渡されたこの方を、不法な者の手によって十字架につけて殺しました。 + しかし神は、この方を死の苦しみから解き放って、よみがえらせました。この方が死につながれていることなど、ありえないからです。 + ダビデはこの方について、こう言っています。『私はいつも、自分の目の前に主を見ていた。主は、私が動かされないように、私の右におられるからである。 + それゆえ、私の心は楽しみ、私の舌は大いに喜んだ。さらに私の肉体も望みの中に安らう。 + あなたは私のたましいをハデスに捨てて置かず、あなたの聖者が朽ち果てるのをお許しにならないからである。 + あなたは、私にいのちの道を知らせ、御顔を示して、私を喜びで満たしてくださる。』 + 兄弟たち。父祖ダビデについては、私はあなたがたに、確信をもって言うことができます。彼は死んで葬られ、その墓は今日まで私たちのところにあります。 + 彼は預言者でしたから、神が彼の子孫のひとりを彼の王位に着かせると誓って言われたことを知っていたのです。 + それで後のことを予見して、キリストの復活について、『彼はハデスに捨てて置かれず、その肉体は朽ち果てない』と語ったのです。 + 神はこのイエスをよみがえらせました。私たちはみな、そのことの証人です。 + ですから、神の右に上げられたイエスが、御父から約束された聖霊を受けて、今あなたがたが見聞きしているこの聖霊をお注ぎになったのです。 + ダビデは天に上ったわけではありません。彼は自分でこう言っています。『主は私の主に言われた。 + わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまではわたしの右の座に着いていなさい。』 + ですから、イスラエルのすべての人々は、このことをはっきりと知らなければなりません。すなわち、神が、今や主ともキリストともされたこのイエスを、あなたがたは十字架につけたのです。」 + 人々はこれを聞いて心を刺され、ペテロとほかの使徒たちに、「兄弟たち。私たちはどうしたらよいでしょうか」と言った。 + そこでペテロは彼らに答えた。「悔い改めなさい。そして、それぞれ罪を赦していただくために、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けるでしょう。 + なぜなら、この約束は、あなたがたと、その子どもたち、ならびにすべての遠くにいる人々、すなわち、私たちの神である主がお召しになる人々に与えられているからです。」 + ペテロは、このほかにも多くのことばをもって、あかしをし、「この曲がった時代から救われなさい」と言って彼らに勧めた。 + そこで、彼のことばを受け入れた者は、バプテスマを受けた。その日、三千人ほどが弟子に加えられた。 + そして、彼らは使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをしていた。 + そして、一同の心に恐れが生じ、使徒たちによって多くの不思議としるしが行われた。 + 信者となった者たちはみないっしょにいて、いっさいの物を共有にしていた。 + そして、資産や持ち物を売っては、それぞれの必要に応じて、みなに分配していた。 + そして毎日、心を一つにして宮に集まり、家でパンを裂き、喜びと真心をもって食事をともにし、 + 神を賛美し、すべての民に好意を持たれた。主も毎日救われる人々を仲間に加えてくださった。 + + + ペテロとヨハネは午後三時の祈りの時間に宮に上って行った。 + すると、生まれつき足のなえた人が運ばれて来た。この男は、宮に入る人たちから施しを求めるために、毎日「美しの門」という名の宮の門に置いてもらっていた。 + 彼は、ペテロとヨハネが宮に入ろうとするのを見て、施しを求めた。 + ペテロは、ヨハネとともに、その男を見つめて、「私たちを見なさい」と言った。 + 男は何かもらえると思って、ふたりに目を注いだ。 + すると、ペテロは、「金銀は私にはない。しかし、私にあるものを上げよう。ナザレのイエス・キリストの名によって、歩きなさい」と言って、 + 彼の右手を取って立たせた。するとたちまち、彼の足とくるぶしが強くなり、 + おどり上がってまっすぐに立ち、歩きだした。そして歩いたり、はねたりしながら、神を賛美しつつ、ふたりといっしょに宮に入って行った。 + 人々はみな、彼が歩きながら、神を賛美しているのを見た。 + そして、これが、施しを求めるために宮の「美しの門」にすわっていた男だとわかると、この人の身に起こったことに驚き、あきれた。 + この人が、ペテロとヨハネにつきまとっている間に、非常に驚いた人々がみないっせいに、ソロモンの廊という回廊にいる彼らのところに、やって来た。 + ペテロはこれを見て、人々に向かってこう言った。「イスラエル人たち。なぜこのことに驚いているのですか。なぜ、私たちが自分の力とか信仰深さとかによって彼を歩かせたかのように、私たちを見つめるのですか。 + アブラハム、イサク、ヤコブの神、すなわち、私たちの父祖たちの神は、そのしもべイエスに栄光をお与えになりました。あなたがたは、この方を引き渡し、ピラトが釈放すると決めたのに、その面前でこの方を拒みました。 + そのうえ、このきよい、正しい方を拒んで、人殺しの男を赦免するように要求し、 + いのちの君を殺しました。しかし、神はこのイエスを死者の中からよみがえらせました。私たちはそのことの証人です。 + そして、このイエスの御名が、その御名を信じる信仰のゆえに、あなたがたがいま見ており知っているこの人を強くしたのです。イエスによって与えられる信仰が、この人を皆さんの目の前で完全なからだにしたのです。 + ですから、兄弟たち。私は知っています。あなたがたは、自分たちの指導者たちと同様に、無知のためにあのような行いをしたのです。 + しかし、神は、すべての預言者たちの口を通して、キリストの受難をあらかじめ語っておられたことを、このように実現されました。 + そういうわけですから、あなたがたの罪をぬぐい去っていただくために、悔い改めて、神に立ち返りなさい。 + それは、主の御前から回復の時が来て、あなたがたのためにメシヤと定められたイエスを、主が遣わしてくださるためなのです。 + このイエスは、神が昔から、聖なる預言者たちの口を通してたびたび語られた、あの万物の改まる時まで、天にとどまっていなければなりません。 + モーセはこう言いました。『神である主は、あなたがたのために、私のようなひとりの預言者を、あなたがたの兄弟たちの中からお立てになる。この方があなたがたに語ることはみな聞きなさい。 + その預言者に聞き従わない者はだれでも、民の中から滅ぼし絶やされる。』 + また、サムエルをはじめとして、彼に続いて語ったすべての預言者たちも、今の時について宣べました。 + あなたがたは預言者たちの子孫です。また、神がアブラハムに、『あなたの子孫によって、地の諸民族はみな祝福を受ける』と言って、あなたがたの父祖たちと結ばれたあの契約の子孫です。 + 神は、まずそのしもべを立てて、あなたがたにお遣わしになりました。それは、この方があなたがたを祝福して、ひとりひとりをその邪悪な生活から立ち返らせてくださるためなのです。」 + + + 彼らが民に話していると、祭司たち、宮の守衛長、またサドカイ人たちがやって来たが、 + この人たちは、ペテロとヨハネが民を教え、イエスのことを例にあげて死者の復活を宣べ伝えているのに、困り果て、 + 彼らに手をかけて捕らえた。そして翌日まで留置することにした。すでに夕方だったからである。 + しかし、みことばを聞いた人々が大ぜい信じ、男の数が五千人ほどになった。 + 翌日、民の指導者、長老、学者たちは、エルサレムに集まった。 + 大祭司アンナス、カヤパ、ヨハネ、アレキサンデル、そのほか大祭司の一族もみな出席した。 + 彼らは使徒たちを真ん中に立たせて、「あなたがたは何の権威によって、また、だれの名によってこんなことをしたのか」と尋問しだした。 + そのとき、ペテロは聖霊に満たされて、彼らに言った。「民の指導者たち、ならびに長老の方々。 + 私たちがきょう取り調べられているのが、病人に行った良いわざについてであり、その人が何によっていやされたか、ということのためであるなら、 + 皆さんも、またイスラエルのすべての人々も、よく知ってください。この人が直って、あなたがたの前に立っているのは、あなたがたが十字架につけ、神が死者の中からよみがえらせたナザレ人イエス・キリストの御名によるのです。 + 『あなたがた家を建てる者たちに捨てられた石が、礎の石となった』というのはこの方のことです。 + この方以外には、だれによっても救いはありません。天の下でこの御名のほかに、私たちが救われるべき名は人に与えられていないからです。」 + 彼らはペテロとヨハネとの大胆さを見、またふたりが無学な、普通の人であるのを知って驚いたが、ふたりがイエスとともにいたのだ、ということがわかって来た。 + そればかりでなく、いやされた人がふたりといっしょに立っているのを見ては、返すことばもなかった。 + 彼らはふたりに議会から退場するように命じ、そして互いに協議した。 + 彼らは言った。「あの人たちをどうしよう。あの人たちによって著しいしるしが行われたことは、エルサレムの住民全部に知れ渡っているから、われわれはそれを否定できない。 + しかし、これ以上民の間に広がらないために、今後だれにもこの名によって語ってはならないと、彼らをきびしく戒めよう。」 + そこで彼らを呼んで、いっさいイエスの名によって語ったり教えたりしてはならない、と命じた。 + ペテロとヨハネは彼らに答えて言った。「神に聞き従うより、あなたがたに聞き従うほうが、神の前に正しいかどうか、判断してください。 + 私たちは、自分の見たこと、また聞いたことを、話さないわけにはいきません。」 + そこで、彼らはふたりをさらにおどしたうえで、釈放した。それはみなの者が、この出来事のゆえに神をあがめていたので、人々の手前、ふたりを罰するすべがなかったからである。 + この奇蹟によっていやされた男は四十歳余りであった。 + 釈放されたふたりは、仲間のところへ行き、祭司長たちや長老たちが彼らに言ったことを残らず報告した。 + これを聞いた人々はみな、心を一つにして、神に向かい、声を上げて言った。「主よ。あなたは天と地と海とその中のすべてのものを造られた方です。 + あなたは、聖霊によって、あなたのしもべであり私たちの父であるダビデの口を通して、こう言われました。『なぜ異邦人たちは騒ぎ立ち、もろもろの民はむなしいことを計るのか。 + 地の王たちは立ち上がり、指導者たちは、主とキリストに反抗して、一つに組んだ。』 + 事実、ヘロデとポンテオ・ピラトは、異邦人やイスラエルの民といっしょに、あなたが油をそそがれた、あなたの聖なるしもべイエスに逆らってこの都に集まり、 + あなたの御手とみこころによって、あらかじめお定めになったことを行いました。 + 主よ。いま彼らの脅かしをご覧になり、あなたのしもべたちにみことばを大胆に語らせてください。 + 御手を伸ばしていやしを行わせ、あなたの聖なるしもべイエスの御名によって、しるしと不思議なわざを行わせてください。」 + 彼らがこう祈ると、その集まっていた場所が震い動き、一同は聖霊に満たされ、神のことばを大胆に語りだした。 + 信じた者の群れは、心と思いを一つにして、だれひとりその持ち物を自分のものと言わず、すべてを共有にしていた。 + 使徒たちは、主イエスの復活を非常に力強くあかしし、大きな恵みがそのすべての者の上にあった。 + 彼らの中には、ひとりも乏しい者がなかった。地所や家を持っている者は、それを売り、代金を携えて来て、 + 使徒たちの足もとに置き、その金は必要に従っておのおのに分け与えられたからである。 + キプロス生まれのレビ人で、使徒たちによってバルナバ(訳すと、慰めの子)と呼ばれていたヨセフも、 + 畑を持っていたので、それを売り、その代金を持って来て、使徒たちの足もとに置いた。 + + + ところが、アナニヤという人は、妻のサッピラとともにその持ち物を売り、 + 妻も承知のうえで、その代金の一部を残しておき、ある部分を持って来て、使徒たちの足もとに置いた。 + そこで、ペテロがこう言った。「アナニヤ。どうしてあなたはサタンに心を奪われ、聖霊を欺いて、地所の代金の一部を自分のために残しておいたのか。 + それはもともとあなたのものであり、売ってからもあなたの自由になったのではないか。なぜこのようなことをたくらんだのか。あなたは人を欺いたのではなく、神を欺いたのだ。」 + アナニヤはこのことばを聞くと、倒れて息が絶えた。そして、これを聞いたすべての人に、非常な恐れが生じた。 + 青年たちは立って、彼を包み、運び出して葬った。 + 三時間ほどたって、彼の妻はこの出来事を知らずに入って来た。 + ペテロは彼女にこう言った。「あなたがたは地所をこの値段で売ったのですか。私に言いなさい。」彼女は「はい。その値段です」と言った。 + そこで、ペテロは彼女に言った。「どうしてあなたがたは心を合わせて、主の御霊を試みたのですか。見なさい、あなたの夫を葬った者たちが、戸口に来ていて、あなたをも運び出します。」 + すると彼女は、たちまちペテロの足もとに倒れ、息が絶えた。入って来た青年たちは、彼女が死んだのを見て、運び出し、夫のそばに葬った。 + そして、教会全体と、このことを聞いたすべての人たちとに、非常な恐れが生じた。 + また、使徒たちの手によって、多くのしるしと不思議なわざが人々の間で行われた。みなは一つ心になってソロモンの廊にいた。 + ほかの人々は、ひとりもこの交わりに加わろうとしなかったが、その人々は彼らを尊敬していた。 + そればかりか、主を信じる者は男も女もますますふえていった。 + ついに、人々は病人を大通りへ運び出し、寝台や寝床の上に寝かせ、ペテロが通りかかるときには、せめてその影でも、だれかにかかるようにするほどになった。 + また、エルサレムの付近の町々から、大ぜいの人が、病人や、汚れた霊に苦しめられている人などを連れて集まって来たが、その全部がいやされた。 + そこで、大祭司とその仲間たち全部、すなわちサドカイ派の者はみな、ねたみに燃えて立ち上がり、 + 使徒たちを捕らえ、留置場に入れた。 + ところが、夜、主の使いが牢の戸を開き、彼らを連れ出し、 + 「行って宮の中に立ち、人々にこのいのちのことばを、ことごとく語りなさい」と言った。 + 彼らはこれを聞くと、夜明けごろ宮に入って教え始めた。一方、大祭司とその仲間たちは集まって来て、議会とイスラエル人のすべての長老を召集し、使徒たちを引き出して来させるために、人を獄舎にやった。 + ところが役人たちが行ってみると、牢の中には彼らがいなかったので、引き返してこう報告した。 + 「獄舎は完全にしまっており、番人たちが戸口に立っていましたが、あけてみると、中にはだれもおりませんでした。」 + 宮の守衛長や祭司長たちは、このことばを聞いて、いったいこれはどうなって行くのかと、使徒たちのことで当惑した。 + そこへ、ある人がやって来て、「大変です。あなたがたが牢に入れた人たちが、宮の中に立って、人々を教えています」と告げた。 + そこで、宮の守衛長は役人たちといっしょに出て行き、使徒たちを連れて来た。しかし、手荒なことはしなかった。人々に石で打ち殺されるのを恐れたからである。 + 彼らが使徒たちを連れて来て議会の中に立たせると、大祭司は使徒たちを問いただして、 + 言った。「あの名によって教えてはならないときびしく命じておいたのに、何ということだ。エルサレム中にあなたがたの教えを広めてしまい、そのうえ、あの人の血の責任をわれわれに負わせようとしているではないか。」 + ペテロをはじめ使徒たちは答えて言った。「人に従うより、神に従うべきです。 + 私たちの父祖たちの神は、あなたがたが十字架にかけて殺したイエスを、よみがえらせたのです。 + そして神は、イスラエルに悔い改めと罪の赦しを与えるために、このイエスを君とし、救い主として、ご自分の右に上げられました。 + 私たちはそのことの証人です。神がご自分に従う者たちにお与えになった聖霊もそのことの証人です。」 + 彼らはこれを聞いて怒り狂い、使徒たちを殺そうと計った。 + ところが、すべての人に尊敬されている律法学者で、ガマリエルというパリサイ人が議会の中に立ち、使徒たちをしばらく外に出させるように命じた。 + それから、議員たちに向かってこう言った。「イスラエルの皆さん。この人々をどう扱うか、よく気をつけてください。 + というのは、先ごろチゥダが立ち上がって、自分を何か偉い者のように言い、彼に従った男の数が四百人ほどありましたが、結局、彼は殺され、従った者はみな散らされて、あとかたもなくなりました。 + その後、人口調査のとき、ガリラヤ人ユダが立ち上がり、民衆をそそのかして反乱を起こしましたが、自分は滅び、従った者たちもみな散らされてしまいました。 + そこで今、あなたがたに申したいのです。あの人たちから手を引き、放っておきなさい。もし、その計画や行動が人から出たものならば、自滅してしまうでしょう。 + しかし、もし神から出たものならば、あなたがたには彼らを滅ぼすことはできないでしょう。もしかすれば、あなたがたは神に敵対する者になってしまいます。」彼らは彼に説得され、 + 使徒たちを呼んで、彼らをむちで打ち、イエスの名によって語ってはならないと言い渡したうえで釈放した。 + そこで、使徒たちは、御名のためにはずかしめられるに値する者とされたことを喜びながら、議会から出て行った。 + そして、毎日、宮や家々で教え、イエスがキリストであることを宣べ伝え続けた。 + + + そのころ、弟子たちがふえるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちが、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して苦情を申し立てた。彼らのうちのやもめたちが、毎日の配給でなおざりにされていたからである。 + そこで、十二使徒は弟子たち全員を呼び集めてこう言った。「私たちが神のことばをあと回しにして、食卓のことに仕えるのはよくありません。 + そこで、兄弟たち。あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判の良い人たち七人を選びなさい。私たちはその人たちをこの仕事に当たらせることにします。 + そして、私たちは、もっぱら祈りとみことばの奉仕に励むことにします。」 + この提案は全員の承認するところとなり、彼らは、信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ、およびピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、アンテオケの改宗者ニコラオを選び、 + この人たちを使徒たちの前に立たせた。そこで使徒たちは祈って、手を彼らの上に置いた。 + こうして神のことばは、ますます広まって行き、エルサレムで、弟子の数が非常にふえて行った。そして、多くの祭司たちが次々に信仰に入った。 + さて、ステパノは恵みと力とに満ち、人々の間で、すばらしい不思議なわざとしるしを行っていた。 + ところが、いわゆるリベルテンの会堂に属する人々で、クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤから来た人々などが立ち上がって、ステパノと議論した。 + しかし、彼が知恵と御霊によって語っていたので、それに対抗することができなかった。 + そこで、彼らはある人々をそそのかし、「私たちは彼がモーセと神とをけがすことばを語るのを聞いた」と言わせた。 + また、民衆と長老たちと律法学者たちを扇動し、彼を襲って捕らえ、議会にひっぱって行った。 + そして、偽りの証人たちを立てて、こう言わせた。「この人は、この聖なる所と律法とに逆らうことばを語るのをやめません。 + 『あのナザレ人イエスはこの聖なる所をこわし、モーセが私たちに伝えた慣例を変えてしまう』と彼が言うのを、私たちは聞きました。」 + 議会で席に着いていた人々はみな、ステパノに目を注いだ。すると彼の顔は御使いの顔のように見えた。 + + + 大祭司は、「そのとおりか」と尋ねた。 + そこでステパノは言った。「兄弟たち、父たちよ。聞いてください。私たちの父アブラハムが、ハランに住む以前まだメソポタミヤにいたとき、栄光の神が彼に現れて、 + 『あなたの土地とあなたの親族を離れ、わたしがあなたに示す地に行け』と言われました。 + そこで、アブラハムはカルデヤ人の地を出て、ハランに住みました。そして、父の死後、神は彼をそこから今あなたがたの住んでいるこの地にお移しになりましたが、 + ここでは、足の踏み場となるだけのものさえも、相続財産として彼にお与えになりませんでした。それでも、子どももなかった彼に対して、この地を彼とその子孫に財産として与えることを約束されたのです。 + また神は次のようなことを話されました。『彼の子孫は外国に移り住み、四百年間、奴隷にされ、虐待される。』 + そして、こう言われました。『彼らを奴隷にする国民は、わたしがさばく。その後、彼らはのがれ出て、この所で、わたしを礼拝する。』 + また神は、アブラハムに割礼の契約をお与えになりました。こうして、彼にイサクが生まれました。彼は八日目にイサクに割礼を施しました。それから、イサクにヤコブが生まれ、ヤコブに十二人の族長が生まれました。 + 族長たちはヨセフをねたんで、彼をエジプトに売りとばしました。しかし、神は彼とともにおられ、 + あらゆる患難から彼を救い出し、エジプト王パロの前で、恵みと知恵をお与えになったので、パロは彼をエジプトと王の家全体を治める大臣に任じました。 + ところが、エジプトとカナンとの全地にききんが起こり、大きな災難が襲って来たので、私たちの父祖たちには、食物がなくなりました。 + しかし、ヤコブはエジプトに穀物があると聞いて、初めに私たちの父祖たちを遣わしました。 + 二回目のとき、ヨセフは兄弟たちに、自分のことを打ち明け、ヨセフの家族のことがパロに明らかになりました。 + そこで、ヨセフは人をやって、父ヤコブと七十五人の全親族を呼び寄せました。 + ヤコブはエジプトに下り、そこで彼も私たちの父祖たちも死にました。 + そしてシケムに運ばれ、かねてアブラハムがいくらかの金でシケムのハモルの子から買っておいた墓に葬られました。 + 神がアブラハムにお立てになった約束の時が近づくにしたがって、民はエジプトの中にふえ広がり、 + ヨセフのことを知らない別の王がエジプトの王位につくときまで続きました。 + この王は、私たちの同胞に対して策略を巡らし、私たちの父祖たちを苦しめて、幼子を捨てさせ、生かしておけないようにしました。 + このようなときに、モーセが生まれたのです。彼は神の目にかなった、かわいらしい子で、三か月の間、父の家で育てられましたが、 + ついに捨てられたのをパロの娘が拾い上げ、自分の子として育てたのです。 + モーセはエジプト人のあらゆる学問を教え込まれ、ことばにもわざにも力がありました。 + 四十歳になったころ、モーセはその兄弟であるイスラエル人を、顧みる心を起こしました。 + そして、同胞のひとりが虐待されているのを見て、その人をかばい、エジプト人を打ち倒して、乱暴されているその人の仕返しをしました。 + 彼は、自分の手によって神が兄弟たちに救いを与えようとしておられることを、みなが理解してくれるものと思っていましたが、彼らは理解しませんでした。 + 翌日彼は、兄弟たちが争っているところに現れ、和解させようとして、『あなたがたは、兄弟なのだ。それなのにどうしてお互いに傷つけ合っているのか』と言いました。 + すると、隣人を傷つけていた者が、モーセを押しのけてこう言いました。『だれがあなたを、私たちの支配者や裁判官にしたのか。 + きのうエジプト人を殺したように、私も殺す気か。』 + このことばを聞いたモーセは、逃げてミデアンの地に身を寄せ、そこで男の子ふたりをもうけました。 + 四十年たったとき、御使いが、モーセに、シナイ山の荒野で柴の燃える炎の中に現れました。 + その光景を見たモーセは驚いて、それをよく見ようとして近寄ったとき、主の御声が聞こえました。 + 『わたしはあなたの父祖たちの神、アブラハム、イサク、ヤコブの神である。』そこで、モーセは震え上がり、見定める勇気もなくなりました。 + すると、主は彼にこう言われたのです。『あなたの足のくつを脱ぎなさい。あなたの立っている所は聖なる地である。 + わたしは、確かにエジプトにいるわたしの民の苦難を見、そのうめき声を聞いたので、彼らを救い出すために下って来た。さあ、行きなさい。わたしはあなたをエジプトに遣わそう。』 + 『だれがあなたを支配者や裁判官にしたのか』と言って人々が拒んだこのモーセを、神は柴の中で彼に現れた御使いの手によって、支配者また解放者としてお遣わしになったのです。 + この人が、彼らを導き出し、エジプトの地で、紅海で、また四十年間荒野で、不思議なわざとしるしを行いました。 + このモーセが、イスラエルの人々に、『神はあなたがたのために、私のようなひとりの預言者を、あなたがたの兄弟たちの中からお立てになる』と言ったのです。 + また、この人が、シナイ山で彼に語った御使いや私たちの父祖たちとともに、荒野の集会において、生けるみことばを授かり、あなたがたに与えたのです。 + ところが、私たちの父祖たちは彼に従うことを好まず、かえって彼を退け、エジプトをなつかしく思って、 + 『私たちに、先立って行く神々を作ってください。私たちをエジプトの地から導き出したモーセは、どうなったのかわかりませんから』とアロンに言いました。 + そのころ彼らは子牛を作り、この偶像に供え物をささげ、彼らの手で作った物を楽しんでいました。 + そこで、神は彼らに背を向け、彼らが天の星に仕えるままにされました。預言者たちの書に書いてあるとおりです。『イスラエルの家よ。あなたがたは荒野にいた四十年の間に、ほふられた獣と供え物とを、わたしにささげたことがあったか。 + あなたがたは、モロクの幕屋とロンパの神の星をかついでいた。それらは、あなたがたが拝むために作った偶像ではないか。それゆえ、わたしは、あなたがたをバビロンのかなたへ移す。』 + 私たちの父祖たちのためには、荒野にあかしの幕屋がありました。それは、見たとおりの形に造れとモーセに言われた方の命令どおりに、造られていました。 + 私たちの父祖たちは、この幕屋を次々に受け継いで、神が彼らの前から異邦人を追い払い、その領土を取らせてくださったときには、ヨシュアとともにそれを運び入れ、ついにダビデの時代となりました。 + ダビデは神の前に恵みをいただき、ヤコブの神のために御住まいを得たいと願い求めました。 + けれども、神のために家を建てたのはソロモンでした。 + しかし、いと高き方は、手で造った家にはお住みになりません。預言者が語っているとおりです。 + 『主は言われる。天はわたしの王座、地はわたしの足の足台である。あなたがたは、どのような家をわたしのために建てようとするのか。わたしの休む所とは、どこか。 + わたしの手が、これらのものをみな、造ったのではないか。』 + かたくなで、心と耳とに割礼を受けていない人たち。あなたがたは、父祖たちと同様に、いつも聖霊に逆らっているのです。 + あなたがたの父祖たちが迫害しなかった預言者がだれかあったでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを前もって宣べた人たちを殺したが、今はあなたがたが、この正しい方を裏切る者、殺す者となりました。 + あなたがたは、御使いたちによって定められた律法を受けたが、それを守ったことはありません。」 + 人々はこれを聞いて、はらわたが煮え返る思いで、ステパノに向かって歯ぎしりした。 + しかし、聖霊に満たされていたステパノは、天を見つめ、神の栄光と、神の右に立っておられるイエスとを見て、 + こう言った。「見なさい。天が開けて、人の子が神の右に立っておられるのが見えます。」 + 人々は大声で叫びながら、耳をおおい、いっせいにステパノに殺到した。 + そして彼を町の外に追い出して、石で打ち殺した。証人たちは、自分たちの着物をサウロという青年の足もとに置いた。 + こうして彼らがステパノに石を投げつけていると、ステパノは主を呼んで、こう言った。「主イエスよ。私の霊をお受けください。」 + そして、ひざまずいて、大声でこう叫んだ。「主よ。この罪を彼らに負わせないでください。」こう言って、眠りについた。 + + + サウロは、ステパノを殺すことに賛成していた。その日、エルサレムの教会に対する激しい迫害が起こり、使徒たち以外の者はみな、ユダヤとサマリヤの諸地方に散らされた。 + 敬虔な人たちはステパノを葬り、彼のために非常に悲しんだ。 + サウロは教会を荒らし、家々に入って、男も女も引きずり出し、次々に牢に入れた。 + 他方、散らされた人たちは、みことばを宣べながら、巡り歩いた。 + ピリポはサマリヤの町に下って行き、人々にキリストを宣べ伝えた。 + 群衆はピリポの話を聞き、その行っていたしるしを見て、みなそろって、彼の語ることに耳を傾けた。 + 汚れた霊につかれた多くの人たちからは、その霊が大声で叫んで出て行くし、多くの中風の者や足のなえた者は直ったからである。 + それでその町に大きな喜びが起こった。 + ところが、この町にシモンという人がいた。彼は以前からこの町で魔術を行って、サマリヤの人々を驚かし、自分は偉大な者だと話していた。 + 小さな者から大きな者に至るまで、あらゆる人々が彼に関心を抱き、「この人こそ、大能と呼ばれる、神の力だ」と言っていた。 + 人々が彼に関心を抱いたのは、長い間、その魔術に驚かされていたからである。 + しかし、ピリポが神の国とイエス・キリストの御名について宣べるのを信じた彼らは、男も女もバプテスマを受けた。 + シモン自身も信じて、バプテスマを受け、いつもピリポについていた。そして、しるしとすばらしい奇蹟が行われるのを見て、驚いていた。 + さて、エルサレムにいる使徒たちは、サマリヤの人々が神のことばを受け入れたと聞いて、ペテロとヨハネを彼らのところへ遣わした。 + ふたりは下って行って、人々が聖霊を受けるように祈った。 + 彼らは主イエスの御名によってバプテスマを受けていただけで、聖霊がまだだれにも下っておられなかったからである。 + ふたりが彼らの上に手を置くと、彼らは聖霊を受けた。 + 使徒たちが手を置くと御霊が与えられるのを見たシモンは、使徒たちのところに金を持って来て、 + 「私が手を置いた者がだれでも聖霊を受けられるように、この権威を私にも下さい」と言った。 + ペテロは彼に向かって言った。「あなたの金は、あなたとともに滅びるがよい。あなたは金で神の賜物を手に入れようと思っているからです。 + あなたは、このことについては何の関係もないし、それにあずかることもできません。あなたの心が神の前に正しくないからです。 + だから、この悪事を悔い改めて、主に祈りなさい。あるいは、心に抱いた思いが赦されるかもしれません。 + あなたはまだ苦い胆汁と不義のきずなの中にいることが、私にはよくわかっています。」 + シモンは答えて言った。「あなたがたの言われた事が何も私に起こらないように、私のために主に祈ってください。」 + このようにして、使徒たちはおごそかにあかしをし、また主のことばを語って後、エルサレムへの帰途につき、サマリヤ人の多くの村でも福音を宣べ伝えた。 + ところが、主の使いがピリポに向かってこう言った。「立って南へ行き、エルサレムからガザに下る道に出なさい。」(このガザは今、荒れ果てている。) + そこで、彼は立って出かけた。すると、そこに、エチオピヤ人の女王カンダケの高官で、女王の財産全部を管理していた宦官のエチオピヤ人がいた。彼は礼拝のためエルサレムに上り、 + いま帰る途中であった。彼は馬車に乗って、預言者イザヤの書を読んでいた。 + 御霊がピリポに「近寄って、あの馬車といっしょに行きなさい」と言われた。 + そこでピリポが走って行くと、預言者イザヤの書を読んでいるのが聞こえたので、「あなたは、読んでいることが、わかりますか」と言った。 + すると、その人は、「導く人がなければ、どうしてわかりましょう」と言った。そして、馬車に乗っていっしょにすわるように、ピリポに頼んだ。 + 彼が読んでいた聖書の個所には、こう書いてあった。「ほふり場に連れて行かれる羊のように、また、黙々として毛を刈る者の前に立つ小羊のように、彼は口を開かなかった。 + 彼は、卑しめられ、そのさばきも取り上げられた。彼の時代のことを、だれが話すことができようか。彼のいのちは地上から取り去られたのである。」 + 宦官はピリポに向かって言った。「預言者はだれについて、こう言っているのですか。どうか教えてください。自分についてですか。それとも、だれかほかの人についてですか。」 + ピリポは口を開き、この聖句から始めて、イエスのことを彼に宣べ伝えた。 + 道を進んで行くうちに、水のある所に来たので、宦官は言った。「ご覧なさい。水があります。私がバプテスマを受けるのに、何かさしつかえがあるでしょうか。」 + 異本は三七節をこのあとに挿入している。「そこでピリポは言った。『もしあなたが心底から信じるならば、よいのです。』すると彼は答えて言った。『私は、イエス・キリストが神の御子であると信じます。』」 + そして馬車を止めさせ、ピリポも宦官も水の中へ降りて行き、ピリポは宦官にバプテスマを授けた。 + 水から上がって来たとき、主の霊がピリポを連れ去られたので、宦官はそれから後彼を見なかったが、喜びながら帰って行った。 + それからピリポはアゾトに現れ、すべての町々を通って福音を宣べ伝え、カイザリヤに行った。 + + + さてサウロは、なおも主の弟子たちに対する脅かしと殺害の意に燃えて、大祭司のところに行き、 + ダマスコの諸会堂あての手紙を書いてくれるよう頼んだ。それは、この道の者であれば男でも女でも、見つけ次第縛り上げてエルサレムに引いて来るためであった。 + ところが、道を進んで行って、ダマスコの近くまで来たとき、突然、天からの光が彼を巡り照らした。 + 彼は地に倒れて、「サウロ、サウロ。なぜわたしを迫害するのか」という声を聞いた。 + 彼が、「主よ。あなたはどなたですか」と言うと、お答えがあった。「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 + 立ち上がって、町に入りなさい。そうすれば、あなたのしなければならないことが告げられるはずです。」 + 同行していた人たちは、声は聞こえても、だれも見えないので、ものも言えずに立っていた。 + サウロは地面から立ち上がったが、目は開いていても何も見えなかった。そこで人々は彼の手を引いて、ダマスコへ連れて行った。 + 彼は三日の間、目が見えず、また飲み食いもしなかった。 + さて、ダマスコにアナニヤという弟子がいた。主が彼に幻の中で、「アナニヤよ」と言われたので、「主よ。ここにおります」と答えた。 + すると主はこう言われた。「立って、『まっすぐ』という街路に行き、サウロというタルソ人をユダの家に尋ねなさい。そこで、彼は祈っています。 + 彼は、アナニヤという者が入って来て、自分の上に手を置くと、目が再び見えるようになるのを、幻で見たのです。」 + しかし、アナニヤはこう答えた。「主よ。私は多くの人々から、この人がエルサレムで、あなたの聖徒たちにどんなにひどいことをしたかを聞きました。 + 彼はここでも、あなたの御名を呼ぶ者たちをみな捕縛する権限を、祭司長たちから授けられているのです。」 + しかし、主はこう言われた。「行きなさい。あの人はわたしの名を、異邦人、王たち、イスラエルの子孫の前に運ぶ、わたしの選びの器です。 + 彼がわたしの名のために、どんなに苦しまなければならないかを、わたしは彼に示すつもりです。」 + そこでアナニヤは出かけて行って、その家に入り、サウロの上に手を置いてこう言った。「兄弟サウロ。あなたの来る途中、あなたに現れた主イエスが、私を遣わされました。あなたが再び見えるようになり、聖霊に満たされるためです。」 + するとただちに、サウロの目からうろこのような物が落ちて、目が見えるようになった。彼は立ち上がって、バプテスマを受け、 + 食事をして元気づいた。サウロは数日の間、ダマスコの弟子たちとともにいた。 + そしてただちに、諸会堂で、イエスは神の子であると宣べ伝え始めた。 + これを聞いた人々はみな、驚いてこう言った。「この人はエルサレムで、この御名を呼ぶ者たちを滅ぼした者ではありませんか。ここへやって来たのも、彼らを縛って、祭司長たちのところへ引いて行くためではないのですか。」 + しかしサウロはますます力を増し、イエスがキリストであることを証明して、ダマスコに住むユダヤ人たちをうろたえさせた。 + 多くの日数がたって後、ユダヤ人たちはサウロを殺す相談をしたが、 + その陰謀はサウロに知られてしまった。彼らはサウロを殺してしまおうと、昼も夜も町の門を全部見張っていた。 + そこで、彼の弟子たちは、夜中に彼をかごに乗せ、町の城壁伝いにつり降ろした。 + サウロはエルサレムに着いて、弟子たちの仲間に入ろうと試みたが、みなは彼を弟子だとは信じないで、恐れていた。 + ところが、バルナバは彼を引き受けて、使徒たちのところへ連れて行き、彼がダマスコへ行く途中で主を見た様子や、主が彼に向かって語られたこと、また彼がダマスコでイエスの御名を大胆に宣べた様子などを彼らに説明した。 + それからサウロは、エルサレムで弟子たちとともにいて自由に出はいりし、主の御名によって大胆に語った。 + そして、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちと語ったり、論じたりしていた。しかし、彼らはサウロを殺そうとねらっていた。 + 兄弟たちはそれと知って、彼をカイザリヤに連れて下り、タルソへ送り出した。 + こうして教会は、ユダヤ、ガリラヤ、サマリヤの全地にわたり築き上げられて平安を保ち、主を恐れかしこみ、聖霊に励まされて前進し続けたので、信者の数がふえて行った。 + さて、ペテロはあらゆる所を巡回したが、ルダに住む聖徒たちのところへも下って行った。 + 彼はそこで、八年の間も床に着いているアイネヤという人に出会った。彼は中風であった。 + ペテロは彼にこう言った。「アイネヤ。イエス・キリストがあなたをいやしてくださるのです。立ち上がりなさい。そして自分で床を整えなさい。」すると彼はただちに立ち上がった。 + ルダとサロンに住む人々はみな、アイネヤを見て、主に立ち返った。 + ヨッパにタビタ(ギリシヤ語に訳せば、ドルカス)という女の弟子がいた。この女は、多くの良いわざと施しをしていた。 + ところが、そのころ彼女は病気になって死に、人々はその遺体を洗って、屋上の間に置いた。 + ルダはヨッパに近かったので、弟子たちは、ペテロがそこにいると聞いて、人をふたり彼のところへ送って、「すぐに来てください」と頼んだ。 + そこでペテロは立って、いっしょに出かけた。ペテロが到着すると、彼らは屋上の間に案内した。やもめたちはみな泣きながら、彼のそばに来て、ドルカスがいっしょにいたころ作ってくれた下着や上着の数々を見せるのであった。 + ペテロはみなの者を外に出し、ひざまずいて祈った。そしてその遺体のほうを向いて、「タビタ。起きなさい」と言った。すると彼女は目をあけ、ペテロを見て起き上がった。 + そこで、ペテロは手を貸して彼女を立たせた。そして聖徒たちとやもめたちとを呼んで、生きている彼女を見せた。 + このことがヨッパ中に知れ渡り、多くの人々が主を信じた。 + そして、ペテロはしばらくの間、ヨッパで、皮なめしのシモンという人の家に泊まっていた。 + + + さて、カイザリヤにコルネリオという人がいて、イタリヤ隊という部隊の百人隊長であった。 + 彼は敬虔な人で、全家族とともに神を恐れかしこみ、ユダヤの人々に多くの施しをなし、いつも神に祈りをしていたが、 + ある日の午後三時ごろ、幻の中で、はっきりと神の御使いを見た。御使いは彼のところに来て、「コルネリオ」と呼んだ。 + 彼は、御使いを見つめていると、恐ろしくなって、「主よ。何でしょうか」と答えた。すると御使いはこう言った。「あなたの祈りと施しは神の前に立ち上って、覚えられています。 + さあ今、ヨッパに人をやって、シモンという人を招きなさい。彼の名はペテロとも呼ばれています。 + この人は皮なめしのシモンという人の家に泊まっていますが、その家は海べにあります。」 + 御使いが彼にこう語って立ち去ると、コルネリオはそのしもべたちの中のふたりと、側近の部下の中の敬虔な兵士ひとりとを呼び寄せ、 + 全部のことを説明してから、彼らをヨッパへ遣わした。 + その翌日、この人たちが旅を続けて、町の近くまで来たころ、ペテロは祈りをするために屋上に上った。昼の十二時ごろであった。 + すると彼は非常に空腹を覚え、食事をしたくなった。ところが、食事の用意がされている間に、彼はうっとりと夢ごこちになった。 + 見ると、天が開けており、大きな敷布のような入れ物が、四隅をつるされて地上に降りて来た。 + その中には、地上のあらゆる種類の四つ足の動物や、はうもの、また、空の鳥などがいた。 + そして、彼に、「ペテロ。さあ、ほふって食べなさい」という声が聞こえた。 + しかしペテロは言った。「主よ。それはできません。私はまだ一度も、きよくない物や汚れた物を食べたことがありません。」 + すると、再び声があって、彼にこう言った。「神がきよめた物を、きよくないと言ってはならない。」 + こんなことが三回あって後、その入れ物はすぐ天に引き上げられた。 + ペテロが、いま見た幻はいったいどういうことだろう、と思い惑っていると、ちょうどそのとき、コルネリオから遣わされた人たちが、シモンの家をたずね当てて、その門口に立っていた。 + そして、声をかけて、ペテロと呼ばれるシモンという人がここに泊まっているだろうかと尋ねていた。 + ペテロが幻について思い巡らしているとき、御霊が彼にこう言われた。「見なさい。三人の人があなたをたずねて来ています。 + さあ、下に降りて行って、ためらわずに、彼らといっしょに行きなさい。彼らを遣わしたのはわたしです。」 + そこでペテロは、その人たちのところへ降りて行って、こう言った。「あなたがたのたずねているペテロは、私です。どんなご用でおいでになったのですか。」 + すると彼らはこう言った。「百人隊長コルネリオという正しい人で、神を恐れかしこみ、ユダヤの全国民に評判の良い人が、あなたを自分の家にお招きして、あなたからお話を聞くように、聖なる御使いによって示されました。」 + それで、ペテロは、彼らを中に入れて泊まらせた。明くる日、ペテロは、立って彼らといっしょに出かけた。ヨッパの兄弟たちも数人同行した。 + その翌日、彼らはカイザリヤに着いた。コルネリオは、親族や親しい友人たちを呼び集め、彼らを待っていた。 + ペテロが着くと、コルネリオは出迎えて、彼の足もとにひれ伏して拝んだ。 + するとペテロは彼を起こして、「お立ちなさい。私もひとりの人間です」と言った。 + それから、コルネリオとことばをかわしながら家に入り、多くの人が集まっているのを見て、 + 彼らにこう言った。「ご承知のとおり、ユダヤ人が外国人の仲間に入ったり、訪問したりするのは、律法にかなわないことです。ところが、神は私に、どんな人のことでも、きよくないとか、汚れているとか言ってはならないことを示してくださいました。 + それで、お迎えを受けたとき、ためらわずに来たのです。そこで、お尋ねしますが、あなたがたは、いったいどういうわけで私をお招きになったのですか。」 + するとコルネリオがこう言った。「四日前のこの時刻に、私が家で午後三時の祈りをしていますと、どうでしょう、輝いた衣を着た人が、私の前に立って、 + こう言いました。『コルネリオ。あなたの祈りは聞き入れられ、あなたの施しは神の前に覚えられている。 + それで、ヨッパに人をやってシモンを招きなさい。彼の名はペテロとも呼ばれている。この人は海べにある、皮なめしのシモンの家に泊まっている。』 + それで、私はすぐあなたのところへ人を送ったのですが、よくおいでくださいました。いま私たちは、主があなたにお命じになったすべてのことを伺おうとして、みな神の御前に出ております。」 + そこでペテロは、口を開いてこう言った。「これで私は、はっきりわかりました。神はかたよったことをなさらず、 + どの国の人であっても、神を恐れかしこみ、正義を行う人なら、神に受け入れられるのです。 + 神はイエス・キリストによって、平和を宣べ伝え、イスラエルの子孫にみことばをお送りになりました。このイエス・キリストはすべての人の主です。 + あなたがたは、ヨハネが宣べ伝えたバプテスマの後、ガリラヤから始まって、ユダヤ全土に起こった事がらを、よくご存じです。 + それは、ナザレのイエスのことです。神はこの方に聖霊と力を注がれました。このイエスは、神がともにおられたので、巡り歩いて良いわざをなし、また悪魔に制せられているすべての者をいやされました。 + 私たちは、イエスがユダヤ人の地とエルサレムとで行われたすべてのことの証人です。人々はこの方を木にかけて殺しました。 + しかし、神はこのイエスを三日目によみがえらせ、現れさせてくださいました。 + しかし、それはすべての人々にではなく、神によって前もって選ばれた証人である私たちにです。私たちは、イエスが死者の中からよみがえられて後、ごいっしょに食事をしました。 + イエスは私たちに命じて、このイエスこそ生きている者と死んだ者とのさばき主として、神によって定められた方であることを人々に宣べ伝え、そのあかしをするように、言われたのです。 + イエスについては、預言者たちもみな、この方を信じる者はだれでも、その名によって罪の赦しが受けられる、とあかししています。」 + ペテロがなおもこれらのことばを話し続けているとき、みことばに耳を傾けていたすべての人々に、聖霊がお下りになった。 + 割礼を受けている信者で、ペテロといっしょに来た人たちは、異邦人にも聖霊の賜物が注がれたので驚いた。 + 彼らが異言を話し、神を賛美するのを聞いたからである。そこでペテロはこう言った。 + 「この人たちは、私たちと同じように、聖霊を受けたのですから、いったいだれが、水をさし止めて、この人たちにバプテスマを受けさせないようにすることができましょうか。」 + そして、イエス・キリストの御名によってバプテスマを受けるように彼らに命じた。彼らは、ペテロに数日間滞在するように願った。 + + + さて、使徒たちやユダヤにいる兄弟たちは、異邦人たちも神のみことばを受け入れた、ということを耳にした。 + そこで、ペテロがエルサレムに上ったとき、割礼を受けた者たちは、彼を非難して、 + 「あなたは割礼のない人々のところに行って、彼らといっしょに食事をした」と言った。 + そこでペテロは口を開いて、事の次第を順序正しく説明して言った。 + 「私がヨッパの町で祈っていると、うっとりと夢ごこちになり、幻を見ました。四隅をつり下げられた大きな敷布のような入れ物が天から降りて来て、私のところに届いたのです。 + その中をよく見ると、地の四つ足の獣、野獣、はうもの、空の鳥などが見えました。 + そして、『ペテロ。さあ、ほふって食べなさい』と言う声を聞きました。 + しかし私は、『主よ。それはできません。私はまだ一度も、きよくない物や汚れた物を食べたことがありません』と言いました。 + すると、もう一度天から声がして、『神がきよめた物を、きよくないと言ってはならない』というお答えがありました。 + こんなことが三回あって後、全部の物がまた天へ引き上げられました。 + すると、どうでしょう。ちょうどそのとき、カイザリヤから私のところへ遣わされた三人の人が、私たちのいた家の前に来ていました。 + そして御霊は私に、ためらわずにその人たちといっしょに行くように、と言われました。そこで、この六人の兄弟たちも私に同行して、私たちはその人の家に入って行きました。 + その人が私たちに告げたところによると、彼は御使いを見ましたが、御使いは彼の家の中に立って、『ヨッパに使いをやって、ペテロと呼ばれるシモンを招きなさい。 + その人があなたとあなたの家にいるすべての人を救うことばを話してくれます』と言ったというのです。 + そこで私が話し始めていると、聖霊が、あの最初のとき私たちにお下りになったと同じように、彼らの上にもお下りになったのです。 + 私はそのとき、主が、『ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは、聖霊によってバプテスマを授けられる』と言われたみことばを思い起こしました。 + こういうわけですから、私たちが主イエス・キリストを信じたとき、神が私たちに下さったのと同じ賜物を、彼らにもお授けになったのなら、どうして私などが神のなさることを妨げることができましょう。」 + 人々はこれを聞いて沈黙し、「それでは、神は、いのちに至る悔い改めを異邦人にもお与えになったのだ」と言って、神をほめたたえた。 + さて、ステパノのことから起こった迫害によって散らされた人々は、フェニキヤ、キプロス、アンテオケまでも進んで行ったが、ユダヤ人以外の者にはだれにも、みことばを語らなかった。 + ところが、その中にキプロス人とクレネ人が幾人かいて、アンテオケに来てからはギリシヤ人にも語りかけ、主イエスのことを宣べ伝えた。 + そして、主の御手が彼らとともにあったので、大ぜいの人が信じて主に立ち返った。 + この知らせが、エルサレムにある教会に聞こえたので、彼らはバルナバをアンテオケに派遣した。 + 彼はそこに到着したとき、神の恵みを見て喜び、みなが心を堅く保って、常に主にとどまっているようにと励ました。 + 彼はりっぱな人物で、聖霊と信仰に満ちている人であった。こうして、大ぜいの人が主に導かれた。 + バルナバはサウロを捜しにタルソへ行き、 + 彼に会って、アンテオケに連れて来た。そして、まる一年の間、彼らは教会に集まり、大ぜいの人たちを教えた。弟子たちは、アンテオケで初めて、キリスト者と呼ばれるようになった。 + そのころ、預言者たちがエルサレムからアンテオケに下って来た。 + その中のひとりでアガボという人が立って、世界中に大ききんが起こると御霊によって預言したが、はたしてそれがクラウデオの治世に起こった。 + そこで、弟子たちは、それぞれの力に応じて、ユダヤに住んでいる兄弟たちに救援の物を送ることに決めた。 + 彼らはそれを実行して、バルナバとサウロの手によって長老たちに送った。 + + + そのころ、ヘロデ王は、教会の中のある人々を苦しめようとして、その手を伸ばし、 + ヨハネの兄弟ヤコブを剣で殺した。 + それがユダヤ人の気に入ったのを見て、次にはペテロをも捕らえにかかった。それは、種なしパンの祝いの時期であった。 + ヘロデはペテロを捕らえて牢に入れ、四人一組の兵士四組に引き渡して監視させた。それは、過越の祭りの後に、民の前に引き出す考えであったからである。 + こうしてペテロは牢に閉じ込められていた。教会は彼のために、神に熱心に祈り続けていた。 + ところでヘロデが彼を引き出そうとしていた日の前夜、ペテロは二本の鎖につながれてふたりの兵士の間で寝ており、戸口には番兵たちが牢を監視していた。 + すると突然、主の御使いが現れ、光が牢を照らした。御使いはペテロのわき腹をたたいて彼を起こし、「急いで立ち上がりなさい」と言った。すると、鎖が彼の手から落ちた。 + そして御使いが、「帯を締めて、くつをはきなさい」と言うので、彼はそのとおりにした。すると、「上着を着て、私について来なさい」と言った。 + そこで、外に出て、御使いについて行った。彼には御使いのしている事が現実の事だとはわからず、幻を見ているのだと思われた。 + 彼らが、第一、第二の衛所を通り、町に通じる鉄の門まで来ると、門がひとりでに開いた。そこで、彼らは外に出て、ある通りを進んで行くと、御使いは、たちまち彼を離れた。 + そのとき、ペテロは我に返って言った。「今、確かにわかった。主は御使いを遣わして、ヘロデの手から、また、ユダヤ人たちが待ち構えていたすべての災いから、私を救い出してくださったのだ。」 + こうとわかったので、ペテロは、マルコと呼ばれているヨハネの母マリヤの家へ行った。そこには大ぜいの人が集まって、祈っていた。 + 彼が入口の戸をたたくと、ロダという女中が応対に出て来た。 + ところが、ペテロの声だとわかると、喜びのあまり門をあけもしないで、奥へ駆け込み、ペテロが門の外に立っていることをみなに知らせた。 + 彼らは、「あなたは気が狂っているのだ」と言ったが、彼女はほんとうだと言い張った。そこで彼らは、「それは彼の御使いだ」と言っていた。 + しかし、ペテロはたたき続けていた。彼らが門をあけると、そこにペテロがいたので、非常に驚いた。 + しかし彼は、手ぶりで彼らを静かにさせ、主がどのようにして牢から救い出してくださったかを、彼らに話して聞かせた。それから、「このことをヤコブと兄弟たちに知らせてください」と言って、ほかの所へ出て行った。 + さて、朝になると、ペテロはどうなったのかと、兵士たちの間に大騒ぎが起こった。 + ヘロデは彼を捜したが見つけることができないので、番兵たちを取り調べ、彼らを処刑するように命じ、そして、ユダヤからカイザリヤに下って行って、そこに滞在した。 + さて、ヘロデはツロとシドンの人々に対して強い敵意を抱いていた。そこで彼らはみなでそろって彼をたずね、王の侍従ブラストに取り入って和解を求めた。その地方は王の国から食糧を得ていたからである。 + 定められた日に、ヘロデは王服を着けて、王座に着き、彼らに向かって演説を始めた。 + そこで民衆は、「神の声だ。人間の声ではない」と叫び続けた。 + するとたちまち、主の使いがヘロデを打った。ヘロデが神に栄光を帰さなかったからである。彼は虫にかまれて息が絶えた。 + 主のみことばは、ますます盛んになり、広まって行った。 + 任務を果たしたバルナバとサウロは、マルコと呼ばれるヨハネを連れて、エルサレムから帰って来た。 + + + さて、アンテオケには、そこにある教会に、バルナバ、ニゲルと呼ばれるシメオン、クレネ人ルキオ、国主ヘロデの乳兄弟マナエン、サウロなどという預言者や教師がいた。 + 彼らが主を礼拝し、断食をしていると、聖霊が、「バルナバとサウロをわたしのために聖別して、わたしが召した任務につかせなさい」と言われた。 + そこで彼らは、断食と祈りをして、ふたりの上に手を置いてから、送り出した。 + ふたりは聖霊に遣わされて、セルキヤに下り、そこから船でキプロスに渡った。 + サラミスに着くと、ユダヤ人の諸会堂で神のことばを宣べ始めた。彼らはヨハネを助手として連れていた。 + 島全体を巡回して、パポスまで行ったところ、にせ預言者で、名をバルイエスというユダヤ人の魔術師に出会った。 + この男は地方総督セルギオ・パウロのもとにいた。この総督は賢明な人であって、バルナバとサウロを招いて、神のことばを聞きたいと思っていた。 + ところが、魔術師エルマ(エルマという名を訳すと魔術師)は、ふたりに反対して、総督を信仰の道から遠ざけようとした。 + しかし、サウロ、別名でパウロは、聖霊に満たされ、彼をにらみつけて、 + 言った。「ああ、あらゆる偽りとよこしまに満ちた者、悪魔の子、すべての正義の敵。おまえは、主のまっすぐな道を曲げることをやめないのか。 + 見よ。主の御手が今、おまえの上にある。おまえは盲目になって、しばらくの間、日の光を見ることができなくなる」と言った。するとたちまち、かすみとやみが彼をおおったので、彼は手を引いてくれる人を捜し回った。 + この出来事を見た総督は、主の教えに驚嘆して信仰に入った。 + パウロの一行は、パポスから船出して、パンフリヤのペルガに渡った。ここでヨハネは一行から離れて、エルサレムに帰った。 + しかし彼らは、ペルガから進んでピシデヤのアンテオケに行き、安息日に会堂に入って席に着いた。 + 律法と預言者の朗読があって後、会堂の管理者たちが、彼らのところに人をやってこう言わせた。「兄弟たち。あなたがたのうちどなたか、この人たちのために奨励のことばがあったら、どうぞお話しください。」 + そこでパウロが立ち上がり、手を振りながら言った。「イスラエルの人たち、ならびに神を恐れかしこむ方々。よく聞いてください。 + この民イスラエルの神は、私たちの父祖たちを選び、民がエジプトの地に滞在していた間にこれを強大にし、御腕を高く上げて、彼らをその地から導き出してくださいました。 + そして約四十年間、荒野で彼らを耐え忍ばれました。 + それからカナンの地で、七つの民を滅ぼし、その地を相続財産として分配されました。これが、約四百五十年間のことです。 + その後、預言者サムエルの時代までは、さばき人たちをお遣わしになりました。 + それから彼らが王をほしがったので、神はベニヤミン族の人、キスの子サウロを四十年間お与えになりました。 + それから、彼を退けて、ダビデを立てて王とされましたが、このダビデについてあかしして、こう言われました。『わたしはエッサイの子ダビデを見いだした。彼はわたしの心にかなった者で、わたしのこころを余すところなく実行する。』 + 神は、このダビデの子孫から、約束に従って、イスラエルに救い主イエスをお送りになりました。 + この方がおいでになる前に、ヨハネがイスラエルのすべての民に、前もって悔い改めのバプテスマを宣べ伝えていました。 + ヨハネは、その一生を終えようとするころ、こう言いました。『あなたがたは、私をだれと思うのですか。私はその方ではありません。ご覧なさい。その方は私のあとからおいでになります。私は、その方のくつのひもを解く値うちもありません。』 + 兄弟の方々、アブラハムの子孫の方々、ならびに皆さんの中で神を恐れかしこむ方々。この救いのことばは、私たちに送られているのです。 + エルサレムに住む人々とその指導者たちは、このイエスを認めず、また安息日ごとに読まれる預言者のことばを理解せず、イエスを罪に定めて、その預言を成就させてしまいました。 + そして、死罪に当たる何の理由も見いだせなかったのに、イエスを殺すことをピラトに強要したのです。 + こうして、イエスについて書いてあることを全部成し終えて後、イエスを十字架から取り降ろして墓の中に納めました。 + しかし、神はこの方を死者の中からよみがえらせたのです。 + イエスは幾日にもわたり、ご自分といっしょにガリラヤからエルサレムに上った人たちに、現れました。きょう、その人たちがこの民に対してイエスの証人となっています。 + 私たちは、神が父祖たちに対してなされた約束について、あなたがたに良い知らせをしているのです。 + 神は、イエスをよみがえらせ、それによって、私たち子孫にその約束を果たされました。詩篇の第二篇に、『あなたは、わたしの子。きょう、わたしがあなたを生んだ』と書いてあるとおりです。 + 神がイエスを死者の中からよみがえらせて、もはや朽ちることのない方とされたことについては、『わたしはダビデに約束した聖なる確かな祝福を、あなたがたに与える』というように言われていました。 + ですから、ほかの所でこう言っておられます。『あなたは、あなたの聖者を朽ち果てるままにはしておかれない。』 + ダビデは、その生きていた時代において神のみこころに仕えて後、死んで父祖たちの仲間に加えられ、ついに朽ち果てました。 + しかし、神がよみがえらせた方は、朽ちることがありませんでした。 + ですから、兄弟たち。あなたがたに罪の赦しが宣べられているのはこの方によるということを、よく知っておいてください。 + モーセの律法によっては解放されることのできなかったすべての点について、信じる者はみな、この方によって、解放されるのです。 + ですから、預言者に言われているような事が、あなたがたの上に起こらないように気をつけなさい。 + 『見よ。あざける者たち。驚け。そして滅びよ。わたしはおまえたちの時代に一つのことをする。それは、おまえたちに、どんなに説明しても、とうてい信じられないほどのことである。』」 + ふたりが会堂を出るとき、人々は、次の安息日にも同じことについて話してくれるように頼んだ。 + 会堂の集会が終わってからも、多くのユダヤ人と神を敬う改宗者たちが、パウロとバルナバについて来たので、ふたりは彼らと話し合って、いつまでも神の恵みにとどまっているように勧めた。 + 次の安息日には、ほとんど町中の人が、神のことばを聞きに集まって来た。 + しかし、この群衆を見たユダヤ人たちは、ねたみに燃え、パウロの話に反対して、口ぎたなくののしった。 + そこでパウロとバルナバは、はっきりとこう宣言した。「神のことばは、まずあなたがたに語られなければならなかったのです。しかし、あなたがたはそれを拒んで、自分自身を永遠のいのちにふさわしくない者と決めたのです。見なさい。私たちは、これからは異邦人のほうへ向かいます。 + なぜなら、主は私たちに、こう命じておられるからです。『わたしはあなたを立てて、異邦人の光とした。あなたが地の果てまでも救いをもたらすためである。』」 + 異邦人たちは、それを聞いて喜び、主のみことばを賛美した。そして、永遠のいのちに定められていた人たちは、みな、信仰に入った。 + こうして、主のみことばは、この地方全体に広まった。 + ところが、ユダヤ人たちは、神を敬う貴婦人たちや町の有力者たちを扇動して、パウロとバルナバを迫害させ、ふたりをその地方から追い出した。 + ふたりは、彼らに対して足のちりを払い落として、イコニオムへ行った。 + 弟子たちは喜びと聖霊に満たされていた。 + + + イコニオムでも、ふたりは連れ立ってユダヤ人の会堂に入り、話をすると、ユダヤ人もギリシヤ人も大ぜいの人々が信仰に入った。 + しかし、信じようとしないユダヤ人たちは、異邦人たちをそそのかして、兄弟たちに対し悪意を抱かせた。 + それでも、ふたりは長らく滞在し、主によって大胆に語った。主は、彼らの手にしるしと不思議なわざを行わせ、御恵みのことばの証明をされた。 + ところが、町の人々は二派に分かれ、ある者はユダヤ人の側につき、ある者は使徒たちの側についた。 + 異邦人とユダヤ人が彼らの指導者たちといっしょになって、使徒たちをはずかしめて、石打ちにしようと企てたとき、 + ふたりはそれを知って、ルカオニヤの町であるルステラとデルベ、およびその付近の地方に難を避け、 + そこで福音の宣教を続けた。 + ルステラでのことであるが、ある足のきかない人がすわっていた。彼は生まれつき足のなえた人で、歩いたことがなかった。 + この人がパウロの話すことに耳を傾けていた。パウロは彼に目を留め、いやされる信仰があるのを見て、 + 大声で、「自分の足で、まっすぐに立ちなさい」と言った。すると彼は飛び上がって、歩き出した。 + パウロのしたことを見た群衆は、声を張り上げ、ルカオニヤ語で、「神々が人間の姿をとって、私たちのところにお下りになったのだ」と言った。 + そして、バルナバをゼウスと呼び、パウロがおもに話す人であったので、パウロをヘルメスと呼んだ。 + すると、町の門の前にあるゼウス神殿の祭司は、雄牛数頭と花飾りを門の前に携えて来て、群衆といっしょに、いけにえをささげようとした。 + これを聞いた使徒たち、バルナバとパウロは、衣を裂いて、群衆の中に駆け込み、叫びながら、 + 言った。「皆さん。どうしてこんなことをするのですか。私たちも皆さんと同じ人間です。そして、あなたがたがこのようなむなしいことを捨てて、天と地と海とその中にあるすべてのものをお造りになった生ける神に立ち返るように、福音を宣べ伝えている者たちです。 + 過ぎ去った時代には、神はあらゆる国の人々がそれぞれ自分の道を歩むことを許しておられました。 + とはいえ、ご自身のことをあかししないでおられたのではありません。すなわち、恵みをもって、天から雨を降らせ、実りの季節を与え、食物と喜びとで、あなたがたの心を満たしてくださったのです。」 + こう言って、ようやくのことで、群衆が彼らにいけにえをささげるのをやめさせた。 + ところが、アンテオケとイコニオムからユダヤ人たちが来て、群衆を抱き込み、パウロを石打ちにし、死んだものと思って、町の外に引きずり出した。 + しかし、弟子たちがパウロを取り囲んでいると、彼は立ち上がって町に入って行った。その翌日、彼はバルナバとともにデルベに向かった。 + 彼らはその町で福音を宣べ、多くの人を弟子としてから、ルステラとイコニオムとアンテオケとに引き返して、 + 弟子たちの心を強め、この信仰にしっかりとどまるように勧め、「私たちが神の国に入るには、多くの苦しみを経なければならない」と言った。 + また、彼らのために教会ごとに長老たちを選び、断食をして祈って後、彼らをその信じていた主にゆだねた。 + ふたりはピシデヤを通ってパンフリヤに着き、 + ペルガでみことばを語ってから、アタリヤに下り、 + そこから船でアンテオケに帰った。そこは、彼らがいま成し遂げた働きのために、以前神の恵みにゆだねられて送り出された所であった。 + そこに着くと、教会の人々を集め、神が彼らとともにいて行われたすべてのことと、異邦人に信仰の門を開いてくださったこととを報告した。 + そして、彼らはかなり長い期間を弟子たちとともに過ごした。 + + + さて、ある人々がユダヤから下って来て、兄弟たちに、「モーセの慣習に従って割礼を受けなければ、あなたがたは救われない」と教えていた。 + そしてパウロやバルナバと彼らとの間に激しい対立と論争が生じたので、パウロとバルナバと、その仲間のうちの幾人かが、この問題について使徒たちや長老たちと話し合うために、エルサレムに上ることになった。 + 彼らは教会の人々に見送られ、フェニキヤとサマリヤを通る道々で、異邦人の改宗のことを詳しく話したので、すべての兄弟たちに大きな喜びをもたらした。 + エルサレムに着くと、彼らは教会と使徒たちと長老たちに迎えられ、神が彼らとともにいて行われたことを、みなに報告した。 + しかし、パリサイ派の者で信者になった人々が立ち上がり、「異邦人にも割礼を受けさせ、また、モーセの律法を守ることを命じるべきである」と言った。 + そこで使徒たちと長老たちは、この問題を検討するために集まった。 + 激しい論争があって後、ペテロが立ち上がって言った。「兄弟たち。ご存じのとおり、神は初めのころ、あなたがたの間で事をお決めになり、異邦人が私の口から福音のことばを聞いて信じるようにされたのです。 + そして、人の心の中を知っておられる神は、私たちに与えられたと同じように異邦人にも聖霊を与えて、彼らのためにあかしをし、 + 私たちと彼らとに何の差別もつけず、彼らの心を信仰によってきよめてくださったのです。 + それなのに、なぜ、今あなたがたは、私たちの父祖たちも私たちも負いきれなかったくびきを、あの弟子たちの首に掛けて、神を試みようとするのです。 + 私たちが主イエスの恵みによって救われたことを私たちは信じますが、あの人たちもそうなのです。」 + すると、全会衆は沈黙してしまった。そして、バルナバとパウロが、彼らを通して神が異邦人の間で行われたしるしと不思議なわざについて話すのに、耳を傾けた。 + ふたりが話し終えると、ヤコブがこう言った。「兄弟たち。私の言うことを聞いてください。 + 神が初めに、どのように異邦人を顧みて、その中から御名をもって呼ばれる民をお召しになったかは、シメオンが説明したとおりです。 + 預言者たちのことばもこれと一致しており、それにはこう書いてあります。 + 『この後、わたしは帰って来て、倒れたダビデの幕屋を建て直す。すなわち、廃墟と化した幕屋を建て直し、それを元どおりにする。 + それは、残った人々、すなわち、わたしの名で呼ばれる異邦人がみな、主を求めるようになるためである。 + 大昔からこれらのことを知らせておられる主が、こう言われる。』 + そこで、私の判断では、神に立ち返る異邦人を悩ませてはいけません。 + ただ、偶像に供えて汚れた物と不品行と絞め殺した物と血とを避けるように書き送るべきだと思います。 + 昔から、町ごとにモーセの律法を宣べる者がいて、それが安息日ごとに諸会堂で読まれているからです。」 + そこで使徒たちと長老たち、また、全教会もともに、彼らの中から人を選んで、パウロやバルナバといっしょにアンテオケへ送ることを決議した。選ばれたのは兄弟たちの中の指導者たちで、バルサバと呼ばれるユダおよびシラスであった。 + 彼らはこの人たちに託して、こう書き送った。「兄弟である使徒および長老たちは、アンテオケ、シリヤ、キリキヤにいる異邦人の兄弟たちに、あいさつをいたします。 + 私たちの中のある者たちが、私たちからは何も指示を受けていないのに、いろいろなことを言ってあなたがたを動揺させ、あなたがたの心を乱したことを聞きました。 + そこで、私たちは人々を選び、私たちの愛するバルナバおよびパウロといっしょに、あなたがたのところへ送ることに衆議一決しました。 + このバルナバとパウロは、私たちの主イエス・キリストの御名のために、いのちを投げ出した人たちです。 + こういうわけで、私たちはユダとシラスを送りました。彼らは口頭で同じ趣旨のことを伝えるはずです。 + 聖霊と私たちは、次のぜひ必要な事のほかは、あなたがたにその上、どんな重荷も負わせないことを決めました。 + すなわち、偶像に供えた物と、血と、絞め殺した物と、不品行とを避けることです。これらのことを注意深く避けていれば、それで結構です。以上。」 + さて、一行は送り出されて、アンテオケに下り、教会の人々を集めて、手紙を手渡した。 + それを読んだ人々は、その励ましによって喜んだ。 + ユダもシラスも預言者であったので、多くのことばをもって兄弟たちを励まし、また力づけた。 + 彼らは、しばらく滞在して後、兄弟たちの平安のあいさつに送られて、彼らを送り出した人々のところへ帰って行った。 + 異本に三四節として、「しかし、シラスはそこにとどまることに決めた」を加えるものもある。 + パウロとバルナバはアンテオケにとどまって、ほかの多くの人々とともに、主のみことばを教え、宣べ伝えた。 + 幾日かたって後、パウロはバルナバにこう言った。「先に主のことばを伝えたすべての町々の兄弟たちのところに、またたずねて行って、どうしているか見て来ようではありませんか。」 + ところが、バルナバは、マルコとも呼ばれるヨハネもいっしょに連れて行くつもりであった。 + しかしパウロは、パンフリヤで一行から離れてしまい、仕事のために同行しなかったような者はいっしょに連れて行かないほうがよいと考えた。 + そして激しい反目となり、その結果、互いに別行動をとることになって、バルナバはマルコを連れて、船でキプロスに渡って行った。 + パウロはシラスを選び、兄弟たちから主の恵みにゆだねられて出発した。 + そして、シリヤおよびキリキヤを通り、諸教会を力づけた。 + + + それからパウロはデルベに、次いでルステラに行った。そこにテモテという弟子がいた。信者であるユダヤ婦人の子で、ギリシヤ人を父としていたが、 + ルステラとイコニオムとの兄弟たちの間で評判の良い人であった。 + パウロは、このテモテを連れて行きたかったので、その地方にいるユダヤ人の手前、彼に割礼を受けさせた。彼の父がギリシヤ人であることを、みなが知っていたからである。 + さて、彼らは町々を巡回して、エルサレムの使徒たちと長老たちが決めた規定を守らせようと、人々にそれを伝えた。 + こうして諸教会は、その信仰を強められ、日ごとに人数を増して行った。 + それから彼らは、アジヤでみことばを語ることを聖霊によって禁じられたので、フルギヤ・ガラテヤの地方を通った。 + こうしてムシヤに面した所に来たとき、ビテニヤのほうに行こうとしたが、イエスの御霊がそれをお許しにならなかった。 + それでムシヤを通って、トロアスに下った。 + ある夜、パウロは幻を見た。ひとりのマケドニヤ人が彼の前に立って、「マケドニヤに渡って来て、私たちを助けてください」と懇願するのであった。 + パウロがこの幻を見たとき、私たちはただちにマケドニヤへ出かけることにした。神が私たちを招いて、彼らに福音を宣べさせるのだ、と確信したからである。 + そこで、私たちはトロアスから船に乗り、サモトラケに直航して、翌日ネアポリスに着いた。 + それからピリピに行ったが、ここはマケドニヤのこの地方第一の町で、植民都市であった。私たちはこの町に幾日か滞在した。 + 安息日に、私たちは町の門を出て、祈り場があると思われた川岸に行き、そこに腰をおろして、集まった女たちに話した。 + テアテラ市の紫布の商人で、神を敬う、ルデヤという女が聞いていたが、主は彼女の心を開いて、パウロの語る事に心を留めるようにされた。 + そして、彼女も、またその家族もバプテスマを受けたとき、彼女は、「私を主に忠実な者とお思いでしたら、どうか、私の家に来てお泊まりください」と言って頼み、強いてそうさせた。 + 私たちが祈り場に行く途中、占いの霊につかれた若い女奴隷に出会った。この女は占いをして、主人たちに多くの利益を得させている者であった。 + 彼女はパウロと私たちのあとについて来て、「この人たちは、いと高き神のしもべたちで、救いの道をあなたがたに宣べ伝えている人たちです」と叫び続けた。 + 幾日もこんなことをするので、困り果てたパウロは、振り返ってその霊に、「イエス・キリストの御名によって命じる。この女から出て行け」と言った。すると即座に、霊は出て行った。 + 彼女の主人たちは、もうける望みがなくなったのを見て、パウロとシラスを捕らえ、役人たちに訴えるため広場へ引き立てて行った。 + そして、ふたりを長官たちの前に引き出してこう言った。「この者たちはユダヤ人でありまして、私たちの町をかき乱し、 + ローマ人である私たちが、採用も実行もしてはならない風習を宣伝しております。」 + 群衆もふたりに反対して立ったので、長官たちは、ふたりの着物をはいでむちで打つように命じ、 + 何度もむちで打たせてから、ふたりを牢に入れて、看守には厳重に番をするように命じた。 + この命令を受けた看守は、ふたりを奥の牢に入れ、足に足かせを掛けた。 + 真夜中ごろ、パウロとシラスが神に祈りつつ賛美の歌を歌っていると、ほかの囚人たちも聞き入っていた。 + ところが突然、大地震が起こって、獄舎の土台が揺れ動き、たちまちとびらが全部あいて、みなの鎖が解けてしまった。 + 目をさました看守は、見ると、牢のとびらがあいているので、囚人たちが逃げてしまったものと思い、剣を抜いて自殺しようとした。 + そこでパウロは大声で、「自害してはいけない。私たちはみなここにいる」と叫んだ。 + 看守はあかりを取り、駆け込んで来て、パウロとシラスとの前に震えながらひれ伏した。 + そして、ふたりを外に連れ出して「先生がた。救われるためには、何をしなければなりませんか」と言った。 + ふたりは、「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます」と言った。 + そして、彼とその家の者全部に主のことばを語った。 + 看守は、その夜、時を移さず、ふたりを引き取り、その打ち傷を洗った。そして、そのあとですぐ、彼とその家の者全部がバプテスマを受けた。 + それから、ふたりをその家に案内して、食事のもてなしをし、全家族そろって神を信じたことを心から喜んだ。 + 夜が明けると、長官たちは警吏たちを送って、「あの人たちを釈放せよ」と言わせた。 + そこで看守は、この命令をパウロに伝えて、「長官たちが、あなたがたを釈放するようにと、使いをよこしました。どうぞ、ここを出て、ご無事に行ってください」と言った。 + ところが、パウロは、警吏たちにこう言った。「彼らは、ローマ人である私たちを、取り調べもせずに公衆の前でむち打ち、牢に入れてしまいました。それなのに今になって、ひそかに私たちを送り出そうとするのですか。とんでもない。彼ら自身で出向いて来て、私たちを連れ出すべきです。」 + 警吏たちは、このことばを長官たちに報告した。すると長官たちは、ふたりがローマ人であると聞いて恐れ、 + 自分で出向いて来て、わびを言い、ふたりを外に出して、町から立ち去ってくれるように頼んだ。 + 牢を出たふたりは、ルデヤの家に行った。そして兄弟たちに会い、彼らを励ましてから出て行った。 + + + 彼らはアムピポリスとアポロニヤを通って、テサロニケへ行った。そこには、ユダヤ人の会堂があった。 + パウロはいつもしているように、会堂に入って行って、三つの安息日にわたり、聖書に基づいて彼らと論じた。 + そして、キリストは苦しみを受け、死者の中からよみがえらなければならないことを説明し、また論証して、「私があなたがたに伝えているこのイエスこそ、キリストなのです」と言った。 + 彼らのうちの幾人かはよくわかって、パウロとシラスに従った。またほかに、神を敬うギリシヤ人が大ぜいおり、貴婦人たちも少なくなかった。 + ところが、ねたみにかられたユダヤ人は、町のならず者をかり集め、暴動を起こして町を騒がせ、またヤソンの家を襲い、ふたりを人々の前に引き出そうとして捜した。 + しかし、見つからないので、ヤソンと兄弟たちの幾人かを、町の役人たちのところへひっぱって行き、大声でこう言った。「世界中を騒がせて来た者たちが、ここにも入り込んでいます。 + それをヤソンが家に迎え入れたのです。彼らはみな、イエスという別の王がいると言って、カイザルの詔勅にそむく行いをしているのです。」 + こうして、それを聞いた群衆と町の役人たちとを不安に陥れた。 + 彼らは、ヤソンとそのほかの者たちから保証金を取ったうえで釈放した。 + 兄弟たちは、すぐさま、夜のうちにパウロとシラスをベレヤへ送り出した。ふたりはそこに着くと、ユダヤ人の会堂に入って行った。 + ここのユダヤ人は、テサロニケにいる者たちよりも良い人たちで、非常に熱心にみことばを聞き、はたしてそのとおりかどうかと毎日聖書を調べた。 + そのため、彼らのうちの多くの者が信仰に入った。その中にはギリシヤの貴婦人や男子も少なくなかった。 + ところが、テサロニケのユダヤ人たちは、パウロがベレヤでも神のことばを伝えていることを知り、ここにもやって来て、群衆を扇動して騒ぎを起こした。 + そこで兄弟たちは、ただちにパウロを送り出して海べまで行かせたが、シラスとテモテはベレヤに踏みとどまった。 + パウロを案内した人たちは、彼をアテネまで連れて行った。そしてシラスとテモテに一刻も早く来るように、という命令を受けて、帰って行った。 + さて、アテネでふたりを待っていたパウロは、町が偶像でいっぱいなのを見て、心に憤りを感じた。 + そこでパウロは、会堂ではユダヤ人や神を敬う人たちと論じ、広場では毎日そこに居合わせた人たちと論じた。 + エピクロス派とストア派の哲学者たちも幾人かいて、パウロと論じ合っていたが、その中のある者たちは、「このおしゃべりは、何を言うつもりなのか」と言い、ほかの者たちは、「彼は外国の神々を伝えているらしい」と言った。パウロがイエスと復活とを宣べ伝えたからである。 + そこで彼らは、パウロをアレオパゴスに連れて行ってこう言った。「あなたの語っているその新しい教えがどんなものであるか、知らせていただけませんか。 + 私たちにとっては珍しいことを聞かせてくださるので、それがいったいどんなものか、私たちは知りたいのです。」 + アテネ人も、そこに住む外国人もみな、何か耳新しいことを話したり、聞いたりすることだけで、日を過ごしていた。 + そこでパウロは、アレオパゴスの真ん中に立って言った。「アテネの人たち。あらゆる点から見て、私はあなたがたを宗教心にあつい方々だと見ております。 + 私が道を通りながら、あなたがたの拝むものをよく見ているうちに、『知られない神に』と刻まれた祭壇があるのを見つけました。そこで、あなたがたが知らずに拝んでいるものを、教えましょう。 + この世界とその中にあるすべてのものをお造りになった神は、天地の主ですから、手でこしらえた宮などにはお住みになりません。 + また、何かに不自由なことでもあるかのように、人の手によって仕えられる必要はありません。神は、すべての人に、いのちと息と万物とをお与えになった方だからです。 + 神は、ひとりの人からすべての国の人々を造り出して、地の全面に住まわせ、それぞれに決められた時代と、その住まいの境界とをお定めになりました。 + これは、神を求めさせるためであって、もし探り求めることでもあるなら、神を見いだすこともあるのです。確かに、神は、私たちひとりひとりから遠く離れてはおられません。 + 私たちは、神の中に生き、動き、また存在しているのです。あなたがたのある詩人たちも、『私たちもまたその子孫である』と言ったとおりです。 + そのように私たちは神の子孫ですから、神を、人間の技術や工夫で造った金や銀や石などの像と同じものと考えてはいけません。 + 神は、そのような無知の時代を見過ごしておられましたが、今は、どこででもすべての人に悔い改めを命じておられます。 + なぜなら、神は、お立てになったひとりの人により義をもってこの世界をさばくため、日を決めておられるからです。そして、その方を死者の中からよみがえらせることによって、このことの確証をすべての人にお与えになったのです。」 + 死者の復活のことを聞くと、ある者たちはあざ笑い、ほかの者たちは、「このことについては、またいつか聞くことにしよう」と言った。 + こうして、パウロは彼らの中から出て行った。 + しかし、彼につき従って信仰に入った人たちもいた。それは、アレオパゴスの裁判官デオヌシオ、ダマリスという女、その他の人々であった。 + + + その後、パウロはアテネを去って、コリントへ行った。 + ここで、アクラというポント生まれのユダヤ人およびその妻プリスキラに出会った。クラウデオ帝が、すべてのユダヤ人をローマから退去させるように命令したため、近ごろイタリヤから来ていたのである。パウロはふたりのところに行き、 + 自分も同業者であったので、その家に住んでいっしょに仕事をした。彼らの職業は天幕作りであった。 + パウロは安息日ごとに会堂で論じ、ユダヤ人とギリシヤ人を承服させようとした。 + そして、シラスとテモテがマケドニヤから下って来ると、パウロはみことばを教えることに専念し、イエスがキリストであることを、ユダヤ人たちにはっきりと宣言した。 + しかし、彼らが反抗して暴言を吐いたので、パウロは着物を振り払って、「あなたがたの血は、あなたがたの頭上にふりかかれ。私には責任がない。今から私は異邦人のほうに行く」と言った。 + そして、そこを去って、神を敬うテテオ・ユストという人の家に行った。その家は会堂の隣であった。 + 会堂管理者クリスポは、一家をあげて主を信じた。また、多くのコリント人も聞いて信じ、バプテスマを受けた。 + ある夜、主は幻によってパウロに、「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。 + わたしがあなたとともにいるのだ。だれもあなたを襲って、危害を加える者はない。この町には、わたしの民がたくさんいるから」と言われた。 + そこでパウロは、一年半ここに腰を据えて、彼らの間で神のことばを教え続けた。 + ところが、ガリオがアカヤの地方総督であったとき、ユダヤ人たちはこぞってパウロに反抗し、彼を法廷に引いて行って、 + 「この人は、律法にそむいて神を拝むことを、人々に説き勧めています」と訴えた。 + パウロが口を開こうとすると、ガリオはユダヤ人に向かってこう言った。「ユダヤ人の諸君。不正事件や悪質な犯罪のことであれば、私は当然、あなたがたの訴えを取り上げもしようが、 + あなたがたの、ことばや名称や律法に関する問題であるなら、自分たちで始末をつけるのがよかろう。私はそのようなことの裁判官にはなりたくない。」 + こうして、彼らを法廷から追い出した。 + そこで、みなの者は、会堂管理者ソステネを捕らえ、法廷の前で打ちたたいた。ガリオは、そのようなことは少しも気にしなかった。 + パウロは、なお長らく滞在してから、兄弟たちに別れを告げて、シリヤへ向けて出帆した。プリスキラとアクラも同行した。パウロは一つの誓願を立てていたので、ケンクレヤで髪をそった。 + 彼らがエペソに着くと、パウロはふたりをそこに残し、自分だけ会堂に入って、ユダヤ人たちと論じた。 + 人々は、もっと長くとどまるように頼んだが、彼は聞き入れないで、 + 「神のみこころなら、またあなたがたのところに帰って来ます」と言って別れを告げ、エペソから船出した。 + それからカイザリヤに上陸してエルサレムに上り、教会にあいさつしてからアンテオケに下って行った。 + そこにしばらくいてから、彼はまた出発し、ガラテヤの地方およびフルギヤを次々に巡って、すべての弟子たちを力づけた。 + さて、アレキサンドリヤの生まれで、雄弁なアポロというユダヤ人がエペソに来た。彼は聖書に通じていた。 + この人は、主の道の教えを受け、霊に燃えて、イエスのことを正確に語り、また教えていたが、ただヨハネのバプテスマしか知らなかった。 + 彼は会堂で大胆に話し始めた。それを聞いていたプリスキラとアクラは、彼を招き入れて、神の道をもっと正確に彼に説明した。 + そして、アポロがアカヤへ渡りたいと思っていたので、兄弟たちは彼を励まし、そこの弟子たちに、彼を歓迎してくれるようにと手紙を書いた。彼はそこに着くと、すでに恵みによって信者になっていた人たちを大いに助けた。 + 彼は聖書によって、イエスがキリストであることを証明して、力強く、公然とユダヤ人たちを論破したからである。 + + + アポロがコリントにいた間に、パウロは奥地を通ってエペソに来た。そして幾人かの弟子に出会って、 + 「信じたとき、聖霊を受けましたか」と尋ねると、彼らは、「いいえ、聖霊の与えられることは、聞きもしませんでした」と答えた。 + 「では、どんなバプテスマを受けたのですか」と言うと、「ヨハネのバプテスマです」と答えた。 + そこで、パウロは、「ヨハネは、自分のあとに来られるイエスを信じるように人々に告げて、悔い改めのバプテスマを授けたのです」と言った。 + これを聞いたその人々は、主イエスの御名によってバプテスマを受けた。 + パウロが彼らの上に手を置いたとき、聖霊が彼らに臨まれ、彼らは異言を語ったり、預言をしたりした。 + その人々は、みなで十二人ほどであった。 + それから、パウロは会堂に入って、三か月の間大胆に語り、神の国について論じて、彼らを説得しようと努めた。 + しかし、ある者たちが心をかたくなにして聞き入れず、会衆の前で、この道をののしったので、パウロは彼らから身を引き、弟子たちをも退かせて、毎日ツラノの講堂で論じた。 + これが二年の間続いたので、アジヤに住む者はみな、ユダヤ人もギリシヤ人も主のことばを聞いた。 + 神はパウロの手によって驚くべき奇蹟を行われた。 + パウロの身に着けている手ぬぐいや前掛けをはずして病人に当てると、その病気は去り、悪霊は出て行った。 + ところが、諸国を巡回しているユダヤ人の魔よけ祈祷師の中のある者たちも、ためしに、悪霊につかれている者に向かって主イエスの御名をとなえ、「パウロの宣べ伝えているイエスによって、おまえたちに命じる」と言ってみた。 + そういうことをしたのは、ユダヤの祭司長スケワという人の七人の息子たちであった。 + すると悪霊が答えて、「自分はイエスを知っているし、パウロもよく知っている。けれどおまえたちは何者だ」と言った。 + そして悪霊につかれている人は、彼らに飛びかかり、ふたりの者を押さえつけて、みなを打ち負かしたので、彼らは裸にされ、傷を負ってその家を逃げ出した。 + このことがエペソに住むユダヤ人とギリシヤ人の全部に知れ渡ったので、みな恐れを感じて、主イエスの御名をあがめるようになった。 + そして、信仰に入った人たちの中から多くの者がやって来て、自分たちのしていることをさらけ出して告白した。 + また魔術を行っていた多くの者が、その書物をかかえて来て、みなの前で焼き捨てた。その値段を合計してみると、銀貨五万枚になった。 + こうして、主のことばは驚くほど広まり、ますます力強くなって行った。 + これらのことが一段落すると、パウロは御霊の示しにより、マケドニヤとアカヤを通ったあとでエルサレムに行くことにした。そして、「私はそこに行ってから、ローマも見なければならない」と言った。 + そこで、自分に仕えている者の中からテモテとエラストのふたりをマケドニヤに送り出したが、パウロ自身は、なおしばらくアジヤにとどまっていた。 + そのころ、この道のことから、ただならぬ騒動が持ち上がった。 + それというのは、デメテリオという銀細工人がいて、銀でアルテミス神殿の模型を作り、職人たちにかなりの収入を得させていたが、 + 彼が、その職人たちや、同業の者たちをも集めて、こう言ったからである。「皆さん。ご承知のように、私たちが繁盛しているのは、この仕事のおかげです。 + ところが、皆さんが見てもいるし聞いてもいるように、あのパウロが、手で作った物など神ではないと言って、エペソばかりか、ほとんどアジヤ全体にわたって、大ぜいの人々を説き伏せ、迷わせているのです。 + これでは、私たちのこの仕事も信用を失う危険があるばかりか、大女神アルテミスの神殿も顧みられなくなり、全アジヤ、全世界の拝むこの大女神のご威光も地に落ちてしまいそうです。」 + そう聞いて、彼らは大いに怒り、「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ」と叫び始めた。 + そして、町中が大騒ぎになり、人々はパウロの同行者であるマケドニヤ人ガイオとアリスタルコを捕らえ、一団となって劇場へなだれ込んだ。 + パウロは、その集団の中に入って行こうとしたが、弟子たちがそうさせなかった。 + アジヤ州の高官で、パウロの友人である人たちも、彼に使いを送って、劇場に入らないように頼んだ。 + ところで、集会は混乱状態に陥り、大多数の者は、なぜ集まったのかさえ知らなかったので、ある者はこのことを叫び、ほかの者は別のことを叫んでいた。 + ユダヤ人たちがアレキサンデルという者を前に押し出したので、群衆の中のある人たちが彼を促すと、彼は手を振って、会衆に弁明しようとした。 + しかし、彼がユダヤ人だとわかると、みなの者がいっせいに声をあげ、「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ」と二時間ばかりも叫び続けた。 + 町の書記役は、群衆を押し静めてこう言った。「エペソの皆さん。エペソの町が、大女神アルテミスと天から下ったそのご神体との守護者であることを知らない者が、いったいいるでしょうか。 + これは否定できない事実ですから、皆さんは静かにして、軽はずみなことをしないようにしなければいけません。 + 皆さんがここに引き連れて来たこの人たちは、宮を汚した者でもなく、私たちの女神をそしった者でもないのです。 + それで、もしデメテリオとその仲間の職人たちが、だれかに文句があるのなら、裁判の日があるし、地方総督たちもいることですから、互いに訴え出たらよいのです。 + もしあなたがたに、これ以上何か要求することがあるなら、正式の議会で決めてもらわなければいけません。 + きょうの事件については、正当な理由がないのですから、騒擾罪に問われる恐れがあります。その点に関しては、私たちはこの騒動の弁護はできません。」 + こう言って、その集まりを解散させた。 + + + 騒ぎが治まると、パウロは弟子たちを呼び集めて励まし、別れを告げて、マケドニヤへ向かって出発した。 + そして、その地方を通り、多くの勧めをして兄弟たちを励ましてから、ギリシヤに来た。 + パウロはここで三か月を過ごしたが、そこからシリヤに向けて船出しようというときに、彼に対するユダヤ人の陰謀があったため、彼はマケドニヤを経て帰ることにした。 + プロの子であるベレヤ人ソパテロ、テサロニケ人アリスタルコとセクンド、デルベ人ガイオ、テモテ、アジヤ人テキコとトロピモは、パウロに同行していたが、 + 彼らは先発して、トロアスで私たちを待っていた。 + 種なしパンの祝いが過ぎてから、私たちはピリピから船出し、五日かかってトロアスで彼らと落ち合い、そこに七日間滞在した。 + 週の初めの日に、私たちはパンを裂くために集まった。そのときパウロは、翌日出発することにしていたので、人々と語り合い、夜中まで語り続けた。 + 私たちが集まっていた屋上の間には、ともしびがたくさんともしてあった。 + ユテコというひとりの青年が窓のところに腰を掛けていたが、ひどく眠けがさし、パウロの話が長く続くので、とうとう眠り込んでしまって、三階から下に落ちた。抱き起こしてみると、もう死んでいた。 + パウロは降りて来て、彼の上に身をかがめ、彼を抱きかかえて、「心配することはない。まだいのちがあります」と言った。 + そして、また上がって行き、パンを裂いて食べてから、明け方まで長く話し合って、それから出発した。 + 人々は生き返った青年を家に連れて行き、ひとかたならず慰められた。 + さて、私たちは先に船に乗り込んで、アソスに向けて出帆した。そしてアソスでパウロを船に乗せることにしていた。パウロが、自分は陸路をとるつもりで、そう決めておいたからである。 + こうして、パウロはアソスで私たちと落ち合い、私たちは彼を船に乗せてミテレネに着いた。 + そこから出帆して、翌日キヨスの沖に達し、次の日サモスに立ち寄り、その翌日ミレトに着いた。 + それはパウロが、アジヤで時間を取られないようにと、エペソには寄港しないで行くことに決めていたからである。彼は、できれば五旬節の日にはエルサレムに着いていたい、と旅路を急いでいたのである。 + パウロは、ミレトからエペソに使いを送って、教会の長老たちを呼んだ。 + 彼らが集まって来たとき、パウロはこう言った。「皆さんは、私がアジヤに足を踏み入れた最初の日から、私がいつもどんなふうにあなたがたと過ごして来たか、よくご存じです。 + 私は謙遜の限りを尽くし、涙をもって、またユダヤ人の陰謀によりわが身にふりかかる数々の試練の中で、主に仕えました。 + 益になることは、少しもためらわず、あなたがたに知らせました。人々の前でも、家々でも、あなたがたを教え、 + ユダヤ人にもギリシヤ人にも、神に対する悔い改めと、私たちの主イエスに対する信仰とをはっきりと主張したのです。 + いま私は、心を縛られて、エルサレムに上る途中です。そこで私にどんなことが起こるのかわかりません。 + ただわかっているのは、聖霊がどの町でも私にはっきりとあかしされて、なわめと苦しみが私を待っていると言われることです。 + けれども、私が自分の走るべき行程を走り尽くし、主イエスから受けた、神の恵みの福音をあかしする任務を果たし終えることができるなら、私のいのちは少しも惜しいとは思いません。 + 皆さん。御国を宣べ伝えてあなたがたの中を巡回した私の顔を、あなたがたはもう二度と見ることがないことを、いま私は知っています。 + ですから、私はきょうここで、あなたがたに宣言します。私は、すべての人たちが受けるさばきについて責任がありません。 + 私は、神のご計画の全体を、余すところなくあなたがたに知らせておいたからです。 + あなたがたは自分自身と群れの全体とに気を配りなさい。聖霊は、神がご自身の血をもって買い取られた神の教会を牧させるために、あなたがたを群れの監督にお立てになったのです。 + 私が出発したあと、狂暴な狼があなたがたの中に入り込んで来て、群れを荒らし回ることを、私は知っています。 + あなたがた自身の中からも、いろいろな曲がったことを語って、弟子たちを自分のほうに引き込もうとする者たちが起こるでしょう。 + ですから、目をさましていなさい。私が三年の間、夜も昼も、涙とともにあなたがたひとりひとりを訓戒し続けて来たことを、思い出してください。 + いま私は、あなたがたを神とその恵みのみことばとにゆだねます。みことばは、あなたがたを育成し、すべての聖なるものとされた人々の中にあって御国を継がせることができるのです。 + 私は、人の金銀や衣服をむさぼったことはありません。 + あなたがた自身が知っているとおり、この両手は、私の必要のためにも、私とともにいる人たちのためにも、働いて来ました。 + このように労苦して弱い者を助けなければならないこと、また、主イエスご自身が、『受けるよりも与えるほうが幸いである』と言われたみことばを思い出すべきことを、私は、万事につけ、あなたがたに示して来たのです。」 + こう言い終わって、パウロはひざまずき、みなの者とともに祈った。 + みなは声をあげて泣き、パウロの首を抱いて幾度も口づけし、 + 彼が、「もう二度と私の顔を見ることがないでしょう」と言ったことばによって、特に心を痛めた。それから、彼らはパウロを船まで見送った。 + + + 私たちは彼らと別れて出帆し、コスに直航し、翌日ロドスに着き、そこからパタラに渡った。 + そこにはフェニキヤ行きの船があったので、それに乗って出帆した。 + やがてキプロスが見えて来たが、それを左にして、シリヤに向かって航海を続け、ツロに上陸した。ここで船荷を降ろすことになっていたからである。 + 私たちは弟子たちを見つけ出して、そこに七日間滞在した。彼らは、御霊に示されて、エルサレムに上らぬようにと、しきりにパウロに忠告した。 + しかし、滞在の日数が尽きると、私たちはそこを出て、旅を続けることにした。彼らはみな、妻や子どももいっしょに、町はずれまで私たちを送って来た。そして、ともに海岸にひざまずいて祈ってから、私たちは互いに別れを告げた。 + それから私たちは船に乗り込み、彼らは家へ帰って行った。 + 私たちはツロからの航海を終えて、トレマイに着いた。そこの兄弟たちにあいさつをして、彼らのところに一日滞在した。 + 翌日そこを立って、カイザリヤに着き、あの七人のひとりである伝道者ピリポの家に入って、そこに滞在した。 + この人には、預言する四人の未婚の娘がいた。 + 幾日かそこに滞在していると、アガボという預言者がユダヤから下って来た。 + 彼は私たちのところに来て、パウロの帯を取り、自分の両手と両足を縛って、「『この帯の持ち主は、エルサレムでユダヤ人に、こんなふうに縛られ、異邦人の手に渡される』と聖霊がお告げになっています」と言った。 + 私たちはこれを聞いて、土地の人たちといっしょになって、パウロに、エルサレムには上らないよう頼んだ。 + するとパウロは、「あなたがたは、泣いたり、私の心をくじいたりして、いったい何をしているのですか。私は、主イエスの御名のためなら、エルサレムで縛られることばかりでなく、死ぬことさえも覚悟しています」と答えた。 + 彼が聞き入れようとしないので、私たちは、「主のみこころのままに」と言って、黙ってしまった。 + こうして数日たつと、私たちは旅仕度をして、エルサレムに上った。 + カイザリヤの弟子たちも幾人か私たちと同行して、古くからの弟子であるキプロス人マナソンのところに案内してくれた。私たちはそこに泊まることになっていたのである。 + エルサレムに着くと、兄弟たちは喜んで私たちを迎えてくれた。 + 次の日、パウロは私たちを連れて、ヤコブを訪問した。そこには長老たちがみな集まっていた。 + 彼らにあいさつしてから、パウロは彼の奉仕を通して神が異邦人の間でなさったことを、一つ一つ話しだした。 + 彼らはそれを聞いて神をほめたたえ、パウロにこう言った。「兄弟よ。ご承知のように、ユダヤ人の中で信仰に入っている者は幾万となくありますが、みな律法に熱心な人たちです。 + ところで、彼らが聞かされていることは、あなたは異邦人の中にいるすべてのユダヤ人に、子どもに割礼を施すな、慣習に従って歩むな、と言って、モーセにそむくように教えているということなのです。 + それで、どうしましょうか。あなたが来たことは、必ず彼らの耳に入るでしょう。 + ですから、私たちの言うとおりにしてください。私たちの中に誓願を立てている者が四人います。 + この人たちを連れて、あなたも彼らといっしょに身を清め、彼らが頭をそる費用を出してやりなさい。そうすれば、あなたについて聞かされていることは根も葉もないことで、あなたも律法を守って正しく歩んでいることが、みなにわかるでしょう。 + 信仰に入った異邦人に関しては、偶像の神に供えた肉と、血と、絞め殺した物と、不品行とを避けるべきであると決定しましたので、私たちはすでに手紙を書きました。」 + そこで、パウロはその人たちを引き連れ、翌日、ともに身を清めて宮に入り、清めの期間が終わって、ひとりひとりのために供え物をささげる日時を告げた。 + ところが、その七日がほとんど終わろうとしていたころ、アジヤから来たユダヤ人たちは、パウロが宮にいるのを見ると、全群衆をあおりたて、彼に手をかけて、 + こう叫んだ。「イスラエルの人々。手を貸してください。この男は、この民と、律法と、この場所に逆らうことを、至る所ですべての人に教えている者です。そのうえ、ギリシヤ人を宮の中に連れ込んで、この神聖な場所をけがしています。」 + 彼らは前にエペソ人トロピモが町でパウロといっしょにいるのを見かけたので、パウロが彼を宮に連れ込んだのだと思ったのである。 + そこで町中が大騒ぎになり、人々は殺到してパウロを捕らえ、宮の外へ引きずり出した。そして、ただちに宮の門が閉じられた。 + 彼らがパウロを殺そうとしていたとき、エルサレム中が混乱状態に陥っているという報告が、ローマ軍の千人隊長に届いた。 + 彼はただちに、兵士たちと百人隊長たちとを率いて、彼らのところに駆けつけた。人々は千人隊長と兵士たちを見て、パウロを打つのをやめた。 + 千人隊長は近づいてパウロを捕らえ、二つの鎖につなぐように命じたうえ、パウロが何者なのか、何をしたのか、と尋ねた。 + しかし、群衆がめいめい勝手なことを叫び続けたので、その騒がしさのために確かなことがわからなかった。そこで千人隊長は、パウロを兵営に連れて行くように命令した。 + パウロが階段にさしかかったときには、群衆の暴行を避けるために、兵士たちが彼をかつぎ上げなければならなかった。 + 大ぜいの群衆が「彼を除け」と叫びながら、ついて来たからである。 + 兵営の中に連れ込まれようとしたとき、パウロが千人隊長に、「一言お話ししてもよいでしょうか」と尋ねると、千人隊長は、「あなたはギリシヤ語を知っているのか。 + するとあなたは、以前暴動を起こして、四千人の刺客を荒野に引き連れて逃げた、あのエジプト人ではないのか」と言った。 + パウロは答えた。「私はキリキヤのタルソ出身のユダヤ人で、れっきとした町の市民です。お願いです。この人々に話をさせてください。」 + 千人隊長がそれを許したので、パウロは階段の上に立ち、民衆に向かって手を振った。そして、すっかり静かになったとき、彼はヘブル語で次のように話した。 + + + 「兄弟たち、父たちよ。いま私が皆さんにしようとする弁明を聞いてください。」 + パウロがヘブル語で語りかけるのを聞いて、人々はますます静粛になった。そこでパウロは話し続けた。 + 「私はキリキヤのタルソで生まれたユダヤ人ですが、この町で育てられ、ガマリエルのもとで私たちの先祖の律法について厳格な教育を受け、今日の皆さんと同じように、神に対して熱心な者でした。 + 私はこの道を迫害し、男も女も縛って牢に投じ、死にまでも至らせたのです。 + このことは、大祭司も、長老たちの全議会も証言してくれます。この人たちから、私は兄弟たちへあてた手紙までも受け取り、ダマスコへ向かって出発しました。そこにいる者たちを縛り上げ、エルサレムに連れて来て処罰するためでした。 + ところが、旅を続けて、真昼ごろダマスコに近づいたとき、突然、天からまばゆい光が私の回りを照らしたのです。 + 私は地に倒れ、『サウロ、サウロ。なぜわたしを迫害するのか』という声を聞きました。 + そこで私が答えて、『主よ。あなたはどなたですか』と言うと、その方は、『わたしは、あなたが迫害しているナザレのイエスだ』と言われました。 + 私といっしょにいた者たちは、その光は見たのですが、私に語っている方の声は聞き分けられませんでした。 + 私が、『主よ。私はどうしたらよいのでしょうか』と尋ねると、主は私に、『起きて、ダマスコに行きなさい。あなたがするように決められていることはみな、そこで告げられる』と言われました。 + ところが、その光の輝きのために、私の目は何も見えなかったので、いっしょにいた者たちに手を引かれてダマスコに入りました。 + すると、律法を重んじる敬虔な人で、そこに住むユダヤ人全体の間で評判の良いアナニヤという人が、 + 私のところに来て、そばに立ち、『兄弟サウロ。見えるようになりなさい』と言いました。すると、そのとき、私はその人が見えるようになりました。 + 彼はこう言いました。『私たちの父祖たちの神は、あなたにみこころを知らせ、義なる方を見させ、その方の口から御声を聞かせようとお定めになったのです。 + あなたはその方のために、すべての人に対して、あなたの見たこと、聞いたことの証人とされるのですから。 + さあ、なぜためらっているのですか。立ちなさい。その御名を呼んでバプテスマを受け、自分の罪を洗い流しなさい。』 + こうして私がエルサレムに帰り、宮で祈っていますと、夢ごこちになり、 + 主を見たのです。主は言われました。『急いで、早くエルサレムを離れなさい。人々がわたしについてのあなたのあかしを受け入れないからです。』 + そこで私は答えました。『主よ。私がどの会堂ででも、あなたの信者を牢に入れたり、むち打ったりしていたことを、彼らはよく知っています。 + また、あなたの証人ステパノの血が流されたとき、私もその場にいて、それに賛成し、彼を殺した者たちの着物の番をしていたのです。』 + すると、主は私に、『行きなさい。わたしはあなたを遠く、異邦人に遣わす』と言われました。」 + 人々は、彼の話をここまで聞いていたが、このとき声を張り上げて、「こんな男は、地上から除いてしまえ。生かしておくべきではない」と言った。 + そして、人々がわめき立て、着物を放り投げ、ちりを空中にまき散らすので、 + 千人隊長はパウロを兵営の中に引き入れるように命じ、人々がなぜこのようにパウロに向かって叫ぶのかを知ろうとして、彼をむち打って取り調べるようにと言った。 + 彼らがむちを当てるためにパウロを縛ったとき、パウロはそばに立っている百人隊長に言った。「ローマ市民である者を、裁判にもかけずに、むち打ってよいのですか。」 + これを聞いた百人隊長は、千人隊長のところに行って報告し、「どうなさいますか。あの人はローマ人です」と言った。 + 千人隊長はパウロのところに来て、「あなたはローマ市民なのか、私に言ってくれ」と言った。パウロは「そうです」と言った。 + すると、千人隊長は、「私はたくさんの金を出して、この市民権を買ったのだ」と言った。そこでパウロは、「私は生まれながらの市民です」と言った。 + このため、パウロを取り調べようとしていた者たちは、すぐにパウロから身を引いた。また千人隊長も、パウロがローマ市民だとわかると、彼を鎖につないでいたので、恐れた。 + その翌日、千人隊長は、パウロがなぜユダヤ人に告訴されたのかを確かめたいと思って、パウロの鎖を解いてやり、祭司長たちと全議会の召集を命じ、パウロを連れて行って、彼らの前に立たせた。 + + + パウロは議会を見つめて、こう言った。「兄弟たちよ。私は今日まで、全くきよい良心をもって、神の前に生活して来ました。」 + すると大祭司アナニヤは、パウロのそばに立っている者たちに、彼の口を打てと命じた。 + そのとき、パウロはアナニヤに向かってこう言った。「ああ、白く塗った壁。神があなたを打たれる。あなたは、律法に従って私をさばく座に着きながら、律法にそむいて、私を打てと命じるのですか。」 + するとそばに立っている者たちが、「あなたは神の大祭司をののしるのか」と言ったので、 + パウロが言った。「兄弟たち。私は彼が大祭司だとは知らなかった。確かに、『あなたの民の指導者を悪く言ってはいけない』と書いてあります。」 + しかし、パウロは、彼らの一部がサドカイ人で、一部がパリサイ人であるのを見て取って、議会の中でこう叫んだ。「兄弟たち。私はパリサイ人であり、パリサイ人の子です。私は死者の復活という望みのことで、さばきを受けているのです。」 + 彼がこう言うと、パリサイ人とサドカイ人との間に意見の衝突が起こり、議会は二つに割れた。 + サドカイ人は、復活はなく、御使いも霊もないと言い、パリサイ人は、どちらもあると言っていたからである。 + 騒ぎがいよいよ大きくなり、パリサイ派のある律法学者たちが立ち上がって激しく論じて、「私たちは、この人に何の悪い点も見いださない。もしかしたら、霊か御使いかが、彼に語りかけたのかもしれない」と言った。 + 論争がますます激しくなったので、千人隊長は、パウロが彼らに引き裂かれてしまうのではないかと心配し、兵隊に、下に降りて行って、パウロを彼らの中から力ずくで引き出し、兵営に連れて来るように命じた。 + その夜、主がパウロのそばに立って、「勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなければならない」と言われた。 + 夜が明けると、ユダヤ人たちは徒党を組み、パウロを殺してしまうまでは飲み食いしないと誓い合った。 + この陰謀に加わった者は、四十人以上であった。 + 彼らは、祭司長たち、長老たちのところに行って、こう言った。「私たちは、パウロを殺すまでは何も食べない、と堅く誓い合いました。 + そこで、今あなたがたは議会と組んで、パウロのことをもっと詳しく調べるふりをして、彼をあなたがたのところに連れて来るように千人隊長に願い出てください。私たちのほうでは、彼がそこに近づく前に殺す手はずにしています。」 + ところが、パウロの姉妹の子が、この待ち伏せのことを耳にし、兵営に入ってパウロにそれを知らせた。 + そこでパウロは、百人隊長のひとりを呼んで、「この青年を千人隊長のところに連れて行ってください。お伝えすることがありますから」と言った。 + 百人隊長は、彼を連れて千人隊長のもとに行き、「囚人のパウロが私を呼んで、この青年があなたにお話しすることがあるので、あなたのところに連れて行くようにと頼みました」と言った。 + 千人隊長は彼の手を取り、だれもいない所に連れて行って、「私に伝えたいことというのは何か」と尋ねた。 + すると彼はこう言った。「ユダヤ人たちは、パウロについてもっと詳しく調べようとしているかに見せかけて、あす、議会にパウロを連れて来てくださるように、あなたにお願いすることを申し合わせました。 + どうか、彼らの願いを聞き入れないでください。四十人以上の者が、パウロを殺すまでは飲み食いしない、と誓い合って、彼を待ち伏せしているのです。今、彼らは手はずを整えて、あなたの承諾を待っています。」 + そこで千人隊長は、「このことを私に知らせたことは、だれにも漏らすな」と命じて、その青年を帰らせた。 + そしてふたりの百人隊長を呼び、「今夜九時、カイザリヤに向けて出発できるように、歩兵二百人、騎兵七十人、槍兵二百人を整えよ」と言いつけた。 + また、パウロを乗せて無事に総督ペリクスのもとに送り届けるように、馬の用意もさせた。 + そして、次のような文面の手紙を書いた。 + 「クラウデオ・ルシヤ、つつしんで総督ペリクス閣下にごあいさつ申し上げます。 + この者が、ユダヤ人に捕らえられ、まさに殺されようとしていたとき、彼がローマ市民であることを知りましたので、私は兵隊を率いて行って、彼を助け出しました。 + それから、どんな理由で彼が訴えられたかを知ろうと思い、彼をユダヤ人の議会に出頭させました。 + その結果、彼が訴えられているのは、ユダヤ人の律法に関する問題のためで、死刑や投獄に当たる罪はないことがわかりました。 + しかし、この者に対する陰謀があるという情報を得ましたので、私はただちに彼を閣下のもとにお送りし、訴える者たちには、閣下の前で彼のことを訴えるようにと言い渡しておきました。」 + そこで兵士たちは、命じられたとおりにパウロを引き取り、夜中にアンテパトリスまで連れて行き、 + 翌日、騎兵たちにパウロの護送を任せて、兵営に帰った。 + 騎兵たちは、カイザリヤに着き、総督に手紙を手渡して、パウロを引き合わせた。 + 総督は手紙を読んでから、パウロに、どの州の者かと尋ね、キリキヤの出であることを知って、 + 「あなたを訴える者が来てから、よく聞くことにしよう」と言った。そして、ヘロデの官邸に彼を守っておくように命じた。 + + + 五日の後、大祭司アナニヤは、数人の長老およびテルトロという弁護士といっしょに下って来て、パウロを総督に訴えた。 + パウロが呼び出されると、テルトロが訴えを始めてこう言った。「ペリクス閣下。閣下のおかげで、私たちはすばらしい平和を与えられ、また、閣下のご配慮で、この国の改革が進行しておりますが、 + その事実をあらゆる面において、また至る所で認めて、私たちは心から感謝しております。 + さて、あまりご迷惑をおかけしないように、ごく手短に申し上げますから、ご寛容をもってお聞きくださるようお願いいたします。 + この男は、まるでペストのような存在で、世界中のユダヤ人の間に騒ぎを起こしている者であり、ナザレ人という一派の首領でございます。 + この男は宮さえもけがそうとしましたので、私たちは彼を捕らえました。 + 後期の異本に、このあと、「そして私たちが自分たちの律法で彼をさばこうとしたところ、7千人隊長ルシヤがやって来て、むりやりに彼を私たちの手から奪い、8彼を訴える者は、あなたの前に来るようにと命じました」という挿入がある。 + 閣下ご自身で、これらすべてのことについて彼をお調べくださいますなら、私たちが彼を訴えております事がらを、おわかりになっていただけるはずです。」 + ユダヤ人たちも、この訴えに同調し、全くそのとおりだと言った。 + そのとき、総督がパウロに、話すようにと合図したので、パウロはこう答えた。「閣下が多年に渡り、この民の裁判をつかさどる方であることを存じておりますので、私は喜んで弁明いたします。 + お調べになればわかることですが、私が礼拝のためにエルサレムに上って来てから、まだ十二日しかたっておりません。 + そして、宮でも会堂でも、また市内でも、私がだれかと論争したり、群衆を騒がせたりするのを見た者はありません。 + いま私を訴えていることについて、彼らは証拠をあげることができないはずです。 + しかし、私は、彼らが異端と呼んでいるこの道に従って、私たちの先祖の神に仕えていることを、閣下の前で承認いたします。私は、律法にかなうことと、預言者たちが書いていることとを全部信じています。 + また、義人も悪人も必ず復活するという、この人たち自身も抱いている望みを、神にあって抱いております。 + そのために、私はいつも、神の前にも人の前にも責められることのない良心を保つように、と最善を尽くしています。 + さて私は、同胞に対して施しをし、また供え物をささげるために、幾年ぶりかで帰って来ました。 + その供え物のことで私は清めを受けて宮の中にいたのを彼らに見られたのですが、別に群衆もおらず、騒ぎもありませんでした。ただアジヤから来た幾人かのユダヤ人がおりました。 + もし彼らに、私について何か非難したいことがあるなら、自分で閣下の前に来て訴えるべきです。 + でなければ、今ここにいる人々に、議会の前に立っていたときの私にどんな不正を見つけたかを言わせてください。 + 彼らの中に立っていたとき、私はただ一言、『死者の復活のことで、私はきょう、あなたがたの前でさばかれているのです』と叫んだにすぎません。」 + しかしペリクスは、この道について相当詳しい知識を持っていたので、「千人隊長ルシヤが下って来るとき、あなたがたの事件を解決することにしよう」と言って、裁判を延期した。 + そして百人隊長に、パウロを監禁するように命じたが、ある程度の自由を与え、友人たちが世話をすることを許した。 + 数日後、ペリクスはユダヤ人である妻ドルシラを連れて来て、パウロを呼び出し、キリスト・イエスを信じる信仰について話を聞いた。 + しかし、パウロが正義と節制とやがて来る審判とを論じたので、ペリクスは恐れを感じ、「今は帰ってよい。おりを見て、また呼び出そう」と言った。 + それとともに、彼はパウロから金をもらいたい下心があったので、幾度もパウロを呼び出して話し合った。 + 二年たって後、ポルキオ・フェストがペリクスの後任になったが、ペリクスはユダヤ人に恩を売ろうとして、パウロを牢につないだままにしておいた。 + + + フェストは州総督として着任すると、三日後にカイザリヤからエルサレムに上った。 + すると、祭司長たちとユダヤ人のおもだった者たちが、パウロのことを訴え出て、 + パウロを取り調べる件について自分たちに好意を持ってくれるように頼み、パウロをエルサレムに呼び寄せていただきたいと彼に懇願した。彼らはパウロを途中で殺害するために待ち伏せをさせていた。 + ところが、フェストは、パウロはカイザリヤに拘置されているし、自分はまもなく出発の予定であると答え、 + 「だから、その男に何か不都合なことがあるなら、あなたがたのうちの有力な人たちが、私といっしょに下って行って、彼を告訴しなさい」と言った。 + フェストは、彼らのところに八日あるいは十日ばかり滞在しただけで、カイザリヤへ下って行き、翌日、裁判の席に着いて、パウロの出廷を命じた。 + パウロが出て来ると、エルサレムから下って来たユダヤ人たちは、彼を取り囲んで立ち、多くの重い罪状を申し立てたが、それを証拠立てることはできなかった。 + しかしパウロは弁明して、「私は、ユダヤ人の律法に対しても、宮に対しても、またカイザルに対しても、何の罪も犯してはおりません」と言った。 + ところが、ユダヤ人の歓心を買おうとしたフェストは、パウロに向かって、「あなたはエルサレムに上り、この事件について、私の前で裁判を受けることを願うか」と尋ねた。 + すると、パウロはこう言った。「私はカイザルの法廷に立っているのですから、ここで裁判を受けるのが当然です。あなたもよくご存じのとおり、私はユダヤ人にどんな悪いこともしませんでした。 + もし私が悪いことをして、死罪に当たることをしたのでしたら、私は死をのがれようとはしません。しかし、この人たちが私を訴えていることに一つも根拠がないとすれば、だれも私を彼らに引き渡すことはできません。私はカイザルに上訴します。」 + そのとき、フェストは陪席の者たちと協議したうえで、こう答えた。「あなたはカイザルに上訴したのだから、カイザルのもとへ行きなさい。」 + 数日たってから、アグリッパ王とベルニケが、フェストに敬意を表するためにカイザリヤに来た。 + ふたりがそこに長く滞在していたので、フェストはパウロの一件を王に持ち出してこう言った。「ペリクスが囚人として残して行ったひとりの男がおります。 + 私がエルサレムに行ったとき、祭司たちとユダヤ人の長老たちとが、その男のことを私に訴え出て、罪に定めるように要求しました。 + そのとき私は、『被告が、彼を訴えた者の面前で訴えに対して弁明する機会を与えられないで、そのまま引き渡されるということはローマの慣例ではない』と答えておきました。 + そういうわけで、訴える者たちがここに集まったとき、私は時を移さず、その翌日、裁判の席に着いて、その男を出廷させました。 + 訴えた者たちは立ち上がりましたが、私が予期していたような犯罪についての訴えは何一つ申し立てませんでした。 + ただ、彼と言い争っている点は、彼ら自身の宗教に関することであり、また、死んでしまったイエスという者のことで、そのイエスが生きているとパウロは主張しているのでした。 + このような問題をどう取り調べたらよいか、私には見当がつかないので、彼に『エルサレムに上り、そこで、この事件について裁判を受けたいのか』と尋ねたところが、 + パウロは、皇帝の判決を受けるまで保護してほしいと願い出たので、彼をカイザルのもとに送る時まで守っておくように、命じておきました。」 + すると、アグリッパがフェストに、「私も、その男の話を聞きたいものです」と言ったので、フェストは、「では、明日お聞きください」と言った。 + こういうわけで、翌日、アグリッパとベルニケは、大いに威儀を整えて到着し、千人隊長たちや市の首脳者たちにつき添われて講堂に入った。そのとき、フェストの命令によってパウロが連れて来られた。 + そこで、フェストはこう言った。「アグリッパ王、ならびに、ここに同席の方々。ご覧ください。ユダヤ人がこぞって、一刻も生かしてはおけないと呼ばわり、エルサレムでも、ここでも、私に訴えて来たのは、この人のことです。 + 私としては、彼は死に当たることは何一つしていないと思います。しかし、彼自身が皇帝に上訴しましたので、彼をそちらに送ることに決めました。 + ところが、彼について、わが君に書き送るべき確かな事がらが一つもないのです。それで皆さんの前に、わけてもアグリッパ王よ、あなたの前に、彼を連れてまいりました。取り調べをしてみたら、何か書き送るべきことが得られましょう。 + 囚人を送るのに、その訴えの個条を示さないのは、理に合わないと思うのです。」 + + + すると、アグリッパがパウロに、「あなたは、自分の言い分を申し述べてよろしい」と言った。そこでパウロは、手を差し伸べて弁明し始めた。 + 「アグリッパ王。私がユダヤ人に訴えられているすべてのことについて、きょう、あなたの前で弁明できることを、幸いに存じます。 + 特に、あなたがユダヤ人の慣習や問題に精通しておられるからです。どうか、私の申し上げることを、忍耐をもってお聞きくださるよう、お願いいたします。 + では申し述べますが、私が最初から私の国民の中で、またエルサレムにおいて過ごした若い時からの生活ぶりは、すべてのユダヤ人の知っているところです。 + 彼らは以前から私を知っていますので、証言するつもりならできることですが、私は、私たちの宗教の最も厳格な派に従って、パリサイ人として生活してまいりました。 + そして今、神が私たちの父祖たちに約束されたものを待ち望んでいることで、私は裁判を受けているのです。 + 私たちの十二部族は、夜も昼も熱心に神に仕えながら、その約束のものを得たいと望んでおります。王よ。私は、この希望のためにユダヤ人から訴えられているのです。 + 神が死者をよみがえらせるということを、あなたがたは、なぜ信じがたいこととされるのでしょうか。 + 以前は、私自身も、ナザレ人イエスの名に強硬に敵対すべきだと考えていました。 + そして、それをエルサレムで実行しました。祭司長たちから権限を授けられた私は、多くの聖徒たちを牢に入れ、彼らが殺されるときには、それに賛成の票を投じました。 + また、すべての会堂で、しばしば彼らを罰しては、強いて御名をけがすことばを言わせようとし、彼らに対する激しい怒りに燃えて、ついには国外の町々にまで彼らを追跡して行きました。 + このようにして、私は祭司長たちから権限と委任を受けて、ダマスコへ出かけて行きますと、 + その途中、正午ごろ、王よ、私は天からの光を見ました。それは太陽よりも明るく輝いて、私と同行者たちとの回りを照らしたのです。 + 私たちはみな地に倒れましたが、そのとき声があって、ヘブル語で私にこう言うのが聞こえました。『サウロ、サウロ。なぜわたしを迫害するのか。とげのついた棒をけるのは、あなたにとって痛いことだ。』 + 私が『主よ。あなたはどなたですか』と言いますと、主がこう言われました。『わたしは、あなたが迫害しているイエスである。 + 起き上がって、自分の足で立ちなさい。わたしがあなたに現れたのは、あなたが見たこと、また、これから後わたしがあなたに現れて示そうとすることについて、あなたを奉仕者、また証人に任命するためである。 + わたしは、この民と異邦人との中からあなたを救い出し、彼らのところに遣わす。 + それは彼らの目を開いて、暗やみから光に、サタンの支配から神に立ち返らせ、わたしを信じる信仰によって、彼らに罪の赦しを得させ、聖なるものとされた人々の中にあって御国を受け継がせるためである。』 + こういうわけで、アグリッパ王よ、私は、この天からの啓示にそむかず、 + ダマスコにいる人々をはじめエルサレムにいる人々に、またユダヤの全地方に、さらに異邦人にまで、悔い改めて神に立ち返り、悔い改めにふさわしい行いをするようにと宣べ伝えて来たのです。 + そのために、ユダヤ人たちは私を宮の中で捕らえ、殺そうとしたのです。 + こうして、私はこの日に至るまで神の助けを受け、堅く立って、小さい者にも大きい者にもあかしをしているのです。そして、預言者たちやモーセが、後に起こるはずだと語ったこと以外は何も話しませんでした。 + すなわち、キリストは苦しみを受けること、また、死者の中からの復活によって、この民と異邦人とに最初に光を宣べ伝える、ということです。」 + パウロがこのように弁明していると、フェストが大声で、「気が狂っているぞ。パウロ。博学があなたの気を狂わせている」と言った。 + するとパウロは次のように言った。「フェスト閣下。気は狂っておりません。私は、まじめな真理のことばを話しています。 + 王はこれらのことをよく知っておられるので、王に対して私は率直に申し上げているのです。これらのことは片隅で起こった出来事ではありませんから、そのうちの一つでも王の目に留まらなかったものはないと信じます。 + アグリッパ王。あなたは預言者を信じておられますか。もちろん信じておられると思います。」 + するとアグリッパはパウロに、「あなたは、わずかなことばで、私をキリスト者にしようとしている」と言った。 + パウロはこう答えた。「ことばが少なかろうと、多かろうと、私が神に願うことは、あなたばかりでなく、きょう私の話を聞いている人がみな、この鎖は別として、私のようになってくださることです。」 + ここで王と総督とベルニケ、および同席の人々が立ち上がった。 + 彼らは退場してから、互いに話し合って言った。「あの人は、死や投獄に相当することは何もしていない。」 + またアグリッパはフェストに、「この人は、もしカイザルに上訴しなかったら、釈放されたであろうに」と言った。 + + + さて、私たちが船でイタリヤへ行くことが決まったとき、パウロと、ほかの数人の囚人は、ユリアスという親衛隊の百人隊長に引き渡された。 + 私たちは、アジヤの沿岸の各地に寄港して行くアドラミテオの船に乗り込んで出帆した。テサロニケのマケドニヤ人アリスタルコも同行した。 + 翌日、シドンに入港した。ユリアスはパウロを親切に取り扱い、友人たちのところへ行って、もてなしを受けることを許した。 + そこから出帆したが、向かい風なので、キプロスの島陰を航行した。 + そしてキリキヤとパンフリヤの沖を航行して、ルキヤのミラに入港した。 + そこに、イタリヤへ行くアレキサンドリヤの船があったので、百人隊長は私たちをそれに乗り込ませた。 + 幾日かの間、船の進みはおそく、ようやくのことでクニドの沖に着いたが、風のためにそれ以上進むことができず、サルモネ沖のクレテの島陰を航行し、 + その岸に沿って進みながら、ようやく、良い港と呼ばれる所に着いた。その近くにラサヤの町があった。 + かなりの日数が経過しており、断食の季節もすでに過ぎていたため、もう航海は危険であったので、パウロは人々に注意して、 + 「皆さん。この航海では、きっと、積荷や船体だけではなく、私たちの生命にも、危害と大きな損失が及ぶと、私は考えます」と言った。 + しかし百人隊長は、パウロのことばよりも、航海士や船長のほうを信用した。 + また、この港が冬を過ごすのに適していなかったので、大多数の者の意見は、ここを出帆して、できれば何とかして、南西と北西とに面しているクレテの港ピニクスまで行って、そこで冬を過ごしたいということになった。 + おりから、穏やかな南風が吹いて来ると、人々はこの時とばかり錨を上げて、クレテの海岸に沿って航行した。 + ところが、まもなくユーラクロンという暴風が陸から吹きおろして来て、 + 船はそれに巻き込まれ、風に逆らって進むことができないので、しかたなく吹き流されるままにした。 + しかしクラウダという小さな島の陰に入ったので、ようやくのことで小舟を処置することができた。 + 小舟を船に引き上げ、備え綱で船体を巻いた。また、スルテスの浅瀬に乗り上げるのを恐れて、船具をはずして流れるに任せた。 + 私たちは暴風に激しく翻弄されていたので、翌日、人々は積荷を捨て始め、 + 三日目には、自分の手で船具までも投げ捨てた。 + 太陽も星も見えない日が幾日も続き、激しい暴風が吹きまくるので、私たちが助かる最後の望みも今や絶たれようとしていた。 + だれも長いこと食事をとらなかったが、そのときパウロが彼らの中に立って、こう言った。「皆さん。あなたがたは私の忠告を聞き入れて、クレテを出帆しなかったら、こんな危害や損失をこうむらなくて済んだのです。 + しかし、今、お勧めします。元気を出しなさい。あなたがたのうち、いのちを失う者はひとりもありません。失われるのは船だけです。 + 昨夜、私の主で、私の仕えている神の御使いが、私の前に立って、 + こう言いました。『恐れてはいけません。パウロ。あなたは必ずカイザルの前に立ちます。そして、神はあなたと同船している人々をみな、あなたにお与えになったのです。』 + ですから、皆さん。元気を出しなさい。すべて私に告げられたとおりになると、私は神によって信じています。 + 私たちは必ず、どこかの島に打ち上げられます。」 + 十四日目の夜になって、私たちがアドリヤ海を漂っていると、真夜中ごろ、水夫たちは、どこかの陸地に近づいたように感じた。 + 水の深さを測ってみると、四十メートルほどであることがわかった。少し進んでまた測ると、三十メートルほどであった。 + どこかで暗礁に乗り上げはしないかと心配して、ともから四つの錨を投げおろし、夜の明けるのを待った。 + ところが、水夫たちは船から逃げ出そうとして、へさきから錨を降ろすように見せかけて、小舟を海に降ろしていたので、 + パウロは百人隊長や兵士たちに、「あの人たちが船にとどまっていなければ、あなたがたも助かりません」と言った。 + そこで兵士たちは、小舟の綱を断ち切って、そのまま流れ去るのに任せた。 + ついに夜の明けかけたころ、パウロは、一同に食事をとることを勧めて、こう言った。「あなたがたは待ちに待って、きょうまで何も食べずに過ごして、十四日になります。 + ですから、私はあなたがたに、食事をとることを勧めます。これであなたがたは助かることになるのです。あなたがたの頭から髪一筋も失われることはありません。」 + こう言って、彼はパンを取り、一同の前で神に感謝をささげてから、それを裂いて食べ始めた。 + そこで一同も元気づけられ、みなが食事をとった。 + 船にいた私たちは全部で二百七十六人であった。 + 十分食べてから、彼らは麦を海に投げ捨てて、船を軽くした。 + 夜が明けると、どこの陸地かわからないが、砂浜のある入江が目に留まったので、できれば、そこに船を乗り入れようということになった。 + 錨を切って海に捨て、同時にかじ綱を解き、風に前の帆を上げて、砂浜に向かって進んで行った。 + ところが、潮流の流れ合う浅瀬に乗り上げて、船を座礁させてしまった。へさきはめり込んで動かなくなり、ともは激しい波に打たれて破れ始めた。 + 兵士たちは、囚人たちがだれも泳いで逃げないように、殺してしまおうと相談した。 + しかし百人隊長は、パウロをあくまでも助けようと思って、その計画を押さえ、泳げる者がまず海に飛び込んで陸に上がるように、 + それから残りの者は、板切れや、その他の、船にある物につかまって行くように命じた。こうして、彼らはみな、無事に陸に上がった。 + + + こうして救われてから、私たちは、ここがマルタと呼ばれる島であることを知った。 + 島の人々は私たちに非常に親切にしてくれた。おりから雨が降りだして寒かったので、彼らは火をたいて私たちみなをもてなしてくれた。 + パウロがひとかかえの柴をたばねて火にくべると、熱気のために、一匹のまむしがはい出して来て、彼の手に取りついた。 + 島の人々は、この生き物がパウロの手から下がっているのを見て、「この人はきっと人殺しだ。海からはのがれたが、正義の女神はこの人を生かしてはおかないのだ」と互いに話し合った。 + しかし、パウロは、その生き物を火の中に振り落として、何の害も受けなかった。 + 島の人々は、彼が今にも、はれ上がって来るか、または、倒れて急死するだろうと待っていた。しかし、いくら待っても、彼に少しも変わった様子が見えないので、彼らは考えを変えて、「この人は神さまだ」と言いだした。 + さて、その場所の近くに、島の首長でポプリオという人の領地があった。彼はそこに私たちを招待して、三日間手厚くもてなしてくれた。 + たまたまポプリオの父が、熱病と下痢とで床に着いていた。そこでパウロは、その人のもとに行き、祈ってから、彼の上に手を置いて直してやった。 + このことがあってから、島のほかの病人たちも来て、直してもらった。 + それで彼らは、私たちを非常に尊敬し、私たちが出帆するときには、私たちに必要な品々を用意してくれた。 + 三か月後に、私たちは、この島で冬を過ごしていた、船首にデオスクロイの飾りのある、アレキサンドリヤの船で出帆した。 + シラクサに寄港して、三日間とどまり、 + そこから回って、レギオンに着いた。一日たつと、南風が吹き始めたので、二日目にはポテオリに入港した。 + ここで、私たちは兄弟たちに会い、勧められるままに彼らのところに七日間滞在した。こうして、私たちはローマに到着した。 + 私たちのことを聞いた兄弟たちは、ローマからアピオ・ポロとトレス・タベルネまで出迎えに来てくれた。パウロは彼らに会って、神に感謝し、勇気づけられた。 + 私たちがローマに入ると、パウロは番兵付きで自分だけの家に住むことが許された。 + 三日の後、パウロはユダヤ人のおもだった人たちを呼び集め、彼らが集まったときに、こう言った。「兄弟たち。私は、私の国民に対しても、先祖の慣習に対しても、何一つそむくことはしていないのに、エルサレムで囚人としてローマ人の手に渡されました。 + ローマ人は私を取り調べましたが、私を死刑にする理由が何もなかったので、私を釈放しようと思ったのです。 + ところが、ユダヤ人たちが反対したため、私はやむなくカイザルに上訴しました。それは、私の同胞を訴えようとしたのではありません。 + このようなわけで、私は、あなたがたに会ってお話ししようと思い、お招きしました。私はイスラエルの望みのためにこの鎖につながれているのです。」 + すると、彼らはこう言った。「私たちは、あなたのことについて、ユダヤから何の知らせも受けておりません。また、当地に来た兄弟たちの中で、あなたについて悪いことを告げたり、話したりした者はおりません。 + 私たちは、あなたが考えておられることを、直接あなたから聞くのがよいと思っています。この宗派については、至る所で非難があることを私たちは知っているからです。」 + そこで、彼らは日を定めて、さらに大ぜいでパウロの宿にやって来た。彼は朝から晩まで語り続けた。神の国のことをあかしし、また、モーセの律法と預言者たちの書によって、イエスのことについて彼らを説得しようとした。 + ある人々は彼の語る事を信じたが、ある人々は信じようとしなかった。 + こうして、彼らは、お互いの意見が一致せずに帰りかけたので、パウロは一言、次のように言った。「聖霊が預言者イザヤを通してあなたがたの父祖たちに語られたことは、まさにそのとおりでした。 + 『この民のところに行って、告げよ。あなたがたは確かに聞きはするが、決して悟らない。確かに見てはいるが、決してわからない。 + この民の心は鈍くなり、その耳は遠く、その目はつぶっているからである。それは、彼らがその目で見、その耳で聞き、その心で悟って、立ち返り、わたしにいやされることのないためである。』 + ですから、承知しておいてください。神のこの救いは、異邦人に送られました。彼らは、耳を傾けるでしょう。」 + ある写本には二九節として、次の挿入がある。「彼がこれらのことを話し終えると、ユダヤ人たちは互いに激しく論じ合いながら、帰って行った。」 + こうしてパウロは満二年の間、自費で借りた家に住み、たずねて来る人たちをみな迎えて、 + 大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。 + +
+
+ + 神の福音のために選び分けられ、使徒として召されたキリスト・イエスのしもべパウロ、 + ――この福音は、神がその預言者たちを通して、聖書において前から約束されたもので、 + 御子に関することです。御子は、肉によればダビデの子孫として生まれ、 + 聖い御霊によれば、死者の中からの復活により、大能によって公に神の御子として示された方、私たちの主イエス・キリストです。 + このキリストによって、私たちは恵みと使徒の務めを受けました。それは、御名のためにあらゆる国の人々の中に信仰の従順をもたらすためです。 + あなたがたも、それらの人々の中にあって、イエス・キリストによって召された人々です、――このパウロから、 + ローマにいるすべての、神に愛されている人々、召された聖徒たちへ。/私たちの父なる神と主イエス・キリストから恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + まず第一に、あなたがたすべてのために、私はイエス・キリストによって私の神に感謝します。それは、あなたがたの信仰が全世界に言い伝えられているからです。 + 私が御子の福音を宣べ伝えつつ霊をもって仕えている神があかししてくださることですが、私はあなたがたのことを思わぬ時はなく、 + いつも祈りのたびごとに、神のみこころによって、何とかして、今度はついに道が開かれて、あなたがたのところに行けるようにと願っています。 + 私があなたがたに会いたいと切に望むのは、御霊の賜物をいくらかでもあなたがたに分けて、あなたがたを強くしたいからです。 + というよりも、あなたがたの間にいて、あなたがたと私との互いの信仰によって、ともに励ましを受けたいのです。 + 兄弟たち。ぜひ知っておいていただきたい。私はあなたがたの中でも、ほかの国の人々の中で得たと同じように、いくらかの実を得ようと思って、何度もあなたがたのところに行こうとしたのですが、今なお妨げられているのです。 + 私は、ギリシヤ人にも未開人にも、知識のある人にも知識のない人にも、返さなければならない負債を負っています。 + ですから、私としては、ローマにいるあなたがたにも、ぜひ福音を伝えたいのです。 + 私は福音を恥とは思いません。福音は、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、信じるすべての人にとって、救いを得させる神の力です。 + なぜなら、福音のうちには神の義が啓示されていて、その義は、信仰に始まり信仰に進ませるからです。「義人は信仰によって生きる」と書いてあるとおりです。 + というのは、不義をもって真理をはばんでいる人々のあらゆる不敬虔と不正に対して、神の怒りが天から啓示されているからです。 + それゆえ、神について知られることは、彼らに明らかです。それは神が明らかにされたのです。 + 神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地はないのです。 + それゆえ、彼らは神を知っていながら、その神を神としてあがめず、感謝もせず、かえってその思いはむなしくなり、その無知な心は暗くなりました。 + 彼らは、自分では知者であると言いながら、愚かな者となり、 + 不滅の神の御栄えを、滅ぶべき人間や、鳥、獣、はうもののかたちに似た物と代えてしまいました。 + それゆえ、神は、彼らをその心の欲望のままに汚れに引き渡され、そのために彼らは、互いにそのからだをはずかしめるようになりました。 + それは、彼らが神の真理を偽りと取り代え、造り主の代わりに造られた物を拝み、これに仕えたからです。造り主こそ、とこしえにほめたたえられる方です。アーメン。 + こういうわけで、神は彼らを恥ずべき情欲に引き渡されました。すなわち、女は自然の用を不自然なものに代え、 + 同じように、男も、女の自然な用を捨てて男どうしで情欲に燃え、男が男と恥ずべきことを行うようになり、こうしてその誤りに対する当然の報いを自分の身に受けているのです。 + また、彼らが神を知ろうとしたがらないので、神は彼らを良くない思いに引き渡され、そのため彼らは、してはならないことをするようになりました。 + 彼らは、あらゆる不義と悪とむさぼりと悪意とに満ちた者、ねたみと殺意と争いと欺きと悪だくみとでいっぱいになった者、陰口を言う者、 + そしる者、神を憎む者、人を人と思わぬ者、高ぶる者、大言壮語する者、悪事をたくらむ者、親に逆らう者、 + わきまえのない者、約束を破る者、情け知らずの者、慈愛のない者です。 + 彼らは、そのようなことを行えば、死罪に当たるという神の定めを知っていながら、それを行っているだけでなく、それを行う者に心から同意しているのです。 + + + ですから、すべて他人をさばく人よ。あなたに弁解の余地はありません。あなたは、他人をさばくことによって、自分自身を罪に定めています。さばくあなたが、それと同じことを行っているからです。 + 私たちは、そのようなことを行っている人々に下る神のさばきが正しいことを知っています。 + そのようなことをしている人々をさばきながら、自分で同じことをしている人よ。あなたは、自分は神のさばきを免れるのだとでも思っているのですか。 + それとも、神の慈愛があなたを悔い改めに導くことも知らないで、その豊かな慈愛と忍耐と寛容とを軽んじているのですか。 + ところが、あなたは、かたくなさと悔い改めのない心のゆえに、御怒りの日、すなわち、神の正しいさばきの現れる日の御怒りを自分のために積み上げているのです。 + 神は、ひとりひとりに、その人の行いに従って報いをお与えになります。 + 忍耐をもって善を行い、栄光と誉れと不滅のものとを求める者には、永遠のいのちを与え、 + 党派心を持ち、真理に従わないで不義に従う者には、怒りと憤りを下されるのです。 + 患難と苦悩とは、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、悪を行うすべての者の上に下り、 + 栄光と誉れと平和は、ユダヤ人をはじめギリシヤ人にも、善を行うすべての者の上にあります。 + 神にはえこひいきなどはないからです。 + 律法なしに罪を犯した者はすべて、律法なしに滅び、律法の下にあって罪を犯した者はすべて、律法によってさばかれます。 + それは、律法を聞く者が神の前に正しいのではなく、律法を行う者が正しいと認められるからです。 + ――律法を持たない異邦人が、生まれつきのままで律法の命じる行いをする場合は、律法を持たなくても、自分自身が自分に対する律法なのです。 + 彼らはこのようにして、律法の命じる行いが彼らの心に書かれていることを示しています。彼らの良心もいっしょになってあかしし、また、彼らの思いは互いに責め合ったり、また、弁明し合ったりしています。―― + 私の福音によれば、神のさばきは、神がキリスト・イエスによって人々の隠れたことをさばかれる日に、行われるのです。 + もし、あなたが自分をユダヤ人ととなえ、律法を持つことに安んじ、神を誇り、 + みこころを知り、なすべきことが何であるかを律法に教えられてわきまえ、 + また、知識と真理の具体的な形として律法を持っているため、盲人の案内人、やみの中にいる者の光、愚かな者の導き手、幼子の教師だと自任しているのなら、 + - + どうして、人を教えながら、自分自身を教えないのですか。盗むなと説きながら、自分は盗むのですか。 + 姦淫するなと言いながら、自分は姦淫するのですか。偶像を忌みきらいながら、自分は神殿の物をかすめるのですか。 + 律法を誇りとしているあなたが、どうして律法に違反して、神を侮るのですか。 + これは、「神の名は、あなたがたのゆえに、異邦人の中でけがされている」と書いてあるとおりです。 + もし律法を守るなら、割礼には価値があります。しかし、もしあなたが律法にそむいているなら、あなたの割礼は、無割礼になったのです。 + もし割礼を受けていない人が律法の規定を守るなら、割礼を受けていなくても、割礼を受けている者とみなされないでしょうか。 + また、からだに割礼を受けていないで律法を守る者が、律法の文字と割礼がありながら律法にそむいているあなたを、さばくことにならないでしょうか。 + 外見上のユダヤ人がユダヤ人なのではなく、外見上のからだの割礼が割礼なのではありません。 + かえって人目に隠れたユダヤ人がユダヤ人であり、文字ではなく、御霊による、心の割礼こそ割礼です。その誉れは、人からではなく、神から来るものです。 + + + では、ユダヤ人のすぐれたところは、いったい何ですか。割礼にどんな益があるのですか。 + それは、あらゆる点から見て、大いにあります。第一に、彼らは神のいろいろなおことばをゆだねられています。 + では、いったいどうなのですか。彼らのうちに不真実な者があったら、その不真実によって、神の真実が無に帰することになるでしょうか。 + 絶対にそんなことはありません。たとい、すべての人を偽り者としても、神は真実な方であるとすべきです。それは、「あなたが、そのみことばによって正しいとされ、さばかれるときには勝利を得られるため。」/と書いてあるとおりです。 + しかし、もし私たちの不義が神の義を明らかにするとしたら、どうなるでしょうか。人間的な言い方をしますが、怒りを下す神は不正なのでしょうか。 + 絶対にそんなことはありません。もしそうだとしたら、神はいったいどのように世をさばかれるのでしょう。 + でも、私の偽りによって、神の真理がますます明らかにされて神の栄光となるのであれば、なぜ私がなお罪人としてさばかれるのでしょうか。 + 「善を現すために、悪をしようではないか」と言ってはいけないのでしょうか――私たちはこの点でそしられるのです。ある人たちは、それが私たちのことばだと言っていますが。――もちろんこのように論じる者どもは当然罪に定められるのです。 + では、どうなのでしょう。私たちは他の者にまさっているのでしょうか。決してそうではありません。私たちは前に、ユダヤ人もギリシヤ人も、すべての人が罪の下にあると責めたのです。 + それは、次のように書いてあるとおりです。「義人はいない。ひとりもいない。 + 悟りのある人はいない。神を求める人はいない。 + すべての人が迷い出て、みな、ともに無益な者となった。善を行う人はいない。ひとりもいない。」 + 「彼らののどは、開いた墓であり、彼らはその舌で欺く。」「彼らのくちびるの下には、まむしの毒があり、」 + 「彼らの口は、のろいと苦さで満ちている。」 + 「彼らの足は血を流すのに速く、 + 彼らの道には破壊と悲惨がある。 + また、彼らは平和の道を知らない。」 + 「彼らの目の前には、神に対する恐れがない。」 + さて、私たちは、律法の言うことはみな、律法の下にある人々に対して言われていることを知っています。それは、すべての口がふさがれて、全世界が神のさばきに服するためです。 + なぜなら、律法を行うことによっては、だれひとり神の前に義と認められないからです。律法によっては、かえって罪の意識が生じるのです。 + しかし、今は、律法とは別に、しかも律法と預言者によってあかしされて、神の義が示されました。 + すなわち、イエス・キリストを信じる信仰による神の義であって、それはすべての信じる人に与えられ、何の差別もありません。 + すべての人は、罪を犯したので、神からの栄誉を受けることができず、 + ただ、神の恵みにより、キリスト・イエスによる贖いのゆえに、価なしに義と認められるのです。 + 神は、キリスト・イエスを、その血による、また信仰による、なだめの供え物として、公にお示しになりました。それは、ご自身の義を現すためです。というのは、今までに犯されて来た罪を神の忍耐をもって見のがして来られたからです。 + それは、今の時にご自身の義を現すためであり、こうして神ご自身が義であり、また、イエスを信じる者を義とお認めになるためなのです。 + それでは、私たちの誇りはどこにあるのでしょうか。それはすでに取り除かれました。どういう原理によってでしょうか。行いの原理によってでしょうか。そうではなく、信仰の原理によってです。 + 人が義と認められるのは、律法の行いによるのではなく、信仰によるというのが、私たちの考えです。 + それとも、神はユダヤ人だけの神でしょうか。異邦人にとっても神ではないのでしょうか。確かに神は、異邦人にとっても、神です。 + 神が唯一ならばそうです。この神は、割礼のある者を信仰によって義と認めてくださるとともに、割礼のない者をも、信仰によって義と認めてくださるのです。 + それでは、私たちは信仰によって律法を無効にすることになるのでしょうか。絶対にそんなことはありません。かえって、律法を確立することになるのです。 + + + それでは、肉による私たちの父祖アブラハムの場合は、どうでしょうか。 + もしアブラハムが行いによって義と認められたのなら、彼は誇ることができます。しかし、神の御前では、そうではありません。 + 聖書は何と言っていますか。「それでアブラハムは神を信じた。それが彼の義とみなされた」とあります。 + 働く者の場合に、その報酬は恵みでなくて、当然支払うべきものとみなされます。 + 何の働きもない者が、不敬虔な者を義と認めてくださる方を信じるなら、その信仰が義とみなされるのです。 + ダビデもまた、行いとは別の道で神によって義と認められる人の幸いを、こう言っています。 + 「不法を赦され、罪をおおわれた人たちは、幸いである。 + 主が罪を認めない人は幸いである。」 + それでは、この幸いは、割礼のある者にだけ与えられるのでしょうか。それとも、割礼のない者にも与えられるのでしょうか。私たちは、「アブラハムには、その信仰が義とみなされた」と言っていますが、 + どのようにして、その信仰が義とみなされたのでしょうか。割礼を受けてからでしょうか。まだ割礼を受けていないときにでしょうか。割礼を受けてからではなく、割礼を受けていないときにです。 + 彼は、割礼を受けていないとき信仰によって義と認められたことの証印として、割礼というしるしを受けたのです。それは、彼が、割礼を受けないままで信じて義と認められるすべての人の父となり、 + また割礼のある者の父となるためです。すなわち、割礼を受けているだけではなく、私たちの父アブラハムが無割礼のときに持った信仰の足跡に従って歩む者の父となるためです。 + というのは、世界の相続人となるという約束が、アブラハムに、あるいはまた、その子孫に与えられたのは、律法によってではなく、信仰の義によったからです。 + もし律法による者が相続人であるとするなら、信仰はむなしくなり、約束は無効になってしまいます。 + 律法は怒りを招くものであり、律法のないところには違反もありません。 + そのようなわけで、世界の相続人となることは、信仰によるのです。それは、恵みによるためであり、こうして約束がすべての子孫に、すなわち、律法を持っている人々にだけでなく、アブラハムの信仰にならう人々にも保証されるためなのです。「わたしは、あなたをあらゆる国の人々の父とした」と書いてあるとおりに、アブラハムは私たちすべての者の父なのです。 + このことは、彼が信じた神、すなわち死者を生かし、無いものを有るもののようにお呼びになる方の御前で、そうなのです。 + 彼は望みえないときに望みを抱いて信じました。それは、「あなたの子孫はこのようになる」と言われていたとおりに、彼があらゆる国の人々の父となるためでした。 + アブラハムは、およそ百歳になって、自分のからだが死んだも同然であることと、サラの胎の死んでいることとを認めても、その信仰は弱りませんでした。 + 彼は、不信仰によって神の約束を疑うようなことをせず、反対に、信仰がますます強くなって、神に栄光を帰し、 + 神には約束されたことを成就する力があることを堅く信じました。 + だからこそ、それが彼の義とみなされたのです。 + しかし、「彼の義とみなされた」と書いてあるのは、ただ彼のためだけでなく、 + また私たちのためです。すなわち、私たちの主イエスを死者の中からよみがえらせた方を信じる私たちも、その信仰を義とみなされるのです。 + 主イエスは、私たちの罪のために死に渡され、私たちが義と認められるために、よみがえられたからです。 + + + ですから、信仰によって義と認められた私たちは、私たちの主イエス・キリストによって、神との平和を持っています。 + またキリストによって、いま私たちの立っているこの恵みに信仰によって導き入れられた私たちは、神の栄光を望んで大いに喜んでいます。 + そればかりではなく、患難さえも喜んでいます。それは、患難が忍耐を生み出し、 + 忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っているからです。 + この希望は失望に終わることがありません。なぜなら、私たちに与えられた聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれているからです。 + 私たちがまだ弱かったとき、キリストは定められた時に、不敬虔な者のために死んでくださいました。 + 正しい人のためにでも死ぬ人はほとんどありません。情け深い人のためには、進んで死ぬ人があるいはいるでしょう。 + しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死んでくださったことにより、神は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます。 + ですから、今すでにキリストの血によって義と認められた私たちが、彼によって神の怒りから救われるのは、なおさらのことです。 + もし敵であった私たちが、御子の死によって神と和解させられたのなら、和解させられた私たちが、彼のいのちによって救いにあずかるのは、なおさらのことです。 + そればかりでなく、私たちのために今や和解を成り立たせてくださった私たちの主イエス・キリストによって、私たちは神を大いに喜んでいるのです。 + そういうわけで、ちょうどひとりの人によって罪が世界に入り、罪によって死が入り、こうして死が全人類に広がったのと同様に、――それというのも全人類が罪を犯したからです。 + というのは、律法が与えられるまでの時期にも罪は世にあったからです。しかし罪は、何かの律法がなければ、認められないものです。 + ところが死は、アダムからモーセまでの間も、アダムの違反と同じようには罪を犯さなかった人々をさえ支配しました。アダムはきたるべき方のひな型です。 + ただし、恵みには違反の場合とは違う点があります。もしひとりの違反によって多くの人が死んだとすれば、それにもまして、神の恵みとひとりの人イエス・キリストの恵みによる賜物とは、多くの人々に満ちあふれるのです。 + また、賜物には、罪を犯したひとりによる場合と違った点があります。さばきの場合は、一つの違反のために罪に定められたのですが、恵みの場合は、多くの違反が義と認められるからです。 + もしひとりの違反により、ひとりによって死が支配するようになったとすれば、なおさらのこと、恵みと義の賜物とを豊かに受けている人々は、ひとりのイエス・キリストにより、いのちにあって支配するのです。 + こういうわけで、ちょうどひとりの違反によってすべての人が罪に定められたのと同様に、ひとりの義の行為によってすべての人が義と認められ、いのちを与えられるのです。 + すなわち、ちょうどひとりの人の不従順によって多くの人が罪人とされたのと同様に、ひとりの従順によって多くの人が義人とされるのです。 + 律法が入って来たのは、違反が増し加わるためです。しかし、罪の増し加わるところには、恵みも満ちあふれました。 + それは、罪が死によって支配したように、恵みが、私たちの主イエス・キリストにより、義の賜物によって支配し、永遠のいのちを得させるためなのです。 + + + それでは、どういうことになりますか。恵みが増し加わるために、私たちは罪の中にとどまるべきでしょうか。 + 絶対にそんなことはありません。罪に対して死んだ私たちが、どうして、なおもその中に生きていられるでしょう。 + それとも、あなたがたは知らないのですか。キリスト・イエスにつくバプテスマを受けた私たちはみな、その死にあずかるバプテスマを受けたのではありませんか。 + 私たちは、キリストの死にあずかるバプテスマによって、キリストとともに葬られたのです。それは、キリストが御父の栄光によって死者の中からよみがえられたように、私たちも、いのちにあって新しい歩みをするためです。 + もし私たちが、キリストにつぎ合わされて、キリストの死と同じようになっているのなら、必ずキリストの復活とも同じようになるからです。 + 私たちの古い人がキリストとともに十字架につけられたのは、罪のからだが滅びて、私たちがもはやこれからは罪の奴隷でなくなるためであることを、私たちは知っています。 + 死んでしまった者は、罪から解放されているのです。 + もし私たちがキリストとともに死んだのであれば、キリストとともに生きることにもなる、と信じます。 + キリストは死者の中からよみがえって、もはや死ぬことはなく、死はもはやキリストを支配しないことを、私たちは知っています。 + なぜなら、キリストが死なれたのは、ただ一度罪に対して死なれたのであり、キリストが生きておられるのは、神に対して生きておられるのだからです。 + このように、あなたがたも、自分は罪に対しては死んだ者であり、神に対してはキリスト・イエスにあって生きた者だと、思いなさい。 + ですから、あなたがたの死ぬべきからだを罪の支配にゆだねて、その情欲に従ってはいけません。 + また、あなたがたの手足を不義の器として罪にささげてはいけません。むしろ、死者の中から生かされた者として、あなたがた自身とその手足を義の器として神にささげなさい。 + というのは、罪はあなたがたを支配することがないからです。なぜなら、あなたがたは律法の下にはなく、恵みの下にあるからです。 + それではどうなのでしょう。私たちは、律法の下にではなく、恵みの下にあるのだから罪を犯そう、ということになるのでしょうか。絶対にそんなことはありません。 + あなたがたはこのことを知らないのですか。あなたがたが自分の身をささげて奴隷として服従すれば、その服従する相手の奴隷であって、あるいは罪の奴隷となって死に至り、あるいは従順の奴隷となって義に至るのです。 + 神に感謝すべきことには、あなたがたは、もとは罪の奴隷でしたが、伝えられた教えの規準に心から服従し、 + 罪から解放されて、義の奴隷となったのです。 + あなたがたにある肉の弱さのために、私は人間的な言い方をしています。あなたがたは、以前は自分の手足を汚れと不法の奴隷としてささげて、不法に進みましたが、今は、その手足を義の奴隷としてささげて、聖潔に進みなさい。 + 罪の奴隷であった時は、あなたがたは義については、自由にふるまっていました。 + その当時、今ではあなたがたが恥じているそのようなものから、何か良い実を得たでしょうか。それらのものの行き着く所は死です。 + しかし今は、罪から解放されて神の奴隷となり、聖潔に至る実を得たのです。その行き着く所は永遠のいのちです。 + 罪から来る報酬は死です。しかし、神の下さる賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです。 + + + それとも、兄弟たち。あなたがたは、律法が人に対して権限を持つのは、その人の生きている期間だけだ、ということを知らないのですか――私は律法を知っている人々に言っているのです。―― + 夫のある女は、夫が生きている間は、律法によって夫に結ばれています。しかし、夫が死ねば、夫に関する律法から解放されます。 + ですから、夫が生きている間に他の男に行けば、姦淫の女と呼ばれるのですが、夫が死ねば、律法から解放されており、たとい他の男に行っても、姦淫の女ではありません。 + 私の兄弟たちよ。それと同じように、あなたがたも、キリストのからだによって、律法に対しては死んでいるのです。それは、あなたがたが他の人、すなわち死者の中からよみがえった方と結ばれて、神のために実を結ぶようになるためです。 + 私たちが肉にあったときは、律法による数々の罪の欲情が私たちのからだの中に働いていて、死のために実を結びました。 + しかし、今は、私たちは自分を捕らえていた律法に対して死んだので、それから解放され、その結果、古い文字にはよらず、新しい御霊によって仕えているのです。 + それでは、どういうことになりますか。律法は罪なのでしょうか。絶対にそんなことはありません。ただ、律法によらないでは、私は罪を知ることがなかったでしょう。律法が、「むさぼってはならない」と言わなかったら、私はむさぼりを知らなかったでしょう。 + しかし、罪はこの戒めによって機会を捕らえ、私のうちにあらゆるむさぼりを引き起こしました。律法がなければ、罪は死んだものです。 + 私はかつて律法なしに生きていましたが、戒めが来たときに、罪が生き、私は死にました。 + それで私には、いのちに導くはずのこの戒めが、かえって死に導くものであることが、わかりました。 + それは、戒めによって機会を捕らえた罪が私を欺き、戒めによって私を殺したからです。 + ですから、律法は聖なるものであり、戒めも聖であり、正しく、また良いものなのです。 + では、この良いものが、私に死をもたらしたのでしょうか。絶対にそんなことはありません。それはむしろ、罪なのです。罪は、この良いもので私に死をもたらすことによって、罪として明らかにされ、戒めによって、極度に罪深いものとなりました。 + 私たちは、律法が霊的なものであることを知っています。しかし、私は罪ある人間であり、売られて罪の下にある者です。 + 私には、自分のしていることがわかりません。私は自分がしたいと思うことをしているのではなく、自分が憎むことを行っているからです。 + もし自分のしたくないことをしているとすれば、律法は良いものであることを認めているわけです。 + ですから、それを行っているのは、もはや私ではなく、私のうちに住みついている罪なのです。 + 私は、私のうち、すなわち、私の肉のうちに善が住んでいないのを知っています。私には善をしたいという願いがいつもあるのに、それを実行することがないからです。 + 私は、自分でしたいと思う善を行わないで、かえって、したくない悪を行っています。 + もし私が自分でしたくないことをしているのであれば、それを行っているのは、もはや私ではなくて、私のうちに住む罪です。 + そういうわけで、私は、善をしたいと願っているのですが、その私に悪が宿っているという原理を見いだすのです。 + すなわち、私は、内なる人としては、神の律法を喜んでいるのに、 + 私のからだの中には異なった律法があって、それが私の心の律法に対して戦いをいどみ、私を、からだの中にある罪の律法のとりこにしているのを見いだすのです。 + 私は、ほんとうにみじめな人間です。だれがこの死の、からだから、私を救い出してくれるのでしょうか。 + 私たちの主イエス・キリストのゆえに、ただ神に感謝します。ですから、この私は、心では神の律法に仕え、肉では罪の律法に仕えているのです。 + + + こういうわけで、今は、キリスト・イエスにある者が罪に定められることは決してありません。 + なぜなら、キリスト・イエスにある、いのちの御霊の原理が、罪と死の原理から、あなたを解放したからです。 + 肉によって無力になったため、律法にはできなくなっていることを、神はしてくださいました。神はご自分の御子を、罪のために、罪深い肉と同じような形でお遣わしになり、肉において罪を処罰されたのです。 + それは、肉に従って歩まず、御霊に従って歩む私たちの中に、律法の要求が全うされるためなのです。 + 肉に従う者は肉的なことをもっぱら考えますが、御霊に従う者は御霊に属することをひたすら考えます。 + 肉の思いは死であり、御霊による思いは、いのちと平安です。 + というのは、肉の思いは神に対して反抗するものだからです。それは神の律法に服従しません。いや、服従できないのです。 + 肉にある者は神を喜ばせることができません。 + けれども、もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、あなたがたは肉の中にではなく、御霊の中にいるのです。キリストの御霊を持たない人は、キリストのものではありません。 + もしキリストがあなたがたのうちにおられるなら、からだは罪のゆえに死んでいても、霊が、義のゆえに生きています。 + もしイエスを死者の中からよみがえらせた方の御霊が、あなたがたのうちに住んでおられるなら、キリスト・イエスを死者の中からよみがえらせた方は、あなたがたのうちに住んでおられる御霊によって、あなたがたの死ぬべきからだをも生かしてくださるのです。 + ですから、兄弟たち。私たちは、肉に従って歩む責任を、肉に対して負ってはいません。 + もし肉に従って生きるなら、あなたがたは死ぬのです。しかし、もし御霊によって、からだの行いを殺すなら、あなたがたは生きるのです。 + 神の御霊に導かれる人は、だれでも神の子どもです。 + あなたがたは、人を再び恐怖に陥れるような、奴隷の霊を受けたのではなく、子としてくださる御霊を受けたのです。私たちは御霊によって、「アバ、父」と呼びます。 + 私たちが神の子どもであることは、御霊ご自身が、私たちの霊とともに、あかししてくださいます。 + もし子どもであるなら、相続人でもあります。私たちがキリストと、栄光をともに受けるために苦難をともにしているなら、私たちは神の相続人であり、キリストとの共同相続人であります。 + 今の時のいろいろの苦しみは、将来私たちに啓示されようとしている栄光に比べれば、取るに足りないものと私は考えます。 + 被造物も、切実な思いで神の子どもたちの現れを待ち望んでいるのです。 + それは、被造物が虚無に服したのが自分の意志ではなく、服従させた方によるのであって、望みがあるからです。 + 被造物自体も、滅びの束縛から解放され、神の子どもたちの栄光の自由の中に入れられます。 + 私たちは、被造物全体が今に至るまで、ともにうめきともに産みの苦しみをしていることを知っています。 + そればかりでなく、御霊の初穂をいただいている私たち自身も、心の中でうめきながら、子にしていただくこと、すなわち、私たちのからだの贖われることを待ち望んでいます。 + 私たちは、この望みによって救われているのです。目に見える望みは、望みではありません。だれでも目で見ていることを、どうしてさらに望むでしょう。 + もしまだ見ていないものを望んでいるのなら、私たちは、忍耐をもって熱心に待ちます。 + 御霊も同じようにして、弱い私たちを助けてくださいます。私たちは、どのように祈ったらよいかわからないのですが、御霊ご自身が、言いようもない深いうめきによって、私たちのためにとりなしてくださいます。 + 人間の心を探り窮める方は、御霊の思いが何かをよく知っておられます。なぜなら、御霊は、神のみこころに従って、聖徒のためにとりなしをしてくださるからです。 + 神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。 + なぜなら、神は、あらかじめ知っておられる人々を、御子のかたちと同じ姿にあらかじめ定められたからです。それは、御子が多くの兄弟たちの中で長子となられるためです。 + 神はあらかじめ定めた人々をさらに召し、召した人々をさらに義と認め、義と認めた人々にはさらに栄光をお与えになりました。 + では、これらのことからどう言えるでしょう。神が私たちの味方であるなら、だれが私たちに敵対できるでしょう。 + 私たちすべてのために、ご自分の御子をさえ惜しまずに死に渡された方が、どうして、御子といっしょにすべてのものを、私たちに恵んでくださらないことがありましょう。 + 神に選ばれた人々を訴えるのはだれですか。神が義と認めてくださるのです。 + 罪に定めようとするのはだれですか。死んでくださった方、いや、よみがえられた方であるキリスト・イエスが、神の右の座に着き、私たちのためにとりなしていてくださるのです。 + 私たちをキリストの愛から引き離すのはだれですか。患難ですか、苦しみですか、迫害ですか、飢えですか、裸ですか、危険ですか、剣ですか。 + 「あなたのために、私たちは一日中、死に定められている。/私たちは、ほふられる羊とみなされた。」/と書いてあるとおりです。 + しかし、私たちは、私たちを愛してくださった方によって、これらすべてのことの中にあっても、圧倒的な勝利者となるのです。 + 私はこう確信しています。死も、いのちも、御使いも、権威ある者も、今あるものも、後に来るものも、力ある者も、 + 高さも、深さも、そのほかのどんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません。 + + + 私はキリストにあって真実を言い、偽りを言いません。次のことは、私の良心も、聖霊によってあかししています。 + 私には大きな悲しみがあり、私の心には絶えず痛みがあります。 + もしできることなら、私の同胞、肉による同国人のために、この私がキリストから引き離されて、のろわれた者となることさえ願いたいのです。 + 彼らはイスラエル人です。子とされることも、栄光も、契約も、律法を与えられることも、礼拝も、約束も彼らのものです。 + 父祖たちも彼らのものです。またキリストも、人としては彼らから出られたのです。このキリストは万物の上にあり、とこしえにほめたたえられる神です。アーメン。 + しかし、神のみことばが無効になったわけではありません。なぜなら、イスラエルから出る者がみな、イスラエルなのではなく、 + アブラハムから出たからといって、すべてが子どもなのではなく、「イサクから出る者があなたの子孫と呼ばれる」のだからです。 + すなわち、肉の子どもがそのまま神の子どもではなく、約束の子どもが子孫とみなされるのです。 + 約束のみことばはこうです。「私は来年の今ごろ来ます。そして、サラは男の子を産みます。」 + このことだけでなく、私たちの父イサクひとりによってみごもったリベカのこともあります。 + その子どもたちは、まだ生まれてもおらず、善も悪も行わないうちに、神の選びの計画の確かさが、行いにはよらず、召してくださる方によるようにと、 + 「兄は弟に仕える」と彼女に告げられたのです。 + 「わたしはヤコブを愛し、エサウを憎んだ」と書いてあるとおりです。 + それでは、どういうことになりますか。神に不正があるのですか。絶対にそんなことはありません。 + 神はモーセに、「わたしは自分のあわれむ者をあわれみ、自分のいつくしむ者をいつくしむ」と言われました。 + したがって、事は人間の願いや努力によるのではなく、あわれんでくださる神によるのです。 + 聖書はパロに、「わたしがあなたを立てたのは、あなたにおいてわたしの力を示し、わたしの名を全世界に告げ知らせるためである」と言っています。 + こういうわけで、神は、人をみこころのままにあわれみ、またみこころのままにかたくなにされるのです。 + すると、あなたはこう言うでしょう。「それなのになぜ、神は人を責められるのですか。だれが神のご計画に逆らうことができましょう。」 + しかし、人よ。神に言い逆らうあなたは、いったい何ですか。形造られた者が形造った者に対して、「あなたはなぜ、私をこのようなものにしたのですか」と言えるでしょうか。 + 陶器を作る者は、同じ土のかたまりから、尊いことに用いる器でも、また、つまらないことに用いる器でも作る権利を持っていないのでしょうか。 + ですが、もし神が、怒りを示してご自分の力を知らせようと望んでおられるのに、その滅ぼされるべき怒りの器を、豊かな寛容をもって忍耐してくださったとしたら、どうでしょうか。 + それも、神が栄光のためにあらかじめ用意しておられたあわれみの器に対して、その豊かな栄光を知らせてくださるためになのです。 + 神は、このあわれみの器として、私たちを、ユダヤ人の中からだけでなく、異邦人の中からも召してくださったのです。 + それは、ホセアの書でも言っておられるとおりです。「わたしは、わが民でない者をわが民と呼び、愛さなかった者を愛する者と呼ぶ。 + 『あなたがたは、わたしの民ではない』と、わたしが言ったその場所で、彼らは、生ける神の子どもと呼ばれる。」 + また、イスラエルについては、イザヤがこう叫んでいます。「たといイスラエルの子どもたちの数は、海べの砂のようであっても、救われるのは、残された者である。 + 主は、みことばを完全に、しかも敏速に、地上に成し遂げられる。」 + また、イザヤがこう預言したとおりです。「もし万軍の主が、私たちに子孫を残されなかったら、私たちはソドムのようになり、ゴモラと同じものとされたであろう。」 + では、どういうことになりますか。義を追い求めなかった異邦人は義を得ました。すなわち、信仰による義です。 + しかし、イスラエルは、義の律法を追い求めながら、その律法に到達しませんでした。 + なぜでしょうか。信仰によって追い求めることをしないで、行いによるかのように追い求めたからです。彼らは、つまずきの石につまずいたのです。 + それは、こう書かれているとおりです。「見よ。わたしは、シオンに、つまずきの石、妨げの岩を置く。彼に信頼する者は、失望させられることがない。」 + + + 兄弟たち。私が心の望みとし、また彼らのために神に願い求めているのは、彼らの救われることです。 + 私は、彼らが神に対して熱心であることをあかしします。しかし、その熱心は知識に基づくものではありません。 + というのは、彼らは神の義を知らず、自分自身の義を立てようとして、神の義に従わなかったからです。 + キリストが律法を終わらせられたので、信じる人はみな義と認められるのです。 + モーセは、律法による義を行う人は、その義によって生きる、と書いています。 + しかし、信仰による義はこう言います。「あなたは心の中で、だれが天に上るだろうか、と言ってはいけない。」それはキリストを引き降ろすことです。 + また、「だれが地の奥底に下るだろうか、と言ってはいけない。」それはキリストを死者の中から引き上げることです。 + では、どう言っていますか。「みことばはあなたの近くにある。あなたの口にあり、あなたの心にある。」これは私たちの宣べ伝えている信仰のことばのことです。 + なぜなら、もしあなたの口でイエスを主と告白し、あなたの心で神はイエスを死者の中からよみがえらせてくださったと信じるなら、あなたは救われるからです。 + 人は心に信じて義と認められ、口で告白して救われるのです。 + 聖書はこう言っています。「彼に信頼する者は、失望させられることがない。」 + ユダヤ人とギリシヤ人との区別はありません。同じ主が、すべての人の主であり、主を呼び求めるすべての人に対して恵み深くあられるからです。 + 「主の御名を呼び求める者は、だれでも救われる」のです。 + しかし、信じたことのない方を、どうして呼び求めることができるでしょう。聞いたことのない方を、どうして信じることができるでしょう。宣べ伝える人がなくて、どうして聞くことができるでしょう。 + 遣わされなくては、どうして宣べ伝えることができるでしょう。次のように書かれているとおりです。「良いことの知らせを伝える人々の足は、なんとりっぱでしょう。」 + しかし、すべての人が福音に従ったのではありません。「主よ。だれが私たちの知らせを信じましたか」とイザヤは言っています。 + そのように、信仰は聞くことから始まり、聞くことは、キリストについてのみことばによるのです。 + でも、こう尋ねましょう。「はたして彼らは聞こえなかったのでしょうか。」むろん、そうではありません。「その声は全地に響き渡り、そのことばは地の果てまで届いた。」 + でも、私はこう言いましょう。「はたしてイスラエルは知らなかったのでしょうか。」まず、モーセがこう言っています。「わたしは、民でない者のことで、あなたがたのねたみを起こさせ、無知な国民のことで、あなたがたを怒らせる。」 + またイザヤは大胆にこう言っています。「わたしは、わたしを求めない者に見いだされ、わたしをたずねない者に自分を現した。」 + またイスラエルについては、こう言っています。「不従順で反抗する民に対して、わたしは一日中、手を差し伸べた。」 + + + すると、神はご自分の民を退けてしまわれたのですか。絶対にそんなことはありません。この私もイスラエル人で、アブラハムの子孫に属し、ベニヤミン族の出身です。 + 神は、あらかじめ知っておられたご自分の民を退けてしまわれたのではありません。それともあなたがたは、聖書がエリヤに関する個所で言っていることを、知らないのですか。彼はイスラエルを神に訴えてこう言いました。 + 「主よ。彼らはあなたの預言者たちを殺し、あなたの祭壇をこわし、私だけが残されました。彼らはいま私のいのちを取ろうとしています。」 + ところが彼に対して何とお答えになりましたか。「バアルにひざをかがめていない男子七千人が、わたしのために残してある。」 + それと同じように、今も、恵みの選びによって残された者がいます。 + もし恵みによるのであれば、もはや行いによるのではありません。もしそうでなかったら、恵みが恵みでなくなります。 + では、どうなるのでしょう。イスラエルは追い求めていたものを獲得できませんでした。選ばれた者は獲得しましたが、他の者は、かたくなにされたのです。 + こう書かれているとおりです。「神は、彼らに鈍い心と見えない目と聞こえない耳を与えられた。今日に至るまで。」 + ダビデもこう言います。「彼らの食卓は、彼らにとってわなとなり、網となり、つまずきとなり、報いとなれ。 + その目はくらんで見えなくなり、その背はいつまでもかがんでおれ。」 + では、尋ねましょう。彼らがつまずいたのは倒れるためなのでしょうか。絶対にそんなことはありません。かえって、彼らの違反によって、救いが異邦人に及んだのです。それは、イスラエルにねたみを起こさせるためです。 + もし彼らの違反が世界の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となるのなら、彼らの完成は、それ以上の、どんなにかすばらしいものを、もたらすことでしょう。 + そこで、異邦人の方々に言いますが、私は異邦人の使徒ですから、自分の務めを重んじています。 + そして、それによって何とか私の同国人にねたみを引き起こさせて、その中の幾人でも救おうと願っているのです。 + もし彼らの捨てられることが世界の和解であるとしたら、彼らの受け入れられることは、死者の中から生き返ることでなくて何でしょう。 + 初物が聖ければ、粉の全部が聖いのです。根が聖ければ、枝も聖いのです。 + もしも、枝の中のあるものが折られて、野生種のオリーブであるあなたがその枝に混じってつがれ、そしてオリーブの根の豊かな養分をともに受けているのだとしたら、 + あなたはその枝に対して誇ってはいけません。誇ったとしても、あなたが根をささえているのではなく、根があなたをささえているのです。 + 枝が折られたのは、私がつぎ合わされるためだ、とあなたは言うでしょう。 + そのとおりです。彼らは不信仰によって折られ、あなたは信仰によって立っています。高ぶらないで、かえって恐れなさい。 + もし神が台木の枝を惜しまれなかったとすれば、あなたをも惜しまれないでしょう。 + 見てごらんなさい。神のいつくしみときびしさを。倒れた者の上にあるのは、きびしさです。あなたの上にあるのは、神のいつくしみです。ただし、あなたがそのいつくしみの中にとどまっていればであって、そうでなければ、あなたも切り落とされるのです。 + 彼らであっても、もし不信仰を続けなければ、つぎ合わされるのです。神は、彼らを再びつぎ合わすことができるのです。 + もしあなたが、野生種であるオリーブの木から切り取られ、もとの性質に反して、栽培されたオリーブの木につがれたのであれば、これらの栽培種のものは、もっとたやすく自分の台木につがれるはずです。 + 兄弟たち。私はあなたがたに、ぜひこの奥義を知っていていただきたい。それは、あなたがたが自分で自分を賢いと思うことがないようにするためです。その奥義とは、イスラエル人の一部がかたくなになったのは異邦人の完成のなる時までであり、 + こうして、イスラエルはみな救われる、ということです。こう書かれているとおりです。「救う者がシオンから出て、ヤコブから不敬虔を取り払う。 + これこそ、彼らに与えたわたしの契約である。それは、わたしが彼らの罪を取り除く時である。」 + 彼らは、福音によれば、あなたがたのゆえに、神に敵対している者ですが、選びによれば、父祖たちのゆえに、愛されている者なのです。 + 神の賜物と召命とは変わることがありません。 + ちょうどあなたがたが、かつては神に不従順であったが、今は、彼らの不従順のゆえに、あわれみを受けているのと同様に、 + 彼らも、今は不従順になっていますが、それは、あなたがたの受けたあわれみによって、今や、彼ら自身もあわれみを受けるためなのです。 + なぜなら、神は、すべての人をあわれもうとして、すべての人を不従順のうちに閉じ込められたからです。 + ああ、神の知恵と知識との富は、何と底知れず深いことでしょう。そのさばきは、何と知り尽くしがたく、その道は、何と測り知りがたいことでしょう。 + なぜなら、だれが主のみこころを知ったのですか。また、だれが主のご計画にあずかったのですか。 + また、だれが、まず主に与えて報いを受けるのですか。 + というのは、すべてのことが、神から発し、神によって成り、神に至るからです。どうか、この神に、栄光がとこしえにありますように。アーメン。 + + + そういうわけですから、兄弟たち。私は、神のあわれみのゆえに、あなたがたにお願いします。あなたがたのからだを、神に受け入れられる、聖い、生きた供え物としてささげなさい。それこそ、あなたがたの霊的な礼拝です。 + この世と調子を合わせてはいけません。いや、むしろ、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのかをわきまえ知るために、心の一新によって自分を変えなさい。 + 私は、自分に与えられた恵みによって、あなたがたひとりひとりに言います。だれでも、思うべき限度を越えて思い上がってはいけません。いや、むしろ、神がおのおのに分け与えてくださった信仰の量りに応じて、慎み深い考え方をしなさい。 + 一つのからだには多くの器官があって、すべての器官が同じ働きはしないのと同じように、 + 大ぜいいる私たちも、キリストにあって一つのからだであり、ひとりひとり互いに器官なのです。 + 私たちは、与えられた恵みに従って、異なった賜物を持っているので、もしそれが預言であれば、その信仰に応じて預言しなさい。 + 奉仕であれば奉仕し、教える人であれば教えなさい。 + 勧めをする人であれば勧め、分け与える人は惜しまずに分け与え、指導する人は熱心に指導し、慈善を行う人は喜んでそれをしなさい。 + 愛には偽りがあってはなりません。悪を憎み、善に親しみなさい。 + 兄弟愛をもって心から互いに愛し合い、尊敬をもって互いに人を自分よりまさっていると思いなさい。 + 勤勉で怠らず、霊に燃え、主に仕えなさい。 + 望みを抱いて喜び、患難に耐え、絶えず祈りに励みなさい。 + 聖徒の入用に協力し、旅人をもてなしなさい。 + あなたがたを迫害する者を祝福しなさい。祝福すべきであって、のろってはいけません。 + 喜ぶ者といっしょに喜び、泣く者といっしょに泣きなさい。 + 互いに一つ心になり、高ぶった思いを持たず、かえって身分の低い者に順応しなさい。自分こそ知者だなどと思ってはいけません。 + だれに対してでも、悪に悪を報いることをせず、すべての人が良いと思うことを図りなさい。 + あなたがたは、自分に関する限り、すべての人と平和を保ちなさい。 + 愛する人たち。自分で復讐してはいけません。神の怒りに任せなさい。それは、こう書いてあるからです。「復讐はわたしのすることである。わたしが報いをする、と主は言われる。」 + もしあなたの敵が飢えたなら、彼に食べさせなさい。渇いたなら、飲ませなさい。そうすることによって、あなたは彼の頭に燃える炭火を積むことになるのです。 + 悪に負けてはいけません。かえって、善をもって悪に打ち勝ちなさい。 + + + 人はみな、上に立つ権威に従うべきです。神によらない権威はなく、存在している権威はすべて、神によって立てられたものです。 + したがって、権威に逆らっている人は、神の定めにそむいているのです。そむいた人は自分の身にさばきを招きます。 + 支配者を恐ろしいと思うのは、良い行いをするときではなく、悪を行うときです。権威を恐れたくないと思うなら、善を行いなさい。そうすれば、支配者からほめられます。 + それは、彼があなたに益を与えるための、神のしもべだからです。しかし、もしあなたが悪を行うなら、恐れなければなりません。彼は無意味に剣を帯びてはいないからです。彼は神のしもべであって、悪を行う人には怒りをもって報います。 + ですから、ただ怒りが恐ろしいからだけでなく、良心のためにも、従うべきです。 + 同じ理由で、あなたがたは、みつぎを納めるのです。彼らは、いつもその務めに励んでいる神のしもべなのです。 + あなたがたは、だれにでも義務を果たしなさい。みつぎを納めなければならない人にはみつぎを納め、税を納めなければならない人には税を納め、恐れなければならない人を恐れ、敬わなければならない人を敬いなさい。 + だれに対しても、何の借りもあってはいけません。ただし、互いに愛し合うことについては別です。他の人を愛する者は、律法を完全に守っているのです。 + 「姦淫するな、殺すな、盗むな、むさぼるな」という戒め、またほかにどんな戒めがあっても、それらは、「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」ということばの中に要約されているからです。 + 愛は隣人に対して害を与えません。それゆえ、愛は律法を全うします。 + あなたがたは、今がどのような時か知っているのですから、このように行いなさい。あなたがたが眠りからさめるべき時刻がもう来ています。というのは、私たちが信じたころよりも、今は救いが私たちにもっと近づいているからです。 + 夜はふけて、昼が近づきました。ですから、私たちは、やみのわざを打ち捨てて、光の武具を着けようではありませんか。 + 遊興、酩酊、淫乱、好色、争い、ねたみの生活ではなく、昼間らしい、正しい生き方をしようではありませんか。 + 主イエス・キリストを着なさい。肉の欲のために心を用いてはいけません。 + + + あなたがたは信仰の弱い人を受け入れなさい。その意見をさばいてはいけません。 + 何でも食べてよいと信じている人もいますが、弱い人は野菜よりほかには食べません。 + 食べる人は食べない人を侮ってはいけないし、食べない人も食べる人をさばいてはいけません。神がその人を受け入れてくださったからです。 + あなたはいったいだれなので、他人のしもべをさばくのですか。しもべが立つのも倒れるのも、その主人の心次第です。このしもべは立つのです。なぜなら、主には、彼を立たせることができるからです。 + ある日を、他の日に比べて、大事だと考える人もいますが、どの日も同じだと考える人もいます。それぞれ自分の心の中で確信を持ちなさい。 + 日を守る人は、主のために守っています。食べる人は、主のために食べています。なぜなら、神に感謝しているからです。食べない人も、主のために食べないのであって、神に感謝しているのです。 + 私たちの中でだれひとりとして、自分のために生きている者はなく、また自分のために死ぬ者もありません。 + もし生きるなら、主のために生き、もし死ぬなら、主のために死ぬのです。ですから、生きるにしても、死ぬにしても、私たちは主のものです。 + キリストは、死んだ人にとっても、生きている人にとっても、その主となるために、死んで、また生きられたのです。 + それなのに、なぜ、あなたは自分の兄弟をさばくのですか。また、自分の兄弟を侮るのですか。私たちはみな、神のさばきの座に立つようになるのです。 + 次のように書かれているからです。「主は言われる。わたしは生きている。すべてのひざは、わたしの前にひざまずき、すべての舌は、神をほめたたえる。」 + こういうわけですから、私たちは、おのおの自分のことを神の御前に申し開きすることになります。 + ですから、私たちは、もはや互いにさばき合うことのないようにしましょう。いや、それ以上に、兄弟にとって妨げになるもの、つまずきになるものを置かないように決心しなさい。 + 主イエスにあって、私が知り、また確信していることは、それ自体で汚れているものは何一つないということです。ただ、これは汚れていると認める人にとっては、それは汚れたものなのです。 + もし、食べ物のことで、あなたの兄弟が心を痛めているのなら、あなたはもはや愛によって行動しているのではありません。キリストが代わりに死んでくださったほどの人を、あなたの食べ物のことで、滅ぼさないでください。 + ですから、あなたがたが良いとしている事がらによって、そしられないようにしなさい。 + なぜなら、神の国は飲み食いのことではなく、義と平和と聖霊による喜びだからです。 + このようにキリストに仕える人は、神に喜ばれ、また人々にも認められるのです。 + そういうわけですから、私たちは、平和に役立つことと、お互いの霊的成長に役立つこととを追い求めましょう。 + 食べ物のことで神のみわざを破壊してはいけません。すべての物はきよいのです。しかし、それを食べて人につまずきを与えるような人の場合は、悪いのです。 + 肉を食べず、ぶどう酒を飲まず、そのほか兄弟のつまずきになることをしないのは良いことなのです。 + あなたの持っている信仰は、神の御前でそれを自分の信仰として保ちなさい。自分が、良いと認めていることによって、さばかれない人は幸福です。 + しかし、疑いを感じる人が食べるなら、罪に定められます。なぜなら、それが信仰から出ていないからです。信仰から出ていないことは、みな罪です。 + + + 私たち力のある者は、力のない人たちの弱さをになうべきです。自分を喜ばせるべきではありません。 + 私たちはひとりひとり、隣人を喜ばせ、その徳を高め、その人の益となるようにすべきです。 + キリストでさえ、ご自身を喜ばせることはなさらなかったのです。むしろ、「あなたをそしる人々のそしりは、わたしの上にふりかかった」と書いてあるとおりです。 + 昔書かれたものは、すべて私たちを教えるために書かれたのです。それは、聖書の与える忍耐と励ましによって、希望を持たせるためなのです。 + どうか、忍耐と励ましの神が、あなたがたを、キリスト・イエスにふさわしく、互いに同じ思いを持つようにしてくださいますように。 + それは、あなたがたが、心を一つにし、声を合わせて、私たちの主イエス・キリストの父なる神をほめたたえるためです。 + こういうわけですから、キリストが神の栄光のために、私たちを受け入れてくださったように、あなたがたも互いに受け入れなさい。 + 私は言います。キリストは、神の真理を現すために、割礼のある者のしもべとなられました。それは父祖たちに与えられた約束を保証するためであり、 + また異邦人も、あわれみのゆえに、神をあがめるようになるためです。こう書かれているとおりです。「それゆえ、私は異邦人の中で、あなたをほめたたえ、あなたの御名をほめ歌おう。」 + また、こうも言われています。「異邦人よ。主の民とともに喜べ。」 + さらにまた、「すべての異邦人よ。主をほめよ。/もろもろの国民よ。主をたたえよ。」 + さらにまた、イザヤがこう言っています。「エッサイの根が起こる。異邦人を治めるために立ち上がる方である。異邦人はこの方に望みをかける。」 + どうか、望みの神が、あなたがたを信仰によるすべての喜びと平和をもって満たし、聖霊の力によって望みにあふれさせてくださいますように。 + 私の兄弟たちよ。あなたがた自身が善意にあふれ、すべての知恵に満たされ、また互いに訓戒し合うことができることを、この私は確信しています。 + ただ私が所々、かなり大胆に書いたのは、あなたがたにもう一度思い起こしてもらうためでした。 + それも私が、異邦人のためにキリスト・イエスの仕え人となるために、神から恵みをいただいているからです。私は神の福音をもって、祭司の務めを果たしています。それは異邦人を、聖霊によって聖なるものとされた、神に受け入れられる供え物とするためです。 + それで、神に仕えることに関して、私はキリスト・イエスにあって誇りを持っているのです。 + 私は、キリストが異邦人を従順にならせるため、この私を用いて成し遂げてくださったこと以外に、何かを話そうなどとはしません。キリストは、ことばと行いにより、 + また、しるしと不思議をなす力により、さらにまた、御霊の力によって、それを成し遂げてくださいました。その結果、私はエルサレムから始めて、ずっと回ってイルリコに至るまで、キリストの福音をくまなく伝えました。 + このように、私は、他人の土台の上に建てないように、キリストの御名がまだ語られていない所に福音を宣べ伝えることを切に求めたのです。 + それは、こう書いてあるとおりです。「彼のことを伝えられなかった人々が見るようになり、聞いたことのなかった人々が悟るようになる。」 + そういうわけで、私は、あなたがたのところに行くのを幾度も妨げられましたが、 + 今は、もうこの地方には私の働くべき所がなくなりましたし、また、イスパニヤに行く場合は、あなたがたのところに立ち寄ることを多年希望していましたので + ――というのは、途中あなたがたに会い、まず、しばらくの間あなたがたとともにいて心を満たされてから、あなたがたに送られ、そこへ行きたいと望んでいるからです、―― + ですが、今は、聖徒たちに奉仕するためにエルサレムへ行こうとしています。 + それは、マケドニヤとアカヤでは、喜んでエルサレムの聖徒たちの中の貧しい人たちのために醵金することにしたからです。 + 彼らは確かに喜んでそれをしたのですが、同時にまた、その人々に対してはその義務があるのです。異邦人は霊的なことでは、その人々からもらいものをしたのですから、物質的な物をもって彼らに奉仕すべきです。 + それで、私はこのことを済ませ、彼らにこの実を確かに渡してから、あなたがたのところを通ってイスパニヤに行くことにします。 + あなたがたのところに行くときは、キリストの満ちあふれる祝福をもって行くことと信じています。 + 兄弟たち。私たちの主イエス・キリストによって、また、御霊の愛によって切にお願いします。私のために、私とともに力を尽くして神に祈ってください。 + 私がユダヤにいる不信仰な人々から救い出され、またエルサレムに対する私の奉仕が聖徒たちに受け入れられるものとなりますように。 + その結果として、神のみこころにより、喜びをもってあなたがたのところへ行き、あなたがたの中で、ともにいこいを得ることができますように。 + どうか、平和の神が、あなたがたすべてとともにいてくださいますように。アーメン。 + + + ケンクレヤにある教会の執事で、私たちの姉妹であるフィベを、あなたがたに推薦します。 + どうぞ、聖徒にふさわしいしかたで、主にあってこの人を歓迎し、あなたがたの助けを必要とすることは、どんなことでも助けてあげてください。この人は、多くの人を助け、また私自身をも助けてくれた人です。 + キリスト・イエスにあって私の同労者であるプリスカとアクラによろしく伝えてください。 + この人たちは、自分のいのちの危険を冒して私のいのちを守ってくれたのです。この人たちには、私だけでなく、異邦人のすべての教会も感謝しています。 + またその家の教会によろしく伝えてください。私の愛するエパネトによろしく。この人はアジヤでキリストを信じた最初の人です。 + あなたがたのために非常に労苦したマリヤによろしく。 + 私の同国人で私といっしょに投獄されたことのある、アンドロニコとユニアスにもよろしく。この人々は使徒たちの間によく知られている人々で、また私より先にキリストにある者となったのです。 + 主にあって私の愛するアムプリアトによろしく。 + キリストにあって私たちの同労者であるウルバノと、私の愛するスタキスとによろしく。 + キリストにあって練達したアペレによろしく。アリストブロの家の人たちによろしく。 + 私の同国人ヘロデオンによろしく。ナルキソの家の主にある人たちによろしく。 + 主にあって労している、ツルパナとツルポサによろしく。主にあって非常に労苦した愛するペルシスによろしく。 + 主にあって選ばれた人ルポスによろしく。また彼と私との母によろしく。 + アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマスおよびその人たちといっしょにいる兄弟たちによろしく。 + フィロロゴとユリヤ、ネレオとその姉妹、オルンパおよびその人たちといっしょにいるすべての聖徒たちによろしく。 + あなたがたは聖なる口づけをもって互いのあいさつをかわしなさい。キリストの教会はみな、あなたがたによろしくと言っています。 + 兄弟たち。私はあなたがたに願います。あなたがたの学んだ教えにそむいて、分裂とつまずきを引き起こす人たちを警戒してください。彼らから遠ざかりなさい。 + そういう人たちは、私たちの主キリストに仕えないで、自分の欲に仕えているのです。彼らは、なめらかなことば、へつらいのことばをもって純朴な人たちの心をだましているのです。 + あなたがたの従順はすべての人に知られているので、私はあなたがたのことを喜んでいます。しかし、私は、あなたがたが善にはさとく、悪にはうとくあってほしい、と望んでいます。 + 平和の神は、すみやかに、あなたがたの足でサタンを踏み砕いてくださいます。/どうか、私たちの主イエスの恵みが、あなたがたとともにありますように。 + 私の同労者テモテが、あなたがたによろしくと言っています。また私の同国人ルキオとヤソンとソシパテロがよろしくと言っています。 + この手紙を筆記した私、テルテオも、主にあってあなたがたにごあいさつ申し上げます。 + 私と全教会との家主であるガイオも、あなたがたによろしくと言っています。市の収入役であるエラストと兄弟クワルトもよろしくと言っています。 + 異本に二四節として「私たちの主イエス・キリストの恵みがあなたがたすべてとともにありますように。アーメン」を挿入するものがある。 + 私の福音とイエス・キリストの宣教によって、すなわち、世々にわたって長い間隠されていたが、今や現されて、永遠の神の命令に従い、預言者たちの書によって、信仰の従順に導くためにあらゆる国の人々に知らされた奥義の啓示によって、あなたがたを堅く立たせることができる方、 + - + 知恵に富む唯一の神に、イエス・キリストによって、御栄えがとこしえまでありますように。アーメン。 + +
+
+ + 神のみこころによってキリスト・イエスの使徒として召されたパウロと、兄弟ソステネから、 + コリントにある神の教会へ。すなわち、私たちの主イエス・キリストの御名を、至る所で呼び求めているすべての人々とともに、聖徒として召され、キリスト・イエスにあって聖なるものとされた方々へ。主は私たちの主であるとともに、そのすべての人々の主です。 + 私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + 私は、キリスト・イエスによってあなたがたに与えられた神の恵みのゆえに、あなたがたのことをいつも神に感謝しています。 + というのは、あなたがたは、ことばといい、知識といい、すべてにおいて、キリストにあって豊かな者とされたからです。 + それは、キリストについてのあかしが、あなたがたの中で確かになったからで、 + その結果、あなたがたはどんな賜物にも欠けるところがなく、また、熱心に私たちの主イエス・キリストの現れを待っています。 + 主も、あなたがたを、私たちの主イエス・キリストの日に責められるところのない者として、最後まで堅く保ってくださいます。 + 神は真実であり、その方のお召しによって、あなたがたは神の御子、私たちの主イエス・キリストとの交わりに入れられました。 + さて、兄弟たち。私は、私たちの主イエス・キリストの御名によって、あなたがたにお願いします。どうか、みなが一致して、仲間割れすることなく、同じ心、同じ判断を完全に保ってください。 + 実はあなたがたのことをクロエの家の者から知らされました。兄弟たち。あなたがたの間には争いがあるそうで、 + あなたがたはめいめいに、「私はパウロにつく」「私はアポロに」「私はケパに」「私はキリストにつく」と言っているということです。 + キリストが分割されたのですか。あなたがたのために十字架につけられたのはパウロでしょうか。あなたがたがバプテスマを受けたのはパウロの名によるのでしょうか。 + 私は、クリスポとガイオのほか、あなたがたのだれにもバプテスマを授けたことがないことを感謝しています。 + それは、あなたがたが私の名によってバプテスマを受けたと言われないようにするためでした。 + 私はステパナの家族にもバプテスマを授けましたが、そのほかはだれにも授けた覚えはありません。 + キリストが私をお遣わしになったのは、バプテスマを授けさせるためではなく、福音を宣べ伝えさせるためです。それも、キリストの十字架がむなしくならないために、ことばの知恵によってはならないのです。 + 十字架のことばは、滅びに至る人々には愚かであっても、救いを受ける私たちには、神の力です。 + それは、こう書いてあるからです。「わたしは知恵ある者の知恵を滅ぼし、賢い者の賢さをむなしくする。」 + 知者はどこにいるのですか。学者はどこにいるのですか。この世の議論家はどこにいるのですか。神は、この世の知恵を愚かなものにされたではありませんか。 + 事実、この世が自分の知恵によって神を知ることがないのは、神の知恵によるのです。それゆえ、神はみこころによって、宣教のことばの愚かさを通して、信じる者を救おうと定められたのです。 + ユダヤ人はしるしを要求し、ギリシヤ人は知恵を追求します。 + しかし、私たちは十字架につけられたキリストを宣べ伝えるのです。ユダヤ人にとってはつまずき、異邦人にとっては愚かでしょうが、 + しかし、ユダヤ人であってもギリシヤ人であっても、召された者にとっては、キリストは神の力、神の知恵なのです。 + なぜなら、神の愚かさは人よりも賢く、神の弱さは人よりも強いからです。 + 兄弟たち、あなたがたの召しのことを考えてごらんなさい。この世の知者は多くはなく、権力者も多くはなく、身分の高い者も多くはありません。 + しかし神は、知恵ある者をはずかしめるために、この世の愚かな者を選び、強い者をはずかしめるために、この世の弱い者を選ばれたのです。 + また、この世の取るに足りない者や見下されている者を、神は選ばれました。すなわち、有るものをない者のようにするため、無に等しいものを選ばれたのです。 + これは、神の御前でだれをも誇らせないためです。 + しかしあなたがたは、神によってキリスト・イエスのうちにあるのです。キリストは、私たちにとって、神の知恵となり、また、義と聖めと、贖いとになられました。 + まさしく、「誇る者は主を誇れ」と書いてあるとおりになるためです。 + + + さて兄弟たち。私があなたがたのところへ行ったとき、私は、すぐれたことば、すぐれた知恵を用いて、神のあかしを宣べ伝えることはしませんでした。 + なぜなら私は、あなたがたの間で、イエス・キリスト、すなわち十字架につけられた方のほかは、何も知らないことに決心したからです。 + あなたがたといっしょにいたときの私は、弱く、恐れおののいていました。 + そして、私のことばと私の宣教とは、説得力のある知恵のことばによって行われたものではなく、御霊と御力の現れでした。 + それは、あなたがたの持つ信仰が、人間の知恵にささえられず、神の力にささえられるためでした。 + しかし私たちは、成人の間で、知恵を語ります。この知恵は、この世の知恵でもなく、この世の過ぎ去って行く支配者たちの知恵でもありません。 + 私たちの語るのは、隠された奥義としての神の知恵であって、それは、神が、私たちの栄光のために、世界の始まる前から、あらかじめ定められたものです。 + この知恵を、この世の支配者たちは、だれひとりとして悟りませんでした。もし悟っていたら、栄光の主を十字架につけはしなかったでしょう。 + まさしく、聖書に書いてあるとおりです。「目が見たことのないもの、耳が聞いたことのないもの、そして、人の心に思い浮かんだことのないもの。神を愛する者のために、神の備えてくださったものは、みなそうである。」 + 神はこれを、御霊によって私たちに啓示されたのです。御霊はすべてのことを探り、神の深みにまで及ばれるからです。 + いったい、人の心のことは、その人のうちにある霊のほかに、だれが知っているでしょう。同じように、神のみこころのことは、神の御霊のほかにはだれも知りません。 + ところで、私たちは、この世の霊を受けたのではなく、神の御霊を受けました。それは、恵みによって神から私たちに賜ったものを、私たちが知るためです。 + この賜物について話すには、人の知恵に教えられたことばを用いず、御霊に教えられたことばを用います。その御霊のことばをもって御霊のことを解くのです。 + 生まれながらの人間は、神の御霊に属することを受け入れません。それらは彼には愚かなことだからです。また、それを悟ることができません。なぜなら、御霊のことは御霊によってわきまえるものだからです。 + 御霊を受けている人は、すべてのことをわきまえますが、自分はだれによってもわきまえられません。 + いったい、「だれが主のみこころを知り、主を導くことができたか。」ところが、私たちには、キリストの心があるのです。 + + + さて、兄弟たちよ。私は、あなたがたに向かって、御霊に属する人に対するようには話すことができないで、肉に属する人、キリストにある幼子に対するように話しました。 + 私はあなたがたには乳を与えて、堅い食物を与えませんでした。あなたがたには、まだ無理だったからです。実は、今でもまだ無理なのです。 + あなたがたは、まだ肉に属しているからです。あなたがたの間にねたみや争いがあることからすれば、あなたがたは肉に属しているのではありませんか。そして、ただの人のように歩んでいるのではありませんか。 + ある人が、「私はパウロにつく」と言えば、別の人は、「私はアポロに」と言う。そういうことでは、あなたがたは、ただの人たちではありませんか。 + アポロとは何でしょう。パウロとは何でしょう。あなたがたが信仰に入るために用いられたしもべであって、主がおのおのに授けられたとおりのことをしたのです。 + 私が植えて、アポロが水を注ぎました。しかし、成長させたのは神です。 + それで、たいせつなのは、植える者でも水を注ぐ者でもありません。成長させてくださる神なのです。 + 植える者と水を注ぐ者は、一つですが、それぞれ自分自身の働きに従って自分自身の報酬を受けるのです。 + 私たちは神の協力者であり、あなたがたは神の畑、神の建物です。 + 与えられた神の恵みによって、私は賢い建築家のように、土台を据えました。そして、ほかの人がその上に家を建てています。しかし、どのように建てるかについてはそれぞれが注意しなければなりません。 + というのは、だれも、すでに据えられている土台のほかに、ほかの物を据えることはできないからです。その土台とはイエス・キリストです。 + もし、だれかがこの土台の上に、金、銀、宝石、木、草、わらなどで建てるなら、 + 各人の働きは明瞭になります。その日がそれを明らかにするのです。というのは、その日は火とともに現れ、この火がその力で各人の働きの真価をためすからです。 + もしだれかの建てた建物が残れば、その人は報いを受けます。 + もしだれかの建てた建物が焼ければ、その人は損害を受けますが、自分自身は、火の中をくぐるようにして助かります。 + あなたがたは神の神殿であり、神の御霊があなたがたに宿っておられることを知らないのですか。 + もし、だれかが神の神殿をこわすなら、神がその人を滅ぼされます。神の神殿は聖なるものだからです。あなたがたがその神殿です。 + だれも自分を欺いてはいけません。もしあなたがたの中で、自分は今の世の知者だと思う者がいたら、知者になるためには愚かになりなさい。 + なぜなら、この世の知恵は、神の御前では愚かだからです。こう書いてあります。「神は、知者どもを彼らの悪賢さの中で捕らえる。」 + また、次のようにも書いてあります。「主は、知者の論議を無益だと知っておられる。」 + ですから、だれも人間を誇ってはいけません。すべては、あなたがたのものです。 + パウロであれ、アポロであれ、ケパであれ、また世界であれ、いのちであれ、死であれ、また現在のものであれ、未来のものであれ、すべてあなたがたのものです。 + そして、あなたがたはキリストのものであり、キリストは神のものです。 + + + こういうわけで、私たちを、キリストのしもべ、また神の奥義の管理者だと考えなさい。 + この場合、管理者には、忠実であることが要求されます。 + しかし、私にとっては、あなたがたによる判定、あるいは、およそ人間による判決を受けることは、非常に小さなことです。事実、私は自分で自分をさばくことさえしません。 + 私にはやましいことは少しもありませんが、だからといって、それで無罪とされるのではありません。私をさばく方は主です。 + ですから、あなたがたは、主が来られるまでは、何についても、先走ったさばきをしてはいけません。主は、やみの中に隠れた事も明るみに出し、心の中のはかりごとも明らかにされます。そのとき、神から各人に対する称賛が届くのです。 + さて、兄弟たち。以上、私は、私自身とアポロに当てはめて、あなたがたのために言って来ました。それは、あなたがたが、私たちの例によって、「書かれていることを越えない」ことを学ぶため、そして、一方にくみし、他方に反対して高慢にならないためです。 + いったいだれが、あなたをすぐれた者と認めるのですか。あなたには、何か、もらったものでないものがあるのですか。もしもらったのなら、なぜ、もらっていないかのように誇るのですか。 + あなたがたは、もう満ち足りています。もう豊かになっています。私たち抜きで、王さまになっています。いっそのこと、あなたがたがほんとうに王さまになっていたらよかったのです。そうすれば、私たちも、あなたがたといっしょに王になれたでしょうに。 + 私は、こう思います。神は私たち使徒を、死罪に決まった者のように、行列のしんがりとして引き出されました。こうして私たちは、御使いにも人々にも、この世の見せ物になったのです。 + 私たちはキリストのために愚かな者ですが、あなたがたはキリストにあって賢い者です。私たちは弱いが、あなたがたは強いのです。あなたがたは栄誉を持っているが、私たちは卑しめられています。 + 今に至るまで、私たちは飢え、渇き、着る物もなく、虐待され、落ち着く先もありません。 + また、私たちは苦労して自分の手で働いています。はずかしめられるときにも祝福し、迫害されるときにも耐え忍び、 + ののしられるときには、慰めのことばをかけます。今でも、私たちはこの世のちり、あらゆるもののかすです。 + 私がこう書くのは、あなたがたをはずかしめるためではなく、愛する私の子どもとして、さとすためです。 + たといあなたがたに、キリストにある養育係が一万人あろうとも、父は多くあるはずがありません。この私が福音によって、キリスト・イエスにあって、あなたがたを生んだのです。 + ですから、私はあなたがたに勧めます。どうか、私にならう者となってください。 + そのために、私はあなたがたのところへテモテを送りました。テモテは主にあって私の愛する、忠実な子です。彼は、私が至る所のすべての教会で教えているとおりに、キリスト・イエスにある私の生き方を、あなたがたに思い起こさせてくれるでしょう。 + 私があなたがたのところへ行くことはあるまいと、思い上がっている人たちがいます。 + しかし、主のみこころであれば、すぐにもあなたがたのところへ行きます。そして、思い上がっている人たちの、ことばではなく、力を見せてもらいましょう。 + 神の国はことばにはなく、力にあるのです。 + あなたがたはどちらを望むのですか。私はあなたがたのところへむちを持って行きましょうか。それとも、愛と優しい心で行きましょうか。 + + + あなたがたの間に不品行があるということが言われています。しかもそれは、異邦人の中にもないほどの不品行で、父の妻を妻にしている者がいるとのことです。 + それなのに、あなたがたは誇り高ぶっています。そればかりか、そのような行いをしている者をあなたがたの中から取り除こうとして悲しむこともなかったのです。 + 私のほうでは、からだはそこにいなくても心はそこにおり、現にそこにいるのと同じように、そのような行いをした者を主イエスの御名によってすでにさばきました。 + あなたがたが集まったときに、私も、霊においてともにおり、私たちの主イエスの権能をもって、 + このような者をサタンに引き渡したのです。それは彼の肉が滅ぼされるためですが、それによって彼の霊が主の日に救われるためです。 + あなたがたの高慢は、よくないことです。あなたがたは、ほんのわずかのパン種が、粉のかたまり全体をふくらませることを知らないのですか。 + 新しい粉のかたまりのままでいるために、古いパン種を取り除きなさい。あなたがたはパン種のないものだからです。私たちの過越の小羊キリストが、すでにほふられたからです。 + ですから、私たちは、古いパン種を用いたり、悪意と不正のパン種を用いたりしないで、パン種の入らない、純粋で真実なパンで、祭りをしようではありませんか。 + 私は前にあなたがたに送った手紙で、不品行な者たちと交際しないようにと書きました。 + それは、世の中の不品行な者、貪欲な者、略奪する者、偶像を礼拝する者と全然交際しないようにという意味ではありません。もしそうだとしたら、この世界から出て行かなければならないでしょう。 + 私が書いたことのほんとうの意味は、もし、兄弟と呼ばれる者で、しかも不品行な者、貪欲な者、偶像を礼拝する者、人をそしる者、酒に酔う者、略奪する者がいたなら、そのような者とはつきあってはいけない、いっしょに食事をしてもいけない、ということです。 + 外部の人たちをさばくことは、私のすべきことでしょうか。あなたがたがさばくべき者は、内部の人たちではありませんか。 + 外部の人たちは、神がおさばきになります。その悪い人をあなたがたの中から除きなさい。 + + + あなたがたの中には、仲間の者と争いを起こしたとき、それを聖徒たちに訴えないで、あえて、正しくない人たちに訴え出るような人がいるのでしょうか。 + あなたがたは、聖徒が世界をさばくようになることを知らないのですか。世界があなたがたによってさばかれるはずなのに、あなたがたは、ごく小さな事件さえもさばく力がないのですか。 + 私たちは御使いをもさばくべき者だ、ということを、知らないのですか。それならこの世のことは、言うまでもないではありませんか。 + それなのに、この世のことで争いが起こると、教会のうちでは無視される人たちを裁判官に選ぶのですか。 + 私はあなたがたをはずかしめるためにこう言っているのです。いったい、あなたがたの中には、兄弟の間の争いを仲裁することのできるような賢い者が、ひとりもいないのですか。 + それで、兄弟は兄弟を告訴し、しかもそれを不信者の前でするのですか。 + そもそも、互いに訴え合うことが、すでにあなたがたの敗北です。なぜ、むしろ不正をも甘んじて受けないのですか。なぜ、むしろだまされていないのですか。 + ところが、それどころか、あなたがたは、不正を行う、だまし取る、しかもそのようなことを兄弟に対してしているのです。 + あなたがたは、正しくない者は神の国を相続できないことを、知らないのですか。だまされてはいけません。不品行な者、偶像を礼拝する者、姦淫をする者、男娼となる者、男色をする者、 + 盗む者、貪欲な者、酒に酔う者、そしる者、略奪する者はみな、神の国を相続することができません。 + あなたがたの中のある人たちは以前はそのような者でした。しかし、主イエス・キリストの御名と私たちの神の御霊によって、あなたがたは洗われ、聖なる者とされ、義と認められたのです。 + すべてのことが私には許されたことです。しかし、すべてが益になるわけではありません。私にはすべてのことが許されています。しかし、私はどんなことにも支配されはしません。 + 食物は腹のためにあり、腹は食物のためにあります。ところが神は、そのどちらをも滅ぼされます。からだは不品行のためにあるのではなく、主のためであり、主はからだのためです。 + 神は主をよみがえらせましたが、その御力によって私たちをもよみがえらせてくださいます。 + あなたがたのからだはキリストのからだの一部であることを、知らないのですか。キリストのからだを取って遊女のからだとするのですか。そんなことは絶対に許されません。 + 遊女と交われば、一つからだになることを知らないのですか。「ふたりは一体となる」と言われているからです。 + しかし、主と交われば、一つ霊となるのです。 + 不品行を避けなさい。人が犯す罪はすべて、からだの外のものです。しかし、不品行を行う者は、自分のからだに対して罪を犯すのです。 + あなたがたのからだは、あなたがたのうちに住まれる、神から受けた聖霊の宮であり、あなたがたは、もはや自分自身のものではないことを、知らないのですか。 + あなたがたは、代価を払って買い取られたのです。ですから自分のからだをもって、神の栄光を現しなさい。 + + + さて、あなたがたの手紙に書いてあったことについてですが、男が女に触れないのは良いことです。 + しかし、不品行を避けるため、男はそれぞれ自分の妻を持ち、女もそれぞれ自分の夫を持ちなさい。 + 夫は自分の妻に対して義務を果たし、同様に妻も自分の夫に対して義務を果たしなさい。 + 妻は自分のからだに関する権利を持ってはおらず、それは夫のものです。同様に夫も自分のからだについての権利を持ってはおらず、それは妻のものです。 + 互いの権利を奪い取ってはいけません。ただし、祈りに専心するために、合意の上でしばらく離れていて、また再びいっしょになるというのならかまいません。あなたがたが自制力を欠くとき、サタンの誘惑にかからないためです。 + 以上、私の言うところは、容認であって、命令ではありません。 + 私の願うところは、すべての人が私のようであることです。しかし、ひとりひとり神から与えられたそれぞれの賜物を持っているので、人それぞれに行き方があります。 + 次に、結婚していない男とやもめの女に言いますが、私のようにしていられるなら、それがよいのです。 + しかし、もし自制することができなければ、結婚しなさい。情の燃えるよりは、結婚するほうがよいからです。 + 次に、すでに結婚した人々に命じます。命じるのは、私ではなく主です。妻は夫と別れてはいけません。 + ――もし別れたのだったら、結婚せずにいるか、それとも夫と和解するか、どちらかにしなさい――また夫は妻を離別してはいけません。 + 次に、そのほかの人々に言いますが、これを言うのは主ではなく、私です。信者の男子に信者でない妻があり、その妻がいっしょにいることを承知している場合は、離婚してはいけません。 + また、信者でない夫を持つ女は、夫がいっしょにいることを承知している場合は、離婚してはいけません。 + なぜなら、信者でない夫は妻によって聖められており、また、信者でない妻も信者の夫によって聖められているからです。そうでなかったら、あなたがたの子どもは汚れているわけです。ところが、現に聖いのです。 + しかし、もし信者でないほうの者が離れて行くのであれば、離れて行かせなさい。そのような場合には、信者である夫あるいは妻は、縛られることはありません。神は、平和を得させようとしてあなたがたを召されたのです。 + なぜなら、妻よ。あなたが夫を救えるかどうかが、どうしてわかりますか。また、夫よ。あなたが妻を救えるかどうかが、どうしてわかりますか。 + ただ、おのおのが、主からいただいた分に応じ、また神がおのおのをお召しになったときのままの状態で歩むべきです。私は、すべての教会で、このように指導しています。 + 召されたとき割礼を受けていたのなら、その跡をなくしてはいけません。また、召されたとき割礼を受けていなかったのなら、割礼を受けてはいけません。 + 割礼は取るに足らぬこと、無割礼も取るに足らぬことです。重要なのは神の命令を守ることです。 + おのおの自分が召されたときの状態にとどまっていなさい。 + 奴隷の状態で召されたのなら、それを気にしてはいけません。しかし、もし自由の身になれるなら、むしろ自由になりなさい。 + 奴隷も、主にあって召された者は、主に属する自由人であり、同じように、自由人も、召された者はキリストに属する奴隷だからです。 + あなたがたは、代価をもって買われたのです。人間の奴隷となってはいけません。 + 兄弟たち。おのおの召されたときのままの状態で、神の御前にいなさい。 + 処女のことについて、私は主の命令を受けてはいませんが、主のあわれみによって信頼できる者として、意見を述べます。 + 現在の危急のときには、男はそのままの状態にとどまるのがよいと思います。 + あなたが妻に結ばれているなら、解かれたいと考えてはいけません。妻に結ばれていないのなら、妻を得たいと思ってはいけません。 + しかし、たといあなたが結婚したからといって、罪を犯すのではありません。たとい処女が結婚したからといって、罪を犯すのではありません。ただ、それらの人々は、その身に苦難を招くでしょう。私はあなたがたを、そのようなめに会わせたくないのです。 + 兄弟たちよ。私は次のことを言いたいのです。時は縮まっています。今からは、妻のある者は妻のない者のようにしていなさい。 + 泣く者は泣かない者のように、喜ぶ者は喜ばない者のように、買う者は所有しない者のようにしていなさい。 + 世の富を用いる者は用いすぎないようにしなさい。この世の有様は過ぎ去るからです。 + あなたがたが思い煩わないことを私は望んでいます。独身の男は、どうしたら主に喜ばれるかと、主のことに心を配ります。 + しかし、結婚した男は、どうしたら妻に喜ばれるかと世のことに心を配り、 + 心が分かれるのです。独身の女や処女は、身もたましいも聖くなるため、主のことに心を配りますが、結婚した女は、どうしたら夫に喜ばれるかと、世のことに心を配ります。 + ですが、私がこう言っているのは、あなたがた自身の益のためであって、あなたがたを束縛しようとしているのではありません。むしろあなたがたが秩序ある生活を送って、ひたすら主に奉仕できるためなのです。 + もし、処女である自分の娘の婚期も過ぎようとしていて、そのままでは、娘に対しての扱い方が正しくないと思い、またやむをえないことがあるならば、その人は、その心のままにしなさい。罪を犯すわけではありません。彼らに結婚させなさい。 + しかし、もし心のうちに堅く決意しており、ほかに強いられる事情もなく、また自分の思うとおりに行うことのできる人が、処女である自分の娘をそのままにしておくのなら、そのことはりっぱです。 + ですから、処女である自分の娘を結婚させる人は良いことをしているのであり、また結婚させない人は、もっと良いことをしているのです。 + 妻は夫が生きている間は夫に縛られています。しかし、もし夫が死んだなら、自分の願う人と結婚する自由があります。ただ主にあってのみ、そうなのです。 + 私の意見では、もしそのままにしていられたら、そのほうがもっと幸いです。私も、神の御霊をいただいていると思います。 + + + 次に、偶像にささげた肉についてですが、私たちはみな知識を持っているということなら、わかっています。しかし、知識は人を高ぶらせ、愛は人の徳を建てます。 + 人がもし、何かを知っていると思ったら、その人はまだ知らなければならないほどのことも知ってはいないのです。 + しかし、人が神を愛するなら、その人は神に知られているのです。 + そういうわけで、偶像にささげた肉を食べることについてですが、私たちは、世の偶像の神は実際にはないものであること、また、唯一の神以外には神は存在しないことを知っています。 + なるほど、多くの神や、多くの主があるので、神々と呼ばれるものならば、天にも地にもありますが、 + 私たちには、父なる唯一の神がおられるだけで、すべてのものはこの神から出ており、私たちもこの神のために存在しているのです。また、唯一の主なるイエス・キリストがおられるだけで、すべてのものはこの主によって存在し、私たちもこの主によって存在するのです。 + しかし、すべての人にこの知識があるのではありません。ある人たちは、今まで偶像になじんで来たため偶像にささげた肉として食べ、それで彼らのそのように弱い良心が汚れるのです。 + しかし、私たちを神に近づけるのは食物ではありません。食べなくても損にはならないし、食べても益にはなりません。 + ただ、あなたがたのこの権利が、弱い人たちのつまずきとならないように、気をつけなさい。 + 知識のあるあなたが偶像の宮で食事をしているのをだれかが見たら、それによって力を得て、その人の良心は弱いのに、偶像の神にささげた肉を食べるようなことにならないでしょうか。 + その弱い人は、あなたの知識によって、滅びることになるのです。キリストはその兄弟のためにも死んでくださったのです。 + あなたがたはこのように兄弟たちに対して罪を犯し、彼らの弱い良心を踏みにじるとき、キリストに対して罪を犯しているのです。 + ですから、もし食物が私の兄弟をつまずかせるなら、私は今後いっさい肉を食べません。それは、私の兄弟につまずきを与えないためです。 + + + 私には自由がないでしょうか。私は使徒ではないのでしょうか。私は私たちの主イエスを見たのではないでしょうか。あなたがたは、主にあって私の働きの実ではありませんか。 + たとい私がほかの人々に対しては使徒でなくても、少なくともあなたがたに対しては使徒です。あなたがたは、主にあって、私が使徒であることの証印です。 + 私をさばく人たちに対して、私は次のように弁明します。 + いったい私たちには飲み食いする権利がないのでしょうか。 + 私たちには、ほかの使徒、主の兄弟たち、ケパなどと違って、信者である妻を連れて歩く権利がないのでしょうか。 + それともまた、私とバルナバだけには、生活のための働きをやめる権利がないのでしょうか。 + いったい自分の費用で兵士になる者がいるでしょうか。自分でぶどう園を造りながら、その実を食べない者がいるでしょうか。羊の群れを飼いながら、その乳を飲まない者がいるでしょうか。 + 私がこんなことを言うのは、人間の考えによって言っているのでしょうか。律法も同じことを言っているではありませんか。 + モーセの律法には、「穀物をこなしている牛に、くつこを掛けてはいけない」と書いてあります。いったい神は、牛のことを気にかけておられるのでしょうか。 + それとも、もっぱら私たちのために、こう言っておられるのでしょうか。むろん、私たちのためにこう書いてあるのです。なぜなら、耕す者が望みを持って耕し、脱穀する者が分配を受ける望みを持って仕事をするのは当然だからです。 + もし私たちが、あなたがたに御霊のものを蒔いたのであれば、あなたがたから物質的なものを刈り取ることは行き過ぎでしょうか。 + もし、ほかの人々が、あなたがたに対する権利にあずかっているのなら、私たちはなおさらその権利を用いてよいはずではありませんか。それなのに、私たちはこの権利を用いませんでした。かえって、すべてのことについて耐え忍んでいます。それは、キリストの福音に少しの妨げも与えまいとしてなのです。 + あなたがたは、宮に奉仕している者が宮の物を食べ、祭壇に仕える者が祭壇の物にあずかることを知らないのですか。 + 同じように、主も、福音を宣べ伝える者が、福音の働きから生活のささえを得るように定めておられます。 + しかし、私はこれらの権利を一つも用いませんでした。また、私は自分がそうされたくてこのように書いているのでもありません。私は自分の誇りをだれかに奪われるよりは、死んだほうがましだからです。 + というのは、私が福音を宣べ伝えても、それは私の誇りにはなりません。そのことは、私がどうしても、しなければならないことだからです。もし福音を宣べ伝えなかったなら、私はわざわいだ。 + もし私がこれを自発的にしているのなら、報いがありましょう。しかし、強いられたにしても、私には務めがゆだねられているのです。 + では、私にどんな報いがあるのでしょう。それは、福音を宣べ伝えるときに報酬を求めないで与え、福音の働きによって持つ自分の権利を十分に用いないことなのです。 + 私はだれに対しても自由ですが、より多くの人を獲得するために、すべての人の奴隷となりました。 + ユダヤ人にはユダヤ人のようになりました。それはユダヤ人を獲得するためです。律法の下にある人々には、私自身は律法の下にはいませんが、律法の下にある者のようになりました。それは律法の下にある人々を獲得するためです。 + 律法を持たない人々に対しては、――私は神の律法の外にある者ではなく、キリストの律法を守る者ですが――律法を持たない者のようになりました。それは律法を持たない人々を獲得するためです。 + 弱い人々には、弱い者になりました。弱い人々を獲得するためです。すべての人に、すべてのものとなりました。それは、何とかして、幾人かでも救うためです。 + 私はすべてのことを、福音のためにしています。それは、私も福音の恵みをともに受ける者となるためなのです。 + 競技場で走る人たちは、みな走っても、賞を受けるのはただひとりだ、ということを知っているでしょう。ですから、あなたがたも、賞を受けられるように走りなさい。 + また闘技をする者は、あらゆることについて自制します。彼らは朽ちる冠を受けるためにそうするのですが、私たちは朽ちない冠を受けるためにそうするのです。 + ですから、私は決勝点がどこかわからないような走り方はしていません。空を打つような拳闘もしてはいません。 + 私は自分のからだを打ちたたいて従わせます。それは、私がほかの人に宣べ伝えておきながら、自分自身が失格者になるようなことのないためです。 + + + そこで、兄弟たち。私はあなたがたにぜひ次のことを知ってもらいたいのです。私たちの父祖たちはみな、雲の下におり、みな海を通って行きました。 + そしてみな、雲と海とで、モーセにつくバプテスマを受け、 + みな同じ御霊の食べ物を食べ、 + みな同じ御霊の飲み物を飲みました。というのは、彼らについて来た御霊の岩から飲んだからです。その岩とはキリストです。 + にもかかわらず、彼らの大部分は神のみこころにかなわず、荒野で滅ぼされました。 + これらのことが起こったのは、私たちへの戒めのためです。それは、彼らがむさぼったように私たちが悪をむさぼることのないためです。 + あなたがたは、彼らの中のある人たちにならって、偶像崇拝者となってはいけません。聖書には、「民が、すわっては飲み食いし、立っては踊った」と書いてあります。 + また、私たちは、彼らのある人たちが姦淫をしたのにならって姦淫をすることはないようにしましょう。彼らは姦淫のゆえに一日に二万三千人死にました。 + 私たちは、さらに、彼らの中のある人たちが主を試みたのにならって主を試みることはないようにしましょう。彼らは蛇に滅ぼされました。 + また、彼らの中のある人たちがつぶやいたのにならってつぶやいてはいけません。彼らは滅ぼす者に滅ぼされました。 + これらのことが彼らに起こったのは、戒めのためであり、それが書かれたのは、世の終わりに臨んでいる私たちへの教訓とするためです。 + ですから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけなさい。 + あなたがたの会った試練はみな人の知らないものではありません。神は真実な方ですから、あなたがたを、耐えられないほどの試練に会わせることはなさいません。むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えてくださいます。 + ですから、私の愛する者たちよ。偶像礼拝を避けなさい。 + 私は賢い人たちに話すように話します。ですから私の言うことを判断してください。 + 私たちが祝福する祝福の杯は、キリストの血にあずかることではありませんか。私たちの裂くパンは、キリストのからだにあずかることではありませんか。 + パンは一つですから、私たちは、多数であっても、一つのからだです。それは、みなの者がともに一つのパンを食べるからです。 + 肉によるイスラエルのことを考えてみなさい。供え物を食べる者は、祭壇にあずかるではありませんか。 + 私は何を言おうとしているのでしょう。偶像の神にささげた肉に、何か意味があるとか、偶像の神に真実な意味があるとか、言おうとしているのでしょうか。 + いや、彼らのささげる物は、神にではなくて悪霊にささげられている、と言っているのです。私は、あなたがたに悪霊と交わる者になってもらいたくありません。 + あなたがたが主の杯を飲んだうえ、さらに悪霊の杯を飲むことは、できないことです。主の食卓にあずかったうえ、さらに悪霊の食卓にあずかることはできないことです。 + それとも、私たちは主のねたみを引き起こそうとするのですか。まさか、私たちが主よりも強いことはないでしょう。 + すべてのことは、してもよいのです。しかし、すべてのことが有益とはかぎりません。すべてのことは、してもよいのです。しかし、すべてのことが徳を高めるとはかぎりません。 + だれでも、自分の利益を求めないで、他人の利益を心がけなさい。 + 市場に売っている肉は、良心の問題として調べ上げることはしないで、どれでも食べなさい。 + 地とそれに満ちているものは、主のものだからです。 + もし、あなたがたが信仰のない者に招待されて、行きたいと思うときは、良心の問題として調べ上げることはしないで、自分の前に置かれる物はどれでも食べなさい。 + しかし、もしだれかが、「これは偶像にささげた肉です」とあなたがたに言うなら、そう知らせた人のために、また良心のために、食べてはいけません。 + 私が良心と言うのは、あなたの良心ではなく、ほかの人の良心です。私の自由が、他の人の良心によってさばかれるわけがあるでしょうか。 + もし、私が神に感謝をささげて食べるなら、私が感謝する物のために、そしられるわけがあるでしょうか。 + こういうわけで、あなたがたは、食べるにも、飲むにも、何をするにも、ただ神の栄光を現すためにしなさい。 + ユダヤ人にも、ギリシヤ人にも、神の教会にも、つまずきを与えないようにしなさい。 + 私も、人々が救われるために、自分の利益を求めず、多くの人の利益を求め、どんなことでも、みなの人を喜ばせているのですから。 + + + 私がキリストを見ならっているように、あなたがたも私を見ならってください。 + さて、あなたがたは、何かにつけて私を覚え、また、私があなたがたに伝えたものを、伝えられたとおりに堅く守っているので、私はあなたがたをほめたいと思います。 + しかし、あなたがたに次のことを知っていただきたいのです。すべての男のかしらはキリストであり、女のかしらは男であり、キリストのかしらは神です。 + 男が、祈りや預言をするとき、頭にかぶり物を着けていたら、自分の頭をはずかしめることになります。 + しかし、女が、祈りや預言をするとき、頭にかぶり物を着けていなかったら、自分の頭をはずかしめることになります。それは髪をそっているのと全く同じことだからです。 + 女がかぶり物を着けないのなら、髪も切ってしまいなさい。髪を切り、頭をそることが女として恥ずかしいことなら、かぶり物を着けなさい。 + 男はかぶり物を着けるべきではありません。男は神の似姿であり、神の栄光の現れだからです。女は男の栄光の現れです。 + なぜなら、男は女をもとにして造られたのではなくて、女が男をもとにして造られたのであり、 + また、男は女のために造られたのではなく、女が男のために造られたのだからです。 + ですから、女は頭に権威のしるしをかぶるべきです。それも御使いたちのためにです。 + とはいえ、主にあっては、女は男を離れてあるものではなく、男も女を離れてあるものではありません。 + 女が男をもとにして造られたように、同様に、男も女によって生まれるのだからです。しかし、すべては神から発しています。 + あなたがたは自分自身で判断しなさい。女が頭に何もかぶらないで神に祈るのは、ふさわしいことでしょうか。 + 自然自体が、あなたがたにこう教えていないでしょうか。男が長い髪をしていたら、それは男として恥ずかしいことであり、 + 女が長い髪をしていたら、それは女の光栄であるということです。なぜなら、髪はかぶり物として女に与えられているからです。 + たとい、このことに異議を唱えたがる人がいても、私たちにはそのような習慣はないし、神の諸教会にもありません。 + ところで、聞いていただくことがあります。私はあなたがたをほめません。あなたがたの集まりが益にならないで、かえって害になっているからです。 + まず第一に、あなたがたが教会の集まりをするとき、あなたがたの間には分裂があると聞いています。ある程度は、それを信じます。 + というのは、あなたがたの中でほんとうの信者が明らかにされるためには、分派が起こるのもやむをえないからです。 + しかし、そういうわけで、あなたがたはいっしょに集まっても、それは主の晩餐を食べるためではありません。 + 食事のとき、めいめい我先にと自分の食事を済ませるので、空腹な者もおれば、酔っている者もいるというしまつです。 + 飲食のためなら、自分の家があるでしょう。それとも、あなたがたは、神の教会を軽んじ、貧しい人たちをはずかしめたいのですか。私はあなたがたに何と言ったらよいでしょう。ほめるべきでしょうか。このことに関しては、ほめるわけにはいきません。 + 私は主から受けたことを、あなたがたに伝えたのです。すなわち、主イエスは、渡される夜、パンを取り、 + 感謝をささげて後、それを裂き、こう言われました。「これはあなたがたのための、わたしのからだです。わたしを覚えて、これを行いなさい。」 + 夕食の後、杯をも同じようにして言われました。「この杯は、わたしの血による新しい契約です。これを飲むたびに、わたしを覚えて、これを行いなさい。」 + ですから、あなたがたは、このパンを食べ、この杯を飲むたびに、主が来られるまで、主の死を告げ知らせるのです。 + したがって、もし、ふさわしくないままでパンを食べ、主の杯を飲む者があれば、主のからだと血に対して罪を犯すことになります。 + ですから、ひとりひとりが自分を吟味して、そのうえでパンを食べ、杯を飲みなさい。 + みからだをわきまえないで、飲み食いするならば、その飲み食いが自分をさばくことになります。 + そのために、あなたがたの中に、弱い者や病人が多くなり、死んだ者が大ぜいいます。 + しかし、もし私たちが自分をさばくなら、さばかれることはありません。 + しかし、私たちがさばかれるのは、主によって懲らしめられるのであって、それは、私たちが、この世とともに罪に定められることのないためです。 + ですから、兄弟たち。食事に集まるときは、互いに待ち合わせなさい。 + 空腹な人は家で食べなさい。それは、あなたがたが集まることによって、さばきを受けることにならないためです。その他のことについては、私が行ったときに決めましょう。 + + + さて、兄弟たち。御霊の賜物についてですが、私はあなたがたに、ぜひ次のことを知っていていただきたいのです。 + ご承知のように、あなたがたが異教徒であったときには、どう導かれたとしても、引かれて行った所は、ものを言わない偶像の所でした。 + ですから、私は、あなたがたに次のことを教えておきます。神の御霊によって語る者はだれも、「イエスはのろわれよ」と言わず、また、聖霊によるのでなければ、だれも、「イエスは主です」と言うことはできません。 + さて、賜物にはいろいろの種類がありますが、御霊は同じ御霊です。 + 奉仕にはいろいろの種類がありますが、主は同じ主です。 + 働きにはいろいろの種類がありますが、神はすべての人の中ですべての働きをなさる同じ神です。 + しかし、みなの益となるために、おのおのに御霊の現れが与えられているのです。 + ある人には御霊によって知恵のことばが与えられ、ほかの人には同じ御霊にかなう知識のことばが与えられ、 + またある人には同じ御霊による信仰が与えられ、ある人には同一の御霊によって、いやしの賜物が与えられ、 + ある人には奇蹟を行う力、ある人には預言、ある人には霊を見分ける力、ある人には異言、ある人には異言を解き明かす力が与えられています。 + しかし、同一の御霊がこれらすべてのことをなさるのであって、みこころのままに、おのおのにそれぞれの賜物を分け与えてくださるのです。 + ですから、ちょうど、からだが一つでも、それに多くの部分があり、からだの部分はたとい多くあっても、その全部が一つのからだであるように、キリストもそれと同様です。 + なぜなら、私たちはみな、ユダヤ人もギリシヤ人も、奴隷も自由人も、一つのからだとなるように、一つの御霊によってバプテスマを受け、そしてすべての者が一つの御霊を飲む者とされたからです。 + 確かに、からだはただ一つの器官ではなく、多くの器官から成っています。 + たとい、足が、「私は手ではないから、からだに属さない」と言ったところで、そんなことでからだに属さなくなるわけではありません。 + たとい、耳が、「私は目ではないから、からだに属さない」と言ったところで、そんなことでからだに属さなくなるわけではありません。 + もし、からだ全体が目であったら、どこで聞くのでしょう。もし、からだ全体が聞くところであったら、どこでかぐのでしょう。 + しかしこのとおり、神はみこころに従って、からだの中にそれぞれの器官を備えてくださったのです。 + もし、全部がただ一つの器官であったら、からだはいったいどこにあるのでしょう。 + しかしこういうわけで、器官は多くありますが、からだは一つなのです。 + そこで、目が手に向かって、「私はあなたを必要としない」と言うことはできないし、頭が足に向かって、「私はあなたを必要としない」と言うこともできません。 + それどころか、からだの中で比較的に弱いと見られる器官が、かえってなくてはならないものなのです。 + また、私たちは、からだの中で比較的に尊くないとみなす器官を、ことさらに尊びます。こうして、私たちの見ばえのしない器官は、ことさらに良いかっこうになりますが、 + かっこうの良い器官にはその必要がありません。しかし神は、劣ったところをことさらに尊んで、からだをこのように調和させてくださったのです。 + それは、からだの中に分裂がなく、各部分が互いにいたわり合うためです。 + もし一つの部分が苦しめば、すべての部分がともに苦しみ、もし一つの部分が尊ばれれば、すべての部分がともに喜ぶのです。 + あなたがたはキリストのからだであって、ひとりひとりは各器官なのです。 + そして、神は教会の中で人々を次のように任命されました。すなわち、第一に使徒、次に預言者、次に教師、それから奇蹟を行う者、それからいやしの賜物を持つ者、助ける者、治める者、異言を語る者などです。 + みなが使徒でしょうか。みなが預言者でしょうか。みなが教師でしょうか。みなが奇蹟を行う者でしょうか。 + みながいやしの賜物を持っているでしょうか。みなが異言を語るでしょうか。みなが解き明かしをするでしょうか。 + あなたがたは、よりすぐれた賜物を熱心に求めなさい。/また私は、さらにまさる道を示してあげましょう。 + + + たとい、私が人の異言や、御使いの異言で話しても、愛がないなら、やかましいどらや、うるさいシンバルと同じです。 + また、たとい私が預言の賜物を持っており、またあらゆる奥義とあらゆる知識とに通じ、また、山を動かすほどの完全な信仰を持っていても、愛がないなら、何の値うちもありません。 + また、たとい私が持っている物の全部を貧しい人たちに分け与え、また私のからだを焼かれるために渡しても、愛がなければ、何の役にも立ちません。 + 愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。愛は自慢せず、高慢になりません。 + 礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人のした悪を思わず、 + 不正を喜ばずに真理を喜びます。 + すべてをがまんし、すべてを信じ、すべてを期待し、すべてを耐え忍びます。 + 愛は決して絶えることがありません。預言の賜物ならばすたれます。異言ならばやみます。知識ならばすたれます。 + というのは、私たちの知っているところは一部分であり、預言することも一部分だからです。 + 完全なものが現れたら、不完全なものはすたれます。 + 私が子どもであったときには、子どもとして話し、子どもとして考え、子どもとして論じましたが、おとなになったときには、子どものことをやめました。 + 今、私たちは鏡にぼんやり映るものを見ていますが、その時には顔と顔とを合わせて見ることになります。今、私は一部分しか知りませんが、その時には、私が完全に知られているのと同じように、私も完全に知ることになります。 + こういうわけで、いつまでも残るものは信仰と希望と愛です。その中で一番すぐれているのは愛です。 + + + 愛を追い求めなさい。また、御霊の賜物、特に預言することを熱心に求めなさい。 + 異言を話す者は、人に話すのではなく、神に話すのです。というのは、だれも聞いていないのに、自分の霊で奥義を話すからです。 + ところが預言する者は、徳を高め、勧めをなし、慰めを与えるために、人に向かって話します。 + 異言を話す者は自分の徳を高めますが、預言する者は教会の徳を高めます。 + 私はあなたがたがみな異言を話すことを望んでいますが、それよりも、あなたがたが預言することを望みます。もし異言を話す者がその解き明かしをして教会の徳を高めるのでないなら、異言を語る者よりも、預言する者のほうがまさっています。 + ですから、兄弟たち。私があなたがたのところへ行って異言を話すとしても、黙示や知識や預言や教えなどによって話さないなら、あなたがたに何の益となるでしょう。 + 笛や琴などいのちのない楽器でも、はっきりした音を出さなければ、何を吹いているのか、何をひいているのか、どうしてわかりましょう。 + また、ラッパがもし、はっきりしない音を出したら、だれが戦闘の準備をするでしょう。 + それと同じように、あなたがたも、舌で明瞭なことばを語るのでなければ、言っている事をどうして知ってもらえるでしょう。それは空気に向かって話しているのです。 + 世界にはおそらく非常に多くの種類のことばがあるでしょうが、意味のないことばなど一つもありません。 + それで、もし私がそのことばの意味を知らないなら、私はそれを話す人にとって異国人であり、それを話す人も私にとって異国人です。 + あなたがたの場合も同様です。あなたがたは御霊の賜物を熱心に求めているのですから、教会の徳を高めるために、それが豊かに与えられるよう、熱心に求めなさい。 + こういうわけですから、異言を語る者は、それを解き明かすことができるように祈りなさい。 + もし私が異言で祈るなら、私の霊は祈るが、私の知性は実を結ばないのです。 + ではどうすればよいのでしょう。私は霊において祈り、また知性においても祈りましょう。霊において賛美し、また知性においても賛美しましょう。 + そうでないと、あなたが霊において祝福しても、異言を知らない人々の座席に着いている人は、あなたの言っていることがわからないのですから、あなたの感謝について、どうしてアーメンと言えるでしょう。 + あなたの感謝は結構ですが、他の人の徳を高めることはできません。 + 私は、あなたがたのだれよりも多くの異言を話すことを神に感謝していますが、 + 教会では、異言で一万語話すよりは、ほかの人を教えるために、私の知性を用いて五つのことばを話したいのです。 + 兄弟たち。物の考え方において子どもであってはなりません。悪事においては幼子でありなさい。しかし考え方においてはおとなになりなさい。 + 律法にこう書いてあります。「『わたしは、異なった舌により、異国の人のくちびるによってこの民に語るが、彼らはなおわたしの言うことを聞き入れない』と主は言われる。」 + それで、異言は信者のためのしるしではなく、不信者のためのしるしです。けれども、預言は不信者でなく、信者のためのしるしです。 + ですから、もし教会全体が一か所に集まって、みなが異言を話すとしたら、初心の者とか信者でない者とかが入って来たとき、彼らはあなたがたを、気が狂っていると言わないでしょうか。 + しかし、もしみなが預言をするなら、信者でない者や初心の者が入って来たとき、その人はみなの者によって罪を示されます。みなにさばかれ、 + 心の秘密があらわにされます。そうして、神が確かにあなたがたの中におられると言って、ひれ伏して神を拝むでしょう。 + 兄弟たち。では、どうすればよいのでしょう。あなたがたが集まるときには、それぞれの人が賛美したり、教えたり、黙示を話したり、異言を話したり、解き明かしたりします。そのすべてのことを、徳を高めるためにしなさい。 + もし異言を話すのならば、ふたりか、多くても三人で順番に話すべきで、ひとりは解き明かしをしなさい。 + もし解き明かす者がだれもいなければ、教会では黙っていなさい。自分だけで、神に向かって話しなさい。 + 預言する者も、ふたりか三人が話し、ほかの者はそれを吟味しなさい。 + もしも座席に着いている別の人に黙示が与えられたら、先の人は黙りなさい。 + あなたがたは、みながかわるがわる預言できるのであって、すべての人が学ぶことができ、すべての人が勧めを受けることができるのです。 + 預言者たちの霊は預言者たちに服従するものなのです。 + それは、神が混乱の神ではなく、平和の神だからです。/聖徒たちのすべての教会で行われているように、 + 教会では、妻たちは黙っていなさい。彼らは語ることを許されていません。律法も言うように、服従しなさい。 + もし何かを学びたければ、家で自分の夫に尋ねなさい。教会で語ることは、妻にとってはふさわしくないことです。 + 神のことばは、あなたがたのところから出たのでしょうか。あるいはまた、あなたがたにだけ伝わったのでしょうか。 + 自分を預言者、あるいは、御霊の人と思う者は、私があなたがたに書くことが主の命令であることを認めなさい。 + もしそれを認めないなら、その人は認められません。 + それゆえ、私の兄弟たち。預言することを熱心に求めなさい。異言を話すことも禁じてはいけません。 + ただ、すべてのことを適切に、秩序をもって行いなさい。 + + + 兄弟たち。私は今、あなたがたに福音を知らせましょう。これは、私があなたがたに宣べ伝えたもので、あなたがたが受け入れ、また、それによって立っている福音です。 + また、もしあなたがたがよく考えもしないで信じたのでないなら、私の宣べ伝えたこの福音のことばをしっかりと保っていれば、この福音によって救われるのです。 + 私があなたがたに最もたいせつなこととして伝えたのは、私も受けたことであって、次のことです。キリストは、聖書の示すとおりに、私たちの罪のために死なれたこと、 + また、葬られたこと、また、聖書の示すとおりに、三日目によみがえられたこと、 + また、ケパに現れ、それから十二弟子に現れたことです。 + その後、キリストは五百人以上の兄弟たちに同時に現れました。その中の大多数の者は今なお生き残っていますが、すでに眠った者もいくらかいます。 + その後、キリストはヤコブに現れ、それから使徒たち全部に現れました。 + そして、最後に、月足らずで生まれた者と同様な私にも、現れてくださいました。 + 私は使徒の中では最も小さい者であって、使徒と呼ばれる価値のない者です。なぜなら、私は神の教会を迫害したからです。 + ところが、神の恵みによって、私は今の私になりました。そして、私に対するこの神の恵みは、むだにはならず、私はほかのすべての使徒たちよりも多く働きました。しかし、それは私ではなく、私にある神の恵みです。 + そういうわけですから、私にせよ、ほかの人たちにせよ、私たちはこのように宣べ伝えているのであり、あなたがたはこのように信じたのです。 + ところで、キリストは死者の中から復活された、と宣べ伝えられているのなら、どうして、あなたがたの中に、死者の復活はない、と言っている人がいるのですか。 + もし、死者の復活がないのなら、キリストも復活されなかったでしょう。 + そして、キリストが復活されなかったのなら、私たちの宣教は実質のないものになり、あなたがたの信仰も実質のないものになるのです。 + それどころか、私たちは神について偽証をした者ということになります。なぜなら、もしもかりに、死者の復活はないとしたら、神はキリストをよみがえらせなかったはずですが、私たちは神がキリストをよみがえらせた、と言って神に逆らう証言をしたからです。 + もし、死者がよみがえらないのなら、キリストもよみがえらなかったでしょう。 + そして、もしキリストがよみがえらなかったのなら、あなたがたの信仰はむなしく、あなたがたは今もなお、自分の罪の中にいるのです。 + そうだったら、キリストにあって眠った者たちは、滅んでしまったのです。 + もし、私たちがこの世にあってキリストに単なる希望を置いているだけなら、私たちは、すべての人の中で一番哀れな者です。 + しかし、今やキリストは、眠った者の初穂として死者の中からよみがえられました。 + というのは、死がひとりの人を通して来たように、死者の復活もひとりの人を通して来たからです。 + すなわち、アダムにあってすべての人が死んでいるように、キリストによってすべての人が生かされるからです。 + しかし、おのおのにその順番があります。まず初穂であるキリスト、次にキリストの再臨のときキリストに属している者です。 + それから終わりが来ます。そのとき、キリストはあらゆる支配と、あらゆる権威、権力を滅ぼし、国を父なる神にお渡しになります。 + キリストの支配は、すべての敵をその足の下に置くまで、と定められているからです。 + 最後の敵である死も滅ぼされます。 + 「彼は万物をその足の下に従わせた」からです。ところで、万物が従わせられた、と言うとき、万物を従わせたその方がそれに含められていないことは明らかです。 + しかし、万物が御子に従うとき、御子自身も、ご自分に万物を従わせた方に従われます。これは、神が、すべてにおいてすべてとなられるためです。 + もしこうでなかったら、死者のゆえにバプテスマを受ける人たちは、何のためにそうするのですか。もし、死者は決してよみがえらないのなら、なぜその人たちは、死者のゆえにバプテスマを受けるのですか。 + また、なぜ私たちもいつも危険にさらされているのでしょうか。 + 兄弟たち。私にとって、毎日が死の連続です。これは、私たちの主キリスト・イエスにあってあなたがたを誇る私の誇りにかけて、誓って言えることです。 + もし、私が人間的な動機から、エペソで獣と戦ったのなら、何の益があるでしょう。もし、死者の復活がないのなら、「あすは死ぬのだ。さあ、飲み食いしようではないか」ということになるのです。 + 思い違いをしてはいけません。友だちが悪ければ、良い習慣がそこなわれます。 + 目をさまして、正しい生活を送り、罪をやめなさい。神についての正しい知識を持っていない人たちがいます。私はあなたがたをはずかしめるために、こう言っているのです。 + ところが、ある人はこう言うでしょう。「死者は、どのようにしてよみがえるのか。どのようなからだで来るのか。」 + 愚かな人だ。あなたの蒔く物は、死ななければ、生かされません。 + あなたが蒔く物は、後にできるからだではなく、麦やそのほかの穀物の種粒です。 + しかし神は、みこころに従って、それにからだを与え、おのおのの種にそれぞれのからだをお与えになります。 + すべての肉が同じではなく、人間の肉もあり、獣の肉もあり、鳥の肉もあり、魚の肉もあります。 + また、天上のからだもあり、地上のからだもあり、天上のからだの栄光と地上のからだの栄光とは異なっており、 + 太陽の栄光もあり、月の栄光もあり、星の栄光もあります。個々の星によって栄光が違います。 + 死者の復活もこれと同じです。朽ちるもので蒔かれ、朽ちないものによみがえらされ、 + 卑しいもので蒔かれ、栄光あるものによみがえらされ、弱いもので蒔かれ、強いものによみがえらされ、 + 血肉のからだで蒔かれ、御霊に属するからだによみがえらされるのです。血肉のからだがあるのですから、御霊のからだもあるのです。 + 聖書に「最初の人アダムは生きた者となった」と書いてありますが、最後のアダムは、生かす御霊となりました。 + 最初にあったのは血肉のものであり、御霊のものではありません。御霊のものはあとに来るのです。 + 第一の人は地から出て、土で造られた者ですが、第二の人は天から出た者です。 + 土で造られた者はみな、この土で造られた者に似ており、天からの者はみな、この天から出た者に似ているのです。 + 私たちは土で造られた者のかたちを持っていたように、天上のかたちをも持つのです。 + 兄弟たちよ。私はこのことを言っておきます。血肉のからだは神の国を相続できません。朽ちるものは、朽ちないものを相続できません。 + 聞きなさい。私はあなたがたに奥義を告げましょう。私たちはみな、眠ることになるのではなく変えられるのです。 + 終わりのラッパとともに、たちまち、一瞬のうちにです。ラッパが鳴ると、死者は朽ちないものによみがえり、私たちは変えられるのです。 + 朽ちるものは、必ず朽ちないものを着なければならず、死ぬものは、必ず不死を着なければならないからです。 + しかし、朽ちるものが朽ちないものを着、死ぬものが不死を着るとき、「死は勝利にのまれた」としるされている、みことばが実現します。 + 「死よ。おまえの勝利はどこにあるのか。死よ。おまえのとげはどこにあるのか。」 + 死のとげは罪であり、罪の力は律法です。 + しかし、神に感謝すべきです。神は、私たちの主イエス・キリストによって、私たちに勝利を与えてくださいました。 + ですから、私の愛する兄弟たちよ。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは自分たちの労苦が、主にあってむだでないことを知っているのですから。 + + + さて、聖徒たちのための献金については、ガラテヤの諸教会に命じたように、あなたがたにもこう命じます。 + 私がそちらに行ってから献金を集めるようなことがないように、あなたがたはおのおの、いつも週の初めの日に、収入に応じて、手もとにそれをたくわえておきなさい。 + 私がそちらに行ったとき、あなたがたの承認を得た人々に手紙を持たせて派遣し、あなたがたの献金をエルサレムに届けさせましょう。 + しかし、もし私も行くほうがよければ、彼らは、私といっしょに行くことになるでしょう。 + 私は、マケドニヤを通って後、あなたがたのところへ行きます。マケドニヤを通るつもりでいますから。 + そして、たぶんあなたがたのところに滞在するでしょう。冬を越すことになるかもしれません。それは、どこに行くとしても、あなたがたに送っていただこうと思うからです。 + 私は、いま旅の途中に、あなたがたの顔を見たいと思っているのではありません。主がお許しになるなら、あなたがたのところにしばらく滞在したいと願っています。 + しかし、五旬節まではエペソに滞在するつもりです。 + というのは、働きのための広い門が私のために開かれており、反対者も大ぜいいるからです。 + テモテがそちらへ行ったら、あなたがたのところで心配なく過ごせるよう心を配ってください。彼も、私と同じように、主のみわざに励んでいるからです。 + だれも彼を軽んじてはいけません。彼を平安のうちに送り出して、私のところに来させてください。私は、彼が兄弟たちとともに来るのを待ち望んでいます。 + 兄弟アポロのことですが、兄弟たちといっしょにあなたがたのところへ行くように、私は強く彼に勧めました。しかし、彼は今、そちらへ行こうとは全然思っていません。しかし、機会があれば行くでしょう。 + 目を覚ましていなさい。堅く信仰に立ちなさい。男らしく、強くありなさい。 + いっさいのことを愛をもって行いなさい。 + 兄弟たちよ。あなたがたに勧めます。ご承知のように、ステパナの家族は、アカヤの初穂であって、聖徒たちのために熱心に奉仕してくれました。 + あなたがたは、このような人たちに、また、ともに働き、労しているすべての人たちに服従しなさい。 + ステパナとポルトナトとアカイコが来たので、私は喜んでいます。なぜなら、彼らは、あなたがたの足りない分を補ってくれたからです。 + 彼らは、私の心をも、あなたがたの心をも安心させてくれました。このような人々の労をねぎらいなさい。 + アジヤの諸教会がよろしくと言っています。アクラとプリスカ、また彼らの家の教会が主にあって心から、あなたがたによろしくと言っています。 + すべての兄弟たちが、あなたがたによろしくと言っています。聖なる口づけをもって、互いにあいさつをかわしなさい。 + パウロが、自分の手であいさつを書きます。 + 主を愛さない者はだれでも、のろわれよ。主よ、来てください。 + 主イエスの恵みが、あなたがたとともにありますように。 + 私の愛は、キリスト・イエスにあって、あなたがたすべての者とともにあります。アーメン。 + +
+
+ + 神のみこころによるキリスト・イエスの使徒パウロ、および兄弟テモテから、コリントにある神の教会、ならびにアカヤ全土にいるすべての聖徒たちへ。 + 私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + 私たちの主イエス・キリストの父なる神、慈愛の父、すべての慰めの神がほめたたえられますように。 + 神は、どのような苦しみのときにも、私たちを慰めてくださいます。こうして、私たちも、自分自身が神から受ける慰めによって、どのような苦しみの中にいる人をも慰めることができるのです。 + それは、私たちにキリストの苦難があふれているように、慰めもまたキリストによってあふれているからです。 + もし私たちが苦しみに会うなら、それはあなたがたの慰めと救いのためです。もし私たちが慰めを受けるなら、それもあなたがたの慰めのためで、その慰めは、私たちが受けている苦難と同じ苦難に耐え抜く力をあなたがたに与えるのです。 + 私たちがあなたがたについて抱いている望みは、動くことがありません。なぜなら、あなたがたが私たちと苦しみをともにしているように、慰めをもともにしていることを、私たちは知っているからです。 + 兄弟たちよ。私たちがアジヤで会った苦しみについて、ぜひ知っておいてください。私たちは、非常に激しい、耐えられないほどの圧迫を受け、ついにいのちさえも危くなり、 + ほんとうに、自分の心の中で死を覚悟しました。これは、もはや自分自身を頼まず、死者をよみがえらせてくださる神により頼む者となるためでした。 + ところが神は、これほどの大きな死の危険から、私たちを救い出してくださいました。また将来も救い出してくださいます。なおも救い出してくださるという望みを、私たちはこの神に置いているのです。 + あなたがたも祈りによって、私たちを助けて協力してくださるでしょう。それは、多くの人々の祈りにより私たちに与えられた恵みについて、多くの人々が感謝をささげるようになるためです。 + 私たちがこの世の中で、特にあなたがたに対して、聖さと神から来る誠実さとをもって、人間的な知恵によらず、神の恵みによって行動していることは、私たちの良心のあかしするところであって、これこそ私たちの誇りです。 + 私たちは、あなたがたへの手紙で、あなたがたが読んで理解できること以外は何も書いていません。そして私は、あなたがたが十分に理解してくれることを望みます。 + あなたがたは、ある程度は、私たちを理解しているのですから、私たちの主イエスの日には、あなたがたが私たちの誇りであるように、私たちもあなたがたの誇りであるということを、さらに十分に理解してくださるよう望むのです。 + この確信をもって、私は次のような計画を立てました。まず初めにあなたがたのところへ行くことによって、あなたがたが恵みを二度受けられるようにしようとしたのです。 + すなわち、あなたがたのところを通ってマケドニヤに行き、そしてマケドニヤから再びあなたがたのところに帰り、あなたがたに送られてユダヤに行きたいと思ったのです。 + そういうわけですから、この計画を立てた私が、どうして軽率でありえたでしょう。それとも、私の計画は人間的な計画であって、私にとっては、「しかり、しかり」は同時に、「否、否」なのでしょうか。 + しかし、神の真実にかけて言いますが、あなたがたに対する私たちのことばは、「しかり」と言って、同時に「否」と言うようなものではありません。 + 私たち、すなわち、私とシルワノとテモテとが、あなたがたに宣べ伝えた神の子キリスト・イエスは、「しかり」と同時に「否」であるような方ではありません。この方には「しかり」だけがあるのです。 + 神の約束はことごとく、この方において「しかり」となりました。それで私たちは、この方によって「アーメン」と言い、神に栄光を帰するのです。 + 私たちをあなたがたといっしょにキリストのうちに堅く保ち、私たちに油をそそがれた方は神です。 + 神はまた、確認の印を私たちに押し、保証として、御霊を私たちの心に与えてくださいました。 + 私はこのいのちにかけ、神を証人にお呼びして言います。私がまだコリントへ行かないでいるのは、あなたがたに対する思いやりのためです。 + 私たちは、あなたがたの信仰を支配しようとする者ではなく、あなたがたの喜びのために働く協力者です。あなたがたは、信仰に堅く立っているからです。 + + + そこで私は、あなたがたを悲しませることになるような訪問は二度とくり返すまいと決心したのです。 + もし私があなたがたを悲しませているのなら、私が悲しませているその人以外に、だれが私を喜ばせてくれるでしょうか。 + あのような手紙を書いたのは、私が行くときには、私に喜びを与えてくれるはずの人たちから悲しみを与えられたくないからでした。それは、私の喜びがあなたがたすべての喜びであることを、あなたがたすべてについて確信しているからです。 + 私は大きな苦しみと心の嘆きから、涙ながらに、あなたがたに手紙を書きました。それは、あなたがたを悲しませるためではなく、私があなたがたに対して抱いている、あふれるばかりの愛を知っていただきたいからでした。 + もしある人が悲しみのもとになったとすれば、その人は、私を悲しませたというよりも、ある程度――というのは言い過ぎにならないためですが――あなたがた全部を悲しませたのです。 + その人にとっては、すでに多数の人から受けたあの処罰で十分ですから、 + あなたがたは、むしろ、その人を赦し、慰めてあげなさい。そうしないと、その人はあまりにも深い悲しみに押しつぶされてしまうかもしれません。 + そこで私は、その人に対する愛を確認することを、あなたがたに勧めます。 + 私が手紙を書いたのは、あなたがたがすべてのことにおいて従順であるかどうかをためすためであったのです。 + もしあなたがたが人を赦すなら、私もその人を赦します。私が何かを赦したのなら、私の赦したことは、あなたがたのために、キリストの御前で赦したのです。 + これは、私たちがサタンに欺かれないためです。私たちはサタンの策略を知らないわけではありません。 + 私が、キリストの福音のためにトロアスに行ったとき、主は私のために門を開いてくださいましたが、 + 兄弟テトスに会えなかったので、心に安らぎがなく、そこの人々に別れを告げて、マケドニヤへ向かいました。 + しかし、神に感謝します。神はいつでも、私たちを導いてキリストによる勝利の行列に加え、至る所で私たちを通して、キリストを知る知識のかおりを放ってくださいます。 + 私たちは、救われる人々の中でも、滅びる人々の中でも、神の前にかぐわしいキリストのかおりなのです。 + ある人たちにとっては、死から出て死に至らせるかおりであり、ある人たちにとっては、いのちから出ていのちに至らせるかおりです。このような務めにふさわしい者は、いったいだれでしょう。 + 私たちは、多くの人のように、神のことばに混ぜ物をして売るようなことはせず、真心から、また神によって、神の御前でキリストにあって語るのです。 + + + 私たちはまたもや自分を推薦しようとしているのでしょうか。それとも、ある人々のように、あなたがたにあてた推薦状とか、あなたがたの推薦状とかが、私たちに必要なのでしょうか。 + 私たちの推薦状はあなたがたです。それは私たちの心にしるされていて、すべての人に知られ、また読まれているのです。 + あなたがたが私たちの奉仕によるキリストの手紙であり、墨によってではなく、生ける神の御霊によって書かれ、石の板にではなく、人の心の板に書かれたものであることが明らかだからです。 + 私たちはキリストによって、神の御前でこういう確信を持っています。 + 何事かを自分のしたことと考える資格が私たち自身にあるというのではありません。私たちの資格は神からのものです。 + 神は私たちに、新しい契約に仕える者となる資格を下さいました。文字に仕える者ではなく、御霊に仕える者です。文字は殺し、御霊は生かすからです。 + もし石に刻まれた文字による、死の務めにも栄光があって、モーセの顔の、やがて消え去る栄光のゆえにさえ、イスラエルの人々がモーセの顔を見つめることができなかったほどだとすれば、 + まして、御霊の務めには、どれほどの栄光があることでしょう。 + 罪に定める務めに栄光があるのなら、義とする務めには、なおさら、栄光があふれるのです。 + そして、かつて栄光を受けたものは、この場合、さらにすぐれた栄光のゆえに、栄光のないものになっているからです。 + もし消え去るべきものにも栄光があったのなら、永続するものには、なおさら栄光があるはずです。 + このような望みを持っているので、私たちはきわめて大胆にふるまいます。 + そして、モーセが、消えうせるものの最後をイスラエルの人々に見せないように、顔におおいを掛けたようなことはしません。 + しかし、イスラエルの人々の思いは鈍くなったのです。というのは、今日に至るまで、古い契約が朗読されるときに、同じおおいが掛けられたままで、取りのけられてはいません。なぜなら、それはキリストによって取り除かれるものだからです。 + かえって、今日まで、モーセの書が朗読されるときはいつでも、彼らの心にはおおいが掛かっているのです。 + しかし、人が主に向くなら、そのおおいは取り除かれるのです。 + 主は御霊です。そして、主の御霊のあるところには自由があります。 + 私たちはみな、顔のおおいを取りのけられて、鏡のように主の栄光を反映させながら、栄光から栄光へと、主と同じかたちに姿を変えられて行きます。これはまさに、御霊なる主の働きによるのです。 + + + こういうわけで、私たちは、あわれみを受けてこの務めに任じられているのですから、勇気を失うことなく、 + 恥ずべき隠された事を捨て、悪巧みに歩まず、神のことばを曲げず、真理を明らかにし、神の御前で自分自身をすべての人の良心に推薦しています。 + それでもなお私たちの福音におおいが掛かっているとしたら、それは、滅びる人々の場合に、おおいが掛かっているのです。 + その場合、この世の神が不信者の思いをくらませて、神のかたちであるキリストの栄光にかかわる福音の光を輝かせないようにしているのです。 + 私たちは自分自身を宣べ伝えるのではなく、主なるキリスト・イエスを宣べ伝えます。私たち自身は、イエスのために、あなたがたに仕えるしもべなのです。 + 「光が、やみの中から輝き出よ」と言われた神は、私たちの心を照らし、キリストの御顔にある神の栄光を知る知識を輝かせてくださったのです。 + 私たちは、この宝を、土の器の中に入れているのです。それは、この測り知れない力が神のものであって、私たちから出たものでないことが明らかにされるためです。 + 私たちは、四方八方から苦しめられますが、窮することはありません。途方にくれていますが、行きづまることはありません。 + 迫害されていますが、見捨てられることはありません。倒されますが、滅びません。 + いつでもイエスの死をこの身に帯びていますが、それは、イエスのいのちが私たちの身において明らかに示されるためです。 + 私たち生きている者は、イエスのために絶えず死に渡されていますが、それは、イエスのいのちが私たちの死ぬべき肉体において明らかに示されるためなのです。 + こうして、死は私たちのうちに働き、いのちはあなたがたのうちに働くのです。 + 「私は信じた。それゆえに語った」と書いてあるとおり、それと同じ信仰の霊を持っている私たちも、信じているゆえに語るのです。 + それは、主イエスをよみがえらせた方が、私たちをもイエスとともによみがえらせ、あなたがたといっしょに御前に立たせてくださることを知っているからです。 + すべてのことはあなたがたのためであり、それは、恵みがますます多くの人々に及んで感謝が満ちあふれ、神の栄光が現れるようになるためです。 + ですから、私たちは勇気を失いません。たとい私たちの外なる人は衰えても、内なる人は日々新たにされています。 + 今の時の軽い患難は、私たちのうちに働いて、測り知れない、重い永遠の栄光をもたらすからです。 + 私たちは、見えるものにではなく、見えないものにこそ目を留めます。見えるものは一時的であり、見えないものはいつまでも続くからです。 + + + 私たちの住まいである地上の幕屋がこわれても、神の下さる建物があることを、私たちは知っています。それは、人の手によらない、天にある永遠の家です。 + 私たちはこの幕屋にあってうめき、この天から与えられる住まいを着たいと望んでいます。 + それを着たなら、私たちは裸の状態になることはないからです。 + 確かにこの幕屋の中にいる間は、私たちは重荷を負って、うめいています。それは、この幕屋を脱ぎたいと思うからでなく、かえって天からの住まいを着たいからです。そのことによって、死ぬべきものがいのちにのまれてしまうためにです。 + 私たちをこのことにかなう者としてくださった方は神です。神は、その保証として御霊を下さいました。 + そういうわけで、私たちはいつも心強いのです。ただし、私たちが肉体にいる間は、主から離れているということも知っています。 + 確かに、私たちは見るところによってではなく、信仰によって歩んでいます。 + 私たちはいつも心強いのです。そして、むしろ肉体を離れて、主のみもとにいるほうがよいと思っています。 + そういうわけで、肉体の中にあろうと、肉体を離れていようと、私たちの念願とするところは、主に喜ばれることです。 + なぜなら、私たちはみな、キリストのさばきの座に現れて、善であれ悪であれ、各自その肉体にあってした行為に応じて報いを受けることになるからです。 + こういうわけで、私たちは、主を恐れることを知っているので、人々を説得しようとするのです。私たちのことは、神の御前に明らかです。しかし、あなたがたの良心にも明らかになることが、私の望みです。 + 私たちはまたも自分自身をあなたがたに推薦しようとするのではありません。ただ、私たちのことを誇る機会をあなたがたに与えて、心においてではなく、うわべのことで誇る人たちに答えることができるようにさせたいのです。 + もし私たちが気が狂っているとすれば、それはただ神のためであり、もし正気であるとすれば、それはただあなたがたのためです。 + というのは、キリストの愛が私たちを取り囲んでいるからです。私たちはこう考えました。ひとりの人がすべての人のために死んだ以上、すべての人が死んだのです。 + また、キリストがすべての人のために死なれたのは、生きている人々が、もはや自分のためにではなく、自分のために死んでよみがえった方のために生きるためなのです。 + ですから、私たちは今後、人間的な標準で人を知ろうとはしません。かつては人間的な標準でキリストを知っていたとしても、今はもうそのような知り方はしません。 + だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。 + これらのことはすべて、神から出ているのです。神は、キリストによって、私たちをご自分と和解させ、また和解の務めを私たちに与えてくださいました。 + すなわち、神は、キリストにあって、この世をご自分と和解させ、違反行為の責めを人々に負わせないで、和解のことばを私たちにゆだねられたのです。 + こういうわけで、私たちはキリストの使節なのです。ちょうど神が私たちを通して懇願しておられるようです。私たちは、キリストに代わって、あなたがたに願います。神の和解を受け入れなさい。 + 神は、罪を知らない方を、私たちの代わりに罪とされました。それは、私たちが、この方にあって、神の義となるためです。 + + + 私たちは神とともに働く者として、あなたがたに懇願します。神の恵みをむだに受けないようにしてください。 + 神は言われます。「わたしは、恵みの時にあなたに答え、救いの日にあなたを助けた。」確かに、今は恵みの時、今は救いの日です。 + 私たちは、この務めがそしられないために、どんなことにも人につまずきを与えないようにと、 + あらゆることにおいて、自分を神のしもべとして推薦しているのです。すなわち非常な忍耐と、悩みと、苦しみと、嘆きの中で、 + また、むち打たれるときにも、入獄にも、暴動にも、労役にも、徹夜にも、断食にも、 + また、純潔と知識と、寛容と親切と、聖霊と偽りのない愛と、 + 真理のことばと神の力とにより、また、左右の手に持っている義の武器により、 + また、ほめられたり、そしられたり、悪評を受けたり、好評を博したりすることによって、自分を神のしもべとして推薦しているのです。私たちは人をだます者のように見えても、真実であり、 + 人に知られないようでも、よく知られ、死にそうでも、見よ、生きており、罰せられているようであっても、殺されず、 + 悲しんでいるようでも、いつも喜んでおり、貧しいようでも、多くの人を富ませ、何も持たないようでも、すべてのものを持っています。 + コリントの人たち。私たちはあなたがたに包み隠すことなく話しました。私たちの心は広く開かれています。 + あなたがたは、私たちの中で制約を受けているのではなく、自分の心で自分を窮屈にしているのです。 + 私は自分の子どもに対するように言います。それに報いて、あなたがたのほうでも心を広くしてください。 + 不信者と、つり合わぬくびきをいっしょにつけてはいけません。正義と不法とに、どんなつながりがあるでしょう。光と暗やみとに、どんな交わりがあるでしょう。 + キリストとベリアルとに、何の調和があるでしょう。信者と不信者とに、何のかかわりがあるでしょう。 + 神の宮と偶像とに、何の一致があるでしょう。私たちは生ける神の宮なのです。神はこう言われました。/「わたしは彼らの間に住み、また歩む。/わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。 + それゆえ、彼らの中から出て行き、彼らと分離せよ、と主は言われる。/汚れたものに触れないようにせよ。/そうすれば、わたしはあなたがたを受け入れ、 + わたしはあなたがたの父となり、あなたがたはわたしの息子、娘となる、と全能の主が言われる。」 + + + 愛する者たち。私たちはこのような約束を与えられているのですから、いっさいの霊肉の汚れから自分をきよめ、神を恐れかしこんで聖きを全うしようではありませんか。 + 私たちに対して心を開いてください。私たちは、だれにも不正をしたことがなく、だれをもそこなったことがなく、だれからも利をむさぼったことがありません。 + 責めるためにこう言うのではありません。前にも言ったように、あなたがたは、私たちとともに死に、ともに生きるために、私たちの心のうちにあるのです。 + 私のあなたがたに対する信頼は大きいのであって、私はあなたがたを大いに誇りとしています。私は慰めに満たされ、どんな苦しみの中にあっても喜びに満ちあふれています。 + マケドニヤに着いたとき、私たちの身には少しの安らぎもなく、さまざまの苦しみに会って、外には戦い、うちには恐れがありました。 + しかし、気落ちした者を慰めてくださる神は、テトスが来たことによって、私たちを慰めてくださいました。 + ただテトスが来たことばかりでなく、彼があなたがたから受けた慰めによっても、私たちは慰められたのです。あなたがたが私を慕っていること、嘆き悲しんでいること、また私に対して熱意を持っていてくれることを知らされて、私はますます喜びにあふれました。 + あの手紙によってあなたがたを悲しませたけれども、私はそれを悔いていません。あの手紙がしばらくの間であったにしろあなたがたを悲しませたのを見て、悔いたけれども、 + 今は喜んでいます。あなたがたが悲しんだからではなく、あなたがたが悲しんで悔い改めたからです。あなたがたは神のみこころに添って悲しんだので、私たちのために何の害も受けなかったのです。 + 神のみこころに添った悲しみは、悔いのない、救いに至る悔い改めを生じさせますが、世の悲しみは死をもたらします。 + ご覧なさい。神のみこころに添ったその悲しみが、あなたがたのうちに、どれほどの熱心を起こさせたことでしょう。また、弁明、憤り、恐れ、慕う心、熱意を起こさせ、処罰を断行させたことでしょう。あの問題について、あなたがたは、自分たちがすべての点で潔白であることを証明したのです。 + ですから、私はあなたがたに手紙を書きましたが、それは悪を行った人のためでもなく、その被害者のためでもなくて、私たちに対するあなたがたの熱心が、神の御前に明らかにされるためであったのです。 + こういうわけですから、私たちは慰めを受けました。/この慰めの上にテトスの喜びが加わって、私たちはなおいっそう喜びました。テトスの心が、あなたがたすべてによって安らぎを与えられたからです。 + 私はテトスに、あなたがたのことを少しばかり誇りましたが、そのことで恥をかかずに済みました。というのは、私たちがあなたがたに語ったことがすべて真実であったように、テトスに対して誇ったことも真実となったからです。 + 彼は、あなたがたがみなよく言うことを聞き、恐れおののいて、自分を迎えてくれたことを思い出して、あなたがたへの愛情をますます深めています。 + 私は、あなたがたに全幅の信頼を寄せることができるのを喜んでいます。 + + + さて、兄弟たち。私たちは、マケドニヤの諸教会に与えられた神の恵みを、あなたがたに知らせようと思います。 + 苦しみゆえの激しい試練の中にあっても、彼らの満ちあふれる喜びは、その極度の貧しさにもかかわらず、あふれ出て、その惜しみなく施す富となったのです。 + 私はあかしします。彼らは自ら進んで、力に応じ、いや力以上にささげ、 + 聖徒たちをささえる交わりの恵みにあずかりたいと、熱心に私たちに願ったのです。 + そして、私たちの期待以上に、神のみこころに従って、まず自分自身を主にささげ、また、私たちにもゆだねてくれました。 + それで私たちは、テトスがすでにこの恵みのわざをあなたがたの間で始めていたのですから、それを完了させるよう彼に勧めたのです。 + あなたがたは、すべてのことに、すなわち、信仰にも、ことばにも、知識にも、あらゆる熱心にも、私たちから出てあなたがたの間にある愛にも富んでいるように、この恵みのわざにも富むようになってください。 + こうは言っても、私は命令するのではありません。ただ、他の人々の熱心さをもって、あなたがた自身の愛の真実を確かめたいのです。 + あなたがたは、私たちの主イエス・キリストの恵みを知っています。すなわち、主は富んでおられたのに、あなたがたのために貧しくなられました。それは、あなたがたが、キリストの貧しさによって富む者となるためです。 + この献金のことについて、私の意見を述べましょう。それはあなたがたの益になることだからです。あなたがたは、このことを昨年から、他に先んじて行っただけでなく、このことを他に先んじて願った人たちです。 + ですから、今、それをし遂げなさい。喜んでしようと思ったのですから、持っている物で、それをし遂げることができるはずです。 + もし熱意があるならば、持たない物によってではなく、持っている程度に応じて、それは受納されるのです。 + 私はこのことによって、他の人々には楽をさせ、あなたがたには苦労をさせようとしているのではなく、平等を図っているのです。 + 今あなたがたの余裕が彼らの欠乏を補うなら、彼らの余裕もまた、あなたがたの欠乏を補うことになるのです。こうして、平等になるのです。 + 「多く集めた者も余るところがなく、少し集めた者も足りないところがなかった」と書いてあるとおりです。 + 私があなたがたのことを思うのと同じ熱心を、テトスの心にも与えてくださった神に感謝します。 + 彼は私の勧めを受け入れ、非常な熱意をもって、自分から進んであなたがたのところに行こうとしています。 + また私たちは、テトスといっしょに、ひとりの兄弟を送ります。この人は、福音の働きによって、すべての教会で称賛されていますが、 + そればかりでなく、彼は、この恵みのわざに携わっている私たちに同伴するよう諸教会の任命を受けたのです。私たちがこの働きをしているのは、主ご自身の栄光のため、また、私たちの誠意を示すためにほかなりません。 + 私たちは、この献金の取り扱いについて、だれからも非難されることがないように心がけています。 + それは、主の御前ばかりでなく、人の前でも公明正大なことを示そうと考えているからです。 + また、彼らといっしょに、もうひとりの兄弟を送ります。私たちはこの兄弟が多くのことについて熱心であることを、しばしば認めることができました。彼は今、あなたがたに深い信頼を寄せ、ますます熱心になっています。 + テトスについて言えば、彼は私の仲間で、あなたがたの間での私の同労者です。兄弟たちについて言えば、彼らは諸教会の使者、キリストの栄光です。 + ですから、あなたがたの愛と、私たちがあなたがたを誇りとしている証拠とを、諸教会の前で、彼らに示してほしいのです。 + + + 聖徒たちのためのこの奉仕については、いまさら、あなたがたに書き送る必要はないでしょう。 + 私はあなたがたの熱意を知り、それについて、あなたがたのことをマケドニヤの人々に誇って、アカヤでは昨年から準備が進められていると言ったのです。こうして、あなたがたの熱心は、多くの人を奮起させました。 + 私が兄弟たちを送ることにしたのは、この場合、私たちがあなたがたについて誇ったことがむだにならず、私が言っていたとおりに準備していてもらうためです。 + そうでないと、もしマケドニヤの人が私といっしょに行って、準備ができていないのを見たら、あなたがたはもちろんですが、私たちも、このことを確信していただけに、恥をかくことになるでしょう。 + そこで私は、兄弟たちに勧めて、先にそちらに行かせ、前に約束したあなたがたの贈り物を前もって用意していただくことが必要だと思いました。どうか、この献金を、惜しみながらするのではなく、好意に満ちた贈り物として用意しておいてください。 + 私はこう考えます。少しだけ蒔く者は、少しだけ刈り取り、豊かに蒔く者は、豊かに刈り取ります。 + ひとりひとり、いやいやながらでなく、強いられてでもなく、心で決めたとおりにしなさい。神は喜んで与える人を愛してくださいます。 + 神は、あなたがたを、常にすべてのことに満ち足りて、すべての良いわざにあふれる者とするために、あらゆる恵みをあふれるばかり与えることのできる方です。 + 「この人は散らして、貧しい人々に与えた。/その義は永遠にとどまる。」/と書いてあるとおりです。 + 蒔く人に種と食べるパンを備えてくださる方は、あなたがたにも蒔く種を備え、それをふやし、あなたがたの義の実を増し加えてくださいます。 + あなたがたは、あらゆる点で豊かになって、惜しみなく与えるようになり、それが私たちを通して、神への感謝を生み出すのです。 + なぜなら、この奉仕のわざは、聖徒たちの必要を十分に満たすばかりでなく、神への多くの感謝を通して、満ちあふれるようになるからです。 + このわざを証拠として、彼らは、あなたがたがキリストの福音の告白に対して従順であり、彼らに、またすべての人々に惜しみなく与えていることを知って、神をあがめることでしょう。 + また彼らは、あなたがたのために祈るとき、あなたがたに与えられた絶大な神の恵みのゆえに、あなたがたを慕うようになるのです。 + ことばに表せないほどの賜物のゆえに、神に感謝します。 + + + さて、私パウロは、キリストの柔和と寛容をもって、あなたがたにお勧めします。私は、あなたがたの間にいて、面と向かっているときはおとなしく、離れているあなたがたに対しては強気な者です。 + しかし、私は、あなたがたのところに行くときには、私たちを肉に従って歩んでいるかのように考える人々に対して勇敢にふるまおうと思っているその確信によって、強気にふるまうことがなくて済むように願っています。 + 私たちは肉にあって歩んではいても、肉に従って戦ってはいません。 + 私たちの戦いの武器は、肉の物ではなく、神の御前で、要塞をも破るほどに力のあるものです。 + 私たちは、さまざまの思弁と、神の知識に逆らって立つあらゆる高ぶりを打ち砕き、すべてのはかりごとをとりこにしてキリストに服従させ、 + また、あなたがたの従順が完全になるとき、あらゆる不従順を罰する用意ができているのです。 + あなたがたは、うわべのことだけを見ています。もし自分はキリストに属する者だと確信している人がいるなら、その人は、自分がキリストに属しているように、私たちもまたキリストに属しているということを、もう一度、自分でよく考えなさい。 + あなたがたを倒すためにではなく、立てるために主が私たちに授けられた権威については、たとい私が多少誇りすぎることがあっても、恥とはならないでしょう。 + 私は手紙であなたがたをおどしているかのように見られたくありません。 + 彼らは言います。「パウロの手紙は重みがあって力強いが、実際に会った場合の彼は弱々しく、その話しぶりは、なっていない。」 + そういう人はよく承知しておきなさい。離れているときに書く手紙のことばがそうなら、いっしょにいるときの行動もそのとおりです。 + 私たちは、自己推薦をしているような人たちの中のだれかと自分を同列に置いたり、比較したりしようなどとは思いません。しかし、彼らが自分たちの間で自分を量ったり、比較したりしているのは、知恵のないことなのです。 + 私たちは、限度を越えて誇りはしません。私たちがあなたがたのところまで行くのも、神が私たちに量って割り当ててくださった限度内で行くのです。 + 私たちは、あなたがたのところまでは行かないのに無理に手を伸ばしているのではありません。事実、私たちは、キリストの福音を携えてあなたがたのところにまで行ったのです。 + 私たちは、自分の限度を越えてほかの人の働きを誇ることはしません。ただ、あなたがたの信仰が成長し、あなたがたによって、私たちの領域内で私たちの働きが広げられることを望んでいます。 + それは、私たちがあなたがたの向こうの地域にまで福音を宣べ伝えるためであって、決して他の人の領域でなされた働きを誇るためではないのです。 + 誇る者は、主を誇りなさい。 + 自分で自分を推薦する人でなく、主に推薦される人こそ、受け入れられる人です。 + + + 私の少しばかりの愚かさをこらえていただきたいと思います。いや、あなたがたはこらえているのです。 + というのも、私は神の熱心をもって、熱心にあなたがたのことを思っているからです。私はあなたがたを、清純な処女として、ひとりの人の花嫁に定め、キリストにささげることにしたからです。 + しかし、蛇が悪巧みによってエバを欺いたように、万一にもあなたがたの思いが汚されて、キリストに対する真実と貞潔を失うことがあってはと、私は心配しています。 + というわけは、ある人が来て、私たちの宣べ伝えなかった別のイエスを宣べ伝えたり、あるいはあなたがたが、前に受けたことのない異なった霊を受けたり、受け入れたことのない異なった福音を受けたりするときも、あなたがたはみごとにこらえているからです。 + 私は自分をあの大使徒たちに少しでも劣っているとは思いません。 + たとい、話は巧みでないにしても、知識についてはそうではありません。私たちは、すべての点で、いろいろな場合に、そのことをあなたがたに示して来ました。 + それとも、あなたがたを高めるために、自分を低くして報酬を受けずに神の福音をあなたがたに宣べ伝えたことが、私の罪だったのでしょうか。 + 私は他の諸教会から奪い取って、あなたがたに仕えるための給料を得たのです。 + あなたがたのところにいて困窮していたときも、私はだれにも負担をかけませんでした。マケドニヤから来た兄弟たちが、私の欠乏を十分に補ってくれたのです。私は、万事につけあなたがたの重荷にならないようにしましたし、今後もそうするつもりです。 + 私にあるキリストの真実にかけて言います。アカヤ地方で私のこの誇りが封じられることは決してありません。 + なぜでしょう。私があなたがたを愛していないからでしょうか。神はご存じです。 + しかし、私は、今していることを今後も、し続けるつもりです。それは、私たちと同じように誇るところがあるとみなされる機会をねらっている者たちから、その機会を断ち切ってしまうためです。 + こういう者たちは、にせ使徒であり、人を欺く働き人であって、キリストの使徒に変装しているのです。 + しかし、驚くには及びません。サタンさえ光の御使いに変装するのです。 + ですから、サタンの手下どもが義のしもべに変装したとしても、格別なことはありません。彼らの最後はそのしわざにふさわしいものとなります。 + くり返して言いますが、だれも、私を愚かと思ってはなりません。しかし、もしそう思うなら、私を愚か者扱いにしなさい。私も少し誇ってみせます。 + これから話すことは、主によって話すのではなく、愚か者としてする思い切った自慢話です。 + 多くの人が肉によって誇っているので、私も誇ることにします。 + あなたがたは賢いのに、よくも喜んで愚か者たちをこらえています。 + 事実、あなたがたは、だれかに奴隷にされても、食い尽くされても、だまされても、いばられても、顔をたたかれても、こらえているではありませんか。 + 言うのも恥ずかしいことですが、言わなければなりません。私たちは弱かったのです。しかし、人があえて誇ろうとすることなら、――私は愚かになって言いますが――私もあえて誇りましょう。 + 彼らはヘブル人ですか。私もそうです。彼らはイスラエル人ですか。私もそうです。彼らはアブラハムの子孫ですか。私もそうです。 + 彼らはキリストのしもべですか。私は狂気したように言いますが、私は彼ら以上にそうなのです。私の労苦は彼らよりも多く、牢に入れられたことも多く、また、むち打たれたことは数えきれず、死に直面したこともしばしばでした。 + ユダヤ人から三十九のむちを受けたことが五度、 + むちで打たれたことが三度、石で打たれたことが一度、難船したことが三度あり、一昼夜、海上を漂ったこともあります。 + 幾度も旅をし、川の難、盗賊の難、同国民から受ける難、異邦人から受ける難、都市の難、荒野の難、海上の難、にせ兄弟の難に会い、 + 労し苦しみ、たびたび眠られぬ夜を過ごし、飢え渇き、しばしば食べ物もなく、寒さに凍え、裸でいたこともありました。 + このような外から来ることのほかに、日々私に押しかかるすべての教会への心づかいがあります。 + だれかが弱くて、私が弱くない、ということがあるでしょうか。だれかがつまずいていて、私の心が激しく痛まないでおられましょうか。 + もしどうしても誇る必要があるなら、私は自分の弱さを誇ります。 + 主イエス・キリストの父なる神、永遠にほめたたえられる方は、私が偽りを言っていないのをご存じです。 + ダマスコではアレタ王の代官が、私を捕らえようとしてダマスコの町を監視しました。 + そのとき私は、城壁の窓からかごでつり降ろされ、彼の手をのがれました。 + + + 無益なことですが、誇るのもやむをえないことです。私は主の幻と啓示のことを話しましょう。 + 私はキリストにあるひとりの人を知っています。この人は十四年前に――肉体のままであったか、私は知りません。肉体を離れてであったか、それも知りません。神はご存じです、――第三の天にまで引き上げられました。 + 私はこの人が、――それが肉体のままであったか、肉体を離れてであったかは知りません。神はご存じです、―― + パラダイスに引き上げられて、人間には語ることを許されていない、口に出すことのできないことばを聞いたことを知っています。 + このような人について私は誇るのです。しかし、私自身については、自分の弱さ以外には誇りません。 + たとい私が誇りたいと思ったとしても、愚か者にはなりません。真実のことを話すのだからです。しかし、誇ることは控えましょう。私について見ること、私から聞くこと以上に、人が私を過大に評価するといけないからです。 + また、その啓示があまりにもすばらしいからです。そのために私は、高ぶることのないようにと、肉体に一つのとげを与えられました。それは私が高ぶることのないように、私を打つための、サタンの使いです。 + このことについては、これを私から去らせてくださるようにと、三度も主に願いました。 + しかし、主は、「わたしの恵みは、あなたに十分である。というのは、わたしの力は、弱さのうちに完全に現れるからである」と言われたのです。ですから、私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで私の弱さを誇りましょう。 + ですから、私は、キリストのために、弱さ、侮辱、苦痛、迫害、困難に甘んじています。なぜなら、私が弱いときにこそ、私は強いからです。 + 私は愚か者になりました。あなたがたが無理に私をそうしたのです。私は当然あなたがたの推薦を受けてよかったはずです。たとい私は取るに足りない者であっても、私はあの大使徒たちにどのような点でも劣るところはありませんでした。 + 使徒としてのしるしは、忍耐を尽くしてあなたがたの間で行われた、しるしと不思議と力あるわざです。 + あなたがたが他の諸教会より劣っている点は何でしょうか。それは、私のほうであなたがたには負担をかけなかったことだけです。この不正については、どうか、赦してください。 + 今、私はあなたがたのところに行こうとして、三度目の用意ができています。しかし、あなたがたに負担はかけません。私が求めているのは、あなたがたの持ち物ではなく、あなたがた自身だからです。子は親のためにたくわえる必要はなく、親が子のためにたくわえるべきです。 + ですから、私はあなたがたのたましいのためには、大いに喜んで財を費やし、また私自身をさえ使い尽くしましょう。私があなたがたを愛すれば愛するほど、私はいよいよ愛されなくなるのでしょうか。 + あなたがたに重荷は負わせなかったにしても、私は、悪賢くて、あなたがたからだまし取ったのだと言われます。 + あなたがたのところに遣わした人たちのうちのだれによって、私があなたがたを欺くようなことがあったでしょうか。 + 私はテトスにそちらに行くように勧め、また、あの兄弟を同行させました。テトスはあなたがたを欺くようなことをしたでしょうか。私たちは同じ心で、同じ歩調で歩いたのではありませんか。 + あなたがたは、前から、私たちがあなたがたに対して自己弁護をしているのだと思っていたことでしょう。しかし、私たちは神の御前で、キリストにあって語っているのです。愛する人たち。すべては、あなたがたを築き上げるためなのです。 + 私の恐れていることがあります。私が行ってみると、あなたがたは私の期待しているような者でなく、私もあなたがたの期待しているような者でないことになるのではないでしょうか。また、争い、ねたみ、憤り、党派心、そしり、陰口、高ぶり、騒動があるのではないでしょうか。 + 私がもう一度行くとき、またも私の神が、あなたがたの面前で、私をはずかしめることはないでしょうか。そして私は、前から罪を犯していて、その行った汚れと不品行と好色を悔い改めない多くの人たちのために、嘆くようなことにはならないでしょうか。 + + + 私があなたがたのところへ行くのは、これで三度目です。すべての事実は、ふたりか三人の証人の口によって確認されるのです。 + 私は二度目の滞在のときに前もって言っておいたのですが、こうして離れている今も、前から罪を犯している人たちとほかのすべての人たちに、あらかじめ言っておきます。今度そちらに行ったときには、容赦はしません。 + こう言うのは、あなたがたはキリストが私によって語っておられるという証拠を求めているからです。キリストはあなたがたに対して弱くはなく、あなたがたの間にあって強い方です。 + 確かに、弱さのゆえに十字架につけられましたが、神の力のゆえに生きておられます。私たちもキリストにあって弱い者ですが、あなたがたに対する神の力のゆえに、キリストとともに生きているのです。 + あなたがたは、信仰に立っているかどうか、自分自身をためし、また吟味しなさい。それとも、あなたがたのうちにはイエス・キリストがおられることを、自分で認めないのですか――あなたがたがそれに不適格であれば別です。―― + しかし、私たちは不適格でないことを、あなたがたが悟るように私は望んでいます。 + 私たちは、あなたがたがどんな悪をも行わないように神に祈っています。それによって、私たち自身の適格であることが明らかになるというのではなく、たとい私たちは不適格のように見えても、あなたがたに正しい行いをしてもらいたいためです。 + 私たちは、真理に逆らっては何をすることもできず、真理のためなら、何でもできるのです。 + 私たちは、自分は弱くてもあなたがたが強ければ、喜ぶのです。私たちはあなたがたが完全な者になることを祈っています。 + そういうわけで、離れていてこれらのことを書いているのは、私が行ったとき、主が私に授けてくださった権威を用いて、きびしい処置をとることのないようにするためです。この権威が与えられたのは築き上げるためであって、倒すためではないのです。 + 終わりに、兄弟たち。喜びなさい。完全な者になりなさい。慰めを受けなさい。一つ心になりなさい。平和を保ちなさい。そうすれば、愛と平和の神はあなたがたとともにいてくださいます。 + 聖なる口づけをもって、互いにあいさつをかわしなさい。すべての聖徒たちが、あなたがたによろしくと言っています。 + 主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりが、あなたがたすべてとともにありますように。 + +
+
+ + 使徒となったパウロ――私が使徒となったのは、人間から出たことでなく、また人間の手を通したことでもなく、イエス・キリストと、キリストを死者の中からよみがえらせた父なる神によったのです―― + および私とともにいるすべての兄弟たちから、ガラテヤの諸教会へ。 + どうか、私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + キリストは、今の悪の世界から私たちを救い出そうとして、私たちの罪のためにご自身をお捨てになりました。私たちの神であり父である方のみこころによったのです。 + どうか、この神に栄光がとこしえにありますように。アーメン。 + 私は、キリストの恵みをもってあなたがたを召してくださったその方を、あなたがたがそんなにも急に見捨てて、ほかの福音に移って行くのに驚いています。 + ほかの福音といっても、もう一つ別に福音があるのではありません。あなたがたをかき乱す者たちがいて、キリストの福音を変えてしまおうとしているだけです。 + しかし、私たちであろうと、天の御使いであろうと、もし私たちが宣べ伝えた福音に反することをあなたがたに宣べ伝えるなら、その者はのろわれるべきです。 + 私たちが前に言ったように、今もう一度私は言います。もしだれかが、あなたがたの受けた福音に反することを、あなたがたに宣べ伝えているなら、その者はのろわれるべきです。 + いま私は人に取り入ろうとしているのでしょうか。いや。神に、でしょう。あるいはまた、人の歓心を買おうと努めているのでしょうか。もし私がいまなお人の歓心を買おうとするようなら、私はキリストのしもべとは言えません。 + 兄弟たちよ。私はあなたがたに知らせましょう。私が宣べ伝えた福音は、人間によるものではありません。 + 私はそれを人間からは受けなかったし、また教えられもしませんでした。ただイエス・キリストの啓示によって受けたのです。 + 以前ユダヤ教徒であったころの私の行動は、あなたがたがすでに聞いているところです。私は激しく神の教会を迫害し、これを滅ぼそうとしました。 + また私は、自分と同族で同年輩の多くの者たちに比べ、はるかにユダヤ教に進んでおり、先祖からの伝承に人一倍熱心でした。 + けれども、生まれたときから私を選び分け、恵みをもって召してくださった方が、 + 異邦人の間に御子を宣べ伝えさせるために、御子を私のうちに啓示することをよしとされたとき、私はすぐに、人には相談せず、 + 先輩の使徒たちに会うためにエルサレムにも上らず、アラビヤに出て行き、またダマスコに戻りました。 + それから三年後に、私はケパをたずねてエルサレムに上り、彼のもとに十五日間滞在しました。 + しかし、主の兄弟ヤコブは別として、ほかの使徒にはだれにも会いませんでした。 + 私があなたがたに書いていることには、神の御前で申しますが、偽りはありません。 + それから、私はシリヤおよびキリキヤの地方に行きました。 + しかし、キリストにあるユダヤの諸教会には顔を知られていませんでした。 + けれども、「以前私たちを迫害した者が、そのとき滅ぼそうとした信仰を今は宣べ伝えている」と聞いてだけはいたので、 + 彼らは私のことで神をあがめていました。 + + + それから十四年たって、私は、バルナバといっしょに、テトスも連れて、再びエルサレムに上りました。 + それは啓示によって上ったのです。そして、異邦人の間で私の宣べている福音を、人々の前に示し、おもだった人たちには個人的にそうしました。それは、私が力を尽くしていま走っていること、またすでに走ったことが、むだにならないためでした。 + しかし、私といっしょにいたテトスでさえ、ギリシヤ人であったのに、割礼を強いられませんでした。 + 実は、忍び込んだにせ兄弟たちがいたので、強いられる恐れがあったのです。彼らは私たちを奴隷に引き落とそうとして、キリスト・イエスにあって私たちの持つ自由をうかがうために忍び込んでいたのです。 + 私たちは彼らに一時も譲歩しませんでした。それは福音の真理があなたがたの間で常に保たれるためです。 + そして、おもだった者と見られていた人たちからは、――彼らがどれほどの人たちであるにしても、私には問題ではありません。神は人を分け隔てなさいません――そのおもだった人たちは、私に対して、何もつけ加えることをしませんでした。 + それどころか、ペテロが割礼を受けた者への福音をゆだねられているように、私が割礼を受けない者への福音をゆだねられていることを理解してくれました。 + ペテロにみわざをなして、割礼を受けた者への使徒となさった方が、私にもみわざをなして、異邦人への使徒としてくださったのです。 + そして、私に与えられたこの恵みを認め、柱として重んじられているヤコブとケパとヨハネが、私とバルナバに、交わりのしるしとして右手を差し伸べました。それは、私たちが異邦人のところへ行き、彼らが割礼を受けた人々のところへ行くためです。 + ただ私たちが貧しい人たちをいつも顧みるようにとのことでしたが、そのことなら私も大いに努めて来たところです。 + ところが、ケパがアンテオケに来たとき、彼に非難すべきことがあったので、私は面と向かって抗議しました。 + なぜなら、彼は、ある人々がヤコブのところから来る前は異邦人といっしょに食事をしていたのに、その人々が来ると、割礼派の人々を恐れて、だんだんと異邦人から身を引き、離れて行ったからです。 + そして、ほかのユダヤ人たちも、彼といっしょに本心を偽った行動をとり、バルナバまでもその偽りの行動に引き込まれてしまいました。 + しかし、彼らが福音の真理についてまっすぐに歩んでいないのを見て、私はみなの面前でケパにこう言いました。「あなたは、自分がユダヤ人でありながらユダヤ人のようには生活せず、異邦人のように生活していたのに、どうして異邦人に対して、ユダヤ人の生活を強いるのですか。 + 私たちは、生まれながらのユダヤ人であって、異邦人のような罪人ではありません。 + しかし、人は律法の行いによっては義と認められず、ただキリスト・イエスを信じる信仰によって義と認められる、ということを知ったからこそ、私たちもキリスト・イエスを信じたのです。これは、律法の行いによってではなく、キリストを信じる信仰によって義と認められるためです。なぜなら、律法の行いによって義と認められる者は、ひとりもいないからです。 + しかし、もし私たちが、キリストにあって義と認められることを求めながら、私たち自身も罪人であることがわかるのなら、キリストは罪の助成者なのでしょうか。そんなことは絶対にありえないことです。 + けれども、もし私が前に打ちこわしたものをもう一度建てるなら、私は自分自身を違反者にしてしまうのです。 + しかし私は、神に生きるために、律法によって律法に死にました。 + 私はキリストとともに十字架につけられました。もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。いま私が肉にあって生きているのは、私を愛し私のためにご自身をお捨てになった神の御子を信じる信仰によっているのです。 + 私は神の恵みを無にはしません。もし義が律法によって得られるとしたら、それこそキリストの死は無意味です。」 + + + ああ愚かなガラテヤ人。十字架につけられたイエス・キリストが、あなたがたの目の前に、あんなにはっきり示されたのに、だれがあなたがたを迷わせたのですか。 + ただこれだけをあなたがたから聞いておきたい。あなたがたが御霊を受けたのは、律法を行ったからですか。それとも信仰をもって聞いたからですか。 + あなたがたはどこまで道理がわからないのですか。御霊で始まったあなたがたが、いま肉によって完成されるというのですか。 + あなたがたがあれほどのことを経験したのは、むだだったのでしょうか。万が一にもそんなことはないでしょうが。 + とすれば、あなたがたに御霊を与え、あなたがたの間で奇蹟を行われた方は、あなたがたが律法を行ったから、そうなさったのですか。それともあなたがたが信仰をもって聞いたからですか。 + アブラハムは神を信じ、それが彼の義とみなされました。それと同じことです。 + ですから、信仰による人々こそアブラハムの子孫だと知りなさい。 + 聖書は、神が異邦人をその信仰によって義と認めてくださることを、前から知っていたので、アブラハムに対し、「あなたによってすべての国民が祝福される」と前もって福音を告げたのです。 + そういうわけで、信仰による人々が、信仰の人アブラハムとともに、祝福を受けるのです。 + というのは、律法の行いによる人々はすべて、のろいのもとにあるからです。こう書いてあります。「律法の書に書いてある、すべてのことを堅く守って実行しなければ、だれでもみな、のろわれる。」 + ところが、律法によって神の前に義と認められる者が、だれもいないということは明らかです。「義人は信仰によって生きる」のだからです。 + しかし律法は、「信仰による」のではありません。「律法を行う者はこの律法によって生きる」のです。 + キリストは、私たちのためにのろわれたものとなって、私たちを律法ののろいから贖い出してくださいました。なぜなら、「木にかけられる者はすべてのろわれたものである」と書いてあるからです。 + このことは、アブラハムへの祝福が、キリスト・イエスによって異邦人に及ぶためであり、その結果、私たちが信仰によって約束の御霊を受けるためなのです。 + 兄弟たち。人間の場合にたとえてみましょう。人間の契約でも、いったん結ばれたら、だれもそれを無効にしたり、それにつけ加えたりはしません。 + ところで、約束は、アブラハムとそのひとりの子孫に告げられました。神は「子孫たちに」と言って、多数をさすことはせず、ひとりをさして、「あなたの子孫に」と言っておられます。その方はキリストです。 + 私の言おうとすることはこうです。先に神によって結ばれた契約は、その後四百三十年たってできた律法によって取り消されたり、その約束が無効とされたりすることがないということです。 + なぜなら、相続がもし律法によるのなら、もはや約束によるのではないからです。ところが、神は約束を通してアブラハムに相続の恵みを下さったのです。 + では、律法とは何でしょうか。それは約束をお受けになった、この子孫が来られるときまで、違反を示すためにつけ加えられたもので、御使いたちを通して仲介者の手で定められたのです。 + 仲介者は一方だけに属するものではありません。しかし約束を賜る神は唯一者です。 + とすると、律法は神の約束に反するのでしょうか。絶対にそんなことはありません。もしも、与えられた律法がいのちを与えることのできるものであったなら、義は確かに律法によるものだったでしょう。 + しかし聖書は、逆に、すべての人を罪の下に閉じ込めました。それは約束が、イエス・キリストに対する信仰によって、信じる人々に与えられるためです。 + 信仰が現れる以前には、私たちは律法の監督の下に置かれ、閉じ込められていましたが、それは、やがて示される信仰が得られるためでした。 + こうして、律法は私たちをキリストへ導くための私たちの養育係となりました。私たちが信仰によって義と認められるためなのです。 + しかし、信仰が現れた以上、私たちはもはや養育係の下にはいません。 + あなたがたはみな、キリスト・イエスに対する信仰によって、神の子どもです。 + バプテスマを受けてキリストにつく者とされたあなたがたはみな、キリストをその身に着たのです。 + ユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自由人もなく、男子も女子もありません。なぜなら、あなたがたはみな、キリスト・イエスにあって、一つだからです。 + もしあなたがたがキリストのものであれば、それによってアブラハムの子孫であり、約束による相続人なのです。 + + + ところが、相続人というものは、全財産の持ち主なのに、子どものうちは、奴隷と少しも違わず、 + 父の定めた日までは、後見人や管理者の下にあります。 + 私たちもそれと同じで、まだ小さかった時には、この世の幼稚な教えの下に奴隷となっていました。 + しかし定めの時が来たので、神はご自分の御子を遣わし、この方を、女から生まれた者、また律法の下にある者となさいました。 + これは律法の下にある者を贖い出すためで、その結果、私たちが子としての身分を受けるようになるためです。 + そして、あなたがたは子であるゆえに、神は「アバ、父」と呼ぶ、御子の御霊を、私たちの心に遣わしてくださいました。 + ですから、あなたはもはや奴隷ではなく、子です。子ならば、神による相続人です。 + しかし、神を知らなかった当時、あなたがたは本来は神でない神々の奴隷でした。 + ところが、今では神を知っているのに、いや、むしろ神に知られているのに、どうしてあの無力、無価値の幼稚な教えに逆戻りして、再び新たにその奴隷になろうとするのですか。 + あなたがたは、各種の日と月と季節と年とを守っています。 + あなたがたのために私の労したことは、むだだったのではないか、と私はあなたがたのことを案じています。 + お願いです。兄弟たち。私のようになってください。私もあなたがたのようになったのですから。あなたがたは私に何一つ悪いことをしていません。 + ご承知のとおり、私が最初あなたがたに福音を伝えたのは、私の肉体が弱かったためでした。 + そして私の肉体には、あなたがたにとって試練となるものがあったのに、あなたがたは軽蔑したり、きらったりしないで、かえって神の御使いのように、またキリスト・イエスご自身であるかのように、私を迎えてくれました。 + それなのに、あなたがたのあの喜びは、今どこにあるのですか。私はあなたがたのためにあかししますが、あなたがたは、もしできれば自分の目をえぐり出して私に与えたいとさえ思ったではありませんか。 + それでは、私は、あなたがたに真理を語ったために、あなたがたの敵になったのでしょうか。 + あなたがたに対するあの人々の熱心は正しいものではありません。彼らはあなたがたを自分たちに熱心にならせようとして、あなたがたを福音の恵みから締め出そうとしているのです。 + 良いことで熱心に慕われるのは、いつであっても良いものです。それは私があなたがたといっしょにいるときだけではありません。 + 私の子どもたちよ。あなたがたのうちにキリストが形造られるまで、私は再びあなたがたのために産みの苦しみをしています。 + それで、今あなたがたといっしょにいることができたら、そしてこんな語調でなく話せたらと思います。あなたがたのことをどうしたらよいかと困っているのです。 + 律法の下にいたいと思う人たちは、私に答えてください。あなたがたは律法の言うことを聞かないのですか。 + そこには、アブラハムにふたりの子があって、ひとりは女奴隷から、ひとりは自由の女から生まれた、と書かれています。 + 女奴隷の子は肉によって生まれ、自由の女の子は約束によって生まれたのです。 + このことには比喩があります。この女たちは二つの契約です。一つはシナイ山から出ており、奴隷となる子を産みます。その女はハガルです。 + このハガルは、アラビヤにあるシナイ山のことで、今のエルサレムに当たります。なぜなら、彼女はその子どもたちとともに奴隷だからです。 + しかし、上にあるエルサレムは自由であり、私たちの母です。 + すなわち、こう書いてあります。「喜べ。子を産まない不妊の女よ。声をあげて呼ばわれ。産みの苦しみを知らない女よ。夫に捨てられた女の産む子どもは、夫のある女の産む子どもよりも多い。」 + 兄弟たちよ。あなたがたはイサクのように約束の子どもです。 + しかし、かつて肉によって生まれた者が、御霊によって生まれた者を迫害したように、今もそのとおりです。 + しかし、聖書は何と言っていますか。「奴隷の女とその子どもを追い出せ。奴隷の女の子どもは決して自由の女の子どもとともに相続人になってはならない。」 + こういうわけで、兄弟たちよ。私たちは奴隷の女の子どもではなく、自由の女の子どもです。 + + + キリストは、自由を得させるために、私たちを解放してくださいました。ですから、あなたがたは、しっかり立って、またと奴隷のくびきを負わせられないようにしなさい。 + よく聞いてください。このパウロがあなたがたに言います。もし、あなたがたが割礼を受けるなら、キリストは、あなたがたにとって、何の益もないのです。 + 割礼を受けるすべての人に、私は再びあかしします。その人は律法の全体を行う義務があります。 + 律法によって義と認められようとしているあなたがたは、キリストから離れ、恵みから落ちてしまったのです。 + 私たちは、信仰により、御霊によって、義をいただく望みを熱心に抱いているのです。 + キリスト・イエスにあっては、割礼を受ける受けないは大事なことではなく、愛によって働く信仰だけが大事なのです。 + あなたがたはよく走っていたのに、だれがあなたがたを妨げて、真理に従わなくさせたのですか。 + そのような勧めは、あなたがたを召してくださった方から出たものではありません。 + わずかのパン種が、こねた粉の全体を発酵させるのです。 + 私は主にあって、あなたがたが少しも違った考えを持っていないと確信しています。しかし、あなたがたをかき乱す者は、だれであろうと、さばきを受けるのです。 + 兄弟たち。もし私が今でも割礼を宣べ伝えているなら、どうして今なお迫害を受けることがありましょう。それなら、十字架のつまずきは取り除かれているはずです。 + あなたがたをかき乱す者どもは、いっそのこと切り取ってしまうほうがよいのです。 + 兄弟たち。あなたがたは、自由を与えられるために召されたのです。ただ、その自由を肉の働く機会としないで、愛をもって互いに仕えなさい。 + 律法の全体は、「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」という一語をもって全うされるのです。 + もし互いにかみ合ったり、食い合ったりしているなら、お互いの間で滅ぼされてしまいます。気をつけなさい。 + 私は言います。御霊によって歩みなさい。そうすれば、決して肉の欲望を満足させるようなことはありません。 + なぜなら、肉の願うことは御霊に逆らい、御霊は肉に逆らうからです。この二つは互いに対立していて、そのためあなたがたは、自分のしたいと思うことをすることができないのです。 + しかし、御霊によって導かれるなら、あなたがたは律法の下にはいません。 + 肉の行いは明白であって、次のようなものです。不品行、汚れ、好色、 + 偶像礼拝、魔術、敵意、争い、そねみ、憤り、党派心、分裂、分派、 + ねたみ、酩酊、遊興、そういった類のものです。前にもあらかじめ言ったように、私は今もあなたがたにあらかじめ言っておきます。こんなことをしている者たちが神の国を相続することはありません。 + しかし、御霊の実は、愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実、 + 柔和、自制です。このようなものを禁ずる律法はありません。 + キリスト・イエスにつく者は、自分の肉を、さまざまの情欲や欲望とともに、十字架につけてしまったのです。 + もし私たちが御霊によって生きるのなら、御霊に導かれて、進もうではありませんか。 + 互いにいどみ合ったり、そねみ合ったりして、虚栄に走ることのないようにしましょう。 + + + 兄弟たちよ。もしだれかがあやまちに陥ったなら、御霊の人であるあなたがたは、柔和な心でその人を正してあげなさい。また、自分自身も誘惑に陥らないように気をつけなさい。 + 互いの重荷を負い合い、そのようにしてキリストの律法を全うしなさい。 + だれでも、りっぱでもない自分を何かりっぱでもあるかのように思うなら、自分を欺いているのです。 + おのおの自分の行いをよく調べてみなさい。そうすれば、誇れると思ったことも、ただ自分だけの誇りで、ほかの人に対して誇れることではないでしょう。 + 人にはおのおの、負うべき自分自身の重荷があるのです。 + みことばを教えられる人は、教える人とすべての良いものを分け合いなさい。 + 思い違いをしてはいけません。神は侮られるような方ではありません。人は種を蒔けば、その刈り取りもすることになります。 + 自分の肉のために蒔く者は、肉から滅びを刈り取り、御霊のために蒔く者は、御霊から永遠のいのちを刈り取るのです。 + 善を行うのに飽いてはいけません。失望せずにいれば、時期が来て、刈り取ることになります。 + ですから、私たちは、機会のあるたびに、すべての人に対して、特に信仰の家族の人たちに善を行いましょう。 + ご覧のとおり、私は今こんなに大きな字で、自分のこの手であなたがたに書いています。 + あなたがたに割礼を強制する人たちは、肉において外見を良くしたい人たちです。彼らはただ、キリストの十字架のために迫害を受けたくないだけなのです。 + なぜなら、割礼を受けた人たちは、自分自身が律法を守っていません。それなのに彼らがあなたがたに割礼を受けさせようとするのは、あなたがたの肉を誇りたいためなのです。 + しかし私には、私たちの主イエス・キリストの十字架以外に誇りとするものが決してあってはなりません。この十字架によって、世界は私に対して十字架につけられ、私も世界に対して十字架につけられたのです。 + 割礼を受けているか受けていないかは、大事なことではありません。大事なのは新しい創造です。 + どうか、この基準に従って進む人々、すなわち神のイスラエルの上に、平安とあわれみがありますように。 + これからは、だれも私を煩わさないようにしてください。私は、この身に、イエスの焼き印を帯びているのですから。 + どうか、私たちの主イエス・キリストの恵みが、兄弟たちよ、あなたがたの霊とともにありますように。アーメン。 + +
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+ + 神のみこころによるキリスト・イエスの使徒パウロから、キリスト・イエスにある忠実なエペソの聖徒たちへ。 + 私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + 私たちの主イエス・キリストの父なる神がほめたたえられますように。神はキリストにあって、天にあるすべての霊的祝福をもって私たちを祝福してくださいました。 + すなわち、神は私たちを世界の基の置かれる前から彼にあって選び、御前で聖く、傷のない者にしようとされました。 + 神は、みむねとみこころのままに、私たちをイエス・キリストによってご自分の子にしようと、愛をもってあらかじめ定めておられました。 + それは、神がその愛する方にあって私たちに与えてくださった恵みの栄光が、ほめたたえられるためです。 + この方にあって私たちは、その血による贖い、罪の赦しを受けています。これは神の豊かな恵みによることです。 + この恵みを、神は私たちの上にあふれさせ、あらゆる知恵と思慮深さをもって、 + みこころの奥義を私たちに知らせてくださいました。それは、この方にあって神があらかじめお立てになったみむねによることであり、 + 時がついに満ちて、実現します。いっさいのものがキリストにあって、天にあるもの地にあるものがこの方にあって、一つに集められるのです。 + この方にあって私たちは御国を受け継ぐ者ともなりました。みこころによりご計画のままをみな行う方の目的に従って、私たちはあらかじめこのように定められていたのです。 + それは、前からキリストに望みを置いていた私たちが、神の栄光をほめたたえるためです。 + この方にあってあなたがたもまた、真理のことば、あなたがたの救いの福音を聞き、またそれを信じたことにより、約束の聖霊をもって証印を押されました。 + 聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証です。これは神の民の贖いのためであり、神の栄光がほめたたえられるためです。 + こういうわけで、私は主イエスに対するあなたがたの信仰と、すべての聖徒に対する愛とを聞いて、 + あなたがたのために絶えず感謝をささげ、あなたがたのことを覚えて祈っています。 + どうか、私たちの主イエス・キリストの神、すなわち栄光の父が、神を知るための知恵と啓示の御霊を、あなたがたに与えてくださいますように。 + また、あなたがたの心の目がはっきり見えるようになって、神の召しによって与えられる望みがどのようなものか、聖徒の受け継ぐものがどのように栄光に富んだものか、 + また、神の全能の力の働きによって私たち信じる者に働く神のすぐれた力がどのように偉大なものであるかを、あなたがたが知ることができますように。 + 神は、その全能の力をキリストのうちに働かせて、キリストを死者の中からよみがえらせ、天上においてご自分の右の座に着かせて、 + すべての支配、権威、権力、主権の上に、また、今の世ばかりでなく、次に来る世においてもとなえられる、すべての名の上に高く置かれました。 + また、神は、いっさいのものをキリストの足の下に従わせ、いっさいのものの上に立つかしらであるキリストを、教会にお与えになりました。 + 教会はキリストのからだであり、いっさいのものをいっさいのものによって満たす方の満ちておられるところです。 + + + あなたがたは自分の罪過と罪との中に死んでいた者であって、 + そのころは、それらの罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ支配者として今も不従順の子らの中に働いている霊に従って、歩んでいました。 + 私たちもみな、かつては不従順の子らの中にあって、自分の肉の欲の中に生き、肉と心の望むままを行い、ほかの人たちと同じように、生まれながら御怒りを受けるべき子らでした。 + しかし、あわれみ豊かな神は、私たちを愛してくださったその大きな愛のゆえに、 + 罪過の中に死んでいたこの私たちをキリストとともに生かし、――あなたがたが救われたのは、ただ恵みによるのです―― + キリスト・イエスにおいて、ともによみがえらせ、ともに天の所にすわらせてくださいました。 + それは、あとに来る世々において、このすぐれて豊かな御恵みを、キリスト・イエスにおいて私たちに賜る慈愛によって明らかにお示しになるためでした。 + あなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。 + 行いによるのではありません。だれも誇ることのないためです。 + 私たちは神の作品であって、良い行いをするためにキリスト・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行いに歩むように、その良い行いをもあらかじめ備えてくださったのです。 + ですから、思い出してください。あなたがたは、以前は肉において異邦人でした。すなわち、肉において人の手による、いわゆる割礼を持つ人々からは、無割礼の人々と呼ばれる者であって、 + そのころのあなたがたは、キリストから離れ、イスラエルの国から除外され、約束の契約については他国人であり、この世にあって望みもなく、神もない人たちでした。 + しかし、以前は遠く離れていたあなたがたも、今ではキリスト・イエスの中にあることにより、キリストの血によって近い者とされたのです。 + キリストこそ私たちの平和であり、二つのものを一つにし、隔ての壁を打ちこわし、 + ご自分の肉において、敵意を廃棄された方です。敵意とは、さまざまの規定から成り立っている戒めの律法なのです。このことは、二つのものをご自身において新しいひとりの人に造り上げて、平和を実現するためであり、 + また、両者を一つのからだとして、十字架によって神と和解させるためなのです。敵意は十字架によって葬り去られました。 + それからキリストは来られて、遠くにいたあなたがたに平和を宣べ、近くにいた人たちにも平和を宣べられました。 + 私たちは、このキリストによって、両者ともに一つの御霊において、父のみもとに近づくことができるのです。 + こういうわけで、あなたがたは、もはや他国人でも寄留者でもなく、今は聖徒たちと同じ国民であり、神の家族なのです。 + あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、キリスト・イエスご自身がその礎石です。 + この方にあって、組み合わされた建物の全体が成長し、主にある聖なる宮となるのであり、 + このキリストにあって、あなたがたもともに建てられ、御霊によって神の御住まいとなるのです。 + + + こういうわけで、あなたがた異邦人のためにキリスト・イエスの囚人となった私パウロが言います。 + あなたがたのためにと私がいただいた、神の恵みによる私の務めについて、あなたがたはすでに聞いたことでしょう。 + 先に簡単に書いたとおり、この奥義は、啓示によって私に知らされたのです。 + それを読めば、私がキリストの奥義をどう理解しているかがよくわかるはずです。 + この奥義は、今は、御霊によって、キリストの聖なる使徒たちと預言者たちに啓示されていますが、前の時代には、今と同じようには人々に知らされていませんでした。 + その奥義とは、福音により、キリスト・イエスにあって、異邦人もまた共同の相続者となり、ともに一つのからだに連なり、ともに約束にあずかる者となるということです。 + 私は、神の力の働きにより、自分に与えられた神の恵みの賜物によって、この福音に仕える者とされました。 + すべての聖徒たちのうちで一番小さな私に、この恵みが与えられたのは、私がキリストの測りがたい富を異邦人に宣べ伝え、 + また、万物を創造した神のうちに世々隠されていた奥義の実現が何であるかを、明らかにするためです。 + これは、今、天にある支配と権威とに対して、教会を通して、神の豊かな知恵が示されるためであって、 + 私たちの主キリスト・イエスにおいて成し遂げられた神の永遠のご計画によることです。 + 私たちはこのキリストにあり、キリストを信じる信仰によって大胆に確信をもって神に近づくことができるのです。 + ですから、私があなたがたのために受けている苦難のゆえに落胆することのないようお願いします。私の受けている苦しみは、そのまま、あなたがたの光栄なのです。 + こういうわけで、私はひざをかがめて、 + 天上と地上で家族と呼ばれるすべてのものの名の元である父の前に祈ります。 + どうか父が、その栄光の豊かさに従い、御霊により、力をもって、あなたがたの内なる人を強くしてくださいますように。 + こうしてキリストが、あなたがたの信仰によって、あなたがたの心のうちに住んでいてくださいますように。また、愛に根ざし、愛に基礎を置いているあなたがたが、 + すべての聖徒とともに、その広さ、長さ、高さ、深さがどれほどであるかを理解する力を持つようになり、 + 人知をはるかに越えたキリストの愛を知ることができますように。こうして、神ご自身の満ち満ちたさまにまで、あなたがたが満たされますように。 + どうか、私たちのうちに働く力によって、私たちの願うところ、思うところのすべてを越えて豊かに施すことのできる方に、 + 教会により、またキリスト・イエスにより、栄光が、世々にわたって、とこしえまでありますように。アーメン。 + + + さて、主の囚人である私はあなたがたに勧めます。召されたあなたがたは、その召しにふさわしく歩みなさい。 + 謙遜と柔和の限りを尽くし、寛容を示し、愛をもって互いに忍び合い、 + 平和のきずなで結ばれて御霊の一致を熱心に保ちなさい。 + からだは一つ、御霊は一つです。あなたがたが召されたとき、召しのもたらした望みが一つであったのと同じです。 + 主は一つ、信仰は一つ、バプテスマは一つです。 + すべてのものの上にあり、すべてのものを貫き、すべてのもののうちにおられる、すべてのものの父なる神は一つです。 + しかし、私たちはひとりひとり、キリストの賜物の量りに従って恵みを与えられました。 + そこで、こう言われています。「高い所に上られたとき、彼は多くの捕虜を引き連れ、人々に賜物を分け与えられた。」 + ――この「上られた」ということばは、彼がまず地の低い所に下られた、ということでなくて何でしょう。 + この下られた方自身が、すべてのものを満たすために、もろもろの天よりも高く上られた方なのです―― + こうして、キリストご自身が、ある人を使徒、ある人を預言者、ある人を伝道者、ある人を牧師また教師として、お立てになったのです。 + それは、聖徒たちを整えて奉仕の働きをさせ、キリストのからだを建て上げるためであり、 + ついに、私たちがみな、信仰の一致と神の御子に関する知識の一致とに達し、完全におとなになって、キリストの満ち満ちた身たけにまで達するためです。 + それは、私たちがもはや、子どもではなくて、人の悪巧みや、人を欺く悪賢い策略により、教えの風に吹き回されたり、波にもてあそばれたりすることがなく、 + むしろ、愛をもって真理を語り、あらゆる点において成長し、かしらなるキリストに達することができるためなのです。 + キリストによって、からだ全体は、一つ一つの部分がその力量にふさわしく働く力により、また、備えられたあらゆる結び目によって、しっかりと組み合わされ、結び合わされ、成長して、愛のうちに建てられるのです。 + そこで私は、主にあって言明し、おごそかに勧めます。もはや、異邦人がむなしい心で歩んでいるように歩んではなりません。 + 彼らは、その知性において暗くなり、彼らのうちにある無知と、かたくなな心とのゆえに、神のいのちから遠く離れています。 + 道徳的に無感覚となった彼らは、好色に身をゆだねて、あらゆる不潔な行いをむさぼるようになっています。 + しかし、あなたがたはキリストを、このようには学びませんでした。 + ただし、ほんとうにあなたがたがキリストに聞き、キリストにあって教えられているのならばです。まさしく真理はイエスにあるのですから。 + その教えとは、あなたがたの以前の生活について言うならば、人を欺く情欲によって滅びて行く古い人を脱ぎ捨てるべきこと、 + またあなたがたが心の霊において新しくされ、 + 真理に基づく義と聖をもって神にかたどり造り出された、新しい人を身に着るべきことでした。 + ですから、あなたがたは偽りを捨て、おのおの隣人に対して真実を語りなさい。私たちはからだの一部分として互いにそれぞれのものだからです。 + 怒っても、罪を犯してはなりません。日が暮れるまで憤ったままでいてはいけません。 + 悪魔に機会を与えないようにしなさい。 + 盗みをしている者は、もう盗んではいけません。かえって、困っている人に施しをするため、自分の手をもって正しい仕事をし、ほねおって働きなさい。 + 悪いことばを、いっさい口から出してはいけません。ただ、必要なとき、人の徳を養うのに役立つことばを話し、聞く人に恵みを与えなさい。 + 神の聖霊を悲しませてはいけません。あなたがたは、贖いの日のために、聖霊によって証印を押されているのです。 + 無慈悲、憤り、怒り、叫び、そしりなどを、いっさいの悪意とともに、みな捨て去りなさい。 + お互いに親切にし、心の優しい人となり、神がキリストにおいてあなたがたを赦してくださったように、互いに赦し合いなさい。 + + + ですから、愛されている子どもらしく、神にならう者となりなさい。 + また、愛のうちに歩みなさい。キリストもあなたがたを愛して、私たちのために、ご自身を神へのささげ物、また供え物とし、香ばしいかおりをおささげになりました。 + あなたがたの間では、聖徒にふさわしく、不品行も、どんな汚れも、またむさぼりも、口にすることさえいけません。 + また、みだらなことや、愚かな話や、下品な冗談を避けなさい。そのようなことは良くないことです。むしろ、感謝しなさい。 + あなたがたがよく見て知っているとおり、不品行な者や、汚れた者や、むさぼる者――これが偶像礼拝者です、――こういう人はだれも、キリストと神との御国を相続することができません。 + むなしいことばに、だまされてはいけません。こういう行いのゆえに、神の怒りは不従順な子らに下るのです。 + ですから、彼らの仲間になってはいけません。 + あなたがたは、以前は暗やみでしたが、今は、主にあって、光となりました。光の子どもらしく歩みなさい。 + ――光の結ぶ実は、あらゆる善意と正義と真実なのです―― + そのためには、主に喜ばれることが何であるかを見分けなさい。 + 実を結ばない暗やみのわざに仲間入りしないで、むしろ、それを明るみに出しなさい。 + なぜなら、彼らがひそかに行っていることは、口にするのも恥ずかしいことだからです。 + けれども、明るみに引き出されるものは、みな、光によって明らかにされます。 + 明らかにされたものはみな、光だからです。それで、こう言われています。「眠っている人よ。目をさませ。死者の中から起き上がれ。そうすれば、キリストが、あなたを照らされる。」 + そういうわけですから、賢くない人のようにではなく、賢い人のように歩んでいるかどうか、よくよく注意し、 + 機会を十分に生かして用いなさい。悪い時代だからです。 + ですから、愚かにならないで、主のみこころは何であるかを、よく悟りなさい。 + また、酒に酔ってはいけません。そこには放蕩があるからです。御霊に満たされなさい。 + 詩と賛美と霊の歌とをもって、互いに語り、主に向かって、心から歌い、また賛美しなさい。 + いつでも、すべてのことについて、私たちの主イエス・キリストの名によって父なる神に感謝しなさい。 + キリストを恐れ尊んで、互いに従いなさい。 + 妻たちよ。あなたがたは、主に従うように、自分の夫に従いなさい。 + なぜなら、キリストは教会のかしらであって、ご自身がそのからだの救い主であられるように、夫は妻のかしらであるからです。 + 教会がキリストに従うように、妻も、すべてのことにおいて、夫に従うべきです。 + 夫たちよ。キリストが教会を愛し、教会のためにご自身をささげられたように、あなたがたも、自分の妻を愛しなさい。 + キリストがそうされたのは、みことばにより、水の洗いをもって、教会をきよめて聖なるものとするためであり、 + ご自身で、しみや、しわや、そのようなものの何一つない、聖く傷のないものとなった栄光の教会を、ご自分の前に立たせるためです。 + そのように、夫も自分の妻を自分のからだのように愛さなければなりません。自分の妻を愛する者は自分を愛しているのです。 + だれも自分の身を憎んだ者はいません。かえって、これを養い育てます。それはキリストが教会をそうされたのと同じです。 + 私たちはキリストのからだの部分だからです。 + 「それゆえ、人は父と母を離れ、その妻と結ばれ、ふたりは一体となる。」 + この奥義は偉大です。私は、キリストと教会とをさして言っているのです。 + それはそうとして、あなたがたも、おのおの自分の妻を自分と同様に愛しなさい。妻もまた自分の夫を敬いなさい。 + + + 子どもたちよ。主にあって両親に従いなさい。これは正しいことだからです。 + 「あなたの父と母を敬え。」これは第一の戒めであり、約束を伴ったものです。すなわち、 + 「そうしたら、あなたはしあわせになり、地上で長生きする」という約束です。 + 父たちよ。あなたがたも、子どもをおこらせてはいけません。かえって、主の教育と訓戒によって育てなさい。 + 奴隷たちよ。あなたがたは、キリストに従うように、恐れおののいて真心から地上の主人に従いなさい。 + 人のごきげんとりのような、うわべだけの仕え方でなく、キリストのしもべとして、心から神のみこころを行い、 + 人にではなく、主に仕えるように、善意をもって仕えなさい。 + 良いことを行えば、奴隷であっても自由人であっても、それぞれその報いを主から受けることをあなたがたは知っています。 + 主人たちよ。あなたがたも、奴隷に対して同じようにふるまいなさい。おどすことはやめなさい。あなたがたは、彼らとあなたがたとの主が天におられ、主は人を差別されることがないことを知っているのですから。 + 終わりに言います。主にあって、その大能の力によって強められなさい。 + 悪魔の策略に対して立ち向かうことができるために、神のすべての武具を身に着けなさい。 + 私たちの格闘は血肉に対するものではなく、主権、力、この暗やみの世界の支配者たち、また、天にいるもろもろの悪霊に対するものです。 + ですから、邪悪な日に際して対抗できるように、また、いっさいを成し遂げて、堅く立つことができるように、神のすべての武具をとりなさい。 + では、しっかりと立ちなさい。腰には真理の帯を締め、胸には正義の胸当てを着け、 + 足には平和の福音の備えをはきなさい。 + これらすべてのものの上に、信仰の大盾を取りなさい。それによって、悪い者が放つ火矢を、みな消すことができます。 + 救いのかぶとをかぶり、また御霊の与える剣である、神のことばを受け取りなさい。 + すべての祈りと願いを用いて、どんなときにも御霊によって祈りなさい。そのためには絶えず目をさましていて、すべての聖徒のために、忍耐の限りを尽くし、また祈りなさい。 + また、私が口を開くとき、語るべきことばが与えられ、福音の奥義を大胆に知らせることができるように私のためにも祈ってください。 + 私は鎖につながれて、福音のために大使の役を果たしています。鎖につながれていても、語るべきことを大胆に語れるように、祈ってください。 + あなたがたにも私の様子や、私が何をしているかなどを知っていただくために、主にあって愛する兄弟であり、忠実な奉仕者であるテキコが、一部始終を知らせるでしょう。 + テキコをあなたがたのもとに遣わしたのは、ほかでもなく、あなたがたが私たちの様子を知り、また彼によって心に励ましを受けるためです。 + どうか、父なる神と主イエス・キリストから、平安と信仰に伴う愛とが兄弟たちの上にありますように。 + 私たちの主イエス・キリストを朽ちぬ愛をもって愛するすべての人の上に、恵みがありますように。 + +
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+ + キリスト・イエスのしもべであるパウロとテモテから、ピリピにいるキリスト・イエスにあるすべての聖徒たち、また監督と執事たちへ。 + どうか、私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + 私は、あなたがたのことを思うごとに私の神に感謝し、 + あなたがたすべてのために祈るごとに、いつも喜びをもって祈り、 + あなたがたが、最初の日から今日まで、福音を広めることにあずかって来たことを感謝しています。 + あなたがたのうちに良い働きを始められた方は、キリスト・イエスの日が来るまでにそれを完成させてくださることを私は堅く信じているのです。 + 私があなたがたすべてについてこのように考えるのは正しいのです。あなたがたはみな、私が投獄されているときも、福音を弁明し立証しているときも、私とともに恵みにあずかった人々であり、私は、そのようなあなたがたを、心に覚えているからです。 + 私が、キリスト・イエスの愛の心をもって、どんなにあなたがたすべてを慕っているか、そのあかしをしてくださるのは神です。 + 私は祈っています。あなたがたの愛が真の知識とあらゆる識別力によって、いよいよ豊かになり、 + あなたがたが、真にすぐれたものを見分けることができるようになりますように。またあなたがたが、キリストの日には純真で非難されるところがなく、 + イエス・キリストによって与えられる義の実に満たされている者となり、神の御栄えと誉れが現されますように。 + さて、兄弟たち。私の身に起こったことが、かえって福音を前進させることになったのを知ってもらいたいと思います。 + 私がキリストのゆえに投獄されている、ということは、親衛隊の全員と、そのほかのすべての人にも明らかになり、 + また兄弟たちの大多数は、私が投獄されたことにより、主にあって確信を与えられ、恐れることなく、ますます大胆に神のことばを語るようになりました。 + 人々の中にはねたみや争いをもってキリストを宣べ伝える者もいますが、善意をもってする者もいます。 + 一方の人たちは愛をもってキリストを伝え、私が福音を弁証するために立てられていることを認めていますが、 + 他の人たちは純真な動機からではなく、党派心をもって、キリストを宣べ伝えており、投獄されている私をさらに苦しめるつもりなのです。 + すると、どういうことになりますか。つまり、見せかけであろうとも、真実であろうとも、あらゆるしかたで、キリストが宣べ伝えられているのであって、このことを私は喜んでいます。そうです、今からも喜ぶことでしょう。 + というわけは、あなたがたの祈りとイエス・キリストの御霊の助けによって、このことが私の救いとなることを私は知っているからです。 + それは私の切なる祈りと願いにかなっています。すなわち、どんな場合にも恥じることなく、いつものように今も大胆に語って、生きるにも死ぬにも私の身によって、キリストがあがめられることです。 + 私にとっては、生きることはキリスト、死ぬことも益です。 + しかし、もしこの肉体のいのちが続くとしたら、私の働きが豊かな実を結ぶことになるので、どちらを選んだらよいのか、私にはわかりません。 + 私は、その二つのものの間に板ばさみとなっています。私の願いは、世を去ってキリストとともにいることです。実はそのほうが、はるかにまさっています。 + しかし、この肉体にとどまることが、あなたがたのためには、もっと必要です。 + 私はこのことを確信していますから、あなたがたの信仰の進歩と喜びとのために、私が生きながらえて、あなたがたすべてといっしょにいるようになることを知っています。 + そうなれば、私はもう一度あなたがたのところに行けるので、私のことに関するあなたがたの誇りは、キリスト・イエスにあって増し加わるでしょう。 + ただ一つ。キリストの福音にふさわしく生活しなさい。そうすれば、私が行ってあなたがたに会うにしても、また離れているにしても、私はあなたがたについて、こう聞くことができるでしょう。あなたがたは霊を一つにしてしっかりと立ち、心を一つにして福音の信仰のために、ともに奮闘しており、 + また、どんなことがあっても、反対者たちに驚かされることはないと。それは、彼らにとっては滅びのしるしであり、あなたがたにとっては救いのしるしです。これは神から出たことです。 + あなたがたは、キリストのために、キリストを信じる信仰だけでなく、キリストのための苦しみをも賜ったのです。 + あなたがたは、私について先に見たこと、また、私についていま聞いているのと同じ戦いを経験しているのです。 + + + こういうわけですから、もしキリストにあって励ましがあり、愛の慰めがあり、御霊の交わりがあり、愛情とあわれみがあるなら、 + 私の喜びが満たされるように、あなたがたは一致を保ち、同じ愛の心を持ち、心を合わせ、志を一つにしてください。 + 何事でも自己中心や虚栄からすることなく、へりくだって、互いに人を自分よりもすぐれた者と思いなさい。 + 自分のことだけではなく、他の人のことも顧みなさい。 + あなたがたの間では、そのような心構えでいなさい。それはキリスト・イエスのうちにも見られるものです。 + キリストは神の御姿である方なのに、神のあり方を捨てられないとは考えず、 + ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられました。人としての性質をもって現れ、 + 自分を卑しくし、死にまで従い、実に十字架の死にまでも従われました。 + それゆえ神は、この方を高く上げて、すべての名にまさる名をお与えになりました。 + それは、イエスの御名によって、天にあるもの、地にあるもの、地の下にあるもののすべてが、ひざをかがめ、 + すべての口が、「イエス・キリストは主である」と告白して、父なる神がほめたたえられるためです。 + そういうわけですから、愛する人たち、いつも従順であったように、私がいるときだけでなく、私のいない今はなおさら、恐れおののいて自分の救いの達成に努めなさい。 + 神は、みこころのままに、あなたがたのうちに働いて志を立てさせ、事を行わせてくださるのです。 + すべてのことを、つぶやかず、疑わずに行いなさい。 + それは、あなたがたが、非難されるところのない純真な者となり、また、曲がった邪悪な世代の中にあって傷のない神の子どもとなり、 + いのちのことばをしっかり握って、彼らの間で世の光として輝くためです。そうすれば、私は、自分の努力したことがむだではなく、苦労したこともむだでなかったことを、キリストの日に誇ることができます。 + たとい私が、あなたがたの信仰の供え物と礼拝とともに、注ぎの供え物となっても、私は喜びます。あなたがたすべてとともに喜びます。 + あなたがたも同じように喜んでください。私といっしょに喜んでください。 + しかし、私もあなたがたのことを知って励ましを受けたいので、早くテモテをあなたがたのところに送りたいと、主イエスにあって望んでいます。 + テモテのように私と同じ心になって、真実にあなたがたのことを心配している者は、ほかにだれもいないからです。 + だれもみな自分自身のことを求めるだけで、キリスト・イエスのことを求めてはいません。 + しかし、テモテのりっぱな働きぶりは、あなたがたの知っているところです。子が父に仕えるようにして、彼は私といっしょに福音に奉仕して来ました。 + ですから、私のことがどうなるかがわかりしだい、彼を遣わしたいと望んでいます。 + しかし私自身も近いうちに行けることと、主にあって確信しています。 + しかし、私の兄弟、同労者、戦友、またあなたがたの使者として私の窮乏のときに仕えてくれた人エパフロデトは、あなたがたのところに送らねばならないと思っています。 + 彼は、あなたがたすべてを慕い求めており、また、自分の病気のことがあなたがたに伝わったことを気にしているからです。 + ほんとうに、彼は死ぬほどの病気にかかりましたが、神は彼をあわれんでくださいました。彼ばかりでなく私をもあわれんで、私にとって悲しみに悲しみが重なることのないようにしてくださいました。 + そこで、私は大急ぎで彼を送ります。あなたがたが彼に再び会って喜び、私も心配が少なくなるためです。 + ですから、喜びにあふれて、主にあって、彼を迎えてください。また、彼のような人々には尊敬を払いなさい。 + なぜなら、彼は、キリストの仕事のために、いのちの危険を冒して死ぬばかりになったからです。彼は私に対して、あなたがたが私に仕えることのできなかった分を果たそうとしたのです。 + + + 最後に、私の兄弟たち。主にあって喜びなさい。前と同じことを書きますが、これは、私には煩わしいことではなく、あなたがたの安全のためにもなることです。 + どうか犬に気をつけてください。悪い働き人に気をつけてください。肉体だけの割礼の者に気をつけてください。 + 神の御霊によって礼拝をし、キリスト・イエスを誇り、人間的なものを頼みにしない私たちのほうこそ、割礼の者なのです。 + ただし、私は、人間的なものにおいても頼むところがあります。もし、ほかの人が人間的なものに頼むところがあると思うなら、私は、それ以上です。 + 私は八日目の割礼を受け、イスラエル民族に属し、ベニヤミンの分かれの者です。きっすいのヘブル人で、律法についてはパリサイ人、 + その熱心は教会を迫害したほどで、律法による義についてならば非難されるところのない者です。 + しかし、私にとって得であったこのようなものをみな、私はキリストのゆえに、損と思うようになりました。 + それどころか、私の主であるキリスト・イエスを知っていることのすばらしさのゆえに、いっさいのことを損と思っています。私はキリストのためにすべてのものを捨てて、それらをちりあくたと思っています。それは、私には、キリストを得、また、 + キリストの中にある者と認められ、律法による自分の義ではなくて、キリストを信じる信仰による義、すなわち、信仰に基づいて、神から与えられる義を持つことができる、という望みがあるからです。 + 私は、キリストとその復活の力を知り、またキリストの苦しみにあずかることも知って、キリストの死と同じ状態になり、 + どうにかして、死者の中からの復活に達したいのです。 + 私は、すでに得たのでもなく、すでに完全にされているのでもありません。ただ捕らえようとして、追求しているのです。そして、それを得るようにとキリスト・イエスが私を捕らえてくださったのです。 + 兄弟たちよ。私は、自分はすでに捕らえたなどと考えてはいません。ただ、この一事に励んでいます。すなわち、うしろのものを忘れ、ひたむきに前のものに向かって進み、 + キリスト・イエスにおいて上に召してくださる神の栄冠を得るために、目標を目ざして一心に走っているのです。 + ですから、成人である者はみな、このような考え方をしましょう。もし、あなたがたがどこかでこれと違った考え方をしているなら、神はそのこともあなたがたに明らかにしてくださいます。 + それはそれとして、私たちはすでに達しているところを基準として、進むべきです。 + 兄弟たち。私を見ならう者になってください。また、あなたがたと同じように私たちを手本として歩んでいる人たちに、目を留めてください。 + というのは、私はしばしばあなたがたに言って来たし、今も涙をもって言うのですが、多くの人々がキリストの十字架の敵として歩んでいるからです。 + 彼らの最後は滅びです。彼らの神は彼らの欲望であり、彼らの栄光は彼ら自身の恥なのです。彼らの思いは地上のことだけです。 + けれども、私たちの国籍は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主としておいでになるのを、私たちは待ち望んでいます。 + キリストは、万物をご自身に従わせることのできる御力によって、私たちの卑しいからだを、ご自身の栄光のからだと同じ姿に変えてくださるのです。 + + + そういうわけですから、私の愛し慕う兄弟たち、私の喜び、冠よ。どうか、このように主にあってしっかりと立ってください。私の愛する人たち。 + ユウオデヤに勧め、スントケに勧めます。あなたがたは、主にあって一致してください。 + ほんとうに、真の協力者よ。あなたにも頼みます。彼女たちを助けてやってください。この人たちは、いのちの書に名のしるされているクレメンスや、そのほかの私の同労者たちとともに、福音を広めることで私に協力して戦ったのです。 + いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい。 + あなたがたの寛容な心を、すべての人に知らせなさい。主は近いのです。 + 何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。 + そうすれば、人のすべての考えにまさる神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。 + 最後に、兄弟たち。すべての真実なこと、すべての誉れあること、すべての正しいこと、すべての清いこと、すべての愛すべきこと、すべての評判の良いこと、そのほか徳と言われること、称賛に値することがあるならば、そのようなことに心を留めなさい。 + あなたがたが私から学び、受け、聞き、また見たことを実行しなさい。そうすれば、平和の神があなたがたとともにいてくださいます。 + 私のことを心配してくれるあなたがたの心が、このたびついによみがえって来たことを、私は主にあって非常に喜びました。あなたがたは心にかけてはいたのですが、機会がなかったのです。 + 乏しいからこう言うのではありません。私は、どんな境遇にあっても満ち足りることを学びました。 + 私は、貧しさの中にいる道も知っており、豊かさの中にいる道も知っています。また、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、あらゆる境遇に対処する秘訣を心得ています。 + 私は、私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできるのです。 + それにしても、あなたがたは、よく私と困難を分け合ってくれました。 + ピリピの人たち。あなたがたも知っているとおり、私が福音を宣べ伝え始めたころ、マケドニヤを離れて行ったときには、私の働きのために、物をやり取りしてくれた教会は、あなたがたのほかには一つもありませんでした。 + テサロニケにいたときでさえ、あなたがたは一度ならず二度までも物を送って、私の乏しさを補ってくれました。 + 私は贈り物を求めているのではありません。私のほしいのは、あなたがたの収支を償わせて余りある霊的祝福なのです。 + 私は、すべての物を受けて、満ちあふれています。エパフロデトからあなたがたの贈り物を受けたので、満ち足りています。それは香ばしいかおりであって、神が喜んで受けてくださる供え物です。 + また、私の神は、キリスト・イエスにあるご自身の栄光の富をもって、あなたがたの必要をすべて満たしてくださいます。 + どうか、私たちの父なる神に御栄えがとこしえにありますように。アーメン。 + キリスト・イエスにある聖徒のひとりひとりに、よろしく伝えてください。私といっしょにいる兄弟たちが、あなたがたによろしくと言っています。 + 聖徒たち全員が、そして特に、カイザルの家に属する人々が、よろしくと言っています。 + どうか、主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊とともにありますように。 + +
+
+ + 神のみこころによる、キリスト・イエスの使徒パウロ、および兄弟テモテから、 + コロサイにいる聖徒たちで、キリストにある忠実な兄弟たちへ。どうか、私たちの父なる神から、恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + 私たちは、いつもあなたがたのために祈り、私たちの主イエス・キリストの父なる神に感謝しています。 + それは、キリスト・イエスに対するあなたがたの信仰と、すべての聖徒に対してあなたがたが抱いている愛のことを聞いたからです。 + それらは、あなたがたのために天にたくわえられてある望みに基づくものです。あなたがたは、すでにこの望みのことを、福音の真理のことばの中で聞きました。 + この福音は、あなたがたが神の恵みを聞き、それをほんとうに理解したとき以来、あなたがたの間でも見られるとおりの勢いをもって、世界中で、実を結び広がり続けています。福音はそのようにしてあなたがたに届いたのです。 + これはあなたがたが私たちと同じしもべである愛するエパフラスから学んだとおりのものです。彼は私たちに代わって仕えている忠実な、キリストの仕え人であって、 + 私たちに、御霊によるあなたがたの愛を知らせてくれました。 + こういうわけで、私たちはそのことを聞いた日から、絶えずあなたがたのために祈り求めています。どうか、あなたがたがあらゆる霊的な知恵と理解力によって、神のみこころに関する真の知識に満たされますように。 + また、主にかなった歩みをして、あらゆる点で主に喜ばれ、あらゆる善行のうちに実を結び、神を知る知識を増し加えられますように。 + また、神の栄光ある権能に従い、あらゆる力をもって強くされて、忍耐と寛容を尽くし、 + また、光の中にある、聖徒の相続分にあずかる資格を私たちに与えてくださった父なる神に、喜びをもって感謝をささげることができますように。 + 神は、私たちを暗やみの圧制から救い出して、愛する御子のご支配の中に移してくださいました。 + この御子のうちにあって、私たちは、贖い、すなわち罪の赦しを得ています。 + 御子は、見えない神のかたちであり、造られたすべてのものより先に生まれた方です。 + なぜなら、万物は御子にあって造られたからです。天にあるもの、地にあるもの、見えるもの、また見えないもの、王座も主権も支配も権威も、すべて御子によって造られたのです。万物は、御子によって造られ、御子のために造られたのです。 + 御子は、万物よりも先に存在し、万物は御子にあって成り立っています。 + また、御子はそのからだである教会のかしらです。御子は初めであり、死者の中から最初に生まれた方です。こうして、ご自身がすべてのことにおいて、第一のものとなられたのです。 + なぜなら、神はみこころによって、満ち満ちた神の本質を御子のうちに宿らせ、 + その十字架の血によって平和をつくり、御子によって万物を、御子のために和解させてくださったからです。地にあるものも天にあるものも、ただ御子によって和解させてくださったのです。 + あなたがたも、かつては神を離れ、心において敵となって、悪い行いの中にあったのですが、 + 今は神は、御子の肉のからだにおいて、しかもその死によって、あなたがたをご自分と和解させてくださいました。それはあなたがたを、聖く、傷なく、非難されるところのない者として御前に立たせてくださるためでした。 + ただし、あなたがたは、しっかりとした土台の上に堅く立って、すでに聞いた福音の望みからはずれることなく、信仰に踏みとどまらなければなりません。この福音は、天の下のすべての造られたものに宣べ伝えられているのであって、このパウロはそれに仕える者となったのです。 + ですから、私は、あなたがたのために受ける苦しみを喜びとしています。そして、キリストのからだのために、私の身をもって、キリストの苦しみの欠けたところを満たしているのです。キリストのからだとは、教会のことです。 + 私は、あなたがたのために神からゆだねられた務めに従って、教会に仕える者となりました。神のことばを余すところなく伝えるためです。 + これは、多くの世代にわたって隠されていて、いま神の聖徒たちに現された奥義なのです。 + 神は聖徒たちに、この奥義が異邦人の間にあってどのように栄光に富んだものであるかを、知らせたいと思われたのです。この奥義とは、あなたがたの中におられるキリスト、栄光の望みのことです。 + 私たちは、このキリストを宣べ伝え、知恵を尽くして、あらゆる人を戒め、あらゆる人を教えています。それは、すべての人を、キリストにある成人として立たせるためです。 + このために、私もまた、自分のうちに力強く働くキリストの力によって、労苦しながら奮闘しています。 + + + あなたがたとラオデキヤの人たちと、そのほか直接私の顔を見たことのない人たちのためにも、私がどんなに苦闘しているか、知ってほしいと思います。 + それは、この人たちが心に励ましを受け、愛によって結び合わされ、理解をもって豊かな全き確信に達し、神の奥義であるキリストを真に知るようになるためです。 + このキリストのうちに、知恵と知識との宝がすべて隠されているのです。 + 私がこう言うのは、だれもまことしやかな議論によって、あなたがたをあやまちに導くことのないためです。 + 私は、肉体においては離れていても、霊においてはあなたがたといっしょにいて、あなたがたの秩序とキリストに対する堅い信仰とを見て喜んでいます。 + あなたがたは、このように主キリスト・イエスを受け入れたのですから、彼にあって歩みなさい。 + キリストの中に根ざし、また建てられ、また、教えられたとおり信仰を堅くし、あふれるばかり感謝しなさい。 + あのむなしい、だましごとの哲学によってだれのとりこにもならぬよう、注意しなさい。それは人の言い伝えによるもの、この世の幼稚な教えによるものであって、キリストによるものではありません。 + キリストのうちにこそ、神の満ち満ちたご性質が形をとって宿っています。 + そしてあなたがたは、キリストにあって、満ち満ちているのです。キリストはすべての支配と権威のかしらです。 + キリストにあって、あなたがたは人の手によらない割礼を受けました。肉のからだを脱ぎ捨て、キリストの割礼を受けたのです。 + あなたがたは、バプテスマによってキリストとともに葬られ、また、キリストを死者の中からよみがえらせた神の力を信じる信仰によって、キリストとともによみがえらされたのです。 + あなたがたは罪によって、また肉の割礼がなくて死んだ者であったのに、神は、そのようなあなたがたを、キリストとともに生かしてくださいました。それは、私たちのすべての罪を赦し、 + いろいろな定めのために私たちに不利な、いや、私たちを責め立てている債務証書を無効にされたからです。神はこの証書を取りのけ、十字架に釘づけにされました。 + 神は、キリストにおいて、すべての支配と権威の武装を解除してさらしものとし、彼らを捕虜として凱旋の行列に加えられました。 + こういうわけですから、食べ物と飲み物について、あるいは、祭りや新月や安息日のことについて、だれにもあなたがたを批評させてはなりません。 + これらは、次に来るものの影であって、本体はキリストにあるのです。 + あなたがたは、ことさらに自己卑下をしようとしたり、御使い礼拝をしようとする者に、ほうびをだまし取られてはなりません。彼らは幻を見たことに安住して、肉の思いによっていたずらに誇り、 + かしらに堅く結びつくことをしません。このかしらがもとになり、からだ全体は、関節と筋によって養われ、結び合わされて、神によって成長させられるのです。 + もしあなたがたが、キリストとともに死んで、この世の幼稚な教えから離れたのなら、どうして、まだこの世の生き方をしているかのように、 + 「すがるな。味わうな。さわるな」というような定めに縛られるのですか。 + そのようなものはすべて、用いれば滅びるものについてであって、人間の戒めと教えによるものです。 + そのようなものは、人間の好き勝手な礼拝とか、謙遜とか、または、肉体の苦行などのゆえに賢いもののように見えますが、肉のほしいままな欲望に対しては、何のききめもないのです。 + + + こういうわけで、もしあなたがたが、キリストとともによみがえらされたのなら、上にあるものを求めなさい。そこにはキリストが、神の右に座を占めておられます。 + あなたがたは、地上のものを思わず、天にあるものを思いなさい。 + あなたがたはすでに死んでおり、あなたがたのいのちは、キリストとともに、神のうちに隠されてあるからです。 + 私たちのいのちであるキリストが現れると、そのときあなたがたも、キリストとともに、栄光のうちに現れます。 + ですから、地上のからだの諸部分、すなわち、不品行、汚れ、情欲、悪い欲、そしてむさぼりを殺してしまいなさい。このむさぼりが、そのまま偶像礼拝なのです。 + このようなことのために、神の怒りが下るのです。 + あなたがたも、以前、そのようなものの中に生きていたときは、そのような歩み方をしていました。 + しかし今は、あなたがたも、すべてこれらのこと、すなわち、怒り、憤り、悪意、そしり、あなたがたの口から出る恥ずべきことばを、捨ててしまいなさい。 + 互いに偽りを言ってはいけません。あなたがたは、古い人をその行いといっしょに脱ぎ捨てて、 + 新しい人を着たのです。新しい人は、造り主のかたちに似せられてますます新しくされ、真の知識に至るのです。 + そこには、ギリシヤ人とユダヤ人、割礼の有無、未開人、スクテヤ人、奴隷と自由人というような区別はありません。キリストがすべてであり、すべてのうちにおられるのです。 + それゆえ、神に選ばれた者、聖なる、愛されている者として、あなたがたは深い同情心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。 + 互いに忍び合い、だれかがほかの人に不満を抱くことがあっても、互いに赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたもそうしなさい。 + そして、これらすべての上に、愛を着けなさい。愛は結びの帯として完全なものです。 + キリストの平和が、あなたがたの心を支配するようにしなさい。そのためにこそあなたがたも召されて一体となったのです。また、感謝の心を持つ人になりなさい。 + キリストのことばを、あなたがたのうちに豊かに住まわせ、知恵を尽くして互いに教え、互いに戒め、詩と賛美と霊の歌とにより、感謝にあふれて心から神に向かって歌いなさい。 + あなたがたのすることは、ことばによると行いによるとを問わず、すべて主イエスの名によってなし、主によって父なる神に感謝しなさい。 + 妻たちよ。主にある者にふさわしく、夫に従いなさい。 + 夫たちよ。妻を愛しなさい。つらく当たってはいけません。 + 子どもたちよ。すべてのことについて、両親に従いなさい。それは主に喜ばれることだからです。 + 父たちよ。子どもをおこらせてはいけません。彼らを気落ちさせないためです。 + 奴隷たちよ。すべてのことについて、地上の主人に従いなさい。人のごきげんとりのような、うわべだけの仕え方ではなく、主を恐れかしこみつつ、真心から従いなさい。 + 何をするにも、人に対してではなく、主に対してするように、心からしなさい。 + あなたがたは、主から報いとして、御国を相続させていただくことを知っています。あなたがたは主キリストに仕えているのです。 + 不正を行う者は、自分が行った不正の報いを受けます。それには不公平な扱いはありません。 + + + 主人たちよ。あなたがたは、自分たちの主も天におられることを知っているのですから、奴隷に対して正義と公平を示しなさい。 + 目をさまして、感謝をもって、たゆみなく祈りなさい。 + 同時に、私たちのためにも、神がみことばのために門を開いてくださって、私たちがキリストの奥義を語れるように、祈ってください。この奥義のために、私は牢に入れられています。 + また、私がこの奥義を、当然語るべき語り方で、はっきり語れるように、祈ってください。 + 外部の人に対して賢明にふるまい、機会を十分に生かして用いなさい。 + あなたがたのことばが、いつも親切で、塩味のきいたものであるようにしなさい。そうすれば、ひとりひとりに対する答え方がわかります。 + 私の様子については、主にあって愛する兄弟、忠実な奉仕者、同労のしもべであるテキコが、あなたがたに一部始終を知らせるでしょう。 + 私がテキコをあなたがたのもとに送るのは、あなたがたが私たちの様子を知り、彼によって心に励ましを受けるためにほかなりません。 + また彼は、あなたがたの仲間のひとりで、忠実な愛する兄弟オネシモといっしょに行きます。このふたりが、こちらの様子をみな知らせてくれるでしょう。 + 私といっしょに囚人となっているアリスタルコが、あなたがたによろしくと言っています。バルナバのいとこであるマルコも同じです――この人については、もし彼があなたがたのところに行ったなら、歓迎するようにという指示をあなたがたは受けています。―― + ユストと呼ばれるイエスもよろしくと言っています。割礼を受けた人では、この人たちだけが、神の国のために働く私の同労者です。また、彼らは私を激励する者となってくれました。 + あなたがたの仲間のひとり、キリスト・イエスのしもべエパフラスが、あなたがたによろしくと言っています。彼はいつも、あなたがたが完全な人となり、また神のすべてのみこころを十分に確信して立つことができるよう、あなたがたのために祈りに励んでいます。 + 私はあかしします。彼はあなたがたのために、またラオデキヤとヒエラポリスにいる人々のために、非常に苦労しています。 + 愛する医者ルカ、それにデマスが、あなたがたによろしくと言っています。 + どうか、ラオデキヤの兄弟たちに、またヌンパとその家にある教会に、よろしく言ってください。 + この手紙があなたがたのところで読まれたなら、ラオデキヤ人の教会でも読まれるようにしてください。あなたがたのほうも、ラオデキヤから回って来る手紙を読んでください。 + アルキポに、「主にあって受けた務めを、注意してよく果たすように」と言ってください。 + パウロが自筆であいさつを送ります。私が牢につながれていることを覚えていてください。どうか、恵みがあなたがたとともにありますように。 + +
+
+ + パウロ、シルワノ、テモテから、父なる神および主イエス・キリストにあるテサロニケ人の教会へ。恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + 私たちは、いつもあなたがたすべてのために神に感謝し、祈りのときにあなたがたを覚え、 + 絶えず、私たちの父なる神の御前に、あなたがたの信仰の働き、愛の労苦、主イエス・キリストへの望みの忍耐を思い起こしています。 + 神に愛されている兄弟たち。あなたがたが神に選ばれた者であることは私たちが知っています。 + なぜなら、私たちの福音があなたがたに伝えられたのは、ことばだけによったのではなく、力と聖霊と強い確信とによったからです。また、私たちがあなたがたのところで、あなたがたのために、どのようにふるまったかは、あなたがたが知っています。 + あなたがたも、多くの苦難の中で、聖霊による喜びをもってみことばを受け入れ、私たちと主とにならう者になりました。 + こうして、あなたがたは、マケドニヤとアカヤとのすべての信者の模範になったのです。 + 主のことばが、あなたがたのところから出てマケドニヤとアカヤに響き渡っただけでなく、神に対するあなたがたの信仰はあらゆる所に伝わっているので、私たちは何も言わなくてよいほどです。 + 私たちがどのようにあなたがたに受け入れられたか、また、あなたがたがどのように偶像から神に立ち返って、生けるまことの神に仕えるようになり、 + また、神が死者の中からよみがえらせなさった御子、すなわち、やがて来る御怒りから私たちを救い出してくださるイエスが天から来られるのを待ち望むようになったか、それらのことは他の人々が言い広めているのです。 + + + 兄弟たち。あなたがたが知っているとおり、私たちがあなたがたのところに行ったことは、むだではありませんでした。 + ご承知のように、私たちはまずピリピで苦しみに会い、はずかしめを受けたのですが、私たちの神によって、激しい苦闘の中でも大胆に神の福音をあなたがたに語りました。 + 私たちの勧めは、迷いや不純な心から出ているものではなく、だましごとでもありません。 + 私たちは神に認められて福音をゆだねられた者ですから、それにふさわしく、人を喜ばせようとしてではなく、私たちの心をお調べになる神を喜ばせようとして語るのです。 + ご存じのとおり、私たちは今まで、へつらいのことばを用いたり、むさぼりの口実を設けたりしたことはありません。神がそのことの証人です。 + また、キリストの使徒たちとして権威を主張することもできたのですが、私たちは、あなたがたからも、ほかの人々からも、人からの名誉を受けようとはしませんでした。 + それどころか、あなたがたの間で、母がその子どもたちを養い育てるように、優しくふるまいました。 + このようにあなたがたを思う心から、ただ神の福音だけではなく、私たち自身のいのちまでも、喜んであなたがたに与えたいと思ったのです。なぜなら、あなたがたは私たちの愛する者となったからです。 + 兄弟たち。あなたがたは、私たちの労苦と苦闘を覚えているでしょう。私たちはあなたがたのだれにも負担をかけまいとして、昼も夜も働きながら、神の福音をあなたがたに宣べ伝えました。 + また、信者であるあなたがたに対して、私たちが敬虔に、正しく、また責められるところがないようにふるまったことは、あなたがたがあかしし、神もあかししてくださることです。 + また、ご承知のとおり、私たちは父がその子どもに対してするように、あなたがたひとりひとりに、 + ご自身の御国と栄光とに召してくださる神にふさわしく歩むように勧めをし、慰めを与え、おごそかに命じました。 + こういうわけで、私たちとしてもまた、絶えず神に感謝しています。あなたがたは、私たちから神の使信のことばを受けたとき、それを人間のことばとしてではなく、事実どおりに神のことばとして受け入れてくれたからです。この神のことばは、信じているあなたがたのうちに働いているのです。 + 兄弟たち。あなたがたはユダヤの、キリスト・イエスにある神の諸教会にならう者となったのです。彼らがユダヤ人に苦しめられたのと同じように、あなたがたも自分の国の人に苦しめられたのです。 + ユダヤ人は、主であられるイエスをも、預言者たちをも殺し、また私たちをも追い出し、神に喜ばれず、すべての人の敵となっています。 + 彼らは、私たちが異邦人の救いのために語るのを妨げ、このようにして、いつも自分の罪を満たしています。しかし、御怒りは彼らの上に臨んで窮みに達しました。 + 兄弟たちよ。私たちは、しばらくの間あなたがたから引き離されたので――といっても、顔を見ないだけで、心においてではありませんが、――なおさらのこと、あなたがたの顔を見たいと切に願っていました。 + それで私たちは、あなたがたのところに行こうとしました。このパウロは一度ならず二度までも心を決めたのです。しかし、サタンが私たちを妨げました。 + 私たちの主イエスが再び来られるとき、御前で私たちの望み、喜び、誇りの冠となるのはだれでしょう。あなたがたではありませんか。 + あなたがたこそ私たちの誉れであり、また喜びなのです。 + + + そこで、私たちはもはやがまんできなくなり、私たちだけがアテネにとどまることにして、 + 私たちの兄弟であり、キリストの福音において神の同労者であるテモテを遣わしたのです。それは、あなたがたの信仰についてあなたがたを強め励まし、 + このような苦難の中にあっても、動揺する者がひとりもないようにするためでした。あなたがた自身が知っているとおり、私たちはこのような苦難に会うように定められているのです。 + あなたがたのところにいたとき、私たちは苦難に会うようになる、と前もって言っておいたのですが、それが、ご承知のとおり、はたして事実となったのです。 + そういうわけで、私も、あれ以上はがまんができず、また誘惑者があなたがたを誘惑して、私たちの労苦がむだになるようなことがあってはいけないと思って、あなたがたの信仰を知るために、彼を遣わしたのです。 + ところが、今テモテがあなたがたのところから私たちのもとに帰って来て、あなたがたの信仰と愛について良い知らせをもたらしてくれました。また、あなたがたが、いつも私たちのことを親切に考えていて、私たちがあなたがたに会いたいと思うように、あなたがたも、しきりに私たちに会いたがっていることを、知らせてくれました。 + このようなわけで、兄弟たち。私たちはあらゆる苦しみと患難のうちにも、あなたがたのことでは、その信仰によって、慰めを受けました。 + あなたがたが主にあって堅く立っていてくれるなら、私たちは今、生きがいがあります。 + 私たちの神の御前にあって、あなたがたのことで喜んでいる私たちのこのすべての喜びのために、神にどんな感謝をささげたらよいでしょう。 + 私たちは、あなたがたの顔を見たい、信仰の不足を補いたいと、昼も夜も熱心に祈っています。 + どうか、私たちの父なる神であり、また私たちの主イエスである方ご自身が、私たちの道を開いて、あなたがたのところに行かせてくださいますように。 + また、私たちがあなたがたを愛しているように、あなたがたの互いの間の愛を、またすべての人に対する愛を増させ、満ちあふれさせてくださいますように。 + また、あなたがたの心を強め、私たちの主イエスがご自分のすべての聖徒とともに再び来られるとき、私たちの父なる神の御前で、聖く、責められるところのない者としてくださいますように。 + + + 終わりに、兄弟たちよ。主イエスにあって、お願いし、また勧告します。あなたがたはどのように歩んで神を喜ばすべきかを私たちから学んだように、また、事実いまあなたがたが歩んでいるように、ますますそのように歩んでください。 + 私たちが、主イエスによって、どんな命令をあなたがたに授けたかを、あなたがたは知っています。 + 神のみこころは、あなたがたが聖くなることです。あなたがたが不品行を避け、 + 各自わきまえて、自分のからだを、聖く、また尊く保ち、 + 神を知らない異邦人のように情欲におぼれず、 + また、このようなことで、兄弟を踏みつけたり、欺いたりしないことです。なぜなら、主はこれらすべてのことについて正しくさばかれるからです。これは、私たちが前もってあなたがたに話し、きびしく警告しておいたところです。 + 神が私たちを召されたのは、汚れを行わせるためではなく、聖潔を得させるためです。 + ですから、このことを拒む者は、人を拒むのではなく、あなたがたに聖霊をお与えになる神を拒むのです。 + 兄弟愛については、何も書き送る必要がありません。あなたがたこそ、互いに愛し合うことを神から教えられた人たちだからです。 + 実にマケドニヤ全土のすべての兄弟たちに対して、あなたがたはそれを実行しています。しかし、兄弟たち。あなたがたにお勧めします。どうか、さらにますますそうであってください。 + また、私たちが命じたように、落ち着いた生活をすることを志し、自分の仕事に身を入れ、自分の手で働きなさい。 + 外の人々に対してもりっぱにふるまうことができ、また乏しいことがないようにするためです。 + 眠った人々のことについては、兄弟たち、あなたがたに知らないでいてもらいたくありません。あなたがたが他の望みのない人々のように悲しみに沈むことのないためです。 + 私たちはイエスが死んで復活されたことを信じています。それならば、神はまたそのように、イエスにあって眠った人々をイエスといっしょに連れて来られるはずです。 + 私たちは主のみことばのとおりに言いますが、主が再び来られるときまで生き残っている私たちが、死んでいる人々に優先するようなことは決してありません。 + 主は、号令と、御使いのかしらの声と、神のラッパの響きのうちに、ご自身天から下って来られます。それからキリストにある死者が、まず初めによみがえり、 + 次に、生き残っている私たちが、たちまち彼らといっしょに雲の中に一挙に引き上げられ、空中で主と会うのです。このようにして、私たちは、いつまでも主とともにいることになります。 + こういうわけですから、このことばをもって互いに慰め合いなさい。 + + + 兄弟たち。それらがいつなのか、またどういう時かについては、あなたがたは私たちに書いてもらう必要がありません。 + 主の日が夜中の盗人のように来るということは、あなたがた自身がよく承知しているからです。 + 人々が「平和だ。安全だ」と言っているそのようなときに、突如として滅びが彼らに襲いかかります。ちょうど妊婦に産みの苦しみが臨むようなもので、それをのがれることは決してできません。 + しかし、兄弟たち。あなたがたは暗やみの中にはいないのですから、その日が、盗人のようにあなたがたを襲うことはありません。 + あなたがたはみな、光の子ども、昼の子どもだからです。私たちは、夜や暗やみの者ではありません。 + ですから、ほかの人々のように眠っていないで、目をさまして、慎み深くしていましょう。 + 眠る者は夜眠り、酔う者は夜酔うからです。 + しかし、私たちは昼の者なので、信仰と愛を胸当てとして着け、救いの望みをかぶととしてかぶって、慎み深くしていましょう。 + 神は、私たちが御怒りに会うようにお定めになったのではなく、主イエス・キリストにあって救いを得るようにお定めになったからです。 + 主が私たちのために死んでくださったのは、私たちが、目ざめていても、眠っていても、主とともに生きるためです。 + ですから、あなたがたは、今しているとおり、互いに励まし合い、互いに徳を高め合いなさい。 + 兄弟たちよ。あなたがたにお願いします。あなたがたの間で労苦し、主にあってあなたがたを指導し、訓戒している人々を認めなさい。 + その務めのゆえに、愛をもって深い尊敬を払いなさい。お互いの間に平和を保ちなさい。 + 兄弟たち。あなたがたに勧告します。気ままな者を戒め、小心な者を励まし、弱い者を助け、すべての人に対して寛容でありなさい。 + だれも悪をもって悪に報いないように気をつけ、お互いの間で、またすべての人に対して、いつも善を行うよう務めなさい。 + いつも喜んでいなさい。 + 絶えず祈りなさい。 + すべての事について、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって神があなたがたに望んでおられることです。 + 御霊を消してはなりません。 + 預言をないがしろにしてはいけません。 + しかし、すべてのことを見分けて、ほんとうに良いものを堅く守りなさい。 + 悪はどんな悪でも避けなさい。 + 平和の神ご自身が、あなたがたを全く聖なるものとしてくださいますように。主イエス・キリストの来臨のとき、責められるところのないように、あなたがたの霊、たましい、からだが完全に守られますように。 + あなたがたを召された方は真実ですから、きっとそのことをしてくださいます。 + 兄弟たち。私たちのためにも祈ってください。 + すべての兄弟たちに、聖なる口づけをもってあいさつをなさい。 + この手紙がすべての兄弟たちに読まれるように、主によって命じます。 + 私たちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたとともにありますように。 + +
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+ + パウロ、シルワノ、テモテから、私たちの父なる神および主イエス・キリストにあるテサロニケ人の教会へ。 + 父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + 兄弟たち。あなたがたのことについて、私たちはいつも神に感謝しなければなりません。そうするのが当然なのです。なぜならあなたがたの信仰が目に見えて成長し、あなたがたすべての間で、ひとりひとりに相互の愛が増し加わっているからです。 + それゆえ私たちは、神の諸教会の間で、あなたがたがすべての迫害と患難とに耐えながらその従順と信仰とを保っていることを、誇りとしています。 + このことは、あなたがたを神の国にふさわしい者とするため、神の正しいさばきを示すしるしであって、あなたがたが苦しみを受けているのは、この神の国のためです。 + つまり、あなたがたを苦しめる者には、報いとして苦しみを与え、 + 苦しめられているあなたがたには、私たちとともに、報いとして安息を与えてくださることは、神にとって正しいことなのです。そのことは、主イエスが、炎の中に、力ある御使いたちを従えて天から現れるときに起こります。 + そのとき主は、神を知らない人々や、私たちの主イエスの福音に従わない人々に報復されます。 + そのような人々は、主の御顔の前とその御力の栄光から退けられて、永遠の滅びの刑罰を受けるのです。 + その日に、主イエスは来られて、ご自分の聖徒たちによって栄光を受け、信じたすべての者の――そうです。あなたがたに対する私たちの証言は、信じられたのです――感嘆の的となられます。 + そのためにも、私たちはいつも、あなたがたのために祈っています。どうか、私たちの神が、あなたがたをお召しにふさわしい者にし、また御力によって、善を慕うあらゆる願いと信仰の働きとを全うしてくださいますように。 + それは、私たちの神であり主であるイエス・キリストの恵みによって、主イエスの御名があなたがたの間であがめられ、あなたがたも主にあって栄光を受けるためです。 + + + さて兄弟たちよ。私たちの主イエス・キリストが再び来られることと、私たちが主のみもとに集められることに関して、あなたがたにお願いすることがあります。 + 霊によってでも、あるいはことばによってでも、あるいは私たちから出たかのような手紙によってでも、主の日がすでに来たかのように言われるのを聞いて、すぐに落ち着きを失ったり、心を騒がせたりしないでください。 + だれにも、どのようにも、だまされないようにしなさい。なぜなら、まず背教が起こり、不法の人、すなわち滅びの子が現れなければ、主の日は来ないからです。 + 彼は、すべて神と呼ばれるもの、また礼拝されるものに反抗し、その上に自分を高く上げ、神の宮の中に座を設け、自分こそ神であると宣言します。 + 私がまだあなたがたのところにいたとき、これらのことをよく話しておいたのを思い出しませんか。 + あなたがたが知っているとおり、彼がその定められた時に現れるようにと、いま引き止めているものがあるのです。 + 不法の秘密はすでに働いています。しかし今は引き止める者があって、自分が取り除かれる時まで引き止めているのです。 + その時になると、不法の人が現れますが、主は御口の息をもって彼を殺し、来臨の輝きをもって滅ぼしてしまわれます。 + 不法の人の到来は、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力、しるし、不思議がそれに伴い、 + また、滅びる人たちに対するあらゆる悪の欺きが行われます。なぜなら、彼らは救われるために真理への愛を受け入れなかったからです。 + それゆえ神は、彼らが偽りを信じるように、惑わす力を送り込まれます。 + それは、真理を信じないで、悪を喜んでいたすべての者が、さばかれるためです。 + しかし、あなたがたのことについては、私たちはいつでも神に感謝しなければなりません。主に愛されている兄弟たち。神は、御霊による聖めと、真理による信仰によって、あなたがたを、初めから救いにお選びになったからです。 + ですから神は、私たちの福音によってあなたがたを召し、私たちの主イエス・キリストの栄光を得させてくださったのです。 + そこで、兄弟たち。堅く立って、私たちのことば、または手紙によって教えられた言い伝えを守りなさい。 + どうか、私たちの主イエス・キリストと、私たちの父なる神、すなわち、私たちを愛し、恵みによって永遠の慰めとすばらしい望みとを与えてくださった方ご自身が、 + あらゆる良いわざとことばとに進むよう、あなたがたの心を慰め、強めてくださいますように。 + + + 終わりに、兄弟たちよ。私たちのために祈ってください。主のみことばが、あなたがたのところでと同じように早く広まり、またあがめられますように。 + また、私たちが、ひねくれた悪人どもの手から救い出されますように。すべての人が信仰を持っているのではないからです。 + しかし、主は真実な方ですから、あなたがたを強くし、悪い者から守ってくださいます。 + 私たちが命じることを、あなたがたが現に実行しており、これからも実行してくれることを私たちは主にあって確信しています。 + どうか、主があなたがたの心を導いて、神の愛とキリストの忍耐とを持たせてくださいますように。 + 兄弟たちよ。主イエス・キリストの御名によって命じます。締まりのない歩み方をして私たちから受けた言い伝えに従わないでいる、すべての兄弟たちから離れていなさい。 + どのように私たちを見ならうべきかは、あなたがた自身が知っているのです。あなたがたのところで、私たちは締まりのないことはしなかったし、 + 人のパンをただで食べることもしませんでした。かえって、あなたがたのだれにも負担をかけまいとして、昼も夜も労苦しながら働き続けました。 + それは、私たちに権利がなかったからではなく、ただ私たちを見ならうようにと、身をもってあなたがたに模範を示すためでした。 + 私たちは、あなたがたのところにいたときにも、働きたくない者は食べるなと命じました。 + ところが、あなたがたの中には、何も仕事をせず、おせっかいばかりして、締まりのない歩み方をしている人たちがあると聞いています。 + こういう人たちには、主イエス・キリストによって、命じ、また勧めます。静かに仕事をし、自分で得たパンを食べなさい。 + しかしあなたがたは、たゆむことなく善を行いなさい。兄弟たちよ。 + もし、この手紙に書いた私たちの指示に従わない者があれば、そのような人には、特に注意を払い、交際しないようにしなさい。彼が恥じ入るようになるためです。 + しかし、その人を敵とはみなさず、兄弟として戒めなさい。 + どうか、平和の主ご自身が、どんな場合にも、いつも、あなたがたに平和を与えてくださいますように。どうか、主があなたがたすべてと、ともにおられますように。 + パウロが自分の手であいさつを書きます。これは私のどの手紙にもあるしるしです。これが私の手紙の書き方です。 + どうか、私たちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがたすべてとともにありますように。 + +
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+ + 私たちの救い主なる神と私たちの望みなるキリスト・イエスとの命令による、キリスト・イエスの使徒パウロから、 + 信仰による真実のわが子テモテへ。父なる神と私たちの主なるキリスト・イエスから、恵みとあわれみと平安とがありますように。 + 私がマケドニヤに出発するとき、あなたにお願いしたように、あなたは、エペソにずっととどまっていて、ある人たちが違った教えを説いたり、 + 果てしのない空想話と系図とに心を奪われたりしないように命じてください。そのようなものは、論議を引き起こすだけで、信仰による神の救いのご計画の実現をもたらすものではありません。 + この命令は、きよい心と正しい良心と偽りのない信仰とから出て来る愛を、目標としています。 + ある人たちはこの目当てを見失い、わき道にそれて無益な議論に走り、 + 律法の教師でありたいと望みながら、自分の言っていることも、また強く主張していることについても理解していません。 + しかし私たちは知っています。律法は、もし次のことを知っていて正しく用いるならば、良いものです。 + すなわち、律法は、正しい人のためにあるのではなく、律法を無視する不従順な者、不敬虔な罪人、汚らわしい俗物、父や母を殺す者、人を殺す者、 + 不品行な者、男色をする者、人を誘拐する者、うそをつく者、偽証をする者などのため、またそのほか健全な教えにそむく事のためにあるのです。 + 祝福に満ちた神の、栄光の福音によれば、こうなのであって、私はその福音をゆだねられたのです。 + 私は、私を強くしてくださる私たちの主キリスト・イエスに感謝をささげています。なぜなら、キリストは、私をこの務めに任命して、私を忠実な者と認めてくださったからです。 + 私は以前は、神をけがす者、迫害する者、暴力をふるう者でした。それでも、信じていないときに知らないでしたことなので、あわれみを受けたのです。 + 私たちの主の、この恵みは、キリスト・イエスにある信仰と愛とともに、ますます満ちあふれるようになりました。 + 「キリスト・イエスは、罪人を救うためにこの世に来られた」ということばは、まことであり、そのまま受け入れるに値するものです。私はその罪人のかしらです。 + しかし、そのような私があわれみを受けたのは、イエス・キリストが、今後彼を信じて永遠のいのちを得ようとしている人々の見本にしようと、まず私に対してこの上ない寛容を示してくださったからです。 + どうか、世々の王、すなわち、滅びることなく、目に見えない唯一の神に、誉れと栄えとが世々限りなくありますように。アーメン。 + 私の子テモテよ。以前あなたについてなされた預言に従って、私はあなたにこの命令をゆだねます。それは、あなたがあの預言によって、信仰と正しい良心を保ち、勇敢に戦い抜くためです。 + ある人たちは、正しい良心を捨てて、信仰の破船に会いました。 + その中には、ヒメナオとアレキサンデルがいます。私は、彼らをサタンに引き渡しました。それは、神をけがしてはならないことを、彼らに学ばせるためです。 + + + そこで、まず初めに、このことを勧めます。すべての人のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい。 + それは、私たちが敬虔に、また、威厳をもって、平安で静かな一生を過ごすためです。 + そうすることは、私たちの救い主である神の御前において良いことであり、喜ばれることなのです。 + 神は、すべての人が救われて、真理を知るようになるのを望んでおられます。 + 神は唯一です。また、神と人との間の仲介者も唯一であって、それは人としてのキリスト・イエスです。 + キリストは、すべての人の贖いの代価として、ご自身をお与えになりました。これが時至ってなされたあかしなのです。 + そのあかしのために、私は宣伝者また使徒に任じられ――私は真実を言っており、うそは言いません――信仰と真理を異邦人に教える教師とされました。 + ですから、私は願うのです。男は、怒ったり言い争ったりすることなく、どこででもきよい手を上げて祈るようにしなさい。 + 同じように女も、つつましい身なりで、控えめに慎み深く身を飾り、はでな髪の形とか、金や真珠や高価な衣服によってではなく、 + むしろ、神を敬うと言っている女にふさわしく、良い行いを自分の飾りとしなさい。 + 女は、静かにして、よく従う心をもって教えを受けなさい。 + 私は、女が教えたり男を支配したりすることを許しません。ただ、静かにしていなさい。 + アダムが初めに造られ、次にエバが造られたからです。 + また、アダムは惑わされなかったが、女は惑わされてしまい、あやまちを犯しました。 + しかし、女が慎みをもって、信仰と愛と聖さとを保つなら、子を産むことによって救われます。 + + + 「人がもし監督の職につきたいと思うなら、それはすばらしい仕事を求めることである」ということばは真実です。 + ですから、監督はこういう人でなければなりません。すなわち、非難されるところがなく、ひとりの妻の夫であり、自分を制し、慎み深く、品位があり、よくもてなし、教える能力があり、 + 酒飲みでなく、暴力をふるわず、温和で、争わず、金銭に無欲で、 + 自分の家庭をよく治め、十分な威厳をもって子どもを従わせている人です。 + ――自分自身の家庭を治めることを知らない人が、どうして神の教会の世話をすることができるでしょう―― + また、信者になったばかりの人であってはいけません。高慢になって、悪魔と同じさばきを受けることにならないためです。 + また、教会外の人々にも評判の良い人でなければいけません。そしりを受け、悪魔のわなに陥らないためです。 + 執事もまたこういう人でなければなりません。謹厳で、二枚舌を使わず、大酒飲みでなく、不正な利をむさぼらず、 + きよい良心をもって信仰の奥義を保っている人です。 + まず審査を受けさせなさい。そして、非難される点がなければ、執事の職につかせなさい。 + 婦人執事も、威厳があり、悪口を言わず、自分を制し、すべてに忠実な人でなければなりません。 + 執事は、ひとりの妻の夫であって、子どもと家庭をよく治める人でなければなりません。 + というのは、執事の務めをりっぱに果たした人は、良い地歩を占め、また、キリスト・イエスを信じる信仰について強い確信を持つことができるからです。 + 私は、近いうちにあなたのところに行きたいと思いながらも、この手紙を書いています。 + それは、たとい私がおそくなった場合でも、神の家でどのように行動すべきかを、あなたが知っておくためです。神の家とは生ける神の教会のことであり、その教会は、真理の柱また土台です。 + 確かに偉大なのはこの敬虔の奥義です。「キリストは肉において現れ、霊において義と宣言され、御使いたちに見られ、諸国民の間に宣べ伝えられ、世界中で信じられ、栄光のうちに上げられた。」 + + + しかし、御霊が明らかに言われるように、後の時代になると、ある人たちは惑わす霊と悪霊の教えとに心を奪われ、信仰から離れるようになります。 + それは、うそつきどもの偽善によるものです。彼らは良心が麻痺しており、 + 結婚することを禁じたり、食物を断つことを命じたりします。しかし食物は、信仰があり、真理を知っている人が感謝して受けるようにと、神が造られた物です。 + 神が造られた物はみな良い物で、感謝して受けるとき、捨てるべき物は何一つありません。 + 神のことばと祈りとによって、聖められるからです。 + これらのことを兄弟たちに教えるなら、あなたはキリスト・イエスのりっぱな奉仕者になります。信仰のことばと、あなたが従って来た良い教えのことばとによって養われているからです。 + 俗悪で愚にもつかぬ空想話を避けなさい。むしろ、敬虔のために自分を鍛練しなさい。 + 肉体の鍛練もいくらかは有益ですが、今のいのちと未来のいのちが約束されている敬虔は、すべてに有益です。 + このことばは、真実であり、そのまま受け入れるに値することばです。 + 私たちはそのために労し、また苦心しているのです。それは、すべての人々、ことに信じる人々の救い主である、生ける神に望みを置いているからです。 + これらのことを命じ、また教えなさい。 + 年が若いからといって、だれにも軽く見られないようにしなさい。かえって、ことばにも、態度にも、愛にも、信仰にも、純潔にも信者の模範になりなさい。 + 私が行くまで、聖書の朗読と勧めと教えとに専念しなさい。 + 長老たちによる按手を受けたとき、預言によって与えられた、あなたのうちにある聖霊の賜物を軽んじてはいけません。 + これらの務めに心を砕き、しっかりやりなさい。そうすれば、あなたの進歩はすべての人に明らかになるでしょう。 + 自分自身にも、教える事にも、よく気をつけなさい。あくまでそれを続けなさい。そうすれば、自分自身をも、またあなたの教えを聞く人たちをも救うことになります。 + + + 年寄りをしかってはいけません。むしろ、父親に対するように勧めなさい。若い人たちには兄弟に対するように、 + 年とった婦人たちには母親に対するように、若い女たちには真に混じりけのない心で姉妹に対するように勧めなさい。 + やもめの中でもほんとうのやもめを敬いなさい。 + しかし、もし、やもめに子どもか孫かがいるなら、まずこれらの者に、自分の家の者に敬愛を示し、親の恩に報いる習慣をつけさせなさい。それが神に喜ばれることです。 + ほんとうのやもめで、身寄りのない人は、望みを神に置いて、昼も夜も絶えず神に願いと祈りをささげていますが、 + 自堕落な生活をしているやもめは、生きてはいても、もう死んだ者なのです。 + 彼女たちがそしりを受けることのないように、これらのことを命じなさい。 + もしも親族、ことに自分の家族を顧みない人がいるなら、その人は信仰を捨てているのであって、不信者よりも悪いのです。 + やもめとして名簿に載せるのは、六十歳未満の人でなく、ひとりの夫の妻であった人で、 + 良い行いによって認められている人、すなわち、子どもを育て、旅人をもてなし、聖徒の足を洗い、困っている人を助け、すべての良いわざに務め励んだ人としなさい。 + 若いやもめは断りなさい。というのは、彼女たちは、キリストにそむいて情欲に引かれると、結婚したがり、 + 初めの誓いを捨てたという非難を受けることになるからです。 + そのうえ、怠けて、家々を遊び歩くことを覚え、ただ怠けるだけでなく、うわさ話やおせっかいをして、話してはいけないことまで話します。 + ですから、私が願うのは、若いやもめは結婚し、子どもを産み、家庭を治め、反対者にそしる機会を与えないことです。 + というのは、すでに、道を踏みはずし、サタンのあとについて行った者があるからです。 + もし信者である婦人の身内にやもめがいたら、その人がそのやもめを助け、教会には負担をかけないようにしなさい。そうすれば、教会はほんとうのやもめを助けることができます。 + よく指導の任に当たっている長老は、二重に尊敬を受けるにふさわしいとしなさい。みことばと教えのためにほねおっている長老は特にそうです。 + 聖書に「穀物をこなしている牛に、くつこを掛けてはいけない」、また「働き手が報酬を受けることは当然である」と言われているからです。 + 長老に対する訴えは、ふたりか三人の証人がなければ、受理してはいけません。 + 罪を犯している者をすべての人の前で責めなさい。ほかの人をも恐れさせるためです。 + 私は、神とキリスト・イエスと選ばれた御使いたちとの前で、あなたにおごそかに命じます。これらのことを偏見なしに守り、何事もかたよらないで行いなさい。 + また、だれにでも軽々しく按手をしてはいけません。また、他人の罪にかかわりを持ってはいけません。自分を清く保ちなさい。 + これからは水ばかり飲まないで、胃のために、また、たびたび起こる病気のためにも、少量のぶどう酒を用いなさい。 + ある人たちの罪は、それがさばきを受ける前から、だれの目にも明らかですが、ある人たちの罪は、あとで明らかになります。 + 同じように、良い行いは、だれの目にも明らかですが、そうでない場合でも、いつまでも隠れたままでいることはありません。 + + + くびきの下にある奴隷は、自分の主人を十分に尊敬すべき人だと考えなさい。それは神の御名と教えとがそしられないためです。 + 信者である主人を持つ人は、主人が兄弟だからといって軽く見ず、むしろ、ますますよく仕えなさい。なぜなら、その良い奉仕から益を受けるのは信者であり、愛されている人だからです。あなたは、これらのことを教え、また勧めなさい。 + 違ったことを教え、私たちの主イエス・キリストの健全なことばと敬虔にかなう教えとに同意しない人がいるなら、 + その人は高慢になっており、何一つ悟らず、疑いをかけたり、ことばの争いをしたりする病気にかかっているのです。そこから、ねたみ、争い、そしり、悪意の疑りが生じ、 + また、知性が腐ってしまって真理を失った人々、すなわち敬虔を利得の手段と考えている人たちの間には、絶え間のない紛争が生じるのです。 + しかし、満ち足りる心を伴う敬虔こそ、大きな利益を受ける道です。 + 私たちは何一つこの世に持って来なかったし、また何一つ持って出ることもできません。 + 衣食があれば、それで満足すべきです。 + 金持ちになりたがる人たちは、誘惑とわなと、また人を滅びと破滅に投げ入れる、愚かで、有害な多くの欲とに陥ります。 + 金銭を愛することが、あらゆる悪の根だからです。ある人たちは、金を追い求めたために、信仰から迷い出て、非常な苦痛をもって自分を刺し通しました。 + しかし、神の人よ。あなたは、これらのことを避け、正しさ、敬虔、信仰、愛、忍耐、柔和を熱心に求めなさい。 + 信仰の戦いを勇敢に戦い、永遠のいのちを獲得しなさい。あなたはこのために召され、また、多くの証人たちの前でりっぱな告白をしました。 + 私は、すべてのものにいのちを与える神と、ポンテオ・ピラトに対してすばらしい告白をもってあかしされたキリスト・イエスとの御前で、あなたに命じます。 + 私たちの主イエス・キリストの現れの時まで、あなたは命令を守り、傷のない、非難されるところのない者でありなさい。 + その現れを、神はご自分の良しとする時に示してくださいます。神は祝福に満ちた唯一の主権者、王の王、主の主、 + ただひとり死のない方であり、近づくこともできない光の中に住まわれ、人間がだれひとり見たことのない、また見ることのできない方です。誉れと、とこしえの主権は神のものです。アーメン。 + この世で富んでいる人たちに命じなさい。高ぶらないように。また、たよりにならない富に望みを置かないように。むしろ、私たちにすべての物を豊かに与えて楽しませてくださる神に望みを置くように。 + また、人の益を計り、良い行いに富み、惜しまずに施し、喜んで分け与えるように。 + また、まことのいのちを得るために、未来に備えて良い基礎を自分自身のために築き上げるように。 + テモテよ。ゆだねられたものを守りなさい。そして、俗悪なむだ話、また、まちがって「霊知」と呼ばれる反対論を避けなさい。 + これを公然と主張したある人たちは、信仰からはずれてしまいました。/恵みが、あなたがたとともにありますように。 + +
+
+ + 神のみこころにより、キリスト・イエスにあるいのちの約束によって、キリスト・イエスの使徒となったパウロから、 + 愛する子テモテへ。父なる神および私たちの主キリスト・イエスから、恵みとあわれみと平安がありますように。 + 私は、夜昼、祈りの中であなたのことを絶えず思い起こしては、先祖以来きよい良心をもって仕えている神に感謝しています。 + 私は、あなたの涙を覚えているので、あなたに会って、喜びに満たされたいと願っています。 + 私はあなたの純粋な信仰を思い起こしています。そのような信仰は、最初あなたの祖母ロイスと、あなたの母ユニケのうちに宿ったものですが、それがあなたのうちにも宿っていることを、私は確信しています。 + それですから、私はあなたに注意したいのです。私の按手をもってあなたのうちに与えられた神の賜物を、再び燃え立たせてください。 + 神が私たちに与えてくださったものは、おくびょうの霊ではなく、力と愛と慎みとの霊です。 + ですから、あなたは、私たちの主をあかしすることや、私が主の囚人であることを恥じてはいけません。むしろ、神の力によって、福音のために私と苦しみをともにしてください。 + 神は私たちを救い、また、聖なる招きをもって召してくださいましたが、それは私たちの働きによるのではなく、ご自身の計画と恵みとによるのです。この恵みは、キリスト・イエスにおいて、私たちに永遠の昔に与えられたものであって、 + それが今、私たちの救い主キリスト・イエスの現れによって明らかにされたのです。キリストは死を滅ぼし、福音によって、いのちと不滅を明らかに示されました。 + 私は、この福音のために、宣教者、使徒、また教師として任命されたのです。 + そのために、私はこのような苦しみにも会っています。しかし、私はそれを恥とは思っていません。というのは、私は、自分の信じて来た方をよく知っており、また、その方は私のお任せしたものを、かの日のために守ってくださることができると確信しているからです。 + あなたは、キリスト・イエスにある信仰と愛をもって、私から聞いた健全なことばを手本にしなさい。 + そして、あなたにゆだねられた良いものを、私たちのうちに宿る聖霊によって、守りなさい。 + あなたの知っているとおり、アジヤにいる人々はみな、私を離れて行きました。その中には、フゲロとヘルモゲネがいます。 + オネシポロの家族を主があわれんでくださるように。彼はたびたび私を元気づけてくれ、また私が鎖につながれていることを恥とも思わず、 + ローマに着いたときには、熱心に私を捜して見つけ出してくれたのです。 + ――かの日には、主があわれみを彼に示してくださいますように――彼がエペソで、どれほど私に仕えてくれたかは、あなたが一番よく知っています。 + + + そこで、わが子よ。キリスト・イエスにある恵みによって強くなりなさい。 + 多くの証人の前で私から聞いたことを、他の人にも教える力のある忠実な人たちにゆだねなさい。 + キリスト・イエスのりっぱな兵士として、私と苦しみをともにしてください。 + 兵役についていながら、日常生活のことに掛かり合っている者はだれもありません。それは徴募した者を喜ばせるためです。 + また、競技をするときも、規定に従って競技をしなければ栄冠を得ることはできません。 + 労苦した農夫こそ、まず第一に収穫の分け前にあずかるべきです。 + 私が言っていることをよく考えなさい。主はすべてのことについて、理解する力をあなたに必ず与えてくださいます。 + 私の福音に言うとおり、ダビデの子孫として生まれ、死者の中からよみがえったイエス・キリストを、いつも思っていなさい。 + 私は、福音のために、苦しみを受け、犯罪者のようにつながれています。しかし、神のことばは、つながれてはいません。 + ですから、私は選ばれた人たちのために、すべてのことを耐え忍びます。それは、彼らもまたキリスト・イエスにある救いと、それとともに、とこしえの栄光を受けるようになるためです。 + 次のことばは信頼すべきことばです。「もし私たちが、彼とともに死んだのなら、彼とともに生きるようになる。 + もし耐え忍んでいるなら、彼とともに治めるようになる。もし彼を否んだなら、彼もまた私たちを否まれる。 + 私たちは真実でなくても、彼は常に真実である。彼にはご自身を否むことができないからである。」 + これらのことを人々に思い出させなさい。そして何の益にもならず、聞いている人々を滅ぼすことになるような、ことばについての論争などしないように、神の御前できびしく命じなさい。 + あなたは熟練した者、すなわち、真理のみことばをまっすぐに説き明かす、恥じることのない働き人として、自分を神にささげるよう、努め励みなさい。 + 俗悪なむだ話を避けなさい。人々はそれによってますます不敬虔に深入りし、 + 彼らの話は癌のように広がるのです。ヒメナオとピレトはその仲間です。 + 彼らは真理からはずれてしまい、復活がすでに起こったと言って、ある人々の信仰をくつがえしているのです。 + それにもかかわらず、神の不動の礎は堅く置かれていて、それに次のような銘が刻まれています。「主はご自分に属する者を知っておられる。」また、「主の御名を呼ぶ者は、だれでも不義を離れよ。」 + 大きな家には、金や銀の器だけでなく、木や土の器もあります。また、ある物は尊いことに、ある物は卑しいことに用います。 + ですから、だれでも自分自身をきよめて、これらのことを離れるなら、その人は尊いことに使われる器となります。すなわち、聖められたもの、主人にとって有益なもの、あらゆる良いわざに間に合うものとなるのです。 + それで、あなたは、若い時の情欲を避け、きよい心で主を呼び求める人たちとともに、義と信仰と愛と平和を追い求めなさい。 + 愚かで、無知な思弁を避けなさい。それが争いのもとであることは、あなたが知っているとおりです。 + 主のしもべが争ってはいけません。むしろ、すべての人に優しくし、よく教え、よく忍び、 + 反対する人たちを柔和な心で訓戒しなさい。もしかすると、神は彼らに悔い改めの心を与えて真理を悟らせてくださるでしょう。 + それで悪魔に捕らえられて思うままにされている人々でも、目ざめてそのわなをのがれることもあるでしょう。 + + + 終わりの日には困難な時代がやって来ることをよく承知しておきなさい。 + そのときに人々は、自分を愛する者、金を愛する者、大言壮語する者、不遜な者、神をけがす者、両親に従わない者、感謝することを知らない者、汚れた者になり、 + 情け知らずの者、和解しない者、そしる者、節制のない者、粗暴な者、善を好まない者になり、 + 裏切る者、向こう見ずな者、慢心する者、神よりも快楽を愛する者になり、 + 見えるところは敬虔であっても、その実を否定する者になるからです。こういう人々を避けなさい。 + こういう人々の中には、家々に入り込み、愚かな女たちをたぶらかしている者がいます。その女たちは、さまざまの情欲に引き回されて罪に罪を重ね、 + いつも学んではいるが、いつになっても真理を知ることのできない者たちです。 + また、こういう人々は、ちょうどヤンネとヤンブレがモーセに逆らったように、真理に逆らうのです。彼らは知性の腐った、信仰の失格者です。 + でも、彼らはもうこれ以上に進むことはできません。彼らの愚かさは、あのふたりの場合のように、すべての人にはっきりわかるからです。 + しかし、あなたは、私の教え、行動、計画、信仰、寛容、愛、忍耐に、 + またアンテオケ、イコニオム、ルステラで私にふりかかった迫害や苦難にも、よくついて来てくれました。何というひどい迫害に私は耐えて来たことでしょう。しかし、主はいっさいのことから私を救い出してくださいました。 + 確かに、キリスト・イエスにあって敬虔に生きようと願う者はみな、迫害を受けます。 + しかし、悪人や詐欺師たちは、だましたりだまされたりしながら、ますます悪に落ちて行くのです。 + けれどもあなたは、学んで確信したところにとどまっていなさい。あなたは自分が、どの人たちからそれを学んだかを知っており、 + また、幼いころから聖書に親しんで来たことを知っているからです。聖書はあなたに知恵を与えてキリスト・イエスに対する信仰による救いを受けさせることができるのです。 + 聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です。 + それは、神の人が、すべての良い働きのためにふさわしい十分に整えられた者となるためです。 + + + 神の御前で、また、生きている人と死んだ人とをさばかれるキリスト・イエスの御前で、その現れとその御国を思って、私はおごそかに命じます。 + みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。寛容を尽くし、絶えず教えながら、責め、戒め、また勧めなさい。 + というのは、人々が健全な教えに耳を貸そうとせず、自分につごうの良いことを言ってもらうために、気ままな願いをもって、次々に教師たちを自分たちのために寄せ集め、 + 真理から耳をそむけ、空想話にそれて行くような時代になるからです。 + しかし、あなたは、どのような場合にも慎み、困難に耐え、伝道者として働き、自分の務めを十分に果たしなさい。 + 私は今や注ぎの供え物となります。私が世を去る時はすでに来ました。 + 私は勇敢に戦い、走るべき道のりを走り終え、信仰を守り通しました。 + 今からは、義の栄冠が私のために用意されているだけです。かの日には、正しい審判者である主が、それを私に授けてくださるのです。私だけでなく、主の現れを慕っている者には、だれにでも授けてくださるのです。 + あなたは、何とかして、早く私のところに来てください。 + デマスは今の世を愛し、私を捨ててテサロニケに行ってしまい、また、クレスケンスはガラテヤに、テトスはダルマテヤに行ったからです。 + ルカだけは私とともにおります。マルコを伴って、いっしょに来てください。彼は私の務めのために役に立つからです。 + 私はテキコをエペソに遣わしました。 + あなたが来るときは、トロアスでカルポのところに残しておいた上着を持って来てください。また、書物を、特に羊皮紙の物を持って来てください。 + 銅細工人のアレキサンデルが私をひどく苦しめました。そのしわざに応じて主が彼に報いられます。 + あなたも彼を警戒しなさい。彼は私たちのことばに激しく逆らったからです。 + 私の最初の弁明の際には、私を支持する者はだれもなく、みな私を見捨ててしまいました。どうか、彼らがそのためにさばかれることのありませんように。 + しかし、主は、私とともに立ち、私に力を与えてくださいました。それは、私を通してみことばが余すところなく宣べ伝えられ、すべての国の人々がみことばを聞くようになるためでした。私は獅子の口から助け出されました。 + 主は私を、すべての悪のわざから助け出し、天の御国に救い入れてくださいます。主に、御栄えがとこしえにありますように。アーメン。 + プリスカとアクラによろしく。また、オネシポロの家族によろしく。 + エラストはコリントにとどまり、トロピモは病気のためにミレトに残して来ました。 + 何とかして、冬になる前に来てください。ユブロ、プデス、リノス、クラウデヤ、またすべての兄弟たちが、あなたによろしくと言っています。 + 主があなたの霊とともにおられますように。恵みが、あなたがたとともにありますように。 + +
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+ + 神のしもべ、また、イエス・キリストの使徒パウロ――私は、神に選ばれた人々の信仰と、敬虔にふさわしい真理の知識とのために使徒とされたのです。 + それは、偽ることのない神が、永遠の昔から約束してくださった永遠のいのちの望みに基づくことです。 + 神は、ご自分の定められた時に、このみことばを宣教によって明らかにされました。私は、この宣教を私たちの救い主なる神の命令によって、ゆだねられたのです――このパウロから、 + 同じ信仰による真実のわが子テトスへ。父なる神および私たちの救い主なるキリスト・イエスから、恵みと平安がありますように。 + 私があなたをクレテに残したのは、あなたが残っている仕事の整理をし、また、私が指図したように、町ごとに長老たちを任命するためでした。 + それには、その人が、非難されるところがなく、ひとりの妻の夫であり、その子どもは不品行を責められたり、反抗的であったりしない信者であることが条件です。 + 監督は神の家の管理者として、非難されるところのない者であるべきです。わがままでなく、短気でなく、酒飲みでなく、けんか好きでなく、不正な利を求めず、 + かえって、旅人をよくもてなし、善を愛し、慎み深く、正しく、敬虔で、自制心があり、 + 教えにかなった信頼すべきみことばを、しっかりと守っていなければなりません。それは健全な教えをもって励ましたり、反対する人たちを正したりすることができるためです。 + 実は、反抗的な者、空論に走る者、人を惑わす者が多くいます。特に、割礼を受けた人々がそうです。 + 彼らの口を封じなければいけません。彼らは、不正な利を得るために、教えてはいけないことを教え、家々を破壊しています。 + 彼らと同国人であるひとりの預言者がこう言いました。「クレテ人は昔からのうそつき、悪いけだもの、なまけ者の食いしんぼう。」 + この証言はほんとうなのです。ですから、きびしく戒めて、人々の信仰を健全にし、 + ユダヤ人の空想話や、真理から離れた人々の戒めには心を寄せないようにさせなさい。 + きよい人々には、すべてのものがきよいのです。しかし、汚れた、不信仰な人々には、何一つきよいものはありません。それどころか、その知性と良心までも汚れています。 + 彼らは、神を知っていると口では言いますが、行いでは否定しています。実に忌まわしく、不従順で、どんな良いわざにも不適格です。 + + + しかし、あなたは健全な教えにふさわしいことを話しなさい。 + 老人たちには、自制し、謹厳で、慎み深くし、信仰と愛と忍耐とにおいて健全であるように。 + 同じように、年をとった婦人たちには、神に仕えている者らしく敬虔にふるまい、悪口を言わず、大酒のとりこにならず、良いことを教える者であるように。 + そうすれば、彼女たちは、若い婦人たちに向かって、夫を愛し、子どもを愛し、 + 慎み深く、貞潔で、家事に励み、優しく、自分の夫に従順であるようにと、さとすことができるのです。それは、神のことばがそしられるようなことのないためです。 + 同じように、若い人々には、思慮深くあるように勧めなさい。 + また、すべての点で自分自身が良いわざの模範となり、教えにおいては純正で、威厳を保ち、 + 非難すべきところのない、健全なことばを用いなさい。そうすれば、敵対する者も、私たちについて、何も悪いことが言えなくなって、恥じ入ることになるでしょう。 + 奴隷には、すべての点で自分の主人に従って、満足を与え、口答えせず、 + 盗みをせず、努めて真実を表すように勧めなさい。それは、彼らがあらゆることで、私たちの救い主である神の教えを飾るようになるためです。 + というのは、すべての人を救う神の恵みが現れ、 + 私たちに、不敬虔とこの世の欲とを捨て、この時代にあって、慎み深く、正しく、敬虔に生活し、 + 祝福された望み、すなわち、大いなる神であり私たちの救い主であるキリスト・イエスの栄光ある現れを待ち望むようにと教えさとしたからです。 + キリストが私たちのためにご自身をささげられたのは、私たちをすべての不法から贖い出し、良いわざに熱心なご自分の民を、ご自分のためにきよめるためでした。 + あなたは、これらのことを十分な権威をもって話し、勧め、また、責めなさい。だれにも軽んじられてはいけません。 + + + あなたは彼らに注意を与えて、支配者たちと権威者たちに服従し、従順で、すべての良いわざを進んでする者とならせなさい。 + また、だれをもそしらず、争わず、柔和で、すべての人に優しい態度を示す者とならせなさい。 + 私たちも以前は、愚かな者であり、不従順で、迷った者であり、いろいろな欲情と快楽の奴隷になり、悪意とねたみの中に生活し、憎まれ者であり、互いに憎み合う者でした。 + しかし、私たちの救い主なる神のいつくしみと人への愛とが現れたとき、 + 神は、私たちが行った義のわざによってではなく、ご自分のあわれみのゆえに、聖霊による、新生と更新との洗いをもって私たちを救ってくださいました。 + 神は、この聖霊を、私たちの救い主なるイエス・キリストによって、私たちに豊かに注いでくださったのです。 + それは、私たちがキリストの恵みによって義と認められ、永遠のいのちの望みによって、相続人となるためです。 + これは信頼できることばですから、私は、あなたがこれらのことについて、確信をもって話すように願っています。それは、神を信じている人々が、良いわざに励むことを心がけるようになるためです。これらのことは良いことであって、人々に有益なことです。 + しかし、愚かな議論、系図、口論、律法についての論争などを避けなさい。それらは無益で、むだなものです。 + 分派を起こす者は、一、二度戒めてから、除名しなさい。 + このような人は、あなたも知っているとおり、堕落しており、自分で悪いと知りながら罪を犯しているのです。 + 私がアルテマスかテキコをあなたのもとに送ったら、あなたは、何としてでも、ニコポリにいる私のところに来てください。私はそこで冬を過ごすことに決めています。 + ぜひとも、律法学者ゼナスとアポロとが旅に出られるようにし、彼らが不自由しないように世話をしてあげなさい。 + 私たち一同も、なくてならないもののために、正しい仕事に励むように教えられなければなりません。それは、実を結ばない者にならないためです。 + 私といっしょにいる者たち一同が、あなたによろしくと言っています。私たちの信仰の友である人々に、よろしく言ってください。/恵みが、あなたがたすべてとともにありますように。 + +
+
+ + キリスト・イエスの囚人であるパウロ、および兄弟テモテから、私たちの愛する同労者ピレモンへ。 + また、姉妹アピヤ、私たちの戦友アルキポ、ならびにあなたの家にある教会へ。 + 私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたの上にありますように。 + 私は、祈りのうちにあなたのことを覚え、いつも私の神に感謝しています。 + それは、主イエスに対してあなたが抱いている信仰と、すべての聖徒に対するあなたの愛とについて聞いているからです。 + 私たちの間でキリストのためになされているすべての良い行いをよく知ることによって、あなたの信仰の交わりが生きて働くものとなりますように。 + 私はあなたの愛から多くの喜びと慰めとを受けました。それは、聖徒たちの心が、兄弟よ、あなたによって力づけられたからです。 + 私は、あなたのなすべきことを、キリストにあって少しもはばからず命じることができるのですが、こういうわけですから、 + むしろ愛によって、あなたにお願いしたいと思います。年老いて、今はまたキリスト・イエスの囚人となっている私パウロが、 + 獄中で生んだわが子オネシモのことを、あなたにお願いしたいのです。 + 彼は、前にはあなたにとって役に立たない者でしたが、今は、あなたにとっても私にとっても、役に立つ者となっています。 + そのオネシモを、あなたのもとに送り返します。彼は私の心そのものです。 + 私は、彼を私のところにとどめておき、福音のために獄中にいる間、あなたに代わって私のために仕えてもらいたいとも考えましたが、 + あなたの同意なしには何一つすまいと思いました。それは、あなたがしてくれる親切は強制されてではなく、自発的でなければいけないからです。 + 彼がしばらくの間あなたから離されたのは、たぶん、あなたが彼を永久に取り戻すためであったのでしょう。 + もはや奴隷としてではなく、奴隷以上の者、すなわち、愛する兄弟としてです。特に私にとってそうですが、あなたにとってはなおさらのこと、肉においても主にあっても、そうではありませんか。 + ですから、もしあなたが私を親しい友と思うなら、私を迎えるように彼を迎えてやってください。 + もし彼があなたに対して損害をかけたか、負債を負っているのでしたら、その請求は私にしてください。 + この手紙は私パウロの自筆です。私がそれを支払います――あなたが今のようになれたのもまた、私によるのですが、そのことについては何も言いません。―― + そうです。兄弟よ。私は、主にあって、あなたから益を受けたいのです。私の心をキリストにあって、元気づけてください。 + 私はあなたの従順を確信して、あなたにこの手紙を書きました。私の言う以上のことをしてくださるあなたであると、知っているからです。 + それにまた、私の宿の用意もしておいてください。あなたがたの祈りによって、私もあなたがたのところに行けることと思っています。 + キリスト・イエスにあって私とともに囚人となっているエパフラスが、あなたによろしくと言っています。 + 私の同労者たちであるマルコ、アリスタルコ、デマス、ルカからもよろしくと言っています。 + 主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊とともにありますように。 + +
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+ + 神は、むかし父祖たちに、預言者たちを通して、多くの部分に分け、また、いろいろな方法で語られましたが、 + この終わりの時には、御子によって、私たちに語られました。神は、御子を万物の相続者とし、また御子によって世界を造られました。 + 御子は神の栄光の輝き、また神の本質の完全な現れであり、その力あるみことばによって万物を保っておられます。また、罪のきよめを成し遂げて、すぐれて高い所の大能者の右の座に着かれました。 + 御子は、御使いたちよりもさらにすぐれた御名を相続されたように、それだけ御使いよりもまさるものとなられました。 + 神は、かつてどの御使いに向かって、こう言われたでしょう。「あなたは、わたしの子。きょう、わたしがあなたを生んだ。」またさらに、「わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。」 + さらに、長子をこの世界にお送りになるとき、こう言われました。「神の御使いはみな、彼を拝め。」 + また御使いについては、「神は、御使いたちを風とし、仕える者たちを炎とされる。」/と言われましたが、 + 御子については、こう言われます。「神よ。あなたの御座は世々限りなく、あなたの御国の杖こそ、まっすぐな杖です。 + あなたは義を愛し、不正を憎まれます。それゆえ、神よ。あなたの神は、あふれるばかりの喜びの油を、あなたとともに立つ者にまして、あなたに注ぎなさいました。」 + またこう言われます。「主よ。あなたは、初めに地の基を据えられました。天も、あなたの御手のわざです。 + これらのものは滅びます。しかし、あなたはいつまでもながらえられます。すべてのものは着物のように古びます。 + あなたはこれらを、外套のように巻かれます。これらを、着物のように取り替えられます。しかし、あなたは変わることがなく、あなたの年は尽きることがありません。」 + 神は、かつてどの御使いに向かって、こう言われたでしょう。「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまでは、わたしの右の座に着いていなさい。」 + 御使いはみな、仕える霊であって、救いの相続者となる人々に仕えるため遣わされたのではありませんか。 + + + ですから、私たちは聞いたことを、ますますしっかり心に留めて、押し流されないようにしなければなりません。 + もし、御使いたちを通して語られたみことばでさえ、堅く立てられて動くことがなく、すべての違反と不従順が当然の処罰を受けたとすれば、 + 私たちがこんなにすばらしい救いをないがしろにした場合、どうしてのがれることができましょう。この救いは最初主によって語られ、それを聞いた人たちが、確かなものとしてこれを私たちに示し、 + そのうえ神も、しるしと不思議とさまざまの力あるわざにより、また、みこころに従って聖霊が分け与えてくださる賜物によってあかしされました。 + 神は、私たちがいま話している後の世を、御使いたちに従わせることはなさらなかったのです。 + むしろ、ある個所で、ある人がこうあかししています。/「人間が何者だというので、これをみこころに留められるのでしょう。/人の子が何者だというので、これを顧みられるのでしょう。 + あなたは、彼を、御使いよりも、しばらくの間、低いものとし、彼に栄光と誉れの冠を与え、 + 万物をその足の下に従わせられました。」/万物を彼に従わせたとき、神は、彼に従わないものを何一つ残されなかったのです。それなのに、今でもなお、私たちはすべてのものが人間に従わせられているのを見てはいません。 + ただ、御使いよりも、しばらくの間、低くされた方であるイエスのことは見ています。イエスは、死の苦しみのゆえに、栄光と誉れの冠をお受けになりました。その死は、神の恵みによって、すべての人のために味わわれたものです。 + 神が多くの子たちを栄光に導くのに、彼らの救いの創始者を、多くの苦しみを通して全うされたということは、万物の存在の目的であり、また原因でもある方として、ふさわしいことであったのです。 + 聖とする方も、聖とされる者たちも、すべて元は一つです。それで、主は彼らを兄弟と呼ぶことを恥としないで、こう言われます。 + 「わたしは御名を、わたしの兄弟たちに告げよう。/教会の中で、わたしはあなたを賛美しよう。」 + またさらに、「わたしは彼に信頼する。」/またさらに、「見よ、わたしと、神がわたしに賜った子たちは。」/と言われます。 + そこで、子たちはみな血と肉とを持っているので、主もまた同じように、これらのものをお持ちになりました。これは、その死によって、悪魔という、死の力を持つ者を滅ぼし、 + 一生涯死の恐怖につながれて奴隷となっていた人々を解放してくださるためでした。 + 主は御使いたちを助けるのではなく、確かに、アブラハムの子孫を助けてくださるのです。 + そういうわけで、神のことについて、あわれみ深い、忠実な大祭司となるため、主はすべての点で兄弟たちと同じようにならなければなりませんでした。それは民の罪のために、なだめがなされるためなのです。 + 主は、ご自身が試みを受けて苦しまれたので、試みられている者たちを助けることがおできになるのです。 + + + そういうわけですから、天の召しにあずかっている聖なる兄弟たち。私たちの告白する信仰の使徒であり、大祭司であるイエスのことを考えなさい。 + モーセが神の家全体のために忠実であったのと同様に、イエスはご自分を立てた方に対して忠実なのです。 + 家よりも、家を建てる者が大きな栄誉を持つのと同様に、イエスはモーセよりも大きな栄光を受けるのにふさわしいとされました。 + 家はそれぞれ、だれかが建てるのですが、すべてのものを造られた方は、神です。 + モーセは、しもべとして神の家全体のために忠実でした。それは、後に語られる事をあかしするためでした。 + しかし、キリストは御子として神の家を忠実に治められるのです。もし私たちが、確信と、希望による誇りとを、終わりまでしっかりと持ち続けるならば、私たちが神の家なのです。 + ですから、聖霊が言われるとおりです。「きょう、もし御声を聞くならば、 + 荒野での試みの日に御怒りを引き起こしたときのように、心をかたくなにしてはならない。 + あなたがたの父祖たちは、そこでわたしを試みて証拠を求め、四十年の間、わたしのわざを見た。 + だから、わたしはその時代を憤って言った。彼らは常に心が迷い、わたしの道を悟らなかった。 + わたしは、怒りをもって誓ったように、決して彼らをわたしの安息に入らせない。」 + 兄弟たち。あなたがたの中では、だれも悪い不信仰の心になって生ける神から離れる者がないように気をつけなさい。 + 「きょう」と言われている間に、日々互いに励まし合って、だれも罪に惑わされてかたくなにならないようにしなさい。 + もし最初の確信を終わりまでしっかり保ちさえすれば、私たちは、キリストにあずかる者となるのです。 + 「きょう、もし御声を聞くならば、御怒りを引き起こしたときのように、心をかたくなにしてはならない。」/と言われているからです。 + 聞いていながら、御怒りを引き起こしたのはだれでしたか。モーセに率いられてエジプトを出た人々の全部ではありませんか。 + 神は四十年の間だれを怒っておられたのですか。罪を犯した人々、しかばねを荒野にさらした、あの人たちをではありませんか。 + また、わたしの安息に入らせないと神が誓われたのは、ほかでもない、従おうとしなかった人たちのことではありませんか。 + それゆえ、彼らが安息に入れなかったのは、不信仰のためであったことがわかります。 + + + こういうわけで、神の安息に入るための約束はまだ残っているのですから、あなたがたのうちのひとりでも、万が一にもこれに入れないようなことのないように、私たちは恐れる心を持とうではありませんか。 + 福音を説き聞かされていることは、私たちも彼らと同じなのです。ところが、その聞いたみことばも、彼らには益になりませんでした。みことばが、それを聞いた人たちに、信仰によって、結びつけられなかったからです。 + 信じた私たちは安息に入るのです。「わたしは、怒りをもって誓ったように、決して彼らをわたしの安息に入らせない。」と神が言われたとおりです。みわざは創世の初めから、もう終わっているのです。 + というのは、神は七日目について、ある個所で、「そして、神は、すべてのみわざを終えて七日目に休まれた」と言われました。 + そして、ここでは、「決して彼らをわたしの安息に入らせない」と言われたのです。 + こういうわけで、その安息に入る人々がまだ残っており、前に福音を説き聞かされた人々は、不従順のゆえに入れなかったのですから、 + 神は再びある日を「きょう」と定めて、長い年月の後に、前に言われたと同じように、ダビデを通して、「きょう、もし御声を聞くならば、あなたがたの心をかたくなにしてはならない。」/と語られたのです。 + もしヨシュアが彼らに安息を与えたのであったら、神はそのあとで別の日のことを話されることはなかったでしょう。 + したがって、安息日の休みは、神の民のためにまだ残っているのです。 + 神の安息に入った者ならば、神がご自分のわざを終えて休まれたように、自分のわざを終えて休んだはずです。 + ですから、私たちは、この安息に入るよう力を尽くして努め、あの不従順の例にならって落後する者が、ひとりもいないようにしようではありませんか。 + 神のことばは生きていて、力があり、両刃の剣よりも鋭く、たましいと霊、関節と骨髄の分かれ目さえも刺し通し、心のいろいろな考えやはかりごとを判別することができます。 + 造られたもので、神の前で隠れおおせるものは何一つなく、神の目には、すべてが裸であり、さらけ出されています。私たちはこの神に対して弁明をするのです。 + さて、私たちのためには、もろもろの天を通られた偉大な大祭司である神の子イエスがおられるのですから、私たちの信仰の告白を堅く保とうではありませんか。 + 私たちの大祭司は、私たちの弱さに同情できない方ではありません。罪は犯されませんでしたが、すべての点で、私たちと同じように、試みに会われたのです。 + ですから、私たちは、あわれみを受け、また恵みをいただいて、おりにかなった助けを受けるために、大胆に恵みの御座に近づこうではありませんか。 + + + 大祭司はみな、人々の中から選ばれ、神に仕える事がらについて人々に代わる者として、任命を受けたのです。それは、罪のために、ささげ物といけにえとをささげるためです。 + 彼は、自分自身も弱さを身にまとっているので、無知な迷っている人々を思いやることができるのです。 + そしてまた、その弱さのゆえに、民のためだけでなく、自分のためにも、罪のためのささげ物をしなければなりません。 + まただれでも、この名誉は自分で得るのではなく、アロンのように神に召されて受けるのです。 + 同様に、キリストも大祭司となる栄誉を自分で得られたのではなく、彼に、「あなたは、わたしの子。/きょう、わたしがあなたを生んだ。」/と言われた方が、それをお与えになったのです。 + 別の個所で、こうも言われます。「あなたは、とこしえに、メルキゼデクの位に等しい祭司である。」 + キリストは、人としてこの世におられたとき、自分を死から救うことのできる方に向かって、大きな叫び声と涙とをもって祈りと願いをささげ、そしてその敬虔のゆえに聞き入れられました。 + キリストは御子であられるのに、お受けになった多くの苦しみによって従順を学び、 + 完全な者とされ、彼に従うすべての人々に対して、とこしえの救いを与える者となり、 + 神によって、メルキゼデクの位に等しい大祭司ととなえられたのです。 + この方について、私たちは話すべきことをたくさん持っていますが、あなたがたの耳が鈍くなっているため、説き明かすことが困難です。 + あなたがたは年数からすれば教師になっていなければならないにもかかわらず、神のことばの初歩をもう一度だれかに教えてもらう必要があるのです。あなたがたは堅い食物ではなく、乳を必要とするようになっています。 + まだ乳ばかり飲んでいるような者はみな、義の教えに通じてはいません。幼子なのです。 + しかし、堅い食物はおとなの物であって、経験によって良い物と悪い物とを見分ける感覚を訓練された人たちの物です。 + + + ですから、私たちは、キリストについての初歩の教えをあとにして、成熟を目ざして進もうではありませんか。死んだ行いからの回心、神に対する信仰、 + きよめの洗いについての教え、手を置く儀式、死者の復活、とこしえのさばきなど基礎的なことを再びやり直したりしないようにしましょう。 + 神がお許しになるならば、私たちはそうすべきです。 + 一度光を受けて天からの賜物の味を知り、聖霊にあずかる者となり、 + 神のすばらしいみことばと、後にやがて来る世の力とを味わったうえで、 + しかも堕落してしまうならば、そういう人々をもう一度悔い改めに立ち返らせることはできません。彼らは、自分で神の子をもう一度十字架にかけて、恥辱を与える人たちだからです。 + 土地は、その上にしばしば降る雨を吸い込んで、これを耕す人たちのために有用な作物を生じるなら、神の祝福にあずかります。 + しかし、いばらやあざみなどを生えさせるなら、無用なものであって、やがてのろいを受け、ついには焼かれてしまいます。 + だが、愛する人たち。私たちはこのように言いますが、あなたがたについては、もっと良いことを確信しています。それは救いにつながることです。 + 神は正しい方であって、あなたがたの行いを忘れず、あなたがたがこれまで聖徒たちに仕え、また今も仕えて神の御名のために示したあの愛をお忘れにならないのです。 + そこで、私たちは、あなたがたひとりひとりが、同じ熱心さを示して、最後まで、私たちの希望について十分な確信を持ち続けてくれるように切望します。 + それは、あなたがたがなまけずに、信仰と忍耐によって約束のものを相続するあの人たちに、ならう者となるためです。 + 神は、アブラハムに約束されるとき、ご自分よりすぐれたものをさして誓うことがありえないため、ご自分をさして誓い、 + こう言われました。「わたしは必ずあなたを祝福し、あなたを大いにふやす。」 + こうして、アブラハムは、忍耐の末に、約束のものを得ました。 + 確かに、人間は自分よりすぐれた者をさして誓います。そして、確証のための誓いというものは、人間のすべての反論をやめさせます。 + そこで、神は約束の相続者たちに、ご計画の変わらないことをさらにはっきり示そうと思い、誓いをもって保証されたのです。 + それは、変えることのできない二つの事がらによって、――神は、これらの事がらのゆえに、偽ることができません――前に置かれている望みを捕らえるためにのがれて来た私たちが、力強い励ましを受けるためです。 + この望みは、私たちのたましいのために、安全で確かな錨の役を果たし、またこの望みは幕の内側に入るのです。 + イエスは私たちの先駆けとしてそこに入り、永遠にメルキゼデクの位に等しい大祭司となられました。 + + + このメルキゼデクは、サレムの王で、すぐれて高い神の祭司でしたが、アブラハムが王たちを打ち破って帰るのを出迎えて祝福しました。 + またアブラハムは彼に、すべての戦利品の十分の一を分けました。まず彼は、その名を訳すと義の王であり、次に、サレムの王、すなわち平和の王です。 + 父もなく、母もなく、系図もなく、その生涯の初めもなく、いのちの終わりもなく、神の子に似た者とされ、いつまでも祭司としてとどまっているのです。 + その人がどんなに偉大であるかを、よく考えてごらんなさい。族長であるアブラハムでさえ、彼に一番良い戦利品の十分の一を与えたのです。 + レビの子らの中で祭司職を受ける者たちは、自分もアブラハムの子孫でありながら、民から、すなわち彼らの兄弟たちから、十分の一を徴集するようにと、律法の中で命じられています。 + ところが、レビ族の系図にない者が、アブラハムから十分の一を取って、約束を受けた人を祝福したのです。 + いうまでもなく、下位の者が上位の者から祝福されるのです。 + 一方では、死ぬべき人間が十分の一を受けていますが、他の場合は、彼は生きているとあかしされている者が受けるのです。 + また、いうならば、十分の一を受け取るレビでさえアブラハムを通して十分の一を納めているのです。 + というのは、メルキゼデクがアブラハムを出迎えたときには、レビはまだ父の腰の中にいたからです。 + さて、もしレビ系の祭司職によって完全に到達できたのだったら、――民はそれを基礎として律法を与えられたのです――それ以上何の必要があって、アロンの位でなく、メルキゼデクの位に等しいと呼ばれる他の祭司が立てられたのでしょうか。 + 祭司職が変われば、律法も必ず変わらなければなりませんが、 + 私たちが今まで論じて来たその方は、祭壇に仕える者を出したことのない別の部族に属しておられるのです。 + 私たちの主が、ユダ族から出られたことは明らかですが、モーセは、この部族については、祭司に関することを何も述べていません。 + もしメルキゼデクに等しい、別の祭司が立てられるのなら、以上のことは、いよいよ明らかになります。 + その祭司は、肉についての戒めである律法にはよらないで、朽ちることのない、いのちの力によって祭司となったのです。 + この方については、こうあかしされています。「あなたは、とこしえに、メルキゼデクの位に等しい祭司である。」 + 一方で、前の戒めは、弱く無益なために、廃止されましたが、 + ――律法は何事も全うしなかったのです――他方で、さらにすぐれた希望が導き入れられました。私たちはこれによって神に近づくのです。 + また、そのためには、はっきりと誓いがなされています。 + ――彼らの場合は、誓いなしに祭司となるのですが、主の場合には、主に対して次のように言われた方の誓いがあります。「主は誓ってこう言われ、みこころを変えられることはない。『あなたはとこしえに祭司である。』」―― + そのようにして、イエスは、さらにすぐれた契約の保証となられたのです。 + また、彼らの場合は、死ということがあるため、務めにいつまでもとどまることができず、大ぜいの者が祭司となりました。 + しかし、キリストは永遠に存在されるのであって、変わることのない祭司の務めを持っておられます。 + したがって、ご自分によって神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。キリストはいつも生きていて、彼らのために、とりなしをしておられるからです。 + また、このようにきよく、悪も汚れもなく、罪人から離れ、また、天よりも高くされた大祭司こそ、私たちにとってまさに必要な方です。 + ほかの大祭司たちとは違い、キリストには、まず自分の罪のために、その次に、民の罪のために毎日いけにえをささげる必要はありません。というのは、キリストは自分自身をささげ、ただ一度でこのことを成し遂げられたからです。 + 律法は弱さを持つ人間を大祭司に立てますが、律法のあとから来た誓いのみことばは、永遠に全うされた御子を立てるのです。 + + + 以上述べたことの要点はこうです。すなわち、私たちの大祭司は天におられる大能者の御座の右に着座された方であり、 + 人間が設けたのではなくて、主が設けられた真実の幕屋である聖所で仕えておられる方です。 + すべて、大祭司は、ささげ物といけにえとをささげるために立てられます。したがって、この大祭司も何かささげる物を持っていなければなりません。 + もしキリストが地上におられるのであったら、決して祭司とはなられないでしょう。律法に従ってささげ物をする人たちがいるからです。 + その人たちは、天にあるものの写しと影とに仕えているのであって、それらはモーセが幕屋を建てようとしたとき、神から御告げを受けたとおりのものです。神はこう言われたのです。「よく注意しなさい。山であなたに示された型に従って、すべてのものを作りなさい。」 + しかし今、キリストはさらにすぐれた務めを得られました。それは彼が、さらにすぐれた約束に基づいて制定された、さらにすぐれた契約の仲介者であるからです。 + もしあの初めの契約が欠けのないものであったなら、後のものが必要になる余地はなかったでしょう。 + しかし、神は、それに欠けがあるとして、こう言われたのです。/「主が、言われる。/見よ。日が来る。/わたしが、イスラエルの家やユダの家と/新しい契約を結ぶ日が。 + それは、わたしが彼らの父祖たちの手を引いて、彼らをエジプトの地から導き出した日に/彼らと結んだ契約のようなものではない。/彼らがわたしの契約を守り通さないので、わたしも、彼らを顧みなかったと、主は言われる。 + それらの日の後、わたしが、イスラエルの家と結ぶ契約は、これであると、主が言われる。/わたしは、わたしの律法を彼らの思いの中に入れ、彼らの心に書きつける。/わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。 + また彼らが、おのおのその町の者に、また、おのおのその兄弟に教えて、『主を知れ』と言うことは決してない。/小さい者から大きい者に至るまで、彼らはみな、わたしを知るようになるからである。 + なぜなら、わたしは彼らの不義にあわれみをかけ、もはや、彼らの罪を思い出さないからである。」 + 神が新しい契約と言われたときには、初めのものを古いとされたのです。年を経て古びたものは、すぐに消えて行きます。 + + + 初めの契約にも礼拝の規定と地上の聖所とがありました。 + 幕屋が設けられ、その前部の所には、燭台と机と供えのパンがありました。聖所と呼ばれる所です。 + また、第二の垂れ幕のうしろには、至聖所と呼ばれる幕屋が設けられ、 + そこには金の香壇と、全面を金でおおわれた契約の箱があり、箱の中には、マナの入った金のつぼ、芽を出したアロンの杖、契約の二つの板がありました。 + また、箱の上には、贖罪蓋を翼でおおっている栄光のケルビムがありました。しかしこれらについては、今いちいち述べることができません。 + さて、これらの物が以上のように整えられた上で、前の幕屋には、祭司たちがいつも入って礼拝を行うのですが、 + 第二の幕屋には、大祭司だけが年に一度だけ入ります。そのとき、血を携えずに入るようなことはありません。その血は、自分のために、また、民が知らずに犯した罪のためにささげるものです。 + これによって聖霊は次のことを示しておられます。すなわち、前の幕屋が存続しているかぎり、まことの聖所への道は、まだ明らかにされていないということです。 + この幕屋はその当時のための比喩です。それに従って、ささげ物といけにえとがささげられますが、それらは礼拝する者の良心を完全にすることはできません。 + それらは、ただ食物と飲み物と種々の洗いに関するもので、新しい秩序の立てられる時まで課せられた、からだに関する規定にすぎないからです。 + しかしキリストは、すでに成就したすばらしい事がらの大祭司として来られ、手で造った物でない、言い替えれば、この造られた物とは違った、さらに偉大な、さらに完全な幕屋を通り、 + また、やぎと子牛との血によってではなく、ご自分の血によって、ただ一度、まことの聖所に入り、永遠の贖いを成し遂げられたのです。 + もし、やぎと雄牛の血、また雌牛の灰を汚れた人々に注ぎかけると、それが聖めの働きをして肉体をきよいものにするとすれば、 + まして、キリストが傷のないご自身を、とこしえの御霊によって神におささげになったその血は、どんなにか私たちの良心をきよめて死んだ行いから離れさせ、生ける神に仕える者とすることでしょう。 + こういうわけで、キリストは新しい契約の仲介者です。それは、初めの契約のときの違反を贖うための死が実現したので、召された者たちが永遠の資産の約束を受けることができるためなのです。 + 遺言には、遺言者の死亡証明が必要です。 + 遺言は、人が死んだとき初めて有効になるのであって、遺言者が生きている間は、決して効力はありません。 + したがって、初めの契約も血なしに成立したのではありません。 + モーセは、律法に従ってすべての戒めを民全体に語って後、水と赤い色の羊の毛とヒソプとのほかに、子牛とやぎの血を取って、契約の書自体にも民の全体にも注ぎかけ、 + 「これは神があなたがたに対して立てられた契約の血である」と言いました。 + また彼は、幕屋と礼拝のすべての器具にも同様に血を注ぎかけました。 + それで、律法によれば、すべてのものは血によってきよめられる、と言ってよいでしょう。また、血を注ぎ出すことがなければ、罪の赦しはないのです。 + ですから、天にあるものにかたどったものは、これらのものによってきよめられる必要がありました。しかし天にあるもの自体は、これよりもさらにすぐれたいけにえで、きよめられなければなりません。 + キリストは、本物の模型にすぎない、手で造った聖所に入られたのではなく、天そのものに入られたのです。そして、今、私たちのために神の御前に現れてくださるのです。 + それも、年ごとに自分の血でない血を携えて聖所に入る大祭司とは違って、キリストは、ご自分を幾度もささげることはなさいません。 + もしそうでなかったら、世の初めから幾度も苦難を受けなければならなかったでしょう。しかしキリストは、ただ一度、今の世の終わりに、ご自身をいけにえとして罪を取り除くために、来られたのです。 + そして、人間には、一度死ぬことと死後にさばきを受けることが定まっているように、 + キリストも、多くの人の罪を負うために一度、ご自身をささげられましたが、二度目は、罪を負うためではなく、彼を待ち望んでいる人々の救いのために来られるのです。 + + + 律法には、後に来るすばらしいものの影はあっても、その実物はないのですから、律法は、年ごとに絶えずささげられる同じいけにえによって神に近づいて来る人々を、完全にすることができないのです。 + もしそれができたのであったら、礼拝する人々は、一度きよめられた者として、もはや罪を意識しなかったはずであり、したがって、ささげ物をすることは、やんだはずです。 + ところがかえって、これらのささげ物によって、罪が年ごとに思い出されるのです。 + 雄牛とやぎの血は、罪を除くことができません。 + ですから、キリストは、この世界に来て、こう言われるのです。「あなたは、いけにえやささげ物を望まないで、わたしのために、からだを造ってくださいました。 + あなたは全焼のいけにえと罪のためのいけにえとで満足されませんでした。 + そこでわたしは言いました。『さあ、わたしは来ました。聖書のある巻に、わたしについてしるされているとおり、神よ、あなたのみこころを行うために。』」 + すなわち、初めには、「あなたは、いけにえとささげ物、全焼のいけにえと罪のためのいけにえ(すなわち、律法に従ってささげられる、いろいろの物)を望まず、またそれらで満足されませんでした」と言い、 + また、「さあ、わたしはあなたのみこころを行うために来ました」と言われたのです。後者が立てられるために、前者が廃止されるのです。 + このみこころに従って、イエス・キリストのからだが、ただ一度だけささげられたことにより、私たちは聖なるものとされているのです。 + また、すべて祭司は毎日立って礼拝の務めをなし、同じいけにえをくり返しささげますが、それらは決して罪を除き去ることができません。 + しかし、キリストは、罪のために一つの永遠のいけにえをささげて後、神の右の座に着き、 + それからは、その敵がご自分の足台となるのを待っておられるのです。 + キリストは聖なるものとされる人々を、一つのささげ物によって、永遠に全うされたのです。 + 聖霊も私たちに次のように言って、あかしされます。 + 「それらの日の後、わたしが、彼らと結ぼうとしている契約は、これであると、主は言われる。/わたしは、わたしの律法を彼らの心に置き、彼らの思いに書きつける。」/またこう言われます。 + 「わたしは、もはや決して彼らの罪と不法とを思い出すことはしない。」 + これらのことが赦されるところでは、罪のためのささげ物はもはや無用です。 + こういうわけですから、兄弟たち。私たちは、イエスの血によって、大胆にまことの聖所に入ることができるのです。 + イエスはご自分の肉体という垂れ幕を通して、私たちのためにこの新しい生ける道を設けてくださったのです。 + また、私たちには、神の家をつかさどる、この偉大な祭司があります。 + そのようなわけで、私たちは、心に血の注ぎを受けて邪悪な良心をきよめられ、からだをきよい水で洗われたのですから、全き信仰をもって、真心から神に近づこうではありませんか。 + 約束された方は真実な方ですから、私たちは動揺しないで、しっかりと希望を告白しようではありませんか。 + また、互いに勧め合って、愛と善行を促すように注意し合おうではありませんか。 + ある人々のように、いっしょに集まることをやめたりしないで、かえって励まし合い、かの日が近づいているのを見て、ますますそうしようではありませんか。 + もし私たちが、真理の知識を受けて後、ことさらに罪を犯し続けるならば、罪のためのいけにえは、もはや残されていません。 + ただ、さばきと、逆らう人たちを焼き尽くす激しい火とを、恐れながら待つよりほかはないのです。 + だれでもモーセの律法を無視する者は、二、三の証人のことばに基づいて、あわれみを受けることなく死刑に処せられます。 + まして、神の御子を踏みつけ、自分を聖なるものとした契約の血を汚れたものとみなし、恵みの御霊を侮る者は、どんなに重い処罰に値するか、考えてみなさい。 + 私たちは、「復讐はわたしのすることである。わたしが報いをする」、また、「主がその民をさばかれる」と言われる方を知っています。 + 生ける神の手の中に陥ることは恐ろしいことです。 + あなたがたは、光に照らされて後、苦難に会いながら激しい戦いに耐えた初めのころを、思い起こしなさい。 + 人々の目の前で、そしりと苦しみとを受けた者もあれば、このようなめにあった人々の仲間になった者もありました。 + あなたがたは、捕らえられている人々を思いやり、また、もっとすぐれた、いつまでも残る財産を持っていることを知っていたので、自分の財産が奪われても、喜んで忍びました。 + ですから、あなたがたの確信を投げ捨ててはなりません。それは大きな報いをもたらすものなのです。 + あなたがたが神のみこころを行って、約束のものを手に入れるために必要なのは忍耐です。 + 「もうしばらくすれば、来るべき方が来られる。おそくなることはない。 + わたしの義人は信仰によって生きる。/もし、恐れ退くなら、わたしのこころは彼を喜ばない。」 + 私たちは、恐れ退いて滅びる者ではなく、信じていのちを保つ者です。 + + + 信仰は望んでいる事がらを保証し、目に見えないものを確信させるものです。 + 昔の人々はこの信仰によって称賛されました。 + 信仰によって、私たちは、この世界が神のことばで造られたことを悟り、したがって、見えるものが目に見えるものからできたのではないことを悟るのです。 + 信仰によって、アベルはカインよりもすぐれたいけにえを神にささげ、そのいけにえによって彼が義人であることの証明を得ました。神が、彼のささげ物を良いささげ物だとあかししてくださったからです。彼は死にましたが、その信仰によって、今もなお語っています。 + 信仰によって、エノクは死を見ることのないように移されました。神に移されて、見えなくなりました。移される前に、彼は神に喜ばれていることが、あかしされていました。 + 信仰がなくては、神に喜ばれることはできません。神に近づく者は、神がおられることと、神を求める者には報いてくださる方であることとを、信じなければならないのです。 + 信仰によって、ノアは、まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき、恐れかしこんで、その家族の救いのために箱舟を造り、その箱舟によって、世の罪を定め、信仰による義を相続する者となりました。 + 信仰によって、アブラハムは、相続財産として受け取るべき地に出て行けとの召しを受けたとき、これに従い、どこに行くのかを知らないで、出て行きました。 + 信仰によって、彼は約束された地に他国人のようにして住み、同じ約束をともに相続するイサクやヤコブとともに天幕生活をしました。 + 彼は、堅い基礎の上に建てられた都を待ち望んでいたからです。その都を設計し建設されたのは神です。 + 信仰によって、サラも、すでにその年を過ぎた身であるのに、子を宿す力を与えられました。彼女は約束してくださった方を真実な方と考えたからです。 + そこで、ひとりの、しかも死んだも同様のアブラハムから、天の星のように、また海べの数えきれない砂のように数多い子孫が生まれたのです。 + これらの人々はみな、信仰の人々として死にました。約束のものを手に入れることはありませんでしたが、はるかにそれを見て喜び迎え、地上では旅人であり寄留者であることを告白していたのです。 + 彼らはこのように言うことによって、自分の故郷を求めていることを示しています。 + もし、出て来た故郷のことを思っていたのであれば、帰る機会はあったでしょう。 + しかし、事実、彼らは、さらにすぐれた故郷、すなわち天の故郷にあこがれていたのです。それゆえ、神は彼らの神と呼ばれることを恥となさいませんでした。事実、神は彼らのために都を用意しておられました。 + 信仰によって、アブラハムは、試みられたときイサクをささげました。彼は約束を与えられていましたが、自分のただひとりの子をささげたのです。 + 神はアブラハムに対して、「イサクから出る者があなたの子孫と呼ばれる」と言われたのですが、 + 彼は、神には人を死者の中からよみがえらせることもできる、と考えました。それで彼は、死者の中からイサクを取り戻したのです。これは型です。 + 信仰によって、イサクは未来のことについて、ヤコブとエサウを祝福しました。 + 信仰によって、ヤコブは死ぬとき、ヨセフの子どもたちをひとりひとり祝福し、また自分の杖のかしらに寄りかかって礼拝しました。 + 信仰によって、ヨセフは臨終のとき、イスラエルの子孫の脱出を語り、自分の骨について指図しました。 + 信仰によって、モーセは生まれてから、両親によって三か月の間隠されていました。彼らはその子の美しいのを見たからです。彼らは王の命令をも恐れませんでした。 + 信仰によって、モーセは成人したとき、パロの娘の子と呼ばれることを拒み、 + はかない罪の楽しみを受けるよりは、むしろ神の民とともに苦しむことを選び取りました。 + 彼は、キリストのゆえに受けるそしりを、エジプトの宝にまさる大きな富と思いました。彼は報いとして与えられるものから目を離さなかったのです。 + 信仰によって、彼は、王の怒りを恐れないで、エジプトを立ち去りました。目に見えない方を見るようにして、忍び通したからです。 + 信仰によって、初子を滅ぼす者が彼らに触れることのないように、彼は過越と血の注ぎとを行いました。 + 信仰によって、彼らは、かわいた陸地を行くのと同様に紅海を渡りました。エジプト人は、同じようにしようとしましたが、のみこまれてしまいました。 + 信仰によって、人々が七日の間エリコの城の周囲を回ると、その城壁はくずれ落ちました。 + 信仰によって、遊女ラハブは、偵察に来た人たちを穏やかに受け入れたので、不従順な人たちといっしょに滅びることを免れました。 + これ以上、何を言いましょうか。もし、ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル、預言者たちについても話すならば、時が足りないでしょう。 + 彼らは、信仰によって、国々を征服し、正しいことを行い、約束のものを得、獅子の口をふさぎ、 + 火の勢いを消し、剣の刃をのがれ、弱い者なのに強くされ、戦いの勇士となり、他国の陣営を陥れました。 + 女たちは、死んだ者をよみがえらせていただきました。またほかの人たちは、さらにすぐれたよみがえりを得るために、釈放されることを願わないで拷問を受けました。 + また、ほかの人たちは、あざけられ、むちで打たれ、さらに鎖につながれ、牢に入れられるめに会い、 + また、石で打たれ、試みを受け、のこぎりで引かれ、剣で切り殺され、羊ややぎの皮を着て歩き回り、乏しくなり、悩まされ、苦しめられ、 + ――この世は彼らにふさわしい所ではありませんでした――荒野と山とほら穴と地の穴とをさまよいました。 + この人々はみな、その信仰によってあかしされましたが、約束されたものは得ませんでした。 + 神は私たちのために、さらにすぐれたものをあらかじめ用意しておられたので、彼らが私たちと別に全うされるということはなかったのです。 + + + こういうわけで、このように多くの証人たちが、雲のように私たちを取り巻いているのですから、私たちも、いっさいの重荷とまつわりつく罪とを捨てて、私たちの前に置かれている競走を忍耐をもって走り続けようではありませんか。 + 信仰の創始者であり、完成者であるイエスから目を離さないでいなさい。イエスは、ご自分の前に置かれた喜びのゆえに、はずかしめをものともせずに十字架を忍び、神の御座の右に着座されました。 + あなたがたは、罪人たちのこのような反抗を忍ばれた方のことを考えなさい。それは、あなたがたの心が元気を失い、疲れ果ててしまわないためです。 + あなたがたはまだ、罪と戦って、血を流すまで抵抗したことがありません。 + そして、あなたがたに向かって子どもに対するように語られたこの勧めを忘れています。「わが子よ。主の懲らしめを軽んじてはならない。主に責められて弱り果ててはならない。 + 主はその愛する者を懲らしめ、受け入れるすべての子に、むちを加えられるからである。」 + 訓練と思って耐え忍びなさい。神はあなたがたを子として扱っておられるのです。父が懲らしめることをしない子がいるでしょうか。 + もしあなたがたが、だれでも受ける懲らしめを受けていないとすれば、私生子であって、ほんとうの子ではないのです。 + さらにまた、私たちには肉の父がいて、私たちを懲らしめたのですが、しかも私たちは彼らを敬ったのであれば、なおさらのこと、私たちはすべての霊の父に服従して生きるべきではないでしょうか。 + なぜなら、肉の父親は、短い期間、自分が良いと思うままに私たちを懲らしめるのですが、霊の父は、私たちの益のため、私たちをご自分の聖さにあずからせようとして、懲らしめるのです。 + すべての懲らしめは、そのときは喜ばしいものではなく、かえって悲しく思われるものですが、後になると、これによって訓練された人々に平安な義の実を結ばせます。 + ですから、弱った手と衰えたひざとを、まっすぐにしなさい。 + また、あなたがたの足のためには、まっすぐな道を作りなさい。なえた足が関節をはずさないため、いやむしろ、いやされるためです。 + すべての人との平和を追い求め、また、聖められることを追い求めなさい。聖くなければ、だれも主を見ることができません。 + そのためには、あなたがたはよく監督して、だれも神の恵みから落ちる者がないように、また、苦い根が芽を出して悩ましたり、これによって多くの人が汚されたりすることのないように、 + また、不品行の者や、一杯の食物と引き替えに自分のものであった長子の権利を売ったエサウのような俗悪な者がないようにしなさい。 + あなたがたが知っているとおり、彼は後になって祝福を相続したいと思ったが、退けられました。涙を流して求めても、彼には心を変えてもらう余地がありませんでした。 + あなたがたは、手でさわれる山、燃える火、黒雲、暗やみ、あらし、 + ラッパの響き、ことばのとどろきに近づいているのではありません。このとどろきは、これを聞いた者たちが、それ以上一言も加えてもらいたくないと願ったものです。 + 彼らは、「たとい、獣でも、山に触れるものは石で打ち殺されなければならない」というその命令に耐えることができなかったのです。 + また、その光景があまり恐ろしかったので、モーセは、「私は恐れて、震える」と言いました。 + しかし、あなたがたは、シオンの山、生ける神の都、天にあるエルサレム、無数の御使いたちの大祝会に近づいているのです。 + また、天に登録されている長子たちの教会、万民の審判者である神、全うされた義人たちの霊、 + さらに、新しい契約の仲介者イエス、それに、アベルの血よりもすぐれたことを語る注ぎかけの血に近づいています。 + 語っておられる方を拒まないように注意しなさい。なぜなら、地上においても、警告を与えた方を拒んだ彼らが処罰を免れることができなかったとすれば、まして天から語っておられる方に背を向ける私たちが、処罰を免れることができないのは当然ではありませんか。 + あのときは、その声が地を揺り動かしましたが、このたびは約束をもって、こう言われます。「わたしは、もう一度、地だけではなく、天も揺り動かす。」 + この「もう一度」ということばは、決して揺り動かされることのないものが残るために、すべての造られた、揺り動かされるものが取り除かれることを示しています。 + こういうわけで、私たちは揺り動かされない御国を受けているのですから、感謝しようではありませんか。こうして私たちは、慎みと恐れとをもって、神に喜ばれるように奉仕をすることができるのです。 + 私たちの神は焼き尽くす火です。 + + + 兄弟愛をいつも持っていなさい。 + 旅人をもてなすことを忘れてはいけません。こうして、ある人々は御使いたちを、それとは知らずにもてなしました。 + 牢につながれている人々を、自分も牢にいる気持ちで思いやり、また、自分も肉体を持っているのですから、苦しめられている人々を思いやりなさい。 + 結婚がすべての人に尊ばれるようにしなさい。寝床を汚してはいけません。なぜなら、神は不品行な者と姦淫を行う者とをさばかれるからです。 + 金銭を愛する生活をしてはいけません。いま持っているもので満足しなさい。主ご自身がこう言われるのです。「わたしは決してあなたを離れず、また、あなたを捨てない。」 + そこで、私たちは確信に満ちてこう言います。「主は私の助け手です。私は恐れません。人間が、私に対して何ができましょう。」 + 神のみことばをあなたがたに話した指導者たちのことを、思い出しなさい。彼らの生活の結末をよく見て、その信仰にならいなさい。 + イエス・キリストは、きのうもきょうも、いつまでも、同じです。 + さまざまの異なった教えによって迷わされてはなりません。食物によってではなく、恵みによって心を強めるのは良いことです。食物に気を取られた者は益を得ませんでした。 + 私たちには一つの祭壇があります。幕屋で仕える者たちには、この祭壇から食べる権利がありません。 + 動物の血は、罪のための供え物として、大祭司によって聖所の中まで持って行かれますが、からだは宿営の外で焼かれるからです。 + ですから、イエスも、ご自分の血によって民を聖なるものとするために、門の外で苦しみを受けられました。 + ですから、私たちは、キリストのはずかしめを身に負って、宿営の外に出て、みもとに行こうではありませんか。 + 私たちは、この地上に永遠の都を持っているのではなく、むしろ後に来ようとしている都を求めているのです。 + ですから、私たちはキリストを通して、賛美のいけにえ、すなわち御名をたたえるくちびるの果実を、神に絶えずささげようではありませんか。 + 善を行うことと、持ち物を人に分けることとを怠ってはいけません。神はこのようないけにえを喜ばれるからです。 + あなたがたの指導者たちの言うことを聞き、また服従しなさい。この人々は神に弁明する者であって、あなたがたのたましいのために見張りをしているのです。ですから、この人たちが喜んでそのことをし、嘆いてすることにならないようにしなさい。そうでないと、あなたがたの益にならないからです。 + 私たちのために祈ってください。私たちは、正しい良心を持っていると確信しており、何事についても正しく行動しようと願っているからです。 + また、もっと祈ってくださるよう特にお願いします。それだけ、私があなたがたのところに早く帰れるようになるからです。 + 永遠の契約の血による羊の大牧者、私たちの主イエスを死者の中から導き出された平和の神が、 + イエス・キリストにより、御前でみこころにかなうことを私たちのうちに行い、あなたがたがみこころを行うことができるために、すべての良いことについて、あなたがたを完全な者としてくださいますように。どうか、キリストに栄光が世々限りなくありますように。アーメン。 + 兄弟たち。このような勧めのことばを受けてください。私はただ手短に書きました。 + 私たちの兄弟テモテが釈放されたことをお知らせします。もし彼が早く来れば、私は彼といっしょにあなたがたに会えるでしょう。 + すべてのあなたがたの指導者たち、また、すべての聖徒たちによろしく言ってください。イタリヤから来た人たちが、あなたがたによろしくと言っています。 + 恵みが、あなたがたすべてとともにありますように。 + +
+
+ + 神と主イエス・キリストのしもべヤコブが、国外に散っている十二の部族へあいさつを送ります。 + 私の兄弟たち。さまざまな試練に会うときは、それをこの上もない喜びと思いなさい。 + 信仰がためされると忍耐が生じるということを、あなたがたは知っているからです。 + その忍耐を完全に働かせなさい。そうすれば、あなたがたは、何一つ欠けたところのない、成長を遂げた、完全な者となります。 + あなたがたの中に知恵の欠けた人がいるなら、その人は、だれにでも惜しげなく、とがめることなくお与えになる神に願いなさい。そうすればきっと与えられます。 + ただし、少しも疑わずに、信じて願いなさい。疑う人は、風に吹かれて揺れ動く、海の大波のようです。 + そういう人は、主から何かをいただけると思ってはなりません。 + そういうのは、二心のある人で、その歩む道のすべてに安定を欠いた人です。 + 貧しい境遇にある兄弟は、自分の高い身分を誇りとしなさい。 + 富んでいる人は、自分が低くされることに誇りを持ちなさい。なぜなら、富んでいる人は、草の花のように過ぎ去って行くからです。 + 太陽が熱風を伴って上って来ると、草を枯らしてしまいます。すると、その花は落ち、美しい姿は滅びます。同じように、富んでいる人も、働きの最中に消えて行くのです。 + 試練に耐える人は幸いです。耐え抜いて良しと認められた人は、神を愛する者に約束された、いのちの冠を受けるからです。 + だれでも誘惑に会ったとき、神によって誘惑された、と言ってはいけません。神は悪に誘惑されることのない方であり、ご自分でだれを誘惑なさることもありません。 + 人はそれぞれ自分の欲に引かれ、おびき寄せられて、誘惑されるのです。 + 欲がはらむと罪を生み、罪が熟すると死を生みます。 + 愛する兄弟たち。だまされないようにしなさい。 + すべての良い贈り物、また、すべての完全な賜物は上から来るのであって、光を造られた父から下るのです。父には移り変わりや、移り行く影はありません。 + 父はみこころのままに、真理のことばをもって私たちをお生みになりました。私たちを、いわば被造物の初穂にするためなのです。 + 愛する兄弟たち。あなたがたはそのことを知っているのです。しかし、だれでも、聞くには早く、語るにはおそく、怒るにはおそいようにしなさい。 + 人の怒りは、神の義を実現するものではありません。 + ですから、すべての汚れやあふれる悪を捨て去り、心に植えつけられたみことばを、すなおに受け入れなさい。みことばは、あなたがたのたましいを救うことができます。 + また、みことばを実行する人になりなさい。自分を欺いて、ただ聞くだけの者であってはいけません。 + みことばを聞いても行わない人がいるなら、その人は自分の生まれつきの顔を鏡で見る人のようです。 + 自分をながめてから立ち去ると、すぐにそれがどのようであったかを忘れてしまいます。 + ところが、完全な律法、すなわち自由の律法を一心に見つめて離れない人は、すぐに忘れる聞き手にはならないで、事を実行する人になります。こういう人は、その行いによって祝福されます。 + 自分は宗教に熱心であると思っても、自分の舌にくつわをかけず、自分の心を欺いているなら、そのような人の宗教はむなしいものです。 + 父なる神の御前できよく汚れのない宗教は、孤児や、やもめたちが困っているときに世話をし、この世から自分をきよく守ることです。 + + + 私の兄弟たち。あなたがたは私たちの栄光の主イエス・キリストを信じる信仰を持っているのですから、人をえこひいきしてはいけません。 + あなたがたの会堂に、金の指輪をはめ、りっぱな服装をした人が入って来、またみすぼらしい服装をした貧しい人も入って来たとします。 + あなたがたが、りっぱな服装をした人に目を留めて、「あなたは、こちらの良い席におすわりなさい」と言い、貧しい人には、「あなたは、そこで立っていなさい。でなければ、私の足もとにすわりなさい」と言うとすれば、 + あなたがたは、自分たちの間で差別を設け、悪い考え方で人をさばく者になったのではありませんか。 + よく聞きなさい。愛する兄弟たち。神は、この世の貧しい人たちを選んで信仰に富む者とし、神を愛する者に約束されている御国を相続する者とされたではありませんか。 + それなのに、あなたがたは貧しい人を軽蔑したのです。あなたがたをしいたげるのは富んだ人たちではありませんか。また、あなたがたを裁判所に引いて行くのも彼らではありませんか。 + あなたがたがその名で呼ばれている尊い御名をけがすのも彼らではありませんか。 + もし、ほんとうにあなたがたが、聖書に従って、「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」という最高の律法を守るなら、あなたがたの行いはりっぱです。 + しかし、もし人をえこひいきするなら、あなたがたは罪を犯しており、律法によって違反者として責められます。 + 律法全体を守っても、一つの点でつまずくなら、その人はすべてを犯した者となったのです。 + なぜなら、「姦淫してはならない」と言われた方は、「殺してはならない」とも言われたからです。そこで、姦淫しなくても人殺しをすれば、あなたは律法の違反者となったのです。 + 自由の律法によってさばかれる者らしく語り、またそのように行いなさい。 + あわれみを示したことのない者に対するさばきは、あわれみのないさばきです。あわれみは、さばきに向かって勝ち誇るのです。 + 私の兄弟たち。だれかが自分には信仰があると言っても、その人に行いがないなら、何の役に立ちましょう。そのような信仰がその人を救うことができるでしょうか。 + もし、兄弟また姉妹のだれかが、着る物がなく、また、毎日の食べ物にもこと欠いているようなときに、 + あなたがたのうちだれかが、その人たちに、「安心して行きなさい。暖かになり、十分に食べなさい」と言っても、もしからだに必要な物を与えないなら、何の役に立つでしょう。 + それと同じように、信仰も、もし行いがなかったなら、それだけでは、死んだものです。 + さらに、こう言う人もあるでしょう。「あなたは信仰を持っているが、私は行いを持っています。行いのないあなたの信仰を、私に見せてください。私は、行いによって、私の信仰をあなたに見せてあげます。」 + あなたは、神はおひとりだと信じています。りっぱなことです。ですが、悪霊どももそう信じて、身震いしています。 + ああ愚かな人よ。あなたは行いのない信仰がむなしいことを知りたいと思いますか。 + 私たちの父アブラハムは、その子イサクを祭壇にささげたとき、行いによって義と認められたではありませんか。 + あなたの見ているとおり、彼の信仰は彼の行いとともに働いたのであり、信仰は行いによって全うされ、 + そして、「アブラハムは神を信じ、その信仰が彼の義とみなされた」という聖書のことばが実現し、彼は神の友と呼ばれたのです。 + 人は行いによって義と認められるのであって、信仰だけによるのではないことがわかるでしょう。 + 同様に、遊女ラハブも、使者たちを招き入れ、別の道から送り出したため、その行いによって義と認められたではありませんか。 + たましいを離れたからだが、死んだものであるのと同様に、行いのない信仰は、死んでいるのです。 + + + 私の兄弟たち。多くの者が教師になってはいけません。ご承知のように、私たち教師は、格別きびしいさばきを受けるのです。 + 私たちはみな、多くの点で失敗をするものです。もし、ことばで失敗をしない人がいたら、その人は、からだ全体もりっぱに制御できる完全な人です。 + 馬を御するために、くつわをその口にかけると、馬のからだ全体を引き回すことができます。 + また、船を見なさい。あのように大きな物が、強い風に押されているときでも、ごく小さなかじによって、かじを取る人の思いどおりの所へ持って行かれるのです。 + 同様に、舌も小さな器官ですが、大きなことを言って誇るのです。ご覧なさい。あのように小さい火があのような大きい森を燃やします。 + 舌は火であり、不義の世界です。舌は私たちの器官の一つですが、からだ全体を汚し、人生の車輪を焼き、そしてゲヘナの火によって焼かれます。 + どのような種類の獣も鳥も、はうものも海の生き物も、人類によって制せられるし、すでに制せられています。 + しかし、舌を制御することは、だれにもできません。それは少しもじっとしていない悪であり、死の毒に満ちています。 + 私たちは、舌をもって、主であり父である方をほめたたえ、同じ舌をもって、神にかたどって造られた人をのろいます。 + 賛美とのろいが同じ口から出て来るのです。私の兄弟たち。このようなことは、あってはなりません。 + 泉が甘い水と苦い水を同じ穴からわき上がらせるというようなことがあるでしょうか。 + 私の兄弟たち。いちじくの木がオリーブの実をならせたり、ぶどうの木がいちじくの実をならせたりするようなことは、できることでしょうか。塩水が甘い水を出すこともできないことです。 + あなたがたのうちで、知恵のある、賢い人はだれでしょうか。その人は、その知恵にふさわしい柔和な行いを、良い生き方によって示しなさい。 + しかし、もしあなたがたの心の中に、苦いねたみと敵対心があるならば、誇ってはいけません。真理に逆らって偽ることになります。 + そのような知恵は、上から来たものではなく、地に属し、肉に属し、悪霊に属するものです。 + ねたみや敵対心のあるところには、秩序の乱れや、あらゆる邪悪な行いがあるからです。 + しかし、上からの知恵は、第一に純真であり、次に平和、寛容、温順であり、また、あわれみと良い実とに満ち、えこひいきがなく、見せかけのないものです。 + 義の実を結ばせる種は、平和をつくる人によって平和のうちに蒔かれます。 + + + 何が原因で、あなたがたの間に戦いや争いがあるのでしょう。あなたがたのからだの中で戦う欲望が原因ではありませんか。 + あなたがたは、ほしがっても自分のものにならないと、人殺しをするのです。うらやんでも手に入れることができないと、争ったり、戦ったりするのです。あなたがたのものにならないのは、あなたがたが願わないからです。 + 願っても受けられないのは、自分の快楽のために使おうとして、悪い動機で願うからです。 + 貞操のない人たち。世を愛することは神に敵することであることがわからないのですか。世の友となりたいと思ったら、その人は自分を神の敵としているのです。 + それとも、「神は、私たちのうちに住まわせた御霊を、ねたむほどに慕っておられる」という聖書のことばが、無意味だと思うのですか。 + しかし、神は、さらに豊かな恵みを与えてくださいます。ですから、こう言われています。「神は、高ぶる者を退け、へりくだる者に恵みをお授けになる。」 + ですから、神に従いなさい。そして、悪魔に立ち向かいなさい。そうすれば、悪魔はあなたがたから逃げ去ります。 + 神に近づきなさい。そうすれば、神はあなたがたに近づいてくださいます。罪ある人たち。手を洗いきよめなさい。二心の人たち。心を清くしなさい。 + あなたがたは、苦しみなさい。悲しみなさい。泣きなさい。あなたがたの笑いを悲しみに、喜びを憂いに変えなさい。 + 主の御前でへりくだりなさい。そうすれば、主があなたがたを高くしてくださいます。 + 兄弟たち。互いに悪口を言い合ってはいけません。自分の兄弟の悪口を言い、自分の兄弟をさばく者は、律法の悪口を言い、律法をさばいているのです。あなたが、もし律法をさばくなら、律法を守る者ではなくて、さばく者です。 + 律法を定め、さばきを行う方は、ただひとりであり、その方は救うことも滅ぼすこともできます。隣人をさばくあなたは、いったい何者ですか。 + 聞きなさい。「きょうか、あす、これこれの町に行き、そこに一年いて、商売をして、もうけよう」と言う人たち。 + あなたがたには、あすのことはわからないのです。あなたがたのいのちは、いったいどのようなものですか。あなたがたは、しばらくの間現れて、それから消えてしまう霧にすぎません。 + むしろ、あなたがたはこう言うべきです。「主のみこころなら、私たちは生きていて、このことを、または、あのことをしよう。」 + ところがこのとおり、あなたがたはむなしい誇りをもって高ぶっています。そのような高ぶりは、すべて悪いことです。 + こういうわけで、なすべき正しいことを知っていながら行わないなら、それはその人の罪です。 + + + 聞きなさい。金持ちたち。あなたがたの上に迫って来る悲惨を思って泣き叫びなさい。 + あなたがたの富は腐っており、あなたがたの着物は虫に食われており、 + あなたがたの金銀にはさびが来て、そのさびが、あなたがたを責める証言となり、あなたがたの肉を火のように食い尽くします。あなたがたは、終わりの日に財宝をたくわえました。 + 見なさい。あなたがたの畑の刈り入れをした労働者への未払い賃金が、叫び声をあげています。そして、取り入れをした人たちの叫び声は、万軍の主の耳に届いています。 + あなたがたは、地上でぜいたくに暮らし、快楽にふけり、殺される日にあたって自分の心を太らせました。 + あなたがたは、正しい人を罪に定めて、殺しました。彼はあなたがたに抵抗しません。 + こういうわけですから、兄弟たち。主が来られる時まで耐え忍びなさい。見なさい。農夫は、大地の貴重な実りを、秋の雨や春の雨が降るまで、耐え忍んで待っています。 + あなたがたも耐え忍びなさい。心を強くしなさい。主の来られるのが近いからです。 + 兄弟たち。互いにつぶやき合ってはいけません。さばかれないためです。見なさい。さばきの主が、戸口のところに立っておられます。 + 苦難と忍耐については、兄弟たち、主の御名によって語った預言者たちを模範にしなさい。 + 見なさい。耐え忍んだ人たちは幸いであると、私たちは考えます。あなたがたは、ヨブの忍耐のことを聞いています。また、主が彼になさったことの結末を見たのです。主は慈愛に富み、あわれみに満ちておられる方だということです。 + 私の兄弟たちよ。何よりもまず、誓わないようにしなさい。天をさしても地をさしても、そのほかの何をさしてもです。ただ、「はい」を「はい」、「いいえ」を「いいえ」としなさい。それは、あなたがたが、さばきに会わないためです。 + あなたがたのうちに苦しんでいる人がいますか。その人は祈りなさい。喜んでいる人がいますか。その人は賛美しなさい。 + あなたがたのうちに病気の人がいますか。その人は教会の長老たちを招き、主の御名によって、オリーブ油を塗って祈ってもらいなさい。 + 信仰による祈りは、病む人を回復させます。主はその人を立たせてくださいます。また、もしその人が罪を犯していたなら、その罪は赦されます。 + ですから、あなたがたは、互いに罪を言い表し、互いのために祈りなさい。いやされるためです。義人の祈りは働くと、大きな力があります。 + エリヤは、私たちと同じような人でしたが、雨が降らないように熱心に祈ると、三年六か月の間、地に雨が降りませんでした。 + そして、再び祈ると、天は雨を降らせ、地はその実を実らせました。 + 私の兄弟たち。あなたがたのうちに、真理から迷い出た者がいて、だれかがその人を連れ戻すようなことがあれば、 + 罪人を迷いの道から引き戻す者は、罪人のたましいを死から救い出し、また、多くの罪をおおうのだということを、あなたがたは知っていなさい。 + +
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+ + イエス・キリストの使徒ペテロから、ポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤ、ビテニヤに散って寄留している、選ばれた人々、すなわち、 + 父なる神の予知に従い、御霊の聖めによって、イエス・キリストに従うように、またその血の注ぎかけを受けるように選ばれた人々へ。どうか、恵みと平安が、あなたがたの上にますます豊かにされますように。 + 私たちの主イエス・キリストの父なる神がほめたたえられますように。神は、ご自分の大きなあわれみのゆえに、イエス・キリストが死者の中からよみがえられたことによって、私たちを新しく生まれさせて、生ける望みを持つようにしてくださいました。 + また、朽ちることも汚れることも、消えて行くこともない資産を受け継ぐようにしてくださいました。これはあなたがたのために、天にたくわえられているのです。 + あなたがたは、信仰により、神の御力によって守られており、終わりのときに現されるように用意されている救いをいただくのです。 + そういうわけで、あなたがたは大いに喜んでいます。いまは、しばらくの間、さまざまの試練の中で、悲しまなければならないのですが、 + あなたがたの信仰の試練は、火で精錬されつつなお朽ちて行く金よりも尊く、イエス・キリストの現れのときに称賛と光栄と栄誉になることがわかります。 + あなたがたはイエス・キリストを見たことはないけれども愛しており、いま見てはいないけれども信じており、ことばに尽くすことのできない、栄えに満ちた喜びにおどっています。 + これは、信仰の結果である、たましいの救いを得ているからです。 + この救いについては、あなたがたに対する恵みについて預言した預言者たちも、熱心に尋ね、細かく調べました。 + 彼らは、自分たちのうちにおられるキリストの御霊が、キリストの苦難とそれに続く栄光を前もってあかしされたとき、だれを、また、どのような時をさして言われたのかを調べたのです。 + 彼らは、それらのことが、自分たちのためではなく、あなたがたのための奉仕であるとの啓示を受けました。そして今や、それらのことは、天から送られた聖霊によってあなたがたに福音を語った人々を通して、あなたがたに告げ知らされたのです。それは御使いたちもはっきり見たいと願っていることなのです。 + ですから、あなたがたは、心を引き締め、身を慎み、イエス・キリストの現れのときあなたがたにもたらされる恵みを、ひたすら待ち望みなさい。 + 従順な子どもとなり、以前あなたがたが無知であったときのさまざまな欲望に従わず、 + あなたがたを召してくださった聖なる方にならって、あなたがた自身も、あらゆる行いにおいて聖なるものとされなさい。 + それは、「わたしが聖であるから、あなたがたも、聖でなければならない」と書いてあるからです。 + また、人をそれぞれのわざに従って公平にさばかれる方を父と呼んでいるのなら、あなたがたが地上にしばらくとどまっている間の時を、恐れかしこんで過ごしなさい。 + ご承知のように、あなたがたが父祖伝来のむなしい生き方から贖い出されたのは、銀や金のような朽ちる物にはよらず、 + 傷もなく汚れもない小羊のようなキリストの、尊い血によったのです。 + キリストは、世の始まる前から知られていましたが、この終わりの時に、あなたがたのために、現れてくださいました。 + あなたがたは、死者の中からこのキリストをよみがえらせて彼に栄光を与えられた神を、キリストによって信じる人々です。このようにして、あなたがたの信仰と希望は神にかかっているのです。 + あなたがたは、真理に従うことによって、たましいを清め、偽りのない兄弟愛を抱くようになったのですから、互いに心から熱く愛し合いなさい。 + あなたがたが新しく生まれたのは、朽ちる種からではなく、朽ちない種からであり、生ける、いつまでも変わることのない、神のことばによるのです。 + 「人はみな草のようで、その栄えは、みな草の花のようだ。/草はしおれ、花は散る。 + しかし、主のことばは、とこしえに変わることがない。」/とあるからです。あなたがたに宣べ伝えられた福音のことばがこれです。 + + + ですから、あなたがたは、すべての悪意、すべてのごまかし、いろいろな偽善やねたみ、すべての悪口を捨てて、 + 生まれたばかりの乳飲み子のように、純粋な、みことばの乳を慕い求めなさい。それによって成長し、救いを得るためです。 + あなたがたはすでに、主がいつくしみ深い方であることを味わっているのです。 + 主のもとに来なさい。主は、人には捨てられたが、神の目には、選ばれた、尊い、生ける石です。 + あなたがたも生ける石として、霊の家に築き上げられなさい。そして、聖なる祭司として、イエス・キリストを通して、神に喜ばれる霊のいけにえをささげなさい。 + なぜなら、聖書にこうあるからです。「見よ。わたしはシオンに、選ばれた石、尊い礎石を置く。彼に信頼する者は、決して失望させられることがない。」 + したがって、より頼んでいるあなたがたには尊いものですが、より頼んでいない人々にとっては、「家を建てる者たちが捨てた石、それが礎の石となった」のであって、 + 「つまずきの石、妨げの岩」なのです。彼らがつまずくのは、みことばに従わないからですが、またそうなるように定められていたのです。 + しかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなたがたを、やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなたがたが宣べ伝えるためなのです。 + あなたがたは、以前は神の民ではなかったのに、今は神の民であり、以前はあわれみを受けない者であったのに、今はあわれみを受けた者です。 + 愛する者たちよ。あなたがたにお勧めします。旅人であり寄留者であるあなたがたは、たましいに戦いをいどむ肉の欲を遠ざけなさい。 + 異邦人の中にあって、りっぱにふるまいなさい。そうすれば、彼らは、何かのことであなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなたがたのそのりっぱな行いを見て、おとずれの日に神をほめたたえるようになります。 + 人の立てたすべての制度に、主のゆえに従いなさい。それが主権者である王であっても、 + また、悪を行う者を罰し、善を行う者をほめるように王から遣わされた総督であっても、そうしなさい。 + というのは、善を行って、愚かな人々の無知の口を封じることは、神のみこころだからです。 + あなたがたは自由人として行動しなさい。その自由を、悪の口実に用いないで、神の奴隷として用いなさい。 + すべての人を敬いなさい。兄弟たちを愛し、神を恐れ、王を尊びなさい。 + しもべたちよ。尊敬の心を込めて主人に服従しなさい。善良で優しい主人に対してだけでなく、横暴な主人に対しても従いなさい。 + 人がもし、不当な苦しみを受けながらも、神の前における良心のゆえに、悲しみをこらえるなら、それは喜ばれることです。 + 罪を犯したために打ちたたかれて、それを耐え忍んだからといって、何の誉れになるでしょう。けれども、善を行っていて苦しみを受け、それを耐え忍ぶとしたら、それは、神に喜ばれることです。 + あなたがたが召されたのは、実にそのためです。キリストも、あなたがたのために苦しみを受け、その足跡に従うようにと、あなたがたに模範を残されました。 + キリストは罪を犯したことがなく、その口に何の偽りも見いだされませんでした。 + ののしられても、ののしり返さず、苦しめられても、おどすことをせず、正しくさばかれる方にお任せになりました。 + そして自分から十字架の上で、私たちの罪をその身に負われました。それは、私たちが罪を離れ、義のために生きるためです。キリストの打ち傷のゆえに、あなたがたは、いやされたのです。 + あなたがたは、羊のようにさまよっていましたが、今は、自分のたましいの牧者であり監督者である方のもとに帰ったのです。 + + + 同じように、妻たちよ。自分の夫に服従しなさい。たとい、みことばに従わない夫であっても、妻の無言のふるまいによって、神のものとされるようになるためです。 + それは、あなたがたの、神を恐れかしこむ清い生き方を彼らが見るからです。 + あなたがたは、髪を編んだり、金の飾りをつけたり、着物を着飾るような外面的なものでなく、 + むしろ、柔和で穏やかな霊という朽ちることのないものを持つ、心の中の隠れた人がらを飾りにしなさい。これこそ、神の御前に価値あるものです。 + むかし神に望みを置いた敬虔な婦人たちも、このように自分を飾って、夫に従ったのです。 + たとえばサラも、アブラハムを主と呼んで彼に従いました。あなたがたも、どんなことをも恐れないで善を行えば、サラの子となるのです。 + 同じように、夫たちよ。妻が女性であって、自分よりも弱い器だということをわきまえて妻とともに生活し、いのちの恵みをともに受け継ぐ者として尊敬しなさい。それは、あなたがたの祈りが妨げられないためです。 + 最後に申します。あなたがたはみな、心を一つにし、同情し合い、兄弟愛を示し、あわれみ深く、謙遜でありなさい。 + 悪をもって悪に報いず、侮辱をもって侮辱に報いず、かえって祝福を与えなさい。あなたがたは祝福を受け継ぐために召されたのだからです。 + 「いのちを愛し、幸いな日々を過ごしたいと思う者は、舌を押さえて悪を言わず、くちびるを閉ざして偽りを語らず、 + 悪から遠ざかって善を行い、平和を求めてこれを追い求めよ。 + 主の目は義人の上に注がれ、主の耳は彼らの祈りに傾けられる。/しかし主の顔は、悪を行う者に立ち向かう。」 + もし、あなたがたが善に熱心であるなら、だれがあなたがたに害を加えるでしょう。 + いや、たとい義のために苦しむことがあるにしても、それは幸いなことです。彼らの脅かしを恐れたり、それによって心を動揺させたりしてはいけません。 + むしろ、心の中でキリストを主としてあがめなさい。そして、あなたがたのうちにある希望について説明を求める人には、だれにでもいつでも弁明できる用意をしていなさい。 + ただし、優しく、慎み恐れて、また、正しい良心をもって弁明しなさい。そうすれば、キリストにあるあなたがたの正しい生き方をののしる人たちが、あなたがたをそしったことで恥じ入るでしょう。 + もし、神のみこころなら、善を行って苦しみを受けるのが、悪を行って苦しみを受けるよりよいのです。 + キリストも一度罪のために死なれました。正しい方が悪い人々の身代わりとなったのです。それは、肉においては死に渡され、霊においては生かされて、私たちを神のみもとに導くためでした。 + その霊において、キリストは捕らわれの霊たちのところに行って、みことばを語られたのです。 + 昔、ノアの時代に、箱舟が造られていた間、神が忍耐して待っておられたときに、従わなかった霊たちのことです。わずか八人の人々が、この箱舟の中で、水を通って救われたのです。 + そのことは、今あなたがたを救うバプテスマをあらかじめ示した型なのです。バプテスマは肉体の汚れを取り除くものではなく、正しい良心の神への誓いであり、イエス・キリストの復活によるものです。 + キリストは天に上り、御使いたち、および、もろもろの権威と権力を従えて、神の右の座におられます。 + + + このように、キリストは肉体において苦しみを受けられたのですから、あなたがたも同じ心構えで自分自身を武装しなさい。肉体において苦しみを受けた人は、罪とのかかわりを断ちました。 + こうしてあなたがたは、地上の残された時を、もはや人間の欲望のためではなく、神のみこころのために過ごすようになるのです。 + あなたがたは、異邦人たちがしたいと思っていることを行い、好色、情欲、酔酒、遊興、宴会騒ぎ、忌むべき偶像礼拝などにふけったものですが、それは過ぎ去った時で、もう十分です。 + 彼らは、あなたがたが自分たちといっしょに度を過ごした放蕩に走らないので不思議に思い、また悪口を言います。 + 彼らは、生きている人々をも死んだ人々をも、すぐにもさばこうとしている方に対し、申し開きをしなければなりません。 + というのは、死んだ人々にも福音が宣べ伝えられていたのですが、それはその人々が肉体においては人間としてさばきを受けるが、霊においては神によって生きるためでした。 + 万物の終わりが近づきました。ですから、祈りのために、心を整え身を慎みなさい。 + 何よりもまず、互いに熱心に愛し合いなさい。愛は多くの罪をおおうからです。 + つぶやかないで、互いに親切にもてなし合いなさい。 + それぞれが賜物を受けているのですから、神のさまざまな恵みの良い管理者として、その賜物を用いて、互いに仕え合いなさい。 + 語る人があれば、神のことばにふさわしく語り、奉仕する人があれば、神が豊かに備えてくださる力によって、それにふさわしく奉仕しなさい。それは、すべてのことにおいて、イエス・キリストを通して神があがめられるためです。栄光と支配が世々限りなくキリストにありますように。アーメン。 + 愛する者たち。あなたがたを試みるためにあなたがたの間に燃えさかる火の試練を、何か思いがけないことが起こったかのように驚き怪しむことなく、 + むしろ、キリストの苦しみにあずかれるのですから、喜んでいなさい。それは、キリストの栄光が現れるときにも、喜びおどる者となるためです。 + もしキリストの名のために非難を受けるなら、あなたがたは幸いです。なぜなら、栄光の御霊、すなわち神の御霊が、あなたがたの上にとどまってくださるからです。 + あなたがたのうちのだれも、人殺し、盗人、悪を行う者、みだりに他人に干渉する者として苦しみを受けるようなことがあってはなりません。 + しかし、キリスト者として苦しみを受けるのなら、恥じることはありません。かえって、この名のゆえに神をあがめなさい。 + なぜなら、さばきが神の家から始まる時が来ているからです。さばきが、まず私たちから始まるのだとしたら、神の福音に従わない人たちの終わりは、どうなることでしょう。 + 義人がかろうじて救われるのだとしたら、神を敬わない者や罪人たちは、いったいどうなるのでしょう。 + ですから、神のみこころに従ってなお苦しみに会っている人々は、善を行うにあたって、真実であられる創造者に自分のたましいをお任せしなさい。 + + + そこで、私は、あなたがたのうちの長老たちに、同じく長老のひとり、キリストの苦難の証人、また、やがて現れる栄光にあずかる者として、お勧めします。 + あなたがたのうちにいる、神の羊の群れを、牧しなさい。強制されてするのではなく、神に従って、自分から進んでそれをなし、卑しい利得を求める心からではなく、心を込めてそれをしなさい。 + あなたがたは、その割り当てられている人たちを支配するのではなく、むしろ群れの模範となりなさい。 + そうすれば、大牧者が現れるときに、あなたがたは、しぼむことのない栄光の冠を受けるのです。 + 同じように、若い人たちよ。長老たちに従いなさい。みな互いに謙遜を身に着けなさい。神は高ぶる者に敵対し、へりくだる者に恵みを与えられるからです。 + ですから、あなたがたは、神の力強い御手の下にへりくだりなさい。神が、ちょうど良い時に、あなたがたを高くしてくださるためです。 + あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです。 + 身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたける獅子のように、食い尽くすべきものを捜し求めながら、歩き回っています。 + 堅く信仰に立って、この悪魔に立ち向かいなさい。ご承知のように、世にあるあなたがたの兄弟である人々は同じ苦しみを通って来たのです。 + あらゆる恵みに満ちた神、すなわち、あなたがたをキリストにあってその永遠の栄光の中に招き入れてくださった神ご自身が、あなたがたをしばらくの苦しみのあとで完全にし、堅く立たせ、強くし、不動の者としてくださいます。 + どうか、神のご支配が世々限りなくありますように。アーメン。 + 私の認めている忠実な兄弟シルワノによって、私はここに簡潔に書き送り、勧めをし、これが神の真の恵みであることをあかししました。この恵みの中に、しっかりと立っていなさい。 + バビロンにいる、あなたがたとともに選ばれた婦人がよろしくと言っています。また私の子マルコもよろしくと言っています。 + 愛の口づけをもって互いにあいさつをかわしなさい。/キリストにあるあなたがたすべての者に、平安がありますように。 + +
+
+ + イエス・キリストのしもべであり使徒であるシモン・ペテロから、私たちの神であり救い主であるイエス・キリストの義によって私たちと同じ尊い信仰を受けた方々へ。 + 神と私たちの主イエスを知ることによって、恵みと平安が、あなたがたの上にますます豊かにされますように。 + というのは、私たちをご自身の栄光と徳によってお召しになった方を私たちが知ったことによって、主イエスの、神としての御力は、いのちと敬虔に関するすべてのことを私たちに与えるからです。 + その栄光と徳によって、尊い、すばらしい約束が私たちに与えられました。それは、あなたがたが、その約束のゆえに、世にある欲のもたらす滅びを免れ、神のご性質にあずかる者となるためです。 + こういうわけですから、あなたがたは、あらゆる努力をして、信仰には徳を、徳には知識を、 + 知識には自制を、自制には忍耐を、忍耐には敬虔を、 + 敬虔には兄弟愛を、兄弟愛には愛を加えなさい。 + これらがあなたがたに備わり、ますます豊かになるなら、あなたがたは、私たちの主イエス・キリストを知る点で、役に立たない者とか、実を結ばない者になることはありません。 + これらを備えていない者は、近視眼であり、盲目であって、自分の以前の罪がきよめられたことを忘れてしまったのです。 + ですから、兄弟たちよ。ますます熱心に、あなたがたの召されたことと選ばれたこととを確かなものとしなさい。これらのことを行っていれば、つまずくことなど決してありません。 + このようにあなたがたは、私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの永遠の御国に入る恵みを豊かに加えられるのです。 + ですから、すでにこれらのことを知っており、現に持っている真理に堅く立っているあなたがたであるとはいえ、私はいつもこれらのことを、あなたがたに思い起こさせようとするのです。 + 私が地上の幕屋にいる間は、これらのことを思い起こさせることによって、あなたがたを奮い立たせることを、私のなすべきことと思っています。 + それは、私たちの主イエス・キリストも、私にはっきりお示しになったとおり、私がこの幕屋を脱ぎ捨てるのが間近に迫っているのを知っているからです。 + また、私の去った後に、あなたがたがいつでもこれらのことを思い起こせるよう、私は努めたいのです。 + 私たちは、あなたがたに、私たちの主イエス・キリストの力と来臨とを知らせましたが、それは、うまく考え出した作り話に従ったのではありません。この私たちは、キリストの威光の目撃者なのです。 + キリストが父なる神から誉れと栄光をお受けになったとき、おごそかな、栄光の神から、こういう御声がかかりました。「これはわたしの愛する子、わたしの喜ぶ者である。」 + 私たちは聖なる山で主イエスとともにいたので、天からかかったこの御声を、自分自身で聞いたのです。 + また、私たちは、さらに確かな預言のみことばを持っています。夜明けとなって、明けの明星があなたがたの心の中に上るまでは、暗い所を照らすともしびとして、それに目を留めているとよいのです。 + それには何よりも次のことを知っていなければいけません。すなわち、聖書の預言はみな、人の私的解釈を施してはならない、ということです。 + なぜなら、預言は決して人間の意志によってもたらされたのではなく、聖霊に動かされた人たちが、神からのことばを語ったのだからです。 + + + しかし、イスラエルの中には、にせ預言者も出ました。同じように、あなたがたの中にも、にせ教師が現れるようになります。彼らは、滅びをもたらす異端をひそかに持ち込み、自分たちを買い取ってくださった主を否定するようなことさえして、自分たちの身にすみやかな滅びを招いています。 + そして、多くの者が彼らの好色にならい、そのために真理の道がそしりを受けるのです。 + また彼らは、貪欲なので、作り事のことばをもってあなたがたを食い物にします。彼らに対するさばきは、昔から怠りなく行われており、彼らが滅ぼされないままでいることはありません。 + 神は、罪を犯した御使いたちを、容赦せず、地獄に引き渡し、さばきの時まで暗やみの穴の中に閉じ込めてしまわれました。 + また、昔の世界を赦さず、義を宣べ伝えたノアたち八人の者を保護し、不敬虔な世界に洪水を起こされました。 + また、ソドムとゴモラの町を破滅に定めて灰にし、以後の不敬虔な者へのみせしめとされました。 + また、無節操な者たちの好色なふるまいによって悩まされていた義人ロトを救い出されました。 + というのは、この義人は、彼らの間に住んでいましたが、不法な行いを見聞きして、日々その正しい心を痛めていたからです。 + これらのことでわかるように、主は、敬虔な者たちを誘惑から救い出し、不義な者どもを、さばきの日まで、懲罰のもとに置くことを心得ておられるのです。 + 汚れた情欲を燃やし、肉に従って歩み、権威を侮る者たちに対しては、特にそうなのです。彼らは、大胆不敵な、尊大な者たちで、栄誉ある人たちをそしって、恐れるところがありません。 + それに比べると、御使いたちは、勢いにも力にもまさっているにもかかわらず、主の御前に彼らをそしって訴えることはしません。 + ところがこの者どもは、捕らえられ殺されるために自然に生まれついた、理性のない動物と同じで、自分が知りもしないことをそしるのです。それで動物が滅ぼされるように、彼らも滅ぼされてしまうのです。 + 彼らは不義の報いとして損害を受けるのです。彼らは昼のうちから飲み騒ぐことを楽しみと考えています。彼らは、しみや傷のようなもので、あなたがたといっしょに宴席に連なるときに自分たちのだましごとを楽しんでいるのです。 + その目は淫行に満ちており、罪に関しては飽くことを知らず、心の定まらない者たちを誘惑し、その心は欲に目がありません。彼らはのろいの子です。 + 彼らは正しい道を捨ててさまよっています。不義の報酬を愛したベオルの子バラムの道に従ったのです。 + しかし、バラムは自分の罪をとがめられました。ものを言うことのないろばが、人間の声でものを言い、この預言者の狂った振舞いをはばんだのです。 + この人たちは、水のない泉、突風に吹き払われる霧です。彼らに用意されているものは、まっ暗なやみです。 + 彼らは、むなしい大言壮語を吐いており、誤った生き方をしていて、ようやくそれをのがれようとしている人々を肉欲と好色によって誘惑し、 + その人たちに自由を約束しながら、自分自身が滅びの奴隷なのです。人はだれかに征服されれば、その征服者の奴隷となったのです。 + 主であり救い主であるイエス・キリストを知ることによって世の汚れからのがれ、その後再びそれに巻き込まれて征服されるなら、そのような人たちの終わりの状態は、初めの状態よりももっと悪いものとなります。 + 義の道を知っていながら、自分に伝えられたその聖なる命令にそむくよりは、それを知らなかったほうが、彼らにとってよかったのです。 + 彼らに起こったことは、「犬は自分の吐いた物に戻る」とか、「豚は身を洗って、またどろの中にころがる」とかいう、ことわざどおりです。 + + + 愛する人たち。いま私がこの第二の手紙をあなたがたに書き送るのは、これらの手紙により、記憶を呼びさまさせて、あなたがたの純真な心を奮い立たせるためなのです。 + それは、聖なる預言者たちによって前もって語られたみことばと、あなたがたの使徒たちが語った、主であり救い主である方の命令とを思い起こさせるためなのです。 + まず第一に、次のことを知っておきなさい。終わりの日に、あざける者どもがやって来てあざけり、自分たちの欲望に従って生活し、 + 次のように言うでしょう。「キリストの来臨の約束はどこにあるのか。父祖たちが眠った時からこのかた、何事も創造の初めからのままではないか。」 + こう言い張る彼らは、次のことを見落としています。すなわち、天は古い昔からあり、地は神のことばによって水から出て、水によって成ったのであって、 + 当時の世界は、その水により、洪水におおわれて滅びました。 + しかし、今の天と地は、同じみことばによって、火に焼かれるためにとっておかれ、不敬虔な者どものさばきと滅びとの日まで、保たれているのです。 + しかし、愛する人たち。あなたがたは、この一事を見落としてはいけません。すなわち、主の御前では、一日は千年のようであり、千年は一日のようです。 + 主は、ある人たちがおそいと思っているように、その約束のことを遅らせておられるのではありません。かえって、あなたがたに対して忍耐深くあられるのであって、ひとりでも滅びることを望まず、すべての人が悔い改めに進むことを望んでおられるのです。 + しかし、主の日は、盗人のようにやって来ます。その日には、天は大きな響きをたてて消えうせ、天の万象は焼けてくずれ去り、地と地のいろいろなわざは焼き尽くされます。 + このように、これらのものはみな、くずれ落ちるものだとすれば、あなたがたは、どれほど聖い生き方をする敬虔な人でなければならないことでしょう。 + そのようにして、神の日の来るのを待ち望み、その日の来るのを早めなければなりません。その日が来れば、そのために、天は燃えてくずれ、天の万象は焼け溶けてしまいます。 + しかし、私たちは、神の約束に従って、正義の住む新しい天と新しい地を待ち望んでいます。 + そういうわけで、愛する人たち。このようなことを待ち望んでいるあなたがたですから、しみも傷もない者として、平安をもって御前に出られるように、励みなさい。 + また、私たちの主の忍耐は救いであると考えなさい。それは、私たちの愛する兄弟パウロも、その与えられた知恵に従って、あなたがたに書き送ったとおりです。 + その中で、ほかのすべての手紙でもそうなのですが、このことについて語っています。その手紙の中には理解しにくいところもあります。無知な、心の定まらない人たちは、聖書の他の個所の場合もそうするのですが、それらの手紙を曲解し、自分自身に滅びを招いています。 + 愛する人たち。そういうわけですから、このことをあらかじめ知っておいて、よく気をつけ、無節操な者たちの迷いに誘い込まれて自分自身の堅実さを失うことにならないようにしなさい。 + 私たちの主であり救い主であるイエス・キリストの恵みと知識において成長しなさい。このキリストに、栄光が、今も永遠の日に至るまでもありますように。アーメン。 + +
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+ + 初めからあったもの、私たちが聞いたもの、目で見たもの、じっと見、また手でさわったもの、すなわち、いのちのことばについて、 + ――このいのちが現れ、私たちはそれを見たので、そのあかしをし、あなたがたにこの永遠のいのちを伝えます。すなわち、御父とともにあって、私たちに現された永遠のいのちです。―― + 私たちの見たこと、聞いたことを、あなたがたにも伝えるのは、あなたがたも私たちと交わりを持つようになるためです。私たちの交わりとは、御父および御子イエス・キリストとの交わりです。 + 私たちがこれらのことを書き送るのは、私たちの喜びが全きものとなるためです。 + 神は光であって、神のうちには暗いところが少しもない。これが、私たちがキリストから聞いて、あなたがたに伝える知らせです。 + もし私たちが、神と交わりがあると言っていながら、しかもやみの中を歩んでいるなら、私たちは偽りを言っているのであって、真理を行ってはいません。 + しかし、もし神が光の中におられるように、私たちも光の中を歩んでいるなら、私たちは互いに交わりを保ち、御子イエスの血はすべての罪から私たちをきよめます。 + もし、罪はないと言うなら、私たちは自分を欺いており、真理は私たちのうちにありません。 + もし、私たちが自分の罪を言い表すなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます。 + もし、罪を犯してはいないと言うなら、私たちは神を偽り者とするのです。神のみことばは私たちのうちにありません。 + + + 私の子どもたち。私がこれらのことを書き送るのは、あなたがたが罪を犯さないようになるためです。もしだれかが罪を犯すことがあれば、私たちには、御父の前で弁護する方がいます。義なるイエス・キリストです。 + この方こそ、私たちの罪のための――私たちの罪だけでなく、世全体のための――なだめの供え物です。 + もし、私たちが神の命令を守るなら、それによって、私たちは神を知っていることがわかります。 + 神を知っていると言いながら、その命令を守らない者は、偽り者であり、真理はその人のうちにありません。 + しかし、みことばを守っている者なら、その人のうちには、確かに神の愛が全うされているのです。それによって、私たちが神のうちにいることがわかります。 + 神のうちにとどまっていると言う者は、自分でもキリストが歩まれたように歩まなければなりません。 + 愛する者たち。私はあなたがたに新しい命令を書いているのではありません。むしろ、これはあなたがたが初めから持っていた古い命令です。その古い命令とは、あなたがたがすでに聞いている、みことばのことです。 + しかし、私は新しい命令としてあなたがたに書き送ります。これはキリストにおいて真理であり、あなたがたにとっても真理です。なぜなら、やみが消え去り、まことの光がすでに輝いているからです。 + 光の中にいると言いながら、兄弟を憎んでいる者は、今もなお、やみの中にいるのです。 + 兄弟を愛する者は、光の中にとどまり、つまずくことがありません。 + 兄弟を憎む者は、やみの中におり、やみの中を歩んでいるのであって、自分がどこへ行くのか知らないのです。やみが彼の目を見えなくしたからです。 + 子どもたちよ。私があなたがたに書き送るのは、主の御名によって、あなたがたの罪が赦されたからです。 + 父たちよ。私があなたがたに書き送るのは、あなたがたが、初めからおられる方を、知ったからです。若い者たちよ。私があなたがたに書き送るのは、あなたがたが悪い者に打ち勝ったからです。 + 小さい者たちよ。私があなたがたに書いて来たのは、あなたがたが御父を知ったからです。父たちよ。私があなたがたに書いて来たのは、あなたがたが、初めからおられる方を、知ったからです。若い者たちよ。私があなたがたに書いて来たのは、あなたがたが強い者であり、神のみことばが、あなたがたのうちにとどまり、そして、あなたがたが悪い者に打ち勝ったからです。 + 世をも、世にあるものをも、愛してはなりません。もしだれでも世を愛しているなら、その人のうちに御父を愛する愛はありません。 + すべての世にあるもの、すなわち、肉の欲、目の欲、暮らし向きの自慢などは、御父から出たものではなく、この世から出たものだからです。 + 世と世の欲は滅び去ります。しかし、神のみこころを行う者は、いつまでもながらえます。 + 小さい者たちよ。今は終わりの時です。あなたがたが反キリストの来ることを聞いていたとおり、今や多くの反キリストが現れています。それによって、今が終わりの時であることがわかります。 + 彼らは私たちの中から出て行きましたが、もともと私たちの仲間ではなかったのです。もし私たちの仲間であったのなら、私たちといっしょにとどまっていたことでしょう。しかし、そうなったのは、彼らがみな私たちの仲間でなかったことが明らかにされるためなのです。 + あなたがたには聖なる方からのそそぎの油があるので、だれでも知識を持っています。 + このように書いて来たのは、あなたがたが真理を知らないからではなく、真理を知っているからであり、また、偽りはすべて真理から出てはいないからです。 + 偽り者とは、イエスがキリストであることを否定する者でなくてだれでしょう。御父と御子を否認する者、それが反キリストです。 + だれでも御子を否認する者は、御父を持たず、御子を告白する者は、御父をも持っているのです。 + あなたがたは、初めから聞いたことを、自分たちのうちにとどまらせなさい。もし初めから聞いたことがとどまっているなら、あなたがたも御子および御父のうちにとどまるのです。 + それがキリストご自身の私たちにお与えになった約束であって、永遠のいのちです。 + 私は、あなたがたを惑わそうとする人たちについて以上のことを書いて来ました。 + あなたがたの場合は、キリストから受けたそそぎの油があなたがたのうちにとどまっています。それで、だれからも教えを受ける必要がありません。彼の油がすべてのことについてあなたがたを教えるように、――その教えは真理であって偽りではありません――また、その油があなたがたに教えたとおりに、あなたがたはキリストのうちにとどまるのです。 + そこで、子どもたちよ。キリストのうちにとどまっていなさい。それは、キリストが現れるとき、私たちが信頼を持ち、その来臨のときに、御前で恥じ入るということのないためです。 + もしあなたがたが、神は正しい方であると知っているなら、義を行う者がみな神から生まれたこともわかるはずです。 + + + 私たちが神の子どもと呼ばれるために、――事実、いま私たちは神の子どもです――御父はどんなにすばらしい愛を与えてくださったことでしょう。世が私たちを知らないのは、御父を知らないからです。 + 愛する者たち。私たちは、今すでに神の子どもです。後の状態はまだ明らかにされていません。しかし、キリストが現れたなら、私たちはキリストに似た者となることがわかっています。なぜならそのとき、私たちはキリストのありのままの姿を見るからです。 + キリストに対するこの望みをいだく者はみな、キリストが清くあられるように、自分を清くします。 + 罪を犯している者はみな、不法を行っているのです。罪とは律法に逆らうことなのです。 + キリストが現れたのは罪を取り除くためであったことを、あなたがたは知っています。キリストには何の罪もありません。 + だれでもキリストのうちにとどまる者は、罪を犯しません。罪を犯す者はだれも、キリストを見てもいないし、知ってもいないのです。 + 子どもたちよ。だれにも惑わされてはいけません。義を行う者は、キリストが正しくあられるのと同じように正しいのです。 + 罪を犯している者は、悪魔から出た者です。悪魔は初めから罪を犯しているからです。神の子が現れたのは、悪魔のしわざを打ちこわすためです。 + だれでも神から生まれた者は、罪を犯しません。なぜなら、神の種がその人のうちにとどまっているからです。その人は神から生まれたので、罪を犯すことができないのです。 + そのことによって、神の子どもと悪魔の子どもとの区別がはっきりします。義を行わない者はだれも、神から出た者ではありません。兄弟を愛さない者もそうです。 + 互いに愛し合うべきであるということは、あなたがたが初めから聞いている教えです。 + カインのようであってはいけません。彼は悪い者から出た者で、兄弟を殺しました。なぜ兄弟を殺したのでしょう。自分の行いは悪く、兄弟の行いは正しかったからです。 + 兄弟たち。世があなたがたを憎んでも、驚いてはいけません。 + 私たちは、自分が死からいのちに移ったことを知っています。それは、兄弟を愛しているからです。愛さない者は、死のうちにとどまっているのです。 + 兄弟を憎む者はみな、人殺しです。いうまでもなく、だれでも人を殺す者のうちに、永遠のいのちがとどまっていることはないのです。 + キリストは、私たちのために、ご自分のいのちをお捨てになりました。それによって私たちに愛がわかったのです。ですから私たちは、兄弟のために、いのちを捨てるべきです。 + 世の富を持ちながら、兄弟が困っているのを見ても、あわれみの心を閉ざすような者に、どうして神の愛がとどまっているでしょう。 + 子どもたちよ。私たちは、ことばや口先だけで愛することをせず、行いと真実をもって愛そうではありませんか。 + それによって、私たちは、自分が真理に属するものであることを知り、そして、神の御前に心を安らかにされるのです。 + たとい自分の心が責めてもです。なぜなら、神は私たちの心よりも大きく、そして何もかもご存じだからです。 + 愛する者たち。もし自分の心に責められなければ、大胆に神の御前に出ることができ、 + また求めるものは何でも神からいただくことができます。なぜなら、私たちが神の命令を守り、神に喜ばれることを行っているからです。 + 神の命令とは、私たちが御子イエス・キリストの御名を信じ、キリストが命じられたとおりに、私たちが互いに愛し合うことです。 + 神の命令を守る者は神のうちにおり、神もまたその人のうちにおられます。神が私たちのうちにおられるということは、神が私たちに与えてくださった御霊によって知るのです。 + + + 愛する者たち。霊だからといって、みな信じてはいけません。それらの霊が神からのものかどうかを、ためしなさい。なぜなら、にせ預言者がたくさん世に出て来たからです。 + 人となって来たイエス・キリストを告白する霊はみな、神からのものです。それによって神からの霊を知りなさい。 + イエスを告白しない霊はどれ一つとして神から出たものではありません。それは反キリストの霊です。あなたがたはそれが来ることを聞いていたのですが、今それが世に来ているのです。 + 子どもたちよ。あなたがたは神から出た者です。そして彼らに勝ったのです。あなたがたのうちにおられる方が、この世のうちにいる、あの者よりも力があるからです。 + 彼らはこの世の者です。ですから、この世のことばを語り、この世もまた彼らの言うことに耳を傾けます。 + 私たちは神から出た者です。神を知っている者は、私たちの言うことに耳を傾け、神から出ていない者は、私たちの言うことに耳を貸しません。私たちはこれで真理の霊と偽りの霊とを見分けます。 + 愛する者たち。私たちは、互いに愛し合いましょう。愛は神から出ているのです。愛のある者はみな神から生まれ、神を知っています。 + 愛のない者に、神はわかりません。なぜなら神は愛だからです。 + 神はそのひとり子を世に遣わし、その方によって私たちに、いのちを得させてくださいました。ここに、神の愛が私たちに示されたのです。 + 私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、なだめの供え物としての御子を遣わされました。ここに愛があるのです。 + 愛する者たち。神がこれほどまでに私たちを愛してくださったのなら、私たちもまた互いに愛し合うべきです。 + いまだかつて、だれも神を見た者はありません。もし私たちが互いに愛し合うなら、神は私たちのうちにおられ、神の愛が私たちのうちに全うされるのです。 + 神は私たちに御霊を与えてくださいました。それによって、私たちが神のうちにおり、神も私たちのうちにおられることがわかります。 + 私たちは、御父が御子を世の救い主として遣わされたのを見て、今そのあかしをしています。 + だれでも、イエスを神の御子と告白するなら、神はその人のうちにおられ、その人も神のうちにいます。 + 私たちは、私たちに対する神の愛を知り、また信じています。神は愛です。愛のうちにいる者は神のうちにおり、神もその人のうちにおられます。 + このことによって、愛が私たちにおいても完全なものとなりました。それは私たちが、さばきの日にも大胆さを持つことができるためです。なぜなら、私たちもこの世にあってキリストと同じような者であるからです。 + 愛には恐れがありません。全き愛は恐れを締め出します。なぜなら恐れには刑罰が伴っているからです。恐れる者の愛は、全きものとなっていないのです。 + 私たちは愛しています。神がまず私たちを愛してくださったからです。 + 神を愛すると言いながら兄弟を憎んでいるなら、その人は偽り者です。目に見える兄弟を愛していない者に、目に見えない神を愛することはできません。 + 神を愛する者は、兄弟をも愛すべきです。私たちはこの命令をキリストから受けています。 + + + イエスがキリストであると信じる者はだれでも、神によって生まれたのです。生んでくださった方を愛する者はだれでも、その方によって生まれた者をも愛します。 + 私たちが神を愛してその命令を守るなら、そのことによって、私たちが神の子どもたちを愛していることがわかります。 + 神を愛するとは、神の命令を守ることです。その命令は重荷とはなりません。 + なぜなら、神によって生まれた者はみな、世に勝つからです。私たちの信仰、これこそ、世に打ち勝った勝利です。 + 世に勝つ者とはだれでしょう。イエスを神の御子と信じる者ではありませんか。 + このイエス・キリストは、水と血とによって来られた方です。ただ水によってだけでなく、水と血とによって来られたのです。そして、あかしをする方は御霊です。御霊は真理だからです。 + あかしするものが三つあります。 + 御霊と水と血です。この三つが一つとなるのです。 + もし、私たちが人間のあかしを受け入れるなら、神のあかしはそれにまさるものです。御子についてあかしされたことが神のあかしだからです。 + 神の御子を信じる者は、このあかしを自分の心の中に持っています。神を信じない者は、神を偽り者とするのです。神が御子についてあかしされたことを信じないからです。 + そのあかしとは、神が私たちに永遠のいのちを与えられたということ、そしてこのいのちが御子のうちにあるということです。 + 御子を持つ者はいのちを持っており、神の御子を持たない者はいのちを持っていません。 + 私が神の御子の名を信じているあなたがたに対してこれらのことを書いたのは、あなたがたが永遠のいのちを持っていることを、あなたがたによくわからせるためです。 + 何事でも神のみこころにかなう願いをするなら、神はその願いを聞いてくださるということ、これこそ神に対する私たちの確信です。 + 私たちの願う事を神が聞いてくださると知れば、神に願ったその事は、すでにかなえられたと知るのです。 + だれでも兄弟が死に至らない罪を犯しているのを見たなら、神に求めなさい。そうすれば神はその人のために、死に至らない罪を犯している人々に、いのちをお与えになります。死に至る罪があります。この罪については、願うようにとは言いません。 + 不正はみな罪ですが、死に至らない罪があります。 + 神によって生まれた者はだれも罪を犯さないことを、私たちは知っています。神から生まれた方が彼を守っていてくださるので、悪い者は彼に触れることができないのです。 + 私たちは神からの者であり、世全体は悪い者の支配下にあることを知っています。 + しかし、神の御子が来て、真実な方を知る理解力を私たちに与えてくださったことを知っています。それで私たちは、真実な方のうちに、すなわち御子イエス・キリストのうちにいるのです。この方こそ、まことの神、永遠のいのちです。 + 子どもたちよ。偶像を警戒しなさい。 + +
+
+ + 長老から、選ばれた夫人とその子どもたちへ。私はあなたがたをほんとうに愛しています。私だけでなく、真理を知っている人々がみな、そうです。 + このことは、私たちのうちに宿る真理によることです。そして真理はいつまでも私たちとともにあります。 + 真理と愛のうちに、父なる神と御父の御子イエス・キリストからの恵みとあわれみと平安は、私たちとともにあります。 + あなたの子どもたちの中に、御父から私たちが受けた命令のとおりに真理のうちを歩んでいる人たちがあるのを知って、私は非常に喜んでいます。 + そこで夫人よ。お願いしたいことがあります。それは私が新しい命令を書くのではなく、初めから私たちが持っていたものなのですが、私たちが互いに愛し合うということです。 + 愛とは、御父の命令に従って歩むことであり、命令とは、あなたがたが初めから聞いているとおり、愛のうちを歩むことです。 + なぜお願いするかと言えば、人を惑わす者、すなわち、イエス・キリストが人として来られたことを告白しない者が大ぜい世に出て行ったからです。こういう者は惑わす者であり、反キリストです。 + よく気をつけて、私たちの労苦の実をだいなしにすることなく、豊かな報いを受けるようになりなさい。 + だれでも行き過ぎをして、キリストの教えのうちにとどまらない者は、神を持っていません。その教えのうちにとどまっている者は、御父をも御子をも持っています。 + あなたがたのところに来る人で、この教えを持って来ない者は、家に受け入れてはいけません。その人にあいさつのことばをかけてもいけません。 + そういう人にあいさつすれば、その悪い行いをともにすることになります。 + あなたがたに書くべきことがたくさんありますが、紙と墨でしたくはありません。あなたがたのところに行って、顔を合わせて語りたいと思います。私たちの喜びが全きものとなるためにです。 + 選ばれたあなたの姉妹の子どもたちが、あなたによろしくと言っています。 + +
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+ + 長老から、愛するガイオへ。私はあなたをほんとうに愛しています。 + 愛する者よ。あなたが、たましいに幸いを得ているようにすべての点でも幸いを得、また健康であるように祈ります。 + 兄弟たちがやって来ては、あなたが真理に歩んでいるその真実を証言してくれるので、私は非常に喜んでいます。 + 私の子どもたちが真理に歩んでいることを聞くことほど、私にとって大きな喜びはありません。 + 愛する者よ。あなたが、旅をしているあの兄弟たちのために行っているいろいろなことは、真実な行いです。 + 彼らは教会の集まりであなたの愛についてあかししました。あなたが神にふさわしいしかたで彼らを次の旅に送り出してくれるなら、それはりっぱなことです。 + 彼らは御名のために出て行きました。異邦人からは何も受けていません。 + ですから、私たちはこのような人々をもてなすべきです。そうすれば、私たちは真理のために彼らの同労者となれるのです。 + 私は教会に対して少しばかり書き送ったのですが、彼らの中でかしらになりたがっているデオテレペスが、私たちの言うことを聞き入れません。 + それで、私が行ったら、彼のしている行為を取り上げるつもりです。彼は意地悪いことばで私たちをののしり、それでもあきたらずに、自分が兄弟たちを受け入れないばかりか、受け入れたいと思う人々の邪魔をし、教会から追い出しているのです。 + 愛する者よ。悪を見ならわないで、善を見ならいなさい。善を行う者は神から出た者であり、悪を行う者は神を見たことのない者です。 + デメテリオはみなの人からも、また真理そのものからも証言されています。私たちも証言します。私たちの証言が真実であることは、あなたも知っているところです。 + あなたに書き送りたいことがたくさんありましたが、筆と墨でしたくはありません。 + 間もなくあなたに会いたいと思います。そして顔を合わせて話し合いましょう。 + 平安があなたにありますように。友人たちが、あなたによろしくと言っています。そちらの友人たちひとりひとりによろしく言ってください。 + +
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+ + イエス・キリストのしもべであり、ヤコブの兄弟であるユダから、父なる神にあって愛され、イエス・キリストのために守られている、召された方々へ。 + どうか、あわれみと平安と愛が、あなたがたの上に、ますます豊かにされますように。 + 愛する人々。私はあなたがたに、私たちがともに受けている救いについて手紙を書こうとして、あらゆる努力をしていましたが、聖徒にひとたび伝えられた信仰のために戦うよう、あなたがたに勧める手紙を書く必要が生じました。 + というのは、ある人々が、ひそかに忍び込んで来たからです。彼らは、このようなさばきに会うと昔から前もってしるされている人々で、不敬虔な者であり、私たちの神の恵みを放縦に変えて、私たちの唯一の支配者であり主であるイエス・キリストを否定する人たちです。 + あなたがたは、すべてのことをすっかり知っているにしても、私はあなたがたに思い出させたいことがあるのです。それは主が、民をエジプトの地から救い出し、次に、信じない人々を滅ぼされたということです。 + また、主は、自分の領域を守らず、自分のおるべき所を捨てた御使いたちを、大いなる日のさばきのために、永遠の束縛をもって、暗やみの下に閉じ込められました。 + また、ソドム、ゴモラおよび周囲の町々も彼らと同じように、好色にふけり、不自然な肉欲を追い求めたので、永遠の火の刑罰を受けて、みせしめにされています。 + それなのに、この人たちもまた同じように、夢見る者であり、肉体を汚し、権威ある者を軽んじ、栄えある者をそしっています。 + 御使いのかしらミカエルは、モーセのからだについて、悪魔と論じ、言い争ったとき、あえて相手をののしり、さばくようなことはせず、「主があなたを戒めてくださるように」と言いました。 + しかし、この人たちは、自分には理解もできないことをそしり、わきまえのない動物のように、本能によって知るような事がらの中で滅びるのです。 + ああ。彼らはカインの道を行き、利益のためにバラムの迷いに陥り、コラのようにそむいて滅びました。 + 彼らは、あなたがたの愛餐のしみです。恐れげもなくともに宴を張りますが、自分だけを養っている者であり、風に吹き飛ばされる、水のない雲、実を結ばない、枯れに枯れて、根こそぎにされた秋の木、 + 自分の恥のあわをわき立たせる海の荒波、さまよう星です。まっ暗なやみが、彼らのために永遠に用意されています。 + アダムから七代目のエノクも、彼らについて預言してこう言っています。「見よ。主は千万の聖徒を引き連れて来られる。 + すべての者にさばきを行い、不敬虔な者たちの、神を恐れずに犯した行為のいっさいと、また神を恐れない罪人どもが主に言い逆らった無礼のいっさいとについて、彼らを罪に定めるためである。」 + 彼らはぶつぶつ言う者、不平を鳴らす者で、自分の欲望のままに歩んでいます。その口は大きなことを言い、利益のためにへつらって人をほめるのです。 + 愛する人々よ。私たちの主イエス・キリストの使徒たちが、前もって語ったことばを思い起こしてください。 + 彼らはあなたがたにこう言いました。「終わりの時には、自分の不敬虔な欲望のままにふるまう、あざける者どもが現れる。」 + この人たちは、御霊を持たず、分裂を起こし、生まれつきのままの人間です。 + しかし、愛する人々よ。あなたがたは、自分の持っている最も聖い信仰の上に自分自身を築き上げ、聖霊によって祈り、 + 神の愛のうちに自分自身を保ち、永遠のいのちに至らせる、私たちの主イエス・キリストのあわれみを待ち望みなさい。 + 疑いを抱く人々をあわれみ、 + 火の中からつかみ出して救い、またある人々を、恐れを感じながらあわれみ、肉によって汚されたその下着さえも忌みきらいなさい。 + あなたがたを、つまずかないように守ることができ、傷のない者として、大きな喜びをもって栄光の御前に立たせることのできる方に、 + すなわち、私たちの救い主である唯一の神に、栄光、尊厳、支配、権威が、私たちの主イエス・キリストを通して、永遠の先にも、今も、また世々限りなくありますように。アーメン。 + +
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+ + イエス・キリストの黙示。これは、すぐに起こるはずの事をそのしもべたちに示すため、神がキリストにお与えになったものである。そしてキリストは、その御使いを遣わして、これをしもべヨハネにお告げになった。 + ヨハネは、神のことばとイエス・キリストのあかし、すなわち、彼の見たすべての事をあかしした。 + この預言のことばを朗読する者と、それを聞いて、そこに書かれていることを心に留める人々は幸いである。時が近づいているからである。 + ヨハネから、アジヤにある七つの教会へ。今いまし、昔いまし、後に来られる方から、また、その御座の前におられる七つの御霊から、 + また、忠実な証人、死者の中から最初によみがえられた方、地上の王たちの支配者であるイエス・キリストから、恵みと平安が、あなたがたにあるように。イエス・キリストは私たちを愛して、その血によって私たちを罪から解き放ち、 + また、私たちを王国とし、ご自分の父である神のために祭司としてくださった方である。キリストに栄光と力とが、とこしえにあるように。アーメン。 + 見よ、彼が、雲に乗って来られる。すべての目、ことに彼を突き刺した者たちが、彼を見る。地上の諸族はみな、彼のゆえに嘆く。しかり。アーメン。 + 神である主、今いまし、昔いまし、後に来られる方、万物の支配者がこう言われる。「わたしはアルファであり、オメガである。」 + 私ヨハネは、あなたがたの兄弟であり、あなたがたとともにイエスにある苦難と御国と忍耐とにあずかっている者であって、神のことばとイエスのあかしとのゆえに、パトモスという島にいた。 + 私は、主の日に御霊に感じ、私のうしろにラッパの音のような大きな声を聞いた。 + その声はこう言った。「あなたの見ることを巻き物にしるして、七つの教会、すなわち、エペソ、スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、フィラデルフィヤ、ラオデキヤに送りなさい。」 + そこで私は、私に語りかける声を見ようとして振り向いた。振り向くと、七つの金の燭台が見えた。 + それらの燭台の真ん中には、足までたれた衣を着て、胸に金の帯を締めた、人の子のような方が見えた。 + その頭と髪の毛は、白い羊毛のように、また雪のように白く、その目は、燃える炎のようであった。 + その足は、炉で精錬されて光り輝くしんちゅうのようであり、その声は大水の音のようであった。 + また、右手に七つの星を持ち、口からは鋭い両刃の剣が出ており、顔は強く照り輝く太陽のようであった。 + それで私は、この方を見たとき、その足もとに倒れて死者のようになった。しかし彼は右手を私の上に置いてこう言われた。「恐れるな。わたしは、最初であり、最後であり、 + 生きている者である。わたしは死んだが、見よ、いつまでも生きている。また、死とハデスとのかぎを持っている。 + そこで、あなたの見た事、今ある事、この後に起こる事を書きしるせ。 + わたしの右の手の中に見えた七つの星と、七つの金の燭台について、その秘められた意味を言えば、七つの星は七つの教会の御使いたち、七つの燭台は七つの教会である。 + + + エペソにある教会の御使いに書き送れ。『右手に七つの星を持つ方、七つの金の燭台の間を歩く方が言われる。 + 「わたしは、あなたの行いとあなたの労苦と忍耐を知っている。また、あなたが、悪い者たちをがまんすることができず、使徒と自称しているが実はそうでない者たちをためして、その偽りを見抜いたことも知っている。 + あなたはよく忍耐して、わたしの名のために耐え忍び、疲れたことがなかった。 + しかし、あなたには非難すべきことがある。あなたは初めの愛から離れてしまった。 + それで、あなたは、どこから落ちたかを思い出し、悔い改めて、初めの行いをしなさい。もしそうでなく、悔い改めることをしないならば、わたしは、あなたのところに行って、あなたの燭台をその置かれた所から取りはずしてしまおう。 + しかし、あなたにはこのことがある。あなたはニコライ派の人々の行いを憎んでいる。わたしもそれを憎んでいる。 + 耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。勝利を得る者に、わたしは神のパラダイスにあるいのちの木の実を食べさせよう。」』 + また、スミルナにある教会の御使いに書き送れ。『初めであり、終わりである方、死んで、また生きた方が言われる。 + 「わたしは、あなたの苦しみと貧しさとを知っている。――しかしあなたは実際は富んでいる――またユダヤ人だと自称しているが、実はそうでなく、かえってサタンの会衆である人たちから、ののしられていることも知っている。 + あなたが受けようとしている苦しみを恐れてはいけない。見よ。悪魔はあなたがたをためすために、あなたがたのうちのある人たちを牢に投げ入れようとしている。あなたがたは十日の間苦しみを受ける。死に至るまで忠実でありなさい。そうすれば、わたしはあなたにいのちの冠を与えよう。 + 耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。勝利を得る者は、決して第二の死によってそこなわれることはない。」』 + また、ペルガモにある教会の御使いに書き送れ。『鋭い、両刃の剣を持つ方がこう言われる。 + 「わたしは、あなたの住んでいる所を知っている。そこにはサタンの王座がある。しかしあなたは、わたしの名を堅く保って、わたしの忠実な証人アンテパスがサタンの住むあなたがたのところで殺されたときでも、わたしに対する信仰を捨てなかった。 + しかし、あなたには少しばかり非難すべきことがある。あなたのうちに、バラムの教えを奉じている人々がいる。バラムはバラクに教えて、イスラエルの人々の前に、つまずきの石を置き、偶像の神にささげた物を食べさせ、また不品行を行わせた。 + それと同じように、あなたのところにもニコライ派の教えを奉じている人々がいる。 + だから、悔い改めなさい。もしそうしないなら、わたしは、すぐにあなたのところに行き、わたしの口の剣をもって彼らと戦おう。 + 耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。わたしは勝利を得る者に隠れたマナを与える。また、彼に白い石を与える。その石には、それを受ける者のほかはだれも知らない、新しい名が書かれている。」』 + また、テアテラにある教会の御使いに書き送れ。『燃える炎のような目を持ち、その足は光り輝くしんちゅうのような、神の子が言われる。 + 「わたしは、あなたの行いとあなたの愛と信仰と奉仕と忍耐を知っており、また、あなたの近ごろの行いが初めの行いにまさっていることも知っている。 + しかし、あなたには非難すべきことがある。あなたは、イゼベルという女をなすがままにさせている。この女は、預言者だと自称しているが、わたしのしもべたちを教えて誤りに導き、不品行を行わせ、偶像の神にささげた物を食べさせている。 + わたしは悔い改める機会を与えたが、この女は不品行を悔い改めようとしない。 + 見よ。わたしは、この女を病の床に投げ込もう。また、この女と姦淫を行う者たちも、この女の行いを離れて悔い改めなければ、大きな患難の中に投げ込もう。 + また、わたしは、この女の子どもたちをも死病によって殺す。こうして全教会は、わたしが人の思いと心を探る者であることを知るようになる。また、わたしは、あなたがたの行いに応じてひとりひとりに報いよう。 + しかし、テアテラにいる人たちの中で、この教えを受け入れておらず、彼らの言うサタンの深いところをまだ知っていないあなたがたに言う。わたしはあなたがたに、ほかの重荷を負わせない。 + ただ、あなたがたの持っているものを、わたしが行くまで、しっかりと持っていなさい。 + 勝利を得る者、また最後までわたしのわざを守る者には、諸国の民を支配する権威を与えよう。 + 彼は、鉄の杖をもって土の器を打ち砕くようにして彼らを治める。わたし自身が父から支配の権威を受けているのと同じである。 + また、彼に明けの明星を与えよう。 + 耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。」』 + + + また、サルデスにある教会の御使いに書き送れ。『神の七つの御霊、および七つの星を持つ方がこう言われる。「わたしは、あなたの行いを知っている。あなたは、生きているとされているが、実は死んでいる。 + 目をさましなさい。そして死にかけているほかの人たちを力づけなさい。わたしは、あなたの行いが、わたしの神の御前に全うされたとは見ていない。 + だから、あなたがどのように受け、また聞いたのかを思い出しなさい。それを堅く守り、また悔い改めなさい。もし、目をさまさなければ、わたしは盗人のように来る。あなたには、わたしがいつあなたのところに来るか、決してわからない。 + しかし、サルデスには、その衣を汚さなかった者が幾人かいる。彼らは白い衣を着て、わたしとともに歩む。彼らはそれにふさわしい者だからである。 + 勝利を得る者は、このように白い衣を着せられる。そして、わたしは、彼の名をいのちの書から消すようなことは決してしない。わたしは彼の名をわたしの父の御前と御使いたちの前で言い表す。 + 耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。」』 + また、フィラデルフィヤにある教会の御使いに書き送れ。『聖なる方、真実な方、ダビデのかぎを持っている方、彼が開くとだれも閉じる者がなく、彼が閉じるとだれも開く者がない、その方がこう言われる。 + 「わたしは、あなたの行いを知っている。見よ。わたしは、だれも閉じることのできない門を、あなたの前に開いておいた。なぜなら、あなたには少しばかりの力があって、わたしのことばを守り、わたしの名を否まなかったからである。 + 見よ。サタンの会衆に属する者、すなわち、ユダヤ人だと自称しながら実はそうでなくて、うそを言っている者たちに、わたしはこうする。見よ。彼らをあなたの足もとに来てひれ伏させ、わたしがあなたを愛していることを知らせる。 + あなたが、わたしの忍耐について言ったことばを守ったから、わたしも、地上に住む者たちを試みるために、全世界に来ようとしている試練の時には、あなたを守ろう。 + わたしは、すぐに来る。あなたの冠をだれにも奪われないように、あなたの持っているものをしっかりと持っていなさい。 + 勝利を得る者を、わたしの神の聖所の柱としよう。彼はもはや決して外に出て行くことはない。わたしは彼の上にわたしの神の御名と、わたしの神の都、すなわち、わたしの神のもとを出て天から下って来る新しいエルサレムの名と、わたしの新しい名とを書きしるす。 + 耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。」』 + また、ラオデキヤにある教会の御使いに書き送れ。『アーメンである方、忠実で、真実な証人、神に造られたものの根源である方がこう言われる。 + 「わたしは、あなたの行いを知っている。あなたは、冷たくもなく、熱くもない。わたしはむしろ、あなたが冷たいか、熱いかであってほしい。 + このように、あなたはなまぬるく、熱くも冷たくもないので、わたしの口からあなたを吐き出そう。 + あなたは、自分は富んでいる、豊かになった、乏しいものは何もないと言って、実は自分がみじめで、哀れで、貧しくて、盲目で、裸の者であることを知らない。 + わたしはあなたに忠告する。豊かな者となるために、火で精錬された金をわたしから買いなさい。また、あなたの裸の恥を現さないために着る白い衣を買いなさい。また、目が見えるようになるため、目に塗る目薬を買いなさい。 + わたしは、愛する者をしかったり、懲らしめたりする。だから、熱心になって、悔い改めなさい。 + 見よ。わたしは、戸の外に立ってたたく。だれでも、わたしの声を聞いて戸をあけるなら、わたしは、彼のところに入って、彼とともに食事をし、彼もわたしとともに食事をする。 + 勝利を得る者を、わたしとともにわたしの座に着かせよう。それは、わたしが勝利を得て、わたしの父とともに父の御座に着いたのと同じである。 + 耳のある者は御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。」』」 + + + その後、私は見た。見よ。天に一つの開いた門があった。また、先にラッパのような声で私に呼びかけるのが聞こえたあの初めの声が言った。「ここに上れ。この後、必ず起こる事をあなたに示そう。」 + たちまち私は御霊に感じた。すると見よ。天に一つの御座があり、その御座に着いている方があり、 + その方は、碧玉や赤めのうのように見え、その御座の回りには、緑玉のように見える虹があった。 + また、御座の回りに二十四の座があった。これらの座には、白い衣を着て、金の冠を頭にかぶった二十四人の長老たちがすわっていた。 + 御座からいなずまと声と雷鳴が起こった。七つのともしびが御座の前で燃えていた。神の七つの御霊である。 + 御座の前は、水晶に似たガラスの海のようであった。御座の中央と御座の回りに、前もうしろも目で満ちた四つの生き物がいた。 + 第一の生き物は、獅子のようであり、第二の生き物は雄牛のようであり、第三の生き物は人間のような顔を持ち、第四の生き物は空飛ぶ鷲のようであった。 + この四つの生き物には、それぞれ六つの翼があり、その回りも内側も目で満ちていた。彼らは、昼も夜も絶え間なく叫び続けた。「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。神であられる主、万物の支配者、昔いまし、今いまし、後に来られる方。」 + また、これらの生き物が、永遠に生きておられる、御座に着いている方に、栄光、誉れ、感謝をささげるとき、 + 二十四人の長老は御座に着いている方の御前にひれ伏して、永遠に生きておられる方を拝み、自分の冠を御座の前に投げ出して言った。 + 「主よ。われらの神よ。あなたは、栄光と誉れと力とを受けるにふさわしい方です。あなたは万物を創造し、あなたのみこころゆえに、万物は存在し、また創造されたのですから。」 + + + また、私は、御座にすわっておられる方の右の手に巻き物があるのを見た。それは内側にも外側にも文字が書きしるされ、七つの封印で封じられていた。 + また私は、ひとりの強い御使いが、大声でふれ広めて、「巻き物を開いて、封印を解くのにふさわしい者はだれか」と言っているのを見た。 + しかし、天にも、地にも、地の下にも、だれひとりその巻き物を開くことのできる者はなく、見ることのできる者もいなかった。 + 巻き物を開くのにも、見るのにも、ふさわしい者がだれも見つからなかったので、私は激しく泣いていた。 + すると、長老のひとりが、私に言った。「泣いてはいけない。見なさい。ユダ族から出た獅子、ダビデの根が勝利を得たので、その巻き物を開いて、七つの封印を解くことができます。」 + さらに私は、御座――そこには、四つの生き物がいる――と、長老たちとの間に、ほふられたと見える小羊が立っているのを見た。これに七つの角と七つの目があった。その目は、全世界に遣わされた神の七つの御霊である。 + 小羊は近づいて、御座にすわる方の右の手から、巻き物を受け取った。 + 彼が巻き物を受け取ったとき、四つの生き物と二十四人の長老は、おのおの、立琴と、香のいっぱい入った金の鉢とを持って、小羊の前にひれ伏した。この香は聖徒たちの祈りである。 + 彼らは、新しい歌を歌って言った。「あなたは、巻き物を受け取って、その封印を解くのにふさわしい方です。あなたは、ほふられて、その血により、あらゆる部族、国語、民族、国民の中から、神のために人々を贖い、 + 私たちの神のために、この人々を王国とし、祭司とされました。彼らは地上を治めるのです。」 + また私は見た。私は、御座と生き物と長老たちとの回りに、多くの御使いたちの声を聞いた。その数は万の幾万倍、千の幾千倍であった。 + 彼らは大声で言った。「ほふられた小羊は、力と、富と、知恵と、勢いと、誉れと、栄光と、賛美を受けるにふさわしい方です。」 + また私は、天と地と、地の下と、海の上のあらゆる造られたもの、およびその中にある生き物がこう言うのを聞いた。「御座にすわる方と、小羊とに、賛美と誉れと栄光と力が永遠にあるように。」 + また、四つの生き物はアーメンと言い、長老たちはひれ伏して拝んだ。 + + + また、私は見た。小羊が七つの封印の一つを解いたとき、四つの生き物の一つが、雷のような声で「来なさい」と言うのを私は聞いた。 + 私は見た。見よ。白い馬であった。それに乗っている者は弓を持っていた。彼は冠を与えられ、勝利の上にさらに勝利を得ようとして出て行った。 + 小羊が第二の封印を解いたとき、私は、第二の生き物が、「来なさい」と言うのを聞いた。 + すると、別の、火のように赤い馬が出て来た。これに乗っている者は、地上から平和を奪い取ることが許された。人々が、互いに殺し合うようになるためであった。また、彼に大きな剣が与えられた。 + 小羊が第三の封印を解いたとき、私は、第三の生き物が、「来なさい」と言うのを聞いた。私は見た。見よ。黒い馬であった。これに乗っている者は量りを手に持っていた。 + すると私は、一つの声のようなものが、四つの生き物の間で、こう言うのを聞いた。「小麦一枡は一デナリ。大麦三枡も一デナリ。オリーブ油とぶどう酒に害を与えてはいけない。」 + 小羊が第四の封印を解いたとき、私は、第四の生き物の声が、「来なさい」と言うのを聞いた。 + 私は見た。見よ。青ざめた馬であった。これに乗っている者の名は死といい、そのあとにはハデスがつき従った。彼らに地上の四分の一を剣とききんと死病と地上の獣によって殺す権威が与えられた。 + 小羊が第五の封印を解いたとき、私は、神のことばと、自分たちが立てたあかしとのために殺された人々のたましいが祭壇の下にいるのを見た。 + 彼らは大声で叫んで言った。「聖なる、真実な主よ。いつまでさばきを行わず、地に住む者に私たちの血の復讐をなさらないのですか。」 + すると、彼らのひとりひとりに白い衣が与えられた。そして彼らは、「あなたがたと同じしもべ、また兄弟たちで、あなたがたと同じように殺されるはずの人々の数が満ちるまで、もうしばらくの間、休んでいなさい」と言い渡された。 + 私は見た。小羊が第六の封印を解いたとき、大きな地震が起こった。そして、太陽は毛の荒布のように黒くなり、月の全面が血のようになった。 + そして天の星が地上に落ちた。それは、いちじくが、大風に揺られて、青い実を振り落とすようであった。 + 天は、巻き物が巻かれるように消えてなくなり、すべての山や島がその場所から移された。 + 地上の王、高官、千人隊長、金持ち、勇者、あらゆる奴隷と自由人が、ほら穴と山の岩間に隠れ、 + 山や岩に向かってこう言った。「私たちの上に倒れかかって、御座にある方の御顔と小羊の怒りとから、私たちをかくまってくれ。 + 御怒りの大いなる日が来たのだ。だれがそれに耐えられよう。」 + + + この後、私は見た。四人の御使いが地の四隅に立って、地の四方の風を堅く押さえ、地にも海にもどんな木にも、吹きつけないようにしていた。 + また私は見た。もうひとりの御使いが、生ける神の印を持って、日の出るほうから上って来た。彼は、地をも海をもそこなう権威を与えられた四人の御使いたちに、大声で叫んで言った。 + 「私たちが神のしもべたちの額に印を押してしまうまで、地にも海にも木にも害を与えてはいけない。」 + それから私が、印を押された人々の数を聞くと、イスラエルの子孫のあらゆる部族の者が印を押されていて、十四万四千人であった。 + ユダの部族で印を押された者が一万二千人、ルベンの部族で一万二千人、ガドの部族で一万二千人、 + アセルの部族で一万二千人、ナフタリの部族で一万二千人、マナセの部族で一万二千人、 + シメオンの部族で一万二千人、レビの部族で一万二千人、イッサカルの部族で一万二千人、 + ゼブルンの部族で一万二千人、ヨセフの部族で一万二千人、ベニヤミンの部族で一万二千人、印を押された者がいた。 + その後、私は見た。見よ。あらゆる国民、部族、民族、国語のうちから、だれにも数えきれぬほどの大ぜいの群衆が、白い衣を着、しゅろの枝を手に持って、御座と小羊との前に立っていた。 + 彼らは、大声で叫んで言った。「救いは、御座にある私たちの神にあり、小羊にある。」 + 御使いたちはみな、御座と長老たちと四つの生き物との回りに立っていたが、彼らも御座の前にひれ伏し、神を拝して、 + 言った。「アーメン。賛美と栄光と知恵と感謝と誉れと力と勢いが、永遠に私たちの神にあるように。アーメン。」 + 長老のひとりが私に話しかけて、「白い衣を着ているこの人たちは、いったいだれですか。どこから来たのですか」と言った。 + そこで、私は、「主よ。あなたこそ、ご存じです」と言った。すると、彼は私にこう言った。「彼らは、大きな患難から抜け出て来た者たちで、その衣を小羊の血で洗って、白くしたのです。 + だから彼らは神の御座の前にいて、聖所で昼も夜も、神に仕えているのです。そして、御座に着いておられる方も、彼らの上に幕屋を張られるのです。 + 彼らはもはや、飢えることもなく、渇くこともなく、太陽もどんな炎熱も彼らを打つことはありません。 + なぜなら、御座の正面におられる小羊が、彼らの牧者となり、いのちの水の泉に導いてくださるからです。また、神は彼らの目の涙をすっかりぬぐい取ってくださるのです。」 + + + 小羊が第七の封印を解いたとき、天に半時間ばかり静けさがあった。 + それから私は、神の御前に立つ七人の御使いを見た。彼らに七つのラッパが与えられた。 + また、もうひとりの御使いが出て来て、金の香炉を持って祭壇のところに立った。彼にたくさんの香が与えられた。すべての聖徒の祈りとともに、御座の前にある金の祭壇の上にささげるためであった。 + 香の煙は、聖徒たちの祈りとともに、御使いの手から神の御前に立ち上った。 + それから、御使いは、その香炉を取り、祭壇の火でそれを満たしてから、地に投げつけた。すると、雷鳴と声といなずまと地震が起こった。 + すると、七つのラッパを持っていた七人の御使いはラッパを吹く用意をした。 + 第一の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、血の混じった雹と火とが現れ、地上に投げられた。そして地上の三分の一が焼け、木の三分の一も焼け、青草が全部焼けてしまった。 + 第二の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして海の三分の一が血となった。 + すると、海の中にいた、いのちのあるものの三分の一が死に、舟の三分の一も打ちこわされた。 + 第三の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が天から落ちて来て、川々の三分の一とその水源に落ちた。 + この星の名は苦よもぎと呼ばれ、川の水の三分の一は苦よもぎのようになった。水が苦くなったので、その水のために多くの人が死んだ。 + 第四の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、太陽の三分の一と、月の三分の一と、星の三分の一とが打たれたので、三分の一は暗くなり、昼の三分の一は光を失い、また夜も同様であった。 + また私は見た。一羽の鷲が中天を飛びながら、大声で言うのを聞いた。「わざわいが来る。わざわいが、わざわいが来る。地に住む人々に。あと三人の御使いがラッパを吹き鳴らそうとしている。」 + + + 第五の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、私は一つの星が天から地上に落ちるのを見た。その星には底知れぬ穴を開くかぎが与えられた。 + その星が、底知れぬ穴を開くと、穴から大きな炉の煙のような煙が立ち上り、太陽も空も、この穴の煙によって暗くなった。 + その煙の中から、いなごが地上に出て来た。彼らには、地のさそりの持つような力が与えられた。 + そして彼らは、地の草やすべての青草や、すべての木には害を加えないで、ただ、額に神の印を押されていない人間にだけ害を加えるように言い渡された。 + しかし、人間を殺すことは許されず、ただ五か月の間苦しめることだけが許された。その与えた苦痛は、さそりが人を刺したときのような苦痛であった。 + その期間には、人々は死を求めるが、どうしても見いだせず、死を願うが、死が彼らから逃げて行くのである。 + そのいなごの形は、出陣の用意の整った馬に似ていた。頭に金の冠のようなものを着け、顔は人間の顔のようであった。 + また女の髪のような毛があり、歯は、獅子の歯のようであった。 + また、鉄の胸当てのような胸当てを着け、その翼の音は、多くの馬に引かれた戦車が、戦いに馳せつけるときの響きのようであった。 + そのうえ彼らは、さそりのような尾と針とを持っており、尾には、五か月間人間に害を加える力があった。 + 彼らは、底知れぬ所の御使いを王にいただいている。彼の名はヘブル語でアバドンといい、ギリシヤ語でアポリュオンという。 + 第一のわざわいは過ぎ去った。見よ。この後なお二つのわざわいが来る。 + 第六の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、私は神の御前にある金の祭壇の四隅から出る声を聞いた。 + その声がラッパを持っている第六の御使いに言った。「大川ユーフラテスのほとりにつながれている四人の御使いを解き放せ。」 + すると、定められた時、日、月、年のために用意されていた四人の御使いが、人類の三分の一を殺すために解き放された。 + 騎兵の軍勢の数は二億であった。私はその数を聞いた。 + 私が幻の中で見た馬とそれに乗る人たちの様子はこうであった。騎兵は、火のような赤、くすぶった青、燃える硫黄の色の胸当てを着けており、馬の頭は、獅子の頭のようで、口からは火と煙と硫黄とが出ていた。 + これらの三つの災害、すなわち、彼らの口から出ている火と煙と硫黄とのために、人類の三分の一は殺された。 + 馬の力はその口とその尾とにあって、その尾は蛇のようであり、それに頭があって、その頭で害を加えるのである。 + これらの災害によって殺されずに残った人々は、その手のわざを悔い改めないで、悪霊どもや、金、銀、銅、石、木で造られた、見ることも聞くことも歩くこともできない偶像を拝み続け、 + その殺人や、魔術や、不品行や、盗みを悔い改めなかった。 + + + また私は、もうひとりの強い御使いが、雲に包まれて、天から降りて来るのを見た。その頭上には虹があって、その顔は太陽のようであり、その足は火の柱のようであった。 + その手には開かれた小さな巻き物を持ち、右足は海の上に、左足は地の上に置き、 + 獅子がほえるときのように大声で叫んだ。彼が叫んだとき、七つの雷がおのおの声を出した。 + 七つの雷が語ったとき、私は書き留めようとした。すると、天から声があって、「七つの雷が言ったことは封じて、書きしるすな」と言うのを聞いた。 + それから、私の見た海と地との上に立つ御使いは、右手を天に上げて、 + 永遠に生き、天とその中にあるもの、地とその中にあるもの、海とその中にあるものを創造された方をさして、誓った。「もはや時が延ばされることはない。 + 第七の御使いが吹き鳴らそうとしているラッパの音が響くその日には、神の奥義は、神がご自身のしもべである預言者たちに告げられたとおりに成就する。」 + それから、前に私が天から聞いた声が、また私に話しかけて言った。「さあ行って、海と地との上に立っている御使いの手にある、開かれた巻き物を受け取りなさい。」 + それで、私は御使いのところに行って、「その小さな巻き物を下さい」と言った。すると、彼は言った。「それを取って食べなさい。それはあなたの腹には苦いが、あなたの口には蜜のように甘い。」 + そこで、私は御使いの手からその小さな巻き物を取って食べた。すると、それは口には蜜のように甘かった。それを食べてしまうと、私の腹は苦くなった。 + そのとき、彼らは私に言った。「あなたは、もう一度、もろもろの民族、国民、国語、王たちについて預言しなければならない。」 + + + それから、私に杖のような測りざおが与えられた。すると、こう言う者があった。「立って、神の聖所と祭壇と、また、そこで礼拝している人を測れ。 + 聖所の外の庭は、異邦人に与えられているゆえ、そのままに差し置きなさい。測ってはいけない。彼らは聖なる都を四十二か月の間踏みにじる。 + それから、わたしがわたしのふたりの証人に許すと、彼らは荒布を着て千二百六十日の間預言する。」 + 彼らは全地の主の御前にある二本のオリーブの木、また二つの燭台である。 + 彼らに害を加えようとする者があれば、火が彼らの口から出て、敵を滅ぼし尽くす。彼らに害を加えようとする者があれば、必ずこのように殺される。 + この人たちは、預言をしている期間は雨が降らないように天を閉じる力を持っており、また、水を血に変え、そのうえ、思うままに、何度でも、あらゆる災害をもって地を打つ力を持っている。 + そして彼らがあかしを終えると、底知れぬ所から上って来る獣が、彼らと戦って勝ち、彼らを殺す。 + 彼らの死体は、霊的な理解ではソドムやエジプトと呼ばれる大きな都の大通りにさらされる。彼らの主もその都で十字架につけられたのである。 + もろもろの民族、部族、国語、国民に属する人々が、三日半の間、彼らの死体をながめていて、その死体を墓に納めることを許さない。 + また地に住む人々は、彼らのことで喜び祝って、互いに贈り物を贈り合う。それは、このふたりの預言者が、地に住む人々を苦しめたからである。 + しかし、三日半の後、神から出たいのちの息が、彼らに入り、彼らが足で立ち上がったので、それを見ていた人々は非常な恐怖に襲われた。 + そのときふたりは、天から大きな声がして、「ここに上れ」と言うのを聞いた。そこで、彼らは雲に乗って天に上った。彼らの敵はそれを見た。 + そのとき、大地震が起こって、都の十分の一が倒れた。この地震のため七千人が死に、生き残った人々は、恐怖に満たされ、天の神をあがめた。 + 第二のわざわいは過ぎ去った。見よ。第三のわざわいがすぐに来る。 + 第七の御使いがラッパを吹き鳴らした。すると、天に大きな声々が起こって言った。「この世の国は私たちの主およびそのキリストのものとなった。主は永遠に支配される。」 + それから、神の御前で自分たちの座に着いている二十四人の長老たちも、地にひれ伏し、神を礼拝して、 + 言った。「万物の支配者、今いまし、昔います神である主。あなたが、その偉大な力を働かせて、王となられたことを感謝します。 + 諸国の民は怒りました。しかし、あなたの御怒りの日が来ました。死者のさばかれる時、あなたのしもべである預言者たち、聖徒たち、また小さい者も大きい者もすべてあなたの御名を恐れかしこむ者たちに報いの与えられる時、地を滅ぼす者どもの滅ぼされる時です。」 + それから、天にある、神の神殿が開かれた。神殿の中に、契約の箱が見えた。また、いなずま、声、雷鳴、地震が起こり、大きな雹が降った。 + + + また、巨大なしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、月を足の下に踏み、頭には十二の星の冠をかぶっていた。 + この女は、みごもっていたが、産みの苦しみと痛みのために、叫び声をあげた。 + また、別のしるしが天に現れた。見よ。大きな赤い竜である。七つの頭と十本の角とを持ち、その頭には七つの冠をかぶっていた。 + その尾は、天の星の三分の一を引き寄せると、それらを地上に投げた。また、竜は子を産もうとしている女の前に立っていた。彼女が子を産んだとき、その子を食い尽くすためであった。 + 女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖をもって、すべての国々の民を牧するはずである。その子は神のみもと、その御座に引き上げられた。 + 女は荒野に逃げた。そこには、千二百六十日の間彼女を養うために、神によって備えられた場所があった。 + さて、天に戦いが起こって、ミカエルと彼の使いたちは、竜と戦った。それで、竜とその使いたちは応戦したが、 + 勝つことができず、天にはもはや彼らのいる場所がなくなった。 + こうして、この巨大な竜、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれて、全世界を惑わす、あの古い蛇は投げ落とされた。彼は地上に投げ落とされ、彼の使いどもも彼とともに投げ落とされた。 + そのとき私は、天で大きな声が、こう言うのを聞いた。「今や、私たちの神の救いと力と国と、また、神のキリストの権威が現れた。私たちの兄弟たちの告発者、日夜彼らを私たちの神の御前で訴えている者が投げ落とされたからである。 + 兄弟たちは、小羊の血と、自分たちのあかしのことばのゆえに彼に打ち勝った。彼らは死に至るまでもいのちを惜しまなかった。 + それゆえ、天とその中に住む者たち。喜びなさい。しかし、地と海とには、わざわいが来る。悪魔が自分の時の短いことを知り、激しく怒って、そこに下ったからである。」 + 自分が地上に投げ落とされたのを知った竜は、男の子を産んだ女を追いかけた。 + しかし、女は大鷲の翼を二つ与えられた。自分の場所である荒野に飛んで行って、そこで一時と二時と半時の間、蛇の前をのがれて養われるためであった。 + ところが、蛇はその口から水を川のように女のうしろへ吐き出し、彼女を大水で押し流そうとした。 + しかし、地は女を助け、その口を開いて、竜が口から吐き出した川を飲み干した。 + すると、竜は女に対して激しく怒り、女の子孫の残りの者、すなわち、神の戒めを守り、イエスのあかしを保っている者たちと戦おうとして出て行った。 + そして、彼は海べの砂の上に立った。 + + + また私は見た。海から一匹の獣が上って来た。これには十本の角と七つの頭とがあった。その角には十の冠があり、その頭には神をけがす名があった。 + 私の見たその獣は、ひょうに似ており、足は熊の足のようで、口は獅子の口のようであった。竜はこの獣に、自分の力と位と大きな権威とを与えた。 + その頭のうちの一つは打ち殺されたかと思われたが、その致命的な傷も直ってしまった。そこで、全地は驚いて、その獣に従い、 + そして、竜を拝んだ。獣に権威を与えたのが竜だからである。また彼らは獣をも拝んで、「だれがこの獣に比べられよう。だれがこれと戦うことができよう」と言った。 + この獣は、傲慢なことを言い、けがしごとを言う口を与えられ、四十二か月間活動する権威を与えられた。 + そこで、彼はその口を開いて、神に対するけがしごとを言い始めた。すなわち、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちをののしった。 + 彼はまた聖徒たちに戦いをいどんで打ち勝つことが許され、また、あらゆる部族、民族、国語、国民を支配する権威を与えられた。 + 地に住む者で、ほふられた小羊のいのちの書に、世の初めからその名の書きしるされていない者はみな、彼を拝むようになる。 + 耳のある者は聞きなさい。 + とりこになるべき者は、とりこにされて行く。剣で殺す者は、自分も剣で殺されなければならない。ここに聖徒の忍耐と信仰がある。 + また、私は見た。もう一匹の獣が地から上って来た。それには小羊のような二本の角があり、竜のようにものを言った。 + この獣は、最初の獣が持っているすべての権威をその獣の前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷の直った最初の獣を拝ませた。 + また、人々の前で、火を天から地に降らせるような大きなしるしを行った。 + また、あの獣の前で行うことを許されたしるしをもって地上に住む人々を惑わし、剣の傷を受けながらもなお生き返ったあの獣の像を造るように、地上に住む人々に命じた。 + それから、その獣の像に息を吹き込んで、獣の像がもの言うことさえもできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。 + また、小さい者にも、大きい者にも、富んでいる者にも、貧しい者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々にその右の手かその額かに、刻印を受けさせた。 + また、その刻印、すなわち、あの獣の名、またはその名の数字を持っている者以外は、だれも、買うことも、売ることもできないようにした。 + ここに知恵がある。思慮ある者はその獣の数字を数えなさい。その数字は人間をさしているからである。その数字は六百六十六である。 + + + また私は見た。見よ。小羊がシオンの山の上に立っていた。また小羊とともに十四万四千人の人たちがいて、その額には小羊の名と、小羊の父の名とがしるしてあった。 + 私は天からの声を聞いた。大水の音のようで、また、激しい雷鳴のようであった。また、私の聞いたその声は、立琴をひく人々が立琴をかき鳴らしている音のようでもあった。 + 彼らは、御座の前と、四つの生き物および長老たちの前とで、新しい歌を歌った。しかし地上から贖われた十四万四千人のほかには、だれもこの歌を学ぶことができなかった。 + 彼らは女によって汚されたことのない人々である。彼らは童貞なのである。彼らは、小羊が行く所には、どこにでもついて行く。彼らは、神および小羊にささげられる初穂として、人々の中から贖われたのである。 + 彼らの口には偽りがなかった。彼らは傷のない者である。 + また私は、もうひとりの御使いが中天を飛ぶのを見た。彼は、地上に住む人々、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に宣べ伝えるために、永遠の福音を携えていた。 + 彼は大声で言った。「神を恐れ、神をあがめよ。神のさばきの時が来たからである。天と地と海と水の源を創造した方を拝め。」 + また、第二の、別の御使いが続いてやって来て、言った。「大バビロンは倒れた。倒れた。激しい御怒りを引き起こすその不品行のぶどう酒を、すべての国々の民に飲ませた者。」 + また、第三の、別の御使いも、彼らに続いてやって来て、大声で言った。「もし、だれでも、獣とその像を拝み、自分の額か手かに刻印を受けるなら、 + そのような者は、神の怒りの杯に混ぜ物なしに注がれた神の怒りのぶどう酒を飲む。また、聖なる御使いたちと小羊との前で、火と硫黄とで苦しめられる。 + そして、彼らの苦しみの煙は、永遠にまでも立ち上る。獣とその像とを拝む者、まただれでも獣の名の刻印を受ける者は、昼も夜も休みを得ない。 + 神の戒めを守り、イエスに対する信仰を持ち続ける聖徒たちの忍耐はここにある。」 + また私は、天からこう言っている声を聞いた。「書きしるせ。『今から後、主にあって死ぬ死者は幸いである。』」御霊も言われる。「しかり。彼らはその労苦から解き放されて休むことができる。彼らの行いは彼らについて行くからである。」 + また、私は見た。見よ。白い雲が起こり、その雲に人の子のような方が乗っておられた。頭には金の冠をかぶり、手には鋭いかまを持っておられた。 + すると、もうひとりの御使いが聖所から出て来て、雲に乗っておられる方に向かって大声で叫んだ。「かまを入れて刈り取ってください。地の穀物は実ったので、取り入れる時が来ましたから。」 + そこで、雲に乗っておられる方が、地にかまを入れると地は刈り取られた。 + また、もうひとりの御使いが、天の聖所から出て来たが、この御使いも、鋭いかまを持っていた。 + すると、火を支配する権威を持ったもうひとりの御使いが、祭壇から出て来て、鋭いかまを持つ御使いに大声で叫んで言った。「その鋭いかまを入れ、地のぶどうのふさを刈り集めよ。ぶどうはすでに熟しているのだから。」 + そこで御使いは地にかまを入れ、地のぶどうを刈り集めて、神の激しい怒りの大きな酒ぶねに投げ入れた。 + その酒ぶねは都の外で踏まれたが、血は、その酒ぶねから流れ出て、馬のくつわに届くほどになり、千六百スタディオンに広がった。 + + + また私は、天にもう一つの巨大な驚くべきしるしを見た。七人の御使いが、最後の七つの災害を携えていた。神の激しい怒りはここに窮まるのである。 + 私は、火の混じった、ガラスの海のようなものを見た。獣と、その像と、その名を示す数字とに打ち勝った人々が、神の立琴を手にして、このガラスの海のほとりに立っていた。 + 彼らは、神のしもべモーセの歌と小羊の歌とを歌って言った。「あなたのみわざは偉大であり、驚くべきものです。主よ。万物の支配者である神よ。あなたの道は正しく、真実です。もろもろの民の王よ。 + 主よ。だれかあなたを恐れず、御名をほめたたえない者があるでしょうか。ただあなただけが、聖なる方です。すべての国々の民は来て、あなたの御前にひれ伏します。あなたの正しいさばきが、明らかにされたからです。」 + その後、また私は見た。天にある、あかしの幕屋の聖所が開いた。 + そしてその聖所から、七つの災害を携えた七人の御使いが出て来た。彼らは、きよい光り輝く亜麻布を着て、胸には金の帯を締めていた。 + また、四つの生き物の一つが、永遠に生きておられる神の御怒りの満ちた七つの金の鉢を、七人の御使いに渡した。 + 聖所は神の栄光と神の大能から立ち上る煙で満たされ、七人の御使いたちの七つの災害が終わるまでは、だれもその聖所に、入ることができなかった。 + + + また、私は、大きな声が聖所から出て、七人の御使いに言うのを聞いた。「行って、神の激しい怒りの七つの鉢を、地に向けてぶちまけよ。」 + そこで、第一の御使いが出て行き、鉢を地に向けてぶちまけた。すると、獣の刻印を受けている人々と、獣の像を拝む人々に、ひどい悪性のはれものができた。 + 第二の御使いが鉢を海にぶちまけた。すると、海は死者の血のような血になった。海の中のいのちのあるものは、みな死んだ。 + 第三の御使いが鉢を川と水の源とにぶちまけた。すると、それらは血になった。 + また私は、水をつかさどる御使いがこう言うのを聞いた。「今いまし、昔います聖なる方。あなたは正しい方です。なぜならあなたは、このようなさばきをなさったからです。 + 彼らは聖徒たちや預言者たちの血を流しましたが、あなたは、その血を彼らに飲ませました。彼らは、そうされるにふさわしい者たちです。」 + また私は、祭壇がこう言うのを聞いた。「しかり。主よ。万物の支配者である神よ。あなたのさばきは真実な、正しいさばきです。」 + 第四の御使いが鉢を太陽に向けてぶちまけた。すると、太陽は火で人々を焼くことを許された。 + こうして、人々は激しい炎熱によって焼かれた。しかも、彼らは、これらの災害を支配する権威を持つ神の御名に対してけがしごとを言い、悔い改めて神をあがめることをしなかった。 + 第五の御使いが鉢を獣の座にぶちまけた。すると、獣の国は暗くなり、人々は苦しみのあまり舌をかんだ。 + そして、その苦しみと、はれものとのゆえに、天の神に対してけがしごとを言い、自分の行いを悔い改めようとしなかった。 + 第六の御使いが鉢を大ユーフラテス川にぶちまけた。すると、水は、日の出るほうから来る王たちに道を備えるために、かれてしまった。 + また、私は竜の口と、獣の口と、にせ預言者の口とから、かえるのような汚れた霊どもが三つ出て来るのを見た。 + 彼らはしるしを行う悪霊どもの霊である。彼らは全世界の王たちのところに出て行く。万物の支配者である神の大いなる日の戦いに備えて、彼らを集めるためである。 + ――見よ。わたしは盗人のように来る。目をさまして、身に着物を着け、裸で歩く恥を人に見られないようにする者は幸いである―― + こうして彼らは、ヘブル語でハルマゲドンと呼ばれる所に王たちを集めた。 + 第七の御使いが鉢を空中にぶちまけた。すると、大きな声が御座を出て、聖所の中から出て来て、「事は成就した」と言った。 + すると、いなずまと声と雷鳴があり、大きな地震があった。この地震は人間が地上に住んで以来、かつてなかったほどのもので、それほどに大きな、強い地震であった。 + また、あの大きな都は三つに裂かれ、諸国の民の町々は倒れた。そして、大バビロンは、神の前に覚えられて、神の激しい怒りのぶどう酒の杯を与えられた。 + 島はすべて逃げ去り、山々は見えなくなった。 + また、一タラントほどの大きな雹が、人々の上に天から降って来た。人々は、この雹の災害のため、神にけがしごとを言った。その災害が非常に激しかったからである。 + + + また、七つの鉢を持つ七人の御使いのひとりが来て、私に話して、こう言った。「ここに来なさい。大水の上にすわっている大淫婦へのさばきを見せましょう。 + 地の王たちは、この女と不品行を行い、地に住む人々も、この女の不品行のぶどう酒に酔ったのです。」 + それから、御使いは、御霊に感じた私を荒野に連れて行った。すると私は、ひとりの女が緋色の獣に乗っているのを見た。その獣は神をけがす名で満ちており、七つの頭と十本の角を持っていた。 + この女は紫と緋の衣を着ていて、金と宝石と真珠とで身を飾り、憎むべきものや自分の不品行の汚れでいっぱいになった金の杯を手に持っていた。 + その額には、意味の秘められた名が書かれていた。すなわち、「すべての淫婦と地の憎むべきものとの母、大バビロン」という名であった。 + そして、私はこの女が、聖徒たちの血とイエスの証人たちの血に酔っているのを見た。私はこの女を見たとき、非常に驚いた。 + すると、御使いは私にこう言った。「なぜ驚くのですか。私は、あなたに、この女の秘義と、この女を乗せた、七つの頭と十本の角とを持つ獣の秘義とを話してあげましょう。 + あなたの見た獣は、昔いたが、今はいません。しかし、やがて底知れぬ所から上って来ます。そして彼は、ついには滅びます。地上に住む者たちで、世の初めからいのちの書に名を書きしるされていない者は、その獣が、昔はいたが、今はおらず、やがて現れるのを見て驚きます。 + ここに知恵の心があります。七つの頭とは、この女がすわっている七つの山で、七人の王たちのことです。 + 五人はすでに倒れたが、ひとりは今おり、ほかのひとりは、まだ来ていません。しかし彼が来れば、しばらくの間とどまるはずです。 + また、昔いたが今はいない獣について言えば、彼は八番目でもありますが、先の七人のうちのひとりです。そして彼はついには滅びます。 + あなたが見た十本の角は、十人の王たちで、彼らは、まだ国を受けてはいませんが、獣とともに、一時だけ王の権威を受けます。 + この者どもは心を一つにしており、自分たちの力と権威とをその獣に与えます。 + この者どもは小羊と戦いますが、小羊は彼らに打ち勝ちます。なぜならば、小羊は主の主、王の王だからです。また彼とともにいる者たちは、召された者、選ばれた者、忠実な者だからです。」 + 御使いはまた私に言った。「あなたが見た水、すなわち淫婦がすわっている所は、もろもろの民族、群衆、国民、国語です。 + あなたが見た十本の角と、あの獣とは、その淫婦を憎み、彼女を荒廃させ、裸にし、その肉を食い、彼女を火で焼き尽くすようになります。 + それは、神が、みことばの成就するときまで、神のみこころを行う思いを彼らの心に起こさせ、彼らが心を一つにして、その支配権を獣に与えるようにされたからです。 + あなたが見たあの女は、地上の王たちを支配する大きな都のことです。」 + + + この後、私は、もうひとりの御使いが、大きな権威を帯びて、天から下って来るのを見た。地はその栄光のために明るくなった。 + 彼は力強い声で叫んで言った。「倒れた。大バビロンが倒れた。そして、悪霊の住まい、あらゆる汚れた霊どもの巣くつ、あらゆる汚れた、憎むべき鳥どもの巣くつとなった。 + それは、すべての国々の民が、彼女の不品行に対する激しい御怒りのぶどう酒を飲み、地上の王たちは、彼女と不品行を行い、地上の商人たちは、彼女の極度の好色によって富を得たからである。」 + それから、私は、天からのもう一つの声がこう言うのを聞いた。「わが民よ。この女から離れなさい。その罪にあずからないため、また、その災害を受けないためです。 + なぜなら、彼女の罪は積み重なって天にまで届き、神は彼女の不正を覚えておられるからです。 + あなたがたは、彼女が支払ったものをそのまま彼女に返し、彼女の行いに応じて二倍にして戻しなさい。彼女が混ぜ合わせた杯の中には、彼女のために二倍の量を混ぜ合わせなさい。 + 彼女が自分を誇り、好色にふけったと同じだけの苦しみと悲しみとを、彼女に与えなさい。彼女は心の中で『私は女王の座に着いている者であり、やもめではないから、悲しみを知らない』と言うからです。 + それゆえ一日のうちに、さまざまの災害、すなわち死病、悲しみ、飢えが彼女を襲い、彼女は火で焼き尽くされます。彼女をさばく神である主は力の強い方だからです。 + 彼女と不品行を行い、好色にふけった地上の王たちは、彼女が火で焼かれる煙を見ると、彼女のことで泣き、悲しみます。 + 彼らは、彼女の苦しみを恐れたために、遠く離れて立っていて、こう言います。『わざわいが来た。わざわいが来た。大きな都よ。力強い都、バビロンよ。あなたのさばきは、一瞬のうちに来た。』 + また、地上の商人たちは彼女のことで泣き悲しみます。もはや彼らの商品を買う者がだれもいないからです。 + 商品とは、金、銀、宝石、真珠、麻布、紫布、絹、緋布、香木、さまざまの象牙細工、高価な木や銅や鉄や大理石で造ったあらゆる種類の器具、 + また、肉桂、香料、香、香油、乳香、ぶどう酒、オリーブ油、麦粉、麦、牛、羊、それに馬、車、奴隷、また人のいのちです。 + また、あなたの心の望みである熟したくだものは、あなたから遠ざかってしまい、あらゆるはでな物、はなやかな物は消えうせて、もはや、決してそれらの物を見いだすことができません。 + これらの物を商って彼女から富を得ていた商人たちは、彼女の苦しみを恐れたために、遠く離れて立っていて、泣き悲しんで、 + 言います。『わざわいが来た。わざわいが来た。麻布、紫布、緋布を着て、金、宝石、真珠を飾りにしていた大きな都よ。 + あれほどの富が、一瞬のうちに荒れすたれてしまった。』また、すべての船長、すべての船客、水夫、海で働く者たちも、遠く離れて立っていて、 + 彼女が焼かれる煙を見て、叫んで言いました。『このすばらしい都のような所がほかにあろうか。』 + それから、彼らは、頭にちりをかぶって、泣き悲しみ、叫んで言いました。『わざわいが来た。わざわいが来た。大きな都よ。海に舟を持つ者はみな、この都のおごりによって富を得ていたのに、それが一瞬のうちに荒れすたれるとは。』 + おお、天よ、聖徒たちよ、使徒たちよ、預言者たちよ。この都のことで喜びなさい。神は、あなたがたのために、この都にさばきを宣告されたからです。」 + また、ひとりの強い御使いが、大きい、ひき臼のような石を取り上げ、海に投げ入れて言った。「大きな都バビロンは、このように激しく打ち倒されて、もはやなくなって消えうせてしまう。 + 立琴をひく者、歌を歌う者、笛を吹く者、ラッパを鳴らす者の声は、もうおまえのうちに聞かれなくなる。あらゆる技術を持った職人たちも、もうおまえのうちに見られなくなる。ひき臼の音も、もうおまえのうちに聞かれなくなる。 + ともしびの光は、もうおまえのうちに輝かなくなる。花婿、花嫁の声も、もうおまえのうちに聞かれなくなる。なぜなら、おまえの商人たちは地上の力ある者どもで、すべての国々の民がおまえの魔術にだまされていたからだ。 + また、預言者や聖徒たちの血、および地上で殺されたすべての人々の血が、この都の中に見いだされたからだ。」 + + + この後、私は、天に大群衆の大きい声のようなものが、こう言うのを聞いた。「ハレルヤ。救い、栄光、力は、われらの神のもの。 + 神のさばきは真実で、正しいからである。神は不品行によって地を汚した大淫婦をさばき、ご自分のしもべたちの血の報復を彼女にされたからである。」 + 彼らは再び言った。「ハレルヤ。彼女の煙は永遠に立ち上る。」 + すると、二十四人の長老と四つの生き物はひれ伏し、御座についておられる神を拝んで、「アーメン。ハレルヤ」と言った。 + また、御座から声が出て言った。「すべての、神のしもべたち。小さい者も大きい者も、神を恐れかしこむ者たちよ。われらの神を賛美せよ。」 + また、私は大群衆の声、大水の音、激しい雷鳴のようなものが、こう言うのを聞いた。「ハレルヤ。万物の支配者である、われらの神である主は王となられた。 + 私たちは喜び楽しみ、神をほめたたえよう。小羊の婚姻の時が来て、花嫁はその用意ができたのだから。 + 花嫁は、光り輝く、きよい麻布の衣を着ることを許された。その麻布とは、聖徒たちの正しい行いである。」 + 御使いは私に「小羊の婚宴に招かれた者は幸いだ、と書きなさい」と言い、また、「これは神の真実のことばです」と言った。 + そこで、私は彼を拝もうとして、その足もとにひれ伏した。すると、彼は私に言った。「いけません。私は、あなたや、イエスのあかしを堅く保っているあなたの兄弟たちと同じしもべです。神を拝みなさい。イエスのあかしは預言の霊です。」 + また、私は開かれた天を見た。見よ。白い馬がいる。それに乗った方は、「忠実また真実」と呼ばれる方であり、義をもってさばきをし、戦いをされる。 + その目は燃える炎であり、その頭には多くの王冠があって、ご自身のほかだれも知らない名が書かれていた。 + その方は血に染まった衣を着ていて、その名は「神のことば」と呼ばれた。 + 天にある軍勢はまっ白な、きよい麻布を着て、白い馬に乗って彼につき従った。 + この方の口からは諸国の民を打つために、鋭い剣が出ていた。この方は、鉄の杖をもって彼らを牧される。この方はまた、万物の支配者である神の激しい怒りの酒ぶねを踏まれる。 + その着物にも、ももにも、「王の王、主の主」という名が書かれていた。 + また私は、太陽の中にひとりの御使いが立っているのを見た。彼は大声で叫び、中天を飛ぶすべての鳥に言った。「さあ、神の大宴会に集まり、 + 王の肉、千人隊長の肉、勇者の肉、馬とそれに乗る者の肉、すべての自由人と奴隷、小さい者と大きい者の肉を食べよ。」 + また私は、獣と地上の王たちとその軍勢が集まり、馬に乗った方とその軍勢と戦いを交えるのを見た。 + すると、獣は捕らえられた。また、獣の前でしるしを行い、それによって獣の刻印を受けた人々と獣の像を拝む人々とを惑わしたあのにせ預言者も、彼といっしょに捕らえられた。そして、このふたりは、硫黄の燃えている火の池に、生きたままで投げ込まれた。 + 残りの者たちも、馬に乗った方の口から出る剣によって殺され、すべての鳥が、彼らの肉を飽きるほどに食べた。 + + + また私は、御使いが底知れぬ所のかぎと大きな鎖とを手に持って、天から下って来るのを見た。 + 彼は、悪魔でありサタンである竜、あの古い蛇を捕らえ、これを千年の間縛って、 + 底知れぬ所に投げ込んで、そこを閉じ、その上に封印して、千年の終わるまでは、それが諸国の民を惑わすことのないようにした。サタンは、そのあとでしばらくの間、解き放されなければならない。 + また私は、多くの座を見た。彼らはその上にすわった。そしてさばきを行う権威が彼らに与えられた。また私は、イエスのあかしと神のことばとのゆえに首をはねられた人たちのたましいと、獣やその像を拝まず、その額や手に獣の刻印を押されなかった人たちを見た。彼らは生き返って、キリストとともに、千年の間王となった。 + そのほかの死者は、千年の終わるまでは、生き返らなかった。これが第一の復活である。 + この第一の復活にあずかる者は幸いな者、聖なる者である。この人々に対しては、第二の死は、なんの力も持っていない。彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストとともに、千年の間王となる。 + しかし千年の終わりに、サタンはその牢から解き放され、 + 地の四方にある諸国の民、すなわち、ゴグとマゴグを惑わすために出て行き、戦いのために彼らを召集する。彼らの数は海べの砂のようである。 + 彼らは、地上の広い平地に上って来て、聖徒たちの陣営と愛された都とを取り囲んだ。すると、天から火が降って来て、彼らを焼き尽くした。 + そして、彼らを惑わした悪魔は火と硫黄との池に投げ込まれた。そこは獣も、にせ預言者もいる所で、彼らは永遠に昼も夜も苦しみを受ける。 + また私は、大きな白い御座と、そこに着座しておられる方を見た。地も天もその御前から逃げ去って、あとかたもなくなった。 + また私は、死んだ人々が、大きい者も、小さい者も御座の前に立っているのを見た。そして、数々の書物が開かれた。また、別の一つの書物も開かれたが、それは、いのちの書であった。死んだ人々は、これらの書物に書きしるされているところに従って、自分の行いに応じてさばかれた。 + 海はその中にいる死者を出し、死もハデスも、その中にいる死者を出した。そして人々はおのおの自分の行いに応じてさばかれた。 + それから、死とハデスとは、火の池に投げ込まれた。これが第二の死である。 + いのちの書に名のしるされていない者はみな、この火の池に投げ込まれた。 + + + また私は、新しい天と新しい地とを見た。以前の天と、以前の地は過ぎ去り、もはや海もない。 + 私はまた、聖なる都、新しいエルサレムが、夫のために飾られた花嫁のように整えられて、神のみもとを出て、天から下って来るのを見た。 + そのとき私は、御座から出る大きな声がこう言うのを聞いた。「見よ。神の幕屋が人とともにある。神は彼らとともに住み、彼らはその民となる。また、神ご自身が彼らとともにおられて、 + 彼らの目の涙をすっかりぬぐい取ってくださる。もはや死もなく、悲しみ、叫び、苦しみもない。なぜなら、以前のものが、もはや過ぎ去ったからである。」 + すると、御座に着いておられる方が言われた。「見よ。わたしは、すべてを新しくする。」また言われた。「書きしるせ。これらのことばは、信ずべきものであり、真実である。」 + また言われた。「事は成就した。わたしはアルファであり、オメガである。最初であり、最後である。わたしは、渇く者には、いのちの水の泉から、価なしに飲ませる。 + 勝利を得る者は、これらのものを相続する。わたしは彼の神となり、彼はわたしの子となる。 + しかし、おくびょう者、不信仰の者、憎むべき者、人を殺す者、不品行の者、魔術を行う者、偶像を拝む者、すべて偽りを言う者どもの受ける分は、火と硫黄との燃える池の中にある。これが第二の死である。」 + また、最後の七つの災害の満ちているあの七つの鉢を持っていた七人の御使いのひとりが来た。彼は私に話して、こう言った。「ここに来なさい。私はあなたに、小羊の妻である花嫁を見せましょう。」 + そして、御使いは御霊によって私を大きな高い山に連れて行って、聖なる都エルサレムが神のみもとを出て、天から下って来るのを見せた。 + 都には神の栄光があった。その輝きは高価な宝石に似ており、透き通った碧玉のようであった。 + 都には大きな高い城壁と十二の門があって、それらの門には十二人の御使いがおり、イスラエルの子らの十二部族の名が書いてあった。 + 東に三つの門、北に三つの門、南に三つの門、西に三つの門があった。 + また、都の城壁には十二の土台石があり、それには、小羊の十二使徒の十二の名が書いてあった。 + また、私と話していた者は都とその門とその城壁とを測る金の測りざおを持っていた。 + 都は四角で、その長さと幅は同じである。彼がそのさおで都を測ると、一万二千スタディオンあった。長さも幅も高さも同じである。 + また、彼がその城壁を測ると、人間の尺度で百四十四ペーキュスあった。これが御使いの尺度でもあった。 + その城壁は碧玉で造られ、都は混じりけのないガラスに似た純金でできていた。 + 都の城壁の土台石はあらゆる宝石で飾られていた。第一の土台石は碧玉、第二はサファイヤ、第三は玉髄、第四は緑玉、 + 第五は赤縞めのう、第六は赤めのう、第七は貴かんらん石、第八は緑柱石、第九は黄玉、第十は緑玉髄、第十一は青玉、第十二は紫水晶であった。 + また、十二の門は十二の真珠であった。どの門もそれぞれ一つの真珠からできていた。都の大通りは、透き通ったガラスのような純金であった。 + 私は、この都の中に神殿を見なかった。それは、万物の支配者である、神であられる主と、小羊とが都の神殿だからである。 + 都には、これを照らす太陽も月もいらない。というのは、神の栄光が都を照らし、小羊が都のあかりだからである。 + 諸国の民が、都の光によって歩み、地の王たちはその栄光を携えて都に来る。 + 都の門は一日中決して閉じることがない。そこには夜がないからである。 + こうして、人々は諸国の民の栄光と誉れとを、そこに携えて来る。 + しかし、すべて汚れた者や、憎むべきことと偽りとを行う者は、決して都に入れない。小羊のいのちの書に名が書いてある者だけが、入ることができる。 + + + 御使いはまた、私に水晶のように光るいのちの水の川を見せた。それは神と小羊との御座から出て、 + 都の大通りの中央を流れていた。川の両岸には、いのちの木があって、十二種の実がなり、毎月、実ができた。また、その木の葉は諸国の民をいやした。 + もはや、のろわれるものは何もない。神と小羊との御座が都の中にあって、そのしもべたちは神に仕え、 + 神の御顔を仰ぎ見る。また、彼らの額には神の名がついている。 + もはや夜がない。神である主が彼らを照らされるので、彼らにはともしびの光も太陽の光もいらない。彼らは永遠に王である。 + 御使いはまた私に、「これらのことばは、信ずべきものであり、真実なのです」と言った。預言者たちのたましいの神である主は、その御使いを遣わし、すぐに起こるべき事を、そのしもべたちに示そうとされたのである。 + 「見よ。わたしはすぐに来る。この書の預言のことばを堅く守る者は、幸いである。」 + これらのことを聞き、また見たのは私ヨハネである。私が聞き、また見たとき、それらのことを示してくれた御使いの足もとに、ひれ伏して拝もうとした。 + すると、彼は私に言った。「やめなさい。私は、あなたや、あなたの兄弟である預言者たちや、この書のことばを堅く守る人々と同じしもべです。神を拝みなさい。」 + また、彼は私に言った。「この書の預言のことばを封じてはいけない。時が近づいているからである。 + 不正を行う者はますます不正を行い、汚れた者はますます汚れを行いなさい。正しい者はいよいよ正しいことを行い、聖徒はいよいよ聖なるものとされなさい。」 + 「見よ。わたしはすぐに来る。わたしはそれぞれのしわざに応じて報いるために、わたしの報いを携えて来る。 + わたしはアルファであり、オメガである。最初であり、最後である。初めであり、終わりである。」 + 自分の着物を洗って、いのちの木の実を食べる権利を与えられ、門を通って都に入れるようになる者は、幸いである。 + 犬ども、魔術を行う者、不品行の者、人殺し、偶像を拝む者、好んで偽りを行う者はみな、外に出される。 + 「わたし、イエスは御使いを遣わして、諸教会について、これらのことをあなたがたにあかしした。わたしはダビデの根、また子孫、輝く明けの明星である。」 + 御霊も花嫁も言う。「来てください。」これを聞く者は、「来てください」と言いなさい。渇く者は来なさい。いのちの水がほしい者は、それをただで受けなさい。 + 私は、この書の預言のことばを聞くすべての者にあかしする。もし、これにつけ加える者があれば、神はこの書に書いてある災害をその人に加えられる。 + また、この預言の書のことばを少しでも取り除く者があれば、神は、この書に書いてあるいのちの木と聖なる都から、その人の受ける分を取り除かれる。 + これらのことをあかしする方がこう言われる。「しかり。わたしはすぐに来る。」アーメン。主イエスよ、来てください。 + 主イエスの恵みがすべての者とともにあるように。アーメン。 + +
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